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【置き去りにしてた】能力者スレ【大切な言葉】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/03(水) 22:03:58.33 ID:7fuvk+hY0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。

無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。

【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 

【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。

この世界は「多様性のある世界」です。
完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
コテハン「推奨」です!
基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
スレチなネタは程々に。
スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。

国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。

能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1466090455/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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女「遭難しちゃいましたぁ〜」テヘッ 登山家「山をナメるな!」 @ 2018/05/23(水) 01:30:55.17 ID:2Vjy3LUF0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527006654/

【ガルパン×デレマス】エリカ「あんた本当に頭パッションね!」みほ「???」 @ 2018/05/23(水) 01:04:11.58 ID:D1zmgiG40
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527005051/

女・友「ぶくぶくぶくぶくぶくぶく」 @ 2018/05/23(水) 00:23:52.61 ID:8hj/IQos0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527002632/

紬「……メンドクサイフェアリー、ですか?」 @ 2018/05/22(火) 23:28:11.79 ID:camMbKJx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526999291/

THE 3名様〜ラブライブ 愛よ消えないで〜 @ 2018/05/22(火) 23:19:34.07 ID:7tZN7pV50
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白菊ほたる・鷹富士茄子「セフレ」 @ 2018/05/22(火) 23:18:43.14 ID:tDr4hs+Y0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526998722/

かおり先生の思い出 @ 2018/05/22(火) 23:12:28.96 ID:FdqHMIMA0
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大淀「提督が毎回変な物を買ってくる」提督「みんなお土産だぞ!!」 @ 2018/05/22(火) 22:48:25.18 ID:wrMhxEXJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526996904/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage]:2018/01/03(水) 23:39:40.27 ID:p/8xE35Ao
>>1おつー
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 21:22:11.16 ID:427OToWP0
>>1乙です】


>>1000

【かつん。距離にして3歩、ロングコートの人物がようやく止まった】
【はぁ、とため息をつく――止まった理由は、明白だった】
【青年の言葉、押し上げられた刀の鍔。そして、向けられる鋭い闘気】

――やれやれ、このような田舎でとんだ名探偵も居たものだ。

しかし……少々物騒ですね。そう睨まれては動けませんよ
刀をそうして抜くのもよろしくない、大変威嚇的な行為だ。
それで――貴方、それが事実だとしたら何なのです?

【右手は荷物、左手はポケット。目につく武装や】
【例えば仕込み武器――袖や胸部に違和感のある膨らみは見受けられない】

【だが"熱い"。陽炎で空間が揺れ、ふわりと火の粉すらその周囲に散り始める】
【間違いなく能力者、だが青年の出方を見るように、先手を取ることはしない】
【――しないが、出方次第では一瞬で消し炭にする。そんな殺気が、青年を捉えていた】
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 21:36:21.17 ID:qYcddAeQo
>>3

意外にね。
悪いことをした後ってのは、得てしてこんなものだ。

【仮に】
【ロングコートの人物が、足を止めず通り過ぎていたとするならば――その背中へ向けて、抜き打ち一閃】
【致死の一撃が、放たれていただろう。柔和な外見に相反し、その瞳は冷たく赤く】

事実だとするのなら、起こったことは変えられない。
さっさと寺院に駆けつけて、生き残りが居ないか探すのが一番だろうな。

――だけどお前は、『まだ』行かねばならない場所がある、と言ったな。
ならばきっと、第二の、第三の惨劇が起こるのだろう。

それは絶対に――見逃せない。それだけだ。

【武装がない。今見える範囲では】
【だが、青年はそれを原因に手を抜きはしない。亜空間からの武具召喚、武器を必要としない能力者、魔術主体の戦闘者】
【あらゆる可能性が存在するし――】
【何より向けられたその殺気の鋭さが、欠片の油断も許容しなかった】

――――ッ!

【ちりちりと舞い始めた火の粉を斬り裂くように、青年の腰から刀が放たれる】
【一刀両断、神速抜刀。その言葉を現実にしたかのような剣閃が、ロングコートの人物の首筋へと迫る――!】
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 21:54:00.78 ID:427OToWP0
>>4

おや。そこまで見抜かれていては、貴方は見過ごせないでしょうねえ
いかにも正義感に溢れた素晴らしい判断力です。
……が、果たしてそれが惨劇かどうか。単なる因果応報かも知れませんよ?

【視線は青年の顔ではなく、刀。手がかかったそこへ集中していた】

【攻撃手段は間違いなくそれだろう。しかも、未だ抜いていない】
【"構え"が"威嚇"なのならば、それは最初の一閃が最大の脅威であり】
【ならば――狙う先は、剣閃は、どうなるかの予想くらいは付く】

【――ガッ、っ! 硬物がぶつかり合う音がした】
【ロングコートの人物と同じ高さ、180cmほどの"分厚い氷柱"が出現していた】
【故に刀が捉えた先は首ではなく、その氷。密度の高いソレは、半ばまで刃が食い込み】
【今にも切り抜けそうであっても、最初の勢いは殺せる事だろう】

【そうだ――熱気があるから炎熱系の能力者であると、この人物は口にしたか。否――】

――というわけでさようなら。来世ではお友達になれるとよいのですが、ねえ?

【周囲に舞う火の粉が瞬時に集約し、炎の槍を形作ると】
【青年を正面から貫こうと、ちょうどロングコートの人物の頭上から真っ直ぐに飛来する】
【兆候・軌道自体は読みやすい――だが、その放たれる速度は矢の如くであった】
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 22:17:46.37 ID:qYcddAeQo
>>5

【ぎし、と、氷柱へ刀が食い込む】
【分厚く密度は高く――並の刀では、斬り抜けまい。びくとも、すまい】

【―――温度を操作する能力者。その予測は、既に最初の熱気で辿り着いていた】

――君の来世は、どうか健やかに育つといいな。
そうしたらほら、僕のほうが随分年上だが、友達にはなれるかもだ――!

【刀の柄を握り込む】
【密度の高い氷に食い込んだ、己の愛刀をまるで鉄棒のように扱って】
【だん、と地面を蹴り込む。鈍色に光るその脚は、青年の体躯から不釣合いに頑強】
【凄まじい筋力が、青年の身体を跳ね上げる。
 逆巻く雷光のような速度で、風を纏って振り上げられるその脚が、飛来する炎の槍を『蹴り上げる』――!!】

【――有りていに言ってしまえば、逆上がりの態勢で。】
【しかし振り上げられる蹴りは、炎の槍を吹き飛ばすには十分な勢いだろう】

【しかし、刀。ロングコートの人物の見立ての通り、青年の持つ攻撃手段はそれが最大だ】
【……そう、最大の攻撃手段なのだ】

――――唸れ、断空。

【ロングコートの人物が、魔力の流れに明るいのならば】
【青年の刀が、氷の中で鈍く光ったことに気づくかも知れない】
【吼えたけるように、荒々しい魔力が刀身に収束していく―――】
【逆上がりのまま、青年の身体は、ちょうど真上に足を向けていた】
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 22:28:31.84 ID:427OToWP0
>>6

何――……。――なっ、ぁ!?

【炎の槍を"蹴り上げる"――蹴り上げる、だと】
【その身に突き刺さるのではない、避けるのでもない】
【跳ね上げた、受け流した。その行動に、攻撃をした本人は目を見張る】

【だが同時に、その視線を刀が食い込んだ氷柱へ向けたことは】
【青年と相対するこの人物が、単なる傲慢な能力者ではなく】
【戦闘慣れし、それなり以上の直感を持った人物であることを示しており】

(妖刀か、能力の類ですかね。……どちらにせよ忌々しい)

――はた迷惑な探偵も居たものだ、全く……ッ!!

【収束する魔力には鋭敏に気づき。そして嫌な予感がしたのだろう】
【氷柱が立つ方向とは全くの正反対に、コートが汚れるのも気にせず飛び込んで】
【回避と距離を取るのとを並行しながらポケットに突っ込んでいた手を出すと】
【胸元で素早く印を切り――刹那、人型をした紙が浮遊して、燃え上がり】

【ほぼ当てずっぽうの盲撃ちながら、直線的に青年を狙う火球となって迫っていく】
【火球は何かに触れれば小規模な爆発を起こし、周囲に火炎を撒き散らすだろう】
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 22:41:02.32 ID:qYcddAeQo
>>7

―――よく言われるよ、なんでお前が此処に、ってね!

【中空に逆立ちするような形のまま、青年はロングコートの人物を目で追う】
【一見無防備な態勢であるのに、刀を氷の中に取り込んだままであるのに――決して深追いしてこない】
【コートに、スエードに、ファー。いずれも瀟洒な白であり、それなり以上に身なりを気を使う性質であろうに】
【こと戦いとなれば、それが汚れるのも厭わず、最善の行動を取る】
【青年は、目の前の能力者を極めて危険な、強力な、手練であると認識する】

【――ぶん、と地上に戻る勢いで、刃を振り抜く】
【刃はいとも簡単に氷を潜り抜け、その自由を取り戻す――あまりにも、簡単に】

【しかしその回転、地上に戻る間隙をつくように、ロングコートの人物が放った火球が青年を襲う】

――ち、避けきれん……!

【身に纏った外套で身体を護る。対魔力、対属性に優れた騎士の外套ではあるが】
【数発が着弾し、爆発。撒き散らす火炎こそ燃え移らぬものの、爆発の衝撃は青年へとダメージを与える】
【また、外套を使った防御で視界は数割失われる】
【攻撃のアドバンテージは、いまだロングコートの人物に】
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 22:51:40.68 ID:427OToWP0
>>8

【青年に火球が命中したのは、ロングコートの人物が立ち上がった時】
【狙うなどという余裕はなかったが、数が功を奏したか】
【確かに手応えのあった青年の様子によし、と心中頷くものの】
【まだ、だ。相手は倒れていない、未だその脅威は計り知れない】

――――“待った”。

【追撃――ではない。アドバンテージを保持しつつも、攻撃はしない】
【正確には威嚇のように、先程の爆発する火球を頭上に4つ展開し】
【その内側では人型――櫻でいう式神のような存在が見えていたが】

……こんなどうしようもない所で、お互い消耗する必要がありますかね。
見たところその刀、そして衣服にその足……。

年齢に見合わず相当な使い手だ。いえ、否定せずともよろしい
私からすればそうなのです。……そんな相手と、私も意味なく命のやり取りをしたくない
どうです、一つ――私の"事情"、聞いてから刃を向けるか、決めてみては?

【不穏な微笑み、なんてものは人物の顔には浮かんでいない】
【至って真面目、だまし討でも時間稼ぎでもなく"交渉"】
【そんな様子で青年に声をかけた。距離はある、嘘――とも思えなかった、が】
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 22:58:39.19 ID:qYcddAeQo
>>9

――――。

【待った、と掛けられた、その声に】
【ロングコートの人物に相対するように立ち上がる】
【ダメージを受けたのはこちら。追撃の機を一つ逸して、会話を仕掛ける】

……人々に害なすものは見過ごせない。
事情を聞いたとて斬ることに変わりはないかもしれないが―――まあ、それでもよければ。

【ならばひとつ、この相手の事情とやらを聞いても構うまい】
【嘘八百とて損はなし、また斬り結べば元の通り】
【幾ばくかの真実さえ含まれているのなら、今の自分にとっては値千金】

いいだろう。君の話、聞かせてもらおうか。

【ちりん、と刀を納める。君もその火の玉、仕舞えよな、とも言いたげに口を尖らせて】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 23:15:06.09 ID:427OToWP0
>>10

【相手が話を聞くタイプの相手だと想定していたが――正解だった】
【一度刀を収めたのを見れば、彼の持ち味は最初の一閃だったな、と】
【そう思いつつも、視線を感じて頭上の火球を内部の式神ごと燃やし尽くす】
【そうなれば出会った時と同じ格好。右手に風呂敷、という――いや】

【衣服の汚れ以外に一点、変化があった。それは頭部、黒い髪の合間】
【そこに先の尖った耳が見えた。犬か狼か――見るものが見れば、狐と分かる耳だった】

話を聞いて頂けるようで結構。
人斬りの間抜けでなくて何よりです。……さて

――手短に行きましょうか。私は妖狐です、それもこの辺りの山の出身でして。
久々に戻ってみれば、我々の領域を封じるように結界が張られていましてね
寺を幾つか作り、神仏を要石に見立てた安易で……ですが強力なものです。

これが――その、"要石"なのですがね。

【ごとり、と重そうな音をさせて路面に紫の風呂敷を置くとその結びを解く】
【露わになるのは――黄土の水晶に閉じ込められた、仏の像】
【強い魔力を放つのはやはりこの物体。すなわち、これを要点に配置し】
【かの人物がいう領域を囲み――封印の結界でも張ったのだろう、が】
【その意図、経緯、妖狐という存在の立場、人との関係。全て不明確なのは変わりなく】

私としては、この結界さえ破壊できれば何の問題も無いのですよ。
分かりますかね――家へ帰れば、その出入り口が封鎖されているわけです
それも何処の誰とも知らない相手によってね。

――そういうわけで、私としてはあと3箇所。コレを奪う必要がありまして。
殺すな、というのであれば……その程度は誓ってもよろしいが。

【事情は理解できましたが、と問いかける。――突拍子もないのは間違い無い】
【だがロングコートの人物が人外の妖狐であれば、その熟練具合も確かであり】
【筋は通っている、とも言える。後は――青年の判断しだい、ということか】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/05(金) 23:32:19.01 ID:qYcddAeQo
>>11

成る程、ね……

【現状を認識する】
【まず目の前の人物は、妖狐】
【人に在らざるモノであることは、間違いなく】

―――話は解った、妖狐よ。
いくつか、前提として聞いてほしい。

ひとつ。
君の言うことが本当のことかどうか、判断する材料を僕は持たない。
嘘であるとするのなら、僕が知っているのは君が人を――恐らく――殺してそれを奪ったということだけだ。
ここで君と斬り合いを再開するしかない。

ふたつ。
仮に本当だとしよう。それは要石で、結界によって寺社はその領域を封じていた。
――封じなければならないような、領域だったということだ。

みっつ。
であるのなら、手放しに君が結界を破壊するのを見過ごすわけにはいかない。
戦って分かったが、君は強い。妖狐という種族に君と同等の手練が複数名いたとして、
そしてそれがヒトに取って危険な存在であるのなら、やはりこの結界破壊を見過ごせない。

【人差し指、中指、薬指。話に合わせて、三本の指を立てる】
【そして、ぐ、と拳を握り】

――だけど、君が故郷に帰りたい、と思うのは、きっと当然のことなんだろう。
誰しも、……きっと、家には、帰りたい。

【何かを思い出すように、少し苦しげに顔を歪めて――けれど、それも一瞬】

妖狐。君がもし不殺を誓うのであれば、僕もその3箇所へと同行しても構わないか。
僕からも事情を話して助力はする。

封じる寺院の僧たちから、事のあらましを聞いて――やはり危険で結界が一時も解けない、ということであれば、
また剣を交えることになってしまうかもしれないが―――

【歯切れ悪く、もしかすると力になれないかもしれない、最後は殺し合う事になってしまうかもしれない、と伝えながら】
【けれど最大限の譲歩で。ある意味では正しくないかもしれない譲歩で――青年は、他の寺院へと、
 結界解除に向けて妖狐と同道することを提案した】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/05(金) 23:50:33.85 ID:427OToWP0
>>12

【聞いてほしいと言われれば両手をポケットに突っ込んで】
【どうぞと言わんばかりに黙り込み、鋭い視線を青年に向ける】
【ひとつ、ふたつ、みっつ。なるほど確かに、その理論は筋が通っていて】
【何よりとても合理的で、人間的で――悪くない話、ではあった】

ひとつ。
仰るとおり、私も証明するだけの材料を持ち合わせていません。
が、真実ですと念を押しましょう。……まあ、人は殺しましたが。
大体15人程度ですかね。降伏を促したのですが――いえ、済んだことですか。

ふたつ。
それは貴方がたの勝手な了見でしょう。
妖狐を、妖怪を恐れるからと、単なる幼い狐を狩り尽くすのと変わらない。
故に封じなければならないような領域、という認識は改めて頂きたいですね。

さて、みっつ。
……どうですかね。私、これでも故郷では最長老のようなものでして。
年寄りは皆死んでしまいましたので、後進が育っていればわかりませんが。
――危険な存在であると言うのは、間違いないでしょう。

【計算高い、というべきか。言うべきことは自分の不利でも口にして】
【けれど譲らない所は堅持する。プライドの高さ――とでも言うべきものが、見え隠れしていて】

……平和的に解決出来るというのなら、それは素晴らしいことです。
単なる人間である貴方が行けば、彼らも不要な警戒はしないでしょう。

その場合は、私は同行というよりも後を付いていくほうがよろしい。
事の次第を見守り、結果的に結界がなくなれば良いのですから。

――ですが解せませんね。何故、またそんな面倒を?
貴方、ついさっきまで私と命のやり取りをしていたはずですが。
郷愁の情に流された、などという世迷い言をいう程幼稚でもないでしょうに。何故、です?

【同行し、事情を話して助力する。その申し出は悪くない】
【だが得もない話だ。とこかへ行く、とも言っていた気がするが】
【手を貸すなどというのは何故かと、短節に妖狐は尋ねかけた】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 00:06:25.93 ID:fmkBnnr3o
>>13

【――15人。目眩がするような、その人数】
【絶対に結界を護るため、もしかすると殉じたのかも知れない】
【あるいは単に、ヒトと妖狐との、種族としての争いの犠牲となったかもしれない】
【大いに迷う。果たして自分の選んでいる道は正しいのか――けれど】

ふたつ目。
僕達の種族が相争っていて――封じたの、封じられたのという間柄になっているのは恐らく事実なのだろう。
無論君たち妖狐から見れば、封じられる謂れなどないのだろうが……
そこはまあ、お互い様というやつかもしれないね。

分かり合えれば何よりだけど、分かり合えぬが世の常さ。
……本当に、愚かしいと思うのだけど。

【見え隠れする、その誇り】
【譲れぬ硬さが、そこは信用できそうだ、と、青年に思わせた】

ああ、話す順番はどうでも構わない。
『ちょっと貴方がたの仲間を皆殺しにしてきたのですが、話を聞いてくれますか』よりも、
まあ僕が話したほうが幾分マシだろう。

【じゃり、と道を踏み出しかけて、妖狐の問いに言葉を詰まらせる――何故手を貸すのか、と】
【当たり前の疑問に、頭を掻いて】

……いや、恥ずかしい話、本当に郷愁の情に流された、というやつだよ。
――自分の故郷に、帰りたがっているひとがいた。
彼女を故郷に帰すために、世界中飛び回ったのだけれど―――
あまり良い結果に、ならなくて。力が足りなかった。

だからさ、笑うなよ、妖狐。
ほんとう、そういうのに弱いだけなんだ。

【顔を見られたくないように、強引に一歩を踏み出す。さて、寺院の方角など知るはずもないのだが――
 とりあえず、照れくさかったのだろうか】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 00:35:56.22 ID:dKwxGh2r0
>>14

――成る程。どんな戦士でも人間は人間、ということですか。

【郷愁の情。素直にそれが理由だと答える青年を】
【妖狐は、笑いはしない。――なにせ、自分の行動理由もそれなのだから】
【ただ、アレだけ論理的に話していた青年が感情で動く】
【それがおかしかったというように、くすりと笑って】

【けれどすぐにその笑みは消す。先程垣間見えたように、プライドがある】
【たとえ真意で無くとも、嘲笑うように見えてしまっては】
【そんな底の浅い種族だと思われてしまっては、気分が悪い】

それでは――交渉は貴方にお任せしましょう。
単純な事情、私の誓った不殺、結界の一時的な解除。
これらを伝えてくれればよろしい。……では、参りましょうか?

【妖狐の姿を焔が包む。次の瞬間には、汚れの付いた白い装束は】
【陰陽師のそれにも似た、水干――狩衣の衣装に変わっていて】


【――あとは、かの妖狐が導くまま。寺院の数は3つであり】
【いずれも一つの山を囲うように四角を描いて築かれていて】

【足を運べば、武装した僧がすぐに事情を尋ねに来るだろう】
【なにせ、山の向こうで火の手が上がり、結界が崩れかけているのだから】
【そこで先程の3つの要件――これを伝えれば、しばし待たれよ、と】
【茶室で数時間ばかり、お茶と菓子だけは自由な状態で放置され】

【その後にようやく、半日であれば結界を開けてもよろしい】
【――と、合議の結果なのだろう。案外折良い返事を貰うことが出来て】

【小用が、とでもいえば一度その場を抜け出すことも出来るだろう】
【どうなったのだとせっつくように、青年の懐に忍ばせた紙の人型】
【式神が震えて、温かく熱を放っていた】
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 00:44:43.39 ID:fmkBnnr3o
>>15

【急須を五つ、菓子盛りを三つばかり空にして】
【給仕の童からこの男、というように見られるようになったころ、折良い返事が届けられ】

―――マジか。意外と普通に開くものだな。

【俗な感想を漏らせば、式神が胸の内で震えていた】
【すまない厠は、と童に声をかけ、あんなにお茶を飲めばそれはそうです、と憤懣やるかたなく案内され】
【ぱたりと扉を閉じたのち、懐の式神を額に着けた】

―――ああ、妖狐かい。
こうすれば聞こえるものだろうか。

【そして伝える、半日きりの結界解除。封じていた僧たちが良いと言えば良いのだろうと、どこか楽観的に考えて】
【けれどそれでは行き来ができないな、と声を曇らせた】

/上手だ!
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 01:05:28.28 ID:dKwxGh2r0
>>16

『――――ええ、聞こえますとも。貴方、適応力高いですね?』

【くすりという笑い声すらも聞こえる、高性能な通信機材】
【思念をそのまま言葉にしたようなそれは事情を伝えれば】
【すぐに『分かった』という返事があり、同時に後の行き来に付いて】
【青年が言葉を曇らせると、若干、妖狐も言いよどみ】

……まあ、入りさえすればなんとかなるものです。
結界を破壊せずとも、抜け道の一つや二つは作れるでしょう

見ての通り、私もその手の術式には詳しいですので。
さて問題は――貴方への礼ですね。
何か欲しいものでもお有りですか、若い騎士殿?

【ふらり、と青年の背後に姿を見せるのは先程の水干姿】
【相も変わらず――背丈は180cmほどあるが、性別が何とも言えない】
【慇懃な言葉遣いで問いかけるのは、その礼をどうするか】

【何やら腹案はありそうな表情だったが、まずは要望を聞きたいと】
【そんな口ぶりで青年に声をかけて、軽く拳を握りつつ返事を待った】

/そう言われるとお恥ずかしいですw
/終わりも見えてますが、眠気などは大丈夫ですか?
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 01:19:31.56 ID:fmkBnnr3o
>>17

よく言われるよ、何処に放り込んでも生きている、とね。
――いや、でも菓子とお茶は美味かった。
少し包んでもらったりできるかな……

【どうみても厄介事を持ち込んだ立場でありながら、そんなことをのうのうと】
【突然後ろから掛けられた声に、少し式神を矯めつ眇めつ、振り返る】

……そうか。妖狐がそういうのなら、そうなんだろう。
半日開けて居られるのなら、そう差し迫った危険でもないのかもね。
ある種の聖域、というものだろうか。

―――え、お礼?
参ったな、考えていなかった……君が故郷に帰れたのなら、それで僕としては満足、なのだけど。

【無論欲しいものはいくつかある。……身分証とか。もっと直裁的に語るなら、ケータイとか】
【ただまあ、恐らく妖狐にねだるような物ではないだろう、と、そのくらいは青年にもわかっていて】
【斬り結ぶ時の果断さから比べると、情けないほどに悩んでいる】

/流れるような場面転換とテンポのよい地の文が!
/はい、俺は大丈夫。そちらは大丈夫ですか?
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 01:31:00.24 ID:dKwxGh2r0
>>18

……まあ、その出入り口が知れてしまえば
新たな火種になりかねない、という問題はありますが。
その際は、そうですねえ……他所の山にでも行かせますよ。

【不殺の約定もあることですし――と、言葉を結び】

【続く青年の言葉に、呆れたように吐息を漏らす】
【行動理由も感情的なら、行動への見返りも気持ちで十分】
【そんな様子が、やはりあの合理的な返答をした同一人物とは思えない】
【が、それもまた人間らしい。唇の端を釣り上げると、ポンと何かを投げ渡す】

思いつかないのであれば、一先ずこれをお持ちなさい。
……先程の結界を作っていた要石。あれを小さく凝縮したものです。
幸い結界は残りの寺院でも維持できるようですし、戻す場所も既に無い。

――15人の犠牲の上に成り立つ代物、ではありますがね。

【投げ渡しのは黄土の――というよりは琥珀色の、手のひらサイズの丸い石】
【溢れ出すのは浄化の魔力。その力は強大で、宝石としての価値もありそうだが】

【だが――人が殺されて、そこから作り上げられたものでもある】
【それを敢えて青年に告げつつ、どうするか、とでもいうように返事を待つ】
【要らないのなら返すというのも手であろう。あるいは、返事を保留して】
【今度会ったときに別な礼が欲しいと――そう伝える、なんていう手もあった】

/いえいえ、意図を汲み取って頂けるお返事あってこそですので。
/こちらもまだ大丈夫です。ので、このまま完走しちゃいましょうか!
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 01:45:56.20 ID:fmkBnnr3o
>>19

【この度の用事が終わっても、まだ不殺を守ってくれるのか、と】
【片眉を上げて、微笑んだ】

これは、あの仏像の?
すごい魔力だ――それも、清らかな。

【宝玉と、そう呼ばれ得るようなその石を、ぐ、と握り込む】
【15人、避けられたかも、避け得なかったかもしれないその犠牲】
【とは言え起こった出来事は変えられない。次の悲劇を防ぐ、というのが青年の行動骨子】
【であるのなら、この浄化の要石は、きっといつかは役に立ち】

―――ありがたく頂くよ、妖……いや、君の名前は?
僕の名前は、ウェイン。語り部の役目を、一つ終えし者。

【そして縁を結んだこの存在との、新たな縁にもなるだろうと】
【互いを認めるように、名前を名乗った】

/オーライ、そうしましょう!
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 02:14:31.65 ID:dKwxGh2r0
>>20

【頂く、という言葉を聞けば一度小さく頷いてみせる】
【それならそれでいい。妖狐という存在にとっては不要な物らしく】
【続く言葉。名を尋ねられると――少々以外そうに瞳をぱちぱちと開閉し】

……ふむ、名前。あぁ確かに、妖狐では呼びづらいでしょうねえ。

ならば、そう――"クズノハ"とでもお呼びなさい。
この一体の妖怪の……名目上の長、のようなものですかね。
とは言え普段は里に居ますから。また会った時は、どうぞよろしく。

【ウェイン――と、相手の名前を脳裏に刻むように呟けば】
【それで十分に互いを認めあったということになるだろう】
【或いは、敢えて好物何ていうのを伝えたのは、次に会うときを考えているのかも知れず】

……さて、私は帰りますよ。
貴方も行く所があるのなら、雪が降るまえに行ったほうが良い。
この辺りの夜は冷えますからね。……こちら、餞別です。

【そういってふわりとウェインに向かって飛ばすのは、式神の札】
【触れればほのかに温かく、胸元に納めれば良い暖になるだろう】

【――もし青年がそれに礼を言おうと顔を上げたならば】
【既にそこに妖狐の姿はなく、ざぁ、と枯れ木がざわめくばかり】
【さながら狐に化かされたような――けれど、確かに胸元の暖かみは残っていた】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 02:28:59.54 ID:fmkBnnr3o
>>21

――クズノハ。
なんとまあ、偉いモノだったんだな……

【一つ名前を呼び、うん、と頷いて、浄化の要石を懐中にしまい込むと】

こちらこそ、どうぞよろしく。
次に合うときは好物でもご馳走しよう。

【またきっと、どこかでクズノハとは会うこともあるのだろう、と、すとんと胸に落ちるように納得した】
【そうして、枯れ木のざわめきを見上げる】

――ああ、きっとまた、クズノハ。
君と、君の一族が幾久しく健やかに過ごせますよう。

【それは、戦いのときに叩いた軽口を】
【今度は、確かな友愛を載せて、同じ相手に贈る】

【15名。最早戻らぬ犠牲はあれど、だからといっていつまでも相争うことを良しとせず】
【ひとつ確かな絆を築き、胸の暖かみに勇気づけられながら再びズタ袋を背負うと】
【歩く青年の白い外套に、同じく白い雪がひらりと舞い落ちる】

【白と白の取り合わせは、クズノハと相対したときのようで――ふふ、と笑みをこぼして】
【さて、中央都市までまだしばらく――旅は、続くのであった】


/ロールありがとうございました!連日最高に恵まれてるな俺!
ところでクズノハの好物……葛きりとか?
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 02:54:40.38 ID:dKwxGh2r0
>>22

【――旅を続ける中で、この山の噂を聞くこともあるだろう】
【曰く、あれ以来寺院を襲う妖魔の姿も無くなって】
【反対に山には動物が増えたという。例えば狐に狸、そして狼だ】

まったく――どうして貴女の一族まで居たんですかねえ。
私、狼は嫌いなんですよ。毛並みが荒いですし、全体的に粗忽なので。
ましてやあの程度の結界もどうにか出来ないのでは、同じ妖かしとして恥辱の極みです。

『――別に儂はあのままでも良かったんじゃがのう。
 儂、結界とか特に気にならない性質じゃし。ところで――お?』

貴女と話していると、幼子と話しているようで疲れます。
私、人里に帰りますよ。山は寒いですしね――ではまた、長尾さん。

【さて、妖魔の害が無いのなら――青年にとっては、約束は守られたと云うことだろう】
【そして獣が増えたという報も、聞くものが聞けば理解できるはずだった】
【果たして問題はそこに居たのが"妖狐の一族"だけだったのか、ということだが】

【そればかりは青年の預かり知るところではなく、かつ悪弊を齎すものでもなく】
【もし気になるようであれば――街中で、真白な洋装をした人物との再開を望むのが早いだろう】


/こちらこそありがとうございましたー!
/好物は卵料理、天ぷら、稲荷寿司、あんこ系和菓子となっております。
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 03:02:28.36 ID:fmkBnnr3o
>>23
/メモった! ぜひまたー。
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/06(土) 08:26:07.79 ID:5ahSaXxL0
【風の国――UNITED TRIGGERの店舗前】
【時刻は朝日が昇って少し後、まだうんと澄んだ空気に、新しいお日様がきらきら光って】
【だけれどもしいつもこんな時間に通りすがる誰かが居て、そして今日も通りすがったなら――掛けられたままのOPENの札、それが物珍しく】

【見れば中の明かりもそのまま。もっと言うと、室内の暖房までそのまま――なのだけど、もし外から見て不思議がった誰かが居たとして】
【もしや誰かが消し忘れたかと確認するより、少し前。タイミングとしてはちょうど、どちらか早いかをビデオ判定したくなるくらいの頃合い――がちゃり、と】
【扉が内側からすごい勢いで押し開けられるだろう、扉に付けられたベルが古めかしい音で鳴って、それが朝早い街中で少し目立ち】

――もう、目覚まし、掛けたのにっ!

【――それで、続くのは。少しだけ金属質な、それでいてあどけなさの残る声、どうやら少女である――というのは、飛び出してきた人影を見れば容易に判断でき】
【焦った表情と様子で酒場としての店を"終わり"にしていくのだろう、酒場営業中に掛ける札をひっくり返して――というのが主な作業内容だったから】
【別に大したことでもないのだけど。それを終えれば"ばたん!"と少し大きな音で扉を閉めて戻っていくから、またそれも、静かな朝日の中では――すごく目立って】

【黒髪の跳ねあがった寝ぐせが朝日できらきら光って揺れていた、左右で色の違う黒と赤の瞳は寝不足であるかのように少し赤く、それから】
【真っ白な頬にはなんだか何かの跡がくっきりついていて――服装も、櫻の伝統衣装の意匠を取り入れた給仕服なのだけど、それもまた、変に寝た後のように着崩れて】

【さてそれでもしも誰かがその後の店内の様子を気にしたなら。入口の鍵は開けられたままであるから、立ち入るのはひどく容易であり】
【中に入ればうんと暖められた空気にわずかに酒と料理の残り香が漂う、いろんな物音とあわただしい足音は、つい先ほどの慌てた少女が店内を右往左往して】
【おそらく外ですべき作業の何倍もあるのだろう片付け作業に追われているようなのだった、皿を運んで洗ったり、お湯を沸かしたり、パンを焼いたり】
【いくらか私用が混じっているようでもあったけど。ばたばたとした様子は――とりあえず忙しそうだが、見ようによっては何もかもそのまま寝落ちした人間の朝支度のようであり】

【――そしてまさにその通りだったのだけど、とは、まあ余談だろうか】

うんとたくさん掛けたのに、全部止めちゃうなんて――!

【ひゃーと悲鳴のような声。ひとが見ればひどく平和なものなのだけど、本人からすれば、それどこじゃないような――】

/次お返事できるのが夜になってしまうのですが、よろしければ……
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 16:07:19.61 ID:fmkBnnr3o
>>25

【まだ、その酒場から遠くはあるが―――】

【風の国、都市近くの丘陵地帯】
【なだらかな丘と、それを通る街道】
【その傍らに、点々と大きな風車が林立する―――自然豊かな風の国を象徴するような、平和な光景】
【既に刈り取りを終えた小麦畑は少し寂しさこそ覗かせるが、また来年、人々に豊かな恵みを与えるだろう】

【そんな街道を、白い外套を纏った青年が歩いている】
【気候の穏やかな風の国と言えども、この季節の風は冷たく】
【しかし青年の懐中には、ふわりと暖かな温もりが】

―――そういえば。
鈴音から貰った、酒場の住所は……

【受け取ったメモを確認する。その住所は、ちょうどこれから通りかかる都市の中】

……あんまり日を空けてもないけれど、構わないよね。
少し旅荷も整えたいし、ここにしばらく、滞在するとしようかな……

【思案しながら歩けば。都市のゲートは、もうすぐそこに】
【ほどなく青年は、酒場の前を通るだろう――】
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/06(土) 22:16:50.22 ID:xdbZb+3r0
>>26

【ちょうど――そう、ちょうど、彼が店の前を通るころ。時刻はさっきより少し進んで、ほんの少しだけ太陽が高く移動した後】
【ほんのわずかでも高くなった太陽は急に違った色合いで町中を照らし出す、さっきみたいなつんと尖った爽やかさより、いくらか、親し気になって】

【そのころには――店の中のどったんばったん大騒ぎも一通り終わっているようだった。だから、彼がその場所を訪れれば】
【さっきまでのばたばたした様子はどこへやら、ちょこっとだけレトロな感じの壁面をお日様に暖められている建物が、そこにどーんと――というより、普通にあって】
【もしも扉を開けば、古めかしいベルのわずかにくすんだ音。"あの"少女の声はもっと高く澄んで鈴の音に似るけど、それでもどこか似通って】

――――うん、これなら大丈夫なの、誰か来ても、どう見たって、優雅な朝ごはんだし……。
うっかり寝すぎちゃっただなんて誰も思わないよ、だって……うん、……――作りすぎた、かなあ……。

【中からふわっと暖かな空気が漏れ出てくるならこの空間自体が誰かの訪れるのを歓迎しているようだった――それと、ふわり、どうにもおいしそうな匂いもして】
【それとも彼が真っ先に気づくのは壁面に飾られたものだろうか、多種多様様々な武器――銃や剣などが一面に飾られ。それも、単に飾りではなく、すぐにでも使えそうなほど】
【ようく手入れされているものたちで――そして彼が真っ先に気づくのがそちらではなく、"彼女"なら】

わっ! わ、ごめんなさい、まだ誰も来てないの、わたししか……、……あれ?

【がたんっと来客の音に慌てて立ち上がるときに蹴っ飛ばされるようになった椅子の音、それからかたかたっと、揺れた机の上で食器が鳴って】
【目を真ん丸にして、だれもいないと告げ――終わるか、終わらないか。そのタイミングで少女はやっと相手がだれであるかを視認したのだろう、ぱちくり瞬き】

トーカーさんだ。いらっしゃいませ、――わあ、でも、お店は夜からだし、ほかに誰も起きてきてないよ――。
……あ、トーカーさん、おなかすいてる? ぼうっとしてたら作りすぎちゃったの。よかったらパンとか焼くよ!

【すぐにぱっと破顔する――と、それはいいのだけど】

【彼女が占領している机の上にはいろんなものが並べられていた、トーストしたパンにバター、それから数種類のジャムに、それから塗るタイプのチーズとか】
【豪華にもベーコンとハムを両方使ったハムエッグ、ちぎったレタスのシーザーサラダ、何かのクリーム煮、それからオレンジだとかの果物まで切られて】
【それから大きめのティーポット、細い注ぎ口からはかすかに湯気が立ち上り――なんというか、完全にこれからおいしい朝ごはんを堪能しようとしていた、そういう瞬間】
【くちゃくちゃになった裾を直して寝ぐせの髪を簡単に一つに結わえた格好、少し眠たげな眼をしているけれどわりかし元気そうに、入り口まで向かえば、そう尋ねて】

/お待たせしました……!!
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 22:19:31.46 ID:dKwxGh2r0
【闘技場】

【力自慢が集うこの施設。無論、"リアル"で殴り合うのも悪くない】
【だが、時代はより先進的で画期的な戦闘訓練を可能としていた】
【いわゆる『VR』――電脳空間での仮想戦闘である】

【自分の思ったままに肉体や武器、能力を再現可能であり】
【動きもほぼ脳波のそれとズレることなく同期できている。つまり――】

『――ほう、これは便利だのう。怪我が無ければ予後も安心じゃ
 まっ、ちと物足りないかも知れぬが……さて、誰ぞ相手は――?』

【ほぼ現実と変わらず、それでいて肉体に影響の無い戦いが可能となる】
【そして今、その電脳空間に一人の腕試し希望がログインしていた】
【身長は160cmほど。銀髪の髪はやや長く、瞳は空色である】

【その辺りはリアルを反映しているのだろう。ちなみに言えば、女性であり】
【胸元はサラシ、両手首にはブレスレットにも見える鉄の輪をじゃらつかせ】
【きわどいローライズのホットパンツを身につけたその人物は、意味が無いと知りつつも】
【癖なのか――拳をパキパキと鳴らし、肩を回して他にログインしてくる者は居ないかと待ち構えていた】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 22:47:00.16 ID:fmkBnnr3o
>>27

【UNITED TRIGGER】
【機関、D.R.U.G.S、GIFT――それら人の世に害を成しうる組織へ対抗するために】
【『セリーナ・ザ・キッド』が設立した組織であり、そして、商店であり】
【酒場でもあるという、その存在】

――いや、高層ビルとかじゃないのか。
見た目はどうやら、普通のお店のようだけど――

【店舗の前、白い外套を纏った青年が立っていた。看板を見上げて、ははあ、なんて嘆息すれば】
【くう、と青年の腹の虫が声を上げた】

【昨晩寺院で菓子と茶を馳走されてから、手持ちの水しか飲んでいない】
【なにか食べるものはあるかなあと、少し考えを巡らせると】

【CLOSED】

―――な。
なんだって……!!

【酒場はこんな朝から営業していない、という、厳然たる事実に突き当たる】
【しかし中からは人の気配、それが鈴音であるというほど都合よくはあるまいが】
【とは言え食料の融通くらいはお願いできるだろう、と意を決してドアを押す】
【古めかしいベルの音。ぱたぱたと動き回るその少女は、廃墟で出会ったあの少女で――】

――やあ、鈴音。
いや、こりゃ奇跡かもしれないぞ。
もしよければ、ご馳走になっても、構わない?

【まさに今欲していた、暖かでうまそうな食事が並んでいるのだった】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 22:49:04.10 ID:fmkBnnr3o
>>28
/とても戦いたい!!!!
/よければ二場面同時でお相手させていただいてもよろしいでしょうか
/連日なうえ、大変大変厚かましいお願いなのですが、、、
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 22:54:58.55 ID:dKwxGh2r0
>>30
/こちらは一向に構いませんよ〜!
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/06(土) 22:58:13.64 ID:xdbZb+3r0
>>29

あ――おはようございます、かな? えっと……この間ぶり……奇跡?

【いらっしゃいませ――給仕の癖で口に出した挨拶も、店としてやっていない今となっては間違えたものだろう、それならと言い直すのは、正しく朝のご挨拶】
【かといって久しぶりとは言い難い相手に「来てくれたんだ」と笑って見せて――奇跡だなんて言われれば、いたって当たり前に不思議そうな顔をする】

もちろんいいよ、昨日の残りも食べちゃいたいの――ちゃんと冷蔵庫に入れてから寝たから大丈夫だよ。覚えてないけど……入ってたから……。

【それが作りすぎた朝ごはんを彼もいっしょに食べてくれるということになれば。少女こそ安心した顔で笑うだろう、なにしろ――机に上には、二人分としても多いくらい】
【少女自身割とたくさん食べる方ではあったのだけど、それでも一人では多いという程度には食べ物が並べられていた、それも……彼はなんとタイミングがいいのか】
【ちょうどいろいろな食べ物が出来上がって並べられた、その瞬間に訪れたのだろう。どれからも適切に湯気が立ち上り、サラダのレタスも、ぱりっと元気がいい】
【ひどく頼りないことを言ったようにも思えるのだけど――「よく暖めたから」と微妙に目をそらしたままで付け足して】

えと……トーカーさん、パン派? ごはんがいいならあるよ、お味噌汁くらいなら作るし――、

【ひとまず立ち話もなんだし、という様子で彼を店内へ誘う、そうすれば、使っている机へと案内し。自分が使っていなかった椅子をすすめて、そう尋ねる】
【とりあえず主食は何がいいかと。彼の見た目からすればパンが好ましいのだろうか、それとも櫻風にご飯を好むのか、――どちらにせよあるというのなら、好きに言えばよく】

紅茶にレモンとかミルクとかお砂糖入れる?

【そう尋ねる頃にはうきうきとした様子で厨房の方に入っていこうとするから――なんだか楽しそう】
【あの廃墟で出会った時とはまた何か違うように見えるだろうか、というよりも――まとう雰囲気自体、どこか明るく鮮やかで、軽やかなものになっていて】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 22:58:57.73 ID:fmkBnnr3o
>>28

【ぢぢ、目の前に電荷が走る】
【それは呼び声であり、闘争を告げる角笛である】

―――New User Logined.
You Joined Match!

【そんな文言が中空に浮かび――】
【目の前に、男の姿が形作られた】

【身長は女性よりも高く、180cmを越えていて】
【深い蒼色をしたその髪を、乱雑に後ろへと撫で付けていた】
【仮想の肉体ながら、その眼は鋭く】
【長い手足は、その獣じみた俊敏さを隠さない】

――ほお。ちったあ歯ごたえがありそうじゃねェか。

【目の前の女性を見下すように、顎をしゃくって口の端を上げた】
【相対する二人。闘技場であるのなら、為されるべきことはひとつ―――】

【電子の時計が、闘争の始まりを告げた】

/>>31 ありがとうございます! 速度頑張る!
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 23:06:12.54 ID:dKwxGh2r0
>>33

ね……ゆ、ざー……あー、ンー……読めんのう、これ。
……まあ良いわ。貴様が現れたということは
すなわち貴様と戦えということであろうから、のう?

【乱雑に撫で付けた髪、鋭い瞳に長い手足、その雰囲気】
【荒々しい言葉を聞けば、同じことを言おうとしていた、と】
【そんな雰囲気でにやりと笑って、両手を腰にあてて】

【何か喋るのか――否、瞬時に右足による叩き込もうとする】
【その速度、ノーモーションに等しい身の軽やかさ】
【間違いない。この女性の戦闘方法は、近接格闘であるらしく】

【その蹴りは鋭く、重い。何より不意打ちであるというのがアドバンテージだ】
【が――最初から闘志はむき出しだったのだから】
【敢えて手合わせを求めて此処まで来た男が、無様に食らって倒れるかは妖しいものだった】

/アイサー、よろしくお願いします!
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 23:07:08.63 ID:fmkBnnr3o
>>32

うん、おはようございます。
ちょうどお腹がぺこぺこでさ、何か食べ物を売ってもらおうと思ってここに来て――
けれど営業時間外だったみたいでさ。
軽く絶望喰らってドアを開けてみたら――君も食事もあったものだから。

【鈴音とご飯を並列に並べて、ありがたや、なんて呟く彼は】
【あの『空白』との戦いで、少し肩の荷を下ろしたのか、どこか気安い】

昨日の残り――う、うん?

【どうやらこの食材には、あずかり知らぬ空白の時間があるようで】
【腹を壊すということはあるまいが――】
【ああエヌ、どうか見守っていてくれよ、なんて心の中で十字を切った】

……ああ、パンでお願いしたいかな。
紅茶には、ミルクと砂糖を入れてくれると嬉しい。

【紅茶にうるさかった誰かを頭の片隅に思い出しながら、遠慮なく鈴音に注文を】
【朝の光の中で、廃墟の約束は、思いの外早く、それもあっさりと叶えられそうで】
【ふたりとも、どこか楽しそうにみえるのは】
【いくつかの転機を越えたからだろうか―――】

【ともあれ朝食。鈴音が席についたなら、声を合わせていただきます、とするだろう】
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 23:14:43.58 ID:fmkBnnr3o
>>34

――は、上等……!

【ど、と、空気を斬り裂くようにして迫る蹴撃】
【迫るそれを視認するが速いか、男の両手には黒い槍が握られていた】
【その長さ、およそ2mほどだろうか】

【両手で握ったそれを柱のように立て】
【迫る蹴撃を受け止める】

―――ッ、

【蹴りの威力は凄まじく、槍を握った両腕に衝撃が伝わる】
【踏ん張った足はざりざりと音を立てて、半歩分ほど男の身体を後ろへ退げた】

たまにこういうのがいるから、此処も捨てたもんじゃねェってな!

【女性は近接格闘。男の得物は槍であるが故、この戦いはきっと交戦距離がモノを云う】
【もう一歩、地面を蹴って後ろに下がる。槍の切っ先を女性に向けて、男にニヤリとその犬歯を見せつけた】
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:24:11.63 ID:xdbZb+3r0
>>35

ああ……さっきね、札をひっくり返したの、えーっと……仮眠、しようと思ったんだけど。そしたら、その――、

【さっきひっくり返した。仮眠しようと思った。そしたら。その】
【きまりわるいのを表すように端切れ悪い言葉がいくつか連ねられていく、つまり、多分、寝すぎたのだ。それも想定の何倍も】
【それでもありがたいとまで言われれば「こっちこそ助かったの」と漏らす――それで、彼を店内へ招いて。座らせて。おもてなしの準備完了、家じゃなくて店だけど】

……ええと、ね、大丈夫だよ? ちゃんと火通ってるものだし……それなの、それ、

【昨日――具体的には、昨日の夜に出していたものの残り。つまり年齢としては昨日の昼間〜夕方くらいから、多分まだ一日も生きていないやつ】
【大丈夫だよと笑う。なにより目線をそらしたのは完全に記憶にないのにきちんと冷蔵庫に入れてたあたりが原因、そんなに眠かったかな……と自分への呆れが七割くらい】
【例の"昨日の"はクリーム煮であったらしい。確かにふわふわ湯気が上がって、柔らかい、優しい……多分風邪ひいてても食べられるような感じの、優しそうな】

【それで彼が注文すれば「トーストする?」「カリカリがいい?」「ふわふわがいい?」などなどいろいろ聞かれるだろう、ただ口うるさいというよりは、】
【こういう珍しい食事を楽しんでもらいたい、もっというと、食事は楽しくおいしくあるべき……なんて思っていそうなそれで。だから嫌味ったらしくもない、はず】

【もしパンを焼くのを希望すれば、「冷めちゃうから先に食べちゃってもいいよ」と言って彼女は厨房へ入っていくだろう、それから、先に、ミルクと砂糖と、彼のカップを】
【ティーポットの中身はたっぷりの紅茶、ただダージリンとかアッサムとかそういうのじゃなくて、ティーバッグではあったけれど――自由に注いで飲んでよし、というスタイル】
【パンを焼いていたなら少女が戻ってくるのは数分後。生……というかそのままでもよければ、すぐにでも戻ってくる、よく店で売っているタイプの、ありがちな食パン】
【そのくせ薄切りと普通の厚さのをどっちも持ってくるから、また机の上がにぎやかになって。トーストするのも、カリカリなら薄切り、ふわふわなら普通の、になる】

【――とにかくそれらの手続きを終えれば。やっとこ彼女も席に着く、それで、いただきますをするのだろう】

【とにかく豪華なベーコンハムエッグはベーコンもハムもカリカリ香ばしく焼いてあるのに、卵の黄身は絶妙に半熟に仕上げてあって】
【レタスをちぎりまくったシーザーサラダ、乗せられたクルトンは形が少し不ぞろいで焦げ目も少しずつ違うからもしかしたら作ったのかもしれない、あるいはドレッシングまで】
【クリーム煮はよく見ればカブや白菜などの冬野菜が煮込まれている。分厚く大きく切ったベーコンの風味と、くどすぎないクリームの味と、野菜はうんと柔らかく煮込まれ】
【トーカーが来たので張り切ったのか、ジャムがさらに追加されたりはちみつが瓶で来たり、もう半分パーティみたいになりつつあった――とは余談】
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 23:26:21.27 ID:dKwxGh2r0
>>36

【手応えアリ。――だが、これは肉を蹴ったソレではない】
【鋭い動体視力が蹴りつけたものがなんであったかを理解すると】
【素早く足を引き、トンと半歩下がって姿勢を取り直し】

ほほう、獲物は槍か。それも中々良い眼を持っておるのう?
まさか今のを受けるとは思わなんだが――

――なんじゃ、突いてこんのか臆病者め。

【槍は2m程度、腕の長さも加えればその射程は3m弱か】
【だが槍は先端にしか刃がない。柄を使うものも居るが】
【果たして相手はどれだけの手練かも分からない】

【ならば。――下手の考え休むに似たり、自分の手札で勝負するのが最良】

【女性は一挙に相手に向かって飛び込んだ。姿勢は低く、両足のどちらかは常に接地させる】
【ちょうど槍に正面から向かっていく格好だが、その素早さたるや】
【まるで獣――狼のようだ。身軽なこともあってか、人外じみていて】
【けれど攻撃には至らない距離。今の有利は男にあった】
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 23:37:15.77 ID:fmkBnnr3o
>>37
【さっき札をひっくり返し】
【仮眠しようと思った、と言われれば、まさか大変な迷惑を掛けているのでは、と眉を上げたが】
【話を聞いていく内に、どうやら鈴音が寝坊した、と思い至って】
【なんとなくおかしいような気持ちになって、鈴音の注文に答えていく】
【トーストはカリカリ気味で、薄切りが好みです、なんて厚かましくも】

――それでは。
恵みを齎す世界の王の、風と土とに感謝して。
それとももちろん、鈴音にも。

【いただきます、と声を合わせて】
【あとは少し、行儀も悪く】
【絶妙な具合の卵の黄身に驚嘆の声をあげながら】
【とろみの向こうからやってくる、ベーコンやハムの快い食感】
【塩っ気の強いその旨味を、また卵のとろみが包み込み】
【小麦の香る食パンが、どっしりと受けとめてまとめ上げる】

―――うん、うん。

【しゃきしゃきと瑞々しく弾けるレタスと、カリカリのクルトンのコンビネーション】
【新鮮な生野菜など、旅の身では何よりありがたく――】
【冬野菜のクリーム煮は、外の寒さを癒やすように胃袋へと落ちていく】
【無我夢中に食べていき、人心地ついたころには】
【テーブルの上の料理はあらかた片付いて、紅茶を楽しむ時間になるだろう】

……いや、とてもうまかった――ご馳走様、鈴音。

【ふう、と満たされたように顔をあげる。その口の端には、パンの粉がついていて】
【けれど気付かず、青年は旅の道具を買いたいのだけど、という話を始めていた】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/06(土) 23:41:35.93 ID:fmkBnnr3o
>>38

【敵からの賛辞を当然と受け流し】
【そして敵からの挑発も、右から左と受け流し】
【計るは敵と我との距離】

―――は!

【一挙に飛び込むその機先を制するのは、黒い槍での刺突】
【ひゅぼ、と、空気を斬り裂くような音を立て】
【まるで銃弾のような速度で、突きは女性の進路へ置かれるように放たれた――】
【その鋭い眼差しは、接地された足へと注がれる】
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/06(土) 23:51:37.44 ID:dKwxGh2r0
>>40

【真っ直ぐに突き出された槍の穂先は、重機関銃の射撃に似る】
【重さ、速さ、破壊力。――しかし、あまりにも直線的だ】

【その刺突は女性の頬を、思いの外深く抉っていく】
【ブチブチと血の通った肉が削げていく、リアルに極限まで近い音と感触】
【赤い飛沫がデータとして飛び散り、女性の額には本能的に汗が浮く】

――――その腹、貰ってゆくぞッ!

【反射神経か、動体視力か。どちらにせよ、ギリギリで肉を断たせ】
【男が眼差しを向けたその足は、力強く地を踏みつけたかと思うと】

【瞬時、男へ飛び込むように女性は手刀を繰り出した】
【ちょうど四足で走る狼が、獲物をすれ違いざまに爪で引き裂くが如く】
【接地する箇所をゼロにして、速度をそのまま飛び込む勢いに変え】
【狙うは男の脇腹。直撃すれば、内臓までそっくり抉るような鋭い一撃だった】

【当たるか、外れるか――どちらにせよ、飛び込んだ勢いはそうそう消えず】
【女性はそのまま前転するように距離を取って、素早く立ち上がり男に正対するだろう】
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 00:03:10.92 ID:s3nQ+WsB0
>>39

【しおっけの強いベーコンとハムはそれだけでごはんもパンも進む逸品、それをさらにベーコンやハムそのものから滲んだ油でカリっと焼き上げ】
【卵の黄身は半熟でも、白身までもやる気なくだらけてはいない、白身もきちんと白身らしい白身っぽさを保ちながら、それでも卵はどこまでもとろり滑らかで】
【味付けはベーコンとハムの塩気で十分ながら物足りなければ塩も胡椒もいっそ醤油まで卓上に置いてある。というか彼女自身普通に醤油を掛けていた。それをおいしそうに頬張り】
【さくさくかりかりに焼き上げたパンにざりざりとした音でバターを塗って、それから少しだけ塩を振って。かじりつけば期待した通りの音でさくりと鳴く】
【ただそれでも少し駄々をこねる子供みたいに思った以上にちぎれてくるのがご愛敬だろうか、思ったより大きく取れてしまったパンを慌てて口に押し込むのだから】
【こちらもこちらで行儀はあんまりよくない――とは余談。サラダのレタスも冷たい水にさらしたのだろう、音はもちろん、口内での歯ごたえまで音通りにしゃきしゃき快く】
【それをしばらくしゃきしゃきした後で、「よく暖めたから絶対大丈夫だよ」と念には念を押してからクリーム煮に手を付ける。カブも白菜も、一番やらかく煮える風に切られ】
【よくあるテレビリポーターに食べさせればとろけちゃう以外の言葉を言わなくなるくらいには、柔らかに仕上がっていて】

【そういえば見ていればわかるだろう、この少女、食事の時はほんとうにほんとうに楽しそうにおいしそうに食べる性質らしく】
【おいしいものを頬張るときの口も思ったより大きくて思い切りがいい。それで嬉しそうに目元をほころばせて、――】
【――それなら、本当に食べるのが好きで、楽しくて、それが幸せなのだと。言葉にする必要もなく、伝えるよう】

【そして。このUTについて下調べを彼がしてきたというなら、きっと、とある慈善事業にもかかわっている、というか――まさにこの場所を提供して行われてるものがあると知ったろうか】
【メインは路地裏などの孤児を対象にしたものであるが望めば浮浪者なども訪れることのできる無料の食堂。日付と時間が決まってこそいるが、もう何年も続けられて】
【それの発案者、そして料理の調理を任されているのがまさに彼の目の前でおいしそうにバターとはちみつたっぷりのトーストを頬張る少女、そのひとであると】

ふふ、トーカーさん、うんとおいしそうに食べてくれるね、それによかった、みーんな食べてくれた。

【それで――食事が一段落。というより食べるものがあらかたなくなってしまえば、彼女はひどくご機嫌に笑っている、彼の分に持ってきたミルクをいくらかもらって、ミルクティにして】
【うんと甘くして飲みながら――よかったあなんてしきりに言っているから。彼女としてもやっぱりとっても助かったらしい、それから少し冗談めかして、】

トーカーさん、お弁当つけてどこ行くの?

【ちょうど彼がパンくずをつけているのとおんなじところ――自分の口元を突っついてみせて、それから】

……んん、旅の道具? わたし、旅ってあんまりしないから……。

【どういう店がいいんだろう。そう呟いて】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:05:55.68 ID:jqo4GBFMo
>>41

【右か左か、あるいは上か】
【どの方向に避けたとて、跳ね上げるか薙ぎ払うか】
【後ろに下がれば、また突きが伸びる】

【槍という、戦場において古来最強であった武器が誇る優位性】
【また、それを自在に操る己の槍術】

【この速度戦に於いて、男には絶対の自信があった】
【――――今、この時までは】

――な、んだとッ……!

【上でも右でも左でも、もちろん後退でもなく】
【目の前の女性が選んだのは、『前』】

【眼を見開く。男の魔槍が創り上げる、槍の結界】
【それを貫くように、今、もう一段、目の前のケモノは空を飛ぶように加速して――】

【衝撃。手刀は狙いを過たず、男の脇腹を抉りとる】
【こふ、と咳をする。どぷりと喉から込み上げる、大量の血】
【一瞬の交錯で上を行かれた代償は、あまりに大きく】

……御見事。やるじゃねェか、本当に人間か、貴様。

【これ以上見苦しいところなど見せられるか、とその血をごくりと飲み下し】
【脇腹からどくどくと血が流れる。仮想と言えど、生命力が流れていくのを感じながら――】
【男は再び、槍を構えた。先ほどよりもやや切っ先を下に、態勢を低く】
【半身に構えるその向こう、男の目はギラギラと光り】

――――おおォッ!!

【だん、と疾駆する。槍と一体となったかのように】
【女性へ切っ先を向け、地上を駆ける、黒い流星】
【見えるだろうか。パリパリと、まるで放電するように】
【槍と男の身体から、紫電が走る――!】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/07(日) 00:16:08.48 ID:qm3szZty0
>>43

ハ、は……っ。――あいにくと、人間を演ったことは無いのう。
――あぁここは、全てそのままに再現する訳ではなかったか。

【起き上がり、頬の血を拭う。だがそれで止まるような浅い傷ではない】
【頬から首、胸と血が流れていって、サラシが赤く染まっていく】
【微笑もうにも激痛が走る。命に別状は無いが、重傷には違いなく】

【手に付着した血を払えば――不意に、銀の頭髪が二箇所、盛り上がり】
【先の鋭い、それこそ狼の耳のようなものが姿を見せて】

【ふとその姿を再認識すれば、腰から伸びる長い尻尾にも気付くことだろう】
【全長2mはあろうか。白銀の体毛を帯びた、明らかな獣のそれ】
【獣人――だとすれば、その素早さにも少しは納得が行くか】

……しかし雷鎚の力とは、また厄介なモノを持っておるのう!

【新たに構え直す。視線の先に紫電を捉えたこの女性に、笑みの慢心は無い】
【対抗するように漂うのはふわりとした明るい"気"のオーラ】

【手先、足先。相手に触れるであろう場所を、眩い光を放つ物質が包み、覆う】
【それで紫電を受ける気なのだろう。だがあくまでも肘から、膝から先だけの話】
【胴は生身。そして今回は受けに回った――来いというように、半身に構えて攻撃を待った】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:16:09.36 ID:jqo4GBFMo
>>42

【鈴音の料理。想像以上に幸福を与えてくれるものだな、と思いながら】
【ほんとうに楽しそうに、嬉しそうに溌剌と食べる少女に頬を緩める】

――え、あ。

【ちょいちょい、と口元をつつかれて、慌てたように手をやると】
【ざり、という感触と共に、パン屑が指についてくる】
【ぺろりとそれを舐めあげて――少し照れくさそうに、笑顔を浮かべた】

そうだな、携帯燃料に調理器具、テントや寝袋の宿泊用品――
あとは、それを格納するマジックバッグかな。
まあ何より、携帯電話があればありがたいんだけど……そういったものを扱っているお店があれば、教えて欲しい。

――あと、もしよかったら、なんだけど。

【少し言いづらそうに、眉根を寄せる】
【空白から世界を護るため、なんて大層な理由で目を覚ましたのはいいけれど】
【どうやら一緒に現金までは顕現しなかったようで】
【つまり、先立つものがないのです、と】

……鈴音さん、なんか、お仕事ください。

【きまり悪そうに、そう頭を下げた】
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:28:43.19 ID:jqo4GBFMo
>>44

――――は。
ははははははははは!!!!

銀毛の獣人《けものびと》とは恐れ入る!
我が槍が敗れたのも得心よ!

【―――獣が吠えるように、哄笑をあげる】
【その形相。果たしてより獣性を露わにするのは、どちらの方か】

【ぐ、と口を噤み、女性を見やる】
【手足足先、こちらの一撃に備えた手はずと】
【受けに回らぬ、その胴体】
【ならば胴体など狙えるものかと】

受けよ我が魔槍、天殺の一撃を―――!

【あまごろし、と】
【名乗ったその魔槍から、紫電が数条、女性へと奔る】
【槍の一撃に先駆けて、雷撃が相手を襲い】
【その身に受ければ電流は相手の身体を竦ませる。後から来る槍の一撃を受けることとなろう】
【あるいはその雷撃を凌いでも】
【崩れた態勢で、黒い流星を迎え撃つことが叶うだろうか】

【まさしく悪辣な、しかし冷徹な攻撃を】
【男は己が認めた相手にのみ、殺意を載せて放つのだ―――!】
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/07(日) 00:29:13.36 ID:PsTTf/y6o

【――そんな電脳界における激闘の様子が映された観戦モニターの前に、】
【いつからか少しずつ人だかりが出来始めていた】

【この『VR』という代物】
【現実の肉体を傷付けずに行える電脳世界での闘いとだけあって】
【異能を持たないどころか普段は戦闘などから縁遠い、】
【ごくありふれた衆民の一部に熱狂的なファンを作っていたのだった】

【しかしそこは戦闘経験のない非能力者が大半】
【彼らがいざ戦闘を始めてみても、まだ普及してから日の浅い時分では、】
【高度な闘技イメージを持つ者が少なく、未熟な戦闘ばかりだったのも無理からぬこと】

【そこへ現れたこの両雄――】

【観戦者達はざわめく】
【身のこなし、技のキレ、高度な戦略と刹那の判断力――】
【どれを取っても、自分達のものとは次元が違う】
【こんな挙動が、システム上出来たのか――と】

【両雄の一合一合が、彼らにとってはパラダイムシフトの連続だった】

【唖然と見入る者、興奮して叫ぶ者、笑いしか出ない者、】
【それぞれが思い思いに感動を露わにしていた】

【今の二人は与り知らぬところだろうが、】
【後にこの名対戦が火付けとなり、電脳闘技界は急激にプレイ人口を増やすことと相成る――】


/なんてな!
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 00:37:44.30 ID:s3nQ+WsB0
>>45

【きっと彼女の作る料理は三ツ星だなんてもらえない、どれだけ作ったって食べた客にシェフを呼べと言われて呼びつけられることもないだろう、それでも】
【ごくありふれておいしい料理を作るのならきっととっても上手なのだろう、気取ったレストランで食べる食事とは絶対的に違うけれど、それでも確かにおいしいもの】
【なによりそれを本人がひどく楽しそうにおいしそうに食べるのだからしょうがない、きっと空腹であったトーカーに負けず劣らず――】

――おしぼりか何か持ってくるね。わたしもなんだか手がざらざらするみたい、机もざらざらするし……、最初からもってきておけばよかった。

【それで相手を少しからかうようにして笑う、相手が照れ臭そうにするのも、なんだかちょっぴり面白いように笑って――そう言って立ち上がれば】
【裏の方から言葉通りに持ってくるだろう、おそらく酒場として営業しているときに客に出したりするのだろう、それを一つ二つと彼に手渡し】
【「机のは後で片すから、あんまり一生懸命やらなくって大丈夫だよ」ともいう、――手を置くときにざらざらしたら気になるだろう、とか、その程度の気持ちで】

携帯燃料……調理器具、は、そこらへんのスーパーでもあるかも。お野菜のところで見たよ、卓上でお鍋やれって感じの……調理器具はそこらへんで買えるね。
テントとか寝袋は……それこそ、ホームセンター、なのかな、……「ぬ」のビル、やっぱりぼろぼろだったから、だめだった? ――ううん、マジックバッグは……。
携帯電話のお店も、あっちの方にあるよ。けどまだ開いてないかな――、……?

【それで指先のざりざりをぬぐいながら彼が必要とするものを聞く、一つ一つ、思い浮かぶ答えを挙げていくのだけど――最後に行くにしたがって、なんだかあいまいになり】
【携帯電話のお店はあっち。そういって指指す方向には壁があるけど――たぶん、その壁の向こうの街中の"あっち"なのだろう。そして彼が言いづらそうにするのなら】
【一瞬不思議そうに首をかしげてから――、――ほんの少し遅れて、ああ、と、納得いったようになって】

…………んん、わたしも、なにか紹介できたら、よかったんだけど……、その、ここのお店でっていうと、やっぱり、セリーナに聞かなきゃで……。
"たんぽぽ"のときは、お金もらってないの、だから……えっと、――ううん、待ってね、……ううん。

……ちょっと待ってね。

【――ただ。納得はしたのだけど、すぐにはいどうぞと提供できないのはやはり彼女も雇われだからなのだろう、たとえばこの前の話みたいに】
【彼にUTの余った部屋を貸す、その代金程度にお手伝いしてほしいな、くらいなら、彼女にも言えるのだけど――本当に賃金とかそういう話になれば、彼女の管轄ではなくなり】
【それでも一生懸命考えて考えて――最終的にはそう言って一度席を立つだろう、それでカウンターの裏から持ってくるのは、ついこの前に彼に貸した携帯端末】
【しばし彼を待たせたまま操作することになる、だからちょっと行儀が悪いのだけど――ちらりと見えた画面は無料通話アプリとして有名なもの、どうやら誰かへ連絡を取っている】

――トーカーさん、お花好き? お花とか、植物とか……。
そういうの好きなら――その、絶対に今すぐあげる!って言うのは、わたし、そこのひとじゃないから言えないけど、……えっと、紹介、するよ。

【それで数分後――かたんと机に携帯端末を置いて尋ねるのだろう、少しだけ真面目な顔、だけどちょっと申し訳なさそうであるのは、自分から直接ではないからか】
【「どう、かな――」そうやって尋ねた声が、少しだけ不安そうだった】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/07(日) 00:42:47.38 ID:qm3szZty0
>>46

【我が身は軽装。武装もなければ、その能力は紫電を防ぐに至らない】
【時間をかければ――だが、いまはそのような時間も持ち合わせない】

【ならばどうするか。紫電を受けて、甘んじてその敗北を喫するか】
【否、だ。避ける、これも崩れた姿勢を作れば隙となるのだろう】
【では――。白銀の獣はくすりと笑った。なにか、面白いことを思い出したかのように】

そのような大仰な技にはちと及ばぬがのう、儂にも"ある"ぞ。
どうせ長くは保たぬ戦よ…――これで決めようではないか。のう、雷鎚の――!

【――飛び上がった。実に身軽に、その高さは優に6mを超えるだろう】
【これにより紫電を回避。体制が崩れて槍ですぐさま貫かれる、これもない】

【ただし次の回避はままならない。空中というのは、床も壁も天井もない】
【僅かに身を捻る事しか出来ない以上――これが最後と、そういうことか】
【拳を頭上に振り上げた姿勢から繰り出すのは、回転】

【そう、単純だ。その身には身長よりも長大な、多大な質量を持つ"尻尾"がある】
【身体を縦に回転させれば、その遠心力と重量は最大の武器になり得るだろう】
【狙いは純粋、叩きつけ――頭上から、魔槍の男を叩き伏せようというのである】

【早い。重い。そして脆い。行動は読みやすく、けれど1秒と経たずに落ちてくる】
【頬から滴る血が周囲へと散っていた。赤く染まった尾は、凄まじい回転と共に頭蓋を狙っていた】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:48:05.96 ID:jqo4GBFMo
>>48

【ぱし、とおしぼりを受け取って、バターやはちみつやらの匂いがする手を拭う】
【勢い良く食べたものだから、パンの粉でざりざりで】
【綺麗に取れないとはわかっていても、机の上をお絞りで拭う】

なるほどね、流石に風の国の大都市だ、
たいていのものはお金があれば揃う、のか――

【鈴音が教えてくれたいくつかのお店の場所を記憶する】
【まずはお金を稼ぐのが、先決ではあるのだが】

【お金をもらっていないのです、なんていう鈴音から仕事を紹介してもらうのは、それは一層申し訳なく】
【またたんぽぽとはなんだろう、と疑問にも思うのだけど】
【どこかへ繋ぎを取ってもらっている間、所在なさげにおしぼりでまた机を拭いていた】

なにか、ギルドが発行しているようなクエストでもいいのだけど。
魔獣退治とか、山賊の殲滅とか、封印の解放とか、そういうのがあればですね―――

……え。お花?

【予想外の言葉に首を傾げる。好きもキライも、あまり関心を持ったことが今まで無くて】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 00:58:39.70 ID:jqo4GBFMo
>>49

ち、身軽なものよな―――!

【ばちん、と紫電は宙へと掻き消える】
【しかし、放電は自らより先行し、対処を迫った】
【対処を迫った上で、後から追いつく自らが、更に攻撃を被せて行う――】
【それが天殺、二段構えの必殺槍である】

【飛び上がった銀毛をその眼で捉えた】
【あとは流星のような速度で疾駆する、その足をしっかりと止め】
【空から落ちてくる敵手を、改めて魔槍で貫く――それに十分な時間を、男は持っていた】


【―――――そう、万全で、あったならば】


【最初の交錯で、脇腹に大きな傷を負う】
【凄まじい精神力と、備えたスキルで戦闘こそ継続したものの――】
【――流れ落ちる血と、その物理作用は如何ともしがたい】
【流星のような速度で進む男が、急制動を掛ける】

【その足元には、自身の流した血がとぷり】
【ぐ、と踏みしめたはずの地面。ぬるりと血で滑り―――】

……なんと。
最初の一撃で、既にオレは負けていたか。

【崩れた態勢のまま、赤く染まった銀毛の一撃を受け入れた】
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 01:05:39.19 ID:s3nQ+WsB0
>>50

夜のお店のときはもらってるんだけど――たんぽぽの時はもらってないの、やっぱり、ボランティアだし……。

【ぶちぶちと呟く声音はただ愚痴みたいなものではない、彼に紹介できるものを……と考えるあまり、半分上の空みたいになってしまっていて】
【たんぽぽ――礼の無料で食事を提供する、あれ。あれの名前なのだった、そういえば店先にもチラシが張り付けてあった、過去には奇抜なCMを(半ば無理やり)撮らされたり】
【そういうこともあったのだけど――さすがにみんな忘れただろう。忘れていてほしい。というか多分トーカーは知らない、よかった、……なんて思考回路はなかったけど】

――ごめんね、わたし、ギルドとかってよくわからないの……その、ギルドに所属してるよってお客さんとか、いないでもないけど……よくわからないし……。
魔獣も山賊も封印もごめんね、分かんないや……えっと……ギルドに行くとそういうのがあるの? そうなんだ――、

【しゅんと申し訳なさそうな顔をする彼女は本当にそういった方面に疎いようだった、最終的にはギルドにはそういう仕事があるのか、とまで言ってしまうから】
【本当に知識量は皆無、これなら彼女からギルドへの紹介も限りなく望み薄、というかこれなら直接ギルドの方に行った方がいい気がしてくるくらい、多分、この国のどこかにもある】
【量も減って生ぬるくなったミルクティーを飲み干す、底の方がちょこっとだけじゃりじゃりして、甘い。その砂糖粒をかみしめてから、】

うん、お花……園芸のお店でお仕事してる知り合いがいるの、それで、なんだっけ……前から居たひとが、腰をやっちゃって、辞めたんだって、それで、

【「困ってるって聞いてて」】
【首を傾げた相手のしぐさに自分の言葉が足りなかったと気づいたのだろう。慌てたように身振り手振り、つまり、欠けた人員を彼で埋められないか、と思ったのだろう】
【とはいえあくまで雑談の中の話だったから、その知り合いに連絡をしてみて――かえってきた答えは、とにかく、悪くはないものだった。彼にやる気があるのなら、という感じだが】

……や、やっぱり難しいかな? ギルドって……その……日給、みたいな感じだよね? 一か月待てないよね――、
天音ちゃんは、わたしの紹介だし、トーカーさんがよければ、駄目じゃないって、……言うんだけど、

【またしょんぼりと眉を下げている。何より彼が本当に強いのを間近で見たのだから、多分――本当にギルドとかの仕事を紹介できた方が、よっぽどいい】
【"天音"というのがその知り合いなのだろう。とにかく彼女が今提示できたのは園芸店でのアルバイト。……知り合いの紹介というので、だいぶ、採用基準とかは甘いらしいのだが】
【ただ実際に彼女が言うようにその場合だと給金というのもだいぶ先の話になってしまって、今お金が欲しいだろうトーカーにとって、どうだろう】
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 01:13:59.92 ID:jqo4GBFMo
>>52

【夜のお店―――!?】
【おいおいUT、ちょっとマジかよ、と思いかけるが】
【冷静に考えて、恐らくこの酒場のことだろう、と思い至る】
【半人半魔の旧友ならば、恐らく机を叩いて食いつくことだろうが】

そっか、なるほどね……いや、ギルドに行けばいくらかは在るかもしれないが、
どちらにしても大都市の近郊だ、あまり割の良い仕事はないかもしれない。
すまない、わがままを言ったね、鈴音。

【そうして鈴音の話を聞く。まさに正しくお花屋さん、園芸のそのお店らしい】
【今まで全く接したことのない道ではあるが】
【どうせ急ぐ旅でもなし。それならこの縁を大事にしたほうがよほどいい】
【そういうことでしょう、王様よ、と少し目を閉じて】

―――いや、鈴音。そんな申し訳なさそうな顔をしないで。
是非とも。そのお花屋さんでのアルバイト、お願いできないだろうか。

【ぺこり、と頭を下げた。履歴書はいるのかな、なんて聞きながら】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/07(日) 01:18:30.16 ID:qm3szZty0
>>51

【《――BATTLE FINISHED, LOG OUT......》】

【頭蓋を砕く巨大な鞭のような一撃が、魔槍の男を捉えた直後】
【二人の目の前にその表示が現れ、気付けば居るのは現実世界】
【『VR』の機材に囲まれて、うっすらと傷を負った箇所に痛みを感じつつ目覚めれば】
【同じ施設内、喧しく騒ぐ声が聞こえてくるはずで】

――どーこーじゃー!おう汝、さっきの儂の相手を知らんかの?
ほれ、槍を持ってじゃな……ん?いや、いまは槍を持っておるか知らんぞ?

んぁー、ほれ、アレじゃ!背が高くて、拾ってきた野犬のような男じゃ!

【なんだ、と目を向ければ、そこに居るのは先程電脳世界で死闘を繰り広げた相手】
【なんとまあ、見た目はそのまま。獣耳も、長い白銀の尻尾も本物で】
【その尻尾はファーのように首元に巻きつつ、近場の観客を捕まえては】
【"リアル"の相手を探しているらしいことを口にしていて】

【――なんというか煩い。というか、言動が致命的に頭が悪そうで】
【古臭い言い回しといい、戦い以外は苦手そうな女性だった】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 01:25:13.94 ID:s3nQ+WsB0
>>53

【――ちなみにそれだとおそらくかなりヤバい店になるだろう、店長たるセリーナならともかく、】
【この少女、実際の年齢はともかくとして、見た目だけで話をするのなら十六歳程度――ぎりぎり合法か、顔つきのあどけなさからアウトか、そういう感じで】
【そんな感じだのにかなり俗っぽい安っぽい安売り量販店で売っていそうなメイド服でCM撮影させられたりしたのだけど――これこそ記憶から消したい、とは、余談】

ううん。わたしのほうこそごめんなさい――、だけど天音ちゃんとっても優しい子だよ、すごく丁寧だし、周りのこと、うんと見てて……。

【わがままだなんてとんでもない。そういう風に首を揺らせば、はちん、と、ごくかすかな音がする程度の力で両手を合わせる、それから指と指とを交互に重ねて、】

――そっか。よかった、トーカーさんお花とか嫌いだったらどうしようって……、重たいものとか持つみたいなの、大丈夫そう?
えっと……ううん、そう、だね、それなら、天音ちゃんに直接聞いた方がいいのかな――、えと、トーカーさん、この後は、用事とかって。

【急に嬉しそうにぱっと笑う、ただ彼女が伝えてくるイメージは明確ではないふわふわとしたもの、何より彼女自身がその仕事をしているわけではないから、仕方ないのだけど】
【それなら自分が話すよりわかっているひと……つまりその知り合いと直接話してもらった方がいいと判断したのだろう。ならば善は急げとでも言わんばかり】
【これからの用事は大丈夫かと尋ね――ただもちろん難しいようなら別の日程というのも十分に可能だし、こちらもあちらも急な話、ただあちらとしては】
【年の中でもわりと暇なこの時期のことだから、わりかし急な話でも問題ないという感じ――だったりする】

天音ちゃんは別に今日でもいつでも大丈夫なんだって、だから、トーカーさんがよければ、お仕事見つかるのは早い方がいいかなって――?

【多分この分だと履歴書も要らなそうだった。いや要るのかもしれないけど、そういう話をこの少女ちっともしてくれない、言われて初めて思いついたように】
【ぱたぱたご機嫌な感じで画面をタップタップしながら「とりあえずいつでもいいから来てほしいって」と、返すのだろう】
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 01:31:38.95 ID:jqo4GBFMo
>>54

―――ふ。

【口の端をあげる。見たままではないか、けものびとよ、と】
【身体を起こす。人のことは言えまい、男自身もVRと全く同じ姿形だ】

>>47で沸き起こっていた喧騒を、ちらりと視界の端で捉える】
【あまり目立つのは、得策ではなかった】

【見つからぬよう、機材の陰に身体を潜ませながら店の外へと出ていく】
【ちょうど携帯端末へ目を移せば、『上司』からの連絡が入っていた】

―――ああ、オレだ。
喧しいな、勝手だろう。
あまり目立つ事件を起こすなというから、VRなんぞで我慢してやってるんだ。
このくらいは大目に見るがいい。

【そうして、くつくつと喉を鳴らす】

いやそれがな、聞いて驚くなよ。
――――負けた。……いや、嘘など吐かん。
正真正銘、上手をいかれたという奴さ。世の中にはバケモノがいるものだな。

……もう一度やったら?
ふん、仮定の話に興味はないが――次こそは遅れなど取らんさ。

【電話を終えると、懐から煙草を取り出し、火を点ける】

借りはいずれ帰すぞ、けものびとよ。

【――野犬じみた。まさに男の特徴を、知らず言い当てているものだ】

【店内を探し終えた女性が出てくるころには、男は姿を消しているだろう―――】
【いずれ見える、その日まで】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 01:41:16.23 ID:jqo4GBFMo
>>55

重たいものを持つのは、きっと大丈夫。
運搬や設営なら、なんとかなる、かな。

【腕を組んで、考える。彼の職務経験は、どうにも物騒な方向に偏っていて】

だけど花とか、植物とか、そういうのをあまり扱ったことはないし、
なんなら客商売だって初めてだ。
だから、その。
少し天音さん、には迷惑をかけることになるかもしれないけれど、鈴音の顔は潰さないように努力する。

【そうして、日程はいつでも構わない、と伝える】
【本来は寝起きする場所を決めたり、荷物を置いたりといろいろあるのだろうが、そのあたりの手はずには無頓着なようで】
【ケセラセラ、なんて言葉が似合いそうに、鈴音の流れに任せている】

――あ、それと。
ごめん、鈴音。トーカー、って名前は、偽名……っていうのかな。
そういっても少し適切じゃない気はするんだけど。

本当の名前は、ウェイン、っていうんだ。
だから、これからはそう呼んでもらえるかい?

【思い出したように。あの事件で、一つの語り部としての役目を果たしたのだ、と】
【彼は、自分の本当の名前を添えて、そう言った】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/07(日) 01:52:09.10 ID:qm3szZty0
>>56

居らんとは何じゃ、さっきまで戦っていたんじゃから居るじゃろ。
問題は何処に――あん?なんじゃ、賭けをしてもう一戦?

――ほほう、お主面白いのう。ではお主が勝ったら儂が一日言うことを聞こう
無論、なんでもじゃぞ?……――んん、乗ったな。よし、闘ろうではないか!
儂が勝ったら破産するまで買い食い三昧と行かせてもらおうかのう!

『お、大祖母様……っ!そんな危ない賭けはダメですよっ……。
 それに、さっきまで探していた人なら――、ぁ』

【戦いを楽しむ――それもジャンキーではなく、勝負事のように】
【なんとも傾いた女性らしい、というのは電話をしながらでも分かるだろう】

【そしてどうやら、散歩歩けば先程までの興味の対象が変わるらしく】
【男が中々見つからないとなると、あっさりと別な誘いにのってしまう】
【そんな女性を制止するのは、洋装に身を包みハンチング帽を被った少年であった】

【髪は銀。親族――にしては、その呼び方が大分古ぼけていたが】
【機材の影、香る煙草の匂い。そこを指差し、わずかに一瞬視線があった】

【そこに感じた、獣性。楽しげだった男の事を、その少年が代わりに見つけていて】
【けれど呼び止める前に彼は消え――残った者の間で、第二ラウンドが始まっていた】
【――後に男が此処へ戻り、銀髪の獣人を知らないか、とでも尋ねてみれば】
【すぐに答えは返ってくるだろう。『ああ、"銀狼"って人の事か?』と――。】

/お疲れ様でしたー!2日連続ありがとでした!
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 01:56:06.81 ID:s3nQ+WsB0
>>57

えっとね……土とか、鉢とか、重たいものがいろいろあるって言ってたよ。そういうのを運んだり……設営、は、どうだろう?
だけど天音ちゃんだって女の子だし、きっとトーカーさんなら大丈夫だね、うん――。

【ううんとはてなを浮かべてつぶやく、土とか鉢とか――普段はあまり運ばないものだからイメージも沸きづらいものばかり、だけど、それも、】
【そういう感じだから大丈夫だと思うよとひどく悪意なくあどけなく笑うからある意味性質が悪いのかもしれなかった。なによりうんと強いひとだから、と、信じているようでもあり】

もう、大丈夫だよ、天音ちゃんだってうんと愛想いい子じゃないの、最初ね、――あ、初めて会った時、わたしたち、子供だったんだけど……。
絶対怖いひとだって思ったの、本当は全然違ったけど――、……それにね、初めてのことやって、失敗して、それで迷惑だって怒ったりする子じゃないよ。
よっぽどなことしたら、叱られたりはするかもしれないけど――ね、だから。大丈夫だよ、わたしだって、天音ちゃんをトーカーさんに紹介するんだよ?

そんなにうんと怖くて仕方ないひと、紹介だなんてしないの。それにわたし、こわいひと、苦手だもん――。

【――多分あんまり褒めていない。最初の方だけ聞けばそういう印象の言葉ばかり並べるのだろう、つまり、あんまり愛想はよくないけど、まず悪いひとではない、らしい】
【そして怖くもない。初めての人間が失敗するのは当たり前だと当たり前に思っているようなひと。それで最後にうんととびきりに笑うのが、それだけ、"彼女"への信頼でもあり】
【なにより"紹介"するのはトーカーを彼女に、だけではなく、彼女をトーカーに紹介するのでもある。だから絶対に大丈夫だよと、信じて、と、胸を張るようにして】

――――んん、そっか、……えぇと、じゃあ、ウェイン……さん? うん、じゃあウェインさん――、
ね、ね、お仕事紹介するついでに、もう一ついい?

【――そのままの格好で、一瞬びっくりしたように固まる。それでも順応は意外と早く、すぐに新たな名前で彼を呼んで、確かめるように繰り返して、ころころ笑い】
【そのちょこっとだけいたずらっぽい顔のままで、そっと机越しに彼の方へ身体を前のめりにすれば、】

……お仕事。天音ちゃん多分駄目って言わないよ。だからね、初めてお金もらうまでの間のお家だけど……、
やっぱり家(うち)に泊まっていくの、駄目かな? お部屋はうんと余ってるの、ひとり暮らしじゃあないけど、気は使わなくっても……、
…………あ。でもね、ペットいっぱい居るの。そういうのがよければ、ごはんも"へびさま"の分と一緒に作っちゃうし、へびさま凍りかけてたら見つけてくれそうだし……。

【だなんて提案するのだろう。――UTの部屋を貸すのは、断られた。組織とかかわるのに問題があるなら――なにより個人の縁ならありがたいと、確か、言っていたはず】
【そういう風に考えたのだろう。ひとまず一番最初の給料をもらうまでくらいでも、よかったら家に来ないかと、あまりにあどけなく笑うなら、特に大したような他意もなく】
【ただ素直にいいことを思いついた――という様子での提案だった。最後の方はなんだか謎の言葉がいろいろ出ていた――気がするけれど】

/そして申し訳ないです、凍結お願いできますでしょうか……! お伝えした通り、明日も戻るのは今日くらいの時間かなという感じですが……!
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 02:00:37.24 ID:jqo4GBFMo
>>58
/こちらこそありがとうございましたー!

>>59
/了解です、ではそのくらいの時間にお返しする、ということで。都合が変われば雑談に書いておくようにしますね。
 遅くまでありがとう!
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 22:27:04.14 ID:jqo4GBFMo
>>59

【うんうん、と話を聞きながら――】
【頭の中の『天音』像が、だんだんと移り変わっていく】
【最初はとても一般的な、園芸店を営む女性――だったのだが、】
【だんだんと、こう、馴染みのある――能力者たちにありがちなような、クセのある女性に】
【むむむ、と眉根を寄せていると、ウェイン、と先程名乗った己の名を呼ばれ】

もちろん。なんでも聞かせておくれ、鈴音。

【りんね、と声に乗せて、あまね、という女性と音が似ていることに気づくけれど、】
【へびさま、凍りかけ……?】
【不穏な言葉に首を傾げるものの、鈴音の申し出は自分にとってありがたく】
【何から何まですみません、と再び頭を下げることになるのだった】
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 22:54:03.86 ID:s3nQ+WsB0
>>59

【そして多分、彼のそのイメージは割と正しいのだった。花屋……なんて言うと、なんだかきらきらして華やかで楽し気で女子力あふれていそうなものだけど】
【少なくともこの少女の知る限りの中では、"彼女"は――わりと、そう、くせがある。ただそれで悪いひとかと言えば違う、というのが、さっきの言葉でわかるだろうか】
【ひとまず彼女の言葉からわかるのは、第一印象が怖い。でも別にそうではない。あんまり怒ったりするタイプではない……らしい】

ううん、いいの、気にしないで。わたしも最近は家に帰らないこともあるから、へびさま独りぼっちじゃかわいそう……、……。
……えっと、うんと大きい男のひとなんだけど、大丈夫? ちょっとね……ええと……うんとうんと人見知りなんだけど、悪いひとじゃなくって、
その――えーっとね、とっても優しいひとなんだけど。あと……たまに、わたしの知り合いのひとが来るよ、へびさま男のひとで、その子は女の子ね。

【合わせた両手の指さきをぱたぱたしながら首を振る、もし彼がそれでいいなら使ってしまって……というのは、どうやら彼女はこうやって留守がちにしているらしく】
【だから誰かが居るなら心強いというか安心でもあるのだろう、それにしても凍りかけるといわれる"へびさま"がどんなやつだかは気になるものの】
【やっぱりそれも悪いひとではない。それからもう一人日常的に訪れる人物を告げて、】

あとペットが白猫と黒猫と子供の竜と角のある兎と尾っぽが蛇の鶏、

【――指折り数えて告げるのが全く平穏ではなかったのだけど。というよりここまでくるといろいろ不思議すぎて、まるきり嘘吐いてるみたいにも見え――限りなく本気、だけど】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 23:06:01.59 ID:jqo4GBFMo
>>62

【へびさま、というのは、あの事件のときに顕現した、神聖な蛇のことかと思えば――】
【いや大柄な男性らしい、と情報を新たにし】
【さらには女性の知り合いが】

ええと、うん、なるほど、へびさまが同居人になるのだね……
それから女性が度々訪ねてくる、と、オーケー、ここまで大丈夫。

【それからだーっとペットが呼ばれていき】
【なるほど白猫黒猫……】

子供の竜、それからアルミラージにコカトリス……!?

【人はそれをこそ魔獣と呼ぶのです、と心の中で突っ込んで】
【けれどころころと笑う鈴音を目の前にしたならば、それこそ本当野暮だろう、と】
【少し諦めたように笑いかけ】

――わかった、観念した。
僕は今から気難しいオーナーの元で働く花屋のバイトで、
そしてモンスターハウスの居候。
そういうことで、よろしくお願いできますか?

【と、両手を上げて、鈴音に了承の意を伝えたのだった】

ああ、それと鈴音。最後に聞いておきたいのだけど――
天音という女性は、能力者?

【最後の一縷の望みのように、そう問いかけを最後にし】
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 23:22:05.20 ID:s3nQ+WsB0
>>63

うん、へびさまはずっといるよ。だけど人見知りだから……あんまり出てこないかも。
だけどびっくり屋さんだから見かけてもいじめないであげてね、もう一人の子は――勝手に紅茶とか飲んでると思うよ、多分、

【――彼の予想。へびさまとはあの白い蛇ではないかと――だけど説明の足りない少女は、こくこく頷いて、彼が主な同居人なのだと伝える】
【もう一人は……なんだかいろいろ自由っぽかった。多分放っておいていいだろう、何より彼女自身の態度がそういう感じで――】

ジャッカロープだって言ってたよ。
竜の子はね、炎のお城から連れてきたの――、みんなうんといい子だけど……えと、コカトリスの子は触んない方が。

【訂正はだけれどあんまり意味がない、つまりとびっきりの珍獣揃い、むしろ猫二匹がどうしたという感じ、仲間外れはどれでしょう――間違いなく猫だった】
【聞けば猫は拾った、竜も拾った、ジャッカロープとコカトリスは例のたまに来る女の子が連れてきた……と判明するのだけど。まあ、それは、そのうち家で聞くだろうか】

あ。天音ちゃんもバイトだよ、だけどね、なんかずーっと居るから、……その、なんだろ? 天音ちゃんがいいって言うならお店もいいんだって。
――もう、モンスターハウスじゃないよっ、そんなにたくさんいないもん、モンスターハウスって天音ちゃんがやってるゲームで見たよ、いっぱい出てくるやつ……。

うん、ウェインさんがよければ。……よかったあ、へびさま寒いの苦手なのに、わたしのためにお菓子買おうってお外出たりするの、そういうの見たら止めてね?

【ここで判明。これだけいろいろ話した天音……という人物も雇われであるらしい。そのくせ勤務歴が長いのというのでいろいろと口出しできる人間らしく】
【つまり店としてはその人物がいいというならいい。その人物としてはこの少女がいいというならいい。そしてこの少女は、ウェインがいいというならいい……ひどくややこしく】
【ただ彼女はいろいろ決まってよかったという風に上機嫌だ、卓上のティーポットをもって揺らせばかすかな水音、残り僅か――それを目線と仕草で彼に要るか尋ね】

うん、天音ちゃん能力者だよ。

【それでけろっと返す――そしてまるでそれが些細であったかのように、】

じゃウェインさん面接いこ、善は急げだよ。それともお家に荷物置きに行く? もうご飯食べたから、わたしは今日はお休みだし……。

【よいしょと立ち上がる、それから皿をかちゃかちゃ集めて――どっちがいいという問いかけはもっと言えば今からどっちを先にするかという選択でもあって】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/07(日) 23:36:37.51 ID:jqo4GBFMo
>>64

【最後の希望は潰えた】
【花屋のバイトなのに権限を持ち、クセがあって無愛想――おまけのトドメに能力者】
【断空が人生で初めて行うまっとうな勤労は】
【どうやったって平穏無事とは行かなそう、なのだった】

―――ああ、いや、まあ、善は急げだよね、ははは……
面接、今からいこうかな。この格好でも大丈夫?

【眉間に指を当てながら、最後の平穏とばかりに紅茶を所望して】
【飲み終わったのなら面接に。鈴音と連れ立って、案内される通りに動くだろう】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/07(日) 23:53:08.19 ID:s3nQ+WsB0
>>65

【一番最後の濃い紅茶を彼のカップにそそぐ、それなら、もしかしたら彼にとってはこれからの受難を暗示するように思える……の、だろう、か、?】
【ひとまずこの少女が紹介するのだから"よっぽど"悪くはないのだろうけれど。人も仕事も相性のものだからどうとも言い難い、ポットを空っぽにすれば、それも運び】
【彼がそれを飲んでいる間に大急ぎで洗ってしまって、ごめんね、お着替えしてくるねと言い残して、彼女はほんの少しの間、席を外すだろう】

わたしは全然大丈夫だと思うよ、スーツとかってかえって変かなって……ううん、よくわかんないけど。

【「そのほうがウェインさんっぽいよ」と笑顔で言うのはたぶん褒めている。――とにかく、少しの間ののち戻ってきた彼女は、首元に暖かそうなフェイクファーのショートコート】
【ひどくたくさんの布を詰め込んで膨らませた柔らかそうなスカートは飾りのリボンが後ろで猫又の尾のようにふわふわ揺れて――足元はかかとの高いブーツだから、】
【もともと百六十センチとあまり小さくない身長は百七十も近くなる、おまたせしました、と、ぱたぱた駆けてきて――それで】

じゃあ、天音ちゃんとこ、水の国だから。電車とかで行くの大変だし、転移の魔術使うね。

【――そういうものを持っているせいか距離感がどうかしていた。さも当然のように言う、それに彼女自身あまり上位の魔術師には見えないのだけど】
【差し出した右手のひらできらりと立ち上る魔術式は確かに高度なもの――「つかまって」という顔はひどくあどけなくって当たり前のような表情をして】

……あ、お家も夜の国なの。これとおんなじやつ、書いてもらうね。わたしは書けないから……。

【彼がその手に触れてくれれば、術はきらきら光って起動する、となれば、次の瞬間には別の場所――おそらく水の国の、わりに平べったい、二階建てとかではない、店舗の前】
【店先の花壇には花の少ない時期だからかとにかくビオラやパンジーが詰め込まれている、ただそれで単調ではないのは、いろんな花色や形のものを選んでいるからで】
【これはあまり見慣れない彼にはよくわからないのかもしれないけど――花がらなどもきれいに取ってあるのだった。だから、よく手入れされているのが分かり】

【――行きがけにこれもただ普通に言い忘れた、というように付け足していたのだけど。まず彼女の思惑通り水の国に着いていた場合、】
【そのころについて指摘してもいいだろうし、それ以外のことを気にしてもいいだろうし――「うんと寒いね」と笑う様子に悪気はないけれど、少し、子供ぽく詰めが甘いところがある】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/08(月) 00:14:47.43 ID:52Lrn2qso
>>66

【濃い紅茶のその苦さに僅かに眉を上げると】
【着替えてくる、という鈴音をぼうと待つ】
【まだ昼前の店内は、よく暖房されていて暖かく】
【―――街の喧騒は遠く。日差しが差し込むその暖かさに、少しの間微睡んで】

――と、ごめんね鈴音、わざわざ手間を取らせて。

【すごく似合っているよ、と目でリボンを追いながら、そんなことを宣った】
【しかし職場が水の国、と聞いて目を大きく見開いて】
【さらにはお家は夜の国。面接と通勤で世界を股にかけるのか、これがグローバル化というやつか、と】
【魔術師達のスケジュールの大きさに、わずかに嘆息する】

通勤のときはさ、この魔術式を使うことになるのかな?

【差し出された手のひらにとんと触れ、まるで手をつなぐような格好に】
【ぐ、と魔力のゆらぎを感じ取り、転移陣には慣れないな、と顔をあげると】
【そこにはどうやら職場があって、暢気に花はキレイだな、と呟いた】

【――水の国。幾度も訪れたこの場所は、風の国より気温が低く】
【けれどクズノハから預かった、式神はしっかりと寒さに対抗してくれていた】
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/08(月) 00:44:59.53 ID:Dciklnsb0
>>67

【似合っている――そう褒められれば、案外素直に褒められるだろう、変に照れることもなければ、思ったより謙遜することもなく】
【ありがとうと笑って見せて。それで手を繋げば――洗い物のあとだからか、まだ少し手が冷たい。それでも、どこかに取り残してしまわないように、ぎゅっと握り】
【――だなんていうけれど、半分は術式を書いた人間の脅しみたいなもの、半分だけ置き去りとか……そういうホラーめいたことは、ないのだけど、とは余談】

うん、でないと、大変だよ――……えっと、だめかな、大変――? でも、いろいろな場所に行けるし、便利だなって思うの……。

――終電とか気にしなくって大丈夫だよっ。

【こくこくと何度か頷く。そうでないと大変というのは確かにそうだろう、夜の国から風の国――彼の場合は夜の国から水の国の往復になるのだろうが】
【それを正攻法でやろうとするとものすごく大変なことになるだろう、飛行機に船に……多分何日もかかる、終電を気にするどころではないから】
【終電を気にしないだなんてひどくありふれたことでいうけれど。あとは――いろいろな場所に行きやすい。ただ問題があるとすれば、】
【前回の邂逅の際に彼女が言っていたように、すぐに起動できない、あらかじめ準備しておくことはできない、集中できない場では難しい……そういうのが難点なのだろう】

ここが天音ちゃんのお仕事のところだよ、たまにね、お花とかもらうの……お庭に植えたりするけど、だめだね、お日様無いからすぐ枯れちゃう……。

【時刻は――食事をしている間に過ぎた分を考慮しても、まだ、少しだけ扉に書かれた開店時間には早い。そんなことを言いながら、そーっと店内を覗き込んだ少女は】
【数度角度を変えたり背伸びして高さを変えたりしながら、やがて目当ての相手を見つけたのだろう。まだ電源の入っていない自動ドアの硝子をノック数回、繰り返して】
【名前を呼んで呼びかける――視線の先をたどれば、彼もその姿をすぐに見つけ出すだろう。すらっと背の高い女――、紺色の髪をポニーテールに結わえて】
【首元には暖かそうなネッグウォーマーとさらさらした素材の上着、開けられたチャックの中にはこの店の制服である緑のエプロンと、土汚れの目立つズボン】
【重たそうに手に持つのはありふれたごみ袋、中にはぎちぎちになるくらいの植物の枝が詰め込まれて――おそらく何かの作業から、今戻ったところ】

あれが天音ちゃんだよ、天音ちゃーん、

【あれなの、あのひとなの、そういって彼に振り返って硝子に指をあてて示す、指を押し当てた周りにほんの僅か、暖められた時の白いわっかが浮かんだ頃合い】
【相手はようやく気付いたのだろう、そのごみ袋を端に置いて、こちらへ――それで、女性にしては背が高いとも気づくだろうか。おそらく百七十は普通に超えていて】
【瞳も髪と同じ光の角度によっては黒にも見えるような紺色、それで、まだ電源の入っていない自動ドアを手動で開けようとして――ギャリ、と、変な音で開きかけたドアが止まる】

「あら、ごめんなさいね。石を噛んだみたい、割とよくあるの、気にしないで――、そちらの方?」

【最終的には力業で押し開ける。背が大きくて愛想も悪くって多分力も強くて能力者。そういう感じのひとだった、だって、今まで、にこりともしないでここまで来て】
【声も女にしてはいくらか低くノイジーなもの、それでも少女と一言二言朝の挨拶なんかを交わすから、やはり知り合い……というより友人なのだろう。それで彼へ目線を】

「外は寒いから中に入ったらいいわよ、外でする話でもないじゃない? 隙間から入ってきてくれる」

【――ただ、まあ、悪いひとでないというのはなんとなくわかるだろうか。声がとげとげしいとか、態度がとげとげしいとか、そういうことは全くなく】
【自分が無理やり押し開けたドア、それもやっぱり途中でそれ以上開かなくなったドア、もはや手動でも自動でも動きそうにないドア、それの隙間を指し】
【寒いから――と勧める程度に店内は暖かい。見れば大型のストーブが設置されていて、その周りはちょっとした憩いの場みたいな……簡単にだが椅子とテーブルが置いてあり】
【女はそこを指で示してから「お茶でも淹れてくるわ」と言って一度いなくなる、だから、多分、座って待っていろという意味なのだろう】

【少女は慣れた友人のことだから普通に言われたあたりの椅子に座っている、それならきっと彼も同じように座ってしまって構わない】
【椅子のちょっとくたびれた座布団もちょっと旧式の大型ストーブも、なんだか"それっぽい"、具体的には、なんだか、とりあえず客の年齢層が高そうな――】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/08(月) 01:22:51.52 ID:52Lrn2qso
>>68

いや、安心した――
毎朝何かしら危険な手段でその距離を往復する、となると骨だからね。
こういう、バインドストーンっていうのかな。
便利な魔術はありがたい。
そうだね確かに、夜の国では名産の夜光花以外は育たなそうだ。

【そうして鈴音が呼びかけた、ポニーテールの女性を見やる】
【ぱたぱたと動き回る鈴音を見れば、鈴音が天音を慕っているのは目に見えて】
【ならば本当、そう悪い人ではないのだろうと自分も目で追い】
【どうも、と目線で会釈する】

――ああ、ありがとうございます。
今日はどうぞ、よろしくお願いしますね、天音さん。

【招き入れられた店内を、ざっと見渡す】
【色とりどりの、花。それらはきちんと手入れされていて、どこかの誰かの人生に華を添えるのを待っている】
【――ここで自分が、この花々を売るさまは、どうにも想像しづらいが】
【しかし勉強にはなりそうだ、と、椅子に腰掛ける】
【いくつか誂えられた店内の調度を眺めて、日々の営業を考える――】
【うん、どうやら客の年齢層は、高そうだ、と気がついて】
【まあ、老人の相手はそれなりに。慣れてはいるのだけれども、と】
【考えながら、天音の帰りを待つだろう】
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/08(月) 23:13:13.06 ID:Dciklnsb0
>>69

……もう、大丈夫だよ。だってそんなのだったら、通勤するのに、三日……五日……? くらいかかっちゃいそうだし。
通勤時間長すぎてくたびれちゃうね。だから大丈夫――、……バインド? えっと、その石は、よく知らないけど……。

一応ね、ちょこっとはあるんだよ、夜の国ように品種改良されたっていうやつ、だけど、なんかすっごい地味だし――できたらかわいいのがいいんだけど。

【彼にさえよく笑って見せる彼女は、友人相手ともなればもっと親し気にあどけなく笑う、対する相手も――こちらは、こちらもやはり友人だからなのか、柔らかく】
【一言二言会話する中に「あけましておめでとう」とか言っているから、今年になって初めて会うのだろう……とは余談。今度家に行くね、と、少女が言って雑談も終わり】

【そして通された店内は、彼が見た通りに花がある――けれど、あまりたくさん、というわけではないだろう。切り花は確かにあるが、それがメインではなく】
【今案内されたストーブやいすの近くはちょっとした直売コーナーのような感じであるらしい、だから野菜や少し変わったジャム、誰かの作ったはちみつの瓶など並べられて】
【その中に、そういった切り花がある。――それなら、それ以外が何かといえば。園芸資材……鉢や支柱はもとより、ネット、烏避けのCDっぽいやつ、謎のやつ】
【無駄にエレガントな柄の園芸用手袋、二リットルくらいの小さな土、肥料、あちらの方の棚には物々しい薬品がずらっと……農薬の棚なのだけど、下の段など明らかに施錠してあり】
【それからいろいろな野菜の種、それとなんだか店内がちょっとだけ土臭くて、なぜと原因を探せば店内の一角をまるっきり使って多種多様な球根がずらりと並べられ】

「偉いおじさんがお菓子もくれたから持ってきたわ、はいどうぞ。緑茶でよかったかしら、櫻の菓子だしいいわね」

【それから少しして――やがて戻ってきた女の手にはそれなりに長い間使いこまれてきたのだろう盆に人数分の茶と、それから、どこぞの名産の饅頭】

「応接間もあるけど、暇な時期だからこっちでいいわね。開店までいくらか時間もあるし――それよりあなたも一緒に受けるの? 面接」

……えっ。わたし、別にいいよ、お仕事うんとあるから……。

【一人――多分自分はあんまり関係ないなと思って嬉しそうにお菓子の包みを開けていた少女は話を振られて驚いたように固まる、ぎょ、と目を丸くして】
【――そして確かに彼と女で話すのに彼女はあんまり……多分あんまり必要ない。相手をここに連れてきたのが少女自身である以上、女としてはそれで充分な保証になり】

んん……ウェインさん、わたし、邪魔かな? それなら、へびさまにも言っておかなきゃだし、お菓子は……もらっていくし。

【半分開けそうになった包みをせっせと戻してからそう尋ねる。二人にとって必要でないなら、彼に部屋を貸すというのと伝えたい相手もいるのだと言って、】
【ちゃっかりお菓子はもらっていくのを宣言しながら問う、最初に少女が視線を向けたのは女だったが、どちらでもいいような目を返されて、それで、彼へ――】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/08(月) 23:45:53.52 ID:52Lrn2qso
>>70

(コミュニティの集会場、のような役割を果たしているのかな)

【店内を見回しながら、そう、思う】
【水の国、各種の野菜や、流通に載せられないにしろ誰かには食べさせてあげたい――そんな思いの伝わる、直売所を見る】
【農家の人々が、ここに来たときにちょっとしたものを買っていけるように、だろう】
【そんな集会場を営む、天音は】
【鈴音のいうよう、本当に悪い人ではないのだろう】

あ、ありがとう。頂きます。

【そういって、出されたお茶と菓子に目を落とす――どうも最近、和菓子と緑茶に縁がある、と思いながら】

そうだね、面接は二人で構わない。
そこまで保護者には頼れない、からね。
もちろん、決して邪魔なんかじゃないのだけど。

【にこ、と鈴音に笑顔を向ける】
【万一色よい返事でない場合に、鈴音が居れば言いづらかろう――と、そういう思いも、あるにはあった】


面接、ということだったのだけど、生憎身分証みたいなものも持っていないんだ。
それでも構わない、かな。

【そうして確認する。鈴音の紹介といえど、今の自分に身の証はない】
【それから、何事か天音から質問があれば、可能な範囲で答えるだろう――】
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 00:12:35.54 ID:fhko2D2g0
/ごめんなさい、ブラウザ更新とダブって文章消えてしまいました……もう少しお待ちください
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 00:27:26.22 ID:fhko2D2g0
>>71

そう? ……そっか、じゃあ、わたし、一回お家に戻ってへびさまに説明してくるね。――保護者? わたし、保護者じゃないよ、ふふ。

【ぱちくり瞬いた目、それで少し考えてから――その方が効率がいいか、と、思いいたる。それでふわっと立ち上がって、スカートを数度整えるように撫で】
【じゃあ……と立ち去りかけたところに女が「これ持っていっていいわよ」とおそらく自分の分――として渡された――菓子を差し出し】
【一瞬申し訳なさそうにした少女もすぐに「へびさまもきっと喜ぶね」「ありがとう」と言って――「終わったら呼んでね」と言い残して、また、転移の術式を起動させる】

【――そうすれば、残るのは二人だ。とはいっても実際に店舗の片隅、あっちのほうでは別のスタッフがいろいろな作業をしているが――まあこれは気にしなくていい】

……あら、いいのよ。あの子だって自分が変だと思った人は連れてこないと思うのよね。
ただ、まあ、面倒なのは嫌なの。売上だとかを持って逃げたりしないでくれる? あとは高価な花だけど……ま、それは私たちがやるからいいわ。

今の時期って一番暇なの、けど人手ってあった方がいいじゃない? 忙しくなるまでならいろいろ教えたげるわ、本当にすることがないもの。

【身分証――本来ならばまず必要だといわれるだろうものを、ただあまりにも当たり前に"いい"と言ってしまう彼女は、もちろんこんな世界だからというのもあるけど】
【あの少女。あの人懐こい少女が、いくら人懐こいとはいえ、少女自身が怪しく思う人を、自分には紹介しないだろう――という信頼もあって、それならば】
【この女を雇う"偉い人"の方でも、正義組織に関係する人間から紹介を受けたスタッフが面接――面接だろうか。あまりにゆるい気がするけど――した人間であれば】
【まあ悪くはないだろう……という性善説で成り立っている世界。そのあたりも少し旧式なのかもしれない、とにかく今は一番暇だから、と、伝え】

ところで、名乗るのを忘れていたわ。ごめんなさいね、相上天音よ、園芸だとか草は好きなのかしら。
夏は暑くて冬は寒いけれど、大丈夫? 虫も居るわね、あとは蛇もたまに見かけるのよね。イタチか何かがいたこともあるけど……。
腰は健康かしら。重たいものも割とあるのよ、花粉症は……まあ、関係ないわね。あと何年かすればマイナーな花粉症になれるかもしれないけれど。

【――それから急にどばどばと"よくない"ところを言い出してみる、どれかが駄目ならばおそらく難しいだろう、決して得意である必要こそないけれど】
【少なくとも苦手なままでも慣れる余地がないと本人として辛いだろう、――それでも最後は少しだけ冗談めかして】

草って育てたように育つから、楽しいわよ。

【そして最後にはそうとも言う、そしてその時の表情は、多分彼が今日見たどの瞬間より、きらきらして見えて――本当に好きなものについて話すときの、それなのだった】

/たびたびお待たせしてしまって申し訳ないです……!
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/09(火) 00:37:22.27 ID:S6/fXzC2o
>>72

【席立つ鈴音を見送って――】
【うまくいくことを疑わないその眼差しに、これはかっこ悪いところを見せられない、と天音に向き直る】

ああ、心配ない。
これでも少し前から真っ当に生きているから――そうだね、仕事を教えてもらえれば、
それなりには働くよ。

【鈴音に紹介されたから、か。天音は端から雇ってくれることを決めているようで】
【もちろんアルバイトの経験など持たない青年は、少し緊張の面持ちを見せる】

あいがみ…あまね、かな。
改めてよろしく、ウェイン、と言います。
園芸も草も、あまり関わる機会がなくて。
多少の不快な思いは慣れてるかな。虫も蛇もイタチも、まあ見つけたら外へ放り出しておくとする。

重たいものも、うん大丈夫。
常識から少し外れたくらいの重さなら、なんとかなるだろう、とは思うけれど……

【花粉症だけは、不安だね、といって笑う】
【"よくない"ところのそのどれもが、働くことの障害にはどうやらならず――最後の一言に、目を丸くして】

はは、それはなによりです。
なかなかままならないこの世の中で、育てたように育ってくれるのなら――
うん、どうやら好きになれるかもだ。

【無論園芸の世界に生きられるわけではないのだろう】
【それでも、これからしばらくは――この女傑の元で、草木の生命と触れ合ってみても構うまい、と思ったのだった】

/いいえー、時間は大丈夫かな。
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 01:05:06.60 ID:fhko2D2g0
>>74

【――まあ、どちらにせよ。せめて仕事が見つかるまでくらいは家にいればいいと思っているのだった、だから、結果がどうあれ、彼女は彼を家に招いただろう】
【そのうえでやはり彼とこの女なら大丈夫だろうなという信頼もあった――とは余談。だけど、彼女の表情や雰囲気を見ていれば、そう思っているのもよく伝わるようで】

ええ、そう。別に適当でいいわよ、まあ仕事に問題がない程度に適当に呼んでくれる?

……あら、そうなの、じゃあ覚えることがたくさんあるわね、羨ましいわ。楽しいでしょう、そういうの。

【「私は好きよ」と続くなら、やはり彼女は心底植物や園芸が好きなのかもしれない、それに、始めたばかりというのは、いろんなことを一度に覚える頃だから】
【その瞬間はそんな暇はないかもしれないけれど、それを後から思い返したり、周りから見ると、楽しそうだなぁと思う……少なくとも、この女はそういうタイプで】

じゃあ大丈夫かしら。夏も冬も死にかけたら教えてくれる? 休憩は十時と三時だけど、夏はもっと細かく取っていいわよ。
ビニールハウスの中って夏は四十五度とかになるの。死体を見つけるのは嫌だから自分で管理して頂戴、飲み物だとかは持ち込んでいいわよ。
冬は……好きなだけ着込んでくれる、この部屋は冷房も暖房も入るから、こっちで出来る作業ならここでやってもいいの、泥は落とさないで頂戴ね。

【そして次にいきなり口から「死にかける」だなんてワードが出れば。急に事態は深刻さを帯びる――というのは少しシリアスすぎる、実際は、めちゃくちゃ暑くて寒い】
【曰く植物相手だからどうしても暖房や冷房は使えないのだという。暑くて寒い……という言葉の実態をいくらか補足してから】
【「シクラメンとかサイネリアの花粉症になったらお揃いね」と別に楽しそうでもなく言う、それから、「マスクとかもしていいわよ」と付け足し】

たまに文字通りのお邪魔虫も来るけど、だいたいはやった通りに育つわよ、だから、できたものを見れば、多少は分かるわね。全部じゃないけれど。
……それで、あなたから聞きたいことはあるのかしら、ウェインさん? ただ給料だとかの話は、後で本当に偉い人と決めてもらうわよ。それ以外ね。

【できたものを見れば、どんな風に育てたかが分かる。さすがに何もかもは分からないけど、それでも、だいたいのことは分かってしまうから、面白い】
【"悪いこと"と"良いこと"女としては伝えて、そして問題がないようだと見れば、今度は彼へ何か聞きたいことは、と尋ね】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 01:05:26.79 ID:fhko2D2g0
/書き忘れ! こちらは時間大丈夫です、気にかけてくださってありがとうございます!
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/09(火) 01:23:54.99 ID:S6/fXzC2o
>>75

【覚えることが、沢山あって羨ましいと―――】
【これはこの人には叶わないな、と少し相好を崩し】

ああ、死にかけたら助けてもらえると。
これからしばらくはきっと冷え込むだろうから、
少し動きやすい格好を考えるようにするよ。
―――この外套で、土いじりは難しそうだしね。

【そうして纏った外套を持ち上げる】
【いくらか使い込まれているであろうその外套は、しかし汚れの欠片も見当たらず】
【縁取る金糸が日光にきらきらと】
【もしも天音が戦いにも聡いのならば、対魔力と対属性とに優れることが、見て取れる】

【火口での持久戦とか、雪原での撤退戦とか、そういった時のことを思い出し】
【仕事をする服装を考える。――ああ、これが天音のいう楽しさか、と少し合点して】
【しかし戦いのことしか知らないな、と自分が少し情けなく】

【そして聞きたいことは、と問われれば】

――そうだなあ。
ここで働くに当たって……学んでおくべきことと、気をつけておくべきことを。
旅の身だからいつまで働けるかはわからないけど、
せめて十全に果たしたいから、さ。

【そう答えて、天音の返事を待った】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 01:59:00.14 ID:fhko2D2g0
>>77

そうね、善処するわ。……まあ、私もだいたい外に居るから、少しでも体調が悪くなったら教えてくれる? 
――それがいいわね、土って着いたら意外と取れないのよ、なんでかしらね、大地の叛逆かしら。

【死にかけていたら――まあ、助けると普通の人ならば言うだろう。そして実際彼女もそう答えた、とはいえ、彼女自身、室内よりも外に居るタイプだから】
【具合が悪いような顔で蹲っていたりすればすぐに気づいてくれるだろう。とにかくこれで命が危ういというのもあまりなさそうだ】
【とはいっても、やはり彼にも都合があるだろう。夏真っ盛りの酷暑の時期まで、彼がここに居るのかは、ひとまず置いておいて】

【持ち上げられた外套に向ける目線は、確かにその白ならば汚れは目立つだろう、と、その程度の目をしていた。だから――あまり、戦いに赴く人ではないのだろう】

どっちにも共通するのは、この草がこうなっていたら変っていう状態かしら。だけど――同じ病気ならだいたい同じような見た目になるから、慣れれば分かるわ。
あとは水が入っているかの見方。後で教えるわね、冬の間は夏みたいに気にしなくっていいわ、科とかは後回しでいいわよ、覚えた方が楽しいけれど――。

……そうね、あと、爺さんとか婆さんって、昔の名前で草を呼んだりするから。ま、それもそのうち覚えるわね、わかんなかったら聞いて頂戴。

【学んでおくべきであること、気を付けておくべきであること、たずねられれば――答えるのは、つまり、どういう状態の植物が正常でないか】
【それに早く気づければ適切な処置で持ち直すこともある、逆にそれを見逃せば、その草は枯死する。たまにおかしなくらい溶けて消える、なぜと思っても、すでにないくらい】
【同じ方向性を向いたこととして、水がきちんと入っているかも。それから――植物の細かい分類とかは、覚えた方が楽しいけど、まだいい、とも】
【そういうところが始めたばかりの特権、簡単なところからたくさんの知識を仕入れられる部分なのだろう。大変だけど楽しいところ。だからそれが少し羨ましくて】

――ま、こっちもお願いするんだから、分からないことはすぐに聞いてくれたらいいわよ、研修中になんも教えないで怒るようなやつはいないから安心して頂戴ね。
あと、草の手入れでなんかミスったらこっそり捨てちゃっていいわよ、赤くなった葉っぱ取ろうとしたら茎ごと折れたとか。あんまりに減るようだったら聞くことになるけれど。
そこらへんの安いポットだったらちょっとくらいは言わなくってもいいわ、次から気を付けるでしょう? 

【ただ――よい先輩であるかと言えば、多分、違う気もした。ちょっと失敗したくらいならわざわざ報告しなくても勝手に捨てていいだとか】
【そういうことになれば次から気を付けるでしょうとか……「どれだけ気を付けても折れるときは折れるのよね」ともいうから、多分彼女自身何度もそうなったのだろうし】
【それでまたお茶を一口、「ほかになんかあったかしら」と漏らすから――今回たまたま彼女の知り合いからの紹介だから受け持っただけで、】
【普段はこういう真っ先のやり取りをしないのだろう。というより、彼女自身バイトなのだから、当然と言えば当然と言えたのだけど――】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/09(火) 22:47:34.38 ID:S6/fXzC2o
>>78

どうかな、大地の友愛では?
土も君のことが好きなんじゃないだろうか。

【そうして、天音の話に耳を傾ける。気をつけるべきこと、それに気づくための指針】
【草花に水をやる、というのはとてもわかりやすいことだったが―――】
【どれくらいの頻度で、また量でそれを行えばいいのか、ということも、教わるのだろう】
【こりゃメモとペンが必須だな、と思い至って】

【ちょっと悪い先輩、なところを見る。だがそれは店舗の運営上は当然のことであり――】
【つまりやはり、この店は彼女なしでは回らないのだろう】

――ああ、ミスったら気をつける。
二度同じミスをしない、ってことで生きてきたからね。
そのあたりは心配しないでくれ。

【うん、まあ、このあたりだろう、とウェインも心の中であたりをつける】
【実際のところ、あれこれ心配事はあるけれど】
【まあひとつ、実際に身体を動かして見てからだ、と】

――いや、大丈夫。
それじゃあ、これからどうぞよろしく、天音先輩。
給料だとかの詳しい話はまた今度、偉い人と話すとするよ―――

【そういって、にこりと微笑んだ】
【今日の面接は、このあたり、だろうか。天音が連絡をすれば、鈴音の家にいくことになるだろう】
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 23:14:03.79 ID:KZK8WYqC0
>>79

そうかしら、だといいわ。だけどあいつら、爪の中にも入って取れないから、きっと嫌がらせね。

【服からは取れない、爪の中からも取れない、これは嫌がらせだろう――と呟いて小さく笑う、そして、これは彼の知らないことだけど】
【この女。実は地面系の能力者で――そういう意味でも何か親しみみたいなものがあるのかもしれない、古くから知るが少し面倒臭い性格の知人について話すときのような】
【そういう様子が少しだけあって。言ってから自分の爪をちらと見やる女の視線を追いかけたなら、それでも丁寧に切られた爪の先に茶色い土くれが入り込んでいるのが見えた】

水やり三年っていう言葉もあるのよ。だから最初は水が切れていたら言うから、その時に一緒に見ておいてくれるかしら。
それと――水が入っているときの重さを覚えておくようにしておいて。切れてたら軽くなるから分かるわ、あとは、土に指を突っ込む。

【枯らさないだけの水やりなら案外すぐに分かるもの、それでも植物が欲しいタイミングで欲しいだけの水を適切にやるのは難しいといわれて、そんな言葉もあるくらい】
【だから本当の最初は誰かが見て駄目そうなやつを彼に教える、それで水をやるときにでも、草の様子なり鉢の軽さなりで覚えてくれ――と、】
【ただ感覚的なものではなく判断する方法はいろいろあるからそれも後で説明……するのだろう。おそらくは、だけど】

あら、最初は間違えるものよ、素人が最初っから間違えないだなんて、それこそ隠蔽してるかと思うもの。
ただ……草が駄目になるのはいくらかはしょうがないもの、あとは捨てるときは鋏でバラバラにしてからのほうがバレないわよ。

【二度同じミスをしないという生き方、それは到底彼女には難しいようだった、今まで話しただけでも分かる、この女、確実に"そういう"タイプではない】
【ついでにそうやって捨てるときはほかのごみと分からないようにしなさいね、と、これも多分助言なのだろうけど、ひどい内容ではあった。それでもとりあえず】
【そういったある程度はどうしても仕方のないミス、気を付けても草の都合に左右されるものはともかく――なにか失敗は言ってくれ、という様子ではあり】
【よほど人間的にまっとうではないことをしない限りは別に特にひどく怒りそうでもなかった。何より本人が真面目そうではないから――別の意味では真面目、なのだろうが】
【人間的な話。植物に対してが真面目だったとしても本人のありようが真面目に見えなかった。それが変に嵌って見えもしたけど】

……そうね、“ヤバいやつ”ではなさそうって伝えておくわ。先輩だとかも要らないわよ、三十年くらい居る人も居るから、キリがないもの。

【まあ――どうせ彼がここで働くことになれば、いやでも頻繁に顔を合わせるだろう。気になることがあればその時、で十分すぎるくらい機会はあるはず】
【ならやはりそれでいいか、と。それで、少女が置いていった緑茶――少し冷めたものを、一息で飲み干して。――と、遠くから、「相上さん、開店時間」――そういう声がかかり】
【「ちょうどいいわね」と立ち上がる――スマートフォンを取り出して数度操作すれば、それで少女へ連絡したのだろう。じゃあ、と立ちあがって】

…………ああ、そうだわ、土をうんと触るから、気になるなら、破傷風の注射をしてあるか、調べたほうがいいわよ。

【おそらく冗談――とりあえずあまり深刻な様子ではなく告げれば彼女は仕事の方へ戻っていくだろう。少女が来るまではほんの一瞬の間があって――そこにちょうど】
【開店を待ちわびていたのだろう数人の老人がぞろぞろと入ってくる、さっき石を噛んだ自動ドアも、気づけば誰かが手入れをしてしまったらしくって】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/09(火) 23:40:08.41 ID:S6/fXzC2o
>>80

【くさばなはかせ、と】
【心の中で名前をつけた。土に生きて、土に死ぬ、というような】
【そんな印象を、受けたのだった】

【とりあえず、ここで働く仲間としては】
【相上天音は最上だろう。人当たりはともかくとして、知識や教導に関しては信頼できる人なのだと】
【そういう印象を持ちながら、開店して慌ただしくなる店を見る】
【老人たちは、やはり土とともに生きているのか、年の割にしゃきっとしていて】
【いつか匿ってもらった、農家の人々を思い出させた】

―――ん。
世間一般の病気なら、まあなんとか大丈夫。
ありがとう、天音。
シフトに入ったときは、よろしく頼むよ。

【天音に合わせて立ち上がる。鈴音が迎えに来るのは、もう少しか】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/09(火) 23:58:47.13 ID:KZK8WYqC0
>>81

【そして彼女が仕事に戻って、ほんの少し――時間としては五分はしない程度だろうか、ある瞬間に急に渦巻くように空間に現れた魔力反応は】
【すぐにぱっと花が綻ぶように咲いて。そこから一瞬のあと、ごつ、ごつん、そういう硬い足音がする、見てくれはいかにも軽そうな少女だったのだけど、何より靴のごつさが】
【そういう音をさせて――ふわっと浮き上がった髪とスカートの裾が重力に従って落ちる、その瞬間伏し目がちになっていたのが、やがてこの場の空気に順応すれば】
【――ぱ、と、鮮やかな表情になって。なにより一番初めに伝えたがったのが】

へびさま、いいよって! 気にしないって――うん、だからね、大丈夫だよ。へびさま嘘吐くの、うんとうんとへたっぴだから。
でもひとみしりだから――その、あのね、へびさまあんまりおしゃべりしないかもしれないけど、気にしないでね。怒ってるとか不愉快とか不機嫌とかじゃなくって……えっと。
どうしたら仲良くできるかなぁって、ずっと思ってるんだよ。だから、ね――それだけ。よかったら、覚えてあげていてほしいの。

【つまり、彼女の同居人がいいと頷いたのだという。それも気を使ったとかではなく、本当にいいって言ってくれたよ、と、それこそウェインが気を使わなくっていいように】
【続けるのも、あるいはそれと同じ意味合いらしかった、"彼"がひどく無口でひとみしりで愛想が悪いのをあらかじめ伝えてしまって、気にしないでね、と、言っておく】

たまに来る子は……そういうの全然大丈夫だよ。だからね、大丈夫。天音ちゃんとお話は、もう大丈夫なの?
へびさまがありがとうって言っていたから、伝えないと――、ごめんね、もうちょこっとだけ待っていて! 

