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高校時代の部活の話 -
パー速VIP 過去ログ倉庫
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1 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/04(日) 23:59:18.31 ID:/J7vEvZg0
俺の高校時代の話なんだが…
絵を描くのが好きな人とか、何か夢を追いかけている人がいたら、
良かったら、見てくれたら嬉しい。
読みにくいかもしれないけど、軽い気持ちで付き合ってくれ。
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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2 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:00:22.11 ID:UsnN+SuV0
俺は、物心ついたときから何となく絵を描くのが好きで、
ハマっているキャラクターを、「自由帳」に描いたりして幼少期を過ごした。
とても必死になって入れ込むとか、そこまでではなかったんだけど、
自由帳を開くとワクワクする気持ちが込み上げたんだ。
3 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:02:09.65 ID:UsnN+SuVo
中学生になってもそんな俺に大きな変化はなく、
授業中ノートに落書きするのが習慣だった。
でも、大手を振って「絵を描くのが好き!」と言えるほどではなかったし、
自分としても絵を描くのが「すごく」好きなわけではなかった。
それは、高校に入学しても変わることはなかった。
帰宅部だった俺は、他にすることなんてなかったし、特に夢中になれるものもなかった。
だから、とりあえず絵を描いていたんだ。
4 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:04:37.43 ID:UsnN+SuVo
そんな俺が決定的に変わったのが、高校2年の夏前のことだ。
文化祭が終わった頃で、学校全体が落ち着いた雰囲気になっていた。
ちょうど掃除当番で、普段は行くこともない美術室前の廊下を掃除していた。
その時はそういうシーズンだったのか、廊下の壁に色んな文化部が展示をしていたんだ。
書道部の展示で壁一面ほとんど半紙に覆われていたんだけど、
その中に一つだけ、「美術部」ってラベルがあって、目を引くイラストが飾ってあった。
5 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:09:51.26 ID:UsnN+SuVo
俺は偉そうに、「お、この高校にも絵を描く奴がいるのかよ」って思ってそのイラストを眺めてみた。
これが、本当に衝撃的だった。
可愛い女の子を描いたイラストで、デジタルで綺麗に色塗りまでされている。
当時はまだデジ絵も今ほど一般的ではなかったし、
自分と同世代でこんなにも上手い絵を描く人がいるのかって、ひどく驚いた。
そして何より、一目見ただけで俺はすっかりその絵が好きになってしまって、
その場から動けなくなってしまったんだ。
数分固まって、ずっとその絵を眺めていた。
6 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
:2016/12/05(月) 00:10:50.04 ID:ZB9yVMlFO
ちょっと聞くよ
7 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:12:48.17 ID:UsnN+SuVo
本当にこの時のドキドキというか、ときめきは、今でも忘れられない。
その絵の虜になってしまって、すっかり掃除どころではなくなった。
すごい、すごい! 同じ高校生でこんな絵を描く人がいるのか!
