【置き去りにしてた】能力者スレ【大切な言葉】

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/03(水) 22:03:58.33 ID:7fuvk+hY0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。

無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。

【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 

【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。

この世界は「多様性のある世界」です。
完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
コテハン「推奨」です!
基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
スレチなネタは程々に。
スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。

国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。

能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1466090455/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage]:2018/01/03(水) 23:39:40.27 ID:p/8xE35Ao
>>1おつー
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 21:22:11.16 ID:427OToWP0
>>1乙です】


>>1000

【かつん。距離にして3歩、ロングコートの人物がようやく止まった】
【はぁ、とため息をつく――止まった理由は、明白だった】
【青年の言葉、押し上げられた刀の鍔。そして、向けられる鋭い闘気】

――やれやれ、このような田舎でとんだ名探偵も居たものだ。

しかし……少々物騒ですね。そう睨まれては動けませんよ
刀をそうして抜くのもよろしくない、大変威嚇的な行為だ。
それで――貴方、それが事実だとしたら何なのです?

【右手は荷物、左手はポケット。目につく武装や】
【例えば仕込み武器――袖や胸部に違和感のある膨らみは見受けられない】

【だが"熱い"。陽炎で空間が揺れ、ふわりと火の粉すらその周囲に散り始める】
【間違いなく能力者、だが青年の出方を見るように、先手を取ることはしない】
【――しないが、出方次第では一瞬で消し炭にする。そんな殺気が、青年を捉えていた】
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 21:36:21.17 ID:qYcddAeQo
>>3

意外にね。
悪いことをした後ってのは、得てしてこんなものだ。

【仮に】
【ロングコートの人物が、足を止めず通り過ぎていたとするならば――その背中へ向けて、抜き打ち一閃】
【致死の一撃が、放たれていただろう。柔和な外見に相反し、その瞳は冷たく赤く】

事実だとするのなら、起こったことは変えられない。
さっさと寺院に駆けつけて、生き残りが居ないか探すのが一番だろうな。

――だけどお前は、『まだ』行かねばならない場所がある、と言ったな。
ならばきっと、第二の、第三の惨劇が起こるのだろう。

それは絶対に――見逃せない。それだけだ。

【武装がない。今見える範囲では】
【だが、青年はそれを原因に手を抜きはしない。亜空間からの武具召喚、武器を必要としない能力者、魔術主体の戦闘者】
【あらゆる可能性が存在するし――】
【何より向けられたその殺気の鋭さが、欠片の油断も許容しなかった】

――――ッ!

【ちりちりと舞い始めた火の粉を斬り裂くように、青年の腰から刀が放たれる】
【一刀両断、神速抜刀。その言葉を現実にしたかのような剣閃が、ロングコートの人物の首筋へと迫る――!】
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 21:54:00.78 ID:427OToWP0
>>4

おや。そこまで見抜かれていては、貴方は見過ごせないでしょうねえ
いかにも正義感に溢れた素晴らしい判断力です。
……が、果たしてそれが惨劇かどうか。単なる因果応報かも知れませんよ?

【視線は青年の顔ではなく、刀。手がかかったそこへ集中していた】

【攻撃手段は間違いなくそれだろう。しかも、未だ抜いていない】
【"構え"が"威嚇"なのならば、それは最初の一閃が最大の脅威であり】
【ならば――狙う先は、剣閃は、どうなるかの予想くらいは付く】

【――ガッ、っ! 硬物がぶつかり合う音がした】
【ロングコートの人物と同じ高さ、180cmほどの"分厚い氷柱"が出現していた】
【故に刀が捉えた先は首ではなく、その氷。密度の高いソレは、半ばまで刃が食い込み】
【今にも切り抜けそうであっても、最初の勢いは殺せる事だろう】

【そうだ――熱気があるから炎熱系の能力者であると、この人物は口にしたか。否――】

――というわけでさようなら。来世ではお友達になれるとよいのですが、ねえ?

【周囲に舞う火の粉が瞬時に集約し、炎の槍を形作ると】
【青年を正面から貫こうと、ちょうどロングコートの人物の頭上から真っ直ぐに飛来する】
【兆候・軌道自体は読みやすい――だが、その放たれる速度は矢の如くであった】
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 22:17:46.37 ID:qYcddAeQo
>>5

【ぎし、と、氷柱へ刀が食い込む】
【分厚く密度は高く――並の刀では、斬り抜けまい。びくとも、すまい】

【―――温度を操作する能力者。その予測は、既に最初の熱気で辿り着いていた】

――君の来世は、どうか健やかに育つといいな。
そうしたらほら、僕のほうが随分年上だが、友達にはなれるかもだ――!

【刀の柄を握り込む】
【密度の高い氷に食い込んだ、己の愛刀をまるで鉄棒のように扱って】
【だん、と地面を蹴り込む。鈍色に光るその脚は、青年の体躯から不釣合いに頑強】
【凄まじい筋力が、青年の身体を跳ね上げる。
 逆巻く雷光のような速度で、風を纏って振り上げられるその脚が、飛来する炎の槍を『蹴り上げる』――!!】

【――有りていに言ってしまえば、逆上がりの態勢で。】
【しかし振り上げられる蹴りは、炎の槍を吹き飛ばすには十分な勢いだろう】

【しかし、刀。ロングコートの人物の見立ての通り、青年の持つ攻撃手段はそれが最大だ】
【……そう、最大の攻撃手段なのだ】

――――唸れ、断空。

【ロングコートの人物が、魔力の流れに明るいのならば】
【青年の刀が、氷の中で鈍く光ったことに気づくかも知れない】
【吼えたけるように、荒々しい魔力が刀身に収束していく―――】
【逆上がりのまま、青年の身体は、ちょうど真上に足を向けていた】
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 22:28:31.84 ID:427OToWP0
>>6

何――……。――なっ、ぁ!?

【炎の槍を"蹴り上げる"――蹴り上げる、だと】
【その身に突き刺さるのではない、避けるのでもない】
【跳ね上げた、受け流した。その行動に、攻撃をした本人は目を見張る】

【だが同時に、その視線を刀が食い込んだ氷柱へ向けたことは】
【青年と相対するこの人物が、単なる傲慢な能力者ではなく】
【戦闘慣れし、それなり以上の直感を持った人物であることを示しており】

(妖刀か、能力の類ですかね。……どちらにせよ忌々しい)

――はた迷惑な探偵も居たものだ、全く……ッ!!

【収束する魔力には鋭敏に気づき。そして嫌な予感がしたのだろう】
【氷柱が立つ方向とは全くの正反対に、コートが汚れるのも気にせず飛び込んで】
【回避と距離を取るのとを並行しながらポケットに突っ込んでいた手を出すと】
【胸元で素早く印を切り――刹那、人型をした紙が浮遊して、燃え上がり】

【ほぼ当てずっぽうの盲撃ちながら、直線的に青年を狙う火球となって迫っていく】
【火球は何かに触れれば小規模な爆発を起こし、周囲に火炎を撒き散らすだろう】
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 22:41:02.32 ID:qYcddAeQo
>>7

―――よく言われるよ、なんでお前が此処に、ってね!

【中空に逆立ちするような形のまま、青年はロングコートの人物を目で追う】
【一見無防備な態勢であるのに、刀を氷の中に取り込んだままであるのに――決して深追いしてこない】
【コートに、スエードに、ファー。いずれも瀟洒な白であり、それなり以上に身なりを気を使う性質であろうに】
【こと戦いとなれば、それが汚れるのも厭わず、最善の行動を取る】
【青年は、目の前の能力者を極めて危険な、強力な、手練であると認識する】

【――ぶん、と地上に戻る勢いで、刃を振り抜く】
【刃はいとも簡単に氷を潜り抜け、その自由を取り戻す――あまりにも、簡単に】

【しかしその回転、地上に戻る間隙をつくように、ロングコートの人物が放った火球が青年を襲う】

――ち、避けきれん……!

【身に纏った外套で身体を護る。対魔力、対属性に優れた騎士の外套ではあるが】
【数発が着弾し、爆発。撒き散らす火炎こそ燃え移らぬものの、爆発の衝撃は青年へとダメージを与える】
【また、外套を使った防御で視界は数割失われる】
【攻撃のアドバンテージは、いまだロングコートの人物に】
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 22:51:40.68 ID:427OToWP0
>>8

【青年に火球が命中したのは、ロングコートの人物が立ち上がった時】
【狙うなどという余裕はなかったが、数が功を奏したか】
【確かに手応えのあった青年の様子によし、と心中頷くものの】
【まだ、だ。相手は倒れていない、未だその脅威は計り知れない】

――――“待った”。

【追撃――ではない。アドバンテージを保持しつつも、攻撃はしない】
【正確には威嚇のように、先程の爆発する火球を頭上に4つ展開し】
【その内側では人型――櫻でいう式神のような存在が見えていたが】

……こんなどうしようもない所で、お互い消耗する必要がありますかね。
見たところその刀、そして衣服にその足……。

年齢に見合わず相当な使い手だ。いえ、否定せずともよろしい
私からすればそうなのです。……そんな相手と、私も意味なく命のやり取りをしたくない
どうです、一つ――私の"事情"、聞いてから刃を向けるか、決めてみては?

【不穏な微笑み、なんてものは人物の顔には浮かんでいない】
【至って真面目、だまし討でも時間稼ぎでもなく"交渉"】
【そんな様子で青年に声をかけた。距離はある、嘘――とも思えなかった、が】
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 22:58:39.19 ID:qYcddAeQo
>>9

――――。

【待った、と掛けられた、その声に】
【ロングコートの人物に相対するように立ち上がる】
【ダメージを受けたのはこちら。追撃の機を一つ逸して、会話を仕掛ける】

……人々に害なすものは見過ごせない。
事情を聞いたとて斬ることに変わりはないかもしれないが―――まあ、それでもよければ。

【ならばひとつ、この相手の事情とやらを聞いても構うまい】
【嘘八百とて損はなし、また斬り結べば元の通り】
【幾ばくかの真実さえ含まれているのなら、今の自分にとっては値千金】

いいだろう。君の話、聞かせてもらおうか。

【ちりん、と刀を納める。君もその火の玉、仕舞えよな、とも言いたげに口を尖らせて】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 23:15:06.09 ID:427OToWP0
>>10

【相手が話を聞くタイプの相手だと想定していたが――正解だった】
【一度刀を収めたのを見れば、彼の持ち味は最初の一閃だったな、と】
【そう思いつつも、視線を感じて頭上の火球を内部の式神ごと燃やし尽くす】
【そうなれば出会った時と同じ格好。右手に風呂敷、という――いや】

【衣服の汚れ以外に一点、変化があった。それは頭部、黒い髪の合間】
【そこに先の尖った耳が見えた。犬か狼か――見るものが見れば、狐と分かる耳だった】

話を聞いて頂けるようで結構。
人斬りの間抜けでなくて何よりです。……さて

――手短に行きましょうか。私は妖狐です、それもこの辺りの山の出身でして。
久々に戻ってみれば、我々の領域を封じるように結界が張られていましてね
寺を幾つか作り、神仏を要石に見立てた安易で……ですが強力なものです。

これが――その、"要石"なのですがね。

【ごとり、と重そうな音をさせて路面に紫の風呂敷を置くとその結びを解く】
【露わになるのは――黄土の水晶に閉じ込められた、仏の像】
【強い魔力を放つのはやはりこの物体。すなわち、これを要点に配置し】
【かの人物がいう領域を囲み――封印の結界でも張ったのだろう、が】
【その意図、経緯、妖狐という存在の立場、人との関係。全て不明確なのは変わりなく】

私としては、この結界さえ破壊できれば何の問題も無いのですよ。
分かりますかね――家へ帰れば、その出入り口が封鎖されているわけです
それも何処の誰とも知らない相手によってね。

――そういうわけで、私としてはあと3箇所。コレを奪う必要がありまして。
殺すな、というのであれば……その程度は誓ってもよろしいが。

【事情は理解できましたが、と問いかける。――突拍子もないのは間違い無い】
【だがロングコートの人物が人外の妖狐であれば、その熟練具合も確かであり】
【筋は通っている、とも言える。後は――青年の判断しだい、ということか】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 23:32:19.01 ID:qYcddAeQo
>>11

成る程、ね……

【現状を認識する】
【まず目の前の人物は、妖狐】
【人に在らざるモノであることは、間違いなく】

―――話は解った、妖狐よ。
いくつか、前提として聞いてほしい。

ひとつ。
君の言うことが本当のことかどうか、判断する材料を僕は持たない。
嘘であるとするのなら、僕が知っているのは君が人を――恐らく――殺してそれを奪ったということだけだ。
ここで君と斬り合いを再開するしかない。

ふたつ。
仮に本当だとしよう。それは要石で、結界によって寺社はその領域を封じていた。
――封じなければならないような、領域だったということだ。

みっつ。
であるのなら、手放しに君が結界を破壊するのを見過ごすわけにはいかない。
戦って分かったが、君は強い。妖狐という種族に君と同等の手練が複数名いたとして、
そしてそれがヒトに取って危険な存在であるのなら、やはりこの結界破壊を見過ごせない。

【人差し指、中指、薬指。話に合わせて、三本の指を立てる】
【そして、ぐ、と拳を握り】

――だけど、君が故郷に帰りたい、と思うのは、きっと当然のことなんだろう。
誰しも、……きっと、家には、帰りたい。

【何かを思い出すように、少し苦しげに顔を歪めて――けれど、それも一瞬】

妖狐。君がもし不殺を誓うのであれば、僕もその3箇所へと同行しても構わないか。
僕からも事情を話して助力はする。

封じる寺院の僧たちから、事のあらましを聞いて――やはり危険で結界が一時も解けない、ということであれば、
また剣を交えることになってしまうかもしれないが―――

【歯切れ悪く、もしかすると力になれないかもしれない、最後は殺し合う事になってしまうかもしれない、と伝えながら】
【けれど最大限の譲歩で。ある意味では正しくないかもしれない譲歩で――青年は、他の寺院へと、
 結界解除に向けて妖狐と同道することを提案した】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 23:50:33.85 ID:427OToWP0
>>12

【聞いてほしいと言われれば両手をポケットに突っ込んで】
【どうぞと言わんばかりに黙り込み、鋭い視線を青年に向ける】
【ひとつ、ふたつ、みっつ。なるほど確かに、その理論は筋が通っていて】
【何よりとても合理的で、人間的で――悪くない話、ではあった】

ひとつ。
仰るとおり、私も証明するだけの材料を持ち合わせていません。
が、真実ですと念を押しましょう。……まあ、人は殺しましたが。
大体15人程度ですかね。降伏を促したのですが――いえ、済んだことですか。

ふたつ。
それは貴方がたの勝手な了見でしょう。
妖狐を、妖怪を恐れるからと、単なる幼い狐を狩り尽くすのと変わらない。
故に封じなければならないような領域、という認識は改めて頂きたいですね。

さて、みっつ。
……どうですかね。私、これでも故郷では最長老のようなものでして。
年寄りは皆死んでしまいましたので、後進が育っていればわかりませんが。
――危険な存在であると言うのは、間違いないでしょう。

【計算高い、というべきか。言うべきことは自分の不利でも口にして】
【けれど譲らない所は堅持する。プライドの高さ――とでも言うべきものが、見え隠れしていて】

……平和的に解決出来るというのなら、それは素晴らしいことです。
単なる人間である貴方が行けば、彼らも不要な警戒はしないでしょう。

その場合は、私は同行というよりも後を付いていくほうがよろしい。
事の次第を見守り、結果的に結界がなくなれば良いのですから。

――ですが解せませんね。何故、またそんな面倒を?
貴方、ついさっきまで私と命のやり取りをしていたはずですが。
郷愁の情に流された、などという世迷い言をいう程幼稚でもないでしょうに。何故、です?

【同行し、事情を話して助力する。その申し出は悪くない】
【だが得もない話だ。とこかへ行く、とも言っていた気がするが】
【手を貸すなどというのは何故かと、短節に妖狐は尋ねかけた】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 00:06:25.93 ID:fmkBnnr3o
>>13

【――15人。目眩がするような、その人数】
【絶対に結界を護るため、もしかすると殉じたのかも知れない】
【あるいは単に、ヒトと妖狐との、種族としての争いの犠牲となったかもしれない】
【大いに迷う。果たして自分の選んでいる道は正しいのか――けれど】

ふたつ目。
僕達の種族が相争っていて――封じたの、封じられたのという間柄になっているのは恐らく事実なのだろう。
無論君たち妖狐から見れば、封じられる謂れなどないのだろうが……
そこはまあ、お互い様というやつかもしれないね。

分かり合えれば何よりだけど、分かり合えぬが世の常さ。
……本当に、愚かしいと思うのだけど。

【見え隠れする、その誇り】
【譲れぬ硬さが、そこは信用できそうだ、と、青年に思わせた】

ああ、話す順番はどうでも構わない。
『ちょっと貴方がたの仲間を皆殺しにしてきたのですが、話を聞いてくれますか』よりも、
まあ僕が話したほうが幾分マシだろう。

【じゃり、と道を踏み出しかけて、妖狐の問いに言葉を詰まらせる――何故手を貸すのか、と】
【当たり前の疑問に、頭を掻いて】

……いや、恥ずかしい話、本当に郷愁の情に流された、というやつだよ。
――自分の故郷に、帰りたがっているひとがいた。
彼女を故郷に帰すために、世界中飛び回ったのだけれど―――
あまり良い結果に、ならなくて。力が足りなかった。

だからさ、笑うなよ、妖狐。
ほんとう、そういうのに弱いだけなんだ。

【顔を見られたくないように、強引に一歩を踏み出す。さて、寺院の方角など知るはずもないのだが――
 とりあえず、照れくさかったのだろうか】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 00:35:56.22 ID:dKwxGh2r0
>>14

――成る程。どんな戦士でも人間は人間、ということですか。

【郷愁の情。素直にそれが理由だと答える青年を】
【妖狐は、笑いはしない。――なにせ、自分の行動理由もそれなのだから】
【ただ、アレだけ論理的に話していた青年が感情で動く】
【それがおかしかったというように、くすりと笑って】

【けれどすぐにその笑みは消す。先程垣間見えたように、プライドがある】
【たとえ真意で無くとも、嘲笑うように見えてしまっては】
【そんな底の浅い種族だと思われてしまっては、気分が悪い】

それでは――交渉は貴方にお任せしましょう。
単純な事情、私の誓った不殺、結界の一時的な解除。
これらを伝えてくれればよろしい。……では、参りましょうか?

【妖狐の姿を焔が包む。次の瞬間には、汚れの付いた白い装束は】
【陰陽師のそれにも似た、水干――狩衣の衣装に変わっていて】


【――あとは、かの妖狐が導くまま。寺院の数は3つであり】
【いずれも一つの山を囲うように四角を描いて築かれていて】

【足を運べば、武装した僧がすぐに事情を尋ねに来るだろう】
【なにせ、山の向こうで火の手が上がり、結界が崩れかけているのだから】
【そこで先程の3つの要件――これを伝えれば、しばし待たれよ、と】
【茶室で数時間ばかり、お茶と菓子だけは自由な状態で放置され】

【その後にようやく、半日であれば結界を開けてもよろしい】
【――と、合議の結果なのだろう。案外折良い返事を貰うことが出来て】

【小用が、とでもいえば一度その場を抜け出すことも出来るだろう】
【どうなったのだとせっつくように、青年の懐に忍ばせた紙の人型】
【式神が震えて、温かく熱を放っていた】
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 00:44:43.39 ID:fmkBnnr3o
>>15

【急須を五つ、菓子盛りを三つばかり空にして】
【給仕の童からこの男、というように見られるようになったころ、折良い返事が届けられ】

―――マジか。意外と普通に開くものだな。

【俗な感想を漏らせば、式神が胸の内で震えていた】
【すまない厠は、と童に声をかけ、あんなにお茶を飲めばそれはそうです、と憤懣やるかたなく案内され】
【ぱたりと扉を閉じたのち、懐の式神を額に着けた】

―――ああ、妖狐かい。
こうすれば聞こえるものだろうか。

【そして伝える、半日きりの結界解除。封じていた僧たちが良いと言えば良いのだろうと、どこか楽観的に考えて】
【けれどそれでは行き来ができないな、と声を曇らせた】

/上手だ!
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 01:05:28.28 ID:dKwxGh2r0
>>16

『――――ええ、聞こえますとも。貴方、適応力高いですね?』

【くすりという笑い声すらも聞こえる、高性能な通信機材】
【思念をそのまま言葉にしたようなそれは事情を伝えれば】
【すぐに『分かった』という返事があり、同時に後の行き来に付いて】
【青年が言葉を曇らせると、若干、妖狐も言いよどみ】

……まあ、入りさえすればなんとかなるものです。
結界を破壊せずとも、抜け道の一つや二つは作れるでしょう

見ての通り、私もその手の術式には詳しいですので。
さて問題は――貴方への礼ですね。
何か欲しいものでもお有りですか、若い騎士殿?

【ふらり、と青年の背後に姿を見せるのは先程の水干姿】
【相も変わらず――背丈は180cmほどあるが、性別が何とも言えない】
【慇懃な言葉遣いで問いかけるのは、その礼をどうするか】

【何やら腹案はありそうな表情だったが、まずは要望を聞きたいと】
【そんな口ぶりで青年に声をかけて、軽く拳を握りつつ返事を待った】

/そう言われるとお恥ずかしいですw
/終わりも見えてますが、眠気などは大丈夫ですか?
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 01:19:31.56 ID:fmkBnnr3o
>>17

よく言われるよ、何処に放り込んでも生きている、とね。
――いや、でも菓子とお茶は美味かった。
少し包んでもらったりできるかな……

【どうみても厄介事を持ち込んだ立場でありながら、そんなことをのうのうと】
【突然後ろから掛けられた声に、少し式神を矯めつ眇めつ、振り返る】

……そうか。妖狐がそういうのなら、そうなんだろう。
半日開けて居られるのなら、そう差し迫った危険でもないのかもね。
ある種の聖域、というものだろうか。

―――え、お礼?
参ったな、考えていなかった……君が故郷に帰れたのなら、それで僕としては満足、なのだけど。

【無論欲しいものはいくつかある。……身分証とか。もっと直裁的に語るなら、ケータイとか】
【ただまあ、恐らく妖狐にねだるような物ではないだろう、と、そのくらいは青年にもわかっていて】
【斬り結ぶ時の果断さから比べると、情けないほどに悩んでいる】

/流れるような場面転換とテンポのよい地の文が!
/はい、俺は大丈夫。そちらは大丈夫ですか?
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 01:31:00.24 ID:dKwxGh2r0
>>18

……まあ、その出入り口が知れてしまえば
新たな火種になりかねない、という問題はありますが。
その際は、そうですねえ……他所の山にでも行かせますよ。

【不殺の約定もあることですし――と、言葉を結び】

【続く青年の言葉に、呆れたように吐息を漏らす】
【行動理由も感情的なら、行動への見返りも気持ちで十分】
【そんな様子が、やはりあの合理的な返答をした同一人物とは思えない】
【が、それもまた人間らしい。唇の端を釣り上げると、ポンと何かを投げ渡す】

思いつかないのであれば、一先ずこれをお持ちなさい。
……先程の結界を作っていた要石。あれを小さく凝縮したものです。
幸い結界は残りの寺院でも維持できるようですし、戻す場所も既に無い。

――15人の犠牲の上に成り立つ代物、ではありますがね。

【投げ渡しのは黄土の――というよりは琥珀色の、手のひらサイズの丸い石】
【溢れ出すのは浄化の魔力。その力は強大で、宝石としての価値もありそうだが】

【だが――人が殺されて、そこから作り上げられたものでもある】
【それを敢えて青年に告げつつ、どうするか、とでもいうように返事を待つ】
【要らないのなら返すというのも手であろう。あるいは、返事を保留して】
【今度会ったときに別な礼が欲しいと――そう伝える、なんていう手もあった】

/いえいえ、意図を汲み取って頂けるお返事あってこそですので。
/こちらもまだ大丈夫です。ので、このまま完走しちゃいましょうか!
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 01:45:56.20 ID:fmkBnnr3o
>>19

【この度の用事が終わっても、まだ不殺を守ってくれるのか、と】
【片眉を上げて、微笑んだ】

これは、あの仏像の?
すごい魔力だ――それも、清らかな。

【宝玉と、そう呼ばれ得るようなその石を、ぐ、と握り込む】
【15人、避けられたかも、避け得なかったかもしれないその犠牲】
【とは言え起こった出来事は変えられない。次の悲劇を防ぐ、というのが青年の行動骨子】
【であるのなら、この浄化の要石は、きっといつかは役に立ち】

―――ありがたく頂くよ、妖……いや、君の名前は?
僕の名前は、ウェイン。語り部の役目を、一つ終えし者。

【そして縁を結んだこの存在との、新たな縁にもなるだろうと】
【互いを認めるように、名前を名乗った】

/オーライ、そうしましょう!
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 02:14:31.65 ID:dKwxGh2r0
>>20

【頂く、という言葉を聞けば一度小さく頷いてみせる】
【それならそれでいい。妖狐という存在にとっては不要な物らしく】
【続く言葉。名を尋ねられると――少々以外そうに瞳をぱちぱちと開閉し】

……ふむ、名前。あぁ確かに、妖狐では呼びづらいでしょうねえ。

ならば、そう――"クズノハ"とでもお呼びなさい。
この一体の妖怪の……名目上の長、のようなものですかね。
とは言え普段は里に居ますから。また会った時は、どうぞよろしく。

【ウェイン――と、相手の名前を脳裏に刻むように呟けば】
【それで十分に互いを認めあったということになるだろう】
【或いは、敢えて好物何ていうのを伝えたのは、次に会うときを考えているのかも知れず】

……さて、私は帰りますよ。
貴方も行く所があるのなら、雪が降るまえに行ったほうが良い。
この辺りの夜は冷えますからね。……こちら、餞別です。

【そういってふわりとウェインに向かって飛ばすのは、式神の札】
【触れればほのかに温かく、胸元に納めれば良い暖になるだろう】

【――もし青年がそれに礼を言おうと顔を上げたならば】
【既にそこに妖狐の姿はなく、ざぁ、と枯れ木がざわめくばかり】
【さながら狐に化かされたような――けれど、確かに胸元の暖かみは残っていた】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 02:28:59.54 ID:fmkBnnr3o
>>21

――クズノハ。
なんとまあ、偉いモノだったんだな……

【一つ名前を呼び、うん、と頷いて、浄化の要石を懐中にしまい込むと】

こちらこそ、どうぞよろしく。
次に合うときは好物でもご馳走しよう。

【またきっと、どこかでクズノハとは会うこともあるのだろう、と、すとんと胸に落ちるように納得した】
【そうして、枯れ木のざわめきを見上げる】

――ああ、きっとまた、クズノハ。
君と、君の一族が幾久しく健やかに過ごせますよう。

【それは、戦いのときに叩いた軽口を】
【今度は、確かな友愛を載せて、同じ相手に贈る】

【15名。最早戻らぬ犠牲はあれど、だからといっていつまでも相争うことを良しとせず】
【ひとつ確かな絆を築き、胸の暖かみに勇気づけられながら再びズタ袋を背負うと】
【歩く青年の白い外套に、同じく白い雪がひらりと舞い落ちる】

【白と白の取り合わせは、クズノハと相対したときのようで――ふふ、と笑みをこぼして】
【さて、中央都市までまだしばらく――旅は、続くのであった】


/ロールありがとうございました!連日最高に恵まれてるな俺!
ところでクズノハの好物……葛きりとか?
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 02:54:40.38 ID:dKwxGh2r0
>>22

【――旅を続ける中で、この山の噂を聞くこともあるだろう】
【曰く、あれ以来寺院を襲う妖魔の姿も無くなって】
【反対に山には動物が増えたという。例えば狐に狸、そして狼だ】

まったく――どうして貴女の一族まで居たんですかねえ。
私、狼は嫌いなんですよ。毛並みが荒いですし、全体的に粗忽なので。
ましてやあの程度の結界もどうにか出来ないのでは、同じ妖かしとして恥辱の極みです。

『――別に儂はあのままでも良かったんじゃがのう。
 儂、結界とか特に気にならない性質じゃし。ところで――お?』

貴女と話していると、幼子と話しているようで疲れます。
私、人里に帰りますよ。山は寒いですしね――ではまた、長尾さん。

【さて、妖魔の害が無いのなら――青年にとっては、約束は守られたと云うことだろう】
【そして獣が増えたという報も、聞くものが聞けば理解できるはずだった】
【果たして問題はそこに居たのが"妖狐の一族"だけだったのか、ということだが】

【そればかりは青年の預かり知るところではなく、かつ悪弊を齎すものでもなく】
【もし気になるようであれば――街中で、真白な洋装をした人物との再開を望むのが早いだろう】


/こちらこそありがとうございましたー!
/好物は卵料理、天ぷら、稲荷寿司、あんこ系和菓子となっております。
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 03:02:28.36 ID:fmkBnnr3o
>>23
/メモった! ぜひまたー。
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/06(土) 08:26:07.79 ID:5ahSaXxL0
【風の国――UNITED TRIGGERの店舗前】
【時刻は朝日が昇って少し後、まだうんと澄んだ空気に、新しいお日様がきらきら光って】
【だけれどもしいつもこんな時間に通りすがる誰かが居て、そして今日も通りすがったなら――掛けられたままのOPENの札、それが物珍しく】

【見れば中の明かりもそのまま。もっと言うと、室内の暖房までそのまま――なのだけど、もし外から見て不思議がった誰かが居たとして】
【もしや誰かが消し忘れたかと確認するより、少し前。タイミングとしてはちょうど、どちらか早いかをビデオ判定したくなるくらいの頃合い――がちゃり、と】
【扉が内側からすごい勢いで押し開けられるだろう、扉に付けられたベルが古めかしい音で鳴って、それが朝早い街中で少し目立ち】

――もう、目覚まし、掛けたのにっ!

【――それで、続くのは。少しだけ金属質な、それでいてあどけなさの残る声、どうやら少女である――というのは、飛び出してきた人影を見れば容易に判断でき】
【焦った表情と様子で酒場としての店を"終わり"にしていくのだろう、酒場営業中に掛ける札をひっくり返して――というのが主な作業内容だったから】
【別に大したことでもないのだけど。それを終えれば"ばたん!"と少し大きな音で扉を閉めて戻っていくから、またそれも、静かな朝日の中では――すごく目立って】

【黒髪の跳ねあがった寝ぐせが朝日できらきら光って揺れていた、左右で色の違う黒と赤の瞳は寝不足であるかのように少し赤く、それから】
【真っ白な頬にはなんだか何かの跡がくっきりついていて――服装も、櫻の伝統衣装の意匠を取り入れた給仕服なのだけど、それもまた、変に寝た後のように着崩れて】

【さてそれでもしも誰かがその後の店内の様子を気にしたなら。入口の鍵は開けられたままであるから、立ち入るのはひどく容易であり】
【中に入ればうんと暖められた空気にわずかに酒と料理の残り香が漂う、いろんな物音とあわただしい足音は、つい先ほどの慌てた少女が店内を右往左往して】
【おそらく外ですべき作業の何倍もあるのだろう片付け作業に追われているようなのだった、皿を運んで洗ったり、お湯を沸かしたり、パンを焼いたり】
【いくらか私用が混じっているようでもあったけど。ばたばたとした様子は――とりあえず忙しそうだが、見ようによっては何もかもそのまま寝落ちした人間の朝支度のようであり】

【――そしてまさにその通りだったのだけど、とは、まあ余談だろうか】

うんとたくさん掛けたのに、全部止めちゃうなんて――!

【ひゃーと悲鳴のような声。ひとが見ればひどく平和なものなのだけど、本人からすれば、それどこじゃないような――】

/次お返事できるのが夜になってしまうのですが、よろしければ……
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 16:07:19.61 ID:fmkBnnr3o
>>25

【まだ、その酒場から遠くはあるが―――】

【風の国、都市近くの丘陵地帯】
【なだらかな丘と、それを通る街道】
【その傍らに、点々と大きな風車が林立する―――自然豊かな風の国を象徴するような、平和な光景】
【既に刈り取りを終えた小麦畑は少し寂しさこそ覗かせるが、また来年、人々に豊かな恵みを与えるだろう】

【そんな街道を、白い外套を纏った青年が歩いている】
【気候の穏やかな風の国と言えども、この季節の風は冷たく】
【しかし青年の懐中には、ふわりと暖かな温もりが】

―――そういえば。
鈴音から貰った、酒場の住所は……

【受け取ったメモを確認する。その住所は、ちょうどこれから通りかかる都市の中】

……あんまり日を空けてもないけれど、構わないよね。
少し旅荷も整えたいし、ここにしばらく、滞在するとしようかな……

【思案しながら歩けば。都市のゲートは、もうすぐそこに】
【ほどなく青年は、酒場の前を通るだろう――】
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/06(土) 22:16:50.22 ID:xdbZb+3r0
>>26

【ちょうど――そう、ちょうど、彼が店の前を通るころ。時刻はさっきより少し進んで、ほんの少しだけ太陽が高く移動した後】
【ほんのわずかでも高くなった太陽は急に違った色合いで町中を照らし出す、さっきみたいなつんと尖った爽やかさより、いくらか、親し気になって】

【そのころには――店の中のどったんばったん大騒ぎも一通り終わっているようだった。だから、彼がその場所を訪れれば】
【さっきまでのばたばたした様子はどこへやら、ちょこっとだけレトロな感じの壁面をお日様に暖められている建物が、そこにどーんと――というより、普通にあって】
【もしも扉を開けば、古めかしいベルのわずかにくすんだ音。"あの"少女の声はもっと高く澄んで鈴の音に似るけど、それでもどこか似通って】

――――うん、これなら大丈夫なの、誰か来ても、どう見たって、優雅な朝ごはんだし……。
うっかり寝すぎちゃっただなんて誰も思わないよ、だって……うん、……――作りすぎた、かなあ……。

【中からふわっと暖かな空気が漏れ出てくるならこの空間自体が誰かの訪れるのを歓迎しているようだった――それと、ふわり、どうにもおいしそうな匂いもして】
【それとも彼が真っ先に気づくのは壁面に飾られたものだろうか、多種多様様々な武器――銃や剣などが一面に飾られ。それも、単に飾りではなく、すぐにでも使えそうなほど】
【ようく手入れされているものたちで――そして彼が真っ先に気づくのがそちらではなく、"彼女"なら】

わっ! わ、ごめんなさい、まだ誰も来てないの、わたししか……、……あれ?

【がたんっと来客の音に慌てて立ち上がるときに蹴っ飛ばされるようになった椅子の音、それからかたかたっと、揺れた机の上で食器が鳴って】
【目を真ん丸にして、だれもいないと告げ――終わるか、終わらないか。そのタイミングで少女はやっと相手がだれであるかを視認したのだろう、ぱちくり瞬き】

トーカーさんだ。いらっしゃいませ、――わあ、でも、お店は夜からだし、ほかに誰も起きてきてないよ――。
……あ、トーカーさん、おなかすいてる? ぼうっとしてたら作りすぎちゃったの。よかったらパンとか焼くよ!

【すぐにぱっと破顔する――と、それはいいのだけど】

【彼女が占領している机の上にはいろんなものが並べられていた、トーストしたパンにバター、それから数種類のジャムに、それから塗るタイプのチーズとか】
【豪華にもベーコンとハムを両方使ったハムエッグ、ちぎったレタスのシーザーサラダ、何かのクリーム煮、それからオレンジだとかの果物まで切られて】
【それから大きめのティーポット、細い注ぎ口からはかすかに湯気が立ち上り――なんというか、完全にこれからおいしい朝ごはんを堪能しようとしていた、そういう瞬間】
【くちゃくちゃになった裾を直して寝ぐせの髪を簡単に一つに結わえた格好、少し眠たげな眼をしているけれどわりかし元気そうに、入り口まで向かえば、そう尋ねて】

/お待たせしました……!!
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 22:19:31.46 ID:dKwxGh2r0
【闘技場】

【力自慢が集うこの施設。無論、"リアル"で殴り合うのも悪くない】
【だが、時代はより先進的で画期的な戦闘訓練を可能としていた】
【いわゆる『VR』――電脳空間での仮想戦闘である】

【自分の思ったままに肉体や武器、能力を再現可能であり】
【動きもほぼ脳波のそれとズレることなく同期できている。つまり――】

『――ほう、これは便利だのう。怪我が無ければ予後も安心じゃ
 まっ、ちと物足りないかも知れぬが……さて、誰ぞ相手は――?』

【ほぼ現実と変わらず、それでいて肉体に影響の無い戦いが可能となる】
【そして今、その電脳空間に一人の腕試し希望がログインしていた】
【身長は160cmほど。銀髪の髪はやや長く、瞳は空色である】

【その辺りはリアルを反映しているのだろう。ちなみに言えば、女性であり】
【胸元はサラシ、両手首にはブレスレットにも見える鉄の輪をじゃらつかせ】
【きわどいローライズのホットパンツを身につけたその人物は、意味が無いと知りつつも】
【癖なのか――拳をパキパキと鳴らし、肩を回して他にログインしてくる者は居ないかと待ち構えていた】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 22:47:00.16 ID:fmkBnnr3o
>>27

【UNITED TRIGGER】
【機関、D.R.U.G.S、GIFT――それら人の世に害を成しうる組織へ対抗するために】
【『セリーナ・ザ・キッド』が設立した組織であり、そして、商店であり】
【酒場でもあるという、その存在】

――いや、高層ビルとかじゃないのか。
見た目はどうやら、普通のお店のようだけど――

【店舗の前、白い外套を纏った青年が立っていた。看板を見上げて、ははあ、なんて嘆息すれば】
【くう、と青年の腹の虫が声を上げた】

【昨晩寺院で菓子と茶を馳走されてから、手持ちの水しか飲んでいない】
【なにか食べるものはあるかなあと、少し考えを巡らせると】

【CLOSED】

―――な。
なんだって……!!

【酒場はこんな朝から営業していない、という、厳然たる事実に突き当たる】
【しかし中からは人の気配、それが鈴音であるというほど都合よくはあるまいが】
【とは言え食料の融通くらいはお願いできるだろう、と意を決してドアを押す】
【古めかしいベルの音。ぱたぱたと動き回るその少女は、廃墟で出会ったあの少女で――】

――やあ、鈴音。
いや、こりゃ奇跡かもしれないぞ。
もしよければ、ご馳走になっても、構わない?

【まさに今欲していた、暖かでうまそうな食事が並んでいるのだった】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 22:49:04.10 ID:fmkBnnr3o
>>28
/とても戦いたい!!!!
/よければ二場面同時でお相手させていただいてもよろしいでしょうか
/連日なうえ、大変大変厚かましいお願いなのですが、、、
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 22:54:58.55 ID:dKwxGh2r0
>>30
/こちらは一向に構いませんよ〜!
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/06(土) 22:58:13.64 ID:xdbZb+3r0
>>29

あ――おはようございます、かな? えっと……この間ぶり……奇跡?

【いらっしゃいませ――給仕の癖で口に出した挨拶も、店としてやっていない今となっては間違えたものだろう、それならと言い直すのは、正しく朝のご挨拶】
【かといって久しぶりとは言い難い相手に「来てくれたんだ」と笑って見せて――奇跡だなんて言われれば、いたって当たり前に不思議そうな顔をする】

もちろんいいよ、昨日の残りも食べちゃいたいの――ちゃんと冷蔵庫に入れてから寝たから大丈夫だよ。覚えてないけど……入ってたから……。

【それが作りすぎた朝ごはんを彼もいっしょに食べてくれるということになれば。少女こそ安心した顔で笑うだろう、なにしろ――机に上には、二人分としても多いくらい】
【少女自身割とたくさん食べる方ではあったのだけど、それでも一人では多いという程度には食べ物が並べられていた、それも……彼はなんとタイミングがいいのか】
【ちょうどいろいろな食べ物が出来上がって並べられた、その瞬間に訪れたのだろう。どれからも適切に湯気が立ち上り、サラダのレタスも、ぱりっと元気がいい】
【ひどく頼りないことを言ったようにも思えるのだけど――「よく暖めたから」と微妙に目をそらしたままで付け足して】

えと……トーカーさん、パン派? ごはんがいいならあるよ、お味噌汁くらいなら作るし――、

【ひとまず立ち話もなんだし、という様子で彼を店内へ誘う、そうすれば、使っている机へと案内し。自分が使っていなかった椅子をすすめて、そう尋ねる】
【とりあえず主食は何がいいかと。彼の見た目からすればパンが好ましいのだろうか、それとも櫻風にご飯を好むのか、――どちらにせよあるというのなら、好きに言えばよく】

紅茶にレモンとかミルクとかお砂糖入れる?

【そう尋ねる頃にはうきうきとした様子で厨房の方に入っていこうとするから――なんだか楽しそう】
【あの廃墟で出会った時とはまた何か違うように見えるだろうか、というよりも――まとう雰囲気自体、どこか明るく鮮やかで、軽やかなものになっていて】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 22:58:57.73 ID:fmkBnnr3o
>>28

【ぢぢ、目の前に電荷が走る】
【それは呼び声であり、闘争を告げる角笛である】

―――New User Logined.
You Joined Match!

【そんな文言が中空に浮かび――】
【目の前に、男の姿が形作られた】

【身長は女性よりも高く、180cmを越えていて】
【深い蒼色をしたその髪を、乱雑に後ろへと撫で付けていた】
【仮想の肉体ながら、その眼は鋭く】
【長い手足は、その獣じみた俊敏さを隠さない】

――ほお。ちったあ歯ごたえがありそうじゃねェか。

【目の前の女性を見下すように、顎をしゃくって口の端を上げた】
【相対する二人。闘技場であるのなら、為されるべきことはひとつ―――】

【電子の時計が、闘争の始まりを告げた】

/>>31 ありがとうございます! 速度頑張る!
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 23:06:12.54 ID:dKwxGh2r0
>>33

ね……ゆ、ざー……あー、ンー……読めんのう、これ。
……まあ良いわ。貴様が現れたということは
すなわち貴様と戦えということであろうから、のう?

【乱雑に撫で付けた髪、鋭い瞳に長い手足、その雰囲気】
【荒々しい言葉を聞けば、同じことを言おうとしていた、と】
【そんな雰囲気でにやりと笑って、両手を腰にあてて】

【何か喋るのか――否、瞬時に右足による叩き込もうとする】
【その速度、ノーモーションに等しい身の軽やかさ】
【間違いない。この女性の戦闘方法は、近接格闘であるらしく】

【その蹴りは鋭く、重い。何より不意打ちであるというのがアドバンテージだ】
【が――最初から闘志はむき出しだったのだから】
【敢えて手合わせを求めて此処まで来た男が、無様に食らって倒れるかは妖しいものだった】

/アイサー、よろしくお願いします!
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 23:07:08.63 ID:fmkBnnr3o
>>32

うん、おはようございます。
ちょうどお腹がぺこぺこでさ、何か食べ物を売ってもらおうと思ってここに来て――
けれど営業時間外だったみたいでさ。
軽く絶望喰らってドアを開けてみたら――君も食事もあったものだから。

【鈴音とご飯を並列に並べて、ありがたや、なんて呟く彼は】
【あの『空白』との戦いで、少し肩の荷を下ろしたのか、どこか気安い】

昨日の残り――う、うん?

【どうやらこの食材には、あずかり知らぬ空白の時間があるようで】
【腹を壊すということはあるまいが――】
【ああエヌ、どうか見守っていてくれよ、なんて心の中で十字を切った】

……ああ、パンでお願いしたいかな。
紅茶には、ミルクと砂糖を入れてくれると嬉しい。

【紅茶にうるさかった誰かを頭の片隅に思い出しながら、遠慮なく鈴音に注文を】
【朝の光の中で、廃墟の約束は、思いの外早く、それもあっさりと叶えられそうで】
【ふたりとも、どこか楽しそうにみえるのは】
【いくつかの転機を越えたからだろうか―――】

【ともあれ朝食。鈴音が席についたなら、声を合わせていただきます、とするだろう】
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 23:14:43.58 ID:fmkBnnr3o
>>34

――は、上等……!

【ど、と、空気を斬り裂くようにして迫る蹴撃】
【迫るそれを視認するが速いか、男の両手には黒い槍が握られていた】
【その長さ、およそ2mほどだろうか】

【両手で握ったそれを柱のように立て】
【迫る蹴撃を受け止める】

―――ッ、

【蹴りの威力は凄まじく、槍を握った両腕に衝撃が伝わる】
【踏ん張った足はざりざりと音を立てて、半歩分ほど男の身体を後ろへ退げた】

たまにこういうのがいるから、此処も捨てたもんじゃねェってな!