……ふふ、天音ちゃんがいないってことは、お仕事、いいって? 天音ちゃんだったらね、駄目ってことにしたなら、多分、今も一緒に居ると思うんだ。

【それで、もう一人の出入りするのは全く問題ない。つまり彼女側の都合に全く悪いところはなく――それを伝えれば、あの女はどこにいるのかと】
【菓子の礼だけ伝えたいからと謝罪の意味で手を合わせてみせてから、ぱたぱたっと駆け出して……その途中で立ち止まれば、いたずらっぽい笑い顔、そう言い残して】
【店内――ごく普通の室内っぽいここから、そのまま続いていく温室の売り場に入っていく。どちらにせよすぐに戻ってくるだろう、一分か、二分か、それほどで】

【戻ってくれば、もう大丈夫?と聞いて――大丈夫そうなら、さっきしたように、手を差し伸べ。それで、転移となるのだろう】

【そうしてこの場を立ち去ったのなら――ほんの一瞬世界が暗転する、目を閉じたときに瞼の裏に浮かぶじぐざぐの模様を幾重にも重ねたような魔力によるちらつきのあと】
【二人がたどり着くのは、一切太陽の光のない場所。彼女が言ったとおりの、夜の国――古い洋館に住まっているようだった。いくらか広い庭にはいろんな草があったが】
【どれもうんと元気に育っているとは、少し言い難い。とりあえず――意外と立派な屋敷のようだったから、部屋が余っているというのも、どうも心底本当らしく】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 00:13:13.46 ID:3uGPYQP4o
>>82
【―――転移陣。これからこの高等魔術で通勤か、と考える】
【何やらいろんな人に怒られそうな――けれど、それも目の前で微笑む少女を前にして】
【同居人からの許可も得られたというならば】
【もちろん微笑み返さぬわけもなく】

ああ、それは大変よかった。
ウソを付くのが下手くそで、人見知りで無口で――だけど、悪い、

【ひとじゃない、と。人?かどうかも分からずに、とりあえずは受け入れた】

ああ、仕事はなんとか受け入れてもらえたよ。
ありがとう鈴音、何から何まで本当に頼ってしまった。

【そういって、天音へ駆け寄る鈴音を見やり】
【本当どこか姉妹のような、と思いやる】

【そうして鈴音の手を取れば】

【ぐ、と少し、酔うような、浮かぶような酩酊に】
【目を開けてみれば、夜の国】
【六つの国の外側の、この国へと足を踏み入れるのは】
【カンパニー―――『箱庭』時代以来のことだろう】

【夜の国の、洋館で】
【中にはジャッカロープにコカトリス、白黒猫にドラゴンと】
【正体不明の『へびさま』が】

―――いやしかしこれは、雰囲気がありすぎるってものだろう―――?

【影絵劇に出てくるような、その洋館】
【鈴音に案内されるまま、金髪の騎士は一歩足を踏み入れた】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 00:35:59.05 ID:WQh7cpyf0
>>83

【たしかにかなり高等な魔術だ。しかし彼女は書いてもらうと言っていた、だから、術者は彼女ではなく――となれば、他人が好きに使う前提で作った、誰か】
【それこそ高位の魔術師だろう――なにより起動させる人間の負担を最小限に抑え、きちんとしたイメージがあればあるほど正しい場所へ、いくらかあいまいなイメージでも、近くへ】
【ただ全く何も考えずどこかへと願うと、時折変なところへ飛ばされることもあるのだけど――だいたいの場合であれば使い勝手はよさそうで】

うん。悪くないよ――優しすぎるくらいだよ。とっても優しいひとだから……、……いじめないであげてね、なんて。
そんなことしないよね? だけどね、苦手なのは、うんと音の出るものと、においの強いものと、あと、火と……、

【悪いひとではない。それどこか優しすぎるくらいだと返した少女は、それから――彼がそんなことをするはずがないと分かりながらも、それでも、それだけは】
【どうしても言わずにはいられなかったという様子で、お願いする。すぐにそんな自分を自嘲気味に笑って、それで、彼の苦手なものをいくつか……なんだか野生っぽい】

よかった! じゃあ、ウェインさん、今度からお花屋さんだね、お花屋さんかな? 
天音ちゃんは根っこのある植物っていうの、切り花のお花屋さんと区別するのに――、

【今度はうれしいのを表すように両手をぱちんと合わせる。切り花と比べて根っこがあると評される植物たち、それを世話する彼を空想して】
【少し愉快そうにして――というより、今日はなんだかずっと上機嫌なようだった。ころころ笑う声なんて、手のひらのうえであちらこちら、きれいな音の鈴を転がしたよう】
【そして――場所は移ろって、夜の国。眼前には一般的には控えめな方の豪邸と表現されそうなタイプの、建物。彼女は慣れたように――当然だけど――彼を手招いて】

このドアね、重たくって硬いから、気を付けてね。こう、ぐって……この辺りをぐ!って。したら、開くからね。
おくつは脱いでも、脱がなくっても……わたしは脱ぐけど、スリッパがあるから、気にしなくっていいよ。おもちゃんとか、土足だから。……あ、猫ね。

【それで真っ先に説明するのは立て付けの悪いドアのことだ。「ぐっ」とするあたりを手のひらでぱしぱしたたいて知らせてから、全体重を乗せるように――ぐ!と押せば】
【扉はぎいぎい言いながらそれでも開いてくれる。おそらく彼女より力のある彼ならもっと簡単に開けられるだろう、――そういえば、ドアの下の方には】
【あとからこさえたように明らかに浮いた猫用のドアがある。猫用……それにしてはいくらか大きなようにも、思えたけど。多分猫用でいいはず】

【そして踏み入る中は。やはり見た目通りでもある、家具の雰囲気がどうにもクラシカルな感じなのは彼女の趣味だろうか、そのくせ、置かれた小物はひどくかわいらしく】
【つまりわりとそっち方面ではあるがちぐはぐな感じではある――それから、置けそうな場所に不自然ではないところにぬいぐるみが並べられたりもしていて】

へびさまあっち。だけど、ウェインさんのお部屋を決めてからにしよ――だけどね、空いてるお部屋うんとあるの、どこでもいいよ?

【とりあえず彼も入れば。とりあえず空っぽの部屋をいくつか案内することになるのだろう、本当の物置みたいな空っぽの部屋ではなく】
【小さめの豪邸らしい見た目通りにいくつかある客間――ひとまずごく最低限の家具くらいはあるところを、いくつか紹介するはずで】
【とはいえ違うのは部屋の位置くらいで中身は変わりない。あとは窓の向こうの景色が少し違うくらいで……それもほんの少し。どこでも、あまり変わらないようだった】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 00:54:36.84 ID:3uGPYQP4o
>>84

【切り花の、お花屋さん】
【根っこの在る、植物】

―――?

【それらの区別は園芸に明るくないウェインにはよく届かず】
【まあ、これから勉強かな、と、心の中で汗をかく】
【それでも何かと上機嫌そうな鈴音についていき、可愛らしいドアの開け方を教わると】
【自身の手でもぐ、と押す】
【立て付けは悪いようだが、それでも剣士の膂力なら訳もなく開き】

……ああ、こりゃいいところだ。
お化けでも出てきそうなのが怖いところだけど――あ、鈴音、そういう部屋が有ったら教えておいてね?

【そうしていくつかの部屋を見て回る。少し迷った後、この部屋でいいかな、と言ったその部屋には】
【簡単なソファとベッド。そして小さな黒猫の置物が、ひとつ】
【黒猫の置物をつ、と触れながら、部屋を決めたようだった】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 01:17:04.60 ID:WQh7cpyf0
>>85

お化けは出ないよ、ただ……ううん、へびさま、真っ白で櫻のお着物だから、まーっくらな廊下で会ったら、びっくりするかも。
*ちゃんも急に出てくるから、びっくりしないようにね、あとは……棚の上から急におもちゃんとか、あんこが降ってきたり……、炎(えん)も……。

【お化けは出ない。――お化けは。そう言った彼女が連ねていくのは、お化けは出ないけど、わりとびっくりするタイプのイベントはありがちらしく】
【例のへびさまというのはどうやら真っ白で着物を着ているらしい。*ちゃん……誰かを呼んだ声はひどくノイズがかった耳障りなもので、明らかに彼女の声質ではなかったが】
【それはまるでこの世界そのものがその名を呼んでしまうのを嫌がったようでもあって――そしてそれがたまに来る知人、あとは……猫とか猫とか――それから子竜】
【ちょっとげんなりした顔で言うなら普段から死角っぽい高度からの自由落下なアタックを食らっているのだろう、「ほんとに気を付けてね」と付け足し】

それにお化けだなんて入れないよ。ここはへびさまの場所にしてあるから――、

【彼が黒猫の置物を撫でるのを眺めていた。お化けだなんて……そうつぶやく声はいやに確実であるというようで、それはまずないと言い切るみたいに聞こえ】
【"へびさまの場所"というのはよくわからないものだったが。なんてことのない洋館のはずだった、――ただ、やはり彼が魔力、あるいは聖なるものに敏感であれば】
【この家の中――"なにか"が充満している。もちろん悪いものではない、当然毒ガスなどという危険なものでは到底なく、それどこか、全うであれば心地よささえある】
【水属性の魔力――彼女が持つ魔力とどこか似通ったもの。そしてそれはあの廃墟での夜、彼女がその魔力を媒介に作り出した、あの白蛇の纏っていた神聖にも似て】
【――ただ。そう目立つものではない、確かにあるのだけど、どちらかと言えば、大気中に含まれる湿度的なものが……そういう、きれいなものに置き換わっているのに似て】

じゃあウェインさんのお部屋、ここね。何か持ってきたいものがあったら置いていいよ、好きにしてね――。
あとは……必要なものがあったら教えてね。それで……ううんと……、

【小さく唸って黙り込む。少しの間考えていたのは、こういうときに何を言ったらふさわしいかと悩んだのだけど、やがて、あんまり思い浮かばなかったのか】
【まあ。彼がこれからここで寝泊まりするというなら、また何か思いついたときに言えばいいだろう――その思考回路は、あの、紺色の女と似通ったものだったが】

……じゃあ、次はへびさまにご挨拶。だいじょうぶだよ、さっきお家に入った時に、音で分かってるから――今頃覚悟してるの。

【あどけなく笑った彼女はたぶんそんなの知る由もない。それで――まるでメインイベントという感じだった。なにより自分がよくっても】
【その"よい"と思ったので、ウェインやへびさまに迷惑はかけたくないと考えている――そういうのが、よくわかって。だけど同時に、大丈夫ともわかっているようで】
【こっちだよと誘う――誘って、やがてとある扉のところまで案内するのだろう。とはいえ、もちろん、彼の方から何かあれば、彼女はその足をぴったりと止めるはずだった】

/お時間大丈夫でしょうかx?
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 22:06:07.45 ID:3uGPYQP4o
>>86

いやいやいや。
*て。日本のホラー映画みたいな音したけど今。
ええーホント……ホント大丈夫なんだよね鈴音、この洋館……

【ドン引きである。へびさまの格好も少し気になる程度だし、おもちやあんこ……恐らく白黒猫のことであろうと当たりをつけるそれらもまあいい】
【竜などは男の常として憧れる気持ちも多かったが――世界が軋むような音を立てた、今のそれはあまりに怖い】

【そのあたりで、「ほんとに気を付けてね」という鈴音の言葉を聞いて】
【知らず、懐に在る浄化の要石に触れていた】

(へびさまの場所だから入れない。存在としての格が違うから、そのあたりの低級な霊体では近寄れもしない――ということ、なのだろうか)
(だとするなら、それでもある*とは一体……)

【ウェインを不安にする、あれやこれや。ただ、少し落ち着いて辺りの雰囲気を感じてみれば、そこには何か、清浄な】
【かつて彼の住まっていた神殿、あるいは水の王の寝所にも通じるような、どこか神聖な気配が感じられ】
【色々な怖さは脇に置き、まあ悪しきものではないのだろう、と自分の心に区切りをつける】

【なんでも持ち込んで良い、という鈴音の言葉に礼を返し】
【へびさまにご挨拶、という鈴音の合図を受け入れた】
【色々な呼び方で、知己を教えてくれた鈴音だが】
【へびさまだけには敬称で、恐らく彼女にとって貴い存在であるのだろうと】
【それだけはなんとか察する。であるのなら、自分を助けてくれた鈴音が慕う存在ならば――】
【自らも敬意を払って構うまい、と】
【神霊の類に慣れた彼ではあれど、そう居住まいを正して、扉が空くのを待っていた】

/お待たせして申し訳ない!
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 22:21:58.09 ID:WQh7cpyf0
>>86

【日本……異世界のホラー映画。多分割と本気でドン引きした様子の彼に、一瞬ぱちくりと瞬いた彼女は、急にあどけない顔をむうと不愉快げにして】

んと……そうだったね、あんまり、*ちゃんのこと、ひとにしゃべらないから、忘れてたの、その――わたしは、普通だと思ってるから、えっと、普通に、
……えっと。ね。*ちゃんの名前ね、なぜだか呼べないみたい……ええと――その。女の子だよ、わたしよりうんと小さい、小学生くらいの……、魔術師の子。

【だけれどそれは彼の言葉や様子に気を悪くしたというものではない。そういえばそうだった……とそういう様子、ならば、かつてから起こり続ける現象なのだろう】
【ただその理由を彼女も知らないらしいのだが。とりあえず名前を呼べない……呼んでも認識されないならと、その代わりに、どんな容姿であるのかを伝え】
【小学生くらいの女の子……魔術師となれば、あの転移術もその人物の書いたものなのかもしれない。ふううと少し困ったようなため息を吐いたあと】

ほんとにいきなり居るけど、悪い子じゃないよ。……いっつも言ってるの、来るときは扉から来てって、びっくりするからって――。

【だけど聞いてもらえないのだろう。ぶちぶち漏らすのは愚痴みたいな声音……みたいな、というか、愚痴そのものであり】
【プライバシーとかあるんだから、と、ちょっとお姉さんぶった声で不満を唱える、そうしながら、きいと扉を開ければ――中は、廊下より特にふわっと暖かで】
【ぱっと見ただけでいろいろなものがあるから、ここがこの家におけるメインで生活する場所……というか、リビングみたいな場所なのだろう、と予想がつく】
【よく見れば物が結構多いのだけど部屋が単純に広いからそれはあまり目立たない、ただにぎやかな印象はあるだろう、洋館らしからぬ炬燵とその上にみかんなんかもあったが】

――――へびさま、さっき言ったひとを連れてきたよ。

【そしてその炬燵――ドアに背中を向けるように座っている人影が一つ。そして少女にへびさまと呼ばれた"彼"は、だけど、後ろ姿だけなら十分に女性と見紛うほどで】
【色素のない真っ白な髪はしゃんと背中を伸ばして座った尻まで届いて、床にまでついて、先っぽがあちらこちらと向いて。恰好は確かに櫻の着物だ、ひどく質素なもの】
【声を掛けられて一瞬小さくびくっと跳ねた背中のしぐさ、そこから少し遅れて、ゆる――と振り返れば、色素のない白磁の肌に、そこだけがひどく鮮やかな血の色の瞳】
【表情筋のあんまりなさそうなタイプの――それでも確かに男だった。きれいな顔立ちをしているが、それは確かに男の顔で――というか、多分、ものすごく背が高いだろう】
【座っている時点でかなり大きい、けれどがっしり……ではなく、ひどくやせっぽちで。振り返った彼はそこからしばし少女……というより、ウェインを見つめてから】
【よっこいしょ――という感じで立ち上がって、ゆっくりと扉の方まで歩いてくるのだろう。――身長は二メートルもあった、表情や温度感の全くない男だったが】
【やはり"悪いもの"ではないというのは分かるだろうか、少なくとも大歓迎!ハグ!キスの挨拶!というタイプではなかったが、もっと緩やかに消極的な、受け入れる様子があって】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 22:35:45.04 ID:3uGPYQP4o
>>88

【す、と目を閉じる。たいていの怪談モノで、本当に怖いのは少女の幽霊なのだ】
【そもそもいきなり居るとはどういうことなのだ。鈴音の魔力感知能力は知っている】
【それを踏み越えいきなり側にいるというのなら、もはや自分に手の施し様などないではないか――】
【うん、いや。怖い。今この瞬間すらもしかすると後ろにいるかもしれない、と思えば】
【ひゃあ、と声を出さないのは、彼の最後の矜持だろうか】

―――断空で斬れないものは苦手だ……

【ポツリとそうつぶやいて、部屋へと入る。なにか聖域かと思ってみれば、意外に過ごしやすそうな――】
【というか此処はリビングか。居住まいを正したけれど、少し背筋が緩むような】
【――と、そこで『へびさま』が振り返る】
【ほんとうに、蛇のような瞳に肌に――ありていにいうのなら、浮世離れしたその雰囲気】
【ああ、この存在は―――と、】
【外套の片身を跳ね上げ、胸に手を当てる】

――ご無礼を。

私の名はウェイン、と申します。
一時、勝利の王の遣いを務めておりました。
鈴音との縁を以て、しばらくこの館のお世話となります。

戦塵に塗れた身ではあれど、一時の身を寄せるお許しを頂ければ。

【そういって、す、と頭を下げる】
【この洋館の清浄なる気、鈴音の敬意――それらに得心の言った、というように】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 23:06:25.04 ID:WQh7cpyf0
>>89

【そもそも少年も、少女も、ほんのわずか一瞬のものだから、許される。あれだけ強く恐ろしく鮮烈な気持ちを持つ生き物が、いつまでも、その形を保っていてはいけない】
【それが決まり事だし、だからこそあの強さを持つことを許される。それを長くあるいは永遠に保つものがいたとして、それはその時点で、世界の決まりをいくらかは侵害する】
【だから多分この少女自身がそれであった。そしてそんな少女の周りだから、そういった異質が集まる。世界に拒まれる魔術師に、色の亡い、どこまでも透明な男】

へびさま、さっきも言ったけど――この間ね、わたしを助けてくれたひとなの。ウェインさんが居なかったら、わたし、きっと上手にできなかったから……。
そのお礼もかねて。えっと……ひとまず、ウェインさんのいろいろなことが落ち着くまででもって。――喧嘩しちゃあ、だめだよ?

【歩いた足音さえも薄かった。二人の眼前に立ってさえ存在がひどく希薄に思えるほどのもの、だけれど確かにそこに存在している彼は、少女の説明……重ねられるものへと】
【こくりと頷き一つで返す。喧嘩したら……なんて言うのは冗談のような声音だったが、どうやら彼はひどく真面目にとらえたようで、「しない」と返す声が、ひどく低くって】
【あまりにぼそぼそした話しかたをするから、なんとも聞き取りづらい。なにより背も高いから、単純にそこらへんの人間と話すより、口と耳も遠くって】

「――――……、」

【ひどく無口だという彼は、少女がわざと全員がそろうこの場で同じ話を繰り返したことへ頷いて、それでやることはやった、という風に黙ってしまうだろう】
【そもそもしゃべったのもほんの一瞬の出来事だったが――それだったから、ウェインの行動に、眠たげな――本当にそうではないのだろうが、ひどくゆったりとした瞬きを】
【ただ横一本のまっすぐな線みたいな口元が一瞬言葉を探すようにわずかに動く、それでも言葉にはならず、そしてウェインの横に立つ少女も】
【彼がそうまでするとは思わなかったのだろう。目を真ん丸にして――きょとんとした顔。だけどそれが、その二人の表情が、明確に違うのに、どこかで似通うように見えたのは】
【ウェインのように鋭い人間なら簡単に気づくのかもしれなかった、どうあっても似ていない顔つきの二人が、だけど、どこかで確かに似ている、あるいは、纏う雰囲気まで】

「――――……構わない、……」

【やがてもう一つ瞬きをした彼は、数秒ほど言葉を探すようにしていたのだが、やがて、先ほどよりいくらか聞き取りやすい……だろう声で、そう答えるのだろう】
【だけれどその脳裏ではもう何百年以上も前のことが想起される、いつか祀られ崇められていた自分と、それに付き従う人間のような――刹那浮かんだ表情は、ひどく曖昧だったが】

「普通でいい」

【そういうのはあまり得意ではないという風に首をゆるゆると揺らす、そうすると長い髪……特に長い前髪がさらさら揺れて、その向こうでまたゆるい瞬きがひとつ】
【今度こそもういいだろうというよな様子で黙ったのを見かねた少女が口を開くのがそこからさらに数秒後】

……えとね。朱音さんだよ、白神朱音さん――、わたしはへびさまって呼ぶけど、……その、あんまり、気にしないで。

【それでやっと真っ白い彼の名前を伝えることになる、それはどうにも女の名前のようにも聞こえたが、目の前のものは確かに男であり】
【というよりどちらでもあまり関係がないし興味がないようにも――見えたのだが。いろいろなものが希薄であるようだった、――というより、彼女らは同じ姓であるらしい】
【かといってあまり家族のようでもなかった。親子というには年齢が近く、兄妹というのも、なんだか違う。では夫婦なのかと言えば――それとはもっと穏やかで近しい空気感があり】
【自分はそう呼ぶけれど。だからってウェインもそうやって呼ばなければいけないという決まりはない。――その間、真っ白の彼はぼうっとたたずんでいて、たしかにこれは】
【真っ暗な廊下でいきなりエンカウントすると結構ビビるやつではあるだろう――とは余談】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/10(水) 23:19:15.78 ID:3uGPYQP4o
>>90

【鈴音が自分のことを『へびさま』に語るのを、背を伸ばして聞いている】
【彼女の視線も、目の前の存在の瞬きも――】
【幻視するのは、静かな山間、さあさあと流れる清流】
【穏やかで、けれど力ある、恐らく彼等の原初のイメージか】

――ええ、よろしくお願いします、へびさま。
夜中行き交った際は、あまり驚かせぬよう頼みますね。

【そういって、ふ、と笑う。相手がヒトなら握手を求めそうな、そんな空気感だったけれど】
【畏れを知る身ではある。そんな無体はせずに、】
【鈴音と同じ呼び名で朱音を呼ぶと、場の空気は弛緩する】

【ウェインの張った気も、少し解けたようで】
【挨拶を終えて、家の間取りの案内も終えて】
【陽の無き国の、更に奥、影絵みたいな洋館の】
【魑魅魍魎とは悪口か。人ならぬもの多く住む、その仲間にまた一人】
【金髪の青年が、加わったのだった】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/10(水) 23:47:50.03 ID:WQh7cpyf0
>>91

【やがてウェインによろしくと言われれば、彼はまたゆるっとした仕草で頷く。あまり覇気があふれているタイプでもないから、動作のすべては同じように緩やかだったが】
【それでいて考えなしのでくのぼうというわけではないのだろう、本当にそうだったならこの空間は、それ以外の世界中のほとんどの場所のように、霊的に無防備であったはずだし】
【やはりこの場所を護るのは彼で間違いがないだろう。そうとは思えないほどになんだかぼんやりしたひとだったが――そして何よりどこから「へび」と呼ばれるのかもわからないが】

へびさま、昨日はごめんね。眠たくなっちゃって、それで、気づいたら朝だったから――、

【――そして二人が互いに挨拶を終えれば、少し様子を見るようにしていた少女が白磁の彼へと声をかける、つまり、昨日帰らなかった詫びなのだけど】
【それもまた気にしないというように首を振った彼は、満足したように、元のゆっくりとした動作で炬燵へと戻っていく――その天板の上を、ウェインがよく見たなら】
【さっき。天音がこの少女に渡していた菓子が置かれていた、たった一つの菓子を机の上に置く様を競う大会でもあれば優勝しそうなくらい、あまりに"きちっと"置かれて】

――よしっ、じゃあ、あとは、……ええと、何かある? *ちゃんを探してみようか? だけど、ウェインさんの分の術式書くのに、多分近いうちに来るよ。

【それで彼が炬燵へ戻っていって元のように座るのを見れば、少女はこれで大丈夫――というようにぱっと笑って。腰に手を当てて得意げな顔をしたのだけど】
【じゃあっと言って振り返ったくせにあんまり何かを思いつかなかったのだろう。説明すること……と言っても、この場はただの家だし。ペットたちの紹介……とか】
【それこそ例の謎の魔術師を探すとか。そういうことなら、確かに必要そうとは思うけど――どちらもおいおいで済むだろう、と思っている様子もあり】

そうでないとウェインさん、どこだって行けないもんね。この辺りをうろつくのなら、できるけど――、あ、あっちにね、湖があるよ。
ずーっと昔に、うんとおっきな蛇が、まぁるくなって眠っていたら――雨水がたまっちゃって、湖になっちゃって、しょうがいなぁって今もいるって……そういうお話があるの。
だけどうんと普通の湖だよ、とってもきれいだから、今度行ってみてね――周りのところがね、ぐるっとジョギングコースになってるの。お散歩にもいいよ。

【どうあれその魔術師が来てくれないことには彼の行動に差し支えるだろう。だからすぐに来ると思う――と】
【それともこの辺りを探検するのならと言って教えるのは家からほど近い場所にある湖。その伝説もまた蛇に関連するものだったが、別にそれ以上のものではない、伝承】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 00:09:35.07 ID:rPl1uxfSo
>>92

【天板の上の菓子を見やる。何か一枚の絵画のような】
【鈴音がそう几帳面な性格だとは認識していない。何か、意識の隅に残りながらも】

―――*ちゃん、居るのか……

【なお、*は発音していない。その子、というような】

ああ、うん、そうだな。
とりあえずは、旅荷を部屋で解くとするよ。
それから買わないといけないものの計算をするから――そうだな、もし*ちゃんが現れたら、
僕も術式を書いてもらおうと思うから。
その時は呼んでくれると助かる。

【そう告げる。外套は不思議と汚れていないのだが、ウェインはまだ旅装のまま。体力はある彼なのだが、少し休みたい、というのが本音だろう】

――あ、ところで鈴音、お風呂はどこにあるのかな。
部屋には見当たらなかったみたいなんだけど……

【なんて、暢気な質問を投げかけた】
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 00:28:01.53 ID:UkHTcNqo0
>>93

【そう、だから、多分――置いたのは彼なのだろう。少女から受け取った、あの白磁の男が、そこにきちんと……あまりにきちんと置いたに違いないのだ】
【そして訪れる客人を背中をしゃんとさせて待っていた。だから彼も緊張していたのかもしれない、今見たってその背中は、部屋に入った瞬間と大した違いはないけれど】
【少女はもう大丈夫だねという風に白磁から目をそらしていたから、今度は明確にウェインへと向き合って】

……んん、居るときは居るけど――――必要だっていって探すと、"来る"よ。

【"へびさま"はホラーの産物ではなかった。ある程度分類としてヒトではないものに分類はされそうだったが、恐ろしくはない】
【だけどどうやらこちらはめちゃくちゃ恐ろしい――実物は別にそんなにも恐ろしくはないのだが、どうしてだろう、言葉で説明すると、とたんにホラーになってしまう】
【居るときは居る。居ないときも探すと来る。探すと居るとかではなくて"来る"というものの言い方をするのが怖いのかもしれなかった、ううんと首を傾げ】

――――そうだね、じゃあ、そうする。今日のうちには来ると思うよ、わたしも、今日の夜はお仕事お休みだから……その時は、教えるね。
それともわたしより先にウェインさんのところに行くのかな。わかんないや……、……まあ、でも、それでも、それ以外でも、何かがあったら、呼んでね。

あとは……炎たちは、どこかで寝ているのかな? まだ来ないね――知らないひとが居るからってびっくりする子たちじゃないんだけ、

【「ど」】
【――言い切ることの叶わなかった言葉があいまいな音階で宙に舞う、あまりにも急にがくっと高さの落ちる少女の頭のてっぺん、髪の毛がふわっと取り残されて】
【驚いた目はけれど明確にある場所を見ていた、ある場所――少女自身の足元。そして彼もまたそこを見やったのなら、――黒い、黒くておっきい、なにか、生き物が】
【というより多分これはドラゴンと呼ばれるような生き物、それの子供――まだ幼体のようだが、それでも猫よりはだいぶ大きいような生き物が、その足元にとりつき】
【うるぐぐぐと低い重低音の甘え声は喉が猫を鳴らすときの声に少し似ていた。うるる、ぐうう、そういうのをしきりに繰り返して――頬ずりどころか身体まで擦り付けて】

――もう! これが炎(えん)だよ。噂をしたら来るね、*ちゃんみたい……、……えと、お風呂だっけ。あっちだよ、案内するね。

【そうしているところをひょいと抱き上げた少女と、それでもっとご機嫌になった子竜――噂のペットの一匹。どこから来たのかと言えば、扉の猫用入り口を走り抜け】
【神速の一瞬で彼女の足にまとわりついたらしい。今では彼女の腕の中でふんぞり返ったり擦りついたりでペットとしての特権をふんだんに使い倒していて】
【少なくとも昨夜帰らなかった飼い主に会えてうれしいらしい――のだけど、慣れた様子で「案内するね」と笑った少女との温度差が、少しだけあった】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 00:40:12.74 ID:rPl1uxfSo
>>94

【――探すと、"来る"よ。】
【一体どこのホラー映画の宣伝文句なのだ。出来が良すぎる】

―――――いやあ……

【天を仰いで瞠目するウェイン。幾多の死線を越えた彼だが】
【言葉を選ばず言うのなら、心底ビビっていた】

……うん、わかった。鈴音が呼んでくれるのを、心待ちにしているよ。

【鈴音より先にウェインのところに来る――やめてほしかった】
【一人の時にいきなり後ろに立たれなどしたら、したら!】
【せめてある程度面識のあるらしい鈴音と共に初の顔合わせはしたかった】
【―――ただ、卓越論理を持つ彼には、もう半分ほどわかっていたのだ。これは、一人のときにやってくるに違いない、と】

【そうして、鈴音の足元でじゃれる子竜を見る】
【猫用の入り口が開き、黒い塊がしゅ、と飛び出てくるのを目の端で捉えてはいて】
【一瞬*かと心臓が跳ねるも、すぐに竜の幼体だ、と目鼻をつけて、あとは穏やかなものだった】

ありがとう、鈴音。使う時間の制限とかあれば、聞いてもいいかな。

【そうして答えを聞けば、その足は自室へ向くだろう。今使えるのなら、手ぬぐいをもってお風呂へと行くはずだ】
【―――髪を洗っている時に、後ろは見えない。その言葉を思い出すのは、いつだってそうなった時、ということを、彼は忘れていた】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 01:05:51.62 ID:UkHTcNqo0
>>95

【彼のその様子を見れば少女は少し慌てたようになって「でも本当に怖い子じゃないから」「びっくりするだけで」「気づいたらいるだけで」と擁護を繰り返す】
【だからって安心できないのは、確実に"いきなり居る"ことや"探すと来る"こと、そういう出現の方法をするのを彼女が明確に認めてしまっているせいだろう】

だけどわたしも連絡をする方法を持っているわけじゃないの、その……ええとね、すごく面倒だから、説明は省くけど――。

……なんだろう、ね、*ちゃんは、わたしのこと、分かるの。今必要だと思われてるなって、分かって……それか、気まぐれだよ。

【呼んでくれるのを……待つ。彼の導いた答えは正しいだろう、とりあえず聞く限りおぞましい存在である気のするそいつと対面するのなら】
【とりあえずこの少女を間に挟みたいと思うのは至極当然に思えた、それが叶わないなら、最悪、さっきの白磁の男でもいいだろう。あれも無害だ、おそらくだけど】
【相対したくない感じの物言いを繰り返した少女が多分悪い。だけれどそれだけ少女が相手を掴みきれていないという証明でもあるようだった、最終的に告げることなど不明瞭すぎて】
【つまりいろいろ事情があるらしいのだったが――、最後の言葉も限りなく真実であるのだろう。猫がうんと気まぐれだと当然のことをいうような口ぶりでもあって】

ふふ? 大丈夫だよ、いつでも大丈夫――、浴槽が使いたかったら使ってもいいよ。だけど、最後はきちんとふたを閉めてね。
シャンプーとかはひとまずわたしのを使ってくれて大丈夫だよ、ボディーソープとかも……タオルはお着替えするところの……えーと、棚があるから、そこのを使って。
それであとは……あとは……何にもないかな? 何かわかんないところがあったら言ってね――。

【子竜を抱っこしたままで案内する、その道中でやっとある程度満足したのだろう子竜は、少女に対して向かい合わせで抱かれていたものだから】
【そのうちウェインの方へちょいちょい手を出してくるだろう、猫なんかよりも立派に太い爪が生えていたけれど、きれいに切りそろえられている。興味深いように伸ばし】
【もし構ってもらえればまたぐるぐると甘えた声で鳴くのだ。そしてその手はひどく暖かで――えんという音から炎という字が思い浮かべられれば、おそらく、火属性の個体なのだろう】

【――そして彼を風呂場、というか、脱衣所。そこに案内すれば少女はもちろんそこから居なくなる、その辺のいろいろなものは自由に使ってねと化粧水だのなんだの示し】
【お風呂上りに塗って流さないトリートメントなんかもある、――――ただこれは、その*ちゃんとやらも、そういった常識はあるのだろう。他人の入浴中に乱入ということはなく】
【ただその代わり……その代わりだろうか。彼が何事もなく入浴を終え、意外とイケるんじゃないかなんて思って出たとして、その後身支度を整えたとして】
【最後に鏡でも見ようかな――そういう自然な気持ちで鏡を見たら……だけれどこれは何もない。鏡には彼と後ろの壁が映り、おかしなところはないのだが――】

「景色がいつでも夜というのは挨拶に迷うね。こんばんはでいいかな? ああ、はじめましてというのが確実だったね」

【――――あまりに、当たり前にそこに人が立っていた。ちょうど脱衣所を出る扉を開けたすぐそこ、美しい鳥のさえずるような――そういう声で、笑っていた】
【あまりに鮮やかな紫色の髪はあわや地面に触れるという長さがある、こちらも同じ色をした瞳は人懐こいのだが、それはどこか少女のものとは違う色合いを持ち】
【服装と言えば幾重にも重ねた布地に細い糸でそれ以上に細かい模様を縫い取った――魔術師の着るようなもの、かといってローブほど重たげではなく、何より本人の雰囲気が】
【そういう重たげで確実に上等である服装なのと相殺しあって結果、どちらとも取れない感じになる程度には、――軽い、というのだろうか。ひどく愉快げでは、あったが】

【本当に来た。それがきっと誰に説明されなくっても彼になら分かるだろう、強い魔力の気配はどこまでも軽やかな風の属性を帯びていた、あの少女らとは、根本的に違う存在】

/お時間大丈夫そうでしょうか?
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 01:26:23.05 ID:rPl1uxfSo
>>96

そう……気まぐれ、なのもあるんだね。
一つ聞きたいのだけど、*ちゃんって生きている?

【そんな質問を投げかける。目の幅涙を流しつつ、そう遠くない遭遇を確信し】

ち、ち、ち―――
なんだ炎、君相当かわいいぞ。

【炎が伸ばした指と爪、それを自分の人差し指で擽って、意外と動物好きな彼はそれで楽しくなってしまう】
【しばらく炎と遊び、またいつか、と別れたころに】

ああ、これは立派なお風呂だ。
ずっとシャワーくらいしか浴びていなくてね、これはとても嬉しいな。

【お風呂はいつでも入ってよい、と言われ】
【とりあえずは旅の埃を落とそうか、と】
【部屋から着替えだけを持ってきて】
【おっかなびっくり入浴を済ませる。―――済んだ】
【自分の勘も鈍ったか、と服を着る】
【簡素な麻のカットソー。白く染め上げられているのが僅かな装飾で】
【素材を合わせたズボンは、彼の頑強な両脚を隠すためか、ゆったりとしたサイズ感】
【首から掛けたタオルでがしがしと頭を拭きながら、かちゃ、と脱衣所を出ると】

【気を使ってくれたのか、すとんと胸に落ちるような登場の仕方で】
【先程まで口に上げていた、*ちゃんと思しき人物が、立っていた】

――ああ、こんばんは。
それから、はじめまして。
それからすまない、随分優しく出会ってくれたね。

【強い魔力。年不相応の、その雰囲気】
【ああこの人が、と、理解した】

/ありがとう! ここまでで明日でよいかな。
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 01:34:18.25 ID:UkHTcNqo0
>>97
/了解しました! ではお返ししておきますので、また都合のいいときに返していただけたらと思います
/おつかれさまでしたっ
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 02:48:27.95 ID:UkHTcNqo0
>>97

【生きているかどうか――問われた少女は、答えなかった。ただ曖昧に笑ってみせて、困ったような顔をして】
【よく知らない……つまり、そういうことなのだった。それで歩きながら、炎が彼に構ってもらっているのに気づけば】
【ひっかいちゃだめだよ!とか言っていたのだけど――もちろんそんなこともないだろう。ぐうぐう笑うように鳴いて、ただ一度だけ】
【ぱかっと開けた口からもわーっと、湿っぽい熱気を吐き出すだろう。本人……本竜はひどく楽しくって仕方ないと、その遊びの一環のようではあったが】
【少女は気づかなかったのか最後まで彼を案内して、それで炎をあやしながら元の部屋に戻っているねと言って立ち去る、それからあとは】

「何のことかな――」

【くすくすと囀るように笑う少女――ただこちらは明確に人と違えたものであると分かるだろう。ただ人の形を選んだだけの、ヒトではないもの】
【ヒトかそうでないかの境界さえ希薄であった白磁とも、ヒトでなかったとしてもヒトであろうとした少女とはまた別のもの、違うありようで存在するもの】
【はぐらかすような笑い声はからかうのにも似ていた。あどけない顔つきの少女よりもずっとあどけない……というより、こちらは正真正銘に子供の姿】

「専属じゃあないけれど顧問魔術師をしているよ、あるいは家庭教師かな。ほら、あれは、全うな教育を受けていないから。友達ではないのだけど……まあ、どちらでもよくってね」

【だから。そのしぐさもまた童女のものであった、そのくせ名乗る肩書は魔術師である――と、ためらいもなく言い切ったし、それで問題が起こるようなこともない】
【あれと示されたのはあの少女で間違いないだろう。であればこちらの方が立場としては上なのかもしれないとは思わせる、あるいは、態度が大きい、偉そう、とも取れ】
【それでいてそれで正しいのだろうという様子もあった。嫌味でも煽りでもなく自分がそうであることを疑わない者は時折居るもの、ならば彼女もまたそうなのだろう】

「これが君の分。不要になったら燃やしてくれて構わないよ」

【そしてやがて当然であるという様子で差し出すのは紙――それそのものが魔術式を書くのに適したように作られたもの、とっぷりと暗い紫色のインクで、術式が記され】
【彼がもし魔術式を読み解くことができたとしてもこれは難しいだろう。この世界の一般的な形式とは大きく異なっていて、ただ、丁寧に丁寧に書かれていることだけは分かるか】
【どんなに魔術的に初心者だったとしても安定して高確率で成功させ、また、思った通りに動くようにと緻密に緻密に組み立てられたものだ、手のひらサイズのそう大きくないもの】
【どういった形でも持ち歩き携帯していれば"念じる"ことで起動させることができる。ただしこれそのものが破損すれば起動は難しくなる――簡単な説明をすれば、】

「じゃあ、ボクはこれで。――君の前で不用意なことを言ってしまったら、恐ろしそうだからね。君も秩序側なのだろうけど……、ボクが君の秩序の中にあるとも限らないし」

【あまりにあっけなく踵を返すのなら。もとより彼に会うのが目的だったのだろう、彼が術式の記された紙を受け取ったなら、それで彼女の目的は果たされる】
【鮮やかすぎる紫の瞳を愉快げに細めて笑った、あるいは彼が彼女を何か特別なものだと見たように、彼女もまた――彼を何か特別なものだと見たのかも】
【それとももしかしたら本当に用事が済んで帰るというのを冗談めかしてこんな風に言ったのかもしれない、そのどちらでもおかしくはないが――ふらりと立ち去ろうとする背中を】
【なにかしらの言葉でこの場にとどまらせることは、おそらく容易だろう。そういうときに"しゃべる"タイプの存在だというのは、愉快そうに笑う様から、推察ができた】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 20:08:27.30 ID:rPl1uxfSo
>>99

【測り得ない、その存在】
【正しく破格と言っていいような、その在り方に】
【先程までのホラーじみた恐怖とはまた別の、恐ろしさを感じる】

鈴音の周り、どうも尋常ではない存在ばかりだね。
君にしても、へびさまにしても。

【超然たるその魔女から、手渡された術式を受け取る】
【世界からすら隠匿される、その魔女から自分が受け取るものはと言えば通勤定期のようなもので】

――いや、なんとも所帯じみてきた。
手を煩わせてすまないね……

【彼の能力、看破の魔眼を持ってすら、その魔術式はその片鱗すら理解できず】
【ただその高度さだけが、いや増した】

ああ、さよなら。
そうだね、僕は正しく世界の秩序の側に位置している―――“以前とは違った意味で”。
君と斬り結ぶような不運が、僕に起こらないことを心の底から祈るとするよ。

【また機会もあろう、と】
【その背中を見送る。万一のときに、こんな手持ちでは一秒だって抗せまい】
【そうしてウェインは部屋へと戻る。先程選んだばかりの、世界で一番新米の自室にだ】

/おまたせした!
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:51:29.38 ID:UkHTcNqo0
>>100

【受け取った紙は、手触りそのものはなんら違和感がないものだ、しいて言えば、重ねられた草の繊維がすこし"けば"になっているような、ふわふわとした感じがあり】
【魔力をよく蓄える性質のある植物。それにさらに丁寧に丁寧に魔力を与えて育てて漉いた……わりに珍しい高価なものだったが、この際問題はそれではないのか】

「あっはは、イレギュラーなのはボクだけだよ――、だけど、ボクのお仕事もそろそろ終わりかな? 事態は収束しつつある」

【「まあもう少しは関わるつもりではあるけれど」】
【手を煩わせて、という言葉にくすりと笑って返せば、おそらくは、何も気にしていないという答えになるのだろう。むしろそれさえ愉快だったとでもいうように】

「ならばよかった。ボクも秩序立った世界を愛しているよ、そしてこの世界の秩序を乱すものも正すものも、この世界で暮らしてきたものであるべきだから」

【最後に見せた笑みは無邪気ではあったが無垢ではない、そしてまた彼と敵対する意思もなく、平和であることを愛する側であるはずだった】
【ひとまずはそうだと認識しておけば間違いはないだろう、そしてそれが一番簡単でもあり。あまりに鮮やかな紫色は、そのまま廊下の向こう、見えなくなるまでを歩いていき】
【そして相手の認識できる範囲から消える、――そして部屋に戻るなら。戻るのなら、部屋の前で何かをかさかさ言わせている少女と、ちょうどばったり出くわすはずで】

うわひゃ! ――わっ、ご、ごめんね、お部屋、その、お掃除はずっとしてたけど……ちょこっと空気重たかったかな?って、その、かびとかじゃないけど……その……。
空気。やだったら、後で、その、空気を入れ替えてねって、それは、ウェインさんが決めるかなって思ったんだけど――えっと、それと、

お部屋、ちょっと殺風景だから。こういうもの、あったら、もしかしたらいいかなって思って――、よかったら、

【背後にきゅうりを置かれた猫みたいにびゃっと跳ね上がった背中を上ずった声が廊下にわずかに反響した気までする、振り返った少女はひどく慌てたさまで】
【これが治安の悪い土地の宿だったりすればそれだけでしょっ引けそうなくらいに不審だった、持ち手のある紙袋の上の方をぎゅっと握りしめてがさがささせながら】】
【しばらく何か言っていたのだけど――最終的に相手の様子をうかがうようにしながら渡すのは、クラフト紙の袋、中を見れば】
【ぎゅっと根元を麻の紐で結わえたドライフラワーの花束が入っていると分かるだろう、あまり大きなものではない、机の上の飾るような、小さなもの】

――何か分からないこととか、気になることとかがあったら、いつでも言ってね。自分のお家みたいにしてくれていいの、ううん、その方がいいな。
ごめんね、何度も来てお話すると、ウェインさん、いろいろやりたいことがあるかなって思って――扉にかけていこうと思ったんだけど。

【「見つかっちゃった」】
【困ったように眉を下げて笑う、受け取ってもらえたなら――あとは少女は、ひとまず彼のやりたいことを片付ける時間が必要でしょう、と、言って】
【"そういう"時間を作ろうとするはずだ、ひとまず、彼女の方から何か説明しておかないと、というのは、もうあまりないらしい、両の手を背中の側で組んで――少し待つ】

/お待たせしました……
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/11(木) 22:25:10.71 ID:rPl1uxfSo
>>101

――そうだね。異世界の使者も、たくさんいるけれど。
やはり世界は、それひとつで大きな意志を持っている。

【そうして、彼女が立ち去ったその後に】
【受け取った術式を明かりに透かしてみれば――】

……うん、丁寧な仕事、だな。

【そう呟くと、懐中に術式を仕舞い込む】
【クズノハの式神カイロと、浄化の要石、そして*と呼ばれる魔女の転移術式】
【何か荷物入れでも買おうかな、と考えながら部屋へと戻るとそこには】

あれ、鈴音―――?

【いささか以上に不審な動作を見せる鈴音。だが、今更彼女が何か悪いことをしているとは考えもせずに】
【クラフト紙の袋を受け取って、中を確かめる】

――あ、これ。

【あまり部屋を飾ることのない彼だが、それでも贈り物には破顔した】
【省みることのなかった居住性、というものを、少しだけ意識して】

ありがとう、鈴音。
とても嬉しいよ。
これは、なんて花だろう? 新米の花屋に教えてくれないか。

【そういうと、手早く花瓶を用意して、テーブルの上にドライフラワーを飾り付ける】
【まあ、まだもちろんなにもないけれど、ていうか鈴音が掃除してくれている部屋だけど、と、鈴音を自分の部屋に招き入れ】
【少し会話の花を咲かせれば、時刻はそろそろ夜更けだろうか】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/11(木) 23:04:02.63 ID:UkHTcNqo0
>>102

【笑ってくれた――そのことに彼女もまた嬉しそうに笑うのだろう。よかったと、あるいは安心したようにも笑って】

ドライフラワーなら、ずっと飾っておけるかなって思ったの、その……生花は、今、なかったし――。
天音ちゃんがくれたんだよ。売れ残ったのを片付けるときに、切った枝をつるしておいたのをまとめてくれたの。

えっと……これがスターチスで、これがセンニチコウ、ローダンセと、ペーパーカスケードだよ。教えてもらったんだ。

【くれたもの――それなら、元は彼女の部屋にあったものなのかもしれない。おそらくこの少女は、友人からもらったそういうものをしまい込まないから】
【よかったら大事にしてねと笑うのも、どこかそれらしかった。ただむき出して持ってくるのもはばかられ、最初は扉に掛けるつもりだったなら、こう袋入りになっただけ】
【ちょいちょいと指差す先々で花の名前が一つずつわかっていく。これがと言った割にいくつか指差すこともあって、色や咲き方が違っても同じものも含まれるらしい】
【少し得意げに笑うけど――最終的にはまるきり教えられた通りだという、それから、】

ウェインさんもきっとすぐにわかるよ。

【だなんて――本心からの言葉を紡いで】

【――そのあとのこと。部屋に招かれれば彼女は素直に応じるだろう、新しい場所で巣作りをするための時間はどうなのだろう、と、ほんの一瞬だけためらったようだったが】
【寒い国だからか建物は防寒に特化して造られているけれど、まだ暖房のない部屋は少しだけ寒くて、温かい紅茶でも必要ならば持ってくるだろう。それなら、少しのお菓子と】
【そういう風に話す場ができるのなら、軽くペットの説明もする。白猫と黒猫のおもちとあんこはいたずら好きだから気を付けるように。だいたい炎と一緒になって悪だくみをする】
【特に炎は暖かい身体をしているから二匹から好まれているらしくよくつるんでいるとも言って。だいたい寝るときもみんなで一緒らしい。それで……油断しているところに降ってくる】
【角の兎はものっすごく手触りがいいらしい。だから名前もふわり。すごくいい子でとにかく手触りがいい。ひたすら手触りのことを褒めたてて】
【最後のバジリスク……コカトリスはうんと頭がよくって大人しいが、やはり危ないので別の部屋に檻で隔離してあるのだという。だから見かけたとしても、触れないで、と】

【それ以外は――やはりあまり説明することもない。しいて言えば、「へびさまが一人で出かけようとしていたら止めてほしいの」と頼み】
【理由を問えば寒いのがすごく苦手だから……というのだけど、頼み方のせいか、徘徊老人を水際でという風にも聞こえて。無理にではないけど、と、最後に付け足し】

【家のものは好きにしていい。ただ一つ鍵のかかっている部屋が一つあるから、そこには入らないでほしい。物置にしている部屋があるけど、あまり気にしないで――など】
【最後にそうやって伝えればある程度は十分だったろう、あとは軽い雑談でもしていれば、気づけば時間は夕方を通り越していき、――外の様子が変わらないから、実感は薄いけれど】

わ! しまった、お話しすぎちゃった――ごめんね、お夕飯すぐに作るから、待っていて。じゃあウェインさん、ご飯ができたら呼びに来るね。

【ポケットに入れたままだった携帯電話をなんとなく見て――飛び上がる。慌てて立ち上がればごめんなさいと両手を合わせて、小走りで部屋を出ていくのだろう】
【その間際にくるりと身体を返して――そう伝えて、ぱたんと扉が閉まる。足音がぱたぱたぱたとどんどん小さくなって――何も聞こえなくなれば、それでやっと彼の時間】
【しばらく後に少女が食事の時間を伝えに来るまでは静かになる。ただ一つ――なんか来たっぽい、知らない奴っぽい、と、様子を見に来た猫たちがドアをひっかくのを除けば】
【そしてそれをまるっと無視することさえできたら。――もし招き入れたとしても猫らはふんふん部屋を隅々まで確認して、そのうち出ていくから、あまり問題もなかったけれど】

/このあたりでしょうか……お疲れさまでした! ありがとうございましたっ
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 00:25:17.17 ID:uH6/mqCuo
【夕焼けの荒野、土煙を曳いて疾駆する陰が一つ】

【地面から僅かに浮いて進む単車様のそれはホバーバイクと呼ばれ得る代物】
【クラシカルなオートバイから車輪をなくしたような外観で、】
【見る者が見れば相当な旧年式の車体だと分かる】

【それを繰るのは、駱駝色のポンチョコートを風に靡かせる一人の女性】

「ね〜、わざわざこんなところ通らなくても
 転移陣のスクロールを使えば2756秒早く着けるよ。
 さっきの街で安く売ってたのに〜」

 今更それを聞くの?
 ……もう魔術は身体に合わないんだよ。
 ひどく悪酔いしちゃうの、知ってるでしょ。

「推奨、ワープ酔い止めの購入〜!」

 ……もっと味の良いのが発売されたらね。

【彼女はゴーグルの奥の瞳を前方へ据えたまま】
【姿のない何かと呆れ気味の口調で会話を交わす】

【――でも随分と『人間らしく』なったなと彼女は思う】

【さて、このような岩か灌木ばかりの荒涼たる景色もそろそろ見飽きた】
【街中ではないし、制限速度を気にすることもあるまい――とアクセルを更に捻り込み】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 00:40:44.93 ID:pDS0GP/Ko
>>104

【ホバーバイクのエンジンが咆哮を上げ、加速する―――】
【すると、荒野の先に見えてくるだろうか】

【夕焼けの中、二人の男が、剣戟を閃かせて戦っている】
【片方は直刀、片方は槍】
【エンジンの爆音に掻き消されるかもしれないが、金属音がなるたびに、ちかちかと火花が閃いて】

【双方ともにそれなりの力量を持っていることを伺わせる】
【このまま直進すれば、その戦場へ、ちょうど交差する進路だ】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 00:59:02.94 ID:uH6/mqCuo
>>105

「そんなにスピードを上げたら、飛び出してくる子供とぶつかっちゃうよ〜」

 ……どこから出てくるっていうのよ

「地面?」

 モグラじゃないんだから――って、本当に何かいる!

【予想外の人影を前方に認め、ブレーキレバーを握る】

【が、これ以上ない所まで握り込んでも、】
【思っていたよりも速度が落ちない――効きが鈍い】

うそ……っ?
と、止まって――!

【ギリリ――と】
【やむを得ず急ハンドルを切り、後輪に相当する部分を滑らせる】
【車体の軋む音を響かせながら、なんとか二人がいた数m手前で停止に成功する】

【戦場への無粋な横槍となるのはかろうじて防げたろうが、】
【その代わり、ぶわりと巻き上がった砂埃の波が、そのまま二人を飲むかもしれず】
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 01:09:18.98 ID:pDS0GP/Ko
>>106

【エンジンの爆音と、突っ込んでくるその速度に】
【直刀を得物としていた人影――黒髪の、若い男だった――が、ほんの少し、一瞬だけ】
【ホバーバイクに気を取られる】

【その一瞬で、十分だった】
【ど、という鈍い音。もうひとつの人影が、獣じみた速度で動き】
【直刀を持った男の胸を、その手に持った黒い槍で貫いていた】

―――は。勝負の最中に目を逸らすとは、間抜けが。

【ぎり、と突き刺した槍を抉り込む】
【声にならない叫びを上げて、黒髪の男の口から、くすんだ色の血がとぷり、と】
【次の瞬間、黒髪の男の身体から力が抜けて】
【じゃ、と槍を引き抜いた。夕焼けの荒野に、崩れ落ちる】

悪くないタイミングじゃねェか。
ま、多少は興が削がれたが。

【――背の高い、男だった。深い蒼の髪を、後ろに撫でつけて】
【長い手足は、たった今まで戦闘をしていたにも関わらず、無駄な力みは一切ない】
【そうしてその眼は、どこまでも尊大で、鋭く、酷薄で】
【――で、テメェは誰なんだ、と口を歪めて笑った】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 01:33:41.28 ID:uH6/mqCuo
>>107

【一時、埃で曇る視界】
【しかしそれが晴れた時、目に飛び込んだのは槍が男を貫く瞬間】

……!

【一瞬だけ、呼吸を忘れる】
【だが男の口から尋常ではない量の血液が吐き出されれば】
【彼女の神経は一気に張り詰め、目つきが険しさを帯びる】

【スタンドを立てる暇も惜しいと、】
【バイクから降りるやそのまま地面へ横倒し】
【「いたいっ」と幼げが声が小さく響くが、それも気にせず】

【彼女はゴーグルを上げ、】
【その尋常ならぬ気迫を湛えた蒼髪の男と、敗れ崩れた男に視線をやる】

(息はまだ、ある――?)
(傷の箇所は……異能の気配は――)

【七、八メートル程の距離を置いて、彼女は状況を把握せんと務める】
【その緩く波打つ赤毛は風に揺れるが、その佇まいは冷静で】

……お互いに望んだ決闘なら、
それに口を挟むほど野暮ではないつもりだけど。
通りかかってしまった以上、目の前で人が死ぬのを黙って見ている訳にはいかないの

もう勝負は付いたんでしょう?
まさか倒れた相手に刃を突き立てる程、あなたも野暮じゃないわよね

【と、彼女は険しい声色ながら会話を試みる】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 01:42:41.51 ID:pDS0GP/Ko
>>108

……あァ?

【胡乱げな目で女性を見やる】

ふん、決闘なんてしてるわけじゃあねえよ。
俺はただ、コイツを殺しに来ただけだ。
そしてその目的は―――

【無感情に、足元に倒れた黒髪の男を見て】

――もうあと2分で、達成されると。
それだけだ。
それがどうした、お節介。

【男が着用している、細身のレザージャケット】
【その胸ポケットに右手を差し込む】
【左手には黒い槍を保持したままで――】
【そのまま煙草を取り出して口に銜えると、ありゃ火がねェな、と呟いた】

【男の足元では、倒れた若者が、こふ、と小さく、血を吐いた】
【男の見立ては、正確だろう】
【この一、二分で、間違いなく若者は命を落とす。それだけの傷を、蒼髪の男は与えていた】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 02:05:22.81 ID:uH6/mqCuo
>>109

【その無感情な視線を見て彼女は確信する】
【本当に、決闘なんて浪漫じみた代物ではない】
【彼女は、その男の瞳に、何かしら積層した因縁の相手に対する情のようなものを感じられなかった】

……未遂で終わらせるつもりはない訳ね

【――二分】
【その間にこの猛者じみた男から若者を保護し、】
【更に命を繋ぎ止めるのに十分な治療まで施せるだろうか――?】

【それはあまりにも楽観に過ぎる、と彼女は思う】
【少なくとも男から感じられる闘気の香りがそう思わせた】

【であれば、なんであれ躊躇っている暇はなかった】

【たんッ――と】
【彼女は弾かれたように地を蹴って駆け出す】
【男と違い、彼女には見たところ何の武器もない】

【コートの下は、パーカー、細いジーンズ、短丈のブーツ】
【およそ普段着じみた彼女が目指すのは――倒れた若者の方】

【速さと言えば、それも常人並】
【接近を許すまでに行動を起こす猶予はいくらでもありそうで】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 02:11:24.26 ID:pDS0GP/Ko
>>110

ああ、殺すさ。
それが仕事だからな。

【――なにかしらの、決意を感じたのだろうか】
【たん、と弾けるように駆け出した、その女性を見やり】

【僅かに目を丸くして】

――ああ、こっちのポケットに入れてたか。

【そんなことを言いながら、ライターを手に持って銜えた煙草に火を灯す】
【す、と美味そうに煙を吸い込んで】

【若者に駆け寄る女性を、じ、と見やる】
【ふう、と男の吐いた煙草の煙が、場違いな香りを広げて】
【もしも手当をするのなら、煙草を吸いながらそれを眺めているだろう】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 02:32:28.74 ID:uH6/mqCuo
>>111

(この男……止めない――?)

【何かしらの攻撃を受ける覚悟をしていたが、】
【予想を覆し、男が取ったのは『見過ごす』という選択】

【あまつさえ優雅に紫煙など燻らせる始末に、】
【彼女は全く不可解な気持ちと――そして不吉な予感を覚える】

(この余裕……)

【それが意味するところは何なのか、思考が嫌でも回る】
【手当などしたところで、それを容易く無に帰すだけの力が自分にはあるのだとでも言いたげで――】

【だが、手を出さないのならば、ひとまずそれに越したことはない】
【彼女はそのまま若者の元へ辿り着くと、その場へ屈み込む】
【丁度若者を挟んで、男と相対する形】

【彼女が右手を傷にかざせば、】
【如何なる音も光も発せず、ただ静かに血の流出が止まるだろう】
【唯一異質があるとすれば、そこに何の魔力反応も認められないということ】

……止めないのね

【傷口に手を当てたまま、鋭利な視線で男を見上げ】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 02:44:15.34 ID:pDS0GP/Ko
>112

【じ、と女性の行動を見ている】

――成程。まさしく『手当』というわけか、女。

【如何なる異能か。治癒魔法でも近代医学でもなく、ただ手を当てることで傷を癒やす】
【古代のアミニズム、シャーマニズムに由来する、人本来の治癒力を高める能力か】
【いくつかの仮定を頭の中で組み上げる。――が、それも数瞬で】
【止めないのね、という言葉と、女性の視線を真っ向から受け止める】

俺の仕事はな。
今後の各都市への侵攻時、妨害し得る要素となる能力者を無力化しておけ――だ。
そこで倒れているその男、まあ雑魚だが、なかなかどうして。
都市の防衛となると、それなりに邪魔な存在でな。
指揮に卓越した才能を持っている。

【そこまでで一旦言葉を切って、煙草を地面に投げ捨てる。ブーツでじゃり、とその火を消して】

せっかく殺しはしてみたが、貴様の登場でもう一度殺さねばならん。
その男にも酷なことだし―――
やはり見ていれば、貴様も今後の侵攻の邪魔になるだろうことがよぉく分かった。

関係もない男を助けにしゃしゃり出てくるのだからな。
大方侵攻が始まれば防衛のために尽力するのだろう?
まったく、お節介とは的を得たものよ。

【――見定めていたのだ。たとえ女性が若者を助けても、もう一度殺す前提で】
【この女性が、己の目的にとって邪魔となりうる存在であるかどうかを―――】

【ぶん、と男が槍を奮った。肩と水平に掲げた左手に這わせるように、まっすぐ槍を持っている】
【それをぴた、と女性に向けて】

―――恨まば恨め。女、ここで死んでもらう。

【ふん、とまた一つ、興味もなさそうに息を吐いた】
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 03:17:49.39 ID:uH6/mqCuo
>>113

【男が滔々と語る中、彼女はただ黙して、じ、とその瞳を男から逸らさずにいた】

【努めてそうしなければならなかった】
【この恐るべき暴虐に、相対する勇気を今一度呼び起こさんが為】
【気を抜けば顔を出しそうな怯懦の念に飲み込まれないが為に】

【ごくり、と】
【彼女は生唾を飲んでから、血の止んだ傷口へ微かに視線をやる】

(……駄目だ、傷が大きすぎる。
 今はここまで、か――)

【出血を抑え込むことは出来ても、皮膚の再生や造血までは手が回らない】

【何より、これ以上の猶予はない――と】
【その凶悪な刃先に告げられた気がした】

――侵攻、ね
……分かったよ。これが私の運命だというなら

【やがて意を決した彼女は翳していた掌を、そのまま横へスライドするように薙いだ】

【すると若者の身体は、見えざる手に持ち上げられるかの如く僅かに宙へ浮くだろう】
【そして次の刹那には、何かが逆らわない限り、彼の身体はバイクの方へ一直線に飛翔することとなる】
【そのまま飛んでゆけば、バイクの上に覆い被さる形となる筈で】

【その一連を許す許さないに関わらず、】
【彼女はゆらり、陽炎の起こる如く立ち上がり】

悪行の邪魔なら何度だって喜んでやるわ
お節介と言われようと、死に損ないと言われようと――!

【男の刃先に相対するように、彼女は片方の掌を正面へ向ける】
【そうしたところで何も魔力の流れは起こらないのだが――】
【だがしかし、そのままそうしていれば、男は槍の穂先に段々と重みが増されていくような感覚を覚えるかもしれない】

【まるで見えざる巨大な手が、ゆっくりとその槍を地面へと押さえつけんとしているかのように】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 11:41:46.89 ID:pDS0GP/Ko
>>114

【治癒系の能力者と、半死人ひとり】
【数瞬あれば片がつく――】

【そう思って、一歩を踏み出すと】
【若者の身体は宙へ浮き、そのままバイクへと飛んでいった】

……―――。

【ぎゅ、と、左手の槍を握り直す】
【そうして上げた彼女の口上に、確かな意思と力とを感じ取り】
【治癒系の能力者――その評価を、改めた】
【重力、あるいは物体操作に関する能力者。あるいは不可視の手駒を運用する能力か】

【ぐ、と穂先が下がっていくのを感じる。―――なにか、されている。何かがわからない】

―――ち、面倒なことになったな。
まあいい、どの道殺すことに変わりはない。

【であるのなら、短期戦。能力不明の相手に対して、様子を見ても状況が好転するとは限らない

【す、と槍を自分の脇まで繰り込んで】
【だん、と地を蹴り疾駆する】
【女性のほうに右手を突き出し、狙うは左手での必殺の突き】
【狙うは腹部。戦闘能力を奪うべく、蒼髪の悪鬼はその槍を振るう】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 14:08:23.41 ID:uH6/mqCuo
>>115

「わっ! 誰! 重い! 血液反応があるよ! 大丈夫〜?」

……アミ。悪いけどしばらくそこで待っていて

【若者を受け止めたバイクはふらふらとバランスを取りながら自立を始める】
【そのまま逃げ出すのかと言えばそうはせず、いや出来ずと言った風で】
【諍いを遠巻きに眺める子犬のように落ち着き無く漂う】

【穂先にかかる不可視の重力は、男が構え直し力に抗う意思を持てばそれで霧消する】

……悪いことほど面倒になるものよ

【攻撃の気配を感じ取った刹那、彼女の瞳が一際強い意志の色を帯びる】
【同時に起動するのは、その体内を駆け巡る極めて微細な機械群――ナノマシン】

【それらが貯蔵していた膨大な生理的熱量が解き放たれ】
【彼女の神経反応速度及び精密性を大幅に上昇させる】

(槍……半端な間合いでは命取り、なら――)

【こちらも悠長にしている暇はない】
【――この『念動力』の全容が看破される前に】
【男がこちらの能力に順応しきる前に、攻勢を掛ける他ない】

【そして自分を貫かんと致死の速度で迫る槍】
【彼女はそれを左右に避けるでなく、ただ身体を反らし――】

【もし槍と金属が触れ合っていればそこに荒々しい火花が散っていたであろう】
【男の槍は、反った女の身体のほんの数ミリ上の空間を穿孔していく】

【回避とほぼ同時に、彼女は片足を高く跳ね上げていた】
【次にその両脚を男の左腕へ、両腕を槍の柄へ、それぞれ絡ませんとして】

――はッ!

【もしもそれを許したならば、刹那――】
【彼女は槍と男の腕を軸として鋭く回転するだろう】

【そこから男へ向けて伝わるのは、細身の身体からは不自然なほど強烈な力の渦】
【それはもしも無理に踏ん張れば関節の可動域を無慈悲に超えて腕を捻ろうとするし】
【そうでなければ、男の身体ごと宙空で一回転させ地面に叩き付けんとするような、力の流れだ】

【どれだけ抵抗できるかは男の反応速度、膂力次第か】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 18:03:02.86 ID:pDS0GP/Ko
>>116

【女性のバイクの方から幼子の声がする。そちらの方角から攻撃の可能性が、僅かではあるが存在することを念頭に置き】
【男が放った突きは、しかし紙一重にて回避され】

(―――接近戦が不得手というわけでは、なさそうだ―――)

【その身のこなしに僅かに片眉をあげる。女性は熟練を思わせる動きで、刺突の一撃を『絡め取る』】

(初撃が交わされて痛撃を受ける、ということになれば、何も学ばぬ愚者の誹りを免れまいよ)

【数日前、仮想の空間で行われた戦闘の経験が】
【僅かではあるが男の慢心を拭っていた。故、最初の一撃に対応される可能性を考慮しており――】
【その予期が、男に意識の空白を作らなかった】
【ぐ、とわずかに槍と腕とかが回転する兆しを感じ取り、】
【男の脚もまた、地面を蹴る】

【女性の回転と同方向、同速度――ぴたりと合わせ、男の身体も回転させる】

―――あまごろし。

【回転する世界の中、男の口がそう動いたのを視認するだろうか】
【ぱり、と空中に電荷が閃いて―――――】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 18:21:04.94 ID:uH6/mqCuo
>>117

――!?

【彼女の想定を覆す視界がそこにはあった】
【念動力によって増幅されたその鋭い回転に、】
【男は抗うでも耐えるでもなく、寸分狂わず同期させて見せた――】

(まさか、あれに“合わせる”なんて――!)

【天地の翻った視界の中で、刹那、視線が相対すれば】
【彼女の背筋に薄ら寒いものが滑り落ちる――何かの予兆】

【女は回転の遠心力に身を委ね、男の身体より手足を離して脱する】
【その身は宙空を舞う。万有引力がその全身を捉え、地面へと引きずり下ろすまでの数瞬】
【一呼吸にも満たない間だが、電荷が閃くその次に起こる事象を顕現させるには十分な間隙で】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 20:01:47.77 ID:pDS0GP/Ko
>>118

【じじじ、と紫の電荷は密度を増して】
【ばりばり、と言う音を立てて、男の槍から紫電が奔る】
【――もうあと数瞬。自らの攻撃に固執すれば、紫電が女性の身体を貫いたろう】

【互いに呼吸をあわせるように、地面にじゃり、と降り立って】

―――これもかわすか。
どうしてどうして、なかなか女傑が多い。

【女性が跳ねた方向は、奇しくも彼女のバイクと同じ方向】
【ちょうど女性を中心に、男からバイクを庇うような、そんな態勢が出来上がる】

【ち、と男が舌を打ったのが聞こえるだろうか、逃げに徹されれば面倒だ、とでも思ったようで】
【再び男は、空いた距離を詰めようと地を蹴る】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 20:31:01.60 ID:uH6/mqCuo
>>119

【ちりり――と】
【紫電の末端が前髪のすぐ前を掠めていく】
【もうあと一瞬、判断を躊躇えばあの凶雷が身を貫いていたかと思うと肝が冷える】

【すと、と軽やかな音を立てて着地する】
【彼女はちらりと横目で後ろを見やり】

(この男……相当な使い手……――
 まともにやり合えるだけの時間は――)

【若者には応急的な止血こそ施したが、それでも放置しておいて良いような傷ではない】
【一瞬の攻防であったが、確信するには十分すぎた――すぐに片が付きそうな相手ではない】

【どちらかが力尽きるまで死力を出し尽くせば決着こそ付けられようが】
【その場合、どちらもただで済むとは思い難い。特に魔力の扱えぬ今では】
【そうなれば、誰がこの若者を救うのか――そう思えば、彼女に迷いはなかった】

【彼女は勢いよく叩き付けるように片掌を地面にかざすと】
【ぶわり――念動力によって砂埃と砂礫が巻き上げられる】
【巻き上がったそれらは重力に従ってすぐに落ちるだろうが、簡易的な煙幕を形勢し】

――アミ! アクセル全開! 急いで!

「アイアイサ〜」

【と、彼女はホバーバイクへ駆け出し、飛び乗るや否やアクセルを握り込む】
【荒々しく唸るエンジン音――だが、女性と若者、二人分の体重は旧年式の車体には文字通り荷が重すぎて】
【猛々しい轟音の割にはまだ加速も乗り切らず、走行するのがやっとという具合】

【男が更なる加速の術を用いるか、飛び道具でもあれば】
【それらはまだ十分射程に収まるであろう距離で】
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 21:15:08.60 ID:pDS0GP/Ko
>>120

【ぶわ、と煙幕が広がって】
【今度こそ、男は露骨に舌を打つ】
【己の愛槍、天殺はすでに解放されており、紫電を纏って猛っている】
【つまり、煙幕の中で自身の位置だけは看破され】
【逆に自分から相手の位置は掴めない】

加えてあの女、クロスレンジが得手ときている。
迂闊には踏み込めんか。

【結果、煙幕が薄れるまで、男は煙幕に踏み込めない。そしてその時間は、女性のバイクが加速するのに十分で】
【煙幕が晴れた後、もう遠くなりかけているバイクの背中を見やる】

……とは言っても、タダで逃してやるわけにもいかんのでな。
少しばかり、悪あがきさせてもらうぞ……!

【ぐ、とバイクの走り去る後へ加速する。もちろん速度はバイクと比べるべくもない】
【が、しっかりとその脚で地面を踏みしめ、走り、加速して―――だん、と飛び上がる】

【そのまま空中で身体を捻る。地面に降り立つまでの、最高高度に達したその一瞬、男の槍が更に激しい雷電を放つ】

奔れ雷、猛れ炎。
破軍の一を見せてやろう……!

――――天殺・地走“あまごろし・ぢばしり”……!

【轟、と空気を切り裂いて、男の槍が投擲された】

【荒野を疾駆する、女性とそのバイクの背後から、】
【落雷かとも見紛うような、あらゆる圧力を纏って、男の槍がその背へ迫る―――!】
【直撃すれば、バイクともども無事では済まぬ】
【だが逆に、男は自らの主武装を投擲した。この一撃をある程度無事に凌げれば――退却、あるいは反撃の糸口は見えてくる】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 21:55:27.37 ID:uH6/mqCuo
>>121
【男に背を向けて走り出すバイク】
【しかし彼女は男の宣言を忘れていなかった――殺す、と】

【破落戸が威嚇で言う安い言葉とは違う】
【宣言したからには確実に実行してみせるであろう熟練の殺意がある】
【あの男がこのまま見逃すとは到底思えず】

【サイドミラーを一瞥する】
【――走ってきている。獲物を追い詰めんとする肉食獣の如き気迫を湛えて】
【彼女は戦慄する。男が地を蹴った瞬間、超弩級の攻撃の気配を微かに感じ取る】

【――最後まで、この男は迷う暇を与えない!】

――K7よりリクエスト
転送、Psy Shepherd α-9――!

【ほとんど絶叫に近い声色で叫ぶ】

【すると】
【ちり、と青白い電流が一筋、斥候として空気を走る】
【後にジジジ……と前奏じみた電荷が迸った次の刹那、】
【張り詰めた絹の裂けるような大音声を伴って、“空間に穴”が空く】

【そこから弾かれるようにして一つの人型が宙空へ飛び出した】

【――流線的な白銀の外殻。一切の装飾を排した素体のような外観】
【如何なテクノロジーの粋を集めて造られたか、『機械のマリオネット』が現出していた】

【異形なるそれは、現れる前から自らの使命を理解していたかのよう、】
【出現と同時にその両手足を大の字に広げ――女達の乗るバイクを背に庇う】

【そして――迸る轟音と衝撃】

【男の放った、圧倒的な攻性質量を纏った轟雷が、顕現したばかりの機械人形を蹂躙する】
【人形は最大限に増幅された念動力の防壁を纏ってはいたが、】
【それでも尚威力を殺しきるには密度が足りなすぎた】

【電流の荒れ狂う音を立てて、人形の四肢が無残にも引き裂かれていく】

【激しい衝撃にバイクを煽られ、そして自身の生体熱量を急激に消費した彼女は】
【一瞬、意識を手放しかけるが――背負った若者の微かな息を感じ、寸でのところで踏み留まる】

(……もう、あと少し……持ちこたえて――!)

【そうして掠れる意識にむち打ち、】
【彼女は振り返ることなく、最後の力を振り絞ってアクセルを捻った】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 22:11:45.89 ID:pDS0GP/Ko
>>122

【直撃するコースの一撃であった】
【速度、軌道、威力――とも、かなりの精度で放ったそれは】
【しかし、虚空から現れた『何か』に拠って、その身を盾として防がれた】

―――なんだ、ありゃあ。

【己の一撃でずたずたになっていくその人形を見ながら、男はとん、と地面へ降り立つ】
【いつまでも愛槍を手元から離しておくのは下策。予備の短刀の感触は懐中に感じながら、人形を地に縫いとめている槍の元へと歩いた】

【もはや女性のバイクの音は遠く。夕焼けの空は血のように赤かった】

……ふん、面白い。
哀れな雑魚を殺すだけの仕事だと思ったが――いや、本当に。
面白いものじゃねェか。

【ぐ、と槍を持ち上げる。特別機密保護の措置なくば、このまま男はマリオネットを戦利品として己の組織へ持ち帰るだろう――】
【ばらばらと、男を迎えるヘリの音が響いていた】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/12(金) 22:37:55.09 ID:uH6/mqCuo
>>123

【やがてバイクは肉眼で捉えられる場所からは失せる】
【岩山の陰へでも隠れたか、スピードを上げ地平線の彼方へ消えたか】
【いずれにせよすぐに排気音も聞こえなくなり】

【槍に貫かれたその金属ガラクタは】
【見ればまだ電力を残しているのか、片側だけ残った眼球の青いランプが明滅していて】

【だが男が近づいていくと】
【じじ、と微かに電流の流れる音がしたかと思えば、】
【次の瞬間には、何かの破裂するような小さな音と共に、機体から新たな白煙が上る】
【それから数拍置けば、まるで時間を早回ししたかの如く、あらゆる部品が錆びに覆われていくだろう】

【そこまで起これば、誰かが持ち帰ろうとしても何の妨害も起こらないが】
【あらゆる部品は深く錆び付いていて、不用意に触れば砂と化してしまうような代物である】

【その最期まで設計されていたかのような計画的な挙動には】
【単なる機械工作品には有り得ない、何かの徹底した秘密主義の気配が見え隠れしていた――】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/12(金) 22:51:40.74 ID:pDS0GP/Ko
>>124

はン。
なるほど、個人で動いてるワケでもねえか。

【上がる白煙、覆う錆。持ち帰ったとて大した成果も得られまい】
【それならば己の勘気をぶつけてしまえと】
【思い切り人形の残骸に蹴りをくれ】

【ざあ、と荒野に銀色の砂が散らばって】

―――ち。
何か、妙な奴らがいる、くらいの情報しかわからんとはな。

【煙草を咥えて独りごちる。――張り合いのない殺しが続いていたが、どうも近頃は悪くないと】
【日はとぷりと落ちて。煙草の明かりに照らされるその口は、にやりと獣じみて歪んでいた】
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/13(土) 02:00:55.63 ID:VlRcelqFo
【夜の国・洋館】
【ウェインの部屋】

――よ、っと。
本当、今日は冷えるなあ。

【日課の鍛錬を終え、風呂でぱ、と汗を流して】
【自らの装具の点検をしていた】
【手甲や胸甲を粗い布でごしごしと拭く。白銀の外套は側に立て掛けてある】
【勝利王の加護厚き外套は、対属性にも対魔力にも非常に優れ、物理的な防御力も悪くない】
【さらにその上、どういう理屈か汚れない】

【常に純白、染みひとつないのだが、それが理由かウェインは自らの服装に頓着しない】
【無論、今机の上に並ぶ4本の投擲用短刀、それに各種の防具、愛刀】
【それらのメンテナンスを欠かしたことはなかったが】
【私服などは白く染め抜いた麻の上下しか持たなかった】

バイトするんじゃ、そうも行かないよな……

【園芸店のアルバイト。客商売であるのなら、まさか外套を閃かせておくわけにもいかず】
【まあ、服でも買いに行くかなあ、とそんな思案を巡らせた】

【―――穏やかな時間である。まるで、一端の若者のような】

【能力者たちがこの第五世界を舞台に戦乱を繰り広げ】
【勝利王以外の六王は全て眠りにつき】
【世界の維持が危うくなった―――のも、今は昔】

【ある少女の活躍で、全ての六王は復活し、世界はその運行を安定させた】
【無論能力者達の策動はあれど、それは人と人とが決着をつけるべきこと】
【力を取り戻した六王たちは、その全てが世界の裏側へと身を移し、世界を運行する法則と化した】
【この第五世界に、ヒトの時代が訪れた。後の歴史は、それを神代の終わりと呼ぶだろう】

【――勝利王の騎士】
【ヴィクトリアスの騎士として動乱を掛けた、ある青年も】
【神代の終わり、姿を消した】

【それから数年。再び刀を握る日々が来ようとは、と彼自身も嘆息し】
【花屋のバイトを始めることになるとはな、と頬を緩めているのだった】

/半分事情の説明のようなもの。過去の自分のキャラたちの設定整理ですみませぬ
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/13(土) 16:26:20.33 ID:wmWLIPi7O
【路地裏】

【冬場、錆びたパイプから滴る水が半ば凍りつくこの日陰に、数人の若者が倒れこんでいた】
【その風体はいずれもならず者。一部はナイフを握りしめながら呻くものも居て】
【通りかかるものがいれば、「そうすべきではない相手に喧嘩を吹っ掛けた」のだと分かるかもしれない】
【こんな場所で這いつくばるものなんていうのは、往々にしてそういうものだからだ】

……とはいえ、流石にやり過ぎてしまったでしょうか?
もし。あの……大丈夫、ですか?誰か、人を呼んだ方が――。

【では「そうすべきではない相手」とは誰か。幸い、この場で健在なのは一人だけで、明白だった】
【白く透き通るような肌。烏羽色の髪は肩で短く切られ、行者のような和装が特徴的な背の高い女性である】
【武装は、強いて言えば旅路で使い込んだ様子が伺える木杖が一本ばかり】

【その人物が不安そうに、うめく彼らを気遣って屈み込む――だが、はた目から見れば気付けるだろうか】
【女性の視界の外。倒れる若者の一人が、ナイフを握る手に無用な力を込めていることに】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山口県) :2018/01/13(土) 19:37:05.72 ID:sDfqKhN10
>>127

【――いつになく、路地裏も冷え込んでいた】
【散歩が趣味であるから、ときたまこのような暗くじめついた場所を歩いていたわけだが】
【今日は屋根を伝って落ちてくる水滴でさえも、凍ってしまっていた】

【無表情でかつかつと歩いていると、うめき声が聞こえてくる】
【ふむ、誰か倒れているのだろうか。黒留袖を羽織る女はそう思った】
【放っておくのもあれであるし、取り敢えず様子だけ見ることにしたのだが】

ああ、なるほど

【路地から顔をのぞかせた女は、うめき声の正体を掴んだ】
【おそらく彼らはならず者で、そしてかがみこんでいる彼女が襲われたのだろう】
【表情を浮かべることなく、そちらの路地の方へ足を踏み入れたのだが――】

【彼女の視界外にいる、一人の男の動きに気がつく】
【ナイフを握った手に力でも込めているのだろう。握る力が入るのが伺える】
【彼女を襲われたら困ると、咄嗟に右手に刀を喚び出すと、その男へ瞬時に迫り】

下手なことはするな。死ぬぞ?

【男が握るナイフへと、その刀を振りかざした】
【刀は斬るというより叩き斬ることに特化しているようで、ナイフの刃が粉砕される】
【男は目を見開き、驚いたような表情で此方を見ているようだった】

【女は背に家紋が入った黒留袖を羽織り、黒帯を結んでいる】
【黒曜石のような瞳を、刃物の切っ先のような鋭い視線を男へと向けている】
【起伏のある細い体つきのその身体は、着物の上からでもわかるものだ】
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/13(土) 21:03:29.44 ID:wmWLIPi7O
>>128
【たかが女にやられてたまるか。そんなちっぽけな反逆の意志は容易く砕かれる】
【ふと路地裏に姿を見せた別の女性に、それもより強烈に、だ】

【狼狽えて相手の顔を見上げれば――「えいっ」という声と共に】
【その首筋に手刀が打ち込まれて、あっさりと男は気を失ってしまう】
【見れば、先程屈み込んで様子を伺われていた方もべったりと頬を地面に付けていて】

ふうっ。……どうやら、知らぬ間に助けて頂いたようで。
この刃、砕いてくださったのは貴女……ですよね?

お見受けしたところ、同郷の方のようですが……よろしければ、お礼などさせていただけませんか?

【立ち上がって並んでみれば、物腰こそおっとりとした人物なれども】
【その背丈には驚くかもしれない。ざっと見積もっても、170cm以上はありそうで】
【年齢は20台後半か。ゆったりとした衣服の上からでは体型までは分かりづらく】

【悪漢に襲われたばかり、ということも気にしない様子でおもむろに持ちかけるのは、お礼】
【「お茶でも。」と続けると、是非、なんて雰囲気で恩人の返事を待ち構えた】
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 19:11:20.60 ID:RkiC8zU2o
【白地に赤の英字ロゴのビニール袋】
【大手の服飾ブランドのそれを提げて、街路を金髪の青年が歩いていた】

【白い外套。腰には刀を差している】
【随分平和になったといえど、町中にはまだ武装しているものも多く見受けられ、そう浮いた外見でもない】

【しかし青年はあたりをきょときょとと見回して、人目を避けるように路地のほうへと入っていく――】
【見咎めるものがあれば、怪しく見えるかもしれない】
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 20:43:38.85 ID:YukZYbEko
>>130
【別段尾行でもしていた訳でもないが、】
【その挙動不審な青年は、否が応でもある女性の目を引いた】

(……どうも最近はきな臭い人ばかりね)

【グレーのコートを羽織った赤毛の若い女】
【すう、と眼を細めながら思う。あの仕草では初犯だろうか】
【何かこれから慣れない一仕事をしようとする者の臭い。どこかが一市民とは違う】
【武装していれば尚のこと、まさか店屋のアルバイターという訳でもあるまい】

【あまり余計な『マルタイ』を増やしたくはないのだが、と内心ぼやきつつ】
【何か事が起きてからでは遅いと、彼女は青年の後をつけることにした】

【まずはちらり、通りに面する壁を背にして、顔だけで路地の奥を覗き込み】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 20:53:14.66 ID:RkiC8zU2o
>>131

【青年の入っていった路地裏を覗いてみれば】

【外套の懐中から何か、小さな紙を取り出して、何事か念じたようだ】
【もしも女性が魔力の流れに明るいのならば、きぃん、と魔導の流れが高まっていくのを感じるだろう】
【それも、世の中に一般知られている魔術の組み立てとは異なるようで】

………もう少し、かな。

【状況を整理してしまえば、物陰にコソコソと入っていった青年が、】
【得体の知れない魔力装置を起動して――なにか、もう少しとか、呟いている】
【小脇に抱えた○ニクロのビニールが、風に煽られてかさり、と音を立てた】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/01/14(日) 21:04:23.18 ID:mINixZCbo
>>129

【男の反逆の意志は刃とともにあっさりと砕け散り】
【彼女の手刀により意識を失い、床に張り付いてしまった】

「いや、別にお礼は構わないんだが」

【偶然その場に居合わせただけ、お礼はいらないと】
【無表情ながらそう伝えたのだが、ばつが悪くなったのか】
【「お茶くらいなら」、と小さく彼女へと伝えたのであるが】

【しかしまあ、彼女は物腰さえ柔らかくも身長は高い】
【自らが150cmほどであるから、軽く見積もっても170cmはありそうだ】
【いや、もしくはそれ以上あるか。年齢は20台くらいだろうが、体型はゆったりとした衣服のせいでわからない】

【とはいえ、女はお茶に付き添うことにした】
【握っていた刀はいつの間にか霧散し、彼女の行動を待っていた】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 21:07:24.30 ID:YukZYbEko
>>132

「カンナ、魔力反応」

(分かってる)

【女性の腕時計に宿る何かの知性体が、主人に骨伝導で警告する】
【だがわざわざ魔力を感じ取るまでもない、眼に出来るだけで十分な怪しさを感じ取る】

(……さてどうしようか)
(不用意に声を掛けて驚かせても、何をされるか分からないし)

(ここは一つ……)

【すると彼女はおもむろにポケットから黒い板状の無機物を取り出し】
【どうやら携帯端末であるらしい、それを耳に当てて】

――あー、もしもし? 私だけど。
うん、もうすぐ着くよー……え、なに?
うそっ、何ソレ本当? えー、嘘だよー──

【と、相手のいない電話をしながら、路地の奥へと歩き出し】
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 21:26:28.51 ID:RkiC8zU2o
>>134

【もしもし、という声を耳にする】
【魔力は巡り、力場を構成し、現実の中に結節し始める】
【ちらり、と、青年の赤い瞳が、路地に入ってきた女性を捉えた】

――――。

【ぺこり、と軽く頭を下げて、目で会釈する】
【ただ町中ですれ違うだけならば、思わず会釈を返してしまいそうなその動き――】

【一際魔力が、高まった】
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 21:39:35.74 ID:YukZYbEko
>>135

【電話のフリをしながら、青年の姿を横目で捉える】
【そのまま近づいていき、目が合えばぺこり、こちらも会釈を返す】

(見られても逃げない。襲ってくるでもない――ということは?)

【全く疚しくないことか、あるいは強行する価値があるほどの疚しいことか】
【大吉か大凶しか入っていないおみくじを引くようなものだな――と思い】
【もしも大凶であれば悠長にしている暇はない】

【すると彼女は唐突に話をやめ、携帯端末を耳から離し】
【くるり、すれ違いそうだったのを青年へと振り返り】

……何してるんですか?

【と、真っ向から聞きに行く】
【その顔は無表情であったが、瞳には僅かに緊張の色】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 21:53:25.62 ID:RkiC8zU2o
>>136

うわ、っと……

【今しがた通り過ぎた女性が、突然振り向いたことに驚き】
【しかし、青年が平静を乱したにも関わらず、魔力展開に全く乱れは見られない】
【青年の反応が全くの嘘で構成されているか、あるいは青年の扱うこの魔力装置が、凄まじい完成度と安定を誇っているか】

【だが、少し青年は考えを巡らせるような顔をした】

(どこかへ行くのに、態々この路地を通る必要はない……況や女性が一人で、路地裏に入る必要など。
 まいったな、怪しく見えたか)

【ん、と頷くような素振りを見せて、先程手に持っていた紙を懐へと直す】
【それだけで、あれほど展開を進めていた魔力の流れは、解けるように消えていき――】

いや、あやしいものではないんだ。
ただ、家に帰ろうとしていただけで。
今のは、単なる転移スクロール。それで、僕は花屋のバイトだ。
洋服を買った帰り、なのだけど……

【ホールドアップ、というふうに両手を頭上に挙げる】
【くい、とビニール袋を示してみせて、怪しくないんだよー、とアピールしてくる】

【柔和な表情、柔らかそうな金髪―――】
【だが、腰の刀はそのあたりに売っているような代物ではない】
【更には纏う外套も、見るものが見れば対魔力・対属性に優れた逸品であると、判断するのは容易だろう】

【ただ、女性の様子を伺う青年の様子に、気負っているところは見られない】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 22:14:02.23 ID:YukZYbEko
>>137

【降参する仕草、弁解を始める青年を見て、彼女は少し目を丸くする】
【そして「カンナ、魔力消えちゃったよ」と腕時計から伝導してくる声】

……大凶ではなかったみたい、ね

【瞳から緊張の色が抜ける】
【彼女は青年の言葉を受けて、数呼吸、黙って観察する】

【花屋のバイト――とはにわかには信じがたかったが】
【どうにも嘘を言っている風にも彼女には見えなかった】
【合理的に考えて、最早彼に嘘を吐く理由がないように思えた】
【何かをやるならとっくにやっただろうし、嘘で誤魔化すくらいなら最初から逃げれば良い】

(それに、この刀と外套――)

【相当上質な逸品だと見当が付く】
【そのようなものを身につけているとなると、これはむしろ失礼なことをしたか】
【そんな風に思い至り】

ああ――帰りを邪魔しちゃったならごめんなさい

最近、物騒な人が多いから
何をしてるのかな、って思って

……一応、中を見せてもらっても?

【と、まるで職務質問をかける警官じみた態度で】
【袋の口に人差し指をかけながら、上目で青年に確認を取る】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 22:20:56.40 ID:RkiC8zU2o
>>138

ああ、いやいや――
とんでもない。街の安全を守ってくれている、のですよね。
こちらこそ、誤解させるような動きをして申し訳ない。

【なるほど、自警団か警察の要員か、と青年は心の中で納得し】

――え。
いや、うん、構わない、です。

【そうして、袋を覗いてみれば】
【なんの変哲もない――白のボタンダウンシャツが2枚、さらりとした素材の肌着が2枚】
【それからワイドシルエットの黒いスラックスが1枚】
【レシートと一緒に入っていて、その日付にも特段不思議な点はない】

……なんだか、女性に服を見られるの、照れくさいですね。

【手を上げたまま、そんなことを青年は呟いた】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 22:38:24.25 ID:YukZYbEko
>>139

街の安全……うん、まあ、そんなとこ

【僅かに誤魔化すが、それも軽い調子で】
【そして袋に手をかければ、本当に何の変哲もない服が出てきて】

……うん、似合いそうね
私も服、買わなきゃ……

【その質素な服を勝手に広げ、青年に当てるようにして】
【誰に向けるでもない独り言を零すと、気が済んだのか服を畳んで袋に戻す】

【だがふと、彼女は何かに気付いた様子で】

んー……?

【青年の顔をじいと見る】

【何かを思案するような表情で】
【間違いなく知り合いではないのだけれど、なーんかどこかで見たことがあるような――】
【彼女は眉をひそめたまま、ぐい、と一歩踏み込むように近づいて】

……あの、テレビとか、出てたことあります?

【そんなことを唐突に言う】
【だが当てずっぽうという訳でもなく、あともう少しで確信できそうなのだとでも言いたげで】

【そしていつまで手を上げさせているのか】
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 22:49:47.79 ID:RkiC8zU2o
>>140

いや……ははは、ありがとうございます。
あ、肌着は許してください……

【両手を上げた状態であれば、最早されるがまま】
【マネキンめいて服が似合うかテストされ―――】
【ようやく解放されたころ、女性から妙な質問を受ける】

……テレビ?
いや、写ったことはもしかしたらあるかもだけど、
芸能人なんかじゃないよ。
そういうのはもっとほら、見目のいい人達がなるもので。

【きゅ、と目を細めて女性のほうを見る】
【――小首を傾げる。何らかメディアに出たことなど――】
【だが、あ、というふうに、青年の瞳が見開かれた】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 23:08:10.26 ID:YukZYbEko
>>141

いや、芸能人っていう顔じゃないんだけど――

【何の悪気なしに、そこはあっさり否定する。女性の残酷さ】

【それから黙考する探偵のように、片手を顎の先に当てたりしながら】
【じっと青年の顔を見つめ続けていると――彼が目を見開いたのとほぼ同時、】

【彼女は「あっ!」と声をあげて】

ね、ほら、あの――あれ! 思い出した!
あなたすっごく似てるの、すごく前だけど、武道大会の優勝者に!

確か、そう、タッグマッチの――
コンビ戦の本大会なんて後にも先にもあれだけだったから、よく覚えてるの!
私、本当にあの武道会が好きで、小さいときからずっと見てて――!

名前が……名前が思い出せない――!

【先ほどまでの冷静な様子とは打って変わって、】
【目を輝かせてもどかしそうに身振り手振りをするその様はまるで少女】

【そう、自分はあれがきっかけで武の道へ入ったのだと】
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 23:20:50.46 ID:RkiC8zU2o
>>142

……ウェイン。
ウェインでしょう、その人。

【にこり、と笑う】

五年以上前、水の国の大会で。
確かに優勝したウェインという人、よく似てると言われます。
しかもほら、僕も刀を使うものだから。

よく勘違いされるんですが―――もう五年も前に、あの人は20歳を越えていた。

【ほら、僕、そんな年に見えますか?と笑う青年は、たしかにいいところ20代前半に見える】
【そうかなあ、と女性が首を傾げれば、笑顔のまま、青年はこう言葉を続ける――】


――――それになにより、勝利王の騎士ウェインは。
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/14(日) 23:35:52.19 ID:YukZYbEko
>>143

【ウェイン、と彼が口にすれば、彼女は「そう! その名前!」と勢いよく指差す】
【ようやく突っかかっていた疑問が解消され気持ちも晴れ晴れ、といった風だったが】

【――そうだ】
【真っ当な時空間、真っ当な人体を前提で考えれば】
【数年前の人間が、現在も完全に同じ容姿でいるとは考えにくい】

【興奮していた少女は、それに思い至り――はたと動きを止める】

【「――それになにより」】

【そう続けられた言葉の先】
【彼女は言葉を差し挟むことなく立ち尽くして】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/14(日) 23:44:06.76 ID:RkiC8zU2o
>>144

それになにより、勝利王の騎士ウェインは―――
もう、死んでいる。

【ざ、と、路地裏に風が吹いたような】

【恐らくウェインの武に感じるもののあったのだろう、女性を少し悲しそうな目でみて】

4年ほど前の、機関との戦闘で。
単身突入して敵の首魁を撃破したそうなのですが――まあ、無謀な人だったのでしょう。

手傷もあってその後重囲を突破できず、機関の物量に押し潰されるようにして、ということでした。

【もう、手を下ろしても?と、金髪の青年は目線で問う】
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/15(月) 00:03:29.23 ID:62Ps/mYSo
>>145

【――もう、死んでいる】

【その言葉が、そのまま冷たい風となって吹き抜けたようだった】

【「え……」】
【生気を攫われたような、乏しい呟きが一つ漏れる】

……そう、だったんだ……

【一度も会ったことのない人間】
【されど彼女にとっては少女だった自分の心に火を灯した人間の一人】
【それがもう死んでいる――しかも無残な終わり方だったと聞かされ】

【言うなれば、憧れの漫画のヒーローが、自分の知らない最終回でバッドエンドを迎えていたような】
【そんなやるせない悲しみが、彼女の心を覆った】

【やがて青年の手を上げさせっぱなしだったことに気付いて】
【ああ、疲れたよね、と小さく詫びながら手を下ろすように言う】

――そっか、そうよね
あの時のままでいる筈ないものね……

……あ、帰りの邪魔しちゃってホントにごめんなさい

【「勘違いした上にこんな長話までしちゃって」】
【そう言いながら肩をすくめ、憂いのある笑みを零した】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/15(月) 00:14:47.91 ID:sx4YaFsdo
>>146

【殊の外、ショックを受けているような様子の女性を見て、
 ――悼ましいような、どこか申し訳ないような、そんな表情を浮かべる】

ええ。何か……すみません、妙な話を聞かせてしまって。

【そうして、彼は手を降ろす。服の入った袋を持ち上げて】
【それから、女性のほうをまっすぐ見て】

……もしもウェインが、貴女がそういうふうに、自分のことを知ってくれていると知ったなら。
きっと、とても喜ぶことでしょう。
うん、それは、保証したっていい―――

【まあ、そんなところです、と、女性に合わせるよう肩をすくめる】

そういえば、貴女、お名前は?

【懐の転移陣をもう一度取り出しながら、そんなことを聞いてきた】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/15(月) 00:28:43.79 ID:62Ps/mYSo
>>147

……ううん、いいの
きっとその最期の闘いのお陰で、助かった人たちも沢山いるんだろうから――

【その話を拒絶するでも疑うでもなく、素直に受け入れた様子を見せる】

【憧れの武道大会の優勝者、そして神聖たる勝利王の騎士】
【出来れば生きているうちに会って話をしてみたかったけど、と】
【淡い片思いが散った少女のような面影で小さく零すも】
【やがて振られたものは仕方ないとばかり、すっぱりと切り替えた様子で面を上げ】

そういえば、まだ名乗ってもなかったね
私は……カンナ

……あなたは?
ウェイン……ではないんでしょう

【と、小さく微笑みながら僅かに首をかしげて問うた】
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/15(月) 00:37:26.21 ID:sx4YaFsdo
>>148

【転移陣に魔力を込める】
【再び、転移陣の込められた魔力の導線は花開き、周囲の空間へ満ちていく】

―――カンナ。
自分から女性に名前を聞いておいて、大変失礼をするのだけど。

……僕の名前は、次に会う時に名乗らせてくれ。
いずれまた、必ず会うことがあるだろう。

【それだけ言うと、に、とカンナへウインクをひとつ投げて】
【ざあ、と微かな音を立てて、転移魔法が起動する】

【そして光が青年を包み、一瞬まばゆく光を増すと――そのあとには、もう風が吹き渡っているだけだった】
【最後に声を掛けたなら、それは青年の耳へ届いたかもしれない】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/15(月) 00:54:37.91 ID:62Ps/mYSo
>>149

え、ちょ、ちょっと――

【名前をはぐらかされ、それはないでしょうと狼狽える】
【最後に何か声をかけようとしたが、気障なウインクで蓋をされたような心地で】
【唖然としているうちに、青年の姿は光の向こうへと消えていた】

【ひゅう、と】
【余韻を含んだ空風が一陣吹いて】

もう……なんなのよ……自分から聞いといて……

【持て余した感情を、小さい嘆息に込めて吐き出した】

【後に何も残らなくなった路地裏】
【もう残っていても詮無く、踵を返して通りへ戻る】
【そこで腕時計の知性体が小さく震えて】

「カンナ、フられちゃった?」

何がよ。うるさいよ

(フられちゃった?)

……声が大きいってことじゃないの
どこで覚えてきたの、そんなの――

【他人の空似……であるとはいえ、この奇妙な邂逅で、自身のルーツを思い返した彼女】
【あの日の憧れに負けぬように、超えられるように――】
【また鍛錬を積まなければ、と彼女は心中で思いを新たにし、人混みへと消えていった】
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/15(月) 01:03:13.76 ID:sx4YaFsdo
>>150

【夜の国・洋館前】
【転移陣から実体化した、金髪の青年】

……悪いことしたな、僕の顔知ってる人が居たとは。

【先程遭遇した、赤い髪の女性を思い出す】
【水の国のタッグマッチ。ちょうど、六王復活策動の頃だった】
【ガトーと組んで、ギランやルルとも戦って――と、そんなことを思い出す】

【そして、それを見てくれていた少女が、今では街の安全のために力を尽くしている】
【それに少しの嬉しさと、また、後ろめたさを覚える】
【ただ、今大きな組織に自分がここに在ることを知られたくはなく】

……まあ、嘘は、ついてないのだけど。

【す、と自分の掌を見やる。夜の国の暗闇の中、ぼう、と少しだけ発光したようで】
【あとは黙って、青年は買った洋服を抱えて洋館の中へと入っていった】

/ありがとうございました! すまない、すまないカンナ……!
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/16(火) 22:02:21.69 ID:8znmcPGEo
【水の国・大通り】

よ、いしょ、と。

【ある花屋の中で、金髪の青年がバイトに精を出している】
【まだ花の植わっていない、土だけの入った鉢だとか】
【あるいは並んでいる花へじょうろで水をやったりだとか――】
【どうやら新人らしく、不慣れな手つきではあるが、それなりに楽しそうで】
【まあ、お客様に不快感は与えまい、と。そんなところだ】

【青年の格好はといえば、シンプルな白のボタンダウンシャツに、
 黒いナイロンの前掛け――これは店から支給されたものだろう、店名がロゴされている】
【それに、いくらかゆったりしたシルエットのスラックス】
【そのあたりの学生のアルバイトと、さほど見た目に違いはない。柔和な顔立ちも相まって、時々おば様たちに話しかけられている】

【もしも花を買う用事があるのなら――あるいは何か、彼を見咎めたのならば、話しかけやすい雰囲気ではあろう】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 02:23:41.74 ID:MhfyQXDM0
【街中――入り組んだ路地裏の一角】
【ずうっと昔に放棄されてから久しい廃ビル、だれも立ち入らぬように張られた鎖は誰かに引きちぎられたまま、地面に散らばり】
【窓のほとんどもいたって風通しのよさそうな感じ――だったのだけれど。一番上――数える限り三階であるだろう一角の窓に、ぼうとした光が映りこみ】
【じっと見れば無数の光るものがその室内でぐるぐる踊って回っているように動くのだった、それが光の灯るはずのない棄てられたビルによく目立ち】

【そして訪れる誰か。その聴力が鋭いものであれば――きゃらきゃらとしたあどけない子供の笑い声に気づくことも十分に可能であったろう】
【というよりも。この路地裏の深層ではまず聞くことのないもの、普通であれば空耳かと疑るもの、それでも一度気づいてしまえば、なかなか無視は難しいもの】
【聴力だけでなくあたりへ意識を向け歩いていれば、その断片くらいはもっと簡単に聞き取れただろう。何より、誰かがこのビルに立ち入るのなら】
【あまりに場違いで鮮やかな笑い声は近づけば近づくほど本当に子供であると分かるだろうから――それが余計に異質であり】

――――ふふっ、こーんなに! きらきらしちゃったら、きっと、きっとね! 
お空に飛んでる鳥さんとか! 天使さん! あっこれなんだろー?ってね、遊びに来てくれるわ!

そしたらねー、お菓子食べるでしょ! お茶会するの! 天使さんとお茶会なんてね、きっと誰もしたことがないのよ!

【なにより。外から光って見えたのと同じ位置の部屋――ぼろっちい事務机がいくつかある場所、元は何かの会社だったらしい、と備品で知れ】
【一番偉そうな位置に置かれた机の上。お行儀悪くも胸を張って立っているのは、ごく小さな人影――楽しくって仕方ないように押さえた口元から、絶えず笑い声を漏らす、幼子】

【クリーム色の髪はくしゃくしゃの柔らかいくせっけ、ちっちゃな頭のてっぺんできれいに二つに結わえれば、些細な動きにもふわふわ揺れて動いて】
【真夏の青空と同じ色をした瞳――口元を押さえる手の指先、その隙間から覗くのは右目の下の蝶のタトゥ、肌によく目立つ、毒々しいような紫色】
【冬毛のすずめみたいに着ぶくれした格好、暖かそうな厚手のコートにはたくさんのファーがあしらわれ、首元にはマフラーと、足元は厚手のタイツに、それから】
【つま先のまーるいおでこ靴。それが古くって錆びた事務机を遠慮なく踏みつけて、時々ぎしぎしと言わせている】

【――そのうんと幼い姿。だけれど周りには、おそらく彼女の能力か、魔術か――光で形作られた無数の蛾が乱舞する、その明るさはひどく太陽の光に似た暖かさがあり】
【なにより場に満ちる濃い魔力もよく目立った。彼女のような幼子が抱くには少し、強すぎる。そう思われて仕方ないほど――】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 16:27:29.98 ID:f+RfCaqjo
>>153
【少し前の出来事だ】

【一人の少年が街へお使いに出ていた】
【彼に課せられたミッションは、赤い薔薇を4本買ってこい、であった】

【慣れない街中でのお使いであったが、】
【人の良さそうな金髪の青年が店番をする花屋を見つけ、そこで首尾良く花を買った】

【そのまま真っ直ぐ屋敷に帰る予定だったのだが、】
【お使いを無事に済ませた安心感で気が緩んだか、】
【目の前を通りかかった野良猫に興味を覚えて目を輝かせる】

【火の付いた幼い好奇心の赴くまま、その猫を追い回し始め】
【しかしふと気付けば――そこは全く見知らぬ路地の深奥】

【追っていたはずの猫もどこかへ消えていて】
【最早自分がどちらから来たのかすらも分からない】

【途端に心細さが少年を襲ったが、】
【そこへ微かに響いてくる楽しげな笑い声】
【周囲を見渡してみれば、ビルの一角に不自然な明かりが灯っている】

【路地奥の不気味さにいたたまれなくなっていた少年は、】
【その光に一縷の望みを託し、恐る恐るビルへと立ち入って――】



【――やがて、きぃと小さく軋む音を立てて】
【幼い彼女の遊ぶ部屋のドアが開かれるだろう】

……、……──

【そこにおっかなびっくり顔を覗かせるのは、】
【鳥でも天使でもなく、一人の少年】

【幼子という程ではないが、頬に残る丸みがあどけなさを隠せない】
【群青色のキャスケット帽、クリーム色のマフラーに挟まれた顔は余計に小さく見える】
【その灰色の髪は、片目を覆い隠すように伸びていて、室内の光に照らされると白色にも輝いた】

(わあ……なにこれえ……)

【少年は、廃ビルに舞い踊る光の蛾群という幻想的な光景を目撃すると】
【ラッピングされた薔薇の花が頭を覗かせるリュックの肩紐をぎゅっと握りながら】
【はわあ――と間の抜けた感嘆の息を漏らして、呆然と見惚れていた】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 18:54:11.21 ID:JgFWN7Da0
>>154

【楽し気に笑う声、くるくる踊る光の乱舞。あまりに色濃い魔力の匂いと、その元凶が幼子であること、埃がたっぷり降り積もるこの場所には異質なのに、あるいはよく似合い】
【光の蛾がかすめて舞い上げた埃までもがキラキラと光り輝いていた、そして蛾の放つ陽光のような暖かさはこの場所さえ緩やかに温めて】
【言いようによっては全く別世界に迷い込んでしまったような――そういうものを相手に感じさせたとておかしくない】

そしたらね、そしたらね! 神サマってどんなヒトだか聞いちゃうの! きっとね、おヒゲだわ! おヒゲのおじいさんで……。
お洋服はー、……えっとね、赤じゃないよね! あのね、だって、そしたら、サンタさんでしょ! 神サマってサンタさんじゃないし――あっ

【錆びついた机をぎしぎし鳴かせて笑う幼子はどうやら本人の中では踊っているつもりのようだった。両腕を大きく広げて、ばたばた、ばたばた、動きを繰り返し】
【ご機嫌そうに笑って、さっきの独り言の続きを紡ぎ出す――その最後に混ざった不自然な声。少年は気づくだろうか、真夏の青空色が、きれいに相手に向いていること】
【うんと丸い瞳がぱちくり瞬いて彼を見ている、気づけば……そう気づけたら。踊り狂うようだった光の蛾も、すべてが、そのまま空中でピタリと静止して】
【そのすべてが彼を注視するように、頭……と思われる部位をそちらに向けているのだ。ただ舞い上がった埃がキラキラと変わらずにきらめき――】

――ね、ね! 神サマって、どんなお色のお洋服かなってね、お兄ちゃんね、知っているっ?
私ね、あのね、おヒゲがあるなら赤色かなって思ったんだけどね! あのね、おヒゲで赤色なのは、サンタさんだわ!

【――――ほんの一瞬の間。ぎしっとした音は幼子が古びた事務机の上で動いた音で間違いはない。次に続くのはとすんと――そこから飛び降りた結果の着地音】
【ぱたぱたと気の抜けた音は、彼女が彼のほうへと駆けていく足音であったし――何より彼女が相手に尋ねる言葉までもを聞いてもらえれば、それらはどれも恐ろしくない】
【けれど。彼女に"そういう"つもりがないと彼は気づいてくれるだろうか、まったく敵意のない幼子――それでもこんな場所で出会うモノを、どれだけ信用してもらえるのか】

/気づくのが遅れましたっ、申し訳ないです……!
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 19:25:16.50 ID:f+RfCaqjo
>>155

【その異世界じみた光景を少年はただぼうっと眺めていたが】
【ぴたり、ビデオの不調のように一斉に静止した瞬間、肩がびくりと跳ねる】

わ、わ――!?
あわ、あわわ……

【無数の蛾達に眼を向けられ、】
【何か自分がいけないことをしてしまったのかと狼狽える】

【それから溌剌と語る彼女が、自分の方へ駆け寄ってくるのに気付くと】
【ひぃ、と情けない声をあげて身体を強ばらせて】
【食べられてしまう――そんな風に思わず身を縮こめて眼を固く瞑る】

【しかし目の前まで声が近づいてきても、別段恐ろしいことは起こらない】
【おヒゲがどうとか、サンタがどうとか、楽しげな声でばかり喋るので】
【少年が恐る恐る眼を開けてみれば、そこには自分よりも年下のような幼子の姿】

うぇ……
さ、サンタさん……?

ここは、サンタさんのおうちなの?

【驚きのあまり、話の内容がほとんど頭に入らなかったか】
【少年はまるっきり的外れな返答を返した】

【彼女に敵意がなければ、少年にも全く警戒の様子がなかった】
【ただ初めて会うおともだちにどうやって接しようか、そんな緊張の面持ちばかりで】

/こちらも今戻りました、よろしくお願いします!
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 19:41:44.86 ID:JgFWN7Da0
>>156

【ほんの一瞬だった。何度も何度も何度も繰り返して見たビデオが一瞬止まってしまうような、ほんの一瞬の――だけど限りなく異質な、停止】
【幼子が動き出した時にはすでに光の蛾たちは元のように乱舞する、そして――相手が身体を強張らせて。あるいは怯えているのをいいことに、うんと近くまで】
【そう、本当に近く――親しい友達同士がおしゃべりしあうような距離まで潜りこんだ、潜り込もうとした、彼女は】

うぇ? サンタさん? あのね、あのね、サンタさんはここにはいないわっ!
サンタさんね、このまえお仕事したでしょっ? だからね、きっとね、今頃はお家でトナカイさんと休憩中だわ!

だって! あんなにたくさんお仕事したらね、疲れちゃう!

【相手のまるで的外れの言葉に謎の音を返してから――ここはサンタさんの家ではない!となぜだかひどく自慢げに、胸まで張って、宣言するのだろう】
【いわく、サンタさんは仕事のあとで疲れているので、お家で休んでいると――つまりここはサンタの家ではないということなのだけど、少し言葉の足りない様子はあり】
【大変だからね!と言って腕を無意味にぶんぶんして見せ、大変感をひとしきりアピールすれば――】

あっ。そだ! あのね、お兄ちゃんね、こんばんは! 初めましてだわ!
あのね、私ね、ファラエナっていうの。お兄ちゃんね、お名前何かなってね、思うなっ!

……――あ! もしかしてね、お兄ちゃんね、天使さん!? あのね、私ね、こうやってキラキラにしたらね……。

【ふっと思い出したように、ぺこりと頭を下げるのだろう。きちんとゆわれたツインテールがゆらゆら揺れて、薄い金色の髪の根元、つむじまでよく見える角度で下げてから】
【ばっともとに戻すのがうんと早かった。そうして名を名乗る、そのまま相手の名前を尋ね――だけれど、相手が名前をもしも教えてくれようとしたとして】
【半ば割り込むような形で彼女が口にするのは。もしかしてこうして目の前で話す彼は天使ではないかと――蒼穹色の眼をうんときらきらにしてから】

きっとお空から見えてね、天使さんが遊びに来てくれるって思ったの!

【うんと幼い顔をめいっぱいに喜色で満たして彼を見上げる、――いわゆる"悪い子"ではないようだけど、すこし、元気すぎる】
158 :??? ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2018/01/17(水) 19:49:33.15 ID:Bk8x8+Zc0

【例えばそれは、洗練された上質なフレンチの中、唐突に現れるチープなフライド・ポテトのように。】
【例えばそれは、一級の監督と最高の演者を集めて描かれたオスカー映画に、水を差すアイドル・ソングのように。】
【例えばそれは、人が多く集まり平穏な日々を過ごす平日の街で、買い物時の夕暮れに唐突に起こる凄惨な事件のように―――。】

【―――風の国、首都エルジオより東に5q程離れた"ベルガストン"は、住宅街が立ち並ぶ風の国きってのベッド・タウンだ。】
【住居群に付随する形で巨大なショッピング・モールや商店街、複合型映画館に運動施設など、"平穏"さを追い求めた建築も混在し】
【街の中央に集中するそれらを囲う様に郊外型住居がこれでもかと並ぶ、緑多き"普通"の街である―――こんな世界では割と珍しく、普通。】
【そう、絵に描いたように"閑静な"という言葉がよく似合うこの町の夕暮れ時、丁度今晩の献立を悩みながら買い物する主婦が商店街に集う時間帯で】

【"その爆発"は起こった。】

【32種類のフレーバーを揃える有名なアイス・クリーム屋の前に停車していた一台の車が突如として、爆発・炎上。】
【大きな悲鳴が上がる事もない、当然だ。彼等は緊急事態という物とは長らく無縁、静かに暮らして平和ボケを極めた住民たち。】
【「火事かな?」 「どうせ"異世界製"の車だろう、確か"チューゴク"とかいう所のだ。なんでも爆発する。」「いいや、ガス管だろう。」―――。】

【そんな暢気な事を話していた野次馬の一人の頭が、次に吹き飛んだ。綺麗な赤をまき散らし、ピンクの華を咲かせて】
【制御を失った肉体が崩れ落ち、そこで初めて顔面から返り血を被せられてストロベリーアイスのようになったマダムが悲鳴を上げた。】
【普通ではない状況、悲鳴に釣られる様にして散ろうとした観衆の中の一人が、今度は脚を"吹き飛ばされて"倒れる。そうして、そこから虐殺が始まった。】

【炎上する車の立ち上がった陽炎の向こう、歩いてくるのは数体の―――人形。銀色で塗られた、人形だ。】
【目を青色に輝かせた幾分と"メカニカル"なそれらは、片手に括りつけられた何か"筒"の様な物から"ボール"の様な物を―――】
【いつまでも"平凡な住民"達の言葉に合わせて説明すると面倒なのではっきりと言えば、殺人ロボットが十数体も並び重火器で住民を撃ち殺し始めた。】

【数体は逃げ惑う人々を、数体はそこかしこの車<逃走手段>を端から、そしてもう数体がチャチな商店街の店を次々と。】
【片腕に装着した、超高熱を弾頭として発射し目標物を着弾点から吹き飛ばす"プラズマ・キャノン"で、一つの容赦もなく破壊していく。】
【当然と言えば当然だが、彼等は機械だ。殺人をプログラムされているのかどうかは分からないが、無機質に無感情に、ただただ殺意を振りまいた。】

【そうしてこれもまた当然だが、ここまで平和ボケした街では警官の対応もノタノタとした物だ。】
【ピザが焼き上がるよりもずっと遅く現れたパトカーが馬鹿正直に正面から突撃すれば、フロントマスクをブチ抜かれ】
【バンパーを昇天させ軽快に吹き飛ぶ。フォード社製クラウン・ビクトリアが赤と青のランプを冬の町に粉々にまき散らしながら横転、沈黙。】

【後続のパトカー達も機械兵士の攻撃でボーリングよろしくバカバカと弾かれ穿たれ火の海を形成させられる。】
【警察の力も及ばない、軍隊の出動すら必要になる多大な戦力、それを音もなく行使できる存在と言えば―――この世界では一つ。】
【カノッサ、邪悪の代名詞を町の住民たちが頭に浮かべるのにあまり時間は掛からなかった。そうして、続々上がる火の手に覆われ彼等はこうも考える。】



「誰か―――誰か、助けてくれ!!」


【メカニカル・プラトーン<機械兵団>が街を、人を、平穏を襲う。悲鳴に埋もれた犠牲者達の悲痛な声を聴く"誰か"は―――まだ、居るのか。】
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 20:02:35.27 ID:f+RfCaqjo
>>157

【自分の本当に近くまでやってきた彼女を少年はそのまま受け入れる】
【幼い者同士ではそれが自然、当たり前の礼節なのだとでも言わんばかり】

……あ、そっかあ
サンタさん大変かあ、そうだよね、ぼくのおうちにも来たから――

【妙にずれているのだが何故か不思議と噛み合ってしまう会話】
【彼女が腕を振るのに合わせて少年も小さくぶんぶんの真似をして】

【それから彼女がバネ仕掛けの玩具じみたお辞儀をすれば】
【跳ね上がったツインテールの髪先が少年の鼻先を掠め】
【ふぇし、とくしゃみになり損なった情けない声をあげてから】

……ぼ、ぼくはノーヴァ――うぇえ、て、天使じゃないよ
悪魔さんはおともだちだけど、天使さんは会ったことない……

でもぼくはね、天使さんはキレイなところが好きだと思うからね、
ここにも来るかもしれないって、思うよ

【と、喜色満面の彼女に同調するように、少年は精一杯口元を引き結んで】
【両手に小さな握りこぶしを作って、それを上下に振ってみせるのだった】
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 20:21:26.29 ID:JgFWN7Da0
>>159

【そうして近くまでくれば――やはり彼女はひどく幼い、見てくれだけならば、少なくとも確実に。子供であると分かるだろう】
【ほんのわずかにしゃべっただけとはいえ、おそらくは中身も子供で間違いがない、ならば何がおかしいかと言えば――あまりに抱く魔力が多いこと】
【だけれど、それが――これが、子供同士の当たり前のルールであるように彼もまたふるまってくれるのなら、彼女はうんと幼く、けれど楽しそうに、笑みを強めて】

うん! あのね、私のとこにもね、来たわ! お兄ちゃんね、何をもらったの? 私ね、ご本をもらったわ!
それとね、お手紙をもらったの――お母さんのいうことをね、聞いてね、いい子でいるんだよってね! 書いてあった!

【サンタさんは大変――そう力強くうなずく、彼の家にも来たのだといえば、わああと感嘆の声をもらし、やはりサンタさんはすごいのだ……と再認識】
【それから自分のところにも来た、と、これは少し子供っぽく、競うようでもあったが言って。それで、自分はご本をもらったのだと――それから、手紙ももらった、と笑い】

ノーヴァ……ノーヴァお兄ちゃんは天使さんじゃあ、ないの? ……そっかあ、あのね、来てくれたからね! 天使さんかな〜って思ったんだけど――、!
えっ……ノーヴァお兄ちゃんは、悪魔さんとお友達なの? すごい、私ね、あのね、悪魔さんだなんてね、見たことないよっ! ホントよ!
天使さんもないけどね……悪魔さんもない! ノーヴァお兄ちゃん、すごいわっ、いいなあ――。

【相手の名前をなぞる、それからさも当たり前のことであるように教わった名に"お兄ちゃん"を付け加えて、丸い目が相手を見つめ】
【どうやら訪れてくれたのは天使ではなかったらしい――少し残念そうに見えたのは気のせいではないだろう、少しだけ伏し目がちになれば、まつげの長いのが目立ち】
【だけど。すぐにまた元気を取り戻すのはどうにも子供らしかった。どうやら相手の、悪魔ならば友達……というのを聞きつけたらしく、ぱっ、と、驚いた顔になって】
【すごいすごいと繰り返してうらやましがるのだろう、それで――相手の続けた言葉を聞けば、】

ホント!? わあ、嬉しい! 私ね、あのね、天使さんったらね、こういうね、あのね、キラキラ〜ってしたのね、好きかなって思ったの!
それにね、今ね、夜でしょっ? だからね、キラキラって明るかったらね、きっとお空からでもよく見える! ってね、思ったんだ!

【そうでしょ、そうでしょ、と、そんな様子だった。うれしくって仕方ない――というそぶりで笑い】
【とはいえ――ここが建物の中である以上、どうしたって天井や壁で遮られて、多分あまり空からは見えていない。そういうのは、気づいていないよう】
【だけれどそんなの気にするタイプにも、あまり見えなかった。楽しい――それが何より大切である。そういう――意図的かはともかく――やりようで動いているらしく】
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 20:40:14.00 ID:f+RfCaqjo
>>160

【幼い容姿に不釣り合いな程の濃密な魔力、】
【それに呼応してか、周囲には枯れ草の香が漂い始める】
【少年は多量の魔力に不審さを抱かなかったが、さりとて彼女はどうか】

ぼくもね! ぼくもご本をもらったよ!
絵本でね、キレイな絵がたくさん描いてあるんだよ
とっても嬉しかったからね、ぼくはいつもカバンに……あれ、ない……

【「今日は忘れてきちゃった」と、降ろしたリュックを覗いてから残念そうに零し】
【しかしそれも新しいおともだちの前では些事なのだろう、まあいっかとすぐに背負い直し】

――そうだよ! 悪魔さんはね、たくさんいるんだよ!
……でも本当はね、おとうさんには会っちゃいけないって言われてるんだ
だからね、内緒だよ――

【彼女の底抜けのテンションに釣られるように、少年も顔を輝かせる】
【しかし実は内緒なんだ、という話をするに至るとヒソヒソ声になり】
【真面目な顔で、立てた人差し指を口の前へ当てるのだった】

そうだね、ぜったいよく見えるよ!
天使さんって、どんなかなあ――

……あ、でも、悪魔さんと天使さんは仲が悪いから、
天使さんはぼくのこと、キライかもしれない……

【彼女と同じく楽しさ一色だった少年の表情が、ふと陰りを見せる】
【級に落ち込んでしまった様子で、俯きながら自身の服の裾をぎゅっと握りしめ】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 20:56:55.24 ID:JgFWN7Da0
>>161

【ふわあと鼻をくすぐる香り――枯れた草の香りに、彼女はぱちくりと目を瞬かせる、それで、少しだけ不思議そうな顔をするのだけど】

わああ、ノーヴァお兄ちゃん、あのね、秋のね……、あのね、どんぐりの匂いがするわ! あのね、落ち葉のね、――。

【その顔はあまり長くは続かない。一瞬黙り込んだものの、それはどうやら、その香りが何の匂いであったかを思い出すための時間であったらしい、と態度で分かるようで】
【両手を口元にあててふわあと漏らす吐息は、けれどこの冬の中でも白くはならない。ひどく暖かな部屋だから――それも、春のひだまりのように暖かな場所だから】
【それとも。枯れた草の匂い、彼女の言うところの落ち葉の香り……だというのなら。天気のいい秋の日、小春日和に似た暖かさであるといった方が、もしかしたら】

! ノーヴァお兄ちゃんも、ご本をもらったのね! あのね、私ね、ご本大好きだよ、いいなあ――わあ、私もね、見たいな!