一体どんな人が描いたのか? 会ってみたい。どんな奴なんだ。
こんな想いが頭の中を駆け巡って、それから数日は気が気じゃなかった。
自分は絵が上手いんじゃないか?なんて思っていたけど、
その絵を見てからは、そんな気持ちはすっかりなくなっていた。
8 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:15:22.16 ID:UsnN+SuVo
ところが、何かおかしいんだ。
俺はそれから美術部の情報を掴もうと躍起になってクラスの奴とか、
他のクラスの友達とかに、美術部の奴はいないかって聞いて回った。
でも、同じ学年には一人残さず美術部のことを知ってる奴はいなかった。
なにかおかしい。
そういえば、そもそもこの学校に美術部があるなんて聞いたこともない。
そう思った俺は、しびれを切らして担任の先生に美術部の事を聞こうと考えた。
9 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:20:55.72 ID:UsnN+SuVo
放課後、人気の少なくなった教室に残ってる担任を見つけて詰め寄った。
(みんなのいる所で美術部の事を聞くのが、なんとなく恥ずかしかった)
俺「先生、先生、この学校に美術部ってありますか?」
担任「美術部? うーん……どうだっけ」
いつでもどこでも年中ジャージ、サッカー部の顧問だった担任には期待していなかったが、
どうにも鈍い答え。ガッカリしていると、
担任「あるにはあった気がするけど、今活動してたかな」
担任「職員室に戻って横田先生に聞かないと分かんないな」
10 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:22:12.24 ID:UsnN+SuVo
横田先生とは、うちの高校の美術教師だった人だ。
俺「えー、職員室まで行かないと分かんないんすか……」
担任「まあまあ、聞けば確実に分かるから」
担任は苦笑いで誤魔化した。
俺は言われるがまま、担任のあとをついて職員室に向かうことにした。
あの絵に出会って、この担任のあとをついて行くことで、
俺の高校生活が一変するなんて、この時は全然想像もつかなかった。
11 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:24:43.95 ID:UsnN+SuVo
職員室に着いて、横田先生のもとへ案内される。
担任「こいつが聞きたいことがあるらしいです」
そう言われて、「え、俺が聞くのかよ…」って少し面食らったけれど、
言われるがままに聞いてみた。
俺「あの、美術部って今活動してるんですか」
横田「ああ、やってるよー」
横田「とは言っても、部員は一人しかいないけどね」
それを聞いて担任が「あーそうなんだー」と高笑いした。
俺はその「一人」が引っかかって、すぐに食いついた。
12 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:25:29.88 ID:UsnN+SuVo
俺「え、その一人って、今美術室の廊下に飾ってある絵を描いた人ですか?」
横田「おお、そうだね。あの絵を見てくれたんだ。本人も喜ぶぞ」
俺はいてもたってもいられなくなった。今すぐ会って話してみたい!
横田「えーと、君の名前は……」
俺「斉藤です!2年5組の斉藤!」
横田「あ、斉藤君ね。多分今日もやってるから、ちょっと見ていく?」
これは願ったり叶ったりの展開だった。
一人で部活を見に行くのは気がひけるけど、顧問と一緒なら心強い。
13 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:27:16.45 ID:UsnN+SuVo
俺「え、いいんですか! 行きます行きます!」
横田「じゃ、ちょっと行ってみようか」
横田先生は、そう言うとほんの少し笑みを浮かべた。
美術室があるのは、特別教室棟の5階。
普段の教室とは違う場所にあるから、美術の授業をとっていない限り、滅多に行くこともない。
だからあの掃除の時間、あの絵を見つけたのも本当に偶然だったんだ。
ちょっとだけ、ドキドキした。
あの透き通るように可愛い絵を描いたのは、どんな奴なのか?
話は合うだろうか? いいヤツだったらいいな。
めっちゃオタクみたいな奴だったらどうしようか?(人のこと言えないが)
とにかく、色んな考えが頭を巡った。
14 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:27:55.54 ID:UsnN+SuVo
1階にある職員室から、俺は息を切らして5階まで登った。
帰宅部のもやし野郎には、結構きついものがあった。
5階の廊下にはやっぱりあの絵があり、見つけると笑顔になってしまった。
横田先生が小気味よくノックして「いるー?」と聞きながらドアを開けた。
美術室から返ってきた「はいー?」という声は意外なもので、
そこにいたのは女の子だった。
それも制服のリボンの色を見るに、先輩の女の子だった。
15 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:30:33.90 ID:UsnN+SuVo
俺はそれを見て、正直びびった。予想外すぎる。
自分の足が少し震えていることに気づいて、動揺した。
横田「なんかね、珍しいよ。美術部が気になるっていう少年を連れてきた」