【女性は近接格闘。男の得物は槍であるが故、この戦いはきっと交戦距離がモノを云う】
【もう一歩、地面を蹴って後ろに下がる。槍の切っ先を女性に向けて、男にニヤリとその犬歯を見せつけた】
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:24:11.63 ID:xdbZb+3r0
>>35

ああ……さっきね、札をひっくり返したの、えーっと……仮眠、しようと思ったんだけど。そしたら、その――、

【さっきひっくり返した。仮眠しようと思った。そしたら。その】
【きまりわるいのを表すように端切れ悪い言葉がいくつか連ねられていく、つまり、多分、寝すぎたのだ。それも想定の何倍も】
【それでもありがたいとまで言われれば「こっちこそ助かったの」と漏らす――それで、彼を店内へ招いて。座らせて。おもてなしの準備完了、家じゃなくて店だけど】

……ええと、ね、大丈夫だよ? ちゃんと火通ってるものだし……それなの、それ、

【昨日――具体的には、昨日の夜に出していたものの残り。つまり年齢としては昨日の昼間〜夕方くらいから、多分まだ一日も生きていないやつ】
【大丈夫だよと笑う。なにより目線をそらしたのは完全に記憶にないのにきちんと冷蔵庫に入れてたあたりが原因、そんなに眠かったかな……と自分への呆れが七割くらい】
【例の"昨日の"はクリーム煮であったらしい。確かにふわふわ湯気が上がって、柔らかい、優しい……多分風邪ひいてても食べられるような感じの、優しそうな】

【それで彼が注文すれば「トーストする?」「カリカリがいい?」「ふわふわがいい?」などなどいろいろ聞かれるだろう、ただ口うるさいというよりは、】
【こういう珍しい食事を楽しんでもらいたい、もっというと、食事は楽しくおいしくあるべき……なんて思っていそうなそれで。だから嫌味ったらしくもない、はず】

【もしパンを焼くのを希望すれば、「冷めちゃうから先に食べちゃってもいいよ」と言って彼女は厨房へ入っていくだろう、それから、先に、ミルクと砂糖と、彼のカップを】
【ティーポットの中身はたっぷりの紅茶、ただダージリンとかアッサムとかそういうのじゃなくて、ティーバッグではあったけれど――自由に注いで飲んでよし、というスタイル】
【パンを焼いていたなら少女が戻ってくるのは数分後。生……というかそのままでもよければ、すぐにでも戻ってくる、よく店で売っているタイプの、ありがちな食パン】
【そのくせ薄切りと普通の厚さのをどっちも持ってくるから、また机の上がにぎやかになって。トーストするのも、カリカリなら薄切り、ふわふわなら普通の、になる】

【――とにかくそれらの手続きを終えれば。やっとこ彼女も席に着く、それで、いただきますをするのだろう】

【とにかく豪華なベーコンハムエッグはベーコンもハムもカリカリ香ばしく焼いてあるのに、卵の黄身は絶妙に半熟に仕上げてあって】
【レタスをちぎりまくったシーザーサラダ、乗せられたクルトンは形が少し不ぞろいで焦げ目も少しずつ違うからもしかしたら作ったのかもしれない、あるいはドレッシングまで】
【クリーム煮はよく見ればカブや白菜などの冬野菜が煮込まれている。分厚く大きく切ったベーコンの風味と、くどすぎないクリームの味と、野菜はうんと柔らかく煮込まれ】
【トーカーが来たので張り切ったのか、ジャムがさらに追加されたりはちみつが瓶で来たり、もう半分パーティみたいになりつつあった――とは余談】
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 23:26:21.27 ID:dKwxGh2r0
>>36

【手応えアリ。――だが、これは肉を蹴ったソレではない】
【鋭い動体視力が蹴りつけたものがなんであったかを理解すると】
【素早く足を引き、トンと半歩下がって姿勢を取り直し】

ほほう、獲物は槍か。それも中々良い眼を持っておるのう?
まさか今のを受けるとは思わなんだが――

――なんじゃ、突いてこんのか臆病者め。

【槍は2m程度、腕の長さも加えればその射程は3m弱か】
【だが槍は先端にしか刃がない。柄を使うものも居るが】
【果たして相手はどれだけの手練かも分からない】

【ならば。――下手の考え休むに似たり、自分の手札で勝負するのが最良】

【女性は一挙に相手に向かって飛び込んだ。姿勢は低く、両足のどちらかは常に接地させる】
【ちょうど槍に正面から向かっていく格好だが、その素早さたるや】
【まるで獣――狼のようだ。身軽なこともあってか、人外じみていて】
【けれど攻撃には至らない距離。今の有利は男にあった】
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 23:37:15.77 ID:fmkBnnr3o
>>37
【さっき札をひっくり返し】
【仮眠しようと思った、と言われれば、まさか大変な迷惑を掛けているのでは、と眉を上げたが】
【話を聞いていく内に、どうやら鈴音が寝坊した、と思い至って】
【なんとなくおかしいような気持ちになって、鈴音の注文に答えていく】
【トーストはカリカリ気味で、薄切りが好みです、なんて厚かましくも】

――それでは。
恵みを齎す世界の王の、風と土とに感謝して。
それとももちろん、鈴音にも。

【いただきます、と声を合わせて】
【あとは少し、行儀も悪く】
【絶妙な具合の卵の黄身に驚嘆の声をあげながら】
【とろみの向こうからやってくる、ベーコンやハムの快い食感】
【塩っ気の強いその旨味を、また卵のとろみが包み込み】
【小麦の香る食パンが、どっしりと受けとめてまとめ上げる】

―――うん、うん。

【しゃきしゃきと瑞々しく弾けるレタスと、カリカリのクルトンのコンビネーション】
【新鮮な生野菜など、旅の身では何よりありがたく――】
【冬野菜のクリーム煮は、外の寒さを癒やすように胃袋へと落ちていく】
【無我夢中に食べていき、人心地ついたころには】
【テーブルの上の料理はあらかた片付いて、紅茶を楽しむ時間になるだろう】

……いや、とてもうまかった――ご馳走様、鈴音。

【ふう、と満たされたように顔をあげる。その口の端には、パンの粉がついていて】
【けれど気付かず、青年は旅の道具を買いたいのだけど、という話を始めていた】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 23:41:35.93 ID:fmkBnnr3o
>>38

【敵からの賛辞を当然と受け流し】
【そして敵からの挑発も、右から左と受け流し】
【計るは敵と我との距離】

―――は!

【一挙に飛び込むその機先を制するのは、黒い槍での刺突】
【ひゅぼ、と、空気を斬り裂くような音を立て】
【まるで銃弾のような速度で、突きは女性の進路へ置かれるように放たれた――】
【その鋭い眼差しは、接地された足へと注がれる】
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 23:51:37.44 ID:dKwxGh2r0
>>40

【真っ直ぐに突き出された槍の穂先は、重機関銃の射撃に似る】
【重さ、速さ、破壊力。――しかし、あまりにも直線的だ】

【その刺突は女性の頬を、思いの外深く抉っていく】
【ブチブチと血の通った肉が削げていく、リアルに極限まで近い音と感触】
【赤い飛沫がデータとして飛び散り、女性の額には本能的に汗が浮く】

――――その腹、貰ってゆくぞッ!

【反射神経か、動体視力か。どちらにせよ、ギリギリで肉を断たせ】
【男が眼差しを向けたその足は、力強く地を踏みつけたかと思うと】

【瞬時、男へ飛び込むように女性は手刀を繰り出した】
【ちょうど四足で走る狼が、獲物をすれ違いざまに爪で引き裂くが如く】
【接地する箇所をゼロにして、速度をそのまま飛び込む勢いに変え】
【狙うは男の脇腹。直撃すれば、内臓までそっくり抉るような鋭い一撃だった】

【当たるか、外れるか――どちらにせよ、飛び込んだ勢いはそうそう消えず】
【女性はそのまま前転するように距離を取って、素早く立ち上がり男に正対するだろう】
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 00:03:10.92 ID:s3nQ+WsB0
>>39

【しおっけの強いベーコンとハムはそれだけでごはんもパンも進む逸品、それをさらにベーコンやハムそのものから滲んだ油でカリっと焼き上げ】
【卵の黄身は半熟でも、白身までもやる気なくだらけてはいない、白身もきちんと白身らしい白身っぽさを保ちながら、それでも卵はどこまでもとろり滑らかで】
【味付けはベーコンとハムの塩気で十分ながら物足りなければ塩も胡椒もいっそ醤油まで卓上に置いてある。というか彼女自身普通に醤油を掛けていた。それをおいしそうに頬張り】
【さくさくかりかりに焼き上げたパンにざりざりとした音でバターを塗って、それから少しだけ塩を振って。かじりつけば期待した通りの音でさくりと鳴く】
【ただそれでも少し駄々をこねる子供みたいに思った以上にちぎれてくるのがご愛敬だろうか、思ったより大きく取れてしまったパンを慌てて口に押し込むのだから】
【こちらもこちらで行儀はあんまりよくない――とは余談。サラダのレタスも冷たい水にさらしたのだろう、音はもちろん、口内での歯ごたえまで音通りにしゃきしゃき快く】
【それをしばらくしゃきしゃきした後で、「よく暖めたから絶対大丈夫だよ」と念には念を押してからクリーム煮に手を付ける。カブも白菜も、一番やらかく煮える風に切られ】
【よくあるテレビリポーターに食べさせればとろけちゃう以外の言葉を言わなくなるくらいには、柔らかに仕上がっていて】

【そういえば見ていればわかるだろう、この少女、食事の時はほんとうにほんとうに楽しそうにおいしそうに食べる性質らしく】
【おいしいものを頬張るときの口も思ったより大きくて思い切りがいい。それで嬉しそうに目元をほころばせて、――】
【――それなら、本当に食べるのが好きで、楽しくて、それが幸せなのだと。言葉にする必要もなく、伝えるよう】

【そして。このUTについて下調べを彼がしてきたというなら、きっと、とある慈善事業にもかかわっている、というか――まさにこの場所を提供して行われてるものがあると知ったろうか】
【メインは路地裏などの孤児を対象にしたものであるが望めば浮浪者なども訪れることのできる無料の食堂。日付と時間が決まってこそいるが、もう何年も続けられて】
【それの発案者、そして料理の調理を任されているのがまさに彼の目の前でおいしそうにバターとはちみつたっぷりのトーストを頬張る少女、そのひとであると】

ふふ、トーカーさん、うんとおいしそうに食べてくれるね、それによかった、みーんな食べてくれた。

【それで――食事が一段落。というより食べるものがあらかたなくなってしまえば、彼女はひどくご機嫌に笑っている、彼の分に持ってきたミルクをいくらかもらって、ミルクティにして】
【うんと甘くして飲みながら――よかったあなんてしきりに言っているから。彼女としてもやっぱりとっても助かったらしい、それから少し冗談めかして、】

トーカーさん、お弁当つけてどこ行くの?

【ちょうど彼がパンくずをつけているのとおんなじところ――自分の口元を突っついてみせて、それから】

……んん、旅の道具? わたし、旅ってあんまりしないから……。

【どういう店がいいんだろう。そう呟いて】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:05:55.68 ID:jqo4GBFMo
>>41

【右か左か、あるいは上か】
【どの方向に避けたとて、跳ね上げるか薙ぎ払うか】
【後ろに下がれば、また突きが伸びる】

【槍という、戦場において古来最強であった武器が誇る優位性】
【また、それを自在に操る己の槍術】

【この速度戦に於いて、男には絶対の自信があった】
【――――今、この時までは】

――な、んだとッ……!

【上でも右でも左でも、もちろん後退でもなく】
【目の前の女性が選んだのは、『前』】

【眼を見開く。男の魔槍が創り上げる、槍の結界】
【それを貫くように、今、もう一段、目の前のケモノは空を飛ぶように加速して――】

【衝撃。手刀は狙いを過たず、男の脇腹を抉りとる】
【こふ、と咳をする。どぷりと喉から込み上げる、大量の血】
【一瞬の交錯で上を行かれた代償は、あまりに大きく】

……御見事。やるじゃねェか、本当に人間か、貴様。

【これ以上見苦しいところなど見せられるか、とその血をごくりと飲み下し】
【脇腹からどくどくと血が流れる。仮想と言えど、生命力が流れていくのを感じながら――】
【男は再び、槍を構えた。先ほどよりもやや切っ先を下に、態勢を低く】
【半身に構えるその向こう、男の目はギラギラと光り】

――――おおォッ!!

【だん、と疾駆する。槍と一体となったかのように】
【女性へ切っ先を向け、地上を駆ける、黒い流星】
【見えるだろうか。パリパリと、まるで放電するように】
【槍と男の身体から、紫電が走る――!】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/07(日) 00:16:08.48 ID:qm3szZty0
>>43

ハ、は……っ。――あいにくと、人間を演ったことは無いのう。
――あぁここは、全てそのままに再現する訳ではなかったか。

【起き上がり、頬の血を拭う。だがそれで止まるような浅い傷ではない】
【頬から首、胸と血が流れていって、サラシが赤く染まっていく】
【微笑もうにも激痛が走る。命に別状は無いが、重傷には違いなく】

【手に付着した血を払えば――不意に、銀の頭髪が二箇所、盛り上がり】
【先の鋭い、それこそ狼の耳のようなものが姿を見せて】

【ふとその姿を再認識すれば、腰から伸びる長い尻尾にも気付くことだろう】
【全長2mはあろうか。白銀の体毛を帯びた、明らかな獣のそれ】
【獣人――だとすれば、その素早さにも少しは納得が行くか】

……しかし雷鎚の力とは、また厄介なモノを持っておるのう!

【新たに構え直す。視線の先に紫電を捉えたこの女性に、笑みの慢心は無い】
【対抗するように漂うのはふわりとした明るい"気"のオーラ】

【手先、足先。相手に触れるであろう場所を、眩い光を放つ物質が包み、覆う】
【それで紫電を受ける気なのだろう。だがあくまでも肘から、膝から先だけの話】
【胴は生身。そして今回は受けに回った――来いというように、半身に構えて攻撃を待った】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:16:09.36 ID:jqo4GBFMo
>>42

【鈴音の料理。想像以上に幸福を与えてくれるものだな、と思いながら】
【ほんとうに楽しそうに、嬉しそうに溌剌と食べる少女に頬を緩める】

――え、あ。

【ちょいちょい、と口元をつつかれて、慌てたように手をやると】
【ざり、という感触と共に、パン屑が指についてくる】
【ぺろりとそれを舐めあげて――少し照れくさそうに、笑顔を浮かべた】

そうだな、携帯燃料に調理器具、テントや寝袋の宿泊用品――
あとは、それを格納するマジックバッグかな。
まあ何より、携帯電話があればありがたいんだけど……そういったものを扱っているお店があれば、教えて欲しい。

――あと、もしよかったら、なんだけど。

【少し言いづらそうに、眉根を寄せる】
【空白から世界を護るため、なんて大層な理由で目を覚ましたのはいいけれど】
【どうやら一緒に現金までは顕現しなかったようで】
【つまり、先立つものがないのです、と】

……鈴音さん、なんか、お仕事ください。

【きまり悪そうに、そう頭を下げた】
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:28:43.19 ID:jqo4GBFMo
>>44

――――は。
ははははははははは!!!!

銀毛の獣人《けものびと》とは恐れ入る!
我が槍が敗れたのも得心よ!

【―――獣が吠えるように、哄笑をあげる】
【その形相。果たしてより獣性を露わにするのは、どちらの方か】

【ぐ、と口を噤み、女性を見やる】
【手足足先、こちらの一撃に備えた手はずと】
【受けに回らぬ、その胴体】
【ならば胴体など狙えるものかと】

受けよ我が魔槍、天殺の一撃を―――!

【あまごろし、と】
【名乗ったその魔槍から、紫電が数条、女性へと奔る】
【槍の一撃に先駆けて、雷撃が相手を襲い】
【その身に受ければ電流は相手の身体を竦ませる。後から来る槍の一撃を受けることとなろう】
【あるいはその雷撃を凌いでも】
【崩れた態勢で、黒い流星を迎え撃つことが叶うだろうか】

【まさしく悪辣な、しかし冷徹な攻撃を】
【男は己が認めた相手にのみ、殺意を載せて放つのだ―――!】
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/07(日) 00:29:13.36 ID:PsTTf/y6o

【――そんな電脳界における激闘の様子が映された観戦モニターの前に、】
【いつからか少しずつ人だかりが出来始めていた】

【この『VR』という代物】
【現実の肉体を傷付けずに行える電脳世界での闘いとだけあって】
【異能を持たないどころか普段は戦闘などから縁遠い、】
【ごくありふれた衆民の一部に熱狂的なファンを作っていたのだった】

【しかしそこは戦闘経験のない非能力者が大半】
【彼らがいざ戦闘を始めてみても、まだ普及してから日の浅い時分では、】
【高度な闘技イメージを持つ者が少なく、未熟な戦闘ばかりだったのも無理からぬこと】

【そこへ現れたこの両雄――】

【観戦者達はざわめく】
【身のこなし、技のキレ、高度な戦略と刹那の判断力――】
【どれを取っても、自分達のものとは次元が違う】
【こんな挙動が、システム上出来たのか――と】

【両雄の一合一合が、彼らにとってはパラダイムシフトの連続だった】

【唖然と見入る者、興奮して叫ぶ者、笑いしか出ない者、】
【それぞれが思い思いに感動を露わにしていた】

【今の二人は与り知らぬところだろうが、】
【後にこの名対戦が火付けとなり、電脳闘技界は急激にプレイ人口を増やすことと相成る――】


/なんてな!
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 00:37:44.30 ID:s3nQ+WsB0
>>45

【きっと彼女の作る料理は三ツ星だなんてもらえない、どれだけ作ったって食べた客にシェフを呼べと言われて呼びつけられることもないだろう、それでも】
【ごくありふれておいしい料理を作るのならきっととっても上手なのだろう、気取ったレストランで食べる食事とは絶対的に違うけれど、それでも確かにおいしいもの】
【なによりそれを本人がひどく楽しそうにおいしそうに食べるのだからしょうがない、きっと空腹であったトーカーに負けず劣らず――】

――おしぼりか何か持ってくるね。わたしもなんだか手がざらざらするみたい、机もざらざらするし……、最初からもってきておけばよかった。

【それで相手を少しからかうようにして笑う、相手が照れ臭そうにするのも、なんだかちょっぴり面白いように笑って――そう言って立ち上がれば】
【裏の方から言葉通りに持ってくるだろう、おそらく酒場として営業しているときに客に出したりするのだろう、それを一つ二つと彼に手渡し】
【「机のは後で片すから、あんまり一生懸命やらなくって大丈夫だよ」ともいう、――手を置くときにざらざらしたら気になるだろう、とか、その程度の気持ちで】

携帯燃料……調理器具、は、そこらへんのスーパーでもあるかも。お野菜のところで見たよ、卓上でお鍋やれって感じの……調理器具はそこらへんで買えるね。
テントとか寝袋は……それこそ、ホームセンター、なのかな、……「ぬ」のビル、やっぱりぼろぼろだったから、だめだった? ――ううん、マジックバッグは……。
携帯電話のお店も、あっちの方にあるよ。けどまだ開いてないかな――、……?

【それで指先のざりざりをぬぐいながら彼が必要とするものを聞く、一つ一つ、思い浮かぶ答えを挙げていくのだけど――最後に行くにしたがって、なんだかあいまいになり】
【携帯電話のお店はあっち。そういって指指す方向には壁があるけど――たぶん、その壁の向こうの街中の"あっち"なのだろう。そして彼が言いづらそうにするのなら】
【一瞬不思議そうに首をかしげてから――、――ほんの少し遅れて、ああ、と、納得いったようになって】

…………んん、わたしも、なにか紹介できたら、よかったんだけど……、その、ここのお店でっていうと、やっぱり、セリーナに聞かなきゃで……。
"たんぽぽ"のときは、お金もらってないの、だから……えっと、――ううん、待ってね、……ううん。

……ちょっと待ってね。

【――ただ。納得はしたのだけど、すぐにはいどうぞと提供できないのはやはり彼女も雇われだからなのだろう、たとえばこの前の話みたいに】
【彼にUTの余った部屋を貸す、その代金程度にお手伝いしてほしいな、くらいなら、彼女にも言えるのだけど――本当に賃金とかそういう話になれば、彼女の管轄ではなくなり】
【それでも一生懸命考えて考えて――最終的にはそう言って一度席を立つだろう、それでカウンターの裏から持ってくるのは、ついこの前に彼に貸した携帯端末】
【しばし彼を待たせたまま操作することになる、だからちょっと行儀が悪いのだけど――ちらりと見えた画面は無料通話アプリとして有名なもの、どうやら誰かへ連絡を取っている】

――トーカーさん、お花好き? お花とか、植物とか……。
そういうの好きなら――その、絶対に今すぐあげる!って言うのは、わたし、そこのひとじゃないから言えないけど、……えっと、紹介、するよ。

【それで数分後――かたんと机に携帯端末を置いて尋ねるのだろう、少しだけ真面目な顔、だけどちょっと申し訳なさそうであるのは、自分から直接ではないからか】
【「どう、かな――」そうやって尋ねた声が、少しだけ不安そうだった】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/07(日) 00:42:47.38 ID:qm3szZty0
>>46

【我が身は軽装。武装もなければ、その能力は紫電を防ぐに至らない】
【時間をかければ――だが、いまはそのような時間も持ち合わせない】

【ならばどうするか。紫電を受けて、甘んじてその敗北を喫するか】
【否、だ。避ける、これも崩れた姿勢を作れば隙となるのだろう】
【では――。白銀の獣はくすりと笑った。なにか、面白いことを思い出したかのように】

そのような大仰な技にはちと及ばぬがのう、儂にも"ある"ぞ。
どうせ長くは保たぬ戦よ…――これで決めようではないか。のう、雷鎚の――!

【――飛び上がった。実に身軽に、その高さは優に6mを超えるだろう】
【これにより紫電を回避。体制が崩れて槍ですぐさま貫かれる、これもない】

【ただし次の回避はままならない。空中というのは、床も壁も天井もない】
【僅かに身を捻る事しか出来ない以上――これが最後と、そういうことか】
【拳を頭上に振り上げた姿勢から繰り出すのは、回転】

【そう、単純だ。その身には身長よりも長大な、多大な質量を持つ"尻尾"がある】
【身体を縦に回転させれば、その遠心力と重量は最大の武器になり得るだろう】
【狙いは純粋、叩きつけ――頭上から、魔槍の男を叩き伏せようというのである】

【早い。重い。そして脆い。行動は読みやすく、けれど1秒と経たずに落ちてくる】
【頬から滴る血が周囲へと散っていた。赤く染まった尾は、凄まじい回転と共に頭蓋を狙っていた】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:48:05.96 ID:jqo4GBFMo
>>48

【ぱし、とおしぼりを受け取って、バターやはちみつやらの匂いがする手を拭う】
【勢い良く食べたものだから、パンの粉でざりざりで】
【綺麗に取れないとはわかっていても、机の上をお絞りで拭う】

なるほどね、流石に風の国の大都市だ、
たいていのものはお金があれば揃う、のか――

【鈴音が教えてくれたいくつかのお店の場所を記憶する】
【まずはお金を稼ぐのが、先決ではあるのだが】

【お金をもらっていないのです、なんていう鈴音から仕事を紹介してもらうのは、それは一層申し訳なく】
【またたんぽぽとはなんだろう、と疑問にも思うのだけど】
【どこかへ繋ぎを取ってもらっている間、所在なさげにおしぼりでまた机を拭いていた】

なにか、ギルドが発行しているようなクエストでもいいのだけど。
魔獣退治とか、山賊の殲滅とか、封印の解放とか、そういうのがあればですね―――

……え。お花?

【予想外の言葉に首を傾げる。好きもキライも、あまり関心を持ったことが今まで無くて】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:58:39.70 ID:jqo4GBFMo
>>49

ち、身軽なものよな―――!

【ばちん、と紫電は宙へと掻き消える】
【しかし、放電は自らより先行し、対処を迫った】
【対処を迫った上で、後から追いつく自らが、更に攻撃を被せて行う――】
【それが天殺、二段構えの必殺槍である】

【飛び上がった銀毛をその眼で捉えた】
【あとは流星のような速度で疾駆する、その足をしっかりと止め】
【空から落ちてくる敵手を、改めて魔槍で貫く――それに十分な時間を、男は持っていた】


【―――――そう、万全で、あったならば】


【最初の交錯で、脇腹に大きな傷を負う】
【凄まじい精神力と、備えたスキルで戦闘こそ継続したものの――】
【――流れ落ちる血と、その物理作用は如何ともしがたい】
【流星のような速度で進む男が、急制動を掛ける】

【その足元には、自身の流した血がとぷり】
【ぐ、と踏みしめたはずの地面。ぬるりと血で滑り―――】

……なんと。
最初の一撃で、既にオレは負けていたか。

【崩れた態勢のまま、赤く染まった銀毛の一撃を受け入れた】
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 01:05:39.19 ID:s3nQ+WsB0
>>50

夜のお店のときはもらってるんだけど――たんぽぽの時はもらってないの、やっぱり、ボランティアだし……。

【ぶちぶちと呟く声音はただ愚痴みたいなものではない、彼に紹介できるものを……と考えるあまり、半分上の空みたいになってしまっていて】
【たんぽぽ――礼の無料で食事を提供する、あれ。あれの名前なのだった、そういえば店先にもチラシが張り付けてあった、過去には奇抜なCMを(半ば無理やり)撮らされたり】
【そういうこともあったのだけど――さすがにみんな忘れただろう。忘れていてほしい。というか多分トーカーは知らない、よかった、……なんて思考回路はなかったけど】

――ごめんね、わたし、ギルドとかってよくわからないの……その、ギルドに所属してるよってお客さんとか、いないでもないけど……よくわからないし……。
魔獣も山賊も封印もごめんね、分かんないや……えっと……ギルドに行くとそういうのがあるの? そうなんだ――、

【しゅんと申し訳なさそうな顔をする彼女は本当にそういった方面に疎いようだった、最終的にはギルドにはそういう仕事があるのか、とまで言ってしまうから】
【本当に知識量は皆無、これなら彼女からギルドへの紹介も限りなく望み薄、というかこれなら直接ギルドの方に行った方がいい気がしてくるくらい、多分、この国のどこかにもある】
【量も減って生ぬるくなったミルクティーを飲み干す、底の方がちょこっとだけじゃりじゃりして、甘い。その砂糖粒をかみしめてから、】

うん、お花……園芸のお店でお仕事してる知り合いがいるの、それで、なんだっけ……前から居たひとが、腰をやっちゃって、辞めたんだって、それで、

【「困ってるって聞いてて」】
【首を傾げた相手のしぐさに自分の言葉が足りなかったと気づいたのだろう。慌てたように身振り手振り、つまり、欠けた人員を彼で埋められないか、と思ったのだろう】
【とはいえあくまで雑談の中の話だったから、その知り合いに連絡をしてみて――かえってきた答えは、とにかく、悪くはないものだった。彼にやる気があるのなら、という感じだが】

……や、やっぱり難しいかな? ギルドって……その……日給、みたいな感じだよね? 一か月待てないよね――、
天音ちゃんは、わたしの紹介だし、トーカーさんがよければ、駄目じゃないって、……言うんだけど、

【またしょんぼりと眉を下げている。何より彼が本当に強いのを間近で見たのだから、多分――本当にギルドとかの仕事を紹介できた方が、よっぽどいい】
【"天音"というのがその知り合いなのだろう。とにかく彼女が今提示できたのは園芸店でのアルバイト。……知り合いの紹介というので、だいぶ、採用基準とかは甘いらしいのだが】
【ただ実際に彼女が言うようにその場合だと給金というのもだいぶ先の話になってしまって、今お金が欲しいだろうトーカーにとって、どうだろう】
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 01:13:59.92 ID:jqo4GBFMo
>>52

【夜のお店―――!?】
【おいおいUT、ちょっとマジかよ、と思いかけるが】
【冷静に考えて、恐らくこの酒場のことだろう、と思い至る】
【半人半魔の旧友ならば、恐らく机を叩いて食いつくことだろうが】

そっか、なるほどね……いや、ギルドに行けばいくらかは在るかもしれないが、
どちらにしても大都市の近郊だ、あまり割の良い仕事はないかもしれない。
すまない、わがままを言ったね、鈴音。

【そうして鈴音の話を聞く。まさに正しくお花屋さん、園芸のそのお店らしい】
【今まで全く接したことのない道ではあるが】
【どうせ急ぐ旅でもなし。それならこの縁を大事にしたほうがよほどいい】
【そういうことでしょう、王様よ、と少し目を閉じて】

―――いや、鈴音。そんな申し訳なさそうな顔をしないで。
是非とも。そのお花屋さんでのアルバイト、お願いできないだろうか。

【ぺこり、と頭を下げた。履歴書はいるのかな、なんて聞きながら】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/07(日) 01:18:30.16 ID:qm3szZty0
>>51

【《――BATTLE FINISHED, LOG OUT......》】

【頭蓋を砕く巨大な鞭のような一撃が、魔槍の男を捉えた直後】
【二人の目の前にその表示が現れ、気付けば居るのは現実世界】
【『VR』の機材に囲まれて、うっすらと傷を負った箇所に痛みを感じつつ目覚めれば】
【同じ施設内、喧しく騒ぐ声が聞こえてくるはずで】

――どーこーじゃー!おう汝、さっきの儂の相手を知らんかの?
ほれ、槍を持ってじゃな……ん?いや、いまは槍を持っておるか知らんぞ?

んぁー、ほれ、アレじゃ!背が高くて、拾ってきた野犬のような男じゃ!

【なんだ、と目を向ければ、そこに居るのは先程電脳世界で死闘を繰り広げた相手】
【なんとまあ、見た目はそのまま。獣耳も、長い白銀の尻尾も本物で】
【その尻尾はファーのように首元に巻きつつ、近場の観客を捕まえては】
【"リアル"の相手を探しているらしいことを口にしていて】

【――なんというか煩い。というか、言動が致命的に頭が悪そうで】
【古臭い言い回しといい、戦い以外は苦手そうな女性だった】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 01:25:13.94 ID:s3nQ+WsB0
>>53

【――ちなみにそれだとおそらくかなりヤバい店になるだろう、店長たるセリーナならともかく、】
【この少女、実際の年齢はともかくとして、見た目だけで話をするのなら十六歳程度――ぎりぎり合法か、顔つきのあどけなさからアウトか、そういう感じで】
【そんな感じだのにかなり俗っぽい安っぽい安売り量販店で売っていそうなメイド服でCM撮影させられたりしたのだけど――これこそ記憶から消したい、とは、余談】

ううん。わたしのほうこそごめんなさい――、だけど天音ちゃんとっても優しい子だよ、すごく丁寧だし、周りのこと、うんと見てて……。

【わがままだなんてとんでもない。そういう風に首を揺らせば、はちん、と、ごくかすかな音がする程度の力で両手を合わせる、それから指と指とを交互に重ねて、】

――そっか。よかった、トーカーさんお花とか嫌いだったらどうしようって……、重たいものとか持つみたいなの、大丈夫そう?
えっと……ううん、そう、だね、それなら、天音ちゃんに直接聞いた方がいいのかな――、えと、トーカーさん、この後は、用事とかって。

【急に嬉しそうにぱっと笑う、ただ彼女が伝えてくるイメージは明確ではないふわふわとしたもの、何より彼女自身がその仕事をしているわけではないから、仕方ないのだけど】
【それなら自分が話すよりわかっているひと……つまりその知り合いと直接話してもらった方がいいと判断したのだろう。ならば善は急げとでも言わんばかり】
【これからの用事は大丈夫かと尋ね――ただもちろん難しいようなら別の日程というのも十分に可能だし、こちらもあちらも急な話、ただあちらとしては】
【年の中でもわりと暇なこの時期のことだから、わりかし急な話でも問題ないという感じ――だったりする】

天音ちゃんは別に今日でもいつでも大丈夫なんだって、だから、トーカーさんがよければ、お仕事見つかるのは早い方がいいかなって――?

【多分この分だと履歴書も要らなそうだった。いや要るのかもしれないけど、そういう話をこの少女ちっともしてくれない、言われて初めて思いついたように】
【ぱたぱたご機嫌な感じで画面をタップタップしながら「とりあえずいつでもいいから来てほしいって」と、返すのだろう】
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 01:31:38.95 ID:jqo4GBFMo
>>54

―――ふ。

【口の端をあげる。見たままではないか、けものびとよ、と】
【身体を起こす。人のことは言えまい、男自身もVRと全く同じ姿形だ】

>>47で沸き起こっていた喧騒を、ちらりと視界の端で捉える】
【あまり目立つのは、得策ではなかった】

【見つからぬよう、機材の陰に身体を潜ませながら店の外へと出ていく】
【ちょうど携帯端末へ目を移せば、『上司』からの連絡が入っていた】

―――ああ、オレだ。
喧しいな、勝手だろう。
あまり目立つ事件を起こすなというから、VRなんぞで我慢してやってるんだ。
このくらいは大目に見るがいい。

【そうして、くつくつと喉を鳴らす】

いやそれがな、聞いて驚くなよ。
――――負けた。……いや、嘘など吐かん。
正真正銘、上手をいかれたという奴さ。世の中にはバケモノがいるものだな。

……もう一度やったら?
ふん、仮定の話に興味はないが――次こそは遅れなど取らんさ。

【電話を終えると、懐から煙草を取り出し、火を点ける】

借りはいずれ帰すぞ、けものびとよ。

【――野犬じみた。まさに男の特徴を、知らず言い当てているものだ】

【店内を探し終えた女性が出てくるころには、男は姿を消しているだろう―――】
【いずれ見える、その日まで】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 01:41:16.23 ID:jqo4GBFMo
>>55

重たいものを持つのは、きっと大丈夫。
運搬や設営なら、なんとかなる、かな。

【腕を組んで、考える。彼の職務経験は、どうにも物騒な方向に偏っていて】

だけど花とか、植物とか、そういうのをあまり扱ったことはないし、
なんなら客商売だって初めてだ。
だから、その。
少し天音さん、には迷惑をかけることになるかもしれないけれど、鈴音の顔は潰さないように努力する。

【そうして、日程はいつでも構わない、と伝える】
【本来は寝起きする場所を決めたり、荷物を置いたりといろいろあるのだろうが、そのあたりの手はずには無頓着なようで】
【ケセラセラ、なんて言葉が似合いそうに、鈴音の流れに任せている】

――あ、それと。
ごめん、鈴音。トーカー、って名前は、偽名……っていうのかな。
そういっても少し適切じゃない気はするんだけど。

本当の名前は、ウェイン、っていうんだ。
だから、これからはそう呼んでもらえるかい?

【思い出したように。あの事件で、一つの語り部としての役目を果たしたのだ、と】
【彼は、自分の本当の名前を添えて、そう言った】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/07(日) 01:52:09.10 ID:qm3szZty0
>>56

居らんとは何じゃ、さっきまで戦っていたんじゃから居るじゃろ。
問題は何処に――あん?なんじゃ、賭けをしてもう一戦?

――ほほう、お主面白いのう。ではお主が勝ったら儂が一日言うことを聞こう
無論、なんでもじゃぞ?……――んん、乗ったな。よし、闘ろうではないか!
儂が勝ったら破産するまで買い食い三昧と行かせてもらおうかのう!

『お、大祖母様……っ!そんな危ない賭けはダメですよっ……。
 それに、さっきまで探していた人なら――、ぁ』

【戦いを楽しむ――それもジャンキーではなく、勝負事のように】
【なんとも傾いた女性らしい、というのは電話をしながらでも分かるだろう】

【そしてどうやら、散歩歩けば先程までの興味の対象が変わるらしく】
【男が中々見つからないとなると、あっさりと別な誘いにのってしまう】
【そんな女性を制止するのは、洋装に身を包みハンチング帽を被った少年であった】

【髪は銀。親族――にしては、その呼び方が大分古ぼけていたが】
【機材の影、香る煙草の匂い。そこを指差し、わずかに一瞬視線があった】

【そこに感じた、獣性。楽しげだった男の事を、その少年が代わりに見つけていて】
【けれど呼び止める前に彼は消え――残った者の間で、第二ラウンドが始まっていた】
【――後に男が此処へ戻り、銀髪の獣人を知らないか、とでも尋ねてみれば】
【すぐに答えは返ってくるだろう。『ああ、"銀狼"って人の事か?』と――。】

/お疲れ様でしたー!2日連続ありがとでした!
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 01:56:06.81 ID:s3nQ+WsB0
>>57

えっとね……土とか、鉢とか、重たいものがいろいろあるって言ってたよ。そういうのを運んだり……設営、は、どうだろう?
だけど天音ちゃんだって女の子だし、きっとトーカーさんなら大丈夫だね、うん――。

【ううんとはてなを浮かべてつぶやく、土とか鉢とか――普段はあまり運ばないものだからイメージも沸きづらいものばかり、だけど、それも、】
【そういう感じだから大丈夫だと思うよとひどく悪意なくあどけなく笑うからある意味性質が悪いのかもしれなかった。なによりうんと強いひとだから、と、信じているようでもあり】

もう、大丈夫だよ、天音ちゃんだってうんと愛想いい子じゃないの、最初ね、――あ、初めて会った時、わたしたち、子供だったんだけど……。
絶対怖いひとだって思ったの、本当は全然違ったけど――、……それにね、初めてのことやって、失敗して、それで迷惑だって怒ったりする子じゃないよ。
よっぽどなことしたら、叱られたりはするかもしれないけど――ね、だから。大丈夫だよ、わたしだって、天音ちゃんをトーカーさんに紹介するんだよ?

そんなにうんと怖くて仕方ないひと、紹介だなんてしないの。それにわたし、こわいひと、苦手だもん――。

【――多分あんまり褒めていない。最初の方だけ聞けばそういう印象の言葉ばかり並べるのだろう、つまり、あんまり愛想はよくないけど、まず悪いひとではない、らしい】
【そして怖くもない。初めての人間が失敗するのは当たり前だと当たり前に思っているようなひと。それで最後にうんととびきりに笑うのが、それだけ、"彼女"への信頼でもあり】
【なにより"紹介"するのはトーカーを彼女に、だけではなく、彼女をトーカーに紹介するのでもある。だから絶対に大丈夫だよと、信じて、と、胸を張るようにして】

――――んん、そっか、……えぇと、じゃあ、ウェイン……さん? うん、じゃあウェインさん――、
ね、ね、お仕事紹介するついでに、もう一ついい?

【――そのままの格好で、一瞬びっくりしたように固まる。それでも順応は意外と早く、すぐに新たな名前で彼を呼んで、確かめるように繰り返して、ころころ笑い】
【そのちょこっとだけいたずらっぽい顔のままで、そっと机越しに彼の方へ身体を前のめりにすれば、】

……お仕事。天音ちゃん多分駄目って言わないよ。だからね、初めてお金もらうまでの間のお家だけど……、
やっぱり家(うち)に泊まっていくの、駄目かな? お部屋はうんと余ってるの、ひとり暮らしじゃあないけど、気は使わなくっても……、
…………あ。でもね、ペットいっぱい居るの。そういうのがよければ、ごはんも"へびさま"の分と一緒に作っちゃうし、へびさま凍りかけてたら見つけてくれそうだし……。

【だなんて提案するのだろう。――UTの部屋を貸すのは、断られた。組織とかかわるのに問題があるなら――なにより個人の縁ならありがたいと、確か、言っていたはず】
【そういう風に考えたのだろう。ひとまず一番最初の給料をもらうまでくらいでも、よかったら家に来ないかと、あまりにあどけなく笑うなら、特に大したような他意もなく】
【ただ素直にいいことを思いついた――という様子での提案だった。最後の方はなんだか謎の言葉がいろいろ出ていた――気がするけれど】

/そして申し訳ないです、凍結お願いできますでしょうか……! お伝えした通り、明日も戻るのは今日くらいの時間かなという感じですが……!
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 02:00:37.24 ID:jqo4GBFMo
>>58
/こちらこそありがとうございましたー!

>>59
/了解です、ではそのくらいの時間にお返しする、ということで。都合が変われば雑談に書いておくようにしますね。
 遅くまでありがとう!
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 22:27:04.14 ID:jqo4GBFMo
>>59

【うんうん、と話を聞きながら――】
【頭の中の『天音』像が、だんだんと移り変わっていく】
【最初はとても一般的な、園芸店を営む女性――だったのだが、】
【だんだんと、こう、馴染みのある――能力者たちにありがちなような、クセのある女性に】
【むむむ、と眉根を寄せていると、ウェイン、と先程名乗った己の名を呼ばれ】

もちろん。なんでも聞かせておくれ、鈴音。

【りんね、と声に乗せて、あまね、という女性と音が似ていることに気づくけれど、】
【へびさま、凍りかけ……?】
【不穏な言葉に首を傾げるものの、鈴音の申し出は自分にとってありがたく】
【何から何まですみません、と再び頭を下げることになるのだった】
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 22:54:03.86 ID:s3nQ+WsB0
>>59

【そして多分、彼のそのイメージは割と正しいのだった。花屋……なんて言うと、なんだかきらきらして華やかで楽し気で女子力あふれていそうなものだけど】
【少なくともこの少女の知る限りの中では、"彼女"は――わりと、そう、くせがある。ただそれで悪いひとかと言えば違う、というのが、さっきの言葉でわかるだろうか】
【ひとまず彼女の言葉からわかるのは、第一印象が怖い。でも別にそうではない。あんまり怒ったりするタイプではない……らしい】

ううん、いいの、気にしないで。わたしも最近は家に帰らないこともあるから、へびさま独りぼっちじゃかわいそう……、……。
……えっと、うんと大きい男のひとなんだけど、大丈夫? ちょっとね……ええと……うんとうんと人見知りなんだけど、悪いひとじゃなくって、
その――えーっとね、とっても優しいひとなんだけど。あと……たまに、わたしの知り合いのひとが来るよ、へびさま男のひとで、その子は女の子ね。

【合わせた両手の指さきをぱたぱたしながら首を振る、もし彼がそれでいいなら使ってしまって……というのは、どうやら彼女はこうやって留守がちにしているらしく】
【だから誰かが居るなら心強いというか安心でもあるのだろう、それにしても凍りかけるといわれる"へびさま"がどんなやつだかは気になるものの】
【やっぱりそれも悪いひとではない。それからもう一人日常的に訪れる人物を告げて、】

あとペットが白猫と黒猫と子供の竜と角のある兎と尾っぽが蛇の鶏、

【――指折り数えて告げるのが全く平穏ではなかったのだけど。というよりここまでくるといろいろ不思議すぎて、まるきり嘘吐いてるみたいにも見え――限りなく本気、だけど】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 23:06:01.59 ID:jqo4GBFMo
>>62

【へびさま、というのは、あの事件のときに顕現した、神聖な蛇のことかと思えば――】
【いや大柄な男性らしい、と情報を新たにし】
【さらには女性の知り合いが】

ええと、うん、なるほど、へびさまが同居人になるのだね……
それから女性が度々訪ねてくる、と、オーケー、ここまで大丈夫。

【それからだーっとペットが呼ばれていき】
【なるほど白猫黒猫……】

子供の竜、それからアルミラージにコカトリス……!?

【人はそれをこそ魔獣と呼ぶのです、と心の中で突っ込んで】
【けれどころころと笑う鈴音を目の前にしたならば、それこそ本当野暮だろう、と】
【少し諦めたように笑いかけ】

――わかった、観念した。
僕は今から気難しいオーナーの元で働く花屋のバイトで、
そしてモンスターハウスの居候。
そういうことで、よろしくお願いできますか?

【と、両手を上げて、鈴音に了承の意を伝えたのだった】

ああ、それと鈴音。最後に聞いておきたいのだけど――
天音という女性は、能力者?

【最後の一縷の望みのように、そう問いかけを最後にし】
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 23:22:05.20 ID:s3nQ+WsB0
>>63

うん、へびさまはずっといるよ。だけど人見知りだから……あんまり出てこないかも。
だけどびっくり屋さんだから見かけてもいじめないであげてね、もう一人の子は――勝手に紅茶とか飲んでると思うよ、多分、

【――彼の予想。へびさまとはあの白い蛇ではないかと――だけど説明の足りない少女は、こくこく頷いて、彼が主な同居人なのだと伝える】
【もう一人は……なんだかいろいろ自由っぽかった。多分放っておいていいだろう、何より彼女自身の態度がそういう感じで――】

ジャッカロープだって言ってたよ。
竜の子はね、炎のお城から連れてきたの――、みんなうんといい子だけど……えと、コカトリスの子は触んない方が。

【訂正はだけれどあんまり意味がない、つまりとびっきりの珍獣揃い、むしろ猫二匹がどうしたという感じ、仲間外れはどれでしょう――間違いなく猫だった】
【聞けば猫は拾った、竜も拾った、ジャッカロープとコカトリスは例のたまに来る女の子が連れてきた……と判明するのだけど。まあ、それは、そのうち家で聞くだろうか】

あ。天音ちゃんもバイトだよ、だけどね、なんかずーっと居るから、……その、なんだろ? 天音ちゃんがいいって言うならお店もいいんだって。
――もう、モンスターハウスじゃないよっ、そんなにたくさんいないもん、モンスターハウスって天音ちゃんがやってるゲームで見たよ、いっぱい出てくるやつ……。

うん、ウェインさんがよければ。……よかったあ、へびさま寒いの苦手なのに、わたしのためにお菓子買おうってお外出たりするの、そういうの見たら止めてね?

【ここで判明。これだけいろいろ話した天音……という人物も雇われであるらしい。そのくせ勤務歴が長いのというのでいろいろと口出しできる人間らしく】
【つまり店としてはその人物がいいというならいい。その人物としてはこの少女がいいというならいい。そしてこの少女は、ウェインがいいというならいい……ひどくややこしく】
【ただ彼女はいろいろ決まってよかったという風に上機嫌だ、卓上のティーポットをもって揺らせばかすかな水音、残り僅か――それを目線と仕草で彼に要るか尋ね】

うん、天音ちゃん能力者だよ。

【それでけろっと返す――そしてまるでそれが些細であったかのように、】

じゃウェインさん面接いこ、善は急げだよ。それともお家に荷物置きに行く? もうご飯食べたから、わたしは今日はお休みだし……。

【よいしょと立ち上がる、それから皿をかちゃかちゃ集めて――どっちがいいという問いかけはもっと言えば今からどっちを先にするかという選択でもあって】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 23:36:37.51 ID:jqo4GBFMo
>>64

【最後の希望は潰えた】
【花屋のバイトなのに権限を持ち、クセがあって無愛想――おまけのトドメに能力者】
【断空が人生で初めて行うまっとうな勤労は】
【どうやったって平穏無事とは行かなそう、なのだった】

―――ああ、いや、まあ、善は急げだよね、ははは……
面接、今からいこうかな。この格好でも大丈夫?

【眉間に指を当てながら、最後の平穏とばかりに紅茶を所望して】
【飲み終わったのなら面接に。鈴音と連れ立って、案内される通りに動くだろう】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 23:53:08.19 ID:s3nQ+WsB0
>>65

【一番最後の濃い紅茶を彼のカップにそそぐ、それなら、もしかしたら彼にとってはこれからの受難を暗示するように思える……の、だろう、か、?】
【ひとまずこの少女が紹介するのだから"よっぽど"悪くはないのだろうけれど。人も仕事も相性のものだからどうとも言い難い、ポットを空っぽにすれば、それも運び】
【彼がそれを飲んでいる間に大急ぎで洗ってしまって、ごめんね、お着替えしてくるねと言い残して、彼女はほんの少しの間、席を外すだろう】

わたしは全然大丈夫だと思うよ、スーツとかってかえって変かなって……ううん、よくわかんないけど。

【「そのほうがウェインさんっぽいよ」と笑顔で言うのはたぶん褒めている。――とにかく、少しの間ののち戻ってきた彼女は、首元に暖かそうなフェイクファーのショートコート】
【ひどくたくさんの布を詰め込んで膨らませた柔らかそうなスカートは飾りのリボンが後ろで猫又の尾のようにふわふわ揺れて――足元はかかとの高いブーツだから、】
【もともと百六十センチとあまり小さくない身長は百七十も近くなる、おまたせしました、と、ぱたぱた駆けてきて――それで】

じゃあ、天音ちゃんとこ、水の国だから。電車とかで行くの大変だし、転移の魔術使うね。

【――そういうものを持っているせいか距離感がどうかしていた。さも当然のように言う、それに彼女自身あまり上位の魔術師には見えないのだけど】
【差し出した右手のひらできらりと立ち上る魔術式は確かに高度なもの――「つかまって」という顔はひどくあどけなくって当たり前のような表情をして】

……あ、お家も夜の国なの。これとおんなじやつ、書いてもらうね。わたしは書けないから……。

【彼がその手に触れてくれれば、術はきらきら光って起動する、となれば、次の瞬間には別の場所――おそらく水の国の、わりに平べったい、二階建てとかではない、店舗の前】
【店先の花壇には花の少ない時期だからかとにかくビオラやパンジーが詰め込まれている、ただそれで単調ではないのは、いろんな花色や形のものを選んでいるからで】
【これはあまり見慣れない彼にはよくわからないのかもしれないけど――花がらなどもきれいに取ってあるのだった。だから、よく手入れされているのが分かり】

【――行きがけにこれもただ普通に言い忘れた、というように付け足していたのだけど。まず彼女の思惑通り水の国に着いていた場合、】
【そのころについて指摘してもいいだろうし、それ以外のことを気にしてもいいだろうし――「うんと寒いね」と笑う様子に悪気はないけれど、少し、子供ぽく詰めが甘いところがある】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/08(月) 00:14:47.43 ID:52Lrn2qso
>>66

【濃い紅茶のその苦さに僅かに眉を上げると】
【着替えてくる、という鈴音をぼうと待つ】
【まだ昼前の店内は、よく暖房されていて暖かく】
【―――街の喧騒は遠く。日差しが差し込むその暖かさに、少しの間微睡んで】

――と、ごめんね鈴音、わざわざ手間を取らせて。

【すごく似合っているよ、と目でリボンを追いながら、そんなことを宣った】
【しかし職場が水の国、と聞いて目を大きく見開いて】
【さらにはお家は夜の国。面接と通勤で世界を股にかけるのか、これがグローバル化というやつか、と】
【魔術師達のスケジュールの大きさに、わずかに嘆息する】

通勤のときはさ、この魔術式を使うことになるのかな?