……あう、そっか! でもね、そしたらね、私ね、今度でもいいよって思うな! それにね、そしたらね、……

【「私もね、もらったご本を持って来られるよ」】
【同じく本をもらったのだという彼が、いつも鞄に入れている……というのなら、彼女は見たい見たいと、身を乗り出して、うかがうのだけど】
【彼が忘れてしまったのだといえば――少し残念そうにしながらも、あんまり気にしないよ、と、そういう風な態度をとってみせ】
【それから、いいこと思いついた――そういう顔をすれば、彼さえ許してくれるのなら。そっと耳元でそんな風に囁くのだろう。それなら、自分も持ってくるよ、と、】

そうなの!? 私ね、見たことないわ……! そうなんだ――わ、わかったのよ! 内緒っ。

【たくさんいる――そんなの知らなかった。ぱっと煌めいた顔が、会っちゃいけないのだと聞けば、えぇと不満げになり、けれど最初で内緒だと聞けば、神妙なものになる】
【こちらも彼のまねをするように人差し指で口元を封印して、こくこくとしきりに頷き】

…………んん、あのねっ、私ね、天使さんって会ったことがないけれど……、天使さんね、優しいんだよ! だってね、ご本に書いてあったわ!
だからね、ノーヴァお兄ちゃんのことね、仲間外れだなんて、しないのっ!

【だけど――相手が落ち込んでしまったようになってしまえば。少しだけ慌てた顔になる、それで、それから、そう言って――けれどその直後、何かに気づいたように】

……も、もしかして――ノーヴァお兄ちゃん、悪魔さんなの……?

【先ほどよりもうんとうんと神妙な顔になって尋ねるのだろう。内緒話をするような距離で、それでももっとうんと声を潜めて――内緒であるのを、律儀に守って】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 21:20:16.30 ID:f+RfCaqjo
>>162

【少年が意図せず発してしまう枯れ草の香り】
【それが彼女の注意を引いたことが意外そうに目を丸くして】

どんぐり? ぼくどんぐり?

【自身が常に纏う香であるからか、どうやら自覚は乏しいらしく】
【自分の服の袖を鼻で嗅いだりし始める。言われてみると確かにどんぐりのようで】
【少年自身も面白がって、どんぐり! どんぐり! と互いに笑い合うようで】

……ほんとう?
やったあ! そしたら、ご本の見せ合いっこだね! 約束だよ!

【彼女に囁かれた言葉を聞いて、少年は驚きと喜びの混じった顔で眼を見開く】
【約束だよ、と屈託無い笑顔で言えば、小指を前に差し出して――指切りでもしただろうか】

【彼女が笑えば少年も笑って、彼が子供なりに神妙になれば彼女もそれに合わせて】
【無軌道なエネルギーがぶつかり合っているようで、一方で調和が取れているようで】
【そんな不思議な会話が続き】

……そ、そうかな
天使さん優しいのかな?

【少年『天使』に思いを馳せる】
【優しいと聞いて、そうだといいな、と呟きながら】
【しかし潜められた声を間近で聞くと】

――え、ぼくは! ぼくは、違うよ!
ぼくは悪魔さんみたいに強くないし、物知りじゃないし、ぐにゃ〜ってしてないから

【ぱっと彼女の方へ顔を向けて、それを左右に何度も振った】
【どうやら少年の知る『悪魔』なるものは『ぐにゃ〜』としたものらしく】
【それを精一杯表現するように、何かを鷲掴むような手を顔の前でぐるぐる回したりした】
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 21:34:58.13 ID:JgFWN7Da0
>>163

【どんぐりを探すとき――落ち葉を掻き分けたときの匂いに似ていると思った、言葉は、ずいぶんと足りないようだったけれど】
【あのね、と、繰り返して。言葉を探していたのだけど――彼が面白がって笑うのなら、彼女も、きゃらきゃら楽しそうに笑う――笑って、】

うんっ、約束なの! サンタさんにもらったご本だもの、もしかしたらね、ちょこっと似てるかも!
あっでもね……、サンタさんが、ノーヴァお兄ちゃんや、私にね、選んでくれたやつだから――全然違うかも!

【こくこくと何度も頷いて約束だと誓う、言っていることは結局どっちなのかはっきりしなかったけれど――指切りをしたのが、きっと、何より大事なら】
【そういう比べっこはその時にするべきだろう、初めて会った"お友達"と、約束をして、今はそれでおそらくは百点満点、大人だなんて誰も居ないけど、二人の中で花丸をつけて】

天使さん、きっと、優しいわ! だってね、天使さんだから――、あっ! でもね、悪魔さんもね、きっとね、優しいって思うな!
あのね……だってね――、

【きっと優しい。そうやって大きく頷くと長い髪がふわふわ揺れる、それからにこーっと笑って――それで、悪魔に知り合いがいるという彼の言葉を思い出したか】
【悪魔さんもきっと優しいだなんて取り繕うように口にするのだろう。だけれどよっぽど気を使って嘘を吐いたというよりは、おそらくは本当にそうだと思っているようで】
【けれど理由を述べようとしてもあんまり言葉は出てこない。最終的には、「お友達になって、お話したら分かるよ!」と、笑い】

そ、そうなの……? でもでも、悪魔さんのこと知ってるってね、すごいよ! だって、あのね、私、知らないし――。
……悪魔さんって、ぐにゃぁってね、してるの!? わあ……タコさんみたい? なの?

【悪魔をたくさん知っている……天使に嫌われているかもしれない。それらの言葉で"そうなのでは"と推理したのは、けれど、外れていたらしい】
【少しきょとんとした様子で、だけど、悪魔を知っているというだけですごい、すごいと思う、そんな言葉を何度も重ねて】
【彼の知る"それ"がぐにゃ〜っとしたものだと聞けば――ちょっと思っていたのと違うような顔をしたけれど、それでも、やはり気になるものなのだろう】
【じーっと食い入るように彼を見ながら、そのしぐさ。ぐにゃ〜の表現をまねするようにしながら、それを一生懸命、正しいかたちで理解しようと努めているようで】
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 21:57:13.24 ID:f+RfCaqjo
>>164

【やくそく、やくそく、と指切りを済ませれば】
【それが旧知の仲だったかのように満点の笑顔を咲かせて】

【彼女の言葉を聞きながら、少年は自身の中の人物像ならぬ『天使像』を二転三転させる】
【初めはどこか高慢ちきな有翼人種の大人で――それが言葉を受ければ】
【この場で一緒になってはしゃいでくれる子供のような姿に変わる】

【もちろんそんな心象風景は伝わらないだろうけれど】
【お友達になって話したら分かる、という言葉に大層納得した様子を見せて】
【「うん――そうだね!」と、少年は明るい笑顔で頷くのだった】

【それから『タコ』というワードが飛び出れば】
【少年も反応して「タコ?」と鸚鵡返し】

えっとね、悪魔さんはぐにゃ〜ってしてないけどね、
悪魔さんが来るとね、空気? がね、ぐにゃ〜ってするの

あと……ちょっとだけ、くさいんだよ
もしここに呼んだら、たぶん天使さん来なくなっちゃう!

【その小さな手で鼻を覆うような仕草をするが】
【表情は顰めっ面ではなく、物事の道理を説く教師のような顔つきで】
【ちょっとだけ、という言葉はここにいない『おともだち』に対する遠慮か、少し強調されて】
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:20:52.76 ID:JgFWN7Da0
>>165

【彼がそうしたように――きっと彼女の中でも、いろんな像が結ばれていって、そうして、多分……彼と、同じようなものを、思い浮かべる】
【いっそ天使も悪魔も彼女の中ではあまり関係がないのかもしれなかった。なんでもかんでも友達になる、なりたい、だから――みんな一緒、だなんて、大雑把】

【――自分が思い浮かべたものが奇しくも彼のそれと似通っていること。それもまた彼には伝わらないものだろう、だけれどお互いに、よく似たかたちを思い浮かべて】
【ほんのときどき、視界の端っこに、天使や悪魔が覗いている気がするしそれを空想する。大人はきっとそんなの気のせいだとか、言うのかもしれないけど】

あっ――そうなんだ、あのね、じゃあ、悪魔さんはぐにゃ〜ってしてなくって……、空気がね、ぐにゃってね、するのね!
だったらね、悪魔さんもちょこっと困っちゃうね、前がね、ぐにゃ?って?したらね、よく見えないよ! 慣れてるのかな――、
……あっ、でもでも、いつもじゃ、ないんだよね! ――悪魔さん、どこからくるのかな? あのね、天使さんなら、お空の上だと思うけど……――。

【相手の言葉で、彼女はどうやら自分がちょっとした勘違いをしていたのに気づく。悪魔は普通、ぐにゃっとしているのは空気……自分の中の認識を改めて】
【ふんふん物分かり顔で頷きながら変なことを言って――それですぐにまた訂正する。それで少しごまかすように話題を変えるのだけど……そちらもまた、気になることで】

そうなんだ! でもでも、あのね、大人のヒトってね、香水とかするでしょ――悪魔さんも、オシャレなのかも!
だってね、あのね、映画でね、見たことあるよ! ぬ……ぬれたいぬ……? 濡れた犬さんの、香水! 魔物さんがね、つけるの!

【悪魔は臭い――それも新事実。だけれど彼女はそれを別段嫌がったようにも見えず、かえって、そういう香水みたいなものなのかな、なんて、勝手に思い浮かべてみる】
【やっぱり悪魔とか魔物ってそうなのかなと勝手に納得した様子だった、なぜならそういった映画を過去に見たことがあるのだといって】
【むしろすごいすごいと笑うのだから、彼の"友達"への気遣いはあまり関係がなかったかもしれない、とは余談だが】

あっ……そうだ! あのね、あのね、ノーヴァお兄ちゃん、"たちばなしもなんだから"!
お菓子ね、あるよ! お散歩したらね、どっかで食べようかなって思ってて……クッキーなの! たべる?

【――それで、ぱっと話の向きが変わるのはどうしたって子供のやり方だった、ふっと……おそらく、本当に、ふとこのタイミングで思い出した、らしいのだが】
【両の目を閉じて立てた人差し指をふらふら揺らして――気取ったふうに口にする、だけど次の瞬間にはいつも通りの様子に戻って、にんまり笑い】
【数度きょろきょろ、手をおなかのあたりでぱたぱたしてから、「あっちだわ!」と言って――向かうのは、最初に乗っていた事務机のあたり】
【「あったよ!」と言って頭上に掲げて見せるのは何の変哲もないそこらへんのコンビニの袋――彼に見えやすいようにか、偶然か、その手元を撫でるように、光の蛾が通り過ぎた】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 22:44:24.82 ID:f+RfCaqjo
>>166

【子供特有の語彙の不足、欠けた説明】
【それによるすれ違いも、子供ならばすぐに埋まってしまう】

【そして飛び出した『悪魔はどこから来るのか』という素朴な疑問】
【賢しい大人でもいれば「それは人の心だよ」などと答えたろうが】
【何事も純粋に考える子供ゆえか、少年は真剣に思案する表情を見せ】

……天使さんがお空から来るなら、
悪魔さんは、土の下……かなあ?

【と、彼なりの推理を披露して】

【難問を解くようにいかにも難しげな顔をしていたが、そこへ重ねて披露される彼女の推理】
【悪魔はお洒落で臭くする――とはこれまた大人なら突っ込んだあろう言葉も】
【少年にとっては素晴らしい名回答の如く思われて】

あ――そっかあ!
オシャレ……悪魔さんもオトナだからね、きっとそうだね!
ファラエナちゃんすごいね!

【と、興奮気味に伝えれば、そこで彼女がお菓子の提案】
【「たちばなしもなんだから」大人を真似した常套句を彼自身も繰り返して】
【クッキーと聞いて胸が躍る。まさかこんなところでおやつが食べられるとは】

【が、しかし、コンビニの袋見て眼を輝かせていた少年は、】
【その時ふと何かを思い出したように声のトーンを落とし】

あ……でもぼく、『おかね』ないよ……

【どうやら彼にとってコンビニというのはお金が絡むものだという認識があって】
【それ故、他人が買ったものであろうと、コンビニの袋にはお金を払わないといけない、そんな思い込みが働いた】
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/17(水) 23:22:55.60 ID:JgFWN7Da0
>>167

土の下――……そうね、そうだわ! だってね、天使さんは、お空の上から来るんだもん!
だったら、悪魔さん、きっと土の下から来るわっ、あのね、私ね、気づかなかったわ! ノーヴァお兄ちゃん、すごい!

【土の下――例えばこの場に大人が居たとして。思わず訂正したくなるような言葉を、けれど彼も彼女も真剣に考えていたのなら、そこにくだらない理屈はかえって邪魔になる】
【天使が上から来るなら悪魔はやはり下からだろう。それならやっぱり下にあるものは土だ……と、彼女もまたその理屈で納得する。ぱぁと表情が鮮やかになれば】
【尊敬するものを見上げるのによく似ていて――彼女はどうやら就学前ぐらいの年頃に見えた。それなら誰かが見れば本当にきょうだいの話すように見えたのだろうか、なんて――】

なの! だってね、悪魔さんてね、悪魔だから……オシャレもね、きっとね、ヒトとはね、違うんだよっ!

【ひときわ大きく立派に頷く。すごいねだなんて言われれば、少し照れ臭そうだけれど嬉しそうに笑って――褒められたのもあってか、今更いっそう妙案に思えてきたらしく】
【にんまりと得意げにして――そのままのテンションでコンビニ袋まで駆け抜けて、その後】

あのねっ、あのね、これね、私がね、お母さんからもらったお小遣いでね、買ったからね、ノーヴァお兄ちゃんはね、いいんだよ!
それにね……ノーヴァお兄ちゃん、お花持ってる! あのね、誰かにあげるのかなってね、さっきね、ちょこっと思ったの!

だからね、あのね、……ええーっとね、あのね! うんと……、ノーヴァお兄ちゃんね、お花買うお金でね、お菓子買えたでしょ!
でもね、お花買ったでしょ! だからね、私はね、お花買わなかったから、お菓子買えたの! だからね、一緒に食べよっ?

【さぞ重大な宝物であるかのように掲げた袋が――彼の声のトーン下がったのと同じタイミングで、偶然、がさりと鳴いて、自重にヘタれる】
【慌ててビニール袋を頭の上からおろして大事に抱きかかえれば――中身を落とさないように気を付けて、また彼の方へ、今度は歩いて戻っていき】
【伝えるのは、すでに会計は済んでいるから彼の持ち合わせは関係がないこと。それから――彼はお金でお花を買ったけど、自分はお金でお菓子を買ったんだよ、と、】

だって、誰かにあげるお花ね、はんぶんこできないけど、お菓子ならね、いーっぱい入ってるよ! じゃーん!

【再び彼のすぐ近くに立てば、抱いたままの袋によいしょと手を入れて――取り出したのは個包装のクッキー、いろんな味が詰め込まれたアソートタイプの、おっきな一袋で】
【たしかにこれなら分け合って十分な――というより子供二人では十分すぎるくらい――量があるようで】
【彼がお使いというのを知らなかったから、誰かへのプレゼントだと勘違いしている風ではあったけれど――本心から一緒に食べようと誘っていて】
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/17(水) 23:50:31.63 ID:f+RfCaqjo
>>168
【子供同士の推理合戦、その健闘をお互いに称え合って】
【すごい、すごい、と自分たちだけが新発見をしたかのようにはしゃいでいた】

え……おかねいいの? ほんとに?
わあ――ありがとう!

【少年の思い違いは、彼女によって底抜けに明るく打破されて】
【丸い目をぱちくりと何度も瞬くと、出てきたクッキーに再び感嘆の声を上げる】

【――が】
【お花を持ってる――と言われると、少年は「あっ」と零しながら目を見開いた】

(あ……お花……――)

【少年はそこで口を開けたまま硬直してしまう】
【時間にしてほんの一瞬だが、少年の脳裏に走馬灯じみたものが迸る】

【「寄り道せずに帰ってこい」】
【「間違っても路地裏だけには近付くな」】

【『おとうさん』からの言付けが、その時になってようやく思い出された】
【そして、それを守らなかった時におとうさんが見せるであろう反応も――】

【そして少年の意識が現実に帰ってくれば】
【少年はこの部屋に訪れたとき以上の切羽詰まった様子で】
【虚空の一点を見つめながら、あわ、あわわ、と慌てふためき始める】

……ぼ、ぼく、おとうさんからの『おつかい』で来てて
早く帰ってきなさいって言われてて……
でも、ぼくは忘れちゃってて……あわわ

あうう……ぼ、ぼく、帰らなきゃ――

【さもなくば殺される、大人ならそんな風に言ったであろう】
【少年は忙しなく地団駄を踏みながら、しかし名残惜しそうにクッキーと入り口を交互に見て】

ふぁ、ファラエナちゃん、また遊んでくれる?

【本当は今すぐにでも駆けだしていきたいのだが、】
【それ以上に新しいおともだちとの別れが悔やまれて】
【さっきした指切りの約束がありながらも、それでも最後に確信が欲しくて】
【少年はひどく困ったような、ほとんど泣きそうな表情でそう問うのだった】
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 00:01:14.76 ID:g/UPoYMWo
>>158

【なんということのない、穏やかなバイト上がりの夕方だったはずだ】
【水の国の、ある花屋。そこに、金髪で穏やかな顔立ちをした、一人の新人バイトがいた】
【今日、少年に4本の薔薇を選んであげて――いや、気障な注文をする少年だなあ、と驚きはしたが――】
【自分の花選びのセンスというのも、実は捨てたものではないのでは、と上々仕事を終えた、その時に】

【ある風の国のジャーナリストが、決死の声をラジオに載せたのだ】
【曰く、風の国ベルガストンに、謎の鋼鉄人形たちが現れて】
【平和な街を、市民を】
【我らの故郷を――阿鼻叫喚の地獄に変えている、と】

【「誰か―――誰か、助けてくれ!!」】

【そして、銃声。ノイズ。ジャーナリストの無事もわからない】

【―――その声を聞いてしまえば。水の国の、花屋のバイトは居てもたっても居られなかった】
【恐らく死地であろう】
【自身の戦う力は、こと単騎の相手の特化している。物量を頼みに押し包んでくる相手との相性の悪さは、“実証されている”】

【だがまあ、それは瑣末。】
【なんといっても、それから素早く転移陣を起動して夜の国の住居に帰った彼は】
【手早く装具を整えて、僅か30分ほどで】

【風の国、ベルガストンの送電鉄塔の上で、白銀の外套をはためかせていたのだから】

――――敵規模、十数体、と。
増援の可能性高し。

ここで僕がやるべきなのは――風の国軍の戦力増大まで、ここで奴らを引きつける。そして住民の脱出を支援する、と。
まあ、ホントはキングやラグナが向いてる戦法な気がするけど。
いないものはしょうがない―――

さ。我が戦いの道行きに、王たちの加護あれかし。

【そうして、とん、と鉄骨を蹴る】
【あとは地上へ真っ逆さま――堕ちるように?】

【いや、違う。彼は明確な意志を持って――暴虐を尽くす機械人形、その直上に、今、その刀を閃かせて―――!】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/18(木) 00:05:36.64 ID:mw0W0XOD0
>>169

【おっきな袋――特に幼い子供が持てば、その袋の大きさは顔よりも大きいほどだ。いっそパーティサイズとでもいうような、それ】
【だから半分こしたってうんとある、お金だってもう払っちゃってるし心配することもない、だから大丈夫――なんてことなくそう考えていた幼子は】
【けれどすっかり硬直してしまった彼の様子に不思議そうになる、まだ不安なところがあっただろうか、と思って――それとも何か、と、心配そうにのぞき込めば】

わ……そ、そうなのっ? え、えっとね、

【相手の様子が急に変わって――慌てているのを見て、こちらもまたつられてしまったかのように慌てだす、ましてお使いの途中だったと聞けば】
【引き留めてしまったかもしれない、それなら彼が怒られるのは自分のせいかも……と、不安になって。ぐにゃと下がった眉と、口元もへにゃりとなって】
【どうしようと一緒になって言っている。それで、クッキーの袋を持ったまま、おろおろとしていたのだけど――彼が、そう、たずねたら】

も、もちろんよ! あのね、指切りだって、したしね、ご本ね、見せあいっこするんだから! ……あっ!
……じゃあね、あのね、私ね、迷子さん! だからね、ノーヴァお兄ちゃんね、私をね、お家まで連れてってくれたの――ねっ!

【それは当然だし揺らぐはずもない――と頷く、ご本だって見せ合いっこする、そう約束したから……それはもちろんだし、せっかくであった友達と】
【もう遊ばないなんてとってもじゃないけれど言いたくなかった。だけどこうしてお話していたことで彼が怒られてしまうのだとしたら、――へにゃへにゃの口元が】
【だけど何か妙案の思いついたように元気になって、続くのは――つまり言い訳だった、あるいは嘘つきであるのに思いいたる前に、彼が怒られてしまうのが悲しいように】
【それだったならどうだろうと――少しだけ泣いてしまいそうな目でうかがう、それで、うんとうんと小さな声で、「お礼……」と、クッキーの袋を、きゅと握りしめて】
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/18(木) 00:31:20.47 ID:eFJ0Qefao
>>171

【ばたばたばた、と落ち着き無く足踏みする少年】

【もう散々道草を食ったのだから、今更数分時間を食ったところで同じ事だ――】
【そんな風に開き直れるだけの大人じみた図太さは少年にはまだなかった】
【もう一秒でも早く行かなければ大変なことになる、そんな思いだけが満ちていた】

【彼女から咄嗟に提案された言い訳――もとい、正当な理由付け】
【少年はそれを聞くと眼を丸くして、初めはどういうことかと頭上に?を浮かべたが】
【それが自分を守るための考えなのだと思い至ると、ああ! と声を上げた】

――あ、そか、ファラエナちゃんが迷子で、
ぼくの方がお兄ちゃんだから、助けてあげて――

【そうして自分を納得させるように呟いていたが――】
【そこで急に、自分を冷たい瞳で見下ろす仁王の如き父親の姿が想起され】
【とてもじゃないが、こんな『悪魔』相手に嘘を吐く度胸も、それが通じるとも彼は思えなかった】

【それで何かを観念したように、顔を力なく歪めながら】

――あうぅ……やっぱり嘘はダメだよぉ……
嘘吐いたら、舌を抜かれちゃうんだよ……

【色んな事情でやっぱり嘘はつけない、と告げる少年】
【しかし悲しげな彼女の様子を見ると、慌てて取り繕うように言った】

あ……あのね、でもね、たぶん大丈夫だよ
ぼくがね、ちゃんとおつかい出来たから……お花買えたから!

お花あれば、おとうさんはそんなに怒らない……

【「……と思う」】
【と、最後に余計な声を漏らすも】
【大丈夫大丈夫、と少年は気丈に彼女を励ますのだ】
【……最初に慌てだしたのはどっちだったのかも忘れて】

あ……でも
クッキーがあったら!
クッキーをおとうさんにあげたら、もっと怒らない……かも

【そこで最後のダメ押しとばかり、】
【彼女が握りしめる袋、その思いの行き先を引き受けようとして】
【ちょっともらってもいい? と少年は最後に尋ねるのだ】
173 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/18(木) 00:34:34.93 ID:VEM71ecG0
>>170

【今やそこは戦場と化していた。とはいえ、"WW2"や"ナム"のソレとはまたワケが違う戦場だ。】
【例えるならば、中東やアフリカで日常茶飯事に行われている民族浄化に端を発する大虐殺、爆破テロが近いか。】
【こと一方的な殺戮、そして標的が軍や警察ではなく民間人であるという点で両者は一致していた。―――唯一、違いがあるとすれば。】

【"何故風の国なのか"―――という点だ。】

【別段、政治的に摩擦や不安を抱えた情勢の真っ只中にあるような危険地域という訳でもないし】
【多種多様な民族に囲われているのはこの世界では珍しい事でもなく、風の国もまた諸外国に漏れず人種は多彩だ。】
【そしてもっと言うならば、先述の通りこの地域はとても平穏であり、血なまぐさい話など長い事なかった安全な場所である筈だが―――。】

【一体何がどうして、"彼ら"がこの地を狙ったのか。まだその狙いは分からなかったが】
【ともあれ、人が死に、破壊が横行し、そして恐怖が全てを支配しているという事実だけは確かだった。】
【軍や警察、そして風の国では有名な"あの勢力"が動き出すのにまごつく中、状況を一人打開すべく潜入者が現れた。】


 「―――生体反応在り。至急対応するべし。」

「―――こちらベータ、対応する。其方は他の民間人の一掃を急ぐべし。」

「―――ガンマ、警官隊を駆逐。"軍"が"UT"と衝突、利権争いと思われる。」

「―――軍が?」

「―――長い平穏の後に起きた事件だ、手柄を上げたい軍がUTへの出動を制している。」

「―――間抜け共め。ベータ、早くその民間人を射殺しろ。」


【機械兵士たちはそれぞれが音声で会話を始める。これを見るにAI、ないしは】
【有人の可能性が考えられるだろう。だとすれば、メカというよりはパワード・スーツが近いのか。】
【どちらともつかないが、ベータと呼ばれたその個体は車の陰に隠れていた子供と母親の二人組を的確に感知、補足。】

【両腕に装着したカノンにプラズマ・エネルギーをチャージしていき、そして火砲が放たれる、その瞬間だった。】


 『―――ベータ、下が―――っ!』

【他の一体が声を掛けるが、その一閃は音より速く、そして光より鋭利だった。】
【一瞬にして"空間を裂く"その剣が、落ちる夕陽を刃に煌めかせ機械兵士"ベータ"を確殺。】
【一刀、たったの一太刀で両断。完全に破壊されたベータは上下に真っ二つとなって―――沈黙。中身は機械だ。】


 「―――何者だッ!!」

 「―――射殺する!!」

【他の機械兵士が瞬時に腕を構える。距離にして数メートル、彼の剣士からすれば十分な"レンジ"<殺戮範囲>。】
【伝説とも謳われるその一太刀を、その剣筋を、この若き機械兵士たちは存ぜぬようだった。ともあれ、目に入った"剣士"めがけ】
【容赦なく発砲しようとするだろう、無論……当たれば、の話だが。唯一の問題は彼の背後、まだ逃げ遅れた母子が存在する事だろうか―――!】
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/18(木) 00:47:11.53 ID:mw0W0XOD0
>>172

【う、あ、わ、――そういう音が彼女の口から時々漏れ出していた、そしてそれは、彼が怒られないで済む方法、それをしきりに考えているからに相違なく】
【はてなを浮かべる相手をじっと見上げる、これくらいしか思い浮かばないと悲しそうな目になって――】

そうなのっ、あのね、私ね、迷っちゃった! お家の場所、わかんない……。

【言い訳として提案したはずだった――だのに、そういうことにしようよと言っている間に、本当にそういう気持ちになってきたと見える】
【ほんとうにほんとうに悲しそうに尻すぼみになる声が最後の方だなんて死にかけた蚊みたいにか細くなって、彼が自身を納得させようとするさまを見ていたのだが】
【やがて駄目らしい――と察すれば、しゅーんと、投げられたボールを見つけ出せなかったイヌみたいな顔になる、なってしまって】

わ! じゃ、じゃね、駄目なの! ノーヴァお兄ちゃん、べろ取られちゃったら、お話できなくなっちゃったね、私、ヤダよ!

【自分が提案した言い訳で彼が怒られるどころか舌を引っこ抜かれる――彼の言葉にひどくびっくりして怯えた様子になった彼女は、ばたばたと慌てて手を動かして】
【やっぱりなし!とばかりに発言を撤回しようと繰り返す、ぶんぶんっと首を振って、「さっきのね、ナシなの!」とひときわ大きな声で宣言し】

ほんとう……? ノーヴァお兄ちゃん、私のせいでね、怒られない?

【しゅんとなったままで問う、それでも気丈な様子を見せる彼に少し元気付けられて――視線が少し持ち上がったところで、少し弱気な彼の声】
【またがーんとなってしまうのだけど――彼の続く言葉を聞けば。つまり、クッキーを彼の父親にプレゼントすれば、彼は怒られないかもしれない……と】

……じゃ、じゃあね、私ね、あげるわ! ノーヴァお兄ちゃんのお父さんにね、あげる……、ノーヴァお兄ちゃんもね、お母さんもね、食べていいよ!
あのね、みんなで食べて……、きっとね、おいしいわ! えっと……み……みずのくに……、ひ、ひが……東……なんとか……なんとか工場さんが作ったの!
だからね、あのね、みんなで食べて!

【それで彼女の表情は少しだけ久しぶりにぱっと明るくなる、それならとばかりにクッキーの大きな袋を丸ごとそのまま、彼の方に差し出し】
【全部あげるよ――ということらしかった。裏にひっくり返して読み上げるのは製造したところ、漢字はあらかた読めなくて、そして多分それはあんまり味には関係ないけど】
【きっととてもおいしいものだから――それで彼のお父さんやお母さんや、ノーヴァ自身も、喜んでくれたら。"ちょっと"どころではないけれど、彼女はそれでいいようだった】
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 00:51:47.11 ID:g/UPoYMWo
>>173

【がしゃ、と、『ベータ』の分かたれた身体が、地面に落ちる音が響いた】
【無論、その名を剣士は知らないが――僅かに一瞥。自爆その他の危険を確かめて、目を離す】

【かなりの高度から落下してきたにも関わらず、その剣士はどこを痛めたような様子もなく】
【ただ、その衝撃を押さえ込むようにぐ、と身体を縮めていた】

(―――落下の時に、子供と母親が見えた。射線は通っているから――撃たせるわけにも、いかないか)

【ならば、この場の勝負はただ一瞬。全てを仕留めきれぬとしても、少なくとも自身に火線を集中させる必要はある】

【その判断は、刹那。縮めた両脚から、溜め込んだ衝撃を逃がすように】
【剣士は真正面に“跳ねた”。】

【それも、真正面に、回転するように。まるでライフル弾のように、剣士はその外套を、ぶわりと広げて機械兵士たちへ殺到する】

……え、嘘。何君たち、喋るのか?

【回転の勢いで、まるで華のように広がるその外套は、子供と母親への流れ弾を防ぐだろう――】
【ただし、剣士自身への被弾はその確率を増すだろう。頭部はその手甲を交差させるようにして、守ってはいるようだったが】

【突進する白い弾丸、その回転の中、ぎらりと刀が光を反射する】
【接近をこのまま許せば、機械兵士たちへと容赦なく振るわれるはずだ】
176 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/18(木) 01:08:47.95 ID:VEM71ecG0
>>175

【見た目は機械、中身も機械。その名は機械兵士。なんて、冗談ではない。】
【問題は彼らは完全なる機械であるというのにしっかりと個を認識し、そして会話をしているという点だ。】
【これではまるで人間―――そういえば、斬られるその時に一瞬だが「うわっ」という悲鳴が漏れていたのを聞き逃さなければ。】

【一つの答えに行き着くだろう―――簡単だ。彼等はラジオ・コントロールされている。】
【そう、単なる無線誘導式のラジコン。少年が車で遊ぶのを人形に変えてやっているだけ、もっと言えば】
【それこそ現代の若い青少年たちがゲームに興じるのと同じように―――単に操られている。それだけの事だった。】

【尤も、中身は可愛い子供たちではなく機関の兵員であろう事は疑う余地もない。】
【ともあれ、"剣士"の次手が突撃であったことに機械兵士たちは驚き、一体は硬直、そしてもう一体は】
【慌てて射撃を中断し、弾丸をチャージした状態で脇へと飛び退ける。反応が早い、恐らくは操作に手慣れた個体だろう。】

【だがもう一体は馬鹿正直に"跳躍"してくる剣士めがけ銃を構え、発砲。】
【腕の火砲を唸らせ剣士を狙うが手甲で弾かれ、そのまま外套が完全に弾を防ぎきる。】
【後はもう、チャージの時間を待たなくてはいけなくなった兵士が一人残るのみ。翻った剣の餌食となり―――】



 「―――あっという間に二体か。部隊が損失。指揮官、命令を。」

 『……こちら指揮官、剣士の情報を収集せよ。……なに、どうという事はない。死ぬ事は無いのだからね。それよりも、だ。』

『その剣士の鮮明な映像を寄越したまえ。それによって諸君らの戦術も変化する。想定している事態が本当であれば―――、』

「……指揮官?」

 『……いや、何でもない。だが"ターゲット"の確保は最優先だ。剣士の相手を十体で行い、残る二人でターゲットを見つけ即座に離脱せよ。』

 「―――了解。殲滅します。」


【手短に会話を済ませば、手慣れた様子の兵士―――"アルファ"が腕で指示を出す。】
【建物の上部へと脚部のジェットを噴射して上ったのが四体。アルファの傍についたのが一体。】
【残る五体がそれぞれ建物の角や点在する横転した車の陰に隠れ、それぞれ腕の重火器をチャージし始める―――、】


 「―――剣士。貴様、何者だ。」

【アルファが、重火器を展開しているのとは別の腕に新たな武器を展開。】
【光り輝くそれは熱を帯びた―――斧、か。刃を重量でぶつける質量兵器だ。】
【ただ刃先は夕焼けのそれではなく、確実に超高温を帯びて真っ赤に染まっている】


【アルファがざん、と前に踏み出す。アルファの補助を務める一体は両手を重火器へと変形、後方支援へ廻るのだろう。】
【かくして十対一、先ほどの会話が聞かれていたならば正確には十二対一という、かなり危険な状態での戦闘が幕を開ける―――!】
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/18(木) 01:18:10.12 ID:eFJ0Qefao
>>174

【おつかいの帰りが遅くなって親に怒られるかもしれない】
【大人から見れば些細な問題も、子供からしてみれば世界の存亡が揺らぐ程の一大事で】
【それを理解してくれている彼女が一生懸命に策を練っているのを見て】

【少年は絶対にこのおともだちとまた会いたいと密かに願うのだった】

――だ、だいじょうぶ、怒られないよ!
だいじょうぶ、大丈夫――

【そんな彼女の健気さが、少年に自然と兄らしい振る舞いをさせる】
【そうしているうちに振る舞いが本物になったか、言動が落ち着きを取り戻していた】

【そこで袋ごと差し出されたクッキーを見て、目を丸くする】

え、や、そんな全部もらっちゃったら――

【ファラエナちゃんの分がなくなっちゃうよ、と言いかけた】
【しかしせっかく差し出してくれたものを押し返すのも、彼女の顔を見ると躊躇われて】
【そんな葛藤をしているうちにも時間は過ぎていて】

【うぅと小さく唸っていた少年はやがて意を決し】
【彼女からその大きな菓子袋を受け取った】

【しかしすぐに、その小さな手で中のクッキーをいくつか鷲掴み】

――じゃあみんなで半分こね!
これは、ファラエナちゃんの分だよ!

【そう言って、近くの机の上に掴んだ分のクッキーを置くのだった】
【『みんな』の中にあなたも入っているのだ、そう伝えたくて】
【そこから返事を待たずに彼は言う】

じゃあ、ぼく行くね――
またね、ファラエナちゃん!

今度はご本もってくるからね、ぜったいだよ――!

【分かれるにしてももう少しゆっくりと挨拶したかったが】
【こみ上げてくる焦りには勝てず、言うや否や、くるりと踵を返して】
【ばたばたばた――部屋から飛び出し、泡立たし句階段を駆け下りる音が響いたのだった】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 01:23:46.80 ID:g/UPoYMWo
>>176

【―――いくつか思案する。目の前の敵だ】
【突撃した時、硬直した。慌てた。その動きは“人間臭かった”】
【だが、斬ってみれば機械だ】
【……ふむ、と一つ頷く。なるほど、遠隔操作か、と】
【一人の能力者による遠隔操作ではあるまい。行動にばらつきが見られる】

【ちゃり、と刀を持ち直す。目の端で、先程の親子が掛けていくのを見送って】

【この場の部隊指揮官らしき兵士が、腕で他の機体へ指示を出すのが見えた】

――刃の上の選択。見出す活路―――。

【ぎゅ、と剣士の瞳孔が一度、大きく収縮する】
【彼が持つ経験則。卓越した戦術眼を持って、彼の判断、認識能力は大きく上昇する】

【――10体、プラス部隊指揮官。それぞれがカバーを活用し、こちらを攻撃してくる】
【まずは、指揮官機――眼前で赤熱した斧を構えるそれに、一当て】
【首尾よく無力化できればよし、一瞬でも手こずるようならば、放火を浴びる危険があるため、やや後方に下がった補助機へターゲットを変更する】
【片時も射線を絞らせず、敵の戦力を削るのが、上策】
【ビルの上の4体と、カバーに入った5体は後回し、だ】

……ま、そんなところか。
いつもいつも、全く余裕がなくて嫌になるな。

【そうして、何者だ、と問われれば】
【挑むように、その刀の切っ先をアルファへ向けて】

――いや、名乗るほどの者じゃあないよ、人形。
単なる――そう、単なる花屋のバイトだ。

【嘘偽りなく己の身分を名乗った】
179 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/18(木) 01:34:16.34 ID:VEM71ecG0
>>178

【戦術プランの構築。敵が多ければ多いほど、先を考えず動くのは自分の首を締めることになる。】
【先んじて敵の戦力を図り、そしてどう動くかを算段立てる様は矢張り、普通の剣士ではない事を如実に物語る。】
【無論、その逡巡にしても一瞬の事だろうし、アルファを含む彼らが剣士の考えている事を読み取れる筈も無いのだが―――】


 「……ふっ。花屋のバイトか。紛れて麻薬を扱ったりしているだろう? そういう手練れだ、貴様はな。」


【切っ先を突きつけられたアルファが斧をゆっくりと真横に掲げ、そして言葉を発すると同時に】
【驚異的な機動力で先ほどの剣士よろしく"跳躍"、前方ではなく上方に、だ。そうすれば次の瞬間には】
【後方に控えていた"射撃手"がチャージを終えたプラズマキャノンを一発、そして二発と次々に発射、攻撃。】
【更には波状攻撃で、飛翔したアルファが落下の速度と物理的エネルギーを持って斧を叩き付けようとしてくるだろう。】

【アルファが先行するかのように見せ、その上で後方の一体に先んじて先制させるこの戦術。】
【単なる機関兵、というには少し手慣れている筈だ。恐らくは、背後に彼等"部隊"を操る"指揮官"の存在があるだろう。】
【こういった戦術的な動きに明るい、機関の老兵が一人いた事を剣士は―――はて、どこまで覚えているだろうか。もう随分と、昔の話だが。】


「―――人形、ではないッ!! "ドローン"だ、花屋ッ!!」

【叫びながら一閃をお見舞いしようとしてくるアルファ、迫るプラズマ弾。さあ、王の騎士はどう出るか―――!】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/18(木) 01:41:08.02 ID:mw0W0XOD0
>>177

【大丈夫、大丈夫――そう繰り返す彼の言葉。まるで本当のお兄ちゃんのような振る舞いは、まだうんと幼い彼女には、とても心強く感じられるものであったのだろう】
【いつしか真似するように大丈夫……と呟いていた、そしてそれを何度か繰り返せば、少しだけ心が落ち着いたように思えて――】

ううん! だってね、私ね、ノーヴァお兄ちゃんがね、怒られちゃったらね、ヤだから!
だからね、クッキー……みんなでね、食べてほしいの、……。

【自分の分はなくっても――差し出した大袋は、子供の手には少しだけ重たい。それでもきちんと腕が垂れないように差し出して、やがて受け取ってもらえたら】
【よかったと安堵するように笑って――そうしたら、彼がその手を袋に入れて。すぐにいくつかのクッキーを掴み出し、近くの事務机に……ひどくきょとんとした顔は】
【すぐ直後に「あれっ」という声が漏れて、驚きを証明する――だけれどなるだけ急いでぎゅっと、彼が机に置いた分を、今度は彼より小さな手で、がんばって掴み】

あう……あのね、これね、全部あげたやつだよ! だからね、いいのに――――、

【特にいくつかはかろうじて指とほかのクッキーとの兼ね合いでぶら下がっている状態。それで振り向きざまに投げかける言葉、その直後に、クッキーが一つ落ちる音がして】
【けれどそうまでして振り返ったところで彼女が見るのは踵を返す彼の背中、わああと慌てた声で、彼の出て行った扉に駆け寄って――身を乗り出したなら】

――ノーヴァお兄ちゃん、またね! 今度はね、一緒にクッキー食べようね!

【いろんな申し訳なさをこの短い間に伝えるだけの言葉を持たなかったから。投げかけたのは再会を願う言葉と、今度こそ、二人で一緒にクッキーを食べよう、と】
【お互いに持ってきた絵本を見せ合いっこしながら食べるのも楽しいかもしれない。だからまた今度――と一生懸命の大きな声で、伝えるから】
【こんなに静かな夜の中なら、届くと信じて。それで――あわただしく階段を下りる音も聞こえなくなってしまえば、ふと気づくのは】

…………わっ、みんな落としちゃった! あう――、ノーヴァお兄ちゃん、お父さんに、怒られないと、いいなあ……。
だってね、御主人様(おかあさん)、怒ると、こわいもん……。

【ぎゅっと握っていたつもりなのに取り落としてしまったいくつものクッキー。拾うためにしゃがみ込むと、なんだか気持ちもしょんぼりして】
【改めて彼が怒られないで済むようにと願う――初めて見た人間を"親"として慕うよう設計された生物兵器。その一個体である彼女にとって、何より恐ろしいものを、思い浮かべながら】

/おつかれさまでした!
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 01:51:57.34 ID:g/UPoYMWo
>>179

――いや、君。麻薬とは、人聞きの悪い。
ここで僕に勝ったとしても、うちの店長に殺されるぞ。

【そうして、跳躍するアルファを見る】
【今、射線が、開いた。その意味を理解するのが速いか、あるいは染み付いた闘争本能が身体を突き動かすのが速いか】
【空中で斬り結ぶ、という手段は取らない。空中での移動手段が殆ど無い自分では、クレー射撃の的になるのも同然だから】
【剣士は、ひたすらに地面を疾駆する。今度は、横っ飛びに跳ねる】
【プラズマキャノンの砲撃と、アルファの迫撃を同時に回避するために】
【しかしそれは、剣士の交戦距離に敵を捉える動きではない――】

【よく練られた二重攻撃である。
 簡単に突き崩せるものではなく、剣士は横っ飛びの回避と、懐から投擲した短刀での射撃手への牽制を以て、最初の回答とした】
【剣士の脳裏、ある機関の策士が浮かぶ。茨の名を持つその老兵が、この戦場にいるとすれば】
【深追いするわけにはいかないな、と、心の中で呟いた】

【さらに、横っ飛びに回避した剣士は、そのまま迂回するようにして射撃手へと迫る】
【優先して射撃手を撃破することを選択した――その頭を抑えるために短刀での攻撃を行ったが、】
【空中へ飛翔したアルファは、依然として剣士への攻撃を可能とするだろう】
【アルファによる再度の迫撃が速いか、剣士の射撃手への剣閃が上回るか】
【まさに、紙一重。どちらの結果となっても、剣士はその相手と斬り結ぶ準備を整えている】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/18(木) 16:02:35.91 ID:7t92luw1o
>>180
【今度は一緒にクッキーを食べようね――】
【最後に幼い声で精一杯告げられた約束に、少年は「うん、ぜったいだよ」と叫んで返した】

【それから少年は慌ただしく階段を降りるが、しかしそもそも帰り路を忘れていたことさえ忘れていて】
【出て行ったところでまた迷子になるのは必然だったのだが――】

【そこで唐突に、少年の身体が地から浮き上がった】
【少年からは見えなかったが、彼の背後の空間に穴が空いていて】
【そこから伸びた何者かの腕が、少年の首根っこを掴んでいたのだった】

【何が起きたか分からぬ少年は足をばたばた暴れさせてみたが】
【そんな抵抗も虚しく、腕はそのまま少年を穴の中へと引き込んでしまった】

【一瞬、視界が暗黒に包まれた後――どさり、とどこか違う場所へと落ちてきた】

【赤い絨毯、古風な意匠の調度品、『悪魔』の匂い――】
【妖しげながら落ち着くその光景。そこは自身の住まう屋敷の中だった】

【尻餅をついた少年の前には、一つの大きな人影】
【その見慣れた背中をこちらに向け、腕を組みながら窓の外へ視線を据えていた】

【『父』は何も言わなかった】
【優しく出迎えるでもなく、叱りつけるでもなく】

【少年がまごついていると、父はそこでようやく口を開いた】
【花は買えたのか、と】

【尋ねられ、少年ははっと思い出したようにお使いの成果を話し出す】
【ちゃんとお店で買えたこと、お釣りとレシートももらってきたこと】
【そこまでは早口で捲し立てたのだが、途中の寄り道の件になると言い淀み】

【あの、とか、えと、とか端切れの悪い言葉を並べ立てる】
【俯きながら決まり悪そうに呟いていると、それを父の声が遮った――ノーヴァ、と】

【風呂が沸いている】
【先にその埃臭い身体を洗ってこい――そう言った】

【少年は数呼吸、目を丸くする】
【口数が少ないのはいつものことだが、何だか今日はいつもより優しい、ような】
【――しかし余計なことを口にすればまた怒られかねないのは分かっていたので】
【少年はただ、うん分かったとだけ返事をして、立ち上がる】

【その手に持ったクッキーの袋】
【父に直接手渡す勇気はなくて、机の上にそっと置き】

……あ、あのね、外でおともだちと会って、クッキーをもらったから
みんなで食べて、って……だからお父さんも、食べてね

【少年はそれだけ言うと、ぱたぱたと駆けだして部屋を出て行った】

【その場に残った父は、机に置かれたクッキーの袋を一瞥する】
【見た目には何の変哲もない市販の菓子のようだが】
【まさか毒でも入ってはいないだろうな――と、その真紅の瞳をすうと細めた】

【やがてクッキーの一つを指でつまみ上げると】
【その個包装を取り去って、中身を口に入れる】

【ぼりぼりと無遠慮に咀嚼して、そのまま嚥下すると】
【ただ一言、こう呟いた】

【……甘ったるいな】

【吐き捨てるように言う口はしかし、その端が微かに弧を描いていた】

/ごちそうさまでした!
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 22:09:02.99 ID:g/UPoYMWo
【――風の音が響いていた。
 その街は、放棄されてどれほどの月日が経っているのか】

【過去、栄えたであろうその都市は―ー今となっては、朽ちた高層ビルや、打ち捨てられた乗り物】
【いくらかひび割れたコンクリートで構成されていた。まさに廃墟都市である】
【そして、それら全てが、今や白く風化しつつある。ビルや乗り物、少なくとも近代の産物であるはずのそれが、まるで古代の遺跡のように】

【その只中。くあ、と場違いに欠伸を漏らす男が居た】

―――いやいや。詰まらん任務だな。
哨戒とは言うが、そもこんな都市にやってくる物好きなどおるまいに。

【背の高い男だ。深い蒼の髪を、後ろに撫でつけて】
【細身のレザージャケット。見た範囲では、武装は見当たらない】
【つまらなそうに、のたのたと。過去を偲ぶような様子もなく、風化する街の中を歩んでいた】

【からん、と看板が風に倒された。なんとかリハビリ医院、と書いてあるそれは、誰かの目に入るだろうか】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 22:24:33.86 ID:rz9MruLEo
>>183

【墓標のように屹立する廃墟群の隙間を、夜風が縫っていく。夜に風の音はよく響いた】
【その音の中に微かに、異音が混ざる。頭上から何者かの気配がする】
【月明かりが遮られてできた影の中。廃墟の壁面に作られた足場の上に人の姿があった】

──あぁ、なんだ?
こんなところに人間がいるとは思わなかったぜ

【珍しいものを見た、という風にその人影は声をあげた。そして、音もなく立ち上がった】
【その姿は一見すれば若い神父。ブロンドの髪に司祭平服という何の変哲もない姿のはず、だった】
【目をこらさずともすぐわかる、その姿の異様さに。青年の身体の向こう側を、微かに、だが確かに、見ることができるのだから】
【腕、肩、脚、頭部にいたるまで。ありとあらゆる箇所でその異常は見受けられた。彼の身体は、透けていたのだ】

こんな夜に、こんなところで何してるんだ?

【男を見下ろしながら青年は何もおかしなところがないかのように、言葉を続けた】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 22:34:48.19 ID:g/UPoYMWo
>>184

――あァ?

【声に反応したのか、す、と神父の方角を見やる】
【思わぬ何者かとの邂逅に、すわ闘いか、と口の端を獰猛に歪めて】

【が】

………あァ?

【目を細めて神父の方向を見やる。目を細めて、矯めつ眇めつ―――】

なんだぁ……? 影の薄い野郎だな……

【もうこれ以上ないほどに不審がっている。なんならやや腰まで引けているが――】
【そんなことを口にした】

186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 22:42:59.60 ID:rz9MruLEo
>>185

【男の反応が愉快だったのか、青年は口角を上げた】

”影が薄い”ってのも、面白い言い方だな
そんなに警戒すんなって。別に、お前をどうこうしようってわけじゃない

【そう言って青年は目の前へと一歩、歩み出た】
【そこには柵があり、手すりがあった。しかし彼の身体は何の抵抗も受けることなく、それを”すり抜けた”】
【さらに一歩、二歩と進んでいく。足が宙を踏みしめ、青年は空中を歩いていた。まるで見えない足場があるかのように】

俺は見てのとおりの……いわゆる幽霊ってやつでな。街中にいると騒がしいんで、人気のないところにいたってわけだ
ここだと退屈でしょうがねえんだよ。だから、通行人がいるとつい声をかけちまう
危ないことはしないから安心しろ

【空中に止まった彼は両腕を広げて、自分は危険じゃない、と重ねてアピールをしてみせる】
【実際のところ、彼に敵意はなかった。もっともこの謎の生物(?)をどう受け止めるかは男次第だったが】
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 22:58:35.81 ID:g/UPoYMWo
>>186

【一歩、二歩。歩く神父を、首を上げて目で追っていく】
【――だがまあ、そんなこともあるか、こんな世の中だ、と首を振り】

ほお……世に未練でも遺したか。
あるいは余程に神から嫌われたか。

【くっく、と喉を鳴らす】
【物珍しさに驚いたのも、僅かな間のことで】
【こういう手合もいるだろう、と、男はもう神父の幽霊を、在るものとして捉えている】

退屈で仕方ないのなら、さっさと輪廻へ還ってもよさそうなもんだが――
まあ、無聊を囲う者同士だ。貴様の身の上、この俺に聞かせてみねェか。

【そういうと、答えを聞く素振りも見せず、細身のレザージャケットの懐から煙草を取り出し】
【ありゃ、火がねェな、と呟いた】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 23:08:02.36 ID:rz9MruLEo
>>187

わかってもらえたようで、何よりだぜ

【男が自分の存在に納得がいったのを見て、青年は再び笑ってみせる】

それにしても、神から嫌われたか、ねぇ。俺ほどの信心者もいねえだろうに
まぁ言い得て妙なんだがな

【笑みを保ったまま青年は続けた。そこに何か、彼なりの得心があったように】
【彼がその場に腰を下ろすと、彼の身体はゆっくりと地面まで降りてくる。そして男の前方で止まった。空中を浮遊して移動するその様はまさに幽霊、といった感じだ】
【目の前まできてみると、この幽霊は成人男性と考えると小柄だった。彼はそのことを実は気にしているので、指摘すると怒り出すが】

身の上話、か。話すと長いんだか短いんだか

【男の提案には困った様子で肩を竦めてみせる】

短く言っちまえば、前に結構やばい悪党がいてな?
運の悪いことにそいつと出くわしちまって、殺されないようにした代わりに身体と分離しちまった
あぁ、身体は俺が持ってるから、あとは術者なり何なりがいれば戻れそうなんだが、これが中々、な

【そう話す青年は苦虫をたっぷりと噛み潰したような顔をしている。幽体離脱させられる、というのは良い思い出ではないようだ】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 23:16:52.00 ID:g/UPoYMWo
>>188

神ってのァ勝手なもんだからな。
何、奴さんが真っ当な人間らしい心を持っているのなら、この世はとっくに極楽浄土だろうよ。
こんな苦界になっていることそのものが――ま、神サマの善悪観が人間のソレと乖離していることを示している。

【ふん、と表情も変えず、そんなことを吐き捨てる。目の前の人間(?)が、神父服を纏っていることなど気にかけないように】
【そうして、ふよふよと自分の前まで近づいて来た神父を見る】
【闘争に身を置く者の癖か、相手の身丈、可動範囲は軽く確かめたようだったが、別段身の丈に物言いはつけず】

ほお。ほお――ほお。
なるほどなあ。

【男が語る、肉体を捨てた事情を頷きながら聞いて】

まあ、俺も悪党の類だからよ。
ここで誰か術者を紹介するワケでもねえんだが。
そういうのは、機が来れば戻れるものだ。
魂を扱う術者、ネクロマンサーだのシャーマンだの、ロクな人格のやつを見たことはないが――
なに、ご勝手な神サマとさえそんなに仲良しなんだ、お前なら出逢えば仲良くやれるダロウサ!

【男が神父であることをからかうようにそう言って、けらけらと笑っている】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 23:27:28.17 ID:rz9MruLEo
>>189

神様と仲良し、とか勘弁しろよな! 冗談にもなりゃしねえ
それこそ、お前の言うとおり、価値観やら善悪観やら、全然人間と違うようなやつなんだからよ

【幽体となった経緯を話すとき以上に、青年は苦々しさに顔を歪めていた。神父にも関わらず、まるで神が嫌いであるかのようだった】

まぁ、そんなわけのわからないやつよりかは、ネクロマンサーだろうがなんだろうが、人間の方がよほどマシだぜ

【で、と言って青年の手が翻り、指先が男へと向けられる】

あんたはこんなところで何してやがったんだ? それこそ、幽霊が出るような廃墟だぜ、ここは

【冗談めかして言いながら、青年が首を傾げる】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 23:34:14.62 ID:g/UPoYMWo
>>190

なんだお前、神サマ嫌いなのか?
あっはっは、そりゃあいい。神を学んで神を嫌うのなら、そりゃあ誰も文句を言えまい。
理解して嫌うのなら、それは確かに正当だろう。

【そうして、なにをしていたのだ、という質問を受ける】
【笑みを浮かべたまま、男は口をつぐみ―――】


【ごおん、と。街の中心部から、低い音が大きく大きく響いた】


―――さてなあ。
なんだろうな。聞いても詰まらぬことかもしれんぞ。

【最早夜更け、廃墟の都市の暗闇の中】
【そう言った男の口が、まるで歪つな三日月のように歪んで、赤く浮かぶようだった】
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 23:46:53.07 ID:rz9MruLEo
>>191

【街の中心部からの異音に青年は目を細めた。笑みは消え去り、代わりに浮かんだのはいくつかの経験を積んだ暗殺者の顔だった】
【この青年は単なる神父ではなかった。その経験故に、異常事態に思える状況であればこそ、冷静さが表に出てきていた】

……こりゃあ、何かあるって風なのか?

【街の中心部へと顔を向け、男へと問いかける】
【振り返ったその瞳が男の歪つな笑みを捉える。神父はその笑みの意味を測りかねていた】

その笑いが、俺にとって悪いもんじゃなけりゃいいがな?
いつもなら、じゃあさよなら、と言ってるところだが、こりゃ聞いた方がいい感じだ

【笑みを浮かべながら青年は立ち上がる。何が起きても即応するために】

で、お前は何してたんだ?

【そうして青年は再び問いを繰り返した】

//あー、そろそろ明日に持ち越してもいいでしょうか?
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/18(木) 23:49:22.82 ID:g/UPoYMWo
>>192
/もちろんです! 返しておくので、ゆっくりおやすみませい
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/18(木) 23:54:33.55 ID:rz9MruLEo
>>193
//ありがとうございます
//ではまた明日に。おやすみなさいー
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/19(金) 00:14:05.09 ID:DeH17TbKo
>>192

【ぴくり、と目の前の青年の雰囲気の変化を感じ取る】

ほう。これはこれは。
やはり万事、捨てたものではないな。

【立ち上がる青年の、その身の置き方――間違っても、素人のものではなく】
【合わせるように、男もその長い手足から、無駄な力みを排した】

【再び、ずずん、と鈍い音。いくらかの振動を伴って、白く風化する街が、更にその姿を崩していく】

―――この街。いくらなんでも、古びすぎているとは思わんかね。
まあ、いいところ放棄されて10年から20年だろう。だと言うのに、まるで古代の遺構のようだ。

探査していた機関の先遣隊が、街の中央、地下深くに何らかの魔力反応を確認した。
何らか、この街の地下には常ならぬものがある。

そして、また機関の本の虫共が、今のこの街の状況を解き明かすヒントを見つけ出しおった。
古代伝承にある、『崩壊の宝玉』の伝説。
周囲すべてのものを風化させ、崩し、時の彼方へと運び去る――力有る魔具。

そいつを発掘する、そうでな。
俺はその番犬、というワケさ。

【本来機密事項なのだろうが、滔々と男は語っていく――】
【青年の佇まいに武の気配を感じたか、】
【味方でなくば、最早逃さぬ、とでも。意気揚々と闘いの口実を作るように、男は状況を説明した】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/19(金) 00:17:26.22 ID:wc6KcV/K0
【街中――児童公園】
【中心街から少し離れれば、暮らす人のための店屋や住宅が増えてくる。この公園も――おそらく明るい頃合いなら、子供たちの声でにぎわうのだけど】
【こんな時間となってはもはや通りすがる人さえほとんどいない。それでも――もしも誰かが通れば、その人影に気づくことは、特に難しくもなく】

――――――――……、

【真っ先に目立つのは携帯端末の明るい光だろうか、それから、これは煙草だろうか、小さく赤い光と――紫煙が揺らいで、いやに甘ったるいにおいがする】
【街燈は遠く、辺りは暗く。だけれどその人影が女であるのはすぐに分かるだろう。何より携帯の明るい光が顔や体つきを照らして見せていて――】

【――少し癖のある黒髪は肩まで届かないボブヘア、元から白い肌は無機質な明るさに照らされて、さらに白く映えて見えるよう】
【瞳はいやに鮮やかで宝石みたいな青りんご色のもの、ねこみたいにつんとつった形は、さっきから、ずうっと、手元の携帯端末に落ちていて】
【前のボタンが全部開けられた黒のコート、灰色のタートルネックと黒色のバルーンスカートと。足元はうっすら肌の透けるストッキングに、かかとの高いショートブーツ】
【座り込んだベンチに行儀悪く体育座りするような恰好だった、携帯電話を持つ手で一緒に膝を抱えて、もう片っ方で、時折煙草の世話をしてやり】

――、はあ、

【そしてもし誰かがこの場所に訪れるなら――公園の入り口。こんなご時世だからかいろいろずらずらと禁止事項が並べられた看板の中】
【とくにいっとう目立つ場所に赤色で「火気厳禁」「喫煙禁止」「花火禁止」……そういった文字が書かれているのだけど。まったく気にしないそぶりのまま】
【甘い甘いにおいのする煙をあたりに散らしていた、――ひどく退屈げに、あくびを一つして】
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/19(金) 16:25:57.52 ID:UJ1FExfio
>>195

【『宝玉』──その言葉は、知識深くない者でさえ聞き及ぶ特別なものだ】
【効力は様々。能力や魔術を強化するような、人間で扱えるものから、ときには人身では到底不可能な事象さえ可能にさせる比類なき至高の物質】
【それは今回のように、単独で周囲の環境を激変させてしまうことさえある。それがこの街にあるというのだ】

……そりゃあすげえな

【それなりの経験があるといったが──しかし、宝玉と出くわす経験はそこにはなかった】
【思わず神父の声は上ずっていた。これが生身の肉体であれば冷や汗の一つも流していたことだろう】

【状況を理解した上で、青年は思考を纏め上げる】
【目の前の男は機関といった。この世界でその通称で呼ばれる組織は唯一つ。そこに宝玉を明け渡すことの意味も理解していた】
【その上で、青年の身体からは力が抜かれ、口元に笑みを作ってみせる】

面白そうだ、一枚噛ませろよ
どうせ、単に「はいさよなら」とはいかないんだろ?

【そう、青年はおどけるように言った】
【元より世間がどうなろうとも、彼にとってはどうでもいい話。彼自身の利益のみが重要だった】
【さらに言うならば、元々は機関の構成員だ。ここ最近は貢献していないので繋がりがあるかと言うと微妙なところだったが】
【いずれにせよ、明確に敵対する理由はなかった。秘密保全のために男が襲い来るならば、迎撃せざるを得ないが】

//お返しいたします。今日はこの時間以降は通常通り行えますのでー
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/19(金) 21:37:11.66 ID:H5a/VwsTo

【水の国、路地裏】


『はっ、はっ、は、──ッ!!た、助けて、誰か!!』


【──小太りの男が、恐らくは彼の人生で最も必死に、逃げている】
【怯え惑う彼の声も、此処の住民にとっては小鳥の囀りと大差はないのだろう。差し伸べられる手はない】
【息を切らし、脚はもつれ。遂に彼は勢い良く路地裏に転び、“追跡者”達に挟まれる形となった】

「良かったなァ、ええ運動になったやろ。」

『た、頼む、み、見逃してくれ、……か、カネなら幾らでもある!!
 ほら、これを受け取れ!!た、足りなければ、後で必ず──!!』

【向かって前。路地裏の奥から迫る金髪の男に、震える手で懐から出した札を放り投げる】
【メタリックフレームの眼鏡を手に持った電燈に光らせながら、男はそれを拾い上げ】

「おぉ、おぉ。何やこれ。鼻紙にしては質悪いで。こんなんケツも拭けん。
 オッサン、金持ちって嘘やろ。何や知らんけどエラい服も汚れとるし。
 ──なぁ、こんなん要らんわな。それか、何に使うモンか知っとるか?」

【呼びかけられた反対側──丁度、路地の入口の方向──の追跡者は、金髪の男よりは若い】
【黒髪の、まだ青年と言える程度の外見年齢。渋い顔で、肯定も否定もせずに、小太りの男へ歩み寄る】

……趣味が悪いです。早く連れて行きましょう。人が来る。

『や、やめろ、来るな!!』

【金髪の男も、路地の脇で死んだように動かない浮浪者の胸元に札を突っ込み、震える男へと歩み寄って行く──】
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/19(金) 22:22:55.47 ID:5VS4nlbq0
>>198

【――ちいさな音がした、こつん、と。それは街中であれば意識にも上らないほどの足音、何の変哲もない――強いて言えば女物の、高いかかとのもの】
【しかし、こういった路地裏であればどうだろう。もとよりまっとうな人間であれば近づかない、店に属さない一匹狼の娼婦などがうろつくこともままあるが】
【"こういう"あからさまな場所に出て来るほど彼女らもたいがい馬鹿ではない。それならば、こつ、こつ、そんな足音を響かせて歩いてくるのは】

――――何をしているの? こんな場所で鬼ごっこ――?

【路地裏のより深い方からではない、黒髪の青年が立つ方――投げかけられる声は、どこか金属質な響きを持つもの、たとえるなら、櫻の鈴の音に似ていて】
【高く澄んだ声音はやはり女のものだった。それどころか少女らしいとまでうかがわせ――やがて暗がりから姿を現すのも、あるいは予想通りともいえる、あどけなさ】

【肩ほどまでの黒髪、頭を飾るヘッドドレスはフリルとレースの花をあしらったもの、首元で結わえられたリボンはその胸元まで尾っぽを伸ばして、揺れて】
【透き通るように白い肌は寒さにか頬と鼻の先が赤くなっていた。瞳は左右で色の違うもの、黒色と、赤色と――あどけなさを残す顔は、それでも、相手を責めるような表情】
【深い赤色のワンピースは細やかなレースをふんだんに使ったもので、重ねた黒色のオーバースカートが、彼女――"少女"の動くたび、上等の布であるのを示すように踊り】
【羽織っているのは腰より少し長い丈のケープ、足元は真っ黒のタイツと、それからやはりかかとの高いショートブーツ――路地裏には不釣り合いな、こぎれいな恰好】

――ごきげんよう。まだ節分には、ちょっとだけ早いよ?

【――ひどく華奢な少女だった、何よりこういった場に居る人間にありがちな隙のなさというのも薄く、警戒しているようだが、敵意も殺意も、まだ見せてこない】
【顔は笑って見せても目までは笑っていない。けれど――何か得物を隠し持っているという様子もなく、見てくれだけで言えば、本当に、ただの、少女のようでしかなく】

【だけれど、もし彼らが"それ"を知ってさえいれば――この少女がとある組織と関係していることは、全く隠されていることでもなく】
【"知っている"というのも――数年前にあったとあるCM。UNITED TRIGGER――風の国の正義組織が流していたCMに映されていた、それを見ていたか、どうか】
【知らねば特に意味はない。知っていたなら――あるいはその笑顔の意味も違って見えるのかもしれないけれど】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/19(金) 22:44:48.60 ID:H5a/VwsTo
>>199

……ほら。どうするんですか。

【少女に話しかけられるよりも早く、耳に響く足音に、青年は恨みがましい顔でため息をついた】

「先行っとけ。オッサン、抵抗したら脳揺らすで。」
『な、何を──おおッ!?』

【金髪の男がくるくる、と、頭の横で指を回す。ダブルミーニングのハンドサインだ】
【それは、少なくとも彼が、“彼女”のことを知らない、ということを示し、その“笑顔”が危険なモノと認識していることを顕す】
【──青年の方は振り向かぬまま、小太りの男を掴み、回転するようにして背負い上げた。訓練を受けた者の背負い方だ】

「なァ、お嬢ちゃん。悪いことは言わんからウチ帰りや。
 ついでに言えば、今見たことは忘れた方がええやろなあ。」

【男を背負った青年は、路地の奥へ駆け出す。それほど速度は早くない。追いつくのは難しくないだろうが──】


 「“言ってる意味”、分かるやろ?」


【少女の目の前には、金髪の男が、少女と同質の“笑顔”で立ち塞がっている】
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/19(金) 23:19:27.84 ID:5VS4nlbq0
>>200

【――無視されている。真っ先にそう考えた、第三者が現れたことを――少なくとも、黒髪の青年は、振り向くことさえない。それで、済むという認識がある】
【人当りのいいように笑っていた口元ががふっと表情をなくす、そうなれば、必然的に表情そのものも――ほんの数秒、真顔、あるいは無表情のようになって】

お家だなんて帰らないよ、夜更かしでお散歩がしたい気分なの、それにこんなにお月さまが細いから――、暗いところって好きなんだ。

【もう一人。金髪の男の方は――話すつもりがあるんだなと思ってもう一度笑う、顔を見られているなら、そちらの方が友好的だろう――という、それっぽちの意味だけど】
【空っぽの両手の指先を身体の前で絡める、それでわずかに冗談めかせて――今度は声を漏らして笑う。そうすれば余計に声音は鈴に似て、よく目立ち】
【――遠く空にあるのは、確かにひどくうすぺらい月だった。街明かりの届きづらい路地裏では余計に暗いのだろうか】

――ううん、だけど、ごめんね? わたし、ついこの間、いろんなこと思い出したばっかりで……その、また、思い出がおかしくなっちゃうのは、

【「今見たことは――」「"言っている意味"」】
【金髪の彼の笑みに少女は少しだけ困ったように眉を下げる、絡めていた指をほどいて片手だけを口元にやる、ううん、と、小さな唸り声、何かを迷うよなふりをして】
【視線が、走り出した黒髪の背中を追いかける――そこまで、少女は、姿を見せて立ち止まったままの場所から、動こうとはしなかったのだけど】

ごめんね、そういうのって、あんまり何度もやるの、大変だから――、ね!

【――唇触れさせていた指を離して、それで、ひらりと相手の方へ向ける。動作は色気のない投げキスに似るもの、だけれど】
【その"結果"は全く違ったものになる、――瞬間、ぶわりとあふれ出すのは魔力の匂い、それから、無数の魔力片――うすらと桜色に光るもの、実際の桜吹雪にも似て】
【攻撃としての意味は全くない。本質は目隠しで間違いがないだろう、淡くとも光るものが急に現れるなら、もし彼らの目が暗闇に慣れていたら、実体以上に眩く見えるやもしれず】

――――――ッ!

【がつん!と甲高い足音は少女が明確に動いた目印でもある。だんと強い踏み込み――それで駆け出すのは、黒髪の彼を追いかけるための動作なのだが】
【音は黒髪にも金髪にも届くだろう。魔力片の範囲は狭いが、密度が高い。少女を見失えば、その足音がどちらに向かおうとしているのかは――】

【――もくろみ通りにうまくいくのなら、少女はそのまま金髪の男の横をすり抜ける形で、黒髪を追おうとするのだろう】
【足は思ったよりも早い。だけれどほんの一瞬、すり抜ける一瞬――ひどく近い距離で、無防備な背中を見せることになって】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/19(金) 23:26:26.23 ID:DeH17TbKo
>>197

【片眉を上げた】
【それは、神父らしき青年が、機関という名前を出しても――】
【リラックスした様子を見せ、またかつ一枚噛ませろ、と言ってきたことに対して、だ】

――なんだ、お仲間かよ。
またぞろ手練とやりあえるかと思ったが――望みは薄そうだな。

【そういいながら、ぱ、ぱ、と妙な拍子で手を動かした】
【機関に属する者たちに、長らく伝わる符丁――もし青年が機関に属していたことがあるのなら、その応答は自明だろう】

/大変おまたせを! 仕事の終わりがこのくらいの時間のことがありまして。申し訳ないです。
ちなみに『符丁』は、応えた、という表現をしてくだされば機関員を示す応答として扱わせていただきます。
偽なら適当に戸惑うがいいよ!
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/19(金) 23:52:06.27 ID:H5a/VwsTo
>>201

【桜吹雪が金髪の男に襲いかかる──元よりの警戒から、無防備で受けることはなかったが】
【腕で視界を覆う間に、高い音が響く。少女が彼の脇を抜けることは妨げられず、黒髪に迫るだろう】
【少し手を伸ばせば、その背を捉えることも叶おうかという距離にまで詰まったところで──】

「──あァ、成る程。そういう事するんや。」

【──後方から伸びて来た“腕”のような何かが、彼女の足元、コンクリートに叩き付けられる】
【同時に、接地点を中心に地響き。そして、バランスを取らねば転倒の危険もあるほどに路地が罅割れる】
【青年の方は、金髪が“こう”することも織り込み済みだったのだろう。若干速度は落ちるが、振り向きもせず駆けていく】

「残念やなぁ、忘れてくれたらこっちも忘れたのに。
 忘れてくれんのならどないしようか。──まぁ、同じこと何回もやるの面倒臭い、っていうのだけは分かるわ。
 一回こっきりで全部終わる方法、どっかにあればええんやけどなぁ──、」

【滔々と語る金髪の男には、その両肩から二本の腕が生えている】
【まるで仏像の腕のような、木彫りのそれは、彼の身の丈に余る長さだった】
【恐らくは、それが“伸びて”、“足元を破壊”したのだろう、と分かるだろうか──“能力者”だ】


「 あっ、そうや。 殺せば解決やね。」


【眼鏡の下で、双眸が獰猛な色を帯びると、再び二本の腕が少女の方向へ伸ばされた】
【それこそ、腕を振るうような疾さで──1度目は“警告”、2度目は“攻撃”。真っ直ぐに、彼女の背中へと迫る】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 00:29:15.20 ID:B89H3KDr0
>>203

【がつ、ごつ――そういう足音がうるさくうるさく響いていた。黒髪には少女が自分だけを狙って追いかけているのはすぐに分かったろうし】
【金髪の男にも――"自分"をすり抜けていったことでばれるだろう。ならばあとはほんの一瞬の話だった、追いついて――その足を止めさせる】
【走るために作られていない靴はそれだけ動きづらいもの、だけれど、これなら――刹那に過った思考は、けれど、次の瞬間には、ひっくり返されることになる】

――――、ふ、わっ!?

【あるいは文字通り少女ごとひっくり返る、――ただでさえ不安定なのを無理強いして走っていたのだから、その地面が確実でなれば、あるいは当然、としか言えないもの】
【ひび割れた地面に足を取られたのだろう。少女の身体はあまりに簡単にバランスを崩して、転ぶ――せめて無様でないように取った受け身は、あまり上手ではなかったけれど】
【転んだまま転がるよりはずっと上手に起き上がる――刹那に顔ごと黒髪の方に振り返るのだけど。こうなってはもう追いかけていられないと悟ったか】
【あどけない顔の表情をうんと鋭くして金髪の方に向き直る。転がって身体を起こし立膝の姿勢から、しゃんと立って――】

……どうするの、お兄さん。逃げちゃったじゃない――、だけど、分かってくれて、嬉しいな。
分かってくれて嬉しいけど――、そのまま行かせてくれたなら、もっと嬉しかったのに。

【――それで、少女はひとまず黒髪を追いかけることを諦めたようだった。柔らかい布地のスカートを数度叩いて、土ぼこりを落として】
【彼がおそらく異能の腕で打ち据えた場所、ひび割れる地面からわずかに距離を取るよう、ひとつ、ふたつ、小さな歩幅で後退しながら――軽い仕草で、右手を持ち上げ】

お兄さんこそ……これからあのひとの逃げる場所、しゃべりたくって仕方なくなっちゃうと思うけど、大丈夫?

【つう――と指先で撫でる空間に色合いが乗る、まるでインクで描くように記されるのはけれどただの線でしかないもの、淡い桜色――おそらく彼女の魔力の色が、これなのだろう】
【やがて人間の稼働する範囲として不自然でない程度にまっすぐな一本が出来上がって――すぐにぷつり、ぷつり、と途切れだす、ぐるりと一度渦巻いたなら】
【広げた手のひらの親指の先から小指の先ほどの蛇が形どられる。魔力でもって作られた蛇は、ちょうど伸ばされる腕を避け交差する形で、相手へ――空中をしゃっと走り抜け】
【小さな口――だけれどそのサイズの範疇では鋭い牙で以って彼の身体に噛みつこうとするだろう。数は七か八か、威力は低いが、齧りつかれればなかなか離そうともしない】

――――!

【――それらの結果を見ないで、少女は、そのまま後ろに大きく飛びずさる。腕は避けて、けれど、地面でこすれた靴のヒールががりがりと悲鳴をあげて】
【着地の瞬間にしゃがみ込んだその位置で刹那止まる、――その手は靴に触れて。ほんの一瞬、相手の様子をうかがうように、黙り込んだ】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/20(土) 00:50:06.30 ID:kIvIk8I3o
>>204

【──腕の形状であるからして、打点は掌、即ち“点”。決して、大きいものではない】
【飛び退った彼女に避けられ、勢い余って路地の壁に激突。壁を揺らし罅を入れ、埃を舞い散らせた】
【目を覚ました様子の浮浪者が、慌ててこの場から逃げていく】

「おうおう、正義の味方の割にはゴロツキみたいな事ほざく嬢ちゃんや。
 その減らず口、思いっきりブッ飛ばしたるのが楽しみになってきたわ。
 ……それにしても、どっかで見たことある顔やなァ。どこやったか──ぁッ!?」

【改めて、此方を向いた少女の顔を認め、男は呟く。──記憶力は悪くないが、思い出せない】
【会ったことがないのは確かだが、服装も含めて、どこかで見かけた気分にはなる】
【その一瞬、虚をつくように飛来する“蛇”。その小ささと、舞い散った埃が反応を遅らせる】
【丁度、蛇が噛み付いたのは脇腹。二本の“腕”は、壁に突き刺さったまま動かない── 一瞬、男に隙ができた】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 01:06:39.53 ID:B89H3KDr0
>>205

【――じい、と、小さな音がした。彼女の手元から――だけれど、それは、攻撃のためのものではない、きっと彼にも聞き覚えのある音だ、チャックをおろすような】
【それから少し遅れて再び立ち上がった少女は、けれど、一瞬かがむようにして――するり、と、当たり前であるように靴を脱いでしまう、ほとんど素の足で立ち】

正義の味方――? 気のせいだよ、だって、わたし、ただの給仕さんだから――お料理を作るの。それがお仕事、

【ゆっくりと頭を持ち上げれば、長い前髪が刹那だけ顔を隠しこむ。やがて髪の隙間に見えるのは、右の瞳――まるでそのまま血を透かしたように赤い赤い瞳が】
【ひどく冷たい温度で彼を見据えていて――その目。あるいは彼のようなひとであれば気づくのだろうか、"こんな場所"にこそ似合うモノの目、正義とは対局にあるような】
【けれど頭を持ち上げきって浮かべる表情は笑みであって、そのころにはぞろりとねばこいような冷たさもなかった。その両手にはブーツを、ここが浜辺であるかのようぶら下げ】

どこでだろ? ヒントはね、結構有名なところだよ――ッ!

【一瞬振りかぶる仕草。それから続くのは投擲であるはずで――実際、そうだった。たった今脱いだ靴を振りかぶった少女は、そのまま、相手の方へ――二足とも、投げつけようと】
【狙いは正確ではない、何よりただの靴であるから動きも直線的。投げるためのものでないから、当然うまく飛ぶはずもない――なら、それ自体はおとりでしかなく】
【まるで要らないものをそのまま投げつけたという様子で――そしておそらく本当にそうなのだろう。そのまま手のひらを相手に向けて、一瞬の間】

【ざわ――とまた魔力があふれて。最初にそうしたような魔力片が少女の周りに浮かび上がる――けれど、まだ何も起こらない、彼にできた隙は回収されることなく】
【その代わりに自分の準備をするために使う、使われる――かすかに水の匂いがした。路地裏のどぶ臭さとは違う、山奥で、今まさに湧き出たような、清い水の匂い】
【――そして。彼が最速で動くことができれば、"何か"される前に、"何か"することも、十分可能であるように思えた】

/申し訳ないです、明日朝が早いので、一度凍結をお願いできますでしょうか?
/明日は来られるのが9時ごろになるかと思うのですが……
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/20(土) 01:08:46.04 ID:kIvIk8I3o
>>206
/了解ですー、お返ししておきますので、どうぞお先にお休みくださいませ
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 01:09:52.08 ID:B89H3KDr0
>>207
/ありがとうございます! ひとまずお疲れさまでした……!
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/20(土) 01:35:52.56 ID:kIvIk8I3o
>>206

【脇腹に噛み付いた蛇は、それほど痛みを持ち合わせるものではないにしろ、戦闘の妨げにはなる】
【数瞬、手で引き剥がすべきか逡巡するが──先程の桜吹雪と同じく、無害な魔翌力であると即断はできない】
【伸び切った両腕を引き戻し、その片方で以って叩く。何事も無ければ、落とすことには成功するだろうか】

「……あァ、確かに今のは間違いやった。そんな眼できるんは、“こっち側”の人間だけや。
 お前みたいな人間置いてるトコ、碌なモンでもないか、“ありすぎる”かどっちかやろ。
 どっちにしろ、死んでも関わり合いになりたないわ。」

【両腕を引き戻したワンアクションの無駄が、飛来する靴を叩き落とす機会を与える】
【二本の腕が再び伸び、靴を叩き落とす──何の変哲もない素材ならば、掌に触れて弾け飛ぶだろう】
【だが、それは悪手でもあった。牽制にすぎないそれは無視して、“彼女自身”を狙うべきだったのだろう】

「(早よしろや。流石に“これ”を無傷で済ますんは無理あるわ。)」

【最早、二本の腕が彼女を捉える暇はない。最速でも、“何か”を先に為すのは、彼女の方だった】
【男には、それを確信できる。五官にまで作用するなど、どう考えても規格外の魔翌力だ】
【しかし青年からの連絡は、まだない。そうだとすれば、此処で対処する必要がある】


「── この、“蛇”が。」


【忌々しげな表情と共に、呟く。彼女の紅い瞳と、獲物を定めるような緩やかさは、人外の爬虫を思わせた】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/20(土) 14:40:01.70 ID:RUZFwV+vo
>>202

【男の暗号に合わせて青年も応答用の動きを手で作ってみせた】

なんだよ、案外用心深いな

【暗号を用いて確認を取る、という行為がどうにも似合わないように思えて、思わず青年が笑みをこぼす】

それで、これからどこに言って何をするんだ?
俺は見てのとおりの身体……いや、身体じゃないが、状態だ
案外、役に立つと思うぜ

【そう言って身体を動かさないままに、ふよふよと空中を漂ってみせる】
【これから相手の指示に従うことになるだろうから、自分に何ができるか知らせておいた方が得だ、という考えだ】

//すいません、昨日のその時間はもう寝てしまっていて……
//またお返しいたしますー
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/20(土) 15:32:00.87 ID:PZAyOXF1O
>>133
【彼女がお茶に付き合ってくれる、と返事をすれば】
【にこりと柔和な笑みを見せてその手を取り、歩調を合わせて表通りへ】
【隣に立って歩くと、その身長――それに手の大きさや、体格】
【そういったものに恵まれた人物であるとも分かるだろう】
【先程の手刀といい、格闘技に向いている、或いは経験者らしくも思えて】

――さあさあ、なんでも頼んでくださいな!

【10分ほども歩いただろうか。辿り着いた先は和風の喫茶店である】
【名は「絶佳」。櫻の国の茶屋をイメージしているのか、緑茶やお団子が主力商品らしい、が】

【その一方で普通にコーヒーや各種のフラペチーノ、お菓子で言えばスコーン等も提供しており】
【客の入りもそこそこであるのを見れば、どれも味は信頼できるらしい】

【周囲の人目を引きながらも気にせず席についた女性は、といえば】
【早速暖かな緑茶とあんこのお団子を三本ほど注文しつつ、目の前の彼女にも注文を尋ね】

ふふ。それにしても、先程は本当にありがとうございました
ああいった場所に立ち入る事はあまりないものでして、気付けば取り囲まれてしまい……
……そういえば、お名前はなんと云うのです?私の名は……

【「鬼灯 葵」と、そう名を名乗る。やはり櫻の国の出で、行者として世界を回る旅を続けており】
【2つ年下の妹が居て、とまで語ったところで喋りすぎたかと照れたように謝りながら】
【改めて、相手の名を尋ねた。その視線は好奇心に溢れていて、名前以上のことも聞きたそうに思えた】
212 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/20(土) 16:12:23.76 ID:AS3APw7Z0
>>181

【放たれた超高熱弾、上空より迫撃する戦斧。遠近の多重攻撃を時間差で行うこの戦術】
【それなりに研ぎ澄まされてはいる物の―――矢張り相手は"英雄"の名を欲しいが儘にした剣士だ。】
【与えられた状況を素早く察知し一段上の対応、何方も回避できれば問題ないというシンプルな回答で返される。】

『―――っ、速い……! まるで人間の動きとは思えんな!』

【穿たれた壁がプラズマでドロドロに溶けて破砕、そして一秒前まで剣士の"居た場所"に振り下ろされた斧が】
【蛻の殻になったコンクリートを鋭く抉った。どちらも熱を帯びているが故に単純な物理エネルギーを凌駕する破壊力である。】
【コンクリートはバターをナイフで掬った様に綺麗に剥がされ、切り口からは"ジュウ"、と煙が上がる―――命中すれば酷い事になるだろう。】

『だが……どこまでその速度を保てるかな!』

【両手で弾丸を撃ち放った"狙撃手"が、残弾が無くなりサイドの充填<リロード>を開始。】
【だがその隙に、狙撃手目掛け接近を試みる剣士に対しアルファが反応、斧を展開しているのとは別の腕で】
【予めチャージしてあったプラズマ弾を発射、狙撃手は防御手段を持たぬ為に短刀で顔面を切り裂かれる事にはなるが】
【矢張りそこはロボットの兵士たち、"痛み"も"死"も感じない彼等は一体を犠牲にしても着実にダメージを与える戦術で責め立てる】

「―――此方"ブラボー"、全員弾丸のチャージが完了。指示を。」

≪―――同じく"チャーリー"、近接兵装を展開済み。攻撃の合図は?≫

『アルファだ。慌てるな、此方は多数、向こうは一体……狐狩り<フォックスハント>は慎重にやらねばな。
 ブラボーは建物上部にて待機、チャーリー、出番だ。奴と私を囲う様に街区を移動、そのまま一気に近接攻撃で仕留めに掛かるぞ。』

【アルファが弾丸を撃ち放ち、暗号回線で仲間―――建物上部にいるブラボーと、付近に待機するチャーリーに指示を出す。】
【指示役にもかかわらず最前線に立つのはこれが目的だ。恐らくは剣士もアルファを最初に叩こうと動くはず、そうして注意を逸らせば】
【バックアップの五体で隙をついた攻撃が可能、更にはそれすら跳ね返すならば建物上部に配置済みの"ブラボー"が一斉に射撃を開始する算段だ】

【だが、戦術としてはある種定番とも言える―――剣士がどこまで機械兵達の意を読み動けるか、そこに全てが掛かっていた。】
【同時に、破損していた付近の車から途切れ途切れのラジオ音声が漏れだす―――注意深く耳を傾けているなら、その音が聞こえるだろうか。】
【『……の国に……襲撃事……、軍とUN…… GERは共……を組むことで……同意、……は既に立案……市街への突入は間もなく……人員の救助を優先……、』】

『心配には及ばんよ、剣士……貴様も殺すし、貴様のバイト先も吹き飛ばしてやるのだからな!』

【アルファが吠える、さあ残された時間はどれほどか―――!】

/お返事返させて頂きます。遅くなってごめんなさい。
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 19:53:06.76 ID:/fttXoy50
>>209

【異能の腕によってはたかれた蛇は、一瞬ぐうと口に力を籠め、ぶら下がり続けようとしたのだけれど――やはり力の差にはかなわず、ぼとりと地面へ落とされる】
【そして地面で数度のたくれば――さあ、と、尾の先から形は崩れて、やがてただの魔力の残滓になり、そして消え】

――――――、セリーナを馬鹿にしたの? 

【――その時に、ふと、声音が変わったのに彼は気づくだろうか。どこか鈴の音のように涼やかだった声は、その刹那に、抜き身の刀のような。ひどく褪めたものになり】
【笑んでいるのは同じでも、さっきよりずっと、ずっと、冷たく、強く、色濃く笑う――最後にくす、と、喉を鳴らすような、小さな笑い声を鳴らして】
【そして、それが、答えでもあった。セリーナ――その女性の名前は、ほぼ必然的にとある"組織"の名前を連想させる、あるいは彼らが、ごく最近に訪れた異世界人でもなければ】
【ひどく有名な名前だ、そしてその名前を思いつくことができたら、あるいは彼女のことも思い出すのかもしれない、――その"組織"で、孤児のために無料で食事を作り、振る舞う】

【そんなCM放送があったのは、もう何年も前のことになるけれど――そのCMに映されていたのは、まさに"この少女"で】
【ただおかしなところがあるとしたら――そのCMから何年も経っているはずだのに、この少女はそれからほんの少しも変わらず、成長していないようだったが】

【――――彼の異能によって弾かれた靴が、そのまま文字通りに弾け飛ぶ。それをみとめた少女は、ほんのわずかに目を細めて――思い返すのは】
【一撃目。地面が粉砕され、地面が揺らされるほどの威力があった。二撃目。壁にめり込んで、少しの間動けないほど――そして今。普通なりに脆くない靴が、たやすく壊され】

わたしが蛇に見えるの――? お兄さんこそ、その目、……ろくでもないんじゃない、かなッ!?
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 19:54:02.12 ID:/fttXoy50
>>213
/わーごめんなさい!シフトハマっちゃって途中送信です、推敲前なので完全になかったことにしてください……申し訳ないです!
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 20:15:23.61 ID:/fttXoy50
>>209

【異能の腕によってはたかれた蛇は、一瞬ぐうと口に力を籠め、ぶら下がり続けようとしたのだけれど――やはり力の差にはかなわず、ぼとりと地面へ落とされる】
【そして地面で数度のたくれば――さあ、と、尾の先から形は崩れて、やがてただの魔力の残滓になり、そして消え】

――――――、セリーナを馬鹿にしたの? 

【――その時に、ふと、声音が変わったのに彼は気づくだろうか。どこか鈴の音のように涼やかだった声は、その刹那に、抜き身の刀のような。ひどく褪めたものになり】
【笑んでいるのは同じでも、さっきよりずっと、ずっと、冷たく、強く、色濃く笑う――最後にくす、と、喉を鳴らすような、小さな笑い声を鳴らして】
【そして、それが、答えでもあった。セリーナ――その女性の名前は、ほぼ必然的にとある"組織"の名前を連想させる、あるいは彼らが、ごく最近に訪れた異世界人でもなければ】
【ひどく有名な名前だ、そしてその名前を思いつくことができたら、あるいは彼女のことも思い出すのかもしれない、――その"組織"で、孤児のために無料で食事を作り、振る舞う】

【そんなCM放送があったのは、もう何年も前のことになるけれど――そのCMに映されていたのは、まさに"この少女"で】
【ただおかしなところがあるとしたら――そのCMから何年も経っているはずだのに、この少女はそれからほんの少しも変わらず、成長していないようだったが】

【――――彼の異能によって弾かれた靴が、そのまま文字通りに弾け飛ぶ。それをみとめた少女は、ほんのわずかに目を細めて――思い返すのは】
【一撃目。地面が粉砕され、地面が揺らされるほどの威力があった。二撃目。壁にめり込んで、少しの間動けないほど――そして今。普通なりに脆くない靴が、たやすく壊され】

わたしが蛇に見えるの――? お兄さんこそ、その"目"、大丈夫?

【だけれどただ少しだけ嬉しそうに笑ったのはなぜだったろうか――ぴたん、と、場に響くのは、ひどくかすかな水の音。けれど、聞き逃すほどの油断を、相手はするはずもない】
【ざあとあふれかえっていた魔力片が、その音をきっかけにしたようにぐるりと変貌る、淡く桜色に染まった水――卵ほどの大きさの水球、それも中に"銀の鈴"が浮いた、異質なもの】
【それらは次の瞬間に少女のしぐさ――指さきで彼を指し示す――に合わせ射出されるだろう、それは一見水で形作られたレーザーのようにも見えたのだけれど】
【本当によく見れば、さっきの魔力蛇と同じ形――つまり蛇の形をしていた。それらが、鈴の音をりんと引いて――彼へ突撃していくのだろう】
【数はあったが、狙いはつけられていない。元から彼に当たるはずもない軌道がほとんどで。素早いが動きは直線的で、ほんの些細な衝撃で"壊れる"ほどに、脆い、――だけれど、】

【その蛇を構築する水――彼女の魔力片から現れて桜色に染まるもの。それが今度こそ無害であるとは思えず】
【なにより実態は酸性の液体――すぐひどい傷になるほどのものではない、けれど、好ましいものではないことだけは、確実で】

【――そして、もう一つ確実なこと。それは少女に生まれる一瞬の隙だった、水蛇の射出の直後から、わずかの間】
【あるいは――戦い慣れていないとも思わせるのかもしれない、様子を伺うよりはもっと真剣に、ただ、どうしても――その結果を確かめてしまいたいみたいな、間が、あった】

/いろいろなものが繰り上がったので少しお早目にお返ししておきます、途中送信すみませんでした! こちらが本物です……
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/20(土) 21:04:01.69 ID:kIvIk8I3o
>>215

【伸び切った二本の腕。面で放たれた蛇の雨は、その何れかが、彼に直撃する筈だった】
【だが、】


「 …… ガキに本気出すんも大人気ない、と思ってたが。 」


【──、彼の両肩から更に二本ずつ。都合、“四本”の腕が更に現出する】
【即座にお互いの腕が伸び、絡む。目にも留まらぬ間に即席の“盾”を形成し、彼を酸から守る】
【恐らく、彼は“残していた”。意図的に二本の腕のみを使用し、引き出しを開けずに居たのだろう】

【酸に接触した腕の表面は、しゅう、と音を立てて灼ける。しかし、それは飽くまでも“能力”で形成された腕】
【彼の身体に苦痛を与えることはない。精々が、能力を維持する力を減衰させた、という程度か】
【無論、無意味ではない。──これが長期戦ならば、防戦を強いたことはアドバンテージだ】


「“UT”なら別やわ。ガキも女も関係ない。本気でやらなこっちが死ぬからな。
 ──何、心配せんでもアバラの二、三本折れるだけにしといたる。
 さっきのオッサンの顔思い出しながら、ベッドの上で明日の新聞でも読んどけや。ええ勉強になるわ。」


【しかし、彼の方にその気はない。──伸び切っていた二本の腕は、その分、戦線を侵食している】
【数メートルも離れていないだろう少女に向かって、今度は獣が駆けるような速度で迫る──!!】

【──尤も、その腕に彼女が対処するにせよ、しないにせよ。到達の直前で腕は停止するだろう】
【それと同時に、彼女の耳には、男の胸元から発せられる“バイブレーション”の音が届く筈だ】

/お待たせしました、本日もよろしくお願いします
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 21:39:38.66 ID:/fttXoy50
>>216

――――――っ、!

【――撃ち出したのはまさしく酸の雨だった、これだけ数を出せば"弱まる"ことは分かっていながらも】
【それでも、特にこの狭い路地裏では弱くとも広いことは別の意味を持つ、そしてそれが時として狭くとも強いものより優れることも、あるいは知っていた】
【だから――彼の肩口から伸びた、別の腕。異能によるものが、"まだあった"ことに、少女の目はぐうと丸められる、元から丸いのが、もっと――うんと、丸くなり】

【その直後に、ぐっと細められる。腕は二本であるはずだという思い込みにようやく気付いて。それから、すべての水蛇をしのがれたことに気づいて】
【苦虫を噛んだような顔――たった今この瞬間に追撃をしていれば、あるいはもっといい状況になったかもしれない、なんて、すでに手遅れでしかない後悔と】
【半ば無意識のように利き足――右足を少しだけ後ろに下げる、少しだけ動揺したような顔は、やはり、甘い。全くの不慣れではないが、歴戦ではありえない様子を見せて】

っ、だれが――、ベッドで寝転がるのはお兄さんだよ、だけど、お兄さんの場合は、全身やけどかな――、って、思うけど!

【ぎゃん――と迫る異能の腕に、少女は今度こそ意識的にもう片方の足も後ろに下げる、合計一歩の後退は、その範囲から抜け出すには、あまりに少なく】
【ならば打ち据えられるのが当然であるように思われた。こう接近された間合いは苦手であるように思えた、――今まで彼女が選んでいたのは、中距離の位置ばかり】
【だからそこが好ましい――はずだった。――だけれど、何かを隠していたのは、どうやら彼だけではなかったようで】

【その手元でぎらりと暴力的なまでに光るのは魔力の煌めき、変わらず桜色ではあったが、瞬きするより早く伸び、次の刹那には、その手に櫻の刀が握りこまれている】
【刹那周りの空間に溶け込むかと思うほどに美しい刀身はけれど次の一瞬にはあの桜色の水を纏っている、ならば性質もある程度予測できるようで――】
【――ざん、と、逆袈裟に振るおうとするだろう。異能の腕が自らの眼前で止まるのだとしても、それを見切れるだけの技術は彼女にはなく】
【なによりその構えというのも"なってない"ものだったのだけど。とにかく――強い酸を纏った刃は、その腕を切り落としてしまえとばかりの鋭さで以って、振るわれ】

【――――その瞬間の、爛とした目。それはやはり、"そちら側"の】

【――彼の胸元で鳴く音。それに気づいているのかいないのか、どちらにせよ――直前で腕が停止するのなら、"してくれる"のなら、おそらく彼女はそこに立ったまま、一瞬の間】
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/20(土) 21:56:15.23 ID:Sk5KTC0qo
>>210

【青年が動かすその手の動き、たしかに間違いのないものと認め――】

あーあー。
マジでお仲間とはな。
せっかく楽しく殺り合えそうだったんだが……
ま、機関員の殺傷は契約違反だ、たとえ幽体といえどもな。

仕方ねえな、諦めるとするか……

【そういって、心底残念そうに、槍をぶん、と振り回した。――いつ、手に握ったのか】
【どこまでも黒い、やや不吉な印象を抱かせるような、槍】

これからどこに行って何をするか、か。
残念ながら発掘作業が終わるまで、この街をぐるっとひと回りして終わりだ。
何もなければな。全くつまらん任務―――ん、少し待て。

【仲間とわかるや、戦意は霧散している。男は懐から携帯端末を取り出して、電話に出た】

――ああ、ガイウスだ。
……ほう。予測はしてあったのだろう?
………ほう、ほう。成程な。

【そうして、会話しながら、ニヤリと笑みを作る。青年へ悪巧みするような笑みを向けて――】

わかった。『スプリガン』が出たのだな、すぐに発掘現場へ戻る。

【スプリガン。古代の遺跡から稀に出現する、盗掘者を排除するための魔導ゴーレム――その名を告げて、電話を切る】

喜べ神父、運動不足くらいは解消できそうだぞ。
採掘現場にゴーレムが出た。
排除するから手伝うがいい。そうすれば、機関と貴様の渡りもつく。
そうすれば、何らか術者を探すことも可能だろうさ。

【そんな誘いを、口にした】


/おまたせしましたー!
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/20(土) 22:10:04.29 ID:Sk5KTC0qo
>>212

【プラズマの着弾と、アルファによる斧の攻撃――それらの威力を、目の端で確認する】
【各王の加護が離れたこの身では、恐らくどちらも受けきれまい、と判断し、剣士は脳内で戦闘論理を構築し直していく】

【――正面からのアルファとの交戦。単独であれば恐らく撃破可能】
【ただし、各狙撃手、後衛からの砲撃にて諸共に撃破される可能性が高く――】
【遠隔操作ということを勘案すれば、味方を巻き込むことに躊躇はあるまい】
【とするなら、やはりバックアップのない状況で一人ずつ、というのが最善手だろう】
【幸い、周囲の民間人は既に逃げおおせたか――あるいはもう死んでいるかのどちらか】

―――ふふ。やはり狩りは、慎重に行わないと、だな。

【奇しくも、アルファが無線で放ったのと同じ比喩を用いる――】
【狩られる獲物は、お前だと。2つの戦力は、等しくそう判断していた】

【ちらり、と路地裏を見やる。どこの街にもある、路地裏】
【狙撃手に向かっていたその速度を緩め、路地裏へと躍り込むべく移動する】

なんと、僕はともかくバイト先は困るな!
近所のご老人の憩いの場だ、無下にするのはよくないぞ!

【そう言いながら、遮蔽物の少ない大通りから、遮蔽物だらけの路地裏へ】
【市街地の中だ、三次元挙動を駆使する剣士にとっては、あらゆる経路が道である】
【周囲で弾ける弾丸を斬り抜けながら、剣士はその戦闘の舞台を、この大通りから市街一帯に切り替えた】

【路地裏に入っていく剣士を、アルファが追撃しなければそれも一興】
【建物上部に待機しているブラボー、あるいはカバーに入ったチャーリーを、1体ずつ暗殺していくことになる】
【アルファがきちんと追ってきたのなら――その時こそ、剣士の異名の意味を、知ることとなろう】

【周囲で弾ける銃弾が、建物の外壁を抉る。吹き飛んだ破片が彼の頭を掠め――とろり、と血が流れた】
【口の端に流れ落ちたそれを、ぺろりと舐め取り】

……さ。狩りの始まりだ。

【その柔和な顔に似合わぬ獰猛な笑みを浮かべた】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/20(土) 22:11:27.91 ID:kIvIk8I3o
>>217

【酸を纏った刃は、腕の一本を捉え、斬り落とすには間に合う。──だが、迫っているのは二本だ】
【刃の射程に入れば、何れもを逃れる手立ては“二本同時に斬り落とす”しかなかった】
【高速で以って接近する腕を、近距離で対処するには、それしかない筈だった】


「……ほらな。やっぱり本気でやらなアカン手合いやんけ。」


【だが、彼女の刃は“二本”の腕を捉え、斬り落とす。それは、腕が停止したことを差し引いても、想定外だ】
【仮に腕が停止せずとも、彼女が吹き飛ばされる前の刹那、二本目の腕を斬り落とすことには成功していただろう】
【少女の技量ではなく、咄嗟の判断と対応力。──それを認めた金髪の男は、舌打ちして、呟いた】

【切り落とされた二本の腕は消滅する。しかし彼は、追撃を加えず、胸元から端末を取り出した】
【画面を確認するだけで再びしまい込むと、盾を形成していた四本の腕を解き放ち──】

「ったく、オッサン一人、車にブチ込むのにどんだけ時間かかっとるねん。
 ──嬢ちゃん、お開きの時間や。正直、こっちは“そんな眼”した奴とこれ以上やり合いたないわ。」

【伸びた腕が左右の壁に伸び、彼の身体を支え、持ち上げる。あっという間にその身体は上空へ】
【──数秒で屋根の上に到達した彼は、雲間に除く満月を背に、彼女を見下ろす】
【その表情からは、先程の獰猛な笑みも、彼女を煽った言葉も似つかわしくないように感じられる】


「ええか。もう一回言う。今日のことは忘れぇ。……いや、訂正。
 さっきも言うたが、あのオッサンの顔だけ覚えといてもえぇ。それが、“こっち”のできる最大限の譲歩や。
 それで収まらんなら、本気で殺しにかからんとアカンわ。──分かったか。」


【平坦な口調からは、先程よりも迫力のようなモノが感じ取れるかも知れない】
【彼女を煽り、こちらに意識を向けさせる。──それが、彼の目的だったのだろうか】
【これ以上、踏み込むのなら、彼は“その眼”をする彼女に対すべき、相応の手段を取る気だろう】
【──、もし、彼女がそれを望まず、彼の逃走を許すのなら。彼は、口元に少しの笑みを浮かべて、姿を消すはずだ】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/20(土) 22:52:18.39 ID:/fttXoy50
>>220

【逆袈裟に振り抜かれた刃――ほんのわずかな月明りに、水を纏う刀身は不可思議に煌めいて、ぱっと散った酸のしずくが、ぱたたっ、と、小さな音であたりに落ちる】
【酸の一滴は少女の頬に滴ったがそのまま落ちる。だけれど――別のしずく。古い壁にしみ込んだものが、しううとわずかに音を立てているのを思えば】
【ただこの少女が影響を受けないだけなのだろうとも思えた。有毒の生き物が自分の毒に中らないみたいに、多分、そういったもの】

【断ち切った腕が、消滅する。だけれど本体までダメージは及んでいない、だろう。さっきの水蛇を回避する盾に使ったこともある、おそらく感覚はリンクしていない】
【ぎゅっと噛んだ唇と一緒にそんな理解も噛み締める、――遠くからでは防がれる、近ければこちらの間合いではない、かといって――近づけば、今度こそ打ち据えられる】
【そうなれば本当に骨の二三本は軽く持っていかれるだろうし――持っていくだろう。だけれど、それが分かっても、分かったのだとしても】

――お兄さん、知っている? わたしの嫌いなタイプのひと……、――、あのひとをどうするつもり?
どうだったとしても、それをあのひとがひどいことだと思うなら、……わたしはもう誰も目の前でそんなことはさせないし、

……――あの時。わたしがあのひとたちを見捨てたとき。わたし、セリーナと約束したの。強くなるって、諦めないって――だから、

【「諦めないよ」】
【あっという間に屋根の上まで飛び上がった姿を見て――今までよりも遠くなった距離。けれど、その声が聞こえないというほどではないだろう、何より目立つ声は】
【視線と一緒に明確へ相手へ向けられていた、真っ黒の瞳と、真っ赤の瞳と、それから、銀色の鈴の音の声と。あどけない顔はもう一度改めて笑ってみせる、だけれどそれは】
【それを呑めば見逃してもらえるという安堵から来るものでは到底なく、ならば、その意味合いは、煽り――挑発に似ているようだった。笑って、諦めないと宣言する】

【――いつか。もう何年も前に、同じようなことがあった。あの時、少女は今よりうんと弱くて、それで、怖くて、勝てなくて、諦めてしまった】
【自分さえ強ければ助けられたはずのひとを自分を護るために見捨ててしまった、そして、それが、いまだに――ふと思い出して泣いてしまいそうになるくらいの、記憶で】
【だから。だから今度は諦めない――だなんて、もしかしたら八つ当たりみたいなものなのかもしれない、いつかの出来事を、目の前の相手で、清算しようとするのは】

【当然この間合いでは届くはずのない刀を手元でずっともてあそんでいた。最終的に、順手ではない逆手で、ぎゅっと、柄を握りこんで――】

――ッ、!

【――だんと強い踏み込み、次の動作を彼は何のためだと判断するだろうか、たとえるなら、やり投げ選手が投擲の瞬間に取るみたいな、姿勢】
【そしてその動作そのもの。大きく振りかぶって――それで、投げつけるもの、手に持っていたもの。――もちろん、さっきの刀であって】
【こちらは明確に強い酸を纏った刃――それが、それなり以上の速度で、投げつけられる――狙いは胴、さっきの靴よりずっと精度が高いうえ、】
【刃が纏う液体が投擲された勢いでしぶきになって辺りへ散って――そちらもまた攻撃になりえた、あるいは、目に見てよけやすい刀そのものよりも厄介とも言えて】

【――――ぶわりと色濃い魔力を足元に流して、地面から"生やす"のは、魔力の蛇――それが、ぎゅうと伸び上がり】
【少女を頭にのせて――彼の立つ屋根の上まで。少女を運ぼうとするのだろう。けれど、刀を投擲した直後の一瞬、それから、蛇の上に立ち、同じ高さまで到達する、この数秒】
【相手へ向けられる意識はどうしても少なくなる――無防備、とまではいかないものの、それでも――小さくない隙は、確かにあって】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/20(土) 23:27:58.58 ID:kIvIk8I3o
>>221


「はっ。」

【彼女の語る信念に絆される性格ではない。──むしろ、この男はそういった非合理を嫌悪する】
【何が献身か、何が無私か、何が約束か。藍より青き信念が齎すのは、毒だ。それを身を以て知っている】
【だが、彼が彼女の言葉の中で、唯一認めるべきと感じたことがあった──、なら報いるべきだろう】

【投擲の体制を認識。十中八九、彼女が使用し続けている“酸”を帯びたものだろう】
【そして、これまでの戦闘の中でそれが“能力で以て防がれる”ことも認識しているはずだ】
【ならば、それは牽制に他ならない。──既に一手、先を往かれているのだ。取り戻さねば、勝機はない】


「さよか。


   ──そこまでの“ド根性”あるんやったら、こっちも“ケリ”付けんわけには行かんわなァッ!!」


【 ── その酸を帯びた刃を男は、正確に“蹴り”で弾いた。 】

【じゅう、という肉の灼ける音が路地裏に響く。服で護られているとはいえ、男の身体のそこかしこが、飛び散った酸を浴びる】
【中でも蹴りつけた脚は、激痛を訴えているだろう。──だが、眼鏡の奥の瞳は、一切の揺らぎを見せなかった】
【思考するは相手の想定を上回る動き。──恐らく、少女は“3つ”の腕がその身を襲うことまでは、想定している】
【だが、捨て身で刃を弾いた分、彼女に対応できる腕の数は“4つ”。──、それを、どう張り巡らせるか】

【まず一本目が上空へ伸び、彼女の脳天を狙って飛来する。直撃すれば、脳が揺れる。命に別状はないだろうが、意識を刈り取る一手】
【次に二本目が狙うのは魔力の蛇。土台を衝撃で以て揺らし、或いは破壊し、彼女の追跡を振り切ろうという一手。届けば、ベストではないがベター】
【更に三本目。地を這うように、彼女が降り立とうとする屋根を狙う。屋根の舗装を吹き飛ばし、彼女へと散弾の様な石礫を浴びせる】
【最後の四本目は、彼自身の足元を叩く。──妨げられなければ、彼の身体は宙空に跳び、表通りの方向へと跳んで行くだろう。逃走用だ】

【何れの腕も、その意図する動作を成し遂げるまでは、数秒。張り巡らされた腕は蜘蛛の巣じみていて、狡猾だった】
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/21(日) 00:05:23.77 ID:8OBnNZ/H0
>>222

【何より――それで何かが変わると、おそらく彼女さえ思っていなかっただろう。言いたいから言う、彼女の中でそうする意味があるから――口に出す、そして、】
【それで、自分の中で納得する。だから諦めない、諦められない。――投擲した刀は、"ありえないことだけど"、その身体に突き立つことがあれば、上々】
【そうでなくとも一瞬気を取らせれば上出来、飛び散るしぶきでは、よっぽど――例えば目に入るとか、そういったイレギュラーがない限り、特に意味はない】

【――だから、そこから先は、彼女の中での最速だった。ぎゅんと――早回しで見るたけのこみたいにぐんぐん伸びる蛇の頭に乗っけられて、高さはとうに何メートルにも】
【この高さから叩き落されれば、その時点で負けになる、だから、ほんの一秒でも――ほんの少しでも、あの刀で、時間を稼ぐ必要があったし、腕の一つの動きでも潰せれば】
【そこからさきがやりやすくなる。そう思っていた、――はずだった。だから、彼の行動――異能の腕ではない、その足で刀を蹴り飛ばされれば】

なっ――――!?

【予想しなかった動きに強張った喉から漏れる音――驚きの声と、詰まったような吐息の音。――けれど、瞳は、丸く見開かれた瞳が、彼の行動を追いかけ】
【弾き飛ばされていった刀は彼女からも彼からも遠い場所で花びらのような魔力片になってかき消える、それを視界の端で映しながらも、追いかけることはなく】

【避ける――あるいは異能で対処する。そうであるはずだった、そうであってほしかった、"わかっている"はずなのに、服越しとはいえ生身で触れるようにすることを】
【想定しなかった――だからここから先は、想定にない。避けさせるより隙は小さく、異能を使わせることは叶わず、自由な腕が四本――二対であるのを目はとらえ】

っ、っ――、桜花!

【――ひねり出すような声が、誰かを呼ぶ。けれどそうされるべき人物はここにはいない、まして、助けを呼ぶためのものではなく、ならば、彼女は足元へそう呼びかけた】
【足元――魔力で形作られた蛇。そしてそいつは、"呼ばれた"ように一度、頭を振りかぶり――強く頷くようなしぐさで、少女を、"飛ばす"、あるいは、振り払う】
【それと同時に足場としての役割を喪った蛇は、頭の先からばらりと無数の花びらにほどけ――ほんの一瞬、当たり前に空中をたゆたってから、目覚めたように、ぎゅと動き出し】
【跳ぶより飛ばされた少女に付随して舞う、ばらばら、ざらざら、と少しだけ金属質な音は、魔力片同士がこすれ合うときの音であるらしい】

【――ひとつめの腕は、蛇が少女を振り払って飛ばしたことによって、少女はその範囲から抜け出すことになる】
【――ふたつめの腕は、一部が残滓になって少女に付いたが、それ以外はいまだ蛇の身体として有ったものを破壊し、こちらは、本当に破片の落ちるように崩れていく】
【――みっつめの腕は、彼女のまさに降り立つはずであった位置を削り、巻き上げ、最低限の顔だけをかばった腕や身体を重たく打ち据え】
【――よっつめの腕は、けれど――自らに向かう破片を避けるでもなく、防ぐでもなく、ただ"突っ切った"少女が、もう、すぐそこへ】

――――っ、逃が、さない!

【いくらかの魔力片を付き従えた少女が勢いと体重を全部乗せて――まっすぐに彼に飛ぶ、手元で"ぎら"と強く煌めくのは、"さっき"と同じだ、ならば、そこに刀が出る】
【全くさっきと同じ様子だった。ならばどうするのかを予測するのも容易い――だろう、勢いも、体重も、全部使って、刀である必要すらないぐらい、愚直に、突き立てようとする】
【獲物を捕らえるために飛び掛かる瞬間の蛇と違うところなんてきっとなかった、瓦礫がしたたかに打ちつけた利き腕がひどく痛むから――これを逃せば、きっと、もう握れない】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/21(日) 00:27:27.28 ID:qJe8LNg8o
>>223

【男は初めて、目を瞠る。4つの殺し手を掻い潜り、少女の身体が迫る】
【最早、防ぐ手立てはない。──ぐさり、と、自らの身体の届かぬ場所へ、刃が侵食するのが分かった】
【刺されたのは、右腹か。狙いが定まっていない分、致命傷ではないが、深い。だが、自然と笑みが溢れる】
【それこそが、この男が“■■■”であったことの証明であり、今も“□□”に身を置く全てだった】

【── この感覚こそが、彼を生き永らえさせている。】


「く、はっ──、はっ、はっは。、ええ、根性や、嬢ちゃん。お前の、……勝ちや。
 やけど、なぁ。……逃げるぐらい、させて貰う──、で。」


【──表通りへと向けて落下する両者の下。走り込んで来るのは、黒塗りの車】
【それを少女が認識した時点では、恐らくもう遅い。男の方は、“車が向かっている”のを知っていた】
【最後の力で以って、刀を突き立てる少女を蹴り飛ばし、その身から離そうとする】
【仮に宙空で蹴り飛ばせずとも、恐らく、着地した後に“振り落とされる”だけだろう】

【彼の身体の着地点に、車が滑り込む。──運転しているのは先程の青年ではなく、別の黒人の男】
【鈍い音を立て、男の身体が車の天井に沈み込む。即座に車は加速し、もはや、手の届かぬ場所へ消えていく──】

225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/21(日) 01:11:04.98 ID:8OBnNZ/H0
>>224

【ずぐ――と切っ先が肉に潜り込んでいくときの、いやな抵抗感。それでも刃の進むのを彼女でさえ止められない、使った勢いと重さはそれだけ鋭く、害意に満ちて】
【出し抜くためでなく、取り合うための距離感、ひどく真っ白な肌は、いまとなっては寒さ以上に興奮のせいか赤く赤く色づいて、それがいやに艶めかしく、生々しく】
【この距離で初めて分かること――どうやら彼女は香水だなんてしているらしかった。甘い甘い、それでも少しだけ酸い、林檎の香りの、もの】
【恐怖とは違った高揚で震える唇から漏れる吐息が白く染まる、だからひとなみの体温があることが知れた、――だけど、多分、ヒトではない】

――――さあッ、黒い髪と……、あのひとは、どこに居るのか、教えなさいっ……、早く言わないと、死んじゃうよ?

【ぐっと突き刺さったままの刀は相手を逃がさない、けれど、同時に彼女もまた彼に縛られる。手を離せば済むものだとしても、それを離してしまうくらいなら】
【今宵のことは意味がなかったことになってしまう、だから余計に力を込めて、あどけない顔をぐっと彼の顔に近づける、意図的に低くした声は、荒い呼吸に彩られ】
【見れば額にはじとりとした汗が浮いて――折れたかもしれないと思った。今まで生きてきて、骨を折ったことはなかったけれど――それでも、今度こそ、そういう気がした】
【ゆっくりと追いかけてくる痛みが思考回路を埋め尽くしていく――だけれどおそらく死ぬことのない傷で、下手をすれば死ぬかもしれない相手を、そう脅してみせ】
【自分が優位であるのを示すように笑う、――それでも彼女としても死なれてしまっては困るのだろう、死人に口なし――だなんて、よく知っているから、それ以上がない】

【それどころか、刃が纏う酸性も――いまは鳴りを潜めているようだった。どうやら彼女が意図的に弱めた――あるいは無毒にしたのだろう】

今ならっ――言えば、許してあげる、ここまでで――……、っ、きゃ、!

【――けれど、落ちる。踏みとどまろうとした様子はあった、けれど、半ば引きずりこまれるような形になって――そしてそれを振り払うことができないまま】
【ふわとした浮遊感は間違いなく落ちていることの証明になる――ぐうとゆがめられた表情、彼が死なないように落ちなければいけない、考える視界の端に、車が過り】
【それだけなら、あまり問題はない。"そういうこと"もあるだろう、当たり前に見逃しかけた思考は、けれど、彼によって蹴りつけられて、"そう"なのかという理解へ変わる】

――――ッ!

【ひどく華奢な身体――無防備だった腹に蹴りを入れられれば、衝撃と痛みが刀の柄から手を離させる、思惑通りに蹴り飛ばされた身体は、空中でコントロールを失って翻り】
【その一瞬に目が合うことがあったなら――その"目"。最後に出し抜かれたことに気づいて怒り狂う目がぎらぎらと光って、相手の顔を、せめて覚えていようとするように】
【そしてその一瞬に、意識を突き立ったままの刀へ向ける、意図的に弱めた酸性を強めて、――――そうしようとした瞬間、だった。がしゃんとひどいひどい音は、少女の身体が】
【地面に置かれていた金属製のゴミ箱に激突する音以外の何でもなく、今まさに強められるはずだった酸性はそうされないまま、刀ごと花びらに散って消え】

【――――だから。走り去る車を追いかけるものはないだろう、もし誰かが確認したのなら、少女は先ほど落ちた場所から自然に転がったほどの場所に倒れて】
【起き上がることもないしいっそ動くこともない、良くて意識を失ったか、悪くて、死んだか――とにかく、彼らの逃亡は叶うだろう】

/おつかれさまでした!
226 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 01:17:47.37 ID:tTC6Dg2b0
>>219

【剣士の異名も、そしてその"本当の実力"をも知る事がない彼等には】
【まだ現状は単なる狐狩りでしかない―――だが、恐らくは数刻後に思い知る事になるだろう。】
【これは獣を狩る様なハンティングではなく、"魔物"を相手に生き残らなくてはいけない"サバイバル"であるのだ、と。】

『―――チャーリー、"エモノ"が其方へと逃げた。街区で紛れるつもりだろう。』

≪はっ。ふざけた奴だ。八つ裂きにしてみせますよ。攻撃行動を開始する!≫

【アルファは放った弾丸を華麗に回避し、路地裏へと姿を眩ませる剣士を静かに追う。】
【決して走らず、されど通路を塞ぐように。剣士の後を尾ける様にして、ゆっくりと路地裏へ自身も踏み込み。】
【同時に、展開した腕の重火器をチャージ再開、斧からは強烈な熱波を靡かせ高度な機械式のセンサーで剣士を捉えようとする。】

≪―――発見した。二体で襲い掛かる。行くぞッ!!≫

【剣士が逃げ込んだ路地裏の角、丁度中華料理店の裏側にあたる場所で】
【待機していた"チャーリー"と呼ばれる分隊五人のうち、二体が剣士に真横から飛び掛かった。】
【身を潜めていた物陰から飛び出るようにし、独りは片手に装備したまた別種の近接兵装―――電動の刃を持った】
【丁度エンジンカッターと呼ばれる類の工具にもよく似たそれを振り上げて、剣士の胴体を薙ぐべく真横に一閃、繰り出すだろう。】

227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/21(日) 01:32:57.24 ID:qJe8LNg8o
>>225

【戦域からの離脱が確認されると、後部座席の窓が開く】
【信号待ちで停車したタイミングで、金髪の男は這うように後部座席へ入った】
【──出血が酷い。しかし、運転手の男はと言えば、鼻歌を歌いながら、笑っていた】


〈HAHAHA、随分手酷くやられたな!まるで、腹からベリージャムの上澄み垂れ流してるみてぇだ。田舎のお袋思い出すぜ!
 ──おっと、シートは汚さないでくれよ、我らが女王様が経費で落としてくれるか分かんねぇからな!〉

「うっさい、アホが。さっさと、病院行け。……ホシは。」

〈ホシは“後部座席”で俺達とドライブを楽しんで貰おうと思ってな。
 縛って詰め込んだからゲロで喉詰まらさねえか心配だが、どうせ病院行くんだから大丈夫だろうよ。
 あの腹見たか?少しぐらい出しちまった方がいいぜ。──、で、アイツの方は──〉

「……いや、もうええわ。──ちょっと、寝る。」


【翌日、もしかすると、こんなニュースを見かけるかもしれない】

【「──、昨日、ハグ・フラッグス容疑者が逮捕されました。」】
【「フラッグス容疑者は水の国を中心とするの大規模裏カジノ組織の顔役であり、──」】
【「──櫻の国、雷の国等からの人身売買にも関与していたとの噂も」「背後には機関の存在が疑われており、大規模な資金源として──」】
【「警察では、数ヶ月前から内偵調査を続け、昨夜──」 】

【── 幾度も映し出され、或いは紙上に現れる写真の男は、“小太り”だった】

/お疲れ様でした!
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 01:46:54.94 ID:6E36CB8Wo
>>226

【とは言えこの戦いの狩人が誰で、魔物が誰になるのかは――】
【さて、神のみぞ知る、ということころであろうか】
【常に戦いというものの勝敗は、揺蕩っている】
【物量と連携というのは、いつだって特化した個を打ち破り得る。青年はそれを、よく知っていた】

【そうして、中華料理店の裏側】
【平常ならば食欲を煽るであろう、油の匂いがするそこで、機械兵二体は彼等にとっての獲物を発見し――】
【剣士は、己の罠に敵がかかったことを知った】

【剣士には、機械式のセンサーも、未来視を可能とする魔眼も、物陰を透過する認知能力もなかった】

―――ようこそ。そして、さようなら。

【ただ戦場で鍛えられた、獣のような勘と、敵の挙動を逃さぬ眼と、会敵し得るだろう、という戦術予測を持っていた】

【チャーリ―。――仮に、今交戦に突入した彼等を、チャーリー1、チャーリー2と呼称しよう】
【真横から飛びかかるその二体の、電動の刃を持つ方。チャーリー1が繰り出した一閃を、青年はよく見ていた】

この場、即断させてもらう。

―――唸れ、断空。

【腰から、白木の鞘に収められた刀を、チャーリー1の刃と正面からかち合うよう抜き打ち一閃】
【既に彼の刃、断空は魔力を得てその特性を存分に発揮している】
【万物を斬り裂く、その特性を】
【チャーリー1の対魔力にもよるが、通常の物質、通常の範疇であれば――】
【エンジンブレードにも似たその刃と、断空がぶつかり】
【断空は、チャーリー1の刃、そしてその本体を斬り裂くだろう】
【もし斬り裂くことに成功したならば、切り払ったその刃を袈裟懸けに振り上げて、後ろに続くチャーリー2へと振り下ろす】
229 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 02:09:50.81 ID:tTC6Dg2b0
>>228

【たかが剣士一体。そう考えていたからこそ、彼等はゆっくりと追い詰めようとした。】
【仮に相手の戦力を過大評価していたならば、そもそもこんな"狩場"に相応しいフィールドは選ばない。】
【獲物が一体、隠れる場所が豊富な街区となれば有利に働くのは同士討ちの可能性がない剣士の方だからだ―――そう。】

【有体に言えば、それは相手の戦力の過小評価。】


≪―――ようこそ、だと? 調子に乗るのも大概にし……っ≫

【有体に言えば、それは相手の存在への無知。】

≪なっ―――なぁっ!? なんっ、だその―――剣、はぁっ!?≫

【―――有体に言えば。それは完全なる相手への油断。不注意。舐めプ。】

『……こちらアルファ。チャーリー1、チャーリー2。どうした、応答しろ―――チャーリー1!』

【アルファが焦った声で歩を進める。二人、連絡が途絶え無線からザーザーという無機質な音が漏れ。】
【そして遅れて、彼らが機械の身体から"ログアウト"したことを示す信号が眼前のデータに表示され―――理解する。】
【五人いる近接戦闘員のうち、ものの一分も経たないうちにこの"狭さ"で二体が葬られた、という事実が物語る、あの青年の本域を。】

≪此方チャーリー3、チャーリー4。チャーリー5を先行させ進行中。≫

≪"狐"は前方10メートル以内に潜んでいる、チャーリー1・2がログアウトしたのがこの近辺だ。≫

≪囲って仕留める、これ以上は逃がすわけに―――≫

【大型のチェインソーを備えた攻撃的な見た目の機械兵、チャーリー5が先行する一行は】
【そんなアルファの危惧など知らず、剣士へと果敢に接近していく。センサーを駆使、音と匂い、熱を感知。】
【完璧な位置取りこそ分からなくても、ある程度の位置さえわかれば、後はその路地の退路を断つ様に皆で囲うだけでいい。】

『……待て、チャーリー。此方アルファ、私が到着するまで待機して―――、』

≪毛皮は目の前だ、今夜は狐鍋にしましょう、指揮官。―――行くぞ。≫

『気を付けろ、既に二体をやっている様な相手だ! 一旦離れて……くっ、間に合うか……!!』

【アルファが慌てて、チャーリー三体と剣士が相まみえるだろうポイントへと急ぐ。】
【自分が到着さえすれば―――という彼の考えもまた、温い思考ではあったのだが。】
【ともあれ、三体に任せておくことは自殺に等しいと判断、素早く移動を開始するの、だが】

【チャーリー三体はそれぞれチェインソー、エンジンカッター、そして後方の一人がプラズマを調整した火炎放射器の】
【バリエーション豊富な武装で身を固め、剣士がいるであろう路地を前後から塞ぐようにして迫っていく。残る退路は上部か、もしくは】
【付近の建物に入るしかないが―――手近な窓が存在する料理屋の内部から、最後の一体が火炎放射器より炎をゆらりと燻らせ進軍開始。】

【かくして、剣士を発見できたならばそれぞれが行動を開始するだろうが―――はて。】
【データでリンクさせたような"継ぎはぎ"の身体で。近接戦闘の神髄を極めたあの"騎士"に対して】
【本当に武力が通用するのかどうかは―――また、別の問題だった。何故なら彼等には、まだこれは"狩り"であったから。】
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 02:32:54.28 ID:6E36CB8Wo
>>229

【切り払った刃を、ちゃりん、と再び鞘へ納める】

――さて。ソーンが居るとすれば、ここからは時間との勝負だな。
まあ、増援が到着するまで粘っても良いけど――被害は少ないに越したことないし。

【路地裏でぢぢ、と音を立てる、二体の残骸――屍をちらりと見る】

【通常ならばここでデッドエンド。ただし、遠隔操作しているこの機械兵の操縦者は、戦闘経験を引き続き積んでいく】
【生命の危険がない故の、多少の判断の甘さはあったが――損耗しない兵がどんどんと熟練度を上げていくのは、恐ろしいことだった】
【メカニカル・プラトーン<機械兵団>の、目立ちづらいが確かな脅威性を、心の中に、一つ特記した】

ならばこそ、何が起こったかわからぬうちにロストしてもらわないと、だね。

【そうして、再度剣士は闇へと紛れる】
【とは言っても物陰に身を隠すだけ――入り組んだ路地裏の壁に、ぴたりと張り付いて】
【複数の敵が迫っているのを察知する】

(視認できるのは――今、二体。この部隊は恐らく、遮蔽物に隠れていた五体のはずだ)
(先程仕留めたのは二体。あの二体が別行動とすると、一体が余る。指揮官機? いや、それは先程の斧持ちのはず)
(ならば恐らく、バックアップに一体が付いている。前衛と後衛を明確に分けていたこの部隊ならば、そうするだろう)

【ちらり、と路地裏から空を見上げる。四角に切り取られたそれに、現在敵影はなく】

(おそらくは、建物の内部からバックアップか。最初に屋上に登っていた部隊にまで来られると面倒になる)
(ここも短期戦。三体を相手に、無傷でも済むまいが――)

【南無三、と。すらりと断空を抜いて、張り付いていた壁に正対する】
【ざくり、と、あまりにも簡単に壁を切り裂いて】
【その強靭な両脚で、壁を蹴り抜いた】
【もちろん大きな音が立つ。もしも火炎放射器を持つ個体がその店舗の中にいるのなら】
【蹴りぬかれた壁が砕けてあげる土煙の中、断空の刃の閃きを見るだろう】

【しかし、今の轟音は残りの二体に明確に位置を伝えることとなる】
【また、バックアップの排除を優先した剣士の選択は、前衛二体に攻撃のアドバンテージを与えるはずだ】
231 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 02:54:19.08 ID:tTC6Dg2b0
>>230

【状況を的確に読み取る戦術眼。剣士というよりはもはや、それは一個の"軍隊"。】
【流石にかつて、"騎士"の名を欲しいが儘にした男、という所か。積み上げられた経験と技術】
【そして強靭な肉体に折れる事ない不屈の意志が組み合わさり―――確かに、そこに居たのは"狼"】
【そう、これは単純なハンティング等ではない―――狼が放たれた荒野より脱出すべき生還劇<サバイバル>だ】

【そのことに、気が付いた時にはもう遅い。火炎放射器を称えたバックアップの一体は】
【猛烈な勢いと共に蹴り砕かれた壁面の破片を浴び、すかさず視界を遮られる―――粉塵だ。】
【だがその中でも視界を熱感知に切り替え、敵のいるであろうその方向へめがけ全開出力で火炎を、】

≪う、おおおおおおおおおおおっ!!≫

【撃ち、放つ。と同時、煌めく刃が機械兵士の首を確かに引き裂き―――沈黙。】
【だがここが機械の恐ろしいところだ。頭部が切断されても尚、腕から放たれる火炎は決して消えず。】
【トリガーを引くでもない、逐一制御をしているわけでも無い―――発射すればそれっきりのエネルギー消費型のそれは、確かに放たれ】

≪―――くそっ、またやられたか!! 行くぞっ!!≫

【路地を業火で埋め尽くす―――勿論一定の期間で炎は噴出を終えてしまうが】
【その間に放たれる火炎は広範囲かつ超火力、回避はこの狭い路地でそう、簡易ではないだろう】
【そうこうしている間に殺到するのが残るチャーリー二体、チェインソーとエンジンカッターを備えた彼等が剣士のいるであろう方角へ】

≪は、ああああああああああッ!!≫

【一斉に攻撃を開始、チェインソーを突き出し、そうしてエンジンカッターで迫りくる。】
【同士討ちにはならない様、センサーで互いの位置取りをしっかりと把握しながら二体は、連撃で剣士に襲い掛かった!】

『―――ちぃっ。一旦引け、チャーリー!』

≪いやっ、ここで仕留めます! 奴は俺たちで!!≫

【アルファと残る二体が無線で交わす言葉が、電子の情報の中へと消えていく―――。】
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 03:13:56.14 ID:6E36CB8Wo
>>231

(―――火炎放射……!)