横田先生は自分のひげをいじりながらニヤニヤしていた。
女の子「え、本当ですか! すごーい!」
横田「えーと、2年の斉藤君、だよね」
こちらに話を振られ、狼狽えながら答える。
俺「あ、斉藤です。初めまして……」
それを聞いて先輩は「あはは、斉藤くんか!」と笑っていた。
その笑顔を見た瞬間、心臓が嘘みたいに大きな音を立て、自分でも「あれ?」と思った。
16 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:31:33.37 ID:UsnN+SuVo
横田「で、この子が3年生のYさん」
そう言われると先輩はこちらを見て、
「初めまして、よろしく!」と笑った。
先輩は笑顔が印象的な、とても愛嬌のある人だった。
横田「Yの描いた絵を見て、とても気に入ってくれたらしいぞ」
先輩「え、本当ですか? 斉藤くん、あの絵見てくれたの?」
先輩の表情がキラリと明るくなって、こちらを見る。
俺「はい、見ました……とても上手くて、凄いと思って」
先輩「本当に! 嬉しいなぁ、ありがとう」
17 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:32:11.15 ID:UsnN+SuVo
先輩はとても嬉しそうに、にこにこ笑っていた。
「斉藤くんは見る目があるねー!」なんて言って、横田先生と笑いあっていた。
俺はそれを見て、あの絵を最初に見た時と、また違ったときめきを感じていることに気づいた。
あんな素敵な絵を、こんな人が描いたなんて。
ただその事実が、元々惰性で絵を描いてきた俺にはとても衝撃的なことで、
胸の高鳴りが止まらなかった。
18 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
:2016/12/05(月) 00:33:13.22 ID:ZB9yVMlFO
なるほど、美術部とその先輩との話ってわけだな
あと文章お上手なのでそのままお願いします
19 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:34:05.03 ID:UsnN+SuVo
横田「斉藤君はしばらく見ていくかい?」
俺「あ、はい。せっかくなんで……」
俺はぼーっと先輩を見つめてしまっていて、声をかけられて我に返った。
そのやり取りを見て先輩が「いいね! みてってみてって!」とにこやかに言った。
横田「じゃあ、自分はちょっと仕事があるから職員室に戻るけど」
横田「大丈夫?」
そう聞かれて先輩は「へーきです!」と朗らかに即答した。
20 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:34:54.26 ID:UsnN+SuVo
横田先生がいなくなって、美術室に先輩と二人きりになった。
妙に恥ずかしさが込み上げて、何を話せばいいのか分からなかった。
そんな俺の方を見て、先輩は笑顔を咲かせていた。
先輩「さて、どうしよっか」
俺「あ、いえ……俺のことは気にしないでください」
先輩「そう?」
先輩はてきぱきとエプロンを身に着け、準備を始めた。
俺「むしろ俺は、先輩の絵を描いてるところが見たいので……」
俺「気にせず、描いててください」
21 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:36:32.65 ID:UsnN+SuVo
俺がそう言うと、先輩は「分かりました!」と笑って、
窓際の机に座って絵を描き始めた。
ちょうど夕方くらいの時間で、窓から溢れんばかりの西日が差し込んでいた。
光の中に溶け込むように、長い影を背負って、先輩は絵を描く。
その光景はなんだか少しだけ、切ないようにも見えた。
先輩「斉藤くん、なんで美術部なんて見に来ようと思ったの?」
先輩は机に向かって絵を描きながら、喋り始めた。
俺「え、さっきも言いましたけど、先輩の描いた絵を見て…です」
先輩「えー! それが本当にきっかけなんだ」
22 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:45:12.54 ID:UsnN+SuVo
先輩「それなら、なんか申し訳ないかもなぁ」
先輩は苦笑いで俺の方を見て言った。
俺「どうしてですか?」
先輩「だって、私の絵なんて、大して上手でもないしさ」
それを聞いて、俺はすぐに言い返していた。
俺「いや、そんな事ないですよ!」
先輩は驚いたのか、きょとんとしてこちらを見ていた。
23 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:48:54.29 ID:UsnN+SuVo
俺「絶対にそんな事ないです」
俺「先輩の絵は、めっちゃ上手いです」
俺「俺、ひと目見て本当に好きになりました、先輩の絵」
初対面だというのに、俺は我を忘れて言葉を並べていた。
先輩「そ、それはありがとう……」
先輩は照れくさそうに、ぎこちなく答えた。
俺はそれを見て少し焦り、すぐに取り繕った。
俺「あ、すいません……いきなりこんな事言って」
24 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
:2016/12/05(月) 00:49:45.38 ID:ZB9yVMlFO
はやくはやくー
俺以外に見てる人いないのか?
