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【舞台を焦がせ】能力者スレ【炎を燃やせ】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/14(土) 02:15:00.02 ID:8w4g4x8c0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。

無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。

【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 

【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。

この世界は「多様性のある世界」です。
完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
コテハン「推奨」です!
基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
スレチなネタは程々に。
スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。

国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。

能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1522301519/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part6 @ 2024/03/16(土) 18:36:44.10 ID:H9jwDXet0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710581803/

昔、スリに間違えられた @ 2024/03/16(土) 17:01:20.79 ID:TU1bmFpu0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1710576080/

さくらみこ「インターネッツのディストピアで」星街すいせい「ウィキペディアね」 @ 2024/03/16(土) 15:57:39.74 ID:7uCG76pMo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710572259/

今日は月が……❤ @ 2024/03/14(木) 18:25:34.96 ID:FFqOb4Jf0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710408334/

どうも、僕は「げじまゆ」をヤリ捨てた好色一代男うーきちと言います!114514!! @ 2024/03/14(木) 01:23:38.34 ID:ElVKCO5V0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710347017/

アサギ・とがめ・新生活! @ 2024/03/13(水) 21:44:42.36 ID:wQLQUVs10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710333881/

そろそろ春だねー! @ 2024/03/12(火) 21:53:17.79 ID:BH6nSGCdo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710247997/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part5 @ 2024/03/12(火) 16:37:46.33 ID:kMZQc8+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710229065/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/14(土) 02:19:49.19 ID:FerMN9GG0
>>1乙ですっ
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/14(土) 16:37:13.45 ID:QlUw4fkU0
これは>>1なんだからねっ!
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 16:37:39.98 ID:m0wDhXc90
>>1乙です!
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 16:47:03.10 ID:6Gt2nIb8o
>>1

前スレ1000

【異性にズボンを脱がされる状況、というのはどうにも落ち着かないものだったが】
【万里子の様子は真剣そのものだった。火傷ぐらいで泣きそうな顔なんてしなくてもいいのに、と】
【ついそう思って、苦笑してしまった。戦っていればこれぐらいは平気だ】

万里子さん……

【クリスが口を開いたそのとき、部屋に翔子が現れる。それが誰なのかクリスはもちろん知らなかったが】
【何だか珍妙な顔をして絶叫しながら少女が部屋を飛び出していく。クリスの頭上には疑問符】
【一瞬経ってから、やっとクリスも自分の置かれた状況、正確には万里子の状況が分かった】

【────どう考えても、人に見られるとマズイ状況だった】

あー、えっと、お願いします

【氷嚢を取りに行った万里子を見送る。一人になると、余計に頭が冷えてくる】

(…………拝啓、ディミーア様。僕は何故か、会うのが二度目の女性の前で服を脱いでいます)
(これから彼女を抱くわけでもないのに。どうしてこうなったんでしょうか)

【やっぱり冷えていないかもしれない。あまりのいたたまれなさに思考が現実逃避していた】
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 16:54:36.89 ID:m0wDhXc90
>>5

「……その、色々ゴメン、なのだよ」
「私、ダメダメ、なのだよ……」

【かなり落ち込んでいる様子だ】
【氷嚢を患部に当て、ズボンは部分洗いし、乾かしている】

「……」

【先ほどとは別の理由で、目を合わせない】
【いや、合わせられないのだ】
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/14(土) 16:55:57.04 ID:QlUw4fkU0
【森の中】

『どうですか、腕の調子は』
「うーん、イマイチ! まァ、脚があるから狩りできるけど」

【少しだけ開けたその場所で何かの植物をカセットコンロに乗せた鍋で茹でていたのは】
【20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

【そして、彼女の元へ鹿……鹿の胴体と右脚を紐のようなもので結んで運んできたのは】
【ガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

「見た目よりはよっぽど良くなってるぜ、アウのおかげで」 『まくらなくていいです。――解体は手伝えそうですか?』
「微妙だな! まァ、何とかなるだろォーッ!」

【ウィンドブレーカーの右袖をまくれば、その下から現れるのは……】
【ホラー映画の特殊メイクの如く、ボコボコの肉に紫色の斑点を持ったグロテスクな腕。そういえば、露出している両手も同じような見た目だ】

【女性が茹でていた植物を皿に移動しポケットから2丁の解体用ナイフを取り出せば、運んできた鹿とのロープを外し、そして解体を始める】
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 17:05:24.06 ID:6Gt2nIb8o
>>6

いや、そんなに落ち込まなくても…………

【確かに火傷を負って酷い目に遭ったといえたが、それでもクリスは気にはしていなかった】
【当たり前の話だが万里子が故意にしたことではないし、治療もしてくれている。十分に償っている】
【だから慰めようと思ったが、上手い言葉が出てこない。「うぅん」と考えてしまう】

【少しばかりそうしてから、ふと案を思いついた】

…………そうだ
もう一度、紅茶を淹れてくれませんか?
あれは美味しいものでしたから、もう一度飲ませてくれたら、許してあげます

【中身が空になってしまったポットを指差して伝えて、にこりと笑いかけてみる】
【こういうときは言葉で言っても中々、相手の気分を変えることはできない】
【それならばいっそ、何かをさせた方がいいのでは、と考えた上での提案だった】
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 17:11:06.73 ID:m0wDhXc90
>>8

「……」

【部屋には二人の、しばし無言の時間が流れる】
【だが、ここでクリスは一計を講ずる】

「本当、なのだよ?」
「解ったのだよ!」

【この考えは、しっかりと当たった様子だ】
【万里子には普段の調子が戻り始めた】

「〜♪」

【鼻歌など歌いながら、キッチンで紅茶を淹れている】
【やがて】

「出来たのだよ?美味しいかは、解らないのだよ?」

【紅茶を注ぐ、櫻国海軍士官流になみなみと】
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 17:20:33.63 ID:6Gt2nIb8o
>>9

【万里子が準備をしている間に、クリスは軍服の上を脱いで膝掛け代わりにする。インナーは白のTシャツ】
【氷嚢を自分で当てながら待っていると、万里子が戻ってきて紅茶を注いでくれた】
【「ありがとう」と礼を言ってカップに口をつける】

……うん、美味しいです
これで火傷の件はチャラですからね
だから、笑っていてください。僕は万里子さんが笑顔の方が嬉しいです

【そう言って、もう一度微笑みかける】
【ふと、クッキーに手をつけていなかったことを思い出した。妙に忙しなかったせいでその余裕がなかった】
【一つを手にとって、口に入れる。程よい甘みが紅茶の苦味と合っていた】

あ、これも美味しいですね
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 17:31:11.12 ID:m0wDhXc90
>>10

「ありがとうなのだよ!」
「笑顔……クリスが、そう言うなら、なのだよ」

【にっこりと、屈託なく笑って見せる】
【やがてクリスが、クッキーに手を付けると】

「それは、私の……手作り、なのだよ……」
「ありがとう……なのだよ」

【顔を赤くし、そっぽを向きながら、そう告げた】
【そろそろ、ズボンも乾くころだろうか?】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 17:37:36.99 ID:6Gt2nIb8o
>>11

【何とか笑顔を見せてもらうことができた。内心で安堵する】

手作りですか、それは凄いですね!
うん、とても美味しいですよ

【手作りと聞いてもう一度感想を伝える。こういった食事は本心から喜べるものだった】
【決して粗悪な環境にいるわけではないが、それでもこういう繊細さには欠ける職場だ】
【一つ食べ終わっても、つい二つ目に手が伸びてしまっていた】

んー……まだ、お時間ありますか?
良ければ、さっきの話の続きをしたいのですが
僕らはまだ、互いのこと知りませんから

【クリスは紅茶に口をつけながら、以前の話題を引っ張り出す】
【始めてしまった会話を、あんな形で終えるというのは、心残りがあった】
【もう少し、話をしていたいという気分にもなっていた】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 17:45:25.99 ID:m0wDhXc90
>>12

「嬉しいのだよ!普段は翔子ちゃんしか食べてくれる人が居ないのだよ!」

【翔子ちゃん、とは先ほどの女子学生の事だろうか】
【一つ、二つと口に運ばれるクッキー、これはかなり嬉しい事の様で】

「大丈夫なのだよ!」
「うん!お互いの事を知るのだよ!」
「その、何処の国の出身なのだよ?水の国?家族はいるのだよ?」

【話を続けよう、と】
【お互いの、プライベートな会話だ】
【すったもんだではあったが、スクルータの目論見通りだろうか?】

14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 17:52:16.81 ID:6Gt2nIb8o
>>13

出身は地の国ですね、もう長い間帰っていませんが
家族は両親に妹が一人、ですが…………

【ふと、そこまで言って言葉が止まる】
【両親も妹も、すでに死んでいた。だけど、それを口に出したいとは思わなかった】
【目の前の女性は優しい人だ、きっと気にしてしまう。そうはさせたくなかった】

…………そうですね、長い間、会っていません
万里子さんは、ご家族は?

【嘘は、言わなかった。確かに長い間、会っていないのだから】
【話を万里子の方へと移す。一口飲み込んだ紅茶は少し苦味が増していた】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 18:05:48.15 ID:m0wDhXc90
>>14

「地の国、行った事無いのだよ、どんなとこなのだよ?」

【そのクリスの状況は、万里子が察する事は出来なかった】
【長い間会っていない、これが何を意味するか】
【恐らくは、額面通りに受け止めた】

「私?私は、両親と弟なのだよ!」
「本国に居た頃は、休暇は帰ってたのだよ、でもこっちに来てからは帰れないし、連絡も取れないのだよ」

【外地勤務の諜報部故の事だろうか】
【それでも寂しさや郷愁の感情は、殆ど見受けられないが】

「休日は何して過ごしているのだよ?」

【紅茶が切れれば、注いでくれるだろう】
【最も先ほどの様に、苦みが増しているのかは、不明であるが】
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 18:17:18.59 ID:6Gt2nIb8o
>>15

地の国は名前のとおり荒野や山脈が多いところですね
鉱石も多いので意外と資源があって、どうしてだかリゾート地がちらほらあります
住む場所としては……まぁ、普通ですね。荒野だらけのわりには悪くない国ですよ

弟さん、ですか
確かに万里子さんはお姉さんっぽいですね
…………いや、妹っぽいかも? どっちの要素もありますね

【姉のような妹のような、と適当な評価。つまりはどっちでも良くって、そういう意味のないことを言える程度にリラックスしていた】

休日……僕ら、実はあんまり休日って概念ないんです。隊長、仕事人間ですから
いつでも働いてるみたいな部隊なんですが、余暇は……そうですねぇ、何してるんでしょう
スクルータがいれば何か喋ってますし、アルベルトさんがいれば酒飲むの付き合ってますし
隊長がいるときは……あ、訓練ですね。あの人、いつ休んでるんでしょう

結局のところ、何してる、ってのはあんまりないですね
大体、隊員の誰かと何かしてますね、これ

【休日に何しているかは自分でもよく分かっていなかった】
【思い返してみれば部隊の誰かと行動していることが多い。なので、それをそのまま言うことになった】
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 18:27:34.84 ID:m0wDhXc90
>>16

「荒野荒野、見てみたいのだよ!」

【悪くない場所と言われれば、相応の興味は出て】
【オマケにリゾート地もある様で】

「それはどういう意味なのだよ!?」
「弟は、まあ、私には似ずにやんちゃなのだよ!まだ全然子供なのだよ!」

【姉っぽいとも妹っぽいとも言われ】
【恐らくはクリスより年は上なのだが、どうも幼くは見える様子だ】

「うーん、それでは休日の意味が無いのだよ!」
「部隊から離れて、息抜きしないとなのだよ!」

【それ以前に休日、という感覚があまりにも薄い様で】
【それならば、と】

「その……買い物とか、なんなら付き合うのだよ?」

【これは少々照れ乍ら】
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 18:33:41.67 ID:6Gt2nIb8o
>>17

機会があれば案内しますけど、荒野自体は面白くないですよ?

【興味を示す万里子と対照的にクリスは不思議そうにしていた】
【それは勿論、彼にとって荒野が珍しくないせいだ。櫻の国出身であれば珍しいものなのだろう】

いいですねぇ、僕の妹は……年相応ではなかったですから
……んー…………そういえば、万里子さんっておいくつなんですか?

【つい妹を話題に出してしまって、急いで話題の変更をする】
【クリスからすると、万里子はかなり年齢不詳だった。少佐という階級からすれば年齢が上でもおかしくないが】
【見た目と言動は、少しばかり幼く見えた】

………………それって、デートのお誘いですか?

【直球だった。おかしなタイミングで直感の働く男だった】
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/14(土) 18:36:54.20 ID:2hLijdOFo
前スレ >>980


「ええ、その通りだわ。能力者至上主義の人間が集まればどんな事件が起こるかなんて簡単にわかる筈」
「それに対処しうる兵力は持っているんでしょうけど、それでも均衡が崩れることは間違いないわ」
「どうなるのかしらね。世界が滅びる──なんてことはないといいのだけど」


【能力者の抑制は、それに対する反発と反感をつくり上げることになる】
【そんな中で能力者至上主義を掲げる組織が動き出せば、どうなるかなんて簡単に予想がつく】
【一般市民の血を以って、彼らはその犠牲を理解することができるのだろうか──?】

【彼女の推測通り、この女は“円卓”や“黒幕”といったものに関連がない】
【彼女の言葉に一般的な──特区に行った能力者として意見をしているに過ぎず】
【『白』と評価した彼女の判断は正解といえる】


「そうね……。まだ居候の身だけど、仕事だけは早く見つけたいわ」


【いつまでもカチューシャの家に居候するわけにも行かないし】
【早く何らかの仕事に就いて、どこか住居を探さなければならないのだけど──】

【丁度このタイミングで食事が運ばれてくる】
【リゾットとムニエル、ブラッドオレンジジュースは彼女側に】
【そして鉄板に乗せられたステーキにハンバーグ、ソーセージは此方側に置かれて】


「それじゃ、食べちゃいましょうか」
「綱渡りに自信があるのはいいけれど、あまり無理はしないことよ?」


【いつ強い風が吹くか分からないんだから、とやはり咎めるようにして】
【手元の食事に手を付けることだろう。ナイフとフォークで器用にステーキを切り分けて】
【フォークで突けば口元に運んでいく。肉汁が口内で溢れ、美味しさに口元を綻ばせる】


「────」


【彼女の『切り札』について聞きつつ、ステーキを口にする】
【つまり、詰みの状況になればそれを使えるという──綱渡りに自信がある根拠を示してくれたのだろう】
【選択肢はいくらでもあるというのだから、身を削るようなことはしないのだろうけれど】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 18:43:15.03 ID:m0wDhXc90
>>18

「本当なのだよ!?ぜひ行くのだよ!」

【観光地には目が無い】
【特に珍しい異国となったら】

「どんな妹さんなのか気になるのだよ、と言うか年下の弟妹って、周りにあんまりいないのだよ」
「私?25なのだよ!」

【年齢そのものは、特に隠すことも、鯖を読むことも無かった】
【どうにも大人であろう事を、誇示したいらしい】
【だが……】

「なッ!?」
「ち、ちちちち違うのだよ!勘違いするななのだよ!!」
「休日過ごす相手も部隊の仲間じゃ、ちょっと哀れだから、休みに一緒に買い物位は行ってあげるだけなのだよ!!」
「デートとかそういうんじゃないのだよ!!」

【妙な感の鋭さと、それを口に出して言われた事に】
【顔を真っ赤にして全力否定】
【最も、世間一般では、それをデートと呼ぶが】 
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 18:56:41.21 ID:6Gt2nIb8o
>>20

じゃあ機会がありましたら
そのときは美味しい店も紹介します

って……25歳なんですか!?
階級が高いのでもっと年上かと……同い年だとは夢にも思いませんでした

【万里子の年齢はついつい驚いてしまうものだった。思ったよりも若い、というのもあるし】
【同じ年齢だというのは、不思議な感覚がした。偶然出会った相手が同年代なのは何やら嬉しい気がするものだ】

【さて。おかしな勘を発揮したせいで慌てふためく万里子だったが】
【それを見ていたクリスは、にやり、と意味深な笑みを浮かべていた】
【やっと、ようやく、スクルータの思惑が分かってきていた】

おや、残念ですね、僕はてっきりデートのお誘いだと思って喜んだんですけど
違うのはとても残念ですねぇ、本当に
それでも哀れな僕のために一緒に街を歩いてくれると仰るのなら、嬉しいですね

【わざとらしく残念がって見せて、それからちらっと、目配せをする】
【浮かべている笑みは意地悪なもので、からかってるような、そんな雰囲気だ】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 19:05:43.84 ID:m0wDhXc90
>>21

「期待しているのだよ!」
「私は医官だから少佐スタートなのだよ!と言うか、同じ年なのだよ!?年下かと思ったのだよ!?」

【こちらは、こちらで年下だと思っていた様子だ】
【同じ年、こういう偶然もあるのだろうか、そう驚きつつ】
【やがて】
【不敵な、そして意味ありげな笑みを浮かべるクリスに】

「うう〜、ずるいのだよ……」
「解ってるくせに……」
「今度の休み……デート、するのだよ」

【俯きながら、そう呟くように言う】
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 19:12:41.11 ID:6Gt2nIb8o
>>22

ふふ、いいですよ
お休みはそちらに合わせます。今はこれといった仕事もないので、自由なんです
楽しみにしておきますね

【と、今度はいつもの柔和な笑みを向ける。楽しみだというのは本当だった】
【同僚の思惑どおりになっているような気がして、そこは不服だったが】

んー…………そろそろズボン、乾きましたかね?
火傷は十分冷やしたので、もういいかとは思うんですが

【膝掛けにしていた上着の内側から氷嚢を取り出してソファに置く】
【話しながら冷やしている間にだいぶ良くなってきたようだ】
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 19:19:04.18 ID:m0wDhXc90
>>23

「む、期待しているのだよ!水の国のオシャレな買い物エリアを巡るのだよ!」

【この部分も、どうやらスクルータの思い通りなのだろうか】
【デートと、言質は取れた様だ】
【そして……】

「うむ!乾いたのだよ、もう履けるのだよ」
「火傷も、引いているんだよ」

【軍服のズボンを渡しながら】
【氷嚢をソファから持ち上げて】

「もう、行くのだよ?」

【そう、少し寂しそうに聞いた】
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 19:28:30.79 ID:6Gt2nIb8o
>>24

【ズボンを着用して上着を着直す。これで元どおりだ】
【寂しげにする万里子にクリスは「んー」と考えるような仕草をしてみせる】
【ちょっと笑ってるというか、にやついているのがきっと見えてしまう】

どうしましょうねぇ……
実際のところ、万里子さん次第ではあります
さっきも言ったとおり、結構、今は自由なので

例えばお互いの仕事の話をしてもいいですし……
まだ話していないことは沢山あるので、話題には事欠かないとは思いますよ

【どうやら別にクリスの側としては、帰り支度をしたいわけでもなく】
【単に衣服を揃えたかっただけらしい。なので帰るのかと聞かれればこう答える】
【万里子に仕事などがあるなら仕方ない。しかしないのなら──どちらも万里子次第だ】
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 19:35:54.09 ID:m0wDhXc90
>>25

「……また意地悪したのだよ」

【むっとした顔で、クリスを睨む】
【なるほど、この場になってようやく、性格が読めてきた】
【ならば……】

「いっそ泊って行けばいいのだよ!」
「私は全然いいのだよ、いっぱいお話するのだよ!」

【こう言ってみる】
【流石にこれには慌てるだろう、と】
27 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/14(土) 19:38:41.20 ID:YXqB6KiK0
>>19

……私も詳しくはないですけどね、いくら『GIFT』だって、能力だけで全部を押し切る脳筋作戦を取ってくるわけでも無いでしょうって事で……
兵力の被せ合いになったら、後は向こうの有利ですよ。その辺どうするか……本当にきちんと考えてあるんでしょうかね?
まさか、特区制定してそれだけで魔防法はお終い、なんて……そんな肩透かし、するつもりも無いんでしょうし?

【流石に、かの能力者至上主義テロ集団については、イーレイも詳しくその内容を知っている訳ではない】
【ただ、彼らとて武装くらいはするだろう。そして武装と能力の両輪を使われたら、個々の戦闘能力は言うまでもなくGIFT側にアドバンテージがある】
【いずれは、魔防法をタテに彼らとも事を構えるつもりなのだろう賛成派たちに――――イーレイは冷たい嘲笑を向けた】

(……流石にちょっと、悪かったかもですね。失業者に食事を奢らせるなんて……)

【居候と言う事は、住居にすら事欠いている事を意味している。そんな相手に、勘違いに付け込んで食事を集っている自分に、流石に胸中、針が刺す】

――――お、来ましたね。それじゃあ戴きましょう。――――うん、酸味とブイヨンの効いた良い匂い……

【ともあれ、食事が運ばれてくれば彼女の頬も綻ぶ。胸一杯においしい空気を吸い込んで、イーレイは己の食欲を刺激して、そしてスプーンをつける】
【――――深い旨味に、トマトの酸味が良いアクセントになっているリゾットは、すいすいと入っていく】
【単品では物足りないのかもしれないが、おかずを考慮しての主食となれば、丁度良い塩梅だろう】
【啜る音を立てない様に注意しながら――――櫻系とはいえ、今は水の国の洋食店だ――――イーレイは米とスープを喉へと流し込んでいく】

【そしてムニエル。バターとハーブが焼きの香ばしい匂いを一層に引き立ててくれる】
【テーブルナイフでそっと身を割くと、味の沁みた身がホクっとポテトの様に割れる】
【手早く火を通したのだろうその身は、表現に程よい焦げの食感を、身の内にプリプリした食感を、程よく残している】
【やや強い目の味付けながらも、バターの滑らかさがそれを包み込んで。舌と胃を悦ばせてくれる】

【鮮烈なフルーツジュースである、ブラッドオレンジジュースも、それを彩ってくれる】
【甘酸っぱい味わいが、口の中を綺麗にリセットしてくれる。それでいて、ブラッドオレンジ特有の、重みでコクのある飲み口がまた、口中を楽しませてくれる】
【やはり、本格的な洋食屋で食事をするのは贅沢だ。イーレイの表情に、素の笑顔が浮かぶのも、無理はないだろう】

――――まぁ、あまりやる事ではないですね。マリーさんの言う通り……今、世間は能力者に風当たりが厳しいですからね
例え自衛の為でも、無暗にそれを使うと――――何を言われるか、分かったもんじゃありません。戦闘の手段があるとはいえ、無茶はしませんよ、えぇ……

【無暗な能力の行使は、現状では自分の首も絞めてしまう。なら、無理をするようなことは控えねば――――マリーの言う通りである】
【――――イーレイ自身、腹に一物ある事は確かだが、その言葉には素直に頷いてみせた】
【それでも、まだ内心では自信ありげだったのだが】
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 19:44:49.84 ID:6Gt2nIb8o
>>26

【万里子の理解は正しい。この男は案外、意地の悪い性格をしていた】
【普段はそうでもないが、こういう状況でからかうような人間はきっとたちが悪い】
【そんなクリスに打たれる反撃の一手。慌てるか、と思いきや、意地悪な笑みが余計に深くなる】

いっぱいお話し、ですか?
泊まって行けって、それ、どういう意味なんですかね?
単に泊まるだけ、なんですかね?

【意味深な、と言うには言わんとしていることは明らかだった】
【万里子の反撃に対してもクリスは攻勢を緩めようとはしなかったのだ】
【──とはいえ、攻め手の継続はここまでだろう。これ以上、被せられれば、もしかすれば】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 19:48:46.60 ID:m0wDhXc90
>>28

【なるほど、てっきりその方面は、スクルータのそれに乗せられるだけの人物と思っていたが】
【決してそんな事はなかった、と言うわけだ】

「うう……」

【恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら】

「それを言わせるななのだよッ!!!!」
「嗜みがなってないのだよ!!何で女に言わせるのだよ!!」
「と言うか何を想像したのだよ!?言ってみるといいのだよ!!」

【ドカンと堰を切ったように】
【クリスに大爆発する万里子、さてどう出るか?】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 20:04:09.53 ID:6Gt2nIb8o
>>29

【にやついていたクリスだったが、次第にぷるぷると肩を震わせる】
【これが羞恥や何かなのであれば万里子の苦労(?)も報われるのかもしれないが、そうではなく】
【────「くっ」なんて声を出して吹き出すのだから、きっと腹も立つだろう】

くっ……あははははっ!
すいません、ついっ……からかい始めたら止まらなくなっちゃってっ……!
だって、あんまりにも可愛い反応するから……からかいたくもなりますよっ
あはははっ!

【ついにクリスは笑い始めてしまった。お腹を抱えるほどだから余程面白かったのだろう】
【少しは笑い声を抑えようと口を閉じたりしていたが、それで収まるものでもなくて】
【喉を鳴らして、それはそれは楽しげに笑っていた】

ふふふふっ……いや、ほんとすいません
確かにちょっと、嗜みがなってなかったですね……うちの部隊、そのへんも粗野なのでちょっと毒されてました
でもやっぱり万里子さんが悪いんですよ? からかいたくなるような反応するんですから
おかげで僕は楽しめましたけどね?

うーん、でも、泊まって行けってのは本心なんですか?

【未だにからかうような態度を続けていたクリスだったが、最後の質問は少しばかり遠慮ぎみだった】
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [sage saga]:2018/04/14(土) 20:06:40.45 ID:GCJN6sLyo
>>前984


【── 人々に揉まれながら、それらに必死に話しかけても】
【彼らは、そんな些末なことに興味はなかった。この場で大事なのは、ただ、叫ぶこと】
【声の大きい者の声だけが通じる。 民主主義の写し鏡が、このデモだった】

【若者は、徐々に国会前へと近づいていく】
【そして、“そのとき”は来た。彼があの車を眼にしてから、ほんの1分も経たない頃】

【 “どん” 】
【そんな、文字にすれば呆気ない。それでいて、その場の人々を静まらせるには十分な音が響いた】
【続けて、悲鳴。今度は人々の波が、遡上する。明らかに“何か”が起きたのは、確かだった】
【逃げた方がいい。彼はそう感じるかも知れない。 だが、もし、勇気を振り絞って人の波を抜けたなら──】


【── そこは正しく、地獄だ】


【デモ隊の人々が、血を流し、国会前広場のそこかしこに倒れ込んでいる】
【地面には急ブレーキの後。タイヤ痕は人々の血を吸って、そこかしこに紅の弧を描いていた】
【どこからともなく聞こえる泣き声。 足が竦んでへたり、と座り込む人々。──そして】



「……、…… は、はは、  “やってやった” 。 」



【立木に衝突し、横転したワンボックスから、這い出す男】
【国のどこでも見かけるような、普通の若者。 その手を震わせながら、彼は呟く】
【ぐるり、と周囲を見回し。逃げ遅れた一団を見つけると、その手に“炎”を纏わせる】



「おい、何だよ。 “バケモノ”見るような顔して。
 オレだって、人間だ。  “そんな眼”で見るなよ。  なぁ、 おい。
 お前らなんて、数が多いだけだろうが。  なのに、まだ、そうやって勘違いしてるのか。 なぁ。」



【若者は、ゆっくりと一団へ歩み寄っていく。足下に血を踏もうとも、人間を踏もうとも、躊躇はない】
【“テロ”が起きたのは、デモの後方。警備に当たっていた国軍が到着するには、少しだけ猶予がある】
【──そして、その猶予を使って彼が何をしようとしているのかは、瞭然だった】


/お待たせしました、よろしくお願いします
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 20:12:38.57 ID:m0wDhXc90
>>30

「――ッ!」

【腹を抱えて爆笑されてしまい】
【それこそ言葉なく、一気に恥ずかしさがこみ上げて】
【どうにも、今日は完全敗北の様で】

「な、な、な……」
「可愛いって何なのだよ!酷いのだよ!冗談が過ぎるのだよ!!」

【もう顔は茹蛸のようになっていて】
【だが、ここで】

「そ、そんなの……自分で、考えるのだよ……」

【俯いて、そう静かに言った】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/14(土) 20:18:30.88 ID:FerMN9GG0
【繁華街――路地裏】
【ひどく細い道だった。店と店の間、いろいろな配管が張り巡らされた壁は、本当にすぐそばにあり】
【食べ物屋の換気扇からは真っ黒い脂汚れが垂れて壁を汚していた、ぐるぐる回る換気扇からはいろいろな食べ物の匂いが無尽蔵かと思うほどに溢れて】

………………、繋がらない。

【その道の入り口――入り口というべきだろうか、とかく、賑わう道から一歩分踏み込んだ場所。そこに一つ人影があった、狭い道を立って塞ぎ】
【長いこと携帯電話を弄っていたのだけど――もし誰かがこの"女"を眺めていたなら。指先での操作と電話をかけるのをほぼ交互に繰り返していて】
【呟きまで聞き取ったなら――おそらく誰かにずっと連絡を付けようとしているようなのだが、ひどく顰められた顔を見れば分かるだろう、全く連絡がつかないらしい】

【耳から離した携帯からは特に特徴のない女の声、ありふれた、「現在電話に出ることが出来ません」のメッセージがかすかに聞こえる、女が画面を睨む間にも話は進んで】
【やがてピーという電子音、そののちに静かになる。――そこからさらにたっぷり数秒ほどそのまま過ごした、女は。やがてどこかためらうように、もう一度、耳元に当て】

……あの、鈴音さん? 用事、は特にないのですけど――、……その、連絡いただけませんか、天音さんも、気にしていますから、……。
…………――それだけ、です、何度も、すみませんでした。

【――黒猫と同じ髪色の女だった。話す声は猫撫で声みたいに甘たるい声、化粧で彩った顔を、それでも心配そうにかたどって】
【いやに白すぎる肌に鮮やかな青りんご色の瞳。どこか猫の目に似てつんと釣った眼――が、再び降ろした携帯の画面を見つめている。通話終了のボタンを、そっと押して】
【画面も消して、薄手のコートのポケットに落としこむ。その下の服装は灰色のニットワンピース、それから、薄手の黒いストッキング。足元は、かかとの高いヒールで】
【まだ年若い女――それでも猥雑で不衛生で不健康な繁華街に、どこかよく似合っていた。はあとひときわ大きなため息、薄く眉間にしわを寄せて】

【仕事をする気も失せて。女はふらりと、細い道から姿を現す。だけど、全く別のことを考えていたせいだろうか、視界は狭く、往来の動きさえ把握していない】
【ならば――誰かにぶつかってしまう可能性もあった。"相手"からしても――細い道から急に出てきた女だ。対処は不可能ではないけれど、少し、難しいかもしれなかった】
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 20:21:26.15 ID:6Gt2nIb8o
>>32

【「うーん」と言って顔を逸らす。考えているようなそんな気配を出しながらも】
【顔は少しばかり赤かった。からかっている間は気にならなかったが、いざ冷静になってみると】
【目の前にいる人間から好意を向けられているというのは、やはり少し照れくさいものがあった】

…………そうですねぇ
今日は準備もないですし、またの機会にしておきます
僕にも”心の準備”ぐらいは必要ですし、ね

【カップを手にとって、口をつける。ばたばたとやりとりをしている間に冷めてしまっていた】
【それでも美味しく感じるのは紅茶自体のおかげもあるが、今の気分のおかげもあるのだろう】

話の続きは、またデートのときにでもしましょうか
今日は……そうですね、万里子さんの方がもう限界でしょうから、お暇します
一緒にいたらまたからかってしまいそうですから

【冗談めかして言って、クリスはソファから立ち上がる】
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 20:28:29.98 ID:m0wDhXc90
>>34

「……」
「――ッ!?」

【心の準備、とも準備とも言われた】
【つまりは、十分に伝わっていると言う事で】
【その事実だけで、押し黙り言葉を失うほどの恥じらいと衝撃に襲われた】

「うう……やっぱり、意地悪なのだよ……」

【ソファから立ち上がるクリスを、玄関まで送り】

「その、デート、楽しみにしてる、のだよ……」

【そう、少しからかわれ過ぎて、むすっとした口調で】
【しかし恥じらいもあり、少し顔を背け乍ら、こう言った】
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/14(土) 20:39:11.98 ID:6Gt2nIb8o
>>35

…………そういう仕草と言い方は、ちょっと卑怯だと思うんですけど

【不覚にも、少し心臓が跳ね上がった。悔し紛れに文句みたいなことを言ってみるが】
【それだけじゃ気分が落ち着くわけはなかった。きっと万里子は無自覚なのだろう】
【自覚的にやってた自分とは違うじゃないか、なんて考えると余計に仕返しがしたくなった】

【もっとも、最初に無自覚だったのは自分だと、クリスは気がついていなかったが】
【ともかく、最後の最後だが何かしないと気が済まなかった】

【クリスは万里子の手を取ろうとした。紳士がそうするように、知っている限りの優雅な動作で】
【手を取ることができたのなら、その甲に口づけを落とすだろう】

じゃあ、またね、”万里子”

【親しげにその名を呼んで、愛しい相手にするように口調も変えて】
【そうしてクリスは背を向けて扉を開け、外へと出ていく。彼女に何か言われる前に】
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/14(土) 20:46:35.01 ID:m0wDhXc90
>>36

「ッ……もう、変な所で紳士なのだよ」
「でも、嫌じゃないのだよ……」

【手の甲を取られ、口付けをされる】
【決して嫌がるような、抵抗する素振りはなかった】

「またなのだよ、クリス……」

【差って行くクリスの背中を、長い事見ていた】



【同マンション2階】

【所で、誰か忘れていないだろうか?】

「うーみーのーこえーがーききーたーくてー……」

【セーラー服の少女は、あんな光景を見てしまったせいか】
【放心状態で膝を抱え、自室のベッドに佇んでいた】


//お疲れ様です
//こちらで〆でしょうか?
//ありがとうございました!
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/04/14(土) 20:46:57.37 ID:WAaDbTBq0
前スレ>>983

【三度、魔法陣が煌々と輝めいたと思えば今度は小さな光の玉が出現した】
【その玉は星の如く肥大化していき、それに連れて透明でった玉は次第に混沌とした色へと変貌していく】
【そして触腕からその玉に飛び乗る男を見やり、様子を伺おうとした】

さて、自慢のペットも動きが鈍くなった。ではどうするか。
足掻くなと命令しても、どうせお前は足掻―――

【その矢先。浮遊する球体が、あちらこちらに光を放ち、其処から光線を放っていた】
【有機物に対する抑圧手段は数あれど、意志の宿らぬ無機物には自身の能力は無力であり】
【つまり、男の考えは正鵠を射ていたのである。よってその結果はどうなるか―――】


ぐふっ…まったく想像にも及ばない。
猛獣使いが繰り出すのが光線を放つ球体だとは、な。

【単調な軌道ではないレーザーを避ける事は容易ではなく、レーザーの幾つかは白い人物の身体を貫いていた】
【腹部に数箇所。腕部、脚部併せて二箇所。傷口からは血液が流れ出し、白い男は顔を顰め、膝を付いていた】
【初めて人間らしい顔を見せていた。劣勢に立たされた人間の顔。無表情の顔だったものには皺が刻まれ、やや苦悶の表情を浮かべていた】

【けれど、先程痛覚を"抑圧"していた事もあり動けぬ程の痛みではなかったのは幸か不幸か。戦闘の意志を緩めない】


("剣"があれば…。だが今は無い。無い物強請りは無駄な思考でしか無い)
(現状、"剣"が無いとなればやる事は限られる)

【"剣"】【それは精神安定剤の名を冠する白い人物の決定打となるべき武器である】
【しかしそれは今手元に無い。腹部や膝を伝って流れる血は、白色の沼に彩りを加えている】
【そしてそこに、二色で彩られた沼に新たな色が加わるのであった――それは"黒色"の水】

(身体的ではなく精神的に"抑圧"するか。――それとも撤退するか)

【身体を奮い立たせ、立ち上がる白い人物は、眼前の男に向けて手を翳す】
【それは"参った"というサイン――ではなく、砲撃をするかのような空気を醸し出していた】
【それに伴い白い沼は徐々に白い人物の元へと戻り、翳した手に収束していき、終いには灰色の水球を形作っていた】

【灰色の水球は肉体と精神の"抑圧"という効果を併せており、それを球体に乗る男めがけて放つのであった】
【水球そのものが男に命中するとは思っていないので、水球はある程度の地点で弾ける様に仕込みを加えていた。
 命中する程度によるが、多かれ少なかれ心身が抑圧される様な感覚に襲われるだろう】

/お待たせしました。
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/14(土) 20:50:07.07 ID:6Gt2nIb8o
>>37

【────その後】
【彼らの拠点に戻ったクリスは事の顛末をスクルータに散々尋ねられた】
【結局、話すはめになったクリスがどれぐらいいじられたかは誰も知らない】

//乙です!
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 20:57:05.35 ID:7O3igN+8O
>>31

【流れに逆らえないまま騒ぎの音だけが耳にがんがん木霊して】
【場違いな所に出くわしたと言う後ろめたさと後悔が胸に込み上げるが】
【其れらを消し飛ばす決定的な合図が上がった】

うひっ!?

【素頓狂な悲鳴。それは自分の口だけでなく、他の人々からも出たものであり】
【恐慌に陥った群衆が津波となって押し寄せる。音の由来も分からぬまま身体は呆気なく呑まれ】
【背中を、肩を、尻を、靴が何度も踏んでいく。地に伏せて頭を抱える。ひたすら波が収まるのを待った】

けほっ、なにが起きたの……?

【音が止み仰向けになる。数秒掛けて漏らしたのは肺に凝り固まった息】
【薄い胸が5回上下して漸く立ち上がる】
【一瞬で更に薄汚れ、痛みの走る身体。しかしデモ隊のいた場所に立ち入れば、その惨状は己の比ではなかった】
【作り出したのはあのすれ違った暴走車。そこから這い出し、炎を纏う男。その背に叫んだ】


待って!

41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:01:10.32 ID:Kx0vEyjc0
【路地裏】
【ひとの話し声がする。やや低めの、掠れた女の声だ】
【弱々しい音量で、何度も何度も「はい」を繰り返す。そうして会話が続いたなら】

――――……はい。今後とも御贔屓に。
宜しくお願いいたしますね――はい、貴方の「冒涜者」で御座います。

【そう結んで、通話を切る。長い長い溜息が吐き出され】
【続いて、足音が響き始める。表通りに向かう、低いヒールが地面を打つ音】

【音の主は、低身痩躯の女であった】
【黒髪は首の中程まで伸びていて、肌色は不健康に青白い】
【暗赤色の瞳は、疲れ切ったように半分伏せられて――その下にはくっきりとした隈】
【職業をアピールするように、羽織っている白衣の裾を棚引かせて、重々しく歩く】

……疲れた、疲れた……さすがの僕でもつっかれた……。
なんなんだよ、「円卓」の御偉方どもめ……例の法にビビってんのか知らないけど、
急に発注増やしやがってぇ……ああ、もう、あと何件片付いてないんだっけ……

【――その途中、もう歩くのがしんどい。そう言いたげに歩みを止めて】
【そこら辺にあった空き箱に腰掛けて、大きく伸びをした】
【釣られて出てくる欠伸。滲む涙を指先で拭いながら、ぼうっと虚空を見上げている――】
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [sage saga]:2018/04/14(土) 21:07:41.54 ID:GCJN6sLyo
>>40

【ぴたり、と。 男の歩みが止まった】
【振り向き、声の主を眼に収める。──然るに、若者にも、男の姿が認識できるだろう】
【両者は共に、同じ年の頃だろうか。 だが、この男の眼には昏い光が宿っていた】


「何だよ、アンタ。 アンタもこのバカ共の仲間か?
 ……どいつも、こいつも。 能力者ってだけで、人を死ね、 とか。
 死んだら分かるだろ、自分達がどれだけひどい人間か、 ってさ。 は、はははっ。 」


【話しながらも、彼の言葉は何処か、遠い誰かに向けられたような風だった】
【箍が緩んだような笑い。 それから再び、若者から目を逸らし、振り返って、一団へその両手を向けた】
【──、じり、と。炎が埃を灼く音が夜に響く。 国会前から、軍と警察の一団が駆けてくるのが見える】

【 だが、このままなら。彼が“ひどい人間”達を炎で包むのが、悠に早いだろう】
【既に男は若者への興味を喪っており──、その背は、彼に対して無防備に向けられていた】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/14(土) 21:11:10.67 ID:6Gt2nIb8o
>>38


よぉし、通ったな! ハハッ、ざまーみやがれ!
仏頂面がやっと変わりやがったぜ、どうだ痛いか、えぇ!!
てめーら能力者が苦しむ様を見たくてやってんだからよ、もっと顔歪めろよな!
ハハハハッ! さいこーの気分だぜぇ!!


【明確なダメージを与えたことに喜び、叫ぶ。戦術だとかそういう話ではない】
【”能力者に苦痛を与えた”ということが男の喜びそのものだった。理解するのは難しくはないだろう】


よぉしよし……もう戻っていいぞ
あとはこんがりと美味しく焼いてやるだけだ、そうしたらてめえに飯として食わせてやるよ

死に際にどんな顔しやがるが、楽しみで仕方ねえ。死ぬのが怖くないとかじゃなけりゃあいいんだがな
どうにもあの野郎にはやりたいことがあるみてえだからな、そういうやつほど普通は死ぬのが怖いはずだ
そのやる気やら何やら、目的を達成できなくなった瞬間の顔が見てやりてえ! 今よりさいっこーの気分になれるだろうからな!!


【初めの言葉は<絡みつくネア・セリニ>に向けられたものだった。魔法陣が輝き、鎖が射出される】
【それは動きが鈍化している<ネア・セリニ>を巻き取り、牽引。魔法陣の中へと吸い込んでいった】
【次の言葉は<混沌の三十四番ダウ・ア・シャムス>に向かって。能力者は男にとって餌以下の存在だった】

【ただ殺すだけでは飽き足らず、その尊厳があることを望んだ上で、尊厳を破壊することに楽しみを見出す】
【あまりに下賎な欲望が男にはあった。能力者であるならばどう扱ってもいいという差別意識がそれを生み出していた】
【────あるいは、それ以前の問題か】


さぁ<ダウ・ア・シャムス>! くそったれの能力者を焼き殺せ!
奴らに俺たちの苦しみの十分の一でも与えてから殺してやれ!!


【惑星の表面にさらに複数の光点。数条の光が乱反射しながら再び向かっていく】
【それと交差するように水球が飛来。敵を殺すことばかりを考えていたために反応が遅れる】
【「上がれ!」と指示を出すが遅かった。上昇する直前で水球が破裂。灰色の液体を浴びてしまう】

【ある程度上昇したところで球体は停止。乗っている男は膝をついていた。顔には疑問】


────がっ、なんだこれ……!
て、てめえ、何しやがった……くそが、精神に来るタイプかよ……っ!

(身体が動かねえ上に、何なんだよこれは……どうにもやる気が削がれるような、そんな感じがしやがる)
(も、もう一体出すのは…………くそ、めんどくせえことしやがる)


【明らかに身体と、そして精神に変調をきたしていた】
【それでも、尚も男の灰色の双眸に宿る強烈な殺意は消えていない。消すには、まだ足りなかった】
【それほどまでに能力者への憎悪は深く、消し難いものだった】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) :2018/04/14(土) 21:12:53.70 ID:iVpEBYmu0
>>41
【かつん、かつんと一歩ずつ。かちゃり、かちゃりと鎖が鳴る。その少女は、宵闇であった】
【本当は誰でも良かった。なんて言うつもりは無い。何故ならば、彼女の用はどうしても人を選ぶ】
【そして、彼の選んだ者は、目前に迫っていた】

Hy,she

【路地裏で愚痴る女に声を掛ける。その声は甘く、蕩ける様な少女のもので、何処か毒を孕んでいる】
【黒を基調としたドレス。ミニスカートからは純白のパニエが覗き、黒烏の外套は闇の具現】
【されど、ツインテールに纏められた灰色の髪は艶めき、色白の顔立ちは流麗。雰囲気は令嬢の如きもの】

貴方、crimsonでしょう?
ほんの少しだけ、お付き合いしていただける?

【にこり、と微笑みを向ける。柔和な雰囲気に、確かな悪を持ったその笑みは、凡そただの少女のものではないだろう】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/14(土) 21:29:47.86 ID:8w4g4x8c0
>>33


――――おやおや、前を見ないと危ないですよっ?


【表通りに姿を見せれば、幾秒もせずに"とんっ"と何かにあたる感触】
【なんだろうか、と半歩下がって確かめれば、それは声色通りに女性であり】
【打つかった時の柔らかさの正体を示すようにふくよかな胸元と】
【それから、白い巫女服――或いは狩衣に類するような和装の、妖狐だと分かるだろう】

【その髪色は頭頂部からくっきりと二色。亜麻色と新緑色に分かれており】
【鋭い瞳の色合いもまた同じ、左右で見事に異なって】
【髪の合間からぴょこんと覗く狐の耳もまた同様。ペンキを別々にぶち撒けたような鮮やかさ】

【腰で揺らめく三本の尻尾は、どういうわけか亜麻色で統一されていたけれども】
【ともあれその人物が特異な容姿の人物である、というのは間違いなく】


……ところで、芸妓さんかバッチリメイクなお嬢さんなだけかは存じませんが。
今、『鈴音さん』って言いました?んー、私耳が良いものでしてね?
ついでにいうと、ちょーっと彼女に会いたいな〜、なんて思ってまして。

――――お知り合いでしたら、居場所の心当たりなんてないかなーと。


【「あ、私クズノハというものでして。言うなれば鈴音さんのお仕事仲間、ですかねえ?」】
【などと宣って、言葉を締める。――胡散臭い、というのは確かだったが】

【ふと周りを見れば、それは加速するだろう。これほど奇抜な見た目であるにも関わらず】
【周囲の通行人は誰一人彼女に気が付かないかのように通り過ぎていくのだから】
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:32:04.93 ID:Kx0vEyjc0
>>44

【首から上だけ其方に向けて。微笑まれたなら笑みを返し】
【細まった瞳がじいっと、黒い少女の全身を見つめる】
【頭のてっぺんから爪先まで。観察し終えたなら、もう一度笑んで】

ほんの少しと言わずとも、幾らでも――僕にとって益になるなら。
今晩は、マドモアゼル……ん、フロイラインのほうが正しい?
うーん、どっちでもいっか。……座る?

【ぽんぽん。そこらへんにある空き箱の表面を叩く】
【そんなもの、座れば少女の美しいドレスが汚れてしまうだろうに】
【……あんまり深いことは考えていないらしい。多分、善意でやっている】

【それで、少女が座ろうと座るまいと――もう一度口を開いて】

……それで、何の御用かな。
残念だけど最近「注文」が詰まってるから、新規のお仕事は募集してなくて――
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 21:35:22.63 ID:7O3igN+8O
>>42

【血と煙が濃密に立ち込める国会前で二人は対峙した】
【呼び掛けたのは咄嗟に口を突いてのこと。振り向いた彼の眼力に、笑いに、身をすくめた】
【当然ながら男は耳を貸さない。怒りや絶望に身を任せるというより、何かに憑かれたよう】
【踵を返す姿はもう引き返せない所にいると言いたげだ。だが、このまま続ければ本当に後戻り出来ない事になってしまう】
【背後を振り向く。警備隊はまだ遠い。ぐっと唇を噛んで】

「待ってってば!」

【男の背に、小さな物体が投げられる】
【それはこの国で使われる安い硬貨。頭に当たったところで痛くも痒くもないだろう】
【もし振り向けば掌の上には同じコインが浮かんでいて】

「気持ち、分かるよ。でも、殺しちゃ駄目だよ」

【乾いた口で懸命に唾をのみ下し。それでもはっきりと言葉をぶつける】
【気弱で貧弱。年の頃は似ていても二人の雰囲気はまるで異なる】
【ただ、帽子の下の瞳ははっきりと、他ならぬ彼を見据えていた】
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) :2018/04/14(土) 21:44:55.46 ID:iVpEBYmu0
>>46
あら、フロイライン<お嬢さん>なんて嬉しいわ。ミズ・ブラスフェミア
貴女は自分の利益が大好きなのね? 期待通りだわ

【示された空き箱を見やり、一瞬だけ考え込むような、冷淡な表情を浮かべる】
【だが、すぐに表情を柔和な微笑みに戻すと、さらりとスカートを抑えながら空き箱に腰を下ろす】
【何か思惑があってのことか。それとも】

そうねぇ、まず一つ言うと、貴女は円卓≠ノ協力しているのでしょう?
自己紹介が遅れたわ。私は円卓の席に連なりし者シャルロット・N(ノブレス)・ミゼラブル
ミズ・ミゼラブルと呼んで頂戴な

【円卓の席に連なりし者。彼女は確かにそう言った】
【最近まで活動を控えていたものの、世界情勢が混沌へと進み始めたと共に活動を始めた魔術師である】

それで……円卓、正直に言って先が見えないでしょう?
だからね、私、王様に味方しようと思うのよ。だってその方がずっとマシ≠カゃない?
ので……少しでも協力者が欲しいの。この意味、わかる?

【冗長に、そして淡々と用を述べる。彼女は端的に、ブラスフェミアに協力関係を申し込もうとしていた】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/14(土) 21:48:01.05 ID:FerMN9GG0
>>45

【――――とすん、と、軽い衝撃。相手もおそらく同じ強さで同じようなものを感じることだろう、ぶつかってきた女は、その程度には小柄で】
【そう急いでいたわけでもないのだから。あるいはその衝撃よりも――香水でもしているらしい。強さのせいではなく脳髄を溶かすように甘い匂いが、女からはして】
【相手の身長によっては。それこそ本当に胸元とぶつかるのかもしれない、これは余談なのだけど――こちらの女もまた、ひどく"豊か"な身体つきをしており】
【こんな場所で出会ったせい、だろうか。どうにも、"そういう"女にも見え――】

――まあ、ごめんなさい。ええ、本当に――、お召し物に汚れはございませんか?

【甘い猫撫で声が申し訳なさそうに紡ぐ、半歩ほどの距離を取って、ひどく申し訳ないような顔をして。衝撃は大したものではなかったなら】
【化粧のどこかでもつけてしまわなかっただろうかという風に尋ねるのだ。それ以外に汚す心当たりはない、――相手の街中ではあまり見慣れぬ恰好にも、素知らぬ顔】
【ぱきりと二色で分かれた髪色も、瞳の色も――全く気にしませんというような様子で女は相手へ眉をうんと下げた、"申し訳ない顔"を向けて、一瞬佇む】
【だけど――きっと分かるだろう。相手が何もないと言えば、すぐに立ち去るつもりだと。謝ってはいるが悪いとは思っていない。どうせ何もない……と判断しているらしい】

…………ええ、はい、言いましたけれど。少し早急に過ぎますわ、そんな名前の方――たくさんいらっしゃられると、思います。
それとも何か――確信する理由がおありですか、わたくしはあなたを知らないのですが……。

仕事仲間――でしたら、それこそお仕事の場でお会いになられたら如何でしょう?

【けれど――どき、とした。それを聞きつけてきたと言うのに嫌な予感がしたのだ、――よりによって少女と連絡が取れなくなったタイミングと重なった、というのが】
【その予感を深める――そうすれば嫌でも刹那に表情は褪めてしまう。ひどく冷たい目だった、鮮やかな瞳は宝石のようで――だからこそ温度がないように見え】
【だけれど最後にはにこりと人懐こく笑って見せる。仕事仲間なら自分に聞く理由などないだろう――その裏で、もし相手とも連絡が取れなくなっているのなら、】
【まったく同じような理由で探しているのだとしたら――。――電話に話しかける声を聞き取った相手には、内容までも聞こえたことだろう。この女は、きっと、困っている】

【それこそ。その"鈴音"という存在と連絡が取れなくなっているのだ、――普段は野良猫のように警戒する女も、そんな瞬間だからか、話に応じてしまった】
【人並みの中で二人だけが取り残される。猫みたいにぴかぴかした目が相手をじっと見つめて――こいつは何だ、と、伺っているようだった】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/04/14(土) 21:50:11.62 ID:WAaDbTBq0
>>43

――実に、…騒がしい男だ。とても、愚かしい。
どうだ。お前の嫌いな能力者に膝を折らされる気分は。

【精神安定剤を謳う白い人物は、表情にやや歪んだ愉悦を滲ませていた】
【先程まではロボットと揶揄されていたのに対して、今は人間味を前面に押し出している】
【破顔とまでは行かないが、右側の口角をやや吊り上げ、侮蔑を込めた視線を送っていたのだ】

何をした?愚問だ。その答えは、お前が一番理解しているだろうに。
それに人に答えを求めるその行為はより愚かだ。ハハハハッ、嘲笑ってやろう。

【体の奥底からの熱量を抑えられない。現象としては興奮と表現するのだろう】
【単なる精神安定剤を自称するその人物は、自身に向けられる苛烈な殺意を前に感情の滾りを隠さない】

【抑圧してきた感情の奔流と言わんばかりに、白い人物は男へと睥睨を向ける】
【まだ足りないか。良いだろう。思う存分黒く黒く。黒より黒く染めてやる】

【感情の奔流と共に、自身の抑圧してきた痛みの自己主張は時間経過と共に強くなり】
【乱反射されたレーザーを左右後方に飛び退き回避しようとしても足は上手く動かず】
【右肩を貫く。両足に更なる穴を増やす。脇腹に更なる傷痕を刻み、再び膝を折った】

ぐっああああッッッあああッ!痛みとはこうも度し難いか!痛みを抑圧しきれないな!
――だがこれは私自身の痛みだ!お前の苦しみの十分の一でも与えられてると思うなよ!
一分一厘たりとも私のものだ。

【感情の発露ともに満身創痍になっていく白い人物は、眼前の男への更なる抑圧へ着手する】
【自身の血液と共に、再び黒い水を流し、先程より小さい水球を形成し抑圧されて尚吼える男へ射出した】

憎いか。憎いだろう。
だが案ずるな。その感情は直ぐに抑圧される。最早何も考えずとも良いほどに。

【黒い水球の効果は、精神的抑圧。先程の灰色の水球と異なり精神的抑圧のみに効果を絞っている】
【その為、精神的な抑圧は先程の比ではない。――だが、それでも相手の精神を完全に抑圧できるかと言えば難しいだろう】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:56:39.82 ID:Kx0vEyjc0
>>48

【半分くらい、まあ座らないだろうなと思っていたから。だいぶ吃驚したらしい】
【目を見開いて、それからすぐ元の形に戻して――んん、と相槌】

聞いたことあるよ――ミズ・ミゼラブル。
聞いたことはあったけど、こんなに若い人だとは思ってなかったや。
ちょっと吃驚した……っていうのはまあ、置いといて。

「マシ」ってのは同意だね。
この先ずうっと、エラいヒトの顔色見てへこへこしながらやっていくってのは――
……まあ普通に考えたらイヤだよね。うん、協力。

【二度三度頷いて。重要と思わしきところだけ、復唱】
【そうしてから――僅かに首を傾げた。さらりと黒髪が輪郭に零れ落ちて】

……僕は別になんでも構わないけどさ、やりたいことやれるんなら。
あなたは僕と協力して――何かやりたいことでもあるの?
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [sage saga]:2018/04/14(土) 21:59:36.51 ID:GCJN6sLyo
>>47

【コインが男の頭にぶつかる。 その背に向けて、若者の言葉が投げかけられた】
【──再び、彼は振り返った。だが、その眼には未だ、海溝の様な暗さだけが見えていて】


「 お前にオレの、何が分かる。 

 どうして、こんなクズどもの肩を持つ。
 この国は、オレ達を見捨てるんだ。そのうち、皆殺しにされる。 なら、先にやるだけだ。
 お前の“それ”は、能力だろ。 なのに。  なんで、分かってくれない 。   なぁ、おい──。 」



【「あぁ、そうか。」】



    「   お前も、 “あっち”の味方か 。   」



【それは、間違いなく妄想で。それでも、観念に支配された男に、若者の言葉は届かなかった】
【──、憎しみに満ちた表情で、男は怨嗟の叫びを上げる。 彼の身に、何があったのかは分からない】
【だが、少なくとも。 こうして、人々を殺すだけの理由は彼の中で完成してしまっていた】
【その手を若者に向け、火球を形成する。 身を焦がす高温が、広場を包み──、 】



射殺しろ。



【 ぱん。  ぱん、ぱん、ぱん   。    ぱん。  】


【──、次の瞬間には、男の全身に、銃弾が浴びせられていた】
【どさり、と男の身体が崩れる。見れば、国会前から到着した軍人達が、銃を構えている。硝煙の匂い。】
【皮肉にも、若者の“説得”が、男の頭から軍の存在を消し去り──、彼を“殺す”隙を生ぜしめた】


君。協力に感謝する。
少々、事情を聞かせてもらいたい。構わないかな。


【射殺指示を出した軍人──、銀髪に碧眼、年季の入った軍帽を被った男が、若者の前に進み出る】
【他の軍人は既に、“事後処理”に入っていた。跳ねられた人々の息を確認し、竦んだ人々を保護する】
【“ロロケルム・ランガスター”と名乗ったこの軍人は、今、まさに人の命を奪ったというのに、平然と若者を見遣っていて】


「── 、  ──── 。」


【 ──、既に事切れた男の瞳も、見開かれたまま、若者を見ていた】
【そこに残った感情を、どう読み取るのも彼次第だろう。だが、 “どうして”、と】
【なんで、自分がこうならないといけないのか。 それに、どうして、誰も分かってくれないのか】
【永劫の孤独の底から、 若者に問いかけるような色がそこにはあった】
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/14(土) 22:09:53.03 ID:8w4g4x8c0
>>49

おや、これはまたご丁寧に。ですがご安心を、汚れなんてありませんよ?
むしろ華のような肩を胸に抱けて光栄なくらいですしっ。

……んー、それにしてもですねえ。"そうです"かねえ?
鈴音、なんて名前。私これでも660年ほど生きてますけど、初めてですよ?
まっ、源氏名的なそれでしたらまた別でしょうが。

【気丈に知らぬ存ぜぬと返す相手もまた随分な度胸と機転の持ち主に違いないが】
【この妖狐もまた、存外に狡猾。言葉に詰まらず言い返す辺り】
【なんというか、こういった言葉の交わし合いに慣れているようで】
【確信する理由――仕事の場で会えばいい。その言葉に、目を細め】


そうですねえ、確信する理由はありませんし、貴女が私を知らないのも道理です。
そして生憎と仕事仲間ではあっても、職場が違うものでして。

……でも貴女、お下手ですねえ?そんなに警戒しなくても良いじゃありませんか
捕食者に出会った子猫でもなし、お互い大人にお話しましょ?


ですが、どう話したら信用してもらえますかねえ……
……"円卓"とか"黒幕"とか、分かります?
私、前者のほら……6つの罪とか背負ってそうな王様の雇われなんですけれど。

……お分かりでない?んー、でしたら……何か言ったら、信用してもらえます?


【伺うようなその目線。真正面から受けながら、たじろぎもせずに舌を回す】
【終着点は「相手に選ばせる」というもの。何をすればお前は私を信じるのか】
【そんな言葉を投げかけて、そして動かない。狭い路地の入り口を塞ぐように、尻尾を左右に揺らめかせた】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/04/14(土) 22:11:14.04 ID:Gp0lmczN0
>>776
【閃く雷光。コマ送りのように、剣士の影と、魔人の影が踊り】
【マズルフラッシュもまた、戦場を照らす】

――は。
いや、お見逸れしたよ。
そんなこと言って、どうせ“どれ”が“誰”か、一つ残らず覚えてるくせに。

【空中でまた一回転。伸びる腕を躱し、弾く】

……済まなかったよ。あの頃は色々とままならなくてね。
お陰でまあ―――ちょっと死んでた。

【キングの契約した精霊。卓越した戦闘技能、近代の火器に加えて、超自然の力を行使する――
 まさに彼の、“魔”人たる所以。圧倒的な魔力と威力を誇る一撃が怪物を襲う】

【そうして、後はメインディッシュが待ち受けるのみ。僅かに目を見開いたような、哀れな怪物の頭部を――】

じゃ。諸々よろしく頼むよ、悪魔。
伝言役にして悪いけど――出発してくれ。

【そうして、幕。二人であれば、あらゆる苦難を打破し得る――そして、してきた】
【キングとウェイン。十分以上にお互いの特性と技量を知悉した二人の前であれば、まさに鎧袖一触】
【とん、と地面に降り立つ。ぱたぱたと外套の埃を払って、キングに歩み寄る】

はは、素手で君と?
絶対ごめんだね、僕は常人だぞ。
君も剣使えよ、ギルレウス――だったか。

【そういいながら、魔人がホルスターへ銃を納めるのとほぼ同時に納刀】
【彼のしかめっ面を受け止める。「そもそもお前、何死んでんだよ」というような】
【肩をすくめて――ま、すまない。なんてもう一度口にした】

……久しぶりだね、キング。腕は鈍ってないようだ。
それから――また会えて、よかった。

【そう言って、いつかの様に手を差し出した】


/大変お待たせを
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/14(土) 22:14:20.59 ID:iVpEBYmu0
>>51
【聞いたことはある。との返答。やはり、ブラスフェミアが円卓に関係する者であることは間違いないようだ】
【と言うのも、まるで一から十までを見知ったかのような素振りで声を掛けたものの、実の所何一つ知らないのだ】
【ただ、ブラスフェミアと言う協力者がいる。その程度の認識で探し、出会った。謂わば賭け】

天才は年齢に縛られないのよ。老いて才を発揮する者もいれば、若くして登り詰める者もいる
私は後者だった。それだけの話

そうでしょう? 何もかも他人に支配されて、自分なんて何処にもいなくて、頭も体も誰かのもので
そんな不自由、嫌でしょう?

【まるで、相手の感情を増幅させるような口振り。そして、自分がそうだったかのような口振り】
【ブラスフェミアが協力≠フ言葉を反芻するように口に出し、それをにこりと見つめる】

やりたいこと……そうねぇ沢山あるわ
けど、一番、この世の何よりも熱望していることは……私が私であることよ
私を認めさせる為ならば、私が世界を見下ろす者になる為ならば私、何だって出来ちゃうわ
だから、ね? 円卓よりもずっと価値のある舞台に登る為に……

【協力していこう。と、彼女の瞳が告げていた】
【しかし、その望みは些か歪なもの。理知的な者ならば、危険を孕んだものだと感じることもあるだろう】
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/14(土) 22:22:36.17 ID:gJuTlL8sO
【路地裏】

(それにしても、櫻の軍人どもと共闘────か)
(は。まさかここまで大事になってくるとは思わなかったぜ)
(厳島と那須、だったか。いずれ会うことにはなるだろうが…………)

まずはカニバディールと邪禍を探さねぇとな
あいつらマジ、どこいやがる。呼んでドロンと出てくるもんなのか?クソが


【ぶつくさと文句を言いながら、路地裏を歩く女がいた】
【赤い女。髪から服まで、何もかもが赤い女だった。唯一、金色の目を除いては】
【女は誰かを探している様子だった。カニバディールに、邪禍】
【一人は先日、水の国で大暴れをした機関員。もう一人は指名手配のかけられた大悪魔】
【そんな2人を探しているのだ。どうせ、この女もろくでなしなのだろう】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/14(土) 22:28:09.16 ID:6Gt2nIb8o
>>50


ぐっ、ぁあああっ!! 嘲笑ってんじゃねえよ!!
くそが、憎いかだと!? 憎いに決まってんだろぉが!!
てめえらくそどものせいで俺がどんな目に遭ったか!!

女は取られるわ役職は追われるわで散々だったぜ、てめえら全員ぶち殺さねえと気が済まねえんだよ!!
絶対に殺してやる…………殺してやるからなっ!!


【殺意、憤怒、憎悪。強烈な負の感情が沸き起こり、言葉として口から噴き出していた】
【球体はレーザーによる攻撃をひたすらに続ける。またいくつもの光線が敵へと向かう】
【防御など完全に無視していた。激情がそれを許さなかった。ただひたすらに敵を屠ることしか考えられない】

【故に、黒色の水球への対策はなし。まともにそれを浴びて、男が項垂れる】
【精神的な消耗、抑制。それが戦意や殺意、感情の悉くを抑えにかかる】
【思考が消える。感情という発生源がなければ思考など生じない。生存本能がなければ戦う必要さえない】

【しかし、亀裂が入る。抑え込もうとした何かが感情の濁流に飲まれていく】


────がぁあああああああっ!!
”この程度”で、俺が抑えられると思うんじゃねえぞっ!!


【男が吠える。激情の赴くままに】
【ついていた膝が上がる。立ち上がる。抑制してくる力に抗って】
【足が真下の球体を踏みつける。何かの合図のように】

【それに応じて球体に異変。球体の表面に縦横に線が入り、分割。四分割された球体が回転しながら中心に飲み込まれていく】
【姿が完全に消失。次の瞬間、金属のような表面を持つ三角形が複数出現。組み合わさっていき、巨大な三角錐に変貌】
【続けて三角錐の表面が複数の三角形に分割、表面の中心に穴が出現。穴の中心には巨大な光点】

【黒色に輝く光点から光線が放たれる。黒い光線は路地を高速で直進】
【光点の巨大さに比例して光線そのものもかなりの直径を持っている。大技、といったところだ】
【その間も男が無防備であることに変わりはない】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/14(土) 22:28:14.57 ID:FerMN9GG0
>>53

あら――、では獣には数少ない名前なのでしょう、名づけランキングの一位は……タマでしたかしら、ポチでしたかしら?
ですけれど。尻尾が三つもある獣はどちら様でしょうか、櫻ではありふれた動物かしら。わたくしは、行ったことがありませんので。
知りませんの、ごめんなさいね――、勉学というのは得意ではなくて。次までに調べておきましょう。

【わずかに目を細める。笑みは変わらないけれど――それでも、まだ、認めない。よほど変わった名前ならともかく、あれは、そう珍しくはないはずだ】
【ころりと喉の奥で笑うようにして小さく首を傾げる、明らかに煽るようなものの言い方をしても、声も表情も変わらない、そもそもそのどちらもが被り物なら】
【その内側でどんな顔をしているのかなんて分からないけれど――それはきっと相手も同じだろう。だけれどたいがい化けるのが上手なのは狐と相場が決まっている】

職場が違っていたって、仕事仲間でしたら連絡する手段くらいお持ちではなくって?
あら……、見知らぬ獣に知り合いについて突然尋ねられたら、だいたいの人間は警戒しますわ。悪いものがついているかもしれませんから。
ダニやノミならともかく――、

……いいえ、知りません。何のことでしょう、やはり人違いではなくて、心当たりがありませんから――――退いてくださる?

【目を細めて笑う。やはり相手のことを信用だなんてしていないと見て分かる。一瞬話を聞いてしまったのさえ間違いだったと思ってしまいそうなくらいに、その気がない】
【そのくせ珍しく真正面から煽っているような言葉を繰り返すのは――彼女の側にも"鈴音"相手に何か思うところがあるから、なのだろう。変に執着している、過保護にも似て】
【まず――真っ先に知らないと言って庇おうとするくらいには、"何か"あるのだ。ただ――彼女が人間かどうかで言えば、きっと、少し、違う。だって、違う気配がしたから】
【かといって――そっくりきれいな化け物、ではないらしかった。ヒトでありながら別のモノに変貌してしまっている、そういう、醜い気配が――】

【――だけど。円卓、だの、黒幕、だの。そういう話になれば、女は、本当に――こればっかりは本当に、知らないという反応を返すのだ】
【聞いた瞬間にわずかに眉を顰めるような仕草をした。こいつは何を言っているのかというような目だ、――隠し事の瞬間に出て来る表情では、ない】
【けれどそれをきっかけにして離脱しようとするのはこんなやり取りに慣れているのかもしれなかった。物理的にふさがれてなお、当たり前に退いてくれ、と声に出せる、程度には】

【信用するための材料。彼女は要求しなかった、ならば、はなから信用しないと言い切るみたいに。そんなつもりは、毛ほどもないと、表明するように】
【それでもまだそこに居る。ならば――相手の言葉は嫌でも聞こえてしまう。それがまだ足りないところだった――そこまでの警戒は、まだ、していなかった】
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/14(土) 22:31:17.97 ID:Kx0vEyjc0
>>55

【壇上の役者が整えられた台詞を語るように。喋る少女をじいっと見つめていた】
【前半、聞いていてやけに自分に自信があるのだと思っていたけど】
【……後半でそうでもないのかな、と、少しだけ思う】

【世界に自身の才能を認めさせたい。そう考えているのなら】
【今の自分に満足がいっていないのか、と。そう考えたのだ】

【――ふうん、と声を零す。それから反対側に首を傾けて】

……ふんふん、あなたのやりたいことはようく……わかった。
そのために僕の力が要りそうになるなら、貸してもいい、けど――

――――僕が求めるのはいつだって、対価だけだよ。
あなたに手を貸したら、僕は何が貰えるのかな?
それ次第かな。シンプルで、わかりやすくていいでしょう?

【口の端を吊り上げる。――この女の評判を、聞いたことがあるだろうか】
【報酬さえ渡せばおおよそ何でもする女。そういった、意地汚いものだが】
【ここに於いてもそれは通用されるらしい。少女が世界を見下ろす位置に立てたとして】
【その時に、褒美に何をくれるのかと。そんな俗っぽいことを、訊くのだった】
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 22:33:17.64 ID:7O3igN+8O
>>52

「そんな……そんな事ない! ぼくも貧乏で、親がいなくて、学校に行けなくて馬鹿にされてきたけど
それは他の人のせいじゃないでしょ。能力(これ)も――――」

【同じだが、同じようで違う。折れても迫害されてもなお国のために歩こうとした者と、自らを守ろうとした者】
【境遇が同じなら、互いに歩み寄れる筈だと。互いに舌を尽くすほどにすれ違い】
【雑居説得にならない説得――それも虚しく、向こう側へ新たな火が点る。逃れる術はない。熱と眩さから顔の前で手をかざし――――】

【無機質な破裂音。炎が届くことはなかった】
【恐る恐る目を開けて。理解した途端、すとんと腰から崩れ落ちる】

「っ……、うっ」

【コインが手から零れる。物言わぬ死体となった彼を見、口を押さえて】
【そこに安堵はなく、恐れの涙のみ】
【誰かを救った、助かったという考えは微塵も浮かばなかった】
【罪悪感からくる、胃から込み上げる酸っぱいものを堪えるしかできなかった】
【脱力した身体に降りかかる厳格な声】

「はい、従います……」

【協力、という言葉に僅かに首を振って】
【しかし指揮官らしき軍人の要請には力無く頷いた】
【立てるようになるまで時間が掛かるだろう。もし急かされるなら手を借りながら立ち上がり、指示に従う】
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/14(土) 22:35:10.91 ID:QlUw4fkU0
>>56

【路地裏の一角、何か……向こう側が透けて見える人間の一部を座りながらボリボリと喰らう者がいた】
【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「……レオーテヴュートをUTに向ゥかわせておォけば、――まァ勝手に行ィッてるが」
「そォーしていィりゃア、そォのうち2人とは接触でェきそォーだな。返信はそォの後だ」
「しィかし、見ィられていたとはな。ヒャハハ、せェッかくだしもォォオオーーッと見せつけてやァろうか!」

【さて、自分は別の何かでもするか――そう思っていると、近くを通ろうとする何者かの気配】
【そういえば、既にこのチームは狙われていたか。念の為警戒しておくか――そう、顔を気配の方に向ければ】
【――そこには、見たことのある存在の姿。】

「――レオーテヴュート、俺様が先のよォーだぜ。残念だァッたな!」

「よォう、丁度良ォいとォころに来ィたな……ミラ・クラァケ。お前には色々と用事があァッたとォころだ」

【その者は立ち上がり、彼女にへと接近してくるだろう】
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/14(土) 22:49:43.55 ID:gJuTlL8sO
>>61
【何者かの気配を感じて身構えたのは、こちらも同じだった】
【粗悪な銃を取り出し、戦闘に備える。けれどそれが】
【不必要な心配だったと分かるのは、相手がもう少し近寄ってからだった】


…………ぎゃは、邪禍じゃねぇか!
ちょうどよかったっつうのはこっちのセリフだ
あたしもあんたに色々と用事があったところだからな!


【──少し、ほっとした表情だった。最近、イラつく事情が増えすぎて】
【気楽に話せる相手がいるということに、心が救われる。銃をしまい込み】
【代わりに取り出したのは、魔石で出来た指輪だった。僅かな魔力を放つそれは】
【明らかに何らかの術式が組み込まれている。通信を暗号化する術式──】
【高度な技術だ。少なくとも、ルーキーが真似できないくらいには】

【ミラはその指輪を、邪禍に投げ渡す。色は何色だろうか。何だっていい】
【何せ、ポケットには似たような指輪がもういくつもある。色占いみたいなものだ】
【今日のラッキーカラーは、なんて。ミラの左手──その薬指にも、同じような指輪があった】
【色は赤。いやにぴたりとはまっているリングだ。それと、耳元にはまた別種の魔力】
【こちらは金属のイヤリングだ。あまり洒落っ気のある女ではない。魔道具の類だろうか】
【指輪もイヤリングも、前回会った時は身につけていなかったが──だが、所詮は装飾品。気付かないやつは、徹底して気付かない。そんなものだ】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/14(土) 22:50:50.59 ID:iVpEBYmu0
>>59
【対価。それは言い換えれば代償≠ニも言える】
【物事には代償が伴う。勝者には勝ったことに対する代償が。敗者には負けたことに対する代償が】
【あらゆることにつき纏い、押し潰されれば瞬く間に喰い尽される。それが摂理】

勿論、貴女にもそれ相応の物を支払わなければいけないわね
そうねぇ……貴女、何か欲しい物はあるかしら?
例えば……目的を達成する為の道具。例えば、自由に扱える兵隊。例えば、城

【欲しい物は無いか、と問い、奇妙な例えを挙げていく。それらを与えることが出来ると言うのだろうか】
【すると、彼女は徐に足元の石ころを拾い上げる。何の変哲も無い、ただの石ころ】

これ、動く筈が無いわよね。石だもの
けれど……「―――――」

【魔術のような言葉を呟く。すると、石ころはみるみる内にその形を変え、掌大の人形<ゴーレム>に姿を変えた】
【手を振り上げ、膝を折って座り込み、じっとブラスフェミアを見つめている。貌の無い顔で】

材料<おや>から完成品<こ>を作り出す。それが私には出来る
もし、貴女が私に協力してくれたのなら、貴女の欲しい物を作ってあげましょう。勿論、現実的な範囲でね?
その為には……貴女に材料集めを協力してもらう必要があるけれど……
さぁ、貴女は何が欲しいのかしら?

【ぐしゃり、と掌のゴーレムを握り潰し、彼女は蠱惑的な表情で問いかけた】
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [sage saga]:2018/04/14(土) 22:54:53.63 ID:GCJN6sLyo
>>60

【彼が同行に了承すれば、ロロケルムは少し待つように、と言って部下らしき軍人と話しに行った】
【──その間、彼と同じ年頃か、少し下、といった風の、猫っ毛の少女が彼の傍に待機している】
【涙を見咎めれば、ハンカチを差し出したり、慰めの言葉を掛けたりするだろう】

【遠くの方の会話から 「国会内」 「襲撃」 「負傷」──、そんな、物騒な言葉が漏れ聞こえてきて】
【彼が立ち上がれるようになる頃には、既に周囲は救急車と警察・軍の車両でごった返していた】
【そして、漸く戻ってきたロロケルムと、少女の軍人に誘われ、彼は車両の一つに乗り込み──】


 【数十分後】


【水国首都・フルーソの軍施設内の執務室に、彼は通される】
【どうやら、ロロケルムの部屋のようだ。 無骨な執務机に、応接用のソファとテーブル】
【彼はソファに座るよう薦められ、その向かいに、ロロケルムが座り込む】


…… 蓮華、珈琲を淹れて来い。 砂糖とミルクもだ。

「了解であります。」


【蓮華、と呼ばれた少女の軍人──この娘は、そういう変わった口調だ──が部屋を出て行く】
【執務室に残るのは、ロロケルムと若者の二人だけ。 軍人は、軍帽のずれを直し、じっと彼を見る】


災難だったな。忘れろ、というのも無責任だが、気に病むな。
君の行動で十人以上が助かった。 この国の軍人として、改めて、感謝する。


【すると、彼は軍帽を取り、深々と頭を下げた】
【──、襟元の“金狼”の隊章が、照明に反射してきらり、と光る】
【軍に興味があるのなら、彼も知っているのかも知れない。 “雷狼部隊(ブリッツヴォルフ)”。】
【フルーソの治安維持任務に従事する、幾つかの部隊のうちの一つだ】


── さて、いきなりだが。
まずは、君の名を問いたい。それと、あの男と何を話したか。
要点を絞るのが難しければ、最初から全て話してくれればいい。


【ロロケルムはソファに深く座り直すと、再び、その碧の眼で彼の姿を捉える】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/04/14(土) 22:59:01.52 ID:WAaDbTBq0
>>57

それは私の知った事ではない。単なる逆恨みでしかない。
呪うのならば己を呪えばよかろうに。この世の不利益は全て当人の能力不足に起因するのだから。

【痛みに拠る感情の昂りと身体のダメージを、自身の能力で無理矢理鎮める】
【黒い水球の直撃を受けたにも関わらず、激昂して立ち上がる男を前に】
【何時までも座り込んで、傷が癒えるのを座して待つ程悠長にはしていられなかったから】


ほう。あれで、不足か。ならば――過剰摂取/オーバードーズしてもらう他無い。
虚無で居られる事ほど幸せな事はない。何せ、歓喜も痛苦も無い故に。

【傷ついた身体を無理に動かす事は難しい。だが、無理に動かさねば眼前に迫る最大の攻撃を】
【己が死を座して待つ羽目になってしまうからだ。故に、自身の痛覚に強い抑圧を行い無理に身体を動かした】
【そうする事により、無差別乱射される光線を回避しつつ、避けきれない分は致命傷を避けるに留めていた】

【そうこうしている内に眼前の脅威は産声を上げ始めていた。黒く巨大な光点を前に――】

…"剣"が無い。実に悔やまれる。だが、仕方ない。威力は数段劣るが"紛い物"で凌ぐ。


           laevatein    imitation
       ―――レーヴァテイン・イミテーション―――


【二度、男に向けて手を翳す。その手に水が渦巻き始める】
【白色と黒色の水は勢い良く攪拌されていき、次第に不気味な音を立てて高速で唸りを上げる】
【自身の持てる力を総動員して成されるそれは、魔剣の名を冠した模倣品だが、現状ではこれが自身の放てる最大である】

【斜め後方へと飛び退き、迫る光線の直撃を防ごうとしながら放たれた一撃】
【それは射撃の精度を落とす行為であったが、自身の持てる最大を放ったのだ。直撃と行かずとも威力は先程の比ではない】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:01:27.69 ID:Kx0vEyjc0
>>63

欲しいもの、ったら――……

【握り潰された石人形の残骸を、じっと見つめながら】
【問い返されたそれに思いを馳せて、笑みが鳴りを潜める】

【何かを憂いているような顔だった。それと同時に、何か愛おしいものを思い出しているような】
【複雑な表情。数瞬考え込むような仕草を見せて――小さく首を振った】

……本当に欲しいものはね、僕自身の――この手で創り出したい派なの。
だから、あなたに創ってほしいものは――あんまりないかな、
でも何にも要らないって言われたらウソになる。うん、そればっかりは……

――――ねえ、ミズ・ミゼラブル。
あなたの素晴らしい「技術」を伝えてほしいって言ったら、……ダメかな。
もちろん全部じゃなくていいよ、一部だけでもいい――今のところ僕が欲しいのはそれくらい。

【導き出した答えは、こんなものだった。少女が才能ある「魔術師」であると知って】
【その「技術」を、伝えてほしいというのだ。まるで魔女に弟子入りしたがるヒトみたいに】
【――あるいは、悪魔と契約して魔の力を欲しがっている、陳腐なヒト。どちらでもあんまり変わらないけど】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/14(土) 23:01:30.76 ID:8w4g4x8c0
>>58

いえいえ、気にしないでくださいな。無知というのは仕方のないことですし。
おっしゃる通り、是非次にお会いするまでに調べておいてくださいな?
知見が狭いと何かと苦労しますしねえ……ふぅむ、それにしても…――。

【和装の袖を口元に当ててくすりと笑う仕草は、まるで御伽草子の一幕】
【しかしながら言葉は丁寧でありながら辛辣で】
【言うなれば水と油のような、そんな関係。といっても、本題はそこではない】

【ぱちり。まばたきする一瞬で、相手を見る瞳の冷たさが変わる】
【それは馬鹿にすると言うよりも"本当に哀れなもの"を見るような視線】
【感じる者によっては相当に侮辱的な意味合いを含んだそれであった】

【その上、つい先程までのやり取りなど存在しなかったかのように】
【ひらりと身を退けて、目の前の彼女が通れるだけの空間を作り】


……ほーんと、知らないというのは罪ですねえ。
何度もお電話するような相手なのに、その相手が抱えている物も知らない、と。

どうせお仕事先がUTというのは知っていますし、良いんですけど。
貴女のお友達……かどうかは知りませんが、私の探している人と一緒なら
多分ですけれど、なにか酷いことされちゃってますよ?

拷問か脅しか知りませんけど、電話に出れない理由なんて2つくらいですし。
物理的に出られないのか、精神的に出られる状態ではないのか。
……で、そんなことされちゃうようなコトに両足突っ込んじゃってるワケで。

……あぁ、独り言ですのでどうぞお気になさらず。
狐の名付けランキングでもなんでも、呑気にお探しくださいな♪


【からん、と妖狐の履いた高下駄が鳴る。人混みも気にせず、立ち去ろうとすらする】
【そういう思い切りの良さが狐の特徴でもある。面倒な獲物に拘泥することがない】
【ただし、餌を付けた針を投げることはする――食い付かなければ、それまでだったが】
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/04/14(土) 23:02:40.34 ID:WAaDbTBq0
>>65
//すいません。一文追加します。
//【最大の攻撃同士のぶつかり合い。果たして結末は如何に――】


69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/14(土) 23:03:13.37 ID:QlUw4fkU0
>>62

「ククク、本当丁度良ォい。あァ、多分必要だァからレオーテヴュートを呼ォぼう――来ォい!」

【その者の足元に現れる魔法陣、そこからいづる闇は邪禍の隣で形を成してゆき――】
【そして立っていたのは、金色の眼とマスクの様なものを装備した身長170cm程度の男】
【白い身体に金色の模様、頭部には橙色をしたサメのヒレのような角、後頭部には同色で恐竜の背のようなギザギザ】
【手足には甲側が橙色で平側が金色の指空きグローブを身に着けており、指先は金色】
【そして、頭部と両上腕には赤色の鉢巻のようなものが巻かれていた】

『ちょっと、急に呼ばないでよ』 「制御かァけてねェから良ォいだァろう」

【――非常に不機嫌そうな顔を邪禍に向けていたユウトだが、ミラの姿を確認すれば表情を戻して】

【投げ渡された指輪、それを邪禍は難なくキャッチ。――さて、色は……】
【――いや、その前に。これは非常に嫌な予感がする顔だ、この様な物を見るとやはり考えてしまう】
【彼女の薬指に同じ様な指輪があるのを認識すれば、それが何であるかは何となく察したようで】

「なァかなか良ォい素材だ……おォッと」
「――こォの指輪が、例の話の……そォう、対通信傍受のあァれか?」
「俺様の魔翌力に耐ァえられるかな。ククク」

【無意識的か否か。指輪に悪影響がありそうな魔翌力が流れ込もうとしていて】
【一応抑えてはいる様子だ。――そしてそのうち、抑えるのが面倒になったのかユウトにそれを渡すだろう】
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 23:11:35.18 ID:epApdhad0

【路地裏】

【不意に上がったのは男の短い悲鳴。それからドサリと倒れる音で】

……ハッ、相手が悪かったな!出直して来いこの破落戸が!
【地面に倒れ臥す男を踏みつけ、ゆらりと立つのは】

【少し長めの黒髪に紅色のメッシュを入れ、黒いレザージャケットとレザーパンツ、黒いチョーカーと全身黒ずくめの青年】

……ったく、人が端末で話してる時に襲い掛かるなってママに教わらなかったのかよ!?
【苛立たしげに、倒れ臥す男に一蹴り】

【まあ粗方話し終わってたから良かったけど?と男の体に足を乗せたままため息を吐く青年】

【偶然か必然かはともかく、誰かがこの状況を見れば大変な事には間違いないが……】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/14(土) 23:17:07.62 ID:iVpEBYmu0
>>66
【何かを思い出すような、大切な物に思いを馳せるような、そんな表情】
【残骸に思い入れでもあるのだろうか。否、重要なのは残骸でなく、きっともっと奥底の、本質的な物なのだろう】

あら、貴女も私と似た性格なのね
ならどうしましょう……

【瞬間、彼女の眉がピクリと動く。自身の技術、それ即ち、禁忌とも言える方法で手にした力】
【本来、それは弛まぬ努力と、気の遠くなるような時間の果てにあるものだ。それを彼女は、己が身を魔に窶すことで自らの物とした】
【その魔術を欲すると言うことは――――――】

良いでしょう。けれど、一つだけ約束して頂戴
振り返らない覚悟≠持つこと。私の魔術、私の真髄を知ると言うことは、最早貴女はただの人間には戻れないわ
それでも……貴女が力を望むと言うのなら

【ドレスの裾を払い、口元に手を添える。くすり、と蠱惑的な笑みを漏らすと、何処か楽し気にこう言った】

私の元を尋ねなさい。いつでも私の工房は、愛しき来客を歓迎するわ

【全てを伝えきるのは恐らく彼女にも不可能だろう。しかし、対価として教えを請われたのならば、それを与えるのが魔術師の役目】
【仮にも師と付くのだ。人に授け、導くのが本業】
【例えそれが、魑魅魍魎の跋扈する夜色の道であったとしても】
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/14(土) 23:18:05.12 ID:gJuTlL8sO
>>69
【実は、人が召喚されるというシーンを見るのはこれが初めてだ】
【闇が形をなしていく。不定形な闇が名を与えられ、形を縛られていく】
【彼女にとっては、ショーのようなものだった。ユウトがその場に姿を見せれば】
【思わずパンパンと軽く拍手を送る。「すげぇな、それ」と楽しそうに言いながら】


よぉ────えぇと、ユウト、だったか
直接会うのは初めてだったな。こないだは画面越しだったからよぉ

んで…………流石に察しはいいな。その通りだぜ邪禍
詳しいことは分からねぇが、そいつをつけてるだけで通信が暗号化されちまうんだと
だから、あたしらのひそひそ話は覗き見されねぇってことらしい
にしても……なんだ?あんたの魔力だかとそいつは反発しちまうのか?
ま、ユウトが持ってるんなら最低限の連絡は取れる、か


【ユウトに指輪を渡すのを見て、もういくつかポケットから色違いのものを取り出す】
【どうにも複数持っているらしい。そしてそれらの指輪を、ユウトに手渡そうと近付くのだ】
【流石に全部彼に投げつける意地の悪いことはしない。万が一マンホールに転がり落ちて】
【なくなった、なんてことになれば流石にいい気はしないのだ】


ほらよ、スカウト用だ。誰か協力者がいりゃ、同じように説明して渡せばいい
いちいちあたしや鈴音が指輪を配り歩いてるんじゃ、効率が悪いにも程があるからな
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/14(土) 23:19:00.55 ID:FerMN9GG0
>>67

ええ、そうします。尻尾が三つもある獣だなんてあまり居ないでしょうから、すぐに見つかると思いますけれど――。

【くすくすと笑う声はひどく穏やかだった。表情も――たとえばこれらの会話が聞こえない場所から誰かが見ていたなら】
【きっと二人は穏やかに会話していると思うのではなかろうか。――けれど相手の目つきが変わる、それを認識した女の表情も、また変わるのだ】
【ずっと笑っていた口角が下がる――、"それ"は女にとって、確かに侮辱に近しいものであった、仮面が溶けて消えたかのような表情の変化、甘い匂いだけが変わらないから】
【そこに居るのは全く同じ人物であることに違いがないのに、まるで全く別の人物に、その瞬間すり替えられてしまったような――それこそ"化かされる"みたいに】

……――、は。

【――隙間を相手が作ったなら、当たり前に立ち去ろうとする。よく分からない獣に会ったというのは誰にも話されることなく、女の脳の中でいつか消えるはずだった】
【だけど――立ち止まったのはなぜだったのか。猫撫で声が霧散する、一時漏れるその声は確かに女の地声だったのだろう。低くはない――ありふれた、声】
【刹那に信じられないものを聞いたみたいに丸くなった瞳が振り返る――しかしその時にはきっと相手も歩き出しているだろう。からん、ころん、特徴的な足音】
【それがかえってカウントダウンのように判断を急かした、喉の粘膜同士がへばりついてしまったような気持ちがする、急性のストレス、腹の中が気持ち悪くなるような】

【――――仕事先がUTだと言うのなら、間違いがない。ないのだ、さすがに同じ場所に同じ人間がそろって……その話を聞いたことがない、というのは、ないだろう】
【それくらいにはよく話していた。くだらないこと、酔っ払った客が灰皿を取り皿と間違えて吸殻を食べそうになって焦った話とか、そんなの、たくさんしてきたのに】
【"拷問"に"脅し"、どちらもいい意味では使われない言葉。電話に出ない――出られない。けれどそれについては、長いことこの女は距離を置かれ続けていた】
【メッセージを送っても既読は付く。何か用事についてなら返事が返ってくることもある。電話をしたら出るが、今忙しいから、と切られることが、しばらく続いて、いて――】
【物理的に出られない。出られるような精神状態ではない。「なにか酷いことされちゃってますよ」――相手の言葉が渦巻く、なら、人質を取られたのと、全く一緒だった】

――、待ちなさい。何を知っているんですか、……あなた、

【――きんと魔力が相手の眼前に湧き上がって、渦巻く。宝石のように鮮やかな青りんごの色合い、ぐるりぐるりと渦巻いて、やがて、一匹の"猫"が現れる】
【けれどまっとうなものでないのは見てすぐにわかる。ライオンやトラのように大きいのだ。そのくせ骨格や様子はありふれたイエネコに似通って――ならば能力製に違いない】
【毛色も瞳の色も、女と全く同じ――"黒猫"。その猫をみとめて振り向いたなら、全く同じ色の瞳が相手を睨むように見ている――釣れた。あるいは、猫相手ならば】
【ふりふり揺れる猫じゃらしに我慢ならないみたいに――まあ、それも、釣れたって言ってしまって、いいのかもしれないけど。とかく――これで、相手の方が立場が上になった】
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:27:33.74 ID:Kx0vEyjc0
>>71

振り返らない、ね――――

【魔術師は、本当に気の遠くなるほどの時間をかけてその力を磨くと聞く】
【けれど目の前にいるのは、まだ年若い少女だ。その「時間」を短縮するために】
【何かしら――禁忌に触れているのだと、なんとなくには理解していた】

【――――だからこそ、だ。冒涜者と呼ばれる身分、今更禁忌のひとつやふたつ】
【触れて侵すことになんの感慨も抱かない。倫理など崩壊しきって久しいのだ】

上等だよ、ミズ・ミゼラブル……
……ああ、こういうときは何と呼ぶのが正しいのかな?
恥ずかしながら僕、魔術にはあんまり明るくなくて――

――――マイ・ロードとでも、お呼びすれば?

【口の端を吊り上げる。血色の悪い唇が、下弦を描いて】
【椅子にしていた空き箱から立ち上がり、数歩其方に近付いて】
【――跪いた。少女の足元へ。玉座に佇む女王に、そうするように】
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/14(土) 23:31:29.26 ID:6Gt2nIb8o
>>65

【防御を捨てた状態では敵の攻撃への応対など不可能。そもそも、その気がなかった】
【水球をその身体に浴びた男は再び膝をつく。うめき声のようなものが口から漏れ出す】
【身体の重さが違うようにさえ感じた。身体の鈍化、精神の鈍化。筋肉が動かず、それを支える精神も鈍る】


(ぐっ、くそ……流石にこれ以上は持たねえか…………!)
(それに魔力を使いすぎてる……ガス欠になったら死ぬのはこっちだ)
(ここは退くしか…………むかつくぜ、くそったれめ!)


【戦闘手段が召喚物だというのは幸運に働いていた。術者本体が疲弊していてもある程度は戦える】
【だがそれでも、手綱を手放すのだけは”してはならない”ことだった】
【続行か撤退か。決める必要があった────いや、正確には続行など不可能だ。それでも未だに燻る感情が足止めをかけていた】

【能力者を前にして退く。そんなことは考えるだけでも腸が煮えくり返った】
【まだ怒れる。まだ怒りは消えていない。なら、戦える。そう思っても脚は動かない】
【抑制の能力をかけられ過ぎた。精神が打ち勝てたのだとしても、肉体がついてこない】

【ギリ、と歯噛みをする。震える手を持ち上げて、魔法陣を敵へと向ける】
【うざったいほどに緩慢な動作で口を開く。痺れる舌を強引に動かす。”それ”を呼びさえすれば全てが終わる】


──────<アペル>────っ!


【男が何かを呼び出そうとした瞬間、影が舞い降りた】
【路地に広がるのは竜の両翼。黒色混じりの金髪に碧玉の瞳。右目には眼帯、その周囲には爬虫類の鱗】
【背に巨大な棺桶を抱えた若い男だった】

【男は召喚師の後頭部を打撃。その一撃で気絶させてから腕で抱え、翼を羽ばたかせて上昇】
【そのまま隣接する建造物の屋上の縁に着地。両翼が一度大きく広がり、消失】

【本からは鎖が現れ、<混沌の三十四番ダウ・ア・シャムス>の三角錐の全身に巻きついて牽引。魔法陣の中へと引き戻す】
【全ての召喚物が戻った本は独りでに閉じる。鎖が巻きつき、錠前がかけられる。そして召喚師の腰元にあるホルスターに収まった】


「申し訳ありませんが、この人は持っていきますよ
 こんななりでこんな性格ですが、まだ死んでもらっては困るので

 無礼などがあったのでしたら、代わりに謝罪いたします
 といっても、常に無礼な人ですから、この人から喧嘩を売ったのだと思いますが」


【丁寧な動作で男は眼下の白い人物に向けて頭を下げる。どうやらこちらに戦う意思はないようだ】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/14(土) 23:37:16.19 ID:QlUw4fkU0
>>72

『そういえば、はじめまして、だね。よろしくね』
『まったく……せめて人間形態になる時間くらい欲しかったよ』

【――悪魔の部下として動いていそうには到底思えない、優しげな表情と雰囲気だ】
【渡された指輪の全体を確認し、そして左の人差し指に装着する】
【特に付けたことで何か変化があったとは感じていない様子だが――山吹色の魔石は、彼の今の色によく合っていた】

「いィや、俺様は"素材"を見ィると回収しィたくなァるタイプでな、つゥいつい回収しィそうになァるぜ」
「特に、こォーいう魔翌力をもォッていて術式もかァけられているソレは……ククク」

「そォれに、俺様の世界は自由な輩が多い。倉庫かァら勝手にモノが移動する・消ィえるなァんて日常茶飯事!」
「まァ、保管役はレオーテヴュートの方が適任だァろう。研究所ももォッてるしな」

『――ありがとう、そういうことみたいだから僕がしっかり持っておくね』
『もし邪禍の方が誰か協力者を捕まえた時も、僕ならすぐに駆けつけられるし』

【半分は自分のせい、半分は部下のせい。――ユウトは彼女から複数の指輪を受け取れば】
【それをしっかりと、しかし優しく手の中に収めた。】

「……で、次はなァんだったか。軍人共の連絡先だァッたか?」
「ほォれ。俺様の部下に丁寧に書ァかせた奴だ。料金は後払いにしィてやる」

【邪禍の懐から取り出される1枚の名刺的紙。そこには、那須翔子・厳島命の2名の肩書と連絡先が綺麗な字で書かれていて】
【――いや、印刷のようにも見える。どちらにせよ、読み取ることには何ら問題はないだろう】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/14(土) 23:39:29.27 ID:8w4g4x8c0
>>73


――――――…、……物騒ですねえ。


【深い色合いの瞳で眼前の魔力の渦――異能の猫を、見下して】
【その大きさや鮮やかな黒の毛並み、そして瞳。漆黒のケモノを前にしても】
【明らかに武闘派とは言えないこの妖狐は引くどころか】
【むしろ相手にする気もないというように、ただ見下げ果てた視線だけを送り】
【あまつさえ、ため息すらついて。やがては瞼をパチリと閉じると、薄く開き】


嫌ですけど?退けって言ったり待てって言ったり、我儘な方ですねえ
私は"私の知り合いの鈴音さん"を探すのに忙しいので、邪魔しないでもらえます?

……まっ、敢えて言うなら?なーんにも知らないからこそ想像がつくと言いますか。
客観的な第三者として状況を見れば、容易に判別できると言いますか。
要は貴女が無知なだけで、返事も無い連絡をしただけで相手を知った気になっていただけの話では?

――――ではでは、私帰りますね?獣呼ばわりされて、結構気分悪いのでっ♪


【力づくで止めて聞き出すか、或いは――この狐は言外に、別なものを要求していた】
【それが何であるかは推して測るべしというところ、ではあったが】

【相手の優位を悟る事が出来るなら。黒猫の如き彼女には、その求める所が理解できるはずだ】
【それは絶対性。確実たる優位、そして敢えて口にする「獣呼ばわり」「気分が悪い」という言葉】
【頭を下げろ≠ニ言っているかのようだった。――人の意識から隔絶されたとはいえ、往来の中で、だ】


/すみません、ちょっと眠気が出てきちゃったので持ち越しお願いできますかっ!
/私明日でしたら21時頃からこれるので、其処らへんから続きか……
/でなければ置きレスでお願いできないかなーと!
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/14(土) 23:42:52.05 ID:FerMN9GG0
>>77
/了解しましたっ、21時ごろでしたらこちらも居られるはずですし、可能でしたらリアタイでお願いしたく思いますー
/そのうえでやっぱり置きで、ということでしたら、改めて移動する形でどうでしょうかっ
/どちらにせよ今夜中にお返ししておきます、ひとまずおつかれさまでしたー
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/14(土) 23:43:05.38 ID:iVpEBYmu0
>>74
【どうやら、ブラスフェミアと言う女性は相当に肝が据わっているようで、例え泥濘であろうと進むようだ】
【ならば、これ以上の問いは愚問だろう】

そうね……では、私のことは……

―――――クイーンと、そうお呼びなさい

【余りにも自信過剰な声音。跪いたこと、我が主人と呼んだこと、どちらも彼女の気分を高揚させた】
【そして、同時に彼女を奮わせた。これから、自らの編んだ術を広め教えるのだと】
【それは魔術師として、貴族としての責務であり、自身が認めらているのだと思わせたのだ】

さて……では、そろそろお暇しましょうかしら
あぁそうだったわ……はいこれ、鍵よ。これを使って、どこでも好きな扉を開きなさい
鍵穴のある扉じゃなきゃダメよ? そうすれば……私の所へ来れるから……ね

【そして彼女は去っていくだろう。呼び止められる事が無ければ、ここで】
【鍵の名は門なりし者≠らゆる場所、あらゆる扉から彼女の工房に繋がる門にして鍵】
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 23:48:43.03 ID:7O3igN+8O
>>64

【サ差し出された清潔なハンカチを受け取る。普段なら萎縮して受け取れないのだが、その気遣いが今はありがたい】
【居たたまれなさを紛らわそうとする彼女に無言でしか返せないのが申し訳ないと思いながら、車に乗せられて】

【暫く後、通された執務室はおよそ入ったことのない世界。此処に於いて唯一の異物である人物はカチカチの置物となっていた】
【柔らかいソファに何処までも沈みそうな錯覚を受けながら、背筋をのばして】
【雷狼部隊。叩き上げ腕っこきの集まりという称賛と嫉妬混じりの評判は好評悪評問わず様々に耳にするところだ】

「いえ、僕はその、なにも」

【そのトップが頭を下げている。恐らくこの施設では彼より目上の人の方が少ないだろう。そんな男が自分に頭を下げるのが信じられない思いだ】
【そこで自分も帽子を被りっぱなしだったのに気づいた。慌てて取り頭を下げると、肩に届かない栗毛が揺れる】
【現れるのはほつれ汚れた前髪と自信なさげな童顔。ちらり、ちらりと彼を見上げながら】

「ジェシー・ジェイムズです。
近くの工場で機械磨き……をしています。
えっと、仕事の帰りに郵便局に寄って――――


【つっかえながらも己の体験をぽつりぽつり話す。とはいえ語れることは少ない】
【自分がしたことと言えば仕事の帰り道車に轢かれそうになり、群衆に揉まれて、事件を起こした彼に殺されそうになったのを軍に助けられただけだ】
【その事を思った通りに口にしてしまえば居心地悪げに膝を擦り合わせるだろう】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/14(土) 23:48:45.24 ID:8w4g4x8c0
>>78
/ありがとうございます〜、でしたらリアルタイムなあれで!
/こちらもタイミング見つけて返せるときはちょこちょことやらせて頂きますので
/それでは失礼します!お疲れ様でしたっ!
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/14(土) 23:54:16.51 ID:gJuTlL8sO
>>76
【「おう、よろしく」「似合ってんな、意外とよ」そんな短いやり取りの後】
【つい言ってしまうのだ。手元の赤い指輪以外に、大したこだわりはない】
【なくなって困る、というのも──敵に回収でもされれば少し面倒な気がするだけで】
【管理さえしっかりしてくれれば、使い道などどうでもよかった】


…………いっぱいあるしよ、一個くらいはいいんじゃねぇのか?
そりゃ、数には限りっつぅもんがあるし、10も20もってわけにはいかねぇけどよ
でも…………なぁ?一個くらいはいいだろ。多分

つぅか、研究所とかもってんのかあんた。悪魔研究所ってやっぱ…………すげぇのか?
自由な研究所ってのもなんか、聞くだけだと楽しそうだな
こう、タコがいたり──あぁ、そうそう。軍人連中の連絡先な、サンキュサン…………


【──手渡された連絡先。どこからどう見ても印刷物だ。手書きにはとても見えない】
【悪魔研究所の奴が書きでもしたのだろうか。悪魔に名前を書かれる。あまり良い気分にはならない】


…………なんだ、コピー代のコイン1枚分でも払っとけばいいか?
それか、こないだの渦巻きラテくらいは奢るけどよぉ…………
あー、それと…………何だったかな。色々あって、どうにも忘れちまうんだよなぁ

────あ。そうだ。もしカニバディールに会ったんなら、指輪渡しといてくれねぇか?
確かあんたら、知り合いだったよな。どうにもあいつ、中々掴まんねぇんだよな
こっちからも手は回そうとしてんだけど、機関内でも敵味方分かれてる状況じゃあな
テレビじゃよく見かけるんだが…………あぁ、ついでに連絡先も伝えといてもらえると助かるわ
これでラテ2杯分くらいか?サイズアップしても構わねぇが──ぎゃは、そうすると店員が大変か!


【連絡先をポケットの中にしまいつつ、今度はこちらからの依頼をする。持ちつ持たれつ】
【それが協力関係というものだが──ポケットにしまわれた紙が、シワまみれになる音がした】
【どうにも雑な性格らしい。人からの貰い物も、すぐに無くしてしまいそうなやつだ】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:54:43.65 ID:Kx0vEyjc0
>>79

【――どうやら機嫌は損ねなかったらしい。内心ほっと胸を撫で下ろして】
【少女が立ち上がったなら顔を上げて、鍵を受け取る。じい、と見下ろしてから】
【ポケットに直そうとして――やめた。もっと厳重に保管する必要がある】

……畏まりました、クイーン。
それではまた、――そう遠くないうちにまた会えると思うけど。
こんなごちゃごちゃしたご時世だもの、ねえ――――

【「女王様にこんなこと言うのもなんだけどね、……お気をつけて」】
【心の底から心配してそう言ってるんだか、あるいはからかい混じりに口にしているのか】
【判別のしにくい声色で、去り行く少女――否、女王に向かってそう声をかけるだろう】


……ふふ、ふふふっ……またひとつ、「きみ」に近付けたかな?

【……女王がこの場から姿を消したなら、女は鍵を握り締めて】
【肩を震わせ、顔をひきつらせたようにして――笑うのだ、あまりにも醜悪に】
【禁忌に触れる恐怖など、もうどこかに置き忘れて、そのまま長いこと歩き続けてしまった】
【そうして進んでいった先にあるものなんて――きっと、狂気の沙汰と呼ぶほかないものだけだ】

【――――壊れきった玩具が、またひとつ歯車を軋ませる音。それを残して、路地裏には静寂が戻ってくる――】

//ここらへんでしょうか、お付き合いいただきありがとうございました!
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/04/14(土) 23:58:06.96 ID:WAaDbTBq0
>>75

【やはり"模造品"では火力不足であったか。最大火力の一撃を浴びせた筈であるのに】
【未だに動くことが出来るのか。今何かしらの行動を起こされれば、ひとたまりも無い】

―――…ッ、…ぁぁッ

【先程の最大同士の衝突で白い人物も唯ではすまなかった】
【この結末に至る迄の出血量の多さ。この結末に至った原因である巨大な光線の一撃】
【それは白い人物を完全に"抑圧"し"制圧"しており、地面に平伏せたままであった】

【身体がダメージに打ち負けている為に、精神を奮い立たせても身体はいう事を聞かない】

(…思考が纏まらん。体も動かん。チェックメイトという状態か)

【死を覚悟する。自身が死を覚悟する事は微塵も思っていなかった故に】
【すると、この戦いに終止符を打つかのように二つの人影が現れる】
【一人は魔術師たる男の仲間…であろうか。もう一人は白い人物と同じく公安の人間】

「おやおや…9番目(ノイン)。精神安定剤風情がこんな所でノびてるだなんて
 何時から君は薬の安売りを始めたんだい?君の役目はここで乱痴気騒ぎを起こす事ではないよ」

【白い人物は答えない。そして、突如現れた魔術師の男に対応するは同じく突如現れた公安の男】
【上下黒色のスーツを纏った、黒髪で、糸目が特徴的な飄々とした男であった】

「ふむ…謝罪は結構かな。んでもってソレはどうぞご自由に持っていって頂戴なー。
 多分そっちから喧嘩を吹っかけたんだと思うけど、
 こっちの出来損ないの九番目(ノイン)も煽りに煽ったんだろうし、喧嘩両成敗かね。」

【暗に仕事熱心ではない事を仄めかす黒色の男。満身創痍のノインを担ぎ上げケタケタと笑いを飛ばす】

「ああ、一応。申し訳程度に職務に励もうかね。お宅ら何モンよ?
 ボクらはこう見えても公安の人間なんでね、まあアレだよ。"任意"ってやつさ」

【けれど、自身の身分を活用しての情報収集は怠らないのであった】
【そしてその言葉は、勿論身分を明かしてくれるよねという無言の脅しでもあった】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 00:05:44.31 ID:kHDDRwano
>>84


(ノイン……九番目。九人いるのか、それとも成功例か)

「そうしてくれるのならこちらとしても助かります
 我らは『ヴィセリツァ』、自警団の特務部隊ですよ
 なので、本来はあなた方と明確に敵対する部隊ではありません

 …………あなた方がまともな公安なのであれば、ね
 こちらからも質問を。公安は現在、二つに分かれているはずです
 黒幕と円卓。あなた方はどちらですか? それと、その方は”何”ですか?」


【提示できる必要最低限の情報のみを明け渡す。情報収集が目的であることは見抜ける】
【反対に眼帯の男も情報収集を試みていた。一つ目の情報は明らかだったが、彼はまだ知らないだけだ】
【問題は二つ目。眼帯の男はノインと呼ばれた人物を指差していた。人かそうでないかさえ、定かではなかった】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [sage saga]:2018/04/15(日) 00:13:20.13 ID:+CUwiPTbo
>>80

【ジェシーの言葉に、ロロケルムは耳を傾ける。──相槌も、愛想笑いもない】
【だが、この男がジェシーの言葉を真摯に聴いているのは事実だろう 】
【現に、所々、男との会話内容や行動を問うては、彼の言葉を引き出していく】


成程。 十分だ。
……、そちらからは何か、話はあるかな。訊きたいことでも、何でも構わない。


【そうして、彼が大方の経緯を話し終えた所で──、 】


「 入っていいでありますか? 」


【ひょこり、と、猫毛の少女がドアから顔を覗かせた】
【手には盆と、その上に3つのコーヒーカップ。 ロロケルムが頷くと、彼女は軽快にテーブルへ】
【カップと砂糖、それからミルクの器を並べると、自分はジェシーの隣に腰掛けた】


「いや〜、空気が重いでありますな〜。
 中佐はブラックで、私は角砂糖を2つ。 えーっと、」

ジェイムズ君だ。 ──、貴様の分までは頼んでいないが。

「ジェイくんは何個で? ま、面倒臭いから私と同じにしとくのであります。
 ストレスが掛かってるときには糖分が一番でありますから。
 ……いやほんと、さっきの事件の後に中佐と二人なんて、ジェイくん死んじゃうでありますよ。」


【蓮華はぽんぽん、とジェシーのカップにも勝手に角砂糖を2つと、ミルクをたっぷりと入れていく】
【これが素なのか、彼女自身の元の性格なのか分からないが──、いずれにせよ、彼のことを気遣ってのことだ】
【にこにこと笑いながら、「ねぇ」とジェシーに語りかけると、一番に自分のカップに口をつけた】


……すまんな、ジェイムズ君。不出来な部下だ。
こればかりは、私の力不足と言わざるを得ない。


【鉄面皮が初めて歪む。 が、すぐに渋面は元に戻って】
【ジェシーに珈琲を勧めながらも、小さく息を吐き、会話を続ける】


さて、先程の話の続きだ。特に何も無ければ、それを呑んでから帰り給え。
部下に車を用意させよう。 ──、そして、あの男のことは忘れろ。
深く考えても、君のような人間のためにはならん。


【その言葉が含む意図を全て読み切るのは困難だが、ここまでの会話での彼の性格を踏まえての話だろうか】
【──、自信なさげな表情。罪悪感から、現場で涙していた姿。 そして、犯人との会話内容】
【ジェシーは、正義感が強く、それが故に苦しむ人間だと、ロロケルムは理解していた】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 00:17:33.59 ID:BuQUzRC70
>>82

「まァ、やァッて良ォいなァらやァるが。――術式の無事は保証しィねェーぜ? ククク」

『研究所は僕が一応代表のところだね。十数人規模の小さなところだよ』
『一応軍の方にも伝えてあるから、もしかすると出番がある……かもね』

【そして、邪禍の方をちら見。――それの懐からもう1枚、名刺が出されて】
【ソイルベイビィ研究所の名前、そして住所と簡易マップ、電話番号などが記載されている】
【無名の研究所だ。もし調べたとしても大した情報は得られない程度には、知られていない】

「――カニバディールか。俺様も奴には連絡を入ィれようと思っていィたところだ」
「だァが、よォーくと考えてみるとだ。奴との連絡方法は機関のどォこかの拠点にメディアットを送り込む方法だァッた」
「まァ、機関が内部分裂を起ォこしている今はリスクが大きいと思ってな。別の方法を検討中だ」

【ちなみにメディアットって言うのはコイツだ。その言葉と共に現る魔法陣、いずる闇が形を成して】
【そして、目がレンズでできているコウモリが1匹現れた。――殆どコウモリにしか見えないが、何かしらの手段で連絡を伝えられるのだろう】

『何回か会ってて連絡も入れてるんだから、携帯の連絡先を交換しておけば良かったのにね。それとも、交換した個体が誰だか忘れちゃったのか』

「料金は……ククッ、なァにで支払って貰おうか。あァ、さァッき貰った指輪で払ったって事にしィてやァろう」
「もォちろん、俺様は貰えるモノは何でも貰う。奢りてェならどォんどん奢りな……」

「……他にもなァんかあァッた気ィがすゥるな。なァーんだったか。」
「あァ、そォーだ。婦警の事か。――軍の奴らは、婦警かァら上の情報を得ェたいよォーだった」
「だァから、拘束を望んでいて、俺様も合意した。が、交戦のゴタゴタで手ェが滑って殺してもうゥッかりで済ゥむだァろうよ」
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/15(日) 00:27:17.07 ID:3CGnd4mQ0
>>77

【――現れた猫は、けれど、現れただけだ。強制的に自分を意識させるための手段でしかない、自分がそこに居ると――分からせるためのもの】
【今は決してそれ以上の意味を持たず、そして、これからも持たないだろう。この黒猫はそんな人物だった、とある一人に病的なまでに、執着する】
【そして相手は見事にその一点を踏んでいったのだ。尻尾よりも敏感な場所を踏み抜かれたなら。どうあれ反応するしかない。無視することは、彼女にはできない】

あら――、奇遇ですね。わたくしの"幼馴染"も……鈴音さんと言うのです。珍しいことも――あるものですわ、ねぇ?

【きっと内心では怒っている。そういう目をしていた、これはわざとなのだろうけど――知り合いと言った相手に対して、わざわざ自分は幼馴染だと言ってみたり】
【そういう面でもまた執着しているのが分かる。ある意味で相手は正解を引き当てたとも言えるだろう、爪が出たり引っ込んだり、猫の手、ふっとしたときにあると便利なもの】
【そしてあまりにあっさりに手のひらを返すことが出来る――執着するもののためであれば自分を投げ捨てることをいとわないタイプと見えた。ならば、なお使いやすい】

……まあ。気分を害されていたのですか、でしたら――申し訳ありませんでした。
学のない娼婦ですから――赦してはいただけないでしょうか、そうですわ、お金で許していただけるということでしたら、お支払いいたしますし――。
それとも伽をお望みでしたら。好きなようにお使いください――、ああ、それでも、あなたさまの気が済まないと言うのでしたら……――。

【わざとらしい――わざとらしくしおらしい声だ。そんなつもりはちいともなかった、ごめんなさい、今にも泣きだしそうな目をして】
【金でも身体でも差し出す。口元に手を添えれば、自然と胸元が"ぎゅう"と――そのゆったりしたニットのワンピースの布地ごと、寄せ集められ】
【ひどく豊かな胸元を強調するような仕草になるのだ。ふっくらと丸い胸元には一筋、集まった胸に巻き込まれてできたようなしわ。まあるい双丘の柔らかいのを示すよう】
【金も伽もする。ひどくしおらしい態度の申し出は、けれど到底そんな顔が普通に出て来る初心な娘の言葉とは思えない、ならこれは演技で、求められているものも、分かっている】

【すとん――と女は地べたに座りこむ。路地裏の深層のように旧い血と吐瀉物と肉の残骸が堆積して出来た汚らしい土のような物体の層がないとは言え】
【年若い女がためらいもなくそこに膝を折り座る、そしてひたり――と指先を地面に沿える。その爪先には色のないマニキュアが塗りつけられていた、つやと光を返し】
【そうと頭を下げる。地面にほど近く、けれど、擦りつけるほどではなく。無防備な背中を、首を、後頭部を晒して。小さくなって――】

――大変申し訳ございませんでした。

【流れるよりも滑らかに謝罪の言葉が紡がれる。その下の表情がどうであるかは伺いしれないけれど――こういう時には"きちんと"しそうな、女ではあった】
【相手からすればどうだろう。あまりに当たり前に受け入れた――その前にいくつか申し出た謝罪方法というのはそもそも考慮にさえ入れていないのだろう、飾りでしかない】
【最初っから分かっていたみたいに、そして必要とあればそれをすることに躊躇いなんてないみたいに。――必要、というのも、結局、友人にすべて隠されていたということで】
【"相手"はどんな事情であれこの女にはしゃべらないと決めたことを知ろうとするための――、あるいは巻き込んでしまわないようにしたのかもしれない。それでも】

【――汚らしい男の前に跪いて奉仕する夜なんかより、その決意を自分の都合のためだけに無下にする方が、よっぽど容易かった。少なくとも、この女にとっては】

/というわけでお返ししておきます、明日は一番早くて8時ごろにお返しできるようになるくらいかなぁと思いますっ
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/04/15(日) 00:32:36.61 ID:UuGYXOM30
>>85

【おお、割とあっさり答えてくれるか。実にありがてえ】
【糸目の男は朗らかな笑みを浮かべ、より飄々と公安らしからぬ態度をとっていた】

「ほうほう…自警団の特務部隊ときましたか。であるならば、確かに公安とは敵対関係にゃあありませんねェ
 それはそれは今後"は"良きお付き合いが出来るといいですなあ」

【とぼけた口調。何も知らないような凡愚の態度。けれど、その目は自警団の特務部隊を名乗る男を見据えていた
 値踏みするように。男の詳細を丸裸にせんとばかりに】

「んー?ボクほどまともな公安は居ないと自負してまっせ。ほらこんなにもおバカで軽薄で親しみやすいときた。…まあそんな戯言はともかく。
 つーかお宅らそれについて何かご存知の様だけど、それをお宅らに言う必要は無いんだよ。お宅らはボクらの質問に答えるだけでいいのよっと」

【力のあるもの。それは横暴を、行き過ぎた我を通す事を許される者のこと】
【故に、自身が黒幕側の人間である事は口にせず、寧ろ"口撃"をかましたのであった】

「まあ、敵対するはずの無い人間に手ェ出して不始末起こしてンだし?とりあえず二つ目は答えてあげますよぃ。
 ボクが今担いでるのは、公安謹製の人工能力者って奴?この世界って能力者が幅を利かせて恐怖を振りまいてるワケじゃん。
 そうすると心が休まらないし、最悪、心も自分の世界も壊れちゃ〜う。なので、権力者達は自分達にとっての精神安定剤に手を出したってワケ」

「それがプロジェクト・トランキライザー。その発想がすべての始まり。その及第点がコイツなんですよぉ。
 まあ尤も?トランキライザーはコイツ除いてポンコツか殺処分されちまいましたから夢まぼろしで終わっちまいましたがね」

【暗に成功例は居ないと告げていた。詰まる所計画は頓挫し、当初の構想は水泡に帰していたのである】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/15(日) 00:37:49.75 ID:qxLPEAhbO
>>87

…………弄るのは1個だけにしろよな
1個だけなら、その指輪から脚が生えようと喋り出そうとあたしは構わねぇよ
全部の指輪がそうなられるのは、流石にちょっと勘弁だが

【そう言って追加の名刺を受け取る。ソイルベイビィ研究所。いつかどこかで利用することになるだろうか】
【「研究所も、そのうち声かけるかもしれねぇわ」念のため、そう伝えておく】
【協力者の手札は多ければ多いほどいい。研究所の情報は、思ってもみなかった収穫だった】

【続いてカニバディールの情報を聞けば、少し顔を顰める。連絡を取るという】
【一見簡単そうなことが、ここまで手間取る羽目になるとは思わなかった】


そいつは使い魔、みてぇなもんか──随分と悪魔っぽいな、んん?
だが…………拠点に送り込むのは、確かにやめといた方が良さそうだな
機関の中にも黒幕側の連中は確かにいる。メールにも書いた“カチューシャ”とかがそうだな

ま、ユウトの言う通りどっかで連絡先を交換しておけばってぇのは正論だが──ないもんはしょうがねぇ!
偶然会えることを期待するか…………そうだな
最近カニバディールの野郎、街中でのドンパチがお好みのようだし……
それを見かけたら会いにいくっつうのも手か。若干、危ない方法ではあるけどな


【「支払いは指輪でいいのか、そりゃ助かるわ」「でも──ラテはこの後飲みにいくか」】
【「ぎゃは、あたしが飲みてぇんだよ。奢るから」そんなやり取りが、間に挟まれる】
【だが。婦警の話になると──和やかに思えた表情が一変する】
【奥歯を軋ませ、憎悪が明らかになる。殺してもいいと言われれば、そのまま口角をぐうと歪ませ】


…………ぎゃは、そりゃあいいぜ。じゃあうっかり──
────うっかり、手が滑って銃ぶっ放してもしょうがねぇよなぁ?
そりゃ、うっかりじゃあしょうがねぇ。誰だって間違いくらいはするもんなぁ
くくっ…………あんたその辺はほんと、お硬くなくて助かるぜ
だから声かけたっつうのもあるんだけどよ


【嗤うのだ。情報を引き出すなど、そんな悠長なことは許さない】
【次に会ったら即座に銃を抜く覚悟はある。勿論、殺す覚悟も】
【それを妨害してくるやつがいれば──彼らも害す。それほどまでに、曽根上への恨みは深かった】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/15(日) 00:51:16.99 ID:5FGm0OT1O
>>86

【少し頭を回せば様々な隊章や勲章が目に映るこの空間】
【自分は今まで何度も軍施設に足を運んでは選考に落ちている。理由は毎回体格や資質不十分】
【その都度別の基地や検査場で受けているのでジェシー・ジェイムズの名は書類上しか残らないのだがーー】
【そんな己が凄腕部隊のトップやその補佐官らしき少女と対面しているのは非日常の極致だった】

「そう、ですね。では」

【質問の有無を問われて、口を開く間際。彼女が戻ってきた】
【礼を言ってカップを受け取る。一口つけると喉からじんと温まって。身体が冷えていたのだと嫌がおうにも気付かされた】
【気さくな台詞に曖昧な笑みを返しながらも、二人のやり取りを聞くに気のおけない仲なのだろう】
【自分に矛先が戻る少しの間までは僅かに眉根を下げて】
【労いの言葉にはもう一度頭を下げて感謝を示す。ただ車は結構です、と固辞して】
【そこで少し前の問いかけを思い出す】

「――国は、人の為にあるんですよね。
でも能力者は、人だって認めてもらえないんでしょうか
彼らだって悩んだり、苦しんだりするのに」

【忘れた方が良いとの言葉はきっと正しい。市世に詳しくなくたって魔防法の事は多少は聞き及んでいる】
【それでも目を閉じれば撃たれて死んでいった彼の姿が思い浮かぶ。あれは自分だ。周りの悪意に負けて歪んだ己の鏡であると】
【時間の経過があろうと忘れるなどはできそうにないと】

【――――そんなの、悲しいじゃないですか】
【最後の言葉は口の中だけで呟いて】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 00:55:28.03 ID:kHDDRwano
>>89

【碧玉の瞳が糸目の男を見つめていた。値踏みをしているのはお互い様のようだった】
【こちらは笑顔の一つも浮かべはしない。普段ならばそうしただろうが、効かない相手に無駄なことはしなかった】


(…………話を聞く限りじゃ、たまたま出来上がった単なる成功例)
(何で表をふらついてアルベルトさんとやりあったんだ?)
(気絶させたのは失敗だったかもしれないな…………)

それで、その特別製の人工能力者とかいうのを、貴方が回収にきた、と
…………権力者たちが作成したというのなら、それは円卓側の能力者ですか
なら、貴方も円卓側なのですか?


【さらに会話による情報収集を行おうとしていたが、抱えていた男がうめき声をあげる】
【目を覚ましかけていた。眼帯の男の表情に苦いものが混じる。難しい判断をする場面になっていた】


(今、アルベルトさんが起きるのはまずいな……気が立っているときは言うことを聞いてくれない)
(それに、この人がその気になったら、戦うとか、そういうレベルの話じゃなくなってしまう)

失敬、ちょっと話し過ぎたようです
いずれにせよ、貴方たちの利害と我々の利害が衝突することがあれば、またお会いすることもあるでしょう
そうでないのなら、これ以上この場で腹の探り合いをすることもない


【風切り音と共に男の背中から竜の両翼が現れる。黒曜色の鱗が月光を反射し、翼膜が月明かりを遮る】


最後に一言、宣伝を
我ら『ヴィセリツァ』は決して、能力者の存在を許さない
人工であれ、何であれ、その悉くを殲滅する

故に、貴方はどうであるか知りませんが、その人が起きたら伝えておいてください
きっと、再び相見えるときが来るでしょう。そのときを楽しみにしていてください、と

────では


【一度、恭しく礼をする。まるで紳士がそうするように】
【翼が羽ばたき、大気を叩く。男の身体が浮遊。二度目の羽ばたきで急加速。暴風と共に夜空へと急上昇する】
【一瞬で、男たちの姿は見えなくなった】


//乙です!
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 01:01:14.81 ID:BuQUzRC70
>>90

「あァ、考えておォこう……ククク」 『うん、僕からも釘を刺しておくね』
『時が来たらよろしくね。――ただ、僕の研究所も僕が出入りしている以上、安全とは言い切れないけれども』

【――次の日に指輪が全員脚を生やしてどこかに逃げていた、なんてことにはならないはずだ】
【邪禍もユウトは今の所、チームの追手に見つかったりなどはしていない。が、いつ襲われてもおかしくはない】
【研究所に護衛付けておかないとなあ。魔物とかの。誰かに聞かせるつもりでは無いだろう、呟き】

「使い魔といィうか部下だな。――お前とは初対面じゃアねェぜ、こォいつはよ」

【コウモリの姿が変化していき、そして携帯端末のそれにへとなる】
【――前に邪禍が連絡先を交換するのに使っていたものと非常によく似ていて、言動からすると同一のようだが】

『カチューシャといえば、まあ交戦した軍の人たちも当然知っていたんだけれども』
『――なんというか、違和感があったんだ。彼女らの態度に』
『うーん、うまく言えないなあ。……うん、なんというか、その、……敵意とは逆方向の何かを感じたというか』

【何かが引っかかっていて、けれどもその正体が掴めず。】
【一回会ってみればわかるのだろうか――姿は新聞だと殆どわからなかったから、ニュースとかで……】

「あァ、そォの手はなァかなか悪くねェな。ククク、街中テロは俺様もよォーくとやァッている……」 『そしてボコられて帰る』 「余計なこォと言ィうな」
「とォにかく、危険に怯えてちゃア、テロリストは務まらねェッてこォとだ」

「そォう、拘束しィようとしィたらうゥッかり銃弾を脳天にぶゥちこんじまう」
「ヒャハハ、仕方がねェーなァー! ……まァ、交戦中に情報聞ィき出せそォーなら多少は引ィき出すが、全力で手ェを滑らせてやァろう」

【まるで悪魔が嘲笑うかのような、いや本物の悪魔だが、――とにかく、ろくでもない事を考えている笑みだった】
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/04/15(日) 01:14:13.66 ID:UuGYXOM30
>>92

「あいよ。覚えてたら伝えときますよ」

【やはり核心部分には触れない】
【そして軽口を叩いたのもつかの間。物騒な宣言を前に思わず笑いが噴出しそうになる】

「ぶふっ…!許さない?ははっ、ははははははっ!
 面白いジョークをかますもんですねえ。お宅らに生き死にの許可貰わにゃならんなんて
 聞いてねえんすけどねえ。ぁあー、夢想家(よっぱらい)共の戯言ってクソほど面白れェわ」

【お前らも能力つかってんじゃん。なのに能力者の一切合財を殲滅?馬鹿も休み休み言えよ】
【アンタの抱えてるそこの小汚ねえオッサンも紳士気取りのアンタもさ】
【笑いすぎて腹筋が死んじゃうよ。――犬っころ風情が。キャンキャン吼えてんじゃねえぞ】

            あんま調子のってっと――殺すぞ、馬鹿共が

【そんな猛毒交じりの笑みを浮かべつつ、羽ばたいて去っていく男達に手を振っていた】

「さて、…ノイン。てめえの回収も骨が折れるわ。
 機械に成り切れず、人を捨てきれず。こんなもんが及第点だなんて嗤える
 まあ、てめえにゃ別の仕事が山ほど待ってるんだからキリキリ働きやがれ」

【彼らもまた闇に消えていく。そして路地裏には誰もいなくなった】

//こちらこそお疲れ様でした!
//何日にもわたって絡んでいただき感謝します。
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/15(日) 01:21:35.16 ID:qxLPEAhbO
>>93
【「頼むぜ」と念のためもう一度釘をさす。弄るだけならいいが、本当に脚でも生えて】
【大脱走なんてことになったら洒落にもならない。提供元に平謝りをするのはこちらなのだ】
【許されるかもはしれないが──なんとなく、そんな考えは好意に甘えているようで腹が立った】

【蝙蝠が携帯端末に変化すると、驚いたように思わず声を出す。「そいつだったのか」】
【生き物が端末に、というのも奇妙な感じはしたが、悪魔だからきっとなんだってできるんだろう】
【「ひとつくらい欲しいぜ」冗談っぽく言うが……そのお代は】
【ラテのグランデサイズ程度じゃすまなさそうなことくらいは、理解できていた】


違和感、だぁ────?は、恋仲とかじゃねぇのか?
カチューシャって女、相当な淫売だぜありゃ
一度喋ったことあるけどよぉ……態度に騙されんなよ、ユウト
敵は敵だ。味方になりそうなら引き込む。そうじゃなきゃ殺す。そんだけの、シンプルすぎる話だ
──いくら相手がいいやつでも、そこを履き違えると次に地面に転がる首は自分ってことになる

くく…………ぎゃは!それにしてもユウト、あんた意外と邪禍と仲良しじゃあねぇか
そうじゃなきゃ、「ボコられて帰る」だなんて台詞出てこねぇよ!
前は随分と嫌々従ってるって感じがあったけどよぉ!
ま、カニバディールに関しちゃどうするかはあんたらに任せるぜ
あたしはあたしで探すし、どっちが早いか競争ってな


【「んでもって──曽根上に関してもそうだな。頼むわ」】
【そう言って、悪い笑みは影を潜める。他に話すことはなかっただろうか】
【大体の連絡事項はこんなものだった気がする。忘れていても、連絡手段は確立された】
【思い出した時に連絡をいれれば────そうだ】


…………なあ、邪禍よぉ。あんた、魔力の使い方、わかるよなぁ
あたしさ、その辺からっきしなんだ。あるにはあるんだろうが、使い方が分からねぇ

いや──つぅのもよぉ、このイヤリングに魔力流せば使えるって言われたんだけどな
肝心の魔力の流し方ってぇのが分からねぇときた
悪魔のあんたなら、どうにかなると思ってさ
ド派手な爆発魔術を使うとか、そういうんじゃなくていい
ただちょろっと、こいつに魔力を流し込むコツさえ分かれば、それでいいんだけど…………


【「ラテ、飲み放題にしてやるからよ」──これは、黒幕がどうとかではなく】
【ごく個人的な依頼だった。どうやら、指輪と同様。ミラがつけているイヤリングも魔道具の類らしい】
【それも──能力者の異能が納められた代物。魔力を流し込むだけで使えるのだから、お手軽なものだ】

/申し訳ないです、ちょっと眠気がきてしまいまして
/明日は昼くらいからスレにいる予定ですので、ご都合よろしければその辺りから再開させてもらってもいいでしょうか
/もしも無理そうでしたら置きに移行という形でも大丈夫です!
/それでは今日のところはこれにて一旦失礼します。お疲れ様でした!!
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/15(日) 01:24:04.81 ID:3CGnd4mQ0
【深夜――UTの一室。主に仮眠用として使われている部屋】
【そこに給仕の少女が運ばれてきたのは昨日――日付的には一昨日になるだろうか。なんでも、店の前に血まみれで倒れていたというので】
【何度も客として来ていたこともある通行人が担いで持ってきたのだ。怪我自体は大したことがなかったというので、あまり大事にもならなかったし】
【どこか病院に――というのは、そのうち目を覚ました少女本人が頑なに拒んだので、ひとまずはその部屋に、ということになってから、一日と少しが経っていた】

――――――、

【傷の痛む右手をかばうようにベッドに寝転んだ姿勢。今日は一日中それだった、飲食するために起きて来ることもなければ、誰かを部屋に入れることもなく】
【誰かが入ろうとしたら内側から鍵が掛けられている始末――扉越しに話しかけても返事は皆無。電話を鳴らしても音がしてこないから、電源は落としているらしい】
【そういう"引きこもり"――それこそセリーナがマスターキーを片手に強行突破してこないと"嫌だ"って言うみたいに、頑なで、だけど、自分ではどうしようもないと】
【どうしたらいいか分からないと、ひどく消極的に、曖昧な方法で、訴えているみたいに――、ああ、だけど、まっさらに静かな部屋の中、小さな音、携帯の起動音】

【ぼうとした目で様々な文字列を追いかける、嘘みたいに着信履歴が入っていた、幼馴染から。片っ端から削除する、もう今更怖かった、昔からの友人だなんて】
【巻き込んでしまったらどうしよう。最後の一つも消す。いくつか混じっていたもう一人の幼馴染からのメールも全部消しておく。違ったアドレスからも、もう一つ】
【よく読めないのが入っていた。一瞬何かと思って解読したなら、家でユーイが怒っているらしかった。帰ってこないから。すごく怒っている。とりあえず、消す】

【それで残ったのは、二通のメールだった。これは消す前に目を通す、目を通して――、宛先欄をなんとなしに確認して、悲鳴を上げそうになる。知らないアドレス。誰なのか】
【見覚えがないのはつまり自分がメールを送ったことがない人物、そしてあの日UTで話した面子、それからウェインやカニバディールの連絡先は、知っている、そのうえで】
【自分がメールアドレスを知らない人間を思い浮かべたら。携帯を壁に叩きつけて壊さなかっただけ上出来だったろうか、それだけは、なんとか、押しとどめて】

【――曽根上ミチカのこと。報告しなければいけないと思った。襲撃の後に現れたということは、やはりあれは黒幕からの襲撃であり、情報が共有されていて】
【それにミラから報告のなかった戦い方をした。あれが能力かもしれない。警察の服ではない看護師の服を着ていた。なら病院に居る可能性もあるのかもしれない】
【いろいろ伝えないといけないことがある。のに。宛先は今回のことで連絡先を伝え合った全員。だけど――、これを全員に、伝えてしまったとして】
【自分が曽根上ミチカの連絡先を知っていると伝えてしまったとして。誰かが「"仕事"をした」と嘘のメールを送って、相手をおびき出そうだなんて言い出したとして】
【本当にそれが実行されてしまったとして――――、約束を果たせなかったら、どうなるのかを考えたら。イップスしたみたいに指が動かなくなる、がたがた震えてしまって】

間違えてない……。

【――――――カニバディールからの返信はない。それだけ確認する。確認して、また、電源を落としてしまう】
【伝えるべきことはたくさんあった。あった、けど――それを伝えないことを、選ぶ。自分の都合のためだけに、自分の理由のためだけに、みんなに迷惑をかけたとしても】
【もう自分の護りたいものが握られていると知ってしまった後なら。今まで関わってきた全員が同じ風に握りこまれてしまうかもしれないと思わされた、あとなら】

【――ごめんなさい、小さな呟き声。ふっと暗転した画面に自分が映り込む。ひどい顔だなって、いやに他人事みたいに、思った】

【そのままぽいと投げた携帯が床にぶつかる音がする。壊れたとしてもどうでもいいと思った。――それで全部から解放されるわけないって、分かりながら】

/補足ぽいソロのやつでした、お邪魔しましたっ
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [sage saga]:2018/04/15(日) 01:25:25.38 ID:+CUwiPTbo
>>91

【── その問を放ったジェシーの表情を見ると、蓮華であっても、軽口を挟むことができなかった】
【今、この国を包む“世論”。 魔制法を進めたのは野党の議員達であっても。】
【幾分かの世論操作が仮にあったとしても。 ミニマムな人間の意思の総体であることは、確かだ】
【それが、あのデモだった。 そして、それに反駁したのが、あの犯人だった──、そして、彼は法に則って死んだ】

【 ジェシーの呟きが、音として放たれずともこの場に響く】
【ロロケルムは珈琲を啜ると、静かにカップを置いて── 】



まず、前提が間違っている。 厳密に言えば国は、“人”の為になどない。
国があるのは、社会共同体の維持のためだよ。



【口の端を釣り上げて皮肉げな笑みを浮かべる。 蓮華が思わず、抗議の声を上げかけたが】
【──それを視線で制して、ロロケルムは話を続ける】


奴隷制が敷かれている国では、奴隷は財産だ。
王権神授の国では、王は法の下にすらない場合もある。
…… いいかね、ジェイムズ君。人とは、法と社会通念によって定義されるのだ。

だとすれば、今、この国で起こっていることも不思議な話ではない。
非能力者が能力者を御すシステムと戦力を手に入れた結果としての、歴史の延長線上だ。
一種の刀狩りと言ってもいい。 ……クククッ、こう表現すると、いかにも“近代的”だな。


【“能力者”を、限定的にでも人の枠内から外す。 それを、法と社会が容認しつつある】
【ならば、こうなっているのも合理的だ。──ロロケルムは、そう言いたいのか】
【結果論的な論法だが、間違っては居ない。 だが、ジェシーが問いたいのは、そういう話ではないだろう】
【 ──この男は、それも承知している。「意地の悪い答えだったな」と詫びて、再び口を開く】


君の言いたいことは分かる。
今の世論は、いかにもやりすぎだ。 だが、それも世論には変わりない。
人々には、多かれ少なかれ、能力者に対する鬱屈があったのだろうよ。
……、ジェシー君。この状況を解決するには、君のような者が声を上げるしかないのだ。
あの犯人のように誰かを殺して、解決できるような事柄ではない。


 結局は。 能力者もまた、人間なのだと。 もう一度、社会に認めさせるしかないのだよ。 


【「さて、答えにはなったかな」──、ロロケルムは再び笑みを浮かべ、珈琲を啜った】
【何らの具体的な方策を呈示したわけではない。だが、この軍人は真にそう考えている】
【──、ごん、と壁に掛けられた時計が音を鳴らす。既に日付は、変わろうとしていた】
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 02:00:11.02 ID:BuQUzRC70
>>95

「――ククク、良ォい値段すゥるぜ、こォいつはよ」

【過去に一度他者へ渡したことはあったが、あの時は何を対価として貰っていたか】
【とにかく、安い対価ではなかった。……見せ終えたからだろう】
【邪禍は携帯端末と化したメディアットを闇に変え、そして魔法陣へと吸い込ませた】

『はぐらかされちゃったから僕にもその辺りはよくわからないけれども……』
『……うん、敵は敵だね。転がすべき首は、あっちの方。わかってるよ』

『仲良しに見える……なら、ちょっと君の触腕引きちぎらせて貰いたい』
『大丈夫、痛いようにはするから。ひと思いにすっぱりと、なぁーんてこともない。安心だね』

【――ニコニコとした表情で、しかし目は笑っておらず】
【なんというか、隙を見せたら本気で言葉を行動に移しかねない、そんなオーラ】
【(もっとも、邪禍の扱う召喚術は被召喚側が蹴ることもできる。蹴らなかったのだから、多少は図星も含まれるかもしれない)】


「わァかるかどォーか。当然だ! ――むゥしろ、使えねェと困る」
「だァが、どォー表現しィたモノか。レオーテヴュートも基本直感でやァッてるだァろうしな」

【……少しの間考え込み、……当たり前のようにできる行動こそ説明が難しい】

「――変身能力使うノリで、こォう……ググッと使えばなァんとかなァるだァろう」
「まァ、あァれだ。……自分の"可能性"を信じりゃア良ォい。でェきるッて思えば、でェきる。多分」

『酷い説明だね。――けれども確かに、説明しろと言われても説明しづらいね。実際に見てもらって雰囲気を感じ取って貰うのが良いかも』
『――こうやって、息を吐く感覚で魔力を吐き出して……うん、最初はうまくいかないかもしれないけれど、何回も練習していればそのうちできるよ』
「おォい、レオーテヴュート! どォさくさに紛れてなァに作ってんだ!」

【ユウトが近くに落ちていた傘の骨の一部を拾えば、そこへ聖と魂破の魔力を流し込み――即席・悪魔祓いの棒が完成】
【邪禍は素早い動きでユウトから遠ざかる。自然とミラとの距離も開くだろうか】


/了解です、明日も大丈夫ですので続きはここでお願いします!
99 :キング ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2018/04/15(日) 02:31:06.61 ID:XFW3fch+0
>>54

【名前もなく、姿形も不定形、ただ"影"とだけ呼称されていたそれら怪物は、無残にも霧散していった。】
【後に残るは騎士と魔人の二人のみ。剣と銃がそれぞれの懐に戻れば、改めて互いに互いを見やる。"影"の影響もあってか】
【先程まで光が奪われていた電柱に、灯が戻る。雷と同じく、二人のシルエットをくっきりと港町に落とした。キングはかぶりを振って。】


……バレたか? 傷一つ一つに刺した女の子の名前を付けてるんだ。
こっちの脇腹にあるのがエミリー、それから背中のがノエル、後は―――、

……心臓に近い所のに。"ウェイン"ってのがあるな。
―――冗談だよ、そう気を落とすな。まあ、死人を前に愚痴ってもしゃあねえしな。


【ぽりぽり、と頭を掻く。上手い事言葉が出てこない物だ。何せ数年ぶりの再会、しかも死を乗り越えての其れ。】
【恐らくだが、語りたいことは沢山ある。言いたいことも、聞きたいことも、一緒にやってみたかった事だって、幾つも幾つもあって。】
【だけれどそういった全てが、整理もつかないままにふわふわと二人の間には浮いたまま。どれから手を付けていいか分からない程―――時間は経っていた。】


ハッ。その脚で且つ能力者が、"常人"とは謙虚さもここまで来りゃ見上げたもんだな。
今に"なんたらかんたら異能制限法"だかに引っかかって吊るしあげられるぞ、お前を吊るせる奴が居るのかは知らんが。

―――……それは勘弁しろって。ギルレウスは"漆黒の楽園"にあるセーフ・ハウスできっちり保管してあるんだ。お前に斬られないように、な。
今でも時たま、遊びに行って会話してるぜ。サタンの悪口とか言うとすげえ喜ぶしな。……ま。剣も好きだが、オレにはハジキの方が似合い、だろ?


【昔馴染みの二人らしい、懐かしい単語が次々と飛び交う。そう、きっとこんな感じで良いのだろう。】
【何も格式張ってどれから話すか、決める必要なんてなかった。何方ともなく言葉を紡ぎ、何方ともなく想いを伝え。】
【そうやってぽつりぽつりと、二人の間にあった時間が解け始めていく。溶解した時の壁を跨いで、キングはようやっと彼の手を取る。】


バーカ。墓で寝てたやつと違ってオレはいつでもこんな感じで仕事に邁進してんだ。
鈍るどころか冴える一方だよ、平和にゃ程遠いし有難くはねえ話だがな。少しは鈍ってくれと思ってるよ、ああ。まったく―――、


……クソっ。ああクソっ。―――なんか言おうと思ってたんだ、罵る気満々だったんだ、なのに―――畜生。
ロクでもねえ台詞ばっかし浮かびやがる。また会えてよかった、だと? ふざけやがって、こっちはな、テメェが――――……、クソッ。






―――――……おかえり。


……、いや、まて。やっぱ今のナシだ。まて。もうちょっとイカした台詞を―――、


【一番言いたい言葉は言ってしまった。そんな所だろうか、彼はそれだけ言って黙ってしまう。】
【何はともあれ、"おかえり"と。顔を背けながらそう言って。女性にはすらすら出てくる口説き文句もキザな言葉も】
【こういう肝心な時には全然役に立たなくって。はぁ、と深いため息を一つついてキングは、空を見上げる。―――まあ、とりあえず。】


……、雨。濡れる前に移動するか。よう、男は乗せねえ主義だが1秒につき1万って契約で乗せてやるよ。

【屋根のある場所に移動、か。キングが顎で示した場所にはかつての愛機とはまた違う、】
【レッドにシルバーのラインが入ったスポーティで素早そうなバイクが停まっている。そういえば―――】
【銃に関してもそうだが、矢張り時間が経っているだけに"あれこれ"変わっているらしい。乗るか? とキングはそう尋ねた。】

/おかえりなさいませ!
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 12:37:12.80 ID:dHQFkDBzo
>>27

「多分、全国に適用するつもりじゃないかしら」
「この前起こったテロから、なんにも学んでないのね──」


【武装と能力が噛みあえば、どうなるか──先日のテロでよく分かっただろう】
【それに、主犯の彼らは能力を“無理やり”開花させる薬物も開発したらしく】
【如何に魔防法を盾に事構えたとしても、彼らのほうが上手に決まっているのに】


【プレートの上も徐々に寂しくなってきて、ハンバーグを食べてしまえば】
【残りはソーセージだけになる。惜しげもなく数口でそれを食べると、ナイフとフォークを置いた】
【満足、それだけ。普段こんな食事は取れなかったし、ありつけても酒場の安い食事だけだったから──】

【彼女の食事を見れば、美味しそうな品が並んでいて】
【まあ自身からねだるような事はしないけれど──左手で頬杖をついて彼女の話を聞いていた】


「ま、お互い無理はなしってことで。生き残るにはそうするしかないわ」


【特区で味わった苦い経験は、引くことをマリーに覚えさせた】
【無理だと思ったらすぐに引くこと──要は戦略的撤退とも言えるもので】
【無理をせず、命の危険が迫ったらすぐに離脱する。これが生き残るために重要だと、そう思っていた】

// お返し遅れてごめんなさい、昨日は何も言わず離れてしまいました……
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/15(日) 15:47:45.72 ID:NhnpxeeoO
>>98
【良い値段がすると言われ、少し考え込む。果たして今の自分の給料で買えるだろうか】
【その辺のペットショップに並んでいる血統書付きの連中とはまたわけが違う】
【「金貯まったら声かけるわ」と半笑いで返した。その頃にはきっと欲しくなくなっている】


ま、敵の事情は敵の事情だ。こっちには関係が……………………待て待て待て待て待て!
おい落ち着けって。なぁ!ちょ〜っとからかっただけじゃねぇか!
それに引きちぎられるのはこないだ体験済みなんだよ!
あれ痛ぇんだからな!!ほんとよぉ!だからやめろって!!


【引きちぎられる。その響きに、こちらもついユウトから距離を置く】
【今は触腕を髪に擬態させているから分からないが、先日引きちぎられた傷跡はまだ治りきっていないのだ】
【そして、魔力の使い方のコツとやらを聞けば──難しい顔。直感というのが、一番困る】
【何せこっちはその直感の働かせ方が分からずに聞いているのだが……こればかりは、仕方がない】


…………邪禍よりユウトの説明の方がなんぼか分かる気がすんのはどういうこった
いや、でも────息を吐くように、擬態するときのように…………

…………。…………分かんねぇな、クソ
なぁユウト。“それ”、使ってみてくれよなぁ!
そうしたらもうちょっと分かるかもしれねぇんだ!


【指先に魔力を籠めようとするが──そもそも魔力を込めるとはなんだろうか】
【ぎゅる、と爪の先が変化する。男っぽい指先や子供のもの、マニキュアを施された指など】
【千変万化。やってることといえば、指先だけの擬態だった。だが、魔力を扱うためには】
【“そう”じゃないことくらいはなんとなく分かる。結局、どうすればいいかなんて】
【もっと実例を見なくてはよく理解できないのだ。面白がって悪魔祓いの棒を使えと言いはしたが】
【半分は本気だった。魔力の流れやらを見れば、少しは何かが掴めるような気がする】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 15:52:46.45 ID:kHDDRwano
【路地裏】

【昼間でなお薄暗さのある路地裏には血の臭気が漂っていた】
【原因は散乱した死体。数人の男たちが身体を引き裂かれ、すり潰され、恐怖に引きつった顔のまま絶命していた】
【その場に立っていたのはたった一人だけ。軍服姿の若い男だった】

【ブロンドの髪が僅かに差し込む日光に照らされる。美しく輝く髪は、右目にかかる前髪だけ暗闇のような黒のメッシュ】
【右目には眼帯があり、その周囲には爬虫類のような鱗が点在。左の瞳は碧玉の色合い】
【温和な印象を与える顔つきは、状況のせいか険しい表情を浮かべていた】


…………ちょっと、抵抗が激しかったな
持っていたのが竜の鱗なんて密輸品じゃ仕方ないか
売ればかなりの金になるから向こうも必死だ

…………それでも、竜となればこっちも黙ってるわけにはいかない


【男の足元には開かれたアタッシュケースがあった。中には黒曜色の多角形。竜の鱗だった】
【周囲の死体は密輸グループのものだった。彼らはこの男に偶然見つかり、そして殲滅された】
【当然、その最中には激音が響いていた。音を聞きつけてやってくる人物がいても不思議ではなかった】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 16:02:10.07 ID:dHQFkDBzo
>>102

【フィールドワーク──なんて言葉が存在する】
【現地に赴いて状況を調査し、数字だけでは得られない現状を掴む】
【研究者も小屋の中に閉じこもるのではなく、外へ出て自ら考察するようになった】

【しかし、外出する理由はそれだけだろうか?】
【否、そんなはずはない。散歩や買い物、その他諸々の理由があることだろう】
【研究者然とした白衣を羽織った真紅の髪を揺らす女は、確かに路地裏にいた】


【昼間から、どうもこのあたりはじめついてならない】
【夜間は涼しいが、日差しがあるために蒸し暑さまで感じる始末】
【それでも直接日に当たることはないから、日焼けをすることもないと──】


「んん──?なんか、すっごい音聞こえたけど」


【金属音に悲鳴、爆発音。嗚呼、戦闘に違いない】
【こんな場所でやっているということは、何らかの交渉事なのか】
【それとも殺人をやらかした奴の元に自警団でも来たのか──のどちらかだろう】

【こつ、こつと靴底を鳴らしながら音の発生源に向かう】
【その瞳は好奇心に輝き、口元は期待からくる笑顔になっており】
【一体何が起こったのか、何をしているのか──という野次馬精神旺盛さを伺わせる】


「おやおや、何があったかと思えば。……この感じ、“魔翌力媒体”がある気がするぞ」


【散乱する鱗と死体。一人だけ立っているのは、軍服姿の青年】
【口元と瞳はそのままに、じっくりと観察していけば──なんとなく魔翌力の奔流を感じる】
【魔翌力媒体、と口にした。恐らくそれは、龍の鱗を指す言葉であって──】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 16:02:38.88 ID:TFb9wH4a0
>>102

【昼と言う時間帯には、非常に似合わない】
【似つかわしくない、血と臓物と……戦場の匂いの一部】

「動かないでください……」
「何があったのかは解りませんが、この状況は見過ごせません」

【拳銃を構えながら、その中心に立ち尽くす軍服の男に】
【そう聞いたのは、付近の学校のセーラー服姿の少女だった】
【足元には、アタッシュケースがあるが、何かの取引現場で、話の拗れだろうか?】
【そんな予測を立てながら】

「あれ?あなたは?」

【つい先だって、自分の上官にあたる医官の部屋で見かけた人物?】

「石動少佐の……彼氏さん?」
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 16:08:07.77 ID:TFb9wH4a0
>>103

「ッ!?」
「い、いつの間に……あ、あの……」

【この状況を見ても尚、平静にしている人物】
【白衣を羽織った、深紅の髪の女性】
【声をかけたのは、付近の学校の制服の少女だ】
【拳銃を構えながら、女性に声をかける】

「あ、危ない、と思いますよ……その、この状況……」

【普通ならば、悲鳴の一つでも上げている所ではないか】
【なのに、この女性は極めて冷静に、極めて興味深げに】
【口元には笑顔と、瞳には好機の色が】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 16:12:28.35 ID:BuQUzRC70
>>101

『じゃあ、なおさら都合が良いね……ふふふふふふ』

【――実際に使って欲しい、彼女からその言葉を聞けば】
【両手が空いていたほうが都合が良いのだろう、しかし地面に置くわけにもいかないので】
【持っていた指輪をとりあえず全て指に通して】

『うん、わかった。――と、言うわけだから、邪禍。観念してこっちにおいで』
「誰が行ィくか! お前に"ソレ"を与えたのォは、俺様を討ゥつ為じゃアねェと言ィッただァろうッ!」

【邪悪な悪魔であるそれの弱点は当然のように"聖"。また、同時に籠めていた"魂砕"も苦手とする】
【ユウトはそれを理解しているが故に、弱点属性である2つを実演で籠めたのだ。嫌がらせの為に】
【―― 一向に実演に協力しようとしない邪禍、それに対してユウトが行った動きは】

『堅いこと言わないで――サンダー・E・スパイダー。』 「おォいコラァーッ!!」

【尾の先端、本当に先端部の少しのみが変化し、――これは糸疣だろうか、そこから吐き出される糸は弱いとはいえ電気を帯びていて】
【それに少しの間怯んだらしい邪禍は動きが止まり……ミラに見えやすい角度へユウトは素早く移動】

「GYAAAAAAA!」 『……うん、大体こんな感じかな?』 「なァーにが"こォーんな感じ"だァーーッ!!」

【そして炸裂する、容赦ない、悪魔祓い棒の一突き。シャーベットに熱した鉄棒を刺した時のように、軽々と胸部を貫く】
【よく見れば、棒を持っている方の前腕と手の模様は水色に変化していて】
【良いチャンスだと言わんばかりに、棒へと同一の魔力を流し込み続けていた。……邪禍側もきっちり抵抗しているようだが、やはり弱点とあって中々厳しそうだ】
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 16:12:30.81 ID:kHDDRwano
>>103>>104>>105

【人の気配を感じ取る。数は二つ】
【少し派手にやりすぎたかと後悔した。とはいえ、れっきとした”立場”は持っている】
【問題は騒ぎを聞きつけて殺人鬼の類が来ることの方だったが、その場合は仕方なかった】

【現れた二人の人物。眼帯の男はまず両手を挙げて翔子の方へと振り向いた】
【相手の顔を確認すると「あ」と声が出る。それはついこの間に会ったばかりの人物で】
【────恐らく、酷い誤解をされている相手でもあった】


あー、どうも、この間ぶりですね
えーっと……まだ彼氏とかじゃないんですけど……
いや、”まだ”とか言うのはマズイな…………ともかく恋人ではなくてですね
ついでに言うとこの間のはちょっとした誤解がありまして


【そう言いながら両手を下ろし、今度は白衣の女へと向き直る】
【少女の方は無問題だ。立場も固いし面識もある。となれば、もう一人が何者か考える必要があった】


あ、すいませんね、僕、”こういう者”でして
彼ら、密輸グループらしくって、捕まえるときにかなり抵抗されましてね
この竜の鱗は没収しなくちゃいけないんで、あげたりはできませんよ


【白衣の女と、ついでに少女にも見えるように自警団の手帳を開く】
【つまりは保安活動の一環で行なったことだというアピールだ。適切かどうかはともかく】
【立場が不明な白衣の女への牽制でもある。おかしなことをするならば、と】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/15(日) 16:26:17.08 ID:NhnpxeeoO
>>106

お、お、…………お? おぉおおおお!すげぇ!
魔力を使うってぇのはこんなことまで出来んのか…………ちょっと、触ってもいいか?

おらおらおらおらぁ!邪禍ぁ!もうちょっと頑張れよなぁ!
その感じだとまだまだくたばりそうにはねぇけどよ!ぎゃはははっ!!

【ユウトもユウトならミラもミラ。弱点属性を浴びまくっている邪禍を前にして、この態度】
【もしかしなくても、邪禍が苦手なものを浴びせられているということすら理解できていない可能性はあるが】
【ぎゃはぎゃはと品なく大笑いをして、──ふと、確かめるようにユウトの手に触れようとするのである】
【魔力の流れ。それを見るだけでは物足りないらしい。実際にユウトの手を介せば】
【その“流れ”とやらがより分かるのではないかとの考えだ。実際に分かるかどうかはさて置いて】


…………なぁ、ところでよぉユウト
散々笑っといてなんだけど、あれ大丈夫なのか?
こっちとしちゃ、あいつは割と大事な戦力っつぅか────


【──邪禍に聞こえないよう、ひそひそ声でユウトに尋ねる】
【こんなところで死なれたら、悔やむに悔やまれない】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 16:32:24.52 ID:dHQFkDBzo
>>104-105

「そうかい?拳銃を構えてる君のほうが危なっかしいな」


【冗談を言った後、あははと声高に笑ってみせる】
【此方は“得物”を持たず、彼女は拳銃を持つ。見た目はどちらが危ないだろうか】
【引き金を引けば、人を殺せる道具だ。口元を歪めたまま、手元の動きに気を払いながら】


>>107

「恋仲かぁ、私もそういうのが欲しかった!もっと胸を張って言い給えよ」


【また声高な笑いを一つ上げて、彼の方へと目を向ける】
【誤解と言うのは恥ずかしくて隠すためだと、そう女は受け取って】
【目を細めて、楽しそうに二人と複数の死体を視界に捉える】


(ふむ、面倒くさいことになったな。正義の連中が二人、か……)


【右ポケットから煙草を取り出せば、指先に火を灯してそれに近づける】
【麻草の独特な臭いを漂わせながら、路地裏の奥へと煙は消えていく】
【彼/彼女は正義の連中のようだ。羽織る軍服がそれを証明している】


「えー、そうなのかい。私も世のためになる研究をしているんだけどな」


【といえば、アタッシュケースの中に入った龍の鱗をまじまじと見つめる】
【魔翌力の媒体としては有能な部類に入るし、逆鱗であれば余計に価値は増す】
【彼は密輸品と言っていたが、どうにかして譲ってほしいのだけど──】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 16:39:05.62 ID:TFb9wH4a0
>>107

「え?」
「……恋人同士じゃないのに、あんな事、してたんですか?」

【少女の目つき、顔はより険しくなる】
【目に至っては、まるで最低な何かを見る様に】

「何の誤解があるっていうんですか?……まあ、二人の合意の元なら、別に……いいですけど、ただ軍の宿舎内で、その、ああいう事は……」

【思い出したのか、再び顔を赤らめる】
【やがて、男が自警団の手帳を見せると】
【その部分は、納得したように】

「自警団、ディミーアさんの部下の方、ですか?」

【解りました、と拳銃を下した】

「此方の白衣の方は……知り合いでは無いですよね?」

>>109

「これは、その念の為です……」

【見れば拳銃は既に下している】
【この状況での高笑い、真面な人間とは少し思えない】

「研究機関か、医療機関の方ですか?」

【とはいえ状況が状況だ】
【医療従事者か、あるいは何かの研究者】
【違法品の密売事件の様だったので、その関係で派遣されてきた誰かかと予測し】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 16:45:32.82 ID:BuQUzRC70
>>108

『良いけれど――"魂砕エネルギー"に気をつけてね』
『魂を砕くとは言うけれども、正確に言うとあらゆるエネルギーを砕くモノなんだ。僕はそこまで扱いきれてないけれども』

【自身の手を触れようとする彼女を、ユウトは特に止めることはせず】
【――水の流れというか、血の流れというか。魔力が確かに、棒を経由して邪禍へと移動している】

「こォのタコぉぉーーッ! 止ォめろやァーッ!!」

【ただし――棒に実際に触れている部分とその周辺に触れてしまった場合】
【邪禍に流し込んでいるエネルギーがミラにも流れ込んでしまう可能性がある】
【あえて彼女へ向けて流す理由が無いため、そうなったとしても少量だろうが……】

『――うーん、癪なんだけど多分大丈夫なんだよね』
『一応あっちも"魂砕技"で抵抗してるみたいだし』
『それに、本当にピンチになったら魔法陣生成して逃げるから、今のところは問題ない。そういうことにしといて』

【その怪しげな笑みは事実を語っているのか、それとも彼にとって都合の悪い事実を隠しているのか】
【――胸部に風穴を空け、血の代わりに真っ黒でドロドロな魔力を垂れ流す邪禍】
【向こうの景色が透けて見える人の指のようなモノや同質の欠片が混じっているのは、先程食べていたそれがそのまま出てきたのだろうか】
【……ともかく、それでもなお平気で喋っているので、まあ大丈夫なのだろう。多分】

『あっ、……残念』 「やァッぱりこォいつに与えたのは失敗だァったか……」

【そのうち本当に嫌になってきたのか邪禍は棒に魔力を浴びせ、ミミズのような生物に変貌させてこの状況を収める】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 16:48:35.14 ID:kHDDRwano
>>109>>110


いや、だから恋仲ではなくてですね……
そもそも”ああいう事”とやらをしていたわけではないんですよ
……そのあたりの誤解は後でちゃんと解いておいた方が良さそうですね

あぁ、万里子……あ、いや、万里子”さん”が知っていたから、君も知っているんですね
そうです、ディミーアさんは僕の上官です


【どうにも翔子の誤解は解けていないように見えたが、それは後回しにした】
【本当なら今すぐにでも説明した方がいいのだろうが、それどころでないのも事実だ】
【自警団の手帳をしまって白衣の女を見つめる。碧玉の瞳が見定めるように動く】


(路地裏にやってくる研究者……碌な人じゃない気がするけど)

どうやら竜の鱗に興味がおありのようですね
どういう研究にお使いになるのか、お聞きしても?


【態度や口調こそ丁寧だったが、言外に尋問の気配を匂わせる】
【会話を試みているあたりは白衣の女にとってはどうだろうか、まだ言いくるめる機会があると捉えるか】

【とはいえ、周囲の状況からすればこの男はこれだけのことをして竜の鱗を確保した、と考えることもできるかもしれない】
【容易に差し出しそうな雰囲気はなかった】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 17:00:28.53 ID:dHQFkDBzo
>>110

「研究機関の人間だよ。水の国にある、セラフ研究施設さ」


【セラフ研究施設──最近設立されたばかりの研究所】
【表向きは魔術学や生体工学の実験を行っており、政府からも支援金を受け取っている】
【球体に巻き付いた蛇がシンボルであり、無名ながらも研究を続けている】

【──まあ裏向きは人体実験を行う、機関の研究施設である】
【地上の施設はハリボテに過ぎず、地下で多くの魔翌力に関する実験を行っている】
【中でも、魔翌力を持たない者に魔翌力を与えるという実験を主にしていて──】

>>112


「龍の鱗は魔翌力のフィルターとして使えるのさ」
「強靭な組織は大きな魔翌力を流してもヘタれないからね。高価でたまらないんだ」
「応用すれば、炎の魔翌力だけを取り出して銃弾に込めたりもできるよ」


【セラフ研究施設が研究所だと知っていれば、金銭の節約策だと理解できるだろう】
【現物からフィルターを作ることができれば、安上がりに済ませることができると】
【まあそういうわけで、欲しい理由を一通り述べた。嘘はついていない──ように見えるだろう】
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/15(日) 17:07:18.92 ID:NhnpxeeoO
>>111
【「コンサイ?」そう聞き返す。頭の中ではジャガイモだとかラディッシュだとか】
【その手の野菜がゴロゴロと邪禍に向かって投げつけられている光景が浮かぶ】
【いや、多分違うのだろうと自分でそのイメージを否定するが──エネルギーを砕く、などと言われれれば】
【そんな面白そうなものに、彼女が興味を示さないわけもなく】

【ユウトの手に触れた後、そろそろとその手は棒の方へと移動する】
【血の流れ。力の流れ。轟々と移動する何かの流れを、確かに感じて──途端】


…………っつ!


【エネルギーの逆流でも受けたのか。舌打ちのような悲鳴をあげて手を引っ込める】
【何か破壊されるようなイメージがあった。先ほどまで棒に触れていた手を見ても、異変はない】
【強いていえば、青みがかってしまっているくらいだろうか。血が青い彼女にとっては】
【傷口が腫れると、赤ではなくその部分が青みがかる。魂を砕く──エネルギーの影響か】


いてて…………なるほど、な。いや、色々とあんがとよ
おかげさまでなんとなくのイメージくらいは掴めてきたっつぅか?
それにしても────“これ”に抵抗できることが出来てるあいつ、なんなんだよ
割としっかり痛かったっつぅか…………悪魔ってすげぇんだな

邪禍ぁ!悪ぃな、協力ありがとよー!
んでもって、さっさと胸の穴塞いでくれよ、正直グロくてしょうがねぇ!
お前の腹の中身とかあんま見たくねぇからよー!ぎゃはっ、頼むぜぇ!


【今感じたエネルギーは、本当に邪禍に向けられたもののごく一部にしか過ぎないのだろう】
【だとするならば──巫山戯ているように見えるあの悪魔の強大さが伺えるというもの】
【ぎゃは、と小さく嗤う。とんでもないものを味方に引き込んでしまったと思うと】
【恐ろしさよりもまず、愉しさが込み上げて来た。その感情は中々隠しきれず】
【嗤いながら、邪禍に対しては礼を言うのだ。──協力、というのは。魔力に関してのものだけではなく】
【「んじゃ、ラテでも飲みに行くか」とその後に重ねて告げるのだ。曰く──飲み放題。サイズ自由】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 17:15:45.13 ID:TFb9wH4a0
>>112>>113

「万里子?」

【随分と親し気に呼ぶ様子に、一瞬眉根がぴくりと反応する】
【だが、言い直され、そして話がディミーアの事になると】

「と言うよりも、元々ディミーアさんは我々諜報部の協力者です」
「私と上官の中尉がお世話になってますよ」

【どうにも、ディミーアからは自分達の存在は、部下の人達には伝わっていない様子だ】
【そしてもう一方】

「研究機関?セラフ研究所?」

【確か、比較的最近出来た研究機関だろうか?】
【魔術学と生体学の研究だっただろうか、と記憶を巡らせる】
【そこの研究者ならば、この品物とやらに興味を示してもおかしくは無い】
【あるは魔翌力を辿れたならば、この場に辿り着いたとしても、不自然は無い】
【だが……】
【何かが引っかかる】
【記憶の中の何かが……】

「――ッ!?」

【そうだ、確かこの人物は……】

「アスタン襲撃……Crimson?」

【確か、記憶の片隅のニュース、その報道映像の女性】
【そう呟くように言う、女性には恐らく聞こえる位置だろうが、果たして男性に聞こえたかは不明だ】

116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 17:27:25.22 ID:BuQUzRC70
>>114

【ミミズと化した棒を捨てて――流れていたエネルギーは生物に混ぜなかったのだろう、ただのうねる金属棒である】

『もう、気をつけてっていったのに。……いや、わざとかな?』
『ともかく、何となくでもわかったみたいで良かった』

『――元々アレは聖に抗うモノ。抗いきれなかった結果がコレだけどね。まぁ、だから対応する術もある……のかもしれないし』
『魂使技が絵面地味なクセに色々できるからね。どうやって封じようかな……』

【途中から邪禍を消す作戦の思考に切り替わってしまっているようだが……】
【なお、砕かれたエネルギーの部分はおそらく自然に治癒するだろう、物理的な傷と同じように】

「あァ糞……聖による傷は塞がり難いんだよ! 急に塞げと言ィわれてもだァな……」

【とりあえず詰め物で誤魔化してみるか。……邪禍の手から生成される魔力は、なんというか綿のようなもこもこ感】
【それを胸部の穴に押し込む。……明らかに何かで塞いでます感が強いが、先程よりは幾らかマシか】
【ついでにユウトが捨てた棒を拾えば、魔法陣にへと吸い込ませる】

「ククク、……あァ、行ィこうか。おォッと、レオーテヴュート。お前はどォーする?」
『僕は帰るね。アンタ見てると聖で溶かしたくなって仕方がない。後でお土産よろしく。追加で何かあったらそれもよろしく』

【その言葉の後、レオーテヴュートは闇となり邪禍が生成した魔法陣にへと吸い込まれていった】
【――それから、ミラの後をついていくだろう】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 17:28:18.15 ID:kHDDRwano
>>113>>115

【セラフ研究施設。その名は魔術師であるこの男も耳にしたことはあった】
【政府からも支援金を受け取っている、一見すれば信用のできる組織】
【ただ、最近の情勢からいえば政府からの支援は信用の証明にはならず、むしろ疑念を深める要因となる】

【竜の鱗の利用法に研究者という立場、施設。どこにも矛盾している箇所はない】
【嘘を言っていないのだから当然ではあったが。未だに敵か味方かの判断は難しかった】
【最も気がかりなのはこの場に来て平然としていること、その一点だったが、確信を得るには弱すぎる】


…………何にせよ、これは没収しなくてはなりません
資金繰りの辛さは理解できますが、密輸品の横流しなどしては僕が犯罪者になってしまいます
申し訳ありませんが、諦めてください


【アタッシュケースを閉めて持ち上げる。相手の正体が何であれ、これを渡すことはできなかった】
【自分の立場は自警団だが、研究などの犯罪は極論を言ってしまえば”どうでも良い”ことだった】
【無論、幾ばくかの正義感ぐらいはある。だがそこまで疑わしくない人間をこれ以上詰問するほどでは────】


────待った
君、今なんて言いましたか?
<Crimson>と、そう聞こえましたが


【男の聴力はその小さな呟きを逃さなかった】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 17:39:51.52 ID:dHQFkDBzo
>>115 >>117


「えー、仕方ないなあ。自警団も大変なんだねえ」


【研究者には変わり者が多いと、聞いたこともあるだろう】
【人が死んでいても、それを気にすることはない。研究の対象ではないからだ】
【しかし龍の鱗は貰えないことになり、ぶーたれた顔で彼を見る】

【閉められたアタッシュケースを見れば、諦めるだろう】
【まあ収穫もなかった。ただ散歩にしては刺激的だったし、まあいいやと】
【鉄の臭いを嗅ぎながら、煙草の白い煙をくゆらせていた──】


【Crimson──その言葉に、表情が変わることはない】
【ポーカーフェイスは得意だが、まさかこんなところまで知れ渡っているとは】
【相手は正義連中の二人。一人ならまだしも、二人となれば相手にするには厳しい】

【本格的に困った。どうしようかと、思考が脳内で堂々巡りを始める】
【多分、二人相手だと無理だ。負けるに決まってるし、そんな勝負はできればしたくない】
【流し目をして、表情も薄べったいものに戻っていく。緊急事態に対応する策を、練っていた】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/15(日) 17:42:32.66 ID:NhnpxeeoO
>>116
【「ちょっとあれはキモいな」うねる金属棒を見て、一言。まるで溶かされていく液体金属だ】
【続けて」黒幕退治が終わるまでは我慢しとけよ」と。今度はユウトに釘をさす】
【別にいくら悪魔退治に精を出してくれようが構わないが──黒幕一派を打倒する前に】
【邪禍を消しとばされては、たまったものではないのだ。何せ、数少ない戦力の一つなのだから】


いや、悪ぃ悪ぃ。でも、そのままあの喫茶店行っちまったら女どもの黄色い悲鳴がすげぇぞ?
…………あぁ、もちろん良い意味でってぇことじゃなくって
んでもってそのまま警察に通報だ。ぎゃは、流石にそんなかっこ悪ぃことはゴメンだぜ!

ん、ユウトはもう行っちまうのか。じゃあな、なんかあったらまたメールくれや


【ユウトに大してはひらりと手を振って簡単な別れの挨拶をし──邪禍とはそのまま、連れ立って】
【件の喫茶店へと行くのだろう。「土産、ごってごてのケーキとかあるかな」等と冗談を飛ばしながら】
【約束通り、店での支払いはミラ持ちということになるのだ。会話の内容は、他愛のないものになるだろうか】
【もちろん、何かしらの情報交換をするのであれば応じるだろうが】
【──そびえ立つラテアートを前にして、久方ぶりの休息というものを彼女は感じていた】

/この辺りでしょうか、お疲れ様でした!
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 17:47:23.10 ID:TFb9wH4a0
>>117>>118

「……」

【状況を整理して考える】
【一方はアスタン襲撃のCrimson、その言葉に表情を変えずに、しかし何も言わない女性】
【もう一方は、こちらの呟きが聞こえた様子で、しかしCrimsonその人物の顔等は知らないであろう男性】

「はい、Crimsonと、確かにそう、言いました」

【男性の言葉に、はっきりとこう答える】

「しかし、この女性がそうである確証はありません、私も薄い記憶の中でしか話していないので……」

【それもまた事実だった、確証はない】
【そしてもう一つ、自分自身は現在の立ち位置の為】
【機関員の中の、円卓サイドの人物との戦闘は極力避けなければならない】
【彼女がCrimsonとして、彼女は黒幕側?円卓側?はたまたどの派閥にも属さない者?】
【ようは少女は、自分の行動を決めかねていた、相手の出方次第……】
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 17:58:04.91 ID:BuQUzRC70
>>119

「ククク、阿鼻叫喚となァる店内……最高じゃアねェーか!」
「通報さァれよォーと俺様は問題ねェ……が、まァ」

【今日は遠慮しておいてやろう。――本当に遠慮してくれるのだろうか、不安になる表情】
【一応、顔を見られただけで店内が大騒ぎになりかねない指名手配犯だ】
【懐から出してきた厳ついサングラスを道中で装備することとなる。……それ以外の変装は特に無い】

『うん、またね。……何かあったら、また。……我慢は、まあ善処するよ。うん』

【――】

「ククク、……おォい店員、注文だ。まァず、こォれをだァな……」

【そして邪禍はそのままミラと共に喫茶店で、他愛のない会話でもするのだろう】
【特に追加で聞きたいこと・伝えたかったことも無いらしく、あるいは忘れていただけなのかもしれないが】
【ともかく、いつもどおりの態度だった。色々と上から目線で、そして遠慮の欠片もない。それ】

【――さて、先に帰ったユウトは色々とすべきことが増えた】
【指輪を安全に持ち歩くためのアレコレに、既に敵襲があったとなればUTや研究所を護るための術も用意しなくてはならず】
【そうだ、軍の人たちに指輪を渡す必要もあるかもしれない。後で連絡しよう……ああ、忙しくて忘れないといいけれども――】

/お疲れ様でした!
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 18:00:45.96 ID:kHDDRwano
>>118>>120

【何だか厄介なことになってきていた】
【目の前の女が本当にCrimsonだというのであれば、一つの国さえ落とした大罪人だ】
【いくら主な目的が他にあるとはいえ、見逃すのはあまりにもリスクがある】

【とはいえ、確証は誰も持っていない。尋問するのは良心が咎める。そういう男だった】
【思わずため息が口から漏れる。たまには警ら作業でもと思えばこれだ】


(さて、どうしようかな……アルベルトさんやスクルータならぶちのめすんだろうけど)
(人違いだったら大事だ。かといって、多分、確認するのは難しい)
(賭けに出るのは…………いろんな意味で良くないけど)

んー…………それじゃあ、そうですねえ
とりあえず身分証を見せてもらって、その上でちょっと同行してもらっても?
詳しい話は署で、ってやつですね。そんなに時間はかけないと思いますが


【Crimsonである可能性のある女に、男はこう言い出した】
【ついてくるならそれはそれ。恐らくは口を割らせることは出来ずに、短時間で解放するのが関の山】
【もしも逃げ出すようであれば圧倒的に”黒”である可能性が高くなる。要するに反応の方が重要だった】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 18:08:50.90 ID:dHQFkDBzo
>>122

【あー、まずいまずい。これはまずい】
【彼女がCrimsonと言いました、と言ったのなら更に横目になって】
【どうしようかと急いで思考を巡らす。どうすればこの窮地から脱出できるだろうか──】


「──やれやれ、人違いも大概だな」
「先程も言っただろう、私はセラフ研究施設の研究者だと。どこに機関と関係が……」


【言ってから気づいた。うん、自爆だね☆】
【口端がゆっくりと持ち上がり、歪な形の笑みを作っていく】
【まずいと気づいてから遅いということもある。現実はこんなものだ、仕方がない】

【震える手で櫻の身分証明書を取り出す。本名の欄には赤崎桐子と書かれており】
【それを確認するしないは別として、額から汗が流れ始める】
【自分の意識の甘さに深く後悔しながら、後は彼/彼女の動きによって変わってくるだろう】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 18:20:07.15 ID:TFb9wH4a0
>>122>>123

「……ッ!?」

【まさに、人違い、そう言った直後だった】
【誰も機関の話は口に出してしていない】
【Crimsonの話しかしていないのだ、何故、聞かれても居ない機関の話が出るのか】
【確定だ、この人物はCrimsonだと、しかし、重要なのはそんな事では無い】
【Crimsonがどの派閥群に属するのか、それだけだ】
【故に少女のとった行動は……】

「待ってください」
「何故、Crimsonが機関の人間だと知っているのですか?」

【下げた拳銃を、再び上げて】
【だが、同時にどちらの人物にも、その先を向けられるような姿勢となる】
【必要があるならば、非常に不本意ではあるが、Crimsonの味方をしなければいけない】
【今は、そういう状況、諜報員は決して高潔な正義の英雄ではない】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 18:28:51.08 ID:kHDDRwano
>>123>>124

【女に────赤崎に歪な笑みが浮かび上がる】
【一方の男の方はといえば、もはや苦笑いだ。呆れていると言ってもいい】
【まさかそんなミスを向こうから犯すとは想像もしていなかった。そりゃあそうだ、苦笑もする】


貴女…………もはや同情しますよ
こう、何と言いますか、もうちょっと、ねえ?
ありますよね、本当に…………いやはや


【震える手で差し出された身分証を確認。ついでに顔も確認。冷や汗だらだらである】
【思わず笑ってしまう。気の抜けたような笑いだ。今ひとつ、こちらは緊張感が足りない】
【それは相手が科学者だとかそういうのもあったし、あとは性格もあった】

【とはいえ、あまり気を抜いてばかりもいられない】
【少女の方は銃口を向けていた。本当ならこういう反応の方が普通だった】
【止めはしないが、こちらは武器を向けたりはしない】


ここで色々と話を聞かせてもらえれば、移動や戦闘の手間が省けます
僕もここの死体をこれ以上、増やしたくはありません
彼女も撃ちたくはないでしょうしね、協力していただけませんか?


【少女が緊迫した雰囲気を出しているのを利用して、こちらは温和な表情で対応する】
【アメとムチ、のようなものだ。だが、少女が場合によっては敵対し得るということには気がついていない】
【その銃口の向き方に、違和感だけは覚えていたが】
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 18:45:26.12 ID:dHQFkDBzo
>>124 >>125

【彼女の言葉に、思わずそちらの方を向く】
【なぜそのようなことを言うのか──もしかして、正義ではないのではないか】
【彼女の存在が、自身に希望を与えた。恐らくこの場を生きて切り抜けられる】


「──まあ、誰の死体か分からないけど。聞きたいことがあったら、どうぞ?」


【貼り付けたような笑みから、徐々に自信ありげな笑みへと戻っていく】
【瞳もその輝きを取り戻し、彼に聞きたいことがあったら聞けと言うのであった】
【すぐ側にいる少女の方にも注意を向けながら、二本目の煙草を吸う──】
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 18:54:25.45 ID:TFb9wH4a0
>>125>>126

「では、確認しますCrimsonさん」

【一呼吸おいて】
【問いかけを開始する】


「貴女はどの『派閥』に属して動いているのですか?あるいは『誰』に命じられて?」


【円卓か黒幕か、はたまたそのどれでも無い別の物か】
【少女にとって重要なのはそこだった】
【そして、隣の男性は、こちらとは真逆にどうにも優しい口調の対応だ】
【だが、言葉からすれば男性はこの場での戦いは望んでいない】
【ならば、より都合がいい】
【嚙み合わないならば、行動は決まっている】
【少女は、Crimsonと男性、両方に向かって同時に警戒をしながら】
【問いかけをした】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2018/04/15(日) 19:02:54.48 ID:vTz7mg6O0
何か草だ
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 19:05:44.30 ID:kHDDRwano
>>126>>127

【男も軍服のポケットから箱を取り出し、煙草を一本抜き取る】
【指に挟んだままそれを振ると火が灯る。魔術の無駄な使い方の一つだった】
【煙草を咥えて吸い込み、空に向けて煙を吐き出す。気分が少しすっきりした】

【そこに少女の言葉が挟まれる。脳裏に疑問が浮かび上がる】
【彼女の質問の意味は分かる。今のご時世、派閥といえば公安絡みだろう】
【黒幕なのか円卓なのか。問題は、何故、今そんな質問をしたのか、だ】


(赤崎桐子、彼女が機関の関係者なのはいい)
(それが何で派閥の話になるんだ……? というより、何故それが重要なんだ)
(…………ロッソさん、貴方から聞いていたより状況は複雑そうですね)

とりあえず、彼女の質問には答えてあげてください
僕からはそうですね……ベタな質問ですが、目的でも聞きましょうか
世界征服とか権力とか金とか、色々あるでしょう? 何がしたくてこんなことを?


【厄介なことに、自分の置かれている状況を正確に把握できていなかった】
【そのことは一切表に出さず、質問に答えるように促しながら、こちらからも質問を重ねる】
【大雑把な問いかけだったが、大仰な犯罪を行う相手であれば重要な話だ】
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 19:12:17.81 ID:dHQFkDBzo
>>127 >>129

「──『円卓』だ。誰に命じられたことでもないさ」


【この前のアスタン襲撃計画は、円卓の王の手で組まれた】
【これを言ってしまうとマッチポンプがバレるため、口にしないが】
【それ以降、度々協力をさせて貰っている。その流れで、円卓に加入した】


「目的か……。簡単に言えば、“すべての人間が魔翌力を持てるようにすること”だ」
「一般人だろうが、能力者の素質がある人間だろうが。皆魔翌力を持てるようにする」


【以前から、望んで魔術を使いたい人間のための研究を行ってきた】
【今となっては反体制派として見られかねない研究なのだけど】
【まあこのくらいなら話しても問題はないだろう。他には、と軽く聞いて】
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 19:19:14.43 ID:BuQUzRC70
>>7
//とりあえず再度投げます!
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 19:20:44.35 ID:TFb9wH4a0
>>129>>130

「……ッ」

【喫煙者二人に挟まれ、少々不快な顔をするも】
【銃は降ろさずに、話を聞く】
【そして……】

「……なるほど」

【男性は別の質問をしているも】
【こちらの答えは確定した】
【非常に、極めて不本意な答えだが……】

「では、私は今の所、気持ち半分程度は、貴女に協力するしかありませんね」

【拳銃を今度は男性に向けて】

「非常に不本意ですが……」
「そこの方、石動少佐、ディミーアさん、すみません」
「今は、こうするしか無いのです……大人しくして下さい」

【自警団の男性に向き直り、拳銃を向け、こう言った】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 19:36:47.58 ID:kHDDRwano
>>130>>132

【円卓。そうなのか、という程度の感想しか出てこなかった】
【上官であるディミーアは公安の問題に深く関わっていたが、それは彼の”個人的な行動”だ】
【部下であるこの男は全く無関係、とまではいかないが、積極的に関わる立場にいなかった】


あれ、悪者のわりに面白そうなことしてますね
もっとこう、無茶苦茶な目的があると思ってました

その研究は普通に良さそうですね
僕は元から魔術師でしたが、後天的に魔力を増大させた経験がありまして
うん、いいですね、それは。凄くいいです

ちょっとやり方があれですが…………まぁ、”しょうがない”ですね


【それよりも男は赤崎の目的の方に興味を示した。いや、興味どころか賛同さえしていた】
【魔術は技能である、というのが持論だ。それを全ての人が使えるようになるというのは技能がより一般的になるということ】
【それ自体は歓迎すべきことだった。やり方が少し問題だったかもしれないが、それは仕方のないことだろう】

【何か巨大な目的を達成するためにいくつかの犠牲を伴う。それは受け入れざるを得ないことだ】
【少女が顔を顰めるのでなるべく煙を彼女に向けないように吐く。それぐらいの気遣いはしてもいいだろう】
【────ふと、隣を見たらそこには銃口があった】


…………えーっと?
何でそれ、こっち向いてるんです? 僕、何かしましたっけ?

もしかして二対一で戦うとか、そういう感じですか?
それは…………あんまりオススメしません
君は彼女の同僚ですので殺したくないですが、僕、隊長と違って戦いだすと加減とかできないんで


【驚くような言い方をしながらも、しかし男が慌てる様子は一切なかった。初めからある程度、予想していたように】
【今までに少女にはそういう片鱗があった。理由までは分からないが、こうなることも考えはした】
【銃口を向けられても構えさえしないのは、余裕か傲慢か】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 20:12:14.71 ID:HehRfN3ho
>>131
/まだいらっしゃいますか?
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 20:12:21.63 ID:dHQFkDBzo
>>132-133

「無茶苦茶な目的を持つのは、戦線に立つ人間だけで十分だな」
「普通の研究所で、そんな実験ができると思うか?役に立たないって言われて終わりだ」


【魔術は技術である、ということは彼も存じているのだろう】
【すべての人が使えるようになれば、能力者と非能力者の差はずっと縮まる】
【そう信じて、何年もこの研究を続けてきたのだ。一般の研究所であればできないだろう】


「はあ、君が誰か知らないけど。銃口は下ろしたほうがいい」
「彼も私を[ピーーー]気はないのだろうし、君も余計な事態になってほしくないだろう」


【少女が彼の方に銃口を向けたから、呆れるように首を振って】
【その言葉は暗に身分を明かせ、と言っているかのようで】
【それに彼もそれなりにやり手のようだ。魔翌力を増大させた経験がある、というのだから】
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 20:20:08.45 ID:BuQUzRC70
>>134
/おります!
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/15(日) 20:25:26.81 ID:wD3fXjpv0
>>88


…………、……――――――。


【わざとらしいその声色は、完全に見破られていたといって良いだろう】
【その態度も、金だ、身体だという言葉にも意味がないと見抜いている】
【そも、求める所はそれではない。そんな物は必要ない、という沈黙】
【打ち破られるのは女が地べたに座り込み、指先を綺麗とは言えない地面に付いて】
【深々と。それこそ、殺そうと思えば首を落とせる程に頭を下げると】
【袖で口元を隠しつつも怜悧な瞳を女に向けて、「まあいいでしょう」と言葉をかける】


……少しでも真心という物があるのなら、今後は相手を見て話すことですねえ。

さてさて。貴女もただの白痴ではない、随分とお友達想いな方だと分かったわけですし
何処から話すかを決めましょうか。…――頭、上げてもいいですよ?


【――そこから話すのは、そもそも"黒幕"と"円卓"とは何かという大きな所から】

【政府、機関、公安が入り組んだ複合構造。「魔制法」を勧める"黒幕"の野望を食い止めるため】
【鈴音をはじめ、悪魔や機関のナンバーズまでもを巻き込んだ"Mチーム"という存在が発生し】
【中でも―これは多分に予測が混じっていたが―鈴音はその中心的な存在になりつつあって】

【一方で、自分はMチームを支援する、"円卓"の支配者に雇われた存在であり】
【いわば実働部隊にあたる鈴音に会ってみようとしてみたものの】
【大々的にUTを訪れるわけにもいかず、不安の残る通信も使いたくはない】
【ではどうするかと動きあぐねていた所である、なんて話をして】

【それから、鈴音が電話に出ない――あるいは出られないのは】
【"黒幕"側の六罪王であるロジェクト、もしくは"婦警"が原因ではないか、とも口にする】
【拘束、恐喝、恫喝、拷問、人質。幾らでも手段や状況は想像できたが】
【結局の所は分からない。それで貴女は何か心当たりがありますか、と――そこまで言って、妖狐は口を閉じた】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 20:29:12.50 ID:TFb9wH4a0
>>133>>135

「不本意ですが……」
「し、仕方、ないんです、彼女の事は見逃してください」

【見れば銃口は震え、言葉は覚束ない、要領を得ない者に代わっている】
【本心は……】

「現在の立場上、私はどうやらこの人に……機関員Crimsonに味方しなければいけないらしくて」
「すみません、どうか見逃して下さい」

【それは只の意思表示】
【少女も本気で事を構えたいとは、微塵も考えて居ない様だ】
【立場や立ち位置上、そうせざる負えない、それだけで】


【だが、状況は全く予想のつかない方向に転がり始めた】


「……」
「櫻国魔導海軍曹長、那須翔子……」

【それだけCrimsonに告げた】
【自らの所属、階級、名前】
【そして彼女の言と男性の言】

「……本当に、彼女と戦う気は無いんですね」

【見れば、機関員の研究に興味深げな男性】
【どうにも本気で、戦いを起こす気は無い様子だ】
【これはかなり意外だった】
【ディミーアの部下と言っていた為、てっきり円卓サイドのCrimsonと知れば、即交戦状態に入る物と考えて居たためだ】
【ならば、こちらもこんな物を晒す必要はない】
【半分演技みたいな物だ、意味など無い】

「良かった……すみません、こうしなければいけないらしいので、今の内だけは……」

【男性に構えた銃を下す】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 20:32:59.94 ID:HehRfN3ho
>>7

【森の中に相応な、何とも豪勢な雰囲気の二人】
【落ち葉を踏みしめる音がしたなら、その先には一つの人影があって】
【うーん、いないなぁ、なんて声が漏れた】

【少女がひょっこりと藪の中から顔を出した、二人を見つけて、ぺこりと挨拶】
【お食事の準備中失礼します、と声をかけて近づく】


……あっ、すいません! この辺りで野生の鹿見ませんでしたか?
少し変わった子で、角が片方だけ欠けた子なんです
多分前にも猟師か何かに襲われたんでしょうね……すっかり怯えてたんですが

ちょっと前からこの森に来てて、その時に仲良くなったんですよ
……こっちに来て、まだ友達が少なくて──それもあって
今日も会いに来たんですけど、全然姿が見えないんです


【染めたての茶色い長髪を、紅細工の簪でポニーテールに結って】
【紅いキャミソール状の半襦袢の上から、長い白羽織を着こなす】
【黒いニーソにブーツ、黒曜石色の瞳をした少女であった】
【白木と黒木の鞘に包まれた太刀を二本、左の腰に添えている】

【うーんと言いながら辺りをきょろきょろしているだろう】
【──絶賛解体中の鹿、その角を見てみればもしかしたら片方欠けているかもしれない】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 20:41:31.86 ID:kHDDRwano
>>135>>138

【震える銃口に覚束ない言葉。誰が見ても分かる。彼女はこういったことに慣れていない】
【実際のところ機関員を見逃すというのは、かなり微妙なところだった。上官たちは殲滅を命じるだろう】
【だがこの男自身は、機関員そのものに恨みはなかった。今回のように、必要であれば柔軟に対応する】

【銃が下されて、一度、煙草の煙を空へと吐き出す】
【表情には安堵。赤崎とは戦う必要がなく、翔子とは戦いたくない、というのが本心だった】
【それが回避できたのであれば、何も問題はなかった】


軍属ってのは厄介ですね、自分の考えとは違うことをしなくちゃならない
軍属だったことはありませんが、企業務めだったので苦労は分かります
世の中、どういうわけか、自分以外の人に命じられなければ生きていけない。おかしな話ですよ


【翔子の表情を見れば、それが本心からくる行動ではないと、すぐに分かった】
【言葉には深い同情があった。遠くを見つめる碧玉の瞳には、ありし日の記憶が映っていた】
【頭を軽く振って、現実に意識を引き戻す。今度は赤崎に向き直った】


何かと面倒な状況になっているのは知っていますが、僕は公安絡みとは無関係でしてね
そういうややこしい話よりは、貴女の研究の話が聞きたいところです
何でしたら、個人的に協力することも出来るかもしれませんね


【翔子と赤崎、それぞれにどう映るだろうか。男は協力さえ申し出るのだった】
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 20:41:38.77 ID:BuQUzRC70
>>139

「あー、けっこォーくるなコレ」
『無理はしないでください。一度に治せる傷ではなかったということは、それだけ重いということです』

【まくった袖を元に戻しつつ、鹿の解体に勤しむ男。時々痛みからか手が止まり】
【一方の女性は黙々と作業にあたる。2人ともかなり手慣れてるようで、これが日常的な行為ということがわかる】
【――当然のように血に怯むことはない。なかなかグロテスクな現場となっているが】

「――野生の鹿? いっぱいいたぜェ」
『そうですね、この辺りは鹿が多いですから……なるほど、角が片方だけ欠けていると』

【ちらり、自身が解体している鹿の角を確認する。……なんだか、片方だけ欠けているような】
【諸事情により争いごとは避けたい。女性はいかにも解体作業の一環であるかのごとく移動する】
【移動先は、相手から角を隠すような位置取りだ。ちょっと露骨な気もしないではない】

「そォーいえば、コイツの角ちょっとなんかなってたよォーな。片方だけ」
『気のせいです。それか、あなたが蹴った時に割れたのでしょう』

【そんな女性の配慮に全く気が付かない彼は、彼女を背中から撃つような真似をするのだが。】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 20:51:50.70 ID:dHQFkDBzo
>>138

【櫻国魔導海軍、という言葉を聞けば目を見開いて驚きを示す】
【一国の軍隊が、円卓に与しているというのだ。思わず驚いてしまったらしく】
【暫くして考えこむように右手を顎に添えた後、静かに口を開いた】


「那須翔子ね、よろしく。私は赤崎桐子、Crimsonの方が有名だろうか?」


【彼女の名前と、自らの名前を噛みしめるように言う】
【しかし不思議な感覚だ、混沌を招く機関の一派に国軍が協力しているとは】
【彼女に銃口を向けられていないことにも、実感が湧かないでいた】


「ほう、私の研究の話か。よろしい、ならばざっくりといこう」
「ヘモグロビンのように大気中に存在する魔翌力を呼吸によって取り入れる、MGC因子を投与する」
「この因子は細胞内に入り込み、増殖とともに数を増やす。故に若いうちに投与する必要があるわけだ」


【研究の話が聞きたい、と言われて目を輝かせて自身の研究の話をする】
【細胞内に投与された因子は細胞分裂とともにその数を増やし、次第に貯められる魔翌力も多くなる】
【しかし細胞分裂により数を増やすために、比較的若いうちに投与する必要があるようだ】
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 20:53:09.78 ID:HehRfN3ho
>>141

【──ぴくり、彼女の耳が反応する】
【"鹿"──? 男性の失態はまずその一手、通常あまり自然生活に触れていない少女は】
【解体されている様子を見ても、それが何の動物か分からなくて】

【──そんな筈ない、と焦る気持ちを抑えた】


あ、あはは……! そうですよね、し、鹿なんて一杯いますよね!
祖国にも一杯いましたし! 春になると落ちた桜を食べに来るんですよ
お腹壊すかもしれないからって、言ってもすぐに来ちゃって……

あ、あら? 角が欠けてる鹿が他にもいらっしゃるんですね
いやー世の中は広いですね! もうびっくりです!
久しぶりの本土も驚きがいっぱいな──


【お願い、と念じながら二人に近づいていくだろう】
【爽やかな春の香り、櫻の香りに近い淡い芳香が流れて】
【彼女は見る、解体中の鹿の顔を──多分常人にはわかるまい】


────!! あぁ…………!!
瑠璃ちゃん……こんな姿になって……!!


【愕然、との言葉が相応に、がっくりとその場にうずくまる】
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/15(日) 20:57:58.95 ID:hWBJj/qH0
>>137

【冬ではないからそう冷たくない地面の温度。それはかえって生ぬるくって不愉快だ、よく分からない生き物の背中に乗っているかのように】
【それでも黒猫の女は静かに――相手がルールに則った言葉を発するまで、そのままにしているだろう。しんとした静寂――やがて言葉があれば、するりと持ち上がる】
【重力に任せて落ちた髪を耳にかき上げて――赦して"いただいた"礼を簡素に。ただしそこはすでに本筋ではなく、話題は変わる――すらと立った足にはまだ砂粒がついていたけど】

…………、いいえ、知りません、何も。
近頃……そうですね、避けられているのかとは、思っていたのですけど、……そういう方ではありませんから。

【――第一声は、それだった。ならば先ほどの態度もやはり本当だったのだと知れる、この女は、何も知らない。――知らされていない、意図的に】
【助けを求めることも、協力を仰ぐこともなく、まして最近は距離を置くようにしていたというのだ、ならば、あの少女は、この女を巻き込まないように動いていた】
【…………と思って、おそらく間違いではないだろう。ついでにこの女からするとそうやって人を避けたりする人ではない、らしい】

そうしたら、昨晩辺りから本当に連絡が取れなくなりましたので。

【曰く、メールは判断できないのでともかく、電話は今までは鳴っていた。通話アプリも既読のマークはついて、要件次第では返って来ることもあった】
【だけど――昨晩からは電話は鳴ることもなく繋がらない。通話アプリの方も全く見ていない、ということらしく。しばらくそんな態度が続いていた、ということもあれば】
【こんな脂っぽい細道で鬼のように相手の携帯に通知を送っていたらしい。それもどうかと思うけど――ひとまずそれは、さておいて】

――――――、わたくしたちも、別に、過度に関わっているわけではありませんので。大人……ですから、お互いに。

【どうとも表現しがたいような、表情だった。おそらくこの女は相当あの少女に入れ込んでいる。そのうえで――全く何も知らされていなかったことを、本人でない、他人から聞く】
【まだ目の前のやつが嘘を言っているんじゃないかとどこか疑うような目をしていた。その反面で、本当にそうだったなら――絶対に言ってくることはないだろうな、とも、思った】
【家の場所は知っている。職場も知っている。仕事の内容も。けれど、あの少女の全部を知らされているわけではない。幼馴染だからと言って、何もかも知っていることは、ない】

【そういう意味では――あるいは相手よりも"知らない"。ただ相手より優れている知識があるとしたら、それは、もう、少女がどんな風であるかとか、そういう、話になって】
【それも無関係ではないのかもしれないけど――とにかく、連絡がつけられない時点で、この女から聞き出せることはあまりない、のかもしれなかった】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 21:01:49.47 ID:TFb9wH4a0
>>140>>142

「すみません、ありがとうございます……」

【何とか理解を示してくれた男性により】
【穏便にこの場は運ぶだろう】
【無い胸を撫で下ろし、銃も下す】
【しかし、軍歴が無いと言うのは少々意外だった】
【その軍服は、民間軍事会社出身だろうか、少し注視する】

「……Crimsonさん、そちらの名前の方が馴染は深いですね」
「誤解の無いように言っておきますが、我々は一時的に円卓側に手が出せなくなっているだけです……手を貸しているわけではありません」
「今だけ……事が過ぎ去れば、円卓側も貴女も倒しに行きます」

【それだけ、渾身の悔しさを込めて、冷たく言うのだった】
【兎にも角にも、この場の戦いは回避されたようで】
【やがて、男性が聞いたのか】
【Crimsonが少々楽し気に、自分の研究の話をする】

「つまり、若いうちに投与した特殊細胞によって、爆発的な魔翌力量を成長と共に得られる、と?」

【自分なりの解釈を確認する様に】
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 21:06:30.57 ID:BuQUzRC70
>>143

「おォー、いっぱいいるぜ! そこから美味しそォーな奴か何か良い感じな気がする奴を狙うんだ」
「ん? どォーした? 鹿の顔なんか見て。普通の顔だと思うぜ」

【女性の隠蔽工作虚しく、相手に見られてしまった鹿の顔】
【――やはり女性の勘は正しかった、この男が狩ってきた鹿は彼女が仲良くなっていたというそれ】

『……えーっと、ご愁傷様です』

【とりあえず何かしらのフォローをしなければ。そう思った女性は口を開く】
【が、元々声の抑揚が控えめで感情的ではない。故に、この言葉もあまり心が籠もっていないような言い方になっていて】
【――実際、彼女に申し訳ないという気持ちはなく、この場を凌ぐための言葉を考えただけ】

「こいつ、あんたの友達だったのかァ、ゴメン!」
「まァ、もうどォーしよォーも無いし、一緒に食うか? 土に埋めて欲しいなら、もったいないけど埋めるぜ」

【そして、男はとりあえず何か肉を食べたいのだろう。無邪気な様子で、そう提案する】
【状況が状況だからか解体の手は中断されている様子だ、女性もそう】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 21:09:31.54 ID:kHDDRwano
>>142>>145


生物系はさっぱりなので、それぐらいの説明にしてくれると分かりやすくて助かりますね
ただ、それだと成人が使えなくてちょっと不便そうですね…………
勿論、そのあたりの認識はおありだろうとは思いますが

理屈は僕の方とはだいぶ違っていそうです
……というよりは、僕は自分の魔力を増やしたメカニズムまではよく分かってないんですけどね


【赤崎の話を興味深そうに聞き、男は相槌を打つ】
【不可思議に思われるかもしれないが、自分の身体についてはよく分かっていなかった】
【”理由”が”理由”だった。右手の指が、右目の眼帯の周囲にある鱗をなぞる】


あれ、意外と興味あるんですか?
君がいるのでこの話題は別の日にしようかと思っていたんですが
そういうことなら、続けても平気そうですね

あ、それと、僕がいたのは地の国の小さい企業だったので
あんまり見ても分からないと思いますよ


【翔子が話題についてきたのが少し意外に思えて、こんなことを言う】
【それから彼女の視線に気がつくと出身についての補足を入れる。民間軍事会社も沢山ある】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 21:12:53.08 ID:HehRfN3ho
>>146

【例えそこにどんな意図があろうとも、投げかけられた言葉は慰めの音律】
【こくり、と小さく頷く、ぺたんと鳶座りに脚を曲げてお尻を着く】
【黒曜石の瞳を虚ろに濡らし、ふふ、と小さく笑った】


えぇどす……そんなん、食べはったら余計に悲しくならはるし……
ごめんなさい、私が悪いんです……私が、私がもっとしっかりしてれば……
ごめんな、瑠璃……ダメなお姉ちゃんで、ほんまに……

もっと生きたかったよな、もっと色んなことしはって
可愛い着物着てはって、お姉ちゃんって──いつか呼んでくれるって


【暫し呆然と言葉が漏れる、完全に危ない人一歩手前】
【というより別の何かが混線しているようで、明らかに鹿じゃない瑠璃がいる】
【少しすれば落ち着きを取り戻したのか、頭を振って二人に向き直る】


……お騒がせしました、ええ、本当に──
大丈夫です、落ち着きましたから、えっと、その
お食事の準備中だったんですよね、代わりにお手伝いしましょうか?