【差し出された手のひらにとんと触れ、まるで手をつなぐような格好に】
【ぐ、と魔力のゆらぎを感じ取り、転移陣には慣れないな、と顔をあげると】
【そこにはどうやら職場があって、暢気に花はキレイだな、と呟いた】

【――水の国。幾度も訪れたこの場所は、風の国より気温が低く】
【けれどクズノハから預かった、式神はしっかりと寒さに対抗してくれていた】
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/08(月) 00:44:59.53 ID:Dciklnsb0
>>67

【似合っている――そう褒められれば、案外素直に褒められるだろう、変に照れることもなければ、思ったより謙遜することもなく】
【ありがとうと笑って見せて。それで手を繋げば――洗い物のあとだからか、まだ少し手が冷たい。それでも、どこかに取り残してしまわないように、ぎゅっと握り】
【――だなんていうけれど、半分は術式を書いた人間の脅しみたいなもの、半分だけ置き去りとか……そういうホラーめいたことは、ないのだけど、とは余談】

うん、でないと、大変だよ――……えっと、だめかな、大変――? でも、いろいろな場所に行けるし、便利だなって思うの……。

――終電とか気にしなくって大丈夫だよっ。

【こくこくと何度か頷く。そうでないと大変というのは確かにそうだろう、夜の国から風の国――彼の場合は夜の国から水の国の往復になるのだろうが】
【それを正攻法でやろうとするとものすごく大変なことになるだろう、飛行機に船に……多分何日もかかる、終電を気にするどころではないから】
【終電を気にしないだなんてひどくありふれたことでいうけれど。あとは――いろいろな場所に行きやすい。ただ問題があるとすれば、】
【前回の邂逅の際に彼女が言っていたように、すぐに起動できない、あらかじめ準備しておくことはできない、集中できない場では難しい……そういうのが難点なのだろう】

ここが天音ちゃんのお仕事のところだよ、たまにね、お花とかもらうの……お庭に植えたりするけど、だめだね、お日様無いからすぐ枯れちゃう……。

【時刻は――食事をしている間に過ぎた分を考慮しても、まだ、少しだけ扉に書かれた開店時間には早い。そんなことを言いながら、そーっと店内を覗き込んだ少女は】
【数度角度を変えたり背伸びして高さを変えたりしながら、やがて目当ての相手を見つけたのだろう。まだ電源の入っていない自動ドアの硝子をノック数回、繰り返して】
【名前を呼んで呼びかける――視線の先をたどれば、彼もその姿をすぐに見つけ出すだろう。すらっと背の高い女――、紺色の髪をポニーテールに結わえて】
【首元には暖かそうなネッグウォーマーとさらさらした素材の上着、開けられたチャックの中にはこの店の制服である緑のエプロンと、土汚れの目立つズボン】
【重たそうに手に持つのはありふれたごみ袋、中にはぎちぎちになるくらいの植物の枝が詰め込まれて――おそらく何かの作業から、今戻ったところ】

あれが天音ちゃんだよ、天音ちゃーん、

【あれなの、あのひとなの、そういって彼に振り返って硝子に指をあてて示す、指を押し当てた周りにほんの僅か、暖められた時の白いわっかが浮かんだ頃合い】
【相手はようやく気付いたのだろう、そのごみ袋を端に置いて、こちらへ――それで、女性にしては背が高いとも気づくだろうか。おそらく百七十は普通に超えていて】
【瞳も髪と同じ光の角度によっては黒にも見えるような紺色、それで、まだ電源の入っていない自動ドアを手動で開けようとして――ギャリ、と、変な音で開きかけたドアが止まる】

「あら、ごめんなさいね。石を噛んだみたい、割とよくあるの、気にしないで――、そちらの方?」

【最終的には力業で押し開ける。背が大きくて愛想も悪くって多分力も強くて能力者。そういう感じのひとだった、だって、今まで、にこりともしないでここまで来て】
【声も女にしてはいくらか低くノイジーなもの、それでも少女と一言二言朝の挨拶なんかを交わすから、やはり知り合い……というより友人なのだろう。それで彼へ目線を】

「外は寒いから中に入ったらいいわよ、外でする話でもないじゃない? 隙間から入ってきてくれる」

【――ただ、まあ、悪いひとでないというのはなんとなくわかるだろうか。声がとげとげしいとか、態度がとげとげしいとか、そういうことは全くなく】
【自分が無理やり押し開けたドア、それもやっぱり途中でそれ以上開かなくなったドア、もはや手動でも自動でも動きそうにないドア、それの隙間を指し】
【寒いから――と勧める程度に店内は暖かい。見れば大型のストーブが設置されていて、その周りはちょっとした憩いの場みたいな……簡単にだが椅子とテーブルが置いてあり】
【女はそこを指で示してから「お茶でも淹れてくるわ」と言って一度いなくなる、だから、多分、座って待っていろという意味なのだろう】

【少女は慣れた友人のことだから普通に言われたあたりの椅子に座っている、それならきっと彼も同じように座ってしまって構わない】
【椅子のちょっとくたびれた座布団もちょっと旧式の大型ストーブも、なんだか"それっぽい"、具体的には、なんだか、とりあえず客の年齢層が高そうな――】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/08(月) 01:22:51.52 ID:52Lrn2qso
>>68

いや、安心した――
毎朝何かしら危険な手段でその距離を往復する、となると骨だからね。
こういう、バインドストーンっていうのかな。
便利な魔術はありがたい。
そうだね確かに、夜の国では名産の夜光花以外は育たなそうだ。

【そうして鈴音が呼びかけた、ポニーテールの女性を見やる】
【ぱたぱたと動き回る鈴音を見れば、鈴音が天音を慕っているのは目に見えて】
【ならば本当、そう悪い人ではないのだろうと自分も目で追い】
【どうも、と目線で会釈する】

――ああ、ありがとうございます。
今日はどうぞ、よろしくお願いしますね、天音さん。

【招き入れられた店内を、ざっと見渡す】
【色とりどりの、花。それらはきちんと手入れされていて、どこかの誰かの人生に華を添えるのを待っている】
【――ここで自分が、この花々を売るさまは、どうにも想像しづらいが】
【しかし勉強にはなりそうだ、と、椅子に腰掛ける】
【いくつか誂えられた店内の調度を眺めて、日々の営業を考える――】
【うん、どうやら客の年齢層は、高そうだ、と気がついて】
【まあ、老人の相手はそれなりに。慣れてはいるのだけれども、と】
【考えながら、天音の帰りを待つだろう】
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/08(月) 23:13:13.06 ID:Dciklnsb0
>>69

……もう、大丈夫だよ。だってそんなのだったら、通勤するのに、三日……五日……? くらいかかっちゃいそうだし。
通勤時間長すぎてくたびれちゃうね。だから大丈夫――、……バインド? えっと、その石は、よく知らないけど……。

一応ね、ちょこっとはあるんだよ、夜の国ように品種改良されたっていうやつ、だけど、なんかすっごい地味だし――できたらかわいいのがいいんだけど。

【彼にさえよく笑って見せる彼女は、友人相手ともなればもっと親し気にあどけなく笑う、対する相手も――こちらは、こちらもやはり友人だからなのか、柔らかく】
【一言二言会話する中に「あけましておめでとう」とか言っているから、今年になって初めて会うのだろう……とは余談。今度家に行くね、と、少女が言って雑談も終わり】

【そして通された店内は、彼が見た通りに花がある――けれど、あまりたくさん、というわけではないだろう。切り花は確かにあるが、それがメインではなく】
【今案内されたストーブやいすの近くはちょっとした直売コーナーのような感じであるらしい、だから野菜や少し変わったジャム、誰かの作ったはちみつの瓶など並べられて】
【その中に、そういった切り花がある。――それなら、それ以外が何かといえば。園芸資材……鉢や支柱はもとより、ネット、烏避けのCDっぽいやつ、謎のやつ】
【無駄にエレガントな柄の園芸用手袋、二リットルくらいの小さな土、肥料、あちらの方の棚には物々しい薬品がずらっと……農薬の棚なのだけど、下の段など明らかに施錠してあり】
【それからいろいろな野菜の種、それとなんだか店内がちょっとだけ土臭くて、なぜと原因を探せば店内の一角をまるっきり使って多種多様な球根がずらりと並べられ】

「偉いおじさんがお菓子もくれたから持ってきたわ、はいどうぞ。緑茶でよかったかしら、櫻の菓子だしいいわね」

【それから少しして――やがて戻ってきた女の手にはそれなりに長い間使いこまれてきたのだろう盆に人数分の茶と、それから、どこぞの名産の饅頭】

「応接間もあるけど、暇な時期だからこっちでいいわね。開店までいくらか時間もあるし――それよりあなたも一緒に受けるの? 面接」

……えっ。わたし、別にいいよ、お仕事うんとあるから……。

【一人――多分自分はあんまり関係ないなと思って嬉しそうにお菓子の包みを開けていた少女は話を振られて驚いたように固まる、ぎょ、と目を丸くして】
【――そして確かに彼と女で話すのに彼女はあんまり……多分あんまり必要ない。相手をここに連れてきたのが少女自身である以上、女としてはそれで充分な保証になり】

んん……ウェインさん、わたし、邪魔かな? それなら、へびさまにも言っておかなきゃだし、お菓子は……もらっていくし。

【半分開けそうになった包みをせっせと戻してからそう尋ねる。二人にとって必要でないなら、彼に部屋を貸すというのと伝えたい相手もいるのだと言って、】
【ちゃっかりお菓子はもらっていくのを宣言しながら問う、最初に少女が視線を向けたのは女だったが、どちらでもいいような目を返されて、それで、彼へ――】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/08(月) 23:45:53.52 ID:52Lrn2qso
>>70

(コミュニティの集会場、のような役割を果たしているのかな)

【店内を見回しながら、そう、思う】
【水の国、各種の野菜や、流通に載せられないにしろ誰かには食べさせてあげたい――そんな思いの伝わる、直売所を見る】
【農家の人々が、ここに来たときにちょっとしたものを買っていけるように、だろう】
【そんな集会場を営む、天音は】
【鈴音のいうよう、本当に悪い人ではないのだろう】

あ、ありがとう。頂きます。

【そういって、出されたお茶と菓子に目を落とす――どうも最近、和菓子と緑茶に縁がある、と思いながら】

そうだね、面接は二人で構わない。
そこまで保護者には頼れない、からね。
もちろん、決して邪魔なんかじゃないのだけど。

【にこ、と鈴音に笑顔を向ける】
【万一色よい返事でない場合に、鈴音が居れば言いづらかろう――と、そういう思いも、あるにはあった】


面接、ということだったのだけど、生憎身分証みたいなものも持っていないんだ。
それでも構わない、かな。

【そうして確認する。鈴音の紹介といえど、今の自分に身の証はない】
【それから、何事か天音から質問があれば、可能な範囲で答えるだろう――】
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 00:12:35.54 ID:fhko2D2g0
/ごめんなさい、ブラウザ更新とダブって文章消えてしまいました……もう少しお待ちください
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 00:27:26.22 ID:fhko2D2g0
>>71

そう? ……そっか、じゃあ、わたし、一回お家に戻ってへびさまに説明してくるね。――保護者? わたし、保護者じゃないよ、ふふ。

【ぱちくり瞬いた目、それで少し考えてから――その方が効率がいいか、と、思いいたる。それでふわっと立ち上がって、スカートを数度整えるように撫で】
【じゃあ……と立ち去りかけたところに女が「これ持っていっていいわよ」とおそらく自分の分――として渡された――菓子を差し出し】
【一瞬申し訳なさそうにした少女もすぐに「へびさまもきっと喜ぶね」「ありがとう」と言って――「終わったら呼んでね」と言い残して、また、転移の術式を起動させる】

【――そうすれば、残るのは二人だ。とはいっても実際に店舗の片隅、あっちのほうでは別のスタッフがいろいろな作業をしているが――まあこれは気にしなくていい】

……あら、いいのよ。あの子だって自分が変だと思った人は連れてこないと思うのよね。
ただ、まあ、面倒なのは嫌なの。売上だとかを持って逃げたりしないでくれる? あとは高価な花だけど……ま、それは私たちがやるからいいわ。

今の時期って一番暇なの、けど人手ってあった方がいいじゃない? 忙しくなるまでならいろいろ教えたげるわ、本当にすることがないもの。

【身分証――本来ならばまず必要だといわれるだろうものを、ただあまりにも当たり前に"いい"と言ってしまう彼女は、もちろんこんな世界だからというのもあるけど】
【あの少女。あの人懐こい少女が、いくら人懐こいとはいえ、少女自身が怪しく思う人を、自分には紹介しないだろう――という信頼もあって、それならば】
【この女を雇う"偉い人"の方でも、正義組織に関係する人間から紹介を受けたスタッフが面接――面接だろうか。あまりにゆるい気がするけど――した人間であれば】
【まあ悪くはないだろう……という性善説で成り立っている世界。そのあたりも少し旧式なのかもしれない、とにかく今は一番暇だから、と、伝え】

ところで、名乗るのを忘れていたわ。ごめんなさいね、相上天音よ、園芸だとか草は好きなのかしら。
夏は暑くて冬は寒いけれど、大丈夫? 虫も居るわね、あとは蛇もたまに見かけるのよね。イタチか何かがいたこともあるけど……。
腰は健康かしら。重たいものも割とあるのよ、花粉症は……まあ、関係ないわね。あと何年かすればマイナーな花粉症になれるかもしれないけれど。

【――それから急にどばどばと"よくない"ところを言い出してみる、どれかが駄目ならばおそらく難しいだろう、決して得意である必要こそないけれど】
【少なくとも苦手なままでも慣れる余地がないと本人として辛いだろう、――それでも最後は少しだけ冗談めかして】

草って育てたように育つから、楽しいわよ。

【そして最後にはそうとも言う、そしてその時の表情は、多分彼が今日見たどの瞬間より、きらきらして見えて――本当に好きなものについて話すときの、それなのだった】

/たびたびお待たせしてしまって申し訳ないです……!
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/09(火) 00:37:22.27 ID:S6/fXzC2o
>>72

【席立つ鈴音を見送って――】
【うまくいくことを疑わないその眼差しに、これはかっこ悪いところを見せられない、と天音に向き直る】

ああ、心配ない。
これでも少し前から真っ当に生きているから――そうだね、仕事を教えてもらえれば、
それなりには働くよ。

【鈴音に紹介されたから、か。天音は端から雇ってくれることを決めているようで】
【もちろんアルバイトの経験など持たない青年は、少し緊張の面持ちを見せる】

あいがみ…あまね、かな。
改めてよろしく、ウェイン、と言います。
園芸も草も、あまり関わる機会がなくて。
多少の不快な思いは慣れてるかな。虫も蛇もイタチも、まあ見つけたら外へ放り出しておくとする。

重たいものも、うん大丈夫。
常識から少し外れたくらいの重さなら、なんとかなるだろう、とは思うけれど……

【花粉症だけは、不安だね、といって笑う】
【"よくない"ところのそのどれもが、働くことの障害にはどうやらならず――最後の一言に、目を丸くして】

はは、それはなによりです。
なかなかままならないこの世の中で、育てたように育ってくれるのなら――
うん、どうやら好きになれるかもだ。

【無論園芸の世界に生きられるわけではないのだろう】
【それでも、これからしばらくは――この女傑の元で、草木の生命と触れ合ってみても構うまい、と思ったのだった】

/いいえー、時間は大丈夫かな。
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 01:05:06.60 ID:fhko2D2g0
>>74

【――まあ、どちらにせよ。せめて仕事が見つかるまでくらいは家にいればいいと思っているのだった、だから、結果がどうあれ、彼女は彼を家に招いただろう】
【そのうえでやはり彼とこの女なら大丈夫だろうなという信頼もあった――とは余談。だけど、彼女の表情や雰囲気を見ていれば、そう思っているのもよく伝わるようで】

ええ、そう。別に適当でいいわよ、まあ仕事に問題がない程度に適当に呼んでくれる?

……あら、そうなの、じゃあ覚えることがたくさんあるわね、羨ましいわ。楽しいでしょう、そういうの。

【「私は好きよ」と続くなら、やはり彼女は心底植物や園芸が好きなのかもしれない、それに、始めたばかりというのは、いろんなことを一度に覚える頃だから】
【その瞬間はそんな暇はないかもしれないけれど、それを後から思い返したり、周りから見ると、楽しそうだなぁと思う……少なくとも、この女はそういうタイプで】

じゃあ大丈夫かしら。夏も冬も死にかけたら教えてくれる? 休憩は十時と三時だけど、夏はもっと細かく取っていいわよ。
ビニールハウスの中って夏は四十五度とかになるの。死体を見つけるのは嫌だから自分で管理して頂戴、飲み物だとかは持ち込んでいいわよ。
冬は……好きなだけ着込んでくれる、この部屋は冷房も暖房も入るから、こっちで出来る作業ならここでやってもいいの、泥は落とさないで頂戴ね。

【そして次にいきなり口から「死にかける」だなんてワードが出れば。急に事態は深刻さを帯びる――というのは少しシリアスすぎる、実際は、めちゃくちゃ暑くて寒い】
【曰く植物相手だからどうしても暖房や冷房は使えないのだという。暑くて寒い……という言葉の実態をいくらか補足してから】
【「シクラメンとかサイネリアの花粉症になったらお揃いね」と別に楽しそうでもなく言う、それから、「マスクとかもしていいわよ」と付け足し】

たまに文字通りのお邪魔虫も来るけど、だいたいはやった通りに育つわよ、だから、できたものを見れば、多少は分かるわね。全部じゃないけれど。
……それで、あなたから聞きたいことはあるのかしら、ウェインさん? ただ給料だとかの話は、後で本当に偉い人と決めてもらうわよ。それ以外ね。

【できたものを見れば、どんな風に育てたかが分かる。さすがに何もかもは分からないけど、それでも、だいたいのことは分かってしまうから、面白い】
【"悪いこと"と"良いこと"女としては伝えて、そして問題がないようだと見れば、今度は彼へ何か聞きたいことは、と尋ね】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 01:05:26.79 ID:fhko2D2g0
/書き忘れ! こちらは時間大丈夫です、気にかけてくださってありがとうございます!
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/09(火) 01:23:54.99 ID:S6/fXzC2o
>>75

【覚えることが、沢山あって羨ましいと―――】
【これはこの人には叶わないな、と少し相好を崩し】

ああ、死にかけたら助けてもらえると。
これからしばらくはきっと冷え込むだろうから、
少し動きやすい格好を考えるようにするよ。
―――この外套で、土いじりは難しそうだしね。

【そうして纏った外套を持ち上げる】
【いくらか使い込まれているであろうその外套は、しかし汚れの欠片も見当たらず】
【縁取る金糸が日光にきらきらと】
【もしも天音が戦いにも聡いのならば、対魔力と対属性とに優れることが、見て取れる】

【火口での持久戦とか、雪原での撤退戦とか、そういった時のことを思い出し】
【仕事をする服装を考える。――ああ、これが天音のいう楽しさか、と少し合点して】
【しかし戦いのことしか知らないな、と自分が少し情けなく】

【そして聞きたいことは、と問われれば】

――そうだなあ。
ここで働くに当たって……学んでおくべきことと、気をつけておくべきことを。
旅の身だからいつまで働けるかはわからないけど、
せめて十全に果たしたいから、さ。

【そう答えて、天音の返事を待った】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 01:59:00.14 ID:fhko2D2g0
>>77

そうね、善処するわ。……まあ、私もだいたい外に居るから、少しでも体調が悪くなったら教えてくれる? 
――それがいいわね、土って着いたら意外と取れないのよ、なんでかしらね、大地の叛逆かしら。

【死にかけていたら――まあ、助けると普通の人ならば言うだろう。そして実際彼女もそう答えた、とはいえ、彼女自身、室内よりも外に居るタイプだから】
【具合が悪いような顔で蹲っていたりすればすぐに気づいてくれるだろう。とにかくこれで命が危ういというのもあまりなさそうだ】
【とはいっても、やはり彼にも都合があるだろう。夏真っ盛りの酷暑の時期まで、彼がここに居るのかは、ひとまず置いておいて】

【持ち上げられた外套に向ける目線は、確かにその白ならば汚れは目立つだろう、と、その程度の目をしていた。だから――あまり、戦いに赴く人ではないのだろう】

どっちにも共通するのは、この草がこうなっていたら変っていう状態かしら。だけど――同じ病気ならだいたい同じような見た目になるから、慣れれば分かるわ。
あとは水が入っているかの見方。後で教えるわね、冬の間は夏みたいに気にしなくっていいわ、科とかは後回しでいいわよ、覚えた方が楽しいけれど――。

……そうね、あと、爺さんとか婆さんって、昔の名前で草を呼んだりするから。ま、それもそのうち覚えるわね、わかんなかったら聞いて頂戴。

【学んでおくべきであること、気を付けておくべきであること、たずねられれば――答えるのは、つまり、どういう状態の植物が正常でないか】
【それに早く気づければ適切な処置で持ち直すこともある、逆にそれを見逃せば、その草は枯死する。たまにおかしなくらい溶けて消える、なぜと思っても、すでにないくらい】
【同じ方向性を向いたこととして、水がきちんと入っているかも。それから――植物の細かい分類とかは、覚えた方が楽しいけど、まだいい、とも】
【そういうところが始めたばかりの特権、簡単なところからたくさんの知識を仕入れられる部分なのだろう。大変だけど楽しいところ。だからそれが少し羨ましくて】

――ま、こっちもお願いするんだから、分からないことはすぐに聞いてくれたらいいわよ、研修中になんも教えないで怒るようなやつはいないから安心して頂戴ね。
あと、草の手入れでなんかミスったらこっそり捨てちゃっていいわよ、赤くなった葉っぱ取ろうとしたら茎ごと折れたとか。あんまりに減るようだったら聞くことになるけれど。
そこらへんの安いポットだったらちょっとくらいは言わなくってもいいわ、次から気を付けるでしょう? 

【ただ――よい先輩であるかと言えば、多分、違う気もした。ちょっと失敗したくらいならわざわざ報告しなくても勝手に捨てていいだとか】
【そういうことになれば次から気を付けるでしょうとか……「どれだけ気を付けても折れるときは折れるのよね」ともいうから、多分彼女自身何度もそうなったのだろうし】
【それでまたお茶を一口、「ほかになんかあったかしら」と漏らすから――今回たまたま彼女の知り合いからの紹介だから受け持っただけで、】
【普段はこういう真っ先のやり取りをしないのだろう。というより、彼女自身バイトなのだから、当然と言えば当然と言えたのだけど――】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/09(火) 22:47:34.38 ID:S6/fXzC2o
>>78

どうかな、大地の友愛では?
土も君のことが好きなんじゃないだろうか。

【そうして、天音の話に耳を傾ける。気をつけるべきこと、それに気づくための指針】
【草花に水をやる、というのはとてもわかりやすいことだったが―――】
【どれくらいの頻度で、また量でそれを行えばいいのか、ということも、教わるのだろう】
【こりゃメモとペンが必須だな、と思い至って】

【ちょっと悪い先輩、なところを見る。だがそれは店舗の運営上は当然のことであり――】
【つまりやはり、この店は彼女なしでは回らないのだろう】

――ああ、ミスったら気をつける。
二度同じミスをしない、ってことで生きてきたからね。
そのあたりは心配しないでくれ。

【うん、まあ、このあたりだろう、とウェインも心の中であたりをつける】
【実際のところ、あれこれ心配事はあるけれど】
【まあひとつ、実際に身体を動かして見てからだ、と】

――いや、大丈夫。
それじゃあ、これからどうぞよろしく、天音先輩。
給料だとかの詳しい話はまた今度、偉い人と話すとするよ―――

【そういって、にこりと微笑んだ】
【今日の面接は、このあたり、だろうか。天音が連絡をすれば、鈴音の家にいくことになるだろう】
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 23:14:03.79 ID:KZK8WYqC0
>>79

そうかしら、だといいわ。だけどあいつら、爪の中にも入って取れないから、きっと嫌がらせね。

【服からは取れない、爪の中からも取れない、これは嫌がらせだろう――と呟いて小さく笑う、そして、これは彼の知らないことだけど】
【この女。実は地面系の能力者で――そういう意味でも何か親しみみたいなものがあるのかもしれない、古くから知るが少し面倒臭い性格の知人について話すときのような】
【そういう様子が少しだけあって。言ってから自分の爪をちらと見やる女の視線を追いかけたなら、それでも丁寧に切られた爪の先に茶色い土くれが入り込んでいるのが見えた】

水やり三年っていう言葉もあるのよ。だから最初は水が切れていたら言うから、その時に一緒に見ておいてくれるかしら。
それと――水が入っているときの重さを覚えておくようにしておいて。切れてたら軽くなるから分かるわ、あとは、土に指を突っ込む。

【枯らさないだけの水やりなら案外すぐに分かるもの、それでも植物が欲しいタイミングで欲しいだけの水を適切にやるのは難しいといわれて、そんな言葉もあるくらい】
【だから本当の最初は誰かが見て駄目そうなやつを彼に教える、それで水をやるときにでも、草の様子なり鉢の軽さなりで覚えてくれ――と、】
【ただ感覚的なものではなく判断する方法はいろいろあるからそれも後で説明……するのだろう。おそらくは、だけど】

あら、最初は間違えるものよ、素人が最初っから間違えないだなんて、それこそ隠蔽してるかと思うもの。
ただ……草が駄目になるのはいくらかはしょうがないもの、あとは捨てるときは鋏でバラバラにしてからのほうがバレないわよ。

【二度同じミスをしないという生き方、それは到底彼女には難しいようだった、今まで話しただけでも分かる、この女、確実に"そういう"タイプではない】
【ついでにそうやって捨てるときはほかのごみと分からないようにしなさいね、と、これも多分助言なのだろうけど、ひどい内容ではあった。それでもとりあえず】
【そういったある程度はどうしても仕方のないミス、気を付けても草の都合に左右されるものはともかく――なにか失敗は言ってくれ、という様子ではあり】
【よほど人間的にまっとうではないことをしない限りは別に特にひどく怒りそうでもなかった。何より本人が真面目そうではないから――別の意味では真面目、なのだろうが】
【人間的な話。植物に対してが真面目だったとしても本人のありようが真面目に見えなかった。それが変に嵌って見えもしたけど】

……そうね、“ヤバいやつ”ではなさそうって伝えておくわ。先輩だとかも要らないわよ、三十年くらい居る人も居るから、キリがないもの。

【まあ――どうせ彼がここで働くことになれば、いやでも頻繁に顔を合わせるだろう。気になることがあればその時、で十分すぎるくらい機会はあるはず】
【ならやはりそれでいいか、と。それで、少女が置いていった緑茶――少し冷めたものを、一息で飲み干して。――と、遠くから、「相上さん、開店時間」――そういう声がかかり】
【「ちょうどいいわね」と立ち上がる――スマートフォンを取り出して数度操作すれば、それで少女へ連絡したのだろう。じゃあ、と立ちあがって】

…………ああ、そうだわ、土をうんと触るから、気になるなら、破傷風の注射をしてあるか、調べたほうがいいわよ。

【おそらく冗談――とりあえずあまり深刻な様子ではなく告げれば彼女は仕事の方へ戻っていくだろう。少女が来るまではほんの一瞬の間があって――そこにちょうど】
【開店を待ちわびていたのだろう数人の老人がぞろぞろと入ってくる、さっき石を噛んだ自動ドアも、気づけば誰かが手入れをしてしまったらしくって】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/09(火) 23:40:08.41 ID:S6/fXzC2o
>>80

【くさばなはかせ、と】
【心の中で名前をつけた。土に生きて、土に死ぬ、というような】
【そんな印象を、受けたのだった】

【とりあえず、ここで働く仲間としては】
【相上天音は最上だろう。人当たりはともかくとして、知識や教導に関しては信頼できる人なのだと】
【そういう印象を持ちながら、開店して慌ただしくなる店を見る】
【老人たちは、やはり土とともに生きているのか、年の割にしゃきっとしていて】
【いつか匿ってもらった、農家の人々を思い出させた】

―――ん。
世間一般の病気なら、まあなんとか大丈夫。
ありがとう、天音。
シフトに入ったときは、よろしく頼むよ。

【天音に合わせて立ち上がる。鈴音が迎えに来るのは、もう少しか】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 23:58:47.13 ID:KZK8WYqC0
>>81

【そして彼女が仕事に戻って、ほんの少し――時間としては五分はしない程度だろうか、ある瞬間に急に渦巻くように空間に現れた魔力反応は】
【すぐにぱっと花が綻ぶように咲いて。そこから一瞬のあと、ごつ、ごつん、そういう硬い足音がする、見てくれはいかにも軽そうな少女だったのだけど、何より靴のごつさが】
【そういう音をさせて――ふわっと浮き上がった髪とスカートの裾が重力に従って落ちる、その瞬間伏し目がちになっていたのが、やがてこの場の空気に順応すれば】
【――ぱ、と、鮮やかな表情になって。なにより一番初めに伝えたがったのが】

へびさま、いいよって! 気にしないって――うん、だからね、大丈夫だよ。へびさま嘘吐くの、うんとうんとへたっぴだから。
でもひとみしりだから――その、あのね、へびさまあんまりおしゃべりしないかもしれないけど、気にしないでね。怒ってるとか不愉快とか不機嫌とかじゃなくって……えっと。
どうしたら仲良くできるかなぁって、ずっと思ってるんだよ。だから、ね――それだけ。よかったら、覚えてあげていてほしいの。

【つまり、彼女の同居人がいいと頷いたのだという。それも気を使ったとかではなく、本当にいいって言ってくれたよ、と、それこそウェインが気を使わなくっていいように】
【続けるのも、あるいはそれと同じ意味合いらしかった、"彼"がひどく無口でひとみしりで愛想が悪いのをあらかじめ伝えてしまって、気にしないでね、と、言っておく】

たまに来る子は……そういうの全然大丈夫だよ。だからね、大丈夫。天音ちゃんとお話は、もう大丈夫なの?
へびさまがありがとうって言っていたから、伝えないと――、ごめんね、もうちょこっとだけ待っていて! 

……ふふ、天音ちゃんがいないってことは、お仕事、いいって? 天音ちゃんだったらね、駄目ってことにしたなら、多分、今も一緒に居ると思うんだ。

【それで、もう一人の出入りするのは全く問題ない。つまり彼女側の都合に全く悪いところはなく――それを伝えれば、あの女はどこにいるのかと】
【菓子の礼だけ伝えたいからと謝罪の意味で手を合わせてみせてから、ぱたぱたっと駆け出して……その途中で立ち止まれば、いたずらっぽい笑い顔、そう言い残して】
【店内――ごく普通の室内っぽいここから、そのまま続いていく温室の売り場に入っていく。どちらにせよすぐに戻ってくるだろう、一分か、二分か、それほどで】

【戻ってくれば、もう大丈夫?と聞いて――大丈夫そうなら、さっきしたように、手を差し伸べ。それで、転移となるのだろう】

【そうしてこの場を立ち去ったのなら――ほんの一瞬世界が暗転する、目を閉じたときに瞼の裏に浮かぶじぐざぐの模様を幾重にも重ねたような魔力によるちらつきのあと】
【二人がたどり着くのは、一切太陽の光のない場所。彼女が言ったとおりの、夜の国――古い洋館に住まっているようだった。いくらか広い庭にはいろんな草があったが】
【どれもうんと元気に育っているとは、少し言い難い。とりあえず――意外と立派な屋敷のようだったから、部屋が余っているというのも、どうも心底本当らしく】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 00:13:13.46 ID:3uGPYQP4o
>>82
【―――転移陣。これからこの高等魔術で通勤か、と考える】
【何やらいろんな人に怒られそうな――けれど、それも目の前で微笑む少女を前にして】
【同居人からの許可も得られたというならば】
【もちろん微笑み返さぬわけもなく】

ああ、それは大変よかった。
ウソを付くのが下手くそで、人見知りで無口で――だけど、悪い、

【ひとじゃない、と。人?かどうかも分からずに、とりあえずは受け入れた】

ああ、仕事はなんとか受け入れてもらえたよ。
ありがとう鈴音、何から何まで本当に頼ってしまった。

【そういって、天音へ駆け寄る鈴音を見やり】
【本当どこか姉妹のような、と思いやる】

【そうして鈴音の手を取れば】

【ぐ、と少し、酔うような、浮かぶような酩酊に】
【目を開けてみれば、夜の国】
【六つの国の外側の、この国へと足を踏み入れるのは】
【カンパニー―――『箱庭』時代以来のことだろう】

【夜の国の、洋館で】
【中にはジャッカロープにコカトリス、白黒猫にドラゴンと】
【正体不明の『へびさま』が】

―――いやしかしこれは、雰囲気がありすぎるってものだろう―――?

【影絵劇に出てくるような、その洋館】
【鈴音に案内されるまま、金髪の騎士は一歩足を踏み入れた】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 00:35:59.05 ID:WQh7cpyf0
>>83

【たしかにかなり高等な魔術だ。しかし彼女は書いてもらうと言っていた、だから、術者は彼女ではなく――となれば、他人が好きに使う前提で作った、誰か】
【それこそ高位の魔術師だろう――なにより起動させる人間の負担を最小限に抑え、きちんとしたイメージがあればあるほど正しい場所へ、いくらかあいまいなイメージでも、近くへ】
【ただ全く何も考えずどこかへと願うと、時折変なところへ飛ばされることもあるのだけど――だいたいの場合であれば使い勝手はよさそうで】

うん。悪くないよ――優しすぎるくらいだよ。とっても優しいひとだから……、……いじめないであげてね、なんて。
そんなことしないよね? だけどね、苦手なのは、うんと音の出るものと、においの強いものと、あと、火と……、

【悪いひとではない。それどこか優しすぎるくらいだと返した少女は、それから――彼がそんなことをするはずがないと分かりながらも、それでも、それだけは】
【どうしても言わずにはいられなかったという様子で、お願いする。すぐにそんな自分を自嘲気味に笑って、それで、彼の苦手なものをいくつか……なんだか野生っぽい】

よかった! じゃあ、ウェインさん、今度からお花屋さんだね、お花屋さんかな? 
天音ちゃんは根っこのある植物っていうの、切り花のお花屋さんと区別するのに――、

【今度はうれしいのを表すように両手をぱちんと合わせる。切り花と比べて根っこがあると評される植物たち、それを世話する彼を空想して】
【少し愉快そうにして――というより、今日はなんだかずっと上機嫌なようだった。ころころ笑う声なんて、手のひらのうえであちらこちら、きれいな音の鈴を転がしたよう】
【そして――場所は移ろって、夜の国。眼前には一般的には控えめな方の豪邸と表現されそうなタイプの、建物。彼女は慣れたように――当然だけど――彼を手招いて】

このドアね、重たくって硬いから、気を付けてね。こう、ぐって……この辺りをぐ!って。したら、開くからね。
おくつは脱いでも、脱がなくっても……わたしは脱ぐけど、スリッパがあるから、気にしなくっていいよ。おもちゃんとか、土足だから。……あ、猫ね。

【それで真っ先に説明するのは立て付けの悪いドアのことだ。「ぐっ」とするあたりを手のひらでぱしぱしたたいて知らせてから、全体重を乗せるように――ぐ!と押せば】
【扉はぎいぎい言いながらそれでも開いてくれる。おそらく彼女より力のある彼ならもっと簡単に開けられるだろう、――そういえば、ドアの下の方には】
【あとからこさえたように明らかに浮いた猫用のドアがある。猫用……それにしてはいくらか大きなようにも、思えたけど。多分猫用でいいはず】

【そして踏み入る中は。やはり見た目通りでもある、家具の雰囲気がどうにもクラシカルな感じなのは彼女の趣味だろうか、そのくせ、置かれた小物はひどくかわいらしく】
【つまりわりとそっち方面ではあるがちぐはぐな感じではある――それから、置けそうな場所に不自然ではないところにぬいぐるみが並べられたりもしていて】

へびさまあっち。だけど、ウェインさんのお部屋を決めてからにしよ――だけどね、空いてるお部屋うんとあるの、どこでもいいよ?

【とりあえず彼も入れば。とりあえず空っぽの部屋をいくつか案内することになるのだろう、本当の物置みたいな空っぽの部屋ではなく】
【小さめの豪邸らしい見た目通りにいくつかある客間――ひとまずごく最低限の家具くらいはあるところを、いくつか紹介するはずで】
【とはいえ違うのは部屋の位置くらいで中身は変わりない。あとは窓の向こうの景色が少し違うくらいで……それもほんの少し。どこでも、あまり変わらないようだった】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 00:54:36.84 ID:3uGPYQP4o
>>84

【切り花の、お花屋さん】
【根っこの在る、植物】

―――?

【それらの区別は園芸に明るくないウェインにはよく届かず】
【まあ、これから勉強かな、と、心の中で汗をかく】
【それでも何かと上機嫌そうな鈴音についていき、可愛らしいドアの開け方を教わると】
【自身の手でもぐ、と押す】
【立て付けは悪いようだが、それでも剣士の膂力なら訳もなく開き】

……ああ、こりゃいいところだ。
お化けでも出てきそうなのが怖いところだけど――あ、鈴音、そういう部屋が有ったら教えておいてね?

【そうしていくつかの部屋を見て回る。少し迷った後、この部屋でいいかな、と言ったその部屋には】
【簡単なソファとベッド。そして小さな黒猫の置物が、ひとつ】
【黒猫の置物をつ、と触れながら、部屋を決めたようだった】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 01:17:04.60 ID:WQh7cpyf0
>>85

お化けは出ないよ、ただ……ううん、へびさま、真っ白で櫻のお着物だから、まーっくらな廊下で会ったら、びっくりするかも。
*ちゃんも急に出てくるから、びっくりしないようにね、あとは……棚の上から急におもちゃんとか、あんこが降ってきたり……、炎(えん)も……。

【お化けは出ない。――お化けは。そう言った彼女が連ねていくのは、お化けは出ないけど、わりとびっくりするタイプのイベントはありがちらしく】
【例のへびさまというのはどうやら真っ白で着物を着ているらしい。*ちゃん……誰かを呼んだ声はひどくノイズがかった耳障りなもので、明らかに彼女の声質ではなかったが】
【それはまるでこの世界そのものがその名を呼んでしまうのを嫌がったようでもあって――そしてそれがたまに来る知人、あとは……猫とか猫とか――それから子竜】
【ちょっとげんなりした顔で言うなら普段から死角っぽい高度からの自由落下なアタックを食らっているのだろう、「ほんとに気を付けてね」と付け足し】

それにお化けだなんて入れないよ。ここはへびさまの場所にしてあるから――、

【彼が黒猫の置物を撫でるのを眺めていた。お化けだなんて……そうつぶやく声はいやに確実であるというようで、それはまずないと言い切るみたいに聞こえ】
【"へびさまの場所"というのはよくわからないものだったが。なんてことのない洋館のはずだった、――ただ、やはり彼が魔力、あるいは聖なるものに敏感であれば】
【この家の中――"なにか"が充満している。もちろん悪いものではない、当然毒ガスなどという危険なものでは到底なく、それどこか、全うであれば心地よささえある】
【水属性の魔力――彼女が持つ魔力とどこか似通ったもの。そしてそれはあの廃墟での夜、彼女がその魔力を媒介に作り出した、あの白蛇の纏っていた神聖にも似て】
【――ただ。そう目立つものではない、確かにあるのだけど、どちらかと言えば、大気中に含まれる湿度的なものが……そういう、きれいなものに置き換わっているのに似て】

じゃあウェインさんのお部屋、ここね。何か持ってきたいものがあったら置いていいよ、好きにしてね――。
あとは……必要なものがあったら教えてね。それで……ううんと……、

【小さく唸って黙り込む。少しの間考えていたのは、こういうときに何を言ったらふさわしいかと悩んだのだけど、やがて、あんまり思い浮かばなかったのか】
【まあ。彼がこれからここで寝泊まりするというなら、また何か思いついたときに言えばいいだろう――その思考回路は、あの、紺色の女と似通ったものだったが】

……じゃあ、次はへびさまにご挨拶。だいじょうぶだよ、さっきお家に入った時に、音で分かってるから――今頃覚悟してるの。

【あどけなく笑った彼女はたぶんそんなの知る由もない。それで――まるでメインイベントという感じだった。なにより自分がよくっても】
【その"よい"と思ったので、ウェインやへびさまに迷惑はかけたくないと考えている――そういうのが、よくわかって。だけど同時に、大丈夫ともわかっているようで】
【こっちだよと誘う――誘って、やがてとある扉のところまで案内するのだろう。とはいえ、もちろん、彼の方から何かあれば、彼女はその足をぴったりと止めるはずだった】

/お時間大丈夫でしょうかx?
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 22:06:07.45 ID:3uGPYQP4o
>>86

いやいやいや。
*て。日本のホラー映画みたいな音したけど今。
ええーホント……ホント大丈夫なんだよね鈴音、この洋館……

【ドン引きである。へびさまの格好も少し気になる程度だし、おもちやあんこ……恐らく白黒猫のことであろうと当たりをつけるそれらもまあいい】
【竜などは男の常として憧れる気持ちも多かったが――世界が軋むような音を立てた、今のそれはあまりに怖い】

【そのあたりで、「ほんとに気を付けてね」という鈴音の言葉を聞いて】
【知らず、懐に在る浄化の要石に触れていた】

(へびさまの場所だから入れない。存在としての格が違うから、そのあたりの低級な霊体では近寄れもしない――ということ、なのだろうか)
(だとするなら、それでもある*とは一体……)

【ウェインを不安にする、あれやこれや。ただ、少し落ち着いて辺りの雰囲気を感じてみれば、そこには何か、清浄な】
【かつて彼の住まっていた神殿、あるいは水の王の寝所にも通じるような、どこか神聖な気配が感じられ】
【色々な怖さは脇に置き、まあ悪しきものではないのだろう、と自分の心に区切りをつける】

【なんでも持ち込んで良い、という鈴音の言葉に礼を返し】
【へびさまにご挨拶、という鈴音の合図を受け入れた】
【色々な呼び方で、知己を教えてくれた鈴音だが】
【へびさまだけには敬称で、恐らく彼女にとって貴い存在であるのだろうと】
【それだけはなんとか察する。であるのなら、自分を助けてくれた鈴音が慕う存在ならば――】
【自らも敬意を払って構うまい、と】
【神霊の類に慣れた彼ではあれど、そう居住まいを正して、扉が空くのを待っていた】

/お待たせして申し訳ない!
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 22:21:58.09 ID:WQh7cpyf0
>>86

【日本……異世界のホラー映画。多分割と本気でドン引きした様子の彼に、一瞬ぱちくりと瞬いた彼女は、急にあどけない顔をむうと不愉快げにして】

んと……そうだったね、あんまり、*ちゃんのこと、ひとにしゃべらないから、忘れてたの、その――わたしは、普通だと思ってるから、えっと、普通に、
……えっと。ね。*ちゃんの名前ね、なぜだか呼べないみたい……ええと――その。女の子だよ、わたしよりうんと小さい、小学生くらいの……、魔術師の子。

【だけれどそれは彼の言葉や様子に気を悪くしたというものではない。そういえばそうだった……とそういう様子、ならば、かつてから起こり続ける現象なのだろう】
【ただその理由を彼女も知らないらしいのだが。とりあえず名前を呼べない……呼んでも認識されないならと、その代わりに、どんな容姿であるのかを伝え】
【小学生くらいの女の子……魔術師となれば、あの転移術もその人物の書いたものなのかもしれない。ふううと少し困ったようなため息を吐いたあと】

ほんとにいきなり居るけど、悪い子じゃないよ。……いっつも言ってるの、来るときは扉から来てって、びっくりするからって――。

【だけど聞いてもらえないのだろう。ぶちぶち漏らすのは愚痴みたいな声音……みたいな、というか、愚痴そのものであり】
【プライバシーとかあるんだから、と、ちょっとお姉さんぶった声で不満を唱える、そうしながら、きいと扉を開ければ――中は、廊下より特にふわっと暖かで】
【ぱっと見ただけでいろいろなものがあるから、ここがこの家におけるメインで生活する場所……というか、リビングみたいな場所なのだろう、と予想がつく】
【よく見れば物が結構多いのだけど部屋が単純に広いからそれはあまり目立たない、ただにぎやかな印象はあるだろう、洋館らしからぬ炬燵とその上にみかんなんかもあったが】

――――へびさま、さっき言ったひとを連れてきたよ。

【そしてその炬燵――ドアに背中を向けるように座っている人影が一つ。そして少女にへびさまと呼ばれた"彼"は、だけど、後ろ姿だけなら十分に女性と見紛うほどで】
【色素のない真っ白な髪はしゃんと背中を伸ばして座った尻まで届いて、床にまでついて、先っぽがあちらこちらと向いて。恰好は確かに櫻の着物だ、ひどく質素なもの】
【声を掛けられて一瞬小さくびくっと跳ねた背中のしぐさ、そこから少し遅れて、ゆる――と振り返れば、色素のない白磁の肌に、そこだけがひどく鮮やかな血の色の瞳】
【表情筋のあんまりなさそうなタイプの――それでも確かに男だった。きれいな顔立ちをしているが、それは確かに男の顔で――というか、多分、ものすごく背が高いだろう】
【座っている時点でかなり大きい、けれどがっしり……ではなく、ひどくやせっぽちで。振り返った彼はそこからしばし少女……というより、ウェインを見つめてから】
【よっこいしょ――という感じで立ち上がって、ゆっくりと扉の方まで歩いてくるのだろう。――身長は二メートルもあった、表情や温度感の全くない男だったが】
【やはり"悪いもの"ではないというのは分かるだろうか、少なくとも大歓迎!ハグ!キスの挨拶!というタイプではなかったが、もっと緩やかに消極的な、受け入れる様子があって】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 22:35:45.04 ID:3uGPYQP4o
>>88

【す、と目を閉じる。たいていの怪談モノで、本当に怖いのは少女の幽霊なのだ】
【そもそもいきなり居るとはどういうことなのだ。鈴音の魔力感知能力は知っている】
【それを踏み越えいきなり側にいるというのなら、もはや自分に手の施し様などないではないか――】
【うん、いや。怖い。今この瞬間すらもしかすると後ろにいるかもしれない、と思えば】
【ひゃあ、と声を出さないのは、彼の最後の矜持だろうか】

―――断空で斬れないものは苦手だ……

【ポツリとそうつぶやいて、部屋へと入る。なにか聖域かと思ってみれば、意外に過ごしやすそうな――】
【というか此処はリビングか。居住まいを正したけれど、少し背筋が緩むような】
【――と、そこで『へびさま』が振り返る】
【ほんとうに、蛇のような瞳に肌に――ありていにいうのなら、浮世離れしたその雰囲気】
【ああ、この存在は―――と、】
【外套の片身を跳ね上げ、胸に手を当てる】

――ご無礼を。

私の名はウェイン、と申します。
一時、勝利の王の遣いを務めておりました。
鈴音との縁を以て、しばらくこの館のお世話となります。

戦塵に塗れた身ではあれど、一時の身を寄せるお許しを頂ければ。

【そういって、す、と頭を下げる】
【この洋館の清浄なる気、鈴音の敬意――それらに得心の言った、というように】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 23:06:25.04 ID:WQh7cpyf0
>>89

【そもそも少年も、少女も、ほんのわずか一瞬のものだから、許される。あれだけ強く恐ろしく鮮烈な気持ちを持つ生き物が、いつまでも、その形を保っていてはいけない】
【それが決まり事だし、だからこそあの強さを持つことを許される。それを長くあるいは永遠に保つものがいたとして、それはその時点で、世界の決まりをいくらかは侵害する】
【だから多分この少女自身がそれであった。そしてそんな少女の周りだから、そういった異質が集まる。世界に拒まれる魔術師に、色の亡い、どこまでも透明な男】

へびさま、さっきも言ったけど――この間ね、わたしを助けてくれたひとなの。ウェインさんが居なかったら、わたし、きっと上手にできなかったから……。
そのお礼もかねて。えっと……ひとまず、ウェインさんのいろいろなことが落ち着くまででもって。――喧嘩しちゃあ、だめだよ?