25 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:50:26.35 ID:UsnN+SuVo
先輩「いや、嬉しいよ。……ありがとう」
そう言ってふふ、と笑う先輩を見て、俺はほっとした。
そして、しばらく黙って絵を描く先輩を眺めていた。
美術室の中は電気がついておらず、ちょっと薄暗かった。
それが気になって、先輩に尋ねてみた。
俺「あの、電気は…点けないんですか?」
先輩「あ、ごめん、暗い?」
俺「いえ、別にいいんですが、点けなくていいのかなって」
26 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:52:00.32 ID:UsnN+SuVo
先輩「ここって、5階のはしっこの教室でしょ? 晴れてると西日がすごい入ってくるんだよね」
先輩「その感じが好きで、わざと点けてないの」
俺はなるほどと思って、へえーと頷いた。
先輩「すごく良い場所だと思うけど、おかげで滅多に人も来ないんだ」
先輩は苦笑いでそう言っていたけど、
確かに言われてみれば、窓際で絵を描く先輩は西日に明るく照らされている。
美術室全体を淡い光が包み、ここだけ時間の流れが止まっているかのような、
なんとも言えない雰囲気が漂っていた。
27 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:52:27.34 ID:UsnN+SuVo
先輩「暑くない?こっちに座ったら?」
そう言って先輩は、隅の扇風機の前にあったロッキングチェアーを指さした。
俺は言われるがまま、そのロッキングチェアーに座って、扇風機の風に当たった。
ガー…ガー…という扇風機の回る音と、俺の座ったロッキングチェアのきしむ鈍い音だけが響いて、
しばらく不思議な時間を過ごした。
そして窓際には、西日に包まれて夢中で絵を描く先輩がいた。
お互い初対面だったから、ただ話す事がなかっただけなのかもしれない。
本当にここが学校の一部なのか?と疑うほど、日常から切り離されている気がした。
28 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:52:57.93 ID:UsnN+SuVo
そうやって不思議な時間を過ごして、どのくらいしてからだろう。
すっかり日が落ち始めて、美術室の中も薄暗くなっていた頃だった。
先輩「そろそろ、出来るかな」
先輩が嬉しそうに口を開いた。
俺「え、本当ですか?」
俺がロッキングチェアを立って見に行こうとしたので、先輩は制止した。
先輩「だめ。完成するまでは待ってて」
俺は「ですよね」と笑ってまた椅子に座り直した。
29 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:54:05.31 ID:UsnN+SuVo
先輩「まさかね」
俺「はい?」
先輩「後輩の子が来るなんて思ってなかったから」
先輩「今日は嬉しかったなぁ」
机を見つめる先輩の表情が和らいだのを見て、俺も嬉しくなる。
俺「いえ、自分こそ、あの絵を描いた人に会えて嬉しかったんです」
先輩は小さく「ありがとう」と微笑んだ後、続けた。
先輩「このままだとね、美術部は無くなっちゃうんだ」
俺「え、どういうことですか?」
30 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:55:58.48 ID:UsnN+SuVo
先輩「私一人しかいないから。来年誰も入らなければ、美術部は休止……実質消滅だね」
俺「そうなんですか……」
先輩「こんな素敵な場所、選択授業でしか使ってもらえないなんて、かわいそうだな」
俺「………」
俺は返す言葉が見つからなかった。
ただ、寂しそうに話す先輩をみて、胸がきゅっと痛くなった。
先輩「いや、ごめんね。今の忘れて! 私何言ってんだろ……」
わざとらしく取り繕う先輩を見て、俺はただ「いえ…」と言う事しかできなかった。
31 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:56:20.55 ID:UsnN+SuVo
先輩「ほら、できたよ!見る?」
先輩はぱっと明るいあの笑顔になって、俺を手招きして呼んだ。
俺「本当ですか! 見ます見ます!」
A4のコピー用紙に描かれていたのは、ロッキングチェアに座った女の子の絵だった。
俺「うわ、すっごく可愛いですね! いいなぁ〜」
素直な、心からの感想だった。
先輩はへへ、と得意げに笑ってくれた。
先輩「そこのロッキングチェア、よくモチーフにして描くんだよね」
俺「なるほど、すごいですね……この絵も可愛いなぁ」
先輩の描き上げた絵が本当に素敵で、しげしげと眺めてしまう。