こう見えても、刃物の扱いは得意ですよ


【務めて平静を装って小さく微笑む、無理のある笑みだが、少し雰囲気が和らいだ】
【ちらりと視線を自分の腰にある刀へ向ける】
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/15(日) 21:19:57.38 ID:wD3fXjpv0
>>144


ふうむ、なるほど。それはまた、釈然としない状況ですねえ。
私が聞き及ぶ限りでも鈴音さんというのは随分と人当たりが良いようですし
半日程度ならともかく、昨晩からとなるとやはり何かあった、という推測が強まるわけで。

まっ、貴女と彼女がどんな関係かはとんと知りませんがっ。
……気になるのなら行ってみます?UNITED TRIGGERに。


【鈴音という少女がどういう人物か――親しげな人物から聞く必要性は、確かにある】
【ただ、今はまだ良い。それよりも、実を言えばいくつか言伝を預かっていて】
【それを直に伝える事が、このクズノハという妖狐の中では大事であったりして】

【故に、提案する。此処でいつまでも返事の兆候も無い携帯を弄り続けるよりも】
【いっそ現地に行こうじゃないか、と。そういう点で、自分は鈴音と直接の知り合いではなく】
【なにより、見た目故に警戒されかねないことも理解をしているようで】


そこで貴女の出番、というわけで。言うなれば緩衝材のようなものですかねえ
……UTに居なかったらお手上げですけど。


【「どうします?」と女に問う。結局の所、クズノハからすれば相手は"便利な存在"に過ぎない】
【鈴音という対象と接触するにあたっての繋ぎ、なんていう程度の見方でしかない】

【けれど、そんなものは敏い彼女ならきっと容易に気付けていることだろう】
【その上で利用するかどうか、という程度の話。――断るのも、選択肢として無いわけではない】
【ただその場合は――何かごそごそと、妖狐は小さな物品を取り出すのだが】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 21:27:30.91 ID:BuQUzRC70
>>148

「まァ、うん、よくわかんねェーけど、鹿って服着れるのか?」
『いえ、何か色々と混線しているような気がします……』

【目の前で起こっている状況がすぐには飲み込めなかったのだろう】
【男の頭の上に発生するクエスチョンマーク。なかなかの輝きを誇る逸品だ】
【女性は少しだけわかったようだが、下手に口を挟むと更にややこしくなる気がして】
【結果として、2人は相手が落ち着きを取り戻すまで触れないこととなる】

「お? 良いのか? 俺ちょっと腕怪我しててよォー、手伝ってもらえるとありがてェーぜ!」

【そして再びまくられる片袖。……そこから現れるものがすぐに変わるわけもなく】
【ちょっとの怪我とは到底思えない、そして食事時には相応しくないビジュアルの腕が現れる】

『だから、まくらなくていいです。……よければ、お願いします』
『あまりモタモタしていると、鮮度も落ちますし』

【その言葉の後、女性は解体を再開するだろう。男はそれに続くが、状況を見て離れるかもしれない】
【もちろん、女性も相手の解体方法によっては一旦手を止めて距離を取る】
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 21:37:08.87 ID:HehRfN3ho
>>150

【少女は男性の腕を見て、眉をひそめた。──白百合の頬に雲間が出来て】
【失礼します、といって指先が伸びるだろう、傷の具合を確かめる様に】
【ピアニストの様な指を這わせて、大きな瞳を近づけた】


……これは酷いです、今まで見てきた中でもかなり重傷な方です
というか、全然ちょっとじゃないですよ……! 良くこれで日常生活が出来ますね!
もう、こういう怪我をした時こそ安静にしなくちゃいけないのに……

これ、普通に事故とかで付いた怪我じゃないですよね
──"能力"の影響を、強く感じます、そうじゃなきゃこんな傷口にはなりません
どうされたんですか?


【滔々と言葉を紡ぐ、流麗な音色は宛ら夜想曲】
【鬱蒼と茂る森の雰囲気、宵月が深みを増す頃合い】
【──何となく感じるは不穏、言葉の端を静かに緩めて】


分かりました、では私に任せてください
解体する箇所を示してくだされば、言葉の通りに刃を入れます
……まさか、瑠璃に──私が、私が、手を下すなんて

痛かったやろうな……堪忍な、私がもう少ししゃんとしてはったら
ううん、何を言わはっても、もう遅いんやけど──
最後にな、しっかりと、役目を果たさはってな


【……少し怖い響きが交じるが、恐らくは大丈夫】
【何も無ければすぐに解体は終わるだろう、それ程までに太刀筋は見事】
【刀の扱いには手慣れている様子が伺える】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/15(日) 21:44:23.80 ID:hWBJj/qH0
>>149

……元から、夜はあんまり連絡がつかないのですけれど。お仕事ですから。わたくしも"そう"ですし……、ですけど。
"変"でしたから、連絡するようにはしていたんです、なにより――、こんなふうに電話までつながらないのは、初めてですから。

【鳴りもしない。それはつまり本当に携帯の電源が切られてしまっている、ほかの証言も合わせるにそれは確実であり、ただ、分かるのは携帯の状態だけ】
【件の少女が拘束、恐喝、恫喝、拷問、人質その他いろいろある可能性の"どれ"に当てはまっているかは分からず、けれど、旧いのだろう友人曰く、よっぽど異常だと言う】
【気づけば女はひどいストレスを感じているかのような顔をしていた。腕を組むような――自分を抱くようにして、ちらりと、伏し目がちな目を相手に向ける、少し睨むような】

……――そう、ですね、それは確かに良い案だとは、思いますけれど。
ただ。聞く限りですと――、今わたくしに会いたくないのでしょう、鈴音さんが無事なのであれば、ですけど。

【繋ぎとして使われることに異を唱えるほどに自分が上等な人間であるとは思っていない。それについては、構わない。そういう態度だ、ただ、言葉はそれを一度否定する】
【確かに自分が行けば彼女に何かを思わせることはできるだろう。だけど――長いこと緩やかに距離を取られていたのを思えば、それは、自分が行ってはかえって刺激しかねない】
【どうあれ物事を動かそうとするだけなら良いのかもしれないけど――もしかしたら一緒に訪れる相手の印象さえ悪くなるかもしれない。お前のせいだと言われぬ保証はない】

わたくしとしては。その話は関係なく、幼馴染ですから――、様子を伺いに行くことに、問題はありませんわ、……。
――その話を聞いた後ですから、問題があると言いますけれど。それに……政府だの、公安だの……まして悪魔や機関員ですって? 少し話が大きすぎるかと思いますけれど。

あの子は、ただの――……、

【――あるいは相手ならば気づくだろう。渋る女の言葉は、「嫌われたくない」と言っているみたいだった、そうされているなら、そうされていよう、という消極的な肯定】
【物事を知った後でもそうしていようという――それは確かに優しい温度のものではあったが、わざと放っておこうという意味にも似て、どこか冷たくもあり】
【今更になって口に出すのは、そもそも相手のした話の規模が大きすぎる。訝るような目、そうして紡ぐ声は――あるいはそうであれという願望にも似た、もの】

【今になって"ただの"なんてことはありえない。少なくとも、相手にはそれが分かるだろう。この件に関わって、今音信不通になった少女は必ず何かに巻き込まれていて】
【だけど。だけど――何も知らされずに、知ってなお、少女の望むままであろうとする彼女は、自分の願望も込めて――口にする、あるいは、日常に縋ろうとするかのように】
【大事に想っている人に嫌われたくない。どうやらそれが彼女の中に強くある感情のようだった。――そしてそんなの、こんな状況ではもはや通用するかも怪しい、くだらない気持ちでもあって】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 21:51:59.83 ID:BuQUzRC70
>>151

「見た目程じゃアねェーぜ、この傷。動かせるし食べ物も持てるから、軽傷だぜ!」
「でも、あんまり強く触るなよォ? わりと痛ェから!」
『ちなみに彼の言う"わりと痛い"は、一般人の言う"なかなか痛い"と同義ですからね』

【少しの刺激でも響くのだろうか、指先が腕を這えば少しぴくりと反応を示して】
【けれども、表情にまで痛みが伝搬しているわけではない。それだけ見ていると、本当に"わりと"な程度の傷に見えるが】

「――まァ、車に轢かれたとかの傷じゃアねェのは確かだ」
「なんというかよォ、ほぼ"自滅"っていうか。ちょっと前に嫌な臭いの男に襲われてよォ」
「それでまァ、色々あってこォーなった! アウに治療してもらったからだいぶ治ったけど!」

『……その"色々あった"の部分が聞きたいのだと思われます。補足しますね』
『特区――ってご存知でしょうか。カミスシティ。それに偶然立ち寄ったところ、彼は謎の薬を打たれてしまいましてね』
『結果として、人間やそれに準ずる存在へ害を齎すだろう行動をすると、無意識的に自滅する体質になってしまったのです』

『そして、彼が言う男に怒り任せに反撃したことで、骨まで崩壊してしまいまして。治療術では治しきれなかった結果がコレですね』

【――特に恨み辛みが籠もったわけでもない、世間話のように語られる現在の彼の状況と経緯】


『そうですね、では――』

【彼女は幾つかの指示を出していくだろう、そして彼女自身も解体を行って。……男は休憩して】
【特に何事もなく、綺麗に解体された鹿が誕生する。――女性は、ポケットから原理はともかくフライパンを出し、カセットコンロに置いてある鍋と交換した】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 22:03:01.40 ID:HehRfN3ho
>>153

【それは宛らシャベルで砂を掬う様に、情報が次から次へと流れ込む】
【少女は目を白黒とさせて、一つ一つの情報を噛み砕いていく】
【えーっと、と言葉を告げた少しの幕間には丁度いい】


……"特区"──ですか、すいません、あんまりこっちの事情に詳しくなくて
実は私、先日まで『櫻の国』に居たので……そうですか、こっちにはそんな街があるんですね
しかし、お伽噺の様な薬ですね、人に危害を加えると自滅するだなんて

って、ええ!! ほ、骨まで溶解されたんですか!?
寧ろそれで、よく之だけの傷で済みましたね──
治癒術、ですか……!! 凄い、其れは貴方の能力だったりするんですか?


【大きく目を見開いて驚きを示す、表情が豊かな娘であった】
【はぁーと感嘆の声を漏らして、目の前の女性に羨望の眼差しを向ける】
【……男性にはある種の畏怖に近い眼差しを向けているが】


こんな所でしょうか、それにしてもわかりやすい指示でした
普段からこんな感じで、狩りなどをされているのでしょうか?
……本土には出てくるものですね、知らない事に多く出会えます

ここ数年仕事ばかりで、人付き合いもめっきり少なくなりまして
ふふ、こうしてると何だかキャンプに来た気持ちになります


【解体をする中で元気が出てきたのか、そんな茶目っ気のある言葉も交えて】
【少し遠くを見つめながら言葉を紡いだ、豊かな音律に憧憬が重なって】
【響く旋律は故郷を思う慕情に近い音色】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 22:12:53.08 ID:dHQFkDBzo
>>145 >>147

「はは、いつか倒す、か!」


【その笑いには、倒せるものなら倒してみろという】
【彼女に対する挑戦のような──そんなものを含んだものだった】


「成人だと使えない、ここが中々のジレンマなんだ」
「──自分でやっておいて分からないことも、やはりあるんだな」


【彼は魔翌力を増大させるメカニズムはよくわかっていないようだ】
【何故なのか、という詮索はやめておく。そのほうがいいだろう】
【彼は、この前の軍属と同じように容赦をしないだろう。血を流すのは御免だ】


「君の言うとおりだ。若いうちに投与することで、成長とともに同時に保有できる魔翌力量を増やす」


【彼女の解釈は正しい。説明一発でここまで分かるとは、さすが軍属】
【かわいい外見とは異なり、なかなか頭脳は明晰なようだ】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/15(日) 22:16:58.40 ID:wD3fXjpv0
>>152

【UTに行って、様子を確かめる。――乗り気ではあるが、消極的】
【そんな目の前の女の様子を見て、クズノハは露骨にため息をついて見せた】

【確かに、相手は何も知らないのだろう。鈴音、という少女との関係も複雑に思える】
【いや、複雑どころか若干の依存すら伺える。その関係自体は、まだ構わない】
【ただ思い込みが入り交じるのが、合理性を尊ぶ妖狐からすれば気に食わず】
【プライベートスペースを作るように組まれた腕を見れば、思わずこちらから手を出して】


――あのですねえ、ジルベールさんって知ってます?

ほら、路地裏でお金を貸してる方で。絶対に取り立てることで有名とかなんとか?
その人なんですよねえ、私の雇い人。……少しくらい、聞いたことありますよねえ

【相手の腕を掴む。考え込み、負のスパイラルに落ちそうな彼女を強引に上向かせる】
【現実を見ろとでも言いたげに出した名前は、こと路地裏においては有名な存在】
【金貸しのジルベール・デュボン。小銭でも多額の資金でも即金で貸すが、必ず回収もする】

【国だ悪魔だカノッサだと言うよりも、路地裏の住人ならば余程親しみがあるだろう名前】
【それを出すことで、話の現実味を一気に強める。――狙いは、それで】


ええ、鈴音さんはただのなんです?世論を牛耳る"黒幕"を打倒しようとするチームの核心?
UTと軍隊、機関に悪魔。相容れない存在を繋ぎ止める生きた楔?
……貴女にとっての幼馴染でも、世界からすればそうではないわけで。

面倒ですし、行きますよ?……といっても、私も役に立ちそうにない方を連れて行きたくありませんので。
行きたいなら、会いたいのならきちんとそう意志の表示をして頂けますっ?


【差し出したのは、手。握るか握らないか、その二択だと突きつける】
【握ればUTへと共に行く。そうでないのなら一人で向かう、彼女は置き去り】

【もしも10秒以上も逡巡すれば――ばっさりと切り捨てるように、手は引かれて】
【妖狐は尻尾をひらりと揺らし、その姿を消すことだろう】
【ただ、反対に。娼婦がその手を取ったなら、僅かなめまいの後に――UT。酒場風の拠点前に、空間が変わることだろう】
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 22:25:57.41 ID:TFb9wH4a0
>>147>>155

「――ッ」

【Crimsonの高笑いに、非常に悔しそうな顔を向ける】
【直ぐにでも捕縛、尋問にかかりたい所だが】
【最も、現状の状況ではその考えの行動は最悪の悪手だが】

「はい、興味と言うか多少理解が出来る位ですよ、本当に多少ですが……」
「本当に詳しい事は、ちょっと解らないかも、ですけどね」

【男性にそう答える、専門ではないのだが】
【魔導海軍、一応櫻の国の異能、魔能機関では最新の部類だ】
【少なくとも、士官学校飛び級、ハンモックナンバー10以内は伊達ではないようで】

「何歳までならば、その細胞の投与は効果を発揮するんですか? 説明だけ聞くならば、思春期以後18歳まで、とか?」

【こちらはCrimsonへの質問だ】
【情報集などの野暮な話ではなく、純粋な興味で】
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 22:26:28.11 ID:BuQUzRC70
>>154

『櫻の国から――そうだったのですか。ただ、私たちも詳しく知っているわけではありません』
『……こうして被害があって初めて情報を収集し始めたくらいですし』

「本当酷ェ薬だぜ! 他人にコブラツイストかけるくれェーいいじゃん」
「ヘケケ、耐久力には自身があるんだぜ、俺。後は気合で何とかした!」

『――そうですね、まあ能力でしょう』
『腕がもげた程度ならば傷跡残さず治せる程度には、治療の技を扱えます』
『……今回のように傷が深すぎる場合は、さすがに一度には治せませんがね』

【そして女性が取り出した1つの小瓶。おそらく何かの調味料だろう。中身はよく見えないが……】
【それをフライパンの上で傾ければ、出てくるのは少量の油。……確かに一応調味料か】
【その上に鹿肉を乗せて焼き始める。――そこまで長い時間は要さずに焼けるだろう】

「そォーだぜ! 狩りで食料調達しねェーとよォ、金が幾らあっても足りねェーからなァ」
『本当です。食べ放題の店の出禁が増える一方で困ります』

『……キャンプですか。確かに、そんな感じかもしれません。私たちはキャンプ状態の日ばかりですが』

【悪くないですよ。――言葉には出さなかったが、少しばかりの柔らかい表情で暗に言う】

「ところでよォ、櫻の国って最近どっかで聞いたよォーな……いや、国名だから色んなところで聞いてると思うけどよォ」
『……、……ああ、あれじゃあないですか。魔導海軍。最近会いましたよね』 「あァ、それだそれ!」

【そして繰り広げられる2人の雑談。特に相手へ聞かせる目的では無いようだが……】
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 22:31:16.04 ID:kHDDRwano
>>155>>157


そのあたりは結構複雑でしてね
自分でやったわけではないのですよ、”これ”は
なのであるいは、僕の血液でも採ったら研究のお役に立てるかもしれませんね


【メカニズムは不明。それどころか魔力の増大をもたらしたのは別の何者かだと言う】
【ふと思いついて、自分の身体を調べれば何か面白い発見があるのでは、と言ってみる】
【勿論、素人の思いつきだ。本心から役立つと思っているわけではなかったが】

【翔子の質問はちょうど気になっているところだった】
【煙草の煙を吹かしながら、質問の答えを興味深げに待っていた】
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 22:38:14.89 ID:dHQFkDBzo
>>157

「いやいや、血液中の因子の数に依るから死ぬまで続くさ」


【彼女の質問に、たしかにそう答えた】
【つまり、若い時に増えた因子の数は老いても変わらないということだ】

161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 22:39:07.60 ID:HehRfN3ho
>>158

【二人の言葉になるほど、と思案に耽る】
【『特区』──その情報は彼女にとって、少なくない影響を与えるもので】
【心に落ちる幾つもの疑問符、今はまだ情報が足りない】


しかし、治癒の術とは希少性の高い能力ではありませんか?
私もかなりの数能力者を見てきましたが、その中でも治癒系の能力を使う方はほんの僅かで
──時折思った事もあります、何故私の能力は傷付けるだけなのか、と

不思議ですよね、能力の多くは戦う事にしか向いていない
私の能力はその最たるものです、本当に──
少し羨ましくも思います、本当は思ってはいけないんでしょうけど


【柔らかな表情を見せる女性、こちらも釣られて笑みを返したくなるそんな色合い】
【木漏れ日の明るさに似た微笑み、小春日和の様な暖かさを告げて】
【続く言葉に彼女は驚きを見せた、『魔導海軍』──】


えぇ!? 『魔導海軍』の方にお会いされたんですか!?
差し支えなければお名前などを……ああ、まだ言ってなかった
実は私も『魔導海軍』に協力する身でして、えっと

和泉 文月と申します、『櫻の国』は"桜桃"にて"御庭番衆"なる集団の長を務めさせて頂いてます
件の『魔導海軍』には外部協力者なる立場で、関わらせてもらってます


【ぺこりと頭を下げる、長いポニーテールがふわりと揺れた】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/15(日) 22:40:46.90 ID:hWBJj/qH0
>>156

【そうやって自分の空間を守ろうとするのが女の癖だった。その小さな空間で自分を守る。あるいはそんな小さな空間を作らねば自分さえ守れないような状況に長くあった】
【どちらにせよ相手からしたらなんだって一緒で"面倒くさい"だけだろう。露骨なため息には明確に眉をひそめた――不快そうな顔。もはや取り繕うこともせず】

…………ええ、知っていますけれど。でしたらなんでしょう、おあいにくさま、お金には困窮しておりませんので、……。
ところで――先ほど聞いたお話ですと、あなたさまの雇い主は、円卓とやらの――六罪王、でしたかと。
ええ、聞いたことのある名前です。お会いしたことはありませんわね、自分の金で出来ないことはしない主義ですから、――ですけど。

円卓とやらはともかく、六罪王というのは――初耳です、隠してらっしゃったのなら、別ですが。

【その名を聞いて、女はすぐ"誰"であるかを思い浮かべることが出来たらしかった。ならばこれもやはり裏に住まうたぐいの人種だ、そもそも娼婦だと言っていたし――】
【第一印象というか、その名前で思い出されるのは金貸しとしての彼の話だ。掴まれた腕はひどく華奢でやはり不自然なまでに色白い、重度の貧血のようにすら見え】
【嫌がるようにわずかに自分の方へ引いていたが言葉は途切れない――金貸しとしては知っているが、六罪王だの、円卓だの、そんな単語と一緒に聞いたことは、一度もない】

――ッ、後から出てきて、分かったような口を利かないでくださる、世界がどう言おうと……っ、

【掴まれた腕は――よほど力を込めてでもいない限り、振り払われるだろう。声が荒らげられる。――だけれど言っていることなんて、ひどく簡単で、自分勝手】
【自分の中にある――それこそ"イメージ"を壊すなと言っているのだ。現実の現状も何も関係がない、ただ、自分の中にあるもので、この女はあの少女を判断していて、】
【だからこそ相手に対して怒る――世界がどうであろうと。彼女の中では、決まった形がある。思い浮かべる形がある。――ただ、やはり、大雑把でも、聞いてしまったなら】
【まして、長く裏路地に暮らしてきた人種であったなら。――そのなかで何度と聞いた金貸しの名前まで相手が出してきたなら、気持ちは雲母のように剥離する、相手を睨んで】

役に立たないのはあなたではなくて、どうせそう親しくもないのでしょう。

【――だけど自分は相手では到底敵うはずもないくらい、親しいから】
【言葉には出てこない。だけど色濃い笑みはそう言外に言っていた、――そういう女らしい。もういっそ"こう"だと割り切ることが出来るなら、分かりやすくって、扱いやすい】
【手に限らず他人に触れたり、触れられたり、というのは嫌いなのだけど――この時ばっかりは相手の手をきちんと触れて、握るだろう。手は――少し、冷たかった】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 22:42:05.83 ID:dHQFkDBzo
>>159

「ふっ、それなら今度血液を貰いたいな」


【彼のその発言に、興味深そうにそちらを向いた】
【良ければ今度採血させてくれと言わんがばかりの瞳をして】

// 途中送信ごめんなさい……!
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 22:44:22.83 ID:TFb9wH4a0
>>159>>160

「……」

【二人のやりとり】
【そして、答えを聞いて、少し考えるようにして】
【やがて口を開く】

「何歳までに、投与を行えばいいんですか?」

【こちらは、興味ではない】
【妙に真剣な口調、真剣な視線だった】  
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 22:52:46.88 ID:kHDDRwano
>>160>>163>>164


何だったら今でも構いませんけどね
といっても、道具があれば、ですが
血を採られるぐらいであれば、こちらとしては大した労力でもないので


【「いつでもいいですよ」と、柔和な笑顔さえ浮かべて男が答えた】
【そのとき、翔子の言葉が続く。真剣な表情と視線が見えた】
【何を考えているのか、何となく予想がついた。男は片手を上げて制止する】


あー、”それ”はちょっとおすすめしませんよ
僕の予想が外れてればいいんですが、そういう考えはあんまり良くないかもしれません
理由は分かりませんが、もうちょっと考えた方が…………


【翔子が自分に薬を投与しようとしている、男にはそう見えていた】
【勿論、間違っているなら何も問題ない。自分がとぼけたことを言っただけで終わる。幸運なことだ】

【だがもしも本当にそうならば、流石にそれは止めるべきだ。何と言っても相手は犠牲を躊躇わない科学者だ】
【犠牲が知人ともなれば止める程度の価値観ぐらいはあった】
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 22:53:41.01 ID:BuQUzRC70
>>161

『そういえば、あまり会ったことはありませんね。それか、表に出ないだけで病院等に勤めているのか』
『……けれども、私は私で攻撃的な能力を扱える方々が羨ましいです』
『元々才能が無いのでしょう、ヘケメトから能力を借りてもどうも火力方面はイマイチでしたし』

【自分が持っていないからこそ羨ましくなる、攻撃的な能力も扱えるならば避けられた被害も多い】
【それを強く思うようになったのは本当に最近のこと。今までは扱えなくても何とかなっていたのだから】
【――僅かに影が落ちる、彼女の表情】

「おォー、会ったらしィーぜ! なんて名前だっけか……アウ!」
『……はい、曹長の那須翔子さんですね』

「文月か! 俺はヘケメト、で、こっちがアウって言うんだぜ!」 『アウ・ダァコルです。よろしくお願いします』

「あんたも会ったことがある感じか! じゃあ、もしかするとそいつも知ってる感じだったり?」
「俺たちは、逆に協力してもらう感じになってる気がするなァ」
「御庭番衆、よくわからねェーけど何か強そうだ! よォーし、早速俺とバトル……は無しだ!」

【強そうな相手には戦いを挑みたくなる、だが挑めない。残念そうな表情を見せる男】

『実は先程お話した"特区"関連について、彼女とは既に手を組んでおります』
『ですので、もしかするとあなたともいずれ共闘する事になるかもしれませんね』
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 23:03:54.33 ID:HehRfN3ho
>>166

【──彼女はアウの顔に陰が落ちるのを見た】
【堪らず踏み出した、気がつけば手が伸びて、アウの手に触れようとする】
【刀を持つ人間とは思えない、滑らかな手、華奢な指先はきっと貴方と変わらない】


私は……そちらの方が良いと思います、上手くは言えないんですけど
人を傷つける能力なんて、無い方が良いんです、それは、絶対に
守らなければいけない──確かにそうです、力があれば防げた被害だって

でも、其れは私達の領分です、力を持つ人間だったり、組織だったり
『魔導海軍』もそうです、市民を守る為に彼らも尽力していますし
パートナーさんもきっと、そう思ってる筈ですよ


【チラリ、とヘケメトの方を見やった、ふふと小さく笑って】
【パートナーとは暈した表現ではあるが、つまりは】
【彼氏であると想定しているのだろう、頬に僅かな紅潮が満ちた】


那須曹長でしたか……あの方、見た目は可憐な少女ですが、実家が凄いんですよ
父上も祖父上も軍のお偉いさんで、剣術指南の際も緊張しぱなっしです
だって少しでも怪我をさせた日には、クビですよ……うぅ

──そうなんですね、それ程までに『特区』とは、大きな問題に


【"ぐぅ"──とお腹がなった、声を遮るような響きで】
【水面に落ちる赤いインク、頬に広がるかーっと赤い色が】
【流れてくるいい具合に焼けた鹿肉の香りであった】
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/15(日) 23:20:04.43 ID:wD3fXjpv0
>>162


ええ、まあ知らないでしょうねえ。ですがそれで結構です。
此処で私の出した名前がどこぞのマフィアの首領であったり
軍産企業のトップであったり。言うなれば、裏社会の大物であればともかくとして

――わざわざどうして、そんな金融業の方の名前を出したのだと思います?


【答えはそれが真実だから。――とまでは言わないが、そう考えざるを得ない】
【非現実的でもより、より現実に親しいイメージを押し付けていく】
【けれど相手を染め上げる事は目的ではない。それが無理だろう事も分かっている】

【だから腕を振り払うのも自由にさせて、後の言葉にも噛みつかなかった】
【ただ差し出すのは手が一つ。握るかどうか――迫った結果は、前者だった】
【その結果があれば良し。冷たいその手を確かに掴めば、術式を発動させる】

【視界が暗転、捻れていく。しかし気付けばそこは風の国】
【UNITED TRIGGER――正義の旗印として長くその名を轟かせる、酒場めいた拠点の眼の前】
【転移の術、だろうか。ともかくそこは現実の場所であり、妖狐はすぐに手を離すと】


……どこから敵さんが見ているか分かりませんし、さっさと入りましょ?
生憎と私、こういう場所には不慣れなんですけどねえ


【ためらいなく、表向きは西部劇に出てくる酒場のようなその建物に入っていく】
【とはいえ、相手が何処に居るかは知らない。UTの内部構造も分からない】
【故に、一度は共にこの地へ来た娼婦へと目を向けて――分かるか、と問うものの】
【それも曖昧なようであれば。「鈴音さんに"円卓"からのお届け物ですよーっ」と】
【ためらいなく、その少女の名前を呼ぶだろう。少しばかり、猫なで声で】
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 23:23:58.16 ID:BuQUzRC70
>>167

『そう、ですか。ありがとうございます』
『いえ、彼と一緒にいるとどうしても色々と考えたくなりまして。……ヘケメト、あなたは先程の話どう思います?』

「俺はアウにも色々ボコって貰いてェーなァ、新技テストの時にもっと色々できるし!」
「でも、アウが支援技に長けてるから俺はたくさん無茶できるんだ!」
「今はちょっと調子悪いけどよ、ちゃんと護ってやるぜ! 気合と筋肉で!」

『……この調子ですからね、いずれ死にかねないです。本当』
『ええ、……私の手が届かない部分は、どうかよろしくお願いします』

【そして、ため息を1つ。……長い付き合いだから互いの性格はよく知っている】
【自分を護るために死なれるのは気分が悪い。それを防ぐこと含めて、自分の仕事になるのだが】

【――なお、"パートナー"の言葉に否定はなかった。もし"恋人"とかの表現ならば否定されていたのだが】


「あいつそんなに凄ェ奴だったのか! 気合のエネルギーうっかりぶち当てちまったけど大丈夫かなァ」
『アレは攻撃や危害扱いではありませんでしたし、実際に暑苦しいだけですから大丈夫でしょう……おそらく』

「とにかく、特区だか何だかはやべェ! だから……」 「……よォーし、良い感じに焼けてるし食おーぜ!」

【……アウのポケットから出される3枚の皿、3本のフォーク。先程からどうも容量がおかしいのはさておき】
【その食器を3人それぞれが使えるように配膳。もし箸の方が良いと言えば、おそらく出てくる】
【そしてヘケメトは皿を無視して我先にと食べ始めた。先程油が出ていた小瓶を肉の上で傾ければ、今度は香辛料が出てきて】
【――この小瓶だが、望む調味料を大体出せる能力を持っている。その辺に雑に置かれるため、借りることは容易だろう】
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/04/15(日) 23:33:12.78 ID:4vUHF0nu0
>>99

知らない名前が増えてるな。
お互い女性には――形は違えど、苦労した。

【ぽつぽつと点灯していく電灯を、わずかに目を細めて見上げる】
【自らが倒れたあの時から、この盟友にどれほどの傷を与えたのか――】
【目を伏せる。大きな罪悪感と、小さな安堵。逆であれば自らも負っていたであろう、傷】
【それをこの男も負っていた――負ってくれていた。僅かな昏い安堵を覚えるが、それを胸から追い出して】

ああ、すまなかった。
ま、今はこの通り、生きている“ようなもの”だ。
しばらくは前のように、君と背中を合わせて戦えるよ。

【お互いに、少しぎこちない。もう数年経っていて、それなりに死と折り合いをつけたところで、“やあ、ただいま”と来たものだ】
【あと何度かの戦と、或いは酒が必要なのだろう、と、金髪の青年は思った】

ああ、何とか法、ね。
禁酒法のようなものだろう、いつか打倒されるものだ。
――取り返しの付かないところまで進まなければ。
アレはアレで、何とかしないといけないね。鈴音――UTの鈴音、知っているかい?
今彼女と一緒に動いている。

【そこまで言うと、首を傾げてキングを見やる。“死んでいた”、つまり時間を止めていた自身と異なり】
【キングはその間も、この世界で生き、戦ってきたのだ】
【言いたいこともあるだろう。一つか、二つか、あるいはもっとか】

――――ああ。ただいま、キング。ようやく、戻った。

【そう言葉を交わしてしまえば、あとはもう前のように。一万?高すぎるだろ、交通法でも守って運転するつもりか、なんて軽口を叩きながら】
【かつてのハーレーとは異なるその後部に、腰を下ろす】
【それもまた、彼の歩んできた、あれからの時間を示すようで】
【オーライ、何か飲もうか、と、前に座る彼の肩を叩いた】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 23:33:24.82 ID:HehRfN3ho
>>169

【その反応に彼女は頬を緩めた、仲睦まじいカップルの其れを見る様な目】
【──同時に小さく溜息を混ぜる、何故か、明るい陽射しの裏には影があって】
【­­未だパートナーがいない自分の状態を思っての事でもあった】


頼りになる方ですね、だからこそ余計にその薬が気になります
ここまで仰られるという事は、ヘケメトさんはかなりの手練かと
­­……その彼がここまで力を抑えられる、ということであれば

対能力者──私が呼ばれた理由も、何となくわかるというものです
水の国の事件ご存知ですか、魔導海軍と機関員が戦闘をした事件です
あの一件から魔導海軍の方も対能力者に力を入れている様ですね


【言葉を付け加えて返事にした、真面目な言葉であった、が】
【文月は慄然とする、何故か──お腹がなって恥ずかしいということと】
【あれだけ愛情を注いだ鹿の死体に、食欲をそそられる自分がいた事に】


……!! そんな、なんて罪深い──!!
私は、そんな、そんな、悪人だなんて思ってなかったのに
お腹空かせてはるなんて……ああ──

うぅ、堪忍なぁ、瑠璃……お姉ちゃん、ぜんぜん我慢できはらへんくて……


【ひとしきり打ちのめされて、意気消沈】
【出されたフォークでえいや、と肉片を刺して口に入れる】
【おいひいです、と目尻に涙を浮かべながら頬張った】
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/15(日) 23:34:09.71 ID:dHQFkDBzo
>>164

「──自分から検体になると言い出すなんて、驚いた」
「それなりの覚悟があるのか?能力者なら適応率は99%だが──」


【彼の言うとおりだ、とだけ添えておいて】
【強くなりたいのなら、魔翌力を増やせばいいというわけではない】
【副作用もないわけではないし、その説明もしなければならないから】


「それに、君は私を倒す立場の人間だろう?」
「私の手を借りてでも救いたいものがあるのなら──してやろう」
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/15(日) 23:36:18.29 ID:hWBJj/qH0
>>168

【そうして――件の場に着いたならば、女はすぐに相手の手を離すだろう。そのうえどこか不機嫌そうな顔もしていたのなら、それは敗北宣言にも似て】
【結局――どこかではきっと女も分かっているらしいのだった。そういうことを言っている場合ではないらしいと。でも――長く染みついたやり方は、今更簡単には直せない】
【相手が立ち入っていくならば、女もこれは当然のような顔してそのあとをついていくだろう。――何度か来たことはあった、あくまで、少女に用事があっただけだけど】

…………さあ、わたくしも裏までは知らないですから。部屋だとか、たくさんあるようですけれど――、
――、さすがにどんな部屋があってどこが好きかは知りませんから。どなたかいらっしゃられたらいいのですけど……。

店については普段あの子がほとんど管理しているのだと。最近新しいバイトが来たって、言ってました。

【内部構造までは知らない。ひどくあっさり口にした、歩き途中に意味もなく机を指先で撫でながら――カウンターの中を覗き込んでみるけれど、だれもいない】
【誰かほかにメンバーがいればと思ったらしいのだが――静かだった、彼女の言葉通りなら、酒場としては少女が任されている部分が多いらしいのだけど】
【それにしたって。まるで人が全く足りていないみたいな静寂、あるいはこんな御時世だから……か、客も。ひとまず今は見当たらず】

……どこから敵さんが見ているか分からないのではなくって、よくもまあ……。

【――――呆れるようなため息交じりだった。かといってこんな店内まで敵の目が及んでいるなら、だいたい詰みではある】
【それを分かりながら――相手へどこか冷めた目を向ける。それから少し、ことん、ことん、と。高いかかとの靴特有の足音をさせながら歩いたなら】

不法侵入。なさいますか、スタッフオンリーって書いてありますけれど。

【――そのくせこんなことは言ってしまえるタイプ。ものの見事にスタッフオンリーな扉を指差して、笑う。少なくとも自分は関係者の幼馴染だって、そういう、自信があった】
【ただこれについては相手も――バレたとしても、幼馴染の連れというので少女が庇ってくれる、かもしれない。なんせ人当りが良くって優しいらしい。知らないけど――】
【女が当たり前に"提案"するくらいには、きっと、"そう"なのだった。そうでなくっても……まあ。正義組織という場である以上、そんな"侵入"、いくらでも言い訳はできそうだった】

【それこそ謎の黒服に追いかけられて逃げ込んできた。誰もいないから、関係者を探してここまで入ってきてしまった――とか】
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/15(日) 23:37:39.99 ID:hWBJj/qH0
>>173
/書き忘れましたっ、それっぽいところに、誰かが出て来る気配はない……みたいな一文を脳内補完していただけますと助かります
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/15(日) 23:42:30.02 ID:TFb9wH4a0
>>165>>172

【自分の考え、思い付きは早々に見抜かれたようだ】
【まず、男性の制止が入る】

「何故止めるんですか?」
「我々には……時間と力が無いのです」

【これは、男性に向き直り聞いた】
【石動やディミーアのつながりはあるが、基本的には赤の他人だ】
【それほどまでに、危険な事なのだろうか?と】

「……副作用は何がありますか?」

【これはCrimsonに聞いた、何の副作用が、それは今後支障が出る程の物か?と】

「はい、何れはあなた方円卓も倒すことになります……いえ、倒します」
「しかし、今は違います、我々には力が無い、足りないのです……事を成し遂げる力も、その時間も……お願いしますCrimsonさん……」
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/15(日) 23:50:20.01 ID:BuQUzRC70
>>171

『――ええ、今の状態でも彼がいなければ困りますし。盾役はできますから』

『それと、薬だけならば良いのですが』
『見ての通りのパワーを持った彼の蹴りを回避し、表情1つ崩さずそして躊躇なく確保した、魂を感じられない方々……』
『そういった、特区が持つ戦力も気になります。……あと、あの時は能力を使いませんでしたが』
『特区内で能力を使うと警報が鳴りまして、もし使い続けた場合どうなるのか――もっと危険な何かが出てくるかもしれません』

「まァ、でもまた行くけどな! 解毒の鍵を手に入れるためによォ」

「……何か遭ったのかァ?」 『そう言えば情報収集中にそのような話も聞きましたね』
『機関も動いているとなると、やはり対能力者は必要になりそうです。』
『……それこそ例の薬な気もしますが、アレは能力以外による攻撃も駄目ですしね』

【ヘケメトに遅れてアウも肉に手を付け始める。とはいえ、ヘケメト程の食いっぷりではない。彼女のほうが普通なのだが】
【確かに、この食欲を満たすには金が幾らあっても足りないのも頷ける】
【スペースが空けば即座に次の肉を置いていく。そんなスタイル】

「美味しいだろォーッ? どんどん食えよ! まァ、俺もどんどん食うけどなァーッ!」
『……食べれば忘れられます。おそらく、多分』
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/15(日) 23:54:41.13 ID:kHDDRwano
>>172>>175

【時間と力がない。彼女には彼女なりの事情があるのだろう。それはその一言だけでも分かることだった】
【だが、もしもそれが理由なのだとしたら、一つだけ言っておかなければならないことがあった】


…………翔子さん、でしたっけ
どうにも何かと厄介な状況にあるようですが、一言だけ

”時間”と”力”が無いのでしたら、それは、そこで終わりなんですよ
何か危なそうな橋を渡ったら、とか、怪しげな技術に手を出しさえすれば、とか
そういうので解決できる類ではないんですよ、”足りない”っていう概念はね
足りないものは足りない。それは、何をしても足りないままなんですよ

それでも補うというのであれば、よく考えてください
後悔してからじゃ、遅いですから


【危険なリスクを受け入れても、力不足は容易に解決できない。男が言ったのはそういうことだった】
【お節介はこれで終わりだった。万里子やディミーアの手前、止めないわけにもいかない】
【だが、彼女がそれでもと言うのなら、それならば止めるわけにもいかない】

【ただ、男が危惧していたのは副作用などではなかった】
【相手だ、相手が問題だった。赤崎が力を欲する少女に対して真摯な応対をするとはとても思えない】
【騙されて単なる実験台にされる可能性は大いにあった】


…………赤崎さん
こんなこと言えた立場じゃないんですが、やるんなら嘘はなしにしてください
その代わり、さっき言ったとおり僕の血液を提供します
交換条件としては何ともいえないかもしれませんが、どうか、よろしくお願いします


【そう言って男は赤崎に対して頭を下げた】
【翔子とは赤の他人かもしれないが、これでも自警団の一員。正義感ぐらいはあった】
【勿論、こんな申し出は蹴ってもいい。蹴られたのなら、これ以上やれることはない】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/15(日) 23:59:36.12 ID:HehRfN3ho
>>176

【話を聞いただけで緊張がはしる、成程──相対すべき相手は、そこまで強力なのかと】
【身震いがする、かつて──戦った数多の強敵を思って】
【そして、いつか敗れた数多の巨悪を思って】


そうですよ、やられっぱなしでは癪に触りますし
行く時は連絡をください、私も出来る限りお手伝いします
ヘケメトさんが万全で無いのなら──

──その腕の代わりぐらいにはなりますよ、こう見えても腕は、立つんです
それにアウさんがサポートして下さるのなら、鬼に金棒
負ける気なんて、一切ありません


【柔らかな物腰に反して、案外と過激な言葉】
【或いはこれが彼女の本性か、瞳に映る色合いはどこか歓喜に近い】
【スリルに身を任せる快感、その点ではヘケメトに通じるものがある】


うぅ、消えてかはるよぉ……瑠璃ぃ……
美味しい、美味しいれふ……瑠璃のお肉、柔らかくてジューシーやわ……
お姉ちゃん頑張って生きるからな……成仏しはるんやで


【何この悲しい食卓、という雰囲気で】
【両目にいっぱいの雫を貯めながら、やがて食事を終えるだろう】
【ずーんっと沈んで、暫しぺたんと座り込んでる】
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/16(月) 00:06:45.12 ID:eKs85lv60

>>173


――閑古鳥、ですねえ。時間帯が悪いのでしょうか?
まあ何はともあれ、こうして入ってしまえば外からの目も無いわけですし
見回りの"婦警"が来る時間帯でもないようですし。

ほーんとに誰も居ないなんて、この組織に限ってありえます?
それに、多分あちらさんも私達のつながりなんて薄々気付いているでしょうし?


【そう言ってから目を向けるのは、彼女が指差す"スタッフオンリー"の扉】
【こんな組織なのだ、単なる倉庫や酒蔵とも思えないエリアだが】
【この日初めて、クズノハは相手を評価するように笑顔と共に目を細め】

【颯爽と、からん、と高下駄を鳴らしながらその扉へと歩み寄り】


不法だなんてとんでもない、。"緊急避難"って言葉、ご存知です?
それに、悪党のお屋敷ならともかく此処は正義のお社ですし。
出会い頭に一刀両断でもされない限り、まあ大丈夫でしょう。ささっ、行きますよ。


【平然と扉を開けて入っていく。しかも「すみませーん」なんて声も出して】
【呑気というか――豪胆、なのだろう。そうしても大丈夫な時と、そうでない時】
【しっかりと見極めている節がある。ともあれ、妖狐は率先して店の奥へと足を踏み入れ】
【それらしいエリア、例えば居住区だとか。そういう場所か、別な店員などに出会うまで】
【ずかずかと、尻尾を揺すりながら踏み込んでゆくのだった】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/16(月) 00:06:53.41 ID:taKy+g6Ro
>>175>>177

「──よろしい、ならば副作用について説明しよう」
「なに、元々嘘なんか話すつもりはないさ。そんなことしても面白くないだろう?」
「私達カノッサを倒すと言った、女の子が相手だからな──」


【右側の口角を吊り上げる──別に、何かを企んでいるわけではない】
【自らの命をかけてでも、守りたいものがある。そんな彼女を受け容れるかのように】
【男から嘘偽りなく言えと言われても、元々嘘なんぞ言う気はさらさらなかった】


「まずはじめに、多すぎる魔力の代償についてだ」
「血液中にずっと魔力が循環することになるが、魔力の影響で通常の臓器であれば数年で壊死するだろう」
「君は元々能力者だから、そこについては問題ない。これは検証済みだ」


【まず、多すぎる魔力を持つことに対する代償を説明する】
【血液中に魔力が含まれることで、通常の臓器を傷めることになり】
【数年で壊死するが、彼女は元々能力者であるためにそれについては問題ない】


「次に、魔力が“制御下に置けない”状況になった時だ」
「因子が魔力を溜め込み過ぎる──魔術を数日も使わないと、魔力が暴走し始める」
「要は意図しない魔術発動の危険があるということだな。これについては日頃小さな魔術でもいいから魔力を使うこと」


【次に、因子が魔力を持ちすぎて暴走した場合】
【意図しない魔術発動の危険性を孕むため、小出しでもいいから日頃魔術を使うこと】


「そして最後に、グール──屍人化する危険について」
「君のように根がしっかりしている子は大丈夫だと思うが、精神状態が不安定になると幻聴や幻視が見える」
「その言葉に従い続ければ、魔術を行使して他人を傷つけることしかできなくなる」
「それが屍人化だ。こうなれば私も手を付けられないし、君を倒すしかなくなる」


【この因子の副作用として最大のものが、屍人化であった】
【精神状態が不安定になり、ネガティブな思考が続くと幻聴や幻視が見える】
【自らを助ける言葉のようで──実は自らを他人を傷つけるためのマシンに変えてしまうのだ】
【そうなれば手が付けられず、殺してしまうしかなくなる】


「これで大体以上だ。他に何か?」
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/16(月) 00:17:54.41 ID:Pe782IZ50
>>178

「そォーだぜ! やられたらやり返してェーところだ!」
「ヘケケ、戦力は多い方が良い。よろしく頼むぜ! あと、サポーターに回ったアウは本当超良い感じだぞ!」

【特にアウの表情に変化はないが、悪い気もしていない様子で】
【べしべしと痛々しい腕で肩を叩かれても、特に嫌がることはなかった。痛いですよ、と一言だけ言ったが】

「そのため解毒の鍵を手に入れてェーってことになるんだが、それについてはよォ」
「さっきの翔子って奴にもそれ目的で潜入したいとは言ってるし、カイって協力者にも言ってある!」

「連絡、そォーだ一応俺たちの渡しとくか!……カイから用意してもらった連絡手段と住所! どこにしまったっけ」
『ここですね。……ヘケメト、いつ割ったんですか』 「いつだっけなァ、試しに操作色々やってみて投げた記憶はあるんだが」

【アウのポケットから取り出される連絡手段、まあよくある端末か】
【画面にヒビが入っているが、その原因がどちらであるかは容易に想像が付く、というか自白している】

【そして、その画面に表示される連絡先と拠点の住所を――】
【もし相手が端末を持っていればそれで交換を試みるし、無いようならば紙に書いて渡してくるだろう】

「おいおい、食い終わったのに盛り上がってねェーなァ」
「食ったから多分成仏した! ヘケケケ、あんまりそのままだと気合のエネルギーぶち込むぜ?」
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/16(月) 00:18:36.22 ID:9nu0WEGw0
>>177>>180

「――ッ!?」
「終わり!?貴方に何が解るんですか!?」
「この国を!祖国を!見捨てろと言うんですか!?諦めろと!?」

【男性の忠告だった、それはまるで、自分自身に経験があるかのような】
【そんな、心を絞るようにして出てきた、警告だった】
【それに対し、酷く激昂する翔子】
【理は、無論だが男性の方にある】
【だが……】

「え!?」
「何でそこまで……貴方には、そんな……」

【意外な事にCrimsonに男性は頭を下げ】
【代償に、自分の血液を捧げるとまで言ったのだ】
【何故?一体、この男性は?】
【そして、二人の危惧を尻目に、Crimsonから説明が入る】
【それは、嘘の無い、正直な情報だった】

「……」

【必要なのは、折に触れ頻繁に魔翌力を消費する事】
【そして、自分自身を強く持ち続ける事】
【こと、屍人化はかなりの恐怖を与えたが】

「……はい」
「良く解りました、Crimsonさん、お願いします!」
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 00:24:26.47 ID:6wXOe1D20
>>179

法律のこともあって出入りしづらいのではなくて、良くも悪くも能力者だらけでしょう、よくは知りませんけれど……。
わたくしはそれこそ水に住んでいるので肩身が狭い――、

――ところで……婦警ってどなたですか。お知り合いではないのですが。

【良くも悪くも――と言っても。今までさんざ世界を守ってきた、場所だ。良くはあっても悪くはないはずの場所、だけど、少なくとも今はがらんとして】
【店番らしき人物さえ、居ないのだ。ざるにもほどがあり――ほどがあるからこそ、悪いたくらみが成立する。ただ。天井の片隅にある監視カメラは気にした方がいいのかも】
【そうだとしても――最終的には給仕の知り合いを連れてきたのは、確かに相手の得になりそうだった。どんな状況であろうと、少女に接触さえできれば、信用がある】

……どうかしら、悪者だと判断されたらば、かえって一刀両断されかねないと思いますけれど。
ずいぶん楽しそうで羨ましいですわ、わたくしは幼馴染と連絡が取れなくなって、とうていそんな気持ちで、ないのですけど――。

【こつんと指先がスタッフオンリーの文字を小突く。けれどこれはあくまで酒場としてのものなのだろう。どこの正義組織が困った人間をそんな言葉で拒むだろうか】
【こんなのはしょせん酔っ払った客が意味も分からず入り込んで奥でグースカ寝ないためのものでしかないし、それでもって本当に泥酔した奴には、こんな文字も読めない】
【だから結局意味なんてない。まともに文字を読める程度の冷静な人間が「ああそうなのか」って思うくらいだ――それを分かって無視する、なら、やっぱり意味なんてない】

【――ずんずんと踏み入っていく相手の後ろをついていく。けれどこちらはそう強く出ていられる性質ではないのだろう、相手に比べていくらも静かで】
【さっきそうしていたように腕を組むようにして――それでもしっかり視線はあたりへ向いていた。何か変なことがあれば気づくのだろうけど……そもそも】
【自分たちが一番"変"だというのは、無視しておく。相手も無視しているだろう。無視してくれないとしたら――出会いがしらの"誰か"とか】
【監視カメラの映像を見てすっ飛んできた"誰か"とか。そういう第三者になりそうだった、――目当ての少女は、まだ、どこにもいない。気配さえ、してこない】

【――――そして。地下という存在も知らないならば。きっとあんまり部屋も多くないのだ、スタッフオンリーだって、万能の魔法じゃなくって】
【それとも片っ端からドアでも開けるか。大事そうな部屋はたぶん鍵がかかっているけど。大事そうでない部屋もいくつかは鍵がかかっているけど――】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/16(月) 00:28:44.74 ID:hjzpKqOqo
>>181

【本当に良いバランスの二人なんだな、と思って】
【ふぅ、と小さく息を吐いたなら、先へ進む覚悟を決める】
【大きな目標と、目指すべき道とを間違えないように】


ありがとうございます、私こういう端末凄く苦手で
紙に書いて頂けたら、連絡できる物を探して用意しておきます
これ受け取りますね


【紙に書いて渡された連絡先と拠点、彼女も同じものを返す】
【魔導海軍の宿舎と、彼女に続く電話番号、それが全て】
【静かに立ち上がるだろう、もう夜も更けた】


……そうですね、いつまでもうじうじしていては、いけません
ヘケメトさんにアウさん、事情は分かりました
私に出来ることなら何でもします、から

また、連絡してください、待ってます!


【文月は背中を向けて、森の奥へと消える、歩みはどこか軽く】
【──夜更けに流れる夜の音、静かに耳を傾けていた】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でしたー!
185 :キング ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2018/04/16(月) 00:36:33.44 ID:LxDUQHXE0
>>170

【そう―――傷が残ったのは事実かもしれない。だが、それは癒えないそれでは決してなく。】
【もっと言えば、傷を負った事自体がある種の救いだ。それ程、互いに互いを大事に思っていた何よりの、証なのだ】
【キングはふっ、と笑みを零した。そういえば、ウェインはウェインで女性に苦労していたか。"あの頃"の其れは本当に、幸せな記憶だった。】


―――――、そうかい。
ま。オレの実家<魔界>じゃ死人が蘇るなんてのは恒例行事だ。

ちょいと早めのお盆くらいに捉えておくよ。……するとバイクよりナスやキュウリが良かったか。
なんてな。それじゃとりあえず―――……積もる話もある。"隠れ家"へ向かうぜ、その方が……都合が良くてな。


【キングが二輪に跨る。エンジンに火を入れれば、ブォン、と甲高い音が鳴り響いた。】
【とてもではないが道交法を護ってくれそうな見た目でも、音でもなくって―――案の定、とんでもない速度で急発進。】
【普通に走れば1時間はかかる距離を、20分足らずでUTまで地獄のライド・オン。相変わらずジェットコースター顔負けのスリルを発揮し、到着したのだった。】


―――よっと。で、禁酒法だって? ハハッ、上手い例えだな。
それじゃマフィアが能力者の生存圏を確保して高く売り捌く訳だ、"逆特区"みてえの設けてよ。

ま―――何にしろ心から排除を望んでる奴が提案した法案とも、思えねえしな。
何かしらの意図があって、誰かしらの"懐が暖まる"からまかり通ってる、ハズだ。

仕組みを暴くには―――なんだよ、鈴音ちゃんが、か?
ああ知ってるとも、セリーナから耳にタコが出来る程聞かされてた。尤も、まだ"店番"頼まれてからは会ってねえんだけどな。


【はて―――店番。なんだか不穏な言葉が聞こえたような気がしたが。ともあれ、キングはバイクを降りて。】
【着いたのはどこか見覚えのある場所―――そう、"あの頃"にキングがねぐらにしていた、"郊外"のあの"宿"だった。】

……ま、"おかえり"ってのはこうじゃないとな。
今でもやってるんだよ此処、よく潰れねえよな全く。一階の酒場で話そうぜ、丁度伝えたいこともあったんだ。

【がらん、と扉を開く。丁度外は雨が降り始めるころ、懐かしい埃臭さが鼻腔を突いた。】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/16(月) 00:38:18.76 ID:Pe782IZ50
>>184

『ありがとうございます、――何かあったら、あるいは時が来たら連絡しますので』

【相手から紙を受け取れば、アウはそれを丁寧にポケットに入れて】
【その後、端末も同じようにしまう。――ひび割れは後で直しておこう、また割れた時に崩壊しないように】

「ヘケケ、繰り返すけど色々と頼んだぜ!」
「俺もできる限り頑張るからよォーッ」

【――そして、この場を去る彼女を2人は見守って】
【食事の後は掃除だ。骨や角などは後で換金・または加工に使える、軽く汚れを取った後にポケットへ】
【洗い物は近くの川で行おう。だから一旦これもポケットへ】
【カセットコンロに調味料に……雑多なものも、やっぱりポケットへ】

【……容量がおかしいのは、きっと気のせいだ】

/お疲れ様でした!
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 00:39:01.34 ID:gulPHMFCo
>>180>>182

【彼にとって意外なことだったが、赤崎の言葉に嘘の気配は見受けられなかった】
【真摯さがあったのか、あるいは矜持なのか。男には分からなかったが、僥倖だといえた】

【好奇心からその説明に耳を傾ける。副作用は思ったよりも多かった】
【少しばかり驚いたがすぐに納得する。力を手に入れるなんてことは、そう簡単なことではない】
【そういう実感もあった。咥えていた煙草を指で取り上げ、軽く振る。炎が燃え上がり、残った部分が灰と化した】

【いくつもある副作用を翔子が乗り越えられるかは気がかりだったが、もう口を出す立場にはない】


あとは、お二人にお任せします
赤崎さん、血液が必要であればこちらに連絡を
仕事がなければ行きますので


【紙を取り出して電話番号を記入、赤崎にそれを差し出す】
【彼女が受け取れば二人から少し離れる。背中から竜の両翼が出現。膜を張る音と共に翼が広げられる】


…………翔子さん
力には代償がつきものです。それは、副作用のことではありません
どうか、気をつけて


【何か含みを持たせた忠告を男は言う】
【翼が羽ばたき空中へ。十数メートル上昇してから、羽ばたきと同時に飛行魔術が発動】
【空気を噴出。強風を巻き起こしながら、男は空へと舞い上がっていった】


//すいませんが、お先に失礼させていただきます
//お疲れ様です!
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/16(月) 00:51:35.09 ID:taKy+g6Ro
>>182

「ああ、了解した。君の血液は研究に役立てたいからな」
「此方も手が空いたら連絡する、その時まではよろしくな」


【血液があれば此方に連絡を、とメモをもらう】
【そのメモに目を通せば、翼を広げて飛び立つ準備をする彼の方へ向き】
【了解の意を伝えれば、手が空いたら連絡すると】

【男が直上へ急上昇した風圧で白衣の裾を靡かせながら】
【翼をはためかせて去っていく彼を見送り、そして目線を彼女に戻した】


「あ、そうだ。もうひとつ説明を忘れていたことがあったな」
「もし屍人化の初期段階や、魔力の暴走に備える薬液がひとつあった」
「それも併せて一つだけ渡しておこう。緊急事態の時にだけ、使って欲しい」


【一つだけ。この言葉の意味を、彼女は理解してくれるだろうか】
【魔力の消費を怠って暴走してから使うのではなく、屍人化の手前で使って欲しい】
【本当の緊急事態に備えるための、薬物なのだから】


「よろしい、覚悟ができたようだね──」
「ならば、このメモに書いてある場所に“一人で”来給え」
「来る日時もすべて指定してある。何があろうと、この日時に来なければこの話は流す」


【その日にしか準備ができないし、もし流出しても大変だから】
【水の国の山中にある研究室の入り口を待機場所に指定した】
【この日時を厳格に守り、一人で来なければ因子は投与しないと、彼女に告げた】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/16(月) 00:53:31.27 ID:eKs85lv60
>>183

【奥へ、奥へ。――しかしながら、やはりそれは氷山の一角】
【地下の区画などは、それこそUTのメンバーでもないと知らない物だろう】
【そしてこの妖狐は生憎と"正義"ではなく、故に地下に気付くこともない】

【だから地上の、誰も居ないエリアをどれだけ見て回った所で】
【返事も気配も無いとなれば――そもそも此処には居ないのか、と】
【そう結論付ける程度にしか至らない。甚だ不満そうではあったが】
【変に感情的では無いから、ため息一つで済ませてしまい】

……居ませんねえ。少し騒いで見れば誰か出てくるかとは思ったのですが。
まっ、此処って職場であってご自宅ではないですし
いつでも居るほうがおかしいという所ですか。……取り敢えず、置き手紙でも。

…………――貴女も何か、書いておきます?

【ただ帰る気はない。そうやって次から次に行動を起こせるのも合理性故だろうか】
【言伝があるなんて言っていたが、メモの内容は次の通り】

【「貴方がたにお金を返してくれる人から、指輪の贈り物です」】
【「といっても、もう持っているかも知れませんが」】
【「ついでに円卓の王様の連絡先、私が知っていますから」】
【「お手数ですけど、これをみたらご一報くださいましね?」】
【「――幼馴染さんのお友達、クズノハより」】

【そこに魔石で作られた指輪を一つ置いて、ペンを下ろす】
【テーブルのナプキンに、適当なボールペンで書いただけのぞんざいな置き手紙】
【同じ様にナプキンを取るとペンと一緒に彼女のほうへと差し出すが――別に、受け取ることは義務ではない】

【スタッフオンリーの場所に書き置きを残せば、少なくともお遊びで置いたものでもなく】
【其処らの酔っぱらいに握りつぶされる心配もない。そう口にして、帰る準備までを彼女に伝えた】

/申し訳ないですが睡魔到来故また持ち越しをお願いしたく……
/それか、このまま店外に出てお別れ、という流れで締めでも構いませんので!
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [saga]:2018/04/16(月) 00:55:29.31 ID:evW7gPof0
>>185

―――ナス?キュウリ?

【あまりそちらの風習には詳しくなかったのか、少しきょとんと聞き返す】
【さてね、とどちらともなく肩を竦めれば――あとはもう、“あの宿”へ】

懐が暖まる、くらいならいいんだが。
すべての“力”を管理したいヤツらが居るとするなら、目指す先は自明さ。
灰色の世界、停滞の世、ってね。

【キングの開けた扉を潜る。肩から外套を外して、ひとつ息をついた】

ああ、鈴音だ。なんでもセリーナともうまく行ってないらしくてね。
彼女に伝言も頼まれたんだが、中々会うこともできない。

――マッカラン。トワイスアップで。

【何でもないように注文を済ませる。マスターも、片眉を上げて応じるだろう】
【――魔界でもそうであるように。この酒場でも、死人が蘇る程度、恒例行事なのかもしれない】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 00:56:40.39 ID:6wXOe1D20
>>189
/了解しました、こちらもちょこっと眠たかったので、凍結お願いしようかなあと思っていたところでして……
/明日帰れるのが遅くなってしまうのでお返しはそのあとになってしまうかと思います
/ただどちらになるのかがちょっと書いて見ないと分からないので、お先にそれだけお伝えしておきますっ
/それでひとまずおつかれさまでしたというのでお願いします!
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/16(月) 01:02:58.55 ID:eKs85lv60
>>191
/了解致しましたっ!でしたらひとまず続きはお任せで
/こちらも明日はちょっと遅めになりそうなので助かるといえば助かったり。
/ではでは、今日もありがとうございました!お疲れ様です!
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/16(月) 01:03:01.07 ID:9nu0WEGw0
>>187>>188

「代償?」
「あッ!ま、待って!!」

【力には代償が付き物】
【言わんとする事は解るが、しかし男性のそれは、何か特別な意味をその中に孕んでいる様な気がして】
【そして、呼び止めようとしたが、男性は既に空に飛び去って行った】

「名前、聞けなかった……」

【そして】

「一つだけ、ですね」
「ええ、解りました……」

【一つだけの薬、その意味は十分に伝わった様子だ】
【屍人化……やはり最大の副作用はそれの様だ】

「解りました、この日この時間、この場所に一人、ですね」

【Crimsonから紙を受け取り】
【そして】

「よろしく、お願いします」

【再びそう告げて、何も無ければ、彼女もまた去って行く】

【この先の運命は?】
【歯車の嚙み合ったその先の動きは?】
【それはまだ、誰も、誰も計り知れない、そう何かなのだろう】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/16(月) 01:17:36.83 ID:taKy+g6Ro
>>193

「ああ、私こそ。よろしく頼む──」
『おい、マスター。やけに帰ってこないと思ったら、何してたんだ』


【彼女が去っていくのを見送ろうとすると、背後から声がする】
【振り向けば、金髪を腰まで伸ばした碧眼のサラスが立っていた】
【先日のアスタン襲撃を行った張本人とも言える存在】


「サラスか、これから忙しくなるぞ」
『ふん、どうせあいつに因子を射つんだろう。どうせ“楽園”行きだ』
「さあな?彼女は能力者だから適応力は高い。“楽園”行きになるかどうかは、その後だ」


【二人で談笑──というには少し過激なものをしながら】
【セラフ研究施設へと歩みを進めていく。現在の拠点はあそこであるから】
【彼女の行く末を案じて、静かに祈った。いつか、カノッサの呪いを断ってくれる筈だと】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 16:42:12.28 ID:gulPHMFCo
【水の国・レヴォルツィオーン本社】

【その知らせは唐突に訪れた】
【『会わせたい人物がいる』などという文面の連絡が黒衣の男から二人の女科学者へと送られた】
【場所はレヴォルツィオーンの本社ビル。場所まできっちり確保した上での会合の誘いだった】

【本社ビルは水の国の首都フルーソのオフィス街にあった】
【エントランスでは多くの人が行き交っている。だがそれを通る必要があるかは別問題】
【入口から堂々と入ってもいいが、裏口からこそっとやってきてもいい。転移してきてもいい。そんなのは自由だ】


【ブランルは会議用の小部屋を用意していた】
【円形のテーブルが部屋の中央にあり、壁には一面に窓。今はブラインドがかかっていた】
【テーブルの周囲には椅子がいくつか。予想では来客は二人だが、それ以上来てもいいように準備しておいた】

【二人が来るまでの間、ブランルは座って待ちながら本を眺めていた】
【黒衣の男の傍らには白衣を着た若い男が佇んでいた。表情には不愉快さがあった】

「…………何で、俺まで同席しなくちゃいけないの」

紅茶を淹れる役も必要だろう。それに、一応は私の部下だ
最前線にいる科学者たちと会う機会を作ってやったというのに、不服か?

【白衣の男の憮然とした表情は変わらなかったが、それ以上文句を言うこともなかった】
【やってくる科学者がどういう人間たちか、少しは聞いていた。それを考えると不愉快さがこみ上げてくる】
【だが確かに、科学者としてどうなのかという小さな興味も否定できなかった】

そろそろ約束の時間だ、歓迎の準備をしろ

【ブランルの指示に渋々と言った様子で頷き、白衣の男は隣接する小部屋へと姿を消した】
【後は”彼女たち”が現れるまでのんびりと待つだけだった。黒衣の男は愉しげな表情を浮かべていた】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 16:49:53.91 ID:bZq3MTovO
【ひたり、と爪先を水面に浸す様な可憐さで足音を鳴らす影が一つ】
【室内へと紛れ込んだなら、過ちの如く薄く微笑む】
【喉に引っ掛かる粘付きみたいな、とろんとした目尻が蕩けて】

【──お久しうございます、と恭しく言葉を投げたなら】
【枝垂れ桜の如きヴェールが薄く黒に表情を濡らして】
【少女が室内へと歩み寄る、柔肌が照明に照らされる】


此の度はお誘い頂きありがとうございます、私のような者にまで声をかけて頂けるとは、思ってもみませんでした
最近は徹夜続きではしたない姿に御座いますが
お目汚しにならなければ、その末端に座らせて頂きます


【萌葱色の長い髪に病的な白さの肌、檸檬色の双眸は切れ長の面持ちを耽美に飾る】
【黒いトーク帽に黒いヴェール、肩を大きく露出させた黒のナイトドレス】
【黒のニーソックスとハイヒールを履いた少女であった】

【特筆すべき点として、彼女は酷く傷だらけであった】
【ドレスから零れる素肌には切り傷や焼き傷、擦り傷に塗れて】
【頬には青あざ、痛々しい傷跡が無数にあれど】

【──どこか満足気な表情で、席につく"魔女"】
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 16:50:40.58 ID:bZq3MTovO
>>195
/上のレスは>>195に向けてです! 安価忘れてました、すいません
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/16(月) 17:00:46.43 ID:aADZEG0F0
>>195-196

【――――控え目に、ドアの開く音がした】
【中にいる人々に最初に姿を見せたのは黒スーツ姿の若い男】
【銀髪褐色、黄色い眼をした背の高い青年。ドアノブに手を掛けて、開く役割を果たし】

……や、どうもどうも。遅れまして申し訳ない――
お誘いどうもありがとう、ブランル。……座るのそこでいい?

【一番先に入ってきたのは、低身痩躯の、白衣を纏った女だった】
【黒髪は首の中程まで伸びていて、だるそうに翳っている瞳は暗赤色】
【蒼白く、細い手を椅子に掛けて――音もたてずに引き、悠々と座り込む】

【女がそうして座り込んだなら、後を追うようにして青年が入室して】
【さらにその後ろから――赤い髪をした少女が、後について入ってきた】
【ひどく強張った、彫像めいた無表情。ずうっと俯いたまま、斜め下の地面を見て】

【ふたりの従者は、座る女の後ろに立ったまま。座ろうとはしなかった】
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 17:12:20.45 ID:gulPHMFCo
>>196

【音。振動。優雅ささえ感じるその一音でも、誰が来たのかに気がつく】
【本から顔を上げ、その姿を認識すれば、男は呆れたような吐息をつく。口元には苦笑】
【だが矛盾するように、黒絹の瞳には微かな怒り。細指が彼女へと向けられた】


相変わらず、腰の低いことだ
私は無能を同列には扱わない。もう少し自信を持ってもいいと思うがな?

ところで、その怪我はフランツか?
それを治せば、あの男をもう少しいじめられるのか?


【愉快げな声色だったが、それはいつものことだ。むしろ、普段よりも少し声のトーンは低かった】
【内心の感情が声に乗っていた。まるで嫌がらせを企むように言って、袖口から触手をちらつかせる】


>>198

【続いて、見知らぬ顔の男が現れる。招待した女性がその後に入ってくる】


あぁ、よく来てくれたな
どこでも好きなところに座るといい、後で紅茶も出そう
淹れるやつが上手くはないので、味はやや劣るがね


【男は薄い笑みを浮かべて歓迎の意を示す。次に、興味深げな瞳が従者らしき者たちへと向けられる】
【青年へは一瞥くれるだけ。それよりも赤髪の女への興味の方が強かった。歪な笑みが浮かんでいた】


おや、俯いてしまってどうしたのかな
緊張しているのか? 別に取って食いはしないよ、ふふふ


>>196>>198

【隣の小部屋から白衣を着た若い男が入ってきた。持っているトレーの上には紅茶の入ったカップが三つ】
【男はまず”魔女”の姿を見てはっきりと驚いた表情を浮かべた。痛々しさに眉根が寄る】
【不愉快げな顔のままで、カップを三人の前に順番に置いていった。その後、ブランルの後ろへと下がる】


さて、改めてよく来てくれたな
今日呼んだのは他でもない。お前たち二人を会わせたかったのだ

"魔女"よ、彼女は"ブラスフェミア"という。そして"ブラスフェミア"よ、彼女は"魔女"と呼ばれている
どちらもそれぞれ生物に関する研究者だ、お前たち二人を会わせれば、より楽しいことができると思ってな?


【男の手が掲げられ、まず”ブラスフェミア”を示し、続いて"魔女"に向けられる】
【双方を双方へと紹介した後に、今回呼びつけた理由を改めて説明した】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 17:18:17.27 ID:bZq3MTovO
>>198

【黒衣の少女は現れた貴方へと軽く頭を下げる、長い髪がふわりと揺れて】
【雪白の頬に浮かぶ鮮やかな傷跡、芸術作品の如くその位置は絶妙に配置され】
【或いは狙って傷付けたような胡乱さが、透けて見えるが如く】


お初にお目にかかります、<harmony/group>にて主任研究員を勤めております。
──"魔女"と申します、以後お見知りおきを
ブラスフェミア様でしょうか、お噂は兼々お聞きしております

曰く冒涜の体現者と、──作品の多くは裏を通じて拝見しました
貴方様の作品を見る度に私は、自らの矮小さを恥じるのです
同席出来て光栄ですわ、不出来な研究者ですが、どうか末永いお付き合いを


【降り注ぐのは卑下の言葉、紡ぐ音律は何処までも被虐者のそれ】
【数多の傷跡に塗れながら、柔らかな目尻は艷やかさを孕んで】
【底知れぬ雰囲気を少女はそこに兼ね備えていた】

>>199

【檸檬色の双眸がブランルを見つめる、虹彩が貪る貴方の虚像】
【其れはまるで嬌愛に噎ぶ伴侶の如く、傅く瞳に思慕の情を浮かべ】
【拐かす不埒な飴細工に似て、踏み込んだなら果てまで離さない淫らさがあった】


いえ、あの御方はこの様な柔な傷は付けませんわ、もっと激しく苛烈に嬲られます
そうではなくこの傷は私めの新しい研究の、過程にございます
ブランル様に、示していただきましたもの

──お誘い頂いた理由も把握致しました、ブラスフェミア様の名前は存じ上げておりました
ですがこうしてお会い出来るだなんて、夢にも思っていませんでした
改めてブランル様には感謝を、何でもしてもらって、ばかりですね
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/16(月) 17:27:40.34 ID:aADZEG0F0
>>199-200

「……、……」

【赤髪の少女は、びくりと肩を震わせた。震わせて――それだけ】
【喰わない、と言われても、頑として顔を上げようとしなかった】
【一瞬だけ。視線だけちらりと動かして――助けを求めるように】
【ブランルのそばにいる白衣の青年を見たけど、すぐに逸らしてしまった】

【対して隣に立っている青年は、心底どうでもいい、というような顔をして】
【部屋全体をじいっと眺めて――やっぱり黙り込んでいた】
【こういう場にも慣れているのだろう。放っておけば欠伸すら零しそうな、油断】

【そんな二人を背に、「冒涜者」は座ったまま目を閉じて、息を吐き】
【――もう一度目を開く。視線は“魔女”に向けて、笑みの形に】

ええ、よろしく――ミス・ウィッチ?
<harmony/group>の名は僕も、よく存じております。
そんなトコロの主任がこんな、お若いお嬢さんだなんて――

【「ちょっと吃驚しちゃった、はは、失敬」――紅茶を一口】
【唇を湿らす程度に口に含みながら、じいっと傷を見つめて】
【――ふ、と鼻から息を漏らす。紅茶の香を、通すみたいに】

……ええと、それで、三人集まってたのしい悪巧みの時間って?
それは楽しそう――ではある、の、だけど、……何から話せばいいんだろうね。

近況報告でもする? 僕は最近、あなた方以外の「同業者」と
面識持ったりしたけどさ。紹介、いる?

【こんこん。テーブルを指先で叩いて、頬杖をつきながら、まずは「お茶請け」ひとつめ】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 17:34:04.56 ID:gulPHMFCo
>>200

【"魔女"の答えに、男は気が抜けたように笑った。今度は本心から。あるいは、僅かな自嘲も込めて】


はは、なるほど。無礼を働いたのは私の方だったか
では、お前のその怪我を治すなどという無粋なことはしない
しかと取っておけ。美しい痕跡だ


【理由が判明すれば、その怪我はある種の美しささえ感じられた】
【女の滑らかな柔肌に走る無数の傷は、その淫靡さを彩るよう。思わず、視線を奪われる】
【────「美しい」と、再び男の口はそう謳った】

>>201

【少女と同じように、白衣の青年も彼女の方を見ていた。視線が交錯した】
【ぎり、と歯噛みをする。どう考えてもあの少女がいるのは本意じゃない。そんなのはすぐに分かった】
【ああ、でも────苛立たしげに舌打ちをして、俯くことしかできなかった】

【その小さな音を聞いた黒衣の男は、愉しげに微笑んでいた】


んー…………我らの従者は互いに興味がおありのようだ
が、それはさておき。私たち以外の同業者か、実に興味深い話題だ
是非とも聞かせてもらおうか、"ブラスフェミア"よ、それは何者なのか


【黒曜色の双眸が”冒涜者”の女へと向けられる。話はまず、彼女のものからだ】
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 17:48:48.54 ID:bZq3MTovO
>>201

【檸檬色の双眸が媚びる様に赤髪の少女を見た】
【頬紅が差した、彩る表情は深い興味──。そして、暗い愉悦】
【脳内ではどの様に飾られているのかは、未だ無明】


……他に耐えきれる人材が居なかった、それだけの事です
ここに居る御二方に比べると私は、研究者として二流でしょう
知識も発想力も技術も……だからこそ、忍耐を評価されました

じいっと耐え忍ぶ、ふふ、不出来な私でもそれぐらいは出来るんですよ
我社の社長は中々に苛烈な方でして、並の研究者では命と精神が持たないのです
──まあ体の良い奴隷ですね、十把一絡げの奴隷の中に少々計算が得意な個体が居ても、おかしくはありません


【自嘲気味に笑う、何処までも落ち着いた柔らかな香りで】


興味深いお話ですね、私としては出来る限り多くの繋がりを持ちたいと思っています
優秀な方を紹介して頂けるのは嬉しく、そして──
ブラスフェミア様が紹介されるというのでしたら、相応の方なのでしょう


【膝の上に重ねる両手、右手の小指が折れているのか変な方向に曲がっているのをブラスフェミアは確認できるだろう】


>>202

【少しだけ彼女の表情が揺らいだ、ブランルの笑みに釣られた様子で】


ですが、あまりにさらけ出し過ぎると少々周囲の視線が恥ずかしく思えます
此度もこの部屋に来るまで、何度心配をおかけしたことか
後で受付の女性には礼をせねばなりません、しかし──

レヴォルツィオーン社は教育が行き届いておりますね
受付の方一つとっても御立派な対応でした
そして白衣の御仁、宜しければ応急処置の道具を頂けませんか


【微笑みを浮かべたなら令嬢の様に落ち着いた雰囲気を見せて、】
【白衣を着た男に言葉を向ける、求めるのは応急処置】
【包帯の類を要求するのだろう、流石に剥き出しは良くないと】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/16(月) 18:00:34.77 ID:aADZEG0F0
>>202-203

【様々な色合いの瞳に晒されて、少女がざり、と靴音を鳴らした】
【履いているのは真っ赤な厚底靴、それを少しだけ後ろに退かせて】
【――隣の青年が腕を握った。逃げるな、とでも言うように】


忍耐力、忍耐力――素敵なことじゃない。
特に僕らみたいな職業のニンゲンはさ、「失敗」がオトモダチだ。
何回も何回も何回も何回も――失敗を重ね続けて、ようやく「成功」を掴み取る。
そういうのが「僕ら」の日常でしょう? だから、ね、……誇るべき長所だと思うよ、それは。

【“魔女”に対する“冒涜者”のコメントは、そんなものだった】
【気を遣って優しいことを言っているようにも、あんまり見えない】
【何かしら、思うところがあったのだろう――カップを下ろしながら、表情を綻ばせて】

【続く話。話してみるがいいと言われたなら、咳払いをひとつ挟んで】


ん、じゃあお話しさせてもらうね――

――――“Crimson”。指名手配されてるみたいだから
知ってるかもしれないけど、夜の国、アスタンを襲撃した人物。
その名の通り紅色の髪をした女のヒトだよ。

知り合ったのは「セレンディピター号」。偶然その場に居合わせてさ、
意気投合してそこそこ仲良くなって――連絡先も持ってる。

なんでも、生体因子にまつわる研究をしてるみたいで、
それを投与すれば「凡才」を「偉大なる魔術師」に進化させることができるんだってさ、
……詳しいことは僕もよく聞いてないけど。

【「それの成功例を暴れさせたのが、アスタンの一件ってワケ」】
【ここまで言い終えると、区切るように紅茶をもう一口】

【「アスタン」の事件は、謎の人物――「リンドウ・ハツセ」が、部下の能力者を使って治めさせたというが】
【その能力者は、後姿のみが映像で記録されており――“冒涜者”の後ろに立つふたりの従者】
【彼らに、シルエットがどことなく似ているということ――気付くかもしれない】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 18:14:19.77 ID:gulPHMFCo
>>203>>204

【少女が腕を掴まれたのを見てしまった白衣の青年は、一歩を踏み出そうとした】
【ざり、と同じように靴音が鳴る。動きが止まる。ブランルの視線が動きを制していた】
【もう一度舌打ち。"魔女"に向かって「分かったよ」と手短に伝えて部屋から出ていった】

【"ブラスフェミア"の話をブランルは興味深そうに聞いていた】


ほう、凡才を偉大なる魔術師に、か
それこそ凡才な魔術師である私にとっては、夢のような話だな、実に素晴らしい
その研究は是非とも成功させてやりたいところだな


【夢を語るような純粋さが声にはあった。視線が動き、二人の従者を捉える】


ふふ、あの事件はどうにも愉快な裏がありそうだな
どうなんだ、そこの従者にでも聞いてみようか?


【愉快げに口元を歪めながら、従者へと声をかける】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 18:15:40.15 ID:gulPHMFCo
//>>205に追記です

【白衣の青年が救急箱を持って部屋に戻ってきた】
【無言のまま、それを"魔女"へと差し出す。一瞬、怪我を一瞥しはしたものの】
【やはり痛々しさにすぐに視線を逸らしてしまう】
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 18:18:23.12 ID:bZq3MTovO
>>204>>205

【共有される"Crimson"なる研究者の情報、"魔女"は静かに目を伏せる】
【生体因子なる言葉に彼女は深い興味を抱く、偉大なる魔術師】
【その言葉は魅力的であり、また同時にどこか不穏な響きがあった】


ブラスフェミア様のお話はとても興味深く御座います
──"生体因子"それは、私共の研究分野である"遺伝子"に大きく関わってきますので
宜しければ連絡先を頂けませんか、ええ、無理にとは言いません

謝礼なら私の出せる金額であれば──或いは私自身の身体でも構いません
ブラスフェミア様でしたら後者の方がお好みでしょうか、傷だらけの淫らな身体ですが
意外と使い道は如何様にもあったりしますので


【嘯くように笑う、痛々しい傷跡越しに檸檬色が貴方を慕って】


……それと、次の実験で頑強な被検体が複数必要なのですが
其方の伝手などは御座いませんか?
ブランル様かブラスフェミア様の在庫にあれば、買い取らせて頂きたいのですが

──先程有難い言葉を頂きましたが、これ以上の失敗は許されない立場でして
そろそろ結果を出さなければ首が危ういのです
……比喩でない所が、恐ろしい限りですが


【白い頬にルージュが溶ける、淡い赤が静かに濡れた】
【怜悧な目元に陰りが落ちて、ヴェール越しの表情を雲間に見せる】
【朧の月は幽玄に、靡く柳の可憐さにも似て】


それと、ブランル様は御自身の事を卑下されない様に
私は心の底から貴方様を尊敬しております、研究者としても、魔術師としても
例えレトリックであっても、貴方様のそんなお言葉は聞きたくありません

気高き者は確かな矜恃を、言葉の上だとしても穢してはならないのです


【添い遂げるように傷んだ黄が視線を向ける、静かだが強い音色で】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/16(月) 18:34:00.40 ID:aADZEG0F0
>>205

【「すごいこと考え付くよねえ」――他人事のように“Crimson”のことを褒めたなら】
【ブランルの視線が自身の従者に向かったことを悟ると、静かに口を噤む】

【代わりに視線を受ける羽目になったふたり――少女の方は、さらに体を強張らせ】
【上手く言葉も出てこない様子だった。それをちら、と横目で見やって】
【青年の方が半歩前に乗り出して、返答を始める】

「……おれとコイツ、『リンドウ・ハツセ』に雇われたんスよお。
 夜の国を襲ったわる〜いヤツを倒してくれって言われて。ほら、最近よくあんじゃん、
 『能力者は排除しろ』〜ってフーチョー。あれに対抗するために、
 能力者だってけっこー役に立つんスよお、ってアピール。それに乗っかったカタチでさあ」

【「アスタン」へ赴いたのだと、そう告げる。……不自然なところも多々見える発言】


>>206

……いいよ、連絡先。当たり前のことだけど慎重に扱ってね、
最近どうも、通信を撹乱する……組織だか個人だか知らないけど。
そーいうヤツが出回ってるんだって。
盗み聞きされたらヤバい話は、メールでやんないほうがいい。

謝礼、うーん……身体も魅力的だけど。
僕、好みのタイプが「金髪碧眼」なんだよね、そういう感じのコ、紹介してくれない?

【自身の名刺の裏側にさらさらとボールペンで走り書き――一見、何の意味も持たない文字列】
【しかしそれは良く見れば、ごくごく簡単な暗号であることが“魔女”にはすぐわかるだろう】
【きっと彼女なら、見てから解くのに5分もかからない。その程度のものではあったが】
【口にしている通り、決して雑には扱えない。だからこその一手間だった】
【手渡す際に、冗談めいて一言。軽く笑ってはいたものの――目はあんまり、そうじゃない】

頑強なヤツかあ――うーん、手持ちにはいないかも。
ちょっと手を加えたヤツなら、少し時間を貰えれば出来るけど……
……ああ、そうだ。「お前」が行ってみる?

【――――ここで初めて、女の視線が後ろに行った】
【おまえ、と呼ばれたのは――赤い髪の少女。愉快そうに細められた視線に捕えられて】
【目を見開く。びく、と音がしそうなほどに一度震えて――静かに汗を流しながら、無言】
209 :キング ◆/iCzTYjx0Y :2018/04/16(月) 18:39:41.79 ID:5o7n5YFy0
>>190

【刀持ってるから詳しいかと思ってた。キングの思考回路なんて、大抵そんな物。】
【この男はと言えば、無駄にいろんな知識が多いのでウェインのとぼけた様子にクスクス笑って。】
【決して悪気はない。ただ年齢に似合わず子供っぽいのも、なんというか、本当にあの頃とそう変わらずだった。】


―――んん。管理ねえ。勘弁してほしいな、"こっち"の世界が滞ると、
"ウチ"の過激派が色めき立つんだ。今なら攻められる、今なら打ち滅ぼせる―――ってな。

ま、サタンもバカじゃあねえ。"ガリアン"無き今強硬手段には出たがらねえ筈だが
そうやってまたモメるんだよ。やれ魔皇城勢力は逃げ腰だ、君主に相応しくねえだとかなんだとか。

大体美人が泣く羽目になるしな。能力者にだってカワイコちゃんが大勢いるんだ、そうだろ?


【自身はマスターに「よう」とだけ挨拶をする。店主は驚いた顔をしたが、ふふ、とかつてのように笑った。】
【どかり、と椅子に座る。客は他に居ない、二人だけの空間だ。しっぽり話し込むのも良いが―――その前に告げる事があった。】


……へぇ。鈴音ちゃんが、ね。……あー……、セリーナ?
……まあな。会えねえよな、そりゃ。いや、事情が込み入っててな。

―――マスター、オレはフルボディで。何時ものだよ、"カッシェロ"だ。


【セリーナ、という単語が出ればどうも言葉を濁し。掻き消す様にワインを注文するキング。】
【悪魔がデザインされたなんとも"らしい"ボトルとグラスを受け取って。軽く注げば互いに杯を持ち、乾杯。】


―――それじゃ、再会を祝して。


【一気に掻っ込む。この辺りも昔と変わらない。あっという間にグラスを空にすれば、続けてこう言い放つ。】


……今さ。オレが任されてんだよ、UTの店番。
……これ、どういう意味かお前わかるかい?

【穏やかだった空気が変わる。血の様に赤いワインが薄い明りの中妖し気に煌いた。】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 18:48:09.50 ID:gulPHMFCo
>>207

【首が危うい、と。そう聞かせられたブランルの笑みが消える】


短期的な結果を研究に求めるなど無粋もいいところだが……
いいだろう、必要だと言うのであれば、被験体を用意しよう
必要な条件を後でよこせ。適合するものを探しておく


【続いて向けられた言葉には、苦笑が浮かんだ。歪さが幾ばくか取れたような、そんな笑みが】


お前にそう言われては、退屈な言葉遊びも控えざるを得ないな
せめて私に敬意を持っている者の前では、卑下するのはよそう
あぁ、それに確かに、私の魔術は”特殊”だ。矜持はしっかりと持っているとも


>>208

【従者の返答を聞いている間、ブランルの視線はずっと少女へと向いていた】
【昏い双眸に虚像が映り込む。口角が上がり、唇が下弦の月を描く】


なるほどな……面白いことを考えつくものだ
その『リンドウ・ハツセ』とやらも興味深そうだ……最近は面白いことに困らないな?
とはいえ、公安だったか、そのあたりまで手を伸ばしている余裕がないのも事実だな
忙しいのも考えものだ

あぁそうだ、その連絡先は私にもくれないか?
お前と仲が良いのなら、私も仲良くなれそうじゃないか


【ブラスフェミアが"魔女"に連絡先を渡しているのを見て、ブランルが口を挟む】
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 18:55:41.82 ID:bZq3MTovO
>>208

【ブラスフェミアの言葉に、魔女はきょとんとした表情を向けた】
【暫し逡巡して、漸く理解する。──成程、心配をされている、と】
【何だか不思議な気持ちであった、目の前の研究者は自分の知らない事も知っている】


深く心に留めておきます、もしブラスフェミア様にご迷惑をおかけすると考えたなら、自害しても足りない、と
金髪碧眼ですか、被験体の中に一人、適した人物がいるのはいますが
何分自由気ままなものでして、一応伝えてはおきますが命令に従うかはわかりません

お望みとあれば拘束して送らせて頂きますが、命だけは残して頂きたいです
性格に難はありますが、成功作の一つでもありますので
名は"カチューシャ"と言います、最近ではメディアでも良く報道されていますが


【名刺を恭しく受け取り、言葉を返す。──その条件に当てはまる人物の名を】
【困った様にため息一つ、何となくその理由も分かるかもしれない】


……あら、良いのでしょうか? ブラスフェミア様の言葉に異を唱える訳ではありませんが
お見受けした感じですと、あまり頑強でないとの印象を受けます
現在の実験は非常に過酷でして、その為に頑強な成人男性が良いのですが

──それとも、其方のお嬢様はブラスフェミア様が手を加えていると、汲み取っても?


【研究者であれど、ここまで傷だらけになる研究とは──】
【彼女は少女に微笑みかける、それはまるで】
【今から貴方を壊してもいいのかしら、と問いかける様に】

>>210

【差し出された救急箱を受け取ったなら、感謝の言葉と合わせて軽く手を添えた】
【冷たい体温、少し力を入れたなら掻き消えてしまいそうな、薄靄の如き儚さ】
【そっと上目に注がれる視線、檸檬色の水面に浮かぶ貴方を追った】

【未だに赤い傷口は、彼女の白とコントラストを描き、今出来たばかりの様な鮮やかさを見せつけて】
【宛ら瑞々しい果実の表面に爪を突き立てたかの如く、赤い果汁が割れ出て指を染める様に】
【白草を染める真紅にも似た、淡い夜露の残照を浴びて】

【受け取った救急箱を開き、ガーゼを取り出す】
【白磁の指先が自身の頬を撫でる。──痛みに思わずびくっと瞼を閉じて】
【震える手付きでガーゼをあてがう、テープが柔肌にピタリと貼られて】

【ふぅ、と小さく息を吐く、確かめる様に何度かガーゼを撫でて】
【小さな傷には絆創膏、大きな傷には包帯と、手慣れた様子で巻いていく】
【やがてそこには、病室の方が似合う華奢な少女の姿があった】


相変わらずお優しい事ですね、ブランル様は──私めの心配をしてくださる
私にはそれが本当に不思議で、他にも素晴らしい研究者がいるのに、と思います
お言葉に甘えさせていただきます、いつもブランル様にはお手数をお掛けしてばかり

たまには私に無理を言ってもよろしいのに、求めるものは何なりと
鬻ぐ事に抵抗も無いと──貴方様になら、特に


【それはまるで、昼下がりの歓談、他愛もないお話】


そういてくださいませ、それでこそブランル様に相応しいのです
尊敬に値する方には、常に雄々しくあられて欲しい
……私の社長も、雄々しくはいるんですがね
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/16(月) 19:06:34.79 ID:aADZEG0F0
>>210

「そういうことでーす。
 まあ、くわしーことは“アッチ”とのオヤクソクもあるからネ、
 あんまり深くは言えないカンジ? あと気になるコトがあるんなら、
 ソッチの好きなよーに考えてくれてていいッスよお」

【言い終えると、青年はにっこり笑って引き下がる】
【それっきり、元の置物常態に戻る。隣の少女を横目で監視して】

……ん、おっけー。
僕からの紹介って言えば、きっとすぐ分かってくれると思う。

【もう一枚。名刺の裏側の暗号文、……“魔女”に渡したものとは別のもの】
【ヘンなところで細かいというか、遊び心があるというか。そんな感じ】


>>211

「カチューシャ」……うーんなんだか聞いたことあるような気がするな。
キレイなコだったら何でも好きだよ、ありがとう――会えるのを楽しみにしておくね。

【言い慣れぬ異国の音階、発音はどこかしら違うものになったろう】
【けれどそれをしっかりと、記憶に刻み付けながら】


「……っ、……ゃ」

――――あははっ、ごめんごめん! 冗談だよ冗談!
言う通り、あんまり頑丈ではないんだよねこのコ――でも、
僕の手が加えてあるかって言われたら「イエス」。
ま、機会があったら弄ってみてよ――――ふふ、なんて顔してんの、おまえ!

【優雅に微笑みかけられて、赤髪の少女はあからさまに怯えて見せた】
【見開いた赤の瞳を引き攣らせて、助けるように周囲を巡らせる――のを】
【眺めていた「冒涜者」は、けらけら笑いながら指差した。つう、と肌を撫でるとまたひとつ震えて】
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 19:28:08.73 ID:gulPHMFCo
>>211

【白衣の青年の手に”魔女”の手が触れる。その冷たさに指が跳ねる】
【治療を手伝うべきか迷った。そんな甘い考えを頭を振って追い出す。相手は黒衣の男と同類。手を貸すべきじゃない】
【治療が終われば救急箱を持って引き下がる。痛々しい傷の数々は真っ白な包帯が覆い隠した。つい、目がそれを追ってしまうけど】


確かに、他にも優れた研究者はいるかもしれないな
だが、私に付き添うのはお前だ。その”他の研究者”とやらではない
…………そう、私に付き添うのはお前なのだ


【何か、重要な意味があるように、その言葉は繰り返された】
【音色は重く。確かめるような音程と共に】


それに、だ。そう慌てなくていい
お前にしてもらうことだって、ちゃんと用意してある
あるいは、私という個人の相手をしてくれるというのなら、もちろん歓迎するがな?


【不敵な笑みが浮かぶ。親しげな感情さえそれには乗せられていた】

>>212

【名刺を受け取ると小さく笑う。「あとの楽しみにしておこう」と言ってポケットの中へ】
【紅茶のカップを手に取り、口元へと運ぶ。途中で停止。視線が横へと動く。その先には白衣の青年】
【救急箱を持って下がっていた彼だったが、ブラスフェミアと魔女のやり取りを聞いていたらしい、その表情には義憤】

【青年の手が白衣の内側、腰にあるホルスターへと伸びる。ホルスターには自動拳銃が収まっていた】
【手に取る寸前で急停止。何かに押さえつけられているように手が震えていた。表情には苦悶】


はは、物騒なものを取り出さないでくれよ
あの少女が気になるのか? 名前はなんていうんだ?

「……くそ。ふざけてるっ」


【青年の視線がブランルへと注がれる。彼の動きを止めているのはどうやらブランルらしく】
【ブランルは赤髪の少女へと名前を訪ねる。酷く優しげな声色で。恐怖とコントラストをとるように】
【動きの止められた青年は赤髪の少女とブラスフェミアを悔しげに眺めるばかりだった】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 19:38:52.52 ID:bZq3MTovO
>>212

【不安げに怯える少女の様子、それを見て彼女は静かに微笑む】
【其れは慈愛に満ちていて、大丈夫と声を掛けるように】
【そっと視線をブラスフェミアに戻す、可憐な言葉を紡ぐために】


好きに弄って宜しいのでしたら、私もお言葉に甘えるのですが
この様に美しい少女に実験できる事は、私も少々やる気が出ます
大丈夫です、最大限の配慮を以て扱わせていただきますから

適材適所です頑強な男性は、身体的な負荷を強めますが
華奢な女性ですと代わりに、致死量の下限を探る事が出来ます
どうすればかろうじて死なないか、どうすればかろうじて死ぬかは大事ですので


【そこに救いはあるのだろうか、またいずれ、と言葉を重ねたが】
【研究者は残酷か、冷淡か──魔女は一体何を見ているのか、と】


時にブラスフェミア様、主にどの様な改造を得意とされてるのでしょうか
私共は遺伝子研究が主ですので、身体改造は後進に御座います
後学のためにも教えていただけると、助かるのですが


【ちらりと魔女の視線が後ろの二人に向く、どの様な改造が成されているかを探るかのように】

>>213

【魔女の目が白衣の男に注がれて、静かに言葉を探した】


……過ぎた言葉です、そんなに言われても私に返せるものは殆どありません
それでも、私の心はそう言われる度に浄化されていきます
本当に不思議な御仁、最初の印象は狂気そのものでしたのに

聞かせていただけるでしょうか、狂気と正気、貴方様は一体どちらなのか
もしくは、そう或いは、月の表面と裏面が如く同一なのでしょうか
その狭間に僅か残る残照に似て、揺蕩っているのでしょうか


【──言葉を少し置いて】


添い遂げて良いのでしたら、喜んで──貴方様に添わせてください
そしてもう一葉願わくば、貴方様の景色を見たいとも思います
それは過ぎた願いでしょうか、太陽を乞う様な、あまりに過ぎた

──先程から手助けしてくださるそこの御仁は、助手の方ですか?


【ふと、気づいたように尋ねる】
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/16(月) 19:49:06.48 ID:aADZEG0F0
>>213

…………ふふ、モテ期来てるんじゃない? きみ。
名前が知りたいんだって、教えてやんなよ――

「――――――……ゆ、ゆづ……夕月」

【この場において、ひどく「正常」な思考をしているらしい。青年に向けて】
【少女は、強張ったまんまの瞳をぎょろと動かして――呆然と自身の名を口にした】
【汗で顔に髪が一筋、貼り付いていた。それを払おうとする意識すら働かないのか】
【おそらくこの場で一番ヒエラルキーの低い位置に居る少女は、それしか、できなくて】


>>214

【そんな調子の少女は、大丈夫と声を掛けられても、元には戻らなかった】
【すっかり怯え切っている。檸檬色の瞳、柔らかに優しげに整えられるその奥に】
【何が潜んでいるのか図れない。う、と嘔吐くような呻き声を上げる】

うん、「辛うじて」壊れないんだったら大丈夫さ、
……本当に貸そうか? これ。オトコの相手ばっかりだと、飽きるでしょう。

【まるで本か、CDか。そのあたりの嗜好品を貸し借りするような気軽さ】
【もろもろの権利はこの少女にはなく、文字通りの「魔女」たちの掌の上にあって】
【お茶会の場で語られる世間話めいたトーンで、会話は続く】

僕? 僕はねえ――お金のためならわりかしなんでもやるけどさ、
主には「死者の蘇生」を研究テーマにしてる。もう死んじゃった、戻ってこないヒトを、
生きてたとき、そっくりそのまま――この世に取り戻すための研究。

【つんつん。指先で少女の腰の辺りをつっつきながら言うそのワードは】
【ならばこの女の手が加えられているという、彼らはきっと「そう」なんだと。おぼろげに伝えているよう】
216 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/16(月) 19:50:16.45 ID:kvzR8yMO0
>>100

……あのやり方にゃ、正直驚かされたもんですよ、えぇ……まさかあんなやり方で裏を取ってくるなんて
考えついた事もとんでもなければ、それを実行できてしまうのもとんでもない、奴らの頭の中、どうなってんでしょうね、全く……
でも――――要するに、そういう事なんですよ。いつまでも、自分たちが守られる側でいる保証はない
それに気が付きゃ、アホウ共も少しは分かるでしょう。均衡を崩した事がどういう事か、如何に後始末をしなきゃならないかを……

【先の電波ジャックによる事件は、イーレイにとっても衝撃的な物だった。正に力業――――あんなやり方で意趣返しするとは】
【普通、考えてもやらないだろう。また、その為の手段を行使する事そのものが、容易な話ではない】
【それを、あの悍ましい一団――――スクラップズと言ったか――――は、やってのけたのだ】

【――――あれを「正に魔防法が標的とすべき悪の姿」と見るのは容易い。だが、そんな事を言っている間は、人間として二流以下だ】
【魔防法を声高に叫んだ人間が、逆に魔防法に睨まれる立場となる、その悪趣味な皮肉――――それに嘲笑を向けるのも、まだ一流とは言い難い】
【――――問題なのは、ある特定の存在を排除する事の意味を知る事である。アレを我が身に置き換える事の想像力。それを持った人間こそ、ここで言う一流なのだ】

(何とも豪快な食事ですねぇ――――とは言え、体質の関係上エネルギーは必須でしょうから、あれも「必要な贅沢」って訳ですか)

【他人の食事をじっと見つめるのは不作法だが、完全な無関心を装うのも不作法だ。と言うより――――奢ってもらってる立場なら、完全な無関心は『無し』だろう】
【実に野趣溢れる、男性が好むようなメニューだが、常に常時発動型の能力で、熱エネルギーを発散させているとなると無理もないだろう】
【その服装と同じ様に、彼女にとっては必要な事なのだ――――】

――――生き残る、ね……これでも、今まで荒事には遠い生き方をしてきたつもりなんですがねぇ。とうとうそんな事を考えなきゃならない、そんな時代になってしまいましたか
腕一本で生きるってのも、大変なもんですねぇ。今までだったら、ここまで危ないことしなくても、何とかなってきたってのに……
明日がどうなるか分からないご時世じゃ、ノーベンチャー・ノーゲイン……危険を承知で、虎穴に飛び込まにゃいけないんですからねぇ……

【リゾットとムニエルを平らげて、ゆっくりとブラッドオレンジジュースを傾けながら、イーレイはため息をつく】
【医者として、能力者として――――決して、命の危険がどうのと言うラインの経験はしてこなかった『つもり』の彼女でも、今の時代は分からない】
【己の技能を頼りにした、今の安定した生活が、いつまでも続くとは限らない――――だからこそ、彼女は今回の事態に主体的に噛んでいく腹を決めたのだが】
【――――静かに稼いでいきたいだけ。その本心には変わりない。そんな我が身を思うと、ため息の1つも零れ出るのは、仕方ないだろう】

/こちらこそ、遅くなりました
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/16(月) 19:56:46.16 ID:Pe782IZ50
【火の国・路地裏】

「……ちッ、しつこい奴らだ」

【何者かから逃げているらしい、男――その姿は】
【40代半ばで身長182cm、きりっとした眉毛、ややたれ気味で奥二重な褐色の眼】
【赤いニット帽、上下共に白いラインの入った赤ジャージ、薄汚れた白い運動靴、茶色のウェストポーチ】

「だが、ここなら多少の荒事は問題無いだろう。……本当は、この様な場所の治安も改善したいところなのだが」

【ポーチから取り出される1丁のリボルバー。見慣れぬゲージとツマミが1つずつある以外は普通だ】
【男は立ち止まり背後を向く。……追手と思われる複数の人間、それらに向けて銃弾を発射する】
【サイレンサー付きだろうか、通常よりも銃声は小さく、けれども聞こえないわけでもなく】
【幾つか外したものの、銃弾が命中した人間たちは地面に倒れて眠った。――比喩でなく、本当に寝ている。どうやら麻酔弾だったらしい】

――――――――――――――――――――

【森の中・秘湯――その場所に先客が2人居た】

『昨日よりはマシでしょうか。五十歩百歩ですけど』
「ヘケケ、この調子ならもうちょっとで治る気がするぜ!」

【1人はガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目】
【もう1人は、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目】

『それ、昨日も言ってませんでしたか?』
「気のせいだぜェ、治らないって思ってたら治らねェーから、この傷は治る!」 『言うと思いましたよ……』

【男の両腕は、映画の撮影後かと勘違いするほど、肉はボコボコで紫色の内出血の斑点もある非常にグロテスクなそれ】
【一応動かす分には問題ないらしく、しかし体重をかけたり等の行為は見られず】

【なお、服などは近くに適当に脱ぎ捨てられており、杖のようなものも1本置いてある。特に見張ってはいない】


/どちらか片方のタイプです
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 20:08:02.06 ID:gulPHMFCo
>>214

【狂気と正気。自己矛盾を孕んだ性質。どちらが真なのか、と】
【男は曖昧に微笑んだ。狂気も正気も、激情も理性も攪拌して、その上に優しげなものを被せて】


私が何者か────それは、私にも分からないよ
お前が見つけてくれ。お前が見定めてくれ
あるいはそれが、真実を決めるのかもしれない


【言の葉に乗せられた意味さえ隠して。その真意を知るのは彼だけ】
【けれどもそこには大切なものを託すような、問いかけるような、差し出すような】
【意味は分からずとも、想いの一欠片は感じ取れるのかもしれない】

【一つ、息をつく。表情と気配が、いつものものへと戻る】


願うならば叶えるとも。お前のような良い女の願いであれば、な
ついてくるのであれば、寄り添うのであれば、どこまででも

おっと、紹介を忘れていたな


>>214>>215


夕月、だそうだぞ。お前も自己紹介ぐらいしたらどうだ?

「…………赤木、怜司」


【魔女に尋ねられ、ブラスフェミアの従者が名乗る。それらに合わせてブランルも従える者に名を答えさせる】
【苦々しげに歪められた表情のまま、怒りの乗った低い声で彼は名前を呟いた】
【視線はブラスフェミアとブランルの間を動く。銃を取ろうとしても、手は動かなかった】


おや、死者の蘇生だって?
それはあまりにも愉快な研究テーマだな、もっと早く教えたらどうだ
そうすればいくらでも手伝ってやるというのに


【自らの従者は気にせず、ブランルはブラスフェミアの説明に興味を示す】
【またしても、夕月に視線が向く。加虐の対象としてではなく、科学的な興味の対象として】
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 20:18:00.28 ID:bZq3MTovO
>>215

【──少し逡巡した、頭の中ではどの様にされているかは、明かされないが】
【良いのですか? と言葉を返した。──連れてくるということは、それなりに気に入ってるのだろう】
【細心の注意を払う、と念押しをしつつ】


そうですね、でしたら、半日ほどお借りしたいです
この方の出自にも興味が湧きました──ええ、とても
五体満足と生命は保証いたします、何なら見学されてもよろしいですよ

すり潰したり引き裂いたりなどする訳ではありませんが
私共の実験の一部を体験して頂くことになります
……出来ればアドバイスなども欲しいので


【微笑みを向けて、言葉を重ねる】


──ですからブラスフェミア様と、仰るのですね
冒涜の二つ名は伊達ではないと、今はっきりと分かりました
その御二方は結果なのでしょうか、でしたら……素晴らしいです

ひとつ、お聞きしても宜しいですか?
その死者は、どなたでも復活できるのでしょうか


【彼女にしては多弁だ、興味が惹かれたのだろう】

>>218

【現の狭間に消える泡沫の様な言葉】
【それでも推し量るには十分で、彼女は少し嬉しさを見せた】


ええ、それでは、何処へなりとも付き従わせて頂きます
眩しい太陽に焦がれたなら、その身を焼き尽くされるとしても
その僅かな間でも、焼かれた記憶は残るのです

正しく焼け付く様に──私はそれが経験できれば満足です
ではまた後で個人的に、伺わせて頂きます


【それは僅かな色あいでも、貴方になら十分伝わるだろう、と】


赤木様と申されるのですね、ブランル様の部下でしたら、さぞかし優秀な方なのでしょう
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/16(月) 20:26:35.53 ID:aADZEG0F0
>>218-219

そう。じゃあまた後日、スケジュールの合う日に三人で会おうかミス・ウィッチ。
……そっちの彼はレイジ君。レイジ君って言うんだってよ、どう、タイプ?

【ひとりで勝手に盛り上がる冒涜者。少女の方はぜんぜん、笑わなくって】
【見開いた眼と真一文字に結んだ唇を動かせないまま、ずっと汗をかいていた】
【ちょいちょい、と冒涜者が手招きする。青年が無言で動いて、少女の肩を掴み】
【二人揃って一歩前に出た。冒涜者は彼らを掌で差して、にっこりと】


そう。……死者の蘇生。死んでしまったヒトを、
――――神様のもとへ旅立ってしまったヒトを、奪い取る。
この世に取り戻す。この手の中に、もう一度、――――

――――そんなことをやってんだ、ずっとずっとずーっと……
……やってたんだけど、成功例はこの二人だけなんだ。
お恥ずかしながら、まだまだ――実践的とは言えないんだよね。

【商品説明みたいな調子で宣う台詞は、実に荒唐無稽な】
【シンプルで、簡単そうで、それでいて――「神様」に真正面から喧嘩を売る内容】
【……なるほど、この女が「冒涜者」を自称する理由も、よくわかったことだろう】

……そういうわけだから、「誰でも」ってわけにはいかないの。
ごめんね、ミス・ウィッチ――僕がもう少し有能だったら、
自信を持って「はい」と言えたんだけど――

【「……誰か、蘇らせたいヒトがいるのかな?」】
【なんだか特別な仲のようにも見える“魔女”とブランル。二人ともに聞こえるような音量で、訊いてみる】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/16(月) 20:45:02.93 ID:gulPHMFCo
>>219

【魔女に向けて男はもう一度微笑んでみせた。喜びを示すように、黒衣が影の如く蠢く】
【細指が踊るように動き、白衣の青年を手繰り寄せる。身体が操られ、青年の手が銃から離れていく】


そう優秀でもない。が、師が優れているので技術はそれなりだ
私の部下であるのと同時に私の孫弟子でもあってな
そのあたりのツテもあって、面倒を見ているというわけだ

退屈な男だが、心に抱えているものがあるところだけ気に入っている
鈴の音を聞かせてやるとな、面白いぐらいに怯える
これが愉快でな…………ふふふふ


【喉を鳴らして笑う男に対して、白衣の青年は怒りと恐怖の入り混じった双眸を向けていた】

>>220


「ふ、ふざけてる……なんで、どうしてそんなに人を手酷く扱えるんだ……っ」

なぁ? こういうことを言うやつなんだ、面白くないか?
このあたり、もう少し科学的な興味というか、精神性を持ってほしいと
上司としては思うんだが、中々理解してくれない


【青年は理解不能だと言わんばかりに声を荒げた。実際、彼はこの場にいる誰の考えをも理解できなかった】
【ブランルはその様子を愉快げに眺めて、まるで見世物を紹介するように指し示した】


ふむ、実にいい。やはりお前は愉快な女だ
特に神のもとへと旅立った人間を”奪い取る”というその発想が素晴らしい、そして美しい
私は信仰心の強い方だから同じ発想を持つことは出来ないが、それでも賞賛に値する考え方だ

それで質問の方だが…………
別に、蘇らせたい人間がいるわけではないのだ
そんな欲求がなかったとしてもお前の研究は素晴らしいものだ、そうだろう?
科学者であれば誰とて感嘆の吐息をついてしまう。そういうものだ


【ブラスフェミアへ賞賛の言葉を向けながら、質問に答える】
【興味を示したのは研究の結果行えることではなく、その内容そのものだった。それ自体が興味の対象だったのだ】
【故に、誰かを生き返らせたいわけではないと答える。そして好奇心が魔女へと向けられる。彼女はどうだろうか?】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 20:53:17.74 ID:bZq3MTovO
>>220

【──降り立ての雪を掌に落として、其れが体温で溶けるように】
【ブラスフェミアの言葉が彼女に染み入る、垂れた残滓の行先を追って】
【生き返らせたい相手がいるのか──】


"分かりません"──そうです、分からないのです
私は同胞を一人失い、そこで命というものに深くショックを受けました
中々に恥ずかしい姿でしたが、ブランル様が立ち直らせてくださいました

その方を蘇らせてほしい、そういう気持ちもあるのですが
──なんだか、それも違う様な気がするのです
そう、彼が死んだから今の私がいると言っても過言では無いので


【ブラスフェミアの言葉に対して、ある種求めているような答えではなかったかもしれない】
【──それでも、正しく思いを述べた】

>>221

【説明を聞き静かに頷いた、言の葉を少し探して】


承知致しました、そういう事情を抱えていらっしゃるのですね
ブランル様の下で働いてらっしゃるのです、其れはきっと幸せに御座いましょう
羨ましいです、優れた上司の下では優れた人材が育つのです

──決してこれは、失言ではありませんのよ


【悪戯っ子の様にブランルへ微笑みかける、どこか愉快げに】


>>220-221

では、私はそろそろお暇させて頂きます
本日は良い会合ができました、今後の研究に生かせそうです。
それではブラスフェミア様はまた後日──

ブランル様は、また後で


【魔女は立ち上がり、会議室を後にする、近くの来賓室にでも通してもらうのだろう】
【持ってきた端末を弄りそちらで仕事を始める、ブランルが残りの用事を終えるまで】
【終わったならブランルと合流するのだろう、その際に残った話を聞くはずだ】


/ではお先に失礼します! お疲れ様でした!
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/16(月) 21:34:01.85 ID:aADZEG0F0
>>221

……? ヒトじゃないよ、「これ」は。
確かにカタチはヒトのものだけど……中を切り開いて見せてあげようか?

【「そしたら、これがヒトじゃないってわかるはずだよ」】
【――平然と、そう宣うのだ。一たす一は二になるでしょう、烏は黒色でしょう】
【夜の次には朝がくるでしょう。それくらいの、あたりまえでしょう? みたいな声色で】
【何をそんなに怒っているの、とでも言いたげに、首を傾げすらして。青年を見る】

信仰心あるの? うっそだあ……ふふ、冗談だよ。
そこまで褒められちゃうと調子に乗っちゃうからやめて頂戴な、えへへ……

【それからブランルへ。視線をスライドさせて、はにかんでみせる】
【まるで普通のニンゲンがそうするみたいに。この女は、表情が豊かだ】
【それこそ、正常な精神を持つ青年にとっては理解し難いことかもしれないが】


>>222

……そう。あなたはとても、……ううん、いや。何でもない。

【浮ついているような笑みが消える。すうと目が細められて】
【けれどそれは、軽蔑とか、敵視とか――負の感情は籠められておらず】
【なにか尊いものでも見るような、自分の手の届かない場所を見上げるような】
【そんな複雑な表情。ころころ表情を変えてみせるこの女が、今日一番】
【「人間らしい」顔をした瞬間を決めろと言われたなら――それが、今】

……その同胞は、きっと、幸せなヒトだね。
きっと「起こさない」ほうがいい――うん、きっと。

それでも――気が変わってしまったならいつでも呼んでよ、
成功率はさっき言った通りに低いけどさ、やれるだけ――やってみるから。

【――――それもすぐに、にた、と。厭らしい笑みに上書きされて、消えてしまうのだが】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/16(月) 22:33:11.95 ID:yGMI2ub/0
>>189

【そしてそれを女も知らなかったのだ。ならば、やはり、正義組織――ということになる、いくら親しくとも、言わないところはあって、言えないところもあって】
【それにしたってこんなに空っぽにしているのはどうかと思ったが。出払っているのかもしれない、自分たちが知らないだけで、そこかで事件があったのかもしれないし】
【だからって"誰もいない"なんて、やりすぎだと思うけれど。やがてだいたいの部屋を見てしまえば、「外れでしたわね」と、こちらもため息一つ】

【ただ――相手のと違って、少しの安堵も含まれているようだった。望まれたまま彼女に護られているという演技を続けられる、という、――どうかしている】
【だけれどこの空っぽの沈黙は"あの少女"がここに居ない――それこそ隠し部屋でもなければ。あるのだけど――かもしれない、その意味合いを持って。つまり、】
【認識する状況としてはわりに悪くなったとも言えた。次に確かめるべきは住まいだろうか、けれどこれは女にでも聞くことがあれば夜の国だと言う。いくらなんでも遠すぎて】
【なら相手も察するだろう。あの少女もまた転移の魔術を扱えるか、持っているらしい。となれば世界中どこにでも現れる可能性がある。心当たりなんて――付けようもないこと】

……一応、天音さんにも聞いてみますけれど。きっと心当たりなんてありませんわ、花にしか興味ない方ですから。
他には……、まあ、心当たりを当たってみましょう。うるさいからミュートしているんですけど、アカウント。もう一人共通の知り合いがいますから。

【――だけど。いくらなんでもそれが全く分からないほどではない。安堵しながらも状況があるいはもっと悪いことを認識している、ならば、】
【もう少し心当たりを探してみるとも言うのだ。共通の――というからには、同じように幼馴染だとか、友人だとかなのかもしれない、それ以外は……もう居ないけど】

…………いいえ、結構です。どこに不法侵入した後に置手紙していく方がいらっしゃるのでしょう、わたくしはご遠慮します――。
それにわたくしは鈴音さんの連絡先、知っていますから。通じないですけれど。

【微妙に嫌そうな顔。というよりそもそもこの二人はあんまり相性が悪くないのかもしれない――なんて、今更過ぎる余談なのかもしれないものの】
【とかく女は首を横に振る。それだけの用事はないのだ――さっき電話口でも言っていた。用事はないけど、なんて。連絡がつかないから確かめたいというのはあったけど】
【変なところで変な女はそれを用事だとはあんまり認識していないらしい。連絡先知っているから置手紙をする必要はない――通じないけど、なんて、真面目くさって】

【――とはいえ。ほかの誰かが見る場所に少女と連絡がつかないこと、書いておいたなら。ほかの誰かも"それ"を認識することになる、いつか気づくのだとしても】
【今書いて置いておけば、その瞬間から最速の情報源になる。あまり気乗りしないようではあったが、書けとせっつけば書きもするのだ。やっぱり嫌そうだけど――】
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/16(月) 22:58:03.26 ID:UWgDoiuf0

/>>70で再募集します

226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/16(月) 23:51:19.99 ID:hjzpKqOqo
>>70

【──空気の流れが変わった、路地裏の入口に視線を向ければ、宵月を背に立つ人影が一つ】
【悠然とその輪郭を強めながら、一歩、また一歩と近付いてくる】
【春風に近い淡い香りが鼻腔を擽れば、その色合いが顔を出す】


……時代が変わらはっても、やってる事はそない変わらはらへんのですね
そこの御仁、この様な夜更けに何してはるんですか
ほんまに、あんまり感心しはらへんで、弱い者いじめも大概にせんと

──通りすがりのお姉はんが、お仕置きしに来はるよ


【染めたての茶色い長髪を、紅細工の簪でポニーテールに結って】
【紅いキャミソール状の半襦袢の上から、長い白羽織を着こなす】
【黒いニーソにブーツ、黒曜石色の瞳をした少女であった】
【白木と黒木の鞘に包まれた太刀を二本、左の腰に添えている】

【彼女は右手を刀の柄に伸ばしながら、かつかつと踵を鳴らし近付いてくるだろう】
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/17(火) 00:32:02.36 ID:kZO3u7pu0

>>226

【ふと、空気の流れが変わり、かつりと響いたブーツの音】

【その声に青年がそちらを見やれば、そこには一人の少女の姿】

【ああ、他人に見られてしまったか、と青年は男から足を離し少女の方を向いて立つ】

何……って言ってもなぁ……
そっちが先に襲い掛かって来たんだぜ?
此方は大事な仕事の連絡してたっつーのにさ……あれだよ?ギョームナンチャラカンチャラだ……よ!?
【頭を掻きながら倒れていた男の方を見ようとした青年】

【だが其処に破落戸の姿はなく、後方には走り去ってく男の姿が一つ】

あッ!早い!彼奴逃げ足超早い!何あれ!?

や……まあ良いんだけどさ〜……
【盛大にため息を吐く青年】

……で?お嬢ちゃんは何者?早く家帰らねぇと補導されるよ?
【相も変わらずため息を吐きながら恐らく年下だろう少女に声を掛ける】



228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/17(火) 00:39:45.57 ID:qbx361Vpo
>>227

【──青年の言葉に少したじろいだ、言葉が真実なら正当性は向こうにある】
【だとすれば彼女がしてる事は完全に言いがかりで、生来の真面目さが彼女を躊躇わせたが】
【続く青年の言葉にむっ、と表情を曇らせる】


っ……何言うてはるんですか、私はもうきっちし成人済みでいはります!
お兄はんに言われへんでも、そんな補導される様な事しはりませんし!
大体、一端の淑女を捕まえて、子供扱いやなんて、無礼でいはる方ですね!

──大方、さっきの証言も嘘やったりしはるんかも、しれへんね
生憎と私には判断する術が、あらはらへんし、信じますけど


【青年の言葉も無理はない、どこからどう観ても高校生ぐらいの見た目】
【スタイルは十分整っているが、如何せんこんな事で怒るぐらいには】
【少し、沈黙を置いて、続く言葉を響かせる】


それにしても、仕事の連絡してはるんやったら、こんな所でする必要ないのでは?
もっと明るい所で電話してはったら、そんな風に襲われはらへんのに
……それとも、表沙汰に出来ない悪い話、してはったんですか?


【じとーっと疑いの眼差しで見つめる、あんまり心象は良くない様子】
【──にしても、中々独特のイントネーションの言葉である】
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/17(火) 01:01:51.15 ID:kZO3u7pu0
>>228

【相手が成人済と聞いて目を丸くする青年。不躾にも頭の先から爪先までさーっと見回して】

……いやいや?どー見ても十代其処らですけどー?
お嬢ちゃん、大人をからかっちゃあいけないよ?
【少しニヒルに笑って、それからどや顔。なんというか「やったー人生初めてそんな台詞言ったー」みたいな顔だ】

【だが、その後に続く疑いの言葉に青年はふと表情を曇らせる】

【が、判断する術がないので信じる、という言葉を耳にしてその表情はまた一変し、今度は呆けたようなそれになる】

……え?信じちゃうの?
そういうのって普通『疑わしきは罰する』とかいうあれじゃねぇの?

……変わってるなぁお前
【青年は少し困惑したように頬を掻き】


んー……急を要する連絡?報告?だったからな……
それに、誰が聞いてるかも──
【表沙汰に出来ない話なのか、という言葉を聞けば青年はぎくりと固まる】

や、悪い話じゃねーよ……?
大切な話だから表沙汰にしたくない訳で……
【そろーっと反れていく視線】

……っていうかお前何処の出だよ!変わった訛り方して!
【そして、話を誤魔化す】



230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/17(火) 01:12:19.90 ID:qbx361Vpo
>>229

【黒ずくめの青年の言葉に、むぅと頬を膨らませる】
【夜風が煽って長いポニーテールが揺れたなら、その茶色を乱す】
【染めたての色合い、奥の黒が少しだけ見え隠れする】


お兄はんの何処が大人なんでしょうね、大人ならもっとこう礼儀正しくいはりますし
そんな歳変わらはらへんと思うんやけど、お兄はんはお幾つなんですか
……もしかして、私より年下の可能性もあらはるかも

──そりゃお兄はんの言うこと以外、信じれるもんありませんし
そこまで変わってはりますか? 人を信じることは大切ですよ
少なくとも私は、そう信じてます


【そう言い切った、不思議そうに小首を傾げて、はっきりと頷く】
【口調こそ独特ではあるが、言葉の運びや仕草はとても丁寧で】
【──それなりに良家の出身である事を、思わせるだろうか】


……そう信じてますけど、疑う時は疑いますよ
気になります、こーんな真っ黒な格好も、怪しいですよ
もしかして、──機関の人間だったり、しはりますか?

櫻の国は<桜桃/ゆすら>、そこが私の出身です
うぅ、そう言われると……昔は治ってはったんやけど、最近はずっと実家やったさかい
意識すると、よいしょ、えっと、治るんです、けど


【大丈夫かな? と確かめる様に声を発する】
【気を抜くと方言が出るのだろう、変わった娘だ】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/17(火) 01:29:47.64 ID:kZO3u7pu0

>>230

【自分の言葉に頬を膨らませる少女。ほら、やっぱり子供じゃないか、と青年は小さく笑い】

うぐっ……い、良いんですー!礼儀正しくなくたって大人は大人なんですー!
……21才ですが何か!?
【何処が大人なんだと言われ憤慨する青年。やはり何処か子供っぽいというかなんというか】

【そうして他人の言う事以外信じられる物がないだろうと言われれば青年は目を細め】

……あんたが──ったら俺も……ったのかな……
【何事か呟くのだが吹いた夜風にその呟きは掻き消されていく】

【だが黒ずくめの格好は怪しい、さては機関員かと疑われれば、違うって!と叫ぶ】

これはこういうのなの!そういうファッション!
後機関員なんかじゃねぇから!

……というか櫻かぁ……
職場の先輩にも櫻の出身らしい人はいるけどそこまで話した事もねぇしなぁ……
【うーん、と考え件の先輩が桜桃の方言を使っている様子を思い浮かべ、案外あって……うん?などと首を傾げる】


232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/17(火) 01:37:16.14 ID:qbx361Vpo
>>231

【貴方の言葉を聞き、少女は不敵に笑う、ニヤリと形容するのが相応しい色合いで】


同い年ですね、さあこうなったら後は誕生日の差です
文月──私の名前なんですけど、これ誕生日から来てはるんです
七月です、七月……さあ、お兄はんが七月より後なら、私の方が大人です!

つまりは敬語を用いて喋らはらな、あかんてことにならはるんです!
さあ、お兄はん──審判の時なのです


【七月でよくもまあそこまで勝算を持っている】


なんか黒ずくめって怪しい印象を受けます、闇に隠れたいのかなと
……まあお兄はん男前ですし、黙っていれば、良く似合うとは思わはるけど、黙っていれば
櫻の中でも変わった地域ですしね、言葉も結構独特ではあります

昔は本土──此方の方に居て、その時に大分治ってたんですよ
当時は子どもだったので、結構同級生とかにからかわれたりして
なんでうちだけ違う言葉なんって、両親に泣きついた事もありましたね


【少し遠い目をする少女──まあ、今でも子どもっぽいが】
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/17(火) 02:03:52.49 ID:kZO3u7pu0

>>232

【不敵に笑った少女に青年は声を詰まらせ】

【同い年だと聞けば、はっ!?とすっとんきょうな声をあげる】

はあっ!?同い年……七月!?
お、俺は……

……十二月、だけど?
【拗ねたように目を反らし誕生月を告げる青年。少女の勝ちである】

……っつーか!同い年なら別に敬語とか使わなくても良くね……ないじゃないっすか?
【そして案外真面目に?敬語になっている青年である】

や、怪しいって……まあ確かにそんな感じはしないでもないっすけど……って男前!?いやー分かる人にはやっぱり分かるんだなー!
【そして黙っていたら男前と言われまんまと食いつく】

へぇ、昔は此方に……?
やっぱり言葉とか違うと大変なんだなぁ……

それにしても……両親、か……
【青年はポツリと呟き一瞬遠い目をする】


234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/17(火) 02:13:28.01 ID:qbx361Vpo
>>233

【青年の言葉に少女は噴き出して、その後大きな声を出して笑うだろう】
【鈴の音を転がす淡い音律、響く音色は心地の良い色合いで】
【本当に愉快そうに笑う彼女、爽やかな春風の如く】


あはは、意外に真面目なお兄はんでいはるんやね、思わず笑ってしまったどす
ふふ、なんだか、ワンちゃんみたいなお人やなぁ、ほうらワンワン
そんな態度してはったら、男前が台無しですよーだ

本当に幼い頃の思い出やけどね、それでも、当時の子どもらにとってはおっきなもんやし
私も今思ったら大したことやないけど、すっごく悩んではったもの
……お兄はんとか、子どもの頃女の子虐めてはりそうやけど


【目尻に少し涙が浮かんでいた、それぐらい楽しそうに笑っていて】
【しなやかな指先をそっと伸ばして、貴方の鼻をつーっとつつこうとする】
【やっぱり男前、と悪戯っ子の様に付け加えて】


お兄はん、時々遠い目をしはるんやね──さっきも、少しだけしてはったけど
なぁなぁ、良かったら少しだけ聞かせてくれはらへんかな
私最近本土来たばっかで、友達とか全然いはらんくて

……せやからね、嬉しいんよ、同い年の人に逢えるん
あはは、もう全然戻らへんわ、口調──まぁ、ええかな
内緒やで、お兄はんだけに特別サービス、たまには思う存分話さないと


【故郷の言葉が可哀想ですから、と静かに言葉を落とす】
【真正面から貴方を見つめる、体格的に見上げる形か】
【長い睫毛がしとり、と大きな瞳に濡れた】
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/17(火) 02:27:27.98 ID:kZO3u7pu0

>>234

【急に噴き出して笑い始めてしまった少女。青年はその様子にまた慌てて】

なっ!?はぁっ!?何笑ってんだよ!人が真面目にやってんのに!

笑うな!つっつくなー!
【きゃっきゃと笑う少女に青年は思わず目をつり上げて、がるる、と怒り】

【まあでもワンちゃんみたいってのは言いえて妙だろうか、などとため息を吐く】

【子供の頃は女の子虐めてそうなどと言われれば、え、何でそうなんだよ!?などと返すのだが】

【そして少し話して聞かせてと言われれば青年は、うーん、と唸る】

……そんなに良い話でもねぇんだけど、な?
【それでも良いなら、と苦笑しながら付け加え】

236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/17(火) 02:34:17.72 ID:qbx361Vpo
>>235

【──すっ、と背伸びして彼女は手を伸ばす、青年の頭を静かに撫でようとして】


ごめんごめん、堪忍な、お兄はん、弟みたいで可愛いなぁ
……もっと可愛がってあげればなんて、後から良く思うから
せやからね、そう思った時に行動しようって、思ってはるんよ

そういや、まだ本名までは名乗ってへんかったね
さっき言わはったように、文月、和泉 文月って言います
なぁお兄はんはなんて言わはるん?


【気になった様子で言葉をそっと重ねて】


うん、聞かせて欲しいな、人の話聞くん好きなんどす
聞いてるとな、色んなこと考えられて落ち着かはるんよ
せやからね、お兄はんのお話聞きたいどす


【ちょこんと近くの木箱に腰掛けて、ふらふらと両脚を振った】
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/17(火) 02:52:20.04 ID:kZO3u7pu0

>>236

【青年はそのまま頭を撫でられてしまい、思わず変な声をあげる】

……な、何だかお兄さんなんだか弟なんだか訳わかんねぇな……ったく……
【どうにかこうにかそれだけを言ってため息を吐く青年】

【名前を告げられれば、文月、な、と相手の名前を復唱し】

俺はリューシオ。リューシオ・エスクリオスだ
【そう言って壁に背を預ける】

【恐らく彼女は知らないと思うのだが、その名は数ヶ月程前に水の国の新聞にも載った名前で】

【曰く、殺人犯、だとか】



……本当に大した話じゃねぇよ

子供の頃に両親が離婚して、で、その後そんなに日を置かずに母親が自殺して、だな

……そこで初めて、自分が親から愛されてなかったんだって事を知った
母親にとって自分は愛する男を繋ぎ止める為の道具だったんだ、ってな……

で、そこからずっと一人でスラム街で生きてきた、と
【天を仰ぎ語るのは恐らく、彼の身の上なのだろう】

238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/17(火) 02:56:39.04 ID:qbx361Vpo
>>237
/すいません!そろそろ置きレス以降宜しいですか?
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/17(火) 03:02:25.83 ID:kZO3u7pu0
/>>238
了解です!
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/17(火) 03:05:57.71 ID:qbx361Vpo
>>239
/では一旦失礼します!お疲れ様でした!
241 : ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/17(火) 09:50:44.73 ID:pELwNOF10
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――水の国 繁華街】

くぁ――――っと、いかんな……普段は、もう寝ている時間だ。正直休みたい所なんだが……

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人が】
【人気の少ない――――否、もはやほとんど絶えた通りを、わずかに草臥れた様子で、ゆっくりと歩いている】

【いわゆる所の夜の街は、日が昇ってしまえば、ただの通り道の様なものにしかならない】
【そうして人気の絶えた中では、時間か、それとも用事か――――ともあれ、何かを持て余している様な人間しか、足を踏み入れないだろう】

……やれやれ、早速遅れてくるとはな。まぁ、仕方ないと言えば仕方ないのだろうが……互いに目立つんだ、待つしかないか……

【携帯端末で時間を確かめ、小さくため息をこぼす獣人。ぼんやりと手ごろな壁にもたれかかると、陽の光を浴びて、ゆっくりと瞑目する――――】



【――――所変わって、水の国 公園】

「ちょ、ちょっと大丈夫? 随分フラフラしてないかな……?」
……流石に、こうも短期間でもう1度、出向くとは思わなったからね……ちょっと、しんどいな……

【燃えるような赤い短髪に黄金色の瞳を持ち、首には緑色のスカーフを巻いた】
【長旅用の生地の厚い服の上から、胸部を覆うブレストアーマーとショルダーパッド、焦げ茶のマントを羽織り】
【腰に歩兵用の両手剣を佩いた、身長170cm前後の青年と】

【白いストレートの長髪に赤く緩やかな光を纏った瞳をしている】
【白いタンクトップの上から白いジャケットを羽織り、白いハンドグローブに白いスカートを履いた】
【肌の色白さも相まって、眩いほどに白さが際立っている、身長160cm前後の少女が】

【体調の良くないらしい青年の肩を、少女が支える形で、ゆっくりと歩いている】
【ベンチへとどうにかたどり着くと、2人は揃って腰を下ろし、大きなため息を吐いた】

今回は……明確な目的があったから、良かったけど……次からは、もう少し入念な準備を、だね……
「もう……無茶するんだから。結構ええかっこしいだよね? それでここまで辛い目に遭ったりしてさ」
……身を削る優しさってのが、あっても良いじゃないか……

【大きな袋を携えて、辛そうにベンチのひじ掛けに凭れ掛かる青年。その背中を、少女は優しく撫ぜていた】
【柔らかい日の光に照らされて、ゆっくりと散歩する2人を、鳥の囀りが包んでいた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

/20時ごろまで待ちます。返信は早くても12時以降になる予定です
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/17(火) 12:27:21.46 ID:IpYQYOdu0
【水の国、小さな浜辺】

【海水浴にはまだ幾分も早い季節と言える】
【それでも、海面は青く、水平線は穏やかで】
【幸いなことに、今日は平日と言う事もあってか、サーファー、釣り人等人は見受けられない】
【そんな海辺に】

「ああ〜、もう、何でこんな時に……」

【人が見受けられない、と言うのは語弊があった、少女が一人いた】
【何処かの学校のセーラー服姿、それだけ見れば、日中の海に春の程よい日の光の下絵になる光景であろうが】
【不釣り合いなのは、その少女の足元】
【少女は船に乗っていた】
【船と言うよりも、若干大きめのモーターボート】
【OD色の船体は、見る者が見れば解るが、海軍で使われる内火艇と呼ばれるものだ】
【その内火艇の上をデッキブラシやら、雑巾やらで目下掃除中と言った具合だ】

「内火艇の掃除って、中尉は状況解ってるんですかね〜……」

【何やら不機嫌気味に、ゴシゴシゴシと懸命に】
【誰かが近づいてきても解らない程に】
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/17(火) 12:47:07.21 ID:6SY3T2/I0
>>242
【けたたましい駆動音を立て、一台のバイクが防波堤の先に停まる】
【此処は水の国の砂浜。行楽シーズンであれば家族連れやカップルで賑わうだろう浜辺も、今は静寂に包まれている】
【聞こえるのは打ち寄せる波の音、空を駆ける海猫の声、流れる風の響き。穏やかに流れる時間】

【誰もが心を落ち着かせ、流れゆく時を思うこの場所に、些か似つかわしくない旅人が現れた】

うん、うん、うん! 良いねぇ良い風だ!
ちょっと凪すぎてるような気もするけど、問題無いか!

【甲高い女の声。十代半ばから後半程の少女が防波堤を飛び越え、砂浜へと着地し辺りを見渡していた】
【驚くべきはその格好。頭にはテンガロンハットを被り、軍服らしきジャケットの前は開け、覗くのは白縁に黄緑のビキニ】
【ホットパンツを穿き、脚にはブーツと明らかに露出の多い格好。海水浴には適しているかもしれないが、街中をうろつくには過激すぎる】

【周囲を観察し、珍妙な物を見つけたような顔でモーターボートを清掃する少女を見つけると】
【彼女はざくざくと砂を踏みしめながら、目視で顔が判別出来る程の距離に近づき声を掛けた】

ねぇー! 君、こんな所で何やってるの? 観光?
それにしては仰々しいけど、もしかして男に使われちゃった?
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/17(火) 12:56:53.19 ID:IpYQYOdu0
>>243


「ひゃッ!?び、びっくりした〜」
「え……?」

【突然の背後からの声に振り返ると】
【何とも過激な、しかも自分には無い素晴らしい物をお持ちの少女が居た】
【無論、複数の意味で言葉を失った】
【が、直ぐに正気を取り戻し】

「つ、使われたってどういう意味ですか!?ちょっとした仕事です仕事の一環!」
「と言うかその恰好……海水浴には早いですよー!」

【軍服らしき服装のビキニ少女に、こう答えた】
【しかし、これも性と言う物か、軍服を見て何処の所属、あるいは所属だった物か記憶を手繰ろうとする】

「海水浴じゃなければ、もしかして手伝ってくれちゃったりします?」

【冗談めかして、こうも言った】
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/17(火) 13:10:25.04 ID:6SY3T2/I0
>>244
いやいや、悪い男に騙されて無賃労働〜とか見たことあったからさ
そう言う子だったら、アタシ見逃しておけないからね

【世の中、理不尽なことはそこら中に転がっている。それこそ、道端の雑草と同じくらいに】
【だが、救いも、光も無いと言う訳では無い。雑草の種は撒かれるが、芽を摘む者もいるのだから】

真面目な仕事なら大丈夫かな! その様子なら元気そうだし
ん? アタシ? いやいや、アタシは海水浴じゃないよー。ちょっと暇だったからね

【左太腿に巻かれたホルスターから一丁の拳銃を引き抜く。それは紛れも無く重みを持った本物】
【トリガーに指を入れ、くるくると回して見せながら、彼女は続けてこう言った】

こいつを久しぶりに使ってやろうと思ってね。ずっと使わないと腕が鈍っちゃう
ん? お手伝いかい? いいよ、時間は幾らでもあるしね!

【さらりと要求を快諾すると、「何すれば良い?」と言いながらボートの上へと飛び乗った】
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/17(火) 13:18:02.00 ID:IpYQYOdu0
>>245

「酷い話ですね〜、でも私は大丈夫ですよ!」
「ははは、正義感強いんですね、最もこういうご時世ですからそう言う話は結構聞きますよー」

【暇だった、と気楽に語る少女】
【しかし、やはり視線はその自慢気に向きだされた双丘に……いかなかった】
【少女が腰から引き抜いて見せた物は、紛れもなく実銃で】

「本物ですね、自警団か、軍の方?」

【無論だが、冷静に少女にそう聞き返した】
【やがて】

「本当ですか!?ありがとうございます!」
「じゃあ、この雑巾で、この窓の部分を拭いてください!」

【内火艇に飛び乗る少女に、そう目を輝かせて言った】
【意外と遠慮が無いのは、ご愛嬌と言った所か】
【内火艇には、当然ながら、櫻国海軍所属を意味する、櫻に錨の意匠が付いているが……】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/17(火) 13:33:35.66 ID:6SY3T2/I0
>>246
全然違うよ? アタシはただの旅人
軍隊とか、組織とか、そう言うの苦手なんだよね〜。規律に五月蠅いじゃん?

【自警団か、軍隊所属かと問われれば答えはNoだ。彼女は何処に所属する気も無い流浪の民】
【世界中を旅して歩くのだから、自己防衛の手段の一つや二つ、所持しておかなければならないのは必然】

オッケー、ガンガン掃除しちゃうからね!

【手渡された雑巾を受け取り、テキパキと掃除を始める。表面、窓枠、隅から隅まできっちりと磨いていく姿は手慣れたもの】
【旅人である以上、自身の所有物は自身で管理するしかない。それ故に、メンテナンスの腕も必須となってくる】
【その点でいけば、彼女は確りと管理調整の出来る人種のようであった】

それにしてもこのボート、お高い物でしょう? 仕事とは言え、一人に任せるなんて適当ねぇ
それとも、何か理由があるの? 実はただのボートじゃないんです〜とか
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/17(火) 13:44:45.67 ID:IpYQYOdu0
>>247

「ああ、解ります〜、本当決まり事と命令ばっかで、プライベートなんて無くって……」
「旅っていいですよね〜、憧れます!」

【まるで軍隊を知っている様な口ぶりで、少女の言葉に頷いて見せる】
【なるほど、旅人であるならば、装備品は道理だ】
【少女の身で世界を渡るならば、何より必須な物と言えるだろう】

「へえ〜、凄い慣れてますね〜」

【見事な手際だ、美しさすら感じられる】
【見る見るうちに、綺麗に掃除されていく内火艇】
【見た目とは裏腹に、内面はかなりしっかりした人物の様だ】
【これは、何かお礼しなければいけないのでは?と考えて】

「え!?あーえっと、その……」

【やや、間を置いて】

「私、櫻国海軍の軍人なんです……実は」
「内緒ですよ?」
「このボート、内火艇って言うんですけど、本当は軍艦に搭載してる物なんですよ」

【言葉を選びながら、しかしこの少女なら話してもいいかな、と思い】
【諜報員が軽々と見ず知らずの人間に、身分を名乗る】
【どう見てもご法度だ】

「ちょっと、沖に出てみませんか?」

【一通り綺麗になった所で、そう聞いた】
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/17(火) 14:03:15.34 ID:6SY3T2/I0
>>248
アタシにとってはね、旅の方が肌に合ってたんだ。でも、誰でもそうって訳じゃないよ?
旅をするってことは誰にも頼らず生きていくってことで、道中にある障害は全部自分で解決しなきゃいけない
食い扶持に困った時も、病気になった時も、死にそうになった時もね

だから、もし本気で旅をしたいんだったら、本気の覚悟で挑むと良いよ!

【朗らかな笑顔でそう答える。事実、彼女も幾度となく修羅場に巻き込まれてきた】
【その全てを自分の手で解決できたかと言えば否だ。一人の力で解決できないこともあれば、しくじって取り返しがつかなくなることもあるのだから】

【狼狽する少女を不思議そうに眺め、これは地雷を踏んだかと別の話題を持ち出そうとした時―――――】

へぇ〜君海軍の子なの!? こんな若い子も軍は使うんだねぇ……あ、ごめん。悪く言ってる訳じゃないよ
それにしても……ふぅん……君みたいな子が軍でやっていくとなると、苦労も多いだろうねぇ

【少女の頭から爪先までを幾度も視線でなぞり続ける。見た目はどう誇張しても女学生だ】
【しかし、その内実が軍隊所属と言われると、一般人なら冗談だとしか思わないだろう。むしろ、そう思われるべき仕事なのかもしれない】

沖に? そいつは急な話だね
う〜ん……どうしようかなぁ……まっ、暇してるし付き合ってあげるよ! 海風に当たりたいしね

【テンガロンハットの縁を撫でながら、軽くウィンクして彼女は答えた】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/17(火) 14:17:45.37 ID:IpYQYOdu0
>>249

「貴女は、苦労を経験してきたんですね……」
「自由の代償、かも知れないですね、でも、素敵だと思います!」

【自由と等価交換の過酷な世界】
【楽しい、と言うのは殆どないであろう世界】
【少女の言葉には、そういう重みがあった】
【そう言えば、少し前に出会った鳴神と言う人物も旅をしていると言っていたが……】
【ふと、その少年の事を思い出していた】

「あの、私そんなに歳違わないと思いますよ?」
「本当は秘密ですよ?そういう仕事なんで……苦労は多いですけど、その、兵じゃなくて士官なので……」

【年齢的には、やはり不思議がられて当然だ】
【じっと全身を見られると、やはり気恥ずかしいのもあって、少し顔を背けるようにし】
【やがて】

「じゃあ、出航しますよー!」
「ヨ―ソロー!」

【トッㇳットットッ、と機関を始動させる】
【軽快なエンジン音と共に、スクリューが回り出し】
【内火艇は走り出した】
【軽快な速度と共に、全身に海風が吹き付けるのを感じ取れるだろう】
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/17(火) 14:31:46.29 ID:6SY3T2/I0
>>250
士官ね……なら尚更、大変なことが多いでしょうに
軍隊なんだから、行動一つ一つに責任がつきまとう。人の命を預かる仕事なんだからね
それなのに……アタシと殆ど歳の違わない君を使うってことは……随分と責任とやらを軽視してると思われても……

【そこまで言いかけて、彼女はハッとして口をつぐんだ。少女もまた、理由あって軍に所属しているのだろう】
【であれば、責任を感じずに軽率な行動を取ることはまず無いだろう。自身の立場を弁えて行動している筈だ】
【それを軽々しく見るのは、相手の矜持に傷をつけるかもしれない。そんな事はあってはならない】

ごめんごめん! 今のは忘れて……言い過ぎちゃったみたい

【そうして、モーターボートの駆動音が響き始め、小刻みな振動が身体に伝わって来る】
【船の心臓、エンジン機関が唸りを上げ、海原を切って航行する。次第に速度は上昇し、塩気のある海風が頬を撫でる】

あっはっは! 海に出るのなんて久しぶりだよ!
心地良い風だ……駆け抜けるような、前だけを見つめるような、そんな風だ。君もそう思わない?

【みよしに立ち、両腕を広げて風を感じる。遠くで鴎の鳴き声が聞こえた気がした】
【それ程までに、彼女は風が好きなのだろう。少女への問いかけも、どこか楽し気な口ぶりになっていた】
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/17(火) 14:51:57.48 ID:IpYQYOdu0
>>251

「……」
「……いいですよ、やっぱり私は中尉に比べたら、頼りないですし、実際そう……ですから」

【そう、少女からの言葉を聞くと、やはり少し俯いて、そして悲しそうな声色で答えた】
【現実的には、自分の力不足や能力不足は日々感じて居る事の表れだろう】

「海、好きなんですか?」

【舵を取りながら、少女に聞いた】
【随分とその様子は楽しそうで】
【両手を広げれば、風がそこを斬り、眼前には水平線が広がるだろう】

「はい、私も大好きです!」

【笑顔でそう答えた】
【やがて陸から暫く離れた沖の、ちょうど只中に停止し】

「これ、使えます?」

【釣竿を手渡して見せる】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/17(火) 15:07:06.78 ID:6SY3T2/I0
>>252
海が好きって言うより、風が好きかなー
昔からね、アタシは風が大好きだったんだ。風を聞いて、風を詠んで、風に聴く

【風、それは世界を廻り、世界を包む一つの流れ。循環を示す理】
【風と共に生きてきた彼女にとって、それは理以上の、命と同価値とも呼べるものだった】

釣り? うーん、アタシ釣りをしたことは無いんだよね〜出来るかな……
ま、物は試しでしょう! とりあえずやってみて、後は時の運に任せましょう!

【釣り竿を受け取り、海原へ向かってルアーを飛ばす。ぽちゃり、と遠くの海面に落ちれば、後はひたすらに待つのみ】

君も釣るでしょう? もしかしれば、今日の夕食が賄えるかもしれないし、頑張らないとね

【運が良ければタダ飯になる。そう考えれば俄然やる気が出てくるのが人間と言うもの】
【少女を誘いつつ、彼女は腰を下ろして鼻歌交じりに時を待った】
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/17(火) 15:19:26.31 ID:IpYQYOdu0
>>253

「風?ですか?」

【そう言えば、と少女もこの潮風を感じる】
【風の声に耳澄ませ、なるほど、心地よく自由で】
【自然の風は、まるで世界を旅する少女の様に】

「解ります、なんだか旅人みたいですね風って」

【そう笑顔で答え】
【やがて少女と共に、釣竿を並べる】

「ふふふ、家に来ればご飯なら作ってあげますよ」
「今日のお礼です」

【そう話している内に、早くもそちらの少女の竿に引きが来たようだ】
【動きも手ごたえも、決して小物と言う訳では無いようだが?】
【右に左にと、心地よい振動と共に重みが伝わるだろう】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/17(火) 15:31:46.96 ID:6SY3T2/I0
>>254
旅人ねー確かに、風はどこまでも吹いていけるからね……
その割には、どこへ行くのかとかわかりもしないんだけど

今日にはこの国も出ていくんだよね〜だから、お邪魔するのはまた今度かな

【風の旅人。そう考えると、案外自分と風は共通点の多い存在なのかもしれない。今も昔も】
【少女の釣竿が震え始め、同時に彼女の釣竿にも当たりが引っかかる】

おっとっと、ようやくお出ましみたいだね……
そうだ! こうしよう。全力で引いて、大物を釣った方が勝者ってことで、どう?

【生粋の銃士なのだから勝負事には容赦はしない。その上で、釣りと言う暇潰しにも勝負を持ち込む】
【それが彼女の癖だった。そうこうしている内に、彼女はどんどんとリールを巻いていく】
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/17(火) 15:42:43.33 ID:IpYQYOdu0
>>255

「そうなんですね、なんだか寂しいですけど」
「でも、風を捕まえる事は出来ませんからね」

【そうこうとしている内に】

「あッ!同時に当たりですね!」

【自分もリールを引き、竿をコントロールし始める】

「ふふふ、いいですね!負けませんよ!」
「釣りは艦隊勤務の時にさんざんやりましたから!」

【少女の提案にはそう乗って】
【俄然やる気が出てきた様子だ】

「ぐぬぬ……」

【銃士の少女は、初めてと言った割に随分と上手くリールを巻き、そして……】

「ぐうッ!っとお!!」

【ほぼ同時に船上につり上げる】
【片方は鰆、片方はスズキ、大きさは……銃士の少女に分があった様子だ】

「うーん、海軍の釣りで慣れてた筈なんですけどね〜」

【ちょっと悔しそうだが、楽しそうだ】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2018/04/17(火) 15:56:32.36 ID:6SY3T2/I0
>>256
【遂にリールを引き切り、釣り上げた魚の大きさは……こちらの方がやや大きかった】
【つまり、勝者は彼女と言うことになる。ガッツポーズをしつつ、彼女は口を開いた】

よーし、アタシの勝ちだね! 釣りなんて初めてだったけど、今日はラッキーだね!
おっと、もうこんな時間? そろそろ戻らないとねぇ

【水平線を眺め、別れが近づいていることを告げる】

さて、と。それじゃ、君も頑張ってね
責任どうこうなんて言っちゃったけどさ。ま、頑張ってればなるようになるよ
実際、アタシもそうやってきてる訳だしね!

【そして、元いた海岸につけば、彼女は防波堤を登り、バイクに跨って何処へなりと去っていくだろう】
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/17(火) 16:05:06.22 ID:IpYQYOdu0
>>257

「ふふふ、凄いですね!初めてなのに……」

【ある種の才能なのかも知れない】
【自然に好かれる、風の少女】
【やがて……】

「そうですね、そろそろ戻りましょうか?」

【再び操船し、陸に戻るだろう】

「もし、また何処かで会う事があったら、よろしくお願いしますね!」

【手を振り、バイクに跨る少女を見送る】
【なんとも快活な少女だった、不思議と親しみを感じる】
【彼女は次には、何処に行くのだろうか?】
【風は何処までも自由で、気ままだ】


//お疲れさまでした
//絡みありがとうございました!
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/17(火) 23:24:10.55 ID:0vOAdTm4O
>>97
/連絡無く落ちてしまい申し訳ありませんでした
/暫くお返しするのが難しく、つきましては絡みについてはこちらが適当に辞したという形で〆か、無理なようなら破棄して頂ければと思います
/ここまで遅くなり本当にすみませんでした
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [sage]:2018/04/17(火) 23:33:39.64 ID:wJ5k5bb3o
>>259
/へい、了解致しました
/それではこのままお帰りになって頂いた、という形にさせて貰います
/お疲れ様でした&お付き合い有り難うございました
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/18(水) 12:10:36.61 ID:DeEwyhrfo
【公園】

【人気のない公園にシートが広げられていた】
【その上にはネジ等のパーツに、工具。銃や籠手に似た機械類がいくつか。野外に開かれた小さな工房のような光景だった】

【工房の前には男が一人座り込んでいた。白衣に眼鏡、短い黒髪。研究者然とした風貌で、年齢は二十代中盤ぐらいと若かった】
【手元では調整用の工具が籠手のようなものに差し込まれていた。細かな部品が噛み合わされる音が、理路整然とした演奏となっていた】
【演奏者の表情には影。陰鬱とした瞳はここではないどこかを見ていた】


…………同じ、か


【呟きが溢れる。手の動きが乱れ、調和していた音色が崩れる。小さな不協和音が演奏者の手を停止させる】
【男の口からは大きな溜息。落胆するように項垂れて、工具を籠手から引き抜く。そのままシートの上に無造作に転がす】
【背中を後ろに倒して寝転がる。空は曇天】


だめだなぁ、今日は。全然、手につかない
飲みに行くって気分でもないしなぁ…………


【自分の醜態に苦笑が浮かんでいた。そもそも日中じゃ飲むも何もなかったが、そんなことはどうでも良かった】
【シートの上に乗っていた空き缶を掴み、見ずに後ろに放り投げる。確かゴミ箱があったような気がする。なかったかもしれない】
【どっちでも良い気分だったが、通行人の有無は完全に頭になかった。もしかすると、誰かに当たるかもしれない】


//一日おりますのでいつでもどうぞ
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/18(水) 14:08:14.61 ID:dSMfWQ9C0
>>261

【――――ざわ、と、風が揺らいだ。混じりこむのは身も骨もその中さえも冷やすように透明に澄んだ水の匂い】
【ならばひどく美しいけれど、その実態はどこまでも覗き込める水ときっと同じだった。――きれいすぎて魚さえ暮らせないなら、それは猛毒と変わりないって】

――――――――、みー、つけ、た、

【りん、と、鈴の音。だけれど八重より万重よりも鮮やかだった鈴の音とは違う、一重咲きの鈴。まーっしろい白雪姫の薔薇みたいに、どんな感情もそぎ落とされた、声】
【きっと真っ先に見ることになるのはふわりと揺れる服の裾。ひらりと翻るスカートの裏側、くしゃくしゃに詰め込まれた布地が、無限かと思うほど波打って】
【すらっと真っ白な足――かかとの高い靴。ふわっと膨らむ布地が上から抑え込まれて、のぞき込む、――ぞろりと垂れる黒髪はそのままで、】

【――"誰か"がその頭の側に、立っていて】

【見覚えのない色の瞳をしていた、黒色と赤色で、だけど、それ以外はまあったく。たったのひとつも。なんにも代わらない、一緒に暮らしていた時の、最後の日のまま】
【髪は短くなっているようだったけれどそれは特別な差異ではないだろう、ならば鈴の音がしないのも当然と言えた。結ぶ髪を切ってしまったなら、仕方がない】
【暗く深い赤色の服。ふわぁっと膨らんだスカートは丸みを帯びて柔らかそう、ひどく平和に揺れて、だから、その向こう側で笑っているのが、よく目立つ】

やっぱり……。誰かにやらしちゃ、駄目だよね、あの時も――、このまえも、

【――よいしょと声はしないけど、ふわっと地面に膝をつく、それで、そっと手を伸ばして】
【上下さかさまのままで――そのまま。ぎゅ。と。抑え込もうとするのだ、相手の首――そうできたなら、当たり前に体重を全部かけるだろうし、だけど】
【動きはひどく緩やかで。覗き込んでから座り込むまでに、まず数十秒。もしかしたらふわふわのスカートの裾が額でも擽るだろうか、それでも行動は変わらなくって】
【そこからさらに十数秒して――掴まれたなら。もうそこから先は、こればっかりは本当に本気であるみたいに、力を籠められてしまう】

【――――――恋人同士が戯れるような温度感で。だけど、明確に違って。それでも――だからこそ、気づいて逃れるための、猶予はあった】

/よければー
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/18(水) 14:52:16.65 ID:DeEwyhrfo
>>262


【────鈴の音が、した】


【得体の知れない感情が身体の芯を打ちのめす。指先が固まり、思考が吹き飛ぶ────呼吸が止まる】
【恐怖にも似た何かが全身を支配していた。それは鈴の音に対してじゃない。その持ち主に対してでもない】
【自分の過去の行いと記憶に対する忌避感が生んだものだった】

【視界に映り込む服の裾。白色と化した思考に疑問が浮かぶ。誰が来た。何が来た】
【瞳を動かす。固まった肉体を、それこそ全力を振り絞って動かす。そんな動作、一秒もかからない。けど、まるで永遠のようだった】
【その音の持ち主なんか、たった一人だというのに。わざわざ確認する必要なんて、本当はないのに】


────…………鈴音


【ひりついた喉で、震える声で、彼女の名を口にした】
【瞳の色に髪の長さ。変わった部分はあった。だが、変わっていない部分の方が多かった】
【自分の姿は変わっていた。当然だ、”人間”なのだから。年齢相応の容姿で、一体何がおかしい?】

【煙水晶の瞳が揺れる。信じられないものを見るように】
【本当に姿が変わっていない。何故ここに。どうして笑ってる。何を言えばいい。どうしたらいい────】
【吹き飛んだ思考が波濤となって脳内で荒れ狂う。それに反して身体は神経が死んだように動かない、動けない】

【口が何かを言おうとして、動こうとして、けれども動かない。数十秒は、ずっとそんな状態だった】
【彼女が座る。視線が追う。手が伸びる────その先が、自分の首だと、理解する。殺意を、理解する】
【心臓が跳ね上がり、全身に力が戻る。ただの条件反射で、首を掴まれる直前に身体を跳ね上げて立ち上がる】


なっ…………くっ…………!!


【声にならない声をあげて、相対するように向き直りながら、離れるように後ろへと下がる】
【手が勝手に腰のホルスターに向かう。自分に殺意を向けた相手にはそうしてきた。単なる条件反射の行動】
【その行動を取る程度にはもう、この世界には慣れてしまっていた。だが、そこに銃はない。シートの上に転がしたままだ】

【そんな簡単なことに気がつかないほどに気が動転していた。銃を持っていないというのに、腕が上がって構えを取ろうとする】
【その手に何もないことに気がついたのは、右手が自分の視界に入ってからやっとだ】

【シートの上に散乱していた工具や武器を足が蹴飛ばす。金属が散らばる騒音。慌てるあまり、踏みつけたり足を取られたりする】
【シートの反対側まで数メートル。彼女からそれだけ離れるが、最後には足を滑らせて転倒。尻餅をつく】

【息はもう、肩が上下するぐらいに荒い。思考は今でもまとまりきらず、口の中は乾き切っている】
【恐怖に震える双眸が相手を見ていた。一体、何を怯えているというのか】


//すいません、遅くなりました!
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/18(水) 15:42:01.31 ID:dSMfWQ9C0
>>263

【――――とすん、と、音もなく。指先が地面に触れた、三つ指ついて頭を下げる一瞬手前のような姿勢を"そうじゃない"と分かるのは】
【いろいろなことを知っていないときっといけなかった、――色違いの目がじいっと逃げた先を追いかけている、だけどまだ緩やかに、淀んだ水の流れみたいに】
【ゆるりと地面についた腕を動かす、膝をついた姿勢からお尻を落とせば正座のように。そうと手はその上に降ろして、一瞬ぼうと黙り込む、――相手が転べば、目線の高さは同じで】

…………また殺すの? わたしは、まだ、一回も、殺してないのに……。

【目を細めて見やるけど、きっと笑ってはなかった。向けるのは――ただ冥い目、限界と相対したうえで深淵を覗くのを強いられるときの、目】
【ふわっ、と、音もなく立ち上がる。シートを踏んで歩く、落ちているいろんなものも気にしないで、蹴っ飛ばしたり、踏んづけたりして、そのままにして】
【数メートルは命の保証をするにはあんまりに近すぎる、何にもなければさっきみたいに。静かなままで――ふと、着いちゃった、なんて風に、たどり着くはずだし】

【――そうできたなら。またその眼前に座るのだ、スカートを翻して、子供がするみたいに、とすんっ、と、座ってしまおうとして】

……ほんとに大人になってる。

【そこまでをできたなら――表情が変わる。だけれどそれをどんな気持ちかって表現するのは、きっと、とっても難しい】
【悲しいような寂しいような怨めしいような妬ましいような――"置き去り"のままで呟く、あの日のまま。一番最後に会った日――でも、それは、いいけど】
【あのクリスマスの日。あの時すでにその時間は止まっていた、それなら――どこからかって、それも、多分、通じるのだ。"あの日"から、ちっとも進めていないまま】

どうしてそんな目……するの? 殺したはずのひとが、居るから? 二回も殺したはずなのに――って?
だったらね、大丈夫だよ。……そのたんびにね、きちんと死んでるの。ちゃんと覚えてるよ、わたしはあなたに二回殺されたけど、今もここに居るだけで――。

【今度は不思議そうに眉を顰める――さっきのがかえって気のせいで間違いだったみたいに、ただ静かに。だけど邪魔をされなかったなら、触れ合うほどの距離感はあまりに近くて】

いまから八十年経ってあなたがそのまま人間みたいに死んで、七百年後に生まれ変わって、また百年経って死んで、七百年後に生まれて、百年後に死んで……。
それを百万回繰り返した後だって、きっとそこにね、今と全くおんなじかたちで、居るだけなの。

【殺意――なんかじゃない、もっと複雑なもの。複雑に絡み合って絡み合って、すっかり分からなくなって、だけど、絶対に捨てることのできないもの】
【世界中の魔法使いと賢者が死んでしまって、すべての教会も魔王に踏みつぶされてしまって。そのあとに呪われたものを装備してしまったみたいな末路、二度と外せない状態異常】
【だけど到底嘘っぱちを言っているみたいにも、見えないだろう。――だって、実際に、何にも変わっていないのだから】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/18(水) 16:21:53.56 ID:DeEwyhrfo
>>264

【また殺すのか、と。その一言だけで、もう一度呼吸が止まりそうになる】

【オッドアイにかかるのは影なんて生易しいものじゃなかった。もっと遥かに昏くて重いもの】
【そんな瞳は初めて見るものだった。彼女がどうとか、そういうのでさえない。今まで出会ってきた人で、初めて】
【だから分からなかった。一体、どういう感情がそんな目をさせるのか。一体、自分が何に見えているのか、なんて】

【近づいてきても、また動けなかった。蛇に睨まれた蛙のように】
【視線が彼女を追う。大人になっていない、姿が変わらないとは、確かに聞いていた】
【嘘だとは思っていなかった。それでも、目の当たりにするまで実感なんて湧かなかった】

【歯を噛みしめる。後悔なんだか何なんだか、自分でも分からなかった。けどやっと、何をしでかしたのか理解した】
【目の前の彼女を見れば、それが嘘や冗談の類じゃないなんてことは、嫌でも分かった】


…………"二回"……そうか、”二回”、か……
あぁ、そうか…………"二回"、なんだね……

あのとき、お前はもう…………


【声を震わせながら呟く。今更、気がついたみたいに】
【ずっと、撃ち殺したことを考えていた。そうじゃない。斬り殺してもいたのだ】
【自分があまりにも馬鹿馬鹿しくて、いっそ笑いたくさえなった。そんな声なんて、少しも出なかったけれど】


…………本当に…………変わらないんだね
俺が…………そうしたんだね……お前を……そうしてしまったんだ


【代わりに出たのは、自分に言い聞かせるような確かめるような言葉だった】
【頭の中はもうぐちゃぐちゃだった。感情がいくつも混ざって攪拌されて元の形なんて分からない】
【それが愉快ではないことだけが確かだった。もうきっと、どうしようもないのだろうが】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/18(水) 16:59:38.95 ID:dSMfWQ9C0
>>265

――――そうだよ、一回だって、思ってた?
ずっとね、待ってたんだよ――、きっと戻ってきてくれるって、きっと――――、

【(助けてくれるって)】
【言葉は曖昧に途切れて消える、じっと確かめるように細める目はそれでも視線を逸らさない、色違いがずっとずっと、視線を合わせようとしてくるから】
【黒色の瞳は色が濃すぎる。逆に赤色の瞳は色がなさすぎる。だからきれいな黒色と赤色――特に赤色は"ぺろん"と塗装の剥がれてしまったみたいな、違和感があって】

………………。だからね、探してたんだよ、クリスマスの時。……怖かった、から、"どうしよう"って、
お話したかったんだよ――、――だけどね、もう、次の子がいるみたいだったから。

【一度死んで――また目覚めてしまった。ひどく不安で、そして、それを収める方法なんて知らなかった、そんなことで縋れそうなひとも、知らなかったから】
【誰にだってそんな話できないと思ったし、したくないと思った。だって――「死んだはずなのに生きてる」だなんて、よくって、"かわいそうなひと"を見る目をされるだろうし】
【あの時は――まだ幼かったし、この性質をよく理解もしてなかったから。今でこそその都度死ぬ痛みや苦しみを我慢さえできれば、利用してもいいと思えるほどだけど――】

……。

【――もうそんな風に怯える頃は通り過ぎてしまった、それなら表情は少し冷めたもの、だけど決して表情がないわけじゃなく、どんな言葉にもならないような、ものを浮かべたまま】
【あるいは憐れんでいるようにも見えたし、慈しむようにも見えたし、怒っているようにも恨んでいるようにも妬んでいるようにもなんにだって見えただろう、それこそ】
【左右対称のインク模様のように、曖昧な表情は見るひとが見たいように見えてしまう、あるいは、見えたくなくっても、恐ろしいものに見えてしまうのかもしれないし――】

……――わたしね、一度ね、聞いてみたかったの、"私"のしたこと、間違いだったから、きっと、こんな風になって……だけど。
わたしはね、私のしたこと、今だって、間違ってないって、思うよ――、怜司は、別の世界のひとだから、分からないかもしれないけれど。

何度も殺すって言われてた――、私のこと殺して。ばらばらにして。"あの家"の前にばらまくって。それで、それを、あなたに見せて……。
それからあなたのことも殺すんだ、って、言われて――、――理由なんてそれっぽちなの、ほんとうは死にたかったから、あんなに怒ったの?
私なんかよりも、"あいつ"の方が、好きだった? だから……、戻ってきてくれなかったの?

【生ぬるい風が吹いていた、ならばそれは春らしい穏やかさ、なんにも尖ったところのない、誰にだって生ぬるい温度が、だからこそ、こんな場では意味を持つ】
【生ぬるくって薄暗くって。もっというならどこか湿っぽくて、分かりやすく"どう"だって言うことのできない、天気。曇っている――どんなふうに曇っているのか】
【そういうことを全部説明するには言葉も時間もたっぷりかかるから――だから変に落ち着いて穏やかで薄曇りの表情や気持ちを説明だなんてしてくれない、相手に委ねるようにしたまま】

あの時、戻ってきてくれてたら――、

【――言葉は、きっと誰にも向いてない。ありえなかったから今があって、だから、なかったことを思い浮かべるのに、意味なんて、一つぽっちだってなくって】
【それでも。きっと今までに何万回だって繰り返した仮定があった。意味なんてなかったでしょう、って、自分に言い聞かせて。本人を前にしたって、過去は塗り替えられないのに】
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/18(水) 17:44:37.96 ID:DeEwyhrfo
>>266


────…………っ!


【きっと。でもそんなきっとは起こらなかった。違う、起こさなかった。他でもない自分が。あのときに逃げ出したから】
【だから、今は視線を外さなかった。何が出来るわけでもないのだろう。あの亜人はそう言っていた】
【それでもせめて────薄れた赤い瞳と塗りつぶしたような黒い瞳を見つめる。自分の犯した罪を】


………………ごめん


【絞り出すようにした声は、たった一言だけ。今更謝って何になるのか。そんなことは分からなかった】
【助けを求めていたのに。それに対して自分は何をしたのか。忘れてなんかない。忘れるはずがない】
【償える、はずもない。だから、それでも、こんな無意味なことを言うしか、できなかった】

【彼女の表情はごちゃ混ぜになったような、そんなものに見えて。感情が入り混じった顔というなら、同じようなものを浮かべているだろう】
【けどその中で、後悔の念が強くなる。怯えるような瞳ではなくなって、ただ、悲しげな感情が映っていた】
【そんな感情も、その次の言葉で消え失せて。代わりに浮かび上がるのは、今度こそ本当に、純粋な後悔だった】


違う…………違うんだ
お前のしたこと、間違ってなんかなかった。間違えたのは俺なんだ……!
あのとき、もっとお前の言うことをちゃんと聞いていれば、逃げ出しさえしなければ…………

…………何も、分かってなかったんだ
お前がそう言われてどういう気持ちだったのかも、あいつがそう言ったことも何もかも!
それが本当のことで…………そうだ、ちゃんと、信じれば良かったんだ…………

今なら、分かる…………この世界ならあれは本当だって…………
ごめん……ごめん、鈴音…………


【懺悔のような言葉が、堰を切って溢れ出した】

【信じがたかった。相手はこの世界で数少ない友人と言える人間だった。それが自分を殺そうとしているだなんて】
【ここが違う世界で、違う常識があって、違う事柄が起き得るのだと、理解したときにはとっくに遅かった】
【そう、何もかもが遅い。時間は戻ってなんてくれない。後悔したって反省したって、何をしたって絶対に】


────もう、どうしようもないのかな。俺にはもう、何も出来ないのかな


【それでも未練がましい言葉が口を突いて出た。何も出来ないと、自分を彼女の代わりに殺そうとしてくれた女に言われたのに】
【時間は戻らない。自分が死のうが何をしようが、何も元には戻らない。そんなことは分かっていた。分かりきっていた。分かりきっている、のに】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/18(水) 18:57:25.59 ID:dSMfWQ9C0
>>267

あの子にはなんて説明したの。私のことは、殺しちゃったから……もう二度と帰って来ないけど、気にしないでね、って?

【――色違い。だけどいつかみたいには淀んでいなかった、哲学者の卵。それはもう巣立って行ってしまったらしい、それでも、そんなこと、当たり前に聞くなら】
【仕返し――かもしれなかった。当たり前に地べたに座り込んだままだったけれど。やっと少しお尻がちくちくするのに気づいたみたいに、少しだけ身じろぎする、裾を整えて】
【ふっと違う家の匂いがすると思った。お店に置きっぱなしにしていた服だから。お店に置いてある洗剤の匂いがする、――ふと思って、だけど、すぐに忘れてしまって】

――っ、じゃあ! 私、わたしは、っ、! 怜司が間違えたから、"こう"なったの!?
間違えた怜司じゃなくって――っ、間違ってなかった、私が! もう二度と大人にだって、なれないのに――、

どうしてそんなことが言えるの、間違ってなかったって、あれでよかったって、言えもしないくせに!
協力するって? 死ぬようなことだってするって……? ――馬鹿じゃないの、そんな程度で何が出来るの、
何回も武装した奴らを嗾けてくるのに、子供だって人質にするのに、味方だって殺して持ってこいって言うのに、そんな奴ら相手に!
――そんな気持ちで何が出来るの、ふざけないでくれる、その覚悟だってないのに、役立って死のうとなんてしないで、

――私は間違いで殺されたの? 怜司が間違えたせいで、こうなったの? ――なんでそんなことが言えるの、わたしに向かって、
馬鹿みたい……、なんでわたし、誰かが間違った罰を受けてるの、そいつは当たり前に生きてて……、当たり前に大人になって、いつか当たり前に死ぬのに、

――――――どれだけ、私/わたしのこと、馬鹿にしてるの、見下してるの?
名前を呼んでもらったこともなくて。誰かに抱きしめてもらったこともなくて。誰かに何かを、もらったこともなくて――、
家族なんていなくって、帰る家も、行く場所も、その日食べるものだってなくって、喉が渇いたって我慢して、学校だって行ったことなくて、
そんな子だったから――、どうだっていいって、思ったの? 殺しちゃったから、もう二度と関係ないって、思ってたの? ――間違いだった、って!?
――――どうかしてる、ふざけるのもいい加減にして、謝りたいなら謝ってもいいけど――、間違いだった。なら。赦さない。

【一瞬だけ間があった、信じられないことを聞いたように丸くなった目が、初めて明確な感情に染められて、ぎりと歯を噛んだ音がする】
【ぺたんと座っていた身体を持ち上げて掴みかかろうとする、それが叶えば、そのまま、体重ごとかけて――その背中を地面に押し付けようとするだろう、けど】
【それこそ大人と子供――性差以上に、そもそもの体格が違う。あの時だってひどく華奢だったのに、今比べあったなら。そんなのどうってことない、簡単に振り払える】
【どちらにしても言葉と表情は変わらないけれど。謝罪までは、良かった。だけど、それが、間違いだったなんて――そんな風に、言われて、言われたなら】

――ないよ。なんにも。それとも、その方法を、探してくれる?
神様にだってできなかったのに。それをできる方法を、見つけ出してくれるの?

私が持っていた、"当たり前"を、昔に戻って、拾ってきてくれるの?
大人になったり。子供を産んだり。いつか死んでいくの。そういう"当たり前"――、怜司が間違えて壊しちゃったんだよ。

ばらばらになっちゃった欠片も全部全部拾ってきて、わたしに、返してくれるの?
…………怜司がうるさいって言ったから、鈴だって取っちゃったんだよ。……――嘘なの、ほんとはね、ヒトじゃなくなっちゃったから、あれじゃ足りなくなって――。

【ひどく怒っているのはきっと見たらすぐにわかるだろう。感情の外側にできた疲弊しきった膜さえ容易く破って、生ぬるい薄曇りも崩れる】
【押し倒していたならそのままぎゅうとその下の皮膚ごと強く強く服を掴む、振り払われていたなら――それでも、瞳だけで射殺すような鋭さは変わらず】

【――そんな力が、ふっと、緩んで。指先が自分の胸元に移ろう、そのまま、飾りのリボンを避けて、その後ろのボタンを一つ、少し下のを一つ、一つ、一つ――繰り返して】
【その内真っ白な胸元を晒す。鎖骨のすぐ近くにほくろがあって、やっぱりひどく痩せていて、――だけど、"それ"じゃなくって】
【きっと見せたかったのは。その身体じゅうにぞろぞろ這うような、魔術式。淡い桜色で描かれた術式が、縦横無尽、数えきれないくらいに、絡みついていて】
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/18(水) 20:02:58.15 ID:DeEwyhrfo
>>268

【「それは……」と、言い淀む。何と説明したのか。思い出せば、失望したような憐れむような顔が記憶から浮かぶ】
【今だって、そのせいか分からないがすっかり態度は変わっていて、一緒にいることも少なくなった】
【けど、そんな話を今は出来なかった。良い結果じゃなかったことはきっと、表情を見れば分かるだろうけど】

【怒号と共に、胸ぐらなり何なり掴まれる。突然のことで避けたりできなかったが、そんなのは問題じゃなかった】
【驚くほど、軽かった。自分だって大して力がある方じゃない。けど、それにしたって、あんまりにも】
【押し倒されて背中を打つ。痛くはない。いや、少しは痛んだが、それはどうでも良かった】


────っ


【言葉が出なかった。射殺すような視線を受けて、その中で言えることなんて】
【この期に及んでも、この時でさえも、彼女の言っていることの方が正しかった】
【罰せられるのは自分であるべきだったというのに、そうなっているのは彼女の方だ】


あれで、良かったって……そう、言ってほしかったの…………?


【間違っていた、と認めなくちゃいけないって、そう思っていた。でも結果はまるで逆で】
【だったら、そうじゃない答えだったなら、良かったのかと。小さな声が、恐る恐る聞き返す】
【憤慨した様子で、言葉が叩きつけられて。酷い境遇に、ああ大変だったね、なんて軽い言葉なんて出なくて】


…………どうだっていいって、思ったことは一度もないよ。今だって


【その代わりに言えたのはたったこれだけ。あまりの意味のなさに、自分でも嫌気が差す。大変だったと言う方がマシだ】
【神様っていうのが誰なのかは分からなかった。けど、思い当たるのは一つだけ。きっと”あいつ”のことなんだろう】
【昔に戻るなんて、もちろん出来ない。それともここで頷ける方がマシなんだろうか。そんなのは分からない】


そ、それは…………っ
魔術、なのか…………これが……?


【視界に映るのは複雑怪奇な術式。きっと、見たこともないような種類のもの】
【思わず手を伸ばそうとして、止める。代わりにそれをじっと見つめる。見たって何が分かるんだ。何も分からない】
【魔術師だというのも役に立ってはくれない。驚いたように目が見開いて、そして元に戻る。何かを言おうとして、止める】


……それが、今のお前を形作ってるの、鈴音…………


【確かめるように言って、視線はずっと術式を見ていた。複雑なそれを、少しでも理解しようと瞳が動き続けていた】
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/18(水) 21:10:57.83 ID:dSMfWQ9C0
>>269

――――――怜司はそうやって言わなくっちゃいけなかった。
誰かを護るためにしたなら。結果がどんなだって、そんなこと、言っちゃいけなかった!

そうでないなら――、「間違いだった」って言うのなら、――、「何もできないのかな」、なんて、ふざけたこと、言わないで。

【そうして押し倒せば抑え込むように体重をかける、身長自体はそう低くはないけれど。だからって重たくはない。ふわふわのスカートが捲れあがっても、気づきすらしないで】
【それが間違いだったなら。護られた人間が生きているのが間違いだと言うことになる、護るために排除された人間は、それが無意味だったと、思い知らされることになる】
【ならば間違いだと思った時点でそんな事情はそのひとがどれだけ苦しもうとそのひとが一人で抱えていろ――それは、あくまで、彼女の考え方でしか、ないけれど】
【それが、礼儀だと思う。でないと護られた人間も、そのために死んだ人間も、報われない。ただ自分は生き返ってしまっただけで、――無意味だったんだって、突き付けられて】

【お腹の中がひどくざわざわする。ずっと当たり前だと思っていた、大人になって、好きなひとと結婚して、子供を産んで、――それが出来なくなって】
【やっと、諦めたのに。それが出来なくなったことが、間違いだったなら。吐き気がしてぐらぐらして、嫌になる、これから先、ずっと、一番嫌いな姿のまま】
【間違いの結果の無意味で死ねずにいつまでも生きるのだと思ったらひどく惨めでしかなかった、あれから今まで頑張ってきた全部まで、間違いだったと言われてしまったみたいで】

……。もう、いいよ、――いいよ、もう、わたしが……、馬鹿だったの、だから、いいよ、もう、
初めて名前を呼んでもらったからって、浮かれてたの、全部、はじめてだったから……、

【――みたい、ですらないのかもしれない。そもそも土台が間違いで出来ていたなら。その上に積み上げたものは、全部、全部、間違いの上にあって】
【それをちょこっと傾けただけで、全部、どこかへ落ちていってしまう。こんな気持ち、当たり前に死ぬ人間だったなら知ることもなかった、と思えば、余計に――】

【怒るに任せるような勢いも、失望したかのよう、ふっと緩む。きっとまだいろんな気持ちはあるのに、それを維持し続けるための燃料をなくしてしまったみたいに】
【そのまま――胸倉をつかんで押し倒した、その位置から、すとんと座りこむ。相手の上だっていうのはあんまり気にしていないみたいで、馬乗り、ではあるのだけど】
【そこから何かがどうなるような勢いも、少なくとも今は見えなくなって。真っ白な胸元をただ見られていた、――とはいえ、そうあけっぴろげなわけでもないし】
【何より下着だとかあるから、そうよく見えるというわけでもないのだけど――ぞろぞろ蛇の群れが這うように絡み合った術式は、どこまでが一つか、違うのかも分からず】
【というよりそもそも本当に――全く知らないどこぞの世界の辞書を見せられて、たったのそれだけで無理やり文章を作れと言われて出てきたものみたいに、術式はひどくちぐはぐで】
【文法もまったくもって"なってない"。けれど本当にどこの誰が使うようなものかもわからないなら、ただ、ひどく拙さくらいは伝わるだろうか。どうして動くのかすら、分からない】

――そうだよ、魔力と、能力と、魔術式で出来てるの。大人になれないの。死んだって、またいつか、生き返るの。

【だのに晒された胸元は薄っぺらいままで息をする、きっと触れれば暖かいのだろう。切り裂けば真っ赤な血が噴くし、浮いたあばら骨の向こうには、きっと内臓もある】
【いつかと全く同じで、ただ、術式の蔓延るのだけが違う。ぞろぞろと絡みつく蛇のような式は呼吸のたびに緩やかに明滅して、ならばどこか鼓動にさえ似るようで】
【生きるためのもの――で相違ないようだった。そうして同時に分かるのが、これがないと生きられないなら――、今世界が向かおうとしている先は、きっと、】
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/18(水) 21:24:01.64 ID:+EGPlg3N0
【路地裏】

【それはとある酒場の裏手。革の破れたソファーやら】
【廃材らしいベニヤ板で作られた雨よけの屋根などが組まれた】
【そんな、溜まり場。けれど今いるのはたった一人であり】


100……200……、……――1200、と。


【「よし」――ぺらぺらと紙幣をめくる音が一区切り着いた所で、男の声が路地を通る】
【それは純然たる金勘定。1200万という大金を雑把にテーブルの上に並べ】
【その数が合っている事を確かめると、端から輪ゴムで括っていく】

【男は30代半ば、背は高め。髪はかなり短めに刈り上げていて、地毛は栗色らしく】
【夜になると少々冷えるからか、やや厚手のベージュのジャケットを着込んでおり】

【――ひゅう、と風が吹く。男の手元から滑り出た紙幣が一枚、薄暗い路地に舞って】
【雨上がりの濡れた路面にぴたりと落ちる。それは幾つもの辻道が交わる点で、暫し揺れ】
【面倒そうに立ち上がった男の靴音が、高くそびえる建物の間に反響していた】
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/18(水) 21:48:50.51 ID:lXvnLibd0
>>271

「……これは、金?」

【路地裏にて、それを摘み上げ拾い上げた男は、暗めのネイビーカラーのスーツの男性だった】
【路地裏と言う場所柄、遅かれ早かれ誰かに拾われそのポケットに収まるのであろうが】
【少なくとも、この男性にその素振りや欲は見られないだろう】

「誰ですか?この持ち主、ですかね?」

【足音が近づくと、咄嗟に顔に人の良さそうな笑顔を張り付け】
【ひらひらと、その紙幣を振って見せる】
【果たして、出てくるのは誰であるのか?】
【最もこんな場所の金だ、何れにしても、あまりきれいな物とは呼べないだろうが】
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/18(水) 22:00:59.07 ID:T4BVpZ5R0
【火の国・路地裏】

「……ちッ、しつこい奴らだ」

【何者かから逃げているらしい、男――その姿は】
【40代半ばで身長182cm、きりっとした眉毛、ややたれ気味で奥二重な褐色の眼】
【赤いニット帽、上下共に白いラインの入った赤ジャージ、薄汚れた白い運動靴、茶色のウェストポーチ】

「だが、ここなら多少の荒事は問題無いだろう。……本当は、この様な場所の治安も改善したいところなのだが」

【ポーチから取り出される1丁のリボルバー。見慣れぬゲージとツマミが1つずつある以外は普通だ】
【男は立ち止まり背後を向く。……追手と思われる複数の人間、それらに向けて銃弾を発射する】
【サイレンサー付きだろうか、通常よりも銃声は小さく、けれども聞こえないわけでもなく】
【幾つか外したものの、銃弾が命中した人間たちは地面に倒れて眠った。――比喩でなく、本当に寝ている。どうやら麻酔弾だったらしい】

――――――――――――――――――――

【街中】

「――じゃあ、醤油風味コーラのSを1つください。それと、ココア納豆きなこバーのバナナ味も1つ」

【テイクアウト形式の店で買い物を終えた1人の人物が、再び歩き出す】
【サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代後半〜30代前半の男】
【長方形で黒色のサングラスと普通の使い捨てマスクを着用しており、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【茶色いコートを羽織りフードも着用(ツノはがっつりはみ出ている)し、頭部には赤色の鉢巻が巻かれている】
【他、ほんのり青いタンクトップ、紺色のジーパン、青いマフラーと手袋、紐タイプの無難な黒ベースの運動靴】

「はあ、疲れた。そう言えば、スポンサーである六罪王の名前は彼らから初めて聞いたなぁ」
「言い忘れていただけか、それとも"わざと"か――うん、どちらにしても、ちょっと調べたいね」

【ため息を1つ、そしてマスクを下げつつ持っていたコーラをストローで吸い上げた途端!】
【ブッフォオ! と、派手に噴き出し辺りにコーラをぶちまける】

「ちょっとねえ、どこが醤油風味コーラなの? ねえ、ほんのりコーラ香る炭酸醤油だよねこれ?」
「あーもう、よく見るとこの辺の地面にコーラ……いや、醤油散りまくってるし……みんなどれだけ引っかかってるの……僕もだけど……」


/0時過ぎ頃に持ち越しか置きレス行きを頼むことになります
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/18(水) 22:02:55.25 ID:+EGPlg3N0
>>272

【かつ、かつ、と響くブーツの音。立って歩くと180cm以上はありそうな】
【そんなジャケット姿の男は、1200分の1を求めてスーツの男性に歩み寄る】

【風体は――マフィア崩れ、だろうか。人相は如何にもな悪人で】
【いうなればそれは、路地裏という場所によく似合う男であった】
【見て分かるような武装は無かったが、この手の人物は大概何か隠している物で】

……ああ、その金の持ち主だ。返してもらえるか?
生憎と今はデカい金しか無いんでな、礼の金ってのは無いんだが。

【ただ一つ――大きな違和感が存在した。それは男の纏う"不快さ"だ】

【不快、といっても色々だが、こと此処においては吐き気や頭痛、といった類のもの】
【男はただ歩み寄って、手を差し出したに過ぎない。金を返してくれ、と言っただけだ】
【けれど気付けるだろうか。スーツの男性が能力者だったならば、だが――】

【その足元には、埃が舞うように"黒い靄"が巻き立っていた】
【霧のような、煙のような。それが男性の足元を流れると、不快さは強くなるのだった】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/18(水) 22:06:15.24 ID:DeEwyhrfo
>>270


──────っ!!
そ、それは…………っ


【衝撃が意識を打った。自分の言ったことの意味を理解して、言葉を失った。もう何度目か。同じような意味で絶句したのは、ミラにあることを指摘されたときだ】
【そうだ、一度目も二度目も、何のためにそれをやったのか、やってしまったのか。そんなことも意識から外れていた】
【罪と間違いを認めることが重要だと思っていた。けど、そうじゃなかった。それこそ、言ってはいけなかったのだ】

【何がきっかけだろうと、どうなっていたのだとしても、彼女は、彼女”が”その結果を背負い続けているのだから】


…………そう、だね、お前の、言うとおりだ…………
俺は、どうして…………死ぬと、思ったんだ、二人が
だからお前を…………そう、だっていうのに

あぁ、そうだね……こんなにお前を馬鹿にした言い方はない
本当に…………酷い、言い草だ…………

……間違ってなんか、ないっていうのに


【何が、なんてそんなことは付け加えなかった。今更で、何もかもそればかりだったけど】
【ぎり、と歯噛みをする。自分の馬鹿さ加減に怒りさえこみ上げてくる。一体何度しくじれば気が済むのか】
【一度目、二度目。これじゃ、まるで三度目だ。四度目は、そうはしたくなかった】

【初めて。さっきの話が思い浮かぶ。名前を呼んでもらったこともない、と。そう言っていた】
【それがどれほど重いことだったのか、想像するしか出来ない。それすらも難しいぐらいだけど】
【「────鈴音」と。小さな声で呟く。その意味を確かめるように】

【上に乗られれば、そのまま。どけようとしたりだとか、そういうことはしなかった】
【視線は術式の上をなぞる。その断片でも理解しようと頭を回転させる。けどそれで出来たら苦労はない】
【あまりにも乱雑な、複雑さが絡み合って何とか成り立っているような。それを理解すれば、悔しさに顔を歪ませる】


…………だから、か
そうか、だからお前は…………あいつらと戦わなくちゃならないのか
存在が、懸かっているから……これがなければ生きていけないから……


【震える指先が、それに触れようとする。触れたのなら、表面をなぞるように動かす】
【今になってやっと、どうして戦っているのかが分かった。覚悟がないと、詰られた理由も】
【存在そのものを懸けているのならば、確かに、足りないのだと、言われても仕方がなかった】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/18(水) 22:10:59.72 ID:lXvnLibd0
>>274

【この場所に非常によく合う】
【良く似合う男だった、いかにも、と言った服装と顔つき、風体、雰囲気】
【醸し出す物全てが、この路地裏の闇を凝縮したかのような存在だった】

「そうでしたか、いやはや、景気のよろしい事で」

【そう言いつつ、笑顔で男の手にその紙幣を渡すも……】
【その笑顔はそのまま凍て付いた】
【足元の黒い霞、能力者だろうか】
【その頭痛を伴う不快感、近づいただけでこの状態】
【能力者の中でも、特級の物ではないか?】
【何者だ、この男……そう顔が引きつる】
【その状況でこのスーツの男がとった行動は一つだ】

「いや……儲かっておいでの様子で、我々しがない記者、小市民には縁の無い言葉です、お礼でしたら是非是非いつでも」

【自身の仮の身分、新聞記者を演じ切る事だった】
【引きつった笑顔、無意識にたじろぐ足を抱えて】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/18(水) 22:34:37.83 ID:+EGPlg3N0
>>276

……どうも。

【受け取った紙幣を適当に折りたたんで、拳と共にポケットへと突っ込む】
【ぐしゃぐしゃにしてしまいこんだりシない分だけマシだったが】
【それなりに柄が悪いのはやはり見ての通りであるらしく】

【――ただ、意味もなく周囲を害するようなタイプではないらしかった】
【その"靄"はともかくとして、回収するものを回収すれば】
【特に興味も無いというように元の場所へ戻ろうとするが――】


記者?……路地裏をうろついても、大した記事なんて無いと思うぜ
ただ危険なだけだしな。金貸しを探してるっていうなら、話は別だが。

……あぁ、ジルベールだ。話した通り、金貸しをやってる。


【よろしく、なんていうほどの愛想まではなかったが】
【対応は比較的マトモと言えるだろう。金貸しのジルベール――こちら側では、少しは名の売れた人間らしく】
【高額な金でもその日の内に容易する資源の大きさと】
【そして苛烈な取り立てがよく噂になる、そんな男が、時折路地裏の酒場では噂になっていた】

【――加えて言うなら。その噂には、多くの尾ひれがついていて】
【例えば「奴は10億は溜め込んでる」だとか、「100人は売春宿に落としてる」だとか】
【或いは荒唐無稽なものでは「機関員だ」とか「六罪王になったらしい」とか――色々と、ある男だった】
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/18(水) 22:45:37.76 ID:lXvnLibd0
>>277

「――ッ!!??」

【ジルベール、ジルベール・デュボン】
【驚愕させるにはあまりにも十分すぎる名前だった】
【六罪王にして円卓のトップ、笑顔は一気に凍て付き、顔には汗がにじんだ】
【目下は金貸しのジルベール、との通り名と職業だ】

「いえいえ……そんな事はありませんよ」

【男は覚悟を決めた】
【方向は決まった】

「『金貸しのジルベール』さん、こうして貴方みたいな方に会えたのですから」
「私は水国日報記者、厳島命と申します、以後お見知りおきを……」

【そう告げて去り行こうとする、ジルベールに声をかけ、名乗りを上げた】
【あくまで記者の、しかしその次に口から出る言葉は】

「先だってのカニバディールの混戦事件、そして……対黒幕用に雇い入れている人間達、いやはや、流石金融業は羽振りがいい」

【口から出る言葉は決して記者のそれでは無かった】

「それとも、そちらは金融では無く、六罪王の方のお仕事でしたかな?」
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/18(水) 23:06:27.71 ID:+EGPlg3N0
>>278

厳島、ね……"櫻"出身みたいな名前だな?
まあ別にどうだって良いんだが。……あぁ、良い付き合いをしようぜ

【厳島。その名の響きに、「水の国記者」というワードとは】
【少々異なった印象を覚える――これは、身の回りの人物の影響なのだが】
【結局それ自体は基にしない。問題なのは、ジルベールが行動を起こすのは】
【厳島命という男が対黒幕用≠ニいう言葉を口にしたときである】

【――ザンッ!と足元を漂っていた黒い靄が急激に収束、固形化】
【一本の黒い、穂先に幾重にも返しがついた槍へと変化して厳島を貫こうとするのである】


……、…――どっちも"俺"さ。金貸しも、六罪王も兼業なんでな。


【それは死体への語りかけになるのか、それとも仕留め損なった結果の会話なのだろうか】
【どちらにせよ――こちらを知っている相手への対処は、極めて敵対的なものだった】
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/18(水) 23:13:48.40 ID:dSMfWQ9C0
>>275

【――だけど。口から出た言葉は戻らない、後から何かを思っても、彼女はすでに聞いてしまって、だから、もう、間違いだったのだと知ってしまった】
【失望しきった目、だけど、居なくならないのは。それでも嬉しかった思い出が確かにあって。"思い出して"いたから。――それさえなかったら、もう、おしまいだった】
【忘れ去られた街並に天から降り注ぐ光と大穴、世界が滅びてしまいそうな瞬間に、取り戻した、記憶。それが、それだけが、この場に留めて】

…………、あの硝子の髪飾り、棄てちゃったの?

【ぼんやりと見下ろしていた。そうやって時間が経てば、やっぱり少女は生きているみたいに暖かい、暖かいのが、服越しに伝わって】
【これだって。さっきその手元に銃があったなら、きっと存在しないことだった。運が良かったのはどちらだろう、そんなのはきっと誰にも分からないけど】
【彼の言葉は聞いていたのかいなかったのか、――そのうちに呟く声が尋ねるだろう。直後に名前を呼ばれれば、明確に視線は動く――だけど、返事はしないまま】
【そのうちに視線も逸れる――から。別に無理に答えなくってもいいはずだった、ただ、思い出したみたいな声で呟いて――とても、とても、大事にしていたけれど】
【持ち主が死んだんじゃあ、そのあとのことなんて知りっこなかったから。だから、知っていそうなひとに、尋ねた。それくらいの、――だけど、だからこそ、きっと意味のある】

【ひどく疲弊しきった色合いが戻って来る。一瞬ひどく怒っていたのこそ嘘だったみたいに――むしろ最初よりもくたびれた風だった、緩く目まで閉じて、黙るから】
【そして何よりこの距離だからこそ。触れられた時に身体が刹那に強張ったのもきっと感じ取れて。ただそれもほんの一瞬のこと、それ以上は、もう、今更すぎる】
【押して倒した瞬間さえ抵抗しないから、触れたりしないんだと思っていた。ただそれだけのこと。そうして触れる肌は柔らかくて暖かい、生きている、としか思えなくて】
【だけど――きっとお互いに覚えている、はずだから】

ほかのひとだって……そうだよ、みんな。みんな、大事なもの、護るために、するの、だから――、
何人殺したって間違いだったなんて、言わない。そんな風に、護ったものを汚さない――、そのために排除したものも、貶めない。

それが分かんないなら……それだけの覚悟もないなら、邪魔なの、……。

【――目を細めて、見下ろす。見下す、かもしれなかった、触れられるのをそのままにして、放っておいて。それでも口では、きっと彼のことを批判している】
【疲弊しきった目はきっともう後戻りできない場所まで来ているから。そんなくらいなら帰ったら、なんて、優しさでもない。ひどく冥い目は思いつめているはずなのに】
【それが何かって話すつもりは、なさそうだった。「――わたしは、間違えてない」。誰かに言い聞かすような呟く声は生ぬるい風が攫う、――それでも鈴の声なら、聞き取れる】

――――――――、全部、見る?

【別に、何か、期待したわけでもないけれど。よく様子を見に来る魔術師に、すでに無理だとは言われているけれど】
【ひどく疲れ切って、もう怒るのも馬鹿らしくって、だけど、もう巻き込まれているなら気にすることもない。いつか好きだったなら、よほど嫌とも思わない】

明日はお星さまを見に行くの――。

【――それに、どうせ、もうすぐ、どうしようもないことをするのだから。取り返しのつかないことをする気なのだから。最後だって思えば、もう、なんだってよくって】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/18(水) 23:19:06.62 ID:lXvnLibd0
>>279

「ええ、そうですね、何故なら……」

【名前のみでの出身国解析】
【知識、見分、頭もキレる様子だ】
【瞬間、黒い霞はその収束し密度を増し、殺意の結晶化したかのような槍の形状となり向かってくる】
【跳躍、飛び退き、回避を試みる、そしてその間に姿を変え】

「櫻国魔導海軍諜報員だからな」

【紺の詰襟に帽子、階級章と徽章、櫻国海軍の意匠のワッペン、一本のモール】
【その姿の厳島が、再びジルベールの前に立つだろう】

「今の所、敵対の意思は無い」
「どうにも、黒幕を叩く関係で貴様の雇った者達と手を組む事になってね、非常に不本意ながら現在我々海軍諜報部は円卓との戦いは回避している」

【邪禍やレオーテ、その他の者達と手を組んでいる状況だ】
【彼らの金主とは一線交える事は出来ない】

「黒幕の婦警、曽根上ミチカの身柄を先ずは抑える算段をしている所だ、次の手土産はそれでいいか?」
「それとも特区の関係がお望みか?」

【幾分か不快感、桁の違う威圧感にも慣れたか】
【こう口元に笑みを湛え乍ら、聞くだろう】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/18(水) 23:42:51.45 ID:+EGPlg3N0
>>281

【殺意の黒槍は虚空を貫くと、ふわりと弾けて靄に戻る】
【靄は明らかに量を増し、路地裏の闇を具現化したように男を取り巻いて】

魔導海軍…――"観艦式"をやってた所の人間か。

……"婦警"の身柄を生きたまま、ってんなら歓迎だがな
死んでたって構わない……むしろいずれ殺すんだが。
俺の嫁が奴に復讐したがっててな。それに、その口ぶりだと奴の危険性は承知の上だろ?

それと「特区」についてだが…――俺は興味がない。
なにせ、向こうには俺の顔も能力も割れてるんでな

上がってきた情報を見る分にはいいが、立ち入るとしたら
それは婦警か"ロジェクト"を殺す時だけだからな。
……しかしまあ、Mチームとかいう連中も随分手広く集めたもんだな?

で、お前は…――"本来は円卓の敵"ってことで、良いんだよな?


【幾つかの情報交換、意志の確認。けれど恐らく、真に重要なのは最後だけだろう】
【「お前は"黒幕"という共通の敵が居なければどういうスタンスで動くのか」】

【それを問うような質問。答えは分かっているようなものだったが】
【敢えて、今聞いたのだろう。いずれ殺すというような脅しを掛けておく】
【相手が容易に除けるタイプでは無いと判断したからでもあったし】
【もし敵ならば――それを伝えておくべき相手が、この男には居るからでもあった】
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/18(水) 23:58:40.32 ID:lXvnLibd0
>>282

【正体こそは不明だが、その霞は闇の権化として、こちらを取り巻いている】
【いつでも、どの瞬間でもこちらを穿ち貫けるようにと】
【一つでも誤れば、死は免れないだろう】

「ああ、その認識で間違いはない、あの混戦は観艦式の直後だった」
「こちらは婦警の持つ情報だけが欲しい、身柄も命も欲しいならばくれてやるさ」
「無論だ、まだ接触はしていないが情報は集めた」
「嫁?貴様妻帯者だったのか?」

【嫁、との言葉はかなり以外だったのか妙に素の様な反応で答えた】
【何れ会う事にもなるのだろうが、少なくとも意外な一面であったことは間違いが無い】

「なるほど、では特区は勝手に調べさせてもらおう」

【少なくとも、特区の関係は手を出すつもりは無いようだ】
【それはそれで好都合な話だ】

「Mチーム?それが邪禍やカニバディールの仲間内の通称か?」
「ああ、円卓、黒幕、機関とそれに関わるもの全ての敵だ」

【ジルベールの最後の質問には、こうしれっと答えた】
【所詮現状の関係性は呉越同舟のそれ、黒幕さえ解体すれば後は円卓が敵となる】
【威圧感が増した、最後のこの質問が最重要事項だと言うのは、はっきりと伝わり】

「そう言えば、赤崎桐子と言う研究者が円卓には居る様だな……先のアスタンの件は貴様の筋書きか?」

【先だって部下が接触した相手だった、思い出したようにそう聞いた】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/19(木) 00:20:44.54 ID:M2Be3W450
>>283

情報、ね……あの婦警の事だ、聞いたって教えちゃくれないぜ?
何かしら、聞き出すための手段がないとな。
それこそ能力か、強力な自白剤だとか……ん。あぁ、まあな?