【通常の実弾兵装であれば、本体さえ無力化してしまえば大した脅威ではない】
【ただ、このタイプの兵装は――現実そうであるように、燃料、あるいはエネルギーを消費し切るまでその影響を及ぼし続ける】
【市街地において、何より適した兵装であると言っていい。ぐるりと側転し、炎の塊の直撃こそ避けるものの――】
【もはや炎の王の加護無き剣士に、その熱量は十分なダメージを与えていく】
【唯一王の加護といっていい、その外套。対魔力、対属性に優れるそれで身体を護るが】
【続く火炎放射の中、呼吸すらままならない。彼の上半身には、複数の熱傷が与えられていた】

(――こりゃマズいな……)

【ままならぬ呼吸、そして生身の肉体に多大なダメージを与える炎熱の中】
【その双方を苦としない、機械仕掛けの兵士が二体、確かな連携を以て迫る】
【外套で防御している都合、その視認もおぼつかず】

【チェインソー、その一撃が剣士の肩口を襲う。どちらも大きな音を出す兵装のため、体を捻って回避するが】
【ざりざりと、剣士の肩には抉られたような傷が残る】

【身をかがめてエンジンカッターをなんとか回避すると、】
【兎にも角にも、この灼熱地獄から脱出するべく、下半身のアーマード・マッスルに力を込めた】
【だん、と後方に弾ける。その加速は、うまく行けば数秒――態勢を立て直す時間を、剣士に与えるだろう】
233 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 03:23:48.42 ID:tTC6Dg2b0
>>232

【元は邪魔な人間を片端から消し去る為の装備として備えていた火炎放射器だが】
【こういう場所でこう言った成果を生み出すとは。沈黙した機械兵士の腕から轟々と放たれるそれが】
【次第に弱まっていき、そうして完全に消え去る頃には視界も開けてくるだろう、少なくともそこには血跡が続いている。】

【だがそこに、既に剣士の姿はない。炎と、粉塵に紛れ素早く跳躍と回避をこなした剣士は】
【機械兵士が反応するよりも早い速度で後方へと飛び退けていたのだろう、機械兵士たちは困惑した。】
【確かに続く血跡、手応えのあったチェインソー、そこにこびりついた血液。間違いない、奴は手負いだ、だが―――】

≪―――そこ、かぁっ!!≫

【振り返ったエンジンカッターの一体が、後方へと非難した剣士を発見する。】
【そうして二人がそろって突撃、チェインソーを構える一体がジェットを吹かして飛翔、上空より落下しながら刃を振るい】
【エンジンカッターを構えた一体が突貫、前方に向けて此方も燃料を噴射し勢いを付けて加速装置とし、素早い動きでカッターの刃を正面に突き出す―――!】


≪貰ったぞ、"狐"……!!≫

【だが―――彼等は間違っているだろう。】
【見失っていた"ほんの一瞬"こそが、彼の態勢を立て直すのには十分すぎる時間だった、という事を忘れているのだ。】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 03:45:26.76 ID:6E36CB8Wo
>>233

【数秒。呼吸を調え、己の被害を確認する】

【左上腕部裂傷。出血多、断空を扱う場合は右手一本】
【上半身各部、熱傷多。戦闘終了後には要治療、痛みによる集中力の減衰あり】
【刃の上の選択、精度が多少落ちるが運用は可能――と】

――やるじゃないか。少し、手順に気を使う必要があるな。

【二人が接近してくるのを視認する。―――接近】
【そうしてくるのなら、恐らく断空の特性はまだ相手に伝わっていまい】
【この後、あの『斧持ち』と斬り結ぶ必要がある。もはや万全ではない状況で、有利をとれるとすれば】
【それは断空の特性――武器同士でのぶつかり合い許さぬ、一撃必倒の一撃を用いるほかはない】

【とするのなら、この二人の撃破は、断空を用いない方法で行う必要がある】
【そしてそれは、未だ熱傷の影響を受けていない――この両脚で行うべきだろう】

【突貫してくる一体。それに向かい合わせるように、剣士も加速する】
【空中で行き合うその刹那、デュラニウム合金製の彼の脚――アーマード・マッスルで、エンジンカッターを持つその機械兵を】
【上方へ“打ち上げる”ように、蹴撃を放つ】
【まるでサッカーボールを蹴るように、放ったその一撃。エンジンカッターとアーマード・マッスルが鬩ぎ合うこととなろうが】
【その強度に任せて、脚を振り抜く】
【直撃すれば、機械兵を吹っ飛ばすには十分な威力で――そして】
【剣士が機械兵をボールに見立てて狙うのは、チェインソーを持つもう一体……!】

【乱暴な言い方をしてしまえば、敵のうち一体を、もう一体に向けて蹴り上げる――そんな一撃を、剣士は放ったのだった】
235 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 11:03:36.93 ID:tTC6Dg2b0
>>234

【"剣士"に被害がない訳ではなかった。部隊の損傷率はもはや"痛手"では済まされないレベルだったが】
【相対するこの"狐"―――否、ジャングルに放り込まれた雄獅子もまた無傷とは済まなかった様だ。だが、それでも】
【恐らくはこの戦闘の"大まかな流れ"―――というよりも、取り巻く環境に変化はない。依然として、そう依然としてこれは"狩り"】

『……間に合え、間に合うか……間に合え!』

【アルファが駆け寄る。割れた破片と黒い煤、そして灰がそこかしこに残り、滅茶苦茶になった路地】
【恐らくはそこで行われたであろう戦闘―――その展開を想像し、そして戦慄する。三対一、それもこの閉所で】
【あの剣士は火炎放射器と近接武器を持ったロボット兵士三体を相手に、生き残ったというのか―――アルファの視界には】
【何らかの強烈な"打撃"を浴び、コベコに凹んだ装甲の兵士の残骸が一体と、それが伸し掛かった事で重量と衝撃に破壊された一体が眠っていた。】


【十数秒前の事―――】


≪ふっ。向かってくるか、ならば叩きのめすまで!≫

≪そんなチンケな刀で、この電動刃に敵う筈が―――!≫


【彼らの誤算は三つ。先ず一つ。】
【彼らが思っているよりずっと、目の前の剣士が持つ刀は凄まじい切れ味を誇り―――万物をなます斬りに出来る力を持つ史上最強の破壊力を持つこと。】
【二つ。所詮は人間、機械兵士の自分たちに敵う様な機動力を保有してはいない筈という想像。彼の脚は短距離ならば自動車をも凌ぐ速度を発揮する。】
【そして三つ―――どう足掻こうとも、こと接近戦において、この剣士に機械の肉体で挑もうなど―――無謀にもほどがある、という事。とどのつまりは。】

≪……っ!?≫
≪は、やっ―――まてっ、やめろ、くる―――、な……っ、≫

【突撃した一体がそれを上回る速度で蹴り飛ばされ、ものの見事にその重量を吹き飛ばされれば】
【上方に居た一体に見事に命中、ジェットが破損しそのまま―――くんず、ほずれつの墜落、そして―――破損。】
【強固な装甲を持つが故、噴射機構さえなければ着地が仇となり機械の兵士はそろって沈黙、そうして路地には二体の亡骸が並んだ。】


『……出てこい、居るのだろう。』

【すっ、と構えた斧が暗くなってきた夕暮れに怪しく光った。】
【アルファは、そこに居るであろう剣士に言葉を発し、そして―――相まみえる。今度こそ一対一、だ。】
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 11:35:42.63 ID:6E36CB8Wo
>>235

【運良く、蹴り一本で二人の近接戦担当を凌げた】
【断空の一撃、その情報を温存したまま――恐らく、伝わっていても切れ味の良い刀を持っている、程度だろう】
【そうして、この大一番に臨めた】
【今何体かの機械兵と交戦した限りでは、あのアルファの技量が群を抜いている】
【そしてまた、あの赤熱する斧は他の誰も装備しておらず、恐らく少数配備、あるいはワンオフの装備】
【とするなら、古典じみた斧と刀での交戦に乗ってくる可能性は、高いと言えた】

――なるほど、勘がいいね。

【じゃり、と足音を響かせながら、剣士が物陰から進み出る】
【火炎に煤けた顔、血の滲む左の肩口――彼の部下が与えた損耗は、見て取れるだろうか】
【あるいは既に一分隊を屠った相手としては、軽傷に見えるだろうか】

……残る君の部下、UT、風の国の増援――それらは、今此処には来ない。
邪魔の入らない、サシの勝負だ。
受ける勇気はあるかな、ビックジョン。

【そういうと、右手を刀の柄に添える。左手は、ぶらんと垂れ下がったままだ】
237 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 11:59:13.13 ID:tTC6Dg2b0
>>236

【腕にある怪我を素早く目視、そして遅れて入ってくる"倒された仲間達"からの情報を整理、整合。】
【なるほど、これほどの男を前にこの人数で怪我を与えられたというだけでも奇跡的、なのだろう。そういう手合いだ。】
【アルファは既に理解していた。狐狩りなど最初から始まっておらず、此方は一方的に駆られる側の存在であった、という事実をだ。】

『私の仲間をここまで容易く屠るとは……貴様は一体、何者なんだ。』
『単なる無頼、という訳ではあるまい。だが身分を聞けばバイトだのなんだのと、嘯く。』
『―――隠す必要がある存在、だとすれば貴様は……新たな組織の先鋒か、いやだとすれば何故……』
『何故こんな街に現れた。何故、くだらん命などを護ろうとする。何故……我々に立ち向かった。何故だ、剣士……!』

【言葉を続けながら、アルファは一歩、また一歩とレンジ<距離>を詰めていく。】
【斧と剣、接近戦を担う武器としては共通だが、圧倒的に間合いという点で差がある。】
【此方の斧も相当に大型ではあったが―――それでも、刀にはまだ及ばぬ。であれば。】

『答えてもらうぞ、剣士―――貴様の所属、貴様の目的、そして貴様の―――名前を!』
『我が名はカノッサ機関がナンバーズ、"参謀"ソーンの直属兵隊"PINOCCHIO"所属、 機械兵士<ドローン・オプス>の隊長!』
『インデラル・ジブラス―――又の名をアルファ・ユニット! 貴様のすべて、吐かせてもらう!!』

【―――接近。接近。接近。にじり寄り、そうして誰の邪魔も入らないこの一瞬に賭け】
【永遠にも近しい間の後、あと一歩で互いの攻撃全てが命中するというその距離に―――踏み出す。】
【相対した剣士と機械。向かい合った邪悪と正義。現代の技術の粋を集めて作られた肉体と―――伝統と伝説に彩られた古戦場の騎士が】

【そう、何もかもが相対的な両者が―――、】

【からん、という音。路地裏に響いたそれは、破壊された鉄パイプが自重に耐えきれず壁からずり落ちた音。】
【それを合図とし、アルファが大きく、鋭く、素早く踏み込む―――届く。確実に、削れる。両断できる、この男の首を―――!】
【脚を出し、接近し、そして振るう―――下方からかち上げる様に、半月を描くラインでプラズマ・ヒート・アックスを、その刃を、振るう―――!】

『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――ッ!!』

【一戦、そして一閃。静寂の中に生まれた切っ先と切っ先の勝負。】
【運命の女神は果たして、何方の"騎士"に微笑むのか……!】
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 12:17:57.14 ID:6E36CB8Wo
>>237

【ぐ、と柄を握る拳に力を込める】
【恐らく勝負を決めるのは一合。今日はよくよく炎熱に縁がある――そんなことを思う】
【そうして、目の前の機械兵――いや、目の前の男が名乗りをあげた】

ああ。―――参ったな、君たちに知られるのはとても、都合が悪いのだけど。

【けれど、生命を賭して戦った相手だ。たとえこちらだけが現実の生命を掛札に載せていたとは言えども、戦った相手に、敬意を払う】
【それがこの剣士の流儀だ。ならば、その名乗りを受けて自らを誤魔化すわけにも行かない】

我が名はウェイン。
かつて勝利の王の遣いを務め、
使命ありて、時の彼方より再びこの世界に現れしもの。

【そうして、鉄パイプの落ちる音。右手で腰の刀を抜き放つ】

――――その二つ名を、断空と言う。その意味を、今君に教えよう。

【唸れ、断空、と。裂帛の気合を放つアルファへ、どこか優しげですらある声で、ウェインは告げた】
【今、荒々しい魔力が、その刀身に吼えたける――――】
【紛うことなき、最大出力の断空。周囲の空間すら引き裂くそれは】
【虚空に痕を残すように、相対するアルファの軌道を、上方から迎撃するように、同じく半月を描くラインで】

【ヒートアックスと断空、その相克に勝利したのであれば、そのまま刀を取って返す心算だが――】
【まずは、この一閃。勝負を決めるこの一閃に、全霊を掛ける―――!】
239 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 12:37:47.31 ID:tTC6Dg2b0
>>238

【機械の兵士に死はない。ただ接続されているだけの電力が、遮断され、そしてアバター<化身>が破損する、のみ。】
【データのやり取りならいつでもできるし、なんなら斬られた直後の映像まで、鮮明に残すことが出来る。そう。】
【彼等に死は、ない。死する事なき仮初の身体と仮初の精神。だが―――そんな冷たい理屈の中でも。】

『―――ッ、斬る……ッ!!』

【恐怖を、感じる。命のやり取りに相応しい恐怖と、緊張感。そして死の近づく、暗い音を。】
【感じずにはいられなかった、それこそが彼の剣士の真の力―――濃密で濃厚な余りに強き魔力と戦意が】
【むき出しの刃に乗せられて殺到する、その刹那。アルファ―――否、インデラルは確かに慄いた。斬られる、という恐怖に。】

【ぶつかり合う熱と剣、刃と刃。交差する科学と魔力がそれぞれを主張し、否定し、そして鬩ぎ合い】
【瞬間、勝負は決する。魔力が物理を乗り越え歪ませ、ただその結果―――"万物が裂かれる"という結論のみ残して】
【剣が、なんていうことは無い、刀が―――斧を引き裂く。まるでナイフがバターを削ぐが如く。簡単に、いとも簡単に、何の障害もなく。】

【ただ、裂いた。切り結び、そして切断した。真っ二つに割れ、断面が空間より焼失したプラズマ刃が、落下する。】
【重力に抗えず路地裏に身を投げだした自身の武器を見つめ、目の前の人物が語った名を逡巡するインデラル―――嗚呼。】


『―――……そ、……馬鹿な!?』

【お前か。"貴様"か。"貴様"なのか。この小さな町に君臨し、無辜の人々を護ろうとする騎士は。】
【その正体は、"彼奴"だったのか―――あり得ない、という脳裏に浮かんだ言葉を封じ込め、インデラルはふっ、と笑む。】
【死んだはず、居ないはず、もはやこの世に存在しないはずの英霊、かつての伝説、邪悪を切り裂き光を齎した、勝利の名を持つ無敵の騎士……】


『―――……、見事だ。』


【どういう理屈かは分からない。ただ、相対した自分にはわかる。彼は本物で、彼は実在して。】
【噂にしか、話にしか、上司の言葉でしか知り得なかった最強の敵を肌身で感じるインデラルは、言葉を漏らした】
【見事だ、と。そういう他なかった。ここまで圧倒的な"差"を、絶望的なまでの美しき太刀筋を見せつけられて、笑わずにいられる物か。】

【己が武器を破られれば、もはやこれまで。アルファは乾いた笑みを零しながら】
【チャージを終えた腕の弾丸を向け―――最後の一撃としようとするだろう。】
【無論、当たる筈も無いし、当てるつもりもなかった。ただ、こうでなくては】

【―――こうでなくてはいけない。これほどの戦士を前に、参ったという言葉など言えようはずもなく。】

【ただ、アルファは足掻いた。無駄な動きと知っていても、それが戦士の誇り、宿命だと知るからだ。】
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 13:04:25.06 ID:6E36CB8Wo
>>239

ああ、君も。見事だった、インデラル。

【そう、言葉を返す】
【インデラルの持つ、プラズマアックス――それに準ずる脅威度を誇る兵装として、腕のキャノンは懸念していた】
【けれど、インデラルの感じているとおり、勝負を決める一合は、断空の刃が食い破っていて】

――そして、今も。
人形だなんだと思っていたけど――やはり、誇りある戦士だな。

【最後の一撃を、諦めず放とうとするインデラルに】
【惜しみなく賞賛の言葉を向けて、刀を取って返す。
 一歩踏み込み、斧を斬り裂いたその刀身を上に跳ね上げ、弾丸の込められた腕へ一閃を放つ】

【断空の性能を隠していたがための、認識の差】
【ウェインは斧を斬り裂くことを最初から想定しており、インデラルは恐らくそうではなかった】
【その速度の差と、情報の差が、この一瞬に結実する。射撃より、わずかに早く、届くだろうか】

【届けば、幕。届かなければ――プラズマの一撃は、正しく騎士へと放たれるだろう】
241 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 13:37:26.06 ID:tTC6Dg2b0
>>240

【噂にい聞いた事がある。かつての機関の仇敵、最大にして最悪の存在。】
【いかなる装甲も武装も斬り裂き、此方の思惑を打ち砕いてきた恐れ多き存在。】
【だが、こうも聞いていた―――"奴はまさしく騎士だった"、と。純粋なまでに、ただ。】

『―――次は、生身でな。』

【インデラルの火砲は火を噴かない。代わりに、腕のそれごと金属の肉体を裂かれ】
【戦斧<バトルアックス>同様、鋭い切っ先で破壊―――消失、沈黙。機械は切断され崩れ落ちた。】
【残るは火薬のにおいと、微かに微動する騎士の矜持、そして機械の破壊音のみだった。一瞬だが、訪れた静寂だ。】

【既に雌雄は決した、と言っても過言ではない。】
【PINOCCHIOはその大半を損ない、頭の最高戦力すら亡き者にされ】
【もはや作戦は続行不可、そういう状況で佇む剣士の―――上部。強烈なジェット音が耳を貫くか。】

[ブラボー1、ターゲット補足出来ず。]

〈ブラボー2、目標確認出来ず。チャージ完了。〉

《ブラボー3、状況を把握した。街区に味方戦力の影を確認できず。攻撃の準備完了。》

〔ブラボー4、広域破壊型プラズマ・ミサイルロックオン。街区ごと全て吹き飛ばす、全員飛翔しろ。〕

【上空、四体の機械兵士がそれぞれにプラズマ兵器―――遠距離を主とするそれら火砲を構え】
【一斉に、街区めがけて射撃を始める、ただただ只管に、連射し、ハチの巣にすべく―――ただ、ただ。】
【穿つ、穿つ、穿つ。雨の様に嵐のように、弾丸を降らせる。無論狙いは正確ではない、単に撃ちまくる、それだけ】

【だがその"弾幕"という物の恐ろしさを、彼の剣士ならば重々把握している筈だ。】
【彼の盟友であり、そして唯一無二の戦友でもある"あの"男が常に得意としていた銃火による殲滅。】
【一対一ではウェインにこそ分があるが、多数の敵を葬る制圧力ではあの男が僅かに勝るだろうか―――そんな親友】

【その男の戦闘を真横で見てきた彼だからこそ、分かるだろう。その滅茶苦茶な攻撃はもはや爆撃にも近しい物だ、と。】
【もはや目標や標的などどうでもよく、ただただ敵を消し去る為だけの"暴力"的な火線―――これこそが、機械兵士の最後の手段。】
【仲間がいては出来ない戦法、苦し紛れの最後っ屁。無駄になる可能性すらある戦術だが、それすら許さないと"参謀"は計画していたのだろう】

【ブラボー4、ひときわ大きな兵装を背負った飛空兵士が肩の装置を作動させる。】
【そこに鎮座するは無数の―――筒。これは……"ミサイル"、か。恐らくはこれも、プラズマ技術を応用した兵装。】
【発射されればどういう事になるか、そもそもこれが急襲任務であることを考えれば後処理のために大規模破壊兵器を持ってきている事は想像に容易い。】

「……残念だ、騎士。何の因果でどう"顕現"したのか知らないが……ここで、消えてもらうぞ。」

【遠く彼方、空に浮かぶ空中輸送機の機内より。画面を見つめる一人の老兵が、静かに笑んだ。】
【だが、その時―――剣士の耳元に聞き慣れない音が侵入してくるだろう。弾丸の爆ぜる音でも、街区が崩れていく音でもない。】
【断続的かつ連続的、ちょうどこう、机を指でこつ、こつと叩く様な音が―――それを何倍も強くしたような強烈な音が、かつん、かつん、かつん、からん、と。】

【いや―――これは。これは、違う。机をたたく様な軟な音ではない。】
【何か―――動物。そう、"蹄"を持つような生命体が、地面を穿ち、力強く叩き、疾駆する音。】
【そうして彼方より、また別の新たな音が聞こえてくるだろう―――"たった一発の鋭い、あまりに鋭い銃声"に加えて、】

【―――声。天を穿つような大きな、それでいて鋭く、まるでそう―――弾丸の様な声が。】
【―――これは―――……"馬"、か。ともあれ、上空を見渡す事が出来るならばウェインの目に、それは映るだろう。】
【一瞬の間、息着く間すらなく神速の"速撃ち"<ファスト・ドロウ>によりその兵装を悉く、正確に、無慈悲に、容赦なく"撃ち抜かれ"た兵士達の―――姿が。】

【銃声は一発、されど破壊されたのは四人の兵装―――否。否……そう、ではなかった。】
【たった一発に聞こえる程異常な速度で抜き撃ちを行い、四発もの弾丸を瞬時に放っていたのだ―――こんな芸当を出来る者は】

〔―――……おでまし、か……!! UNITED TRIGGER!!〕

【―――生まれたチャンス。反撃なら、今か―――ッ!!】
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 13:55:29.65 ID:6E36CB8Wo
>>241

ああ。その時こそは、君の武器は僕に肉薄するだろう。

【そうして、かしん、と刀を納める】
【一瞬訪れた静寂を斬り裂くかのような、ジェット音】

【空を見上げれば、夕方の空に、いくらかの機械兵達】
【その狙いを正確に察したウェインは―――】

……いや、まあ。これは無理だな。
そう、僕一人では。

【そも、刀と投擲用の短刀しか装備していない剣士に、空中の敵を攻撃する手段はない】
【では、今までどう、その局面を凌いできたのか】
【あくまで単騎討ち、戦術面の存在にしか過ぎない剣士が、いくつもの大規模戦闘を凌いできたのは――】

いつだって、僕自身の力だけではなかった。
なあ、ソーン。いつでも僕は仲間に助けられて戦いに勝ってきて――
仲間の居ない戦場で、僕は生命を落としたんだ。

【性格に似合わず狡猾な戦法を取る、連合のリーダー】
【彼をその側で支える、雷を武器とするその妹】
【仮面に拠って人格を変える、魔剣両道の貴族】
【音を操り、知略でウェインを支えた異世界からの来訪者】
【そして、ウェインが無二の友とした、二丁拳銃の半人半魔――】
【さらに、ウェインとともに歩んだ全ての能力者達】
【彼等の助けは、今、この場には存在していない】

だが、今回は。

【鈴音から聞いていた。確かな正義の力が、この世界には存在すると】
【ならば、ここまで自分が時間を稼いだのなら―――】

征け、英雄!
君の世界だ、救って見せろッ!

【そして、一発――いや、あまりの速度に聞き取れないが、複数の銃声が響く】
【なかば確信めいて到来を予期していたウェインは、地上に残る敵戦力、そして】
【現れた射手が撃ち落とすであろう敵を屠るため、その脚力を活かして、ビルの屋上へと躍り出る】
243 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 14:33:48.17 ID:tTC6Dg2b0
>>242

【兵士達には、何が起こっているのか俄かには理解できなかった様だ。】
【それもその筈、上空を飛翔する自分達に標的を定めるだけでも容易ではないのに】
【真っ先に武器を沈黙させて攻撃力を奪うという正確な判断で、それを実行してのける戦闘力。】

【そんな物が存在しているという認識は、頭の片隅にはあれど目にはしていないのだ。】
【現れた"彼女"が、跨った白馬の蹄をアスファルトへと叩き付け、光速の如く疾駆する様を目にしようやく、】
【ようやく理解する。UNIETED TRIGGERがリーダー、戦士としては未熟でも、"ガンマン"としては至高の腕を持つ人物の到来を。】


〔―――気を付けろ、撃ち落されるぞ!! 弾丸は四発撃たれた、残りは二発―――っ!?〕

【ブラボー4、ミサイルを放とうとしていた彼のジェット噴射機構が両足とも矢張り"狂いなく"穿たれれば】
【たまらず屋上へと墜落、剣士ウェインの前に落下してくるだろう。そうして残りの四体に対して、白馬がひと際高く、跳躍―――ッ!】

〔……くっ。"断空"、と言ったか。せめて貴様の命、もらい受けるぞッ!〕

【ミサイルを直に構え、正面の剣士目掛け今にも放とうとするブラボー4。】
【そして跳躍した白馬から目にもとまらぬ速さで放たれたロープが屋上上部へと飛来、】
【ブラボー4の脚に絡まり体勢を崩す―――隙が出来た。自殺紛いのミサイルは、これで撃てず。】

【更にはそのロープ、手繰る様にして下方から屋上へと飛び込んできたのは一人の―――ガンマン。】
【火薬と硝煙で薄汚れた白いシャツ、その上には土気色のベスト、更には荒野を思わす黄土色のジャケットを羽織り】
【ダメージ・ジーンズには年季の入ったガン・ベルト、そこに鎮座する二対のシングルアクション・リボルバー。一つは、パーカッション式と呼ばれる古式銃だ。】
【そして頭にはトレード・マークの古びたテンガロン・ハットを被った女ガンスリンガーが、颯爽と屋上に降り立つ。素早くパーカッション銃を引き抜けば、天高く構え】

―――騎士怪醒<ティターン・アーマー>!!

【撃ち放つ弾丸、それは紫の魔力弾となり上空高く上った後に停止、そして青白く輝く召喚陣を、展開。】
【陣が上空より飛来する機械兵士たちの次なる手、予備に所持していた実弾兵器、腰元より撃ち放つ機銃攻撃を、防ぎ切り】
【そうして陣は現れた女性の身体めがけ一気に降下、その身をすり抜ければその瞬間―――女性は、女性の姿で、なくなっているだろう。】

【例えるならばそれは、機械で出来た悪魔。鋼鉄と生物が融合したような独特のシルエット。】
【明らかに人間が生み出した技術ではない"何か"……悪魔のそれを感じさせる魔導鎧に全身を包まれた】
【今の彼女はまさに"戦士"。背中に備わった魔導機関が唸り、魔力を生成、鎧の全身に駆動力として流動させていき】

【パワード・スーツ。そう呼ぶのが正しいだろうか、しかし鎧にもよく似た兵装。】
【ウェインの目に映るはまさに機械仕掛けの悪魔、面白いのは被っていたテンガロン・ハットの形状を】
【纏う鎧がきちんと反映してそれを覆う様に装甲が形成されている点、だろうか。まさにメカニック・ガンスリンガー、これが。】

【―――これが、"鈴音"の言っていた彼女、か―――!】


自己紹介は後にするよ、ソード・マスターッ!
そっちの鈍重野郎は任せた、アタシはこっちの―――鬱陶しい"ファンネル"共を、片付けるッ!!


【鎧で機銃を防ぎ切り、ガンマンは目の前で散り散りに飛翔していく兵士たちを補足、正確に弾丸を、―――発射。】
【その抜き撃ち速度たるや、もはやかつての剣豪が使う居合のスピードにも劣るとも勝らぬ、まさに"神速"と呼べるもの。】
【腰元で構えたパーカッション銃―――Colt Navy 51によく似た、古式な魔銃で次々機械兵士の頭部を破砕していく―――!】

 〔くっ……くた、ばれッ!!〕

【姿勢を崩された状態で尚、拳を振り上げ単純なパワーでウェインを殴り飛ばそうとするブラボー4】
【だがそれが、居合わせた二人の英傑にとってはもはや何の意味もない攻撃であるという事は、言うまでもなかった。】
【剣士と銃士。ナイトとガンマン。正義と、そして正義。かつてと今を生きるそれぞれの英雄は、立ちはだかる機械兵達と最後の戦いを、始める!】
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 14:48:15.65 ID:6E36CB8Wo
>>243

オーライ、“セリーナ”!

【そうして、ソードマスターは彼女の名前を正確に呼んでみせる】
【もしも目が合えば、ウィンクくらいはして見せるだろう――】

【まあ、目の前の女性が突然悪魔めいた姿に変わったのだ。当然驚いてはいるのだが】
【これとよく似た強化手法を、ウェインは知っていて、更には頼もしく思っていて】
【それならばもちろん、彼女と背中を合わせて戦うことに否やなどは、あろうはずもなく】

【ガンマンが盛大な、火薬と鋼鉄と魔力のパーティを始める眼前で】
【ブラボー4、その大ぶりな一撃を身体を屈めて回避する】
【ロープによって崩れた態勢、また本来得手で無かろう近接攻撃――それをかわすことは、さほど難しいことではなく】

――それじゃ、最後だ。インデラルによろしくな。

【先程のインデラル、アルファの一撃の焼き直しのように、下方から半月を描いて断空をかち上げる――】
【遠距離をガンマンが、近距離をナイトが。最早死角無きそのコンビネーションを、機関の老兵はどう見るか――!】
245 :??? ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2018/01/21(日) 14:51:39.19 ID:kfrrqv7no
/勝るとも劣らぬ、ですね。すみません。
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 15:00:35.62 ID:yDbOK6TJO
【夜中・郊外の小高い丘の上】

【人混みから歩いて三十分ほどの、街灯もない丘の上に明かりが灯っていた】
【遠くから見れば鬼火とも、誘蛾灯とも、妖精の放つ光かとも思えたが】
【近付くものがいればそれはなんて事もない、据え置き型の大型ストーブの明かりである】
【車の轍もないこの場所に、どうそれを据えたのかは甚だ疑問であろうが】

月齢は2……いや、3ってところかな。
もう少し強気な君が見てみたかったけど……でも、痩せた君も素敵だね。

【ストーブの側には一人の男性が椅子をおいて座っていた】
【年は20代半ば。下はジーンズ、上は白いセーター姿の彼は両手にスケッチブックを持っていて】

【そして何やら空を見上げてぽつりぽつりと呟きながら筆を走らせていた】
【空には、無数の綺羅星と新月に近い薄い月が浮かんでいて】
【時折はぁ、と白い息を吐きながらそれに見入るように微笑みを浮かべる】

【良いところのお坊っちゃんか、なんて雰囲気の丘の上であったが】
【どんな理由で、相手であれ、何かの気配を感じたならば、男性は「どなたかな?」と声をかけるだろう】
247 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 15:18:47.67 ID:tTC6Dg2b0
>>244

【その名を呼ばれれば、彼女―――"セリーナ"ははっ、としたように振り返るだろう。】
【傍らには"かつての資料"でよく見た武装、何もかもを断ずる無双の刃と機械式の脚部。】
【美しき金髪の下には整った可憐な美青年の姿、もしや―――もしや、これは―――っ!?】

……っ、ちょっ、そん、な―――って、言ってる場合じゃない、か……!
ああもう、ウィンクなんて何年振りかな! アタシ相手にそんな事をする奴は―――っ!

【セリーナは背を合わせる。かつて、彼の相棒が"そうしていた"様に。】
【そして飛来する弾丸を自分の身体で裁き、ウェインへ向かぬようきっかりと、防ぎ】
【その上で一発、また一発と機械兵士たちを撃ちぬいていき遂には―――撃墜。全機、残らずだ。】

【須らく頭部、恐らくは制御機構が伴っているだろうそこを寸分の狂いなく破壊された兵士たちが街に墜落していく。】
【召喚の一発、そして機械兵士たちに三発、残る一発を予備としてしっかり弾倉<リボルバー>に残した状態でセリーナは】
【ガン・スピンで銃を回転させるとガン・ベルトへと仕舞い込む。残る一体について、自分が下手に手を出す必要はないから、だ。】

〔―――インデラ……っ!? 隊長―――っ!!〕

【だん、という音と共に。攻撃を回避したウェインが一閃、残り少ない夕焼けの中】
【最悪の兵器を積んだブラボー4を、撃破した。両断された兵士が火花を散らし、断末魔を上げる。】
【電源が落ち、刀によって裂かれた身体を左右にぱっくりと倒しながら―――終焉。四体の飛翔する兵士は全滅した。】


「……"女狐"め。軍との共同戦線だと言うのに、押し切って一人で突撃してきたな。」

「郊外から静かに潜入してくる兵士達に構わず単騎で―――忌々しい。嗚呼、まったく……忌々しい、二匹だ。」


【輸送機の中、状況の終了を伝える通信兵をしり目に、老兵―――ソーンは目を閉じた。】
【そうして撤退を告げる、残る二体のターゲット補足班は、……どうやら、任務を遂行できたようだ。】

[こちらデルタ6。ターゲット"J"を確保。残りは難しい、これで帰投する。]

「ご苦労……今はそれでいい。即座に避難しろ。君たちの飛翔能力は他と比べて特殊だ。緊急離脱用ブースターで逃げろ。」

【ソーンは画面を見つめる。欲しかった情報は手に入るだろう。作戦は一応では成功だ。そう、一応では。】
【屋上、夕陽に照らされ揃った二人の戦士―――ガンマンと剣士を前に、ソーンは笑みを零す。今度こそ、抹殺してやる、と―――。】




……ありゃま、撤退してった、か。

【彼方、街の外れの方。此処からでは到底狙い撃ちにできない飛距離の中を】
【街区をうろついていた筈の二体が帰投していく姿だけが見える―――仕方ないが、深追いは出来無さそうだ。】
【尤も、現在の彼女等の目にはターゲットを連れているかどうかまでは、判断が出来ないだろうが―――それはまた、別の話だった。】

……それとも。撤退じゃなくて任務が終了したか―――滞りなく、ってワケじゃないと良いんだけどね。

【小さく、セリーナがつぶやく。そも、何の目的があっての襲撃かは分からない。】
【あとは飛行船力を有する軍に任せる他ないだろう、この二人に出来ることは人民の救護、それのみだ。】

さて―――と。

【振り返る。鎧の召喚を解き、人間としての姿を再度晒したセリーナ。】
【ウェインとはまた違う、少しクセのついた金髪のショートカットを夕風に棚引かせ。】
【翡翠とも、ブルーともとれる神秘的な輝きの瞳で、しっかりと眼前のウェインを見据えて、そして。】

一体何がどうなってて……どうしてここに居るのか、お聞かせ願いましょうか。

居候さん、いや……断空―――"ウェイン"さん。

【呆れたように、驚いたように、そしてどこか嬉しそうに―――そう。】
【あこがれていた人物に出会えた少女の様に、ちょっとの恥ずかしさすら湛えて】
【セリーナ・ザ・"キッド"は対峙する。かつての英雄、そして現在の"英霊"―――騎士、と。】
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 15:40:34.45 ID:6E36CB8Wo
>>247

――恐らく、この交戦は陽動だろう。
あの二体が真打ちだったのかもしれないね。

【かしん、と納刀。戦闘の終了で、身体が律儀に痛みを訴える――肩口に、火傷に、その他無数の擦過傷】

【いちち、と眉根を寄せながら、飛行していく敵残党を見やる。どこかで根本的な打撃を与える必要があるのだろう】
【だが、それは自分の使命ではない。それは、今を生きる彼等、彼女等が行うべきこと】
【もちろん、状況が許すのならば手を貸すのはやぶさかではない――今回のように】

【そして夕焼けの中。オレンジ色に染まる、ビルの屋上で、ウェインとセリーナは向き合った】

――成る程。さすがに正体はバレてるか、セリーナ。

【痛めた左腕を、腰に刺さった刀に預ける。すぐには抜き打てぬその態勢は、敵意がないことを示すもので】

いくつか、使命を帯びてここにいる。
まずはこの世界に忍ぶ“空虚”の打倒。 先日その一端を退けはしたが、あれ一つとも限らない。
……ああ、そのときは鈴音に世話になったんだ。今も世話になりっぱなしなんだけど。

それから、他にもいくつか。
それは僕じゃないと出来ない、ってわけじゃないんだけど――まあ、世界の温情だろうね。
かつて生きたこの世界を見て回れ、という。

……セリーナ、知ってるかとは思うが、僕は一度死んだ。
機関の重囲を抜けられず、たったひとり、大きな意味もなく。

けれど、それから数年たった今。世界そのものが“空虚”に襲われる事態を予見した。
世界は――まあ、正確にはその法則と化した勝利王なんだけど――世界自身を護する刃として、過去にこの世界に生きた戦力を顕現させた。
“空虚”に対するカウンターパンチとしてね。

僕ひとりかもしれないし、もしかするとこの世界のどこかに、他の戦力も顕現しているかもしれない。

全盛当時と同等の肉体を持ってここに立っているけれど、
けれど今を生きる人間というわけではない。世界を主とする使い魔、と思ってもらえればよいかな。
致命傷を受ければ死ぬだろうし――人間の魂は、二度の死に耐えられるほど強くない。
もしもこの状態で死ねば、魂すらも砕けて散ることになるだろう。

けれど使命を果たして消え去るか、あるいは戦いの中倒れて死ぬその時までは――
僕は再び、人々を護る刃となって、この世界を駆ける資格を得た、というわけさ。

【要領を得るような、得ないような――そんな、雲を掴むような話を、ウェインは滔々と語った】
【おそらくは事実なのだろう、その顛末を、何処か寂しげに、どこか楽しげに】

249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 15:49:12.28 ID:ZCDL6Dx0o
>>246

【ひた、ひた、ひた】
【夜闇の奥から染み出すようにして、一人の人物が歩み寄った】

この賤しい乞食めに、
幾許かの暖を恵んで頂きとうございます、旦那様……

【ストーブの暖色光に照らされて浮かび上がるのは、うらぶれた老人の姿】
【廃墟の雑草よろしく伸び散らかった白髪は、脂と埃でごわついて】
【皺の深い褐色肌、落ち窪んだ眼窩に据わった黒瞳だけがいやにつぶらだった】

【まさしく乞食というように、】
【目に見えて纏うのは擦り切れて襤褸同然な外套だけ】
【地面を直に踏みしめる素足が、この季節には酷く寒々しかった】

【老人はストーブからまだ数歩を空けて、火に当たる許可を乞うようにただ佇んで】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 16:01:49.08 ID:yDbOK6TJO
>>249
【「おや……」と、男は意外な訪問者へと瞳を向けた】
【見れば如何にもというほどのみすぼらしい襤褸姿。けれど、嫌がる様子もなく】
【優しく微笑むとスケッチブックを足元において】

勿論、どうぞ?一人で当たるには少し大きく作りすぎてしまったからね
朝まででも、好きなように使ってくれたら良いさ。……椅子が必要かな?

【老人に歩み寄るなりその手を取ると、寒気を感じさせない熱を放つ、暖かな領域へ招き寄せる】
【体の線は細く、動きは軽い。見ればこの男性もまた素足で雑草を踏んでいて】

【それでも、冷えるものは冷える。椅子が……と彼が口にしてから、老人が一度瞬きをすると】
【次の瞬間にはストーブのそばにゆったりと腰を下ろせる一人掛けのソファが姿を表していて】
【触れれば、幻ではなく本物。座るのを促しつつ手を離すと】
【男は自分の椅子を引いてきて、お喋りでもしたいというように老人の椅子に向き合って腰を下ろした】
251 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 16:04:19.33 ID:tTC6Dg2b0
>>248

【恐らくはあの二体が真打、という意見にはセリーナも同意だ。】
【だが此方は此方で、目の前に助ける命があれば参上せぬわけにもいかず。】
【巨悪を仕留める為には本来、何方も叩かねばならないのだろうが―――難しい所だった】

【ともあれ、セリーナもまたハットを被りなおし、夜空が近づいてきた青白い闇の中】
【幾度となくテレビで、新聞で、存命中にはその姿を目に焼き付けた存在が―――】
【その後には資料で、データで死亡という悲しい現実を突きつけられた存在が―――】

……そりゃあ、もう。
貴方が活躍をしていた頃って、丁度アタシも賞金稼ぎとしては色々と―――……
考えを改め始めていた時期、っていうかね。ほら、大変な時期だったじゃないですか。やれ犯罪組織だの、六王だのって、ね。

だからよく覚えていたんです、それに貴方の事なら沢山話を―――……ふふ。
どうしようかなあ、これは……隠しておこうっと。ふふっ、秘密ですよ、秘密。
いずれ会う事にもなるでしょうから、ね。きっと、そう遠くないうちに―――きっと。

顔と刀で直ぐ分かりましたよ、ウェインさん。
―――光栄です、お会いできて。

【すっ、と手を差し出す。その瞳には含ませた意味などなく】
【ただただ純粋に、ずっと憧れてきた、尊敬してきた相手に対してそれを伝えたくて】
【握手を、求めるだろう。傷ついているのは分かっているし、けがの手当てが最優先、というのは確かだけれど。】

それで―――……驚いた。期待してた答えとはあまりに……違い過ぎて。
てっきり、「死んでなかったんだよ、実はね」なんて、言って貰えるかと、そう思っていたのに。
おっかない話だし、正直理解するには時間がかかりそうですけど……オーケイ、オーケイ。つまりー、あー……。

―――お、おばけ?

【これが、この時代の正義の組織の長、か。蘇った戦士を前に、興奮を隠さぬばかりか】
【説明を聞けばまさかの"おばけ"呼ばわり。いや、しかしまあ―――お化け。ちょっとちがうけれど】
【つまりはそういう事、なのだろうか。世界の意志が顕現させた、王の奇跡が目の前に。まったく、凄い事だ】

でも、その……空虚、っていうのは―――なるほど、随分と厄介な"輩"が、目を覚まそうとしてるんですね。
はぁ〜……、まったく。こっちは今、カノッサや犯罪者、テロ、それに溜まった書類仕事に猫探し犬捜しで
毎日毎日忙しくて死にそうだっていうのに……ここにきてまた、"クリムゾン"の復活だの、空虚だのと……。

どうしてこう、危険なモノって言うのは重なる様にして出てくるんですかね!
あーもう!! これじゃいつまでたっても休暇の申請が出来ないよぉ……、もう!!
あ、でもでも! ウェインさんが居てくれるんですもんね、いやあこれは即戦力ですよ! うん!

/ちょっと続きます。
252 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 16:04:39.48 ID:tTC6Dg2b0

UTもこれですっごく強くなったし、それにウェインさんならあのクリムゾンの攻略法だって―――


【はて、聞き捨てならない単語が二つ。一つは、クリムゾンの復活。そう、あの"クリムゾン"だ。】
【詳しい事をセリーナは語らなかったが、何かどうしようもなく、とんでもない事態が起きて居そうなのは事実だった。】
【そして―――この女、今普通に"UT"が強くなる、とかなんとか―――そういう類の事を言っていなかったか。そう、UTと。即戦力、と!】

ああ、そうそう! 居候の費用なら別に大丈夫ですよ! ばっちり給料から天引きさせてもらうから!

【つまりは、そういうこと、らしい。まあ、誘うにも方法というのがあると思うのだが。】
【この女、矢張りこの年齢であんな組織をおっ立ててカノッサに喧嘩を売っているだけあり、普通ではない。】
【能力者でもなければ、改造人間でもない。単なるガンマンに過ぎないのだが、それでも。この精神性だけは、まさに"異能"染みていた。】

でもでも! それってすごい事ですね、じゃあ今までになくなった人だって蘇って、ええ、とその―――そう、空虚!
空虚とかいうよくわからない奴と対峙してくれるかもしれない、ってことですもんね! すっごいなあ、それ!!
もしかしたらあの人やあの人にも―――……あれ、そういえばアイツ、あの時代の人間なのに普通に生きてるな……。女の為か……。

ま、ともあれ! ―――おかえりなさい、ウェインさん。
そしてようこそ、UNITED TRIGGER……いや、この新世界へ。

【にっこりと、屈託なく笑うさまは今までの正義を名乗る組織に居たリーダーとは、また違う印象を齎すだろうか。】
【しかして、ウェインの語った空虚、という物をどうにかすべく、この二人は話し合う必要があるだろう。】
【そうこうしている内に、セリーナと愛馬、そしてウェインを回収すべく軍のヘリが飛来する。】

【後は―――剣士、次第だ。残るもよし、来るもよし。セリーナはUTに戻り、直ぐに空虚という存在への対策を練らなくてはいけなかった。】

/以上です。少し抜けます、続きは夜に!
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 16:13:00.65 ID:ZCDL6Dx0o
>>250

【俗世の雑踏では忌み嫌われるか、さもなくば無き者として扱われる老人が、】
【まるで重要な来賓のような待遇を受ける。彼は恭しく頭を垂れ、静かに腰を下ろす】

痛み入ります、痛み入ります……

【どこからともなく現れる家具に驚く様子は見せず、ただ震えがちな声で謝意を表した】

斯様な乞食めの手を取って下さったのは、旦那様が初めてでございます――

【痛み入ります、痛み入ります、と】
【ストーブの暖を受けて顔をくしゃりと綻ばせる】
【それが笑みなのか泣きなのか判然とはしなかったが】
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 16:25:00.02 ID:yDbOK6TJO
>>253
【お礼の言葉には、さして大きな反応は見せないものの】
【満更でもないのかこめかみを掻いて、くすりと笑い】

それは失礼、僕がかわいらしい女性なら良かったんだけどね。
生憎と気まぐれな絵描き崩れの手だ、好きなだけ取ってくれたらいいさ
……なんなら、服や靴も用意できるけれど、必要かい?

【冗談か、あるいは椅子をそうしたように虚空から取り出すような真似でもするのか】
【衣服が必要かと尋ねながら、傍らに置いていた水筒を手に取ると】
【コップ代わりの蓋に湯気立つコーヒーを注いで、それを差し出し】

他にも必要なものがあれば、何でも言ってくれたらいいよ
僕にはコレさえあればいいからね。……そうだ君、名前は?

【コレ、といって示すのは足元に置いたままだったスケッチブック】
【手にとって膝元に置くそれは大分古びていて、使い込んでいることがわかるだろう】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 16:39:07.97 ID:ZCDL6Dx0o
>>254

【まるで王から施しを受ける者の如く、】
【老人は頭を深く垂れながら両手でコーヒーを受け取った】
【それから大事そうに胸元へ抱くと、しかしそれを飲みはせず】

【惜しみなく恵みを施そうとする男性の言葉を静かに受け止めると】
【老人はストーブの火を見つめながらやおら口を開いた】

……斯様な形ではございますが、
私めに物は不要なのでございます。

もう久しく名前を呼ばれた事もありませぬ故、
元はどのような名付けを頂いていたのかも、記憶からは失せております……

斯様に虚ろなる私めにただ必要なのは……『言葉』――
物の代わりに『言葉』のお恵みだけが……この乞食めを現世に繋ぎ止めるのでございます。

【物を要しない言葉の乞食】
【要約すればそのようになろうか】
【老人は男性の反応を窺うようにそこで口を閉ざし】
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 16:49:01.85 ID:yDbOK6TJO
>>255
【コーヒーを受け取りつつもそれを飲まず、物は不要と口にする】
【さながら仙人じみた隠者の言葉を聞きながら、男はゆっくりと足を組み】
【肘掛けに体重を預けて、面白そうに目の前の老人へまっすぐに視線を向け】

そう、か。『言葉』が、ね……それは、良いね。
僕も言葉は好きだよ。今のようなお話という意味でも、ある種の作品としてもね

……さて、それはともかくだ。ならせめて、朝までは君をここに繋ぎ止めないと。
なにせ、僕は孤独な男でね。友も恋人も、親も居ない。とても寂しい一人ぼっちなんだ
だからしばらく付き合って欲しい……ところで君、月は好きかな。

【最後の、月に関する質問は老人がなにも口にせずに居たときの「後だし」だ】
【スケッチブックをペラペラとめくりながら。だが、相手から話し始めるのなら】
【意識はそちらへ傾くし、話を遮ることもないだろう】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 17:04:27.49 ID:ZCDL6Dx0o
>>256

斯様な老いぼれに、急ぎ赴く所などございませぬ……
然るべき刻まで、この老いぼれは旦那様と暖を頂くと致します――

【老人はそこで緩慢に瞼を閉ざす。やがてまた徐に開く】
【酷く緩やかだがどうやら瞬きだったようで】
【そのようにあらゆるリズムが緩やかであったので、必然男性の方が先に口を開く形】

月……

【小さく零しながら老人は緩慢な動作で面を上げる】
【ほとんど鋭利な弧を描く月を見上げ、ほふ、と一息漏らし】

月は、大変に慈しみ深い御方……
斯様に孤独な乞食めの如何なる夜にも、分け隔て無く光を注いで下さる――
さながら旦那様のように……

【そこでちらり、老人はスケッチブックを一瞥し】

もしや月を……
月を描いておられたので……?

【つぶらな黒瞳が、男性を見据える】
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 17:18:09.79 ID:yDbOK6TJO
>>257
【「そう、月だ」と独白のように口にしながら、ふと上空へと目をやった】
【淡い光を放つ衛星。今宵はその姿こそ弱々しいものであったが】
【そこにこそ魅力がある。そういいたげに、しばし見惚れてから目を閉じて】

そうだね、月を描いていたんだ。もう、子供の頃からずっと好きでね。
何千枚も何万枚も描いているんだ……この通り。

【スケッチブックを老人に見えるようくるりと回し、絵本の読み聞かせのようにめくって見せる】
【満月、半月、下弦、朧月、輪郭だけが伺える暗夜の新月】
【暗黒の空に白んだ点を打っただけの絵もあれば、望遠鏡で覗いたような岩肌まで書き込んだものもあり】
【余程好きなのだろう、軽く捲ったものだけでも大小合わせて100以上の月影が描かれていた】

……でもさ、月って奴はとんでもなくつれない奴でね?

いつでもそこにあるっていうのに、この手を伸ばしても届くこともなく
どれだけ語りかけたって、永久に答えてくれることもない。
そのくせ、ああも魅力的なんだから……だから、精一杯片想いをしてるのさ。

【こうやってね、と最後のページを閉じる。そのページだけは、月だけのスケッチではなく】
【なにか大きな、人形のようなものが描かれていた。荘厳な、西洋甲冑のような絵であった】
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 17:33:54.73 ID:ZCDL6Dx0o
>>258

ほふ……

【月というたった一つの被写体を貪るように描かれた様を見て】
【老人は小さく感嘆の嘆息を漏らしながら、瞳を細めた】

これは、これは……
月も、大層罪な方でいらっしゃる――

【言いながら一度月を見上げ、それから再びスケッチブックに視線を戻す】

【最後のページに描かれた西洋甲冑、その描き込みの具合を観察しながら――】
【老人はふと、思いついたようなことを口にする】

炉を出し、椅子を出し、“何でも”目の前へ招くことの出来るという旦那様……
……月を、お出しになることは……なさらないので?

【緩慢に顔を動かし、視線を男性の眼へと据えた】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 17:41:01.38 ID:6E36CB8Wo
>>251-252

【ここにもまた、あの頃の自分を知る存在が居た】
【そうだ、今度カンナにも詫びと挨拶を入れねばなるまいな、と、先日邂逅した女性を思い浮かべて】

――ああ、セリーナ。こちらこそ、お会い出来て光栄だ。
この世界に戻ってから、いろんな調べごとをしたけれど――君の名前は、よく出てきたからね。

【そして、ぐ、と握手を交わす】
【まあ、かっこわるいところは見せられない。傷の痛みなんて、無いようなフリをして】
【それから、自身の死を悼む彼女を目の前にして――まさかそんな状況に置かれることになるとは――少し、申し訳ないような顔をした】
【それから、核心めいたことを伝えられる】
【そも、鈴音の知己である*ちゃんにあれだけ怯えを見せてしまった自分だが――いや、よく考えてみれば自身こそ“お化け”である。正しい意味で】

そうだね、それが個人の企みなのか、あるいは結果として世界がそう向かってしまうのかはまだわからないけれど。
君たちにとっては忙しいことになりそうだ。
―――ん、ん?

【そうして、聞き咎める。“UTが強くなる”“クリムゾンの攻略法”……気になる点はいくつもあるが、いつの間にか組織の一員にされている】
【ああ、コイツ、こういう、人をひたすら引っ張っていくパワー……ヤバいやつだ、と再認する】
【強力な組織のリーダーというのは、得てしてこういうもので、気づけばとんでもない地点まで押し流されているのだ】
【待ってくれ、と言おうとしたところで、釘を差すよう費用の話。これは間違いなく、天性の才能であり、“能力”であろう】
【けれどまあ、それはそれ】

参ったな、セリーナ。
生憎別に使命がある身だし、何より今この世界に生きている人間じゃないからね。
あまり過分に一緒にいるべき、関わるべきじゃないとは思うんだが――

ま、何かあった時は力を貸すよ。
正式なメンバーとはなれないまでも、客分として扱ってくれればいい。

【両手を上げて、そう伝える】
【現在の世界で大きな勢力を持つ、UT……行動を共にする必要も、あるだろう、と】
【そうして、誰のことかわかるような“アイツ”の話題に苦笑いして】

じゃあ、帰りの足はお願いしようかな。
いや、明日のバイトが休みで本当に助かった……

【そんなことを言いながら、軍のヘリに座乗する。自身の時代と変わらぬそのヘリの爆音と乗り心地に、顔をしかめた】
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 17:49:55.27 ID:yDbOK6TJO
>>259

月を、僕の手で……?……それは

【初めて、この男は言葉を詰まらせた。それは明らかな動揺であり】
【ほの暗い心の奥底に眠っていた何かに照明を向けるかのような行為】
【僅かな言い淀み。気持ちを咀嚼するように、息を吐くと】
【老人の瞳をじっと見て、案外余裕をもってこう答えた】

それは傲慢というものだよ、きっとね。

……好きな人が手に入らないから、その贋作を作ろうとする。
どこにでもあるようなお話さ。そして、結末はいつも悲しいものだ。
贋作は真作には勝てない。何故なら、似ていても本物じゃないんだから

名作の絵画を最新技術でコピーしたところで、人は感銘を受けない。
同じように、僕の力で月を作り出したとしても……それは、ただの岩の塊さ

だから作らない。永久に求め続ける、例え死ぬまで振り向いてもらえなくても
今こうして、彼女を見つめられるだけでも幸せなんだから。

【それは一種の狂気にも等しい。そして純朴で無粋な恋にも似た感情を口にすると】
【しばし、休憩。背もたれに背中を預けて、スケッチブックを閉じて、置いて】

……さあ、次は君の話を聞かせてくれるかな。
僕の能力を見ても驚きもしない、何を与えるといっても欲しがらない
言葉だけが君を現世に留めると嘯く、そんな君の事を聞きたい。

……ダメかな?

【組んだ足の上に、組んだ両手を置いて語りかける】
【といっても威圧感もなければ脅しでもない。単なる好奇心の発露、その程度だった】

/良いところなのですが、ちょっとだけ離席いたします
/19時には戻ってこれますので、お待ちいただけると……。
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 17:52:29.17 ID:ZCDL6Dx0o
>>261
/承知です!
/ではこちらも一度食事休憩を挟ませて頂きます。
/19時前にはお返ししておきますので。ではまた!
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/21(日) 17:55:00.64 ID:wdVPiMJ9o
>>218

なんだよ、えらくつまらねえ仕事じゃねえか

【街を見回るだけ、と聞かされた青年は嘆息と共に感想を述べる。気合いを入れただけに、拍子抜けというやつだ】
【男が携帯端末に耳を傾けると、その間、周囲に神経を巡らせていた。一応は天変地異の現場。警戒するに越したことはない】
【スプリガン、という言葉には首を傾げる。その手の知識は持ち合わせていなかった】

って、ゴーレムかよ
専門は人体破壊なんだけどなぁ……まぁ、贅沢は言えねえか

【と、もう一度ため息をつく。今度は心底からの落胆、というか予想される苦労によるものだ】

//すいません、お待たせしました
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 18:16:44.09 ID:6E36CB8Wo
>>263

そうだな、その身のこなしは対物・対魔ではなく対人に特化していよう。

【そう、目の端で青年を捉えながら、街の中心部へと歩みを向ける】
【なにか、建造物が崩壊するような土煙が立ちあがり、わずかに遅れて再び轟音】

―――おお、人形め、暴れてるじゃねェか。
少し急ぐとするか、神父よ。
ついてこれるか?

【そういうと、足を早める――俊敏では在るが、人の範疇に収まった速度】
【移動と戦闘に於ける間合いの詰め方の違い、だろうか。真っ当に走って、街の中心へと向かった】

【街の中心、機関が発掘を進めていた地点まで進むと、そこは混乱の坩堝】
【数台のコンテナ車。電源車も停まっており、周囲は明々と照らされていた】

【が、そこでは発掘は進んでおらず】

『―――――――GAAAAAaaaaaahhh!!!!!』

【耳障りな咆哮をあげながら、“スプリガン”が荒れ狂っていた】
【その身の丈、およそ3mほどだろうか】
【西洋の全身鎧めいたフォルム。岩のような材質で形作られていて、いくつか銃弾の痕など見受けられるが】
【健気に小銃で抵抗する機関の要員の陣形を、嵐のような速度で肉薄して食い破る】

いや、なかなか歯ごたえがありそうじゃねェか。
おい神父、接近戦と遠距離戦、どちらが得手だ?

【その戦闘――いや、一方的な蹂躙を見ながら、男はそんなことを問いかけた】

『対戦車ロケットだ! 下がれっ!』

【機関の兵のうち一人が、肩に担ぐタイプの対装甲武器――RPG-7というのだが――それを照準、発泡】
【しゅか、という音を立てて放たれたそれを、スプリガンは意外に機敏な動作で身をかがめて交わし】

『――――aaaaaahhh!』

【どん、と肩口を見せるようにタックル。ロケットを放った機関の兵は、哀れ粉々に】
【それが戦線を崩壊させたのか、周囲の機関兵たちは恐慌状態に陥る】
【此処に居る男と神父、二人が助けに入らねば、全滅は時間の問題だろう】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/21(日) 18:28:10.67 ID:wdVPiMJ9o
>>264

馬鹿野郎、こちとら幽体だぞ?
生身の人間に遅れたりするかよ

【青年の身体は音もなく浮き上がり、駆け出す男の後ろにしっかりとついていく】
【地面を歩かずに済む分、空中の移動にはそれなりの速度を出すことができるようだ】
【現場にたどり着けば男の隣で浮遊したまま止まる。スプリガンを見るや否や、それこそ苦手なものを見るように顔を歪めた】

うげぇ……どっちかって?
どっちも何も、俺は殴るしかできねえぞ。今は得物もねえしな

【そう言って両手に拳を握ってみせる。徒手格闘が持ちうる技術。だからこそ、無機物の塊の相手は苦手だった】
【機関兵が重火器を持ち出すと──幽体だから関係ないのだが──思わず軽く背を屈める】
【そしてそれがかわされ、戦線を薙ぎ払っていくスプリガンを、呆然とした顔で眺めていた】

もう無茶苦茶だな、おい。まるで映画じゃねえか
で、どうすんだよ

【呆れたような声で彼は男に指示を頼んだ】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 18:42:56.23 ID:6E36CB8Wo
>>265

はン、そりゃなによりだ。

【男の軽口に、にやりと笑って応え――】
【そうして、到着してみれば先程の惨状である】

ふむ……徒手空拳、か。力任せに行けばスプリガンへの抵抗は難しかろうな。
ただまあ、幸いにもああいう手合とは戦り合った経験がある。

【青年の得意を聞いて、ひとつ思案顔になる】

ゴーレムというのは錬金術の産物でな。
偽りの生命ではあるが、なかなか狡猾な知能を持っている。
ただし、明確な弱点が一つ―――

emeth、という文字が、必ず身体の何処かに彫りつけてある。
その文字を削るか砕くかして、頭のeを消すと、methという文字に変わるのさ。
emethは真理、という意味を持ち、methは死、という意味を持つのだが――
文字がそう変化したとき、あのゴ―レムは仮初の生命を失い土塊に還る。

装甲板で覆われている可能性はあるが、ゴーレムの素体の表面に必ず書き付けてあるはずだ。
クロスレンジまで接近して、奴の身体の側で飛んだり跳ねたりするがいい。
どこかに書いてあるのを見つけて、それを砕けば何とかなろうさ。

【粗暴さを見せている男だが、存外に博学で――】
【ただ、やはり不親切なのか。それだけ告げると、ほら、早く行けよ、と手で示して見せた】
【示す先には、手に持っていた岩の棍棒を振り回すスプリガン】
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/21(日) 18:54:09.12 ID:wdVPiMJ9o
>>266

【男の助言を黙って聞いていたが、話が続くにつれて少しずつ表情が苦悶に崩れる】

どっちにしろ、あのデカブツに突っ込めってことじゃねえかよ!

【視線の先には自分よりも巨大な得物を振り回すゴーレム。掠めただけでも以前だったら死にそうだ】
【幽体であったとしても、あれに飛び込むのは勇気が要る。もちろん、幽体である以上、死にはしない】
【ところが】

幽体つっても、相手に触れるときには実体化する。そんときにあのぶっとい棍棒でぶん殴られればどうなるかわかりゃしねえ
一応はてめえの仕事でもあるんだろ? ちゃんと援護ぐらいしてくれよ!

【幽体に分離しているが、不死ではない。そんな事情を青年は説明した】
【その上で、彼は浮かび上がり、スプリガンに向かって飛び出した。敵の注意を引くように、周囲で素早く動き回る】
【棍棒が迫りくれば回避を試みる。幽体である間は透過するので問題ないが、そうではないと判断させたいためだ】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 18:58:40.91 ID:yDbOK6TJO
>>262
/遅れながら準備完了です
/いつでも行けますので、改めてよろしくお願いします!
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 19:07:43.30 ID:6E36CB8Wo
>>267

はっはっは。
虎穴に入らずんば虎子を得ず、というやつさ。
心配するな、援護くらいはしてやる――!

【そう言うと、スプリガンに向けて飛び出した青年の後に続くように駆け出す】
【その手には、先程の黒い槍が再び握られていた】

『aaahh....Rhoh――――!』

【青年の接近を探知したスプリガンは、戸惑うようにその姿を見たが――】
【敵性の存在と認識したのだろう、ぶん、とすくい上げるように棍棒の一撃を放つ】
【無論大ぶりなそれは青年にとって回避は全く難しいものではなく】
【棍棒の一撃を放った、右腕の内側から肩部にかけては、文字列は見受けられなかったことがわかるだろう】

はッ―――!!

【そして、槍を持った男が気合と共に、横合いから一突きを放つ】
【スプリガンは左腕でその攻撃を防御して、いくらか装甲を削ったようだった】
【槍の男に向かうように、身体をぐるりと動かして】
【青年には、ちょうど背中を向ける形になる】
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 19:12:06.04 ID:ZCDL6Dx0o
>>261
【高貴で柔和な趣の男性が、そこで初めて見せる動揺】
【老人はその様をただじっと、表情を変えずに瞳へ映していて】

傲慢……
それは全う、道理でございますな――

【妄執的なまでの月への思慕――】
【不思議と夜月には馴染むその狂気に、老人は同調してみせた】
【偏執的でありながらも何処か謙虚で、奥ゆかしい彼の態度が、その隠遁者にはよく馴染んだ】

【こうして見つめられるだけで幸せ、という言葉を受けて】
【老人は緩やかに首を動かし、暫時、男性と共に夜空へ浮かぶ鋭利な弧を眺め】

【それから持っていたコーヒーを、ようやく口へ運び】
【空になった器を、恭しく彼へと返す――痛み入ります、と添えて】

……私めの、話でございますか――

【やがて老人はゆっくりと口を開く】

賤しい賤しい、乞食めの話でございます……
旦那様ほどの御方なれば、率直に身の上を申し上げることに致しましょう……

私めは……人には在りませぬ……

我らの種に付けられた名は、『寓魔』――
誰により造られたか、『寓意の悪魔』と書き記されし、人ならざる者……

【自ら人外である、と名乗ったその時に】
【風が一陣吹き荒び、ストーブの炎を揺らした】

……我らを憶え、語る者なければ、
その身をうつつ世へ留める事も叶わぬ虚構の民……

我ら……いえ、殊更私めは、物を食むその代わりとして、
人より施された『言葉』をのみ食んで生きる宿命にございます……

私めから奪うことは叶いませぬ……
人の子が私めに“施す”と決めた『言葉』のみ、斯様な老いぼれの血肉と化すのでございます

【「故に……」】

斯様に虚ろなる乞食めが乞うのは、
物質や貨幣とその大小ではなく、施された『言葉』に込められた念、想い、重み……
それこそが、以後の私めを如何ほど生き長らえさせるかを決めるのでございます……


旦那様ぁ……
どうぞ『お恵み』を――


【老人はやおら椅子から降りると地に跪き】
【陰湿に震動する声と共に、深々と頭を垂れ】
【その両掌で形作った杯を、男性へと掲げた】

【――『言葉』を喰らい生きる『悪魔』と、この者は言った】
【しかし喰らうという言葉がそのままの意味なら、それは元の在処から消えるということに他ならず】

【そういった事に関しては――この人外は、口にしなかった】
【ただ、貴殿の『言葉』を恵んで欲しい、と。大事であればあるほど良い――と】
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 19:12:34.55 ID:ZCDL6Dx0o
>>268
/おかえりなさいませ!
/お待たせしました、よろしくお願いします!
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/21(日) 19:24:27.44 ID:wdVPiMJ9o
>>269

【大振りの攻撃は容易く回避してみせた。その間にも視線はスプリガンの腕をなぞっていく】

(腕の内側にはなし……これ、生身で戦うのは無理だったな)
(今だけは幽体であったことに感謝しちまうぜ)

【敵の身体に注視しつつ、一撃必殺の攻撃を避け続ける。確かに、生身では到底不可能だ】
【しかし今は幽体。以前と比べれば幾ばくかマシになっていることに、青年は少し安堵した】

【男の援護によってスプリガンの背後が露わになる。青年は咄嗟に着地。微かな集中によって幽体が実体化する】
【腰を深く落とし、右腕を引く。左半身を相手側に向ける構えは、拳で打つときのもっとも基本的なもの】

背中がガラ空きなんだよ、木偶の坊──ッ!!

【叫びと共に拳を背中──ではなく、右の膝裏に打ち込まんとする。巨体ゆえに背中は拳が届かないが、それよりも脚を崩した方が効果的と考えてのことだ】
【打ち出された一撃は単なる肉体の力を借りたもの。そのままでは岩石の塊であるゴーレムに効果は薄い】
【しかし、この男の技能は単純な力に頼ったものではなかった。その全身には魔力がまとわりつき、動きの全てを強化している】
【腕の動きそのものが一般的なそれとは速度が違う。兵器として直進する拳の強度が違う】
【そして何よりも、打撃の瞬間の圧が違う。それは着弾すると同時に拳を起点として魔力を衝撃のように撃ち出す】
【魔力で強化した打撃であれば、当たりさえすれば幾ばくかのダメージにはなる、と青年は読んでいたが──さて、どうか】
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 19:37:01.23 ID:6E36CB8Wo
>>272

【スプリガンの巨躯に隠れて見えないが、スプリガンと向き合っている男も自らに攻撃を惹きつけているようで】

――左手にはないな。何処に隠しているものやら!

【何度か、岩肌を削るような音がする】

【そうして、スプリガンは後ろで魔力が高まるのを感知する】
【その一撃は、自らを打倒し得ると判断したのか、咄嗟に後ろを向こうとするが――時は既に遅く】
【打ち出された、青年の拳。魔力で強化された一撃は、狙いの通りスプリガンの右膝裏に直撃する】

『Gaaahh....!?』

【ずどん、という、まるで大砲のような音。その轟音と共に、スプリガンの右膝は木っ端微塵に吹き飛んだ】
【片足が吹き飛べば、当然姿勢を維持してはいられない。無理に後ろを向こうとしていたのも相まって、】
【スプリガンは空を仰ぐように倒れ伏した】
【接近させまいと腕をやたらに振り回している――直撃すれば人体に多大なダメージを与えるだろうが、】
【稼動範囲もリーチも固定されてしまっている。達人たる能力者ならば、そんなものに巻き込まれるはずもなく】

――ほお。崩拳か。今のは気功? あるいは単なる魔力強化か――何にせよ素晴らしい火力じゃねェか。

【もう役目は終わったつもりでいるのか、暴れるスプリガンの向こうから、気を抜いた様子の男がそんな言葉を投げかけた】
【転倒させてしまえばどうにでもなろう。あとはご随意に、と煙草を取り出して、そんなふうな様子だ】
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 19:40:53.19 ID:yDbOK6TJO
>>270
【ストーブの炎が風に揺れる。舐めるようなその光が、男の頬を撫でていく】
【『寓意の悪魔』という名は聞いたことがない。詳しく聞いてみたい】
【だがそれ以上に魅力的な、好奇心をそそるワードが耳を擽る】
【だから黙る。その存在が口にする意味を理解し、咀嚼していく】

【やがて老人が地にひれ伏し、何物かを求めるように両手を杯に見立てると】
【しばし、風ばかりが一帯を包む。その風を吸い込むように、息をして】


僕の名はダグラス……アンドレイ・ニキシビリチャチ・ル・ダグラス・マックスウッド。
かつて芸術家として、そして六罪王として月を目指した男さ。
殺して、騙して、散々に迷惑をかけて。旧い悪霊と結託して、世界を宇宙(そら)から支配しようとした。

……そういう、かつての僕という存在のすべてを君にあげるよ、寓意の悪魔。
今や僕は、月に狂った単なる寂しい男でしかないからね
すがる名誉も、立場も、部下も権力もなにもかも必要ない。

悪意に染まった僕の願い、カノッサ機関という組織での存在価値、僕の名前。
味付けは淡白だけれど、すべて食べたらいいさ。朝まで詳しく、いくらでも話すから。


【フフッ、と笑う。蟠っていたなにかを吐き出した後のように】


けれど、悪魔。君がもっとも欲しいだろう、僕の片想いはあげないよ。
それに真っ白になった僕の今後だって秘密だ。
キャンバスがなければ、画家はなんにも出来ないんだから

……さあ、少しはお腹が膨れたかな。どうだい?


【それが、自分の半生が悪魔にとってどれ程の価値があるのかは知らない】
【だが、すでに捨てた道だ。思い残すところも、返り咲こうという欲求もない】
【自分にとって不要な言葉。『肩書』『名誉』そして『真名』を悪魔に恵んだ】

【久しぶりに長く話した。そんな様子で呼吸を整えながら、相手の様子を伺った】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/21(日) 19:56:11.46 ID:wdVPiMJ9o
>>273

【着弾、破砕。それを確認したと同時に青年は足元に魔力を溜め、地を踏みつけて跳躍】
【腕のリーチ外へと一瞬で離脱。着地後にも独特の構えを取り、決して油断はしなかった】
【そのまま転倒するのを待つ。背中側については視線を巡らせていたが──】

お、なんだよ、よくわかるな。今のは魔力を体内と体外で巡らせてだな……
って、おい。もうサボりか? まだ腕とかは動くから怖いんだけどな……

【すでに一服を始めてしまった男に文句をつけながら、実体化したまま倒れたスプリガンの反対側に回る】
【そうしたら足の裏あたりを確認するような動作をとる。再生するかも、と考えているせいで行動は慎重だ】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 20:07:44.92 ID:6E36CB8Wo
>>275

【ああ、ここに在ったか、とマッチを取り出して、美味そうに一息、煙を吸い込み】

全く、お仲間なのが惜しいねえ。
ひりつくような戦いを演じられそうなもんなんだが。

お前さん、正義に鞍替えする時は教えろよ、殺しに行くから。

【ふう、と紫煙を吐き出しながら、そんなことを笑いながら告げる】

【スプリガンの左足裏を見つけてみれば――そこには、果たしてemethの文字が】
【それを削れば土塊に還るもので、最早スプリガンに抵抗する手段はなく。削ろうとすれば、一投足だろう】

――いや、歯ごたえがあるかと思ったが、神父の功夫のお陰で楽が出来たな。
上役に報告すれば、お前さんの肉体への回帰も悪いようには―――

【と、そこまで言ったところで、男の後方から三つ、土煙が上がる】
【それぞれ唱和するように】

『『『Aaaaaahh――――――!!!!』』』

【建造物の向こうから、スプリガンの咆哮が、重に聞こえるのだった】

―――なるほど、そう容易くはいかんらしい。

【目を丸くして、後ろを振り向きそうして、その手に今度は赤い槍が現れて握り込む】

疲れはないか、神父サマよ。
さっさとその木偶の坊を始末して、新手の周りで飛んだり跳ねたり殴ったりしようじゃねェか。

【そういって、煙草を地面に投げ捨てる】
【まだ夜更けは始まったばかり。どうやら長い付き合いになりそうな、男と神父の最初の任務は――これからが本番、のようだった】

/このあたりかな? リハビリはいかがでしたでしょうか!
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 20:18:10.70 ID:ZCDL6Dx0o
>>274

おお……
おおォ、ぉオオオおお……

おおォォオおおおオオオ――!

【――施されたのは『真名』】
【そして自身の存在に深く関わるところの半生】
【『言葉』の中でも最上級に尊い『存在』のワード――】

【予想の閾値を遙かに超えて濃密なそれらを施され、寓魔は喜びに嘶いた】

【悪魔はその見えざる牙を、『言葉』へと突き立てる】
【上質な『肩書』のコーティングをされ、至高の『名誉』から迸る肉汁を啜り】
【その最奥、もっとも栄養価の凝縮された骨の髄、『真名』を貪り食った】

【その間、老体の人外は、自身の掌を凝視しながら身体を震わせるだけだが】
【ダグラスはやがて、その心から何かが溶け出していくような感覚を覚えるだろう】

【自分の名前、これまでに何を、何の為にしてきたか――】
【そういったことが、段々と霞に覆われるように朧気になる】
【そのまましがみつかなければ、それらは元からなかったかのように霧消して】

【今後、自らでそれらを思い出すことはなくなるのだ】

【――だが】
【『施し』としては最高級のものを受け取った筈にも関わらず】
【寓魔の眼は――まだ何かを探し求めるような貪欲の色を宿していた】

【緩慢に面を上げる】
【抑えきれない愉悦に唇が歪むが】
【その眼差しはどこか、謀られたように恨めしそうで】

……この、ような、乞食めには……
畏れ多い程の施し……なんと、言葉を、継げば良いやら……

【――最も美味な部分を、食い逃がしたのだ】
【月への妄執――そう、悪魔は確かにそれをこそ欲した、だから近付いた】
【だが、予想を遙かに超える施しで腹をはち切れんばかりに満たされ】
【もうこの悪魔は到底喰らうことが出来なくなってしまった――】

旦那様ぁ……ぁ……

どうやらこの賤しい乞食めは……
乞う相手を……見誤ったかも……しれませぬ……

有り余る施し……
身に過ぎたる大金を得た者は……
押し並べて地獄の道へ入るのみ――

【やがて、老体の身体がゆっくりと透けていく――】

/ごめんなさいお待たせしました!
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/21(日) 20:20:46.01 ID:wdVPiMJ9o
>>276

ふざけんなよてめえ、俺は一銭にもならねえことはしねえぞ
いくら技量があったって、やる気のねえやつは嫌だろう?

【足裏の文字列を確認して、青年は慎重に近づいていく】
【そして魔力を纏った足を振り上げ──音波の衝撃が鼓膜を叩いた】

あぁ!?

【思わず態勢を維持したまま音の方角へと振り返る。既視感のある土煙がそこから上がっていた】
【見る見る青年の顔が青ざめていく】

ふっざけんなよマジで! まだいやがるのか、クソが!!

【神父とは到底思えないような悪態と共に中断していた動作を再開。破砕音と共にスプリガンの足が蹴りの一撃で砕け散る】
【一息つく間も無く青年の肉体が透過、幽体へと戻る。即座に飛び上がって男の元へ】

言っておくがな、たんまり報酬はもらうからな!!

【怒声を発すると同時にさらに浮上。任務の続きへと赴くのであった】

//乙です!
//おかげさまで助かりました。ブランクがあるせいで思うようにはいきませんでしたが
//またお願いします!
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 20:38:40.74 ID:yDbOK6TJO
>>277
【自分から大事な何かが流れ出していく。記憶、そして自身といういう存在の骨組み、すなわち真名】
【だが未練はない。そんなものは全て虚飾でしかなく、本質は別にあると知っているからだ】
【あの衛星が名も無き巨大な石榑だったとしても、変わらずこの心を縛り付けるのだろう事と、なにも変わらない】

満足いただけたようで恐悦至極だよ、寓意の悪魔。
これで僕も満足だ。お陰で……あぁ、そうだね。"彼女/月"のこと以外、考えずに済みそうだ。

……君は悪魔だなんていいつつも、とても良い話し相手だったよ。
消えるのか、戻るのか、それとも他所へ行くのか知らないけれど
その存在は僕が語り継ごう。言葉を食らう悪魔、か……まるで童話だね。

【椅子から立ち上がって、膝をついて、老人の手を握って微笑みかける】
【その笑みは少年のように純粋で、無邪気で、そうであるがゆえに残酷さを滲ませて】

【透けて行くその身体の向こうを見るように、老人の瞳を見つめると】
【やがてサヨナラを告げるように、取ったその手を離すのだった】

/いえいえ、気になさらず!
280 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 20:41:05.28 ID:tTC6Dg2b0
>>260

【名前が良く出てきた、そう言われて悪い気はしないが、同時に不安にもなる。】
【何と言うか―――変な意味でも結構有名なのだ。こう、水着で大会に出た、とか、水着でCMに出てた、とか。】
【完全な飲み過ぎで泥酔し、下着姿で酒場に突っ伏しているところを目撃した―――だとか、そんな感じの"噂"だ。そう、噂。あくまで、噂。】

【尤も、こうして面と向かって話して見てそのどれもが本当なのかもしれないと】
【そう思わせる事には成功するのだろう、この女は矢張り良くも悪くも"変わっている"様だ。】
【ともあれ、ウェインがやんわりと、"待った"をかければセリーナは存外従順にその言葉へ従うだろう。】

―――え、入る気ないんですか!?

【厚かましいとはこのことか。まあ、そうは言っても宿を貸している身でもあり。】
【就け込んでどうにか仲間に出来ると踏んでいたのだが―――彼には彼なりの、立場という物がありそうだった。】

ううん……今この世界に生きている人間じゃない、って言っても……ねぇ。
脚もあるし、ほら! こうして触る事だって出来るし、ご飯も食べるんでしょう? それで、眠る場所だって必要だし。
UTに入るかどうかはまあ、この際置いておくとして。"生きている"事まで否定しなくても、良いってアタシは思うけど! イキイキしてますよ、ウェインさん。

でも―――有難う御座います。それじゃ、"仮メンバー"ってことで!
いやぁ、大先輩を  二  軍  扱  い  するなんて心苦しいですけれど……!
お望みであれば仕方あるまい、ぐぬぬ……!!

【客分として扱え、という言葉は華麗にスルー。戦力外通告はしてくれない様だった。】
【それは図々しいというよりも、むしろ頼りにしたいというセリーナなりの弱さの見せ方、なのかもしれないが。】

―――オーケイ、騎士様。
それじゃお空の散歩といきましょう、そういえば……っと、UTの地下にはもう入ったんでしょうか?
ご紹介がまだなら、そっちも見せておきたいんですけれど―――。

【ヘリの内部。かなり大型の輸送機であるそれは愛馬たる白馬アニーすらも内部に積載可能で】
【そのまま交戦情報やあれやこれやと先ほどの現場の状況を報告し合っているセリーナと軍部。どうやら】
【折り合いはついているもののメンツという点で両者は時折対立する事もあるようだ。セリーナは半分キレかけた様子で】
【"まったく、アタシが動けるんだから動いたっていいじゃないですか、ねえ!そう思いますよね!"―――だなんて、ウェインに話しかけるだろう。】

【そのまま何もなければヘリはUNITED TRIGGERの酒場上空に到着】
【セリーナとウェイン、そしてアニーを下ろして再び軍部へと戻っていくだろう―――長い一日だったが、戻ってくると少し安心するという物だ。】

/遅くなりました、再開できましたらよろしくお願いします。
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 20:56:32.96 ID:ZCDL6Dx0o
>>279

ほ、ふ……――

この、賤しい賤しい乞食めは……
此程まで月に中てられた人の子を、
どのような絵巻物でも目にしたことは在りませぬ……

そして……

【「今より後にも見る事はないでしょう……」】

【無邪気にその消えかけの手を握られて】
【寓魔は自身の『結末』を完全に悟る――】

【“喰らうつもりが喰らわれた”】
【そういう『寓話』へ引き込まれていたのだ】

【手を離せば、いよいよ姿は薄くなり――やがて完全に消え失せる】

【彼の純粋な笑みとは対照的に】
【悪魔は悦楽と怨恨の混じり合った形容しがたい表情で】
【最後まで月に狂ったその男の顔を見上げていた――】

【後に残されるのは、炉の火の明かりと、静謐ばかり】


【――後の話をするならば】

【夜、眠りに就いた後】
【彼、かつての六罪王ダグラスは夢を見るだろう】


【月の夢】
【月との距離を如何様にも操れる夢】
【自分が月へ行くことも、月が自分の元へ来ることも】

【月は微笑む】
【ダグラスに向けて、全世界の中から彼だけへ向けて】
【満ちた真円を描く刻も、蠱惑的な弧を描く刻も、深遠なる暗黒と化した刻も】

【月は如何なる時も、その罪深き貴公子だけを愛する】


【夢はいつまで見てもいい。何度でも見られる】
【もう見たくないと思えば忘れることも出来る】
【現実に帰りたいと思えばいつでもそのように出来る】

【ただし現世の月は変わらない】
【日毎に微細な移ろいを遂げ、どれだけ一心に慕おうと振り向きはしない】
【遠大な闇の空に一際気高く、妖艶に、儚く、地上に淡い光を注ぐのみだ】


【それが、『真名』と引き換えに悪魔が残した置き土産】
【その禁忌の果実が物語にどのような結末をもたらすのか――】

【最後の頁は、未だ空白で】


/この辺りでしょうか!
/ありがとうございました!
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 21:08:44.63 ID:6E36CB8Wo
>>280

そうさ、「色々」良く出てきたよ。

【にこり、と笑う。いろいろ、というところにアクセントを於いて】
【全ての行いを把握しているワケではないが―――ま、それはブラフというやつだ。手札は多く見せるに越したことはない】

……ああ、ありがとう。
そうだね、せっかくこうして二度目の生を得たのだから、少しは楽しんでみることにするよ。

【そうして、二軍扱い、という言葉に、くつくつと喉を鳴らす】
【お荷物扱い、というわけでもないのだが、どこか懐かしいような気持ちを抱えて】
【まあ、ほんとう。助けにはなるからさ、なんて言葉を口にした】

いや、地下にはまだ入っていない。
そも、UTの酒場には一度切りしか行ったことがない。こないだは、鈴音に朝食をご馳走になって。
そこから夜の国の、鈴音の洋館で部屋を貸してもらってる。

【話しながら、ヘリのキャビンの積載量に片眉を上げる。
 これだけの展開能力がありながら、国軍の展開が遅くなったのは何故だろう、と疑問を抱いて】
【セリーナと軍部の会話に、そういうことか、と得心する。セリーナから意見を問われれば】

……まあ、そうだね。メンツというのは、たしかに組織を運営していく以上は不可欠なものだけど。
自分たちが何のための組織なのかは、見失わないほうがいいな。
まさにほら、本末転倒、というやつだ。

【そういうと、ん、と伸びをする。
 簡単な治療は受けたものの、メカニカル・プラトーン<機械兵団>との戦闘はそれなり以上のダメージを彼に与えていた】
【ヘリはそろそろ、酒場へつく頃だろうか】
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/21(日) 21:54:58.19 ID:yDbOK6TJO
>>281
【消え行く老体を、真名を捨てた男は黙って見届けた】
【そして悪魔とともに消え行く己の過去も、やはりまた黙って見送った】
【未練も、哀愁もない。そこに寂とした風が吹くと、思い出したように身体を起こして】

【ぐ、と一伸び。残った二つの椅子と、火の灯ったストーブを尻目にスケッチブックを拾い上げ】


さて、と。誰だったかな、僕は。……ま、いいか


【名前もない、捧げた半生もすっぽりと抜け落ちて、頼るべき人も覚えていない】
【けれどその男は平然と靴を履いて、その場に全てを置き去りにして人里へと下っていくのだった】


【夜。明けて、朝。奇怪で愉快な夢を見た彼は、昨晩の奇妙な喪失をすっかり忘れて朝日を浴びる】
【悪魔からの贈り物。月に囚われたかのようなその夢は、まごう事なき宝物】
【宿の帳簿に名前を書いてくれ、とフロントからせっつかれながらパンをかじると】
【不意にペンとメモを取って、楽しそうに筆を滑らせるのだった】

【『寒い夜、丘の上。乞食の姿をした老人に出会ったならば、それは……』】

/最後出遅れてしまって申し訳ない、ちょうど良い折ですのでここで!
/お付き合いいただきありがとうございましたー!
284 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 21:56:37.58 ID:tTC6Dg2b0
>>282

【良い性格をしている物だ。セリーナはこう見えて、ギャンブルにはめっぽう強い。】
【勿論、対人における交渉等もそう。だからにこりと笑って肯定するウェインを見れば、苦笑いした。】
【まったく―――まあ、言わなくてもいい事だってあるのだ。ボロはそのうち、どこからでも漏れ出るだろうし……。】

ああ、よかった! それじゃ、酒場の案内もササっとこなさなくちゃね。
だいじょぶ、疲れているだろうし怪我もあるから、そんなに時間は取らせないよ。
ああそれと軍医は!? メディック! そうそう、もっとちゃんとウェインさんを見てあげてよ、ほら! ここも傷!

【怪我の治療を急がせるセリーナ。控えている軍医は他の民間人や逃げ遅れた者たちの治療にもあたっているが】
【此方もまた被害者と言えば被害者だ、なにせ彼は単なる花屋のバイト店員。―――だった、というべきか。ともあれ。】
【矢張りこれだけの装備と人員、ともなると展開にはそれなりの手順がいる、という訳だろう。セリーナはウェインの言葉に肩を落とし】

―――本当に、そうですね。
でもまあ、今回の場合人質を伴うテロ行為って判断もあって、もう何が何だか。
だから無暗矢鱈に兵士は突入させられない、まずはドローンで旋回して情報収集を―――だなんて。

慎重なのも分かりますけど、そういう時の為に少数精鋭……、精鋭ではないかもしれないけど。
少数で動けるアタシたちみたいのがいるっていうのに! まったく……でも、ね。
なんでだろう、なんだかとても嫌な予感がして……大きな事件が、起きる気がするんです。
 
285 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 21:56:49.54 ID:tTC6Dg2b0
>>282

だからそう、こうしている間にも……何が起こってもいいよう、軍とはしっかり協力していきたい、んですけどね……。

【嫌な予感がする、という言葉を残し。ヘリから降りたセリーナはUTの酒場へと入っていくだろう。】
【愛馬アニーはといえば、裏にある巨大な車庫―――セリーナ愛用の古いインディアン・モーターサイクルや戦闘車両が鎮座するそこへ】
【言われなくてもハパカパカと蹄を鳴らして入っていった。恐らくはそこが彼女のねぐら、なのだろう。セリーナは酒場へ入れば直ぐに裏口に繋がる通路へ向かい】

ああ、ウェインさん。何か飲み物は―――お腹は減ってますか?
用意するのでなんでも言ってください、こう見えてきちんと"酒場"として運営しているので!

っと―――それじゃ、本題に。
その機械の脚なら大丈夫だと思いますけど―――念のために。

【セリーナはウェインに近寄れば、ぎゅっ、と身体を寄せて密着、支える。】
【丁度彼女の身体のアレな部分がアレな感じで、うまいことふわっとアレな風に当たったりするのだが】
【ともかく、そんなアレコレも直ぐに吹き飛ぶことになるだろう。彼らが立っている裏口への通路部分、セリーナがスイッチを押せば大きな振動が二人を襲い―――】

ちょっと揺れるから……気を付けて、ね!

【がこん、という大きな音。それと同時に通路全体が、重力から解き放たれた様にふわっ、とした感覚に包まれ】
【有体に言えば、落下。正確に言えば、降下していく―――そう、通路全体が、巨大な"昇降機"となっているのだった。】
【一分か、それとも二分か。かなり長い間昇降機は地下へと降り続け、そしてとうとう、この"酒場"が抱える本当の姿が明らかになった。】

―――ようこそ、ウェインさん。
UNITED TRIGGER、地下の施設へ。

【広がっているのは―――とても個人が用意できるとは思えない巨大な施設の光景だった。】
【中央には大型のコンピューターを複数台備えた情報管理用システムと、それを囲う様にして配備された会議室。】
【壁面にはパネルが全面に広がり各地の情報・自警団からの連絡・データなどが次々に送り込まれてくる。此処が心臓部か。】
【そして見渡せば大型の武器庫に射撃や戦闘の訓練場、中には無人の戦闘訓練ロボットまで備えており、まさしく、基地と呼べる物だった】

お部屋も一杯あるし、武器も食料も豊富。温泉もあります!
ああ、それと食堂もね。酒場には出してない限定メニューだってあるんです!
医療室に避難用シェルターも。あとは―――メンバー用の寝泊まり出来る施設も幾つか。

これがUNITED TRIGGERの地下基地! ―――……えへへ。"ノラッド"に比べたら、随分とちっぽけだけど。
アタシが私財とツテを投げうって作った秘密基地、です。ウェインさんも好きに使ってくださいね、これ、エレベーターのキーです。

【差し出すのは昇降機を起動するメンバー専用のIC付カードキー。これでウェインもこの施設に自由に出入り可能だ。】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/21(日) 22:10:13.29 ID:W6IaPx6p0
【街中――夜明けにほど近い頃合い】
【一番遠い空がわずかに白くなり始めたころだった、きれいに暗かった空が中途半端にしらっちゃけて、どんどん、明るくなっていくなか】
【ひしゃげて歪んだごみ箱からこぼれた生ごみを拾っていた数羽の烏が、何かに驚いたか――ぎゃあぎゃあと大きな声を立てて、どこかに飛んで逃げていく】

――――――っ、うう、ぅ、

【それで――もし誰かが通りがかれば、そんな声を聞くだろう。あるいは声とも思わないかもしれない、擦り切れたオルゴールのようにかすれた、ひどく金属質な声】
【壊れ切ったラジオが最後に漏らす遺言めいた音の連なり――普段なら鈴の音に似る声も、今ではすっかり濁って淀んで、まだうんと早い朝の街並みに、耳障りに響かせ】
【ほんの一瞬小さな"呻き声"がひたりと止まる――それから数秒後にがしゃんと投げられるのは薄型の携帯端末、投げられた時点で液晶が半分以上死んでいたのが】
【着地の瞬間にぜんぶぜんぶ暗転して、壊れる。割れた液晶の欠片がちゃらりと散って――携帯が、じゃりじゃりとそんな音で地面とこすれて、車道の方まで、滑っていき】

【――ひと、だった。おそらくはひとで間違いがないだろうけれど、変な意味でなく乱れた着衣と、小さく身体を丸めたさまは、遠目ではぼろきれのようにも見え】
【くちゃくちゃになった黒髪はおそらく肩ほどの長さ、真っ白の肌と――それから色違いの瞳、開けられていれば黒色と赤色が見えたはずの眼は、ぎゅうと閉じられ】
【首元に結わえたリボンで固定していたヘッドドレスをほどくのもけだるいようにそのまま脱ぎとって携帯を投げ捨てたみたいに雑に投げ、】
【赤色のワンピースに重ねた黒のオーバースカートもしっちゃかめっちゃかになって黒いタイツに包まれた足のほとんどが見えていたなら】
【その足元が素足であるのもすぐに気づけただろう、――そして、それが分かるほどに近づけば、落ちているものが少女であるとも気づけるはずで】

【――逃げて行った烏が、数分の間をおいて、警戒しながら戻ってきた。そうして漁る生ごみが入っていた金属のごみ箱は、たぶん、上からひとを落とせばこうなるようにへこみ】
【なによりすぐ近くに上から落ちてきたらこうなるようなひとが落ちていたから――素足であるのも含めて、どうにも、"失敗"した自殺志願者のようにも、見えた】
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 22:30:10.30 ID:6E36CB8Wo
>>284-285

【外套を脱ぐと、肩口の傷を軍医に見せる。いくらかの治癒魔術と、近代的な消毒が併用される】
【もちろんすぐに傷が塞がるものでないが、治療を大きく促進することは確かだろう――】

まあ、そうだね……軍というのは、本質的には国民の集まりだ。
国によって運用され、国によって育成される。
戦闘力を備えているだけで、あまり無謀な任務に捨て駒のように投入していいわけでもない。
慎重になるのは、まあわからなくはない。
そういうときに、能力者たちの組織はフットワークが軽くていいよね。

【そうして、何かセリーナが、予感めいたことを口にするのを聞くと】

ああ、セリーナ。その予感は全く正しい。
僕がこの世界に再び顕現して、ソーンと交戦し、君と出会う。
これは確実に何かの予兆だ。

【これで、キングとも遭遇してしまえば役満だな、とそんなことを呟いて】
【ウェインも、セリーナに続いてヘリから降りる。アニーの常軌を逸したお利口さを横目で見ながら、食べ物を謝して】
【水だけもらえれば、と告げる。戦闘後は、あまり食べない。消化に回す体力を、傷を癒やすのに使うべく】
【戦闘翌日のウェインの食事量はなかなかすごいものなのだが、まあ、それは余談】

―――ああ、ありがとう。けれど大丈夫、だよ、一人で歩ける。

【そうして、セリーナの介添も、柔らかく手で制して。通路の振動にも、その両脚はびくともせず、だった】
【そのまま不動に、二分間。いや、だいぶ降りるね、なんて軽口をたたきながらも――】

【UNITED TRIGGER、その本懐を見る】
【圧倒的な規模の情報集積システム、大規模な災害・戦役時にもスムーズな意思決定を可能とするであろう司令システム】
【そして、能力者たちの戦闘力を向上させるであろう、訓練、育成システム】

……これは……

【過去。連合、教団、米軍、レーゲンボーゲン、シュヴァルツリッター。それらの組織を統合してタスクフォース運用しようとした、自身の構想】
【その進化系が、ここにあった。UNITED TRIGGERという組織で、実現されていた】
【当時の自分が成し得なかった、その理想を】
【この女傑は、たったひとり、私財とコネクションを以て、成し遂げたと】

―――すごい。
本当に、すごいな、セリーナ。どれだけの苦労があったか――わかるよ。

【恐らく、この世界に数少なく。同じビジョンを見た人間として、そう言葉を漏らす】

セリーナ・ザ・"キッド"。
僕は、君を尊敬する。

【データが集積されていくその様を見ながら、ウェインは嘆息した】
【そうして、ICカードを受け取る。ここで何かを指揮するよりは、戦場に出ることが多くなるかもしれないが――】
【これだけのシステムがあれば、複数国にまたがる侵攻にも、きっと対処は可能だろう】
288 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 22:59:53.51 ID:tTC6Dg2b0
>>287

【"元々は、大昔の時代に異教徒狩りから逃げてきた信者達を匿う為に掘られた大規模な隠れ家と洞窟だった"、とか。】
【"とある富豪―――というか財閥の関係者にこういった事に明るいアナーキーな人が居て、その人の繋がりが―――"とか。】
【"賞金稼ぎ時代、核シェルターを用意している終末論者と仲良くなって彼の膨大な設計図からアイデアを貰って出来た"、だとか。】

【セリーナはこの基地がどういう成り立ちで作られたか、それが綱渡りであったことを手短に語るだろう。】
【彼女自身にこんな物を築き上げる能力は、当然ながらない。だから、元から存在していた"地下空洞"をもった土地を探し】
【そこに沢山の人間―――尤も、公に名前を出せないような人物達ばかりだったが―――の協力を得て、ようやく作り上げた物であった。】

―――正直、最初は何もない施設だったんです。
訓練場には射撃の的と軍のお下がりのドローンだけ、食堂はコックもいない。
温泉はでっかいだけで要はお風呂だし、シェルターも……、一般に作られるそれに毛が生えた程度。

誇れるのは精々が、"ある人物"のお陰で揃えられたハイテク装備、これだけ。
中央の指令室だけは自慢できるものだった、でもそれだって―――カノッサの連中が使ってるものに比べたら。
多分、どうという事はない程度の物だと思うんです。輸送機をうん千、うん万と保有して同時に運用したり、巨大兵器を操る様なAIも備えてない。

……ただ、それでも。人が人の手で出来る範囲では、限界を突き詰めたいと思った。
まあ、ここまで来るのに4年も5年もかかっちゃいましたけどね! 基地の発想はアタシが20歳の頃に思いついた物だし。
その前には連合も、シュヴァルツリッターもレーゲンもいたから……えへへ。自分もいけるだろ! なーんて、思いこんじゃって。馬鹿ですよね。

でも、ようやく。ジンジャー博士やメンバーの協力もあって。ここまで、進化出来た。
だから……有難う。多分、貴方なら分かって貰える、って。きっと、そう思っていたんです。だって―――。
……ふふっ。本当のことを言っちゃいますね、ウェインさん。これ、思いついた時真っ先に頼ろうとしたの、実は……貴方だった。

話しかけようと思った、計画を持ち寄って、一緒に共同運営出来ないかな、って。
けど―――……丁度、その辺りの事でした。……訃報を受けて、どうしよう、って思っちゃって。
もう駄目かなあ、なんて考えもしたんですけれど……それでも、馬鹿だって笑う人もいれば、背中を押してくれる人もいて。

本当はずっと、ずっと悩みながらここまで来たんです。

けど、今なら……今日なら言えます。断空・ウェイン。

―――アタシも、ずっと。ずっとずっと、ずーっと!! 尊敬してました、憧れてました、貴方に―――あなたに、会いたかった。

……やっぱり、アタシ……間違って、なかったんだなあ、って……えへへ。


【カードを受け取る。憧れの騎士が、大好きだった戦士が。自分の基地を、見てくれている。】
【自分の目の前で、それをほめてくれている。馬鹿馬鹿しい、子供の様に喜ぶわけにはいかないのに、なのに―――】
【涙が、止まらない。まだ何もしたわけではない。でも、ただ。嬉しかった。安心した。幸せだと思えた。そう、ジンジャーの時も同じだが―――】
【かつての"英雄"が。戦ってきた人が。あの頃を知る人間が。今の正義の在り方を、認めてくれる、それがどれだけ―――不安を抱えたセリーナにとって。】

【―――どれほど、優しい言葉に聞こえるか。言葉の後半はどもらせるようにして。】
【ただ、長い日々を思う。ここまで色んなことがあった、それを理解し、肯定してくれる人が現れた。】
【死んでいても生きていても、構わない。ただ、セリーナは憧れの先輩に情けない顔を見せられない、と顔を背け続けた。】

―――さてっ!! え、へへっ……、ごめんなさい、すみません……っ。
もう、此処は貴方の居場所ですから! これからはいつでも―――、
289 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 23:00:02.48 ID:tTC6Dg2b0
>>287



【その時だった。司令部のメイン・パネルに警告が表示される。】
【それは地の国の大都市・アズテリオスに本社を構える巨大兵器会社、マクスウェル・ファイヤーアームズからの通達があった事を示す。曰く―――】


   ” セリーナ・ザ・"キッド"。コードネーム:「ディメンション・コロナ」が完成間近だ。 ”

” 近々、"自警団"やSCARLETの連中も集めて作戦を立てるぞ。そう。 ”

” ベクター・ザ・"フォビドゥン"を、抹殺する ” 


【二人を取り巻く状況は常に変わり続ける―――運命の歯車が、回り始めた。】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/21(日) 23:26:37.46 ID:6E36CB8Wo
>>288-289

【つつ、と、情報機器のキーボードを指でなぞりながら】
【セリーナが、どうやってこの一大拠点を築き上げたのかを聞いていた】

【手短に語ってはいるが、想像を絶する苦労をしただろう】
【それなりの規模を誇る団体だった教団でも、予算の捻出には非常な苦労をしたのだ】
【況や、一個人で、など。富豪や財閥との繋がりがあれど、並大抵なことではない】

【あらゆるモニタ、会議室に使われている機材。それらも、どうすれば目的を達成されるか、考え抜かれた設備であることが、手に取るようにわかる】
【ジンジャー・ユースロット。過去自分も世話になった、その人物の名前を聞いて】
【自分が生きていたあの世界と地続きにこの世界はあって、意志を継いでくれた人たちも居たのだと、理解する】
【そして、自身を頼ろうとしてくれていた、と、目の前の女性の口から聞き―――】
【言葉にならず、ただ、目を瞑って】

………ああ。そりゃ、悪かった。
なにせほら、ちょっと死んでた。

【そう軽口を叩いて、にこり、とセリーナに笑顔を向ける】
【自分に憧れてくれて居たと。尊敬してくれていたと。会いたかったと。そういってくれる彼女に、半分は照れくさいような、けれど】
【彼こそは勝利王の騎士。過去の勝利王の騎士たちは、世界の光を一身に集めて闇を裂いたという】
【今はもう、その身分ではないけれど――先輩たちに恥ずかしくないくらいには、格好をつけないと、と】
【そしてもう半分は、純粋な嬉しさから、ありがたさから】

――うん、ありがとう、セリーナ。
君と肩を並べて戦うこれからを、僕は誇りに思うよ。

【そういって、セリーナの肩をぽん、と叩く】
【その、ときに】

” ベクター・ザ・"フォビドゥン……

【資料にあった、その六罪王の名を、目にした】
【ごとり、と。重く鈍く、しかし強く】
【運命の歯車が、回る音を、たしかにウェインは耳にした】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/21(日) 23:33:51.62 ID:ZCDL6Dx0o
>>286

【ピヒュルルルー……すぴー】
【ピヒュルルルー……すぴー】

【鳥の鳴き声にしては何とも間の抜けた音が、その場へ響いた】
【鴉の一羽が、その音の主へと顔を向ける】

【ピヒュルルルー……すぴー】

【間抜けな音の正体が『吹き戻し』の音である等と、鴉が識別できる訳でもなく】
【その縁日で見かける、笛の先に丸まった紙筒の付いた玩具を吹き鳴らしながら】
【一人の人物が、その奇妙な『落とし物』の側までやってきた】

ほむ……こへは、こへは……
ひふうへひほほはははっはほんはほほほはふほ……へふははあ、ほははは

(ほう……これは、これは……)
(飛行石を持たなかった女の子の末路……ですかなぁ、親方)

【等と、一人で呟くのは奇天烈な装いの人物である】

【三度笠が目深に被られ、その人相は窺い知れないがどうやら男のよう】
【吹き戻しと三度笠までは流しの義賊のようでまだ統一感があったが】
【首から下は、黒いマントに白シャツとスラックスという洋風の装い】

【腰には刀であろうか、少なくともその柄と思しき得物が覗いていて】

(ふうむ……今日は非番のつもりでしたが)
(急患ならば、仕方ありませんな――)

【彼はボロボロになった『落とし物』の傍らへ屈み込むと】

【ピヒュルルルー……すぴー】

【『吹き戻し』をもう一度吹いて】
【伸びていく紙筒の先端で、その頬付近をつつき始める】
【意識確認のつもりらしいが】
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/21(日) 23:48:03.16 ID:W6IaPx6p0
>>291

【"落ちた"のは何時間前だったろうか、烏につつかれてようやく意識を取り戻せば、ひどく寒くて冷たくて、痛いから】
【それでもかろうじて状況を理解するだけの意識はあり、寝すぎた朝みたいに時間を確認しようとした彼女は、けれど、その液晶がすでに半分死んでいるのに気づき】
【もっと言うと一番見たかった時間のあたりがすでに黒く染まっているのに気づいて、放り投げた――それが、ついさっき】
【それから息苦しいような気がして、うざったらしくて、ふわふわのフリルに飾られたヘッドドレスを乱暴に脱ぎ捨て投げたのが、それから、ちょっとあと】

【それで――力尽きたようになったのが、今。そこに、――なんと言えばいいのか。ひどくひどく気の抜けた音、きょうび櫻風の祭りでさえあまり聞かない音】
【動かないだけで意識はかろうじて保ったままの少女が聞き取るには十分な大きさ、まして――近づいてくるのなら。それは何かと確かめなければならない、と、】
【彼がちょうど彼女のすぐそばまで訪れ、傍らに屈み――頬に、ぺそん、ぺそん、何度目かの先端が触れたあたり――ようやく、瞼は薄らと、けれど重たくて仕方ないように開けられ】

――――――「  」、

【――「だれ」と問うたのは、けれど、きちんと伝わらないかもしれない。紡いだ声はあまりに掠れて濁るから、古い機械の軋むような、そんな音にしかならなくて】
【開けられた瞳はやはり黒色と赤色――薄く薄く、それでも確かに開かれて。数秒かけてゆっくり相手へ向くのだけど――――、】

やだ……へびさまぁ……、セリーナぁ――、

【今度は割と明瞭だった声は、そのくせ助けを求めるとかじゃなくて――へんなひとがきた、どうしよう。完全にそんな色合いになる、またぎゅうと目を閉じるなら】
【だけどそれは逃げ出すだけの余力がない証明にもなるだろうか。ひどく冷えた身体をせめて守るようにかすかに丸めて、漏らす声は失礼ではあったが、ひどく弱弱しく】
【ただ――そんなことを言う程度には元気であるのは確かなのだろう。ひどく弱っているようだったが、今すぐ死んでしまうほどではない――ただ、放っておけば分からない】

【そういう、落とし物――あるいは落ち物、落とされ物、なんでもいいけれど。とにかく――どうあれ、相手のことを拒むことはしない、あるいは、できないようだった】
293 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/21(日) 23:54:44.96 ID:tTC6Dg2b0
>>290

【人の世に存在する、宿命という概念。出会うべくして出会う二人だったのだと、セリーナはそう思う。】
【死した後に、何の因果なのかこうして巡り合う事が出来た―――こんなことが、こんな奇跡が。あっていいのだろうか、と】
【だが、出会うべくして出会う、というのはそれこそ幸福な出会いにだけ言える事ではない。むしろ、不幸な出会いにこそ宿命、という物は付きまとう。】

【肩に置かれた手、優しい笑み。セリーナもそれに、涙を必死に拭って笑顔で返した。】
【だがそんな空間を裂く様に、"逢いたくなかった出会い"についても二人は言及しなくてはいけない様だった。】

―――そう、ですよね。
貴方が蘇った。なら、貴方や貴方の仲間が対峙していた様な輩、だって……。

ねえ、ウェインさん……もう、ベクターの資料には目を通されましたか。
もし目を通したなら、アタシの言葉できちんと、報告させてもらいます。アレは―――"アレ"は。

本当の本当に、"クリムゾン"の再来です。どういう訳か、滅んだと思っていたあの"種族"が……
神話の時代、六王とも能力者とも、そして魔界の悪魔達とも一種族ながらに渡り合った"過去の生命体"が……。
さながら現代のジャングルにT-REXやマンモスが放たれた様に、今蘇って猛威を振るっているんです。アレは今から少し前……

奴は地の国……アタシの故郷で、首都を占拠しました。ただ一人、たった一人、軍と十名を超す能力者を退けて、たったの一人で、です。

拳で地盤を打ち破って局所的大地震を起こし、首都「ニュー・ドレファス」を粉々に破壊、
軍が類を見ない絨毯爆撃を加えるも全くの無傷で―――……っと、ああ、その頃の資料でアタシがちょっと……
その、大変なことになってたりしたんですけど! ま、まあその話はまた今度にして……とにかく。それ以降今に至るまで。

地の国は首都を第二の巨大都市「アズテリオス」に移行、ベクターは依然として首都直下の地下に
なんらかの基地を備えて待機している―――そんな状態が続いているんです。

……でも、どうやら弱点が存在しているらしくて。そこもおかしいんですよね、クリムゾンに弱点なんて……なかった筈なのに。
ともかく、奴が"太陽光"の元に出てこれなかったという貴重な証言が残されています、今アタシや自警団は兵器会社と協力して
疑似的に太陽光を―――夜間に生み出す、そういった兵器を開発中なんです。それが、どうやら完全に出来上がったみたい。

―――奴を仕留めに行きます。恐らくは陸戦戦力だけ、で。

【ちなみに、だが。関係者からは「ベクター・インパクト」と呼ばれているその大地震に端を発する一連の事件。】
【セリーナ・ザ・"キッド"は当時かなり大変な事になっていた為、直接ベクターと交戦した事が、なかったりするの、だが。】
【ここまで三度、ベクターと能力者たちは交戦した記録がある。映像に映し出されるそれはまさに―――"厄災"、その物だった。】

【クリムゾンとしての絶対感覚で多重攻撃を全て見切り、また命中しても端から再生し対応】
【跳躍で航空機に追いつき大型輸送機を"素手"で仕留め、共に落下しながら地上に着地する】
【その上多数の能力すらも所有し、機械を自在に操り、影が怪物と化し、地中に地雷を出現させ】

【やりたい放題―――としか、言いようがない。一部の映像では近接戦闘に長ける能力者たちの】
【一斉攻撃を"指"ですっ、と停止させるような、絶望的な映像すらも記録されており―――。】
【化け物、という表現。それ以外に言い表せない何かがそこに居た。しかし、セリーナはウェインを見つめ。】

……生まれ故郷、閉鎖されてるんです。首都よりも少し西部にあるんですけれど。
ゴールド・フェザー・タウン……小さな小さな町で、原住民の文化が色濃く残ってる、そんな田舎です。
でも、今はだれも住んでいない……みんな避難してしまったから。アズテリオスが第二の故郷になってしまった人ばかり。

……取り戻したいんです。なんとしても、アタシの故郷がある国を……町を。
―――だから、一緒に。

【セリーナは告げる。ここからが本当の闘いだと。】
【かつての英雄、そしてかつての悪夢。交差する運命が世界を新たな局面へと導く中。】
【ここに二人の戦士が立ち上がろうとしていた。尤も―――セリーナはこの後、もっと大変な事になるのだが。】
【愛する妹の重症、という事態に、直面するのはまた、別の話―――。】

/これで〆、とさせてもらいます!
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 00:01:28.99 ID:URblLwGao
>>292

ふむ、意識はある、と。上々ですな

【男は少女が眼を開ければ、吹き戻しを手に持って】
【それを懐から取り出した専用ケースに収めると、再び懐へしまい】

こんにちはお嬢さん、聞こえますかな?

安心して下さい、私が来たからにはもう大丈夫です
ご覧の通り、潜りの無免許医が不思議な縁に導かれて参上致しましたぞ。

【等と訳の分からぬ事を言いながら、男はまたぞろ懐をまさぐり出す】
【やがて取り出してきたのは、どこに収納していたのか、包帯だの消毒液だのメスだのと】
【どう見ても医療関係者とは乖離した装いの男が、次々と救急用品をその場へ並べ始め】

オペしますか? 死にますか?
こちらシルバークリニック長谷部さん、本部どうぞ

【見る見る間にマスクや手袋を装着し終えると】
【両手の甲を相手に見せるような形で宙空へ掲げ】
【治療行為を受けたいか、生きる意思はあるか、と問うたのだった】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:15:20.22 ID:o3jyb6KM0
>>294

【意識はある――あるだろう、とりあえず意識のないひとは、助けてくれそうなひとに「やだぁ」なんて泣きそうな声で言わないし、だから、意識はある、限りなく】
【ぎゅーっと目を閉じて現実逃避していたのを少ししてからうかがうように目を開ける、それで、また、ちらと覗き見――やっぱりへんなひとかもしれない、そう認識しなおし】
【だけれどこの時点で攻撃されていないなら、少なくとも敵ではないとも理解する。聞こえるかと問われれば、わずかに身じろぎ――頷きのつもりのようだが、動きはかすか】

――――、って、待って……、無免許、やだ……。

【まってと紡いだ声がかすれて聞こえない、続けて繰り返せば今度はいくらか聞こえる、首を振れば冷たい地面に頬が擦れる、黒髪が擦れ合うさりさりとした音が聞こえて】
【助けてくれる意思はある――らしい、というのも、理解する。へんなひと。だけれど敵ではない。それどころか助けようとしてくれている……、ただ、無免許と聞いて】
【素直にやったあと喜べないのがどうしてもあって、そして、これは、彼のせいでは決してないのだけれど――】

【いろいろと取り出されていく明らかに医療のためのもの、包帯、消毒液、メス(!)、それからマスクに手袋、オペ(!!)、テレビでよく見たお医者さんのポーズ】
【すでに血の気なんて失せ切っているはずなのにさらに血の気が落ちたような顔色になる、――病院が、そしてそれに関連するもの、医者も、そういうのも、全部怖いだなんて】
【そんなことを言っている場合ではないのは分かりながらも、だけれど、どうしたって恐ろしさが彼女の中にはあって――、それなら、ずる、と、小さな音は】

こわい――――、

【ひどい弱気な声、泣き出しそうな声での拒否、それで、身体をまた小さくちぢこめる――彼に向ける目は、そんな場合ではないはずなのに、それらにひどくおびえて】
【だけれど本人も分かっているからどうしようと困惑した声も漏らす――同時に。彼が気づくのなら、さっき彼女が初見一発彼を見て漏らした言葉――誰かに縋るようなそれ】
【その中に、明確な有名人の名があった。"へびさま"とやらが誰だかは分からないが、少なくとも――"セリーナ"というのは有名人だ、衰弱した状態で、すぐに思い浮かぶのなら】
【もしかしたら関係者なのかもしれない――だなんて。分かりながらも愚図った少女は、今は不安そうに彼の取り出したいろいろな道具を見ていた、――どちらとも、答えないままで】
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/22(月) 00:17:11.04 ID:92fHxdHCo
>>293

【” ベクター・ザ・"フォビドゥン。この時代に於いて、最大級の戦力を誇るソレ】
【いくつか目を通した範囲では、信じられないほどの戦闘力を誇っていた】
【クリムゾン――過去、米軍の熱核攻撃を以て大局を決めるしかなかった、その戦力が】
【機関という組織のバックアップを得て、こちらと敵対しているとすれば、それは最悪に近く】

――ああ。ソレは本当に、色々と、見たよ。
単独の能力者が可能とする影響の範囲を大きく越えているけれど、
おそらく”ベクター・ザ・"フォビドゥンは、それこそを目的として作られている。
全てを終わらせるもの、終末を齎すものとして、クリムゾンはまさにうってつけの素材だったろう。

ただ、恐らく純正のクリムゾンではないね。今聞いたように、太陽光を弱点とするとすれば、
それが一つ、切り崩す糸口にはなるだろう。

【そして、腰の刀にす、と触れる】
【圧倒的な再生能力にしろ、防御力にしろ。断空ならば、あるいはと】
【確証はない。対峙したことがない相手に、無条件に自身の刀が通じると考えるのは危険だが――】
【それでも、当てさえすれば、という希望を持てるのは、恐らくこの断空だろう】

それも、僕が当てれるかどうか。
確かに単独では、ベクターには抗すべくもない。
ただ、一人では足りぬ力も――掻いて集めて、奴らを穿つ、剣とする。

【いつか新大陸で告げた、その言葉】
【今はモニタに映る、六罪王の名を見つめながら、騎士は決意を新たにした】


/はーい! 長い絡みありがとうでした!
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 00:36:36.11 ID:URblLwGao
>>295


【弱った少女に「やだ」「こわい」等と言われて】
【それでも強行するような変態的嗜虐性は彼にはなかった】
【少女は愛でるか守るもの、彼の信念がその手を止めて】

ふむ、分かりました
では内服液の投与に切り替えて様子を見ましょう

【彼は存外あっさりと外科療法を止めて】
【広げた道具、マスクと手袋をぱぱぱと片付けた】
【その代わりに取り出してきたのは、一本の小瓶】

【『ヨクナオールX(医薬部外品)』】
【とラベルに書かれたそのキャップを開けると、丸まった少女に向けて差し出した】
【生薬とシロップの混じった甘苦そうな香りがほのかに漂う】

それを飲めば、ひとまず立てるようにはなるでしょう
まずは落ち着いて下さい、何があったのかはそれからゆっくりと聞きますぞ

なんであれば家族かお知り合いの方へ連絡しましょうか?
その、先ほどの……『へびさま』か、せ、せり、芹沢――いや、違う、
せり……せり……ああ、セリーナ! さん?