【歩いた足音さえも薄かった。二人の眼前に立ってさえ存在がひどく希薄に思えるほどのもの、だけれど確かにそこに存在している彼は、少女の説明……重ねられるものへと】
【こくりと頷き一つで返す。喧嘩したら……なんて言うのは冗談のような声音だったが、どうやら彼はひどく真面目にとらえたようで、「しない」と返す声が、ひどく低くって】
【あまりにぼそぼそした話しかたをするから、なんとも聞き取りづらい。なにより背も高いから、単純にそこらへんの人間と話すより、口と耳も遠くって】

「――――……、」

【ひどく無口だという彼は、少女がわざと全員がそろうこの場で同じ話を繰り返したことへ頷いて、それでやることはやった、という風に黙ってしまうだろう】
【そもそもしゃべったのもほんの一瞬の出来事だったが――それだったから、ウェインの行動に、眠たげな――本当にそうではないのだろうが、ひどくゆったりとした瞬きを】
【ただ横一本のまっすぐな線みたいな口元が一瞬言葉を探すようにわずかに動く、それでも言葉にはならず、そしてウェインの横に立つ少女も】
【彼がそうまでするとは思わなかったのだろう。目を真ん丸にして――きょとんとした顔。だけどそれが、その二人の表情が、明確に違うのに、どこかで似通うように見えたのは】
【ウェインのように鋭い人間なら簡単に気づくのかもしれなかった、どうあっても似ていない顔つきの二人が、だけど、どこかで確かに似ている、あるいは、纏う雰囲気まで】

「――――……構わない、……」

【やがてもう一つ瞬きをした彼は、数秒ほど言葉を探すようにしていたのだが、やがて、先ほどよりいくらか聞き取りやすい……だろう声で、そう答えるのだろう】
【だけれどその脳裏ではもう何百年以上も前のことが想起される、いつか祀られ崇められていた自分と、それに付き従う人間のような――刹那浮かんだ表情は、ひどく曖昧だったが】

「普通でいい」

【そういうのはあまり得意ではないという風に首をゆるゆると揺らす、そうすると長い髪……特に長い前髪がさらさら揺れて、その向こうでまたゆるい瞬きがひとつ】
【今度こそもういいだろうというよな様子で黙ったのを見かねた少女が口を開くのがそこからさらに数秒後】

……えとね。朱音さんだよ、白神朱音さん――、わたしはへびさまって呼ぶけど、……その、あんまり、気にしないで。

【それでやっと真っ白い彼の名前を伝えることになる、それはどうにも女の名前のようにも聞こえたが、目の前のものは確かに男であり】
【というよりどちらでもあまり関係がないし興味がないようにも――見えたのだが。いろいろなものが希薄であるようだった、――というより、彼女らは同じ姓であるらしい】
【かといってあまり家族のようでもなかった。親子というには年齢が近く、兄妹というのも、なんだか違う。では夫婦なのかと言えば――それとはもっと穏やかで近しい空気感があり】
【自分はそう呼ぶけれど。だからってウェインもそうやって呼ばなければいけないという決まりはない。――その間、真っ白の彼はぼうっとたたずんでいて、たしかにこれは】
【真っ暗な廊下でいきなりエンカウントすると結構ビビるやつではあるだろう――とは余談】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 23:19:15.78 ID:3uGPYQP4o
>>90

【鈴音が自分のことを『へびさま』に語るのを、背を伸ばして聞いている】
【彼女の視線も、目の前の存在の瞬きも――】
【幻視するのは、静かな山間、さあさあと流れる清流】
【穏やかで、けれど力ある、恐らく彼等の原初のイメージか】

――ええ、よろしくお願いします、へびさま。
夜中行き交った際は、あまり驚かせぬよう頼みますね。

【そういって、ふ、と笑う。相手がヒトなら握手を求めそうな、そんな空気感だったけれど】
【畏れを知る身ではある。そんな無体はせずに、】
【鈴音と同じ呼び名で朱音を呼ぶと、場の空気は弛緩する】

【ウェインの張った気も、少し解けたようで】
【挨拶を終えて、家の間取りの案内も終えて】
【陽の無き国の、更に奥、影絵みたいな洋館の】
【魑魅魍魎とは悪口か。人ならぬもの多く住む、その仲間にまた一人】
【金髪の青年が、加わったのだった】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 23:47:50.03 ID:WQh7cpyf0
>>91

【やがてウェインによろしくと言われれば、彼はまたゆるっとした仕草で頷く。あまり覇気があふれているタイプでもないから、動作のすべては同じように緩やかだったが】
【それでいて考えなしのでくのぼうというわけではないのだろう、本当にそうだったならこの空間は、それ以外の世界中のほとんどの場所のように、霊的に無防備であったはずだし】
【やはりこの場所を護るのは彼で間違いがないだろう。そうとは思えないほどになんだかぼんやりしたひとだったが――そして何よりどこから「へび」と呼ばれるのかもわからないが】

へびさま、昨日はごめんね。眠たくなっちゃって、それで、気づいたら朝だったから――、

【――そして二人が互いに挨拶を終えれば、少し様子を見るようにしていた少女が白磁の彼へと声をかける、つまり、昨日帰らなかった詫びなのだけど】
【それもまた気にしないというように首を振った彼は、満足したように、元のゆっくりとした動作で炬燵へと戻っていく――その天板の上を、ウェインがよく見たなら】
【さっき。天音がこの少女に渡していた菓子が置かれていた、たった一つの菓子を机の上に置く様を競う大会でもあれば優勝しそうなくらい、あまりに"きちっと"置かれて】

――よしっ、じゃあ、あとは、……ええと、何かある? *ちゃんを探してみようか? だけど、ウェインさんの分の術式書くのに、多分近いうちに来るよ。

【それで彼が炬燵へ戻っていって元のように座るのを見れば、少女はこれで大丈夫――というようにぱっと笑って。腰に手を当てて得意げな顔をしたのだけど】
【じゃあっと言って振り返ったくせにあんまり何かを思いつかなかったのだろう。説明すること……と言っても、この場はただの家だし。ペットたちの紹介……とか】
【それこそ例の謎の魔術師を探すとか。そういうことなら、確かに必要そうとは思うけど――どちらもおいおいで済むだろう、と思っている様子もあり】

そうでないとウェインさん、どこだって行けないもんね。この辺りをうろつくのなら、できるけど――、あ、あっちにね、湖があるよ。
ずーっと昔に、うんとおっきな蛇が、まぁるくなって眠っていたら――雨水がたまっちゃって、湖になっちゃって、しょうがいなぁって今もいるって……そういうお話があるの。
だけどうんと普通の湖だよ、とってもきれいだから、今度行ってみてね――周りのところがね、ぐるっとジョギングコースになってるの。お散歩にもいいよ。

【どうあれその魔術師が来てくれないことには彼の行動に差し支えるだろう。だからすぐに来ると思う――と】
【それともこの辺りを探検するのならと言って教えるのは家からほど近い場所にある湖。その伝説もまた蛇に関連するものだったが、別にそれ以上のものではない、伝承】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 00:09:35.07 ID:rPl1uxfSo
>>92

【天板の上の菓子を見やる。何か一枚の絵画のような】
【鈴音がそう几帳面な性格だとは認識していない。何か、意識の隅に残りながらも】

―――*ちゃん、居るのか……

【なお、*は発音していない。その子、というような】

ああ、うん、そうだな。
とりあえずは、旅荷を部屋で解くとするよ。
それから買わないといけないものの計算をするから――そうだな、もし*ちゃんが現れたら、
僕も術式を書いてもらおうと思うから。
その時は呼んでくれると助かる。

【そう告げる。外套は不思議と汚れていないのだが、ウェインはまだ旅装のまま。体力はある彼なのだが、少し休みたい、というのが本音だろう】

――あ、ところで鈴音、お風呂はどこにあるのかな。
部屋には見当たらなかったみたいなんだけど……

【なんて、暢気な質問を投げかけた】
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 00:28:01.53 ID:UkHTcNqo0
>>93

【そう、だから、多分――置いたのは彼なのだろう。少女から受け取った、あの白磁の男が、そこにきちんと……あまりにきちんと置いたに違いないのだ】
【そして訪れる客人を背中をしゃんとさせて待っていた。だから彼も緊張していたのかもしれない、今見たってその背中は、部屋に入った瞬間と大した違いはないけれど】
【少女はもう大丈夫だねという風に白磁から目をそらしていたから、今度は明確にウェインへと向き合って】

……んん、居るときは居るけど――――必要だっていって探すと、"来る"よ。

【"へびさま"はホラーの産物ではなかった。ある程度分類としてヒトではないものに分類はされそうだったが、恐ろしくはない】
【だけどどうやらこちらはめちゃくちゃ恐ろしい――実物は別にそんなにも恐ろしくはないのだが、どうしてだろう、言葉で説明すると、とたんにホラーになってしまう】
【居るときは居る。居ないときも探すと来る。探すと居るとかではなくて"来る"というものの言い方をするのが怖いのかもしれなかった、ううんと首を傾げ】

――――そうだね、じゃあ、そうする。今日のうちには来ると思うよ、わたしも、今日の夜はお仕事お休みだから……その時は、教えるね。
それともわたしより先にウェインさんのところに行くのかな。わかんないや……、……まあ、でも、それでも、それ以外でも、何かがあったら、呼んでね。

あとは……炎たちは、どこかで寝ているのかな? まだ来ないね――知らないひとが居るからってびっくりする子たちじゃないんだけ、

【「ど」】
【――言い切ることの叶わなかった言葉があいまいな音階で宙に舞う、あまりにも急にがくっと高さの落ちる少女の頭のてっぺん、髪の毛がふわっと取り残されて】
【驚いた目はけれど明確にある場所を見ていた、ある場所――少女自身の足元。そして彼もまたそこを見やったのなら、――黒い、黒くておっきい、なにか、生き物が】
【というより多分これはドラゴンと呼ばれるような生き物、それの子供――まだ幼体のようだが、それでも猫よりはだいぶ大きいような生き物が、その足元にとりつき】
【うるぐぐぐと低い重低音の甘え声は喉が猫を鳴らすときの声に少し似ていた。うるる、ぐうう、そういうのをしきりに繰り返して――頬ずりどころか身体まで擦り付けて】

――もう! これが炎(えん)だよ。噂をしたら来るね、*ちゃんみたい……、……えと、お風呂だっけ。あっちだよ、案内するね。

【そうしているところをひょいと抱き上げた少女と、それでもっとご機嫌になった子竜――噂のペットの一匹。どこから来たのかと言えば、扉の猫用入り口を走り抜け】
【神速の一瞬で彼女の足にまとわりついたらしい。今では彼女の腕の中でふんぞり返ったり擦りついたりでペットとしての特権をふんだんに使い倒していて】
【少なくとも昨夜帰らなかった飼い主に会えてうれしいらしい――のだけど、慣れた様子で「案内するね」と笑った少女との温度差が、少しだけあった】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 00:40:12.74 ID:rPl1uxfSo
>>94

【――探すと、"来る"よ。】
【一体どこのホラー映画の宣伝文句なのだ。出来が良すぎる】

―――――いやあ……

【天を仰いで瞠目するウェイン。幾多の死線を越えた彼だが】
【言葉を選ばず言うのなら、心底ビビっていた】

……うん、わかった。鈴音が呼んでくれるのを、心待ちにしているよ。

【鈴音より先にウェインのところに来る――やめてほしかった】
【一人の時にいきなり後ろに立たれなどしたら、したら!】
【せめてある程度面識のあるらしい鈴音と共に初の顔合わせはしたかった】
【―――ただ、卓越論理を持つ彼には、もう半分ほどわかっていたのだ。これは、一人のときにやってくるに違いない、と】

【そうして、鈴音の足元でじゃれる子竜を見る】
【猫用の入り口が開き、黒い塊がしゅ、と飛び出てくるのを目の端で捉えてはいて】
【一瞬*かと心臓が跳ねるも、すぐに竜の幼体だ、と目鼻をつけて、あとは穏やかなものだった】

ありがとう、鈴音。使う時間の制限とかあれば、聞いてもいいかな。

【そうして答えを聞けば、その足は自室へ向くだろう。今使えるのなら、手ぬぐいをもってお風呂へと行くはずだ】
【―――髪を洗っている時に、後ろは見えない。その言葉を思い出すのは、いつだってそうなった時、ということを、彼は忘れていた】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 01:05:51.62 ID:UkHTcNqo0
>>95

【彼のその様子を見れば少女は少し慌てたようになって「でも本当に怖い子じゃないから」「びっくりするだけで」「気づいたらいるだけで」と擁護を繰り返す】
【だからって安心できないのは、確実に"いきなり居る"ことや"探すと来る"こと、そういう出現の方法をするのを彼女が明確に認めてしまっているせいだろう】

だけどわたしも連絡をする方法を持っているわけじゃないの、その……ええとね、すごく面倒だから、説明は省くけど――。

……なんだろう、ね、*ちゃんは、わたしのこと、分かるの。今必要だと思われてるなって、分かって……それか、気まぐれだよ。

【呼んでくれるのを……待つ。彼の導いた答えは正しいだろう、とりあえず聞く限りおぞましい存在である気のするそいつと対面するのなら】
【とりあえずこの少女を間に挟みたいと思うのは至極当然に思えた、それが叶わないなら、最悪、さっきの白磁の男でもいいだろう。あれも無害だ、おそらくだけど】
【相対したくない感じの物言いを繰り返した少女が多分悪い。だけれどそれだけ少女が相手を掴みきれていないという証明でもあるようだった、最終的に告げることなど不明瞭すぎて】
【つまりいろいろ事情があるらしいのだったが――、最後の言葉も限りなく真実であるのだろう。猫がうんと気まぐれだと当然のことをいうような口ぶりでもあって】

ふふ? 大丈夫だよ、いつでも大丈夫――、浴槽が使いたかったら使ってもいいよ。だけど、最後はきちんとふたを閉めてね。
シャンプーとかはひとまずわたしのを使ってくれて大丈夫だよ、ボディーソープとかも……タオルはお着替えするところの……えーと、棚があるから、そこのを使って。
それであとは……あとは……何にもないかな? 何かわかんないところがあったら言ってね――。

【子竜を抱っこしたままで案内する、その道中でやっとある程度満足したのだろう子竜は、少女に対して向かい合わせで抱かれていたものだから】
【そのうちウェインの方へちょいちょい手を出してくるだろう、猫なんかよりも立派に太い爪が生えていたけれど、きれいに切りそろえられている。興味深いように伸ばし】
【もし構ってもらえればまたぐるぐると甘えた声で鳴くのだ。そしてその手はひどく暖かで――えんという音から炎という字が思い浮かべられれば、おそらく、火属性の個体なのだろう】

【――そして彼を風呂場、というか、脱衣所。そこに案内すれば少女はもちろんそこから居なくなる、その辺のいろいろなものは自由に使ってねと化粧水だのなんだの示し】
【お風呂上りに塗って流さないトリートメントなんかもある、――――ただこれは、その*ちゃんとやらも、そういった常識はあるのだろう。他人の入浴中に乱入ということはなく】
【ただその代わり……その代わりだろうか。彼が何事もなく入浴を終え、意外とイケるんじゃないかなんて思って出たとして、その後身支度を整えたとして】
【最後に鏡でも見ようかな――そういう自然な気持ちで鏡を見たら……だけれどこれは何もない。鏡には彼と後ろの壁が映り、おかしなところはないのだが――】

「景色がいつでも夜というのは挨拶に迷うね。こんばんはでいいかな? ああ、はじめましてというのが確実だったね」

【――――あまりに、当たり前にそこに人が立っていた。ちょうど脱衣所を出る扉を開けたすぐそこ、美しい鳥のさえずるような――そういう声で、笑っていた】
【あまりに鮮やかな紫色の髪はあわや地面に触れるという長さがある、こちらも同じ色をした瞳は人懐こいのだが、それはどこか少女のものとは違う色合いを持ち】
【服装と言えば幾重にも重ねた布地に細い糸でそれ以上に細かい模様を縫い取った――魔術師の着るようなもの、かといってローブほど重たげではなく、何より本人の雰囲気が】
【そういう重たげで確実に上等である服装なのと相殺しあって結果、どちらとも取れない感じになる程度には、――軽い、というのだろうか。ひどく愉快げでは、あったが】

【本当に来た。それがきっと誰に説明されなくっても彼になら分かるだろう、強い魔力の気配はどこまでも軽やかな風の属性を帯びていた、あの少女らとは、根本的に違う存在】

/お時間大丈夫そうでしょうか?
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 01:26:23.05 ID:rPl1uxfSo
>>96

そう……気まぐれ、なのもあるんだね。
一つ聞きたいのだけど、*ちゃんって生きている?

【そんな質問を投げかける。目の幅涙を流しつつ、そう遠くない遭遇を確信し】

ち、ち、ち―――
なんだ炎、君相当かわいいぞ。

【炎が伸ばした指と爪、それを自分の人差し指で擽って、意外と動物好きな彼はそれで楽しくなってしまう】
【しばらく炎と遊び、またいつか、と別れたころに】

ああ、これは立派なお風呂だ。
ずっとシャワーくらいしか浴びていなくてね、これはとても嬉しいな。

【お風呂はいつでも入ってよい、と言われ】
【とりあえずは旅の埃を落とそうか、と】
【部屋から着替えだけを持ってきて】
【おっかなびっくり入浴を済ませる。―――済んだ】
【自分の勘も鈍ったか、と服を着る】
【簡素な麻のカットソー。白く染め上げられているのが僅かな装飾で】
【素材を合わせたズボンは、彼の頑強な両脚を隠すためか、ゆったりとしたサイズ感】
【首から掛けたタオルでがしがしと頭を拭きながら、かちゃ、と脱衣所を出ると】

【気を使ってくれたのか、すとんと胸に落ちるような登場の仕方で】
【先程まで口に上げていた、*ちゃんと思しき人物が、立っていた】

――ああ、こんばんは。
それから、はじめまして。
それからすまない、随分優しく出会ってくれたね。

【強い魔力。年不相応の、その雰囲気】
【ああこの人が、と、理解した】

/ありがとう! ここまでで明日でよいかな。
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 01:34:18.25 ID:UkHTcNqo0
>>97
/了解しました! ではお返ししておきますので、また都合のいいときに返していただけたらと思います
/おつかれさまでしたっ
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 02:48:27.95 ID:UkHTcNqo0
>>97

【生きているかどうか――問われた少女は、答えなかった。ただ曖昧に笑ってみせて、困ったような顔をして】
【よく知らない……つまり、そういうことなのだった。それで歩きながら、炎が彼に構ってもらっているのに気づけば】
【ひっかいちゃだめだよ!とか言っていたのだけど――もちろんそんなこともないだろう。ぐうぐう笑うように鳴いて、ただ一度だけ】
【ぱかっと開けた口からもわーっと、湿っぽい熱気を吐き出すだろう。本人……本竜はひどく楽しくって仕方ないと、その遊びの一環のようではあったが】
【少女は気づかなかったのか最後まで彼を案内して、それで炎をあやしながら元の部屋に戻っているねと言って立ち去る、それからあとは】

「何のことかな――」

【くすくすと囀るように笑う少女――ただこちらは明確に人と違えたものであると分かるだろう。ただ人の形を選んだだけの、ヒトではないもの】
【ヒトかそうでないかの境界さえ希薄であった白磁とも、ヒトでなかったとしてもヒトであろうとした少女とはまた別のもの、違うありようで存在するもの】
【はぐらかすような笑い声はからかうのにも似ていた。あどけない顔つきの少女よりもずっとあどけない……というより、こちらは正真正銘に子供の姿】

「専属じゃあないけれど顧問魔術師をしているよ、あるいは家庭教師かな。ほら、あれは、全うな教育を受けていないから。友達ではないのだけど……まあ、どちらでもよくってね」

【だから。そのしぐさもまた童女のものであった、そのくせ名乗る肩書は魔術師である――と、ためらいもなく言い切ったし、それで問題が起こるようなこともない】
【あれと示されたのはあの少女で間違いないだろう。であればこちらの方が立場としては上なのかもしれないとは思わせる、あるいは、態度が大きい、偉そう、とも取れ】
【それでいてそれで正しいのだろうという様子もあった。嫌味でも煽りでもなく自分がそうであることを疑わない者は時折居るもの、ならば彼女もまたそうなのだろう】

「これが君の分。不要になったら燃やしてくれて構わないよ」

【そしてやがて当然であるという様子で差し出すのは紙――それそのものが魔術式を書くのに適したように作られたもの、とっぷりと暗い紫色のインクで、術式が記され】
【彼がもし魔術式を読み解くことができたとしてもこれは難しいだろう。この世界の一般的な形式とは大きく異なっていて、ただ、丁寧に丁寧に書かれていることだけは分かるか】
【どんなに魔術的に初心者だったとしても安定して高確率で成功させ、また、思った通りに動くようにと緻密に緻密に組み立てられたものだ、手のひらサイズのそう大きくないもの】
【どういった形でも持ち歩き携帯していれば"念じる"ことで起動させることができる。ただしこれそのものが破損すれば起動は難しくなる――簡単な説明をすれば、】

「じゃあ、ボクはこれで。――君の前で不用意なことを言ってしまったら、恐ろしそうだからね。君も秩序側なのだろうけど……、ボクが君の秩序の中にあるとも限らないし」

【あまりにあっけなく踵を返すのなら。もとより彼に会うのが目的だったのだろう、彼が術式の記された紙を受け取ったなら、それで彼女の目的は果たされる】
【鮮やかすぎる紫の瞳を愉快げに細めて笑った、あるいは彼が彼女を何か特別なものだと見たように、彼女もまた――彼を何か特別なものだと見たのかも】
【それとももしかしたら本当に用事が済んで帰るというのを冗談めかしてこんな風に言ったのかもしれない、そのどちらでもおかしくはないが――ふらりと立ち去ろうとする背中を】
【なにかしらの言葉でこの場にとどまらせることは、おそらく容易だろう。そういうときに"しゃべる"タイプの存在だというのは、愉快そうに笑う様から、推察ができた】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 20:08:27.30 ID:rPl1uxfSo
>>99

【測り得ない、その存在】
【正しく破格と言っていいような、その在り方に】
【先程までのホラーじみた恐怖とはまた別の、恐ろしさを感じる】

鈴音の周り、どうも尋常ではない存在ばかりだね。
君にしても、へびさまにしても。

【超然たるその魔女から、手渡された術式を受け取る】
【世界からすら隠匿される、その魔女から自分が受け取るものはと言えば通勤定期のようなもので】

――いや、なんとも所帯じみてきた。
手を煩わせてすまないね……

【彼の能力、看破の魔眼を持ってすら、その魔術式はその片鱗すら理解できず】
【ただその高度さだけが、いや増した】

ああ、さよなら。
そうだね、僕は正しく世界の秩序の側に位置している―――“以前とは違った意味で”。
君と斬り結ぶような不運が、僕に起こらないことを心の底から祈るとするよ。

【また機会もあろう、と】
【その背中を見送る。万一のときに、こんな手持ちでは一秒だって抗せまい】
【そうしてウェインは部屋へと戻る。先程選んだばかりの、世界で一番新米の自室にだ】

/おまたせした!
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:51:29.38 ID:UkHTcNqo0
>>100

【受け取った紙は、手触りそのものはなんら違和感がないものだ、しいて言えば、重ねられた草の繊維がすこし"けば"になっているような、ふわふわとした感じがあり】
【魔力をよく蓄える性質のある植物。それにさらに丁寧に丁寧に魔力を与えて育てて漉いた……わりに珍しい高価なものだったが、この際問題はそれではないのか】

「あっはは、イレギュラーなのはボクだけだよ――、だけど、ボクのお仕事もそろそろ終わりかな? 事態は収束しつつある」

【「まあもう少しは関わるつもりではあるけれど」】
【手を煩わせて、という言葉にくすりと笑って返せば、おそらくは、何も気にしていないという答えになるのだろう。むしろそれさえ愉快だったとでもいうように】

「ならばよかった。ボクも秩序立った世界を愛しているよ、そしてこの世界の秩序を乱すものも正すものも、この世界で暮らしてきたものであるべきだから」

【最後に見せた笑みは無邪気ではあったが無垢ではない、そしてまた彼と敵対する意思もなく、平和であることを愛する側であるはずだった】
【ひとまずはそうだと認識しておけば間違いはないだろう、そしてそれが一番簡単でもあり。あまりに鮮やかな紫色は、そのまま廊下の向こう、見えなくなるまでを歩いていき】
【そして相手の認識できる範囲から消える、――そして部屋に戻るなら。戻るのなら、部屋の前で何かをかさかさ言わせている少女と、ちょうどばったり出くわすはずで】

うわひゃ! ――わっ、ご、ごめんね、お部屋、その、お掃除はずっとしてたけど……ちょこっと空気重たかったかな?って、その、かびとかじゃないけど……その……。
空気。やだったら、後で、その、空気を入れ替えてねって、それは、ウェインさんが決めるかなって思ったんだけど――えっと、それと、

お部屋、ちょっと殺風景だから。こういうもの、あったら、もしかしたらいいかなって思って――、よかったら、

【背後にきゅうりを置かれた猫みたいにびゃっと跳ね上がった背中を上ずった声が廊下にわずかに反響した気までする、振り返った少女はひどく慌てたさまで】
【これが治安の悪い土地の宿だったりすればそれだけでしょっ引けそうなくらいに不審だった、持ち手のある紙袋の上の方をぎゅっと握りしめてがさがささせながら】】
【しばらく何か言っていたのだけど――最終的に相手の様子をうかがうようにしながら渡すのは、クラフト紙の袋、中を見れば】
【ぎゅっと根元を麻の紐で結わえたドライフラワーの花束が入っていると分かるだろう、あまり大きなものではない、机の上の飾るような、小さなもの】

――何か分からないこととか、気になることとかがあったら、いつでも言ってね。自分のお家みたいにしてくれていいの、ううん、その方がいいな。
ごめんね、何度も来てお話すると、ウェインさん、いろいろやりたいことがあるかなって思って――扉にかけていこうと思ったんだけど。

【「見つかっちゃった」】
【困ったように眉を下げて笑う、受け取ってもらえたなら――あとは少女は、ひとまず彼のやりたいことを片付ける時間が必要でしょう、と、言って】
【"そういう"時間を作ろうとするはずだ、ひとまず、彼女の方から何か説明しておかないと、というのは、もうあまりないらしい、両の手を背中の側で組んで――少し待つ】

/お待たせしました……
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 22:25:10.71 ID:rPl1uxfSo
>>101

――そうだね。異世界の使者も、たくさんいるけれど。
やはり世界は、それひとつで大きな意志を持っている。

【そうして、彼女が立ち去ったその後に】
【受け取った術式を明かりに透かしてみれば――】

……うん、丁寧な仕事、だな。

【そう呟くと、懐中に術式を仕舞い込む】
【クズノハの式神カイロと、浄化の要石、そして*と呼ばれる魔女の転移術式】
【何か荷物入れでも買おうかな、と考えながら部屋へと戻るとそこには】

あれ、鈴音―――?

【いささか以上に不審な動作を見せる鈴音。だが、今更彼女が何か悪いことをしているとは考えもせずに】
【クラフト紙の袋を受け取って、中を確かめる】

――あ、これ。

【あまり部屋を飾ることのない彼だが、それでも贈り物には破顔した】
【省みることのなかった居住性、というものを、少しだけ意識して】

ありがとう、鈴音。
とても嬉しいよ。
これは、なんて花だろう? 新米の花屋に教えてくれないか。

【そういうと、手早く花瓶を用意して、テーブルの上にドライフラワーを飾り付ける】
【まあ、まだもちろんなにもないけれど、ていうか鈴音が掃除してくれている部屋だけど、と、鈴音を自分の部屋に招き入れ】
【少し会話の花を咲かせれば、時刻はそろそろ夜更けだろうか】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 23:04:02.63 ID:UkHTcNqo0
>>102

【笑ってくれた――そのことに彼女もまた嬉しそうに笑うのだろう。よかったと、あるいは安心したようにも笑って】

ドライフラワーなら、ずっと飾っておけるかなって思ったの、その……生花は、今、なかったし――。
天音ちゃんがくれたんだよ。売れ残ったのを片付けるときに、切った枝をつるしておいたのをまとめてくれたの。

えっと……これがスターチスで、これがセンニチコウ、ローダンセと、ペーパーカスケードだよ。教えてもらったんだ。

【くれたもの――それなら、元は彼女の部屋にあったものなのかもしれない。おそらくこの少女は、友人からもらったそういうものをしまい込まないから】
【よかったら大事にしてねと笑うのも、どこかそれらしかった。ただむき出して持ってくるのもはばかられ、最初は扉に掛けるつもりだったなら、こう袋入りになっただけ】
【ちょいちょいと指差す先々で花の名前が一つずつわかっていく。これがと言った割にいくつか指差すこともあって、色や咲き方が違っても同じものも含まれるらしい】
【少し得意げに笑うけど――最終的にはまるきり教えられた通りだという、それから、】

ウェインさんもきっとすぐにわかるよ。

【だなんて――本心からの言葉を紡いで】

【――そのあとのこと。部屋に招かれれば彼女は素直に応じるだろう、新しい場所で巣作りをするための時間はどうなのだろう、と、ほんの一瞬だけためらったようだったが】
【寒い国だからか建物は防寒に特化して造られているけれど、まだ暖房のない部屋は少しだけ寒くて、温かい紅茶でも必要ならば持ってくるだろう。それなら、少しのお菓子と】
【そういう風に話す場ができるのなら、軽くペットの説明もする。白猫と黒猫のおもちとあんこはいたずら好きだから気を付けるように。だいたい炎と一緒になって悪だくみをする】
【特に炎は暖かい身体をしているから二匹から好まれているらしくよくつるんでいるとも言って。だいたい寝るときもみんなで一緒らしい。それで……油断しているところに降ってくる】
【角の兎はものっすごく手触りがいいらしい。だから名前もふわり。すごくいい子でとにかく手触りがいい。ひたすら手触りのことを褒めたてて】
【最後のバジリスク……コカトリスはうんと頭がよくって大人しいが、やはり危ないので別の部屋に檻で隔離してあるのだという。だから見かけたとしても、触れないで、と】

【それ以外は――やはりあまり説明することもない。しいて言えば、「へびさまが一人で出かけようとしていたら止めてほしいの」と頼み】
【理由を問えば寒いのがすごく苦手だから……というのだけど、頼み方のせいか、徘徊老人を水際でという風にも聞こえて。無理にではないけど、と、最後に付け足し】

【家のものは好きにしていい。ただ一つ鍵のかかっている部屋が一つあるから、そこには入らないでほしい。物置にしている部屋があるけど、あまり気にしないで――など】
【最後にそうやって伝えればある程度は十分だったろう、あとは軽い雑談でもしていれば、気づけば時間は夕方を通り越していき、――外の様子が変わらないから、実感は薄いけれど】

わ! しまった、お話しすぎちゃった――ごめんね、お夕飯すぐに作るから、待っていて。じゃあウェインさん、ご飯ができたら呼びに来るね。

【ポケットに入れたままだった携帯電話をなんとなく見て――飛び上がる。慌てて立ち上がればごめんなさいと両手を合わせて、小走りで部屋を出ていくのだろう】
【その間際にくるりと身体を返して――そう伝えて、ぱたんと扉が閉まる。足音がぱたぱたぱたとどんどん小さくなって――何も聞こえなくなれば、それでやっと彼の時間】
【しばらく後に少女が食事の時間を伝えに来るまでは静かになる。ただ一つ――なんか来たっぽい、知らない奴っぽい、と、様子を見に来た猫たちがドアをひっかくのを除けば】
【そしてそれをまるっと無視することさえできたら。――もし招き入れたとしても猫らはふんふん部屋を隅々まで確認して、そのうち出ていくから、あまり問題もなかったけれど】

/このあたりでしょうか……お疲れさまでした! ありがとうございましたっ
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 00:25:17.17 ID:uH6/mqCuo
【夕焼けの荒野、土煙を曳いて疾駆する陰が一つ】

【地面から僅かに浮いて進む単車様のそれはホバーバイクと呼ばれ得る代物】
【クラシカルなオートバイから車輪をなくしたような外観で、】
【見る者が見れば相当な旧年式の車体だと分かる】

【それを繰るのは、駱駝色のポンチョコートを風に靡かせる一人の女性】

「ね〜、わざわざこんなところ通らなくても
 転移陣のスクロールを使えば2756秒早く着けるよ。
 さっきの街で安く売ってたのに〜」

 今更それを聞くの?
 ……もう魔術は身体に合わないんだよ。
 ひどく悪酔いしちゃうの、知ってるでしょ。

「推奨、ワープ酔い止めの購入〜!」

 ……もっと味の良いのが発売されたらね。

【彼女はゴーグルの奥の瞳を前方へ据えたまま】
【姿のない何かと呆れ気味の口調で会話を交わす】

【――でも随分と『人間らしく』なったなと彼女は思う】

【さて、このような岩か灌木ばかりの荒涼たる景色もそろそろ見飽きた】
【街中ではないし、制限速度を気にすることもあるまい――とアクセルを更に捻り込み】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 00:40:44.93 ID:pDS0GP/Ko
>>104

【ホバーバイクのエンジンが咆哮を上げ、加速する―――】
【すると、荒野の先に見えてくるだろうか】

【夕焼けの中、二人の男が、剣戟を閃かせて戦っている】
【片方は直刀、片方は槍】
【エンジンの爆音に掻き消されるかもしれないが、金属音がなるたびに、ちかちかと火花が閃いて】

【双方ともにそれなりの力量を持っていることを伺わせる】
【このまま直進すれば、その戦場へ、ちょうど交差する進路だ】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 00:59:02.94 ID:uH6/mqCuo
>>105

「そんなにスピードを上げたら、飛び出してくる子供とぶつかっちゃうよ〜」

 ……どこから出てくるっていうのよ

「地面?」

 モグラじゃないんだから――って、本当に何かいる!

【予想外の人影を前方に認め、ブレーキレバーを握る】

【が、これ以上ない所まで握り込んでも、】
【思っていたよりも速度が落ちない――効きが鈍い】

うそ……っ?
と、止まって――!

【ギリリ――と】
【やむを得ず急ハンドルを切り、後輪に相当する部分を滑らせる】
【車体の軋む音を響かせながら、なんとか二人がいた数m手前で停止に成功する】

【戦場への無粋な横槍となるのはかろうじて防げたろうが、】
【その代わり、ぶわりと巻き上がった砂埃の波が、そのまま二人を飲むかもしれず】
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 01:09:18.98 ID:pDS0GP/Ko
>>106

【エンジンの爆音と、突っ込んでくるその速度に】
【直刀を得物としていた人影――黒髪の、若い男だった――が、ほんの少し、一瞬だけ】
【ホバーバイクに気を取られる】

【その一瞬で、十分だった】
【ど、という鈍い音。もうひとつの人影が、獣じみた速度で動き】
【直刀を持った男の胸を、その手に持った黒い槍で貫いていた】

―――は。勝負の最中に目を逸らすとは、間抜けが。

【ぎり、と突き刺した槍を抉り込む】
【声にならない叫びを上げて、黒髪の男の口から、くすんだ色の血がとぷり、と】
【次の瞬間、黒髪の男の身体から力が抜けて】
【じゃ、と槍を引き抜いた。夕焼けの荒野に、崩れ落ちる】

悪くないタイミングじゃねェか。
ま、多少は興が削がれたが。

【――背の高い、男だった。深い蒼の髪を、後ろに撫でつけて】
【長い手足は、たった今まで戦闘をしていたにも関わらず、無駄な力みは一切ない】
【そうしてその眼は、どこまでも尊大で、鋭く、酷薄で】
【――で、テメェは誰なんだ、と口を歪めて笑った】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 01:33:41.28 ID:uH6/mqCuo
>>107

【一時、埃で曇る視界】
【しかしそれが晴れた時、目に飛び込んだのは槍が男を貫く瞬間】

……!

【一瞬だけ、呼吸を忘れる】
【だが男の口から尋常ではない量の血液が吐き出されれば】
【彼女の神経は一気に張り詰め、目つきが険しさを帯びる】

【スタンドを立てる暇も惜しいと、】
【バイクから降りるやそのまま地面へ横倒し】
【「いたいっ」と幼げが声が小さく響くが、それも気にせず】

【彼女はゴーグルを上げ、】
【その尋常ならぬ気迫を湛えた蒼髪の男と、敗れ崩れた男に視線をやる】

(息はまだ、ある――?)
(傷の箇所は……異能の気配は――)

【七、八メートル程の距離を置いて、彼女は状況を把握せんと務める】
【その緩く波打つ赤毛は風に揺れるが、その佇まいは冷静で】

……お互いに望んだ決闘なら、
それに口を挟むほど野暮ではないつもりだけど。
通りかかってしまった以上、目の前で人が死ぬのを黙って見ている訳にはいかないの

もう勝負は付いたんでしょう?
まさか倒れた相手に刃を突き立てる程、あなたも野暮じゃないわよね

【と、彼女は険しい声色ながら会話を試みる】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 01:42:41.51 ID:pDS0GP/Ko
>>108

……あァ?

【胡乱げな目で女性を見やる】

ふん、決闘なんてしてるわけじゃあねえよ。
俺はただ、コイツを殺しに来ただけだ。
そしてその目的は―――

【無感情に、足元に倒れた黒髪の男を見て】

――もうあと2分で、達成されると。
それだけだ。
それがどうした、お節介。

【男が着用している、細身のレザージャケット】
【その胸ポケットに右手を差し込む】
【左手には黒い槍を保持したままで――】
【そのまま煙草を取り出して口に銜えると、ありゃ火がねェな、と呟いた】

【男の足元では、倒れた若者が、こふ、と小さく、血を吐いた】
【男の見立ては、正確だろう】
【この一、二分で、間違いなく若者は命を落とす。それだけの傷を、蒼髪の男は与えていた】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 02:05:22.81 ID:uH6/mqCuo
>>109

【その無感情な視線を見て彼女は確信する】
【本当に、決闘なんて浪漫じみた代物ではない】
【彼女は、その男の瞳に、何かしら積層した因縁の相手に対する情のようなものを感じられなかった】

……未遂で終わらせるつもりはない訳ね

【――二分】
【その間にこの猛者じみた男から若者を保護し、】
【更に命を繋ぎ止めるのに十分な治療まで施せるだろうか――?】

【それはあまりにも楽観に過ぎる、と彼女は思う】
【少なくとも男から感じられる闘気の香りがそう思わせた】

【であれば、なんであれ躊躇っている暇はなかった】

【たんッ――と】
【彼女は弾かれたように地を蹴って駆け出す】
【男と違い、彼女には見たところ何の武器もない】

【コートの下は、パーカー、細いジーンズ、短丈のブーツ】
【およそ普段着じみた彼女が目指すのは――倒れた若者の方】

【速さと言えば、それも常人並】
【接近を許すまでに行動を起こす猶予はいくらでもありそうで】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 02:11:24.26 ID:pDS0GP/Ko
>>110

ああ、殺すさ。
それが仕事だからな。

【――なにかしらの、決意を感じたのだろうか】
【たん、と弾けるように駆け出した、その女性を見やり】

【僅かに目を丸くして】

――ああ、こっちのポケットに入れてたか。

【そんなことを言いながら、ライターを手に持って銜えた煙草に火を灯す】
【す、と美味そうに煙を吸い込んで】

【若者に駆け寄る女性を、じ、と見やる】
【ふう、と男の吐いた煙草の煙が、場違いな香りを広げて】
【もしも手当をするのなら、煙草を吸いながらそれを眺めているだろう】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 02:32:28.74 ID:uH6/mqCuo
>>111

(この男……止めない――?)

【何かしらの攻撃を受ける覚悟をしていたが、】
【予想を覆し、男が取ったのは『見過ごす』という選択】

【あまつさえ優雅に紫煙など燻らせる始末に、】
【彼女は全く不可解な気持ちと――そして不吉な予感を覚える】

(この余裕……)

【それが意味するところは何なのか、思考が嫌でも回る】
【手当などしたところで、それを容易く無に帰すだけの力が自分にはあるのだとでも言いたげで――】

【だが、手を出さないのならば、ひとまずそれに越したことはない】
【彼女はそのまま若者の元へ辿り着くと、その場へ屈み込む】
【丁度若者を挟んで、男と相対する形】

【彼女が右手を傷にかざせば、】
【如何なる音も光も発せず、ただ静かに血の流出が止まるだろう】
【唯一異質があるとすれば、そこに何の魔力反応も認められないということ】

……止めないのね

【傷口に手を当てたまま、鋭利な視線で男を見上げ】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 02:44:15.34 ID:pDS0GP/Ko
>112

【じ、と女性の行動を見ている】

――成程。まさしく『手当』というわけか、女。

【如何なる異能か。治癒魔法でも近代医学でもなく、ただ手を当てることで傷を癒やす】
【古代のアミニズム、シャーマニズムに由来する、人本来の治癒力を高める能力か】
【いくつかの仮定を頭の中で組み上げる。――が、それも数瞬で】
【止めないのね、という言葉と、女性の視線を真っ向から受け止める】

俺の仕事はな。
今後の各都市への侵攻時、妨害し得る要素となる能力者を無力化しておけ――だ。
そこで倒れているその男、まあ雑魚だが、なかなかどうして。
都市の防衛となると、それなりに邪魔な存在でな。
指揮に卓越した才能を持っている。

【そこまでで一旦言葉を切って、煙草を地面に投げ捨てる。ブーツでじゃり、とその火を消して】

せっかく殺しはしてみたが、貴様の登場でもう一度殺さねばならん。
その男にも酷なことだし―――
やはり見ていれば、貴様も今後の侵攻の邪魔になるだろうことがよぉく分かった。

関係もない男を助けにしゃしゃり出てくるのだからな。
大方侵攻が始まれば防衛のために尽力するのだろう?
まったく、お節介とは的を得たものよ。

【――見定めていたのだ。たとえ女性が若者を助けても、もう一度殺す前提で】
【この女性が、己の目的にとって邪魔となりうる存在であるかどうかを―――】

【ぶん、と男が槍を奮った。肩と水平に掲げた左手に這わせるように、まっすぐ槍を持っている】
【それをぴた、と女性に向けて】

―――恨まば恨め。女、ここで死んでもらう。

【ふん、とまた一つ、興味もなさそうに息を吐いた】
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 03:17:49.39 ID:uH6/mqCuo
>>113

【男が滔々と語る中、彼女はただ黙して、じ、とその瞳を男から逸らさずにいた】

【努めてそうしなければならなかった】
【この恐るべき暴虐に、相対する勇気を今一度呼び起こさんが為】
【気を抜けば顔を出しそうな怯懦の念に飲み込まれないが為に】

【ごくり、と】
【彼女は生唾を飲んでから、血の止んだ傷口へ微かに視線をやる】

(……駄目だ、傷が大きすぎる。
 今はここまで、か――)

【出血を抑え込むことは出来ても、皮膚の再生や造血までは手が回らない】

【何より、これ以上の猶予はない――と】
【その凶悪な刃先に告げられた気がした】

――侵攻、ね
……分かったよ。これが私の運命だというなら

【やがて意を決した彼女は翳していた掌を、そのまま横へスライドするように薙いだ】

【すると若者の身体は、見えざる手に持ち上げられるかの如く僅かに宙へ浮くだろう】
【そして次の刹那には、何かが逆らわない限り、彼の身体はバイクの方へ一直線に飛翔することとなる】
【そのまま飛んでゆけば、バイクの上に覆い被さる形となる筈で】

【その一連を許す許さないに関わらず、】
【彼女はゆらり、陽炎の起こる如く立ち上がり】

悪行の邪魔なら何度だって喜んでやるわ
お節介と言われようと、死に損ないと言われようと――!