【婦警――言葉にはしなかったが、得体の知れない存在であり】
【或いは純粋な人では無いのではないか、という予想すらしているのだが】

【――その存在から如何に情報を引き出すのか】
【助言にも似た言葉を掛けつつ、最後の問いかけには頷いて】
【実を言えばまだ妻、ではないのだが。どこか楽しげにくすりと笑い】

【Mチーム≠ニいう言葉に話が及び、そしてこちらの問に相手が答えると】


……そうらしい、と聞いてるが。正式名称は生憎とな。
俺はいうなればパトロンで、奴らに直接関わってるわけじゃない
詳しいことは連中に直接聞く方が良いと思うぜ

それと……。……それが分かれば、俺としちゃ十分だ。

……"Crimson"のことか?それなら確かに居るが……アスタン?
奴が関わった都市の名前だったか……それが、なんだって?


【「知らない」と、ジルベールは簡潔に答えた】
【貴様の筋書きなのか――その質問に対する回答なのは間違いが無くて】
【その挙動や言葉には澱みが無い。変に動揺したりもしない、堂々たる返答だった】

/すみません、眠気がかなり強いのでざっくり締めか持ち越しをお願いしたく……!
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/19(木) 00:31:34.80 ID:fDhv/BN00
>>284

「なるほど、有り難く受け取っておこう」

【婦警からの情報に関して、そう答えた】
【厳しい尋問等では、やはり動じる相手では無いようだ】

「意外だな、貴様もそういう顔をするのだな……」
「なるほどな、友人が言っていたが、愛する者のいる人生も悪くない、と俺には理解の出来ない話だが……」

【妻に話が及べば、ジルベールはその肩書、人物からは想像もつかない笑みを浮かべた】
【まるで恋愛を楽しむ市井の人間の様な】
【心底意外であった様子に、しばしぽかんとするも】

「邪禍からその辺りの関係性は聞いているが、なるほどな、もう一度連絡を取る必要がありそうだ」
「Crimsonで間違いはない、が……そうか、解った、すまないな」

【これもまた意外な答えだった】
【状況から見れば、明らかにジルベールが噛んでいそうな物だが】
【彼の様子は、決して嘘や誤魔化しをしている人間のそれでは無かった】
【あるいは何か秘密があるのかも知れないが、それを問うた所で答えは得られないだろう】

「邪魔をしたな、俺は行くが、無論帰してはくれるのだろう?」

【そう言うと、自分自身の連絡先、名前、所属と階級が記された紙を手渡し】
【そして何も無ければ、路地裏の闇の中に去って行くであろう】
【歯車はまた、僅かな動きを見せた】
【誰も知り得ぬ帰結には、まだ程遠い……】


//了解です!
//お疲れさまでした、こちらで〆でよろしいでしょうか?
//絡みありがとうございました!
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 00:42:52.25 ID:gPVV9ifYo
>>280

【いかにそれが取り返しのつかないことなのか。悔いても遅い。いちいち遅い】
【────どうにかしたかった。どうしようもないと誰に言われても、本当のところはどうにかしたかった】
【悔やんでいて、やっと相手が目の前にいる。やることなすこと的外れだったけど、それでも】


…………家に、あるよ


【声には、小さな呟きで答えた。視線が逸れても、こっちからはずっと見ていた】
【触れた指先の感触は、なんてことはない。他人の肌。それ以上でも以下でもなかった】
【触れて確かめれば、何が違うかなんて、分からない。暖かささえ、感じることが出来るというのに】


……………………
教えて、くれないか。今の、お前のことを
ミラから少し聞いた。身体のことは…………でも、それだけ
何があったのか…………聞かせてほしい。無理にとは、もちろん言わないけど


【思いつめた表情。それに悲しむような顔をして、恐る恐るみたいに聞こうとしてくる】
【何があったのか、今何が起きてるのか。語気は弱くて、嫌がられたら、それ以上は聞けないかもしれない】
【それでも、その小さな声が気になった。どうしても、どうしても】


……見る。何が出来るなんてことは、言えないけど
………………お星様?


【細かく見ても理解出来ないのは試したばかり。けど、知らなくてはいけないような気がした】
【その後の声には、少し首を傾げた。何を意味してるのか分からなかった。分からなくて当然だけど】
【ただ、無意味な言葉だとは、どうしても思えなくて】

//うう、遅くなってすいません
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 01:21:24.79 ID:t4P/5u8N0
>>286

【――――、もう、どこにも、ないと思っていた。戻ってきてくれなかったみたいに、助けてもらえなかったみたいに、全部、捨てられてしまったのだと思っていた】
【そのほかに何を持っていたかはよく覚えていなかったけれど――それでも。あの一つだけはいつまでも記憶にあった、それくらいに嬉しかった。初めてだった、から】
【ぱちり、と、瞬き一つ。ひどく曖昧な顔をした、眉を下げるような顰めたような表情、馬鹿にするような、だのにどこかで嬉しいような、そんな複雑な表情を浮かべて】

――――――ばっかみたい、馬鹿でしょ? 

【それだけ言ったなら、唇を噛んで黙り込む。返してほしいとも言わないし、ならどうしろとも言わないけど。好きにしたらとでも言うみたいに、わざと体重を少し、かけ】
【――そういえば、少女の能力は肉体強化だった気がする。そのくせにずいぶんとしおらしかった、本当にただの少女みたいな力だけ、棒きれみたいな身体の通りなら】
【こんなふうに好き勝手。相手がそうさせてくれているのに過ぎないもの、ざあとぬるい風が吹いて、ひらひらとスカートの裾が揺れて。おんなじなのに、どこかでちょっとずつが違う】

【それでしばらく本当に黙ってしまう、口を噤んだままで遠いところを見ている。それにしたって人気がなくって良かったと思う、誰か通ったら、まず何かと思われるだろうし】
【それに思い至れば少女は何に返事をするより先に元みたいにボタンを閉めてしまう、べつに露出をする趣味だなんてないし、いつまでたっても、こんなことしてる趣味もないなら】
【そのままでふわりと立ち上がる、――スカートの中にはやっぱりくしゃくしゃに詰め込まれたパニエと、見えたとしてもドロワーズ。そのまま相手をまたぐよう、歩いて】

何が、って――"なにが"? ……なんにも、できないよ。

【近況のことは何にも言わない。あるいは言うつもりがないみたいだった、それとも何かピンポイントで聞けば、何か言うのかもしれないけど】
【間違ってない――自分に言い聞かせでもしないと、やっていけない。そういうことがあるらしいことは、まあ確実に思えた。それで、そうまで、するのなら】
【きっと、その間で、間違えている/間違ってないと分かりながら。一生懸命に自分をなだめすかして、――誰かに話して、邪魔されたら、その時こそ誰かを怨んでしまう】
【どうしたってどうにもならないのはいっぱい考えて分かったはずだのに。――数歩歩いて、振り返る。「ここで脱げっていうの?」批難がましい目、睨むようにして】

【――結局、お星さまがどう、とか、もう言わなかった。きっと多分「なにが?」って一言で全部踏みつぶしてしまったのだ、それから先は、言う気がない】
【だのにその先が大事であるはずだった。とうてい星を見に行くから楽しみだなぁ、なんて顔は、していなかったのだから。それよりも冥い冥い、深淵を覗くときの、目をしていた】
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 01:42:43.18 ID:gPVV9ifYo
>>287


……俺にとっても、大事なものだったから


【馬鹿呼ばわりされても、嫌そうな顔はしなかった。気の抜けたような、そんな苦笑を浮かべるだけ】
【身体に体重が少しかかる。重みを感じる。それにしても、随分と軽かった。強化の能力だって使ってないみたいで】
【その重みが突然消える。急なことで目を丸くして、視線で追う。歩いていけば、こちらも起き上がって】

【質問の答えは返らず。彼女の後を数歩、追いながら考える。何かが危ういバランスで保たれてるのは、見て分かる】
【何も出来ないというのも、そうなのかもしれなかった。なら、どうする。どうする】


…………何も出来ないのなら、何もしないよ
お前のすること、しようとしてることにも、何も言わない。お前が決めたのなら
だから……その明日に、どこで何をするつもりなのか、教えてほしい
…………良い場所に行くようには、見えなかったから


【彼女が考えて、そうすると決めたのなら、それに割って入るのはやめにした】
【なら、教える意味なんてないのかもしれない。何も言わないし、しないというのなら】
【それでも────表情が頭に残った。その上で聞くなら、こんな言い方しか思いつかなかった】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 02:05:42.50 ID:t4P/5u8N0
>>288

【――結局、それ以上は何にも言わなかった。気まぐれみたいに歩いていったまま、立ち止まったまま】
【頭の位置は昔より高かったけれど、靴のせいでしかない。脱いだなら前とおんなじだろう、変わっていても、育ってはいないから】
【それでも後ろ姿はどこか別人みたいに見えたかもしれない、髪が短くなったのだって印象が違うし、ふわついた服も、シルエットを大きく変えて】
【だから――なのだけど。この身体を隠してしまいたかったから、こういう服を選んでいるのだけど。そのうちに、やっと振り返ったなら】

…………当たり前でしょ、いつまで何かでいる気なの、邪魔したらね、殺すよ。
カニバディールに会うの――それでいいでしょ。怜司よりよっぽど強くって、恰好いいよ、――。

【行動を制限される謂れなんてない、当然のつもりだったのに。緩く首を傾げたなら視線は斜め向き、違うのか、と尋ねるように】
【"そう"であったころならともかく――少なくとも今制限されるつもりだなんてなかった、それこそ、邪魔したら殺す。――これはきっと本当に本気で、】
【どこで何……と聞かれたら、やはり答えるつもりはない。だけれどしつこいようなら、だれと、くらいなら教えてくれる。――挙げた名は、不穏そのものだったけど】

――どこでするの、見ないの?

【それとも仲間だと聞き及んでいるなら受け取る意味合いも違うかもしれない、でも――それで"全う"に思えないのは、確かではあった】
【だけれど今度こそ追及したら不愉快な顔をするのが目に見えて。星――というのがいわゆる天のアレなら、どこか、いいスポットがあるのかもしれないけど】
【まさか今もまさにテレビを賑わす機関員と本当に星を見に――なんてはずはないなら。何か全く別の意味合いを持つのだろうと思えて、なら、彼女の口を割らない限り、分からない】

【――それでも。思い返せるなら。いろいろヒントになるようなことは言っていたのだ、子供がどう、とか、味方を殺せと言われた、だとか】
【そんな奴らが相手。そんな風に言っていた、なら、――本当にそういうことをされたのかもしれない、もしかしたら彼女ではない誰か、の話かもしれないけれど】
【だけど彼女がきっと一番子供に縁があるようにも思えた。――だって、UTで孤児に食事を振る舞っているのだから。「子供だって人質にするのに」――】

【――――術式を見るのか、見ないのか。ここでは無理だ、それこそ本当に警察が来かねないから】
【見ないと答えたらそのまま帰ってしまいそうでもあった。用事は――あったみたいだけど、間違いだっただなんて言われたあとでは、殺す気さえ失せてしまって】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 02:24:44.80 ID:gPVV9ifYo
>>289

【カニバディール。記憶の片隅にその名前はあった。水の国で暴れたという機関員】
【けど、口ぶりからすれば敵というよりは味方だ。何故なのか、とは思ったが、それよりも気になることがあった】
【”味方を殺せ”、”子供だって人質に”────事情が垣間見えて、胸の奥から苦いものがこみ上げてきた】


……そうか、そこまで、してくるのか
…………家にでも。そんなに遠くないから


【やり方の卑劣さと酷さに、落胆したような呟きが溢れる。確かに、何が出来る状況でもなかった】
【どこでするのかと問われれば、一番、人目につかない場所を選ぶ。路地裏がいいというのなら、そちらにするだろうが】
【シートやら何やらは後で回収すればいい。断られなければ、歩いて少しの場所まで案内する。小さなアパートの一室】

【中はワンルームの作り。以前住んでいた場所と構造は似たり寄ったり。必要最小限の家具と、後は機械類が雑多に転がっていた】
【部屋に入れば、白衣のポケットから小さな紙を取り出す。術式を記録するために。役に立つかは分からなかったが】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 03:02:11.51 ID:t4P/5u8N0
>>290

【――だから、間違えていないことを、言い聞かせておかないと、いけなかった。間違えてない、何も、間違えてないから、大丈夫だ、って】
【"そうした"あとにやっぱり間違えていたなんて言いたくない。そんな風な言葉で何もかも後悔したくない】
【「だけど」って弱音はいつまでも終わらないだろうけど】

誰もいない? 

【――――誰か居たら絶対に嫌な顔をしていた。だからって尋ねたとしても路地裏は嫌だとも言うのだけど。理由までは言わないけれど、簡単で】
【人目のつかない場所は襲撃に遭いかねない。それとも――そんなことはしてこないだろうか。脅した相手が"動く"前に殺してしまったら、きっと意味はないのだし】
【そうだとしても。あまり好まない。いっつも居るけれど、――そういう気分の時もある、かもしれない、あとは。相手もあるだろうか、――思い出す、から】

【家だと言うなら家についていくだろう。いつかもそうやってついていった気がする、――細かなところまでは、覚えてないけれど】
【何しているんだろうってかすかに思っても、同時に、こんな出来事関係ない昔から知っている人間相手ならそういう意味では落ち着けた、疑る段階を省略出来て】
【会ったことのない知っている人間に知っていることを把握されて話をするだなんてことはしなくっていいのだから。――そういう意味では、気分転換】
【ずいぶんひどいやりかたではあったけど――】

――――、変なことしたらその首吹っ飛ばすの、分かってるって、思うけど……。

【室内に入れば頭の位置がすとんと落ちる、高いかかとの靴を脱いでしまって、それから、特に見渡すでもなく、何か言うでもなく】
【指定される場所があればそこで。なければ――ただ部屋のど真ん中とかではない、椅子とかあれば多分座る、ベッドとかでも、多分、座るけど――】
【そういう意味ではあんまり遠慮する気はないみたいだった、ならデッサンのモデルの方がよっぽど丁寧でかわいげがあるみたい、ふわっと、腰かけて】

【今度は――憚る理由もない。どうせ過去にも見られているなら、ふわりと、生成り色のシャツを脱いでしまって。一応畳むけれど、畳んだ後に、床に投げて置いた】
【それで隠すものがなくなってしまえば。やっぱり中身はひどく華奢で、シルエットは過去と相違ない。違うのはうぞろうぞろ絡まるような術式と、】
【背中まで確かめるなら、いつかと同じで白蛇と林檎の入れ墨がある。――その蛇の首を断って落とすような刃の傷があった、さぞかし深い、それこそ、致命傷であったかのような】

【――――チューブトップタイプの下着一枚。真っ白いけれど骨ばった身体つきを晒して、だけどこちらは必要ないから当然そのままのスカートはふわふわ膨らんで】
【見せつける術式の群れは、やはり、並大抵のものじゃない。そのくせに技術は拙くて、何がどうなっているのか、子供の落書きを読み上げるみたいに、はっきりとしない】
【縦横無尽に張り巡らされているのも、尋常じゃないように見えた。それだけの執着というか、何か、どうしようもない強い気持ちがあったような――】
【――とかく。胴体部であれは胸も腹も背中も関係がなく這っている。唯一背中の蛇の入れ墨は避けているようだったけど――ぼこ、と浮いた骨の目立つ痩躯だから、】

【余計に、なにか、とても異質に見えて。――そのくせ本人は退屈そうにしていた、変わらずくたびれた目、遠慮しないくせに少し落ち着かないようなのは――まあ、当然、だけど】
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 03:20:37.64 ID:gPVV9ifYo
>>291

【「いないよ」と、短く答えて、家まではそのまま】
【奇妙な気分といえば、そうだった。同じようなことをしたのは随分と昔になる】
【そのときは今とは全然違う状況で、もっと気楽で。それでも、どうしても、懐かしさがあった】

【家に入ってから、背が頭一つ分も落ちるのを少し、不思議そうに眺めてから】
【椅子かベッドかは、どちらでも良かった。入り口に近いのはきっと椅子の方だから、そっちに】
【服を床に放り投げるのを見て、苦笑する。昔もこういうところは雑だったような気がして、どうしても思い出してしまう】


もちろん、分かってるよ。そういうタイプじゃない


【落ち着いていられる、というのはこちらも同じだった。外より家の方が集中はできる。真剣な眼差しで術式を見ながら、紙を指でなぞる】
【似たようなものがそこには浮かび上がる。魔力に反応する特殊な紙を使って模写していた。精度は怪しいものだけど】
【だから、それこそ”似たようなもの”程度だ。複雑すぎて、正確に描くことは難しかった】

【背中にも回り込む。刃の傷があって、息を飲む。手が伸びて、さっきみたいに指でなぞろうとする。優しく、慎重に】
【触れることができてもできなくても、また書き写す作業に戻る。乱雑に手が動くのは大元がそうだから。それにしたって限度がある】


…………友達、増えた?


【ふと、蛸の亜人が脳裏を過ぎった。あるいは、退屈そうにしていたから、話題を探していたせいか】
【手を細々と動かしながら、そんなことを聞く。答えたって答えなくたって、それはどちらでも良かったけど】
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 03:50:27.44 ID:t4P/5u8N0
>>292

【――それでも、年齢の平均よりは高い身長だ、よっぽど低い――ということはないけど、どうしたって成人男性相手に、敵うはずもなくて】
【どうでもいいところが少し大雑把なのも多分昔から。何かの本を見て料理をするのに、凝った飾り切りを真似してみようとして、途中で嫌になって】
【最初にいくつか切ったのはきれいでも途中からどんどん雑になって最後は普通に乱切りになったり、そういう性質。そんな癖に意外と頑固で、一度決めたら、諦めない】
【それを邪魔しようとされると、すっごく怒る。怒らなくっても不機嫌になる。おかしくなったのは――多分、哲学者の卵、なんてものが、流行り出したころから】

だけど初対面の子、連れて帰るの?

【すぐ返ってくるなら彼女自身思い返していたのかもしれない、椅子に座ったならそれっきり、デッサンモデル……でもないし、たまに動くけれど】
【どうせ写したいものだって子供の落書きみたいなものだから、大して変わらないだろう。大胆にあけっぴろげではないけど、かといって、気にしすぎて縮こまるでもない】
【そんなの今更だしいつまでだって生娘でもない、見た目は変わらなくっても時間は経っていて、それなら、二十四だろうか。誕生日のカウントダウンをするには、少し早い】

――――――、

【背中の傷に触れられれば、そっと振り返る。底がうかがえないほどに色のない目、その向こう側の赤い色を透かしているだけなら、きっと、抉り出せば透明な色】
【旧い傷跡は少しだけ白っぽく盛り上がったようになっていた、当然治っているもの、だけど綺麗に、ではない。首を掻き切られたような蛇もどこか不吉なものに見え】
【白蛇が咥える林檎はちょうど心臓がありそうな位置に描かれて――触れたならやっぱり暖かい。柔らかくって、だけど、ヒトではない、区分で言えば生き物でさえないかもしれない】

……ふつう。

【ぼこぼこした背骨の数は人間と同じ、くびれだとかはほとんどなくって、ほんの少しも、女の子みたいな身体つきをしてない。昔からで、あのころから、それを気にしていた】
【曖昧な声で答えながらそっと右手を虚空に伸ばす、それからひっくり返して、二の腕を眺める。傷跡があった、銃弾がかすめていったような。――もう、治りかけているけど】
【古傷とは様子が違うから最近のものだと分かる――、それら以外の傷はなかった。ならばずっと真っ白で、桜色があって、――それだけ】
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 04:16:23.71 ID:gPVV9ifYo
>>293

【「う」と言葉に詰まる。全然、予想もしていなかった返事で、戸惑いが声にありありと表れる】


それは……まぁ、ほら、昔のことだし……
今はそういうことしないよ……相手がよっぽど困ってない限りは、うん


【答えも何だか言い訳のよう。それでも後悔とかは、そこにはなかった。多分、今でも同じことをする】
【そのあたりは結局、根本的な性格の問題。七年経とうが、変わらないところも色々とあった】
【部屋も、昔と変わってない。家自体は変わっていても、物の置き方とか、置く場所とか、そういうのは似ている】

【指先が傷跡の次に、刺青をなぞる。さっきと同じように暖かな感触。何も変わらないっていうのに】
【痩せた背中。本当に、何も変わっていないんだと実感する。もうそれについて何か言うことはないけれど】
【胸の痛みは無視した。気にしたって、何がどうなるものでもない】


そっか、ふつうか……
…………そっちも、俺のか。俺のだけ、だな


【自嘲めいた声、だったけど。どうしてだか懐かしささえ混じり込む。こうしていると、ダメだった】
【二人で話をする、なんて状況がダメだった。どうしたって懐かしくって、気が緩む】


服装とかも、随分と変わった
昔は和服が多かった気がしたけど……髪も、短いし


【どうでもいいことを話しながら前へと回る。紙を眺めて、それでもやっぱり分からなくて、眉根を寄せる】
【ともかく、模写は終わったようだった。紙を机の上に置く。魔力の青白い淡い光が灯っていた】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 04:53:01.54 ID:t4P/5u8N0
>>294

【「そう」と呟く、――だけど、たぶん、あんまり責められなかった。彼女の場合、子供だけど――たまに拾ってくる、どこかからか】
【だからそれ以上何にも言わなかった。拾われて、殺されて、またこうして話している。右目がじりじり疼くようだった、親指の付け根で雑に拭って】

【――それでも。多分、一番最初に会った時よりか、"よく"なっていた。路地裏で食べられそうなごみを見繕う生活から、安定した場所で暮らせるようになって】
【お腹が空いたら冷蔵庫を開けるとだいたいなんか食べられるものがあって。眠たくなったら落ち着けるベッドで気のすむまで眠って、それで】
【――――今は。今も、多分、それくらいには安定した暮らしをしているのだろう。きれいな服だった、糸の引き攣れた場所もない、そういう、整った服装】
【だのに満ちている顔だなんて、していなかった。何か恐ろしいものがゆっくりと迫って来ていて。立ち止まっていたらいつか必ず追いつかれると分かっているような、】

…………この前、黒幕に襲撃されたときの傷。そのうち……治るよ、食べて寝たら治るの。
怜司のとこには来てないの――、……だったら、いいね、クラァケさん円卓側だから、行きづらいのかな。

【一瞬間があった、――そんなことはなかったはず。よく食べてよく寝るだなんてよいこの三箇条みたいでも、こんな身体なら、本当にそれで治ってしまう】
【火傷くらいならすぐに治る――治った。らしいのだけど。なら傷が残っているのは少しだけ変だった、――まるで食べないし寝ていないみたい、ああ、でも、いつか、】
【そういうことが。あった気がする、――本当に何も食べられなくなってしまって。泣きそうな目をして無理やりに丸のみにしていた、だから、前科はあるけど】

……、この方が、身体を隠せるから。髪は……、後ろ髪引かれないように。

【どうでもいい――どうでも、よくなかった。変わっているところはそれだけ理由があって、だけど、それは相手には関係ない出来事で、相手からも、関係がない】
【変化することないやせぎすの身体を隠しこむためにシルエットの大振りな服を選んで着ている。長い髪を切ってしまったのは、誰かへの気持ちでためらってしまわないように】
【どっちにも小さくない理由があって――だけれど口ぶりだけは、大したことがない風だった。それで、終わったと見ればひょいと床の服をつまみ上げて】

【元のようにきれいに着直していく――今日は簡単な服でよかった、だなんて思いながら。さすがにコルセットだとか締めてもらうのは嫌だった、背中のチャックだって】
【だから今日はそんなの一つもなくてよかった。――仕事が長引いて帰れなかったときのために置いておいた服だから。難易度が低いものなのは当然、だったけど】

――――――じゃ、もういい? 

【それでふわりと立つ。立ち去ったなら――今日これからのことは知らないけれど、少なくとも、明日、どこかで何かをする。悪名高い機関員と、何かを】
【漏れた断片をかき集めて推測するだけでも楽しいことがあるとは思えないのに。それでも当たり前に明日へ向かおうとするのは、強いのか、それとも、もう逃げられないだけなのか】
【引き留めてほしいだなんてことも、ない。ひどい甘えん坊だった気もするのに、すっかり忘れてしまったみたいに。それでも勝手にすたすた帰るようなことは、きっとなくて】
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 05:17:26.28 ID:gPVV9ifYo
>>295

【服装は確かに、整っていた。生活は少なくとも、”酷い”と思うようなものじゃないと分かる】
【それでも顔はそうじゃないように見えた。思い当たる節なんて、今じゃたくさんあって】
【どれだろう、と。考えてみても分からなかった。公安か、身体のせいか。きっと、どっちもなんだろう】


食べて寝たら治る、か
俺のところには、まだ何も。敵対して間もないからだろうけど
…………また、寝てないのか


【昔に、似たようなことがあったような気がする。それこそ、隈の酷い顔を見た】
【今はそんなに分かりやすく出ていないようだったけど、だからってきっと影響がないわけじゃないんだろう】
【心配そうな声、だった】

【見た目を変えた理由を聞いて、またまずいことを言ったと、一瞬口を噤む。わざわざ言葉にしたりはしないけど】
【大したことない風に言うのなら、そうしておくことにした。大したことだ、なんて言うのはやめた】
【だから「そっか」と、さっきみたいに短く返事をするだけだった】

【着替えをしている間は、何をするでもない。眺めるのなんて何だか変だったから、視線は違うところを見ていた】
【それでも自分の部屋で見るものなんてないから、結局、彼女を特に意味もなく見つめていた】
【もういいかって。確かにもう用事はなかった。こっちにも、相手にも。ならこのまま帰すのかは、少し考えてしまった】


…………ここは多分、安全だ
短時間で俺のことまで調べてるんなら、驚く
だから、休む場所がないんなら使っていい…………寝るのだって


【敵対組織のメンバーに会うのだってこれでやっと四度目。今回にいたっては、それに関する話はあんまりしてない】
【だというのに黒幕だの何だのがここに来るんなら、それはもう驚くしかない。だから、きっとないはずだ】
【明日何があってどういう想いかなんて分からない。けど何も言わないこともできなくて、折衷案みたいなものだった】

【そのまま立ち去るなら、見送りぐらいはする。使うんならそれはそれ。邪魔だと言われれば、出て行きもする】
【少なくともここには他に誰も来ないはずだ。あとはもう言うこともなくて、完全に自由だった】
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 06:01:56.21 ID:t4P/5u8N0
>>296

……そう、じゃ、良かったね。――――そだね、でも……関係ない、でしょ。

【そんなことになったのはごく最近のことだった、だから――多少の時間差はあるのかもしれない、察知するのとか、調べ上げるのとか、だけど】
【相手の事情なんて分かりっこないから、ひとまずは。自分が知っている範疇で思い浮かべるしかなく、なら、ほかの面子に対しての襲撃があるのかも、分からない】
【かといって自分だけが狙われるということはないはず――というので動いている。多分ほかのひとたちも。ミラは確か、まだ大丈夫だって、言っていて――】

【――袖を通して、ボタンを留める。やるのはたったのそれだけ、だった。最後にスカートの裾を整えて、それで終わり。なら、数分もかからないほど】

どう、かな――、あのひとたち、プロなの、ほんとにほんとのプロだよ、UTより安全だって言える?
それとも護ってくれるの、わたしが眠っている間じゅう、ずーっと――その身に替えて? ……冗談。わたしのほうがきっと強いよ。

【そもそも公安が敵になっていて、警察も取り込まれている。ならば相手はプロもプロで、どこから何が漏れて何がばれるかなんて、もう分からない状態】
【それこそ警察官だなんて街中のどこに居たっておかしくない。自分はすでに目を付けられているから、誰に見られてもおかしくない。私服で来られたら、分からない】
【だから昔からの知り合いに安心する。それだって、この段階が終われば安心できなくなる。他者になりきれる能力者が居るのを知っているから。――だから、期間限定、今だけ】

【なら分かりきった場所の方が安全。だけれどそれとこれとは別なのだろう、本当に安全かではなくって、気持ちの問題。安心して休めるか、っていう、話】
【それこそ誰かが近くで気にしていてくれるかとか、そういう話になってくる。そういう話になって――ただ、だからといって頼って来るか、は、それもまた別の話で】
【どうしてもって、言うなら――いつかの口癖は、もうずっと昔のものだった。臆病な少女からの、精いっぱいの、お願いの仕方。――でも、それが通用するころは終わってしまって】
【大人になんてなれないくせに、いつの間にか大人になってしまった。ふわりとスカートを揺らして歩く、そのうちに、玄関のところで脱いだ靴を拾い上げて】

その術式――*ちゃんが言ってたよ。読めるしもっといいのは書けるけど、
それをしたらそれは"わたし"じゃなくなっちゃうから、やめたほうがいいって。こうやって動いてる時点で――、"これ"が、わたし、だからって。

【よいしょって前かがみで履く。するりと足を入れて、ボタンを留めて。ぱちんって音が両足分で二つ、そのうちに、またすっくと立ちあがって】
【どうしようもないのは、知っていた。だけど、相手がそうしたいなら、別に今更恥じらうようなこともなかった。理由はそれだけで、別に、何かを期待したわけじゃあ、ない】
【それでも。そんなことを受け入れたという一点で覆されてしまいそうな詭弁だった、――本当に全く何にもどうでもよくって気持ちなんて嗄れてしまっていたのなら】
【そんなの時間の無駄だって言うはずで――、大人になりたかった。それはどうしようもなく本心だから、やっぱり嘘は吐けない、一回だけ、振り向いて】

じゃあ……ばいばい。

【変な温度感が横たわる、声。どうしたって複雑なのは、――まあ、お互いに、なのだろうけど】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 06:14:36.41 ID:gPVV9ifYo
>>297

【断られても、彼女の言うことにも一理あった。強い弱いというのもさておいて】
【ああでも────昔の彼女だったら、どうだったのだろう。あの口癖ももう、聞けなくなっていた】
【妙な頼み方だとずっと思っていた。だっていうのに、聞けなくなったらそれはそれで寂しいだなんて】

【魔術式を横目に見る。何かを言おうとして、それはやめた。どうにかできるなんてことは言えなかった】
【それでも、本当にどうにもならないと心の底から思っていたら、こんなことだってしなかっただろう】
【悪あがき、みたいなものだ。それは、どうだろう。お互い様なのかもしれなかった】


…………見るだけ、見るよ


【言えたのはこれだけ。酷く控えめな言い方で。期待を可能な限り持たせないように】
【後は、何も。玄関まで出ていって、靴を履くのをただ眺めて。振り返れば視線が合う】
【赤と黒。こっちは茶色。瞳には複雑な感情が浮かぶ。それはでも、きっと相手ほどじゃない】


……またね、鈴音


【最後に彼女の名前を呼ぶ。向こうがどうであれ、これが本心だったから、違う別れの挨拶になる】
【相手がいなくなるまではそこに立っている。といっても扉を開けてくぐるまでの短い時間だけど】


//お疲れ様でした……!
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 06:50:58.23 ID:t4P/5u8N0
>>298

【やりたいことがある。やってみたいことがある。だけどそんな時に、やりたいって言えなかった。やってほしいことがあるときだって、不安に思ってしまって】
【どうしてもって言うなら"やってあげてもいいよ"。――あるいは"やらせてあげる"って口ぶりのくせに、そういうときは、だいたいちょっと不安そうな目をしていた】
【――だからあれが魔法の言葉だった、勇気を出すための、おまじない。忘れてしまったわけじゃない、もっと上等の魔法を覚えたわけじゃない、――だけど】

…………――、

【――ばたん、と、扉の音。だけどその向こう側に足音は続かない、かすかに魔力の煌めく気配だけがして】
【小さな小さな覗き窓から覗いたとしても、やっぱりそこにはもう誰もいない。今まで居たことさえ嘘だったみたいに、たった一つの痕跡以外】
【見様見真似で知らない世界の文章を書かされたみたいにちぐはぐすぎる魔術式――後から冷静になって読んだって、やっぱり読めないくらい、どうかしてるけど】
【こんなに意味の分からないものがないと生きていけない少女だって、それなら、"どうかしてる"。――ヒトみたいな形をしていて、ヒトみたいにモノを考えるだけ】
【それだのに暖かさも柔らかさも全部が本当だから――これでなんで育つことがないんだろうって、誰にも分からないくらいに、当たり前に生きているようだったのに】

【――――小さな部屋。仮眠用の部屋。扉に鍵をかけたままなら密室犯罪よりも鮮やかに。だけど、こんな世界だから、タネも仕掛けも明確すぎる、転移の魔術】
【ほんの少し気が向いてベッドに潜る――眠らないからって、眠たくないわけではなかった。身体は今すぐに眠りたいっていつも、いつも、訴えるから】
【それで――ふっと。夢を見た。上も下も蒼穹の世界。天の果てまで、地の底まで、届くような、大きな桜の木と。満開の桜吹雪、ざあざあ音がするほどに降りしきる中】

【――まただ、と、思った。黒い髪の女の子。黒い瞳を瞬かせて、何かを言おうと、だけど、言われることは、分かっていて、すでに知っていて、(縺ゅ↑縺溯ェー??)】
【これは誰だっけって、また考える。――――それで、思い出した。その瞬間に桜吹雪は嘘みたいに強くなる――は、と、目を開ける。ひどく長い夢を見た気がして、時計を確かめる】
【――――けれど、ほんの数十分しか眠っていなくってげんなりする。そんな風に考えている間に、夢のことだなんて忘れてしまって――】

【(これは誰だっけ――ああ、思い出した)】
【(縺ゅ?譎よュサ繧薙§繧?▲縺溽ァ√□)】

/おつかれさまでしたー
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 14:06:35.77 ID:t4P/5u8N0
【――夜が落ちて来る、遠い遠い天蓋よりも高い向こう側から、しんと、音もなく、鮮やかだった世界が塗りつぶされていく】
【今日はいやに夕焼けのきれいな日だった。薄曇りだった昨日とは違った快晴で、それで、どこまでも見通せるような、黄昏だった】
【"ここ"は高くて、周りに高い建物があまりない。だから、ずっと、見ていた。――待ち合わせの時間には、まだ、早い。だけど、ずっとずっと、待っていて】

【――――鮮やかだった夕焼けが、やがて、地平線のふちにわずかに留まるほどになる。空はすっかり夕暮れて、太陽はどこかへ行ってしまった】
【ぽつん――と人影が一つあるのに、訪れた"誰か"は気づくだろう。いつかよりもずっと錆びてしまった、今にも崩れ落ちそうな柵のそばで、向こう側を見ている】
【生成り色のシャツに赤いスカート――いつもとおんなじようなふわついたシルエットに、かかとの高い靴。短い黒髪が、さらさら夜の風に揺らされて】

………………――、ごきげんよう、待ってたよ、来てくれてよかった。

【やがて――振り返るだろう。ただでさえ白い肌がいつもより白いように見えたのは夕暮れの色合いのせいだろうか、黒色と赤色の瞳が、すっと細められ】
【疲弊しきったような。疲れ切ったような。うんざりしたような。――とにかく、限界へとうに踏み込んでしまっている人間の目を相手へ向ける、向けてしまうから】
【要件は伝えていなかった――だけど、きっと、それで彼は理解するだろう。とんでもなく"よくない"ことがあったのだと分かる、その程度には、何度も遭ってきたから】

……最初に、ね、渡すものがあるの。忘れないうちに――、あなたはとっても大きいから、入らないかもしれないけど。
持っていて、通信を暗号化する魔術が書いてあるんだって。わたしはよく見ていないの――、よく見たら、多分、駄目にしちゃうから。

それとも、持ってた? ……それなら、いいの。でも予備に持って行ってもいいよ。

【ビルの外側――虚空に向けられていた爪先が、相手へ向けられる。ならば、どこかそのまま黄昏に消えてしまいそうだったものが、現世に戻って来る気配がある】
【きっと考え事をしていたのだと思う。今回のことに関して――それとも別のことについてか、は、分からないけど。相手へ向き直ったなら、まず、最初は】
【こつん、こつん、と硬い足音で近づいて、手のひらを差し出す。――指輪、があった。魔石で作られたいろいろな色合いの指輪。ひとまずそれを、相手に渡そうとして】

…………――。……、

【それで――――黙り込む。少なくともこれが"要件"には思えなかった、だって、きっと、今までの"いつ"よりも冥いのだ。深淵を覗くのを強いられているような、目は】
【相手へ指輪を渡すのは確かに用事の一つではあったけど……それは、出先のドラッグストアで安売りのリップクリームを買うみたいな、"ついで"でしか、なくって】

/予約ですっ
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 14:12:52.08 ID:t4P/5u8N0
>>300

【――――くたびれたように薄く呼吸する少女の背後。そのあいまいな色の空で、一番星が光り始めていた。夜にはまだ少し、早いけれど】
【場所を示すためだけの言い訳でしかないのに、皮肉なくらい、今日はきっといい星が出ると――そんな風に予感させるような、空模様を見上げたなら】
【ああでもきっと違っていて。彼の顔を見上げただけ――なのだ、その目に夜空だなんて映っていない。その証拠に、彼も少女を見るなら、視線はかちりと噛み合うのだろう】

/最後に追記します、ご迷惑おかけしましたっ
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/04/19(木) 14:44:15.32 ID:9IdkHq1oo
>>300-301
【黄昏時。昼と夜の境界線。しかし、それが正と邪の境界線とはなり得ないだろう】
【いつだって、この世は黒でも白でもなく、それらが濃厚に混ざり合う灰色の混沌なのだ】
【今、それを片方だけに塗り潰そうとする者たちがいる。それに抗う者たちは今、この空の下で何をしているのだろう】

【彼女がずっと待ち続けていたその頃、異形もまた空を見ていた。地上の汚れとは皮肉なほど対照的な、鮮やかな空を】
【見上げたのは、一瞬のこと。すぐに異形は視線を戻し、重い靴音を供に歩き出す】


【待ち合わせの時間きっかりに、その男は現れるだろう。誰にもつけられることのないよう、二重三重に迂回し】
【地上と地下を行き来し、路地裏をいくつも通り抜けて、ようやく建物に入り込んだ】

【階段を足早に登っていく。屋上にたどり着き、扉を押し開ける。空間を満たす、軋み音】
【柵は錆び果て。床は汚れ。あらゆることが変わってしまったのに、彼女だけは変わらない】
【駆け抜けていく風は、この状況までさらってくれはしなかった】

――――ああ、ごきげんよう。待たせてしまったかな

【重々しい声を送り出す。彼女の肌とオッドアイは、彼女自身の憔悴を吸い込んだかのように、いよいよ鮮烈なまでに美しく】
【それでいて、その瞳は異形にとっては見慣れたものだった。幾度も幾度も見て来たものだった】
【抱えきれない何かに、疲れ果てた目。もうこれ以上に、踏み出すことすら封じ込められた者の目】


……指輪、か? いや、まだ持っていないな。肉体のサイズは、調整が効く。問題はないだろう
暗号通信の魔術……なるほど、彼奴等の傍受への対抗策か
誰が提供した技術課は知らないが、ありがたく使わせてもらうとしよう

【ともすれば、目の前で消えてなくなってしまいそうな彼女。確かに存在は感じているのに】
【彼女が歩み寄り、指輪を差し出せばそれを受け取る。彼女から感じ取れる、昏い気配をひしひしと感じながら】


――――星はあの日と変わらないな。こちらの事情など、どこ吹く風だ

【薄い呼吸を聞きながら、あえて彼女から視線を外し、夜空を見上げる。晴れ渡った空。天体観測にはもってこいだ】
【それも、わずかのこと。視線を戻せば、彼女のオッドアイと異形の三つ目は空中で衝突した】

……本題はなんだ? 鈴音
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 15:01:44.28 ID:t4P/5u8N0
>>302

【色合いではなく冥い瞳。塗りつぶしたような黒色とぱっと抜けるような赤色と、色合いは変わらないのに、蛇みたいな瞳は、いつだって感情豊かで】
【だからこそ――こんなふうな感情も、めいっぱいに湛えてしまう。ぱぁと喜色満面に笑えばあどけないのに、こんなふうになったなら、嫌味なくらいに大人びて――】

――――ケイと、曽根上ミチカに会ったよ。

【――――これで、多分、通じる。いろんなことが通じてしまう。だけど……これらに関しての連絡は彼女から今までなかった。言わなかったのか、それとも、(言えなかったのか)】
【相手ほど重厚な声ではない。性差もあるし、彼女は同姓の中に混じっても高いくらいに、地声が高い。だけど、それだって、――こんな風になるのか、という程度には、重たい声】
【旧い金属が破断する寸前に立てる不協和音のような。重たくって、苦しくって、もう限界を訴えて、だのに、動くのを強いられるときの音。――目線は逸れない、合わせたまま】

ケイは……、わたしたちが"つるんで"いること、知っているみたいだった。だから……黒幕側に、ばれてる、みたい。
どこからかは、分からないけど――、わたしじゃ、ない。わたしがしたメールを見られたのかもしれない。だったら、わたしの、せいだけど――……。

……それで。わたしのところにも、黒幕から、何回か来てるの。襲撃……、今のところ、だいじょうぶだよ、生きてるの、……"でも"。

【簡単だけれど、何があったのかを伝える。ケイとは特別な話をしなかった、……最後の瞬間まで、お互いに、嘘だけを並べて、話したから】
【だけど最後の言葉――次は茶番はやめよう、って、言われたなら。ばれていたのだ、相手は知っていた。自分が相手を知っているって、そして、その情報源まで、きっと】
【そして。だからだろうか、彼女のところにも、黒幕側からの襲撃が何度かあった。どうしたって路地裏をうろつく用事のある彼女だから、かもしれない】
【おそらくそんな場所へ近づかない麻季音や、全く他人に成り代われるミラはともかく――ただでさえくだらない雑魚に絡まれるのだ、相手にとって、都合がいい】

……………………、

【――でも。それを言って、少女は黙ってしまうだろう。視線が逸れる、というよりも、ひどく重たくって仕方ないみたいに、落ちる。彼の胸元あたりまで、落ちて行って】

――襲撃の後に、曽根上ミチカが。……来たの、「いました」――っていうから、どこにいるか、わかってて、きっと来たから……、
殺そうと思ったけど――できなかった、右手が使えなくって。……水が全部弾かれたから、能力者、かもしれない、……見えない壁、が、ある、みたいな――。
それで――――、

【これが"本題"なんだと分かるだろう。ケイは――あくまで、この関係性がばれている。だから襲撃が来る。そういう話、あるいは彼にとっては、彼が情報源だとばれている証拠】
【だけど――彼だってそうなんだってきっと気づいているのではないだろうか、でないと。今の状況はおかしい、――と、言えるはずで。機関の事情など、知らないけれど】

…………たんぽぽに来たことのある、子のね、写真を持ってたの。それで……、――、

【言葉を探すような仕草。だけど、きっと、そうではなくって。何かを探している、探しているものもきっと分かっているのに、だけど、見つからないような顔をして】

カニバディール。あなたか、初瀬麻季音を、――、

【――――今日の彼女は、お使いだった。だけど、探偵からのお使いでは、ない。それどこか、言葉を聞く限りなら】
【"曽根上ミチカ"――あるいは"黒幕"からの、使いだった。もう目線は合わなくって、だからこそ、いろいろな表情や態度にも、納得がある】
【"だから"――だった。それこそ。相手には伝わるだろうか、彼女が、どんな気持ちで――彼の言葉からさえ勇気をもらって、頑張ってきたのか。そのことを、踏みつけられて】
【そんなの知らないって。自分の本当にすることを為せないままで、ここまで来てしまったことまでも。――本当なら、彼を呼びだすべきでさえ、なかった】

【見捨てるべきだって、分かりながら――だけど、どうしようもなくて、今すぐに消えてしまいたいと願うみたいな、目】
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/04/19(木) 15:52:11.21 ID:9IdkHq1oo
>>303
【カニバディールの観察眼をもってしなくても、わかりすぎるほどにその感情の色はわかった】
【だから、異形もいつもの醜悪な笑みは最初から消していたのだ】

――――。両方と、か

【わずかな間。その間に、異形の脳内に迸った電気信号は無数であった】
【彼女の、金属が軋むようにアンバランスな高く重い声音と、伝えられる事実を合わせれば。察するには十分だった】

……お前も、ここ最近の私の動きをニュースで見ていたのなら察しはついているだろうが。私の方も、彼奴等にバレた
お前にまで刺客が差し向けられているとまでは、知らなかったが……私への抹殺指令が出されたのも突然のことだった

私も、ボロを出すような真似をした覚えはないのだがな。通信の傍受のみならず、まるで頭の中を覗き見でもされているかのようだ

【言葉は簡潔に。しかし、滲み出る感情を隠せてはいない。困惑。怒り。創造を遥かに超えた、未知】
【カチューシャの言った通り、相手は深淵そのものか。自分は、波紋すら立たせることは叶わないのか】
【鈴音が狙いやすい、という点を除いても、敵は容赦なくこちらを排除する動きに出ている。これからはきっと、今まで以上に苛烈に】


【沈黙が挟まれる。その重苦しさが、伝える。事態は、それだけに留まってはいないのだと】

……出歩いている時にさえ、居場所を把握された……それこそ、本当に頭の中を見られているのか
あるいは、『特区』さながらの監視網がすでに敷かれているのか……

その上、お前の酸を全て弾くほどの防御能力までも。聞けば聞くほど、良くないな
Mの繋がりが、どこまで突き止められているのかはわからないが。すでに丸裸にされている、ということすらあり得そうだ

【絶望的、というにはまだ早いだろうか。本当に? 浮かぶ疑問を打ち消しながら】
【表面には出さずに、異形は彼女と対し続けた。表向きは、いつもの邪悪を保ったままで】

【だが、それも。続く彼女の言葉についに崩れる。笑みの形に】

――――ふ、ははっ……!! 危険を排し、誰もが安全な社会を作る……そんなお題目を掲げた連中が
よりにもよって、UTを相手に子供を人質にとったのか!! 理想が聞いてあきれるな……!!

それで……お前に、私か初瀬麻季音を消せと? 自ら動きすらしないつもりか……!!
全く、笑わせてくれる……!! 大した悪党だ、連中も!! 私など、足元にも及ばない!!

【そう、つまりは。眼前の彼女こそが、刺客。自ら、刺しにきたと面と向かって伝える客】
【視線を外した彼女に、三つの視線は注がれ続ける。彼女の内側まで、見通せる力はなかったけれど】
【それでも、確かに伝わってきた。彼女が、どれほどのものを踏みにじられたのか】

【それは、自分が踏みにじってきたものと、どちらが重いのか。そう、結局のところ、カニバディールは異形の悪党】
【鈴音に対してしたことは許されずとも。自分に対してされることは、怒り拒否するほどのものではないだろう】


――――それで。お前は、その要求に従って私の首を獲りに呼び出したわけか

お前でなければ、すぐにでも殺しにかかっていたところだが。『黒幕』どもの人選は見事なものだ
その鈴の音で、そんな風に言われてしまっては……他に手立てはあるまい

先に言っておこう、鈴音。何を言われたのかは知らないが、彼奴等の甘言を決して信じるな
私や初瀬麻季音の首と引き換えに、何を差し出すと言ったとしても。最後には、彼奴等の思い通りになるようになっている

私は、ああいう連中を見て来た。ああいう連中の手口を見て来た。ゆえに、わかる。決して、信じるな
私の命は構わない。軽いがゆえに、取り返しがつく。だが、初瀬麻季音は。決して渡すな


……私自身の手でやるべきか。それとも、『黒幕』どもにお前がやり遂げたとはっきりわかるように
お前が、やるか。いずれにせよ、今この場で決行することになるだろうが。どうする? 鈴音

【三つ目に、もはや揺るぎはなかった。彼女の求めるものを、『黒幕』が命じたものを、差し出すと。異形は、そう伝えていた】
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 16:22:40.99 ID:t4P/5u8N0
>>304

【うつむいてしまった仕草に、黒髪が枝垂れる。少し長い前髪が瞳を隠して、だけど、悲痛そうに噛み締めた口元までは、隠せずに】
【やっぱり蒼褪めている気がした。もしかしたらずうっと考えて、あんまり眠ったり食べたりをしていないのかもしれない、ひどく疲れた目をしていたから】
【そう命じられたのがいつなのかは、分からないけど。日付を指定してきた、ということは――彼女もまた、"相手"に、日付を指定されているのかもしれない】
【ならば。そう猶予を"与えられていない"のも、分かるはずだ。変に時間を与えて、いろんなひとと接触されると困るだろう。変に入れ知恵をされるより】

【――あまり考える時間を与えない、というのは、わりによくある手段だ。実際、彼女も。それから今まで、ごく少ない人間としか、出会っていなくて】

…………麻季音ちゃんは、ね、違うの。お話をしたいから、連れてきて、って……、どちらか、だけでもいい、って、お礼もする、って、
だけど。……あなたと、麻季音ちゃん、どっちも、"して"くれるなら、UTを――、あの場所、を、魔制法の範囲から、外すって、
そういうことも、出来るんじゃないか、って――、

【ぎゅうと唇を噛む。眼前の彼は首を持ってこいと。初瀬麻季音は、生きたまま――話があるから、という名目だった】
【どちらかでもいい。礼もする。――だけどそんなの彼女は全く気にしていないって、見て分かるだろう。子供たちを人質に取られた時点で、礼のためには動くはずがない】
【だけれど"両方"を差し出せば――ああ、それは、少しだけ、魅力的な話になって来る。だけど――そんなのすぐにわかる、気にすべきじゃないって】

――ううん。違うの。違うんだよ、あのね……、分かってる、の、そんなの、しちゃ、……いけない、駄目だって。

あのとき……、あのとき。だめだったから。もう、何もしないのは、ね、出来ないの、……あの子たちの、ため、なら。
だけど……何にも、しないべき、なの。あなたも、渡さない。麻季音ちゃんも……渡さない。あなたは死んでも、大丈夫だけど――。

…………わたしが。

……………………――――わたし、が。それをした、ら、その次も、その次も、言われるの、わかってる、だって、……だから。
"わかってる"んだよ、ねえ、わかってるの、……ねぇ――。

【ぎゅうと不安そうに服の布地を握りしめる。不安――何について、だろうか。もう分からなかった、ぐちゃぐちゃになって、悲鳴を上げたくなる】
【何も考えないでこのままあのおんぼろの柵を踏み越えて、飛び降りたくなる。そんな衝動を必死になって抑え込む、自分を律するように、ぎゅうと、強く、抱きしめて】

【――まず、何もしないことは、もうできなかった。命じられたことを、期限を、無視することはできない。それでは、あの子供たちが無駄に死ぬだけになる、なら不可能だ】
【――初瀬麻季音も、また、渡せない。これは……絶対だろう。誰に聞いたって、駄目だって言うはずだ。だから、これも、出来ないこと。考えるまでなく、これもまた不可能】
【――カニバディールを"殺して"差し出す。これは――事情を知っていれば、実行できると思える。周りのひとも、麻季音ほどは庇わないだろう。ならば可能だ、"だけど"】

【"それ"をしたら。してしまったなら。――白神鈴音は子供を人質にとれば味方にさえ手をかけてくると。それをする人物だと、認識されてしまったら】
【次が必ずある――そのたびに"やらされる"ことは重大で重要になっていくだろう。そうなれば人員を集めてきた彼女こそが裏切り者になる、黒幕の思うままに】

――ひとつだけ、ね、正解があるの。思いついたの、だからね、"する"のは、わたしじゃなくって、……あなたなの、カニバディール。

【強く強く自分を抱きしめる、身体が少し震えているようだった。とんでもないことをする、それをしたら、後戻りが出来ないことを、提案する。……お願いする】
【だけどこれしかない。これをしたら、全部が良くなる。……と、思った。少なくとも、眠らないで考えた中で、一番冴えた作戦だと思った。――だから、】

/ぶんかつしますっ
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 16:23:01.14 ID:t4P/5u8N0
>>304>>305

――――わたしを殺して。

【鈴の音がりんと響いて】

みんなに見える場所で。そうしたら……、そうしたら、あの子たちは、ただの、子供になる、わたしが、死んだなら……。
たんぽぽはわたしがずっと一人でしていたから。ほかのひと相手に、あの子たちは、使えない、……使ったとしても、"ただの"子供になる、意味が薄くなる。
そうしたら、あいつらは、あの子たちを……きっと、使おうって、思わない、……あなたも、麻季音ちゃんも、差し出す必要がなくなる。わたしが、死ねば――。

【約束が、あった。どちらも死んでいいなら、どちらが死んだっていい。都合が悪くなったら――より都合の悪い方を殺して、利用する。そういう話を、したはずだった】
【だから――それが、今だと思った。"これ"さえすれば、人質は重要な意味を失う。味方を差し出すことはしなくてよくなる。そして、仲間内に裏切り者が発生することもなくなる】

【――――だって、命じられた人間が死ぬのだから】

……だから、ね、それが、正解、だよ。……わたしが死ぬ。あなたは死ななくっていい。わたしが、殺される……、その理由だって、ちゃんと、ある。
"普通のひと"は、あなたがわたしを殺したら、機関員とUTだから、そうなんだって、思う。"黒幕"も……殺そうとして返り討ちに遭ったって、思うんじゃ、ないかな、

【震える身体を押さえつけて、やっと、視線が相手へ向く。強い感情を詰め込んだ瞳だった、――自分が死ぬ。それが一番いい。少し震えた鈴の音が、そう申し出て】
【確かに。聞く限りそれが一番いいようにも思えた。死んだって問題のない少女が死ぬだけでいろいろなことが解決する。――ただ。ただ、一つだけ、あると、したなら】

【――白神鈴音の死が広がれば広がるほど、次に目覚める彼女の居場所は、世界から消えていく】
【死んだ人間は生き返らない。そういう"当たり前"が、いつか生き返る当たり前ではない彼女を害して苛む。その場に、居られなくなる】
【ならばと他者を装って生きていくなら――それはそれで、彼女は今までのすべてを棄てて、全くの別人にならないといけない】

【世界中に自分が人間ではない化け物だと知らしめるか。そうでなければ、今まで積み重ねてきた、積み上げてきた、白神鈴音って存在を、全部、壊してしまうか】

【どちらも――彼女が決して望むことじゃないと、きっと彼なら分かる。だけど。一生懸命考えて、どうしようもなかった、――これしかないって、思ってしまった】
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 17:42:16.67 ID:9IdkHq1oo
>>305-306
【食に常軌を逸したこだわりを持つカニバディールには、彼女がろくに食事をしていないことは手の取るようにわかった】
【同じく、睡眠も。敵に選択肢と共に制限時間を突きつけられたことは、想像に難くない】

【全て、敵の掌の上か。あの忌々しいカチューシャの言葉通りに】

……生かしたまま連れてこい、とは。余計に悪い予感しかしないな
『魔能制限法』の範囲からUTを外す。なるほど、確かに魅力的な提案だな。まるで信じるに値しないという点を除けば

口約束の上に、言葉の上でも確約はしていない。何より、強敵だが前線の兵士に過ぎない婦警の言葉だ

【鈴音もまた、それを信じるような人物ではない。彼女とて、数々の修羅場を潜ってここにいるのだから】
【だが、それにすら揺らいでいるのを見れば。どれほど、彼女が追い詰められているのかわかろうというもの】

……確かに、その通りだ。連中は思想以外は我々と同類。ヤクザ者とさして変わらない
要求が今回だけに留まる保証など、どこにもないな
人質さえ取れば、何でもやらせられる。彼奴等のような人種は、間違いなくそう考えるだろう

――――何もしないわけにはいかない。だが、彼奴等の思惑通りにもならない。ならばどうするつもりだ?

【聞き返しはしたが、カニバディールには察しはついていた。こういう時ばかり、頭がさえる】
【鈴音の大切なものを抑え込み、中心となって動いていた彼女を思うままに動かし、孤立させ、連携を引き裂く】

【なんと効果的で狡猾な手口だろう。これしかない、という方法が、かえって自分の首を絞めていく】
【故に――――それをさせないためには。前提を叩き壊す必要があるのだと】

【彼女がそう言って、自分自身を抱きしめた時。異形は何も言わなかった。ただ黙って見つめ、聞いていた。その鈴の音の旋律を】

――――毒を食らわざるには、皿ごと叩き割る。そういうことかね
確かに、理屈は通っているな。本人が死ねば、人質の意味もない。彼奴等に渡るものは何もなく。お前自身は死ぬことはない
我々が、分裂することもなくなる。表向きにも、機関員がUTメンバーを殺したことに違和感はなく。『黒幕』にとっても、それは同じ

なるほど……よく考えたものだ、鈴音
……その上で、はっきりと言わせてもらおう。最悪の悪手だ、それは

【異形は、きっぱりと言い放った】


理屈が通っていようと、結局のところ私が今のお前の全てを、『黒幕』にくれてやることになるのは間違いない
お前が集めたメンバーは、お前が裏切ることになるより確実に、分解することになる

お前がいなくなったとして、たんぽぽの庇護を受けた子供らはどちらにせよ、行き場を失う。守ることにはならない
『黒幕』が、そうなった子供らに手を出さないとも限らない

何より……お前の提案を受けたら、今この場で私が、この男≠ノ殺される

【カニバディールは、自らの背後を手で指した。いつからそこにいたのか。巨躯に隠れて、人影が立っていた】
【少し長めの茶髪に細面。丸い目に青い瞳。白いシャツと青いジャケット。深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【人とは異なる質感の肌と、無機質な目。そして、衣服の上からでもわかる、四肢の球体関節】

【生き人形ギア・ボックス。手にしたサーベルを、カニバディールの首元に突き付けていた】

「……ダメだ、鈴音さん。それだけは、ダメだ。僕を含めて、UTの誰もそれは許容しない」
そういうことだ、鈴音。同時に、私もな。……その気がないのだから、そのサーベルは引っ込めろギア

ああ、お前には話していなかったか。この件に関しては、ギアも一枚噛んでいる。こいつも、婦警に知己を殺されていてな

【いいながら、カニバディールはサーベルがどけられた首を回してこきりと鳴らすと】
【鈴音から受け取ったばかりの指輪を、起動した、指輪から放たれた光が、宵闇を切り裂く】

こう使うのか、これは? なるほど。魔術式によるものか
私の命も、お前の命もくれてやるわけにはいかない。ならば、こうする他ないだろう

【異形は、恐ろしい速度で文面を書き上げ、指輪を持つ全員にこれを送信しようとするだろう】

/続きます
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 17:42:48.38 ID:9IdkHq1oo
>>305-306
【Cc:ALL】
【送信者:カニバディール】


こちら、機関No.29カニバディール。初の回線使用で不躾に申し訳ないが、緊急だ。Mに関わる全員に告ぐ
敵が、子供を人質に鈴音を脅し、私の首か、初瀬麻季音の身柄を要求している
直接、脅迫を行ったのは敵の尖兵たる『婦警』曽根上ミチカ

すなわち、これに応じる体で鈴音が敵に連絡を取れば、私の首か初瀬麻季音の身柄を引き取りに、敵は確実に表れる
曽根上ミチカ自身が遣わされる可能性もある。私はこの機を狙って、敵に襲撃をかけるつもりだ。相手が『婦警』なら、その場で殺す
そうでなくても、八つ裂きにする。これ以上、彼奴等の思惑に踊らされるつもりはない

これに参加するつもりがあるなら、指定の日時と場所に来られたし。以上


【鈴音が止めることがなければ、暗号通信は送信されるだろう】
【続いて、カニバディールは背後のギアを振り返った】

先に伝えた通り、デュアルに率いさせた手下たちを地下に待機させてある。少々、強引に復帰させたが、戦闘は可能だ
協力して、たんぽぽに関わる子供らを一人残らず確保しろ。人手はいくら使っても構わないから、時間差なく同時に全員をだ。我々のテレパシーを持ってすれば可能だろう
邪魔する連中は、容赦なく殺すよう手下たちには伝えるが、構わないな?

「構わない。すぐにかかる」

【ギアが踵を返し、屋上から去ろうとする。異形はゆっくりと鈴音に向き直る】

そういうことだ、鈴音。悪いが、お前の案は却下だ
敵に何かをくれてやる、などという提案を、私のような強欲な悪党にしたのが、お前の判断ミスだ
何一つたりとも、彼奴等に渡してなるものか

【異形の三つ目は、敵に対する殺意と悪意をなみなみと湛えていた】
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 18:33:23.22 ID:t4P/5u8N0
>>307>>308

【――――ぎゅう、と、自分を抱きしめる。今までだって何度も死んだのに、今更怖いだなんて笑ってしまう、何人だって殺したのに、自分のことは可愛いだなんて】
【今回のことでさえ、何人殺しただろう。彼らにもきっと人生があった、名前も、家族も、友人も。過去も未来も、だけど――自分に差し向けられた。ただそれだけで、死んだ】
【だから――だなんて言葉は言えない、どんなことをしたって、償えない。自分の大事なもの、護るために、あのひとたちは死んだ。なら、今度は】

【大事なものを護るために、自分が死ぬ。そういうことだって、たまにはあっていいだろう、って、思う。――殺してばっかりだったのだから、一度くらい】
【ああ、でも、――もっと、何か、いろいろなこと。してみたかった気がする、化け物と言って排除されるか。そもそも"自分"を殺してしまうか。どっちでもいいけど】
【もうこの場所には戻ってこられない、戻ってきたとしても、絶対的に何かが違ってしまう。だけど――やっぱり、これしかない、こうするしか、これが一番、】

【どうしようもない。間違ってない――だから、大丈夫。脳内で必死に繰り返す。何度も繰り返した。正解を見つける前から、見つけてからも、何度でも】

【「なるほど」「よく考えたものだ」――彼の言葉に、身体が、ぎゅうと硬くなる。やっぱり、これが正解だった。ならば、安心する、これでよかった、間違えてなかった】
【一人の少女が死ねばすべてが解決する。そのあとに避けられない問題は、すべて少女のものだ。化け物だとののしられてなお、同じ場所に戻るか、本当に消えてしまうのか】
【彼なら、きっと、受け入れてくれる。ほかの誰でもいけない、彼が。彼なら、分かってくれる――これが最善だって。ほかのみんなを護るために、動いてくれる】

…………ぇ、

【ぎくりと身体が強張った。最悪の手だとまで言われて、表情が怯えたようになる、どうして、と、言葉にはならないけれど。視線が向いて】
【これ以上の方法だなんて思いつかなかった。これが間違いなく、一番良かった。自分が死ぬ――自分が我慢する。それで、みんなが、護られる】

なんっ――、で、なんで! これが一番いいの、絶対だよ、これ以外の方法なんて――、

【鈴の音が動揺して跳ね上がる、たくさん考えて、覚悟してきた。彼のようなひとなら――利益のために動くひとなら、分かってくれると、信じて、来た】
【人質を取られたまま、何かをしなければいけないまま、来てしまった自分を、許してくれなくっても。――これをしてくれるひとだと、信じていたのに】
【泣いてしまいそうだった、だったらどうしたらいいのか、分からなくなって。――そのうちに本当に涙が落ちてしまう、瞬きするたび、一つ、一つ、落ちて行って】

…………――ギア、さん、どして、ここに、居るの……?
でも……、だって。でないと、みんなが――。……知己、って、……婦警が? そんなことも、してたの?

【――覚悟をあまりにあっさりに打ち砕かれて、困惑する。まして、そこに、思いもしなかった人物が現れれば。目は丸くなる、頬を涙で濡らして、そちらを見やる】
【ふらふらと首を揺らす、子供がわがままするみたいに"いやいや"して、だけど、――この場に居る二人は、もう、自分の味方はしてくれないらしい、と、悟れば】
【気持ちが空っぽになってしまったみたいだった。――ギアの知己が殺された、という話になれば、また目を丸くする。怖かった、なんてものを敵にしてしまったんだろう、って】

…………――――、……、まっ、て、待って。何、するの――? わたし、死ぬから、わたしが、死ぬから……!
ギアさんも――止めてよ! わたしが死ぬだけなのに、なのに、なんで!?

【――――――呆気にとられた。自分の思いつきもしなかった方法を目の前の彼が――多分世界中で一番名高い悪党が、思いついて、実行に移そうとしている】
【十数秒も遅れてから動くだろう。ひどく弱い声、自分の思いついた正解に固執したまま、相手の袖口をきゅうと掴もうとする、その腕を止めたがるみたいに】
【だけど――理論だった静止では、けしてない。それどころか強く思い込んでいたものを失って混乱しているに過ぎない、掴んだのを引いたって、しょせんは少女の細腕】
【相手の方が、ずっと強い――冷静でないのを見れば、大人しく止められる謂れもないだろう。やがてメールは送信される、そうしたら、もう、時間は戻せなくって】

/分割です
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 18:33:41.44 ID:t4P/5u8N0
>>308>>309

――――、なん、で? なんで……、悪いひとなのに……、わたしの知ってる中で、一番、絶対、悪いのに――、
なんでそんなにすごいこと、するの? どうして、そんなこと、思いついて――……、助けて、くれるの?

【――まだ、着いて行けてなかった。どうしようもないと思っていた。何もしないのはできなくて、渡せない人間と、渡せる人間を要求されて】
【だけど渡してしまったら、自分が裏切りものになって。そうなるぐらいなら、自分の命を引き換えに、脅された事実をなかったことにする】
【本来あったことを"なかったことにする"奇跡のためなら、望まない未来くらいならば、安いと思って】

【――――なのに、替えられてしまった。あまりにあっさりと、思ってもみなかった方法で。彼の持っているもの、たくさん、たくさん、使ってまで】
【嘘を吐いて婦警を呼び出せば、子供たちが危うくなる。だけど。嘘と同時に、子供たちを護ることが出来るなら。――ああ、それは、"それ"がいいなって、思ってしまう】
【誰も傷つかない。傷つけさせないで、敵だけを、叩く。夢みたいな話だった――彼女の知る限り誰よりも悪い、彼が。そんな夢を叶えてくれようとするだなんて】

【夢の始まりも、彼が勇気をくれたから。そうして続いてきたものが、今、今度は、その彼の手で護られようとしている、――そうだった、彼女が、死んだなら】
【"たんぽぽ"もまた、今の形では続けられないだろう。化け物の運営する慈善事業と蔑まれ批判されるか、それとも、彼女自身が居なくなって――自然消滅していくのか】
【彼の言った方法なら。施す側も、施される側も、傷つかなくって、いい。――本当に、本当に、夢みたいだった、信じられないくらい、そんな方法が、あるのかって思うくらい】

【涙があふれて前が見えなくなる――迷子の子供が親に対面して、泣いてしまうみたいに。さっきこぼれた涙とは違うもの、――ずっとずっと安堵して、泣いてしまって】
【助ける……だなんて、そんなつもり、ないのかもしれないけど。あくまで彼の中のやり方として、選んだだけかもしれないけど。――救われた、って、思った。強く、深くから】
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 19:09:10.74 ID:9IdkHq1oo
>>308
/訂正です

/協力して、たんぽぽに関わる子供らを一人残らず確保しろ
→/協力して、たんぽぽに関わる子供らを、敵への受け渡しと同時に一人残らず確保しろ
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 19:46:27.36 ID:9IdkHq1oo
>>309-310
【何人も殺した。なのに、自分は可愛い。確かに、身勝手ではあるだろう。しかし、人間である以上、そういった感情は誰にでもある】
【確かに、殺人は償いようのない罪だ。だが、それを裁くのは『黒幕』ではない】

【大事なものを護る。そのために、死ぬ。しかし、残された者たちはどうするのか】
【そんな当たり前の考えですら、『黒幕』は奪い去ろうとしているのだ】
【確かに、鈴音は間違っていない。だが、それを受け入れるわけにはいかない】

【正解が、常に問題を解決してくれるなら、この世界はもっと単純に済んだだろう】
【だが、時として正解は利用される。誘導される。それを知っているから、異形は彼女の提示した最善を否定する】


……いつもより視野が狭いぞ、鈴音。『婦警』が、そう誘導したのだろうがな
お前が死んで丸く収まるとは、私には思えないね。私の心情として、お前にそんな役を負わせたくないというのも、あるにはあるが……
それは、私の利益にはなり得ない

【彼女の動揺を前に、異形は冷静さを保ったまま。彼女の覚悟を、無情にも踏みにじる】
【零れ落ちる涙を睨みながら、異形と、そして現れた人形はますます決意を固くする。奴らに、この涙の代償を払わせると】


「……カニバディールとは、元友人で知った顔だったのもあるけど。少し前に、偶然出会ってね」
「井戸魔人のイドッツォ。自動販売機に住んでた、自称悪魔。口は悪いけど、いい奴だった」
「何も悪さなんてしてなかったのに、婦警に虫みたいに殺されたんだ。僕は、あいつの仇を取りたい」

【ギアの方は、涙ながらに首を振る彼女に、一瞬表情を歪ませる。この生き人形は、良くも悪くもカニバディールほどの覚悟は持っていない】
【だが、それでも口元を引き結び。己の魂に再び問うた。これを許していいものかと。返事はすぐに帰ってきた。絶対に看過できないと】

「……鈴音さん。わたしが死ぬ『だけ』だなんて、二度と言わないで欲しい」
「セリーナさんも僕も、UTのみんなも、たんぽぽの子供たちも。みんな、鈴音さんを大事に思ってる」
「鈴音さんが死んだら。それこそ、僕らはもう冷静ではいられなくなる。もっとひどいことになると思うよ」

【努めて激情を抑え込みながら声を絞り出すギアと、袖口を掴む鈴音をよそに、カニバディールは送信を終える】
【彼女が必死にたどり着いた正解。彼女にとっての正解。だが、彼女が築いてきたこれまでが、それを許すことはなかったのだ】

【送信が成されれば、ギアはその場を去っていくだろう。自分のすべきことをするために】


――――何故、だと? 簡単なことだ
お前と私は、根本的には敵だが、それでも私はお前には思うところがある
そのお前が、あんな連中に好きにされるのが、気に入らない

結局のところ、私のためだ鈴音。私は異形で、利己的な悪党だが、それでも感情くらいはある

【敵は効果的な手を打ったと言えるだろう。鈴音の精神を追い詰め、彼女を孤立させ】
【その精神を袋小路に追い込んだ。その結果、自分の命を差し出すことを、唯一の手段とまで思い込ませた】

【単純な話だ。カニバディールにとってそれは、腸が煮えくり返る行為であったのだ】
【一度は、彼女の肉にまで食らいついた。そんな自分が何を、という自嘲もあった】
【だが、それでも。己の腹の中に沸いた激情には、逆らえなかった】

【彼女にもたらした勇気も。彼女が感じた救いも。意図してそうしたわけではない】
【ただ、この身勝手な異形は、己にのみ忠実に行動し、それを実行する】

【彼女の仲間たちなら、安堵の涙を流す彼女の肩に手を置いたり、抱きしめたりしたかもしれない】
【少しでも安心させようと、一人ではないと伝えたかもしれない】
【だが、この異形の手はそれをするには血で汚れすぎており。この異形の精神はそれをするには歪に歪み過ぎていた】

【ゆえに、ただ一言。悪意を湛えたいつもの重苦しい声音で、こういうのだ】

――――お前の命も、子供たちの命も、私の命も、決して渡さない。死ぬのは奴らだ
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 20:21:07.68 ID:TOqVYI4O0
>>312

【――視野が狭い、だなんて言われても。もう分からなかった、いっぱいいっぱい考えた後で、疲れてしまった、もう嫌だ、って何度も思って】
【だけどそのたびに逃げ出すわけにはいかないから、と、自分を抑えていた。だけど限界は少しずつ少しずつ近づいて、器になみなみいっぱい、後は表面張力だけ】
【ほんのちょっと突っつかれたら、わーって流れだしてしまう、それで――そうなったなら、もう、全部、投げ出してしまう、逃げ出してしまうって、分かっていたから】

でも……、一番いいと、思ったの、わたしが、死んだら、――全部、

【セリーナも、ギアも、子供たちも。みんなが、自分を、大事に思っている……なら、分かってほしかった、自分だって、みんなが、大事だって】
【それは別の正解にもちょっとだけ近い考え方でもあった、なら、自分じゃない誰かが。ほかのひとたちを護るために、自分だけ死んでしまおうとしたとして】
【止める――と思う。絶対に、止める。もっといい答えがあるはずだからって、一緒に探そうとするだろう。本人は真っ暗闇の中で迷子だって、思っていたとしても】
【外から見たら、たんに、ちょっと目隠しをしているだけかもしれない。それを外したら、世界は全く違うかもしれない。他人事なんて言うけれど、――これは、"良い方"の】

【――繰り返してしゃくりあげながら、ギアを見送る。泣いてしまったなら頬も鼻も真っ赤にして、――知らなかった、と、ふと思う】
【彼がカニバディールと友人だったと言うのも、そうだけど――今回のことに、関わっていただなんて。ましてUTと機関ともなれば、自分のことは無視して、少し面白い】

…………、――そっ、か、

【自分よりもずっと背の高い彼を見上げる、涙で滲んで――その裏側で、少しだけ……こんなこと言ったらいけないって分かっているから、思うだけだけど】
【少しだけ――憧れる。そんなに頑なな生き方を、出来たらって、思うのだ。自分の知る限り彼はずっといつも"彼"だった、ほかの誰かになってしまわない、いつだって、彼で】
【見上げた憧れに目を細める。ぼたりと大粒の涙が落ちて――、この気持ちはしまっておかなくちゃいけない、と、口を噤む。間違っても漏れていかないように、封をして】

……それがね、あなたのためだったとしても。あなたのやり方で、あなたのルールに則った、わたしなんて、関係ない、こと、だったとしても――。
カニバディール、――、あのね。ありがとう――、……こんなの。内緒だよ、セリーナには。それに……、――ああ。そうだった。

【袖口を掴むような距離。しくしく泣いていた頬を拭って、少しだけ姿勢をしゃんとさせる。元から、姿勢はいい方だけど――それでも、きちんと、相手を見上げて】
【真っ赤に色付いた鼻も頬もそのままで。涙に濡れた頬もまだしっとりさせたまま。破顔するのだ、鈴の音まで解けてしまいそうなくらい綻ばせて、ささめかせて】
【――それから眉を下げて、「ないしょ」と囁く。立てた人差し指を自身の口元に沿えて――、セリーナには内緒。というより、まだ、話が出来ていなかったから】
【彼女の持ってきた"正解"は――そういう意味では、全くの誤答だったとも言えて。今ちょっとだけ"いない"としても、あの脅威を無視して花丸だなんて、つけがたい】

…………カニバディール。カエデちゃんて知っている、……よね。
あの子も――、このこと、手伝ってくれているの。だから――、……喧嘩しちゃ、駄目だよ?
カエデちゃんはね、喧嘩しないって約束してくれたから。カニバディールの方から吹っ掛けたらね、恰好悪いよ――、せっかく、格好良かったのに。

……――、……わたしも、すること、ちゃんとやる。日付をね、言われていたの。……*日。
連絡先も……持ってる、"終わったら"メールをしろって。……、これも、みんなに?

【――それで、思い出したことがあったらしい。伝えるのはとある人物の名だ、――喧嘩はしたらいけないよ、なんて、変にお姉さんぶるけど】
【呉越同舟の協力体制はいたるところに無視しがたい地雷が発生してしまう可能性があるのが玉に瑕。その反面で予想だにしない範囲まで広がっていくのが、無視できない強み】
【せっかくカエデには言っておいたのに、彼に伝えておかなかったせいで喧嘩になったらよくなかったから。――それで、気持ちを、少し切り替えて】

【やはり時間制限があった。連絡先も、知っている。――みんなに伝えるかどうかは相手へ委ねる。今は、相手の方が冷静だろう】
【取り出したちょっとしわになったメモ用紙――たしかに、誰かの連絡先が、書かれていた】
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 21:10:02.13 ID:9IdkHq1oo
>>313
【そう、彼女は追い詰められていた。疲弊しきっていた。本来なら、それを気遣ってやるべきなのだろうけど】
【残念ながら、それが出来るような男ではなく。溢れかかった器を、壊してしまわないだけ上出来か】

……逆だ、鈴音。お前が死んだら、終わりだ。そう言えるだけのものを、お前はすでに持っている
そもそも、お前がかき集めたメンバーなのだからな

【そう、彼女もまた、みんなが大事なのだ。それまで汲み取るには、肉屋は無論のこと生き人形も不足だった】
【だが、同時にだからこそ、互いに助け合うことが出来る。暗闇の中にあっても、一人ではない】
【UTとは、そもそもそういう組織だったはずだ。繋がれた絆。なら、それをもって敵に立ち向かおう】

【ギアは去っていく。彼女の心中の、ちょっとした感情は知らず。確かに、ギアとカニバディールもまた何とも奇妙な間柄だ】
【ますます、奇怪な組み合わせ。自分でなければ、ギアでもおかしさを感じたかもしれない】


【異形もまた、彼女の心中は知らない。この利己的な男は、観察は出来ても慮ることは不得手だ】
【だから、きっと。滲む涙の裏にあるその感情は、彼女だけのもの。UTのメイドが、このような怪物に憧れるなどと】
【漏らしてはいけないこと。しかし、抱いてはいけないとは誰にも言えないだろう】

……ああ、私の為だ。だが、礼は受け取っておこう
そうだな、セリーナには内緒だ。ギアもそうするだろう

【いずれ敵同士になるとは思えない距離感で。背筋を伸ばした彼女に、異形は逆に少し身を傾けて視線を合わせる】
【涙に赤らんでいても、やはり儚げで美しい彼女の笑顔に対し。異形が浮かべた笑みは、こんな時でも醜悪なままだった】

【彼女が指を立てれば、異形も同じようにする。全く似合っていない仕草だったが】
【セリーナが、今どのような状況に置かれているかまでは知らず。いずれ、異形が戻ってきた彼女と対することもあるだろうか】


カエデ……ああ、ラベンダァイスか。良く知っているとも。派手に殺し合った仲だ
ほう……あの女を、今の有様に追い込んだのは私だというのに。それでもこの共同戦線に同意するとは
それだけ、この事態が重大だということもあるが。恐らくは断腸の思いだろうな

わかった。全て片付くまで、決して手出しはしない

【妙に年長者ぶる彼女に、口角を吊り上げながら頷く。こうして、共同戦線における地雷を排除しようとするほどには】
【鈴音も冷静さを取り戻してきたらしい。と、同時にあのラベンダァイスとも轡を並べる事態への皮肉を感じながら】

……これはまた、焦燥感を煽るに絶妙な日数だな
さて……確かに、敵にバレやすくなるリスクはあるが。『黒幕』が、今すぐにでも我々を殺しにかかる可能性もある異常は
可能なうちに、拡散はしておくべきだろう

【少し考えた後、日時とその連絡先を続けて指輪で送信する。それが、更なる絶望への一歩か、反撃の狼煙となるかは、今はまだ誰も知らない】

……そうと決まれば、あまり共に長居しておくのも危険だな
ここは立ち去るべきだが、その前に私からも渡しておくものがある

ギアが先日、『特区』カミス・シティに潜入してきた。その時の行動記録だ
予想以上の狂った警備体制と、異様な環境だったらしい……万一の時のために、お前にもこの情報は渡しておく

【事が決まれば、後は行動。そのための一歩は、異形が差し出したUSBメモリ】
【公安三課の初と共にカミス・シティでギアが見たことについて、詳細が記録されている。これもまた、新たな爆弾となるか否か】
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/19(木) 21:27:59.37 ID:MAWfwk6Go
>>216

「魔防法に賛成してる人に能力を開花させる……。卑劣だけど、皮肉にはちょうどいいわね」
「何故そうなったのか、二度とコメントする機会もないでしょうけど──反省くらいならできるかもしれないわ」


【皮肉とも言えるだろう。魔防法の重要さを声高に叫んでいたコメンテーターが、能力者になるのだから】
【自らが排斥される側になったとき、その者の気分は如何なるものなのだろうか】
【その気持ちが分かることはないが──侮辱される哀しさくらいは、分かる筈だ】


【必要な贅沢、そのとおりだ。筋肉を持ち、新陳代謝が高い分エネルギーを多く必要とする】
【彼女の目線に気づけば、豪快に食べていた自分を急に恥じて頬を紅潮させる】
【ゆっくりと最後の一口を食べれば、フォークとナイフを置くだろう】


「私達が排斥されるかもしれない、そんな現実が迫っているのだから」
「何か行動を起こさなきゃいけない。もちろん、私達が生き残る道を見つける為に──」


【悠々としている暇もなく、排斥される現実はすぐそこに迫っている】
【今のうちに生き残るための道を見つけなければ、何が自分の身に起こるか分かったものじゃない】
【まずは無職という現実から脱却するためにも、ある計画を練っていたのだけど──】


「だから私、自警団を結成しようと思う。能力者が、市民を救う一助になっているってことを示さなきゃ」


【それは教会を基盤にした、自警団を結成することであった】
【能力者が犯罪者を排除し、市民の安全を守る一助になっていることを示せれば──】
【決して魔能を保有するものすべてが害成す者でないと、理解してくれるはずだと】

//すみません、お返し遅れて本当にすみません……
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 21:40:45.28 ID:TOqVYI4O0
>>314

【――それでも。器の中に放り込まれた大きな何か。それを取り去ってもらえたなら、気持ちはいくらかの余裕は、取り戻す】
【彼の手がうんと大きいから、少しだけ溢れてしまったけど――まだ、大丈夫そうだった。まだ、頑張れる。もう少し、頑張れる――、ああ、でも】

【(そうだった。婦警に脅される前だって――もう疲れていたのに。なら。気持ちが麻痺しつつあるのかもしれなかった。それがいいことなのかは、まだ分からないけど)】

運がよかった……だけだよ。あなたとも……ウェインさんとも、わたしが、知り合っていた、だけ。
わたしがたまたま知っていただけなの、それを、みんなが、手伝ってくれているだけ――、でも、一番怖いのは、やっぱり、あなただった。

【――――ぽつりと呟く声が彼へ返した。自分がそんなにすごいとは思えないから、どうしても――少し、他人事のように、なってしまう】
【だけど。自分が協力を取り付けた人物に、助けられたあとなら。思いも付かない方法で、全く別の正解を見つけるところを、目の当たりにしたのなら】
【まだ自信は持てない。だけど。少しだけ、「そうなのかな」と思う――、たまたま。心当たりがいくつかあった、だけに過ぎないのに】

【――それでも。やっぱり怖かったんだよ、なんて言って笑う。こんなに背の大きなひと、それだけで少し怖いのに。まして機関員で。いつか殺されかけて】
【だけど――何度も話していた過去が積み重なっていたから、信用できると思えた。彼が居なかったら――同じ状況に立たされた少女は、きっと、違う誰かに殺されていた】

【礼はここで清算する。未来にいつか敵になるって分かりきっていたなら、貸しとか、借りとかは、引き継ぎたくはなかった】
【一度ひどくあどけない笑顔を向けたのが――それが、ひどく、普通で。あんまりに普通過ぎて。――ほんのさっきまで、自分を殺してくれと言っていたとは、思えないほどで】

……カエデちゃんにね、詰められたの、えっと……違う話をして。本当は――巻き込みたく、なかったの、少し。友達の……お友達、だから。
だけど――、わたしなんかより、きっとずっと強いの、いろいろなこと、分かってて。――、

【――別の話をしていた。その時に、ふっと、彼らの話になったのだ。それで――言葉を濁してしまったから、詰められた。そうして、協力してくれることになった】
【それでもあまり巻き込みたくなかった、と、小さく漏らす。本人には言えないし言わない、――重要な戦力になるだろうこと、きっと相手も分かるのだろうけど】
【だけど。子供の姿をしている"彼女"には、何か思うところがあるのかもしれなかった。――だなんて、言っている場合では、ないのだけど】

/分割します……
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 21:41:01.74 ID:TOqVYI4O0
>>314>>316

――――、曽根上ミチカ。看護師の恰好を、してたの、……警察だけじゃなくって、病院にも、――居るのかも、しれない、
「いましたいました」って――襲撃のひとたちから、情報をもらってるのかもしれない。ほかの誰かのところにも、来るかも――、

それで、えっと……。

【――彼が曽根上ミチカの連絡先を送信している間、少女はもう一度出遭った時の話をしていた、看護師の恰好とは初耳だろう、婦警の恰好で警察に居たのなら】
【同じような理由で病院にも、居るのかもしれない。――その意味は、まだよく分からないけど。伝えておいて損はないだろうから――それから、ぎゅうと服を掴んで】
【襲撃後に現れた。「いました」――やはり、襲撃犯から情報を提供されていると思うのが妥当だろう、消耗して、下手すれば怪我をしているようなところに、現れるという】
【実際彼女もそういった状況で脅しを受けた――右手が使えなくて、と言っていた。襲撃の際に怪我をしたのだろう。だから殺し損なった――悔しそうに、唇を噛む】

【――なるだけ多くを伝えようとしても、彼女自身が冷静でなかったのもあって、やはり思い出せる情報はそう多くない。看護師服。襲撃犯から情報を受けて】
【――――自分たちはもとより、関連する人間のことも、調べている。そうしてそれを脅しとして使うこともある。今回は――たまたま、"運がよくて"回避できた、だけ】

【(本当に回避できたのか、は、まだ誰も知らない)】

……うん。じゃあ、これは、麻季音ちゃんかな――、渡しておくね。わたしは、よく、分からないから。
この指輪があれば、今までよりはもうちょっと簡単にお話できると思う。――麻季音ちゃんの方で端末も用意してるの、

セリーナの車売っちゃうくらいのお金がかかったって……、――――、

【受け取ったUSBを夜空にかざしてみる――これは適した人間に渡しておく、と約束する】
【指輪があれば別れてもまた連絡を取るのはたやすいだろう、もう少ししたら初瀬麻季音の作った端末も用意されるはず。お金については――ちょっと面白そうだった】
【仮にも上司相手だのに――なんて、思っても、思わなくっても。その顔がふっと、真面目さを帯びて】

……セリーナ、ね、今。捕まっているんだって、だからね、助けに行くよ、――、

【――――これは、きっと、相手はうまく関われないこと。だから、自分がやるから、って。頑張るから、って、言うみたいに】
318 ::以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/19(木) 21:53:22.11 ID:7/j5EmNF0
【公園】

【暖かかった昼が嘘のように、今夜は冷たい風が地面を撫でるように吹いていた】
【月にかかった雲がゆっくりと掃け、その光が地面に柔らかく降り注ぐ】
【風の音だけが響くその公園で、ふと小さなため息が聞こえてきた】
【電灯に照らされた細い道を、ゆらりゆらりと少女が歩く。綺麗に切りそろえられた青味がかった黒髪は白のヴェールに覆われ、その頭上には桃色の薔薇の花飾り】
【黒を基調としたゴシック調の服。長いスカートは地面を這うが不思議と汚れてはいない。少し重そうな裾を引きずりながら少女は歩いている】
【ぼんやりと光る若葉色の瞳には疲れが浮かび、しきりに何かを探すように動かされていて】
【そして無意識なのだろう。少女はぽつりと呟いた】

あぁ……疲れた……

【何処から、どれくらい歩いてきたのだろう】
【とうとう歩みは止まり、小さな欠伸を一つ。寝ずに歩いてきたのだろうか、目をこすりながらついにその場に座り込んでしまった】
【こんな道の真ん中で寝るつもりは無い。無いのだが、とうとう足に限界が来てしまった】
【黒のスカートが円状に広がり、その中心で膝を抱え辛そうに顔を顰める】

もう、動けないや……一晩ここにいたら風邪引いちゃうかな……

【なんて心配事を口にして。少女はそれ以降なにも喋らず、動かず、その場で体を休めるように丸くなっていた】

/新規です!もしよければ絡んでくださると嬉しいです。
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/19(木) 22:12:16.94 ID:ZK9jNBxIo
>>318

【す、と音も気配も薄く、その人物は近づいてきた】
【後ろからゆっくりと近づくと、よく通る声でその男は声をかけてくる】


……大丈夫?調子悪いのか?疲れてんのかな
こんなところにいるとカゼひくよ?……つっても4月になってすっかりあったかくなったしそんな気にするほどもないかもしれねーけど

あ、ちょうどいいや!休むんだったらいい物がちょうどここにあるぜ!


【少女のすぐ後ろでごそごそ、と自分の荷物を整理し始める音がするだろう】
【覗いてみるといい、そこにはなんと先ほど声をかけたと思われる男の後ろ姿と――――2mちょいくらいはありそうな大きな縦長六角形の箱】

【いかにもゲームの中のヴァンパイアでも眠ってそうな……『棺桶』がそこにあった】

【彼はその蓋をパカリ、と開けると「入る?」と手招きしてくる―――事情を知らないと、遠回しに死なせようとしてるように見えるかもしれない】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/19(木) 22:36:28.80 ID:7/j5EmNF0
>>319

わあっ!

【音もなく出てきて声をかけてきた男に、今日一大きな声が出たかもしれない。と言っても周りの暗闇に吸い込まれる程度の声なのだけど】
【恐る恐る振り返ってみれば、そこに男が立っているということはわかるのだが街灯の逆光でよく見えない。……いや、逆光なんかじゃ無い。巨大な何かが光自体を遮っている】
【その何か……というのが棺桶だということを理解するのに時間はかからなかった】

……これって、棺桶……?
入っていいの?

【男の手招きに引き寄せられるように立ち上がりゆっくりと近づいて】
【棺桶と思われるそれの縁にそっと細い指をかけ、覗き込む――やはり棺桶であることは間違いない】
【すると少女の疲れに染まっていた目は輝きを取り戻し、その若葉色の視線を男に向けて】

これ、どうやってだしたの?誰が入る予定の棺桶だったの?――ううん、いいやそんなこと。これで休んでいいんだね?

【水を得た魚、とはこのことだろうか】
【先ほどまでへたり込んでいたとは思えないくらいにぴょんぴょん飛び跳ねて。棺桶に恐怖心がないというよりはむしろ慣れているのではいかと思うくらいの喜びようだ】
【髪を覆う白いヴェールが少女の動きに合わせてリズミカルに左右に揺れている】
【もし男に止める気がないのならば、少女はその棺桶に入ってしまうのだろう。もちろん、寝るつもりも死ぬつもりもなく、ただ単に休ませてもらおうという思いで】
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/19(木) 22:40:35.49 ID:9IdkHq1oo
>>316-317
【そう、人は己のダメージを常に知覚出来るわけではない。知らず知らずのうちに、蝕まれていることだってある】
【彼女の器は、まだ持つ。それはいつまで? 彼女自身にすらわからないのかもしれない】
【気持ちの麻痺が取れるのは、果たしていつになるのか】

運も実力のうちだ。大会優勝者として名を馳せた、あの勝利王の騎士と知り合いだったなどと、よほどの強運だぞ
ふ、ふ。それは光栄だな。あのそうそうたるメンツの中で、一番か

【心当たりがあった。繋がりがあった。ある意味では、何より強い武器と言えるだろう】
【たとえ運であろうと。全ては彼女が引き寄せ、彼女が紡いだ繋がりだったのだから】

【自分への恐怖に触れられれば、かすかな苦笑を滲ませて笑う。そのように振る舞ってきたのは、自分だと言うのに】
【そも、敵とこのような関係になること自体、これまでもこれからもないことだろう。彼にとっても、戸惑いすら覚えることなのだ】

【そして、すべてはここで清算せねばならない。異形も同意見だった。あの路地裏での奇跡的な再会で】
【交わされた盟約は、間違いなく有効であるのだから。どこまでいっても、二人の立つ場所は遠く離れているのだから】
【それでも、そのあどけない笑顔は。あまりにも普通の笑顔は、異形の脳裏に焼き付くことになった】


……見た目によらず、苛烈な面があるようだったからな。彼女に詰められたとあっては、黙っておくのは難しかっただろう
確かに、ラベンダァイスは強い。が、同時に危うさもある。そう追い込んだのは、私なのだろうがな

【思い浮かべる歯、生物兵器。命を懸けて戦った、あの少女。自分がその精神に一撃を加えた存在】
【鈴音の巻き込みたくないという思いに、留意するような異形ではなく。ただ、己自身が表面化させた危うさを案ずる】
【彼女が、この戦いの後にどう変質しているのか。その後、己と殺し合う時には。未来の懸念は、今はしまい込む。未来が来るかどうかの瀬戸際なのだから】


看護師。ギアがカミス・シティで見た時も、その恰好だったらしい
ああ、確かだ。ギアがカミス・シティ内部の病院で遭遇し、首をもぎ取られた。ギアが生き人形でなければ、帰ってこられなかったところだ
能力者の登録を行うセンター内部の、地下の病院だったらしい。暗い地面の下に病院とは、連中の考えることはわからんな

相当な怪力だったという。その上、お前が見たという能力らしきもの……何者なのかね、この曽根上という女は
襲撃者が、敵の目や耳であることは、十分に考えられる。情報のやり取りは向こうも得意らしいからな

【異形自身は見ていなかったが、その恰好についてはギアから聞いていた。同時に、『特区』内の異様も】
【その詳細は、さきほどのメモリの中に記されているだろう】

【相手を弱らせてから、本命を送り込む。狡猾な手口は、いかにも『黒幕』らしい】
【自分が絡め取られていることにすら気付けない。敵の最も恐ろしい点は、そこにあるのだ】
【果たして、自分たちはそこから抜け出せているのか。知っているのは、『黒幕』のみ】


ああ、頼む。噂の天才少女なら、うまく処理してくれるだろう
……この指輪が、もし敵の手に渡ることがあれば、万事休すか。指輪さえあれば、誰でも通信は覗けるのかね?
端末の準備が早くできることを祈るとしよう

……それはよほどの高級品だな

【ふと、脳裏をかすめた疑念。それが、現実になっているとは知らず。それが、何をもたらすかもわからない】
【代わりに、今この場に挙げられるのは。自身の最も恐るべき宿敵の名】

捕まっている? あのセリーナが……相手はどこの誰だ?
――――そうだな。私は、それには関われそうにない。成功を祈ろう。あの女がいるといないとでは、この戦いの勝率も段違いだ

【まだ見ぬ戦いに思いをはせつつ。初めて、敵の武運を祈った】
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/19(木) 22:58:11.40 ID:ZK9jNBxIo
>>320

【遮る光が弱まり、振り向いた先にいたその男は……思いのほか顔立ちが整った青年だった】

【柑橘系の甘酸っぱい香りが漂う整髪料で整えた茶の短髪、真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【水色の質素なシャツを白い柄シャツの上から羽織り、腿や脛にダメージがはいった青のジーンズに赤のスニーカー】
【背は結構高めで推定180cmほど、至近距離でみるとなかなかにがっしりした体格なのがわかる】
【首には赤いマフラーを巻いているのが特徴的な年若い青年だ―――そして、なぜか彼のすぐ傍には茶色いトイプードルがいる】

【彼はこん、こん、と棺桶の縁を叩きながら説明を始める】


この棺桶はいつも俺が引きずってる物なんだ。ついでに言うと死人を入れるためのモノじゃないぜ
これはムクが作った万能魔術礼装でさ、空間内に住めるし、戦車の主砲が至近距離で直撃してもヒビ一つ入らない頑丈な防御壁にもなる
戦闘時には武器として使用できるし、変形させるとバイクになったりもするんだぜ!

『――無論、疲れているモンを休ませるのには最適な代物じゃあ。……まぁ、剛の字がそう使うというなら止めはせんわい』


【ちょうど、少女が棺桶に片足つっこんだあたりで、不意打ち気味に彼の傍らにいた子犬がしゃべり始めた!】
【そのことに関するリアクションも待たないまま……少女はすこん!と足元から棺桶に吸い込まれるような感覚を覚えるだろう】
【思ったより中が深い……1mほど下に落ちる感覚を覚えた後、彼女の体はぽふんと何かやわらかい物に着地するだろう】

【到着したのは、なんとベッドの上だった、布団も綺麗に敷いてある】
【ついでに言うと……狭苦しい空間かと思っていたら、あたりを見回すと四畳半くらいの質素な部屋の中に少女はいるのだ】
【電灯、冷蔵庫、机、テレビ、パソコン……本当に家の一室みたいだ。普通と違うのは、部屋の真ん中にはしごがあり、その上に縦長六角形の穴がある事】
【そこから、先ほどの青年が顔をのぞかせている】


結構快適だろ?これが魔術の力だぜ!俺はからっきしだけど!!
ゆっくり休んでいいよ、一日くらいだったらこの空間を貸してあげる。……けど病院とかにはいかなくていいのか?
なんか事情わかんねーけど、調子悪そうだったな?


【おっとりとした雰囲気の気の優しい青年と喋る犬は上から少女を覗きながら、それなりに少女を心配しているようだ】
【寝転がりながらも会話は問題なくできそうだ、話をすることはたやすいだろう】
323 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/19(木) 23:05:27.03 ID:GiMNuhM30
>>315

反省、ね。それならまぁ、良い薬になったって言える位の事でしょうねぇ
あの薬が、何か本気でヤバい物の時は別として、それであの男が能力犯罪者にでもなったら、もう笑い話にしかならないでしょうけどねぇ?
分からないもんですよぉ、逆方向に振り切れた時、意外に反動が大きいせいで、ドツボに嵌っちゃうって輩、多いんですからねぇ?

【世間の人間は、どれだけあの光景の「真に意味する所」を読み取れたのだろうか。それは分からない】
【だが、あれを見て笑い話と取るのは二流と言ったイーレイにも、嘲笑してやりたい気分が無い訳ではない】
【あの被害者の今後の行動次第では――――本当に「ただのアホウ」にしかならないのだろう】

(……いやいやいや、分かってますって。今更そんな恥ずかしがられても……なんでしょうねぇ、マリー。可愛いじゃないですかあなた……!)

【視線の意味に気付かれたのだろう。マリーは顔を赤くしてシュンと食事の勢いを下げてしまう】
【その光景があまりに面白かったから、イーレイはフッと軽く微笑みを浮かべる】
【同時に――――先ほどから、ちょっとした事で恥ずかしがるマリーの事を「可愛い」と思っていた】
【かなりの鍛えられた身体に、問題を起こして不名誉除隊になった元軍人。それはイーレイも重々承知なのだが】
【わざと服装に対して揶揄ってみた時のリアクションや、今の恥じらいの仕草が、何とも可愛らしいのだと、イーレイは静かにはしゃいでいた】

――――まぁ、魔女狩りじみた方向に話が転んでしまったら、その時はもうどうしようもないですね
生きるために戦うしかないですよ。その時はもう、えぇ……生き残るために殺すしか、ね
それこそ、『GIFT』が旗印みたいなことになりかねないんですよ。アレが私たちの解放軍だ、なんて……ちょっとぞっとしませんけどね

【その憂慮を、イーレイは『魔女狩り』と表現した。特定の幻想に酔う大衆には、裁かれる者の罪の有りや無しやは、もう関係ないのだ】
【どうも、魔能制限法に賛成している人間たちのヒステリックな叫びは、その構図を思い出させる】
【もし、本当にそんな状況が訪れたなら――――イーレイは、ブラッドオレンジジュースの残りを嚥下しながら、つまらなそうに呟く】
【その時には――――生存競争。もう、何も関係ない、生きるために殺さなければならなくなる、と】

ん、へぇ……なるほど、能力者による自主的な警邏ですか……となると、謂わば『第二のUNITED TRIGGER』って奴ですかね?
アレほど大規模にはいかないでしょうけど……良いんじゃないですかね? こういうのは、草の根的にやる事に価値があるってもんですからね
ただ、それをやるなら早い方が、って奴ですね。周りが「そんなの無くても魔能制限法の運用だけで十分だ」って言い出したら、アウトって奴ですよこりゃ
まだ、流されやすい浮遊層が戸惑っている内に、それを自覚させなきゃ、ねぇ?

【備えのナプキンで口元を拭いながら、イーレイはそのアイディアに感心し、同時に思うところを述べる】
【大衆の理解を促すための啓蒙活動としての、有志による治安維持のための能力者部隊の結成。なるほど確かに面白い】
【第二のUTと表現したが、なんだかUTの活動に陰りが見えている今だからこそ、それをやる意味はありそうだ】
【逆に――――啓蒙を目的とするなら、早い方が良いだろうと、イーレイは付言する。魔能制限法が「前提事実」になる前に、示さなければならないと――――】
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/19(木) 23:09:13.30 ID:TOqVYI4O0
>>321

【潰れてはいけない。だけど――潰れてしまいそうだった。不安で。怖くて。どうしたらいいのか分からない。恐ろしくて――、】
【――ずっと、世界の情勢みたいなものには関わらずに生きてきた。それだって――たとえば誰かを倒す。倒して。おしまい。世界は平和になりました、だったら】
【彼女はもっと頑張れたのだろう。だけど――】

…………大会、優勝? ……え、うそ。
聞いてない、よ――、……ウェインさん、今、わたしのお家に、居て。……お部屋。貸してるの。

【はた――と、表情がふっと変わる。それがひどく平和な色合いだったからかえって違和感があった、ぱちりと瞬き一つ、――知らなかったと、表情が言っていて、】
【本人に聞かされていないから知らない――らしい。だけど、そんなの、"そんなもの"だろう。旅人だと言って家を貸した人間の名前なんて、あまり、調べない】
【特に彼女の場合、もっと幼いころは、そんな情報に触れる機会だってなく――だから、本当に、知らなかったらしいのだ。初耳、である、という顔】

――――――――でも。ウェインさんは、今回のことで、絶対に、わたしの味方を、してくれるって……。

【――それで、また、表情がわずかに和らぐ。そうやって考えれば、いろんな形で味方をしてくれるひとがいた。大きな敵を倒すために、ただ効率のいい方法を選ぶだけでも】
【少女自身を気にかけるのだとしても――ほかにも、きっと、味方の数だけ、形があるのだろう。それは間違いなく励ましだった、まだ、全部癒すには、足りないけれど】

……わたしはね。あなたたちに何があったのか、知らないの、わかんないの、だけど――、今はね、味方、だから。
わたしたちがこうやってお話する、みたいに――カエデちゃんとも、お話できる、最初で、最後のチャンスかも、ね……、……。

それとも。あなたたちはこんなふうにお話、したり、しないのかもしれない――そんなつもり、ないのかもしれないけど。

【苛烈だというのは否定が出来なかった。ちょっと怖かった。――それには触れないままで、口に出すのは、ひとつ提案】
【どうせ今なら味方なんだから、お話してみたら――だなんて。当人ではないなら、とんでもないこと言っているかもしれなくても、気づけない】
【だけど――今ならば、味方なのだ。そんなことって、きっと、二度とない。――二人が本当にするかしないかは置いておいて、自分たちがそうであるように】

【こうやって話してみること、出来るんじゃないか、って――】

ギアさんが……特区に? ……特区。そ、っか、――、……特区に。
ケイと……少しだけ、話したよ。わたしはね、能力者だから――行けないねって言ったの、……行きたくないから。
そうしたら、能力者でも、なんにもしなかったら大丈夫だろうって――、でも、ギアさん、遭ったんだ。

地下に病院があって――、そこの、看護師。なのかな――、……カニバディールも、気を付けて。

能力を封じられるとかも、そうだけど……、――こわ、かった、

【――特区。自分は立ち入れないと思っている、それを件の女に言ったら、何もしなければ大丈夫だろうとは言っていた。……多分、それは、本当なのだけど】
【だとしても、到底行く気にはなれなかった――だって明らかに敵たる相手が詰まっている街、だ。そんな場所に行きたくはない、でも、いつか行かないといけないかもしれない】
【ならば。やはりこのUSBは重要だと思う、きちんとしまいこんで――必ず麻季音に渡すと心中で覚悟する。……曽根上ミチカ、という人物については、】

【怖かった――本当に、本当に、そうだったという風に、呟く。相手のことを全く意に介さないような。そのくせに優しくて、ひび割れた心の中に、ふと、しみ込んでこようとする】

通信を暗号化する、とは、聞いたの。だけど、詳しいことは――、

【しゅんと眉が下がる。魔術式はあんまり得意じゃない、なぜって、術式を歪めてしまうことがあるから。だから――詳しくは知らない、ミラに聞いただけだ】
【とはいえ今はこれに頼るしかないのも、事実。口頭は確実でも、こんなふうに呼び出すのは手間が過ぎる。もうこの場所も二度と使えないだろう】
【朽ちたビルの上から見上げる星空はやっぱりきれいだった――"あれ"から、ひどく遠い場所に来てしまった気になる】

――――うん。任せて。

【気負いすぎていない声。不真面目なんじゃない、少し、心に余裕が出来ただけ】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/19(木) 23:21:52.51 ID:mgAL4FQ/o
>>308
[ cc:チームM ALL ]
[ from: 初瀬 麻季音 ]

タイトル:私が行く。
本文:
主よ、我汝に呼ばわる

ソラリスの陽のもとに

---------
上の文面を伝えてください。
何があっても、慌てずに行動してください。
決して本質を見誤らないように。
行動は各々、それぞれだけど 
大集合して全滅だけは勘弁してもらいたいところね。
詳細が決まれば連絡して下さい。

END  


/Mチーム向けメールです
/レス不要です
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/19(木) 23:25:57.27 ID:7/j5EmNF0
>>322

【すこん、と綺麗に落ちていく瞬間、彼女の瞳はもふもふを捉えた……かと思えばすぐにぽふっと疲れた身体を包み込んでくれる白い海】
【あれれ、と戸惑うように辺りを見回しやがて目に飛び込んできた光景に目を疑うことになる】

ねえ、私公園にいたよね?

【それは男に対しての問いかけなのか、自分に対して確認しているのか、微妙な声色で紡がれた】
【棺桶はすんなり受け入れたのに、いきなり広がった普通の部屋……いや、かなり上質なお部屋には戸惑いを隠せず、もはや疲れていたことを忘れて立ち上がる】
【そういえば落ちる瞬間に男がなにやら説明をしていたような気がする。この棺桶はとにかく強くてすごい。多分そんな感じの話】
【確かに驚くような話だったのだけど。少女は自分の身体の心配をしてくれている男の声に気づくと、急いでそこに駆け寄った】
【はしごを両手で掴み、上を見上げる。明るいところでみれば大人びた顔つきの白い肌をもつ少女だということがわかる。しかしその顔は強張っていて】
【自分をここに落とした……いや、落としてくれた男と目があえば男の質問を遮るように彼女は言うのだった】

ねえ、待って、ぬいぐるみが……ぬいぐるみがしゃべったよね!?

【トイプードルを知らないのか、犬だと思えなかったのか、彼女は視界に入ったもふもふをぬいぐるみと表現した】


お兄さんとそのぬいぐるみちゃんはこっちに来れないの?
こっちきてよー!はーやーくー!

【彼女の顔立ちに似合わない子供っぽい喋り方。強張った顔つきがだんだん緩んで、期待とときめきを含んだ視線をそのぬいぐるみ(と、彼女は思っている)の持ち主と思われる男に手招きして】


327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/19(木) 23:50:57.84 ID:ZK9jNBxIo
>>326

おう、まだ公園にいるぞ。棺桶はまだ公園に置いたままだからな
スゲーだろ?驚いてるな?俺も初めて見たときお前とおんなじくらい驚いたんだぜ
このムクが……あーっと、ムクっていうか、まずここにいるこいつは犬だよ、本物の犬。トイプードルって歩くとすぐぬいぐるみみたいって言われるよな


【ひょい、と子犬を肩にのせると、青年は彼女に招かれた通り、跳躍とともに少女の頭の上を飛び越えてはしごに寄る彼女の背後に飛び移るだろう】
【続いて、机の近くの椅子へと足を運んで腰かけると、少女のほうに向きなおる】
【肩の子犬を机の上にのせると、犬はかりかりと首の後ろを後ろ足でかき終わるとそのまま前足でぽふん、と机をたたく】

【すると、頭上の出入口がひとりでに閉じてしまうだろう。外の棺桶の扉が閉じたらしい】
【犬はそのままゆっくり机に伏せると、少女の方に顔を向ける】


んじゃ、まずは自己紹介するぜ。俺は剛田 剛太郎
王立図書館の警備員をやってる。あそこには結構大事な知識が眠ってるから悪いやつが狙ったりするんだ
だから、荒事だけがとりえの俺の仕事としてムクに紹介してもらったってわけ

で、ムクってのはこの犬で喋ってる魔術師の爺さん。遠くの山から魔術で愛犬に喋らせてるんだ
この犬はパティってんだけど、プーラの娘で母犬が老いはじめたから荒事が難しくなってきたんでムクの傍にいさせてる代わりに
こいつがムクの使い魔代わりにムクの言葉のメッセンジャーになってるんだ

『魔術協会の大山 無玖と言う。見ての通り、犬を使ってしゃべったりこういう魔術礼装を作って生計をたてちょる魔術師じゃあ
お人よしのコイツに付き合って今お前さんの体調をみちょる……楽にせい』

そのベッドに腰掛けていいぜ。俺のだけど。気に入らないなら椅子を用意するけどな
それで、お前は名前なんていうんだ?体調悪そうだったけどなにかあったのか?


【初対面でありながらあまり気にする様子もなく、屈託ない笑みを浮かべながら剛太郎と名乗る青年はムクと共に他愛のない会話を始めるだろう】
【同時に、名前と身分を聞いてくる。いったい何があったのか聞いてみない事には事情がわからないのだから】
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 00:05:01.57 ID:WAGMmfFY0
>>327

犬……これが、犬……

【かりかりと首をかく姿は確かに犬だ。しかし彼女が想像する犬は自分の腰くらいまで高さがあってもっと土に塗れていて顔もシュッとしていて……と、まで考えてふるふると頭をふる】
【なんとなくだけど、この誠実そうな男が犬と言っているのだから犬なのだろう】
【どう見ても本当にぬいぐるみなのだけど、その犬が喋り出すと同時にビクッと薄い肩を揺らすが、なにせ見た目がぬいぐるみだ。だんだん恐怖心も薄れ自己紹介をするムクちゃん……いや無玖じょ】
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 00:16:51.85 ID:hiDob1EIo
>>323

「全身に刃を生やしていれば、誰が見ても能力者って気づくものね……」
「まあ、後は彼の行動次第でしょう。犯罪でも起こしてしまえば、後はどうなるか分かってるでしょうし」


【あの被害者の男は、今後どうしていきていくのであろうか】
【能力者であることはスクラップズの手によって晒されてしまった故】
【人目を避けて生きていくか、手に入れた異能で人を傷つけていくのか──】


【彼女が内心はしゃいでいたことに気づかず、頬を紅潮させたまま】
【今にも湯気が上がりそうな顔からは、その恥じらいを感じることもできるだろう】
【綺麗にフォークとナイフを並べると、ひとつ咳払いして彼女の方を向いた】


「そう、ね……。生きるために戦うのだから、致し方ないわ」
「私達にとって、生き残ることが最大の目的。何かなければ、それが一番なんだけどね」


【生存競争が始まったのなら、それを止める術はないだろう──】
【そうなれば生き残るために精一杯の努力をするまで。魔防法が成立すれば、影で生きていくしかないだろう】
【何もかもを、自らが生存する為に殺すしかない。そうなるのは、とても悲しいことと思えて──】


「UNITED TRIGGERほど大規模にはならないでしょうね。あくまで小規模の自警団ってところかしら」
「ええ、何なら今週から活動を始めようと思ってるわ」
「とにかく能力者にはいい人もいるってイメージを植え付けないとね」


【治安維持と、能力者に対するイメージを向上させるための啓蒙活動】
【それを両立させうる組織として、可及的速やかに発足させるつもりだった】
【教会を基盤として、神の救いを市民に与えていく。その代弁者が能力者だというつもりはないのだけど──】


「それじゃ、そろそろ行きましょうか。食べ終わってからずっといるのも迷惑でしょうし──」
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 00:17:45.11 ID:WAGMmfFY0

>>327

犬……これが、犬……

【かりかりと首をかく姿は確かに犬だ。しかし彼女が想像する犬は自分の腰くらいまで高さがあってもっと土に塗れていて顔もシュッとしていて……と、まで考えてふるふると頭をふる】
【なんとなくだけど、この誠実そうな男が犬と言っているのだから犬なのだろう】
【どう見ても本当にぬいぐるみなのだけど、その犬が喋り出すと同時にビクッと薄い肩を揺らすが、なにせ見た目がぬいぐるみだ。だんだん恐怖心も薄れ自己紹介をするムクちゃん……いや無玖さんと呼んだ方が正しいのだろうか、そのトイプードルに顔を近づける】

ムクさんと剛田さん、ね!
とてもわかりやすくて、素敵な自己紹介ありがとう!
あなたたちとは仲良くなれそうな気がする!
私はクローディア。好きに呼んでくれたまえ!

【きらっと表情が輝いた。王立図書館とか礼装とか、よくわからない単語ばかりなんだけど、初対面の自分にここまで教えてくれた彼らが悪い人たちのわけがない、と判断して】
【自分の胸に手を添え、名前を名乗る】
【そこまでは良かったが、そのあとはうーん、と首を傾げて、少し困ったように】


なんていうか、これ以上はあなた達みたいに立派な紹介ができる自信がないわ、私。
特に特徴もないし、何もすごいことなんてできないし。
警備員でもなければ喋るわんちゃんでもないわ……


【と、がっくりと肩を落とす。なんの面白みのない自分に落胆したのだろう】
【でも、ムクさんが体調を見てくれると言えば目を輝かせ、全く抵抗なく彼のベッドに座るのだった】

ただただ歩きすぎただけなの。家からずーっと。二日くらい。
でもそうね、多分あと三歩歩いたら両足が折れちゃうかもしれないなあ

【といってパタパタと足を揺らして見せて】


/>>328 途中で送信押しちゃいましたすみません…こちらでお願いします
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/20(金) 00:35:44.40 ID:KKBxmmlqo
>>324
【そう、それほど単純な話ならどれだけ楽だったか。実際は、敵は世論を操作し、能力者たちを世界そのものの敵としようとしている】
【やがて、この世界を支配する。合法的に、いや彼らこそがすべての法となる】
【そんな相手だから、自分のような悪党の力も必要とされるのだ】

知らなかったか? もうずいぶんと前、第三回大会の時だったか。私がウェインの名を知ったのは、その大会の映像でだ
まさかそんな男が、お前の家に部屋まで間借りしているとは。数奇なものだな

【語りながら、眼前の少女のあまりの無垢に驚く。自身に語った過去の一端。これまでのこと】
【彼女の苦境は、世の中の動きとはまた違った世界でのことだったのだろう。】
【そんな彼女が、何の因果か巨大な陰謀に巻き込まれ、自身の繋がりを辿って同志を結び付けた。この世界はなんと不可思議なのだろう】

……ならば、それで十分だな。この戦いの間だけ味方である、とわかればそれでいい
この繋がりは、そもそもがそういうものなのだから

【彼女が表情を緩めれば、異形も同じようにする。そう、呉越同舟。どんな立場にあろうと、目的は同じ】
【癒しや励ましも、それぞれの形。それでいい。この世界に、全く同じものなどあり得ないのだから】

間違いないな。対話するなら、この機会が最後だろう。彼女の方に、その気があればの話だが

……少なくとも、お前と私のようにはいかないだろうが

【鈴の音が紡ぐ提案には、脳裏にその光景を浮かべてみながら頷く。話すにしても、事務的なものか恨み事を交えてになりそうなものだが】
【何せ、手下たちと共によってたかって襲い掛かり、その後は彼女と繋がりが深いだろうブラックハートとも戦っている】
【今の特殊な状況下にあってすら、不倶戴天の敵。だが、それゆえに、これは最後の機会】
【いずれ、そのような時が来ればどうなるか。異形としては、あまりいい予感はしていなかった】


……一応は、な。登録さえ受ければ、能力者でも入ることは出来るようだ。歓迎されるかは別だが
ひどいものだったらしいぞ。街中に監視カメラやスピーカーが仕掛けられていたらしい。まさに網の中だ

……公安三課と共に、偶然曽根上を見かけて追跡したが、気付かれたと
尾行に不備はなかったようだが、それでも気付かれた。不気味極まりない

……ああ、気を付けよう。互いにな
恐れる気持ちは大切だ、鈴音。捕われるのはまずいが、敵の脅威を正しく認識することは、間違いなく有用だ

【恐ろしい。ギアも、開口一番そう言った。相手は底の見えない深淵。未知ほど恐るべきものがあろうか】
【しかしそれでも、立ち向かわねばならない。いずれは、攻め込まなければならないかもしれない】
【ならば、知っておかなければ。恐怖を知りながら、恐怖に立ち向かう者とならねばならない】

【踏みにじっておきながら、優しく忍び寄る。まさに悪魔の手口と言えるだろう】


そうか……だが、これが今は一番確実な方法だ。ならば、これに頼るほかないな
疑いすぎるのも、枷となる

【頷きながら、指輪を眺める。魔術には、異形も明るくない。ならば、これをもたらした顔も知らない誰かを信じるしかない】
【いつかの思い出の場所。あれから遠くへ来たものだ。異形も星を見上げる。星だけは、あの日と変わらない】
【敵と味方に別れれば。ここに来ることも、なくなるだろう。ちょうどいい、ともいえるかもしれない】


……焦燥が取れてきたな。それでこそだ、鈴音
この戦いの間は、お前の武運を祈る。生きて帰ってこい

さて。ならば、この思い出の場所にも別れを告げるとしようか

【最後に、もう一度夜空を見上げる。吸い込まれそうな、満天の星空】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/20(金) 00:47:06.64 ID:xO8Ydapgo
>>330

そんなかしこまらないでもいいぜ、そっちも普通に剛太郎って呼びなよ
よろしくな、クローディア!今日はゆっくり休んできな、困ったときは助け合いだ

『まったく……お代くらいとりゃあいいもんを、お人よしが
……しかしお前さんトイプードルそのものを見るのが初めてか?もしかして……ふん、どうじゃあワシ自らトリミングしたこの毛並み
愛玩犬の頂点に君臨する犬種にふさわしい愛らしさじゃろう』


【屈託ない笑顔で気安く自己紹介する剛太郎に、クローディア】
【こんな親切、普通なら裏がありそうなものだが……どうもそういう訳でもないらしい】
【まさかこいつら、――――いや正確には剛太郎一人だが、こいつ特に何の理由もなくクローディアを助けたというのか?】


いやまぁ、別に面白い事をやってほしいから助けたわけじゃあないんだ
困ってる奴がいたら助けてやれってガキの頃から母ちゃんに教わったからやってんだよ、ずっとな

『待て、お前さん家から丸二日歩いたのか?結構体力あるじゃねえか……
じゃがそれから宿も取らず二日間もなにしちょったんじゃあ?まさかとは思うが家の場所がわかんなくなっちまっとるんじゃないだろうな』

……なんだ?迷子?場所さえ教えてくれりゃあ俺がこのまま送ってってやるけど


【家の場所を言えば、そこまで送る事までおまけしてくれる……なんて気前のいい男だ、騙されて何かとられなければいいが】
【どんな事情があるかはまだわかってないが、困っているなら何かしらの相談のひとつくらいは承ってくれそうだ】
【その後、パタパタ足を震わせてるのを見ながら剛太郎は頬をかきながら言うだろう】


おう、なんならストレッチでもしてやろーか?ムクに符とかも用意させて回復させてもいいけど

『おいお前、コフィンはお前に貸しとるからいいが勝手に人のモンを使うな!親切は一人でやらんかい!!』
いいよ、じゃあ俺の手持ちから使うし。どうする?


【足の痛みも軽減してくれるらしい、至れり尽くせりか】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/20(金) 01:02:00.78 ID:UbPLRLnn0
>>331

…………知らない。ウェインさんとは――、廃墟、みたいな街であったの。それで……、その時に、ね。
別の世界から来たって言う、エヌってひとと、あって――、エヌは、ディストピア、みたいな世界から、来たっていうの。
機関……ただの"機関"が支配する、世界。それで――その機関が、この世界に、侵略しようとして――、ウェインさんと一緒に、エヌと、追い返したの、

去年の暮れくらい……だよ。

【第三回――、それって何年くらい前だろう。分からないなら思い浮かびもしない。そういえば最近大会って聞かないなぁとか、それくらいの感想しかない】
【それに、こんな状況ではしばらくないと思われた。確かに強いひとだとは思っていたけど。優勝……とまで聞けば、なんだか、もぞもぞする、失礼じゃなかったかって】
【だけど同時に口にするのは――また違ったこと。ウェインとの出会いの話。だけれど何か不穏に思えた、今の現状に、どこか似通うように思えたのだ】

【"機関"に支配されたディストピアから来た青年。その世界からの侵略。一度防いだのだという。――それは、本当に、無関係の話なのか?】

だけど……カエデちゃん、優しい子だよ。エナちゃんのことね、心配して――、
……そう、だね。わたしたちはね、――ちょっとね、変すぎるみたい。……どうしてかな、初めて会った時は、わたしたち、違ったからかな――。

【――いつか出会った時、彼は数字を持たなかった。いつか出会った時、彼女は、なんでもない、少女だった】
【それがいつしか数字を手に入れて。いつか、正義の名に加わるようになって。だけど、隠れて――そう、星を見た。もうすぐでこの関係が終わりだと、分かりながら】
【そんな現実から一時目を逸らすみたいに、星を見たのだった。――ならば今は本当にただの、欄外。いつかまた本筋が始まる、そうなったら、殺し合う】
【気づくだろうか。昔の話をするとき、少女の表情は穏やかだった。過去に今は関係ない。だから、昔の話をするときは、――ひどく、落ち着く。それくらいに、疲れてしまって】

登録――、じゃあ、やっぱり、わたしは……無理、だね。きっと。……だってね、わたしね、どこにも存在しないひとなの、戸籍とか、ないし――。
そういうの……きっと必要、でしょ? それに。――――そんなのばかしょうじきにやったら、ほんとに、筒抜けなの。

監視カメラとスピーカー……。……公安三課。鵺ちゃん? この前……会ったよ。指輪を渡した。

【登録が必要なのだと聞けば。吐息が一つ、「やっぱり無理だね」なんて、少し自嘲めく。――その"登録"がどんなものなのか、分からないけれど】
【全く何の個人情報も必要がないと言うことは、ありえないだろう。むしろ黒幕のことだ、何から何まで必要で、何から何まで、管理しようとしてくるはず】
【――ならば。少女のように"存在しない"モノは混じりこめない。――死ねない彼女はすでにいつか人間としても死んでいた。それでも扱いは"行方不明"のはずだけど――】

【やはり特区については、ほかの誰かに任せるしかない。三課と聞けばとある名前を浮かべるけど――相手も知っている名前だが、その人物ではない、とは知らないまま】

……ん、帰って来る。"死んだの"拾いに来てもらうの、悪いもの、――、今日みたいに、どこで待ってる、って言えないし。
だからね――、あなたも。気を付けてね、拾いに行くの、大変だから。…………、――うん。

【一人きりで抱え込んでいたより、楽になっていた。どうしようもないと思っていた、これしかないと思っていた正解さえも、すり替えられて】
【ならわずかに目を細めてみせるのが返事だった。生きて帰ってこい――分かりやすい言葉に小さく頷く。続くのはどこかからかう声音、お願いするのは大変だからって】
【だけどそれはお互い様なら、こちらからも、相手の無事を願う。――本当はそんな面倒くさいからとかじゃなくて、相手のこと、敵であるのは分かりながら、どこか、特別で】

【――相手がそうしたのを真似るように、星空を見上げる。あの時と、同じ景色。……そして、これから先に、きっと二人で見ることのない、景色】
【あれが最後であるはずだった。なら今はとっておきの番外編。――「あのお星さまの名前、何?」――いっとう大きな星を指差して尋ねる。それで、終わりにするつもりだった】
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 01:21:27.06 ID:WAGMmfFY0
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335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) :2018/04/20(金) 01:24:55.84 ID:WAGMmfFY0
>>332

じゃぁ遠慮なく剛太郎って呼ばせてもらうぞ!
たぶん、剛太郎のほうが年上だと思うけど。そこらへんは私、気にしないから安心して!


【たぶん、その台詞は彼女が言っていいものではないのだろうが御構い無しだ。聞き慣れない名前ねー、なんてのんきに呟きながらクスッと笑って】

でもムクさんが言うことは間違ってもいないし大袈裟でもないと思うの
愛玩犬?の頂点?うん、まさしくって感じね
触ったらそのふわふわは崩れてしまうのかしら……あ、でも優しくなでなでするから触らせてくれても……いいんだよ?

【切れ長の瞳を細め、いたずらっぽく笑う】
【本当はぎゅーっと抱きしめてその毛並みに顔を埋めてすりすりしてみたいものだが、でもその前に、だ】

まだ会って数分だけど、剛太郎がとても親切で素敵な人だってわかるもの。
剛太郎をこんな風にお育てになったお母様はとても良い人なんでしょうね、容易に想像できるなあ
でも、親切すぎるのも考えものだと思わない?
もし私が大変な悪人でこうやってくつろいでると見せかけて剛太郎達のことをぐわぁぁぁあって!!!

【両手を広げて剛太郎とムクを威嚇する】
【手をあげるだけで立ち上がろうとしない所をみると襲う気なんて一切ないのがわかるのだけど】
【と、その格好のまま。後ろにぽふっと倒れて。ふわふわのベッドが気に入ったのか左右にゆっくり転がりながらその感触を楽しみだし】


336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/20(金) 01:25:41.89 ID:WAGMmfFY0
>>335
/分割します
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 01:33:35.24 ID:WAGMmfFY0
そうね……二日だと思う
月が二回……いや、三回だったかな……
それくらい登ったのは見たから
宿の取り方なんてわからないし、食べ物もなんか変なのしかないからあ
でも迷子ではけしてないの!だから家まで送るのも不要!
でも……でも……

【ベッドから投げ出していた足をゆっくりその布団の上に乗せて】
【完全にうつ伏せになったその姿は自身の頭から被っている白いヴェールで覆われ、毛布と殆ど一体化したかのように綺麗に埋まっている】
【ほわぁぁと気の抜けるようなため息をつけば、顔だけを二人の方に向けた】
【その表情は悲しいくらいに曇って、今にも泣き出しそうにみえる。そんな顔のまま、彼女はまるで最後の力を振り絞るかのようなか細い声で言うのだった】

でも……ストレッチは必要……
剛太郎は私の疲れて今にも崩れそうな身体を……
ムクさんは私の折れそうな心を……癒してくれ……
あぁでもお金はあんまりないの……あー悲しいわ


338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/20(金) 01:54:57.50 ID:xO8Ydapgo
>>335

『……やさしくやってやれよ、手荒な事をすればワシが許さん。さあお行きパティ
あの嬢ちゃんと遊んでやりなさい』

【自らの口から発せられている飼い主の声に従うように、ムク、否パティは机からひょい、と飛び降りると】
【クローディアのすぐ横に向けて歩き出し身を摺り寄せて背をクローディアに向けるだろう、背を撫でろということか】

【ぐわぁぁぁ!と手を挙げて吠えるクローディアに対して剛太郎は椅子の上で胡坐をかきながら】


心配すんな、俺は強いから
これでも長年鍛えてるからな。能力者だって何人も倒してるんだぜ、本当に強いやつはムクがいて初めて勝てるんだけどな

クローディアこそ、どれだけ自分の身を守れるかしらねーけどこんなどんなやばいやつがうろついてるかわからないところを
一人でうろうろ出来るあたりそれなりに護身はできるんだろ?


【この辺を一人で歩けるあたり、それなりに腕は立つものと勝手に思っていたが】
【そもそも、彼女は何か普段会う人物と比べてなにか様子がおかしい……そもそもこんな若い女が一人で夜道をうろついているのだ?】
【とりあえず罠だったとしても迎撃できるから、という余裕で剛太郎たちは声をかけたようなのだが】


『(……おい剛の字、なんかこいつおかしくないかのう?宿の取り方も知らない、食べ物もまともに調達できない
なのに家まで送るなじゃと……?こいつもしかして家出でもしたんと違うか?)』

(おいそんな疑ってやるなよ、本当に苦しんで行き倒れさせるよりはずっといいじゃねーか、
無事俺たちが保護したんだから、拠点か何かに行きつくまで面倒見てやろうよ)
『(お前どこまで気楽な野郎じゃあ!?)』


ああ、いいぜ……おら、足だしな、ぐーっと伸ばしてやるよ

『ゲンキンな小娘じゃのう……』


【不愛想なムクに対して、剛太郎はまったく警戒することなく、クローディアの足に手を伸ばし、小脇に抱えようとし始めるだろう】

/おっと、ちょっといい時間になってまいりましたので続きは明日以降でも大丈夫でしょうか?
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/20(金) 02:11:22.12 ID:xO8Ydapgo
/いや失礼、体力が限界なのでここで落ちます……お疲れさまでした……
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/20(金) 02:13:28.25 ID:KKBxmmlqo
>>333
知り合ったのはつい最近のことだったのか……この戦いの直前に、とは。ますます強運だな
別の世界……エヌ……? 異世界人が訪れることはままあることだが……
さらりと、世界を救っていたのだなお前たちは

ディストピア。侵略。機関による支配……それではまるで、『黒幕』側が勝利を収めた未来のようだ
どうにも嫌な予感のする話だな、それは。今の状況に、無関係なのか……?

【ウェインほどの実力者なら、自分の功績を鼻にかけたりはしないだろう】
【強者が集う大会での優勝経験者ともなれば、なおさら。会ってもいないが、異形はそんな気がしていた】

【しかし、それ以上に興味を引いたのはその時の奇怪な体験の話。当たり前にように語られる救世の事実に驚きつつ】
【鈴音と同じように、疑念を口にする。まるで、未来。このままいけば行き当たる、同じ時間軸の話のようにすら思えた】
【あるいは、それにも『黒幕』は噛んでいるのかもしれない。背筋を悪寒が走る】


エナちゃん……ファラエナのことかね。彼女とは、私も一度会った。ちょうどこんな、ビルの屋上で
勘違いしてくれるなよ、会話しただけだ。彼女は、私や私の仲間とまで友達になろうと、私ともう友達になったとまで言い放ったよ
私が、どういう存在なのか知った上で。ファラエナは少々、純粋すぎる。ラベンダァイスが心配するのも、無理はあるまい

――――そうだな。初めて会ったあの裏町では、我々はただの鈴音とただの下っ端機関員の男でしかなかった
あの日から、ここまで。恐らくは、他に二つとない関係性だろう

【追憶。現在に関係なく、そこに在り続けてくれるもの。あまりに遠かったが、それゆえに今を慰めるには十分だった】
【この例外の時が終われば、再び敵味方に戻るという未来にも。あまりに巨大な敵を前にした現在にも】
【関わることなく、過去はあり続けてくれる。それは、幸せなことなのかもしれない。あの星々が変わらないことと同じくらいに】


……ギアも公安三課も、登録するより前に曽根上の追跡に入ったようだから、詳しくはわからないが
恐らく、そうなるだろうな。何せ、彼奴等は管理するのが大好きだ。彼奴等に身分を晒すことは、愚策と言うほかない
どのみち、行って面白いところではないからな。そちらは、他に任せておくのがいいだろう

鵺と会ったのかね。船では挨拶もそこそこに、慌てて逃げ出したからあまり話せなかったのだが
元気そうで何よりだな。ギアと共にカミス・シティに潜り込んだのは、別の人間だがね。確か、初とかいったか

指輪を渡したなら、今回の件は伝わっているな。彼奴も、襲撃に参加するかもしれない

【語られるのは、鈴音自身の抱える空虚。そして、またもや奇妙な縁。存在しない鈴音と、公安の忍者との出会い】
【異形はそこにはいなかったが、それでも今双方と面識を持ち。こうして同じ敵に立ち向かう】


ふ、ふ。こんな会話が出来るのも我々くらいだろうな。死して屍を拾うことが、先につなげる必須条件だというのだから
ああ、十分に用心しよう。この図体なら、他よりは見つけやすいだろうが、それでも手間は手間だからな

【敵と味方でありながら、互いの重荷を今だけは分かち合う。彼女の覚悟を踏みにじったにしては、代償にもならない事実】
【彼女のからかうような言葉には、異形も笑って頷いて見せた。互いに同じ。面倒だから、という気持ちはなく】
【ただ、今だけは。心から相手の無事を祈る。いつか敵に戻る、その日まで】

【そうして、最後のひと時が。この二人がこうする、おそらくは最後のひと時が訪れる】
【番外編。最終回の後、たった一度の。「スピカだな。おとめ座で最も明るい星、女神が持った麦の穂の穂先だ」】

【「ひしゃくの形をした北斗七星の柄の部分から線を繋ぐと、春の大曲線が浮かび上がる」。そう蛇足も語って】
【おとめの握る麦の穂先。尖った先端。それは『黒幕』に向ける切っ先か、己を貫く諸刃の剣か】

【その答えは出ないまま。異形は、その最後のやり取りを終えれば。鈴音に「それでは、ごきげんよう」と別れの挨拶を告げて踵を返すことになるだろう】
【この夜空とは似ても似つかない、汚濁渦巻く地下の闇へと。己のなすべきをなすために】

【満天の星空は、それをただ見守っている。何も変わらず。キラキラと輝き続けて】

/こんなところでしょうか? 長時間のお付き合い、本当にありがとうございました!
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 02:19:14.62 ID:WAGMmfFY0
>>338
わっ、きたー!
……おお、見た目通りのもふもふ感!
そして意外と潰れにくい!

【駆け寄ってきたパティを何とか首だけをあげて迎える】
【向けられた背中を優しく優しく撫でれば、その触り心地に 少し顔に生気が戻ったか……口角も上がり、?もほんのり桃色に染まる】
【ムクが怪しんでいることなど全く感じ取れない彼女は気の済むまでその背中を撫でてやがて「ありがとー」とパティにお礼を言いって】
【そして剛太郎の話を聞けば納得したように喋り出す】

確かに剛太郎、とても強そうだもの!
私が襲ったところで秒で返り討ちね
護身……は、そうね、うーん、できないわ!
もしこんな何も持っていない私を倒そうなんて思う人がいたなら
それは素直に倒されてあげてもいいのだわ

【生に執着しないのか、それとも何も失うものはないのか】
【様同然のように彼女はそんなことを言えば自分の被っていた薔薇の飾りがついたヴェールをむんずと掴んで】
【すぽっ、と取ったかと思えばそれをそのままベッドの下に投げつける】
【腰まで長く伸ばされた髪は綺麗に切りそろえられているのだが、今は転がった後……だいぶボサボサになってしまっている】
【ライトの下で見ればその青味がかかった黒髪がよくわかる。なんだか夜の海みたいな不思議な色をしていた】

わーい、じゃあストレッチよろしく!
ずっと身体が痛いのは辛いものね

【やられるのは怖くないが痛いのは嫌らしい】
【大人しく剛太郎の言う通りに足を出すのだろう】
【ストレッチが始まればされるがままに伸ばされることになるが、痛みを感じればたぶん、剛太郎は彼女に怒られる事になるのだろうが……】

/了解です!明日お返事お待ちしております

342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/20(金) 02:44:51.81 ID:UbPLRLnn0
>>340

【――世界を救ったこと。それについて少女は自覚がない、あくまで、居合わせた……という思いが強いのだろう。相手の言葉に、はてと眼を細めたが】

……うん。だから、今度――エヌに会えたら、話すよ。そのこと……このこと。
エヌは、サンドイッチをね、知っていたけど――知らなかったの。お酒のこととかも、知らなくて。……そういう世界から、来たの。

ねえ、そんなところが、この世界の未来かもしれないなら……――、やっぱり、こんなの、

【彼はきっと何かを知っている。サンドイッチというものが現存しない世界、そんなの、"どうかしている"】
【"料理"は食事をするひとを喜ばすためのもの。それが他人だって、自分だって、おいしいものを食べて、嬉しくて、そうであるべきだ】
【だから――嫌だった。そんな風に、当たり前に思い浮かぶ食べ物が、消えてしまった世界。だって――エヌは、知っていた。エヌの世界にも、あったのだ、なのに、消されてしまった】
【――――それは、怖かった。負けられないと思う。そんなの絶対に許せないと思う。だけど――敵うのかな、って、どうしても、思ってしまいそうに、なって】

…………そう、だろうね、あの子は――、そういう子、なの、
いい子だけど――、ああ。ええと、ううん……悪口をしたいわけじゃ、ないんだけど、わたしも、昔、ちょっと――……、えっと。

……その、しばらくね、着信拒否、みたいに、してたから……。

【――ひどく言いづらそうだった。純粋すぎる――そのあまりに、あの幼子は、相手の気持ちを無視しがちだ。今は放っておいてと訴えても、それをしてくれない】
【この少女をしてこんな顔でこんなこと言わせるくらいには強烈らしい――と言っても。昔の少女を思い出したなら、なるほど、やりそう……ではあった。今はずいぶんと丸くなって】

――だけどね、今じゃ機関で一番有名だよ。多分だけど――、出世したの、だけどね……だから、ね。

黒幕のこと。円卓のこと。終わったら……、UNITED TRIGGER(わたしたち)があなたたちのこと、終わらせる。
どんなふうに考えるのか……知ってる。どんなふうに殺せば、死ぬのかも。……全部全部、何もかも、教えてくれたとは、思わないけど――。

――――覚悟をしていて。それまでね、生きてなくっちゃ嫌だよ。

【冗談めかした口ぶり。正体も何にも分からないロジェクトなんかより。結局会ったことない円卓の六罪王より。彼の方がよっぽど有名で、いろんなことをやった、と思う】
【これからのことじゃない。今は昔のことを考えているから、これでいい。今より昔に彼が何をしたかって。どれだけ悪いかって、考える話だから――だけど】
【いつまでも昔の話もしてられない。今があって、未来がある。未来が来た時に、きっと彼女は驚異になるだろう、なんせ、いろいろな話を聞かせてしまった。殺し方までも】
【だけどそれはこちらも同じ――だけどそれを役立てるためにも。約束を果たすためにも。生きていてと願うし、生きていると約束する――いつ死ぬかなんてわからない世界だけど】

【自分たち以外に、自分たちは殺せないと思う。――初見殺しと一緒だった、殺せば死ぬって思うような、常識にとらわれるひとたちになんて、負けない】

【――――目を細めて、彼を見上げる。いつかの木箱と同じだった、自分じゃあ持ち上げられないものでも、ひょいと持ち上げてしまう。それだって、現実は、あんまりに重たくて】
【ならば二人で半分こ。敵と味方でもどこか似通う二人なら、これくらいは、多分、許してもらえる。誰にか――は分からない、セリーナでさえ、これを判断してほしくはないように思えて】

【「スピカって名前、聞いたことあるよ」――「おとめ座の星なのはね、初めて知った」――「大曲線なんて、あるんだ」――「春の大三角形はどこ?」】
【――ひどく、穏やかな時間だった。漫画の単行本のおしまいに描かれたひどく穏やかな幕間みたい、本編が始まったら、また、全く世界になる。だからこそ、意味がある】
【どんな世界で生きるどんなひとだって。ふっと。お星さまの話をしたっていいだろう。本編でそれが許されないなら、幕間の数ページだって、それが許されないはずは、ない】
【蛇足にもう一つだけ質問を突っ込んで。それなら足どころか手まで付けたすみたい、とかげみたいな謎の生き物を作り上げて、――それも、教えてもらったなら、泡沫もはじける時間】

【――――ごきげんよう】
【鈴の声がささめいて――最後に一人。星空を見つめた。あれがスピカ。――次に星空を見上げた時も、それを思い出せるように。繰り返して、呟いて】

/おつかれさまでした!
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/20(金) 03:13:59.93 ID:ukKjA9GZ0
【路地裏】
【もう少しだけ早い時間なら、まだ辛うじて開いている店のあかりのおこぼれが届く程度】
【それくらいには、申し訳程度には明るいその場所も――今となっては真っ暗闇】
【そんな中、ぼうと光るヒトダマみたいな不自然な光があった】

(…………今、何月何日、何曜日? 何時?)
(そういうのもう、ぜんぜんわからなくなっちゃった……)
(……、……いつになるのかな、「アレ」。あーあ、あたし、何されるんだろう……)

【発光体の正体はスマートフォンのブルーライト。ならば、それの持ち主がいるはずで】
【それはひとりの少女だった。ぶかぶかの黒いパーカー、フードまできっちり被ったなら】
【ライトに照らされる顔の白さと、瞳の赤色だけがぼうと照らされて】
【あとは全部暗闇に融けて見えなくなっていた。側から見れば、ホラーじみた風景】

【――スマホの画面を見下ろす視線はひどく冷たく、無感情】
【操作する指先すらそんなに複雑な動きはしていない、せいぜい上から下へスワイプを繰り返すくらい】
【そんな感じで、つまらなさそうに画面を見続けて――――はあ、と溜息を吐いた】

…………お腹すいたし、寒っ……

【春はこんなに深くなったのに、夜はまだ少し冷える】
【そんな当たり前のことをようやく実感したのか、少女は自身の二の腕を掻き抱くようにして、握りしめ】
【――こつん、ずりり。歩き出す足音は硬質なもの、おそらくヒールによるものだが】
【聞いた感じ、細いヒールが立てるような鋭い音ではない。だとしたら、この音は――】


//眠れないので投下するだけするみたいなやつです、お昼頃からお返しできると思いますん
344 : ◆DqFTH.xnGs [saga]:2018/04/20(金) 12:12:14.57 ID:EzRMk7AhO
>>308
【Cc:M】
【送信者:ミラ・クラァケ】


曽根上殺しには乗るぜ。櫻の軍人さんも乗り気だ
奴さん、厳島っつったか。捕獲なんかじゃ生温いってやっと気付いてくれたぜ

喰い荒らすぞ、曽根上も黒幕も、全部


【──END──】


【TO:カニバディール】
【送信者:ミラ・クラァケ】

あんたからメールが来るってことは、指輪は受け取ったんだな、カニバディール
あたしはミラ。誰かから名前くらいは聞いてるか?
曽根上の件はメールの通りだ。でも別件で、あんたと話がある
その内会おうぜ。顔合わせも兼ねて、よぉ


【──END──】
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 13:20:14.69 ID:hiDob1EIo
>>343

>>343

【夜もすっかり深くなり、街灯以外の灯りはどこかに消えていた】
【月明かりがぼうっと表路地を照らしても、裏路地までは見えもしない】
【丑三つ時の時間帯、何が出てもおかしくないのだけど──着物を羽織った女が一人、路地を歩いていた】


【口元には薄い笑みを浮かべ、辺りを悠然と見回すかのように】
【着物の胸元ははだけて、腰まで伸びた漆色の髪はところどころハネていた】
【帯もどこか緩んでいるように見受けられ──清純な女性の着付けとは、大きく異なっていた】


「あらぁ、あの光は何かしら……?」


【ふと、鬼火のような──ぼうっとした何かが目に入った】
【確かに光を放っていたそれをじっと見れば、やはりそれは位置を変えずに】
【その正体を知るべく、ゆっくりと路地裏へと歩みを進めていく。かつ、かつと下駄が規則正しい音を刻んで】


【暫く経てば、光源の近くに人影がいることに気づく。それに可愛い声と足音も】
【その人物が立てる音は靴であろうが、何かノイズが混じっているようにも聞こえた】
【──“何か”が、擦れる音。その正体は分からないものの、決して靴の音である筈がない】


「そこにいるのはぁ……、一体だぁれ?」


【口許の歪みを緩めることもなく、闇の先にいる誰かに女は問う】
【その声は妖艶さを帯びていて──どこか春婦のような印象を、聞く者に抱かせるだろうが】
【聞こえた声からして少女というのは確かなのだろうけど、右手には白刀の柄を握って】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/20(金) 13:39:37.46 ID:ukKjA9GZ0
>>345

【足音が止んだ。引きずるような音も同時に】
【そうして立ち止まった人影の足元――暗闇に目が慣れてきたなら】
【いまどきの流行りとは言い難い、厚底の靴が目に入るだろう】
【おそらくは、これをずりずり地面に滑らせるようにして歩いていたのだ】

……あんたこそ誰。
まあ、こぉんな時間にこんな場所、うろついてるようなヤツがさあ、
マトモなやつなワケないのはわかってるけど――――

【そこから視線を上に辿れば、闇に融けるみたいな真黒い衣服が目に入って】
【さらに上を見れば――引き攣ったみたいな、ヘンな笑顔をうかべる】
【少女のかんばせが見えるだろう。光源、スマホはまだ手に取ったまま】

――まあそれはお互い様じゃん?
こんばんは、おじょーちゃん……そんなブッソーなもの握って、

――――ここで何するつもりだった?

【口元、非対称な形で歪に笑っているのに、目元はそうじゃない】
【やさぐれて、精一杯粋がってる量産型の不良みたいな表情】
【それを浮かべながら、刀を握った少女の真正面に立って――数歩分の距離を取る】
【決して友好的な距離ではない。むしろこれは、敵対を意味する程度の、間の取り方】
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 14:10:24.98 ID:hiDob1EIo
>>346

【ようやく暗闇にも目が慣れてきた頃、人影がぼんやりと浮かんできた】
【その人物の足元を見れば、厚底の靴が目に入る。なるほど、これを地面に滑らしていたのだろう】
【混じったノイズのような音の正体をつかめば、右手に掴んだ白刀を霧散させる】


「さぁ、誰でしょう?まともじゃないことだけは、確かだけど」


【嬉しそうに、くつくつと嗤う。誰でしょう──なんて、はぐらかすような発言をして】
【彼女が纏う衣服は夜闇に溶け込むようなそれで、目線を上げれば変な笑顔】
【随分笑顔が下手なようにも見える。笑ったことが、少ないのであろうか】


「何をやる気だったかってぇ……。暗闇の中に人がいれば、怪しみたくもなるでしょう?」


【口許を歪ませたまま、数歩の距離を取った彼女に歩み寄る】
【刀はその姿を眩ませていたし、右手には何も持っていない】
【しかし霧散する様子を見ていたのなら、それが再構築できるということも分かる筈で】


「そんな貴女は、何をしていたのかしらぁ?」


【蕩けるように甘く、ゆっくりとした口調で彼女に問うた】
【夜闇の中で、溶けこむような格好をした彼女。一体何をしているのか──、と】
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 14:24:16.27 ID:ukKjA9GZ0
>>347

あたし? あたしは……散歩してただけだよ。

【下手糞な言い訳。女の手元から獲物が消えても、まだ】
【警戒するような距離感は崩さない。表情もそのまま、いつでも牙を剥けるように】
【何をされてもいいように――表面的な準備だけは整えた】

……おねーさん、セクシーだネ。立ちんぼ?
でもこんなところで客引きしたって、ヒドい人しか捕まんないと思うよ、
だからフツーに表通りに行ったほうがいいと思うんだけど――

そーいうわけでもないんでしょ?

【「ただの娼婦なら、あんなブッソーなモノ、持っとく必要ないもん」】

【――表面的には整ったといえども、内面まではそうはいかなかったらしい】
【さっきまで寒いと思っていたはずなのに、いつの間にか額から一筋】
【汗が流れて――つう、と顎まで垂れ落ちてきていた】

【……少女の右手に、魔力のうずまき。臨戦態勢と言って差し支えない】
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 14:45:09.28 ID:hiDob1EIo
>>348

「へぇ、散歩してただけなんだ。こんな危険な場所を、わざわざ選ぶんだねぇ」


【散歩をするだけなら、表路地のほうが遥かに安全だろう】
【それでも、彼女は裏路地を選んだ。一体何故なのだろうか?】
【裏路地を生き残るだけの実力があるのか、それとも表路地を歩けない理由があるのか──】


「もう今日の営業はおしまいよぉ?私の仕事でも丑三つ時まではかからないし」
「そう思うかしら。人を殺したりなんかしないわよぉ、だって──」


【「──“ただの娼婦”だもの、ねぇ」】

【確かに、先ほどまで持っていた得物が悪いようにとられても仕方がない】
【しかし彼女を殺す気は一切なく、魔力の渦を感じ取っても笑みを崩さない】
【人間離れしたその感覚が、彼女に別の印象を抱かせてしまっているのかもしれないけど】


「そういえばさっきの声、聞いてたわよぉ。お腹すいてるんじゃないの?」


【暗闇から聞こえた声は、空腹を訴えるような内容だった気がして】
【彼女が幾ら怪しんでいるとしても、此方からは確かな“善意”である】
【お腹を空かせているのなら、どこか小料理屋にでも連れて行ってあげようと】
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 14:56:52.02 ID:ukKjA9GZ0
>>349

……あたし悪い子だからネ、表の道は歩けないの。

【――準備は完璧に、整った。あとは「喚ぶ」だけで、この手に獲物を取れる】
【大丈夫、もう怖くない。そう言い聞かせるように、長めの間隔で瞬いて】
【もう一度靴底がざりりと地面を擦る。駆け出すにしても、踵を返すにしても】
【どちらだってすぐ出来る――だから怖くない、そう心中で唱え続けた】

【――――――けれど、】

……、……、えっ、え?
さっきのって……あぁ、……おなか?
まあそりゃ、空いてるけど――こんな時間じゃもうどっこも、

【「閉まってると思うんだけど」――そこまで言って、はっと息を呑む】
【想定外の言葉を掛けられたから。油断した、気を抜いた】
【規則正しく渦巻いていた魔力が、変な形にぐにゃりと歪む】
【……きれいに整えた準備が、台無しになった瞬間だった】

【――――しまったこれが目的だな!? みたいな、勘違いを、している。】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 15:06:40.10 ID:hiDob1EIo
>>350

【彼女が動揺すると共に規則正しかった魔力の渦が、崩れてしまった】
【その様子を一通り見終えてから、女は彼女に向けて笑顔を作る】
【慌てた挙動が面白かったのか、またはそんな少女に可愛げを感じたのか──】


「そんなに慌てるって事は、お腹が空いてるのは本当みたいねぇ」
「開いてるお店、知ってるわよぉ?貴女が良ければ連れて行ってあげるわ」


【──女も裏社会の人間だ、この時間帯から開いている店の一つや二つ位知っている】
【お腹を空かせている少女をそのままにするのも可哀想だし、何か食べさせてあげたいと】
【帯の辺りから携帯電話を取り出せば、どこかに通話を始める──】


「もしもしぃ?今開いてるかしら、二階の特等個室を一つお願いするわ」


【一言二言返事があった後、女は通話を切る】
【少女の方に向き直ると、また携帯電話を帯に仕舞い込んで】


「それじゃ、行きましょう?席は取れたし、“綺麗じゃない”人間が多いから理解はあるわよぉ」


【言葉を掛け終えれば、裏路地の奥の方へと進んでいくことだろう】
【その際に彼女の脇を抜けるだろうが、何の手出しもする様子は見受けられない】
【それどころか、後ろを振り返ってから「どうする」なんて尋ねたりもして──】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 15:21:57.61 ID:ukKjA9GZ0
>>351

【(特等個室、って聞こえた。じゃあこの女、めっちゃ金持ちなのでは?)】
【……そういう部分だけ頭の回転がやたらいい。わかりやすく、現金主義】

【いちどバラバラにぶちまけてしまった魔力をまた綺麗に編み直す元気が、あんまりない】
【空腹とか寝不足とか疲れとかそういうもののせい。だからといって警戒は、解けないけれど】

……おねーさん、何者?

【きれいじゃない人間。きっと「ただの娼婦」だってその内には含まれない、かもしれない】
【だとしたら本当に――簡単に個室まで押さえてしまったこの女は一体、なんなんだって】
【そういう疑念を抱くのに苦労はかからない。眉間に皺を寄せて、訝しげな顔をして】

【横を通り抜けられる瞬間、少しだけいい匂いがした――と、思ったのも束の間】
【ぽうと頭を緩ませる芳香、はっと我に返った瞬間にはもう、女は自身の後ろに立っていて】
【……ますます眉間の皺を強くした。掌でころころ、遊ばれている感覚ばっかり覚える】
【踵を返す。ただし今度は、靴音は立てない】

……いいけど、ちょっとでも変な道に入ったら――後ろからバーン、だよ。

【女が進んでいくなら、そんな文句を言いつつも、ついていくのだ】
【ただし隣には立たない。数歩分の距離を置いて、後ろを歩いていく――】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 15:39:31.39 ID:hiDob1EIo
>>352


「貴女の言う通りただの娼婦よぉ?お偉い方専門の、だけどねぇ」


【ころころと笑顔を見せる辺り、本当のことを言っているのだろう】
【お偉い方専門だからこそ、金の稼ぎも良い。身体を売ることに罪の意識もなく】
【普段からまぐわう前の食事場として、そこを使っているというだけ。故に予約も簡単に取れる訳で】


【着物と、肌から漂う柔らかな匂い。思考を霞ませるそれは彼女の鼻腔を擽って行き】
【数度彼女のことを呼べば、眉間に皺を寄せていたものの反応してくれた】
【いいけど、と言われれば表情も明るいものになり歩みを進めていく】


「変な道、ってここらへんの道に明るいのかしらぁ?それなりに変なルートよぉ」


【右に曲がり、その次も右。その次の路地は曲がらずに、次の路地を左へ──】
【どんどん路地の奥深くに入り込んでいき、今どこにいるのかすらわからないほど】
【しかし歩き慣れている女は、彼女の懐疑心など気にすることもなく歩いて行く】
【──三大欲求である食欲を満たせるというのだから、下手に彼女も襲ってこないだろうと】


【暫く歩けば、僅かな灯りが路地に零れているのが見えてくる】
【軒先にいくつかの提灯が下げられた、二階建ての小料理屋】
【玄関には黒いスーツを着込んだ男が二人、入り口を挟むように立っていた】
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 15:49:39.82 ID:ukKjA9GZ0
>>353

高級娼婦、ってヤツ? そんな人がまあなんでこんなとこに――

【相変わらず行儀のよろしくない口は減ることなく、ぶちぶち】
【不満げにとんがりながら文句を垂れ流して――それでもきちんとついていく】

【「最近ここらへんずっとうろついてるもん、あんたより全然詳しいし――」】
【……などと言いつつも、迷路みたいな道筋を進んでいくうち、あれ? あれ? みたいな】
【困ったような焦ったような顔になっていく。後ろからバーン、するのも忘れてしまったのか】
【とにかく、本当にこっちであってるの……? みたいな様子で、進んでいけば】


――――ひぇ、……あの、アレ、立ってるオッサン、
ぜったいアレカタギじゃないでしょ……ほ、ほんとにココ?
……や、やっぱあたしのこと騙した!?

【――着くなりめちゃくちゃ騒々しい。数歩後ろでわあわあ喚いて】
【なのに、なんだかんだで逃げなかったし女を襲ったりもしなかったのは】
【本当におなかが空いていたからだろう。本当にわかりやすい、現金主義】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 16:03:03.17 ID:hiDob1EIo
>>354

「帰り道よぉ、貴女がつけてた携帯電話が鬼火みたいに見えたから近寄ってみただけ」


【行儀の良くない文句にも、女は柔らかな口調で対応する】
【娼婦をする上で身につけた、社交センスというものなのだろう】

【彼女が時々上げる声に、女はくつくつと嗤っていた】
【自身を大きく見せようとするその姿が、とても可愛らしく見えたのだろう】
【「大丈夫だから、付いてきてねぇ」と言って、進んでいけば──】


「ええ、此処よぉ?ちゃんと小料理屋「瑠璃」って書いてあるでしょ」


【店先に垂らされた藍の幕には、確かに小料理屋だと】
【黒服達は騒々しい少女に睨みを効かせるが、女の姿に気づくとぽかんとした表情を浮かべて】
【「い、いらっしゃいませ」と、動揺した声を上げて店内へと案内する】

【二階の奥にたどり着けば、広々とした個室があるだろう】
【壁面に掛け軸が垂らされ、松の盆栽も部屋の奥に一つ置かれている】
【掘りごたつのようになっている席に座るよう、少女に勧めて】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 16:18:54.75 ID:ukKjA9GZ0
>>355

【見るからにヤバそうな男たちに睨まれて、一瞬縮み上がったが】
【その男たちが女にビビっている様を見て、「えぇ……」みたいな、声を上げる】
【虎の威を借る狐、めいてふんぞり返るまでには強気になれなかったけど】
【とりあえずは女の後ろについて行けば安全なのだと理解して、おそるおそるついて行く】

【掘りごたつ。見るなり、ちょっとだけ安心したような顔――正座は苦手なのだ】

……さ、先に言っとくけど、おごられるつもりしかないからネ?
あとから支払え、お金がなかったらカラダで……みたいなヤツだったら、
即バーンして逃げるから。わかった?

【座ってもまだ、少し落ち着かない様子。高級店の特等席なんかもちろん初めて来たから】
【メニューがあったとして、それを見たところで――何がどうなっている料理なのか、わかりもしない】
【だからきっと、ほとんどの注文を女に任せるだろう。辛うじてわかるのは飲み物くらい】

【向かい合って座っていると、いやでも視線が合うから――合うたび、気まずくなって逸らして】
【それの繰り返し。無言。……落ち着かなさげに脚を組んで、組み替えたりして、時間を稼いでいた】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 16:37:49.20 ID:hiDob1EIo
>>359

「分かってるわよぉ、此処に連れてきたのは私なんだから」
「貴女みたいな可愛い女の子に、身体で払わせるわけないじゃないの」


【くつくつと嗤いながら、彼女の言葉に応じる】
【バーンという語感が気に入ったのか、脳内で幾度か反芻して】
【口許に笑みを作れば、黒服を呼んで適当に注文だけしておいた】


「──そんなに視線を逸らさなくてもいいのよぉ?」
「そういえば貴女、なんで路地裏をずっとうろついてたのかしらぁ?」


【目が合う度に彼女が目線をそらすから、ちょっとだけ不満そうに】
【そして彼女の言葉を思い出して、一つだけ彼女に質問をしてみる】
【何故、路地裏をずっとうろついていたのだろうか。その理由だけは、知りたくて──】
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 16:53:45.23 ID:ukKjA9GZ0
>>357

……家出中。

【なんであそこに居たの、と訊かれて、とっさに出た答えがそれだった】
【間違ってはいないんだけど、――その実そんなに簡単な理由でもなくて】

【そういえばさっき、この少女は「悪い子だから表には出られない」と言っていた】
【そこらへんから考えれば、ロクな「家」に住んではいないのだろうということが、なんとなくわかるだろうか】

【不満げに声を掛けられれば、ばつの悪そうに視線を戻して――テーブルに落とす】

……おねーさんはさ、エラい人相手に……そーいうことする仕事してるんでしょ?
最近どうなの、景気いい? ヘンな法案? 通ってから色んなとこが騒々しいじゃん、
そーいうののせいで「お客さん」たち、キゲン悪くなったりしてない?

【居心地が悪くなって、適当な話題を引っ張り出す。なんとなく思い出したのは】
【自身の主が、「あれのせいで御偉い様方がピリピリして、僕まで忙しくなった!」と】
【苛々しながら言っている光景だった。……そのせいで、八つ当たりばっかりかまされるから】
【こっちからしたって愉快な話ではない。なら、「客層」が被っていそうな女もそうなんじゃないかって】
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 17:06:18.87 ID:hiDob1EIo
>>358

「家出中ねぇ……。ご家族と仲は悪いのかしらぁ?」


【彼女は家出中だと答えて、女は家族との仲が悪いのか聞いた】
【「悪い子だから表には出られない」──と彼女は言っていたが、もしかしたら】
【碌な家に住んでいないのかもしれないと、声には出さずに考えて】


「そうねぇ、まぐわう時はそんなこと気にしないわ」
「でもお食事中に色々な愚痴を吐くお客様は多くなったわねぇ」
「私自身、あの法案には賛成なのよぉ?能力が統制されれば、無法を働く人間も減るでしょうし」


【食事中にいろんな愚痴を吐く人間は増えたと、そう感じていた】
【防衛関連の職業に就いている人物は特に。能力者を派遣することもできないと嘆いていたか】
【そして、女は魔防法に賛成であると述べた。不法を働く人間も減る、と】


「以前“特区”が襲撃されたでしょう?あれでお客様が一人亡くなってるのよぉ」


【とんだ迷惑だわぁ、と少し鬱憤を込めて言う】
【あの事件から能力者排斥の運動はより過激になり、普通の生活を送っている身にも被害が及びかねない】
【幸い一般人の前で出す能力でもないために、排斥されてはないけれども──】
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 17:21:25.10 ID:ukKjA9GZ0
>>359

……良かったら家出なんかしないでしょ、サイアクだよ。
ヤなことしてくるし言ってくるしなんにもいいことない……帰りたくない。

【そう言って頬杖をついて視線を下げて、あからさまに嫌そうな顔】
【それでも帰るつもりはあるらしい、あるいは帰らないといけない事情でもあるのか】
【とにかく憂鬱そうな表情をして、溜息をついた頃――前菜でもやってくる頃合いだろうか】

【並べられていく皿をじいっと見て、黙り込んで――いたけど、ふっと顔を上げて】

……え、え? 賛成なの?
でもおねーさんだって刀? みたいなの持ってたじゃん、あれ使えなくなるんだよ?
それでいいの……、……いいのかな、あれ……?

【おそらく能力者であろうに、なんで賛成なんかするの、と】
【疑問に思ったけど――客がひとり減ったというなら、ああそうか、と思い直して】
【また視線を下げる。この女の言うことも、きっと間違いではないんだろうなと思った、けど】


【――――脳裏によぎる人がひとりいた。法の成立を阻止しようとする、人でなし】
【そういや連絡するって言って、まだしてなかった。……あの「お化け」は、まだいろいろ頑張ってるだろうかって】
【ぼんやり考えながら、箸を手に取った。上の空で一口目を摘まむ、サラダのトマト。……少女の瞳と同じ色】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 17:53:32.25 ID:hiDob1EIo
>>360

「そうなのねぇ……。ならぁ、私の家に泊まって行きなさいよ」
「身奇麗にしとかないと、せっかくの可愛さが台無しじゃない?」


【頬杖をついて視線を下げる。あからさまに嫌そうな顔で】
【暫く路地裏生活を続けていたなら、服も洗濯できないしシャワーも綺麗な水を使えないはず】
【今晩だけでもと、彼女に提案してみる。せっかくの可愛さも、身奇麗にしないと台無しだと思って】


「──私の本業、何か分かってると思うわぁ」
「貴女の言っていた通り、娼婦なのよぉ。能力が無くたって、稼いでいけるわぁ」
「思い出せないけど、前までは能力を使って何かしてた気がするのよねぇ……」


【能力者であるのに賛成する理由は、それを使う必要がないから】
【大切な客の一人を失い、能力者に対する迫害がいつ来るか分からない為に。あの法案は早く可決されて欲しいのだ】
【しかし、右手を顎にあてがって首を傾げる。前までは、能力を使って何かをしていたような──】

【声の後に障子が開くと、数種類の前菜が卓の上に出される】
【冷奴サラダやちょっとした刺し身の盛り合わせなど、見た目の豪華なものが出てきて】
【無論味も一品級だ。サラダのトマトを食べる彼女が、何か考え事をしているのが気になったが──】
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 18:13:06.18 ID:ukKjA9GZ0
>>361

……じゃあ、一晩だけ泊まらせて。
シャワーできないのはまあ、あたしもヤだなって思ってたし……

【それ以上は居つく気がないらしい。あるいは、ずっとそうしていることが出来ないのか】
【それはまだわからないことだけど――とりあえず、好意は受け取ることにしたらしい】
【表情は相変わらず浮かないものだった。いずれ帰らねばならない「家」が、そんなに嫌か】

思い出せない、って……なにそれ?
記憶喪失? どういうこと? なんかあったの……?

【のろのろ動いていた箸がふと止まる。怪訝そうな顔をして】
【女の不自然な言動がひどく気になったらしい。何かをしていたような、というなら】
【おぼろげに「何か」を覚えているはずだ。それがなぜ、掻き消されてしまったというのか】

 【――――重ねて思い出す、「お化け」の言っていた言葉】
 【……いやあれは、「能力」を消す輩がいるのだと言っていたはずだ】
 【「記憶」を消すのとはまた違う、……かもしれない。噛み合いそうで合わないパズル、もどかしい】

【気を取り直して箸の動きを再開させる。お刺身に先端を向けて――真っ白い身。――いか】
【おいしいけど――なんか違うな、みたいな。謎の違和感を覚えて、首を傾げた】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 18:42:25.70 ID:hiDob1EIo
>>362

「分かったわぁ。それじゃ、お食事を食べたら私の家にいくわよぉ」


【彼女が一泊するのを望んだのなら、それを当然のように受け入れる】
【シャワーができないのは嫌だろう、身体も嫌な感覚になるし体臭もきつくなる】
【ましてや多感な時期なのだから、致し方ないところはあるのだろうが──】


「思い出せないのよねぇ、私が何やってたのかぁ……」
「最後に見たのは『祠』だったと思うわぁ、でもどこの祠だったかしらぁ」


【最初の記憶は、祠に一人で倒れていたところのもの】
【おぼろげな何か、以前の“自分”に関する情報はそれしかなかった】
【あまりにも脆すぎて、参考にならない記憶。湧き上がったもやもやが気になってしまう】


「まぁ、今日のところは食事を楽しむわぁ。ほらぁ、頼んだものが来たわよぉ?」


【お盆の上に食事を載せた給仕が、障子を開けて入ってくる】
【彼女の席には親子丼を、此方にはうどん膳を置いて下がっていった】
【ふんわりとした卵の匂いが空腹を誘う、色味の良い親子丼だった】


「それじゃ、頂きまぁす」


【うどんを静かに一啜りして、もちもちとした弾力を感じながら食す】
【出汁の風味もよく、鰹節をベースとした旨味が広がっていく】
【口許を緩ませながら、静かに食事を進めていっていた】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 18:56:59.75 ID:ukKjA9GZ0
>>363

……ほこら? マジでなにそれ、……神隠し的な?

【ふと思い浮かんだのは櫻の国の伝承、神様が気に入った人間を連れ去ってしまうという】
【そういうヤツ。テレビかなにかで聞いたことがあるだけの、しかもたぶんフィクション】
【考えたってなんにもならないくらい、もやもや。――――】
【まあそれは置いておこうと言われれば、それに賛同してしまうくらいにはどうしようもない話だった】

【親子丼、卵を箸先でつっつく。半熟の黄色がつやつや、ぷるんと揺れたなら】
【少女の目もいくらか輝いたようだった、何せ最近コンビニ飯ばっかりで舌が貧しくなっている】
【いきなりこんないいモノ食べて、逆に舌がバカにならないだろうかと。逆に心配しながら食べ始め】

……あった、かい、なあ……

【卵も肉もお米も。噛み締めれば噛み締めるほど、味より先に温度が舌に乗る】
【こうやって誰かと一緒にご飯を食べるの、いつぶりだったろうと、ふと考えて】

 【――ファミレスの――おしゃれなカフェの――チェーン店の喫茶店の――】
 【 ――――――――――「家」で食べる、ふつうの――――――――― 】

【――――無意識に、ぽろ、と。一粒涙が零れ落ちた】
【すぐに袖口で拭き取ってしまったけど、見られてしまっただろうか】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/20(金) 19:10:00.51 ID:hiDob1EIo
>>364

「そうそう、そんな感じのやつよぉ……」


【祠は神隠しの伝承でよく知られているであろう】
【それ以外にも様々な目的、用途で建てられたものもあるはずであり】
【しかし自らを変えた“モノ”の正体を、掴むことは現時点で無理な話だった】


「久々に温かいもの食べたのねぇ、気に入ってもらって良かったわぁ」


【「あったかいなあ」──言葉に詰まりながらも、彼女はその言葉を紡いだ】
【ひと粒だけ涙が落ちたのは、見えていた。しかしそれを口に出しはしない】
【「家」では、こんな食事を取っていなかったのだろう。そんな彼女の様子を優しく見守って】


【──しばらくすれば、両者とも完食するであろう】
【女にとっては少女と共にした夕食として、少女にとっては久々の温かい食事として】
【互いに記憶に残ったであろうが──果たして彼女はどうであろうか】
366 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/20(金) 19:12:31.74 ID:9rL0WGDU0
>>329

制御の仕方に気付けば、ずっとあのままって事はないでしょうけどねぇ。ま、当人がどうやって受け入れるかですよありゃ
レイリスフィールド辺りに泣きつけば、何とかはなるかもしれませんけどね。本人がそれに気づくかどうか……
……あ、ダメか。確かあそこ、魔能制限法関連で逮捕者も出てましたねぇ。んなとこに、魔能制限法のタカ派の賛成派が泣きつくなんて、プライドが邪魔するって奴ですねぇ

【突然能力に目覚めて、そして本人がそれに対してネガティブな感情を抱いているなら、相当生活に苦労する事になる】
【嘘か誠か、異能を消し去る研究なんてのに手を染めてる、なんて噂の立っていた、レイリスフィールド大学なら、あるいはあの男性の『治療』もできるかもしれないが】
【当人にその気がなければ、噂の真偽以前の問題だ。結局、彼は強硬意見を口にしていたが故に、墓穴を掘る事になったのだ】

(――――ま、正直。そんな大学の学者が、魔能制限法に反対してテロ準備なんて、臭い臭いとしか言い様が無いんですけどねぇ……
 煙たがられてたのを、これを機に消されたのか。あるいは魔能制限法の賛成派にとって、本気で不都合な人間だったのか……)

【――――胸中、イーレイはおくびに出さず、レイリスフィールド大学のとあるニュースを思い出していたが、それは今は関係ない事なのだろう――――】

【済ました態度で咳払い。どうやらマリーも流石に一言言い返したくなってきたか】
【少しやり過ぎたかと、イーレイは軽く肩をすくめて見せる。この辺が揶揄いのボーダーラインだろう。微笑みも自然と薄まって】

――――ま、それが分かりやすいって事でしょ。異能を完全に排斥すれば、大多数は安心してられるってねぇ
自分達が血塗れになるのは御免被るってのに、自分たちの手が血で汚れるのは構わないってんですから、安直な答えに飛びつくってのは、本当にアホウのやる事ですよ、えぇ

【能力を使って、他人の命や財産を侵害する人間が、能力者の中の多数派と思われても困るのだが――――イーレイは、重ねて溜息を吐いた】
【今はまだ、魔能制限法は特区の指定に留まっている。だが、それで済ませる気が無いのは、法の趣旨からも、世論の過熱ぶりからも明らかな事で】
【行き着く先は、異能の完全排除だ――――そうやって排除される中に、どれくらいの無辜がいるのか――――彼らは考えもしない】
【通常裁判の冤罪などには敏感な世間が、こと異能に関しては頭が回らないと言うのは、ハッキリと言ってしまえば異能差別だ】
【――――そうなったら、もう言う事はないと、イーレイは掌をヒラヒラさせる。その手がチリチリと電気を纏っていた】

――――へぇ、今週から……! って事は、ある程度アテがあるって事ですね? そりゃまた何とも……
ま、小規模だからこそできる、フットワークの軽さって奴なんでしょうねぇ。
――――どんな名前で、どう打ち出していくか。もう決めてあるんですかね?

【意外に具体的に話は詰められていたらしい。それにはイーレイも驚いた。どうやら始動はすぐにも出来るらしく】
【思わず、本当に個人的興味から、イーレイはその名前を聞いてみる。どんな旗を立てるつもりなのか――――】

あぁ、そうですね。すみませんが、お支払いは任せましたよ? ご馳走になりますからね

【ブラッドオレンジジュースも飲み干した。イーレイはそのまま席を立つ。元々手荷物も無かったのだから、此方は身軽な物だった】
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/20(金) 19:19:36.42 ID:ukKjA9GZ0
>>365

……うん、久しぶりにこんな美味しいもの、食べた。

【かつ、かつ、箸の先が丼の底を叩く音が聞こえ始める。もうそろそろ食べ終わる】
【もうそれ以上涙は流さなかったけれど、返答は深く、噛み締めるように】
【肯定した。否定する要素がどこにもなかった。そうして、全部片づけてごちそうさま】

【そこまでして温めてもらったのに、口数の少なさは、戻らない】
【まだ警戒が解けない――というよりは、この女と別れた先に待つ未来を想像して】
【憂鬱になるのが抑えきれないというのがあった。……それすら、口には出さないだろうけど】

――――ありがとうネ、おねーさん。……そういえば名前、聞いてなかった。

【してくれたことに対する感謝だけは、とりあえず忘れない】
【それとあと、相手の名を知ろうとするのも。その程度には、緊張が解けているようだった】
【ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ――ようやく笑って見せてから、また女のあとをついて行くだろう】
【一晩だけの気休め、仮の宿。そこへ連れて行ってもらうため】
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/20(金) 22:32:41.64 ID:UbPLRLnn0
【街中――児童公園】
【すでに人気は絶えて久しい時間、今日び珍しいぐるぐる回るジャングルジムみたいな遊具に、なだらかな丘のような滑り台】
【ぎしぎし言って今にも引きちぎれそうなブランコに、大人どころかちょっと背の高い子供でも足の着くような、やる気のない雲梯】

――――へびさま?

【――鈴の音がした。厳密にいえば鈴の音によく似た、金属質の声。嬉し気に弾む声が夜の公園に響いたなら……よく目立って】
【見ればぐるぐる回るジャングルジムみたいな遊具――回転ジャングル――のてっぺん、ちょんと腰かける人影が一つあった、街灯に照らされたシルエットにも、くっきり映し出され】
【どうやら電話でもしているらしいのだ。声音はひどく弾んだ嬉しそうなもの、聞き耳を立てたとしても、大した話はしていない。元気かって、大丈夫かって、そういう――】

【――――肩を撫でる長さの黒髪。大して肌は透き通るように白いのが目立って、生ぬるい空気の中に、人影――"少女"の声が、よく目立つ】
【あどけなさを残す顔に、華奢なシルエット。遠目で見たとしても少女だと判断は付くだろう、あまり特別には安全でない場所、当たり前に上手に腰かけて】
【黒色のパーカーにひざ丈の赤いミニスカート。くしゃっとしたパニエが裾からあふれて、ジャングルジムの細くて不愛想な骨組みを埋めこむ、――体重を掛ければ古さが軋んで】
【丈の長い靴下に、どうでもいいようなスニーカー。足の裏側で上手に骨組みを捕まえて――だけど意識は電話に向きっぱなしで。――「無視していてごめんね」】

……うん。今日はね。ちゃんとね、帰るよ――、あとでね。

【少しの間、彼女はそうして誰かと話していた。――やがて会話も終わったらしい、そっと携帯の端末を耳元から離す、それで、ポケットの中にしまい込んで】
【安堵したような、嬉しいような、そういう、複雑だけれど穏やかな表情。浮かべた少女は、それで黙って、公園の中へ視線を巡らす】

【――電話の間に誰かが来ていても、きっと気づかないだろう。よっぽど話しかけたり、何かあれば、それは話は別で。彼女は途中で会話を切り上げて"誰か"を見るのだろうけど】
【そうでなければ――電話が終わってから、初めて誰かに気づくはずだった。地べたの人間と比べればきっと頭いくつどころじゃなく高いところに座って、座ったまま】
【そんな場所に居るのもあってか、もしかしたら相手よりも先に少女の方が気づくことさえ、あるかもしれないけれど――とにかく】

【静かな夜だった。そんな夜の中、少女の鈴の音みたいな声は、よく目立って。ざああと夜の風が鳴いたって、その嬉しそうな声は、きっと、公園の外くらいまでは、聞こえていた】
369 : ◆DqFTH.xnGs [saga]:2018/04/20(金) 22:56:57.48 ID:EzRMk7AhO
【夜。道を歩く。今の姿は誰のものだっただろうか。お気に入りの映画の、イカしたセリフを言うモブだったか】
【それとも昼間にすれ違った誰かだっただろうか────まぁそんなことはどうでもいい】
【手慣れた仕草で携帯のメール画面を起動する。薬指にはめた指輪が、僅かに赤く灯る】


『よ、ミラだ。今んとこ元気やってるぜ』
『色々メールで送りはしたけど、中間報告』
『まず、リスト探しに使ってたガワの御船本人が多分死んだ。行方不明だそうだ』
『今度からはカチューシャのガワでも被るわ。婦警はちょっと、ムカつきすぎて再現出来なさそうだしな』

『んで、肝心のリストについては微妙な感じだ。カニバディールがなんか知ってるってロッソが言ってて』
『後はそうだな、軍人の厳島がなんか知ってそうだった』
『リストの名前あげたら、面白いくらいに表情なくなりやがってよ』
『カジノでの仕事がちょっとは役に立ったわ。卓についてる連中の方はマジで何考えてんのか分かんねぇからよぉ』
『流石にその場で締め上げるわけにもいかなかったし、今は味方だからそのままにしといた』

『あたし的にはこんなとっかな。また連絡する』
『P.S. お仕事頑張ってねダーリンとでも言っときゃいいか?ぎゃは、ウケるわ。んじゃまたな』


【送信────宛先はジルベール・デュボン】
【端末をポケットにしまい込む。さて、お次はどこに行こうか】
【どこへだっていい。人がいさえすれば、それが自分の隠れ蓑になるのだから】


/いつものメール的サムシングです
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/20(金) 23:51:16.88 ID:xO8Ydapgo
>>341

【背中を撫で続けていると、犬は丸まってふー、と心地よさそうなため息をつきながら丸まり始めるだろう】
【優しくなでていればとてもおとなしく、落ち着いた姿勢で撫でられ続けている、だがそんな犬の様子を通しながらも、ムクは訝しんでいた】


『(護身ができないから……素直に倒されてあげてもいい、じゃとぉ……?)』

『(怪しい。あきらかにこの小娘、怪しすぎる……そもそも今コイツは大変な悪人でワシらを襲うかもと冗談を言ったが……
こやつの方はワシらが怪しいとは思わんのか……?こっちのアホガキはマジのお人よしじゃが、お前さんは夜道でうずくまる女子に目をつける悪漢ではないのかと
ちったぁ警戒してもいいんとちがうか?あまりにも、自分を省みなさすぎる……何者じゃぁ?この小娘……)』


【クローディアの人物像にどこか違和感を覚えるムクは彼女の横で警戒を始める一方、剛太郎の方は落ち着いたもので】
【取り外したヴェールと目で追うと、おお、と声を上げ】


そんな所にほっぽり出してるとなくしちまうぞ。後で髪もとかしてやるよ、ずいぶんきれいな髪してるしな
青っぽいのか、黒髪なのかあやふやな感じだけどな……んじゃあ始めるか

まずは足の筋肉に一度ぐ、と力を入れるんだ。力いっぱい力んでみろ、ぐーっとな
で、大きく息を吐きながらゆっくりと力を抜くんだ。でもう一回深く息を吸って……ようし吐くんだ、そして同時に伸ばしていくぞー


【剛太郎が律儀なインストラクションを挟みながら、クローディアに指示を行うと】
【彼女がもう一度息を大きく吐くと同時に、彼女のつまさきをゆっくりと脛の方向に押し込み、ふくらはぎの筋肉を伸ばし始めるだろう】

/大変遅れましたが、今お返事かえさせていただきました!
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 00:04:34.26 ID:cpiHKIT/0
>>370
【ムクの心配をよそに、クローディアは剛太郎に言われたように深く息を吸って】
【ずっと歩き続けた足にストレッチは気持ち良さだけではなく、痛みも与えるのだがそのたびにクローディアが「ひぃーっ」とか「ピィィイ」とか情けない声を出すのだった】
【ちょっと溢れてきた涙をゴシゴシと雑に指でこすりながら】

い、痛くて足が曲がりそうよ。これはそれくらい足が、足が……
足が疲れてるってこと……やー!!だー!!

【たまに暴れかける時もあったが、剛太郎の力の前では全く歯がたたない】
【】
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/21(土) 00:06:06.48 ID:cpiHKIT/0
>>371
/分割します、すみません
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/21(土) 00:07:22.23 ID:wOXnfVnM0
「文面どうしよう、研究所トップを務めておきながらビジネスメールなんてやったことないよ。やってたとしても……書き方忘れたね」
「あの研究所、小規模なのもあるし元々孤島で引きこもってるし、ビジネス的な態度で接する相手もいなかったからなあ。みんなゆるゆる」
「……いつも通りで良いかな。下手に作ると逆に色々不自然になりそう。名義は、まあレオーテヴュートで……」

【From:レオーテヴュート】【To:Mチーム】

【タイトル:カニバディールへの返事】

【本文:

まずは久しぶり、カニバディール。ユウト・セヴォラインディって言えばわかるかな。

敵への反撃と婦警抹殺について把握。僕も協力しよう。向かってくる相手は全員殺せば良い、でいいよね。
指輪を普段着けていない邪禍には後で転送する。どうせ意見が割れて揉めるから。

もし追加戦力が必要なら、魔導海軍か邪禍に頼んでみて。

P.S.
邪禍の手により指輪マイナス2個。この調子で無くなったらゴメン。
(添付画像:例の指輪だったと思われるモノが両手になっている、クリオネ的な姿の羽を生やした生物)




【――その数時間後、二通目のメールが送信される】


【From:邪禍】【To:Mチーム】

【タイトル:Re:カニバディールへの返事】

【本文:

邪禍だ。

>カニバディール
指輪を手に入れられたようだな。俺様はこのチームに協力することとなった。
あくまでもチームの一員ではなく協力者だ。覚えておけ。

>作戦
抹殺に落ち着いたか。問題ない。もし能力抹消以外に使える技がわかったならば後で教えろ。
同時に、黒幕側が狙う存在を奴らに奪われないよう動こう。俺様はどうでも良いが、お前らとしては、脅迫の材料は増やさせたくないだろう。
レオーテヴュートも書いていたが、頭数や戦力を更に揃えたいならば俺様が貸す。
料金は後払いで良い。必要ならば支配権も一時的に移してやる。

他に何かあったら連絡をよこせ。

以上。

374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 00:09:06.83 ID:DiB0Lh02o
>>367

「ふふっ、なら良かったわぁ。人と一緒に食べるご飯は、美味しいものねぇ」


【箸の先が丼の底を叩く音が聞こえ始めれば、給仕を呼びつける】
【彼女に優しそうな笑みを向ければ、給仕にツケで払うように言ってから】
【──帰り支度を始める。今日は彼女も来るのだから、迎えるための支度もしなければならない】


「私の名前ねぇ……。柘榴とでも呼んで欲しいなぁ」


【店を出た後の帰り道、不意に彼女に名前を聞かれて】
【本名を失った女にとって、自らのことを称する名前は花魁としてのそれしかなかった】
【故に、彼女に柘榴と名乗って。また裏路地へと入っていけば、複雑なルートを取る】


「そういえば、貴女の名前は聞いてなかったわねぇ。なんて言う名前なのぉ?」


【女の自宅までは、徒歩で数分ほど。そんなに時間はかからない】
【恐らく同じ布団で寝ることになるだろうし、一晩だけの仮の宿になる】
【せっかくだし、彼女の名前も聞いておこうと思って──】
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 00:13:50.02 ID:cpiHKIT/0
>>370
【特に何も起きなければストレッチは終わるのだろう】
【そしてすっかり伸びきったクローディアはぺったりと毛布にくっついて、床に落としたヴェールに手を伸ばしながら】

ありがとう剛太郎、痛かった分とても楽になった気がするわ
髪はいいのよ、これを被ってればボサボサは見えないわ!

【無頓着というか雑というか、またそのヴェールを被り直すとニッコリと微笑んで】
【涙を流したからすこーし目が充血してるが、割とスッキリした顔つきに戻っている】

いろいろ助かったのだわ、これでまた私は歩けるようになるのね!

【ぽん、とベットから飛び降りて足踏み。痺れていた足はとてもすっきりしてあの嫌な痺れもない】
【満足げにくるり、と回れば黒いロングスカートかふわりと膨らみ。そのスカートの裾をつまんで、剛太郎とムクに小さくお辞儀をするのだった】








376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/21(土) 00:35:51.28 ID:wOXnfVnM0
【廃墟群】
【昔色々あってヤバかったとか不吉な噂もあるが、実際は単なる過疎化によって生まれただけなこの場所】
【その廃墟の1つ――コンクリート製だろうか、天井は既に消滅している――の庭に居たのは、2人の人物】

『だいぶ常識的な見た目になりましたね』
「ヘケケ、ここまで来れば岩もいつもどおり持てるぜ!」

【1人はガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】
【もう1人は、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

【男の方は片袖をまくって腕を露出させ、女性に見せていた――内出血による紫色の斑点と、治りかけでカサカサになっているらしい皮膚】
【車にでも轢かれたのか、あるいはバットか何かでボコボコに殴られたのか、ゾンビウイルスか……とりあえず、牛の模様の如き斑点である】

「生きてる建物はアウトだが、死んでる建物はセーフ! そして念の為住み着いてる奴が居ねェかもチェックしたから大丈夫だ!」
「さァーて、鈍らねェーよォーに運動しねェーとなァーッ!!」

【男は袖を戻しつつ廃墟の壁に近づけば、それに向けて拳を一振り】
【脆くなっていた壁はいともたやすく穴を開けられ、そして周囲にヒビを生んだ】


/多分高確率で持ち越しか置きレス行きになります
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/21(土) 00:54:52.44 ID:wsVIvj0Xo
>>375

【一通りストレッチを終えた後、うやうやしくお辞儀をするクローディアに向けて手を振りながら剛太郎は答える】


いや、いいんだよ!今日はもう遅いしゆっくりしてきな
多少の話し相手くらいにはなってやれるし、この棺桶も落ち着けるところまで運んで誰かと連絡が取れそうな拠点まで
後で運んでやるよ!

『フン、それじゃあそろそろワシらにもいろいろと話をしてもらえんかのう』


【ひょい、と同じくベッドから身軽な動きでムクはクローディアの目の前、2mほど先の方向から見上げてくる】
【見た目はつぶらな瞳で見上げているだけだが、心なしか警戒されているらしい様子を感じ取ることが出来るだろう】
【元気そうにこちらに向きなおるクローディアに向けて、ムクは質問を投げかける】


『元気になったついでに一応いくつかお前さんに質問をさせてもらおうかのう。まず、お前さん、クローディアじゃったか?
おまえさんは一体どこの出で、どういう身分を持っているのかなどを聞かせてはもらえんか。それと剛の字がこう言っておるから
一晩ここに泊めることは構わんがのう、お前さんこれからどこへ行くつもりでいるんじゃあ?』

どうしたんだよムク、いきなり失礼じゃねえか

『一晩ワシらのテリトリーに泊めるんじゃあ、見ず知らずの女、よりも大体身元がはっきりしている奴であったほうがワシらも安心するじゃろう
実際ワシはお前さんがこれまでどういう暮らしをしてきたのかまるで読めん……浮世離れしとるというかなんというかのう
そもそも宿の取り方がわからないしろくな飯を食うておらんというとったがお前さんこれからやっていくための資金の持ち合わせはあるのか?』


【ここで一晩過ごした後、行くところはあるのか、目的はあるのか……そもそも行動を起こすための資金などはあるのか?】
【何もかもが不透明すぎる少女の事を探りたいと思うのは自然であるとムクは主張してくる】
【語ってくれれば彼らは落ち着いて耳を傾けるだろう】
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 01:01:08.54 ID:DiB0Lh02o
>>366

「結局、能力者であることが広く社会に知られてしまったらもう生きていけないわね」
「もし能力が制御できたとしても、能力者の烙印が押されればもうおしまいよ」


【突然能力に目覚めた様子を、生中継されればどうなるかなど分かるだろう】
【彼は世間から排斥され排除され、歯向かうも受け容れるも死しか後はなくなる】
【強硬意見を口にしていたがゆえに、それをそのまま受ける形になってしまったのだ】


「わかりやすい答えだけど、それが最適解とは言えないわ」
「能力者が排斥された世界が、政府に能力を管理された世界がどんなものか想像出来てないのよ」


【今は魔防法適用範囲が特区内に制限されているが、これがどうなるか分からない】
【異能差別が起これば、GIFTのような能力者至上主義を掲げる組織が大々的に活動し始めるだろう】
【それに一般の能力者が同調すれば、悲惨な結末になるのは今からでも分かる】


「能力者排斥の動きが伝播し切らない内に、万人平等を掲げる教会を基盤とするわ」
「自警団の名前は──ガーディアン・エンジェルズの予定よ。守護天使ね」


【正に市民を守る楯として、守護する役目を帯びた自警団として】
【能力者・非能力者を問わず、市民を守るという崇高な目的を持った者達の集まり】
【草の根的に活動を続けていけば、いつか能力者の存在の必要さが分かるはずだ】


「分かってるわよ、支払いますとも」


【──伝票を見た瞬間顔が青ざめた気もするが、会計に向かう】
【支払いを済ませれば、ウェイターがドアを開けてくれる。それを通って外に出たならば】
【知らない間に外は真っ暗になっているだろう。小一時間ほど洋食店にいたようだった】
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 01:44:04.99 ID:cpiHKIT/0
>>377

剛太郎……出来た男ね
私ちょっと感動すらしてる!

【剛太郎の面倒見の良い言葉に感嘆の声をもらし。どんなふうに過ごせばこんな立派な人間になるのだろう、と剛太郎の瞳を覗き込んだりして】
【それで何かがわかるわけでもないのだが、とりあえず満足すればにっこりと微笑み、こてんーーと壁に背中を預けた】
【そしてやはりまだ喋るトイプードルには慣れないのか、愛らしい姿で問うてくるムクにピクリと肩が反応する】
【だが、その質問にはうーんと首をかしげるのだった】


私の生まれ?……村よ、そんなに大きくない村!
村には貴族も王もいなかったし、自分の身分なんて…………

【全ての質問に答えないうちに、彼女は桃色の唇をきつく結んだ】
【喋っているうちに目の前の小型犬に対して恐怖心でも芽生えたのだろうかーー瞳に怯えが翳る】
【細い指を口に当て、若葉の瞳を逸らしながらすり足で剛太郎に近寄り】

ねえ剛太郎、なぜ彼は怒っているの?
私、何か悪いことした?

【不安そうに剛太郎に問いかける。何か嫌がることをしただろうか、と考えてみるが思いあたらない】
【すると彼女はぷくっと頬を膨らませ、ヴェールの端と端をつかみ、カーテンでも閉めるかのようにピシャリとそれで自身の顔を覆ってしまった】

きっと彼は私を地球を侵略しに来た宇宙人だと思っているのね!
酷過ぎる、あんまりなの!

【ヴェールのカーテンが開く気配はない】
【それどころかそのまましゃがみ込んで背中を向けてしまうのだった】
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/21(土) 01:59:17.73 ID:wsVIvj0Xo
>>379

どういたしまして!
へえ、どこぞの村の出なのか……俺の故郷も決して都会じゃなかったっけな
この辺には観光できたの?ちゃんと所持金とかパンフレッドとか持ってきてるか?あぶねー事があったら自警団とかに駆け込むんだぜ


【本当にどこまでも気のいい男だ、思いつく限りの世話を焼いて今後の事をいろいろすすめてくる】
【一方、猜疑的な態度をとるムクに対して気を悪くしたのが見て取れるクローディアの様子を見て、剛太郎は】
【またこれだよ……とばかりに額に手を当てあきれたように相棒を見ながら言うだろう】


ほら見ろムク!やっぱり気を悪くしたじゃねーか

『フン、悪いかよ……
わしゃあお前と違って細かい事がどうにも気になるんじゃよ』


【同じく愛犬もそっぽを向くのをあきれ果てながら見ると、剛太郎は彼女の背にぽん、と手を置きながら】


悪いなクローディア、ムクは怒ってるわけでもなくましてや地球を侵略しに来た宇宙人だと思ってるんじゃねえんだよ
アイツは気難しいタチで基本的に他人が信用できない奴なんだ。そもそもアイツなんで愛犬を通して俺たちと会話してると思う?
人付き合いが嫌いだから自分の工房がある山に籠って極力人を入れず、愛犬を通した通信だけで対人関係を済ませたがるほど億劫だからなんだよ

俺は別にお前の事嫌ってないよ、あいつは一日二日で人となれ合う奴じゃないから……仲良くするにはこれからゆっくり会話してかねえとな

【信じるに値する、と見返してやろうぜ!とばかりに彼はにかっ、とさわやかなスマイルをクローディアに向ける事だろう】
【排他的な老人ムクと、気さくな若者剛太郎……なんともデコボコなコンビだ、性格も世代もちぐはぐな奇妙なコンビである】


/剛太郎中身、次回のお返しは本日の18時以降を予定しております、本日はここで失礼します……
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 02:51:05.47 ID:cpiHKIT/0
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382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 02:53:48.54 ID:cpiHKIT/0
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383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 02:56:29.96 ID:cpiHKIT/0
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384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/21(土) 03:33:26.28 ID:aiifwlmIo
>>344
【TO:ミラ・クラァケ】
【送信者:カニバディール】

ああ、鈴音から受け取った。貴女の名前も鈴音から聞いている
互いに会ったこともないのに、名だけは知っているというのも奇妙なものだな

了解した。顔つなぎは必要だろう。こちらも追われる身なので、時期の確約は出来ないが、近いうちに


>>373
【TO:レオーテヴュート】
【送信者:カニバディール】

お久しぶりです、セヴォランディさん。サタリュウトでは、お世話になりました
こちらに来ておられたのですね。協力のお申し出、心強い限りです

了解しました、転送よろしくお願いいたします。追加戦力の件も、ありがたく
魔導海軍とはやりあったばかりですが、ゆえに彼らの実力は身に染みています

指輪のマイナスについては……私も出どころは知らないのですが、スペアが準備できるなら頼んでおきます


【TO:邪禍】
【送信者:カニバディール】

カニバディールです。ご無沙汰しております、邪禍さん
ご協力に心より感謝いたします。邪禍さんのお立場についても、肝に銘じておきましょう

婦警の技についてですが、遭遇した鈴音の話では、繰り出した酸性液体を全て弾かれた、見えない壁があるようだった、と

ミラ・クラァケからすでに聞かれているやもしれませんが、クラァケを襲った際にはパワータイプのロボットかアンドロイドのようなものを、いきなり頭上に召喚したとも聞いています
これはマインドやアートマンとは別物のようなので、婦警自身が能力者なのかはいまだ不明です

重ね重ね、感謝いたします。敵に材料を与えてはならないことは、私も同感です
恐らくは、戦力の面においても頼らせていただくことになるでしょう。認めたくはありませんが、敵は強大です
そこまでのご配慮をいただいたことに、何としても応えるべく力を尽くします

了解です、連絡事項は引き続きこの回線にてお伝えいたします


【メールを送信し終えた異形は、眼前を流れる汚水の川を見る。下水道でのサバイバルにも慣れたものだ】
【反撃の機会を、獣のように伏せて待つ。敵の喉笛を必ず噛みちぎる】

【殺意を滾らせる異形はしかし、自分とは別の誰かに降りかからんとする悲劇を知らなかった】
【血の処断まで、残り約10時間――――】
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 13:17:00.54 ID:xf1FtBri0
>>374

そう、柘榴さん…………あたしは夕月っての。

【それだけ。身の上を明かすのは、それ以上はしない】

【女の家に上がらせてもらったら、まずはシャワーを借りて、それから】
【挨拶もそこそこに布団にもぐるのだ。瞼が落ちるスピードは、高速】
【このところ、あんまり安眠できていなかったらしい。それですぐ寝入ったかと思えば】

 【――――】

【朝。女が目を覚ませば、既に少女の姿はそこにない】
【置手紙のひとつも残さず、消え失せて――おそらく路地裏に戻ったのだろう】
【布団からは既に体温の残滓も消えていた。それなら、相当早い時間に起きている】

【ゆっくり休めたのかと言われれば、首を傾げるところだが――きっと】
【少女にとっては久方ぶりの安息の時間。そうだったことにはきっと、変わりない】


//ここらへんで! 長いことありがとうございましたーっ
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 14:02:53.76 ID:ErAoQpIy0
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387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 14:05:23.88 ID:ErAoQpIy0
>>380
【背中に置かれた頼もしい掌に一瞬身体を震わせるが、安心させるような剛太郎の言葉に少しだけカーテンが開く】
【どこか悔しそうに眉間に皺を寄せ、自分を見下ろす剛太郎に視線をやって】
【こんな彼がちょっと怖いムクのことをフォローしているのだ。ムクだって絶対に悪い輩ではないのだろうーーそれはわかる】
【ただ、しかし、もしかしたらムクの口調や疑いの視線は、彼女には初めての体験だったのかもしれない】
【彼女がいた村にはきっと彼女を疑う民はいなかったのだろう】
【しばらくして落ち着きを取り戻せばゆっくりと頭からヴェールをとり、床に置いた】
【カーテンにした時に余計乱れたのだろう、髪の向きが完全に迷子だ】
【そんなこと、もちろん気にせずにクローディアは彼らに向き直る。まだちょっと、顔に不機嫌を残したまま】

私が宇宙人でないこと、わかってくれたのなら許してあげるわ
それにムクさんが私のことをとてもとっても怖がっていることもわかったからいいのだわ!
ムクさんのこもりんぼう!おこりんぼう!

【べっ、とムクに向かって舌を出す。でも次の瞬間は笑っていて】

/分割します
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) :2018/04/21(土) 14:06:27.73 ID:ErAoQpIy0
>>380

取り乱して悪かったです、私ここに来てはいけなかったのかと思ってショックだったの
剛太郎の言う通り、観光できたのよ
パンフレットがなんなのかわからないけど、たくさん遊んで満足したらちゃんと帰るつもり
だから心配なんていらないし、本当にあなたたちを襲うつもりなんてないんだから!