番号を言って頂ければこちらから掛けますので

【男は言いながら、三度笠の庇をくいと上に上げて】
【まるで温厚な小児科医のような顔でにっこりと、微笑むのであった】
【セリーナ――と聞いて、大きな反応こそ見せなかったが、何かに思い至ったようで】

【ちなみに男から差し出された瓶飲料は不審極まりないが一応無毒】
【ちびりとでも口につければ、交感神経が刺激されると共に自然治癒力を爆発的に高める】
【要するに、ほとんど気付け薬のようなものなのだが、少し行動するぐらいの元気は与えようかというところ】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 01:04:20.34 ID:o3jyb6KM0
>>297

【少しだけ泣いてしまいそうに潤んだ目、怯えた色がじっと……じっと、じっと、穴でもあけようかというくらい、見ていた。いろいろな道具――こわいものたち、それでも】
【"そう"されないといけないことが分からないほどの子供ではなかった、だから、泣きそうでも、いっそ泣いても、頷かないといけない――そう、思った、ときだった】
【やめる――そう直接的な言葉はなかったけれど。彼は"それ"をやめると言って、あまりにあっさりと、すべての道具を片付けてしまって】

え…………、

【怯えた目は気づけばぱちくりとまあるくなっていた、痛みも寒さも一瞬忘れて、どうしてだろう――と、心底不思議がった目を、今度は相手へ向け】
【差し出された小瓶を、冷えて固まった手――左手でおぼつかなく受け取る。本来――普段であれば、医療全般を苦手とする彼女は、やはり飲みたがらなかったのだろうけれど】
【さっきよりはずっとましな見た目であるのもあってか素直に受け取り、そして重たく身体を起こして――小瓶のくちのところから、すん、と、においを確かめる】
【なんだか薬っぽいような匂いと、甘い匂い、ずっとずっと昔の記憶で、風邪を引いたときに飲んだ、せきどめのシロップのような――それを、かすかに思い出せば】

っ……、っ、う、うえ、

【動かない右腕を引きずって、何とか、口元で傾ける――そうするとどこかが痛むのか、ひどくあどけない顔を苦痛にゆがめて、ちらりと、内用液を口に含めば】
【よっぽど普通においしいとかでない限り、どんな味だったとしても彼女はたぶんあんまり好ましい感じの反応はしないだろう、それでもあまり身体を起こせないなかで】
【なるべくがんばって飲もうとする――ただひどく冷えた左手でやるものだから、どうしてもこぼれてしまう分も多い――だけれど、なんとか頑張って、四分の一ほどは、飲んだのか】

家族……、……へびさま、は、びっくりさせちゃう――から、……、セリーナか、ウェインさん……、おむかえ、来てくれる、かも……。
でんわばんごう……、携帯に――、……壊れたの……、っ――、UTの、電話番号……、

【そうすれば――やはりいくらか意識ははっきりしてくる。何よりひとと話すことも刺激になっているのだろう、変わらず、よっぽど元気!というわけではないけれど】
【もう飲めないと言って飲みさしの小瓶を彼に返そうとする――もう中身はほとんど飲んだかこぼれたで残っていないものだったけれど、ならば、半ば押し付けるようでもあり】
【家族――へびさま、とやらは家族であるらしい。だけど駄目なのだと自分で否定する、それから――告げるのは、やはりそのセリーナという名前、それから、もう一つ増える】
【だけれど問題があるとすれば――今時にありがちなやつだ、どうやら彼女はその相手の電話番号を"そら"で言えるほど、覚えていないらしく】
【携帯にある――というが、壊れたとも続ける。それからあっち……と指差した先には、確かにひび割れた、というよりいっそくの字に折れ曲がりかけた、携帯端末があり】

【ならば、今度は、"誰か"ではなく、"誰かに"必ずつながるだろう場所を口にする――UT。風の国の、UNITED TRIGGER――そこがいい、と、指名する】
【彼が何かそういった端末を持っていれば、多分、検索すれば電話番号くらいは分かるだろう。それで――疲れたように、一瞬、言葉を途切れさせるのだけれど】

……りんね、鈴音――、鈴音が、って、言えば、分かって……、

【「くれると思う」】
【続けた声がかすれて途切れる――薬は、効いた。おそらく効いているのだろう、だけれど痛みはまだ強くこびりつき、そして、何より、冷え切った身体は重たく、硬く】

――――――抱っこ、

【とても寒いので、大変申し訳ないのですが、あなたの体温で暖めていただけませんか。――そういうことを頼めるだけの余力がなければ、やがて紡ぐのは、ひどく簡略化されるもの】
【だけれどその言葉でどうあれ彼が触れてくれれば――きっと長い間ここで転がっていたのだろう。すでに身体は冷え切ってしまっているのが、分かるはずで】
【もしも抱き上げるまでをしてくれるのなら――右腕がおそらく折れてしまっているのも分かるだろうか、それ以外は幸いにも目立つものは見えなかったけれど――】
【悪く言えば、全体的に全身が元気でないとも言えた。特に悪いところは、これが致命傷になりえるというものは、おそらくない――はず】
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 01:32:33.05 ID:URblLwGao
>>298

良し良し、良い子ですな

【痛みに苦しみながらも薬を飲んだ彼女を見て】
【男はそこに明確な生の意思を感じ取る】

ふむ、それだけ飲めば十分でしょう

【やがて全部飲みきれず返ってきた瓶を受け取ると】
【急に大口を空けて空を仰ぎ、その口内へ残った瓶の中身をぶちまけた】
【最後の一滴まで瓶を上下に振って叩き出すと、「うーん不味い、もう一杯」】
【そんなことを呟きながら、少女の話に耳を傾けて】

――なるほど
およそのことは分かりました

【ちらり、道へ転がった携帯端末の残骸を一瞥して】
【あの状態では使えないし、番号を覚えてもいない、と】
【UT――唯一拠り所になりそうなのは、巷を賑わせるその組織の名だけ】

しかし、となると――困りましたなあ
生憎と私はアナグマ派……いや、アナログ派なのでこういったものしか持ち合わせていないのです

【言いながら、懐から取り出してきたのは重厚な黒い塊】
【ちりん――と、小さく澄んだ音を鳴らしたのは、前時代的な『黒電話』であった】
【出来たとしても本当に通話だけという代物、番号の検索など出来そうにもなく】

ゆないてっど・とりがー……
私もその名前くらいは知っておりますが、番号までは覚えておりませんのでなあ
これでは誰も電話にでんわ、困りました――

【そう言って眉根を寄せて見せるのだが】
【と、そこで――幼子のように要求される「抱っこ」の声】

……ふむ。分かりました
では、ゆーてぃーのところまで、貴女を連れていくことに致しましょう
場所くらいは分かるのでしょう?

【男は言いながら、ひょいと軽々しく少女を持ち上げる】
【片腕を背中へ、もう片方を膝の下に差し入れて】
【「腕はここ、あまり動かさないように」】
【折れた腕を彼女の腹の上へ乗せた状態で、男は「さてまずはどちらへ」と呟いた】
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 02:00:18.54 ID:o3jyb6KM0
>>299

【いい子――ああそういえば。いつかずっと小さなころ、甘いくせに変に苦いのシロップを飲むのを渋って、結局、おいしくなくって、ほとんど残してしまったとき】
【それでも"お母さん"がそうやって褒めてくれた。それをかすかに思い出す――眼前に居るのは当然母ではないけれど、どこか、同じような優しさがあるような気がして】
【けだるくて一瞬閉じた目を緩く開けて、それで、――どうして母親を思い出したのか。その理由を相手の姿に探そうとする、どこが似ていたのか、どうしてそう思ったのか】

――――――――。

【――それで、目撃した。飲み残し、もういらなくって返した瓶、思いっきり飲んでいる、飲まれている、えっなにそれ……そういう顔、だけど――そう、今は、つらいから】
【なんだかとっても寒いし眠い気がしてきた。多分これは夢だと思う、とりあえず今の一瞬は夢思う――幻覚に違いない、まさか、目の前で飲み残しを飲み干すひとがいるはずない】

……でも、ウェインさんは、お仕事……かも、しれない、なら、天音ちゃんでも――、ううん、でも、セリーナが……、UTが、

【彼が視線を向けたのを追いかけるように、彼女も視線を壊れた携帯端末に投げやる、逆くの字――そうひどい曲がりではないが、とりあえず、端末としては十分に死んでいるもの】
【実際起動を試みても起動してくることはない――だろう、彼女が時間を確認しようとして放り投げた……そのときが、端末の最期であったらしい、ゆえに】
【電話番号は分からず、そして、彼の取り出した黒くて丸みを帯びたフォルム。テレビの中で見たことがあるやつ。黒電話――ああ、これも、幻覚かな】
【そんな風に少女が脳内で一生懸命処理しているのをきっと彼は気づかない……だろうか、時々、現実を受け入れがたいように目を閉じる。ひどく苦しいようにも見えたけど】
【現実は苦しくて寒いのもあるけれど現実が受け入れがたい。なんか変な状況にある……それを処理できるだけの余裕がない結果、そうして、現実逃避している】

病院は嫌……、セリーナのとこじゃないと、――、お家は、遠いから……、――これじゃ帰れない、

【UT――相手はどうやらその名前を知っている。けれど電話番号は知らないのだというから、どうやら絶望的かと思う、それでも繰り返すのは――病院には、行かないで、と】
【泣きそうに"懇願"して、やはりそこがいいと繰り返す、家は――ひどく遠くて、無理だとも言って。なにしろ夜の国だ、彼に説明はしないけれど――無理だと、認識している】
【普段ならば転移の魔術で移動しているが、これだけ弱った今ではそれも難しい。そう判断して、やはり、UTに――職場に、と、頼むのだけど】

――――、場所は、分かる、けど。

【連れて行く――とは、少し予想外だったのだろう。ひょいと抱き上げられる瞬間、かすかに驚いたように身体を固くするが、どこかが痛んだか、次いで強張り】
【かすかにふるえる吐息で痛みを堪えて――抱き上げられる身体はひどく華奢であるためか人間としての範疇でうんと軽い、急に変わった体勢に、ぐううと小さく呻き】
【それでも彼を信用していない、という様子ではなかった。単にどこかが痛むだけ――暴れたりということもないから、それはもはや、この場合では仕方のないことでしかなく】
【どうしたって仕方ない揺れの瞬間に痛むことを除けば、誰かの体温に触れていることそのものはひどく快くて安心している――という様子では、あった】

【どちらへ――尋ねられれば、少し考えてから、「あっち」と返す声、それから、動く左手が、ぼうと幽霊の指揮者がするみたいに、力なく"あっち"を指差し】
【本当に正しい方向へ導いているのかは物凄く不安な感じ――ではあった。変なカーナビみたいに気づいたら海の上を走っているとか、ないといいのだけれど】
【とにかく。そんな感じで、あっち、こっち、やっぱり戻ってあっちだった、とか――そういう精度のものではある。だけど――これが意外と正しい方向を、言っているのだった】

/申し訳ないです、こちらはここで凍結をお願いしたく……!
/明日は来られるのが夜遅くになってからで、もしかしたら雪とかでさらに遅れてしまうやもしれないのですが……
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 02:03:24.29 ID:URblLwGao
>>300
/承知です!
/こちらもほとんど同じ事情なので、無理のない時間にまたお返事くださいな。
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 19:08:32.38 ID:ey/h2xSRo
>>300

奇遇ですな、私も病院は大嫌いですぞ

【と言いながら男は「私はどうやら病院よりは嫌われていないようだ嬉しいな」と考えている】
【それ故に「大嫌い」と言いながら喜色満面の笑みを描く言行分裂じみた構図となる】
【それから少女が指差した先を見ると、男は一つ、頷いて】

さて。このまま抱えて行っても良いのですが、
うら若き乙女がこのような格好を人目に晒しながら歩くのは貴女も気が引けるでしょう

【少々お待ち下され、男はそう言うと】

―― ちゃーん!

【唐突に意味不明な呼び声を空へ向けて投げた】
【するとすぐに、空の彼方から何かがこちらへ飛翔してくる】

【大きな四角い木箱に車輪が付いたような――】
【『乳母車』が、何故かジェットの火を噴きながらやってきて】
【そのまま近付いてくると、戦闘機よろしく空中で姿勢を制御してから、目の前に着陸した】

【兵器のような挙動をする割にその外観はひどく古めかしい】
【およそ使われている材料と言えば竹と木材だけだ】
【せめてもの装飾なのか、カラフルな風車が一つ刺さっていて】

【男は鈴音をその『乳母車』の中へそっと降ろす】
【彼女を受け止めるのは柔らかく温かい感触】
【何を詰めているのかは知れぬがふかふかのクッションと毛布が備わっていた】

これならば不自然ではないでしょう
では行きましょう、鈴五郎

【男は取っ手を押す。がらがらと音を立てて車輪が回る】
【どこからともなく櫻の弦楽器による寂しげなBGMが流れ始め】
【さながら子連れの浪人じみた装いの男、ちいさな少女を連れて旅路へ発つ】

【ごとごと、ごとごと、と車体は鳴るが】
【振動吸収装置でも付いているのか案外籠の中は穏やかで】

――それにしても相も変わらず、物騒な世の中ですな
このような少女をここまで痛めつけるとは、いやはやどんな悪党達か一度顔が見てみたい

やはり『機関』の連中ですかな?

【男は道中、滔々と語り、そんな問いかけをも彼女に投げる】
【すれ違う人が二度見して振り返りなどするが男は一向に気にする素振りなどなく】

【一応、発ってすぐに壊れた携帯端末とフリルを拾い上げて車へ乗せている】
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:26:57.10 ID:aNHRpLd+0
>>302

【病院よりは嫌われてない――というより、病院より、怖くない。いくらへんなひとに見えても――というかそれ以外に見えなくても】
【抱き上げられたままでゆるく安堵して――なんならその胸元に頭を預けて、安らいだように、眼を閉じる。ごく浅い眠りは、すぐに目覚めるものだけど】
【やはりどうしようもなく消耗しているらしかった、だから――べつに、そのままだとしても、彼女はあまり気にしなかったのだけれど】
【一瞬ひどく眠たい気がして目を閉じた、その間だった。気づけば、抱き留められた眼下には、見知らぬ乳母車が駐車……駐車?していて】
【かすかに不思議そうな目はしたけれど、どうあれもう"いい"らしかった、優しく降ろされれば、すぐにでもふわりとくるまれて――ただ、この少女、】
【顔のあどけなさのわりに百六十の身長があるから、そのまま縦で入れようとすると少し大きい――というか、わりと、大きい、のだけれど――】
【彼がそれで問題がなければ、彼女の方にももちろん問題はないだろう。道案内をしようとがんばるなら、ときどき、あっち、とか、こっち、とか、やはり指示はあり】

…………――わかんない、

【彼が拾ってくれた携帯電話をかろうじて動く左手の指先で触れてみる、ばきばきの液晶の欠片がぼろぼろ落ちてくるから、諦めたように、落とさない程度に遠くへやって】
【気づけば傷に障らない程度に身体を丸めてしまっているから、その恰好が落ち着くのかもしれない――それで、ときどき、浅くまどろんで、道が分からなくなれば、指で差し】
【だけれど――そのあいまいな道案内も、おそらくそろそろ近くなってきただろう、というころで、ぱたりと止むだろう、軽く呼びかけた程度では、反応さえなくなり】
【けれど見れば再びの意識不明だとか、あるいは死んだ……というわけでもなく。低体温と傷の痛み、それから、彼が差し出してくれた薬――治癒力の強化】
【おそらくはそういった要因が重なって。誰かに助けてもらったという安堵感があって。それで眠ってしまったようなのだけど――その前兆は、いくらも前からあったけど】

【それでもこの辺りまで来れば。そこらへんのひとでもそろそろだいたいみんなが知っているような距離になりつつある……だろうか、さっきまでより、ずっと近く】
【なんならこのままだいたい道なりで行けば――くらいまでは、案内していたようなのだった】

/なんとか帰り着きましたのでお返しします、お待たせしました……!
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 21:58:03.59 ID:ey/h2xSRo
>>303

……おや

【反応が途絶えてしまった彼女を見て、男は眼を丸くする】
【しかしその穏やかな息の様子から眠ったらしいと察して】
【微笑ましそうににんまりと口の端を吊り上げた】

ゆっくりお休みくだされ
その方が薬の効きも良いでしょう

【言いながら、毛布のずれを整えて】
【彼女が微睡みの中へ落ちていくのを静かに見送った】

【乳母車は進む】
【満身創痍の少女を乗せて。所々身体がはみ出してはいるが】
【それでもいやに上機嫌な男が鼻歌など歌いながら――そして】

――さて、ここですかな、と

【やがて辿り着く、正義の前線基地たるUNITED TRIGGER店舗前】
【店のすぐ前へ乳母車を停めると、その建物を見上げながら顎をさすったりして】
【ほうほうここが件の、と興味深げに眺めていたのだが】

【それもすぐに気が済んで】
【扉の前に立ち塞がるや否や】

たのもー! たのもー!

【と、声を張り上げながらばんばんと無遠慮に音を立てて、扉を叩く】
【それを聞き咎めた街の通行人が振り返り、なんだUTに喧嘩を売ってる命知らずがいるぞと慄く】

【男は誰かが出てくるまで、扉を叩き続ける】
305 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/22(月) 21:59:26.32 ID:SSbNiDnU0
/どうしましょうかね!これ!ブッ混んじゃってもいいですか、師匠!
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 22:02:13.23 ID:ey/h2xSRo
>>305
/あたしゃ構いませんぜ!
/一応今は鈴音の方帰り待ちです。
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 22:05:53.98 ID:aNHRpLd+0
>>305>>306
/こちらも構いません!食事終わったのでこれからレス書くつもりですが、セリーナさんの方先の方がよろしいでしょうかっ
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 22:08:28.83 ID:ey/h2xSRo
>>307
/その方が展開動いた後なので鈴音の方が入りやすいかもしれませんね。
/そうしましょうか!
309 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/22(月) 22:09:52.47 ID:SSbNiDnU0
>>306-307
/ヒャァ!我慢できねえぜ俺はブチ込む!!
あんまり遅くまでは出来ないのでちゃっちゃか短めレスで行きますよ〜イクイク……
それでは先にたたっと返しちゃいますよ、しばしお待ちを!
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 22:12:36.42 ID:ey/h2xSRo
>>309
/おっすお願いしまーす!
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 22:14:02.12 ID:aNHRpLd+0
>>308>>309
/了解しましたっ、ではお待ちしております、よろしくおねがいしますー
312 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/22(月) 22:29:47.31 ID:SSbNiDnU0
>>303-304

【ふう―――と、白い息を中空へと吐き出す。寒いから生まれるそれではない、端的に言えば"煙"だ。】
【指でトントン、と灰を落とし、手に摘まんだそれをもう一度口元へと近づけ、咥えてから吸い込みそして―――、】

―――ふう。ひっさしぶりに吸ってるけどやっぱりこれ、みょ〜にクセになるんだよねえ。
異世界製の煙草ってそれなりに高級だけど独特の味がして美味しいなあ、気候の違いで葉が良く育つのかも。

【一日中着ていたせいで、煙と汗で薄汚れてしまった白のシャツに、鈍い土気色のベスト。】
【脚にはゴツい革製のブーツ、そして寒期用のウールでできたグレーのコートを羽織り、頭部にはトレードマークのテンガロン・ハット。】
【有体に言えば、来訪者が扉を叩いている店の中にいたのは"西部劇"に出てくる様な昔ながらの格好をしたガン・スリンガーの、女だった。彼女は煙草を燻らせる。】

ふう。一先ず、アルコールの代わりになる物を確保、ってとこだね。
緊急要請が多いし、飲酒法なんて気にもかけてなかったけど……ま、今は立場もあるし。
暫くは断酒だなぁ。嗚呼、忌々しいカノッサめ……必ず倒してやるんだから。アタシの泥酔ライフの為に……!っと、あれ?

あー、はいはいはい。来客だね、今日は珍しく依頼も来ないから静かにしてたのに―――。

【その女、セリーナ・ザ・"キッド"は今、UNITED TRIGGERの店先ではなく、裏の駐車場にいた。】
【並んだオールドバイクに装甲車、誰の趣味で買ったのか異世界はイタリア製の超高級スポーツ・クーペ等に隠れ】
【まるで誰かから見つかるのを避けている様な、そんな形で彼女は煙草を吸っていた。しかし、その秘匿は呆気なく終焉を迎えることになる。】

はいはい、ごめんなさい! どうぞ入って、お店はいつでもオールェイズ・オープン。24時間営業だよ。
お陰で此処の所休暇もロクにとれてない、け、ど―――、

【煙草を口にくわえたまま、器用に話しながら店先から顔を出したセリーナは、来訪者の異様な男を目にし動きを止め】
【そして彼の押す乳母車の様な何か―――いや、乳母車そのもの? というか、籠? の中身を目にしただ、ただ―――絶句、同時に、駆け出し。】

―――鈴音ちゃんっ!? りんっ……、どうして!? こんな……―――っ、オーライ事情は呑み込めた、なんとなくだけど!!
とにかく中へ、ああそれと直ぐに救急箱を……っていうか地下の施設に……!!

【本当は、籠の中の彼女にバレない様、静かに隠れて吸っていたのだが。】
【口元に加えたWESTを台所のシンクに放り捨てるとセリーナは飛び出し、直ぐに籠と、そして男を招き入れるだろう。】
【その直後には机の下に隠されていた救急セットを取り出し直ぐに鈴音の状態を確認しようとしている辺り、対応は早いのだが―――慌ただしかった。】

/よろしくおねがいします!
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 22:49:16.56 ID:aNHRpLd+0
>>304>>312

【す――と呼吸は深く深くなる、よくわからないけれどとにかくふかふかしたものに包まれて、それなら、これ以上身体が冷えることも、おそらくはないだろう】
【なによりこの少女はいくらか"特殊"だから。薬を飲んだ後だから眠った方がいいというのはもちろん、それ以外にも――眠ることが、何より、その身体を癒すのに必要で】
【たださすがに骨が折れているとか――そういうことが今眠って今どうにかなるほど"特殊"ではないけれど。いっそそこまでいくと"異常"なのだし】

【だけれど――彼の発した大きな声。それからどんどんと強い音に、少女の浅いまどろみはあまりにあっさりと妨げられて、何度も繰り返したように、また、薄く目が開けられる】
【それがちょうど、セリーナが顔を出して、かごの中身を確かめた瞬間だったから――眠っているか起きているならともかく、起きかけている瞬間、というのは】
【どうにも今まさに"死にかけている"ようにも見えたかもしれない、見ればまだ体温の上がりきっていない顔はひどく青ざめていたし、傷も――目に見えるものはあまりないものの】
【元から白い肌をもっとずっとうんと白くして、ぼうとした目をセリーナに向ける、というこの瞬間は。ひどく重大に思わせる、――割と重大では、あるのだけど、それ以上に】

…………――、セリーナ、

【――ひどくぼうとした声が彼女の名前を呼ぶ、ひどくけだるいような声はいつものはっきりした金属質の鈴の音とは違う、油の切れた機械の軋むようにも聞こえ】
【それでようやくここが指定した場所であるのに遅れて気づいて、自分をここまで運んでくれたひと――そういえば名前を聞いてない――を、ぼうと見上げ】

煙草吸ってた……?

【それからまたセリーナに視線を向ける、どったんばったん大騒ぎな様子を、ただ、ぼーっとした目で見つめて、しばし】
【セリーナが身体の様子を確認しようとするならひどく素直に従いながら――もっとも目立つのは利き腕でもある右腕だろう、おそらく、折れてしまっていて】
【それ以外は、こちらは"予告"されたようにあばらの数本も折れただの、罅が入っただの、そんな様子。あとは切り傷や擦過傷、それから打撲――ただこちらは大したことなく】
【あとは目立つのはその低体温。ひどく冷えてしまっていて――彼に拾われた、一番最初よりは、ずっとましになっていたけれど、それでも冷たい】

【――ただ。ただ、そうされながら、ぽつ、と尋ねる声は、ほんの少しだけ、拗ねるような色合いだったから。それくらいには元気らしい――とも思わせるだろうか】

/よろしくおねがいします!
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/22(月) 23:03:54.93 ID:ey/h2xSRo
>>312>>313

おや、どうもどうも

【現れたガン・スリンガー、セリーナに気づき振り向くも】
【すぐに事態を察して対応した彼女にかける言葉はまだ少なく】
【セリーナに促されるまま、乳母車と共に店内へ入っていく】

【鈴音はセリーナに任せたとばかり、彼は数歩距離を空けたところに立ち】

気付け薬程度しか投与できませんでしたが、
それでも随分とましになりましたぞ

見ての通り無残な傷ですが何より血流と体温の低下が酷い
なるべく早く大きな施設へ移してあげるか、
高位の治癒術式を掛けてあげる必要があるかもしれませんな

【男は言いながら三度笠を外す】
【歳は三十代半ばだろうか、掘りの深い櫻の顔立ちが貼り付けたような微笑を湛えていた】

【腰に刀のような得物を提げているところを見るに】
【その格好では医療関係者とは主張していなかったが】
【怪我人の治療には慣れたような様子を窺わせて】
315 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/22(月) 23:29:29.93 ID:SSbNiDnU0
>>313

【もうこれで長い付き合いになる、鈴音の肉体がそう軟なモノではなくて、且つ】
【普通の人間のソレとは少し違っているという事もある程度把握はしていたのだけれど―――】
【ともあれ、眠ってさえいればどうにでもなる、という様な傷ではなく。見た所骨折に出血、そこから来る低体温。】

【看過出来る物ではない、自分もこうしてズタボロになって帰ってくることはあったが】
【そういう場合には大抵、軍や自警団の医療組織が対応をしてくれていた為に体力の低下は避けられていた。】
【だが鈴音の場合―――そうも、いかない。お風呂や病院がとかく嫌いなこの少女の事、この怪我で態々此処に駆け込んだのは"そういうこと"だと理解し。】

―――……、あー、それはね、えっと……
幻覚でも見てるんじゃないかな、ほらーその、アタシもよく見るんだよ!
でっかい戦いとかで死にかけるとほら、悪夢って言うのかななんかそんな感じの! だから―――、

……煙についてはともかく、治すよ。悪いけど地下に運ぶ、治療には大分痛みも伴う、けど……我慢してね、鈴音ちゃん……!

【間違いなく、拗ねている。吸っている事にか、それとも隠していたことにか。】
【何方であっても暫くはむーっ、とした態度で接せられてしまうだろう、仕方あるまい。】
【セリーナだって事情がある、鈴音がこうなっているのにも事情があるのと同じように、だ。】

【だが矢張り怪我人の扱いにはそれなりの慣れがあるのだろう、直ぐに体温と脈を確認し】
【直ちに別状がない事だけは把握、とは言え放っておけば大変なことになるのもまた事実。セリーナは】
【乳母車を押しながら酒場の裏口に繋がる通路へと入っていき、手慣れた様子でスイッチを押そうとする、そう。】

【―――UT関係者ではない、男も一緒に連れて、だ。】
316 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/22(月) 23:29:46.68 ID:SSbNiDnU0
>>314

あーっと、気付け薬!? それってどんな種類かな、抗生物質か何か?
それとも麻酔でちょっと眠らせてるだけなのか、そこらへんはわからないけど―――ともかく!!

【セリーナは男の様子を見る。刀、気付け薬を投与という単語、救護をした事実。】
【そして的確な状況判断―――血流と体温の低下を真っ先に心配するその観察眼の鋭さ。】
【口ぶり、術式の要請など総合的な彼の情報を整理すれば―――導き出せる答えはおのずと、一つ。】

―――ヘイ、オサムライさん。
どなたかは知らないけれど、アンタはこの娘の―――アタシの妹分の、命の恩人だ。
助けてくれてありがとう、本当に。此処から感謝を表するよ、見た目には"そう"見えないけれど……なんとなく、分かるよ。

医療関係者、でしょう? 恐らくはその道の知識も、ある。
本当なら病院に連れて行きたい所なんだけど……御免なさいね、この娘ああいう場所、苦手で。
それで一つお願いがある、謝礼も勿論用意するし、危惧や費用は全部アタシが"持つ"から―――。

【セリーナについていけば、裏口へとつながる冷たい通路ががこん、と大きな音を立てて振動し】
【そのまま"降下"を始めるだろう、そうさながらに通路全体が昇降機<エレベーター>となっているかのように。】
【ガンマンは謝礼をしつつ、その中に「費用は持つ」「礼金も出す」「機材は用意するから」と言葉を続け、そのまま見慣れない男を】

―――お願い、彼女を治療するの、手伝ってほしい。

【―――UNITED TRIGGERの誇る秘密基地。地下に備えられた巨大施設へと案内するだろう。】
【本来であれば、UTに所属する人間にのみ来訪するのが許された特別な空間、尤も避難用のシェルター等もあるので】
【緊急時には民間人も招き入れる準備は常に出来ているのだが―――閑話休題、それはともかく彼女は名も知らぬ男を基地内へと案内し】
【そして基地の一角、緊急用医療室へと連れて行こうとする。そこでまさかの発言、"治療を手伝ってほしい"との発言が飛び出るではないか。】

……普段はね、自警団の人なんかに頼んで医療班を控えさせてたりするんだけれど。
生憎、今日はちょっとお留守にしちゃってて。まあ、自警団は自警団で忙しいから仕方ないんだけど―――
病院に連れてくのも難しいし、もしよければ……治療を施してほしいんだ。設備は、それなりの物をそろえてあるから、さ。

【見回せば、大病院のそれにも決して劣らない最新鋭の医療機器が立ち並ぶそこはまさにER<緊急治療室>】
【病気の人間を直すための装置や薬が揃っているわけではないが、応急処置や重症人を介護する為の設備はかっちりと備えられ。】
【確かに腕のある人間が使えばそこは完全なる医療現場となり得るだけの、スペックを誇っているだろう。後は、彼がそれにどう、応えるか―――。】
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 23:44:10.30 ID:aNHRpLd+0
>>314>>315

【自分をここまで運んでくれたひと――そのひとが、すっと、距離を置くのを、なんとなく気付いて、だけれど、何かを言うだけの元気はなかった】
【いまだに余裕のないなりに、迷惑をかけてしまったという気持ちはあるのだけど――それをどうにかするのには、まだ時間が必要なように見え】
【それでもおそらくこういったけが人の扱いになれた様子の人間が二人。"彼"は知らないひと、まだ名前さえよく知らないけれど、ひとまず――悪いひとではないとの認識があり】
【もう一人。そしてこちらは疑う余地もなかった、このひとになら自分を全部任せてしまって大丈夫だという信頼のあるひと。それなら、彼女はひどく素直に従うし】
【とにかく様子を見るのに何しろとか。何をするなとか。そういうことを言えば全部いい子でしたがってくれるだろう、ただ、ひとつだけ――】

…………身体に、悪いんだよ。

【どうしようもないと、きっとわかっている。何らかの事情があるのは分かっているのに、だけど、そういってしまうのを諦めてしまうのが、嫌なことであるみたいに】
【この場で身体が一番悪いのは間違いなく彼女だろうけれど――それでもそう口にして、それから、わざと拗ねた目をする、そういう表情を作って……けれど、長持ちしなくて】
【少しだけ泣きそうな目になって左手を伸ばす、繋いでほしいみたいに伸ばして――「かてなかった」と、口の動きで伝える、あるいは、声がかすれてしまって】
【それで――その目を見れば。もしかしたらセリーナは思い出すかもしれない、いつか――もう何年も前になる、昔に。この少女は、きっと、今とよく似た目をしたことが】

【――たんぽぽをやりたいと言った日。ある日から突然に「けがをしたから」と何日も仕事を休んで――それで、誰かを助けられなかったと。自分を選んでしまったと、泣いた日】
【あの日にしていた目と、似ていて】

【その後のことは――セリーナが"いい"というなら、彼女も"だめ"とは言わないし、言えないだろう。全く部外者である彼を、地下へ連れて行くこと】
【ときどき目を閉じてしまうのはどうしたって眠たいらしい、薬の作用と――それから、傷ついた部位を修復しようと強いる、身体に刻まれた魔術式の作用】
【どちらもがぐるぐる意識をかき混ぜて、少しでも静かな瞬間があれば引きずりこもうとする。だからひどく眠そうだけれど――痛いけれど、我慢してね。その言葉には】
【きちんと明確に頷いたようだから、大丈夫そうだった――今度ならがんばってくれそうだ、と、彼には思わせるのかもしれなくって】
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 23:44:40.84 ID:aNHRpLd+0
/わーごめんなさい!!1レス目だけ見てました、付け足すので少しお待ちください……!!
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/22(月) 23:46:19.25 ID:aNHRpLd+0
/さらにさらにごめんなさい、内容よく見たらこちらから付け足さなくても大丈夫そうかな、と……
/お待たせしてしまうのも悪いですし、申し訳ないですがこのままでお願いしますっ、ごめんなさい!!
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/23(火) 00:11:00.82 ID:6o2p2OVgo
>>315-316>>317-319

なに、漢方の一種です
少しの間、身体を励まして意識を現実に繋ぎ止めておくだけのものですぞ

【現在の自身の職能を一目で見抜いたセリーナに男は眼を丸くする】
【そして更には必要なものは費用も含めて用意する、とまで言われると】
【その迷いのない言葉と眼差しに――男は感心したように、ほう、と漏らした】

中々の慧眼、そして素早い判断力……
流石は噂に聞きしUTの長、セリーナ・ザ・キッドと言ったところですな

お察しの通り、私は流浪の路地裏ドクトル・長谷部銀之助金近

もっとも、前はもっぱら壊す方の専門でしたが……うふううふううふふ――

【はせべぎんのすけかねちか。そのように名乗った男は、】
【何かを思い出したように発作的な笑みを零す】
【その漆黒の瞳孔が散大するように蠢いて】

【セリーナに連れられるまま、男は地下へと降りていく】
【治療を施して欲しい――真摯にそう乞われ、しかし患者の方はどうかと眼をやれば】
【出逢った当初の弱々しい意思の色はなく、それを見て男は愉快げに笑んで頷いて】

――ふむ。良いでしょう

では三千万、ご用意してお待ちなさい

【さらりと告げるのは、人間一人の治療費にしては法外な金額】
【だが今やそれを高いと思うような人間ではあるまいな――そんな確信さえあり】
【男はマントを翻し、確固とした足取りを進める】

【久々のオペだ――それも“美味しそうな”少女の!】
【それを自覚した男は、抑えきれない興奮で身を震わせる】
【その顔面に浮かび上がった獰猛な笑みは、もはや医者の浮かべて良い表情ではなかったが】

【緊急医療室まで至れば、彼の行動は手早い】
【医療着へ着替え、必要な機材を並べ、手術台へ鈴音を横たえれば】
【必要と思われる事前投薬、消毒などを済ませ――】

――では、少しばかり耐えて頂きますぞ
麻酔が弱いかもしれませんが、まあ貴女も悠長に入院などしていて良い身分ではないでしょうから

ご安心なされ、すぐに済みます――

【――がちゃん】
【そこで灯される手術灯が、瞳孔の開ききった男の顔を逆光に包んだ――】


【やがて】
【男が宣言した通り、オペは十数分程度で終わるだろう】
【まるで待ちわびた豪勢な食事を貪るかの如く狂乱を帯びた行程であったが】
【米の一粒、汁の一滴残さずに平らげたかのように、終われば患者は整然とした有様になるはずだ】

【――傷は跡の残らぬよう精緻に塞がれ】
【骨折箇所の包帯はまるで大切な人への贈り物へ施すラッピングの如く整って】
【バイタルは小鳥の囀りよりも安定しているだろう】

――さて、こんなところでしょうか

鈴音さん、具合はどうですかな?

【ふうと一息ついてから、彼はストレッチャーに乗った少女へ声をかける】
321 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/23(火) 00:42:30.89 ID:BabrFbQV0
>>317

【戦った、のだろうか。恐らくはそれを予感させる傷だ。単に暴行を加えられた様には、見えず。】
【抵抗の後がある、というよりは交戦の跡―――この、戦うのが本当に嫌いで、とても怖がりだった優しい彼女が。】
【"ここまで傷つくほど"戦った。立派に、どういう結果に至ったかはともあれ―――戦った。セリーナは少しだけ、複雑な気持ちに囚われる。】

……オーライ、身体にはね。でも心には良かったりするんだ、お酒の代わりさ。
本数は控えてるから、まあ、その―――……分かったよ、鈴音ちゃんの前では吸わない。
隠してて御免、でも今はそれより―――アタシの事より、そっちが大事だ。鈴音ちゃん、一体何があったのか。

ある程度の事は、きちんと話してもらうよ。"喧嘩相手"さんには、おねえちゃんが話をつけなきゃいけないから、ね。

【セリーナは諦めたように。煙草は控えるよ、と白状するだろう。続く言葉は交戦相手について話せ、という事。】
【こればかりは仕方がない、彼女はUTという組織の長で、そして鈴音の姉だ。妹分が虐められて、黙っている訳にも、行かず。】
【どういう状況であったとしても、これだけの怪我を負った以上経緯は知っておかねばなるまい。でなければ、"相手"に非がない場合に大変だから、だ。】

【尤も、非のない相手に挑むような野蛮さとはかけ離れた存在が鈴音だ。】
【現に今、彼女の瞳に浮かぶのはどこか悔しそうな―――そう、昔にも見た事のある、あの瞳。】
【助けられなかった、と後悔を、懺悔をした日の事。今でもよく覚えている。だからこそ、セリーナはその手をしっかり、握って。】

―――、勝つか、負けるか。勝負はそれだけじゃないよ、鈴音。
アタシだって、何度も何度も打ち負かされてきたんだ。だから―――次、勝てばいい。
その為にも、今は彼に―――そう、"彼"に頼ろう。三千万円払えば治してくれるんだかr―――………………・・・・・・・・・・・・・・・・・・、、、、、、、。。。。。。



―――さん、ぜん、まん??????????????????????????????????????????
322 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/23(火) 00:42:39.88 ID:BabrFbQV0

>>320

【漢方の説明、自己紹介。その辺りの情報は、とりあえず全部吹っ飛んだ。】
【なんだっけ、意識をつなぎとめるなんたらかんたら。名前はうんたらかんたら権左衛門―――違う。】
【もうマジでそんな感じ、セリーナの頭にはパーソナルでマニアックな情報などこれっぽっちも入らず、ただただクリティカルな数字のみが刻まれ。】


いやいやいやいいあいあいあいあいあいあいあいあいやいあいあいあいあいあいやいやいあいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!

【おい、買いかぶってるぞ、お前!】
【目の前の女が誰か忘れたか、この女は超絶拝金主義者にして資本主義を心底愛するマネーの英霊!】
【正義も大事だけど金はもっと大事!! 命と同じくらいね!! が合言葉のスーパーお金大好き超絶リッチ・貧乏なぞファッ〇ューがスローガンの成金娘!!】

いや、ちょっ、おまっ―――っ、おまっ、あ、あ、あなた!!
あなた!! そこのあなた!! いや、闇医者!! 無免許医だろ、絶対!!
目に傷縫った跡はないし髪の色も白黒じゃないけどあれだろ!! 漫画に出てくるやべー医者だろそうだろ絶対そうだろ!!

まったまったまったまったまった!!! さん、ぜ―――さんぜっ……ぐっ、く、おおおお、おおおおおおおおおおおおおおおお!!!おおおおうおうおうおうお!!!
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! き、きさ、まぁぁぁぁぁぁ……つ、け、こみおってぇぇぇぇぇ……うお、おおおおおおお!


【拳をがっちりと握り。目を今までどんな敵にも向けた事のない、"怪物"染みた怒りの炎でたぎらせて。】
【カニバディールにも、リリア(敵対時)にも、グラトンにも見せた事がないほど衝撃的なキレを見せる―――嗚呼、そう。】
【この女、仕事の報酬に高額を"ふっかける"側でこそあれど、ギャンブルで万人をカモにする側であれど、今までこんなに、明確に、明瞭に!】

【"ぼったくられた"事などない―――そう、ないのだ!なぜならこの女、金には死ぬほど口うるさいからだ!】
【当然、ただの拝金主義ではなくそこに確固たる護り人の意志はある。だが、だがしかしだ。UTだって無料で運営は出来ないし】
【そもそも鈴音だって病院に連れていければ確実に治る傷、それも病院ならセリーナはかなり顔が利くからお金はかなり安く済ませて貰える、だのに―――】

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ…・・・・…・・・!!!!!!!!

【まるで、絶対に負けてはいけない戦いに敗北した戦士の様に。】
【まるで、一世一代を掛けた受験で、あと一点届かず不合格だった時の様に。】
【まるで、フェラーリに乗った金持ちがトヨタ・ハチロクに峠のレースで敗北を喫したかの、様に。】


――――――――――――――、  は ゛ ら ゛ い ゛ ま ゛ す ゛ っ ! !

【某海賊漫画の名場面、"いぎだいっ!"のアレにも劣らぬほど顔面を滅茶苦茶に涙で濡らし。】
【今世紀最大の敗北を喫したガンマンが、そこには居た。払う、そう言った。払う、そう言った。払う!そう!言った!!】
【両手を地面につけ、おいおいと泣きながら長谷部を見送る。こうするしかあるまい。こうするしかあるまい。後は頼んだ、治してください。】

うっ、ううっ、うっ、ぐすっ、うううううっ、うううううぇぇぇぇぇぇぇ〜ん……!!!




【愛する妹よ。大事な妹よ。君は"かてなかった"、とそういったな。】



【よく見ておけ!目に焼き付けろ!これが本当の敗北だ!!!!】



【姉はただ、背中でそう語った。】

【―――治療は……終わったかな。セリーナは終わったけど。色んな意味で。】 
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/23(火) 01:05:38.74 ID:LFPGM89k0
>>320>>330

【抵抗した……抵抗、された? そちらが正しいような気がする、あるいは"本当のこと"を彼女自身が知ったなら、あるいは今より顔を真っ青にするかもしれない、けど】
【まだ知らなかった。それともセリーナなら知っているかもしれない、朝イチで届けられる新聞の内容、だけど、それをもし知っていたとしても――】
【目の前で傷だらけになっている少女とつながる要素はない。だから、なにより彼女本人から話を聞くしかなく――そして、そのためには、】

【――握ってもらった手はうんと冷たいから、セリーナの、"姉"の体温がひどく心地よくって、痛いほどに、熱く感じられるのに、嫌ではない】
【お話することを、約束する。しっかり頷いて――だけどちらりと聞こえた金額に固まったのは、なにもセリーナだけではない、彼女自身も】
【さっきまでひどく眠たげだった目を真ん丸にして――えっ、と、小さな声。見れば目の前でセリーナがすごいことになっている、あのセリーナが、お金にすごいこだわりのセリーナが】
【あっこれだめなやつだ――と思う、思えば、セリーナに握ってもらった手を失礼ではない程度に振り払って……、それから、なぞのひと、無免許医のひと(?)に伸ばし】

まっ……、て、待って、わたし、元気だよ――、げんき、すっごい元気、

【そんなアピールをしだすだろう、だけれどやはり右手は動かない、というか動かすとめっちゃくちゃに痛い、明らかに駄目なやつだと身体は訴えている、いるけど】
【明らかに真っ青な顔でそう宣言しているさまはどうしようもなく不健康だった、見れば伸ばした指先はいろんな意味でかたかた震えて、ちょっと待って、と、必死に乞う】
【そんな大変なお金を払わせてしまうつもりなんてなかった、がんばると思ったけど、これじゃあ一番がんばるのはセリーナじゃないかと、そんなのじゃいけないと、】
【ここを指名してセリーナそのひとを頼った時点である程度は……ある程度は覚悟したのだけど。望んでいたのはもっとセリーナ@がんばらないって感じ、ここまでのものは、】

ふ、ぇ――――、

【だけれどそうやって必死にアピールしていた顔が、凍り付く。さあっと青ざめて――明らかに獰猛すぎる顔、医者にしてはありえない顔、というかさっきの小児科どこいった】
【さっきともしかして別人かもしれないと思って――だけど限りなく同一人物だと自分の頭が言っている。しかもなんだか震えている、違う意味で震えている】
【それを見ている少女はそれこそ恐怖に震えていたことだろう、ひくくっ、と、涙の浮いた目、恐怖でひきつった口元は笑って見えるけれど、とうていそんなはずもない】

――――やだぁ! セリーナ、やだ、おねえちゃあぁん!

【だけれどがんばると頷いた以上いまさら横には振れない、まして上司であり姉と慕う人間の前では。――それでも最後の瞬間、ここが今生の別れかと勘違いしかねないくらいの声は】
【そういった病院的な要素はもちろんそれを施す人間にも怯えて――だけど抵抗むなしく連れ去られていく。というか元気なのは口だけだったので、光景としては、ひどく大人しく】

【――閉じられた扉の向こうから悲鳴が聞こえた気がして】

――――――――ひっ、ぐ、……。

【それで、場面は移り変わって、ストレッチャーの上。がたがた震えているのはもはやこれは恐怖のせいだろう、恐ろしいもの……うんとうんと怖いものと対峙して】
【それはもはや目の前の彼が怖いとかいう話ではないもの、ただひたすらに恐怖をもたらす、病院っぽいものと対峙したあとの、――それでもがんばった後の、瞬間で】
【目にいっぱいいっぱいの涙をためて、それでも泣き出すのをこらえて、喉をきゅうきゅう鳴らして耐えている。その状態で"どう"と聞かれても】

こわ、こわかっ……

【めいっぱいに震える声で答えるのがこれだから――ひとまず、それより優先される苦痛がないと判断していいのかも、しれないけれど】
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/23(火) 01:32:14.64 ID:6o2p2OVgo
>>321-322>>323

――ふむ、流石太っ腹のセリーナですな
仲間の命の為なら、金銭などいくらだろうが安いものなどと威勢良く言ってのける……

いやあ、それでこそ正義の長ですなー

感動的ですなー

実にうつくしー


【 聞 い て い な い 】


【最早セリーナと鈴音がなんと言おうと男の足は止まらなかった】
【もし本当に拳を振り上げて殴りかかってきたとしても男はのらりくらりと躱しただろう】
【男の耳はセリーナの雄叫びなどどこ吹く風と受け流し】
【もう何から何まで自分の都合良く事実改変までする始末】

【男には少女をオペすることしか頭になくて】
【おいおい泣きじゃくるセリーナを一顧だにせず】
【顔面を青ざめさせる鈴音の表情にも気が付かず】
【嬉々とした面持ちでずんずん進んでいったのだ】


【そしてオペが終わり――】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/23(火) 01:32:52.06 ID:6o2p2OVgo
>>321-322>>323


――うんうん、よく頑張りましたな、偉いですぞ


【怯えた小動物さながらの有様になった鈴音へ】
【先ほどまではまた打って変わって後光すら差しそうな慈愛たっぷりの微笑みで】
【男は彼女の頭を撫で、その頑張りを褒め称えるのだった】

【そこで消える『手術中』のランプ】

【男は鈴音を乗せたストレッチャーを押して、緊急治療室から出て】

手術は成功しました。もう安心ですぞ
あと一日かそこら安静にしていれば彼女なら完全に治癒するでしょう

【難病治療を成功させた医者の如く爽やかな笑みで面々に告げる】
【言いながら男はマスクや手袋を外し、あっという間に元の格好へ着替えると】

さて仕事が終われば長居は無用、次のクランケが私を待っています

【懐から紙とペンを取り出して】
【さらさらと何かを書き留め、それを鈴音の上へと乗せた】
【それを終えるや否や、男はおもむろにその辺の通風口をがたりと開けて】

では、どうぞお大事に
あまり無茶はするものじゃありませんぞ――

【それだけ言い残して、通風口の中へと消えていってしまった】

【後に残された紙、それに眼を向けたならば、それはどうやら『請求書』らしく】

【内訳】
【治療費:30,000,000 (運搬代・非番割増・税を含む)】
【割引:美少女割引 90%OFF】
【総計:3,000,000】
【振込先口座:アヤシゲナ銀行 夜の国ヤバイ支店 普通XXXXX――】

【――そのように書かれていたのだった】


/では自分はこの辺りで! ありがとうございました!>>324
>>>321-322>>323
326 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/23(火) 23:07:21.88 ID:BabrFbQV0
>>324-325

【正義の長―――という、肩書は対外的な物を除いてもう名乗るのを止めていたのだが、さておき。】
【太っ腹なのは割と本当の話だった。いや、器がでかいとか払いが良いとかそういうのではなく、最近こう、ちょっとだけ】
【正月太りというかなんというか―――閑話休題。これ以上の明言は避けて置こう、大丈夫。アルコールも控えてるしその内へっこむ筈。】

―――ああ、そうとも!!! 三千万ぐらい!!! どうってことないよどうってことねぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ!!!
どこかのバカが大きな戦闘でも起こして、それに対抗して軍が出動要請かけて報酬で貰える金額の十倍くらいは高いけどどうってこないんですよ!!!ええ!!

【そう言いながら、セリーナは購入したばかりだった異世界製のグラン・クーペ、"マセラティGT"を】
【メルカリに出そうか、いやあそこ車禁止だった、それじゃあディーラーか―――ほぼ新車だしそれなりの額で―――なんて】
【早くも"凹んだ分"の資金調達として売却する事を考える頭に切り替えていた。フルチューンの豪華装備で三千万近くした車だし、きっと良い額になる筈。】

―――……ううっ、ぐすっ……夢だったのに……憧れだったのに……、
フェラーリより上品で、ランボルギーニより官能的なあのエンジンサウンドが欲しかったのに……!!
金持ち客の輸送用って名目でようやく!! ようやく資金貯めて買ったのに……!! ……経費で落とそうとした罰が当たったね、こりゃ……。

―――……まあ、でも、ね。車は幾らでも買えるけど。
鈴音ちゃんの怪我は今治さなきゃいけないんだし……はぁ、これからまた暫くは金欠事情が続くか〜……
仕方がない、怪我が治ったら鈴音ちゃんのバイト時間を大幅に増やしてアタシの食糧事情にちょっと協力してもらって―――……。

【言ってしまった物は仕方がないし、治して貰わなければならないものも仕方がない。】
【レギンやドラクマにギタギタにやられた時だってここまで涙を流して悔しがった事はなかった彼女だが】
【今夜だけは涙をぬぐってオペの無事を祈るしかなかった。施術は直ぐに完了する、余程腕前が良いらしい。セリーナは長谷部を出迎え。】

……ぐすっ、オーケイ、有難う。感謝してますよ"ドクター"、謝礼金は直ぐに。
小切手が良い? それとも現金……、ああ。鈴音ちゃんならまだ暫くは。休暇を取らせますよ、一週間か、一か月か、ね。
色々と聞きたいこともあるし―――って、もう行っちゃうの!? っていうか着替えはやっ! いやもう、なんだかアタシより人を振り回す人ですね、貴方は……。

ああでも、請求書って事なら拝見させてもらうよ。本当に有難う長谷部さん、このご恩は―――

【折角だしお茶でも、と言おうとしたのだが。用が済めばさっさと帰ろうとする辺り、プロ意識は高い。】
【ともかく、セリーナは労おうとするだろう。あれだけの痴態を見せてしまったが恩人は恩人、きっちりと感謝をし。】
【尤も、感謝というのは心意気よりも現物で示すべきなのもまた確かで。セリーナは鈴音に近寄り請求書を拾い上げ、ると。】

【―――そこに書かれていた粋な文言に思わず口を歪め。】


――――――〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!

327 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/23(火) 23:07:38.42 ID:BabrFbQV0
/ぐああああああああああああああ途中送信です!!!!すいません!!!!
328 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/23(火) 23:26:52.45 ID:BabrFbQV0
>>324-325

【正義の長―――という、肩書は対外的な物を除いてもう名乗るのを止めていたのだが、さておき。】
【太っ腹なのは割と本当の話だった。いや、器がでかいとか払いが良いとかそういうのではなく、最近こう、ちょっとだけ】
【正月太りというかなんというか―――閑話休題。これ以上の明言は避けて置こう、大丈夫。アルコールも控えてるしその内へっこむ筈。】

―――ああ、そうとも!!! 三千万ぐらい!!! どうってことないよどうってことねぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ!!!
どこかのバカが大きな戦闘でも起こして、それに対抗して軍が出動要請かけて報酬で貰える金額の十倍くらいは高いけどどうってこないんですよ!!!ええ!!

【そう言いながら、セリーナは購入したばかりだった異世界製のグラン・クーペ、"マセラティGT"を】
【メルカリに出そうか、いやあそこ車禁止だった、それじゃあディーラーか―――ほぼ新車だしそれなりの額で―――なんて】
【早くも"凹んだ分"の資金調達として売却する事を考える頭に切り替えていた。フルチューンの豪華装備で三千万近くした車だし、きっと良い額になる筈。】

―――……ううっ、ぐすっ……夢だったのに……憧れだったのに……、
フェラーリより上品で、ランボルギーニより官能的なあのエンジンサウンドが欲しかったのに……!!
金持ち客の輸送用って名目でようやく!! ようやく買ったのに……!! ……経費で落とそうとした罰が当たったね、こりゃ……。

……でも、ね。車は幾らでも買えるけど。
怪我は今治さなきゃいけないんだし……はぁ、これからまた暫くは金欠事情が続くか……
仕方ない、治ったら鈴音ちゃんのバイト時間大幅に増やしてアタシの食糧事情にちょっと協力してもらって……。

【言ってしまった物は仕方がないし、治して貰わなければならないものも仕方がない。】
【レギンやドラクマにギタギタにやられた時だってここまで涙を流して悔しがった事はなかった彼女だが】
【今夜だけは涙をぬぐってオペの無事を祈るしかなかった。施術は直ぐに完了する、余程腕前が良いらしい。セリーナは長谷部を出迎え。】

……ぐすっ、オーケイ、有難う。感謝してますよ"ドクター"、謝礼金は直ぐに。
小切手が良い? それとも現金……、ああ。鈴音ちゃんならまだ暫くは。休暇を取らせますよ、一週間か、一か月か、ね。
色々と聞きたいこともあるし―――って、もう行っちゃうの!? っていうか着替えはやっ! いやもう、なんだかアタシより人を振り回す人ですね、貴方は……。

ああでも、請求書って事なら拝見させてもらうよ。本当に有難う長谷部さん、このご恩は―――

【折角だしお茶でも、と言おうとしたのだが。用が済めばさっさと帰ろうとする辺り、プロ意識は高い。】
【ともかく、セリーナは労おうとするだろう。あれだけの痴態を見せてしまったが恩人は恩人、きっちりと感謝をし。】
【尤も、感謝というのは心意気よりも現物で示すべきなのもまた確かで。セリーナは鈴音に近寄り請求書を拾い上げ、ると。】

【―――そこに書かれていた粋な文言に思わず、笑みを零す。】

〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!

こらーっ!!ドクターっ!! あんた、最初からそのつもりで―――ああ、っもうっっっ!!
「その言葉が聞きたかった」か!! 「ブラックジャッ〇」まんまか!!!!! 愛読書ですとも、ええ!!! 予想出来なかったアタシがバカでしたよ!!

……〜〜〜〜っ……/// ……、もう。恥ずかしいとこ、みせちゃったじゃないですか。
聞こえないかもしれないですけど!! 聞こえてたらで良いんで、胸に留めておいてね!!!

【通風孔から出て行こうとする彼を追って。顔を突っ込み、大声で、狭い空間の中を叫ぶ。】

ここはナカトミ・ビルじゃない!! 通風孔からじゃなくてエレベーターで帰ってね! あと、それからっ!
―――――――――――また来てください! いつでも、いつでも!!

【後日、きっかりと"三百万"が指定の口座に振り込まれる事になるだろう。】
【と言っても、そんなヘンテコな口座は存在しない。だからセリーナは、"長谷部という人が来たら渡してほしい"と】
【夜の国の"銀行全て"に通達を出し、―――この辺り、正に大胆と言えるかもしれないが。きちんと受け取れるようにしたのだった。そして。】

【謝礼金の入った封筒には、こんな文言が同封されていた。】

【―――"雇われの医者を探してる組織があるんだけど。"―――と。】

/素敵なお医者様、有難う御座いました!
329 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/23(火) 23:27:22.21 ID:BabrFbQV0

>>323

さ、て、と。

【手術をする前。必死に抵抗する妹を、姉は助けようとしなかった。】
【当然だ、なんたってこっちは三千万の確保方法を捻り出すので頭がいっぱい。】
【鈴音が治療拒否なんてした所で「払うって言ってるでしょうが!!!」と怒った筈。そう、怒る。】

―――なにがどうなって、どういう訳でこうなったのか。
ゆっくりでいいから全部話してもらうよ、鈴音。

【そう、珍しく鈴音をちゃん付ではなく名前で呼び、セリーナは少しの怒りと、多分な心配と安堵の表情で話しかけた。】
【先ずは無事に治療が成功したことを喜ぶべきなのだろうが、セリーナはそれ以上に。どういう経緯でこうなったのか、そして】
【どうして真っ先に連絡をくれなかったのかを問い詰めようとするだろう。尤も、それには携帯電話の破損という理由があったのだけど】

よく頑張ったし、あの怖いおじさんの治療にもよく耐えたよ。
け、ど! あんまり無茶はしないように、って―――そう、言って置いた筈だよ。鈴音。
どこの誰と喧嘩して、何があったのかを聞くまで、バイトは一旦お休みだ。オーケイ?

【恐らくは、とても心配したのだろう。鈴音が担ぎ込まれたときのセリーナの表情は、尋常ではないモノだった。】
【仲間の怪我には一際敏感なのがこの女の特徴、というよりも、こういった組織の長の宿命であるのだが、そういった事以上に。】
【深い繋がりを感じている彼女が、見た事もない状態になっているのが不安だったのだろう。だが、ある意味ではそれが彼女の成長を示しても、居たのだが。】

【とにかく助かった事に一息つけば、セリーナは鈴音の手を取り。ゆっくり、話を聞く体制になるだろう。】


/先にお返ししておきます。
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/24(水) 00:08:10.64 ID:ifvZ1cYi0
>>324>>325

【いろいろなことがあって――いろいろなことが終わる。時間としてはほんの短い間だったとしても、彼女にとっては、おそらく、何十分にも、何時間にも感じられたはずで】
【適切な処置をされたはずだのに真っ青な顔をしてがたがた震えて目にいっぱい涙をためて――今になってこわかったとぼろぼろこぼすのを見れば、それだけ恐ろしかったと】
【それでいて、同じだけがんばったと――そういうこと、ではあるのだろう。深さのある水、医療に関係するもの、今までずっと怖がって避けてきたものに、直面することになって】
【だけれど頭を撫でられれば、鼻をすんすんさせながら左手で涙をぬぐって――子供じゃないもん、とでも、言うよに、しゃんと背中をまっすぐにして】
【――それでもしばらくはぐすぐすしていたのだけれど。だけれどその次に待ち受けるのは、のは、セリーナに対してどんな顔をしたらいいのか、こんな場合に】
【三千万ってどれくらいかよくわからないけれどとにかくたくさんであるのは分かる。部屋からがらがら運ばれて出て、セリーナの顔を見て、へにゃあと子供みたいな顔】
【麻酔が控えめだったのもあり割と意識もはっきりしているらしい、きゅううとのどの奥で言葉になりきれない音が鳴いて、ぷるぷる震えて、また涙が――けれど、】

【実際に請求されたのはそれよりもずっと安いもの。それだって到底安いとは思えないものだったけれど――セリーナの振る舞いを見て、本当に、本当に、安堵する】
【"助けられなかった"自分が。自分が弱かったせいで、セリーナに、そんなたくさんのお金を支払わせて。迷惑をかけて。ほんの一瞬過った、嫌われてしまうんじゃないかと】
【それでも安くはないお金を支払わせたという時点でそれだけの迷惑はかけているから。だから――そのあとのこと、付随するものには、それだけ責任を負わなければ、いけなくて】
【それは分かっている、から――怒りと、不安と、安堵と、ないまぜになったようなセリーナの顔を、一度目はためらいがちに見上げてから、また目を伏せてしまって】
【だけれど二度目で、きちんと見据える、不思議な色の瞳、うんときれいで、そしてどこかふしぎに魅力的な瞳、――じっと、視線を合わせて、】

――だ、だって、むちゃって……、わたし、しか、いなくて……。だって――――、ぅ、え、ごめんな、さ――……、

【けれどすぐに涙目になるだろう、丸い目をまた潤ませて、きゅうきゅう鳴らしていた喉からの声は涙声になって、――言い訳、だった、でも、彼女の中では理由にもなるもの】
【自分しかいなかったから。自分でやるしかなかった。そうやって子供みたいな"言い訳"、自分の理由をセリーナに伝えようとして、けれど、言い切るまでは叶わず】
【その途中で本格的に泣き出してしまうのは、そうして無茶して迷惑かけて、だけれど、"それ"を為せなかったことを思い出す――というより、本当の現実だと理解して】

わかんな゛……、知らない、ひとでっ、たぶん、機関じゃなくってっ……、おじさん――おとこのひとっ、らち? 誘拐……しようとしてっ……、たからっ……。
わたしっ――あのときっ、あのとき、たすけてあげられなかったから、だから……――――。

【話さなければならないことだと分かっている。だから手を取られて、セリーナが、聞くような姿勢を見せてくれたなら】
【鼻先も頬も耳も真っ赤にして、落ちる涙をぬぐうこともないままで話すだろう――相手は知らない。多分機関員じゃなかった。誰かを連れ去ろうとしていて】
【いつかそういう状況に遭遇して、そうして自分を選んでしまって。それをひどく悔いたから――おそらく、それで、"そう"したのだろう、今度は悔やまないでいられるように】

【だけれど結果は――たすけられなかった、と。言いつけを守らなくって、迷惑もかけて、それでも、うまくいっていたなら、きっとこれだけの涙は出てこなかったし】
【ならまた悔いている、ひどく悔やんで、あの時とおんなじ目をして――もう一度重ねるのはごめんなさいと謝罪の言葉は、だけれど、目の前の彼女ではないひとに向けられているように聞こえ】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/24(水) 01:12:40.93 ID:rc9UEE3oo
>>328

【セリーナの最後の叫びは、通風口の中で大きく反響する】
【しかしよほど慣れているのか、男はもう覗いて見える範囲から消えていて】
【返す言葉はなかったが――ただニヤリと、暗闇の中で口の端を吊り上げた】


【やがて、店舗を出てからしばらく後――】

――何ですかあの馬鹿げた取引は。
良いではないですか、私の仕事です。

【如何なる訳か】
【まるで二人の人物が一つの身体に同居しているかの如く】
【男は『独り言』で『会話』をするという奇怪さを全開させていた】

そのような勘定ではすぐに廃業ですぞ。
無賃金でも私はやりますぞ。
それを無意味と言うのです。

相変わらず人情を介さない――
――相変わらず計算が出来ない

【そこで「はぁ」と溜息が一つ】

やれやれ、不出来な『身内』を持つと苦労しますな――

……真似をしないで下さい。
あなたこそ――

【すれ違う人が怪訝な眼で見るのもどこ吹く風、男はやがて路地の奥へと消えていった】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2018/01/24(水) 01:12:55.60 ID:rc9UEE3oo

【後日】

【老後積立用の口座でも作ろうと思い銀行へ立ち寄ってみたところ】
【名前を名乗ると、職員が慌ててすっ飛んで奥へ行ってしまった】

【はて、この界隈じゃまだ指名手配されるような事はやらかしていない筈だが――】
【男が不思議がっていると、消えた職員がこれまた急いで戻ってきた】

【その手には煉瓦の如く分厚い封筒の姿】
【「長谷部様がお見えになったらこちらをお渡しするよう、セリーナ様から承っておりました」】
【そう言って、封筒を男に差し出したのであった】

【――おや】
【男は目を丸くする。わざわざ銀行に根回ししていたのか】
【なんとまあ律儀に、それでいて大胆豪毅なことをするものだ】

【口元が僅かに綻ぶ】

【「そうでしたか、それはかたじけない」】
【男は封筒の前で三つ手刀を切って、恭しく報酬を受け取った】


【用事が済むと、男は足早に銀行を出る】

【報酬金と引き換えに得てきた寄付金受領書を、先ほどの封筒の中へしまおうとして】
【そこで、はらり――覚えのない紙が一枚、滑り落ちてきた】

【そこに書かれた文言を目にすると――】
【男の口が上弦の弧を描いた】

……ふむ。
コーシーぐらいはまた飲みに行きましょうか。

術後の経過も診ねばなりませんしな――

【やがて懐から『吹き戻し』を取り出すと】
【キセルの如き仕草で口に咥えて】

【ピヒュルルルー……すぴー】

【上機嫌な笛の音が一つ、路地の奥で響いた】


/改めて。お疲れさまでした!
/ありがとうリアクションクイーン!
333 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/24(水) 21:12:58.57 ID:4Xsoq+rO0
>>330

【―――さて、今セリーナ・ザ・"キッド"は大変に難しい問題へと直面していた。】
【目の前の手術台に寝転がる一人の少女、鈴音は大きな怪我を負ってこのUNITED TRIGGERへと戻ってきた。】
【鈴音にとっては永遠にも感じられる長い時間の施術、尤も手術の時間としては比較的短時間に分類されるソレではあったのだが、とにかく。】

【ここで確認できる事実は二つ。一つは鈴音が"交戦"した事。そしてもう一つは"傷ついて戻ってきた"こと。】
【もっと言うならば、"勝てなかった"というあの発言に遡れば―――彼女は何者かに敗北した、というのが正確な表現だろうか。】
【つまりは、彼女にとって恐ろしかったもの二つに対し、彼女は今日一日で挑んだのだ―――戦う事。そして、怪我を直すための医療行為の、二つに。】

―――……。

【泣きじゃくりながらも、しっかりと言葉を伝えてくる鈴音。いつもの鈴が鳴る様な愛らしい音色ではない。】
【必死に生きて、必死に闘って、それを必死に訴える少女の、とてもとても人間らしい、そして幼くも純粋な―――そんな、人の音色。】
【単純な美麗さも、心地の良さもそこにはない。濃い、淡い、儚い想いと無念が合わさって。どろり、とした生ある者の声。それが、今の鈴音から発せられる"声"。】

……そっか。鈴音しか、居なかったんだね。

【生命は皆、どこかに美しさ以外の、醜さを孕んで生きている。辛さや、悲しさや、恐ろしさや。そういった負の感情を】
【どこかに抱えて、それでも生きている。鈴音の涙がしょっぱく感じるなら、それは―――人の生きる道が、きっと甘く出来てはいないからだ。】
【セリーナはただ、震える声で"経過"を訴える少女の―――目の前の彼女の発する声を。息遣いを。そして心の音を、聞いていた。ただ、耳を澄まし続けていた。】

―――……、鈴音、しか。

【誰かが傷ついていた。誰かが"傷つけて"いた。そこに自分しか居なかった。"見て見ぬふり"する自分は居なかった。】
【だから、戦った。事情は分からない。けれど、どうしたって見過ごせる状況ではない其れを、彼女は視界の隅に追いやろうと、しなかった。】
【彼女は立ち向かったのだ―――敵に、ではない。もっともっと強く、抗いがたい難敵に―――彼女は立ち向かったのだ。歯向かったのだ。正面から挑んだのだ。】

―――そっか。……、そっか。

【泣きじゃくりながらもすべてを伝えた鈴音に、セリーナはもう、少し怒ったような瞳は向けられないだろう。】
【ただ、ただ。夫が妻にそうするように。母親が息子にそうするように。父親が娘にそうするように。姉が、妹にそうするように。】
【涙を零し続ける鈴音の頭を、その両手でゆっくりと、優しく―――包むようにして、かき抱く。自身の胸で、身体で、心臓で、気持ちで、包む様に。】

【そして、ただ―――ただ、一言。一言だけ、彼女に漏らす。それだけで、十分だと思ったから。お説教も、仰々しい言葉も、何も。何も、要らないと思ったから。】



―――お疲れ様。よく、頑張りました。


【彼女が今日―――立ち向かったのは、自分自身だ。そうして、セリーナはそれをよく分かっていたからこそ。】
【ただ、優しく抱きしめるだけ。ただ、その身を温かく包み込むだけ。それが全てであり―――それ以上に。それ以上に、愛を、愛しさを。】
【その小さな体に伝える術なんて、セリーナにはもう無かったのだから。ただ―――ぎゅっ、と。一人傷ついた鈴音を、強く。優しく。ずっと。ずっと。抱きしめ続けた。】

334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/24(水) 22:20:21.37 ID:JPN+4x920
>>333

【――誰も、いなかった。男のひとの声――助けを求める声と、どたばたとした足音を、聞いて。それを聞きつけるだけの距離に居たのも、たまたまで】
【誰かを呼ぶということも頭の中から抜け出てしまっていた、あるいは誰かを呼ぶのが正解だったのかもしれない。だけど、そうしているうちに、逃げられてしまったら】
【そうしたらきっとまた後悔する、だけれど為せなければそれも後悔になる。だから勝たなければいけなかった――と、何も知らないままでは、思う。思って】

【ふしぎに金属質な声もこうなっては耳障りと表現した方が正しいだろう。ぎりぎりと擦り硝子同士を擦り合わせるような、ずっと昔のオルゴールをむりぐり動かすような】
【ひび割れた鈴を固い地面にたたきつけて無理やり鳴らすような、そういう声になって、だけれど一生懸命になって、セリーナに伝わるようにと一つ一つ話していくなら】
【こうなってしまった時点でそれが自分の責任だと考えているようだった、なるべく、なるべく、伝えて――それで、自分の見聞きした世界を、なるだけ、正確に、相手の頭のなかへ】

【そうしてやがて抱きしめられる。ほんの一瞬だけ、ちいさくちいさく息を詰まらせたのは、きっと、いろんな言葉を重ねても説明できないくらい、複雑なかたちの感情のせい】
【いつかにいろんな色を重ねすぎて黒くなったなら、多分今はいろんな色が重なって白くなる、そうやって抱きしめられるのがひどく久しいものであるように感じられてから】
【間違いなくもう数年はそうされていなかったと思い出す、少なくとも、彼女の左手から指輪が消えてから、それからずっとの間――誰かの体温に包まれるのは、ひどく懐かしく】
【うんと小さな子供が縋り付くみたいに身体を預ける、左手でぎゅうっとセリーナの服の背中を捕まえて――その体温はまだきっと少しだけ冷たくて、だけれど、さっきより暖かいのは】
【暖めてくれようとしたひとが居て。こうして抱きしめてくれるひとが居て。誰かに助けてもらった証拠で――だからそれが、また、くやしくって】

そのひとがっ……、わたし、みたいな――わたしみたいな子がいるとこは、ろくでもないって、言ったの、だからっ、だから、わたし、それも、"や"で――、
……わたし、最初ね、ベイゼに誘われたから。それだけだったの、でも、いまね、ちがうよ、ちがうのに――ろくでもないって、いわれて、

【抱きしめられて、縋り付く。その暖かいのが心地よくって、だけれど悲しくて、それなのに、振り払ってしまえない程度には、自分が弱いのもうんと思い知らされるみたいで】
【一番最初のきっかけは、それだけだった。友達に誘われたから――だけれど、セリーナと話をする前に、別の、友達が。居なくなって、それで、違った風に、気になって】
【実際に話をしてみたらいろんなことを思って。大事なひとが居なくなって、そしてあるときに助けたかったひとを助けられなくって――自分を選んでしまって、】
【もらったものを返す相手を見失って、自分がどれだけ弱いかも思い知って、それでやっと見つけたものがあって、あの時より強くなったはずなのに】

――――わたし、セリーナが、いろんなこと教えてくれたのに。教えてくれるのに。

【「まだ、よわかった」】
【自分のような人間を置いているところはろくでもないと言われた。そしてそのリーダーであるセリーナに、いろんなこと、戦い方や、いろいろなことを教えてもらったのなら】
【この場所のために、セリーナのために、勝たなければいけなかった。あのひとを助けて――そしてこの場所と、名前と、目の前の姉のために、"きちんと"勝つ必要があった】

【多分そういった気持ちに、自分が戦闘要員ではないとか、お料理を作るのがお仕事だとか、関係なかったのだろう。ここが自分の失い難いとても大切な居場所と認識すればするほど】
【そんな風に言われれば怒るし、護りたいと思う、自分のせいで"そう"だと言われれば、そんな風なこと言えないくらい、自分だって強くなってしまいたいと思うし】

【それなら、きっと――勝てなかったにも、護れなかったにも、二つの意味があって。きっとあると思っていて】
335 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/24(水) 23:12:34.29 ID:4Xsoq+rO0
>>334

【何も出来なかった―――目の前で大変な目に遭っている居る人がいるのに。】
【それを目撃している自分が居るのに、何も。そういう時、どんな言葉を用意しても、取り繕う事は出来ない。】
【他人が他人を誤魔化すことは出来る。大丈夫さ、君は君の出来ることをした。誇っていい。そう、温い言葉を投げかけるのは簡単だ。】

【だが、セリーナは敢えてそれを"しなかった"。感じ入る事があるだろう。考え込むことがあるだろう。】
【その余地を残し。そして、鈴音の心に渦巻いた気持ちを、大事にしてほしかったから―――だから、誤魔化そうと、しない。】
【誉めそやしたり、甘い言葉で撫で回したり、しない。こうして抱き締める事が、鈴音の全てに繋がっていくと、分かっていたからだ。それは、少しの意地悪。】

【―――暖かい。暖かさを目の当たりに"させる"事で。より、浮き彫りになるのだ。】
【"助からなかったあの誰か"が、"助けられなかったあの誰か"が、この、温かみを享受できなかったという事実が。】
【残酷なまでに。鈴音を癒し。そして、非道なまでに、鈴音の心を戒めるだろう。だが、それでいい。それしかない、"これ"しかない。セリーナには、こうするしか。】


そうだね……"悔しかった"ね。ベイゼを、アタシを、UTを―――仲間の居る場所を。
"貴女の居る場所"を、"みんなの居られる場所"を、馬鹿にされて。踏みにじられて。悔しかったよね。
そんな相手に、"勝てなくって"―――悔しかったよね。それなのに、今こうして、自分は誰かに優しくして貰っていて―――、

―――悔しかっただろう。鈴音。

【否定はしない。決して、鈴音の気持ちを足蹴にはしない。セリーナはそれを、しっかりと理解し。受け止める。】
【悔しかったよね、と。否定したいのに、言い返したいのに、それが出来ない。あまつさえ、その相手を打倒できず、逆にやられたとなれば。】
【その悔しさときたら、もはや言葉には言い表せないモノだろう。セリーナはよく、よく分かっていた。だって、目の前の貴女は、此処を、そしてセリーナを、大事に……】

【大事に、してくれたから。大切に、想っていてくれたから。こういう結果に終わった事を、悔しいという言葉以外の何かで、言い表せよう筈も、ないのだ。】

―――忘れないで、鈴音。今この瞬間を。アタシの手の温もりを……"悔しい気持ちを癒す事しか出来なかった"、この瞬間を。
こうして抱き締めている事だって、貴女にとっては悔しい事でしょう。気に入らない事でしょう。悲しい―――気持ちに、なってくるでしょう。
でもね、鈴音。これだけは覚えておいて。いつだって、どんな時だって。人間は、"転ぶ"事を抜きに、"立ち上がる事"なんて、出来やしないんだ。

転んだから立ち上がれるんだ。"堕ちる"から、"這い上がれる"んだ。"負ける"から"勝とうと思える"んだ。
―――……"死にそうになった"から、……"生きよう、って思える"んだ。……"悔しい"から、"強くなれる"んだ……。

―――だから、鈴音。

【ぎゅっ、と。背中に回された手に、応える様に。セリーナもまた、鈴音を強く、抱き寄せて。】

……よく、頑張りました。

【先程と、同じように。それが優しいだけの言葉でなく。悔しさを刺激する言葉であることも、重々理解し。】
【尚も、その言葉を投げかける。優しさを忘れないように。"優しくされた事"を、忘れないように。"優しくされて悔しかった事"も、忘れないように。】

―――良いさ。幾らでも教えてあげられる。これからもっと。これからずっと。
鈴音がそう思ってくれるなら。鈴音が、悔しいって思えるなら。アタシはなんでも、貴女に教えられるから。
だから、―――"這い上がれ"。この悔しさを、忘れず。立て、鈴音。立てるのだから、鈴音。なんたって貴女は―――。

このセリーナ・ザ・"キッド"の、妹なんだから。

【強く、なれる。必要以上に、強くなる事は要求しない。ただ―――自分が納得できるくらいの、そんな強さは。】
【教えてあげたい。学ばせてあげたい。セリーナはそう約束し、鈴音を抱き締めていた手をゆっくりと、離す。】
【彼女がまた―――立ち上がって、来れる様に。】
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/25(木) 00:23:21.93 ID:TPIRk0DW0
>>335

【悔しい。脳内でぐるぐる渦巻くもの、いてもたってもいられなくなってしまいそうなくらいに溢れかえって絡みつくもの、それの名前を、セリーナの言葉で、再認識する】
【誰かを助けられなかった自分がこうして誰かに助けられて抱きしめられて――本当ならば、誰かへ与えるはずだった暖かさを受け入れて、どうしようもない苦さを飲み込んで】
【ただ子供みたいに抱きしめられて安堵して眠ってしまえば許される頃なんてとっくに過ぎていたしそれを知っていた、だから、しゃくりあげながらでも、"とどまる"】
【いつかに生きていたちっちゃな子供の自分を押しとどめて、それで、精いっぱいに大人の自分で考えて。そしてそれがひどく未熟なのも、一緒に、思い知らされて】

――――、

【ちっちゃく頷いた、悔しかったと肯定する、それで、これが悔しさなんだと、認識より深く深く、刻み込む、大事な大事な魔法の言葉を教わるみたいに、】
【全部の気持ちを相手に向けて、本当に些細な相手のしぐさまでも全部全部覚えようとする、この気持ちの名前、それから、どうしてこうなったのか】
【どうあればこうならなかったのか――いっぱいいっぱいに受け止めて、飲み込んで、だけれどすぐに飲み干すには多すぎて、だけれど、本当にいつしか】
【気づけば涙は止まっていて――頬はまだべたべたに濡れているけど――悔しくって、泣いて、だけどそれだけで終われないのも気づいて、分かって、そして何より、】

――……、わたし、つよく、なれる――?

【きっと目の前のひと――上司とか、姉とか、そういうのを抜きにして、この、自分の目の前に居るひと。セリーナ・ザ・"キッドというひとは、】
【その程度では許してくれないとも分かる、許してくれないし、そしてこんなひとのそばに居ようと思った自分も、そんな弱虫な自分を、許さないと思う】
【それなら。許してもらえないなら、そうしたら逃げ出しちゃうしかきっとないなら、――そしてそんなのは絶対に嫌だと思うなら、あとは、どうしたって方法は一つだけ】

強く――なる、今までの全部より、ずっと、がんばって……、

【一つしかないなら、そうするしかない、そうするしかないなら、がんばるしかない、がんばるしかないなら――そっと、離れてしまった暖かさと優しさを、だけど追いかけず】
【べたべたに濡れた顔でじっとセリーナを見つめるだろう、あまりにもはっきり妹だと言い切ってくれる、その様に、真っ赤になった目元も頬も、くしゃっと破顔させ】
【けれど次の瞬間にはうんと真剣になって――】

……だから、もっと、戦い方を教えて、ください。魔術の使い方も、刀の使い方も――、気持ちの使い方も、身体の使い方も、ぜんぶ、強くなるためのもの、全部……。
――――あの、ね、分かってるの、そういうの、セリーナや……みんなは。わたしなんか、全然、想像もできないくらいのもの、護るために、手に入れたのに、自分で、

【りんと鈴の音の声が戻ってくる、まだかすかに涙の残滓を残して、けれど、常よりかえって冴えて、だから、本当の言葉なのも、きっと伝わって】
【けっして"前"が嘘だったわけじゃない、手抜きだったはずもない、サボったことは一度もなかったし、いつだって真面目だったけれど――それ以上に、まっすぐに】
【だけれど長く戦いや争いから逃げて生きてきた少女にはどうしたらいいのかもきっと分からなくって――いっしゅんだけ不安そうに視線が振れたなら】

わたし、今までのセリーナに失礼じゃないようにする、もちろん、ほかの誰にも。がんばるから、だから――――。

【その場にいなかったくせにそれを欲しがるだなんてとんだわがままだって分かりながら、だけど強くなりたくって、目の前の――誰より優しくって厳しい"姉"に乞うのだろう】
【自分の中にある最上級の覚悟の言葉を口にして――それで、悲痛なくらいになって、返事を、待つ】
337 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/25(木) 01:22:34.04 ID:uCHJgnui0
>>336

【初めて会った時の事を思い出す。不安そうな表情で、バイトの面接としてUTを訪ねて来た時の事だ。】
【正直なところを言えば、セリーナは彼女を心配していた。決して強靭とは言えない心に、どこか傷ついた経験を持って】
【そうしてセリーナの知る中で誰よりも争いを、死を、醜さを忌み嫌うその"優しさ"に―――この危険さが伴う組織を近づかせて良いのか、と。】

【―――今の鈴音も。一番大事なところは変わっていない。】
【"たんぽぽ"を開きたい、と申し出た時もそう。訓練を受ける、と決めた時も、そうだ。】
【鈴音は決して、人として変わったわけではない―――優しさは、慈しむ心は、無くしていない。無くしていないにも、関わらず。】

【彼女は今、おそらく誰より強い心を得ようとしていた。負けたくないという、悔しさを胸に。】
【それがどれほど、どれほど―――難しく、そして尊い事かはセリーナが一番よく知っているのだろう。】
【ただ強くなるだけなら、誰にだって出来る。だが、"変わらずに変わる"という事は、とてもとても―――難しいのだ。】

……なれるさ。それに……気が付いてるかい、鈴音。
もうずっと、ずっとずっと―――……"あの頃"よりも。強く、なれているじゃないか。

【彼女の最大の武器である、優しい心を損なわず。それでいて尚、強く在ろうという意思を持ち続ける。】
【もう、セリーナは彼女を単なる後輩や、妹分としては見ていない。こんな、立派な志を持った少女の事は、改めて。】
【こう呼ばなくてはならないだろう―――"仲間"と。そして、"戦士"と。武器を握る蛮人を指す言葉ではない、護人としての、戦士。】

ああ、教えるよ。誰にも負けないように。"自分"に負けないように。教えてあげる、全部……!
アタシに出来たんだ……世界を腐った目で見て、何もかもをお金と欲望とで解決しようとしていた、あの"アタシ"に出来たんだ……!
貴女に出来ない事なんて、何もない。今の貴女に、鈴音に出来ない事なんて何も……何も! 失礼なんてことない、鈴音は強い……強いよ……!!

だって―――……貴女は誰かを想って、涙を流せるじゃないか……。

【結局のところは、そこに尽きる。そんな優しさ、一朝一夕で手に入るモノではない。】
【そしてその優しさを、こんな残酷な世界で失わず居られる事こそが、一番の強さなのだ。どんな武器にも、魔術にも勝る】
【人間の武器なのだ。その優しさが、何かの時に背中を押してくれる。踏み出すことが出来る。倒れた時、また立ち上がろうと、そう思わせてくれる―――!】

【鈴音は強い。そして、更に強くもなれると。セリーナは必死に訴えた。】
【それでも。その中で、鈴音の一番の武器だけは、無くしてはいけないとも。】
【訴えてそうして、セリーナは言い切った。もっともっと、教えてあげるから、と。】

―――自分で手に入れてきた訳じゃない。アタシだって、それにみんなだってそう。
アタシには"師匠"がいた。―――……憧れの、人もいた。気が付けば周りには賞金稼ぎが沢山いた。
賞金稼ぎの仕事という環境も、あった。そうやって沢山、いっぱい、アタシ以外の誰かと、取り巻く環境に"教えられて"。

アタシは今、ここに立ってる。だからね、恥ずかしい事なんて何もない。これでいいんだよ、これで―――良いんだ。

【セリーナもまた、学んできた身。そこにはいろんな理由があったけれど、それはともかくとしても。】
【鈴音の様に、強くなりたいと思ったからこそ、ここまで来れた。皆一緒だ。初めから強い人なんて、いないのだから。】
【立ち上がったセリーナは、手を差し出す。抱き締める訳ではない、この"握手"は―――UTのメンバーに対して、今まで行ってきた物。】

【これから共に、進んでいく仲間に対し、差し出してきた意味を持つ握手を。セリーナは、鈴音に―――向ける。】
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/25(木) 02:39:50.91 ID:TPIRk0DW0
>>337

【初めて会ったときの彼女と、それから、今、ここにいる彼女と。何年も経って、いろんなことがあって、いろんなものを見て、きっとそのたびに考えて、思って、試して】
【失敗して、今度は失敗しないようにして、成功して、だけど次はもっと上手になるように練習して――あいだを意地悪に切り出せば、その瞬間はぐちゃぐちゃでも】
【あとから見てみれば今につながるために確かに必要であったものばかりで。気まぐれに途中途中を選んで見てもあんまり意味がないのはパラパラ漫画にもきっと似る】
【だからその全部をひっくるめて地続きでやっと今になる、その間がなかったり、最後のマスで急に違うものになってしまったりしたら、そんなの絶対違うから】

――――わたし、ね、ずっと、忘れてたことがあったの、わたし、わたしが、どれだけ、どんなに……いろんなひとに、優しく、してもらっていたのか、、
わたし、忘れてた――思い出せなかった、ずっと、でも、思い出したんだよ、わたし、ばかだった、うんと――ひどい子、だった、みんな、みんな、優しかったのに、

それなのに、気づかなくって、苦しいことばっかり考えて、それで、わすれちゃって、だけど――、
――思い出して。生きていてよかったって、思ったの、消えてしまわないで、よかったって。初めて、思ったの、今まで全部の中で、初めて……、わたし、

【"あの頃"より、強くなった。かけられた言葉に、寂しいように、嬉しいように、笑うだろう。もしかしたらありえたかもしれないものを思い浮かべてしまいそうになって、】
【わずかに俯いた――その毛先が肩をくすぐるのに気づいて、曖昧に笑う。長かった髪をある日ばっさりと切り落としてきたのは、もう、何か月も前の話になるけれど】
【それで――紡ぐのは、どこか独り言のようでもあった。「ずっと消えてしまいたかった」――音として成立しない言葉は、けれど、それ以外の何以外でもない、確信があって】
【強くなりたいと願いながら、いつかの自分のような子供たちをほんの少しでも救いたいと願いながら、だけどいつでもどこかでは消えてしまいたかった――だなんて、今更、少し、ずるいけど】

【今まで彼女を世界に留めていたのは贖罪に似ていた、誰かに贖うために、だけど今は、今なら、もっと違う方法で頑張れる気がする、まだよくわからないけど】
【それで、今まで思いつきもしなかった自分にもなれる気がして、こんなに悔しいのに、だけど同じくらいに強くなりたいと思う、自分ひとりじゃなれない自分に、なりたくて】
【助けると決めたひとを諦める必要なんてない自分に憧れて、だけど、眼前の彼女となら――あるいは、それ以上の夢の始まりさえ、見つけてしまえそうで】

【師匠。憧れのひと。一つの仕事と、同じように生きるひとたち。教えられて、今の――、――その言葉で、何かが、すとんと、納得できた、気がした】
【いろんな経験やそれに伴って考えてきたこと、そういうのは、そのひとのものだと思っていた。だけど、たぶん、そういうのをみんなみんな、ちょっとずつ、分け合って】
【関わってきたいろんなひとから少しずつもらってきた欠片が集まって最後に自分になる、そしてきっと、気づかないうちに、自分も――誰かに、ちっちゃな欠片をあげていて】

そっ、か――、そう、なんだ、みんな、みんな、ね、うんと、強くて……わたしなんて、比べられないくらい、よわむしだって、――。
――――、

【――どこかで分かっていたのかもしれない、セリーナには言っていただろうか、もしかしたら、なんだか恥ずかしくって、言っていなかったかもしれないけど】
【この世界全部をぐるっと包む不条理にさいなまれる子供たちへ食事を振る舞う場所を"たんぽぽ"と名付けたとき、その花の名前を選んだ時、彼女は確かに、】
【いつか自分のすることが、その結果が、風に乗って、どこか遠いところで、誰かの場所で、おんなじように咲いたら――そう願っていたのだから】
【冷たい冬の終わりに咲いて、真心という言葉を誰かに与えられて、そのちっちゃな種を風が飛ばす、そうして、きっとまたどこかで咲く、そういう花を選んでいたなら、きっと、】

【教えてくれて、ありがとう。笑って――差し出された手を、取るだろう】
339 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/01/26(金) 01:45:17.94 ID:UcDvZYzi0
>>338

【出会いと別れとを、繰り返してきた。振り返ってみれば、セリーナの"これまで"には、何時も傍に誰かが居た。】
【最初にセリーナに手を差し伸べ、名前と、帽子と、そして生きる術を与えてくれた恩人の師匠。】
【幼い自分に"ヒーロー"として映った、夢を授けてくれた一人の今は亡き英雄。】

―――そう、だね。アタシも。皆が優しくしてくれた。
そうなのに、何時頃からか、何もかもが嫌になってしまった時期が、あった。

【夢を捨て、賞金稼ぎとして生きると決めた時。共に成長し、その道を支えてくれた白い愛馬。】
【全てを諦めた自分に、もう一度かつての夢を取り戻させるべく、その心に勇気と情熱を取り戻してくれた、今は亡き一人の少女。】
【そして―――戦うと決めたその時から。今日、この瞬間に至るまで。共に茨の道を歩む決意をしてくれた、UNITED TRIGGERの、繋がれた引き金<仲間>達。】

その度に、誰かが励ましてくれた。その度に、誰かが声をかけてくれた。
その度に―――誰かが、立ち直らせてくれた。気づかせてくれた。アタシは、一人きりじゃないって。
だから―――、だから。今までそうしてくれた、全ての仲間たちの思いを込めて。皆と一緒にアタシを支えてくれた、最愛の鈴音<貴女>に。

アタシも貴女を精一杯、励まそう―――貴女がアタシにそうしてくれたように。

何時も疲れて帰ってきたアタシに、珈琲を用意してくれる貴女に。
何時も傷ついて帰ってきたアタシを、優しい声で迎えてくれる貴女に。
どんなに辛い事があっても―――決して逃げず傍に居てくれる、貴女に。

……ありがとう。貴女の優しさが、アタシの生きる希望になってる。

【鈴音がいつか、語った様に。セリーナもまた、いつか語った言葉を言う。】
【"誰もが、誰かにとってのヒーローなんだ"―――その言葉の意味を、きっと今の鈴音なら理解できるだろう。】
【セリーナにとっては今―――鈴音こそ。この、目の前の儚い少女こそ。誰にも負けない優しさを持った少女、こそが。絶望渦巻く世界において、ただ一つ―――】

鈴音は……アタシの、ヒーローだよ。

【セリーナにとっての―――"ヒーロー"<救世主>だった。】

【差し伸べた手をしっかりと握り返す手。いつか、今日の様に"かつて"を回想する日が来たとして。】
【今日この瞬間はきっと、忘れ得ぬ日になったのだろう。血の繋がらない姉妹は、今此処に決意を新たに動き出す。】
【狂った世界の中で。暴力の世界の中で。死と悲しみが溢れる世界の中で―――それでも、示さなくてはならないモノがある、と。】

【―――優しさを、示すのだと。その為に、強くなるのだと。二人は誓い合った。】
【これまで、変わってきた。ならばそう、これからも、きっと。変わっていけるはずだ、この二人ならば―――きっと。】
【セリーナはゆっくりと手を離し、そうして彼女を見据える。其処に見えたのは―――かつての、"歩き出す"事を選んだ、あの時期の自分、だろうか。】

―――さ。そうと決まれば! 来週から、みっちりトレーニングするよ、鈴音。
でも、その前に。ゆっくりと―――おやすみなさい、鈴音。今日は―――お疲れ様。

【懐かしさと、新鮮さの双方に包まれて。セリーナは部屋を後にする。一日は安静に、と言われている。】
【鈴音にはしっかりと休んでもらわなくてはなるまい―――そうしてこそ、これからが活きてくるのだから。】

/昨晩は落ちてしまい、申し訳ございませんでした。
遅くなってしまいましたが、此方はこれで〆、とさせて頂きます。
都合四日間、お付き合いいただきありがとうございましたー!
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/01/26(金) 19:48:43.75 ID:3nSHJRf4o
「ねえ夕月さん。私たちの戦闘スタイルからして、
 こういった大型の敵を相手にして戦うタイプの依頼は無理なので
 受けないようにしましょうねって、話、しましたよね?」
『……ウン……』
「ああよかった、私の思い違いだったかと思いましたよ。
 それでは……なぜその、しないようにしましょうって言ってた類の依頼。
 こうして、受けることになっちゃったんでしょうか?」
『……報酬額だけ見てて依頼内容見てませんでしたゴメンナサイ……』
「あ゛――――ッもうッ!! バカ!! バカ女!!!」

【荒野。そこそこ名の知れた冒険者向けギルドの依頼を受ければ派遣されるだろうその場所】
【響いているのは、その場所に似つかわしくない少女ふたりぶんの話し声】
【それを掻き消すように、大音量の地響き――おまけにケダモノの雄叫びがこだました】

【少女ひとりめ。着込むのは古びた黒いコート、フードをしっかりと被って頭を隠し】
【ぼろぼろの裾から伸びる、赤黒ボーダーのニーハイに覆われた足の先】
【機能性なんてまるきり無視したような、底のぶ厚い、真っ赤な靴を履いている人影】

【少女ふたりめ。白と紺、清潔で落ち着いた色合いの服装の上から、真黒いケープを纏い】
【長く伸ばした前髪で、右の眼をかたくなに隠している】
【肩甲骨の辺りまで伸びた真白い髪を持つ、線の細い小柄な少女】

【彼女らが相対するのは、ちょっとした一軒家くらいのサイズはある、異形の獣だった】
【獅子の頭と胴から蝙蝠の翼が生え、尾は鋭い刃を持った蠍のようなフォルム】
【牙と爪、それから額から一本だけ生えている角は、当たり前のように鋭利に輝いて】
【……一目見ればわかる。彼女らだけではどうすることもできない、巨大で強大なエネミー】

「ええい、あんなデカブツに私のちんまい刃が通るわけ……!
 夕月さんアレ持ってるでしょアレ! なんかすごい大砲! 今が出し時ですよ!」
『だ、出すには出せるけどぉ……アレ出したらもうこの銃使えなくなっちゃうんだよネ。
 つまりもし外れたらそのあとカゲっちゃん一人で頑張ってもらうことになるけど、いい?』
「よくねぇ――ッ……ああっでも今のところ有効打がそれしかない、それくらいしか……!
 くっ、一か八かです。私が何とか動きを止めて夕月さんが撃つ! それに賭けるしかないでしょう!」
『はーっやれやれ仕方ないネ……アッスイマセッ、あたしのせいでこうなってますスイマセッ……』

【それを前にして言い争いを止めないふたり、どうやら作戦会議をしているようで】
【何かひとつの案が浮かんだらしい。白い少女が前に立って、コートの少女が後ろへ駆ける】
【ただしどちらの表情も渋く、苦し紛れの博打を打つ気なのだと語るよう】

【――誰か一人でも。この状況を打開できる戦士が現れてくれるなら、それも晴れるのかもしれないが――】
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/26(金) 21:36:14.81 ID:EX1p3mndo
>>340
/まだいらっしゃいますでしょうか……
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/26(金) 22:13:41.26 ID:vwDl4YR40
>>339

【――漠然と、思っていた。それこそ失礼なのかもしれないこと。あるいはそれに気づきすらしないで】
【セリーナのようなひと――誰より優しくて、けれど厳しくて、そして、強い――上司であり、姉であり、今となっては師匠と呼ぶのさえふさわしいかもしれない、ひと】
【絶対的に、何かが違うのだと思っていた。漠然と、そんな"勘違い"があった。こんなに弱虫で臆病な自分とは違うものを持って、生まれてきたのだと、だけど】

【今宵、そうでなかったことを知る――教えられて、真っ赤になった目が丸く瞬く、セリーナにすら、何もかもが嫌になってしまったような過去があったと知って、】
【驚いて、だけれど、失望だなんてするはずもない。何より彼女自身も"そう"だった。長い間、なにもかも嫌だと思って、薄暗い路地裏の中、深く深くまで潜り込んで】
【そういう時が確かにあって――そして、彼女もまた、他人によってすくいあげられた。真っ暗の中から明るい場所へ連れ出してくれたひとがいたから、ここへ】

そんな、の――、そんなの、あたりまえ、なの、何度だってする、よ――ずっと、する、これからも、わたし、セリーナに、
だって――わたしにできないことをがんばっているセリーナに、わたしができることもしないで、ただ見ているだけなの、嫌だよ――。

【暖かい珈琲も、おかえりなさいと掛ける声も、ここに居続けることも――どれも、どれも、特別だなんて思っていなかった】
【帰る時間が分かっていれば、ちょうどその時に暖かい珈琲と、何か、ドーナツやクッキーを温めて待っていることだなんて、セリーナがしてきた"仕事"よりも容易く】
【いつ帰るか分からないときに、夏なら部屋を涼しくして、冬なら部屋を暖めて、待っていることだって――そんなの、うんと、うんと簡単で】
【ここに居続けることだって――大変なこともあるけれど。疲れてしまうこともあるけれど。だからって逃げ出してしまうなんて、ありえない。だって、セリーナは、】
【どうなるかも分からないことのために、この場所の名前と、場所を、貸してくれた。その行為と信頼に報いなければいけない、そして、なにより】
【その言葉を聞いて、試してみようかと思ってくれたひとたち――ちいさな、あの、子供たち。あの子たちを裏切ることなんて、ぜったいに、ぜったいに、できなくって】

…………セリーナも。わたしにとって、ヒーローだよ、うんと格好良くて、優しくて、強い――、きっと、みんなにとっても、そうだよ。

【一瞬、ひどく驚いたように――呼吸さえ詰まってしまったように黙った少女は、数秒だけの間をあけて、それから――ひどくたよりなげに破顔するのだろう】
【照れたようでありながら申し訳なさそうな、だけれど何よりうれしいように――ひどく曖昧に笑う、離れようとする手を一瞬見つめてから、それから、ゆっくりと離し】

/ごめんなさい長くなってしまって、最後だので分割させてください!
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/26(金) 22:14:08.82 ID:vwDl4YR40
>>339>>342

わ、う、――うん、わたし、がんばるね、……、……――あと! ね、セリーナ……、今すぐじゃなくって、いいの。今すぐのお返事じゃなくって、いいから――、

――――わたし、"たんぽぽ"をもっとやりたい。月の半分だけじゃなくて、もっと、たくさん……。……ごめんなさい、セリーナ、今でもいろんなことお願いしてしまってるのに。
だけど――、来週からの特訓、もっと、がんばる、今までより、うんと……ずっと、がんばる。だから……、その、セリーナ――、考えて、欲しいの、すこし……。

……おなかは、毎日減るものだから、

【急に……急に、でもないのだけど。自分で言い出したことなのだけど。話題が変われば、一瞬戸惑ったように言葉を詰まらせる、あるいは少しだけ不安そうにしてから】
【だけれど自分で頑張ると決めた。だから、がんばる――こくりと頷いて、セリーナを見送るのだろう。――――だけれど、セリーナが扉に手を掛けた、その瞬間】
【とっさに言ってしまいたいと思ったみたいに、かけられる声。振り返れば、少し不安そうにセリーナを見ている顔があって、それなら、要件は何かと思えば】

【たんぽぽ――その日付を増やしたいのだという。もちろん特訓はがんばる、そのうえで、それも――だなんて、少し、急いでしまったようにも思えるけれど】
【あるいはこちらはしばらくの間考えていたのかもしれない。そのうえで、自分ひとりでは、とか、そういうことも考えて――だけれど、もしかしたら、知っているかもしれない】
【この少女、その日付でなくても、おなかをすかせた子供が来たら、自分のお財布からお金を出して食べさせている。そしてもちろん、その出費が"嫌"というわけではなく】
【お腹は毎日減るもの。それで伝わるだろうか、だから、考えてほしい。そう言って――もちろん言葉通りに返事は急かさない。言い終えれば、また、少し気弱に笑って】

おやすみなさい、

【時刻としては、まだ当然そんなころではない。だけれど、再び思い出した眠気に苛まれれば、自然と最後の挨拶はそれになり】
【扉を閉めれば――次、もし何かの用事でセリーやや、あるいはほかのひとが部屋に来たとしても。返事はないだろう、ひどく深く眠り込んでいて】
【ぱちぱち、ぱちぱちと――身体を修復させるための魔力が小さくはじける音と柔らかな寝息が繰り返されて。――起こそうとしても、きっと起きないのだった】

/お返事遅くなりまして申し訳ないです、お疲れさまでした! ありがとうございました! 
/重ねて、流浪の路地裏ドクトル・長谷部銀之助金近さんの方もありがとうございましたっ!
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/01/26(金) 22:16:03.72 ID:3nSHJRf4o
>>341
//いますいます!!!
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/26(金) 22:30:10.43 ID:EX1p3mndo
>>340

【獣の雄叫びに混じって、ごろごろごろ、という、車輪の音が聞こえたかも知れない】
【決して重い音ではない。──丁度、軽いキャリーバックを転がすような音だ】
【それに伴う足音が軽い事から察するに、女性が運んでいれば丁度いい位だろう】

【もちろん、こんな場所にそんな女が居る筈はないのだが】


……わぁー。


【──少女たちの後ろには、その通りの人物が立っていた】

ここがあの有名なヴァイ骨(※)温泉かぁ〜。
随分荒野にあるなぁ、と思って歩いて来たけど、自分をだましだまし来たのは正解でした。
たまの休みにはやっぱりこういう所に来て骨を休めないといけませんとお婆ちゃんが言っていました。
……うん。手許の地図は寸分違わず。うん。三雲の目に曇りはありません。錯覚かな?

【※ヴァイオレット骨温泉。ここの水が万病に効能があるという噂が水の国で跋扈しており警察が捜査中】


── あ、あの〜。
そこのお嬢さん方、これ、ショーか何かですよね。それかぷろじぇくしょん何とか。そう言って下さい。
デナケレバワタシハワタシヲオサエキレナイ。


【キャリーバックを傍らに、震える手で地図を握り締めるのは、栗色の髪をした、20代前半頃の女性】
【旅行者ルックの彼女の糸目は泣きそうな角度に垂れ、口元はわなわなと震えている】
【──この戦場にあっては異質、というか、無防備にすぎる様子だった】

/ではでは、お邪魔します〜
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/01/26(金) 22:46:21.20 ID:3nSHJRf4o
>>345

「いいですか夕月さん。いち、にの、さんで私は飛び込んで、すぐ逃げます。
 あなたがぶっ放すのはその後です。準備できます?」
『できなくてもやらなきゃダメなんでしょー。無茶してでもやるよ。
 ……巻き込まれてもあんまり恨まないでネ』

【前方に立つ白の少女が獲物――一本の刀を構えて、何やらことばを呟けば】
【彼女を包み込むように発せられる臙脂色の輝き。何らかの術を使った様子】
【同じように、後方に控えるコートの少女も何やら準備を始めたようで――ざりっと厚底靴が地を滑る】

 【「『――――いち、にの、』」 少女たちの声が重なって響く、カウントダウンはあとひとつという時――】


「…………はいっ?」

【白の少女、躓いた。ぐるんと後ろに向いた視線は、確かに新たに表れた女性を捉え】
【それを追いかけるようにして、コートの少女がフードの下で目を見開いた――『あんた、何してんの』】
【そう口にしようとした瞬間。三者の耳を劈くような轟音が、鳴り響いた】


『っ、――――――やっべ! カゲ、っちゃんッ!!』

【獣の咆哮。その後、振りかぶられる前脚――白い少女に向かって一直線に】
【標的となった少女は突如響いた轟音に身を竦ませて、反応が遅れたようだった】
【思わず腕を顔の前に持ってきて防御しようとしたが、それも無駄なことだろう】

【鋭利な爪のしっかり生えた化物の脚は、はたしてこのまま少女の肉を裂いてしまうだろうか】

//よろしくお願いします!
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/26(金) 22:58:58.43 ID:EX1p3mndo
>>346

【──白い少女の腕が視界を覆う。しかし、それから数瞬経っても、爪が彼女に到達することはない】
【もし、彼女が腕を下げ、眼前の光景を目にしたならば】

……お、お、お、ぉ、 ……

【唸るような、引き絞るような声と共に、“化物の脚を止めている”女が見えるだろう】
【鋭利な爪を正確に手で掴み、その膂力で以って、化物の動きを止めている。見間違いではない】
【コートの少女の方は、女が咆哮の瞬間、何の迷いもなく、白い少女の前に飛び出したのが見えた筈だ】
【──そして、】


──温泉っ!!まんじゅうぅ!!よく分かんないペナント!!
よっ、よくも!!よくも三雲の数カ月ぶりのお休みを!!フーダニット!!わいだにっと!!
そして、ついでに、この私の前で人死には出しませんとも!!退けぃバケモノ!!


【その超人じみた芸当とは対照的な、軽いにも程がある大音声】
【──よく分からないが、このまま化物の動きを封じることができれば、チャンスかも知れない】
【もっとも、膂力で“押す”ことは止められていても、“引く”ことには差し支えない。彼女の体重は並だ】

/爪を止める所が確定気味になってるので、問題があれば言って下さい
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/26(金) 23:01:08.56 ID:vwDl4YR40
【水の国――大広場】
【時刻は朝、うんと冷たい空気に透き通る青空が天井いっぱいに広がって、雲一つない晴れ模様】
【そこで行われているのは月末恒例の朝市だった、街一番の大広場には所狭しと仮設の店舗が建てられて、歩く人もごった返し】
【あちらこちらからいろんな音、匂いがする中で――「手を離しちゃだめだよ、迷子になっちゃうからね」。そんな声を、聞いたような、聞かなかったような】

…………。

【とある店舗――まるで宝石をそのまま液体にして詰め込んだように色鮮やかなジャムが並んでいる――の前、目をきらきらにして立っているのは、けれどこれだけなら普通の光景】
【ちっちゃな両手を台のふちにしっかりつかまらせて、一生懸命につま先立ちして――それでようやく大人に合わせて作られた台の上、まっとうに商品を眺めることができ】
【そうして数分眺めていた。その間も店主――きらきらきれいなジャムに似つかわしくないほどごつい大男――がいろんな客にジャムを売ったり、話をしたりするのを眺めて】

――キレイ。

【とあるタイミングで意を決した"女の子"は、そのちっちゃなもみじの右手を、きれいな黄色をした瓶詰のジャムに伸ばす、それで、一つ、捕まえようとした――ところを】
【見咎めた店主の腕の方が早く、彼女の狙った瓶詰を取り上げる、それで一言二言、簡単な注意――いわくこれは割れ物だし商品だからダメだと言われて、】

グゥ……、うー、

【ひどく不満げに頬を膨らませて、今度はきれいな緑色をしたジャムの瓶に手を伸ばす、――そしてそれもまた取り上げられて、再びの注意、今度は、保護者はどこかと】
【その問いに答える代わりにまた別の瓶に伸ばした手を、今度はぎゅっと掴まれて――「一緒に来たのは誰だい」と問われれば】

一緒――リンネ! リンネと!

【掴まれた右手をブンブンブンブン本気で振り払って脱出、ずびしと斜め背後を指差す――けれど知らないおばさんを指差して、店主がため息一つ】
【迷子かとか聞かれている中で、だけれど多分そんなこと聞いちゃいない女の子は、顔をうんとうんと、目の前のイチゴジャムよりも真っ赤にして、震えて、】

ぅ、あああああ――――!

【ぴゃあと泣き出す声は、存外に大きいから、辺りによく響いた。何かと見る人が居れば、あるいはずっと見ていた人が居れば、それはちいちゃな女の子だとすぐに知れ】
【真っ白に透き通る髪はぴょこぴょこ外向きのロングヘア、これもまた真っ白の頬は、けれど今ではイチゴジャムのように真っ赤になって、その頬をぼろぼろ涙が滑り落ち】
【涙をぼたぼたあふれ出させる瞳は少しだけオレンジ色に近い穏やかな黄色、それでも今は瞬きするたびに、そうでなくても、大粒の涙をぼたぼた、ばたばた、生み出し続け】
【白のロングワンピースは裾をぎゅうと赤いリボンで絞ったもの、それからふわふわしたフリルで裾を飾って。頭のてっぺんは服と同じデザインの白いボンネット】
【ちらりと覗く足元には赤いストラップシューズ――ちっちゃな両手が、お洋服のおなかのところをぎゅううと強く握りしめて、くちゃくちゃにしてしまっていて】

【大柄な店主がちょっと小さくて狭い仮設の店舗から身を乗り出すようにして通りに声をかける、「この子の保護者はいませんか」と――だけれど名乗り出るものはなく】
【近くで様子を伺っていた人たちが「自警団を呼んだ方が――」などと囁き合っている。そんなこと気にしないような泣き声はぴゃあぴゃあ響いて、少し、うるさくて――】
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/01/26(金) 23:15:52.87 ID:3nSHJRf4o
>>347

【もうだめだ。二人同時に導き出した結論、頭の中に反響して】
【全て諦めたかのように、ぎゅうと目を瞑って次の瞬間を待つ姿勢に入った少女たち】
【……しかしその瞬間は、訪れなかった。恐る恐る瞼を開ければ、信じられない光景が目に入って】

「え、っ……貴女、一体……」

【白い少女が惑う声を上げたのも一瞬のこと。呆然とした顔を女性に向けて、すぐに頭上の獣に移す】
【そしてぎりっと眉を吊り上げたなら――臙脂の光を纏ってきらめく刃を、逆手に持ち直し】
【思いっきり「投げ付けた」。これだけ的がでかければ多少大雑把でも、何処かに当たる】


≪―――――――ッッッッッ!!!!!!!≫


【そうして放たれた刃が、獣の胴に突き刺さった瞬間。獣は尋常ではないほどの呻き声を上げた】
【恐らく少女が刃にかけた術が上手く作用しているのだろう。悶え転がるように暴れ始め】
【女性に食い止められていた前脚も、宙に浮いて滅茶苦茶に動かされていた】

「ありがとうございますっ、何方かは存じ上げませんが助かりました……あぶなっ!?」

【一瞬の間。そこで少女はようやく女性に礼を述べることが出来たが、すぐに表情を変えて】
【暴れ狂う獣が身を翻し、先端に刃を持った異形の尾を此方に振り回してきたのだ】
【「避けて」と叫んだのは白の少女。『逃げて』と叫んだのは、後方に控えたコートの少女】
【ぶォん――――野太い風切り音を上げながら、獣の尾は真っ直ぐ、女性を薙ぎ払わんと迫る】

//ぜんぜん大丈夫です!
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/26(金) 23:29:34.59 ID:EX1p3mndo
>>349


いいいいいい、いやややっやぁ、おおおおおおお礼言われるるるるr、ほどでももももお── おぉ!!

【──結果、爪を掴んだままの女性は、前脚の動きと共にブン回される】
【ブン回されたままでも、丁寧に、にこやかに応対しているが、ロクに話せたものでもない】
【そうこうしている内に、遂には勢い良く、宙へ放り投げられ──そこに、怪物の尾が迫った】


あ。こちらこそ、ありがとうございます〜。──ッ!!


【だが、少女たちの警告が耳に届き、女はしっかりと、その尾を目に捉えていた】
【捉えた上で、腕を折りたたんで刃の部分を回避し、“防御”──に成功したとはいえ、その身体は吹き飛ばされる】
【どん、どん、と数回地面に叩き付けられながら、女は数m先の地面に突っ伏した】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/01/26(金) 23:45:41.00 ID:3nSHJRf4o
>>350

【あっ、と上げた声が後ろへ引っ張られる。白の少女は、女性が吹き飛ばされる様を視線で追いかけていた】
【刀は早々に放り出したから、今や両手はがら空き。そんな状態で獣の真ん前に陣取るのもばかげた話】
【何より女性のことが気がかりで、飛ばされていった方へ一気に駆け出す――――】

『――――あたしからもセンキュー、レディ! あと離れてもらう手間が省けたのもセンキューセンキュー!』

【同時に、後ろにいたコートの少女が声を上げた。脱げたフードの下から覗く鮮やかな赤色の頭髪】
【振り乱して叫ぶ――――『ザミエル』の名。呼応するように少女の足元で輝く魔法陣】
【そこから現れたのは、一門の大砲だった。魔翌力を充填して赤色に輝くそれは、一拍の間を置いてから】

『はいっ、ド――――――ン!! ぶっ飛べバケモノ!!』

【獣の声に勝るとも劣らない轟音。強大な魔弾が射出される。それは真っ直ぐ獣の巨体へ吸い込まれ】
【大袈裟すぎるほどの爆発を起こし、地を揺るがす。――その後、訪れる静寂】
【その頃にはもう、白い少女が女性のもとへ駆け寄っていることだろう。「大丈夫ですか」と声を掛けながら、女性を起こそうとして】


「…………うそ、まだ……!?」

【しかし、すぐに視線は爆発の起こったほうへ向けられる。立ち上がる砂煙の中、よろよろと起き上がる獣の影が見えたのだ】
【コートの少女もげーっと声を上げる。一撃をかました大砲は、役目を終えて姿を消していた】
【相当なダメージは与えられた。しかし、最後の一押しが足りなかったらしい。さてこれから、どうしよう――?】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/01/27(土) 00:04:01.39 ID:C7Dy8uB2o
>>351

……大丈夫です。折角のお出かけウェアがズタズタですが。

【白い少女に助け起こされつつ、女はにっこりと、人好きのする笑みを彼女に向けた】
【倒れたタイミングで耳を劈いた轟音を聞く限り、ケリは付いたのだろう】
【──、と思いきや。噴煙の向こう側に、満身創痍の獣の姿が見えた】


安心して下さい。


【女は立ち上がると、少女たちを背に、獣の方向へと、悠然と歩み出した】


今宵の来栖は血に飢えています。満月のヴァンパイアもかくや。
……ヴァンパイア?訂正です。満月の狼男も──、狼男は血を吸うんでしょうか。
そう考えると、中々深い問題です。とにかく、怒りと虚無感と少女たちを救うべき使命感で来栖はフルスロットル。

…………いや、フルスロットル、と言うよりも。

【──彼女の拳が光る。見間違いではなく、膨大な魔力が集積された故に】
【溢れ出した魔力は漏れ出し、闘気にも似た、蒼い光で肩から拳までを包んだ】
【そして、彼女は「あ、思いついた」みたいな表情を作り、── 一瞬の後、高らかに叫ぶ】


 ──── ク ル ス ロ ッ ト ル =@なのです!!


【彼女がその拳を振り抜くと、蒼光と化した魔弾が、化物へと向けて放たれる】
【着弾時の反応としては、コートの少女が放ったものと同じだろう。人間大砲、とでも言ったところか──!!】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/01/27(土) 00:13:41.92 ID:Ox1o+jIwo
>>352

「クルス――――」
『――――ロットル――――!?』

【二人揃って復唱。各々の武器を手放し、女性の背を見送ることしかできなくなった少女たち】
【まばゆい蒼色の光に目を細めながらも、たしかにその光景を見届けた】

 【立ち上がることが出来たとはいえ、満身創痍の獣。それでも最後の雄叫びを絞り出して】
 【咆哮と同時、巨大な口をいっぱいに開き、女性に喰らいつかんと猛進したが】
 【彼女の肉を咀嚼することは、終ぞ叶うことなく。その代わりに、魔弾がきれいに直撃して】
 【再び鳴り響く轟音。獣の躰は、今度こそ内側から徹底的に破壊され――跡形もなく崩れ落ちていった】

【――静寂。ふたりの少女は呆然とその光景を見守ってから……たっぷり数十秒後】
【わっと歓声を上げながら、女性のほうへ駆けだしていった】

『いえーいいえーい! やるじゃんオネーサン! サイコー!』
「ほんっと、最高です……一時はどうなることかと! 本当にありがとうございましたっ」

【近付いたならまずアクションを起こすのは、赤毛の少女。女性の手を強引に取ってぶんぶん振ろうとし】
【その後ろから、白い少女がにこにこ笑いながら頭を下げてくるだろう】
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/27(土) 00:28:47.11 ID:C7Dy8uB2o
>>353

【ふぅ、と女性の口から息が吹かれ、獣は斃れた】
【駆け寄った少女にぶんぶんと腕を振り回されながら、彼女は鼻高々、といった表情を作る】

ふふふふ、褒めても来栖からは何も出ませんが、褒められるのも悪くないものです。
何度も言いますが、礼は要りません。私は人間として当然の事を──痛っ!!
ちょ、ちょっと痛いです!!ぶんぶんしすぎです!!可動域が!!可動域が──、ぁ。

【小さな声とともに、──ぐぅう、と、魔獣の叫びと遜色のない、大きなお腹の音が鳴った】
【にこやかだった女性の糸目は、みるみるうちに、角度を下げて】


う、ううぅぅぅぅ……、ひぐっ……。
戦いは虚しいです、何故ならお腹が空くから──。


【 ボ ロ 泣 き 】

地図は違うの掴まされるし、ここまで来る途中で車は壊れるし、挙句の果てに化物に会うし……。
何で私ばっかりこんな目に……思えば子供の頃からこうでした──。
あぁ、お腹が空きマシタ(チラッ)。デキレバオンセンニモハイリタイ(チラっ)。

【情緒不安定にも程がある女は、泣いたかと思えば話している途中から明らかにチラチラしている】
【──立ち直るのも早いらしい。殴られても仕方のないウザさだった】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/01/27(土) 00:39:02.26 ID:Ox1o+jIwo
>>354

『おっと失礼失礼〜でもマジで助かったから! 死ぬかと思ったしね!』
「クルスさんと仰るんですか? 要らないと言われましても少しくらいは――」

【礼をさせてください、と言おうとして、ふたりの身体がびくりと強張る】
【異音にびっくりして。もしや新手の獣が出てきたのか、と警戒したが】

「……、ああ、はい、ええと、その……た、大変だったんですね……」
『えーっとぉ……何だっけ、温泉? に、行くつもりだったんだよネ? そりゃー可哀想に……』

【『渡された地図見た時点で気付けよ』と小声で呟く赤毛を、白が小突く】
【ふたり揃って、うーんどうしようか。考えて、これまた数十秒の間】
【あ、と打開策を思い付いたらしい白いのが、曖昧な笑みを浮かべて語り掛ける】

「ええっと、実はさっきのバケモノ、とあるギルドから討伐依頼が出てたヤツなんですよ。
 つまり私たちには報酬が出ます、それも結構な額の。いやー苦労しましたもんね!
 それでなんですけども、貴女には大変お世話になりましたし……その報酬を三人で分けてですね、
 ちょっとしたいいご飯でも……食べにいきます、か? 迎え、呼んだら来ますし。一緒に行きます?」
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/01/27(土) 00:52:42.62 ID:C7Dy8uB2o
>>355

うぅ、出来ればタダ飯が食べたい、タダ酒も飲みたい──。
この前ドラマで見た高そうなステーキ屋に行きた──、えっ?デマジですか!?ぜひ!!

【最早タダの願望呟きマシーンと化した女は、白い少女の提案に、ぱっ、と顔を輝かせる】
【今度は二人の腕を掴んでぶんぶん。明らかに可動域を越えた動き──その後、手を離して】

私、来栖くるるって言います〜!!さぁ、行きましょう!!
あっ、迎え待つんでしたっけ!!幾らでも待ちますですよとも〜!!

【喜びの余り言葉まで儘ならないようになった彼女は、スキップしながらキャリーバックを取りに行き、戻ってくる】
【──この後、彼女は最寄りの町に着くまで、にこにこしながらああだこうだと話すのだろう】
【少女達からすれば、おかしな人物ではあっても、決して悪人とは感じられない筈だ】




………… え。 か、帰ってこい、って……。

【そのご機嫌も、街で端末を目にした彼女が、仕事の呼出に慟哭するまで、だけれども】


/それではこの辺りでしょうか、お疲れ様でした〜
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/01/27(土) 01:03:05.91 ID:Ox1o+jIwo
>>356

『おわわ、途端に元気になっちゃったよこの子! ……くるる・くるる?』
「違いますって夕月さん、くるる・くるすさん……ん? なんか違うな。
 私は白坂の佳月、こっちの赤い人はユヅキって言う人です。ええ、それじゃあ……」

【白いのが取り出した携帯端末でギルドに連絡を取れば、すぐに迎えの車がやってくる】
【車内、三人の話はなかなかに盛り上がって。女三人寄ればなんとやら、か】
【ちょっとヘンなところがあるのはこの二人もお互い様の話だったりした。そんなこんなしながら、街に到着】


「……ふうっ。報酬も受け取りましたし、さっそくいいお店見つけましょ、……?」
『……、……あー、うん。オツカレサマってヤツ……ごはんは今度行こっ、温泉も探しとくからさっ』

【苦笑いをしながらの別れ際、連絡先を渡して手を振る二人】
【嘆く恩人――くるるを持て成す小旅行のプランを考えながら、彼女の様子を見守っていたのだった】

//はい〜! ありがとうございました!
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 08:37:10.18 ID:tClanCnMO
【とある四ツ星ホテルのロビー】

【ここでは最近ではある人物のことがちょっとした噂になっていた】
【それは凄腕の画家。長逗留するその人物にホテルのオーナーが冗談混じりで似顔絵を頼んだのが始まりで】
【写真のように写実的な、それでいて本物より少し良いように描き上げる技巧が評判となり】
【そのうえ料金を取らないとあって、客寄せの意味合いもあり、彼は今日もそこで筆を振るっていた】

……とはいえ、毎日人間の顔ばっかりというのも飽きるね。
ここの居心地が良いのは確かだけど……どこか、行こうかな。

【ジーンズに白のシャツ。年のころは30前後、寝癖のかかった金の髪】
【どことなく貴公子然としたその男が件の画家、なのだろう】
【今は客もいないのか、ロビーのソファに座ってのんびりとコーヒーを飲んでいた】

【時にこの画家、いくつかの噂があった。例えば、頑なに名前を名乗ろうとしないとか】
【そもそも名前がないとか、使いきれないほどの黄金を持っているとか】
【或いは、かつて世界を騒がせた機関の六罪王に似ている、とか】
【どれも世迷い言だったが、当の本人はなんとも平和な雰囲気だった】
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/27(土) 10:11:59.49 ID:nrG03iAf0
>>348
/次来られるの夜になってしまうのですが、どなたか、よろしければ……
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 11:19:44.76 ID:BZsBnTK+o
>>358

ああ、いえいえ……お久しぶりにお会い出来て光栄でした。
まあ、諸々の事情もあるのですが……ええ、「他人の空似」ということにでも、して頂ければ。
ご迷惑をおかけしますが、はい。よろしくお願いします。

【そう会話しながら、同じく金髪の青年が誰かと会話している――このホテルのオーナーと、だった】
【いくらか怪しげな会話ではあるが、ロビーのBGMに呑み込まれていくような、その程度の音量で】
【けれど誰かが聞いていてもおかしくはない――というところだろうか】

【金髪の青年の格好は、どこにでもありそうなもので――白いボタンダウンシャツ、ゆったりとしたシルエットのスラックス】
【それに、いくらか仕立てのよさそうなステンカラーのコート】

【ホテルのオーナーにぺこり、と頭を下げて、ロビーを歩いて行く】
【ちらり、と、金髪の画家と目が合う。何か、―――気になるような】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 11:41:38.48 ID:tClanCnMO
>>360
【目と目が合う、その瞬間に対して画家の男は大した感慨も無いようだった】
【それも当然だ。知り合いでもない青年と目が合うことなど、日に何十と起きるのだから】

【ただ、青年からすれば違うかもしれない。或いは、彼がメディアに触れるタイプの人物で】
【そこそこの記憶力を持ち、特にカノッサ機関に関してのニュースに目を通したことがあるのなら】
【『半魔・リリア』や『怪物・ベクター』等とともに世間を騒がせた、いわゆる機関の六罪王】
【ダグラス・マックスウッド。その人に、瓜二つの容貌であると気付けるかもしれない】

……………………。

【……だが、やはり気のせいかも知れなかった。そもそも、その男が紙面を賑わせたのは二年ほども前】
【今はすっかり音沙汰もなく、何よりそんな大層な悪物だったとして】

【そういう人間が、挨拶代わりに微笑みながら軽く手を振って見せたりだとか】
【ごく一般的なホテルに宿泊をして、陽光を浴びながら絵描きの真似事をしているはずもないのだから】
【けれどかのダグラスに関する情報の引き出しが、もうひとつでも開くのなら】
【彼が『芸術家』としても名を馳せていたことを思い出せる、かも知れなかった】
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 12:05:26.34 ID:BZsBnTK+o
>>361

【画家の男の横、ぴたり、と青年が足を止める】

もしかして、貴方が……噂の、画家さんかな。

【その眼に敵意、警戒、怯え、と言ったものはまるで見られず――】
【ああ、この人が、というような、そんな目線】
【恐らく六罪王の某と、目の前の男の風貌が似ているということには】
【気づいていない、思い至っていない、あるいは―――知らない】

【手を振る男に、軽く会釈を返して、笑顔でそう話しかけた】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 12:13:55.64 ID:tClanCnMO
>>362
【青年が足を止め、貴方がと声をかけられるとコーヒーを一口】
【そのままマグカップをテーブルにおいて、柔らかに笑いながら首を縦に振る】

噂、というのがどんなものなのか、最近外に出ていないから知らないけれど
似顔絵ばかり描き続けている物好きという意味なら僕だろうね。

……そういう君は、その噂を聞いてきたお客さんというところかな?

【相手を推し量る。例えば、映画で知的な悪役等がやることだが】
【画家の男からはそういう深みのようなものは一切感じられなかった】

【むしろ笑顔を見せる青年に好意を抱いたように、テーブルを挟んだ向かいのソファに座るよう促し】
【続けて早速、肘掛けに無造作に置いていたスケッチブックを手に取った】
【獲物は鉛筆。青年が描いて欲しいと言えば、すぐにでも手を動かし始める】
【そんな様子で、けれどまずはと彼の返事を待ち構えた】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 12:26:58.77 ID:BZsBnTK+o
>>363

そう……だな、いや、そうですと言えればよかったんだが、
実はさっき、その話を聞いたばかりで。

このホテルのオーナーと話す機会があってね、
貴方のことを……
「写実主義の王」「でありながら自尊心に優しい」「そして仕事が早く金を取らない」「マジで神なんですけど」
なんて、ひたすら褒めるものだから。
少し、興味があって。

【そう言うと、勧められるまま椅子に腰を降ろす。四つ星ホテルのソファだ、包まれるような心地に片眉を上げて】
【描こうか、というような画家の素振りに、少し迷うような素振りをみせたあと】
【ま、今更か、と呟いて、笑顔でお願いします、と頼み】

【気を利かせて運ばれてきたコーヒーに、口をつけた】
【土曜の昼だ。ロビーもそう慌ただしくはなく、のんびりとした時間。男の鉛筆が紙の上を滑る音が、時間の進みを告げていた】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 12:49:51.24 ID:tClanCnMO
>>364
フフ……本人が居ないところでそうやって褒めてくれるんだから
ここのホテルを選んだのはやっぱり正解だったということだろうね。

名前がなくとも泊めてくれるし、ここのコーヒーは美味しいし。
後でまたしばらく、部屋を長めに借り直さないと……さあ、動かないで?