【男の刃先に相対するように、彼女は片方の掌を正面へ向ける】
【そうしたところで何も魔力の流れは起こらないのだが――】
【だがしかし、そのままそうしていれば、男は槍の穂先に段々と重みが増されていくような感覚を覚えるかもしれない】

【まるで見えざる巨大な手が、ゆっくりとその槍を地面へと押さえつけんとしているかのように】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 11:41:46.89 ID:pDS0GP/Ko
>>114

【治癒系の能力者と、半死人ひとり】
【数瞬あれば片がつく――】

【そう思って、一歩を踏み出すと】
【若者の身体は宙へ浮き、そのままバイクへと飛んでいった】

……―――。

【ぎゅ、と、左手の槍を握り直す】
【そうして上げた彼女の口上に、確かな意思と力とを感じ取り】
【治癒系の能力者――その評価を、改めた】
【重力、あるいは物体操作に関する能力者。あるいは不可視の手駒を運用する能力か】

【ぐ、と穂先が下がっていくのを感じる。―――なにか、されている。何かがわからない】

―――ち、面倒なことになったな。
まあいい、どの道殺すことに変わりはない。

【であるのなら、短期戦。能力不明の相手に対して、様子を見ても状況が好転するとは限らない

【す、と槍を自分の脇まで繰り込んで】
【だん、と地を蹴り疾駆する】
【女性のほうに右手を突き出し、狙うは左手での必殺の突き】
【狙うは腹部。戦闘能力を奪うべく、蒼髪の悪鬼はその槍を振るう】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 14:08:23.41 ID:uH6/mqCuo
>>115

「わっ! 誰! 重い! 血液反応があるよ! 大丈夫〜?」

……アミ。悪いけどしばらくそこで待っていて

【若者を受け止めたバイクはふらふらとバランスを取りながら自立を始める】
【そのまま逃げ出すのかと言えばそうはせず、いや出来ずと言った風で】
【諍いを遠巻きに眺める子犬のように落ち着き無く漂う】

【穂先にかかる不可視の重力は、男が構え直し力に抗う意思を持てばそれで霧消する】

……悪いことほど面倒になるものよ

【攻撃の気配を感じ取った刹那、彼女の瞳が一際強い意志の色を帯びる】
【同時に起動するのは、その体内を駆け巡る極めて微細な機械群――ナノマシン】

【それらが貯蔵していた膨大な生理的熱量が解き放たれ】
【彼女の神経反応速度及び精密性を大幅に上昇させる】

(槍……半端な間合いでは命取り、なら――)

【こちらも悠長にしている暇はない】
【――この『念動力』の全容が看破される前に】
【男がこちらの能力に順応しきる前に、攻勢を掛ける他ない】

【そして自分を貫かんと致死の速度で迫る槍】
【彼女はそれを左右に避けるでなく、ただ身体を反らし――】

【もし槍と金属が触れ合っていればそこに荒々しい火花が散っていたであろう】
【男の槍は、反った女の身体のほんの数ミリ上の空間を穿孔していく】

【回避とほぼ同時に、彼女は片足を高く跳ね上げていた】
【次にその両脚を男の左腕へ、両腕を槍の柄へ、それぞれ絡ませんとして】

――はッ!

【もしもそれを許したならば、刹那――】
【彼女は槍と男の腕を軸として鋭く回転するだろう】

【そこから男へ向けて伝わるのは、細身の身体からは不自然なほど強烈な力の渦】
【それはもしも無理に踏ん張れば関節の可動域を無慈悲に超えて腕を捻ろうとするし】
【そうでなければ、男の身体ごと宙空で一回転させ地面に叩き付けんとするような、力の流れだ】

【どれだけ抵抗できるかは男の反応速度、膂力次第か】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 18:03:02.86 ID:pDS0GP/Ko
>>116

【女性のバイクの方から幼子の声がする。そちらの方角から攻撃の可能性が、僅かではあるが存在することを念頭に置き】
【男が放った突きは、しかし紙一重にて回避され】

(―――接近戦が不得手というわけでは、なさそうだ―――)

【その身のこなしに僅かに片眉をあげる。女性は熟練を思わせる動きで、刺突の一撃を『絡め取る』】

(初撃が交わされて痛撃を受ける、ということになれば、何も学ばぬ愚者の誹りを免れまいよ)

【数日前、仮想の空間で行われた戦闘の経験が】
【僅かではあるが男の慢心を拭っていた。故、最初の一撃に対応される可能性を考慮しており――】
【その予期が、男に意識の空白を作らなかった】
【ぐ、とわずかに槍と腕とかが回転する兆しを感じ取り、】
【男の脚もまた、地面を蹴る】

【女性の回転と同方向、同速度――ぴたりと合わせ、男の身体も回転させる】

―――あまごろし。

【回転する世界の中、男の口がそう動いたのを視認するだろうか】
【ぱり、と空中に電荷が閃いて―――――】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 18:21:04.94 ID:uH6/mqCuo
>>117

――!?

【彼女の想定を覆す視界がそこにはあった】
【念動力によって増幅されたその鋭い回転に、】
【男は抗うでも耐えるでもなく、寸分狂わず同期させて見せた――】

(まさか、あれに“合わせる”なんて――!)

【天地の翻った視界の中で、刹那、視線が相対すれば】
【彼女の背筋に薄ら寒いものが滑り落ちる――何かの予兆】

【女は回転の遠心力に身を委ね、男の身体より手足を離して脱する】
【その身は宙空を舞う。万有引力がその全身を捉え、地面へと引きずり下ろすまでの数瞬】
【一呼吸にも満たない間だが、電荷が閃くその次に起こる事象を顕現させるには十分な間隙で】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 20:01:47.77 ID:pDS0GP/Ko
>>118

【じじじ、と紫の電荷は密度を増して】
【ばりばり、と言う音を立てて、男の槍から紫電が奔る】
【――もうあと数瞬。自らの攻撃に固執すれば、紫電が女性の身体を貫いたろう】

【互いに呼吸をあわせるように、地面にじゃり、と降り立って】

―――これもかわすか。
どうしてどうして、なかなか女傑が多い。

【女性が跳ねた方向は、奇しくも彼女のバイクと同じ方向】
【ちょうど女性を中心に、男からバイクを庇うような、そんな態勢が出来上がる】

【ち、と男が舌を打ったのが聞こえるだろうか、逃げに徹されれば面倒だ、とでも思ったようで】
【再び男は、空いた距離を詰めようと地を蹴る】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 20:31:01.60 ID:uH6/mqCuo
>>119

【ちりり――と】
【紫電の末端が前髪のすぐ前を掠めていく】
【もうあと一瞬、判断を躊躇えばあの凶雷が身を貫いていたかと思うと肝が冷える】

【すと、と軽やかな音を立てて着地する】
【彼女はちらりと横目で後ろを見やり】

(この男……相当な使い手……――
 まともにやり合えるだけの時間は――)

【若者には応急的な止血こそ施したが、それでも放置しておいて良いような傷ではない】
【一瞬の攻防であったが、確信するには十分すぎた――すぐに片が付きそうな相手ではない】

【どちらかが力尽きるまで死力を出し尽くせば決着こそ付けられようが】
【その場合、どちらもただで済むとは思い難い。特に魔力の扱えぬ今では】
【そうなれば、誰がこの若者を救うのか――そう思えば、彼女に迷いはなかった】

【彼女は勢いよく叩き付けるように片掌を地面にかざすと】
【ぶわり――念動力によって砂埃と砂礫が巻き上げられる】
【巻き上がったそれらは重力に従ってすぐに落ちるだろうが、簡易的な煙幕を形勢し】

――アミ! アクセル全開! 急いで!

「アイアイサ〜」

【と、彼女はホバーバイクへ駆け出し、飛び乗るや否やアクセルを握り込む】
【荒々しく唸るエンジン音――だが、女性と若者、二人分の体重は旧年式の車体には文字通り荷が重すぎて】
【猛々しい轟音の割にはまだ加速も乗り切らず、走行するのがやっとという具合】

【男が更なる加速の術を用いるか、飛び道具でもあれば】
【それらはまだ十分射程に収まるであろう距離で】
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 21:15:08.60 ID:pDS0GP/Ko
>>120

【ぶわ、と煙幕が広がって】
【今度こそ、男は露骨に舌を打つ】
【己の愛槍、天殺はすでに解放されており、紫電を纏って猛っている】
【つまり、煙幕の中で自身の位置だけは看破され】
【逆に自分から相手の位置は掴めない】

加えてあの女、クロスレンジが得手ときている。
迂闊には踏み込めんか。

【結果、煙幕が薄れるまで、男は煙幕に踏み込めない。そしてその時間は、女性のバイクが加速するのに十分で】
【煙幕が晴れた後、もう遠くなりかけているバイクの背中を見やる】

……とは言っても、タダで逃してやるわけにもいかんのでな。
少しばかり、悪あがきさせてもらうぞ……!

【ぐ、とバイクの走り去る後へ加速する。もちろん速度はバイクと比べるべくもない】
【が、しっかりとその脚で地面を踏みしめ、走り、加速して―――だん、と飛び上がる】

【そのまま空中で身体を捻る。地面に降り立つまでの、最高高度に達したその一瞬、男の槍が更に激しい雷電を放つ】

奔れ雷、猛れ炎。
破軍の一を見せてやろう……!

――――天殺・地走“あまごろし・ぢばしり”……!

【轟、と空気を切り裂いて、男の槍が投擲された】

【荒野を疾駆する、女性とそのバイクの背後から、】
【落雷かとも見紛うような、あらゆる圧力を纏って、男の槍がその背へ迫る―――!】
【直撃すれば、バイクともども無事では済まぬ】
【だが逆に、男は自らの主武装を投擲した。この一撃をある程度無事に凌げれば――退却、あるいは反撃の糸口は見えてくる】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 21:55:27.37 ID:uH6/mqCuo
>>121
【男に背を向けて走り出すバイク】
【しかし彼女は男の宣言を忘れていなかった――殺す、と】

【破落戸が威嚇で言う安い言葉とは違う】
【宣言したからには確実に実行してみせるであろう熟練の殺意がある】
【あの男がこのまま見逃すとは到底思えず】

【サイドミラーを一瞥する】
【――走ってきている。獲物を追い詰めんとする肉食獣の如き気迫を湛えて】
【彼女は戦慄する。男が地を蹴った瞬間、超弩級の攻撃の気配を微かに感じ取る】

【――最後まで、この男は迷う暇を与えない!】

――K7よりリクエスト
転送、Psy Shepherd α-9――!

【ほとんど絶叫に近い声色で叫ぶ】

【すると】
【ちり、と青白い電流が一筋、斥候として空気を走る】
【後にジジジ……と前奏じみた電荷が迸った次の刹那、】
【張り詰めた絹の裂けるような大音声を伴って、“空間に穴”が空く】

【そこから弾かれるようにして一つの人型が宙空へ飛び出した】

【――流線的な白銀の外殻。一切の装飾を排した素体のような外観】
【如何なテクノロジーの粋を集めて造られたか、『機械のマリオネット』が現出していた】

【異形なるそれは、現れる前から自らの使命を理解していたかのよう、】
【出現と同時にその両手足を大の字に広げ――女達の乗るバイクを背に庇う】

【そして――迸る轟音と衝撃】

【男の放った、圧倒的な攻性質量を纏った轟雷が、顕現したばかりの機械人形を蹂躙する】
【人形は最大限に増幅された念動力の防壁を纏ってはいたが、】
【それでも尚威力を殺しきるには密度が足りなすぎた】

【電流の荒れ狂う音を立てて、人形の四肢が無残にも引き裂かれていく】

【激しい衝撃にバイクを煽られ、そして自身の生体熱量を急激に消費した彼女は】
【一瞬、意識を手放しかけるが――背負った若者の微かな息を感じ、寸でのところで踏み留まる】

(……もう、あと少し……持ちこたえて――!)

【そうして掠れる意識にむち打ち、】
【彼女は振り返ることなく、最後の力を振り絞ってアクセルを捻った】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 22:11:45.89 ID:pDS0GP/Ko
>>122

【直撃するコースの一撃であった】
【速度、軌道、威力――とも、かなりの精度で放ったそれは】
【しかし、虚空から現れた『何か』に拠って、その身を盾として防がれた】

―――なんだ、ありゃあ。

【己の一撃でずたずたになっていくその人形を見ながら、男はとん、と地面へ降り立つ】
【いつまでも愛槍を手元から離しておくのは下策。予備の短刀の感触は懐中に感じながら、人形を地に縫いとめている槍の元へと歩いた】

【もはや女性のバイクの音は遠く。夕焼けの空は血のように赤かった】

……ふん、面白い。
哀れな雑魚を殺すだけの仕事だと思ったが――いや、本当に。
面白いものじゃねェか。

【ぐ、と槍を持ち上げる。特別機密保護の措置なくば、このまま男はマリオネットを戦利品として己の組織へ持ち帰るだろう――】
【ばらばらと、男を迎えるヘリの音が響いていた】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 22:37:55.09 ID:uH6/mqCuo
>>123

【やがてバイクは肉眼で捉えられる場所からは失せる】
【岩山の陰へでも隠れたか、スピードを上げ地平線の彼方へ消えたか】
【いずれにせよすぐに排気音も聞こえなくなり】

【槍に貫かれたその金属ガラクタは】
【見ればまだ電力を残しているのか、片側だけ残った眼球の青いランプが明滅していて】

【だが男が近づいていくと】
【じじ、と微かに電流の流れる音がしたかと思えば、】
【次の瞬間には、何かの破裂するような小さな音と共に、機体から新たな白煙が上る】
【それから数拍置けば、まるで時間を早回ししたかの如く、あらゆる部品が錆びに覆われていくだろう】

【そこまで起これば、誰かが持ち帰ろうとしても何の妨害も起こらないが】
【あらゆる部品は深く錆び付いていて、不用意に触れば砂と化してしまうような代物である】

【その最期まで設計されていたかのような計画的な挙動には】
【単なる機械工作品には有り得ない、何かの徹底した秘密主義の気配が見え隠れしていた――】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 22:51:40.74 ID:pDS0GP/Ko
>>124

はン。
なるほど、個人で動いてるワケでもねえか。

【上がる白煙、覆う錆。持ち帰ったとて大した成果も得られまい】
【それならば己の勘気をぶつけてしまえと】
【思い切り人形の残骸に蹴りをくれ】

【ざあ、と荒野に銀色の砂が散らばって】

―――ち。
何か、妙な奴らがいる、くらいの情報しかわからんとはな。

【煙草を咥えて独りごちる。――張り合いのない殺しが続いていたが、どうも近頃は悪くないと】
【日はとぷりと落ちて。煙草の明かりに照らされるその口は、にやりと獣じみて歪んでいた】
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/13(土) 02:00:55.63 ID:VlRcelqFo
【夜の国・洋館】
【ウェインの部屋】

――よ、っと。
本当、今日は冷えるなあ。

【日課の鍛錬を終え、風呂でぱ、と汗を流して】
【自らの装具の点検をしていた】
【手甲や胸甲を粗い布でごしごしと拭く。白銀の外套は側に立て掛けてある】
【勝利王の加護厚き外套は、対属性にも対魔力にも非常に優れ、物理的な防御力も悪くない】
【さらにその上、どういう理屈か汚れない】

【常に純白、染みひとつないのだが、それが理由かウェインは自らの服装に頓着しない】
【無論、今机の上に並ぶ4本の投擲用短刀、それに各種の防具、愛刀】
【それらのメンテナンスを欠かしたことはなかったが】
【私服などは白く染め抜いた麻の上下しか持たなかった】

バイトするんじゃ、そうも行かないよな……

【園芸店のアルバイト。客商売であるのなら、まさか外套を閃かせておくわけにもいかず】
【まあ、服でも買いに行くかなあ、とそんな思案を巡らせた】

【―――穏やかな時間である。まるで、一端の若者のような】

【能力者たちがこの第五世界を舞台に戦乱を繰り広げ】
【勝利王以外の六王は全て眠りにつき】
【世界の維持が危うくなった―――のも、今は昔】

【ある少女の活躍で、全ての六王は復活し、世界はその運行を安定させた】
【無論能力者達の策動はあれど、それは人と人とが決着をつけるべきこと】
【力を取り戻した六王たちは、その全てが世界の裏側へと身を移し、世界を運行する法則と化した】
【この第五世界に、ヒトの時代が訪れた。後の歴史は、それを神代の終わりと呼ぶだろう】

【――勝利王の騎士】
【ヴィクトリアスの騎士として動乱を掛けた、ある青年も】
【神代の終わり、姿を消した】

【それから数年。再び刀を握る日々が来ようとは、と彼自身も嘆息し】
【花屋のバイトを始めることになるとはな、と頬を緩めているのだった】

/半分事情の説明のようなもの。過去の自分のキャラたちの設定整理ですみませぬ
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/13(土) 16:26:20.33 ID:wmWLIPi7O
【路地裏】

【冬場、錆びたパイプから滴る水が半ば凍りつくこの日陰に、数人の若者が倒れこんでいた】
【その風体はいずれもならず者。一部はナイフを握りしめながら呻くものも居て】
【通りかかるものがいれば、「そうすべきではない相手に喧嘩を吹っ掛けた」のだと分かるかもしれない】
【こんな場所で這いつくばるものなんていうのは、往々にしてそういうものだからだ】

……とはいえ、流石にやり過ぎてしまったでしょうか?
もし。あの……大丈夫、ですか?誰か、人を呼んだ方が――。

【では「そうすべきではない相手」とは誰か。幸い、この場で健在なのは一人だけで、明白だった】
【白く透き通るような肌。烏羽色の髪は肩で短く切られ、行者のような和装が特徴的な背の高い女性である】
【武装は、強いて言えば旅路で使い込んだ様子が伺える木杖が一本ばかり】

【その人物が不安そうに、うめく彼らを気遣って屈み込む――だが、はた目から見れば気付けるだろうか】
【女性の視界の外。倒れる若者の一人が、ナイフを握る手に無用な力を込めていることに】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山口県) :2018/01/13(土) 19:37:05.72 ID:sDfqKhN10
>>127

【――いつになく、路地裏も冷え込んでいた】
【散歩が趣味であるから、ときたまこのような暗くじめついた場所を歩いていたわけだが】
【今日は屋根を伝って落ちてくる水滴でさえも、凍ってしまっていた】

【無表情でかつかつと歩いていると、うめき声が聞こえてくる】
【ふむ、誰か倒れているのだろうか。黒留袖を羽織る女はそう思った】
【放っておくのもあれであるし、取り敢えず様子だけ見ることにしたのだが】

ああ、なるほど

【路地から顔をのぞかせた女は、うめき声の正体を掴んだ】
【おそらく彼らはならず者で、そしてかがみこんでいる彼女が襲われたのだろう】
【表情を浮かべることなく、そちらの路地の方へ足を踏み入れたのだが――】

【彼女の視界外にいる、一人の男の動きに気がつく】
【ナイフを握った手に力でも込めているのだろう。握る力が入るのが伺える】
【彼女を襲われたら困ると、咄嗟に右手に刀を喚び出すと、その男へ瞬時に迫り】

下手なことはするな。死ぬぞ?

【男が握るナイフへと、その刀を振りかざした】
【刀は斬るというより叩き斬ることに特化しているようで、ナイフの刃が粉砕される】
【男は目を見開き、驚いたような表情で此方を見ているようだった】

【女は背に家紋が入った黒留袖を羽織り、黒帯を結んでいる】
【黒曜石のような瞳を、刃物の切っ先のような鋭い視線を男へと向けている】
【起伏のある細い体つきのその身体は、着物の上からでもわかるものだ】
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/13(土) 21:03:29.44 ID:wmWLIPi7O
>>128
【たかが女にやられてたまるか。そんなちっぽけな反逆の意志は容易く砕かれる】
【ふと路地裏に姿を見せた別の女性に、それもより強烈に、だ】

【狼狽えて相手の顔を見上げれば――「えいっ」という声と共に】
【その首筋に手刀が打ち込まれて、あっさりと男は気を失ってしまう】
【見れば、先程屈み込んで様子を伺われていた方もべったりと頬を地面に付けていて】

ふうっ。……どうやら、知らぬ間に助けて頂いたようで。
この刃、砕いてくださったのは貴女……ですよね?

お見受けしたところ、同郷の方のようですが……よろしければ、お礼などさせていただけませんか?

【立ち上がって並んでみれば、物腰こそおっとりとした人物なれども】
【その背丈には驚くかもしれない。ざっと見積もっても、170cm以上はありそうで】
【年齢は20台後半か。ゆったりとした衣服の上からでは体型までは分かりづらく】

【悪漢に襲われたばかり、ということも気にしない様子でおもむろに持ちかけるのは、お礼】
【「お茶でも。」と続けると、是非、なんて雰囲気で恩人の返事を待ち構えた】
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 19:11:20.60 ID:RkiC8zU2o
【白地に赤の英字ロゴのビニール袋】
【大手の服飾ブランドのそれを提げて、街路を金髪の青年が歩いていた】

【白い外套。腰には刀を差している】
【随分平和になったといえど、町中にはまだ武装しているものも多く見受けられ、そう浮いた外見でもない】

【しかし青年はあたりをきょときょとと見回して、人目を避けるように路地のほうへと入っていく――】
【見咎めるものがあれば、怪しく見えるかもしれない】
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 20:43:38.85 ID:YukZYbEko
>>130
【別段尾行でもしていた訳でもないが、】
【その挙動不審な青年は、否が応でもある女性の目を引いた】

(……どうも最近はきな臭い人ばかりね)

【グレーのコートを羽織った赤毛の若い女】
【すう、と眼を細めながら思う。あの仕草では初犯だろうか】
【何かこれから慣れない一仕事をしようとする者の臭い。どこかが一市民とは違う】
【武装していれば尚のこと、まさか店屋のアルバイターという訳でもあるまい】

【あまり余計な『マルタイ』を増やしたくはないのだが、と内心ぼやきつつ】
【何か事が起きてからでは遅いと、彼女は青年の後をつけることにした】

【まずはちらり、通りに面する壁を背にして、顔だけで路地の奥を覗き込み】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 20:53:14.66 ID:RkiC8zU2o
>>131

【青年の入っていった路地裏を覗いてみれば】

【外套の懐中から何か、小さな紙を取り出して、何事か念じたようだ】
【もしも女性が魔力の流れに明るいのならば、きぃん、と魔導の流れが高まっていくのを感じるだろう】
【それも、世の中に一般知られている魔術の組み立てとは異なるようで】

………もう少し、かな。

【状況を整理してしまえば、物陰にコソコソと入っていった青年が、】
【得体の知れない魔力装置を起動して――なにか、もう少しとか、呟いている】
【小脇に抱えた○ニクロのビニールが、風に煽られてかさり、と音を立てた】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/01/14(日) 21:04:23.18 ID:mINixZCbo
>>129

【男の反逆の意志は刃とともにあっさりと砕け散り】
【彼女の手刀により意識を失い、床に張り付いてしまった】

「いや、別にお礼は構わないんだが」

【偶然その場に居合わせただけ、お礼はいらないと】
【無表情ながらそう伝えたのだが、ばつが悪くなったのか】
【「お茶くらいなら」、と小さく彼女へと伝えたのであるが】

【しかしまあ、彼女は物腰さえ柔らかくも身長は高い】
【自らが150cmほどであるから、軽く見積もっても170cmはありそうだ】
【いや、もしくはそれ以上あるか。年齢は20台くらいだろうが、体型はゆったりとした衣服のせいでわからない】

【とはいえ、女はお茶に付き添うことにした】
【握っていた刀はいつの間にか霧散し、彼女の行動を待っていた】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 21:07:24.30 ID:YukZYbEko
>>132

「カンナ、魔力反応」

(分かってる)

【女性の腕時計に宿る何かの知性体が、主人に骨伝導で警告する】
【だがわざわざ魔力を感じ取るまでもない、眼に出来るだけで十分な怪しさを感じ取る】

(……さてどうしようか)
(不用意に声を掛けて驚かせても、何をされるか分からないし)

(ここは一つ……)

【すると彼女はおもむろにポケットから黒い板状の無機物を取り出し】
【どうやら携帯端末であるらしい、それを耳に当てて】

――あー、もしもし? 私だけど。
うん、もうすぐ着くよー……え、なに?
うそっ、何ソレ本当? えー、嘘だよー──

【と、相手のいない電話をしながら、路地の奥へと歩き出し】
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 21:26:28.51 ID:RkiC8zU2o
>>134

【もしもし、という声を耳にする】
【魔力は巡り、力場を構成し、現実の中に結節し始める】
【ちらり、と、青年の赤い瞳が、路地に入ってきた女性を捉えた】

――――。

【ぺこり、と軽く頭を下げて、目で会釈する】
【ただ町中ですれ違うだけならば、思わず会釈を返してしまいそうなその動き――】

【一際魔力が、高まった】
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 21:39:35.74 ID:YukZYbEko
>>135

【電話のフリをしながら、青年の姿を横目で捉える】
【そのまま近づいていき、目が合えばぺこり、こちらも会釈を返す】

(見られても逃げない。襲ってくるでもない――ということは?)

【全く疚しくないことか、あるいは強行する価値があるほどの疚しいことか】
【大吉か大凶しか入っていないおみくじを引くようなものだな――と思い】
【もしも大凶であれば悠長にしている暇はない】

【すると彼女は唐突に話をやめ、携帯端末を耳から離し】
【くるり、すれ違いそうだったのを青年へと振り返り】

……何してるんですか?

【と、真っ向から聞きに行く】
【その顔は無表情であったが、瞳には僅かに緊張の色】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 21:53:25.62 ID:RkiC8zU2o
>>136

うわ、っと……

【今しがた通り過ぎた女性が、突然振り向いたことに驚き】
【しかし、青年が平静を乱したにも関わらず、魔力展開に全く乱れは見られない】
【青年の反応が全くの嘘で構成されているか、あるいは青年の扱うこの魔力装置が、凄まじい完成度と安定を誇っているか】

【だが、少し青年は考えを巡らせるような顔をした】

(どこかへ行くのに、態々この路地を通る必要はない……況や女性が一人で、路地裏に入る必要など。
 まいったな、怪しく見えたか)

【ん、と頷くような素振りを見せて、先程手に持っていた紙を懐へと直す】
【それだけで、あれほど展開を進めていた魔力の流れは、解けるように消えていき――】

いや、あやしいものではないんだ。
ただ、家に帰ろうとしていただけで。
今のは、単なる転移スクロール。それで、僕は花屋のバイトだ。
洋服を買った帰り、なのだけど……

【ホールドアップ、というふうに両手を頭上に挙げる】
【くい、とビニール袋を示してみせて、怪しくないんだよー、とアピールしてくる】

【柔和な表情、柔らかそうな金髪―――】
【だが、腰の刀はそのあたりに売っているような代物ではない】
【更には纏う外套も、見るものが見れば対魔力・対属性に優れた逸品であると、判断するのは容易だろう】

【ただ、女性の様子を伺う青年の様子に、気負っているところは見られない】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 22:14:02.23 ID:YukZYbEko
>>137

【降参する仕草、弁解を始める青年を見て、彼女は少し目を丸くする】
【そして「カンナ、魔力消えちゃったよ」と腕時計から伝導してくる声】

……大凶ではなかったみたい、ね

【瞳から緊張の色が抜ける】
【彼女は青年の言葉を受けて、数呼吸、黙って観察する】

【花屋のバイト――とはにわかには信じがたかったが】
【どうにも嘘を言っている風にも彼女には見えなかった】
【合理的に考えて、最早彼に嘘を吐く理由がないように思えた】
【何かをやるならとっくにやっただろうし、嘘で誤魔化すくらいなら最初から逃げれば良い】

(それに、この刀と外套――)

【相当上質な逸品だと見当が付く】
【そのようなものを身につけているとなると、これはむしろ失礼なことをしたか】
【そんな風に思い至り】

ああ――帰りを邪魔しちゃったならごめんなさい

最近、物騒な人が多いから
何をしてるのかな、って思って

……一応、中を見せてもらっても?

【と、まるで職務質問をかける警官じみた態度で】
【袋の口に人差し指をかけながら、上目で青年に確認を取る】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 22:20:56.40 ID:RkiC8zU2o
>>138

ああ、いやいや――
とんでもない。街の安全を守ってくれている、のですよね。
こちらこそ、誤解させるような動きをして申し訳ない。

【なるほど、自警団か警察の要員か、と青年は心の中で納得し】

――え。
いや、うん、構わない、です。

【そうして、袋を覗いてみれば】
【なんの変哲もない――白のボタンダウンシャツが2枚、さらりとした素材の肌着が2枚】
【それからワイドシルエットの黒いスラックスが1枚】
【レシートと一緒に入っていて、その日付にも特段不思議な点はない】

……なんだか、女性に服を見られるの、照れくさいですね。

【手を上げたまま、そんなことを青年は呟いた】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 22:38:24.25 ID:YukZYbEko
>>139

街の安全……うん、まあ、そんなとこ

【僅かに誤魔化すが、それも軽い調子で】
【そして袋に手をかければ、本当に何の変哲もない服が出てきて】

……うん、似合いそうね
私も服、買わなきゃ……

【その質素な服を勝手に広げ、青年に当てるようにして】
【誰に向けるでもない独り言を零すと、気が済んだのか服を畳んで袋に戻す】

【だがふと、彼女は何かに気付いた様子で】

んー……?

【青年の顔をじいと見る】

【何かを思案するような表情で】
【間違いなく知り合いではないのだけれど、なーんかどこかで見たことがあるような――】
【彼女は眉をひそめたまま、ぐい、と一歩踏み込むように近づいて】

……あの、テレビとか、出てたことあります?

【そんなことを唐突に言う】
【だが当てずっぽうという訳でもなく、あともう少しで確信できそうなのだとでも言いたげで】

【そしていつまで手を上げさせているのか】
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 22:49:47.79 ID:RkiC8zU2o
>>140

いや……ははは、ありがとうございます。
あ、肌着は許してください……

【両手を上げた状態であれば、最早されるがまま】
【マネキンめいて服が似合うかテストされ―――】
【ようやく解放されたころ、女性から妙な質問を受ける】

……テレビ?
いや、写ったことはもしかしたらあるかもだけど、
芸能人なんかじゃないよ。
そういうのはもっとほら、見目のいい人達がなるもので。

【きゅ、と目を細めて女性のほうを見る】
【――小首を傾げる。何らかメディアに出たことなど――】
【だが、あ、というふうに、青年の瞳が見開かれた】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 23:08:10.26 ID:YukZYbEko
>>141

いや、芸能人っていう顔じゃないんだけど――

【何の悪気なしに、そこはあっさり否定する。女性の残酷さ】

【それから黙考する探偵のように、片手を顎の先に当てたりしながら】
【じっと青年の顔を見つめ続けていると――彼が目を見開いたのとほぼ同時、】

【彼女は「あっ!」と声をあげて】

ね、ほら、あの――あれ! 思い出した!
あなたすっごく似てるの、すごく前だけど、武道大会の優勝者に!

確か、そう、タッグマッチの――
コンビ戦の本大会なんて後にも先にもあれだけだったから、よく覚えてるの!
私、本当にあの武道会が好きで、小さいときからずっと見てて――!

名前が……名前が思い出せない――!

【先ほどまでの冷静な様子とは打って変わって、】
【目を輝かせてもどかしそうに身振り手振りをするその様はまるで少女】

【そう、自分はあれがきっかけで武の道へ入ったのだと】
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 23:20:50.46 ID:RkiC8zU2o
>>142

……ウェイン。
ウェインでしょう、その人。

【にこり、と笑う】

五年以上前、水の国の大会で。
確かに優勝したウェインという人、よく似てると言われます。
しかもほら、僕も刀を使うものだから。

よく勘違いされるんですが―――もう五年も前に、あの人は20歳を越えていた。

【ほら、僕、そんな年に見えますか?と笑う青年は、たしかにいいところ20代前半に見える】
【そうかなあ、と女性が首を傾げれば、笑顔のまま、青年はこう言葉を続ける――】


――――それになにより、勝利王の騎士ウェインは。
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 23:35:52.19 ID:YukZYbEko
>>143

【ウェイン、と彼が口にすれば、彼女は「そう! その名前!」と勢いよく指差す】
【ようやく突っかかっていた疑問が解消され気持ちも晴れ晴れ、といった風だったが】

【――そうだ】
【真っ当な時空間、真っ当な人体を前提で考えれば】
【数年前の人間が、現在も完全に同じ容姿でいるとは考えにくい】

【興奮していた少女は、それに思い至り――はたと動きを止める】

【「――それになにより」】

【そう続けられた言葉の先】
【彼女は言葉を差し挟むことなく立ち尽くして】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 23:44:06.76 ID:RkiC8zU2o
>>144

それになにより、勝利王の騎士ウェインは―――
もう、死んでいる。

【ざ、と、路地裏に風が吹いたような】

【恐らくウェインの武に感じるもののあったのだろう、女性を少し悲しそうな目でみて】

4年ほど前の、機関との戦闘で。
単身突入して敵の首魁を撃破したそうなのですが――まあ、無謀な人だったのでしょう。

手傷もあってその後重囲を突破できず、機関の物量に押し潰されるようにして、ということでした。

【もう、手を下ろしても?と、金髪の青年は目線で問う】
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/15(月) 00:03:29.23 ID:62Ps/mYSo
>>145

【――もう、死んでいる】

【その言葉が、そのまま冷たい風となって吹き抜けたようだった】

【「え……」】
【生気を攫われたような、乏しい呟きが一つ漏れる】

……そう、だったんだ……

【一度も会ったことのない人間】
【されど彼女にとっては少女だった自分の心に火を灯した人間の一人】
【それがもう死んでいる――しかも無残な終わり方だったと聞かされ】

【言うなれば、憧れの漫画のヒーローが、自分の知らない最終回でバッドエンドを迎えていたような】
【そんなやるせない悲しみが、彼女の心を覆った】

【やがて青年の手を上げさせっぱなしだったことに気付いて】
【ああ、疲れたよね、と小さく詫びながら手を下ろすように言う】

――そっか、そうよね
あの時のままでいる筈ないものね……

……あ、帰りの邪魔しちゃってホントにごめんなさい

【「勘違いした上にこんな長話までしちゃって」】
【そう言いながら肩をすくめ、憂いのある笑みを零した】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/15(月) 00:14:47.91 ID:sx4YaFsdo
>>146

【殊の外、ショックを受けているような様子の女性を見て、
 ――悼ましいような、どこか申し訳ないような、そんな表情を浮かべる】

ええ。何か……すみません、妙な話を聞かせてしまって。

【そうして、彼は手を降ろす。服の入った袋を持ち上げて】
【それから、女性のほうをまっすぐ見て】

……もしもウェインが、貴女がそういうふうに、自分のことを知ってくれていると知ったなら。
きっと、とても喜ぶことでしょう。
うん、それは、保証したっていい―――

【まあ、そんなところです、と、女性に合わせるよう肩をすくめる】

そういえば、貴女、お名前は?

【懐の転移陣をもう一度取り出しながら、そんなことを聞いてきた】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/15(月) 00:28:43.79 ID:62Ps/mYSo
>>147

……ううん、いいの
きっとその最期の闘いのお陰で、助かった人たちも沢山いるんだろうから――

【その話を拒絶するでも疑うでもなく、素直に受け入れた様子を見せる】

【憧れの武道大会の優勝者、そして神聖たる勝利王の騎士】
【出来れば生きているうちに会って話をしてみたかったけど、と】
【淡い片思いが散った少女のような面影で小さく零すも】
【やがて振られたものは仕方ないとばかり、すっぱりと切り替えた様子で面を上げ】

そういえば、まだ名乗ってもなかったね
私は……カンナ

……あなたは?
ウェイン……ではないんでしょう

【と、小さく微笑みながら僅かに首をかしげて問うた】
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/15(月) 00:37:26.21 ID:sx4YaFsdo
>>148

【転移陣に魔力を込める】
【再び、転移陣の込められた魔力の導線は花開き、周囲の空間へ満ちていく】

―――カンナ。
自分から女性に名前を聞いておいて、大変失礼をするのだけど。

……僕の名前は、次に会う時に名乗らせてくれ。
いずれまた、必ず会うことがあるだろう。

【それだけ言うと、に、とカンナへウインクをひとつ投げて】
【ざあ、と微かな音を立てて、転移魔法が起動する】

【そして光が青年を包み、一瞬まばゆく光を増すと――そのあとには、もう風が吹き渡っているだけだった】
【最後に声を掛けたなら、それは青年の耳へ届いたかもしれない】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/15(月) 00:54:37.91 ID:62Ps/mYSo
>>149

え、ちょ、ちょっと――

【名前をはぐらかされ、それはないでしょうと狼狽える】
【最後に何か声をかけようとしたが、気障なウインクで蓋をされたような心地で】
【唖然としているうちに、青年の姿は光の向こうへと消えていた】

【ひゅう、と】
【余韻を含んだ空風が一陣吹いて】

もう……なんなのよ……自分から聞いといて……

【持て余した感情を、小さい嘆息に込めて吐き出した】

【後に何も残らなくなった路地裏】
【もう残っていても詮無く、踵を返して通りへ戻る】
【そこで腕時計の知性体が小さく震えて】

「カンナ、フられちゃった?」

何がよ。うるさいよ

(フられちゃった?)

……声が大きいってことじゃないの
どこで覚えてきたの、そんなの――

【他人の空似……であるとはいえ、この奇妙な邂逅で、自身のルーツを思い返した彼女】
【あの日の憧れに負けぬように、超えられるように――】
【また鍛錬を積まなければ、と彼女は心中で思いを新たにし、人混みへと消えていった】
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/15(月) 01:03:13.76 ID:sx4YaFsdo
>>150

【夜の国・洋館前】
【転移陣から実体化した、金髪の青年】

……悪いことしたな、僕の顔知ってる人が居たとは。

【先程遭遇した、赤い髪の女性を思い出す】
【水の国のタッグマッチ。ちょうど、六王復活策動の頃だった】
【ガトーと組んで、ギランやルルとも戦って――と、そんなことを思い出す】

【そして、それを見てくれていた少女が、今では街の安全のために力を尽くしている】
【それに少しの嬉しさと、また、後ろめたさを覚える】
【ただ、今大きな組織に自分がここに在ることを知られたくはなく】

……まあ、嘘は、ついてないのだけど。

【す、と自分の掌を見やる。夜の国の暗闇の中、ぼう、と少しだけ発光したようで】
【あとは黙って、青年は買った洋服を抱えて洋館の中へと入っていった】

/ありがとうございました! すまない、すまないカンナ……!
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/16(火) 22:02:21.69 ID:8znmcPGEo
【水の国・大通り】

よ、いしょ、と。

【ある花屋の中で、金髪の青年がバイトに精を出している】
【まだ花の植わっていない、土だけの入った鉢だとか】
【あるいは並んでいる花へじょうろで水をやったりだとか――】
【どうやら新人らしく、不慣れな手つきではあるが、それなりに楽しそうで】
【まあ、お客様に不快感は与えまい、と。そんなところだ】

【青年の格好はといえば、シンプルな白のボタンダウンシャツに、
 黒いナイロンの前掛け――これは店から支給されたものだろう、店名がロゴされている】
【それに、いくらかゆったりしたシルエットのスラックス】
【そのあたりの学生のアルバイトと、さほど見た目に違いはない。柔和な顔立ちも相まって、時々おば様たちに話しかけられている】

【もしも花を買う用事があるのなら――あるいは何か、彼を見咎めたのならば、話しかけやすい雰囲気ではあろう】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 02:23:41.74 ID:MhfyQXDM0
【街中――入り組んだ路地裏の一角】
【ずうっと昔に放棄されてから久しい廃ビル、だれも立ち入らぬように張られた鎖は誰かに引きちぎられたまま、地面に散らばり】
【窓のほとんどもいたって風通しのよさそうな感じ――だったのだけれど。一番上――数える限り三階であるだろう一角の窓に、ぼうとした光が映りこみ】
【じっと見れば無数の光るものがその室内でぐるぐる踊って回っているように動くのだった、それが光の灯るはずのない棄てられたビルによく目立ち】

【そして訪れる誰か。その聴力が鋭いものであれば――きゃらきゃらとしたあどけない子供の笑い声に気づくことも十分に可能であったろう】
【というよりも。この路地裏の深層ではまず聞くことのないもの、普通であれば空耳かと疑るもの、それでも一度気づいてしまえば、なかなか無視は難しいもの】
【聴力だけでなくあたりへ意識を向け歩いていれば、その断片くらいはもっと簡単に聞き取れただろう。何より、誰かがこのビルに立ち入るのなら】
【あまりに場違いで鮮やかな笑い声は近づけば近づくほど本当に子供であると分かるだろうから――それが余計に異質であり】

――――ふふっ、こーんなに! きらきらしちゃったら、きっと、きっとね! 
お空に飛んでる鳥さんとか! 天使さん! あっこれなんだろー?ってね、遊びに来てくれるわ!

そしたらねー、お菓子食べるでしょ! お茶会するの! 天使さんとお茶会なんてね、きっと誰もしたことがないのよ!

【なにより。外から光って見えたのと同じ位置の部屋――ぼろっちい事務机がいくつかある場所、元は何かの会社だったらしい、と備品で知れ】
【一番偉そうな位置に置かれた机の上。お行儀悪くも胸を張って立っているのは、ごく小さな人影――楽しくって仕方ないように押さえた口元から、絶えず笑い声を漏らす、幼子】

【クリーム色の髪はくしゃくしゃの柔らかいくせっけ、ちっちゃな頭のてっぺんできれいに二つに結わえれば、些細な動きにもふわふわ揺れて動いて】
【真夏の青空と同じ色をした瞳――口元を押さえる手の指先、その隙間から覗くのは右目の下の蝶のタトゥ、肌によく目立つ、毒々しいような紫色】
【冬毛のすずめみたいに着ぶくれした格好、暖かそうな厚手のコートにはたくさんのファーがあしらわれ、首元にはマフラーと、足元は厚手のタイツに、それから】
【つま先のまーるいおでこ靴。それが古くって錆びた事務机を遠慮なく踏みつけて、時々ぎしぎしと言わせている】

【――そのうんと幼い姿。だけれど周りには、おそらく彼女の能力か、魔術か――光で形作られた無数の蛾が乱舞する、その明るさはひどく太陽の光に似た暖かさがあり】
【なにより場に満ちる濃い魔力もよく目立った。彼女のような幼子が抱くには少し、強すぎる。そう思われて仕方ないほど――】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 16:27:29.98 ID:f+RfCaqjo
>>153
【少し前の出来事だ】

【一人の少年が街へお使いに出ていた】
【彼に課せられたミッションは、赤い薔薇を4本買ってこい、であった】

【慣れない街中でのお使いであったが、】
【人の良さそうな金髪の青年が店番をする花屋を見つけ、そこで首尾良く花を買った】

【そのまま真っ直ぐ屋敷に帰る予定だったのだが、】
【お使いを無事に済ませた安心感で気が緩んだか、】
【目の前を通りかかった野良猫に興味を覚えて目を輝かせる】

【火の付いた幼い好奇心の赴くまま、その猫を追い回し始め】
【しかしふと気付けば――そこは全く見知らぬ路地の深奥】

【追っていたはずの猫もどこかへ消えていて】
【最早自分がどちらから来たのかすらも分からない】

【途端に心細さが少年を襲ったが、】
【そこへ微かに響いてくる楽しげな笑い声】
【周囲を見渡してみれば、ビルの一角に不自然な明かりが灯っている】

【路地奥の不気味さにいたたまれなくなっていた少年は、】
【その光に一縷の望みを託し、恐る恐るビルへと立ち入って――】



【――やがて、きぃと小さく軋む音を立てて】
【幼い彼女の遊ぶ部屋のドアが開かれるだろう】

……、……──

【そこにおっかなびっくり顔を覗かせるのは、】
【鳥でも天使でもなく、一人の少年】

【幼子という程ではないが、頬に残る丸みがあどけなさを隠せない】
【群青色のキャスケット帽、クリーム色のマフラーに挟まれた顔は余計に小さく見える】
【その灰色の髪は、片目を覆い隠すように伸びていて、室内の光に照らされると白色にも輝いた】

(わあ……なにこれえ……)

【少年は、廃ビルに舞い踊る光の蛾群という幻想的な光景を目撃すると】
【ラッピングされた薔薇の花が頭を覗かせるリュックの肩紐をぎゅっと握りながら】
【はわあ――と間の抜けた感嘆の息を漏らして、呆然と見惚れていた】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 18:54:11.21 ID:JgFWN7Da0
>>154

【楽し気に笑う声、くるくる踊る光の乱舞。あまりに色濃い魔力の匂いと、その元凶が幼子であること、埃がたっぷり降り積もるこの場所には異質なのに、あるいはよく似合い】
【光の蛾がかすめて舞い上げた埃までもがキラキラと光り輝いていた、そして蛾の放つ陽光のような暖かさはこの場所さえ緩やかに温めて】
【言いようによっては全く別世界に迷い込んでしまったような――そういうものを相手に感じさせたとておかしくない】

そしたらね、そしたらね! 神サマってどんなヒトだか聞いちゃうの! きっとね、おヒゲだわ! おヒゲのおじいさんで……。
お洋服はー、……えっとね、赤じゃないよね! あのね、だって、そしたら、サンタさんでしょ! 神サマってサンタさんじゃないし――あっ

【錆びついた机をぎしぎし鳴かせて笑う幼子はどうやら本人の中では踊っているつもりのようだった。両腕を大きく広げて、ばたばた、ばたばた、動きを繰り返し】
【ご機嫌そうに笑って、さっきの独り言の続きを紡ぎ出す――その最後に混ざった不自然な声。少年は気づくだろうか、真夏の青空色が、きれいに相手に向いていること】
【うんと丸い瞳がぱちくり瞬いて彼を見ている、気づけば……そう気づけたら。踊り狂うようだった光の蛾も、すべてが、そのまま空中でピタリと静止して】
【そのすべてが彼を注視するように、頭……と思われる部位をそちらに向けているのだ。ただ舞い上がった埃がキラキラと変わらずにきらめき――】

――ね、ね! 神サマって、どんなお色のお洋服かなってね、お兄ちゃんね、知っているっ?
私ね、あのね、おヒゲがあるなら赤色かなって思ったんだけどね! あのね、おヒゲで赤色なのは、サンタさんだわ!