【多少事情を省いているところはあるだろうが、彼女の言っていることに嘘はないだろう】
【詳しい事情は言えないのか……いや、彼女自身がきっと何が特別でどこが村とこの辺が違うのかわかっていないが故の簡単な説明なのかもしれない】
【もちろん、自分が変わっているだなんて思ってもいないはずだ。ーー例えそれがパンフレットというものを知らなかったとしても】

それにしてもあなたたち二人、こんなに性格が違うのによくうまくやっていけてるなと思うのだけど?
あ、それに私からすれば遠いところから犬を使って話しかけるムクさんのほうがずーっと怪しく感じるのだから!
でも剛太郎は怪しくないの、とっても優しい人だってわかるものね

【床に座ったまま二人を見比べてうんうん、という一人で納得する。小型犬と男性を見比べたところでなんの答えも出ないのだろうが……】
【でも顔から不機嫌はすっかり消えているところをみると、彼女なりにムクの性格を受け入れたのだろう】

389 :Blood and Judgement [!美鳥_res saga]:2018/04/21(土) 14:39:08.06 ID:ibNm6+b6o

【それは柔らかい陽の差す穏やかな日曜日】


【その日はいつも通り、どこか風の気持ちいい草原に集って】
【誰かが作った素朴な木の長テーブルの上に、色取り取りの食事を並べる】

【サンドイッチも、ローストビーフも。美味しい果実のジュースも】
【気の利いた誰かが花瓶に花を挿して、綺麗なテーブルクロスの上に勢揃いして】

【めいめいが席について、それぞれ他愛もない話をして】
【誰かと誰かの間に生まれた子どもを、また別の誰かが微笑みながら腕に抱いて】
【誰かが笑って、誰かが騒いで。木漏れ日の差す陽の美しさに誰かが目を細めて】

【あるいはどこか、二人きりになれる場所で】
【見晴らしの良いその景色を眺めながら、かけがえのない温もりを噛み締めて】

【たまに辛いことがあっても彼らは支え合うのに十分な絆があって】
【だからみんな笑っていて。果てしなく青い空を屈託無く見上げることができて】


【別れるときも「またね」と言って】
【次の幸せな日曜日に思いを馳せながら】

【そんな光ある毎日を続けられる未来が、いつかはきっと来る】









【そんな愚かしき希望は誰が抱いたのだろうか】




【だからその男は言った】




【  「そんな日は二度と来ない」  】




390 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 14:40:22.73 ID:ibNm6+b6o


【──その日】

【“彼ら”は行動した】

【それぞれが追う闇の真相を手に入れるために】


【とある剣士はこんな情報を得た】
【妻子の死の裏に関わる人物の中に、『計劃者』というワードが現れたことに】
【それを詳しく知る者達は、とある森の中にアジトを構えているらしい、と】


【またとある海軍諜報員はこんな情報を得た】
【水の国で起こる一連の陰謀は、櫻國の進退にも重大な影響を及ぼしていて】
【ともすればそれは、櫻國の中にも既に緩やかな毒が回り始めていて──】
【それを工作するとある集団の根城が、とある廃工場にあるらしい、と】


【またとある赤髪の亜人はこんな情報を掴んだ】
【『婦警』の所在。とある奥まった森の中にある施設へどうやら頻繁に出入りしていて】
【それを目撃しているという複数の証言があった】


【そしてとある公安の忍はこんな情報を得た】
【『円卓』の中枢者が密かに集う密会所が、とある僻地に存在していて】
【潜入せしめれば『円卓』に関する独自の情報を入手できそうで】



【──それらの情報は、決して“安売り”はされていなかった】
【彼らの能力において捜査行動と思考を重ねた末に、ようやくギリギリ辿り着けるか、つけないか】

【そのように“調整”されていた】

391 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 14:42:41.14 ID:ibNm6+b6o
【その日】

【彼らの捜査線はそのある一地点において交わった】
【どこか深い森の奥。生物の鳴く声すらしない深層にて】

【いつからか、そこには濃厚な白い霧が立ちこめつつあった】
【それに気付いたときには、既に周囲の数十m先は見通せぬ程であった】

【太陽の位置も隠され、そこには昼とも夜とも付かぬ狂える白夜と化した】


【──そうして刻が満ちて】


【その時】
【深い霧の空の彼方から】
【ぼんやりとして巨大な光の玉が地表へと接近しつつあった】

【それはさながら幻想じみた夢景色のようであった】
【一方でミサイルの弾頭が降下する様とも酷似していた】


【刹那、それは爆ぜた】


【 ────  轟  ──── 】


【烈光】

【轟音】

【赫灼たる光が一度全てを真白く染め上げた】
【光に遅れた重低の音波が続いて大気を駆け抜けた】

【それらは爆薬による物理的な破壊を伴わない代わりに】
【その場にある魔力の一切を瞬時に蒸発、枯渇させる兵器であった】


【────ジジ……──ヴヴヴ────】


【何かのノイズが続いた】
【その弾頭から同時に発せられた極めて異質で強力な電磁波が】
【彼らの電子機器のみならずその肉体の筋繊維をも鈍く麻痺させる】


【仕上げに至るまでそこに一切の慈悲はなかった】

【空間のある一点が歪み、それは球形を成すと──】

【どン──と】
【地の底を打ち鳴らすような重音と共に、虹色の光が炸裂した】

【それは瞬く間に空間の至る所において連続した】
【さながら何かのフィナーレを飾る打ち上げ花火の如く】
【間断なく、熱狂的に、狂喜的に、執拗に、無慈悲に、無機質に】

【何かを蹂躙するかの如き光と音の乱舞がいつ終わるとも知れず続いて】


【──どれほどの間が経ったであろう】
【無軌道なその騒乱がやがて止み、余韻の静謐が場に充ち満ちた時】

【彼らは気付くであろう】
【自身の芯に近しい何かがそっくり抜け落ちている感覚に】
【──それぞれの異能が全く消失してしまっていることに】
392 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 14:43:58.50 ID:ibNm6+b6o


【ざり、ざり、ざり……】

【霧の奥から、某かの靴音が群を成して接近してきていた】
【その幽鬼の群れの如く統一性のないリズムを響かせつつ迫り】
【果たして粗野な衣服と銃器を携えた軍勢が、そこに姿を現した】

【数にして幾数十、数百か】
【それぞれの弾倉が孕んだ金属弾の数は一つの街の市民全てを何度殺せば尽きるであろう】

【一切の練度の感じさせない昏き目の者達が、しかし迷い無く彼らへと群がり】
【それぞれの身へ無遠慮に手を伸ばすと共に目隠しと後ろ手の手錠を施していく】

【 どゴッ── と何処かで響いた重く鈍い音は】
【抵抗した誰かをその銃床で躊躇いなく打ち据えた音であろうか】
【彼らが仮にどれだけ暴れようと叫ぼうと、それらは圧倒的多数の人波の中に押し潰される】


【一切の無言で推し進められた『処置』が完了すれば、】
【彼らの背中に冷たく固い銃口が押し当てられ、ぐ、と力を込められる】

【歩け、と】
【それは言葉無く命じていた】

【そうして彼らもまたその仄暗い軍勢の一部となって】
【この深い霧の森をしばらく行進する】



【──ざり】

【やがて彼らは停止する】
【そこが何処であるのかなど語る者はいない】

【ただの一言、】


【 「跪け」 】


【およそ感情の籠もらぬ声が、命令した】


【これから何が始められようとしているのか】
【薄ら寒い一筋の微風がその一端を告げようとしていた】


/導入が長くなりましたが、これより開始となります。
/参加者の方はこちらへお願いいたします。
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 14:53:36.76 ID:h5YCRs5i0
>>389-392

「――……」

【さて、どうしてこうもなったのか?】
【どうもこうも無い、単純に我々は罠にかけられたのだ】
【そのことを悟ったのは、まさに跪き、頭を垂れたその時であった】
【どうにもこうにも、一連の状況全てが罠だった】
【先ずはあの迫撃砲にも似た何か、閃光と炸裂音、そしてノイズの後、我々は能力を奪われていた】
【あるいは、濃霧の段階で何かが既に起こっていたやも知れない】
【第二に伏兵だ】
【あれだけの装備、数の伏兵をあらかじめ配置していたのだろう】
【周到な事だ】
【能力頼みの戦闘では無いため、抵抗を試みるも、空しくこの様だ】
【血が一筋、地面にポタポタと落ちる】

「ディミーア、鵺、ミア、全員無事か!?」

【頭を垂れたまま、周囲に居るであろう仲間に声をかけた】
【これにより、また一撃銃床の殴打を喰らうかも知れないが、仕方がない】
【兎にも角にも、今はこの状況打開、敵中突破の方法を考えなければならない】
【頭を巡らせ、周囲の状況を上見がちに観察する、隙は?手がかりでも足がかりでも何か無いか、と】
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 14:56:39.48 ID:h5YCRs5i0
//>>393
//すみません、間違い訂正で
//×「ディミーア、鵺、ミア、全員無事か!?」
 ○「ディミーア、鵺、ミラ、全員無事か!?」
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/21(土) 14:57:25.72 ID:AIo6QgGio
>>392

【──聞いた歌の音色、響く音律の一端、満ちる僅かな灯火が如く】


  【最初に浮かんだのは違和感であった】


【朝靄に起こされた不愉快な朝、湿気の高い淫らな夕焼け、滲む僅かな疲労を見せる】
【手足に鉛が着いているかの様な感触、それはきっと、指先に絡みつく糸にも似て】
【綾絹に溶ける魔性の腕、欠片でさえも残らない、溜息の様に】


  【────使えない。生まれた時から側にあった、自らの力が】


【思考が落ち着くより早く痛みが奔った、漏れた声色は一糸纏わぬ少女の声】
【そこには僅かな張りも艶もなく、運び込まれた愛岐の如く】
【彼女は逡巡する。── 何が起きたのか、と、何が起きてしまったのか、と】


  ── 何ですか! あなた達は一体────!!


【彼女の小さな頭が揺れた、後頭部に一撃銃底が振るわれる】
【意識が飛びそうになる、ぐらんと長い髪が大きく揺れて】
【一瞬にして察した、彼らはみじんの躊躇無く、いっぺんの容赦なく】

【────人を壊すことのできる人物であると】

【唇の端を噛み締めた、華奢な手首に手錠がかかり、目隠しをされる】
【フラッシュバックするのは捕縛された過去、処刑の判決を受けた朝】
【永訣を思った夜を越え、命を保った朝を思った】

【純白の長い髪をツーサイドアップにし、黒いコサージュリボンで片方だけを飾り】
【黒く長いマフラーと巫女服を基調とした無袖の裾が短い白の着物】
【ゆらりと長い袂からメッシュの長手袋が漏れて見える】
【白いニーソに厚底の下駄を履いた、蜂蜜色の瞳をした少女────鵺】

【何も言わず静かにひざまずいた】
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/21(土) 14:58:02.72 ID:5oCeYS1fO
>>392
【婦警がいる。その情報を確かめないわけにはいかなかった。たとえそれが、自分の仕事の範疇外だったとしても】
【────そして出向いた先で、再び“あの光”と遭遇した】

【罠だ。そう気付いた時には遅かった。がくりとその場に膝をつく】
【いつぞや感じた吐き気などは無きにしても…………ずるりと、擬態していたはずの赤髪が】
【よく見慣れた触腕に変化しているのを見て、思わず笑いがこみ上げた。「またかよ」】
【性懲りも無く同じ手に引っかかった自分に嫌気がさす。軍勢の姿を見れば、抵抗の気もなく】
【ゆるりと両の手をあげるのだ。──<ミミック/擬態>が使えるのであれば、いくらでも逃げれたものを】

【目を隠され、手錠を施された。歩けと言われればそれに従う。どれほど歩いただろうか】
【感情の篭らぬ声が其れを命ずれば、矢張り彼女はそのようにするのだ。──地に膝をつける】


────随分と周到な“罠”だぜ、なぁ?
にしても…………あの忌々しい光とまたご対面するたぁ、な────は


【厳島の呼びかけに答える形で、そう返す。言葉は少なかった。どうすれば、生き延びられるのか】
【既に彼女はそのことを考え始めていた。虜囚になっても構わない。能力が消えたっていい】
【────帰らなければ。例え、どのような形になったとしても】
397 :ディミーア ◆r0cnuegjy. [sage saga]:2018/04/21(土) 15:12:55.87 ID:St8EB17To
>>392

【────その情報を目にしたときの様子を、一体どのように表現すれば良いだろうか】
【妻子の死。たとえ幻覚を見ようとも幻聴を聞こうとも、それは確かに”過去”のことのはずだった】
【それが突如として忍び寄り、肩に手をかけ耳元で囁く。そうではないのだ、と】

【森を走る男の瞳には復讐の炎。煮え滾る憤怒と憎悪が全身を支配していた】
【もはや他の全てのことが頭から消し飛んでいた。奴らに情報を吐かせて凄惨な死を与える。それ以外に必要なことなどない】
【あるいは少しでも冷静になれていたら、などという仮定は無意味だった。その仮定を満たすならば、それはディミーア・エルドワルではない】

【森の深奥に足を踏み入れる。奈落の底よりも深き静寂。周囲には人影、だがそれは敵ではなかった】
【違和感が、暴発しかける感情の間隙に差し込まれる。頭の中で理性が叫ぶ────これは違う、と】
【腕が跳ね上がり、背中の柄へと手が伸びる。『導くフィデリウス』、輝きの銘を関するその剣を掴む寸前】


【────そう、”輝き”は頭上にこそ現れる】


【閃光と轟音。左腕で視界を覆い目を防護する。来るはずの熱波はなく、神経を走るはずの痛みがない】
【爆発による攻撃ではないとすぐに悟るが、剣士の表情が凍りつく。恐らく、この場にいる誰よりも先にそれを知る】
【魔力の枯渇。自らを一個の兵器として確立させるための燃料が、この場の全てから失われたことを】

【異常は続く。耳障りなノイズが鼓膜を震わせる。身体が動かない、と気がつくのに時間は要らなかった】
【ギリ、と歯噛みをする。ここにきてようやく、自分が完全に罠に嵌められたことを理解した】
【視線で周囲を確認する。数は三つ。二つは知っている顔だった。怒りの表情に僅かな絶望が差し込む】


【不愉快な騒音が生じて、やがて止む】
【白霧の中に黒色が混ざり始める。次第にそれらは広がり、形を作り、人影へと変わっていった】
【一つ、二つ、三つと増えていく。その数が十を超えたところで、男は数えるのを諦めた。そしてそれは賢明だった】

【無数の群れ。それらが自分たちを取り囲んだ。近寄ってきた一人が手を伸ばしてくる。弛緩する肉体を激情が強引に動かした】
【腕を振り上げて抵抗する、が、銃床が身体を打ち抜く。男の表情に驚愕が浮かんだ。ただそれだけの一撃で、肉体は抵抗を止めてしまった】
【精神が左右できる状況はとうに過ぎ去っていた。物理的に、物質的に、抵抗が可能な状況ではなくなっていたのだ】

【感情が冷えていくのを感じた。理性が表に出て来る。まずは従え、と】
【その後、剣士は抵抗をやめて森の中を歩かされた。その間も、頭の中では打開策を講じようとして、失敗を繰り返していた】
【やがて行進は終わり、無機質な声が響く。目隠しのおかげで誰が言ったのかなど、分からない。だが────】


────礼儀のなってないやつだ
跪いて"ください"、ぐらい言えよ、ボケ


【口は動く。だったら悪態ぐらいはついてやる】
398 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 15:48:14.93 ID:ibNm6+b6o
>>393-397

【それぞれが相応の代償を負って、あるいは賢明に従って】
【冷たい土の上に四人が跪かされた】

【遮られた視界の代わりに聴覚を澄ましたならば】
【これだけの軍勢が満ちているというのに、異様なほどの静けさが彼らを包む】


【彼らのそれぞれ口にした言葉に応答する者がない代わりに、】
【その目を覆っていた目隠しが、静かに外された】


【──深い霧の森の中】
【拓けた場所の只中に彼らはいた】

【まるで見世物を陳列するかのように横一列に並べられ】
【厳島、鵺、ミラ、ディミーア。左からそのような順であった】

【彼らの正面十数m先には、黒鉄の骨を組み上げた粗野な建造物があった】
【そのシルエットは紛うこと無く廃工場であった。かつて何を製造し、そして今は何に用いられているのか、それを察せられるものなかったが】

【彼らの視界の端には、一台の古びたバスが停まっている】
【窓は全て塞がれ、中の様子を窺い知ることは出来ないが、それだけに意味深だった】


【するとその戸の横に待機していた部下の男が、バスの壁を小さくノックした】
【応じるように、一人の人物が鷹揚にステップを下り、そこへ姿を現した】


【──口笛を吹いていた】

【長身で、屈強な体躯の、壮年の男だった】
【この粗暴な空間にあって、男の纏う黒いレザージャケットの艶は異質だった】
【その眠たげな目元は笑んでいるようでもあり据わりきっているようでもあった】

【ぶン、と空気を薙ぐ暴力的な音が一度した】
【男の片手には、形容しがたい棒状の金属塊が握られていた】

【それは武器というにはあまりに粗悪だった】
【一つの鉄パイプを芯に、何かを打ち据える部分にだけいくつかの鉄屑を溶接したような】
【何に用いる用途で作られたのかは知れなかったが、それを想像すればすぐにその形状が最適だということに気づけそうな形をしていた】

【それを男は、片手でその無精髭を撫でる傍ら、】
【もう片方の手首を返すだけで軽々しく振るった】


──良いな。お前達は良い眼をしている。


【ざり、ざり、ざり】
【男が彼らに向けて歩みを進める。そのベルトのバックルには『25』と刻印されているのが次第に鮮明になった】

/↓
399 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 15:50:14.22 ID:ibNm6+b6o
>>ALL

【口笛が止んだ】


【静謐が戻った】


【何かを圧するような無言が数拍、続いた後】

【ざり、ざり、ざり──】
【男は鷹揚な歩調でとある一人の眼前まで至ると】
【やがてその前に屈み込んで──円な黒瞳がじっとその一人の相貌を見つめる】

【何かを覗き込むように】
【何かを問いかけるように】


【 (お前は『理解』しているのか?) 】


【自身の立場。ここにいる理由】
【何をすべきで、何をすべきでないか】
【それを『理解』する意思はあるか──と】

【順番に、一人一人の前に訪れて──無言で見据えるだろう】

【どのような応答をするか、何を思考するか】
【彼らには自由があった。まだ、この時までは】
400 :ディミーア ◆r0cnuegjy. [sage saga]:2018/04/21(土) 16:02:21.48 ID:St8EB17To
>>398>>399

【耳が痛いほどの静寂。普通ならばあり得ない。従軍経験があるからこそ分かる】
【軍勢ではあったが軍隊ではない。武装していたが兵士ではない。これはそれ以下の何かだ】
【忌々しげに舌打ちをする。どう考えても最低最悪の状況に自分は────自分たちは立たされていた】

【目隠しが外される。僅かな光だろうと目がくらむ】
【視界に慣れると横目で周囲を確認。厳島と鵺を見つける。くそ、と胸中で悪態をつく】
【ある意味では信頼する味方が二人もいて僥倖。逆の意味ではその二人も含めて窮地に陥っていて最悪だ】

【バスから壮年の男が降りてくる。射殺すほどの視線が向く。激情が再び熱を持ち始めた】
【金属塊で何をするつもりかなど、容易に想像がついた。どうすべきなのか。未だに糸口は霧の中だ】

【男が目の前に来る。視線が交錯する。灰色の双眸が睨みつける】


ガンつけてんじゃねえよ、鬱陶しい
俺に何の用があってこんなことしやがる
用件があるならさっさと言え。こんな辺鄙な森でピクニックする気分じゃねえんだよ


【敵愾心は欠片も濁らず。苛立った言葉が吐き出される】
【何はともあれ会話を。こういう状況での常套手段をまずは行った】
【それが効く相手だとは、全くもって思えなかったが】
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/21(土) 16:04:10.99 ID:AIo6QgGio
>>398-399

【久方ぶりに目に入る光に、鵺は思わず顔をしかめた】
【周囲を見渡して見知った顔が居ることに気づく、思わず声をあげようとして押し留める】
【そうあるべきだった、後頭部の痛みが彼女にそれを伝える】


(──罠、だったという訳ですね、一体……誰の仕業でしょうか)
(私が、いえ、公安三課が『円卓』を追っているなんて情報、多くは知らないはず)
(考えられるのは、公安三課側に裏切り者が── まあ、あり得ないですね、間違いなく)

(……ならば、別の傍受手段──真実だとすれば、恐ろしい話です)


【かちゃりと後ろ手の手錠が鳴った、こっちも外してくれればいいのに、と内心毒づき】
【普段の彼女からは想像もつかない様な静けさ、忍びの端くれである以上今が喚く場合でないのは分かる】
【ほおを冷や汗が伝った、今の状況が本格的に拙い事に気づき始めた】

【──能力が使えない、それはつまりこの状態から脱出するすべが無いという、こと】


【────そして】


────!!!


【現れた壮年の男、そしてその手に持つ金属塊が、彼女の怯えを擽る】
【 "想像"してしまった、それに打ち据えられる自分の姿を、蹂躙される己の体を】
【金属塊の一撃は容易に彼女の腕を砕くだろう、指を粉砕するだろう】

【その痛みはどれほどか、砕けた骨が、割れた肉が、神経を浸食し貪る】
【脳が無数の警笛を鳴らし、嗚咽に噎いでもなお、目の前の男は金属塊を振るうのをやめない】
【そう思わせるだけの迫力があった、暗い瞳の奥に無数の因果が眠っているように】

【戦慄、その一言に思いを集約させるのが相応なのであろう】
【まんじりともせず男の動きを見つめていた、おびえる瞳の奥底に僅かばかりの慕情が浮かぶ】
【喉の奥から酸っぱい感触があがってきた、呼吸をする度に胸が大きく揺れる】

【────白百合の如き喉を振るわせて、空気を吸う、嗚咽のような声が漏れた】
【怖かった、どうしてか。── リアルな死を想起してしまったから、自らが肉塊に変わるプロセスを見たから】
【死にたくなかった、こんな仕事をしていてもなお、自分は生きていくもの、と思っていたから】





────っ……死にたく、ないよ……




【漏れた言葉、それはあまりにも等身大の自分で、あったから】
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/21(土) 16:07:53.81 ID:5oCeYS1fO
>>398-399
【目隠しを外され、周囲を見る。知らない光景、知らない臭い。知っている顔はひとつだけ】
【蜂蜜色の目が、隣にあった。蜂蜜色の目をしたガキ。会ったことはないが、どこかで聞いたことのあるような特徴に】
【少し考えを巡らせる。──そういえば先ほど、厳島はなんと言っていたか】


(“鵺”…………こいつか。ジルが言ってた公安三課のガキ────)
(なんだって、公安三課がここにいる…………?公安の連中だって、一枚岩じゃあねぇってことか)
(もう一人は“ディミーア”……。名前も聞いたことないってぇのを考えりゃ、厳島の仲間………)

(それに────“25”。数字をつけるのはナンバーズの習慣だってどっかで聞いたな)
(じゃあこいつは…………あちらさん/ロジェクトの傘下ってぇこと、か……)


【男の持つ金属塊を見て、ミラは口を噤んだままだった。余計なことを口にするな、何も表に出すな】
【金色の、異形の目が男を見据える。黒いスリットの入った、人でなしの目。その目はただ、男を見ていた】
【怯えも恐怖も、奥底に内包し──ただ、疑念の色は決してないのだ。いつかこういう日が来るのだろうと】
【まるで知っているかのような、そんな目だった。(──命乞いが通じる相手だろうか)】

【否、と即座に心の中で否定する。今までの経験上、そんなことは決してない】
【そんな生ぬるいことをしてくる連中ではないのだ、彼らは。つまり、それはどういうことか】
【ぎゅ、と唇を噛みしめる。腹の奥から、震えが込み上げてくる。がち、と奥歯が噛み合うのが聞こえただろうか】
【────それでも、彼女は男を見据えるのだ。彼女にとって、それが精一杯の抵抗だった】
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 16:16:43.30 ID:h5YCRs5i0
>>396

「ああ、かなり以前から準備したらしい、装備と人員を見れば解る」
「アレは、やはり婦警のそれと同じ物か……」

【ミラの返答から、そう予測し答えた】
【能力を奪う光、それはかの婦警の武装と同質のものである、と】

「戦闘行動は、難しそうだな?」

>>397>>398

【先ず目隠しが外される】
【すぐさま位置関係を把握する】
【自分は一番端で、横には鵺、真ん中がミラ、その横にディミーアだ】
【数十メートル視界の先には、廃工場と思われる建造物】
【そして直ぐ付近には、一台の古びたバス】
【異様な物だった、窓は全て塞がれている】

「(銃器武装の類は……取られている、か)」
「(ならば、こちらから波紋を投げる他無い……)」

【仲間も皆、同様の状況だ】
【ならば、いっそ……】

【(櫻の花弁、波の轍に揺蕩う夕焼けの頃、本を開く)】

【カンナへの正夢の通信を開こうと試みる】
【能力が封じられた状況で、果たしてこれが機能するかは、全く不明だが】
【そんな中……】

「――ッ口笛?」

【口笛を拭きながら、妙に死んだような、坐っている様な】
【そんな目の男が降りてくる】
【手には……あまりにも武骨であり、そして目的への想像が容易なソレを手にし】
【一人一人をまるで品定めでもするかのように、覗いていくのだ】

「……下種な趣味だ」

【近くには男のレザージャケットの質感が迫る】
【そんな中聞いてしまったのだ】

「鵺?」

【(>>401)鵺の悲痛な呟きを、その真横で】
【ダメでもともと、元より外に手段は無し】
【一瞬の僅かでも隙を作ろうと……】
【自分の前に来た男の25の数字のバックル目がけて】

「――貴様ッ!」

【暴れ、体当たりを敢行しようとする】
【最も手錠はそのままに、もしくはそれぞれの背後にも誰かが付いているのかもしれないが】
【無駄足掻きでも、この場ではやらないよりはまだマシ、と】
【最早武器も無く、魔導法衣である海軍T型制服も意味を成していないのなら……】
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/21(土) 16:30:46.21 ID:5oCeYS1fO
>>403
【厳島の問いかけに対し、沈黙が返ってくる。それが答えだった】
【戦えるかと聞かれれば、それもまた沈黙。頭部から生えた八の触腕が、うなだれていた】
【対個人であれば、力押しで逃げる事は出来るのだろう。だがあの軍勢を前にして】
【異形としての身体能力を見せつける気にはなれなかった。数の前に、たった4の“無能力者”など】
【それこそ塵芥のように吹き飛ばされてしまうことを、彼女は理解していた】


        【  「 よせ! 」  】


【────漸くここで、彼女は言葉を発した。いずれ敵になる相手であったとしても】
【“今は”そうではない。それは彼の身を案じた、静止の言葉だった】
405 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 16:46:16.27 ID:ibNm6+b6o
>>400(ディミーア)


………………──────Huh


【彼の吐き出した悪態を受けると、】
【男の口元はゆっくりと微笑の形を描いた】

【何か美味なるものを味わって咀嚼するかのごとく】
【無言で数呼吸、彼の相貌を見据えつつ──鷹揚に何度か頷いた】


──そんなに焦る必要はない、ディミーア・エルドワル。
脳味噌が痺れちまっていても、すぐに分かる。


【言い終えると、一際口元の弧を深め】
【それで立ち上がり、次の人物へ】


>>402(ミラ)

【黙して。ただ黙して。冷静に思考を巡らせ、場の性質を理解する彼女の様子に】
【男はただ静かに、ほう……と何か感心するような声を上げた】


──Wow……人間らしくない形(なり)をしてる割に、
一番利口そうな顔をしているじゃないか──ミラ・クラァケ、だったな。


【予想を超えて出来の良い生徒を見つけた教師のような】
【感嘆と喜びの入り交じった笑みをその口元にゆっくりと浮かべた】

──お前が一番、“俺たち”のことを理解しているかもしれないな……そんな目だ。

【ざり。ブーツの底が地をこすり、男は立ち上がって次の人物へ】


>>401(鵺)

【鵺の抱いた疑問に対する答えを、恐らくこの男は持っている】
【そうでなければ、こんな粘質の笑みは浮かべられないであろう】
【それが彼女に対して明かされるのかは定かではなかったが】

【──彼女の眼差し、漏らす声、震える呼吸のリズム】
【それらを男は余すこと無くその視線に捕らえ、観察した】


──おいおい。そんなに怯えるな。
俺はシリアルキラーじゃない。意味もなくヤったりはしない。


【安心していい──そう最後に言い添えて】
【彼女の肩を馴れ馴れしく二度ほど叩いた、その時──】

/↓
406 :Blood and Judgement [!red_res saga]:2018/04/21(土) 16:47:28.36 ID:ibNm6+b6o
>>403(厳島)

【厳島命の突貫が、場の静寂を乱した】
【彼の体躯が弾かれたように動き、男へと追突しようかというその一拍前、】
【彼らの後ろで待機していた部下たちが徒党で厳島へと群がり、一挙に押し込める】


────Wow……Wow……Wow……

驚いたな……ここまで辿り付くような優秀なやつが、
まだ『ルール』を理解できていないとは……────


【感心するような、呆れるような嘆息が男のにやついた口元から溢れた】
【ミラの静止も虚しく、事は既に起こってしまった後だった】

【厳島を取り押さえた男達は、乱暴に彼の襟元は袖を掴み】
【重いゴミ袋でも引きずるようにして、元の位置へと無理矢理引き戻す】
【そうしてから軍勢の一人が、その銃器で彼の頬を一撃する】



>>ALL


【それはあまりにさりげない動作だった】
【厳島が線へと引き戻されてから、男はふとカーテンでも開けに行くような何気ない歩みで】

【 鵺 の元へと歩み寄り、指で小さく合図すると部下の一人がその手錠を外し】
【その片方の腕を地面に押さえつけると、男は無表情のまま鉄塊を振り上げて、そのまま腕へ目掛けて振り下ろした】





【そこに勿体付けるような一切の間断は無かった】
【ただの一撃、何でも無いことのように実行して】

【それから男は再び厳島へ振り向いた】


【言葉は一切無かった】


【ただそのきょとんとするような眼差しが】
【「何が何故起きたか分かるか?」──と】

【厳島命へ静かに問うていた】
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/21(土) 17:01:11.85 ID:AIo6QgGio
>>405-406

【日常の中に萌芽する僅かな綻び、それはまるで白昼夢のようであった】
【あまりにも自然で、流麗な歩み、差し込む日差しに眩しそうに目を閉じるが如く】
【だから彼女も、理解できなかった── 最初に何が起きて、何が最期につながるか、なんて】




【──── "ぐしゃり" ────】



あっ────!!!! ひぐぅ……!!!



【脳に赤い塗料をぶちまけたが如く、脳内を染め上げる深紅の痛み】
【反射で身体がびくんと跳ねた、白魚の様に哀れな所作】
【気づくより早く、理解するより惨く、起きた現実はどこまでも残酷】

【腕が "ひしゃげる" 曲がってはならない方向に、曲がる】
【振り下ろされた部分は薄く陥没して、華奢な腕は今にも千切れそうな程】
【例えるなら其れは飴細工の如く、ちりちりと焼かれ溶けてしまう様な】


っ……!! えっぐ……!! 痛い、痛いよっ……ぅ
どうして────、どうして……っ


【傷口が鬱血する、無惨な青色が素肌に浮かぶ、睡蓮のように可憐な肌が】
【それは鋭い牙を突き立てられたが如く、貪る朱の慟哭に似た悲惨な情景】
【虚構であって欲しいと願うほどに、地面に這い蹲りながら、届かぬ声を響かせる】


【────】


【傷口が熱を持った、砕かれた骨の欠片が容赦なく神経を蝕む】
【呼吸をする度に傷口が熱を持った、── 目尻からこぼれ落ちるいっぱいの涙】
【蜂蜜色の瞳が滲む、助けて、と周囲を見渡して】

【かちかちと、小さな歯が震えた。── 響く音律はどこまでも可憐で】
【今まさに蹂躙される少女の残照を、少しでも残せるようにともがく様に】
【あまりの痛みに目を閉じた、少しでも別の事を考えて紛らさせようとした、でも】

【傷口は深く熱を持つ、焼ける様な灼熱、焦がすような焦熱】
【脳の神経が片っ端から焼けきれる様に、嗚呼と無音階の音律が漏れる】
【それは供物であった、死出の舞を奉納する────巫女が如く】
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 17:02:06.54 ID:h5YCRs5i0
>>404>>405>>406

【ミラの制止も空しく、事は発生した】
【僅か一分でもこちらに注意を引き、そうすれば脱出の隙を稼げる、と】
【だが、あまりにも早計、甘すぎた】

「グッあッ……」

【襟首をつかまれ、数の暴力で引き戻される】
【そして躊躇いなく繰り出される、銃での殴打】
【血を口内よりその場に吐き出して】
【再び男を睨む】
【何と情けない事か、銃も能力も無ければ、一秒の時間すら稼げないとは】
【やがて、再び歩み出す男は……再び隣の鵺の前に立ち】

「鵺……まさか、止めろッ!!」

【鵺の腕を、その無慈悲な一撃により打ちすえたのだ】
【そして、こちらをじっと見る】
【言葉は無かったが、何を言わんとしているのかは理解が出来た】

「貴様、これがルールだと言うのか!?」
「これが貴様らのやり方かァッ!!??」

【鵺を振り返り案じつつも、視線は男を睨みつけ叫ぶように】
【その怒号の問いかけを成す】
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/21(土) 17:08:08.18 ID:5oCeYS1fO
>>405-406
【名前まで知られていたか。そのことに、心の中で舌打ちをする。だが、それはただ】
【自分の間抜けさが言葉となって投げつけられただけだ。嘘の付きにくい性格のせいで】
【あちこちで名を名乗っていた気がする。なまじ姿を変えられる分、名前に拘わらなかったのが仇となった】
【一瞬だけそのことを悔いるが、すぐに霧散する。今はそんなこと、どうだってよかった】


…………そりゃあ、あんたらとは随分と長い付き合いになるからな


【短くそう答える。自嘲が口元に浮かぶ。本当に、長い付き合いだ。最初の邂逅では】
【あの季節はまだ、寒かった。────しょうもない思い出は、すぐに記憶の隅に押し込まれた】


       【乱される空気】

       【鵺の悲鳴があがる】

       【生々しい音が響く】

       【男たちの罵声が飛ぶ】


【それを──嗚呼。やはり彼女は、見ていただけだった。哀れなものを見る目すらしていたかもしれない】
【当然だ、とその目は語っていた。子供の甲高い悲鳴が、大人の男にはよく効く】
【強者の心を折るために、弱者を責める──路地裏の借金取りですら知っている、単純なことだった】

【(次は自分だろうか────)不思議と、頭の中は冷静だった。こんな光景を見せつけられて】
【心臓は高鳴り、震えが腹の奥底から這い寄ってくるにも関わらず──どこか、頭だけは冷たかった】
【“次”でなかったとしても、その次か。それとも、その次の次か】
【いつかその順番が来るのだろう。────「よせよ」と厳島に向け再度呟く】
【抵抗は無意味なのだと、なぜ分からない。言葉の響きは、諭すようなものさえ持っていた】
410 :ディミーア ◆r0cnuegjy. [sage saga]:2018/04/21(土) 17:11:54.67 ID:St8EB17To
>>405>>406

【名前を見知らぬ相手に知られている不快感がこみ上げてくる。だが問題なのはそこじゃなかった】
【この男の笑みを、見たことがある。嗜虐者の顔。自身が率いる部隊の副官か、あるいは────鏡の向こうに】
【だからか、どうすべきかは分からない。しかし、”どうなるか”は分かってしまった】

【(>>403)厳島が動き、そして取り押さえられる。止めはしない、止められはしない】
【一瞬遅ければ、自分の身体が同じことをしていたかもしれない。(>>401)鵺の声が打ち抜いたのは厳島だけではないのだから】
【怒りに震える身体を押さえつけるのは難しかった。それでも動かなかったのは、厳島とディミーアの最大の違いが原因なのかもしれない】

【(>>407)殴打音が聞こえた。鵺の腕に、鉄塊が振り下ろされた。悲鳴が、耳に届いた】
【歯を強く噛みしめる。仲間を打ちのめされる怒りが全身を駆け巡り暴れ出す。それでも尚もディミーアは動かなかった】
【何故か────こう考えたからだ。”俺でも同じことをする”、と】

【相手の目的なんか分からない。感情があるのかないのかも知らない】
【それでも、もしも敵と認識したものを捕らえたのだとしたら。そして庇い合うような気配があったのだとしたら】
【その時は、嬉々として同じことをするだろう。相手が喜びを覚えているかは知らないが、自分ならばまずそうするだろう】

【その認識が、自覚が、冷静さを与えていた。何もおかしなことは起こっていない。起こるべきことが起こっただけだ、と】
【ルール、と相手は言っていた。下手に歯向かえば、自分の命ではなく他人の命が失われ得る。あるいは、その両方が】
【抵抗は無意味、どころではない。悪い結果をもたらすことにしかならない。そう解釈できる】


…………厳島


【その一言は、非難めいた響きを持っていた】
【壮年の男への睨みつけるような視線は変わらず。怒りだって収まりきってるわけじゃなかった】
【それでも、ディミーアは大人しくしていた。少なくとも、今は】
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 17:25:52.33 ID:h5YCRs5i0
>>407>>409>>410

「鵺ッ!」

【打ち据えられる少女の悲鳴、叫び】
【これほど胸を抉る事は無かった】
【ギリと歯を噛み、そして自身の安直な行動を悔いた】

「すまない、すまない……」

【後はもはや、言葉にならなかった】
【とても、直視の出来る物では無かった】

「ああ、解っている」
「解ったさ……」

【ミラの短い言葉に、こう答えた】
【誰かが動けば、他の動かない者が痛みを喰らう】
【それが、彼らの言うルールである、と】

「ディミーア……」

【その非難の呼びかけに、こちらも言葉が無かった】
【あるいは、この男も同じ想いなのかもしれない、と】
【ただ、歯を喰いしばるしか無かった】
【口から一筋、血が滴る】
412 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 17:57:44.47 ID:ibNm6+b6o
>>407(鵺)

──ああ、ああ、あぁ……

可哀想になぁ……今のは良い音がした。
さぞ痛かっただろうなぁ、おい……。

【今し方その残虐に遣った鉄塊を、ぶン、と一度軽く振り回し、肩に担いだ】
【男は眉根を寄せ、口元を引き結び、心底同情するような表情で鵺を見下ろしていた】

【手当をしてやれ、と男を言った】
【すると部下の何人かが鵺へ群がり、その身を無造作に担ぎ上げると】
【バスの前まで運んで、そこに転がし──何かの医療具を持ち出してきて、実際に簡易的な治療を施す】

【傷を消毒し、裂けた部分を縫合し、粗末な添え木の上から包帯を巻く】
【ただそれだけの処置。一切を無言で行って、それが済めば再び線上へ引き戻していく】

【さながら工場のライン作業のごとく、淡々と】


>>408(厳島)

【再び口笛が始まった】

【その軽やかな旋律を吹く男は、厳島の前まで歩み寄って】
【吠え猛る彼の前へと、さも腰の重そうに屈み込んだ】


──お前がもっと利口だったなら、
もっとスマートなやり方があった──そうは思わないか?


【ゆっくりと諭すように、父性すら湛えた眼差しが彼を見据えた】
【それから、隣に並ぶ他の者たちへ視線を流す。彼らをご覧、とでも言いたげな】
【そうすれば再び男は立ち上がって】


>>409(ミラ)

【自嘲の笑みに応じるように、男の口元の弧も一層深まった】
【賢い生徒に向けるような称賛の籠もった笑みだった】

【それでいい──これから徐々に、『理解』していけば】


>>410>>411(ディミーア・厳島)


Mm……お利口なクラスメイト達がいて良かったな。

あまりがさつなことは好きじゃないんだ。
身体より心で理解してくれ……────


【二人のやり取りを聞き、男は厳島に向けて粘質の声を掛けた】
【口から滴った血を見れば、それが赤ん坊の涎ででもあるかのように実に可笑しそうに一つ笑んだ】

/↓
413 :Blood and Judgement [!red_res saga]:2018/04/21(土) 17:58:11.49 ID:ibNm6+b6o
>>ALL

【男はそれから地に跪く彼らを一度薙ぐように見回すと】
【確かに生徒が揃ったと確認する教師のように、一度唸りながら頷いて】


──良し。大体揃ったな。
じゃあ早速、『授業』を始めよう。


【低く渋い声がどこか楽しげに告げて】
【それから男は短い口笛を一つ吹いた】

【それが何かの合図であったらしく、停まっていたバスの戸が開かれて】
【そこへ乗り込んだ幾人かの部下が、車内から何かを担ぎ上げて、場に戻ってきた】


【どさり、と土嚢でも降ろすような無造作さでもって、】
【二つの人間が、その場へ転がされた】


【一人はどうやら中年の男であった】
【それが泥と血に塗れていなければ、仕立ての良いスーツであったと分かるだろう】
【彼らの中に面識のある者はいないだろう。雑踏のどこにでもいそうな特徴の乏しい男だった】

【その男性にもかけられていた目隠しが外され、】
【明らかに意識の曖昧たる様をした黒瞳が、しばし宙を彷徨った】
【段々と焦点が定まっていくその先には、もう一人、若い女性の姿がある】


【緩く波打つ赤毛が砂埃に塗れていた】
【都会的な暗色のパンツスーツは今や元の質を窺わせぬほどに汚れ】
【ジャケットはなく、元は白かったであろうシャツに暗褐色の染みが滲んでいた】

【その女性もまた目隠しを外されると、うっすらと目を開き】
【酷く緊張しきった眼差しが、状況の把握に努めて周囲を忙しなく彷徨った】

【そして──地に跪く彼らを姿を認めると】
【それで否応でも状況を理解し、一転して怯えの色に染まった】



【厳島命が黒野カンナに送った『正夢』に何の応答もなかった理由が】
【これでおおよそ察せられようか。──通信を受けとけるような精神状態ではなかったのが明らかだった】


【そうして場に転がされた二つの人間が、これから何に使われようとしているのか】
【とりわけディミーア・エルドワルと厳島命にはほとんど即座に察しが付いてもおかしくはなさそうであった】

/↓
414 :Blood and Judgement [!red_res saga]:2018/04/21(土) 17:59:17.61 ID:ibNm6+b6o
>>ALL(ディミーア)


──いいか。
これから俺は、お前達に『教育』をする。


自分が本当は何者なのか、お前達はまだ気付いていない。
優秀なお前達がそうであるのはとても哀しいことだ。

──だから『理解』してもらう。


【そこで一つ、男は大きく溜息を吐いた】
【それから品定めするような眼差しで一度彼らを見回すと】
【『彼』にしようと決めて──ディミーア・エルドワルの元にゆっくりと歩み寄った】

【そして屈み込み、問うた】


────お前は誰だ?


【ただその一言だけだった】
【それがデモンストレーションだった】

【何が正解か、全く示されないまま】
【何のヒントすらも与えられないまま】
【しかし無言を許さぬ圧を伴って、男はディミーアを見据えた】
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/21(土) 18:11:09.78 ID:AIo6QgGio
>>412-414

【まるで物の様に扱われながら、彼女は治療を施される】
【漏れ出る言葉は意味を持たぬスキャットに似て、紡ぐ色合いだけがただ淫らに】
【そうして再び線上へと戻されていく────】


……っ、ゃらっ……!! もう、やらよっ……


【哀れな音色が零れた、否が応でも引き戻される現実】
【それはあまりに残酷な処刑宣告、のよう、治療をし再び戦場へと送る】
【絶え間ない恐怖、続く痛みを想像したなら怯懦が胸を支配して】

【────見知った人間が居るというのに、無惨な様相であった、が】

【息を呑んだ、新たに追加された二人の人影に】
【まだ犠牲者が増えるのか、と感じる】
【……其れと同時に鵺は思った、一体どこまで続くのか、と】


(──── 全員、死んじゃうの、かな……)


【ディミーアに向けられる言葉を聞きながら、鵺の顔には諦念が混じる】
【其れは結局嗜虐者の笑みであった様に感じた、から、どの選択肢を辿っても】
【すべての道がローマに通じるように、結局の所すべてが死につながるのではないか、と】

【直感が如く、鵺は理解していた、其れと同時に幾つかの疑問が生じる】

【嬲って殺すのであれば、ここまでたいそうな催しも必要ないのではないか】
【俗に言う権力者達に見させるためならば、溜飲を下げるには演出も過剰】
【── ならば、彼らの狙いとは何なのか、痛みで轟々となる脳内で必死に考える】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 18:12:57.59 ID:h5YCRs5i0
>>412>>413>>414

「……っうッ」

【鵺は治療と称され、バスの横に運ばれ】
【手荒い、そして簡単な治療を受けた】
【ぐうの音も出ない、何とも人道に即した物とは思えない】

「スマートだ?笑わせるな……」
「武器も能力も取り上げて、挙句状況まで設定して……獲物を前に舌舐めずりは三下のする事だ!」

【腰を下ろし、さも平和主義者然と語るようなその男に毒づくも】
【それが、幾分にも男には届いていない事は、容易に想像がつく】

【だが、その思考も、言葉も次の瞬間には須く絶句と変わる】

「――ッ!!??」
「カンナ!?カンナか!?」

【黒野カンナ、良く知った女性と全く面識のない男性が、血塗れのままその場に投げ出された】
【なるほど、正夢の通信に応じない訳だ】
【これでは、とてもではないが……】

「教育だと?貴様、何をする!?」

【男はディミーアの前に移動した】
【お前は誰だ?ディミーアに男はそう問うた】
【一体、一体何をしようと言うのか?】
【我々は、カンナはどうなると言うのか?】
【ただただ、どす黒い不安だけが、その胸に渦巻いた】
417 :ディミーア ◆r0cnuegjy. [sage saga]:2018/04/21(土) 18:21:41.62 ID:St8EB17To
>>411>>412-414

【厳島を見て一度頷く。まずは堪えるしかない】
【そう、堪えるしかない。今までもずっとそうだった。黒野カンナから話を持ちかけられて以来、ずっと】
【憎悪を抑え、怨嗟を飲み込み、機関の内偵さえ行った。それがどれほど屈辱的なことだったか、語る言葉を彼は持たない】

【何故、そんなことをしてきたか。それは彼女の中に正義を見出したからだった。それを成就させたかったからだ】
【だからこそ、特区だろうが何だろうが飛び込んでいった。後ろには巨悪に立ち向かう者がいたからだ】
【ディミーア・エルドワルは正義感もある人間だった。だがここまできたのはそれだけではない。黒野カンナを助けるためでもあった】


【────だというのに】


…………ああ、畜生め


【目の前に転がされた人間を見て、初めてディミーアは怯えたような声を出した】
【分かっていた。相手はあまりにも強大だ。自分が捕まるのなら、彼女もそうなりかねない、と】
【分かっていた。分かっていた────分かっていたとも】

【それで納得ができるのなら────苦労などしない】


何で……何でそんなところにいるんだよ、お前は……
クソ……何だってよ…………鵺に厳島に、そいつまで揃えることはねえだろうが…………!
……ぐっ…………!


【歯を噛みしめる。必死に、必死に。こみ上げる怒りを必死で飲み込む。今までもそうしてきた、今日もできるはずだ】
【発してしまえば、傷つくのは自分ではない。この場ではそういう理屈が通っている。だったら、言ってはならない】
【堪えろ、堪えろ、堪えろ。何度も自分に言い聞かせて────そうして、息を吐く】

【ほんの数秒。そんな僅かな時間で、憔悴しきった顔で、ディミーアは男へと向く】
【教育。理解。洗脳の前触れのような何かを感じた。何を始めようとしているのか、考えるだけで感情が爆発しそうになる】
【それを抑え込み、もう一度深く息を吸い、吐く。落ち着け。まだ全てが終わったわけではないのだから】


…………折角のご指名のところ悪いが、何が聞きたいのかさっぱりだぜ
誰だって聞かれりゃ、普通はディミーアだって答えるのかね。あるいは、魔術剣士だ、とかか?
自警団員ってのも間違っちゃいないんだろうが……どれも、お前の求める答えじゃなさそうだな


【平然を装って、いつも以上の饒舌さで答える。答えが出せないことなんてのは分かりきってる】
【嫌な予感が脳裏を過ぎる。外れていてくれと願う。答えが出せなければ果たして何をしてくるのか、なんて】
【────剣士は答えた。それでどうなるかは、分からなかったが】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/21(土) 18:24:04.08 ID:5oCeYS1fO
【厳島が怒りを身の内に収めれば、それでいいと言わんばかりに彼から視線を外す】
【そしてふと、思案するのだ。自分がここにいる意味を。誰かを甚振るため──ここにいる誰かの行動を縛るためか】
【(…………あぁ、多分そうじゃねぇ)頭の中に、一人の男が浮かんだ】
【(あたしがここに呼ばれた意味が、あるのなら)(それはきっと、“あいつ”に対して────)】

【(帰りたいという思いが、螢火の如く胸に煌めいた)】


>>412-414
【────犠牲者が二人増えた。そう思った。若い女と中年。彼らが何をしたのかは分からないが】
【“何かをしていたのだろう”ということは、容易に察しがついた。どうせ、連中に楯突くことでもしたのだろう】
【同情と憐憫が、二人に向けられる。言葉はやはり、何もなく】


(────カンナ。カンナってのか、あの女)
(ま、何したかは知らねぇが…………は、さっきはクールに自分を抑えてたディミーアの野郎が)
(随分とお熱だぜ。…………あいつらの、重要人物ってぇとこ、か。…………にしても、“教育”────)

(…………“フルフェイス”。ありゃ確か洗脳技術の応用、つってたか)
(は────のっぺらぼうの仮面でも、被せられるのかよ)


【隣の男が、問いかけられていた。(お前は誰だ──?)思っても見なかった問いに、困惑する】
【金色の目が揺らぐ。もし自分がああ問われたら、なんと答えるだろうか】
【機関員──否。円卓──否。Mの一画──不十分だと感じる。なら、自分はなんだろうか】
【…………ミラだ、という答えしか浮かばなかった。立場でも、見た目でも定義は難しく】
【ただごくありふれた、名前を紡ぐことが自分の答えなのだろうと。問答を見てそう思っていた】
419 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 18:55:56.85 ID:ibNm6+b6o
>>417(ディミーア)


【──男はただ愉快げに口の端を吊り上げた】
【その返答に、その饒舌に奥に揺らめき始めているものを見いだして】


──お前にして正解だった。

実に良い、模範解答だ。
──『不正解』としての、な。


【そう、刻みつけるように言った男は】
【満足したように立ち上がり────】


>>416(厳島)

──Wow

いいぞ、良いガッツだ。
お前みたいなやつは好きだ。

どうかそのままでいてくれよ。

【鉄塊で厳島を指す】
【男の眼差しは、何か釘で打ち付けるような硬質さを帯びて厳島へと据えられた】
【出来の悪い生徒にはむしろ情熱を燃やす、そんな『教師』じみた熱気がじわりと滲んで】

/↓
420 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 19:01:05.71 ID:ibNm6+b6o
>>ALL
【ディミーアへのデモンストレーションを終えると】
【男は鷹揚に踵を返してから数歩、歩み】

【彼らを取り巻く部下達の前までやってくると】
【おもむろにその不細工なバットである一人を指した】


────お前は誰だ?


【それはディミーアに問うたのと全く同じ声色だった】
【指名された部下は一切怯える様子も困惑する様子もなかった】

【ただ平然と、分かりきった答えを口にした】



  『カノッサです』



【──誰かが固唾を呑んだ】
【その時挟まれた一拍の無音は、誰かが何かを理解したことを示した】

【そうして一切の表情と感情を欠いた声色が正解を紡いで】
【男は楽しげに「Good」とその身を些か反らせて言った】
【その続けざま、また別の部下を指して問うた】

【「お前は誰だ?」】


  『カノッサです』


【続けて二、三人、男は次々に指していった】
【そして間断なくテンポ良く模範解答が返った】


  『私はカノッサです』


【優秀な生徒達の全問正解を受けて、男は上機嫌に唸った】
【それから再び振り返り──ざり、ざり、と土を踏んで、彼らの前まで戻ってきた】

【その足が向かった先は── 鵺、であった】

【男は少女の元にゆっくりとしゃがみ込むと】
【父親の娘を見るが如き優しげな眼差しで、じっと見据えた】

【 (お前なら正解できるだろう)──と 】

【そして実際に設問を口にした】



 ────お前は誰だ?



【軍勢は押し黙り、彼女の回答をじっと待った】

【そこに訪れる圧迫するような静謐は、少女だけに向けられたものではなかった】
【この『授業』の意義。ゴール。彼らに何を『理解』して欲しいのか。それが徐々に明かされつつあった】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 19:11:49.55 ID:h5YCRs5i0
>>419>>420

「っく……言って居ろ……」

【まるで、良く生徒を指導する教師の様に】
【その鉄の塊をこちらに向け乍ら、今はこの男を睨みつける事しか出来なかった】
【やがて、男は自分の部下達に向き直り】

「(何だと言うのだ、カノッサ……いや何の意味があるのだ?)」

【この問答に、そこにはまるで、狂信的な宗教の団体の様な】
【そんな気味悪さがあった】
【洗脳?いや、もっと単純な何か……】
【だが、何の意味がある?】
【少なくとも、厳島の知るカノッサ機関構成員はここまでカルト宗教じみた、そんな行動は無かった】

「――ッ!?」

【そして満足げな男が次に向かった先は……】
【この場で一人の少女、鵺だった】

「貴様ら……何が目的だ……」

【唸る様にこう言った】
【何故、何故、あらゆる事が疑念となり、頭に渦巻く】
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/21(土) 19:12:53.09 ID:5oCeYS1fO
>>419-420
【なるほど。漸く────正解が見えた。“そう”答えればいいのか】
【立場には拘らない。カノッサかと聞かれれば、カノッサだと答えよう】
【あながちそれは間違いでもない。自分の寝床は、職場は機関員の所有する廃工場なのだから】
【嘘ではなかった。だから、その“正解”はするりと心の内に入ってくる。躊躇いも、戸惑いもなく】


      【 「カノッサです」 】


【言葉にはしなかった。それを紡ぐタイミングは、今じゃなかったから】
【予行演習のようなものだ。音にはせず、唇だけでその音を模倣する】
【────模倣は、得意だった。カノッサです。これも、誰かのモノマネなんだろうか】
【カノッサです。それとも、自分の意思なのだろうか。恐らくは、その両方────『カノッサ、です』】
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/21(土) 19:13:56.85 ID:AIo6QgGio
>>419-420

【近づく男に、鵺の表情に再び怯えが浮かんだ── 痛みの記憶が鮮明に蘇る】
【唇の端を噛んだ、永遠とも思える一瞬に、僅かばかりの憐憫を感じて】
【奇妙な静寂だった。── 心音さえも聞こえそうな程に】

【問われる問い、答えは明らかだった。── どう答えるのが正解かだなんて】
【どう思ってようと、答えは一つしかない、逆説的に言えばそう答えれば救われる】
【傷口が痛んだ、喉が渇く、答えようと開いた口から、呼吸音だけが漏れた】



【  ────”ともだちは、大事にしろよ”】



【ヨハネスの言葉が思い返される、あの寂しげな横顔と共に】
【こんな世界を間違っていると思いながらも、舞台を降りることを選んだ老兵の言葉】
【鵺は周囲を見渡す、この場に並べられた幾重もの人達を見て】

【ディミーア、厳島、ミラ、そしてカンナと、円────】

【今日出会ったばかりの人間も居る、名前も知らぬ人員も中にはいる】
【而して、その全てが共通の敵を見ていた、貴方達が紡いだ "カノッサ" 】
【それは抗うべき敵で、倒すべき敵で、超えるべき敵なのであるから────】

【答えはたった一つ、シンプルであった】

【今一瞬だけ自分に嘘をつけばいい、例え言葉でどう言っても心までは縛られない】
【生きて帰らなければならない、命さえあれば、また、何処かでデカイ一撃を放てる】
【音律が一葉、僅かばかりに静謐をなぞった】





────この姿を見て、まだ分からないんですか?




【──── どうしてだろう】




『公安三課』所属、鵺 ────覚えておいてください



正義は必ず勝つんです



424 :ディミーア ◆r0cnuegjy. [sage saga]:2018/04/21(土) 19:24:27.48 ID:St8EB17To
>>419>>420

【不正解、などと言われてもディミーアの表情は変わらない。分かりきっていることだ】
【そして不正解に対してペナルティがなかったことに安堵する。が、しかし】


(────『カノッサ』)


【その言葉を、その単語を思い浮かべるだけで、在りし日の感情が呼び起こされる】
【後悔、悲哀、憤怒、憎悪────虚無感】
【そんな言葉を答えろと、奴らは言っているのか】

>>423

【異音。そう、それこそ異音だろう】
【口々に誰もが『カノッサ』と答える無機質な演奏に混じる異音】
【それがディミーアの意識を打つ。恐怖と驚愕が表情に広がり、鵺を見る】


お、お前、何で────っ!?


【何故そうしたのか、分からなかった。死にたくないと、言っていたのに】
【このままでは彼女が殺されるかもしれない。一瞬過ぎったその考えが恐怖として全身を巡る】
425 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 19:44:37.88 ID:ibNm6+b6o
>>423(鵺)



  ……………………………………



【重たい、重たい沈黙が場を支配した】

【笑んでいた男の表情からすっとそれが消えて】
【何の感情も籠もらない仮面のごとき顔が少女を見下ろしていた】

【どれだけの間それは続いただろう】

【その無音は問いかけるようでもあったし、無慈悲に宣告するようでもあった】

【──それで悔いはないのかと】
【──だとするなら辿るべき道は定まったと】


【男は無言のまま部下へ向けて何か掌を差し出すと】
【そこへ、一つのタブレット端末が置かれた】

【それを、少女の前の地面に、無造作に放り出した】

【そこには映像が映っていた】
【録画されたものなのか、あるいはどこかからの中継なのか】

【──白い部屋だった】
【その中に、人間の形をした何かがあった】
【正確に言えば、彼女の良く知った顔のついた人間だった】

【つい最近、公安三課から失踪した黒髪の青年とよく似ていた】
【似すぎていた。同一であった。その彼の瞳は、何を見ているのか最早定かならぬ色をしていた】


 「…………、ぁっ…………」


【その時、恐らくは彼女より先に短い悲鳴の如き声をあげる者がいる】
【先ほど地に転がされてきた、赤毛の彼女であった】

【その画面に映るものが何なのか、彼女はいち早く勘付いた】
【そして全身が硬直し、次いで恐怖に打ち震え始めた】
【その口元が何かを言おうとして開閉するが、それは何の言葉にもならなかった】

【ただ彼女へ向けて、心底から、その身を犠牲にしてでも何かを訴えかけるような眼差しが少女へ縋った】



【が、そんな彼女はその時、男に襟首を掴まれて】
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/21(土) 19:54:39.07 ID:AIo6QgGio
>>425

【死にたくなかった── 生きていたかった】
【それでも、捨てられない物があった。── ただそれだけの事だから】
【例えば其れが矜持と呼ぶことを、彼女は知らない】

【ただ純真に、心から出た思いに従っただけだった】

【蜂蜜色の双眸がまっすぐ男を見返す、不思議と恐怖は消え去った】
【覚悟は怯懦を打倒する。── 心に決めた死は、今ある生を強く誇り高く咲かせる】
【ええ、どうぞ、と── 死に至る舞踏に手を伸ばす、淑女の如く】



【  ──"誤算"は無かった、覚悟だけが凛々しく、華やかに──  】




【  ──── あるべきだった】



森島……くん────っ!!



【視界が真っ白になる、脳に閃光が弾ける── 頭に血が上るとはこの事か】
【感情が弾ける、フルスロットルで踏み込む、アクセル全開、異能を発動しようとする】
【でない。── 何度行使しようとしても、発動しない、能力さえ使えれば、こんな相手なんて】

【無音の嗚咽が漏れた、鈍い痛みが腕に奔った】


森島君に、何をしてるんですか── !!
答えなさい! 彼に手を出したら、ただじゃ済まないですよ!
っ……!! 好き勝手して────!! このっ……この!!!

一体どれだけ人の命を弄べば気が済むんですか!!


【破裂する感情、鈴の音に近い声がひずむ程に】
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 19:57:46.34 ID:YeJ9UR800
【風の国・大平原地帯】

【数年前、悪魔が構築した巨大な塔が存在していた――他に特徴のない、貿易路】
【周囲数十キロに渡って広がる平原は今日、視程10メートルの霧に覆われていた】
【そんな、何もない場所を彷徨う奇特な者が居れば】
【道端に倒れる幌馬車と、全長7メートルの槍に貫かれたキャラバンの一員に出会すことだろう】



         『――――――――――――――。』



【他にあるのは静寂だけ。けれど耳を澄ませば、さらさらと風に靡く雑草の音に入り混じり】
【微かな息遣いを感じるかも知れない。冷たい空気の中に、ゆるりと吐息を漏らすような気配】

【逃げ出した馬のものだろうか。生き残った人間のものだろうか】
【或いは――、――――。どちらにせよ、その静けさには一種の異様さが含まれていた】
【霧という水分に覆われた、異界のような。薄気味の悪い寒さが空間を包んでいた】
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 20:02:15.14 ID:h5YCRs5i0
>>425>>426

「(誰だ?この人物は……)」

【自分たちと同じように、身柄を拘束されている】
【そこから、立場は非常に近い人物と推定できる】
【そして、鵺とカンナの反応がそれを肯定した】

「(森島?森島と言うのか、この男は……)」
「カンナ!」

【何事か、叫びを上げようとしたカンナが部下の男達に抑えられた】
【そして今度は鵺が、男に喰ってかかろうとした】

「鵺ッ!ダメだ!」

【気持ちは、気持ちは痛いほど伝わる】
【彼はどうにも、鵺と非常に近しい立場の人間の様だ】
【だが、だが今は……思わず少女に叫ぶように言う】
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2018/04/21(土) 20:04:29.46 ID:5oCeYS1fO
>>425-426
【鵺と呼ばれる少女が“正解”を言わなかったことに、ミラは驚いた。──子供だからか】
【すぐにそう思う。妙に頑固で、小うるさくて、そのくせすぐに泣いちまう。どうせ】
【隣にいる蜂蜜色の少女もその手の類なのだろう。そう、一方的な感想を抱いた後】


…………いいのか、鵺ちゃんよぉ
あんたが言わなかったせいで、あの坊ちゃんが多分酷ぇ目にあうぜ、こりゃ


言っちまえよ────カノッサです、って
なぁ、“先生”よぉ…………課題の提出は、ちょっとの遅れも許されねぇってか?


【────悲痛な鵺の声に、何か感じるところでもあったのか。横からミラがそう囁いた】
430 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 20:04:48.37 ID:ibNm6+b6o
>>421>>424(厳島・ディミーア)

【鵺の前から引きずられてきた女性──黒野カンナが】
【ディミーアの眼前へと転がされてきた】
【痛みも屈辱もあったろうが、それをじっと押し殺す表情が見て取れる】

【ざり、と男がディミーアの前に立ち、見下ろした】


────銃は苦手か、剣士?


【唐突に問うその声はひどく冷たかった】
【先ほどまでの笑みを含んだそれらが全て嘘か幻であったかのごとく】

【男の手には、銀のリボルバー式拳銃が握られていた】
【その弾倉を展開すると、彼へ見せつけるようにして、銃弾をたった一発だけ、そこに込めた】
【弾倉を元の位置に収める。そしてルーレットでも回すかの如く、勢いよく回転させる】

【かちり、と回転が止まって】

【その時、部下の数人が動いてディミーアの身を拘束しながら、手錠を外す】
【自由になったその手の片方が、しかしすぐさま別の不自由に塗り潰される】

【男の手にあったリボルバーが、ディミーアの片手へと強制的に握らされ】
【そのまま、その銃口を、黒野カンナの片眼に添える】
【──彼女の震えが、その金属を介して彼の手元に伝わるだろう】

【それから、一枚のハンカチを、拳銃を握る手と弾倉を覆うよう被せる】
【──彼からは、弾倉のどの位置に弾丸が入っているのか、見えない】

【男が再び屈み込み、その昏い瞳でディミーアを見据えた】
【「もう一度、やり直すぞ」】


────お前は誰だ?


【先よりもずっと温度の低い声色が言った】
【それから男は無言でじっと反応を待つだろう】



【──が】
【そこで彼がどんな反応・回答をしたにせよ】
【(例え口だけの『正解』を言おうと、銃口をあらぬ方へ向けようと)】
【男はすぐさまこのように言うはずだ】


────違うな。そうじゃない。


【そして、金属じみた声が即座に彼に命令する】

【──引き金を引け、と】
【銃口に塞がれていない方の、彼女の瞳が、酷く揺らいでいた】


──どうした。
銃は苦手か、剣士?

出来ないなら、お前の『ともだち』にやってもらうが。

/↓
431 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 20:05:45.44 ID:ibNm6+b6o
>>421>>424(厳島・ディミーア)

【続けて、厳島の方にも部下が群がった】
【そのうちの一人が、ディミーアへしたのと同様に、手錠を解き、拳銃を握らせるだろう】


【ただしそれは、自動式の拳銃】

【銃弾の一発だけ入った弾倉を厳島へ一度見せつけてから、それを装填し】
【押しつけるようにして、彼の手へと握らせた】


【何をさせるつもりなのかは最早誰も説明などしなかった】
432 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 20:07:18.09 ID:ibNm6+b6o
>>422(ミラ)

【──そうした立て続けに起こる変化の中】
【男の眼差しはふと、横目でミラを見据えた】


──お前はこの中で一番賢いからな。
あんな簡単な問題じゃ、物足りないだろう。

そう思って、お前には『特別問題』を用意しておいた。


【仲間はずれじゃないぞ、安心しろ──と】

【その時、彼女の後ろで気配が一つ動いた】

【──軍勢の中ではそれだけがどこか違った色をしていた】
【あるいはそれがもっとも鋭敏に感じられるのは彼女以外に有り得なかったかもしれなかった】


「──やっと、会えましたね〜」


【この陰鬱な空間の中でそれは際立って明るかった】
【もしも振り向いてみたならば──そこには予想通りの人陰がある】


【その『看護師』は花の咲くような満面の笑みをして彼女を見ていた】
【ようやく旧友に会えたかのごとく、嬉しげに】

【──それは何に用いようというのか】
【奇妙で大きな銀色の『帽子』が、その両手に大事そうに抱えられていた】

【やがて『看護師』はゆっくりと彼女へ向けて歩み寄り始めた】
【何の警戒心もなく、本当に心底幸せそうに──】

【銀色の『帽子』が無機質な光沢を帯びて、その表面に歪んだ鏡像を結ぶ】
【そこに映るのは、ミラ・クラァケ自身と、『看護師』の溶けて融和したような異形】

【『帽子』は彼女のためだけに誂えられた】
【そのようなサイズと形状をしていた】

【彼女はゆっくりとそれを、彼女に被せていく】

【暴れれば、逃れようとすれば】
【“賢い”彼女が予想した通りの事態が起きる】

【──軍勢が彼女をじっと見据えていた】
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 20:21:58.40 ID:h5YCRs5i0
>>430>>431>>432

「……もういい」
「もういいだろ!!」

【ディミーアに向けられた問題、そして】
【問答無用に突き付けられたリボルバー拳銃】
【それは、一つの事しか意味をしていなかった】

「何故!?こんな事をさせる!?」
「貴様らの行動に何の意味がある!?」
「ディミーアァッ!!」

【叫んだのは、この窮地に立たされている友人の名前】
【もはや、洗脳行為と呼ぶには、あまりにも行き過ぎた物だった】
【娯楽、そう、愉悦のそれに近い物】

「断じて、断じてこんな物、認めるわけには……」

【そして自分の手にも握らされる拳銃】
【ああ、そうだ、使い慣れている物だ回転式弾倉とは違う】
【オートマチック拳銃、ロシアンルーレットではない、問答無用の一発を見舞うそれだ】

「ふ、ふざけるな……」

【俺に私に僕に……撃てるわけがないだろう】
【薄汚い男ではない、機関員でもない、黒幕でも円卓でもない、カンナだ、この国での仲間、黒野カンナに向けてだ】
【それは、ディミーアも同じではないか?】
【同じだと、そう信じたい……】
【何よりカンナはこんな所で諦める者だろうか】
【先だっても、この国の法を取り戻すと、そう語ったばかりではないか!?】
【銃を持つ手も、状況を視認する目も頭も揺れる、呼吸は是までに無いほどに、荒い】

【だが、状況はより悪化を見せた】

「き、貴様は!?」
「まさか……曽根上ミチカ!?」

【ミラへの反応から、その看護師をそう推測した】
【紛れもなく、対黒幕戦線が追っている相手だ】
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/21(土) 20:23:16.88 ID:5oCeYS1fO
>>432
【────それは、鵺に囁いた直後のこと。その気配は。その温度は。その音は】
【どれほど彼女を夢の中で殺しただろう。銃で撃ち、頸を削ぎ、縄で締め、刃で抉り】
【どれほどその瞬間を夢想しただろうか。────忘れるはずも、なかった】



そ、…………ね、────────曽根上ぇぇえええぇぇえぇえぇぇぇええええええ──────ッッ!!



【絶叫だった。喉も破れんばかりの怨嗟だった。今まで黙していたからこそ】
【その感情は、瀑布の如く噴出する。ガチャ、と手から冷たい響きが聞こえた】
【手錠が鉄の温度をミラに示す。動けない。抵抗などしようがなかった】


ク、ソがぁっ────!!今度はてめぇっ…………何をするつもりだ!
何を勝手にしてやがる、クソ!ヘラヘラヘラヘラしやがってよぉ!!


────次はあたしから、何を奪うつもりだ!

答えろ────曽根上ぇぇええええええぇぇえッッ!


【拒絶は、するのだろう。だがそれも口だけで。激しく暴れたりは──できなかった】
【結果として、受け入れるしかないのだろう。その銀色を。帽子に映った異形の姿が、見えた】
【(ジル…………ジルベール────!!)悲鳴は、届くことなく】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2018/04/21(土) 20:30:12.21 ID:+CPzkg3y0
>>430>>433

【鵺の激昂で画面の向こうに誰がいるのかが分かった】
【それはディミーアも知る人物。状況はどんどん酷くなっていく】
【最悪だと思えば次の最悪を知らされる。絶望に底などないことを教えられる】

【目の前にカンナが連れてこられる。何かと思う間も無く拘束が外され、銃を握らされる】
【何をさせるつもりかなど一瞬で分かった。最低最悪の遊びの一つだ】

【そして質問がくる。たったひとつの答えを強制する質問が】
【舌が痺れる。喉がひりつく。ここにいる誰よりもその言葉を言うことは許されなかった】
【だが────常に最低の下は存在するのだ】


なっ…………!


【剣士は言葉を失った。自分の手で彼女を撃つ。“それ”だけは絶対にできなかった】
【だが厳島の手には自動拳銃が握らされていた。自分が撃たずとも彼がやらされる。どちらでも同じことだ】
【状況はほとんど手詰まりだった。悪辣な選択肢だけが残されている】

【何ができるというのか。もう引き金を絞り、銃弾が出ないことを祈るだけだ】
【他に手はない。論理的に考えて他に意味のある選択などない。どう考えても何度考えても無駄だ】
【引き金に指が触れる。銃の扱いなら何度もしてきた。いまさら────】


………………………………
……………………………………………………むり、だ

“それ”だけは、絶対にできない…………!


【震える声が拒絶をする。いや、震えているのは全身だった】
【誰かに命じられて信頼する者を殺す。そんなことは、できるはずがなかった】
【他でもないこの男には、絶対に】
436 :Blood and Judgement [!nasu_res saga]:2018/04/21(土) 21:09:34.74 ID:ibNm6+b6o
>>426(鵺)

【叫び、猛る、少女の姿を】
【男の冷たい横目が捉えた】


【男はディミーアの元から一度離れると】
【そのままひどく日常じみた足取りで彼女へと一歩一歩近寄って】

【男が顎を一しゃくりすると、部下が鵺へと群がって】
【その腕を、先ほど治療された方の腕を地面へと押さえつけて】

【男がつまらなさそうに鉄塊を振り上げてそれを何でもないように振り下ろす】


【ぶン──】


【無言の男の代わりに音だけが雄弁だった】
【別に肉や骨がどうなろうとどんな叫びを上げようと最早関心は無い】


【ぶン──】


【もう一度振り上げて、それを再び叩き付ける】



────お前達の誰も責任を取ろうとしないから。
こういう、真面目な男ばかりが割を食うんだ。


【──画面の中で変化が起きていることに気付く余裕があるかは分からない】
【ただ何者かが青年へと近寄って、何か銀色の首輪を彼へと装着させた、ただそれだけのことだった】

【首輪は一定の間隔で赤く明滅していた】


437 :Blood and Judgement [!red_res saga]:2018/04/21(土) 21:10:49.97 ID:ibNm6+b6o
>>435(ディミーア)


 ………………………………


【重たい沈黙が向けられた】
【男は何の感情も籠もらない目で、じっと彼を見つめていた】

【ただ一言、「そうか」とだけ呟いて】
【ディミーアからリボルバーを取り上げると】

【それを黒野カンナに向けて連続して六回引き金を引いた】


【銃声が一発、炸裂した】


【在ってはならぬ量の血飛沫があがり、】
【それがディミーア・エルドワルの両目へ降りかかった】



>>433(厳島)

【銃声が炸裂する一瞬前、】
【部下の一人が彼から銃を取り上げ】
【そこからすかさず、手にしていた突撃銃を彼の頭部へ振り下ろした】

【まともに受けたなら、ひどい耳鳴りと視界のぼやけが数秒間彼を襲う】
438 :Blood and Judgement [!red_res saga]:2018/04/21(土) 21:13:29.90 ID:ibNm6+b6o
>>434(ミラ)

「────んふふ。
 あなたを助けに来たんですよ」

【その底抜けに明るい声は、本心からでしか出しえぬような色をしていた】
【ふざけている訳でもない。いたぶろうとしている訳でもない】

【ただ自身が帯びた使命に純粋に従って、それを遂行している目だった】


【怨嗟の絶叫が爆裂したことなどまるでその看護師には聞こえていぬかのよう】
【想い人のために真心込めて編んだ花冠をそっとその本懐のために被せようとするかのように】
【そのあまりに異質で歪な『帽子』を、一分のズレもなくミラ・クラァケの頭部へと装着させた】



 【 ────臭ェな。いつから此処は魚河岸になったんだ?=@】



【その時】
【彼女の中でその声が反響するだろう】
【同時に、そこに紐付く光景もフラッシュのように瞬く】


【その今し方再生されたばかりの記憶は】
【何か、妙な揺らぎを伴って】

【さながら写真に強烈な酸でもぶちまけるかのように】
【その色が、徐々に徐々に、薄まり始めていくような感覚を覚えていくかもしれない】


────ここでお前には特別な問題だ。


【その時、『教師』の声がして】
【と同時に、いつの間にか看護師の手に──重厚な刃渡りのナイフが一つ、握られていて】
【そして、それはうっすらと錆び付いていた。刃もいくらか欠けていた】
【白衣の彼女には似合いようもないその代物を、彼女は笑顔のまま勢いよくミラの眼前の地面へと突き刺した】


────“No Pain, No Gain”

この言葉の意味を知っているか?
ヒントは“そこ”にある。まあお前なら簡単だろうが。


【地に突き立てられた大ぶりの錆びたナイフが、何かを誘っていた】
【──同時に、再生される光景と感情のリフレインが、揺らぎを増して行く】
【教師は言わなかったがそれには明確な時間制限があった】
【その『砂時計』は今まさに、彼女の中で一粒も待つことなく滑り落ちていた】

【一切の猶予無く問うていた】

【 『きおく』 『いたみ』 】

【より尊い方を選べ、と】


【『看護師』は願う】
【正解に気付いてくれるように】

【彼女が本当に大事なものに気付いてくれるように】
【その優しい刃を自身の身に突き立ててくれるように】
【痛みだけがその毒の進行を食い止められるのだということに】
439 :Blood and Judgement [!red_res saga]:2018/04/21(土) 21:16:48.84 ID:ibNm6+b6o
/すみませんレスが抜けてて前後しちゃいましたが時系列的には以下の通りです。
/436→438→437
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 21:20:29.39 ID:DiB0Lh02o
【──水の国にある、とある酒場。週末ということもあって賑わいを見せている】
【店の隅に設置してあるテレビを見れば、連日報道されている魔防法関連の話題】
【そして、先日あったテロの話題だった。あれ以降世論は能力者排除の方に傾きつつあるのだが──】


「はあ、今日もあの話題で持ちっきりか。面白くもないな」


【画面に映っていたのは、初めて出会った機関の人間であるカニバディールだった】
【彼のことをよく思っていたのだけど、能力を開花させる薬を開発したということを耳にして】
【──内心、少し見損なっていた。幾ら粗悪な能力で魔防法の皮肉をすると言えども、選ばれていない者も能力を持てるというのが気に入らなかったのだ】

【それでも、より尊敬の念は高まった。たかが数日であのような薬を作り上げていたのだ】
【テロは失敗に終わったといえども、能力者に対する畏怖の念が民衆に植え付けられたのだから】
【それがどこかで崇拝に変われば──後は早い。宗教が出来て、それを信奉する人間も増えるはずだと】


「“円卓”も“黒幕”も、利益を求めすぎだ。いつか滅びるだろうな──」


【ふと、小さな声でひとつ。此方もあちらも、利益を求めすぎている】
【地道な基礎研究がすべてを生み出す礎になるというのに、彼らはどこか外れたところで戦っている】
【公安が碌に活動できない内に、正義を挫くべきなのだろうが──どちらも内乱だらけ、お話しにならない】

【麻草の煙草を口に咥えて、指先に火を灯して煙草の先端に近づける】
【フィルターと麻草が焼けて、独特の匂いを漂わせながら。白煙をくゆらせて思索に耽る】
【今日は盛況らしく、空いている席も女の真向かいしか見当たらないであろう】


【髪は真紅で腰まで伸ばし、ところどころハネている。手入れをサボっている証拠だ】
【黒い瞳はぼうっとテレビの画面に向けられ、頬杖をついている右腕の人差し指には魔石の指輪】
【右耳には三日月を模したピアスをつけ、胸元には球体に巻き付いた蛇のシンボル】

【──指名手配されている“Crimson”に、他ならなかった】
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 21:28:07.15 ID:h5YCRs5i0
>>436>>437>>438

「鵺ッ!!」

【その間に、鵺が取り押さえられ】
【そして棍棒が、鋼鉄のそれが振り下ろされた】
【叫びは空しく、痛みより早く彼女の脳には、届くことはないのだろう】
【そして画面越しの彼もまた、首に何らかの装置を取り付けられ】

「ミラッ!!」

【ミラに被される、謎の帽子様のそれ】
【何が、何が起きているのだ?】


【そして……】

「か……」
「カンナああああああああああああああああああああああッ!!!!」

【今までにそんな事は無かった、無かったかのような】
【それ程の叫びをあげた】
【男が、ディミーアの目の前のカンナを撃ち抜いた】
【その光景はまさに目の前で】
【何でカンナなのだ!?何故自分では無くて……】
【あってはならない、あってはならない事だ!!】
【何でだ、何で……何で……】

「あ、あ、ああ……」
「うわああああああああああああああああッ!!」

【そして】

「ッ!!」 

【銃による殴打を後頭部に喰らい】
【その場に膝から崩れ落ちる】

「か、ん、な……でぃ、みー……あ……」
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/21(土) 21:30:55.31 ID:BBf4Wz2aO
>>428>>429>>436

【── 振り下ろされる鉄塊】


ひぎぃっ……!! ああっ……!! 
うぅ──……ぐぅっ── !!


【傷口を蹂躙される、頭の中を駆け巡る痛みという感触】
【それは宛ら電流の如く、焼け切れる回路すらも視認できそうな程に】
【再び振り下ろされた一撃に鵺の呼吸が浅くなる、だんだんと】

【瞼が半開きになり虚ろな色合いを強める、許容量を超える痛みに脳内麻薬が分泌されて】
【朦朧としている微睡みのように、白昼夢が如く現実感のない光景】
【── 私、何してるんだろうって、思ってしまうぐらいに】


っい──ぎぃっ……!!! があああっ──!!


【再び振り下ろされる、骨が粉微塵になる音が響き渡る】
【神経の束を無茶苦茶に掻き毟るが如く、啄む痛みの理由さえ知らないで】
【超える痛みの峠も無く、唯唯薄い呼吸音だけが響いた】

【焼ける痛み、砕く苦しみ、痛む景色はどこまでか】


はぅ……つっ──……

ごめんっ……もりひま────くん……


【プツン──と、帷が落ちるように】


【鵺は意識を手放して、その場に倒れ込んだ】
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/21(土) 21:31:17.73 ID:wsVIvj0Xo
>>387

『なにっ!?怖がるだと……だっ誰がそんなこと言うた!』

人間不信気味なのは本当の話じゃん。基本的に他の誰かと付き合うのが苦手で疑り深い態度が崩せないのは
他の誰かと仲良くなる方法がそのトシになってもわかんねーって事だろ

クローディア、まずはアイツの事を信じてやってくれよ。なんだかんだで犬越しだったら付き合いはいい奴なんだぜ


【『犬越し』ってのがまず一般的な人間にはありえない表現なのだが、とりあえず相棒のフォローをできるだけ行うと】
【クローディアのほうも若干機嫌を直した様子が見受けられ、剛太郎もようやく安堵の様子を見せた】
【ひとまず落ち着いて棺桶の一室が和やかな団らんムードになってきたのを確認し、椅子に腰かけムクを机に乗せながら剛太郎は談笑に加わる】


『……パンフレットがわからんあたりやはりどう好意的に見ても世間知らずの変わり者って点だけは間違いないようじゃのう』

一言多いぞムク!……そうか、やっぱ観光で来てたんだな
だいたいいい所だ、どこ行っても楽しいぜ。中心部の水の国は観光客向けの施設とか飲食店豊富だし、闘技場とかで力比べする奴らもいるし
大自然と調和した落ち着いた美しさのある風の国。牧場とかバンジージャンプするところとかもあるぜ

『後は和風な文化が滅茶苦茶残った櫻の国かのう。ワシの故郷でもある。……金の国もかなり復興してきたと聞くのう』

ただまぁ、悪いやつらから身を守る手段とかは懐に忍ばせたほうがいいとは俺も思うぜ!最近久方ぶりにまた物騒になってきたみたいだしな
だから俺も修行を完了して山を下りて来たんだ……


【指折り数えてムクと頭に浮かぶいい観光スポットを思いつくだけ思いついてた中で、クローディアからふと、そんな言葉を投げかけられる】
【剛太郎とムクは目をきょとんとさせると、顔を合わせて……やがてくすりと笑い始めた】


『……そうじゃのう。ワシがまた他の人間に肩入れするようになるとは、ちょっと前までは思いつかなかったかもしれん』

最初日本から飛ばされてコイツと出会ったときは本物の喋る犬だと思っててさ!最初は昔の友人にこのコフィンを送る用事を
犬一匹で済ませようとしてたのを、偶然出会った俺が手伝うようになったのがきっかけで……そこでムクの友人が亡くなったのを知らされて墓参りして
で、いろいろあってカノッサ機関との戦いになった時、ムクがもう使う人間がいないからってんで俺にこの棺桶礼装『ライドコフィン』を授けてくれて……

以来なーんか打ち解けちゃってさ、その後ムクの本体がいる霊山に足を運んで本人同士で顔合わせて
後、俺の鍛錬にも付き合うようになってくれて……最も魔術はからっきしわかんねーけど。こっちは俺は不向きみたいだ

『必死に頑張って『霊視』と軽いエンチャントくらいが関の山なのは最初からわかっちょったからあまり失望はしとらん
それにもうじき新しい奥義も開眼しそうなんじゃろう?まあ……得意分野を伸ばす手助け程度になりゃあええと思ってな』


【クローディアの一言をきっかけに、二人がつるむようになったきっかけを回想する二人】
【やはりというか、人当たりのいい剛太郎がムクの方に絡むようになり、なんだかんだで彼の人の好さにムクも心を開くようになったという事なのだろう】
【そして、鍛錬、奥義という言葉が聞こえるしやはり何かの戦闘術を収めた『戦士』であるのは間違いないようだ】

/遅れました!お返事返します!
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/21(土) 21:32:41.85 ID:lkJW4CR00
>>440

【――――からん、と、来客を知らせるベルが鳴った。だけれどそれから少しして、入り口の方ではなぜかもめているような気配がするだろう】
【「お嬢ちゃん、ここはお嬢ちゃんの来るようなところじゃないから――」「――お嬢ちゃんじゃないの」「だけどねえ、お嬢ちゃん――――――」】
【聞こえて来る限りの声は、堂々巡りだった。もしも"誰か"が目を向ければ、そこでやり取りするのは店員一人と、――あからさまな"お嬢ちゃん"であるだろう】

【肩を撫でる長さの黒髪に赤いリボンの髪飾り。瞳は黒色と赤色で、だからこそ、透き通るように白い肌の色がよく目立つ】
【顔はあどけなさを残すものだった。華奢でもあったし、ならば年頃は上に見積もったとしても十六ほどに見え。ならば出入り口でもめている、のも理解できるほど】
【だけれど。くしゃっと袖のすぼまった赤色の編み上げリボンのワンピース、パニエを詰め込んでふわっと膨らました後ろバッスルのスカートに、かかとのすらっと高い靴】
【しゃんとした姿勢とわりに高い身長も合わせたならば、たしかに、ただの十六歳――高校生だと言うには、少し大人びても見えたのだ。そして、もしも、相手が――】

【――そう、相手が、知っていれば。その少女は、UT――UNITED TRIGGER――の給仕であるとも、分かるだろう】
【主な露出は三年ほど前がメインだったが、UTで始めるのだと言う、身よりや金のない子。あるいは事情があって、家で満足な食事を摂れない――そういった子供たちに対して】
【月の半分ほどではあるが、無料で食事を振る舞うと言う慈善事業。それの発案者としてCMだとか、ちょっとしたテレビだとか、そういうものに映されていた人物であり】
【もし相手がそれを分かれば――"少女がその時点から全く成長していない"というのにも、気づけるはずだ】

……だからね、わたし、子供じゃないの、お兄さんわかんないかもしれないけど、お酒だって、きっとお兄さんより強いよ――。

【ちょっとむくれた拗ね顔がひどく子供っぽかったのだけど。――とかく、彼女はまだ入り口で堰き止められたまま、店員は今にも追い出そうとしていて】
【だけど――例えば。例えば、誰かが、あれはUTの給仕じゃないか、とか、これは実は自分の知り合いで、さっき呼びつけたんだ、なんて、言ってくれたとしたなら】
【きっと彼女は店員に許されて店内に踏み込むことになりそうで――】

445 :ディミーア ◆r0cnuegjy. [sage saga]:2018/04/21(土) 21:33:24.62 ID:St8EB17To
>>437

【手からリボルバーが奪われる。背筋に氷柱が差し込まれるような感覚】
【顔を上げる。「待っ────!」言葉が終わるよりも早く、銃声がそれをかき消した】


【視界が赤く染まった】
                 【激痛が走る】

【両目に】
             【全身に】

【最後に何が見えた?】

              【失われた視界の中に何を見た?】

【血飛沫】
          【銃声】



         【────カンナ】




       あぁあああああああああああああああああああ────っ!!



【絶叫。沸騰した感情が叫びとなって出ていく。理性が消し飛ぶ。これ以上、我慢できるわけがなかった】
【自由になっている片手が背中の柄へと向かう。例え押さえ込まれたとしても、暴れることを止めはしない】
【大剣が取れれば斬りかかり、そうでなければ殴りかかる。押さえ込まれたのであればそいつらを薙ぎ倒そうとする】

【視界が潰れていようが数百人に囲まれていようが、そんなのは頭から消え失せている】
【ただ獰猛な狂った獣のように。怒りに任せて暴れ狂う。完全に取り押さえるまでは止まらない】
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/21(土) 21:42:55.44 ID:5oCeYS1fO
>>438

(あ────────……………………)


【これは走馬灯なのだろうか。だって、この場にいるはずもない声だったから。この記憶は】
【なんだって目の前に落ちているのだろう。だって、これは────あたしの、この記憶は】


(…………待っ、────)


【────消えて行く。鮮烈に覚えていたあの紫色が、色褪せた写真のように薄まっていく】
【幻ではない。確かめたわけじゃないが、そんな確信があった。記憶が、なくなっていく】
【大事なものが──無くなって。酸素を求めるかのように、喉がひゅうと鳴った】


   【待って。待てよ。行くな。だって、“約束”したじゃないか。一緒に連れて行ってくれるって】
   【(あの時握り返してくれた手の温度が、段々と分からなくなっていく。どんな、感じだったっけ)】

   【側にいてくれないかと、そう言ってくれたのは────あんたの方だったからじゃないか】
   【(寝床をくれた。軋む鉄パイプのベッド。あの時あんたは、あたしに何を言ってくれた?)】

   【だから、なぁ。待ってくれよ。行かないでくれよ。…………帰るから。例え、どんな形になっても】
   【(雑な弁当ばっかくれたよな。…………あれ、どんな味がしたっけ。もう、何を食べたかすら)】

   【絶対に、帰るから────だから、なぁ。だから、だから…………なぁ、ジルベール、よぉ】
   【(は、は────魚河岸、か。ひでぇ口説き文句だったぜ、あれは…………よぉ。でも、これは)】


      ──────っっ、うぅううううぁああぁあぁあぁあぁあぁあぁああぁああッッッ!!


   【  (────この記憶は、あたしのもんだ………………………………!!)  】


【もはや手探りで錆びた刃を掴む。何度か、柄を取り損ねて砂を掴む。──握れば、それは】
【痛みを感じるほどに強く握りしめる。ぎちりと、ナイフが軋んだ音を立て】

【────ざくりと、その身に突き立てるのだ。まるで、赦しを請うかの如く】
【胸に。腹に。腿に。深く刺したと思えば、己が身を斜めに切り裂き】
【青い血が、吹き出るのだ。人でない彼女の、分かりやすく人でない証が】
【ばたばたと、青い血が地を濡らす。痛みで涙が出る。身体が跳ね、その場で】
【触腕が暴れる。その度に、傷口から体液が噴き出して……だが、自身を傷つける手は止まらない】


────っ、う…………あ…………!!あ゛────ぎ、ぃぃいいいいいッッ!
ぐ、…………ぅ、うぅうぅうううう…………ふっっ、あ────!!


【いつまで続ければいいのだろうか。──そんな疑念すら、浮かばない】
【刃の錆が青く染め上がって尚、彼女は自傷し続ける。やがて…………】
【…………失血によるものか。彼女の腕が、上がらなくなり始め】
【それでも。弱々しくも、彼女は刃を突き立て続ける。柔らかい触腕を、縦に裂き】
【傷口に鉄色を滑り込ませ、切っ先で肉を押し拡げる】

【────その行為は。侵食が止まるまで、続けられることだろう】
【止まないのであれば、なおも続けられる。あるいは、誰かが止めてくれるまで】
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/21(土) 21:44:18.35 ID:qtktVFSx0
>>427

【霧の中、静寂を切り裂く白く眩しい灯りが2つ。やって来るヘッドライト】
【猫の目みたいなそれはその幌馬車を引いていた馬より280倍は強く、唸っている】
【手のかかるロータリーエンジンは優雅なトルクを生む。背の低い流線型の白い馬――】

【丸い手綱を握る人物は、悩んだ。この状況外に出るべきではないと勘が騒ぐ】
【だが何があったのか、見たいという好奇心が囁く】
【その好奇心が人一倍強かったせいで、 【私/俺】の運命は他のやつと違って大きく変わってしまった】



【運転席のドアを開けて降り立つ。黒のローファー、七分丈のパンツスーツは素足のくるぶしが見えるぐらいの長さ】
【黒のサスペンダーで吊って、白いシャツ姿。思ったよりも外は冷えたので、下と揃いの黒のジャケットを着る】
【ショートカットの黒髪、所々をビビットな赤と、緑に染めて、両耳にピアスを開けまくった女】
【アイシャドウは濃く、白い肌に真っ赤な口紅は映えた。霧がかかるなか、ポケットから革の手袋を取り出し、しっかりとつける】
【年もまだ若い。スタイルの良いその体躯は、こんな霧がかった街道でなければ通行人に一目置かれたことだろう】

酷いものね。

【事もなげに彼女は言った。それでも足は一歩また一歩と前に進む。】

〜〜〜〜〜〜〜



【運転席のドアを開けてその霧の中に、飛び込んだ。冷たい空気が俺の肌に触れる】
【思わずトレンチコートの襟を立ててあたりを見回した。サングラス越しだからか…無くてもどうせみえないだろう】

【背の高いこの痩せた黒髪の男、古ぼけたトレンチコートを羽織ったサングラスの男は探偵だ】
【ある街に向かう途中で、人目をはばかるためにあえてこの道を選んでいた。なのに――余計な真似してくれる】

【何をする前にも取り敢えず煙草に火をつけるのは習慣になっていた。そしてそのついでにコートの下の銃を確認することも】
【気配を感じる…。そしてこの俺も放っていることだろう。黒と白の混ざり合わない魔翌力を…】

…酷いもんだ

【マルボロを吸い終わる前に、決心がついた。運転席の灰皿に押し込んで、一歩足を踏み出した】



/まだいらっしゃればお願いしたいです
/そして前代未聞の絡みに来たほうをどっちか選べるシステムですので面倒かと思いますが
/女子と男子どっちか選んで頂けると嬉しいです
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 21:48:20.69 ID:DiB0Lh02o
>>444

【カラン、と来客を告げるベルが鳴る。そちらに目線を向けて】
【辺りに空席が見当たらなかったから、その人物とは同席することになるだろうと】
【扉から現れた人物に、帰るように急かす店員。どんな少女なのかとよくよく見れば──】


「あの子、確かUNITED TRIGGERの……」


【と言葉を溢せば、店員に近づいていって】
【彼女の方に目線を一瞬だけ向けた後、店員の左肩をぽんぽんと叩いて】


「この子、UTの給仕の子なんだ。酒は強いと思うぞ」


【なんて声をかければ、自身のテーブルへと戻っていく】
【数年前、自身が大学に初属していた時にCMでよく見かけたものだ】
【あのCMを見ていたのは、たしか大学の研究室だったっけ────】

【ともかく、今の研究者然をした女の一言で】
【店員は店内へと彼女が踏み入れるのを許すだろう。多分その店員も見覚えがあって】
【そして空席は、その女と向かい合う席しか開いていなかった──】
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/21(土) 21:57:00.78 ID:lkJW4CR00
>>448

【――――「とにかく。お嬢ちゃんみたいな子を入れるわけにはいかないんだよ」】
【店員の一言に、少女はあどけない顔をむくれさせる、全く以って話の分からない店員だと怒るみたいに、じとりとした目線】
【それで、立ち去ろうとした――いくら状況が悪くって普通の店に行きづらいからって、こんなお店に入るのはやめよう、なんて、思って】

【――その瞬間に、誰かが来る。目線が向けられれば、一瞬確かに目が合うだろう。誰だろうって目をした、知り合いだったかな……と、思い返すような】
【だけど相手の言葉で。店員はなんだかんだしばらく文句を言っていたけど、そのうちに諦めるだろう。そうすれば少女はぱちくり瞬き、相手をじっと見つめて】

【やがて、相手の座る席の目の前に座るだろう。これは空いた席がほかにないから、というのも、もちろんあったけれど】
【たとえほかに席があったとしても、かばってくれたひとを全く無視する……というのは少し気まずく思えたのだ。とにかく――少女は、相手の目の前に座って】

……えと。こんばんは、さっきはね、ありがとう、――、

【最初は、そんな風に話し出すのだろう。まるで鈴の音みたいな声だった、りんと涼し気で、よく目立つ。いくわ猥雑にざわめく店内だって、間違いなく聞こえる声】
【メニューを手に取って楽し気に眺める――店員はちょっと"お行儀"が悪いけど。だけれど別にそんなに怒っているわけではなかった、賑やかなのは、嫌いじゃないし】
【ちょっとお外でごはんなんて食べたい気分だと言っても、ファミリーなレストランとかは、行きづらい。――多分どこかの誰かにずっと目を付けられているって、分かっているから】

お姉さん、お礼にね、何かお酒でも……、

【――――おそらく自分の分は決めたのだろう。メニューを傾けて、相手へ向けるのはどこか悪戯っぽい目】
【礼に何かおごるのだと言って。――さて、どうだろう。相手の思った通りに彼女の身分はUT給仕であるから、よっぽど、悪いことはしないと思え】
【だけど――今のところ気づいていないようではあったが。指名手配されているというなら、いくらか居心地の悪さを感じたりするのかも、しれなくって】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 22:00:34.98 ID:ErAoQpIy0
>>443
剛太郎がそういうなら信じてあげてもいいのよ
といっても今のところ信じない方が難しいと思うの
別にムクさんに騙されわけでも痛い思いをさせられたわけでもないしね

【外したヴェールを口に当ててクスクス笑う。少し焦った声色のムクが面白かったようだ】
【剛太郎がこの世界について説明をしてくれれば、静かに、しかしきらきらと瞳を輝かせて聴き入るのだろう】
【観光客に優しい水の国や文化がまるで違うであろう櫻の国の話に心を躍らせるが、一番食いついたのが……】

まあ、闘技場なんてのもあるのね!
いいわ、力比べに参加して私だって自分の身くらい守れることを証明してみせるのだから!
もし剛太郎と闘うことになったら、その時は手加減しないのだわ
その時は剛太郎のオウギとやらも使ってくるといいのだわ!

【右腕でむきっ、と力こぶを作ってみせるような仕草。ふんわりとした細い縦縞のブラウスではその力こぶは確認できない】
【本気なのか冗談なのか……いや、その顔はやる気に満ち溢れている】

じゃぁ、二人はお互いの顔も知っているのね!
であれば二人同時に仲良くかかってくるといいわ!
まとめてお空に飛ばしてあげるのだから!

【二人の馴れ初めを聞けばさらにそう煽って】
【もちろん、煽っているつもりではあるが全然、敵意は感じられないのだが……】

そうと決まれば観光と同時にいろいろ練習しなきゃいけなくなるのね
忙しくなりそう、だ!

【多分これは独り言】
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 22:11:36.65 ID:DiB0Lh02o
>>449

「いや、良いんだ。君は有名人だもんな」


【口許に笑みを浮かべれば、彼女の感謝の言葉に応える】
【機関とUTは敵対しているとは言えども、彼女の存在を知らない人間はほとんどいないだろう】
【長期間UTの看板娘としてCMにも出演していた。女もそれで存在を知っていたし──】


「酒、酒か……。そうだな、君が良ければウォッカのショットを貰おう」


【眼前に正義組織のメンバーがいると思えば、自然に居心地は悪くなる】
【何の能力を持っているか分からない手前、大きな行動に出ることは出来ない】
【──というか、そのような考えすら持っていなかった。たかが研究者が、わざわざ店の中で暴れるだろうか】

【さて、女の右手の人差し指に嵌められた指輪は彼女もよく知っているであろう】
【通信内容を暗号化するという──女が創りだしたマジックアイテムだ】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/21(土) 22:20:07.81 ID:lkJW4CR00
>>451

【――有名人、という言葉に、少女はわずかに表情を変える。と言ってもそう目立つものではない、何か、ふと、引っ掛かるところがあったような】
【メニューを見るために伏せていた視線がほんの少しだけ持ち上がって、相手を捉える。――、ほんの一瞬だった。言葉も発さないまま、その視線は再び紙面へ戻り】
【ころりと幼げに笑って何にしようかなぁと呟く――、その裏側では思考があった。有名人……文字通りの意味なのか、それとも、"そういう"意味なのか】

……大丈夫だよ。じゃあ、えっと……すみませーん、

【くすり、と笑う。相手の注文を確かめれば、少女は件のりんとした鈴の声で店員に呼びかける――本当によく通る声だった。ゆえにか、店員もすぐに訪れ】
【さっき揉めていた店員。――まず相手の酒を頼んでから、自分はやれポテト食べたいとかなんか食べたいとかお酒は甘いのがいいとか、なんかそんな注文を】
【もちろんもっと言葉はきちんとしてて、これと、あれと、それと……という感じだったのだけど。雰囲気が完全に安売りワゴンでいろいろ籠に放るひと、みたいで】

…………――お姉さん、その指輪。おしゃれだね、誰かにもらったの?

【そんな感じで(わりと結構な量を)注文すれば、少女は退屈になったみたいに、机に頬杖を。行儀が悪いのだけど、まだ、なんにもないから……退屈、なのはしょうがない】
【それで。尋ねるのだ、――知っているけど、知らないふりで。ちょっとだけ探りを入れてみるみたいでもあった、――協力者として、名前を聞いた覚えがない】
【良くも悪くも彼女のところに入ってきている名前の人物は"顔が思い浮かぶ"。だけど――こんなひとは居たかしら。……聞いた覚えがないなら、それは、別の陣営か】

わたしはね、よくお料理するから、指輪とかってあんまり付けないんだけど――。

【手のひらの上で鈴を転がるような、笑い声。――ファーストドリンクがうんと早く出て来る。ついでに相手のお酒も、一緒に届く】
【ぶどうのお酒。だけど決してワインじゃなくって、ぶどうジュースがそのままお酒になったみたいな、甘い、飲みやすい、お酒――少女が頼んだのは、それ】
【店員はやっぱりちょっと気に喰わないって顔をしていたけど。UTの名前まで出されたなら、まさか、未成年飲酒はしないだろう――って、信じるしか、ないみたいに】

【――するりと机の上でコップを滑らせて、持ち上げる。乾杯とかって付き合ってくれるのかな、って、尋ねるみたいに、目線が相手を捉えた】
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 22:23:20.99 ID:YeJ9UR800
>>447

【運転席のドアを開けて降り立った男性≠、霧が包む】
【息を吸い込めば咳き込むような、少し歩けば服が濡れるような】
【そういう不快な湿度。大雨が続いて平原が水を蓄え】
【そこに季節外れの暑さや日光が降り注ぐと、時たまこういう現象が起きる】

【もっとも、人が扱うには長大な槍は、自然現象では無いのだろう】
【使用者は――見当たらない。まさか、キャラバン内のいざこざでもないハズで】

【周囲を見回せば道の左右には枯れ木らしい、細長いシルエットがそれぞれ一本ずつ】
【そして槍、倒れた幌馬車の車輪がまだゆるりと回っている】



         『――――――――――……、しゅ―――。』



【それは風の囁きだったのかも知れない。何か言おうとして、止めたような】
【人が発音できる範囲で表すならばそんな具合の音が、一瞬聞こえた】

【けれど景色に変化はない。その視界の9割は濃密な霧だったけれど】
【あくまで厳正な、重厚な、静粛な空間が乱れる事はない】
【ただ一つ、違和感があるとすれば――"此処に至るまで枯れ木は無かったはず"ということ】
【広大な平原ではあるが、植生は変わらない。雑草、時に背の高いイネ科の茎植物、それだけのはずだった】

/遅くなりましたがここに!持ち越し確実ですがよろしいでしょうか!
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/21(土) 22:37:20.26 ID:qtktVFSx0
>>453

【探偵は、ジリジリとそのキャラバンの“事故現場”へと向かう。探偵に捜査はつきものだが】
【男はそういう地道なことは苦手だ。細かいところに気がついたり知識をひけらかしたりはするが】
【この場所から得られる情報から答えを導くことが出来るのは『鹿撃ち帽の彼』ぐらいなものだろう】

【車のヘッドライトだけが唯一に近い光源。だがこの男にはあまり関係のないことだ】
【男は―――視える。多くの真実や、事実や、幻に至るまで】

【一歩一歩と歩き進めている足を、ピタリと止めた】

…何の音だ。

【伺うように言葉にする。耳を澄ませるがそれは聴こえない。】
【即座にコートの内側から拳銃を取り出した。黒鉄のエングレービングの美しいリボルバー式】
【彫られた名は“Sabrina” 続く文字は”no heaven" 右手に握りしめ、再度歩き出す】

【探偵はその枯れ木を気に留めなかった。霧の中に飲まれている。グリップに力がこもっていた】


/こちら平日はあまり返せず置きな感じになってしまうかと思います。
/こちらこそよろしければ、よろしくおねがいします!
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 22:40:18.79 ID:DiB0Lh02o
>>452

【有名人、という言葉はそのとおりでもあり、“彼女の想像した通り”でもあった】
【詳細までは聞き及んでいないが、黒幕を倒す為に組織されたチームにいると】
【此方からすれば味方ということになるのだろうが──正義組織に入っていることに違いはないから】


【それにしても、彼女の声はよく通るものだ】
【辺りがやけに煩い酒場の中でも、透き通った鈴の音のように──】
【店員に様々な注文をしていく様子を見て口許をゆるめ、煙草の二本目を取り出した辺りで────】


「……──自分で作った、魔力増強のためのマジックアイテムだよ」


【相当な量の注文に、店員も厨房に向かう際首をかしげていたのだが】
【──知らない振りで訪ねているだろう、ということは想定の中にあった】
【指輪についてわざわざ聞く人間も居ないだろうし、婚約者いるの?という程度であろう】


「見ての通り研究者だからな、いっつもこういう物を作ってるんだ」


【口許を緩ませてそんな嘘を吐けば、ファーストドリンクが出てくる】
【小さなグラスに入れられた、金色をしたテキーラショット。彼女の酒はワインだろうか】
【──彼女がコップを持ちあげれば、女もグラスを手にして掲げて】


「それじゃ、今夜の出会いに──」


【──「乾杯」。グラスを彼女のコップとわずかにぶつける】
【チン、とふれあう音がすれば。──正義と悪が、同じ席で酒を呑み始めるのだろう】
456 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/21(土) 22:45:31.79 ID:RNKnvhoh0
>>378

まぁ良いんじゃないですかね。当人が望んだ世の中がそれですし?
自分は関係ないんだって思ってたからこそ、なんでしょうけど……ま、どんな目で周りから見られるのか、から、自分がどんな目で我々を見てたのか、よく理解すると良いですねぇ
ま、魔能制限法が拡張されるまで、少しの間の猶予はあるでしょうから、その間に、骨の髄まで――――ねぇ

【イーレイも、結局最後は皮肉の嘲笑に帰ってくる。彼女とて、そういう気持ちを持ってない訳でも無いのだ】
【今はまだ、周囲から哀れみと侮蔑と恐怖の混じった目で見られるだけで済む。だが、この先にあるのは、彼らが求めた排斥の結果である】
【罪体の有りや無しやを問わずに向けられるその視線。それを、精々味わうと良い――――イーレイの瞳が、微かに昏くなっていた】

――――自分たちが政府の手綱を握っている気でいるんですよねぇ。だからこそ、ああして「民衆が声を上げている」訳ですから
権力に口実を与えたらどうなる事か、そこの想像力が無いんですよ。だからこそ、こんな馬鹿な護身を叫ぶって奴ですね。単なる生きたがり連中の、やりそうな事ですよ……

【大衆は、自分たちの意思で「それ」を行っていると信じている。と言うよりも、自覚していると言った方が良いかもしれない】
【よもや彼らは思いもしないだろう。その結論は、ある一定の一派が望んで誘導している結果であると言う事を】
【――――マリーにもそれは口にしない。これはイーレイの中のか細い手綱なのだ。混沌とした現状に、切り込んでいくための――――】

(――――馬鹿な連中が、完全に『劇場のイドラ』に嵌ってしまってる。『黒幕』とか言う連中の喜びそうな展開ですよ、こりゃ)

【――――こことは違う世界の話だが、かつて、とある有名な独裁者は、こういう言葉を残している】
【「大衆は、大きな嘘にこそ騙される。何故なら、小さな嘘は自分たちも用いるが、大きな嘘は恐ろしく、そう簡単につくことが出来ないからだ」】
【正に彼らは、世界を覆う大きな嘘に騙されている。その行き着く果てに、自分たちの屍が転がる事など、御免被りたいものなのだが――――】

――――『守護天使』ね……今は臥薪嘗胆の時でしょう。でも、いずれは厚い碁の様に、現状をひっくり返す、それを祈るのみですねぇ……

【――――教会の庇護を受けると言う事の是非は、イーレイには流石に判断しかねるが、その目的、願いは良く分かった】
【身体が痛む薪の上に寝て、苦い熊の肝を舐めて、復讐の意志を確かめながら目的を達した偉人たちの様に】
【どんな劣勢にも屈することなく、最後には逆転する、豪胆な碁の打ち手の様に。人を導き、間違った方向に進む世界を正す――――】
【その試みが、成果を残す事をイーレイは期待した。「少なくとも、魔能制限法に対するカウンター」としては――――】



――――さて、今日はご馳走様でした。じゃあ、今度は私の医院に来てくださいな?
今日の分、サービスと言う形で返させてもらいますってね。あなたの眠りなり疲れなり、ばっちり解決してあげますよ
まぁ期待しといてくださいな?

【店を出て、すっと手を掲げて挨拶するイーレイ。のんびりと食事を楽しんでいる内に、中々いい時間になっている】
【マリーの悩みを解決する約束は、顔を見せてくれれば確かに果たすと確認して、イーレイも家路につこうと歩き始める】
【読み止める事が無ければ、そのまま去っていくだろう】
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/21(土) 22:48:12.20 ID:lkJW4CR00
>>455

――そうなんだ。すごいね、研究者って……何をするの? マジックアイテムの研究? 
魔術とか上手なのかな。わたしもね、お勉強をしているところ――、そう、いつもなんだ。

【自分で作った。その言葉に少女は目を丸くしてから綻ぶように笑う。――ならこの人物が提供者なのか、と、裏では思いながら】
【とはいえ――じゃあ自分もそれを持っているよって言うには、まだ、少し、怖かった。そうすべきかもしれない。だけど、そうじゃないかもしれない】
【――"脅された"あとでは、いろいろと深読みは過ぎる。それでも多少元気にはなったのだけど――だなんて、相手には関係のないことか】

【――――とにかく、少女も同じ言葉で、互いのグラスを弱くぶつける。かち――と澄んだ音は、どこか、少女の声にも似通い】
【だけどグラスのコップがそう鳴るのと、人間の声帯からその音が出て来るのは、多大に意味合いが違うようでもあった。――よく言えば不思議な声だ、悪く言うと、少し変】
【かといって何かで作った声にも聞こえず、実際これは彼女の地声なのだけど……一回聞いたら多分二度と忘れないような声なのが、たしかで】

お姉さんて――、蛇が好きなの?

【ジュースみたいに甘い酒を口に含む。おいしいと笑うのは本当にあどけない顔、とうてい酒を飲んでいるようには見えなくって、だから、疑われるのに】
【そんなの気にしないって言う風にこくこく飲んでいく――強いって言うのは本当なのだろう、酒が弱い人間の飲み方ではない。そうじゃなかったら、ただの馬鹿のやりかた】
【指輪――については相手が作ったというなら、違うでしょうと言ってしまうこととかは、出来ない。出どころを知らないのだ、あくまで、"仲間"にもらっただけ――】

【ならば。尋ねるのは相手の胸元にある球体と蛇のシンボル。「わたしね、蛇が好きだから、気になって――」笑う少女の眼。どこか蛇に似ているような、気もしたけど】
【思い浮かべられるような"蛇"に比べて、ずいぶんと感情豊かだった。――これは本当に雑談のつもりなのだろう。ただ、それが本当はどんな意味なのかは、知らないまま】
458 :Blood and Judgement [!red_res saga]:2018/04/21(土) 22:51:16.94 ID:ibNm6+b6o

>>441>>445(ディミーア・厳島)

【男の握ったリボルバーから硝煙の煙が緩やかに立ち上る】
【それは紫煙に似た優雅すら伴い、男の周りをしばらく漂った】

【黒野カンナは銃弾の衝撃のまま地に崩れ伏している】
【その血染みの多かったシャツに新たな鮮紅の円がじわりと広がる】


────Mm……まあ結果オーライか。


【ふ、と銃口に息を吹きかける男】
【それから見下ろす視線の先には、一人の男が物言わなくなって倒れていた】

【──赤毛の彼女と共に担ぎ込まれてきた、謎の男性】
【その顔面片側には赤い肉で出来た花が咲いていた】
【黒野カンナの身を撃ち抜いた銃弾がその勢いのまま後ろにいた男の顔面にまで至り炸裂していた】

【円 嗣星、という秘匿されたその名を呼ぶ者は最早この場にはいようはずもなかった】
【その人体の指がその意思に関係なく微細に痙攣していた】


【たった一発の銃弾がその様を作り上げていた】
【たった一撃が二つの命を無言にせしめた】


【その沈黙を破り裂いた男がいた】

【ディミーア・エルドワルの狂乱が始まって、】
【それが片手の指で数えられる程度秒数だけ続いて】

【いくつかの銃声の鳴り響いて】
【結局のところ出来上がるのは、倒れる頭数が一人増えたというだけだった】


【──剣士がその大剣に手を掛けたとき、】
【既に発砲されていた銃弾が彼の四肢、その皮膚の真ん前にそれぞれ一発ずつ待機していた】
【その一刹那後には当然の帰結が訪れ、そして軍勢の波が男へと一斉に覆い被さった】

【それで終わりだった】

【一切が静かになった】


【──ごふ、と】
【その口から鮮血混じりの咳を、赤毛の彼女が一つしたことを除いて】
459 :Blood and Judgement [!red_res saga]:2018/04/21(土) 22:52:04.98 ID:ibNm6+b6o
>>446(ミラ)

【その一突きごとに】
【記憶の漏出に堰が立てられていく】

【守れた分と同じ量だけ、青い血飛沫がそこに広がる】

【その『正解』の光景を、『看護師』は満面の笑みでじっと見ていた】
【本当に良かった、と。まるで自分のことのように喜ぶ顔がそこにあった】


【やがて腕が上がらなくなり、それで弱々しく振り下ろされる腕を】
【白く優しい腕が、そっと制止した】


「──もういいんですよ。
 よく、よく頑張りましたね」


【白衣の彼女はその服が汚れるのも一切躊躇わずに】
【彼女の後ろからそっと覆い被さるようにしてその身を抱き】

【大丈夫、大丈夫──と】
【柔らかく、あやすように、耳元で囁き続ける】

【その傷口へ、焼け付く神経へ】
【そっと染み込ませるように、何度も、何度も】
【その水中に広がる赤インクの如き声で、紡ぐ】
460 :Blood and Judgement [!red_res saga]:2018/04/21(土) 22:52:25.48 ID:ibNm6+b6o
>>>ALL

【厳島が崩れ落ち、】
【鵺が意識を失い、】
【カンナと呼ばれた女も最早動かず】
【ミラが青い血塗れで全身を萎えさせ】

【その惨状の中で、ただ動いたディミーアも】
【数秒後には自動的じみて彼らと同一の有様と化した】


【地獄と化したそこを唯一俯瞰できているその男は】
【何か眉根を寄せて困ったようにやや唸ったが】

【やがて何かを得心したように、良し、と呟いた】



【──────────】



【散らかった玩具を元に戻すかのように】
【方々で倒れ伏す面々を部下達が引きずり】
【再び、彼らは横の一列へと整列させられ直した】

【そのうちにどれだけ正しく跪ける者がいたのかは最早知れなかったが】



【ざり】

【並んだ彼らの前に、男が再び堂々たる様で立つ】
【彼らの全員を一度薙ぐように見回して、その口元を緩める】


────オーケイ。

お前達はよく頑張った。
もう、良いだろう──俺も鬼じゃない。

今日のところは、これで終いだ。

最後に誰か、『責任』を取ってもらうことにする。


【ぶン──】

【何かを告げるように、男がその鉄塊を一度振るった】
【先端に付着していた誰かの血糊が、宙空へ僅かに舞った】


/NEXT
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 22:53:16.47 ID:YeJ9UR800
>>454

【歩みを止めたのはどれほど足を進めてからだろうか】
【幌馬車に寄ったならば、その積み荷が装飾品であったことが分かるだろうし】
【人ならざる者の得物――人間一人をピンのように留める槍に寄ったならば】
【被害者は完全に絶命しており、けれど血は固まりきっていない事も分かるだろう】

【――時に、男はどこまで"視える"のだろうか。霧の彼方は、どうか】
【もし見通せるというのならば、きっと男は『鹿撃ち帽の彼』のライバルになれただろう】



      『―――――――……ぁ、…――あ、ぁ…――。』



【霧の中から、"腕"が現れる。天空から伸ばされたような、細く長い腕】
【虫のような印象を受けるが人間のそれに違いなく、何よりストライプのスーツを着ていた】
【袖丈だけで12メートルの衣服なんて、冗談にも程があったけれど】

【その腕は槍を掴むなり、被害者を串刺しにしたまま振りかぶって】
【"ずアっ"と霧を割り開くように、ためらいなく新たな"得物"を貫こうとする】
【動作は緩慢。けれど巨大さ故に錯覚する、その速さは決して鈍い訳ではない】


【一瞬、風が強く吹く。僅かに晴れた視界の奥、シルエットが垣間見えた】
【長い腕に見合った長い足。枯れ木に視えるそれこそが、移動手段なのか】
【異常な手足の長さを持ったそれは人の形をしていたけれど、人ではなかった】
【すぐに霧がかかって、姿を消す。30メートル近くもある、細長い巨人がそこに立っていた】

/了解です、でしたらメインは置きで進める感じでお願いしますねー!
462 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/21(土) 22:57:55.02 ID:ibNm6+b6o


これから、お前達のうちの一人を殺す。


【男は何でもないように告げた】
【その目は笑んではいなかった】
【ただやるつもりだから言った、本当にそれだけだった】


ルールは簡単だ。

瞬きをするな。
目を逸らすな。
煩くするな。


【ぶン──】
【血に塗れた鉄塊が、何かに飢えるように一度鳴いた】

【男はそれを片手に握ったまま、後ろ手を組んで】
【何か思案するような表情で、ゆっくりとうろつき始めた】


────誰が責任を取るべきだ?

お前か?

それともこっちか?


────ああ。
決められないな。


【彼らの一人一人へ視線を向けながら、男はやや唸った】
【その顎の無精髭をこすりながら、眉根を寄せて】

……そうだ、こうしよう。

【やがて何か良いアイディアを閃いたように】
【その大口を広げて、白い歯を見せて笑んだ】

【ぶン──】
【鉄塊が振り下ろされ】
【その先が、とある人物へと据えられた】

/↓
463 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/21(土) 22:58:21.61 ID:ibNm6+b6o


Acka──
(だ)


【そうして始まった】


Backa──
(れ)


【次の人物を指し】


Soda──
(に)


【最も相応しい人物のところまで】


Cracker──
(し)


【その運命が連れて行ってくれるように】


Acka──
(よ)


Backa──
(う)


Boo──
(か)


Acka──
(な)


【天の導きに、一切を委ねて】

/↓
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/21(土) 22:58:53.97 ID:wsVIvj0Xo
>>450

『やりにくい奴じゃのう……っていやまて
力比べには参加できるのか?見た所戦モンの体格ではないが……能力者か魔術師か?』

特殊攻撃特化型ならそういう体格のファイターもいるだろうな
できるクチだっていうなら俺も手は抜かないぜ。最も手加減なんてできるほど器用じゃねえけど


【ばつが悪そうに伏せたまま後ろ足で頭をかくムクに対し、それなりに実力があるらしいのを感じ取って感心する剛太郎】
【いつか手合わせをする時が来たら本気でぶつかり合おう、そう約束を結ぶことが出来た】
【二人同時にという点においてはツッコミを入れてきたが】


ああ闘技場は基本的にサシ(一対一)の戦いがメインだから俺が戦ってムクがセコンドをやるんだよ
ムクは手を出しちゃいけないから純粋に俺の技だけで戦わないといけないんだよね
そして、集まる奴は皆一人だけで一騎当千の戦力たる強豪の集まりだ。優勝するのはなかなかに難しいぜ!

はたしておまえの実力は通じるかな?俺たちは新たな戦士の参入を快く迎え入れるぜ


【参加するというのなら歓迎しよう。強者の余裕をもって戦士たちの代表のように剛太郎はクローディアに激励を飛ばす】
【最も戦士なのかどうかは全くわからないままなのだが……】
465 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/21(土) 23:10:53.42 ID:ibNm6+b6o



Backa──
(て)


【ディミーア・エルドワル】
【勇壮な剣士。その身を狂気に引き裂きながらも正義に殉ずる男】



Soda──
(ん)


【厳島命】
【櫻の軍人。命を賭して海を越え、その死地まで舵を切る】


Cracker──
(の)


【鵺】
【忍ぶ者。少女の細い背が背負う業はあまりにも重い】


Up──
(か)


【ミラ・クラァケ】
【移ろい行く亜人。人の世と関わったが故の定め】


Goes──
(み)


【黒野カンナ】
【(愛しいと想うたった一つさえ守れぬ『法』になど何の意義がある?)】


You──
(さ)


【森島 京】
【救ったものさえ奪われるのが定めなら何故生まれた】



Acka──
(ま)
    Backa──
    (の)
       Soda──
       (い)
          Cracker──
           (う)


466 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/21(土) 23:15:16.24 ID:ibNm6+b6o




 I ────
(と)




  Love ────
  (お)














  ────── You
         (り)




【ぴたり】


【そのルーレットが】
【運命が】
【天が】


【その死を定めた】





【その鉄塊が指し示した先にいたのは──────】

467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 23:16:01.15 ID:DiB0Lh02o
>>457

「属性魔術しか使えないからなんとも言えないが──、まあそんな感じの物をいつも作ってるよ」


【曽根上ミチカという婦警に、彼女が脅されたという事実は知らない】
【しかしながら、何が言いたいかはもう知っていた。それを作ったのは、お前だろうと】
【此方もやすやすと情報を漏らすわけにも行かないし、隠蔽するようにして】

【グラスが軽くぶつかるとき、やけに澄んだ音がした気がする】
【先程まで耳にしていた、彼女の声に似ていた気もするのだけど──】
【不思議な声だ。一度聞けば二度と忘れられない気もする、作られたかのような声】


「──好きかと聞かれれば、好きな方だな」


【ショットを軽く一口飲めば、きついアルコールが喉を灼いていく】
【笑んで細められる彼女の眼は、どこか蛇に似ているような気もして】
【元々機関員を治す為の器具を開発していた第11研究室は、アスクレピオスなんて別名で呼ばれていたから】
【自然に蛇が連想されて、すべてを治すということから杖より球体がえらばれた】
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/21(土) 23:17:00.04 ID:qtktVFSx0
>>461

【探偵はまずその“ガイシャ”の元に足を進めた。そして、すぐに気づく。それは探偵の勘ではなく】
【別の仕事で得た経験、持ち合わせている本能―それらが指先を撃鉄に触れさせ、サングラスを取り外させる】
【真っ赤な目をしたプライベート・アイ。それがこの男の名前の由来。…本当は違うのだが、そういうことにしていた】

【そこは“事件現場”なんていう探偵の仕事場じゃない。探偵の仕事場なら全てが終わった後だからだ】
【だがそこに転がっている“この場所”は――未だ現在進行系。血の色が物語る。】

【『ベイカー街の奇人』なら安楽椅子から紡いでこの事を予測しているだろう。だがここにいるのはもっと泥臭い、全体論者】
【パズルのピースに意味はない。全てが出来上がってはじめて何の絵かわかる。ピース一つから予測するやつは物好きだ】

―――――ッッ!!!

【その目が無かったら霧の中の腕に気づかなかっただろう。だがその目は視える。そして切っ先から線を描く】
【延長線、破線、放物線、射線―――探偵は横に跳んでその巨大な一突きを躱す】

【目は視えた。その巨大な姿を。幻か否か。それを知るにはまだピースが足りない】

ナニモンだ…!クソッ…

【探偵はピースを求めて、しゃがんだままリボルバーを両手で構える。エングレービングの美しい模様は赤く浮かび上がる】
【彼の血と意志に能力が混ざりあった弾丸は能力や魔翌力やそれに類するものに影響力がある。その分物理的な威力は銃の口径ほどではない】

【そして数発、巨人に向けて撃ちはなった。霧の中でマズルフラッシュが激しく瞬いた】
469 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/21(土) 23:17:21.78 ID:ibNm6+b6o








            【 ミラ・クラァケ/Mira Krake 】








470 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/21(土) 23:18:40.66 ID:ibNm6+b6o
/ここで一旦小休止させてください。
/お待たせして申し訳ないですが、また数十分後にレスを致します。
/詳しくは舞台裏の方で。
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2018/04/21(土) 23:19:35.98 ID:BNvirKv5o


【薄暗い部屋の中。ボンヤリとした光が、ソファの上の女を浮かび上がらせる】


【―――モニターは、その惨状をすべて映しだしていた】

【―――スピーカーは、何処にも届かない叫びを伝えていた】

【―――けれど。】


【女はただ、愉しげに。唇を歪めるばかりだった】


バカな連中……とても理解できないな。

――――――この腐った世界のために、何故そこまでする?


【呟きは、聞く者もないまま静寂へと溶け消えて】

【女はグラスを傾けて、真っ赤な雫を口内へと流し込む】

【――――悪趣味な数え歌が死を運ぶ。その行く末を、碧の双眸は静かに見据えていた】
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/21(土) 23:20:47.47 ID:ErAoQpIy0
>>464
できるのよ、力比べくらい!
剛太郎の手加減なんて、必要ないのだわ!

【手で鉄砲の形をつくってパーン、だなんてやってみせて】
【もちろんその指先からは特殊な技など発動しない。光りもしない】
【力くらべ、参加、闘う、くらいはちゃんと理解しているようだが果たしてどこまで本気なのか……】

ムクさんはせこんどをやるのね!
ではしっかりと剛太郎をアシストするのだわ、そして……

【ぽふ、っと外していたヴェールをかぶった。夜海色の、今はボサボサになってしまっている髪が綺麗に隠れた】
【弾むように立ち上がれば黒いスカートのシワを伸ばすようにぽふぽふ叩く】
【どうやらもうだいぶ足はいいようで痛がったり嘆いたりはしなかった】

こうしちゃいられないのだわ、私いろいろ頑張らなくちゃいけないのね!
剛太郎、それにムクさん、いろいろとお世話になったのだわ!
私、そろそろ行っていろいろと学ばなければいけないみたい

【戦士、と言われて火がついたのか若葉の瞳が燃えている】
【見知らぬ小娘をなんだかんだで助けてくれた二人に深々とお辞儀をすると、この部屋に来たときに通った穴のある場所を指差して】
【どうやらそろそろ出発の時間のようだーー】
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/21(土) 23:29:07.59 ID:lkJW4CR00
>>467

属性魔術って……どんなの? その魔術を覚えたら、わたしも、いろいろできるのかな。

【コップを机に置く。そうしたらコップについた唇の跡を拭う――口紅、とかではない。ただたんに、中の酒が付いたところを、軽く拭って】
【そうしているところに、彼女の頼んだものがちらほら届きだす。最初はさいころ状に切ったクリームチーズに酒盗を添えたもの。それから野菜のバーニャカウダ風みたいな】
【たしかメニューだと櫻風とか言っていた気がする。。風ばっかりだけど――まあそれはさておき。もう完全にいろいろ食べる気、瞬き一つ挟んだなら】

お姉さんも良かったら。強いお酒ばっかりじゃね、酔っちゃうよ。

【――あるいは。最初から全部ひとりで食べる気ではなかったのかもしれない、だけど――断られることもままあるだろう。だって、そんなの、不審者っぽさはぬぐえない】
【ならば一人で食べきれる分ではあるはずなのだけど――だなんていうのはどうでもいい話。とかく相手にも食べていいよって促した、――ちょっと年長ぶるように】
【…………というよりは。酒場で長く働いているからか。とはいえ、自分から強い酒を頼むひとは、きっと、飲み方もよく分かっているなのだけど】

そうなんだ! わたしもね、好きなんだ――、

【急ににこにこ笑うから、分かりやすかった。よっぽど蛇が好きらしい――「かわいいよね」とか言うつぶやき声が付随して】
【「お姉さんはどの蛇が好き――?」――あ、これ、面倒くさいやつっぽかった。とりあえず適当にあしらってしまっていいだろう、なんか何となく好き……とかでも怒らない】

……――、

【――――だけど。ある程度笑ったところで、少女はまた酒に口を付ける。そのタイミングで、ふっと、褪めた目が、相手を見ていたのだ】
【相手の立ち位置を探るような。とはいえ言葉なしでは分かり合えないと分かっているような。だからといって、どう切り出すかは決めあぐねているような】
【ことん――とコップを机に戻す。それでクリームチーズをひとかけら。ひょいとつまんで食べる、――】

……お姉さん、わたしがUTに居るって、よく知ってたね。
最近は……そんなにテレビだとかって、出ないの。お料理作ってばっかりだよ、――だからね。
どこで知ったのかなぁって――、……――、なんて! ――ふふ、ちょっとね、気になっちゃったの。そんなに有名かなぁ――。

【――それで、少し、勇気を出す。あくまで相手が知っていたことと、言っていたこと、それらの理由を尋ねるだけだ。一瞬の間、冷静な目が相手を見つめて】
【だけどすぐ――綻ぶようにして笑う。「はずかしいな」って呟きは――それでもどこかで、本心みたいな色を持っていた】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2018/04/21(土) 23:32:51.05 ID:5oCeYS1fO
>>459-460>>462-463>>465-466>>469
【記憶の侵食は、いつしか消えていた。痛みはもはや痺れとなり】
【感触すら、曖昧となっていた。曽根上に触れられても、感触が蕩けきってしまったのか】
【尚も手を振り下ろそうとしていたが────身を抱かれれば、がくりと力が全身から抜ける】
【あまりに強く握りすぎていたせいか。ナイフは中々手から溢れる事はなく】
【あるいは。曽根上が手を添えてようやく、手放すのだろう。ミラの手には、柄の跡がくっきりと残っており】

【つぅ、と────一筋の涙が、頬を伝った。痛みではなく、安堵によって】
【言葉はなかった。その気力は、残っていなかった。大丈夫、という曽根上の言葉だけが】
【失った体液を補うが如く、ゆるりと心に染み込んでいき────】

【────再度、並べられるのだ。自力では立ち上がることすら出来なかったから】
【恐らくは兵の力を借りたのだろう。座るときも、また同様。苦悶の声を僅かに漏らし】
【跪かせられるのだろう。……今もなお、青い血液は止まる事なくその体から溢れ続け】
【彼女の真下の地面を濡らしていた。金の目は、疲れきったように男を見て】


   【(瞬きをしない)(目を逸らさない)(煩くしない)】


【頭の中で、その三つのオーダーが鈍く響いていた】


   【(瞬きをしない)(目を逸らさない)(煩くしない)】
   【(瞬きをしない)(目を逸らさない)(煩くしない)】
   【(瞬きをしない)(目を逸らさない)(煩くしない)】
   【(瞬きをしない)(目を逸らさない)(煩くしない)】
   【(瞬きをしない)(目を逸らさない)(煩くしない)】


【ルーレットが始まって尚、彼女はただ金の目にその矛先をゆるりと映しており】
【────は、と小さく笑った。諦めと、どこかこうなることを知っていたかのような笑みだった】


……………………瞬きをしねぇ、目も逸らさねぇ────後は、煩くしねぇ…………だった、な?


【どく、とまた青い液が身体から溢れた。また彼女は小さく笑い──項垂れた。自ら、死刑台に登るかのように】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/21(土) 23:37:25.44 ID:YeJ9UR800
>>468

【"バンッ"という銃声は、その濃密な空気中の水分ゆえか響きが悪い】
【けれど明らかに一発はその身を捕らえる、鈍い音が混じった】
【同時にぱたたっ、と大地を濡らす紫の液体が滴り落ち】

【しかし同時に――その特殊な性質に、"単なる得物"以上の興味を持ったのだろう】
【小さな子供が地面の蟻を眺めるように身を屈めると、全容が知れる】



『―――きぅ、っ…、……―ァ、ぁ、あああぁァ――――?』



【イルカが泣くような声。出来損ないの声帯が音を作り出すとこうなるのだろう】
【顔はボロボロの包帯で巻かれてよく見えなかったが】
【瞳は真っ白で、その白も若干黄色く濁っている。ただ、トップハットを被っていた】
【タイも締めている。茶の生地に白いストライプが入った、洒落たスーツ】
【胴体よりも手足のほうが何倍も長い。槍を握る手も、関節一つで1メートル以上はあるだろう】

【人を模した異形がそこには居た。何を見ているのかもわからないような瞳で、じろりと探偵を睨み】
【膝をつかない四つん這いの姿勢でしばらくごきり、と首を鳴らしたかと思えば】

【ぞぶっ=\―槍の穂先に留まっていた貿易商の肢体を丸かじりし】
【食べるのかと思えば、これも違う。ギザギザの歯で咀嚼したかと思えば】
【骨も臓物も血液も、全てが折り混ざった肉の飛沫を探偵へと吐き掛けるのである】
【これもまるで、子供が虫で遊ぶかのような動作。――ただ全体として、隙は非常に多かった】
476 :ディミーア ◆r0cnuegjy. [sage saga]:2018/04/21(土) 23:41:15.94 ID:St8EB17To
>>458>>460

【四肢を打ち貫かれては、どれほどの激情がのたうち回ろうとも肉体が動くことはできなかった】
【激痛に苦鳴を漏らす。だがそれも一瞬。暴力的なまでの怒りがそれさえもかき消していく】
【何人もの軍勢に取り押さえられ、四肢を潰されてなお、獣のような瞳が壮年の男へと向けられていた】

【厳島も鵺も気を失った。もうこの場で彼を人間たらしめる観測者が存在していなかった。砕けた理性を戻す理由がなかった】
【並べられた後も、射殺すような視線は何も変わらなかった。それどころか、余計に強くなっていた】


殺す!? 殺すだと!?
これ以上誰を殺すというんだ!! 貴様ァアアアアア!!


【喉が裂けんばかりの咆哮。だがどれだけ叫ぼうと、身体が動くことはない】
【盾になることさえできない。どれだけ何を言おうと全ては相手の手の上。そんなことは分かっている】
【それでもこれ以上、誰かを殺されることは我慢ならなかった】

【数え歌が響く。死の音色が漂う】
【鉄塊が無慈悲に指し示す。最後の犠牲者を】


────っ


【(>>474)見知らぬ女だった。青い血を流す亜人だった】
【自らが選ばれなかったことを、喜べるような男ではなかった】
【ただ悔しさに歯を食い縛る。どう足掻いても、助けられる状況ではなかった】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/21(土) 23:43:28.73 ID:h5YCRs5i0
>>458>>459>>460>>462>>463>>465>>466>>469

「……」

【抵抗なく、驚くほど心が乾いている】
【そして、驚くほどに思考はクリアだった、冷静だった】
【だが、惨劇はそれで終わらなかった、決して無情なる天は見放さなかった】
【その場に跪かせられる】

「誰を……俺にしろ……」
「俺にしろッ!!!!」

【その場で、さも楽し気に】
【さも良い事の様に、数え歌を歌いだす男に】
【そう吠えてかかった】
【もう、もう沢山だ、今まで仲間の殉職は数多く見てきた】
【しかし、しかしだ、こんな事は在りか?】
【こんな、弄ばれるように……死んでいく様を見なければならないのか?】
【沢山だ、沢山なんだ!!】


【やがてその棍棒は、一人の仲間の前で止まった】


「……ミラ……」
「貴様……」
「責任を取るのは一人で、誰でもいいんだろ!?」
「何故だ!?何故俺を選ばなかった!?」
「ミラ!貴様には、黒幕を倒さなければいけない理由があるんだろ!?復讐するんじゃないのか!?」

【殆ど狂った叫びだった】
【つい先だって、語ったミラは、そう話していた】
【なのに――】

「ユウトは?カニバディールは?邪禍は?鈴音は?」
「貴様が……お前が居なければ、誰が曽根上を倒すんだ!?」

【ミラにも、男にも、厳島は叫び続けた】

「頼む、俺に……俺を殺せッ!!!!」
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/21(土) 23:53:34.24 ID:qtktVFSx0
>>475

【俺の血が、その弾丸の一発が“入った”ことが伝わる。感触まで伝わりそうなぐらい響いてきた】
【だが獲ってない。その一発が有効打には程遠いこともわかる。挨拶代わりのドアノッカーにはちょうどいい】

何から何まで…気味が悪い。

【慣れない相手だ。戦いはもはや日常で、それに怯えはない。しかし相手にするのは人間が多い】
【このような異形と対峙するのは――何年ぶりだ?それ故に視えない。戦い方、筋書き、通り道が】
【真っ直ぐな街道、迷うはずもないのにもかかわらず。足を動かすのにこれだけ迷わなくてはならない】

どこで仕立ててもらったんだ?…汚したくなかったら、家に帰ってブラシをかけるんだ

【どうせ伝わらないジョークは自分を奮いたたせるためのもの。懐からもう一つの拳銃を取り出すことにした】
【白銀のSabrina――heavenは天国に連れてってくれるのかどうかは未だわからない。死んだことがないから…】
【そんな冗談ばかり頭に浮かぶ。ビビってる証拠だ】

【何もかも、グロテスク。一挙一動を視ていく。深く呼吸をして――視える】
【次は、もっと余裕を持って探偵は回避することができた。血なまぐさい、どこか嗅ぎ慣れてしまった匂いが辺りに】
【―――霧のように濃くなる。】

【探偵は2丁拳銃を構えて、再度射撃を何度か繰り返す。狙いは腕だ。槍による攻撃は脅威だから封じておきたい】
【だがそういう部位や箇所を狙うとどうしても命中率は落ちてしまう】
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 00:03:53.44 ID:sOG0UVf1o
>>473

「属性を組み合わせるだけの、単純な魔術だ。オールラウンダーだがどこにも特化してないな」
「君には君に合う魔術があるんじゃないか?人によっては全然使えないとかもあるしな」


【口に咥えた煙草に火を付けて、白い煙を吐き出す】
【魔術を使ってできることならそれなりにこなせるが、逆に特化したところはない】
【ルーンのように手軽ではないが、彼女に合っているのなら学ぶ甲斐もあるはずで】


「ありがとう、いただくよ」


【クリームチーズに酒盗を添えたものを少しだけ小皿にとって】
【パクリ、と一口。コクのある旨味が口の中に広がり、酒にとても合う一品だ】
【目を見開いて、その美味しさに驚嘆するように。それ以降、少しずつ小皿に取って行って】


「えっと……、なんとなく好きなだけでね」


【蛇に対して抱いているイメージは、狡猾で素早く得物を仕留めるというもの】
【それに加えて生体工学的なイメージも相まって──と言った感じで】


「……──一昨年まだ大学に居た時に、CMを見ただけさ」


【冷静な目線に気づくことはなく、きょとんとした顔でそう返答する】
【まあ、本心なのに違いはあるまい。研究室に詰めていた時に、幾度かあのCMが流れたのだ】
【最近は料理を作ってばかりだという彼女の近況は、少しだけ知っているものの──】
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 00:13:45.47 ID:OgI4n+wS0
>>478



      『ぁる…っ、……か…――――、えあ…―――。』



【言語はやはり通じない。ただ、喋る真似でもしているのか】
【発する音は増えていた。風の真似事から、会話の真似事に移り変わったのだから】
【すなわち学習能力を有している――それを示すのが、次の行動】

【具体的に、化物は二つの動作を立て続けに行う】

【1つ目が槍を振るうこと。けれど目標は探偵ではなく――その、車両】
【彼がここに来る際に乗ってきた、唯一の光源を有するモノ】

【恐らく一度目、すなわちキャラバンを襲った際は馬を仕留めなかったが故に】
【何人かには逃げられたのだろう。動くものは壊しておきたいというわけだ】
【巨大な槍は、純粋に物量――エネルギーに優れる。エンジン部分を貫こうと、槍を振るい】

【そして槍が車、或いは地面を捕らえて身体を支えられる状態に移行したならば】
【続けて行うのは探偵を狙い、巨大な手でその身体を思い切り掴もうとする動作、である】

【途中、腕を狙う射撃が何発か表皮をかすめてスーツに穴を開けていたが】
【長大な腕に比べて、あまりに細い。その内側に物理法則に応じた筋肉が詰まっているとも思えない】
【故に、致命打にはなりえない。むしろ激高したように、動きはすばやく】
【五指を広げれば3メートル近い大きさになる白亜の手が、探偵を餌として捕らえようとしていた】



【――時を同じくして、平原に僅かなる地鳴りが響く】
【それは次第に大きくなる。何かが近付いてくる――意識を割く余裕があれば、気付けるだろうか】


/すみません、ちょっと眠気強くなってきたので
/今日はここまで!ということでもよろしいでしょーか!
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/22(日) 00:14:40.70 ID:nRClHV6h0
>>479

わたしね。水はね、上手に使えるの。だからって、そこらへんのお水とかはあまり――だけど。
……教えてもらっているんだよ。強くならなくちゃって――思うの、とっても、

【煙草の煙――苦手だが、酒場に来てまでそんなことを言うつもりはない。だから彼女は何も言わなかった、ただ、少し興味ありげに】
【「煙草っておいしいの?」って聞くだろう――その様子を見れば吸ってみたことがないのは分かるようだった。酒ならジュースみたいなものもままあるけれど】
【煙草……というと本当に煙草なものだから、どうにも敷居が高い。――かといって勧められても、慌てたようにぱたぱた手をやって、拒否するのだが】

…………そっか。でもね、蛇って言うだけでウワァーって言うひと。いるの、だからね、好きーって言ってもらえるだけでね、嬉しいな。
うんと格好いいのに……猫とか犬とかも好きだけど。一番好きなのはね、蛇なの。わたしは――、……。

【目がきらきらしていた。蛇がよほど好きらしいと思わせる、だからか――ウワァーってあたりはいやに作った声。ひどいよね、って言う風に、拗ねた顔をして】
【どうやら動物全般が好きな性質らしかった。蛇も犬も猫も――この分なら多分ハリネズミとかハゲタカとかなんだってかんだって好きそう。そんな感じの様子】
【生体工学、とかはよく分かんなそうだから――"なんとなく"って言葉で充分そうであった。何となくでも好きなら嬉しいよって――笑いかけて】

……大学。そうなんだ? ふうん、じゃあ、――お姉さん、って、同い年くらい、かな。
大学って、えっと……いくつくらいまで、行くんだっけ。わたしね、二十四歳だよ、もう少しで、二十五歳になるの……再来月にね。

【――それで、はた、と、表情が変わる。おととしに大学に居たっていうのなら――相手の年齢はいくつだろう。といっても、ひどく曖昧な尋ね方をしたなら】
【どうやら彼女は大学というものに行ったことがないらしいのだ。というよりも、この様子では、学校に行ったこともない……かもしれない、そういう、根本的な認識が抜けている】
【それで伝える年齢は――どうだろう。相手と近しいだろうか。というよりあんまりにも嘘っぽくて信じられない方が強いかもしれない、だって――見た目は少女でしかない】

――わたしね、学校って行ったことないの。大学って……何をするの? お勉強?

【――――――少し、羨ましそうな目だった。尋ねて――そのときに、ポテトとかが来る。一つ摘まんで頬張る。あつあつで塩がきいた、うんとビールに合いそうなやつだった】
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/22(日) 00:26:33.57 ID:oGhUKlIr0
>>480


【探偵は眉を顰め、その異形を睨んだ。だがいつも相手にしているやつより考えはまとまりやすくていい】
【言葉にならないならしなくていい。伝わらないなら伝えなくていい。どうせ俺はこういう方法しか知らない】
【この道を切り開く方法なんて―――[ピーーー]だけだ。それか死ぬだけ】

――クソっ!!

【目は槍が自分ではなく車を狙っているのを見抜いた。急いで頭を振る回転させ、一度は銃口を向けようとしたが】
【あの質量、スピードどうせ間に合わない。一瞬ためらうが、捨て台詞で置き換える】
【愛しいロータリーエンジン。もうあんまり数もないってのに。多分もう廃車だろう】
【うめき声のようなボディを貫く音が聞こえて、後はエンジン内の爆発が外にまで響き渡って閉じ込められていたエネルギーが】
【激しく放出されるのだろう】

【そして目は腕も捉えていた。探偵の目は能力によって、死角は塞がれていた。灯りの乏しいところでも見通せた】
【探偵はその腕をギリギリまで待った。そして2丁の銃を構える。今だと誰かが自分の中で囁いたら、目一杯の弾丸を浴びせるつもりだった】

【――そして地鳴り。なんでもいい。かかってこい。と目は“視”続ける】


/了解です!お疲れ様でした!
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/22(日) 00:39:24.38 ID:s7Ci+azNo
>>472

『……ふむ、見立てからは全く戦闘スタイルがわからんのう』

戦いなんていつだって出たとこ勝負じゃねえか、いいさどんな相手だろうと真っ向から受けて立ってやる
我が葉隠流は相手も戦場も選ばねえ……どんな力がお前の持ち味なのか知らねえが、その時が来るのを楽しみにしてるぜ


【互いに激励を送りあう中、突如奮起するクローディア】
【燃え滾るその熱意とともに旅立ちを要求する彼女に対し、ムクは何の気もなく、ぽふん、と前足で机をたたく】
【すると、ひとりでに閉じた天井の六角形の入り口がパカリとひとりでに開くだろう】


『別にカギもかけちょらん、出たいときに勝手に出ればええ
腕が立つというのならさほど心配もいらんかもしれんな。基本この世は腕っぷしで切り開くのが世の常じゃあ』

送ってかなくていいのか?なんならバイクで最寄りの宿までは連れてってもいいぜ!


【旅立ちの際においても、ぶっきらぼうなムクと世話焼き好きな剛太郎の両者の間で大きく違うデコボコな反応】
【最後まで奇妙なコンビだ】

/大変遅れて申し訳ないです!では私は次のレスで切ります
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 00:43:07.06 ID:sOG0UVf1o
>>481

「水だけはうまく使える──なら、凝縮か物量型が良いかな」
「そこら辺の水が使えないのなら、凝縮型か。水を武器として扱う魔術だな」
「──強くなる為に教わるのもいいが、楽しむほうが大事だな」


【水だけがうまく使えて制限が課せられているなら、凝縮するのが良いか】
【そうなれば武器を扱う鍛錬も必要だが、それを楽しめと女は言った】
【煙草っておいしいのと聞かれれば、ストレス発散に向いた化学合成物の塊の味だと答えるだろう】


「蟲とか爬虫類が、どうも嫌いな人間が多いんだよな」
「私はそんなことないんだけど──人によって違うってことか」


【彼女はよほど蛇が好きなのだろう、目をキラキラと輝かせていて】
【なんとなく好きでも嬉しいと彼女が笑めば、女もまた頬を緩ませる】


「大学は4年間通うことになるね。私は院に進んで博士課程まで進んだから──28歳かな」


【大学を出たといえども、院に進んで博士課程を終えているから】
【彼女とは3つ離れていることになるだろう。というか、眼前の少女が24歳には見えない】
【ちょっとだけ驚いた表情を見せるが、しばらくすれば元に戻って】


「大学じゃ、基本的な魔術の研究をしてたよ。魔力をどのように使えば効率が良いか、ってね」
「私の場合は、魔力を属性別に分けて使えば良いって結論を出したけどね」


【そう、これこそが属性魔術なのだ。純魔力を属性別に分け、それから魔術を行使する】
【ちょうどポテトが来た辺りで、ショットをちびちび飲みながら熱々のそれを口に入れる】
【あまりの熱さに舌をやけどしそうになったが──とてもおいしい】
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/22(日) 00:51:22.00 ID:833rbTcw0
>>483
……ま、まぁ闘ったことなんてないのだけれど、きっとなんとかなるのだわ!

【まるで自分を励ますような一言。とても小さな声なので二人に聞こえたかどうかはわからないが】
【天井があけば、もう一度二人に深々と頭を下げて】
【下手したら野良犬の餌になっていたかもしれない所を助けてもらったのだ。お転婆な娘ではあるが感謝の気持ちはしっかりと伝えーー】

二人とも、本当にありがとうなのだわ
お見送りはここで良いのよ、剛太郎とムクさんに助けてもらえて本当によかったの
あなたたちじゃなかったら、観光前に誘拐されていたかもしれないわ

【なんて冗談を行って背を向ける】
【長いスカートを引きずって出口から出れば、最後に穴から顔をだし、「バイバイ」と、手を振って】
【闇と同じ色をした彼女は深夜に溶け込むように消えてゆくのだろう】
【月明かりも頼りにならないくらいに真っ暗な道を一人、当てもなくーー】

/長い間絡んでくださりありがとうございました!とても楽しかったですー!
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/22(日) 00:52:47.19 ID:nRClHV6h0
>>484

凝縮……物量? わたしはね、"お願い"して……あ、
えっと――、あんまりね。魔術は上手じゃないの、ちょっと――、苦手、で、

【――不味いことを言った。瞬間、彼女はそういう顔をした。同じ指輪を持っている……けれど敵か味方か、分からない相手に】
【というか――持っている以上味方側ではあるはずなのだけれど、それでも、必要以上にビビッてしまっている。そんな相手に、ふっと、漏らしてしまった】
【これで何かがバレるということはないとは思うけれど――と慌てて取り繕う傍らで、ぽろ、ぽろ、と、要らんことを言ってしまって】

化学合成物って……。

【絶対おいしくなさそうって顔。多分これで彼女はより一層煙草を吸いたいと思わなくなっただろう、なんか、そういう顔をしていた――なんて、余談】

わたしは好きだよ。猫とか犬とね、なんにも変わらないの。兎がかわいいのと、蛇がかわいいの、おんなじだよ――。
それとも、猫とか犬に毒があったなら、みんなは、蛇を怖がるみたいに猫とか犬とか、兎とか――怖がる、のかなぁ。
それもね、なんだか変だなって思うの――、そしたらね、見た目とかじゃないもの。ずるだって思うよ。

【やっぱり彼女はただの動物好きなのかもしれない。冗談めかして特に意味のない仮説を漏らしている、犬猫に毒があって、蛇に毒がない世界だったら】
【そうしたら蛇だってかわいい〜って褒めてもらえるんじゃないか、って。――だけれどこんな世界ならありえてしまう話でもある。いわゆる犬猫に毒がないだけで】
【そういう動物はどこかに居るかもしれないけど――、出回っていないなら、やっぱり、「それはいない(だろう)」って話の仕方になってしまうのだ、どうしても】

そうなんだ――、じゃあお姉さん、魔術が上手なのかな。いいな、羨ましいの……、……。
……わたしはね。上手になりたいって思うけど、魔術に嫌われちゃうみたい、しょうがないんだって。言われたの、魔術をね、教えてくれる、先生に。

…………――お姉さんに教わったなら、上手になれるかな?

【――――ころころ笑いながらしゃべる少女がよいしょと懐を探る。それで、そのうちに、何かを取り出すのだ。ゆっくりとしゃべりながら、やがて、かたんと音がする】
【小さくって硬いものを机に出した――見れば、それは指輪であるようだった。桜色の魔石が嵌った指輪。――相手が持っているものと同じ、さすがに色は違うだろうけれど】
【相手にとってすれば"いまさら"だろうか。何がきっかけだったのかは分からない、ただ、蛇の話をしてくれたからかもしれないし、言葉通り、魔術を教わりたいのかもしれない】

お姉さん、名前は? ――わたしね、白神鈴音だよ。……知っている、かな?

【――それで、尋ねる。それともすでに知っていたかな、って、――少しだけ、冗談めかして】
487 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/22(日) 01:10:30.13 ID:ht2DlWTQo


【男のミラ・クラァケを見下ろすその眼差しはひどく穏やかだった】

【誰よりも満身創痍でありながら、誰よりも人と乖離していながら】
【誰よりも冷静で、その運命を受け入れてみせる彼女の様子に】
【最高の優等生を送り出すような称賛を込めていた】

【厳島の叫びは、男の何を揺さぶることもなく】
【その口元をにやつかせながら、鉄塊を改めて握り直した】


──お前は本当によくやった。

息をしていい。
泣いてもいい。
震えてもいい。

人はどうやって死ぬべきか、最期にこいつらに教えてやってくれ。


【振り上げて、振り下ろすまでの間に一切の勿体付けることはなかった】
【それは断頭台の刃よりも尚、重量と勢いを十全に含んでいて】



【ぶン────】







【──────ぐしゃリ】




【新たな血飛沫が上がった】



488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [!nasu_res saga]:2018/04/22(日) 01:11:45.00 ID:ht2DlWTQo

    【────】

【────────】   【────】

    【──────】     【────────】

【────】      【────】



【どこかで、遠いどこかで】
【誰かが、何かを叫んでいるのが聞こえた】

【何と言っているのかは分からなかったが】
【身を張り裂けそうにして叫んでいることだけは感じた】

【ここがどこで、自分は生きているのか死んでいるのか分からなかった】

【どちらにしても同じような気がしていた】
【生きていれば死ぬように定められて】
【死んでいれば生きるように急かされて】

【残酷な世界でそれでも自分が自分であることだけは辞められなくて】
【何故そのようになっているのかなんてことも誰にも分からなくて】

【どこまでも続くグロテスクな混沌の中で、】
【“それ”を守りたいというどうしようもない想いだけが現実味を帯びていて】


【自分の深奥に向かえば向かうほど、そこには抗いがたい赤熱が在った】


/↓
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [!nasu_res saga]:2018/04/22(日) 01:12:20.67 ID:ht2DlWTQo

【黒野カンナはうっすらと目を開けた】
【身体は動かなかった。ただそこに横たえられているらしいことだけを平衡感覚で理解した】

【静かに目覚めたとて、そこが何でもない平和な日常だったということなどなく】
【意識を失う前と寸分も変わらぬ陰鬱の気と濃厚な血の臭いの満ちる地獄だった】

【視線だけを動かす】
【──本当に目を背けたくなる光景を見た】

【円 嗣星の屍など決して精神が受容できる代物ではなかった】
【つい先まで、昨日まで、数日前まで話していた近しい人間が】
【顔面の肉を裏返らせ、焦点を失った瞳の虚空を見つめている様など】

【脳神経がそれ以上動作することを拒絶した】
【意識が強制的にシャットダウンした】


【────────】
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [!nasu_res saga]:2018/04/22(日) 01:12:48.09 ID:ht2DlWTQo

【次に彼女が目を開いたとき】
【そこまた先と同じ地獄だった】

【何かの鉄塊が、誰かをぴったりと指し示していた】

【──傷だらけの、青い血の女性】
【静かに息をする彼女は、何かの致命的な終焉を受け入れたように見えた】

【それで状況を悟った】
【頭脳がまたも赤熱し、その意識が揺らぎかけたとき──彼女の指にある本当に僅かな光沢が目に映った】

【位置は──左手──薬、指】

【なんで──】
【よりにもよってそんなところに】
【よりにもよってこんなところで】

【彼女が誰であれなんであれ】
【そんな死に方をしていい者などあっていいはずがなかった】
【さりとて自分に出来ることなど命令に従うただそれだけしか残されていなかった】

【──瞬きをしない】
【──目を逸らさない】
【──五月蠅くしない】

【皮肉にもそれを守ることしか】


【鉄塊が振り上げられた】
【それは余計な勿体をつけず、ただ真っ直ぐ振り下ろされて】


【(視界の端で何かが動いた)】
491 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/22(日) 01:13:40.72 ID:ht2DlWTQo



【──その肉の潰れる音はこの空間に大きく反響した】



【振り下ろされた鉄の重量が、】
【頭蓋を容易く砕き、肉を潰し】
【鮮やかな内容物を、そこに爆ぜさせた】




【鮮血が舞った】




【────紅い】


【紅い、紅い、徒花の如き色が散った】





【それは紛れもなく“赤”かった】












──────あぁ?


【男が、今までに無いような顔の顰め方をした】
492 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/22(日) 01:15:20.65 ID:ht2DlWTQo

【それは動いてはならぬ生命のはずだった】

【確かに顔面を穿たれ、呼吸行動の停止した人間が】
【そこで動作していい道理などあるはずもなかった】



【──ミラへ向けて振り下ろされた鉄塊を】
【その名も明らかならぬ男性の後頭部が、受け止めていた】



【受け止め切れたとは言い難かった】
【それの衝撃は確かに生物としての致命傷を与えていたし】
【その内容物は確かに無残にも散らばった、それは違いなかった】




────“何”だ、お前は。




「…………ルーるを、理 解  ス  べき、だ」



【男は、全く理解が及ばぬという風に顔の皺を寄せた】
【あまりの不可解さに満ちた沈黙の中で、男は再び言葉を紡いだ】


「 ………… ────その、場所は」


「 私に 帰属して 然ル  べ──き である」




 【 「 その位置 その順序に   最初にいたのは   私だ 」】




  「先行占有の 原則に  則り

    所有権ヲ   主張  す──ル」




/↓
493 :血の処断 [!red_res saga]:2018/04/22(日) 01:16:43.89 ID:ht2DlWTQo


【────その“事実”を】

【この惨禍において記憶できていた人間など、恐らくいようはずはなかった】




【あの時】

【彼らを再び横一列に並ばせたとき】
【その順序は、当初のものと少しだけずれていた】

【本当に些細なことだった】
【ただ一箇所、ミラとその男性の位置が逆になった】

【それだけのことだった】


【故に男性は誤りを正し、本来の権利を主張した】





【男がそのことを『理解』したかは分からない】
【ただしかし、一つ大きく溜息を吐くと、男性の首根をひっつかみ】
【数歩分引きずると、放り投げるようにそこへ転がした】



【振り上げた】


【振り下ろした】



【今度こそ本当に頭蓋が潰れる音がした】
【圧迫された内容物が顔面の穴の全てから絞り出されようとしていた】


【一撃では済まされなかった】
【続けて二撃目が、一切の間断なく始まった】



【ぶン────】



【────ぐシャり】




【名も知れないその男性は悲鳴も呻きも上げなかった】
【ただひたすらに黙して、その処断を受け入れた】





【──それが何撃目で終わったのか、数えられる者がいたのかは知れない】
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/22(日) 01:31:31.39 ID:Nwn6+LSr0
>>487-493

「な、何だ……」

【何かが起こった】
【何が起こったのか】
【それを理解できるまでに脳内が追い付くには、幾分か時間を要したと言える】

「ミラ……いや違う、違うな……」
「まさか……あの男は、カンナの話していた、円警視正、なのか?」 

【男性が起き上がり、ミラを庇った】
【カンナの側に居た男性】
【恐らくは……彼が……】

「武器をくれ……」

【銃でも軍刀でも、船でも航空機でもいい】
【何も何も出来ず立ち尽くす自分が……ひたすらに歯痒い】
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/22(日) 01:41:24.57 ID:aSaN+qvDO
>>476-477>>487-493
【尚も煩く喚き立てる彼らを見て、力なく笑ったまま彼女は言った】
【「Shhhh────ほら、静かにって言われたろ?…………せっかく一人でいいって話なんだ」】
【「ぎゃは。笑えよ、ほら。笑えって…………そんな顔してちゃ、つまらねぇ…………だろ?」】
【そう言って鉄塊を見据え────嗚呼。“死”が、振り上げられる】


                      【 ぶン──── 】


【悪ぃな────“約束”、守れそうにない。“彼”の顔が浮かぶ。自信家のくせに酒に弱い金貸し】
【(でも…………ぎゃは。死ぬのは、流石に────ちょっと、怖ぇな)】

【“彼女”の顔も。臆病で泣き虫な────あぁ、攫うとか言っといて、この約束も守れねぇな】
【(…………せめて、なぁ。死ぬんなら────もうちょっと、よぉ。かっこよくさ)】

【蛇のあいつは、あたしとの約束を覚えてるかな。2週間経ったら、ってやつさ。どうだろうな】
【(例えばほら────ジルベールのために、死んだりとか…………は、怒るだろうなぁ)】

【まぁ覚えててくれるだろう。あのおかしなアンドロイドは──あぁ、もうメール、返せねぇや】
【(あぁ、もう振り下ろされる。…………でも、ほんと────────死ぬんなら)】

【潔癖野郎…………あたしの見る世界は、どうやらここまでのようだ。…………案外、再会は早かったな】
【(死ぬんなら────せめて、ジルのために…………………………………………)】


           【 ────ぐしゃり 】


        、は……………………、…………どぉいう、こった


【流れる必要のない赤が、流れていっていた。目の前で、名前すら知らぬ人間が、自分の命を助けた】
【何故。黙っていれば、彼は助かっていたかもしれないのに。理解が及ばなかった。何故、どうして】
【その困惑の目は、“執行人”にまで及ぶ。あんたはこのことをどう思うのか。分からない。どうすればいいのか】
【瞬きもすることなく、目の前の死を見た。呻くことなく、現実を飲み込み────】


【「…………なぁ。あんた、なんで」】
【「寝てるフリしときゃ、良かったんじゃねぇのか。なぁ」】
【「あたし、…………あんたの名前も、知らねぇのに」】


【────もはや物言わぬであろう躯に、そっと問いかけた。本当に、理解ができなかったのだ】
【恐怖よりも、安堵よりも、感謝よりも──戸惑いと疑問だけが、湧いて出た】
496 :ディミーア ◆r0cnuegjy. [sage saga]:2018/04/22(日) 01:45:58.50 ID:3tOf2tkpo
>>487>>493

【一体、何が起きたというのか。理解できずに目を見開く】
【確かに死んでいたはずの男が割って入り、”身代わり”になっていた。尊い行動だが、単なるそれとは思えなかった】
【頭蓋が破壊され、脳漿が散らばる。今度こそあの男は絶命したことが分かる。だが、理由はまだ分からない】

【どれだけ考えても答えは出なかった。無駄だと悟り、脳のリソースを割くことをやめる】
【結局のところ起こったのは一人の男が死んだ。クソ野郎の手によって。ただそれだけだ】
【何も良いことなんかありはしない。無力な自分はそれを眺めていただけだ】

【怒りの形相を浮かべたまま。しかし動けないことに変わりはなかった】
497 :血の処断 [!nasu_res saga]:2018/04/22(日) 01:51:06.56 ID:ht2DlWTQo
>>ALL


【後には、頭だけの潰された人間の遺骸が一つ、残された】


【最後の一撃を振り降ろして、男はゆっくりと鉄塊を引き上げた】
【そして大きく溜息を吐く。汗と返り血に塗れた顔を、一度手の甲で拭い】

【彼らの方へと再び向き直る】


────生き返るのは、ルール違反だろう。なあ?


【男は歪に口の端を吊り上げて、肩をすくめた】

【唐突に、不可解に起こったその一連は】
【彼らのほとんどに混乱をもたらし、それでもって収束した】

【しかしただ一つ言えるのは、『責任』は確かに取られて、処断は終わった】

【ぶン、と一度大きく鉄塊を振るう】
【血糊と肉の断片が吐き捨てられるように地へ叩き付けられて】


────おい、おい。もしかしてホッとしているのか?

お前達の知らない人間が死んで。
喚くのは、知っている人間が死にそうになった時だけか?

悲しい世界だなあ、まったく──


【ぱん、ぱん、と】
【男は何か合図をするように両手を打ち鳴らした】
【すると、軍勢達がぞろぞろと気の抜けた足取りで踵を返し、霧の中へと消えていく】


────いいか、生きたければ『ルール』を理解しろ。

これから来る新しい世界のルールを。
だが心配するな。出来の悪い生徒には何度でも教えに来てやる。

俺たちは、お前達を決して見捨てないからな。


【男が笑んだ。それは心の内から湧き上がるような純粋な色をしていた】
【やがて踵を返すと──倒れていた赤毛の女性の元へと歩み寄って】
【その襟元を乱暴に掴むと、バスの方へと引きずり始めた】


お前は、別クラスだ。
なあに、すぐに馴染む。心配するな――


【引きずられていく女性は、何か短い悲鳴のごとき声を漏らし、身をよじって抵抗したが】
【それは男の足を鈍らせるには至らず──数呼吸もしないうちに、バスの中へと引きずり込まれ】
【無慈悲に戸は閉じられた】


【やがてその車体がエンジン音を上げる】
【車輪が回転し、その巨躯をゆっくりと推進せしめ──程なく霧の奥へと消えていった】

/Last↓
498 :血の処断 [!nasu_res saga]:2018/04/22(日) 02:03:06.10 ID:ht2DlWTQo
>>ALL


【軍勢が去り、バスが去り】
【静寂が訪れると共に、次第に霧は晴れていった】

【そこに浮かび上がるのは、深い、深い、夜の闇】
【天には月。虚空には星々。何かの猛禽が鳴く音がする】


【全ては夢幻かのごとく、去っていった】


【しかしその場に残された血と、傷と】
【確かに犠牲になった頭の潰された遺骸が】
【ここに起こった一連のことが紛れもなく事実だったことを告げていた】


【その心に残るのは何であろう】
【虚無、喪失、怒り、怨恨、恐れ】


【そこに慰めるものは無かった】
【深い傷を負った彼らに手当を施す者もいない】


【しかしそれでも尚、立ち上がろうとする者がいるなら】
【その傷だらけの手に武器を取ろうとする者がいるなら】
【それを止めるものは、何もない】



【(それが賢明だと言える者が果たしてどれだけいるのかは最早知れなかったが)】



//period.
499 :血の処断 [!nasu_res saga]:2018/04/22(日) 02:05:41.33 ID:ht2DlWTQo
/という形で、こちらからは以上とさせていただきます。
/本当に長時間、拙い進行にお付き合いくださりありがとうございました。大変お疲れさまでございました。
/詳しいことはまた舞台裏の方で。
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/22(日) 02:10:27.86 ID:Nwn6+LSr0
>>498

「(円警視正……)」

【ぐしゃぐしゃに潰された彼の、仲間の恩人の遺体を運ぼうとする】
【フラフラと立ち上がり】

「(カンナは、生きていた……)」

【ならば、武器を取ろう】
【俺がダメならば仲間が、仲間がダメならば本国の艦隊を動かしてでも】

「奴らを焼き尽くしてやる……」

【そして傍らの仲間に】

「ミラ、ディミーア、手を貸してくれ……やつらを、黒幕を焼き尽くす……」

【真の無垢なる怒りの焔】
【確かに宿した目で、虚空を睨み、そう短く言った】
【黒野カンナ、奪還の任務が始まる】
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/22(日) 02:15:01.41 ID:aSaN+qvDO
>>497-498
【助かった、のだろうか。だが──釈然としない思いが、頭の隅を焦がしていた】
【彼が自分の身代わりになったのだということだけは、分かった。その理由が分からなくて】
【得体の知れない気持ち悪さが、冷たい石のように腹のなかに沈んでいった】

【そして──新しい世界のルール。何度でも、教えに来る。そう言われて、口の端が歪む】
【(その世界に、自分の居場所はあるんだろうか)(…………ねぇなら、作るしかないよ、なぁ)】
【生の感触が、思考の熱が少しずつ戻ってくる。相手のことを気に入らないと思う余裕すら出てきて】


……………………っっ、ぐ────クッソ、がぁ…………!
は────流石に、ちょっとやりすぎた、ってぇ…………わけ、か…………!

ぎゃ、は…………あンの野郎覚えときやがれ、よぉ…………!
あたしを間引き損ねたっつぅこと……ぜぇってぇに後悔させて、…………は…………っ、てぇ、なぁ────


【────途端。ずきりと、身体中が痛み出す。未だに止まることのない青い血は】
【バスが去って尚、地を濡らし続けていた。体の至る所に、鈍い刃をねじ込んだ跡がはっきりと見てとれて】
【どさりと、その場に倒れ臥す。意識はまだある。だが…………死神は彼女の近くまで這い寄ってきていた】
【そのことを伝える余力は、彼女にはない。溢れる“青”の量は、徐々に減りつつあったが】
【それが良い報せではないことは、この場にいる誰もが分かることだろう】

【(────そしてそのまま、彼女は黙した。気を失ったのか、そうでないのかは)】
【(この場ではまだ定かではなかった。分かることと言えば────)】
【(この亜人種とヒトとの血液成分は、決定的に異なっているということだけ)】
【(血を補うためには、何処かからヒトではないものを調達してくる必要があった)】
【(全ては世界の望むがままに。彼女の帰路は、まだ遠い)】


/お疲れさまでしたー!
502 :ディミーア ◆r0cnuegjy. [sage saga]:2018/04/22(日) 02:27:38.96 ID:3tOf2tkpo
>>497>>498

【一つの不可解な出来事のおかげで、処断は終わりを告げた】
【安堵などできるはずがなかった。これは完全な敗北だった。生きているのはただの偶然】
【何よりも、生きていない者さえいたのだから────彼女も、そのはずだった】


…………?


【赤毛の女が運ばれていく。その小さな悲鳴を聞き逃しはしなかった】
【それは彼女がまだ生きていることの証左だった。剣士の双眸に微かな光が灯る】
【バスが去り、霧が晴れる。夜闇の中、頭上には星々の”輝き”があった】


────くっ、くくくくくっ


【男の肩が震え、奈落の底から湧き上がるような声が響く】
【身を焦がすほどの憤怒が冷却され、固まり、憎悪へと置換されていく。それを狂気が覆っていく】
【右手が柄を握る。合金の刃が夜の空気を切り裂く。魔力の燐光が炸裂。重低音が響き、男の周囲の地面が陥没する】


……………………殺す
全員、全員殺してやる…………必ず、必ずだ
奴らに与する者の悉くを滅ぼしてやる…………!


【憎悪と怨嗟が声となって溢れ出す。そこに正義という名の善意があるかなど、もはや分からない】
【息を吸い、そして吐く。頭が冷えて感情が抑えられる。『導くフィデリウス』を背中の鞘へと収納】
【そこにはいつもの男が戻っていた。自警団員にして『ゼロ』の協力者たるディミーア・エルドワルが戻っていた】

>>500


ああ、必ず討ち滅ぼしてやるさ
慈悲も容赦もしない。何があってもだ


【厳島の言葉に静かに、しかし激情の込もった声で答える】
【ひとまず>>501ミラの元へと駆け寄る。放置すると今にも死にそうだ】
【あるいは厳島にあてがあるのならそちらに任せるだろう。なければ、彼が部下を呼ぶことになるかもしれない】
【いずれにせよ、見捨てたりはしない。協力して彼女と、そして鵺を助け、それで本当に今日は終わりだ】


//みなさま、お疲れ様でした
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/22(日) 03:04:24.57 ID:s7Ci+azNo
>>485

【出口から最後に手を振るクローディアに、こちらも手を振り返しながら】


楽しい旅をな!クローディア!!
危なくなったら俺たちに言ってもいいからな!!

『……ま、良い旅を過ごすとええさ。縁があったらまたいずれのう』


【扉を閉じて、公園の隅に鎮座する棺桶の一室の中で、剛太郎とムクはクローディアの一言をきっかけにここまでの旅路を思い返す】
【思えば自分たちも彼女のように旅に出て、それなりに時間がたった】
【どんな場所でもこの棺桶があったから寝床には困らなかった……食料を取るための知恵をムクに教えてもらいながら食べ物を自分で調達し】
【過酷な環境の自然の中でも安心して己を磨くことが出来たものだ】

【この異世界に飛ばされ行方不明になっていた友人たちとも再開でき、剛太郎はほとんどの目的を達成していた】
【ただし、一つだけかなっていない。それは……自分の家に、自分の世界に帰る事だけだ】


……みんな、元気かなあ……思えばずいぶん長い旅になっちまったけど
多分スッゲー心配かけてるだろうし……なんだか、センチな気分になっちまったよ

今はとっても楽しいけどよ、こんな旅がいつまで続くのかってのは……思えば考えたこともなかったな


【……時には、昔の話を振り返ることもある。時には家族が、恋しい時もある】
【←To be continued…】

/では、遅くなりましたがこれを最後の返事とさせていただきます。ありがとうございました!
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/22(日) 03:11:05.81 ID:+fsPyBj3o
>>500>>501>>502>>鵺
ピーポー……ピーポー……ピーポー……ピーポー……

【カニバディールは、大型車両の助手席でずっとそう繰り返し呟いていた。救急車のサイレン音を】
【運転するのは、『安全第一』と書かれたヘルメットと溶接作業用のマスクで顔を隠し、両腕を巨大な義手に換装した筋骨隆々の男】
【助手席の大男が呟く声にも構わず、一切無言。恐ろしく器用な運転で木々の間をすり抜けて走り続ける】


ピーポー……ピーポー……ピーポー……ピーポー……

【どこから情報を得たのか。盗賊の鼻が利いたか。とにかく、異形の男はこの場に現れた】
【恐らくは、バスが去ってから少しの間をおいて。森の中に、車両が走り込んでくるだろう】

【ドアを開けて、大男と義手男が降り立つ。荷台の扉が開き、さらに三人。学生服を身に纏い、真っ青な肌を傷だらけにした少女】
【両耳と口元、舌の外周にびっしりとピアスを付けた彫りの深い顔立ちに鉛色の瞳の男】
【最後の一人は透き通った白い肌を、黒いミニスカナース服に包んだ長い黒髪の女。その両手の指は、異様に細長く、生き物のように蠢いていた】

――――毎度おなじみ、スクラップズ医院です。重傷患者の搬送に来ました
オートマーダー、すぐに全員運び込め。車内で応急処置をしながら近場のアジトに向かう。スカーベッジ、治療の準備はさせてあるな?

[ウィーン……了解、シマシタ]
『連絡済みですぜ、ボス!』

【五人の狂った男女は、ズタボロに傷ついた四人の男女と、無残に放置された一人の男性の遺体を】
【先ほどの男たちと同じくらい強引に、しかし意外にも傷への障りを避けるように慎重に、かつ手際よく大型車両に押し込もうとする】
【抵抗することがなければ、四人と一つの遺体はそのまま運び込まれることになるはずだ】

美鈴、ウィーヴァー。すぐに処置を始めろ。敵がこの連中の「肉」に残した痕跡≠、全て消し去るつもりでやれ
器具も薬も、いくら使っても構わん。治療費は全て私が賄う。徹底的に治し尽くせ

「わかったよ、ボス。ああ、素敵な傷……」
〈相変わらず人使いの荒いボスだこと。全力は尽くすけど、確約は出来ないわよ〉

【カニバディールの指示を受けて、二人の女が治療に動く。青肌女の美鈴は、見かけによらずきちんとした医療による治療を】
【長指女のウィーヴァーは、その指を触手のように動かして、四人の身体の傷を繕って≠「く。恐ろしく精密な動きによる、細胞レベルの縫い合わせ】
【惜しげもなく高価な麻酔を投与し、消毒薬を用い、盗賊どもは遂行していく。普段、散々に破壊してきた人間の肉体。ゆえに、よく知っている。なら、逆戻しにだって出来る】


【やがて、拠点に到着すれば担架を用いて屋内へ。先ほどまでの処刑場とさして変わらない有様の、廃屋に偽装された建物】
【その内部では、手術着に身を包んだ人間が複数人待機していた。そこだけが、まるで病院。冗談のような、盗賊医院】
【水の国での混戦を知っている者がいるなら、その中に毒使いの眼鏡男が混じっていることに、不安を覚えるかもしれないが】

【へし折られた鵺の腕を、砕けた骨を。手ひどく殴打を受けた厳島の口中を、後頭部を】
【ディミーアの撃ち抜かれた四肢を。あらゆる手段をもって治療しようと、盗賊たちは死力を尽くすだろう。まるで、『黒幕』たちの存在の証拠を、洗い流さんとするかの如く】


【ただ一人。人ならざる亜人たるミラ・クラァケだけは別室に運び込まれようとするだろう】
【部屋の周囲には、大きなカプセル。満たされた溶液に浮かぶ、異形の生物たち。『廃の国』や魔海でスクラップズが密猟した、原生生物たちだった】

【その中から、ミラのそれに近いサンプルをカニバディールが選ぶ。この男は血と肉の専門家。何が適合するかは、一目で見抜いた】
【青い血液が、管を通して彼女の体内に循環していくだろう。その命をこの世に留めるために】
【全身の刃物傷にも、ウィーヴァーの指による執拗なまでの治療が施される。その傷跡さえも消し去らんばかりに、念入りに】

【麻酔。消毒液。抗生物質。合法非合法問わずの治療。やれる限りのことは施した。後は――――本人たちの、意思と体力次第か】
【傷跡まで消せるかどうか、以前と同じに身体が動くか、そこまではわからない】


〈……治療費はお高いんでしょう? ボス〉
タダだ。その代わり、とっとと退院して敵を残らず地獄に叩き落す準備をしてもらいたいな

【全てが終わり、彼らが動けるようになれば。眼鏡男の言葉を流しつつ、肉屋はそう言い放つだろう】
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 12:03:25.29 ID:OgI4n+wS0
>>482

【ぎしりと車両の板金を打ち抜いて、僅かな間を置きエンジンが炸裂する】
【これでもう動かない――心なしか包帯に巻かれた化物の顔が】
【にやりと歪んだ様に見えて。続くは大きく広げた手による"捕獲"だが――】



        『――ぁぎゃ、ぉ…――!……―、―――く…――。』



【ギリギリまで――その選択が良かったのだろう。いかに細身であろうが】
【近付いてしまえば並の人間より余程大きな"的"なのだから】
【何発もの弾丸を至近から手に打ち込まれた怪物は、堪らず手を引いた】
【そしてやはり、ボタボタと地面に滴る血液の色合いは紫】
【先の一発もしっかりとあたっていたという証左だ。――しかし、重傷とは言い難い】

【なにせこの巨体だ。ナナフシのようではあるが、そもそも撃って確実に殺せるかもわからない】
【心臓はあるのだろうか。あるとすれば、きっと余程機能が優れているのだろう】
【――そんな不安がよぎるかも知れない。けれど、件の地鳴りに気付いた異形は、ふと左を向いて】



      『GuuuuuRrrAAAAA…―――!』


            『――――おお、人か! すまんが手を借りられるかッ!?』



【異形は――更なる異形に、踏み潰される。それは牛のようでもあり、イグアナのようでもある】
【角を持った四足の巨獣。それに、細身の巨人はぐしゃりと胴体を踏み潰されて、絶命していた】

【――問題はこの怪物の"背中"から、女性のものと思しき声が聞こえる事だ】
【その場で地団駄を踏む怪物の様子からして、何やら藻掻いているようで】
【察しが良ければ、また別な怪物退治がそこで起きているのだと分かるだろうが――】

【ぶゥん!≠ニ、暴れる巨獣の尻尾が横薙ぎに探偵へと迫る】
【当たれば吹き飛ばされるどころか、全身の骨を砕かれてミンチにされてしまいそうな、太い尻尾だった】

/お返ししておきますねー!
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/22(日) 12:41:01.31 ID:oGhUKlIr0
>>505

【背後の爆発を振り返ることもなく見届けて、同時に目の前で、異形は悪夢のような血を滴らせる】
【ハジけた弾丸は確実に敵に食らいついているが、あの巨体にこのレベルじゃ相手にならないんだろう】
【仕留めるにはもっと力がいる。……だが、彼もまた能力者。異形の端くれだ。出来ないことは無いはずだ】

…どうしろってんだよ。

【探偵はSabrinaに問いかける。銃口は熱くなって、霧がそれにまとわりついて焼け付くような音をたてる】
【Sabrinaは答える。2丁のどっちが答えたのだろう。「テメーの武器はそれだけじゃないだろ」と――――】

―――ッッ!!

【脳内の対話は地鳴りが一時中断させる。探偵は本能的に、目の前の異形が踏み潰されんとする際に思わず】
【自分もその範囲にいるような気がして、思わず後ろに退いた。スケール感を誤認してしまうくらいに、巨大な戦い】

【それからやっと人の“声”がしたことに気がつく。理性はだいぶ遅れてやってくる】

………悪いが、獣狩は初めてなんだッ!アドバイスを頼むッ!!

【尻尾が迫る時、探偵は目を使う。まるで時間が止まったかのような視界が彼を包む。色々な線が彼の活路を見出す】
【向かうべきセーフティゾーンが見つかれば、そこに飛び込んだ】
【駆け出して、飛び込んで。あえての前へ。巨体の下に潜り込むように、果敢に向かっていく】

【そして二丁の拳銃を宙に投げる。舞い上がって、黒と白の拳銃は赤黒い煙となって消え、混ざり合う】
【それがまた彼の手元に戻ったときには――姿を変えていた。ウッドストックのリボルビングライフルを彼は構える】
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 12:54:36.39 ID:OgI4n+wS0
>>490

【恐らく獣は、探偵を敵とも得物とも見ていないのだろう】
【或いは認識すらしていないのかも知れない】
【踏み潰した巨人すらどうかわからない。獅子にも見える、この巨獣は】
【それだけ"背中"の相手に執着していたし、振り落とそうと躍起になっていた】

【――まるで"恐れている"かのように。故に、身体の下に潜り込めばむしろ安全】
【振り回される尻尾も荒々しい爪を伴う手足も、ここであれば届くことは無く】


  
     『――よかろうッ!いいかっ、脳幹≠破壊しろ!』


 『貴様の武器が何かは知らんが、口内≠ゥ顎の下≠ゥら狙うことだ』
   
    
     『――眉間≠ヘダメだ。いいかッ、脳幹≠セからな――ッッ!!!』


【"声"は揺れる巨獣に合わせて、その出処を変えつつ聞こえてくる】

            【脳幹を破壊しろ=z

【そんな任務を、声は付与する。脳幹とは、大概の生物に存在する急所だ】
【脊髄ともつながり、肉体を動かす為の神経系が集中する場所でもある】
【これを破壊すれば、呼吸・運動・反射、ひいては心肺機能をも停止させられる】

【何より、巨獣はその体格が体格だ――"的"は、見えないが大きな物であり】


【――ズガンっ!≠ニいう鈍い音が、巨獣の肉体を通して響く】
【直後から、巨獣はふらふらと動きを鈍らせて。上の人物が、何か攻撃をしたのだろう】
【今であれば――隙はある。岩石のようなサイズの顎は、だらしなく開いていて】
【生臭い吐息と、ヘドロのような唾液を滴らせながら真っ赤な粘膜をさらけ出していた】
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/22(日) 13:29:48.32 ID:oGhUKlIr0
>>507

【見上げるとさらにその獣の大きさを感じる。思わず、呼吸をするのも忘れそうになる】
【リボルビングライフルを持つ手にも力がこもる。男は撃鉄を起こす。弾倉が回り、音を立てる】
【呑まれそうになる自分がいた。だが、獣の上から聞こえる声で、ハッと自分を取り戻す】


―――オーケィ、撃ち抜いてやる


【脳幹か―――男はあの巨大な生物の解剖図を脳内に描こうとする。視えろ、視えろ…!】
【探偵は深くまた息を吐いて、自分の世界に入り込んだ。バレットタイム。狙いを定める】
【視界は赤と黒で出来ているが、狙うべき場所はよく見える。例えるならば、光指す場所】

【この位置取りならば顎下か口内から脳幹を撃ち抜くには角度はいい。だがあの表皮を撃ち抜けるかどうかは――】
【――なんて考えは杞憂だった。背中の上の狩人はプロのようだ。望むべきものが与えられた。】
【あとは彼の仕事はこの好機を逃さない。それだけだ】

【リボルビングライフルの銃口はその粘膜の先の脳幹まで見抜いて、探偵は引き金を引いた】
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 14:02:37.32 ID:sOG0UVf1o
>>385

「夕月ちゃん、これからよろしくねぇ?」


【今までずっと警戒していたであろう少女が、自身の名前を明かしてくれた】
【それだけでも柘榴にとっては十分であった。口許を緩ませて喜ぶ】

【二人で女の家に着けば、彼女にシャワーを使わせてやる】
【その間に彼女の服を選択して、靴も少しばかり磨いておいた】
【ついでにシャワー室に寝間着を置いておけば、服を乾燥機で干していく】


【引いておいたフカフカの敷布団に彼女が倒れるように寝れば】
【女もシャワーを浴びて寝間着に着替え、同じ布団に入り込むであろう】
【──朝を迎えるまでの数時間、彼女と共に安息の時を過ごす筈】

    ──────

【朝9時に目覚めれば、ふと何かの感覚がないことに気づく】
【彼女の身体の暖かさが、そこから消えていた。なるほど、早い内にどこかへ行ったのだ】
【また、来てくれるだろうか──なんてことを思いつつ、身支度をしていた】

//此方こそありがとうございましたーっ!!
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 14:22:37.39 ID:OgI4n+wS0
>>508

【探偵の声が届いたのかはわからない。ただ、銃声は別だった】
【濃霧の中であっても、脳幹を狙って口内に銃口を向け、引き金を引く】
【その動作と轟音はしっかりと届いていて――瞬間、巨獣の肉体が弛緩する】

【先程まで探偵が居た場所は、今や数トンはあろう体の下】
【首から下がびくんと震え、電気信号がやがて途切れるのを感じさせて】
【体格に見合った瞳孔が拡散し――巨獣は、あっけなく死んだ】
【口元からは唾液と、延髄に通ずる箇所を打ち抜いたが故の出血が続いていたが】
【少し離れれば何の影響もない。幸いにして、踏み潰された巨人も確かに死んでいて――】


――いやぁ、中々腕利きの銃士じゃないか。

脳幹を破壊しろ、とは言ったが……まさか"一撃"とはな?
まったくもって助かった。……怪我は無いか、君?


【平伏した巨獣の背から、黒い影が飛び降りる】
【背の中ほどまである長い髪も、外套を纏った軍服も】
【そして、額から伸びる片角も、瞳も――"黒"で染め上げられた、女が一人】

【――ふと見れば巨獣の頭部には、何箇所もの陥没が見受けられた】
【それこそ人の拳ほどの大きさの窪み。女性の身の回りに、武具は見当たらず】
【拳には黒の革手が着用されていて。どちらが悪魔か、分からなかったが】

【その拳を開くと、怪我の有無を確認しながら――握手を求めるように、手を差し出した】
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/22(日) 14:30:17.84 ID:Nwn6+LSr0
>>504

「ッ!?」

【その口頭で発せられる救急車のサイレン音は】
【この場にとっては異質な物だった】
【この状況で意識を保っているのは、厳島の他にはディミーアのみ】
【新たな敵か、そう身構えた時】
【救急車から出てきた人物は、より厳島の肝を抜く人物だった】

「カニバ……ディール?」

【今現状においては、協力関係にある双方だ】
【あるいはミラが、気を失う前に助けを呼んだのかも知れないが】

「助けてくれるか……すまない……」

【その、やや強引ではあろうが丁寧に大型車両に乗せられていく仲間達を見て】
【自分も、従いその車に乗り込む】

「カニバディール、ミラは、大丈夫そうではないが……すまない、こんなことに、黒幕の罠にかけられた……」

【的確かつ迅速な処置を受けつつ】

「カニバディール……黒幕に仲間が攫われた、重要な仲間だ、力を貸して欲しい……」

【本来はこんな事を頼めた義理では無い】
【しかし現状は……】

「ありがとう」

【処置を終えた体を動かしながら、そう告げた】
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/22(日) 14:51:48.48 ID:oGhUKlIr0
>>510

【弾丸は吸い込まれるように口の中に入り込んで、その持ちうるエネルギーは怪物の中で弾ける】
【肉を裂き、脳幹を砕き――巨体に比べ余りにも小さかったが効果は抜群だった】
【探偵は銃をおろし、自分のことに呆気にとられたような表情で居たが…はたと気づき】

【慌てて、その巨体の影から退避した。自分の側に倒れないとしても離れたくなるのがやはり本能だ】
【街道のハンティングは呆気ない幕切れだった。だが、慣れない出来事に少しばかり興奮していた】


…いや、何。…的当ては得意なんでね。お膳立てのおかげさ
怪我もなにもない。…こっちこそ助かった

【ライフルのストックを地面につけて、ハァと溜め息を付いた。一体何だったのか。聞きたいことは山ほどある】
【降りてきた女の見た目にも…疑問ばかり増やさせて回答が見当たらない。探偵失格だなと自嘲する】

よければ、話を聞かせてくれ。…あれはなにもんだ?生憎、そういう方面には疎くてね。
そして、アンタのことも。

【差し出された手は、気にせずに握り返す。男の頭にはまだ、彼女が素手であれと相手をしていたという考えに至っていない】
【探偵であるのに失念していたが。今はそれのほうがいいのかもしれない】
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 15:01:39.86 ID:sOG0UVf1o
>>456

【結局、彼女も皮肉を嘲笑う方向へと戻ってきてしまった】
【だがその皮肉にすら気づかずに、未だに能力者というだけで攻撃する者もいる】
【それがどういうことかは、彼自身が身を以って理解することになろうが──】


「逆ポピュリズム、ってところかしら。大衆を扇動して、そういう思考にしてしまう」
「そしてその思考自体が権力を持てば──。この先破滅しか待っていないわね」


【大衆は自分たちが意見をもち、それを主張していると考えているが】
【実際はその逆で政府がそういう意見を主張“させている”ということ】
【その巨大な嘘の存在に気づかぬまま、民衆は叫び続ける。その先にある破滅を見ようとせぬまま──】


「そうね、焦らずに急いで着実に結果を出していかないといけないわ」


【焦る必要はないのだろうが、急いで結果を出す必要はありそうだ】
【それに、協力してくれる人員を集めなければならない。能力者が中心となれば苦戦も強いられるだろう】
【その試みが成果を残すことができるのであろうか──それはまた、時の運命次第だろう】

【会計を済ませても、まだ顔が青ざめたままだったような気もするが】


「ええ、是非行かせてもらうわよ」
「また今度、生きてたら会いましょう?その時には思う存分悩みを解決してもらうわ」


【すっと手を掲げて挨拶するイーレイを見送れば、すっかり空になった財布をみて】
【気を落とした後に、また彼女の家へと歩き出す。同居人である、カチューシャの家へと────】


//此方からは此れで〆となります、長期間にわたってありがとうございました……!!
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 15:09:17.16 ID:OgI4n+wS0
>>512

【差し出した手を握り返し、しっかりと握手に応じる探偵に】
【女性の方は満足したのだろう。一度頷いて、その手を離す】
【随分と堂々としたタイプ――身長は170cm以上はあるだろうか】
【コンバットブーツのすり減った靴底を合わせれば、随分な長身でもあり】


うむ、話そうか。……だがまずは自己紹介、だな。

私はアヤ。アヤ・R・ナイトリー…――水の国陸軍の大尉だ。
この国には業務の途中で行き着いた。目的地は昼の国でね
移動の最中にこの霧と…――見ての通りの、化物と遭遇したというわけだ

それと、よく誤解されるので説明をしておくが……
……この"見た目"については能力でな。私の個性だよ。……ミスター?


【フッ、と笑って額の角を撫でる。一つ深い呼吸をすれば、能力を解除したのだろう】
【角は音もなく霞となって消え、黒かった瞳は赤と白身へと戻っていく】
【尋ねるのは相手の名前。会話をする上で、そういった所は重視する口らしく】


それからこれ≠ェなんなのか、だが…――私にも分からん。
だが異形……つまり、人間の世界に最初から居るものではないのは確かだ

……聞きかじった程度だが、この地には以前、魔族が作った塔があったそうだ
それと何かしらの関係があるのではないかと思っているのだが……。
君…――魔族については、詳しい方か?


【もう一つ。最も大事かもしれない質問については、端的に答えた】
【それはそうだろう――自分で召喚したのでもない限り】
【こんな生き物の生息など知るはずもない。望み薄と分かって、何か分かるかと問い返した】
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/22(日) 15:34:38.15 ID:oGhUKlIr0
>>514
/すみません!当方、用事により出かけるためレスは8時前位になるかと思います
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 15:39:57.92 ID:OgI4n+wS0
>>515
/了解であります!どうかごゆるりと言ってらっしゃいませ〜!
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2018/04/22(日) 17:15:20.58 ID:HTysbe+jo
>>514
【女性の中では背の高いほうかも知れないがこの男の身長は190センチ近い。】
【その為、見下ろすような形になってしまう。挙げ句、この男もまた】
【白眼は真っ赤、瞳は真っ黒と不気味な目をしていたから威圧感はあるかもしれない】
【だかあのような戦いができるようには見えない細い体躯と猫背、話し方は真逆の印象も与えるだろうか】

ああ…よろしく。そんな、軍人が一体なんでこんな辺鄙な…
あ、いや、すまない。そういうことは秘匿事項か…

俺はしがない探偵さ。まあ…ロッソとでも呼んでくれ。
俺も仕事でね。この道を使ったら…ああなっちまった。

【そう言って指差すのは、燃え上がる自動車。目下の悩みは、足を失ってしまってどうやって移動するかだ】

随分と獣狩りには慣れているようだったが…同じということか。
…見た目のことなら俺も一緒さ

【そう言って、ポケットから取り出したサングラスをかけた】
【ライフルも彼が邪魔そうに弄ぶなり霧散して、2丁のリボルバーに姿を変えた。】
【彼はそれをコートの内側へしまい込む】

俺も詳しくはない…ただ…

【言い淀む。昔の事を思い出そうとすると頭の何処かが痛んだ。まだ塞がっていない古傷の様に】
【朧気な記憶を手繰る。あの場所に居たような気もする…少なくとも話は幾らかは聞いていた。】
【あの頃の多くの思い出の形容詞は「哀しい」が頭につく】

確かにあった。カノッサ機関の六罪王が世界に…立てた中指みたいな塔がな。

確かにそいつは悪魔かなんかだったはず…でも何年も前の話だ

今更なんでこんな気色の悪いもんが…

【探偵の勘が、過去の記憶がなにか言いたげにしていたが、何を伝えたいのかまだわからなかった】
【だが今のところそれが気分のいいものではないことはわかっていた
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 17:40:12.25 ID:OgI4n+wS0
>>517

いやいや、私のような者は大した秘匿事項を握っちゃいないさ
単純な話だよ。部隊に金が無いから、有料道路は使うな、とね。

……ともあれ、お互いあんな化物と戦って無事だったんだ
これもなにかの縁だな、ロッソ。よろしく頼むぞ?
ん……?……ふふ、同じとは言ってくれるじゃないか

【"異形"――そういう言葉のとり方にもよるが】
【彼が冗談めかしていった事は事実なのだろう】
【ふと母国で話題になっているニュースを思い出したが】

【まずは、次の行動だ。ここは大平原の真ん中、救助を待ってもいいが】
【いかんせんこの霧では物好きなキャラバンでなければ通りもしないはずで】

ふむ……。魔族の六罪王が立てた塔が……だな。
私が伝聞で知っているのと、そう変わらない情報だ

その六罪王というのは死んだとか捕まったとか……もう居ないのも確かだろう。
だというのに、何故こんな連中が見つかりもせずにうろついていたのか
私としても甚だ疑問なわけだがな。……ここで立ち話も難だ

……君、何処まで行きたい?私が送って行こうじゃないか


【そう言って指差すのは、先程獣が飛び出してきた方向】
【タイミングよく霧が晴れる――どうやら道は、並行して走っているらしく】
【約100メートル程の彼方に、黒いジープが1両、停まっていた】
【ODでも迷彩でもマルチカムでもないということは、私有車、なのかも知れず】

【それを快諾すれば、ひとまずここの車両と化物の死骸がある座標を取ってから】
【草原を暫し歩いて乗車し、エンジンを掛けて――走り出す、そういう流れになるだろう】
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/22(日) 19:44:35.81 ID:g5SsiwEEo
>>518
…そうですかい、大尉殿

【含みのある言い方だか、それ以上の追求はしてこない。】
【水の国という、1,2を争う強大国の尉官で単独行動…気になることは多い】
【が、軍隊の組織やそれにまつわる政治の事はこの探偵にはわからない。】
【要はここも似たもの同士ということか、ならお互いに踏み込み方は慎重な方がいい】

予算がないのは俺も一緒さ。あの車、いくらしたと…
俺も、偶然は大切にする質でね…よろしく頼む。

【彼はかつてあったその塔に想い馳せながら黄昏れたように遠くを見た】

ああ確かにな…何年も前の話だ。だが…

【「何かが変わりつつあるのかもしれない」、「これはもしかしたら予兆なのかもしれない」】
【あえて言葉にしなかった。それは不確定なことを予測で言うわけにも行かないし】
【今、自分に降り掛かっているいろいろなことに更にプラスしたくないからだ】
【希望的観測。これが、後々後悔することになると…思いたくない。またそんな根も葉もない事を考えた】

…そいつは助かる。俺は水の国に行くつもりだったんだが…
いや、とりあえずはアンタに同乗して、駅から列車旅と洒落込むさ
特急が出ているようなデカい駅はたしか……

【彼の言葉にはいくつかおかしい点がある。水の国なら多分、この道は不適だ。】
【予算以上の目的が感じられる。例えば追手を巻くような…ひと目をはばかる様な】

いい車だ。俺も乗ったことがあるよ。だかあんときは最悪だった。
値段につられて買ったらルーフが切られて、代わりに幌が被さってたんだ
まぁ…暑いところだから良かったのかな

【霧が晴れてしまえばどうということはない単なる街道。まるで、霧が見せた幻影だったような…】
【そんな思いを振り払って探偵は助手席に乗り込んだ】
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/22(日) 19:59:03.21 ID:h/ObNtpdO

【叩き付ける雨が降り注いでいる】

あめあめふれふれかあさんが〜……


【休日昼の公園も、前触れないゲリラ豪雨によって人気は途絶え。遊具に囲まれた広場にはただ一人だけ】
【ピンクの雨合羽とレインブーツ、傘の隙間から亜麻色の髪が覗いて】
【雨音で途切れがちな女の歌声と共に、足は水溜まりを踏んでいく】

じゃのめでおむかえうれしいな〜……ぁっ!

【揃いの色の傘を捧げ持ち、両手を持ち上げる。すると、天を覆う分厚い雨雲に、ぽっかりと穴が開いた】
【それは全体で見れば針の一刺しに等しい微小さ。それでも地上には10mほどの、雨のないサークルが現れる】
【そこだけ円形のカーテンを敷いたような晴れやかさで、中心で陽光を浴びる女】

ぴちぴちちゃぷちゃぷらん、らん、らん♪

【フードが脱げる。年の頃は15、6だろうか】
【戯れに蹴った水溜まりから、飛沫が散った】
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 20:28:52.65 ID:OgI4n+wS0
>>519

ほう、水の国へ。それはまた随分と……、……んん。長旅、だな。
……あぁ、そうすると良い。生憎と職務だからな
これが私的な旅行であれば、水の国へでも、何処へでも送ったのだが。

【相手は言葉にせずとも様々なことを理解できるタイプだ】
【それは、探偵――男も感じることだろう。敢えて聞くべきでないことは】
【そもそも話題にもしない。何故自分が昼の国へ向かうのか】
【どうして探偵がこのような道を通って水の国へ行くのか】

【互いに抱えるものがある。そして、それを曝け出す必要は無い】
【"Need to know"――知る必要のあるものが知っていれば良い】
【そのような考えのもとに、エンジンをかける。300馬力がうなりを上げ、タイヤが地面を噛んで進み出し】

はっはっは、それはまた不運なことだ。
車両に幌など、軍用でも無ければ手入れは面倒だろうしな
見栄えも良くない。経年劣化で穴も空くし、色も落ちていく。

私なら買わないし、乗らないな。……ふふ、それにしてもいい風だ
こう心地良いとお喋りでもしたくなるものだが…――なあロッソ、君は何処の国の出身だ?