【しゃっ、と鉛筆の先が紙を撫でる。頼まれてからの筆の運びは相当に早い】
【15分から20分ほどだろうか、ひたすらに鉛筆が音を立て続け】
【手と、それに絵も汚れるからだろう。気付けば右手には白手袋がはめられていて】
【時折顔をあげて青年のことを捉え直しながら、またスケッチブックに意識を落とす】

【芸術家、というのも色々とある。単なる飯の種か、本当の物好きか】
【大きく分けるならこの二つであり、おそらくこの男の場合は後者なのだろう】
【集中の具合は凄まじく、鉛筆の芯が折れればすぐさま新しいものを取り出して描き続け】
【満足行ったように筆を下ろす頃には、白手袋はすっかり黒ずんで】

うん、よし……こんな具合だけど、どうかな。
持って返ってもらっても良いし、見るだけで満足という人もいるけれど。
あぁそれと……良ければ、君の名前を聞いても?

【くるりとスケッチブックを裏返す。そこには、目の前の青年の胸元から上がしっかりと描かれていて】
【ちょうど笑顔を横から捉えたその一枚は、窓から指す光に目を細める表情の微細を始め】
【鉛筆一本。白黒の色合いといい、迷いのない筆致といい、何よりその画風といい】
【いかにも噂の写実主義らしい、写真のような一枚に仕上がっていた】

【特徴があるとすれば、その右上の空白にこれまたリアルな月が書き込まれていて】
【画家らしいサイン、のようなものなのだろうか。ともかく彼は、仕上がりに当たって青年の名前を尋ねた】
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 13:07:18.04 ID:BZsBnTK+o
>>365

そうだね、あの人――臆面も衒いもなく、本当にただ「いい人」だから。
ちょっと珍しいくらいだ。

【そう答えると、あとは男の集中を邪魔せぬよう――とは言っても本当に動かず、というわけではなく】
【たまに座りの悪そうにしながら、それでも絵の邪魔にならぬように気を配っているのだろう、というような風で】
【興味深そうに男の筆の進みを眺めていた】

あ、出来たかい? 目の前で絵を描いてもらうというのは、なかなか見応えのあるものだね……
でも20分しか経っていないのか。
いや、何事も極めた人の技というのは見事なものですね。

【眼福眼福、といいながら、男の裏返したその鉛筆画を見やる】
【うわ、すごいな、なんて呟いて】
【あまり絵を見たことはないのだろう、はあ、ほお、なんて子供じみた感嘆の声を上げながら、白黒の描線で描かれた自分の顔を見ている】

【成る程、自尊心に優しいとはこういうことか、確かに僕より幾分見栄がいい、と少し笑って】

ああ、僕の名前はウェイン。名字はないんだ、すまない。

【そう言いながら、右上の空白に目を留める】

――この、月は?

【写実に近い男の絵に、今空に実在しない月が描かれている。もっと言えば、ここは屋内で】
【差し込む光の影響まで絵に留めた男の絵に、少し不釣り合いなような――そんな印象を頂いて、男へと問いかけた】
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 13:24:19.38 ID:tClanCnMO
>>366
褒められるのは嬉しいことだけれど
本質的には3歳の子供がしていることと一緒さ、お絵かきだ。
ものの上手下手ってのも見る人次第……けど、気に入ってくれたなら何よりだね

……しかしウェイン、か。残念だけど、知らない名だな。

【最後の一言は、ごくごく小さく。独り言であるために、聞こえないかもしれない】
【満足してくれたらしい青年の様子にこちらもまた満足、でありながらも】
【何か、足りないものを記憶の網から探るような様子も伺えて】

【『この月は?』と聞かれると、ふと引き戻されるように背筋を正し】

ん、あぁ……それは僕が好きな物でね。見ての通り、単なる月なんだけどさ
芸術家なんていうのは見栄っ張りの集まりだから、作品には自分だとわかるなにかを入れたくなるんだ。
そして、僕の場合は……と、そういうわけでね。気に入らないようなら消すけれど。

【月が好き。その事実を示すように、スケッチブックをペラペラと捲って見せる】
【そこには数分程度で仕上げた落書きから数日をかけたであろう力作まで】
【数百の月が描かれていた。それはいっそ病的なほどだったが】
【なかには鎧甲冑のようなイラストや、襤褸をまとった老人の絵も見てとれた】
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 13:44:38.65 ID:BZsBnTK+o
>>367

門外漢だけど、見事なものだと思うよ。
僕には全く絵心がないからね、リンゴを描いても君を描いても似たようなものになる自信がある。

【――うん?と、小さく呟かれた一言。自分の名前を含む音だ、少し耳聡く顔を上げるが、】
【全てが聞き取れたわけではなく】

ああ、消すとかそういうんじゃない、せっかく描いてくれたんだ、ありがたく。
そうか、作品へのサイン、花押みたいなものかな。

【そして、ぱらぱらと見せられる、「数百の月」を見る】
【それら全てに込められた熱意、尽くされた技巧――】
【―――ある意味では偏執ともいえるのだろうか。数百、その姿を紙上に留められた月たちは、男から受けた愛情をそのまま己の輝きにするようで】
【圧倒的な密度に、目眩がするほどのそれら。鎧甲冑に、未だ筆致の新しい、襤褸を纏った老人】
【その常ならぬ作品集に、ウェインの脳裏に数日前調べた文言が踊る】

【“海上監獄”“機関”“Lunatic From Luna”“ダグラス・マックスウッド”――――“六罪王”!】

(鮮明な画像まではデータに残っていなかったが――言われてみれば、UTのデータベースと共通したところがある、か)

【その月への愛情を以て、ウェインはようやく目の前の人物に思い当たる――僅か、漏れ出した警戒の気配は、画家の男にも伝わるだろうか】
【だが、それは未だ敵意には至らない。目の前の男が、ただ穏やかに絵を描いて過ごすように見えた】
【ならば過去がどうあれ――今、この青年が騒ぐようなことではないのだろう、と心の中で一つ、区切りをつけて】

……ありがとう。
ところで、この似顔絵って、頂けるのかな?
複製でも構わない、お代もそちらで決めていただいてかまわないんだけど、ぜひ手元に持っておきたくて。

【再び笑顔を浮かべて、そう男へ持ちかけた】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 14:11:00.80 ID:tClanCnMO
>>368
そういうことさ。この絵は僕が描いたんだっていう、サインみたいなもので。
嫌でないならよかった、是非そのままにしてもらえると嬉しいよ

【初めてそれを見る人間でもわかるほどの、月への偏執的な熱意】
【であれば、サインとしてのものであっても消さずに済んだのはありがたかったのだろう】
【にこりと笑いかけて、スケッチブックのページをもとへと戻す】
【その様子に、警戒の色を感じ取った――なんてところは見受けられず】

どういたしまして。そしてこの絵は、是非とも君が持っていってくれ。
僕は一度描いた絵は忘れないし……お代も必要ないよ、単なる趣味だから。

……ただどうしてもというなら、そうだね。その絵を友人にでも見せて
僕のことを軽く宣伝でもしてもらえると嬉しいかな
ちょっと色々とあって……僕を知っている人と、会ってみたいからね。

【それだけ言うと、青年の似顔絵を書き込んだ一ページを切り取って、差し出して】
【そうする間に改めて青年の姿を見ると、改めて口を開き】

……ところで君、旅や冒険をしたりは?
いやなんとなく、そんな気がしただけなんだけれど……最近、引きこもり気味でね

もし、君が……ウェインが外に出るタイプの人間なら
どこか面白い場所でも知らないかなと思ってさ。
観光名所とか、どこかのお城や山……お店とか。どうかな?

【かつての、とはいえ――六罪王であった人間が、ホテルの片隅で燻り続けるものなのか】
【それはなんとも言えない。ただ、少なからず目の前の画家は、外への殻を抉じ開けようとしている真っ只中で】
【けれど、滲むような悪意も害意も、決意も見えなかった。あるとすれば、それはおそらく好奇心だった】
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 14:34:23.81 ID:BZsBnTK+o
>>369

君のことを、知っている人と?

【そう言いながら、似顔絵を受け取る】
【側に居たホテルの従業員が、慣れた様子で、お持ち帰りできるよう包みましょうか、と言葉を添えた】
【それにお願いします、と笑顔を向けて、男の言葉を繰り返す――】

なんだか、妙な口ぶりだね。
当ててみようか、記憶喪失かい?

【冗談めかして、そう話す。自分のことを知っている人と出会いたい、なんて要望は、たしかにそうでもなければ出てこない】

冒険や旅は、まあ、普通の人よりは少しだけ繰り返してきたかもしれない。
何を隠そう、今も中央都市への旅の途中でね。
少し路銀を稼ぎに、今はこの街の花屋でバイトをしているけれど―――

うん、面白い場所ならいくらでも。
まずこの水の国なら、大蒼湖。あまり人に知られていない秘所なんだけど、水統王の避暑地と称されていて。
とても澄んだ水質が特徴で、昼間行っても楽しめるんだけど、本番は夜でね。
空の月を写し取ると言われるようなその眺めと、光虫が織りなす幻想的な光景は、地に顕れた宇宙とまで讃えられる――

【それから、土の国と火の国の境界アーグの温泉街、風の国にあるUTという名の妙な酒場、中央都市・勝利王神殿の祭壇――】
【彼の知る、色んな名所を話して聞かせる】
【そこには打算も何もなく、どこか似た境遇の、目の前の男の好奇心を満たせればと】
【そんな話を、とりとめもなく続けている】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 14:58:17.52 ID:tClanCnMO
>>370
おや――まあ、そんなようなものかな。
……おとぎ話のような、大概誰に言っても信じてもらえないことなんだけれど。

【ついこの間、月がよく見える丘の上で悪魔と出会った】
【その悪魔に己の半生と、真名を食わせてやった。するとどうやら、その悪魔は本物で】
【自分が誰で、何をして来たのかがさっぱり思い出せない】
【親しい友人も親族もいないから、手がかりもない。『何かに困っている訳じゃないんだけどね』】

【――と、案外気軽そうに経緯を話すのだった。自分そのものを失ったにしては、ずいぶんと軽薄で】
【けれどやっぱり気になるからと、自分を知る人間を探しているということらしく】

まあ、いいんだ、僕のことは。それよりも問題は、君の見てきた景色のはなしさ
やっぱりというか、僕は人混みよりも自然の中にいる方が好きだからね。
さて、まずは大蒼湖、か……――。

【語られる地名。風光明媚という言葉がそのままに当てはまりそうな語り口に引き込まれながら】
【メモをがわりにスケッチブックへさらさらとその名を書き殴っていく】
【温泉街、酒場、神殿。それらのワードを聞くうちに、頭の片隅でおや、と思うことがあった】

【それがなんなのかは分からない、のだが。ともあれウェインから語られる土地を全て書き納めると】
【ありがとう、と一言告げて、スケッチブックも鉛筆も自らの傍らに置くのだった】
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 15:18:06.10 ID:BZsBnTK+o
>>371

【目を丸くして、悪魔の話を聞いた】
【能力者、神霊、魔界の主たち、そして古代の超越種――そんな魑魅魍魎が跋扈するこの新世界でも、】
【そんな真性悪魔の活動は珍しい。況や、記憶と真名を差し出した、とは】

――いや、剛毅だね。その時の君は、一体何を思ったんだろう。

【けれど嘘とは微塵も思っていない。そういうことも、あるのだろうと】
【納得するように、腕を組んで頷いた】

ある意味、記憶を失う前の自分のことなど、他人のことより遠く思えるものだろうけど、
君は律儀だな。当時の自分を知っている人を、探すとは。

【――とはいえ、先程の想定通り、彼が六罪王なのだとすれば】
【かつて敵だったものたちからは、復讐を。かつて味方だったものたちからは、その力を再び貸してくれと】
【どちらにしても、今の彼にとって良いこととも思えない誘いが来るだろうことは、明白で】
【お願いはされたけど、色んな人に見せるのは、これは少し考えものかもしれないな、なんて思いながら、自分の告げた各名所】
【それらに興味を示した様子の画家を眺める。どこかに反応したのは、気づかなかったようで】

――さて、そろそろ行くことにしようかな。
それと、絵を描いてもらったお礼だ。

【そう言うと、自身の連絡先の書かれた紙を、画家へと差し出す】

今行ったところ、なかなか一般人では入れないところもいくつかあるから。
昔取った杵柄ってやつで、抜け道を知ってる。
観光に行くときは、一緒に行こう。案内くらいなら、できるからさ。

【そんな調子で、いつか一緒に出かけよう、と。たったこれだけの縁にしては、立ち入ったような誘いを、投げかけた】
【気が乗らなければ断ってもいいだろう。自然の名所だ、いくら立ち入りが難しいと言っても、手はあるはずだし】
【けれど、もしも同道を許すのならば、それはまた、妙な道行きにもなるだろう――ーもしかすると、楽しいかもしれない】
【そんな誘いだった】
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 15:25:10.33 ID:BZsBnTK+o
/おっと! ちょっと出ないといけなくなりました。次のレス、夜になってしまうかもしれないですー。もうしわけない
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 15:36:03.40 ID:tClanCnMO
>>372
多分そのときの僕は、どうでも良かったんだろうね。
名前や肩書き、それまでに自分が残してきた何か……

……そんなものはただの自己満足だ。無くたって、こうして存在しているわけで。
海や月に名前がなくても人はそれに魅力を感じる
多分それと一緒で……どんなものも、大事なのは本質だからね。

【けれどやはり興味はある。だからこそ以前の自分を知る人に会いたい】
【それがどんな出会いでも、彼は全て気にせず受け止める】
【柔らかな見た目に反して心の持ち様は確かに剛毅といえるものらしく】

【それから――ウェインから差し出されたメモを受けとると】
【それが連絡先であると気付くのに時間はかからず、意外そうに青年へと顔を向け】

それはまた……ありがたいけど、いいのかい?
君だってやることがあるようだし、わざわざそんな面倒を背負うこともないだろうに。

……と、普通の人は言うのだろうけれど。
この手の誘い、僕は断らずに受け入れるようにしてるんだ
何故って、その方が楽しそうだからさ。というわけでよろしくね、ウェイン?

【最後の誘いへは、ずいぶんと容易く乗った。あまり物事深く考えない、というか】
【なんともふわりとした雲のような男で。立ち上がれば、よろしくという言葉に合わせて手を差し出した】
【なんて事はない握手だ。その手にはめていた手袋は、既に外した後だった】
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 15:37:26.90 ID:tClanCnMO
>>373
/了解いたしました、どうかご予定を優先していただければ!
/のんびりお待ちしておりますので、また後程よろしくです
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 19:09:55.07 ID:BZsBnTK+o
>>374

我、ただ我で在るが故に我なり、か。
うん、君は確かに、剛毅だね。
見た目に似合わず、って、よく言われない?

【あっはっは、といくらか大きめの笑い声を上げて、メモを受け取る男を見やる】

ああ、もちろん。
僕もようやく、あるがままに乗ってみる――そんな当たり前のことを覚えてね。
何故誘ったか。それはとても楽しそうだからさ。

【まあ、少し遅かったけれど、と。自分もそんなシンプルなことに気づいたのだと、子供っぽい笑みを浮かべて】
【差し出された手を、ぐ、と握った】
【ひとつ、互いの素性を知るものが見ればさぞ、という光景ではあるが――】
【交わされたのは「今度旅行行こうね」「うん楽しみ」というような、そんな】
【何処にでもある、或いは得難い、ひとつの友誼であった】

>>375

/お待たせしました! だが終わりそう……?!
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 20:29:36.35 ID:0q+kj0SuO
>>376
楽しそうだから……僕からしたら十分すぎる理由さ。
その時はよろしく、ウェイン。男二人での旅行っていうのも、中々良いものだしね

【握った手をゆっくりと離す。win-winの商談がまとまったときのような満足感があった】
【だがそれ以上に楽しみが増えた。人間は、メモ帳の予定が埋まると充足するもので】
【そしてそれは、この『画家の男』も同様らしい。さて、とスケッチブックを手に取って】

……それじゃ、僕は早速都市部の観光でもしてこようかな。
この寒さじゃ山や湖は凍えてしまいそうだけど、街なら暖まる場所もあるだろうし
まずは風の国か中央か……まっ、それは移動しながら決めるさ

【それじゃあね、とウェインに告げると、軽く手を振ってフロントへ向かう】
【「旅行に行ってくるけど部屋はそのままで」「戻るときに電話するよ」】
【そんな気軽な言葉をかけると、身軽極まる格好のままホテルの外へと出ていった】
【財布も携帯もない、スケッチブックしか持っていなかった気もするが――まあ、そういう人物なのだろう】

【――その後、ウェインがホテルから出る際に。無論、これはどうでもよいことなのだが】
【身長170cm程、黒髪を背の中程まで伸ばした黄土色の瞳の女性とすれ違うだろう】
【白い毛皮のコートとミンクの帽子がよく似合うその女性は、ホテルのフロントへ向かうと】
【例の画家は居ないのかと訪ねていた。――それだけ、だ。あえて興味を持つ程の事も、青年にはないだろう】

/おかえりなさいませ、そして遅くなって申し訳ない!
/一応終わりにできちゃう感じですので……お任せで!
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 20:51:13.76 ID:BZsBnTK+o
>>377

ああ、必ず。誘えよな。

【うん、と頷き、フロントへ向かう画家を見送る】
【そうして、後ろ姿を見て確信する――今、友となったあの男は、やはりダグラスなのだろうと】
【身一つでふらりと出ていくのは、彼の能力に関連するはずだ】
【ただ、まあ、それはそれ。彼の観光道中に幸あれと祈って――】
【ホテルから出るその時、画家の行方を尋ねる女性の声を、背中で聞いた】

【よくあることだろう。あれほどの技巧を持てば、評判を呼ぶ】
【そもそも自分とて、オーナーから聞いた評判で友誼を結んだようなもの】
【――だが、彼自身を眼にした時と同じような、】
【うまく言葉にはできないが、なにか、気になる】

【じ、と女性の方を見る。女性からすると、ホテルの入り口から、柔和な顔立ちとは言え――見知らぬ男が、自分を見つめている状態だ】

/きになるやん!
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 21:06:01.40 ID:0q+kj0SuO
>>378
【「あの方はちょうど旅行に出られておりまして、いつ戻るかは……」】
【というフロントの返答に、白で揃えた手袋がぎゅっと握りしめられる】
【何か、はあるのだろう。戻り次第連絡してほしいとメモを渡した辺りで、視線に気づいた】

【黄土色の瞳は深い知性と、とがった力強さを孕んでいて】
【その面立ち、そして格好。深窓の令嬢か、何処かの秘書か、謎の組織の女幹部か――】

――――ナニ見てンだよテメェ、用でもあんのか?あァ?

【正解はチンピラのようなものだった。粗っぽくこちらを見つめる青年睨み付け】
【おまけに能力者なのだろう。黒い鎧に包まれた人型をその傍らに出現させてすらいた】
【一般人には見えていないからいいものの、その雰囲気は最悪だった】

/よろしい、ならば延長戦だ!
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 21:12:11.20 ID:BZsBnTK+o
>>379

うわあこっち系の人か。失敗した絡まれるなあコレ……

【あああ、と天を仰ぐ】
【本来心の中に秘めておくべき感想だが―――どうやら悔いているのだろう、口の端から漏らしてしまっている】

【そうして、黒い鎧のヒトガタを見る。もしもそれが画家のスケッチブックに描かれていたものと同じならば、それには気づくだろう】

いや、何も用はないよ。僕からあなたにはね。
それより、画家の彼を探しているのかな、どういう関係なんだろう―――

【そう言いながら、女性へと歩んでいく。間合いを詰めているというわけでもないのだが、その挙動からは人型を認識しているかは推し量れまい】
【青年の肩には、いささか細身のゴルフバックのようなものが】
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 21:23:30.95 ID:0q+kj0SuO
>>380
……聞こえてンぞ。初対面にしちゃ失礼なガキだな、なァ?

【と、フロントのボーイに荒々しく同意を求める】
【無論求められた側は困ったように言葉を濁すしかないのだが】
【その返事などどうでもいいらしい。早々にフロントから離れると、カツカツと歩み寄っていく】

【一歩ごとに鮮明さを増すヒトガタは、スケッチにあったそれとは似て非なるものだ】
【もとは違うが似せたような。関連性はありそうに見えて】

なーんでこっちから関係話さなきゃいけねーんだよ、バカかお前?

お前が機関の構成員でも、怪しい宗教を信じる変人でも、その他大勢の面倒な連中でもなく
ついでに言えば公安系の奴じゃないってのが証明できるなら話は別だがな。
……お前こそ何者だ?例の画家って奴のツレかなんかか?

【青年も歩みを止めなければ、やがて互いに手が届くような位置まで近づくことになるだろう】
【青年の肩の荷物には既に視線が行っていて、重厚な鎧のヒトガタはなおも姿を見せていて】
【ブーツを履いていることもあり、女性にしては高い身長で堂々と向かい合う】
【その耳元には、白い半月状の形をした耳飾りが揺れていた】
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/01/27(土) 21:33:43.22 ID:ljCTSItqO
>>348

【朝市――冬の寒さを押し退けるほどの活気と熱気がここにある】
【その暖かさと香りに引き付けられて来たものがここにも一人】
【フードつきのローブを頭からすっぽり被って、雑踏の中を悠々と泳ぐ】
【寒空の下背を丸めて歩く者も少なくない中、背筋をぴんと張ってやけに堂々と、ついでに足取りも軽く――――不意に歩を止めると、フードが揺れて銀の前髪と桜色の唇が覗いた】

……ふふん。

【鳶色の眼が細められ、唇が愉快げに角度をあげる】
【広場の中心にて立ち止まり、少し盛り上がった石段から辺りを睥睨する。鼻を鳴らすも、特に惹かれる物はなかったようで、行き先を左へ変更】

どこもかしこも賑わってるね。結構なことで
でも生憎今日はカレーの気分なんだな〜。

【朝からそんな胃に負担の掛かるようなものが市場や出店に並んでいるかはさておき】
【闊歩しつつ呟く姿は決して大柄ではない。大人の多い雑踏の中では頭半分程低く、本人もそれを分かっているのだろう。通行人の脇を縫って革のブーツを進める姿はいかにも慣れたものであった】
【ジャム屋の前を通るも、甘味より辛味を求めると宣言した通り、素っ気なくかぶりを振って】
【そこで――何かを感じたのだろう3、4歩行き過ぎたあと、逆再生で戻ってくる】

泣いてる……子供が泣いている声がするぞおおぉぉぉぉぉぉ――――っ!?

【不意の叫びに、辺りの鳩がけたたましく飛びたった】


おっじょーちゃあぁあんッッ!! 私が来たあっ、からにはもぁおうだぁいじょーーぶだぁ!!

【通りの向こうまで届きそうな大音声。近くの看板に足を掛け跳躍、人の輪の頭上を飛び越え幼子の脇へずさあっ! と滑り込む】
【右手刀を胸の前に、左手刀を左方に開き前傾姿勢――所謂しゃきーんのポーズで】
【馬鹿みたいなテンション、いやテンション馬鹿だ】
【見た目からして明らかに親兄弟の類いではない。周囲の奇異の目に憚ることなく】
【何が楽しいのか満面の笑みでにっこにっこ唾を飛ばしている。血走った眼と口角泡は少し怖いかも】


/まだ宜しければ……無理であればスルーして下さい
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 21:40:02.16 ID:BZsBnTK+o
>>381
いや、僕とあなたは対して年変わらないんじゃないかな。
あなたが見た目通りの年齢なのであれば、だけど。

【ホテルのボーイに声をかける、不在と見ればメモを残す―――そのくらいの社会性は見て取っていた】
【粗暴だが、突然ホテルごと吹っ飛ばすようなことはあるまい、と踏んでいる】

【170cm、かつブーツ着用ともなれば、170cmそこそこの青年よりは10cmばかり目方が高くなるだろう】
【5歩。距離を置いて、青年は足を止めた。いざとなれば、ゴルフバックの中身を取り出して一撃目を凌げる、と判断した距離】
【どうやらスケッチブックの鎧とは違うものだろう、と思うが、意匠の共通はさておいて】

いや確かに。
機関の構成員ではない。証はないが。
怪しい宗教を信じる……と言われると迷うな、怪しい神様は信じてる。
その他大勢の面倒な連中だというのはまさしくその通りで――公安系といえば公安系だ。
自己紹介はこんなところで構わない?

僕もその画家さんと旧知の間柄、というわけではないんだが。
ただ“先程まで彼と話していた”。

彼に用事があるのなら、言づける事もできるだろう。

【『例の画家って奴』という口ぶりから、恐らくしっかりとした顔見知りではないのだろう、とアタリをつける】
【そもそも間柄の深い知り合いならば、ロビーにいるかを探すのだろう。関係性の偽装でない、とまでは言い切れないが】
【とするならば、彼の過去に紐づく何かであるのかもしれない】
【復讐か、あるいはその戦力にアテをつけての勧誘か】
【半月。月をモチーフとしたアクセサリーを身に着けていること、彼の絵と共通するような雰囲気を持つ鎧を操ること―――無関係ではあるまい、と想定しているが、出方を探るつもりだ】

――いや、でも、物騒な世の中だからな。彼に態々、危なそうな人を紹介していいものか――ー?

【と、そんな挑発的なセリフを口にする。目線で、じ、と鎧の人型を見て、それから女性に、もう一度目を合わせる】
【ねえ、そう思うだろう、というように、肩をすくめた】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/27(土) 21:53:29.22 ID:9CDxKlMe0
>>382

【見知った人間と離れた。離れてしまった、そしてそのタイミングさえ分からない。それはおそらく幼子にとってまさに空がひっくり返って落ちて来るくらいの出来事であるらしい】
【わああ――とひどくひどく大きな声は、まず大人であれば理性だのなんだのが押さえつけて並大抵の覚悟では出せない声量、ゆえに、周りの人間もすっかりと困惑する】
【なにより自分の店先でやられた店主などひどく困ったような――それで迷惑げな顔もしていた。なにせ、この子が泣いてから、一人の客も来やしない】

【何度目かの声掛けをする。保護者はいないのか――やはり名乗り出ない。ならばやはり自警団か何かを呼ぶしかないか……と店主が携帯端末を取り出しかけたところで】

【子供の泣き声に負けず劣らずの大きな叫び声! 鳩がバササッとけたたましい羽ばたきの音で逃げていく、周りの人もギョッと固まって、数秒――静寂、そう静寂が、満ちる】

ア…………、

【――泣いている子供の気の逸らし方。その一。真剣な顔であらぬ方向を指差し、「あっ!」と叫ぶ。そういうやつがあった気がする。そして、たった今起こったのも】
【細部こそ違えど大筋は同じだったはずだ。なんかめっちゃおっきい声がした。百パーセントの達成度、何より泣いていた子供自身も驚いたようで、目を真ん丸にして――】
【涙も引っ込んでしまった様子で、自分のすぐ横は滑り込んだ人間を見ている――そうして数秒、予想だにしていなかった現実に戸惑っていたようだったが】

――ァああああん、

【やがて現実に理解が追い付けば、あどけない顔に絶望が満ちる、保護者とはぐれた上に、めっちゃ変な人が来てしまった――たぶんそういうたぐいの、ものなのだが】
【ジャム屋の店主(とてもいかつい)はこれが好機と見たか、現れた人物へ――どうやら迷子であるらしいこと、商品にいたずらするから困っていること、などなどを告げるだろう】
【つまり言いたいことを要約すれば「どっか連れてって親でも探すか自警団なりお回りなりに差し出すかしてくれ」――明確にかかわろうとした相手に、全部押し付けようと】

【ひとまず――いっしゅん驚いて止まった涙がまた次から次に溢れて、首元でぎゅっと上手に結わえられたボンネットのリボンを濡らす、顔中、首まで真っ赤にして】
【ひっくひっくりしゃくりあげるあまり、たまに息を忘れたみたいにもなるから、よっぽど本気で泣いているらしかった――とは分かるのだけど】
【店主は迷惑そうにしている、周りの人は、どうやら親切な人が現れたらしいからとぞろぞろ歩いて行って、状況を知らない人の群れになる、ならば、あとは】
【いろんなことがきっと相手にゆだねられて――なんだかめっちゃ泣いているけど。本人さえ協力しようという気がないようだったけど――とにかく、ゆだねられてしまったようだった】

/めっちゃ大丈夫です!ぜひおねがいします!
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 21:54:59.42 ID:0q+kj0SuO
>>383
先程まで話していた、ねえ……アンタの身分も怪しいもんだが。
……まあ、いい。機関員じゃないなんてのは悪魔の証明だしな
公安系だってのは気に入らねーが……ハッ。挑発かよ、それが?

【この女性と彼との関係はやはりというか、外側からだけでは推し量れない】
【ではせめて、この女性は何者なのか。これだけでも、といえば】
【それもまた、やはり難しいだろう。粗暴に見えて、その頭は相当に冴えているらしく】
【挑発めいた言葉を聞くと鼻で笑って彼の言葉を受け流し】

……アンタ、自分が話してた相手の方がよっぽど危険だって知ってて言ってンのか?
元は機関の六罪王、頭に浮かんだ物を何でも現実に引きずり出すような出鱈目な能力者だぜ

まっ、パッと見は殴れば折れるようなモヤシだが……で、力尽くで聞き出した方が早いのか?
だったら表に出ようぜ優男。ダグラスの野郎の行き先、知らなくても聞き出してやるからよォ……。

【ニヤリと笑う。その容貌は一見して冷徹な乙女のようでありながらも、獰猛で】
【けれど会話はできるタイプだった。そしてあの画家、というのが誰かも知っている様子であり】
【自身の両手はコートのポケットに突っ込みながら、傍らの黒鎧を威嚇するようにガチャつかせた】
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 22:10:36.13 ID:BZsBnTK+o
>>385

はは、そこまで知ってるのなら話は早いな。
色んな化かし合いはこのあたりにしておこうか。
君と尻尾を奪い合うのも楽しそうだけど、疲れそうだし。

【ふう、と肩をすくめる。繕っていた雰囲気が霧散して】
【気のいい青年、といった佇まいは変わらないが――身のこなしは、素人のものではないソレに、変貌し】
【ゴルフバックから、一本の西洋剣を取り出して】
【これありがとう、とホテルのボーイにバックを渡す】
【以前このホテルに預けていた西洋剣を取りにきたのが、そもそもダグラスと出会った発端ではあるのだが、それは余談だろう】

それで、彼には何の用が?
友好的に話した間柄だからね、あまり彼の益にならないことはしたくないんだ。
仮に過去に何をしたとしても――今、彼が穏やかに歩むことを望むなら、追いかけてまで罰を与えたくはない。

【そう女性へ質問を投げかけながら、ま、やるなら外だよな、というくらいの勢いで、かつかつと外に向けて歩いて行く】
【その途中、フロントに先程もらった似顔絵を手渡す。預かっておいてくれるかい、と】
【荒事になって、ダメにしてしまっても詰まらない、と思ったのだろう】
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 22:26:58.78 ID:0q+kj0SuO
>>386
【取り出した西洋剣、そして一変した雰囲気をひしひしと肌で感じとる】
【こいつは手練れだと本能が訴える。だが、その表情は楽しげで】
【彼に続くように外へと向かいながら、手袋だけをポケットに残し、素手になり】

……お前、まだアイツの事何も分かってねえな。
あいつが穏やか?冗談じゃねえ、気に入らないって理由で偽物の月を落として
都市一つぶっ潰すような野郎だぞ?……ただの気まぐれなんだよ、あいつはな。

それと一つ教えといてやるが……俺は機関員じゃない。元はそう、だがな。

俺は色々あってアイツに匿われてた。最近姿を見せないから探しに来た。
そうしたらお前、明らかにダグラスだろうって画家の噂だ
……来ない理由あるか?ねーだろ普通。また騒がれて、スポンサーが消えたら困るからな。

で、だ。……お前、結局誰だ?ヤるのかやんねーのか、分かりやすく答えて貰おうじゃねーか

【ざわつくロビーを尻目に外へ。舗装された路面はよく乾いていて、ほどよく広い】
【天候は晴れ。闘技場にするにはぴったりな環境、ではあった】
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/01/27(土) 22:38:29.54 ID:ljCTSItqO
>>384

【事情も聞かず飛び込んでいった者に対し、周囲の反応は極めて冷ややか。まともな感性の持ち主なら当然といえる結末で】
【絶望を前にも増して泣き始める幼子へ言葉を続けようとしたとき、それを中断する声が掛けられる】
【店主に
よる状況説明にふむふむ、と腕組みして何度も首肯。やっと理解したかと思えば】
【だんっ! と右の拳を台に叩きつける】

ばっかやろぉおぉぉぉぉっ!! 世間はスィーツみたいに甘くないってかぁっ、ふざけんな!
大人ならこんなときどうすればいいか、分かりきってんじゃん!? それを、さあ!
こんなもん、こうしてやるぁ!

【周囲の態度、そして泣いている子供を是とする空気に激昂しているようだった】
【だんだんと足踏みする姿は正しく怒りの様相で】
【それだけに留まらず、興奮冷めぬ中おもむろに近くの瓶を一つ掲げ――――】


赤、黄、緑ぃっ! ひとつずつね!
あとおじさん筋肉スゴいな、この子泣いたのぜったいそのハンパない二頭筋のせいだかんね!!

【だんだんだんっ、と続けざまに3つ台の上に並べる】
【左手には取り出し掛けた財布があって。その時腰のベルトに提げられた鈍色の物体――拳二つ分程度の棒――が一瞬覗く】
【もしかしなくてもお買いあげであり、序でに店主の膨れた胸襟と上腕をビシッと指で示す】
【話を聞いていたかすら怪しい位の指摘を向こうが聞き入れるかはさておき、無事に買い物が出来たならすかさず幼子の元へとって返すだろう】

ちくしょうなにがジャムだよ! パンないよパン!
しっかし綺麗だな〜オイオイ! まさに味の宝石箱ってか!
ね、見てみてスゴくない!?

【膝をついて背を屈めて、そこでやっと目線が合うくらい】
【屈めたその拍子にフードが脱げ、漸くその顔が衆目に晒される】
【高い声に違わず勝ち気そうな、年若い女であった。見るものによっては少女といってもいい。やや内巻きのショートヘアが顔の横で揺れる】
【女は掲げた戦利品の一つ、赤の其れをまじまじと見つめ、幼子にも注意を促す】
【文句なのか励ましかすら定かでない感想はさておき、その美しさに感じ入っているのは本気らしい。鳶色の目が純粋に輝きを増していた】
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 22:39:04.46 ID:BZsBnTK+o
>>387

【六罪王としての所業を聞かされる】
【もしも自分が対峙する立場でそこに居たのなら――恐らく切り結んでいただろう】

まあ、対城塞規模で攻撃できるような能力だとしたら、真実僕にはどうしようもないんだけど。
ソレは確かに、昔はヤンチャだった、ってモンじゃないよね。
怖い怖い。

【外に出る。西洋剣をかつん、と地面に立てて、柄の上で掌を組んだ】

ああ、元機関員。今はどこかの組織に?
僕も元は箱庭の出だ、もしかするといつか戦火を交えたかもしれないね。

彼に匿われていたということは、彼にお礼に?
だとするなら、僕が君と戦う意味は特にないかな。
つい先程、彼は観光にいく、と言い残してホテルを出たばかりだし――

ああ、僕はウェイン。知らないだろうけど、質問にだけは応えておくよ。
ヤるのかヤらないのかって言われれば、ヤる理由がない、とでも答えておこう。
君が戦いを望むのなら、まあ死なないくらいには付き合うけれど。
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/01/27(土) 22:43:22.46 ID:C5LEPV5vo
【路地裏】

「大丈夫かなあ、結構大事にしてた秘蔵品って聞いてるよ?」
『大丈夫だ、大丈夫。大事に取っておくより、使ったほうが良いだろ』

【路地裏を歩くその二人組の姿は、まさしく異形と呼ぶべきものだった】

【1人は、金色の眼とマスクの様なものを装備した身長170cm程度の男】
【白い身体に金色の模様、頭部には橙色をしたサメのヒレのような角、後頭部には同色で恐竜の背のようなギザギザ】
【手足には甲側が橙色で平側が金色の指空きグローブを身に着けており、指先は金色】
【そして、頭部と両上腕には赤色の鉢巻のようなものが巻かれていた】

【もう1人は、額に竜のひれを1つ持った魚の頭をしていて、身体をどす黒いゲル状の物体で構成した身長190cm程度な猫背の者】
【こちらもおそらく男で、手の甲や背には魚の背びれ、かかと上部には魚のひれ、そして尻に魚の尾を持つ】
【頭部・尾・ひれの断面は虚空のように見え、そこからゲル状の物体が出ている――生えているような構図】

「見た目は変わってるけどさ、一応立場的に風評被害が心配なんだよね……」
『辞表叩きつけたんだろ? 大丈夫だ』
「見てるかわかんないしさー、"元"ってついてても居た事実には変わりないでしょ?」

【半年ほど前、とある組織に辞表が置いてあったという。それがどうなったかは不明だが――】

【簡便化のために前者の男はそのまま男と、後者の男は魚と表記するが】
【魚の方の手に持たれているのは、古びた鉄の塊のような物】
【相当昔に作られたであろうことが想像できるが――そして少し前に、とある博物館で倉庫の品が幾つか盗難被害にあったという噂もあるが……】
【そして男の方も、中に何かが入ってそうな布袋を片手に持っている……もしや?】
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/27(土) 22:57:00.06 ID:9CDxKlMe0
>>388

【わああんとおっきな声で泣いていた、泣き続けていた、そこまでくると逆に頑なになってくるものなのか、幼子は、どうやら周りの情報をすっかり遮断してしまったよう】
【だから相手と店主のやり取りはよく知らない――めっちゃいかついでっかいごつい店主も、相手の態度に、そう来るならこちらもこうだぞ、というような態度をしかけたが】
【ぐわっと高く掲げられた瓶――だん、だん、どん! いいかんじの音で台に並べられる、それでお買い上げだと言えば――これはこれ、それはそれ、こちらも商売】
【生活がかかっているなら、それを拒むこともない。とりあえずそれを売ってしまって、ただ、やっぱり、その泣いてる子供はどっかにやってくれという様子ではあったが――】

ゥアあああん、あぁあ――、…………、

【それで泣いていたら知らない人がまた戻ってくる。だけどそれどこではないから泣き続けていた――だけれど、相手の声。声が、なんだか、さっきよりも怖くない気がして】
【しゃくりあげながら涙で滲む目で相手を再び見やる――わずかに赤みを帯びた黄色の目。それが、ぱちくり、ぱちり、ぱちり、数度となく瞬けば】

――ユーイも、ユーイも!

【ぱぁ――と綻ぶ顔はさっきの涙なんて急に忘れてしまったようになるだろう、当然ながらうんとうんとあどけない顔は急に花が咲いたように笑って、ぱああと瞳をきらめかせ】
【掲げられた戦利品――真っ赤な、ジャム。掲げられているなら、幼子の目線よりも上にあるだろうか、それなら、あるいは、つんと冷たい朝日が差し込んで、きらきらと光るよう】
【なんだかこれがなんかの果物からできていると一瞬にわかには信じがたいほどに――と、もし、相手がさっきのジャム屋に視線を戻すことがあれば、看板が目に入るだろうか】
【めっちゃくちゃファンシーな感じの店名だった。そして店主は腕がまるたんぼうくらいあるごっつい人。そして店名は半端なくファンシー。店の飾りもファンシー】

【とにかく――幼子の興味は、それで、真っ赤なジャムに移ったらしい。しきりに繰り返すのは幼子の名だろうか、真っ白の両手を精いっぱいにぱーにして、瓶へ伸ばし】
【貸してもらえるなら――すごくうれしそうに、あちらへひっくり返し、こちらへひっくり返し、傾けたり、のぞき込んだり――そういったことをしたがるはずで】
【もっと言うと、ぱああときらきらになった目のまま、しばらくぎゅうっと力強くつかんで、離そうとさえしないだろう】

【――ただ、それは、つまり、相手はうまく彼女の気をそらしたという証明になる。今ならいろんなことを聞くのもできるかもしれない】
【とりあえず名前は"ユーイ"であるらしい、というのは、なんとなく分かるのだけど――】
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 23:09:22.22 ID:0q+kj0SuO
>>389
いいや、無所属だ。戦いは嫌いじゃねーが、好き好んで殺し会うのは飽きた。
機関から抜けたのも似たような理由だが……抜ける奴の理由なんざ、あそこは関係ないからな

それをなんの気まぐれだか知らねーが、住み処やら金やらダグラスが工面してくれてンだ
礼、じゃねーが……そういう奴が勝手に居なくなると、困るだろ?
……で、観光か。どこ行ったか、お前知ってンのか?

【なにかと深い事情でもあるのだろう。ダグラスとの、というより彼女自身のだが】
【ともあれ訳あって彼を探していて。けれど知っているのは六罪王の彼で】
【と、そんな具合らしい。柄に掌を置く彼と、正面から向かい合い】

ベイ……いや、アナスタシアだ。でだ、ウェイン。
俺はアンタが素直に奴の行き先を教えてくれりゃそれでいい
あとは勝手に追っかけていくだけだからな。それに、奴を[ピーーー]気もない。

【どうだ?と問いかけ、返事を待つ。交渉の余地はまだありそうだった】

/少々遅くなりました、申し訳ない
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 23:21:47.72 ID:BZsBnTK+o
>>392

ああ、そうなんだね。
戦いの日々に、倦むということは確かにあるのだろうし―――
匿ってくれた人にお礼をいうのも、うん、悪くない。

【とはいえ、彼に会って本懐を果たせるかわからないけれど――とは、言わず】

いいだろう、アナスタシア。
彼も、自分を知る人間とは会いたい、と言っていた。
であるなら、僕は君に最大限、彼と会える方法を教えるべきだろう。

ひとつ。恐らく都市部に居る。山や湖は凍える、と発言していたからね。
ふたつ。国は風の国か中央都市かだ。UTという酒場か勝利王神殿を当たるといい。
みっつ。でも多分彼は極めて気まぐれだから、違う所にいたからって僕を恨まないこと。

【素直に、ダグラスの行きそうなところを教える。会話していて嘘をついている素振りはなかったし――】
【何より彼自身、自分を知るものと会いたいようだった】
【まあ、これはきっと縁なのだろう。であれば、分かる範囲で最善を尽くしても良いだろうと、青年はそう考えた】

/いいえ!
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/01/27(土) 23:25:12.48 ID:ljCTSItqO
>>391

おおふ……その笑顔、反則やでぇ……。

【鼻っ柱に一発いいのを貰ったかのごとく、よろめいて顔面を押さえる】
【注意がそれ、当然瓶は女から幼子へ受け渡される】
【ともかく泣きの底無し沼からは脱出出来た模様。まだ互いの立位置も定かでない今は何時なんどきまた踏み入れてもおかしくないが】
【良い仕事をした看板と店主を見、ぐっ! と無言のサムズアップを掲げた】

きゃわわ……可愛すぎか――。
一緒に手ぇ繋いで朝市冷やかしてぇ……。回りてえお……

【涙の跡が嘘のようにけろりとした幼子】
【ジャムよりも綺麗なものを見つけた女は暫く見惚れる。それは幼子の弾ける笑顔】
【鼻血を指で押さえながら口元を緩める姿に、関心を無くしつつあった群衆は再び自警団の必要性を感じそうであったが】

へっへーん! いいもん、私にゃまだ黄色と緑が残ってるもんねーっ!!
うほぁっすっげ! あー何に合わせよっかな、クロワッサン、パンケーキもいいなぁ〜。
いっちょ探しに言ってみよっかな〜

【急に持ち直し、両手に別の瓶を持ちくるくると回る。後ろ手に持って何処ぞへ行くふりをしたりと幼子に負けず劣らず忙しない】
【本来なら落ち着きを取り戻したところで保護者を探すべきところを、一緒になって騒ぐ辺り、先にぬかした大人の心得はまるでなかったかのよう】
【来る? いや来て! と言わんばかりの露骨な流し目。見え見えの罠に掛かる期待をするにはまだまだ親愛度が足りない気もするが――】
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:36:45.55 ID:9CDxKlMe0
>>394

【手渡された瓶を宝物であるかのように両の手でぎゅっと掴む、あるいは朝日よりも無垢に澄み切ったもの、純粋にぱっと花咲くような笑みが色濃く煌めいて】
【だけれど何か問題があったとしたら――】

これナニ? ユーイ、これ分かんない。

【いろんな角度から覗いたり見下したり時々振ったり――していたのだけど。ある時点でふと彼女は素に戻る……というよりも、何かに気づく、そして、それは】
【自分がこのよくわからないきれいなものの正体を知らない――という、現実。あるいは事実。「これなに?」と、その眉間にぐぐっとしわを寄せて、相手へ問うだろう】
【瓶にはなんだかこれまたファンシーなかわいらしい系のラベルが張ってあるのだけど――字もうまく読めないらしい。「アァ?」と首をかしげて凝視する辺り、】
【それが"文字"であることは知っているようなのだけど――結局読めずに、フーン、と、小さな声。少し飽きが覗いて見えたのだけど】

ユーイそっちも見る! 黄色! 緑!

【そこで相手が別の色の瓶も持っているのに気が付いて――後ろ手に隠され、幼子の目はまたきらっと輝く、それらはどんなものなのかと気になって】
【じらせば素直にじらされるくらいだからせわしないししつけのなっていない小型犬みたいでもあったとは余談、しっかと赤いジャムの瓶を持ったまま、あちらこちら】
【露骨な流し目には気づいて――ない。それよりももっと本能から追いかける、黄色も緑も全部見たいと――しきりにねだって】

【親愛度――そういったものは、おそらく、幼子の脳内にはあまりない。保護者とはぐれたという現実もすっぽ抜けて、今の流行の最先端は、黄色と緑の瓶! これがアツい!】
【ただ元気になったというのは事実であるから。保護者もはぐれたのに気づけば、おそらく探して回るだろう――いっそどこかでパンでも調達したりして】
【"発見される"まで気をそらすことに徹するのも、あるいは手かもしれなかった。なにせそれがおそらく有効であろうことは、これまでの様子から、簡単に見て取れて】
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/27(土) 23:37:04.25 ID:0q+kj0SuO
>>393
【牙があったならそれをガッチリと噛み合わせたような、不貞腐れた顔でウェインの言葉を聞く】
【都市部。風の国か中央都市、そして細部で言えば――】
【『UT』という言葉を聞いた辺りで、額に手を当てて面倒そうにため息をつき】

オーケー、分かった。……UNITEDTRIGGERだな、多分。
……クソ面倒な場所目指しやがって、アイツ。セリーナと会ったら終わりじゃねえか……。

……まあいい。ウェイン、アンタの言ってることは多分真実だ
一応信じるぜ。だから俺も今から風の国へ行く、UTにな
アンタから何かあるか?……って言っても、大した話もしちゃいねえか

【旧知、という反応だった。元機関員ということだから、因縁があると言えばそうなのだろう】
【あるいはもっと深い繋がりかも知れなかったが、それを口にすることはなく】
【自分のこれからの予定と、それに当たって相手の都合を問う。案外、合理的なタイプらしかった】
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/27(土) 23:50:36.07 ID:BZsBnTK+o
>>396

うん? セリーナと知り合いかい、
僕も最近知り合ったんだけど。面倒見いいよね、彼女。
まあ、僕が観光名所聞かれて応えたところはあるけど。不可抗力だよね。

【戦闘にはなるまい。そう思ったか、西洋剣をぶん、と背中に回し】

風の国に行くなら同道しようか。
僕も最近、UTには縁があってね。
道すがら、君とセリーナとダグラスの関わりについて、教えてくれると嬉しいな。

【目の前の女性が、UTとどんな縁があるのかはわからない】
【ただ、物事の進め方に、恐らく頭のいいタイプのひとだろう、とアタリをつけて】
【ダグラスとの縁が、妙な方向に発展したものだな、と首を傾げた】
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/01/28(日) 00:09:50.68 ID:zvOveEnWO
>>395

【一縷の警戒心すらなく近寄り強請る幼子】
【それを見て女は勝利の笑みで両拳とジャムを突き上げる】

やべぇチョッロ! こんなんもうつれ回し放題じゃんウハョオオオオ――……あ、すません、なんでもないです。
妹なんで、ハハ

【この女思考がガバガバというか、思っても口にしてはいけない内容までだだ漏れ、その汚れ具合も併せて水道管工事と下水洗浄が要るくらいだが】
【とんだイージーゲーム――クリア条件が人として終わっているが――に危うくテンションを吹き飛ばし掛けて】
【険しい顔でひそひそ話をする御婦人方に気付きへつらう】


へっへー、これはねぇ、あまーくて、とろーっとしてて、口にしたが最後、朝から晩まで一日中すんごくしゃーわせになれる魔法のスィーツなのさ!
それに色んなものにつけてもおいし〜んだ、パンとかさ……
あ、パンわかる? パ●ツじゃないよ?
いやパン●に付けんのもアリだな……

【説明の針小棒大、誇大広告も裸足で逃げ出す甚だしい盛りっぷりは、もしジャム屋の店主が聞いていたら逆営業妨害で訴えられてもおかしくないほど】
【というかそろそろ店先から離れてあげるべきなのだろうが】

見たい? 見たいよねぇー?
じゃあユーイちゃん、おねーさんとさ、これらのジャムに合う至高の一品探しの冒険にくり出そうぜっ!
三十分、いや15分、いや10分だけで良いから! 付き合ってくれたらこれ3つともあげちゃうっ!
だからいっしょに手ぇ繋ご、ねっ、ねっ?

【優しい――と本人は思っているが実のところだらしない――笑顔で、場所を変える提案を挙げる】
【至極自然な、とこれも本人は思っているが、およそ下衆な――筋者だってもっと爽やかな交渉をするだろう】
【唯一の救いなのは幼子を楽しませようとする気概があること――いやこれすらも本人の欲望だだ漏れで気持ち悪いのだけれども】
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2018/01/28(日) 00:14:30.80 ID:tueBBaDiO
>>397
知り合い……まあ、多分そうなるんだろうな。
あいつが今の俺を見て、昔を思い出すかは知らねーが。
……面倒見っつーか、暑苦しいだけだろあの牛女。

【悪い奴じゃないのは確かだけどな、とため息混じりに言葉を続ける】
【なんとなく一匹狼な雰囲気もあって、面倒見、というのは鬱陶しいものとでも思っていそうで】

……ア?いや、そりゃ別に着いてくんのは構わねーが、話して面白いことでもねえぞ。
俺は元No.3で、UTのやつらとは何度もやりあった仲だ
そのうちにやつらに捕まって、そこでセリーナの野郎と色々話してな
まっ、簡単に言えばそんな程度の関係なんだが……

ダグラスは、当時の俺の上司みたいなもんだ。
で、六罪王。セリーナとやりあったことがあるのかは知らねーが
お尋ね者のダグラスを知らないとか、昔のことだから許すとか、そんな温いこと言わねーだろ?

だからヤバイんだよ、多分な。……こっからさきは大分長くなるんだが。

【だが、話さないとは言っていない。どうせ長い道中だ、話し相手がいるのは悪いことではない】
【だが限度もある。それを断ってから、それでもというなら、と】
【『支度してこいよ』とウェインに声をかけて。やがて揃って駅へと向かいながら、口は開かれることだろう】

/申し訳ない、そろそろ眠気がきつく……
/今日はここまでとして続きは置きレスで、というのは可能でしょうか?
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/28(日) 00:17:08.10 ID:tFCnAjZfo
>>399
/おっけいです。置きレスは初だ……そちらでお返ししておきますね!
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:26:16.33 ID:uNPCCjrD0
>>398

【わーっと近づいてわらわらまとわりついて、ねだる。あるいは強奪せんとする、だけれど、しょせん子供。背丈も小さければ力も弱く】
【たとえ相手がまだ大人には少し足りない少女のような年頃だったとしても――まったく問題はないだろう。なにせ、ひょいっと腕を持ち上げれば】
【それだけで幼子にはとうてい手の届かない高さになるのだから。ウーなどと獣めいてうめいているけど、それとて、所詮その程度でしかなく】

【妹だ――と説明されれば、ひどく不可解な顔をしていたのだけど。妹……? 誰が……?という感じの顔。だけどそれもすぐに、"どうでも"よくなり】

甘い……とろける……朝から晩……すんごく……しゃーせ……!? 魔法! スィーツ! スィーツ!
ユーイ食べる、食べる! 魔法食べる!

【きらきらの目、だらしない口元からはよだれさえ垂れそうなくらいになって、相手の話を聞いていた。曰く、この瓶の中身は、なんか……すっごい……すごいらしい!】
【きらっきらきらきら、とにかく光を放つような目は期待をたっぷり満たして溢れかえらせる、そして食べたい食べたいと両腕を伸ばしてぴょんこぴょんこ跳ね】

パン分かる! ウゥー、パン、パン――……。……パンツある! リンネが、穿くって!

【パンは分かる――となれば。なるほどこれらはパンに付けるものであるらしい、それならば多少分かる気がする。パン、ふわふわのパン、あれに、付ける!】
【ただやっぱり問題なのはジャムが何か知らない、つまり中身がゲル状であるのも知らないから、脳内イメージはよくわからない感じになっているのだけれど、】
【それでも甘くてしゃーわせで最高なのはわかってくれたらしい。それから――もう一つ知っている単語が出れば、ドヤ顔で、ちゃんとぱんつを穿いているのも教えてくれ】
【それどこかこれがぱんつです――とばかりにスカートの裾までたくし上げようとしたのだが。「ア!」と何かに気づいて、ばっと裾を戻し】

ぼうけん……、ユーイ冒険する! ジャム! 

【ジャムにあう至高の逸品というよくわからなかったが、とにかく何かすればもらえるらしい。となればもらいたいのが幼子のサガ、こくりと大きく頷いた彼女は】
【手を繋ごうと提案されれば、これまた、「ン!」と頷き一つで、手を取る――のだけれど、そうなれば、必然的に思い出すのは】

ア……、リンネいない……、

【――はぐれてしまった保護者。さっきまで手を繋いでいたはずなのに、どこかに行ってしまった。それを思い出して、きゅううとまた、泣き出しそうに喉の奥を鳴らし】

リンネどこ……?

【手を繋いでもらっていれば、そこにぎゅううと、大人でも少し痛いような力を込めて、相手を見上げる。それで尋ねるのは――おそらく、保護者の名前なのか】
【まだ泣き出さない。だけれど思い出してしまった、――少し不安そうになって、だけれど、冒険に行けばジャムがもらえるとか、手を繋ぐとか、甘くておいしいとか】
【いろんな情報が幼い脳内で錯綜すれば、ひどく困ったような顔になってしまうのだろう。ジャムは欲しい、おいしいものは食べたい、けど、保護者はいない】
【へのじになった口元、きれいな黄色の瞳が、じっと見上げて――どうすればいいか、相手の言葉を待つみたいに、首を傾げた】
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/01/28(日) 01:01:03.81 ID:zvOveEnWO
>>401

えっなにホント待って心の準備がきたこれきたこれ、うあ○●ぶ&%★☆ぇ◆▼□〜〜〜〜ッ!?!? 

【無邪気に、本当に裏表なく不意打ちでたくしあげられるスカート】
【軽いジョークのつもりが棚から牡丹餅、思いがけぬ御褒美に我を忘れ、涎をすすって目を輝かせる】
【だがそれも一瞬のこと】

ぅああ゛惜しいっ、あと少しだったのに!

【願い破れ、がばと地面に崩れ落ち、ローアングルからせめてもの情けを請う。しかしそこは聖域かつ鉄壁見ること叶わず】
【見ている周囲が恥ずかしい、放っとけば血涙でも流しそうな形相だったが】


んー? りんね、りんねっていうのかあー。
ママ、それともお姉ちゃんかなぁ? できれば妹で希望しまする、なんて。うへへ……

【すっかり忘れていたがこの子は迷子、それが気取られないよう茶化そうと】
【ふざけた言葉は再び浮かび始めた涙の気配で、尻すぼみに小さくなる】
【さて困った、今度はジャムで気を引けそうもないし。かといって幼子とのデートもとい冒険、誰にも邪魔されたくない】
【いやいや、先に約束した通り10分――いや5分だけ。それが済んだら自警団なり何なり頼って保護してもらえば良いのだ】
【そうと決まれば話が早い。すうと息を吸い込んで――――】


りんねええええええええぇぇぇぇッッ!! 何処だああああぁぁぁぁぁぁっ!!??
ユーイちゃんはここにいるぞおおおおおお!!
早く来ないと食べちゃうぞおおおおおおおおぉぉ!!!!
いいのかりーーーーんーーーーねえぇーーーーーーーー〜〜!!

【一刻も早く、先の笑顔を。どう言い訳しても、そう願えば出来ることはたった一つで】
【出会い頭に叫んだのが他所行きの声に思えるほど、今度の声は並外れて馬鹿でかい】
【かなり無茶しているし、その証拠にときどき声は裏返り、咳き込んだりもする】
【もしかしたらいい加減店主に腕ずくで止められるかもしれない。一番近くで聞いている幼子はきっと文字通りの意味で耳が痛いだろう】
【しかしそれでも止まらない。きっと探し人がくるか、誰かに押さえられるかしない限り、喉が千切れても叫び続けるのではないか】
【そう思わせるくらいに。右手に瓶を、左手に幼子の手を握り、額に汗しながら、憎らしいほど青い冬の空へ吠え続けた】
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/28(日) 01:12:55.88 ID:uNPCCjrD0
>>402
/申し訳ないです、眠気が出てきたので、ここで凍結お願いしてもいいでしょうか……?
/明日も来られるのは今日と同じころかなと思うのですが……!
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/01/28(日) 01:26:59.86 ID:zvOveEnWO
>>403
/凍結、了解です。ではまた明日に
/お疲れ様でした
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/28(日) 01:34:35.78 ID:uNPCCjrD0
>>404
/ありがとうございます、ではひとまずお疲れさまでしたっ
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/28(日) 20:30:57.30 ID:JyCqnMhco
【夜半に欠けた月も登る頃だったか】
【人が踏み入らないような山間に、一人の女性がいた】
【周辺はやけに鉄臭く、解けきってない雪が赤紫色に染まっていた】

「・・・・・・これで最後でしょうか」

【女性の周辺には、獣にも見える異形が4体転がっていた】
【よく見ればこのような血だまりがいくつか出来ているようで】
【それらを作ったのはこの女性であるとわかるだろう】

「やれやれ、異形が出たと聞いてみればこの様ですか」

【異形は登山に来た者を“喰らって”いたようだった】
【おおよそ4、5体遺骸が転がっており、すべて魔力の餌にされたのだろう】
【それらの遺骸を丁寧に雪下に埋めてやると、ふうと一息ついた】

「最近、異形を見かけるようになりましたね」
「どこから来てるんでしょう」

【異形の出現は、其の地において魔力が異常になっている証拠だ】
【なぜ異形が出現しだしたのだろうか、と女性は首をかしげた】
【他に異形もいないようであるし、女性は下山をする支度をし始めた】

【――背後に迫る、一匹の異形に気づかぬまま】

【女性は艶やかで漆のような黒髪を団子に纏めて、かんざしを指している】
【顔立ちは柔らかいが、黒の瞳はキリッとした目尻をしており】
【左手の薬指に指輪を嵌め、右手には白色の刃をした刀が握られていた】
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/28(日) 20:39:19.00 ID:tFCnAjZfo
>>406

――――おい。

【と、後方から声が掛けられる】
【女性も戦いに身を置くものであれば、込められた殺気、敵意に気づくだろうか】

【もちろん振り返ってみれば、迫る異形に気がつくだろう】
【親切にも声をかけた――とも言い難いが、異形に対処している間、声の主が手を出してくることはあるまい】

【夜山の中だ、闇は深い。その中でも、ぎらぎらとした、声の主の眼光は、獣のそれのように目立つだろう】
【その眼光以外は、未だ闇の中。見通せるものではない】
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/28(日) 21:07:06.86 ID:JyCqnMhco
>>407

【――不意に、背後から声がした】
【それに、相当の殺気、害意と言った類。感じ取った刹那、女は背後へ振り返った】

「討ち漏らしてた・・・・・・!」

【さすれば、討ち漏らしていた一匹の異形に気づく】
【噛みつかんと飛びかかってきたが、刀を一閃してやれば】
【異形は声もあげぬまま赤紫の血をばら撒いて地面へと墜ちた】

【討ち漏らしていた異形を殺めると、女性は落ち着いたようだ】
【さて、改めて聞こえてきた声の方へと顔を向けてみる】
【獣のようにも見える眼光がひとつ、夜闇の向こうに灯っていた】

「どなた、ですか?」

【顔には微笑みを帯びせ、見えない夜闇の方へ向ける】
【ただでさえこのような場所にいるのだ、只者ではないのだろう】
【さて、彼の者の返事はどのようなものだろうか。ひたすら返事を待つ】
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/28(日) 21:21:31.54 ID:tFCnAjZfo
>>408

【闇の中からは、くつくつと喉を鳴らすような笑い声】
【異形を仕留めたが、その殺気、害意、敵意――それらは微塵も弱まることはなく】

さてな。俺の名などはどうでも良かろう。

お主、剣技の冴えにしても、身のこなしにしても、十全素晴らしいものだが――
それでも俺が声を掛けねば、あの異形に一撃もらう事になったか。

どのような猛者も一瞬の不明でくたばり得る。
いや、まこと苦界よな。

【じゃり、と立ち上がるような音がする】
【ぬうっ、と、闇の中から抜け出るように、蒼髪の男が姿を表した】

【――背の高い男だ。深い蒼の髪を、後ろに撫でつけている】
【長い手足は、ここが山だということも相まって、まるで野犬か狼を思わせる俊敏さを隠さない】
【そしてその眼には、今しがたまで闇の中から発されていた殺気、害意、敵意が宿っていて】
【何の遠慮も呵責もなく、女性へと向けられていた】
【明らかに、危険な男だった】
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/28(日) 21:43:14.09 ID:Ib3eKQaJ0
>>402

【煽情的とはほど遠い仕草。情緒は全くなく、ただパンツと言われたからきちんと穿いているという表明をしようとした程度だったのだけど】
【「お帽子やお洋服を脱いだらだめ」――そう保護者に言いつけられていたのを、間一髪で思い出した。だから――相手の血涙みたいなものは、あまり気にせず】
【というより、その意味も多分分かってない。あと少しの意味は知らなくて……多分分からない方がいいだろう。たぶん】

んっ、リンネ、リンネ……、う、エェ、ン――、ママじゃない。

【へなへなになった口元をぎゅうと結んで、また一つ神妙に頷く。やはり保護者の名前はリンネであるらしく、そこから数秒、困ったような声を漏らせば】
【ママじゃない――というのを教えてくれるのだろう。それからお姉ちゃんでもないと首を横に振る。妹……もっと違うらしく、ブンブンブンと首を振りまくり】
【またきゅうぅとのどの奥で泣いてしまいそうな音がする、不安になって見上げた相手は、ちょうど、息を深く深く吸い込んだところで――刹那、】

!!!

【初めの声だなんてかわいいものだったのだ、と、思い知らされる。全身びっくりと飛び上がるようになって、アニメか何かなら多分ウニみたいにとげとげになって、それくらい】
【ひどく驚いて、驚きすぎて声も出なくって、固まったままで相手を見ている――そしてそれは周りの人間も一緒。たとえばめちゃくちゃいかつい店主とか】
【今まさにジャムを買って立ち去ろうとしたおばさん――こちらは驚いた拍子にジャムの瓶を地面に落として割っていたし――相手の少女の様子に、携帯片手にひそひそしてた人も】
【みんながみんなびっくりして――そして多分びっくりしたのは、それだけではない。たとえば、連れてきた子とはぐれて、必死に探していた――誰か】

【もし必死になって探しているところで、急に。すごい遠くの方から呼ばれれば――"彼女"もまた、びくりと肩を跳ねあがらせて】

【少女が雄たけびを上げた、その、少し後。多分そのころには少し二人の周りから人はいなくなっている、店主たちも、こうなれば、これはヤバいっぽいと遠巻きになって】
【みんながみんなで通報した気になって、まだ本当に通報こそされていなかったが――その人の波の向こう、ごめんなさいごめんなさいと、聞こえてくるのは鈴の音に似た声】
【ごめんなさい通してください通ります、そんな声が時々聞こえて――それから、人込みの中から、ぼふん、飛び出してくるのは、――どうやら、こちらも少女】

【肩ほどの長さの真っ黒い髪、長めのマフラーをひたすら首元にぐるぐる巻きにして、そのけばの先っぽに、彼女の吐息が小さな水滴になって、きらきら光っていて】
【左右で色の違う瞳、黒色と赤色――それから肌はうんと白くて、それが寒さに真っ赤になっていて、服装はひどく着ぶくれした感じがある、厚手のコートをきちんと着込んで】
【その裾からはふわふわ柔らかそうなスカートの布地が狭くて仕方ないみたいに見えていた、――それから黒のタイツに、かかとの高い、ショートブーツ】

「わっ……あっ、ユーイちゃん! よかった! もう、もう、きちんと繋いでてって――わたし右手、まだ、あまりだめだからって……もう、」

【おそらく走ってきたのだろう、荒くなった息はそのたびに真っ白になって――いっしゅんの間。やはり少女が見つけ出したのは、探していたひと……まさにその幼子で】
【不安そうだった表情を一気に安堵に綻ばせて笑う、かつこつと硬い足音で数歩、彼女らに距離を詰めようとして――それで、少し遅れて、気づく】

「あ――、え、っと、ユーイちゃん、見つけてくれた……? ……その、今、おっきな声で、わたしのこと、呼んだのも――?」

【すぐそばにたたずむ少女の存在。そして何より自分は今"呼ばれた"。だから――相手がそうしたのかを、尋ねる声は、しゃんと金属質に透き通った、きれいな鈴の音の声】
【それから幼子はどうしたかと言えば――大声にびっくり硬直していたのが、鈴の声の少女がそうしてしゃべるうちに、はっと意識を取り戻し、視線をやり】
【ぱあああ――――と目をキラキラにして】

リンネ! リンネ来た! 

【繋いでいた手をパッと離して――それから、その少女に、駆け寄ろうとするだろう。両者の反応を見れば分かる――はずだ、お互いに、この人物で、間違いがない】

/少し遅くなりました、申し訳ないです……!
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/28(日) 22:15:28.32 ID:JyCqnMhco
>>409

【異形を仕留めても、まだ殺意は収まらない】
【それを放っているのは、闇の向こうに居る声の主だろう】

「――ふふ、そうね」
「貴方が声をかけてくれなかったら、どうなっていたかわからないわ」

【彼が声をかけなければ、あの異形に一撃喰らっていただろう】
【彼に感謝の意を伝えるが如く、軽くお辞儀をした】

【砂利を踏む音が聞こえると、徐々に男の姿が鮮明になってくる】
【自らよりふたまわりほど大きい巨躯に、撫で付けられた青い髪】
【長い手足と、放たれる強い殺気を込めた眼はまるで獣のような獰猛さを感じさせる】

「さっきは助かったわ、ありがとう」

【微笑む顔は変わらず、丁寧にお辞儀をする】
【先ほどの異形より、多少厄介な存在が現れてしまったか】
【そんなことを思いながら、男の巨躯をじっと見る】
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/28(日) 22:16:51.08 ID:CFGkbJd/o
>>410


りィーーーーんーーーーねえーーーーーーーーッッ!! まだかあぁっ!?  まだなのか――――ッッ!!??
そろそろヤバイよりんねぇ――――――――っぐへぅ゛あ!!

【喧騒を掻き消して――――否、強制的に沈黙させて、より通るようになった周囲に女の声は駆け巡る】
【握られている手がそろそろ痛くなって来たのだけれど別に構わない】
【それ以上に息が続かない。意味のある単語を並べるのがだんだん難しくなり。りんね、りんねと呼ぶだけになった声は、やがて激しい噎せ返りで幕を閉じる】

ぜーっ、はーっ、喉痛っ゛た……、
あり゛ゃ、声嗄れてらぁ゛、へへ

【特殊な発声訓練でも積んでいなければ、流石にそう長く怒鳴っていられるはずもない】
【本人からすれば5分くらいに感じたが実際は1分にも満たなかったろう】
【喉頭を押さえてけへ、けへ、としゃがれた咳を漏らす】
【ジャムだけじゃなくて、温かい飲物でも買えばよかったなと思う。回りを見れば、もうまともに相手してくれる店など無さそうだけれど】
【一息いれてからまた叫ぼう、と言うとき、群衆の輪に乱れが起こる】
【やがて膝に手を突いて休む女に頭上から声が降ってきた、と同時に、左手の温かい感触がするりと抜け出す】

あ゛ーよかった、かわいい御迎えが来てくれたじゃん

【顔を挙げるまでもない、笑顔の再開に心から安堵する。名前の通り鈴を転がすような声音の持ち主は、聞くからに幼子を心配していた様子で。何より駆け出した幼子の姿を見れば、虐待とか、少しだけ思い描いていた暗い想像なんか一瞬で吹き飛んでしまった】
【残されて、空っほになった左手と、右手の瓶を見る。先程まで興味の対象だった其れ】
【子供の感情は秋の空より移ろいやすい。ついさっきまで泣きそうだったのに、彼女が現れたとたんぱっと満開の花が咲く。今の笑顔に比べたら、これまでのなんて――――】

べ、別に待ってたわけじゃないしッ
寂しくなんかないもんねっ

【誰かに言い訳するみたいに強がって腕を組む】
【唇を突きだして、がらがら声なので不機嫌そうにも聞こえるが。そもそも怒る理由がない】
【それより今の短時間の何処に、懐かれるに足る要素があったと思えるのか、それこそおかしいのだが】


/おかえりなさい、今夜もよろしくお願いします
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/28(日) 22:26:05.03 ID:tFCnAjZfo
>>411

―――……はン。

【目を細めて、女性を見やる。これだけの殺気と害意とをぶつければ、戦意を見せてもよさそうなものだが】
【それはおくびにも出さず、ただ状況への礼を言ってみせた】
【毒気を抜かれた、とでも言うように、男からの殺気と害意とが、和らいだ】

【圧するような気配が薄れてみれば、男の身体は巨躯というほどではない――】
【180cmと少し程度だろうか、手足は長いものの、痩躯である、と印象が先に来るだろうか】
【ただ野生じみた筋肉の付き方は、男が俊敏な動きを旨とする戦士だと告げるだろう】

なに、礼を言われるほどのことではあるまい。
山で行き逢えば挨拶くらいはする。目の前でヒトが異形に襲われそうであれば、なおのことだろうよ。

女、貴様この山には詳しいのか。
近頃異形が増えていると情報があってな、原因を探らねばならん。

【身に着けた細身のレザージャケット。その懐中から煙草を取り出しながら、そんなことを聞いてきた】
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/28(日) 22:35:21.94 ID:Ib3eKQaJ0
>>412

【そうして現れた少女は――あるいは相手の喉を生贄に召喚されたような少女は、いっしゅん、この状況にためらったようだった、なんというか】
【相手の剣幕に押される、がらがら声で咳をする相手の様子に――安堵に変わった表情は、今度は、その相手のために。心配そうな、少し不安そうなものになって】

「えっと……、こん、にちは? んん、おはようございます、かな――、えっと……、その、……ユーイちゃんを見つけてくれて、ありがとう、……」

【今度はしっかりと手を繋いで、少し遠かった距離を詰める。近くで見れば――と言ってもそう離れてはいないからあまり変わるわけでもないけれど、この少女、意外と背が高く】
【百六十センチにプラスして高い靴を履いているから、百七十近くある。それでもあどけない顔を一生懸命心配そうにしているから、あまり、あまり、怖い……という風でもなく】

「わたし……えっと、白神鈴音、です、……その、ごめんなさい、わたしが、すぐに、手が離れちゃったの、気づいたらよかったんだけど――、」

【「別のことを考えていて」】
【しゅんと下がる眉はうそを吐いている様子ではないから、多分、本当に、見失ってしまったのだろう――名乗った名前は、あるいは、そこらへんのひとよりは有名であったが】
【かといってそう大して有名なものでもない。それから幼子の頭のてっぺんを見下ろす視線に、幼子は、「ユーイ離してない」とぶうたれる】

ユーイ、冒険して、ジャムもらう! ンン、"ねぇね"、冒険したら、ジャムくれるって!

「――――えっ、え? あっ……えっと、この子が、? ああ、……えぇと。ごめんなさい、欲しがったのかな――、わたしが後で買うから、その、どこのお店で、」

【保護者が戻ってくる。一瞬駆け寄ったくせに、そこに居るなと認識すれば、あとはわりかしどうでもよくなるらしい――それから口にするのは】
【冒険したらジャムをあげるというさっきの約束。どうやらしっかり覚えていたらしく――というより、まだ幼子自身、あの真っ赤なジャムを握りしめており】
【その言葉に驚いて聞き返した少女は少し遅れて、その手に瓶詰が握られているのに気が付いて――微妙なひと悶着。結果として、大人の腕力を見せつけてから】
【その赤い瓶を相手の方に差し出して、返却しようとする――だろう。ただやはり欲しがるだろうから、と、それを購入した店屋も尋ね】
【――ジャムを取られた幼子はものすごくむくれて、くれるって言ったのに……とでも言いたげな目で、相手を見ていたのだけど。それにしても、今、相手を「ねぇね」と――】
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/28(日) 22:54:03.00 ID:JyCqnMhco
>>413

【あれだけの敵意を向けられても、一切の戦意を見せない】
【結構な場を熟していることがわかるだろうか。異形をどれだけ倒してきたか、も】
【男の殺意が少し収まったのを感じると、女性は刀を“霧散させた”】

【今一度彼の身体を見てみれば、巨躯というほどではなかった】
【手足は長くても痩せているという印象――といえども、身長は30cmばかり高いのだが】
【それに、筋肉のつき方を見ても戦士という印象を一層強めさせた】

「ええ、最近はほぼ毎日ここに来るから」
「貴方も耳にしていたのね。異形が増えているのは確実かしら」

【彼も異形が増えていると耳にしていたのだ】
【ふむ、この情報については確実らしい。早急に調査をしたほうがいいだろう】
【現在は山中にしか出現していないが、最悪人里に出る可能性も否定できない】

「もし貴方がよければ、一緒に原因を探してくれないかしら」

【目的が同一であるなら、ともに行動する以外に選択肢はない】
【異形はまだ居るであろうし、危険が及んだとしても対処がしやすいためだ】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/28(日) 23:01:07.51 ID:tFCnAjZfo
>>415

【霧散する刀を見やる】
【霧散するのならば、凝縮する。仮に無刀だとしても、この女性と相対する時には気は抜けない、と意識を新たにし】

そうか、ならば重畳。
何かしら異変あるところにはその元があるものだ。
こと、この異形には謎が多いしな。

ここより西の山中はあらかた探索し終えたが、原因となるようなものは見つからん。
貴様がこれまでの数日で探り終えたところと重ねれば、もう原因が眠るであろう箇所は多くなかろう。

その原因というものが何であるとて、俺が持ち帰る必要があるが――少なくともこの山の異変はひとつ解決だ。
構わんな?

【共に行動することに否やはなく、男はがさりと茂みをかき分けた】
【原因の元は自分が持ち帰る、ということは譲らないだろう】
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/28(日) 23:20:12.94 ID:JyCqnMhco
>>416

「私が調べたのは山の南側だけど、原因は見つからなかったわ」
「ということは、北東の方面になりそうね」


彼が西側の山中を探り終え、女性が南側の山中を探り終えた。
ということは、北東の方面に原因があるのだろう。
そうなれば探る範囲も限られてくるし、調べる箇所も少なくて済む。

「ええ、貴方が持ち帰っても構わないわ」
「でも原因だけは見させてもらってもいいかしら」

【原因の源は彼が持ち帰る。それについては了承した】
【ただ、其の原因を詳しく見させて欲しいと。それだけは彼に言っておいた】

「さて、それじゃ原因を探しましょうか」

と言い、女性も草をかき分けて進みだした。
原因はどこにあるのだろうか。皆目検討もつかない。
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/28(日) 23:23:48.31 ID:rbrxveMaO
>>414

ん? あ゛ーいや、勝手にやったこ゛とだしね゛〜
ほら私、昔から泣いてる子供を放置とかできな゛いじゃん?

【如何にも清純、真面目、上品。お洒落で良いとこのお嬢さんと言わんばかりの相手に、決まり悪げに頬を掻く】
【感謝されるより愛が欲しい。出来ればより純粋な子らからの】
【りんね、うんもう知ってる。ねー、と片目をつぶって幼子に目配せ】
【漸く息も戻り、落ち着きと悪ふざけを取り戻した様子――――しかしそこで聞き捨てならない一言に、びくんと身体全体を震わせた】
【なおも頭を下げてくる少女。自分より背が高いのに、やけに下手に出て縮こまって】
【しかし謝罪を遮る鶴の一声】

『〜〜〜〜その、どこのお店で、』
――……いや、いいんだ。

【それまで黙って俯いていたが、急に涅槃に至ったお釈迦様みたいな表情になっている女が、優しい顔で手を翳していた】
【返す必要はない、あげた、いや献上したのだからと】
【どころか、逆に差し出すのは残り2つの瓶。黄色と緑の2つを捧げ持ち微笑む顔からはするっと鼻血が一筋流れて】

申し遅れました、私、ねぇえです……えぇ、ねぇえですとも。
“黄昏の騎士の見習い(トワイナイト・ミディアム)”なんだけど、それはどうでもいいですね、すみません

【相手の名前には何処か聞き覚えがある――しかし記憶を探る事はなく】
【というよりそんな余裕もなく。やたらと気持ち悪いくらいに肌艶が良くなって、声にも張りと潤いが戻っている】
【逆に女の方の仮称は如何にも古臭く無名に等しい。本人もそれを分かっているから簡単に切り上げて】
【自己紹介を終えるとぐるんっ! と首を回す。可愛らしい呼称をつけてくれた幼子にぎらぎらした眼差しを向けて】

ね、ね、ユーイちゃん。今の、わ、ワンモア、プリーズっ!

【垂れる鼻血を拭いもせず、荒い息で幼子に詰め寄る女】
【“こう”なるのが保護者が来た後で良かったと、周囲の大部分が思ったとか】
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/28(日) 23:25:34.67 ID:rbrxveMaO
>>418
/入力ミス
/ねぇえ→ねぇね、です
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/28(日) 23:29:38.38 ID:tFCnAjZfo
>>417

【がさがさと、掻き分けられた茂みが音を立てる】
【どこからか男が取り出したマグライトが、夜の闇を僅かに照らした】

異形はどれも獣の形を残していた。
ということは、元よりこの山に生息していた獣が、何らかの異変の影響を受けて異形と化している、ということかも知れん。

しかも、異形の発生はこの山に限定されている。
影響範囲が円形だとすれば、この山の奥深くに原因があるのではないか――と、俺は今のところ踏んでいる。

【見る分だけならば、減るものでない、構わんぞ、と男は返事をした。それきり振り向くこともなく】
【ただ己の推測と、自身の知っている情報だけを語っていた】

【がさり、がさり。山の深部へと、男は歩みを進めていく】
【しばらくゆくと、山中に、朽ちたような荒縄と、古色蒼然とした鳥居が見つかるか】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/28(日) 23:44:29.54 ID:Ib3eKQaJ0
>>418

【勝手にやったこと――そういわれても困った顔をしてしまうのは、おそらく少女の性質なのだろう。そして何より、昔からと言われても、分からないなら】
【最終的にはすごく曖昧な感じに笑うことになる、だけれど――とにかくいいひとであるという認識はあって、ならば、何かお礼をしなくては、とゆるく考える】

「んん――でも、やっぱり、悪いから。あの、良かったら、お茶でも――その、お礼に。あっちに、お店があったから……、」

ンゥ……、違うの! 冒険! ジャームー!

【それで申し出るのは、喉をいためてしまったかもしれない相手に、お茶でもおごらせてくれないか、というもの。そういえば、この朝市――とある有名なカフェが出店しており】
【この朝市で売られているものだけを使った、特別メニューで営業しているらしいのだ。そして少女はそれを知っているのだろう、自信なさげな指先が、あちらを指差して】
【だけれどそんなこと知らないし意識が冒険してジャムをもらうことに向いている――まして今赤いジャムを取られてしまった――幼子は、その少女の服の裾をぐっとつかんでは】
【ぐわんぐわん全力で揺らして――「だめ!」と怒られて、むくれっつら、ばすんと地面に座り込んで――不満を表明しだすのだろう。座り込みである。ちょっと意味が違う】

ねぇね、ジャムくれるって言った! 冒険したらジャムくれるの! パン! パーンー!

「えっ……わ、その、あの、悪いから――その、あなたが買ったものだから! この子の分は、わたしが……、」

【それでちょっとすると今度はそのままズバーン!と地面に寝転がって、変なおもちゃみたいにワギワギ動き出す。冒険してジャムをもらってパンで食べる。最高の朝食を夢見て】
【少女の方は返却したつもりのジャムを受け取ってもらうどころか、もう二つ、差し出されて――ひどく慌てた様子になるだろう。ひどい駄々をこねた結果かと思って】
【地面で明らかにだだをこねてこねてこねまくっている幼子をちらちら見ながら相手――ひどく古風に名乗った相手と、話していたのだけど】

「ユーイちゃん、悪い子は、へびさまがおこたに入れてくれないんだよ!」

【そのうちしびれを切らしたか、地面でおもちゃみたいになっている幼子をひょいと抱き上げてしまって。ひどい不満げな顔と声でのけぞったのに、慌ててバランスを整え】

やーだ! ……ウー、ねぇねぇ……。

【落っことさないようにするので忙しい少女をまるで無視して、のけぞったシャフ度めいた角度で、それでも幼子はワンモアを叶えるだろう、ねぇねぇと、確かに、そう、繰り返し】
【――というか、保護者の少女が軽く警戒するように抱いた幼子を少し相手から遠ざけたようにも見えただろうか。悪いひとじゃないけど……なんだろう、なんだか、少し、】
【ちょっとじとりとした目が向けられるから――あまりやりすぎると、ここに至ってようやく第一通報人がこの少女になりかねない、そういう、様子が――わずかに】
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/29(月) 00:12:47.41 ID:zKDjP45to
>>420

【彼が取り出したマグライトは僅かながら辺りを照らしだす】
【歩く先が見えるために、少しだが余裕が生まれる】

「獣が異変の影響により変異したのは間違いなさそうね」
「“魔力汚染”に近いものかもしれない。一定の場所に近づいた獣から伝染しているのかも」

【何らかの異変の原因が魔力の伝染によるものだと考えた】
【感染した獣に近づいた獣に次々と伝染していき、生体組成を変えてしまう】
【そして、円形に伝染が進んでいるということはひとつの点から広がっているだろうと】

【原因を探る途中、背後でがさりと音がした】
【それに反応した女性は白色の刀を右手に掴み、背後へ刺突を繰り出す】
【――甲高い叫び声を上げ、一匹の獣が地に伏した】

【山の深部へと、草をかき分けてどんどんと進んでいく】
【そして、朽ちたような荒縄と、古めいた鳥居が見つかった】

「こんなところに鳥居があったのね」

【こんなところに鳥居があるとは、自然信仰でもしていたのだろうか】
【だが、離れた今でも僅かに瘴気を感じる。注意したほうがいいだろう】
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/29(月) 00:20:32.95 ID:eyVzw6+OO
>>421
【強請り役の幼子と躾役の少女。二人は慣れた様子で女の相手もそこそこに仲良く喧嘩する】
【板挟みにあった当の女はそんなことお構い無し】


ぉお、おお、もう……
ここが天国か……

【座り込み持ち上げられた幼子と入れ替わりで、突如ばたんと倒れる。横たわり、身体を丸めびくんびくんと不規則に痙攣。一頻り楽しんだ後、大の字から起き上がり、埃を払う】
【急に真面目くさった顔つきで】

まぁさ、優雅にティータイムも良いけど、それよかユーイちゃんに、そのジャムにつけるパンでも買ってあげてよ。
あ、私のお勧めはバターたっぷりのクロワッサンね。
ストレートの紅茶と合わせると、しゃーわせなんだな、これが

【頑なに赤い瓶は受け取らず、抱き上げて彼女の手が塞がったなら代わりに残る2つの瓶を、幼子の手に託そうと、少々無理にでも押し付けるだろう。自分一人ではあまり使い道が無さそうだし、なんて】
【ついでに幼子の頭を撫でようとするも、腕の中で遠ざけられ、少しだけ眉が八の字に下がる。仕方なく伸ばした手を誤魔化すように頭を掻き、も一度ぱちっと目配せ。そこには申し訳無いという感情も込められていて】
【どうやら冒険は出来そうにない、何故なら】

うーん、一緒したかったんだけどさぁ……

【二人の後方を肩越しに眺むれば、群衆を押し退け向かい来る警察官2名の姿が窺えて】
【いいかげん危機感を覚えた群衆の誰かが通報したと見える。その判断は極めて正しい】

ユーイちゃん、いやユーイ隊長。すまんがねぇねはこの先の冒険にはついて行けそうもない……
代わりにこの、りんねぇちゃん隊員を連れて、このモーニング・ダンジョンを存分に制覇してきてくれまいか。
なぁに、きっと至高の一品が見つかるさ

【ぱん、と手を合わせ、顔の前に掲げる】
【手放し空になった両手はこんなにも軽い。へらへらとおどけた笑みは二人を交互に見返して】
【そして揉め事の気配が膨れ上がる一瞬前に、フードを被るが早いかさっと群衆に飛び込んでいく】

あっ、ゴスロリ幼女みーーっけ! うひょーっ!!

【遠ざかっていくわざとらしい歓声に、警官を引き連れて】
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/29(月) 00:20:36.32 ID:dX7TCXmpo
>>422

となれば、原因は絞れるな。
何らかの魔力作用――魔具か、あるいは山神でも狂ったか。
その作用で異形が生まれている。

もしくは、どこかの狂った科学者が生体実験でも繰り返しているかだ。

【女性が獣を屠るときも、振り返ることはなく】
【あれほどするりと異形を片付けたのだ、今更遅れをとることはない、と見ているのだろう】

【そうして、鳥居の前に立つ。瘴気は、鳥居の奥から漂うように思われた】

なにか祀られていたか。
鳥居も荒縄も健在だが、ここまでの瘴気となると―――何か変質したとしか思えんな。
女、備えろ。ロクなものではないぞ。

【その奥。これまでの山の闇より、遥かに深い闇の中から、たしかに何かがこちらを見ている―――】

/と、いいところですが眠たくなってまいりました。また明日、でもよろしいです?
 あれなら置きレスでも構いません!
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/29(月) 00:37:33.59 ID:zKDjP45to
>>424

//了解しました、あとでお返ししておきます!
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/29(月) 00:50:58.18 ID:M3u2Nbu60
>>423

【だけれど――あまり手慣れたようには、見えなかっただろう。幼子の方は"こう"だからともかくとして、少女の方は、時々困惑したような、様子を探るような瞬間があり】
【それでも相手が"妙"な様子で幼子に関わろうとすれば、少し警戒して、こっそりと守ろうとする――そういう様子は、ある。だから、やはり、"保護者"ではあるのだろうけれど】
【――それにしても。そうだとしても、呼ばれ、ユーイを探しに現れた瞬間の少女の顔。ひどく狼狽した――焦った色合いがあった。それは、こういう、まだ慣れないところにあるのか】
【あるいは何かあるのかもしれない、しっかりと抱いた幼子の、長いロングスカートの下――足などないはずの場所が、なぜだかぐねりと動く、まるでその下に、三つ目の足でもあるような】

「だけど――――、」

【ジャムを受け取ってもらえなければ、やはり少女は困った顔をする。幼子を抱き上げてしまって両手がふさがっている中で、一生懸命に差し出していたのだけど】
【どうしても受け取ってもらえないようなら――それについてはやがて納得しないままだったが、受け入れたようだった。ひどく申し訳なさげに、礼を述べるのだろう】
【そうして幼子にも礼を言うように促そうとする……そのタイミングに、幼子は残りの二つをぐっと押し付けられ――ぱあああと煌めく目と、「ジャム!」と歓喜の声】
【そこから先はほんの一瞬の出来事だった。暴れながらも少女の腕に収まっていた幼子は、ズバン!とめちゃくちゃ元気よく、さらに、急に動くという作戦でもって】

ねぇね、ありがと!

【少女の腕から抜け出し――ぱっと相手へ駆け寄って、鮮やかに色濃く笑うだろう。そしてそれは、もしかしたら、今日一番だってくらいに、明るく、きらきらして】
【緑と黄の瓶を両手に一個ずつ持って、はしゃいでいる――抜け出す勢いを作るのにおそらく腹を蹴られた少女が数秒遅れでふらりと相手のもとへ歩き】

「けふ――、ああ、もう、ええと……その、ごめんなさい――トワイナイトさん? えっと――、今度、良かったら、UTに来てください、風の国の……」

【もう受け取ってしまったジャム二つ、自分も持っているジャム一つ、視線を移ろわせてから、やはり申し訳ないというような吐息一つ。それで、伝えるのは】

「わたし、そこで、お仕事をしているの……だから、近くに来た時にでも」

【まさかの出頭しろという要請――ではなかった。いわく、そこで働いているから、何かお礼ができるはずだから、良かったら来てほしいと――礼のための誘い】
【それから一瞬だけ瞳を伏せて、「さっきはごめんなさい」「その……」と言いよどむのは。さっき、明らかに相手から遠ざけてしまったことを、詫びているのだろう】
【そのくせ謝るのに理由は言えない。少し訳ありであるのかもしれなかった――と、そこで、迫る警察官の声を聞きつける、ぎょ、と、あまりに驚いた仕草は】
【仮にも正義組織で働いているから来てね!と誘ったひととは一瞬思えない様子だったのだけど――とは余談】

ン! ねぇねのジャム! パンにつける! リンネ、ジャム! しゃーわせ!

【きらきらの目のまま、こくりと頷けば、ぴょんぴょこハネた髪が揺れる、両手にはしっかと瓶二つ、誓うのは、これらをおいしく食べるということ】
【それから少女に向き直り、もらったジャムを見せつけて――これはパンに付けたら最高にしゃーわせらしいというのを熱弁する(※知っています)】

「あ……――、」

【それで――別れの言葉は、一瞬の出来事に躊躇われて、言い出せなかった。あるいは改めての礼も、走り去る背中に投げかけるには、あまりにも突然すぎて】
【一瞬追いかけかけたみたいに出かけた足がぴたりと止まる――ゴスロリ幼女という単語に、一瞬思い当たるふしがあったかのように、「エナちゃん?」と呟いたとか、余談で――】

パン! アカネとウェインも食べる! クロワッサン!

【――その後のこと。パンを買うという任務に燃え、あっちこっちの店、全部――本当に全部全部、パンはあるかと確認するべく駆け出そうとする幼子と】
【それを必死になって止めている少女の姿がいろんな場所で確認されたらしい、その幼子の両手には、もらったジャムの瓶がしっかと握られていて】
【前に進めば進むほど、パンとかパンっぽいケーキとか多分もうあんまり関係ない木のおもちゃとか買わされた少女の手に荷物が増えていっていた――――だなんて、もっと、余談か】

/おつかれさまでした! ありがとうございました!
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/29(月) 01:10:21.06 ID:eyVzw6+OO


【結局女はりんねの話に答える事は出来なかった】
【それが追われる忙しさにかまけてか、それとも幼子の姿を網膜に焼き付けるのを優先したからかは判然としない――恐らく両方だろう】

うーむ、やばげなやばげな。

【背後から何度も投げられる怒声。一切答えず、人混み掻き分け掻き分けにへら、と笑う。その拍子に止まりかけた鼻血がまたつうと】
【ぽた、ぽたと地面に、警官たちへの道しるべとなって滴る】
【さっきから原因となった最後の笑顔を思い出すたびこうだ】

まったく、朝から最高かよ――――!

【鼻を押さえてにやけ面に、道行く人がぎょっと後ずさる】
【結局その逃走劇は市場すら通り抜けた大捕物となって。しかしどれだけ追い詰められても得物を抜くことはなかったとか】
【それが騎士道たるゆえんか或いは見習いゆえかは定かでない――――唯一分かっているのは。2つの意味で、ゆっくりカレーにありつく事は無かったということ】

/二日間絡みありがとうございました! お疲れ様です
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/29(月) 01:11:01.58 ID:eyVzw6+OO
/安価抜け、>>426宛です
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/29(月) 21:07:29.82 ID:MQNn0ETq0
【街中】

【大都市の中枢であるこの街に夜はない。街灯は煌々と、高層ビルの窓明かり、車のヘッドライト―――】

『弾ける新鮮さ、なめらかな喉越し――――』
『まだ誰も見たことのない4WDの新時代―――』
『大人気VRゲームで興奮を味わおう!―――』

【いたるところにある広告ビジョンは興味のある無し関係なしに行き 交う人に次々と提供する。】
【器用に3つの楽器を弾く大道芸人が街頭で歌を歌い、人だかりができている。】

「さあさあ、もしよろしければチップを。よろしくなければおやつのバナナチップスでもいいよ。』

【人だかりの中からゆらりと1人前へ出てくる。その不自然さに人だかりはざわめいた。】
【それは黒いスモークのフルフェイスを被っていて、服装はグレーのパーカー。出で立ちからかろうじて男性かと思われる。】

【フルフェイスの中から声が聞こえる。ボイスチェンジャーにかけたような不鮮明な声だ。】
【フルフェイスの顔の前面を覆うシールドに文字が浮かび上がる。それは簡易なディスプレイになっているらしい。】

[ K I L L Y O U ]

【いつ手にしたのだろう。フルフェイスの男の手にはカタナのようなものが握られて、大きく振り上げた―――】


『―――緊急連絡!応援を求む!謎の覆面が民間人を襲っている!!誰でもいい!!頼む!』
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/29(月) 22:09:01.30 ID:zKDjP45to
>>424

【ふむ、彼の論からしても魔力が影響しているのは確実なのだろう】
【その魔力を発している正体を確かめねばならない】

【しばらく草むらの中を潜み歩けば、鳥居の前にたどり着く】
【瘴気はどんどん濃くなっていき、常人なら気が触れるくらいになっている】
【鳥居の前に立てば、其の奥に何かの気配を感じ取る――――】

「――其の通りの様ね」

【荒縄も鳥居も朽ちてはいるが崩壊していないことから、変質したのだろうと】
【碌なものでないのは濃い瘴気から察しが付く。右手に白刀が顕現する】
【果たして、鳥居の奥には何が潜んでいるのだろうか】

【彼がそちらへ向かえば、腰を下ろしてゆっくりと歩き出すだろう】
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/01/29(月) 22:37:03.98 ID:p8vle/yuo
>>429

【逃げ惑う群衆の流れに逆らって、一つの陰が走る】
【そのまま人混みを抜け出すと、勢いのまま地を蹴って男へ向け跳躍】
【その身は宙空で鋭く一回転、体重と速度の十全に乗った空中回し蹴りが、フルフェイスへと迫る】

【もしも何らかによって受け止めたならば、そこにはさながら破城槌のような重い衝撃が加わるだろう】
【しかしてその重量級の一撃を放ったのは、細身の若い女だった】

【蹴りの一瞬を静止画として切り取ったならば、そこには】
【顔に沿って螺旋を描くように靡く、赤毛のウェーブヘア】
【暗橙色の瞳は眼光でも相手を打ち倒さんばかりに鋭い光を帯びて】
【黒い細身のジーンズにスニーカー、カーキのジャケットという普段着が、捻った身体に合わせて荒々しくはためく】
【そんな様が映し出されることになる】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/29(月) 22:46:08.99 ID:dX7TCXmpo
>>430

【いつしか手には、黒い槍が握られていて】
【ぐるん、と大きく一回し、前傾姿勢で切っ先を闇へと向けた】

―――恨み辛みではないな。
もっと露悪的な、どこか面白がるような悪意がある。
一体どんな山神を祀っていやがった。

【ち、ち、と舌を鳴らしながら、槍をゆっくりと持ち上げて】
【鳥居の奥に、男が一歩進もうとしたそのとき】

『――――――◆◆◆◆!!!』

【醜悪な叫び声と共に、眼のない蛇のような触手が三連、闇の奥から飛び出した】
【二本の触手は男へ、残る一本は女性へと向かう。その速度は凄まじい】

【二本の触手のうち一本は、男が咄嗟に繰り出した刺突が砕き】
【もう一本は、槍へとぐるりと巻き付いた】
【男と触手の膂力は互角なようで、槍を奪い合うようにぎしぎしと軋んでいる】

【さてもう一本、女性はどう処理するか――】
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/29(月) 23:00:49.64 ID:zKDjP45to
>>432

「言われてみればそうね。恨み辛みの類ではないわ」
「これほどの伝染を引き起こすような瘴気、誰が仕組んだのかしら」

【面白半分、というのもよくわかる】
【恨み辛みのたぐいではなさそうだが、それにしても厭らしい】

【男とともに一歩進まんとした其の時だった】
【三本の蛇にも見える触手が襲いかかってきたのだ】
【二本は男の方へ向かったが、一本が此方へ向かってくる】

「ようやく敵のお出ましね――ッ!!」

【触手は女性の腹めがけて飛んでくるようだ】
【地面についた足に力を込めたと思えば、瞬時に飛躍する】
【空中で回転しながら触手を切りつけ、縦に真っ二つにした】

【男の方へ目を遣れば、得物である槍が軋む音を立てていた】
【これはまずいと、女性は彼の元へ瞬歩し槍に向けて刀を振るう】
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/29(月) 23:14:01.21 ID:dX7TCXmpo
>>433

【ちろり、と】
【こちらへ瞬歩する女性を、冷静な目で男は眺めていた】
【瞬歩と呼ぶにはふさわしい速度でありながらも、その一挙手一投足を、逃すこと無く】
【その上で、女性の狙いを悟った男は】
【これで貸し借りナシだな、とにやりと口の端を歪めて、触手の巻き付く結節点を女性の刃に当たる位置へと向けた】
【なんとも言い難い、ぬるりとした肉を断ち切る感触とともに、男の槍は触手の戒めから解放され】

『――――――◆◆◆◆』

【三本ともを潰された、闇の中の何かは、不機嫌そうに唸るのだった】
【触手の新手はあるまいか、と辺りを警戒していれば】

【ずるり、べたりと、気味の悪い音とともに、闇の奥から何かが這い出てくる――瘴気は、より一層その濃度を増して】

『――――――◆『――――――◆◆◆◆』◆『――――――◆◆◆◆』◆◆』

【何事か、意味の通らぬ音節を、言葉のようにのたくりながら】
【およそ言葉に形容しがたい。一番近いものを上げるとするなら、蛙のような形の泥塊だろうか】
【濃密な瘴気を纏いながら、それは目の前に居るふたりへと、自身の身体から伸びるいくつもの触手を向けるのだった】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/29(月) 23:16:28.32 ID:MQNn0ETq0
>>431

【その現場は凄惨を極める。最初に巻き込まれた大道芸人と見物人は直視するのが辛い、無残な姿で息絶えていた。】
【フルフェイスの男(以下、フルフェイス)は飽き足らず、その辺りの通行人を無差別に切りつけた】

【フルフェイスは向かってくる女の気配に気づいたのか、身構えると片腕でその蹴りを受け、もう片方の手で支える。】
【重い衝撃がフルフェイスの体に奔る。その基本的な防御の体捌きからフルフェイスは何らかの武術や格闘技は身につけてある可能性がある。】
【防御されたにしろ、蹴りの威力はフルフェイスに完全に伝わった。しかしヘルメットの中からうめき声一つ聞こえない。】
【まるでダメージが無いかのようだ。しかしそれが一体どういうわけか表情から察することはできない】

【フルフェイスは向き直ると、前面のシールド部分のディスプレイの文字が動く】
  
               [ H E L L O ! ! ( ^ A ^ ) ]

【フルフェイスはそこから女に向かってカタナで斬りつける!大ぶりな袈裟斬りで見切るのは容易い。ただ目的は間合いを取るためのもの】
【そしてフルフェイスは女を真似るかのように回し蹴りを女に食らわせんとするのである】
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/29(月) 23:32:46.78 ID:zKDjP45to
>>434

【彼は女性の目的に勘付いたのか、触手の結節点を此方に向ける】
【そこへ一閃すれば、ぬめった肉を断つ感触が伝わってくる】

【闇の中の何かは、不機嫌そうに唸っており】
【次なる手の攻撃へ対処しようと、闇の向こうを見つめていたのだが――】
【刹那、瘴気の濃度は一気に増してひっつくような音とともに何かが現れる】

「これが、元凶かしら……ッ!?」

【彼の姿を形容できる言葉が思いつかないが、蛙のような泥人形に近い】
【姿を顕したかと思えば、即座に夥しい量の触手を此方に向けて放ってくる】
【捕まってなるものか、と空中を舞いながらも右手の白刀を振り回し続ける】

【振るたびに触手を裂く、ぬめりを伴った嫌な感覚がする】
【物量のためにどんどんと後退しながらも、何とか眼前の触手を処理していく】
【あとどれだけの量があるのか――、女性には想像もつかなかった】
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/01/29(月) 23:43:04.70 ID:p8vle/yuo
>>435

【蹴りを受け止められるも、女は体勢を崩すこと無く着地】

(何、こいつ……反応が――)

【確かに打ち据えた感触――しかし、妙に手応えが無い】

【そして視線だけで周囲を軽く見やれば、血生臭い惨状】
【彼女は僅かに顔を顰めた後、湧き上がる嚇怒を視線だけに込めて相手を睨めつけた】

【しかし返ってきたのは、まるで緊張感のない挨拶メッセージ。ご丁寧に顔文字まで添えて】

……ふざけてるわね。
そんなもの被って、こんな街中で堂々と――

【長々と言葉を紡ぐ暇はなく】

【袈裟斬りの軌道を読み、片足を後ろへ引いて半身になるだけの動きで回避する】
【そして続く相手の足捌き、跳ね上げられた脚――鸚鵡返しのように返された蹴り】
【女は片腕を折り畳みそれを受ける。見ればその腕には陽炎のような気が纏われていた】

【彼女に伝わる衝撃はその空気の揺らめきによって減衰される】
【よってほとんど姿勢を崩すこと無く】

――は、あッ!

【彼女は男の蹴りを放った側の脚へ掴みかからんとしながら】
【男へ背中を向けるような形で鋭く身を捻る】

【背負い投げ、のような形】
【抵抗なくば地面に叩き付けられるような流れだが、果たして】
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/29(月) 23:47:03.82 ID:dX7TCXmpo
>>436

―――なんと、ラチがあかんとはこのことか……

【突き出る触手を槍で突き、殴り、払い、打ち据え】
【しかし新手の触手が10を越えたあたりで数えるのをやめる】
【果てがあるのかもわかったものではない】

【横の女性を見れば、物量に押されている】
【無理もあるまい。長柄の利点で一度に複数の触手を処理できる己と違い、白刃煌めかせる彼女は】
【一つ一つを丁寧に処理していくしかない。未だ戦線を崩壊させていないのは、賞賛されるべきことだった】
【なれば、自身が成すべきことは一つだろう】

―――女! 数瞬、隙を作る! その間に、あの泥を貴様の刃で両断できるか!

【触手の猛攻を凌ぎながら、男がそう叫ぶ。魔力がいくらか高まったのを、感知できるだろうか】
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/30(火) 00:07:22.59 ID:/9fi6HJ/o
>>438

【本当に埒が開かない。次から次に、ひっきりなしに触手が飛んでくる】
【後ろに押し下げられ、じりじりと迫ってくる触手に、流石に焦りを覚える】
【刃を滑った液体で濡らしていれば、彼が声を上げたのに気づいた】

「任せて、私の刀は“ああいう類”に強いから」

【女性は刀を振るう速度を上げ、押し下げられた分を押し返していく】
【彼の横に並ぶことができたのなら、魔力がいくらか高まったのを感じ取った】
【なるほど、彼は奥義でも放つつもりなのだろう。それと同時に、跳躍する】

【追いすがる触手を避け、軽い身のこなしで一気に泥塊へと迫る】
【飛び来る触手を切り裂き、巻き付いてくる触手を身体を捻って回避する】
【そして、泥塊の異形の直上へと位置したならば――――】

「――――また来世、呪いの晴れんことを」

【白刃を両手で構え、振りかぶって一気に降下する】
【白刃は、呪いや祝福と言った概念を、一切皆空を絶つ】
【それはかの異形も例外ではない。その呪いを絶つ刃は、振り下ろされた――】
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/30(火) 00:09:40.73 ID:DGtjgD680
>>437

【フルフェイスの渾身の回し蹴りは 冷静に女の腕によって本来の効果を得ることはない】
【しかし、女の蹴りを受け止めるタフさを備えている割にその回し蹴りは何処か素人じみていた】

        [ O O P S ! ( + _ + ) ]

【わざとらしくヘルメットのディスプレイはチカチカと点滅する】
【フルフェイスは足を取られるも、そのディスプレイとは対称的に何の人間らしいリアクションもない】
【そのまま女の狙い通りに投げ飛ばされる。体格差はどのくらいかわからないが柔よく剛を制し、アスファルトに叩きつけられ】
【ヘルメットの後頭部がガシャンと音を立てた。フルフェイスは衝撃を和らげるためと回避行動で数メートル転がっていった】

[ E N J O Y Y E T ]

【ディスプレイの饒舌さが逆に不気味だ。文字がカチカチと速くはない速度で一文字ずつ書かれていく。】
【フルフェイスは立ち上がり、カタナを両手で構えて、真正面から突っ込んできた!!】

               [ T O ]

【文字が消え、次の単語が打ち込まれる。男は走り込みながらカタナを大きく振り上げ】
【正面から力強い袈裟斬り!続いて踏み込んで、振り上げる逆袈裟斬り!そしてまた一歩詰め寄って】

               [ C O M E !!!!!!!!!!!!!!]             

【カタナの柄で殴りつける!相手に反撃の手立てを与えない3コンボが女を襲う。】
【だが見切るのは容易い。攻撃はどれも経験者であっても熟練者でない。どこかで反撃を加えればキャンセルも可能だろう】
【それにそのコンボの後フルフェイスには大きなスキが生まれている】
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/30(火) 00:24:29.64 ID:CFd/ft0po
>>439

ふん、上等……

【自分の声に呼応して、女性が一気呵成に攻めに出る】
【体力配分を考えて抑えていたのであろう剣速を上げ、攻めに出る機を伺う―――】
【たん、と女性が跳躍したのに合わせて】

―――あま、ごろしッ……!!!

【男が吼えた、その刹那】
【高めていた魔力が、紫電と化して】
【男の持っていた黒い槍から、四方八方へと噴き出した】
【女性へ追いすがる触手も、男自身を狙う触手も、女性に切り払われた触手も】
【一切の区別なく、紫電が焦がし、焼き尽くし、弾き飛ばす】

おおおおおッ……!!

【空を割く放電音。白く瞬く槍を持って、鬼神のように男は吼えたける】
【およそ時間にして数十秒。魔力の限りを持って雷を縦横無尽に奔らせ続ける】

【そうしてその時間は、女性の一切皆空を絶つ刃が泥塊を捉えるのにあまりに十分で】
【呪いも何もかもを斬り裂くその一撃は、過たず泥塊を虚無へと還した】

【あとに残ったそこには、暗い紫色をした、宝石のようなものが残るだろう】
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/01/30(火) 00:40:03.61 ID:qSdD0zymo
>>440

【投げ技による確かな手応えを感じ取るも、何か虚しい感触が募る】
【地面に叩き付けられ、その後呻くどころか、立ち上がって平然と向かってくるなど最早常人ではない】

(……本当に人間?)

【怪訝そうに眉を潜める間に、接近を許す】

【繰り出される連撃を、しかし彼女は冷静に見極める】
【半身を引き、上体を反らし、最小限の動きで刃を躱し】
【ちり、ちり、と靡く髪の先端を薙いでいく最中――彼女は思考を巡らせた】

【――先ほどから続く妙な違和感】
【攻撃を受けても、常人であれば見られて然るべきの生理反応がない】
【どこか訓練されたような体捌きでありながら、突き詰められたレベルではない】

【それにこのような繁華街の真っ只中で無差別殺人を起こせば、】
【遅かれ早かれ武装した治安組織に包囲されるのは明らかなはず】
【だのに、この程度の力量でそれを行った、ということは――】

【彼女の脳裏で推測が巡る】
【浮かぶ考えは二つ。破滅願望を持った捨て身の犯行か】
【あるいは、この男はただの傀儡で――】

【――ガっ、と鈍い音】

【三連撃の最後、柄で殴りつけられる瞬間】
【彼女は一歩踏み込んで、刀を持った男の手首へ掴みかかっていた】
【そのまま男の背後へ回るような足運びと共に、その手を捻りあげんとする】

【首尾良く行けば男は自らの手の甲で肩甲骨を触れるような形となる筈で】

――もう、これ以上は良いでしょう。
奥に誰がいるの……? 姿を見せなさい――

【そして生まれた隙を利用し、彼女はもう片方の手でフルフェイスへと手を伸ばす】
【その仮面を男の顔から引き剥がすべく――】
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/30(火) 00:47:35.95 ID:/9fi6HJ/o
>>441

【跳躍の最中、背後で紫電が迸る】
【刺すような魔力を感じ、触手が焼ける匂いが聞こえてくる】
【触手の破片が飛び散る中、女性は異形へとその刃を突き立てた――】

【彼が吼えながら触手を焼き散らしている方を見る】
【すれば、その紫電で触手を処理し終えていたようであった】
【彼が触手の攻撃を引き受けてくれなければ、異形本体を攻撃できなかっただろう】

「ありがとう、貴方が触手を引きつけてくれたから、首尾よく倒せたわ」

【彼の方へ微笑みを添えてそう言葉にした】
【そして異形が虚無に還った場所へと歩めば、光を反射するものがひとつ】
【よくよく見れば、暗紫色をした宝石のようにも見えた】

「これ、何かしら」

【恐る恐るそれを手に取り、右目を瞑ってよく見てみる】
【一見何の変哲も無いようにも見えるが……】
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/30(火) 00:58:48.90 ID:CFd/ft0po
>>443

――礼、などは、……いい。

【消耗したのか、息を切らしながら男が答える。数秒目をつぶり、呼吸を調えると】
【魔力と気力の消耗こそ見て取れるが、もう普段のような無表情に戻って】

……それより、妙な刀を使うな。
斬れ味がいい、というだけのものでもなさそうだが。

【そう言いながら、紫の宝石を拾い上げる女性を見ている】
【光に透かしてみれば、宝石の中に揺らめく瘴気が見えるだろう】

―――瘴病の宝玉。呪いの塊のようなものだ。
どうやら、山神にその宝玉を埋め込んだものがあるらしい。
そのせいでこの山が魔界と化していた、というわけだ。

【そんな推論を口にする。目的も何も皆目わからぬが――この山を守護していた山神に】
【こういった穢れた呪いを打ち付けて、醜悪に歪んだ生物相を作り出したものがいる、と】
【別段責める意図も見せず、男はそう告げた】
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/30(火) 01:04:25.37 ID:DGtjgD680
>>442

【フルフェイスはカタナを振り回し、女に一撃食らわせんと迫る】
【女の疑問は鋭い、この戦いの中で導き出した回答は違和感を解消するのに合理的である】
【人を殺めるにしてもこの場所は大いに不適。狂人であったとしてもフルフェイスなどかぶるだろうか】
【しかもそれはディスプレイつき。フルフェイスが動き回っても文字はリアルタイムで書き込まれていた】

【まるでゲームのキャラクター。意識ある行動を取っていても、それを動かすプレイヤーにあってキャラクターにはない。】
【犯行の整合性のなさや、フルフェイスに感じた違和感はフルフェイスが使い捨てのキャラクター。プレイヤーの存在を感じざる負えない】
【しかしここは繁華街。もし黒幕が居ても見つけ出すのは不可能だろう。それにこの街には監視カメラも多い】

【フルフェイスは拘束される、捻り上げられた腕は人体の構造上、カタナから手を離す。締め上げられても未だ何も語らず】

【女がフルフェイスに手を伸ばした時、フルフェイスから初めて音が聞こえた。単調なビープ音。それが一定間隔で繰り返される】

              [ D E L E T E ] *beep* [ D E L E T E ] *beep* [ D E L E T E ] *beep*

【勘の鋭い女ならば気づくだろう。それがこのフルフェイスの男からすぐに離れ無くてはならないサインだと。】

【ビープ音の間隔が段々と短くなっていくそして】

【爆発。ヘルメットは男の頭ごと吹き飛ばして四散した―――】
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/30(火) 01:09:48.80 ID:/9fi6HJ/o
>>444

「この刀は概念や自然現象まで切れるの、何故かは分からないけど」

【能力に拠るその白刀は、概念や自然現象を裂ける】
【いつからそのようになったか分からないが、これで飯を食ってきたのだ】
【使いこなせて居るはず――、である】

「瘴病の宝玉、呪いの塊……」
「山神に埋め込んで、呪詛を広げていっていたのね」

【なるほど、これで合点がいった】
【呪いを山神に入れ込むことで、山を魔界へと変貌させたのだろう】
【宝玉から瘴気が漂っている辺り、それは正しく思えて】

「それで、貴方はこれを持って帰るのかしら」

【其のような呪詛をばら撒く代物を、彼はどのように使うのだろうか】
【心配と――、恐れを以って彼にそう訪ねてみた】
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/01/30(火) 01:22:54.13 ID:qSdD0zymo
>>445

――!

【本能的に不快感を募らせるビープ音】
【彼女はすぐさま男から手を離して距離を取る】

くっ、これ以上は――!

【爆発の瞬間、彼女は男へ向けて両手を翳す】
【彼女の持つ『念動力』によって、男を中心にドーム状の力場が展開される】
【せめて爆風の余波が周囲へ新たな被害を及ぼさぬようにと目的されたもの】

【そして間もなく、無残な大音声】

【念力によっても完全に軽減しきれなかった衝撃の余波が、周囲を駆け抜けた】
【ウィンドウガラスを振動させ、やがて舞い上がった塵芥がぱらぱらと舞い落ちる】

…………――――

【無慈悲な余韻の中――】
【最悪、という二文字が彼女の脳裏を覆う】

【戻らない犠牲者を出し、相手からは何の情報も引き出せないまま被疑者死亡――】

【彼女は苦々しく唇を噛みながら、頭の無くなった男を見下ろし】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/30(火) 01:29:38.51 ID:DGtjgD680
>>447

【爆発はフルフェイスの男の証拠隠滅の為だったのであろう。威力はそれ程でもなく】
【彼女の念動力のお陰で爆発による大きな被害もなく、掃除の手間も少なく済む事になる】

【民間人の死亡と犯人の自爆。そろそろ警察や医療関係者もやって来るだろう。それで終わるかと思いきや】

【ビルの壁で広告を流していた一番大きなビジョンが1つふと消える。】
【真っ黒な画面には白のキャレット、文字を打ち込む際に入力位置を示す、点滅する縦棒がある】

[ G O O D G A M E ( ^ o ^ ) ]

【見たことある荒いドットで構成されたフォントだ。しばらくすると文字が消え、次の文字が書かれる】

[ P L S T E L L M E UA N A M E ? ] (please tell me your name ?)

【突如近くにある公衆電話のベルが鳴った。】
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/01/30(火) 01:45:15.06 ID:qSdD0zymo
>>448

【やりきれない思いを心中で渦巻かせる中】
【遠くからサイレンの音と赤色の回転灯が近付いてくる】

【状況説明の為、その場に留まろうと面を上げた時】
【ビル壁の大ビジョンの異変に気付く】

ゲーム……――――

【表示された文字を、目に焼き付けるように睨めつける】
【これまでの状況から推測される背景を思い、彼女はいつしか硬く握った拳を震わせていて】

【そこで鳴り響くベル】
【明らかな関連性を確信し、彼女は迷うこと無く公衆電話へと歩みを進め】

……誰なの? 目的は何?

【受話器を手に取るや否や、名乗る前に疑問をぶつけ始める】

【――その裏で】

(――アミ、回線辿れる?)