【――――ほんの一瞬の間。ぎしっとした音は幼子が古びた事務机の上で動いた音で間違いはない。次に続くのはとすんと――そこから飛び降りた結果の着地音】
【ぱたぱたと気の抜けた音は、彼女が彼のほうへと駆けていく足音であったし――何より彼女が相手に尋ねる言葉までもを聞いてもらえれば、それらはどれも恐ろしくない】
【けれど。彼女に"そういう"つもりがないと彼は気づいてくれるだろうか、まったく敵意のない幼子――それでもこんな場所で出会うモノを、どれだけ信用してもらえるのか】

/気づくのが遅れましたっ、申し訳ないです……!
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 19:25:16.50 ID:f+RfCaqjo
>>155

【その異世界じみた光景を少年はただぼうっと眺めていたが】
【ぴたり、ビデオの不調のように一斉に静止した瞬間、肩がびくりと跳ねる】

わ、わ――!?
あわ、あわわ……

【無数の蛾達に眼を向けられ、】
【何か自分がいけないことをしてしまったのかと狼狽える】

【それから溌剌と語る彼女が、自分の方へ駆け寄ってくるのに気付くと】
【ひぃ、と情けない声をあげて身体を強ばらせて】
【食べられてしまう――そんな風に思わず身を縮こめて眼を固く瞑る】

【しかし目の前まで声が近づいてきても、別段恐ろしいことは起こらない】
【おヒゲがどうとか、サンタがどうとか、楽しげな声でばかり喋るので】
【少年が恐る恐る眼を開けてみれば、そこには自分よりも年下のような幼子の姿】

うぇ……
さ、サンタさん……?

ここは、サンタさんのおうちなの?

【驚きのあまり、話の内容がほとんど頭に入らなかったか】
【少年はまるっきり的外れな返答を返した】

【彼女に敵意がなければ、少年にも全く警戒の様子がなかった】
【ただ初めて会うおともだちにどうやって接しようか、そんな緊張の面持ちばかりで】

/こちらも今戻りました、よろしくお願いします!
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 19:41:44.86 ID:JgFWN7Da0
>>156

【ほんの一瞬だった。何度も何度も何度も繰り返して見たビデオが一瞬止まってしまうような、ほんの一瞬の――だけど限りなく異質な、停止】
【幼子が動き出した時にはすでに光の蛾たちは元のように乱舞する、そして――相手が身体を強張らせて。あるいは怯えているのをいいことに、うんと近くまで】
【そう、本当に近く――親しい友達同士がおしゃべりしあうような距離まで潜りこんだ、潜り込もうとした、彼女は】

うぇ? サンタさん? あのね、あのね、サンタさんはここにはいないわっ!
サンタさんね、このまえお仕事したでしょっ? だからね、きっとね、今頃はお家でトナカイさんと休憩中だわ!

だって! あんなにたくさんお仕事したらね、疲れちゃう!

【相手のまるで的外れの言葉に謎の音を返してから――ここはサンタさんの家ではない!となぜだかひどく自慢げに、胸まで張って、宣言するのだろう】
【いわく、サンタさんは仕事のあとで疲れているので、お家で休んでいると――つまりここはサンタの家ではないということなのだけど、少し言葉の足りない様子はあり】
【大変だからね!と言って腕を無意味にぶんぶんして見せ、大変感をひとしきりアピールすれば――】

あっ。そだ! あのね、お兄ちゃんね、こんばんは! 初めましてだわ!
あのね、私ね、ファラエナっていうの。お兄ちゃんね、お名前何かなってね、思うなっ!

……――あ! もしかしてね、お兄ちゃんね、天使さん!? あのね、私ね、こうやってキラキラにしたらね……。

【ふっと思い出したように、ぺこりと頭を下げるのだろう。きちんとゆわれたツインテールがゆらゆら揺れて、薄い金色の髪の根元、つむじまでよく見える角度で下げてから】
【ばっともとに戻すのがうんと早かった。そうして名を名乗る、そのまま相手の名前を尋ね――だけれど、相手が名前をもしも教えてくれようとしたとして】
【半ば割り込むような形で彼女が口にするのは。もしかしてこうして目の前で話す彼は天使ではないかと――蒼穹色の眼をうんときらきらにしてから】

きっとお空から見えてね、天使さんが遊びに来てくれるって思ったの!

【うんと幼い顔をめいっぱいに喜色で満たして彼を見上げる、――いわゆる"悪い子"ではないようだけど、すこし、元気すぎる】
158 :??? ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2018/01/17(水) 19:49:33.15 ID:Bk8x8+Zc0

【例えばそれは、洗練された上質なフレンチの中、唐突に現れるチープなフライド・ポテトのように。】
【例えばそれは、一級の監督と最高の演者を集めて描かれたオスカー映画に、水を差すアイドル・ソングのように。】
【例えばそれは、人が多く集まり平穏な日々を過ごす平日の街で、買い物時の夕暮れに唐突に起こる凄惨な事件のように―――。】

【―――風の国、首都エルジオより東に5q程離れた"ベルガストン"は、住宅街が立ち並ぶ風の国きってのベッド・タウンだ。】
【住居群に付随する形で巨大なショッピング・モールや商店街、複合型映画館に運動施設など、"平穏"さを追い求めた建築も混在し】
【街の中央に集中するそれらを囲う様に郊外型住居がこれでもかと並ぶ、緑多き"普通"の街である―――こんな世界では割と珍しく、普通。】
【そう、絵に描いたように"閑静な"という言葉がよく似合うこの町の夕暮れ時、丁度今晩の献立を悩みながら買い物する主婦が商店街に集う時間帯で】

【"その爆発"は起こった。】

【32種類のフレーバーを揃える有名なアイス・クリーム屋の前に停車していた一台の車が突如として、爆発・炎上。】
【大きな悲鳴が上がる事もない、当然だ。彼等は緊急事態という物とは長らく無縁、静かに暮らして平和ボケを極めた住民たち。】
【「火事かな?」 「どうせ"異世界製"の車だろう、確か"チューゴク"とかいう所のだ。なんでも爆発する。」「いいや、ガス管だろう。」―――。】

【そんな暢気な事を話していた野次馬の一人の頭が、次に吹き飛んだ。綺麗な赤をまき散らし、ピンクの華を咲かせて】
【制御を失った肉体が崩れ落ち、そこで初めて顔面から返り血を被せられてストロベリーアイスのようになったマダムが悲鳴を上げた。】
【普通ではない状況、悲鳴に釣られる様にして散ろうとした観衆の中の一人が、今度は脚を"吹き飛ばされて"倒れる。そうして、そこから虐殺が始まった。】

【炎上する車の立ち上がった陽炎の向こう、歩いてくるのは数体の―――人形。銀色で塗られた、人形だ。】
【目を青色に輝かせた幾分と"メカニカル"なそれらは、片手に括りつけられた何か"筒"の様な物から"ボール"の様な物を―――】
【いつまでも"平凡な住民"達の言葉に合わせて説明すると面倒なのではっきりと言えば、殺人ロボットが十数体も並び重火器で住民を撃ち殺し始めた。】

【数体は逃げ惑う人々を、数体はそこかしこの車<逃走手段>を端から、そしてもう数体がチャチな商店街の店を次々と。】
【片腕に装着した、超高熱を弾頭として発射し目標物を着弾点から吹き飛ばす"プラズマ・キャノン"で、一つの容赦もなく破壊していく。】
【当然と言えば当然だが、彼等は機械だ。殺人をプログラムされているのかどうかは分からないが、無機質に無感情に、ただただ殺意を振りまいた。】

【そうしてこれもまた当然だが、ここまで平和ボケした街では警官の対応もノタノタとした物だ。】
【ピザが焼き上がるよりもずっと遅く現れたパトカーが馬鹿正直に正面から突撃すれば、フロントマスクをブチ抜かれ】
【バンパーを昇天させ軽快に吹き飛ぶ。フォード社製クラウン・ビクトリアが赤と青のランプを冬の町に粉々にまき散らしながら横転、沈黙。】

【後続のパトカー達も機械兵士の攻撃でボーリングよろしくバカバカと弾かれ穿たれ火の海を形成させられる。】
【警察の力も及ばない、軍隊の出動すら必要になる多大な戦力、それを音もなく行使できる存在と言えば―――この世界では一つ。】
【カノッサ、邪悪の代名詞を町の住民たちが頭に浮かべるのにあまり時間は掛からなかった。そうして、続々上がる火の手に覆われ彼等はこうも考える。】



「誰か―――誰か、助けてくれ!!」


【メカニカル・プラトーン<機械兵団>が街を、人を、平穏を襲う。悲鳴に埋もれた犠牲者達の悲痛な声を聴く"誰か"は―――まだ、居るのか。】
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 20:02:35.27 ID:f+RfCaqjo
>>157

【自分の本当に近くまでやってきた彼女を少年はそのまま受け入れる】
【幼い者同士ではそれが自然、当たり前の礼節なのだとでも言わんばかり】

……あ、そっかあ
サンタさん大変かあ、そうだよね、ぼくのおうちにも来たから――

【妙にずれているのだが何故か不思議と噛み合ってしまう会話】
【彼女が腕を振るのに合わせて少年も小さくぶんぶんの真似をして】

【それから彼女がバネ仕掛けの玩具じみたお辞儀をすれば】
【跳ね上がったツインテールの髪先が少年の鼻先を掠め】
【ふぇし、とくしゃみになり損なった情けない声をあげてから】

……ぼ、ぼくはノーヴァ――うぇえ、て、天使じゃないよ
悪魔さんはおともだちだけど、天使さんは会ったことない……

でもぼくはね、天使さんはキレイなところが好きだと思うからね、
ここにも来るかもしれないって、思うよ

【と、喜色満面の彼女に同調するように、少年は精一杯口元を引き結んで】
【両手に小さな握りこぶしを作って、それを上下に振ってみせるのだった】
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 20:21:26.29 ID:JgFWN7Da0
>>159

【そうして近くまでくれば――やはり彼女はひどく幼い、見てくれだけならば、少なくとも確実に。子供であると分かるだろう】
【ほんのわずかにしゃべっただけとはいえ、おそらくは中身も子供で間違いがない、ならば何がおかしいかと言えば――あまりに抱く魔力が多いこと】
【だけれど、それが――これが、子供同士の当たり前のルールであるように彼もまたふるまってくれるのなら、彼女はうんと幼く、けれど楽しそうに、笑みを強めて】

うん! あのね、私のとこにもね、来たわ! お兄ちゃんね、何をもらったの? 私ね、ご本をもらったわ!
それとね、お手紙をもらったの――お母さんのいうことをね、聞いてね、いい子でいるんだよってね! 書いてあった!

【サンタさんは大変――そう力強くうなずく、彼の家にも来たのだといえば、わああと感嘆の声をもらし、やはりサンタさんはすごいのだ……と再認識】
【それから自分のところにも来た、と、これは少し子供っぽく、競うようでもあったが言って。それで、自分はご本をもらったのだと――それから、手紙ももらった、と笑い】

ノーヴァ……ノーヴァお兄ちゃんは天使さんじゃあ、ないの? ……そっかあ、あのね、来てくれたからね! 天使さんかな〜って思ったんだけど――、!
えっ……ノーヴァお兄ちゃんは、悪魔さんとお友達なの? すごい、私ね、あのね、悪魔さんだなんてね、見たことないよっ! ホントよ!
天使さんもないけどね……悪魔さんもない! ノーヴァお兄ちゃん、すごいわっ、いいなあ――。

【相手の名前をなぞる、それからさも当たり前のことであるように教わった名に"お兄ちゃん"を付け加えて、丸い目が相手を見つめ】
【どうやら訪れてくれたのは天使ではなかったらしい――少し残念そうに見えたのは気のせいではないだろう、少しだけ伏し目がちになれば、まつげの長いのが目立ち】
【だけど。すぐにまた元気を取り戻すのはどうにも子供らしかった。どうやら相手の、悪魔ならば友達……というのを聞きつけたらしく、ぱっ、と、驚いた顔になって】
【すごいすごいと繰り返してうらやましがるのだろう、それで――相手の続けた言葉を聞けば、】

ホント!? わあ、嬉しい! 私ね、あのね、天使さんったらね、こういうね、あのね、キラキラ〜ってしたのね、好きかなって思ったの!
それにね、今ね、夜でしょっ? だからね、キラキラって明るかったらね、きっとお空からでもよく見える! ってね、思ったんだ!

【そうでしょ、そうでしょ、と、そんな様子だった。うれしくって仕方ない――というそぶりで笑い】
【とはいえ――ここが建物の中である以上、どうしたって天井や壁で遮られて、多分あまり空からは見えていない。そういうのは、気づいていないよう】
【だけれどそんなの気にするタイプにも、あまり見えなかった。楽しい――それが何より大切である。そういう――意図的かはともかく――やりようで動いているらしく】
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 20:40:14.00 ID:f+RfCaqjo
>>160

【幼い容姿に不釣り合いな程の濃密な魔力、】
【それに呼応してか、周囲には枯れ草の香が漂い始める】
【少年は多量の魔力に不審さを抱かなかったが、さりとて彼女はどうか】

ぼくもね! ぼくもご本をもらったよ!
絵本でね、キレイな絵がたくさん描いてあるんだよ
とっても嬉しかったからね、ぼくはいつもカバンに……あれ、ない……

【「今日は忘れてきちゃった」と、降ろしたリュックを覗いてから残念そうに零し】
【しかしそれも新しいおともだちの前では些事なのだろう、まあいっかとすぐに背負い直し】

――そうだよ! 悪魔さんはね、たくさんいるんだよ!
……でも本当はね、おとうさんには会っちゃいけないって言われてるんだ
だからね、内緒だよ――

【彼女の底抜けのテンションに釣られるように、少年も顔を輝かせる】
【しかし実は内緒なんだ、という話をするに至るとヒソヒソ声になり】
【真面目な顔で、立てた人差し指を口の前へ当てるのだった】

そうだね、ぜったいよく見えるよ!
天使さんって、どんなかなあ――

……あ、でも、悪魔さんと天使さんは仲が悪いから、
天使さんはぼくのこと、キライかもしれない……

【彼女と同じく楽しさ一色だった少年の表情が、ふと陰りを見せる】
【級に落ち込んでしまった様子で、俯きながら自身の服の裾をぎゅっと握りしめ】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 20:56:55.24 ID:JgFWN7Da0
>>161

【ふわあと鼻をくすぐる香り――枯れた草の香りに、彼女はぱちくりと目を瞬かせる、それで、少しだけ不思議そうな顔をするのだけど】

わああ、ノーヴァお兄ちゃん、あのね、秋のね……、あのね、どんぐりの匂いがするわ! あのね、落ち葉のね、――。

【その顔はあまり長くは続かない。一瞬黙り込んだものの、それはどうやら、その香りが何の匂いであったかを思い出すための時間であったらしい、と態度で分かるようで】
【両手を口元にあててふわあと漏らす吐息は、けれどこの冬の中でも白くはならない。ひどく暖かな部屋だから――それも、春のひだまりのように暖かな場所だから】
【それとも。枯れた草の匂い、彼女の言うところの落ち葉の香り……だというのなら。天気のいい秋の日、小春日和に似た暖かさであるといった方が、もしかしたら】

! ノーヴァお兄ちゃんも、ご本をもらったのね! あのね、私ね、ご本大好きだよ、いいなあ――わあ、私もね、見たいな!

……あう、そっか! でもね、そしたらね、私ね、今度でもいいよって思うな! それにね、そしたらね、……

【「私もね、もらったご本を持って来られるよ」】
【同じく本をもらったのだという彼が、いつも鞄に入れている……というのなら、彼女は見たい見たいと、身を乗り出して、うかがうのだけど】
【彼が忘れてしまったのだといえば――少し残念そうにしながらも、あんまり気にしないよ、と、そういう風な態度をとってみせ】
【それから、いいこと思いついた――そういう顔をすれば、彼さえ許してくれるのなら。そっと耳元でそんな風に囁くのだろう。それなら、自分も持ってくるよ、と、】

そうなの!? 私ね、見たことないわ……! そうなんだ――わ、わかったのよ! 内緒っ。

【たくさんいる――そんなの知らなかった。ぱっと煌めいた顔が、会っちゃいけないのだと聞けば、えぇと不満げになり、けれど最初で内緒だと聞けば、神妙なものになる】
【こちらも彼のまねをするように人差し指で口元を封印して、こくこくとしきりに頷き】

…………んん、あのねっ、私ね、天使さんって会ったことがないけれど……、天使さんね、優しいんだよ! だってね、ご本に書いてあったわ!
だからね、ノーヴァお兄ちゃんのことね、仲間外れだなんて、しないのっ!

【だけど――相手が落ち込んでしまったようになってしまえば。少しだけ慌てた顔になる、それで、それから、そう言って――けれどその直後、何かに気づいたように】

……も、もしかして――ノーヴァお兄ちゃん、悪魔さんなの……?

【先ほどよりもうんとうんと神妙な顔になって尋ねるのだろう。内緒話をするような距離で、それでももっとうんと声を潜めて――内緒であるのを、律儀に守って】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 21:20:16.30 ID:f+RfCaqjo
>>162

【少年が意図せず発してしまう枯れ草の香り】
【それが彼女の注意を引いたことが意外そうに目を丸くして】

どんぐり? ぼくどんぐり?

【自身が常に纏う香であるからか、どうやら自覚は乏しいらしく】
【自分の服の袖を鼻で嗅いだりし始める。言われてみると確かにどんぐりのようで】
【少年自身も面白がって、どんぐり! どんぐり! と互いに笑い合うようで】

……ほんとう?
やったあ! そしたら、ご本の見せ合いっこだね! 約束だよ!

【彼女に囁かれた言葉を聞いて、少年は驚きと喜びの混じった顔で眼を見開く】
【約束だよ、と屈託無い笑顔で言えば、小指を前に差し出して――指切りでもしただろうか】

【彼女が笑えば少年も笑って、彼が子供なりに神妙になれば彼女もそれに合わせて】
【無軌道なエネルギーがぶつかり合っているようで、一方で調和が取れているようで】
【そんな不思議な会話が続き】

……そ、そうかな
天使さん優しいのかな?

【少年『天使』に思いを馳せる】
【優しいと聞いて、そうだといいな、と呟きながら】
【しかし潜められた声を間近で聞くと】

――え、ぼくは! ぼくは、違うよ!
ぼくは悪魔さんみたいに強くないし、物知りじゃないし、ぐにゃ〜ってしてないから

【ぱっと彼女の方へ顔を向けて、それを左右に何度も振った】
【どうやら少年の知る『悪魔』なるものは『ぐにゃ〜』としたものらしく】
【それを精一杯表現するように、何かを鷲掴むような手を顔の前でぐるぐる回したりした】
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 21:34:58.13 ID:JgFWN7Da0
>>163

【どんぐりを探すとき――落ち葉を掻き分けたときの匂いに似ていると思った、言葉は、ずいぶんと足りないようだったけれど】
【あのね、と、繰り返して。言葉を探していたのだけど――彼が面白がって笑うのなら、彼女も、きゃらきゃら楽しそうに笑う――笑って、】

うんっ、約束なの! サンタさんにもらったご本だもの、もしかしたらね、ちょこっと似てるかも!
あっでもね……、サンタさんが、ノーヴァお兄ちゃんや、私にね、選んでくれたやつだから――全然違うかも!

【こくこくと何度も頷いて約束だと誓う、言っていることは結局どっちなのかはっきりしなかったけれど――指切りをしたのが、きっと、何より大事なら】
【そういう比べっこはその時にするべきだろう、初めて会った"お友達"と、約束をして、今はそれでおそらくは百点満点、大人だなんて誰も居ないけど、二人の中で花丸をつけて】

天使さん、きっと、優しいわ! だってね、天使さんだから――、あっ! でもね、悪魔さんもね、きっとね、優しいって思うな!
あのね……だってね――、

【きっと優しい。そうやって大きく頷くと長い髪がふわふわ揺れる、それからにこーっと笑って――それで、悪魔に知り合いがいるという彼の言葉を思い出したか】
【悪魔さんもきっと優しいだなんて取り繕うように口にするのだろう。だけれどよっぽど気を使って嘘を吐いたというよりは、おそらくは本当にそうだと思っているようで】
【けれど理由を述べようとしてもあんまり言葉は出てこない。最終的には、「お友達になって、お話したら分かるよ!」と、笑い】

そ、そうなの……? でもでも、悪魔さんのこと知ってるってね、すごいよ! だって、あのね、私、知らないし――。
……悪魔さんって、ぐにゃぁってね、してるの!? わあ……タコさんみたい? なの?

【悪魔をたくさん知っている……天使に嫌われているかもしれない。それらの言葉で"そうなのでは"と推理したのは、けれど、外れていたらしい】
【少しきょとんとした様子で、だけど、悪魔を知っているというだけですごい、すごいと思う、そんな言葉を何度も重ねて】
【彼の知る"それ"がぐにゃ〜っとしたものだと聞けば――ちょっと思っていたのと違うような顔をしたけれど、それでも、やはり気になるものなのだろう】
【じーっと食い入るように彼を見ながら、そのしぐさ。ぐにゃ〜の表現をまねするようにしながら、それを一生懸命、正しいかたちで理解しようと努めているようで】
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 21:57:13.24 ID:f+RfCaqjo
>>164

【やくそく、やくそく、と指切りを済ませれば】
【それが旧知の仲だったかのように満点の笑顔を咲かせて】

【彼女の言葉を聞きながら、少年は自身の中の人物像ならぬ『天使像』を二転三転させる】
【初めはどこか高慢ちきな有翼人種の大人で――それが言葉を受ければ】
【この場で一緒になってはしゃいでくれる子供のような姿に変わる】

【もちろんそんな心象風景は伝わらないだろうけれど】
【お友達になって話したら分かる、という言葉に大層納得した様子を見せて】
【「うん――そうだね!」と、少年は明るい笑顔で頷くのだった】

【それから『タコ』というワードが飛び出れば】
【少年も反応して「タコ?」と鸚鵡返し】

えっとね、悪魔さんはぐにゃ〜ってしてないけどね、
悪魔さんが来るとね、空気? がね、ぐにゃ〜ってするの

あと……ちょっとだけ、くさいんだよ
もしここに呼んだら、たぶん天使さん来なくなっちゃう!

【その小さな手で鼻を覆うような仕草をするが】
【表情は顰めっ面ではなく、物事の道理を説く教師のような顔つきで】
【ちょっとだけ、という言葉はここにいない『おともだち』に対する遠慮か、少し強調されて】
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:20:52.76 ID:JgFWN7Da0
>>165

【彼がそうしたように――きっと彼女の中でも、いろんな像が結ばれていって、そうして、多分……彼と、同じようなものを、思い浮かべる】
【いっそ天使も悪魔も彼女の中ではあまり関係がないのかもしれなかった。なんでもかんでも友達になる、なりたい、だから――みんな一緒、だなんて、大雑把】

【――自分が思い浮かべたものが奇しくも彼のそれと似通っていること。それもまた彼には伝わらないものだろう、だけれどお互いに、よく似たかたちを思い浮かべて】
【ほんのときどき、視界の端っこに、天使や悪魔が覗いている気がするしそれを空想する。大人はきっとそんなの気のせいだとか、言うのかもしれないけど】

あっ――そうなんだ、あのね、じゃあ、悪魔さんはぐにゃ〜ってしてなくって……、空気がね、ぐにゃってね、するのね!
だったらね、悪魔さんもちょこっと困っちゃうね、前がね、ぐにゃ?って?したらね、よく見えないよ! 慣れてるのかな――、
……あっ、でもでも、いつもじゃ、ないんだよね! ――悪魔さん、どこからくるのかな? あのね、天使さんなら、お空の上だと思うけど……――。

【相手の言葉で、彼女はどうやら自分がちょっとした勘違いをしていたのに気づく。悪魔は普通、ぐにゃっとしているのは空気……自分の中の認識を改めて】
【ふんふん物分かり顔で頷きながら変なことを言って――それですぐにまた訂正する。それで少しごまかすように話題を変えるのだけど……そちらもまた、気になることで】

そうなんだ! でもでも、あのね、大人のヒトってね、香水とかするでしょ――悪魔さんも、オシャレなのかも!
だってね、あのね、映画でね、見たことあるよ! ぬ……ぬれたいぬ……? 濡れた犬さんの、香水! 魔物さんがね、つけるの!

【悪魔は臭い――それも新事実。だけれど彼女はそれを別段嫌がったようにも見えず、かえって、そういう香水みたいなものなのかな、なんて、勝手に思い浮かべてみる】
【やっぱり悪魔とか魔物ってそうなのかなと勝手に納得した様子だった、なぜならそういった映画を過去に見たことがあるのだといって】
【むしろすごいすごいと笑うのだから、彼の"友達"への気遣いはあまり関係がなかったかもしれない、とは余談だが】

あっ……そうだ! あのね、あのね、ノーヴァお兄ちゃん、"たちばなしもなんだから"!
お菓子ね、あるよ! お散歩したらね、どっかで食べようかなって思ってて……クッキーなの! たべる?

【――それで、ぱっと話の向きが変わるのはどうしたって子供のやり方だった、ふっと……おそらく、本当に、ふとこのタイミングで思い出した、らしいのだが】
【両の目を閉じて立てた人差し指をふらふら揺らして――気取ったふうに口にする、だけど次の瞬間にはいつも通りの様子に戻って、にんまり笑い】
【数度きょろきょろ、手をおなかのあたりでぱたぱたしてから、「あっちだわ!」と言って――向かうのは、最初に乗っていた事務机のあたり】
【「あったよ!」と言って頭上に掲げて見せるのは何の変哲もないそこらへんのコンビニの袋――彼に見えやすいようにか、偶然か、その手元を撫でるように、光の蛾が通り過ぎた】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 22:44:24.82 ID:f+RfCaqjo
>>166

【子供特有の語彙の不足、欠けた説明】
【それによるすれ違いも、子供ならばすぐに埋まってしまう】

【そして飛び出した『悪魔はどこから来るのか』という素朴な疑問】
【賢しい大人でもいれば「それは人の心だよ」などと答えたろうが】
【何事も純粋に考える子供ゆえか、少年は真剣に思案する表情を見せ】

……天使さんがお空から来るなら、
悪魔さんは、土の下……かなあ?

【と、彼なりの推理を披露して】

【難問を解くようにいかにも難しげな顔をしていたが、そこへ重ねて披露される彼女の推理】
【悪魔はお洒落で臭くする――とはこれまた大人なら突っ込んだあろう言葉も】
【少年にとっては素晴らしい名回答の如く思われて】

あ――そっかあ!
オシャレ……悪魔さんもオトナだからね、きっとそうだね!
ファラエナちゃんすごいね!

【と、興奮気味に伝えれば、そこで彼女がお菓子の提案】
【「たちばなしもなんだから」大人を真似した常套句を彼自身も繰り返して】
【クッキーと聞いて胸が躍る。まさかこんなところでおやつが食べられるとは】

【が、しかし、コンビニの袋見て眼を輝かせていた少年は、】
【その時ふと何かを思い出したように声のトーンを落とし】

あ……でもぼく、『おかね』ないよ……

【どうやら彼にとってコンビニというのはお金が絡むものだという認識があって】
【それ故、他人が買ったものであろうと、コンビニの袋にはお金を払わないといけない、そんな思い込みが働いた】
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 23:22:55.60 ID:JgFWN7Da0
>>167

土の下――……そうね、そうだわ! だってね、天使さんは、お空の上から来るんだもん!
だったら、悪魔さん、きっと土の下から来るわっ、あのね、私ね、気づかなかったわ! ノーヴァお兄ちゃん、すごい!

【土の下――例えばこの場に大人が居たとして。思わず訂正したくなるような言葉を、けれど彼も彼女も真剣に考えていたのなら、そこにくだらない理屈はかえって邪魔になる】
【天使が上から来るなら悪魔はやはり下からだろう。それならやっぱり下にあるものは土だ……と、彼女もまたその理屈で納得する。ぱぁと表情が鮮やかになれば】
【尊敬するものを見上げるのによく似ていて――彼女はどうやら就学前ぐらいの年頃に見えた。それなら誰かが見れば本当にきょうだいの話すように見えたのだろうか、なんて――】

なの! だってね、悪魔さんてね、悪魔だから……オシャレもね、きっとね、ヒトとはね、違うんだよっ!

【ひときわ大きく立派に頷く。すごいねだなんて言われれば、少し照れ臭そうだけれど嬉しそうに笑って――褒められたのもあってか、今更いっそう妙案に思えてきたらしく】
【にんまりと得意げにして――そのままのテンションでコンビニ袋まで駆け抜けて、その後】

あのねっ、あのね、これね、私がね、お母さんからもらったお小遣いでね、買ったからね、ノーヴァお兄ちゃんはね、いいんだよ!
それにね……ノーヴァお兄ちゃん、お花持ってる! あのね、誰かにあげるのかなってね、さっきね、ちょこっと思ったの!

だからね、あのね、……ええーっとね、あのね! うんと……、ノーヴァお兄ちゃんね、お花買うお金でね、お菓子買えたでしょ!
でもね、お花買ったでしょ! だからね、私はね、お花買わなかったから、お菓子買えたの! だからね、一緒に食べよっ?

【さぞ重大な宝物であるかのように掲げた袋が――彼の声のトーン下がったのと同じタイミングで、偶然、がさりと鳴いて、自重にヘタれる】
【慌ててビニール袋を頭の上からおろして大事に抱きかかえれば――中身を落とさないように気を付けて、また彼の方へ、今度は歩いて戻っていき】
【伝えるのは、すでに会計は済んでいるから彼の持ち合わせは関係がないこと。それから――彼はお金でお花を買ったけど、自分はお金でお菓子を買ったんだよ、と、】

だって、誰かにあげるお花ね、はんぶんこできないけど、お菓子ならね、いーっぱい入ってるよ! じゃーん!

【再び彼のすぐ近くに立てば、抱いたままの袋によいしょと手を入れて――取り出したのは個包装のクッキー、いろんな味が詰め込まれたアソートタイプの、おっきな一袋で】
【たしかにこれなら分け合って十分な――というより子供二人では十分すぎるくらい――量があるようで】
【彼がお使いというのを知らなかったから、誰かへのプレゼントだと勘違いしている風ではあったけれど――本心から一緒に食べようと誘っていて】
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 23:50:31.63 ID:f+RfCaqjo
>>168
【子供同士の推理合戦、その健闘をお互いに称え合って】
【すごい、すごい、と自分たちだけが新発見をしたかのようにはしゃいでいた】

え……おかねいいの? ほんとに?
わあ――ありがとう!

【少年の思い違いは、彼女によって底抜けに明るく打破されて】
【丸い目をぱちくりと何度も瞬くと、出てきたクッキーに再び感嘆の声を上げる】

【――が】
【お花を持ってる――と言われると、少年は「あっ」と零しながら目を見開いた】

(あ……お花……――)

【少年はそこで口を開けたまま硬直してしまう】
【時間にしてほんの一瞬だが、少年の脳裏に走馬灯じみたものが迸る】

【「寄り道せずに帰ってこい」】
【「間違っても路地裏だけには近付くな」】

【『おとうさん』からの言付けが、その時になってようやく思い出された】
【そして、それを守らなかった時におとうさんが見せるであろう反応も――】

【そして少年の意識が現実に帰ってくれば】
【少年はこの部屋に訪れたとき以上の切羽詰まった様子で】
【虚空の一点を見つめながら、あわ、あわわ、と慌てふためき始める】

……ぼ、ぼく、おとうさんからの『おつかい』で来てて
早く帰ってきなさいって言われてて……
でも、ぼくは忘れちゃってて……あわわ

あうう……ぼ、ぼく、帰らなきゃ――

【さもなくば殺される、大人ならそんな風に言ったであろう】
【少年は忙しなく地団駄を踏みながら、しかし名残惜しそうにクッキーと入り口を交互に見て】

ふぁ、ファラエナちゃん、また遊んでくれる?

【本当は今すぐにでも駆けだしていきたいのだが、】
【それ以上に新しいおともだちとの別れが悔やまれて】
【さっきした指切りの約束がありながらも、それでも最後に確信が欲しくて】
【少年はひどく困ったような、ほとんど泣きそうな表情でそう問うのだった】
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 00:01:14.76 ID:g/UPoYMWo
>>158

【なんということのない、穏やかなバイト上がりの夕方だったはずだ】
【水の国の、ある花屋。そこに、金髪で穏やかな顔立ちをした、一人の新人バイトがいた】
【今日、少年に4本の薔薇を選んであげて――いや、気障な注文をする少年だなあ、と驚きはしたが――】
【自分の花選びのセンスというのも、実は捨てたものではないのでは、と上々仕事を終えた、その時に】

【ある風の国のジャーナリストが、決死の声をラジオに載せたのだ】
【曰く、風の国ベルガストンに、謎の鋼鉄人形たちが現れて】
【平和な街を、市民を】
【我らの故郷を――阿鼻叫喚の地獄に変えている、と】

【「誰か―――誰か、助けてくれ!!」】

【そして、銃声。ノイズ。ジャーナリストの無事もわからない】

【―――その声を聞いてしまえば。水の国の、花屋のバイトは居てもたっても居られなかった】
【恐らく死地であろう】
【自身の戦う力は、こと単騎の相手の特化している。物量を頼みに押し包んでくる相手との相性の悪さは、“実証されている”】

【だがまあ、それは瑣末。】
【なんといっても、それから素早く転移陣を起動して夜の国の住居に帰った彼は】
【手早く装具を整えて、僅か30分ほどで】

【風の国、ベルガストンの送電鉄塔の上で、白銀の外套をはためかせていたのだから】

――――敵規模、十数体、と。
増援の可能性高し。

ここで僕がやるべきなのは――風の国軍の戦力増大まで、ここで奴らを引きつける。そして住民の脱出を支援する、と。
まあ、ホントはキングやラグナが向いてる戦法な気がするけど。
いないものはしょうがない―――

さ。我が戦いの道行きに、王たちの加護あれかし。

【そうして、とん、と鉄骨を蹴る】
【あとは地上へ真っ逆さま――堕ちるように?】

【いや、違う。彼は明確な意志を持って――暴虐を尽くす機械人形、その直上に、今、その刀を閃かせて―――!】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/18(木) 00:05:36.64 ID:mw0W0XOD0
>>169

【おっきな袋――特に幼い子供が持てば、その袋の大きさは顔よりも大きいほどだ。いっそパーティサイズとでもいうような、それ】
【だから半分こしたってうんとある、お金だってもう払っちゃってるし心配することもない、だから大丈夫――なんてことなくそう考えていた幼子は】
【けれどすっかり硬直してしまった彼の様子に不思議そうになる、まだ不安なところがあっただろうか、と思って――それとも何か、と、心配そうにのぞき込めば】

わ……そ、そうなのっ? え、えっとね、

【相手の様子が急に変わって――慌てているのを見て、こちらもまたつられてしまったかのように慌てだす、ましてお使いの途中だったと聞けば】
【引き留めてしまったかもしれない、それなら彼が怒られるのは自分のせいかも……と、不安になって。ぐにゃと下がった眉と、口元もへにゃりとなって】
【どうしようと一緒になって言っている。それで、クッキーの袋を持ったまま、おろおろとしていたのだけど――彼が、そう、たずねたら】

も、もちろんよ! あのね、指切りだって、したしね、ご本ね、見せあいっこするんだから! ……あっ!
……じゃあね、あのね、私ね、迷子さん! だからね、ノーヴァお兄ちゃんね、私をね、お家まで連れてってくれたの――ねっ!

【それは当然だし揺らぐはずもない――と頷く、ご本だって見せ合いっこする、そう約束したから……それはもちろんだし、せっかくであった友達と】
【もう遊ばないなんてとってもじゃないけれど言いたくなかった。だけどこうしてお話していたことで彼が怒られてしまうのだとしたら、――へにゃへにゃの口元が】
【だけど何か妙案の思いついたように元気になって、続くのは――つまり言い訳だった、あるいは嘘つきであるのに思いいたる前に、彼が怒られてしまうのが悲しいように】
【それだったならどうだろうと――少しだけ泣いてしまいそうな目でうかがう、それで、うんとうんと小さな声で、「お礼……」と、クッキーの袋を、きゅと握りしめて】
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/18(木) 00:31:20.47 ID:eFJ0Qefao
>>171

【ばたばたばた、と落ち着き無く足踏みする少年】

【もう散々道草を食ったのだから、今更数分時間を食ったところで同じ事だ――】
【そんな風に開き直れるだけの大人じみた図太さは少年にはまだなかった】
【もう一秒でも早く行かなければ大変なことになる、そんな思いだけが満ちていた】

【彼女から咄嗟に提案された言い訳――もとい、正当な理由付け】
【少年はそれを聞くと眼を丸くして、初めはどういうことかと頭上に?を浮かべたが】
【それが自分を守るための考えなのだと思い至ると、ああ! と声を上げた】

――あ、そか、ファラエナちゃんが迷子で、
ぼくの方がお兄ちゃんだから、助けてあげて――

【そうして自分を納得させるように呟いていたが――】
【そこで急に、自分を冷たい瞳で見下ろす仁王の如き父親の姿が想起され】
【とてもじゃないが、こんな『悪魔』相手に嘘を吐く度胸も、それが通じるとも彼は思えなかった】

【それで何かを観念したように、顔を力なく歪めながら】

――あうぅ……やっぱり嘘はダメだよぉ……
嘘吐いたら、舌を抜かれちゃうんだよ……

【色んな事情でやっぱり嘘はつけない、と告げる少年】
【しかし悲しげな彼女の様子を見ると、慌てて取り繕うように言った】

あ……あのね、でもね、たぶん大丈夫だよ
ぼくがね、ちゃんとおつかい出来たから……お花買えたから!

お花あれば、おとうさんはそんなに怒らない……

【「……と思う」】
【と、最後に余計な声を漏らすも】
【大丈夫大丈夫、と少年は気丈に彼女を励ますのだ】
【……最初に慌てだしたのはどっちだったのかも忘れて】

あ……でも
クッキーがあったら!
クッキーをおとうさんにあげたら、もっと怒らない……かも

【そこで最後のダメ押しとばかり、】
【彼女が握りしめる袋、その思いの行き先を引き受けようとして】
【ちょっともらってもいい? と少年は最後に尋ねるのだ】
173 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/18(木) 00:34:34.93 ID:VEM71ecG0
>>170

【今やそこは戦場と化していた。とはいえ、"WW2"や"ナム"のソレとはまたワケが違う戦場だ。】
【例えるならば、中東やアフリカで日常茶飯事に行われている民族浄化に端を発する大虐殺、爆破テロが近いか。】
【こと一方的な殺戮、そして標的が軍や警察ではなく民間人であるという点で両者は一致していた。―――唯一、違いがあるとすれば。】

【"何故風の国なのか"―――という点だ。】

【別段、政治的に摩擦や不安を抱えた情勢の真っ只中にあるような危険地域という訳でもないし】
【多種多様な民族に囲われているのはこの世界では珍しい事でもなく、風の国もまた諸外国に漏れず人種は多彩だ。】
【そしてもっと言うならば、先述の通りこの地域はとても平穏であり、血なまぐさい話など長い事なかった安全な場所である筈だが―――。】

【一体何がどうして、"彼ら"がこの地を狙ったのか。まだその狙いは分からなかったが】
【ともあれ、人が死に、破壊が横行し、そして恐怖が全てを支配しているという事実だけは確かだった。】
【軍や警察、そして風の国では有名な"あの勢力"が動き出すのにまごつく中、状況を一人打開すべく潜入者が現れた。】


 「―――生体反応在り。至急対応するべし。」

「―――こちらベータ、対応する。其方は他の民間人の一掃を急ぐべし。」

「―――ガンマ、警官隊を駆逐。"軍"が"UT"と衝突、利権争いと思われる。」

「―――軍が?」

「―――長い平穏の後に起きた事件だ、手柄を上げたい軍がUTへの出動を制している。」

「―――間抜け共め。ベータ、早くその民間人を射殺しろ。」


【機械兵士たちはそれぞれが音声で会話を始める。これを見るにAI、ないしは】
【有人の可能性が考えられるだろう。だとすれば、メカというよりはパワード・スーツが近いのか。】
【どちらともつかないが、ベータと呼ばれたその個体は車の陰に隠れていた子供と母親の二人組を的確に感知、補足。】

【両腕に装着したカノンにプラズマ・エネルギーをチャージしていき、そして火砲が放たれる、その瞬間だった。】


 『―――ベータ、下が―――っ!』

【他の一体が声を掛けるが、その一閃は音より速く、そして光より鋭利だった。】
【一瞬にして"空間を裂く"その剣が、落ちる夕陽を刃に煌めかせ機械兵士"ベータ"を確殺。】
【一刀、たったの一太刀で両断。完全に破壊されたベータは上下に真っ二つとなって―――沈黙。中身は機械だ。】


 「―――何者だッ!!」

 「―――射殺する!!」

【他の機械兵士が瞬時に腕を構える。距離にして数メートル、彼の剣士からすれば十分な"レンジ"<殺戮範囲>。】
【伝説とも謳われるその一太刀を、その剣筋を、この若き機械兵士たちは存ぜぬようだった。ともあれ、目に入った"剣士"めがけ】
【容赦なく発砲しようとするだろう、無論……当たれば、の話だが。唯一の問題は彼の背後、まだ逃げ遅れた母子が存在する事だろうか―――!】
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/18(木) 00:47:11.53 ID:mw0W0XOD0
>>172

【う、あ、わ、――そういう音が彼女の口から時々漏れ出していた、そしてそれは、彼が怒られないで済む方法、それをしきりに考えているからに相違なく】
【はてなを浮かべる相手をじっと見上げる、これくらいしか思い浮かばないと悲しそうな目になって――】

そうなのっ、あのね、私ね、迷っちゃった! お家の場所、わかんない……。

【言い訳として提案したはずだった――だのに、そういうことにしようよと言っている間に、本当にそういう気持ちになってきたと見える】
【ほんとうにほんとうに悲しそうに尻すぼみになる声が最後の方だなんて死にかけた蚊みたいにか細くなって、彼が自身を納得させようとするさまを見ていたのだが】
【やがて駄目らしい――と察すれば、しゅーんと、投げられたボールを見つけ出せなかったイヌみたいな顔になる、なってしまって】

わ! じゃ、じゃね、駄目なの! ノーヴァお兄ちゃん、べろ取られちゃったら、お話できなくなっちゃったね、私、ヤダよ!

【自分が提案した言い訳で彼が怒られるどころか舌を引っこ抜かれる――彼の言葉にひどくびっくりして怯えた様子になった彼女は、ばたばたと慌てて手を動かして】
【やっぱりなし!とばかりに発言を撤回しようと繰り返す、ぶんぶんっと首を振って、「さっきのね、ナシなの!」とひときわ大きな声で宣言し】

ほんとう……? ノーヴァお兄ちゃん、私のせいでね、怒られない?

【しゅんとなったままで問う、それでも気丈な様子を見せる彼に少し元気付けられて――視線が少し持ち上がったところで、少し弱気な彼の声】
【またがーんとなってしまうのだけど――彼の続く言葉を聞けば。つまり、クッキーを彼の父親にプレゼントすれば、彼は怒られないかもしれない……と】

……じゃ、じゃあね、私ね、あげるわ! ノーヴァお兄ちゃんのお父さんにね、あげる……、ノーヴァお兄ちゃんもね、お母さんもね、食べていいよ!
あのね、みんなで食べて……、きっとね、おいしいわ! えっと……み……みずのくに……、ひ、ひが……東……なんとか……なんとか工場さんが作ったの!
だからね、あのね、みんなで食べて!

【それで彼女の表情は少しだけ久しぶりにぱっと明るくなる、それならとばかりにクッキーの大きな袋を丸ごとそのまま、彼の方に差し出し】
【全部あげるよ――ということらしかった。裏にひっくり返して読み上げるのは製造したところ、漢字はあらかた読めなくて、そして多分それはあんまり味には関係ないけど】
【きっととてもおいしいものだから――それで彼のお父さんやお母さんや、ノーヴァ自身も、喜んでくれたら。"ちょっと"どころではないけれど、彼女はそれでいいようだった】
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 00:51:47.11 ID:g/UPoYMWo
>>173

【がしゃ、と、『ベータ』の分かたれた身体が、地面に落ちる音が響いた】
【無論、その名を剣士は知らないが――僅かに一瞥。自爆その他の危険を確かめて、目を離す】

【かなりの高度から落下してきたにも関わらず、その剣士はどこを痛めたような様子もなく】
【ただ、その衝撃を押さえ込むようにぐ、と身体を縮めていた】

(―――落下の時に、子供と母親が見えた。射線は通っているから――撃たせるわけにも、いかないか)

【ならば、この場の勝負はただ一瞬。全てを仕留めきれぬとしても、少なくとも自身に火線を集中させる必要はある】

【その判断は、刹那。縮めた両脚から、溜め込んだ衝撃を逃がすように】
【剣士は真正面に“跳ねた”。】

【それも、真正面に、回転するように。まるでライフル弾のように、剣士はその外套を、ぶわりと広げて機械兵士たちへ殺到する】

……え、嘘。何君たち、喋るのか?