【速度は適正。路面がガタつきそうな場所では落とすし、平地であればそれなりに飛ばす】
【霧は10分も走れば晴れて、気持ちのいい風が解放した窓から吹き込んでくる】
【新緑が目に優しい。なにもないという充実感――そんな中でふと、出身地を問いかけた】

【――そして、続けて「尋問などではないと理解してくれよ」と付け加える】
【空気は緩いままだ。私は敵ではない、そう言っているようなものだった】
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/22(日) 21:47:16.11 ID:g5SsiwEEo
>>521
長旅も悪いもんじゃないさ。探偵ってのは考える時間が必要なんだ。
…ハンドル握って、FMのDJの選曲に一喜一憂していれば…見えてくるのさ

【実際はどうかはわからない。だが、この男が言うとそれも本当のような気がしてくるのは】
【その言葉は嘘でも、言葉の中にある姿勢みたいなものは真実だからなのだろう】

前の持ち主が随分と開放的なやつだったらしい。まあ、それも…

【悪いもんじゃない。とまた口癖のように言うだろう】

…ひとつ聞くが、この車は禁煙か?…煙草がないとどうしようもない質で…
いや、もちろん、断ってくれていい。渋い顔されながら吸うほど、気分の悪いものもないからね。

【少年みたいないたずらっぽい笑みでそう問いかける。答えを聞く前にパワーウィンドウのボタンに手をかけそうだ】
【もし許可がおりればすぐさまポケットから紙巻きのマルボロを取り出して火をつける】
【駄目と言われれば…とても残念そうな顔をして窓外をながめていることだろう】

出身…まあ、櫻の都会の方には長いこと居たよ。俺にしては…ね。3,4年は居たかな。

昔から、いろんなところに行って、一つところにはあまり居ないんだ。
…次点で風の国かな。知り合いの多くがそこに住んでてね。

…それより昔のことは覚えてないんだ。だから、君の話をしてくれよ。
さっきも言ったとおり色んなところに行っている。君の故郷にも行ったことがあるかもしれない。

【はぐらかしているような様子はない。探偵で、車でこんなとこにやってきて、能力を持ち、記憶喪失】
【ここまでそろっていると逆に疑いたくもなくなるだろう。如何せん能力者というのは数奇な運命と共にある―――】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/22(日) 22:37:27.84 ID:sOG0UVf1o
>>486

「へえ。水に“お願い”して魔術を行使する、ねぇ……」


【──不味いことを言ってしまったと、彼女はそんな顔をしていた】
【指輪を持っていることから、彼女は自身を味方だと理解できる筈で】
【正直言えば、此方としても敵味方をしっかりと分別つけたいところではあった】

【化学合成物といえばその通りで、何も間違いないのだけど】
【表現の仕方が少々悪かったのか、とても嫌そうな顔をしていた】


「猫とか犬、うさぎとかを怖がる人はあんまりいないだろうな」
「私は蛇とかも好きなんだが──まあそういうことなんだろうな」


【蛇を怖がるのは、その牙に毒を持つからであろう】
【もし蛇が毒を持っていなかったなら、可愛がられたとしてもおかしくはない】
【しかし外見やそのぬめりからすれば、そうであっても嫌われているのではないかと結論づけて】


「────ふっ、教える相手に合う魔術を探す気もない先生が悪いな」
「いいだろう、私で良ければ教えてあげるさ」


【上手になれるかな、と問われれば自信満々の顔でそう答える】
【彼女に合う魔術を探す気もない先生が一番の問題であるとして】
【その目は彼女を育てるという意気に満ち満ちて、とても輝いていた】


「“Crimson”、だ。君は鈴音というのか、名前までは知らなかったが──」


【姿は見たことがあるが、名前までは聞き及んでいなかった】
【──彼女は聞き覚えがあるだろうか、“Crimson”という名前に】
【夜の国の都市国家であるアスタンを襲撃した張本人であり、指名手配されている大罪人であることに】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/22(日) 22:47:07.50 ID:sJuX3Swb0
>>523

…………――うん、そうだよ、"おしゃべり"できるの、本当にお話するわけじゃあ、ないけど……。

【――彼女の場合。その扱い方は奇妙だ、彼女にしかできない方法で以ってして、水を操る。だから、なんだか奇妙な言葉が連なる】
【おしゃべりするとか、だけど本当に話すわけじゃないとか……。――詳しい話をしないのは、まだ相手が"どう"だか分からないからか。それとも】
【彼女自身もまたよくは把握していないのかもしれない。――ううんとちょっと悩む顔、――これくらいなら、多分、いろんなことはばれないだろう、大丈夫】

――本当? わあ、そしたらね、嬉しいな。……だけどね、*ちゃんもね、とっても上手なんだよ、わたしが……その、へたくそ、なだけで。
だから――ほかのひとのやりかたも聞いてみたらいいかもしれないって……思って。だからね、お姉さんが教えてくれたなら、嬉しい――、

【ぱっと表情が華やぐ。だけれど同時にちょっとむっとしたような顔もするのだ、表情筋をうんと器用に動かして】
【自分は魔術が上手じゃないけれど、それは先生が悪いわけではないと擁護する――その瞬間彼女の声はひどく奇妙にひずむだろう、耳障りな音階になって】
【だけれど……彼女自身は問題なく発声しているつもりであるらしいというのが様子から見て分かる。とかく、教わってはいるが上手ではない、相性が悪いと言われているが】
【違うひとに聞いてみたらもしかしたらちょっとは違うことになるかもしれないと彼女が勝手に思っている――らしい。それで、だから、教えてもらえたら嬉しいなぁ、なんて】

――――Crimson? えーっと……、

【――――相手の名前が告げられる。ぱちりと瞬いた少女は一瞬、その名前をどこかで聞いた……あるいは見た、ような表情になり】
【刹那に黙り込む。思い返して――思い出したのだろう、瞬間わずかに眉をひそめたのだ、明確すぎるくらい、明確に。――だけど、一瞬のことで】

えと……、……Crimson、さん、は――"こっち側"?

【しかし。今この場に置いて大事なのは誰がどっち側であるのか。――もし相手がこちら側なのであれば、それは、今拒む理由では、ない】
【"いつか"は知らないけれど"いま"この瞬間の話であれば、彼女は相手を受け入れるつもりだった。――だってそんなのは今更すぎて、どうだっていい】
【こちらにはすでに機関員も指名手配の悪魔もいる。――難しい表情、少し鋭くなった目が相手を捉える。色違いの瞳は全く違った、二色の色合いなのに】
【まったくおんなじ温度感を持って――そうやって、問うた】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/22(日) 23:03:41.93 ID:sOG0UVf1o
>>524

【“おしゃべり”とか“お話”とか、よくわからない言葉が並ぶ】
【彼女の能力のことを話しているであろうことには間違いないのだろうけど――】
【彼女自身もおそらくよく把握できていないのだろう、悩み顔からしてよくわかる】


「ふふ、なるほどなあ……。いろんな人からいろんな知見を求めるのはいいことだ」
「私自身も大学にいた時はそうしてたしなあ……」


【彼女の殊勝な心がけを聞いて、感心したような顔をしてから】
【様々な人から様々な知見を求めようとする姿勢に、大学の頃をおもいだして】
【ショットを一口呑んで、喉を灼きながら思い出に耽っていた】


「――まあ、そういう表情をしたくなるのもわかる。私は大罪人だ」
「君とは“協力する”側になるのだろうな。何分、この指輪は私が作ったものなのだから」


【先ほどから指輪に視線が注がれているのには、薄々気づいていた】
【それが同じ派閥に身を置いている証拠であるし、何より善悪の垣根を超えた大問題に発展しているから】
【彼女の難しい表情を、厳しい視線を甘んじて受けて――そう答えた】
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/22(日) 23:11:15.25 ID:sJuX3Swb0
>>525

【――それで少女はどう説明したものかと黙り込んでしまう、だって、言葉にするのは、すっごく難しい】
【まして誰が初見一発、容姿以外初対面である人物が「――わたしの操る水には人格があって」という話を真面目にし始めたとして】
【多分……だいたいのひとは"春だものね――"って顔をしたくなるのだ。それがどこかで分かっているから言いづらい、お願い、おしゃべり、――そんな口ぶりから】
【"もしかしたら"って推測は、出来るかもしれないのだけど。そうだとしてもちょっと突拍子がなさ過ぎた、だから、やっぱり、変なことを真面目に言っている】

その子はね、風の子だから……、……わたしは、お水だから。だから――その、たとえば、もっと、水のこと、上手なひとが居たら……って。
属性がどう――とかは、よく分からないんだけど。Crimsonさん、上手そうだって思ったの……、えと、大学。て、難しいことするんだ、よね――?

【――すっごいざっくりした認識。ならば本当に学びの場所から遠い生活をしてきたのだと知れて、どこか常識外れで、だけど、こんな世界だとわりにある】
【まっとうな家族と家と食事に学び、それからいくばくかの趣味や嗜好品――というのは、案外ぜいたく品であって。あるいは、彼女は、それを知っているから】
【件のCMでやっていたようなことを、思いついたのかもしれないけど……、だなんて、やっぱり、推測の域】

…………そう、なんだ? じゃあ……えっと、……――Crimsonさん、は、円卓?

【自分が作ったのだという相手を見やって、少女はまた少し考えるようにする。そんな風な言葉はさっきも言っていたから、そうなのだろう】
【だから疑うわけではないけど――なら。この指輪を自分にもたらしてきたのはミラだった、それも、配り歩くくらいたくさん。なら、彼女だって誰かからたくさんもらって】
【そんなのみんなみんなにたくさん渡していたら飽和してしまって大変。最初に配るためにたくさんもらっているひとは少ないはずで――だから】
【ひとまず思い浮かべたのが、自分に持ってきたひとの所属立場。――ひどく単純な思考回路、それなら相手は円卓側なのかと尋ねる、それらにおかしな点はなく】

【円卓側も今であれば味方――それも、分かっている。だけど――そのあたりをしっかりしておきたいようだった。やはり当然、なのだろうけど】
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/22(日) 23:20:00.75 ID:sOG0UVf1o
>>526

【彼女の操る水には人格がある――ほう、興味深い言葉だ】
【そのために他の水を操ることができず、阿吽の呼吸で“協力”をしているのだろう】
【いくら突拍子がないとはいえ、魔術研究を職にしているために理解はできた】


「今の先生が風属性、そして君は水属性の魔法を使うと」
「大学でもそんなに難しいことはしない。魔翌力をどう使えば効率よく魔術を行使できるか、という程度だ」
「これは研究というより、経験が物を言うんだろうけどな」


【各属性の魔術をオールラウンダーで行使できる女は、そう考えていた】
【いくら研究ができるといえども、魔術は“技術”に他ならない。だから、経験が物を言うはずであって】
【だからこそ、彼女も魔術を行使する機会をもっと作らなければならないと思っていたのだけど】


「そういうことになるな、私は“円卓”の人間だ。ということは、君も“円卓”なんだろう?」


【自身がクズノハとジルベールと共にこのマジックアイテムを作り上げた】
【ジルベールが仕切ってそれを一部の人間に配り、それをさらに他の人間に配らせたのだろう】
【故に彼女もミラに配られて指輪を持っているし、自身もプロトタイプのそれを持っているわけだ】

【敵味方の区別は此方も早いうちにしておきたかった。ちょうどいい機会だろう】
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/22(日) 23:28:39.91 ID:sJuX3Swb0
>>527

――――うん、*ちゃんは、えっと、水の魔術は自分はしないけど、教えられるからって――、
だけど専門じゃないからって言うの。「ボクが教えるのは基礎だからね」って。

……そうなの? 

【――どうやら先生というのも専門ではないらしい。といっても明確に魔術師ではあるようなのだが、"水"の専門ではない】
【それを提示したうえで、基礎を中心に彼女に魔術を教えているらしい、と見て取れた。そのうえで魔術には向いていないとかも言われているらしく】
【ならば彼女が強く希望したのだろうか。それとも何かが要因で彼女が魔術を扱えなければいけない――あるいは扱えた方が、良いのかもしれない。どちらかは不明でも】

【ちょっと驚くようだった。大学ってなんかすごいところだからやっていることもすごいに違いないって思い込み、イメージ、空想】
【魔力をどう使うか――それこそ彼女が"先生"に教わっているようなことだ。どんな場面でも静かに糸をつむぐように魔力を繋ぐ、練習だとか――】

………………――、それは、誰に聞いたの?
……わたしね、違うよ。"どっちでもない"。――――ああ、

【ぱちり、と、瞬きがあった。そののちに、わずかに眉を顰める、――誰に聞いたのか、と。声音は少し訝るようになる、"そんな話は知らない"】
【それで緩く首を揺らす――否定の合図だった。違う。どちらでもない。――黒幕でもなければ円卓でもない、と言いかけて、だけど口は噤まれる】

急いで食べちゃうね。場所を変えようよ、――。

【――――そう、提案して。相手が受け入れてくれるなら彼女は本当に急いでいろいろ食べてしまうだろう、相手も食べるならそれは食べたいだけ、食べていいけど】
【そうやって食べる気になってしまえば少女は本当に食べてしまう、――それくらいにお腹が空いていた、もう何日も食べてなかったから。――自分の都合で、だから】
【誰が悪いとかじゃなくってしいて言えば悪いのは黒幕だけど――だなんて余談。まあ本当にどうでもよくって。――それとも相手がここで話したい、なんていうのなら】
【それは本当に嫌がるみたいな顔をするのだ――ただ、相手も、あまり込み入った話をするなら移動したいのではなかろうか。ここではあまりにひとが、多すぎる】
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/22(日) 23:43:46.82 ID:sOG0UVf1o
>>528

「――魔術の基礎は、どれでも変わりはしないからな」
「結局は魔翌力を紡いで具現化させる技術なんだからね」


【――彼女の先生とやらは、魔術の基礎を教えているらしい】
【どの魔術であろうと根底にあるのは魔翌力を紡いで具現化するということであり】
【そして風でも水でもその差はあまりないと、そう断言した】

【大学は難しい学問をしているようで、実はそうでもない】
【基礎研究、基礎学習こそが大学に求められていることであると思っていて】


【どちらでもない、と言われれば此方としては手詰まり】
【何しろチーム“M”というものの存在を知らないのだから】
【致し方ないと言われれば致し方ないのだけど、彼女の眉が顰められれば少しだけばつが悪くなって】


「ああ、わかった」


【此方は夕食後に酒を呑みに来たために、空腹ではなかった】
【ただ、彼女のその食欲を見て食事に手を出さないことを決めた】
【――しばらくして彼女が食事をすべて片付けたのなら、会計へ彼女が頼んだ分も精算して外に出るだろう】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/22(日) 23:56:34.96 ID:sJuX3Swb0
>>529

【――――とにかく、少女はいろんなものをぺろりと片付けてしまうだろう。ひどく華奢ではあるが、わりに食べる性質であるらしく】
【甘いジュースみたいなお酒も簡単に飲んでしまって。後は適当に支払いを。――相手が払うだなんて言い出せばこれは固辞する、だけど】
【よっぽど相手が言い張れば甘えることになる――けど、割と最後まで自分で払うってアピールされるはずだった。どちらにせよ店を出るときには「ごちそうさまでした」と店員へ】
【相手が支払ってくれたのだったら――相手にも、ご馳走様でした、と、少し申し訳ないような顔で伝えるはずで――】

【では。場面が変わってどこだろう、人気のない公園かもしれないし、路地裏のどこか奥かもしれない。廃ビルの屋上かもしれないし、それとも相手の知るどこかかも】
【とにかく安全そうな場所――だ。それでいて、誰かが来ればすぐに気づくことが出来る場所。あるいは、ほかのだれかが用事があってくることがあまりなさそうな場所で】
【少女は相手へ向き直る、きっと相手もなのだろうけど――量を飲んでいないというはもちろんありながら、酔った様子もなく。きちんと立つ、しゃんとした姿勢で】

えっと……、じゃあ。とりあえず。……白神鈴音、だよ、UTでお仕事をしていて。それで――、……わたしは円卓側、じゃない。
もちろん黒幕でも――ない。どっちでもない、わたしは……、……えと。Crimsonさんは。"どっちでもない"ひとたちのことを、知らない?

【それで――場所が切り替わったから、というわけでもないのだけど。改めて名乗る、自分の名前、それから所属に、最後に立ち位置】
【円卓側ではない。かといって黒幕側でもない。ならばどこかって――どちらでもない第三勢力。そして相手はそれを知らないのか、と、わずかに不可思議そうに】
【配るだけの指輪を作った時点で、この集まりは認知されているのだと思っていた――誰がどうでというのまではともかく、存在くらいは知っているものだと】

"このこと"するときは、きっと、わたし、UTでもない。……そういうものなの、だって、そうじゃないと、あなたを今すぐだって捕まえないといけないし――、
わたしは"戦う"ひとじゃないけれど。それだって――――"そう"じゃなかったらね、あなたのこと、こんなふうにしてる場合じゃないの。

【黒幕でも円卓でもUTでもなく立ち回る。黒幕でないのはもちろん。円卓だなんて名乗るつもりはなく。かといって、UTとして動くつもりも、この場ではない】
【呉越同舟でもノアの箱舟でもなんでもいいしもしかしたら泥舟かもしれないけど――っていう、"第三勢力"。――本当に知らないの、という風に、視線が相手へ向けられた】
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/23(月) 00:07:40.37 ID:e9rtDzN8o
>>530

【彼女が申し訳無さそうな顔でごめんなさいと伝えれば、口許に笑みを浮かべて】
【言葉すら何も言わないものの、大丈夫だということを伝える】

【移動した先は近くの路地裏であった。誰かが来てもすぐわかるだろう】
【女もショットを一つ呑んだだけであるから、特に蹌踉めく様子もなく】
【ビルの壁を背もたれにして、タバコを一本加えると指先で火をつけた】


「ふむ、“黒幕”でもなければ“円卓”でもない人たちのことか」


【知らないな、と軽く首を横に振って答える】
【円卓でもなく、かと言って黒幕でもなく。此方はそんな中立的な存在を知らなかった】
【配られた指輪を見て、てっきり円卓側だと思っていたのだけど――どうやら違うようだった】


「そりゃそうだな、君の言うとおりだ」


【状況が状況であるがゆえ、彼女もUTとして堂々と動けない】
【機関の人間と組んでいるとなれば呉越同舟になろうし、本来なら敵対する関係である】
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/23(月) 00:18:34.29 ID:hUvw8FRX0
>>531

【場面は路地裏。彼女もまた相手がそうしたように壁を背中にする、そうして左右どちらも、あるいは上空さえも、たやすく確認できる場所で陣取ったなら】
【まるで何かの可能性を常に考えているようにも見えたかもしれない。――――例えば、誰かから、襲撃を受けるとか】

…………そう。それなら、それでもいいけど――、"円卓側"のひともね、居るよ。
だから……"このこと"では、"わたしたち"は"あなたたち"の味方……――、だけど、ずっと、仲間じゃないの。

黒幕を倒すのに機関員も指名手配のひとも円卓だって使うけど――、

【円卓側の人間も含まれる、集団。当然だろう、でなければ指輪など持ち得ない。指輪を持っていることこそが円卓側に通じる人間が仲間内に居る証拠であり】
【だけどそれは彼女までも円卓側であるという証拠にはならない。――まして、言うのだ。こんなの前以て言っておくべきだろう、でないと後が面倒すぎると分かっている顔で】
【黒幕を倒すことについてのみ自分たちは仲間である。けれど――黒幕を倒した後。"わたしたち"は円卓までもを敵として潰す気でいる、と、宣言するように、否】

【そう宣言していた、鈴の音が。りんと夜に響かせて、こればっかりは絶対であると、言うみたいに】

……わたしたちはね、黒幕の世界も、円卓の世界も、要らないの。だからね……黒幕を倒すまでは、仲間。だけど。その先は。

【――ミラは、それを分かっていて、協力してくれると言った。いつか殺し合うと分かりながら、いつかに穏やかに笑い合う可能性などないと知りながら、頷いた】
【ならば少女もおんなじことを知っていて、一緒に戦うと決めた。それがCrimsonにとって許容できない事実であるなら、それは、これ以上話を進めることは、出来なくて】
【相手の出方によっては血腥いようなことさえも起こりうる――けれど知らないままで騙してやるのは、"ずる"のように思えて】

【貸しも借りも全部ここで清算していく。ここにあるのは利害の一致だけで、そのために握手が出来るなら、それが百点満点、求められること】
【ほかのひとは違うことを言うかもしれないけど――ひとまず、ここにいる少女の求めるのは、"その理解"だった】
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/23(月) 00:35:55.75 ID:wlSrXunU0
>>522

フ……吸いたければ吸いたまえ。生憎と私はやらないのでな
灰皿は外の路面ということになるが……んん、本当に良い風だ。

【ウィンドウを開ければ気持ちのいい風が車内に流れ込む】
【そして聞くのは彼の出身。というよりは、滞在していた土地、だろうか】
【櫻、風。――覚えていない、というのも話のスパイスとしては悪くない】

風来坊と言うやつだな、君は。そういう生き方も楽しそうじゃないか

【多少のミステリアスは人の魅力だ、そう告げて――今度は、自分の番】

……実に平凡だぞ、私の話は。水の国の、首都の生まれでな。
きっと誰しも通ったことがあるだろう通りから歩いて三分の住宅街に住んでいた
能力は生まれつきだったが…――

だが知っての通り、水の国というのは栄えているが故に狙われやすい土地だ。
私が15の時に、何処かの悪党のテロで母が死に、父は仕事が出来ない身体になった
それ以来、私は"そういう連中"が嫌いでね。国を守るために軍人になったというわけだ

……しかし、そういった事件が無くても私はこの職に就いただろうな
それくらい、私はあの国が好きなんだ。
理由は無いが―……生まれ育った国を愛する事は、おかしな事でも無いだろう?


――だがなあ。最近は機関よりも"国そのもの"の方が脅威だよ。


【困った時代だな。――そう語る赤い瞳が移すのは、遠くビル群の林立する都市】
【風の国の中規模都市だ。草原を抜けるのもそう遠くはないのだろう】
【確か、水の国行きの列車も出ているはず。道は舗装路に変わり、行き違う車も見え始めていた】
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/23(月) 01:55:58.91 ID:e9rtDzN8o
>>532

「なるほどな、“このこと”の時だけ手を結ぶってことか」


【普段はUTと機関の人間が手を取り合うなんてありえない】
【それは善と悪という対立する立場上当然のことであって】
【黒幕を倒すためだけに協力しあうという、とても簡単な関係であった】


「――私も、生憎そう思っていたところだ。円卓なんぞ金がいくらでも出てくるだけだからな」


【どす黒い、出処不明の金が円卓には溢れている】
【将来的に円卓の王は円卓を潰すらしいし、何より機関の存続の為にもそれらの存在は非常に邪魔であった】
【政府にその金を供給される前に、すべて奪って奪って奪いきって政府へ流れる金を止める】

【Crimsonにとって、UTなどの存在はちょっとした障害のようで――】
【しかしそれを超えるための壁としては、最も高い素晴らしいものであった】
【故に、この件が終わった先が血腥いものだとしても、女は許容するつもりだった】
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 14:35:39.62 ID:uhLQCITq0
【From:厳島命】
【To:邪禍、ユウト】

【タイトル:非常事態発生】

【本文: すまない、黒幕の罠に掛けられた。
ミラは重傷で現在カニバディールの下で治療を受けている
他の仲間達も手酷い怪我を負わされた……そしてこちらの仲間の一人が連れ去られ、一人が殺された。
手を貸して欲しい。
そして、このメールを他の未だ知らないメンバーと知っているならばジルベールにも送ってほしい】





【カニバディールの治療後、いち早く回復することが出来た厳島は】
【ミラから予てより渡されていた指輪を使い、この件をまだ知らず、そして連絡先を知っている二人に送った】
【ぎりと口の端を噛みしめ、付近の樹木を思い切り殴りつけた】
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/23(月) 16:12:36.30 ID:8MH7d7O10
>>535

【From:邪禍】
【To:Mチーム】
【タイトル:Fwd:非常事態発生】

【本文:

邪禍だ。

厳島からのメールを転送する。

そして2点。

1,
罠の詳細を教えろ。
同じか似たような手段を用いられた時の対策を考える材料をよこせ。

2,
もし、転送したメールを見て計画を中止しようなんて思った奴がいたら、俺様が許さん。

以上。

-------- Forwarded Message --------
>>535のメール内容)

537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 16:45:55.13 ID:uhLQCITq0
>>536

【From:厳島命】
【Re:邪禍】
【タイトル:罠の詳細】

【本文:すまない、罠の詳細を伝える。
我々はその日4人のチームで動いていた、俺、ミラ、水国自警団特殊部隊隊長ディミーア・エルドワル、水国公安三課鵺
このメンバーだった、奴らは巧妙にそれぞれが食いつく情報を撒いていた。
そしてある一点でその情報が交わるように仕組んで、それぞれが撒かれたその情報を追っている内にある部分で合流する訳だ。
そして合流し、チームを作りその所定の場所に潜入に向かった我々は、まんまと敵の手に堕ちた。
先ずは迫撃砲の様な攻撃だった、空からの数発の砲撃と思われる発光と轟音、そしてその直後の電子音の後
我々は全員能力を奪われた、そして間を置かずに周囲を無数の伏兵に囲まれていた、この時点で個々人の武装も全て強制解除となった。
抵抗は試みたが、無意味だった。
後は、拘束され、そして我々側の仲間とその上司と見られる人物も既に捕らえられている状況に遭遇。
そこで婦警、曽根上ミチカが現れた、恐らく付近で待機していたか、あるいは転送術式か
ミラはその場で曽根上ミチカと直接接触、これも正体不明だが、頭に何かフルフェイスのヘルメットの様な何か知れない帽子様の物を被せられ
そして自らを突如傷つける形で、重傷を負った。
その後再び拘束、誰か一人を殺傷すると告げられ、ミラが選ばれたが……仲間の上司と思われる男性がそれを庇い死亡、部下の仲間は連れ去られ
我々は解放、その後にカニバディールが到着し我々を救助した。
これが一連の流れであり、罠の知る限りの情報だ。

538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/23(月) 16:50:21.62 ID:spRvkXPxO
【水の国 国会前】

【── 総選挙を前に群衆が喚きたっている、それは宛ら百鬼夜行の如く】
【口々に騒めく野蛮な音律は、その中に潜む意味すらも不確かで】
【結局の所魔女狩りと変わらない、歪む音色に僅かな不確かさもなく】

【持っているプラカードから漸く読み取れる── 『能力者反対』の声】
【日に日にデモの人数は増えている、先日のヨハネス襲撃の一件もあった】
【天誅だと、誰かが言ったのなら口々にそこに賛同する】



【── 最早正義など、何処にもなく】



    【一陣、波紋が広がる、落ちた投石の行方も知らず】



【 "銃声"── であった。── 象徴的な国会の時計塔】
【そこから響いた銃声が、一際大きなプラカードを撃ち抜いた】
【群衆は騒めく、能力者のテロだと、誰かが叫んだなら、戦々恐々とし、その場から逃げていく】

【数人は見えるだろう、銃声の主が何処にいるか】
【国会の中心に立つ時計塔、その時計盤の側に佇む人影を】
【突き出したスペースに座り込み、その手には狙撃銃を握る】


そうなのね、このタイミングでこうすれば良いのね
素敵な素敵な催し事。── 本当に何もかも、貴方の言う通り
なら私は傅きましょう、曲輪の様に従順に猫撫で声を響かせて

カノッサ機関"No.3"── カチューシャ
さあ、私達の邪魔をする悪い子は、だぁれ?


【プラチナブロンドの長い髪、朱が差したマリンブルーの瞳、白銀のロザリオを首筋に垂らして】
【零れ落ちそうな豊満な胸を、大きくはだけさせた黒いスーツと短いタイトスカート】
【スラリと伸びた両脚をストッキングで包む】
【白いコートを袖を通さず羽織り、高いピンヒールを履いた、どこか幼げな横顔が印象的な少女】

【その姿を視認したなら、敷地内へと容易に入ることも出来るだろう】
【デモをしていた群衆は我先にと逃げ惑い、国会の門も開きっぱなしである】
【その場に残っているのは幾人かの報道陣──ここも問題だろうが】
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 17:06:35.58 ID:uhLQCITq0
>>538

「動かないでッ!!」

【水面に投げられた波紋は一つでは無かった】
【国会時計塔、その彼女から距離は離れているが】
【白い詰襟の士官制服の少女がそこに居た】
【手には着剣したボルトアクションライフル、31式歩兵銃】
【弾帯には拳銃と擲弾筒、残念ながら機銃の類は無い】

「カチューシャ、何故?誰に言われてこんな事をしているの?ロジェクト?」

【その妖艶にして優美な少女に、問いかけ続ける】
【少女はその日生中継のTVを見ていた】
【この現場に残る幾人かの報道陣】
【彼らが命がけで伝えた映像は、まさにカチューシャがプラカードを撃ち抜く瞬間】
【そして佇む彼女の姿を捉えていた】
【本来ならば、真っ先に厳島が駆けつけるのだろう】
【だが……彼は居ない】
【翔子は、一人で、その少女カチューシャの、その現場に遭遇してしまったのだ】

「カチューシャ……もう止めて!」
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/23(月) 17:17:24.91 ID:S4FM8yFEo
>>538>>539

【逃げ惑う群衆の中、逆方向を向く男が一人いた】

【年齢は三十代前半に見えた。ぼさぼさの髪に無精髭、よれた軍服。風貌は整然さの真逆】
【腰の右側には銃の入ったホルスター、背中側には鎖で巻かれて錠前のついた分厚い本があった】
【胸元にはチェーンのついた銀色の弾丸がネックレスとなっている。弾丸の表面には文字と魔法陣】

【群衆に紛れてはいたが、総選挙前のデモに参加していたわけではない。どちらかといえば野次馬の部類だ】
【逃げる様子はないが、かといって義憤に駆られているわけでもない。気だるげな瞳で周囲を見回して、一つため息をつく】


……おいおい、何だよ
能力者反対はいいが、魔術師の一人もいねえのかよ
一体誰があれを止めるっていうんだよ、ええ…………他にいねえのかよ
隊長ぉもどっか行きやがったしよぉ…………”これ”はあいつの担当だろぉが


【銃声。音源を探して視線を上げる。それで初めてその先にいた”テロリスト”の姿を見つける】
【「あー」と気の抜けたような声。ぼりぼりと頭を掻き、もう一度ため息をつく。表情には諦観と僅かな歓喜】


機関員、か…………じゃあ”俺たち”がやらねえわけにはいかねえな
つっても、あんな場所にいるんじゃあなあ……どうすっかな


【時計塔の上まではかなり距離があるように見える。狙撃手相手にどう近づくか】
【それを考えているとき、もう一人の姿(>>539)を捉える】


なんかいるな…………よし、今のうちに近寄るか


【右手が背中の本へと回り、引き抜き、開く。白紙のページの上に魔法陣が展開】
【「来い、ダウ・ア・シャムス」────男の呼び声に従い、いくつもの原色が表面で渦巻く球体が現れる】
【その上に男が乗る。球体が急上昇。カチューシャのいる場所の真下、数メートルの位置で息を潜める】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/23(月) 17:29:52.39 ID:spRvkXPxO
【夕焼けに紅く染まる頃合。── 傾く暁が彼女の髪を紅く染める】
【宛ら聖堂に描かれた巨大なフラスコ画、荘厳という言葉では翳し切れない神々しき絵面】
【終末を告げる天使が如く、吹雪く風がファンファーレを模して響き渡る】


  ” 能力者の襲撃だ!! ”  ” 俺達を殺しにきやがった! ”
  ” 逃げろ! 皆殺されるぞ!! ”  ” くそっ!! どうして俺達ばっかり! ”


【其れは地獄の釜をひっくり返したかの様、口々に響く罵詈雑言】
【苛烈な形相を顔に貼り付け走り回る人々、煉獄よりも未だ赤い沙汰を伝え】
【黙示録に謳われる天からの使者の如く、彼女は無表情でそれを見つめていた】


>>539>>540


【彼女は貴女を見つけると、その微笑みの色合いを僅かに強めた】
【夕焼けに染まる横顔の、僅かばかりの変化】
【── それでも貴方は気付いてくれるだろう、特別な存在に理由はいらない】


あら、しょーこ、久しぶりなの、元気だったの?
心配だったの、カチューシャはとーっても、不思議だったから
どうして貴女がそっちにいるのかって、とっても、ね

私は貴女が大好きよ、可愛い可愛いしょーこ、愛しい愛しいしょーこ
だったら、貴方がいるのは私の側ではなくて、貴方の場所はそぐわないわ
果たしてそちらで愛が歌えて? 昂る恋を収められるの


【響く音律は無垢な様に、童が歌う賛美歌にも似て】


誰に言われたかなんて、大切ではないの、前戯にすらならないから
大切なのはね、私がどうしたいか、愛しい彼の合言葉
それが素晴らしいと思ったから、私は愛を馳せて参じたのだから

さあ仕置きの時間よ、しょーこ、貴方は少しずっと、すごくきっと、住む場所を間違えてる
正常でいたいだなんて絵空事、努々思って然るべきだけど
ねーぇ、貴方の住むべき場所はきっと、もっと愛欲に満ちた場所なのだから


【彼女は>>540に気付かず、ゆっくりと言葉を重ねる──そうして】
【ふわりと、身体が浮いた、自殺する遊女が如く、入水する比丘尼が如く】
【静かに閉じた瞼、来世を信じる夜鷹が、男性と共に心中するかの様に】

【── 落下する体、その腕には狙撃銃を大切に抱いて】


"Разбитый Стеклянный Синдром"
──"Broken Glass Syndrome"


【逆さまに落下する彼女の背中、一対の硝子細工の翼が出現】
【大きく羽ばたいたなら急浮上、くるりと空に放り出され、光彩が煌めいて】
【そのまま、翔子の目の前へ着地、見下ろす様に立ち尽くすだろう】

【狙撃銃を右手に持って、視線が真っ直ぐに貴方へ注がれる】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 17:49:08.07 ID:uhLQCITq0
>>541

「そっち?」
「魔導海軍の事、それとも……」

【チームM、円卓の事か】
【何れにしても、カチューシャは現状この状況を引き起こした張本人】
【止めなければいけない、そんな暴走したかのような熱と感情がこみ上げてくる】

「合言葉、『OMERAS』のこと?」
「貴女の側……違う、それは違う……」
「私は、私の居る場所はッ!!」

【カチューシャが飛翔、そして自分の前に降り立つ】
【無論の事、カチューシャ以外の状況が見え難くなっている】
【それは>>540の存在もまた例外では無く】

「来るの!?」

【銃の遊底を動かし、弾を装填】
【構えて、引き金に指をかけ、いつでも撃てる姿勢に】
【倒さなければ、いけないのか……】
【カチューシャは、眼の前、こちらを見下ろすように立ち尽くしている】

「私は貴女を止めるッ!!」

【パァンッと乾いた銃声が鳴るだろう】
【31式歩兵銃の引き金を引いた、狙いは……脚、太腿の部位】
【震えていた、手は震えていた、声もだ】
【故に狙いが正確かは甚だ疑問視されるべき点だ】 
【だが、銃弾は放たれた、果たして……】 
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/23(月) 17:59:24.59 ID:S4FM8yFEo
>>541>>542


(…………さぁて、どうすっかなぁ)


【銃声と会話から戦闘が始まったことは認識できた。問題はどこで介入するかだった】
【両腕を組みながら、顔を上げたり下げたりして考え込む。足元の球体が表面の色合いを乱雑に変えていた】
【男の踵が球体の表面を軽く打つ。球体が急上昇を始め、上空から二人の様子が窺える位置へと移動】


(とりあえずは高見の見物と行くかぁ……やばそうになったらちょっかい出せばいいだろ)


【タイミングを見図るべく、二人の動きを注視する】
【移動した結果として、二人からも見える位置にはきている。着色された球体が浮遊していれば視界に入れば気がつくだろう】
【もっとも、戦闘中に他を見る余裕があるかは分からない。まだ気づかなくてもおかしくはないだろう】
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/23(月) 18:04:29.82 ID:spRvkXPxO
>>542>>543

【羽織ったコートが風を浴びて大きく靡く、濡れた羽衣の如く艶やかに髪が頬を撫でる】
【黒白のコントラストに染まった彼女は、ストロボライトの様に瞬き色に照らされて】
【響くピンヒールのスタッカート、鳴らす踵はノクターンよりも深く静かに】

【放たれた銃弾、彼女はそっと、背中から地面に倒れる】
【後ろ手に持った狙撃銃を地面に付きたてる、同時に足も地面をけって】
【後方宙返り、くるりと虚空に回転して着地、銃弾を回避するだろう】


立派なモノをお持ちね、誰から貰ったの? あの素敵な上官から頂いたのかしら
そうね、確か── 厳島って言ったかしら、イントネーションは大丈夫?
カチューシャは櫻の人の言葉、あまり得意でないの、いーつーく、し、まっ、上手くできたかな?

あら、ねぇ、まあ、ふふ── どぉして知ってるの、だなんて聞きたいのかしら
知ってるわ、知ってるの、知らなかったの? カチューシャは何でも知ってるの
しょーこの大切な想い人も、夜毎にその人を思って何をしてるかも、知ってるの


【真っ直ぐ見据える形で着地をし、地面に突き立てた狙撃銃を引き抜く、石に刺さった剣の如く】
【くるり、手首で銃身を回転させ、右手に握り直すだろう】
【正面に向けた銃口が、翔子の姿を捉えて】


止められるのものならどうぞご自由に、縛られてないもの好きに出来るでしょう
少し羨ましいわ、貴方は貴方が思うがままに生きる事が出来るのだから
目隠しをして首輪をつけて、口枷を銜えて両手は後ろ

そこまで縛られた人は何を思うのかしら、向ける先は一つしか無いでしょう
彼はそう考えている、人々の欲求を一つに向けたなら、それを喜びとするの
即ち弾圧、自分達を縛り付けるのは能力者だと、反発するの


【仰々しい言葉を並べ立てて、狙撃銃が唸る── 放たれた銃弾は翔子の引き金にかけた"指"を狙う】
【夕焼け色のキャンパスに一陣伸びた筆先の残照、煌めく筋が轟々と風を飲んで】
【硝煙が彼女を染める、プラチナブロンドが大きく揺れた】

【カチューシャは>>543には気付いていない、しかし>>543ならば気付くだろうか】
【狙撃銃の持ち主は、全く躊躇なく銃弾を放っている、それこそ微塵の揺れもなく】
【長く巨大な狙撃銃も何のその、伸ばした両足で効果的に衝撃を吸収し殺している】

【──対する少女は筋はいいが、未だ躊躇があるのだろう、技量差は銃に関して言えば明らかだ】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 18:20:47.66 ID:uhLQCITq0
>>544

「――ッ!?」

【外した、いや躱されたと言うべきか】
【アクロバティックな動きと軌道だ】
【美しさすら感じる回避行動】

「な、ぜ……何故知ってるの!?」

【厳島命、彼とカチューシャとは接点は無い】
【知って居よう筈など無いのだ】
【情報が、漏れている?】
【黒幕側に?】
【諜報員として、是ほどの恐怖は無い】

「――ッ」
「カチューシャ、何処まで知っているの!?」
「弾圧、黒幕はそんな事を考えて……」
「そんな事をして何になるの!?」

【想い人、毎夜の秘め事……何故、何故、その疑問が疼く、頭に満ちる】
【だが、その惑いが、判断を遅らせた】

「カチューシャ!!」

【再び遊底をボルトを引き薬莢を排出】
【次弾を装填、だがここで】

「ッ!!」
「あッう、あッ……」

【撃ち抜かれたのだ】
【狙いは此方がレバーに手をかけた為に、掌を撃ち抜き】
【鮮血と共に、歩兵銃はカラカラカラと音を立てて転がり】
【位置としては球体となった>>543の足元、カチューシャの後方だろうか?】

「ひッ……じゅ、銃を……」

【撃ち抜かれた右掌はそのままに、銃を回収しようと移動する】
【最も、格好の的と言えるだろうが】
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/23(月) 18:31:46.92 ID:S4FM8yFEo
>>544>>545


あー、おいおい何だよ…………
ガキが頑張ってると思ったら、勝負になってねえじゃねえか…………

…………厳島……厳島か
じゃああのガキはあいつの…………確か、隊長ぉが言ってたっけなぁ
あー……翔子だったか…………うーん

…………仕方ねえな、そろそろやるか


【彼我の技量差と、片側が直接的な面識がないながらも関係者であることが判断の理由となった】
【踵が球体を二度、叩く。正面に光点が複数出現。それらから高温の光線が放たれる】
【光線は複雑に屈折しながらカチューシャ(>>544)の四肢へと向かう】


おい、クソガキ!
てめえも軍人だったらもっとマシな仕事しやがれ!!
相手はカノッサのナンバーズだぞ、なに躊躇ってやがる!!


【カチューシャへと攻撃しつつ翔子(>>545)へと怒号が飛ぶ】
【その姿を、あるいは厳島から聞いていれば何者か知っているかもしれない。ディミーア・エルドワルの副官たる男だ】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/23(月) 18:42:36.90 ID:spRvkXPxO
>>545>>546


【悪事は千里を走る、其れならば悪意は万里を踏破するのだろう】
【散文の様に情報は駆け巡る、国体の危機を叫ぶ有識者等もそこに混じる程に】
【程度の差はあれど『水の国』は大きく揺れていた、奇しくもその切っ掛けは一切れの銃弾】

【── 大々的に報じられるカチューシャの姿、リアルタイムで捉える番組も多く】
【国中がその一挙手一投足に注目しているのか、或いはまた】
【穢れなきその姿に嘆息してみせる、淫らに優美に彼女は己を魅せる】

【まるでカメラの位置を知っているかの様に、其方に小首を傾け、流し目を一つ】
【流麗な目筋、艶やかな目元、うっとりする程長い睫毛に鮮やかなマリンブルー】
【怜悧な鋭さと、愛嬌に満ちた柔らかさと、相対する狭間に浮かぶ瞳の色合い】


ねぇ、しょーこ、貴女はその刃を私の喉に突き立てるの?
きっといーっぱい血が出るの、こぽこぽ、水泡の様に声が漏れて
痛くて痛くて苦しくて、私は必死に呼吸をするけど出来なくて

ひゅーひゅーって、言葉すら出ないで、哀れに惨めに淫らに死んでいくの
貴女の銃弾に撃ち抜かれて死ぬの、呆気なく死ぬの、藁の様に死ぬの
その覚悟があって? 私をそんな風に殺せる意思があって


【弾かれる貴女の銃、チラリと後方に行ったその銃の行方を辿って】


さぁ、どうなるのかしら── 知らないわ、興味が無いもの
私は私の思うがまま、好きに生きて好きに愛して愛されればそれで良いの
だからしょーこ、貴方は私を傷つけなきゃいけないの、そうでなければ

ふふ、ねーぇ、仔猫ちゃん、そんなに急いでどこ行くの?
それじゃだーめっ、そんな風に走っちゃいけないの
仔猫ちゃんなら仔猫ちゃんらしく、這い蹲って歩かなきゃ

可愛らしく啼いて頂戴、愛おしく懇いて頂戴、慎ましく乞いて頂戴
貴女の声と聲が雑踏に消えるまで、蹂躙して差し上げるから


【銃声、右手の銃口が響いて、銃弾が放たれる】
【狙いは翔子の右膝、撃ち抜いて機動力を奪う魂胆か】
【狙撃手の本領、走り回る相手に対しても狙いは正確で──ある筈だった】


……あら素敵なおじ様、水を差すだなんていけない方ね
ねぇ、貴方も私に愛して欲しいの、でもね、順番待ちよ
おじ様の責めはねっとりと、じっくりと── 呼吸するのも辛くなるから

まずはオードブル、可憐な少女が相応しいの


【放たれる光線、踵の音に反応し振り向くが行動の瞬間が遅れた】
【右脚で地面をけって左に飛ぶが、右腕を光線が捉える、苦悶の声が小さく漏れて】
【必然>>545への銃弾も逸れる、回避は容易だろう】

【カチューシャは両足を肩幅に開き、男を見据える、僅かな揺れをそこに浮かべて】
【逡巡の後、強く地面を蹴って反転、翔子に背を向け狙撃銃で地面を叩く】
【棒高跳びの要領で高く飛んだ、空中に居る男に向けて】

【左手を伸ばす、指先を軽くネックレスに絡めようと】
【成功したなら愛撫する様に、更に深く左手を首筋に絡めようとする】
【"引き摺り落とそう"とするのだ、何とも強引な戦い方で】
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/23(月) 18:52:03.92 ID:fuY9l9aB0
【氷の国-----辺境の集落】
【春が近づいてきたとはいえこの極寒の国ではまだまだコートは手放せない、地方ならなおさらだ】
【人口200人にも満たない集落の一角、住民の唯一の憩いの場である酒場の前に見慣れない車が止まっている】
【良く見れば‶自警団¥椛ョを表すエンブレムが刻まれたジープである。】
【その主である人物はどうやら酒場で店主に何かを交渉しているようである。】

ええ、私は自警団の科学調査班の人間です。
昨日この近辺に落下したと見られる飛来物についての調査で参りました。

―――、そこをなんとか…!人手が必要なんです…!

【肩ほどまでかかる金色の髪に赤の瞳、右目には眼帯をし灰色のスーツを着た長身の青年だ】
【酒場のカウンターにコートを置きながら店主に事情を説明している。どうやら人手が必要な任務らしい】
【しかしこの辺りのまとめ役である店主は乗り気ではない、そもそも人口の少ない集落だ、都市部に働きに出ている者もいる】
【青年の声の大きさもだいぶ大きくなってきてるが、状況は今のところ変わりそうにもない】
【あるとすれば―――第三者が介入するぐらい、である】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 19:00:35.89 ID:uhLQCITq0
>>546>>547
【恐らくは、全てのメディアがその姿を目にし】
【そして国民の多くが、その姿に感嘆せしめる事になるやも知れない】
【それほど、それほどにカチューシャは美しく、その姿を決めて見せたのだ】

「そんな……そんな事……」
「カチューシャ、もう止めて、止めてよォッ!」

【出来ない、自分には出来ない】
【それが秘された本音の部分だった】
【隠すべき感情、だが、彼女は紛れもなく敵で、そして撃たねばならない相手なのだ】
【だが、銃を手にせんと、急ぐ翔子に】

「ッ!?」

【彼女の一撃が放たれた】
【が、それは後方、自分の通った後の路面、自分の脚の直ぐスレスレを穿つに過ぎなかった】
【何故?あのカチューシャが?狙いを?】

「ひッ!い、一体、誰……」

【直後聞こえる罵声】
【士官学校の教官を思い出すような、思わず身構えるも】
【冷静になって、思い返す該当する声に心当たりはない、では?】

「まさか、ディミーアさんの?」

【水国自警団特殊部隊、その副官とでも言うのだろうか?】
【だが、思考している時間は無い】
【直ぐに自分の歩兵銃目がけて、走り出し】

「カチューシャ、戦うのは……もう止めて!」

【装填は既になされている、後は】
【構える、狙いは彼女の右肩、銃を掴み引き金を引くその腕の根本】
【そこに狙いを定めて……引き金を引いた】
【パァンッと乾いた音と共に、銃弾が男と組み合うカチューシャに向かうだろう】
  
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/23(月) 19:10:31.86 ID:a5nNjTKY0
>>537

【From:邪禍】
【To:厳島命】
【Cc:Mチーム】
【タイトル:Fwd:罠の詳細】

【本文:

邪禍だ。

罠の詳細について受け取った。
チームへ転送する。

後で作戦会議が必要になるだろう。

以上。

-------- Forwarded Message --------
>>537のメール内容)





「ふゥむ、能力を奪う"技術"か……物理的なモノか、エネルギー的なモノか……」
「後者なァらば"魂反転技"で防げる可能性も無ァくは無ェが……」

「……ヒャハハ、奴らも臆病な奴らだ! わァざわざ1点に集めて仲間を痛めつけるなァんてよ」
「"Nas me soilart"――魂有ァる限り、抗う者共は止ォまらねェ、いィや俺様が止ォめさせねェ」
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/23(月) 19:15:48.13 ID:rSp0eh0ho
>>533
【すぐに良いと言われれば、窓を開け煙草に火をつける。ポケットから携帯灰皿も取り出して。】
【「せめてもの償いさ」と男は笑う。喫煙者の肩身はそれだけ狭くなったということだ】
【白い煙は窓から吸い出されて、マルボロのありふれた残り香が車内に残る】

…さぁてね。人間ってのはわがままなもので、そうなるとどこかでありふれた日常を過ごすことに憧れるものさ。

……君の話が、ありふれた平凡な生き方だっていうなら。俺は…そんな世界、ぶっ壊してしまいたい。
きっと、君みたいな奴はたくさんいることだろう。それを平凡と言うならあまりに世界はクソッタレだ。

【探偵は、淡々と述べる。煙草の煙のようにすぐに消えてしまうような取り留めなく、そして表情はかけなおしたサングラスでわからない】
【それでも彼の中にはきっと、なにか哀切に満ちた憤りか優しさか何かがあるのだろう】

さあ、根無し草の俺にすれば、国なんて―――ストラクチャ/構造だ。それ以上でも以下でもない。だから、愛国心はよくわかんないな
愛は愛する誰かの為に、俺は送るよ。

【政治の話をする気はない。愛国心を否定することもないが、彼からすれば全く理解できないものだ】

…それも、俺とは思想が違うみたいだ。結局、恨むべきは国じゃない。それを扱うクソッタレの誰かさ。
人殺しがナイフを使ったからってナイフを恨む奴は居ない。…銃は居るがな

【あと、能力者。…短く付け足して、煙草をくわえなおした】
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/23(月) 19:16:17.37 ID:S4FM8yFEo
>>547>>549


おうよ、そのディミーア・エルドワルの副官様だよ!
あの野郎、こんなクソめんどくせえ状況だってのにどこにもいやがらねえ
どこで油売ってるか知ってっか…………って、クソ!


【光線による攻撃は掠めはしたものの直撃ではなかった。反転したカチューシャ(>>547)が跳躍】
【その指先が銀の弾丸に触れようとする。鎖を捕らえようとする。が────】


────ああ、悪ぃが
”それ”に触られるのだけはダメなんだよ…………!


【右手に持っていた本を手放す。向かってきたカチューシャの左腕を両手で掴み、一本背負いの要領で後方へと投げようとする】
【成功したとしても高所。空中移動の手段があるカチューシャならばダメージを避けるのは容易だろう】
【あるいは体術をもってすれば、掴まれた後に抵抗して至近距離戦闘に持ち込むこともできるかもしれない】
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/23(月) 19:31:06.05 ID:spRvkXPxO
>>549>>552

【宵闇にコートが靡く、空中を舞い踊る姿に僅かな乱れも無く】
【狙撃の技術と身体能力、彼女の戦いはその調和の中に彩られて】
【目眩す逡巡の謳歌、戦闘の最中であっても、表層の水面に浮かぶ表情は僅か】

【投げ飛ばされる後方── 軽い身体がふわりと空中に投げ出され】
【虚空に大きな姿見が出現、受け身をとって着地するだろう】
【位置関係は男を挟んで、彼女と翔子がいる形か】


大切なものなのね、素晴らしいわ、それでこそ壊す理由になるの
大事な大事な秘所、閉まって隠して匿って、見られたくないその場所を
暴く愉しみ、シャーデンフロイデは未だ胡乱に

クイーンはハート、エースはスペード、おじ様のお家は一体どちら?
耐えられなかったのかしら、若い少女が蹂躙されるのに
それとも栄華を咲き誇る、花を盗みに来たのかしら、花盗人は許されるとでも?

年甲斐が無いのではなくて? とうに若さのピークは過ぎ去って
あとは唯残滓だけ、かつての名残りで戦うのは苦しいのかしら
おいでなさい、足腰が立たなくなるまで貪ってあげるの


【艶やかな口元が愛媚に濡れる、瑞々しく潤いを浴びた肉感的な唇を】
【しとしとと降り注ぐ夜露が如く、響かせる音色に雫を垂らす】
【瞳に浮かぶ男の虚像、重ねる言葉で少しずつたどる様に】


止めて欲しいの言葉程、届かない音律は無いの
それは分かるでしょう? 止めてと啼いても、嬲る手が止まるわけがなくて
寧ろね、寧ろ── 唆るの、ふふ、今なら何となく分かる気がするけど

そうよ、そうじゃないと、言葉だけではだーめっ、止めたいのなら刃が必要
でもね、貴女の刃じゃ濡れないの、殺す気で愛さないと
中途半端な愛程、嘯かれるものもないでしょう?


【狙撃銃をバトンの様に回転させる、放たれた銃弾を叩き落とした】
【── 一体どれ程の技量が在ればその様な芸当が可能なのか、笑みを静かに佇ませて】
【傷口は未だに右腕の一部、No.3の名は伊達では無くて】


【風が変わる、再び足元の鏡を蹴って男に向かう、右手で狙撃銃の引き金を握って】
【薙刀を叩き付けるように上から下へ振り下ろす、銃身がしなり轟音が煌めく】
【空中で一回転しながら、体重を乗せる、男の頭を潰す勢いだ】

【その "最中" 銃弾を放つ、翔子に向けてしなる狙撃銃の銃口を強引に向けた】
【狙いは再び右膝、距離がある分回避の難易度は下がったが】
【攻撃のタイミングがタイミングである、虚をつかれたなら難易度は上がるだろうか】
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 19:47:27.89 ID:uhLQCITq0
>>552>>553

「ディミーアさんの……それなら……」

【いや、彼がこの副官にも、カチューシャの事を話しているとは限らない】
【彼の行動は、間違いなくその話を聞いている人間のソレではないだろう】

「ッ!?」

【カチューシャに向けて放った弾丸は、その場で叩き落された】
【何という技量、何という戦闘感、何という強靭な銃器】
【全ては、カチューシャと言う女性の、狙撃手としての、能力者としての技能が成せる業か】

「……」
「解った……」
「解ったよ、カチューシャ……」

【俯き、排莢そして装填、銃はまだ着剣の状態だ】

「なら、死ぬ気で[ピーーー]気で、止めに行く」

【カチューシャが動いた】
【足元に出現させた鏡を蹴り、空中で一回転しながら、その副官の男の頭に銃を叩きつけんと】
【そしてその最中、引き金を引き、こちらに銃弾を放つ】
【それを合図にしてか、駆けだす】
【カチューシャの直ぐ側目がけて、そして弾丸の回避も狙っての移動、早駆け】
【今度は、回避は容易な物だろうか?】
【回避が成功すれば、先ずは走りながら一発、狙いはカチューシャの身体その物、当たれば何処でも良く】
【当たらなくともそれで良い、狙いはカチューシャの直ぐ近くに移動する事だから】
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/23(月) 20:00:48.72 ID:S4FM8yFEo
>>553>>554


あーもう言い回しがくどいんだよ、酔ってるときのクリスかてめえは!
俺の目的なんざシンプルだぜ。ナンバーズで女ときてりゃ最高だ!
何せ、”何やったって誰からも責められないんだからな”!

嬲って、犯して、それから殺してやるよ────


【憎悪と怨嗟と欲望の入り混じった言葉と共に、右手を開く。地面へと落としていた本が独りでに浮かび上がり、手元へと戻る】
【魔法陣が展開。空中を跳び、狙撃銃を棒術のように扱いカチューシャへと向ける】


────来い、<ネア・セリニ>!


【喚び声に答えて魔法陣から黒色の触腕が飛び出し、狙撃銃による攻撃を防御】
【弾力のある表皮が衝撃の殆どを吸収。その上、触腕は本に対してかなりの大きさがあった。太さは人の太腿以上にある】
【魔法陣からさらにもう一つの触腕が出現。空中にいるカチューシャをなぎ払おうと彼女から見て左から迫っていく】
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/23(月) 20:16:12.69 ID:spRvkXPxO
>>554>>555

【宵月が注がれる、柔らかい月灯りが幻燈の如く色付いて、飾る彩りの一端にも似た、蠱惑的な色を強めて】
【眩き夜であった、蜜月が輪郭とすっかり混ざり合ってしまうほどに、白い頬が鮮やかに満ちて】
【斯うして彼女は君臨する。── 万種に献上物を求める女媧の様に】

【吸収される衝撃、僅かに驚愕の表情が彼女に生まれた】
【予想外の対応に次の一手が遅れる、触手の薙ぎ払いが彼女を襲って】
【手首を返し狙撃銃でガード、衝撃を殺しきれず、みしりと音が鳴った】

【弾かれる彼女、空中に躍り出て、その刹那銃弾が襲いかかる】
【翔子の銃弾が彼女を捉えた、右腕の根元を撃ち抜かれ】
【小さく吐息が漏れた── 空中に投げ出され、落ちていく】


嗚呼、素敵よ──とても、今の貴方達が一番美しいの
そうよ止めるなら殺す気で、出し惜しみは嫌なの、焦らされるのはお嫌い
でもね焦らすのは好きなの、我儘でしょう? 付いてきてくれると信じるけど

良い腕ね、同じ得物を使う人間として、素直に賛美するの
でもね、まだ届かない、でも届かない──それじゃあ、まだ足りないの
……ふふ、知ってるの、しょーこはそれじゃ、終わらせないのね


【再び硝子細工の翼が出現、強く羽ばたいて時計塔を駆け上がる】
【急激な上昇に血が漏れた、傷口は相応に深いのだろうか】
【時計塔に立ち尽くす、鮮血が夜に満ちていく】


ねぇ、おじ様、しょーこ──ううん、之を聞いている皆様方
能力者はお嫌い? そうよね、きっとそう、だーって、有り得ない存在だもの
危険で不安で野蛮で、素っ首切り落として柱に晒さなきゃって思っちゃうのね

じゃあ別の皆様は? この状況を如何にかしたいだなんて、思ってるのかしら
それも分かるの、昨日までの宿り木が朽ち果てて、帰るべき場所を蝕んで、それは不安だもの
だからね、どうにかしなきゃってきっとそう思う

でもね、私はこうも思うの──その何方も、正しくて間違ってるって
結局ね、けーっきょく、私も貴方達もただ交合うだけの存在よ
堕ちてしまえば意外と楽なの、悪徳は栄え、清廉は穢れるの

愛しましょう、私も貴方もお互いを、傷つけ傷つけられ、後にはぎゅっと抱き締めて
分からないかしら、ならば素敵な痛みを教えて差し上げるの
それが私── 世界中に愛を、咲かせましょう


"Разбитый Стеклянный Синдром"
──"Broken Glass Syndrome"


【時計塔を取り囲むように無数の魔法陣が出現していく、硝子細工で出来た魔法陣】
【10や20では足りない、それぞれが月光を反射しキラキラと輝く】
【── 攻撃の前兆を示し、彼女は止まった】
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 20:32:14.55 ID:uhLQCITq0
>>555>>556

「――……」

【今この男は何と言った?】
【嬲って犯して、そう言った】
【カチューシャを?ならば、カチューシャをもしこの場で倒せたならば】
【次は躊躇なく、自分はこの男に銃を向けなければならない】
【そんな事は許さない、と、男に向け冷淡にそして言葉なく睨みつけ】 
【やがて……】

「カチューシャ!!」

【自分の銃弾が、彼女の右腕のその根元部分を穿った】
【鮮血が散る】
【ダメージは確かに与えた様だ】
【だが……】

「何処に行くの!?」

【カチューシャ、彼女は硝子の翼を出現させ】
【そして、再び時計塔に立った】

「何、何をしようと……ッ」
「カチューシャッ!!!!」

【まるで優雅で、優美な演説を始める】
【月明かりに照らされたカチューシャの顔は、それほど絵になった】
【そしてそのまま、驚くほど冷たく感じる魔法陣を】
【それこそ無数に出現させる】

「っくッ」
「止めないと……ッ」

【自分自身も時計塔に上ろうと、何処か階段か梯子、ラッタルはあるかと周囲を探す】
【あるならば、一目散に駆けあがって行くだろう】
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/23(月) 21:04:48.31 ID:a5nNjTKY0
【UNITED TRIGGER――店内】
【その端でヘッドフォンを着けながら、4Kテレビで何かを見ている1つの影】

「罠……僕たちが婦警と会うかも知れない日も気をつけないとね」
「対策僕も考えなくちゃ。その前にちょっと休憩――へぇ、国会前でテロねぇ」

【それは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代後半〜30代前半の男】
【左頬には猫と思われる引っかき傷の痕があり、頭部と両上腕には赤色の鉢巻が巻かれている】
【他、ほんのり青いタンクトップ、紺色のジーパン、両手足にグレーの指ぬきグローブ、紐タイプの無難な黒ベースの運動靴】

「――ん?」

【テレビに映ったらしい誰かの顔、彼はそれから目を離すことができなくなった】

「ははは、見間違えかな。疲れてるのかもね。それに、カチューシャって名乗ってるし――」

【No.3の情報は既に入手している。討つべき相手、首を刈って永遠の眠りにつかせなくてはならない相手――】
【そう言えば、顔の情報を入手するのを忘れていたか。新聞よりもずっと鮮明に映るこの姿が、カチューシャという存在で……】

「きっと双子の姉妹とかだね、うん。……あぁ、駄目だ、誤魔化すのはもう止めよう」
「……君も裏切るんだね、ソニア。何回目だろうなぁ、そういう展開にはもう慣れたよ。この世界に来てからは初めてだけど。ははは」
「昔の僕なら鬱になってまた逃げ出してたかも知れない、けれども、今の僕は精神的に強くなったんだ。その点は一応アレに感謝しないと……ふふふふふ」

「――あぁ、そうだ。殺られる前に殺らないとね。ふふふ、いつ逢えるのかなぁ、ふふふふふ、ふふ、ふ……、……」

【死んだ目で不気味に笑うその姿、周りの客は何事かと思い視線を送る――かなり目立っているが、様子のおかしい彼に接触する者は居るのだろうか】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/23(月) 21:09:06.63 ID:S4FM8yFEo
>>556>>557


あー、おいおい、そういうのまであるのかよ
めんどくせえなほんと、ナンバーズってやつはよ


【月光に煌めく魔法陣。それに目を奪われるような感性はこの男にはない】
【あるのは純粋な危機感。膨大な数から放たれる攻撃がどういったものかなど、想像するまでもない】
【ちらり、と時計塔を駆け上がる翔子を確認。どうにも、一人で何とかする必要がありそうだ】


(あの数、<ダウ・ア・シャムス>だけで何とかなるのかね……)
(…………仕方ねえ、か)


【球体の上に直立した男は、魔法陣の軍勢を前にしても逃げ出そうとはしなかった】
【ただ右手で持った本を掲げ、それをカチューシャと時計台へと向けるだけ】


おい、カチューシャだったっけ?
おじ様、なんてのはどうにもくすぐったくて良くねえ
『ヴィセリツァ』のアルベルト・エスカパルっつう名前があるんだ、囁くならそっちにしてくれよな


【へっへっへっ、と喉を鳴らして低く笑う。嘲笑するような不愉快な響きがあった】
【構えを取るだけ取った。あとは相手次第。カチューシャと翔子次第だ】
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/23(月) 21:14:53.51 ID:spRvkXPxO
>>557>>559

【翔子は直ぐに、時計塔の側に掛けられた梯子に気づけるだろう】
【駆け上がって行く筈だ、彼女はそこに妨害はかけない】
【寧ろ静かに見守る、娘を見る母親の如く──】

【時計塔から狙撃銃を出す、天に銃口を掲げたなら、魔法陣から出現する無数の銃口】
【時計塔を中心に、国会、近くの市街地にまで銃口が向けられる】
【暗夜に雲が満ちる、暗澹とした雲が月を隠すが如く、夜の帳が世界に満ちるが如く】

【── 無数の銃口が、夜空を覆い尽くた、それだけの事】
【人々は口々に声を漏らす、祈る様な音律は黙示録に描かれた終焉そのものであって】
【終幕を告げる天使が、聖剣に抱きつき祈りを捧げる様に狙撃銃を抱き締め、跪く】


アルベルト様は私がお嫌い? それとも能力者が嫌いなのかしら
その言葉、表情、仕草──その全てが私を否定していらして
良いわ、それでこそ啓蒙のし甲斐があるの、私の言葉を無碍にされる価値があるの

蹂躙されるのに苦しみは必要無いのだから、そこに残るのは僅かな無情でいいの
嫌いなら嫌いでいて欲しいの、それがささやかな願い
そこが反転した時に無常の喜びが残るのだから

ねぇ、恐ろしいでしょう、能力者ってこんな事も出来るの
そうよ、一人で国を滅ぼすなんて出来るの── それが無垢な顔して無辜な顔して
貴方達の側で微笑んでるの、恐ろしくって堪らないわ、でもね、でも

私達も、同じ人なの、柔肌を割けば中から真っ赤な血が覗いて
苦しければ泣いて、痛ければ啼いて、あまりにも普通の存在よ
だからね、だから、殺したければ殺せるわ、どんな時でも隙はあるのだから

こんな風に言っちゃったらね、大変よ、能力者は隠れちゃうもの、隠しちゃうもの
だからね、怪しい人は狙わなきゃ、割っ捌いて腑を覗いて探してしまうの
疑わしきは罰して、殺して── 安眠を、貪りましょう

傷つけて傷ついて、苦しんで苦しむ── その先に至上の愛があるのだから
素敵な終末を、私は貴方達に告げに来たのだから
響くギャラルホルン、ふふ、歌声は何処まで、届くのかしら


【彼女は煽動する、この言葉を聞いた群衆は、どの様に動くのか】
【能力者に怯える人々には効果覿面だろうか、隣人を疑い攻撃的に排他的になるかもしれない】
【また能力者に対しても、戦わなければ、とその意欲を煽っていく】

【目的は一つ、そうすれば彼女の思う愛が、世界を包むから】



【  ── 引き金を引いた、踏み込む一線に躊躇はいらない】



【閃光が弾ける、まるで上空で月が爆発したかの如く──煌めく光が周囲を包み一瞬の無音が響く】
【そして轟音、無数の銃声が重なり合い、地を揺らす程の和音を演出していく】
【降り注ぐのは雨、豪雨と呼ぶに相応しい、出鱈目に鍵盤を叩いたかの様に風が爆ぜる】

【放たれた銃弾は、二人以外にも周囲へと飛散していくのだろう】
【リアルタイムで中継していたキャスターの腕、窓から覗いていた国会議員の足】
【留め置かれていた車など、ありとあらゆる万物へ容赦なく銃弾は降り注ぐ】

【──まるで狙ったかの如く、致命傷は無い筈だ、彼女の言葉を借りれば生きて反抗する事に意味があるから】
【翔子か男なら分かるだろう、之は"狙撃"である、と】
【無数の銃弾による"一斉狙撃"──機関の狙撃手たる由縁をそこに映していた】

【翔子への銃弾は翔子を狙わない、貴女が登っている梯子を撃ち抜く軌道だ】
【当然何もしなければ梯子は破壊され、登っている途中の翔子は落下するだろう】
【アルベルトにも執拗に銃弾が降り注ぐ、宛ら洗礼の如く──】
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 21:28:29.89 ID:uhLQCITq0
>>560>>559

「カチューシャ、待って……待ってて……」

【カンカンッと音を立てながら、その梯子を上って行く】
【急げ、急げと自分に言い聞かせながら】
【最初の段階で撃ち抜かれた掌からは、血が止まることなく流れ、梯子に付着していく】
【カチューシャは、空に展開した無数の魔法陣の中心だ】
【起こる事は容易に想像がつく】
【今の内、今の内にと】
【カチューシャはアルベルトと演説、あるいは問答をしている】
【隙があるのは、いや見逃されているのは今の内、今の内だけだ】

【――だが】

「――ッ!!??」

【無情にも、降り注ぐ銃弾】
【そしてその雨は、こちらの梯子の先までも、撃ち貫いたのだ】

「あ――ッ」

【足がかり手がかりを文字通りに崩され】
【その場から落ちていく】

「カチューシャ……」
「中尉いいいいいいいいいいッ!!!!」

【最後の叫びは、誰が耳に届くのだろう?】
【いいや、恐らく誰も、誰にも届くことは無いだろう】

【恐らくは、そのまま地面に叩きつけられるだろう】
【運が良ければ、体中動かぬ大けがで済むだろうが】
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/23(月) 22:02:19.03 ID:S4FM8yFEo
>>560>>561


おーおー、いい演説じゃねえか、拍手を送りてえぐらいだぜぇ
だがそうだな、ぜーんぶお前の言うとーりじゃねえか

ああ、能力者が嫌いだ、怖くてたまらねえ
一人で国を滅ぼし、世界を変えて、人知れず人を殺せる連中なんか存在を許せるわけがねえ
そいつらだって人間だっていうんなら、それこそ殺すべきだ。一人残らず全て


【薄い笑いを形作る。それは嘲笑だった。恐れるという能力者を殺していいと見下す笑み】
【轟音。耳をつんざくような音波が襲いくる。大気を押しのけるほどの音の衝撃の中で、男の口が微かに動く】
【その名を喚ぶ。音節は豪雨の中に掻き消える。意味を知るのはただ独り。喚び声に答えるのはただ一つ】

【閃光。夜を一瞬、昼へと変えるほどの光が魔法陣から迸る。視界の全てを白で埋め尽くす】
【遅れて重低音が響く。熱風が夜空に吹き荒ぶ。視界が晴れたとき、男へと向かっていた銃弾は全て消失させられていた】
【魔法陣が三重となっていた。一つが消え、そして二つが消える。男の右手が本を閉じる。顔には極大の疲労】


…………重労働にも程がある
無茶苦茶やりやがって


【アルベルトは肩で息をしながら、周囲を見回す。辺り一帯は凄惨な状態となっていた】
【それでも死人がいないのは幸か不幸か。アルベルトにとってはどちらでも良いことではあったが】
【球体が急降下。地上へと降りる。男が降りると球体は青白い粒子となって本へと吸い込まれていく。本に鎖が絡みつき、錠前がかかる】

【魔力の消耗が激しかった。戦闘の続行は不可能ではないが、厳しいところだ】
【夜空の下に佇む女を見上げる。疲労の中にも尚、殺意は残っていた】
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/23(月) 22:34:41.46 ID:cn1FqHA7o
>>561>>562

【夜の幕が落ちる、魔法陣が消えて月が顔を覗かせる】
【──静かな夜になった、ざわめく喧騒も遠くに消えてしまったかの如く】
【カチューシャは空を見上げた、翔子もアルベルトも、目に入らない様子で】

【静かに瞼を閉じる── 交奏曲の終演を、微かに感じ取った】


初演は之にてお仕舞い、しょーこ、おじ様──手助けしてくれてありがとう
お陰様で良い公演になったの、これからもっと、混沌とした世界になるの
ねぇ、いつまで私は愛されるのかしら、いつまでも私は愛されるのかしら

どうかしらおじ様、おじ様は殺したいのね、それも大切とカチューシャは思うの
そう、物語の狂言回し──或いはもっと端役
やられるなら精々情熱的に、斬られ役も物語には大切なのだから


【かえす言葉は嘲笑に近い、嘲る様に声を靡かせて】
【立ち上がる──傷口の開いた右腕が、力なく垂れていたけれども】
【そこに微塵の興味も見せず、翔子を見下ろして】


素敵だったわ、しょーこ、でもね、過去形にしかならないの、このままじゃ
私は可愛い貴女がだーいすき、優しい貴女もだーいすき
でもそれは平常でしかないの、正常位にはとっくの昔に飽き飽きして

貴女が穢れて淀むのなら、それは私の願う所
それとも未だに清らかでいるのなら、それはより深い喜びを
また会いましょう、全ては──『OMERAS』の望むままに


【時計塔の中へと消える、時計塔の中を探しても、彼女の痕跡はどこにも無くて】
【後に残るのは多大な被害、煽られた人々の怒り】
【落ちた小石の波紋は大きく、深く、広がっていくのだろう】


/お疲れ様でした!!
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 22:42:32.05 ID:uhLQCITq0
>>563

「か、ちゅーしゃ……」
「OMERAS?お、め、ら、す……」

【衝撃の後、翔子は地面に強かに身体を打ち付けられていた】
【幸いなことに、死ぬことは無かった】
【が、打ち付けられた身体は、その場から動くことは難しいだろう】
【手を手を上げて、掌を広げ】
【カチューシャに向けて、まるで待ってと言わんばかりに】

「……」

【少女はその場で意識を失った】


//お疲れ様です!
//ありがとうございました!
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/23(月) 23:00:11.64 ID:S4FM8yFEo
>>563


…………くそ、言いたい放題、やりたい放題だな、全く
あの野郎、どこ行きやがった……こんなくそめんどくせえ相手を俺にやらせやがって
見つけたらただじゃおかねえからな…………


【”斬られ役”────煽られた男の瞳には小さくない怒りの炎があった】
【だが、今日はここまでだった。憔悴した身体を引きずって歩き、途中で翔子(>>564)を見つける】
【誰も来ないのであれば、仕方なく助ける気でいた。だが恐らくは助けが来るだろう】

【その何者かが来たとき、この男もまた姿を消していたのだった】

//お疲れ様でしたー!
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/23(月) 23:05:53.56 ID:a5nNjTKY0
>>563-565

【時は少し遡り――>>558の直後か】

「ふふふ、今から行くよ。ソニア、――いや、カチューシャ」

【4Kテレビの姿は携帯端末にへと姿を変えて、それをポケットにしまえば店の外へ】
【そして路地裏へ移動、その姿を――背中に一対の翼を持った東洋系の龍にへと変える】
【長さ約5m、赤い身体に、黄色の腹部、黒色の爪や頭部から生える2本のツノ】
【3つの鉢巻はしっかりと装備されていて、分身の模様の面影、マグマのように朱色で軽く光るそれもある】

【そうして、国会前の上空にへと辿り着けば、地面にへと降り立つ】
【人ならざる存在が現れたことによって、周囲がざわつく。また、荒事が起こってしまうのだろうか――】

「ありゃ、もういない。逃げ足が速いなぁ、早く戻っておいでよ。その首が欲しいんだ」
「仕方がない。きっとまた逢える。……おっと、大丈夫かい? 翔子。」

【その龍から発せられるのは紛れもなく人の言葉。しかも物騒。それがまた周囲の不安を煽る】
【さて、彼の言葉に対して反応がないのを確認すれば、その背に少女を乗せるだろう】

「もう1人は……うん、いつの間にかいなくなってるね。じゃあ大丈夫なのかな?」

【――そして、どこかに向けて飛び去るのだ。】


【おそらく、次に目を覚ました時、周りに広がるのは見知らぬ部屋の光景】
【それこそ病院の相部屋のような場所だ、ある程度の治療を施された状態でベッドに寝かされているだろうか】
567 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/23(月) 23:35:20.09 ID:tK41gwrK0
>>513

――――扇動、ね……どこぞに、そんな仕掛け人って奴がいるんですかねぇ……
ま、あんな小物がそれじゃないってのは、まず間違いないんでしょうけどねぇ……
(――――おやおや、自然マリーさんも、答えに近づき始めてるじゃないですか……やっぱりこの状況、整理してくとおかしいって、分かるもんなんですよねぇ)

【マリーの思考の展開は、自分が掴んでいる、裏に蠢く策謀の一端に、重なり始めていた】
【イーレイは、マリーのその思考を密かに喜んでいた。「自然に暴かれる不自然」は、それを推し進める連中への大きな痛手になるはずだ】
【何気なく、有利な方向に誘導できたと、胸中でほくそ笑んでいた】

焦らず、急いで……ね。難しい事ですが、それくらい出来なきゃ意味は無いって奴ですか。なんとも……頭の痛い話ですねぇ
そういう場面にこそ、それこそ守護天使は必要だってのに、自分たちで組み上げなきゃいけないとは……

【焦らず急ぐ――――これが出来る人間は大物だ。逆に言うなら、普通の人間には、言う程簡単な事ではないのである】
【それが、マリーに出来るなら。現状の、異能に対する猜疑の視線に対する、正に大きな答えになるはずで】
【応援しかできない立場ではあるが、イーレイもそれには改めて期待を表明した】



――――任せてくださいな。私の鍼もお灸も、伊達じゃありませんよ
それに、心配ご無用……少なくとも私は、そう簡単に無事を脅かされる事も、ありませんからねぇ。それじゃ、お休みなさい……

【マリーに挨拶を済ませ、イーレイは店を後にする。その時が来たら、医者として存分に腕を振るわせてもらうのだが――――】

(……ま、只より高い物はないって事で。少しばかりおいしく頂かせてもらったのは、良かったって事でしょうねぇ
 ――――なんか、本気に支払いで苦慮してた感じはしますが、まぁそこは……何とかはなるんでしょ……)

【前金を頂いた形になったのだろう。マリーの青ざめた表情を思い出して、イーレイは微妙な気持ちになっていた】
【騙した形になってしまったのが、今になって心の片隅に引っかかるのだろう。これは、本当に力を振るわなければならない――――と】

(後は、そうですねぇ……無策に行っても仕方が無いって事ですか。早いとこ、自分の目で覗き込んでみないと――――)

【もう1つ、イーレイには考えなければならない事がある。魔能制限法の裏で蠢いている存在】
【そこに、どう切り込んでいくか。所詮市井の人間に過ぎない自分には、足掛かりと言うものが存在しない】
【なら、それこそ頭を使わなければならないのだろう――――静々とした歩調は、徐々に闇の中へと踏み込んでいく】

/お待たせしました。お疲れさまでしたー!
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/23(月) 23:45:22.58 ID:JckF40iY0
【街中――桜並木の通り】
【ほんの少し前であれば豪華に咲き誇っていた桜色の残滓はもう道端に降り積もって土になりつつある花びらだったものだけ、今となっては新緑の溢れる通り】
【等間隔で並べられた街灯がぽつぽつと。だけれど明確に不自由しない程度には明るく灯る、――さあと夜風が吹き抜けて、人影のシルエットを、散らす】

――――、さむ。

【――ひどく華奢な影だった。それが遠目でもよく分かり――あるいは遠目だからこそよく分かるのかもしれない。強い風に前髪を抑えた手が、袖の中に引っ込んで】
【はああと少し陰鬱そうな吐息を漏らす――だけどそれが白くなるほどの夜ではない。それでもここ数日の気温を思えば、少し肌寒い、ぎゅと自分を抱いたなら】
【華奢な体躯であるのがいっそう目立ってしまって、だけど頭上に溢れる新緑はひどく生きる力に溢れていたから、なんだか、それが違和感に思えた】

【肩を撫でる長さの黒髪。ざあと夜風に散らされたのを手でまとめて流す、リボンの髪飾りの尾っぽを最後に指先で整えて】
【透き通るように白い肌にあどけない顔がよく目立っていた、瞳の色が違うのも、ひどく目を惹くよう。黒色と赤色の一対は新緑越しに夜を見上げ】
【深い赤色のワンピースにはリボンの飾りがたくさん連なる、ふわっと膨らんだ袖に裾、その中にはぎっしりとフリルにレースが詰め込まれいているのがうかがえ】
【羽織っているのはレース編みのケープ。隙間風を抑える気なんて全くない様子なのを一応指先が手繰って身体に寄せる、寒そうにわずかに身体を縮こませ】
【薄手の黒いストッキングで包んだ足をわずかにすり合わせる――かかとの高い靴が「ころり」とかすかに鳴いた。少女だろうか、まだ、十六歳ほどに見えるほどの――】

………………、あれがスピカ、かな。

【――――もう遅い時間だからか、少女は道路の真ん中に陣取って立っていた。もとより交通量はそう多くないなら、そう危なくはないし、何より見通しは十分だから】
【よっぽど危ないということはないのだけど――それでも、よく目立つ。木々の間から見える夜をちらりと指差して、――いっとう明るい星を見つけて、呟いた声】
【どこか鈴の音に似通う声音が――夜の中に紛れ込んで、ふっと、自分がそこに居るって、誰かに伝えるみたいだった】

/予約ですっ
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/23(月) 23:49:04.38 ID:uhLQCITq0
>>566

【ゆっくりと、ゆっくりと目を開けた】
【白い、清潔さをこの上なく感じさせる色】
【そして部屋……】
【自分の部屋でも、そして少佐の医務室でもない】
【ここは?誰かが運んでくれたのだろうか?】

「……私」

【記憶はある、カチューシャと戦って】
【そして自分は時計塔から落下して、それから……】
【いけない、記憶が混濁している】
【おそらく、そこで意識を失ったのか】

「ここは?」

【手を上げてみる、身体は動く様だ】
【次は周囲を見まわして】
【そして、誰か居ないかと】
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 00:08:14.33 ID:dIqJZmdP0
>>569

【特に他の存在はいないようで、あえて言うならば……なんだか趣味の悪い観葉植物くらい】
【窓から見える風景は、広くはない草原と水平線までばっちり見える海だろうか】

【がちゃり、扉が開かれる。――現れたのは、おそらく見たことのある顔だ】

「――やぁ、おはよう」

【レオーテヴュート、またはユウト・セヴォラインディ。いつもの服装だ】
【手には治療の道具と、……スライム的な謎の物体。】

「安心して、ここは僕の研究所の医務室。敵は今のところいないよ」
「ソニア、……いや、カチューシャ。……僕が駆けつけた時には既にいなくなっていた」
「ふふふ、後でばっちり首を落とさないとね……」

【――目覚めが悪くなりそうな、悪意の籠もった表情と口調だ。目も死んでいて】
【けれども、それ以外の感情も含まれているような、複雑に入り組んだそれ】

「動けるかい? 一応、僕と職員でできる限りの治療は施したつもりなんだけれども」
「あいにく、そっち方面は専門じゃあなくてね。……そこを補うのが"能力"になるのかな」
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 00:08:39.34 ID:L4PHVP/I0
>>568
【夜風に乗って鈴の音が聞こえた。その音は少女の耳に届き、ふと歩みを止めて】
【桜並木と聞いたものだから、どんなものかと訪れてみればもうそこは見慣れた緑の通りで】
【来るのが遅かったーーと、帰ろうとしていたところに届いた鈴の音】
【興味はその音にうつり、夜風に逆らい歩き出す】

あれ……

【ぽつり、と呟けば風の音に掻き消されるのだろう】
【優雅に歩く飼い猫がそこに居るのを想像していたのだけど、目に飛び込んできたのは一人の少女で】
【こんな夜に生える赤い服。ーーなにをしているのだろう、とそろりそろり近寄る】
【ただそこに立っているだけのような、もしくは空を見ているだけのような】
【大きな動きのない少女。何をしているかはわからなかったけど、ひとつだけわかることがあった】

寒そうなのだわ、風邪をひいてしまうのよ

【黒を基調としたゴシック調の洋服。その長いスカートが夜風に泳いだ】
【後ろから声をかけたから驚いてしまうだろうか】
【もし赤いワンピースの少女が振り返れば、そこには優しく微笑む同じ歳くらいの少女が立っているのだろう】

/よろしくおねがいします!
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 00:17:40.75 ID:HacbwvoP0
>>571

【――――いっとう明るい、おとめ座の星。教えてもらった知識をなぞる、それから指先で――いくつかの星を、空想の中で、繋げて見せる】
【春の大曲線――だったろうか、それを繋げてみたなら、小さな吐息。覚えていた。良かったって喜ぶみたいに――ほんのわずかに、表情が綻ぶ、けれど】
【それはあんまりに一瞬の豹変だった、相手の気配を感じ取ったその瞬間に、少女が纏っていたどこか少しうれし気な、そうして明確に平和じみていた、気配が】

――――――ッ、

【――ば、と、音すらしそうなほどに振り返る。それは"驚かせた"ようにも見えて、だけど、"違う"】
【もし相手に戦う心得があればわずかに滲む敵意のようなものまで感じ取ることが出来ただろう、――けれどまだ殺意には遠いく、それでも鋭い色違いが、相手を見とめ】
【"十六歳くらいの少女"だと認識する。――"同い年"くらいとは思わなかった。それを当然だと言うのを少女は知っているけれど、だけど、相手は知らない事柄であり】

……えっと。大丈夫だよ、ありがとう――、今日はとっても冷えるね。昨日だなんて、うんと暖かかったから……油断したみたい。

【わずかに目を細めて相手を一度頭から足先まで見やる。失礼……と捉えられたとして仕方のない仕草だった。それを終えるまでに相手が怒らないでいてくれたのなら】
【少女はそれでようやく少し安堵したように言葉を返すのだ。――やはり鈴に似た涼し気な声。金属質の余韻は一度聴いたら忘れてしまうことなんてありえないような、特別で】

あなたは――どうしたの? こんなところ。何にもないよ、葉桜ばかりなの。

【――少し困ったような、申し訳ないような、そんな風に笑うだろう。眉を下げて――それで、相手はどうしてこんな場所へ、と尋ねるのなら】
【自分の態度を詫びる様子にも似て、だけど――同時にまた自分がなんでこんな場所に居たのかは、あまり言う気がないようにも見える、のかもしれない】
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 00:46:44.24 ID:L4PHVP/I0
>>572
【薔薇の花飾りのついた白いヴェールを被り、ふんわりとしたブラウスと真っ黒なロングのワンピース】
【地面に引き摺るくらいに長いのに、不思議と汚れていない】
【背丈160に届かないくらいだろうか。相手が思った通り齢16ほどの少女。大人びた格好で子供のようにニコニコと笑っている】
【相手が振り返った時に滲んだ敵意のようなものを発した時も上から下まで確認された時も変わらず笑顔を浮かべている】
【たぶん、そういうのには鈍感】

確かにお顔とかは少し冷たいのだけど、私はそんなに寒くないのだわ
あなたが本当に寒いのなら、ケープを貸してあげてもいいの
あぁ、でも知らない人から急に貸すだなんて言われても怖いだけね……

【ブラウスの上から羽織ったショート丈の黒いケープを指差して】
【限界が来たらいつでも言うのだわ、と一言添え小首を傾げて笑うのだった】

そうなの、何もなかったの……
さくらというお花が見たかったのだけど、もう全部葉っぱなの……
本当はここら辺はずーっと、ピンク色になるのよね?

【残念そうにはぁ、と息を吐く】
【誰から教えられたのか、なぜこの時期にそんなことを教えたのかはわからないが、少なくとも少女は桜を見る気満々だったようで】
【見れなかったのならしょうがない……と、おそらく桜を知っているであろう目の前の少女にそう、問うて】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 00:59:08.31 ID:HacbwvoP0
>>573

【薔薇の花飾り。対するこちらはリボンの髪飾りで、彼女のようにヴェールは纏っていない代わりに、真っ黒な髪がその肌の白をよく目立たす】
【背丈はこちらの方が少し高い。といっても靴のかかとの高さであるだろう、あどけない顔は見た目の年齢より少し幼げに見えて、ただ】
【なんとなくその振る舞いは十六歳の少女と言い切ってしまうには少し大人びても見えるのだ――とは余談。鋭い顔を見せたあとならば、それは余計に思わせるようで】

……なら、良かった。ううん、わたしはね、大丈夫だよ――、だけど、ありがとう。
うんと寒くなったならお願いするね、――その前にお家に帰っちゃうかもしれないけど。……だからね、それは、まだ、あなたがしていて。

【どうやらあまり寒いと感じていない相手に瞬き一つ。寒がりと暑がりを併発しているなら、自分の体感気温にあんまり自信はない、今も、あまり寒くないのかもって】
【考えて少し苦笑する、――ケープを貸してもいいなんて言ってくれたことには、お礼を一つ。だけど借りるつもりはないようだった、まだやんわりと、拒否をする】
【それに凍えてしまうほどの夜ではない。それこそもう少し前までもっと寒かったのだから――だからこんなのちょっとしたわがままに似通うもの、どうせ、もう少し後には】
【暑いってぼやいているに違いがないのだ。――それまで世界が平穏無事で、そんな、気温がどうこうって言っていられるような状態であれば、の話だけど】

桜を見に来たの? ……そっか、――うん。そうだよ、もっとね、暖かくなったばかりのころに……、一斉にね、咲くの。
きっとここも……あっちから、あっちまで、ずーっと。ずうっと、全部、桜色になって――、ああ、

【「きっととってもきれいだったんだよ」】
【相手の言葉に少女はゆるりと瞬く。時期外れの花見へ訪れてしまった相手にどこか気まずいような、遊園地のある駅で降りる家族を見ながら、今日は定休日だって思う瞬間のような】
【そういう思わずどうしようって思ってしまうような、気持ち――どうしようもない。定休日は覆らないし散ってしまった花びらは戻ることがない、そういう"決まり"】

【――――だけど】

…………全部を咲かせてあげること、出来ないけど。"本当"のほうが、ずっと、ずっと、綺麗だけど。
さっきね、怖い顔しちゃったから――お詫びに。"贋物"でよければ、桜の花……見せてあげる。

【「どう?」】
【鈴の音が、ひどく悪戯っぽく囁いた。靴の分だけ高い身長を、相手の瞳を覗き込むみたいに屈めて、あどけない顔をそれでもどこか大人びて蠱惑的に笑ませたなら】
【悪い遊びを少女に教える瞬間の大人みたい、――だなんて。全くそんなつもりはなくって、本当に、ただ尋ねている――相手が頷けば、それを叶えてくれるみたいに、微笑んで】
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 01:23:43.05 ID:L4PHVP/I0
>>574
【少女の優しい断り方に「そうするのだわ!」と頷いて】

【少し高い相手の顔を見る。たぶん、同じくらいの年齢だろう、とは思うのだけど】
【ふと見せる大人びた雰囲気にドキッ、とさせられてなんとなく顔をまじまじと見つめると、瞳の色が違うことにようやく気づき】
【珍しい宝石を始めて見たときのような、憧れとときめきが混ざったような、そんな表情が顔に出ていたかもしれない】
【オッドアイーー本物を見たのは今日が初めて】

……あなたが言う通りの綺麗な光景が広がっていたのだけど
「桜が散るのは早いから、急いで向かいなさい」って言われて来たらもう、手遅れだったの

【教えてくれた人ーーたぶん通りすがりの知らない人ーーは悪くないのはわかっている】
【でも期待した分、残念な気持ちも大きくなってしまう】
【そんな愚痴をついぽろっ、と漏らしてしまったのだけどーー少女の提案に耳を疑う】

贋物……?
えっと、絵とか写真とかかしら?
ぜひ見たいのだわ!

【提案にはすぐに乗った】
【贋物だなんて聞いて咄嗟に思いついたのが絵、写真……贋物とはまた別ジャンルなのだが】
【それでも桜がみれるのなら、と枯れた期待がまた咲き始めて】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 01:43:03.15 ID:HacbwvoP0
>>575

【まじまじと見つめられる顔は――それでもやはりあどけなく見えた。背はそれなりに高かったけれど、それを補って余るほどに、あどけなく】
【それが大人びた表情を形作るとひどく不釣り合いなような、だけれどだからこそ似合うような、如何とも言い難いちぐはぐした様になる。くすと小さな笑い声】

――絵でも写真でもないよ。もっとね、――、本物っぽい、贋物なの。

【相手が見つけたオッドアイが瞬く。ひどく色の濃い黒色と、ひどく色の亡い赤色。どちらも違った風合いで底が覗けず、だけど、ひどく豊かに感情を湛えるから】
【どこか蛇に似ているような目でもあまり恐ろしくはないはずだった。ころころ笑えば鈴の音もころころ。掌で銀色の鈴を弄ぶみたいに、楽し気に響かせて】
【こつんこつんと後ろ歩きでの二歩――それからひらりっと身体を返して、少女は一瞬相手を置き去りにするみたいに、歩き出すだろう、こつ、こつ、かつ、足音を並べて】

ど、れ、に、し、よ、う、か、な――――、

【――鈴の音がありふれた音階を奏でる、たくさんたくさんそろえられた桜の木たちが、その瞬間に、オーディションの結果発表を待ちわびる少女たちのよう、夜風にざわめく】
【少女が一歩歩くたびに選ばれなかった木は夜に溶けていくような錯覚。それでもまだ向かう先にたくさんの木があった、――歌もまた、少しずつ、進んでいく】
【よほど相手が早歩きや走るとかをしない限りは、置いて行かれてしまいそうだった。少女の足取りはそれくらいに軽くって早い、楽しげな背中を見せて】

て、ん、の、か、み、さ、ま、の、――、

【笑い声混じりの囁く歌声。――それがはたと途切れて、足音も、そこで、途絶えて】

…………ええと。蛇の神様の言う通り――――、

【何事かを言い直す。そのあとは飽きちゃったみたいに、とん、とん、とん、跳ねるような足取りが一気に歩幅を広げて、最後の一歩で、相手へ振り返る】
【その瞬間に相手が見るのはきっと。そのあどけなさを悪戯っぽさに染め上げた少女の顔だ。それで――もし、相手が、追いついて"いなかった"なら】

【――――ざあ、と、相手の視界は急に明るさを感じるだろう。街灯とも月明りとも違った明るさ、"桜色"に光る。そしてこの場そのものがぱぁと華やぐようになって】
【何事か――と思えば。この道を挟んで植え付けられた桜並木――さっきまで確かに新緑を纏っていた木々が、それこそ夢か幻かのように"咲き誇り"】
【だけれど相手に魔力を感じ取ることが出来たなら。これはすべてが魔力であると気づけるはずなのだ、――桜色した自身の魔力を木々に流し込み、まるで花びらのように纏わせた】
【一歩歩くごとに彼女はこの場所に自分の魔力を打ち込んでいた。地面の下に巡らせて、そして根を介して、それこそ水を吸い上げるように魔力を吸わせて、顕現させた】

――――どう? 本物の方が、やっぱり、綺麗なんだけど――。

【相手が置いていかれていたら、その光景は頭上に。だけど追いついていたなら――振り返って見る必要がある】
【広い範囲ではないし、長続きはしない。まるですべてを早送りで眺めるみたいに、咲き誇った花は、ほんの一分もしない間に、はらひらと散り始めてしまう】
【それでも――魔力の色合いで淡く光る桜花が咲き誇るさまは。かえって現実ではありえないものである分、そういう意味では、かえって美しいようでもあって――】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 02:11:16.65 ID:L4PHVP/I0
>>576
本物っぽい贋物?

【相手の言葉を繰り返す。繰り返したところで想像なんて全く出来ないのだけれど】

【ーーやがて相手が歩き出せば慌てて目で追って、何が始まるのかとまるで祈るように手を組んでその姿を目で追って】
【少女のふわふわ揺れているであろうフリルたくさんのお洋服の裾とか、もしかしたら自分と同じように緊張しているかもしれない木々とか】
【辺りは当然暗いのだけど、その若草色の瞳は全てをしっかり捉えていて】
【ーー少女が立ち止まれば。どくん、と一回大きく心臓が脈打つ】
【選ばれた木に……少女は蛇の神様と言ったのなら、蛇の神に選ばれた桜の木をけして瞬きせずに、自然と息も止めて、見守る】

【ーーーーざあ】
【少女の悪戯な笑顔も、光る桜色も、全部全部その目に映ってーー】

ーーーーわ……

【やっと呼吸ができた】
【若草の瞳が桜色に染まるーー】

これが……桜なの……

【そう言うのが精一杯で、本当はもっと自分が感動していることを伝えたかったのだけど、何も声にならない】
【魔力ーーそれを感じ取れば、相手が『贋物』と言ったのが理解できた】
【でも、その桜を見上げる?が同じ色に染まっているのに気づいたのなら、『言葉に出来ないくらいに感動している』ことに気づくのかもしれない】
【そして、散りだした桜から目を離さずにーー】

あなたは、桜の妖精さんなのかしら?

【なんて、真面目に問いかけるのだった】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 02:20:00.40 ID:HacbwvoP0
>>577

【――――ざあ、と、夜の風が世界中をさざめかせるみたいだった。贋物の、けれど咲き誇る花々を揺らして、まるで雨のように降りしきらせる】
【瞬き程度のほんの一瞬でさえ春が終わりを告げていく。地面に落ちた花びらたちは一瞬ためらうように輪郭を揺らしてから、ぼうと、光の粒子のようになって、消えていく】
【相手はその真ん中に。彼女はそのお終いに立って。その背中に変わらぬ新緑の桜と夜の暗さを背負いながらも、子供ぽく、悪戯ぽく、あどけなく笑っていた】

――――ううん、桜の妖精だなんて。そんなに素敵なものじゃないよ、わたしね、なんてことない――給仕さんなの。
みんなにお料理作って、ね、――それだけだよ。……えっと、……そうだ。名前、ね、言ってなかった。

白神鈴音――あなたのお名前は?

【それが相手のひどく真面目な声音での問いかけにくしゃっと崩れる、そんなに素敵なものじゃない――どこか自嘲めいた声が答えて、それから、訂正する】
【ただの給仕――料理を作るだけのひと。そんな風な自己紹介、それから伝える名前は、たしかに彼女らしいものだった。鈴の音の声をした少女の名前が鈴音(りんね)だなんて】
【その声を聞いてから名付けたみたいな名前。――少し遠くからだって聞き取れる声が相手の名を問い返す、あなたはなんて名前なのだろう、と】

【――そうしているうちに、桜は散ってしまって。また元の暗闇が戻って来る、桜並木は元のように新緑の並木になって、あの一瞬は、もうどこにも気配がない】
【そうなってしまえば少女はまたこつこつと硬い足音で相手のもとへ戻るだろう――、ほんのちょっとの疲労感は相手に見せない。それは、ちょっと、格好悪いから】
【だからお姉さんぶったままで「どうだった?」なんて尋ねるのだ、――腰に手、ちょっと胸を張って、若干得意げな顔、――すーごく子供ぽい仕草なこと以外は、大人びた様子で】

/そういえばお時間は大丈夫でしょうかー?
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 02:45:01.28 ID:L4PHVP/I0
>>578

そんなことないのだわ、私にとってあなたは桜の妖精さんなの!

【自嘲めいた声に首を横に振って】
【こんな奇跡を見せてもらえたのだーーーー妖精。少女の風貌や能力や、綺麗な声や仕草とかーー】
【魅せられた本人は胸を張ってそう言って。これ以上ないくらい、この発言に自身を持っていて】

鈴音さん。りんねさん。
妖精さんらしい、美しい名前なのだわ!
私はクローディア。好きに呼んで欲しいの

【散る最後までを目に焼き付けるようにしっかりと光景を見つめて】
【まだ見ていたいような、こんなに直ぐに散ってしまうのはもったいないような気はするのだけれど】
【この一瞬を独り占めできたみたいでなんだか嬉しくなって】
【どうだったーーそう聞かれれば月のように柔らかに笑いながらこう言うのだろう】

私は本物の桜を見たことはないわ
だから、比べることはできないのだけど
夜に一瞬だけ咲いた桜を見れたことは生涯忘れることはないのだわ
儚くて、夢みたいで、綺麗だった

【名残惜しいようにもう一度、桜の咲いた木を見る】
【暗闇に揺れるは緑の葉ーーでも確かにそこに桜は咲いたのだ】
【本物の桜とはまた違う桜、きっと毎年思い出すのだろう】

ねえ鈴音さん、さっき鈴音さんが言っていた蛇の神様って?

【ふと、そんなことを聞いてみて】

/お気遣いありがとうございます!
/今日はここら辺でおやすみなさい…
/明日2時前後にはお返ししたいと思います!
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 02:46:07.15 ID:HacbwvoP0
>>579
/了解しました、ではこの後お返ししておきますので、ひとまずおつかれさまでした!
/こちらもそれくらいの時間にはロールできる状態にあるかと思いますので、また明日よろしくお願いしますっ
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 03:07:48.71 ID:HacbwvoP0
>>579

……もう。そんなの、そんなこと――、んん、ん……、……、えと、ありが、とう――。

【そんなことない――相手の言葉に少女は少し言葉を詰まらせる。気恥ずかしいような、照れてしまったような。言葉を探すように、黙ってしまって】
【だけれど――自分が見せた光景を相手が喜んでくれて。それを褒めてくれているのだと思えば――気づけば。そうし続けるのも悪くなる、だけど、やはり恥ずかしくて】
【真っ白な肌を赤く染めて――散り際の桜の花が赤く色づくさまにも似ているようだった。決して散ることのない少女がそうするのが、ひどく、違和感だったけど――】

【――それは相手の知らないことだから。きっと、何の違和感も与えないままで】

クローディア……、ちゃん。えと、それで、……やっぱりね、わたし、桜の妖精さんじゃなくって――その。
妖精ってもっと――、その、なんだろう。きれい……、て、いうか、――だから、その。ね。

【相手の名前を小さな声で繰り返す。それからおずおずと言い出すのが、やっぱり、自分は桜の妖精ではない――と、往生際が悪い】
【そうやってしばらくもちもちと口の中で言葉をこねくり回して繰り返していたのだけど、――静かに降り注ぐ月光のような笑みを、相手が、浮かべたのなら】

――――――そっか。良かった。

【――――ふっと、少女も、気づくのだ。見せた光景はちょっとした余興……みたいなつもりだった。だけど、相手にとっては、それが初めての経験で】
【きっと相手はこれから先の春のたんびに、本当の桜の花を見るたびに、このことを思い出すのかもしれない。どちらかがきれいとかじゃなくって、この瞬間のことを】
【それに思い至れば――何じゃないとか、どうだとか、そんな言葉はひどく無粋でしかないと。気づく、だから、それ以上は口を噤んだ。少し照れ臭い顔のままではあったけど】
【鈴の音が、ささめくみたいに――呟くみたいに、小さな声で。ぽつりと紡いで――、彼女もまた相手に倣うように、木々を見上げる。素知らぬ顔で夜風に揺れる新緑を見上げて】

なんでもないよ。わたしね、蛇が好きなの――だから、空の上の神様より、その方が、楽しいかなって。
……クローディアちゃんは、蛇は好き? それくらいの年の子ってね、蛇嫌いって子、多い――でしょう?

【――ぱちりと瞬き一つ。からかうような声が相手に答えるだろう、声音も態度もすべてが言葉通りに"なんでもない"と言うような色合いになって】
【蛇が好きだからそうしてみた――だなんて、理由としてはちょっぴり不思議。だけど――今宵説明してくれは、しない気もした。それは、相手のせいではなく】
【彼女にとっての秘密だったから。――「かわいいのにね」ってちょっと残念そうな声が話題を逸らしにかかって】

【――――――"それくらいの子"って言った。相手からすればいやに子供扱いされたような気がするのかもしれない、だって、同じような年頃に見えたのに】
【急になぜか自分の方が年上ですよみたいな口ぶりで話すのだから。だけどそんな態度は今までもあったようだった。ひどくあどけないくせに、時々、ふっと、大人びて――】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/24(火) 04:10:43.72 ID:Qh4MaNHRo
【From:カニバディール】
【Cc:Mチーム】

先日のこちらのメールに対し、初瀬麻季音が送信したメールを念のために転送しておく

すでに厳島からメールは回っていることと思うが、『黒幕』の罠にかけられた四人の命に別状はない
術後の経過も順調だ。このままいけば、問題なく戦線に復帰できるだろう

-------- Forwarded Message --------
>>325のメール内容)




>>325
【From:邪禍】
【To:初瀬麻季音】

カニバディールだ。そちらがMに携わる他メンバーのアドレスを手に入れられていない可能性を考慮して
現状、指輪を持つ者たちのアドレスを改めて送信しておく

それと同時に、先の脅迫の件で鈴音が知った、『婦警』のアドレスも追記しておこう
そちらが送った文面は記憶した。襲撃計画の詳細は、追って連絡を入れる

END


/舞台裏でお話した、マキちゃんへの捕捉としてのメールです
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 09:38:03.38 ID:UXqZv9WE0
>>570

「ユウトさん!?」

【現れた人物は医師でも看護師でもなく】
【顔見知りでもある青年、レオーテだった】

「カチューシャ……ユウトさんあの現場に!?」
「ユウトさんが助けてくれたの?」

【そうだ、自分はカチューシャと交戦し、そして落下して……】
【必然的に、彼が運んでくれたことになる】
【説明にもあった通り、なるほど彼が助けてくれたのだろう】

「カチューシャ……何であんな事ばかり……」

【その戦いの様子を思い出し、悲痛な表情を浮かべる】
【彼女は、彼女に救いはないのだろうか、と】

「はい、動けます、その……ありがとうございました」
「能力?何かの能力で治療を?」

【此方に居る軍医と同じだろうか?】
【何の能力だろう、と】  
584 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 14:26:57.88 ID:FGIYbGHk0
【水の国 森】

――――はっ、うぉらぁッ!!

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【がっしりとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫が】
【その手にした棍を、気合の叫びと共に、空へと向けて振り回している】
【――――常人なら、むしろ棍に振り回されそうな、重厚な金属の長棒なのだが、彼はその勢いを完全に乗りこなしている】
【ブォンブォンと重々しく空気を裂く音が響き――――よれた弧が地面を抉った】

あっ――――っく、くそ…………ッ!
――――どうなってんだ、なんなんだよ一体……最近、あの夢、そして――――マジなのか、何なのか…………ッ

【動きが揺らぎ、棍を御しきれず、動きの止まった居丈夫は、苛立たしげに熱いため息を吐く】
【雑念が、動きに乗ってしまった事を、自覚し、それがより一層気持ちをささくれ立たせる。1度、肩の力を抜こうとした】
【――――最近、居丈夫には心乱す出来事が、知れず多く起こっていたのだ】

――――ディストピア、はっ……冗談じゃねぇってんだ。んなの、やらせてたまるか……死んでもやらせねぇよ……

【地面を抉った棍を、一度改めて地面に突き立て、それに身体を預けて居丈夫は瞑目する】
【身体を動かし、そして静止する――――その動作に、心の動きを重ねて、精神も制御しようとして】

【――――ほんの数瞬の後、それが無駄になるだろう事を、彼は知る由も無かった】

/よろしくお願いしますー!
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 14:33:14.37 ID:L4PHVP/I0
>>581
【桜の妖精】
【そう言ったことで相手が照れていようとも、その言葉を撤回するつもりはないらしい】
【言葉を詰まらせながら喋る鈴音の声を、子犬が喜ぶような、尻尾が生えてたらブンブン振り回していそうな、そんな笑顔で聴いている】
【でも相手がクローディアの気持ちを受け止めてくれたのなら、また静かな、次のようなふんわりとした表情に戻るのだろう】
【目を細めて、夜風に靡く切り揃えられた前髪を少しかきわけてーー】

蛇は好きなの、あの子たちは私が住んでいる家……あ、いや、住んでいた家、かな?
その家の周りに生えている草むらとか水辺とかにたくさんいたのだけれど、悪いことを何一つしなかったわ
私の住んでいた村の人たちはみんな蛇のことは悪く言わなかったの
むしろ、狼の方が嫌われていたのよ

【口振りからして最近引っ越して来たのだろうか】
【草や水辺が家の周りにある……さらに狼がいるとなると相当田舎に住んでいたのかもしれない】
【見た目はそんなに歳の変わらない相手だけど、その大人っぽい雰囲気に甘えるように、住んでいたところを思い出して懐かしむように、話して聞かせて】

私も、狼はちょっと怖いの
小さい頃に髪の毛をもぐもぐされてからその、トラウマに……

【あはは、と恥ずかしがるような作り笑い】
【この辺りは狼はいないから快適なの、と当たり前のことを喜ぶのだった】

//今日もよろしくおねがいします!
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/24(火) 14:35:45.31 ID:Jd7z6VDQo
>>584

【小鳥の囀りすらも聞こえる程に、穏やかな昼下がりであった、せせらぐ川の音色すらも何処か遠く】
【歩み寄る一つの足音が、紙細工の如き淡い音色を奏でたなら】
【──その先にある彼女の名残すら、溶けてしまいそうな程に】


あら、素敵なお兄様、こんな時間にトレーニングでもしているのかしら
素晴らしいの、立派な身体に鍛えて、大切なものを守る
其れは美しく、男性の冥利に尽きるのでしょう?


【プラチナブロンドの長い髪、朱が差したマリンブルーの瞳、白銀のロザリオを首筋に垂らして】
【零れ落ちそうな豊満な胸を、大きくはだけさせた黒いスーツと短いタイトスカート】
【スラリと伸びた両脚をストッキングで包む】
【白いコートを袖を通さず羽織り、高いピンヒールを履いた、どこか幼げな横顔が印象的な少女】

【── そんな事どうだっていい、流れる音色は、何処までも懐かしい響きを残して】


ねぇ、お兄様の逞しい腕で、私を抱いてくださらない
立派な筋肉が私を蹂躙するの、考えただけでも女性の冥利に尽きるの
さながらそれは獣の如く、形振り構わず乱れてしまえば

そんな後のことなんて考えずにすむでしょう?


【紡ぐ音律は、物語に出てくる恋する乙女そのままの風情】
【口元に指先を落として、たゆんとした肉感的な唇をなぞる】
【── どこで覚えてきたのかと聞きたいぐらいに、蠱惑的な情感】
587 :レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 14:51:29.81 ID:FGIYbGHk0
>>586

んっ――――――――っっ、か…………ッ!?

【瞑目し、呼吸を整えていたその耳に、森の中の喧騒とは趣を異にする、人の足音が響く】
【何事かと、居丈夫――――レグルスは顔を上げる。そこに続く声、そして目の中に入ってきた光景】
【――――鼓動が跳ねる。息が詰まる。ここ最近、ざわざわと脳を粟立たせていた、そのファクターの1つが、眼前に歩み寄ってきていた】

そ、ソニア…………お前、お前……は…………ッ!

【その長いプラチナブロンドの髪、柔らかく懐かしく耳に響く声。久しぶりに会えたと言う喜びが込み上げてくる】
【だが――――それは濁らされ、そして押し留められる。正にここ最近、胸の内をざわめかせていた懸念が、杞憂で終わらなかった事を確信させられたのだ】

【――――不純物の入り混じったその瞳。不健康な印象を与える、攻撃的な扇情を醸し出す服装】
【そして――――かつての印象を遠くへと葬り去ってしまう様な、その口調――――】
【思わずその名を口にして――――その先、なんと言葉を続ければ良いのか、レグルスには咄嗟に分からなかった】

――――はっ、ははっ…………どうなってんだ。いざとなったら言葉なんて、出てきやしねぇ……
……色々言ってやりたい事が、確かめたい事が、あったはずなのに…………くそ、なんだってんだ一体……

【最初の驚きが過ぎ去って――――その後に、自分の中に意外なほど、何も残っていない事に、レグルスは苦笑する】
【――――確かめなければならない事、確かめたい事、ぶつけたい事――――アレだけ色々と、あったはずなのに】
【いざとなると、それはがらんどうに逃げ去ってしまった――――どうなっているんだと、自分でも自分が分からずに】

――――俺は考える事だらけだよ。そうじゃねぇか、ソニア…………どうしたってんだ、お前……
……ただでさえ、今の世の中分からねぇ事だらけなのに、お前…………一体、どうしたってんだよ……?

【その豹変――――カチューシャと化した、ソニアを前にして、レグルスは上手く言葉が出てこない】
【知ってはいたのだ、その事態を――――だが、その意味する所、そしてその理由は、流石に直接触れなければ分からない】
【まさか、自分の事をすら、記憶の中から失っているとまでは知らずに、レグルスはただ「親しい知人」として言葉を返した】
【――――ソニアの、否、カチューシャの、そうした扇情的な挙動は、毒だ――――胸が高鳴るよりも、先に不快感の方が、レグルスには届いていた】
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/24(火) 15:00:39.53 ID:Jd7z6VDQo
>>587

【大輪の牡丹がその花片を持て余すが如く、長いプラチナブロンドを気怠げに掻き上げる】
【ミルクの表層に薄く張った膜の様に、柔らかな布地が意識に被さって】
【未亡人が魅せる儚げな微笑み、その一つ一つの所作が姿形以外の変化を告げる】


……ふぅん、お兄様もそっち側の人間なのね、私をソニアと呼ぶ人なのね
私は気にしない様にしてるの、私が好きに殿方を呼ぶように、私も好きに呼ばれるべきだから
でもね、でも、其れが続いてしまうのなら、退屈になってしまうの

私をソニアと呼ぶ人は、私にソニアの虚像を重ねてるのよ
お分かりかしら、それはまるで写鏡の様に、本当の私を見てくれない
── だからね、壊さなきゃいけないの、徹底的なまでに彼女の残り香を

新しく出来たパートナーが、ずぅっと昔の女の事を考えてるだなんて興醒めでしょう?
歯ブラシを捨てて、シャツを裂いて、思い出と一緒に燃やしちゃいましょう
洗いたてのシーツで交わったなら、そこにはもう、新しい私がいるわ


【 "其れ" は彼女の顔で、彼女の様に華奢な微笑みを浮かべ】
【 "其れ" は彼女の声で、彼女らしからぬ睦言に興じて】
【 "其れ" は彼女の体で、彼女とは思えない淫らさを演じて】

【──貴方の思い出に浮かぶ彼女を蹂躙していく】


お兄様は見てくれたかしら、私の演じた昨日の初演を
ふふ、緊張したの、一世一代の指揮だったもの、皆喜んでくれたかしら
ああ、この子はカチューシャなんだって、何処に行っても分かってしまうから

足りないのなら付け加えましょう、ねぇ、お兄様の身体に刻みこむの
一つ一つ思い出と一緒に痛みを携えて、貴方の身体を壊してあげるから
おいで、"RaumKrankheit"──


【虚空に手を翳す。──硝子細工の魔法陣が出現し、そこから見慣れた黒い狙撃銃を引き出して】
【彼女は右手を引き金にかけて、左手で機関部を支える、流麗な仕草に澱みはなく】
【躊躇なく引き金を引いた、放たれた銃弾はレグルスの右肩を狙って】
589 :レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 15:22:25.59 ID:FGIYbGHk0
>>588

な――――――――

【一連の、カチューシャの言葉が、レグルスの鼓膜を細かいビートとなってノックする】
【だが、その動きが激しくなればなるほど、レグルスの脳は動きを止め、空白と化していくのだ】
【――――先ほどの、思考のリセットなど、所詮仮初の物に過ぎない。それをレグルスは理解させられる】

【――――自分がソニアではないと主張する。その言葉は、決して上辺だけの事ではなく、彼女の認識において「そう」なのだと思わされる重みを湛えていて】
【そうある自分を否定するために、『ソニア』の事を否定する。その言葉は、その思いは、その色笑は――――レグルスにとり、ソニアへの冒涜のように思えた】

(……おい、なんだよこれ……どういう事だ……ってんだよ…………どうなってる、落ち着け、どうなってる……ッ
 ッ、な……おい、嘘だろ、なんだよこれ……なんだよこれ…………『なんだよこれ』ッ!?)

【思考が、空転を始める。レグルスは慌ててそれを取り戻そうとする。自分の中心にいるのは、自分でなければならない。それはどんな人間だって同じことだ】
【だが――――哀しいかな。レグルスにとって、ソニアは大きな存在だった。それは、自覚していたよりもずっと――――ずっと大きかった】
【崩れ始めた自分のペースは、もう自分の物ではなくなり始めていた】

【――――カチューシャの言葉が、自分の中のソニアを壊していく。あの儚く、柔らかく、暖かさを求めながらも、自らも暖かかった、あの笑顔を汚していく】
【――――仲間として戦い、言葉を以って慰め合い、時に心を踊らされたりもした、あの日々の記憶が、罅を立てて割れていく】
【そして――――そんな自らの思考を、止めようとしても止まらない、止める事の出来ない自分に、手が届かなくなる】

【――――自己と言うものは、こんなにも不確かな存在だったか? ソニアとの日々も、絆も――――こんな弱く、儚い物だったか?】
【胸の内のみに響く叫びが、ただレグルスの耳にだけ届いていた】

――――く、何を……!?
俺には、お前が何を言っているか、分からねぇよ……分かるか、分からねぇんだよッ!!

【――――昨日の今日、その出来事を、幸か不幸かレグルスは知らない。ここ最近、胸中のざわめきだけに向き合い続けてきた彼には、それは届いていなかった】
【だが、それは幸いというべきなのかもしれない――――もう引き返せない一線を、カチューシャは踏み越えた。それを知っていたら、レグルスの動揺はずっと大きく】
【――――自己を倒壊させてしまう程に、大きくなっていただろうから】

がぁッ!! …………何なんだよ、何なんだよソニア…………ッ、分からねぇよ……お前、本当に……どうしちまったってんだよ……!

【召喚される銃。目を見開いた。――――だが、身体は追い付かない。避けようとすら意識が向かなかった】
【撃ち抜かれる右肩――――苦痛の悲鳴は口から漏れ出るも、わずかに体を揺らしただけで、それ以上の反応はなかった。貫かれた方から、血がジクジクと溢れ出る】
【――――逃げも、立ち向かいもしない。そんな対応をさせる暇もないほどに、レグルスの心は荒れ狂っていた】
【ただ、在りし日の記憶を手繰りながら、呼びかける――――これが戦場だと、鉄火場だと認識さえもしてない】
【――――それは、絆の健在を信じての事か、それとも失われた幻想に縋るだけの愚行なのか――――】
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/24(火) 15:33:01.12 ID:Jd7z6VDQo
>>589

【三盆白の様な白粉を頬に薄く伸ばした、そんな残滓を残しながらも、映る素肌に微睡みはなくて】
【呼吸と共に大きく上下する胸を持て余しながら、どこかその感触を楽しむ様で】
【閉じた瞼を二人静に、重ね合わせる慕情が落陽の如く流麗な目元に残った】


言っても分からないお兄様、不出来な狗は私はお嫌いよ、躾直すのも趣味では無いから
鞭打たれる狗を見ていると、何処か疼く私がいるの、其れはあまりにもはしたなくて
鍛えているのでしょう、それならばどうして? 立ち向かう気概を見せて下さらないのなら

それはつまり私を満足させられないという事、かしら── なんて、退屈なのかしら
貴方ベッドの上では雄弁だけど、日常ではそうじゃないのね、そんな姿を雌に見られて雄の矜恃は何処へ
……ねぇ、女性にばかり奉仕させるのは殿方の領分では無くて?


【鶯嬌な微笑みを静かに浮かべる、申し分程度に薄く口を横に開いて】
【無表情の水面、映る微笑は薄氷よりも薄く細く、白麗に近い色合いであって】
【瞳の虹彩に映る貴方の虚像を彼女は貪る、啄む病葉すらも理解しない彩り】

【片手で狙撃銃を振り抜いた、くるりと大きく回して片手で握り直して】


お兄様があくまでも、私の中にあるソニアの虚像を追うのなら
私は私の誇りを持って、そのソニアを穢してさしあげるの
ねぇ、どれだけ淫靡に啼けば宜しくて? あんあんと切なげに戯れるのがお好み?

この身体を、この声を、この顔を好きにしたかったのかしら、思うがままに愛したかったのかしら
一つ私が衣服を剥ぐ度に、一つ貴方の思い出を穢せるのなら
幾らでも私は肌蹴ましょう、果実の皮を剥く様に


【地面を蹴って駆ける、低い体勢で狙撃銃の底を左手で支えた】
【左足を強く踏み込ませ右から左へ薙ぎ払う、狙撃銃の銃口で顔を強く殴り抜けようとする】
【コートが翼のように吹雪く、長い髪から瞳の色を覗かせる】
591 :レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 15:57:40.62 ID:FGIYbGHk0
>>590

――――あぁ、その程度の言葉で、分かるものかよ……そんな、薄っぺらいもので……俺を、『俺たち』を、どうこうできるか……ッ
これが、そんなもんじゃないって事……分かるものかよ、分かりはしねぇってんだよッ!!

【もしも、尋常の状態であったなら、レグルスにとってはその言葉は刺激が強すぎる】
【まるで、幼い少年に対して使う形容詞の様だが――――事実、己にのみ向き合い続け、子供の様に『強さ』への憧れだけに生きてきた彼には、強い酒の様なものだった】
【しかし――――そうしたものに入り込む隙間を与えないほどに、今のレグルスは、既に激情に酔っていたのだ】

ハッ……雄の矜持、だと…………決まってる、それは戦うって事だ……!
それは、何かの為に、大事な物の為に、守るものの為に――――許せない何かを砕くために、振るう力……それが『強さ』ってもんなんだよ!!
男だとか女だとか、んなもの関係あるものかッ! 俺は、そんな……そんなものの、為に――――強くなった訳じゃねぇッ!!

【右肩をジリジリと痛みが焼き尽くす。流れる血は、留まる事を知らず、早急な処置を要求してくる】
【だが――――そんなモノ、レグルスには関係ない。そして、カチューシャの言葉もまた然り。レグルスには、関係の無い事だった】

【男と女――――そんなモノ、レグルスには興味も無いし、関係ない。明らかに、カチューシャに対する反骨心が紡がせた、無理のある言葉だが】
【しかし――――彼の望んだもの――――『強くある』、それに乗せられた言葉の力は、本物だった】
【ムキになった中身の無い反論の中で、彼の在り方は、その語句の中にこそ宿っていたのだ】

ぐ――――ぃッ!!

【振るわれる銃口。今度は顔面に打撃。レグルスは再び、成す術なくそれを叩きつけられる】
【振り抜かれ、今度こそ姿勢を崩し、殴り倒される。小柄なソニアの身体で、カチューシャの見舞った打撃が、レグルスを横っ面から張り倒し、乳に伏せさせていた】

――――――――――――――――それだけか…………ッ?

【否――――レグルスは「敢えてそれを避けなかった」のだ。握り締めた棍から、ギュッと音が鳴る】
【のそりと、レグルスは体を起こし、素早く立ち上がった。殴られた跡は、顔にくっきりと残っていて】
【そして、鼻から、口から、既にタラリと血が滴り始めていた――――まるで、有効打を浴びてしまったボクサーの様な顔で】
【だが、その表情は――――既に、空白を埋め、自己を取り戻し始めていた――――瞳が、怒気に染まっている】

「こんなもの」か……こんなもので、お前はソニアを、俺のソニアを――――ぶち壊しにしようって、思ってんのか…………えぇ!?
笑わせんじゃねぇよ…………笑えやしねぇよ、こんなもんで――――やれるもんならやってみやがれってんだよこの偽物がぁッ!!
どきゃあがれ、俺が必要なのはソニアだってんだ。お前はさっさと消え失せろォッ!!

【燻る火の様に、レグルスの言葉は発火のタイミングを伺っていた。それは、どこから来るものでもない、ただ、己の内からなるバイオリズム】
【言葉はやがて奔流と化し、嵐となり――――その風に煽られた火は、ついに燃え上がった。腹の底から、久々に湧き上がった怒号が、森の静寂を打ち破る】
【レグルスは、カチューシャを偽物と称して――――勿論、分かっている。ただの他人などではないと言う事を。それこそ「そんな薄っぺらい絆」ではないのだ】
【だからこそ、彼は咆哮した。神聖不可侵なそれは、文字通り「侵せない」ものなのだ。それを手に掛けようとするカチューシャへの怒りが、空気を震わせる】

【――――棍に、ついに力が乗せられる。低い軌道から見舞われる突き。狙いはカチューシャの腹部】
【銃弾に抉られた腕のダメージなど、その動きからは見て取れない。むしろ、先ほどの動きよりも正確に、美しく――――カチューシャの腹を打ち据えんとして】
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/24(火) 16:11:23.23 ID:Jd7z6VDQo
>>591

【搾りたての牛乳に檸檬の花を一房投げ入れた様な身体の香り、靡く髪に付随する彼女の色香】
【荒淫じみた雰囲気は極彩色の孔雀に似て、目を逸らす事を躊躇わさせるほどに】
【近くに居ても代わりない、寧ろ近くにいるからこそ、思い出の香りを強く感じさせる】


お兄様は戦いの中に矜恃を見出すのね、其れは野蛮よ、とーっても野蛮
力で蹂躙するのがお好みなのかしら、強い殿方が弱い女性を嬲り手篭めにする
私はそれも好きよ、強い殿方はそれだけで充分な価値を持つの、傅く意味が生まれるから

──ねぇ、お兄様は強い殿方なのかしら、力と知恵と精力に満ちた偉丈夫でいれるのかしら
立派な返答ね、素敵よ、問答は充分に重ねたのだから
それなら後は一つずつ既成事実を作りましょう、外堀からまずは埋めなきゃ


【振り抜いた確かな感触、彼女は躊躇せず他者の顔面に銃口を向けることが出来る】
【だからこそその反応── 回避もせず怯えもせず受けきった事に僅かな動揺を見せた】
【気紛れな天気が雲間から太陽を覗かせるように、表情の水面を乱して】


……何度言えば分かるのかしら、何度潰せば気が済むのかしら
もういないの、貴方の大好きなソニアちゃんは、一片も残らず消えてしまったから
泣いて喚いて苦しんで、誰も助けに来ない牢獄で一人寂しく消えたの

そんなに大切だったの? そんなに愛おしかったの?
ねぇ、教えて欲しいの、貴方にとってソニアとはそれだけの人間だったの?


【──ねぇ、それならば】


その僅かな名残でも、私に注いでくれないの?


【振り抜いた狙撃銃を左手に持ちかえる、そのまま左手の銃口を地面につき、空中にふわりと浮かび上がる】
【地面に突き立てた狙撃銃の上に逆立ちするように突きを回避、軽業師の様な身のこなしだ】
【そのまま体重を移動、貴方の後方に着地するように狙撃銃で地面をついた】

【爪先から着地し、後方に移動したなら狙撃銃を持ち直し、右手を引き金にかける】
【銃声が一閃、瞬くと同時にレグルスの右手を撃ち抜かんと放たれる】
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 16:25:31.56 ID:6RsF+aY20
>>585

【そんなにきらきらした子犬の目。自分には荷が重すぎるみたいだった、気づけば手は降参するみたいに中途半端な高さに持ち上げられて】
【ぶんぶん振られる見えない尻尾に翻弄される、子猫みたいに飛び掛かるだなんてとんでもないなら、とことん相手に負けてしまったみたいに、ぐむと口を噤んでしまう】

えと――そうなんだ、クローディアちゃんのお家の周りには、いっぱい蛇が棲んでいて……。
――狼が居たの? そっか。じゃあ、――狼の方が怖いね、わたしのお家の周りには、狼だとかは、棲んでないけど……。

…………ああ。でもね、昔に住んでいた家の近くには。変な動物がたくさん居たんだよ、幻獣だって聞いた。
そのお家に住んでたのはもう何年も前だけど――、クローディアちゃんは最近引っ越してきたの? この辺りはどう、もう慣れた?
さっきのね、内緒だよ――今はね、あんまり。能力とか魔術とか使わないほうがね、本当はいいの。……――あ。

【相手の言葉を聞けばぱぁと少女の顔は嬉しそうに華やぐ。蛇が好きと言ってくれるひとは存外少なかったりする、もちろん零ではないけれど】
【相手ぐらいの年頃の子となると――どうしても嫌がられたりドン引きされたりしがちだから。よかったぁって安堵の吐息、その白い頬を薄らと赤くさせ】
【蛇より確かに狼の方が怖いねって同意する。言葉からするに蛇ならたまには見かけるのかもしれない、――それから、ふっと、漏らすのは、昔のはなしだ】
【ちらっとだけ思い返して、だけど特別な感慨とかは何にもなさそうだった。――相手に尋ねて、それから、今更気づいたように、人差し指を立てて口元に沿える、内緒の目印】

【――というより、今更になって気づいた。相手が無能力者だったりしたら怖がらせてしまう可能性もあった、と】
【だけど――相手は怖がるどころか喜んでくれたのだ。それを蒸し返して要らない気遣いをさせてしまったらそれはそれで悪いと思い直して】

――――――え。そんなのね、怖くって当然だよ。

【――――髪の毛もぐもぐ。ていうかそれはもうちょっと違ってたら頭がじがじになっていたのではないか、と、思い浮かべてしまう】
【むしろその経験が「あはは」で済むのだろうかって少し不安になる。クローディアの暮らしていたところ、すごく――なんていうか、ワイルドなんじゃないかって】

/大変長らくお待たせしました!ごめんなさい!
594 :レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 16:39:13.19 ID:FGIYbGHk0
>>592

――――違ぇな。俺の力は……敵を討つ、だが……女は守る。その為にあるんだよ……
そんな邪悪で……俺は、俺の魂を、汚したくもねぇ……ッ
(――――くそ、胸糞悪ぃ……ソニア、お前はそんな生き物じゃない、そんな人間じゃない……そうだろうが……ッ)

【カチューシャの言葉は、挑発なのか本心なのか、判別の難しい物だった。あるいはその服装も、ある種のハニートラップなのかもしれない】
【だが――――レグルスにとっては関係ない。自分の振るう力は、そんな事の為に――――満たされる欲望を求める為に、かよわい女を組み伏せる、そんな力ではないのだ】
【ただ、己を高め、守りたいものを守り、そして許せない敵を――――故郷を滅ぼした権力の様に、大事な仲間を侵した売女の様に――――討つ為の力なのだ】

【それが、他の女でありさえしたならば、或いはレグルスも心を掬われ、浮ついたりしていたかもしれない】
【だが、事カチューシャに対して、それは無かった。ソニアの姿で、ソニアの声で、それが艶やかさを纏っても、レグルスには、響いてこない】
【それが、悪意を伴っているのなら、なおさらの事――――怒りは、己の中の欲望を押し返すほどに気圧を高め、熱く燃え盛っていた】

――――お前こそ、何度繰り返せば気が済むんだ、何度見せつけられれば理解するんだ……
「こんなもの」で……あぁ、そうさ……俺は「こんなもの」だ、今更なぁッ!!
「こんなもの」で、俺のソニアを消せる程、軽くも薄っぺらくも無いそれを分かれェッ!!

【顔の打撃の傷を、自らグッと絞り上げる。痛みが跳ね上がり、目に涙がジワジワと湧き出てくる。だが、その表情には、余計な力は混じらない】
【肩の貫通痕も同じだ。親指を突っ込み、押し広げる様に力を籠める、骨に響く、ちぎれそうな痛み。レグルスは、呻き声すら上げない】
【――――既に、命すら失いかける戦いの経験をしてきた。その中で、こんな痛みなど――――心の怒り、その炎が、立ち止まる理由とさせないのである】
【そして、その怒りの根源は――――言うまでもないだろう。ソニアへの想いだ】

――――お前は今まで何度もだ、何度もソニアの名を、それを唱える人間を見てきたんだろう……なら、俺の姿が分かるだろう!
ソニアは、お前が軽々しく片付けられるような、そんな人間じゃねぇんだよ! こんなもの、この程度の痛みをくれた程度で、どうこうなると思ってんじゃねぇ!!
消させはしねぇぞ、こんなもの幾ら重ねたところで、幾ら俺を淫らに煽って見せたところで!! ソニアは、俺の――――――――ッ!!

【幾ら傷つこうが、いくら命を削られようが、レグルスはソニアの事を侵させはしない。その想いを、思い出を、存在を、否定したりはしない】
【それをさせようと、カチューシャが苛立ちのままに放ってくる攻撃など――――響かない。強がり半分、だが、もう半分は本心だ】
【傷の痛みが、そもそも無いかの様に振る舞うレグルス。ソニアは――――それだけ、大きな存在なのだ。それは、カチューシャが「つまらない」と断じた、みんなにとって】
【そして――――レグルスの意気で言えば、その誰よりも――――】

ぐぅ、ッ…………言ったはずだ、何度聞けば気が済む……退きやがれ、お前に用なんかねぇんだよ!
――――バル(火)・フェン(飛翔)・ルー(レベル1)――――『ファイヤーボール』!!

【距離を開けられ、更に銃弾を再び右腕に浴びる。思わず棍を左手のみで保持し、レグルスは体を翻させる】
【だが、傷が堪えた様子は見せたが――――怯まない。尚もキッとカチューシャを見据えると、その存在をあっさりと否定して】
【そして力のスペルを紡ぎ上げ、牽制の火球を放つ――――命を失いかけ、弱ってしまった魔術だが、まだ己の力を支える、大切な相棒だ】

【レグルス魔力残量 10/11】
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/24(火) 16:53:54.78 ID:Jd7z6VDQo
>>594

【苛烈であった、灼熱よりもまだ深く燃えたぎる紅蓮ですら生温い程に】
【一体どれだけの感情があればここまで猛る人間になれるのだろう、カチューシャは内心に驚きを持った】
【けれどもしかし、其れは遠い。── 薄氷の如き微笑を溶かす程の熱量も無かった】

【それ程までに彼女の怜悧さは変わらず、秋波な目元を崩すことすら能わない】


お熱い言葉ね、お兄様──情熱的な殿方は嫌いじゃないわ、でもね、でも
何故かしらお兄様の言葉はとても、そうね、心をかき乱す──いいえ、違うの
拐かす、いいや、誑かす──いいえ、もっと、もっと、違う

私の心の奥にある何かを、掻き毟るの、身体の奥がきゅうきゅうと切なく鳴くの
それを感じて私はより一層、ううん、昂るわけじゃないの、寧ろそうね
イライラしてしまうわ、お兄様、貴方少しタイプじゃないかも


【しかし、あまりにも真っ直ぐなレグルスの言葉を浴び、彼女の雰囲気に僅かな変化が交じる】
【落ち着いた余裕が薄まったように、かける言葉の棘が増した】
【それはそういう魂胆であるというより、引きずり出された本音に近い様子で】

【放たれる火球、何の事は無い魔術だろう、彼女にとって回避する事も容易であった】
【しかし──右手に握り直した狙撃銃を以て撃ち抜く、異能ですら構わず】
【硝煙の奥、無表情の水面に浮かぶ感情をレグルスは読み取れるだろうか】


……ねぇ、お兄様──ソニアは俺の、何だったの?
貴方達の言葉はとっても、空虚、私なんてソニアじゃないって押し付けてるだーけ
見えてこないわ、見えてこないの、貴方達からはソニアがどんな人だなんて

結局貴方達が見ていてのはソニアの表層でなくて? 取り繕って飾り立てて彼女の表層だけなの
案外中身は私と一緒、淫らに可憐に美しく、女である事を享受する娘だったのかも知れないわ
知った様に話すのは憐れよ、本当に──女々しいったら、ありはしない


【左手に握られる幾許かの銃弾、彼女の足元に硝子細工の魔法陣が出現する】
【そこに無造作に銃弾を落としていく、硝子に消え、狙撃銃に装填されていく】
【──リロード、会話をしながらも次の攻撃に備えている】

【ソニアはこの形のリロードを嫌っていた、レグルスならきっと知っている】
【丁寧に一つ一つ手探りでリロードする姿、其れは己に持った狙撃手の誇りの現れ】
【目の前の少女はソニアの形態を模した別の何かだと、それがはっきりと告げた】
596 :レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 17:21:54.02 ID:FGIYbGHk0
>>595

あぁそうかい、それで構わねぇよ俺は……いや、それどころじゃねぇ、どうでも良いんだよ俺は!
ソニアならぬお前などから、蛇蝎や畜生の如く思われたぐらいで、それがなんだって言うんだ、何にもなりはしねぇんだよッ!!
……嫌われるぐらいなら、むしろ本望だ――――ッ

【カチューシャの基準に照らして。どうやら、自分に対してリアクションを返してくる相手を望んでいたらしい】
【最初、ショックのまま、されるがままにいた自分をつまらないと言い、反撃に転じて意味が生まれると言い、今は――――イライラすると言う】
【何を求めているのか、それは知らない。そして――――知る必要もない。敵に好かれたいなどと、そんな酔狂な思いは存在しないのだ】

――――ソニアは、ソニアは俺の――――――――――――――――

【カチューシャに問い返される、その問い。レグルスは、流石に答えに窮する】
【何と言いづらいのだ――――妹分の様であり、間違いなく仲間であり、命を預け合った相棒であり、愛おしく思う女であり――――何と言えば、正しいのだろうか】
【否――――そこに答えは出ている。今回の騒動で、既に己に確かめた。後はレグルスの感情の問題だ。そして――――そこで窮するような、それこそ女々しい人間である事を、レグルスは選ばない】
【躊躇する理由など無い。ただ心のままに叫べばいい――――レグルスの腹が据わる――――力が湧き上がる――――顔が上げられる――――瞳が、開く】

――――――――――――――――『たいせつなひと』なんだよォッ!!

【――――ソニアが、否、カチューシャが、櫻の国海軍との戦闘をした事を知って、レグルスの心は揺れた。その時に、改めてソニアの、己の中での位置づけを、思い直させられた】
【――――不思議な程に、湧き上がってきた。彼女に幸せになってもらいたいという気持ち。そして出来る事なら、そのそばにいたいという気持ち】
【それは、世間一般の、人気アイドルや女優を前にした、単なる憧れではない。淡いのだ――――もっと淡く、細やかで、日常に接した――――そんな想いだった】
【初めは戸惑った。だが、やがて了解された。それは『共に生きたい』と言う事なのだと――――】
【それが、愛する女性でなくて何なのだろう。先ほどは言い淀んだ言葉を、今度こそ、レグルスは躊躇なく叫ぶ。それは、その気持ちの真実さの表明なのだ――――】

――――そうかい、なら教えてやるよ!!
ソニアを知らないお前に、ソニアを教えてやるッ、そして噛み締めろ、己の無意味さをな――――ッ!!

【ガチャリと、背中の金具に棍をかけて、レグルスは素手になる。――――何の攻撃をもらっても倒れない、そんな己の気概に満ち満ちている様に】
【カチューシャは恐らく、それを教えない限りに倒れる事は無いのだろう。それを直感した。なら、棍は今は要らない】
【ただ、カチューシャのその身に、刻み付けてやる――――カチューシャが、自分にしたように、その認識を、余すところなく】

――――――――はは、ははは…………! 何発撃つつもりだ、お前…………ソニアなら、そんなには必要ないぜ……!

【そのリロードを目の当たりにしたとき、レグルスの口から乾いた笑いが零れる。ソニアの狙撃スタイルを、正確に知っていた訳ではないが――――】
【ソニアは、一撃に賭けていた。スナイパーとして、自分たちの用意した弾を使う時も――――放つ一撃に賭けていた。それを、あんなに大量に銃に装填して――――】
【――――どんなに追い詰められても、ソニアはそんな雑な戦いはしない。レグルスはカチューシャを嗤う。出来損ないの偽物として】

――――バル(火)・ログ(侵食)・ミル(心)・ルー(レベル1)、『ブレッシングヒート』!!
――――Ninaomba. Mwanamke mbele yangu anaamka(私は祈る。目の前の女が覚める事を)!!

【――――踏み込む。両手をカチューシャへとかざす。そこから、アルベルト流魔術と、教会魔術を、二刀流にして放つ】
【齎されるのは、敵を討つとは思えない、暖かい祝福の光。そして、心を澄み渡らせる光――――】

――――ソニアが求めてるのは、この温もりなんだよ! お前の様な淫らな熱じゃねぇ、それを分かれッ!!
597 :レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 17:23:56.12 ID:FGIYbGHk0
/>>596追記
【レグルス魔力残量 9/11】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/24(火) 17:39:39.38 ID:Jd7z6VDQo
>>596

【素手になったレグルス、自殺行為だと思った。── 狙撃手を前に生命を捨てたようであった】
【重なる言葉、其れはひたすらに重い音律、彼女の知らぬ歳月を想起させる音色で】
【何なのか理解は出来なかった、否──本当は、理解出来ているのかもしれないが】

【其れを言葉にする程に、確かな理由を彼女は持っていなかった】


──ふぅん、お兄様はそこまでソニアの事を思ってたのね
大切な人だなんて素敵な言葉、お兄様の様な偉丈夫に言われたら女冥利に尽きるの
ふふ、羨ましいの、そんなに愛してもらえて、ますます不愉快な気持ちになるの

ねーぇ、お兄様、そんなにソニアがお好き? どういう所が好きなの?
顔? 身体? 声? ──それとも、その全部、そのソニアって女が好きなの?
一緒よ、一緒、目の前にいる私はソニアちゃんと同じ顔で身体で声をした、ちょっとエッチな女の子なの



【  ──ねぇ、お兄様  】



抱いてみる? 私の身体。── お兄様の好きな様に弄んで貰って良いの。
貴方の逞しい腕に抱かれて、雄々しい心に貫かれ果てたなら
そうしたかったんでしょう? ソニアと、そんな風にしたかったんでしょう?


【魂を嬲るかの如く嘲笑する、無表情の水面に波紋を落として】
【何処までも猥雑に淫乱に、苛烈なまでのレグルスの心を扇情する】
【──或いはそれは断末魔の如く、傅かない相手への焦りにも似ているのか】


何処までも知った様な口を聞くのね、頑固なお兄様は嫌いよ
貴方に何が分かるのかしら、私は私の好きなように生きたいの
でもそれを貴方達は許してくれない、私の知らない私を皆求めるの


【銃口が向けられる、暖かい陽光に包まれ、眩しそうに目を伏せて】
【危うげな程に繊細な魅力が蒸気のように包む、その銃口に躊躇は無い】
【呼吸が乱れる、おかしい──私にこんな状態があってはならない、と】


── だったら死ねばいいのかしら、出来損ないの私なんて、惨めに淫らに果てれば
ねぇ、答えて、答えてよ、どうすれば私は幸せになれるの
少なくとも私は分からないの、だから、だから……

全部壊して生き残るしか、無いじゃない


【放つ引き金、爆ぜる銃弾がレグルスの顔を狙った】
【しかし、ぶれた、銃弾は額を掠めて逸れるだろうか】
【── 思考がぶらされる、魔術の効果もあった、だろうが】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/24(火) 17:41:54.50 ID:4SK6jC11o
【水の国 国会前】

【先日起きた『水国国会前デモ隊襲撃事件』によって、国会の周囲は破壊の痕跡が多数残っていた】
【それらを軍服、あるいは私服姿の人間たちが共同で修復・撤去を行なっている】

【その中に、彼らに対して指示を出している男がいた。二十代中盤の若い男だった】
【美しく輝くブロンドの髪に人の良さそうな顔つき。汚れの少ない整えられた軍服は階級の高さを窺わせる】
【右目には眼帯があり、その周囲の肌には小さな爬虫類の鱗が点在。眼帯にかかる前髪だけは黒く変色していた】

【青年の顔には作業の指揮を執ることへの疲労感があった。咥えていた煙草を取り、溜息混じりの煙を吐き出す】


全く…………アルベルトさんはどこ行ったんだか
こういう作業ばっかり僕にやらせるんだから…………


【愚痴を零す間にも数人がやってきて青年に指示を仰ぐ。適切な行動を伝えて作業へと戻らせる】
【再び溜息。「隊長もいないしなぁ」と口が勝手に愚痴を言い続ける。言ったところで作業量は減らなかった】
【誰かが来れば青年は「ここは立ち入り禁止ですよ」と伝える。あるいは「ボランティアの方ですか?」と声をかけるかもしれない】
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 17:54:39.15 ID:L4PHVP/I0
>>593
そうなの、最近こちらに引っ越して……そう、引っ越してきたの
まだわからないこともたくさんあるのだけれど、楽しく生活できているのだわ!
能力についても少しだけ学んだのだけど、やっぱりみんな隠しているのね

【一瞬だけ『引っ越してきた』という自分の言葉に、うん?と首を傾げる仕草を見せるのだけど】
【でも新しい仕事も住居もこちらにあるのだ。その表現は間違っていないはず】

【能力者ーーどうも『こちらの世界』の重要なキーワードのようだが……】
【どちらにしろ、本当は隠した方がいい能力を、信用できるかわからない自分に見せてくれた目の前の優しい少女と同じポーズーー人差し指を口元に添えて「言わないのだわ」と約束して】

その時はすぐに……弟……?が?助けてくれたから大事には至らなかったのだわ
あぁ、弟からすれば私の方が妹らしいのだけど、でもそんなの認めないのだわ!


【弟、という表現に今度はもっとわかりやすく首を傾げて】
【流石に歯切れが悪いことを感じたのか、慌てて説明を付け足して。お互いを弟、妹呼びする『きょうだい』なのだろうかそれともーー】
【どちらにしろ、お互い意地っ張りなのかもしれない】

鈴音さんも数年前に引っ越してこられたのね!
狼が住んでいることより、変な動物……幻獣がたくさんいることの方が驚きなの
幻獣というと彼らしか思いつかないのだけど……ユニコーン……

【狼に食べられかけたことも怖いけど、幻獣のほうがもしかしたらよっぽど怖いのではないだろうか……】
【幻獣と聴けば思いつくのはユニコーン。なぜかその姿を思い出すように虚空を見上げながらそう呟いて、そして鈴音の瞳をみて肩を竦めるのだった】
601 :レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 18:08:44.73 ID:FGIYbGHk0
>>598

ソニアが、ソニアがぁッ!! あいつがどんなに愛おしいか、聞きたいんだったら教えてやるッ!
その魂の底にまで刻み込んで、死の瞬間まで絶対に離すんじゃねぇぞッ!!

【攻撃を放棄して、レグルスは咆哮する。力と共に叩きつけられるのは、打撃ではない――――それが一方的でも構わないと「男らしく」腹を決めた、愛情だった】

あいつは笑うんだ!! ――――どんな辛さを乗り越えてでも、人の愛情に、温かさに触れて、あいつは嬉しそうに笑うんだよッ!!
あいつは泣くんだ!! ――――孤独は嫌だと、仲間を失いたくないと、死なせたくないと、身を削って守ってでも泣くんだよッ!!
あいつは願うんだ!! ――――そうして人との繋がりを以って、手を繋いで命の鼓動を伝えて、幸せになりたいと願うんだよッ!!

そんなあいつが――――ソニアが、俺に甘えるんだよッ!! 酒に酔ってようが関係ねぇ、汗まみれになってようが関係ねぇ、そんな中でも、あいつは俺を受け入れてくるんだよ!!
儚く泣きそうになりながら、居なくならないでくれと泣いて、俺の熱い身体を抱きしめて、温かいねって笑って、そしてそばにいてくれって願うんだ!!
相棒として戦って、一緒に傷を乗り越えて、そしてそばにいたいと言った――――お前とは、違うんだよッ!!

【思いの丈を、わめき散らすというに足るほど、脈絡なくレグルスは叫ぶ。そこに、格好つけた体裁など必要ない】
【取り留めのない言葉だが、その断片1つ1つにすら、レグルスの、ソニアとの思い出、そしてその愛情が満ち満ちている。砕け散って尚美しい、宝石の様に】
【あの冷えた体は、その奥にある鼓動は、今でもレグルスの記憶に焼き付いている。何度でも、どんな形でも、それを表現できるだろう】

――――――――あぁ、睦み合う事も望むよ、抱きたいとも思うよ――――そこに、愛があるならな……ッ!!

【下らないものを見下ろす様に、レグルスは一瞬の冷酷を瞳に秘めて、カチューシャの誘惑を一蹴する】
【カチューシャには――――紡ぎ上げられた愛情が存在しない。そんな相手を、抱きたいとも思わない。愛情も劣情も、そこには存在しない】
【カチューシャには、愛を感じない――――レグルスは、ただ真正面から打ち払った。それだけが、彼に出来る『戦い』なのだ】

(――――揺れたッ。その意味は分からねぇ……これが、本当にソニアと同じ身体……それとも他人?
 いや、滑ったって構うもんか、躊躇が人を殺すなんて、嫌って程に見てきたってんだよ!)

【2つの魔術の光が照らして、カチューシャの言葉に、態度に乱れが生じる。それは、その奥に眠るソニアに響いたのか、それともただの苛立ちか】
【その判別は、流石につかない。だが――――可能性があるなら、そこに全力投球だ。レグルスの両の拳が、血まみれになりながらグッと握り締められる】

――――知るか、知るものかッ!! 誰かを愛するってのは、他の誰かを愛さないって事だ!!
俺はソニアを愛する!! てめぇの事は――――――――ッ!!

【光を放って、そして尚レグルスはカチューシャに手を伸ばす。その先に、掴みたいものがあるから――――】
【しかし、カチューシャは揺らぎと共に、苛立ちと共にレグルスに銃を放つ。流石にレグルスの表情が変わる】
【反射的に頭を逸らす――――銃弾は掠める。額から、側頭部まで――――帽子を吹き飛ばし、スキンヘッドの頭が露わになる】
【それが――――ざっくりと裂傷を負う。脳震盪を起こし、皮の切れた左側頭部から、今度こそ止めどなく赤い血が溢れてくる】
【痛みに、そして脳をやられたダメージに、レグルスの顔もグッと強張り、顰められるが――――その手は、真っ直ぐに伸びた】

――――分かるかよ、『これ』がソニアだ――――――――ッ!!

【試みたのは、カチューシャの身体を、否――――ソニアの身体を抱きしめようとした事。その為の抱擁】
【ソニアが本当に望んでいたのは、ただこの体温に、抱きしめられる事――――色事などではない。手が届けば、抱きしめる】
【ただ――――己の愛の熱量を、その奥にいるかも知れないソニアに伝えようとして――――】

/良いタイミングですが、飯に行ってきます……
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 18:09:22.83 ID:6RsF+aY20
>>600

そうなんだ――、分からないこととかあったなら、聞いてね……って。
わたしもこの辺りに住んでいるわけじゃないから――その、特別に教えてあげられることなんて、きっとないけど。
そうだね――でも。……えっと、クローディアちゃん、狼とか蛇の棲んでいるところから、来たのなら――。

……あんまり人気のないところ。路地裏みたいなところ。そういう場所にはね、あんまり近づかない方が――いいよ。
危ないから、ね。何があるのかもわからないの、だから――、あまり近づかないように。

【――引っ越してきたとの言葉に、少女はやはり少しお姉さんぶって口に出す、だけどよく考えるまでもなく、この辺りに住まっているわけでないのなら】
【結局は説明できることなんて、あまりない――ただこれ大事なことであるように、じっと、相手に視線を合わせて。狼も、蛇も、都会ではあまり見ないものたち】
【ならば。相手はもしかしたら田舎――と言ったら失礼なのだけど。そういう場所から来たのかもしれない、なら、"これ"は命に係わる情報として、伝えておかないといけない】

【人気のないところ。路地裏みたいなところ。それらはひどく曖昧な警告の仕方、だけど、そうでもしない限り、範囲は広すぎて言葉ではいい表しきれない】
【とにかくそれを回避すること――こういう場所も人気のない場所ではあったが、"ここ"は違う。もっと――人の気配を感じない。たとえば廃墟など、そういう場所】
【何が潜んでいるか分からない場所に警戒しろ――そういう警告だった。ひどくまじめくさった声が告げる、それを怠れば、死ぬかもしれない。もしかしたなら】
【"死んだほうがまし"だと思えるくらいの目に遭うかもしれない。――それを知っているような、目。だからひどく真剣に、絶対的に、冗談めかすなんて、ありえないくらい】
【気を付けろ――って、伝えるのだ。相手がどうあれ了承すれば、ぱっと表情は変わるのだけど。逆に、受け入れなかったなら――さて、どうなる、だろう?】

……えと。双子さん……なのかな、仲良しなんだ?

【――――ぱちりと瞬き。それから付け加えられる説明に「ああ」と声一つ、納得したのかしてないのか、それともあんまり気にしないのか】
【だけどそういう風に言っているのを見るとなんとなく仲良しなのかななんて思う――ちょっとうらやましいような顔は、彼女がひとりっこだから】

この辺じゃないけど――、ここからだと飛行機とかに乗らなくっちゃ。
ユニコーン……は見たこと、ないけど。身体が靄みたいなので出来てる馬とかなら、飼ってたよ。

【少し変な言葉だった。この辺りに住んでいないのだという、家は、ここからだと飛行機が必要なくらいに、うんと遠くて】
【ならここにいる少女はなんでだろうって思わせる。出張……とかそういったものなら、そんなものの言い方はしないはずだった。仮住まいでも、家は家なら】
【――それなら。彼女は変わらずその飛行機さえ必要な家に住んでいて、だけど当たり前にここに居て。今日も帰るのだ、って、言っているみたいに見えて――】

【ユニコーンに何か思い入れでもあるのだろうか。角のある兎なら、今も、飼ってるけど――緩く考える、けど、相手がこちらを見て肩をすくめたなら、ちょっとだけ、真似した】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 18:33:30.83 ID:dIqJZmdP0
>>583

「そう、テレビを見て思わず駆けつけたら既に君が倒れていて返事もなかったから――」
「周りのデモ部隊にトドメを刺される前に助けることにしたんだ」
「もう1人は大丈夫だったみたいで、気付いたらいなくなってたよ」

「――彼女に何があったかは知らない、……けれども、」
「似た状況に陥った存在が戻ってくるのに賭けて当たったことは僕は無いんだ。だから、……」

【"諦めよう。"――水平線を見つめる目、その感情は一体どのようなものなのだろうか】
【怒りか、憎しみか、――寂しさか、悲しみか、……様々なものが入り混じった、混沌としたそれ】

「それは良かった。少し急ぎ気味で色々な事を済ませたから少し不安だったよ」

「能力、治療向けなのは色々有るんだけれども……例えば今持ってきたこのスライム、ヒーリンゲルって言うんだけど」
「これは傷を"吸い取る"能力を持っている。ただ、無尽蔵には吸い取れないし、当然だけど吸い取った分はヒーリンゲル自身のダメージになる」

「――後は、僕の友人に協力してもらって、治癒の力を持った水を用意してもらったりとかかな」
「本当は回復系の能力を、あっちの世界から持ち込めてたら良かったんだけどねぇ。知り合いが持ってるけれども、多分貸してもらえないだろうし」
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/24(火) 18:41:58.33 ID:Jd7z6VDQo
>>601

【太陽を心に秘めているかの如く、レグルスは熾烈に言葉を結ぶ、其れは玲瓏な彼女の心にも響く】
【分からなかった、どうして彼の言葉はこんなにも彼女の心を揺さぶるのか、と──どうして、と】
【空っぽになったはずの胸が痛かった、無いはずのソニアが助けを求めて藻掻く様に】


──ねぇ、どうして其れが私ではダメなの、私では愛してもらえないの
私も笑うの、私も泣くの、私も願うの、そこにソニアと大きな違いなんて、無いじゃない
先に会ったのが、私かソニアかの違いじゃない、先に在ったのが私かソニアかの違いなの

でも私はダメで、ソニアは良いのね、みんな、みんな、みーんなっ
私を否定して、今はいないソニアを求めるのね
──だとすればどうすればいいの、もうソニアは何処にも居ないのに


【其れは懇願に近かった、伏せる目元は、薄い花弁の花を見るように脆く儚げに嗜もしい】
【心の底から出た言葉であった、ここまで情熱的なレグルスの言葉が聞けるだなんて思えなかった】
【そして同時に、その矛先が自分に無いことへ、酷く心が乱された】

【抱き締められる、波音の様に声が漏れた、華奢な身体が熱を持つ】
【ここにいても尚儚く砕けてしまいそうな程、細い身体はかつてと全く変わらない】
【冷たい体温、氷の結晶の如き存在が──変わらぬ彼女を伝えていた】


……っ、私も他の人と変わりないの、誰かに愛されたくて、仕方ないの
でもね、誰も愛してくれないの、私という存在を見てくれもしない
悲しくて哀しくて仕方なくて、仕方ないから媚びてみせるの、そしたら誰かが構ってくれるから

ねぇ、嫌よ──もぅ、こんな、こんな私を続けるのなんて
私もね、普通の人と同じ様に、恋して愛して、幸せに生きたいの
愛する人と結ばれて、暖かな家庭を築いて──そんな風に生きたかっただけなのに


【  ──ねぇ──  】


教えてよ、教えて欲しいの、どうすればいいの──



                  ────レグルス……



【心をまるごと吸い取ってしまいそうな慟哭であった、其れは少女の無垢な祈りの様でもあった】
【同情の余地なんて無い、彼女は彼女の赴くままに破壊行動をしてきた存在なのだから】
【けれども、もし一片でも違うピースが含まれていたなら、こんな哀しいシナリオなんて無かったとも思う】

【貴方の体温で溶けてしまえばよかった、そうすればこんな悲しみなんて知らなくて済むから】
【いつの間にか溢れ出た涙と共に零れ落ちた、貴方の名前】
【カチューシャが知っている筈無かった、その名前を、その名前を知っているという事は】


【──彼女の中にソニアが残っているという事の証左、であろうか】


/続きます!
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/24(火) 18:42:08.00 ID:Jd7z6VDQo



【辿るように言葉を重ねた、その響きは何処までも懐かしい過去を思い起こさせて】
【二人で歩んだ日々を貴方に想起させるのだろうか、幾重にも重ねた逢瀬をありのままに伝えるのだろうか】
【姿は変わった、中身も変わってしまったのだろう、しかし、思い出も、この香りも、何も変わってはいないから】


レグルス──……


【願う様に片方の手を貴方の背中に回す、小さな掌、この手で狙撃銃を扱うなんて信じられないぐらいに】
【小さな肢体で一生懸命、誰かの事を思って行動していた、誰かの幸せを祈って戦っていた】
【その手は決して命を奪う事をしなかった、悪人であっても絶対に殺そうとはしなかった】


レグルス──


【真正面に見つめる彼女、大きな瞳に一杯の涙を含んで、貴方の名前を呼んだ】
【今咲いたばかりの白百合の様な楚々と艶やかさを持って、それは何処か懐かしい音色で】
【幾つもの悔し涙を流した、それはきっと貴方以外にはほとんど見せた事の無い涙で】


レグルス!!


【表情に笑みが満ちた、木漏れ日に照らされる出水の如く湧き上がる満面の笑み】
【朝開く花の割れ咲くような笑顔、もう片方の右手を貴方の首筋に絡めつかせ更に接近する】
【其れはまるで絵画に描かれた、神話の1ページの如く】



【──次のページを捲る事すら、躊躇ってしまいそうなこと】



次会った時はお兄様って呼ぶって、最期にそう言ってたの
ふふ、思い出しちゃった、ソニアちゃんってば私と同じでロマンチストね
ねぇ、お兄様、貴方とっても素敵だったわ、本当に素敵な殿方

来世でまた会いましょう、きっと、ソニアもカチューシャも、そう思ってるから


【親指を突き立てようとする、裂傷を起こした側頭部から、そのまま皮膚を突き破り脳にダメージを与えようと】
【どれくらいの深度かは分からない、けれども力を込めたのは確かだ】
【カチューシャは笑っていた、清楚な顔を屈託の無い笑顔に、染め上げていた】

606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 18:44:38.35 ID:L4PHVP/I0
>>602
分からないことがあったら、その時は鈴音さんを頼らせてもらうのだわ!

……やっぱり、みんなそうやっていうのね『人気のないところには近づくな』って
危ない人がいるからって
もちろん、私も極力そうするつもりなの
今はまだ……そんなに危ない目にはあってないけど……あ、宝石を一個取られたのだったわ

【以前も似たような事を言われたのか、真剣にそう説いてくれる相手に、うんーーと大きく首を縦にふる】
【今のところ、脅威的なものに出会ったことはない、と口に仕掛けたのだけど】
【腰に巻いた緑布のベルトーーそこに何個もぶら下がったトマトのような形の変わった宝石】
【規則正しく並んでいるのに、一箇所だけ空いている部分がある】
【珍しい宝石を使っているのだが、それひとつで済んだのは幸運なのかもしれない】

双子……なのかもしれないの
でも、びっくりするほど似てないのだわ
それに、とってもうるさいから私に近寄らないで欲しいのだわ!
でもいいの、きっと彼はこっちにはこられないの

【とても曖昧な言い方。普通だったら気になるところかもしれないが、相手があまり気にしないのであればそのまま話を続けて】
【弟の事を思い出したかのようにぶんぶんと首を振る様をみれば、もしかしたらあまりいい思い出はないのかもしれない、と思わせる】
【ここに来たことによって弟と離れることになったのだろうが、それは逆に嬉しく想っていたりして……】

靄の馬ーー
何を食べるのかしら……

【相手の言葉を繰り返す。また不思議すぎる言葉が出て来たぞと言わんばかりのキョトン顔】
【靄でできているのならば、鳴くのかーー寝るのかーーというか見えるのかーー等、いろんな疑問は浮かぶのだけど】
【一番気になるのがそれーー食べ物の謎】

あら……もしかして、もしかしなくても
鈴音さんすごく家が遠いのでは?
今日、帰りはどうするのかしら。ここら辺でお泊まりするところにいくのかしら?

【こんな時間まで大丈夫なのかと、でも急いでたり焦ってたりするようには見えない相手に向かってそう、言葉をかけて】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 18:44:39.91 ID:UXqZv9WE0
>>603

「そう、だったんですか……」
「すみませんでした、なんだか、私迷惑かけてばかりで……」

【話を聞いて、そう影を落としながら、告げた】
【やがて、カチューシャの話になれば】

「『ソニア』さんの事ですか?」
「私は、カチューシャしか知りません、戻ってきてほしいとも思っていません」
「でも、カチューシャには今の、こういう事は止めさせたいと思っています」

【諦める、と言った事に対しての言葉のだろう】
【無論、理があるとすればユウトの方なのだろう】
【ソニアと言う少女の時から知っているユウト】
【その想いは幾何程の物か……】

「そうだったんですか!?」
「そのスライムに、そんな力が……」

【触れてみようとする、見た目は何というかスライムだ】
【それ以外に形容の仕様もないほどに】

「治癒の水まで、その、何から何まですみませんでした……」
「え?今あっちの世界って?」

【ふと気になる言葉だった】
【最近、恐らく異世界から来たであろう少女と知り合いになって、少女はそのまま自分達海軍の諜報拠点のBARの店員アルバイトとして雇われた経緯が関係あるのか】
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 18:58:39.45 ID:6RsF+aY20
>>606

――――そっか。ほかのひとにも聞いたんだね、なら、良かった。
何度も同じこと言うみたいで、ごめんね――だけど、大事だから。よく覚えていてね、路地裏には……入っちゃ駄目。
どれだけ近道だって、どれだけかわいい子猫の声がしたって、駄目なの。クローディアちゃんは女の子だし――、

……自分を護るだけの力があったとしても。それだって――好き好んでいく場所じゃないよ。

【――どうやら、相手はすでにほかの誰かにも同じことを言われていたらしい。ならば少し安堵する、言葉を重ねれば、認識は強くなる】
【路地裏には近づいてはいけないと相手がそれで印象深く覚えていてくれるなら――どんな理由があっても近づいてはいけない。自分を護る力があるのだとしても】
【まして宝石を奪われたと聞けば、嫌でも表情は鋭くなる。というよりも、そんなやつを思い浮かべて険しい表情になる、――嫌なことを聞いた、という風になって】
【そして続けられる言葉。"女の子なのだから"――その言葉は嫌に実感がこもって聞こえたかもしれない。もちろん相手が男であったとしても、こうして警告しただろうけど】

【(――それでも)】

そう、なんだ、……よく分からないの? わたしね、きょうだいっていないから、よく分からないんだけど――、
双子の子って――そういうもの、なのかな、……えとね。わたし、お友達も、みんなひとりっこだし……。

【双子かもしれない――その口ぶりはやはりどこか不思議だった。かもしれないって言葉は不釣り合いに思えたのだ、そんな風に言うような関係性をよく知らない】
【そもそもきょうだいというものさえ知らない。周りのひともだいたいひとりっこだし――なら相手の言葉は不思議そのもの。もしかしたら仲が悪かったのかも、とまで思い至れば】
【ぱちぱちと瞬き。「でもいいの」「彼はこっちにこられないの」――相手の言葉を聞くとなんだかせいせいしたようにも聞こえて、ちょっとだけ、困り顔で口を噤む】

【「ごはんは普通のもの食べてたよ」】
【――わりに普通だったらしい。とにかく変なものを食べていたわけじゃないらしくって、ただ、思い返す少女の顔が、少し複雑になる】
【あんまりおもしろくない話なのかもしれない――だなんて、思わせて】

――――うん、家はね、すっごく遠いよ。だけど、すぐに帰れるから――。
転移の魔術を持っているの、だから。帰ろうって思ったらすぐに帰れるよ、だから――大丈夫。
クローディアちゃんこそ、大丈夫? もうね、だいぶ遅い時間だよ。お家まで送ろうか、良かったら――だけど。

【だからこそ、相手が尋ねてくれた話に答える声音は少し色を持つ。こちらに話題を挿げ替える、家は遠い……けどすぐに帰れる。なぜなら、魔術があるから】
【それよりも。相手こそきちんと帰っていけるのかと尋ねるのだ、それで――必要なら送っていこうか、とも。もちろん、無理強いではないもの、嫌ならば嫌と言えば】
【少女は怒らないし嫌がりもしない。ただ唯一、さっきの警告を覚えておいてもらえるなら、それで十分とも言うみたいに】
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 19:04:40.51 ID:dIqJZmdP0
>>607

「ううん、大丈夫だよ。――気にしないで」

「――そう、彼女が"ソニア"だった頃を僕は知っている。彼女には色々迷惑をかけちゃったなぁ、……そういえば、結局謝ってないなぁ」
「……僕が"ユウト・セヴォラインディ"から"レオーテヴュート"になったように、彼女にも何かのきっかけがあったんだと思う」

「まぁ、……こうなった以上、彼女を止めないといけないっていうのは、僕も同意だよ」

【彼が想定するその方法は、もう二度と彼女が元に戻れなくなってしまうだろうモノだが】
【――そうしなければ、こっちが殺られる。それは、彼の経験】

【手触りは……普通のスライムだろうか、ぷるぷるとしていて、そして多少温まっているがひんやりとしていて】
【内部に見えるコアのような存在が、彼女の方に視線を送る。……目ではないが】

「治療も戦いの1つ。治さなきゃ、次に進めないからね」

「――そういえば、言ってなかったかな。僕は元々この世界にはいなかった存在、つまり異世界人なんだ」
「ここの研究所、小島に建てられているんだけれども……それごと色々あって飛ばされてね。だから、職員も基本的に異世界人だよ」

「この世界って異世界から飛ばされる者がそれなりにいるみたい。治癒の水を提供してくれた友人もそうだし」
「回復系の能力を持ち込めた知り合いもそう、それと……邪禍もそうなるかな。それと、たまたま出会って一時的にこの研究所に住まわせてる子もいるし」
「……友人、知り合い2人、クソ野郎。この4者は僕と同じ世界から来てる。けれども、来た世界線や時間が違うのが不思議だね」
610 :レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 19:14:58.33 ID:FGIYbGHk0
>>604-605

――――知るか、知るものか…………ッ、ただ言えるなら……お前が、本当にソニアと同じ体で……違う人間だって言うのなら……
――――ソニアを、否定したからだ、だからお前は……ソニアを知る連中全てに、否定されるってだけの話だろうが……ッ!
お前に落ちた陰だろうとも! たとえ重ね合わされようとも、そこにお前が居れば、お前を見てくれる人間なんて、居ただろうがッ!
振り払ったんだ、お前は……ソニアと一緒に、ソニアに繋がる、人間たちを、みんなみんなお前は否定したんだよ!
――――それが、求められたいと願うなんて……どんなに傲慢で残酷な事か、お前本当に分からないってのかッ!!

【揺らぎ、勢いを失うカチューシャの言葉。そこにぶつける言葉は、勢いを緩めない。何を想う事があるだろう。ただソニアを取り返したい、それだけなのだ】
【どんな存在なのか、分からない。そんなカチューシャを、知る事も出来なければ、知った風な口を利くことも出来ない】
【ただ、彼女がソニアを否定する事に、己のアイデンティティを見出している事は事実で――――その事実が前面に顔を出している限り、レグルスは彼女を許さないのだ】

(ッッ、変わらねぇ……この身体、この涼、この鼓動……! ――――間違いない。これは……ソニアだ)

【レグルスは、ソニアの求めるモノをぶつける事で、カチューシャにソニアを叩きつけた。だが、同時に――――やはりそれは、レグルスにソニアを再確認させる】
【真っ向から抱きしめてみて、やはり確信した。今までの、根拠のない確信に、今度こそ確証が出来た。涙が、切れた血と共に流れる】

――――『誰』なんてもんに顔を向けた、お前の負けなんだよ……俺には、ソニアがいる、ソニアには、みんながいる……
誰にも、お前は居ないと言ったな……じゃあ、「お前には誰がいる」ってんだよ……!

【――――媚を売るだけで、人の心など掴めない。カチューシャの嘆きに、当然だとレグルスは言葉をぶつけて――――】

――――――――ッッ、そ……ソニア…………ッ?

【――――初めて、名前が呼ばれた。カチューシャは知らない、ソニアなら知っている、己の名前――――レグルス=バーナルドを】
【信じられないと言った様子で、レグルスは手の中の少女を見やる。これはカチューシャなのか、それとも――――ソニアなのか】

――――あぁ…………あぁ、あぁそうだ……レグルスだ……そうなんだよ……そうなんだよな、ソニア……!

【繰り返される言葉、胸が高鳴る。戻ってきてくれたのか、ソニアの人格が――――否、間違いないのだ。その名を呼ぶのは、彼女以外にあり得ない】
【だからこそ、カチューシャはただただ『お兄様』と言う代名詞しか呼ばなかったのだ。自分の名を呼ぶなら、これは――――ソニアだ】



【――――そして、笑顔と共に頭部の傷を、親指で抉られる】

が――――――――ぐああぁぁっ、ぎ……ぃぃあああぁぁぁぁぁ――――――――!!

【体勢が崩れる。無理やりに張り続けてきた力が、無理やりに手折られる。ふらついた頭が、痛みと共に倍化してレグルスは飛びのき、そして倒れる】
【視界と共に、意識までもが痛みの為に混濁する。皮膚を破り取られた様な、吐き気のこみ上げる痛みに体を貫かれる】
【――――流石に、ここで意地を張ってやせ我慢の末に立ち続ける事は、出来なかった】

――――っ、ぐ、ぁ…………よ、呼んだのか…………ソニアの、記憶を……お前、その身体で……ッ

【四つん這いになりながら、歪んだ視界にカチューシャを捉えんと、レグルスは顔を上げる】
【――――届かなかった。否、届いたのかもしれない。だが、まだつかみ取るには至らない。それが結果だ――――】
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 19:18:45.67 ID:UXqZv9WE0
>>609

「ありがとうございます……」


【そして再び話はソニア、いや、カチューシャの話に】

「皆、彼女のかつてを知ってるんですね」
「私、何も知らなかった……」
「ユウトさんの事も、全く」

【やや置いて】

「はい、カチューシャは、このままじゃいけない」
「止めないと、何としても……」

【最も翔子はユウトの言わんとしている、止める、その意味には】
【全く気がついては居ない様だが】
【そして、触れるスライムの感触は、何とも名状しがたい】
【気持ちがいい物でもあり、実態はその逆のようでもある】

「……」

【暫く無言かつ夢中でプルプルと触ったり、その目をじっと見たりする】

「そうだったんですか!?」
「この施設全体が……」

【俄かには信じがたいが、ユウトが嘘を言っている訳でも無い】

「邪禍さんも!?」

【これもまた、驚かされた】
【異世界出身と言うのは、実は公表されていないだけで意外と多いのかもしれない】

「諜報部の拠点のBARに最近バイトの子が入ったんです」
「どうも、その子此処じゃない世界の人みたいで、憶測ですけど……」
「何というか、中世っぽい感じがしました、色々昔風な、そんな世界もあるんですかね?」

【その子の事を話してみる】
【最も同じ世界かどうかは、不明で、本当にその子が異世界出身かもそもそも不明だが】 
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/24(火) 19:34:00.29 ID:Jd7z6VDQo
>>610

【──狙撃銃を消した、四つん這いになったレグルスを見下ろして、手袋についたあなたの血を舐める】
【恍惚の笑みであった、蹂躙する喜びを全面に押し出して】
【そっとピンヒールを伸ばした、今度は傷口に尖った踵を突き立てようとして】

【──何を思ったのか、その行動を途中で止め、代わりに銃で撃ち抜いた貴方の手を踵で抉ろうとするだろう】


さぁ、どうでしょう、なんだかよく分からない景色が流れ込んできただけよ
お兄様も経験した事あるでしょう? デジャヴュとか、その辺かしら
甘ったるぅぃメロドラマでも見てる気分よ、奇跡なんて起こりっこないのに

思わず笑ってしまったの、私の一挙手一投足に喜ぶお兄様を見て
ゾクゾクとしたの、いつばらそうかな、いつにしようかな、なぁんて
喜んでもらえたかしら、カチューシャの一世一代の頑張り物語なの


【普段は開けることのない抽斗から取り出してきた様な笑み、あどけない表情で真っ直ぐに笑う】
【今まで微笑み以上の笑みを見せたことの無い彼女が、ここまではっきりと笑うのである】
【良い心地であった、月明かりですらライトアップには足りないと言いたげに】


分からないわ、分からないの、何が傲慢で残酷だなんて
私はただ愛されたかっただけで、貴方達が愛さなかっただけなの
何時まで過去の女を追ってるつもり? 心の底からそう思うの

……やーっぱりお兄様には生きていて欲しいの、そして、心ゆくまで存分に見ていてほしいわ
カチューシャがどんなに頑張って生きているのか、どんなに一生懸命動いているのか
すぐに分かるわ、すぐに──その時また、カチューシャに会いに来てちょうだい

Хороший байк(さようなら)──


【ピンヒールを離し、くるりと背を向ける振り返らず歩き去るだろう】
【直ぐに彼女が国会で起こした事件もレグルスの耳に入る筈だ、言葉の意味も理解できるだろう】
【──未だ胡乱、往くつく先も知らぬ葉っぱのように、ひらひらと】


/こんな所でしょうか!お疲れ様でした!
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 19:35:49.23 ID:dIqJZmdP0
>>611

【じっと見られれば、じっと見返してくるスライム】
【ただ、あまり触っていると、体の一部を伸ばしてそっと指や手を退けようとしてくるだろう】

「うん、見た目は普通だし、多少は増改築してるけれども――異世界の施設なんだ」
「ああ、でも動植物はこの世界のものも生えているかな、それなりに時間も経ってるし」

「そう、あの悪魔も異世界の存在。アレの場合は、住んでた領域の一部ごと切り離されて追放されたって感じみたい」
「……いやぁ、もし僕が来た世界線の個体が飛ばされてたら大変なことになってたね」
「いや、飛ばされたとしても戻れるだろうし、そもそも飛ばされるかどうかの問題もあるか……」

【後半になるにつれて、独り言のようにブツブツと小さな声量にへと変わり、視線も下の方へと移動していき】
【――考えても無駄か、そう思ったのか顔を上げて】

「――うーん、中世っぽいってだけなら知ってる場所が一応あるけれども、細部を聞かないとなんとも」

「さっき言った、この研究所に仮住まいしてる子。あの子は僕が知らない地名を言っていたし、そういうパターンの方が多かった」
「僕たちが来た世界以外の色々なところからも来ているのかも知れないね。この世界って時空間の歪みの出口とかなのかなぁ」
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 19:41:23.85 ID:L4PHVP/I0
>>608
わかったの、鈴音さんや皆さんに迷惑かけないように危ないところには行かないのだわ
痛いことは嫌いだもの、わざわざ痛めつけられにはいかないようにするの
女の子だものね!

【約束するーーそう言って】
【こんなにも心配してくれる人がいるのが嬉しいのか、真面目な忠告にもなぜか笑みを零して】
【もちろん、約束を軽んじるような、馬鹿にするようなそんな笑顔じゃなくて、だ】
【女の子だものーーーー強い力には敵わない】

同じ胎から生まれてきた時からずーっと一緒なのだから、普通に考えれば双子なのだわ
でも、もうちょっと複雑なの……うまく説明できないからいいのだわ
それに!とても!いじわるなのよ!
ーー私は一人が好きだから、一人っ子が羨ましいのだわ
いいえ、鈴音さんのようなお姉さんが欲しかったのだわ

【本人ですらうまく説明できないのか、それとも何か隠しているのだろうか】
【ここまで言ってしまえばもはや隠す意味もないのだろうけど。「いいのだわ」と、説明を諦めてしまったのをみればたぶん】
【ーーうまく説明できない、のだろう】
【一人っ子を羨ましがるがすぐに首を振って。鈴音を覗き込めば、こんなに優しいお姉さんがいればなぁ、と叶うことのない願いを呟いて、クスッと、笑って】

【普通のものーー人参だろうか】
【頭の中で靄の馬が人参をボリボリ音をたてて飲み込む姿が再生される】
【二本、三本……その妄想は正解かはわからないけど、馬が四本目の人参を口にした瞬間】

転移魔法?

【聞きなれない言葉に現実に戻ってくる】

わ、私のことも運んでもらうことができるのかしら!!

【鈴音の提案にぱぁっと晴れやかな顔に】
【家に帰るまで歩かないで住む、とか楽ができるとか、そういう気持ちじゃなくて】
【転移魔法という未体験の事に興味を示すかのようなそんな声色で】
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 19:47:05.18 ID:UXqZv9WE0
>>613

【スライムに手を払いのけられれば、素直につついたり触ったりは止めるだろう】
【妙な可愛げを感じていると言える】

「地域の一部ごと、追放!?」

【意外に過ぎる事実である】
【しかし、追放と言う事は、追放した存在が居る訳で】
【そいつはさらに、とんでもない力を持って居る事になるだろうが】

「そこまでは私も、あの子に詳しく聞かないと……」
「どうなんでしょうか?時空の話や亜空間、異世界って正直物語の中の話だけだと思ってましたから」 

【馴染が無いのも無理はない】
【そういう存在は、少なくとも彼女の近くには居なかったのだから】

「そう言えば具体的に、ここって何を研究してるんですか?」

【研究所と言うくらいだ、何かの開発や研究をする場所で】
【話しには来ていたが、来たのは初めてであり、興味深げに辺りを見渡したり、聞いたりする】 
616 :レグルス=バーナルド ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/24(火) 19:50:17.57 ID:FGIYbGHk0
>>612

がぁぁぁぁ…………――――!!

【更に、ヒールで抉られる腕の傷。もう悲鳴を噛み殺す余裕もない。折れた心は、ただ素直に痛みに泣き叫ぶ】
【そう――――折れたのだ。ソニアを取り戻す事に、自分は負けた。その敗北感が、力を失わせた】

――――――――っぐ……貴様…………
(――――混線した……なら、なら望みはあるんだ……間違いない、そこに望みは、残ってる……賭けねぇ、理由がねぇな……!)

【すっかりと、掌の上で踊らされた。そうして自分は這いつくばっている。レグルスの口元が震える】
【――――怒りと、悔しさと、痛みと――――そして、見上げる希望に】
【それを残滓と呼ぶのか、それとも眠りと呼ぶのか。そんな事はどうでも良い。ただそれは、標になるのだ】
【そこに向かって、駆けて行く事を考えれば良い――――叫んでしまった愛は、もう開き直ればよいのだ――――躊躇う理由はない】

――――思うなよ、これで終わりだってな……ッ!
過去の女じゃねぇって、お前はまだ分からねぇらしいな……! この痛み、忘れねぇぞ……そして、お前にも忘れられないほどに、刻み付けてやる……ッ!!
――――砕け散った愛はな、破片からでも蘇る――――その時に思い知れ、真実の愛を…………ッ!!

【今はもう、カチューシャ相手に何も出来ない。消耗しきった体で、それでもレグルスは宣言する】
【――――愛に生きるなど、自分のガラではないと思っていたが――――ソニアの無事が揺らぎ、それを突きつけられた】
【所詮、自分だって大切な誰かを得る事の出来る、無頼を気取った、ただの男だったのだと――――だが、それで構わない】
【蹂躙された痛みは忘れない、屈辱は忘れない――――カチューシャを見送るレグルスの瞳は、怒りに燃えていた】

【――――どん底に落ちたのなら、後は這い上がれば良い。そうやってこの人生、生きてきたのだから】
【表情が冴えていく――――森の中、蹲るレグルスは、逆に力を取り戻し始めていたのだ――――】

/はい、ありがとうございましたー!
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 19:53:24.98 ID:6RsF+aY20
>>614

【――約束する。そういってくれた相手に少女は安堵して笑う、あんな場所は。きっと相手みたいな子は、知らなくっていい】
【いつかどうしても避けえぬ運命が知らせてしまうことがあったとして――それはなるだけ遠い方がいい。そして、なるだけ小さな小さな、瞬きよりかすかな波紋であれ】
【そう願う。引っ越してきたばかりだと言う相手の平穏無事を願うひとが多ければ多いほど。頼れる人物を見つければ見つけるほど。きっと、みんなが同じ風に願うから】
【あんな世界は知らなくっていい――みんなが知りながらも目を逸らしてきた暗黒に、踏み入る必要だなんて、ない。――ないのだから、と、心底、思う】

……そうなん、だ? クローディアちゃんは、その――弟さんのこと、苦手、なのかな。
わたしはね、会ったことないから。分からなくって。ひとりっこだからね、きょうだいっていいなあって、羨ましいなあって、思うの――。

…………あはは、わたしもね、クローディアちゃんみたいな妹がいたら、"いいな"って思うよ。

【うまく説明できないと言う相手に。説明されない以上理解できないながらもひどく複雑であるのだろうことだけは察する、なら、深く問い詰めはしないけど】
【ないものねだい。きっとお互いにそれをする、相手は一人っ子がいいとか、彼女はきょうだいが羨ましいとか、重ねてみせて――ただ相手が、そんなふうに】
【自分が姉だったらいいのに、なんて、言いだせば。ちょっと照れるような、恥ずかしいような、――少しだけ目を逸らす。本当に、少し、いいなあって思ってしまって】
【たとえば三時のおやつにつやつやぴかぴか宝石みたいないちごのタルトを食べたり――そういうの。楽しそうでいいなあって、思い浮かべて、はにかんでしまう】

えと――、――ご、めんね、あの、えっと。魔術で行くには、場所をよく知っていた方が、よくって……。
知らなくっても、聞いたイメージとかで行くことはできるけど――その。もしかしたらね、違うところに行っちゃうかも、しれないの。
そこが安全だったら、それでもいいかもしれないけど――、行ったことのない場所に行こうとはしないで、って、言われていて。

【――――だけど、その顔が。わぁと申し訳ないようになる、しゅんと目線を下げて――どうやら、行ったことのない場所には使わぬよう、釘を刺されているらしい】
【それが誰にか――は分からないのだけれど。とかく、相手の暮らす場所を少女は知らない。だから家まで送っていくというのは、徒歩で……という話になる、というのを】
【少し申し訳ないぼそぼそ声で言い訳する――ただ。それを聞く限り。たとえば相手が家ではない、少女の知っている場所を帰る前の"寄り道"だなんて風に、言い張ったなら】

【――だなんて、思えてしまいそうだった。それはもしかしたら"あり"かもしれないって、思わせて】
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 20:00:30.15 ID:dIqJZmdP0
>>615

「僕もアレの部下からの又聞きだから正確な情報は持ってないんだけれども……」
「まぁ、おそらく悪魔と対立する存在辺りの仕業だろうね」

「――世界は色々あるよ、僕が知ってるのもほんの僅かだと思う」
「けれども、時空間、異世界、平行世界……けしてフィクションだけの話じゃあない」
「それこそ、この世界だって別の世界線があったりするかもしれない。……僕は知らないけれどね」

【彼が来た世界では、おそらくその辺りの存在がそれなりに知られているのだろうか】
【その考え方がここでも通じるのかは彼にもわからない。全く違う何かで動いている可能性だってある】

「ここかい? そうだね、小規模だけれども……」
「例えば、機関が持ってる兵器の中に"哲学者の卵"っていう……力を得られる代わりに心の闇を増幅させる危険な物があるんだけれども」
「それを解除するための装置とかかな。……まだ開発中だけど」

「他にも、武具の作成とか、一時圧縮機能っていう持ち運びを便利にする機能を付与する技術とか」
「量産はちょっと難しいけれども、その辺りは確立してるね」
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 20:09:03.84 ID:UXqZv9WE0
>>618

「無限に広がってます……イメージは出来ないですが……」

【少なくとも選択肢の数だけ、それも全ての人の選択肢の数だけ、世界が広がっていても不思議はない】
【時間軸、別種の世界線、それらはえてして創作の中だけではない】
【しかし、いざその存在を目の前にしても、実感が薄いのは止む追えないのだろう】

「哲学者の卵……解除装置って、そんなの出来るんですか!?」

【それがあれば、あるいは哲学者の卵のメリットのみを享受する事も出来ると言うのだろうか】
【武器って、例えばどんなのですか?銃とか?】

【ごく一般的なイメージで聞く】
【あるいはどんな物が出てくるか、それは気になる所だ】
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 20:27:34.74 ID:dIqJZmdP0
>>619

「――前にそういう技術を開発した人がいるって噂は聞いたことがあるんだ」
「だから、できないわけじゃあ無いみたい。それで、僕たちの研究所でももしかしたら……ってね」

【サンプル不足も相まってだいぶ難航しているけれども。……】
【とはいえ、そちらの研究は正直本業ではない。その辺が原因でもある】

「武器、そうだね……あまり凝ったものはないけれど、――ちょっと待っててね」

【そして部屋から退出する彼。もしかしたら、外で話す声が少しだけ聞こえてくるかもしれない】
【"おーい、黒次郎ー! サンプルの魔銃ってどこに保管してたっけ"】
【"あっちの部屋にあっけど……急に言い出してどォーしたんだ?"】
【"ありがとう。……ちょっと見せようと思ってね"】

「例えばこういうのとかかな。魔力の弾を飛ばせる系の銃だね」
「これは無属性エネルギーだけど……例えば聖エネルギーを飛ばすようにすれば、邪悪な悪魔に効果抜群だよ」

【――そして数分後、持ってきたのは】
【非常にシンプルな銃だ、金属製に見える以外は水鉄砲的な構造である】
【がらっ、と、窓を開ければ外に向けて引き金を引く。すると、発せられるのは、魔力エネルギーの弾】
【おそらく属性は持っていないだろう、そしてある程度飛べば魔力は発散して消滅する】
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/24(火) 20:32:13.27 ID:4SK6jC11o
//>>599で再募集しますー
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 20:38:55.30 ID:L4PHVP/I0
>>617
弟は世話焼きが過ぎるの……本人は一生懸命なのだけど、放っておいて欲しい私からすればとっても迷惑だし、苦手なのだわ
結局喧嘩になってしまうの

【根本的な性格の違いなのだろう。対照的な双子はどうも馬が合わない】
【磁石のS極とN極のような、太陽と月のような、きっとそんな双子】
【常に頬を膨らませて弟について話をしていたが、鈴音が妹だとーーいいな、と言ってくれたなら】
【ふくれっ面が嘘のように晴れやかに、そして子供のような純粋な笑顔で「うん!」って頷いて】

……………わ、私とても恥ずかしいのだわ

【転移魔法ーー確かにそうだ、場所も伝えてなければそういえば住所だってまだちゃんと覚えていない】
【恥ずかしい思いはどんどん顔に現れて、白い肌が嘘のように真っ赤に染まる】
【両手で顔を覆ってーーよほど恥ずかしいのかなにやらブツブツと言い訳のように言葉を並べて】
【耳がよければ「申し訳ないのだわ」とか「私ってばとても卑しいの」くらいは聞こえてくるだろうか】
【やがて細い指の間から若葉の瞳を覗かせて】

そうよね。そうなの、そうなのだわ
私のお家、教えてないもの!
ここからはそんなに遠くないし、危ない道も通らないから一人で帰れるのだわ

【いつもよりずっと早口で駆け抜けるようにそう言って】
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 20:51:00.36 ID:6RsF+aY20
>>622

【対の双子。話を聞くに少女はそんな関係性を思い浮かべた、SとN、太陽と月、白と黒、陽と陰、ひどく対局で、だけれどどちらも必要なもの】
【どちらかがなくなってしまったら困るけど。どちらも大事なのだけど。だけれど決して相いれないものが時々世界には存在する、きっと彼女らは"それ"なのだろう】
【ならばふっと思うのだ。そんな彼女が、ここに居て――相手はきっと困っているのかなって。心配しているのかなって。だけど――それに触れるには、まだ、遠すぎる】

【互いの問題に触れ合うには、まだ他人すぎた。だから少女は少し曖昧な表情、少し困ったような、どこか微笑ましいような、そういう目をしてみせて】

えっと――その、ごめんね。わたしがもっと、魔術が上手だったら、よかったのに……、その術式もね。ほかの子に、書いてもらったもので――、
だから。わたしのものじゃないの。――言いつけを守らないとね、怒られちゃうの。だからね――ごめんね。

【――だけど。すぐにまた寂しげになる、申し訳なさに寂しさを混ぜ込んで練り上げたなら飴細工のように繊細な色合い、ぺきりっ、って、折れてしまいそうに】
【自分の書いた術式ではない――あくまで借り物の術式。ならばどうしたって原作者の意向は大事で優先しないといけない。怒られてしまうから――と、眉を下げ】
【これでひょいって彼女を連れていけたなら、恰好よかったのに。そうだったら、よかったのに――少し思いながらも】

……だけどね。魔術みたいに一瞬なんかじゃないけど――、やっぱり、送っていくよ。……だめ、かな。
危ない道だって思わなくたってね、夜はどこだって危ないの。安全な道だってね――夜ってだけで、ちょっとだけ、昼間よりも明るいんだよ。

【魔術みたいに一瞬で連れて行ってあげることはできない。だけど一緒に歩くのだって――きっと無意味。ではないと。思う、――思いたい】
【やっぱり送らせてもらえないかとお願いするのだ――恥ずかしげな相手はそんなの、余計に恥ずかしくって仕方ないかもしれないけど、それでも声は優しげで】
【あるいは――危ない道とか夜とかじゃなくって、もう少し、相手とお話してみたかったのかもしれない。遠い場所から来たのだろう相手の話は、なんだか、遠い世界のことみたい】
【公安。円卓。いろいろなこと、きっと関係がないから――、ひび割れそうな気持ちを繋ぐ平穏を求めていた。気づかないふりで、だけど、どこかで、気づきながら】

【ひとの善いような笑顔。多分本当に性質として善良なのだけど、だからって底から天まで全部がそうかと言えば、きっと、"違う"】
【どこかで仄暗い疲弊を、それこそヴェールのように纏っていた。ずうっと。――だけど。だからこそ。相手と居るのが楽しいみたいなあどけなさが、いっそう際立って】
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 20:52:26.56 ID:UXqZv9WE0
>>620

【幾言かの研究員との会話】
【その後に、魔銃と呼ばれたそれが持ち込まれて】

「これが、魔銃ですか?」

【少し訝し気な、それもその筈で作りと外観だけ見れば】
【金属製の水鉄砲に近い物を感じる】
【だが……】

「……ッ!!」
「凄い、本当に魔翌力弾だ!!」

【射出されたのは、魔翌力の弾で】
【それらが空中で消滅するまで、観察していた】

「海軍の軍艦の魔導砲みたい……鉄砲単位でできるなんて」

【魔翌力炉からの魔翌力を汲み上げて照射する魔導砲】
【理屈としては、似ているのだろうか?】
【そしてふと、ある事を思いついた】

「仮に、もし……魔翌力炉に近い状態の術者が居て」
「小型の、スナイパーライフル状の魔導砲とかって、出来たりするんですか?」
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 21:05:58.74 ID:dIqJZmdP0
>>624

「そう、……あまり見た目に凝ると予算や手間がかかるから、ちょっとシンプルになってるんだ」

「撃った魔力の制御とか威力に関しては持ち主にも幾らか依存するけれども」
「とりあえず、汎用的な武器っていったらこれだね。似たような技術を使った近接武器なんかもあるよ」

【ちなみに、この水が入ってそうな部分が撃ち出す魔力の種類に関わる――と、その部分を取り外して見せて】
【そして、続く彼女からの提案。――少しの間考え込んで】

「――すぐに、ってわけにはいかないと思うけれども」
「小型スナイパーライフル……銃器系なら、今持ってるこの銃の応用でできるかもしれない」
「魔導砲とは内部的な仕組みが異なる物になるとは思うけど、その辺りは勘弁してね」

【先程取り外した部分がもし手元にあればそれを戻して、無ければそのままで】
【彼がその銃を手の平に乗せれば、急激に小さくなっていって……およそ数cm程度まで縮む】
【――特に説明などはなかったが、これがもう1つ言っていた技術、一時圧縮機能の付与だろう】
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 21:21:09.76 ID:UXqZv9WE0
>>625

「やはり、本人の魔翌力や特性に寄るものなんですね」
「近接武器も?近接って事は刀とか?ですか」

【魔翌力武器に関しては、バリエーションが豊富らしい】
【そして、もう一つの話だったが】

「そうなんですね……」
「あのその武器、作って欲しいです」

【一瞬俯いたように、何かを考える様にしたが】
【やがて顔を上げて、そう言った】
【小型魔導砲内臓スナイパーライフル、小型とはいえ魔導砲だ魔翌力炉クラスの魔翌力が必要になるが、何処から調達する気だろうか?】

「圧縮機能!?それがあれば武器の携行も簡単ですね」
「どの大きさの武器も、小型化出来るんですか?例えば軍艦とかも?」
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 21:21:43.03 ID:L4PHVP/I0
>>623

鈴音さんが謝る必要ないのだわ、
私が早とちりしちゃっただけなの
書いてくれた方がダメというなら、それは絶対だめなのだわ
だから……

【謝る相手に、顔を覆っていた手を外してぱぱっと左右に、違うんだよーーという意味を込めた仕草】
【聞きなれない言葉にすぐに舞い上がってしまう自分の悪いクセだ】
【お姉さんのような相手に少し、甘えすぎたのかもしれないーーしれないのだけれど】
【それでも送ってくれると彼女が言うのであれば、まだまだ他人なのだけれどほんの少し甘え上手な妹のように】

鈴音さんがそういってくれるのなら、お願いするのだわ
一瞬で飛べるのもいいのだけれど、きっと鈴音さんとお話ししながら帰る方が楽しいのだわ!

【こっちなの、と家の方角を指差して】
【これ以上、ここに留まる理由がなければやがて歩き出すのだろうーーさして遠くない、家を目指しながら】
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 21:29:07.27 ID:6RsF+aY20
>>627

【少女はどうやらあんまり気の強い方ではないらしかった。というよりも物怖じすると言うのだろうか、どうにも、こうにも、どこか弱くて】
【そのくせ気が強いときはうんと強いから。――というよりも、わりと頑固で意固地になる性質だから。相手が早々に折れてくれたなら――どちらが年上やら】

なら――うん。わたしがきちんとお家まで送るね、怖いひとだなんて。近づけさせないの、怖い思いなんて、ちっともさせないし――。
……大丈夫だよ、うんと大きな船に乗った気持ちでいて! ――――――。

【ぱぁあと表情が華やいで。ちょっと嬉しそうだった、上手に甘えてくれた相手のやりように甘えて、またお姉さんぶる】
【こっちなのと言って指さしたなら――じゃあ行こうかと、歩き出す。さっき相手を置き去りにするように歩いたのに比べて、幾分もゆっくりと、楽しむように】

――――クローディアちゃんは。いつ頃にこっちに来たの? もう慣れたかな……、このあたり、て、暮らしたことはないけど。
どう、楽しい? お仕事とかはしているの? それとも、仕送りとか……もらっているのかな、わたしね、よく分からないんだけど――。

【――それで。ふっと尋ねる、この辺りはどうだって、楽しいことはあったかって――、相手がどんな風にして暮らしているのかは、知らないけれど】
【楽しいって思えるような暮らしならいいなあって思うのだ。――相手の暮らしはひどく平穏なものであってほしいと願う、――そんな、わがまま】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 21:35:46.42 ID:dIqJZmdP0
>>626

「刀とか、棒とか、まぁ同じ素材で刃とかを作れば良いから、色々あるね……僕は短槍をよく持ち歩いているよ」

【その言葉の通り、ポケットから取り出されるのは数cm程の槍】
【そしてそれは急激に大きくなり、長さ50cm程の槍にへと変化した】
【わかりやすさの為だろう、彼の手が赤い鱗と黒い爪でできた龍のものにへと変われば】
【その槍先に宿るは、炎属性の魔力。持ち手から流し込んだらしく、近づくとほんのり温かい】

「――うん、わかった。そうだね、ちなみに魔導砲ってどれ位の威力とか量とかあるのかな」
「場合によっては、……クソ上司の世界から色々と盗ってこないとね」

「さすがに軍艦は厳しいかなぁ、大剣サイズまでなら何とか頑張って実現したことはあるけれど」
「まぁ、とりあえず、元の体積や面積が小さければ小さいほど小型化は容易だね」
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 21:50:11.09 ID:L4PHVP/I0
>>628
鈴音さんの船!
きっと桜色の船で、桜の花びらが浮かぶ水面をすいすい進むのだわ!

【大きな船に乗ったつもりでーーの、捉え方がちょっとおかしいのだが、本人は至って大真面目で】
【でも一人で家路につくよりも、こうやってとなりに並んでくれる人がいるのはとても心強くて楽しかった】
【相手の口振りからすると。もしかしたらこの可愛らしい少女はとても強いのかもしれないと。もちろん、深入りして聞くつもりはないのだけれど】
【そんな気がするから、余計に頼り甲斐を感じてしまう】

ほんと、本当につい最近なの
歩いていたらね、辿り着いてしまって
途方に暮れていたのだけれど、たくさんの人に助けてもらって今はBARでお皿を一生懸命洗っているわ!
あわあわするやつをスポンジにつけてこするの
簡単そうに見えるけど、石鹸でツルツルして大変なの。手から逃げちゃうのよ、お皿が!

【皿洗いをやったことがなかったのだろうか。誰でもできるような仕事をそんな風に丁寧に説明して】
【まだ慣れを感じるほどもいないのだろう。しかし身振り手振りで楽しそうに話す姿からは、それなりの生活は送れてそうだ】

仕送りとかもしてもらっていないの、完全に一人で頑張っているのだわ!
まだ、できないことは多いけど……
ねえ、鈴音さんは料理得意?