ん〜どうかなぁ、難しいかも。でもやってみるね

【彼女の腕時計状のデバイスに宿る何かの知性体から、肉体の内側を通して声が伝導する】
【その機械知性体は、腕時計から微細なコードをいくつか展開し、公衆電話へと侵入】
【何か少しでも情報を得ようとするが――】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/30(火) 02:09:13.92 ID:DGtjgD680
>>449

【受話器の向こうはやはり、何も答えない。何の音1つしないだろう】
【機械知性体に探らせても何も得られないだろう。あるとすれば必要以上の無。何もない。】
【なさすぎる不気味さがまたここにも潜んでいる。受話器の向こうに本当に誰か居るのだろうか?】
【これだけ手の込んだことをする相手だ。何らかの手段で対策していると考えていいだろう】

[ U M M . . . ]

【彼女が名乗らなかったことに不満なのかしばらくこの文字でディスプレイは止まっていたが】

            [ S E E Y O U A G A I N ]

【の文字に変わり、電話は切れる。同時にディスプレイも真っ暗になった後、元の広告を色きらびやかに放送する】

『大人気VRゲーム『ラスカース』は創られたリアル。あなただけのリアル。』


【しばらくして警察や対応に招集された正義組織のもの、医療チームなどが到着する】
【立ち去らなければ、現場に居た彼女は目撃者によりその功労を正しく評価されるだろう】
【長い長い取り調べの後に、幾ばくかの謝礼ももらえるはずだ】

【その後、男は麻薬の売人をしているような人物で、しばらく前から失踪していたとわかる】
【なおこの事件は薬物による錯乱での凶行とされた】

【似たような事件が前後に数件世界各地で発生していたことはまだ、一部の人間しか知るすべはない】


/切りよく、時間も遅いので終わりでもよろしいでしょうか?
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/01/30(火) 02:11:27.78 ID:qSdD0zymo
>>450
/夜も遅いので返レス前に。
/ええ、十分楽しませて頂きました! ありがとうございました、お疲れさまでした!
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/30(火) 02:31:30.93 ID:DGtjgD680
>>451
/了解です。こちらこそ、ありがとうございました お疲れさまでした
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/01/30(火) 02:58:46.82 ID:qSdD0zymo
>>450

カンナ、やっぱりダメ〜。何にも見えないよ〜

(――そう。分かった)

【駄目元で試みた探知も功を奏せず、やはり、という結果だけが返る】
【つー、つー、と虚しい音のする受話器を戻し、静かな熱を帯びた眼差しがディスプレイを見上げる】

【最後の広告が切り替わるまで、彼女は姿の見えぬ相手に視線を突き返していた】
【ゲーム――その言葉の酷く無機的な余韻だけを残して】


【電話ボックスを出れば、丁度今し方警官隊の第一陣が到着したところ】
【これから各方面の処理が始まる――そう頭を切り替えようとした、その時】

―― 本部よりK7

【体内へ通信が入った】
【彼女は片手で耳元を押さえながら、応答する】


―― 直ちに現場から離脱しなさい

え、いやしかし……

―― 繰り返す。直ちに離脱せよ

……K7、了解。離脱します。


【機械的ながらも強い語調での命令だった】
【――『公安部第六課』から直接の指示ということは】
【それ相当の『事案』なのだと彼女は瞬時に察する】

【騒然とする現場が生き残りと事態の目撃者を探し始める中】
【彼女は誰にも情報を告げることなく、人知れず姿を消した】


【後日、刑事課では】
【早々にこの案件の捜査を打ち切るよう上層部から通達が下る】
【刑事達は納得いかず異議を申し立てるが、取り付く島もなく無碍にされる】

【この件は、麻薬中毒者による心神喪失状態での犯行】
【男は最後に隠し持っていた手榴弾で自害――そのように処理された】

【同時に敷かれる報道管制】
【一部のジャーナリストを除き、権力に癒着したメディアに伝えられるのは以下の情報】
【これは生活に困窮した男が起こした自暴自棄の通り魔事件である、と――】

【その後、ありもしない男の悲惨な経歴と出生の情報が“何故か”メディアに流出し】
【弱者に厳しい社会構造が引き起こした悲劇として、ワイドショーで取り沙汰されるようになる】


【――暗部で蠢く情報工作の気配】
【かの首謀者には、伝わるだろうか】

【全てが明るみに出るのは、いつの日か】


/マズいところあったら申し付けて下さい。
/改めて。ありがとうございました!
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/30(火) 14:20:53.97 ID:DGtjgD680
>>453
/大丈夫です。
/むしろ「広域重要秘匿指定 第211号事件」としてそちらの設定にも乗っからせて頂きたいです。
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/01/30(火) 15:44:17.71 ID:qSdD0zymo
>>454
/ありがとうございます!
/大歓迎です、お好きなように使ってください!
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/30(火) 20:04:30.64 ID:rqg/N5MO0
【街はずれ――人気のないエリア】
【建設途中で放棄された場所だった、棄てられた資材はすでにあらかた盗まれ、残るのは何かをしようとしていたという名残だけ】
【かろうじてこの土地がそうであったのを示すような柵は残されていたけれど、とうに倒れるか、穴ぼこか、とにかく誰でも踏み込める様相】
【錆びた看板に書かれている会社名はもうずっと昔に社長が夜逃げしたとかで存在しないから――普通であれば、近づこうとも思わない】

よい、しょっ――――、

【――だけれど、だからこそ近づきたがるものもあるのだろう。風でがたがた鳴く古いフェンスの向こう、誰かが意図的にそうしたような、がしゃんとした音と】
【鈴の音によく似た、澄んだ高い声が聞こえ――その直後に、がっしゃん、と、大きな声。まるで邪魔なものを持ち上げて、落としたような音――それから】

お水はお水だし……、――うん、これで、

【満足げな笑い声が小さく続いて――ぐちゃん、と、少しぬかるんだ地面の音がする。もし誰かが訪れるなら――その姿を見つけ出すのは、ひどく容易いだろう】

【黒色の髪は肩に触れる程度の長さ、首元にぐるぐるに巻いたマフラーに、その毛先が潜り込んで、くしゃっとしたシルエットになって】
【透き通るように白い肌は寒さのせいか頬や鼻が耳が赤い色、ぱっちり丸い瞳は左右で色の違う、黒色と赤色の一対で。あどけない顔立ちであったなら】
【暗くなってしばらくのこんな廃墟に訪れるのは変ではあったけれど――寒くてしかたないみたいにぎゅっとボタンを留めたコートと、その裾からあふれるのは】
【柔らかそうな布地を幾重にも重ねたスカートの裾、足元は分厚いタイツとかかとの高いショートブーツ、なのだけど――その足元は、ひどくぬかるんだ地面になっていて】

魔術の練習――……、セリーナに聞けばよかった、強いひと……、

【でこぼこした地面の、ちょうどへこんだところ。そこに雨水が集まったものらしい、ぬかるみと、それでも余る雨水と、その真ん中に立つのは、少女が一人】
【しばらく呟いていたのだけど――ふっと言葉の途切れるタイミングが、集中の始まりになる。そっと両の目を閉じてあふれさせるのは、清く澄んだ、水の気配のする魔力】
【やがてちらちら舞いだすのは桜色の魔力片で――どうやら彼女の魔力がその色らしいのだけど。いくらなんでも早すぎる桜吹雪のようになって、ちらりちらり、空へ舞い上がっていた】
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/30(火) 22:11:01.27 ID:CFd/ft0po
>>446

ほお。
そいつはまた便利な刀だ。
物体であるのなら何でも断つという刀は聞いたことが在るが、
物体でないものまで一切を切るか。

【重畳、と口の端を上げて、上機嫌そうにしていが】
【それで、持って帰るのか、という問を受けたところ】

―――ああ、この俺が持って帰るさ。
気に食わんかね。

【よりいっそう嬉しそうに、鬼のような笑みでそう告げた】

/寝落ちしてしまって申し訳ない!!
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/30(火) 22:16:05.69 ID:/9fi6HJ/o
>>457

【彼は鬼のような笑みを浮かべ、そう言った】
【いや、そう言うのは端からわかっていたのだ。約束だったが故に】
【しかし気になったのは、あれほどの異形を作りだす代物を如何に使うかということだ】

「別に持って帰ってもいいわ、約束したしね」
「ただ、異形を生み出すような代物を、どう扱うか気になっただけよ」

【答えても、答えなくてもいい。気にかかったから言っただけである】
【それに、残酷な考え方だが自らに危険が及ばなければそれでいい】
【故に彼がどのような目的で使おうとも、文句を言おうともしないだろう】

//いえいえ、寝落ちは誰にでもありますから……!
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/30(火) 22:27:23.75 ID:CFd/ft0po
>>458

ふむ。

【すとんと、鬼のような笑みを消して】

いや、まるで仙人だな貴様。

異形を屠っているところを見てから、
一度仕合ってみたく今まで様々手を尽くしてみたが……どれにも乗ってこんとは。

【ま、仕方あるまい、と軽くため息をついて】

俺も仕事で宝玉を探りに来てな。
正直俺が使うわけではないので、大して興味もないのだが――まあ、仕事は仕事よ。

まあどうやってもロクなことには使うまいが、貴様にも俺にも関係あるまい。

【ほら、渡すがいい、と、女性に向けて手を差し出した】
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/30(火) 22:38:01.85 ID:/9fi6HJ/o
>>459

「――ふふ、それほど“善い”存在じゃないわよ?」

【どれにも乗らない、というのも“興味がない”という一言で片付けられる】
【この女性は気になったことだけに首を突っ込もうとするだけであり】
【他人には常に微笑みをばら撒いているような――、超然としていた】

「貴方も仕事だったのね。はい、約束は守るわよ」

【差し出された手に、宝玉を置いた】
【右手に握った白刀は霧散し、怪異も取り払われた】
【それでいい。暫くの間は、泰安であるはずだから】

「……あら、もう限界かしら」

【不意に女性の様子がおかしげなものになってくる】
【暖色で染められていた着物は、裾から徐々に漆黒へと移り変わる】
【更に、団子のように纏めた髪はいつの間にか解けていた】

「うふっ、“私”はここでお暇するわね。また来世――」

【言葉を紡ぎ終えぬまま、女性は境内へと突っ伏した】
【着物は黒留袖へ、髪型は長髪へ。まるで機械かのようにそれは行われていき】
【男がそのまま待っていたのなら、女性はムクリと起き上がるだろう】
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/30(火) 22:48:10.57 ID:CFd/ft0po
>>460

んん?
傷でも負ったか、何を―――

【と、目の前の女性が電池切れを起こしたかのように、境内へ倒れ込む】

――――外傷はナシ、か。
活動時間に限界があるタイプの能力者か?
そうはとても見えんが。

【深山幽谷。いかに傍若無人な男とて、さすがに此処に共に戦った女性を置き捨てていくのは寝覚めも悪い】
【背負って山を降りるのは骨が折れるが、とため息をついたところ】
【女性がムクリと起き上がるのを見た】
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/30(火) 22:56:03.06 ID:/9fi6HJ/o
>>461

【身体を起こして二度瞬きをすると、無愛想な顔で彼を見る】
【そして数秒首を傾げた後、一度だけ頷く。ふむ、彼女は“仕事を終えた”】
【ならば、あとは帰宅だけと納得する。彼の方へ向き直った後】

「あー、どう言えばいいんだか。あいつはもう一人の“私”だ」
「ここに居るまでの経緯は分かってる。あいつから“聞いた”」

【見た目はほとんど同じであるが、着物は黒留袖になっている】
【それに、髪も腰まで伸ばしており。おまけに性格も違うようだ】

「それじゃ、下山するか」

【彼がよければ、すぐにでも下山を始める】
【先程までの疲れを知らぬが如く、顔は微笑んでいた】
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/30(火) 23:07:37.31 ID:CFd/ft0po
>>462

――――面妖なこともあるものだ。
いや、異形より余程お前たちのほうが驚いたぞ。

まこと惜しい。雷舞にあれほど魔力を注いでおらねば、この場で突きかかったものを。

【肩をすくめて、下山に付き合う。山の折々の流れでも読んでいるのか、帰り道に時間はかからない】
【男には多少の消耗の色がみえたものの、山を降りるのにさほどの苦労はなく】
【山の麓までくれば、男を迎えに来たカーキ色の軍用トラックがクラクションを鳴らすだろう】
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/30(火) 23:13:21.69 ID:/9fi6HJ/o
>>463

「あっはは、いきなり突っかかれたら困る」

【そんなことされたら、“欲”が生まれるじゃないかと】
【男と共に下山を始めるが、意外と帰路は短かったようで】
【下りきれば一両の車がクラクションを鳴らした】

「それじゃ、ここでお別れだな」
「私は歩いて帰る。お前は迎えが来てるんだろう?」

【カーキ色のトラックは、おそらく彼の迎えだろう】
【女性は歩いて帰るようであるし、気にしなくても良いであろう】
【それに、乗るかと聞かれても乗ろうともしない】

「恐らく名乗ってなかったな」
「私は儀賀織。どう呼んでくれても構わない」

【口元を緩め、仕事をともにした彼へ自己紹介をしておいた】
【先ほどの“彼女”よりも、フランクに感じただろう】
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/01/30(火) 23:25:56.00 ID:CFd/ft0po
>>464

ま、もう会うこともなかろうがな。
次に会うときは――恐らく、それこそだ。ロクな結果になるまいよ。

ではな、太陰、陰陽の儀に生まれし者よ。
貴様も、もう一人も、まあ息災であるがいい。
俺の名は、ガイウスだ。

【それだけ言うと、軍用トラックの後部――幌のかかった荷台に潜り込む】
【すぐに寝息を立てるだろうが、それもトラックが走り出したあとのこと】

【山中で出会った奇妙な二人、いや三人の縁は、果たしてまた繋がることがあるのか】
【今は誰にも分からず――深山の夜に、月が一度、瞬くのだった】

/おつかれさまでした! 連日に渡って本当にありがとうございましたー!
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/30(火) 23:33:01.27 ID:/9fi6HJ/o
>>464

「ガイウス、か。覚えておくよ」

彼はトラックの幌の掛かった荷台に乗り込む。
それを見送るかのように、織はそこへ居続けた。
排気の音すらも聞こえなくなり、また静寂が訪れた。

「さてさて、お家に帰るとしますか」

【奇怪な縁で結ばれるということもあるものだ】
【二度と接点を得ては“いけない”のだが、果たして】
【今度彼と出会った時には、“どちら”が饗すのであろうか】

//こちらこそありがとうございました、また機会がありましたら!
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/31(水) 20:19:07.57 ID:/htrw3RH0
>>456
/こちら再掲で……よろしければっ
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/31(水) 21:05:56.54 ID:MF0mQUYyo
【路地裏のある一角に、一人の男がいた】
【煤けた灰色のローブを被り、煙草をくゆらせており】
【その男の元に、別の男が一人やってきた。其の背には小さく“機関”の文書が刻まれており】

「……何がご入用だ」
『今日は弾丸を少し作っていただきたく……』

【どうやら弾丸を調達して欲しいようであった】
【ローブの男が手を出せば、其の男は数枚の紙幣を手の上に載せた】
【その紙幣を数えると、頷いてポケットの中に入れ込んだ】

「……ほら、これで全部だ」

【数十個の紫色の弾薬を男に渡す】
【男も個数を数えて頷くと、其の場から立ち去ろうとしていた】
【男は其の姿に目をくれることもなく、まだ煙草をくゆらせていた】
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/31(水) 21:22:55.10 ID:M02JZ7aRo
>>456


地図に無い街というのが目印だった筈だが――どうやら外れのようだな

【廃墟と化して久しい街並みを、凩以外の風が通っていく】
【それは一人の人間が動く事で起こる微風】
【一定の歩幅で動くそれは、ここを目的と定めたにしては幾分勢いがなく】

紛らわしいが、似たような地は近くにもあるか

【紡がれる深みのある声は、格別感情のこもらない、淡々としたもので】
【呟くのは堂々たる長身と肩幅を持つ男】
【頭から被われるローブで表情は窺い知れないが、長い茶色の総髪と、同じくらい濃い髭を頬から顎に掛けてたくわえていて】
【不意に足が止まる。左へ顔を向けた先は、高くフェンスで囲まれた区画】
【その向こうに、1つの影を見とめた】

ふぅむ、こんなところで……。

【フード越しに臨む青の眼差しは、空を彩る桜吹雪を見上げ、興味深く顎を撫でる】
【暫し目を楽しませたのち、泥の上を革のブーツが滑るように動く】
【大柄な体躯の割にその足跡は意外なほど浅く】

失礼、可愛らしいお嬢さん

【とはいえ格別泥を踏む音が小さい訳ではない。というよりは相手も気づけるよう意識して】
【魔力の行使に興ずる少女の背中へ、驚かさないよう注意を払いゆったりと声を投げ掛けた】


/キャラは変えていますが、連続は無理という事でしたら退きますので……
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/31(水) 21:31:22.10 ID:Dihz3Q2j0
【警察署前】

【中心街での惨劇、都市に潜む悪夢といった報道は一瞬でなりを潜めた。】
【現場を目撃した人の投稿によってSNSではメディアに対して懐疑的な声もあったが】
【数日後には最早、誰も覚えていなかった。】

【所変わってここは警察署前。日常業務と事件の処理のお陰で普段より忙しく、慌ただしい】
【そんな正面入口のドアが開き、中から2人の警官に引っ張られた1人の少女がでてくる。】

なーーにが、公務執行妨害よ?!この間の事件のこと聞いただけじゃない!イタタ、ちょっと引っ張んないでよ!

【黒髪の丸っこい髪型をした少女。背丈は大分小さい。】
【グレーの鹿撃ち帽に似たものを被り、機能的なマウンテンパーカーを着ている。すこし、いびつなファッションの取り合わせだ】
【背中に大きなバッグを背負い、足元は特殊だ。スキーブーツのようなものを履いている。小脇にはノートPCを抱えていた】

なんにも知らないわけ無いでしょ?一応私には聞く権利が…あ!ちょっと!

【少女は放り出され、ドアは閉じられる。入り口の警備がもう近づくなと睨んでくる。】

なによ。はぁ、どうしよ。

【ノートPCをぎゅうっとバッグにしまって、腕に取り付けたスマートフォンを操作する。】
【すると足元のブーツが変形し、縦に並んだローラーと超小型ジェットエンジンの排気口のようなものが踵に出現する】
【彼女はまだ警察署の前でスマホをいじっている。】
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/31(水) 21:33:56.62 ID:j0MNchZ0o
>>468

そこまでよ!!

【路地裏に響く女の声。機関の男に対してローブの男を挟んだ反対側に赤い髪の女が現れた】
【立ち去ろうとしていた機関の男を指差してから女が駆け出す。たんっ、とローブの男の頭上を跳躍。かなりの距離を飛び、機関の男の前で着地する】

なんだかよくわからないけど、何か悪事を働こうとしているわね!
私に見つかったからには諦めることね。とっちめてやるから覚悟しなさい!

【再び機関の男をと、さらにローブの男を指差すと、その場で仁王立ちしてみせる】
【その格好は赤を基調とした色合いの独特なもの。ケープを身につけているが、その首元の部分には通常のものではない文字が刻まれている】
【見る人が見れば魔術師である、と分かる風貌だ】
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/31(水) 21:46:27.04 ID:/htrw3RH0
>>469

【音もなく桜吹雪が舞い上がる。その向こう側で、天の月がしんと欠けていく――月食の夜だった、月食に、桜吹雪。雪でも降り出しそうに、寒い夜】
【深く深く集中するように長く吐いた吐息がきらきらと白くなって昇りゆく、世界に満ちる様々な"水"に巡らせた意識は、その代わりに、ありふれた世界への認識を弱めるから】
【ぐちゃりと泥を踏む足音――それだけでは気づかない。だけれど声をかけるまでには、気が付くだろう。あたりへ巡らせた意識の中、かすかに違うものが混じりこむ気配】

――――――、……。

【閉じていた瞼が緩やかに持ち上げられる。ふわ――と静かな吐息がまた白くなり、ゆるりと振り返るだろう、真っ白な肌と、左右で色の違う眼】
【平均より大きな身長は、けれど、ひどく華奢なのもあって、そう大きくは見えない。ならば大柄な彼と比べて、うんとあどけないものに見えるのかもしれない】
【それでも少しは驚いたのか、元から丸い目はさらに丸く瞠られて――うかがうような瞬きが数度。それからやがて、明確に声をかけられれば】

……こんばんは、えっと……、

【真っ先に返すのは挨拶、それから、相手が自分をお嬢さん、だなんて呼んだみたいに、真似をしようと思ったのだけれど】
【それではどうしたっておじさんとかそういう風な呼び方しか、出てこない。そしてそれはいくらも失礼だろう――と思ったのか、言葉は曖昧に途切れて】

【――彼女の意識がありふれた世界に戻れば、宙からまさに沸くようだった桜の花びらは一度止まる、あとは……宙にあったものが、ひらひら落ちて】
【やがて地面に積もれば、本当の花びらを早回ししたみたいに、黒ずんで、溶けて、消えていく――少し不思議そうに首を傾げた仕草】

えっと……、どうしたの? こんなところ、だれも来ないと思った。

【それで問うのは、彼がこの場に来た理由――おそらく、だれも来ないような場所を選んで、特訓の場と定めたつもりだったのだろう】

/もちろん大丈夫です! よろしくお願いします!
/それとせっかくなのでお月さま描写入れてしまいました、問題あるようだったら無視していただけましたら……
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/31(水) 21:46:56.04 ID:MF0mQUYyo
>>471

【弾薬を売り捌いた後、煙草を咥えてもう一度紙幣を数える】
【一つ、二つ、三つ……。ふむ、やはりきちんと支払ってもらったようだ】
【さて、取引も終わった為拠点に戻ろうかとした――まさに其の時だった】

(――面倒くさいことになったな)

【正義であろう人間に、この取引を見られてしまったらしい】
【それに、弾薬を買っていった男は背中にばっちりとカノッサの紋章をつけているではないか】
【なるほどこれは巻き込まれても致し方がない】

「……あいつに弾薬を売れとせがまれてだな」

【彼女がどのような人物かわからないが、色合いが独特な服だ】
【しかしまあ、こういう時には買った奴を売ってしまえばいいと】
【機関の男は驚いた顔をして彼女の方を見ており、数発の弾丸が地に落ちる】

【すると、僅かな大きさの重力フィールドが男の動きを阻害しているのがわかるか】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/31(水) 21:58:46.81 ID:j0MNchZ0o
>>473

【初めは険しい表情で機関員と男を交互に睨んでいたが、片方があっさりと白状すると不敵な笑みを浮かべてみせる】

あら、話が早くて助かるわ

【視線が一瞬、地面に移動。弾丸が不自然に落下していることに気がつく】
【女が右手を機関員に向けると、手のひらの前方に炎の塊が出現。その構えのまま、今度はローブの男の方に向く】

この機関員にはもちろん、色々と用はあるけれど
貴方にも聞きたいところね。その売った弾薬とやらはどんなもので、どのぐらいの量なのかしら?

【売人が機関員を売ろうとしていることはわかっていた。しかし女から警戒心や敵愾心が薄れることはなかった】
【僅かでも機関員が動こうとすれば右腕を振って威嚇さえしてみせる】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/31(水) 22:28:38.02 ID:GYBUB59PO
>>472

【柵となる網目越しに相対して数呼吸か流れる】
【彼女が意識を移すに従い、幻想は現実に立ち返り】
【色を失い泥に沈む桜に、残念そうに目を向ける】

邪魔をするつもりはなかったのだが……

【己が彼女の行動を妨げた件に前置きして、頭を掻く】
【少女が思うのはもっともな疑問である。さて、何を話すべきか。撫でていた手をかざし、フードを外す】

そうだな、私も同じ事を思っていた
待ち合わせをしていたのだが……、どうやら場所を違えたようだ

【無造作に下ろした髪の下、鷲鼻に彫りの深い顔が現れる】
【壮年をいくらか過ぎようという顔つきは、少女が思ったように「おじさん」と呼称されてもなんら不思議ではない、年月を経た皺が深く刻まれていて】
【間違えたか、或いはすっぽかされたか。あり得ぬ話ではないが、そこに言及するには身内の話題にまで食い込まねばならない。面白い話でも無いため捨て置く】

仕方無いので、月見でもしようとしていたところでね。
こんな特別な夜だ。心も弾むというもの――すると月下に花弁を散らす、美しい花を見つけた訳さ

【君の事だよ、と片方の頬を上げる。歳に合わぬ笑みは、からかいを帯びつつも――端から見れば親子ほども離れる少女を、一人の大人と見なしているようで】

それで、君は?


/ありがとうございます、よろしくお願いします
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/31(水) 22:46:21.65 ID:MF0mQUYyo
>>474

【煙草をまた口に咥え、白煙を吐いた】
【彼女は対異能特務機関ではなく、治安機関の人間らしい】
【いきなり攻撃してこないあたり、おそらくそうなのであろう】

「ん、売ったものの数量と種類か」
「ケージングヴォイド7.7mm弾、200発だ」

【ケージングヴォイド弾、という名前なのは確かだ】
【それが何なのか聞けば、細かく教えてくれることだろう】
【機関員は何とか逃げ出そうと隙を伺っているようにも見える】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/31(水) 22:46:55.40 ID:/htrw3RH0
>>475

【――はたり、はたり、音もなく桜の花びらは落ちて、そして、朽ちていく。ほんの一瞬の沈黙の中にあるのは、白い吐息と、朽ちる花びらと、それから、赤く染まる月】
【柵ごしの相手を明確に見つけながら、けれど、近づくでもなく、その代わりに逃げるでもない。相手の出方を伺うように、その場に留まったなら、まだ警戒は薄く】
【邪魔をするつもりはなかったと言われれば、そんなに邪魔ではなかった、という意味合いだろうか、ゆるく首を揺らすのだろう。事実、そんな風に怒った様子もないから】

待ち合わせ――? ……こんな場所、だれも来ないよ、わたしも、ほかのひとは……。

【「見ていないの」】
【鈴の音の声が少し困ったようになるだろう、だれも来ないような場所を探した彼女は訳ありだった、つまり、魔術やらなんやらの練習をするため】
【それなら彼と、その相手はどんな用事で訪れるつもりだったのか――というのは、当然まだわかりっこないのだけど。ほんの一瞬だけ、訝るように目をわずかに伏せるのだが】
【晒される顔に視線を向ければ、相手が思っていたよりも年を重ねていたことにも、気づいて】

お月見……あっ! そうだ、今日は特別なお月さまなんだって、テレビで見たよ――、えっと……スーパー……ブルー……?

【さらにそれから、相手の言葉に――そういえば今日は特別な月だったことを思い出して、振り返る。そのしぐさに足元のぬかるみがくちゃりと鳴いて、けれど見上げた視線は】
【そんな泥なんて到底及ばないくらいにきれいに丸い、そして紅い月を見つけ出し――ふわあと吐息が一つ、その名前なんて、よく覚えてないままで、なんとなく口にして】

――――もう、そんなの言っても駄目だよ、わたしは……、……ううん、わたしは、魔術の練習。お家の中よりお外の方が、上手にできる気がするの。

【美しい花――からかうような言葉に一瞬面くらったような少女は、今度はきゃらきゃら笑って、そう返し――自分はどんな用事なのかと、そこまで問われれば】
【ほんの一瞬迷うようにしたのだけど、結局ありのままを述べるだろう。どうせこんなところに居る時点である程度の不審者であるのは仕方がないから】
【へんに嘘を吐くよりはよっぽどいい――そう判断して。真っ赤な月を背後に抱いた逆光のまま、ふと、虚空を掬い上げるようなしぐさをしたなら】

机で本とノートばっかりだと眠たくなっちゃう。

【そこに、ぼう――と、淡い淡い桜色の魔力光がともる。さっきの花びらと同じ色と匂い、けれど、今度は曖昧に散らさず、そこにとどめて】
【その色合いに照らされる顔は、やはりひどくあどけない――ただ、その顔。もう数年も前になるけれど、何度も繰り返し放送されたCMに映されていたものでもあり】
【だからと言って何か特別なものがあるわけでもないけれど――そのCMが風の国の正義組織のものだというところまで思い出せれば、彼女の所属も、知れるようだった】
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/31(水) 22:52:21.03 ID:j0MNchZ0o
>>476

ケージングヴォイド? 聞いたことないわね……まぁいいわ

【弾丸の種類について知識はなかったが、それ以上問いただすのはやめた】
【よほど特殊なものでもない限り、後から調べれば済むことだ】

協力的なのは賢明だけど、だからって見逃すなんて考えないことね
まさか犯罪組織に手を貸しておいて、自分は売っていただけだから無罪です、なんて言わないわよね?

【会話をしながら女が無造作に腕を振るうと、炎の塊が撃ち出され機関員へと向かう】
【炎の塊ではあったが、まるで質量があるかのようにぶつかれば衝撃が走る。当然、熱もあるが、どういう原理だか当たればすぐに消えるため燃えることはない】
【気絶させるための攻撃、といったところだ】
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/01/31(水) 23:17:20.30 ID:MF0mQUYyo
>>478

「犯罪組織だけじゃない、これを見ろ」

【販売目録とも取れるそれを、彼女へと投げてよこす】
【中身を見れば、機関や自警団、それにさまざまな善悪問わぬ集団の名前が記載されている】
【ローブの男は武器商人として、一部の間で有名であった】

「それを見てもやめろ、って言うんなら止めるが」

【もう一度、白煙をぷかりと吐いた】
【機関員が炎球で気絶したのを横目に、彼女の返答を待った】
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/01/31(水) 23:22:05.89 ID:GYBUB59PO
>>477

【言い淀む少女は恐らく訝しんでいるのだろう。確かにこの辺りは待ち合わせに優れた場所とは言いづらく】
【男の方は肩を竦めて、分かっているとばかりの表情。企みだとか隠し事だとか、不穏な気配は面に出さず】
【ただ、久しく会いたいと思う相手がいた――――それだけの心情を吐露するのは憚られて】

人生に1度、有るか無いかの特別な月だったか。
それに引き合わせてくれた君には感謝しないといけないな

【夜空に目を奪われる少女、赤い月に染められた肌は現実感を解離させ、男の目をも奪う】
【聞けば魔術の練習だという。この満月が術の効果に作用するのか、専門的知識を持たない男には判別のしようが無かったが】
【何れにさせよ勉強熱心な事だ。含み笑いを浮かべた顔は、次にしかめ面となって】

だとしても、こんな時間に家を抜け出すのは感心しないな。
特に君のような――若く、美しい女性が独りと言うのはね。
身を省みぬ挑戦は青春の特権だが……

【わざとらしい説教も年寄りの特権、とばかり、たしなめる言葉を一通り並べる】
【戸惑いや嫌な顔をされようとも慣れた様子で肩を竦めるのだが】
【特に、の後で言葉に詰まったのは、或いは彼女の背後に赤い月以外の何かを見たのかもしれない】
【しかし浮世離れした男の眼差しの中では、彼女はあくまで等身大の少女に過ぎず】
【男の世話焼きな性格がこの夜の出逢いを看過出来る筈もない】

そちらに行ってもいいかな?

【故に、ふと思い付いたような口調で掌を向けて尋ねる】
【断られれば、素直に両手を挙げて引き下がるだろうし】
【了承を得られれば、金網に爪先をかけ――垂直に体躯を宙に舞わせる】
【段差を踏み越えるように向こう側へ降り立つだろう】
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/01/31(水) 23:36:33.06 ID:j0MNchZ0o
>>479

【資料を受け取り、女はそれに目を通した。そこにはそれこそあらゆる組織の名が記されていた】
【つまり目の前にいる男はカノッサ機関だけでなく、自警団などの善良な組織の裏方でもある、ということになる】

うーん……なるほどねぇ……

【気絶した機関員には目もくれず、女は両腕を組んで唸った。顔を下げたり上げたりして考え込む】
【どうすべきか。その結論はすぐに出た。数秒の後には女の身体から淡い燐光が微かに溢れ出す。魔力の光だ】
【再び顔を男へと向ける。その表情に友好的な色合いはなかった】

それでもやっぱり、それはカノッサ機関に手を貸していい理由にはならないわね
商売人としては公平なんでしょうけど、市民としてはダメね
ええ、そうね……もちろん、私はこう言うわ。やめろ、ってね。商売するなら自警団とか、まともなところだけにしなさい

【はっきりと言い放ち、女は右腕を横へと水平に向ける。魔力の燐光が腕に纏わりつき、手の先に集まって収縮。巨大な炎と化す】
【顔には挑発的な笑みを浮かべていた】

とりあえず、悪いことをしていたから自警団あたりに引き渡そうかしら
それとも、私と戦ってみる? こう見えて、結構強いわよ

【女が腕を振るえば炎が追従。熱気が大気を揺らめかせる】
【大仰な言い方と動作は威嚇にも見えるだろうか。適当に言いくるめればこの場を収めることもできそうだ】
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/01/31(水) 23:42:26.62 ID:/htrw3RH0
>>480

それならもっとよく見ていればよかった、魔術の練習だなんて、いつでもできたね――このお月様に比べたら。

【一生に一度の月だという言葉、聞けば目を丸くして、そんなに重大なものだったのかと――改めて月を見上げる。赤銅色の赤い月、丸くって、ずっと暗いのを見上げ】
【ふと思いついたように手を伸ばしてみる――当然捕まえられるはずもない。それでも指先で摘み取るような"ふり"をして、くすくすを笑うだろう】
【続いた言葉はちょこっとだけ不真面目、あるいは。誰かに見せるよりも一人でやりたかったのかもしれなかった、それとも――本当に言葉通りであったのか】

――む、う、だけどね、朝とお昼は眠たいから、だめだよ――わたしね、起きられないから……、

【ぱちりと瞬き一つ。少女はためらったような、戸惑ったような目を一瞬しただろう。なにより言葉も一瞬以上に詰まらせて――だけど、その理由というのは、】
【"わざとらしい説教"を嫌がったわけではなかったのだ、むしろ――そんな風に言われるのが珍しい、特に相手のようなひとに言われるのは珍しい、と思ったというはなし】
【諸事情から親族というものが存在しない彼女にとって。こういった言葉をもらうのは――それがなんだか少し愉快で、嬉しくもあり、なら、反抗期のそれとはひどく違うだろう】
【まさにそんな頃合いであるように見えたのだが――"そういう"年頃の少女とはまた違う様子であるのも確か。まるで見た目だけがそうであるかのような、温度感】

――――うん、どうぞ。だけど地面が濡れてるから、気を付けた方がいいよ。

【それから――こちらに、という話になれば、少女は小さく笑ってそれを受け入れる。両手を背中の方で繋いで、その様子を見ているだろう】
【一瞬だけ、手を隠していた。あるいは見せないようにしていた。だけど、彼が悪いモノでなければ、ないと判断できれば――すぐに彼女はまた手を見える位置に出すだろう】
【些細な仕草。だけれど、こんなに月の紅い夜だから――どうしたって譲れないものでもあった。そのくせ"そうじゃない"と判断するのはひどく簡単で、】
【つまり、怖いと思わなければ、良かった。――曖昧だけれど、こんな世界なら、へたな理屈よりも役に立つことがある、直観でもって、彼女は判断するはず】

えっと……改めて、こんばんは――かな? ようこそ――なんて。わたしの場所じゃ、ないけれど。

【時々夜風が古い柵をがたがた鳴らす。それ以外は、彼と、それから少女の立てる音しか、存在しない場所】
【空気はうんと冷たく冴えて、かすかに清く澄んだ水の香りがする。空を見れば紅く染まった月、満月だのに暗く照らされない夜】
【その中で笑って見せる少女は――あどけないかたちをしていたけれど、一般的な"少女"とは少しだけ違うような、そんな気さえ、しそうなほどだった】
483 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/01(木) 00:05:16.01 ID:hpDxODZF0
>>470

【―――さて、人が警察署を訪ねる場合、様々な事由が想定できる。】
【交通違反で切符を切られ、罰金支払いが遅れたためカンカンに怒った状態で出頭している、だとか。】

「この、クソッタレ! 白バイ野郎共が、マザーファッカー!! 影に隠れて違反する奴待ち構えてんじゃねえぞ! やり方が汚ぇんだよ!」

【右も左も分からないような状態の迷子の保護をした為、慌てて両親を探そうと頼ってきた、だとか。】

「ねえ、ボク。君のお名前は……ボビーだね。それで、ママのお名前と住所も……オーケイ。それじゃ、持ち物は? あと今日の服装も……、」

【或いは、住所を変更して車庫証明を取る必要があるからと、平日になんとか休みを取ってやってきた、だとか。】

「ヘイ、頼むぜオフィサー。今日は半休なんだ、昼過ぎにはもう会社に行かないと―――クソっ、なんだってこんなに混んでるんだ、今日は。」

【―――或いは。腕っぷしでとっ捕まえた"賞金首"を連れ回し、ホクホク顔で連行し懸賞金をたんまりと受け取りに来た―――、だとか。】

どいたどいた! ほら、凶悪犯のお通りだよ〜! ああ、子供は見ちゃダメ! このおじさんはね、君みたいな年齢の子供を攫って悪戯して……

「っおい、"キッド"! てめぇ、冗談じゃねえぞ! 俺様はただの銀行強盗だ、それも天才的にクールでジーニアスな……!」

ハイハイ、天才連続銀行強盗さん。誰一人傷つけずに悪事を重ねるのは中々の腕前だったけどね、流石に一か月で10件はやり過ぎさ。

「ケッ……お前も金の亡者だろうが。…おい、そこのクソガキ! ジロジロ見てるんじゃねえ、そこのアマ!お前もだ、今度はお前の家から盗んでやろうか!」


【―――はて。喧噪が支配する慌ただしい警察署の入り口付近に、現れたのは一人の女性と独りの男―――所謂、犯罪者だった。】
【男の方はひどく汚い言葉遣いで自分を銀行強盗だ、天才なんだ、ジョン・デリンジャーの申し子だのと、両手を後ろに縛られたまま喚き散らしており】
【またその男を縛る縄を手に持った女性の方はと言えば、こういった事には慣れっこなのだろう、興味を持って近づいてきた子供に嘘を吹き込んだりと飄々としていて】

【見た儘を伝えるなら、賞金首を捕まえた"カウ・ガール"が警察署にやってきてわーわーと騒いでいる、という風景。】
【そう、カウガール。女性の格好はひどく時代錯誤で、どこか郷愁を漂わせる物だ。古びたテンガロン・ハットに年季の入ったウェスタン・ブーツ、】
【白いシャツは土煙で汚れて、その上には土気色のベストと荒野を想わす黄土色の革製ジャケットを羽織った、有体に言えば西部劇にでも出て来そうな服装―――】

【―――もう、この世界ではある種の有名人ではあったが。】
【その"賞金稼ぎ"は、連行してきた金の生る木を警官に引き渡せば、満面の笑みで賞金を受け取って。】
【あれこれと声をかけてくるギャラリー達に"ハァイ☆"と挨拶、上機嫌で写真撮影までこなしながら出口へ向かっていた、その時であった。】

―――っと、……?

【ふと、目に入るのは>>470の光景。なにやら少女と、警備員たちが揉めている様子―――。】
【少女は冷やかしや悪戯で此処に来ている訳ではなさそうな、それなりに熱意を見せて警備達に詰め寄るが】
【どうにも、相手にされておらず。警察署から追い出しを喰らう一般人―――というと、中々に物騒さを感じざるを得ない物で。】
【西部劇姿の女―――賞金稼ぎはゆっくりと、其方へ近づいていくだろう。】

―――ワオ! それ、すっごい仕組みだね。同じようなの見た事あるよ、"名探偵コナン"ってやつで。
知ってる? むこうの世界のアニメーションなんだけどね、それと似たような"ノズル"のついたスケートボードに乗った主人公が、
街の中を"ジェイソン・ステイサム"のアウディも真っ青なスピードでぶっ飛んでいくの! まあ、あっちはそこまでハイテクな感じじゃなかったけど―――。

―――……その"ロケット・ブーツ"で、何をする気かな。そのままジェットで警察署に突っ込む?
それとも、大人しく家に帰るつもりなのか―――そのどちらかは分からないけれど、勿論前者なら止めなきゃいけないし。
後者だとしても、ちょいと聞いておきたいな。何で、お年頃の女の子が警察署なんかに用事があって、それに摘まみだされているのかを―――、ね。

ああ、アタシはセリーナ! 自己紹介が遅れたね。貴女の名前は?

/まだいらっしゃいますか!
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/01(木) 00:18:31.22 ID:3ff5cnhoo
>>481

「手を貸している程という訳じゃないんだがな」

【まともなところだけにしろ、と咎められるのだが】
【利益率だけで見れば機関などの悪い組織が多いのである】
【彼女の目線に友好的なものを感じない為に、聞き入れてもらえないのだろうが】

「……戦闘をする気はさらさらないのだが」
「それとも何だ、商業の自由を剥奪しようとでも言うのか」

【彼女のそれは挑発なのだろう】
【だがこれに乗ってしまってはこちらに非があると見られかねない】
【もう一本新しい煙草を取り出し、ライターで火をつけた】
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 00:20:29.86 ID:YHogobf7O
>>482

【許可が下れば、赤い月の下、まるで夕暮れに飛ぶ蝙蝠のごとく】
【大柄な体躯が軽々と柵を乗り越える】
【ローブが翻り、腰に付けた鈍色の棒、拳2つ分程の長さの其れが月に染まる】

やあ、こんばんわお嬢さん。
良い心掛けだ。私のような者を相手にするには特に素晴らしい

【およそ5歩の間をあけて相対した二人】
【努めて少なくせんとする彼女の警戒心を察知できた男は、感じ入ったように瞬きして相好を崩す】
【自らの立場を振り返った時、相手の対応は誉められこそすれ非難の対象とはなり得ない】
【分かるからこそ、先程と言い、いやがおうにも上からの物言いになってしまうのだが】

そうでもない。疑いようもなくここは君の舞台だ。我が身は只の招かれざる客にすぎない
君がなにものであれ、私にとやかく言う権利はないのだから……
思うがまま、存分にこの夜を楽しむといい

【月があまりに美しくて、客席を飛び出した滑稽な客】
【己が彼女と同じ舞台の住人だと勘違いした哀れな男だと】
【近寄ったは良いが、男に彼女の場を侵害するつもりはなかった】
【始めに述べた通り、夜に独りで居ることこそが心配なのだと、微笑んで繰り返す】
【だから説教こそすれ彼女の行動は止めないし、邪魔する気も毛頭無い】
【見るな離れろと言われれば素直に従いそうな気配さえ見せながら、しかし背筋は変わらずぴんしゃんと伸びて】

故に今夜だけは、この黄昏の騎士に守らせてもらおう

【芝居がかった仕草で締め括り、胸に手を当て頭を下げた】
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/01(木) 00:34:10.73 ID:ZwfMNSsRo
>>484

あら、自由は保証されてるものだけれど、それには”公共の福祉に反しない限り”という文言がつくのよ?
貴方の場合、明らかに反しているから咎められるものだと思うわ

戦いたくないのなら、このままご同行願えるかしら?
その方が私も楽よ。自警団に丸投げすればいいんだから

【男の予想通り、女に聞き入れる気は一切なかった】
【右手を男の方へと向け、いつでも攻撃ができる態勢をとる。そして反対の手で手招きをしてみせる】
【指示に従わなければ撃つ、という意思表示だ】

//すいません、そろそろ寝なくてはいけない時間になってしまいました
//ここで中断して明日に持ち越すか、それとも何らかの形で別れたということにして終えるかはお任せしますので!
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/01(木) 00:43:31.14 ID:1BhomOnk0
>>485

【その身のこなしは、見た目こそが間違えてしまったように軽やかで、そう、本当に、空を音もなく飛んで回る、こうもりのような】
【捕まえようとしても捕らえられないものだと思わせる、だから――相手はきっと強いのだろうなという認識になり、ならば小さな吐息は】
【だけど――警戒を強めたというには、あまりにもつたないものだった。きっと――その心中を推察するとすれば、きっと、純粋に、"すごい"と感じている】

ん――、……ごめんなさい、やっぱり、ばれちゃうね――、

【そして降り立った彼との距離は、そう近くはないが――遠くもない。互いの得物にもよるだろうが、少なくとも――少女にとっては、ある程度は好ましい距離だった】
【じっと見つめいた目が、けれど、彼の言葉に少し丸くなってから、くしゃと笑う。観念したように見せた両手はひどく真っ白で空っぽだ、得物もない、魔力も煌めかない】
【たねもしかけもないのを示すように数度無駄にひらひらさせてから、身体の前――見える場所で指を絡ませるようにして、繋ぐ】

えっと……ごめんなさい。わたし、UTでお仕事をしているの、白神鈴音――ううん、だけど、お料理を作るのがお仕事。
だから――やっぱり。ここはわたしの場所じゃない、わたしより……あなたのほうが似合うみたい、ひらりってするの、恰好よかったから――。

【それで――降参する、いわゆる"そういった"人員ではないものの、所属と、それから名を明かす。もしも彼が知っていれば……になるけれど】
【風の国のUNITED TRIGGER……そこが月の半分ほど行っている、孤児への食事の無料提供。それを提案した人間の名前は、まさに、この少女の名前であり】
【だから嘘は吐いていない。かといって知らなければ特別の意味はない、――ただ、どちらにせよ、戯れの嘘つきで名乗っているようにも見えず】

【ひらりとはさっき柵を飛び越えたときの翻るローブの話だろう。なら――その腰に帯びた得物のようなものも見たのかもしれないが、触れず】

――わ、もう、そんなの、大丈夫だよ……、ちょっとね、恥ずかしいし――それに、その、わたし、きっとあなたが思っているより、大人だよ。

【「今年で二十五歳だから」」
【守らせて――だなんて言われてしまえば、急にぱたぱたと慌てたようなしぐさを繰り返す、そんなのとんでもない、と、一人で慌てて】
【寒さのせいじゃなく頬を赤くして――告げる年齢はやはり見た目から推察できるものよりもいくらも上だ、それから、困ったように目をそらしてから、彼へ視線を戻し】

それに……その……、わたし、ね、いま、強くなりたいって、だから――自分くらい、守れなくっちゃ……。

【きっとうんと強い彼の前で言うのが少し憚られるように、そう、付け加える。身長差のせいで必然的に上目遣いになって、少しばつの悪いような顔をして】
【それから――もし、彼の名乗りが、あの朝市の日に出会った少女に聞いた古風なものと、同じような読みをするのであれば。そう名乗ったのならば。また、目を丸くするのだけど】
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 00:57:02.33 ID:SW+mcQ250
>>483
/すみません、すっかりモンハンやってました。
/今からお返事書かせていただいても大丈夫でしょうか?
489 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/01(木) 01:11:26.67 ID:hpDxODZF0
>>488
/俺の友達もみんなそうだッ!! みんなしてモンハンモンハンって!!
もう俺にはロールしかないのでお願いしますお待ちしてます……ッ!!
もう時間が時間なので、恐らくは凍結前提ですが、それでも良ければぜひぜひ。
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 01:20:48.69 ID:SW+mcQ250
>>483

【少女はふてくされたような顔をしたままスマホをいじっている。】
【急に話しかけられても顔色1つ変えず、むしろ睨みつけるようなジト目で】
【その季節外れのウエスタンの上から下まで、センサーが精査するように見回す】

はぁ?すみませんが、存じ上げません。そんな…アニメーション?
突っ込んだりしませんよ。アニメーションじゃないから、こっちも怪我じゃすまないでしょうし。

【心のなかでは『初対面の見知らぬ相手に、一方的によくまあ、そんなに話せるものね』と毒づく】

そうですね。大人しく家に帰ろうと思っていたところです。ご飯でも食べるぐらいの寄り道してから。

【本当は、少女の常識ではありえない、これまで出会った人の中で最もフランクなこの人物に驚いていて】
【その対応の仕方をこれまでの大人の相手の仕方では対応しきれそうに無いことに】

…めんどくさっ

【と、心の本当の声が少し漏れてしまった。】

今のところ、名乗る必要性が感じられません。
もう一度、警察に行きます?今度は、被害者と、容疑者で

【正直、この明るい人物に不信感しかない】
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 01:22:37.85 ID:SW+mcQ250
>>489
/ありがとうございます。
/めっちゃ面白いです。
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 01:24:00.06 ID:YHogobf7O
>>487

【彼女の吐露に眉を動かしたり、ほぅ、と呼気を漏らしたり】
【一頻り聞き終えたあと、暫し沈黙に身を任せていたが】
【それも少しのこと。噛んで含めるように、足を開いて腕を組んだ】

それは失礼した、……レディ。しかし
年齢は関係ないさ。
自らを高め強くあろうとする者に、歳も性別も、種族も――垣根はない。
それが、己のためでなく、誰かのためにであるならば、尚更――――

【まとものように見えて、幾分突き放した物言いとなるのは。仮にも騎士を名乗る男の、これまでの生きざまを写したものだろうか】
【しかしそう言わしめたのは紛れもなく彼女の強い宣言】
【何処かの馬鹿にも聞かせてやりたいものだ……とは、完全に胸の内の呟きで】
【しかし多少なりとも己も浮かれ心地であるのは否めない】
【本来は黄昏の騎士(トワイナイト)等と名乗るつもりはなかったのだが、月の魔力にあてられたか。軽く咳払いして】

しかしそう言われると格好がつかないな。
張り切って翔んだはいいものの、このざまでは

【着地の拍子に水溜まりを踏んづけ、黒く染まった靴を持ち上げ眉根を持ち上げる】
【男なりに場を和ませようとしたのか、それとも本当に失敗を恥じ入っているのか】
【大仰に足を持ち上げぶらぶらと振る仕草は、滑稽さを誘い】

ふむ、影を纏った月明かりでは、足元が心もとない。
舞台に幕を引くというなら、せめて街の中まででも送らせてはくれないか。

【彼女がここに用はないとするなら、手を広げ、道中付き添いを申し出る】
【彼女自身の気持ちの変化が結果とは言え、少なくとも練習を止めたのは自分だから】
【しかし責任、等と感じる必要は互いに全く無い。何故なら男は月下の
花を美しいと感じ】
【それを愛でようとするのは騎士に依らずの感性だから】
【無論断られればそれまでであるし】
【仮に、別のトワイナイト――銀髪の女に話題が移ったら、その時は初めて顔をしかめるだろうけれど――――】


/此方から絡んでおいて申し訳ありません、眠気が近づいてきたので
/凍結か〆をお願いしたいです
/凍結の場合は明日も同じ時間にこれると思いますので……
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/01(木) 01:25:23.43 ID:1BhomOnk0
>>492
/了解しました、では凍結お願いできたらと思いますっ
/このあとお返ししておきますので、どうぞおさきに休まれてください!
/ひとまずお疲れさまでしたっ
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/01(木) 01:31:15.20 ID:3ff5cnhoo
>>486
// 了解しました、明日返します!
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/01(木) 01:49:39.19 ID:1BhomOnk0
>>492

【かといって――レディなんて呼ばれてしまうと、それはそれで申し訳ないような、恥ずかしいような、照れたような気持ちになってしまう】
【きっと思っているよりも大人。だけど、その年齢で、みんなに思われてしまうほど――大人ではない。それが恥ずかしくって仕方なかった、早く大人になりたいのに】
【お姉さんぶって頑張ってももう少しがどうしたって物足りない、そう思い浮かべてしまえば、表情は曖昧になって】

そう、かな、……でも。きっと、あなたがそう言うのなら、そうなんだね、――。

【苦いような、自嘲するような、笑み。眉をうんと下げて笑って――だけど続く言葉は、この短い間に。彼が明確に騎士であると感じて、認めた証拠か】
【胸の内に気づくはずなどない少女はやはり曖昧に笑うから、どうにも、弱弱しい。気が強いのだか、弱いのだか――】

ううん、でも、地面がどろどろなのは、あなたのせいじゃないから。……地面がでこぼこだから、溜まっちゃうんだね、きっと、……。
そこ、さっきまで、……なんだろ? トタン? の下で……、溜まったのも、なかなか乾かなかったのかな。

【泥水に濡れた靴を「うわー」とでも言いたげな顔で見ていた、こんなに冷たい夜ではすっかりと冷えてしまいそうで、どうしようもないのだけど、どうしよう、とでも言いたげに】
【それから指差すのはぼろぼろに朽ちて穴だらけになったトタンだったと思わしきもの、一番最初の音は、おそらく、これを退かした時のものだったのだろう】

えっと……、……ごめんなさい、嫌だったら、言って――今から少しだけ、"お話"させてほしいの、……その水と、

【眉を下げてしばらく靴を見ていた。それから数秒後、意を決したように、彼へと一つ、二つ、三つ……距離を詰めるだろう】
【それから言うのは、一見すればよく分からないこと。だけれど彼女からあふれた魔力が水の属性を持っていたのに気づいていたなら、あるいはつながるのか】
【許諾をもらえれば、彼女はそっと、彼の足元にしゃがみ込んで――指先で、そっと、特に濡れた場所へ触れるだろう。それから、ほんのわずかに、魔力を指先から漏らし】
【彼の靴にしみ込んでしまった水の支配権を奪い取ろうとする――そしてそれが叶えば、彼の靴にしみ込む水を、"蛇"の形にして、そのまま、地面のぬかるみに返すのだろう】

…………、

【それから――相手の言葉には、刹那、ふつと黙り込む。ちらと横目でうかがった月は、まだ紅い。それなら、帰ってしまうのは、すこしだけ、物足りないような……】

ねえ、ね――騎士さんは、女の子を、知っている? えっと……短い、銀色の髪の子――、……この前、助けてもらったんだ。お礼を、できなかったから――。

【――ならば。少しいたずらぽく尋ねるのは、彼女なりのわがままだったのかもしれない、もう少しだけ……この場所で、お話していたい、と】
【聞いた名から思い浮かんだのは、やはり、あの少女だった。だけど――悪口や文句や苦情でないのを示すように、最後には、そんなことがあったのだと、付け足し】
【だからこちらの表情や声は好意的なものだった。言い終えれば返答を待つように一瞬黙るだろう、なら、多分、しかめられる表情も、ばっちり目撃する、はずだった】

/というわけでお返ししておきます! お手すきの際に返していただけたらと思いますっ
496 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/01(木) 01:51:42.63 ID:hpDxODZF0
>>490

【恐らくは―――スマホをカチカチと弄繰り回している時点で、このガンマンは察しなければいけなかったのだろう。】
【目の前の少女は、自分の様なローテク極まる、アナログ大好きでオールデイ・オールドデイズのタイム・スリップ女とは違っていて】
【昨今の若者らしく静かで平穏、バカみたいなテンションで暴れたりもしなければどこか冷めた様子すら垣間見える程大人びているのだ―――と。】

【だが、見抜け無かったものは見抜けなかったもの。仕方がない。】
【セリーナ、と名乗るその女は冷ややかで素っ気ない少女の対応に冷や汗を流しつつ、応える。】

……オーライ、オーライ。
その"ポチポチ"が大事なのはよ〜く、分かった。けどねぇっ!

【すっ、とスマホを弄ったままの彼女の目の前。】
【丁度画面と顔面の間に、無理やり顔を突っ込む様にして、その顔を覗き込もうとする―――女!】

人と話す時はちゃんと顔を見る事! 学校で教わらなかった?
それともアタシが"ヒト"に見えなかったかな、でもこれで分かった筈だよ。アタシは人間だ!

【嗚呼、まったく。少女の思う通り、この女は少女が今まで見てきたどのような大人とも違う】
【頭の中のデータベースを全てひっくり返した所で見つかろう筈もない、それ程までに"飛んだ"精神の持ち主。なにせ―――。】


そう。家に帰るならそれもよし。けどね、なんで―――警官に摘まみだされてたのか。
そこだけは聞かせてもらうよ、悪いけれどアタシは、

【女はすっ、と胸元から一枚のカードを取り出す。】
【其処に記されていたのは " UNITED TRIGGER "の文字―――そう。】
【少女がスマホを弄繰り回してネットにも精通しているのならば、知っていて可笑しくない人物が目の前の女。】

【過去幾度となくこの世界を危機に陥れてきた"カノッサ機関"や重犯罪と立ち向かうべく】
【"一人の女性"によって設立された、正義を掲げる民間の武装組織―――UTと呼ばれるその集団の、長。】
【長にして、創設者であり、そして派手な発言やコマーシャルへの出演、テレビ放送されている武道大会への出場等で"知名度"もある―――、】


―――"こういう組織"に、所属してるからね。
未成年の身に迫った危機には敏感なのさ、"ポチポチ・ガール"!
名乗る必要性ってのは確かにないかもしれない、けれど……"放っておけない理由"ってのが、アタシにもアタシの組織にも、あるんだ。

勿論、警察に行くのも構わないよ! 署内の人間には顔も効く、アタシが一緒なら……"聞きたがってた事"を聞き出す、チャンスかもしれないよ?

【そういう、存在。セリーナ・ザ・"キッド"。それが目の前の女の名前であった。】
【不信感という点では、彼女が本名と所属を名乗った事で本来であれば取り除けるであろう、尤も―――】
【―――もし少女が。"この世界"に来て日が浅い、又は―――別の世界の事しか知らない、"迷い子"であるならば―――話は、別だ。】

【その場合、依然として信頼は得られない筈。とはいえ、そうなればセリーナはまた、別の手に出ようとするの、だが。】
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 02:21:45.58 ID:SW+mcQ250
>>496

ハァ…

【仕方ないと、諦めるようなため息をひとつ吐く】
【スマホをホルダーにしまって、相手の目をジッと見つめる】
【売り言葉に買い言葉とでも言ったところか。こうすればいいんでしょ?と訴えている】

そうですね。大学を飛び級してマスター過程に行ったからか、常識がなくてすみません。

【この少女は皮肉たっぷりに、その皮肉をさらに憎たらしくするために礼儀正しく、笑みを付け加える】
【どうやら身長と見た目よりも年齢は周りが第一印象で思っている程、低くはないようだ】
【少女が背伸びして嘘をついているようには見えない。】

UNITED TRIGGER …!

【少女はこの日一番のリアクション。目を大きく見開いて、その名を呟いた】
【勿論知っている。そして好都合である。この抱えている問題にはちょうどいい】

私は、麻季音(マキネ)。肩書は色々あるけど、いま適しているのを名乗るなら探偵助手。
私がここに来た理由は、先日の『フルフェイス事件』について詳細を聴きに来たの。

【少女は切り替えて、邪魔な敬語をやめ、簡潔に自己紹介をした。秀才の少女、謎のメカ、そして探偵】
【聞きたいことは山ほどあるだろう。しかし、少女は自らがこの会話の主導権を握ろうとする】

それで?この寒くて居心地の悪いところで長話するつもり?
498 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/01(木) 02:34:26.40 ID:hpDxODZF0
>>497
/っと、面白くなってきたところですみません!
一旦凍結でお願いできますでしょうか、明日はもう少し早い時間にお返しできるかと思います!
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 02:37:33.14 ID:SW+mcQ250
>>498
/了解しました。お待ちしております。
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/01(木) 21:27:27.55 ID:3ff5cnhoo
>>486

【頼まれれば頼まれた分だけ、誰にでも売ってきたのだ】
【其のために、正義組織に狙われる可能性をすっかり忘れていたのだ】
【ここで捕まってしまえば商業活動もできなくなってしまう】

「……自警団に捕まるのは御免だな」

【ローブのポケットに手を突っ込むと、男は何かを触った】
【それはガラスのように透明で、まるで水晶のようにも見える】
【男が僅かに目を瞑れば、虹のような彩色をした粒子が見えるかもしれない】

【それから、男は右手を握りこむだろう】
【さすれば鈴を小さく一つ鳴らしたような音がして、右手に何か握られる】
【それは紫色の弾丸であり、先ほど機関の男が持っていたそれと同様だった】

【それが先ほどのケーシングヴォイド弾であることがわかるだろうか】
【機関員が大量に持っているそれも、同じ効果を有している】
【――つまり、男は“弾薬専門の武器商人”なのだ】

【魔力残量 28/30】
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/01(木) 21:38:11.83 ID:NhP2wdQ+o
>>500

(……意外ね)

【戦う意思を見せたことに、女は軽い驚きを覚えた。戦う手段を用意していたことはともかくとして】
【完全に連行ができる、そう踏んでいた。威嚇が甘かった、と言えばそれまでだが】
【しかし、いざ戦う状況になれば、女は不敵な笑みを浮かべる】

いいわ、だったらこの天才魔術師のマーディ・マルディシオンが相手をしてあげる!!

【任意の連行が難しければ強制的にやれば済むだけのこと。女──マーディにとって予定を変更する理由はなかった】
【今まで威嚇で振るっていた腕を今度こそローブの男目がけて振るう。動きに合わせて炎の塊が空中を直進。男へと飛来する】
【大きさは機関員を気絶させたものよりを上回る。当たればそれなりのダメージが見込めそうだ】
【女の左手ではすでに魔力が凝集。次弾を作り上げていた】
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 22:46:22.62 ID:nfqFk9GuO
>>495
/すみません……本日帰宅の目処がつかず、返信が難しそうです
/明日中には必ずやお返しさせて頂きます、申し訳ありません
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/01(木) 22:47:26.05 ID:ibqHn7b10
>>502
/了解しました、お気になさらずですっ
/明日は帰るの遅いと思うので、お手すきの時にお返事いただけていたらすぐにお返しできるかな……と!
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/01(木) 22:52:40.41 ID:3ff5cnhoo
>>501

【彼女は魔術師だったらしい。特徴的な服装に納得がいく】
【しかし、彼女を戦闘モードにさせてしまったことに多少の後悔をして】
【炎の巨弾が此方へと迫ってくる。男はその炎弾を視認すると】

「徹底的な大火力だな――っ!!」

【俊敏さは一般人のそれを圧倒的に凌駕しており】
【初っ端の炎弾はすれすれで回避――着弾時の衝撃で少々ふっ飛ばされはしたが】
【右腰のリボルバーを受け身を取りながら抜き、彼女に銃口を向ける】

【パン、パンと乾いた音が響き銃弾が放たれる】
【曳光弾のように紫の尾を引き、彼女の足元に着弾するだろう】
【すると其の弾丸は重力フィールドを展開し、彼女を動きにくくするだろう】

【そして、次に右手を握ればグレネードがひとつ握られる】
【炎の魔力を消費し、爆発時の威力を高めたそれを、ポケットの中に隠して入れる】
【次弾は準備されているようで、油断はしてはならないだろう】
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/01(木) 23:20:21.67 ID:NhP2wdQ+o
>>504

ほらほら、逃げるんなら頑張らないと!
直撃したら痛いわよっ!

【回避する男を見てマーディは余裕そうな笑みを浮かべる。自分の優位を疑っていない笑みだ】
【さらにもう一発お見舞いしようと左腕を振り上げる、が】

ちょ、何これ!?

【足元に命中した弾丸。それらが展開するフィールドによって身体の動作が減速される】
【一瞬、何が起きたか分からず動きが止まる。足元を見てやっと原因を理解する】

何、よっ、変なもの使って……生意気なっ!

【戸惑いながらも強引に腕を振り抜き、二発目の炎弾を射出。やはりこれも直進して男へ向かう】
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/01(木) 23:49:08.92 ID:3ff5cnhoo
>>505

「生意気なのは――」

【お前だ、と口にする暇もなく火球が襲い来る】
【駆け出しは早く、ローブのポケット内にあるグレネードを取り出す】
【すれすれで回避すると同時に、グレネードのピンを抜き彼女の方へと転がす】

「っく、ローブに火がつきやがった!」

【しかし火球の回避がすれすれになったためにローブに着火したようで】
【急いで脱ぎ捨てようとするが、右腕が少し引っかかり時間を多少ロスする】
【脱ぎ終えたのなら即座に後方へ飛び、彼女の攻撃に備える】
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/02(金) 00:06:45.18 ID:Y9avuCGoo
>>506

悪徳商人の癖に意外と動けるじゃないの!

【攻撃を避け続ける商人に感心したような声をあげる】
【グレネードが転がってくると足を後ろに引く。そのまま回避行動を取ろうとするが】

あ、やばっ……!

【そう、重力フィールドに捉えられているせいで動きが鈍い。気づくまで一瞬だったが、その一瞬が戦いでは致命的だった】
【最早、回避の時間がないと悟ったマーディは魔力を身体の前方に集中。次の瞬間にグレネードが爆発。爆煙が彼女の姿を消す】
【爆煙はすぐに晴れ、衣服のあちこちが切り裂かれたマーディの姿が現れる。多少、煤で汚れてはいるが、身体に怪我は見られなかった】
【咄嗟に発動した魔術で、爆発の衝撃や炎を軽減したのだ。しかし、女には怒りの表情が浮かんでいた】

くっ、いい度胸してるわね。折角の衣装が台無しだわ!!
貴方を丸焦げにしないとこの怒りは収まらないわよ……っ!!

【怨嗟の声と共に再び魔力が両腕に集まり、集結。両手にそれぞれ炎の塊が現れる】
【マーディはそれらを連続で投擲。さらに両手を前方に出してより多量の魔力を集中し始めている】
【大きな魔術の前兆ではあるが、隙だらけともいえる。上手く対応すれば攻撃のチャンスか】

//すいません、今日も時間が……
//前日同様、続行するか終えるかはお任せします。連日、申し訳ない
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/02(金) 00:13:43.44 ID:bDcl6qHEo
>>507

// 了解しました、明日またやりましょう!
// 明日お返ししますねー!
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/02(金) 22:19:20.26 ID:bDcl6qHEo
>>507

【転がしたグレネードは、重力フィールドで動きが鈍い彼女を直撃した】
【爆煙が晴れると、そこには衣服のあちこちが裂けてしまっている彼女の姿】
【――そして何より、彼女を怒らせてしまったようで】

「丸焦げにできるもんなら、してみな……ッ!」

【強がりを言いはしたが、彼女の怒りが篭った攻撃は恐ろしい】
【というのも、彼女の攻撃は唯でさえ威力が高いのに、同時に放たれれば】
【本能で火球をよけていたが――、彼女の左手から放たれた火球を避けきれず壁にたたきつけられる】


「ぐっ……、は……。不味いな……」

【呼吸をするのも苦しいほどにダメージを負ってしまった】
【深呼吸して一度息を整えた。彼女の攻撃の手は収まらないだろう】
【それに、最後の一撃にも見える攻撃を放とうとしているのだ】

【男はその右手に、ブロンティ・スピナーを創りだした】
【立ち上がって、ある程度の距離を話した場所に立てば、槍の先端のような穿孔針を向ける】
【そして、トリガーを引けば勢い良くその針は、彼女の腹へと向かっていく】

【刺さったとしても、実物の針では無いために痛みはない】
【だが、一気に雷の魔力が解放されるため、身体に小さくはない電流が流れる】
【それで集中が途切れれば、彼女の大攻撃を避けることもできようか――】
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/02(金) 22:55:54.71 ID:Y9avuCGoo
>>509

なっ、……言ったわねぇ!

【男の強がりはマーディの怒りを更に燃え上がらせたようで、眉が吊り上がっていた】

だったらこの一発でお望み通り丸焦げにしてあげるわ!
服ぐらいは全部吹っ飛ばしてあげるから、丸裸になって自警団の世話になることね!!

【怒号と共に魔力が増大。両手の前にさらに魔力が集まり、次第に形を作っていく】
【そのときに男が針を射出。不運なことにマーディには溢れ出す自分の魔力と形成中の炎のせいで細かい動きが見えていなかった】
【したがって針はそのまま着弾。相手は何をしたのか、とマーディが怪訝に思ったとき】

いっ、あぁああああああああああああっ!!

【電流が腹部から発生して、その激痛に絶叫。集中は完全に妨害されて集まっていた魔力が霧散していった】
【それだけでなく、マーディは膝から崩れ落ちて地面に倒れこんだ。気絶してはいないものの、時折、身体が痙攣している】

んんっ、こ、のっ、よくもぉっ……!
あっ……ぜんぜん、からだうごかなっ……んぁっ……じゃないのっ……!

【身体が痺れて動けないというのに、口からは何か文句を言おうとしていた。完全に意地だ】
【男からすれば逃げるチャンスでもあるし、攻撃をする隙もある。主導権が渡った状態だ】
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/02(金) 23:43:38.08 ID:bDcl6qHEo
>>510

【放ったスピナーは彼女に刺さったらしく、大電流が流れた】
【形成していた炎は集中が切れたことで霧散し、攻撃される心配はなくなった】
【しかし、彼女は電流の影響で地面に崩れ落ち、時折痙攣もしているようだ】

「おい、大丈夫か。無理に喋ろうとするな」
「加減ができなかったみたいだ、すまない。応急処置で悪いが、痙攣は収まるはずだ」

【男の手に握られているのは、青色の液体が入ったアンプル剤だった】
【水の魔力を利用した、回復に用いることができるそれ】
【手際よく先突部を折り、注射器に繋げていく】

「少し痛いかもしれないが、我慢してくれ」

【そして、彼女の抵抗がなければ彼女の右腕に皮下注射する】
【男は注射に慣れていることもあり、そんなに痛みは感じないだろう】
【射って数秒もすれば、身体の痙攣は徐々に治まってくるはずだ】
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/03(土) 00:06:30.70 ID:kY4z9yQOo
>>511

ちょっ、と……な、に、しようと……してんのよっ……

【注射器を見てマーディは焦った。薬物を打たれるのは流石にまずい。それが回復剤だとは夢にも思っていなかった】
【抵抗しようとするが身体が動かない。どんなに頑張っても動くのは口だけだ】

や、やめなさいよっ……そんな、なんか打って……どうしようっていうの……!
あ、なた、じんしん、ばいばいとか……そんなのまで、やろうっての……!
言っとくけどっ、私の、可憐な身体に……指一本でも触れてみなさいっ……どうなるかわかってるんでしょうね!

【完全に昏睡させられて売り飛ばされると思った彼女はその後「さいてー」だの「へんたい」だのと罵っていたが】
【注射を打たれてから数秒。身体の調子が戻っていくことに気がつくと罵倒の言葉も収まっていった】
【そして動けるようになると無言で立ち上がり、両手を開閉させたり、脚を動かしたりする】

…………何よ、美少女をとっ捕まえて売ろうってわけじゃなかったの?

【攻撃するでも逃げるでもなく、ローブの男にジト目を向ける】
【明後日な方向に勘違いしていたことが後ろめたいのか、語気はいくらか弱かった】

//すいません、またちょっと時間が
//また明日に引き継いでもらってもいいでしょうか?
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/03(土) 00:16:22.09 ID:snTRU7Lfo
>>512

// 了解しました!
514 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/03(土) 01:50:52.64 ID:anG45TOZ0
>>497

【皮肉や嘲笑は慣れっこであった、この女もまた違う意味での"変わり者"。】
【とはいえ、真意は分からずとも目の前の少女が大学を飛び級したのだ、と言えば素直に驚き。】
【セリーナは相も変わらずオーバーなリアクションでそれを受け止め、ちょっとの皮肉も交えて言葉を返すだろう。】

ひゅーっ! 大学を飛び級!? すっごいね、それ! ハイ・スクールじゃなくてカレッジを飛び級だなんて!
それじゃあ"ミス・プロフェッサー"? 改めて挨拶を。マキネ―――……オーケイ、"マキちゃん"って呼ぶね!
マキちゃん、天才ってのは得てして変わり者が多いから……常識の一つや二つ、欠けてても気にすることないよ!

で―――、探偵……。
探偵かぁ、探偵助手―――……ふーむ、なるほど。
優秀であればあるほど、探偵ってのは警察から目を付けられて煙たがられるからねえ、そう言う意味では―――……。

【追い出されたのにも納得がいく。ましてや、こんな少女が探偵助手として】
【警察を訪ねてきたのなら事情を知らない警備員には怪しく映る、というのもあながち可笑しなことではない。】
【だがその後、マキネが紡いだ"フルフェイス事件"―――という単語には、セリーナもまた別の反応を見せる。阿呆の様な先ほどとは打って変わって、だ。】

……フルフェイス事件。確か生活困窮者の暴走、ってことで片が付いたばっかりの、"あの"事件、だよね。
アタシも勿論知ってるし、探偵さんが聞き込みに来るような事件としては"秘匿性"には欠ける物、だと思ったけれど―――、
あの事件さ、なんか可笑しかったよね。発生から解決、特定までが異常に早かった。警察の努力の賜物、って言えばそうなのかもしれない。

でもなんていうか―――、探し出した解答を公表した、という訳じゃなくて。
皆が納得行く様な答えを掲示してとりあえず終わり、って事にした様な―――そんな印象を受けた。
ああいや、勿論警察をハナから疑ってるわけじゃあないんだけど……"こういう仕事"をしてるとさ、色々疑ってかからないと身が持たなくって。

【フルフェイス事件、という単語を聞いて、何も反応を見せないのならばそれこそ。】
【この女はあんな組織をおっ立てて腕利きの賞金稼ぎに等なれなかっただろう、矢張りあの事件について、想う所があるようで。】

ふふっ、そう焦らないでって。オーケーオーケー、それじゃ移動しようか。
丁度良かった、さっき"マヌケ"さんを一人輸送して懐も暖かい中"ウチ"に帰る所だったんだけど―――
良ければその話、UTの酒場で続きを聞かせてくれないかな。もっちろん、一杯くらいなら驕るからさ、ジーニアスさん!

【そのまま自分の背後を指さし、移動することを提案するだろう。半ば急かされて、という点では】
【主導権はきっちりと握られている様な気もしたが―――この場合は、其方に譲るのがベストだろう、という判断もあって。】
【ともかくセリーナは、堂々と路駐してある愛車、異世界はマセラティ社製のクーペを親指で示して、"乗っていくかい"、とナンパ染みた言葉を発した。】

/遅くなりました、大変申し訳ありません。お返しさせて頂きます。
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/03(土) 02:35:26.51 ID:ssYE+x5I0
>>514

【正確には学部は一年間通った。もっと正確に言うとすぐに留学していたのでテストとレポートだけ通っていた】
【彼女にはどう解釈されていても構わなかった。自他ともに勉強に関しては優秀だとは思っているが】
【だからといってそれで得をしたことと言えば無駄な学費を払わなくてよかった程度だ。】

大学の制度の盲点を突いただけ。1,2年くらい珍しくもないし大したものじゃないわ。
はぁ、まぁ、お好きなように呼んでもらってかまわないけど

【すぐに調子を狂わせに来る相手に困惑気味であったが、思い返せば学者も変わり者も多い。まだ話してくれるだけ】
【コミュニケーションが取れるだけ学者よりマシだというものだろう。】

ええ、報道で一瞬だけ大きく取り上げられたわ。街のど真ん中で無差別殺人、犯人の自殺…
亡くなった人には悪いけど、報道が全て事実ならこのニュースは解決済みね。

【事件の話になってから、相手の顔色が変わったことに少女は感心した。流石は正義の代名詞的地位のある人物】
【こちらのスイッチを入れてもらえている方がありがたい。そのほうが話も早そうだし、少女にとっては話もしやすくて済む】

しかし、報道されていない不都合な真実があるとしたら?

【少女はまたスマートフォンを操作する。目的地を検索し、最短ルートが自動的に設定される】

お誘いどうも。じゃあ、先に待ってる事にするわ。

【ポケットからスポーツゴーグルを取り出して装着する。スピードスケートよろしく構える】
【もう既に、彼女が何をしようとしているかはおわかりだろう。】

【マイペースでせっかちな少女は、細長いタイヤ痕を残し少女は先に飛び出す!】
【最高速も加速も分があるのはセリーナの方。しかし、車の間を縫って、細い路地を駆使し、公園の生け垣を飛び越え、道交法に引っかからない少女】
【果たして、先につくのは?―――】
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/03(土) 02:36:05.82 ID:ssYE+x5I0
>>514
/ぜんぜん大丈夫です。よろしくお願いします
517 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/03(土) 03:15:56.72 ID:anG45TOZ0
>>515

【勉学はアレだが―――逆にコミュニケーションに関してはそれなりに。自信もあった。】
【まあ、そうだからこそ、冷ややかな対応の少女にも、変わった状況にも臆面なく顔を突っ込めるのだが。】
【ともかくセリーナはスマートキーで車の鍵を開けると、そのままマキネを中に招き入れようと、するの、だが―――……!】

 ―――おわっ!? ちょっ、寒いのに!!
 乗らなくていいの!? ねえ、待って―――、ああ、もうっ!!

 ―――これだから若い子は。せっかちだなぁ……ふふっ。

【言葉もうまく交わせず、カチャカチャとローラースケートを起動させるマキネ。】
【天才の面目ここに極まれり。矢張り探偵でスケート、というと"アレ"を思い出してしまうのは】
【セリーナが良い年こいてアニメ見てるからか、それとも夢見がちだからか、或いはどちらもか。ともあれ。】

【公表されていない真実があるとすれば、という。その言葉にはセリーナもだんまりだ。】
【警察にも立場があるし、何でもかんでも世に出すわけにはいかない、のかもしれない。そこには何らかの意図があって】
【ただ問題はそれが"警察の不利益"を意識しての物だった場合だ―――人間を、民間を護る為の緘口令であるのなら、何の問題も無いのだが……。】

【ふう、と一息吐き出して。セリーナは自身も座席に乗り込み。強烈なV8エンジンに火を入れる。】
【ブォン、という官能的なエキゾーストをこれでもかと唸らせて―――金属製の狼が走り出す。その速さと来たら―――ッ!!】


  ≪ププー。ププー。ププー。≫


 ……。……ま、渋滞に巻き込まれちゃ、しょうがないよね。

【路上のあちこちからクラクションが鳴っている。恐らくは、右折待ちの下手糞な大型トレーラーのせいで】
【片側一車線の細道が混雑しているのだろう。セリーナはどんどん上がっていく水温計を睨み付けながら一言漏らす。】

 ―――アニー、つれてくればよかった……。

【あの愛馬なら、或いは。バイクでも良かったが、ともあれ。冬という事で横着し車を選んで罰が当たった様だった……。】
【たっぷりと時間をかけて、スーパーカーはUTの酒場へと到着する。負けじとばかりに、優雅な気分を味わおうと車内で珈琲なんて飲んでみたが】
【矢張り公道では道交法無視のすり抜けこそが正義、というところか。―――ん、道交法……、?】

 ……マキネ、それ……車検―――……いや、やめておこう。ともあれ、ようこそ! というか、お待たせ、かな。

 UNITED TRIGGERへ!

【酒場の鍵をガチャリ、と開けて中へと案内するセリーナ。落ち着いた室内の店内はまさに、事務所というよりお店其の物。】
【噂には本当にただの居酒屋じゃないか、なんてことも言われているくらいなのだが―――カウンターにテーブル、いす、並んだ酒棚。】
【唯一、壁には多量の重火器―――この女の趣味だろうか、随分と古めかしい物が多かった―――が並び、そこだけ"組織"を思わせるだろうか。】

 それで、待たせてごめんね! いやでも、その機動力は羨ましいよ、本当に。
 アタシも急ぎの時は車じゃなくてバイクか馬を使うんだけどね、こういう事情があるから緊急時なんか特に。
 今度アニー……ああ、アタシの愛馬を連れてくるからレースするかい? ……ま、警察に怒られないようにこっそりと、だけどね。ふふっ!

 さて、それじゃ注文を聞こうか。暖かい飲み物がいい? それとも、食事にするかい。

【慣れた様子でカウンターへと立つセリーナ、矢張り店主というだけあって様にはなっているのだが】
【本当に"組織"の長らしいかと言われたら、格好も格好だしそうとは言い切れない感じもする、だろうか。】
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/03(土) 03:54:22.26 ID:ssYE+x5I0
>>517

【少女はゴーグルにHUDよろしく映し出されたルートに従って最適解で先んじてUTへとたどり着く】
【冬の街の風は冷たかったが、走っていれば少しばかり、ここ数日抱えているもやもやとした気持ちも】
【少しは片付いたような気がして非常に気分が良かった。】

せっかくのスーパーカーが泣いてるわ。その子には都会は狭すぎるんじゃない?

【少女は酒場の前でほくそ笑んでいた。彼女は自分が絶対に勝てる勝負しか仕掛けない。今日も道路の混み具合と】
【相手の移動手段と距離から絶対に勝てるとわかっていたから仕掛けたのだ。勝負とはそういうものだと彼女は定義する】
【勿論、分が悪くてもせざる負えない勝負もあるということも知っている。】

この街には、私一人のために取り締まる法律を作ろうっていう気概のある人は居ないわ。法治主義はなんて素晴らしいんでしょ。
…お邪魔するわ。

【噂に聞くUTの事務所とやらはどんなものか興味があった。中に入ってからは見渡して、なかなか興味深かった。】
【細部にまでこの主である女の趣味嗜好で埋め尽くされていて、なんとも清々しい。少女とは趣味は合わないが、熱意は好感を持てる】

いいの、勝手に先に来ただけだから。…そうね、コーヒーをいただこうかしら。もし何か簡単に食べれるものがあるなら…お言葉に甘えて。
私のネタがコーヒー代に見合う価値があればいいのだけれど。

【適当なカウンター前の席につくとバッグからノートPCを取り出してカウンターの上に広げる。画面の壁紙は初期設定の味気ないやつのままだ】

フルフェイス事件があったその日、近くに居合わせた人がスマホで動画を取ってたの。動画サイトにアップしたらしいわ
けど、すぐに削除されてしまったみたい。これは撮影者から直接貰ったデータだけど…取り敢えず見てみて。

【1分足らずの動画だった。建物の中から随分と遠巻きで撮影されていて画質もあまり良くない。】
【犯人の姿や対応していると思われる人物はブレブレで特定は難しい。確認できるのは街頭ビジョンに映し出されていた文字】

【真っ黒な画面には白のキャレット、文字を打ち込む際に入力位置を示す、点滅する縦棒がある】

[ G O O D   G A M E ( ^ o ^ ) ]

【動画はビジョンが元の広告に戻るまでが記録されていた。再生が終了たところで少女は口を挟む】

こんなセンセーショナルなこと、なんで報じなかったと思う?
519 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/03(土) 04:04:03.52 ID:anG45TOZ0
>>518
/佳境に入ってきましたが、すみません!凍結しても良いでしょうか!
気絶しそうなのでいったん退避します、明日は午後から空いているのでお返ししておきます……っ!
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/03(土) 16:01:17.47 ID:ssYE+x5I0
>>519
先に気絶しておりました
今日は私はフリーなのでいつでもお待ちしております
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/03(土) 18:38:28.91 ID:YhtG3+Wpo
【路地裏】
【ぼろぼろに汚れた布切れ、ぐしゃぐしゃになった数日前の新聞紙】
【棄てられたブルーシート、色褪せた段ボール、エトセトラエトセトラ】
【そういった薄っぺらいモノたちを積み上げて作られた「山」がひとつ、そこにあった】

……、……

【やがてその山はぶるぶると震えだし、それに倣って積み上げられていたモノたちが崩れ始める】
【ひとつひとつ、構成しているモノが剥がれ落ちていくように崩壊した山。その中から姿を現したのは】
【小さな小さな子供――お世辞にも綺麗な格好をしているとは言えないような人影だった】

【艶のない黒髪をおさげにして垂らし、その上から赤い頭巾を被った少女の姿】
【服装は薄汚れた黒のワンピース、一枚だけ。寒かろうに、靴すら履かない傷だらけの素足を晒し】
【貼り付けられたような笑顔に爛々と輝く黄金の瞳、口元から覗くギザついた歯列が特徴的だ】

……んん、……さむい

【ぶるりと一回大きくかぶりを振ったあと、頭巾を被り直して鼻をすする少女】
【自身に覆い被さっていた山の残骸を手足で退けたあと、覚束ない動作で立ち上がり】
【温かい場所を求めているのか、街のあかりが灯っている方へ歩き出した――】
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/03(土) 20:32:17.33 ID:QvxNTFZEo
【水の国】

【同国でも有数の高級ホテルでは、今夜、政財界の重鎮を集めたパーティが催される】
【ロイヤルなスーツやドレスに身を包んだロイヤルな男女が、ロイヤルな談笑とともに、正面扉を抜けて行く】
【新聞一つ取っても手に持つのは勿論、ロイヤルペーパー。──もっとも、幾人かは多少“落ちる”人間も見て取れる】
【大規模なパーティだ。ロイヤルな紹介さえあれば、参加するハードル自体は高くないのかも知れない】

「帰りの迎えは要らないよ。空いた時間で、奴の見舞いにでも行ってやれば良いさ。」
『お気遣い大変痛み入りますが、別にあの人は喜ばないですよ。何か投げられるかも。』
「あはは。──では、行って来るよ“運転手”クン。」
『お気をつけて、“お嬢様”。』

【そんな中、正面玄関前のロータリーに横付けされたバイクは、高級車の列の中では少し目立つものだった】
【その傍で話していた女性──左手で杖を突いている──は、扉を抜けて、ロビーへと入って行く】
【もし、パーティに招かれた者が居れば彼女の姿を見るか、或いは上階の会場まで同道することになるかも知れない】

『……さて、と。』

【一方。バイクの傍に残された黒髪の青年は、端末を取り出すと何かを確認していた】
【──些か、停車時間が長い。それもバイクだ。ロータリーに入ろうとする車があれば、苛立つ存在かも知れない】
【そうでなくとも、ライダースジャケットに身を包んだ彼の姿は、この場から浮いていた】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/03(土) 21:38:12.45 ID:Wc7AgXkco
>>521
【繁華街。喧騒の坩堝であるそこには、様々な人間がいる】
【路地裏から、街の明かりに向けて歩みだした少女は、一人の男と行き合うだろう】

―――あァ?
なんだ、貧相なガキだな。
前見て歩け、前。

【蒼髪痩躯の、人相の悪い男だ。―――獣のような、という表現がふさわしいだろうか】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/03(土) 22:15:14.85 ID:snTRU7Lfo
>>512

【注射をし終えれば、彼女の身体の痙攣は収まっていく】
【罵られたものの、彼女の身体が無事だったようで何よりだ】
【注射器を腰のバッグの中に入れれば、彼女の方へ向いた】

「お前が可憐かどうかは置いておいてだな」
「人身売買には興味がない。俺がやるのは武器だけだ」

【彼女がジト目なのは、先ほどの罵倒が後ろめたいからなのだろう】
【彼女が可憐でもそうでなくても、人身売買には全く興味がないらしい】
【男はただ武器――特に弾薬を作り、それを売るだけ。それにしか興味がなかった】

「それで、俺はアンタに打ち勝ったことでいいのか」

【相手を倒したのだからそれを認めて欲しいのだ】
【自らの商売にはできるだけ首を突っ込んでほしくない】
【故に確認も含めて、彼女にそう訊いてみた】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/03(土) 22:35:54.68 ID:YhtG3+Wpo
>>523

……わ

【小さな声を上げて止まる少女。少しだけ目を丸くして、それから男を見上げて】
【――にぃ、と笑って見せた。おそらく敵意をもってのことではないだろうが、それにしたって少し不気味だ】

……ふふ、ごめんなさい、狼さん。
ケガはなかった? わたしは大丈夫、だけど……

【初対面の男のことを「狼さん」と呼んで見せたのは、彼の纏う雰囲気が獣に似ていたからだろうか】
【それとも、「赤ずきん」のコスプレなんかしている一環か。どちらかはわからないけれど】
【「……くしゅん」。少女の言葉は、ひとつのくしゃみで止まる。冬とは思えないほどの薄着をしているせいだろう】

//わーごめんなさい今気づきました!
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/03(土) 22:44:12.19 ID:Wc7AgXkco
>>525

【狼、という言葉に反応して、ぴくりと眉を上げる】
【が、まあ子供のいうことだ。有名な寓話に準えてか、と深追いはせず】
【ただ、見た目の年齢に不相応なような、そんな笑みだけが少し男の意識にひっかかった】

ガキに心配されるほどヤワな身体はしてねェよ。

【ふん、とため息をつき、目線を切って歩み去ろうとした瞬間、少女のくしゃみ】

……おい、「赤ずきん」。寒いのならな、もう少し季節相応の格好で出歩くものだ。
俺ァ「狼」であってお前の「婆さん」じゃねェからな。
寒いとみてもマフラーを渡してやるわけにはいかんぞ。

【とは言うものの、男も薄手のレザージャケットにタイトな黒いボトムス、そう暖かそうな格好でもない】
【寒空の下の少女を一応気にかけたのか、歩み去ろうとした足を止めて、そんな説教をはじめた】

/いいえー、ゆっくりどうぞ。
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/03(土) 22:47:57.73 ID:dKbfd42no
>>524

あぁ、そうなの……ふーん……

【人身売買はやらないと断言されてしまっては、これ以上突つくこともできず】
【やはりどこか居心地の悪そうな顔をして視線を彷徨わせるのだった】
【しかしそれもすぐに収まる。打ち勝ったか、と聞かれればまたしても眉を吊り上げ】

なっ……! 貴方あの程度でこの私に勝ったとでも……っ!

【マーディは反射的に文句をぶつけようとした】
【しかし自分の状況を振り返ってみれば、あのとき違う薬品を打たれていたら死ぬ可能性すらあった】
【それを考えれば確かに負けと言って過言ではない。それでも彼女のプライドがそれを認めるのは許さなかった。しかし認めないこともまた許さなかった】

〜〜〜〜〜っ!!
きょ、今日のところは……い、痛み分けってことに、しておいてあげるわ!1

【結局、出てきた言葉はこれだった。歯噛みをして、悔しそうに男を睨みつけながら、だ】
【そうしてから数歩下がり、ふぅ、と息を吐く。プライドや屈辱を押しのけて、頭を冷やす】
【再び振り返ったその表情には冷静さが戻っていた】

今日はそうね……ええ、貴方がしてくれたことに対する礼として、これ以上は何もしないわ
甘さか優しさか、それとも何か決め事でもあるのか。何なのかは知らないけれど、貴方は私を見逃してくれたことだしね
それでも次はないわ。次に会ったら、今度こそ自警団か、もしくはUTあたりに突き出してみせるわ

【警告ともとれる言葉と共に、マーディは少しずつ引き下がる。そして十分に離れたところで立ち止まった】
【一応は返事なり何なりを待とう、ということだ。やろうと思えば何かすることもできるぐらいの距離ではある】
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/03(土) 22:54:21.18 ID:YhtG3+Wpo
>>526

かっこう……?

【そんなことを言われて、ふと視線を下ろす少女】
【着ているワンピースは辛うじて長袖。上着は無し、スカートの下は微量のパニエのみ】
【下半身、靴はおろか靴下すらも履いてない。傷痕だらけの素足がぴゅうぴゅう風に吹かれ】
【被っている頭巾も、特に傍観効果なんてないだろう。ぱちぱちと瞬いて】

……何を着るのが普通なの?
毛皮とか、そういうもの? 困ったわ、この辺りにはよさそうな獣なんていないのよ……

【こてん。首を傾げて素っ頓狂な問いかけを男に飛ばす】
【自分で出した答えが「毛皮」なあたり、その点でもすっ飛んでいるが、その調達方法もすっ飛んでいる】
【……おそらく一般的な教養がないのだろう。冗談を言っている様子にも見えなかった】
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/03(土) 23:03:28.86 ID:Wc7AgXkco
>>528

【少し、ズレたような返答をする少女】
【そも、この少女、繁華街には不釣り合いだ】
【もっと治安の悪い、それこそ警察権力の及んでいない「繁華街」ならばこの年齢層の少女も居るかもしれないが】
【この繁華街は、まあ、普通の――一般的な人間社会での、猥雑さであり、喧騒であり、治安の悪さ、というレベルに収まっていた】

【片眉を上げて、じゃり、とレザーのブーツが音を立てる】
【少女に向き合うように、男が向きを変えた】
【まともな大人の男性ならば目線を合わせるために屈んでやるところだろうが――男は顎を上げて、少女を見下ろすように】

おい、赤ずきん。
お前、どこから来た。親や家族はこの街に居るか?
いや、そもそも、お前に家族は居るのか?

【そう、問うた】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/03(土) 23:13:49.75 ID:YhtG3+Wpo
>>529

どこから、……

【それを聞かれるなり少しだけ目を細めて、口を噤む処女】
【数瞬の間だけ視線を落として、ぱちぱちと何度か瞬いてから】
【次に視線を戻したときには、先程までと同じように気味の悪い笑みを浮かべていた】

……知らないの? 赤ずきんはね、森のおうちに住んでいて、
お母さんと一緒に暮らしているの、それからおばあさんがいて、それから……

【――先程までの少女の言が本心からのものであったとするなら、今のこれは真逆のものだ】
【あからさまな嘘をついている。きっと男にも、容易にわかることだろう】
【何処から来た。身の回りに誰かいないのか。そんな男の問いを、はぐらかすかのように】
【「赤ずきん」の物語の設定をなぞって、それから歯切れ悪く言葉を詰まらせて、黙ってしまった】
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/03(土) 23:15:29.89 ID:snTRU7Lfo
>>527

【痛み分け、ということで決着することにした】
【此方もダメージは負った訳であるし、彼女があの攻撃を放っていれば今頃手錠がかけられているだろう】
【彼女の顔の表情は悔しさ一色であったが、呼吸を置けばまた冷静なものに戻る】

「ああ、そうしてくれると助かる」
「……できるだけ、また会いたくないもんだな」

【彼女はこれ以上何もしないと誓ってくれた】
【今度会ったら自警団か、UTに突き出すと言われてしまったものの】
【今日はこれ以上のことは怒らない。彼女に危害を与えることも、与えられることもないのだ】

「それじゃ、俺はここらで失礼する」

【彼女に背を向け、男は路地裏の深くへと消えようとしていた】
【去り際に右手を上げた時、彼女の方へ一つの物体が飛んでいった】
【それは炎の魔力を湛えた“スピナー”、彼女を行動不能に陥らせたそれと同じものであった】
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/03(土) 23:25:52.58 ID:Wc7AgXkco
>>530

……ほぉ。

【気味の悪い笑みを浮かべた少女。その眼を、見透かすように眺めて】

そうだな、赤ずきん。
赤ずきんであるのなら、森に住んでいるだろうし家族も居るだろう。
猟師とて近くに住んでおろうよ。

【真に悪意あるものなら、こんな―――瞬いたり、はぐらかしたり。歯切れの悪さであるとか、黙ってしまうとか】
【そういう反応を、するものではない。もっと術中に嵌めていくような、そんな反応をするだろう】

だが、残念ながらこの街は森ではない。
お前の知るほど牧歌的な狼はおらず、この街に巣食う狼たちはもっと劣悪だ。
早晩あらゆる価値を剥ぎ取られてしまおうな、そんな純朴さでは。

【ため息をつくように、しかし男の性格にしては似つかわしくないほど真摯な言葉を吐く】
【黙ってしまった少女の前に、かがむようにして視線を合わせ】

……赤ずきん。ゆくところは、あるのかね。

【また、そう問を重ねた】
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/03(土) 23:34:40.83 ID:YhtG3+Wpo
>>532

行くところ、……行くところ?
わたし、何処かに行かなきゃいけないの? ここに居ちゃいけないの?

【ふと、笑うのをやめて。ワンピースの裾をぎゅうと握り締めて、少女は言った】
【男の問いに対して、これまた答えになっていないような――更なる問いかけを返す】
【生傷だらけの素足が、夜風に吹かれて小さく震えていた。真ん丸な瞳を、少しだけ伏せて】

……知らないわ、ここに居ちゃいけないなら、どこに行けばいいかなんて。
わからないわ、ねえ狼さん……わたし何処に行けばいい?

【降りてきた男に視線を合わせて、か細い声でそう答えた】
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/03(土) 23:38:51.97 ID:dKbfd42no
>>531

【立ち去ろうとする男に声をかけることはなく、しかしその姿が消えるまでは見送ろうとした】
【去り際、男の手が動くのが見えた。今更攻撃か? と一瞬戸惑う。念には念を入れて迎撃をすべきか】
【手早く手元で炎の塊を作り、投擲されたものにぶつけて撃ち落とす。落下したものを確認して、マーディは首を傾げる】

なんだって今更、こんなものを……試供品、ってことかしら?

【意図が読めずに困り顔を浮かべていたが、しばらくしてマーディはそれを拾い上げた】
【これ以上はここにいる理由はない。そう思って男とは反対方向へと歩き始める、が】

……それにしても、今回は我ながら無様だったわね。危うく死ぬところだったわ
油断や慢心も困りものね……天才も、たまには失敗するってところかしら

【ぶつくさと反省点なのかなになのかわからない呟きをしながら、マーディはその場を後にした】


//数日間、ありがとうございました。お疲れ様でしたー
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/03(土) 23:44:42.31 ID:Wc7AgXkco
>>533

【此処に居てはいけないのか、と】
【震えるように――いや、真実震えて問いかける少女に】

は。
これは詰まらんことを言うではないか、赤ずきん。
此処に居てはいけないのか、だと。

“当たり前”だ、赤ずきん。

【断言するように。これまで通り尊大に。狼のような笑みで――】

ここは寒い。お前は子供で、どうせ腹も空かせている。
腹をすかせて寒い繁華街を彷徨うなど、当然あってはならん。
だからな、赤ずきん。お前はもっと暖かく、明るい場所へゆくのだ。
そうせねばならん。

【顰め面しく、そんなことを言った。当たり前のことではないか、というように】
【それから、どこか芝居ががったような様子で立ち上がり】

ああ、だが困ったことにだ。
森から出てきたばかりのお前は、当然そんな場所への行き方などは知らんのだろう。

――そこで、この狼に頼るがいい。
同じ寓話にくくられた誼というやつだ。
まあ腹に石を詰められるのは勘弁だが、雨風を凌げる屋根を貸してやる。

【一生に一度の気まぐれか、どこか虫の居所がよかったのか、悪かったのか――男は、そんなことを口にした】
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/03(土) 23:55:17.88 ID:YhtG3+Wpo
>>535

【当たり前だと言い切られれば、ワンピースの裾を握る力を強くして】
【じゃあ、と。次の言葉を紡ごうとした瞬間だった】

……狼さんに、頼る?

【見開いた目に、きらめきが走る。満月めいて光る金色のまなこ】
【助けてくれるのだという目の前の男を、信じられないものを見るような表情で】
【穴のあくほど見つめてから――きり、と目尻を尖らせた】

……わたしのこと、食べたりしない?
ねえ狼さん、わたし……「そういうの」はいやよ。

【まだ信用しきれていないらしい。表情は未だ硬く、裾を握る手も緩めない】
【まるで野良の獣のようだった。警戒する素振りは見せども、餌の気配からは逃れられないようで】
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 00:03:04.61 ID:3iqEkhUNo
>>536

―――は。
ははははは!

【警戒する少女。実に当然のことではあるのだが――男は無遠慮な笑い声を上げ】

っくっく。
赤ずきんよ、そういうのはもう少し大人になるか、あるいは肉を付けてからいうものだ。
お前のような子供に欲するほど女には困っておらんし、鳥ガラを食べるほど食い物にも困っておらんわ。

【いやいや全く、と、目尻を拭いながら】

ま、とりあえず寒かろう。
赤ずきんに似合う外套を仕立ててやろうと思うが――まあ、その前に飯だな。
繁華街だ、酒は呑ませてやれんが、食い物くらいは幾らでも食わせてやろう。

【そういうと、原色に煌めく繁華街から、いくらかはマシそうな飲食店を選び出し】
【彼処へ行くぞ、と少女に向けて呼びかけてから】

――ああ、それと、裾からは手を離しておけよ。物騒だ。

【そう言って、あとは飲食店へと歩いていった】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 00:12:26.21 ID:MwG39CjMo
>>537

【鳥ガラ、なんて言われたのがあまり愉快ではなかったのか。少女の眉間に皺が寄った】
【少しだけ頬を膨らませつつも、歩き始める男を追いかけるようにして歩き出す】
【「ご飯がもらえるならそれでいいか。殺されそうになったら、殺せばいいし」――そんなことを考えたりしながら】

……いくらでも?
狼さんは、すごい人なの? とてもそうは見えないわ。

【いくらか失礼なことを口走りつつも追いついて、ぺたぺたと裸足の足音を響かせる】
【明るい場所に慣れていないのか、街の灯にときどき目を細めながらも】
【物珍しそうに辺りをきょろきょろ見回しながら、男と並んで歩いていた】
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 00:18:54.76 ID:3iqEkhUNo
>>538

んん?
いや、別に資産持ちというわけではない。素寒貧とまでは言わんがな。
まあ、いくつか仕事をこなしたあとだ、金の心配はいらん。

【ぺたぺたと歩く少女の素足を見て、外套を調える時に靴も誂えよう、と決意して】
【そうして、店へと入る。ドレスコードのあるような店でないが、それなりの品と雰囲気を持っていて】
【氷の国の郷土料理を売りにしているようだった。身体を温めるようなスープ料理だとか、食べでの在る肉の蒸し料理だとかだ】
【匂いのきつい香辛料や、香草などはあまり使われておらず、一応男の配慮が垣間見える】

【奥まった個室の席に通される。飲み物は、とウェイターが聞きにきて、注文すれば手早くサーブされ】
【料理を待つ間の、少し弛緩したような空気が流れるだろう】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 00:28:23.67 ID:MwG39CjMo
>>539

そう……。狼さんは、へんな人ね。
お金持ちじゃないのに、子供を拾う趣味があるの?

【店に入るなり少女はすんと鼻を鳴らした。男が配慮してくれていなかったら、どうなっていたことか】
【そんな配慮にも気付くことなく、席に通されれば少し強張ったような姿勢で座り込み】
【テーブルの上に置かれた銀のナイフやフォークを見て……指先でかつん、と弾いてみせた】

……狼さん、どうしましょう、わたしこれ……使い方、よくわからない。
パンとかそういう、手に持って食べるものは、食べ方、わかるけど……

【「こういうの、きちんと使わないと叱られるのでしょう?」少しだけ弱弱しげに訴える、乾いた唇】
【とことん一般常識に欠けているようだった。不安げな瞳で男を見つめながら、黙り込んだ】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 00:40:50.04 ID:3iqEkhUNo
>>540

いや全く。お前が赤い頭巾を被っていなかったら、こんな気まぐれは起こさなかったろうな。
俺にもたまには気の迷いがあるということだ。
一度決めたからには手を抜かんが、そうそうあることでもない。

……まあ、お前側には関係のないことだ。あまり気に病むな。

【それから、少女が作法を知らぬであろうことを、その振る舞いから察し】

それほどうるさい店ではない。
そも周りの目線を気にせぬように、この個室へ案内させたのだしな。

フォークでざくりと突き立てれば良いし、スープなどはスプーンで掬えば良い。
ナイフが無ければ食べづらいものがあれば、俺に寄越せ。
適当に切り揃えてやろう。
手掴みでも構わんが――ま、使えるだけ使ってみるがいいさ。
どう作法したとしても俺は怒らん。

【そう話していたところで、店員が飲み物、それからいくつか料理を持ってくる。灰色の髪と口髭を蓄えた初老のウェイターは、どうやら男と顔見知りのようで】
【くい、と片眉を上げたが、あとはプロの所作そのもので料理をサーブした】

【羊の肉の蒸し料理。それから野菜をやわらかく煮込んだ、少し酸味のあるスープに】
【柔らかな白パンと、オリーブを使った生野菜のサラダ】
【いくつかの種類のカルパッチョや、パイ生地にひき肉を包んだもの】
【まずもって量が有り、そして味も悪いものではなかった】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 00:50:39.77 ID:MwG39CjMo
>>541

ふうん……赤ずきんの物語、好きなの? 狼さんなのに?
狼さんって、最後にはひどい目に遭ってしまうものなのよ?

【かつかつ、水の入ったグラスの縁も指先で弾いて、遊ぶように】
【よくよく見ればその爪が、ヒトの肌を傷付けるのに適した尖った形状をしているのが見えるだろう】
【やがて料理が運ばれてくれば、ぱっと目を輝かせる。肉を凝視している辺り、相当好きなのだろう】

……、……やれるだけ、やってみるわ。
だってわたし、「赤ずきん」だもの。普通のニンゲンの女の子なのよ?
これくらい、なんてことはないもの……

【まずはフォークを手に取って、いきなり羊肉に突き立てた。食べる順序などはあまり考えていないらしい】
【覚束ない手つきで刺した肉を運んで、ギザついた歯の並ぶ口の中に放り込む】
【――いくらか頬が綻んだようだった。瞳のぎらつきも少しだけ和らいで、それなりに満喫しているよう】
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 01:05:19.47 ID:3iqEkhUNo
>>542

そうだな。腹に石を詰められて井戸に落とされるなど、寓話でも稀に見るほどひどい。

アレは、狼たちにとっては教訓なのだ。ゆめヒトを侮るな、という。
如何に虚言を弄してうまく立ち回ろうとしても――人の世に、狼が紛れることは難しい。
それこそ、老婆に化けるが如く、ヒトの姿を取ったとしても。

【グラスを弾く少女を、どこか遠くを見るような眼で見て】

――スペアリブを追加で。手で食えるように設えてくれ。

【初老のウェイターにそう注文すると】
【野菜のサラダを少し多めに自分の皿へ移し、羊肉の皿を少女のほうへと押しやる】

……難しくは在るが、不可能、というわけでもない。
それこそ直接的な話になるが、けものびとがこの社会に溶け込んでいるのも、多々見ることはある。
「赤ずきん」に語られた狼のような、悲惨な末路は――最早ほんとうに、教訓の中だけのことに化しているのかも、知れん。

【もぐもぐとパンを口に運び、テーブルの上の料理を眺める】
【肉ではない料理に関しては、自分の担当と決めたようだ】
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 01:15:19.41 ID:MwG39CjMo
>>543

きょうくん、……?

【わかっているのかいないのか。おそらく後者なのだろう、きょとんとした顔をしながらも】
【肉を口に運ぶことはやめない――合間、独り言の音量でぽつりと零した】
【「これ、羊ね? ……懐かしいわ」という言葉は、きっと拾われなくてもいい言葉だったのだろう】

【咀嚼のために蠢く、膨らんだ頬はしばらく止まることのないまま】
【じっと男が語るのを見つめ続け――言葉が途切れたあたりでごくんと飲み込み】
【小首を傾げながら、ずうっと考えていたことを口にした】

……狼さんは、ニンゲンじゃないの?
さっきからずっと、そう言っているように聞こえるわ。

【フォークの動きが止まる。慣れない動きに疲れたのだろう、手をひらひら振りながら、そう問うた】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 01:21:48.55 ID:3iqEkhUNo
>>544

【スペアリブが、2皿運ばれてくる】
【どちらも驚くほどの大きさで、塩と少しの胡椒で味付けされたものだ】
【一つは男の前に、もう一つは少女の前に】

おや、異なことを言うな、赤ずきん。

【目の前に置かれたあばら肉の、その骨の部分を手で掴み】

―――先程から、いや、会った時からお前も言っているだろう。
狼だとな。

【がぶり、と大きな口を開けて肉に噛み付いた】
【勢い良く噛み千切る。見える歯は、その全てが犬歯のように鋭さを見せていた】
【食うがいい、と。顎を動かしながら、少女に目線を送っていた】
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 01:29:48.65 ID:MwG39CjMo
>>545

【男の口内に生え揃う牙のような歯を見て、目を丸くする】
【無意識に、ほうと息を吐いていた。音色からして安堵のためのようにも聞こえたが】
【言葉にしないので真意はわからない。同じように、少女も肉を手にして】

……そう。じゃあ狼さんは、ヒトを食べるのも好き?

【齧り付くその口も、鋭い牙の生え揃った――人ならざるモノのそれだった】
【「わたしは食べられるの嫌いだわ」と口走る辺り、自分はヒトなのだと主張しているようだが】
【外見的特徴からしても、常識がないさまからしても、どこか無理のある主張だった】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 01:38:10.73 ID:3iqEkhUNo
>>546

【程よく脂の落とされたそのスペアリブ。あじあじと、奥歯で噛みしめれば肉の旨味が口中に満ち】
【キメの細かい肉質のそれは、喉を通るときにも引っかかりを感じさせはしない】

ヒトか。
そうさな、狼だ、飢えればヒトを食うこともあるかもしれんが――

【みしり、とまた一口、肉を噛みちぎる】

別段頑張ってヒトを食わずとも、それより遥かに美味い肉がそこここで食える。
俺は食わんが、お前はどうだ、赤ずきん。

【なんでもないように、そう聞くと、また一口、肉に噛み付いた】
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 01:45:49.10 ID:MwG39CjMo
>>547

ヒトより美味しいお肉ってあるのね。
……ああ、狼さんってヒトが一番好きなのかと思ってたから、こういうこと言うのよ。

【何かを紛らわすように言葉を付け加えたが、それもきっと悪手だろう】
【お前はどうだと訊かれるあたり、薄々もう感づかれているのかもと思いもしたが】

……赤ずきんはヒトなんか食べないわ。
狼さんだってよく知ってるでしょう、「赤ずきんはごくごく普通の女の子」。そうでしょう?

【あくまでもその設定を貫き通すつもりらしい。此方ももう一口肉を噛み千切って】
【一緒にとれた骨の欠片をぷっと口から吐き出しながら、笑って見せた】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 01:52:23.22 ID:3iqEkhUNo
>>548

そうか、それは気づかなかった。
狼はヒトを好むものかな。

【調子を合わせるようにそういうと】

お前は……作法と嘘を、少し勉強するべきだな。
寓話に出てきた狼でも、もう少しマシだったぞ。

【小声でそう付け足す。先輩としての忠告でもあろうが、少女の“設定”にはもう少し付き合ってやるつもりのようで】

そういえば赤ずきん、名はなんという。
俺のことはガイウスと呼べ。

【スペアリブの最後の一口を咀嚼し終えると、手元の布で乱暴に手を拭う。それから口周りを同じように拭うと】
【先ほどまでの野性味は、いささか収まっただろうか】
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 02:09:39.73 ID:MwG39CjMo
>>549

【忠告されればむうと頬を膨らませて、不満げな顔】
【自分ではうまくやれている心算らしい。自棄のように数口いっぺんに肉に齧り付くと】
【長めの咀嚼をして、大きな嚥下の音を響かせる。次いで掛けられた言葉には】

……狼さん、ガイウス。なまえ。……名前?
そうね、わたしは「赤ずきん」でしか、ないのだけど……

【そこで一旦口が止まる。スペアリブの残骸を皿において視線を落とし】
【少しの間、何か思案しているようだった。あるいは何かに躊躇しているような面持ちで】

……、……「66番」って呼ばれていたわ。
あとは「黒いの」とか、そんな感じで……名前、覚えてないの

【小さな声でそう言い切ると、皿の上に置いた骨を摘まみ、口に放り込む】
【がりがりと噛み砕いては気を紛らわしているようだ。少し言いたくないことを口に出してしまったらしい】
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 02:15:15.03 ID:3iqEkhUNo
>>550

―――ふむ。
そうか、詰まらんことを聞いたな。

【数口がぶがぶと肉を食うのも、骨を齧るのも――あまり少女らしくはないのだが、】
【それは指摘せず、黙ってしまった少女を見やり】

メイジー。あるいは、ブランシェット。
赤ずきんは、その名を持つものらしい。
名前を聞かれた時には好きなほうで答えるがいい。

腹は満ちたか、赤ずきん?

【そういうと、テーブルナプキンを少女に向かって放り投げる】
【口と手、拭っておけよ、というように】

/お時間はだいじょうぶそうです?
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 02:29:22.45 ID:MwG39CjMo
>>551

……メイジー、ブラン……
知らなかった。そういう名前があったのね。

【教えられた名前を何度か反芻して、少しだけ嬉しそうに顔を綻ばせる】
【おそらくは少女にとって初めて与えられたまともな名前。繰り返す唇は、幾分自然に笑みの形になっていた】

ええ。久しぶりに、こんな美味しいものたくさん食べたわ。
……ありがとう、狼さ……ガイウス。

【投げられたナプキンで乱雑に口を拭いながら目を細めて】
【「ねえ、なにかわたしにして欲しいことはない? 出来ることならなんでもするわ」】
【そう口にしたのは、礼がしたいということなのだろう。この少女に何ができるかは分からないだろうが】

//私は大丈夫です〜もうちょっとで終わるかな……!?
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 02:42:25.81 ID:3iqEkhUNo
>>552

元来は名無しの赤ずきんであったそうだがな。
名前がなくては不憫だろうと、誰ぞ優しい人間が考えたのだろう。

【顔を綻ばせる少女を見て、ぎ、と立ち上がる。】
【名前を呼んで礼を述べた少女に、ちらりと目を向けて】

してほしいこと、か。であれば―――
早くどちらの名前がいいのか決めるがいい。
そうでなくては、名も呼べんからな。

【レザーのジャケットを羽織りながら、伝票を手に取り】
【そういって、個室を後にした】

【あとは服の仕立て。これも超高級店というわけではないが、それなりの風格を持つ店に足を運び】
【――余談ではあるが、男のレザージャケットを仕立てた店である】
【革の使いに名前の知れた店で、赤く染め抜いた外套を一つと】
【少女の好みの色のローファーを一つ、買い与えるだろう】

【そうして恙無く買い物を終えたとすれば、あとは寝床、となるだろうか】

/おーけい! ではあと何レスかおつきあいくださいな。
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 02:54:57.08 ID:MwG39CjMo
>>553

……じゃあ、メイジーがいいわ。ブランシェットはちょっと、長いもの。

【さしたる迷いもなく、短絡的な理由でさっさと名前を決めてしまった少女】
【来たときよりも幾分軽い足取りで、ガイウスの後をついて店を出る】

【次の店。外套を見て、ローファーの色を問われれば服と同じ黒を選び】
【与えられたものを実際に着せられてみれば、「ちょっと動きにくいわ」などと】
【我儘めいた軽口を叩きながらも、くるくる回って外套の裾を遊ばせ、上機嫌な様子だった】

【外に出ると、わっと声を上げた。今までよりずっと寒さを感じないことにびっくりしたらしい】
【そんな様子でしばらくはしゃぎ回っていたが、寝床のことに話が行けば、少しだけ顔をこわばらせて】

ああ、えっと……わたし、雨風がしのげる場所であれば、どこでもいいわ。
家畜とか飼ってる小屋でもいい。……だけど、だけどね、
……わたし、ベッドは嫌い。だから、その辺の床で寝かせてくれると、助かるのだけど

【そう言って、また少しだけ目を伏せた】
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 03:05:43.83 ID:3iqEkhUNo
>>554

……わかった。では、メイジーと。

【レザージャケットを買ったお得意様、ということで顔を覚えられていたのか】
【少女に服を買い与えるという、真人間じみたことに驚かれたのか――】
【とにかくニコニコと服屋の店員は笑っていて、ガイウスは少し嫌そうな顔をしていたが】
【さほど気にした風もなく、少女の服の代金を払い、店の外に出た】

珍しい手合だな。
どこでも構わんが、ベッドだけは嫌とは。
まあ、好きにするがいい。俺の仮宿だが、床でもソファでも、好きなところで毛布にくるまって寝るがいいさ。
俺はベッドで寝かせてもらうが。

【ここで「女性を床でなんて」「一体何があったんだい」などど聞くのが善人であろうが――】
【この男にそこまでの甲斐性はなく、好きにしろ、と返事をして】
【ただお前のやりたいことはやりたいようにやるがいい、とだけ言い置いて】
【仮宿にしている、アパートメントの前に立った】

【いくらか古びたそれは、しかし瀟洒な作りをしており】
【その最上階の角部屋が、ガイウスのこの街での仮宿なのだという】
【入ってみれば、仕立ての良い絨毯が廊下に敷き詰められており】
【ややアンティークな家具は、少女の新しい外套とローファーによく合った雰囲気だった】
【……とはいえ、ガイウスには全く似合っていない雰囲気ではあるのだが】

【ガイウスの部屋に入ってしまえば、作りの雰囲気は廊下と似ているものの、家具が少ないためか殺風景で】
【酒と水しか入っていない冷蔵庫と、煙草の吸い殻が山と積まれた灰皿が目立っていた】
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 03:13:45.73 ID:MwG39CjMo
>>555

メイジー。メイジー! ふふ、なんだか嬉しいような楽しいような、ふしぎな気分!
名前で呼ばれるのってこんなに楽しいことなのね、私知らなかった!

【名を呼ばれれば即座に機嫌を直し、また外套の裾をひらひらさせながら】
【靴音を鳴らすのも気に入ったようで、まるでタップダンスでも踊るみたいに歩いていた】
【年相応、あるいはそれよりも幼い所作。これはきっと演技ではなく、本心からの行動なのだろう】

【辿り着いたガイウスの仮宿。ドアをくぐるなり、すんと鼻を動かして】
【――先程までの上機嫌っぷりが嘘のように、すっと目を細めて、無表情になる】

……聞いてなかったわ、ガイウス、タバコ吸うのね。
わたしあれ嫌いだわ。あなた、狼さんなのによくあんなの平気で吸えるわね?

【どうやら煙草がお気に召さないらしい。まあその程度で出ていくほどの我儘は、ここでは発揮しなかったが】
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 03:23:32.32 ID:3iqEkhUNo
>>556

寓話の赤ずきんに名を与えた人間も、
おそらくはそう思ったのだろうな。
俺が人に名を付けることになるとは思わなんだが、まあ悪くはない。

【ガイウスより先に、踊るように歩くようなメイジーに、「そこは右だ」とか「次は左だ」とか言うように歩く指示を出していき】
【辿り着いてみれば、お姫様は煙草がお気に召さぬらしい】

そうか?
煙草も酒も悪くはない。
狼族用にしつらえては在るが、確かに気に入らん同族も多かろうな。

【気にした様子もなく、そんなことを言う。煙草を辞めるという選択肢はどうやら浮かばぬようで】

ここがリビング。
あちらが俺の寝室で、その廊下を右に行くと洗面所と風呂がある。

そして、そことそことそこの三部屋が余りだ。
好きに使って構わん。
ドアを閉めてしまえば、煙草の匂いも気になるまい。
ある程度の家具はどの部屋にも設置してあるから、精々好きな部屋を選ぶがいい。

【そう言ってレザージャケットを乱雑にリビングのソファに掛ける】
【必要なことは言ってしまった、という様子だが、何か質問があれば答えるだろう】
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 03:31:58.83 ID:MwG39CjMo
>>557

ふうん。……わたしも大人になったらわかるかしら、特にわかりたいとは思わないけど。

【文句を言いながらも、家の中がどうなっているかは大いに気になるようで】
【一部屋一部屋ドアを開けて、わあわあ言いながら中を覗いては閉める。それの繰り返し】
【立派な家だと思った。そして一つだけ、疑問が浮かんできたのを口にする】

……たくさん部屋があるけれど、誰かと一緒に暮らしていたの?

【「だって家具もあるなんて。仮宿にしては豪華すぎない?」……いろいろ思案しながらも】
【ふあ、と欠伸をひとつ零す。腹も満ちてはしゃぎ回って、それなりに眠くなったらしい】
【問いかけに対して答えを得られれば、早速ひとつの部屋に入って、床に転がって眠り始めるだろう】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 03:36:52.88 ID:3iqEkhUNo
>>558

いや。雇い主の持ち物件でな。
このあたりで腰を据えた調査任務があるので、俺が割り当てられているだけだ。
部屋の数などは気にせん、ということだろうよ。

では、今日からしばらくここがお前の家だ。
鍵などは手配しておく。
好きに出かけて、好きに帰ってくるがいい。

【最後に、部屋に入っていくメイジーを、何故か優しげな目線で見送って】
【くあ、と欠伸を一つ。背を伸ばしながら、自身も寝室へと向かっていった】

/このあたりかな? ありがとうございました! 好きに出入りしていただければ!
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2018/02/04(日) 03:45:56.02 ID:MwG39CjMo
>>559

そうなの……。なんだか、つまんない。

【「つまんない」ときた。調子に乗るとどんどん付け上がっていくタイプと見える】

【そんなこんなで。自室となった部屋のドアを閉めれば、すぐに床に転がって】
【久しぶりに雨風のしのげる屋根の下で眠れることに、とてつもない多幸感を感じながら】
【買ってもらったばかりの外套を脱ぎもせず、そのまま瞼を落とし始める――】



       「――――66、66番、いつまで寝てやがるこの■■ッ!!」

  「さっさと起きろ、仕事だ! 客がつかえてるんだよ!」

                      「ああもう捌けやしねえ、おい66、いっぺんに■■■■しろッ――」



【――よくない夢を見る。そうして飛び起きたとしても、安全な部屋の中にいることに気付くと】
【すぐにほっと息を吐いて、外套を抱き締めるように握り締め――また、眠りに落ちることができた】

//わー! ありがとうございました!
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/04(日) 10:01:26.70 ID:XtvQasJmo
>>522

【女性がそのまま上階の会場まで足を運べば】
【このような光景に遭遇するだろう】

『招待状はお持ちですか?
 もしくは、ご紹介者様のお名前を――』

………………。

【会場の受付前で佇む一人の女】
【理想的なモデルじみた流線体型をタイトな漆黒のドレスで包んでいる】
【繊細に結い上げられた黒髪との対照で、うなじの白皙が蠱惑的ですらあった】

【どちらからの紹介か、要は正規のゲストかと問う受付嬢に】
【女は口を開くことなく意味深な沈黙を湛えていたが】
【ふと、極々小さな動作で、空中を“スワイプ”した。すると】

『――レイチェル様ですね。
 ようこそおいで下さいました』

【途端、何事もなかったのように、受付が処理された】
【女は精緻な微笑をその顔に形作ると、そのまま会場へと足を進めていく】

【この絢爛たる賑々しさの中で目聡くこれを見咎める者があるとすれば】
【それ相応の嗅覚を持つ者ぐらいであろう。例えば諜報部員であるとか】

【女はどうやら独り身である。声を掛けようと思えばそれは容易い】



【一方で】
【同刻、同ホテル地下駐車場】

「……さて、と」

【奇しくも同時、同呼吸】
【青年と同じ呟きを零す者があった。赤毛の若い女性である】
【彼女はブレスレット様の装身具を何か細やかに操作すると】
【ホロ・スーツの外観が変更され、淑やかなドレス姿へと変貌した】

【いつもより少し長く化粧された睫毛】
【その奥に据わる瞳がホテルへの入り口へ視線を向ける】
【そこには凜とした静かな意志の色】

【――今はまだ交わらぬ線】
【彼女自身も、この場に複数の線が交錯していることは未だ知らない】


/まだいらっしゃいますか!
/絡んでおいてなんなのですが次に反応できるのは夜になってしまいます。
/もしそれでもよろしければ……。難しければ何か適当にすれ違って終わったね!でスルーしてください。
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/02/04(日) 11:16:41.15 ID:FlHcdTUaO
>>561
/まだ生きています。
/今出先なので、こちらもお返しできるのが8時か9時ぐらいからになるかと……。
/お待ち頂きますが宜しければ、是非お願いします。
563 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/04(日) 11:29:51.95 ID:2uCwe+bp0
>>518

【セリーナもまた、ローラースケートでこそなかったが―――風を感じる乗り物に好んで乗る人物。】
【きっと肩を並べてびゅんびゅんと、止まっている車の間を抜けながら走れたのなら爽快感にも同意を示せただろう。】
【だが麻季音がもやもやを解消していくのとは正反対に、酒場の前についたセリーナはしかめ面。だが、負けじとふん、と胸を張って。】

―――え、スーパーカー?
ああ! さっき乗ってた"アレ"の事! あれってスーパーカーなの?
ごめんね、アタシ"アレ"より"安い"車には乗った事がなくって! あれで普通なのかと思ってたよ、HAHAHAHA!

【成金らしく嫌味を返し―――大人げないことこの上ないが―――酒場の中へ。】
【麻季音が法律なんてクソ喰らえという姿勢を示せば、肩をすくめて苦笑い。まあ、問うだけ無粋だ。】
【手早くカウンターへ廻れば珈琲を豆からしっかりと用意し。少し薄めに所謂アメリカンというスタイルで差し出すだろう。】

【食べ物については―――細長い、真ん中が割れたパンを用意して。冷蔵庫から取り出した長いソーセージを焼き始める。】
【まあ、簡単に食べられる物で珈琲との相性が良い物となれば、そういう形にもなろうか。若しくは、自分で食べたいものだったか……。】
【ともあれ、パンを少々炙り、ソーセージがパチパチと音を立てたころには即席のホット・ドッグが完成。ブランチには丁度良さそうな塩梅、だろうか。】

ふふっ。それなりに良い豆を使ってるから、いいネタであることを期待し―――……いいや。
やっぱり君みたいな若い娘が、危ないネタを持ってる方が不健全だね、喜ばしい事じゃないから撤回するよ。

さ、頂こうか。それで、そのパソコンにデータが―――……、動画サイト?
うん、アタシもニュース見てから動画サイトはチェックしたけど、確かに不自然なくらい削除されたばかりの動画が多かったね。
なるほど、出所を直に当たった、ってワケだ。さっすが探偵助手! 頼りになるねえ。早速拝見、させてもら……、

【ホットドッグに齧り付いたセリーナが、咀嚼を思わず躊躇うくらいに。】
【街頭のモニター、恐らくは建物の所有者や店舗の所有であるだろうその場所に、表示されてはいけない筈の物】
【GOOD GAME―――その単語だけでもう、宜しくない雰囲気がビンビンと伝わってくる。そこにトドメを刺す様な、顔文字―――悲惨な現場を、嘲笑うがの如く】

―――……。そうだね、コイツは―――……"センセーショナル過ぎた"、か。
或いは、警察やマスメディアよりさらに上の組織、そう例えば―――"公安"なり、"ポリティクス<政治>"なりが。
大きくかかわってて警察自身も困惑しているか―――そんな所、かな。カノッサやGIFTの仕業なら、こうはならないと思うし―――マキちゃん。

【珈琲でソーセージを流し込み。セリーナは食い入るように見つめ、何度も再生しなおしていたPCの画面から顔を上げる。】
【そこにはもう、道楽好きでお金第一の成金賞金稼ぎは居なかっただろう。鋭い眼光、そして事件を射抜く嗅覚を備えた―――ガンマンが、そこに居た。】

……"どこまで"関わる気でいるかな。
最後までか、それとも―――単なる興味で噛もうとしてるか。
一度それを確認したほうが良さそうだ、こいつは―――自警団やUTにすら廻ってない情報。

つまり、"暗部"だ。何か―――とてもマズイ力が働いてる。もし調査を打ち切るなら此処がレッド・ラインかも、しれないよ。

【先ず真っ先に、この"危険すぎる情報"を抱える彼女、そして警察にまで接触を図ってしまった麻季音を案ずる辺り】
【矢張りこの女は、"こういう組織"に属しているだけあるのだろう。無論、セリーナも麻季音の行動や覚悟を疑う訳ではないの、だが。】
【踏み込むのであればそれ相応の"確認"が必要だ。少なくともセリーナはこれを知ってしまった以上―――もう、見て見ぬふりは出来ないのだから。】

/昨日お返しできず大変申し訳ありません。
本日は夕方から夜まで一部レスが返せませんが、それ以外は遅くまでお付き合い出来ますので
先にお返しさせて頂きます。ご迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/04(日) 14:02:26.93 ID:dJGFZl7b0
>>563

ありがとう、セリーナ。

【少女はセリーナが用意してくれたコーヒーとホットドッグを頂く。勿論、一言感謝を言うのは忘れない。】
【クールな態度だが別に無礼を働きたいわけでも横柄なわけでもない。マナーと礼儀はしっかりわきまえている。】

うん、美味しい。

【今日一番の笑顔。こうやって笑っていれば年相応の少女と変わりはない】

【しかし少女の感覚ではどんな豆をどう丁寧に炒って抽出してもインスタントとの違いは『まあ、おいしい?』ぐらいの違いしかわからない】
【眼の前でこだわりを見せられている分、バイアスがかかって美味しく感じているのかもしれないなどと考えてしまう】
【ホットドックもかじりついて非常に美味しかった。美味しいことには何ら問題もないし喜ばしいのだけれど】
【それは自身の―――と余計なことを考えてしまうのは、彼女の悪い癖だ】

警察や報道に何かしらの圧力がかかっているか、そうしようと判断したということはまず、間違いないと思ってる。
ただそれは重大事件だから慎重に捜査をすすめる上なのか政治的な何かの要因なのかは、セリーナの言うとおり……何?

【手についたパンくずを払って、PCの操作をしていると呼びかけられ、ふと顔を上げた。】
【その真面目な視線に彼女はふうとため息を付いた】

全く、順を追って話そうと思っていたのに。あなたが私の身を案じてくれているのはわかった。けど、私にも理由があるのよ
お説教するかどうかは先にこれを見てからにしてちょうだい

【PCを操作して、ニュースサイトのページを開く。こことは別の国、半年ほど前の記事だ。ハイジャック事件の詳細である】

私は父の付き添いで学会に出席して、帰りの飛行機でハイジャックに巻き込まれた。…いえ、正確に言えば狙いは父だった。
父は情報技術界隈では有名な研究者だったから。犯人たちは少なくともターゲットと呼んでいたし。
その後飛行機は海上で不時着して、数名の乗客と一緒に私と父は犯人に連れられてボートに乗せられ、誘拐完了――という手はずだったんでしょうけど
ひとつ、イレギュラーがあったの。それが、探偵。

探偵は父を尾行していたの。…あとで聞いた話だけど、最初は母が不倫調査で雇っていたらしいわ。娘もいるし…娘もいるのに疑う母もどうかと思うんだけど
兎に角、尾行していたらこんな事件に巻き込まれた。で、探偵が見事犯人を蹴散らして、見事すんでのところで救出してくれた。…父以外は
犯人もプロだった。本来のターゲットである父は彼らに拉致されてしまった。――というお話。嘘みたいな話だけど事実よ

【ニュースサイトには同じような内容が書いてあった。違う点は探偵が解決したのでなくたまたま乗り合わせた警官、となっている。】

探偵にどうするのかときいたら『追っかける』って。『不倫相手に会うための手の込んだトリックかも』って。
じゃあ私も、父の不倫を見過ごすわけにいかないわねって――動機はこれぐらいでいい?