【回転の勢いで、まるで華のように広がるその外套は、子供と母親への流れ弾を防ぐだろう――】
【ただし、剣士自身への被弾はその確率を増すだろう。頭部はその手甲を交差させるようにして、守ってはいるようだったが】

【突進する白い弾丸、その回転の中、ぎらりと刀が光を反射する】
【接近をこのまま許せば、機械兵士たちへと容赦なく振るわれるはずだ】
176 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/18(木) 01:08:47.95 ID:VEM71ecG0
>>175

【見た目は機械、中身も機械。その名は機械兵士。なんて、冗談ではない。】
【問題は彼らは完全なる機械であるというのにしっかりと個を認識し、そして会話をしているという点だ。】
【これではまるで人間―――そういえば、斬られるその時に一瞬だが「うわっ」という悲鳴が漏れていたのを聞き逃さなければ。】

【一つの答えに行き着くだろう―――簡単だ。彼等はラジオ・コントロールされている。】
【そう、単なる無線誘導式のラジコン。少年が車で遊ぶのを人形に変えてやっているだけ、もっと言えば】
【それこそ現代の若い青少年たちがゲームに興じるのと同じように―――単に操られている。それだけの事だった。】

【尤も、中身は可愛い子供たちではなく機関の兵員であろう事は疑う余地もない。】
【ともあれ、"剣士"の次手が突撃であったことに機械兵士たちは驚き、一体は硬直、そしてもう一体は】
【慌てて射撃を中断し、弾丸をチャージした状態で脇へと飛び退ける。反応が早い、恐らくは操作に手慣れた個体だろう。】

【だがもう一体は馬鹿正直に"跳躍"してくる剣士めがけ銃を構え、発砲。】
【腕の火砲を唸らせ剣士を狙うが手甲で弾かれ、そのまま外套が完全に弾を防ぎきる。】
【後はもう、チャージの時間を待たなくてはいけなくなった兵士が一人残るのみ。翻った剣の餌食となり―――】



 「―――あっという間に二体か。部隊が損失。指揮官、命令を。」

 『……こちら指揮官、剣士の情報を収集せよ。……なに、どうという事はない。死ぬ事は無いのだからね。それよりも、だ。』

『その剣士の鮮明な映像を寄越したまえ。それによって諸君らの戦術も変化する。想定している事態が本当であれば―――、』

「……指揮官?」

 『……いや、何でもない。だが"ターゲット"の確保は最優先だ。剣士の相手を十体で行い、残る二人でターゲットを見つけ即座に離脱せよ。』

 「―――了解。殲滅します。」


【手短に会話を済ませば、手慣れた様子の兵士―――"アルファ"が腕で指示を出す。】
【建物の上部へと脚部のジェットを噴射して上ったのが四体。アルファの傍についたのが一体。】
【残る五体がそれぞれ建物の角や点在する横転した車の陰に隠れ、それぞれ腕の重火器をチャージし始める―――、】


 「―――剣士。貴様、何者だ。」

【アルファが、重火器を展開しているのとは別の腕に新たな武器を展開。】
【光り輝くそれは熱を帯びた―――斧、か。刃を重量でぶつける質量兵器だ。】
【ただ刃先は夕焼けのそれではなく、確実に超高温を帯びて真っ赤に染まっている】


【アルファがざん、と前に踏み出す。アルファの補助を務める一体は両手を重火器へと変形、後方支援へ廻るのだろう。】
【かくして十対一、先ほどの会話が聞かれていたならば正確には十二対一という、かなり危険な状態での戦闘が幕を開ける―――!】
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/18(木) 01:18:10.12 ID:eFJ0Qefao
>>174

【おつかいの帰りが遅くなって親に怒られるかもしれない】
【大人から見れば些細な問題も、子供からしてみれば世界の存亡が揺らぐ程の一大事で】
【それを理解してくれている彼女が一生懸命に策を練っているのを見て】

【少年は絶対にこのおともだちとまた会いたいと密かに願うのだった】

――だ、だいじょうぶ、怒られないよ!
だいじょうぶ、大丈夫――

【そんな彼女の健気さが、少年に自然と兄らしい振る舞いをさせる】
【そうしているうちに振る舞いが本物になったか、言動が落ち着きを取り戻していた】

【そこで袋ごと差し出されたクッキーを見て、目を丸くする】

え、や、そんな全部もらっちゃったら――

【ファラエナちゃんの分がなくなっちゃうよ、と言いかけた】
【しかしせっかく差し出してくれたものを押し返すのも、彼女の顔を見ると躊躇われて】
【そんな葛藤をしているうちにも時間は過ぎていて】

【うぅと小さく唸っていた少年はやがて意を決し】
【彼女からその大きな菓子袋を受け取った】

【しかしすぐに、その小さな手で中のクッキーをいくつか鷲掴み】

――じゃあみんなで半分こね!
これは、ファラエナちゃんの分だよ!

【そう言って、近くの机の上に掴んだ分のクッキーを置くのだった】
【『みんな』の中にあなたも入っているのだ、そう伝えたくて】
【そこから返事を待たずに彼は言う】

じゃあ、ぼく行くね――
またね、ファラエナちゃん!

今度はご本もってくるからね、ぜったいだよ――!

【分かれるにしてももう少しゆっくりと挨拶したかったが】
【こみ上げてくる焦りには勝てず、言うや否や、くるりと踵を返して】
【ばたばたばた――部屋から飛び出し、泡立たし句階段を駆け下りる音が響いたのだった】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 01:23:46.80 ID:g/UPoYMWo
>>176

【―――いくつか思案する。目の前の敵だ】
【突撃した時、硬直した。慌てた。その動きは“人間臭かった”】
【だが、斬ってみれば機械だ】
【……ふむ、と一つ頷く。なるほど、遠隔操作か、と】
【一人の能力者による遠隔操作ではあるまい。行動にばらつきが見られる】

【ちゃり、と刀を持ち直す。目の端で、先程の親子が掛けていくのを見送って】

【この場の部隊指揮官らしき兵士が、腕で他の機体へ指示を出すのが見えた】

――刃の上の選択。見出す活路―――。

【ぎゅ、と剣士の瞳孔が一度、大きく収縮する】
【彼が持つ経験則。卓越した戦術眼を持って、彼の判断、認識能力は大きく上昇する】

【――10体、プラス部隊指揮官。それぞれがカバーを活用し、こちらを攻撃してくる】
【まずは、指揮官機――眼前で赤熱した斧を構えるそれに、一当て】
【首尾よく無力化できればよし、一瞬でも手こずるようならば、放火を浴びる危険があるため、やや後方に下がった補助機へターゲットを変更する】
【片時も射線を絞らせず、敵の戦力を削るのが、上策】
【ビルの上の4体と、カバーに入った5体は後回し、だ】

……ま、そんなところか。
いつもいつも、全く余裕がなくて嫌になるな。

【そうして、何者だ、と問われれば】
【挑むように、その刀の切っ先をアルファへ向けて】

――いや、名乗るほどの者じゃあないよ、人形。
単なる――そう、単なる花屋のバイトだ。

【嘘偽りなく己の身分を名乗った】
179 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/18(木) 01:34:16.34 ID:VEM71ecG0
>>178

【戦術プランの構築。敵が多ければ多いほど、先を考えず動くのは自分の首を締めることになる。】
【先んじて敵の戦力を図り、そしてどう動くかを算段立てる様は矢張り、普通の剣士ではない事を如実に物語る。】
【無論、その逡巡にしても一瞬の事だろうし、アルファを含む彼らが剣士の考えている事を読み取れる筈も無いのだが―――】


 「……ふっ。花屋のバイトか。紛れて麻薬を扱ったりしているだろう? そういう手練れだ、貴様はな。」


【切っ先を突きつけられたアルファが斧をゆっくりと真横に掲げ、そして言葉を発すると同時に】
【驚異的な機動力で先ほどの剣士よろしく"跳躍"、前方ではなく上方に、だ。そうすれば次の瞬間には】
【後方に控えていた"射撃手"がチャージを終えたプラズマキャノンを一発、そして二発と次々に発射、攻撃。】
【更には波状攻撃で、飛翔したアルファが落下の速度と物理的エネルギーを持って斧を叩き付けようとしてくるだろう。】

【アルファが先行するかのように見せ、その上で後方の一体に先んじて先制させるこの戦術。】
【単なる機関兵、というには少し手慣れている筈だ。恐らくは、背後に彼等"部隊"を操る"指揮官"の存在があるだろう。】
【こういった戦術的な動きに明るい、機関の老兵が一人いた事を剣士は―――はて、どこまで覚えているだろうか。もう随分と、昔の話だが。】


「―――人形、ではないッ!! "ドローン"だ、花屋ッ!!」

【叫びながら一閃をお見舞いしようとしてくるアルファ、迫るプラズマ弾。さあ、王の騎士はどう出るか―――!】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/18(木) 01:41:08.02 ID:mw0W0XOD0
>>177

【大丈夫、大丈夫――そう繰り返す彼の言葉。まるで本当のお兄ちゃんのような振る舞いは、まだうんと幼い彼女には、とても心強く感じられるものであったのだろう】
【いつしか真似するように大丈夫……と呟いていた、そしてそれを何度か繰り返せば、少しだけ心が落ち着いたように思えて――】

ううん! だってね、私ね、ノーヴァお兄ちゃんがね、怒られちゃったらね、ヤだから!
だからね、クッキー……みんなでね、食べてほしいの、……。

【自分の分はなくっても――差し出した大袋は、子供の手には少しだけ重たい。それでもきちんと腕が垂れないように差し出して、やがて受け取ってもらえたら】
【よかったと安堵するように笑って――そうしたら、彼がその手を袋に入れて。すぐにいくつかのクッキーを掴み出し、近くの事務机に……ひどくきょとんとした顔は】
【すぐ直後に「あれっ」という声が漏れて、驚きを証明する――だけれどなるだけ急いでぎゅっと、彼が机に置いた分を、今度は彼より小さな手で、がんばって掴み】

あう……あのね、これね、全部あげたやつだよ! だからね、いいのに――――、

【特にいくつかはかろうじて指とほかのクッキーとの兼ね合いでぶら下がっている状態。それで振り向きざまに投げかける言葉、その直後に、クッキーが一つ落ちる音がして】
【けれどそうまでして振り返ったところで彼女が見るのは踵を返す彼の背中、わああと慌てた声で、彼の出て行った扉に駆け寄って――身を乗り出したなら】

――ノーヴァお兄ちゃん、またね! 今度はね、一緒にクッキー食べようね!

【いろんな申し訳なさをこの短い間に伝えるだけの言葉を持たなかったから。投げかけたのは再会を願う言葉と、今度こそ、二人で一緒にクッキーを食べよう、と】
【お互いに持ってきた絵本を見せ合いっこしながら食べるのも楽しいかもしれない。だからまた今度――と一生懸命の大きな声で、伝えるから】
【こんなに静かな夜の中なら、届くと信じて。それで――あわただしく階段を下りる音も聞こえなくなってしまえば、ふと気づくのは】

…………わっ、みんな落としちゃった! あう――、ノーヴァお兄ちゃん、お父さんに、怒られないと、いいなあ……。
だってね、御主人様(おかあさん)、怒ると、こわいもん……。

【ぎゅっと握っていたつもりなのに取り落としてしまったいくつものクッキー。拾うためにしゃがみ込むと、なんだか気持ちもしょんぼりして】
【改めて彼が怒られないで済むようにと願う――初めて見た人間を"親"として慕うよう設計された生物兵器。その一個体である彼女にとって、何より恐ろしいものを、思い浮かべながら】

/おつかれさまでした!
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 01:51:57.34 ID:g/UPoYMWo
>>179

――いや、君。麻薬とは、人聞きの悪い。
ここで僕に勝ったとしても、うちの店長に殺されるぞ。

【そうして、跳躍するアルファを見る】
【今、射線が、開いた。その意味を理解するのが速いか、あるいは染み付いた闘争本能が身体を突き動かすのが速いか】
【空中で斬り結ぶ、という手段は取らない。空中での移動手段が殆ど無い自分では、クレー射撃の的になるのも同然だから】
【剣士は、ひたすらに地面を疾駆する。今度は、横っ飛びに跳ねる】
【プラズマキャノンの砲撃と、アルファの迫撃を同時に回避するために】
【しかしそれは、剣士の交戦距離に敵を捉える動きではない――】

【よく練られた二重攻撃である。
 簡単に突き崩せるものではなく、剣士は横っ飛びの回避と、懐から投擲した短刀での射撃手への牽制を以て、最初の回答とした】
【剣士の脳裏、ある機関の策士が浮かぶ。茨の名を持つその老兵が、この戦場にいるとすれば】
【深追いするわけにはいかないな、と、心の中で呟いた】

【さらに、横っ飛びに回避した剣士は、そのまま迂回するようにして射撃手へと迫る】
【優先して射撃手を撃破することを選択した――その頭を抑えるために短刀での攻撃を行ったが、】
【空中へ飛翔したアルファは、依然として剣士への攻撃を可能とするだろう】
【アルファによる再度の迫撃が速いか、剣士の射撃手への剣閃が上回るか】
【まさに、紙一重。どちらの結果となっても、剣士はその相手と斬り結ぶ準備を整えている】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/18(木) 16:02:35.91 ID:7t92luw1o
>>180
【今度は一緒にクッキーを食べようね――】
【最後に幼い声で精一杯告げられた約束に、少年は「うん、ぜったいだよ」と叫んで返した】

【それから少年は慌ただしく階段を降りるが、しかしそもそも帰り路を忘れていたことさえ忘れていて】
【出て行ったところでまた迷子になるのは必然だったのだが――】

【そこで唐突に、少年の身体が地から浮き上がった】
【少年からは見えなかったが、彼の背後の空間に穴が空いていて】
【そこから伸びた何者かの腕が、少年の首根っこを掴んでいたのだった】

【何が起きたか分からぬ少年は足をばたばた暴れさせてみたが】
【そんな抵抗も虚しく、腕はそのまま少年を穴の中へと引き込んでしまった】

【一瞬、視界が暗黒に包まれた後――どさり、とどこか違う場所へと落ちてきた】

【赤い絨毯、古風な意匠の調度品、『悪魔』の匂い――】
【妖しげながら落ち着くその光景。そこは自身の住まう屋敷の中だった】

【尻餅をついた少年の前には、一つの大きな人影】
【その見慣れた背中をこちらに向け、腕を組みながら窓の外へ視線を据えていた】

【『父』は何も言わなかった】
【優しく出迎えるでもなく、叱りつけるでもなく】

【少年がまごついていると、父はそこでようやく口を開いた】
【花は買えたのか、と】

【尋ねられ、少年ははっと思い出したようにお使いの成果を話し出す】
【ちゃんとお店で買えたこと、お釣りとレシートももらってきたこと】
【そこまでは早口で捲し立てたのだが、途中の寄り道の件になると言い淀み】

【あの、とか、えと、とか端切れの悪い言葉を並べ立てる】
【俯きながら決まり悪そうに呟いていると、それを父の声が遮った――ノーヴァ、と】

【風呂が沸いている】
【先にその埃臭い身体を洗ってこい――そう言った】

【少年は数呼吸、目を丸くする】
【口数が少ないのはいつものことだが、何だか今日はいつもより優しい、ような】
【――しかし余計なことを口にすればまた怒られかねないのは分かっていたので】
【少年はただ、うん分かったとだけ返事をして、立ち上がる】

【その手に持ったクッキーの袋】
【父に直接手渡す勇気はなくて、机の上にそっと置き】

……あ、あのね、外でおともだちと会って、クッキーをもらったから
みんなで食べて、って……だからお父さんも、食べてね

【少年はそれだけ言うと、ぱたぱたと駆けだして部屋を出て行った】

【その場に残った父は、机に置かれたクッキーの袋を一瞥する】
【見た目には何の変哲もない市販の菓子のようだが】
【まさか毒でも入ってはいないだろうな――と、その真紅の瞳をすうと細めた】

【やがてクッキーの一つを指でつまみ上げると】
【その個包装を取り去って、中身を口に入れる】

【ぼりぼりと無遠慮に咀嚼して、そのまま嚥下すると】
【ただ一言、こう呟いた】

【……甘ったるいな】

【吐き捨てるように言う口はしかし、その端が微かに弧を描いていた】

/ごちそうさまでした!
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 22:09:02.99 ID:g/UPoYMWo
【――風の音が響いていた。
 その街は、放棄されてどれほどの月日が経っているのか】

【過去、栄えたであろうその都市は―ー今となっては、朽ちた高層ビルや、打ち捨てられた乗り物】
【いくらかひび割れたコンクリートで構成されていた。まさに廃墟都市である】
【そして、それら全てが、今や白く風化しつつある。ビルや乗り物、少なくとも近代の産物であるはずのそれが、まるで古代の遺跡のように】

【その只中。くあ、と場違いに欠伸を漏らす男が居た】

―――いやいや。詰まらん任務だな。
哨戒とは言うが、そもこんな都市にやってくる物好きなどおるまいに。

【背の高い男だ。深い蒼の髪を、後ろに撫でつけて】
【細身のレザージャケット。見た範囲では、武装は見当たらない】
【つまらなそうに、のたのたと。過去を偲ぶような様子もなく、風化する街の中を歩んでいた】

【からん、と看板が風に倒された。なんとかリハビリ医院、と書いてあるそれは、誰かの目に入るだろうか】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 22:24:33.86 ID:rz9MruLEo
>>183

【墓標のように屹立する廃墟群の隙間を、夜風が縫っていく。夜に風の音はよく響いた】
【その音の中に微かに、異音が混ざる。頭上から何者かの気配がする】
【月明かりが遮られてできた影の中。廃墟の壁面に作られた足場の上に人の姿があった】

──あぁ、なんだ?
こんなところに人間がいるとは思わなかったぜ

【珍しいものを見た、という風にその人影は声をあげた。そして、音もなく立ち上がった】
【その姿は一見すれば若い神父。ブロンドの髪に司祭平服という何の変哲もない姿のはず、だった】
【目をこらさずともすぐわかる、その姿の異様さに。青年の身体の向こう側を、微かに、だが確かに、見ることができるのだから】
【腕、肩、脚、頭部にいたるまで。ありとあらゆる箇所でその異常は見受けられた。彼の身体は、透けていたのだ】

こんな夜に、こんなところで何してるんだ?

【男を見下ろしながら青年は何もおかしなところがないかのように、言葉を続けた】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 22:34:48.19 ID:g/UPoYMWo
>>184

――あァ?

【声に反応したのか、す、と神父の方角を見やる】
【思わぬ何者かとの邂逅に、すわ闘いか、と口の端を獰猛に歪めて】

【が】

………あァ?

【目を細めて神父の方向を見やる。目を細めて、矯めつ眇めつ―――】

なんだぁ……? 影の薄い野郎だな……

【もうこれ以上ないほどに不審がっている。なんならやや腰まで引けているが――】
【そんなことを口にした】

186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 22:42:59.60 ID:rz9MruLEo
>>185

【男の反応が愉快だったのか、青年は口角を上げた】

”影が薄い”ってのも、面白い言い方だな
そんなに警戒すんなって。別に、お前をどうこうしようってわけじゃない

【そう言って青年は目の前へと一歩、歩み出た】
【そこには柵があり、手すりがあった。しかし彼の身体は何の抵抗も受けることなく、それを”すり抜けた”】
【さらに一歩、二歩と進んでいく。足が宙を踏みしめ、青年は空中を歩いていた。まるで見えない足場があるかのように】

俺は見てのとおりの……いわゆる幽霊ってやつでな。街中にいると騒がしいんで、人気のないところにいたってわけだ
ここだと退屈でしょうがねえんだよ。だから、通行人がいるとつい声をかけちまう
危ないことはしないから安心しろ

【空中に止まった彼は両腕を広げて、自分は危険じゃない、と重ねてアピールをしてみせる】
【実際のところ、彼に敵意はなかった。もっともこの謎の生物(?)をどう受け止めるかは男次第だったが】
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 22:58:35.81 ID:g/UPoYMWo
>>186

【一歩、二歩。歩く神父を、首を上げて目で追っていく】
【――だがまあ、そんなこともあるか、こんな世の中だ、と首を振り】

ほお……世に未練でも遺したか。
あるいは余程に神から嫌われたか。

【くっく、と喉を鳴らす】
【物珍しさに驚いたのも、僅かな間のことで】
【こういう手合もいるだろう、と、男はもう神父の幽霊を、在るものとして捉えている】

退屈で仕方ないのなら、さっさと輪廻へ還ってもよさそうなもんだが――
まあ、無聊を囲う者同士だ。貴様の身の上、この俺に聞かせてみねェか。

【そういうと、答えを聞く素振りも見せず、細身のレザージャケットの懐から煙草を取り出し】
【ありゃ、火がねェな、と呟いた】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 23:08:02.36 ID:rz9MruLEo
>>187

わかってもらえたようで、何よりだぜ

【男が自分の存在に納得がいったのを見て、青年は再び笑ってみせる】

それにしても、神から嫌われたか、ねぇ。俺ほどの信心者もいねえだろうに
まぁ言い得て妙なんだがな

【笑みを保ったまま青年は続けた。そこに何か、彼なりの得心があったように】
【彼がその場に腰を下ろすと、彼の身体はゆっくりと地面まで降りてくる。そして男の前方で止まった。空中を浮遊して移動するその様はまさに幽霊、といった感じだ】
【目の前まできてみると、この幽霊は成人男性と考えると小柄だった。彼はそのことを実は気にしているので、指摘すると怒り出すが】

身の上話、か。話すと長いんだか短いんだか

【男の提案には困った様子で肩を竦めてみせる】

短く言っちまえば、前に結構やばい悪党がいてな?
運の悪いことにそいつと出くわしちまって、殺されないようにした代わりに身体と分離しちまった
あぁ、身体は俺が持ってるから、あとは術者なり何なりがいれば戻れそうなんだが、これが中々、な

【そう話す青年は苦虫をたっぷりと噛み潰したような顔をしている。幽体離脱させられる、というのは良い思い出ではないようだ】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 23:16:52.00 ID:g/UPoYMWo
>>188

神ってのァ勝手なもんだからな。
何、奴さんが真っ当な人間らしい心を持っているのなら、この世はとっくに極楽浄土だろうよ。
こんな苦界になっていることそのものが――ま、神サマの善悪観が人間のソレと乖離していることを示している。

【ふん、と表情も変えず、そんなことを吐き捨てる。目の前の人間(?)が、神父服を纏っていることなど気にかけないように】
【そうして、ふよふよと自分の前まで近づいて来た神父を見る】
【闘争に身を置く者の癖か、相手の身丈、可動範囲は軽く確かめたようだったが、別段身の丈に物言いはつけず】

ほお。ほお――ほお。
なるほどなあ。

【男が語る、肉体を捨てた事情を頷きながら聞いて】

まあ、俺も悪党の類だからよ。
ここで誰か術者を紹介するワケでもねえんだが。
そういうのは、機が来れば戻れるものだ。
魂を扱う術者、ネクロマンサーだのシャーマンだの、ロクな人格のやつを見たことはないが――
なに、ご勝手な神サマとさえそんなに仲良しなんだ、お前なら出逢えば仲良くやれるダロウサ!

【男が神父であることをからかうようにそう言って、けらけらと笑っている】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 23:27:28.17 ID:rz9MruLEo
>>189

神様と仲良し、とか勘弁しろよな! 冗談にもなりゃしねえ
それこそ、お前の言うとおり、価値観やら善悪観やら、全然人間と違うようなやつなんだからよ

【幽体となった経緯を話すとき以上に、青年は苦々しさに顔を歪めていた。神父にも関わらず、まるで神が嫌いであるかのようだった】

まぁ、そんなわけのわからないやつよりかは、ネクロマンサーだろうがなんだろうが、人間の方がよほどマシだぜ

【で、と言って青年の手が翻り、指先が男へと向けられる】

あんたはこんなところで何してやがったんだ? それこそ、幽霊が出るような廃墟だぜ、ここは

【冗談めかして言いながら、青年が首を傾げる】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 23:34:14.62 ID:g/UPoYMWo
>>190

なんだお前、神サマ嫌いなのか?
あっはっは、そりゃあいい。神を学んで神を嫌うのなら、そりゃあ誰も文句を言えまい。
理解して嫌うのなら、それは確かに正当だろう。

【そうして、なにをしていたのだ、という質問を受ける】
【笑みを浮かべたまま、男は口をつぐみ―――】


【ごおん、と。街の中心部から、低い音が大きく大きく響いた】


―――さてなあ。
なんだろうな。聞いても詰まらぬことかもしれんぞ。

【最早夜更け、廃墟の都市の暗闇の中】
【そう言った男の口が、まるで歪つな三日月のように歪んで、赤く浮かぶようだった】
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 23:46:53.07 ID:rz9MruLEo
>>191

【街の中心部からの異音に青年は目を細めた。笑みは消え去り、代わりに浮かんだのはいくつかの経験を積んだ暗殺者の顔だった】
【この青年は単なる神父ではなかった。その経験故に、異常事態に思える状況であればこそ、冷静さが表に出てきていた】

……こりゃあ、何かあるって風なのか?

【街の中心部へと顔を向け、男へと問いかける】
【振り返ったその瞳が男の歪つな笑みを捉える。神父はその笑みの意味を測りかねていた】

その笑いが、俺にとって悪いもんじゃなけりゃいいがな?
いつもなら、じゃあさよなら、と言ってるところだが、こりゃ聞いた方がいい感じだ

【笑みを浮かべながら青年は立ち上がる。何が起きても即応するために】

で、お前は何してたんだ?

【そうして青年は再び問いを繰り返した】

//あー、そろそろ明日に持ち越してもいいでしょうか?
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 23:49:22.82 ID:g/UPoYMWo
>>192
/もちろんです! 返しておくので、ゆっくりおやすみませい
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 23:54:33.55 ID:rz9MruLEo
>>193
//ありがとうございます
//ではまた明日に。おやすみなさいー
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/19(金) 00:14:05.09 ID:DeH17TbKo
>>192

【ぴくり、と目の前の青年の雰囲気の変化を感じ取る】

ほう。これはこれは。
やはり万事、捨てたものではないな。

【立ち上がる青年の、その身の置き方――間違っても、素人のものではなく】
【合わせるように、男もその長い手足から、無駄な力みを排した】

【再び、ずずん、と鈍い音。いくらかの振動を伴って、白く風化する街が、更にその姿を崩していく】

―――この街。いくらなんでも、古びすぎているとは思わんかね。
まあ、いいところ放棄されて10年から20年だろう。だと言うのに、まるで古代の遺構のようだ。

探査していた機関の先遣隊が、街の中央、地下深くに何らかの魔力反応を確認した。
何らか、この街の地下には常ならぬものがある。

そして、また機関の本の虫共が、今のこの街の状況を解き明かすヒントを見つけ出しおった。
古代伝承にある、『崩壊の宝玉』の伝説。
周囲すべてのものを風化させ、崩し、時の彼方へと運び去る――力有る魔具。

そいつを発掘する、そうでな。
俺はその番犬、というワケさ。

【本来機密事項なのだろうが、滔々と男は語っていく――】
【青年の佇まいに武の気配を感じたか、】
【味方でなくば、最早逃さぬ、とでも。意気揚々と闘いの口実を作るように、男は状況を説明した】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/19(金) 00:17:26.22 ID:wc6KcV/K0
【街中――児童公園】
【中心街から少し離れれば、暮らす人のための店屋や住宅が増えてくる。この公園も――おそらく明るい頃合いなら、子供たちの声でにぎわうのだけど】
【こんな時間となってはもはや通りすがる人さえほとんどいない。それでも――もしも誰かが通れば、その人影に気づくことは、特に難しくもなく】

――――――――……、

【真っ先に目立つのは携帯端末の明るい光だろうか、それから、これは煙草だろうか、小さく赤い光と――紫煙が揺らいで、いやに甘ったるいにおいがする】
【街燈は遠く、辺りは暗く。だけれどその人影が女であるのはすぐに分かるだろう。何より携帯の明るい光が顔や体つきを照らして見せていて――】

【――少し癖のある黒髪は肩まで届かないボブヘア、元から白い肌は無機質な明るさに照らされて、さらに白く映えて見えるよう】
【瞳はいやに鮮やかで宝石みたいな青りんご色のもの、ねこみたいにつんとつった形は、さっきから、ずうっと、手元の携帯端末に落ちていて】
【前のボタンが全部開けられた黒のコート、灰色のタートルネックと黒色のバルーンスカートと。足元はうっすら肌の透けるストッキングに、かかとの高いショートブーツ】
【座り込んだベンチに行儀悪く体育座りするような恰好だった、携帯電話を持つ手で一緒に膝を抱えて、もう片っ方で、時折煙草の世話をしてやり】

――、はあ、

【そしてもし誰かがこの場所に訪れるなら――公園の入り口。こんなご時世だからかいろいろずらずらと禁止事項が並べられた看板の中】
【とくにいっとう目立つ場所に赤色で「火気厳禁」「喫煙禁止」「花火禁止」……そういった文字が書かれているのだけど。まったく気にしないそぶりのまま】
【甘い甘いにおいのする煙をあたりに散らしていた、――ひどく退屈げに、あくびを一つして】
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/19(金) 16:25:57.52 ID:UJ1FExfio
>>195

【『宝玉』──その言葉は、知識深くない者でさえ聞き及ぶ特別なものだ】
【効力は様々。能力や魔術を強化するような、人間で扱えるものから、ときには人身では到底不可能な事象さえ可能にさせる比類なき至高の物質】
【それは今回のように、単独で周囲の環境を激変させてしまうことさえある。それがこの街にあるというのだ】

……そりゃあすげえな

【それなりの経験があるといったが──しかし、宝玉と出くわす経験はそこにはなかった】
【思わず神父の声は上ずっていた。これが生身の肉体であれば冷や汗の一つも流していたことだろう】

【状況を理解した上で、青年は思考を纏め上げる】
【目の前の男は機関といった。この世界でその通称で呼ばれる組織は唯一つ。そこに宝玉を明け渡すことの意味も理解していた】
【その上で、青年の身体からは力が抜かれ、口元に笑みを作ってみせる】

面白そうだ、一枚噛ませろよ
どうせ、単に「はいさよなら」とはいかないんだろ?

【そう、青年はおどけるように言った】
【元より世間がどうなろうとも、彼にとってはどうでもいい話。彼自身の利益のみが重要だった】
【さらに言うならば、元々は機関の構成員だ。ここ最近は貢献していないので繋がりがあるかと言うと微妙なところだったが】
【いずれにせよ、明確に敵対する理由はなかった。秘密保全のために男が襲い来るならば、迎撃せざるを得ないが】

//お返しいたします。今日はこの時間以降は通常通り行えますのでー
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/19(金) 21:37:11.66 ID:H5a/VwsTo

【水の国、路地裏】


『はっ、はっ、は、──ッ!!た、助けて、誰か!!』


【──小太りの男が、恐らくは彼の人生で最も必死に、逃げている】
【怯え惑う彼の声も、此処の住民にとっては小鳥の囀りと大差はないのだろう。差し伸べられる手はない】
【息を切らし、脚はもつれ。遂に彼は勢い良く路地裏に転び、“追跡者”達に挟まれる形となった】

「良かったなァ、ええ運動になったやろ。」

『た、頼む、み、見逃してくれ、……か、カネなら幾らでもある!!
 ほら、これを受け取れ!!た、足りなければ、後で必ず──!!』

【向かって前。路地裏の奥から迫る金髪の男に、震える手で懐から出した札を放り投げる】
【メタリックフレームの眼鏡を手に持った電燈に光らせながら、男はそれを拾い上げ】

「おぉ、おぉ。何やこれ。鼻紙にしては質悪いで。こんなんケツも拭けん。
 オッサン、金持ちって嘘やろ。何や知らんけどエラい服も汚れとるし。
 ──なぁ、こんなん要らんわな。それか、何に使うモンか知っとるか?」

【呼びかけられた反対側──丁度、路地の入口の方向──の追跡者は、金髪の男よりは若い】
【黒髪の、まだ青年と言える程度の外見年齢。渋い顔で、肯定も否定もせずに、小太りの男へ歩み寄る】

……趣味が悪いです。早く連れて行きましょう。人が来る。

『や、やめろ、来るな!!』

【金髪の男も、路地の脇で死んだように動かない浮浪者の胸元に札を突っ込み、震える男へと歩み寄って行く──】
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/19(金) 22:22:55.47 ID:5VS4nlbq0
>>198

【――ちいさな音がした、こつん、と。それは街中であれば意識にも上らないほどの足音、何の変哲もない――強いて言えば女物の、高いかかとのもの】
【しかし、こういった路地裏であればどうだろう。もとよりまっとうな人間であれば近づかない、店に属さない一匹狼の娼婦などがうろつくこともままあるが】
【"こういう"あからさまな場所に出て来るほど彼女らもたいがい馬鹿ではない。それならば、こつ、こつ、そんな足音を響かせて歩いてくるのは】

――――何をしているの? こんな場所で鬼ごっこ――?

【路地裏のより深い方からではない、黒髪の青年が立つ方――投げかけられる声は、どこか金属質な響きを持つもの、たとえるなら、櫻の鈴の音に似ていて】
【高く澄んだ声音はやはり女のものだった。それどころか少女らしいとまでうかがわせ――やがて暗がりから姿を現すのも、あるいは予想通りともいえる、あどけなさ】

【肩ほどまでの黒髪、頭を飾るヘッドドレスはフリルとレースの花をあしらったもの、首元で結わえられたリボンはその胸元まで尾っぽを伸ばして、揺れて】
【透き通るように白い肌は寒さにか頬と鼻の先が赤くなっていた。瞳は左右で色の違うもの、黒色と、赤色と――あどけなさを残す顔は、それでも、相手を責めるような表情】
【深い赤色のワンピースは細やかなレースをふんだんに使ったもので、重ねた黒色のオーバースカートが、彼女――"少女"の動くたび、上等の布であるのを示すように踊り】
【羽織っているのは腰より少し長い丈のケープ、足元は真っ黒のタイツと、それからやはりかかとの高いショートブーツ――路地裏には不釣り合いな、こぎれいな恰好】

――ごきげんよう。まだ節分には、ちょっとだけ早いよ?

【――ひどく華奢な少女だった、何よりこういった場に居る人間にありがちな隙のなさというのも薄く、警戒しているようだが、敵意も殺意も、まだ見せてこない】
【顔は笑って見せても目までは笑っていない。けれど――何か得物を隠し持っているという様子もなく、見てくれだけで言えば、本当に、ただの、少女のようでしかなく】

【だけれど、もし彼らが"それ"を知ってさえいれば――この少女がとある組織と関係していることは、全く隠されていることでもなく】
【"知っている"というのも――数年前にあったとあるCM。UNITED TRIGGER――風の国の正義組織が流していたCMに映されていた、それを見ていたか、どうか】
【知らねば特に意味はない。知っていたなら――あるいはその笑顔の意味も違って見えるのかもしれないけれど】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/19(金) 22:44:48.60 ID:H5a/VwsTo
>>199

……ほら。どうするんですか。

【少女に話しかけられるよりも早く、耳に響く足音に、青年は恨みがましい顔でため息をついた】

「先行っとけ。オッサン、抵抗したら脳揺らすで。」
『な、何を──おおッ!?』

【金髪の男がくるくる、と、頭の横で指を回す。ダブルミーニングのハンドサインだ】
【それは、少なくとも彼が、“彼女”のことを知らない、ということを示し、その“笑顔”が危険なモノと認識していることを顕す】
【──青年の方は振り向かぬまま、小太りの男を掴み、回転するようにして背負い上げた。訓練を受けた者の背負い方だ】

「なァ、お嬢ちゃん。悪いことは言わんからウチ帰りや。
 ついでに言えば、今見たことは忘れた方がええやろなあ。」

【男を背負った青年は、路地の奥へ駆け出す。それほど速度は早くない。追いつくのは難しくないだろうが──】


 「“言ってる意味”、分かるやろ?」


【少女の目の前には、金髪の男が、少女と同質の“笑顔”で立ち塞がっている】
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/19(金) 23:19:27.84 ID:5VS4nlbq0
>>200

【――無視されている。真っ先にそう考えた、第三者が現れたことを――少なくとも、黒髪の青年は、振り向くことさえない。それで、済むという認識がある】
【人当りのいいように笑っていた口元ががふっと表情をなくす、そうなれば、必然的に表情そのものも――ほんの数秒、真顔、あるいは無表情のようになって】

お家だなんて帰らないよ、夜更かしでお散歩がしたい気分なの、それにこんなにお月さまが細いから――、暗いところって好きなんだ。

【もう一人。金髪の男の方は――話すつもりがあるんだなと思ってもう一度笑う、顔を見られているなら、そちらの方が友好的だろう――という、それっぽちの意味だけど】
【空っぽの両手の指先を身体の前で絡める、それでわずかに冗談めかせて――今度は声を漏らして笑う。そうすれば余計に声音は鈴に似て、よく目立ち】
【――遠く空にあるのは、確かにひどくうすぺらい月だった。街明かりの届きづらい路地裏では余計に暗いのだろうか】

――ううん、だけど、ごめんね? わたし、ついこの間、いろんなこと思い出したばっかりで……その、また、思い出がおかしくなっちゃうのは、

【「今見たことは――」「"言っている意味"」】
【金髪の彼の笑みに少女は少しだけ困ったように眉を下げる、絡めていた指をほどいて片手だけを口元にやる、ううん、と、小さな唸り声、何かを迷うよなふりをして】
【視線が、走り出した黒髪の背中を追いかける――そこまで、少女は、姿を見せて立ち止まったままの場所から、動こうとはしなかったのだけど】

ごめんね、そういうのって、あんまり何度もやるの、大変だから――、ね!

【――唇触れさせていた指を離して、それで、ひらりと相手の方へ向ける。動作は色気のない投げキスに似るもの、だけれど】
【その"結果"は全く違ったものになる、――瞬間、ぶわりとあふれ出すのは魔力の匂い、それから、無数の魔力片――うすらと桜色に光るもの、実際の桜吹雪にも似て】
【攻撃としての意味は全くない。本質は目隠しで間違いがないだろう、淡くとも光るものが急に現れるなら、もし彼らの目が暗闇に慣れていたら、実体以上に眩く見えるやもしれず】

――――――ッ!

【がつん!と甲高い足音は少女が明確に動いた目印でもある。だんと強い踏み込み――それで駆け出すのは、黒髪の彼を追いかけるための動作なのだが】
【音は黒髪にも金髪にも届くだろう。魔力片の範囲は狭いが、密度が高い。少女を見失えば、その足音がどちらに向かおうとしているのかは――】

【――もくろみ通りにうまくいくのなら、少女はそのまま金髪の男の横をすり抜ける形で、黒髪を追おうとするのだろう】
【足は思ったよりも早い。だけれどほんの一瞬、すり抜ける一瞬――ひどく近い距離で、無防備な背中を見せることになって】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/19(金) 23:26:26.23 ID:DeH17TbKo
>>197

【片眉を上げた】
【それは、神父らしき青年が、機関という名前を出しても――】
【リラックスした様子を見せ、またかつ一枚噛ませろ、と言ってきたことに対して、だ】

――なんだ、お仲間かよ。
またぞろ手練とやりあえるかと思ったが――望みは薄そうだな。

【そういいながら、ぱ、ぱ、と妙な拍子で手を動かした】
【機関に属する者たちに、長らく伝わる符丁――もし青年が機関に属していたことがあるのなら、その応答は自明だろう】

/大変おまたせを! 仕事の終わりがこのくらいの時間のことがありまして。申し訳ないです。
ちなみに『符丁』は、応えた、という表現をしてくだされば機関員を示す応答として扱わせていただきます。
偽なら適当に戸惑うがいいよ!
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/19(金) 23:52:06.27 ID:H5a/VwsTo
>>201

【桜吹雪が金髪の男に襲いかかる──元よりの警戒から、無防備で受けることはなかったが】
【腕で視界を覆う間に、高い音が響く。少女が彼の脇を抜けることは妨げられず、黒髪に迫るだろう】
【少し手を伸ばせば、その背を捉えることも叶おうかという距離にまで詰まったところで──】

「──あァ、成る程。そういう事するんや。」

【──後方から伸びて来た“腕”のような何かが、彼女の足元、コンクリートに叩き付けられる】
【同時に、接地点を中心に地響き。そして、バランスを取らねば転倒の危険もあるほどに路地が罅割れる】
【青年の方は、金髪が“こう”することも織り込み済みだったのだろう。若干速度は落ちるが、振り向きもせず駆けていく】

「残念やなぁ、忘れてくれたらこっちも忘れたのに。
 忘れてくれんのならどないしようか。──まぁ、同じこと何回もやるの面倒臭い、っていうのだけは分かるわ。
 一回こっきりで全部終わる方法、どっかにあればええんやけどなぁ──、」

【滔々と語る金髪の男には、その両肩から二本の腕が生えている】
【まるで仏像の腕のような、木彫りのそれは、彼の身の丈に余る長さだった】
【恐らくは、それが“伸びて”、“足元を破壊”したのだろう、と分かるだろうか──“能力者”だ】


「 あっ、そうや。 殺せば解決やね。」


【眼鏡の下で、双眸が獰猛な色を帯びると、再び二本の腕が少女の方向へ伸ばされた】
【それこそ、腕を振るうような疾さで──1度目は“警告”、2度目は“攻撃”。真っ直ぐに、彼女の背中へと迫る】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 00:29:15.20 ID:B89H3KDr0
>>203

【がつ、ごつ――そういう足音がうるさくうるさく響いていた。黒髪には少女が自分だけを狙って追いかけているのはすぐに分かったろうし】
【金髪の男にも――"自分"をすり抜けていったことでばれるだろう。ならばあとはほんの一瞬の話だった、追いついて――その足を止めさせる】
【走るために作られていない靴はそれだけ動きづらいもの、だけれど、これなら――刹那に過った思考は、けれど、次の瞬間には、ひっくり返されることになる】

――――、ふ、わっ!?

【あるいは文字通り少女ごとひっくり返る、――ただでさえ不安定なのを無理強いして走っていたのだから、その地面が確実でなれば、あるいは当然、としか言えないもの】
【ひび割れた地面に足を取られたのだろう。少女の身体はあまりに簡単にバランスを崩して、転ぶ――せめて無様でないように取った受け身は、あまり上手ではなかったけれど】
【転んだまま転がるよりはずっと上手に起き上がる――刹那に顔ごと黒髪の方に振り返るのだけど。こうなってはもう追いかけていられないと悟ったか】
【あどけない顔の表情をうんと鋭くして金髪の方に向き直る。転がって身体を起こし立膝の姿勢から、しゃんと立って――】

……どうするの、お兄さん。逃げちゃったじゃない――、だけど、分かってくれて、嬉しいな。
分かってくれて嬉しいけど――、そのまま行かせてくれたなら、もっと嬉しかったのに。

【――それで、少女はひとまず黒髪を追いかけることを諦めたようだった。柔らかい布地のスカートを数度叩いて、土ぼこりを落として】
【彼がおそらく異能の腕で打ち据えた場所、ひび割れる地面からわずかに距離を取るよう、ひとつ、ふたつ、小さな歩幅で後退しながら――軽い仕草で、右手を持ち上げ】

お兄さんこそ……これからあのひとの逃げる場所、しゃべりたくって仕方なくなっちゃうと思うけど、大丈夫?

【つう――と指先で撫でる空間に色合いが乗る、まるでインクで描くように記されるのはけれどただの線でしかないもの、淡い桜色――おそらく彼女の魔力の色が、これなのだろう】
【やがて人間の稼働する範囲として不自然でない程度にまっすぐな一本が出来上がって――すぐにぷつり、ぷつり、と途切れだす、ぐるりと一度渦巻いたなら】
【広げた手のひらの親指の先から小指の先ほどの蛇が形どられる。魔力でもって作られた蛇は、ちょうど伸ばされる腕を避け交差する形で、相手へ――空中をしゃっと走り抜け】
【小さな口――だけれどそのサイズの範疇では鋭い牙で以って彼の身体に噛みつこうとするだろう。数は七か八か、威力は低いが、齧りつかれればなかなか離そうともしない】

――――!

【――それらの結果を見ないで、少女は、そのまま後ろに大きく飛びずさる。腕は避けて、けれど、地面でこすれた靴のヒールががりがりと悲鳴をあげて】
【着地の瞬間にしゃがみ込んだその位置で刹那止まる、――その手は靴に触れて。ほんの一瞬、相手の様子をうかがうように、黙り込んだ】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/20(土) 00:50:06.30 ID:kIvIk8I3o
>>204

【──腕の形状であるからして、打点は掌、即ち“点”。決して、大きいものではない】
【飛び退った彼女に避けられ、勢い余って路地の壁に激突。壁を揺らし罅を入れ、埃を舞い散らせた】
【目を覚ました様子の浮浪者が、慌ててこの場から逃げていく】

「おうおう、正義の味方の割にはゴロツキみたいな事ほざく嬢ちゃんや。
 その減らず口、思いっきりブッ飛ばしたるのが楽しみになってきたわ。
 ……それにしても、どっかで見たことある顔やなァ。どこやったか──ぁッ!?」

【改めて、此方を向いた少女の顔を認め、男は呟く。──記憶力は悪くないが、思い出せない】
【会ったことがないのは確かだが、服装も含めて、どこかで見かけた気分にはなる】
【その一瞬、虚をつくように飛来する“蛇”。その小ささと、舞い散った埃が反応を遅らせる】
【丁度、蛇が噛み付いたのは脇腹。二本の“腕”は、壁に突き刺さったまま動かない── 一瞬、男に隙ができた】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 01:06:39.53 ID:B89H3KDr0
>>205

【――じい、と、小さな音がした。彼女の手元から――だけれど、それは、攻撃のためのものではない、きっと彼にも聞き覚えのある音だ、チャックをおろすような】
【それから少し遅れて再び立ち上がった少女は、けれど、一瞬かがむようにして――するり、と、当たり前であるように靴を脱いでしまう、ほとんど素の足で立ち】

正義の味方――? 気のせいだよ、だって、わたし、ただの給仕さんだから――お料理を作るの。それがお仕事、

【ゆっくりと頭を持ち上げれば、長い前髪が刹那だけ顔を隠しこむ。やがて髪の隙間に見えるのは、右の瞳――まるでそのまま血を透かしたように赤い赤い瞳が】
【ひどく冷たい温度で彼を見据えていて――その目。あるいは彼のようなひとであれば気づくのだろうか、"こんな場所"にこそ似合うモノの目、正義とは対局にあるような】
【けれど頭を持ち上げきって浮かべる表情は笑みであって、そのころにはぞろりとねばこいような冷たさもなかった。その両手にはブーツを、ここが浜辺であるかのようぶら下げ】

どこでだろ? ヒントはね、結構有名なところだよ――ッ!