【それが偉いことをしているかのように、えっへんと胸を張って】
【そして思い出したかのようにぽん、と手を軽く合わせれば、料理は得意かと相手に問うのだった】
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 21:54:36.70 ID:UXqZv9WE0
>>629

「素材、やっぱり素材に秘密があるんですか?」
「凄い、これって炎の魔翌力の?」

【目にしてのは、短槍だった】
【翔子自身は、かの有名な赤や青や緑に光って、振るたびにブォンとなるアレを想像していたが、どうやら見当違いだった様だ】
【ユウトのその鎗は、今は間違いなく炎の属性であった】

「うーん、戦艦と小型艦のとでは全然違いますが、魔翌力のビーム砲って言えば伝わりますかね?」
「うん、魔翌力を直接照射するビーム武器、ですね」
「威力は、大和級の戦艦の主砲なら、街一つは壊滅的なダメージを与える攻撃が出来ますね」
「量って砲の量ですか?それなら、多分実装されている物で、大体300位ですかね」
「最も、スナイパーラフル位ですから、威力的には参考にはならないと思いますが……」

【現状海軍の軍艦が使っている魔導砲の、大体の概要を伝えた】
【個人携行の武器と、軍艦の搭載兵器ではあまり参考にならないかもしれないが】

「なるほど、やっぱり軍艦クラスは無理なんですね」
「大剣と、小銃とか歩兵銃とかのサイズでしたら可能なんですか?」
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/24(火) 21:56:00.85 ID:6ovvauy50
>>551

フ……なに、私の愛もまた君のそれと変わらんよ。
私が愛するものは国ではあるが、その構造ではない
その山河、そしてなによりその国民だ。私は水の国の人々が好きなんだよ。

それは結局、誰かを愛することと変わらない。
ただ少し多情なだけでね。……しかし、君は面白い例えをするな
人殺しがナイフを使ったとしてもナイフを恨む者は居ない、か……。

【「能力者もか?」と、自嘲するように笑いながら相槌を打つ】
【駅はほど近い――しっかりとした足回りのこの車は、既に郊外に入っていた】
【先程までの異形狩りが嘘のような日常が、そこには広がっている】
【端末を弄りながら歩く若者、スーツ姿の男女、子連れの夫婦】
【それを横目に眺めながら信号で停止して、背の低い建物の奥に見える駅を見据え】

……水の国に生き、そして守る者として
能力者が恨まれるというのは実に耳の痛い話だ。なにせ、事実だからな。
まあ……それは君に話した所で、どうにかなるものでもないんだが

……そろそろ駅だな。列車の旅は少々気も緩まりそうなものだが、気をつけろよ?
早速、水の国で能力者によるテロがあったようだ…――カチューシャ、という機関員らしいが。

【停止中の手慰みに弄ったラジオ。そこから伝わってくるのはテロのニュース】
【国会前で銃撃があったとか――やれやれだな、と溜息をつきながら】
【信号が青に変わるとブレーキを離し、アクセルを踏む。駅は、もうすぐの距離だった】
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 22:09:24.53 ID:6RsF+aY20
>>630

――――ふふ、屋形船みたい。乗ったことはね、ないんだよ、ないんだけど――テレビでね、見たことがあるの。
櫻の国のお船で――、それこそ、桜の木がいっぱい植えられた川を、上ったり、下ったり――いつか乗ってみたいなって、思って。

【相手の言葉に――少女はふっと思いついたような単語を一つ漏らす。相手はそれをもしかしたら知らないかもしれないけれど、心配は必要ない】
【だって彼女もよく知らないのだ。テレビで見たのだと言って――櫻の国の映像として見たことがある、桜の木が両岸にたくさん植えられた、大きな川を】
【なんだか平べったいちょっと不思議な形の船で、みんなでお酒とか飲んだりしながら――上ったり下ったりってひどく雑だったけど、それに大した意味はきっとないし】
【そういうことをするのがきっと楽しいのだろう――と、そこまでを思い浮かべて。そんな風かなってちょっと笑うのだ】

……歩いて、いたら? えっと、それって……、――別の世界から来てしまった、って言う、みたい。クローディアちゃんは、この世界のひと?
たまにね――居るんだよ。違う世界から来てしまうひと。クローディアちゃんは――、

【――はた、と、表情が変わる。ぱちりとした目は少し驚いたように。相手の言葉に反応してみせて、足取りも、また、一瞬止まる】
【それから思い出したようにまた歩き出して――しかし同時に尋ねるのだ。相手はこの世界のひとかって、――普通であれば、正気を疑われかねない言葉だが】
【この世界においてはわりとありがちな……というわけではないが、ありうる問いかけだった。そしてそれがすぐに思い浮かぶほど、"ある"ことなのか】
【それとも――また別の異世界の人間を知っているのかもしれない。あまり重大な様子ではなく、尋ねる。――違う。些細なことであるようなふりして、尋ねて】

そっか――ならよかった。お仕事があるのなら。だけど――もし何か怖いこととかあったら。いつだって言ってね、相談くらいなら、きっと乗れるの。
わたしもね、そういうお店でお仕事しているから……、商売敵、かな? お客さん。取られないようにしないと、こんなにかわいい娘(こ)が居たらね、負けちゃう――。

――ほんとに! うんと元気に逃げていこうってするの、床に落ちたら割れちゃうんだからね、もっと大人しくしたらいいのに。

【だけれど相手が路頭に迷っているわけでないと聞けば、安堵するのだ。ただそのうえで、やっぱり、何か怖いことがあったりしたなら、言ってくれって】
【あまり深刻すぎない声ではあったが――あまりこの辺りに詳しくないらしい、相手。まして、今となっては、もしかしたら異世界の人間かもしれない、ともなれば】
【目は真剣そうに相手を見やる。怖いことがあったら――自分を頼って来いって、やはり、年上みたいに振る舞って。そのくせ、皿洗いについては、急にあどけなく笑う】

お料理は――、シェフ、みたいにすごくはないけど。……好きだよ、作るのも、食べるのもね、好きなの。みんなに作るのも――。

【相手の得意げな様子に、どこか眩しいものを見るみたいに目を細める。それで答える――得意かどうかはさておいて、とっても、好きだと】
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 22:11:44.54 ID:dIqJZmdP0
>>631

「うん、魔力を蓄えて、それで使い切らなければ周りのエネルギーから合成してくれるっていう便利な金属系の物質を使っているんだ」
「材料や作り方は企業秘密だけどね――そう、これは炎の魔力。無人島漂流時には役立つと思うよ」

【そして左手が白色の手にへと変われば、その槍先を掴んで……すると、魔力は砕けて消滅】
【保管のためだろう、その槍は再び数cm程の大きさにへと縮んで、そしてポケットに戻された】

「大丈夫、ビームね。」
「――街1つ、それは高威力だ。せっかくだから特区の1つや2つでも吹っ飛ばそう」
「おっと、脱線したね。……とりあえず、高威力のビーム兵器って思えば大丈夫な感じかな」

【後でクソ上司の世界に行ってこよう、そんな呟きを1つ】
【さすがに戦艦クラスの威力を出すのは無理だろうが、それを考慮せずともビームとなると弾より魔力を多く消費するはずだ】
【その辺りの対策(と、嫌がらせ)の為にも、新たな素材を少し探してみることにしたらしい】

「そのくらいの大きさなら大丈夫だよ。やっぱり量産は難しいけれども」
「複雑な構造だと少し時間取られるかも、ってくらいだね」
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 22:20:48.39 ID:UXqZv9WE0
>>634

「凄いですね、周囲からの魔翌力吸収、まるで能力みたいです」

【それそのものが能力の様な、そんな物質だ】
【企業秘密と言うが、それはそうだろう】
【魔導海軍でも、そんな物があるならこぞって欲しがる代物だ】

「特区ですか!?ええ、まあ、そう出来れば、それに越したことはないですけどね」

【その本気とも冗談とも思えない言葉に、クスリと笑ってしまう】

「ええ、でもスナイパーライフルの個人携行品ですから、そこまで高威力には出来ないと思いますが」
「ただ、魔翌力は多分私の回路に繋げられる様にしてくれたら、十分に使えると思います」
「あの人の話だと……魔翌力が溢れ出すって言ってましたし」

【最後の方は、聞き取れるか微妙な声で言った】

「本当ですか!?」
「その、お願いします!!」

【そうお辞儀して頼んだ】
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 22:25:39.63 ID:z917wav4o
>>632
【国を愛するという意味を聞いて、男は笑った。けなすような意味じゃないくて】
【もっと明るい。子供のような自由さで】

なら、俺は少し言い換えるとしよう。「この世界のすべてを愛してる」。
クソッタレの世界をな。…いつか、愛したい。

【結局根無し草の探偵だから、言うこともそんなもんだということだろう】
【軽薄な言葉を吐いて、それもまた煙草の煙と同じぐらいすぐに消えるぐらい軽い】

あんたの愛が、国に届くように祈ってるよ。
ナイフなら、な。そんなものを恨むのは馬鹿げてると誰でも気づく。

【探偵は市街地の人波を見ながら、頭の中で時刻表を思い描いてみたが一つもわからなかった】
【探偵はスマートフォンは持っていない。】
【メールと電話のみの携帯しか無いから、この時間の列車は気になったが、まあどうにかなるかと】
【いつものように、すぐに心配は吸い殻と一緒に灰皿に押し込んだ】

さあな…だが、俺は探偵だ。失せ物探しは専門でね。…例えば、自由と尊厳とか
…真実とかも探し出すさ。

三等なら狭くてうるさくて気が休まらないし、特等なら明日からの生活が心配でおちおち寝られやしないと思うね。

【すでに耳馴染みもあるだろう、探偵の軽薄な少し気取った言い回しを最後に、彼は降りる準備をしたが】

―――カチューシャ…?
ハッ…オーラィ。そいつは単なる、テロじゃない。カメラもマイクも揃ったフィルムさ。…あいつも、踊らされてる。

【確実に探偵の顔色は変わった。セリフはいかにも気取っている。だが、彼は知っている。】
【それは軍人としての経験か直感でわかるのではないだろうか】

【それだけ言い残して彼は降りようとする。「ガソリン代くらいの税金は払ったさ」なんて言い残して―――】
【このジープを取調室に変えるなら、ドアロックのボタン一つで済むことだ】
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 22:35:21.44 ID:dIqJZmdP0
>>635

「――ふふ、まぁ実際に今やったら大顰蹙だろうけれどね」
「そういえば、特区と言えば……何か情報とかあったりするかい?」
「前……厳島や邪禍と一緒の時に聞き忘れちゃったからね」
「僕は本当にホームページにあるような情報しか持ってなくてさ。……今度、向かう機会もあるかもしれないしね」

【それこそ特区は悪だと認識されようが、街1つに壊滅的なダメージを与えれば】
【世間の反応がどうなるか、何となく彼も想像が付いているのだろう。……だが、おそらく半分は本気だ】

「なるほど、君の回路……まぁ、君が持つ魔力を直接エネルギー源として利用すると」
「人体接続はやったことないなぁ、でも何となくその辺りは理解できるから、うん、職員と一緒に頑張ってみるね」

「あ、でもその場合、使いすぎると命に関わるかも知れないから気をつけて」
「魔力エネルギーの代わりに別の……例えば生命エネルギーなんかが吸われるかもしれない。……一応、その対策も考えておくけれども」

【――この時、彼の顔に少し疑問の表情が浮かぶ】
【彼女をエネルギータンクとして利用するのは良いが、そこまで多量の魔力を持っているようには感じられないのだ】
【人間形態ならばかなり隠せている邪禍の例があるため、彼女もその類なのだろうか、なんて思ったり】

「ありがとう、……物を持ってきてくれたら、新兵器開発と並行して作業するよ」
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 22:44:52.84 ID:UXqZv9WE0
>>637

「私の把握している情報でよければ……」
「中尉なら、もっと詳しい情報を持ってると思うんですが」

【特区内にて行われる、非人道的な注射と能力、戦闘抑制】
【その話を出来る限り、知る限り話した】
【そして、その薬の奪取作戦を企てて居る事も】

「その辺は大丈夫だと思います!」
「その話だと、私、一日一回は定期的に何らかの魔翌力を使って、体内の魔翌力を減らさないといけないみたいなんで……」

【まるで、自分自身が小型魔翌力炉とでも言うような話だが】
【肝心な部分は話さない】

「解りました!物は、魔導砲の図面でもいいですか?」

【魔導砲その物は、流石に持っては来れないが】
【魔導砲図面であるならば、持って来ることは可能だ】
【最も、これでも機密保持には十分違反している】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 22:50:30.11 ID:L4PHVP/I0
undefined
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 22:52:35.97 ID:L4PHVP/I0
>>633
まあ、そんな楽しげな船なんてあるのね!素敵だわ
私も、船は絵本でしか見たことがないのだけれど、大きな帆をはって、髭を生やした男の人が乗っててーー
……そうだわ、テレビを買うのだわ!

【桜並木の間を進む船を想像すれば、相手と同じようにちょっと笑って】
【対して自分が見たことのあるーー絵本の中の船には海賊が乗っていて。どんちゃん騒ぎでそれはそれで楽しそうと思った記憶がある】
【ふと、鈴音の言葉の中に「テレビ」という単語を捕まえれば、今度買おうと一人で意気込むのだった】

た、たぶんそうだと思うの
水の国も櫻の国もーー私の知っている国名じゃなかったのだわ
たしかに、出ていってやるー!って感じで家から飛び出したのだけれど、ちょっと想定外だったの

【どうやら家出で迷い込んでしまったらしい】
【普通ならとんでもなく慌てそうなところ、その口ぶりはあっさりと、言葉の最後に笑みを浮かべるくらいには余裕が感じられ】
【相手が一瞬止まればこちらも止まり、歩き出せば同じようにーー】
【開き直っているのか切り替えがうんと早いのか、メンタル面は心配なさそうだ】

かわいくないのだわ!わ、私なんかを目的にお客さんなんて来てくれないのだわ!
まだ上手に接客できなくて、おじさま方のお話にうんうんって、頷いてるだけなの
おじさまよりお皿の相手の方が今のところ、得意なの

【かわいいだなんて言われれば顔を真っ赤にして勢いよく否定するーーたぶん、そういう褒め言葉に慣れていないのだろう】
【お皿洗いの説明がどうやらうまく伝わって、相手がそれにのってくれればさらに楽しそうに「薄いコップは怖い」とか「まだ割ったことはない」とか楽しげに付け足すのだろう】

/2つに分けます
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 22:53:17.45 ID:L4PHVP/I0
>>633

ーー給仕さんっていってたわね、鈴音さん!
みんなに……いろんな方に料理を振舞っているのね!私もーーううん、なんでもないの
凄いのだわ、私は昨日キャベツとレタスを炒めたら焦げたのだわ

【今度は先輩に向けるような憧れを含んだ視線ーーこの人は何でも出来るんじゃないか、なんて思い始めて】
【「私も鈴音さんが作ってくれた料理が食べて見たい」そう、言いかけたのだけど】
【なにせ好き嫌いが多い故、もし作ってもらった料理が食べれなくて悲しませたら……考えただけで震えがくる。好き嫌いは多いけど残すのも好きではない】
【それならば、と。願望を言いかけた口を閉じ、代わりに失敗談をーーキャベツとレタスを炒める料理とは一体……】

【確実に近づいてくる自宅】
【この時間を無駄にしないようにと、たくさん、たくさん話を聴いて。聴かせてもらって】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 23:04:41.40 ID:dIqJZmdP0
>>638

「――なるほど、ありがとう。彼からは今度会った時に聞いてみるね」

「力を振るうことを許さないかぁ、……僕の知り合いの戦闘狂に打たれたら酷いことになりそうだ」
「その薬が全ての生物に対して効果があるって言うなら話は別だけれども」
「うん、異世界の存在が現れたらそれでも終わりだもんね。打つなら悪者限定だよ」

【食い逃げと窃盗と暴力沙汰の常習犯な緑髪のアホだし、周りとしては助かりそうだなぁ。――なんて呟き】
【その特区の恐ろしさの片鱗、彼は全否定はしなかった。むしろ、有効活用しようとまで考えていて】
【けれども、……他にももっと多くの闇が潜んでいるに違いない、それを暴けば黒幕側の思惑が見えてくるのだろうか】

「なるほど、だったらむしろ都合が良いかも知れないね」
「――でも、本当に、魔力が無くなった気がしたらすぐに使うのを止めるんだよ」
「まだ作っていないから推測での話になっちゃうけれどね」

「魔導砲の図面、うん、あると助かるかも」
「一時圧縮機能の付与には活かせないけれども、ライフルの開発の時に使えるかも知れない」
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/24(火) 23:18:16.55 ID:6RsF+aY20
>>640

――――お母さんがね、言っていたの。桜の花はね、いっつも楽しそうなひとに囲まれている、お花なんだって。

【相手が意気込むのを聞いている。少し微笑ましいような笑みを口元に湛えて、――それで、ふっと、昔のことを思い出す】
【呟いた鈴の音は独り言にひどく似ていた。――小さいころにうんと大事にしていたぬいぐるみの頭を優しく撫でてやる指先みたいな声音、柔らかで、穏やかで】
【きっと相手にはまだイメージがつかないのかもしれない。でも――また桜花の綻ぶ季節になったなら。今度こそ、満開の桜を、本物の桜を眺めて】
【その時に――きっと伝わってほしいと思った。少しの願望を未来に託す。それも勝手に託してしまう。――にこりと笑って、勝手に一人で、悪戯っぽい】

そう……、

【――そんな少女の顔が、少し険しくなる。異世界の人間。相手はどうやら、あんまり、気にしていないようだけれど】
【それとも相手の態度に甘えて、黙っておくべきか。――――異世界人が元の世界に戻れたという話を、少女は、そういくつも聞いたことがない】
【その中で確かに例外のような紫色の翼を見たことはあるけれど――ありふれた異世界人としては。まあ。八年経っても戻れていない――というのが、ありふれた現実だろう】

【刹那の険しい顔は、だけど、すぐにごまかす。――今穏やかで楽しい時間を壊したくない。そのわがままのために、今、少し、黙っている】
【というよりも――うまく伝えてあげられる自信が、なかったのだ。……という言い訳かもしれない。相手にはどうやら家もあって、仕事もあって、――ならば】
【家も身寄りも金も持たずに過ごしていたいつかの自分より、ましに暮らしているだろう。それを気持ちの縁にする、――】

……酔っ払いのおじさんの言うことだなんてね、適当でいいの、そうなんだぁってね、びっくりした顔して――すごーいってね、褒めちゃうの。
どうせね、明日になったら覚えてないよ。――――ふふ、そのうちね、おじさんも、お皿も……慣れるよ。大丈夫。
それにね、よっぽど変なおじさんとか来たらね、偉いひとに丸投げしちゃって、いいんだよ。偉いひとはね、そのために居るんだから――。

【――あんまりよくないひとだった。適当でいいよって、そうなんだーと、すごーいと、それが魔法の言葉だって教えちゃって】
【最終的にそれでなんかヤバくなったりしたら責任者にバトンタッチでしらばっくれちゃえなんて、適当が過ぎる。――だけど、】
【お仕事にもすぐ慣れるよって言うときの声がひどく柔らかいから、それが変に違和感で。――わりに適当なひとなのかもしれなかった、ころころって、気分が変わる】
【あるいはからかっているみたいに――】

…………風の国のね、UNITED TRIGGER。それがわたしのお仕事している場所だよ、いつでもきていいの、ご飯だけでも、大歓迎だし。
……キャベツとレタス? ――野菜炒めかな、あれはね、結構難しいんだよ。だから……、もう少し、簡単なものから。
スープとか、お魚とかお肉を煮るのとか……。えいって準備したらね、少しくらい放っておいても大丈夫なやつのほうが――、

【くすりと何か感情を含んだ笑顔。それで教えるのは自分の勤めている先だ、――本来酒場なのだけど、食事だけというのも、全然いいよって】
【ならば――相手の言葉をどこか気づいてしまったみたいに。キャベツとレタスを炒めたというのには――野菜炒めかな、なんて、順応が早いのか、ざっくりしてるのか】
【あれは以外と難しいから――だなんてころころ笑う、「わたしもたまに失敗するの」――そんな風に言って。代わりに勧めるのはスープとか、煮物とか、なぜなら】

【鍋に色々入れて火に入れて放置して置いたらだいたい食べられるものが出来上がるから――――とか、ちょっと、思い浮かべるほど"かっこうよく"ないこと、言いだして】
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/24(火) 23:19:20.44 ID:UXqZv9WE0
>>642

「……え?」

【一瞬耳を疑った】
【喰い逃げと窃盗の常習犯で、緑髪の戦闘狂?】
【もしかしなくても、そんな人間は一人しかいないのでは?】

「それって、もしかして、へケメトさん?」

【恐る恐る確認する】
【まさかと思うが、知り合い何てことは、と】

「解りました、十分気を付けます」
「図面は、後日こちらに持ってきます、それで、そのお金は?」

【研究開発だ、資金はそれもかなりの額がもちろん掛かるだろう】
【必要があれば、何でもしてでも、資金調達しようとはするだろうが】 
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/24(火) 23:44:23.57 ID:L4PHVP/I0
>>643
……素敵なお花なのね、桜って
でもみんなが笑顔になる理由もわかる気がするわ
きっと私も笑顔になるの

【鈴の音の独り言にそっと、寄り添うように】
【また来年、今度は満開の桜を見に来るのもいいかもしれない】
【ーーそのとき、となりに並ぶ彼女を誘ってみるのもいいかもしれない】
【でも誘うのは今じゃなくって。もうちょっと、約束として確かな時期になってから】
【こんなことを考えていたからか、相手の険しくなった顔に気づかないままーー】

まあ、そんな感じで対応してよいのね、あの方たち!
難しいお話ばかりでたまに困っていたから。
次の日忘れてしまうのなら、問題ないわね!
困った人はマスターに相談するわ
……お姉さまならうまく解決してくれそうな気がする……

【先輩からのアドバイス。全てを吸収するようにしっかり聴いてのみこんで】
【困った客はバトンタッチーーなるほど、と一瞬脳内シミュレーション】

ええ、必ず行くわ!鈴音さんのお店に!
風の国もそういえば行った事ないのだわ
その時は案内して欲しいの!

あぁ、なんだ……あの料理難しかったのね
今度は鈴音さんが言う通り、煮るやつを試してみるの
鶏肉とかなら食べれるし……

【また、お姉ちゃんに甘える妹のような声色で】
【相手の仕事場に行って、そして仕事が終わったら観光してみたい】
【そううまく行くとは思えないスケジュールだけどーー】

【そして驚いたと同時に安心感がーー野菜を炒めるのは難しい!】
【初心者が背伸びしすぎたのだわ、と呟いてーー明日にでも煮物に挑戦することだろう】

ーーありがとう鈴音さん
ここら辺で大丈夫なの、ほらあそこがお家なの
……今度は、風の国に遊びに行くのだわ!絶対なの

【歩みを止めて、指差して】
【ひとつだけ明かりがついていない部屋をーー自分の部屋を指差して】
【ちょっと名残惜しいけどお別れーー相手だって働いているのだもの、長くは引き止められないから】
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/24(火) 23:44:49.21 ID:dIqJZmdP0
>>644

「……あれ? 冗談抜きで?」
「ゴリマッチョな男であるヘケメトと、多分彼といつも一緒に行動するアウ・ダァコルって杖を持ったローブの女性もいたと思うんだけれども……合ってるよね?」

【きょとんとした表情。――まさか、こんな場面で知り合いが関わっているなんで露にも思わなかったらしく】
【本当にそうなのか、もしかしたら他人の空似の可能性だってある。そう思い、念の為に確認を行う】
【追加で出された情報、おそらく彼女が知っている存在と大体同じだろうか】

「了解したよ。――お金は、そうだね」
「邪禍からせびろうかな。……ふふふ、アイツの金庫、札束たくさんあったからねぇ……」

「さて……その辺りは、実際に開発してみてどのくらいかかったかにもよるから、請求は後になるけれども」
「そうだね、とりあえず想定だとこのくらいかかる……気がするかな。0が増えるとしても1つで、7桁目は前半程度に収めるよ」

【近くにあったメモ用紙とペンで何かを書き始める彼。】
【正式な資料ではないが、使用素材や工数等の見積もりが簡潔に書かれているらしく】
【大体今のところは6桁前半〜半ば程度の金額を提示してくるだろう】

【――この金額、邪禍からせびる分が勝手に引かれているのか、それとも本当に元値なのか。それは不明だ】
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 00:00:12.68 ID:AuT0zVqw0
>>645

――――うん。とっても。わたしはね、一番好きだよ。どんな花より――。

【――寄り添うような相手に声に、微睡むように穏やかな声が、返る。どこか夢を見るような声、きっと、その脳裏では美しい桜花が咲き誇っている】
【だから。いつか相手にも見てほしかった。そうして――きれいだと思ってほしかった。贋物の桜じゃなくって。美しい、本物の桜を】

……よっぱらってるからね、覚えてないの。覚えてたとしても、よっぽど失礼じゃなかったら――きっと、わざわざ怒らないし。
マスターのひとも。クローディアちゃんのこと傷つけるようなひと、ぽいってつまんで追い出しちゃうから。きっと、だけど――、
怖いって思ったりしたら、すぐに言うんだよ。――お姉さまって呼ぶの? ……セリーナみたいだね、初対面なのに、お姉ちゃんって呼べって……。

【すごい雑だった。それでも相手を案ずる声音は本物、"それ"をしてくれない店主だなんて店主でもなんでもないって言い切るみたいに、きちっ、と言い切って】
【従業員があの客怖いと訴えて無視するひとなんていうのは絶対駄目だってきっと思っている。それをしてくれるのが本当に偉いひとだからね、って、言い聞かすよう】
【――だけど次にはまた少し表情が変わっている。懐かしいことを思い出したのだ、――あれは、もう、結構前のことになるなあって、思い浮かべ】

――――うん。そのときは――どうかなぁ、暇なときだったらね。約束。……忙しいときだったらね、手伝ってもらっちゃうかも。
……そうだよ、とーってもね、難しいの。ぼうっとしてたらお野菜がくちゃくちゃになっちゃうし……、わたしだって失敗するの。
思ってたのと違うなぁって思いながら食べたりするんだよ、……最初は簡単なやつからで大丈夫。いろいろなことはね、もっと後からでも大丈夫なの。

お店でお仕事するなら、その時に教えてもらったりもできると思うし――、

【お店に来てくれると彼女が言えば、嬉しそうだった。それでも――案内してというのには、どうかなぁ、なんて、すこしからかうように】
【お店が暇だったら案内するけど、お店が忙しかったら、手伝ってもらう。ひどく冗談めかして――続く言葉は、ゆっくりでも大丈夫だし、なんて、気楽な一言】
【なんだかポジティブなクローディアを見ていると――気づいたらうんといろいろなことを上手にできるようになっていそうだって、ちょっぴり、羨ましい】

――ふふ、約束、ね。だけどもっといろいろなことが落ち着いてからでも大丈夫だよ、UTは逃げないし――、お料理だって逃げないの。

【急に世界に来てしまったなら、ためらうことも、覚えることも多いだろう。そういう意味での"いろいろなこと"――あるいは、この世界丸ごとの情勢も含めて】
【だけどそれはきっと相手には伝わらない。この世界で生まれ育った多くの一般人にも、通じていないのだから。――相手のことを巻き込みたくない。だけど、お話していたい】
【そういう複雑なのをぐっと呑み込んで――、「じゃあ、風邪とか、引かないように」――最後にはお姉さんぶって忠告する。敷地の中までは入らないから、本当に、ここでお別れ】
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/25(水) 00:02:18.80 ID:kq+GPzF10
>>646

「はい、その合ってます、その二人です……」
「何処で知り合たんですか?」

【奇妙過ぎる事もあったものだ、と】
【まさか知り合いとは】
【何処で知り合ったのだろう?】

「邪禍さんから!?」

【何故か無関係な筈の邪禍からせしめると言う】
【そして……】

「え、ええーっと」
「こんなに安くていいんですか?」

【もっと跳ね上がると思っていたが、この金額ならば自分の今までの給料、賞与の積立から何とか出せそうだ】
【自分自身の浪費壁の無さに、今更ありがたみを感じると共に】
【恐らくは、邪禍からせびる分を引いた金額なのだろうが】
【恐らくそちらはこの数倍以上だろうあるいは十倍かもしれない】
【邪禍に心の中で無言でお礼を言い】
【そして】

「では、それでお願いします」
「急がなくても大丈夫ですよ、使えるのは、実験の後になりますから……」

【そう言った】
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/25(水) 00:11:25.97 ID:E7Z6QB3/0
>>648

「彼らとは……そうだね、本当にその辺の道端で……ヘケメトが街の人々に喧嘩を売っているところに会ったのが最初かな。戦闘になったよ」
「世界線や時間軸はどうだか知らないけれども、……同じ世界から来ているってことがわかったから、それ以降はそこそこの距離で接している」
「といっても、彼ら携帯電話も住所もないからたまに偶然会う程度なんだけれども……」

「後はそうだね、たまーに研究所に遊びに来ることもあるんだ」
「元の世界の空気も時々恋しくなるのかもね、ここに来れば少しは味わえるから」
「……そうか、被害者は彼か。今頃ボロボロになってそうだなぁ、良くも悪くも馬鹿だからね」

【――友人ではなく知り合いと表現したのは、たまに偶然会ったり研究所に遊びに来ることもある程度の距離感だかららしい】
【そして今の今まで状況を把握していなかったということは、薬を打たれた後にここへ来たことがなかった、そして偶然会うこともなかったということだろう】


「うん、――そっちが使える予算だって制限があるだろうし、」
「それに、僕たちの研究所は能力的な技術が多いから、案外お金がかからないんだ。その代わりが量産不可ってところだけども」
「後はまあ、……ふふふ」

【どこかにいた悪魔に悪寒が迸る。……直感だが、金庫や素材倉庫の鍵をしっかり締めなくては行けない気がした】

「わかった、でもなるべく早めに――ん? 実験? 使えるのはその後……」
「……ねぇ、一体なんの実験の話なのかな。人のことはあんまり言えないけどさ」
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 00:23:09.92 ID:2Ck/CUrU0
>>647
ぽいっ、てする姿が簡単に想像できるのだわ
ーーううん、私が勝手にそう呼んでいるだけなの。いつもはちゃんとお名前だったり、店長って呼んだり……
とても頼り甲斐があるいい方なの、お姉さま

【けして強制されているわけではないの、と首を振って】
【いろいろ助けてもらったからーー尊敬の意とか、そういうのを諸々詰め込んだゆえのお姉さま】

はっーー
お手伝いもいいかもしれないわ!!ナイスアイディアなの!
きっと、次にあうときはもうちょっといろいろできるようになっているのだわ
鈴音さんの役に立ってみせるのだわ!

【観光もいいのだけれどーー相手は冗談で言ったのかもしれないが、それにはとても前向きで】
【観光でもお手伝いでも、一緒に居られればクローディアにとっては嬉しいのだろう】

約束なのだわ!
また。会いましょうねーー今日は本当にありがとうなの、忘れられない1日になったわーー
鈴音さんも、体に気をつけてなの

【寂しそうに、眉をハの字にして言葉を紡ぐ】
【ふと、鈴音の姿と先ほどの桜が重なって見えたような気がした。夢のような出来事を目の当たりにして、妖精のような彼女とお話ししてーー】
【しょんぼりした顔をぶんぶん振って、最後は月のように笑って】
【やがて踵を返して自分の家へ歩き出す。少し振り返りたい気もあったのだけど、転移魔法ーー見れるかもしれないけど】
【でも、消えるところを見たら寂しくなっちゃうから】
【次にあうときはもっとたくさんのお話ができるようにーー】
【ーーそっとドアノブに手をかけて。暗い部屋へ消えたかと思えば、数秒後には電気がつくのだろう】
【寝る前には今日の出来事を思い出すし、もしかしたら夢でまた桜がみれるかもなんて期待してーー】

//締めます!
//とても楽しい時間でした、お疲れ様です!!
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 00:26:41.40 ID:AuT0zVqw0
>>650

――――――――うん、またね。

【それがきっと、今宵クローディアが最後に聞く鈴の音の声だろう。ひどく落ち着いた笑みのまま、相手をずうと見送って】
【だけど――部屋の明かりが点くころには、その姿はなくなっている。残したのはきらりと魔力色に光る残滓だけ、あの桜花爛漫に似通う、桜色の残滓が】
【ちらちら瞬いて――そっと夜の風に吹き散らされていく。そうなってしまえば後には本当に何にもなくって、――――うんとうんと、静かな夜だった】

/おつかれさまでしたー!
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/25(水) 00:29:09.50 ID:kq+GPzF10
>>649

「何て言うか、へケメトさんらしいと言うか……」
「あれ?へケメトさんも同じ世界の出身なんですか?」

【これもまた意外な話だった】
【あの二人も、出身が同じ、とは……】
【そして、あの特区への潜入からこの研究所へは来ていない事が頷けた】
【なるほど、クスリの本体さえ手に入れれば、ここに持ち込んで研究を頼むことも出来ると言う訳だろうか】

「そうなんですね、色々すみません」
「その邪禍さんにも、よろしくお伝えください……」

【無論、邪禍はこのやり取りは知らないだろうが】
【金庫は果たして破られるのだろうか?】

「あ、え、ええーっとその……」
「すみません、それは言えない約束なんです」

【どうにも、秘密の何かがあるようだ】
【最も、それは研究者との約束で言えない様で】
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/25(水) 00:42:00.32 ID:E7Z6QB3/0
>>652

「うん、色々とすり合わせてみたけれども、おそらく同じ世界だね」
「やっぱり決め手はあっちの言葉で会話ができたってところかな」

【本当に同じかどうかはわからないが、現時点での判断はそのようである】
【連絡が取れれば、あるいは遊びに来たら少し話を聞いておきたいかな、そう思う彼】

【――薬を持ち込まれる可能性については今のところは察していない様子だが】
【彼の性格を考えればおそらくは善処するだろう、……もしかすればどこぞの悪魔にも協力を強要……いや、要請するかもしれないが】

「うん、あの悪魔にも伝えておくよ。忘れなかったらね」

【当然のようにそれは忘れられ、そして倉庫の中身は減ったとか減ってないとか】

「……そう、わかった。あまり深入りはしないことにするよ」
「けれども、――無理だけはしないでね。」
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/25(水) 00:55:20.30 ID:kq+GPzF10
>>653

「あちら、やっぱり言葉は違うのですかね?」

【別の言葉で話すへケメトとユウト】
【想像が出来るような、出来ない様な】
【そして今、強要と言う言葉が聞こえたような……】

「すみません、その……よろしくお願いします」
「はい、あ、中尉には内緒にしておいてくださいね」

【と、そう礼をし】
【付け加える様に、そう言って】

「そろそろ、私は戻りますね」
「ユウトさん、色々ありがとうございました……お世話になりました」
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/25(水) 01:13:16.20 ID:E7Z6QB3/0
>>654

「そうだね、結構違うよ。」
「僕はあんまり使わないけれども、時々ヘケメトやアウ、邪禍なんかは技名や魔物名に使ってるみたいだよ」

「なぜかこの世界に来た時には既に、知らないはずの君たちの言語を扱えるようになってた。だから言葉の壁で困ったことはなかったりするね」

【――そういえば、言葉の壁で困っている異世界人は殆ど見ないかもしれない】
【この世界に来る時に何かしらの補正がかけられるのだろうか、あるいはそもそも同じ言語だったのだろうか】

「わかった、内緒にしておくよ」

【内緒にしたがるような実験、彼はあまり良い予感はしなかった】
【だが、止めたところで止まる気もせず、だから結果が良いものであることを心の中で祈ることにして】
【表に出すのは、いつもどおりの優しげな表情のみとした】

「うん、それじゃあ出口まで一応送っていこうか。――本当、無理は禁物だからね」

【研究所の出口までの道のりは対して入り組んでいたりはせず、しかし初見だと迷う可能性も無くはなかったため】
【出口までは、不要と告げなければ誘導するだろう】

【――外は彼が話していた通りの小島。数百メートル先に陸地が見え、そこまでは簡易な橋がかけられているため移動は容易だ】


「さて、と……持続的に魔力エネルギーを吸い上げる、うーん、魂吸技の仕組みが使えるかな」
「どうだろう、僕は魂使技まだまだ使いこなせてないからなぁ、……アレに聞くのも癪だし」

【そして彼女がここを去った後、頼まれた兵器の開発に取り掛かるのだった】

/お疲れ様でした!
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/25(水) 01:19:43.13 ID:kq+GPzF10
>>655

「すみません、色々お忙しい中」

【研究所表の橋】
【そこで再び向き直り、こう言って】

「ありがとうございます……これで、カチューシャを止められるかも……」

【個人携行スナイパーライフル型魔導砲】
【リスクもそして効果も大きい武器だ】
【そう期待をもって、再びお辞儀し、少女は橋を渡って行くだろう】
【果たして、運命は彼女に、そしてユウトに、その光を齎すのだろうか?】


//ありがとうございました
//これで〆でよろしくお願いします!
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 09:53:04.93 ID:qoUl+Kr1o
>>550
【from:赤木怜司】
【To:邪禍さん】

【本文:

邪禍さん。情報提供ありがとう
転送されたメッセージは見たよ。電子音がしたのなら、対策を考えられなくもない
効果があるかは試さないと分からないけどね

それと、発注していた兵器がいくつか出来上がってる
暇なときにでも取りにきてよ






【路地裏】

…………本当に恐ろしいな、あいつらは

【薄暗い路地裏で、電子機器の人工的な明かりが青年の顔を照らし出していた】
【青年は白衣姿に眼鏡という科学者のような風貌。年齢は二十代中盤に見える】
【周囲にはジャンクパーツが散乱していた。足元には使えそうな部品が集められている】

始めてしまった以上は、もうやめることはできない、か
傍観者と詰られるのは嫌だしね……

【独り言を呟きながら、ジャンクパーツの山をがさごそと漁り始める】
【金属類を引き抜く騒々しい音が本来静かな路地裏に響いていた】


//メール返信兼投下であります
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 12:13:06.63 ID:2Ck/CUrU0
>>657

【一人の少女が裏路地を覗いている】】
【薔薇の造花がついた白いヴェールを頭から被り、黒を基調としたゴシックな服に身を包んでいて】
【引き摺るくらいに長いスカートは不思議と汚れていない。ふんわりとした細い縦縞のブラウスからのぞく細い指が雑貨の入った紙袋を握りしめていてーー】

何をしているのかしら、あの方……
よく見えないのだわ……ちょっと、遠いの

【裏路地には行くなと言われているから、一歩手前ーーと、本人は思っているーーで立ち止まり、建物の隙間から若葉色の瞳を覗かせて】
【まだ暗くないから、と理由で音のする方へと向かって見たら視界に飛び込んできたのは白衣の青年】
【周りに何かが散乱しているけど、彼女にはそれがなんだかわからない】
【紙袋を握る手に力が入って、くしゃりと音がした】
【気配を消す力などない彼女は、バレていないと思いながら観察し続ける】
【視線にか、音にかーー果たして青年は自身を見つめる少女に気づくのだろうか】

//よろしくお願いします!
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 12:24:51.26 ID:qoUl+Kr1o
>>658

(……なーんか、誰かに見られているな)

【視線を感じ取った青年は腰に下げたホルスター内の銃に手を伸ばす】
【誰かが路地裏に現れたのであれば、それは基本的には”敵”だと思う────七年間、”この世界”で生きてきた上での知恵だ】
【紙の潰れる音が聞こえた。銃を握りしめて、白衣の中から手鏡を取り出して後方を確認。少女を見つけるが、違和感】

(妙だな。隠れるにしては下手だし、かといって襲ってくる様子もない)
(様子を窺ってる感じがするな…………迷子、とか?)

【敵だと考えるには今ひとつ、邪気が足りない。わざわざ無防備な自分に対して様子を見る理由が分からない】
【なのであれば、敵でない可能性が上がってくる。迷子か。まさか路地裏が危険地帯だと知らないはずはないだろう】
【思案を巡らせ、判断を行う。手鏡をしまい、片手は銃に添えたまま】

そこの子、何か用?

【聞こえる程度の声量で、顔だけ振り返って声をかける】
【襲ってくるなら敵。そうでなくても油断はできないが、判断材料にはなる】

//よろしくです!
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 12:41:36.47 ID:2Ck/CUrU0
>>659
【声をかけられた瞬間、ビクッと大きく肩が揺れた】
【反射で紙袋を握り潰すーー食材じゃないから中身は無事なのだろうけど】
【バレているとわかった瞬間、少しだけ引っ込んだのだけど、やがて諦めたようにゆっくりと姿を現す】
【スカートを引き摺り、恐る恐る。夜海色の綺麗に切りそろえられた前髪が揺れている】
【少し泣き出しそうな雰囲気の少女は壁伝いにそっと、青年に近くのだろう】
【そして声が届く範囲に到着すれば、震える声を振り絞ってーー】

あの、路地裏は危ないって聞いたのだわ
だから、その、あなたもここから離れた方が……いいの……

【目も合わせず、消えゆくような声でそうーー忠告】
【余計なお世話なのだろうけど、至って真面目に、そう言って】
【路地裏の雰囲気にか、知らない青年にか、縮こまる姿からは敵意は感じられない】
【どちらかといえば、忠告される側のような気もしなくもないが……】

【何かに縋りたくて紙袋を抱きしめる。なんだか申し訳なさそうに上目遣いでちらり、と相手を見上げるがすぐに目を逸らすのだった】
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 12:48:17.15 ID:qoUl+Kr1o
>>660

【近づいてくる間も警戒は緩めず、いつでも銃を引き抜けるようにしていた】
【だがその第一声を聞いて、「へ?」と青年は目を丸くした】

あー……うーん……?
そりゃあ、もちろん、路地裏が危ないってのは知ってるけど…………
そういう君は、どうしてここに?

【敵ならば戦い、そうでないならばこちらが忠告する側だろう。そう思っていたために、忠告される側というのは予想外だった】
【どうにも意図が読み切れず、首を傾げながら質問を返す。危険だというなら、相手にとってもそのはずだ】
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 13:01:24.17 ID:2Ck/CUrU0
>>661
私はお買い物の帰り道だったの
そしたら、音が聞こえたから覗いて見たの
で、人がいるから……危ないのだわ、って教えてあげないと、って思ったのだけど……

【すっかりしわくちゃになった紙袋を見せる】
【ーー握り締めすぎたのだわ、と独り言のように呟いてすぐに後ろに隠すのだけど】
【彼女にとってこの行動はとても勇気がいることだったのかもしれない】
【こちらが警戒されているだなんて微塵も思っていない彼女は、さらに話を続ける】

でも、何かしているようだったから少し様子を見ていたの
……これは何かしら?

【山のように重なる見慣れないものーーそれを指差して首をかしげる】
【彼女にとっては全く縁のないものなのだろう。珍しそうに覗き込むがすぐに目を青年に戻し、少し照れたように笑って見せて】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 13:05:17.24 ID:EAMJlGw0O
【水の国 旧市街】

【人気の少ない街並み、発展から取り残されたこの地域には多くのはぐれ者が集まる】
【故に犯罪や事件の温床であった。 曰く、事件の起きてない時間が珍しいと】
【しかし、この数日人口が増えつつあることが報告されていた】

【──理由は明確。『特区』や『魔制法』の影響を受け居場所を失くした能力者達が逃げ込んできているのである】
【噂ではマフィアやレジスタンスを結成したり、とその筋では有名な能力者が居るらしいとも噂されて】
【兎も角、普通の人間であっても、それなりに興味を惹かれる場所であったりするのだ】


うぇー……暑いなぁ、こぉんな身体になっても、まだまだ陽の光は嫌いっ!
しかもぉ、最近ボクの根城に変な連中住み着いてるしぃ、もうマジダルいっての
はーぁ、こんな時に誰か来ないかなー


【小柄ながら豊満な身体を大きく露出した、ホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は、白く肉感的な素肌を晒している少女】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて、真紅の瞳を濡らす】

【背中には悪魔羽根が揺れて、彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した、悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに、愛らしい雰囲気を創りだす】

【人気のない公園でベンチに寝そべっていた】
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 13:10:41.33 ID:qoUl+Kr1o
>>662

教えてあげる…………教えてあげる……?

【どうにも違和感の残る言葉だった。何故なら、路地裏が危険だというのはこの世界では常識だ】
【誰だって、それこそ子供だって知っている。それを今更、忠告しようとする者がいるのは不思議だった】
【青年の表情が何かに気づいたものへと変わる。考えられる要因は一つ。それが常識ではない場所から来たということ】

それは…………えーっと、ゴミの山だね
俺はそこから使えそうなものを掘り出していたんだ。ものすごく、やりたくないんだけどね

【少女の質問に答えながら、銃から手を離す。敵意が全く感じ取れない以上、敵ではないのだろう】
【警戒心が解けたのもあり、青年は苦笑していた。ゴミ漁りは誰だってやりたくないが、理由があった】

ところで、君はどこの出身? もしかして、この世界じゃない、とか?

【再び青年が首を傾げる。後半は半分冗談めいた言い方をわざとしたが、本命はそっちだった】
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 13:21:08.02 ID:AuT0zVqw0
>>663

【――犯罪と事件の積み重なった土壌で出来た地域。本来であれば忌まれる場所、そして、だからこそ隠れこむにはふさわしいとされる場所】
【そこが最近人口が増えている――それも特区や魔制法を原因にして――とまでは知らなかったけれど。忌まれるから"こそ"用事のある人物も、ときたま訪れる】
【そして――それがきっと"彼女"なのだろうって、ベンチで寝そべる相手は、きっと思うのではなかろうか。――それくらいに彼女は少し、浮いて見えた】

【肩を撫でる長さの黒髪にチュールを重ねた花とリボンの髪飾り。リボンの尾っぽがすらりと垂れるのは真っ白の耳の傍らまで。右耳だけに付けた桜を模したピアスをそっと撫で】
【透き通るほどに真っ白な肌色にあどけなさを残す造形がよく映えていた。そのくせ瞳は左右で色が違って、うんと色合いの濃い黒色に、鮮烈なほどに鮮やかな、赤色】
【レース編みのチョーカーにもリボンの飾り。鮮やかでなく深い赤色のワンピースがいっそう少女の色白さを際立たせるように――それで、一緒に、その華奢さまで照らし出す】
【まるで身体のシルエットを隠したいみたいにふわっと膨らむ袖や裾。胸元で結ばれたリボン。だのに袖から覗く指先が。裾から滑り落ちるような脚が。ひどく、か細く】
【足元が高いかかとの靴であるのが――最後に少女をちょっとだけ、大人ぶらせる。まだ十六ほどだろうか、あどけなさと、華奢が、そう示していた】

……こんにちは。あの、少し、お尋ねしたいことがあって――――。

【――――そんな少女が、ふらりと相手のところへ歩いてきたのだ。少しためらいがちな声、控えめな様子で、鈴の音が相手へふっと話しかけてくる】
【人懐こく笑うわけではないけれど、よっぽど愛想が悪いと思わせるほど仏頂面でもない。人当りのいいような微笑、あまり失礼すぎないように、身体を傾けて】
【聞きたいことがあるのだと言う――それを聞くのに"明らかに人間でない"相手を選ぶ辺り、気弱そうな様子や見た目に似合わず、わりに気にしない性質だとは知れた、けど】
【それにしたって――この少女の雰囲気は少し、この地域には浮くようだった。犯罪者であるようには、見えない。かといって怯えて逃げ込んできた能力者にも、見えない】

【(そんな見た目の判断がアテにならないって、きっと、いろいろなひとは知っているし理解しているのだけど――それでも)】
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 13:24:43.82 ID:2Ck/CUrU0
>>664
ええ、教えてあげようと……
危ないところだと知っていたら、こんな場所来ないと思って……

【あれっ……と、首を傾げて】
【青年の不思議そうな声色にーーもしかして知ってた?なんて過って】
【やっと、余計なお世話だったかもしれないと気づいて照れ隠しに笑って見せる】
【ーー青年が、ゴミの山と称したそれ。さっ、としゃがんでまるで真っ赤になった顔を隠すように彼に背中を向けながら】

随分硬そうなゴミなの
探し物なら手伝ってあげてもいいのだわ、あ、いや、でも私に見分けられるかしら

【指先でつん、と破片を触る】
【が、少し肩を震わせて、その指をまるで隠すようにそっーーとしゃがんだ自分のお腹あたりの布に押し込みながら】

出身、出身はその……遠くて、すごく田舎なの
たぶん、言ってもわからないと思うの

【別の世界から来たのかーーその質問にははっきり答えなかった】
【少しだけ遠くを見るように目を細め、ゆっくりとたち上がる】
【手を後ろに回し、青年を見上げると】

でも、住んでるところはここら辺なの
最近引っ越して来たばかりだから、まだここら辺のことは勉強中なのだわ!

【月のようにふんわりと、笑ってーー】
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2018/04/25(水) 13:33:49.94 ID:4/HQHTCbo
>>665

【最初彼女は鈴の音を聞いてもそちらに顔を向けなかった、ころんと背中を向けて悪魔羽根をぱたぱた】
【露出の多い背中は貴女と対照的で、無駄のないスッキリとしたラインを見せる】
【絹糸の様な柔肌が木漏れ日を浴びて輝くと、ぞぞっと少し身震いした】


ふぅん、ボクに一体何の用かな、ニンゲン──向かなくても分かるんだよね
甘ったるぅぃメスの香り、それもコドモでしょ、まだ? 乳臭くって叶わないや
あのさぁ、ボク疲れてるんだよね、それに此処、コドモが来る場所じゃないし

それとも最近増えてる難民かな? だったらより一層ボクには関係ないじゃん
若くてイケメンなオスならともかく、ちっちゃいメスのガキなんて興味ないしぃ
分かったらとっととD.R.U.G.S.のとこにでも──


【少女の言葉は冷たかった、彩細工の様なソプラノが紡ぐ内容は我儘な子どもそのもの】
【ころん、と寝返りを打った、そうして貴女の姿を確認すると】
【真紅の瞳を大きく見開いた、玩具を見つけた仔猫のように】


かわいいいい!! なに!? なに!? こんなかわいいニンゲン初めて見た!?
お人形さんじゃないの? ビックリした! サキュバス達にもキミみたいな子いなかったよ!?
ほっそりした首筋、ぱっちりとしたおめめ、長い睫毛

──いいね、すごく食べごたえが──ああ、うそうそ、今のは忘れて
ハロー、こんにちわ、こんな所に何のようだい、ニンゲン
まあ近くによりなよ、大丈夫、とって食べたりなんてしないし


【血のように赤い舌がペロリと顔を出した、艶めかしい粘液が唇をなぞる】
【ぽふんとベンチに座り直す、開いた両足の間に両手を入れるはしたない座り方】
【鼠径部が見え隠れする際どい恰好なのも相まって、淫らな雰囲気を演出する】
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 13:36:19.55 ID:qoUl+Kr1o
>>666

【出身は遠くて言っても分からない────定番の文言、のようには思えた】
【だが答えないのであれば、これ以上聞き出す必要があるわけでもない。単に、そうだったらいいな、と思っていただけだ】
【異世界人だろうが田舎者だろうが、敵でないのなら何も問題はない】

そっか。俺は異世界人だからもしかしたら、と思ったんだけど
うん、勉強中なら、色々と聞いてくれていいよ。教えられることなら教えるし、助けられることなら助けるからさ

【柔らかな笑みを浮かべる少女に、青年は優しく微笑みかける。困っていて助けになるなら、そうしたい】
【視線をゴミ山に戻す。中を漁りながら、続ける】

見分けるのはちょっと難しいかもしれないね、技能の要ることだから
だから手伝う代わりに話し相手になってほしいな。一人は…………寂しいからね

【一瞬、青年の横顔に寂寥が差し込む。それはすぐに霧散して、和やかな笑みに置き換わる】
【「俺の名前は赤木怜司。君は?」と、笑顔を向けて尋ねる。その間にも手は起用に部品を漁っていた】
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 13:46:53.10 ID:AuT0zVqw0
>>667

【ベンチの相手がころんと寝そべったまま、視線も向けてくれない――となれば少女は少し困った顔をする。どうしようって少しだけ、悩むみたいに】
【本当のことを言えば、もうすでに何人かに声を掛けて、何度となく断られているのだ。それくらいにこの場所は冷ややかだったけど、それがいいのも、分かっている】
【こういう場所でそうやって他者に変にかかわろうとする人間こそ"どうかしている"って知っているから。――だけど部外者である自分は、そうじゃないと、困ってしまう】

えっと……、その、子供って……ちょっとだけ、違うけど――、難民。て――、えっと。わたしは、違ってて――その、

【明らかに人間ではない相手にも物怖じしなかったくせに。冷たい言葉を向けられれば少し戸惑ったように返すのだ、――困っている声。相手に助けてほしいって】
【そうどこかで求めている声――子供じゃないって言い訳するけれど、見た目ばかりなら子供でしかない。視線もくれないのに相手はそれを理解しているらしくって】
【難民でもない――そう伝えたところで、相手が、こてん、って。もう一度寝返り、その真紅の瞳と、視線がばっちり、噛み合ったなら】

あ――うえ、ぇ? にんぎょっ……、サキュバス? ――、え、え、えええ、

【発条がびょんって跳ね上がるみたいに変わるテンション、少女もまた色違いの瞳を見開いて驚く、ぎちっと身体を硬くしてしまって、追いつけない】
【それでも一応ところどころをなぞって――どっちでもないって必死になって首を横に振るのだ。お人形さんは好きだけど、自分はそうじゃないし、サキュバスも違う】
【だけどその脳裏で思い返される人物がいた。悪魔――、ああこの子はちょっとあの子に似ているかもしれない、って、どこかで思いながら――でもびっくりの最中では敵わない】

……あ、えっと、食べ応えって……、――いいけど、えと。……こんにちは、あの、わたし、ここに暮らしてる、子供、に用事があって……。
だけど見つけられないの、どのあたりに居るのかなって――、寝泊まり、しているところとか。その……、お仕事。する場所とかがあるなら、そこでも――、

【最終的に食べ応えとまで言われて。――ふわああぁとびっくりを全部吐き出すような吐息を漏らす、ちょっとした頭痛を堪えるみたいに、緩く瞳を閉ざしてしまって】
【だけど――相手が話に応じるような態度を取ってくれたなら、やっと話し出すのだ。要件は――このあたりに子供は暮らしていないかって。子供……といっても大雑把なら】
【子供は子供でも誰ちゃんとか誰くんとか特定しないで、来ている。丸ごと全部ひっくるめた"子供"の居場所――それを彼女は、相手に尋ねて】

UNITED TRIGGERの白神鈴音――、だよ。

【――それから。所属と名も名乗る。相手が知ってさえいれば――UTに居る白神鈴音という人間が、子供を探しているというのは、なるほど筋が通っている事柄であり】
【わりに有名というかテレビに何度も映されたことがある人物だから――それが本当に嘘じゃないって、気づくことは"知ってさえいれば"、不可能ではなかった】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 13:48:18.05 ID:2Ck/CUrU0
>>668

異世界人……!

【その言葉に、ぱっーーと表情が明るくなった】
【まるで、仲間を見つけた子犬のようなーー尻尾が生えていたらぶんぶん振り回していそうなーーそんな顔】
【あまりにもわかりやすい。この顔を見れば少女も異世界人だということが嫌でもわかるだろう】
【本人はまだ隠しているつもりだろうけど、器用に部品を漁る青年ーー怜司にずいと近寄って】

お話相手になるのだわ!
私はクローディア。好きに呼んで欲しいの。
怜司さんはこの部品で何か作るのかしら?

【ふとコソコソとーー持っていた紙袋の中にでを入れる】
【出て来たのは絆創膏。可愛い猫が描かれているパッケージの、たぶん子供用】
【そこから一枚取り出して、先程部品をつついた人差し指に巻き出して。ちょっとだけ切ってしまったらしい】
【バレないように指を折り曲げて手のひらの中に隠しーー相手の返事を待つのだった】
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 13:58:16.91 ID:qoUl+Kr1o
>>670

【ずい、と近寄られると面食らった様子を見せるが、すぐに安堵したような笑みを浮かべる】
【同じ異世界人に出会えて嬉しいのは青年も同じだった。部品を一つ、取り出して足元に置きながら】

よろしく、クローディア
そうだね、このあたりの部品を使って武器とか、機械でできた人形を作ったりするよ
それがこの世界での俺の仕事、生きていく方法なんだ

【横目でクローディアの方を見ると、何かしているのに気がついた】
【それでも何なのかまでは分かっていない。首を傾げつつ「どうしたの?」と声だけかける】
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2018/04/25(水) 13:58:32.83 ID:4/HQHTCbo
>>669

【日差しを浴びて鬱陶しそうに眉を顰める。 百合の雌蕊に似た細く形の良い眉】
【膨らんだ胸元はビキニに押し付けられ、窮屈そうに顔を出す。 艶やかな色香を残して】
【それでいて顔立ちは童顔、まるで愛玩を受ける為に作られたかの如く蠱惑的であった】


なるほどね、コドモに用があるんだ、全然理解出来ないけど
あんなピーピー直ぐ泣く連中に価値なんてないじゃん、どいつもこいつも痩せっぽちだし
みんなみんなママに捨てられた、だの、能力者だからいけないんだ──って

……あのさ、ボクはかわいい女の子好きだよ、おねーちゃんみたいなニンゲンなら大歓迎
でもさ、それ以外の相手に対して好意を向けるほど安売りもしてないの
分かるかな? つまりは他を当たって、ってこと


【返ってくる言葉は冷たい響き、真っ向からの拒絶であろうか】
【それでも言葉の端に気になるフレーズはある筈だ、彼女が何か知っているのは間違いない】
【貴女の名乗りにも特に反応を見せない、鈴音ちゃんかーとニヤリと笑うぐらい】


かぁいい名前だね♪ おねーちゃんにピッタリだと思うよっ
鈴ちゃんって呼んでいい? ボクはね、スナークってゆうんだ、変な名前でしょ?
だからね、イルって呼んでいいよ、鈴ちゃんにはトクベツに、本名教えてあげるんだから

ねぇ、そんなどうでもいいガキの事はほっといて遊ぼうよ
ボクね、可愛い女の子になら何だってできるよ?
鈴ちゃんが知らなぁいことも、いっぱい知ってるんだから


【するり、と手を伸ばす──指先が貴女の腕をなぞるだろう】
【もう片方の手を物干しげに口元に委ねて、指先をチロチロ舐める】
【幼子の様な癖、お預けを食らった子どものように】
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 14:10:33.46 ID:2Ck/CUrU0
>>671

武器、機械のお人形……
とても、変わったお仕事なのだわ。少なくとも、私が知っている職業にそういうのは、ないの。とても興味深いのだわ!
それにしても……

【取り出された部品に視線を落とす】
【これがどのようにして武器や人形に変わるのか、全く想像もつかない】
【ゴミにも見えないけど、使えるようなものにもクローディアには見えなかった】
【やがて膝を抱え込むように怜司のとなりにしゃがめば】

武器……なるほどなのだわ
さっき触ったのでちょっと切ってしまったの
怜司さんも気をつけた方がいいのだわ!
あぁでもーー

【絆創膏を巻いた指を見せる。猫のキャラクターが相手を見つめている】
【血が滲んでるわけじゃあないから、たいした怪我ではないのだろう】
【抱えていた紙袋を口を開いて中身を相手に見せるように向けると】
【さっきの絆創膏やいい香りのしそうなクリームやチューブ状の可愛らしい何かがいくつか入っていて】

怜司さんが怪我をしたら絆創膏を貼ってあげられるし、手がカサカサになってしまったらハンドクリームを塗ってあげれるのよ

【ーーたぶん、必要のないことなのだろうけど】
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 14:17:18.47 ID:AuT0zVqw0
>>672

【柔らかそうな双丘がせまっ苦しそうに揺れる、その布地からふっくらと零れて、堪えがたい段差を描く、そのへこんだところを指先でなぞりたいって】
【同姓だって思わず思ってしまいそうに。だのに顔はひどくあどけなく、そのくせに――顰められた眉は中身までもそうでないと理解させる、それは擬態でしかないと】
【全く違ったものを隠しこむためだけの、あどけなさであると。――理解する、してしまう。それでも、相手の冷たい言葉――それは受け入れがたいものだった】

……価値なんてなくっていいの、子供にね、大人の思う価値だなんて関係ないの。普通にね、怖かったら泣いて、……いいんだよ。
ママに捨てられたとか、能力者だから、とか! 関係ないの――、やせっぽちっていうなら、わたしだって用事たっぷりだよ、――、

…………じゃあ、分かった。疲れているところなのにごめんなさいね、――ほかのひとに聞くから。

【あどけない顔がむっと変わる、相手の言葉に――怒った、のかもしれなかった。きゅうとその手を握りこんで、釣りあがった眼で、相手を見ている】
【鈴の音が少し辛辣になって、語尾の音がわずかに下がる。――なら言葉通りにするって言うのだ、疲れているのに割り込んでごめんねって、それこそ本当に立ち去る瞬間のよう】
【あるいは、怒ってしまったから。こそ。相手の言葉の端っこにあるものには気付かなかった、――すいと視線を逸らす瞬間、その腕をそっと、なぞられて】

…………――、どうでもよくない。

【睨むような目――それが刹那相手に向く。きっと鋭い声音が相手を責める、自分はこれを大事に思っているって、言葉の外でアピールする】
【これをしなきゃいけないって思っている人間の目をしていた。どこかで追い詰められたような冥さがあるのに鮮烈で強い目、だからこそ複雑なものを浮かべて】
【なぞられた腕は――服越しでも分かるほどに華奢で、骨ばっている。女の子らしい柔らかさなんてきっとないのだろう、だけど暖かくって、――生きている温度】

【――子供たちを人質にされた後に、こんなの、どうかしてるって自分でも分かっていたのに。だけど、そうでもしないと、それこそどうにかなってしまいそうで】
【気持ちなんてとうにぐちゃぐちゃで子猫が何匹もでこねくり回した後の毛糸玉みたい――怒っている理由だなんてそんな風にくだらなかった。虫の居所が、悪かった】
【彼女にとって大事なことだけど――それでこんなふうに怒るのは、ちょっと、"らしく"ない。――それを分かってもらうには、二人はあんまりに、初対面すぎたのだけど】

【ぐうと眉間にしわを寄せて、少女は一瞬黙り込んでしまって相手を見やるだろう。怒っている顔だのに、その内側では感情がばらばらになってしまったみたいな、顔をして】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 14:20:16.48 ID:qoUl+Kr1o
>>673

俺もこっちに来てから初めて知った仕事さ
それに、俺の世界には魔力がなかったからね。それがないと成り立たないんだ

【魔力。今では生活に必要不可欠になってしまった要素。だが、自分の出身の世界にそんなものはなかった】
【能力に魔術に、未知の技術。この世界特有のものを思い浮かべるほど、在りし日の故郷を思い出す】
【少しばかり寂しさが募る。戻りたいとは、もう思ってさえもいなかったが】

【隣に屈むクローディアに視線を落とす。紙袋の中にあったのは簡単な薬品の数々】
【何故だろう、という疑問に少女の言葉が差し挟まれる。確かに、それは必要ないものではあった】
【怪我ならば自分でも治せる。手の乾燥は劣悪というほどでもない。が、それでも】

ふふ、ありがとう
クローディアは優しいんだね。大事なことだよ、それは

【必要なくとも、彼はそれを拒絶などしなかった。微笑みながら、少女の頭に手を伸ばして撫でようとする】
【その姿は昔の妹を思わせた。今ではずいぶんと仲違いしてしまったが、懐かしい気分になった】
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2018/04/25(水) 14:29:52.03 ID:4/HQHTCbo
>>674

【彼女にとっては不思議であった、目の前の少女の行動理念が理解出来なかったから】
【この辺りに難民が増えているのは事実だ、だからその詳細を調べに来た、と】
【お人好しかバカなのか──。 内心思う心情は、どこか冷たい色合いだったけど】


他の人に聞けるといいけどね、言っとくけどこの辺り最近ごたついてるんだ
分かるでしょ? だーって迫害されたニンゲンがぞろぞろ来るんだよ?
元から住んでたヤツらにとっちゃ、たまったもんじゃないし、あちこちで喧嘩が起きてるよ

そんな中可愛い可愛い、それでいて飴玉の様に甘い鈴ちゃんが相手されるとでも?
良くて門前払い、悪かったら鈴ちゃんも、かわいそうなコドモ達の一人になっちゃうかな
それならそれでボクは構わないよ、ボクのお家で飼ってあげるから


【ベンチから飛び降りる、ぴょこんと貴女の側に立ち尽くすだろう】
【身長差から見上げる体勢、彼女の真意を掴むにはまだ遠い距離かもしれないが】
【少なくともそれなりに貴女の意思を汲み取ったのだろう、興味が湧いたのか】


言っとくけど、ボクは此処に来たコドモ達が何処に行くかしか知らないからね
そこから先はどうしようも無いし、どうしようも出来ないし
触らぬ神になんとやら、ふふ、ボクみたいなのが言っちゃ形無しかな

……ああ、そうそう、少し形を変えてくよ
ちょっとこの格好じゃ、この辺りのニンゲンには刺激が強すぎるから
まあボクとしては行きずりもいいけど、鈴ちゃんは嫌でしょ


【イルが影に包まれたと思うと、次の瞬間姿を変えて出現していた】
【大きく背中の空いた白いチャイナドレス、同色の長手袋とニーソックスを付けて】
【悪魔羽も尻尾も消えていた、見た目は一応普通の人間であって】

【公園から歩き出す、暫くすると町外れの工場に着くだろう】
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 14:38:36.27 ID:2Ck/CUrU0
>>675
魔力……
私も、前は魔力っていう概念はなかったのだけれどこっちにきてからその、魔力や能力者や……そういう分類?が?いることを何となく知ったのだわ
でも、みんなとても親切で……優しかったの。素敵な人たちだわ。もちろん、怜司さんもなの!

【もはや自身も異世界人だということをばらしてしまうかのような発言】
【相手も異世界人なのであればあまり問題ないのかもしれないけど、彼の雰囲気になんとなくのまれてポロっと言ってしまう】
【今まで出会った能力者ーー奇跡的に悪い人はいなかったのだけどーーを一人一人思い浮かべるように言葉を紡いで】

当然のことなのだわ!
ここには私の知らない可愛いものがたくさんあってとても幸せなの!
とても面白い世界なの

【少なくともこの少女は今の状況を楽しんでいるようで。見せる笑顔から寂しさは感じられない】
【ーーふと、相手の手が頭にのったーー頭から被ったヴェール越しだがその手の大きさや温かさに「おぉ」と声を漏らし】

怜司さんって、お父様みたいなのだわ!

【自身に兄がいないからだろうかーー弟と言っている存在と仲が悪いからだろうかーーその行動にどちらかといえば父性を感じたらしい】
【「でも、こうしてもらうのは初めてなの」と、素直に撫でられるのだった】
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 14:44:43.26 ID:AuT0zVqw0
>>676

【ささくれだってひびわれた気持ちに、相手は少し刺激が強すぎた。傷口に消毒液をしみ込ますときみたいに、じりじり痛んで、どうしようもなくなる】
【そもそも相手が消毒液であるかも確かではない、――とにかく、ざらついた心には痛んだのだ。相手のその言葉、冷たい態度、明確に自分よりこの場所のことを知っている】
【"それなのに"って思うのは、八つ当たりでしかなかった。それを八つ当たりだって認識するだけの余裕はすでに摩耗しきって、――ただ頑張って、動いているだけ】

…………。

【ごたついている。それはすでに分かっていた――この場所は今荒れている。当たり前だろう、出来上がった空間に、ルールも知らない生ぬるいやつらがなだれ込んできて】
【平穏を保つのは――例えばここじゃなくたって、きっと難しい。まして相手の言葉を聞くに、能力者というだけで親に捨てられた子供も、増えている、らしい――今理解が追い付く】
【ママに捨てられた。能力者だから。――ただでさえひび割れた心中がざわつく、"敵"のすることがひどく気に喰わなかった、今すぐ潰してやりたくなって、でもできないなら】
【本当にただ八つ当たりでイルのことを睨んでいた、色違いの瞳、どこか蛇の目にも似た温度感の瞳が――だけど蛇なんかよりもずっとずっと感情豊かに、怒っていた】

どこに行くか――――って、……教えてくれるの?

【それでも。――相手の冷たさが少し変わる、興味を持たれた……と理解するには、まだ、少し遠い。ぴょんと立ち上がった相手を身長差ゆえに見下ろしつつも】
【怒ってはいるけど――よっぽど威圧して怒鳴り散らして、というのは、ない。追い詰められた人間の余裕のなさだなんて、きっと相手は嫌になるくらい知っているのだろう】
【結局そういう矮小なものでしかなかった――相手がどこかへ案内してくれると言えば、ぱちりと一つ瞬き。これもはねっとばされると思っていたから、面食らったよう】
【――ぱちぱちと瞬きする。それで少し怒っているのが溶けていったように相手は感じるかもしれなくって】

行きずり、って……。

【――それで、相手の姿が変わる。なら今までのは贋物の姿だったのか、それとも、変わった今こそが贋物であるのか。――多分後者なのだと思う、これは、どこか、本能的に】
【小さな呟き声は相手の言葉通りだ。そんなの嫌だって言うみたいに――というか、なんというか。不潔だって言うみたいな、そのくせ、きれいな生娘ではないのなら】
【そんな風に聞かされたうえでも――相手の後ろ、怯える様子もなくって、着いていくのだろう。まだちょっととげとげした気配、けど、最初よりは少し丸みを帯びて】
【もし相手が話しかけたりするなら、返事も帰って来るはずだ。――特別フレンドリーではないけど、ちょっとした雑談くらいなら、問題がない程度には】

――――工場、
ここに子供たちが行くの、……この場所だと? 

【やがて廃工場にたどり着いたなら、少女は相手へ尋ねる、――孤児の子が向かう先として、工場は。なんだか、すこし、違うような気がして】
【労働力とするには子供はまだ不確実だ。かといって、それ以外の利用法は――よく思い浮かばない、少し不安になったなら、眉は少し下がってしまって、視線が振れる】
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2018/04/25(水) 14:53:08.08 ID:4/HQHTCbo
>>678

【大きな工場であった。 煙突からは黒々とした煙が出ており、空を黒く覆っていく】
【内部からは騒音が響く、機械の駆動音と、或いは──怒鳴り声に近い響きだ】
【門の前まで来ると内部の異臭が漂ってくるだろう、むせ返りそうな澱んだ臭い】


いつ来てもやな雰囲気なんだよね、ここ、できれば二度と来たくもないし
身寄りのいないコドモは大体此処に来るよ、朝から晩まで安い賃金で働かされてるって噂
コドモって結構良い労働力になるんだよ、意外と器用だしね

それに居場所がないコドモにとっては、そりゃもう最後の場所なんだから必死にもなるし

……でもね、鈴ちゃん──ボク、こう思うんだ
行き場を失くしたコドモ達が、賃金なんか貰っても使い道なんて、ないよねって


【前を歩いて先導していたイルがくるりと振り返る、チャイナドレスのスリットが捲れる】
【微笑み。── 表層は天鵞絨の様に優しいが、中には茨の様な恐ろしい手応えをもった微笑み】
【それはまるで冥府の底へと案内するかのように、暗い愉悦を持った笑み】


ねぇ、何か臭わない── そう、まるで動物を焼いているかの様な嫌な臭い
ニンゲンって焼くとすっごく臭いんだって、脂肪が燃えるんだもん、当たり前だよね
ほんとにやーな臭い、そう思わない──ねぇ、鈴ちゃん

ボクは凄く不思議なんだよ、鈴ちゃんがそのコドモ達に興味をもっている事が
優しいのかな? 全然分からないけど、それをきっと優しさというんでしょう?
でもね、現実はこうなんだよね、鈴ちゃん、ねぇ──


【何がそんなに愉快なのか、唇の端を持ち上げて笑う、道化師がおどけてするように】
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 14:55:48.57 ID:qoUl+Kr1o
>>677

……お、お父様、か
確かに子供がいてもおかしくはない年齢だけど、クローディアを娘っていうにはちょっと歳が近そうかな……

【クローディアの言葉に青年は思わず苦笑いしていた。流石にこの反応は予想していなかった】
【それでも、”初めてだ”と言われて、そうされたことがないというのに不思議に思いながらも】
【しばらくは、彼女を優しく撫で続けるのだった。どうしてだか、撫でている側が嬉しそうな表情を浮かべていた】

さて、と
部品はこれぐらいで良さそうだし、少し移動しようか?
のんびりとお喋りするには、ここは似合わないしね

【少女から手を離して足元の部品の直上へと移動させる。手から魔力の青白い淡い燐光が溢れ出す】
【部品の真下、路地裏の地面に魔力と同色の光点が二つ現れる。それぞれに半円を描きながら移動。始点と終点が一致して一つの円となる】
【光点がさらに移動を続ける。円の内側で複雑に動き、幾何学模様を描く。完成したのは一個の魔法陣だった】

【魔法陣の上に乗った部品たちが次々に消失していく。極めて単純な転移の術式だった】

異世界人だけど、今じゃ俺も魔術が使える。頑張れば、ある程度は誰でもできるらしいよ
じゃあ行こうか。あぁでも…………この世界の人たちは、親切な人ばかりじゃないから、気をつけて
悪い人もたくさんいる。彼らから逃げるのはとても難しいけど、でも、気をつけて

【忠告をする青年の顔には真剣さがあった。この世界は決して、安全なものではない、と】
【気をつけたところで避けられるわけではない。それでも、一度は言わなくてはならないことだった】
【言い終えれば重い雰囲気はなくなって、手招きをしてから歩き出す。嫌がられなければ、そのまま案内を続けるだろう】
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 15:12:56.00 ID:2Ck/CUrU0
>>680

……たしかに、娘としては成り立たないのだわ

【成る程、と相手の言葉に納得ーー大人っぽい顔つきはしているがころころ変わる表情には子供らしさが残っていてーー齢16くらいだろうか?】
【撫でられながらも、父じゃなければなんだろう、と首を傾げーーいや、怜司さんは怜司さんか、という考えに落ち着いて】

そうね、ずっとここにいるのは……怜司さんが居てくれても少し怖いのだわ
移動?どこかに連れていってーーーーへっ!?

【離された手を目で追う。たった今まで、撫で続けられた手から光が溢れると、思わず声がうらがえる】
【移動する光ーー現れる魔法陣ーーただただ夢を見せられているかのように、何もできずにじっと見守って】
【やがて部品が吸い込まれ、何事もなかったように静かさが戻れば、驚きが張り付いた顔で怜司をみる】
【何が起こったんだと言いたげだが、見ての通りだ。部品が『どこかに』移動したのだろう】

……すごかったのだわ……

【ありふれた感想しかでてこない】
【手招きをされれば最後にもう一度魔法陣があった場所をみてーーそして遅れないように慌てて駆け寄って】

わかったの、危ないところには行かないのだわ

……ところで怜司さん、どこに連れていってくれるのかしら?

【声色に期待がのって、相手の一歩後ろを付いて歩いて】
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 15:15:17.07 ID:AuT0zVqw0
>>679

【工場――ここがそうであることを理解して、少し遅れて、少女はいろいろなことに気づいていく】
【大きく聳えた煙突からは黒黒とした煙が立ち上り、空まで染め上げていく。機械の音、怒鳴り声、――異臭】
【ただでさえ白い肌が余計に青白くなっているようだった、蒼褪めて――身体が強張ってしまったみたいに立ち止まる、門の前で立ち止まってしまう】

【――中がどうなっているのか、思い浮かべてしまった。そして、それはしょせん想像でしかなくって、この中には、それ以上の覆しえない現実があるって、分かってしまった】
【物事はだいたいいつも想像よりも悪くなる。そんな風にしか思い浮かべられない自分の未熟さと至らなさととくだらなさを笑い飛ばすみたいに、馬鹿にして嘲るみたいに】
【「――――――」少女が息を詰まらせてしまって、数秒ほど。強張った喉から震える吐息が漏れる、考えたくなかった。でも、現実はいつだって目の前にあって】

【――――振り返って笑うイルに、答える言葉はなかった。ふわふわのぬいぐるみみたいな笑みの中に、どうともできない有刺鉄線が詰め込まれているのにさえ気づかず】
【その視線はきっとずうっと工場の方へ向いている、そんなの聞きたくなかった、現実だなんて知りたくなかった。――違う、向き合わなくちゃいけないのに、でも】
【だからって――ぐるぐるした言い訳の言葉が渦巻いて。その先っぽは出口を見失って心の中にとどまってしまう、逃げてしまいたかった。できないけど――】

――――、なん、で、なんで、そんなこと、あたりまえに……、当たり前の、顔して、言えるの、――あなたは、
知っている、のに――、知っている、んでしょう、この中のこと――、わたしより、――わたしの知らないこと、いっぱい知っている、……なら。

【声がわなわな震える、いろんな怒りもほどけてしまった、馬鹿にされたって、思ったのだった。でも――ここの現実は、そんなの、自分が馬鹿なだけだったと】
【思い知らされる。肉が焼ける臭い。うんと不愉快な臭い。焼かれているのは何だろう、――ああもう知っているのに、分かってしまったのに。きっと。でも】
【そうじゃないって言ってほしかった、――彼女は普通のありふれた人間なんかより、鼻が利くから。それは脳髄にまでしみ込んで染まるようだった、その嫌な臭いが】
【頭の奥がぎりぎり締め上げられるみたいに、痛む――、痛むのに。どうにもできない。どうしたらいいんだろう。分からない。中に立ち入って、全員殺すか、大人どもを】
【それでもいいかな――――わずかに思う。それで、何かが変わるなら。――――変わらない。きっと。変わらない。何にも、変わらないけど】

――うるさいなぁッ! 何がそんなにおかしいの――、なんでそんな顔をしていられるのっ……、どうして……。

【――鈴を地面に強く強く叩きつけたような声。張り裂けるような、どこか悲鳴にも似るような、強い声。だけど――同時にひどく弱くて、無力な声】
【相手に向けても意味はない。ならこれは――どうしようもない現実を前にして。ただそれを教えてくれただけの相手に怒るのは。本当に、ただ、無意味で、下らなくって】

【「どうして笑うの――――?」】
【――小さな声。本当に小さくって、消えてしまいそうな、声だった】
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 15:23:43.43 ID:qoUl+Kr1o
>>681


ん? んー、ごめん、そんなに面白いところではないかも
ゆっくり話すんだったら、家が近いし、案内しようかな、と


【期待の乗った声に謝罪から入る。自宅が彼女の期待に沿うものだとはあまり思えなかった】
【ただ、安全は恐らく間違いないだろう。今のところは、まだ】
【もちろんどこか店でも良かったのだろうが、少女は異世界人であることを隠したがっているように見えた。それに配慮した結果だった】

【歩くこと十分少々。平凡なアパートメントに到着】
【鍵を開けて中へと入る。ワンルームタイプの内装は必要最低限の家具で収まっていた】

【本棚が一つにベッドが一つ。机一つに椅子が二つ。キッチンには冷蔵庫やら何やら】
【部屋の隅っこにはシートが広がっていて、その上にはさっき漁っていたような部品が散乱していた】
【他にも工具や完成しかけの銃が転がっている。どうやら作業場のようだった】

【「どうぞ」と言って中へと招き、椅子を勧める。台所に立ち、お湯を作る】
【少しすれば紅茶の入ったカップを持って戻ってくるだろう。一つをクローディアの前に置く】
【安物の茶葉なので味はまぁ、それなり程度。不味くはないぐらいだ】


こっちに来てからは、どれぐらいなんだっけ
俺は七年ぐらいいるから、だいぶもう慣れてきてるよ
あんまりまだ、疑問とか知りたいことがある感じじゃないのかな


【自分が来たときは知りたいことだらけで困惑した。そんな昔を思い出しながら、怜司は尋ねる】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2018/04/25(水) 15:28:53.81 ID:4/HQHTCbo
>>682

【硝子細工の洋杯が爪先で弾かれて涼しい音を鳴らすかの様に、響く音色はある種心地良かった】
【弾ける少女の言葉、優しすぎるからこそ、耐えきれない事実があったのだろうか】
【一歩近づいた、セミロングの髪が風に靡いてぴょこんと跳ねたアホ毛を擽る】


だって泣いてても何も変わらないでしょ、だったら笑ってる方が良いよ
とっくの昔にこの世界は壊れちゃってるのさ、皆が見ているのはまだ何とか頑張って正気を保ってる部分
旧市街の様な最下層の街の姿──それこそが真実だと、ボクは思うけどさ

『特区』とか『魔制法』とか、その煽りを受けて今まで温室で暮らしてたニンゲンが現実を知る
それはどうしようも無く喜劇じゃないか、自分達が見なかったものを直視するのさ
ボクはそれを見て笑うんだ、どうしようも無く愚かなニンゲン達を見て


【つんと、背伸びをして、よしよしと貴女の頭を撫でようとするだろう】
【出来るのならぎゅう、と抱きしめる──華奢な身体に相応しくない、豊満な胸】
【他者を癒す事が出来る身体であった、どうしようも無く中身が歪んでいたとしても】


結局の所根本を解決しなきゃ何も変わらないんだよね、例え此処を潰しても、ね
望むならボクは壊せるよ、此処にいるヤツら全員えげつない殺し方を出来る
でもね、それはきっと焼け石に水なんだよ、ボクの労力を増やすだけだから

だからね、鈴ちゃんがどうにかしたい、コドモ達を助けたいと思うんなら
根本の部分、この難民を増やす理由になったモノを壊せばいいんじゃないかな
コドモが減ればオトナたちだって、彼らを無碍になんか扱わないよ


【ね、と微笑みかける──旧知の友人に見せるような屈託の無い微笑み】
【それは何処までも無垢な水面に見えた、浮かぶ漣の僅かな乱れすらも見えない程に】
【しかしてその奥は見えない、仄暗い水の底に、何が沈んでいるかなんて】
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 15:41:30.88 ID:2Ck/CUrU0
>>683

【案内された相手の部屋ーードアが開けられれば最初は緊張を顔に浮かべながら覗き込みーー見慣れないものとか怪しいものとかが無いとわかれば「お邪魔します」と上り込む】
【艶のある黒い靴を揃えて、怜司のあとに続く】
【生活感のある家ーーその端っこに不釣り合いに感じる物。先ほどの部品はここに飛んだのだろうか、と視線をやる】
【視界の端に銃を捉えればすぐに目を逸らし、「ありがとうなの」と、勧められた椅子に座った】


【淹れてくれた紅茶。ゆらゆら揺れるそれに自分の姿が映っている】
【そして、相手の質問にゆっくりと口を開いた】


私は本当に、数日。数日しかここにいないから何がわからないからも分からなくているのだわ
それでも私を助けてくれた人はたくさんいたし、とても親切な方からお仕事をいただいたり、あとお家の手配まで……
だから、今のところ何も困っていないの
でも、怜司さん、7年もこっちにいるのはこの世界の方が前の世界より好きだから?
それともーー戻れないのかしら?


【カップに手を添える。絆創膏の貼られた人差し指でまだ熱いカップをなんとなくなぞって】
【少し口調が淡々としている。覚悟の表れだろうかーーなんとなく気づいてきてはいるけど、同じ異世界人に最終確認】
【たぶん、自分の予想通りの答が返ってくるんじゃないかーーわかってはいるけど、そう聞いて】
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 15:54:32.25 ID:AuT0zVqw0
>>684

【――ひどい臭いがする。それはそれだけで少女の余裕をどんどんと削り取っていく、生ぬるく溶けかけたアイスをスプーンで抉るみたいに、あまりに容易く、簡単に】
【ありふれた人間よりも敏感な嗅覚が齎すものが相手の言葉によって形を持って、そうしてくだらない妄想によって脳裏に思い描かれる。そのうえで】
【この中にある世界はもっとひどくて――どうしようもないものだって、この世界のありようそのものが裏付ける。この場所にたったいっぺんの救いさえないって、知っている】

――――――、でもっ、でも、だからってっ――! やめてよッ……、やめてっ――、

【泣いてても何にも変わらない。それは本当だった、泣いてしまいそうな自分がここで初めて会ったばかりの相手に八つ当たりをしていたって、煙は絶えず吐き出されるのに】
【頭が痛くなって吐き気を催すほどの悪臭は変わらずそこにあって、誰かの怒鳴りつける声が聞こえてくるのに。そのたびに身体がぎくりと強張る、まるで自分が怒られるよう】
【助けてあげてよって言いたかった。自分には何にもできないくせに。何にもできない。この中でひどいことをしている大人を全員殺すくらいしか、できない】
【それをしたって――なんにもならない。この子供たちはまた居場所を失って、また、あるいはもっと、悪い場所に流れていくだけ。誰かが掬い上げてあげないといけないのに】
【その子たちをよいしょって引き留めて掬い上げるための手は――この世界にはうんと少ない。できない。できないって分かってしまう、みんな、自分に一生懸命で】
【路地裏が危ない場所だって子供だって知っている――その時点でどうかしてる。そんな危ない場所、さっさと無くしちゃうべきだ、そんなことさえ、この世界ではできない】
【そのための力がない。世界をなるべく平和に正常に清浄に保つための力がこの世界には圧倒的に不足している。頭を撫でられて、抱きしめられても、何も救われない】

【――ひどく細い身体だった。骨ばって、痩せていて、強張って震えていた。――また怒声が聞こえて来る。身体がぎくりと強張る、震える吐息が漏れた】
【助けてあげたい。できない。そのための力がないって分かっている。それでも無鉄砲に飛び込んでいくことはできなかった、それができるような、ひとではなかった】
【だからといってまた違った別の方法で。この場所を潰してみんなを助けてあげる――それができるだけの知識もなかった。きっと本当にちゃんとやれば、この場所は】

【ああでもって思う、――気づいてしまう。この場所に今増えているのは、能力者ばかりで。それなら。今のこの世界なら。誰も、(助けてくれようとなんて、しないって)】
【能力者は人間ではない。しつけのなっていない野犬と一緒。駆除しないといけない。人里に降りて来た熊みたいに。駆除しないといけない。駆除をしなくては】
【テレビで眼鏡をかけたコメンテーターがずっと繰り返していた言葉が思い浮かぶ。国会前でのデモ、ありふれたひとたちが――こぞって自分たちを批判する、否定する】

だからって……、どんな理由だって、許さない、こんなのっ――、黒幕なんて関係ないでしょう!?
ここの管理者が黒幕だったら殺すけどッ、そうじゃなくたって――殺してやりたいけどッ! でも、そんなの!
そんな理由でッ……、そんな理由で――! 

【――あどけない少女は結局きっと中身までもが子供だった。子供みたいに思ったままに行動することが出来ない程度には大人だったけど】
【持てる限りの知識と知恵を使って物事を解決することが出来るほどは、大人ではなく。ならば見た目通り、くだらない思春期に踊らされる少女の年頃、未熟なままで】
【鈴の音が悲痛そうにひずむ、張り裂けてしまったように裏返る、相手の言葉に少女は言い返す、――黒幕なんて単語が漏れ出た、彼女の中ではもう今更すぎて】
【それは普通のひとが知らない単語だって、思い至らない。――そんな理由で。そんなくだらない理由で。子供たちがそんな目に遭っていること、信じたくなくて】

【――――それにしても。少女の声はよく目立っていた、もしかしたら、工場の中にも聞こえているかもしれない。誰かが――泣き叫ぶような声で、喚いていると】
【それともこの声は機械の音にかき消されてしまうだろうか。誰かの怒声に紛れてしまうだろうか。そんなの分からないけど――思い至れないくらいに、彼女には余裕がなかった】
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 15:56:08.65 ID:qoUl+Kr1o
>>685

【怜司は答えに驚いた表情を浮かべる。この世界に来たのはたった数日前。そこまで直近だとは思っていなかった】


数日、か。それは、確かに質問どころじゃないね
能力や魔術の存在が分かっているなら、大体においては何とかなるよ
それに仕事と家があるのは…………正直、驚きだ


【自分はどうだったかな、と思い返そうとする。七年前ともなると、そこそこ記憶が曖昧だった】
【クローディアの質問で想起が中断される。青年の顔には迷いがあった。言うべきか、言わざるべきか】
【声に込められた覚悟は感じ取れた。意を決して、口を開く】


七年こっちにいて、戻れた、という話は聞いたことがない
昔に色々と探してはみたけれど、ヒントの一つも見つけられなかった
今となってはこっちの世界の方が気に入ってるところもあるけど…………そうだね、戻れない、と思う


【少女へとしっかりと視線を合わせて、その事実をはっきりと伝える】
【どういう反応になるのか、彼には気がかりだった。ショックを受けるかもしれないと思うと、胸が痛んだ】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2018/04/25(水) 16:06:11.76 ID:4/HQHTCbo
>>686

【一杯に溢れた感情が、少し触れただけでも零れてしまいそうに見えた】
【腕の中にある痩せぎすの身体、あらら、と何度か掌でまさぐる様に身体に触れて】
【んー、寝不足もあるなぁ、なんて呟いてみたり、大体の事は触れたら分かるから】


はーいっストップ、鈴ちゃんの綺麗な声遠くまで響くんだよね
わぁるぃニンゲンが出てきたら大変大変、鈴ちゃん襲われちゃうよ?
まぁ今の状態だと、逆にぶっ殺しかねないんだろうけど

現状分かってもらえたなら帰ろうか、お探しのものは見つかったでしょう?
ここには何も無かった、希望なんてとっくの昔に消えてしまったから
開けなきゃ良かったって、鈴ちゃんそう思ってたりする?


【貴女を両手から解放して、側に立った。そっと顔を覗かせて小首を傾げる】
【それは何処までも無邪気な色調で、悲しみを解する心なんて無いぐらいに】
【言葉の通りに工場内がざわついていた、これ以上騒げば人が来るのは明白だろう】


今宵は底辺の一端に触れて、鈴ちゃんは元の日常に戻っていく
でもね、それは本当に元の日常なのかな? ねぇ、分かるでしょ
鈴ちゃんが朝寝坊したり、ああ、無駄にしてしまったなぁって一日

その一日すら生きられないコドモ達が、此処には居るんだ
鈴ちゃんが食べ残したご飯、着なくなった服、それすら食べられず着られず焼かれて死んでいく
此処にあるのは現実なんだよ、どうしようも無く救いようのない現実さ


【先導する様に歩いていく、元来た道を辿って】
【お尻を突き出して、少し立ち止まった、ねぇ、なんて声をかけて】


どうしてボクが此処にいるか、分かるかな──?
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 16:21:26.14 ID:2Ck/CUrU0
>>687
【紅茶を一口ーー少し冷めたそれが口の中に広がる】
【思えば濃い数日間だった。生活環境どころか世界までもーーチャンネルを変えるようにがらりとかわって】
【戸惑わなかった、と言えば嘘になる。村にいるみんなのことだって気にならないわけではない】
【でも、それ以上になんとなくだけどこの状況は受け入れていて。それは元からあった『外への興味』が手助けしてくれているからなのだろうけど】

正直、助けてくれた人たちと出会えたのはとても運が良かったの。少し怖い思いもしたけど、命に関わることでは無かったわ

【知らないところに来た絶望とか、見知らぬ人ばかりの寂しさとか、少なくともその笑顔からは感じられない】
【迷いながらも真実を教えてくれたら怜司に「ありがとう」と笑いかけ】
【心のどこかで引っかかっていた何がが取れたような、そんなスッキリとした顔だ】

一人で色々できるこっちの世界、なんだか自由でーー私は嫌いじゃないの
怜司さんも気に入っているところがある、って仰るなら。私もきっと、もっとこの世界が好きになれると思うの

【頭に被っていた薔薇飾りのついたヴェールを取った。夜海色の真っ直ぐな髪が腰の下で切りそろえられている】
【取ったヴェールを自分の膝に置いて、少し乱れた髪を手櫛で直しながら】

あの部品、組み立てるところとか見れないのかしらっ

【好奇心旺盛の子供のように声を弾ませ、部屋の隅の部品を指差して】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 16:47:17.03 ID:qoUl+Kr1o
>>689

【クローディアに合わせて、カップを手に取り口をつける。気分のせいで紅茶の味はあまり美味いものじゃなかった】
【だがそんな不安も、少女の言葉がかき消していく。自分とは真逆に、彼女の表情には不安なんてなかった】
【ああ────と。安堵と、少しばかりの羨望を抱く。かつての自分とはまるで違う、美しい答えだった】


…………クローディアは、凄いね
俺は、どうだったかな。もう忘れてしまったけど
そんな風に、前を向いてはいられなかった気がするよ


【青年の表情には過去を振り返る気色があった。この世界に来てから、今まで。果たしてどうだったのか。楽しいことばかりではなかった】
【この世界に来てしばらくして、猛烈な孤独感に苛まされたこともあった。暴虐が荒れ狂うこの世界に絶望したこともあった】
【死にかけたことさえ、何度もあった。死にたくなったことも、何度もあった】

【それでも、少女を見ていて思い出すこともある。初めてこの地に降り立ったとき、自らに芽生えた能力を知ったとき】
【人と言葉を交わしたとき。そこには失望ではなく、確かに喜びのようなものがあったはずだった】
【そして、部屋の隅を見れば、そこには自分がやれることがあった。この世界への好奇心は、まだ消えてはいなかった】


ああ、そうだね
俺も、クローディアが嫌いじゃないと言うのなら、もう少しこの世界が好きになれそうだよ


【七年間の思い出を飲み込んで、青年は少女へと微笑みかけた。きっとその意味なんて分からないだろうけど】
【その表情には、少女と同じようなスッキリとしたような、そんな感情が含まれていた】

【それからクローディアが部品を指差すと、「ああ、あれね」と言って席を立つ】
【どこか嬉々とした様子で作業用シートに腰を下ろして、部品を手元にかき集める】


これはね、作っていた人形の腕の部分だね
細かい部品ごとにこうやって魔法陣を描いて、効力を与える
その上で組み立ててやると、単に機械を組み合わせる以上のものが出来上がるんだ


【聞かれてもいない細かな話をしながら、両手を動かして組み上げていく。自らの技術を披露することへのちょっとした興奮があった】
【指先が部品をなぞり小さな魔法陣を描く。接続部分を工具と魔術で調整して部品を連結させる。それらの動作を淀みなくかつ手早く行っていく】
【ものの数分もすれば、そこには機械仕掛けの腕ができあがっていた。両手で端を持ち、力を加えると肘関節が曲がっていく】


それで、こういうのを組み合わせて人形を作るんだ
魔力に応じて動作したり、あるいは人が操作したり。色々なパターンがあるよ


【語る怜司はどうにも楽しげだった。「他にも見る?」なんて言ってクローディアに視線を向ける】
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 16:56:23.39 ID:AuT0zVqw0
>>688

【――かろうじて食事は摂れるようになっていた。だけど、それは、あくまで最低限。十分には足りなくて、睡眠も、同じ】
【そしてなにより――伝わってしまうなら、伝わるかもしれなかった。彼女は人間じゃない、人間を真似て人間に紛れ込む、なにか全く違った異物であること】
【人間ではないモノが人間でもないくせに人間の子供に執心している、助けたいって訴えている、だのに、力がなくって、足りなくて。何にもできないって、悲鳴を上げている】
【もうなんにも持てなかった。それくらいにいろいろなことを抱え込んでしまった。黒幕のこと、円卓のこと、婦警、姉と慕うUTリーダーは攫われて、人質、全部、全部】

【――――ぴりっ、って、張り裂けてしまいそうだった。あんまりにあっけない音で、何もかも、全部、全部、吐き出してしまいそうになる】

やだ――、やだよう、なんで、こんなの……。

【制止を受けても。帰ろうって言われても。嫌だと思った、立ち去りたくない――お探しのもの。そんなの見つからなかった。蓋を開けたなら、もう戻れない】
【ざわざわってたくさんの不幸が這い出て溢れて転がってしまった、あるいはがさがさ音もなく這いまわって足から身体じゅうまで登ってきて、がぶがぶって肌を噛む】
【開けなきゃよかった――思っているだろうか、分からなかった、開けなかったら。こんなの知らずに済んだ。それは救いだろう、"自分にとって"の】
【知らなかったら心は痛まない。知らなかったらどうと思うこともない。知った後に思い返して、こんなの知らなければよかったって願うのは、今更遅くて】
【頭を抱えるみたいにしてしゃがみ込む、助けてあげられない。こんなこと一人じゃできない。ここの大人を全部殺して回るのはできても。全員殺してしまっても】
【こういう場所を赦さない世界にしてあげることはできない。ぶつぶつ肉が沸き立って脂が沸騰して焼けて揚がって焦げていく、肉以外の内臓も排泄物も焼かれて、その臭いが】
【なんにもわかってなかった自分へのお仕置きみたいにこびりつく――喉も肺も脳も全部全部その煙で燻されるみたいに、燻製にされてしまうみたいに、後戻りできないみたいに】

【気持ち悪い――って思った。頭がぐらぐらする、ひどい貧血みたいになって、だけど、ざわつきは理解する。――状況は悪くなっていて、でも】
【分かっていて置いていくだけの勇気が彼女にはない。だけど何かしてあげるだけの力もない。――――本当に頑張って、頑張って、立ち上がる、今は、駄目だって】
【しなきゃいけないことがある――本当にそれは今の気づいてしまった現実より重要だろうか。本当に――? もう優先順位も分からなくなる、目の前がちかちかするばかりで】
【ひどく蒼褪めた目が最後に工場を見つめた――、誰かの声が近くなる。声がいくつか重なって、多分大人の男が三人くらい。がちゃんって、扉が、開けられて――――】

/分割で!
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/25(水) 16:57:01.81 ID:AuT0zVqw0
>>688>>691

【――――その時には、二人はもう居ないだろう。と言っても、いくらかかろうじて、ってところはある。その背中くらいは見られたかもしれない、本当にぎりぎりの一瞬】
【あるいは手でも引いてやるといいかもしれなかった。迷子になってしまって泣いてしまった子供にするみたいに、優しく声でもかけて。現実は覆せないけど】
【こうやって立ち上がって歩けたのさえ――今までの経験で染みついた癖みたいなもの、なのだろう。そう思わせるくらいに、歩く少女は、――】

――――――、

【うつむいてしまっていた、ぼたぼた落ちる涙を拭おうともしないで、好き勝手、そのまま落として】
【その道中で。あるいは誰かの話し声を聞くかもしれない。数人の男だ、無遠慮で無思慮であまりに腐り果てた。そんな汚泥より穢い人間から咲く言葉は、やはり汚らしく】
【きっと少女がイルより先に声を掛けた人物なのだろう。相手の後ろをただ静かに歩くしかできなくなった少女を指差してげらげら笑い飛ばす、仲間内でばかにして】
【むかしあれくらいのガキを買ったことがあるが"具合"はよくなかった。見るにはソソるがヤるにはあんまりよくないな。――ああでも。ぶん殴って蹴り飛ばして這いつくばらせて】
【"奉仕"させたのは"よかった"――どっと笑いが爆発する。二人に聞こえるように。聞かせるように。そのあとはこんなにも知のない会話なんてまずめったにないだろうもの】
【だから聞く価値はない――相手にとっては慣れたものであるかもしれない。だけど、少女にとってはどうだったのだろう。やがて相手が立ち止まれば、少女も、止まり】

…………――、わかん、ないよ、なんで、こんなところ、居るの……、
――おかしいよっ、こんなの――、……。――――、

【ふらふらと力なく頭を揺らす。分からなかった、分からないけど。分からないなりに、分かるのは――きっと自分が相手よりも弱い、何にもできない、ってこと】
【なんにもできない。無力感ばっかりが降り積もっていろいろな気持ちを覆い隠してしまうから。"こういう場所"は初めてではなかった。だけど。それでも】
【"ここまで"のものは、初めてで――まだ涙は止まらない、泣いても意味なんてないって分かっているのに。そうじゃないと悲鳴を上げて全部毀したくなって、しまいそうで】

/途中まで書いちゃってたので、ここまで本スレでごめんなさいっ、お返事は置きに頂けたらと思います!
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 17:02:28.26 ID:2Ck/CUrU0
>>690
私が前を向いているのはまだ何も知らないからなの
これからもしかしたらこの世界で辛い思いを体験してーーその後に同じように言えるかは今の私にはわからないのだわ
でも時間は進んでいるし、落ち込んではいられないのだわ
……怜司さんの7年間はきっと楽しいことばかりではなかったと思うのだわ
でもそんな中で自分なりの答えとか、興味とか、そういうのを見つけられる怜司さんは偉いと思うの

【彼もこの世界が好きになれそうと口にしてくれればまた月のように笑ってーー】
【出会ってまだ数時間だから、彼の心にあまり深くは入れないーーと、口に蓋をするように紅茶を飲んで】

【彼が立ち上がれば子犬のように後をつけるだろう】
【後ろからーー邪魔にならないように5歩くらい下がったところてーー彼の作業を覗き込む】
【丁寧に説明してくれる彼の話にうんうんと真剣に頷きながらーー魔法陣が浮び上がれば「わあ!」とか声に出ちゃって】
【機械仕掛けの腕ーー見慣れないそれが出来上がれば両手で口を抑えて驚くのだ】

とっても器用なのね、私、恥ずかしいのだけれど、怜司さんの説明……一つも理解できなかったの……
あぁ、説明が下手とかじゃないのよ!
凡人には理解出来ないくらい難しいことをやっている怜司さんがとても凄いのだわ!

【他に見せてくれるというのならよろこんで頷くだろう】
【あまり理解出来てはいないのだが、凄いものを見るのは好きなようでーー】
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 17:16:56.76 ID:qoUl+Kr1o
>>693

そう褒められると、流石にちょっと照れくさいな……
でも、簡単な部分だけだったら、きっとクローディアにもできるよ
異世界人の俺にもできたんだからね

【照れ笑いを浮かべながら、完成した腕をシートに置く。右手が踊るように動き、魔法陣が現れる】
【外で見せたような転移術式で、一体の機械人形が召喚された。細い体型に金属質の表面】
【女性形を思わせるような形状をした機械人形だ。顔を四辺形がバイザーのように覆っていた】

【怜司が両手を糸を手繰るように動かすと、それに応じて腕を上げたり、お辞儀をしたりしてみせる】
【その動作は極めて滑らかなもので、人間の動きと殆ど変わらないほどだった】

こういった機械人形を作るのが俺の本職でね
兵器を作ったりは、副業に近いんだ。勤めてる会社はそういうところなんだけど
えーっと…………これがいいかな

【青年の両手が閉じると、人形は動きを止める】
【近くにあったナイフを一本取り出して、軽く振る。すると、風の刃のようなものが一瞬、出てくる】
【刀身には小さな魔法陣が描かれていて、淡い光を放っていた】

こうやって魔法陣をつけると、道具に色んなことをさせられるんだ。こういう道具のことを魔導具っていうんだ
これがあると、能力を持たない人や魔術に適正のない人でも、似たようなことができるんだよ

【「使ってみる?」と言って怜司がナイフの柄を差し出す】
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 18:27:50.69 ID:qoUl+Kr1o
【水の国・会見場】

【先日発生した『水国国会前デモ隊襲撃』に関して、自警団が会見を行うこととなった】
【会見を行う部隊の名は『ヴィセリツァ』。彼らは国家の枠組みを超えた犯罪組織に対抗するための機関『SCARLET』から分離】
【その一部を利用する形で、世界中で活動を行なっている対能力者・対機関の特務部隊だった】

【会見の場に立っていたのは大方の予想を裏切り、若い男だった。年齢は外見からして二十代中盤程度】
【一部が黒色に変色したブロンドの髪に、整った軍服。右目には眼帯がありその周囲には爬虫類の鱗のようなものが点在】
【記者団を前にして、青年の表情には少なくない緊張の気色があった。手元の紙に何度も視線を落としていた】

【司会の男性が『えー、では時間になりましたので始めたいと思います』と言ってどよめいていた会場を静めさせた】


あー…………みなさん、初めまして
僕はクリストファー・シェーンハウゼン。自警団特務部隊『ヴィセリツァ』の広報担当です
先日発生した国会前のテロ事件について、まずは被害者の方々に対して、深く謝罪いたします
その場には我が部隊と副長アルベルトがおりましたが、カノッサ機関のナンバーズの蛮行を止めることはできませんでした
幸いにも死者はおらず、またナンバーズについても撤退させることはできましたが、全ては我々の力不足によるものです
本当に、申し訳ありませんでした

この事件は、決して看過できぬ重大なテロ行為であると我が部隊では考えています
当然、それは機関によるものであり、また”能力者”によるものであるためです。能力者による人々の権利を無視した行動は止めねばなりません

現状、水の国は不安定な状態にあります。特区が成立したとはいえ、決して平和であると言い切れる状態ではありません
そんな中で、人々の暮らしを守る者が必要となります。犯罪者やその集団に対して、身を守るための盾が必要です
我々『ヴィセリツァ』がその盾になることにしました。水の国の都市それぞれに対して人員を配置、機関員や能力者による犯罪行為があればこれに即座に対応できるようにいたします
また、普段の生活の中で、危険な能力者を見つけたり機関に協力している疑いのある者を見つけた場合には、我々にご一報ください。生活の不安を払拭すべく全力を尽くします


【短い会見が終了して、記者団による質問が行われる】

【曰く、国軍との連携や正確な所属を問う声、中継にあった副長アルベルトは能力者ではないのか、等々】
【それらに対して答えていく中で、広報担当は『魔術は異能ではなく技術』であることを強調する。能力者のような突然変異的に発生するものではなく、後天的に身につける技能だと】
【加えて、対処は能力者全般ではなく、危険な行為をした能力者に限るということも強調していた。排斥が目的ではないという印象を与えるために】
【しかし会見・質問への回答の端々には、能力者は根本的には危険な存在で危惧すべきだという思想が見え隠れしていた】

【その後、記者会見はつつがなく終了した】
【国会前では『ヴィセリツァ』の隊員たちが瓦礫撤去の作業等に従事していた。地元警察とも協力姿勢を見せている】
【『ヴィセリツァ』は水の国の自警団ではないために、実質国外の組織だ。しかし、『SCARLET』の築いた支持基盤を用いることで国内での活動を可能にしていた】
【指揮をしているのはテロの中継にも姿を見せていた副長アルベルト。そこに近く者がいれば彼は声をかけるのだ。「何か困ったことでも?」────と】


//投下ではないやつです。いわゆるソロールです
//カチューシャさんのテロ、及びそれに関連した記事への部隊単位での返答であります
//以後、テレビ見る環境のある人はこれらのことを知っているってことにしていただいて大丈夫です
//また各地の都市には部隊員が向かうので、モブとして使ってもらうのもアリです。生死問いません
//何か質問があれば舞台裏までどうぞ
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/25(水) 19:04:43.30 ID:C8LVXEUl0
【氷の国―――自警団地方演習場】
【ここは氷の国の地方に位置する地域、年中厳しい寒波にさらされており人が暮らす場所も少ない】
【その中で、街から離れた場所に自警団の支部の一つが存在する】
【演習場も併設された施設で常時100名以上の自警団員がつめている。だが今日は様子が少しおかしい様だ】
【―――煙、そして炎が上がっている。辺りには焦げ臭い匂いも充満している。】
【何らかの事故による火事か、それとも―――。轟々と燃え上がる炎の中で、積み上げられたコンテナに立つ者が一人】

ッたくクソ寂れたとこだなァここは…
自警団つってもロクな奴らがいねぇじゃねぇか、せっかく手伝いにきたってのにつまらねぇ。

さっさと潰してあちらさんに合流しますかねぇ。

【炎のように逆立てられた銀髪に赤い瞳、そして全身を着崩した真っ赤なスーツで身を包んだ青年だ】
【青年はコンテナの上で屈みこみあちこちで燃え上がる火の手、そして倒れている自警団をつまらなそうに一瞥してから】
【空を見上げて大きく欠伸をした。周囲にはまるで大蛇でも這ったかのような跡がいくつも付けられている】
【この状況を作り出したのは間違いなく―――。】
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 20:29:19.54 ID:2Ck/CUrU0
>>694

簡単なものなんてあるのかしら、怜司さんが今やったことは全部難しそうに思えたの

【召喚された機械人形ーー「わっ!」と短く驚き二歩下がる】
【よく見ると女性の形をしている。思っていた造形よりはるかに細い】
【怜司の迷いのない滑らかな指の動きと、それに合わせて動く機械人形を、目をまん丸にして眺めている。やがて漏れる言葉は独り言のように】

見た目こそそうなのかもしれないけど、機械とは思えないのだわ…
もし喋ったり自分で動いたりすることがあれば、きっと人と同じように接してしまうの

【怜司の後ろにいるから見えてないとは思うけど、お辞儀をする機械人形にこちらもペコリ】
【小さな「初めまして!」なら聞こえるのかもしれないけれどーー】

【やがて視線は怜司が持ったナイフへとうつる】
【ぼんやりと光る魔法陣が若葉の瞳に映る。綺麗だな、なんて覗き込んでいれば風の刃に驚いてすぐに姿勢を正して】
【どうやら自分にも使えるらしいーー渡されたそのナイフの柄をそっと握る】
【最近始めて包丁を持ったーーからなのか、持ちからは完全に野菜を切る時のようなポーズ。あまりにも様になっていない】

まあ、じゃぁこの魔法具を使えばどんな人でも不思議な力が使えるかもなのね
でも、やっぱり、すこーし怖いのだわ

【使って見るかと聞かれれば困ったように笑いーーナイフなんて使ったことないのだから】
【とりあえずゆっくり上下に動かして見るーー子供が人参でも切っているかのような、ぎこちない動作で果たして何か魔法は発動するのだろうかーー】

/お待たせしました!
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 20:44:36.59 ID:qoUl+Kr1o
>>697

喋ったり自分で動いたり、か
中にはそういうのもいるかもね。案外、いても気づかないもんだよ

【にやり、と悪戯っぽい笑みを浮かべる。実際に、人と同じように動く機械人形は存在していた】
【そして彼女こそが、怜司の義妹でもあった。もっとも、人にこう言われる度に妹の話をするせいで、とうの妹からは嫌われるのだが】
【ひとまず、そういう義妹がいる、という話は黙っておいた。機会があればきっと話すときがくるだろう】

【上下にゆっくりと動かしても、よく見ればナイフからは風の刃が少しだけ出ていた】
【動かす動作さえしてしまえば機能する単純な構造のようだ】

初めはナイフでも刃物は怖いよね。俺も最初はそうだったよ
刀持ったりしたときもあったけど…………あんまりいいことなかったなぁ
悪魔に取り憑かれたりするしさ…………

【刃物といえば、一つ思い出話があった。喜んで詳細を話すには、少しばかり怖い思い出が】
【思い返す青年の表情には苦さがあった。本当にいいことはなかった。もっと言えば、銃にもだが】

こういう魔導具の存在を知っていれば、自衛の手段にはなるかもね
危ないところに近づかないのが一番だけど、危険は向こうから寄ってくるときもあるから
そういえば、能力とかはある? こっちに来てから使えるようになる人もいるみたいだよ

【少女からナイフを返してもらい、鞘に収める。銃もあるが、室内では試せなかった】

//お帰りなさい!
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 20:52:24.14 ID:EmFtTqfvO

【あなたの傍に立つ者が、常に友人とは限らない――――】

【月のかげった気味の悪い深夜だった】
【空気は湿気っているが、雨は夜半に止んでいる。水溜まりを踏んでブーツが路地裏を歩いていく】
【ゴミ捨て場の影から人の姿が現れて、その歩みは止まった】

この男性をご存じでしょうか

【丈の長いエプロンドレスに桃色のミディアムヘア、そこに添えられた白いカチューシャ】
【黒曜石の如き瞳を持つ、愛想のない女は、手の中の写真を掲げる】
【その前に現れた浮浪者然の男。身なりは汚いが体は大きく、腰に妙な膨らみがある】
【緩慢に顎髭を撫でる。男は場末の情報屋であった】
【首を横に降り、無言で顎をしゃくる。向こうへ行けの合図】
【それに気落ちした様子もなく、一拍開けて女は踵を返す――――その髪に、冷たい鉄の塊が押し付けられた】


『礼儀のねえトーシロが』

【男の足元には頭を撃たれ倒れ伏した女】
【目障りな相手を殺して黙らせる。それが日陰に生きる彼らにとっての日常】
【ガムを踏んだ程度の不快さで呟き、拳銃をベルトに戻し背を向けようとした男が大きく目を見開いた】

【頭蓋を撃ち抜かれた筈の女が、手をついて何事もなく起き上がろうとしている】
【打ち損じた訳ではない。後頭部からは赤い色がつうっと滲んでいる】
【なのに、呻きすら上げず無言で振り返り。乱れた前髪の向こうからじっと見つめている】
【男の驚愕が、恐怖の色に染まった】


【ぱん、ぱぱん、ぱん。路地裏に立て続けの発砲音が響く】
【この街では決して珍しいことではない】
【それを聞くものは奥を覗けば、騒ぎの一端に触れられるだろう】
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 21:16:43.65 ID:2Ck/CUrU0
>>698

気づかないくらいに人に近いーー同じ姿をしているってことかしら?
全く想像がつかないのだけど……いつか会えるといいなあ

【相手の悪戯な笑みに釣られてくすっと笑って。ーー会っても鈍感な彼女では気づかなそうではあるが】
【もしかしたらいつか出会うかもしれない、意思のある機械人形……優しい子だったらいいな、だなんて願って】

悪魔……?刀に悪魔がついていたのかしら?
ということは、怜司さんは悪魔に魅入られたのかし………はわぁあ!?
何か出たのだわ、何か出たのだわ!!

【悪魔の話に興味を示してすぐにーーナイフから、ほんの少しだけ出た風に驚き二、三歩足踏み。ふわふわと長い裾のスカートが軽く揺れる】
【まさか本当に出るとは思っていなかったようで。慌てて怜司に柄を向けて返す】
【まだ手に感触が残っているのか、右手と左手を合わせてスリスリしたりむぎゅむぎゅしたり。左手の黒い宝石のついたアクセサリーがそれに合わせて揺れている】
【そうして落ち着けば「びっくりしたのだわ」と照れ笑い】

能力……私には、怜司さんのような凄い能力は………………
あぁでも、可愛いお皿やぬいぐるみを見つける能力には長けているの!

【能力を聞かれれば、うーん……と、困ったように一瞬固まり】
【視線を泳がせながら言葉を探してーーでも、あぁ!と両手を合わせれば嬉しそうに笑って最近、ある意味開花した能力を嬉々として話すのだった】
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 21:28:59.98 ID:qoUl+Kr1o
>>700

魅入られたっていうとなんかかっこいいけど、利用されたっていうのが正しいかなぁ
友達のおかげで助かったけど、いなかったら大変だったよ
ほらほら、慌てない慌てない

【慌てるクローディアに「あはは」と笑う怜司。当人は驚いたかもしれないが、見ている側としては微笑ましかった】
【それから嬉々として能力について話す様子を見て、首を傾げる】

うーん? それは能力なのかな……?
どんな風に見つけられるの? 何か感じるとか?

俺も昔は能力が使えたけど、悪魔に取り憑かれたあたりで使えなくなっちゃったんだよね

【青年には好奇心の気配があった。七年経っても、今でも能力というのは不思議なもので興味が沸く】
【かつては自身もアートマンと呼ばれる種類の能力を持っていたが、今では失ってしまっていた】
【これといって気にするようなことではなかったものの、少しは残念だった】
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 21:57:26.57 ID:2Ck/CUrU0
>>701
そう、感じるのだわ
ーーこんなに可愛い外観のお店なら、絶対にステキな物が売っている!
ってね、今まで外したことないのだわ!


【得意げに胸を張って。ふふん、とご機嫌に鼻を鳴らし絆創膏を貼った人差し指を立てる】
【話を聞けば『それっぽい』外観の店に入っているだけのような気もするが、結構誇らしげ】
【どうやらあの紙袋の中に入っていたものもこの『能力』で見つけたのだろう】
【一人で使うには多すぎるようにも見えた可愛らしいーーおそらくほとんどハンドクリームーーアイテム。一人で使いきれるのだろうか】


まぁ……では怜司さんの能力は悪魔に吸い取られてしまったのかしら……
でも命まで取られなくてよかったの。お友達さんもグッジョブなのだわ!
……今はもう、その悪魔は現れないのでしょう?


【彼を助けたという友達に小さな拍手】
【その、合わせた手をそっと口元に持っていき、何かを伺うようにチラリと視線を送る】
【口ぶりからしてたぶん、もう大丈夫なのだとは思うけど。今は苦しめられてないのかと、心配になったのか少し気を使うようにゆっくりと、問うて】
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/25(水) 22:09:55.62 ID:qoUl+Kr1o
>>702

【「ほー」と感嘆の声。しかし役に立つかどうかがどうにも分からない】
【それでもクローディアが誇らしげなので黙っておいた。当人にとって役立つならそれで十分だろう】

俺が持ってた能力はそういうのじゃなかったから、なんだか不思議だなぁ
直感が働く感覚ってのも、体験してみたいなぁ

【と、少しばかりの羨望の眼差しを向ける。独特の感覚がするだろうと予想して、想像をしてみる】
【しかし、やっぱりよく分からず空想は霧散した。科学者の端くれとしては第六感はぴんとこない】

その悪魔のせいで身体の中がぼろぼろになったりして、魔力を失ったりもしてたからね
根本的に肉体が変化してしまっていたんだと思う。今は……何だろう、ちょっとした手術を受けて魔術は使えるようになったんだけどね

勿論、その悪魔はもういないよ
だから心配しなくても大丈夫。俺は平気だよ

【心配そうな視線を受けて、安心させるように笑ってみせる】
【それからまた、少女の頭に手を伸ばして。そのまま優しく撫でようとするだろう】


//すいません、ちょっと早いんですが、明日に持ち越してもいいでしょうか?
//もしくはここらで〆でもいいので、お任せしたいと思います
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/25(水) 22:37:04.32 ID:2Ck/CUrU0
>>703
とても、大変な目にあったのね怜司さん……
本当に、よく頑張ったのだわ

【頭を撫でられればクスッと笑い。今度はヴェールがない分直接体温が感じられる】
【「なんだかくすぐったいのだわ」なんて照れ隠しにも言うのだろう。嫌がったりは全然、しないのだけど】

【ふと、時計を確認する】
【思ったよりも遅い時間で驚いたように目を丸くする】

怜司さん、ごめんなさい
とても居心地がよくて長居しちゃったのだわ!
怜司さん、きっと忙しい方なのに!

【ワタワタと帰る支度を始める。ヴェールをぽふっと簡単に被り、紙袋を優しく手に取って】
【玄関まで向かえば、最後に振り返りーー】

とても、とても楽しかったのだわ!
またいろいろ、おはなし聞かせてほしいの!

【彼は送っていくよ、と言うのだろうか。もし言ったとしても「怜司さんはゆっくり休んで欲しいの」と言って一人で帰るのだろう】
【最後に小さく手を振って、月のような柔らかな笑みを残してーー】
【ドアが締まれば機嫌のいい足音。それはやがて遠ざかり家へと向かう】
【もちろん、無事に到着できたので、彼には安心してほしいーー】

//明日いつ来れるかちょっとわからないのでここで〆させていただきますね!
//とっても楽しかったです!お相手ありがとうございました!
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/25(水) 22:53:33.58 ID:EBPWiqti0
>>636

【「あんたの愛が、国に届くように―ー」】
【そう言われると小さく笑う。ただ、それが届くとは思っていないような笑み】
【車両は剛毅な外見とは裏腹に制動し、そこはちょうど駅入り口の目の前】

【――彼が扉を開けて降りれば、見送るためか自身もまた車を下り】
【ルーフ越しに探偵に視線を向けると、取り出した名刺を彼の側へと滑らせて】

軍人に電話、というのも一般人からすれば気が引けるだろうが……
……それは私の名刺だ。個人の物も、内線の番号も載っている
何かあれば掛けてくれ、大して偉くもないが出来る事はあるだろう。

……ちなみに、次の水の国行きは12分後に出発だったはずだ
急いだほうが良いぞ、ロッソ。あの国は今、私よりもお前を待っている…――そんな気がするからな?

【彼が名刺を受け取り、ドアを閉じたならば女軍人は改めて車に乗り込んで】
【パワーウィンドウを開けて「ではまた」と告げ――アクセルを踏むだろう】

【――後日。インターネット環境のある場所で「アヤ・R・ナイトリー」と検索すれば】
【中央司令部警務局在職≠ニ、顔写真付きで軍公式サイトがヒットすることだろう】
【ただ、他にも幾つかの情報を統合的に調べることが出来たなら】
【彼女の年齢、階級、現職務。――その全てが噛み合わない、ということも分かるはずだった】

/ちょっと強引ですが、これにて!長らくのお付き合いありがとうございました!
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 17:35:52.85 ID:UbhTq/s5O
【──最初に目に入ったのは天井であった】
【これが天国の光景なのかな、なんて薄ぼやけた視界の中で思った、見える景色は如何様にも】
【軋むベッドの音、久方振りに蛇口を捻るようにゆっくりと意識が満ちていく】

【生きている、という実感を持ったのは、その少し後】


っ……あれ、私何してたんでしたっけ──うん……
全然思い出せない、でも、何だかとってもやな……っ
そうだ!! みやみや──!!


【少女はベッドから起き上がる、数日寝ていた為筋力が落ちていた】
【上手く動かない体にもどかしさを覚えて、臍を噛む、苦悶の表情が現れて】
【現状を理解出来ず周囲を見渡す、ここがどこかという疑問があって】

【純白の長い髪をツーサイドアップにし、黒いコサージュリボンで片方だけを飾り】
【黒く長いマフラーと巫女服を基調とした無袖の裾が短い白の着物】
【ゆらりと長い袂からメッシュの長手袋が漏れて見える】
【白いニーソに厚底の下駄を履いた、蜂蜜色の瞳をした少女】


……って、ここ、どこですか?
私、気絶してからの記憶が──
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 17:47:39.12 ID:+Jmy0k3j0
【水の国、BAR:Cherry Blossom】




【地下一階の店内はやや暗めの照明を灯し】
【そして、カウンターしかない店内は綺麗に掃除され】
【やがて表の看板を点灯すれば、その日の営業が始まる】
【ショットバー、Cherry Blossom】
【表向きは普通のショットバーだ、材料があれば食事も提供できる】
【だが変わった所が二か所あり】
【一つは、櫻国魔導海軍の諜報拠点であると言う所】
【そしてもう一つは……】

「さて、今日も営業頑張るわよー」
「と言っても、今日は私しか居ないんだけどね!」

【店主兼バーテンダーは、所謂オカマ、オネエに属する人物である、と言う事】
【兎にも角にも、表の看板は灯り】
【その日の営業が始まった】
【果たして誰が来るのだろう?】
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/26(木) 17:52:23.53 ID:d63K9hTso
>>706
【ここが天国であれば、まだ救いであったのかもしれない。だが、ここは天国とはかけ離れた、汚泥の底の盗賊どものアジトであった】


[――――お目覚めかしら?]

【少女にそう語り掛けるのは、黒いミニスカナース服に、それに溶け込む黒い長髪の女性だった】
【その両手の指は異様な細長さを持ち、一本一本が生きているかのように蠢いている】

[貴女は、捕まった四人の中でも特に手ひどく痛めつけられていたからね。回復にはまだ時間がかかると思うけど]
[まあ、意識が戻ってよかったわ。腕の方は? 感覚はちゃんとある?]

【念入りにギブスで固定された腕を見ながら、女性が言う。顔立ちは端正だが、公安であり忍びでもある彼女ならわかるだろうか】
【その瞳に浮かぶ異常性。この女性がまともな人間ではないということを】


[ああ、そうだ。まだ状況がわからないわよね。まず、貴女以外の三人は全員無事よ。櫻の軍人さんと大剣の剣士さんなんか、さっそく戦線に復帰する気満々]
[亜人のお姉さんも、あの様子ならまあ問題ないでしょうね。本人の治癒力が高いし]

[で、ここがどこかというと――――]
我々のアジトの一つだ

【女性の背後から現れた姿は、少女にとっても知った顔だろう】
【薄汚れた灰色の作業着の上に、黒いラバー地のエプロン。黒いゴム長靴。角ばった顔つきに黒い瞳の両目。そして額に巨大な第三の目】
【あの滅びゆく海上の王国で、一度見えた狂った悪漢。異形の盗賊】

盗賊が医者の真似事など、もうする機会は来ないだろうな
治療費を請求する気はないから、そこは心配しなくていい

【重々しい声で、カニバディールはそう告げた】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 17:53:00.12 ID:UbhTq/s5O
>>707

【静かな調べ、その音色に合わせる様に一人の少女が歩み入ってくる】
【染めたての茶色い長髪を、紅細工の簪でポニーテールに結って】
【紅いキャミソール状の半襦袢の上から、長い白羽織を着こなす】
【黒いニーソにブーツ、黒曜石色の瞳をした少女】
【白木と黒木の鞘に包まれた太刀を二本、左の腰に添えている】


うーん、この辺りって聞かはったんやけど……
うう、翔子はんのメモわかり易いんか、わかりにくいんか、それがわからへんなぁ
もしかすると、此処であってはるんかな

──せやけど、拠点にしてはなんというか、オシャレすぎはる、っていうか
なんかめちゃ、ムードがええBARどすなぁ


【少女は周囲をキョロキョロと見ながら、室内を詮索、落ち着いた雰囲気の室内に嘆息して】
【マスターから見ればどう見ても成人してない人物が室内に入ってきた】
【──どう対応するかは、貴方次第か】

【もしかすると翔子から、以前魔導海軍の協力者が来訪すると情報が入っているかもしれない】
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 18:00:15.45 ID:UbhTq/s5O
>>708

【少女は目の前のナースを見て、目を丸くした、うねうねと動く異様な指先】
【そして受ける印象を変える瞳の色合い、少女の横顔に緊張が走った】
【──身に纏う雰囲気を変える、成程どうして、戦闘能力はあるようだ──が】


あっ、カニちゃんじゃないですか! おっはーっ!
あれ、ひょっとして倒れてた鵺ちゃんを運んでくれたんですか!?
気が利きますね! でかい図体は伊達じゃないってとこです

てゆーことは、この綺麗だけどちょっと怖いおねーさんはカニちゃんのお仲間さんですか?
初めまして! 絶賛正義の味方進行中! 鵺と言います!
よろしくですよっ!


【声の音律が跳ねる、それはまあ見事にきゃぴきゃぴと】
【──カニバディールなら分かるだろう、顔色は悪く、声のトーンも鈍い】
【空元気かはたまた、心配させないように、か】


腕の方はもうバッチリです、もう、こんなギプスなんて大袈裟な
鵺ちゃんは強いのでそこら辺の人と違って、こんな傷すぐ治りますし
ですので早く退院させてください、一刻も早く助けに行かなきゃいけないんです


【──蜂蜜色が真っ直ぐ、カニちゃんを見つめた】
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 18:02:47.98 ID:+Jmy0k3j0
>>709

「いらっしゃ……」

【ぴたりと、オネエのバーテンダーは挨拶を止めた】
【そして、そのまま片手で表の看板の電気を落とし】

「本来なら未成年に出すのはダメなんだけどね、飲酒は士官の嗜みよ」
「ご注文は?教官殿」

【その人物の服装、特徴から曹長に事前に話を聞いていた】
【戦技教官その人と断定】

「ありがとう、ムードが良いのは私の趣味よ」
「こうやって市井に溶け込ませてた方が、諜報拠点としては都合がいいのよ」
「初めまして、魔導海軍陸戦隊諜報部、協力士官、賀茂宗司少尉よ」

【尚オネエの人物の服装は、白いワイシャツに首元は空け】
【金色の星と錨のチョーカー、黒のパンツとベストと言う少々砕けたバーテンダーのスタイル】
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 18:14:53.90 ID:UbhTq/s5O
>>711

【少女は貴女の姿を見つけて表情を強ばらせる、珍妙なものでも見たように】
【意味は伝わってくる、成程彼?がお目当ての少尉であった】
【──しかし、意味は理解出来なかった、何故にオカマなのか、と】


あ、あの──あ、えっと、本土の方は変わった趣味をしてはるんやね……
うちは、あぁ、肩書きはもう十分伝わってはるんか
和泉 文月どす、よろしゅうお願いします

今日は顔合わせ、ってことで呼ばれはったんやけど
賀茂はんで、ええんかな──それにしても
……凄く、ええ趣味してはるなぁ


【動揺を隠し切れない様子、微笑みがややぎこちない色合いで】
【息を飲んで気を引き締めた、近くの席にちょこんと座るだろう】
【そわそわしている、BARに入った経験など殆どないのだろう】


──この店で一番安い飲み物、あらはりますか?
恥ずかしい話やけど、持ち合わせが殆どあらへんくて……
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/26(木) 18:23:59.23 ID:d63K9hTso
>>710
…………。ああ、そうだ。通信傍受は敵だけの専売特許ではない
彼奴等が電波に乗せていたお前たちの処刑映像が、偶然こちらの網にかかってな

場所の特定には苦労したが、どうにかお前たち全員を収容することに成功したわけだ

[ええ、そうよ。ボスの手下の一人。名前はウィーヴァー。こちらこそ、よろしく鵺さん]

【異形どもは、すぐに感づく。あれほどの目にあった後で、腕をめちゃくちゃにされた後で】
【平気なはずなどないのだ。だが、盗賊どもはそれを気遣えるような、まともな人間ではなかった】


――――そうだな。確かにお前はそこいらの奴より遥かに強い。回復力も高いだろう
だが、私の目には、到底平気なようには見えないな

お前も知っての通り私は狂った盗賊だ。お前を気遣うような能力もなければ、義理もない
だから、それが出来る相手に聞いてみるとしよう。患者がまともな判断が出来ない場合は、身内に委ねるのが一番だ
おい、平面人間――――いや、リーイェン

敵の罠にかけられ、瀕死の重傷を負わされ、今しがた目覚めたばかりのこの女を
本人の希望通り、すぐさま放り出しても問題はないのか?

【彼女と共に回収し、彼女の傍らに置いてあった携帯端末に向かって異形は語り掛けた】
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 18:24:33.22 ID:+Jmy0k3j0
>>712

「ありがとう、聞いてるわよ」
「確か剣術の、和泉の流派よね?」

【この時点で、そう、この少女は若干所か思い切り引いているのだ】
【それを何を勘違いしたのか、この人物は】

「ふふふ、こういうお店は初めて?」
「大丈夫よ、取って食ったりはしないわ」

【BARに不慣れな本土、桜桃の少女】
【初めてのショットバーに緊張している、そう勘違いしたのだ】
【何故彼がオカマなのか?それは極めて深い謎だ】

「気にしなくてもいいわよ、海軍関係者、協力者からはお金は取ってないわ」
「閉店にしたから気にせず好きな物注文しなさい、大丈夫よ、司令長官のジジイからの奢りだと思えばいいのよ」
「それにしても、桜桃のお国言葉、懐かしいわね、向こうは相変わらず?」

【言うや否や、自分自身もウィスキーをショットグラスに注ぎ、飲み始めた】
【文月の言葉に、気になる部分があったのか、そう話しながら】
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2018/04/26(木) 18:25:35.44 ID:UVETkQpk0
>>704

もうそんな時間か
ごめんね、長く引き止めちゃって

【帰り支度をするクローディアに怜司はこう言いつつも、少し残念そうな気色があった】
【予想通り、「送ろうか」とも言うのだが、少女の笑顔と言葉に頷いてやめる。微かな不安は飲み込んだ】
【そして玄関までは見送り、立ち去るクローディアに笑顔で手を振るのだった】

【──────】


…………そっか
すっかり忘れていたけど、この世界には異世界から人が来るんだった
平和じゃないと、きっと困るよね

なら、うん、やらなきゃね
そのための身体と力があるのなら、やっぱり傍観者ではいられない
だから…………


【銃を持ち、ホルスターに入れる。自分にも戦う理由があった】
【この世界は酷いところばかりだと思っていた。けど、多分、そればかりじゃない】
【ならば戦える。この世界をより好きになるために】


//お疲れ様でした!とても楽しかったです
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 18:34:22.34 ID:UbhTq/s5O
>>713

”何ですか屑──レディの呼び方もなってねーですね”
”私は別にそこの屑がどうなろうか知ったこっちゃねーですけど”
”十中八九、今の状態だと、足でまといになるでごぜーます、とっとと寝とけです”


【携帯端末から聞こえる慇懃無礼な声、相変わらずの口調でリーイェンは返すだろう】
【会話は最低限度、それでも要領を得た会話であった】
【──彼女なりの心配もあるのだろうか、微塵も感じさせないが】


そーこーを、何とかするのがカニちゃんなんじゃないですか!?
私だって分かってるんです、だってグチャグチャにされたんですよ!?
んもぅ、ほんとにほんとに痛くて、腕がボロボロになっちゃって……

それでも、ここまで治せるんです、だったら、多少の無茶も効くんじゃないですか?
例えば、禁術の一つや二つぐらい──


【わめきたてる言葉、その中にはそれなりのロジックがあった】
【あれだけの傷をこれだけに出来るのである、それならば躊躇を捨てたなら】
【すぐに戦線復帰もできると、そう読んでの発言】
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 18:40:19.81 ID:UbhTq/s5O
>>714

【予想外に優しい言葉に面食らった、ひょっとして食べられるのじゃないかなんても思ってて】
【すこし安心したように息を吐く、えっと、と言葉を探して】
【祖国の名前を出されて安心した、この人はほんとに櫻の人なんだ、って】


ええ、相変わらずのんびりと自分らのペースでやってはります
本土に来はると時間の流れが違いすぎて、戸惑わはるんよね
みんなみんな急ぎすぎや、もっとゆっくりしはったらええのに

なぁ、賀茂はんはどうゆう役割してはるん?
挨拶しろって言われて来はったんやけど、うち分かってなくて
少尉はんってことは、偉い人っぽいんやけど


【貴方の返答にほっと一息、せやったらと、頼むのはお茶】
【結局頼む内容から子供っぽさは抜けないけども】
【首をかしげたなら髪が揺れた、淡い春風の香りとともに】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 18:53:17.64 ID:+Jmy0k3j0
>>717

「そう……やっぱり相変わらずなのね」
「帰りたくなっちゃうな、私潜水艦乗りだからね、滅多に帰れなくて」
「役目を外されたと思ったら、今度は外地勤務ですもの」
「たまには、故郷の温泉にでも浸かってのんびりしたいわね」

【笑顔交じりにこんな事を話す】
【注文のお茶を出しながら、お茶受けに甘いお菓子、桜餅も】

「ちょっと桜餅は時季外れだけどね、でも柏餅の時期にも早いでしょ?」

【やがて自分の役目の話になれば】

「そうねー……あの不愛想な能面、厳島とは士官学校の同期よ」
「私はそんな関係で協力将校に抜擢されたってわけ、こうして諜報拠点の管理と拠点での軽度の情報収集」
「それと戦闘時の支援援護、役目はこんな所かしら」

【あるいは桜桃出身であるならば、古くからの陰陽師の家系賀茂家を知っているかも知れないが】
【こうため息交じりに話す横顔は、久しぶりの故郷の話で何処か遠くを見るような眼をして】
【何とも、風雅な少女だ、と言うのが宗司の内心での感想だった】

「貴女、故郷に男はいないの?」

【そんな質問すら冗談交じりに聞いた】
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/26(木) 18:57:05.68 ID:d63K9hTso
>>716
少なくとも私の知る限りでは、悪党相手とはいえ面と向かって相手を屑呼ばわりするようなやつを、レディとは呼ばないがな

だ、そうだぞ鵺。私は公安三課の人間はお前たち二人しか知らないから、リーイェンの判断を三課そのものの意思として捉える
その三課が、こう言っているんだ。もうしばらく、安静にしていろ

【変わらぬ様子の彼女に、異形も変わらず皮肉っぽい口調で言い返す】
【口は悪いが、仲間思いではあるのだろうと、異形も感じ取っていたからこそ、彼女に語り掛けたのだ】


……だろうな。痛いなどというレベルでは済まないだろう
その上、あの場にいた一人は殺され、一人は連れ去られた。居ても立っても居られないのも、無理はない

ああ、殺された男の遺体はこちらで収容している。目下、見られる程度≠ノなるまで修復作業中だ


――――確かに、やろうと思えば多少の無茶は効く。これまでの悪事の過程で、いろいろと手に入れて来たからな

お前のその傷なら……我々が『魔制法』支持者に投与して回っている強化細胞の、能力因子を抜き出したものを
その腕に注射してやれば、相当の速度で治癒を促進出来るだろう

……だが、我々に出来るのは肉体の治療までだ
お前の顔色をそんなにしているのは、その傷ばかりではあるまい
最初会った時は、相当な腕を持つ忍びだと感じたし、実際その通りだろうが、同時にお前は相応の弱さもあるだろう

そちらの傷を放置したまま出ていけば……今度は、腕だけでは済まないぞ
――――それでも、やるというなら。これ以上引き留める理由は、こちらにはないがね

【彼女のはちみつ色に、じっと黒い三つの視線を注いで。異形は、彼女のロジックを一応は肯定した】
【それをどうしてでも止められるのは、この場ではリーイェンのみだろうか】
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 19:02:08.71 ID:UbhTq/s5O
>>718

【雰囲気に面食らったが話してみれば普通の人間であった、と内心失礼な事を考えつつ】
【流石バーのマスターといったところか、淀みのない口調は流水を思わせる】
【こくこくと頷きを返し、相槌を加えていった】


潜水艦に乗ってはったんですね、うちは乗り物全般ダメなので羨ましいどす
海の底はきっと神秘的で凄いんやろうね、うちが乗ったら大惨事どすけど
──桜桃の海の底には守り神がいはるらしいけど、潜水艦やったら見えるんかな

厳島はんと同期……そやったんや、あの人クールやさかい賀茂はんとはええコンビっぽいなぁ
それと賀茂はんって陰陽道の使い手でいはるんやって、翔子はんから聞いてたんやけど
うちも手習い程度には習ったんやけどアカンわ、賀茂はんって凄い人どすなぁ


【嘆息しながら貴方を見つめる、素直な少女だ、表情からも羨望が伝わる、が】


ななななな!?!? なに言ってはるん!? 冗談きついどす!
うちなんか、祖国おっても修行ばっかやし、そんな相手なんかおらんよぅ……


【きゅう、と顔を赤くして視線を逸らす、色事は苦手な様子で】
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 19:12:12.45 ID:UbhTq/s5O
>>719

【鵺は不満そうな表情を隠しもしない、でも──と言葉を返そうとして】
【彼女の弱さはここにあった、何処までも子供っぽく甘い部分】
【年齢相応と言えばそうであるが、相手がそれを考慮してくれるとは思えなかった】


……随分とサービスがいいんですね、カニちゃんがそんな甲斐甲斐しい人だなんて思ってもみませんでした
余計に鵺ちゃん不思議です、何でそんなに優しくしてくれるんですか?
鵺ちゃんの中ではカニちゃんは、悪い人のカテゴリから抜け出してないんです

事実あのあと調べて、ほんとに悪い人なんだって思いました
だからこそ余計に、今この場が──不思議で仕方ないんです
鵺ちゃんみたいな可愛い女の子、売っぱらっても不思議じゃなくて


【万全でない体の分、口先をフル回転させて】


ご忠告痛み入ります、はいはい分かりました
じゃあとっとと注射でもなんでも射って──”ダメです”

”ダメに決まってるじゃないですか、屑、頭に豆腐でも詰まってるですか”
”どこの馬の骨かもわからない屑の薬をこれ以上注射されて、廃人にでもされちゃたまらねーです”
”それ以上私の命令をきかねーなら、考えがあるです”

”──屑を形容する言葉をそれ以外知らねーです、文句があるなら態度で示せです”


【吐き捨てるリーイェン、鵺はぐむむ、と口を慎む──上下関係ははっきりしてて】
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 19:18:41.34 ID:+Jmy0k3j0
>>720

「民間の潜水艦なら、もしかしたら海底のいい世界が見れるのかもね」
「あるいは桜桃の海の神様だって……」
「軍の潜水艦、は、ちょっと慣れないと厳しいわね、良かったら今度司令長官にでも頼んで乗ってみる?」

【乗り物が殆どダメとの少女には厳しい話だろう】
【解ってて敢ての冗談の様子だ】
【肩を震わせて、笑いながらそう言う】

「全然よ!もう、あの男は顔意外良い所無いわよ!」

【そう言いつつも、妙に顔は楽し気で】
【士官学校時代の二人が想像できる】

「大したことは無いわよ、実家がそういう家系だったってだけ」
「珍しいわね〜、剣術の家柄でも陰陽道なんて習うのね……」
「私には剣術の修行の方が、よっぽど厳しくて難しいと思うわよ、あ、ちょっと待って」

【そう言うと、ポケットから人型に切り取られた一枚の紙を取り出し】
【文月の傍らに投げた】

「龍鬼!」
「何ですご主人?仕事?」

【其処には一人の少女、紫の髪に片目を隠した、唐風の服装の少女だ】
【小柄で内気な感のある】

「ちょっとお客さんの相手してあげなさい」
「ご主人、最近そういのばっかです?龍鬼は断じてご主人の身の回りの世話役です?」
「主の言う事を聞くのが式神でしょ、ほら早くなさい!」
「うう〜、ご主人の式神の龍鬼です?よろしくです?」

【少女は文月に向き直ると、そうちょこんと挨拶した】
【そして】

「あら可愛いのに、良い話の一つも無くって?周りの男はどうしようも無いわねー」
「ご主人、周りの好意に気付いていない可能性も否定出来ない?断じて初心?」

【文月の反応は、この二人をニヤリ、とさせるのに十分だったようで】
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 19:34:12.55 ID:UbhTq/s5O
>>722

【無理ですよ、と強くかぶりを振った、想像するだけでも胸がムカムカするのだろう、少し顔色を悪くして】
【現れた式神にわぁ、と小さく声を漏らす──その出来に感嘆の声を重ねて】
【そーっと手を伸ばすだろう、小動物に触れるかのように】


わぁっ!! かわいーっ!! 自分、めちゃ可愛いどすなぁ!
龍鬼はんってゆわはるんやんね、うち文月って言わはります
よろしくなぁ、えへへ、握手握手

賀茂はん、賀茂はん! もしかして龍鬼はんってお持ち帰りでしはる?
うちの部屋一人で寂しいどす、龍鬼はんがいはったら寂しさ紛れるし
こんな可愛い同居人やったら大歓迎どす


【どうやら彼女のツボにはまった様で、とても楽しげに言葉をかける】
【返す言葉は怪しい響き、可愛いもの好きな面を前面に出して】
【──或いは少し、不気味さを感じさせるかもしれない】


そそそそんな!! 可愛いだなんて冗談きついどす
うちはそういうのまーったく縁がなくて、そりゃ、興味はあらはるけど
そんなんがあらはったら、見逃さへんどす、賀茂はんってば悪いお人

まあでも本土の人はオシャレな人多いから、うちじゃ太刀打ちでけへんのも分かるどす
どうやって着はったらええか分からん服ばっかやし……
それにあんな露出激しい服着はって、うち驚きっぱなしどす


【カウンターに肘をついて、差し出されたお茶を飲む】
【やけお茶みたいな雰囲気、少しだけ行儀が悪い】
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/26(木) 19:36:00.27 ID:d63K9hTso
>>721
【不満そうな顔にも構わず、異形の顔は変化しない】
【確かに幼く甘いともいえるが。過酷な公安の現場にありながら、それだけの人間らしさを残していること】
【それはもしかしたら、冷酷になることより遥かに難しいのかもしれない】

ふ、ふふ!! 私が優しく見えるのなら、やはりお前は正常な判断力を失っているな

全くその通りだ。私は間違いなく、救いようのない悪人だよ。ただ自分の利益の為だけに、脅して、奪って、殺しまくってきた
私は、自分の利益のためならあらゆる悪事を厭わない。だが、一時的に利を度外視してでも、我慢ならないこともある

敵の利になることだ。自分が忌々しく思っている相手が、喜ぶ顔を見せつけられることだ
言いたくはないが、今に至るまで『黒幕』どもには散々に煮え湯を飲まされた

お前たちに語った計画を実行する間もなく、裏切りを見抜かれて刺客まで送られた
こちらの妨害など、どこ吹く風とばかりに眼前で彼奴等の計画の進行を見せつけられている

先日は、こんな事件も起こった。今やこの世界の大半が、彼奴等の掌の上だ

【カニバディールが手で合図すると、傍らのウィーヴァーがタブレットを近くの机の上に立てて、電源を入れた】
【端末には、鵺が目覚める数日前に起こった『水国国会前デモ隊襲撃事件』の映像が流された】
【『黒幕』に与する狙撃手、カチューシャが二人の戦士を相手取って戦い、淫らかつ優美に演説をぶち上げる様を】

この上、お前たちの命まで敵にくれてやるのが我慢ならない。はらわたが煮えくり返る
ただ、それだけのことだ。そうでなければ、本来は敵のお前たちの世話など焼くものか

第一、お前を売り払いなどしてみろ。翌日には、公安三課が我々を叩き潰しにやってくるだろう

【苦々し気に端末を睨む。本質的には臆病な男故に、公安の恐ろしさは正しく認識しているのだ】


……残念ながら、こう言われてしまってはどうにも出来ないな
向こうからすれば、私が信頼できないのは道理だ。そもそも、身内同士でも腹の探り合いなど日常茶飯事だろう、お前たち公安は


恩に着せるつもりなどさらさらないが、本当に口が悪い女だ
お前たちの仲間が、まんまと罠に嵌められて殺されかけたばかりだと言うのに

……どのみち、いつまでも鵺をここに置いておくつもりなどお前たちにも我々にもないのは確かだろう
安定するまで、もうしばらくは時間が必要だが。こちらの位置情報は、前と同じように端末からの直結で渡す

早いところ、この女を引き取りに来い。届けてやってもいいが、お前たちも私に拠点を知らせるつもりはないだろう?
こちらのこのアジトも、全員が退院したらその時点で引き払うがな

【言いながら、機密文書を渡した時のように鵺の端末と自分の端末を接続しようとするだろう】
【それが許されれば、リーイェンにアジトの座標が送信されることとなる】
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 19:49:28.86 ID:UbhTq/s5O
>>724

【表示されたタブレットを鵺は凝視する、狙撃手の一挙手一投足に興味が湧いて】
【忍びとして、その身のこなしに嘆息した、一体どれだけの鍛錬を重ねたならここまでの技術を持てるのか、と】
【端末から視線を戻した──大分頭も冷えてきて】


……ほーらっ、やっぱりカニちゃんってば優しいんですから
こんな映像見せられちゃ、この状態で戦おうだなんて思わないですよ
何ですかこのエロエッチスケベボディ! 鵺ちゃんも数年後にはこんなナイスバディに……

まぁ冗談ですけどっ、取り敢えずは万全にならなくちゃってことですね
カニちゃんは悪い人ですけど、味方に回ってる間は頼りにしてますよっ
鵺ちゃんは突撃得意ですけど、そういう頭使うの苦手なので


【落ち着いたならそれなりに自制心もあるのだろう、うーん、と唸りながらギプスの具合を眺めて】
【近くのウィーヴァーにねーね、いつ外れるのきれーなおねーさん、と声をかける】
【人懐っこい笑顔、対照的にリーイェンの声は冷ややかで】


”テメーの言うように公安は身内だろうが容赦はしねーです”
”だからこそ、余計に鵺が騙されたのは公安の手引きがあるです”
”そうじゃなきゃ私のファイアーウォールが突破される、わけがねーです”

”そういう訳でその申し出は却下です、出来る限り私は端末に接触したくねーですし”
”そこの屑が歩いて帰れるようになるぐらいまでは、任せるです”
”信用したわけじゃねーです、それが一番可能性がたけーです”

──あのさぁ、此処ってカニちゃん以外にもいるの?
私と一緒に並んでた、ミーくんは知ってるけど、他の二人はしらねーんですよ


【少しリーイェンの口調が移っていた】
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 19:56:16.52 ID:+Jmy0k3j0
>>723

「うう〜、ご主人?」
「そんなに気に入ったの?構わないわよ別に」

【握手に少々困り顔で応じる龍鬼と】
【その様子に、何が琴線に触れたのだろう、と、訝し気に許可を出す宗司】
【最も龍鬼の見た目の年齢的には、文月よりも少々年下には見えるのだろうが】

「勿体ないわね〜、良く言われない?」
「実家は名家、品行方正にして容姿端麗……十分ここでも通じると思うわよ?」
「それに、その着物もセンスあると思うわ、この辺じゃ中々見ないわ、着こなしも適度な崩しが入って」

【然るに、文月の見た目が決して悪いと言う事は無い】
【寧ろ人目を惹くはずだ】
【それ故に縁が無い、と言うのは少々気がかりで】
【そしてお茶をぐいっと飲む文月に、ああっと思い出したような顔をして】

「そう言えば、鮎が出始める時期でね」
「それにこんなのがあるのよね、空けちゃう?」

【取り出して見せたのは、桜桃銘酒『霞桜 純米大吟醸』】
【この辺りでは中々手に入る事は無いであろうそれ】
【そして、この時期やや例年より早めの出初めの鮎だ】
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:05:01.02 ID:UbhTq/s5O
>>726

【ホントですか!? とやや食い気味に反応、龍鬼に対する視線が熱を持つ】
【にまーっとほおが緩んで、ほんとに持って帰りそうな勢いで】
【結果としては頭を撫で撫でするだろう、それぐらいの分別はあって】


……うぅ、そんなん言われはると、照れるどす
でも実家の方やったら、朝から晩まで剣術漬けやったし
周囲の男性なんか、うちより弱い人ばっかやったどす

うちな、守って欲しい人なんどす、うちより強い男性に
せやから最低でもうちなんか、コテンパンにのしてくれる男性がよくて
それさえあらはったら、他に何もいらんのになぁ


【──何となく、恋人がいない理由も見えてくるだろうか】
【彼女が求める男性像は、非常に強い男性なのだろう】
【しかし、まぁ、変わった理想の男性像ではあるが】


ええどすなぁ! うちな! そのお酒大好きどす
でも、飲みすぎはると、悪酔いしはるから、少しだけな
少しだけ欲しいどす


【両手を合わせて喜ぶ、満面の笑みであった】
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/26(木) 20:12:13.67 ID:d63K9hTso
>>725
【画面の中のカチューシャに見入り、称賛の色すら抱く鵺に対して】
【カニバディールは、露骨に顔をしかめていた。今のようになる前にも後にも、恐るべき敵であり続けたあの女性を睨みながら】

それは良かった。これを見てなお、戦線に向かうと言われたらどうしようかと思っていたよ
……お前がいうと、冗談なのか判断しにくいな

それに関しては、こちらも同じだ。敵が同じであるうちは、公安の力を頼りにさせてもらおう
……忍びの得意分野が突撃というのは、どうかと思うが

[普通なら、下手したら完治まで半年はかかるところだけど。貴女、本当に回復速いからね]
[順調にいけば、1、2週間くらいでギプスは外せるんじゃないかしら]

【答えるウィーヴァーの目は、彼女の腕に注がれる。純粋に、その回復力に驚きの色。これも忍びの身体の成せる業か】
【普通なら毒気を抜かれるような鵺の笑顔だが、異形どもはいつものペースである】


なるほど。もっともだな。公安内部が関与しているなら、お前がどれほど優秀でも無意味だろう。内側から破られてしまうのだから
いいだろう。鵺の回復までは、こちらで預かる。信用されたわけではないのは、よくわかっているとも


……平面人間の口調が移っているぞ
ミーくん……ああカタロス、いやディミーアのことか。彼奴は、リーイェンと肩を並べるほどの口と機嫌の悪さで、忌々し気に治療を受けているところだ

それ以外の二人は、櫻の軍人・厳島と、『婦警』に恨みを持つミラ・クラァケだな。どちらも、ここで治療中だ。命に別状はない
後は、ウィーヴァーを始め私の手下たちだけだ

【首で後ろを示す。先ほどからせわしなく人が行き来している。顔のあちこちにピアスをつけた男や、青い肌にいくつもの傷跡のある女】
【首に毒々しい色の液体を注射しながら歩く眼鏡の男に、ヘルメットを被った両腕義手に溶接作業用マスクの男など】
【いずれも、一見してまともではない人種。『スクラップズ』の構成員たちだ】


……こちらからも、聞きたいことがある
ソニア=エカチェリーナ=ドラグノフ=Bこの名に聞き覚えはあるかね

【二人の公安に、異形は暗い視線を向けた】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 20:18:22.60 ID:+Jmy0k3j0
>>727

「うう……龍鬼は、断じて子供ではない?」
「何かこの位の年齢の女の子に執着がありそうね……」

【ナデナデされる龍鬼とそれを見つめて、呟くようにそう言う宗司】
【リオシア、クローディアに会わせたらどうなるのだろう、と思ったり】

「……なるほどね、なんだか良く解った気がしたわ」
「龍鬼もちょっと解ったです?」

【文月の周囲の男性、それは単純に文月より腕の立つ人間が居ないと言う】
【なるほど、守って欲しいのは少女の純なる思いであり理想だが、少女はそれ以上に強いのだろう】

「でもそうなると、誰か居る?」
「翔子に聞いたです?鳴神の子息か、自警団のディミーアとか?後は緑の髪のへケメトにユウト……」
「全員知らないわね、あ、でも厳島は論外ね……」

【そうなれば以外と選択肢の幅は、かなり限られて来る】
【やがて……】

「あら奇遇ね、私もよ」
「龍鬼も貰いたいです?」
「龍鬼、あげるからちょっと手伝いなさい」

【そう話し、桜桃の焼き物の御猪口と魚皿】
【鮎は厨房で塩焼きにして】
【酒はそのまま注ぎ入れ、文月の目の前に出した】

「ほら、今日の出会いに乾杯ってね」

【自分と龍鬼の御猪口にも注ぎ、そう文月の御猪口に近づける】
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:31:05.55 ID:UbhTq/s5O
>>728

【鵺はカニバディールの様子を見て少し不思議に思った、何故ここまで苦い顔をするのだろう、と】
【答えは見つからなかった、そこまでカニバディールという人間を知らないから】
【でも、それで納得出来るほど、やわな人間でもなかったから】


ぬえ! カニちゃん怖い顔してるねっ、なんかやーな思い出でもあるの?
それとも貧乳萌えだったり!? これは鵺ちゃんの貞操も怪しい問題出現ですわっ
ふふーん、忍び全般ができて尚且つ突撃が出来るんです、さいきょーですから!

まぁ、それぐらいは掛かりますよねっ、多分暇なので散歩とかしちゃいますが
ウィーちゃんも一緒に散歩します? ぬえぬえ、このあたり疎いので付いてきてくれると助かりますし

──あー、一気に名前聞いても覚えられないです、カニちゃんのお仲間みたいに特徴ないと


【説明を聞いて放棄する、アホの子であると言っても過言ではない】
【大分自分のペースを取り戻したようで、ふふーんと鼻歌ひとつ】
【相変わらずリーイェンは冷たい態度で言葉をかえす】


”まぁこの調子ですと、放っといても死にはしねーですけど”
”端末越しに聞いてたです、屑共にも作戦があるんですね”
”大まかにでもいいです、説明を要求するです”

──そにあえかてりーなどらふ……だめだめ、噛んじゃうよそんな名前の人
知らなーい、リーちゃんはデータベース探せば分かるだろうけど


【リーイェンは鵺が眠ってるあいだの会話を聞いていたのだろう、その共有を求めた】
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/26(木) 20:37:36.11 ID:UbhTq/s5O
>>729

【話に上がった数人に心当たりがあるようで、成程と言葉を紡いだ】
【──今度模擬戦でもしかけてみようと、内心思って】


あっ頂きます、えへへ、本土来てからお酒飲まはるん久しぶりなんですよね
まあ最初はぐいっと──はふっ


【お猪口に注がれた酒をぐいっと一口で飲み干して】
【白い頬に桃色の絹を被せたように、少女の頬が染まっていく】
【目元がとろんと蕩けた、少し危ない雰囲気を見せて】


龍ー鬼ーはーんっ!


【文月の手が伸びた、龍鬼をとっ捕まえたなら、そのままぎゅーっと抱きしめようとして】
【成功したならそのまま、柔らかな口元に口付けをしようとする】
【──あ、これ、酒癖が悪いタイプだ】
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 20:47:40.68 ID:+Jmy0k3j0
>>731

「あら良い飲みっぷりじゃない!」
「龍鬼は三回に分けて飲むです、じっくり味わうです……」

【くいっと御猪口を傾け一気に飲み干す文月】
【そして頬に刺す赤みと、目元の緩み】
【二人は同時に嫌な予感がした】

「あ、きゃッ、ご主人助け……」

【ちゅぅっと、唇が吸われる柔らかな感触】
【捕まえられた龍鬼は、そのまま唇を奪われ】

「な、何をするです!?龍鬼は断じてその趣味はない……筈です」
「(あら、やっぱり)」

【一人優雅にその光景を見ながら、そう思ったのは宗司】
【対する龍鬼は涙目で】

「兎鬼、不味くなったら止めに行きなさい」
「私、戦えないのー、牛鬼や馬鬼の方がいいと思うのー」
「止めに入るには、多分あんたの方が適任よ、多分」
「んー、解ったのー」

【側でもう一体、色彩豊かな赤い着物に淡い橘色の被衣の服装、黒髪の少女の式神を呼び出しこう会話している】
【なお、見た目は龍鬼よりも幼い】
733 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/26(木) 21:01:18.27 ID:t6kpvnfO0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――水の国 繁華街】

「――――奴はどうした?」
……知り合いの心を取り戻すためにって、無茶な訓練を始めて……早速事故を起こし、死にかけている……
「……死にかけている?」
あぁ、大丈夫。峠は越しているから……じゃなきゃ、こんなに落ち着いてはいられないよ……

【黒いコートをしっかりと着込み、魔術師である事を如実に表す黒のハットを被った】
【手には、頭部に青い石が嵌めこまれて先端を鋭く尖らされている、細い金属製の杖を握り締めている】
【漆黒のボブカットと、幼さを残しながらも憂いを帯びた様な瞳をした、身長160cm前後の中性的な青年と】

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人が】

【あちらこちらのネオンに照らされた、眠らない街の片隅で、周りの喧騒をまるで気にせずに、密やかに言葉を交わしている】
【魔術師と獣人と言う、目立つなと言う方が無理な取り合わせだが、道行く人々は、それぞれ自分の事で頭が一杯と言った様子で、存外に彼らの密談は、快適に進んでいた】

「……心を取り戻す、か……レイドの奴がいてくれれば……」
……?
「……気にしないでくれ。ただの独り言だ。奴もおそらくもう、生きてはいまい……死人に頼ろうとするのは、死人だけだ……」

【ため息とともに、獣人は腰からパイプとライターを取り出し、タバコに火をつける】
【ゆるっと吐き出された煙は、そのまま夜の喧騒の中に、溶ける様にして消えていった――――】



【――――所変わって、水の国 路地裏】

――――ま、なんと言いますか。流石に少し鈍っていた訳で。いけませんねぇ、やっぱりこっちの鍛錬を怠っては……
私はこいつを頼りに、今まで生きてきたってのに、『表』の方が順調になって、ちょっとおざなりでしたか?
『裏』あってこその『表』だってのに……

【切れ長で涼しさを感じさせる瞳が、艶のある短い黒髪の中で映える顔立ちの】
【医療従事者用と思しき白衣を着こみ、ポケットからはステンレス製の細長い箱が覗いている】
【頭に、白いつば広の帽子を被っている、身長160p前後の女性が】
【指先に、金属光沢を放つ、長い鍼を弄びながら、少し呆れた様子で壁に凭れ掛かっている】
【――――足元には倒れ伏す2人の男。そして手にした鍼には、血の汚れが滴っていた】

このままじゃ、我が身を守るのにすら、ちょっとした不安がありますね……噛んでくどころじゃないですよ

【つぅっと指先で血を拭いながら、女性はすっと目を細めてその鍼を見つめていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/26(木) 21:09:41.52 ID:d63K9hTso
>>730
……ああ、大いにある。それどころか、現在進行形で量産中だ
残念だが、私は肉厚の方が好みでね。お前には食指が動かないから、安心しろ

その最強の忍びが、公安に身を置いているのだから、この世は数奇なものだな


[ええ、散歩くらいは構わないわよ。お望みなら、付き添いもね]
[ここは治安の悪い裏町から、さらに路地裏の奥まで行ったところだから、あまり遠くまでは危ないから無理だけど]

……調子は戻ってきたようで何よりだ

【忍びとしてはあれほど優秀でありながら、普段はこの様子。何とも不思議な少女である】
【鼻歌すら歌って見せるならば、心に負った傷は杞憂だったか、それとも未だ目をそらしているだけか】
【いずれにせよ、盗賊どもはその内面にまで踏み込むことはない】


耳聡いことだ。いつから盗み聞きをしていたのやら
いいだろう。といっても、作戦というほど大層なものじゃあない――――

【言って、カニバディールは『婦警』に纏わる現状を語る。UTの鈴音を、たんぽぽ≠フ子供らの写真を見せて脅迫したこと】
【引き換えとして、カニバディールを殺すかUTが保護している初瀬麻季音の身柄を引き渡すように要求したこと】
【鈴音が思いつめた末に、カニバディールに自身を殺して治めるように求め、カニバディールはそれを受けて『婦警』へのカウンターを企てて、協力者らに話を広めたこと】

受け渡しに『婦警』が現れれば、その場で八つ裂きにする。ただそれだけだ
所在すら不明の敵が、確実に表れるだろう機会を得たという、それだけのことだが……

お前たちがこうして罠にかけられたことからもわかる通り、『黒幕』どもには対峙する者全てがしてやられ続けている
現時点では、他に糸口もないのでな

【語り終えた異形の目には、悪意で塗りつぶした怖れがあった】


知らないか……彼奴がああなった℃閧ェかりをつかむのは、容易ではなさそうだ……

【鵺の言葉を聞けば、異形は呟く。再び、端末の向こうのカチューシャを睨みながら】
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/04/26(木) 21:52:06.66 ID:sjHH6un+o
【UNITED TRIGGER本部 酒場】
【昼とは違い日が沈み肌寒くなってきた時間帯にて、休業時間中の酒場の中で二人の人物がまだ店内にて動いている】
【一人は酒場の一席に座り、念入りに『OPEN』『CLOSE』の看板を磨いているようだ】

【その人物は、黒い短髪を若干しゃれた状態に整髪料で整えた、自身満々の顔つきとは裏腹に若干年若い印象を与える顔立ち】
【新品同様の真っ白な白衣に身をまとい、その下には白地に薄い青色ストライプのブラウスに真っ黒なスラックスをはいている】
【右耳にはインカム型の機械、右手にはマニピュレーター、そしてその首には髑髏模様が際立つ奇妙なデザインのネクタイを首に絞めている】

【話し相手は三日月の髪飾りで結われた黒のポニーテール。アンテナのような機材が取り付けられた耳。白いフリルとエプロンに飾られた黒い侍女服】
【大柄な男性の体躯とは裏腹に130cmほどの小柄な背丈の彼女は、バーカウンターの奥でちょこちょことせわしなく動きながら掃除をしている】
【小柄すぎてバーカウンターの奥に行くと髪飾りと黒髪くらいしか見えないが、奥で床をモップ磨きしているようだ】


……ジャンクちゃん、世論の流れはいよいよまずい事になってきたようだ
先の水の国デモ襲撃の話は聞いたね?彼女の立ち位置は相当まずいことになったし、民衆たちもいつ暴徒化してもおかしくはない
下手をすれば能力者たちの魔女狩り時代が始まりかねない状況だ

『……最悪の事態が起きれば、そのきっかけとなった彼女の罪はどうあがいても償いきれないほどの規模になってしまう、と思われますデスヨー』

その通りだ。思ったより冷静じゃないか
魔能制限法も後押しし未曽有の大迫害の火種となりかねないほどの物になってきてる、というわけだね
状態はともかく、可能な限り早急に彼女の行動は止めなければならない

……そして、状況はさらに悪いことに、今この場にこの店の……この『組織』の主は不在と来ている。実にマズいな


【いつになく焦燥した表情を見せる両者。最もメイドの方は今まさに換気扇掃除に飛ばした弱めのリモートロケットパンチくらいしか見えないが】

【さて、現状白衣の男が『CLOSE』の看板を磨いているため、開け放たれている酒場の門から足を運ぶのも自由にできる状態になっている】
【正義組織に用事がある者などは、足を運んでみてもいいかもしれない】
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/26(木) 21:57:40.66 ID:IFsxjPi4o
>>732

【柔らかな唇の感触、上気した頬が熟れた果実を思わせて】
【一度二度、深く吸い付いたなら漸く離す、とろりと垂れる唾液の名残】
【ふぅ、ふぅ、なんて荒い呼吸の雪片が聞こえたなら、龍鬼を見る目に艶が宿る】


あーっ、んもぅ、可愛ぃどすなぁ、うちも龍鬼はんぐらいのサイズやったら愛されたんかなぁ
でも無理やんなぁ、こぉんな刀剣バカなんてだれも相手してくれはらへんしぃ
葉月姉はなぁんか上手くやらはってるみたいやしぃ!

どぉしてうちばっか貧乏くじひくんよぉ、ひっく……
あぁ、幸せになりたいどす──恋人の1人でも、おらんと
もうほんに、夜が寂しくて寂しくて──


【ぎゅうとしながらなでなで、酔っていても腕前は達者な様子で】
【がっちりとホールドしてる、細い二の腕にどれくらいの力があるのか】
【関節を的確に捉える形、技術の賜物である】
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/26(木) 22:04:27.66 ID:IFsxjPi4o
>>734

【食指が動かないと聞いて、ぷくぅ、と頬を膨らませる】
【そうなのね、みんな巨乳が良いのね、なんて一人でぶつぶつ言ってみたりして】
【ウィーヴァーの言葉にやったー! と喜びの言葉】


ほんとーーーにっ!! やーな連中ですこと! やる事なす事が汚いですよねっ!
そりゃあまあ鵺ちゃんは忍者だし? 搦手の一つや二つや百つぐらいしますけど
ここまで陰湿ーな手段は取りませんよっ! めったに(小声)

ふふーんっ、ここらでいっちょムカつく面構えにカウンターパンチですね!
やられっぱなしは癪です、もうほんとに、心の底からムカムカです!
その作戦、鵺ちゃんも参加しますよ!


【話の詳細を聞いてぷんぷんと怒っている、表情豊かな事で】


ああなった、って、ああなる前があるんですか?
あるとしたら貧乳時代なんでしょうけど、あのスタイルから見るに幼い頃からグンバツですね
序盤中盤隙がないです、大丈夫、最終勝つのは鵺ちゃん──

”『第二回大会準優勝』UNITED TRIGGER所属”
”バトルスタイルは狙撃銃、能力は鏡と硝子に関する能力”
”──これぐらいは調べたら出てくるです”
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 22:28:05.41 ID:+Jmy0k3j0
>>736

「んッ……龍鬼サイズって、そんなに変わりはないです?」

【十分に、そしてたっぷりと唇を吸われ】
【つつっと、唾液の残滓が零れ】
【その目が本格的に艶を帯びると】

「ううううううッ!!は、離れないです!?痛いです!?」

【がっちりと見事に、そして綺麗に関節が決まり】
【文月にホールドされる龍鬼】

「そろそろね、兎鬼、行きなさい」
「はいなのー!」

【そんな文月と龍鬼の丁度間くらいに】
【其々の腕に手を触れて】

「文月さんそろそろ離すのー」
「龍鬼が痛がってるのー」

【そんなやや間延びした話し方で、文月を諫めんとする少女の式神】
【兎鬼が声をかけた】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/26(木) 22:33:15.16 ID:IFsxjPi4o
>>738

【新たな少女の式神を見つけ、文月の目の色が変わる】
【次の犠牲者だと言わんばかりに、ゆっくりと龍鬼から腕を離すだろう】
【そうしてゆっくりと振り返って、その両手を──】


っ……ふぅ、──はふぅ


【ぽすん、と音を立てて文月がその場に座り込む、お辞儀をする人形みたいに丁寧な姿勢で】
【やがて、すーすーと小さな寝息を立てて眠り始めるだろう】
【悪酔いするタイプだが、眠るのも早いのだろう、何ともはた迷惑なタイプで】

【もしかすると賀茂は聞いているかもしれない、連日連夜文月は海軍の指導に携わっていると】
【ほぼ一人で全人員を見ている、その他熱心な指導は個々人の為にスケジュールを組む程】
【──寝る時間などほとんど無かったのだろう、寝顔はとても、安らかであった】
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 22:45:45.79 ID:+Jmy0k3j0
>>739

「……あら」
「た、助かったです?」
「寝ちゃったの―」

【その場に、その姿勢のまま眠り出す文月】
【随分と安らかな寝顔は、連日の疲労を伺わせる】

「お疲れさま、ありがとうね文月……今夜はゆっくりお休み」

【そう声をかける宗司】
【そして】

「龍鬼、兎鬼、二人で部屋まで運んであげなさい」
「ちゃんとベッドに寝かすのよ」
「龍鬼力仕事は苦手です?」
「私も力ないよー」
「つべこべ言わずにさっさとやる」

【そう二体の式神に指示】
【そのままであるならば、二体によって文月は自室のベッドに運ばれていくだろう】

「大変ね、本当……こんな子にも厳しい任務を……司令長官、土御門のジジイは何考えてるんだか……」

【その様子を見届け乍ら、こう宗司は呟くように言った】
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/26(木) 22:47:50.93 ID:IFsxjPi4o
>>740

【そのままその日は眠り続けているのだろう、朝になったらあたふたと焦る彼女の姿が見られるはずだ】
【──しかし、彼女は知らない、魔導海軍という組織のその奥に何があるのか、を】
【故に貴方の思惑を汲み取るには、まだ浅いのだろうか──】

/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/26(木) 22:57:25.43 ID:+Jmy0k3j0
>>741

【文月が運ばれていった後の店内】
【誰も居ないここで、静かに御猪口を傾けながら】
【鮎の塩焼きを肴に一杯】
【まだ、まだ期は熟していない】
【しかし状況は、否応なく動くのだ】
【歯車はまだ、動き始めたばかりなのだから……】



//ではこれにて〆で、乙乙です!
//絡みありがとうございました!
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/26(木) 22:59:54.79 ID:d63K9hTso
>>737
別にお前に魅力がないと言っているわけじゃあないだろう……
第一、私の如き異形の好みにまで、反応しなくともいいだろうに……

[本当、こうして見てると公安の忍者さんとは思えないわね]

【二人の盗賊は、それぞれの目で鵺を見る。子供のようにころころと変わる表情は、彼女の実力を知っているがゆえに不可思議にすら思えて】


我々も盗賊である以上、汚い手などいくらでも使うが、やられてみると気分が悪いものだ
……時折は取るのだな。まあ、忍者というのは目的の為なら手段を選ばないものだと私は認識しているが

ああ、そうしてくれると心強い。今回のように能力を奪われることもあり得るからな
頭数が多いに越したことはない。こちらも、能力を失っても問題なく戦える戦力を連れていくつもりではあるが

【漫画的な擬音すら聞こえてきそうな、鵺の怒り。やはりこうしてみると、忍者とは思えない。それとも、これも油断を誘う策のうちか】


……私個人としてはあの女は気に食わないから、投票で勝敗が決まるスタイル勝負があり得るのなら、『スクラップズ』の組織票をお前に投じておこう
――――その通りだ、リーイェン。UTの女狙撃手、ソニア。それこそが、あのカチューシャの前身だ

【そう前置きすると、カニバディールは再び語る。昼の国で自身が起こしたテロで戦った相手。その圧倒的な狙撃技術と能力を併用した戦闘能力の高さ】
【それでいて、相手を決して殺そうとはしない。儚げで幼い、そんな存在だったと。今のカチューシャとは似ても似つかない】

【だが、確かに。水の国で見えたカチューシャは、間違いなくソニア本人であったと。異形の目には、そう映った】
【つまりは。『黒幕』側の者が、ソニアに何かをして別人のように作り替えたのではないかと。異形はそんな推測を語った】
【彼女が口にした、OMERASという言葉が、それに何らかの関係があるのかもしれない、とも】

まあ私にとっては、元々が敵だ。あの女がどうなろうと、どうでもいいことだ
しかし、見ればわかるだろうが。あの女には、何と言ったらいいのか。陳腐な言葉だが、魔性の魅力というものがある

ソニアであった頃から、彼奴はUTの仲間を始め、いろんなところで良好な関係を築いていたと私は見ている
こうも派手にメディアに露出していれば、ソニアを知る連中はこの事態を知って、どうにかカチューシャをソニアに戻そうとすることは想像するまでもない


そうなれば、『黒幕』側であるカチューシャを排除しようとする我々と、ソニア≠フ関係者とが衝突することにもなりかねない
しかも彼奴は、カチューシャとなってからは己の魔性を意識的に使って、男女問わずに粉をかけて回っているようだ
厳島の部下の女曹長や、ディミーアもその中の一人らしい。その連中は、カチューシャ≠フ方を世に留めようとすることだろう

たった一人の女を巡って、『黒幕』と全く関係のない対立構造が生まれる可能性があるわけだ……傾国の女、とはああいう手合いを言うのかね。私にはさっぱり良さがわからんが
私としては、そんなことのために『黒幕』に対抗する者たちを減らしたくないんだよ

お前たちが、一人の人間を別人にしてしまうような技術や能力について知っていれば、カチューシャをソニアに戻す手段も得られるかと思ったのだが
彼奴がソニアに戻ってしまえば、『黒幕』の戦力をそのまま削ることにもなるからな
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/26(木) 23:14:08.51 ID:NSrAoATdo
【──下弦の月が登る日の、路地裏でのことだった】
【夜間も温度が高くなってきた為に、犯罪も徐々に増え始めていて】
【自警団も警察も、自主的な警邏の回数を増やしていた。そんな日のこと】


「おいおい、お兄さん達よォ……。もう少しタフな奴はいないのかい?」


【黒留袖を羽織り、その袖を揺らしながら愉しげに笑う】
【女の右手には黒い刀の柄、そして地面に伏せている数人の男】
【おそらく警邏をしていた警官が不審者を見つけて応援を呼んだのであろうが】

【そのどれもが、無残な姿になって転がってしまっていた】
【一人は右腕をもがれ、一人は腹部に“風穴”を開けられてしまっていて──】
【生きているか死んでいるかわからない、地面には血溜まりが出来ていた】


「つまんねェ連中だなあ──……。遊びにもならねェや」


【ため息一つ、呆れ顔。右手の黒刀はいつの間にか霧散していて】
【途端に辺りを黒い霧が覆い始める。まるで殺人欲求が収まっていないかのような──】
【断末魔を、衝撃音を、肉が引きちぎられる音を。聞いた者はいるのだろうか?】
// 死合大歓迎です!
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/26(木) 23:15:14.19 ID:IFsxjPi4o
>>743

【持っているのは愛らしさ、それは意識せずとも身についた彼女を忍びたらしめる最大の武器】
【カニバディールなら分かるはずだ、仕事となれば彼女はキチンと忍びに徹する事が出来る】
【彼女の弱点がその幼さであるのなら、彼女の武器もまた、その幼さなのだから】


そりゃまぁ、人並みには取りますよ、変装やら色仕掛けやら、その他諸々は
でもその全ては任務遂行の為ですから、必要としなきゃやりたくないですよ、でも、なんか、思うんですけど
『黒幕』の人達って、的確なんですよね、的確に私達の嫌がる事をしてくるんです

それこそが私が一番嫌だなーって思ってるところなんです、ほんとーに頭良い人達の集団なんだなって
もっと良い事すればいいのにね、こんな悪巧みやらなんやらをするんじゃなくて
それはカニちゃん達にも言える事なんですけどっ、もっとこうお天道様の下で生活できるような仕事──

まっ、鵺ちゃんも似たようなもんでした、失礼


【こほん、と申し訳程度に咳払い、事実ここにいる面々は各々似たような立場ではあって】
【百人力ですよ、百人、と自身の力を誇張して言う、相変わらず口ばかり達者で】
【カチューシャの説明と見解を聞きながら、ふーん、と頷いて見せて】


うっわーモテる女は何とやら、世の男性はそんなに巨乳が好きなんですか巨乳が
巨乳で北欧で巨乳なら何ともなる世の中が妬ましい! ぬえっ!
……とまぁ冗談はさておき、冗談ですよ、ほんとです、妬ましいのもほんとですけど

”結論から言えばノーです、貴方公安を悪の秘密結社か何かと勘違いしてねーですか?”
”我々は我々なりに進んだ技術等はありますですけど、そこまで逸脱した技術はねーです──いや”
”────少し、待つです、一人の人間を別の存在にする”

”……そんな絵空事を言ってた人間が、公安に一人だけいたです”


【鵺の端末が起動する、表示されたデータは一人の男を映していた】
【スーツ姿の男性だ、黒い髪の無表情な顔立ちの男】


”嵯峨野 鳴海──公安部特別配属課の『調停官』でごぜーます”
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/26(木) 23:48:52.27 ID:d63K9hTso
>>745
【そう、異形の肉屋は知っている。あの船の中での彼女は、間違いなく手練れの忍びであった】
【今だって、罠にかけられてあれほどの目に遭わされたと言うのに、こうして引きずる様子も見せずに会話を続けている】
【その時点で、彼女の恐ろしさがわかろうというもの。ただ幼い、というだけで見くびれるような相手ではなかった】


当然だな。忍者があらゆる手段を用いて目的を遂行するプロなのだから
だが、それらはお前が言うように、あくまで技術の一つとして修めていることだ

連中は、いわば嫌がらせのプロだ。相手が最も嫌がることを見抜いて、そこを執拗に攻め立てる
情報を集め、相手を暴き立て、それでいて自分たちの情報はほとんど表に出さない。厄介極まりないことだ


……我々は、いわば性分だ。その分、見ただけで異常だとわかるようにしている
まあそう言われても仕方ないとはわかってもいるがね

ふ、ふ。そうだったな、お前も公安の忍びという闇の中の住人だった。こうして対話していると、忘れそうになる
(それが何より恐ろしい、とも言えるがな……)

【そう、立ち位置は違えど方向性は同じ面々。それでいて、鵺にはそれを忘れさせるものがある】
【この幼さの残るテンションのまま、突然刃物を突き出されたら。今そうされたら、自分は避けきれるのか】
【己の力を誇示する彼女には、「大いに期待させてもらおうか」などと頷いて見せるものの。内心では、本当にそれくらいの実力を秘めているのだろうと冷や汗を流す】


……胸のサイズだけで留まる程度の魅力なら、まだマシだったのだがな。あの女はスタイルも含めて、自身の魅力を最大限に発揮して、魔性に昇華する術を持っている
事実、そうしてお前が妬ましいと思っていることすらも、彼奴がそれだけの武器を持っているという証左とも言えるかもな

悪の秘密結社、とまでは言わないが。事実、今まさに公安の一部が暴走しているんだ
そういったことが出来る者がいてもおかしくはないかと――――何? 心当たりがあるのか

……公安部特別配属課……『調停官』、嵯峨野……
嵯峨野という名は、櫻国海軍が怪しい相手だという情報を掴んでいるとは聞いていたが……

事実、その絵空事としか思えない事態が起こっている。それが、『黒幕』についている……
櫻国海軍の情報と併せれば、この嵯峨野は『黒幕』に与する者の可能性が高いと言えそうだ……

確証が持てない以上、何とも言えないが。この男については、調査の必要があるな……

【考え込む様子を見せるカニバディール。三つの目玉で端末の男性を睨む】
【一見して、特に怪しいところは見られないが。その内側に、何を抱えているのやら】
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/27(金) 00:00:40.73 ID:Gf3vPlpEo
>>746

【同じ感想を鵺も抱いていた、カニバディールはやることなすことは悪鬼羅刹のそれであるが】
【言わばどこまでも紳士的な雰囲気があった、それこそがカニバディールに多くの異形が傅く所以か】
【故に彼女も気を許している、尤も──それは彼女の性質そのものであったが】


勿体無いですよっ、こう話してみればふつーの気のいいおじ様なんですけどね
もう悪い仕事なんてやめて、優しいみんなのお肉屋さんでもすればいいんです
ニコニコ笑顔で不況の最中でも、安くお肉を売って、古くなったら腸詰めにして

鵺ちゃん知ってるんですよ! 昔にもそんなに肉屋さんがいたって! 気狂い肉屋って言われてました!
闇の住人だなんて人聞きの悪い、夜の女って言ってくださいな
闇に潜む夜の女です、今日もエージェントは夜を歩く、と

魅力を知ってる女ってヤバいですよね、自分の強み知っちゃダメですって
特に男性は骨抜きにされちゃうんですから、んもー男子ってやーねっ!
せくしーさは鵺ちゃんは得意です、嘘は言ってないです


【もうすっかり本調子である、それと対称的なのはリーイェンであった】
【画面に指し示す嵯峨野の情報、見るからに典型的な公安のエリートといった経歴だが】
【暫く沈黙があるだろう、少しして端末から軽い音が聞こえた】


”──<harmony/plan>人為的に、人間の遺伝子から悪性の因子を取り除く計画です”
”本来なら受精卵に行われるですが、嵯峨野の言によると”
”既に出生した人間を遺伝子に分解し、再構築すると──”

”そんな風に言ってやがる、です──信憑性はわかんねーですが”


【リーイェンの補足説明、プレゼン向けの資料が端末には表示されている】
【分解し、再構築──カチューシャの存在、ソニアとの類似性】
【──怪しさの根源が、そこにはあった】
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/27(金) 00:41:59.39 ID:5kL84HuCo
>>747
【他者の多面性を恐れてはいたが、それは異形も同じく複雑な多面性を持つがゆえか】
【呪われた能力を持って生まれ、腐った悪徳の街で幼少期を過ごし、狂った上流階級と接しながら青年期を過ごし】
【そうして培われた歪な異形。それがカニバディールのルーツだ】

……この呪われた能力を持って、あの街に生まれてさえいなければ、そんな未来もあり得たかもな……
――――いかんな。お前と話していると、余計なことまで口走る

気狂い肉屋。私も無論知っている。私の二つ名は、それと被らないように人喰い肉屋とされたくらいだ。その筋では有名人だよ
夜の女というと、また別の方向性の誤解を生みそうなものだが……エージェントなら、格好もつくな。私はそちらで呼ばせてもらうとしよう

自分の力をどう使えばどんな効力を生むか。それをわかって動く者、自分を知っている者は、強い。敵に回せばこの通りだ
ああ、嘘とは思わない。彼奴とは形が違うというだけで、お前とて自分の魅力をどう使うかわかった上で行動すれば、カチューシャと同等かそれ以上の魔性を発揮することも出来るだろうさ

【軽い口調の鵺に対して、至極まじめに彼女の言葉を肯定して見せるカニバディール】
【普通なら口説いているようにも思えるかもしれないが、この男はまともからはかけ離れた食人鬼】
【単に彼女のポテンシャルを、事実として評価しているだけなのだろう】

<harmony/plan>……本来なら遺伝子改良のための技術というわけか
それを転用して、このような形で……確かに、普通なら絵空事と切り捨てるところだろうが

この世界では、常識≠ヘ大した力を持たない。それは私もお前たちも知っての通りだ
もし……この資料の通りだとしたら、事は思った以上に深刻だな……

洗脳だとか催眠だとか、そんなチャチなものじゃあ断じてない……もはや、人為的な生まれ変わり≠ニすらいえる
遺伝子にまでバラバラにされて、組み上げられた人間が元に戻せるのか……ソニアのために、そんな真似が出来る輩など……
――――私の知る限りでは、ジンジャー・ユースロットくらいなものかね

【端末を睨みつけながら、カニバディールは半ば核心を抱いていた。ソニアが何かをされたのなら】
【おそらく、その答えはこれなのだと。異形は、通信が出来ないなら、その場で端末に表示された資料画像を】
【自身の端末で撮影することを求めるだろう。この事態に対抗する、重要な手がかりとして】
【それが許されずとも、可能な限り記憶に焼き付けてはいるのだが】
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/27(金) 01:01:01.42 ID:Gf3vPlpEo
>>748

【思わず口走った一言、その一言だけで十分すぎた】


──今からでも全然、遅くないと思いますよ
遅いって言うのは、死んでしまった時なんです、それ以外は全然、遅くなんかないんです
有り得た、じゃないんです、きっと実際に有るんですよ、カニちゃんのお肉屋さんに鵺ちゃんが買い物に行く未来

でも、今のままじゃそれは有り得たかもしれない未来なんです
悪い人達が世界を支配したら、私達なんて呆気なく死んじゃうんです
私の里もそうでした、呆気なく、滅んじゃいました

だから、私は黒幕に大きな借りがあるんですっ、一発ぶん殴って、取り返しに行かなきゃ
私達の未来を、取り返しにいかなきゃいけないんです


【屈託なく笑う、その笑顔を向けれるまでどれだけの月日があったかなんて、感じさせず】
【カチューシャとまた違った形で彼女もまた、自分の魅力を知っているのだろう】
【恐らくは無意識に、どんな時でも明るく振る舞う──それこそが、彼女の道だと】


あらっカニちゃん情熱的な告白ですか? 鵺ちゃんビックリですよ
君は彼女より綺麗だよだなんてありふれてますーっ、もっとロマンチックにいかなきゃ
うーんなんでしょっ、君のもつは世界一美しいよ──スプラッターはんぱねーです

”ジンジャー・ユースロット……その筋では有名な科学者でごぜーますね”
”マッドサイエンティストな側面もあるですけど、この世界ではトップクラスの技術力”
”──何より特筆すべきはその悪魔的アイデア、技術の革新においては数世代先を行く人物と、聞いてますです”

ほえー、そんな凄い人がいるんですねっ


【資料画像の撮影は許可されるだろう、大体の情報は手に入る筈だ】


ふぁぁ、鵺ちゃん久々にお話して疲れちゃいました
今日はもう寝ますです、カニちゃん明日の朝ごはんはカフェオレとサンドイッチがいいのです
お昼は精のつくものが食べたいのです、ステーキとか最高ですねっ!


【一方的に話してもぞもぞと鵺はベッドに向かうだろうか】
【何か聞きたいことがあれば答えるだろうが、すぐに寝てしまう】
【疲れていたのだろう、そのままぐっすり、眠るはずだ】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/27(金) 01:14:40.75 ID:5kL84HuCo
>>749
……死ぬこと以外はかすり傷、か
ふ、ふ。私が積み重ねた罪が、それを許す時がもし奇跡的に来たとすれば……考えておこうか

(全く……バカげたことだ。結局、私は悪党にもなり切れないままか?)

【彼女の声が耳に届く。もしかしたら、そんなこともあり得るのかもしれないと】
【自分が踏みにじってきた者たちの怨嗟の声が腹の底に響く。そんなことはあり得ないと】
【己自身が積み重ねて来た業は。やはりどこまでも、重くのしかかってくるのだ】

その通りだ。彼奴等の企みが成功すれば、我々の居場所は完全に奪われる
――――滅びたのか。お前の故郷は

そうだ。奪い返さねばならない。奪われたなら、報復せねばならないんだ

【その笑顔の裏側。言葉の端に滲む闇。暗い過去。人に歴史あり、か】
【この身勝手で邪悪な異形に、さっきのような一言を口走らせたのも。彼女の道が、魅力がそうさせたのだろう】
【他の誰かならばあり得なかった、彼女だからこその力】


……残念ながら、その手のロマンスとは縁遠い人生だったものでね
私らしいと言えばらしいが、その台詞で上手くいくような女はいないだろうな

ああ、そうだ。私自身、敵対者としては幾度も煮え湯を飲まされた凄腕だよ
彼奴の頭の中には、異次元が広がっているとしか思えん

もし、彼奴がこの事態を知っているとするなら……接触する価値はありそうだ
(ディミーアや女曹長には、当面知られないようにすべきだろうな……)

【撮影した画像データを眺めながら、異形はその未来を幻視した】


わかった、食事は希望通りのものを用意しよう
ウィーヴァー、念のためしばらくは鵺についていてやれ

[了解、ボス]

【寝に入る鵺を止めることはなく、異形は後を配下に任せて病室を去るだろう】
【鵺が語った未来を否定する、自身の内側の呪詛の叫びをいつもより大きく聞きながら】

/お疲れさまでした!! 長時間ありがとうございました!!
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/27(金) 12:00:10.37 ID:6IbBWv540
【水の国ーーーー噴水のある公園】

【風もない穏やかな正午ーー太陽の日差しが降り注ぎ、時折鳥の声が聞こえてくる】
【木々は生き生きと、人々はのびのびと、快晴に甘えるように何事もなく生活している】
【とにかく平和な公園の、中心部】
【とろとろと溶けたように流れる噴水の水。宝石のようにきらきら反射する水面】
【誰もが喜びそうな美しい光景に背を向けて、噴水の縁に座る少女が一人】
【薔薇の飾りがついた白いヴェールを頭から被り、ゴシック調の黒い服ーー短めのケープにふんわりとした細い縦縞のブラウス、その上から引き摺るくらい長いワンピースを着ている】
【縁に座って足を放り投げても靴が見えることはない、それくらいの長さ】
【若葉色の瞳は細められて、太陽から目をそらすように俯いていて】
【ふう、と小さく息をもらす姿はなんとなく、弱っているような……疲れているような……】

こんなに太陽が元気な時に出るのは良くないのだわ……

【ふらり、と体が揺れるーー完全に太陽にやられている】
【噴水の影に座るようにはしたのだけれど、それでもまだその光と熱には勝てないようで】
【よく見ると被ったヴェールの先が噴水の水に浸かってしまっている】
【ゆらゆらと水に、てらてらと光にーー彼女は気にしていないのか気づいていないのか、振り返ろうともしない】
【ただただ一点をーーもしかしたらそろそろ歪んできたかもしれない景色を、左手の甲についた黒い宝石のアクセサリーを優しく触りながらぼーっと見つめてーー】

//絡んでくれる方募集してます!
//よかったらぜひー
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/27(金) 13:16:45.35 ID:Gf3vPlpEo
>>751

【ふと横に人の気配を感じるだろうか、軽い衣擦れの音が静かに染み渡る】
【昼下がりに烟る春風の香り、甘い吐息が金盞花の様に満ちたなら】
【静かな水面に風が僅かな波紋を起こすような、小さな声が響く】


そこのお嬢様、差し支えが無ければ熱を測らせてもらっても
まぁ、大変──測らずとも分かります、大分太陽にやられてしまっています
えぇ、分かりますとも、この温度です、今日は一段と暑くなっておりますし

水辺は更に日光を反射して暑くなることでしょう、木陰に行くのはいかがかしら
綺麗なお嬢様がもし倒れでもしたら、沢山の殿方が放っておりませんこと
中には悪い狼の1匹や2匹、居たっておかしくないんですから


【萌葱色の長い髪に病的な白さの肌、檸檬色の双眸は切れ長の面持ちを耽美に飾る】
【黒いトーク帽に黒いヴェール、肩を大きく露出させた黒のナイトドレス】
【黒のニーソックスとハイヒールを履いた少女であった】

【少女は貴女の手を取り、近くの木陰の下にあるベンチに誘うだろうか】
【移動できたなら直ぐに自販機に向かい、冷たい水を買ってくる】
【ペットボトルのそれを差し出し、隣に座るだろう】
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/27(金) 13:37:53.69 ID:6IbBWv540
>>752
【小さな声が聞こえたならーーひとりでに動くビスクドールのようにぎこちなく、声の方へと首を向ける】
【ぼんやりとしているけど、初夏のような色合いの、それこそお人形のような女性を視界に捉える】
【相手が熱を測るためにその額に触ったのなら火照るように熱いことに気がつくだろうし】
【触らなくても桃色を通り越して薔薇色に染まる頬を見れば熱中症になりかけていることなんてわかってしまうのだろう】

とても、とても暑いのだわ……
ここから逃げたいのに、なぜか立てなくて……
でも……狼に襲われるのは嫌なのだわ!!

【ぼんやりとしか開かれていなかった瞳が見開かれる】
【狼にーー相手は比喩としてその言葉を使ったのだろうけど、狼にトラウマのある彼女はこれはまずいってすくっ、と立ち上がる】
【手を引かれて木陰のベンチに移動して、ひんやりとしたベンチに少し頭がさえてーー】
【水をもらえたのなら「ありがとうなの」と受け取って、口をつけたのなら、乾いた地面が潤うように、水不足で萎れかけた切花が行きを吹き返すように】

ぷはっ!
助かったのだわ、私このままだったらあそこで真っ黒焦げになってしまっていたに違いないの
あなたのおかげで回避することができたのだわ、ありがとうございます
何か、お礼をさせていただきたいのだわ!

【ぼんやりとしていた顔には笑顔が戻り、助けてくれた相手に月のように優しく微笑んでーー】
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/27(金) 13:54:42.49 ID:Gf3vPlpEo
>>753

【水仙が夜露を浴びて潤うが如く、目の前の少女が元気を取り戻す】
【其れを見て彼女は静かに笑うのだろう、妹を見守る姉の様な慕情で】
【御礼なんていりません、と言葉を重ねて、檸檬色の瞳を貴方に向けた】


その代わりに、と言ってはなんですが、少しお聞きしたいことがあります
……大丈夫です、そんなプライベートな事情ではございませんから
こう見えても私は研究者でして、日夜世の条理を解こうと研究しているのです

──ふふ、そう見えませんよね、私とてそう思います
白衣が苦手にございまして、どうしてもあの清廉潔白な装いに納得が出来ないのです
我々が真実を求める為に辿る旅路に、僅か一片足りとも無垢な色は無いのですから


【滔々と語る、耳に心地よい音律はさながらラジオから流れる子守唄のように】
【一つまた一つと音色を重ねて、貴女にひたり、と肩を寄り添わせる】
【息もぴったりの二人静、踊る白拍子の旋律にも似た仕草で】


お嬢様もヴェールを被ってらっしゃるのね、花嫁の様に可憐でございます
私のものは黒、そうです、私は喪にふくさねばならないのです
変わった風味でしょう、あまりにも落ち着かなくて──


【変わった雰囲気の少女であった、一旦言葉を切って膝に両手を置く】
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/27(金) 14:13:28.18 ID:6IbBWv540
>>754

聞きたいこと、ですか?
私が知っていることならいいのですけど、お役に立てるかしら?

【そもそもこの世界に来てから数日ーー研究者という彼女の質問に満足させられるような答え言えるかいささか不安で】
【でも、もしかしたら簡単な質問かもしれない。何時間くらい寝てるの?とか、お気に入りの店を教えて、とか】
【……それは研究じゃなくて取材なのだろうけど……】
【なんて考えていれば白衣が苦手、という言葉にハッとする】
【黒を基調とした服を着ているとは言え、被っているのは真っ白なヴェール】
【「ごめんなさい……!」って慌てた声色で呟けばすぽっ、とヴェールを外す】
【真っ白なヴェールだが、裏側は青と緑の翡翠のような鮮やかな色ーーそちらを上に、表の白を隠すように折りたたむ】

これで良いかしら……?
あっ、ブラウスも白なの!これで隠すのだわ

【袖がふわりと膨らんだ白ーーどちらかといえば生成りに近いか?ーーのブラウス】
【畳んだヴェールを広げ、それを羽織るとすっかり翡翠の少女が出来上がる】
【ヴェールに隠されていた、月に照らされた夜の海色の髪が風に靡びいてーー】

【『喪に服さねば』と彼女は言った】
【きっと、大切な人を無くしたのだろうと……家族か、恋人か……詳しい事は聞かないのだろうけど】

これで、大丈夫かしら?

【見える白い部分は肌だけだろうか】
【それすらも嫌がるのであれば、彼女はヴェールを顔に被って若草色の目だけを覗かせ話を進めていくのだろうけど】
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/27(金) 14:23:37.55 ID:Gf3vPlpEo
>>755

【彼女の言葉に慌てて姿を変える少女に、彼女は目をぱちくりとさせる】
【騙し絵のレトリック、光の加減で姿を変える月の如く──そんな貴女を見ていたら】
【クスリ、と笑みが零れた、取り繕ったものではなく、年相応に見える華奢な笑み】


ぷっ……ふふ、お嬢様は面白い方ですね、そしてとっても優しい方です
私の事など気にしていただかなくていいですのに、お気持ちだけ、受け取っておきます
私が着るのを躊躇うだけなのです、……それに、まぁ、これは隠していたかったんですけど

こういう形ですから、似合わないんです──ああいう、理知的な服装
もう少し大人びた風貌でしたら、格好もつくんですけど、周囲が殿方ばかりですし
……今の話、内緒ですよ──そういうポリシーで白衣を着ないって、風にしてるので


【演劇のような言葉から一転、約束ですよ、と顔をのぞき込む少女の姿】
【年相応であった、きっと貴方とそう変わらない無垢な色合いで】
【翡翠の少女の艶やかな髪、木漏れ日を反射して溜息のように淡く萌えた】


そうでした、聞きたいこと──でしたね、綺麗なお嬢様を見つけるとついつい、饒舌になってしまいます
端的に申し上げますと、今私は"能力者"を探してまして
次の実験に能力者が多く必要なのです、方々手を尽くしてますが、まだ足りません

困りました、これではまた私が、社長から折檻を受けてしまいます


【それは修辞法の乱れに近かった、書く必要のないレッドへリング】
【然して彼女がそれを紡いだのは、指先をとってあなたを深淵に引きずり込むがため】
【甘い甘い蜜に誘われた蝶を、無駄無く刈り取るための餌に過ぎない】
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/27(金) 14:50:12.06 ID:6IbBWv540
>>756
でも、私がこれを外すことによって、あなたの苦手なものがその目に映らなくなるのであれば……外すだけなんですけど!
ポリシーを曲げないのはとても素晴らしいことなのだわ
それに、そのお洋服はとっても素敵だし、あなたにぴったりなのだわ!

ええ、私、絶対誰にも言わないの

【苦手なものが目の前にあるのはたぶん誰だって嫌なはず。苦手な食べ物、苦手な動物……】
【相手は白が苦手でそれを口にしたのであれば、ヴェールを取るの言葉を彼女にとっては上から下へ流れる水のように、空を飛ぶ鳥のように自然なことで】
【相手が華奢な笑みを見せれば、こちらは子犬のように、尻尾が生えて居たらぶんぶん振り回して居そうな……そんな笑顔を見せるのだろう】
【黒の服はもちろん似合うけど、その大人びたしかし時折漏れる子供らしさの相手には白だって似合うのだろう】
【ーーたぶん嫌がるだろうから言わないけど】

まぁ、とても厳しい社長さんなんですね……

能力者、ですか……うーーーん

【こんなにも優しい少女が怒られるの……きっと縦にも横にも大きくて口には太い葉巻を三本くらい】
【金色の髪をきっちりオールバックにして、仕立ての良いスーツとピッカピカに磨かれた先の尖った靴を履いてーー】
【この少女のことを頭ごなしに怒鳴るのかもしれない……】

【余計な想像をかき消すようになってぶんぶん首を振る】
【しかし脳内に形成された社長が、自分にも「能力者を言え!」って怒鳴りつけてくる】

ち、ちなみにどんな実験を……

【脳内社長に逆らうようにーー実験。想像もつかないその内容に対して、遠慮がちな声色で聞いて見たりして】
758 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 14:57:33.90 ID:Y99ITW440
【――――火の国 広場】

「きゃっ!」
「退きたまえ、邪魔だよ」

【人々の行き交う広場。昼下がり時には人気もそれなりと言ったところで、程よい喧騒に包まれている】
【そんな中で、ビジネスシーンの服装に身を包んだ、恰幅の良い男が、通りがかった女性と体がぶつかり、突き飛ばしてしまう】
【――――さほど広場は混んでいる訳でも無く、避けようと思えば避けれたはずなのだが、男はそれを無視して女性と体をぶつけ】
【あろう事か、突き飛ばされて転倒した女性を無視して、そのまま歩き去ろうとしていた】

――――♪
「うわっと……全く、邪魔だ!」
…………ッ

【そんな男のそばを、縫う様にして駆け抜けた小さな影があった】

【前ポケットがやけに大きく膨らんでいる白のパーカーと、同じくポケットが目立つアウトドアズボンを着ている】
【明るい紫色の短髪と、勝気そうな金色の瞳が、元気の良さを印象付ける】
【ともすれば人ごみの中に消えてしまいそうな、身長130p前後の小柄な少年】

【男に触れそうで触れない、ギリギリの所をささっと走り抜け、転んでいる女性の元へと駆け寄る】

……大丈夫?
「え、えぇ大丈夫……ありがとうボク」

【そっと身体を支えて立たせる。女性は少年に対して微笑み、チラリと不機嫌そうに男を見やると、そのまま歩き去っていった】



――――不用心、馬鹿だなぁ……!

【それらを見送って、少年は自分も広場から離れていく。嫌に上機嫌そうな笑顔を張り付けて】
【――――ポケットに、男のカバンから抜き取った、高そうなライターを、そして手に、女性のポケットから抜き取った4枚の金貨を握り締めていた】
【その手際は中々堂に入ったもので、周囲から気取られた様子はない】
【ふと人目を惹く出来事の中にあってさえ、その掏り取りを見とがめられずに済ませたのだ】

【――――しかし、少年の存在そのものが目立つのは、間違いなく。その悪戯っぽい笑みは、無邪気とも言い難い印象を湛えていた】

/よろしくお願いしますー!
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/27(金) 15:00:13.20 ID:Gf3vPlpEo
>>757

【眩しいなと思う、カーテンの隙間、差し込む朝日、澱む瞼を溶かす程の熱量】
【怠惰に身体を上げたなら休日だと思い出して二度寝する、そんな心地の良い眩しさ】
【太陽を見つめるように目を細めた、ヴェール越しの頬が白蜜を舐る】


勿体無いお言葉です、お嬢様に褒めていただくほど、優れた取り柄など私には無いのです
ですが、だけど、けれどやっぱり、褒めてもらえるのは嬉しいです
ありがとうございます、受けたお言葉は大切に心の奥に仕舞っておきます

お嬢様は優しいお方ですね、きっと、愛されて育ってきたのでしょう
私に向ける表情や言葉、その端々からも十分に伝わってきます
きっと名家の方なのでしょう、差支えがなければお名前を聞いても?