【コーヒーを一口のんで、ちらりとセリーナの顔を伺う。話し終わってから、『話盛ったほうがよかったかな』と考えた。】
【お涙頂戴話にしたてるために父には死んでもらって、不倫の下りはカットしておくべきだったか】
【今後の活動にはUTが居てくれたほうがありがたい。どう懐柔したものか…とホットドッグをかじるのだっった。美味い】


/いえいえ、大丈夫です。
/返しておきますのでお時間あるときにでもお願いします。
565 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/04(日) 14:55:03.78 ID:2uCwe+bp0
>>564

【年相応に笑顔を見せる麻季音、だが矢張り礼儀作法をしっかりと頭に詰め込んだ大人びた部分も見え隠れし。】
【セリーナは思うだろう、子供ながらに学術や技術に精通し、探偵の助手まで勤め犯罪を追おうとするその勇敢さは―――、】
【大人顔負けである、と。同時に、子供が大人の世界に踏み込むのは矢張り、大きな危険を伴うのだ、とも。ホットドッグを一口、また齧り。】


―――……お説教するつもりはないって。ただま、"おねーさん"としては危険な事に巻き込む"儀式"が必要、ってだけ。
大人はズルいからね、責任をどこかに持って行かないと話が進まない。本当なら、君のパソコンを預かってアタシが情報を嗅ぎまわるんだけど。
どうにも―――のっぴきならない理由がありそうだし、マキちゃんはただの子供、ってワケじゃない。アタシが知ってる中じゃ相当優秀で、キレるタイプだと、思うしね。

綺麗事を言うより腹を割って話した方が納得してくれると思ったから、こんな話をしたのさ。
ある種、アタシなりの"リスペクト"、だと思ってちょうだいな、ジーニアス<天才>さん。

【からかうつもりもない、そしてバカにする気も、説教をするつもりも。】
【ただどうしても警告はしなくてはいけないし、何より"意思"の所在を、明快にしなくてはならなかった。】
【あくまで、これは麻季音が自分で関わると決めた事である、と―――彼女の口から聞かない事には、セリーナも踏み出せなかったのだ。】

【だが、そんなこんなもすべて杞憂に終わるだろう。ぽつり、ぽつりと彼女が語り始めたのは半年前の大きな事件。】
【"空"が舞台という事で、セリーナは後から詳細を受けるに留まってしまったのだが―――確かに聞き覚えのあるそれは】
【サイトで情報をぼやかされてこそいても、実際にあった事に殆ど変わりない物だと、目の前の少女―――当事者が、語った。】

【―――そう、事件の当事者が、だ。】


―――……不倫調査で同行していた探偵が、ハイジャック犯と戦闘。娘を救出―――、なるほどね。
ニュースを聞いた時は"居合わせた警官が"、って話だったから、ほとんどダイ・ハードでも見てるような気分だったけど。
そっか、本当は探偵―――オーケイ、事情は呑み込めた。麻季音ちゃん、大変な思いをして―――、そして今も、大変な目に遭ってるわけだね。

でもま、不倫相手と会うためにそこまでやるってのも随分と"飛んだ"話だ。
何かしらよくない事に巻き込まれてる線を疑うのが定石、って所かな。―――お父さんは技術界隈の人、なんだもんね。
そうであれば、ハイジャック犯が何を求めているどういう存在なのかもなんとなく正体がつかめてくる……技術、ハイジャック、そして―――……情報。

―――動機については分かった、よく理解できたよ。
ただそれは……半年前の事故に関しての、追跡事由だ。今回の事件に関してはまた別。
其処は誤魔化さないで欲しい所だけど―――どうだろう、もしかしたら、麻季音ちゃんはもう"ハイジャック犯"の正体が掴めてる、のかな。

―――お父さんの情報技術と、今回の"ゲーム・ハザード"。……そこに何か、共通点を見出した、って事かな。

【鋭く、セリーナは突っ込むだろう。家族の問題、居なくなった父の行方を追う娘。】
【そこまでは理解できるし、何なら協力だって惜しまない、セリーナは時間を作ってでも操作を始めるだろう。】
【だがそれはあくまで"半年前の事件"についての覚悟。今回の事件は関係がなく、そしてより秘匿性と危険性の高い"命に係わる"物。】

【で、あれば。セリーナは問うだろう。事件を追う覚悟と意思を聞いて、帰ってきた答えが半年前の事件にさかのぼるならば。】
【もしやそこに、その二つに―――麻季音はもう、何かの関係性を見出しているのか、と。だから今回の事件も放っておけないという事か、と―――。】

/有難う御座います。一旦夜頃まで抜けますが、八時過ぎ〜九時ころにお返事できるかと思います。
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 17:24:09.72 ID:oC8nYUGlo
【森林】

【木々から野鳥たちが飛び立つ。地面からの振動が木々を揺らしてざわめかせていた】
【ざわめきの中に建築物が倒壊する音が続く。森林の奥、開けた場所で土埃が舞い上がる】

いやはや……もう少し骨のある相手を期待していたのですが、ね

【土埃の中から一人の男が歩み出た。革靴が地面を踏みしめ、紺色の裾がそれに続く。同色の背広には皺一つなく、胸元のポケットには飾り細工】
【赤茶色のネクタイが首元で締められ、頭にはツバ付きの紳士帽子。右手が帽子を取り、左手が土埃を払う】
【帽子が頭の上へと戻される。それから男はのんびりとした動作で右腕の腕時計で時間を確認】

なんとも退屈な仕事だ……それなりの金額を支払っていただいているのですが、不憫にさえ思います
こうも手短に済むのでは、見合った報酬とは言い難い。そうは思いませんか?

【男の右腕が下がり、目の前にあった頭を握りしめる。そこには恐怖の表情で固まった軍服姿の男がいた】
【膝立ちとなったまま、視線だけが上がり、背広の男へと向けられる】

ひどい表情ですね。せめて、私の糧となりなさい

【背広の男の言葉に、軍服の男の目が見開かれる。彼の命運はこの場に現れる人物次第だ】
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 17:38:28.46 ID:3iqEkhUNo
>>566

――ほうほう。

【と、声が聞こえるだろうか】
【聞こえてきたのは、その開けた場所の入り口近くにある、樹木から】
【正確には、その樹木の枝に身を預けている、蒼髪痩躯の男からだった】
【獣じみた、というような表現が適切だろうか。人相は悪い】

【背広の紳士が男に目を向ければ、両手を上げて】

いや、構わんよ。続けるがいい、その男の身命に興味はない。

【という、無慈悲な宣告をするだろう】
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 17:50:13.43 ID:oC8nYUGlo
>>567

【声の聞こえた背広の男は慌てる様子もなく振り返る】

それは結構。では

【短い返事と共に男の右手に力が込められる。ただそれだけで、掴まれた軍服の男は後頭部が弾け飛んだ】
【血と脳漿が数メートル先まで飛び散り、軍服の男の両腕は力なく垂れ下がる。背広の男が手を離すと、重力に従って地面に崩れ落ちた】
【死体には目もくれず、背広の男は現れた人物と向かい合った】

さて、これで私の仕事は終わり……なのですが
貴方は私に何か、ご用でも?

【様子を伺うように、背広の男の瞳が向けられる】
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 18:05:10.27 ID:3iqEkhUNo
>>568

【惨劇。それを目の前にしても、男の眼に怒りはなく、無論非難の色も恐れもなく】

いや、見事な手並みだ。
雇い主から命じられてこのあたりの探索に来てみたところでな、貴様に用事はないのだが。

【とん、と樹木の枝から、地面へと降りる。その身のこなし一つで、男がこと戦いに関して素人ではないことがわかるだろうか】

――善悪などに興味はないが、ただ強者を見てしまえば血が滾る。
おっと、所属などは述べてくれるなよ、話してみれば味方でお預け、というのはもう飽いている。

【明確な戦意。徒手空拳に見える男は、隠すこと無く凶悪な敵意を背広の紳士へと向けている―――】
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 18:16:32.44 ID:oC8nYUGlo
>>569

【凶悪な敵意を受けて、背広の男は顔を伏せる。次第に肩が震え始める】
【恐怖によるもの、ではなかった。再び顔が上げられ、そこには獰猛な笑みが浮かび上がっていた】

……いいですねぇ。今日は本当に退屈していたところです
仕事とは無関係ですがそれも構いません。こういった変化がなくては面白くない!

【強敵の出現に喜びの声をあげる。右腕が振り上がり、右手が男へと向けられる】
【鈍い低音と共に前方の空間が歪む。そして歪みそのものが大気中を疾走。直進する】
【これは言ってしまえば大気圧の変化──すなわち衝撃波のようなもの。それが塊のようになって進んでいるのだ】
【当たればそれなりのダメージだが大したものではない。所詮は牽制の一撃、あるいは挨拶、といったところか】
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 18:25:04.40 ID:3iqEkhUNo
>>570

【獰猛な笑みを見る。間違いなく、同類のその笑み】

重畳!
こうではなくては!

【背広の紳士が腕を振り上げるのとほぼ同時、男も左腕を振り上げる】

―――来い、天?。

【あまごろし、と己が愛槍の名を呼ぶと】
【今まで徒手空拳であった男の手には、忽然と黒い槍が握られていた】
【おおよそ2m弱。不吉な印象を与えるその槍を、ぐるんと振りながら】
【男から放たれた衝撃波。視認こそ出来ないが、その歪みを感じて取って】

(魔力、気功の類、あるいは何かを操作する能力者――あらゆる可能性が存在するが)
(一つ確かなのは常人離れした膂力、か。男の頭など、握りつぶせるものではない)

【相手を、近距離〜中距離の戦闘に優れた能力者と定義する】
【自身の得手と重複するその交戦距離】
【まずは接近し、互いの技能を比ぶのみ、と】
【男は気合とともに疾駆する】
【ただし歪みの回避が必要だ。直線距離で、というわけにもいかず、その接近軌道はやや円形を描くこととなるだろう】
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 18:32:54.83 ID:oC8nYUGlo
>>571

【空間の歪曲が回避され、後方の木に接触。何かが衝突したかのような破裂音と共に幹の表面にクレーターが生じる】

(なるほど、良い動きをする。反応速度も上々)

【命中しなかったことなど、背広の男にとってはどうでも良かった。この程度は避けてもらわなくては面白くない】
【迂回しつつ接近してくる敵をその場で迎える。再び右手が向けられ、前方の空間に歪みが発生】
【今度は先ほどのような射撃攻撃ではない。瞬間的に歪みが強まり、その場にだけ大気圧変化、衝撃が発生する】
【範囲は前方に扇状。普通であれば不可視の攻撃にも思えるが、空気の歪みという前兆があるために、戦いを好む戦士にとって対応は難しくないだろう】
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 18:51:32.71 ID:3iqEkhUNo
>>572

【ち、と舌を打つ】
【後ろで聞こえた破裂音は、なかなかの威力を感じさせる】
【数発もらってしまえばそれで幕、一撃もらえばこちらの戦力低下は避けられぬ】
【まずは接近してしまうことが目の前の紳士と伍する最低条件でもあろうが――】

【再び、空気の歪みを察知する。既に接近軌道にあるが故、大きな軌道の変化しか回避する手段がない】
【だが、それは接近を捨てることになる】

(それではラチがあかん。能力の瞬発力、影響力共に優れるか……いや、まこと重畳。戦鬼と言っていい)

【判断は一瞬。男は“再度の回避”を選ばず――】

……奔れ、紫電!

【己の愛槍の切っ先を紳士の方へ向け、一声吠える】
【呼応するように、数条の雷電が男の槍からほとばしり―――】
【紳士のほうに、ではなく、男と紳士の中間の地面へと突き立った】
【紳士が既に放った衝撃。それを雷電の衝撃で迎撃するように、地面に打ち込んで】
【更に突貫。地上を駆ける獣のように、男は紳士へと距離を詰める】

おおおおッ!!!

【しかし、衝撃波の能力と、雷電の余波としての衝撃波では、同規模の能力としても当然、紳士の能力が勝り】
【結果として、衝撃波を弱めることには成功したものの――】
【少なからぬ衝撃波のダメージが、男を襲う】
【だが、まさに男が目指したのはこの地点】
【肉を斬らせて骨を断つ――そんな、捨て身の接近であった】

らァッ!!

【突貫する勢いそのままに、まさに雷電のような突きを、二連。紳士に向けて、男が放つ】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 19:05:38.69 ID:oC8nYUGlo
>>573

(雷撃とはこれまた器用ですね……!)

【二種類の衝撃がぶつかり合い、炸裂。鈍い衝撃音と共に周囲に余波が走り、土埃が舞い上がる】
【対処ぐらいは当然してくるものだと踏んでいた。しかし、その次の行動はこの男の予想を上回るものだった】

何っ……!!

【衝撃の相殺、ではなく”減衰”。敵は牽制だのと生ぬるいやり取りを拒絶して、最短距離で突貫してきていた】
【驚愕が背広の男の行動を遅らせる。この近距離においてはその一瞬は命取りとなるにも関わらず】
【まず一撃目。左に回避。左足が地面を踏みしめて速度を殺し、逆方向へと力をかける。右方向へと身体を動かして二撃目を回避しようとするが】

ぐっ!!

【左脇腹を槍の矛先が掠め、背広を引き裂き鮮血が散る。右足が慣性を殺して急停止。反撃に移る】
【槍が伸びきった直後に背広の男は左足から踏み込み接近。左手で掌底を突き出した】
【淀みのない動きではあるが、近接戦闘を生業とするものからすれば決して早くはない。しかし打撃を受ければ次に待つのは強烈な衝撃。ダメージは計り知れないだろう】
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 19:21:01.36 ID:3iqEkhUNo
>>574
【ダッキングにより交わされた、一撃目】
【相手の左脇腹を抉った二撃目――浅い】

【仕留めきれなかったからには、即座に相手の反撃がある】
【自身の右側で、紳士がじゃり、と踏み込む男を聞いた】
【そも拳をかわしたとしても、あの衝撃波が放たれればダメージは残る】
【ならば回避は大きく行うのが得策で―――】

ふッ――――!

【左脇腹を掠めた槍の矛先、わずかに握り込んだ手を緩めて、刺突の勢いのまま、地面に突き立てる】
【そうして踏み込み、掌底を放つ紳士とすれ違うように】
【棒高跳びのような要領で、自身の槍を支えとし、男はぐ、と前転するように、空中に身を躍らせる】
【そうして紳士の掌底を回避すると、自身の槍を握りしめ】
【空中に踊った勢いのまま、後ろ蹴りを紳士の首筋に向けて放ってみせた】
【もし後ろ蹴りが紳士の身体を捉えれば、その勢いのまま、男と紳士の距離は少し空くこととなるだろう】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/04(日) 19:27:31.08 ID:dJGFZl7b0
>>565

【セリーナの気持ちは大いに感じることができた。とても優しい人物なんだなと少女は思った。】
【危険を冒してまで正義を貫く人物の人格者らしい一面は少女を安心させるとともに信頼できる。】
【そうまでして何故彼女は正義であろうとするのかきいてみたいが、それはまたにすることにする】

信用してくれたならありがたいわ。私だって、おいそれとこんな話を誰にでもするわけじゃない。
UNITED TRIGGERのセリーナだからこそってのもある。協力してもらいたいしね。信頼関係が重要だってことは
私だって知っているわ。

1つ訂正するなら、私は天才なんかじゃない。天才という言葉は歴史に名を残す、概念を覆すような
事を成し遂げた人にのみ形容すべきね。私は相対的にはある種同年代の中では優秀かもしれないけど
天才だとは到底思えない。これは謙遜なんかじゃない。あなたのほうがよっぽどジーニアスよ。

【そう話す少女の目は大人びていて、達観したような視線をどこか明後日の方向に向けていた。】

探偵というよりスパイ映画のエージェントって感じだった。不倫調査にはオーバースペックね。
それで…自分の父親が拉致されて黙って待っているほど薄情でもないし、反抗期の年でもないわ。
父を追うならよく知る人物が居たほうがいいでしょ?頼み込んだら助手にしてくれたわ。

【きっと相手も最初は断ったことだろう。でもこの少女のことだからしつこく食い下がらず、理詰めで相手を打ち負かしたんだろう】

そう、さすがは鋭いわね。私の周りの研究員もあなたぐらい察しが良かったいいのに。
まず質問に答えるなら、犯人は憶測ね。けど、これらの事件は関連性があると、私も、探偵のあの人も確信してる。

【PCを操作して様々なニュースサイトや新聞の切り抜きなどを見せている】

まずあのハイジャック事件は一連の事件の1つだった。同時期に何名かの技術者や学者が別の場所でも拉致されている。その多くは
情報通信やプログラマー、脳科学、AIや認知科学なんかそういう分野の人間よ。
父が狙われたのはその頃に発表した論文のせいね。正確に言うと私が書いたのを父の名前で発表したの

【学会というものは閉鎖的だ。ぽっとでの少女が多少興味深い物を書いても正当に評価されない。それならばある程度定評のある】
【父親の名前で出したほうがまだマシという判断で発表された論文であった】

人間の意識はどういう仕組で存在しているかと言うのは意識のハードプロブレムと呼ばれ、長いこと議論されているわ。
逆に脳がどのように物理的に情報伝達を行っているかはある程度解明されいてる。私は情報統合理論を踏まえながら
意識と無意識の境界をある種のデータの濃度分布としてわけることで解析できるのではないかと考えたの
記憶は単なるデータにすぎない。私達が文字を書くときは内容に意識を向け、文字の書き順は無意識下にある。
文字の書き方は知っていても文章をかけるとは限らないわ。記憶は道具にすぎない。それを扱うかどうかは人の意識。

そして、人の心というのは自発的な思考や行動していると思っても実際は何かの情報に影響されるものよ。無意識に。
私がコーヒーをブラックで飲むのは単に好きだからだけど、多分それに至る理由は存在している。

【横道に話がだいぶそれてしまった。閑話休題とばかりにコーヒーを一口すする。】

例えば、もし、人や民衆に記憶を植え付け、ある特定の人物にとって都合の良い意識を持たせることができたとしたら?
みな、自発的に同じ行動をとるようになる。…そんなことができる人物を私は1人だけ知っている
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 19:43:00.78 ID:oC8nYUGlo
>>575

【咄嗟の反撃はやはり容易に回避され、掌底は宙を打つ】
【敵は背後。死角に留まらせれば命はない。回避された直後に背広の男も反転。問題は相手がどこを狙ってくるか、だ】
【跳躍したからには、と両腕を跳ね上げる。そこに男の後ろ蹴りが着弾。衝撃で身体が宙に浮き、後ろに流れる。距離を空けて着地】

(……予想より、手強い)

【背広の男の頬を冷や汗が流れ落ちていく。二度の接敵で軽傷で済んでいるのは単なる幸運と言える】
【腕の痺れを振り払い、左手で左脇腹を押さえる。流血が背広や内側の服を赤く染めていた】
【背広の男は動かずに敵の様子を伺っていた。主導権が渡った形だ】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 19:51:56.42 ID:3iqEkhUNo
>>577

――――――。

【ぶん、と。仕切り直すように、槍を振るう】
【衝撃波を受けたこと、その直後に無理な機動を重ねたこと】
【それによって、男の身体にもダメージは残る】
【右太腿、内出血。左手首の筋肉にダメージ】
【即座に戦闘継続ができなくなるようなダメージではないが、それでも各種の精度を奪うだろう】

だが、それは貴様も同じ、だな。

【複数の接敵で、互いにダメージを負っていた】
【となれば、ここからはどちらが相手を無力化するのが早いかで――】

……ゆくぞ、天殺。

【ばり、と再び槍から紫電が奔る】
【最初のほどのスピードはない。だが、それでも戦闘者としてのレベルを保ったまま、】
【男は紳士へと、切っ先を向けて走り出す――】
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/04(日) 19:58:51.04 ID:G83DVEbZo
>>561

 【 R 】

【彼女の眼は、受付を“パス”した女の姿を、しっかりと捉えていた】
【──否。花のような彼女の姿は、元より周りの蝶を惹き付けてはいたのだが】
【この女は、蝶というよりも、花に集るそれらを狩るべく感覚を研ぎ澄ます、蜘蛛だった】

[招待状はお持ちですか?]
「ここに持っているんだけど、手が塞がっていてね。杖、預かってくれるかな。」
[あっ……はい、承りました。失礼致しますね。]

【女が示したのは、杖を持つ左肩に掛けられたパーティバッグ。女には、右腕がなかった】
【受付嬢は微笑んで彼女に近寄り、杖を受け取る。──視覚、嗅覚、触覚からは、恐らく受付嬢に異常なし】
【そうだとすれば、矢張りあの“線引き”か。女は、髪を掻き分けつつ、“こめかみ”に左手を触れた】

「……今日は客が多くなりそうだ。大変だね。」
  “──許可。ですが、優先順位をお履き違えなさらないように。”
[えぇ、多くのご来賓を賜っておりますので。──ナザロヴァ様、どうぞお入り下さい。]
「ありがとう。佳い夜になるといいね。」

【空いた左手で招待状を見せ、杖を返されると、“ナザロヴァ”は会場内へと歩む】
【──本来なら隻腕の、それも杖をついた女など、この場には不似合いな筈だったが、咎める目はない】
【雪の様に白い肌に張り付く、肩から背の空いた同色のドレス。プラチナブロンドの髪に、青い瞳】
【人目を十分に惹く容姿に対して、欠けた右腕は、逆にそれを以って完成した美術品のようだった】

【壇上では、既に主催の挨拶が始まっていた。皆が眼を向けている。──そんな中、“ナザロヴァ”は黒髪の女の隣へ】
【まるで内緒話でもするように身を寄せて、囁く】

「こんばんは。独り身の女には、少し肩身の狭いパーティだね。
 や、元から私は右肩の方が狭いのだけれど。──エリナ・ナザロヴァだ。」

【杖を握ったままに、左手を差し出す。掌を差し出す事はできないが、握手をしようという事らしい】


 【 Я 】


【一方、ロータリーでは、青年のバイクを起点に高級車が鈴生りとなっていた】
【苛立った後方の車両から運転手が降り、彼に歩んで来る。──その瞬間、】

 【 ドンッ=@ドンッ=@── ドンッ!!=z

 【── 「お前、どこに目を付けている!!」「ち、違う、車が勝手に──うわぁ!!」】

【降り立った運転手の車に、後方の車両が追突した。続いて更に、後方の車が追突する】
【乗員が怪我をするほどの事故ではないが、ロータリーでは、複数台の車両による多重追突事故が発生している】
【ホテルの中から、周辺から。警備員達が飛び出して来る。──その頃には、青年の姿はバイクと共に消えていた】

【事故の対応に手を取られ、警備員達が消えたホテルの裏手。青年の姿は、そこにある】
【ライダースを脱ぎ捨て、闇に溶けるような黒尽くめの特殊作戦服。──宙空に目をやった】

『ドローンのカメラは?』

【“こめかみ”に右手を当て、問う。骨伝導スピーカーを通じて、彼の鼓膜が静かに揺れる。】

“再起動まで約5分。──不出来な貴方に合わせないなら、4分59秒レイコンマレイ3です。”
『……さっき聞いた話と違うんですけど。もう少し、何とかなりませんか。』
“黙りやがれください。自信とは沈黙です。”

【青年はため息を吐き、ホテルの外面に手を当てた。接壁面が材質を読み取り、装備表面の微細形状を最適化】
【つまりは、全身が面白いように壁面へ張り付く】

“失敗しても屑が1人死ぬだけ。社会的損失は軽微です。── それでは、お始め下さいませ。”

【青年は、その四肢で壁を登り始めた】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 20:12:31.64 ID:oC8nYUGlo
>>578

【両手を開閉させて腕の調子を確かめる。強烈な蹴りを防いだ影響で痺れが残っていた】
【脇腹の出血は大したことはないものの、毒のように体力を奪っていく。状況は決して有利ではなかった】

(まずいですね……ここ最近、こういった強敵との戦いを経験してなさすぎる)

【自身の戦闘経験を振り返り、苦々しさに表情を歪める。それこそ今回のような容易な仕事が多すぎた】
【目の前にいるのは真の戦士。戦いこそを生きがいとするもの。そう、自分と同じように】
【であればこそ、戦う意義がある。再び獰猛な笑みが男の表情に浮かび上がった】

──っ!!

【相手に合わせて背広の男も駆け出す。彼我の距離は急速に縮まる】
【槍の範囲の数歩手前で、手を突き出す。そこから放たれるのはやはり衝撃波。空気の歪みは左右に逃げ道があることを知らせていた】
【この逃げ道はわざと用意されたもの。まずは回避行動を強制するという意図の牽制行動だ。当然、必ずしも通るとは限らないが】
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 20:17:05.60 ID:3iqEkhUNo
>>580

【前段の交戦から、これは如何に自身が距離を詰めるかの戦いだ――と、男は認識していた】
【無論、油断があったわけではない。目の前の紳士の一挙手一投足には、その眼を注いでいた】
【だが、紳士も駆け出す、という予想外の動作に、一瞬の意識の空白が生まれ】
【ち、と心の中で舌を打った次の瞬間、背広の紳士から放たれるの衝撃波】

――く、そッ、!

【一瞬の意識の空白。その反応の遅れは、正しく致命】
【相手の意図に乗る、とわかってはいたが、正面から衝撃波を受けるわけにもゆかず】
【右太腿のダメージの都合、左の足で踏み切って】
【男自身から見て右側、向かい合う背広の男の左側へと、回避の一歩を踏み出した】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/04(日) 20:31:48.66 ID:JqEsk8Hj0
【街中――大通り】
【休日の夜というのもあってか人気の多い通り、だけれど、休日ももう終わりとなれば、心なしか、速足に歩く人が多い気もする】
【道の端っこにはすっかり汚れて黒くなった雪の残骸が硬くなってかろうじて残っていた、煙草の吸殻が何本も突き刺されていたから、あるいは変な生き物みたいに見えて】

ウゥ……、ンー……、お金、ある――。

【その通りの片隅には一台の自動販売機があった、煌々とした明るさがともっていて――だけど、もう十数分ぐらいは、だれも使えないような、状況にあって】
【というのも――その自動販売機の前には、ちっちゃな人影が一つ。時々唸り声みたいな声をあげながら、必死に何かを考えているようなそぶりを繰り返し、繰り返し】
【それがずっと続くから、ときどき誰かがしびれを切らして、半ば割り込むような形でお金を入れてしまおうとするのだけど――その"人影"が毎度邪魔をするから】
【結果として、だれも使えない状況になっている――らしかった】

【真っ白な髪は腰までの長さ、いたるところがぴょんぴょん跳ね上がったくせっけで、ちっちゃな頭を隠すような、たくさんのフリルをあしらったボンネットをかぶって】
【これもまた真っ白な肌は寒さにあてられて頬や鼻先が赤い、オレンジよりは黄色い色味の眼は自分の手元と、それから自販機とを、さっきから何度も何度も往復し】
【裾のうんと長いスカートのワンピースとボンネットは真っ白いもの、腰を通り越す長さのケープと、足元のストラップシューズはうんと赤い、真っ赤な色】
【ちっちゃな女の子だった、就学しているか、していないか、少し悩むくらいの――そんな幼子は、また、ウーと小さく唸り】

…………?

【ちっちゃなもみじの手には数枚の硬貨が乗っている、それを見てから、視線は目の前の自販機へ――それから、不思議そうに首をかしげるから】
【どうにも使い方が分からなくって……というのは、見ていたら分かるだろうか。いっそお金を入れる場所さえ分かっていないらしいというのは、手元の硬貨で見て取れ】
【もっとわかることがあるとしたら、多分、硬貨がそれぞれ持つ価値も――手のひらには、少なくともジュースを買えるだけの金額はなくて、茶色いのが、三枚】

ジュース……?

【本当に意味が分からないままで首をかしげる、そうすれば、少しだけ、目元がじわっと潤んで――まだお金を入れていないのだから点灯するわけもないボタンを、数度押してみた】
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 20:39:55.86 ID:oC8nYUGlo
>>581

(かかりましたね──!)

【誘導させた動きに合わせて、背広の男が一歩、前へと出る。用意していた手筋は衝撃波をぶつけることではなかった】
【それは接近戦。槍の範囲から外れる至近距離戦闘だ。身体の側面で引かれた腕が突き出され、掌底が男の胸部へと打ち出される】
【もしも命中した場合、続くのは瞬間的な圧力。しかしそれは吹き飛ぶほど強力なものではない。打撃の威力を高める程度のものだ】
【本命は次点。開かれた手が痩躯の男の頭部を狙いに来る。掴まれればどうなるかは、既に示されている】
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 20:53:27.90 ID:3iqEkhUNo
>>583

【この超至近距離戦闘であれば、恐らく拳法かなにかの心得ある背広の紳士に利があろう】
【回避した先、読まれていたように放たれる掌底】

【このまま連撃を叩き込まれれば、あの軍人と同じ運命を辿ることとなろう―――】

それでは、赤ずきんに悪いのでな……!

【恐らく紳士には伝わらない、そんな言葉を吼える】
【吸い込まれるように、掌底は男の胸部へと着弾し――】
【男は、後方へと“吹き飛んだ”】

―――が、はッ。

【紳士の圧力圏から逃れるため。一撃目の掌底に合わせて、自ら後ろへと飛ぶ】
【掌底の衝撃と合わせて、勢い良く後方へと飛ぶこととなるが――】
【攻撃を敢えて受けるのだ。そのダメージは直撃より僅かに劣る程度で、今の男には甚大だ】

【なんとか、死を齎す掌だけは回避するが】
【飛び退ったあとの着地は、膝をつく無様なものだった】

【口からぽたり、と血を流しながら】
【ぱり、と男の槍に紫電が奔ったのを、紳士は見逃さないだろう】
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 21:01:33.14 ID:oC8nYUGlo
>>584

(飛んだ……!?)

【一撃目の掌底は確かに威力を調整して、確実に範囲内に維持するよう打ち込んだはず】
【にも関わらず、相手が宙を飛ぶ。それが相手の対応によるものだと気がつくのには一瞬あれば十分だった】

(完全に嵌めたと考えたのは甘かったようですね……!)

【改めて相手の力量の高さに感嘆さえ浮かぶ】
【背広の男は即座に追撃のために駆け出した。ダメージは入っている以上、手を止める理由はない】
【紫電が視界にちらつく。それでも接近を止めはしない。距離が詰められれば、再び右手が掴みにかかるが──】
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 21:12:14.77 ID:3iqEkhUNo
>>585

【恐らく、最終局面】
【そして、男が距離を詰めることに終始したこの戦い】
【この盤面に置いては、距離を詰める紳士を、男が迎撃しなければならぬ】

―――は、ァ。

【一つ、息を吐く。当然のように、背広の紳士は距離を詰めに来ていて】
【接近されれば、恐らく凌げまい】

……あま、

【ぐ、と顔を上げる。ダメージは甚大なれど】
【その眼光に、未だ曇りはなく――――!】

ごろし―――――!

【迫る紳士に槍の切っ先を向けて】
【周囲の空間をちりちりと焦がしながら、紫電が奔る】

【男の残存魔力、そのほとんどを込めた一撃は】
【その槍自身の太さほど、一条の電撃の奔流となって】
【地上を駆ける流星のように、紳士へと放たれた】
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 21:32:59.06 ID:oC8nYUGlo
>>586

【膝をついた状態の敵。迎撃こそ見えるが距離を詰めきればこちらの勝利】
【しかし男の予想よりも相手の行動が早かった。魔力の込もった必殺の一撃が大気を焼きながら直進してくる】

ぐっ……!!

【迎撃せざるを得なくなったのはこちらの方だった。攻撃のために引いていた腕を突き出し、雷電の一刺しを右手が迎え撃つ】
【閃光が炸裂。両者の視界を覆い隠すほどの膨大な光が放出。無数に枝分かれした雷撃が四方八方へと広がり、叫び声のような高音が周囲に響き渡る】
【電撃の奔流に抗うのは今までとは違う何かだった。背広の男の前方の空間は歪むだけではなく、水面のように揺らいでいた。それが雷槍の一撃と拮抗していた】

ぐぅ──ぉおおおおおおおおおっ!!

【男の絶叫と共に紫電が膨れ上がり、消滅】
【右手を突き出し、腕を左手で支えた状態のまま、男は立っていた。上半身の服は全て焼失。身体にも無数の焼け跡があり、全身から煙をあげていた】
【呼吸で肩が大きく上下。激痛に表情は歪められていた】

……ここまで、やるとは。全く、予想外……でした

【言葉も最早途切れ途切れだった。左手の支えを外すと、右腕が力なく垂れ下がる。腕時計の帯が焼き切れ、地面に落下。金属部分は赤熱していた】
【後ろへと一歩下がる。それだけで肉体が悲鳴をあげ、片膝をついてしまった。戦闘を続行する余裕は微塵もない】
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/04(日) 21:35:25.29 ID:XtvQasJmo
>>579

【受付嬢にやはり異変はない】
【表立ってはごく平和に、このパーティーは進行していく】

――――………………

【賓客の眼が壇上へ集中する中】
【『レイチェル』と呼ばれた黒髪の女は、ある男の背後へ陣取るように立っていた】
【取り立てて特徴のないタキシード姿の初老。何処かの財閥の重役とでも言ったところか】

【ドレスと同色のアームカバーに包まれた女の細腕】
【その片方には小ぶりなバッグと、主賓挨拶後の乾杯用に配られたであろうシャンパングラス】
【そして空いていたもう片方の手を、人々の目を盗むようにそっと目の前の男へと伸ばし――】

【――そこで声をかけられた】
【女の手は男へ触れることなく、ゆっくりと引き返す】

【女はそちらへ小さく首を向ける。深紫色の瞳が横目で彼女を見やった】
【何かを値踏みするような数拍の沈黙が挟まった後、唇が開かれて】

こんばんは。エリナ・ナザロヴァ。
私はレイチェル。このようなパーティーは始めてだから
どのようにしたらいいか、良く分からないわ。

【それは酷く淡々とした声音だった】
【肉声として不自然にならないギリギリにまで抑揚が削ぎ落とされていた】

【女は差し出された手の意図が分からぬかのように、握手を返すことはなかった】
【ただ感情の籠もらない瞳が、ナザロヴァの内部を見透かすかのようにじっと据えられて】



【会場の外】

【ちん、と小気味良い音がして、エレベーターが開かれる】
【仕立ての良いスーツに身を包んだ男達が談笑しながら現れ】
【その波に交じって、一人の女性も後ろに続いていた】

【肩の露出したミディアムドレス、奥ゆかしい紺色はよく場に溶け込んでいた】
【夕焼けのような色をした髪は手間をかけて丁寧に結われている】
【彼女は男達に引き続いて会場内へと混じっていく。そっと、染み込むように】

【今はまだ、大衆の一部分として影を潜めている】
589 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/04(日) 21:37:52.25 ID:2uCwe+bp0
>>576

【天才ではない、と自信をそう表する麻季音に対して、セリーナは不思議そうな顔をするだろう。】
【これは経験上の話だが―――所謂秀才や碩学と呼ばれる存在は、「凄い」と言えば「その通り」、「当然だ」なんて】
【不遜ではあれどその実績に見合った誇りを見せるタイプが多かった、少なくともセリーナの身の回りには。だからこそ、少し驚いて。】

【自身で論文を提出できる程の優れた知性と知識を併せ持ち、それをしっかりと形にするだけの技量もあり】
【ましてそれら全てをこの年齢でこなしてしまう麻季音が―――先程までとは打って変わって、ある種の謙遜すら感じさせる様な】
【そんな態度を取った事に、だ。しかし、あくまでそれは謙遜ではない、事実だと語る彼女にセリーナは頬を緩ませる。なるほど、これは新しいタイプ、だ。】

オーライ、オーライ。"謙遜じゃなくて"、とそう前提を置いた時点で、貴女はとても"謙虚"だよ、
自分ではそう感じていないのかもしれないけれど。それに真摯だ、自分の研究している事に対しても、ね。
分かった、それじゃ訂正するよ。ジーニアスさんじゃなく―――"プロディジー"<秀才>さん。

で、その"ジェームズ・ボンド"だか"コードネームUNCLE"だか"ジェイソン・ボーン"だかによく似た敏腕探偵さんと、
一緒に捜索を続けていて―――たどり着いたのが今回の事件、そう言う事だね。確かに街頭のモニターをハックしたり、
フルフェイスのヘルメットにあんな―――……なんというか、"文字"みたいのを浮かび上がらせる技術は特殊だし、高度だ。

関連性を疑うのは良い線ついてると思うよ、賞金稼ぎなりの"嗅覚"で考えた話、だけど。

【セリーナはしっかりと麻季音の実績を讃え、呼び方こそ変えるもそのリスペクトは揺るがず。】
【そうして探偵の元に転がり込んだ経緯を聞けば納得し、そしてその線で捜査をする事にも同意するだろう。】
【―――と、ここまでは真面目な話。セリーナもうんうん、と顔を頷けて話を聞いているの、だが―――、問題はそう、ここからだった。】

―――へぇ、他にも拉致事件が……それじゃデータベースを漁らなきゃ、コンピュータは苦手なんだけどね……。
それで……あー、へぇ? じょうほう、つうし……の、のうかが?? ああ、"脳科学"ね! で、えー……えー、あい……あ、人工知能!
オーケーオーケイ! わかるよ、わかります、全然わかr……、……―――・・・・・・。

はーど、ぷろ……??? いしき、あ、え、あの、ちょっ、ちょちょちょちょっ!!

【―――はて、部屋を見渡してみよう。手近にある銃は"M1873"、ウィンチェスター製の銃器、名が示す通り大昔に生まれた其れだ。】
【その後ろには長く大きな"シャープス銃"、通称"バッファロー・ライフル"。西部開拓時代の狙撃銃、現在は使われていない単発式の骨董品が並び。】
【さらに前方に目をやれば二対のガンベルトに収まるS.A.A、シングルアクションアーミー。これもまた、ダブルアクションリボルバーに駆逐された旧世代の代物だ。】

【他にもたくさん。タイプ・ライターにアルコール・ランプ。黒電話に薪式のストーブ―――そう、そう言う事だ。】
【単なる趣味、と言えばそれまでだがこの女、本当にこういう物に"囲まれて"育っている。つまるところ、シンプルに言うのであれば―――】


―――、すいません。良く分かんないです。


【ハイテク、科学に滅法弱い。先ほどまでの余裕はどこかへ消え去り、ハットを取って頭をがくり、と下げるその様は】
【有体に言ってしまえば赤点を取って先生と親に怒られている不良少女其の物―――全く、まったく理解できていない、様だった……。】

 あ、で、でもでも! あのー、あれだ! 頭のいい奴が人間を操って悪いことしようとしてる!! つまりその、ほら、そう言う事だよね!?

【―――まあ。それでもなんとなく、肝心な部分についてはそれなりに掴めてはいる様で。馬鹿もほどほどにしてほしい物だった……。】

/戻りました、よろしくお願いします。
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 21:42:33.53 ID:3iqEkhUNo
>>587

【まさしく、全力を掛けた一撃で】
【黒槍・天殺を使う限りは男の最強の一撃であった】

―――はは、凌がれるとはな。
老人よ、ここまでやるとは。
こちらのセリフ、というやつだ。

【体力と魔力、双方限界を迎えて】
【ああ、疲れた、クソ、というように、槍兵は大の字、仰向けに寝転がった】

いや、もう無理だ。指の一本とて動かぬぞ。
酒が飲みたい。肉が喰いたい。

【男にも、戦闘を続行する余裕は微塵もない】

俺の名はガイウス。雇い主は機関だが――
ご老人、貴卿の名を伺えるかな。

【言葉だけは礼を尽くすが、仰向けにひっくり返ったまま――息を切らしながら、男、ガイウスは、相手に名を尋ねた】
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/04(日) 21:58:54.94 ID:oC8nYUGlo
>>590

ふふ……生憎ですが、安易に、本名を教えられる立場に……ないものでしてね
傭兵としての……通り名であれば……バルチャー、という名を、覚えておいてください……

【屍肉を啄む禿鷲の意味を持つ名を教えた男は、気力を振り絞って立ち上がり、一歩ずつ森へと歩いていく】

口惜しいですが、久しぶりに良い戦いができましたよ……
貴方ほどの純粋な戦士であれば……いずれまた、どこかでお会いするでしょう……

そのときには……必ずや、今日の決着をつけましょう……ガイウス……!

【衝撃音と共に男──バルチャーは跳躍。言葉を待つ間も無く、森の奥へと消えていった】

//乙です!
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/02/04(日) 22:03:00.26 ID:3iqEkhUNo
>>591

バルチャー……だな、覚えたぞ。
必ずまた、見えたいものだ……

【仰向けに倒れたまま、そんなことを口にする】
【だん、という衝撃音を耳にすれば】

―――は。
まったく元気ではないか、ご老人。
これは――まあ、どう贔屓目に見ても、見逃された、というやつだろうな……
いやはや、恐れ入る。

【そうぼやくと、体力が回復するまではここにひっくり返ったまま】
【歩ける程度まで持ち直せば、男もおっかなびっくり自らのねぐらへと帰るだろう―――】

/こちらこそありがとうでしたー!
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2018/02/04(日) 22:07:26.12 ID:sx+0kgRC0
>>582
//もしまだいらっしゃれば入りたいところ……なのですが。0時前には寝なければいけないのですが、大丈夫でしょうか…
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/04(日) 22:10:06.48 ID:JqEsk8Hj0
>>593
/大丈夫ですよ!ぜひぜひお願いしますっ!
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/04(日) 22:12:04.68 ID:G83DVEbZo
>>588

 【 Я 】

“15,14,13──”
『──よ、っ!!』

【熱線で窓硝子が焼き切れる。カウントダウンを耳に、青年は窓から部屋に飛び込んだ】
【──7階の男子トイレ。こんなところに強化硝子を使うぐらいなら、顧客に還元する経営方針らしい】
【眺望がウリのホテルらしく、トイレの窓は、人1人が侵入できるほど十分に大きかった】

“オールクリア、とお考えならそのまま、予定通りのルートをお通りなさいませ。
 ホテル内はスタンドアロン。無念ですが、私の眼より貴方のゴミのような眼の方が幾らか有用です。”
『了解。』

【パーティが始まったばかりで、スタッフは八割方そちらの対応に追われている】
【──それに、この階、このトイレから搬入用エレベーターまでのルートだけ、監視カメラは故障中】
【足音を立てず、されど小走りで、青年は搬入用のエレベーターに乗ると“49”を押す】
【行き先は、パーティ会場の1つ下。ホテルの“電子制御室”──つまりは、脳髄だ】


 【 R 】


【──花、というよりも、造花。そんな空虚で、永劫的な印象をレイチェルは醸し出していた】
【返されぬ握手に、さりとて何の反応をする訳でもなく、エリナは手を引いた】
【周囲では、乾杯の音頭に合わせてグラスが掲げられた】

「誰も解ってなどいないさ。でも、“こう”やって分かっている顔をするのが大事なんだ。
 皮層上滑りの極致がこの場所だよ。──キミにとってはどうでもいいか、そんな話は。

 ……“こう”、すれば、誰も浮いていることなんて、気にしないんじゃないかい。」

【──彼女の杖を握った手が、宙を“スワイプ”する。】
【これで何か反応があれば、それは構わない。しらばっくれるなら、それでも構わない】
【とにかく、早く結論が欲しかった。二正面同時作戦を採るほどに、時間的余裕はなかった】

〈──、皆様、早速ですがビンゴ大会を始めさせて頂きます!!
 端末をお持ちの方は、お取り出し下さい!!先だってインストールして頂いたアプリを──、〉

【来賓挨拶はごくごく手短に終えられ、司会にマイクが渡ると、人々は手に手に端末を取り出した】
【アプリを使用した、少し変わり種のビンゴ大会。IT企業にとっては、セールスの場でもあるらしい──】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2018/02/04(日) 22:15:44.91 ID:sx+0kgRC0
>>594
/ではでは、お言葉に甘えて!少々お時間を頂きます〜
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/04(日) 22:25:32.05 ID:dJGFZl7b0
>>589

…はぁ、もういいわ。なんとでも呼んで。

【そういう彼女であったが口元は少し笑みを浮かべている。こんな気心の知れた中のような話をする機会はあまり無い】
【UTやセリーナがかくあるのは、彼女のこういった人柄にあるんだろうと思った。】

そうね、私が入手できる情報はあまり多くない。プロの探偵であるあの人はもっと突っ込んだ情報を手に入れてきてくれた
1つは拉致されたと思われる人物のリスト。後はこのフルフェイス事件があの1件じゃなくて少なくとも複数起きていたということ。
リストからどういう人材を欲していたのかがわかった。仮に、フルフェイス事件がある種の実験であると考えられなくもない。

…まあ文字ぐらいは私だって作れるわよ?あんなの。前は見えないと思うけど。ハッキングに関しては…まあ専門外だからわからないけど
どのフルフェイス事件も一体で通信障害や異常なノイズが発生していたことは確認できてる。

【PCを操作して様々なデータや関連性の高そうな情報を表示していく。オープンソースインテリジェンスはスパイでも基本である】
【彼女の元々の理系としての正確もあるだろうが、これらの証拠集めの地道な方法は探偵から学んだものだ】

短期間で超効果のある洗脳ができる技術を悪いやつが持ってて世界がやばい!…ま、そんなとこね。

だから私が助手として動いているの。こんなニッチなの研究しているのも少ないし、わかる人もいないから。
でもわかってないと見落とすし、警戒していても付け込まれる。犯人はそういう人間を狙うでしょうね。

例えば…そうね、銃の構造も知らない人がいざっていう時に戦えると思う?

【そしてこの話の一番のメイン、疑わしい容疑者のデータがPC上に表示される。40歳後半だろうか、白髪交じりで如何にも学者といった風貌】
【記念写真だろうか複数人の中で1番隅で不機嫌な顔をした男。あまり大きくない画像でも異質な雰囲気は感じ取ることができる】

ロベルト・フォルケン博士。専攻は脳科学だけど人工知能の第一人者。私の知っている中で、1番の天才。
あの人の考えていることには誰もついていけないし、社交的でもないから。学会じゃ煙たがられていたけど。
彼は何年も前に失踪しているわ。まだ、証拠もないし、疑うのは可哀想だけど。

【と、ここまでが話の全体像。すっかりコーヒーも飲み干すほどの長話でクタクタだ。少女は肩をすくめる】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2018/02/04(日) 22:31:36.52 ID:sx+0kgRC0
>>582
【何時もと変わり無い見回り。何事も無く平和に終わったのだから散歩とも言い換えられる】
【教会にでも戻って暖かい茶を啜ろうとしたその矢先である。視界の隅に何やらぴょんこぴょんこと跳ねる影】
【視線をやればその通りの姿な訳だが――はて、迷子と言うべきかそれとも飲み物欲しさに家を抜け出してきた困った子と見るべきか】
【――何て事を考えて居る内に、濡れた幼子の目尻が自販機の明かりで輝いた。苦笑いを一つ浮かべてポリポリと頭を掻きながら近寄って】

こんな時間にジュースなんて飲んでたら虫歯になるぞ、って大人の人に叱られちゃうよ?
だから、コレはボクとキミの秘密にしてね。さ、お嬢さん。何が欲しいのかな?

【少女からすれば急に声を掛けられる事になるだろうか。見遣ればきっと、シスターが纏う其れに身を包んだ女が居る筈だ】
【以前までの人々と同じ様に遮ろうとも、それをすり抜けてお金を投入してしまう事だろう】
【途端に、全てのランプが点灯するか。叶うならば、全てのボタンを押しやすいようにと幼子を抱え上げて】
【クスクスと笑いながら、悪戯っぽく告げるのだ。この事はみんなには内緒だよ、と】

ほらほら、泣いてたら折角のジュースも美味しくなくなっちゃうよ
――それとも、決められないならボクが押しちゃうよ〜

【女の身形からして周りも危険は無いと判断しているのか余計な手出しはせず】
【――つい悪戯心が働くのは、女の悪い癖だが。何であれ、目的のボタンを押せば今度は取りやすいようにと地面へと足を着けさせてやる筈だ】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/04(日) 22:39:42.32 ID:XtvQasJmo
>>595

【周囲のグラスが掲げられる中、女はそうしなかった】

【何故ならエリナの意味深に動かされた手に、】
【女の視線がしばし釘付けにされていたからだ】
【表情が乱れる訳ではない。しかし確かにその仕草は女の内面を揺らしていた】

……………………。

【視線がエリナの顔へ移る】
【何かの思惑を渦巻かせるような沈黙が挟まれた後】

ごめんなさい。少し気分が悪いわ。
やっぱり人が多いのは苦手。

外で休んでくるわ。
良い夜にしてね、エリナ・ナザロヴァ。

【そう言って、女は会場の出口へと足を向けた】
【気分が悪いと言った割に精密な程真っ直ぐな足取りで】
【ウェイターとのすれ違い様、その銀盆の上にシャンパングラスを置いて】
【引き留めない限りはそのまま出て行ってしまう】



【会場の一角で】
【赤毛の女性が、片手でこめかみ付近を押さえる】

(――え。どういうことですか。
 “ダブルブッキング”って。詳細を――)

【出て行く黒髪の女を視界の端に捉えながら、彼女は密かに眉根を寄せた】
【次に起こるであろうことへの心の備えも出来ていないまま、水面下で事は動く】
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/04(日) 22:45:22.45 ID:JqEsk8Hj0
>>598

【呟いた声――ちっちゃな声、ジュース……と欲したものは、この雑踏の中では、きっと、だれの耳にも届かない】
【そしてこんなよくわからない子供に親切にしてやろうという人は現れなかった、――少なくとも、今この瞬間までは、確実に】

……ムシ、ば? うー……、ユーイ歯磨き、してるもん! リンネが……、――。

【急にかけられた声に、ぴゃんとちっちゃな悲鳴、それから、背後にきゅうりを置かれた猫みたいに、びゃっ!と飛び上がり、飛びずさり、振り向く仕草は】
【あるいはまさに獣のそれであったとは余談だったろうか、だけれど――かけられた声を理解してある程度正しい答えを返してくるなら、その程度にまっとうな知識はあり】
【虫歯というものは分かる。そしてそれは歯磨きをすればあんまりならないことも分かっている。挙げられた名前は保護者だろうか、近くにはうかがえないけれど――】

ンん! ダメ! ユーイがジュース!

【むくれて言うのだから多分歯磨きはあまり好きではないらしい――だけどそれも、相手が自販機にお金を入れようとすれば、くわっと、怒るような表情になって】
【お金を入れようとする手をぎゅーっと捕まえようとするだろう、ばたばた怒ってやるのは、まず一般人なら奇妙な子だと思って、そこで諦めるような、関わりたくないもの】
【だけれどそれを強行されれば――しばらくおっきな声で悲鳴みたいなものを上げていたのだけど。だけれどすぐに、すべてのボタンがぴかりと光ったに気づけば――】
【これは保護者がジュースを買ってくれたときと同じだと気づいて、目がキラキラに輝くだろう、ひょいと抱っこされれば、その時にはすでに従順なさまになり】
【――ちなみに、この幼子、結構軽い。見た目の年齢の平均より少し軽いくらいだから、女性だとしてもある程度は難なく持ち上がる程度で】

ヤ! ユーイの! 

【これでジュースが手に入ると判断した幼子はあっさり手のひらを返した、シスターらしい女の言葉を遮り、自分が選ぶ!というのなら】
【もうしばらく抱っこしていれば、そのうち自分の好きなものを選ぶ……はず、だったの、だけど――】

…………ウ、ん――、……ンン、ジュース、どれ? ユーイわかんない……。

【――――また、困った顔。今度は"ジュース"が分からないと言い出すのだけど、相手から見れば、目の前はほとんどジュースだらけの自販機であると分かるだろうし】
【なら、この幼子。ジュースというものを知っていてもジュースが何かをよく知らないのかもしれなかった、少なくとも、目の前のそれらがほとんどジュースであるというのを、分からない程度には】

ジュース、甘かった。

【多分ほとんどのジュースは甘いのだけど。多分それも分からないままで、どれがジュースなの、と、少しじとりとした目が、ぐるっと相手に振り向いて――問うた】
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/04(日) 22:59:24.55 ID:G83DVEbZo
>>599

 【 R 】

【仕草に反応したレイチェルに、エリナは目を細めた──杖を、少し強く握る】
【氷の沈黙の支配は、さりとて、呆気なく終わりを告げた。彼女が、初老の男から離れる】

「──それが良いだろうね。良い夜を、レイチェル。」

【もし、彼女が思っているとおりなら、この後の瞬間に此処に居られるのは不味かった】
【腕は一本しかないのだから。──らしくもなく。彼女が少しでも、この場から離れるように祈っていた】


 【 Я 】


【ハード面の堅さが故に、ソフト面が脆くなるという事例は決して少なくない】
【制御室に到達する道は幾通りかあれど、例外なく、どこかで厳格なチェックを受ける】
【“横入り”する者の存在は想定されていない。横入りなどできる筈がないのだから】
【──従って、この部屋には数人のホワイトカラーが気絶して転がっている。犯人の顔すら覚えてはいまい】


“……オールグリーン。予定通り、先ずはトラフィックを増大します。
 作戦終了まで、その場を離れないでください。”
『警備は?』
“暗転と同時に、エスカレーターを止めます。上階の警備は収拾に手一杯でしょう。無能です。
 予備電源に切り替わるまでに事は済むので、小さな心臓を締め付ける必要はありません。”


【 ── 何も、アクシデントがなければ。 】



 【 R 】


〈それでは皆様、画面にタッチして ── 、あ、熱ッ!!〉


【それは、突然の出来事だった】

【司会の男が端末を投げ捨てたかと思うと、参加者たちも、次々に熱さを訴え、端末を取り落とす】
【小さな悲鳴と怒号が漏れ、英知の箱は、塵屑のように会場の地面へと叩き付けられていった】
【ビンゴ・アプリを開いていた者。つまり、参加者の殆どの端末が、地に散らばる】

【──そして、次の瞬間には、会場の電燈が暗転した】
【火傷の痛みを訴える司会の声を伝えていたスピーカーも、途切れる。電燈のみではなく、あらゆる電気系統に不具合が出ていた】
【パニックの声。それを諌める声も、パニックに陥った者のそれとさして変わりはない】


【“何かをする”には、絶好の瞬間だった。──それは、エリナも、レイチェルも、例外ではない】
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2018/02/04(日) 23:08:53.69 ID:sx+0kgRC0
>>600
【どれがジュースか、と問われれば流石に面食らった表情になり。……これは難問だった】
【お茶だとかコーヒーだとかは先ず考えなくても良いにしても果たして炭酸が飲めるのかどうか】
【いやそもそも保護者と思わしき人物が着色料甘味たっぷりのモノを飲ませる教育をしているのかどうか】
【勝手に飲ませて良いのは何処までのラインか――なんて難しい考えを一切持つ事は無い。迷ったならばそれらしきモノを幾つか全て買ってしまえば良い】
【そんな大胆な考えのもとで少女を一旦降ろし、幾つかボタンを押すのだ】

ここでユーイに問題です。ボクが手に持っているこの中から、飲みたい!と思うモノを取りなさい

【ガコン。そんな音が計4回。修道女が手に持つのは、りんごジュース、オレンジジュース、コーラ、ドクターペッ○ー】
【この中に正解があるとは限らないだろうが、取り敢えずは無難なチョイス。一つ以外は】
【屈み込んで視線を合わせてやれば、其れ等を選びやすいように地面に立てて並べて】

うーん、ボクのオススメはこれかなぁ。ユーイはお口の中がパチパチするのは苦手かな?

【野生児の様な子ならば、多分直感で何とかなる。そんな程度にしか考えていないのだろう】
【オススメ、と言って指を差すのは林檎ジュース。何と無く、そんな気がしたからだけれど】
【――もしくは、別なモノを飲みたい。なんて言い出したらそんな気紛れにも付き合うか】
603 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/04(日) 23:24:02.32 ID:2uCwe+bp0
>>597

【セリーナの脳味噌が理解の範疇を超え、軽いパンクを起こしている最中にも麻季音は狼狽えず。】
【むしろそのままの勢いでしっかりと説明をこなし、あまつさえ分かり易い言葉できちんと"変換"するという事までやってのける。】
【矢張り、この辺りも単純な"天才肌"とは違う所だろうか。彼女はずぶの素人にも分かる様説明し、そして理解させるだけの度量を持ち合せている様だった。】

―――フルフェイス事件が、他にも!? ……ちょっと待った、それってもしかしてじゃあ―――っ!
その全部に報道規制が掛かってて、だからアタシの耳にも入ってきてない、って、そういう事だっていう訳!?
オー・マイ・ゴッド……神にはあまり祈らないけれど、コイツは本当に……ヤバそうな事件だ。火消が多数、情報は過度に規制……。

プロの探偵でも全容を把握するのに苦労するとは……犯人捜しは愚か、事件の詳細を知る事から始めないといけないなんて。
それで、じゃあ今までのマキちゃんの情報を纏めると―――、

先ず一つ。
世界各地で優秀な脳味噌を持った脳科学者や技術者の拉致事件が発生している。

二つ。
その中にはマキちゃんのお父さんにして、マキちゃんが唱える脳の―――なんだか、洗脳だとかを専門にする学術、学者が関わっていて。

三つ。
それと重なる様にフルフェイスを被った危ない人間たちの虐殺事件が多数多発、しかも丁寧に情報が規制されてて警察も手を出せない状況で。

そして―――四つ。
悪のマッド・サイエンティスト、ドクター・ロベルトが数年前に失踪、その手の技術のパイオニアだった人間の関与が疑われる―――。

……、最後に仮説を述べるなら―――……


     "ロベルト率いる犯罪集団が、人を洗脳する技術を生み出すために科学者を拉致、
     培った技術をフィールド・テストする為にフルフェイスで顔を覆った人間に悪事を働かせてる―――"


こういう事に、なる。それで、アタシの認識は間違ってないかな。ワトソン君。

【セリーナはここまで出た情報を分かり易く(自分の為に)整理し、そして述べるだろう。】
【だがここで新たな疑問が出てくる―――確かに拉致と洗脳、脳科学、そしてフルフェイス事件は繋がる、繋がるが―――。】


なら……、"情報規制"については、どう考える?

【そう、問題はそこだ。本当にこれが科学者を使った犯罪事件の一連の正体であれば】
【直ぐにでも対策本部を立てて全ての情報を世界に公表、犯人と思わしき謎の集団から科学者を護る為のプロトコルを起動し】
【フルフェイスによる実験<事件>を未然に防ぐよう各国の防衛戦力が集うべき事態に違いない、何せ洗脳は国をひっくり返す事も出来る悪魔の技術なのだから。】

【だが現実は―――非公開。情報規制。徹底的なまでの緘口令が敷かれる。】
【何か見落としているピースがあるのか、それとも―――単に警察は対策を立てあぐねているのか。】
【本当に市民を刺激しないため、という一点にのみ目的を持った緘口令であれば良いが……この状況でそれは、考えづらい。】

【むしろ早くに警告を発するべきだとセリーナは考える。もっと、犯人が"目立つことを望んでいる"様な】
【劇場型のサイコパスや、国家間の戦争を誘発するような経済戦争の仕掛け人が犯人であるならば、情報規制にも納得がいく。】
【だがこれはそういった類の物ではなく、カノッサやGIFTに代表される"卓越した化学技術"を用いたある種のテロ行為にも等しい。つまりは、情報規制の意味がない】

【セリーナは不可解な面持ちで考える……その技術、本当に必要としているのは一体、"どの勢力"なのか、と。】

 ―――……アタシが考えてる事、最悪の場合を想定しているけれど……、いや。
どこまで疑うか……むしろ"どこまで信じるか"……。アタシはこの国を、この世界を疑うのか……?
でも―――……嗚呼、まったく……ただでさえ"怪物"の対処で頭を抱えているっていうのに、ここにきて国の暗部と戦えって……!?

……マキちゃん。貴女のお父さん、いえ貴女の論文を―――"政府の関係者"が興味を示したり、していなかった?

【この女が導く解答は、……恐らくそう、難しい物ではない。】
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/04(日) 23:24:37.40 ID:JqEsk8Hj0
>>602

【抱き上げられて、ぺかぺかボタンが光る自販機を見る。見るけれど――この前、"リンネ"がくれたのと同じものは、そこになかった】
【あの時もこういう機械にこのお金って言うやつをどうにかして、ボタンを押して……いたから、これでいいはずなのに、なぜなのか、ジュースが見当たらない】
【だからあるいは相手が面食らったのと同じくらい、幼子も面食らったのだろう。これはジュースが出て来る機械のはず。間違えていないのだけれど】

【それでそっと降ろされる。それでまた怒ったように鳴くから、残念ながら教育はあんまり行き届いていないようだった――あるいは、もっと、欲望に素直であるか】
【しばらくそうして唸っていたのだけど、相手がポチポチといくつかのボタンを押して、いくつかの物体を吐き出させれば――目を丸くして】

アァ……? ユーイ知らない……。

【相手が視線を合わせてくれれば、落ち着いた色合いの黄色が相手の目を見つめるだろう、やがて地面にコトコトと並べて置かれるのを見つめ】
【飲みたい!と思うもの――本来であれば自分の好みに合わせてあれがいいこれがいい言うはずの問いかけ、だけれど、どれがジュースかという認識もない彼女には】
【ちょっと難しすぎたかもしれない、眉間にぐぐっとしわを寄せて、ぐっとしゃがみ込んで、自分もまた缶と目線が合うように(?)、頭をぐっと地面に近づけたのなら】
【長い髪がざらざらと地面をこすってしまう、真っ白の服も、地面をこすって――だけれど本人は気にした様子もなく、】

ん! ユーイこれ! 食べたことある!

【しばらく凝視していた中から、やがて一つを選び出すのは。偶然にも、相手がお勧めしたのと同じ、林檎のジュース。――いわく、林檎を食べたことがあると】
【パッケージに描かれた林檎のイラストから、それを知っている果物だと導き出したらしかった。だから、よっぽど頭が悪いという様子でもないのだけど】
【しゃがみこんだ格好からそのままぺったんと地面にお姉さん座りをして、林檎のジュースを手に取ろうとするのだろう――それで、まだ、手の中に握りしめていたお金を思い出し】

! お金でお買い物!

【はっとした顔――それで、ちっちゃな手のひらに握りしめたお金を相手へ差し出すだろう、曰く、ジュースを手に入れるにはお金が必要、というか】
【何かを手に入れるにはだいたいお金が必要だと教わっているような――だから、お金を払うと。お金を持っていると。アピールするだろう】
【だけれど。その手にあるのは茶色のお金が三枚、ジュースには程遠く、そして何より、ずーっと握りしめていたから、すっかりとぽかぽかの温度になっていて】
【よーく見れば、そのうちの一枚はふちがギザギザになっていた。それらを得意げに差し出して――よく見ればケープの内側、ちっちゃなポーチを提げていて、そこから】
【小銭のこすれ合うような音がしたから、多分、もう少し持っている。正当な代金を請求するくらいなら、もちろん誰も咎めないと思われるけれど――】
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/04(日) 23:41:05.52 ID:XtvQasJmo
>>601

(――了解しました)

【彼女は溜息を吐きそうになるのを堪え、返答した】
【――何が起きても任務を続行せよ、との通達に】

【そして、丁度測られたようにそこで起こる暗転】

(――っ!? ……何が起きても、ね)

【周囲のパニックの中、彼女は苦々しげに表情を歪めながらも】
【何か得心したのか、取り乱すことなく冷静で】

【すかさず瞬きを三度する】
【それがスイッチとなり、コンタクトレンズが暗視用フィルターへ切り替わる】

【彼女にとってこの作為的な暗闇はむしろ歓迎された】
【背後で蠢くものが、ここで一気に炙り出される筈――そう確信した】
【彼女は周囲へと広く眼を光らせ】



【すると】

【丁度外へと一歩を踏み出そうとしていたレイチェルが】
【暗転の瞬間、ぴたりと足を止めた】

………………――――

【振り返る。暗闇を把握する】
【女の眼球型カメラが同じく暗視用に切り替わる】
【不意に訪れたこの瞬間を、その人工知能も『好機』と判断した】


【レイチェルは上体を大きく反らすと、そのまま両手で床を掴んだ】
【異様な四足と化したそれは、人外じみた動きで会場の壁へと登り】
【フロア内を一望――そして『ターゲット』を見定めると】

【ぎギ――だンッ】
【強く壁を蹴って初老の男へと猛禽の如く急降下】

【獣じみて開かれた五指が、男の顔面を掴もうとした、その刹那】
【がンッ――と、またもや別の重い異音が響く】
【赤毛の女性の高く蹴り上げられた足先が、横から『レイチェル』の胴を打ち据えた音だった】

【『レイチェル』は強く吹き飛ばされ、豪華な料理の並べられた長テーブルへ激突】
【がっしゃあ――ンと、極めて騒々しい音を立てて食器や備品が散らばる】

【一呼吸の間に起こったのはそこまでである】
【全て暗闇の中。次々と起こる剣呑な音に、周囲のパニックは加速する】
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2018/02/04(日) 23:52:42.07 ID:sx+0kgRC0
>>604
【雨の日に外を出歩かせたら大変そうだ、と無責任ながらも勝手に思う。自由人と言うよりも、好きな様に生きている風】
【それを正すかどうかは自分の役割では無く、幼子の保護者次第。――やっぱり大変そうだけど】
【お金を差し出すその手に気付くも、やって笑いながら小さい手を包んでもう一度握らせる筈だ】
【付け加えるならば、更に100と書かれた銀色のソレも掌に入っているのだが……それに気付くか否かは分からないが】

そう、お金が無いとお買い物も難しくなっちゃうからね
――ん。だから、そのお金で今度はリンネって人にユーイが買ってあげると良いよ。きっと喜ぶんじゃ無いかな?

【大金でも無い。何より自分が好きでやった事だ。お金を取るつもりは元より無かったのだろう】
【代わりにその金で買ってやれ、とでも言いながら幼子の様子を見て――満足した様であれば、本題へと移る】

そう言えばユーイの家は何処なのかな?
余りこの時間に出歩いてたら心配する人も居ると思うんだけど……

【林檎ジュースはユーイに渡して遣って、余った他のジュースは修道女が手に持つ事になるか】
【そんな最中での問い掛けは単純なもの。家は何処にあるのだ、と】
【元よりジュースを買うのも家に帰すための切っ掛けを造るためだ。分からない、と言われれば困ってしまうが……】
【その時はその時。一時教会で預かるなり自警団に届けるなりすれば良いか、なんて考えで】

/そろそろ時間の方がキツクなってきたのでこの辺りで…!
/明日の21時辺りから大丈夫かなとは思いますが当方現在は仕事上活動時間がずれたりする事もあるので難しそうだったり数日離れてる事になった際はしたらばの方で連絡スレにて伝えさせて頂きます!
/お返事の確認をしないままで申し訳無いですが、一足先に失礼します……お疲れ様でした!
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/05(月) 00:06:09.48 ID:L8VaC/dD0
>>606
/りょうかいしました、この後お返ししておきますので、お手すきの際にお返しいただけたらすぐに再開できるかな……と思いますっ
/こちらも明日はそれよりちょっと遅いくらいかと思います、ひとまずお疲れさまでしたっ
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/05(月) 00:12:52.44 ID:zUsmRNU20
>>603

【麻季音はあくまで冷静だ。当事者でありながら憶測ありきで物事をすすめることは科学の論法として正しくない】
【この話の中心であればあるほど、確証は薄くなる。間違った考え方でこの捜査を進めて行きたくはない】

報道規制という言い方は正しくないわね。正確には警察が公表した情報をメディアはつまらないネタと判断したのだと思う。
そうじゃなければ報道規制に関する何かしらの報道が何処か小さなメディアが抗議文を書いているはず。
フリーのジャーナリストが追っているかもしれないけど…この様子だと難攻しているようね。

【PCをパタンと閉じる。疲れたように頬杖をつきながら、話を続ける】

情報の整理はそれで概ね間違いないわ。私がワトソンのはずなのに、不思議ね。

【凝り固まった体を、伸びをしてほぐす。】

不確定な要素はいくつもあるわ。ひとつ、この事件の黒幕は本当にフォルケン博士によるものなのか。
学会の異端児であっても悪人と決めつけるのは早急ね。何らかの関わりがあるにしても彼の論文を読んだ悪人が
他の有識者と同じように拉致したのかも。それは何処かの国のスパイなのか…貴女が追う、機関かも知れない。
少なくとも彼一人じゃ無理よ。拉致も資金だって。

秘密裏に洗脳を仕掛けていけばいいはずなのになんでわざと町中で無差別殺人なんて行う必要があるのかも理解できない。

そして、この一連に政府や何らかの政治的な問題が絡んでいると思うこともまだ早い。
重大な事件の捜査をすすめる上で秘密裏に動くなんて無いとは言い切れない。
それに、動画サイトの動画を削除したりは優秀なハッカーならできなくはない。犯人側の仕業とも言えるわ。

警察や企業そして政府に至るまでそれらは沢山の人員による組織で成り立っている。だから誰か1人の思惑で自由に動かせるものではないはずよ。
一体、誰が敵で、味方かはわからない。

けど私の目的は父を見つけることだから。

【少女はまっすぐとその目をセリーナに向けた。何を問うか。ここまでの長話よりシンプルで雄弁な瞳】
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/05(月) 00:14:26.14 ID:flppZq8po
>>605

【──暗闇の中、初老の男に人外の動きで飛びつく『レイチェル』】
【沈黙の内に制圧してしまえば、まだ、当初のプランの修正は不要──、だが】
【彼女が反応するよりも、一瞬早く動いた女が、『レイチェル』を蹴り飛ばしてしまった】
【物音に、混乱は更に広がる。──、用意していた暗視ゴーグルを掛けると、こめかみに手をやった】

「監視カメラ越しに見えているだろう。騒がしすぎだ。“停電事故”とは行かないよ。」
“──結構。会場を“空”にします。その上で、早急に二名を制圧。屑らしく、派手に暴れて下さい。”
「了解。私は『レイチェル』をやる。奴には女の方を対応させてくれ。」

【──告げるが否や、エリナは弾丸のように走り出した】
【杖を脚代わりに使った出鱈目な動きで、長テーブルに激突した『レイチェル』に追撃】
【特殊合金鋼の杖で以って、その喉元を貫かんと迫る】

【同時に、パーティ会場の一角の窓が割れた。冷たい夜風と共に、“誰か”が転げるように入って来る】

『……。』

【その人影は即座に立ち上がると、赤毛の女性と『レイチェル』の射線を塞ぐように立ち、構えた】
【──政府の部隊が好んで使う特殊作戦服に、暗視ゴーグル】
【暗視装備で以ってしては、その相貌までは読み取ることができないだろう】

【更に、非常灯が点灯する。──避難を呼びかける機械的なアナウンスと共に、人々が出口へと退去する】
【宛ら、誘蛾灯に群がるような勢いで、パーティの参加者達はその場を去って行く──】
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/05(月) 00:38:15.50 ID:L8VaC/dD0
>>606

【差し出した手をぎゅっと握られる。これまた不満げな声を上げるのだけど、やがて解放されれば、自分の手の中に、さっきまでなかった銀色の硬貨】
【今度は驚いたような、不思議そうな声をあげて――「くれる?」「くれるの?」聞くから、それは相手がくれたものだとは、分かっているよう】
【頷いてやれば、「フーン」「アリガト」などというのだろう。すっごくすっごく感謝している――という風ではないのだが、ぱちくりと瞬いて】
【大事そうにポシェットを開いて、そこにじゃらじゃらと戻すから――それから「ん!」と笑ってみせる、きちんとしまったよ、と、言うアピールタイム】
【――だから、おそらく、幼子なりには喜んでいるらしかった。ちゃんとしまいました――というのを見せて、それから、ぽんぽんとポシェットを叩いてみせる、くらいには】

フーン……、リンネ、喜ぶの? んん、――買う!

【それから。自分はお金を払わなくっていい、それどころか、もらったお金で、保護者なのだろう人に買ってあげればいい、とまで言われれば】
【そういうのもあるのか……という様子で、しばらく幼子はぼんやりと考え事をしているようだったけれど――やがて、それならば買おうという考えになり】
【今もらってしまったお金をまた出す――それから、相手が最初にそうしたように、お金をしかるべき場所に入れる、それからもらった銀色の硬貨と、茶色いのを一枚】
【――ボタンが光らないのを見て、グウと唸ったが、今度は、茶色いのをまた入れる。ボタンを睨んでから、もう一枚。今度こそボタンが点灯すれば、ぱぁと喜色を浮かべ】

リンネ……ジュース……。

【それで何を買ってあげようと思ってニヤニヤしながら悩むのだ。やがて決めたらしいなら、待ちきれないみたいに、またさっきみたいに抱っこしろとせがむだろうし】
【抱っこしてもらえれば、購入するのは――たった今さっき、相手に買ってもらったのと同じもの……つまり林檎ジュース。あるいはこれしかわからなかったか】
【なんせ相手のオススメだから信用できるし林檎は食べたことがあるから――それで購入できればすごく得意げにうれしそうに笑ったのだろう、そして、本題】

アァ? ――家、ンン、夜の国! ん……、リンネお仕事! 眠くない!

【家はどこか――と当たり前のことを聞かれれば、幼子は一瞬考えてから、そう返答する。家は夜の国。そしてここは。――物凄く遠い場所を答えるものだから】
【嘘か冗談かと思ってしまいそうだけれど、限りなく本気そうでもあった。さっきから繰り返される名前、おそらく保護者が仕事でいない、眠くない、だから出てきた】
【当然悪い子なのだけど――あるいは。"リンネ"の仕事場や連絡先が分かれば――迎えに来てもらうなりすることも可能かもしれなかった】
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/05(月) 00:45:51.85 ID:kI/DTkrSo
>>609

(……やっちゃった)

【騒々しく上がった大音声に、彼女は自ら起こしたことながら顔を顰める】
【突然のことで、つい手――この場合は脚だが――が出てしまった】
【男の防衛と静音を咄嗟に両立できる程の力量はまだなかった、というところか】

【そこへガラスの割れる音】
【思わず腕で顔を守るような動作と共に】
【レイチェルへ向けていた意識が無理矢理そちらへ奪われる】

【――立ち塞がる乱入者】

【それは、明確にこちらを『照準』していた】
【あまりにも非正規的な場への乱入。そしてその出で立ち】
【何かの組織的な背景を彼女はすぐさま感じ取る】

【であれば】
【この場において面を記録される訳にはいかない――】

【彼女は片腕で顔の半分を隠した状態のまま、もう片方の手でブレスレットへ触れる】
【ホロ・スーツの外観情報が変更され、彼女の全身は別のホログラムに覆われる】
【――薬局のマスコットキャラクター。つぶらな丸い瞳が愛くるしい二足歩行のアマガエル、という姿へ変貌した】

【青年の側からすれば、彼女の相貌を正確に把握できたかどうか、微妙なタイミング】

【彼女はそれから間合いを測るように、じり、と一歩後退して】
【両者の間には今にも白刃の瞬かんとするような緊縛感が張り詰めた】



【――がンッと硬質な音が再び響く】
【エリナの杖先をレイチェルが掌で受けた音だった】

これがパーティーらしい振る舞い?

【暗闇で引き絞られるカメラアイが、エリナを補足する】
【人ならざる怪力で、レイチェルは倒れた状態のまま杖を押し返す】
【ぶん、と腕を振り抜き、吹き飛ばそうとするような勢いで】
612 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/05(月) 01:13:49.99 ID:7ESiQrJI0
>>608

【―――確かに。あくまでセリーナの思考実験に関しては"憶測"の域を出ない事。】
【だがしかし、現状得られる情報はこれだけ。まとめた条件からある程度の回答を"予測"しておくことは】
【科学の実験でも重要だ。確かに、まだ未確定の情報が多い中で方向性を決めつけて動くのは危険だし、傲慢極まりない。】

【だがそうは言っても、"線"を組み立てず捜査を続けるのも困難。情報を集めるにも路線が必要なのだ。】
【セリーナもまた、神出鬼没、そして大胆不敵な犯行を重ねる"賞金首"達を何人も捉えては牢獄へとブチ込んできた腕利きだ。】
【当然、時には警察、そして仲間の探偵や事件の被害者にだって協力してもらって、光明を見出してきた―――単に憶測だけで、語る訳ではなく。】

―――でも、マキちゃんが直接掛け合おうとしても警察はだんまりだった。それが事実だ。
確かに報道規制、とまで言ってしまうのは言い過ぎなのかもしれないけれど……"何らかの思惑"については疑って然るべきだと思うよ。
ただ、そう。マキちゃんの言う通りでアタシたちが"コレ"に食いついた様に、記者の中に嗅覚の鋭い人だっている筈―――その線を当たってみるのは、悪くないかも。

アタシ達とはまた違う角度で事件を追っている人が居れば―――……その情報と合わせて何か、"パズル"がまた埋まりそうな気もするんだけ、ど。

【とはいえ、確かに麻季音の言う通りで。矢張り予想だけではカバーできない部分も多々、存在している。】
【博士の技術が貴重なモノなのは確かだが、だからといって博士張本人が関わっているとは断定も出来ない、その通りだった。】
【カノッサ、或いはまた別の何かが背後におり、彼の技術を応用している可能性だって考えられる。むしろ、最初に拉致された被害者だったのではないか、とも。】

―――うん。流石に聡明だ、確かに……博士の技術を盗んで応用してる組織の存在、ってのは。
疑って然るべきかもしれないね。大きな犯罪だし、あちこちに手を回してる以上単独犯の可能性は極端に低い。
"バットマン"のジョーカーでもあるまいしね、すごいカリスマで悪人を従えて好き放題、ってタイプでは、ないんだろうしさ!

けど―――どうかな。街中でのデモンストレーションがある以上。
火消が犯人の身内、ってのは薄い線な気がするよ、だとしたらマキちゃんが言う通り、
最初から目立たない様に犯行を重ねればいいのに、わざわざこういう形を取ったのは―――何か、理由あってだ。

そしてそうである以上、やっぱり"誰か"が隠そうとしているのは確か、勿論―――どの組織も一枚岩じゃないのは、頭に留めておかないと、だけどね。

【釘を刺される様に鋭い意見を言われれば、"そうだね"、と納得するセリーナ。】
【だが矢張り、秘匿性については第三者、或いは加害者側の別一派が動いている可能性を、疑う。】
【でなければ、あれだけの騒ぎで実験をする理由は見当たらない、というのが彼女の考えだ。尤も、それすら"ブラフ"、と考えることも可能だが。】

―――けどま! 今はとりあえずそう! マキちゃんの"パパ"を見つけないとね!
フルフェイスの件については引き続き捜索を続けるとしても、まずは科学者拉致の線を追っていこう。
そっちは被害者の数が多いし、恐らくは残っている情報の数もフルフェイス事件より、確実に多い―――筈、だ。

オーケイ、不肖ながらこのセリーナ・ザ・"キッド"、ガンマンとして、バウンティハンターとして、そして―――
UNITED TRIGGERの創設者として、麻季音ちゃんのお父さん捜索を手助けする、約束だ。必ず、見つけ出してみせよう!

【余談、ではあるが。ペット探しで見つけられなかった犬猫は今までUTでは一匹もいない。】
【―――本当に、完全なる余談、なのだが。ふふっ、とセリーナは笑い、そうして手を差し出す。】
【その手を握ればそこから、この二名の協力体制は固まる、あとはセリーナのすべき事と言えば。】

―――それから。もういっこだけ、麻季音ちゃんに案内しておきたい"場所"があるんだ。
あと少しだけ、時間を貰ってもいいかな、マキちゃん?
613 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/02/05(月) 01:16:21.55 ID:7ESiQrJI0
>>608
/ごめんなさい!恐らくは次か、その次辺りで〆になるとは思うのですが
今日は一旦ここまででも大丈夫でしょうか……!!
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/05(月) 01:19:52.23 ID:flppZq8po
>>611

『(……ホログラム?──、一体、どこの組織だ。)』

【──電子制御室の痕跡は消して来た。最早、ホテルのシステムにアクセスする事はできない】
【遠隔での監視カメラ映像の保存・消去は難しい。予備電源もじき、作動するだろう。時間がない】
【青年か、エリナ。どちらかの手が空けば、目当ての“端末”を手に入れることは可能だが──】

『──、 。』

【青年が小さく息を吐くと、その右手に、紅く輝く“棒”が現出した。暗闇の中では、よく目立つが】
【暗視装備の閃光補正機能を要する程の光源でもない。──くるくると、それを回し、構える】
【“能力者”であることは明らかか。 じり、じり、と数歩、距離を詰め── 】

『……抵抗しなければ、一発で済みます。』

【勢い良く、アマガエルの“右肩”へと向けて振り下ろした。──それが、彼女の右肩なのかは不明だが】
【対電子装備用の備えは流石に持っていない。ホログラムを貼られた時点で、先攻するしかなかった】



「── ち、っ。」

【一方。──杖を押し返されたエリナの身体は、宙へ向けて吹き飛ばされる】
【受け身を取りつつも、その身体はレイチェルと同じく、食台へと叩き付けられた】

「驚いた、皮肉も言えるのか。一体、“どこ製”だ、キミは。まぁ、今はどうでもいいが。
 ……言い返すなら、先に四足になる方が悪いだろう。この場でそれが許されるのは、捌かれる家畜ぐらいのものだ。」

【杖は吹き飛ばされた拍子に手放したのか、立ち上がる彼女の手には握られていない】
【その代わりに、“ワインボトル”がエリナの手に握られていた。──彼女はそれを、レイチェルに向けて放り投げる】
【暗闇の中では立ち上がる冷気が見えない。しかし、確かに“低温状態”にあったボトルは──、】


「 パーティは、黙って酒でも飲んでいる方が“それらしい”。ご馳走しようじゃないか。 」


【空中で破裂。中からは、無数の“ワインの氷弾”が、レイチェルに向けて降り注ぐ】
【──恐らくは、彼女も“能力者”。ボトル内の液体を凍らせ、操ったのか】
【質量、体積共に知れているが、その一つ一つは、研ぎ澄ましたような切っ先を彼女に向け、飛来する──】
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/05(月) 01:22:58.83 ID:flppZq8po
>>614
/補足:棒はただの棒です。鉄ぐらいの硬さで、爆発とかはしません。
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/05(月) 01:34:19.74 ID:zUsmRNU20
>>613
/了解しました。お返ししておきます
/長話にお付き合い頂いて感謝です
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/05(月) 01:49:30.73 ID:kI/DTkrSo
>>614

(この戦闘服、この身のこなし……
 そして財政界パーティーへの潜入と工作……一体、何処の――)

【間合いを測る最中、青年と同じような思考を巡らせる】
【しかしそれは相手が『能力』を発動した瞬間に中断せざるを得なくなる】

「……それは奇遇ね」

【じり、じり、万力で締め付けるような緊迫感と共に間合いが縮められ】
【棒が振られた刹那、彼女は鋭く右半身を引いて回避する】
【が、『熱』の余波は彼女の右肩に軽い火傷を刻んでいく】
【降り降ろされた一撃は、ぼ、と音を立ててホログラムを乱し】

「――はッ!」

【火傷のひりつく痛みに浸るのは後で良いと言わんばかり】
【彼女は左足で鋭く一歩前へ踏み込み、それを軸に鋭く身体を翻す】
【一瞬、青年に背中を見せた身体はすぐ正面へと戻り、】
【遠心力を引き連れた裏拳が、青年の顎先目掛けて迫る】



【一方で】

――――!

【さながら手榴弾の破片となって襲い来る鋭い氷弾の群れ】
【それに対処するする術を『レイチェル』という個体は持ち合わせていなかった】

【鋭い切っ先は倒れた女の身体に真っ向から降り注ぐ】
【ドレスと表皮を切り裂き――内部の人工筋肉と配線を露出させた】

……………………。

【それでもレイチェルは立ち上がろうとするが――ただし裏向きの四足で】
【関節の各部は酷い軋みをあげて、ショートした配線がばちりばちりと火花をあげる】
【最早真っ当に動けない様子なのは明らかだった】
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/05(月) 01:51:59.75 ID:kI/DTkrSo
>>615
/あっ見てなかった!
/紅くて熱そうだったからつい……でもほら、板垣先生曰く人は思い込みで火傷したりするって言うし……
/適当に脳内補完しといてください!
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/05(月) 02:17:43.01 ID:flppZq8po
>>617

【青年は、外れた“棒”を捨てた──否、正確には投げ捨てた棒が、“消滅”した】
【能力の産物であるが故か、武器への頓着がない。そのまま、軽くなった右手を防御に引き戻す】
【──が、“裏拳”が来るまでは読めない。両腕で構成した防御の側面を拳が突き、顎が揺れる】
【急所を守っていたが故に威力は減殺されたが、痛みが走るのには変わりがない】

『──、っ。』

【息を漏らして、バックステップ。若干は頭がふらつくが、戦闘続行に支障はない】
【再び、能力で武器を現出し、構える。──今度は両手に紅い『メリケンサック』。近接の方が勝手は良いと判断したか】
【横目で、エリナを見る。どうやら、あちらはカタが付いたか。ならば、後は時間を稼げばいいだけだ】


「……あぁ、随分と醜い有様になったね、レイチェル。可哀想に。
 まぁ、どうでもいいのだけど──キミのことは、どうしようか。」
“──捨て置いて構いません。それより、端末の回収を。鳥頭ですか。”
「はいはい。じゃあね、レイチェル。さようなら。」


【レイチェルは無力化されたと判断し、エリナは杖を拾い上げると、傍を離れる】
【──ちか、ちか、と。パーティ会場の電灯は、復旧しようとしていた】
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/02/05(月) 02:45:55.50 ID:zUsmRNU20
>>612

【これ以上の話は更に仮説、空想の類に近くなる。それに持っている話はもう殆ど話してしまった】
【お互いの認識に大きな違いがないことがわかればそれでいい。これからどうするかの話のほうが先決だ】

まだまだ調べることはたくさんあるわ。探偵は拉致事件の実行犯を探しているみたいね。フリーランスのプロ集団なら
ある程度見当がつくかもしれないって。あとは人間関係ね。誰かが助けようとしているとわかれば救難信号をあげるかもしれない。

私はそれを手伝いながらフルフェイス事件をさらに検討してみる。もしかしたら事件はまた起きるかも知れないし。
後はもう少し仲間もほしいわね。セリーナの言うとおりフリージャーナリストを当たってみるのはいいかもしれない。
あとはアクセスログかしら…情報を抜き出そうとクラッキングの痕跡が見つかるかもしれないし…

全く、この事件があってからちーっとも研究も進んでないのよ。やりたいことは山ほどあるのに。
あの人だって何処かに捜査行ったきりだし…実は近いうちにここには協力してもらいに来るつもりだったの
先輩が…ああ、探偵の人、私は先輩って呼んでるんだけど。先輩が、「信頼できるから会ってこい」って
それはともかく、よろしくお願いするわ。…報酬は私の出世払いでね。

【セリーナの手を握り、たんなる挨拶で交わすものよりもはっきりとした握手を交わす。心強い味方だ】
【そしてちゃっかり報酬をこの隙にウィンクでごまかした】

必要な資料は提供させてもらうわ。期待してる。…特に、ドンパチには定評があるでしょ?派手にふっ飛ばしてもらいたいものね
私の研究を勝手に使うなんて許せないわ。…それともし父が不倫してたらその時もよろしくお願いね?

あの態度の悪い警官も一味だったら真っ先にお願いしたいわ!私が小さいからって開口一番、君、迷子…って、ゴホン。

【ここまで真面目な話をし続けていたストレスからやっと開放されたのか、先程の事を思い出して語気を荒らげる。】
【経歴から察するにまあ高校生ぐらいの年だ。しかし、中身に似合わず見た目は背も低いことがあり、さらに幼く見えるのである】

ええ、勿論。…何かしら、秘密の指令センター?変形するスーパーカーとパワードスーツが収められたガレージ?
もしや魔術がかけられた魔法陣?私、魔術とか能力ってまだあまり見たこと無いの。じっくり研究してみたいわね。
621 :1/2 [saga]:2018/02/05(月) 20:16:31.48 ID:t0SGbbc40
>>619

【じり、と】
【再び両者間に張り詰める緊張】

【彼女は肩に残るひりつく痛みを感じながら改めて相手の格を推し量る】
【攻撃を受けても尚その冷静な佇まい。明らかにそれなりの場数を踏んでいる】
【まして異能保持者となれば早々決着しそうにもない??】

【そこで破裂音。視線をやれば『レイチェル』は大破していて】
【更には明滅するランプがタイムリミットを予感させる】

(……っ、『メモリー』まで破壊されたら不味い……
(もうのんびりやってる時間はない、かーー)

【再び視線を青年へ据えると、意を決したように片腕で虚空を横薙ぎにする】
【するとそれが合図であったかの如く、周囲の様々な物体が宙空へと浮かび上がった】
【食器、ガラス片、ワインボトル、マイクスタンド、テーブルクロスなどなど】

【さながら大規模なポルターガイストじみた有様となった直後】
【彼女は突撃の号令をかける指揮官の如く、掲げた手を勢い良く振り下ろす】

【途端、浮かび上がっていた物体の全てが、弾かれたように飛び出し】
【青年を物量で押し潰さんとしてあらゆる方向から殺到する】

【ーーが】
622 :2/2 [saga]:2018/02/05(月) 20:18:44.76 ID:t0SGbbc40
>>619


??《 そこまでです 》


【ぴたり】
【青年へ接触しようかというほんの一瞬前、唐突に声が響いて】
【全ての物体は急激に動きを止めた】

【声の出所は、どうやら彼女が身につけていたブレスレット】
【彼女は驚愕し自身の腕を見やる。尤もホログラムに包まれている今ではその表情は窺い知れないが】
【状況に構わず声は続く】

《情報部より総員へ通達。直ちに武装を解除し各任務を続行してください》
《繰り返します。総員は直ちに武装解除、各任務の遂行を優先してください》

《異議申し立ては帰還後に警務局・円(つぶら)まで》

【その声の主として名を添えられたのは】
【水の国警察警務局??警視正・円 嗣星(つぶら しせい)】
【警察内部の人間、とりわけ諜報に携わる人員ならば聞き覚えがあるかもしれない】

【いわゆる『上層部』の一人であり、その情報掌握能力と正確無比に執務を遂行する様から】
【付いた異名は『検閲装置』??時には同僚であろうが平然と内偵の対象とするという噂で】
【人前に姿を現すことは滅多になく、その素性からして謎多き人物とされている】

【各セクションの長よりも上の階級に当たる警視正】
【上層部たる人間が直々にその権限で以て命令を下したのだった】
【この通達を理解する意思を見せた者は即ち、必然的に『同業』ということになる】
【無論、理解したとしてもそれに従うかどうかは各自の意志次第だが】

「…………」

【青年やエリナがどう出るかはさておき】
【ひとまず彼女は様々な疑問を飲み込んで通達に大人しく従うらしく】
【停戦の意を示すように一歩後退。それと同時に浮遊していた全ての物体は床に落ちる】

【その行動は、明らかに彼女が『関係者』であることを示すもの】

【もし新たな攻撃が加わらなければ】
【彼女はどこかから取り出した小さなカプセルを『レイチェル』へと放る】
【互いが接触した瞬間、カプセルからは無数の銀糸が這い出て『レイチェル』の表面を網状に覆い始めるだろう】


/蛇足かとは思いますがちなみに↓
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/05(月) 20:22:43.54 ID:t0SGbbc40
>>619


【ちなみに、円警視正本人だという裏が取れているのかというとーー】

【ちょうど命令が下るほんの少し前、】
【青年とエリナの側に付いているオペレーター的人物宛には】
【情報部・円嗣星本人を示す電子署名の入った通信が送られている】

【内容は以下の通り】
【『三課』と『六課』間でのバッティング有り=z
【調整処理は情報部・円が請け負う。各自任務優先されたし=z

【要は何が起きても、面倒な内部処理は任せてそれぞれの任務を優先すべしとのこと】

【各課を跨ぐ情報の掌握能力、事前の通信内容と矛盾しない『通達』、それに従う赤毛の女性】
【極めて高度にシールされた署名に加えてこれらの状況証拠、本物と捉えて差し支えなかろうがそこは各自の判断に委ねられる】


/長々とすまない、ほとんど状況整理です。
/あとダッシュ二本が文字化けしちゃってますが脳内補完ねがいまする。
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/05(月) 21:15:03.88 ID:flppZq8po
>>621->>623

【浮き上がる無数の物品。絡繰は知れないが、これから起こることは予想できる】
【問題はない。押し寄せる、それ以上の“爆風”で以って吹き飛ばす──】

『……、警務局?』

【──その刹那、攻撃が止んだ。通達の内容を理解するに連れ、眉根が寄る】
【だが、偽報ではないことも確かだった。この場に“彼ら”が居るのを知る者は、三課長以下、上層部のみだ】
【エリナが端末を拾い上げる。奇しくもそれは、“初老の男”が取り落とした物だった】

“──確認しました。我々が尻尾を巻くのはクソ不快ですが、真実です。
 対象物を回収の上、両名、その場から離脱。”
「いつもの話だが、説明が足りないね。」
“……クリシュティナ・レールモントフ。命令に違反する場合、貴女の執行停止は──”
「分かったよ。回収は済んだ。“橋立”、お互い離脱は計画通りに。」

【照明が暖まり始める。暗闇が薄い明かりに晴らされつつある中、女は会場の外へと出て行った】
【“エリナ・ナザロヴァ”は賓客だ。暗闇の中、他の客に紛れてしまえばそれで済む】

“照明、復帰します。数分で監視カメラが再起動。離脱して下さい。”

【一方、相対するままに残された青年。──ぱん、と音を立てて、会場の眩い照明が復帰した】
【ここまでの光量だと、暗視ゴーグルを使い続けるのは辛い。彼はゴーグルに手を掛け──】


『……アクシデントとはいえ、申し訳ありませんでした。』


【流石に笑むことはなかったが、交戦の荒れた名残など1つもない表情で】
【その顔を晒した彼は、“アマガエル”に、軽く頭を下げた】
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/02/05(月) 21:19:01.00 ID:nNxlS6xzo
【街中】

【今日の夜も酔っ払いやら客引きやら何やらでまあまあ賑わってるやや治安悪めなこの街で、どうやら騒ぎが起こっているらしい】

{食い逃げだーっ! 誰か捕まえてくれーーーッ!!!}

【その声のする方から、ズドドドという効果音がぴったりな程の勢いと猛スピードで駆けてくるのは――】

「遅ェーぜェーッ!」

【ガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

【そのゴリラ的人物に肩車されているのは、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

【――さて、注意点なのだが……堂々と正面から止めようとした場合、もしかしたらこうなってしまうかもしれない】

「どけどけェ〜ッ」 {ひでぶ!} {ジョーーーン!} {無茶しやがって……}

【そう、男のタックルの威力がやたら高い。下手なアメフト選手よりもおそらく高い。】

//たぶん日付変わる頃に落ちる気がします
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/05(月) 22:23:25.74 ID:t0SGbbc40
undefined
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/05(月) 22:24:06.76 ID:t0SGbbc40
>>624

【『レイチェル』を覆う銀の網に、ぱり、と小さく音を立てて青白い電流が走る】
【その後、張り巡らされた網の一本一本が青白く発光すると】
【じじじ……と音を立てながら、『レイチェル』はその爪先からゆっくりと何処かへ“転送”されていく】

【この得体の知れないアンドロイドこそが、彼女の『追跡・回収対象』であったらしく】
【『三課』の案件とは全く無関係のはずだったがーー】
【エリナ、改め クリシュティナが回収していった端末は、あの初老の男のもの】

(あれはーー)

【ーー無関係に思えていた複数の線が、立体的に絡まり始めるのを彼女は感じた】

【そして室内灯が灯り、目の前の青年が顔を露わにすれば】
【ホログラムの中で、彼女はこれまでの人生の中でも飛びきりに驚愕の顔をした】

【ーー何故『彼』がここにいるのか】
【一体いつから『同僚』でーーここには何をしにーー】
【というより何より、今まさに自分が交戦していた相手は】

【かつて『対機関連合』として背中を預け合い戦った、】
【そして命を賭してまで自分の身を救い出してくれた、】
【あの『彼』であった、とはーー】

「…………ぇーーーー」

【数呼吸、まるでレイチェルの如く絶句せざるを得なかったが】
【彼女はそれからすぐに、自身を覆うホログラムを解除する】

「……なんでこう、もっと普通に会えないんだろうね。ーー森島さん」

【憑き物が降りたように肩の力をすとん、と抜いて】
【その表情には笑みよりはこの数奇な運命への困惑と呆れの方が色濃く出ていた】

【だが復旧した電燈、どこかから聞こえてくる騒がしさ、間も無く監視カメラも再稼働する】
【そして何より、今は『任務中』ーー悠長に旧交を温めている暇などないのは明らかで】

【「……私も行かなきゃ。またーー」】
【名残惜しさを押し殺し、言うが早いか】
【彼女はドレスの裾を翻して出口へと向かっていく】
【逃げ遅れた賓客を装い、そっと群衆に紛れるようにして】



【それから数時間後か、後日か。現場から離脱した後のこと】

【『三課』のとある捜査員に対して、秘密裏にメッセージが送られる】


【X月Y日 ZZ時 料亭***にて会食 お待ち申し上げます=z


【紙媒体か、何者かによるすれ違い様の口頭か】
【何にせよ記録に残らない形で、その個人だけに向けて送られる】
【紙では署名代わりに達筆な『◯』が添えられ、口頭では『まる』とだけ結ばれ】
【多くは伝えていないが、それで分かる者でなければ不要とでも言いたげで】

【そのような『検閲装置』からの誘いが齎されるのである】



/終わってもいいのですがせっかくなので場面転換&もうひとネタぶっ込んでみる!
/誘いに乗るキャラはご自由に選んで頂いて。いずれにせよその人物にだけ届いた体で。
/もちろん握りつぶして断るのも手だ!
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/05(月) 23:29:38.38 ID:flppZq8po
>>627

【──ホログラムが晴れ、“彼女”が姿を現したとき】
【青年の顔には、彼女と、同質の表情が張り付いていた。──否】
【それよりは、少しだけ。諦め切ったような、物悲しさが勝っていたのかも知れない】
【無言のまま、青年は彼女を見送る。というよりも、言葉を放つことは、できなかった】


『……、これでまた、か。』


【耳元で退去を促す声に促され、彼もまた、その場を去った】


【  】

(……あぁ、面倒臭い。)

【後日、課内で今回の一件の情報共有が終えられて暫くして】
【“とある捜査員”は、招待を受けた。──なぜ自分になるのか、というのは、幾つか思い当たる】
【他の捜査員は、決してこういった密談に向いていない。森島もクリシュティナも、戦士であれ、政治家ではなかった】

【それに、『三課』は極めて特殊だ。その“性質”上、全員がマトモな人間ではないと言っていい】
【課員は直属の上司の声すら知らない。一方で、課員同士は頻繁に行動を共にし、お互いの身分も知り尽くしている】
【課内の統制を保つのは、課長ではなく、課員相互の緊張関係。故に、事が起これば、課員への直接の説明を要する】
【──『公安』らしくない自主性・機動性と引き換えに、暴発の危険がある。少なくとも、上はそう考えているのだろう】
【それとも、何か他の目的があるのか。良くも悪くも、この男は“融通”が通じる存在でもある】

【──などと、その男は愚考しながら、料亭の廊下を歩いていた】
【撫で付けられたオールバックの黒髪。メタリックフレームの眼鏡に、三つ揃えのスーツ】
【インテリヤクザの様な風貌に、擦れ違った仲居が小さく声を上げ、身を引いた】
【導かれた部屋の前で軽く鼻を鳴らし、襖を開ける】


──失礼します。
えらい光栄ですわ、ウチの会社は偉い人に会わんもんですから。


【公安三課所属、百家羅山】

【嘗て水の国の都市1つを奪い、大戦を引き起こした“ナンバーズ”が一】
【本来ならば、極刑は免れ得ない。しかし、かれはこうして、大手を振ってこの場に現れた】
【── 『毒を以って毒を制す』。三課の存在理念を体現する人物の一人だ】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/06(火) 00:16:08.08 ID:GJbgDhmq0
>>628

【襖が開かれれば、既にその人物は床の間を背にして座していた】

ようこそ。お待ちしてました。

【いやに澄んだ黒瞳が百家を出迎える】
【黒い短髪はやや薄く、生え際もいくらか後退して額が広い】
【控えめな紺のスーツだがそれは仕立ての良いオーダーメイド】
【すっと芯の通った背筋を伸ばしているが背丈はさほど高くない】

【もし街中で出会えば、冴えない中年の庶民にしか見えぬような】
【そのような男が招待状の主ーー水国警務局特別監査官・円 嗣星その人であった】

どうぞ。楽にしてください。
今日は是非楽しんで頂きたい。

【笑みでもなく、かと言って無表情でもなく】
【どちらとも取れる曖昧な表情を固定したまま、円は声をかける】
【何の背景なしに聞いたならば、その声色はどこか間の抜けたおじさんのようで】

【百家が席につけば、早速料理は運ばれてくる】
【品の良い小鉢の数々へ精緻に盛り付けられた鮮やかな櫻風会席】
【付け合わせの菜一つとっても、それだけで彫刻作品として通用しそうな程繊細な細工がなされている】

【当然ながら事前に話は通っているのだろう】
【料理を並べ終えると、仲居達は足早に部屋を後にする】

【ちなみにこの部屋はどうやら離れの個室で】
【仲居達が去れば、後に聞こえるのは微かに風のそよぐ音だけ】
【後は完全な静謐が場を満たしていた】

堅苦しい挨拶は無しで良いでしょう。
私が貴方を呼んだ意味は分かりますね。
大凡で構いません。

【かつての辣腕ナンバーズ。一歩飼い慣らし方を誤れば喰われかねない存在】
【それに相対してさえ何一つ乱すことのなく言葉を投げる平静さだけが、この男の身分を物語っていた】
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/06(火) 00:53:01.65 ID:HC37Y5ebo
>>629

(……あァ、やっぱり面倒臭い相手や。)

【その男の姿を見て、百家は、腹の中で毒づいた】
【どこからどう見ても、路傍の石にしか見えない。だが、彼の評判に照らせばその実は金剛石だ】
【こういった相手が最も、対応に苦慮する。一つ譲れば、百を曝け出すことになるのだろう】

【下座につくと、百家の前には竜宮城もかくや、という料理が並べられた】
【──円の問いかけを聞きながら、箸を伸ばし、口をつける】
【小慣れた動作は、決して、その場の雰囲気を崩さない──、だが】

堅苦しい言うなら、その回りくどい話の進め方も要らんでしょう。
虚心坦懐、簡明直裁で行きましょうや。何せ、貴方も俺らも“6番”も、後ろ暗いことはなーんもない──、

【 「正義の味方ですやんか」 】

【口の端を吊り上げて、百家は嗤う。皮肉に満ちた声色は、彼が決して、“そう”は思っていない事を意味していた】
【箸を置き、片膝を立てる。円が設えたフィールドを踏み荒らすような素振りで、眼鏡を上げた】

まぁそら、呼ばれた意味は分かりますわ。
“ハグ・フラッグス”の糸辿って、あの爺──、失敬、あのお方に辿り着いたんですからなァ。
まさか、こっちのホシと、6番の防護対象が被ってるとは思いませんでしたが。それはホンマに。

【──直截に、といった口の乾かぬ内に、この男は幾重にも“カマ”を掛けている】

【第1に、百家が呼ばれた理由など、断言できるほどはっきりしない】
【先のバッティングの説明にすぎないのか、それとも、更に深いのか】

【第2に、“初老の男”の個人情報など、“あの方”と呼ぶほどには把握していない】
【先に逮捕した男から芋蔓式に、更に大きな金脈を見つけただけだ。政府の重鎮とも紛れ込んだ浮浪者とも知れない】
【あの男が持っている端末の情報が必要だから取って来い。それが名も知れぬ課長からの、唯一の命令だ】

【第3に、六課の目的にあの男の“防護”までが含まれていたかなど、知ったことではない】

【恐らく、円は三課がこの数ヶ月、機関の金の流れを辿っていたことは把握しているだろう】
【──だが、現場がどこまで“分かって”動いていたのかまでは、判然としていない筈だ】
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/02/06(火) 20:58:43.50 ID:ESMncy5e0
【街中――児童公園】
【夕暮れのチャイムから何時間も経ったなら子供の姿もあるはずのない場所、広い公園も、そうなるとひどくガランと寂しい場所のように見え】
【古びたブランコが夜の風でギイギイ鳴いていた――のだけれど】

――――フギャッ!

【ごぉんと鈍い音が一つ、同時に聞こえてくるのは――悲鳴だろうか、猫の尻尾を思いっきり踏んづけた瞬間みたいな声、それが夜の中に響き渡り】
【それに誰かが気づいて見渡せば、公園の遊具の一つ。これもまた古くて錆びたジャングルジムの迷路みたいな中に、ぽつんと人影があることに気づけたろうか】

【真っ白の髪は腰までの長さ、外はねのくせっけが好き勝手に跳ね上がって、なんだかとげとげしたシルエット】
【白い肌は寒さのせいか、それとも今では痛みをこらえるせいか耳まで真っ赤になって、落ち着いた黄色の眼の端っこにはちっちゃな涙の粒が、じわりと集まり】
【頭のてっぺんにはふわふわのフリルをたくさんあしらったボンネット、それから足先まで隠すように裾の長いワンピース、そのどちらもが、全く色のない純白のもの】
【ただボンネットを結わえる首元のリボンとお尻までの長さのケープとちんまりした靴だけがきれいな赤色で。フリルがたくさんの袖からはみ出たもみじみたいな両手は】
【じーっと頭を抱え込んでうごかなかった。しゃがみこんだ姿勢のせいで真っ白のワンピースの裾が地面を引きずっても気にしないで――そんな、ちいちゃな女の子】

【――ごーんと鈍い音と、甲高い悲鳴。頭を押さえるしぐさと、その幼子がジャングルジムの中に居る、という様子】
【頭をぶつけたらしい――というのはどうやら間違いがないようだった。黄色い眼が涙をたっぷりため込んで、恨めしそうに、怨めしそうに、たくさんの硬い棒を見上げ】

ウゥ……。

【低く低く呻けば、しゃがんだままの格好でずりずりと、とりあえずこの恐ろしいジャングルジムの中から抜け出そうとする――その様子は、真っ白な服装のせいもあって】
【見つけてしまえば、ひどく目立つ――そして何より、特にこの時間では保護者がついているべき年齢の幼子が一人いるようだったから。それがひどくおかしく見えた】
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/06(火) 21:06:37.34 ID:j4ipZy5lo
>>630

【円は百家の言動と態度を全て泰然と受け止める】
【言葉を挟まずただその一挙手一投足を分析にかけるの如く】

良いでしょう。
では私はこれから貴方に情報を開示します。

【そして百家が一区切りするとすぐさま】
【まるで居合を抜き放つかの如く一切の間隙を挟まず口を開いた】

一つ。
私の職務は各局各部門の内部監査、
有り体に言えば『警察内部の不正』を暴くことを使命としています。

二つ。
現に今、その『不正』が進行しています。

三つ。
それは貴方がた『三課』が追っている案件と
『六課』の案件、そしてもう一つ、
先日起きた『第211号事件』が複雑に絡み合っています。

【かこん――と】
【どこかの鹿威しが鳴いた】

【円 嗣星が『特別監査官』という肩書きを持つ以上、】
【組織内部へ対する眼としての働きを持つことはさして目新しい情報ではない】
【それはあくまでも前提『起』であり、続く二つ目が『承』、そして三つ目が『転』】

【この『転』こそ円が焦点を当てんとしている情報】
【そしてどうやらこの監査官は、そこから想定される『結』のシナリオを変えようとしている】


【――しかし、そこにはあまりにも『謎』が多すぎた】
【百家のような『切れ者』タイプには尚更思い至ることであろう】

【警視正ほどの階級であればいくらでも使いの者を使えた筈だ】
【更に言えば、重大な案件であるなら百家より『上』の者、例えば三課長にでも話を通せばいい筈】
【それを何故、一介の捜査官、それも『三課』――『元犯罪者達』で構成された集団の、】
【その中でもとりわけ危険極まりない筈の『元・ナンバーズ』を、警視正直々に呼ばったのか】


【円はそのような疑念を見透かしていたかのように】
【返す刀の如く、続けざまに言葉を放った】


単刀直入に言います。
私は貴方の力を借りたい。

『百家 羅山』
元カノッサ機関《No.63》
その素性は私も把握しています。

しかしそれでも尚、
現在の『公安』――いえ『警察』には、

  .......................
 貴方より信用に足る人物がほとんど存在していない、というのが現状です。


【――平然と、淡々と、開示されたその『状況』が】
【しかしどれだけ心胆寒からしめる性質のものであるか、百家には思い至るだろうか】

【――既に、どこに『息のかかった人間』がいるか分からない】
【それ程までに事が進行している、もしくはそれだけの『権力』が動いている】
【円の言葉は即ち、そのような背景を暗示していた】
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/06(火) 21:34:42.31 ID:fUtDXU6to
【森】

はぁっ……はぁっ……

【薄暗い森の中を、ローブを着た子供が走っていた。その表情は必死そのもので、息があがっていても止まる気配がない】

「どっちにいった!?」
「向こうだ、追え!!」

【子供の後方では怒号にも似たやり取りと複数人の足音。何者かに追われていることは明白だった】
【度々後ろを確認しながら子供は走り続ける。しかし】

あっ……!

【足に何かがぶつかり、子供は転んでしまう。その際に派手な音を立ててしまった】

「音がしたぞ!」
「急げ!」

【動けないでいるところにさらに追手が迫る。徐々に足音が近づいてくる】
【子供は立ち上がろうとするが、疲労と痛みで動けずにいた。両手を地面につき力を入れようとしても入らない。脚を動かそうとしても痛みが阻害する】

……だ、誰か、助けてっ

【振り絞ったような弱々しい声が子供の口から漏れ出した。追手はもうすぐそこまで迫っていた】

634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/06(火) 21:53:24.92 ID:HC37Y5ebo
>>632

【── 刑罰の執行停止という首輪で縛られた、公共の敵(パブリック・エネミー)。それが三課の実体だ】
【組織体の異端であるが故に、正も不正も届かない。財は、生命・身体・自由に優越しないのだから】
【そして、彼の担保は“生命”。──だからこそ、彼は確かに、本件において“信用”に足る人物だった】


…… そら、“そうでしょう”なあ。


【円の言葉に、百家は驚く素振りも見せず、料理に箸をつける】
【肯定の言葉の裡に込められたのは、単なる彼の言葉への首肯のみではない】

 【── “お前の言いたい事、したい事、置かれている状況は分かった。” 】
 【── “それに、この自分を、どういう人間か諒解していることも。”】
 【── “ならば、次の話に移ろう。”】


そういう話なら、確かに俺に話持って来るのは間違ってませんな。
こちとら、『上』に殴りかかった人間や。──でも、なぁ。あれも結構、体力使うんですわ。
あれに比べたら、今は、これはこれで結構楽でね。それに、や。


【確かに、この男に権力との利害関係はない。だが、それは同時に、“知ったことではない”という話でもある】
【──或いは、円の動きを『権力』に売った方が、彼自身の得になるのかも知れない】
【清廉性に、或いは信に訴えて、どうこうできる男ではなく、必要なのは──】


  ── “水が濁ろう”が、蛇が棲むには困らんでしょう。


【“この俺を甘い目算で懐に入れたのなら──、噛み付かれることを覚悟しろ”】
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/06(火) 21:54:52.78 ID:Ii/ppGfeo
>>633

【その日、一人の女は森の中にいた】
【何をするわけでもなく、ただ趣味の散歩をするだけ】
【雪が降りしきる中を、地面に足跡を残しつつ歩き続けていた】

【辺りに足音一つなかったが、不意に足音が幾つか聞こえてきた】
【それに、叫び声も聞こえてくる。何か会ったのだろうか、怪異の類だろうか】
【黒留袖を羽織った女はその裾を翻し、足音の方へと歩みだした】

「ん、何か聞こえたような」

【怒号の中に、弱々しい声を一つ聞いた】
【――子供の声だろうか、大人のそれではなさそうであり】
【木々の間を縫い、女は声のした方向へと駆けて行った】

「あら、こんな晩に子供がいるんだね」

【ローブを羽織った子供の姿を認めれば、きょとんとした目でそれを見る】
【こんな夜遅くに、何故子供がいるのだろうか。疑問が頭をよぎるが】
【男たちの叫び声が、徐々に近づいているようだ。女は左手に、“黒刀”を構えた】
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/06(火) 22:13:33.64 ID:fUtDXU6to
>>635

【すぐそこまで追手がきていた。もうダメかと目を伏せた子供に、女の声が聞こえた】
【顔をあげた子供は信じられないものを見るような、そんな気分だった。固まる口を動かして、その一言をもう一度出した】

……た、助けて、くださいっ!

【子供がその声をあげるのと木々の間から一様な服装の男たちが現れるのは同時だった】
【男たちは女を見るや武器を手に取る。いずれも剣を両手に構え、周囲を囲むように移動。数は四人だ】

「どこの誰だか知らないが、その子供を渡してもらおうか」

【四人の内の一人がまず初めに口を開いた。真正面にいる壮年の男だった】

「その子供を渡してくれさえすれば、悪いようにはしない。互いのために、そうしようじゃないか」

【口調こそ温和なものだったが、その瞳には既に殺気が込められていた。残りの三人もじりじりと距離を詰めてきている】
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/06(火) 22:28:59.61 ID:j4ipZy5lo
>>634

………………。

【円は目の前の人物から滲み出る何かの仄暗さを感知する】
【そこで初めて男は押し黙った。複雑な演算処理のため生じたラグさながらに】

【(やはり人間は非常に興味深い)】
【(掌握しきれぬ程の情報を生み出す特質を有する)】

【円が誂えたこのフィールドはその一瞬、】
【百家 羅山という存在の放つ気圧に掌握されたと言っていい】
【並の者ならば十分に言葉を失わせただろう。あるいはその毒々しい強かさに感嘆して口の端を吊り上げたか】

【しかしこの男は二、三度、瞳を瞬かせるのみで】

仰る通りです。
この案件はまるで貴方に関わりがない。

私が開示した情報は貴方の懐へそのまましまい込むことも出来る。
その方が貴方個人にとって有益なのは明らかです。

ただし『公僕』として『無償』で働けと私が依頼するのなら、ですが。

【それまで食事にも箸を付けず、ただじっと腿の上に据えられていただけだった手が】
【その時になって初めて動いて、卓の上で組まれた。些細。だが確実な変異】
【男の黒瞳が真正面から百家の双眸へと据えられる】

私は言いました。
力を借り≠スい、と。

借りたものは必ずお返しする。それが『公正』というものです。

従ってこれは『取引』です。『懇願』ではない。
貴方に『正義の味方』を望むつもりは毛頭ありません。


――百家 羅山。
貴方の『要求』する物を開示して頂きたい。

こちらには『交渉』の用意があります。


【いよいよ以て持ちかけられたのは――交渉】
【剣戟の代わりに舌鋒を以て、戦技の代わりに知略で以て】
【情報と思惑の火花が散らんとするような緊縛が場に満ちた】
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/06(火) 22:37:01.72 ID:Ii/ppGfeo
>>636

「……んん?今一状況が分からないんだけど」

【恐らく叫び声を出していた奴等に追われているのだろうが】
【しかし不思議なのは、なぜこのくらいの子供が追われているのかということ】
【それを考える間を与えぬかのように、男達は木中から姿を現した】

「ふーん、子供を渡せば悪いようにしない、ねえ」

【子供をちらとみて、彼らに見えないように僅かな微笑みを湛える】
【黒刀の柄を握り直すと、正面に陣取る壮年の男の顔を見る】
【殺気が宿った目だ。確かにそれであるが――、何か足りないのだ】

「じゃあ、“あげよう”かな?」

【口元が、歪む。不気味に、へらへらとした笑みを浮かべれば――】
【女は疾風怒濤の如く駆け出し、男の胴を右肩から左脇にかけて袈裟斬りした】
【唯斬られるのではない。其の肉を、其の骨を文字通り“粉砕”する一撃】

【一人を斬りつければ、速度そのままに残りの三人にも順に襲いかかる】
【一人には心臓めがけた突きを、一人には首から股間にかけた斬りを、最後の一人には跳びかかって頭頂からの刺突を】
【少年を守るというよりは、女は自らの“破壊欲”を満たそうとしているようだった】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/06(火) 23:04:10.91 ID:fUtDXU6to
>>638

【追手が姿を現すと子供の表情が恐怖に塗りつぶされる。目には涙を浮かべ、肩を震わせる】
【しかし】

あ……

【女性の微笑みが、その心から恐怖を拭い去った】

「あげる? 何を……──っ!!」

【事は一瞬だった。颶風となって駆けた女の一閃で壮年の男の肉体は斜めに両断。断末魔をあげる間も無く地面に落下】
【三人が驚愕と恐怖に目を見開く。その間に女の神速の刺突が心臓に命中。刃が引き抜かれると身体の前後から血を噴出して絶命】
【遅れてようやく残りの二人が剣を構え直し、間合いを取ろうとする。しかし遅い。女の斬撃に反応もできずに両断される。断面から血と臓物を溢れさせながら男の身体が別々に倒れる】
【最後の一人が再び恐怖に凍りつく。影が差し、その額に切っ先が吸い込まれる。目を見開いたまま重力に引かれて男が崩れ落ちる】

【ほんの数秒も経たないうちに、四人は凄惨な死体に変えられた。周囲には静寂】

…………

【唯一残った子供だけが、女を見上げていた。一瞬の出来事に呆然としている様子だった】
【しかし何かに気づいたようにはっとすると、両手を使って這うように女の足元へと行く】
【そして再び見上げると、目尻に涙を溜めながらこう言った】

あ、あのっ、わたしの家族も、た、助けて、くださいっ
さっきのっ、人たちに捕まってっ……お、お願いします!

【言い終えると子供は顔を伏せて肩を震わせる。小さな泣き声さえ聞こえてくる始末だ】
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/06(火) 23:04:56.20 ID:HC37Y5ebo
>>637


【張り詰めた緊張の糸は、突如として、切れる】


あっはっはっは、冗談です。……失礼、ちょっとヤニ切れましたわ。


【円の提案に対し、百家が浮かべたのは──笑顔】
【懐からタバコを取り出し、火を点ける。一つ吸って、煙を吐き出した】


……いや、その言葉が聞きたかったんですわ。
もし、“命令”しはるなら断るつもりやったけど、その言い方なら信用できます。
ええですよ、協力します。貴方を“信頼”して、“無償”で。


 【“言質は取ったぞ。──お前は今、確かに、俺に対して取引を申し入れた。”】
 【“だが、こちらの要求を開示はしない。強者が弱者に対して確約した義務など、誰が履行するものか。”】
 【“事が済めば、切り捨てるのだろう。少なくとも、俺ならばそうする。取引など美辞麗句にすぎない。”】

あぁ、せやけど。1つだけ、伺っときたいことがありまして。

【──その情報を与えることこそが、“取引”の対価なのだと、円も勘付くだろうか】
【百家の指が一本、天に向けて立てられた。照明が眼鏡に反射して、彼の目の色を隠す】


 …… この一件、上手く行けば“どこまで”吹き飛びますやろか。


 【“お前からは、何も受け取らない。お前が起こした大波を、俺が好きに利用するだけだ。”】
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/06(火) 23:30:25.49 ID:Ii/ppGfeo
>>639

【莫大な破壊の顕現とも、子供には思えただろうか】
【女はたったの数秒で4人の男を葬り去ってみせた】
【其の理由は子供を救うためではなかったが――、彼にはそう見えるのだろうか】

「そんなに這いつくばらなくても大丈夫だよ」
「ほら、行こっか。君の家族の場所まで、案内してくれる?」

【小さく呻きながら、涙を流している子供に立ち上がるよう促す】
【女の左手からは刀が消え去っており、其の手で彼の手をつかむだろう】
【そして彼が立ち上がったのなら、女は案内に沿って彼の家族の元へ行く】

「ところでさ、ひとつ質問いいかな?」
「君、なんで追われてるの?」

【ここで、気になったことをぶつけてみることにした】
【こんなに若い子供が追われるなんて、そうそう理由はないだろう】
【唯の誘拐だろうか、いや家族もとなると、また違う気もしてきて】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [saga]:2018/02/06(火) 23:44:50.63 ID:fUtDXU6to
>>641

【一瞬にして四人を惨殺したことは、しかしこの子供には気にする余裕はなかった】
【それ以上に、今の状況から自分を助け出してくれたことの方が大きかった。自分を助けてくれたと純朴に信じていた】
【だからこそ、案内して、と言われたときには、その表情には希望を見た笑顔が浮かんだのだった】

……!
あ、ありがとう!

【女性の手に引かれて子供は立ち上がり、駆け出そうとする。しかしまだ体力が戻っていないようで、少しよろけてしまう】
【それから慎重に歩き始める。方角は森の奥】
【追われている理由を尋ねられると、表情が翳りを帯びた】

わからないの……急に怖いひとたちがたくさんやってきて……
さっきのひとたちは、おまえは獣人だからかもな、って……

【子供がローブのフードを外すと、頭頂部には獣の耳のような部位が見えるだろう。人間に獣の要素が現れた亜人種、獣人の特徴の一つだ】
【十分程度歩くと、視界の先に木々が伐採されて開けた場所が見えてくる。そこには一台の車両が停まっていた】
【周囲には先ほど倒した男たちと同じ服装の人物が十名程度。車両の近くには獣人の男女が縄で巻かれた状態で捕まっていた】
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/06(火) 23:57:47.30 ID:j4ipZy5lo
>>640

【呆気なく、ぷっつりと切れてしまう緊縛の糸】
【それは餌を食い逃げされた釣り人のような感触を想起させた】

【円は再び、百家の喋る数呼吸の間沈黙することと相成る】

 【(この男、やはり危険では)】
 【(消してしまうべきよ!)】
 【(待て、それは安易にして早急だ)】
 【(この男は、これだからこそ利用価値がある)】
 【(ん〜食わない男?)】 【(それを言うなら『食えない男』だ)】

【やがて小さな鼻から排気じみた小さい嘆息を漏らすと】
【組んでいた手を再び元の位置へと落ち着けて】

分かりました。
では頼らせて頂きましょう。
百家羅山捜査官。

【(とんでもない蛇を招き入れたものだな)】
【(粛清だわ!)】 【(何を食い出すか分かったものでは)】
【(極めて興味深い。観察レベル3への以降を推奨する)】

【互いに交わされる言葉に、字義通りの念は籠もらない】
【それが白々しいことを互いが知りながら、それでも言葉が交わされるのは】
【先に牙を突き立てるタイミングと間合いを量り合っているからなのか】

【そこで立てられた一本の指】


それは、上手くいった時に初めて開示される情報です。


【(よろしい。では何処まで乗りこなせるか拝見しよう、人間)】


【気付けば部屋には斜陽の色】
【二人の陰がどこまでも長く伸びようとしていた】
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/02/07(水) 00:14:59.05 ID:91hbffLuo
>>643

【──戻された手を、一瞥する。今日のところは、ここまでか】
【開示の拒否。しかし、この遣り取りで百家には、十分すぎるほどに“彼我”を把握することができた】
【目尻を下げ、男はゆっくりと、頷く】

成程。開けてびっくり玉手箱、って訳ですかいな。
問題ありません。ちょっとした野次馬精神ですわ。ガキの頃からこればっかりは治りません。

……あぁ、もうこんな時間ですか。

【腕時計に目を落とす。こんな時間、というほどに時は過ぎていない】
【卓上には、未だ手付かずの料理が、綺羅星の様に散っていた──だが、一瞥もせず】
【百家は立ち上がり、一礼する】

申し訳ありませんが、“通常業務”も詰まってまして。
“特別業務”に関しては──まぁ、そちらのご随意の形で伝えて頂いたら。
じゃあ、失礼しますわ。今日はおおきに。

【火が点いたままの煙草を片手に、百家は、あっさりと座敷から出ていく】
【──呼び止めなければ、この会食も、ここまでだろう】
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/02/07(水) 00:53:48.17 ID:r1fD2PI0o
>>644

ええ。今後に期待しています。
お帰りは気をつけて。

【円は終止座したまま、百家を見送る】
【微笑とも言えぬ曖昧な表情を固定したまま】

【遠ざかっていく足音。部屋が斜陽の色に染まる中、紫煙の残り香が揺らめいて】


やれやれ。
すっかり魑魅魍魎の巣窟だ。

【円は完全に手つかずで残った自分の料理、その一部を指でつまみ上げる】
【それを陽に透かすようにして――中に練り込まれた『毒』の成分を分析し始めた】



【後日】

【百家へは改めて『特命』が下る】
【――『蛇』を選り分けて報告せよ≠ニ】

【局を問わず課を問わず、『臭い人間』のリストを作るように要請されるだろう】
【それは時として警察内部のみに留まらず、外部からも『黒幕』の権力へすり寄ろうとする者を嗅ぎつけるかもしれない】

【当然ながらこの指令は完全極秘として遂行するように要求されている】
【しかしながら――手にした情報をどのように用いるかまでは縛られていない、縛りようがない】

【波乱の種は、百家羅山、その手中にあると言って良い】

【『結』は、如何に】


/連日に渡ってありがとうございました、度々お待たせしてすみませんでした。お疲れさまでした!
/ちなみにそちらの方には毒は入っていませんので何か起こることはないです、きっと。
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/02/07(水) 01:04:59.95 ID:U/uVUXjXo
>>642

【彼は体力がないのか、手を掴んでも身体はよろけているようだ】
【彼の先導に従い、女も跡をついて歩く。どうやら森の奥の方らしい】
【しかし、彼の輝かんばかりの笑顔は質問と共に飛び去ってしまって】

「はあ、獣人ねえ」

【怪異は怪異なのだが、人間と共生できるために脅威とは思われていない】
【彼がフードを外せば、頭には獣の耳が生えていた。亜人種、であろうか】
【積極的排除の対象ではないた