【一瞬振りかぶる仕草。それから続くのは投擲であるはずで――実際、そうだった。たった今脱いだ靴を振りかぶった少女は、そのまま、相手の方へ――二足とも、投げつけようと】
【狙いは正確ではない、何よりただの靴であるから動きも直線的。投げるためのものでないから、当然うまく飛ぶはずもない――なら、それ自体はおとりでしかなく】
【まるで要らないものをそのまま投げつけたという様子で――そしておそらく本当にそうなのだろう。そのまま手のひらを相手に向けて、一瞬の間】

【ざわ――とまた魔力があふれて。最初にそうしたような魔力片が少女の周りに浮かび上がる――けれど、まだ何も起こらない、彼にできた隙は回収されることなく】
【その代わりに自分の準備をするために使う、使われる――かすかに水の匂いがした。路地裏のどぶ臭さとは違う、山奥で、今まさに湧き出たような、清い水の匂い】
【――そして。彼が最速で動くことができれば、"何か"される前に、"何か"することも、十分可能であるように思えた】

/申し訳ないです、明日朝が早いので、一度凍結をお願いできますでしょうか?
/明日は来られるのが9時ごろになるかと思うのですが……
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/20(土) 01:08:46.04 ID:kIvIk8I3o
>>206
/了解ですー、お返ししておきますので、どうぞお先にお休みくださいませ
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 01:09:52.08 ID:B89H3KDr0
>>207
/ありがとうございます! ひとまずお疲れさまでした……!
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/20(土) 01:35:52.56 ID:kIvIk8I3o
>>206

【脇腹に噛み付いた蛇は、それほど痛みを持ち合わせるものではないにしろ、戦闘の妨げにはなる】
【数瞬、手で引き剥がすべきか逡巡するが──先程の桜吹雪と同じく、無害な魔翌力であると即断はできない】
【伸び切った両腕を引き戻し、その片方で以って叩く。何事も無ければ、落とすことには成功するだろうか】

「……あァ、確かに今のは間違いやった。そんな眼できるんは、“こっち側”の人間だけや。
 お前みたいな人間置いてるトコ、碌なモンでもないか、“ありすぎる”かどっちかやろ。
 どっちにしろ、死んでも関わり合いになりたないわ。」

【両腕を引き戻したワンアクションの無駄が、飛来する靴を叩き落とす機会を与える】
【二本の腕が再び伸び、靴を叩き落とす──何の変哲もない素材ならば、掌に触れて弾け飛ぶだろう】
【だが、それは悪手でもあった。牽制にすぎないそれは無視して、“彼女自身”を狙うべきだったのだろう】

「(早よしろや。流石に“これ”を無傷で済ますんは無理あるわ。)」

【最早、二本の腕が彼女を捉える暇はない。最速でも、“何か”を先に為すのは、彼女の方だった】
【男には、それを確信できる。五官にまで作用するなど、どう考えても規格外の魔翌力だ】
【しかし青年からの連絡は、まだない。そうだとすれば、此処で対処する必要がある】


「── この、“蛇”が。」


【忌々しげな表情と共に、呟く。彼女の紅い瞳と、獲物を定めるような緩やかさは、人外の爬虫を思わせた】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/20(土) 14:40:01.70 ID:RUZFwV+vo
>>202

【男の暗号に合わせて青年も応答用の動きを手で作ってみせた】

なんだよ、案外用心深いな

【暗号を用いて確認を取る、という行為がどうにも似合わないように思えて、思わず青年が笑みをこぼす】

それで、これからどこに言って何をするんだ?
俺は見てのとおりの身体……いや、身体じゃないが、状態だ
案外、役に立つと思うぜ

【そう言って身体を動かさないままに、ふよふよと空中を漂ってみせる】
【これから相手の指示に従うことになるだろうから、自分に何ができるか知らせておいた方が得だ、という考えだ】

//すいません、昨日のその時間はもう寝てしまっていて……
//またお返しいたしますー
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/20(土) 15:32:00.87 ID:PZAyOXF1O
>>133
【彼女がお茶に付き合ってくれる、と返事をすれば】
【にこりと柔和な笑みを見せてその手を取り、歩調を合わせて表通りへ】
【隣に立って歩くと、その身長――それに手の大きさや、体格】
【そういったものに恵まれた人物であるとも分かるだろう】
【先程の手刀といい、格闘技に向いている、或いは経験者らしくも思えて】

――さあさあ、なんでも頼んでくださいな!

【10分ほども歩いただろうか。辿り着いた先は和風の喫茶店である】
【名は「絶佳」。櫻の国の茶屋をイメージしているのか、緑茶やお団子が主力商品らしい、が】

【その一方で普通にコーヒーや各種のフラペチーノ、お菓子で言えばスコーン等も提供しており】
【客の入りもそこそこであるのを見れば、どれも味は信頼できるらしい】

【周囲の人目を引きながらも気にせず席についた女性は、といえば】
【早速暖かな緑茶とあんこのお団子を三本ほど注文しつつ、目の前の彼女にも注文を尋ね】

ふふ。それにしても、先程は本当にありがとうございました
ああいった場所に立ち入る事はあまりないものでして、気付けば取り囲まれてしまい……
……そういえば、お名前はなんと云うのです?私の名は……

【「鬼灯 葵」と、そう名を名乗る。やはり櫻の国の出で、行者として世界を回る旅を続けており】
【2つ年下の妹が居て、とまで語ったところで喋りすぎたかと照れたように謝りながら】
【改めて、相手の名を尋ねた。その視線は好奇心に溢れていて、名前以上のことも聞きたそうに思えた】
212 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/20(土) 16:12:23.76 ID:AS3APw7Z0
>>181

【放たれた超高熱弾、上空より迫撃する戦斧。遠近の多重攻撃を時間差で行うこの戦術】
【それなりに研ぎ澄まされてはいる物の―――矢張り相手は"英雄"の名を欲しいが儘にした剣士だ。】
【与えられた状況を素早く察知し一段上の対応、何方も回避できれば問題ないというシンプルな回答で返される。】

『―――っ、速い……! まるで人間の動きとは思えんな!』

【穿たれた壁がプラズマでドロドロに溶けて破砕、そして一秒前まで剣士の"居た場所"に振り下ろされた斧が】
【蛻の殻になったコンクリートを鋭く抉った。どちらも熱を帯びているが故に単純な物理エネルギーを凌駕する破壊力である。】
【コンクリートはバターをナイフで掬った様に綺麗に剥がされ、切り口からは"ジュウ"、と煙が上がる―――命中すれば酷い事になるだろう。】

『だが……どこまでその速度を保てるかな!』

【両手で弾丸を撃ち放った"狙撃手"が、残弾が無くなりサイドの充填<リロード>を開始。】
【だがその隙に、狙撃手目掛け接近を試みる剣士に対しアルファが反応、斧を展開しているのとは別の腕で】
【予めチャージしてあったプラズマ弾を発射、狙撃手は防御手段を持たぬ為に短刀で顔面を切り裂かれる事にはなるが】
【矢張りそこはロボットの兵士たち、"痛み"も"死"も感じない彼等は一体を犠牲にしても着実にダメージを与える戦術で責め立てる】

「―――此方"ブラボー"、全員弾丸のチャージが完了。指示を。」

≪―――同じく"チャーリー"、近接兵装を展開済み。攻撃の合図は?≫

『アルファだ。慌てるな、此方は多数、向こうは一体……狐狩り<フォックスハント>は慎重にやらねばな。
 ブラボーは建物上部にて待機、チャーリー、出番だ。奴と私を囲う様に街区を移動、そのまま一気に近接攻撃で仕留めに掛かるぞ。』

【アルファが弾丸を撃ち放ち、暗号回線で仲間―――建物上部にいるブラボーと、付近に待機するチャーリーに指示を出す。】
【指示役にもかかわらず最前線に立つのはこれが目的だ。恐らくは剣士もアルファを最初に叩こうと動くはず、そうして注意を逸らせば】
【バックアップの五体で隙をついた攻撃が可能、更にはそれすら跳ね返すならば建物上部に配置済みの"ブラボー"が一斉に射撃を開始する算段だ】

【だが、戦術としてはある種定番とも言える―――剣士がどこまで機械兵達の意を読み動けるか、そこに全てが掛かっていた。】
【同時に、破損していた付近の車から途切れ途切れのラジオ音声が漏れだす―――注意深く耳を傾けているなら、その音が聞こえるだろうか。】
【『……の国に……襲撃事……、軍とUN…… GERは共……を組むことで……同意、……は既に立案……市街への突入は間もなく……人員の救助を優先……、』】

『心配には及ばんよ、剣士……貴様も殺すし、貴様のバイト先も吹き飛ばしてやるのだからな!』

【アルファが吠える、さあ残された時間はどれほどか―――!】

/お返事返させて頂きます。遅くなってごめんなさい。
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 19:53:06.76 ID:/fttXoy50
>>209

【異能の腕によってはたかれた蛇は、一瞬ぐうと口に力を籠め、ぶら下がり続けようとしたのだけれど――やはり力の差にはかなわず、ぼとりと地面へ落とされる】
【そして地面で数度のたくれば――さあ、と、尾の先から形は崩れて、やがてただの魔力の残滓になり、そして消え】

――――――、セリーナを馬鹿にしたの? 

【――その時に、ふと、声音が変わったのに彼は気づくだろうか。どこか鈴の音のように涼やかだった声は、その刹那に、抜き身の刀のような。ひどく褪めたものになり】
【笑んでいるのは同じでも、さっきよりずっと、ずっと、冷たく、強く、色濃く笑う――最後にくす、と、喉を鳴らすような、小さな笑い声を鳴らして】
【そして、それが、答えでもあった。セリーナ――その女性の名前は、ほぼ必然的にとある"組織"の名前を連想させる、あるいは彼らが、ごく最近に訪れた異世界人でもなければ】
【ひどく有名な名前だ、そしてその名前を思いつくことができたら、あるいは彼女のことも思い出すのかもしれない、――その"組織"で、孤児のために無料で食事を作り、振る舞う】

【そんなCM放送があったのは、もう何年も前のことになるけれど――そのCMに映されていたのは、まさに"この少女"で】
【ただおかしなところがあるとしたら――そのCMから何年も経っているはずだのに、この少女はそれからほんの少しも変わらず、成長していないようだったが】

【――――彼の異能によって弾かれた靴が、そのまま文字通りに弾け飛ぶ。それをみとめた少女は、ほんのわずかに目を細めて――思い返すのは】
【一撃目。地面が粉砕され、地面が揺らされるほどの威力があった。二撃目。壁にめり込んで、少しの間動けないほど――そして今。普通なりに脆くない靴が、たやすく壊され】

わたしが蛇に見えるの――? お兄さんこそ、その目、……ろくでもないんじゃない、かなッ!?
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 19:54:02.12 ID:/fttXoy50
>>213
/わーごめんなさい!シフトハマっちゃって途中送信です、推敲前なので完全になかったことにしてください……申し訳ないです!
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 20:15:23.61 ID:/fttXoy50
>>209

【異能の腕によってはたかれた蛇は、一瞬ぐうと口に力を籠め、ぶら下がり続けようとしたのだけれど――やはり力の差にはかなわず、ぼとりと地面へ落とされる】
【そして地面で数度のたくれば――さあ、と、尾の先から形は崩れて、やがてただの魔力の残滓になり、そして消え】

――――――、セリーナを馬鹿にしたの? 

【――その時に、ふと、声音が変わったのに彼は気づくだろうか。どこか鈴の音のように涼やかだった声は、その刹那に、抜き身の刀のような。ひどく褪めたものになり】
【笑んでいるのは同じでも、さっきよりずっと、ずっと、冷たく、強く、色濃く笑う――最後にくす、と、喉を鳴らすような、小さな笑い声を鳴らして】
【そして、それが、答えでもあった。セリーナ――その女性の名前は、ほぼ必然的にとある"組織"の名前を連想させる、あるいは彼らが、ごく最近に訪れた異世界人でもなければ】
【ひどく有名な名前だ、そしてその名前を思いつくことができたら、あるいは彼女のことも思い出すのかもしれない、――その"組織"で、孤児のために無料で食事を作り、振る舞う】

【そんなCM放送があったのは、もう何年も前のことになるけれど――そのCMに映されていたのは、まさに"この少女"で】
【ただおかしなところがあるとしたら――そのCMから何年も経っているはずだのに、この少女はそれからほんの少しも変わらず、成長していないようだったが】

【――――彼の異能によって弾かれた靴が、そのまま文字通りに弾け飛ぶ。それをみとめた少女は、ほんのわずかに目を細めて――思い返すのは】
【一撃目。地面が粉砕され、地面が揺らされるほどの威力があった。二撃目。壁にめり込んで、少しの間動けないほど――そして今。普通なりに脆くない靴が、たやすく壊され】

わたしが蛇に見えるの――? お兄さんこそ、その"目"、大丈夫?

【だけれどただ少しだけ嬉しそうに笑ったのはなぜだったろうか――ぴたん、と、場に響くのは、ひどくかすかな水の音。けれど、聞き逃すほどの油断を、相手はするはずもない】
【ざあとあふれかえっていた魔力片が、その音をきっかけにしたようにぐるりと変貌る、淡く桜色に染まった水――卵ほどの大きさの水球、それも中に"銀の鈴"が浮いた、異質なもの】
【それらは次の瞬間に少女のしぐさ――指さきで彼を指し示す――に合わせ射出されるだろう、それは一見水で形作られたレーザーのようにも見えたのだけれど】
【本当によく見れば、さっきの魔力蛇と同じ形――つまり蛇の形をしていた。それらが、鈴の音をりんと引いて――彼へ突撃していくのだろう】
【数はあったが、狙いはつけられていない。元から彼に当たるはずもない軌道がほとんどで。素早いが動きは直線的で、ほんの些細な衝撃で"壊れる"ほどに、脆い、――だけれど、】

【その蛇を構築する水――彼女の魔力片から現れて桜色に染まるもの。それが今度こそ無害であるとは思えず】
【なにより実態は酸性の液体――すぐひどい傷になるほどのものではない、けれど、好ましいものではないことだけは、確実で】

【――そして、もう一つ確実なこと。それは少女に生まれる一瞬の隙だった、水蛇の射出の直後から、わずかの間】
【あるいは――戦い慣れていないとも思わせるのかもしれない、様子を伺うよりはもっと真剣に、ただ、どうしても――その結果を確かめてしまいたいみたいな、間が、あった】

/いろいろなものが繰り上がったので少しお早目にお返ししておきます、途中送信すみませんでした! こちらが本物です……
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/20(土) 21:04:01.69 ID:kIvIk8I3o
>>215

【伸び切った二本の腕。面で放たれた蛇の雨は、その何れかが、彼に直撃する筈だった】
【だが、】


「 …… ガキに本気出すんも大人気ない、と思ってたが。 」


【──、彼の両肩から更に二本ずつ。都合、“四本”の腕が更に現出する】
【即座にお互いの腕が伸び、絡む。目にも留まらぬ間に即席の“盾”を形成し、彼を酸から守る】
【恐らく、彼は“残していた”。意図的に二本の腕のみを使用し、引き出しを開けずに居たのだろう】

【酸に接触した腕の表面は、しゅう、と音を立てて灼ける。しかし、それは飽くまでも“能力”で形成された腕】
【彼の身体に苦痛を与えることはない。精々が、能力を維持する力を減衰させた、という程度か】
【無論、無意味ではない。──これが長期戦ならば、防戦を強いたことはアドバンテージだ】


「“UT”なら別やわ。ガキも女も関係ない。本気でやらなこっちが死ぬからな。
 ──何、心配せんでもアバラの二、三本折れるだけにしといたる。
 さっきのオッサンの顔思い出しながら、ベッドの上で明日の新聞でも読んどけや。ええ勉強になるわ。」


【しかし、彼の方にその気はない。──伸び切っていた二本の腕は、その分、戦線を侵食している】
【数メートルも離れていないだろう少女に向かって、今度は獣が駆けるような速度で迫る──!!】

【──尤も、その腕に彼女が対処するにせよ、しないにせよ。到達の直前で腕は停止するだろう】
【それと同時に、彼女の耳には、男の胸元から発せられる“バイブレーション”の音が届く筈だ】

/お待たせしました、本日もよろしくお願いします
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 21:39:38.66 ID:/fttXoy50
>>216

――――――っ、!

【――撃ち出したのはまさしく酸の雨だった、これだけ数を出せば"弱まる"ことは分かっていながらも】
【それでも、特にこの狭い路地裏では弱くとも広いことは別の意味を持つ、そしてそれが時として狭くとも強いものより優れることも、あるいは知っていた】
【だから――彼の肩口から伸びた、別の腕。異能によるものが、"まだあった"ことに、少女の目はぐうと丸められる、元から丸いのが、もっと――うんと、丸くなり】

【その直後に、ぐっと細められる。腕は二本であるはずだという思い込みにようやく気付いて。それから、すべての水蛇をしのがれたことに気づいて】
【苦虫を噛んだような顔――たった今この瞬間に追撃をしていれば、あるいはもっといい状況になったかもしれない、なんて、すでに手遅れでしかない後悔と】
【半ば無意識のように利き足――右足を少しだけ後ろに下げる、少しだけ動揺したような顔は、やはり、甘い。全くの不慣れではないが、歴戦ではありえない様子を見せて】

っ、だれが――、ベッドで寝転がるのはお兄さんだよ、だけど、お兄さんの場合は、全身やけどかな――、って、思うけど!

【ぎゃん――と迫る異能の腕に、少女は今度こそ意識的にもう片方の足も後ろに下げる、合計一歩の後退は、その範囲から抜け出すには、あまりに少なく】
【ならば打ち据えられるのが当然であるように思われた。こう接近された間合いは苦手であるように思えた、――今まで彼女が選んでいたのは、中距離の位置ばかり】
【だからそこが好ましい――はずだった。――だけれど、何かを隠していたのは、どうやら彼だけではなかったようで】

【その手元でぎらりと暴力的なまでに光るのは魔力の煌めき、変わらず桜色ではあったが、瞬きするより早く伸び、次の刹那には、その手に櫻の刀が握りこまれている】
【刹那周りの空間に溶け込むかと思うほどに美しい刀身はけれど次の一瞬にはあの桜色の水を纏っている、ならば性質もある程度予測できるようで――】
【――ざん、と、逆袈裟に振るおうとするだろう。異能の腕が自らの眼前で止まるのだとしても、それを見切れるだけの技術は彼女にはなく】
【なによりその構えというのも"なってない"ものだったのだけど。とにかく――強い酸を纏った刃は、その腕を切り落としてしまえとばかりの鋭さで以って、振るわれ】

【――――その瞬間の、爛とした目。それはやはり、"そちら側"の】

【――彼の胸元で鳴く音。それに気づいているのかいないのか、どちらにせよ――直前で腕が停止するのなら、"してくれる"のなら、おそらく彼女はそこに立ったまま、一瞬の間】
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/20(土) 21:56:15.23 ID:Sk5KTC0qo
>>210

【青年が動かすその手の動き、たしかに間違いのないものと認め――】

あーあー。
マジでお仲間とはな。
せっかく楽しく殺り合えそうだったんだが……
ま、機関員の殺傷は契約違反だ、たとえ幽体といえどもな。

仕方ねえな、諦めるとするか……

【そういって、心底残念そうに、槍をぶん、と振り回した。――いつ、手に握ったのか】
【どこまでも黒い、やや不吉な印象を抱かせるような、槍】

これからどこに行って何をするか、か。
残念ながら発掘作業が終わるまで、この街をぐるっとひと回りして終わりだ。
何もなければな。全くつまらん任務―――ん、少し待て。

【仲間とわかるや、戦意は霧散している。男は懐から携帯端末を取り出して、電話に出た】

――ああ、ガイウスだ。
……ほう。予測はしてあったのだろう?
………ほう、ほう。成程な。

【そうして、会話しながら、ニヤリと笑みを作る。青年へ悪巧みするような笑みを向けて――】

わかった。『スプリガン』が出たのだな、すぐに発掘現場へ戻る。

【スプリガン。古代の遺跡から稀に出現する、盗掘者を排除するための魔導ゴーレム――その名を告げて、電話を切る】

喜べ神父、運動不足くらいは解消できそうだぞ。
採掘現場にゴーレムが出た。
排除するから手伝うがいい。そうすれば、機関と貴様の渡りもつく。
そうすれば、何らか術者を探すことも可能だろうさ。

【そんな誘いを、口にした】


/おまたせしましたー!
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/20(土) 22:10:04.29 ID:Sk5KTC0qo
>>212

【プラズマの着弾と、アルファによる斧の攻撃――それらの威力を、目の端で確認する】
【各王の加護が離れたこの身では、恐らくどちらも受けきれまい、と判断し、剣士は脳内で戦闘論理を構築し直していく】

【――正面からのアルファとの交戦。単独であれば恐らく撃破可能】
【ただし、各狙撃手、後衛からの砲撃にて諸共に撃破される可能性が高く――】
【遠隔操作ということを勘案すれば、味方を巻き込むことに躊躇はあるまい】
【とするなら、やはりバックアップのない状況で一人ずつ、というのが最善手だろう】
【幸い、周囲の民間人は既に逃げおおせたか――あるいはもう死んでいるかのどちらか】

―――ふふ。やはり狩りは、慎重に行わないと、だな。

【奇しくも、アルファが無線で放ったのと同じ比喩を用いる――】
【狩られる獲物は、お前だと。2つの戦力は、等しくそう判断していた】

【ちらり、と路地裏を見やる。どこの街にもある、路地裏】
【狙撃手に向かっていたその速度を緩め、路地裏へと躍り込むべく移動する】

なんと、僕はともかくバイト先は困るな!
近所のご老人の憩いの場だ、無下にするのはよくないぞ!

【そう言いながら、遮蔽物の少ない大通りから、遮蔽物だらけの路地裏へ】
【市街地の中だ、三次元挙動を駆使する剣士にとっては、あらゆる経路が道である】
【周囲で弾ける弾丸を斬り抜けながら、剣士はその戦闘の舞台を、この大通りから市街一帯に切り替えた】

【路地裏に入っていく剣士を、アルファが追撃しなければそれも一興】
【建物上部に待機しているブラボー、あるいはカバーに入ったチャーリーを、1体ずつ暗殺していくことになる】
【アルファがきちんと追ってきたのなら――その時こそ、剣士の異名の意味を、知ることとなろう】

【周囲で弾ける銃弾が、建物の外壁を抉る。吹き飛んだ破片が彼の頭を掠め――とろり、と血が流れた】
【口の端に流れ落ちたそれを、ぺろりと舐め取り】

……さ。狩りの始まりだ。

【その柔和な顔に似合わぬ獰猛な笑みを浮かべた】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/20(土) 22:11:27.91 ID:kIvIk8I3o
>>217

【酸を纏った刃は、腕の一本を捉え、斬り落とすには間に合う。──だが、迫っているのは二本だ】
【刃の射程に入れば、何れもを逃れる手立ては“二本同時に斬り落とす”しかなかった】
【高速で以って接近する腕を、近距離で対処するには、それしかない筈だった】


「……ほらな。やっぱり本気でやらなアカン手合いやんけ。」


【だが、彼女の刃は“二本”の腕を捉え、斬り落とす。それは、腕が停止したことを差し引いても、想定外だ】
【仮に腕が停止せずとも、彼女が吹き飛ばされる前の刹那、二本目の腕を斬り落とすことには成功していただろう】
【少女の技量ではなく、咄嗟の判断と対応力。──それを認めた金髪の男は、舌打ちして、呟いた】

【切り落とされた二本の腕は消滅する。しかし彼は、追撃を加えず、胸元から端末を取り出した】
【画面を確認するだけで再びしまい込むと、盾を形成していた四本の腕を解き放ち──】

「ったく、オッサン一人、車にブチ込むのにどんだけ時間かかっとるねん。
 ──嬢ちゃん、お開きの時間や。正直、こっちは“そんな眼”した奴とこれ以上やり合いたないわ。」

【伸びた腕が左右の壁に伸び、彼の身体を支え、持ち上げる。あっという間にその身体は上空へ】
【──数秒で屋根の上に到達した彼は、雲間に除く満月を背に、彼女を見下ろす】
【その表情からは、先程の獰猛な笑みも、彼女を煽った言葉も似つかわしくないように感じられる】


「ええか。もう一回言う。今日のことは忘れぇ。……いや、訂正。
 さっきも言うたが、あのオッサンの顔だけ覚えといてもえぇ。それが、“こっち”のできる最大限の譲歩や。
 それで収まらんなら、本気で殺しにかからんとアカンわ。──分かったか。」


【平坦な口調からは、先程よりも迫力のようなモノが感じ取れるかも知れない】
【彼女を煽り、こちらに意識を向けさせる。──それが、彼の目的だったのだろうか】
【これ以上、踏み込むのなら、彼は“その眼”をする彼女に対すべき、相応の手段を取る気だろう】
【──、もし、彼女がそれを望まず、彼の逃走を許すのなら。彼は、口元に少しの笑みを浮かべて、姿を消すはずだ】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 22:52:18.39 ID:/fttXoy50
>>220

【逆袈裟に振り抜かれた刃――ほんのわずかな月明りに、水を纏う刀身は不可思議に煌めいて、ぱっと散った酸のしずくが、ぱたたっ、と、小さな音であたりに落ちる】
【酸の一滴は少女の頬に滴ったがそのまま落ちる。だけれど――別のしずく。古い壁にしみ込んだものが、しううとわずかに音を立てているのを思えば】
【ただこの少女が影響を受けないだけなのだろうとも思えた。有毒の生き物が自分の毒に中らないみたいに、多分、そういったもの】

【断ち切った腕が、消滅する。だけれど本体までダメージは及んでいない、だろう。さっきの水蛇を回避する盾に使ったこともある、おそらく感覚はリンクしていない】
【ぎゅっと噛んだ唇と一緒にそんな理解も噛み締める、――遠くからでは防がれる、近ければこちらの間合いではない、かといって――近づけば、今度こそ打ち据えられる】
【そうなれば本当に骨の二三本は軽く持っていかれるだろうし――持っていくだろう。だけれど、それが分かっても、分かったのだとしても】

――お兄さん、知っている? わたしの嫌いなタイプのひと……、――、あのひとをどうするつもり?
どうだったとしても、それをあのひとがひどいことだと思うなら、……わたしはもう誰も目の前でそんなことはさせないし、

……――あの時。わたしがあのひとたちを見捨てたとき。わたし、セリーナと約束したの。強くなるって、諦めないって――だから、

【「諦めないよ」】
【あっという間に屋根の上まで飛び上がった姿を見て――今までよりも遠くなった距離。けれど、その声が聞こえないというほどではないだろう、何より目立つ声は】
【視線と一緒に明確へ相手へ向けられていた、真っ黒の瞳と、真っ赤の瞳と、それから、銀色の鈴の音の声と。あどけない顔はもう一度改めて笑ってみせる、だけれどそれは】
【それを呑めば見逃してもらえるという安堵から来るものでは到底なく、ならば、その意味合いは、煽り――挑発に似ているようだった。笑って、諦めないと宣言する】

【――いつか。もう何年も前に、同じようなことがあった。あの時、少女は今よりうんと弱くて、それで、怖くて、勝てなくて、諦めてしまった】
【自分さえ強ければ助けられたはずのひとを自分を護るために見捨ててしまった、そして、それが、いまだに――ふと思い出して泣いてしまいそうになるくらいの、記憶で】
【だから。だから今度は諦めない――だなんて、もしかしたら八つ当たりみたいなものなのかもしれない、いつかの出来事を、目の前の相手で、清算しようとするのは】

【当然この間合いでは届くはずのない刀を手元でずっともてあそんでいた。最終的に、順手ではない逆手で、ぎゅっと、柄を握りこんで――】

――ッ、!

【――だんと強い踏み込み、次の動作を彼は何のためだと判断するだろうか、たとえるなら、やり投げ選手が投擲の瞬間に取るみたいな、姿勢】
【そしてその動作そのもの。大きく振りかぶって――それで、投げつけるもの、手に持っていたもの。――もちろん、さっきの刀であって】
【こちらは明確に強い酸を纏った刃――それが、それなり以上の速度で、投げつけられる――狙いは胴、さっきの靴よりずっと精度が高いうえ、】
【刃が纏う液体が投擲された勢いでしぶきになって辺りへ散って――そちらもまた攻撃になりえた、あるいは、目に見てよけやすい刀そのものよりも厄介とも言えて】

【――――ぶわりと色濃い魔力を足元に流して、地面から"生やす"のは、魔力の蛇――それが、ぎゅうと伸び上がり】
【少女を頭にのせて――彼の立つ屋根の上まで。少女を運ぼうとするのだろう。けれど、刀を投擲した直後の一瞬、それから、蛇の上に立ち、同じ高さまで到達する、この数秒】
【相手へ向けられる意識はどうしても少なくなる――無防備、とまではいかないものの、それでも――小さくない隙は、確かにあって】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/20(土) 23:27:58.58 ID:kIvIk8I3o
>>221


「はっ。」

【彼女の語る信念に絆される性格ではない。──むしろ、この男はそういった非合理を嫌悪する】
【何が献身か、何が無私か、何が約束か。藍より青き信念が齎すのは、毒だ。それを身を以て知っている】
【だが、彼が彼女の言葉の中で、唯一認めるべきと感じたことがあった──、なら報いるべきだろう】

【投擲の体制を認識。十中八九、彼女が使用し続けている“酸”を帯びたものだろう】
【そして、これまでの戦闘の中でそれが“能力で以て防がれる”ことも認識しているはずだ】
【ならば、それは牽制に他ならない。──既に一手、先を往かれているのだ。取り戻さねば、勝機はない】


「さよか。


   ──そこまでの“ド根性”あるんやったら、こっちも“ケリ”付けんわけには行かんわなァッ!!」


【 ── その酸を帯びた刃を男は、正確に“蹴り”で弾いた。 】

【じゅう、という肉の灼ける音が路地裏に響く。服で護られているとはいえ、男の身体のそこかしこが、飛び散った酸を浴びる】
【中でも蹴りつけた脚は、激痛を訴えているだろう。──だが、眼鏡の奥の瞳は、一切の揺らぎを見せなかった】
【思考するは相手の想定を上回る動き。──恐らく、少女は“3つ”の腕がその身を襲うことまでは、想定している】
【だが、捨て身で刃を弾いた分、彼女に対応できる腕の数は“4つ”。──、それを、どう張り巡らせるか】

【まず一本目が上空へ伸び、彼女の脳天を狙って飛来する。直撃すれば、脳が揺れる。命に別状はないだろうが、意識を刈り取る一手】
【次に二本目が狙うのは魔力の蛇。土台を衝撃で以て揺らし、或いは破壊し、彼女の追跡を振り切ろうという一手。届けば、ベストではないがベター】
【更に三本目。地を這うように、彼女が降り立とうとする屋根を狙う。屋根の舗装を吹き飛ばし、彼女へと散弾の様な石礫を浴びせる】
【最後の四本目は、彼自身の足元を叩く。──妨げられなければ、彼の身体は宙空に跳び、表通りの方向へと跳んで行くだろう。逃走用だ】

【何れの腕も、その意図する動作を成し遂げるまでは、数秒。張り巡らされた腕は蜘蛛の巣じみていて、狡猾だった】
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/21(日) 00:05:23.77 ID:8OBnNZ/H0
>>222

【何より――それで何かが変わると、おそらく彼女さえ思っていなかっただろう。言いたいから言う、彼女の中でそうする意味があるから――口に出す、そして、】
【それで、自分の中で納得する。だから諦めない、諦められない。――投擲した刀は、"ありえないことだけど"、その身体に突き立つことがあれば、上々】
【そうでなくとも一瞬気を取らせれば上出来、飛び散るしぶきでは、よっぽど――例えば目に入るとか、そういったイレギュラーがない限り、特に意味はない】

【――だから、そこから先は、彼女の中での最速だった。ぎゅんと――早回しで見るたけのこみたいにぐんぐん伸びる蛇の頭に乗っけられて、高さはとうに何メートルにも】
【この高さから叩き落されれば、その時点で負けになる、だから、ほんの一秒でも――ほんの少しでも、あの刀で、時間を稼ぐ必要があったし、腕の一つの動きでも潰せれば】
【そこからさきがやりやすくなる。そう思っていた、――はずだった。だから、彼の行動――異能の腕ではない、その足で刀を蹴り飛ばされれば】

なっ――――!?

【予想しなかった動きに強張った喉から漏れる音――驚きの声と、詰まったような吐息の音。――けれど、瞳は、丸く見開かれた瞳が、彼の行動を追いかけ】
【弾き飛ばされていった刀は彼女からも彼からも遠い場所で花びらのような魔力片になってかき消える、それを視界の端で映しながらも、追いかけることはなく】

【避ける――あるいは異能で対処する。そうであるはずだった、そうであってほしかった、"わかっている"はずなのに、服越しとはいえ生身で触れるようにすることを】
【想定しなかった――だからここから先は、想定にない。避けさせるより隙は小さく、異能を使わせることは叶わず、自由な腕が四本――二対であるのを目はとらえ】

っ、っ――、桜花!

【――ひねり出すような声が、誰かを呼ぶ。けれどそうされるべき人物はここにはいない、まして、助けを呼ぶためのものではなく、ならば、彼女は足元へそう呼びかけた】
【足元――魔力で形作られた蛇。そしてそいつは、"呼ばれた"ように一度、頭を振りかぶり――強く頷くようなしぐさで、少女を、"飛ばす"、あるいは、振り払う】
【それと同時に足場としての役割を喪った蛇は、頭の先からばらりと無数の花びらにほどけ――ほんの一瞬、当たり前に空中をたゆたってから、目覚めたように、ぎゅと動き出し】
【跳ぶより飛ばされた少女に付随して舞う、ばらばら、ざらざら、と少しだけ金属質な音は、魔力片同士がこすれ合うときの音であるらしい】

【――ひとつめの腕は、蛇が少女を振り払って飛ばしたことによって、少女はその範囲から抜け出すことになる】
【――ふたつめの腕は、一部が残滓になって少女に付いたが、それ以外はいまだ蛇の身体として有ったものを破壊し、こちらは、本当に破片の落ちるように崩れていく】
【――みっつめの腕は、彼女のまさに降り立つはずであった位置を削り、巻き上げ、最低限の顔だけをかばった腕や身体を重たく打ち据え】
【――よっつめの腕は、けれど――自らに向かう破片を避けるでもなく、防ぐでもなく、ただ"突っ切った"少女が、もう、すぐそこへ】

――――っ、逃が、さない!

【いくらかの魔力片を付き従えた少女が勢いと体重を全部乗せて――まっすぐに彼に飛ぶ、手元で"ぎら"と強く煌めくのは、"さっき"と同じだ、ならば、そこに刀が出る】
【全くさっきと同じ様子だった。ならばどうするのかを予測するのも容易い――だろう、勢いも、体重も、全部使って、刀である必要すらないぐらい、愚直に、突き立てようとする】
【獲物を捕らえるために飛び掛かる瞬間の蛇と違うところなんてきっとなかった、瓦礫がしたたかに打ちつけた利き腕がひどく痛むから――これを逃せば、きっと、もう握れない】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/21(日) 00:27:27.28 ID:qJe8LNg8o
>>223

【男は初めて、目を瞠る。4つの殺し手を掻い潜り、少女の身体が迫る】
【最早、防ぐ手立てはない。──ぐさり、と、自らの身体の届かぬ場所へ、刃が侵食するのが分かった】
【刺されたのは、右腹か。狙いが定まっていない分、致命傷ではないが、深い。だが、自然と笑みが溢れる】
【それこそが、この男が“■■■”であったことの証明であり、今も“□□”に身を置く全てだった】

【── この感覚こそが、彼を生き永らえさせている。】


「く、はっ──、はっ、はっは。、ええ、根性や、嬢ちゃん。お前の、……勝ちや。
 やけど、なぁ。……逃げるぐらい、させて貰う──、で。」


【──表通りへと向けて落下する両者の下。走り込んで来るのは、黒塗りの車】
【それを少女が認識した時点では、恐らくもう遅い。男の方は、“車が向かっている”のを知っていた】
【最後の力で以って、刀を突き立てる少女を蹴り飛ばし、その身から離そうとする】
【仮に宙空で蹴り飛ばせずとも、恐らく、着地した後に“振り落とされる”だけだろう】

【彼の身体の着地点に、車が滑り込む。──運転しているのは先程の青年ではなく、別の黒人の男】
【鈍い音を立て、男の身体が車の天井に沈み込む。即座に車は加速し、もはや、手の届かぬ場所へ消えていく──】

225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/21(日) 01:11:04.98 ID:8OBnNZ/H0
>>224

【ずぐ――と切っ先が肉に潜り込んでいくときの、いやな抵抗感。それでも刃の進むのを彼女でさえ止められない、使った勢いと重さはそれだけ鋭く、害意に満ちて】
【出し抜くためでなく、取り合うための距離感、ひどく真っ白な肌は、いまとなっては寒さ以上に興奮のせいか赤く赤く色づいて、それがいやに艶めかしく、生々しく】
【この距離で初めて分かること――どうやら彼女は香水だなんてしているらしかった。甘い甘い、それでも少しだけ酸い、林檎の香りの、もの】
【恐怖とは違った高揚で震える唇から漏れる吐息が白く染まる、だからひとなみの体温があることが知れた、――だけど、多分、ヒトではない】

――――さあッ、黒い髪と……、あのひとは、どこに居るのか、教えなさいっ……、早く言わないと、死んじゃうよ?

【ぐっと突き刺さったままの刀は相手を逃がさない、けれど、同時に彼女もまた彼に縛られる。手を離せば済むものだとしても、それを離してしまうくらいなら】
【今宵のことは意味がなかったことになってしまう、だから余計に力を込めて、あどけない顔をぐっと彼の顔に近づける、意図的に低くした声は、荒い呼吸に彩られ】
【見れば額にはじとりとした汗が浮いて――折れたかもしれないと思った。今まで生きてきて、骨を折ったことはなかったけれど――それでも、今度こそ、そういう気がした】
【ゆっくりと追いかけてくる痛みが思考回路を埋め尽くしていく――だけれどおそらく死ぬことのない傷で、下手をすれば死ぬかもしれない相手を、そう脅してみせ】
【自分が優位であるのを示すように笑う、――それでも彼女としても死なれてしまっては困るのだろう、死人に口なし――だなんて、よく知っているから、それ以上がない】

【それどころか、刃が纏う酸性も――いまは鳴りを潜めているようだった。どうやら彼女が意図的に弱めた――あるいは無毒にしたのだろう】

今ならっ――言えば、許してあげる、ここまでで――……、っ、きゃ、!

【――けれど、落ちる。踏みとどまろうとした様子はあった、けれど、半ば引きずりこまれるような形になって――そしてそれを振り払うことができないまま】
【ふわとした浮遊感は間違いなく落ちていることの証明になる――ぐうとゆがめられた表情、彼が死なないように落ちなければいけない、考える視界の端に、車が過り】
【それだけなら、あまり問題はない。"そういうこと"もあるだろう、当たり前に見逃しかけた思考は、けれど、彼によって蹴りつけられて、"そう"なのかという理解へ変わる】

――――ッ!

【ひどく華奢な身体――無防備だった腹に蹴りを入れられれば、衝撃と痛みが刀の柄から手を離させる、思惑通りに蹴り飛ばされた身体は、空中でコントロールを失って翻り】
【その一瞬に目が合うことがあったなら――その"目"。最後に出し抜かれたことに気づいて怒り狂う目がぎらぎらと光って、相手の顔を、せめて覚えていようとするように】
【そしてその一瞬に、意識を突き立ったままの刀へ向ける、意図的に弱めた酸性を強めて、――――そうしようとした瞬間、だった。がしゃんとひどいひどい音は、少女の身体が】
【地面に置かれていた金属製のゴミ箱に激突する音以外の何でもなく、今まさに強められるはずだった酸性はそうされないまま、刀ごと花びらに散って消え】

【――――だから。走り去る車を追いかけるものはないだろう、もし誰かが確認したのなら、少女は先ほど落ちた場所から自然に転がったほどの場所に倒れて】
【起き上がることもないしいっそ動くこともない、良くて意識を失ったか、悪くて、死んだか――とにかく、彼らの逃亡は叶うだろう】

/おつかれさまでした!
226 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 01:17:47.37 ID:tTC6Dg2b0
>>219

【剣士の異名も、そしてその"本当の実力"をも知る事がない彼等には】
【まだ現状は単なる狐狩りでしかない―――だが、恐らくは数刻後に思い知る事になるだろう。】
【これは獣を狩る様なハンティングではなく、"魔物"を相手に生き残らなくてはいけない"サバイバル"であるのだ、と。】

『―――チャーリー、"エモノ"が其方へと逃げた。街区で紛れるつもりだろう。』

≪はっ。ふざけた奴だ。八つ裂きにしてみせますよ。攻撃行動を開始する!≫

【アルファは放った弾丸を華麗に回避し、路地裏へと姿を眩ませる剣士を静かに追う。】
【決して走らず、されど通路を塞ぐように。剣士の後を尾ける様にして、ゆっくりと路地裏へ自身も踏み込み。】
【同時に、展開した腕の重火器をチャージ再開、斧からは強烈な熱波を靡かせ高度な機械式のセンサーで剣士を捉えようとする。】

≪―――発見した。二体で襲い掛かる。行くぞッ!!≫

【剣士が逃げ込んだ路地裏の角、丁度中華料理店の裏側にあたる場所で】
【待機していた"チャーリー"と呼ばれる分隊五人のうち、二体が剣士に真横から飛び掛かった。】
【身を潜めていた物陰から飛び出るようにし、独りは片手に装備したまた別種の近接兵装―――電動の刃を持った】
【丁度エンジンカッターと呼ばれる類の工具にもよく似たそれを振り上げて、剣士の胴体を薙ぐべく真横に一閃、繰り出すだろう。】

227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/21(日) 01:32:57.24 ID:qJe8LNg8o
>>225

【戦域からの離脱が確認されると、後部座席の窓が開く】
【信号待ちで停車したタイミングで、金髪の男は這うように後部座席へ入った】
【──出血が酷い。しかし、運転手の男はと言えば、鼻歌を歌いながら、笑っていた】


〈HAHAHA、随分手酷くやられたな!まるで、腹からベリージャムの上澄み垂れ流してるみてぇだ。田舎のお袋思い出すぜ!
 ──おっと、シートは汚さないでくれよ、我らが女王様が経費で落としてくれるか分かんねぇからな!〉

「うっさい、アホが。さっさと、病院行け。……ホシは。」

〈ホシは“後部座席”で俺達とドライブを楽しんで貰おうと思ってな。
 縛って詰め込んだからゲロで喉詰まらさねえか心配だが、どうせ病院行くんだから大丈夫だろうよ。
 あの腹見たか?少しぐらい出しちまった方がいいぜ。──、で、アイツの方は──〉

「……いや、もうええわ。──ちょっと、寝る。」


【翌日、もしかすると、こんなニュースを見かけるかもしれない】

【「──、昨日、ハグ・フラッグス容疑者が逮捕されました。」】
【「フラッグス容疑者は水の国を中心とするの大規模裏カジノ組織の顔役であり、──」】
【「──櫻の国、雷の国等からの人身売買にも関与していたとの噂も」「背後には機関の存在が疑われており、大規模な資金源として──」】
【「警察では、数ヶ月前から内偵調査を続け、昨夜──」 】

【── 幾度も映し出され、或いは紙上に現れる写真の男は、“小太り”だった】

/お疲れ様でした!
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 01:46:54.94 ID:6E36CB8Wo
>>226

【とは言えこの戦いの狩人が誰で、魔物が誰になるのかは――】
【さて、神のみぞ知る、ということころであろうか】
【常に戦いというものの勝敗は、揺蕩っている】
【物量と連携というのは、いつだって特化した個を打ち破り得る。青年はそれを、よく知っていた】

【そうして、中華料理店の裏側】
【平常ならば食欲を煽るであろう、油の匂いがするそこで、機械兵二体は彼等にとっての獲物を発見し――】
【剣士は、己の罠に敵がかかったことを知った】

【剣士には、機械式のセンサーも、未来視を可能とする魔眼も、物陰を透過する認知能力もなかった】

―――ようこそ。そして、さようなら。

【ただ戦場で鍛えられた、獣のような勘と、敵の挙動を逃さぬ眼と、会敵し得るだろう、という戦術予測を持っていた】

【チャーリ―。――仮に、今交戦に突入した彼等を、チャーリー1、チャーリー2と呼称しよう】
【真横から飛びかかるその二体の、電動の刃を持つ方。チャーリー1が繰り出した一閃を、青年はよく見ていた】

この場、即断させてもらう。

―――唸れ、断空。

【腰から、白木の鞘に収められた刀を、チャーリー1の刃と正面からかち合うよう抜き打ち一閃】
【既に彼の刃、断空は魔力を得てその特性を存分に発揮している】
【万物を斬り裂く、その特性を】
【チャーリー1の対魔力にもよるが、通常の物質、通常の範疇であれば――】
【エンジンブレードにも似たその刃と、断空がぶつかり】
【断空は、チャーリー1の刃、そしてその本体を斬り裂くだろう】
【もし斬り裂くことに成功したならば、切り払ったその刃を袈裟懸けに振り上げて、後ろに続くチャーリー2へと振り下ろす】
229 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 02:09:50.81 ID:tTC6Dg2b0
>>228

【たかが剣士一体。そう考えていたからこそ、彼等はゆっくりと追い詰めようとした。】
【仮に相手の戦力を過大評価していたならば、そもそもこんな"狩場"に相応しいフィールドは選ばない。】
【獲物が一体、隠れる場所が豊富な街区となれば有利に働くのは同士討ちの可能性がない剣士の方だからだ―――そう。】

【有体に言えば、それは相手の戦力の過小評価。】


≪―――ようこそ、だと? 調子に乗るのも大概にし……っ≫

【有体に言えば、それは相手の存在への無知。】

≪なっ―――なぁっ!? なんっ、だその―――剣、はぁっ!?≫

【―――有体に言えば。それは完全なる相手への油断。不注意。舐めプ。】

『……こちらアルファ。チャーリー1、チャーリー2。どうした、応答しろ―――チャーリー1!』

【アルファが焦った声で歩を進める。二人、連絡が途絶え無線からザーザーという無機質な音が漏れ。】
【そして遅れて、彼らが機械の身体から"ログアウト"したことを示す信号が眼前のデータに表示され―――理解する。】
【五人いる近接戦闘員のうち、ものの一分も経たないうちにこの"狭さ"で二体が葬られた、という事実が物語る、あの青年の本域を。】

≪此方チャーリー3、チャーリー4。チャーリー5を先行させ進行中。≫

≪"狐"は前方10メートル以内に潜んでいる、チャーリー1・2がログアウトしたのがこの近辺だ。≫

≪囲って仕留める、これ以上は逃がすわけに―――≫

【大型のチェインソーを備えた攻撃的な見た目の機械兵、チャーリー5が先行する一行は】
【そんなアルファの危惧など知らず、剣士へと果敢に接近していく。センサーを駆使、音と匂い、熱を感知。】
【完璧な位置取りこそ分からなくても、ある程度の位置さえわかれば、後はその路地の退路を断つ様に皆で囲うだけでいい。】

『……待て、チャーリー。此方アルファ、私が到着するまで待機して―――、』

≪毛皮は目の前だ、今夜は狐鍋にしましょう、指揮官。―――行くぞ。≫

『気を付けろ、既に二体をやっている様な相手だ! 一旦離れて……くっ、間に合うか……!!』

【アルファが慌てて、チャーリー三体と剣士が相まみえるだろうポイントへと急ぐ。】
【自分が到着さえすれば―――という彼の考えもまた、温い思考ではあったのだが。】
【ともあれ、三体に任せておくことは自殺に等しいと判断、素早く移動を開始するの、だが】

【チャーリー三体はそれぞれチェインソー、エンジンカッター、そして後方の一人がプラズマを調整した火炎放射器の】
【バリエーション豊富な武装で身を固め、剣士がいるであろう路地を前後から塞ぐようにして迫っていく。残る退路は上部か、もしくは】
【付近の建物に入るしかないが―――手近な窓が存在する料理屋の内部から、最後の一体が火炎放射器より炎をゆらりと燻らせ進軍開始。】

【かくして、剣士を発見できたならばそれぞれが行動を開始するだろうが―――はて。】
【データでリンクさせたような"継ぎはぎ"の身体で。近接戦闘の神髄を極めたあの"騎士"に対して】
【本当に武力が通用するのかどうかは―――また、別の問題だった。何故なら彼等には、まだこれは"狩り"であったから。】
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