【父親の書斎に置かれた薄い詩集、意味が分からずとも心地よい音律を綴る様に】
【彼女の言葉は何処までも落ち着いた、たおやかな音色】
【若しかすると子守唄みたいに、貴女の耳へと流れ込むのだろうか】


誇りの高い方なんです、私が傷つくだけで済むのならそれに越した事はありません
──私自身も傷つくのは嫌いではありませんから、こんな淫らで無価値な私を認めてくださる
ですが今は残る傷は避けたいものです、大切な殿方に心配をかけたく

……失礼、お話が過ぎました──お嬢様の前では、話しすぎてしまいますね
簡単な実験です、能力を使った時とそうでない時にどんな変化があるのかの実験です
脳波や身体データ、その他諸々、それが分かればセンサーみたいなもので能力者かどうかの区別がつきます

それがどれだけ有用か、お嬢様なら分かるでしょう?


【含み笑い、空っぽのはずの缶を、揺らしてみたら中からする音みたいに、怖い笑みであった】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 15:14:55.81 ID:Rj1qXafN0
>>758

【――――彼が広場から離れようとしたとき。ふっとした視線を感じるかもしれない、それとも、その騒ぎのせいかと判断するだろうか】
【こつんこつんって小さな足音が近づいてくる――これもまた小さな子供だった。まだ五つか六つか、それくらいだろう、背は相応に低く、彼よりも頭が下にある】
【ぷりぷり怒ったような顔で歩いてくる。まっすぐ彼に向って――ならば彼はどう思うのだろう。"バレた"と見るか。だけど、まだひどくあどけない、幼子相手に】

――――あのね! ひどいわって思うわ、さっきのヒト!

【――だけれど。少し待ったなら彼女から出て来る言葉は怒りの色合い、でも。相手に向けてではない、あまりに鮮やかな盗みを咎めるわけではなく、責めるのは、】
【もうすでに立ち去ってしまった男――最初に女を突き飛ばしていった、彼へだ。「ひどいよね!」と色鮮やかな表情が、彼へ、同意を求めるよう、むっと頬を膨らませ】

お兄ちゃんね、優しいのね! 見てたわっ、私もね、あっ!って思ったんだけど――、それよりね、お兄ちゃんのがね、早かったわ!
――あ、でもね! お金をね、そうやってね、持ってたら! 落としちゃうよ、お財布に入れたらね、いいなーって、思うの!
だけどね、急だったよね! あのオジサンね、ひどいわっ、お母さんにね、教わらなかったのね!

【だけどすぐにぱぁとほどける、にっこりひまわりみたいな温度が笑って、きゃらきゃらあどけない笑い声をあげるのだろう】
【それで――触れる。けれど言葉を聞く限り、それが盗品であると気づいてはいないようだった。お金を持ったままだと落としてしまうよ、って、ありふれた善意の忠告】
【まして勘違いまでしているようだった――あんまりに急な出来事だったから。しまう間もなかったんだって】
【――その脳内では、きっと、彼が女性を助けようと駆けつけたように見えているらしかった】

【高い位置でツインテールに結われた淡いクリーム色の髪。真夏の青空みたいに鮮やかな色の瞳はまあるい垂れ目で、右目の下に毒々しい紫色の蝶のタトゥが映える】
【黒色のワンピースは子供らしいシルエットのプリンセスライン、熊のぬいぐるみにイチゴのケーキにシャンデリアだなんて統一性のない絵柄が描かれて】
【レースのついた靴下につま先の丸いおでこ靴。――本当に小さな女の子だ、ならばどこかで保護者が見ているべきだろうって判断されるような、幼子】

あのね、ダメなことしたらね、ごめんなさいってするんだよっ、ご本にだってね、書いてあるのにね!

【――けれど、そういう人物は見当たらないのだ。変わらずにぷんぷん怒ったまんま――手のひらのコインに気づいて、だけど、それが何であるかは分かっていない】
【その温度感はあるいは気まずく面倒くさいものかもしれなかった。――とはいえ、そうだねとでも頷いて財布にしまってしまえば、それで終わり、なのだけど――】
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/27(金) 15:26:25.84 ID:6IbBWv540
>>759
【太陽の眩しさにだろうか、それとも少女の噴水のようにとろとろ溶ける妖艶さにかーー目を細めずにはいられないーー】

名家だなんてそんな……生まれも育ちも自然に囲まれた田舎なのだわ
私はクローディア。好きに呼んでほしいのだわ!
もし、よければあなたのお名前を聞いても?

【照れたように、あるいは少し困ったように、小首を傾げて笑った。?まで掻いてしまう仕草はあまりにも典型的過ぎだろうか】
【どうしてか名乗るのは名前のみ。好きに呼んでほしいと言うのだから、そのまま呼んでもあだ名をつけてもらってもーー】
【名乗ればすぐに、相手の名前も聞くのだろうーー】

あなたが傷付くだけ……?
いいえきっと、あなたを大事に思う方は傷付けられたあなたを見て、とっても心を痛めると思うのだわ
傷つくのは、嫌いじゃないだなんて……強がりだとしか、思えないのだわ……

【誰だって傷付くのは、誰だって痛いのは嫌な事ではないのだろうか】
【少なくとも痛いことが大嫌いなクローディアは目の前の少女の発言に疑問を感じたようで】
【彼女の発言にーー自嘲的に並べられた言葉に手を添えるようにそっと紡ぐ】
【出会ったばかりの自分に何ができるとも思えない、でも、そう言わずにはいられないようで】

確かに、能力者が能力を使うときにどんな力が働くのかーーそれはとても興味深いのだわ
でも、ほら、私が聞いた話だと、能力者はあまり良く思われていなくて……
隠して生活している人もいるみたいだから……
有用なのかもしれないけど……私には……

【力になってあげたいのだけど、と最後に小声でつぶやく】
【この少女の力になってあげたいのは山々なのだけどーーと、ばつが悪そうに俯いて】
【あぁ、やっぱり私には力になれない質問だったと、申し訳なさそうに顔をあげれば】
【何故だろう、どうしてこの少女はそんな顔で笑うのだろうーー】
【先ほどの華奢な笑顔とは逆のーー恐怖を感じさせるような含み笑いに、若葉の瞳が釘付けになってーー】
762 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 15:30:18.48 ID:Y99ITW440
>>760

ん……ぃ、っ!?

【チャラチャラと手の中の金貨をこすり合わせる――――ちょっとした日常の買い物くらいはできる金額だ】
【本日の収穫を手に、御満悦の様子でその場を去ろうとしていた少年に、近づいてくる足音。反射的に少年は其方を向いて】
【――――不機嫌そうな表情で近づいてくる少女に、一瞬ギクリとした表情を浮かべた。さては気取られたかと】

え、えっ……あの……

【唐突な言葉に、少年は呆気にとられて二の句が継げなくなる。自分に向かって言葉を向けてくるからには、自分についての話だと思っていたのだが】
【どうやらその対象は自分ではないらしく。空転した思考は、どういう事かともう1度理解をしようとする】

え、ぁ……あ、あぁ! いや、なんとなくだってのなんとなく!
ぇぅ……こ、これは……そ、そうだよな!
……あのオッサン、せめてゴメン位言えば良かったのに……何急いでたんだろ……全く

【どうやら、少女が伝えてきたのは、先ほどの出来事に対する憤慨と、少年の助け起こした――――そこに裏がある――――行為への称賛らしく】
【それに気づいた少年は、焦りながらも何とか返事を返す。手の中の金貨にドギマギしながら、何とか呼吸を整えて】
【ようやく気持ちが落ち着きだして、それなりに会話として成立する返答が出てくる。金貨はしょうがないので、握り締めながら拳ごとポケットに突っ込んで】

……人を突き飛ばして「邪魔だ」だもんな……後でひどい目見れば良いんだっての……!

【少女の言葉に、少年もどうやら気持ちが同調してきたのか、男の歩き去った方角に向けて、イーッと歯を剥き出しにする】
【――――盗んだものは、ほんの小物でしかなかったのだ。もう少し、男の焦りそうなものでも掠め取れれば良かったのだが――――】

……まぁ良いや、俺行くけど……お前、お父さんやお母さんは?

【――――いつまでも、盗みの現場をウロウロしていて良い事はない。少年はそろそろ立ち去ろうとして】
【その中でふと、眼前の少女の事が気になったのだろう。自分よりも幼そうな外見に、おしゃれな服装。だが、保護者らしき姿が見えない】
【この少女、さては迷子なのかと、そんな事が気になったようで】
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/27(金) 15:36:24.58 ID:Gf3vPlpEo
>>761

【細い喉がしなる、天鵞絨の如き表層が滑らかなる光沢を訴えて】
【昼下がりの温度が増していく、渇きを喉が主張するのだろう】
【──全く、さっき飲んだばかりなのに、堪え性の無いお嬢様、と】


クローディア様と申されるのね、良い名前でいらっしゃいます
自然に囲まれた田舎、ふふ、瞼の裏に浮かぶようです、幼いクローディア様が駆け回っている姿
小鳥と戯れ、草原を巡り、湖畔でお食事でもするのでしょうね

親しく話しかけるお相手はお父様? それとも従者か、歳の近い友人
きっと幸せな日々だったのでしょう、ですが、之だけは内心覚えておいてください
田舎の迷信程恐ろしいものは無いのです、彼らは時折自分勝手な思い込みでしきたりを作るのですから

……ウィッカーマンってご存知かしら?


【長く引きすぎた弦が調音を狂わせる様に、演奏中だから直すことも能わず】
【それが冥府に繋がっていると知っても、止めることの出来ない歯車が如く】
【紡ぐ音律が怪しく唄う、1つ1つに淫らさを交えて】


どうでしょうか、お優しいクローディア様とは違い、私はどこか捻くれ者ですので
傷付けられることで生を感じる、痛みが存在を証明する
自傷行為が減らないのはそんな理屈でしょう、痛いのは嫌なのは同意しますけど

──お気持ちだけで十分ですよ、何なら知り合いの能力者に話をするだけでも助かります
ああ、そう言えば名前をまだ名乗っていませんでしたね
"魔女"──親しい者からは、そう呼ばれています


【貴方の瞳を覗き込む、胡乱な檸檬色】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 15:44:54.99 ID:Rj1qXafN0
>>762

そうなのっ、悪いことしたらね、ごめんなさいーってね、言うのよ!
あれじゃね! オジサンだってね、そのうちね、困っちゃうわっ、ご本にね、あったもの!

――あのね、意地悪なゾウさんがね、反省したの! それでね、子供を助けようとしたんだけど……誰も信じてくれないのっ。
それとね、おんなじだわっ!

【柔らかそうな頬っぺたが怒りにか少し赤くなる、そうすると紫色の蝶のタトゥが余計に色鮮やかになるような気がした、あどけない声音も、ぷんぷん怒って】
【意地悪なゾウさんは反省したけど、誰にも信じてもらえなかった。だからあんなの駄目だよねって――、相手もおんなじ気持ちだと知れば、そうでしょ!と頷く】

でもね! お兄ちゃんもね、ひどい目見ればってね、言いすぎだわっ、そしたらね、可哀想なの!
オジサンは悪いことしたけどね、ごめんなさいってちゃんと言えればね、それでよかったの!

【だけど――相手がいーっと歯をむき出しにしてやったのと、その言葉を聞けば。表情が慌てたみたいになる、それは言いすぎだって、どちらの味方だろう】
【オジサンはひどいしすぐ助けに行った彼はすごい。だけど――それでそんな風に言ってしまったら、駄目になってしまうから。そんな気持ちを伝えるだけの言葉は持たず】
【眉間にしわを寄せて複雑そうな顔をしていたのだけど、そのうちに諦める――というよりも、そうするうちに、彼に親のことを尋ねられた】

……お母さんはね、あのね、お家に居るわ! 今日もね、ご本を読んでるの、お外だなんてね、出ないのよっ。
お買い物とかもね、私が行くの! ご本買いに行くのだってね、私だわっ。でもね、いい子にしていたらね、ご本を読んでくれたり、遊んでくれるの!

今日もね、あのね、ご本を買いに来たのよ! ご本は買ったからね、お散歩してたの!

【――そうすればにこりと笑う、さもそれが当たり前であるかのよう。だけどちょっとだけ責めるような色合いもあった、「ヒキコモリなの」って、また分かりやすく怒る】
【たったのそれだけでまっとうな家庭でないのは知れるだろう、そもそも幼子にタトゥが刻まれている時点で察することが出来たかもしれない、そして彼女はそれをおかしいとも思わず】
【お使いの帰りなんだと言って笑う――ぽんぽんと叩いて示すのは、肩から提げたポシェット。本が入るようなサイズには見えないけれど――そうするなら、そこにあるのだろう】
765 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 16:02:40.33 ID:Y99ITW440
>>764

(ぅ……なんかやだな、これ……)

【今まさに『悪い事』をしている真っ最中の――――しかも、人を突き飛ばす以上の――――少年は、会話の中で知らず胸中にイライラしたものが溜まっていた】
【自分に向いてない針が、自分の心に刺さる。表面上は何て事無いと言う顔をして見せるが、その実、徐々に表情が下を向いて】
【――――後ろめたさに伏し目がちになる。まぁ、なにせ少年と少女、幼い2人の会話だ。大人なら感づくかもしれない変化も、小さな事なのだろうが――――】

え、あぁ……信じてもらえないのな。あのオッサン、いつかそういう目に遭うんだろうな……

【最初、やはり何のことかわからなかった。童話が寓話の類だと言う事は、すぐに分かったので、適当に相槌を打ったのだが】
【――――随分とにぎやかな少女である。少年としては、どう扱ったらいい物かも分からず、またすぐに去りたい状況なのに動くことも出来ずに、まごつくばかりだ】

え……な、なんでだよ!?
悪い事して得しちゃったら……その、なんだ……ダメだろ! 何か、アレだ……『因果応報』? 結局何かで……返って、こないと……じゃないとさぁ……!
(……ヤバい、俺……因果応報の目に、いつか合うのかな……)

【何気ない憎まれ口のつもりが、少女の矛先が自分にも向いていて、少年は慌てる】
【悪い事をしたやつが、ひどい目に遭えって言って何が悪いのか――――表面上から見れば、それは少女に対する弁明だが】
【言ってるうちに、自分に刺さってくるのを、少年も自覚しているのだろう。その言葉は、少女に対する遠慮とはまた別に、勢いが欠けている】
【――――悪い事をしている自分が、何を言ってるんだと、いたたまれない気持ちになる。そこで居直れるほど、少年は図太くも邪悪でも無かったのだ】

あー……お前もなの? うちもじいちゃんが外に出ないんだ……だから、姉ちゃんと俺とで、買い物とかするんだぜ?
けどすげぇな、本買うんだ……俺なんて、ゲームとかフィギュアとかプラモデルとかばっかなのに!

【保護者はいないで、1人で外に出ている。それは少女と少年の共通項で、思わず子供なりに呆れた表情を作る】
【ただ、今回の外出は完全に自分の為のモノの様で。少女の求めたものに、少年は感嘆する。よく本なんて欲しいと思うよな、と――――】
【まぁそこは、歳の差と、そして男女の差と言う事になるのだろうが――――閑話休題】

(……やべぇ、そろそろ本気でここから逃げないと……そろそろ気づかれる)
あー、なんだ。ちょっとおやつ食べに行かないか? お金あるからさ!

【そうして会話をしている内に、スリの被害者がそれに気づく可能性がある。その時にここにいたらアウトなのだ】
【少年はやや強引に、少女に「何か食べに行こう」と誘導をかける。勿論、掏り取った金があるからこその提案なのだが――――】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/27(金) 16:15:33.96 ID:6IbBWv540
>>763
【黒の服の上からもう一枚羽織っているからだろうか】
【直接焼いてくる太陽も好きじゃないけれど、これはこれで体力を奪うーーあぁ暑い】
【先ほどもらった水が少し、残っている。少し温くなったそれを一気に飲み干してーー】

私はお父様とはそこまで相性が良くなかったし、弟?……も意地悪だったから、どちらかと言うとずっと家の中にいたのだわ
でもそうね、田舎の迷信とか、しきたりとか、そういうのは恐ろしく感じるのは同意。

ウィッカーマン、は、本で見たことがあるの。写真ではなくて、イラストだから……現実味は感じられなかったけど

【昔を思い出すように遠くを見つめる。見つめる先には先ほどの噴水がとろとろと流れている】
【噴水なんて立派なものはなかったし、この世に可愛い雑貨や愛玩に向いた犬がいることも知らなかった】
【迷信、しきたりーーそのせいで『こう』なったのはあるかもしれないとーー相手のその発言には首を縦に振らずにはいられない】
【ウィッカーマン……これも本で得た情報ーーだから、はっきり知ってるとは言いがたいけど】

……痛みで存在を?
ほ、本当はそんなことあってはならないのだわって、言いたいのだけれどーー

【ーー私のこんな言葉より、痛みの方が『確か』なのでしょう】
【口を閉じる。若葉の瞳が泳ぐ。耳にした言葉が信じられないように、顔が青くなる】
【自分が彼女に何かをしたいと思うのは烏滸がましい、けして多くない彼女の情報で説教をたれるのもおかしな話】
【もはや暑さなんて感じない、少女から紡がれる声しか聞こえないーー】

魔女、さん?で、良いのかしら
その、申し訳ないのだけど私には紹介できる能力者なんていないのだわ
もし、知り合うことがあればーーそんな実験があるらしいって、伝えておくことはできるのだけど

【それは名前なのかーーと、脳裏を過るけど】
【彼女がそう名乗ったのならそう呼んでーー少し早口できっぱりと】
【檸檬の瞳を見返して、ごめんなさいが陰る若葉の双方でーー】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/27(金) 16:17:00.05 ID:Gf3vPlpEo
>>766
/すいません! そろそろ時間ですので置きレス移行宜しいですか?
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 16:20:18.48 ID:Rj1qXafN0
>>765

そうなの! あのね、ながーいお鼻でね、悪いことをするのよ。だからね、お鼻をね、短くされちゃうんだけど……。
それでねっ、ゾウさんはね、反省するの! 木の上で泣いちゃったちっちゃな子を助けてあげようって思うんだけど、みんな信じてくれなくって……。
えいえいって引っ張られてね――。

【言葉がどんどん溢れて来る。ならばひどくおしゃべりが好きなのかもしれない、自分が読んだことのある絵本のストーリーをなぞってみせて】
【悪いことばっかりしていたから、本当は誰かを助けようって思ったのに、邪魔される。それはきっとすごく悲しいって思うのだ、だから、悪いことをしてしまったなら】
【そのたんびにごめんねって、言わないといけない。じゃないと――いつか悲しい目を見るのは自分だって】

あのね! 確かにね、オジサンね、悪いことしたし……ひどいって思うけどっ!
でもね、あのね、それとね? お兄ちゃんがね、ひどいめにあえーって言うのね、ちょっと違うなって思うな!
うーんとね……、あのね、

【因果応報とか難しい話はよく分からない。言葉は知っているし何となくの意味も分かるけど。幼子の持っている言葉じゃあろくすっぽ出てこなくて】
【途中で悩み始めてしまう、それこそ今度は彼にひどいことがあるかもしれないとかいろいろ言いたくて。でも出てこないならば意味はない、伝わることもなくって】

うん、お母さんのね、ご本よ! でもね、私のご本も買っていいって言うの、だからね、絵本を買ったわ!
あのね、絵がね、とってもきれいな色だなって思ったの! それでね、そしたらね、お店のお姉さんがね、今ね、オマケがあるよって言うの!
だからね、絵本とおんなじ絵のね、しおりをもらったのよ。あのね、絵のところがね、キラキラってしてて……うぇ?

おやつ? あのね、いいけど――、私ね、この辺りってね、わかんないわ! お兄ちゃんはね、詳しいの? 
あ! それともね、お兄ちゃんね、この辺りにお家なのかしら! 私はね、水の国から――、

【ゲーム、フィギュア、プラモデル。それらの単語に彼女はきょとんとする、「あ、お人形さんはね、居るよ」「おままごとのお野菜もあるのよ!」徹底的に方向性が違う】
【ひどく嬉しい話をしているみたいに口元がにんまり笑う、ポシェットを手繰って、よいしょって、買った絵本とか、しおりとか、見せようとしたのだろう】
【ボタンをはずしたところで彼が急におやつ――だなんて提案したから、動きはそこで止まってしまうけれど。またきょとんとする、今度は少し呆気にとられたよう】
【だけど――すぐにいいよって笑うのだった。それでまたよく喋る、自分は水の国から来たんだって――相手に心当たりの店があるのなら、さっさと歩きだしてしまっていいだろう】
【その後ろをきちんとついてくるはずだ。――スリだなんてこと気づいてもいないなら、彼に対しては協力的でないけれど。単純で素直である、というのは、きっと、すぐに伝わるから】
769 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 16:39:13.92 ID:Y99ITW440
>>768

うぇ、痛そう……じゃなくて、やるべき事を邪魔される……それ、嫌だよな、なんか……

【やりきれない――――と言う表現が少年には浮かばなかったのだろう。なんとなく不快だという表現にとどめる】
【こうした話に感情移入するほどには幼くないのだろうが、その言葉に、流石にふと考え込んでしまう】
【――――悪い事をした事に罰が下されるとは、そういう事なのだろうかと】
【鼻を短くされちゃう、で、切り落とされる事をイメージしてしまったのだろう。この時、かつて盗人は手を切り落とされていた、と言う事が少年の脳裏にあったかは定かではない】

……それ変じゃね? あの女の人を可哀そうっていうのは良くて、オッサンに悪い奴って思うのは良くないって……
(――――なんか、もうやだ……俺やだわ……)

【幼い子供2人の善悪論。当然結論など出てくるはずもなく。ただ、少年はひたすら自分の胸がジクジクする感覚に、うんざりし始めていた】
【それを良心の咎めから、ただの不快感に変えてしまったのは――――やはり時間と、少年の中の『慣れ』なのだろう】

え、2冊買ったの!? ……そのかばんの中に、入るの2冊も?
(……先にこっちを狙っておけば――――いや、なんかやだなそれも……面白くなさそう……)

【どうも、少女は自分の物とは別にお使いとして本を買ったらしく。流石に少年は驚きの表情を浮かべる】
【大人の本は、つまり大きくて重厚だというイメージがあるのだろう。それで、少女のポシェット――――少年はポシェットが言えなかった――――に収まるのかと】
【――――そんなお使いをしているなら、金も持ってただろうと一瞬悔しがるも、気分が乗らなかった。親しくしてしまうと、どうにも罪悪感は強くなる】

【遊び道具の違いについても、少年は若干目を回していた。思わず「勿体ない」と言いそうになって】
【でも、年上としてそれは我慢したのだろう。そう思う気持ちは変わりはしないが、少なくとも少女をガッカリさせる事はあるまいと――――】

あぁ、俺この街に住んでるからさ。行こうよ、ドーナッツ食いに行こう!
――――水の国? じゃあ船とか一杯あるんだろ!? あと魚も!

【少年は屋台のドーナッツを提案し、そのままズンズンと歩いていく。ここから離れたいという気持ちが、自然歩調を速めさせ】
【とは言え、少女を無視したりはしない。水の国と聞いて、興味のある事について一通り聞いてみる】
【――――地熱と火山の国である火の国にはないものが、一杯あるのだろう。大きな船も、元気な魚も。それを聞いてみたくて】

【そうして、少年はドーナッツ屋の屋台に少女を案内する】

おじさん、チョコの堅あげ1つと……お前どうする?

【注文を伝えようとして、少年は少女を振り返る。何を食べたいのかと】
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/27(金) 16:39:23.89 ID:6IbBWv540
>>767
/了解です!
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 16:53:42.82 ID:Rj1qXafN0
>>769

えー! でもね、お姉さんはね、痛かったかもしれないから……。

【変じゃね、って言葉に幼子は思わずという風な様子で言葉を返す。だけれど尻すぼみになって消えていくだろう、なら、やはり幼い二人では結論が出ない】
【だけれど言いたい言葉はあるのだろう。それがつっかえて出てこないって思うなら顔はひどく不機嫌そうになっていた、といっても長続きするわけでもなく】
【鞄――ポシェットの中に二冊も入るのかって言われたら、にまっと笑って、急にどや顔、得意そうに胸を張って】

そうよっ! あのね、昔ね、もらったの! お友達なのよ!
なんだってね、いくらでもね、入るのよ。いろいろね、入ってるよ! あのね、飴でしょ、チョコレートに、バウムクーヘン……、クッキーに……。
あとね、お母さんのご本と、私のご本! 重たくもね、ないのよ? すごいでしょ!

【なんだって入る――聞く限りではマジックアイテムの一種かもしれなかった。それこそしかるべき場所にもっていけば高値が付きそうな逸品であり】
【デザイン自体はひどくあどけない子供向けのポシェットではあったが――大事そうに肩ひもを握りしめる、中身はうんと子供っぽくて、魔術師が歯噛みして泣き出しそう】
【ぴょんって嬉しそうにジャンプしたならポシェットもぴょんって跳ね上がる、――嘘っぱちにしか見えないくらいに普通のデザインだった。だけれど嘘つきにも見えず】

ドーナッツ? 食べたい! あのね、お船とかね、いっぱいあるよ! あのね、前はね、なんだっけ……。
あのね? うんとね! おーっきなお船がね、来たりしたの! だけどね、あのね、凍っちゃったーってね、ニュースで見たわ。
お魚さんもね――きっと居るわ! あのね、お魚さんはね、そこらへんを歩いてないからね、あんまりこんにちは!って会うのはね、ないけど……。

お池にね、きれいなお魚さんが泳いでるの! 白色と赤色なのよ、イチゴのかき氷色した、お魚さん!

【ずんずん進んでいく相手に慌ててついていく、どうしたって年齢の差は歩幅の差にもなる、まして急ぐなら――こちらはもしかしたら小走り、かもしれない】
【それでも嫌な顔しないどころか楽しそうに話していた、うんとおっきなお船に池の魚。そのどっちもあるよって笑う、ひどく楽し気に、イチゴのかき氷なんて例えて】

うーんとね、私ね! えーっとね、あのね、お花の形のね、モチモチってしたやつ!

【――やがて屋台にたどり着けば、ドーナッツ屋さんの屋台だなんて初めてだって言ってはしゃぐだろう、どんな品ぞろえがあるのか、しばし確認した後に――それがいい、って】
772 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 17:13:16.74 ID:Y99ITW440
>>771

(――――油断したのが悪いんだよ。そうだろ……)

【尻すぼみになった言葉。その中で少年は、ただ己のやりきれなさと戦っていた】
【最後には、やられた方が悪いと責任転嫁。それでケリをつけてしまう。まぁ所詮、子供と言う事なのだろう】

えー!? ……す、すげぇ……いーなー、こんなのあったら何でも持ち運べるんだろ?
何体フィギュアが入るんだろ……あと、小物とかも……うわ……いいもん貰ったんだなぁお前……

【何でも入り、重さも感じない。思わず少年は叫び、そして呻き混じりに羨ましいと思った】
【少年のポケットを膨らませる雑然とした小物たち。それもあっという間にすっきりと片付いてしまう】
【こんなものがあればいいのになぁ――――と、少年は溜息を吐く。ポケットの中の、盗品のライターがころりと、同意するように傾いた】

ふ、船が凍っちゃった!? どんな船なんだよそれ!? それとも今、水の国って冬なのか!?
いや……そりゃ魚は川か海にいるんだろ……あぁ、池……多分鯉だな。うわぁ凄いなぁ、この辺じゃ、鯉の池なんてないからなぁ……あーぁ、俺も海で泳いでみてぇよ

【少女の言葉に、少年は驚きと羨ましさを同居させたリアクションを返す】
【船が凍るってどういう事なんだろう。氷の国の話だと思ってたのに、水の国でも海が凍るんだろうか】
【イチゴのかき氷色をした魚――――少年も、段々少女の例えの方向が分かってきたようで、恐らく鯉の事だとアタリをつける】
【そうしたのどかさは、少年には見た事の無い物だった。思わず水の国の海に想いを馳せる。そんな凄い所で、泳いでみたいと】
【――――昼の国でも良かったのかもしれないが、まずは水の国の話題の中で、それが念頭に浮かんだのだろう】
【でかい船と一緒に泳ぐ。魚の群れと一緒に泳ぐ――――子供らしい発想の飛躍で、ワンダーに胸を浸す】

【そうこうしている内に、2人はドーナッツ屋にたどり着き、注文を済ませる】
【屋台の身上は。すぐに食べれる事だ。待つ事30秒ほどで、二人ともに揚げたてのドーナッツを受け取り、少年が金貨1枚で金を払う】
【――――くすねた金での戦利品の調達。今日はなんだかモヤモヤするが、それはそれとして愉しみだった事で】

――――うん甘い、旨い! はー……ドーナッツ食って生きていきたい……

【満足げにドーナッツを頬張りながら、ふとそんな独り言が漏れた。まだまだ少年も、空想の世界と現実を重ねてみている年頃なのだろう】
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 17:32:30.78 ID:Rj1qXafN0
>>772

そうよ、なんだってね、入るんだからっ、ネコちゃんだって入るわ、――可哀想だからね、駄目よっ!
あのね、お裁縫の道具だってね、あるのよっ、チクチクってね、"おはりこさん"するの! お母さんはね、そういうのね、しないしっ。
お料理とかだってね、しないのよっ。ぜーんぶね、お姉ちゃんに教わったんだ、お姉ちゃんがね、お料理も、お裁縫もね、教えてくれたのよ!

でもね、あのね、最近は忙しいーってね、言うの。忙しいからね、お料理とかね、しばらく教えられないけどって!
お姉ちゃんね、風の国でね、お仕事してるんだよ!

【冗談めかした声、なんだって入るなら猫だって入るよ――って笑う。けれど堪えきれずに笑いながら駄目だよって言うのだ、可哀想だからねって】
【聞く限りいろいろなものが最低限一そろいはありそうだった。だってなんだっていくらだって重さも感じないなら、その方が効率がいいだろう】
【とはいえ――あくまで子供が思い浮かべるものだから。まず思い浮かぶのがキャンディにチョコ、お菓子のパレードだった時点でお察し、というほどではないけど】
【――得意げに笑いながら、幼子の話は少しずつ移ろう。姉がいるらしい。引きこもりの母に風の国で働く姉。幼子は遠く火の国までお使いに。摩訶不思議な家族構成】

ううん! あのね、この前もね、うんと暑かったよ! だからね、アイスキャンデー屋さんがね、楽しそうなの!
だってね? 色とりどりでしょ、あんなのね、たくさんある冷蔵庫ね、見るだけで――きっとうんと楽しいわ!
……そうなの? 火の国ってね、お魚のいる池ってね、ないのかしらっ。だったらね、あのね……お庭が寂しいわ?

海ってね、私もね、あんまり行ったことないわっ。シマシマ模様の浮き輪を浮かべるの、それでね、ぷかーってね、楽しそうだけど!
お母さんね、ヒキコモリだし、お姉ちゃんはね、お水が嫌いなの! だからね、一人ぼっちじゃね、みんなで行きたいな……。

【――宝石つかみ取りの宝石を散らしたみたいに話題も表情もいろんな色合い、アイスキャンデーの屋台のおじさんはきっと楽しいねって、なぜなら、きらきらきれいだから】
【火の国には鯉の池はない――ビックリしたみたいな顔をする。それじゃあお庭が寂しいでしょって心配するのだ、だからって、水の国にだって、そんな庭はたくさんないけど】
【海……は彼女自身行ったことがないらしい。理由は簡単で――保護者がついてきてくれない。来てくれたとしても一緒に泳いでくれたりしないんだ、って】

わあい、いただきまーす! ……あのね、お兄ちゃんね、ドーナッツ好きなのかな!
私も好きよっ、あのね、好き嫌いしないで食べたらね、うんと強くなるんだってっ、私ね、好き嫌いしないのよ!

――――ピーマン以外はね、好きなんだからっ。

【それが盗品から来るものだなんて気づかない。わーいって顔を喜色で染め上げて、あったかいを飛び越えてあつあつの温度を受け取る、彼にもありがとうって伝えて】
【彼はドーナッツが好きなのかと思って尋ねる――好き嫌いしたら駄目だよっていろんな本に書いてあるし大人も言う。だから自分も好き嫌いしない、なんにもない、得意げな顔】
【一転して視線を逸らして無感情に呟いた。ピーマン嫌い。だけどドーナッツを齧れば表情はまた華やぐ。おいしいって――全身が言っていた】
774 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 17:55:41.89 ID:Y99ITW440
>>773

……なんか、出て来れなくなっちゃいそうだもんな。うん、かわいそうだ……
ぇ、りょ、料理に……なんだっけ、裁縫、お前そんな事までできんの!? てか、お前もお姉ちゃん居たんだ……へーぇ……

【何でも、どれだけでも入るポシェット。その中に入ったりしたら、どうなるんだろう――――空想が、ちょっと怖い方向に向いた】
【それで少年は、その中に猫を入れると言う事に、少しゾッとする。ふわふわ浮かぶようになってしまうのかもしれない。それだと確かに可哀そうだと】
【そして――――自分よりも年下だと思っていた、幼い少女の意外な家事スキルに、少年は本気で驚いた】
【――――自分の知り合いでも、同年代でその辺のスキルを持っている奴なんていないだろう。幼い年下の女の子に見えて、実は凄い奴なのか、と】
【姉がいるという家族構成については、ふと自分の姉を思い出して】

風の国……なんか、みんなバラバラなんだな。それじゃあ確かに、しばらくは会えないんだな……

【家族全員が、なんだかバラバラな事に、少年は不思議な気がした。水の国と風の国、そして火の国――――なんでみんなバラバラなんだろうと】
【その『姉』に関しては、仕事で風の国に行ったなら、まぁ事情としては分かるのだが――――なんだか、取り留めのない疑問が浮かんでいた】

……じゃあ何で船が凍るんだ、溶けないのか?
アイスキャンディーかぁ……夏が来たら、また食べたくなるなぁ……またグレープ味の奴食いたい……!

【むしろ暑いと言われて、ますます分からなくなる。一体どうして船が凍るのかと】
【――――そこら辺は、まだまだ子供なのだろう。超自然的な出来事に対する思考力は、まだ回っていないようで】
【しかし、アイスキャンディーの話題には食いつく。火の国もまだ本格的な夏は先だが、暑くなればそれは最高の御馳走の1つだ】
【ふと、甘酸っぱいグレープ味のアイスキャンディーを思い浮かべる。ドーナッツを食べてても、甘い食欲は尽きないのだ】

庭はまぁ、走り回ったりするから、別に何も要らないんじゃないか? でも……海行かないんだ、勿体ない……

【庭に池があると、どういう事なんだろう。少年はそれを空想し――――自由に走り回れないと回答を得たらしく「別に要らない」と言って結論した】
【だが、海にいけないというのは残念な話に思えた。水がそばにあるのに堪能できないのは――――少し、かわいそうだ】

おぅ、ドーナッツは好きだ! 温かくて柔らかくて甘くって……お腹いっぱいになったら幸せだよな!
……好き嫌い、かぁ……ぅ……………………

【ホクホクと湯気ごと頬張りながら、少年は気さくに応える。おいしいものでお腹一杯になるのは最高だと】
【ただしだだだだ好き嫌いについて話題が及ぶと、若干テンションが下がる。何か、嫌いなものを思い出してうんざりしているのだろう】
【ちょっとした沈黙。そうすれば、自然と口の中の幸せをかみしめる事に意識が向く。いつの間にか、カニを食べる大人の様に、微笑みながらドーナッツを食べていて】



【――――穏やかな時間は、いつの間にか終わりを迎えた】

「――――――――小僧ぉぉぉぉぉ!!」
ん、ぐっ…………や、やばっ!?

【遠くから――――先ほどの男が、怒号を飛ばして2人に向かって走ってくる。何か、本気の怒りを抱いているらしい様子で】
【そもそも、そうした現場から遠ざかるための口実だったのに、遭遇してしまった――――少年は慌てて、少女の手を取って走り出す。無意識の、逃げの一手だった】

/食事に行ってくるので、次遅れますー
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山口県) [sage saga]:2018/04/27(金) 18:55:00.13 ID:TLPSUFqvo
>>744
// 再募集します……!
// お返しは8時頃になりそうです
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 18:59:15.58 ID:Rj1qXafN0
>>774

【といっても――大したことが出来るようには、見えないのだ。そして実際にそうだった、お料理だなんてスクランブルエッグが出来るくらいで】
【縫物だってジグザグ縫いが出来るくらい。それだってどっちもくっちゃんくっちゃんで、「――のんびり覚えたら大丈夫だよ」って、鈴の声で言われた】

【家族がバラバラであるのも――まあ、これは、事情を知っていれば理解はできるだろう。この幼子はなんでもかんでも他人なら姉とか兄って呼ぶのだ、そういう癖】
【そのなかでたまに"姉妹"のことはきちんって名前で呼んだりして姉兄の区別を付けなかったりする、あるいは同年代であると判断したときだとかに――】
【そもそも母親からして他人だ、なんて、知らなければ思い至ることはできないだろう。正解率のうんと低い問題、あるいは無効だってみんなが丸をもらえちゃうような】

【アイスキャンデーの話になれば。「あーっ、ブドウ味ね、私もね、好きだわ!」「でもね、ソーダも好きだし」「リンゴもいいなあ」ころころ笑顔が綻ぶ】
【やっぱり甘いものが好きなのだろう、暑い日に食べるアイスだなんておいしいって思う以外はありえない、早く夏になったらいいのにって無邪気に思ったなら】

お兄ちゃんはね、嫌いな食べ物、あるのかしら!
ふっふー、駄目よっ、あのね? いろいろ食べないとね、身長がね、おっきくなんないんだからっ!
それにね、それにね! うんとね強くなるにはね、"えいよう"が必要なのよっ、たしかね、たんぱく質って言ってたわ!

あのね、鶏肉とかね、ゆで卵! ってね、テレビでね、言ってたよ――――、?

【もぐって一つドーナッツの丸いところを齧り取る、もちもち噛み締めたならうんと甘い。じゅわーって油の味がする、お砂糖は熱さに溶けて、シロップのようにしみ込んで】
【指先も熱いから何度も持ち替える、それでも熱くて。ぽいって少し口の中に放り込むようにして食べてしまう、頬をすっかりリスかハムスターのようにふくらまし】
【しばらくもごもごと咀嚼してから――急に勝ち誇る。自分は嫌いな食べ物だなんてないって言い張るみたいに。ピーマンのことはすっかり忘れて、どや顔、得意顔】
【強い=筋肉って言うのはどうなのだろう、見てくれの筋肉と実用の筋肉が違うっていうのも多分知らない、――そんなときに、ふっと、感じ取った】

う、わー!?

【――さっき見たことあるヒト!】
【それが幼子の第一印象だった。もしかしたらさっきお兄ちゃんがイーってしたのバレてたのかなとかグルグルめぐる、だって彼女は何にも気づいていないから】
【ツインテールだってビョンっと跳ねあがってなんかトゲトゲになってしまったみたいなイメージ、多分地面から垂直に30センチくらい飛び上が上がったところを相手が捕まえ】
【ぐん――っって強く引かれて、釣られて走りだす。けれどひどく驚いてしまったのだろう、最初はとんとんとんっ、って、水切りの石みたいに走れたのだけど】
【一番最初の勢いがなくなったなら――ついに足がもつれてしまう瞬間がある。本当になんにもなければ、どたんっ、と、転んでしまう、はずで】

/おまたせしました!
777 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 19:25:21.76 ID:Y99ITW440
>>776

……お前超人なんじゃねぇか?

【子供にとっては、その程度の事でも「十分に料理が出来る範疇」なのである。思わず零れた感想は――――年相応の、少年のとぼけた天然】
【なんだか「1人でも十分に生きていけるんじゃないか」と言わんばかりの目で見ていた。自分以上に「何でもできる」様に思われたのだろう】

……お前、寂しいんじゃないか?

【ふと、そんな言葉が口をついて溢れてくる。まさか『母』も『姉』も、家族ではないとは、思い至らなかったのだ――――『母』は、一応家族と言って良いのだろうが――――】
【料理や裁縫を教えてもらうというのは、家の『中』の話で、なら家族の話のはずだと、そんな連想から、3人家族の構成を頭に思い描いているのだろう】
【それで、仲の良い『姉』が仕事でなかなか帰ってこないとなると――――寂しいのではないか、そんな感想が漏れ出たのだろう】

ぅ……そ、そんなには食べきれねぇよ! ……でも、ソーダ……ぁ、食いたいし、飲みたいなぁ……

【ほいほいと言葉に上がる様々なフレーバーに、思わず少年も胸を高鳴らせ、同時に「それはない」と制止する】
【とは言え、自身もそれを思い出すのは無理もないのだろう――――暑い夏に口にする、アイスキャンディーにソーダ。それはもう、条件さえ揃えば、単体で『ご馳走』なのだ】
【――――見る人が見れば、禁酒中にビールに思いを馳せる大人の様な表情だっただろう】

……に、にんじんとか、なすとか、いんげん豆とか……べ、別に良いだろ!
あんな、固くて変な匂いがしたり、ざりざり口に残ったり……全然、旨くねぇよ……

【何とも子供らしい、嫌いな食べ物のラインナップ。見事に野菜である。やはり苦手なのは年相応なのだろう】
【先ほどのピーマンの事はどこへやら、少年の方もすっかりと忘れて、やりこめられてしまった。なんだか、歳が逆転してしまった様で】
【一瞬、えづいたりしている。風味なんかを思い出してしまったのかもしれない。子供にとっては、思い出す事は耐えがたい苦痛だ】

おぅ、肉食って、筋トレだな! そうすりゃ足も速くなるし、疲れなくなるんだぞ!
そういうのって、やっぱすげぇよな! 俺も肉食って、筋トレしなきゃ!

【タンパク質の話題になると、急に元気になる。それも少年らしい子供っぽさと言うべきだろうか。一応その栄養学の基礎については知っているらしく】
【足が速くなって、スタミナがついて。そんな姿は子供心に格好いいと思えるものだ。グッと握りこぶしを作って見せる】
【――――勇ましい姿だが、恐らく『肉』だからだろう。単にいい気になって色々言ってるだけである】

あっ……お前! っく――――!
「ガキども、そこを動くんじゃないぞぉぉ!!」

【手を引いて走り出したが、少女は転倒してしまう。少年は不味いと本気で顔を強張らせた】
【男は、大人に対してもこんな表情をするかもしれないという程に、怒り狂っている。それを認めて、少年はポケットに手を突っ込んだ】

――――“Mighty Obstacle”……行けぇ、『ミステリアス・パーティ』!!

【――――膨らんだポケットの中から、取り出したのはフィギュア。それを男に向かって投げつける。まだ距離はあるが、同時にその身体から黄金色のオーラが立ち上り】

<――――分散陣形、火力集中!><世界最強、伝説を見せてやれぇッ!!>

【枯草色の戦闘被服にヘルメットで全身を固め、背中に装甲、ランチャー、スコップなど、様々な物を背嚢と共に括り付けている】
【手に大型のマシンガンを握り締めている、15体ほどの小さな兵隊】
【人形『だった』それが動き出し、男を取り囲む。タタタン、と小さな炸裂音。手にしていたマシンガンが火を噴き、男に向けて射撃された】

「がっ、痛てててッ!? く、貴様らぁ!」
今だ、立て。早く逃げるぞ、早く!

【まるで針に刺された様に、ぶつぶつと男の体に穴が開き、思わず怯んで立ち止まる。蹴散らそうとしたが、何せ相手は小さく、そして散開している】
【それを確認して、少年は少女の手を取って、立ち上がらせようとした。少々気は急いているが、そこは仕方がない。今度こそ逃げ果せようとして――――】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 19:43:03.15 ID:bgoFOz2y0
>>777

【――――べたんっ、と、大振りな音がした。体勢を崩したまま片手を引かれたのだ、当然受け身を取ることさえ叶わず】
【「きゃあ!」――痛みにか驚いたような声が跳ねる。ふわっと膨らんだスカートが捲れあがったなら、ぼわぼわしたドロワーズのお尻が丸見えになる】
【だけれど。これはやはりと言うべきだろうか、数度じたばたっとした彼女は――おそらく相手の予想するより早く立ち上がる。頬っぺたに泥をくっつけながらも】

――――あ、あのねっ? オジサン? さっきね、お兄ちゃんね、確かにね、イーってしたけど――……、

【まだ状況を理解していなかくて、彼女の中には勘違いがあった。相手は彼が挑発みたいにしたことを怒っているんだって、思い込んでいる】
【だけれど冷静に考えればそれはありえない。その行為に気づいて追いかけてきたのだというのなら、あの瞬間から、追いかけられているはずであり】
【ここまでわりに平和に歩いて来られたのを思えば――違う理由だって、すぐに気づけるはずだった。「えっと」……ためらったような声は、まだ、それに気づかず】

【人形たちの一斉射撃――といっても、うんと小さな小さな一発ずつ。気づけば幼子の顔はひどく歪む、慌てたように「駄目だよ!」って声をかけるけど】
【ひどく怒り狂った男を見れば――それはそれとして、やはり怖いのだ。いくら****であっても自分よりもずうと大きな男が怒鳴って向かってくる光景なんて、慣れないから】
【そのときにはすでに幼子の意識も"逃げなくちゃ"というものになっている。取られた手をぎゅうと握り返した、――汗ばんで少し冷たくなった手。しっかりつかんだなら】

【今度は転んでしまわないようにって――だけど彼女はこの辺りの道も何にも知らないから。相手の先導に従うばかりになるだろう、ぜえぜえ息を荒らげながらも】
【彼さえ道を間違えなければ。今度は逃げきれるはずだった、――きっと、だけれど】
779 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 19:57:57.48 ID:Y99ITW440
>>778

「い、いたたっ! ら、ライターを……ッ!!」
<銃撃維持しつつ、砲撃用意!!><砲撃開始!!>

【まるで蜂に纏われて怯んでいる様に、立ち尽くす恰幅の良い男。3方向に散開した兵士たちは、マシンガンの射撃を続けて男をやり込めて】
【その内の数名が、背中のランチャーを取り出し構える。ボシュっと小さな風船が飛び出すような音が響き――――】

「ぐあああッ!! ――――…………」
<戦闘終了!><敵巨大生物、沈黙を確認!><至急帰還する、急げッ!>

【小さいながらも立派な爆発が起こり、男は吹き飛ばされ、血を流しながら――――意識を失う】
【何事かとざわめき始める周囲を他所に、フィギュアの兵隊たちはさっさと少年のポケットへと飛び込んで――――全ては元通り】

さあ――――今は一旦逃げよう、早く!

【思ったよりは早く立ち上がった少女の手を引いて、少年は再び駆け出す。人ごみの合間を縫って、人目を避けて――――】







――――はぁ、はぁ、はぁ……も、もう……大丈夫、だろ……っ

【路地裏へと続く道の、ごみ箱の陰。そこに2人共に落ち着き、ようやく呼吸を整える機会を得る】
【何気にドーナッツの残りを握り締めているが、もう片方の手は、少女のそれをしっかりと繋いで】

……けど、あのオッサン……あんなに、ムキになってたって事は――――――――あぁ、あった。やっぱり…………なんか、本当にヤバいオッサンだったんだ……

【ふと少年は思い当たる事があったようで、ドーナッツを口にくわえると、空いた手でポケットを探り――――高そうなライターを取り出す】
【それを、チャカチャカといじると――――本来開くはずの無い側面が開き、そこからレンズが覗いている】
【試しに、頭を開いて打ち石を鳴らすも、何度やっても火が付く様子はなかった。つまりこのライター、隠し撮りのカメラを偽装した偽物だったのである】
【なにか、後ろ暗い人物である事に気が付いた。だからこそ、本気の怒りと共に飛び掛かってきたのだ】

――――大丈夫か……? 水、要るか? 要るなら、すぐに持って来てやるぞ?

【そこでようやく少年は、少女へと向き直り、心配そうに声をかける。自分でさえ喉が渇いたのだ。少女の方はもっとだろう】
【もしも少女が望むなら、少年は水を探しに出かけるだろう】

/すみません、次もちょっと遅れます……
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 20:09:20.84 ID:bgoFOz2y0
>>779

【後ろの方で音がする――だけどもはやそれを振り返って確認する余裕など、なかった。怒り狂っている大人、というのは子供にとってそれだけ恐ろしい】
【幼子が本当に子供であるかは別として。恐ろしかったのだ。ならば――しばらく後。路地裏に飛び込んで、ごみ箱の裏側に、隠れてしまって】
【二人でやっと一息吐ける。ふうはあって荒い息を何度も何度も繰り返し吐いて――それでもドキドキは止まらなかった。怖かったって思って、膝をぎゅうと抱え込む】

【それでもなお、手は繋いだままだった。よっぽど怖かったのかもしれない、汗ばんで、じっとりして。それで強く握ったなら、ぴったり、くっついてしまったみたいな錯覚】

ふぅ、はぁー……、……お兄ちゃん、それなあに?
あのね、私ね、くたびれちゃった! 

【「――怖いヒトだったね」】
【壁に背中を預けて深呼吸する。それで少しだけ呼吸が落ち着けば、相手へそう尋ねるのだ。ライター。知っているが、あまり見覚えはないもの】
【ゆえに最初は何であるかさえも思いつかなかったらしい、相手がいろいろ試すうちに――とくに火をつけようと試行する辺りで、それがライターであると気づいたのだが」
【その少し後にはレンズに気づいてぱちくり瞬く。――だけど。まだ。それとあの男性については特に繋がっていないらしいのだ、察しが悪い、というよりは】
【まだドキドキしてしまっている――と言ってやるべきか。顔はすっかり真っ赤になっていて、ただ、彼が心配そうにこちらを見ていることには、すぐに気づいて】

――あのね、大丈夫よ! 私はね、あのね、元気だわっ。
お兄ちゃんの方こそね、大丈夫? とっても怖いヒトだったから……、でもね、あのね!
最近ねっ、テレビでやってたよっ、火の国だとね、まだ? ――能力とかね、あんまりね、使わない方がいいってね、ヤツ!

私ね、ええーって! 思ったんだけどね、それでもね、ちょっぴりね、嫌だなーって顔されることね、あるよ。
だからね、お兄ちゃんもね、怖いオジサンだったけど、だけど――、

【真っ赤な顔。まだ息は荒くて、だけど安心させようとするみたいに笑う。自分は元気だからって――息こそ上がっているが、確かに、それ以上ではない】
【それよりもと気にするのは、おそらく彼が能力を使って応戦したことだった。それともこちらの国ではまだ関係がないだろうか、水の国――能力、ということになれば】
【魔制法とか。そんな単語が思い浮かぶのかもしれない。――それともまだ本当に対岸の火事、ではないけど。こちらで大事にはなっていないのかも、しれないけど】
【"こちら"に暮らしているわけでないなら、詳しくは知らないのだ――ならば。今度はこちらが心配する番、気を付けた方がいいよって、珍しく真面目な顔をした】

/りょうかいしましたー
781 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 20:48:48.41 ID:Y99ITW440
>>780

……これ、あのオッサンのライター……いや、ライターじゃない、ライターに見せかけた、悪いものなんだ
多分、あのオッサン……本気で悪い人だったんだよ。こいつはその、悪い事の証拠ってやつ……

【道具の説明に、なんと言ってやるべきか――――少年は少し悩み、そして分かっている事をそのまま説明する】
【こんな風に隠し撮りの道具としているのは、何か悪い事に使うものに間違いない。少年の頭では、明確に語句としては浮かばないが】
【――――そう、例えば脅迫。そして尾行。そうした事を行うための道具だったのだろうと察しがついた】
【当初の、女性に対する感じの悪い態度は、なんて事はない、彼自身が邪悪な人物だったから、と言う事なのだろう】

……大丈夫なら良かった。俺は大丈夫だよ、こういうの何度かあったから、慣れっこなんだ!

【とりあえず少女は、呼吸こそ弾んでいるが、思ったよりは体力があったようで。少年も一安心する】
【そして少年の方も、少女の言葉に応えて大丈夫だと返す。中々わんぱくな印象のある通り、走ったりすることは得意なのだろう】
【――――慣れているというのが『何度も追いかけられている』と言う事だと、少女が気づくかは分からないが――――】

……能力? あぁ、“Mighty Obstacle”の事か……そういえば、水の国じゃ、そういうのいけないんだっけ?
大丈夫だよ、あれは火の国には関係ない奴だから! それに、俺も今回みたいな時しか、使わないから大丈夫!

【少女の懸念しているところを、最初は少年も気づかなかったが、一応ニュースと言う形で知ってはいたのだろう】
【魔能制限法の存在――――確かに、火の国ではまだ関係のない事。こういう言い方が適切かどうかは分からないが、『対岸の火事』と言う奴だ】
【少年としても、何が悪いのかは分からないが、ともあれ少年自身、こうした力を乱発している訳でもなく】
【これが何か、不味い事になるというのは、考えていなかったのだろう】

……そういえばお前、そろそろお使い戻った方が良いんじゃないか?
あぁその前に、名前、名前教えてくれよ!

【こうして、あちこち引っ張り回してしまった少年だが、そういえば少女はお使いの途中なのだと言う事をすっかりと忘れていた】
【慌ててそれを口にしつつ、同時に慌てて少女の名前を聞こうとする。ずっと名前も知らないままでいるのも、おかしいと思ったのだろう】

/度々すみません、戻りましたー
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 21:01:32.72 ID:bgoFOz2y0
>>781

ふうん……あっ、もしかしてね、あのオジサンのね、落とし物?
だったらね、ひどいわっ、お兄ちゃんね、拾ってくれたのに――あんな顔したらね、みんなね、怖いよっ!

【オッサンのライター――つまり今少年が持っているのはさっきの男の持ち物であるのか。ならばなぜ彼が持っているのだろう、ふっと考えた幼子は】
【けれど――相手が盗んだ、とまでは、思っていないようだった。あらかたぶつかった時に落としたのを彼が拾ったのだろう、とでも、便利に脳内変換する】
【それは状況を思えば少し不自然でもあったのだけど――事実男は怖かったし、彼とは二人でここまで逃げてきたのだ。ならば彼の方が味方、に思えてしまうから】
【あんな怖い顔したらみんな逃げちゃうよねっってぷんぷん怒って自分たちを正当化する――そうだとは気づかないままで】

そうなんだっ? あのね、私もね、鬼ごっこって好きよ!
普段はね、出来ないんだけど――公園とかでね、お友達が出来たらね、するの!
さっきね、お兄ちゃんね、言ってたでしょっ? 筋トレしたらね、足がはやくなるーって! お兄ちゃんね、鬼ごっこ好きなの?

【――あるいは。異様に相手を疑わないって思うかもしれなかった、というよりも。そういう考えさえあんまり持っていないみたいに、怖いヒトは怖いと言うけれど】
【その怖いヒトに彼が不幸を願ったりするのは嫌で。彼が男のライターを持っていることも、きっと落としたのを拾ったのね、と判断して。慣れっこだって――鬼ごっこと変換する】
【にこにこ笑いながら尋ねる――まだ赤い頬っぺたがあどけなかった。真夏の青空色の瞳は全く何にも気づいていない色合い、どこまでも突き抜ける青空の色】

――そうよっ、あのね、ひどいんだから! 私ね、能力でね、悪いことなんてしないのっ!
みんなとね、お友達になるのよ。なのにね、ひどいことね、言うのっ! よく聞こえないんだけど――ヒソヒソってね、おしゃべりするのよ!

ここにはね、関係ないの? いいなあ――だったらね、私ね、ここに住みたいっ、お母さんはね、ヒキコモリだからね、分かってくれないのよっ。

【それが急に怒り出す――言葉を聞くにどうやら能力者であるらしい。だけれどそれは住まいのある水の国では今となっては差別にも似た扱いを受けかねない】
【こんな幼子でさえそれに気づいて不満ながらも能力を使わず生きている――らしいのだ。それを母に訴えたことがあるというのも分かる、でも、どうしようもない】
【本当に本当に羨ましいように吐息を溶かす――壁にぎゅっと背中を預けてずりずりとずり落ちる、足先がちんまりと、ごみ箱から外側に出て】

私ね、ファラエナよっ! お兄ちゃんはね、お名前なあに?

【名前を聞かれたなら。ぱっと姿勢がよくなる、にっこり笑って、答えて――相手の名前も、一緒に、尋ねた】
783 :?????? ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 21:18:09.79 ID:Y99ITW440
>>782

お、落とし物……あ、あぁ多分そうなんだろ……でも、別に返したりする事はないよな
これ、悪い事をするための道具なんだし……返したり、しない方が……

【――――どうやら、状況を分かっていないらしい少女に、少年は半ば呆れながらも、やはり言葉尻が小さくなっていく】
【――――自分から言い出す事ではないのだが、しかし知れずだましている格好になるのは、気分が良くない】
【とりあえず、これはこのまま処分した方が良いだろうという結論に達するのだが、それを口にする事さえ、なんだか気が引けてしまって】

鬼ごっこ……うーん、早く走るのが好きなんだよ!
それで……速く走る為には、足が強くないとダメなんだ。だから……だね。速いって気持ち良いんだ!

【この幼い少女には、盗むとか争うという概念が、そもそも無いのかもしれない。少年は何とも困った風に、何とか当たり障りのない返事を口にする】
【なんだか、相対的に自分がかなりの悪人に思えてきて。誤魔化しながら、何とか応えるのが精いっぱいだったのだ】
【とは言え、その気持ち自体は本物である。早く走って自分が風になる。その気持ちは良かった。それが、追いかけられるスリルを伴うと、また違う味になるのだが――――】

あ…………

【少女の言葉に、少年は考え込んでしまう。魔能制限法なんて、何の事だろうと思っていたが――――】
【やはり、幼さ故にか、それを明瞭に言語化できた訳ではないが、なんとなく、分かってしまったのだ】
【――――異能を使った悪事を取り締まるために、異能自体を使ってはいけないものとする。だから、異能を使うと周りから悪い目で見られる】
【――――悪い事をして、ヤバくなったら異能で切り抜ける自分の行為も、そうした事に当てはめられるのではないか――――】

……世の中には、悪い人がたくさんいるんだよな……

【他人事のように、そう口にするのが、今度こそ精一杯だった。それは、自分も含めての事だったのだろう――――】
【その苦い味は、恐らく一過性の物だろうが、その記憶は、そう簡単にはぬぐえない】

ファラエナ、か……俺はアルザス、アルザス=ディランディー! よろしくな、ファラエナ!

【少女――――ファラエナの名をようやく聞いて、自らも名を名乗る少年――――アルザス】
【何かと振り回されながらも、自らも騒々しい少年は――――今は、自分の泥棒行為を黙ろうと決意していた】
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 21:34:32.27 ID:bgoFOz2y0
>>783

あっ、でもね、駄目よっ、ちゃんとね、おまわりさんに届けなくっちゃ!
じゃないとね――、えーっとね、なんとかーってね、やつになるの! ヒトのものね、とっちゃ駄目なんだよ――。

【――盗む、という概念がないわけではないらしかった。返さなくってもいいのではと漏らす彼に、幼子はすぐに、駄目だよって】
【それはいけないことなのだと口にする。人の物は盗ったらいけない――分かっているのに、だけど、目の前の彼がそうだとは、全く気付かなかったなら】

私もね! 走るのはね、あんまり上手じゃないけれど――、お空を飛ぶの! びゅんってね、鳥さんと一緒に飛ぶのよ、それは好き!

【早く走るということ。彼女はどうやらあんまりしたことがないらしかった、だって、そもそも靴がそのためのものじゃない】
【走るのは嫌いじゃないのかもしれないけれど――それを常に考慮した生き方を、していない。それできっと分かるのだ、彼女は、荒事とは基本的に無縁な生き方】
【そのくせ当たり前であるかのように、飛ぶのが――と口にするあたり、どこか負けず嫌いなところもあるのかもしれない。あるいは分かるよって、同調したかったのか】
【決して勝ち誇るような意味合いではないのだけど。それは相手の目にどう映るのだろう、大きな船と一緒に泳ぐ。風みたいに早く走る。そんな風に思う、彼には】

そうなのっ、でもね、私ね、みんなとお友達になるのよっ。
だからね、私はいいけど――お兄ちゃんね、困ったことあったらね、風の国に行ったらいいわ!
UTーってところでね、私のね、お姉ちゃんがお仕事しているから! だからね、私のお友達だーって言えばね、助けてくれるわっ。

とーってもね、優しいんだよ! お料理もね、とっても上手なのっ! ホントよ!

【悪いヒトがたくさんいる――彼の言葉に幼子は一つ頷く、だけど。すぐにぱっと明るい声、みんなと友達になるんだって、夢を語る】
【さっき怒る大人に怯えていた幼子が、だけどそれとはまったく関係なく言ってみせる、なら、どこか不思議で、あるいは理想と現実の区別がつかないみたいにも見えた】
【それでも真剣に。――それから、だからねって言葉は続く。もし彼が悪いヒトに出会ってしまって、困ってしまったなら――きっとそこで助けてもらえるから、って】
【とっても大切な宝物を自慢するみたいに――――】

アルザスお兄ちゃんねっ、じゃね、私ね、もうちょっとお散歩していこうかな!
だってね、ここだとね、能力を使っていたって、いいんでしょっ? だったらね、私ね、お空飛びたい! だからね――。

【相手の名前を覚えこむ。そうしたら幼子は急にうずうずしだすだろう、あるいはわくわくしてしまったみたいに、そわそわして】
【ぱっと立ち上がる――ならば言葉通りだった。ここなら能力を使ってもいい。嬉しくなって――その背中に、ぱっ、と、咲き誇るように、光でかたどられた翼が映える】
【近い距離だったからもしかしたら羽根がアルザスをくすぐるかもしれない、――ひどく暖かで。陽だまりのような温度、触り心地はちょっともっちりして、ドーナッツみたいで】

今日はね、あのね、助けてくれてありがと! それにね、おやつね、おいしかったわ! またね!

【――ふわっ、と、飛び上がる。本当にうれしくって仕方ないみたいに、その姿はきっとあっという間に空に向かって、建物の陰に見えなくなる】
【少し遅れてから――ひら、ひら、と。光を帯びた魔力で出来た羽根がひとひら舞い降りて。あんなに賑やかだったのに――静かが地面から生えてきたみたいに、なって】

/おつかれさまでしたー!
785 :アルザス=ディランディー ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/27(金) 21:48:19.49 ID:Y99ITW440
>>784

あ、あぁ……そうだな……

【――――下手に警察に顔を出せば、彼もしょっ引かれるのだが、その事は最後まで口をつぐむ】
【これは、適当に処分だ――――盗品は手元に抱えていると、それだけ危険性が増す。現金ならいざ知らず、現物はあまり手元にない方が良いのだ】

――――空を飛ぶ!? へーぇ、なるほど……あれ、じゃあ俺が手を引っ張って走ったのは……

【ひょっとして無駄だったか――――喉まで出かかった言葉を飲み込む。あの状況でそんな事をうんぬんするのは野暮でしかない】
【確かに、あまり長距離を徒歩で移動するには向いていない靴だ。それは、彼女には、空があったから――――】
【――――少しばかり、羨ましいと思った。彼女は本当の意味で、風になる事が出来るのだろうから】

か、風の国に行く!? うーん……いや……まぁ、確かに、いざと言う時には……うん……
(……俺は、そんな他の国に行くなんて、ホイホイできる訳でもないんだけど……すげぇなぁファラエナは……)

【UTの事ぐらいは、流石にアルザスも知っていた様だが、自分がそこに顔を出すとなると、流石に考えていなかったのだろう。ファラエナの提案に驚いて】
【ただ、ファラエナがそうして歩き回っているのに、自分がそれに面食らっていては格好悪い、と思ったのかもしれない】
【――――少し、決意を秘めた顔で頷いた。確かに、ブレイザーシティの様な事件が――――あの頃は、本当に物心つかない子供だったので、記憶はないが――――また起こらないとも限らないのだ】
【その時には――――『大冒険』をする必要があるかもしれない、と】

あっ――――!

【そしてアルザスは――――少年は、その光景を見る。ファラエナが翼を生やし、空を飛ぶ】
【そんな光景を、こんな間近で見た事は無かった。思わず飛び散る羽毛を手でつかむ。暖かい――――陽の光を思わせる暖かさだった】

お……おぅ! またなファラエナ!

【飛翔し、飛び去って行くファラエナを見送るアルザス。ぼうっと見とれていた少年の胸は、幻想的な感動に打たれていた】
【まるで天使だと――――決して見惚れた訳ではないけど、その光景は確かに胸を打っていたのだ】

/お疲れ様でしたー!
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/27(金) 22:57:31.81 ID:Dwe/E5540

【とある街中。今日も彼方此方では様々な噂が流れていて】

【街の彼方此方で語られるそれらを聞き逃さないようにしながら街をあてもなく歩くのは】

【水色の猫耳付きフードのケープに白いブラウス、青いスカートに紺色の底の浅いストラップパンプスといった出で立ちの少女】

【フードを目深に被った彼女のその水色の猫耳は心なしか動いて見えて】

【──ねえ、知ってる?】

【特区は天国のような──】
【──って寂れた公園に人面犬が出たって──】
【能力者の見分け方はね──】
【カミスシティって地獄みたいな──】
【こないだの水の国のデモ──】
【カニバディールが──製薬と共謀──】


【飛び交う噂に意識を集中させていたからだろうか?不意に少女は道行く人にぶつかり尻餅をつく】

【瞬間、少女のフードは脱げてしまいその下から月白色の肩まで伸びた髪と髪と同じ色をした猫の耳が表れて】

【その様子を目にしてしまったのだろう。道行く人々が一斉にざわつき始め】

【人々が口々に能力者じゃないかと囁く中、少女は尻餅をついたまま少し泣きそうな表情で慌てていて】


787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/27(金) 23:28:15.66 ID:bgoFOz2y0
>>786

――――――――ふえぎゅッ、

【――ばすん。あるいはどすん。地面にしりもちをついた少女はそんな感覚を背中に覚えるだろうか、同時に聞こえて来るのは、そんな声】
【まだあどけない声――それに感触も軽く。ならば子供でもぶつかってきたのかもしれない、――だなんて思うよりも現実は早く進んでしまうから】
【次いで相手が感じるのはきっと"重み"だった、――それも、その少女の背中の方から頭の方から押しつぶすみたいに、背後から、ぎゅうって、重さがかかって来る】

【となれば――しりもちをついた相手に気づかなかった誰かがぶつかってきて。そのままばすんっと転んできた。冷静ならば、そうやって考えることが出来るかもしれないし】
【あるいはその"誰か"が一瞬相手の頭周辺をぼっふと覆い隠してしまうから。その瞬間に"うまく"やれば、外れてしまったフードをかぶり直すことさえ、出来るかもしれず】

――アァ?

【だけどびっくりしてしまったなら――死角からの衝撃だった。唯一分かるのは覆いかぶさってくる感覚や声、軽さからして"それ"が子供であること】
【もしかしたら相手をびっくりさせるかもしれないのとおんなじで、"それ"もまたびっくりしているらしく、素っ頓狂な声をあげていること】

ン! ユーイ、あっち見てた。

【そのびっくりから勝手に抜け出せば"それ"はすっかり冷静な状況で相手から離れてしまう――相手の行動はどうあれ、そこで初めて"それ"の姿が見える】

【純白の髪。腰まで届くよな長さは好き勝手にハネるくせっけで、小さな頭をぎゅっと隠しこむように、フリルの多い豪奢なボンネットがよく映える】
【ひどく色素の薄い白い肌は血色を透かしてほのかに色付く、落ち着いた黄色の瞳にあどけない顔つき。首元でボンネットのリボンがぶきっちょに結ばれて】
【まーっしろな服は指先も足の爪先まで隠すようなロング丈のワンピース。たくさんのフリルをあしらったなら、その身体つきを必要以上に隠したがるようにも見え】
【足元はよく見えないけれど――どうやらストラップシューズであるらしかった。まだ幼い子――それこそ、五つか、六つか、それくらいに見える女の子、であり】

アー……、……ダイジョウブ?

【――じゃっ、って感じで立ち去ろうとしていたのだけれど。ふっと思い至ったみたいに立ち止まる、それで、振り返ったなら】
【蹴っ飛ばして上に覆いかぶさって――それを気にしたのかもしれない。お淑やかなんて気にしたこともないように"ばっ"と足を広げたしゃがみ方、相手に目線を合わせて】
【――――というよりも、きっと、相手より目線が下になって。尋ねかけた、――周りの様子など一切気づいていないようなのは、きっと、子供ゆえなのか】

/持ち越し前提ですがよろしければ……!
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/27(金) 23:57:08.95 ID:Dwe/E5540
>>787

【周囲の人の視線、ざわざわという囁き声、ええなにこれ怖いどうしよ、などと半ば涙目になっていた所に】

──きゃっ!?
【ばすんっと背中にぶつかった何か。それと潰れたような声と】

【それから一瞬視界が暗くなって】

【慌てていた所にそれだったから少女は更にパニックになってしまって】

【え、え、などと小さな声を発しているうちに視界はまた明るくなり】

【何だろうと振り返ればそこには自分以上に真っ白な小さな女の子の姿】

【その姿を見てはじめて女の子が尻餅をついた自分に躓いてしまったのだと理解し】

【そうなれば思考も一気に冴え、女の子がぶつかった事で周囲の注目が若干女の子にいったのも手伝ってかさりげなくというか何食わぬ顔でというかともかく素早くフードを被って】

【立ち去ろうとした相手に少しばかりぽかんとしかけたのだが】

【はしたないしゃがみ方でこっちを見て問われれば】

え、うん……お姉ちゃんは大丈夫だけど……

【そろーっと周囲を見渡せば辺りの人は猫耳の生えた少女に話しかけた幼い少女に、お嬢ちゃん危ないよ!だの食われるぞ!だの叫んで彼女を遠ざけようとしており】

【どうしようかなー……なんて苦笑しながら少女は立ち上がって砂埃を払う】


/よろしくお願いします!
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/28(土) 00:06:46.74 ID:/RWozsDg0
>>788

【――――とはいえ、ひどく丈の長いスカートだ。中が見えるということはなく、ただ、恰好がひどくはしたない、というだけのポーズ】
【やがて相手が大丈夫だと言えば――それで満足したみたいに。もう一度立ち上がる、少し強めの鼻息、得意げな顔、ミッションクリアって感じの様子をしたなら】
【それじゃあ今度こそ――ってあたりを見渡したなら、その時に初めて周りの様子を認識するのだ。遠巻きになっている人々、それから掛けられる声、食われるぞ――】

……ア? ユーイ、人間食べない。ァー……、……、オマエ?

【幼子は一瞬あどけない顔をこいつら何言ってるんだろうとでも言いたげに歪めた、心外であり不愉快である……というような顔。言葉はひどく拙かったけれど】
【群衆に向けて宣言する、自分は人間を食べません――当たり前すぎることならきっと誰もが一瞬きょとんとする。数秒遅れて、振り返ったなら、尋ねるのは相手に向けて】

ユーイおいしくない。

【ん、と、ひときわ力強い頷きだった。自分は不味いので食べてもいいことはないですというのをアピールする、アピールし終えて】

ンン……、ナニ?

【それで――いくらも遅れて、この状況が異常であると認識したらしかった。ぐるりと見渡したなら、みながこちらを見ており】
【自分はよく分からないと言う顔をして――もう一度相手に尋ねるのだ。この状況って何ですか、と、――そんな風に丁寧な問いかけでは、なかったものの】

ユーイ助かった、洋服、キレイ! 汚れなかった。

【ましてフォローのつもりらしい一言があんまりフォローになっていなかったり、したものの】
【眉間にぐぐうっとしわを寄せて、それでも、何か彼女なりに相手をかばおうとしているらしく――】
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/28(土) 00:39:16.07 ID:GKOABFzj0

>>789

【立ち上がって満足げにふんす!と鼻を鳴らす女の子】

【その表情は周囲から掛けられる声に不愉快そうに歪み】

【告げられる食べないよ宣言。周囲の人々はその一言に、いや当たり前だよねと言わんばかりにキョトンとして】

……うん、お姉ちゃんも貴女の事食べようとしてない……
【私は美味しくないよ、と相手に言われれば、ああこんな幼気な女の子にまで疑われてる……みたいないたたまれない表情で頷き】

【改めてこの状況が何なのかと拙いながらに尋ねた女の子に、うーん……君は知らなくても良い事だよー……なんて遠い目をして笑って】

【ふと、ああもういいやこれ、なんて思ったのか】

……あーっ!向こうに機関の服着た男がーっ!
【息を大きく吸って大声で叫びながら明後日の方を指差して】

【それに周囲がつられてそっちを見たのならば幼い少女の両脇に手を挟んで奪取しようとし】

【もし失敗したならば一人で、成功したならば二人で何処か建物の陰に避難するのだが】


791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/28(土) 00:56:30.04 ID:/RWozsDg0
>>790

【幼子はひどく混乱しているようだった、なんでこの少女はこう遠巻きに見られて、ヒソヒソされて、よく分からない状態になっているのか】
【しばらくぼーっとした顔で考える、考えて――これはちょっとよくわかんないな、って結論に達した。それはちょうど、相手が、うんと大きな声を上げたタイミング】
【群衆の視線がバッとそちらへ向く。それどころか逃げ出す人も居る始末で――そして一人が逃げ出せば、自分も、自分も、と恐怖は伝播していく】

【まして最近は――そういった機関員も多い。街中のテロリズムも、少し前のよう、めったに聞かないものではなくなっていたなら】

――――ミャッ!?

【――腋の下に手を突っ込まれて持ち上げられる。体重はひどく軽かったから、それこそ猫のように持ち上がるだろう――途中からバタバタ暴れ出す以外は】
【それでも体格の差で抑え込めば、おそらく目当ての場所まで運搬することはできるだろう――ただ、首根っこを掴まれたカマキリみたいに、しきりに振り返って】
【大きく開けた口で威嚇するみたいに虚空をガブガブ噛んでいるから、ちょっと怖いかもしれないけれど。――鋭い歯だった、まるで、それこそ獣みたいに、】

――ユーイ! ヤダ! ゥー……、ガーッ!

【やがてどこかで降ろせば幼子はダンダンッって地団太を踏むだろう、嫌だったとアピールする、それこそ犬がするみたいに牙を剥いて、しばらくガウガウしてみせるけど】
【相手がよほど動物嫌い――とかでなければ、しょせんは幼子のそれだ。本当に噛みついてくることもなく、数分ほど置いておけば、ケロっと収まっているはずで】

【――――】

ンン、あれナニ? ユーイ、人間食べナイ! ユーイ、人間食べたことナイ、ジャム好き!
パンにジャム付ける、アカネはちょびっとだけだからイヤ! リンネはいっぱいつける。リンネがイイ。

【数分後、ケロってした後。幼子はふーっと思い出したように相手に尋ねるのだろう、さっきのは何かって。そうしてまた繰り返す、自分は人間を食べないと】
【というより――この幼子の名前は"ユーイ"でいいのだろうか。あんまりに繰り返すから、きっと、それでいいのだけど――好きな食べ物はジャムらしい】
【あるいはジャムを塗ったパン。誰かはジャムをケチるタイプで誰かはケチらないタイプで――にんまり笑う、真っ白な頬っぺたを淡く赤くして、嬉し気に】
【いきなり述べられる名前は――もしかしたら幼子の家族であるのかもしれなかった。特にジャムをいっぱいつけてくれる方――は、音ならば相手も聞き覚えがあるはずで】

アー、ン? オマエ、ナニ? んん……、ユーイ、ユーイ・リザルトリクス! んぅ――、あー、名前?

【それで――相手の名前を知らないことにも思い至る。まずは自分のものを名乗るだろう、――多分とっくに把握されているというのは気づかないまま、伝えて】
【やがて言葉足らずであったのにも、気づく。あなたのお名前はなんですか。――見た目よりも言葉が拙かった、がうがうって鋭い獣みたいな牙も、どこか違和感たりえて――】
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/28(土) 01:27:23.91 ID:GKOABFzj0

>>791

【群衆の注意がそれ、少女は女の子を連れて駆け出す】

あああごめん暴れないでぇぇぇ!
【ジタバタと暴れる彼女に謝りながらそれはもう急いで】

【虚空をガチガチ噛まれれば、うひぃぃなんてすっとんきょうな声も上げたりして】

【そうしてたどり着いた何処かの建物の陰。追ってくる人がいないのを確認するとほっと胸を撫で下ろして】

【地団駄を踏み歯を剥き出す少女に、何度もごめんねぇ、なんて謝りながら、わあ犬みたいつがる犬嫌い、なんて脳が溶けたような事を思いつつも】

【ふとした瞬間にあれこれ未成年略取じゃない?なんて意外に冷静に考えたりもして】

【そうして相手が落ち着けば】

あれはねー……お姉ちゃんが猫さんみたいな耳だからねー、化け物ーって……あ、自分で言ってて悲しくなってきた……
【子供にも分かるように簡単な言葉を使って説明しようとするも自分で化け物と言った事で地味に精神的ダメージを喰らい】

【そうして相手が名乗る所でようやく回復したらしく】

ユーイちゃんね
お姉ちゃんは、つがる!銀ヶ峰つがる!
【自分も名乗って、言ってみて?つーがーるー、などとゆっくり発音してみせた後、そういえば、と思い出したのか】

ユーイちゃん、鈴音ちゃんの……
【知り合い?と言いかけてからもっと簡単に言った方が良いかと思い直し】

ユーイ、鈴音、知ってる?
えーっと……頭、黒い……
【鈴音という髪が黒い女性を知っているのか?と尋ねる】


793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/28(土) 01:48:49.52 ID:/RWozsDg0
>>792

ツガル……、……あー。ツガル? ツガル……、ネコ?
家にネコ居る! アンコとオモチ! ユーイも耳ある、リンネ隠せって! コレ嫌い、

【相手の名前を繰り返して唱える、ゆーっくりした発音に合わせてこちらも復唱する。満足がいけば一つ頷いて、猫さんみたいな……猫、と聞けば】
【どうやらこの幼子の家には猫がいるらしい。名前も教えてくれたなら――どうやら毛色まで想像できるみたいで。きっと黒猫と白猫だろう、それから、はたと】
【ユーイもと言い出す、そうして手を頭上に――そう、頭上にやるのだ。指先がもしゃりとボンネットのフリルにうずもれる、むきいと変な鳴き声、イヤイヤをしてから】

リンネ帰ってこないから、アカネ探しに行った。アー……、ン、ン、帰ってきた、ケド、居なくなった!
だからユーイ遊ぶ! リンネ、外出るなって、アカネも、出るな! ユーイお外で遊びたい、アカネ居なくなった!
お外出ても怒られない、エンとネコは出ていい! ずるい。ユーイもお外で遊ぶ!

【しばらくそうやってボンネットをむしり取ろうとしていたのだけど――話が変われば忘れてしまう。知っている――だろうか、答えなかったけど】
【むくれながら話すとなんだか饒舌になるみたいだった。言葉は変わらず拙いものだけど――要約、してみたなら。どうやら帰っていないらしいのだ、同一人物であれば】
【そしてもう一人の謎の人物は探しに行ってしまった。だから今は自由なんだってはしゃぐ、もっと聞けばどうやら閉じ込められていた――と見え、なおさら上機嫌】
【ネコはともかくエンが何かは分からない。だけどとにかくお外で遊ぶんだってはしゃいだ様子、にっこにこと嬉しそうに笑ったなら】

ァー、……、リンネ知ってる? アカネが探してる、どこ行ったかワカンナイ。デンワ? 出ない、前も!
ユーイメールした、いっぱいした! そしたら帰ってきた。ユーイ偉い! でも居なくなった。アカネ急いで探しに行った。ユーイ遊べる!

【だけど――ふっと真顔になって尋ねもするのだ。どうやら知り合いだって認識したなら逆質問、サービスセンターでもなんでもないのに、相手に尋ねて】
【とにかく分かるのは、おそらく直近で一度音信不通になっている。それが帰ってきたと思ったら、またすぐに居なくなった。"アカネ"とやらは探しに行ってしまって】
【解き放たれたのがこの幼子、らしいのだが。どうにも拙いものの言い方のせいか物事の全貌は見えてこなくって、ただ、確実であるのは】

【――行方不明で音信不通。けろってしている幼子はきっと何にも知らないしあんまり興味もない。ただ、どこに行ったんだろう――くらいは思っている】
【探しに飛び出していった"アカネ"は誰だろう。だけどもしかしたら何かを知っていたのかもしれない、だって、相手も多分、"知っている"から、"分かってしまう"】
【ましてこの短期間で複数回も――ってなれば、不審が過ぎるのだ。ならばこうやって出歩いている幼子はただの便乗、火事場泥棒、多分、閉じ込められていた、っていうのも】
【"巻き込まないように"だって、分かる――、親かどうかは知らないけれど。親の心子知らずの体現みたいだった、だなんて、余談】
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/28(土) 02:26:01.44 ID:GKOABFzj0

>>793

【猫と聞いて家にも猫いるよ!と教えてくれる幼児。その名前に櫻出身である彼女は同じ名前を冠した食べ物を思い出して、けど可愛い名前だなあなどと思ったりもして】

【自分にも耳があって"リンネ"に隠せと言われているが嫌いなのだと告げられれば、分かる、めっちゃ分かる、と深く頷く】


【そうしてユーイが話すのは彼女が知る"リンネ"の話で。曰く帰ってこないから"アカネ"なる人物が探しに行った、と】

【けれども"アカネ"が"リンネ"を探しに行っちゃったから誰も叱る人がいないんだ、だから私はお外に遊びに行くの!と嬉しそうに話す】

【それを聞いて思ったのは、この少女も能力者か何かなのだろうか?という考えで】

【だって、そうじゃなければ耳を隠せと言われたり外に出るなと言われたりしないだろう、と】

えーっと、"リンネ"っていうのは風の国……分かるかな?風の国で、お仕事してる?
だったら……えっと……知ってる人
でも……お仕事から帰らない?
電話も出ない?
【拙い言葉で話す彼女の言い分をなんとか聞きながら取り合えず"リンネ"をUTの給仕である白神鈴音と仮定して】

【そうしてそこから得た情報を脳内で纏めて、眉をひそめる】

【鈴音ちゃんが音信不通になって、少ししたら帰ってきたけどまたいなくなった?】

【何やら嫌な予感がする。思い出すのは少し前に厳島から聞いた"婦警"の事。まさか接触して捕縛された、とかではないだろうか?】

【落ち着け、と自分に言い聞かせる。またすぐ戻ってくるかもしれない、しれないけれど──】

【自分が鈴音に会ってから既に二度も音信不通というのは少しおかしい】

(……念の為に後で厳島さんにも報告してた方が良いよね……)
【結構大変な事になってる気がする、と小さくため息を吐く】

795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/28(土) 02:27:31.54 ID:/RWozsDg0
>>794
/ごめんなさい、良いとこなのですが、明日朝起きなきゃなので凍結お願いできますでしょうか?
/明日は一応早く戻れるはずです……!
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/28(土) 02:36:14.28 ID:GKOABFzj0

>>795
/了解です!こちらは多分遅いと思いますのでゆっくりと……
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/28(土) 11:01:29.07 ID:/RWozsDg0
>>794

……アー? 風の国? ンン、UT! ユー、ティ?
ゴハン作る! ユーイのオヤツも! ん、そう!

【風の国――そう尋ねられたならば幼子は「んん?」って様子で顔を歪めるだろう、それで少し考えてから、そうじゃないと(そうであるのだけど)訂正をする】
【UTで食事を作っているリンネ。――ならば確定であると見ていいはずだった、幼子のおやつも作るらしい。「クッキー作る」とうれしげな顔、ほこほこと頬を赤くして】
【――だけどその表情がふっと褪めるのだ。眉を顰める相手を見つけてしまって、また真顔になる……といってもひどく子供じみたもの、ただの表情の移り変わり】
【仕事から帰らず、電話に出ることもない。メールも通話アプリも無視されて、もちろん返事が返って来ることもない。――そういう状況である、と、頷き】

【(相手はそこまで言っていないのだけど――"そう"だと判断して問題なかった。全くの音信不通で行方知れず)】

アカネ? ビックリした! ビックリして探しに行った、ユーイ、そのまま!
ウェイン――お仕事忙しい? ユーイ知らない、リンネが好き。アカネ嫌い! 要らナイ。

【少し言葉を探してから。アカネ――とやらは驚いた様子で出て行ったのだと言う。そしてもう一つ出て来る名前は――けれど、あくまで挙げられたにとどまり】
【何だからどうということではない、が、リンネの知り合いなのかもしれない――というか。帰ってこないとか言っているのだから、多分、家に居る人の話をしているのだろう】
【アカネとウェイン。エンとかネコは口ぶりからして多分ペットだ。その二つの名前が何か意味を持つ――かもしれなかった。少なくとも、アカネとやらは探しに行っている】
【幼子自体がそう懐いていないらしいなら、言い方はぷいっと無造作で。アカネに至ってはキライ。パンに塗ってくれるジャムが少ないから――じゃなくって】

【(リンネの言う通りにして自分をおウチに閉じ込めるから――)】

リンネ、いつも帰って来る、ユーイと寝てた。ユーイのことキライ?

【――――いつもいつも、仕事を片付けて、すぐに帰っていた。幼子は知らないけれど。寝ないで待っている"アカネ"に、今から帰るねって連絡を入れてから】
【帰ってきて、入れそうならお風呂に入って。駄目そうなら明日に回して。幼子がすでにすごい寝相で眠っているところに潜り込む、それで、一緒に、眠っていた】
【嫌われたのだろうか――その疑問がふっと鎌首をもたげて、幼子は眉を下げる。いつも帰ってきて、いつも一緒に眠っていた。その少女が、連絡もなく帰らなくなっている】
【口ぶりに真剣みは足りない――否。ひどく真剣なのだけど、知っている人が思うほど、"まずさ"みたいなものは、感じていない。ただ何も知らない一人として、心配している風ではあった】

/少し時間あったのでお返ししておきます、次夜になります!
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 15:02:40.46 ID:NwRidG6ho
【──先日出会った少女へと、信号の伝達が行われた】
【○月×日の午前8時に、指定した場所へ来いと地図も添えられていて】
【その地図を見れば分かるだろうか、山岳の地図であったことに──】

【山に入れば分かるだろうが、一面鬱蒼とした森である】
【登山道などというものは存在せず、入り口もわからなくなるほどで】
【指定された場所の経緯の座標もきちんと記入をしていたのだけど、まるでわからない】


【午前八時の前にその場所へ到達していたとしても、誰もいない】
【それもそのはず、因子の存在が漏れないように機密性を高めているのだから】
【きょろきょろと辺りを見回したのなら──どこかで物音がすることだろう】
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 15:09:41.55 ID:PPNF6Me40
>>798

「(ついに……)」

【ついにその日が来た、メールを受信した翔子はそう思った】
【地図と座標、これだけあれば、海軍人たる翔子には十分だった】
【その日、誰も見られぬように細心の注意を払いながら出発】
【そして、その場所に辿り着くも】

「時間は、過ぎてない」
「この場所で……正しい筈、だけど……」

【服装は珍しく私服に背嚢、ちょっとした登山の様】
【周囲に意識を向ければ、何処かで物音がして】
【その方向に目を向け、耳を欹てる】
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 15:18:50.88 ID:NwRidG6ho
>>799

【蝶番が軋むような音がしたのは、彼女からみて右側】
【しかし人の姿は見えないし、気配も感じないであろう】
【──しかし彼女が魔力を探知できるのなら話は別。渦を巻くような魔力の存在が感知できる筈だ】


【ふと、背後で落ち葉を踏み抜く音がするだろう】
【がさり、と音がして振り向いたのなら──そこにいるのは口元に笑みを浮かべた、金髪の少年】
【どうしたの、などと声をかけられたのなら急に跳躍して】


「やぁ、お姉さん!マスターが君のこと待ってたんだよ」


【少年が、おんぶされているかのように彼女の肩から前に両腕を回す】
【足も彼女の腰へしっかりホールドさせており、喜びを表しているようにも見える──】
【が、実際は別。少年が彼女に触れ続けている間、徐々に力が抜けていくだろう】
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 15:26:46.45 ID:PPNF6Me40
>>800

「(魔翌力!?)」

【先ず感じたのは、自然の中では奇妙な音】
【そして次に、これも奇妙な魔翌力の渦】
【やがて……】

「きゃッ!」

【現れた金髪の少年、そして突然抱きつかれ】
【思わず悲鳴にも似た声が出る】

「ええーっと君は?『あの人』のお使いかな?」

【暈して伝えるが、赤崎桐子の事である】
【現れた金髪の少年も、マスターが待っている、と言う】
【最初はがっちりと此方に抱き着いていた少年も、徐々にその力を弱めていく】

「案内して貰えるかな?」
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 15:35:55.90 ID:NwRidG6ho
>>801

「うん、そうだよ!マスターから頼み事されてるの!」


【頬を緩めたまま、愉しげに彼女へと話す】
【地面にぱたり、と着地したのであれば。彼女の正面へと回って】


「うんうん、案内してあげるよ。だからね──」


【不意に少年が彼女の手を握る。そして目線は彼女の顔に集中して】
【──魔力が、蠢く。彼女に一瞬だけぞわりとした感覚を与えたなら】
【徐々に、少しづつ力が抜けていくだろう。抵抗すれば多少は遅れるだろうが、しばらくすれば立てなくなるはずで】


「緊張してるでしょ、力抜こ?」


【笑顔を崩すこともなく、その行為が異常であると意識することもなく】
【彼女の手を力強く握る。ただ、目つきは多少の意地悪さを孕んだものになっていたが】
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 15:41:38.63 ID:PPNF6Me40
>>802

「(やっぱり……)」

【ビンゴだ、場所は間違って無かったし、時間も正しかった様だ】
【やがて自分の目の前に着地する少年】
【そして自分の手を握る、不思議と嫌な感じは無かったが】

「……え?」

【背中に走る、感覚】
【悪寒に近い、ざわつく感覚】
【やがて】

「え、う、嘘……あっ」

【力が抜けきり、立って居られなくなる】
【少年は、より力を強め、手を握り】
【それでも、立ち上がる事も抵抗する事も出来ず、腕だけを少年に持たれて挙げている状態】
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 15:53:29.25 ID:NwRidG6ho
>>803

「よーしオッケー!運んでもいいと思うよ」
『なるほど、これが堕落……。相手が抵抗しない限り、身体の力を奪うのね』


【もう一度蝶番が軋むような音を立てれば、長身の女が出てくる】
【少年と変わらない金髪であり、蒼い瞳を輝かせるその女は】
【少年の隣に立ち、地面でうなだれている少女のことを見下ろしていた】


『それじゃ、運びましょう。私が腕を持つから、貴方は脚を持って』
「うん、わかった!」


【そして、力が抜けた彼女の両腕両脚を二人で掴んで】
【鬱蒼とした森の中を進んでいく──しばらくすれば、錆びた鉄扉が一つ】
【入口の手前で長身の女が一言二言話したのなら、鉄扉を開いた】

【内部は至って普通のコンクリート造りの通路】
【一定の距離を保って蛍光灯が配置され、視界は一応確保されていて】
【緩やかな下り坂になったその通路を、ゆっくりと下っていく】
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 15:59:16.08 ID:PPNF6Me40
>>804

「え、ちょ、ちょっと……」
「何、す、る、の……?」

【もう一人現れたのは長身の女性だった】
【何事か少年と会話した後】
【手と足を持たれ、まるでマネキンでも運ぶかのように、その場所へと運ばれていく】

「私、自分で歩いて、付いていけるのに……何で?」

【そうは言葉には出すが、抵抗は出来ない】
【そのまま鉄の扉と、コンクリート造りの通路を運ばれていく】
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 16:11:21.75 ID:NwRidG6ho
>>805

『念には念を入れろ、ってことです。今でこそ立場は同じですが、本来は敵同士でしょう?』
『内部にある大量の機密事項を持ち出されれば、私達としては終わりですから』


【自分で歩けるのに、という言葉にそう返した】
【本来ならばそうしたいところも山々だったが、此方としても完全に信頼は出来ず】
【本来ならば敵である彼女に対して、手荒い真似に出るしかなかったのだ】

【さて、いくつの蛍光灯が過ぎ去っただろうか?】
【途中、自動車のエンジン音が微かに聞こえる場所があった】
【鬱蒼とした山中から、結構な距離を下ってきたみたいで──】


【一つの扉の前で、二人は立ち止まった。SELAPH UNDERGROUND RESEARCH INSTITUTEと刻まれた室標があり】
【その扉の前でインターホン越しに長身の女が会話をする。相手の声は赤崎のそれで】
【扉が圧縮空気によって開かれると、CLEAN ROOMと表示された表示機がシャワーの横に設けられていて】


「あーあー、聞こえるか翔子中尉。手荒な歓迎ですまない」
「まずは汚染された魔力を落として、身体を洗浄する作業をする」
『それじゃ、僕の出番はここまで!またあとでね、お姉さん』


【少年は二人に手を振って、横の管理者出口から出ていってしまった】
【二人とも青い光に照らされた密室に入ると、彼女の服を脱がす】
【同時に設置されたシャワーから温水が溢れてきて、彼女の身体を流れていく】
【手早く長身の女が身体を拭いてやれば、水色地の患者衣を着せるだろう】
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 16:23:51.49 ID:PPNF6Me40
>>806

「うう、そう……言われれば、そうですけど……」
「解りました、素直に従いますよ」

【立場上の事情、それは過分にある様子で】
【この場は口ではこう言いつつも、大人しく従う事に】

「……車、の?」

【幾つかのエンジン音が過ぎ去る音】
【地上は道路なのだろうか?】
【やがて、ある扉の前に運ばれてくる】
【扉のインターホンから聞こえてくるのは、間違いなく赤崎桐子の声だった】

「赤崎さん!?」
「うう、まあでも、仕方ないですよね……」

【そして、密が解かれる部屋】
【横にはシャワーがあり、洗浄する、との説明】

「ぬ、脱ぐんですか、やっぱり……」

【恐らくはカメラもあるのだろう】
【隣の女性と言い、人の目もある】
【少年は何処かに行った様子だが、意を決し中に入ると】
【そのまま服、下着と脱がされる】
【決して大きくない胸が、下着の圧着から解放され、形は小振りなツンと上を向く臀部が露わになると、そのまま体を洗われる】

「ありがとうございます……」

【そのまま身体を拭かれ、水色の患者服に着替えさせられる】
【ここまでに、抵抗する素振りは一切見られない】
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 16:30:37.80 ID:NwRidG6ho
>>807

「念の為に言っておくが、カメラは付いてないぞ。安心していい」


【その代わりの監視役として、わざわざ長身の女がついているのだ】
【機密まみれの地下研究施設では、要監視の人物に能力者を充てがっている】
【逃走時に資料一つでも持っていかれれば、セラフ研究施設の存続に関わるのだから】


「よし、セラス。翔子中尉を第一処置室へ連れて行け」
『了解しました、先生。それでは、参りましょうか』


【おそらく彼女の身体から抜けた力も戻っているであろうし】
【彼女を前に立たせて通路を歩いていく。もし怪しい行動をとったときのためだ】
【第一処置室のプレートが徐々に見えてくる。今日作業をするのは、あの部屋ということになろう】
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 16:37:06.18 ID:PPNF6Me40
>>808

「それは良かったです、いえ、本当に……」

【代わりとしての監視役】
【少年と同じような能力なのだろうか?】
【最も、特にこの場で悪い事を考えたり働いたりする意志の無い翔子には】
【カメラが無いと言う事の方が、圧倒的に有難味を感じた】

「処置室……はい」

【その響きと、そしてこれから起こり得る事に】
【否が応でも、緊張させられる】
【セラスと呼ばれた女性に導かれ】
【力は既に戻っており、自力で第一処置室まで歩き、やがてその部屋の前に】
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 16:42:19.01 ID:NwRidG6ho
>>809

「よし、着いたようだな。そこの処置台に寝てくれ」


【処置室の中に入れば、壁面の上部にガラスが張ってあって】
【その中に、赤崎一人だけがいた。彼女の処置が行われる様子を、見届けるために】
【コンクリート張りの単調な部屋の中に置かれた、歯医者で見かける処置台が置かれていて】

【腰掛けた瞬間に、腰と胸部にロックが施される】
【逃走防止という目的もあるが、主な目的は暴れて怪我をしないようにするためで】
【腰掛けたのを確認できたのならば、セラスが何らかの機械を弄り始める】


「中尉、以前副作用についてはすべて話したが──すべてわかっているね?」
「処置をしてもいいなら良いと言ってくれ。すぐにでも始めよう」
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 16:48:06.50 ID:PPNF6Me40
>>810

「お久しぶりです、赤崎さん」

【部屋の中には赤崎桐子ただ一人が居て】
【そして、中には歯科医の病院の処置台のそれが置かれている】
【台に横になれば、そのまま腰と胸部にロックが掛けられ】

「――っ!」

【少しビクッと反応するが、そのまま顔を赤崎に向け】

「はい、全部覚悟の上で来ました」
「赤崎さん、よろしくお願いします!」

【はっきりと、こう答えた】
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 16:57:42.34 ID:NwRidG6ho
>>811

【彼女のはっきりとした返答に、赤崎も一度頷いて】
【薬液と因子培養シートの一片を混ぜ合わせ、麻酔を準備すると】
【それを気化装置につなげる。圧力計の値が増したのを確認して】


『先生、準備は完了しています。今すぐにでも始めましょう』
「よろしい、では始めよう。曹長、いまからマスクを付けるがゆっくりと呼吸するんだ」


【彼女の後頭部にゴム紐をかけると、耳を通して口にマスクをつける】
【形状は酸素マスクだが、そこに気化した麻酔が空気とともに流れ込むようになっており】
【徐々に、徐々に体の感覚が失われてくる。セラスがその腕に触れたとしても、気づかないはず】


『では、因子を注入します──』


【麻酔がきちんと効いているのなら、セラスの声は最後まで聞こえない】
【彼女の右肩に、ゆっくりと長い針を刺していく。慎重に、慎重に射し込んでいって】
【筋肉まで辿り着いたのなら、ついに注射のポンプを押した。──因子が、その身体に取り込まれたのだ】
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 17:08:26.09 ID:PPNF6Me40
>>812

「はい、ゆっくりですね」
「すぅーはー……」

【ゴム製の紐が耳に掛けられ】
【口周りを何かが覆う感覚】
【病院の手術時の呼吸装置に似ているのだろうか?】

「――……」

【意識が、途切れていく】
【赤崎やセラスの声が遠くなり】
【頭が現実と剥離していく感覚】
【この間に因子の注入が成されるだろう】
【慎重に、そして科学者としては最高の手練で因子が注入されて行くだろう】

【短い夢を見た】
【懐かしい静ヶア鎮守府で、本来存在する筈の無い誰かと話している】
【金色の髪の長いまつ毛の美少女】
【整った容姿に目を引くスタイル】
【親友のように、良く笑い話す、本当の気持ちが籠った会話】
【――貴女は誰だっけ、確か……】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 17:17:09.55 ID:NwRidG6ho
>>813

【彼女が短い夢を、誰かのことを思い出している間──】
【セラスと赤崎はその片付けを済ませ、彼女の身体を処置台ごと地上の施設へ移送する】
【彼女が夢を見ている間、赤崎はずっと側についていた】


「……──曹長、曹長。そろそろ目覚めても良い頃なんだが──」


【身体を揺することもせず、彼女に声だけで呼びかける】
【そろそろ目を覚ましても良い頃なのだが。もしかして、処置が失敗したんじゃないか】
【その心配で焦りも募りつつあったが、冷静さを顔に張り付けたまま彼女のことをまた呼んだ】
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 17:21:15.05 ID:PPNF6Me40
>>814

「――?」

【優しいプラチナブロンドの夢から覚めた】
【あるいは一筋、涙すら流していたのかもしれない】

「赤崎、さん?」
「……因子は?」

【目が覚めた其処は、先ほどの処置室とは違う】
【地上の別の施設】
【状況を思い出し、そして周囲を見渡し】
【自分の姿を覗き込み、声をかけた赤崎桐子に、こう聞き返した】
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/28(土) 22:50:21.42 ID:GKOABFzj0

>>797

【風の国、と聞いてUTという言葉を発する相手。続けて言うにはご飯とかユーイのおやつも作ってる、と】

【料理が得意なUTの"リンネ"──となれば、先日会った鈴音である事は明らかで】

【その人物が帰らないし電話にも出ない、自分の呟きに対して彼女が真面目な顔で頷いた事から察するに恐らくそう】

【何かが動いている、と感じる。何なのかはよく分からないが、不穏な"何か"】

【そんな中で提示された二人の名前。"アカネ"という人物は驚いて鈴音を探しに行って、"ウェイン"という人物は仕事が忙しいようで、と】

【恐らくユーイも含めて鈴音の家族なのだろう、と仮定する。否、探しに行ったと言われない辺りウェインという人物は違うのかもしれないが】

【もしかしたらその二人が鍵なのかもしれない。逆に何も知らない──あるいは危険から遠ざける為に何も"知らされていない"可能性はあるけれど】


【そんな中で相手が発したのは、いつも帰ってきて自分と寝ていた、という言葉】

【その言葉にはっとする。もしかしたらユーイにとって母親みたいなものなのだろうか?と思われて】

【私の事嫌いになっちゃったから帰ってこないのかなぁ、というニュアンスの言葉を呟き眉を下げるユーイの頭に手を伸ばし、撫でようとする】

……嫌いになる訳ないよ
子供みたいな子の事、嫌いになる訳ないじゃない
きっと、お仕事がすごくすごく忙しいんだよ
……だから、大丈夫、ねっ?
【そう言って笑って】

817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/28(土) 22:54:44.11 ID:NwRidG6ho
>>815

「投与したさ。君の細胞に定着し次第、増殖を始めるだろう」


【因子の投与が行われたことを告げ、あとは定着し次第増殖すると】
【ゆっくりと立ち上がれば、部屋の扉を開く。外の景色が見えるだろう】


「さて、あとは時間が経つのを待つだけだ。何か起これば、聞いてくれよ」


【外に彼女を案内しさえすれば、タバコのパッケージを右ポケットから取り出して】
【一本だけ口に咥え、指先を近づけて火をつける】
【白い煙を一度だけ吐けば、彼女の行先を見送るだろう──】


【家に帰って眠りについて初めて見る夢は、どこかおかしいものになる】
【一対の椅子とテーブルが置かれた、それ以外になにもない空間】
【向かいの席には緑の髪を腰まで伸ばした男がかけており、座るように勧める】

【そして、彼は手元に置かれたティーカップに口をつけると】
【彼女の顔を品定めするようにじっと見てから、納得した顔で頷く】
【口が開いて語られた言葉は──「“蟲”の因子は、確かに蒔かれた」】

【それだけの、たったそれだけの短い夢】
【しかし、何かを暗示しているように見えるのは確かであった────】

// これで〆となります、お返し遅れてすみませんでした……!
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/28(土) 23:00:26.68 ID:PPNF6Me40
>>817

「……」

【自分の手を見る】
【そして身体を見渡して確かめる】
【全くと言っていいほどに、変化を感じなかった】
【あまりにも、普段の通り過ぎて、逆に怖さを感じる程に】

「解りました……その、ありがとうございました!」
「赤崎さん、貴女は……」

【何かを言いかけて、そして途中でやめた】
【再び出会う時、この女性とは味方で居られるのだろうか?と】
【そして】

「蟲の因子?」
「貴方は、誰?」

【夢の中でのその疑問は、口にすれども、答えの返ってくることは無かった】
【しかし、因子は確かに自分の中に定着したのだ、そう感じ取った瞬間だった】
【効果が、変化が起こるのは、この日の暮れから……体に明確な異変を感じるのはこの時からだった】



//ありがとうございました!
//お疲れ様です!
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/28(土) 23:08:04.58 ID:KZr/QTAv0
>>816

【そうして幼子は口を噤んだ、もしかしたら嫌われてしまったのかな、って、初めて思って】
【子供は案外気を遣う生き物だ、周りの環境を大人なんかよりもずっとよく見ている。他人の顔色や声音で、世界の全部を把握しようとしている】
【もしかしたらそれは魔法みたいなもの、いつか大人になったら模様が消えてしまううりぼうみたいに、そういう、子供の間だけ使える、ちっちゃな魔法】
【なんにも知らなかったし抑圧されていたからパッと花開くように出てきてしまったけれど。思い浮かべたのは慌てた――あるいは信じがたいものを見たような顔の"彼"】
【それから、眼前の相手の表情。言葉にされなくっても感じてしまう、何か、怖いことがあったんじゃないかと。――ボンネットで隠された頭を撫でられたなら】

アー……、ホント? じゃあ、イイ! リンネ帰らないとアカネがご飯作る、味ナイ!
トーフしかない。ムカツク! おニク食べたい。

【――いっしゅんだけ考えるようにするけど。ならいいやって笑うのだ、――大人がそういうなら、それでいいんだろうって、どこかで思いながら】
【またプンプンしだすから"アカネ"とやらはよっぽどアレらしい。ジャムはケチるし料理の味はなくって豆腐ばっかり出してくる――だけど、誰より早く少女のために動く奴】
【お肉が食べたいって頬を膨らませてぶちぶち愚痴るならひどく平和な色合い、ならば耳を澄ませてみたなら、ひどく夜は静かで、知りさえしなければ、当たり前の日常】
【だけどそのどこかで誰かが何もかも放ったままで居なくなっていたりする。――どうやら幼子からこれ以上の情報は引き出せそうになかった、なにせ、秘匿されていたのだから】

ン……ウェイン、あんまりおしゃべりしない、ユーイとツミキしない! ユーイはエンとネコと遊ぶ、エンに言葉教える!
ユーイ頑張って言葉覚えた。エンは覚えない! やる気ナイ、ガウガウだってユーイの方が上手!

【――――あるいは。幼子が単に関わっていないだけなのかもしれなかった、家の中での距離感、だけど、あくまで少女が連れてきた二人同士であったなら】
【家族というよりはご近所さんみたいな気持ちなのかもしれない、エンとかネコと遊んでるんだってアピール、エン――ってやつはインコか何か、なのだろうか】
【とにかく言葉を覚えようとしないことにご立腹。ガウガウだって――というのはさっきのアレか。犬みたいにバウバウしていたやつ――インコじゃない気がしてくるけど】
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/28(土) 23:32:36.86 ID:GKOABFzj0

>>819

【少し心配そうな相手の頭をふわっと撫でてあげたなら彼女は、大人が言うなら大丈夫なんだ、ならいっか!というように笑って】

【その後に続くのはアカネという人物の愚痴。豆腐しか出してくれない!お肉食べたい!なんてぷんすか怒っている】

お豆腐だけなんだ、あれお醤油とか掛けないと味しないもんねー……
ユーイちゃんも大変だねー……
【ふふっと微笑ましげに笑って、そうしながらも何処かほっとして】

【良かった、こんなちっちゃい子巻き込めないもん、なんて考えてふと鈴音ちゃんも同じ気持ちだったのかな、なんて思ったりもして】

【それと同時に胸がちくりとする。先程彼女はメールをたくさんしたと言っていた。つまり、彼女なりに心配して、出来れば力になってあげようとしたのかなぁ、などと思えて】

ふーん、ウェインって人とはあまりお喋りとかしないんだ
でもってエンって子に言葉を教えて……
【そこで言葉が止まる。待て、さっきはスルーしたがそもそもエンって何だ?言葉を覚えさせるものなのか?】

【言葉を覚えるとか言っているから多分インコ……あ、でもガウガウする……あれ?妖怪?なんて首を傾げて】

えーっと、エンってどんな形してるの?
【まあ妖怪とか本土の妖怪みたいな……モンスター?そういうものだろうとあたりをつけて尋ねてみる】
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/28(土) 23:44:46.80 ID:KZr/QTAv0
>>820

味ナイ! ユーイお醤油かける、飽きる! ユーイ飽きた、リンネのごはんがイイ!
ツガル、リンネ探す? アカネ、デカい、すぐ分かる。遠くから見て分かる! リンネ探してる。

【味のない豆腐がドンってあるだけの食卓。醤油を掛けてもローカロリーに変わりなく、むしろ大豆に大豆を掛けて……みたいなことになる食卓】
【出した本人は真顔で食べているから余計にムカつく、というのを、情景が思い浮かぶほどアリアリと上手に説明することはできないけれど。うがーと不愉快げな声】
【それから尋ねるのだ。相手が探してくれたら――見つけてくれたなら、ご飯がおいしくなるって言うみたいに。だけれどあまりに不愛想なんじゃなく、本当に心配もしていて】
【おそらくどこかで探しているだろうアカネとやらの容姿も教えてくれ――たんだろうか。とにかくすごく大きいらしかった、背が高い、ということ、だと思う】

エン? エン……、アー、ドラゴン? ユーイは言葉覚えた、エン覚えない、ニンゲンにもなれナイ!
ヤル気ない、ユーイ頑張った! ユーイは言葉喋れる、エンしゃべれない! アカネも言葉ヘタ。ヤル気ない!
リンネはジョーズ。ン、ツガルも!

【相手に尋ねられたなら――この人はなんて当たり前のことを聞くんだろう、みたいな顔をした。訝しむようにしながらも、答える言葉は】
【インコ――とんでもなくって、ドラゴンであるのだという、それで。言葉を覚えないのだといってまた憤る、人間の姿にもなれないんだと、プンプン怒って】
【自分は頑張ったから言葉が喋れるんだといって得意げ、アカネってやつも言葉が下手らしい。だからエンもアカネもやる気がないって、熱血教師のような口ぶり】
【リンネは上手だって褒めたなら――少し遅れてはっとした顔。ツガルも上手だって褒めるのだ、――何の話をしているのだっけ】
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 00:21:43.13 ID:wB2rzmW60

>>821

【醤油はかけるけどもうお豆腐は飽きちゃった、と憤慨するユーイ。そりゃお豆腐単体だけじゃ子供にはきついよなあ……なんて苦笑して】

【鈴音を探して?とでもいうように探す?と言われれば】

うん、探してみるよ
ユーイちゃんの平穏な食生活の為だ、頑張ろうじゃないか!
【ぐっ、と拳を作っておどけてみせて】

【それでもそれは口実じゃなくて、本当は「ちょっと言ってやんなきゃ」という気持ちがあるからで】

【だって、巻き込まないように遠ざけられはしたけれども、婦警の事を聞いてしまったら放ってはおけないし妙な事頼んじゃって申し訳なく感じていたし、心配でもあったし】

【それなのにふといなくなって誰にもその行方が分からない、アカネという人物が捜しているという事は多分彼女ないし彼は鈴音がどういう案件に関わっているのか知らないのかもしれなくて】

【そうともなると母親探しを頼んですまないを通り越して何か腹が立ってくるというか、もっと自分を大切にしろ!周囲を見ろ!こんな私みたいな馬鹿でも良いから頼れ!使え!なんて叫びたくなるというか】

【そうして語られるアカネという人物の特徴。何かでかいって言ってるけど遠くから見て分かるって事は身長的にって事だろうとなんとか察して】

へー、エンってドラゴンなんだ
でも喋れないし人にも化けられない、それは確かにやる気ないかもなぁ……
【話がエンの事になればつがるはふんふんと頷き、何だか自然と受け入れてしまっている様子。まあ化け猫の半妖だし母親も里に行く時くらいしか人に化けなかったので"そういうの"には慣れっこなのだろう】

【そんな中でユーイは頑張って言葉覚えたのにアカネは下手!なんて言葉を聞いてあれ話の流れ的にユーイちゃんもアカネって人も"そう"なのかな?なんて感じたりもするが"そう"と言わないなら人って事にしとこうなんて変な方向にスルーする事にしたらしく】

うん、お姉ちゃんは半分は人間だからね!
【つがるは喋るの上手だねと誉められれば胸をはって。本当に何の話をしているのやら】


823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/29(日) 00:42:17.42 ID:zo8BWKnp0
>>822

【自分は探すつもりがない…………ってわけでは、もちろんないのだけど。誰より必死に探しているのは"そいつ"だと知っていたなら】
【それは相手にも伝えておくべきだって思ったのだ。アカネ――デカいやつ。情報がめちゃくちゃ少ない以外は問題なさそうだった、とかくそういうやつが居るという情報】

ン! 

【だけれど、何にも分からないより、きっといいのだ。――だって一緒に暮らしているのだと言う幼子らにも"分からない"なら、他の人にはきっともっと"分からない"】
【居なくなった――たったのそれぽちだってつがるが知ったなら、つがるがまた他の誰かに聞くなり、調べたなら、何か分かるかもしれない。無意味ではなくって】
【おどけた様子にこちらは真面目くさって頷く――相手の思いなど知る由もない。知ったところで理解はできないだろう、だって、この二人は初対面なら】

――そう! ユーイ頑張った、いっぱい! でもエンはヘタクソ。アカネはしゃべるの、ヘタ! ダメ!
ツガルはネコ人間? ツメとぐ? アンコはクローゼットガリガリする! いつもリンネに怒られる、……、ア。

【――相手が言葉に同意を示したなら、幼子はひどく有頂天って感じに笑うのだ、本当にやる気がないでしょっていうみたい、自分はこんなにすごいのにっていうみたいに】
【相手がなれっこだと思って話が進むなら――幼子からそれ以上何かを言うことはない。だって彼女の中では当たり前なのだろう、ただ、一つ、確実なのは】
【きっと頭上に"耳"があって、隠せと言われている――その服装は嫌い。それでドラゴンのエンや正体不明のアカネは人間になれなかったり言葉が下手で、やる気がない】
【――――多分、"なにか"ではあるのだ。それは分からないけれど――、ふと見下ろせば幼子のスカートが、まるで長い蛇でも中に居るみたいに、もすり、と、不自然に動いた】

ユーイ、おウチ帰る! ン……んん、おウチ、で――、あー、リンネの? 探すお手伝いする!
アカネ、しゃべるのヘタだから、ダメ! ん。ユーイ手伝う、ツガルとユーイとアカネで見つかるっ。

【それで幼子は気が変わってしまったみたいに宣言するのだ、とにかく一回かえって――仕切り直しだかは知らないけれど、自分も探すのを手伝ってみる、だなんて】
【言い切ったなら、もうすっかり気分はそちらに向いているのだ、くるんって背中を向けようとするくらい、――だけど、まだ、そこに居るから】
【何か伝えようと思えば届くし、引き留めようとすれば引き留められる。背中はうんとちいちゃくて、本当にただの子供――こんなの巻き込めないって、やっぱり、きっと、あの少女なら思うのだろうくらいに】
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 01:17:35.45 ID:wB2rzmW60

>>823

【真面目くさったように頷く彼女を見てつがるはまた笑う。この子はまだちいちゃい。だから世界とか法律とかそんなもの全然関係なくて】

【きっと、今日は何して遊ぼうとかお夕飯は何かなとか大好きな家族とか、それだけの世界が全部なんだろうと思えて】

【今の怖い世界なんか知らないで私達みたいなもっと大きい人に任せてそういう柔らかで優しい世界にもう少しいて欲しいなと思う半面また鈴音ちゃんも私に対して"そう"思ったのかななんて思ってまたちくりと胸が痛くなって】

よしよし、ユーイちゃんはとっても偉いよ!頑張るのは大事!
でも周りの子が喋ったりするのが下手でも早く喋れるようになれ!って怒るのは駄目だよ?
皆得意な事と苦手な事があるんだから、ね?
【少し屈んで誉めてあげて、それから出来ないからって急かすのは駄目だよ、なんて諭してあげて】

【猫人間なの?と聞かれれば、まあそんなものかな、と答える。化け猫と人間のハーフって言われても多分分からないかもしれないだろうし、と仮定して】

爪はね、人間みたいに切っちゃうから研がない……うん?
【そして爪の事について話している時にふと相手が声を発して、此方も小さく声をあげて】

【告げられたのは家に帰ってリンネを探すお手伝いをするという事】

【そうと決まれば、なんて背を向けるのだが】

……うん、頑張って!お姉ちゃんも探してみるよ!
でもね、ユーイちゃん、貴女はお家で待ってて!
もしかしたら鈴音ちゃんが帰ってくるかもしれないし……そうした時にお家に誰もいなかったら駄目でしょう?
だから、ね?
【つがるは小さいその背中に話しかける。極力大変な事には巻き込みたくなくて】

【素直に聞いてくれるかは分からないのだけれど】


825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/29(日) 01:30:41.73 ID:zo8BWKnp0
>>824

ユーイ偉い? いっぱい偉い? 

【ずいって身を乗り出す、にんまり笑った頬っぺたはぽーっと血の色を透かして鮮やかなばら色になる。それくらいに肌が白いのだ、本当に透けてしまいそうなほど】
【真っ白な髪も合わせたならばひどく儚げな見た目――中身は到底儚くないのだけど。それでもぱちくりと黄色い眼を瞬かせたなら――お人形さんのようにも、見えて】
【得意なこととか苦手なことは――まだ分からなさそうだった。一瞬解せぬというような顔をしたけれど――「ん」と頷く程度の気は利いて】

……アァ? ナゼ? ……、……ンン、家、ネコ居る! エン居る。……、……ユーイお留守番?
オカシ食べてイイ!? アカネ駄目って言う、リンネも! クッキー? イイ?

【だけれど――相手が家に居ろと言ったなら。瞬間で嫌そうな顔をしたのだ――探しに行く=お外=遊べる、だなんて思考回路、どこかにちょっとあったようなら】
【ネコもエンだって居るのにとわがままタイム。しばらくぶーぶー言い出しそうな雰囲気が――それでもふっと消える。まだ釣りあがった眉は不機嫌そうにも見えたものの】
【数秒したなら――ふっと思いつくのだ。お留守番なら家に一人。一人なら……もしかしたらお菓子を食べたりしたって、いいんじゃないかって。目がぱっとぱぱっと煌めいて】
【それならいいなぁって感じに綻ぶ――つがるが「いい」とでも言ったらそれで「いい」ことになりそうだった。そのあとのことは。まあ。行方不明になるのが悪いだろう】
【その間にお菓子を食べつくされたなら――それはもうあの少女だってきっと文句を言えないはずで。キラキラの目、相手の答えを待ったなら】

【「いいよ「ユーイお留守番する! おウチ帰る!」】

【ぱーって笑う――それで家に帰っていくに違いないのだ、多分そこまでのことは予想できるだろう。だから多分今宵の正解はその答え――ちょっとズルい、丸の付け方】
【それでも子供相手なら、騙せそうだった。クッキーどころかチョコだって食べたっていいかもしれない、グミだってラムネだってなんだってよくって、それこそ】
【家にあるお菓子食べ放題だって――実際にそういう状態だった。だって保護者がいないって。一人でお留守番って。"そういう"ものだろう――って】
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 02:03:22.94 ID:wB2rzmW60

>>825

うん、偉いよ、すっごく偉い!ユーイちゃんはいっぱい偉い!
だからいっぱい誉めたげるっ!
【ずいっと身を乗り出されればにっこりと笑ってわしゃわしゃっと頭を撫でようとする】

【偉い子はたくさん誉めてあげなきゃ──あの子だってそう言ってた、って──】


【そうして家で待っててと言われれば相手はまた不満げになるのだがその内にある企みを思い付いて、お菓子食べても良いの?なんて質問してきて】

【一瞬、それは流石に、と言いかけるけどふと気付いて】

良いよー、見てるのは猫ちゃん達とエンだけでしょ?だったらその子達だけの秘密じゃない!
【そう言って悪戯っぽく笑う】

【だって、こんなちっちゃい子置いて保護者だろう二人はどっか行っちゃうし、勝手にお外に出ちゃうような子なんだもの、予測出来ないのも悪いよね!】

【それに勝手に心配しちゃって厳島さんに連絡しちゃうだろう私も大概だけど多分これから起きるかもしれない騒動の原因になっちゃう事の見返りとしては充分でしょ……多分だけど】

【なんてちょっと悪い顔で考えたりして】

【まあ婦警とか本当に関係なくて「なーんだ、心配して損しちゃった!」みたいな事なんでしょう?だよね?と心の中でそうであって欲しいと祈っているからというのもあるのだが】

【そうして相手が顔を輝かせて去るのであれば、私、知ーらない、みたいな顔をして見送るのだろうが】


827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/29(日) 02:10:38.28 ID:zo8BWKnp0
>>826

【やはり予想通りだ。幼子は目のキラキラをめいっぱいに溢れさせて、喜色満面、立っても居られないってくらいにそわそわしだして】
【ならば。――次の言葉もきっと予想の通り。ちょっとぶかぶかした服の袖をぎゅーっと小さな手が握りしめて、ばっと見上げる。それで、破顔したなら】

ユーイお留守番する! おウチ帰る! オカシ!

【――とんでもない入れ知恵をされてしまったから。もうそれがいいやって思ってしまうのだ、もとよりひどく単純な子供、だったこともあって】
【瞬きする間も必要ない――きらっと魔力の光がまたたくのに相手は気づくだろう。魔力の行使――というよりは魔術式の行使だ。持ち合わせの魔術式、用意してもらったもの】
【それがきらきらって光り輝いたなら――術が起動しきるほんの一瞬前、】

バイバイ!

【――だなんて言い残して。それでふっと幼子の姿は消える、残るのはかすかに立ち上る魔力の残滓、だけで】
【賑やかさだなんて嘘みたいに消え去るから。――夜はやっぱり静かだった、何も知らなければ知らないほど、ひどく静かで、ひどく平和で】
【だけどどこかで一つずつ何かがぐらぐらって歪みながら進んでいく。さながらジェンガみたいに。きちんきちんと積み上げられていたはずなのに、気づいたときには】
【あなぼこだらけでぐらぐら揺れる――またひとつ、誰かがすっと引き抜いたみたいに、ぐらっと揺れた。気がした】

/おつかれさまでした!
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 02:28:50.96 ID:wB2rzmW60

>>827

【ぱっと顔を輝かせて、お留守番する!なんて言われればつがるはまた笑って、うん、頑張れ!なんて無責任な事を言って。そもそも何を頑張れというのやら】

【まあその……何だろう……ごめんなさい?なんて一瞬鈴音とアカネに心の中で謝るのだが】

【目の前で魔力の光がきらめいて魔術式が起動しかければ、初めて見るそれに素直に驚いて】

【さよならの挨拶にもちゃんと返しきれず、お、おうバイ、バイ?みたいな変な返し方をしてしまって】

【相手の姿が消えてしまえば、賑やかな子だったなぁ、と少しの間ふふっと笑って】

【すぐさま真面目な顔付き。嘗て会った鈴の少女の名を呟いて】

……何もなきゃ良いんだけど……
【そう言って路地の奥へと消えていくのだった】



/此方こそお疲れさまでした!
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 02:52:36.89 ID:wB2rzmW60

【宿の一室。端末のメール機能を開く】

【送信先は厳島命。もう何度か送った相手で】

【件名はいつもと同じ『定期報告』】

【カミスシティの事とカニバディールの事に関する根も葉もない噂を幾つか書き連ねる】

【この二件の情報収集を始めてから、というか噂まで範囲を広げてから情報が入りやすくなった気がする、というのは彼女の体感なのだが、そのお陰か以前より報告の回数は増えて】

【それはともかく今回もまた幾らかの噂を書き連ねて、いつもならそこで終わるのだが】

【これは本件とは関係のない話なのですが、と数行の空白の後に続けて】

【綴られるのは】

【鈴音ちゃんがいなくなったみたいなんです】

【その一文から始まる報告】

【曰く、最近一度音信不通になったが戻ってきた。けれどもまた姿を消した、というような内容で】

【──厳島さんは何か知りませんか?】

【その一文で締められていて】


……本当に何もなきゃ良いんだけどなぁ……
【宿の一室、猫の耳を持つ少女は深いため息を吐いた】

【このメールがどう関わっていくのか、まだ誰も知らない──】


/補足ロールのようなものです!
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 03:22:54.02 ID:OhaFjdu80
>>829

【From:厳島命】
【To:銀ヶ峰つがる】
【タイトル:Re:定期報告】

【本文:情報をありがとう、今回はお手柄だ。
    最も、事態は予想通り、深刻だ。
    思い当たる節はある、だが予想の域を出ない
    鈴音は婦警にたんぽぽの子供を人質に取られ、脅迫を受けていた。
    君は、周辺に今まで以上に警戒して欲しい
    そして可能ならば、UTにて初瀬麻希音と言う少女、あるいはゾーイと言う女性型アンドロイドと接触するんだ。
    報酬はいつもの口座に入れておくよ、何かあればまた連絡が欲しい】


【この様なメールが直ぐに返信されて来るだろう】
【市街地の闇の中、光を失ったような眼で、虚空を見つめながら】
【厳島は、再び端末を操作、メール画面を起動する】
【右手の中指の指輪が光る】




【From:厳島命】
【To:邪禍、ユウト、ミラ、カニバディール、那須翔子】
【タイトル:緊急連絡】

【本文:UTに居る協力者からの報告だ。
    白神鈴音が行方を眩ませた
    拉致、あるいは何らかの事件への関係が予測される
    婦警の件もある、関係者全員へのメールの転送を希望する。



【メールを送信し、端末操作を終え、再び虚空を睨む】
【事態はより複雑に、より闇の色を帯び】
【進行している様だ】
【翌日つがるの口座には、いつもより多くの金額が振り込まれているだろう】
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 03:26:49.08 ID:OhaFjdu80
>>830
//上記を下記に修正を、すみません

【From:厳島命】
【To:邪禍、ユウト、ミラ、カニバディール、ディミーア、那須翔子】
【タイトル:緊急連絡】

【本文:UTに居る協力者からの報告だ。
    白神鈴音が行方を眩ませた
    拉致、あるいは何らかの事件への関係が予測される
    婦警の件もある、関係者全員へのメールの転送を希望する。
832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/29(日) 13:05:38.43 ID:aTfVzhQXO
【ぶ、と携帯が震える。誰かからのメールだろう】
【画面を開き、本文を読んで──金色の目が驚きと怒りで染め上がった】
【ぎちりと奥歯が軋む。何故という言葉が頭の中で爆発する】
【落ち着けという囁きは、苛烈な感情に押し流された。“彼女”はいずれ敵対する相手】
【だが──それまでは協力者であり。友人のつもりだった。指先が画面を忙しなく叩く】


【送信者────ミラ・クラァケ】
【送信先────“M”】


【内容は>>830-831の転送。ただそれだけだった】
【彼女自身の言葉はない。指示を送るようなアタマは持ち合わせちゃいなかった】
【荒々しく携帯をポケットに突っ込む。カジノコインが中で悲鳴をあげたが、知ったことじゃない】
【ち、と舌打ちをひとつ。その音だけを残して、また彼女は人の中に紛れていった】

/絡み不要なあれです
833 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 13:28:47.29 ID:2LjxeR6Yo
書き込みテスト
834 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 13:39:49.62 ID:2LjxeR6Yo
【水の国・アルターリ】

【曇天の空。雲と空を支えるのは現代の塔。技術と文明の象徴。建造物の雑多な群れを突き破るように、高層ビル群が屹立していた】
【ビルの合間を道路が縫う。塗装された道の上を人々と車が行き交い、無数の雑音を響かせる。大都市ならではの環境音だった】

【アルターリは水の国の中でも有数の都市だ。その規模はフルーソ、アトラヴェル、ミール・シュタインに次ぎ、この国の経済と文化を支えていた】
【無数のオフィス街が生産を行い、繁華街が文化を形作る。確かな経済力に下支えされた教育が国民の質を高め、そこから生まれる付加価値がさらに都市を発展させる】
【そうして成長を続けたこの都市は、今では膨大な人口を抱える主要都市の一つとなっていた】


【────その中に、レヴォルツィオーン社の第二支部はあった】


【天に届かんとする塔の一つがそれだった。何の変哲もないビルの内の一つ。その名の意味を真に理解していないのであれば、その程度のもの】
【屋上には、一人の男の姿があった。影のように揺らめく黒衣に、弧を描く既朔の笑み。深淵の如き黒曜色の双眸は眼下に広がる街並みを見つめていた】
【男の美貌が持ち上がり、天を仰ぐ。両手が掲げられ、瞳に狂気が宿る】



         ────さぁ、始めよう、始めよう




   我らの名を天と地に刻みつけよう。我が行いを神に捧げよう




   狂宴の前座を


                        終焉の余興を





           ────世界を、跪かせる時だ




【頭上で、小さな波紋。さざ波が広がっていき、空の景色がねじ曲がる。揺らぎが街の空の全てを覆い尽くす】
【上空でアルターリの空を埋め尽くすほどにさざ波は巨大化。水面に浮かぶ波紋のような光景が、魔力の燐光を放ちながら変貌】

【青白く輝く円が現れる。内側で光点が輝き、軌跡を残しながら移動。光点が二つ、三つと増えていき、さらに動き回る】
【直進し、折れ曲り、交差する。光点の残す軌跡が複雑な幾何学模様を描いていく。光点が停止して消失。都市の上空に現れたのは、直径にして数十キロメートルにも及ぶ巨大な魔法陣だった】
【魔力による青白い輝きが都市を照らし出す。街行く人々が次々に足を止め、空を指差す。眩い光が空をかき消す光景は、神話の一部であるかのような美しさと荘厳さがあった】
【黒衣の男の手が翻り、閉じる。魔法陣の真下で暗雲が立ち込める。光の全てが閉ざされ、街が暗闇に覆われる。男の口元には悪魔の如き笑み】

//続
835 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 13:40:50.28 ID:2LjxeR6Yo


【────異変は、すぐに起きた】


【通行人の男が空を見上げる。突然の空の異変に首を傾げる。「なんだあれ」と連れ添っていた女に声をかける。返事はない】
【「どうしたんだ」と言って男が振り返る。女は自分の身体を抱きしめて震えていた。次の瞬間、背中が引き裂かれ、悪魔の両翼が現れる】
【「ひっ」と怯えた声をあげて男が後ずさる。断末魔の叫びと共に、女の顔から角が突き出て、牙が生える。肉体が肥大化して服を突き破る。肌色の皮膚は黒色のまだら模様へと変貌】
【両腕の長さが増大。爪が刃の如き鋭利さに置換される。双眸が暗い金色の輝きを宿す。瞳には肉食獣の獰猛さ】
【異形の口から甲高い奇声があがった。女だったモノは男へと飛びかかり、強靭な爪で腹を引き裂いた。男は腹から千切れた臓器を零しながら恐怖の表情で絶命】
【同様の異変は街の至る所で起こっていた。女も男も、子供も老人も、あらゆる人々が悪魔のような異形へと姿を変えて周囲の人間に襲いかかっていた】

【通行人たちが叫びながら逃げ惑う。車中の人々も異変に気が付いて慌ててアクセルを踏み込む。眼前に巨大な柱が現れて激突。次々と車が追突していく】
【柱は上へと伸びていて、途中で曲がり、建造物の壁面に続いていた。壁面の表面が隆起。丸太のような五指が現れ、柱の腕が続き、巨大な肩が出現する】
【壁面から姿を現したのは岩の巨人だった。足にぶつかっている車を見て、暗く輝く瞳が怒りに歪む。轟音。超低音の雄叫びが衝撃波となって周辺の車や道路標識を吹き飛ばす】
【巨人の身体が赤く発光。全身が炎に包まれ、腕を振るう。その一振りで三階建の建造物が崩壊。瓦礫が飛び散り、さらにそれに炎が引火。燃え上がる瓦礫が人々や車を押しつぶし、周囲の建物に激突。火災と崩壊がさらに広がっていく】
【巨人もまた一体ではなく、街の複数箇所に出現。道路や背の低いビルを次々に破壊していく】

【巨大な怪物の出現で周囲一帯はほとんどパニックに陥っていた。車に乗っていた人間も異変に気がついて次々と降りて走って逃げだす】
【巨人から遠ざかろうとする人たちの前方で地面が隆起。立ち止まった人々の視線が垂直になるまで上がっていく。塗装された道を突き破り触手状の何かが出現していた】
【触手が蠢き、先端が垂れ下がる。次の瞬間、風切り音。触手が周囲をなぎ払った音だった。範囲内にいた数十人の身体が上下に分割されて吹き飛び、道路や建物の壁に次々に激突していく】
【一体目を皮切りに次々と同様の生物が姿を現す。巨大な一体が付近のビルに巻きつく。圧力でビルに亀裂。少しずつビル全体に広がっていき、ある瞬間に崩壊。中にいた人間ごとビルが崩れ落ちていく。街中のあちこちに現れた触手は周囲をひたすら破壊していく】
【運良く触手の群から逃げ切った数人の男女が道を走っていた。そのうち一人の男が疲労で立ち止まる。息を整えようとして俯き、顔を上げる。表情に驚愕が広がる】
【前方にいたはずの数人が消えていた。道路が黒い臓器のような色合いに変色していた。その中心には巨大な穴。穴の縁には巨大な刃物が並列する。巨大な口だった】
【穴の中から触手が飛び出して男の足に絡みつく。恐怖に絶叫しながら男が引きずられていき、穴の中へと吸い込まれていった。穴が閉じ、中からは咀嚼の音。突然、道に出現する複数の口に人々が飲み込まれていく】

【異常はそれだけではない。逃げ惑う人々を妨害するように、道路が持ち上がる。まるで波打つような形状へと変化。ある場所では道路が陥没して崖となり、またある場所では道が捻れて逆さとなっていた】
【建造物にも異変。四階立てのアパートの先端が曲がり、弧を描く。ビルの中層部分が捻れて一回転。家屋が歪曲され平面となる】
【建造物や道の表面が有機物のようなものへと置換されていく。肉色のそれらは蠢き、脈動。瓦礫などが激突すれば赤い血を噴出させる】
【街の景色は一変。この世のものとは思えない異界と化していた】

//続
836 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 13:42:13.21 ID:2LjxeR6Yo


【表通りでは死と破壊が連鎖反応を起こしている。それらから逃れるべく、母親が子供を抱えて路地裏を走る】
【曲がり角から人影が現れた。羽もなければ異形でもない。生存者と出会えたことに安堵して母親が声をかけようとする。絶句】
【その人影には頭髪がなく、衣服もない。ぬらりとした表面の肌が全身を覆い、その上を呪術を思わせるような模様が巡る。二つの瞳は白一色。口には牙が並び、隙間から涎を垂らしていた】
【咄嗟に逃げようとした母親が振り返ると、人影が落ちてくる。同様の異形が白色の双眸で母親を見つめる。母親が絶叫。それを合図にするかのように、異形が前後から飛びかかり、首と腹を食いちぎる】
【さらに異形が二体、三体と現れる。母親と子供に飛びかかり押し倒し、その全身に牙を突き刺す。血をすすり肉を食い、粘着質な水音が響き続ける】

【別の路地裏では、一人の女の能力者が戦っていた。路地裏に逃げ込んだ人々に襲いかかろうとする人型の異形に氷の刃を突き刺し、両手足を切り裂いて無力化していた】
【周囲には異形が数体、倒れ込んでいた。度重なる戦闘で女の呼吸は乱れ、肩が荒く上下する。その全身は血で赤く染まっていた】
【またもう一人、男が路地裏に逃げ込んできた。「こっちだ!」と女が呼び、誘導する。男の後ろから追いかけてきた人型の異形に氷の刃を射出。両足を切り落とす】
【男の真上から人型の何かが落下、男の頭を掴み地面に叩きつける。血を噴出させて頭が潰れる。驚愕に女の動きが止まる】
【現れたのは人型ではあるが今までのものとは違っていた。両手足を大きく広げ、蜘蛛のような姿勢を取っている。全身の肌色と白目、呪術調の文様は共通】
【手早く女は能力を発動。氷の刃を両足に向けて射出するが、異形は両手足の僅かな駆動だけで跳躍、壁に張り付き、さらに跳躍。落下しながら女へ腕を振り下ろす】
【両腕を上げて女がそれを防御、しようとして目を見開く。異形の一撃で、骨が粉砕され片腕がちぎれ飛ぶ。激痛が走り、苦鳴が漏れる】
【すぐに女は後ろへと跳躍して距離を取る。背後で着地音。振り返ると、そこには異形がもう一体。女の顔に絶望が広がる】
【二体の異形は同時に跳躍、同時に腕を振り抜き女の身体を打ち抜く。正面から心臓を、背中から腹部を貫かれた女は一瞬で絶命】
【死体となった女の身体に二体が食いつくが、何かに気づいて跳躍。路地裏の奥へと進む。そこには人々が避難していた。群衆は悲鳴をあげるが、すぐに全てが消える】



【僅か数十分の間に、大都市は悲鳴と爆音、血と死の臭いが充満する地獄に変わっていた。阿鼻叫喚の光景を眺めながら、黒衣の男が微笑む】


嗚呼────やはり、いい
ダメだ、こればかりはやめられそうにない。やはり、殺戮は楽しいな
命が失われていく。あれだけ重いと言われている無辜の人々の命が、容易く失われていく!
こんなにも爽快なことがこの世にあるのか、私は他には知らないな!

さぁ、もうすぐ来るぞ。招待客だ、しっかりともてなさなくてはな


【男が指を打ち鳴らす。背後に転移魔法陣が三つ展開。白い異形が姿を現す。街で人々に襲いかかっている人型の異形の色が変わったような見た目だ】
【口が機械的な動作で開く。男が腕を振り上げ、指揮者の優雅さで下ろす。合図を受けた三体の異形から叫び声が発せられる。超低音が鳴り響き、次の瞬間には超高音へと移り変わる】
【人間の声帯ではとうてい実現できない奇妙な合唱だった。しかし美しい旋律などではない。極大の不快感だけをもたらす悪魔の合唱だ】


さて、誰が来る。どれだけここまで来られる
私を────”我ら”を、せいぜい退屈させてくれるなよ


【獲物を待ち望む捕食者の瞳で、黒衣の男は街並みを見下ろす。準備は十分。あとは、客が来るのを待つだけだ】
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 14:12:00.00 ID:F2D3FEBJo
>>836

【暗雲が作る影、コールタールの様な粘性の黒夜は踏み込んだ者を逃さない沼に似て】
【追随する困惑すらも見えない深淵が如く、渡る溝の蓋しい不快感にも近かった】
【ぴちゃり。── 水音がはねる。黒い影からひたりと、伸びる一陣の白】

【それは反転色の墨に似ていた、白地の和紙に零した墨汁の軌跡が如く、艶々と輝く暗夜色の白】
【軈てそれは意思を持つかの様に編み上がっていく、するりと作り上げるは人の形】
【白が泡沫に弾けた、後に残る僅かな欠片すらも指先で濁す様に】


しっかしまぁ、リハビリがてら散歩してましたら、いっきなりスプラッター大爆発の光景ですよ
鵺ちゃんの巻き込まれ体質にも、限度というものがあるんじゃないですかねっ
──丁度良かったです、溜まってた鬱憤を晴らすには、こういう邪悪がぴったしですし

随分と好き勝手やってくれてますね、そんの偉そーな態度みるに貴方が元凶なんでしょ?
良くもまあここまで趣味の悪い演出ができるもんです、映画監督の方がぴったりなんじゃないですか
でも、それを現実でやっちゃった時点で終了です、越えてはならない一線を、越えちゃったんです


【純白の長い髪をツーサイドアップにし、黒いコサージュリボンで片方だけを飾り】
【黒く長いマフラーと巫女服を基調とした無袖の裾が短い白の着物】
【ゆらりと長い袂からメッシュの長手袋が漏れて見える】
【白いニーソに厚底の下駄を履いた、蜂蜜色の瞳をした少女であった】

【彼女は眉を顰める、男と異形の姿、そして奏でられる不協和音に気を病むが如く】
【袂から取り出すクナイ、右手で逆手に持ち、顔の前で構えた】


此処には数多の生命がありました、無数の生活がありました
けれども其れは失われたんです、貴方の身勝手な行いによって
どんな意思があって意図があったかなんて、聞くつもりも聞きたくもありませんが

皆そうです、踏み潰したその他大勢等気にもとめない、そこに何があったかなんか知らない
やになっちゃいますね、それはそうと知っているつもりでしたのに
御用改め、『公安三課』所属、鵺

────罪人を裁くのは、罪人で十分です


【真っ正面から男を見据える位置、数歩踏み込めばクナイの間合いに持っていけるだろう】
【暫しの空白があった、彼女と共に足並みを揃えて戦う頭数をその間に把握して】
【軽く息を吐く、逸る気持ちを抑えたなら、そこにあるのは心地よい緊張感であった】

【瞬閃が弾ける、極夜のキャンパスに鮮やかな白地を一筆、勢いよく振り抜いた様に】
【鵺が疾走したなら互いの距離を一呼吸の内に詰め、クナイを以て男の首筋に切りつける】
【低い体勢から飛び上がり、くるりと一回転しながらの切りつけ、長いマフラーが曇天に靡く】
838 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 14:12:07.17 ID:TnR5Tl2H0
>>834-836

【――――異変に、必ずしも前兆じみたものは必要ない。穏やかな日常が一転――――と言う事は、別に珍しいものでもないのだ】
【そしてそれは――――この時も、そうだった】

――――仕事で、この街に来るのは初めてですね――――

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のまるで死人の様な冷たいオッドアイを持ち、体表に紋様の様な、仄かな光を放つ金色のラインが走っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【オフィス街には場違いな、迷い込んだ子供の様な様子で辺りを散策している】
【――――と言っても、その目はハッキリした目的意識の元に歩を進めており、迷子の案内など無用と言った雰囲気で】

【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

【――――そうして雑踏の中に紛れていた彼女も、突如として発生した異変に巻き込まれ、地獄絵図の中の一員となり果てる】

――――く、これは――――――――!?
――――――――『サキュバス・フォース』!!

【突如として空に広がる波紋と、展開される暗黒、そして異形に変貌する通行人たち――――ほんの一瞬の驚愕の後、少女は己が身に秘めた力を解放させる】

【背中にラベンダー色の翼膜をした、悪魔の様な翼が生えた事を除けば、素体そのままの姿だが】
【身に纏う魔力は質量を増大させており】
【翼からは、光の粒の様なものが燦々とこぼれている】

【――――『UNITED TRIGGER』に所属する能力者。その名前を、ケツァル・コアトル=ラベンダァイス=カエデ=キャニドップと言う】

――――空の、魔法陣? ――――中心は、あのビル辺り――――ッ!

【地上にいては、周囲の異形たちに狙われる。少女――――ラベンダーは背中の翼を用いて飛翔。空へと飛び出した】
【見上げる光景に、先ほどの魔法陣の構成を思い出す。術の行使されている場と思しき中心地には――――ひと際目立つ、長大なビル】
【少なくともそこに、何かがあるに違いない。ラベンダーはグッとそれを見据えると、真っ直ぐに空を駆け出した】

――――ッ、邪魔するな――――ッッ

【眼前に立ちふさがるは、ビルを蹴散らす炎の巨人の一体。その目に見据えられた瞬間、ラベンダーは手から電撃を放射】
【人型の体躯ならば、目は脳に通じる最短ルートだ。そこから、手加減なしの電撃を浴びせ、目を焼き――――狙いが合致したかどうか定かではないが、巨人の動きが止まる】
【更に足元に伸びてくる、地下からの触手に、ピンク色の魔力光のビームを投射、伸びてきた触手をバラバラに瓦解させて撃退】

【――――街を蹂躙する異形を、こうした形で往なしながら、ラベンダーはレボルツィオーン第二支部の屋上を目指す――――】

/ラベンダーです、よろしくお願いしますー!
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 14:13:07.63 ID:xs3qAYcq0
>>834-835

【水の国・アルターリ――――】

【正しく地獄、と呼ぶべき酷い有様、姿を変えたその都市に】
【白い髪の少女は居た。顔を強張らせて、周囲に視線を走らせて】
【あちらこちらで起こる惨状を目にして、いちいちそれを助けようとして】
【――あと一歩で届かない。それを繰り返して――唇を噛み締めていた】

(…………痛い、痛い痛い痛い……っ、くそ、こんな時に……っ)

【表情を歪めて、右目を押さえる。どうやらそこが酷く痛むらしい】
【けれどそんなことに構っている暇はない、とばかりに顔を上げて】
【空を睨んだ。浮かぶ巨大な魔法陣、中心にあるのは――――】

――――レヴォルツィオーン……っ!

【――思い当たる節のある、聞いたことのある社名。忌々しげに吐き捨てて】
【少女は駆け出した。一心不乱に、周囲の景色を振り払うようにして】
【ちょうど用事があるところだった。ならば都合がいい、これを機に「潰してしまおう」】
【そう思った瞬間に――激痛。またしても右目、引き裂かれるようなそれ】

【 それすら無視して走り続けた。走って走って走って、ビルのほうへ 】
【 その途中、つう、と――右の頬を伝い始める、赤色の液体 】
【 ずっと気にしていた、痛む右目から出血して、涙のように零れ始めていたのだ 】

【 それに気付いていないのか、あるいは気付いているのに見ないふりしているのか 】
【 少女は駆ける。仇を睨み付けるように、上空の魔法陣をじっと見つめながら―― 】


//佳月でーすよろしくおねがいします!
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 14:19:12.03 ID:jUMWZMX7o
>>834-836


【死と破壊、衝動の連鎖────】
【輪廻とも言えるその一連の動きは、すべてがここで再現されていた】
【異形がヒトを喰らい、それを見てヒトが逃げ、そのヒトをまた異形が喰らう──】


【摩天楼から、その輪廻を見渡していた女が一人居た】
【黒留袖に身を通し、澄ました顔をしてパイプを口に咥えていた】
【脚を組んで眼下に広がる光景を眺めつつ、時々口元に厭らしい笑みを浮かべて──】


「まるで魔界だなァ、地獄でもここまではしねぇや」


【地獄では生前の罪を償うために、生きて業を受けることになる】
【ここはどうだ、有無を言わさず異形に喰われてしまいその罪を述べることも赦されない】
【だが、それも良い。絶望を味わい暇もなく殺される辺り、まだ良心的だろう】


「それで、お客さんってのは本当に来るのかい?」


【──なんて、警護を担当する身分として一応聞いておく】
【こんな魔界に化した場所で、こんな摩天楼までわざわざ来る人間が居るのかと】
【左手を後ろにつき、身体を左に傾かせて彼に目線を向けながら。パイプから白煙を昇らせていた────】
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 14:25:07.37 ID:OhaFjdu80
【水国、アルターリ】

「こんな……」

【到底少女には受け入れがたい光景だった】
【即応態勢を持ち、出動してみれば】
【眼前に広がる街は、まさに地獄の様相だった】

「っく……」

【自分自身の背中の一部に広がる痛みと、心の痛み】
【これを抱えながら、少女はレヴォルツィオーン社の第二支部を目指す】
【解りやすいデモンストレーションとでも言いたいのか?】
【屋上には魔翌力の渦、そして魔法陣が展開されており】
【まさに、そこに向かえと言わんばかりに……】

「陸戦隊が居れば、直ぐに元凶を止めないと」

【部隊が展開出来れば、この市街地の住民の誘導も出現した魔物達との戦いも可能だが】
【そうはいかない状況だ】
【直接、そして出来うる限り素早く】
【屋上を目指し向かった】
【白い詰襟に、櫻国海軍の意匠ワッペン、曹長の階級章】
【腰の弾帯には拳銃、擲弾筒、手には短機関銃に着剣し】

「ブランルっ!!」
「貴方は、自分が何をしているのか解っているのですか!?」

【開口一番、屋上に辿り着くや否や】
【怒りに打ち震え乍ら、そう言い放つ】
【まるで、さも優雅なオーケストラの指揮者然と振る舞う、その元凶を目の前に……】
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 14:26:47.17 ID:OhaFjdu80
>>841
//アンカー付けてなかったです、すみません、上記は>>834-836、イベントへのレスです
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 14:28:57.50 ID:GreR3xvM0
>>834-836

【探偵は、フロントガラスとサングラス越しにその光景を目にした】
【アルターリに入ってすぐに渋滞に捕まって、都市の洗礼を受けていた頃】
【彼はハンドルに腕を乗せながら、窓を開けて、煙草を吸っていた】
【陽気にやられて、シャツの袖を捲りながら。ついたらビールでも飲もうと考えていた】

【都市の喧騒とは違う、ざわめきの波がこちらに次々と伝播してきて、何事かとざわついた】
【他のドライバーと同じように窓から首を出して、魔法陣をサングラス越しに見ると彼はすぐにタバコの火を消して車から降りた】
【胸糞の悪い、世界が視える。取り憑かれた世界。俺の目のようにイカれた世界。】

―――気に入らねぇよ。

【誰かがまた勝手に世界を、誰かの世界を、自分のものにしようとしやがる。】
【カーステレオはまだ、音楽を垂れ流している。陽気なエディが歌っている。】


【車内にトレンチコートを投げ捨て、ホルスターに腕を通す。脇にサブコンパクトの自動拳銃を2丁吊るす。そして腰のベルトには何時もの】
【リボルバーを2丁。ナイフや、弾倉や、輸血袋、簡易吸入器などもベルトにぶら下げる。そしてブラックスーツのジャケットに袖を通す】
【これはカーボン繊維が織り込まれた生地でできている。多少どころかSMGの弾丸くらいなら通さない。刃物や防火もそこそこ】

【それしか無い。派手な魔法も、空を飛ぶ能力も、全てぶっ壊す武器もない。『見抜いて、撃ち抜く』】

―――C'mon everybody

【道中で“獣狩”なら楽しんだ。探偵はリボルバーを引き抜いて、握りしめる。右手には黒、左手には白。どちらも美しいエングレービングが施されていた】
【親指で撃鉄を起こす。そうすると、それが赤く染まる。――――Sabrinaが目を醒ました】

【探偵は歩き始めた。目についた獣はすべて狩るつもりで。そして全ての真実と野望とクソッタレのその中心へと向かう】


/ロッソです。主催者並びに参加者の方々よろしくおねがいします!


844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 14:33:22.95 ID:OSma5drH0
>>834-836

……ここからだと、町の様子がよく見えるね

【また一人、やってきたのは】
【白みがかった金髪を真ん中で分けた短めのツインテール。空色の瞳を持ち】
【パンツスタイルの白いセーラー服に、黒いスカーフと両肩口の階級章と部隊章が栄える】
【真新しい水兵の格好をした、10代後半の少女だ】

死んでる、死んでる……みんな死んでく……

【悲しげでもなく、怒っているわけでもなく、ただ不思議そうな目で都市を襲う惨状を見据える】

これ、人間がやってるの……
こんなこと……なんで

【初の正式な出動。張り切って出てきたが、なんとか屋上に辿り着き】
【そこにいる人間に見える男を目の前に素直な疑問を口にし】
【少女が扱うには大きく見える、歩兵銃を両手で構え、男の方に向けた】


//リオシアですよろしくおねがいします
845 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 14:48:18.11 ID:2LjxeR6Yo
>>840
ああ、来るとも。彼らは物好きだ
ここが異常の発生地点だとさえ分かっていれば、それこそ全てをなぎ倒して来てくれるだろうよ
…………そら、早速お客様だぞ?
>>837

これはこれは、随分と可愛らしい忍者がきたな。くノ一ってやつか
リハビリでこれとは同情してしまうな。少し加減をしてやらねば
超えてはならない一線か。そんなもの、誰が決めたのやら。あまり他人の決めたことに従うのは好きではなくてね
だがそうだな、お前の言うことも一理ある。踏み潰したその他大勢など、誰も気には留めない。”誰も”、だ

【重苦しい声が、少女の美声に答える】
【踏み込みからの一閃に男は微動だにしない。クナイの切っ先を、足元から伸びた黒曜色の触手が受け止める】

おいおい、まだ招待客は揃ってないぞ?
気の早い娘さんだ。少し、行儀が悪いんじゃないか?

【クナイを受け止めた触手が蠢く。しなり、クナイごと押し返して鵺を吹き飛ばそうとする】

>>841
おお、那須翔子、だったか?
秘密研究所以来だな。元気そうじゃないか。任務は上手くいってるのか?

【少女の姿を見つけた男は、まるで友人と再会したかのような態度を取る】

何をしているのか分かっているのか、か。もちろん、分かっているとも。この場の誰よりも、世界の誰よりも
そしてこの世界で唯一、それを理解しているのが私だ。命の重み、というやつだろう?
見てもみろ。一体何人死んだ? 100か、200か? 100と101の違いが一体、誰に分かる? お前には分かるのか?

甚だ疑問だな。そう、自分のやっていることなど、ほとんどの人間は分かっちゃいないのさ、ふふふ
>>844

新しい仲間かな? 純粋な疑問を口にする彼女の方が、よほど賢くなりそうだ
何故、人間がこんなことをするのか知りたいかね? 私の弟子になれば知ることができるだろう
どうかな……ふふふ
>>838>>839>>843>>840

んー、まだ何人か向かってくる気配があるな。では、彼らの迎撃は護衛に任せるとしよう
どうやらこのビルを登ってきそうだ。上手く見つけて対処してくれるか?

【ブランルは警護として雇った女護衛に一つ、指示を出す】
【ここに向かってくるであろう三人(>>838ラベンダー、>>839佳月、>>843ロッソ)の相手をしろ、と】
【素直にビルを降りれば、恐らくは内部でぶつかることになるのだろう】
>>837>>841>>844

さて。よくぞ来てくれた招待客たちよ
会場の様子は、趣向を凝らしただけあって気に入っていただけたようで何よりだ

初対面の相手も多いようだ、まずは主催代理である私から自己紹介をさせてもらおう
私の名はブランル。レヴォルツィオーン社の開発主任を勤めている、しがないサラリーマンだ
今日は我が社の社長の命令で、こういった催し物を行うこととなった。よろしく頼むよ

所属や名前を聞きたいところだが…………どうにもそれは不要そうだな
厳島の部下にその同僚。それから公安か、随分と大物が出て来たな。一介のサラリーマンとしては恐ろしい相手だ
女子供ばかりなのが少し気が引けるが…………まぁいいだろう。後から誰か来るかもしれんしな

それでは、意気込みの一つでも聞かせてもらおうじゃないか
つまりは、そうだな。何故、私の邪魔をするんだ、ということだ
人命救助だの悪が許せんだの、何かあるだろう?

【現れた全員に対して、黒衣の男は両腕を広げて歓迎の意を示す】
【薄く微笑みながら、単なる社員だと嘯き、自らの名を知らせる】
【そうした上で、意気込みを聞かせろ、などとまで言うのだ。傲慢なまでの余裕が態度には表れていた】

//護衛の柘榴さんにはラベンダーさんとロッソさんと佳月ちゃんのお相手をお願いいたします
//場所はビルの内部。風景描写は各々にお任せいたしますので、そんなシチュで戦う感じで
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 15:00:24.48 ID:jUMWZMX7o
>>845

【早速お客様だぞ──との言葉に、口角を吊り上げて】
【ゆっくりと立ち上がり、咥えていたパイプを帯に収めてから】
【右手に黒刀の柄を握り、その身体から黒い霧が現れていく】


「相分かった……。久々に強いやつと殺り合えそうだなァ」


【口角を歪めたまま、その黒刀を上段に構えると】
【一気に地面へと振り下ろす──刹那、屋上のコンクリートに穴が開いて】
【その穴に飛び込めば、黒留袖の裾をばたばたと靡かせながら下階に降りていく】


「さてさて、お客様とやらはどこに居るかなァ……?」


【唾液で滑る舌で下唇を嬲れば、ゆっくりとビルの内部を歩いていく】
【向かう先は階段、おそらくそれを登って来るはずだと予測したから】
【────強い奴と戦える。言い表せない悦楽と、隠しきれない殺人衝動をその身に纏って】
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 15:08:08.57 ID:OhaFjdu80
>>837

「え!?」

【先にその場に居たのは、意外とも】
【そしてやはりとも言える人物だった】

「鵺ちゃん!?」

【公安三課の少女鵺】
【その存在を知っていた少女には、頼もしくもあり】

「三課でも、彼の情報を?」

【ブランルやレヴォルツィオーンの事を、そう聞いた】

>>844

「リオシアちゃん!」

【自分の斜め後方だろうか、そう言葉を漏らすリオシア二等水兵】
【自分自身の擲弾筒を手渡しながら、こう話す】

「中尉も少尉も居ないけど、今この場は、私達だけが海軍陸戦隊です」
「初めての任務だと思うけど、危なくなったら引いてね!」

【100式擲弾筒、一回り大きい竹の水鉄砲の様な見た目】
【個人携行用のグレネードランチャーだ】
【これをリオシアに貸与する】

>>845

「人の命を……何だと思ってっ!!!!」

【ブランルの言葉に、激昂を露わにする】
【恐怖は最早無い】
【あるのは、眼の前の邪悪への怒りの心のみ】

「貴方を倒し、街の平穏を取り戻し、セリーナさんの居場所も吐いてもらいます!」

【着剣した短機関銃を構え】

「貴方は社長の命令で、こんな事を?」
「専守防衛、向かって来る敵には全力の迎撃を」
「魔能を持ちて、異能の不当なる侵略に抗う、これが答えです!!」

【まるでパーティーの主催気取りの男に、こう啖呵を切る様に答えた】
【未熟な回答と精神性と取れるだろうか……】
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 15:11:22.29 ID:F2D3FEBJo
>>845

【触手に阻まれる攻撃、その感触に鵺は表情を曇らせる】
【嫌な感触であった、粘性のある沼へと指先を浸したかのような、それ】
【息を吐いて空中で宙返り、地面に着地し衝撃を吸収する】

【物理攻撃に耐性があるのだろう、クナイ程度では埒が明かない】
【白い髪越しに男を見据える、チラリと>>841の姿を視界に捉えた】
【翔子──見知った存在であるが、その戦闘力については未だ知らない】


可愛らしいって言葉だけ有難く受け取っておきます、棘があるって事も十分わかったでしょう?
全く、我儘を言ってるだけの子どもと変わりませんね、そんな人が力を持ったから質が悪いです
それに、忍者に行儀を説くだなんて、全くもってナンセンスですしっ

私の信じる正義を執行する、この事に理由なんていらないでしょう
無辜の人々を虐めて喜ぶ、ばっかじゃないですか! お偉いさんの考える事は全く分かりませんけど!
間違ってる事は間違ってる、それ以外に戦う理由なんていらないんです!


【少女が吼える、忍者のイメージからは遠い激昂した言葉であった】
【蹂躙される人々の姿、或いはそこに何かしらの慕情を寄せたのだろうか】
【憧憬に映る在りし日の過去、悪夢の様についてまわる現実に嫌気がさすかの如く】


しょーちゃん!(>>841)援護は任せたよ! 私一人じゃ、相手しきれないから
近接戦は任せて、思いっ切り銃で撃ってくれていいよ!
忍者殺したきゃ爆弾持って来なきゃ、そんな豆鉄砲、当たる訳ないしっ

────昏遁制御開放術式────
────"Sonata Arctica"────

昏遁術式<雷>──"Thunderstruck"


【右手のクナイを握ったまま、左手の袂から巻物を取り出す、慣れた手つきで解きある程度の長さまで開いた】
【刹那巻物から発生する "黒色" の雷、弾ける音が周囲にも聞こえる程に高電圧の雷であった】
【巻物から浮かび上がったそれをクナイに宿す、黒色の雷をクナイに帯電させた】

【所謂雷遁の術、巻物を左手の袂に仕舞うと、再び疾走ブランルへ距離を詰める】
【帯電したクナイで再び下から上にまっすぐ斬りかかった、身体の正中線を貫く軌道だ】
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 15:12:28.92 ID:xs3qAYcq0
>>846

【女の耳には、乱暴に階段を駆け上がる音が聞こえてくるだろう】
【その主は肩甲骨まで伸びた白い髪を振り乱して、右の目から血涙を流している少女】
【階段を二・三段飛ばしで駆け抜けて、上へ上へ。飛び立ったなら】
【目に入る、女。……知らない顔だがどうでもいい。きっと敵だ、と判断したなら】


――――――ッ、あ゛ァあああぁぁあ、あア゛っ!!!


【――――薄布を力任せに引き裂くような音がした。それと同時に、絶叫がこだまして】
【少女の、血涙の源――右目に。びいっと亀裂が走ったのだ】
【当然そこからは尋常じゃない量の鮮血が噴き出した。その痛みに、少女は咆えて】
【赤い赤い噴水の向こうから――「花」が咲いた。白くて華奢な花だった】
【知る人なら知っている、「仏前草」と呼ばれる、毒の花――】

【だん、と地を蹴りつける音。階段を踏み越えた少女が、高く跳躍】
【中空で自身の腹、臍の少し下の辺りに手を添えて――「引き抜く」】
【その手には一本の刀があった。細い少女の身体から、手品みたいに刀が一本、生えてきたのだ】

【手にした刀を構える。着地するのと同じくらいのタイミングで――女に向かって】
【一閃。真上から真下に斬り下ろす、直線的な斬撃を放った】
【まずは小手調べ、という――余裕もあまりないようだ、何せ咲いた花の在る傷口が、酷く痛んでいるようだから】


//改めまして佳月です。柘榴さん、並びにラベンダーさん・ロッソさん、よろしくおねがいします!
850 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 15:16:45.41 ID:TnR5Tl2H0
>>846

【――――ガシャァァァン、と、ガラスが砕け散る音が響く。窓の外から、何かがそれを突き破り、中へと侵入してきたのだ】
【しかし――――それは、外の阿鼻叫喚に飲まれた怪物などではない。否――――同じような物なのかもしれないが】

――――怪異は、屋上――――とはいえ、まずは状況を確認――――ッ!?

【――――翼を以って飛翔し、屋上を目指していたラベンダーだった。屋上を目指しながらも、まずは階下の状態を確認すべく、適当な階で強引に内部に突入し】
【敵の戦力による詰めなどは無いかと、周囲を確認し――――正に階下へと足を伸ばしていた『護衛』と行き当たる】
【運が悪い――――と言えばそうなのかもしれないが、しかしこれは逆にチャンスだ。無暗に屋上を目指していれば、不意打ちを食らう危険性もあった】
【見たところ、敵は黒い霧を振りまく女ただ1人。なら、この女さえ『無力化』してしまえば、下の当面の確保は成立するはずで】
【――――遠目ながら、確か他に屋上を目指していた面々の姿もあった。今は、そちらは他の連中に任せようと、立ち回りを計算する】

――――邪魔です。死になさい――――ッ

【派手な飛び込みになってしまった以上、ここで姿を眩まそうとするのは下策だ。開き直る様に、ラベンダーは真正面から女へと攻撃を仕掛ける】
【まだある程度の距離はあるが、その手から魔力のビームを2条放射する。まずは牽制だ】
【その身体が放出する黒い霧が何なのか――――攻撃手段なのか防御手段なのか、それとも攪乱なのか――――それを見極めようとして】

/改めて、よろしくお願いしますー!
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 15:22:41.07 ID:GreR3xvM0
>>846

【街はもう見るに堪えない地獄だ。いいや、罪人しか地獄に居ないというのなら】
【まだ地獄のほうが良かっただろう。ここはそれよりももっとひどい。ただ、暴力が渦巻く】
【ハリケーンのような理不尽さが言葉すらいらずに全てを飲み込んでいった。そのたびに】
【俺たちはどれだけ無力か、思い出される。だからこそ…俺はやらなくてはならない】

【目についた異形に弾丸を撃ち込み、目や、脳や、手足を吹き飛ばし、活路を開いていく】
【俺の眼が、探り当てた、光指す方向へ。それは…もっとも凄惨で、死に近い場所】
【Sabrinaは、俺に取り付いた天使と悪魔はいつもそんなとこばかりに俺を連れて行く――――】

【あるビルにたどり着いた。ここが中心なのは間違いないだろう。ヴォルツィオーン社………】
【探偵は聞いたことがあるようなないような…だが、あまり良い印象は持っていなかった】
【またしてもそういう、悪い勘は鋭いことが証明されたところで、彼は階段に足をかける】

>>849

―――ッッ!!!

【階段を一歩ずつ慎重に登る探偵に対し、背後から迫る。それは絶叫とともに疾走していく】
【探偵は咄嗟に銃を構えようとしたが、それは抜き去っていく。―――舞う風に憎しみを携えて】

>>850

【そしてすぐに、硝子の割れる音。音から、推理していく。もうひとり、凄まじい、足がすくみそうな戦闘だ】
【俺にあるのは拳銃と、眼。そんなやつに一体何が出来るのか。と自嘲気味になるが】

【探偵は、後を追う。後少しと迫ったフロアから火蓋が切り捨てられた音が響いた】
【物陰をつたい、そのフロアへ。出来る限り、敵に己の存在を気付かれないように…】


/よろしくおねがいしますー
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 15:29:05.26 ID:OSma5drH0
>>845

【男は、人間であるということは否定しなかった】

じゃあ、やっぱり人間なんだね?人間ってこんなにすごい、町一つめちゃくちゃにする能力が使えるのね
弟子、弟子かぁ……強くなれるならやってもいいけど……軍人と掛け持ちって出来ないよね?
今は忙しいから無理かな

【弟子になれば知ることが出来る──と、あくまで挑発だろうが】
【知ってか知らずか真に受け、一瞬だけ検討してしまう──良くも悪くも純粋すぎる少女のよう】
【所属と名前を聞かれれば、また素直に返答する】

わたしは、櫻の国・魔導海軍陸戦隊二等兵、リオシア・ステロヴァニエ
邪魔をする理由?えっと、初任務でここに来たの。それで今度がわたしがみんなの役に立つんだ
だからあなたと戦うね


>>847


翔子ちゃん!これ使っていいのっ!?わぁ……
じゃなかった、みんなの前だからえっと、那須曹長!ありがとうであります!

【公衆の面前なので、上官と部下として接するべく違和感のある敬語を使いながら】
【翔子から100式擲弾筒を受け取り】
【歩兵銃を体に下げ、グレネードランチャーを構え直した】

うん、がんばる!翔子ちゃんが一緒なら多分大丈夫!

【翔子の援護、場合によっては自分も直接戦うべく、翔子の斜め後方で体勢を整える】

>>848

忍者!忍者!?あれあの子忍者だよね?忍者おー忍者だ!
始めてみた!わーかっこいいし可愛い!
しょーちゃんって呼ばれてる?翔子ちゃんの友達なの?

【鵺の姿を見て空気を読まずにきゃっきゃとはしゃぐ】
【櫻の国の軍人であるが、櫻の国に行ったことがないため、そういった文化をちゃんと見たことがないゆえに】

わたしも援護するね!
いっけー!

【早速と言っていいほど早速、敬語を忘れつつ】
【ブランルに向かってグレネードランチャーをぶっ放した】
【グレネード弾がブランル目掛けて飛んでいく──】
【訓練の成果か狙いは正確。何も対策しなければ命中し爆発するだろうが──】

853 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 15:38:08.19 ID:2LjxeR6Yo
>>852

くっ、はは!
なるほどなるほど。お前はそういうやつか
いや、構わんのだぞ。弟子だって上手くやれば軍人と掛け持ちができるさ
私はいつでも待っているので、声をかけてくれよ?

【少女の純粋が過ぎる返答に、黒衣の男は破顔する】
【そしてそれを理解した上で、再び誘いをかける。言葉に嘘偽りはなく、本心から思ってのものだった】

初任務か。それで”これ”とは少し酷だったな
皆の役に立ちたい、か。その理由も気になるところだが、今はお前の上官の相手をするとしよう

>>847

【改めて翔子へと男が向き直り】

何か? 命は命だ。それ以上でも以下でもない
極めて凡庸な問いかけだが、ならばお前はどうなのだ? 命の価値をなんだと思っている
その武器は? 人の命を奪うためのものだ。”どういう理由があれど”命を奪うためのものだ
ならばお前にとって命とはなんだ。理由があれば失われるものか? そんなものを尊いと呼ぶのか?

専守防衛、か。それは国家や社会が掲げる信念であって、お前のものだと言えるものなのか?
私は軍人に聞いているのではない。那須翔子という個人に聞いているのだ。何故、お前は武器を持って人を救う?

…………と、長話をしている暇はお互いになさそうだな

>>848

正義の執行、か。全く、羨ましい限りだ、自らの欲求と社会の欲求が一致している人間というのは
間違いを正す、というのであれば、私も私の思う間違いを正すとしよう。あとは簡単だ、互いの力だけが優劣を決めてくれる
この世界は実に単純だな、少女よ

では、力で全てを決めよう。加減はなし。譲歩もなし、だ

>>847>>848>>852

【迅雷の一撃を再び触手が阻む。電流が触手の表面を伝わり、地面へと吸収されていく】
【異能に対する防御性能もかなり高いらしい。真正面からの攻撃で打ち破るのは容易ではないだろう】

【男の左手が持ち上がり、開き、閉じられる。空間が歪曲。防護膜のように機能してグレネード弾を受け止める】
【爆風が歪曲した空間の表面で留められる。黒衣の男にダメージはなかった】

【足元の影からさらに複数の触手が浮き上がる。一つは鵺を打ちはらうように旋回】
【翔子へ三つ、リオシアへ二つの触手が直進。道中で硬化。黒曜色の槍と化して二人へと向かう】

【屋上にいた三体の異形に変化。彼らは屋上の中心へと集まり始めていた】
【屋上の中心には機械仕掛けの祭壇。祀られていたのは銃だった。外見からは何の特徴も見られないただの銃だ】
【だが魔力を感じ取れる者ならば、そこから異様な魔力が放出され、祭壇に吸い取られているのが分かるだろう】
【三体の異形はまるでそれを守るかのように陣取っていた。奇妙な合唱も止んでいる】
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 15:39:30.59 ID:jUMWZMX7o
>>849

【階段の辺りで、先程まで納めていたパイプを取り出していた辺りだった】
【足音が響くからか、大きな音が聞こえてきていた。敵が来た、ということを告げている】
【出しかけたパイプをまた帯に戻し、柱の一つに凭れかかって此処に来るまで待っていたのだけど】


「────出会い頭に叫ぶってのも、なかなか趣があるなァ?」


【階下から飛び込んできた少女の姿を捉えれば、ようやくやる気になったのか】
【背を柱から離し、構えることもなく少女の方を眺めていた】
【叫んでいる様子が妙に思えたのだが、右目から鮮血が噴き出す様子を見て納得した】

【刀を構えて跳躍してくる様子を見れば、すでに脚へ力を込めていて】
【着地と同時に刀が振り下ろされれば、コンクリートを蹴る】
【面白いやつが来たな、とまた口角を歪ませた──】

>>850

【突如響いたガラスの破裂音は、女の注意をそちらに逸らすには十分だった】
【何者かが中に飛び込んできたのである。そちらへ刀を下段に構えて立てば】
【なるほど、翼で飛翔しているのか。目を見開いて興味を示した後に────】


【彼女の手から光条が2つ放たれれば、それを小刻みにステップを踏みながら回避していく】
【真正面から放たれたそれを回避するのは容易だが、霧の方はそれに反応していて】
【熱したコーンが弾けるような音を立てて、霧の粒子が赤熱していくのが分かるだろうか】


「死ぬのはどっちだろうなァ?」


【厭らしい笑みを彼女に向ければ、突如脚を踏み鳴らして彼女へと駆け出す】
【一直線ではなく、飛び上がって天井を蹴ったり、はたまた左右へと宙返りしながら】
【距離をある程度詰めれば、正面から右方へ回転しながら彼女の胴へ一閃する】

【一回転して着地すれば、数歩ステップを踏んで後方へ回避】
【もし斬撃を食らったのであれば、斬られた痛みより骨や筋肉への“衝撃”が伝わるだろう】
【斬り殺すのではなく中から壊していく──それがこの女の、能力であった】

>>851

【男が階下から登ってくるのに、女は気づいていない】
【というのもラベンダァイスの方へ駆けているためで、そちらに注意を向ける暇もなく】
【物音さえ立てなければ、気づかれることもないだろう】
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 15:49:10.73 ID:F2D3FEBJo
>>847>>852

【疾走する最中、左手でVの字、近接戦闘は任せてのサインだろうか】
【戦いに向かう背中に躊躇は無い、歳の近い少女同士、若しかするともっと平穏な場で会うべき存在】
【それでもこの場に居るのは何の因果か、振った賽の目には僅かばかりの慈悲もなく】

>>853

全く野蛮なおじ様ですね! どんな躾をされて来たのやら!
こーいう歪んだ自我の持ち主が、力を持つのが一番良くないのです!
世の中にはこんな人ばっかと思うのは、些か心苦しいですけど!

力比べなら負けませんよ、こう見えても修羅場は結構潜ってるんです


【阻む触手、その感触から異能への耐性も察する、正攻法では上手くいかないのだろう】
【望むところ、と不敵に笑う、不謹慎であるがこの状態を楽しんでいた】
【防がれたクナイを支えにに逆立ちする形で翻る、更に手でクナイを叩き跳躍、クナイは地面に落ちる】

【空中に浮かび上がる少女の残照、白と黒が暗転する】
【跳躍する形で触手を回避しつつ、ブランルの頭上へと移動】


すこーし痛いですけど、我慢してくださいね!
これでも貴方の与えた痛みの、足元にも及ばないんですから
耐えられますよね? そうじゃなきゃ、ガッカリです!!


【そのまま足から落下、ブランルの首に両足を絡みつかせようとする】
【成功したなら強く脚を締め付け、窒息を狙おうとするだろう】
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 15:54:32.73 ID:OhaFjdu80
>>848>>852>>853

「鵺ちゃん!!」
「解った!!鵺ちゃんも気を付けて!!」

【鵺が前線、後方で鵺の援護は翔子とリオシア】
【この小隊布陣となるだろうか】
【鵺の言葉に、そう答え】

「うん、鵺ちゃん、協力してくれる一人だよ」

【リオシアの言葉に、そう答えて】

「そうです、軍人ですからそれを否定しません」

【防衛力、専守防衛の軍事力への矛盾】

「ですが、我々は貴方の様に、無差別に理由なく人の命を奪いません」
「我々が守るのは、人の命と……尊厳です!!」
「それは、私個人でも同じです!!」

【ブランルへの返答は、そう答えた】
【やがて向かって来る、三つの触手】
【それは、途中で槍の様な形状となり、こちらに向かって来る】

「リオシアちゃん!銃で良く狙って、これは拳銃でも落とせる!!」

【ボルトアクションの歩兵銃や単発式の擲弾筒より、拳銃の方が迎撃に向くだろう、そう判断して】
【かつてブランルと交戦した経験から、これは十分に対応できる、と】

「こっちもっ!!」
「鵺ちゃん、上手く避けてね!!」

【短機関銃から、銃弾を放つ】
【連続してのフルオート射撃】
【弾幕形成、触手への迎撃と、そしてブランルへの攻撃、鵺への援護をまとめて行うつもりだ】

「(あれは、一体……)」

【中央の祭壇様の何か】
【そしてそこに祭られている、銃】
【それを囲む、三体の異形】
【魔翌力の流れが、おかしい】
【そう感じ取っていたが、この場では先ずは目の前の男への対応を、と】
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 15:56:51.30 ID:xs3qAYcq0
>>850-851 >>854

【途中で追い抜いた人影(>>851)、外からの乱入者(>>850)。そのどちらもを】
【残った左目で見やって――「敵ではない」と判断したなら、視線を外す】
【彼らには見えただろうか、顔の右半分を血で濡らした――右の目に異形の白花を咲かす少女の姿】

【一閃は空を切った。それをいちいち悔やむ暇もない。着地、刀を握り直して】
【敵は、翼の生えた少女――ラベンダーの方へ向かったのだと知ると、視線を其方に向ける】
【距離が離れた。もうこの刀では届かない位置まで逃げられた、と思考する、同時――】


――――ッ、


【刀を振りぬく。切っ先をまっすぐ、女の方に向けて。するとちらちら、光る何かが刀の周りを舞い始める】
【――小さな小さな刃の群れだった。剃刀くらいのサイズ、白銀色にきらめく花弁めいて】
【中空を舞っていたそれらは、少女の命を受けて――刀の切っ先が差している方、女の方へ】
【10枚。ささやかな風切り音を伴って、飛来する。狙いの付け方は乱雑、躰の何処かに掠ればいいとでもいうように】

【勿論、この程度のサイズの刃で作れる傷なんて。せいぜい引っかき傷になるかならないか】
【それくらいなら最初から狙わなければいい。深手に成り得ぬ傷なんて、戦場ではなんにもならない】
【だのに、少女はそれを理解したうえで――引っかき傷を作ることに専念し始めているのだ】
【なら、この刃の攻撃にすら何かしらの意味がある。そう捉えたほうが、賢明だろう――】
858 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 16:03:39.51 ID:TnR5Tl2H0
>>854

(――――なるほど。恐らくアレは攪乱の防護幕――――あるいは、センサーか何か。ともあれ、敵の攻撃に対応する能力――――)

【ビームが回避される事は織り込み済みだ。むしろ、その程度の反応が出来ない事では、この場にいる資格がないと言って良いだろう】
【問題なのは、それよりも霧の反応――――ビームが掠めた後に、黒い霧は確かにビームに反応して赤熱している】
【その正体はこれだけでは分からないが、何らかの受動的な力である事は間違いないだろう】

っ、速い――――!

【敵のヘイトを集めたか――――ある意味で良い傾向だと踏む。この場にいる、もう1人の――――否、恐らくもう1人隠れている――――仲間が、動きやすくなる】
【とは言え、それは自分がこの女の攻撃を、相応に捌き切れればの話だ。あっさりと打ちのめされては、囮の役を果たす事ができない】
【更に言えば、今の姿は打たれ弱いのだ。敵の標的にされたなら、慎重に慎重を期して行動する必要がある】

【そう計算はしながらも――――眼前の女のスピードには流石に面食らう。見たままの近接戦闘タイプではあったようだが、それでもこの速さは意表を突くものだ】
【更にフェイントを織り交ぜた跳躍での接近。この場合、どうするべきか――――ラベンダーの戦闘経験がはじき出した答えは1つだ】
【――――敵のタイミングをずらせば良い。こちらも移動をする事によって。それも急激に切れる形を狙って】

ちぃッ――――っぐ――――ッ!

【敵がいよいよ近づいてきた瞬間――――ラベンダーは、自ら前方へと飛び込んだ。敵のインパクトの瞬間をずらして、芯で捉えられる事を防ぐために】
【案の定、振るわれた刀は十分な加速のモーメントを乗せていない。『肉を切らせて』と言う奴だ】
【だが――――そこから『骨を断つ』次の行動に移るのは難しい。これはあくまで対処的な行動であり、攻防一体の動きとは言い難いのだから】
【さらに言えば――――その斬撃は、まるで打撃を浴びた様なダメージを体に残す。より奥に響く、重い一撃――――】

――――っ、眩め――――

【それでも、そこで動きを止めてしまう様な、そんな甘い存在ではない。咄嗟にラベンダーは、背中の翼を、女へと向けて羽ばたかせた】
【翼から漏れ出る光の粒子が、女へと浴びせかけられる。その粒子――――『フェアリー・ダスト』は、目にでも入ってしまうと、一定時間チラチラとちらつき、目くらましの効果を期待できる】
【黒い霧の正体は依然分からないが、その黒い霧を晴らす様な効果も一部で期待して――――】



>>857

(アレは――――多分、敵ではない。あっちは、接近戦タイプ? ――――ならば――――)

【既に敵の女と邂逅していた少女は、恐らく敵ではなく、共通の目標を目指すアナザーなのだろうと、既にラベンダーは見定めていた】
【そしてその武装から、戦い方から、どう計算に入れればよいかを再検討する。こうした事を戦闘中に行うのは、既に戦場に長らく身を置いている経験則がなさしめるものだ】

(っ――――右目に、血――――ッ!?)

【ただ、その姿の異様さは、ラベンダーにも衝撃ではあった。勿論、異能者には色々なタイプがある事は理解している】
【ただ『驚いた』以上の事にはならないのだが――――今は他に集中すべきだ】
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 16:08:27.62 ID:GreR3xvM0
>>854  >>857 >>858

【ビルの柱の影に隠れて、探偵は息を整えていた。激しい戦いの音が絶え間なく聴こえている】
【中の音と、外の音とが重なり合って。全身を覆っていて、ここが中心だということに気付かされる】
【端っから逃げ出すつもりはないが、無駄死にするつもりもない。俺は俺のビートでいかせてもらう】

―――影に落ちるんだ。

【自分に言い聞かせる。今日の仕事はお嬢さん2人の援護だ。影に落ちて、俺は居ない。】
【敵のビートにフィルを撃ち込んで、崩して。彼女たちのテンポに持っていく。ベーシストのように合わせよう】
【どんなに、走っても、ずれても。小節の頭で合わせる。弾丸を撃ち込んでな】

【探偵は、柱の影から飛び出して、拳銃を敵へ、狙いを定めた】
【右手に伸ばした黒色のリボルバーは、アクロバットに駆け抜ける女を追って、狙いを定める】

届いてくれよっ!!

【狙い定めた、一発が。その建物に響き渡った。突き抜けるような軽快な撃鉄と炸薬のパーカッションは】
>>855を狙った。翻弄する敵の動きに、確実に当たるとは言えない距離だった。しかし、彼の銃は、能力や魔術に】
【特に効果のある魔銃だ。彼の意志と魔翌力の込められた弾丸は、何らかの邪魔をするかもしれない】

【そうして、弾丸の行方も見届けずに、彼はまた身を隠した】
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 16:12:23.32 ID:OSma5drH0
>>853
>>855
>>856

弟子、弟子って、思ったよりしつこいのね
とりあえずみんなで捕まえてからちゃんと話を聞いてあげようかな?

【グレネード弾はあっさり往なされ、ダメージを受けた様子もない】

うわ、手をぱくぱくってしたらあのへんが変な感じに……
これじゃ銃弾も絶対効かないよね……忍者ちゃんの攻撃も効いてるかわからないし……

【逡巡する間に、すぐに自分に向かって攻撃が放たれた】
【向かってくる二本の触手の槍】

……!撃つ、撃ち落とす……了解っ!

【翔子の指示が届き、擲弾筒を雑に置いてすぐに拳銃を抜き、構え】

よく狙って……

【銃声が響き、放たれた銃弾は触手に命中して弾き飛ばす】
【しかしもう一本の触手には間に合わず──】
【リオシアの腹部に命中する──瞬間、キィン!と金属に当たったような音がした】

うっ、っと、ちょっと痛いけどセーフっ……

【命中の瞬間、リオシアは自身の腹部に流れる体内の血液、水分を「能力」によって金属に変化させ、防御を行ったのだ】
【と、ここでブランルとは別の三体の異形の行動に気がつく】

あれも能力……?分身?ほっとくと良くなさそうだよね……
とりあえず!

【持っていた拳銃で異形たちの三体のうちの一体に向かって射撃を行う】
【ごく普通の拳銃の弾だが──ブランル本体じゃなければ当たるかもと考えたようだ】

861 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 16:17:53.90 ID:2LjxeR6Yo
>>855

そういう技は受けるにしても好みじゃないので、遠慮してもらおう

【絡み付こうとする両足の間に右腕を潜り込ませる。鵺の眼前で右手が開き、空間が揺らぐ。高音が鼓膜を揺らし、次の瞬間に、衝撃】
【鵺の方向にのみ魔術による衝撃波が放たれる。指向性の衝撃波は重い打撃と同等の破壊力があった】
【衝撃に対する対応の如何に関わらず、ブランルは拘束を振り切って一歩、離れるだろう】

>>856

結構。その答えならばまだ納得がいく
理由の有無を拠り所にするというのであれば、まだ論理的だ

【サブマシンガンによる銃撃が触手を粉砕していく。さらにその向こう側にいる黒衣の男へと銃弾が迫るが、遮断】
【影が膜のように持ち上がり、銃弾がその中へと消えていく。表面が隆起。吸い込まれていった銃弾がそのまま翔子へと返される】

>>860

【異形への銃弾はあっさりと命中。鮮血を散らして耳障りな苦鳴をあげる】
【だが、そこから動く様子はない上に、まだ倒れもしなかった。その場、もっと言えば祭壇の前で陣取るのが目的らしく】
【かといって何かをする様子はない。まるで守っているかのような状態だった】

>>855>>856>>860

身体も温まってきたことだし、そろそろ調子を上げていくとしよう

【男の両手が上がり、影から触手が急上昇。空中で鋭角に曲がり、三人の頭上に槍の如く硬化した触腕が降り注ぐ】
【同時に人体と同程度の太さがある巨大な触手が影から出現。高速で旋回。屋上の全域を────祭壇と三体の異形を避けて────薙ぎ払っていく】
【空中と地上、双方からの同時攻撃だった】
862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 16:25:54.78 ID:jUMWZMX7o
>>857

【攻撃をラベンダァイスに集中させている間も、音に対しては敏感だった】
【攻撃をする際の合図は、殆どがその音にある。隠密でも無ければ、必ずそうであると】
【甲高い風切り音を、女の耳は捉えていた。ちらと左を向けば、数個の剃刀が飛来する】


【魔術や呪術の類は生贄が大きいほど大きな効果を齎す──】
【彼女は自身の右目を犠牲にしてまで、その能力を発動させているのだから】
【たとえ小さな剃刀であろうと、意味がないはずもない。そう考えていて──】


「ほォ、小癪なことをするなァ……?」


【女が纏う黒い霧が、まるで壁になるかのように集中する】
【飛来した剃刀がその霧を通過する刹那──花火が炸裂するような音とともに、爆発した】
【黒い霧は衝撃が加えられると爆発する“火薬”のようなものであると、理解がついただろうか】


「っ痛──」


【しかし、そのうちひとつは女の左腕を掠めていった】
【赤い筋が、二の腕に一本引かれているが──。これが何を齎すのだろうか】


>>858

【彼女が前方へ飛び出てきたために、芯で捉えることが出来ず】
【回転しながら斬ったために速度も乗っていない。ダメージ量は相対的に下がり】
【しかし、確かに重い一撃を彼女に与えたことだろう。これこそが、女の能力である】


「────何してやが……ッ!!」


【彼女がその翼を震えば、光の粒子が目に入ってしまい】
【チラチラとその粒子が動き回り、焦点をなかなか合わせることが出来ない】
【これには焦りを──もとい怒りを感じたのであろう。黒い霧は、その生成速度を増している】


>>859

【突如鳴り響いた炸薬の音に驚き、そちらを向く】
【回避の途中であったために、その弾丸は命中することもなかったのだが】
【やはり弾丸の出処は気になる。女はそれが射出されたであろう方向を向いて】


「おい、そこに隠れてるんじゃなくてよォ……。遊ぼうぜ」


【意識が三人に撹乱すれば、集中力もなかなか継続ができない】
【苛つけば苛つくほど、黒い霧は生成の勢いを増す。衝撃が一度与えられるだけで、危険を伴う空間に作り変えつつある】
【──この空間が霧で覆われる前に、誰かが霧へと衝撃を与えなければならない】
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 16:36:07.07 ID:F2D3FEBJo
>>856>>860>>861

【高音が薙いだ、放たれる衝撃波に彼女の身体が吹き飛んだ】
【風に吹かれる花弁とは言い得て妙で、ふらりと空中を泳ぐ】
【唇の端から漏れる吐息、相当な衝撃が内臓に負荷をかけるのだろう】


っ……あぅ──!! 中々やってくれます……ねっ!!
そこに加えて上からも下からも、フルコースですか
幾ら技術があればこんな真似できるんですか、里の術師にも居ませんでしたよっ

しょーちゃんとも一人、せーのでジャンプね! いったいの流すから
あーもう勿体無い! こんな早くに使っちゃうなんて……!
──── 昏遁術式<雷>!!


【再び袂から巻物を出し振り解く、地面へと投げ捨てると屋上一帯に黒い雷がほとばしる】
【閃光が周囲を包み、雷が薙ぎ払う触手へダメージを与えようとする】
【同時にブランルに向けても雷が地面を伝い襲いかかる、仲間の二人>>856>>860にも同様である】

【ジャンプすれば回避は可能だろう、鵺の言葉を聞き逃してなければブランルも出来るだろうが】
【続いて鵺の意識は頭上に向かう、次から次へと来る難所に息つく間がない】


槍避けなんて初歩中の初歩、里なら下忍ですら余裕で出来ますよ──!


【片手一本で逆立ち状態での着地、そのまま両足を閉じて出来るだけ身体を細くする】
【呼吸を整えもう一方の手を地面につける、強く叩いて再び宙返り、針の穴を縫うようにして降り注ぐ槍を回避し】
【ブランルとの距離を再び詰め、着地、袂から取り出すのは再びクナイ】

【まだクナイの間合いではない、激しい運動を終えて大きく息を吐いた】
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 16:42:28.03 ID:xs3qAYcq0
>>858-859

……爆発、ッ、

【刃が爆風に乗って散る。それでも折れたり砕けたりはせずに】
【形を保ったまま少女のもとへ戻って来た。ちらちら、光を反射させながら】

【――その刃が持つ特性は「毒」だった。といっても、いずれ死に至らしめるほどのものではなく】
【傷付けた相手に、多少の不快感――吐き気や頭痛を与える程度のものでしか、ない、が】
【問題は、これで傷つけられれば、傷がつくほどその毒が蓄積されていくことだ】
【どう頑張ったって致命傷にはならない引っかき傷も、重ねられれば無視できないものになる】
【そういった危険性を感じさせるように――傷から、不快感がじんわり広がっていくだろう】

【とはいえ、問題は「黒い霧」だった。これを晴らさなければ近づけないが】
【晴らす際には先程のように爆発が起こるのだろう。ぎり、と歯噛みしていたが――】

【――何処かから響く銃声。そして、視界に入っている少女は光る粉をちらつかせる】
【どちらも「援護」の技だと即座に判断した少女は、次に自分のすべきことを考えて】
【――一秒にも満たない思考時間。自分が「やる」のがきっと正解だと、判断した】


――――私が「やります」ッ、あと、お願いします!!


【判断したならそれと同時、駆ける。離された距離を詰めるように】
【そうして近づけたなら、一歩大きく踏み込んで。繰り出したのは、「突き」の一手】
【見え透いた、大ぶりな攻撃だった。だからこそ、女はそこに集中するだろうと踏んだ】

【黒い霧に切っ先を捻じ込むように、あるいは、その先に居る女の身体にそうするように】
【白銀の刃が光の軌跡を、真っ直ぐに描いて伸ばされる。それから先のことは、あまり考えていない】
【というよりは――「あとの二人」に追撃を託すように。捻じ込んでこじ開けるような太刀筋が、閃いた】
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 16:51:48.07 ID:OhaFjdu80
>>860

「リオシアちゃんッ!?」

【短機関銃での弾幕形成】
【その最中、リオシアが攻撃を受けるのを目にする】
【腹部への、触手の槍による一撃、通常ならば致命傷にもなりかねないが】

「大丈夫……そうだね!」

【リオシアは能力により、それを防いだようだ】
【思っている以上に、彼女の能力は使い勝手のいい物の様だ】

>>855

「鵺ちゃんッ!!」

【見れば、前線での近接戦闘を展開する鵺には】
【ブランルが直接魔翌力による衝撃波を放っている】
【だが、現状……鵺への援護防御の行動は取れずに、歯痒くそれを目にするだけとなる】

>>861

「――っくッ」

【意外な事に、ブランルはその返答に納得した様子だった】
【だが、その余裕が、その言動が、より少女の神経を逆撫でしたことは言うまでもない】

「なんてッ」
「器用な……」

【ゴム膜の様に、こちらの銃弾を全て受け切り】
【そして弾き返してくる】
【単純な直線運動ならば、とその射線軸から外れようと走っての回避を試みる】
【そして>>860リオシアの側へ】
【再び、ブランルを睨むと】

「――ッ!!??」
「これはッ!?」

【上方からの触手での槍】
【咄嗟に上方へ短機関銃を向けて再びフルオート射撃を開始】
【狙いは上方触手、全てへの迎撃】
【そして同時に、術式を構成】
【背中に刺青の様に浸食された、古代文字で構成された魔法陣が】
【赤く光を放つ】

「――ッうッ!!」
「――ううッあッ!!」

【因子の浸食の痛みに、思わず声が漏れる】
【ブランルには感じ取れるかも知れない】
【少女のあり得ない量の魔翌力に】
【魔翌力炉クラスの魔翌力、少女に投与された古代オルタネイティヴ叙事詩に記載のある『因子』によるもの】
【次のタイミングがあれば、それの展開を開始するだろう】 
【だが……】

「鵺、ちゃんッ!?」
「解った、ありがとう!」

【ここで>>863鵺から指示が来る】
【ジャンプ、と】

「リオシアちゃんごめん!」

【リオシアを抱える様に抱いて】
【鵺の指示でタイミングを合わせて、跳躍する】
866 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 16:53:12.59 ID:TnR5Tl2H0
>>862

――――っ、ぐ――――!
(あの霧――――爆発の媒介!? 何て事――――敵を軽々に近づかせないための仕込み、爆弾を体に括り付けているも同然って事なんだ――――!)

【予想以上に奥まで響いた斬撃の跡を気にしながら、ラベンダーは体勢を立て直す】
【――――この状況では、転倒などしてダウンしてしまうと、挽回が難しくなりかねない。余計な被弾は、なお一層に気を付けた方が良い】
【そうして気を張っているところに、>>857による黒い霧の爆発。ようやく正体を理解した】
【これでは、接近戦は一方的な敵のレンジになりかねない。まず、この霧への対処を念頭に置く必要があるのだ】

(ならば――――射撃戦は、今のサキュバスか、タートルの出番――――このまま、その霧を晴らさせてやる)

【この場合、理想的なのは敵の霧に対処しつつ、遠距離から堅実な牽制を仕掛けられる抑え手がいる事だ】
【その役割は、自分が最適なのだろうとラベンダーは再検討する。遠距離攻撃と言うなら、ギガンテス、タートル、サキュバスの3形態が得意だが】
【しかし、ギガンテスとタートルには機動性に難がある。なら、耐久力に難があろうとも、サキュバスの姿でいるべきだと】
【『フェアリー・ダスト』の目くらましが上手く決まった女相手に、次の一手を模索する】

(ならばやる事は1つ――――マジシャンの如く、火炎を叩き込む――――!)

【魔力運用の自由度の高さが、サキュバスの身上だ。それを用いて、黒い霧と本体への同時対処を敢行する】
【――――両手に、3発ずつ、合計6発の火炎弾を生成すると、それを女目がけて投射する】
【恐らく大半は、黒い霧の爆発に阻まれるだろう。だがそれは、相手を消費させる事と同義であり。また、本体へと命中させられれば、当然に火炎のダメージが期待できる】

【――――状況的に、3対1の、数の優位を旨く活用できている。即席のメンバーだが、このまま崩れなければ行ける。静かに瞳は研ぎ澄まされて――――】

>>859

(あっちは――――徹底的に、陰に徹して攪乱をしてくれる気ですか――――なら、その役目も頼みます――――!)

【初めてその存在は、女への敵意を明確にした。半ば不安だったが、間違いなく此方も友軍――――そして狙いは、徹底した牽制で、敵のペースを乱す事】
【なら、それだけで自分と>>864の動きが良くなる。どうか捉えられない様にと祈りつつ、それをさせないためにも、自分たちがうまく立ち回らなければならないと腹を決める】

>>864

――――気を付けて!

【霧を振り払い、本体へといくつかでも届けんとした攻撃を放って、その間隙を縫うように突撃した少女に、ラベンダーは一言だけ声を向ける】
【――――互いに知らないのだろう。かつて、同じく『Justice』に所縁を持つ事を。だが、その事実は今はどうでも良い】
【有効打が入れば、追撃になる――――接近する以上、気を付けろ、と――――】
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 17:04:00.12 ID:GreR3xvM0
>>862

【敵の黒いあの霧か、煙は――アクティブな防衛装置のように辺りに烟っていた】
【そしてそれはどんどんと広がる。となれば…ここら一帯が吹き飛ぶ可能性は想像しやすい】

【探偵は一歩引いて、その現場を見れる立場に居たから、そういうイメージをする余裕があった】
【ともかく、あれをどうにかしなければ。敵自体への攻撃も難しい…】

【偶々、居合わせた味方…というより共闘者を彼は次に観察する。探偵はそのサングラスで隠れた】
【眼こそが、最大の能力だ。赤黒い景色の中で、止まってしまったかのような時間の中で真実を視る】

【敵味方、入り乱れた中で再度また拳銃を構える。―――それぐらいは眼が聞いているうちは造作もない】


>>864

【だが探偵は突撃していく少女を見れば、引き金を引くことに躊躇した。あの距離で、爆発を浴びれば】
【彼女にダメージが行ってしまう。だが―――それでも彼女は突っ込んでいく。自らの痛みを厭わないかのように】

>>866

【だがもうひとりはそれすら厭わない。敵を討つ。その意志にはプロフェッショナルを感じる。躊躇はない――正しい選択だ】

【探偵は合わせて。全体のリズムに乗って。敵に向かって、2丁拳銃を撃ち鳴らした。バラついた弾はあてるというより敵の行動を制限するように】
【枠を作って、彼女ら2人の攻撃の隙間を埋めて、一個の強靭な戦略に変えていく弾丸――――!!】
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 17:04:51.86 ID:OSma5drH0
>>861
>>863
>>865

【銃弾は異形に命中したが、動かない】

うぁ、すごい血が出た……けどそれだけ?
あの変な台の上にある銃を守ってる……?
なら、あの銃を取っちゃえば……?

【考えていたところにブランルの同時攻撃】
【上方からの攻撃は、近くに来た翔子の迎撃で防がれたが】

えっ……なにっ?
どうしたの翔子ちゃん?別の場所から攻撃!?
なんか背中が光ってない!?

【痛そうな声を漏らした翔子を見て、何か攻撃を受けてしまったのかと勘ぐるが】
【その時、鵺の声が聞こえ、直後に術式が来る】

じゃんぷ、せーの!でジャンプ!わかった!
えっと、あれ?せーのっていつ?
わわっ

【とっさの指示に混乱したところ、翔子に抱えられて回避】

あ、ありがとう翔子ちゃん、じゃなくて那須曹長殿。怪我したのかと思ったけど一応平気そう、かな?
ねえ、あの変な台の銃、絶対なにかあると思うんだけど……
わたしが奪いに行ってもいい?……でありますか?