32 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:57:05.90 ID:UsnN+SuVo
先輩「もし欲しいなら、あげるよ」
そう言って先輩は、その絵を俺の前に差し出した。
俺「え、いいんですか?」
驚いて思わず声が裏返ったかもしれない。
先輩「いいよいいよ、そんなものでいいならいくらでもあげる」
先輩「今日わざわざ見に来てくれたお礼みたいなもんです」
先輩は、白い歯を見せて笑顔になっていた。
この時、体が浮き上がるほど、心臓がばくんと音を立てたと思う。
絵をもらえることも嬉しいけど、高2の俺には先輩のその「笑顔」と、
「自分にだけ絵をくれた」という事実が嬉しくて、涙が出そうなほどだった。
33 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:57:52.78 ID:UsnN+SuVo
先輩「じゃあ、日も暮れてきたしそろそろ帰ろうか」
夢見心地なのも束の間、先輩が俺に声をかけた。
美術室の中は、薄暗く橙褐色に溶けていた。
俺「あ、あの、本当にありがとうございます……」
先輩「いいって。むしろそんなに喜んでくれたら、描いた甲斐もあったな」
そう言って先輩は、苦笑いした。
二人で美術室の鍵をかけて、5階から1階の下駄箱に一緒に向かう。
どうやら校内には他の文化部は残っていないようで、静まり返っていた。
階段を降りるパタンパタン、という音がよく響いた。
34 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:58:35.86 ID:UsnN+SuVo
そういえば女の子と一緒に帰るなんて初めてだな。
下駄箱を出てすっかり夕暮れに染まった校門への道を二人で歩きながら、そんな事を思った。
俺が駐輪場から自転車を引っ張ってくると、先輩は校門の前で立っていた。
俺「先輩、自転車じゃないんですか?」
先輩「私、今日はバスなんだ」
俺「この辺にバス停なんてあるんですね」
先輩「うん、ここを出て、少し歩いたファミマのとこだよ」
俺「へえ…」
と言いながら、なんとなく二人でバス停まで行く流れになった。
35 :
◆4Fc4enxHig
:2016/12/05(月) 00:59:09.32 ID:UsnN+SuVo
ということで、今日は一旦ここで落ちますね
続きはまた明日書きます〜
36 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
:2016/12/05(月) 01:00:20.34 ID:ZB9yVMlFO
おつかれ!
偶然見つけただけだけど読みやすくていい感じ
明日楽しみにしてるわ
37 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
:2016/12/05(月) 10:47:55.03 ID:scp6O7vZo
なんかパー速っぽいスレが立ってるじゃないの
支援支援
38 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
:2016/12/05(月) 12:03:40.58 ID:ZB9yVMlFO
続きが楽しみ
39 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
:2016/12/05(月) 13:33:56.75 ID:h1W0L1pNo
長くなりそうだけど付き合ってみるかな
40 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)
[sage]:2016/12/05(月) 20:27:27.55 ID:h/Oj5vSuO
おもしろいね
ほしゅ
41 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2016/12/05(月) 22:15:32.73 ID:suq+l1qDO
これ転載だろ
42 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)
[sage]:2017/01/13(金) 14:58:00.02 ID:JBmojQWPo
こちらです
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1422202719/
17.28 KB
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
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