【ちぐはぐな口調で祭壇の銃を指し、曹長に意見具申した】


869 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 17:12:40.43 ID:2LjxeR6Yo
>>863

【黒い雷撃が屋上一帯を疾走。暴れ狂う触手にその紫電が絡みつく。だがその動きが阻害されることはなかった】
【黒衣の男の表面を紫電が走り、膨大な熱量がその皮膚を焼き焦がす。異臭が周囲に立ち込め、全身から煙があがる。それらが風で押し流されていった】
【触手は跳躍した鵺の真下を通過。その後、降り注ぐ槍の雨が掠めていく。槍が床に激突。破砕音を響かせる。触手が軟化して素早く影の中へと戻されていく】


んん、電流はやはり独特の痛みがあるな
臓腑さえ一瞬にして焼かれるこの感覚は他では得られない味わいがある

さて、次は何をしてくれる?
生憎だが、私はこれぐらいでは死なんぞ


【男は平然と佇んだままだった。手が黒衣を払い、紫電を散らせる。常人であれば間違いなく絶命している一撃にも関わらず、ブランルは微笑んでさえいた】
【手が掲げられ、指が鳴らされる。一筋の紫電が迸る。宙を駆け巡り鵺へと向かっていく】

>>865>>868

…………この感覚は
全く、力さえつければいいというものでも、ないのだがな
まともな師のいない術師はこれだから困る


【戦いの最中だというのに、場違いな嘆息が魔術師の口から溢れた。声には呆れるような感情があった】
【男の脳裏には要因が一つ、思い浮かぶ。魔力を増大させる研究をしている女科学者が一人いたはずだ】
【笑みが浮かぶ。面白い獲物を見つけたと言わんばかりの笑みが】


なるほど。だとするならば、研究に協力してやるのも一興か


【指先が踊り、翔子の頭上で異変。空間がねじ曲がり、小規模の爆発が生じる。わざわざ魔術による攻撃に切り替えていた】

>>863>>865>>868

【拳をつくり、側面で宙を打ち付ける動作をする。空中に波紋。ブランルの前方から鵺たちへと広大な衝撃波が発生する】
【地上、空中共にその範囲内。相応の重みのある攻撃だが、先ほど、鵺に対して行ったものよりはいくらか軽い】
【防御態勢を整えればダメージの軽減は容易だが、空中にいる翔子とリオシアにそれは可能か】
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 17:16:29.56 ID:F2D3FEBJo
【ブランル達のいる屋上へ異変を駆けつけ立ち入ったなら、ブランル達と貴方達の前に火の壁が出現するだろう】
【まるで分断するかの様な壁であった、視線を向けてみれば、火の壁を背後に立つ人影が一つ】

【萌葱色の長い髪に病的な白さの肌、檸檬色の双眸は切れ長の面持ちを耽美に飾る】
【黒いトーク帽に黒いヴェール、肩を大きく露出させた黒のナイトドレス】
【黒のニーソックスとハイヒールを履いた少女であった】


太陽に焦がれた青年は、蝋細工の翼を焼かれ地に落ちました
愛を求めた歌姫は、声を失い泡となる
──総てはそうある通り、美しいものに触れるには代償が居るのです

矮小な皆様にはブランル様の考えは分からないのです、燕雀が如何して、鴻鵠の意思を組めるのでしょうか
貴方がたは禁忌を犯しました、聖域に立ち入る禁忌を
それならば焼かれて死ぬのが相応しい、古代人の野蛮人の風習に合わせて

罪人は火炙りと、決まっていますが故──

────"Freak Kitchen"────


【少女が手を伸ばす、滴り落ちる血液はポタリと指先から地面へ】
【背後の火の壁が消え、少女の手元に集中していく】
【それはまるで人型のように形作っていくだろう】
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 17:17:14.57 ID:jUMWZMX7o
>>864

【傷口から、なんとも言えない不快感が湧き出してくるのを感じる】
【まるで弱い毒にでも浸されているかのような──それにも苛立ちを覚えて】
【黒刀の柄を握り直せば、中段に構えて相手の出方を伺う】


【「やります」、という少女の声に女は反応して】
【なおも黒い煙は生成され続け、徐々に姿が霞んできた頃でもあったが】
【黒い霧を晴らそうとしているのだろう、目的は当然ながらわかっていた】


   「振りが大きいなァ────仲間を思って、か」


【見え透いた、大振りな攻撃。捻り込まれた刃の切っ先は、確かに粒子を捉えた】
【バン、バンと先ほどよりも規模が大きな爆発が2つ。まるで彼女の刃を押し返そうとしているかのようで】
【──そして、女がその隙を逃すはずもなかった。爆発で押し返された身体を、急加速させて彼女の方へと向かう】
【相変わらず視界には光がちらついていたが、音は視界以上にガイドをしてくれていたから】


>>866

【しかしながら、その苛立ちはこの状況において自身を劣位に置く感情であった】
【一人に集中すれば、他の二人からやられると──理解しつつも、失念していた】
【背後のラベンダァイスの行動に目を向けぬままだったために、火炎弾の音に気づいた頃には────】


「熱ッ────!!」


【爆発により4、5個は巻き込まれて消えてしまった】
【しかし、1個だけは爆発に巻き込まれず女の方へと向かっていく】
【黒留袖の裾に着火し、その炎が広がって女の身体を焼いていく】

【消えたのは数秒後、大凡女の右足と腰に火傷を負わせた後だった】
【位置も三者の中央という最悪な場所に陣取ってしまった。それに気づくも】
【薄ら笑いを浮かべて、ゆらゆらと立っていた。──その表情は狂気と怒り、悦楽に染まっているのが分かるだろうか】

>>867

【放たれた銃弾は、着火した炎の処理に追われていた身体に2発命中して】
【それぞれが左の手首、右足の甲を貫通。立ち上がるときも、一瞬だけ崩れかけて】
【それでも、嗤っていた。その表情に、狂気をまとわせて嗤っていた────】

>>ALL

「はっ……ははっ……。いい加減ムカついてきやがった」
「お前らを甘く見てた私の失態だなァ……。だからよォ……」


【黒い霧が、女の持つ黒刀へと纏わりついていく】
【破壊力の顕現ともいえる刀に、霧が纏わりつけばどうなるのか】
【立ち止まったこの瞬間が好機だと、思うのかもしれなかったが────】


        「お 前 ら 全 員 、 生 き て 返 さ ね ェ わ」


【コンクリートの床に、思い切り刃を突き立てる】
【ビシ、ビシと徐々に罅がフロアに広がっていき────】
【纏わりついた黒い霧が、爆発した。黒刀諸共巻き込んで、フロアの床を崩し去る】

【女は下階のデスクの上に着地し、三人の落下を待つ】
【その目に、口元に余裕は消えていた。三人を殲滅するという意志に囚われ】
【ブゥン、と黒刀を生成して振り下ろす。──斬撃が、確かに壁面へ刻まれた】
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 17:26:48.67 ID:F2D3FEBJo
>>865>>868>>869

【うげっ、と小さく唸った──彼女の電撃は本来彼女のものではない】
【巻物に書かれた術式をそのまま使っているだけである、故に乱発はできない】
【冷たい汗が滴った、目の前の相手は単なる能力者ではない、と】

【刹那、紫電が彼女を貫いた、苦悶の声が漏れ、体勢を崩す】


っあああああ──!! っぎぃ……!! がぁっ──
痛いっ……痛いよっ──んぅ、でも、でも……!!
こんなの、あれに比べたら、全然っ……痛くない、もんっ……!!


【唇の端を噛み、ブランルを見据える、ふらりと身体が揺れて】
【視界が僅かに霞んだ、思い出すのは昔日の痛み】
【疼く右の手、未だ感じる痛みに迷いを思ったが】

【再びはしる衝撃、先程までの様に飛び交う回避は無理だろう】


──全ては影に、帰るのです……っ

昏遁制御開放術式
"Sonata Arctica"

昏遁術式──夜行"Nightfall"


【鵺の身体が床に溶ける、そのまま姿を消し衝撃波を回避した】
【ブランルなら分かるだろう、最初に出現したのと同じ原理だ、それならば】
【またどこかの地面から出現するはず、と】
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 17:27:55.55 ID:xs3qAYcq0
>>866-867 >>871

【押し返されたなら、少女の腕は容易に打ち上げられた】
【当然のことだ、見るからにひ弱そうな細い腕。力で追い詰められれば為す術もない】
【だからこその毒だった。少しずつ少しずつ弱らせて、最後の一撃を確実に打ち込むための――】

【押し返された体は後ろに傾き、しかし倒れ込んでしまわないように蹈鞴を踏んで】
【なんとか持ちこたえた、その先に見えた敵の姿。止まっている、好機だと思った】
【体勢を整え直して再びかける。追撃を狙うその眸に、狂気の笑みは見えていなかった――】


【 「気を付けて」というラベンダーの声が耳に入った。それに対して 】
【 「ええ、あなたこそ」と返す声は――爆風に呑まれて消えてしまう 】


――――――きゃあ、あああぁあっ!?


【轟、と。地面から伝わる衝撃、崩れていくフローリング】
【落とし穴にでも嵌ったみたいに、否応なしに崩される体制。どう足掻いたって落ち着けない】
【せめて着地を綺麗にしようと意識して、中空で身体を捻るも――どうも上手くいかない】
【空中戦の心得なんてほとんどないのだ。少女の軽い躰は階下のデスク、上に置かれているパソコンに激突して】
【よろけて――ついに倒れた。やばいと感じたときには、もう、遅い――】
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/29(日) 17:31:56.60 ID:aTfVzhQXO
【────刺すような、酷く冷たい風が街に流れた。その風が残していくのは死だった】
【異形たちに、氷の慈悲が降り注ぐ。ある者は氷に包まれ、ある者は氷の杭に貫かれ】
【そして風は、怪異の元凶たるビルに向けて疾って行く。その風に、意思があるかのようだった】
【やがて風は件のビル屋上へと辿り着く。ひゅう────強く強く、冷たい風が吹く】


>>870

【風の中から降り立ったのは白い女だった。雪と氷を人のカタチにしたかのような】
【白い髪に白い衣裳。氷の翼を背に負った、白よりも冷たい女】
【だが彼女の目だけは──冷気に魂を込めたかのような蒼さがあった。その視線は、絶対零度】
【結晶を模したかのような服の裾が、凍てつく風にたなびく。「あぁ」とため息が零れる】
【凍えるような声だった。そこに温もりと呼べるものは、一切感じられず】


そう…………あの男をどうにかするためにはまずは貴女をどうにかしなくてはいけないのね
分かりやすくっていい話ね。少し熱いのが、玉に瑕だけれど────

────それにしてもおかしな話。魔女が自分を炙る焔を焚くだなんて
でも…………そうね。罪は須らく滅びるべきだわ。そればっかりは、同意してあげる────


【彼女の足元に、霜が降りる。異能にせよ魔術にせよ、何を得意としているかは一目瞭然であった】
【きィん────大気が張り裂けるような音とともに、女の周囲にある水分が凝集】
【やがてそれは大剣ほどもある幾つもの“杭”となって、“魔女”に放たれる────!】

/よろしくお願いしますっ
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/29(日) 17:34:53.32 ID:4RX6jkk00
>>870

「――ごめん、遅れたっ!」

【その戦場と化した屋上に降り立ったのは、1匹の龍だった。背中に一対の翼を持った東洋系の龍】
【長さ約5m、赤い身体に、黄色の腹部、黒色の爪や頭部から生える2本のツノ】
【3つの鉢巻はしっかりと装備されていて、分身の模様の面影、マグマのように朱色で軽く光るそれもある】

「しかし酷い有様だね。こういうのはどっかのクソ悪魔の世界だけでお腹いっぱいだよ」
「いや、あの世界はある意味平和か。……ある意味、だけど」

【そして、彼はブランルに向けて――火炎を吐いた。けれども、それは火の壁によって阻まれて】
【感じた気配の主の方に視線を向ければ、そこにあったのは少女の姿】

「――で、彼を斬ることは君が許さない、ってわけね」
「じゃあ、話は簡単だよ。……アクア・E・クリスタル!」

【彼の姿が変化し、透き通ったエメラルドグリーン色の結晶で構成された身体で、150cm程の人型となる】
【金色の眼を持ち、全身には薄水色で淡く光る分身のような模様が有って】
【心臓部には、金色のコアの様なモノがうっすらと見える】

【そして、彼は右手から3つの結晶の弾丸を生成し、相手に向けて飛ばす】
【その結晶は水属性を持っており、もし破壊すれば水が吹き出すだろう。……が、本当に吹き出すだけである。水風船が破裂した時と同じだ】
876 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 17:38:38.35 ID:TnR5Tl2H0
>>871

――――爆発魔なら、焼け死ぬのに抵抗はないでしょう――――?

【放った火炎は、1発だけとはいえ敵を捉えた。すっとラベンダーの瞳が細まる。後は、順次追撃を掛けて、絶命させてしまえばいい】
【もう3発も浴びせれば、間違いなく火だるまだ――――再び魔力を行使しようとして】

く――――これは――――

【女の様子が変わる。刀に纏われた黒い霧。そして床を粉砕する力――――不味い。敵の狙いは、すぐに了解された】
【程なくしてそれは訪れる――――崩壊。下のフロアへと続く、歪な吹き抜けの完成だ】
【咄嗟にラベンダーは、背中の翼を羽ばたかせる。このまま墜落しては、落下で無用なダメージを負う事になってしまう】
【ゆっくりと降下する――――機動力を優先したがゆえに、空中戦に対応できる姿でいた事が、ここで幸いした格好だ】

――――ッ、不味い――――!

【しかし、状況は良くはない。残る2人の仲間が、それに対応できるとは限らないのだ、否――――現に、>>873は対応しきれず、姿勢を崩してしまった】
【そして、それを敵が狙うのは明白――――追撃の為に保持していた火球3発を、女へと向けて見舞う】
【と言うより――――狙いは少々ずれている。>>873へと追撃させないように、誘導の意図を込めた発射だ――――だが、咄嗟の事で、その狙いも若干怪しい】
【真っ先に狙われたりすれば、危険な状態になりかねない――――】

(――――――――分かりました。あらゆる意味で――――出し惜しみを、している場合ではない――――)

【跳ね上げかけた心臓の中に、逆に――――嫌に冷えていく自分がいるのを、ラベンダーは自覚していた】

>>873>>867

っく、2人は――――ッ

【こうなっては、状況は分からないが――――上手く対応できたのは、自分が特殊だという自覚がラベンダーにある】
【何とか被害を最小で抑えていてくれればいいのだが――――ラベンダーには、祈る事しかできない】
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 17:40:01.53 ID:OhaFjdu80
>>863>>868>>869

「っく……」
「間に合ええええぇッ!!」

【跳躍、鵺の雷撃の回避を兼ね備えた行動だったが】
【思いの他状況は都合の良く展開出来るかもしれない、と】
【ジャンプの最高度に達した瞬間に、術式展開――『Memory of Glass Syndrome』】
【それは優しい硝子の記憶、プラチナブロンドの夢】
【イメージするのは、常に最強の少女(じぶん)】
【巨大な魔翌力による氷の翼】
【それを自分の背中の、その赤く光る魔法陣を中心に構成、展開する】
【リオシア、と自分を包むようにして、爆発と、直後の衝撃波からの防御を企てる】
【日の光を反射する氷の翼は、キラキラと輝いて……】
【やがて、地上に降り立ったなら、リオシアにこう答えるだろう】

「解った、リオシア二等水兵、あの銃を奪還、祭壇を破壊せよ!」
「擲弾筒で周囲の敵を排除、後は是を……」

【自分の弾帯から水筒を抜き取り、リオシアに渡して】
【氷の羽が周囲に舞う中、再びブランルに向き直り、睨みつける】
【彼はどうやら、赤崎とその研究である因子の事は、知っている様子だった】

「私は、貴方を許さないッ!!」

【周囲を舞う氷の羽に、魔翌力を通す】
【氷の羽は無数に、かつ広めの方位から、ブランルに目がけて刃か槍の様に殺到するだろう】
【これは、鵺への援護にも成り得るだろうか?】
【純粋な水属性魔翌力の弾丸だ、果たして……】

878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 17:49:35.45 ID:GreR3xvM0
>>871

【撃ち放った弾丸は、味方の間を縫って、敵を捉えた。彼の握りしめる美しい魔銃の弾丸は彼の血と、意志】
【当たったと銃が答えてくれる。 探偵はこの即席の共闘者との連係に確かな何かを感じていた】

【だがそれはすぐに裏切られることになる。】
【不敵な笑みが、狂気が空気を伝ってこの雰囲気に飲み込まれそうになる。正気が飲み込まれて意識が遅れる】
【探偵は――気付いた。だが遅い】

クソッ!!来るぞっ…!!

【失うバランス。舞い上がる砂埃、コンクリートは砕かれ、鉄筋がひしゃげる。割れたタイルと、意味のない書類の紙が舞い上がる】
【探偵はその瞬間に時間を止める。実際に止めたわけじゃない。彼の思考だけが限りなく時間の流れが遅く感じるぐらいに疾く駆け巡っていた】

―――何処に、落ちりゃ…

【探偵の眼は、視える。自分の手、拳銃。そして、突き出た鉄骨、コンクリートブロック――なんとか、なにもない場所があった。そこにめがけて】

――――ッッ!!…なんつーざまだ。

【痛みは背中に感じていたが、折れてるわけじゃない。歯を噛みしめれば、堪えきれる。――どうなってる?探偵は“視”回す】

>>873 >>876

…ハハッ、飛べるやつはいいな。俺も、そういう力が欲しかったよ。

【飛べるやつはいいな。最初に目についたから、つぶやいた。別に聴こえなくてもいい】
【だが、もうひとりはあまり良くない状況だ。――なら、やり方を変えよう。俺の仕事はお嬢さん方を守ることだ】
【手段は問わない。遠距離から陽動するのもありだが――――最前線で撃ちまくるのもありだろ?】

手荒な真似するんじゃねえよ。――なあ、次は、俺と遊ぼうか

【ロッソは、敵に向かう。2丁拳銃を握り直して、撃ちまくりながら敵に向かって、真っ直ぐ向かっていく。】
【馬鹿げてる?構いやしないだろう。ヒーローにはなる気はないが、ほんの一瞬ぐらいなら悪くないじゃないか】
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 17:58:03.86 ID:pSVc3jAT0
>>870
【からん、ころん】
【乾いた木の音は、血の気漂い騒然とする屋上に何故だか良く響く】
【高下駄は人血を引き摺りながら、一定のリズムで踏み鳴らす】

――――あーあー、首突っ込みたくねぇなあ。

【袂に右手を突っ込んだまま、男は屋上の扉からぬるりと入ってくる】
【白黒だがやけに派手な柄の着流しをぱっぱと払い、砂埃を落として咳をひとつ】
【眼前には陣旗のようにそそり立つ炎。その手前にはどす黒い女】
【他にもぞろぞろと異能の者共が現れているが、他が火の壁と向かい合っている以上、なんとかすべきはあの女で間違いない】

よく分からんが助太刀するぞ。こんなとこでのうのうと寝たり逃げたりできるほど、真人間らしくはないわ。

【するりと袂から引き抜いた長い紙を、唇に挟んで破り捨てる】
【血の香の多かった周囲に、墨の臭いを振り撒く。もっとも、破るだけでそれ程に薫る墨汁などはない】
【つまりそれはチカラの副作用を示し、男の周囲には音もなく二匹の狼が現れる】

いいか、さっき描いたばっかだぞ。無駄にしてくれるなよ。

【手元でなにかを繰っている女に、それを差し向ける。先程にはなかった遠吠えと共に、女の喉笛を噛み千切らんと熱り立って】
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 17:58:50.38 ID:pSVc3jAT0
>>879
/新規のヒガサです。遅ればせながらよろしくお願いします
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 17:59:12.44 ID:OSma5drH0
>>869
>>872
>>877

わぁあっ!?

【翔子に抱えられたまま、顕現した「氷の翼」に包まれる】
【衝撃波と爆風を防ぎながら、輝き、2人を守り】

綺麗……

【翔子の能力を初めて目の辺りにし、口から言葉が漏れる】
【そして地に降り立ち、曹長からの指示が下った】

了解!!

【勢いよく答え、擲弾筒を構える】
【祭壇の前、異形の物がいる場所に着弾させるべく、グレネード弾を一発放ち】
【同時に、弾着を確認することなく走り出す】
【ブランルの相手は翔子と鵺に任せ、自分は今できることに集中――】

どけぇっ!

【異形を払い除け、祭壇の銃を奪うつもりだ】
【一気に祭壇まで近づき、銃の元へ突進する――】

882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 18:02:29.65 ID:jUMWZMX7o
>>873

【階上から落ちてくる少女の姿を捉えた女は、素早く行動する】
【先程ラベンダァイスが彼女に声を掛けていた。交友関係があるのではないかと踏んで】
【──人質。せこい手段だと思ったが、この場では至って有効だろうと】

【何も言葉を発することなく、黒刀を右手にしたまま転落した少女の方へ跳ぶ】
【デスクの下に転んだ彼女からみれば、おそらく女の表情を見ることができるだろう】
【無、圧倒的な無。そこに大凡表情と呼べるものはなく、狂気を感じるのみ──】

>>876

【そういえば、彼女には翼という手段があった】
【忌々しい光の粒子を放つそれを用いれば、軟着陸も可能だろうと】
【しかし、弱点もあることに気づいた。ブースターの類と違って、着地までに時間がかかること】

【それまでに、落ちてきた奴を質に取ればいい。とんでもない思考だったが】
【それを肯定/否定する暇もなく、女は少女の方へと飛びついていた】
【彼女が火炎弾を三発放つが、ろくに此方へ届いたのは2発。黒刀を横に一閃して、それらを衝撃波で消し去るだろう】


「おいお前、俺がこいつを人質に取るって言ったらどうする──?」


【表情もなく、余裕を浮かべることもなく──狂気だけを纏わせて彼女の方を向く】
【少女が咄嗟に逃げなければ、転倒している彼女の首根っこを左手で掴み、ぐっと上に引き上げる】
【その表情がラベンダァイスに見えるように向きを変えつつ、右手に掴んだ黒刀の刃は少女の首に充てがわれる筈だ】

>>878

「──こっちは手荒な真似をしてでも、あの男を護るように言われてんだよ」


【口の中を噛んだのか、吐いた唾は血混じりなものだった】
【コンクリート片が巻き上げた煙だけでなく、徐々に、徐々に黒い霧が再び現れ始めた】
*【銃声が聞こえれば、少女を手放して腹部を横に浅く一閃してから回避を始める】*

【反応が遅くなったために脇腹にも一発もらったが、壁を蹴ったり宙返りするなど】
【アクロバットに回避をする。背後に居る少女二人に、誤射することを狙っているのか】
【射線の奥に、二人が居るように工夫をして立ち回っていた】

// *で囲まれた行は、>>876へのレスで首根っこ掴まれたときだけ処理してください……!
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 18:04:19.35 ID:F2D3FEBJo
>>874

【低温が指し示すのは痛みではなく終演であった。──其れが道理】
【絶対零度の極音の中では、全てが静止し形を止める、さながら剥製のよう】
【斯くの如く美しかった、"魔女"は僅かに目を細め、現れた女性を見やった】

……聡明な婦人は嫌いではございません、それ故に私は不思議に思うのです
今の貴方の行いはその聡明さから逸脱している、と
ええ、かまいません、物語の最後に魔女は焼かれるのです

────これは彼の初演、前奏曲にふさわしい悲鳴の坩堝
それならば必要なのは犠牲、白昼夢が如き試演なのですから
冷たい御婦人、せめてその美しい姿のまま焼いて差し上げます

【手元の紅蓮が二つに分かれる、一つは放たれた杭に向けて巻き付くだろう】
【貴方ならば見えるだろうか、巻き付いた炎は浸食するように杭をかき消していく】
【単なる炎ではない、と一見しても分かる、それならばどのようなものか】

【炎は魔力を飲み込む形で杭をかき消しながらも、女へと向かっていくだろう】
【大きさは人一人を飲み込むには十分な程、速度は幸いにも緩慢で、回避は難しくない】
【近くでよけたならば、その炎の内側に、微かな声がしていると分かるだろう】

>>875

【魔女は竜を見た、人へと変わるその課程を見た────嗚呼と嘆息して】
【調べたいと思う、その根源に触れたいと思う、確実にこの世界とも違う体系の技術】
【その頭蓋を割いて髄液をすすり、骨の一片たりとも残さず辿りたいと、すら】

無論です、私でさえ触れる事をためらう彼に刃を向けるなど、どういう考えでいらっしゃって?
彼の指先はマエストロ、描く旋律の一葉一葉が、私の心の奥に染み込んでいくのです
ですから彼には余計な負担をかけさせたくない、其れが私の存在理由です

おわかりですか、下品な龍よ────傅く相手を見間違えてはならない、と

【二つに分けたもう一つの炎が弾丸を飲み込む、おそらく水は噴き出さないだろう】
【彼女の炎は物理的な火ではなく特殊な魔術的な火であった、単純な水属性ならばかき消える】
【より強い魔力がこもっていれば水が噴き出すだろう、が】

【此方は弾丸をかき消したなら火は消失する、後に残るのは大量の灰であった】
【やがて灰が風に満ちて人型になった貴方へと向かう、するり、と重さを感じさせず】
【近くに寄ったなら、灰が荒縄へと変化し、鞭のように勢いよく叩きつけられるだろう】

【狙いは貴方の顔面である、直撃したならかなりの痛みがはしるだろう】

>>879

【彼女はもう一人の侵入者を見据える、檸檬色の双眸が静かに注がれるだろう】
【派手な着流しを着た男であった、傾者よりもまだ派手な色合いを滲ませて】
【奇妙な術式であった、紙を破り捨てる姿は些か色気に満ちた光景で】

ふふ、可愛らしい技をお使いになられるのですね、見た目とは裏腹に御座いましょう
真人間ならば、戦うか逃げるか従うか、どれが正しいか、正しく判断できるのでは
それが出来ないのであれば、それはもはや愚かと表現するしか御座いません

駄犬が近づかないでくださいませ、私の肉の一片も、全てブランル様のもの
それであるのなら、私に触れるのはブランル様に触れるが同義
消えなさい、生まれてきた事を呪って、そして我が調理場の礎となって

【少女が虚空に術式を描く、出現したのは 藁 であった】
【藁が飛びつくオオカミに絡みつくと、オオカミは急激に身体を小さくしていくだろう】
【まるで魔力を藁に吸収されていくかの様に、何もなければオオカミは消え藁が地面に残るだけとなる】
/続きます
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 18:04:34.08 ID:F2D3FEBJo
>>874>>875>>879

申し遅れました、私は"魔女"──ブランル様の信徒にして、しがなき研究者の一人
貴方達には恨みはございません、ですが、それ以上に罪がございます
美しく気高いブランル様の行いに傷をつけようとしたこと、阻害しようとしたこと

ならば私は第一の信徒として、貴方がたを断罪しなければならないのです
彼が作る美しい世界、そこに皆様は必要ない、とそう申しているのです
お分かりになりませんか、ならば声を大にして言いましょう

────身の程を知れ、矮小な狗めが

【魔女が取り出すのは剃刀、その刃を右の手のひらに突きつけた】
【白い肉を割いて血が零れる、吹き出す其の量は傷口の深さを伝える】
【赤い傷口から骨の様な白が見えた、纏う魔力がより一層濃くなった】
885 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 18:06:28.31 ID:TnR5Tl2H0
/>>882、およびラベンダー側の参加者みなさん、すみません。丁度良く最悪なタイミングで飯です。すぐに行ってきます!orz
886 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 18:10:55.77 ID:2LjxeR6Yo
>>870

────ああ、こうなってしまっては、余計に無様な姿は見せられないな

【独白の声が紡がれる。それは都市を地獄に変えた男が垣間見せる理性と情の音色だった】
【それ以上、声などはかけない。そんなものは不要だった】

>>877


いいな、美しい魔術だ。異性にもてそうだ
さて、許す許さないの話についてだが────


【周囲から殺到した氷の羽が黒衣の男を串刺しにした。一撃ごとに身体が揺さぶられ、鮮血が床に散る】
【首、胸部、肩、腿、腹部、あらゆる箇所を無数の刃が貫いていた。氷の結晶が血で赤黒く染まっていく】
【口から血反吐。唇が血の色に変わる。その上で、なおもこの男は嗤っていた】


話している最中に、無粋なことをするじゃないか
だが翔子、私が死なぬ身体だということを忘れたか?
どうにも、どいつもこいつも誰を相手にしているのか分かっていないらしい

多少は本気でやる必要がありそうだ


【指を鳴らす。肉体を貫いていた無数の羽の全てが一瞬で粉塵と化す。音波を源として結晶内の構造を振動させて破壊していた】
【身体の表面で影が蠢き、欠損を修復していく。数秒も経てば完全に痕が消失する。無限の再生能力が為す反則だった】

>>872


下か。効くかは分からんが、少し手荒にいくとしよう


【足元の床に向けて拳を振り下ろす。床を波紋が広がっていく。コンクリートの内部を衝撃波が伝わっていく】
【表面に対しては足元を揺らす程度の効果しかない。目的は当然、潜り込んだ鵺への打撃攻撃だ】

>>881

【グレネード弾が着弾して爆発。三体の異形が吹き飛ばされる】
【リオシアの前方の床に漆黒の影が現れる。そこから触手が複数本浮き上がり、幕のように広がっていく】
【影の幕が重力に引かれたように落ちていき、降りかかる。捕まれば巻きつかれて動きを止められてしまうだろう】

>>877>>872>>881

目標とすべきものが判明して、少しは戦いらしくなってきたな
もう少し派手にいこうか


【黒衣の男が一歩を踏み出す。足元の影が拡大していき、屋上の床を覆っていく】
【その至るところから無数の触手が現れる。数の暴力、というものを体現するほどの膨大な量だ】


…………まずは、翔子からやるとしよう


【手が翻り、翔子へと向けられる。動きに導かれるように触手の大群が一気に伸長。翔子へと向かっていく】
【動きはそれほど早いわけではないが、質量は膨大。防御は考えない方がいいだろう】
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 18:14:46.12 ID:xs3qAYcq0
>>876 >>878 >>882

【――――ずきずきと。痛みはひどくなる一方だった】
【落下した際に打ち付けた痛み、違う、それではなく】
【右目の――肉を裂いた箇所から花が咲いて、今もじくじくと血を零す傷口が】
【焼けるように痛くて、耐えきれずに一度かぶりを振った。それから前を見直して】

【 自分。刀はなんとか放り出さずに済んだ、握ったまま――最低限の抵抗は出来る 】
【 淡い紫の彼女(>>876)。……そうか彼女には翼があるんだった、守られている、不甲斐ない 】
【 暗躍する銃士(>>878)。せっかく陰にいたのに前に出ていくなんてそんな、……自分がヘマしたせいじゃないか 】

【そんな状態で誰を最初に「やる」かって言われたら――考えなくてもすぐわかる】
【自分でもそうする。ヘマして隙を晒した、一番どんくさそうな奴を最初に、手にかける】
【だから自分の首に手が伸びてきたのも、大凡冷静に見ることが出来た】

【――引っ掴まれた。ろくな抵抗もないまま、捕らえられた――、――否、だ】


おい、はこっちの台詞です、けどっ――だぁれが、黙って人質になってやるって言いました!?


【頭を振る。我武者羅に、そうすれば白い髪が散らばって、女の視界を掻き乱すだろう】
【その際、頸に宛がわれていた刃が薄く喰いこんだが――それも気にしない、肉を斬られる感触も確かにあるのに】
【無視するように。しがみつく、女の黒刀を握る手に。そうして、ただただ運動を阻害する重石になることを選択した】

【それも最後の瞬間、ぱっと手を離されて腹部を斬りつけられれば、ようやくうっと呻いて】
【前につんのめるようにして解放される、それまでの間に、どれだけの妨害が出来ただろう】
【それだけが今の少女にできたことだった、果たして、といった様子で戦局を見守る。痛みに耐えながら――】
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/29(日) 18:20:55.37 ID:F2D3FEBJo
>>877>>881>>886

【内部へと広がる衝撃波、その威力は表面に現れないだろう】
【ちゃぽんと音が跳ねた、一歩踏み出したブランルの背後、出現する名残を見せて】
【プールサイドから顔を上げる寵姫、呼吸の音すらも聞こえぬ一片】


────いいえ、違います、まずは貴方からやられるんです……!
そして貴方がやられたら、もう誰も犠牲にならないで済むんです!
しょーちゃんはやらせません、その身を以て市民の安全を守る

それが『公安』の、あるべき姿なんです、どこかの誰かの狼藉に、汚させてたまるもんですか……っ


【再び袂から取り出す巻物、攻撃に回っている間ならば防御は手薄ではないか、と】
【鵺はそう読む、其の思考は浅く未熟ではあるものの、可能性としてはゼロではない】
【それならばかける意味があった、かける価値など後でどうとでもなる】


私は『公安』で、しょーちゃんたちは『海軍』──そのどれもが、守る為の組織なんです
分かりますか、平和を乱し、人々を苦しめ、秩序を壊す! 貴方達から守るために生まれたんです
それならば、あるべき場所に──帰るのが、筋というものです

昏遁術式<風>────"Halestorm"!!


【巻き上がるのは風、開いた巻物を投げ捨て、背後の貴方へと風を放つ】
【セレンディピターが沈む暴風雨の中でも、小さな嵐を引き起こすだけの風だ】
【彼女の狙いは其の暴風をもって、ブランルを吹き飛ばそうと言う算段】

【直接的な攻撃なら防がれる、ならば間接的にといったところか】
【成功したなら屋上から突き落とせるほどの風量であった】
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/29(日) 18:21:30.53 ID:4RX6jkk00
>>883

「――簡単だよ。悪者は全部消えなければいけないんだ」
「だから、君の考えは僕にはわからないなぁ」

【放った結晶、水属性を利用したのは相手が炎を使っていたからであり】
【相性的に有利だと判断しての行動だった、けれどもそれは間違いだった】

【物理的に破壊されたのであれば水属性のエネルギーが暴発して水を生むはずだったが】
【水を吹き出すこともなく、残されるのは結晶だった大量の灰のみ】
【しかも、それが形を成し己に向けて近づいてくるではないか】

「ただの炎じゃあない、ってことだね……っ」

【警戒している内に人型が荒縄にへと姿を変え叩きつけようとしてきた、その直後に結晶の盾を右腕から生成】
【叩きつけてくる灰をそれで受け止める――衝撃が右腕を伝わり、思わず膝を曲げて逃がしにかかる】

【――正面からの攻撃は厳しいか、ならば周囲を……そう思い確認すれば、見知った顔を見つけて】
【以下の描写は、彼女に対する行動の後に行われる】

【さて、彼は再び相手の方に意識を向けて……そして、相手の両サイドに向けて結晶の柱を飛ばす】
【動かなければ当たることはないその柱、次の瞬間、水のレーザーが吹き出してくる】
【豆腐程度ならば簡単に破壊できるそれで、相手を挟み撃ちにしたのならばどうか――そう思い、彼は行動した】


>>877


「――あっ! 翔子、こんな時にごめん! 例のアレ、ついさっき完成したから持ってきたよ!」

【もしその言葉に彼女が反応すれば、数センチほどの何か――銃のようなそれが入った結晶を1つ生成】
【それを翔子に向けて飛ばすだろう。……当たっても大したダメージにはならない、むしろ掴めば銃を残して崩壊する】
【こんなものを今渡されても……いや、"一時圧縮機能"か。元の大きさにしたいと思えば、実際にそうなる】

【さて、その大体の性能だが……】
【その引き金を引けば、銃口からは魔力のビームが持続的に発せられる】
【ビームの威力や属性に関しては、使用者に大きく左右されるだろう】

【この銃の魔力の供給源……それは、注文通り"己自身"】
【グリップを持つ手を経由し、己の魔力を銃自らが吸い上げてはビームにへと転換する】

「魔力以外の吸い上げ防止策は一応やったけれども、完全じゃないから危険だと思ったら絶対に引き金から指を離してね!」

【引き金の引き具合に応じて吸い上げる量も変わる】
【そのため引き続ければ、魔力が空になるまで延々とそれが行われる……非常に危険な性質】
【しかも、空になった状態で引き続ければ、他のエネルギーを無理矢理吸い上げられる可能性もあるのだ】

【さて、無事に受け渡しに成功するか――それは、まだわからない。】
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 18:32:04.64 ID:GreR3xvM0
>>882

…ハッ、どんな男か知らないが。…つまらない奴だろうな
ビルの上から恐怖の大魔王気取った、1人じゃ大したことも出来ないお坊ちゃんか?

【軽口を叩きながら、敵に狙いを定めつつ、射撃で敵を一箇所にとどまらせない】
>>876と共同して、人質に取られんとした少女から敵を引き剥がす。斬られたところをみて、男は舌打ち】

【未だ撃てど、攻撃は今ひとつだが、目的である敵を回避を優先させることは成功している。体力も無尽蔵ではないだろう】
【三体一、長期戦になれば、体力勝負ならどれほど相手が強くても、後半はスキを生み出せるだろう】

【だがこちらの1人、怪我の度合いは気がかりだ】
【男は敵が>>887に近付こうとしないように、重点的にそのゾーンへ、彼女へ近付こうとした時に限定して彼女を守るように弾幕をばら撒く】
【リボルバーであるのに、リロードするような仕草はここまでない。それは魔銃だから。魔銃は彼の血を糧にしていたからだ】
【とめどない弾幕を放ちながら、彼は>>887のもとへ近付こうとするだろう。うまく行けば、一言声を掛ける】

今は、君を守る。――そこからは、頼む

【しゃがんで、膝を立てて背中越しに、銃声と銃声の合間に一言だけ言う】

【そうやって、行動で示しておけば、もうひとりの共闘者は何をすべきかわかってくれるはずだと男は信じていた】



/食事で30分ほど抜けます…申し訳ないですすみません!
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/29(日) 18:33:27.71 ID:aTfVzhQXO
【突如現れた龍に着流しの男。相手の増援か──そう身構えた直後】
【龍から放たれるブレスに、召喚される狼達。ふ、と白く息を吐く。どうやら彼らは…………“こちら側”の援軍らしい】
【撒き散らされる墨の香に表情を僅かに顰めはしたが──血と炎の臭いよりは、ずっと良かった】


>>883>>884

“魔女”…………よろしくは言わないわ
私はラヴィーナ────“ヴィセリツァ”の、ラヴィーナ・ネージュ

身の程を知るのは貴女の方よ──私はまだ、焼かれるつもりはないの
貴女が見たい世界があるのと同じ…………私にだって、やらなきゃいけないことがあるんだから

(────消され、た?…………それとも、呑み込まれた?)
(…………触らない方が良さそうね。他の二人の攻撃も、同じ感じに呑まれているもの)


【氷杭を呑み込みながら近づいてくる炎を嫌悪する。恐らくアレに闇雲に攻撃したところで】
【無意味に魔力を消費するだけだ。ならば──】

【するりと身を捻り、炎を避ける。炎の中から確かに聞こえたのは────声】
【気に入らなかった。静けさだけが欲しかった。緩やかに進む炎にひゅるりと手を向ける】
【魔力が炎に忍び寄る。夜の帳のように、冷たい氷の力が炎を取り囲む】
【気に入らないというただそれだけの理由で、彼女は魔力を消費する。先程杭に込められた力よりも】
【より多くの力が、炎を包み────凍てつかせようとするのだ】

>>889>>879


────ねぇ、そこの二人
水を生み出すことはできるかしら。溢れるくらい沢山の
それこそ、海みたいに────溺れるくらいに、たくさんの


【彼女の周囲には次々と氷塊が出来上がっていく。氷を司る能力者。そう思っていいだろう】
【──冷たい声で、彼女は二人に向けて呼びかけた。それを受け入れるかは、彼ら次第だ】
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 18:37:32.14 ID:OhaFjdu80
>>875

「ユウトさんッ!?」

【この場に現れたのは、もう一人の味方】
【そしてそれに対峙するもう一人の敵>>883-884だった】
【ユウトから見れば、あり得ない程の魔翌力量を有し】
【巨大な氷の翼を展開し、そして背中に古代文字の魔法陣が光る翔子の姿が見えるだろうか?】

「気を付けて!!この二人、只物じゃないです!!」

【そう大声で注意を促す】
【すると、そこに……】

「ユウトさん!?こ、これって……」

【ユウトから投げ渡されたそれは】
【自身がユウトに注文していた『武器』だった】
【一時圧縮機能により小型化したそれ】
【形状はスナイパーライフルより若干は大きめのサイズ、形状】
【対物狙撃ライフルのそれだろうか】
【長い銃身と、その先端部分につけられた二脚、木造で重厚なグリップとストック】
【大きめのスコープも付いている、まさにイメージ通りの代物】
【流石はユウトとその研究所の作と言える】

「ありがとうございますッ!!!!」

【一先ずはポケットに仕舞込み】
【ここぞと言う、その瞬間に元のサイズに戻し、その真価を発揮させるだろう】

>>872

「鵺ちゃんッ!!大丈夫ッ!?」

【ダメージを受けた様子だった】
【衝撃波は、その能力を駆使して無事だった様だが】
【兎にも角にも、無事に敵を撃退する事が急務】
【様子を伺いつつ、安否を確認する声をかける】

>>881

「リオシアちゃん!」

【リオシアは、見事に攻撃を当てて】
【そして祭壇へと近づくのだろう、だが】

「危ないッ!!!!」

【その直前に、彼女の目の前で展開する、触手の幕】

「能力、能力を使って!!」

【彼女の手持ちの武装では、厳しいかもしれない、と】
【そう声をかけて、あるいは能力ならば、と】

//分割します
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 18:37:44.97 ID:OhaFjdu80
>>886

「異性には、この16年間縁なんて無かったですよッ!!」
「百も承知です、百も承知でやってるんですよ!!」

【予測通り、傷は消えていく】
【ここまでは、予測の通りだ】
【そして、ブランルは攻撃目標をこちらに移した様だ】
【これでいい、鵺やリオシア、他の面々から攻撃の目が外れるならこれでいい】

「行きますよッ!!」

【此方に向かって来る触手の大群】
【術式の構成を行いながら、空中へと飛翔し回避を試みると】
【その空中で、その手に肘から掌を中心に、巨大な、非常に巨大な氷の剣を、刃を構成】

「チェストーッ!!」

【ブランルと周囲の触手目がけて一気に振り下ろさんとする】
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 18:48:54.86 ID:pSVc3jAT0
>>883-884

【縛られた二駆の影なる狼は唸り声を上げながら、藁に抗うように身を捩り牙を立てる】
【だが徐に声は萎み、また体躯も同様。するりと抜けるようにして、陰は影へと戻っていく】

【男は彼女の言葉を聞いたのか。ただぼうっと、狼を対処する女の所作を見て】
【腰に差した白鞘に手をかけて、はあとため息をつく】

ああ、やっぱそうなるか。

【不機嫌そうに呟き、また袂をごそごそと弄り始めた】
【ブランル様とやらにもこの魔女らしきバケモノにも別に興味はない。ただ、そろそろ鬱陶しいのだ】
【ぶらりと訪れた街でぼんやりと絵を描いているだけで、異形に襲われるなぞ御免被る】
【周りには因縁ありげな連中がどんちゃんとやってはいるが、こっちだって虫が好かない理由くらいある】

【魔女は己の血肉など使って、人道に外れた奇術でも使うのだろう。道理で背中を伝う汗が冷えている】

お前に俺の身の程なんて知られてたまるか。
あんたの魂で返せや、俺の魂込めた絵を。

【復た袂から引き出した紙を口で破り捨て、ビル風に流す】
【彼の影から、めしりめしりと黒い苗木が伸びる】
【コンクリートにある筈のない隙間を太い根が埋め、その苗木はみるみると高さを伸ばす】
【その上の枝に腰掛けながら、男は白く濁ったまなこを魔女へと向ける】

あんたを養分に伸びさせてくれってよ。

【それらの枝葉は>>884へと不可思議なスピードで伸びて行き、その身へと辿りつけばその細い身体を締め上げようとする】

……ああ、そうだ。


>>874-875

一応あんたらに協力するつもりだから、こっちには手は出さんでくれよ。
どんな悶着があったかは知らんが、周り見ろよな。

【と、木上から声をかけ、目線を魔女へと戻した】
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 18:49:52.61 ID:OSma5drH0
>>886
>>888
>>892
>>893


弾着確認っ!このままっ!?

【爆発が異形たちを吹き飛ばした――これで祭壇は無防備、そう思った矢先】
【前方から新たな触手が複数襲いかかってくる】

くっ……

【今度は自分を守る味方は近くにいない。強敵と交戦中――しかし】
【「能力を使え」と、翔子の声が、確かに届く】
【戦いながら、尚もこちらを気にしてくれている――近くにいなくても、ひとりじゃない】

翔子ちゃん……うんっ!!そっちも、頑張って!

【足を引っ張るわけにはいかない――心配だが、あちらを手伝うことも出来ない】
【あとは自分の、自分だけの力で、ここを突破するしかない――!】

やぁーー!

【拳銃で一つ一つ撃っていたら間に合わない】
【しかし、幕のように広がった範囲の広い攻撃――引くこともかえって危険か】
【となれば残された手段は……正面突破】
【走りながら右手を強く握り勢いよく影の幕にパンチを叩き込もうとする】
【先程の腹部同様、右腕の水分を金属化させ、硬質化させた重い一撃だ】
【もし突破口が開けたなら――その勢いで祭壇の銃を奪取すべく飛びかかるだろう】
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/29(日) 18:57:07.89 ID:F2D3FEBJo
>>889
【貴方の返事に魔女は端正な眉を顰める、まるでそれが理解できないと示すが如く】
【艶やかに嘆息する、不出来な生徒を見やる教師のそれであった】
【或いは矜持に満ちた教官が、予想外に未熟な教え子を見たかの様に】


貴方にとって悪者とは何をさすのでしょうか、啓蒙はそこから始まります
他者に危害を加える者などと、陳腐な答えを期待しているのではなくて、純粋に尋ねます
ブランル様の行いは、我々下々の衆生をより高度な次元へと導く行いです

──お分かりですか、多くの創造には白痴な人々の嘲笑があります
彼は言ってくださいます、そんなもの無視しろと、ですが、ですが──
私には我慢できないのです、そんな声を彼の耳に入れる事すら


【魔女を取り囲むようにして藁の楯が出現する、水のレーザーを阻害するだろう】
【表面には先ほどの炎と同じ効能があるのか、レーザーを触れた側から消失させていく】
【しかし、勢いが予想以上にあった、楯は勢いを[ピーーー]だけに終わり、彼女の頬に僅かな傷をつける】


……古来より藁は人々の生活と共にありました、苦しいときも病めるときも藁に即して生きたのです
時に彼らは縋るのです、慟哭の思いを、その藁に込めて────
私は魔女、藁で出来た編み細工の魔女、藁に込めた祈りを以て、あなた方の不浄を打ち消すのです

お分かりですか、私の扱う全てが、あなた方を否定しているのです


【先ほど貴方を打ち据えた荒縄が再び意志を持ち這いずる】
【足に絡みつこうとし、成功したならそのまま、持ち上げ、地面に叩きつけようとする】
【乱暴な技であった、落ち着いた言葉の裏に、激情を隠しているが如く】

>>891

【炎は凍てつくだろう、打ち消しの力は強いが、それでも飲み込めない程ではなかった】
【魔女はそれを静かに眺めていた、なるほど、予想以上に勘が鋭い、と】
【──同時に思うのは未熟さ、その魔翌力は使う必要のない魔翌力であったから】


ラヴィーナ様は、やらなきゃいけないことがあるのでしょう
それならばこんな所に来る必要があるのですか、ご自分の任を果たすべき、と
安息を貪って、安寧に枕して、そうして何も知らず死んでいく

──人は其れを幸福というのです、ええ、そうでしょう、全て神のせいにすれば良かった
知ってしまったのです、死後の世界に救いはない、と、死んだら皆が皆、灰になるだけと
科学は全てを否定します、そしてそれこそが、我々科学者の愉悦なのです


【魔女は思考する、なぜ回避したはずの炎を凍らせたのか】
【何かが気に入らなかったのだろう、自身のこの呪われた異形達の巣窟の何かが】
【そうならば答えは簡単だ、より嫌う方向にシフトすれば良いと】


ラヴィーナ様も聞こえたでしょう、藁に込められた怨嗟の声
不幸にも生きた者が、幸運にも死んだ者を呪うのです、それを地獄と言わずとなんと言いましょう
聞こえるのならば耳を傾けて、弱者の声に耳を傾けるのが、自警団の本懐でしょう

存じ上げております、"ヴィセリツァ"──デモ隊の襲撃を前にして、下手人を取り逃がした
失望の声もあったでしょう、落胆の意志も、ああ、彼らは俺たちを守れるのか、だなんて
そんな身勝手で自分勝手で好き勝手な言葉、それでもラヴィーナ様は衆生を守るのですか

>>889からの攻撃を守った藁が灰になる、灰は風に導かれラヴィーナの元へ】
【──声がする、数多の声が、貴方の耳元で囁く、如何様にも形を変えて】
【それは嗚咽であり、苦悶であり、諦念であった、老若男女の声で灰がざわめく】

【灰ごと周囲の空気を凍らせれば直ぐかき消える、しかし、何分広い範囲に散らばった】
【全てを凍り付くそうとすると相応の魔翌力が必要だろうが】
/続きます!
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/29(日) 18:57:24.32 ID:F2D3FEBJo
>>894

【魔女は男の様子に興味を持った、その態度はまるで別であったから】
【信念や意志を持つわけではなく、ひょうひょうとした様子である】
【さながら風に靡く枝垂れた柳、違うのはそれが確かに形取っていること】


……ご冗談を、こんな痩せて絞れた女一人、養分など微塵も御座いません
それに魔女を養分に伸びた葉など恐ろしくて直視も出来ません
故に謹んでお断りさせていただきます、貴方様の魂など、欲していないのです

────私は悪魔では御座いませんのよ


【木上に移動する男、トリッキーな能力だと、魔女は静かに想起する】
【襲いかかる枝葉、一歩引こうとするが、身体能力は低いのかよけきれない】
【右腕を絡め取られるだろう、締め上げられ、嬌声が漏れた】


はっ……あああああっ……うぅ────あぁ……
痛い、とても、身を割くような痛みとは、この事なのですね……
ですから伝えなければ、この痛みを、皆に────


【魔女自身がつけた傷口、木に締め上げられ骨が砕ける、神経を嬲る血の痛み】
【苦悶の声が乱舞する、思わず膝をつくも、右手は骨に絡め取られたまま】
【頬に映るのは────しかして、恍惚の、喜びに近かった】

【魔女の右腕ごと枝葉が燃えるだろうか、勢いの良い炎が枝葉を伝って木を焼こうとする】
【異常な速度であった、傷に比例して力が増しているかの如く】
【ものの数秒で焼け落ちるだろう、それだけの威力の炎だ】
898 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 18:58:26.46 ID:TnR5Tl2H0
>>878

――――「人でなし」故です

【その呟きが耳に入ったのだろう。一言だけラベンダーは返す】
【人でなし――――別に、人品卑しい人間だから、と言う意味ではない。文字通りの意味で「人間では無い」からだ】
【非人に憧れるのは、良い事なのか――――別に、ラベンダー自身、そこに感傷は無い。ただ知らないだろう事実を、補足しただけだ】

>>887>>890

くっ――――おのれ――――ッッ

【牽制は意味をなさずに、>>887の少女は捕らえられてしまった。少女の表情に、歪んだ怒気が宿る】
【――――まただ。また己の無力の故に、仲間が傷つけられる。やはり、躊躇などしてはいけなかった――――】
【しかして――――当然、彼らは抵抗する。ただの人質である事、でくの坊である事を拒絶する――――そうだ、そうでなくてはいけない。それが戦士の選ぶべき選択だ】

>>882

――――――――――――――――

【人質を向けられて、沈黙する。顔には、悔しさの面影こそないが、怒気が――――殺気が、漂い始めて】
【ほんの一瞬、人質と化した>>887が抵抗する。その瞬間を待っていた――――怯む事は無かった。最初から『攻撃』以外の意思を持たず、そのタイミングをずっと計っていたのだ】

ネオ――――『ベルセルク・フォース』!!

【暗い深遠のようなオッドアイの瞳をカッと見開いて、ラベンダーは宣言するように叫んだ――――強烈な光が、その身体から発せられ、その姿が、変わる】

【ラベンダー色の装甲の様な表面に覆われた、太く、寸胴な体型の人型】
【ごつい大きな手を備えた腕には、左右にそれぞれ3枚ずつ、円盤状の刃が備えつけられている】
【機械的な頭部も相まって、まるでSF作品に出てくる宇宙服か潜水服の様な、人型のロボットの様な機械的な姿をしている】

【――――兵器として、真の己を見た、ラベンダーの究極の姿だった。その、もう1段階上の力が、今初めて、実戦で解放される】

【パシュパシュッと軽い炸裂音を響かせ、両腕に備えられていた刃が2枚飛び出し、>>882へ――――丁度>>887>>890を避ける様、カーブして抉り込む様な軌道で撃ち込まれる】
【それはさながら、機械で放たれるチャクラム。仲間を避け、的確に敵のみを切り裂かんと】

ぐっ――――!

>>878の弾丸が、>>882に誘導回避されて、2発命中する。思わず両腕で顔面をカバーして――――この程度は、即席のチームでは仕方がない】
【受けきって――――そして改めて>>882を睨みつける。チャクラムの反撃の成否を待たずに、己の中の衝動を、言葉に乗せる――――】

――――戦うための命を持たない、生まれながらの『兵器』ですらない、人間如きが――――私を舐めるなぁッ!!

/ただいま戻りましたー!
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/29(日) 19:19:45.04 ID:4RX6jkk00
>>891

「――なるほどね。すぐには無理だけれども、善処するよ」

【それ以上は言わなかった、だがそれは彼女の作戦に対する肯定の言葉】
【詳細まで伝わったわけではないが、氷を扱っているとなれば何をしたいのかは何となく察した様子】

>>894

「うん、君は別に悪者じゃあないでしょ。だったら安心して」

【彼に対してこちらから手を出すことは、少なくともこの場面ではおそらくなされない】
【もしも手を出されたのならば、反撃するかもしれないが――】

>>896-897

「そうだね、――君が思うその陳腐な答えを返すよ。だって僕が悪だと思ったなら、それが悪なんだから」
「――で、そのブランルとかいうのが地上を魔物まみれにしたんだね」
「うん、そこまでは正直許せる。その魔物が"凶暴でなければ"許したんだけどなぁ」

【水のレーザーを防ぐ藁の楯、炎以外の属性も扱えるのだろうか。けれども一応攻撃は通った】
【挟み撃ちにしようとも周囲を覆われれば正面からの攻撃と大差ない、後述の特性も考えると一気に高火力で攻めるのが吉か】

「(奴……魔女と名乗る彼女。自らを傷つけ出血させた時、持つ魔力が強くなっていた。それに今もだ)」
「(傷つけば傷つくほど力を持つタイプかもしれない、それに水を消滅させられてるし……厄介だなぁ)」

「ミックスモード。アイシクル・E・ヘッジホッグ」

【その背から生えるは、氷のトゲ――つららのようなものが、まるでハリネズミのように背中を覆う】
【彼女に勝る程の氷の力は扱えない。が、大量の水を用意するためには自分も使えるようにした方が良い】
【複数の力を使えるが、どれかに特化したわけでもない。水をより多く用意し、より長く留める。そのためには氷の力を借りたかった】

「アイシクル・レイン!」

【空高く左腕を掲げれば、上空から飛来するは無数のつららの雨――魔女やその周辺に向けてその攻撃を行う】
【なるべく味方に当たらないようにしており、もし当たりそうになった場合はなるべく即座に消滅させる。なるべく。】
【地面に落ちたつららは"砕けずに"その場に残るだろう、そういえば色がほんのりエメラルドグリーンのようだが……】

【1つ1つの威力は控えめだが、それを数で補う作戦か――あるいは、別の何かかもしれないけれども。】


>>892

「大丈夫。……既にそれは十分理解したところだから」
「――領収書は後でねっ!」

【ひとまず受け渡しに成功したのを確認すれば、それ以上は意識を向けず】
【けれども、引っかかったことがあった。……彼女の能力をこの眼で見たことはない、だからアレが彼女の能力だと認識した。溢れ出る魔力という言葉にも納得がいく】
【だが、あれは古代の文字だろうか、解読はできないが、"あっちの世界"で見たことがある気がする】
【――いや、深く考えている余裕はないか。推測でモノを語るのは、後にしよう】
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/29(日) 19:25:56.27 ID:4RX6jkk00
//すみません、攻撃に対する描写入れ忘れたので追加です!

>>899

【そして、つららの雨を放った直後、絡みつくは先程の荒縄】
【攻撃後の隙をうまいこと突かれたか、硬いコンクリートか何かの地面が己を打つ】
【現在の身体は結晶でできている、故に飛び散るのはその破片だ】
【血の代わりに流れる、全身にある模様と同色のそれは魔力だろうか】
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 19:27:32.85 ID:pSVc3jAT0
>>897
【魔女がすんなりと樹枝に収まったのには、男の表情も驚きにやや崩された】
【白い肌を締め付ける枝を満更でもなく眺めて、このまま何もしない訳がないと髭の残る顎を摩った】
【被虐趣味がありそうな女に見えないこともないが、などと下らない妄想に脳の一部を委ねていれば、ぱちぱちと樹木内の空気が弾ける音】
【彼女を括った枝先から導火線のように伸びていく炎を尻目に、それだそれだと言わんばかりに指を差す】

ま、木と見たらそりゃあ火だよな。さてさて――――。

>>891
【そう言ってちらと移した真白い視線の先には、身も凍るような声の主】

真っ黒でジジ臭い海でいいんなら、くれてやるよ。

>>889
あんたも、流されて奈落へ、なんてことはねぇように。

【聞こえたか聞こえまいかの声量で両人に言いつつ、びりり】
【千切れてはらはらと落ちていくのは、墨の波間】
【火の手が男の足元に辿り着く寸前、それがざぷんと音を立てて流れ出す】
【はじめちょろちょろ、後ざばざば。合っているかは知らないが、登ってくる炎を濁流が飲み込んでいく】
【――が、どうもこの火は消えづらい。そういえば先の狼も藁に"鎮められていた"が】
【どうにもやりづらいとなが髪の下に指を突っ込んでがりがりと掻いた後、もう片方の手は懐へ】

あとは知らんぞ氷使い!お前が嫌だと言うまで止まらんからな!

【大鷲の絵を引き裂いて、男はその背に飛び乗る。ビルに落とした大きな影からは、未だ磯の香り漂う墨の汁が止まらない】
【臭いと鷲の背の乗り心地からか、少し気持ち悪くなって叫んだ口を抑える】
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 19:30:27.66 ID:jUMWZMX7o
>>887

【人質に少女を選んだのは至極当然、最初に落ちてきて最初にヘマをしたから】
【首をひっつかむのにも抵抗を示さなかったのは意外だが、ラベンダァイスに表情がくっきり見えるように】
【────人質が抵抗することなど、頭になかったのだろう。彼女は只の人間ではなく、能力者なのだから】


「──ックソがッ!!暴れるな、斬るぞッ」


【頸に当てがった刃が食い込む感触があったから】
【刀を引いてやろうと思ったが──刀の柄を持つ右手を掴まれる】
【その上、彼女の髪が視界を遮る。ラベンダァイスの行動を見ることができなくなって──】


>>898

【彼女の表情を、窺い知ることはできない。少女の白い髪に阻まれていたから】
【しかしながら、放つ殺気を──狂気をも上回る殺気を感じることはできて】
【彼女の声に瞬間的に反応して、覗き見んとして。白い少女を放った後に、そのフォルムを見る】


「ははっ、ようやく本気になってくれたじゃねェか……!」


【えぐりこむような軌道を描く円盤に対応を迫られ】
【その上彼からは弾幕を撃ち込まれている。表情を変えぬまま、焦りを感じて】
【男の射線と女の軌道。それらが交じった場所で、女は被弾した──】

【2枚の円盤は脇腹に深い傷を刻み、男の弾丸は右肩を貫いていった】
【言葉にならない叫びを残し、空中で体勢を崩して“墜ちていく”】
【ガシャン、と音を立ててデスクの上に置かれたライトに頭をぶつけて】

>>ALL

【女の息は、すでに荒くなっていた。こひゅー、こひゅー、と弱い音を立てている】
【割れた蛍光灯の細かい破片が、女の頭に降り注ぐ。僅かな血を頭皮から垂らして】
【両脇腹に刻まれたその傷口からは、血が流れ出ていた。落下の際にベッタリとデスクに付着し、今もなおデスクから垂れている】


「あっ……、はぁ……。やるじゃねェか、お前ら……」


【口角にはいびつな笑みを浮かべ、ラベンダァイスの言葉を耳にする】
【戦うために生まれてきた命、生まれながらの兵器ではない人間如き──】
【自嘲の笑みを浮かべた。最初に感じていた余裕こそが、自らをこのようにしたのだと】


「人間如きが──?“機械”が感情を持つなんて、面白れェ話だな」


【彼女が人間如き、という言葉を発したのに対し言い返したいのか】
【そんな言葉を残せば立ち上がり──その際に痛みで体勢を崩してしまったが】
【刀を構え、ラベンダァイスに向き合う。そして────】


「これが私の本気だ。お前だけは、お前だけは──」


【逃さん────その言葉と同時に、床面を蹴る】
【殺人衝動に、怒りに、悔しさに、そして彼女の言葉に──黒い霧は、女から凄まじい勢いで噴き出していた】
【狭いデスクルームは、一瞬で霧に覆い尽くされる。死なばもろとも、といった感じだ】

【再び壁面を蹴り、床面を蹴り、空中でアクロバティックに錯乱して】
【霧の先に見える、朧げな人影に向けて突っ込んでいく。彼女の正面から──】
【黒刀の柄を両手で握り込み、彼女の腹を貫かんとする。含まれた速度は、十分であった】
903 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 19:42:45.51 ID:2LjxeR6Yo
>>895

【影の幕への打撃は、奇妙な感覚が返ってくる────いや、感覚が返ってこないのだ】
【確かに打撃したはず、確かに触れたはず。にも関わらず、あるべきはずの反動が、触感が存在しない】
【極めて厄介なことに、それは接触してはならないタイプの能力だった】

【至近距離に接近したことで、視界の全てが幕に覆われる。一歩進むと、その暗闇が晴れて視界が開く】
【リオシアが立っていたのは屋上の反対側だった。ちょうど、翔子と鵺がいる位置の後方にあたる】
【影を通じての転移術式によって居場所を変えられていた】


>>888>>893

【背後に現れた鵺へと横顔を向ける。昏い双眸。闇夜よりも深い暗澹とした瞳がその姿を捉える】
【暴風が炸裂。視界の全てを覆う強烈な爆風が屋上に吹き荒れる。膨大な風量が吹き荒ぶ瞬間に、男の姿がかき消えた】
【触手の大群を斬りはらいながら、その場に翔子が落下してくる。彼女が狙った先にブランルはいなかった】

【一瞬の静寂】


────信念、では足りないのだ
『公安』に、『海軍』、そういった小集団で物事を語るのではまるで足りない


【声は彼女らのすぐ隣から聞こえた。そこには黒衣の男が立っていた。短距離かつ現出を遅延させた転移術式。奇襲の一撃を、それでもこの男は回避していた】
【声には悲哀があった。憐れみがあった。無知を嘆く音色があった】
【掌が二人へと向けられる。魔力が瞬間的に凝縮し、解放される。爆音と暴風。先ほどと同様の烈風が今度は二人の少女へと向けられていた】
【魔術による再現だった。威力は低下している。直撃したとしても屋上から叩き出されることはないだろう。恐らく、後方のリオシアの元まで吹き飛ぶことになる】


それでは、我らと同じ舞台に上がることなど出来ない
我らと相対したければ、お前たちの”存在”を見出し、そしてそれを賭けろ
そうすればこそ、我らの魂にもお前たちの切っ先が届くかもしれん


>>893>>888>>895


さて、もうそろそろか


【祭壇から放出される魔力は時間と共に増大していた。時間に限りがあることをそれは暗に示していた】
【未だにブランルは再生能力によって無傷。しかし、リオシアはあと一歩で祭壇にたどり着くところまで接近できていた】
【もう一度、同等の連携さえ取れれば、あるいは────】
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/29(日) 19:45:06.77 ID:aTfVzhQXO
>>896>>897>>899>>901

(…………なるほど、ね────やっぱり)
(打ち消すためには、より強い力を。でも────打ち消すだけじゃ、足りないわ)
(もっともっと…………そう、全てを静けさに包み込むほどじゃなきゃ)


【ざわり────周囲が喧騒に包まれる。怨嗟と、嘆きと、諦めと】
【煩い。素直にそう思う。心が掻き立てられる。煩い。勝手に恨んで、勝手に嘆いて】
【聞き慣れた怨嗟。生まれてすぐに聞いた声は、悲鳴と怒号。祝福の声なんて、聞いたことはない】
【す、と口元に笑みが宿る。────心が乱されはする。けれど】


────そう、あれも“呪う声”なのね
どうりで、酷く耳障りだと思ったわ。ねぇ、魔女さん
私ね────そういうの、嫌いなの。あなた、私が嫌いそうだから“こう”しているんでしょう?
でも…………嫌いだけど、慣れてもいるの。ずっとずっと、私の周りにはこんな声ばっかり

ふふ────おかしいと思う?どうしてそれなのに、“ヴィセリツァ”にいるのかって
愚かで弱い民衆を守るのかって…………自警団なんかにいるのかって

教えてあげる────“世界が”私を大嫌いだから、私が少しでも静かにさせてあげてるの
貴女たちみたいな人をどんどん静かにさせて、煩い音をどんどん消していって
そうすれば…………ねぇ。私もやっと静かでいられる。素敵だとは思わない?


【──ヴィセリツァ。危険な能力者から民を守ると言っていたか】
【だが彼女の言葉からは、手段と目的が逆になっているように聞こえた】
【此処に来たことだって──どちらが理由なのかは分からない。怪異を止めることなのか】
【それとも首謀者である魔術師だか能力者を“消す”ことなのか。どの道、彼女は】
【真に正義の心を持つ者ではないのだ。民を護るために刃を持つのではなく】
【その氷の力は────どこかで歯車が違っていたら、民に向けられるものとなっていたかもしれず】
【けれど、そうはならなかったのだ。彼女は今、歪んだ正義を掲げ此処に立っている】


────────十分よ、ありがとう


【────ざぶり。周囲の灰は、墨に押し流されてしまうだろうか】
【彼女は冷たい笑みを浮かべていた。たん、と床を蹴る】
【氷の翼が広がり、墨の海の上に飛び出る。魔女はどうしただろうか。その姿はまだ見えないが】

【きィん────黒き海が、凍り始める。膨大な雪色の魔力が海に溶け込んでいく】
【ラヴィーナの魔力が黒に呑まれ、その端から黒は氷結の糧にされていく】

【その使い方は生まれついての────呪いとも言えるべきものだった】
【墨が凍りついていく。其れは膨大な量の黒氷の杭となり、刄と化し、槍となって魔女へと向かうだろう】
【或いは墨が凍らぬまま“魔女”に触れたのならば、その端から墨は凍てついていく】
【一度魔女の肌の上で墨が凍れば、逃がさぬとでも言うかのように】
【氷はその場で四方八方に棘を出し、魔女の血を求めるのだ】
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 19:52:32.85 ID:xs3qAYcq0
>>890 >>898 >>902

【「君を守る」「今は」――――男がそう言ったのを耳にして】
【頷いた。それで十分。あえて何か付け加えるとするなら】

承知しました、それまではよろしく頼みます――――ミスタ!

【気の利いた一言、何かないかなって思ったけど――特に何も思いつかなかったらしい】
【ただもう、「私は大丈夫」とアピールするみたいに、表情はどこまでもしっかりと】
【右目と腹からは未だ血が流れ続けていたが――まだやれる。ふうっと一つ息を吐いて】

【見れば、薄紫の彼女が姿を変えたのが見えた。まるで人間ではないみたいな】
【そんな形状になった。……きっとそれは正しいことだったのだろう、彼女自身もそう言っている】
【だけど、それを耳にするのが――自分が兵器だと宣言する少女の姿が、痛ましく見えて】


っ、兵器とか、人間とか、機械とか――――そんなのどうだっていいでしょう、こんな時にっ!
殺すか、殺されるかっ、ここで死ぬかこの先に進むか! それだけの話でしょ、
どうだっていいんですよ、どんな存在であったとしたって、やりたいことやる、それだけの話っ!

だから、だから――――今のあなた、私たちにとって、邪魔ッ!! それだけっ!!


【誰に向けて言った言葉なんだかもはやよくわからない。けれどひどく単純な、程度の低いハナシ】
【この場にいるなら誰だって。ヒトじゃなくなる、目の前の敵を倒すだけの存在になる】
【だから、兵器だからとか人間だからとか、そんな区別、意味がなくなるでしょうって】
【「やりたいこと」はただ一つ、女を打倒して屋上に登る。それだけが、この即席で組まれたチームの共通目的】

【女がどれだけ跳ね回ったとて、分身するわけでもなし、最終的に現れるのはただ一点だ】
【だから、女が「お前だけは」と口にしたのは――悪手だったのかもしれないし、そうでないかもしれない】
【黒い霧に覆われた密室内で白銀が踊る。先程と同じ10の刃が、女の突っ込んでくるラベンダーの正面】
【そこに、迎撃するように飛来する。毒を孕んだ刃、掠れば女の凶手の速度を鈍くすることも可能、だろうか】
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 20:02:37.29 ID:F2D3FEBJo
>>899

【降り注ぐつららの雨、機動力の低い彼女にとっては侮れない攻撃であった】
【──臍を噛む、効果的な一撃に敵ながら賛辞を加えたかった】
【彼女にとって傷は傷になり得ない、しかし、これ以上のダメージは肉体的に避けるべきで】


平行線で御座いますね、交わらないのなら、おつきあいする道理は私にはありません
どの様な考えを持ってらっしゃるか、そんなもの私の考えるところではなくて
残念です、これだけの力を持っていながら、混じり得ないことが残念なのです


【彼女の左手が虚空を撫でた、彼女の頭上に割く編み細工の大輪の花】
【悠々と花びらを咲かせるそれが、一瞬にして燃え上がり、降り注ぐつららを飲み込む】
【この炎にも打ち消しの効果が含まれているのだろう、一段と強く彼女にふれるつららをかき消す】


綺麗な身体の中身をされてるのですね、、結晶が飛び散っております
私は血の方が好みです、見慣れた中身は私を安心させてくれますが故に
何度も砕いて、其の中身を暴き出してしまいましょうか


【もう一度荒縄が貴方の身体を持ち上げて、地面に叩きつけようとする】
【逃れなければもう一度、更にもう一度、と何度も何度も打ち据えようとして】
【絡みついた荒縄は常に動いている、切ろうとしても一筋縄ではいかない】

>>901

【鷲に乗って逃れられる、焼き損ねた状態にも少女の表情はあまり変わらない】
【右手をすっと引き抜いたなら、絡みつかれて砕かれた骨が露出して】
【見るも無惨な右腕だ、風に触れる度、びくん、と身体を震わせて】

【艶やかな口元から吐息が漏れた、肺の底から絞り出したような苦悶の声】
【頬を伝う冷たい汗、ヴェールが張り付いて、白い柔肌を黒く濡らす】
【淡いルージュを塗った唇、色気を強調したメイクは、抱かれるための色味】


っ……なるほど、絵師様でいらっしゃる、と──道理で、常人の道理から外れてるのですね
芸術家様の考える方は矮小な私には分かりません、ブランル様のお考えもそう
私如きには分からないからこそ、気を抜いて話しかけてくださるのでしょうか

魔女を焼いた後の灰について、絵師様は御存知でしょうか
忌々しき灰はそれそのものが魔力の結晶なのです、多くの魔術師に重宝されるのです
私の血と肉を貪った木を焼いた灰は、一体どんな色を見せるのでしょうね


【男が作った木は燃え落ちるだろう、轟々と燃えて、後に残るのは灰であった】
【灰は再び風に乗って、男の周囲を取り囲んでいく】
【灰は高濃度の魔力を含んでいた、ちりちりと焦げ臭い香りがするだろう】

【少しして灰がどんどん発火していくだろう、威力はそこまででもないが範囲が広い】
【大鷲に引火する可能性もある、逃げ場の少ない空中と言うこともあった】
【灰かぶりはどのような末路を──静かにたたずむ魔女の一手】
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 20:02:49.37 ID:F2D3FEBJo
>>904

【魔女の目が笑みを捉えた、それと同時に不気味なものを感じた】
【──反応が違った、予期していたのはもっと苛烈な怒り、続く言葉に耳を傾け】
【なるほど、歪んでいると、唾棄するものが相手なら、より一層喜びを見せるように】

【一緒だ、貴方も私も────それならば、何も言うことはない】


可哀想な御婦人、ずっと怨嗟の声に囲まれて、正気を保っていらっしゃるのはどうして
いいえ、きっと──もうとっくの昔に、狂っているのでしょうね
お気に召していただけたなら何より、ブランル様には遠く及ばぬ児戯ですが

そう思いこむしかできないのでしょう、世界には数多の声が、音が満ちているのに
一つ潰すと音が消え、一つ消すと理想に近づく──
信じ込むことで、自身の拠所にしているのでしょう、そうそれはまるで

幼子が明日に夢を託すよう、童が星に願いを託すよう、人が神に祈りを託すよう
骨の髄まで人間臭い行動だと、思います────


>>901が放つ黒い海、ラヴィーナにより凍っていく海原の光景】
【幻想的であった、どこまでも────かつてかいま見た異世界の記憶の如く】
【墨が触れるか、槍となったか、その狭間の瞬間で】

【──魔女は静かに、祈りを捧げた】


この世は全て藁をも縋る無常の中、手繰る其の先に救いなどないのに
何故にこうも人は、その藁にしがみつくのでしょう
私はウィッカーウィッチ、編み細工の魔女

今咲き誇れもう一度、"Freak Kitchen"


【魔女の前方に巨大な藁でできた人形が出現する、編み細工で出来たウィッカーマン】
【途端に人形は炎上するだろう、人形を中心に轟々と燃える火】
【火に触れた側から氷や墨はかき消えていく、より強い消失の異能が備わった炎だ】

【炎は燃えさかる、出来た氷全てを燃やし尽くしてもなお残るほどに】
【──同時に、魔女が膝をつく、これまでの道理からすれば傷が増えたはずだが】
【左手が腹部を押さえていた、口元の端から、血が零れて】
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/29(日) 20:04:11.87 ID:F2D3FEBJo
>>893>>895>>903

【──鵺は一瞬にして状況を察した、心の奥底で舌打ちを一つ並べた】
【奇しくも彼女がよく取る戦法であった、陰に溶ける形の回避、それならば】
【向ける視線は虚空を掴む、後方ではない、だとすれば】

【────声が直ぐ側から聞こえた】


っあああああ!! あっ……かはっ──……ぐぅ……
ぃ……ぅ────ひぐぅ……はぐっ
いぎゃああああっ!!! ……あ────!!


【彼女の身が空中に放り出された、地面に叩きつけられながらリオシアまで飛んだ】
【右腕を下に地面についてしまった、絹を引き裂くような絶叫が響いて】
【肉体が数度痙攣する、治りかけの傷口がまばゆき警笛を鳴らした】


……っ────小集団だなんて、知った口を……!
『公安三課』は、私の……存在そのもの、なんです……っ
これが無かったなら、もう、私は、生きてない────からっ

だから、だから──!! 否定なんて、させないっ、貴方の勝手な理屈なんかに、負けてたまるか!


【再び立ち上がろうとする、が体勢を崩してこける、ダメージ量の大きさが見える】
【それでも何度も繰り返す、ふらふらの状態で立ちつくした】
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 20:20:21.48 ID:GreR3xvM0
>>898

そいつは、最高にクールだ。

【男は言葉を返す。人でないから何だって言うんだ。クールなら、どうだっていいじゃないか】
【撃った流れ弾が、機械だの兵器だの人でなしだのにに当たってしまったら『悪いな』って思うもんだよ】
【拳銃を握りしめ、男は渦中でそう思ったはずだ。きっと、理解されない弱さをこの男は持っている】

>>905 >>902

【少女の悲痛な叫び、無機質な自嘲に似た声、そして敵の――1人の誰かが、命をかけてでも戦っている】
【言葉を残している。命を賭けて、奪い合って、時には愛するものよりも近い距離で殺し合っている】
【どうして俺たちは…彼女たちはこうまでして、自らのなにかで命の奪い合いで自らを表現しているのか】
【正義と悪と、こんなにもわかりやすい構図であるのにもかかわらず、誰も彼もみんなただ孤独な表現者に思えた】

【悲しい戦いだ。黒い霧が、立ち込めるごとに悲しさがこみ上げる。】
【彼女たちの中で何かが共鳴しあっている。そう感じた。――指をかけた引き金が、引けなかった】
【アクロバットに立ち回る>>902に向けた銃口を降ろした】
【自分の力ではあの戦いについていくことが、難しい。そういう理由もある。それよりも…】

【決着が、視えている。真実か妄想かわからないが。彼の眼には写っていた。】
【今できることは、もし>>905があの最中に突っ込んでいことしたならば、手を引いて止めるぐらいだ】

…任せたぞ。
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/29(日) 20:21:56.46 ID:4RX6jkk00
>>901,904,906,907

「――こっちの方針は諦めよう、"水"は彼に任せるよ」

【少々手を加えた行動をしてようやくそれなりの量を確保できる自分がそれを担うよりは】
【もっと得意な者が行ったほうが良い、そう彼は判断した。消されゆくつららを見て、そう思った】

【転倒していた彼は、立ち上がろうとしていた。味方が辺りに墨を巻き始めたからだ】
【できる限りは離脱したかった、だがそれは叶わず――】
【叩きつければ、叩きつけただけ結晶の破片を辺りに散らしてくれる】

【そして墨の汁による濁流に彼も巻き込まれるだろう】
【――けれども、流されはしなかった。地面から結晶の柱を生やし、それを用いてその場に留まったのだ】

「冷えるなぁ。まったくもう」
「――うん、わかり合えないのがわかったなら、もう言うことはないね」
「そういう案件は僕のクソみたいな上司に持ち込んで。気に入って貰えるかもよ」

【その姿――つららを背から生やした結晶の人型であったそれが変わっていき】
【そして青い身体で二足歩行な170cm代のトカゲ男となる】
【変身前が装備していた鉢巻3つはそのままに、グローブ的なものの面影も見える】
【頭部と手の甲には金色の刃があり、尻尾の先端にも斧状にその刃がある】
【爪や牙もあり、彼の分身の様な存在にあった模様の面影が見え、それは蛍光緑色だ】

【その姿は既に打撲や裂傷を多く負っており、変身したからといってダメージを無かったことには出来ない様子】

【さて、彼は変身し終えれば魔女に向かって一直線に駆けて行くだろう】
【そして、ある程度の接近を許せば、その刃で魔女を切ろうとアッパーカットを行う】
【――刃には、それなりに強力な聖のエネルギーと、"魂砕"のエネルギーが宿っている】
【魂を砕くとは書いているが――正確には、あらゆるエネルギーを破壊するエネルギー。むしろ、魂より魔力の類を優先して砕くように調整している】
【相手が能力で様々なものを消失させるのならば、それをされる前に砕いてしまえば良い。――はたして、それがうまくいくかどうか。一種の賭けだった】
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 20:25:26.80 ID:OhaFjdu80
>>895>>903>>908

「小集団、ですか……貴方にとっては取るに足らない存在かも知れないですね……」

【だが……】

「最も、断じてそれを認めません、私や皆が守る皆を否定させないッ!!」

【攻撃を切り払う、だが】
【全くとて動じる隙が見えない】
【そして状況は変化を見せた】

「――ッ!?」
「鵺ちゃん!!リオシアちゃん!?」

【爆風、そして吹き飛ばされる鵺】
【咄嗟に翼を纏うようにして、防御を試みる】
【鵺は、間に合わなかった……】
【そして】

「ッ!!??」

【転移術式、声がすぐ側から聞こえた】

「許さない……」

【限界まで、焼き尽くす】
【そう怒りを込めた瞳で睨み】
【もう二度と、鵺やリオシアに手は出させないと】
【再び飛翔、そして空中で】

「ユウトさん、使わせてもらいますよ!!」

【ポケットに入れた、その銃を元のサイズに戻す】
【18式個人携行用魔導砲――『Remember Glass Syndrome』】
【狙撃銃よりも若干大きめのサイズ、対物狙撃ライフルの形状のそれ】

「再生する暇すら与えない……」

【上空から構え、スコープを覗き込む】
【狙いは十分だろう】

「皆を、守る!!」

【引き金を引いた、銃口の先に赤い自分の背中の物と同様の魔法陣が出現する】
【そして銃口から射出されるのは、弾丸では無い】
【魔翌力の照射、強力で膨大な量のビーム状の魔翌力照射だ】
【ブランルに向け、放つ】 
912 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 20:25:57.14 ID:TnR5Tl2H0
>>902

【放ったチャクラムは誘導されている様に、元の腕のスリットに戻ってきて収まる。確かに敵のわき腹を切り裂く役を成して】
【重厚な体格で、両腕を溜めて胸を張る。正に仁王立ちの光景だ】

さあ、今のうちに遺言くらい残したらどうです? 尤も、聞き届けてあげられるのは、敵である我々しかいませんけどね――――!

【よろよろと立ち上がる女に、ただ冷たくラベンダーは言葉を向ける】
【まだだ――――まだ女は、身体にバネを残している。だが、それを解き放つタイミングを、上手く出係で潰す事が出来れば――――今度こそ、女は絶命するはずだ】
【その為には、仕掛けるタイミングを誤ってはいけない。策が滑れば、仲間の2人も負傷しているのだ――――挑発半分の言葉を向けながら、ただラベンダーは――――待つ】

――――ただの機械でありさえしたら、どれほど良かった事か――――ッ!

【確かに――――今のラベンダーの戦闘能力は機械のそれだ。魔力の構成によって、機械にも、怪物にもなる――――今は亡き人間たちが、自分をその様に作った】
【これで――――心まで機械でありさえしたならば。ここまで命の苦しみを抱える事は無かったはずなのに。わずかな慰めを得ても、それに倍加した苦しみを担う事になるのに】
【むしろ、機械でありたい――――パワードスーツめいたその身体は、無言の叫びを上げている様だった】

っ――――!
(まずい――――この霧の量、本気だ――――部屋ごと、いや、このフロアごと――――最悪、ビルごと吹き飛んでも――――それでも、私を倒すつもりだ――――!)

【そのまま、胸元に紫色の光が集中する。何らかの大技の前兆に見えたそれを――――思わずラベンダーは中断する】
【ここで、力のぶつけあいになってしまえば、この膨大な霧は爆発。最悪ビルは崩壊だ――――自分は、まだ「生き残るかは賭けになる」と言える程度の力はあるが】
【他の人間たちは、確実に全滅だろう。生き残る事はあり得ない。少なくともこの仲間2人を巻き込んで、それは――――出来ない】

――――――――っ、ご――――――――――――――――ぶっ

【ならばどうするか――――腹は決まった。霧を刺激せずに女を倒す。その為に――――敢えて、刃をその腹に受ける】
【フロアの床を貫く刃だ。いくら防御を固めようと。そのどてっぱらに穴を開けるのは、難しい作業ではない】
【だが――――最悪、傷口を抉らせなければ良い。即ち――――心を殺せ、頭を止めろ、ただ痛みに連動し、敵を討てば良い――――】
【人間の身体であれば、口から盛大に喀血していただろう、濁ったせき込みの音を響かせながら、ラベンダーはその太い腕を、眼前にいるだろう女へと向けて放つ】
【――――生物兵器としてのプライドと、覚悟を決めて――――今度こそ、「肉を切らせて骨を断つ」を実行しようとしたのだ】
【例えそれが「骨を断たせて骨を断つ」形になろうとも――――】

>>905

――――あ、とは――――頼み、ましたよ――――

【ここで女に止めを刺せるか、それは分からない。そして、自身も継戦能力を維持できるか、果てしなく不透明だ】
【頼れるのは、後は仲間だけになる――――この場に残った仲間たちに、戦闘のイニシアティブを譲る事を選んだ】
【生きるか死ぬかの傷など、兵器の自分には珍しくない。感傷的に聞こえるかもしれないその言葉も、彼女にとっては、タダのメッセージに過ぎず】
【――――勿論、ここで命を落とす可能性だって、決して小さい訳ではないのだけれど】

>>909

――――

【小さく、頷いてみせた。なんだか、妙なおかしみが――――安心感があったのだ。今ここでは、自分が自分に、何の疑問も差し挟まずにいられる】
【孤独な表現者――――その形容は、この少女を指した時、かなり真実に近い所を射抜いているのかもしれない】
【仲間の為にと、下手をしたら己の命を捨てる様な行為に及ぶ。それは、その行為に何か――――『自己』を、求めているからかもしれない】
【ただ、彼にもまた――――自分の戦闘能力が枯渇したら、後を頼むと――――チラリと視線を向けた】
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 20:43:11.58 ID:pSVc3jAT0
>>899>>904>>906
【不思議な声だ。これだけ離れていて、動いているだろう口元すら認識できないのに、耳にはしっかりと届く】
【隙間風のような苦しい吐息すら、男には耳元に吹き掛けられているかのように感じる】
【大鷲の背を叩くと、それに応えるように大鷲が鳴く。多少気味が悪かったが、それだけだった】

知らねぇよ。魔女に限らず、魔の者は大体嫌いだ。

【周囲を取り囲むようにして、黒い靄がかかる。それが魔女の差し向けた、あの大木の灰だということは男も承知だ】
【彼に魔なる技の才はない。魔力の濃淡など分かる筈もない。だが、それがまずい代物であることも、重々承知だ】

ご主人に牙剥くとは、燃したのが余程気に入らなかったか?
すまんが、俺は破った絵は俺のじゃねぇと思ってるんだ――ん、この辺りか。じゃあな。

【じりじりと焦げる匂いがする前に、男が鷲の背をもう一度叩けば】
【その巨躯は黒い靄と化して宙に漂って、男の身体をするりと落とす
【気に入った着流しだが、少々燃えるのはこの際気にやまずにおいて】
【男は自由落下に慣れているのか、瞳孔をぴくりとも動かさずに届かないだろう一声をかける】

ひとつ借りるぞ、氷の娘。

【大まかに言って。男のチカラは破いた絵のモチーフを具現させること。そして、それを自在に操ることのふたつがある】
【固体化しようが気体化しようが、それは全て彼のモノに間違いはない】
【あの藁人形に掻き消される前に>>904の放った黒氷の槍のひとふりを、まるで括り付けられた糸を引くように引き寄せて】

俺に得物持たせるなんて、あんた罪だね。

【降下する先は身を庇う魔女。鋒を向けて、右手で槍を握る。照準はブレるが、足らない力は槍の動く儘に委ねる】
【ただし左手は、袂に突っ込んだままにして】
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 20:50:31.44 ID:OSma5drH0
>>903
>>908
>>911

【スカッ】
【影の幕を殴ったはずが──感触がまるでなく】
【しかしその加速はすぐには止まらず、闇の中へ】

えっっ!?翔子ちゃんと忍者ちゃん……いつの間にっ
じゃないこれ……能力?わたしがこっちに来ちゃった
せっかく近づいたのに……

【突然開けた視界と、目に飛び込んできた翔子達の姿】
【混乱するも、目前まで迫っていたはずの祭壇が遠くにあることを一応は理解した】

【そして放たれる爆風――翔子は防御できたようだが】
【鵺はこちらに飛ばされ、目の前で体を叩きつけられた】

あっ……忍者ちゃん……!
ほ、骨折っちゃったかな?

【悲鳴をあげる鵺に寄り添い、様子を見るが──かなり堪えているようだ】

あっ、翔子ちゃん!!

【そして、翔子が飛び立ちブランルに攻撃を放つ】
【怒っている――翔子はどう見ても怒ってる――このまま敵に怒りを正面からぶつけては、思う壺なのではないか】
【そんな疑問がリオシアに浮かぶが、翔子は止まる様子がない】
【ならば――】

ねえ、忍者ちゃん……さっき、しゅーって地面に隠れたりしてたよね?
……あの変な台の銃を、忍者ちゃんが奪ってくれないかな。わたしより、絶対うまく出来るから
翔子ちゃんは、わたしが援護するから、いまのうちに

【鵺の左肩に軽く手を置き、耳元でこそこそ、少女同士がいたずらの相談をするかのように】
【祭壇の銃を鵺が奪取できないかと、提案し――】
【ガシャンと、歩兵銃を構えた】
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/29(日) 20:55:25.61 ID:aTfVzhQXO
>>907>>910>>913
【そう、それは祈りだった。どこに届くとも分からない願いだった】
【人の身に生まれ落ちたことが過ちの始まり。それをそのまま受け入れることなど出来ず】
【かといって次の生への期待なども持てなかった──故に、歪んだまま彼女は冷たく笑うのだ】
【いつか世界が────気の遠い話だった。世界にはこんなにも、音が溢れすぎているというのに】


…………狂っているのがどちらかなんて、私には分からないわ

でも────そうね。私だって、一度くらいは赦されたいのよ


【其れは確かに、祈りなのだろう。叶うことのない、小さな願いなのだろう】
【────蒼い目から、一粒だけ涙が溢れ落ちた。それはすぐに、小さな氷の粒となって】
【黒き海へと消えていく。そうね、と小さく彼女は呟いた】
【(もし赦されたとしても────この世界は、私には熱すぎるの)】


…………人形の相手は私が。そっちは貴方たちに任せたわよ


【きン────氷の翼が、澄んだ音をたてる。海は焼き尽くされた。それでも尚、焔は消えぬまま】
【あの海を消してなお残るのだ。では、アレをどうにかするためには、一体どれほどの】
【魔力を費やせばいいのか。す、と両手を前に掲げる。凍えた魔力が大気中に渦を巻く】
【やってみなければ分からない。やらずに諦めるなら、最初から来なければ良かっただけの話だ】
【魔女に直接向かう>>910に、上空から静かに声をかける。今までは援護をもらっていた】
【だから次は、自分が援護をする番だった。少なくとも──あの焔を焼き尽くす】


────私は“ヴィセリツァ”のラヴィーナ

全部、全部…………全部。雪と氷の中に沈めて/静めてあげる


【ぱぁン────弾けた。冷気の渦が、大気中に弾けちった】
【そして弾けたチカラは…………焔の中で無数に咲き誇るのだ。雪と氷の魔力でできた、零度の華】
【華はすぐに燃えてしまうのだろう。それでも何度も何度も、華は咲き続けるのだ】
【散り際に氷の花弁を煌めかせ。その煌めきすら焔が舐めとっても、まだ近くで幾重にも華を開かせる】
【咲いた周りに静けさと冷たさの蜜を振り撒き──それは絶えることのない、花嵐にも似て】

【…………そしてどこかで、氷の翼が軋む。ぱきりと、翼の一枚にヒビが入る】
【「あぁ」と、冷たいため息が出た。随分と魔力を使ってしまった、と薄く笑う】
【あの人形はどうなるだろうか。自分の力が、及んだだろうか。或いは魔女は──】
【とん、と翼を消して屋上に降り立つ。足元に霜が降りる。──あぁ、とまた息を吐いた】
916 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 20:56:40.01 ID:2LjxeR6Yo
>>908

【傷だらけになりながらも立ち上がろうとする少女に、黒衣の男は目を細める】


…………なるほど。無礼を謝罪しよう
確かにお前にとってそれは小集団などではなく、存在そのもののようだ
そして前言も撤回しよう。お前は確かに自らの存在を賭けている。侮っていたのは私だったな


【声には冷静さがあった。理性とある種の矜持が自らの誤りを認めさせていた】


>>911

大口径の火力兵器か
…………一発限りでなければ、いいのだがな

【意味深な言葉と共に右手を掲げる。空間が歪み、照射される膨大な魔力を受け止める。歪曲させるブランルの魔力と兵器を通して出る翔子の魔力が拮抗する】
【空間に亀裂。歪曲面が押し込まれていき、亀裂が広がっていく。そして構造が崩壊。極光を放つ魔力が黒衣の男を飲み込んでいく】
【魔力が霧散。残っていたのは男の下半身だけ。断面の肉が泡立ち、触手が生えてきて集まり、肉体を形作る。再生にはものの数秒あれば十分だった】

【ただし、数秒だ。その間も射撃を続ければ、確かにこの場に留め続けることができるだろう】

>>914>>908

【ブランルは翔子の攻撃への対応で両者に何かをする余裕はなさそうだ】
【であれば、リオシアの提案は理にかなっていると言える。あるいは、彼女自身が再び祭壇に向かうことも可能だろう】
【祭壇そのものも特殊な防護があるようには見えない。遠距離攻撃で破壊してしまうことも出来るかもしれない】
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/29(日) 21:02:05.04 ID:F2D3FEBJo
>>911>>914>>916

【リオシアの声に視線を向けた、痛む思考の中で必死に言葉を辿る】
【銃、と言われて蜂蜜色の瞳を向ける、なるほど、あれのことか、と】
【小さく息を吐いた、もう一度能力を使えるか】


……あったり前です、鵺ちゃんを誰だと思ってるんですかっ、出来ない事なんてないんです
忍者に命令する作法が分かってないですねっ、お嬢ちゃんはこう言えば良いんです
奪ってこい、と命令してくれれば命に代えても果たすのが忍びです


【左手を口元に寄せる、言葉を紡いだ後の呼吸すらも煩わしい】
【一音一音をはっきりと確かめて、ここにいる自分を理解する】
【微妙な距離ではあった、一呼吸でたどり着けるか、なんて】


──知った口は嫌われるんですよ、それ以上穢れた口で私を穢さないで
参ります、次の旅路は──どこまでゆけば良いのでしょうかね
昏遁術式──夜行"Nightfall"


【鵺が術式を口にしたなら、ちゃぽんと床に解けていく】
【数秒後、祭壇の元へ出現するだろう、左手一本にクナイを握って】
【可能であれば、その場にある銃を破壊しようと試みる】
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/29(日) 21:10:32.88 ID:F2D3FEBJo
>>910

【魔女に近づけば近づくほど、響くノイズのような音律が歪む】
【それは燃えさかる人形、彼女が先ほど出現させた人形から来る声であった】
【轟々と燃える藁人形、その中から聞こえるのは、人声である】

【口元の血を拭う、魔女の瞳はまっすぐに男を見つめるだろう】
【其の目に憐憫があった、二度と交わる事のない平行線であっても】
【其の何処か先に、ふれあえる未来があればと思うほどに】


──お忘れ無きよう、彼らが居た事、彼らがあった事、それらはすなわち、真実なのです
人は何かよくわからぬモノの為に残酷になれるのです
忘れる事なんて、出来ないのです──何時までも


【弾ける声、断末魔を集めて響かせた様な轟音であった、常人であれば耳を押さえるような】
【この声にも異能を消失させる効果が含まれている、狙いは男が纏うエネルギーの消失】
【生半可なエネルギー量であれば一瞬でかき消されるだろう、それだけ強力な術式であった】

【恐らくせめぎ合いになるだろう、貴方の扱う魂砕のエネルギーと彼女の消失と】
【彼女の人形はすでに召還されている、その為これ以上の負荷はかけられない】
【故に貴方の出方次第で、貴方の攻撃の成功が決定するだろう】

【────────けれども】

>>913

【形を成さぬ灰の攻撃、大きく息を吐いた魔女──なるほど、強敵です、と思って】
【槍を握り落下する男を見る、回避に避けるリソースはない、それならば】
【左手が空を描いた、其の先に落下する男を捉えて】


それが罪だと仰るのでしたら、幾らでも貸して差し上げましょう
絵師様の生業は絵を描くこと、そうでしたら仰る通り得物を持ちすぎるのは良くないのです
さあ消えて、そして燃えさかる炎に抱かれるのです

──絵を愛されるのでしたら、絵と共に果てるのも、また一興でしょう


【燃えさかる人形の右手が伸びる、掌で男を包み込もうと試みる】
【通常の異能であれば槍はかき消えるだろう、それだけの炎を含んでいて】
【それでいて、通常の炎の性質もあった、直撃したなら火傷では済まない】

【────────しかし】
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/29(日) 21:10:55.68 ID:F2D3FEBJo
>>915

【魔女の目が涙を捉えた、それさえも濡れる事を許されず──】
【罪なのだろうか、と考える、生きることさえ許されないのなら、望まれないのなら】
【全ては虚空に消える泡沫の幻、言葉を重ねるには既に遅すぎた】


どうでしょうか、私の炎は憎しみの炎、怒りの炎、怨嗟の炎──
それは無為の死が、無駄な死が、無謀な死が、その死を呪うのです
貴方がその身に宿した苦しみは、深いのでしょう、それでも

私が背負うのは数多の罪、この世界で生まれた無数の贄の嘆き
足りません、それでも、足りないのです、────それでも……っ
この火を絶やして、たまるものですか……!!


【声に熱が籠もる、火の中に咲き誇る無数の華、満開の彩りは楼蘭細工の如く】
【連鎖的に氷をまき散らすのだろう、それは彼女にも分かっていた、だからこそ】
【炎が勢いを増す、彼女の炎は異能を打ち消す炎、それは性質を蝕む】

【零度の華の性質を少しずつ削り取っていくのだろう、せめぎ合いであった】
【左手も地面についた、大きく血を吐く、内臓にダメージがいっていることは明白だ】
【彼女自身を燃やしながら人形は燃える、さながら死の舞踏が如く】





【────────────ぱん】





【人形の顔に華が咲いた、先走った一葉の櫻のつぼみが如く】
【連鎖的に華が咲いていく、人形を覆い尽くすように氷の華が咲いた】
【魔女は其れを見つめていた、ぺたりと座り込んで、眺めていた】

【美しい光景だった、人の罪を人の善意が埋め尽くしたかの様に】
【炎はつきた、火は絶える────物語の終幕を伝えてくる】
【魔女はその場に座り込んでいた】

>>910>>913の攻撃はそのまま阻害されなくなる、攻撃のチャンスは明確だ】
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 21:12:10.21 ID:OhaFjdu80
>>916>>914>>917

「まだ……」
「まだァ!!」

【拮抗する魔翌力、大規模な魔翌力同士のぶつかり合い】
【制したのは、翔子だった】
【だが、彼女はリオシアの懸念通り、怒りに呑まれていた】
【決して冷静な状況では無かったのだ】

「まだ、終わってないッ!!」

【もう一撃、と引き金を引いた】
【だが、突如強烈な痛みが襲う】
【羽が散り、翼が縮小していく】

「ぐうッうあッ……」

【口から一筋の血が】
【まだ、因子の浸食に馴染み切っていない状況での、急激な魔翌力消費】
【全身の魔翌力回路が悲鳴を上げる】
【口から一筋の血が、流れ出す、手先の血管が切れあちこちが流血する】
【それでも、それでも……】

「これが、私の……全力全開ッ!!」

【再び銃口に魔法陣が展開、引き金を引き、上半身だけの姿のブランルに再びの魔翌力照射を放つ】
【最も、先ほどよりも威力は低く、そして照射時間も短い、あるいは少女が空中に留まれる時間も迫っている】

【鵺やリオシアの行動中、ブランルを留め置ければそれでいい】
【この身すら、それだけの時間を稼げればそれでいいと、言わんばかりに】
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/29(日) 21:27:36.03 ID:4RX6jkk00
>>913,915,918

「――要らないものは捨てちゃえば良い」

【轟音。それは近づくことを止めるのに十分な役目を果たす】
【……はずだったのだろう、耳を塞ぎ、刃から魂砕のエネルギーを放出しひたすら凌ごうとすれば】
【相手の動きが止まった。咲かせられた氷の華がそれを成し遂げた】

「ありがとう。危なかったよ」

【改めて、相手の方に視線を向けた。氷属性はもう扱わないが、それは酷く冷え切っていて】
【素早い移動を得意とするこの姿で接近を試み、何かが起こる前にこちらは終わらせるべく】
【その聖と魂砕の刃――右手のそれが、魔女の首を切り落とそうと容赦なく振るわれるだろう】

【――少しの間で、ずいぶんと宿していた魔力エネルギーが失われたようで】
【けれども、その刃の鋭さはそれに依存せず。今までも、そしてこれからも、悪を斬るのに不足無し】
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 21:36:59.32 ID:OSma5drH0
>>916
>>917
>>920

お嬢ちゃん?あ、私の名前はリオシアね、よろしく
命令、命令?わたし、忍者ちゃんの上官じゃないけど……まーいーか!
奪ってこい!

【にっかりと微笑み、遅い自己紹介】
【鵺を送り出した──そして、翔子とブランルのぶつかり合いに目を戻す】

翔子ちゃん、すごい強い……でも
あの人、不死身なの?

【体を半分失っても復活するブランルの再生】
【自分が加勢したところでこいつを倒すことは、出来るのか?】

ごめん……翔子ちゃんっ
もうちょっとだけ、お願い!!

【流血し、疲弊している翔子だが、戦闘継続の意志は強い】
【さらにもう一撃、攻撃を放っている──リオシアと、鵺を守るために】
【その頑張りをムダにすることだけは──】

喰らえっ!!

【ズバァンッ!と、リオシアは歩兵銃を発砲】
【ブランルの体を狙ったものだが、翔子の魔翌力を使った攻撃と比べれば威力も低いただの歩兵銃の一撃】
【防がれるかも知れないし、当たったところですぐ再生するだろう】
【それでいい。狙いは、ブランルの目線をこちらに向けることだから】
【そして銃撃後】

おぉお!!!もう一回いくぞー!!!

【リオシアは遠く離れた祭壇に向かって走り出した──「すでに鵺が祭壇に到着した」ことを悟られないように】
【あえて、大声で叫びながら】
【翔子がブランルの体をその場に留め、ブランルの警戒をリオシアが逸らす】
【それがリオシアが考えうる、今できる最良の作戦】

923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 21:37:39.28 ID:jUMWZMX7o
>>905 >>909 >>912

【邪魔だと、人間如きがと────】
【そう言われ続けていたときのことを、思い出してしまった】
【二面一体、表が持たぬ負の感情を全て、全て担い続けてきたのだから───】


「うるせェ……。俺はなァ……、他人を傷つける事しかできねェんだよ……!」


【初めて、表情を変えた。どこか苦しそうで、悲しそうな──】
【女は人を傷つけることしか出来ない──否、傷つけることしか出来なかった】
【希望もなく、絶望もない。ただただ、人を殺すだけ──。それだけが女の全てだった】


「これで……────!」


【白銀に煌めく刃は、避けられることはなかった──避けることが、出来なかった】
【黒い霧が辺り一帯を覆い、数メートル先ですら見通すことができないために】
【少女が剃刀を再び用意していることに、気づけなかったのだ】


【ずぶン、と彼女の身体に刃が食い込んだ】
【歓喜の念も、達成感もなく。目を血走らせて傷口をえぐろうとした】
【だが、その寸前のこと──視界が歪曲し、胃の内容物が上がってくる感覚がして】


【彼女が太い腕を女にぶつけたのなら、何の抵抗もなく倒れることだろう】
【吐瀉物をコンクリートの地面へ吐き、視界が歪曲し思考もままならないまま】
【脳震盪を起こして、黒留袖の裾を柔らかく揺らしながら自身の吐瀉物に塗れて倒れた】
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 21:49:34.65 ID:pSVc3jAT0
>>915>>918-919>>921
【オレンジの光が見えたと同時に、握った槍が横へと逸れる】
【立ち昇る熱に、頭ではなく身体が反応したのだ】
【火を見て逃げるのは獣か、とぼやき言葉が過ぎってすぐに、炎は消えていく】

……ガス欠か。

【槍は降下速度を緩めるように少しづつ浮力を強める】
【懐に潜り込ませていた腕も、なにも掴むことなくそのままだらりと下げる】

ハァ……あんたの言葉にはムカついたが、幕引きは俺の役目じゃ無さそうだ。

【ゆっくりと地上に降りることが許されれば、そう言って男は魔女に背を向ける】
【黒い海も氷も、彼の墨が生み出したなにもかもがゆっくりと消えていく】
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/29(日) 21:54:17.07 ID:aTfVzhQXO
>>918>>919>>921>>924
【かくんとその場に膝をつく。魔女の人形を氷の華が覆い尽くし】
【熱を奪い去って静寂と冷気をさわさわとその場に与えていく】
【やがて人形の側には霜が降りることだろう。ラヴィーナの足元がそうであるかのように】

【────似ているのだろうか。言葉にこそしないが、そう思う】
【罪と嘆きを燃やす魔女と、祈りと赦しを凍てつかせる自分とは】
【他人事のようには思えなかった。何処かで交わることがあれば、また違う結末も望めたのだろうか】
【凍えた蒼い目が、魔女を見る。──諦めと、憐れみと。かつんと、氷の粒が一粒零れ落ちて】
【(この気持ちすら────私を溶かしてしまうのかしら)】


────────ううん、いいの


>>921に、静かに答える。魔女の命を乞うことはしなかった】
【「どこへいくの」と>>924に声はかけたものの──対して重要な問いかけでもなく】
【地上へ降りようとする彼を引き止めるつもりもなかった】
【あぁ。これでまた一つ、世界は静かになるのだろうか。吐いたため息は、真白に染まり────】
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 21:56:33.12 ID:xs3qAYcq0
>>909 >>912 >>923

――――っ、……ッ!!

【ラベンダーの身体に、刃が喰いこんでいく。それをずっと見ているだけだった】
【――ではなく、男に引き留められていた。腕を掴まれていなければもう、すぐにでも飛び出してしまいそう】
【それでもじいっと見定めていた――決着のつく瞬間を】

【「あとは頼みました」――言い残されたその言葉、ついには我慢が出来なくなって】
【男を振り払ってでも、駆けだそうとする。倒れ込んだ女と、ラベンダーの中間地点に立って】
【もうこれ以上、女が起きて来ないのだとわかるまで、刃の切っ先を其方に向け続けるだろう】


……しっかり、しっかりして! 大丈夫、私たち、大丈夫ですからっ、
私たちきっと勝ちました、だからっ、……勝ったまま帰りましょう!


【声はずっと、ラベンダーのほうへ。彼女の帰る家がどこだか知りもしないけど】
【それでも声をかけ続ける。意識を、彼岸へ持っていかせないために】
【そうしながらもずっと、女のほうを見ていた。黒い霧はまだ晴れないだろうか、もう起き上がってこないだろうか】
【警戒はまだ解かない。刀を握った手には、じっとりと嫌な汗が纏わり続けていた】
927 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 22:08:47.25 ID:2LjxeR6Yo
>>920>>922

【二度目の攻撃が直撃。再生したブランルの肉体が再び焼失する】
【しかし照射時間の短さが祟った。再生中に空間がねじ曲がり防御を確保、銃弾を阻む。その上で肉体が元の形へと戻っていく】
【全身が再生され黒衣が広がる。その表情には初めて苦々しげな感情が浮かべられていた】

【指が鳴らされる。翔子やリオシアに対する攻撃ではなかった】

>>917

【潜伏は成功。祭壇までの移動に妨害は入らなかった】
【祭壇からは異様な魔力こそあったものの、接触も問題なし。あとはクナイを向けて銃を破壊するだけだった】
【切っ先が向かい、その無機質な構造物に接触する瞬間、消失。銃は跡形もなく消えた。残るのは魔力の燐光だけ】

【男の右手には銃が握られていた。寸前のところで転移術式で手元に引き寄せたのだ】


悪いが、これは借り物なのでな。お前たちに壊させるわけにはいかん
全く、無知とは恐ろしいな。流石の私も冷や汗をかいたぞ。一体、何を壊すつもりでいたのか、いずれ分かるだろう
…………これを失ってしまえば、あの小娘に何が残るというのやら

そしてもう一つ、お前たちでは壊してはならないものがある


【声には静かな怒りがあった。底から燃え上がるような憤怒の感情があった】
【ブランルの隣に魔法陣が展開。幾度となく繰り返された転移の術式だが、その対象は三人の誰でもなかった】


>>918>>919>>921>>924>>925

【魔女の足元で魔法陣が開かれる。次の瞬間、彼女の姿はブランルの隣へと移動】
【黒衣の男の表情には怒り、安堵、不安、焦燥、様々な感情が入り混じった複雑なものが浮かんでいた】


張り切りすぎだ
お前の命はこんなところで失っていいものではない。私が、他にも仕事がある、と言っておいたのを忘れたのか?
私がお前を呼んだのは、特等席に座らせるためであって、奴らに殺させるためではない


【それは叱責にも似た声色だった。傷をいくつも付けた女を見て、その上で男は安堵の吐息をつく】
【屋上で戦っていた別の三人に、昏い双眸が向けられる。確かな怒りがそこにはあった。目が閉じられ、再び開く。感情が底へと沈み、見えなくなる】

//続
928 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 22:12:25.01 ID:2LjxeR6Yo


さて。これで儀式は終わり、か
街の異界化も、どうやら収まってしまったようだな


【男の視線が下へと落ちる。向かう先は眼下、炎上する巨大都市】
【ビルの壁面から現れようとしていた岩の巨人の動きが止まる。悪魔の異形に変貌しようとしていた人がその場で崩れ落ちる】
【異界化は止まった。変容してしまった街が元に戻るわけではないが、しかし確かにこれ以上の進行は収まったのだ】

【嘆息が男の口から漏れ出した。少なくない憔悴があった】


ああ、やれやれ、というやつだ
こんなにも手こずるとはな。こういった行動は実は不慣れで、そうやるものじゃないんだが
いや、本当に疲れたものだ。あと一歩のところだったというのに、惜しい。実に惜しいな


【足元から広がっていた影が、全て男へと収束。主の元へと還る。影の主人の唇は欠けた月の如く円弧を描く】

【黒衣が揺らめく。天高く聳える塔の頂上を静寂が包み込む】
【波紋。男の足元から、音もなく波が広がった。小さな波紋は床を伝わり、壁面を駆け、街の表面を撫でていく】



          そう、あと一つ分、『魔界』から呼び寄せれば十分だった



             【波紋は続く。徐々にその間隔を狭めていく】



                    あと一歩だった



          【黒衣の男の背後が揺らぐ。風景が、背景が、空間が歪む】



           惜しかったな、あと一歩が、”お前たちには足りなかった”



         【祭壇内で燻っていた膨大な魔力が、その揺らぎへと集まった】



                   では、始めようか


//続
929 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 22:15:46.49 ID:2LjxeR6Yo


【両腕が掲げられる。天へ己の姿を示すように。祈るように】


   さあ、謳おう、聞き届けよう、全てを、全てを!

          我らが存在を掲げよう、世界に示そう!

              忘られぬ歌を、慟哭を、彼らの耳にこそ届けよう!


【言葉が音色に乗せられる。狂気と慈愛を含む歌声が響く。男の双眸には暗闇と世界が映り込み、その呼びかけは見えない何者かにこそ向けられていた】
【踊るように男が回り、黒衣が揺らめく。足元の波紋に変化。漆黒が小さな波濤となって広がり、床を、ビルを、街を黒く染め上げていく】
【全てが影に覆われる。街の風景は黒曜色のみとなり、その中心で黒衣の男は優雅な笑みを浮かべる。世界を支配する王の威容だった】


【────声が、聞こえる】
【足元の影から、壁面の黒色から、彼方の漆黒から】
【表面に浮かび上がるのは人の顔。無数の双眸と無限の口が背景を埋め尽くす】
【街中から聞こえるのは呻き声。苦痛と苦悶の声だけが世界を満たす】




      我らの叫びが世界を引き裂く────



              ────いざ謳え、<<ペンドレルベル>>の名を




【男の声が高らかな宣言を歌い上げる。静寂。声の全てが止まり、刹那の無音が訪れる】

【────息を吸う小さな音。それが始まり】

【歌声。街全体に音律が響き渡る。無数の口から紡がれる音色が全てを覆う】
【歌には苦痛があった。悲哀があった。煮えたぎるような憤怒と窒息するほどの嫉妬が混じり合い、喜びの嘆きと苛まされる安堵があった】
【感情という感情が汚泥のように溜まり、絡まり合い谺する。その歌声には賛美歌のような美しささえあった】

【光景の端に異変】
【街を破壊していた岩の巨人が影へと沈む。飛び回っていた悪魔が壁面の闇に吸い込まれていく。逃げ惑う人々が漆黒に飲まれていく】
【街の中に存在する命たちが消えていく。断末魔の声をあげることすら許されず、静かに喪われていく】

【響き渡るのは歌声だけ。あらゆる音が掻き消えていった】

//続
930 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 22:19:28.96 ID:2LjxeR6Yo


ああ、聞こえるか、声なき声が
叫ぶことすら許されず、省みられることもなく、喪われていく命が分かるか

なんと哀しい。なんと愛おしい
人の存在とは儚いもの。誰かの何かの犠牲になって、闇の底へと沈むだけ
欲望が人を殺し、誤りが人を殺し、善意が人を殺す
ならばこの世界とは何だ。ああ、ただ波間に揺蕩う形なきもの
全ては泡沫。灰色の海に浮かぶ一時の夢
ならば楽しもう。せめて楽しもう。神と、狂気と、世界と踊ろう

果ての果てに辿り着くのはたった独り。灰色の浜辺に立つのは独り
さざ波の音が聞こえるか────聞こえはしない。誰にも、誰にも


ならば、ならば、ならば
我らの悪意が世界を壊す。我らの狂気が世界を覆う
世界に打ち捨てられた我らこそが、この世界を引き裂く

────開け、魔界の門よ


【空間に波紋。天へと届くほどの巨大な亀裂が走る。何かが軋むような膨大な不協和音と共に、世界が引き裂かれていく】
【傷跡が左右へと広がり、異質な魔力が流れ込む。黒衣の男の腕が上がり、両手が動く。動きに合わせて、裂け目が開いていく。そして、噴出】
【『魔界』の魔力が血のように吹き出し、世界を汚染する。その全てを浴びながら、ブランルは嗤っていた】


はは、ははははははははは! いいぞ、素晴らしい!
儀式とは、生贄とは、魔術とはこうでなくてはな!

こちら側に魔界の魔力をある程度充満させた上で、それを利用する、そういった儀式だった
だから時間が重要だったのだ。人々を置換したのも怪物を召喚したのも全てはこのためだ
だが本当にぎりぎりだったぞ? あと一人分ずれていたらこの儀式は成功しなかっただろうな



                 さぁ、来るぞ────?



【哄笑を響かせ、黒衣を翻して男が一行に相対する。背後の空間の裂け目は暗闇。だがその表面が脈動していた】
【暗黒を突き破り、巨大な構造物が現れる。五つの柱が連なり、折れ曲がって空間の縁へとかかる。柱が一箇所に束なり、赤褐色の壁面が続く】
【壁面は円柱の側面だった。構造物の動きが停止。暗闇の表面が隆起。暗雲が引きずられ、引き裂かれていく。その中から現れたのは巨大な顔だった】
【表面は赤褐色。額からは角が突き出し、直角で折れ曲がって真上を向く。暗雲が毛髪のように頭の周囲で揺らめく。髑髏にも似た形状の顔、窪んだ眼孔の奥には光球が収まっていた】
【頭部だけでも十数メートルはある、『魔界』における大悪魔の威容だった】


見ろ、『魔界』に君臨する悪魔の姿だ
気をつけろよ、見た目通りの強さだ。容易に周囲一帯を吹き飛ばす力がある。現出すれば人間界が危ういかもな?
これが私の目的、というわけだな。あとはお前たちと奴との力比べといこう

私は次の仕事があるのでこれで失礼するよ
私を止めたければ『魔界』まで追ってくるがいい
もちろん、追わずとも結構。そのときはこの世界と『魔界』と、全てを私と”我ら”が手に入れるまで

では、今日の宴はここまでだ。また会おう


【ブランルは魔女を抱きかかえると、「お前は私と一緒に来てもらおう」と声をかける。閃光が発生。二人の姿が一つの光球に変わり、空間の裂け目の中へと消えていく】
【頭部と片手をこちらの世界に現出させた大悪魔はその巨大な双眸をビルの屋上へと向ける。怒りを表すかのように光球が赤く点滅】
【顎が動き、口が開く。魔法陣が展開。魔力の集中が始まる。大気が重く感じられるほどの膨大な魔力が瞬時に集められる】
【迎撃しなくては街を吹き飛ばしかねない量だ。しかし、解放までにはまだ時間を要する。今ならまだ、最大火力を放てば打ち勝てるかもしれない】
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 22:20:19.27 ID:GreR3xvM0
>>912 >>923

【機械でも、心というものは通じ合えるのだろうか。勝手な受け手側の解釈、希望的観測かもしれないが肯定したい】
【通じ通じないは何が決めるんだろうか。周波数、暗号鍵…そんなもん示し合わせた覚えはない。それでも合わなかったり】
【ときには合ったり。通じるのには十分だ。命をかけて、託して、信じ合うには。】

【だが、誰かを恨むには準備が必要だ。あれだけ街を破壊して、人々を蹂躙して、目の前で命を狙ってきて。共闘者を傷つけて】
【敵というバイアスが引き金を引くことに躊躇をなくす。敵味方という符号が、物事を単純化する。そして、殺し合いをすることが出来る】
【そうでなくては会ったばかりの人間が殺し合うことなど出来るのだろうか――狂気はそれを合理化する。その狂気が立ち込める―戦場】

【こんな考えはこの男だけで、きっとわかり合えることはない。誰かは誰かのオリジナルな哲学があって、だからどっちかについて、殺し合うんだ】
【そんな世界を変えるためには後何人死んで、殺し合えばいいんだろう】

>>926

【手を離れていく、少女を、彼は後をついていく。彼は倒れた>>923に目を向けている】

奴は俺に任せろ。…だから、そっちに集中しろ。
…機械が行く、あの世は聞いたことがない。だから此処に居てもらわないと、行く宛がなくなる

【撃鉄を再度、起こし銃口を>>923に向ける。2人の共闘者をかばうように間に入って、彼は黙って、影に徹して、役目を守る】
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/29(日) 22:25:44.25 ID:F2D3FEBJo
>>927

【鵺の目の前から消える銃、彼女は驚いて周囲を見渡す】
【離れた地点にブランルが居た、彼女は直ぐに次の術式を行使しようとする】
【しかし、体力の限界か、その場に崩れ落ちた、座り込んで、様子を見守る】

>>921>>924>>925

【魔女は死を覚悟していた、一呼吸毎に身が軋んだ、身体中の部位が熱を持っていた】
【大きく背中が揺れた、ぴちゃりと、ヴェールの隙間から血を吐いて、地面を濡らす】
【身近に迫った死、其れを前にしても不思議と恐怖は無かった】


────いよいよお別れですね、ブランル様……魔女は先に逝きます
少しでも貴方様のお力になれれば、と思う次第で御座いました
私は良き伴侶で、あれたのでしょうか、私は何も持っていない女でした

ただただ眩ゆい貴方様の側に居る事ができれば良かった
貴方様の描く世界を見る事ができたなら良かった
……でもそれは、もはや遠い幻なのでしょうね──叶わない夢ほど、こうも眩しくて

とうに棄てた命、とうに棄てた思い、それでも、それでも────



────まだこうして、生きていたいと思ってしまうのです





私はどこまでも、醜い醜い魔女だというのに




【瞑目した、男の刃が首を切り落とすのを今か今かと待ちわびて──】
【走馬燈など無かった、まぶたの裏に浮かぶのは、何処までも同じ地平線】
【たった一人の姿しか映さない、幻の様な景色で────】
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/29(日) 22:26:00.01 ID:F2D3FEBJo

>>927-930


【────目を覚ましてもそこには在った、これは幻なのだろうか、と思った】
【ヴェールの奥の表情が困惑した、怒っているのだろう、はしたない真似をした、と】
【声にならなかった、それでも、安堵の吐息に、至上の幸福を感じた】


ブランル様──……申し訳御座いません、出過ぎた真似を致しました
それでも、貴方様は、こんな私の身を案じて下さるのですね
こんな私を見て、そのようなお優しい声を下さるのですね

過ぎた寵愛です、それだけでも私は幸福に噎びそうです
貴方様の側で、貴方様と同じ景色を見る──
其れこそが私の唯一にして無二の願い、かなえて下さるのですね


【目尻に大粒の涙が浮かんだ、地上に現れた地獄絵図など目に入らぬ様に】
【言葉を探した、出てこない──感動が胸を打って、言の葉を消して】
【抱きかかえられる、貴方のぬくもりに、心までも溶けてしまいそうな程に】


ええ、どこまでもご一緒いたします、貴方様の行く場所へどこへでも
まだまだすばらしい景色を見せて下さるのでしょう、見たことのないような世界を
そこに触れる事が出来たならなんと幸運なのでしょうか、貴方様と一緒ならば

参りましょう──そして、今日はこの夜の続きを、貴方様と二人で


【抱きかかえられた魔女は、ヴェール越しに恍惚の表情を向けた、花嫁の向ける愛に満ちた】
【些か場違いの雰囲気であった、しかしてそれは、補色のように美しさを演出して】
【空間の裂け目へと消える影、貴方の側で、何時までも、と】
934 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 22:30:30.40 ID:TnR5Tl2H0
>>923

ぐ――――ぅ――――ッ――――

【さしもの戦闘兵器を自認するラベンダーとはいえ、腹を抉られた痛みは感じる。そしてその痛みの為に、感覚を狂わされる事も事実だ】
【ただ、その中にあっても――――己の拳が、敵を捉えた事は分かる。殴り飛ばした事、そして――――どうやら霧に着火を許さず、フロアを吹き抜けにする事も】
【このビル自体を倒壊させて、屋上で戦っているだろう面々と、心中する事にならずに済んだ事も――――】

無力化――――っ、せ――――成功――――あと、後は――――トドメを――――

【ズブリと、腹を穿った刀を豪快に抜き取り、投げ捨てる――――もしも、ラベンダーが人間の姿であったなら、出血を促進する愚行でしかないが】
【機械を模した今の身体でいるならば、これは動きを妨げる不快な異物に過ぎないのだ。自ら腹から抜き放つその姿は、言い様の無い迫力を持つだろう】
【だが、まだだ――――まだ、ラベンダーは敵である女の死を確認していない。それを確認するまで、戦闘は終わっていない――――終わらない】
【吐瀉物に塗れ、動かなくなった女の頭蓋を粉砕しようと、ラベンダーは歩き出す――――1歩――――2歩――――止まる】
【切れた線は繋がった――――流石に、ダメージを負い過ぎたのだ。近づくだけの余力すら、もうラベンダーには残されていない】
【せめて――――せめてあの女が、再び起き上がって、屋上の面々を邪魔しない事だけは、最悪でも、確認しなければならないのだ――――】

>>926

きっと――――では、ダメなんです――――ッ
そ、それでは――――屋上に、いるだろう――――これを、止めるための――――仲間が――――ご、ぶっ――――
な、仲間――――邪魔、されるかも――――だから、確かに、勝たないと――――『Justice』も――――『UNITED TRIGGER』も――――
――――もう、仲間を失う――――のは、御免ですよ――――ッ

【重厚な体を持て余しながらも、ラベンダーは駆け寄ってきた少女に、首を振って、戦闘の確実な終了を認めなければならないと言う】
【――――この、生きるか死ぬかの状況にあって尚、ラベンダーの心は、己の生死に対して無関心だ】
【と言うより、未だに屋上の戦況を念頭に置いている当たり、相当な執念である。混濁しかかっている意識でも、今の目的意識を、忘れていないのだ】
【――――その、混濁した意識の中で、うわ言の様にラベンダーは、かつての所属を、そして今の所属を口にする】
【――――UTのメンバー、そしてかつてのJusticeに所縁のある人物。だが、彼女はそこで、それぞれに喪失を経験してきた】
【だからこそ――――敵は確実に殺し、味方は1人でも多く、救いたいのだ――――死に向かいつつある身体を、引きずってでも】

>>931

――――ど、どうか――――お願いします――――後の、後の事は――――

【少女とは別に、男性は既に敵に対する備えに動いている。本当なら、ラベンダーもそこに身を任せたかったが、もうこの身体、まともな戦闘行動は出来ない】
【否、下手をすれば、生還すら危うい。それでも、勝利は、すぐそこに見えている。それを――――男性に、始末をつけてもらいたかった】

ぐ、ぁ――――ありがとう、ございました――――助かりました――――

【何故だろうか、そんな言葉が場違いに漏れ出る。男性の、透徹された信念が、そこに感じられたからだろうか】
【常に自分を見据えて戦う。影に徹して、攪乱に専心する戦い方、そして今ここで見届ける役を全うし、最後に幕を引く】
【――――相当に、自分と言うものを突き詰めていないと、出来ない制動だ――――それに救われたのだと、ラベンダーは言いたかったのかもしれない】
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/29(日) 22:35:31.99 ID:4RX6jkk00
>>924,925,927-930,932

「あーあ、もう少しだったのに」

【魔女の足元に展開された魔法陣が、彼女をブランルの隣にへと移動させれば】
【斬るべき対象を失った刃は虚空を斬り、そして酷く残念そうな顔を見せて】

「――僕のゴミ上司ならきっとこういうだろうね。"もったいない"」
「生ゴミだろうと汚物だろうと病気だろうとなんでも拾っちゃうなんて頭おかしいよ本当」

「うん。アレの手に渡る前に、潰しておこう。絶対、自分の手に収めようとするから」

【背から生え始めるのは、白を基調とした鳥のような翼。金色や水色も持っていて】


「――この力は、そのために手に入れた。」


【その腕にあった刃は消え去り、人のような、白い腕にへと変化していく】
【金色の毛に、淡く光る水色の模様。……変化は止まらず、尾を失い、人のような姿をした白い存在にへと姿を変える】
【――その姿が何であるか、説明は不要だろう。】


「遠距離に飛ばしたいから、……アクア・E・クリスタル、サポート頼むよ」

【痛みを堪えつつある程度の高さまで飛翔、そして生成されるは大きな1つの結晶の杭】
【エメラルドグリーンをしたそれは、水属性も持つが聖と魂砕のエネルギーができる限り籠められており】
【そして、現れた大悪魔を穿つべく、杭はそれへ向けて放たれた】

【何かしらの衝撃を受ければ、杭から水が結構な勢いで吹き出す。それ単体ではそこまで驚異ではないが】
【その水には前述のエネルギー……聖と魂砕も含まれていて、それによる属性ダメージを狙っている様子だ】
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 22:37:10.95 ID:OhaFjdu80
>>928-930>>922

「――……」

【翼の展開は消滅、魔法陣の発光も消えて】
【少女は>>922リオシアの直ぐ側へ落下して行く】
【残念ながら、ブランルを仕留める事は出来なかった】

「……」

【意識は消えていた】
【魔翌力回路の過負荷によるダメージは尋常では無かった】
【しかし、しかしだ】

「……待て……」

【目的は果たした、さもそうであるかのように、撤退するブランルと仲間達】
【だが、この場のもう一つの、災厄】
【あの大悪魔がまだ残っているのだ】
【そうだ……まだ任務は終わっていない】
【悪魔は、戦艦クラスのいや、それ以上かもしれない魔導砲を放たんとしているのだ】

「……」

【目が背中の魔法陣同様に赤く光る】
【もう、もはや限界の筈が】
【臥せり、這いながら、Remember Glass Syndromeを構える】
【二脚を立てる寝撃ちの姿勢】
【赤い魔法陣が銃口の先に展開する】
【魔翌力回路が、全身が、因子が悲鳴を上げる】

「――……」

【少女はそれすら関せずと言った風に】
【いや、まるで目標の悪魔以外見えていない風に】
【赤く光る眼で、スコープを覗き】
【銃を構え、思い切り引き金を引いた】

【魔翌力の照射が悪魔に迫る】 
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/29(日) 22:55:05.82 ID:aTfVzhQXO
>>927-930>>932-933
【魔女の姿が魔法陣の中に沈む。どこへ、と蒼の視線を彷徨わせ──黒衣の男の隣で止まる】
【あぁ、とまた息が溢れた。二人の関係性がどのようなものかまでは知らなかったが】
【浅からぬ関係であるのは直ぐに見てとれた。──羨ましい、と思った】
【その感情は。その温もりは、その熱は。どんなに願ったところで】
【手に入れられないものなのだろうという自覚があったから】

【だが────その気持ちもすぐに別のものへと変わる】
【最初はわずかな変化だった。やがて漣のように闇が街を滑り流れ】

【────歌が聞こえた。静かな歌だった。凡ゆる感情を有していながら】
【それでも静かで、美しい歌だった。どうして魔女が、あの黒衣の男の傍にいるのかが】
【その歌だけで、分かった。あぁ────それでも。それでも、人の暖かさはこの身に余るのだ】


>>ALL
【かつん、かつんと蒼い双眸から氷が落ちる。どれだけ手に入らないものを見せつけられようが】
【結局は────立ち上がるしかないのだ。自分が為すべきと信じていることをするためには】
【ぐ、と立つ。零度の視線を、現れた悪魔へと向ける。屋上にいる者の中で、戦えるのは】
【一体どれだけ残っているだろうか。残っていなかったとしても】
【争わなくてはならなかった。この悪魔に──この、世界に】


────みんな、もう少しだけ頑張って

ここまできて消し飛ばされる人たちじゃないでしょう?

アレをぶっ放される前に止めるわよ…………ふ、ふっ

私は────世界/あなたなんかに、屈したり、しないんだから────!!


【凍てついた大気が悲鳴をあげる。彼女の足元で、氷の花が咲き散らかす】
【雪が舞い踊る。純白の彼女の髪が、ばたばたと冷気にたなびいて】

【────きィン。高濃度に圧縮された氷の魔力が、闇を切り裂いて悪魔に迫る】
【それは、魔女に用いたものと同等かそれ以上の術。正確に放たれた氷結術式は】
【一度悪魔の肉を裂けば────華が、開くのだ。異世界より出でし生き物の肉を裂き】
【その身に宿る温度と魔力を喰い。鋭く凍えた華は爆発的に悪魔の体内で増殖するのだ】
【華の棘は異形の臓器を抉るだろうか。或いは、その冷たさを持って生体機構のバランスを崩すだろうか】
【どの道。それは生命にとって致命的な一撃となるはずだった】

【────その一発を放ち終えれば、今度こそラヴィーナはその場に膝をつき、動けなくなる】
【移動する分くらいの魔力は、残っているのだろうが…………もう、使えそうなチカラは】
【ほとんど残っていなかった。肉体の本能がそうさせるのか。キン──、と】
【ラヴィーナの両手に、薄い枷のようなものが張り付いた。一見すると】
【氷の結晶を模した装飾にも見えるだろう、────だがしかし、それは確かに枷であり】
【それでもって、ようやく彼女の周囲の冷気は収まる…………足元の霜は、まだ溶けてはいなかったが】
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 22:55:29.10 ID:OSma5drH0
>>927>>928>>929>>930
>>932>>936


そんな……

【渾身の囮作戦だったが、祭壇の銃は破壊寸前で奪われ】
【失敗を見届けたリオシアも、走るのをやめ、その場に立ち尽くす】

忍者ちゃんっ……

【祭壇の前で座り込んだ鵺】
【気絶したわけではなさそうだが、もう体は動かないのか】

【同じくして、翼を失った翔子が近くに落下してくる】
【そのまま気絶したようだが――】

えっ……

【再び意識を取り戻したかのように、赤く光る瞳で動き出す翔子】
【そして眼前には巨大な悪魔――昔会ったことのある悪魔とは大きさがまるで違った】
【リオシアは再び銃を構える翔子と悪魔を交互に見ながら――】

【伏せる翔子に後ろから覆いかぶさるように、それでいて射撃の邪魔はしないように、優しく肩を抱いた】

わたしが支えるよ……その銃、反動すごそうだし……
あのでっかいやつから攻撃が来ても、今度はわたしが翔子ちゃんを守る

【翔子に、正常な意識があるのならば――リオシアの体が異様に重く、硬くなったと気づくだろうか】
【反動で吹き飛ばされぬよう、射撃中に上から攻撃が来ても守れるよう、リオシアは全身の血液を金属化させ、体を硬化し】
【がっしりと、翔子を支えた】
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 23:02:02.11 ID:pSVc3jAT0
>>925>>927-930>>932>>935

【後ろを向いたまま懐からなにかを取り出すと、>>925から声がかかる】
【背後から掛けられた声に、振り向かず答える】

ん、いや、珍しいもん見たし、『描いておこう』かと――――ッ!?

【言った矢先、混沌の様相を成していた辺りはやけに静かになった】
【――違う。その混沌が"ひとつ"となっているのだ】

出やがったな。絵にも描けねぇ、本当のバケモノ。

【その歌は聞いた者に負の感情を撒き散らし、その双眸は見た者に底知れぬ畏怖を植え付ける】
【足を踏み止めるのがやっとだった。更地だった男の眉間にもぐっと皺がより、汗が滲み出す】

あー、逃げたい。こりゃ厳しいわ。

【彼の軽口も、その威迫に掻き消される程弱々しく響きを残す】
【既のところで、止まっていた筆が動き始めた】

ま、逃げられりゃ苦労しないか。

【腹を括ったように、男は真新な紙を左手に筆を右手に携えた。墨は――足元に溜まっている『海溜まり』で良いだろう】
【紙の上をすらすらと筆が滑り、その墨はひとつの『炎』を描き出す】
【そして筆を投げ出し、そのまま破り捨てた】

あの魔女の炎だ。異能にも効果があるんなら、お前にも美味しく喰らって貰える気がするんでな。

【火の玉が、その色を黒く染めて男の足元から現れる】
【色は違えど、その熱は魔女が操っていた対魔の火に相違ないだろう】

魔の術はよく分からんが、俺のも記念に貰ってくれや。
どうせ俺一人じゃ無理なんだから、な。

【そう言って爪を弾くと、異形の悪魔の大きく開いた喉元へと、炎も弾き飛ばされていった】
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 23:05:57.12 ID:jUMWZMX7o
>>926 >>931 >>934

【女が羽織っていた黒留袖は、裾が火炎で破れてしまっていた】
【背には家紋とみられる紋章が描いてあるが、それも吐瀉物に塗れてしまっていて】
【脇腹からは血をどくどくと流し、視界の歪曲も吐き気も、何もかもが不具合だった】


「────す」


【小さく、声が漏れた。まだ生きている証拠であり】
【──そして何より、戦闘能力が失われた言うことの証明であった】
【ラベンダァイスが頭を踏み潰そうとしているのは、足音からして理解していたのだけど】

【黒い霧も晴れることなく、準備されてから放置された発破のようで】
【いつ爆発が起きるか分かったものじゃない。少しの衝撃でビルが崩れかねない】
【──まあ、そんな衝撃ももう起こるはずがないのだけど】


「さん──にん──でも────」


【足止めできた。吐瀉物に塗れた顔で、口角を吊り上げた】
【止めどもなく押し寄せる魔力の奔流は、屋上で儀式が成功したことを告げていて】
【──彼女らが勝ったとしても、任は全て果たした。契約通りだ】


「ざん、ねん────だった──な?」


【途切れ途切れ、呼吸もままならないのだけど】
【意地悪そうに口元に笑みを浮かべれば、再び顔を伏せた】
【失血と、気分の悪さからもう動けなくなってしまう。後は、事の顛末を待つだけ】
941 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/29(日) 23:12:42.32 ID:TnR5Tl2H0
>>940

――――お、おのれ――――ッ

【伝わってくる、自分のそれに匹敵する、暴力的な魔力の奔流――――何か、事態が1段階、屋上で進んでしまった事を悟る】
【――――此方の戦いが無事に終わっても、これでは意味がない――――忌々し気な呻き声が漏れる】

――――――――っ、――――――――――――――――

【そして、そこまでだった。さしものラベンダーも、これ以上は意識を保つことが出来なかった】
【ガクリと、中途半端な立ち姿勢のまま、脱力してしまう――――気を失っただけか、それともとうとう絶命してしまったか】
【――――それは分からない。ただ、言える事は――――】

――――――――――――――――

【その姿が、元の少女の物へと戻り、彼女の戦闘能力は、この戦闘において完全に無力化されたと言う事だ】
【わき腹に大きな傷を作り、ボロボロのコートが血で更に汚れ、発汗と痙攣がその身体に残る】
【――――後はただ、何らかの形で『終わり』を、待つだけだ――――】

/すみません、明日がもう洒落にならない時間になってしまったので、先に失礼します……もうチョイと言う中途半端なタイミングですが、乙でしたー!
942 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/04/29(日) 23:14:58.16 ID:2LjxeR6Yo
>>935

【潔白の存在による一撃は、悪魔にとっては最大の弱点となる要素を含んでいた】
【杭が魔法陣に衝突。聖と水のエネルギーが解放され、巨体が苦痛に喘ぎ、苦鳴が轟音となって大気を震わせた】

>>937

【怯んだ大悪魔の頭部に氷の魔力が到達する。凍てつく高音と共に、魔力が炸裂。異形の頭部で巨大な華が顕現する】
【悪魔の持つ膨大な魔力が仇となり、侵食と成長を続ける棘が体内を引き裂いていく。先ほど以上の苦鳴があがる】

>>939

【相反する炎が喉元に着弾。延焼していき、体表を焼き尽くす】
【体内では氷の棘が、体外では対魔の炎が両側から巨体を苛む。積み重なるダメージが魔法陣に集中した魔力を霧散させていく】

>>936>>938

【そこにリオシアに支えられた翔子の<<Remember Glass Syndrome>>による一射が放たれる。膨大な魔力による一撃が魔法陣に溜まった魔力と相殺されていく】
【そしてついには魔法陣を粉砕。その先にある頭部に魔力が直撃。表面を焦がし、貫通。さらに内部を破壊しつつ反対側へと抜けていく】


>>932>>935>>936>>937>>938>>939

【重く大気が震えていた。大悪魔の巨大な超低音の悲鳴だった】
【柱の如き巨大な指が空間の縁から離れていく。指先から魔力の粒子へと変わっていき、消失】
【頭部が傾き、前傾していく。氷の華と共に端から魔力へと分解されていき、光の粒子が魔界側へと流れ込んでいく】

【変化は緩やかだった。が、ある瞬間に巨体の全てが魔力へと変貌し、霧散。完全に消失した】
【周囲に静寂が戻る。それ以上、『魔界』の扉から現れる存在はなく、また都市の異常も完全に停止】
【街にいた異形たちもその全てが────人間たちと共に────姿を消していた。完全に、全ての戦いが終わっていた】


【一行の前に残るのは歪な空間の裂け目だけ。今は、ただそこに存在しているだけだった】


//以上で終了でございます
//長時間、お疲れ様でした!
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 23:21:53.05 ID:xs3qAYcq0
>>931 >>934 >>940-941

【ラベンダーの言葉を聞いて、はっと目の覚めたような顔をする】
【もう仲間を失うのは――、それと、耳に懐かしく響く組織の名】

【「まだ、潰えてはいませんよ、Justiceの意志は――」】
【――そう声をかける前に、ラベンダーは意識を失った】
【あどけない少女の姿に戻ったのを確認すれば、せめて自分に寄りかからせるように、肩を貸す】


…………減らず口、ばっかりっ

【それから、倒れ伏した女を見て。ぎりと歯噛みして、睨み付けたが】
【もう窓の外なんて見なくても、どんな惨状が広がっているのかがわかる】
【魔術に疎い少女でもわかるくらいに――周辺一帯が禍々しい魔力に満ちているのが、わかるのだ】

【それで――悔し気に視線を落としたなら、次に銃口を下ろさない男のほうを見やるだろう】
【このまま引鉄を引くのか、そうしないのか。それを見届けようとして】


//ラベンダーさんお疲れ様でございました!
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/04/29(日) 23:22:01.99 ID:OhaFjdu80
>>938>>942

「……」
「……――」

【複数方向からの同時攻撃だった】
【悪魔はそれらの攻撃を受け、消滅した】
【銃から顔を離した翔子は、支えてくれたリオシアを見て】
【そしてそのまま、その胸に抱かれるように、安らぎの表情を浮かべて】
【全ての魔翌力反応が消え】
【今度こそ、その意識を失った】
【彼女が見る夢の中に出てくるのは、緑の長髪の男性か、それともプラチナブロンドの髪の少女か……】
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/29(日) 23:30:30.71 ID:aTfVzhQXO
>>942
【終わったのだ。少なくとも、何かが終わりを告げた──目の前に残るのは】
【住民が消失して静まり返ったアルターリと、やはり黙したまま存在を続ける裂け目だけ】

【とさ、とその場に倒れこむ。膝をつくだけではもはや足りなかった。悪魔の霧散を見届ければ】
【張り詰めてきた気が緩んだのか──もう、一歩も動けないというほどに体が重くなっていて】
【携帯端末を取り出す。頼る先は、あまり持ち合わせていないが】
【こういう時、少なくとも電話をかける相手がいるというのは楽だった】


────もしもし、スクルータ?
うん、私。今ね、アルターリにいて…………そう、うん
ちょっとね、いろいろあって。…………うん
それでね…………出来れば、迎えに来てほしいの
場所?えぇと…………レヴォルツィオーンのビルの屋上


【電話の向こうから、どんな声が返ってくるだろうか。お説教なら後で聞こう】
【それと隊長に報告もして────あぁ。帰ったら何をしよう】
【まずは、そう…………静かなベッドで、身体の疲れを癒したかった】

/お疲れ様でしたー!
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 23:33:32.57 ID:GreR3xvM0
>>934

ああ、だから動くな。後のことは…わかってる。
感謝ならこっちのほうさ。レディファーストといえど、譲りすぎたみたいだ
…仲間を信じてやりな。後のことは、任せて…今は生き延びろ

【男は拳銃を向けたまま、背中越しに言葉を返す。】
【そして、その背中が>>934が動いて、とどめを刺そうとするのを拒むように見えるだろう】
【好意的に解釈すれば、任せておけと言っていいるような】

【きっとこの冷徹な仕事をこなす人物なら、確実にとどめを刺し、正義として全てを片付けるだろう】
【それが正しい正義だから、それが正しい行いだから―――】

>>940

…ああ、残念だ。だが…

【銃口を向ける。引き金に力を込めると、ハンマーが降りて、弾丸は彼女の脳天へ。裁きが下される―――】

【――――だが、それは。床を穿った。頭蓋骨と脳みそごとでもなく、血を飛び散らせることもなく。直ぐ側を彼は撃ち抜いた】

【彼はしゃがんで、共闘者の二人には聴こえないように、言葉をつぶやいた】

俺は、世界に抵抗する。運命にも。―――信じてるからな。

【情けをかけたようにみえただろうか。それとも怖気づいたように思えただろうか。実際のところそうかもしれないだが―――】

【人生において、正解はない。本当に正しいなんて無い。正義も悪もない。生きていればそれに気がつく時が来る】
【だがそれは、辛く厳しすぎる。―――そして、それにいつか向き合わなくちゃならないと俺は思う】
【俺は俺のやり方で、それと向き合う。方法は…俺の正しさを、正義を――信じることだ】

【恨むなら恨めばいい。後で、殺されて。あんとき殺しておけばよかったと思うかもしれない。だが――そうじゃないかも】
【なら、俺は抵抗する。】

【彼は拳銃を懐に納める。振り返って、二人の共闘者をサングラス越しに見た】
【ひび割れたサングラス。足を少し引きずっていて、額からは血が流れているが、それぐらいのもので】

>>941 >>943

降りよう、上に上がっても…もはや仕方ない。………それより、手当が必要だ
…これ以上、仲間を失いたくないのは俺も同じだ

取り敢えず、病院…病院でいいのか?…なんだっていいか。車を…俺が、なんとかする

>>943には「立てるか、歩けるか」などと声をかけて。>>941を背負うことを申し出るだろう】
【彼は言葉少ない。だが、助けようと。行きずりの即席の仲間を助けようというその強い意志は伝わるだろうか】
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/29(日) 23:36:51.75 ID:OSma5drH0
>>942
>>944

【敵は去り、戦いは終わった】
【とても勝利とは言えないが……この状況で生き延びたことは奇跡かもしれない】
【リオシアは能力を解除し、普通の体に戻る】

お疲れ様でありました……那須曹長

【リオシアの胸で気絶する翔子の頭を、そっと撫で】
【あの異様な魔翌力は収まったらしいと、一先ず安心する】

これから、どうなっちゃうのかな……この町
みんな死んじゃったのかな……わかんないけど……今は

うちに帰ろう……

忍者ちゃんも、またね……今度あったらいろいろお話聞きたいな。忍術のこととか

【鵺の無事も確認しつつ──】
【意識のない翔子を背中に抱え、よたよたと歩き出す】
【2人の住居である、マンションへと帰還すべく】

少佐、いてくれたたらいいんだけど……

【魔導海軍の少女2人は、この場から去っていった】

//お疲れ様でした!
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/29(日) 23:39:22.31 ID:4RX6jkk00
>>942

「――さて、別のクソ悪魔に聞いてこよう。接続された空間を消す方法を」

【地面に降り立てば、そこに居たのはただの人間。裂けた空間の亀裂を、疲れた様子で体育座りをしながらぼんやりと眺めていて】
【きっと、この亀裂からまた悪しき者共が現れる。魔界の住人が現れる。】
【彼は、そう思った。――が、自分が今どうこうできる存在でもない。己の魔力で壊せるほど脆いものではないと判断した】

「たとえ知ってたとしても教えてくれないだろうけどね。アレにとってはプラスでしかないもの」

【ため息を1つ。そして、辺りの様子を確認しつつ、その姿を最初に見せた龍のそれにへと変える】
【それから、とりあえずの帰路につくだろうか】
【もしも力尽きて動けなくなった存在がいるのならば、――それが悪の存在でなければ、自身の背に乗せて帰るかもしれない】


「――あ、領収書渡し忘れた」

【まあ、後でいいか。――】


//お疲れ様でした!
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/29(日) 23:44:46.40 ID:jUMWZMX7o
>>941 >>943 >>946

【それ以降、もう女が動くことはなかった。まるで死んでいるかのように】
【静かに息を立てて眠り、銃口をこめかみに付き当てたとしても気づかないだろう】
【別に殺したって構わなかったのに──殺される理由なんて、山ほどあるから】


【彼らが去ってしばらく──2日くらい寝続けていただろうか】
【一つあくびをして、目を醒ます。ぱちぱち、と二度瞬きして】
【身体を起こし、辺りを見渡す。凄惨な光景が広がっている、オフィスだった】


「まーた、無茶しちゃったのねぇ」


【呆れたような顔で、二度首を振る】
【いつの間にか羽織っている着物も単調な黒留袖ではなく、花が咲き乱れる様子を描いた豪華な着物に変わっていて】
【兎に角、何も知ることが出来ないままそのビルを降りていく。────午前2時の、出来事であった】

//絡んでいただいたお三方、誠にありがとうございました……!!
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 23:51:23.44 ID:pSVc3jAT0
>>942
――はい、おつかれさん。

【最期の咆哮がビルを揺らし、光の粒子へと姿を変えたのを見計らい、男は袂の中で紙を挟み、引きちぎった】


***


【鴉のように煤けた大鷲は、男を背に乗せて飛ぶ】

――だぁー、やっぱ描けないか。

【半紙の上で筆が震え、濁った雫を落とした】
【恐怖を覚えながらにして、まだあんなバケモノを描こうと思う精神は、自分でもどうかしていると思うが】

でも、あれ出せたらかっこいいもんなあ。

【白濁した瞳は、なにを映しているのかはっきりとしない】
【本当になにも考えていないのかもしれないが】

さて、今度はもうちょい平和なとこにするか。

【彼ら以外なにもない上空で、鷲が鳴く。主人の命を受けて、誇らしげに】

/拙文失礼しました。お疲れ様でした
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/29(日) 23:55:07.33 ID:xs3qAYcq0
>>946 >>949

【――――ぼた、ぼた、ぼたぼたぼた……。ぼとん】
【思い出したかのように、肉を裂いて咲いていた花が散っていく】
【どういうわけか、真っ二つに裂けたはずの右の眼球はきれいに元に戻っていたが】
【その名残――赤い赤い血の涙は、白い頬にこびりついたまま、とれなかった】

【弾丸が放たれる音。それを聞くとき、少女はわずかに目を伏せて――】
【――次に開けたときには、まんまるく見開いて、驚きを示していた】
【外したなんてことは、ありえない。ならばそういうことなんだろうって、それなら】
【自分ももう、「これ」は必要ない――刀を手放すと、それは白く光る粒子になって、消えていった】


私は、大丈夫です――歩けます、大丈夫……
……病院、残ってますかね、この辺り。街の外まで出ないといけないかも……

【窓の外をちらと見やって――力なく首を振った。何から何までぐちゃぐちゃで】
【ここから逃げるには、きっと長い長いドライブの時間が必要になるだろう】
【白い少女は、男を信頼しているようだった。守ってくれた相手、今更信じられないなんて言いはしない】

【そうして大人しくついて行ったなら、乗せてもらった車の後部座席で背凭れに深く沈み込んで】
【深く深く息を吐く。そうしながらも、なんとか笑って――へたくそに。努めて明るい声で、言うのだ】

……たくさん助けていただいて、ありがとうございました……ミスタ。お名前、伺っても?

【「私は佳月、白坂のカゲツと申します」――なんてことはない自己紹介】
【そうして、なんでもない会話をしていないと――めげてしまいそうだった、窓の外に広がる景色を見て】


//ここらへんで大丈夫でしたでしょうか……! 長いことありがとうございました、おつかれさまでした!
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 00:09:27.70 ID:OsyZWg1p0
【水の国・工場地帯】

【サビや配管の破損が目立つ古い町並みの中、一台の車両が路地を走る】
【黒色のメガクルーザー。大凡、この町並みには似付かわしくない大型車だ】
【窓にはスモークが張られ、ホイールの銀が磨きたての輝きを放っている】

【この車両が出てきたのは、とある廃工場からだった】
【既に使われていない、倉庫にも出来ないような建屋だ】

【あるものと言えば埃と、サビを粉々に砕いた鉄粉くらいであり】
【そこからどうしてこの車が姿を表したのか――これも、不明ではあったが】


【その車は静かに路上を走っていく。夜、ヘッドライトは付けていた】
【けれど道は狭いもので、そのうえ市街地の用に整備された区画でもない】
【車両の行く手には無数の横道と、対向車とすれ違うには狭すぎる道幅と】
【そしてなにより、黒い霧――工場群のスモッグに似たそれが、視界を狭めていた】
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/30(月) 00:18:23.99 ID:4xvyh63F0
>>949

【もし殺さなくてよかったと思えることがあるかもしれないなら、其れが一番いい】
【そうでなくても、もうそれで。この場は、コレが正しいと信じている。】

【たとえこの街を救うことが出来なくて、ただ、不気味な世界に取り残されて】
【満身創痍の2人を抱えて逃げるしか出来なくても―――】

【今は眠ればいい。そう思って、彼は階段を一歩ずつ、降りていった】


>>951

【彼は失われた街で、残されたものを自由に拝借してしまう】
【フロントガラスにぶら下げられた安っぽいマスコット、取り残された日常の名残】
【負傷した2人を後部座席に導き、彼は運転席でハンドルを握る】

そうだね…残っていたとしても。誰も居ない…
できるだけ、急ぐ。……仕事は最後まできっちりさせてもらうよ

【そう言って走り出した、瀬戸際のドライブ。瓦礫や、色々な悲劇から目を背けるように走るから】
【時間はどうしてもかかってしまうが、この街を抜ければほんの一瞬でどこかの病院につくことだろう】
【そこにはまだ、当たり前の日常が余るくらいに転がっているはずだ】

…辛いなら、無理するな。本当に辛いときにも、嘘をつく羽目になる。
まあ、痛いと言われても…頑張れしか言えないけどね

【そうやって笑う。せめてもの雰囲気を和らげようとして】
【だがミラーをみるたびに後部座席の2人が不安だった】

…こちらこそ、助けられたよ。俺は…単なる、探偵にしか過ぎない。…ロッソだ。
あとで、元気がある時にゆっくり話を聞かせてもらうさ……

【また何かが始まった。そんな胸のざわめきに、気が付かないふりをしていた】


/ということで自分も〆とさせていただきます!御三方、お疲れ様でした!
/長時間のお付き合い、ありがとうございましたー!
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 09:49:34.94 ID:OsyZWg1p0
【水の国・アルターリ】


……ええ、ええ。それはもう、元の住人なんて居ないんじゃないですかねえ
噂ですけど、全員食べられちゃったんじゃないかって話ですよ?
"悪魔"が出たとかいう話もありますしぃ……、……まあ、自警団くらいは居ますけど。


【昨日の大異変により崩壊した町並み。苦痛に呻く声すら聞こえない】
【その一角、ビルの残骸に腰掛けて電話をする妖狐の姿があった】

【衣装は巫女装束の類。高下駄を履いた足は退屈そうにふらふらと揺れて】
【外見で最も特徴的なのは"色合い"だろう。瞳と頭髪、そしてその狐の耳は】
【向かって左側が亜麻色、右側が新緑色――くっきりと鮮色が分かれており】


まあ、落ち着いたらここも買収してしまうのは良いとは思いますけどねえ
なんでしたっけ。風の国の……レナール?あそこと一緒に、でしたっけ?
アスタンと並んで、どこもかしこも被害者の会って感じですねえ。

…――はいはい、ではもう少し調べたら。失礼しますね、ジルベールさん。


【電話を切るとそれをしまい、おもむろに右手を振るう】
【すると妖狐の足元から地面までの"氷の階段"が出現し】
【そこに足を乗せて、下りてゆく。静かな崩壊都市においては、珍しく色のある光景だった】
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/04/30(月) 10:04:40.15 ID:N3WFUHR8o
>>954
/お昼頃に一旦落ちますがそれでも良ければ突撃しても宜しいですか?
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 10:06:05.60 ID:OsyZWg1p0
>>955
/ぜーんぜん構いませんよ、どうぞどうぞっ!
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/30(月) 10:17:45.59 ID:N3WFUHR8o
>>954

【──鼻腔を擽る甘い香りがあった、スイーツの上からそれでも満たされずシロップをかけた】
【それは紛れもなく甘い芳香でありながら、胸焼けを起こす程にどろりとした甘さ】
【粘度の高い甘き香りが、貴女の周囲に漂い始める】


わぁ、綺麗な色合いのおねーさんだぁ♪ 懐かしい香りを辿ってみたら、こんなおねーさんに出会えるなんて
想像もしてなかったなぁ、それにね、とーっても綺麗な顔してるし♪
ねぇね、こんな所で何してるの、こんな何も無くなった所でさ


【小柄ながら豊満な身体を大きく露出したホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は白く肉感的な素肌を晒している少女であった】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて真紅の瞳を濡らす】

【背中には巨大な悪魔羽根が揺れて彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに愛らしい雰囲気を創りだす】

【甘ったるい猫撫で声で話しながら、彼女は悪魔羽根を羽ばたかせ飛んでいた】


まあいくらおねーさんが綺麗でも、ボクには叶わないけどさ
おねーさんは二番目だよ、それでも十分光栄なんだけどね
さっきの電話誰としてたの? 彼氏?


【人差し指が自身の唇に触れる、潤沢な朱に沈む指先の色合い】
【素肌がとろりと口元に溶けるような温度、紡ぐ度に頬を揺らめかせて】
【甘えるように声を重ねて、貴女の輪郭をなぞる】
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 10:36:09.97 ID:OsyZWg1p0
>>957

【甘い匂い。しかし度を超したその香りに、思わず袖で口元を隠す】
【或いは毒ではないかと思えるほどに蠱惑的なその香は――それとなく、覚えがある】
【人を、特に男性を誑かす化生のもの。面倒そうに目を細めながら、階段の半ばで視線を向けて】


……お褒めの言葉どうも。で、貴女誰です?
私、取り留めのない事を話すお子様は嫌いなんですよねえ

まっ、その外見とお歳が合致しなさそうな雰囲気もありますし
悪魔だか淫魔だか知りませんが、上っ面を作るのがお得意な気もしますし。
お話の相手としては…――悪くなさそうではありますが。


【奔放な印象。露出が多く、白い素肌と豊満な肢体、それに親しみやすい愛らしさ】
【きっと男受けするだろう。それを狙っているのでなければ、ただの痴女だが】

【背の翼と腰から伸びる尻尾が、きっとそうではないのだろうと妖狐に告げていた】
【――要は、妖狐からすれば不意に現れた魔族を額面通りには受け取らなかったということで】
【こつん、こつん、と氷の階段を地面まで下りながらも、翼を羽ばたかせる彼女をじっと見つめ】


私、彼氏とかは作らない主義でして。ほら、大体先に死んじゃいますし?
というわけで単なるお仕事の相手ですよ、この瓦礫の山に来たのもその人の依頼でして。

……それで、そういう貴女はまたどうしてこんなところへ?
生憎と、生贄をくれる人も、誑かされてくれる相手も
憎しみ合い殺し合うだけの人数も足りなさそうですが。


――――あ、それとも昨日出たとかいう悪魔、貴女だったりします?


【ふと気付けば、妖狐の腰からは三本の尻尾が伸びていた】
【その力の大きさを示すような、立派な尻尾。口元を覆っていた袖は、ようやく下ろし】
【気圧されることなく平然と、魔族の言葉に返答をした】
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/30(月) 10:48:50.58 ID:N3WFUHR8o
>>958

【返答は冷静、ふぅんと少女は鼻先で貴方の言葉を精査する】
【互いに人外の存在である事は間違いなかった、あるとすればその違い】
【人に対して傅くか傅かないか、敵対的かそうでないか、ぐらいの差だろう】


誰ですって言われてもねー、ボクの名はスナーク、そう命名されては居るけどさ
こんなプライベートな場で態々そんな名前使うタイプじゃないしぃ、呼んでほしいのは別の名
イルって呼んでよおねーさん♪ なんなら、もーっと愛を込めてイルちゃんでも良いよ♪

上っ面だってそんな酷いなぁ、悪魔でも淫魔でもそんな、おねーさん達に仇なす化生じゃないしっ
強いて言えば病魔かな、ニンゲンの敵、須らく排除すべき絶対悪
でもそれはニンゲンの理屈でしょ? ボク、基本的にニンゲン以外には優しいし


【階段を降りる貴方の速度に合わせてパタパタと翼を羽ばたかせて】
【ひゅるり、と一回転したり、その度に派手な露出した肉体が揺れる】
【子供っぽい雰囲気に対して成熟した女性の身体、邪な欲望が透けて見えるよう】


──あれ、ひょっとしておねーさん、おばさんぐらいの年齢だったり?
どんな若作りしてるのかなっ、まあ魔族には年齢なんて観念希薄だけどさ
しかしまぁ色気の無い場所に飛ばされたもんだね、そのお仕事相手さんも鬼畜なこと

まっさかー! あんな色気のない悪魔とボクを一緒にして欲しくないしっ
それにねボクには今ね、とびっきり可愛いパートナーがお家にいるから
すっごく可愛いんだよっ、責めると良い声で啼いて──まぁ、それはいいかなっ、時間も早いし

こういう所にはね、残ってるんだよ、ボクの大好きな残滓が


【しっぽを見て少女は目元をとろんと蕩かす、物欲しげに瞳を透かして】
【とろりとした口元が小さく開いた、咀嚼するように舌なめずりをして】
【少しして我に返る、いけないいけない、と虚空を握った】

【見てみて、と握った掌を貴方の前で開けるだろう】
【そこには無念のままで死んだ、人間の思念が、結晶となって形作られていた】
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 11:17:31.49 ID:OsyZWg1p0
>>959


ふぅむ、なるほど……そうですか。でしたらイルちゃんとお呼びしましょ。
残念ながら愛は込めていませんが、同じ"人でなし"なワケですし?
病魔だろうが悪だろうが、こちらに害が無ければご自由になスタンスですので。

……ちなみに、おばさんどころかおばあさんを軽く10回はこなしてますが。
大概の妖狐は外見の衰えが極端に遅いものでしてねえ?
若作りなんて必要ありませんよ。これが有りの侭の私の姿ですから…――さてさて。


【歯に衣着せぬ物言いであったり、人間のように取り繕うことが無かったり】
【生まれながらの存在悪である相手に対する本能的な忌避感――】

【仕方のない敵視は少々あったけれども、会話は恙無く可能だった】
【そんな中でも見えてくる、というよりは見つけ出した相手の情報】
【「あんな色気の無い悪魔」だとか、「命名されて」だとか】

【つまり目の前の病魔は誰かに召喚なり飼われるなりされている可能性があったり】
【昨晩の出来事を直接ないしは間接的に知っているのではないか、だとか】
【そんな事を頭の中でぐるぐると。哀れなパートナーの話を聞きながらも】
【興味対象は握られた彼女の拳に移り――そこに結晶化した物が何かを、理解して】


……あぁ、なるほど。そういう意味なら、まさにここは大鉱脈でしょうねえ
つまり"お食事に来た"と言う所でしょうか?ちょっと歯ごたえが強そうですけど。

昨日現れたとかいう悪魔さんとか、それを呼び出した御仁ですとか
その辺の方々もこういうのが好きなんでしょうかねえ……
……なーんか、私の雇い人も似たような趣味が有りまして。

ちょっと提案なんですけど。"それ"、沢山作れるのなら一つ貰えたりします?


【冒涜的なその結晶は、見ているだけでもその怨めしいという念が伝わってくるようで】
【同じ人間であればともかく、妖狐は気にすることもなく】
【むしろ興味深そうに一つくれないかなんて言って――思い出したように、また口を開く】

【「私、妖狐のクズノハと言いまして。ええ、まあ、今はしがない雇われ狐です」――と、名を名乗った】
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/30(月) 11:30:05.78 ID:N3WFUHR8o
>>960

【カリッと軽い音を立てて結晶を咥える、咀嚼する音が微かに響く】
【赤い舌がちろりと零れて口元を拭う、行儀の悪い作法ではあったが】
【ふぅと小さく息を吐く、少女の様に慎ましやかな微笑みをそこに浮かべて】


まあそんな感じかな、定期的にこういうの補給しなきゃ駄目なの
お菓子みたいな感じだね、結局ボクみたいなのはニンゲンの悪意が必要な訳で
ボクの子猫ちゃんもものすっごい怨嗟持ってるけどさぁ、壊すのが惜しくて

ねね、惚気けていい? 惚気けていい!? 昨日もさ、裸にひん剥いたら泣きそうになって
──ふぇ、なんて? 似たような趣味あるの、マジで? ボクが言うのもなんだけどさぁ
おねーさんの雇い主さんも、変わってるんだねっ、ニンゲンかどうかも知らないけど


【ふぅん、とクズノハの言葉を聞きながらソチラに興味を持った】
【考え込むように視線を外す、アホ毛がぴょこんと風に吹かれて】
【ころころと表情の変わる少女であった、まさしく魔の者に相応しく】


別にいくらでも作れるけどさ、これボクの能力で出来た物なんだよね
つまりさ、普通のニンゲンにとっては病巣なんだよね、病原体とも言えるし
肉体的な毒じゃないよ、寧ろもっと、もっと深い精神に巣食う病なのさ

ねぇねおねーさん、高所恐怖症とかあったりするよね、あれって凄く種類が多くて
恐怖するっていうのは根源的な病なんだよね、ニンゲンって、弱っちいから
だからね、ボクの結晶っていうのは、そのニンゲンの恐怖が一杯詰まった玉手箱

ふつーのニンゲンなら触れるだけで一発アウトだよ、死んだニンゲンの恐怖を一気に浴びて
オーバーフローしちゃうんだ、頭のネジが飛んで飛んで弾けて消えて!
ぱぁんって、ブレーカーが落ちるみたいに、正気を失って

……でもでも、そしたらぁ、ボクがおねーさんの事、飼えるのかな?


【唇の端に笑みを浮かべて、そんな風に付け加える、クズノハちゃんねっと楽しそうに笑う】
【口調ややっている事は兎も角、妙な親切さを持つ少女であった】
【近くまで飛んできて、結晶を貴方の目に写すだろう、ブラックホールのごとく暗澹として】
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 11:45:21.27 ID:OsyZWg1p0
>>961


――ええ、惚気るならお好きにどうぞ。半分聞いてませんので。


【こういう言葉でざっくり切り捨てる辺りは、如何にも狐らしい】
【が、半分は聞いているのかとか、その後の言葉に反応をしない――】
【すなわち、暗黙の内に雇い人が変わり者、ということだとかを認めていて】

【そして余程、その雇い人というのが興味を持ちそうなモノなのだろう】
【結晶の説明。人間にとっての恐れるべき病――恐怖という存在の意義を、ふと考え】


……大変丁寧なご説明どーもです、イルちゃんさん。
つまりはあくまで人智を超えた病魔の産物なわけで
いくら似た趣味を持っていようと人間が持つべきものではない、ということですよねえ?


なら、尚更一つ頂けます?多分"あの人"、喜んで触ると思いますから。
元々頭のネジは外れてますし、心の中とかドロドロのぐちゃぐちゃですし。
むしろ弾けるその恐怖、"能力"で取り込んでパワーアップ!なーんてしちゃいそうなくらいですから。

……飼う、という表現で無ければ雇われてあげても構いませんよ?
同額以上の金額を提示して頂ければ、今この場で首輪でもなんでも付けちゃいますし。
それとも…――貴女の我儘に答えないと、くれなかったりします?


【深淵を孕んだ絶望の結晶。恐怖を具現化した一つの形】
【自分からすれば必要のないものであっても、世の中には拾う神も存在するワケで】
【問いかけるのか、譲渡の条件。雇われという言葉といい、商人気質が覗き見えていた】
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/04/30(月) 11:57:44.16 ID:N3WFUHR8o
>>962

【聞いてくれなきゃつまんなーいっ、と言って頬を膨らませる】
【つーんとそっぽを向いたなら、空中でお尻をふりふり】
【おばさん、とぼそっと呟くだろう、やり方が陰湿である】


理解が早くて嬉しい限りっ、いくらボクでも精神を壊すのは趣味じゃないもん
正常だからこそ、濡れる様な恐怖を生み出すのであって、まっどーせ聞いてないんでしょーけどっ
その通り、ニンゲンが持つべき物じゃ全然なくて

────えーっ!? おねーさんほんとにボクの説明聞いてたっ!?
ボクおねーさんに触れさせるのすら躊躇ってるんだよ、ほら、ニンゲン以外大好きだしっ
やばくない? そいつ、どんな生来環境があったら、そこまで歪むワケ?

信じらんなーい、んもう、これだからニンゲンって嫌いなんだよね
少なくともさ、動物なら火を恐れるでしょ? ニンゲンだけだよ、恐怖しないものがあるって
大体ボク病魔だし、病気ぐらい恐れて欲しいんだけどさ


【ぷーぷー言ってるだろう、心配してる訳ではなさそうだけれども】
【けれども、続く言葉を聞いてぴょこんと、アホ毛がぱたぱた、ほんとっ! と目を輝かせる】
【翼を大きく羽ばたかせ直ぐ側まで顔を寄せる、透き通る瞳で貴方を覗く】


えっ! 首輪つけてくれるの! じゃあハーネスは! 首輪にはリードもいるよねっ
おねーさんの様な綺麗な妖狐飼えちゃうの!? あーどうしようっ、ペット同士交尾させるのもありだよねっ
まずは従属のポーズ仕込むでしょっ、その次はご主人様のケアを教えて────

あぁごめんごめん♪ そういう条件なら別にいくらでもあげるよっ
おねーさんがボクのモノになってくれるなら、無料であげちゃうし
なってくれないんなら──どしよっかなぁ、お金なんてそんないらないしぃ

ボクが唆るような申し出、他にしてくれるの?


【問いかける、小首をかしげて愛らしく、抱いてくれるようにねだるように】
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 12:35:18.63 ID:OsyZWg1p0
【フルーソで最も番号の若い国道を南に進む。都市を出て20kmで平原に出る】
【そのまま道を進むと、60kmの辺りで右手に牧場が見えてくる】
【それを通り越した先の道路を右折。そうすると深い森に入るはずだ】
【森を20分も進んで行けば、左手に小さな湖が見える。ちょっとした別荘地だ】
【そのまま道なりに進んでいって、二叉路にぶつかったならまずは右へ】
【そこから左、左、また右。間違っていなければ緑の屋根のコテージがある】
【時々使ってる場所だ。鍵はポストの中に入ってるが――要らない?あぁ、そうかい】
【なら、後はテラスに出てきてくれ。周りから見えないように木が生い茂ってるからな】
【そこならゆっくり話が出来る筈だ――日付と時刻は、さっき話したとおりで頼む】




【――示されたその日、その時刻。コテージの前には一台の車が止まっていた】
【綺麗に磨かれた黒のメガクルーザーには、落葉の一枚も乗っていない】

【まだ来たばかりということなのだろう。場面をテラスへと移したなら】
【木造建築を主とした、中々心地の良いその場所に一人の男が座っている】
【名はジルベール・デュボン。別荘地に似合うような、穏やかな雰囲気】
【白のツータックに、淡いピンクのベストを合わせ、淹れたてのコーヒーを味わう】

【傍から見れば都会の喧騒から逃れてきた、金融かITで財を成した成功者、のような】
【そのような装い、だった。栗色の髪も黒の瞳も、そう目立つタイプではなかった】

/予約であります!
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 12:51:02.10 ID:CUWYYlc9o
>>964

────いい場所だな

【ジルベールの対面には男が座っていた。影のように揺らめく黒衣、妖艶ささえ感じさせる美貌】
【感情の読み取れない黒曜色の瞳。顔つきこそ若い男だったが、気配はそうではないと言っていた】
【狂気の魔術師ブランル。ジルベールに連絡を取った張本人だった】

【仄昏い双眸が景色を眺めていた。木漏れ日を見つめては優雅な笑みを浮かべていた】
【ああしかし────そんな男はついさっきまで居なかったはずだ。ほんの一瞬、目を離した隙にこの男はここに”いた”】
【何の気配も予兆もなく。今までそこにいたかのような顔をして、この場に現れたのだ】

私もこういう別荘を一つ持つべきかな
最近、仕事が忙しくてね。たまには休暇でも取りたいのだが社長が許してくれないのだよ

【どこからか用意したカップを手に取り、口をつけて傾ける。中身はコーヒーではなく紅茶だった】
【カップを机に置き、薄く微笑む顔を向ける。友好的でありながら、敵対しているようにも見える】

はじめまして、かな
私はブランル。しがない魔術師にしてレヴォルツィオーン社の開発主任だ
恐れ多くもこの国を牛耳る存在に謁見することとなり、内心、震えが止まらないよ

今日はお手柔らかに頼むよ、ジルベール・デュボン

【穏やかな口調で語りかける。恐れる、などとは口ばかり。恐怖の感情など微塵も表れてはいなかった】

//よろしくお願いします!
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 13:04:54.86 ID:OsyZWg1p0
>>965


……ああ、そうだろ?ちゃんと何箇所か見て回ったんだ
此処を選んだ理由は、周りから見えないことと、湖が近いこと。
後は…――此処で飲むコーヒーってのが、結構美味くてね

まあ、そうは言ってもいつも使ってるわけじゃない
なんなら貸し出したっていい。フルーソからたった一時間半だ、週末にでも来たらいいさ


【その男がテーブルを挟んで向かいに座っているのを見留めてから】
【言葉を続けて出すのに数秒ほどしかかからなかった】

【まるで、そうして何者かが突然現れて話しかけてくるのにも慣れているような】
【そんな味気ない対応だ。さり気なく貸し出しの提案をする辺りも】
【"噂"通り――金に関しては相当に厳しいという評判を裏付けるものであるだろう】


しがない魔術師…――それにしちゃ、随分派手にやってるじゃないか。
別に畏まる事もない。俺は単なる金貸しで、神でも無いんだから

……それで、今日は何の話をしたいって?
天下のレヴォルツィオーンが、まさか融資の相談でもないだろ。
まして、開発主任なんて立場の奴が…――昨日の今日で、なんの相談だ?


【こちらもまた穏やかな口調だった。品位、というのは取り繕ったものだったが】
【コーヒーのマグをテーブルに置いて目を合わせる。話す時は、そうするのが癖だった】

/こちらこそよろしくですー!
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 13:24:55.63 ID:CUWYYlc9o
>>966

資金はいつでも必要だとも。何をするにもコストはかかるからな
とはいえ、私は別に経理担当じゃない。今日は違う話をしにきた

そう、昨日の今日、だからな
話というのは他でもない、アルターリのことだ
あそこに作り上げた裂け目、あれがどこに繋がっているか、分かるかね?

【ジルベールから視線を外し、男は森の向こう側、遥か先の都市へと瞳を向ける】

『魔界』だよ、存在ぐらいは聞いたことがあるんじゃないか
この世界と隣接する異世界。あるいは内包した別空間
我々レヴォルツィオーンはあそこに用があってね。行き来できる便利な門を作る必要があった

【アルターリという大都市を一つ使い潰して、そこに住む数百万という人命を消費して】
【その目的はたった一つの門を作ることだと、男は損害に触れもせずに言い、さらに続ける】

とはいえ、だ
門はできたが、使うなら周辺の確保をしなくてはならない
それは当然、『こちら側』も『あちら側』も、だ

【右手を開く。小さな人形が二体形作られ、カップの左側と右側に置かれる】

『あちら側』については自前の兵力もある。陣地確保は難しくないだろう。事前調査も済ませてあるしな
しかし、アルターリが幽霊都市となった以上、お前たちも何もしないわけにはいかないだろう?
水の国政府がアルターリの復興を行うのであれば、裂け目の調査も当然、行うだろう。『こちら側』の確保はそれで終わりだ

そこで提案だ
政府として、我が社をアルターリの復興事業に含めてほしい
そして裂け目の向こう側の調査、および陣地確保を民官共同で行うこととしてほしい
そうすれば、我らは大義名分を得て裂け目の向こう側、『魔界』側に乗り出すことができる

【二体、三体と新たな人形がカップの上を通って右側に置かれていく】
【提案の内容は、アルターリを壊滅させた企業がそれを伏せた状態で復興事業に乗り出し、公的協力をつけた上で魔界に侵攻するというもの】
【簡潔に言ってしまえば便宜を図ってほしい、とも言える。「どうかな」と言って、ブランルは双眸をジルベールへと向けた】
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 13:48:34.11 ID:OsyZWg1p0
>>967

【『魔界』――聞いたことはあるし、興味を持ったこともある】
【六罪王としての座につく際に先任者のことを調べたときのことだ】

【人類を全ての点で超越した、神話の世界に棲む者が息づく別世界】
【あちらに行くだけで莫大なエネルギーが必要であり】
【おそらくは維持するのもそうなのだろう。話の筋道が見えてくる】
【金勘定が得意とあって、人命がどうの倫理がどうの――そういう口出しは、一切せず】


……ああ。誰も居ない瓦礫の山になったとはいえ、都市は都市だ。
こっちとしても"活用"したい。その復興事業にあんたらを混ぜろってのは理解できる

問題は、企業名を伏せて――レヴォルツィオーンの名を隠したとして
昨晩の騒動で騒いでいた能力者と、そのお仲間をどうするかだ。
ただ告発しようってんなら、それこそ「反能力者」の世論で押しつぶせるんだが

中には、俺が密かに後援してる「対黒幕」の連中も混じっててな。
"黒幕"、知ってるだろ?俺を呼び出したんだ、知らないとは言わせない、が……そいつらの処置をどうするか、だ

こっちにとっちゃ貴重な実働人員でも
あんたらにとっちゃ、レヴォルツィオーンの邪魔でしか無い人間をどうするか。

……別に守ろうってわけじゃない、アンタの腹案を聞きたいんだ。
始末するならその具体的な手段を知りたい。
その点さえ確実にしてくれれば、魔界でもどこでも好きに行けば良い。


【「ここまで理解したか?」とブランルに対し問いかける】
【円卓と黒幕――大きな集団だけに、十把一絡げで快諾するわけにもいかないのだろう】

【だがブランルにとって幸いなのは、ジルベールという男が打算的で】
【かつ、黒幕に反抗するという一部の能力者を後援しつつも】
【その人員に特別な思い入れも、憐憫も感じていない所であり】
【しっかり処置するならそれでいいなんて言ってのけて――返事を待った】
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 14:09:12.03 ID:CUWYYlc9o
>>968

始末? そんなのは放っておけばいいんじゃないか?

【さも興味がない、といった様子でブランルは答えを返した】

告発するのも結構だが、世間や法を用いるには証拠やら何やら色々と必要だ
奴らにはそれがない。もっと言えば信用に足る立場もない
結局のところ、基本的には奴らは個々人が集まったものに過ぎない。公的な存在ではないのだ

戦った人間の中には軍人もいたが、他国の軍人だ
まさか他所の国の中で戦闘行為を行なったと公言するわけにもいくまい
そういった諸々を考えて、私たちとしてはこれといって何かをするつもりはない

もちろん、お前が不安だというのなら、対処も具体的に考えよう
実に残念ではあるが、ね

【ブランルとレヴォルツィオーンそのものが、件の能力者たちを脅威だとは一切考えていなかった】
【片や法人。片や個人の集まり。その隔たりは彼らが覆せるものではないという考えがあった】
【だがその上で、要求として提示されているのならば、対応する構えを見せていた】
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 14:30:40.12 ID:OsyZWg1p0
>>969

……、……なるほどね。いや、それなら良いんだ。

【どうでもいい――とは、違う。"彼ら"が抵抗するための手段】
【それを加味した上で処置する必要はないという結論に達した】
【その過程を、どのように考えていたのかを聞ければ満足だと】

【そういうように話題を切った。そこには僅かな苛立ちや、焦りや、失望】
【そのような類の感情は見えず、むしろ交渉相手としては上等、と】
【ブランルを対等に認めたような満足感すら伺えて】


それじゃあ、本題に入ろうか。俺が知りたいのは二点だけだ
あんたらがあの"門を"利用して何をしようとしているのか。

そして、アルターリの復興…――そこにあんたらを噛ませる事で
こっちにはどんな利点があるのか。……まさかとは思うが
自分で開いた門が危険だからと言って、それを制御する事がこっちの利益、なんて言わないよな。


【単純な話だ。土地を貸す時と同じ、その使用用途と使用料を決めようというだけの事】
【駆け引きでも悪巧みでも何でも無い――ただの交渉。そして、契約でしかない】
【ジルベールはその契約という物を重視するタイプであって】
【仮に目的が彼から広まるのを危惧したとしても――守秘義務を約款に盛り込めば、問題は無いように思えた】
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 14:47:06.02 ID:CUWYYlc9o
>>970


いいね、私も早くその話がしたかった


【薄く微笑んで、カップを手に取り紅茶を飲む。「んー」と上機嫌そうな声をあげる】


お前が気弱な人間であれば、そういう楽しい冗談も言ったのだが、今となっては退屈なものになりそうだ
まずは答えやすい方から答えるとしよう

門の利用法は極めて単純。レヴォルツィオーンはあの世界を必要としている
つまりは物資、人員、土地、技術、特有の魔力────あの場所に存在する全てのものを確保するのが目的だ
要するに、だ



           『魔界』を植民地にしたいのだよ



【カップを置き、その左側から右側へと、人形を全て置き換える】
【そしてその後、右側に置かれた人形を左側へと戻す。いつの間にか人形たちはそれぞれの手に小さな立方体を持っていた】
【立方体を左側に置いて、また人形たちは右側へと動かされる。一往復させて、演示が終わる】


もちろん、私たちに便宜を図ってくれるのであれば、利益をある程度は渡そう
あるいはもっと本腰を入れてくれてもいい。調査という名目で侵略をしてみてもいいだろう
その際には私たちの兵力や兵器、技術を提供しよう。どちらにせよ、企業と国家、どちらが主体になって行うかの違いしかない

私はすでに『魔界』の調査をした結果、利益になると考えている
もうすぐ魔族を素体にした一つの研究結果も出来上がる。それを見てから考えてくれてもいいが
何にせよ、権益を最も単純に強大化するのは植民地の存在だ。悪い話じゃないと思うが?


【カップの右側から人形を一体、左側へと動かし、それからジルベールの前へと差し出す。人形は資源の象徴として立方体を持たせられていた】
【優雅な笑みを浮かべながら、黒衣の男はその昏い双眸を向けていた。返答を、ただ静かに待って】
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 15:05:07.97 ID:OsyZWg1p0
>>971


――――……へえ。


【「魔界を植民地にしたい」――その言葉は、少なからずジルベールの興味を引いた】
【それこそ、以前調べた時に感じたのだ。人間には危険すぎる領域だ、と】

【その世界に存在するありとあらゆるモノが人間界では貴重品となりうる】
【しかし調査も交易も、或いは盗みであっても、相手が悪い】
【何せ、魔族だ。一対一ならば協力な能力者であれば対抗しうるだろうが】
【相手もこの世界における人間のように、数多く居住しているのだから】

【――まさか、そういった存在たちを隷属化させようという考えは、流石に無かった】
【故に興味をひかれるのはその手段。巨大とはいえ一企業が、如何に植民地化を図るのか――】


良いじゃないか、便宜を図るなんて甘い言葉じゃ足りないくらいだ。
"確約"しよう。主導となってあちら側に行くのも、レヴォルツィオーンで構わない。

……聞きたいのはそのやり口だ、手段だよ。
『魔界』が危険な場所であることはお互い承知のうえ、だろう?
かつての六罪王リリアもそう。UTのセリーナが使ってる武器も魔界の産物なんて噂もある

そういう連中がうようよしてるような世界を、どうやって植民地にする?
研究成果も是非見たい所だが…――やり口さえ聞ければ、文句は言わないさ


【差し出された人形。話を分かりやすくするための玩具ではあるが】
【夢物語のような話に現実味をもたせるには、十分な役割を果たしていた】
【続けて尋ねるのは、やはり手段。――最も、既に本題は達成されてもいて】
【これはジルベール個人の興味なのだろう。冷えたマグに手を伸ばすより】
【ブランルの話に耳を傾ける方へと、その意識は集中していた】
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/30(月) 15:05:08.63 ID:Bdb5xjye0
【路地裏】

【どんな事件が起きようとも、人さえいればいつもの状態であるこの場所】
【――そこにある大きな青いゴミ箱の1つに、何者かがゴミの中へ上半身を突っ込んだ状態になっていた】

【推測される身長はかなりの長身であり、体型は細身だが触れば筋肉質であることがわかる】
【服装は、長袖黒ジャージを身に着けていて、靴下は紫色、靴は黒――までか、今分かる情報は】

【さすがに触れるのは色々な意味ではばかられるのだろう】
【通りすがりの通り魔がちらりと確認して、そして見なかったことにした】

【……通り魔がスルーするようなこの存在、スルーしない存在ははたして現れるのだろうか】
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 15:35:52.45 ID:CUWYYlc9o
>>972


────その言葉が聞けて何よりだ

そして問いかけに答えよう。要点は二つだ

【欠けた月の如く、既朔の笑みを浮かべる。純粋な狂気と喜悦が表情に浮かべられる】
【肌白の細指が二つ、伸ばされる。片方が折りたたまれ、一つだけを示す】


まず第一に、彼らは強力な存在ではあるが、恐れるほどではないということ

【再び二本目の指が伸びる】

第二に、強力な存在なのであれば利用すればいい、ということだ


【カップの左側に人形が集められ、右側にデフォルメされた悪魔の人形がいくつか置かれる】
【左側の人形は立方体ではなく小さな銃のようなものを持たせられていた】


私は兵器会社の開発主任としていくつもの魔導具・兵器の作成を行ってきた
その上で分かるのは、武装した人間であれば低級の悪魔の相手ならば可能だろう、ということだ
もちろん、武装の程度は上げる必要がある。拳銃で殺せるほど容易くはない

しかし、だ
例えば先日のアルターリ。私は裂け目の向こう側から上級の悪魔を呼び寄せた
”彼”はかなりの大物でね。頭もキレるいい奴だったのだが、あえなく能力者たちに殺されてしまった
殺したのは誰だと思う? 武装した十六歳の少女だ。当然、一人でやったわけではないが、可能なのだ


【男の語り口には、まるで知人のことを話すような奇妙な親しさがあった。少なくとも直接、会話をしたことがあるような】
【カップの右側に大きな人形が現れ、左側へと移動。それを武装した人形が取り囲み、大きな人形が倒される】


それと同様のことが、低級な悪魔に対して武装した一般人の軍勢で起こり得るだろう
比率はどうか? 難しい話だ。そこは当然、コストとの兼ね合いもあって計算が必要になる
それでも不可能ではない。十分な人員と兵器を用いれば、土地の確保は可能だろう。陣地は取れる、と先ほど言ったのはそういうことだ

もちろん、お前が気にしているのは雑兵の話ではないのは分かっている
六罪王のリリア…………確か魔族だったな。そういった強力な存在に対してはどう戦うのか、だろう?
それについては当然、それ相応の強力な存在をぶつけることになる、が

ひとまず、ここまでで私の言いたいことの半分は伝わったかな?


【『魔界』────本来では人間で太刀打ちできないとされる存在が跋扈される世界】
【そこを支配下に置く上でどうするのか。そう問われたブランルは意図を理解した上で、人間は太刀打ちできる、と豪語した】
【武装。つまりは人間側の技術を結集する。それが答えだった。その前例として先のアルターリ戦さえも挙げていた】

【だがこの説明はあくまでも一般人とありふれた魔族との戦力の話】
【例として出た六罪王リリアなどの強力な存在に対してどうするか、その話はまだ続いていなかった】
【話を一度区切り、ブランルはジルベールの様子を窺っていた】
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 15:53:17.57 ID:iUiNw1BH0
>>973
【路地裏は行くなと、幾度となく言われてきたのだが】
【行かねばならぬ時は確かにあるーーそう、今だ】
【黒いゴシック調の、長いワンピースを翻し、少女がゴミ箱に駆け寄る】

……えっと

【すぐにでも助けなければ、と思って近寄ったのに状況が読めずに手が止まる】
【若葉色の瞳が不安に染まり、まずはじっくりと目の前の人物を観察する】
【……上半身がゴミ箱に入っていらっしゃる】
【見ればわかる状況だけどますます意味がわからない、と少女は首を傾げた】
【オレンジジュースやラッピングされたクッキーが入った黒色の肩掛けカバンを自身の背中の方に回し、両手でそっと、その人物のわき腹当たりを揺すってみる】

あ、あの、大丈夫ですか?

【死んでしまっていたらどうしよう、だなんて一瞬不安がよぎるけど、生きているのに放置されている方があきらかにーーヤバイ】
【目の前の人物が起きるまで、少女は揺らし続けるだろうーー】
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 15:57:17.06 ID:OsyZWg1p0
>>974

【ブランルの話を聞く間、ジルベールは肩肘を付き】
【その手で顎先を撫でるようにしてじっくりとテーブルの人形を見つめていた】

【それは講義を熱心に聞き、理解しようとする学生のようであり】
【同時に企業の戦略会議でなんとか利益を生み出そうとする社員のようであり】
【ともあれ――要はしっかりと話しを聞いていたのだ】
【茶々を入れることもなく、妙な感情をチラつかせる事もなく】


……ああ、伝わってる。アンタ、話すのが上手いじゃないか
要は種族としての強さじゃなく、人間が持つ智慧が上回るって事だろう?

その点は理解出来る。素手じゃ敵わない未開の地の蛮族も
子供が拳銃を持てば殺せるのと同じだ…――低級な悪魔の対処は、分かった。
ある程度強大な相手でも、しっかりと準備をして徒党を組めば倒せるっていうのもな

その辺りは今までの"歴史"と一緒だ。
どれだけ強烈な能力者でも、複数の弱い力を結集すれば勝てる
フ……皮肉なことに、機関や他の"悪"と呼ばれる組織のいつもの結果だ。


【問題は、そうした歴史も一瞬一瞬の綱渡りであったこと】
【偶然の積み重ねで倒した強敵たち。それをより効率的、確定的に実行出来るようにする】


……俺の知り合いに、その手の強力な能力者を人工的に作ろうって奴が居る。
だが、そいつでも今の所用意できてるのは3体だけだ
とてもじゃないが、常套な手段とは言えない。…――それを、ブランル大先生はどうしようって?


【相応の強力な存在をぶつけるという言葉には頷いた、が】
【やはり現実的ではない。少なくとも、ジルベールの思考の中にその手段は乏しい】
【故に尋ねた。自然と生まれた親しみと、和らいだ互いの関係を示すように】
【大先生などと冗談めかしながら――続けてくれ、と言葉を掛けた】
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/30(月) 16:02:22.01 ID:Bdb5xjye0
>>975

【脇腹付近をゆすられれば、――死んではいない様子だ、体温はあるし、抵抗も感じられる】
【……が、結構な間揺すっていることになるだろう。時々唸り声が聞こえてくるが、起きてはこなかった】

【そうしていると、そのうちゴミ箱が適当な方向へ倒れて】
【そして中から、隠れていた上半身が現れる――べたつくゴミとか生ゴミの汁がついているけれども】

【明らかになったのは、黒い外套を羽織っていて、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者ということ】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上も長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、紫色の手袋】

「……大丈夫に決ィまってるだァろう」

【地面に這いつくばった体勢のまま、相手の方に顔を向ける】
【なんというか、3日ほど激務で徹夜した人のように酷くやつれていて……全然大丈夫そうには見えない】
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 16:15:04.89 ID:CUWYYlc9o
>>976


その通り。要約が上手いな。聞き上手が相手だと私も話しやすくて助かる
その知り合いとやらも気になるところだが、今は話を続けるとしよう


【ブランルの声にも親しげな気色が増していた。上機嫌そうに指先を踊らせて】
【カップの左側から人間の人形をいくつか右側へと移動させる。それを悪魔の人形が取り囲む】


一つ目の要点は兵器を用意できるレヴォルツィオーンだからこその話だったが
実は二つ目も同様だ。兵器を開発し、薬品を開発し、そして────生体兵器を生み出す我が社だからこそ、だ


【指が悪魔の人形を摘み、反転させる。人間の人形たちと同じ方向を向かせる】
【まるで両者が一つの陣営であるかのように、それは表していた】


つまりはこうだ、戦争の常套手段、”鹵獲”をする
奪うのは兵器ではなく敵そのもの。魔族を捕獲して人間側の兵器に改良する
十分な数を用意したならば、さらに上級の悪魔へと。それを繰り返していけば、彼我の戦力差は必ず埋められる

如何に強力な魔族や悪魔がいたとしても、彼らよりも弱い存在を十分な数集めれば、撃破は可能だ
それは先のアルターリ戦もそうだし、六罪王のリリアについてもおそらくは同じことだろう
そういった意味では一つ目の話と同じだが、手法の違いはあるな。彼らそのものを利用してしまえばいい

【人形がさらに追加される。カップの右側には大きな人形が数体、人間と悪魔の軍勢に相対していた】
【しかしそれらでさえ、ブランルの手によって反転させられる。大きな人形のいくつかは味方となり、いくつかは倒される】

これは我が社にとって手段であり目的でもある
人間の兵器化はすでに完了しているが、どうにも能力者相手の戦果が芳しくなくてね
少し前にセリーナ・ザ・”キッド”と戦わせてみたりもしたが、あれは酷かった、完敗だ
これでは少し力不足だと思ったので、悪魔を兵器化しようと思いついた、というわけだ

そのための技術は既に確保してある。先ほど言ったとおり、素体の一つはもうすぐ出来上がりそうだ
以上が我が社の計画の概略だ。馬鹿げた計画に聞こえたかもしれんし、魔界の植民地化など大言壮語に思われても仕方ないが────


────どうだ、夢物語じゃなくなってきただろう?


【声には少なくない興奮の感情が表れていた。仲間に野望や壮大な計画を語るような言い方で、ブランルはジルベールに語りかけていた】
【宣言の通り、説明の全てはこれで終わりだった。あとはこの国に君臨する王が、どのように判断するか、それだけだった】
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 16:15:37.08 ID:iUiNw1BH0
>>977

ひゃっ!!


【ゴミ箱が転がって行くと、それに驚いたのか口元を細い指で覆いながら飛び上がる】
【そして全容を表したエルフ耳の男に、恐る恐る近づいて。顔の近くに足を抱え込むように座って覗き込む】
【とても怖い顔つきの男性なのだろうが、あまりにもやつれているためかそんなに怖く感じないーーむしろ辛そう、とか可哀想、とかそういう感情が湧き出てくる】
【鞄から薔薇の刺繍がついたハンカチを取り出すと、汚れた顔を拭いてやる。酸味のある臭いがきついが、ひどい姿の相手を思えばそんなことは言ってられない】
【こすらないようにぽんぽんと優しく、拭いてあげるーー】


大丈夫っていうのは、もっとしゃんとしてて元気があってーー
少なくともゴミ箱に身体が入ってしまっていた人の事は言わないのだわ
一体何があったのかしら?


【髪の毛や服についたゴミを摘んでとってあげるーーどうしてこんな危ないところでこうなってしまったんだろうか……】
【聞いていいことかどうかなんてわからないけど……あまりの惨状に聞かずにはいられない少女だった】
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/30(月) 16:24:57.01 ID:Bdb5xjye0
>>979

【立つのも億劫なのか、しかし今のままの体勢でいるのも嫌なので】
【とりあえず地面にあぐらをかいて座ることにした様子だ】
【顔を拭いてくる行為に対しても特に抵抗はしてこない、若干不愉快そうな表情は見せるが】

「……色々だ、色々」
「能力者共への景気づゥけに、部下の開発しィた兵器のテスターに!」
「一気に魔力が無ァくなったそォの俺が休憩しィている間に、件の部下がこォこへダンクシュート決ィめやがったって訳だ」

【おまけにあの野郎、倉庫から無断で色々拝借しやがって……なんてブツブツと文句を続けつつ】
【おそらくは、色々な事が短期間に重なった結果がこれなのだろう】
【見た目は疲れているが、口調はわりと元気である。】
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 16:46:12.75 ID:OsyZWg1p0
>>978


―――――それを可能にする技術を持ってるんだな?


【鹵獲=\―それは頭から抜けていた。理由は単純だ】
【悪魔という強力な種族が、人間の技術で"兵器化"出来るとは思っていなかったからだ】

【だからこそ、ブランルの詳細で具体的な説明に対しての返答は、一言だった】
【それも問いかけではない。既に素体が完成間近という話も聞いていた】
【要は"確認"だった。その技術があれば、例え魔界といえど侵攻は可能だろう】

【戦略ゲームの攻略手順を聞いているかのようだったが――元を正してみれば】
【それも戦争を元にしているのだから、決して間違いではないのだ】


【無論多少の不安はあった。魔界という未知の領域の深淵を、人間はまだ知らない】
【故に、もしも他の悪魔とは隔絶した力を持つ存在が居たらどうなるのだろうか】
【或いは捕らえることも敵わないような凶悪な個体と出会したなら――?】

【――恐らく、その都度ヒトは智慧を絞るのだろう。悪くない、そういう行き当たりの対応も重要だ】
【そういう臨機応変な対応こそが人類をここまで生き残らせたのだと、人類史が語っているのだから】


復興事業にレヴォルツィオーンが加わる確約は、もうしたな。
他にも、幾つか支援させて貰おうか。メインは金になるわけだが……

幸い、俺は六罪王であり円卓の主導者だ。色々と動かせる物もあるだろう
なんなら個人的に手を貸したって良い。それだけの価値が、この"夢物語"には在る。
ベンチャー企業の滑り出しみたいなもんだ、俺はアンタに協力する。それだけだ、質問は?


【冷えたコーヒーを一口。酸味の増した液体は苦かったが、目が覚める】
【これが単なるおとぎ話の世界ではないのだと自覚させてくれる】

【表情は悪どく楽しげにニヤついて、期待に瞳がぎらりと光り】
【なにより、内心ではレヴォルツィオーンという企業に僅かな驚異を懐きもした】
【開発主任――企業の性格からして、相当な高位に当たるのだろうが】
【こういう人間が全ての長ではない事が意外だった。ともあれ――"暴王"は、その協力を惜しまないと確約をした】
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 16:51:45.67 ID:iUiNw1BH0
>>980

【聞いたはいいがーーよくわかっていないのだろう。相槌はうちつつ、でもきょとんとした顔で話を聞いている】
【薔薇の飾りがついた白いヴェールで夜の月に照らされた海みたいな色の髪を覆い、細い縦縞のふんわりとした袖のブラウスの上に黒いワンピース。こんな場所で引きずったりしゃがんだりしてしまったが、不思議と汚れていない】
【腰の緑色のベルトにはトマトみたいなデザインの変わった宝石飾りが何個かついていて、左手の甲には黒い宝石のアクセサリー】
【路地裏には不釣り合いな格好の少女だーー】

【拭き終わってすっかり汚れたハンカチーーとりあえず、近くにあった石の上に置いて】
【なんだかんだで事情を話してくれたーーーー途中から「身長が高いのだわ」とか考えていたのは秘密ーーーー相手がその場に座ると、ぽんぽんと手でスカートを伸ばしながら立ち上がり】

とてもやんちゃな部下さんをお持ちなのね、そこはわかったのだわ
あと、魔力って事は、能力者さんかしら?
……でも生きていてよかったのだわ、ここは危ないところだから……あ、何か欲しいものはある?
買ってくるのだわ!

【タオルとお水は必要か、と買いに行こうとするのだが】
【他に欲しいものはあるかと相手に聞いてみて】
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/30(月) 17:02:22.90 ID:Bdb5xjye0
>>982

【――深入りされなかったのは、助かった。どちらの案件もあまり公にはしたくない】
【(後者は件の部下があんまり気にせずどんどん明かすだろうが)】

「……ククッ、能力者か。そォの認識でェも構わねェーが!」

【近くに貼ってあった指名手配犯のポスターを指差す。……そこに書かれていた内容は】
【先程までゴミ箱に上半身を突っ込んでいたそれの写真と、"邪禍"という名前、召喚術を用いる悪魔であり、そしてわりと高めな懸賞金が賭けられているということ】
【写真写りはそれはもう抜群で、どこかのスタジオで撮ったのではないかと思われるほど】

「別に必要なモノはねェーが、貰えるモノは何でも貰うのが俺様でなァ〜ッ」

【目の前にいる少女が路地裏に不釣合いかもしれない、なんては思わず。……むしろ、能力者の可能性があるので油断できない様子】
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 17:06:06.88 ID:CUWYYlc9o
>>981


────ああ、当然だとも。”私たち”に不可能などない


【技術についての確認。それに対してブランルははっきりと断言した。圧倒的な自信と共に】
【名も存在も出さずとも、脳裏に浮かぶのは二人の女科学者。自分たちの智慧を結集してしまえば】
【それこそこの世界において不可能などない。そのことに黒衣の男は微塵たりとも疑問を抱いてはいなかった】

【王の返答に男は満足げな笑みを浮かべる。手が机にかざされて、横へと流れる。手が通過した箇所の人形やカップが順次、消えていく】


ふふ、六罪王に円卓の主導者。カノッサ機関に大国の支援があるならば、それこそ世界も支配できそうだな
こちらからの要望も十分に伝えた。おかげで堂々と『魔界』攻略にも乗り出せるし、慈善事業のおかげで名も売れそうだ
あとは互いに約束どおりのことをして、この世界を十分に楽しもうじゃないか


【用件の全てが終わり、ブランルが席を立つ】
【一歩離れると、何かを思い出したように指を一つ立てる】


あぁ、そうだ
一つ言い忘れていたが、アルターリの復興の際、警備はあまり厳重にはしてくれるなよ?
せっかく開いた魔界の門だ。一人二人、あるいは一つ二つのネズミが通過することぐらいは許してやってほしい

私に用のあるやつもいるかもしれないしな、『魔界』であれば、何をしたところで法には触れまい
あるいはこちらを見たがる魔族もいるかもしれん。観光ぐらいなら、いいんじゃないか?


【それはジルベールからすれば不可解な要求だろうか。不確定要素をわざと含めるような、そんな内容だった】
【水の国の軍部が警備を厳重にしてしまえば、それこそ『魔界』に渡れるのはレヴォルツィオーンの関係者だけ】
【それをブランルはわざと崩せと、そう言っているのだ】
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 17:20:24.61 ID:iUiNw1BH0
>>983

【首を傾げる。能力者、とはまた違うのだろうか……と、相手の指を追うように視線を曲げて】
【そこにあるのはあまり目にしたことのないタイプのポスター。よく見るとよく似た人物が……いや、ゴミ箱に突っ込まれてぐちゃぐちゃになってしまっているだけでーー同一人物であろう人がそこに写っている】
【それに気づけば「有名人なのね!」なんて言ってポスターの覗き込む】

とてもいい写真なのだわ、本当はとっても素敵な方なのね!えっと、邪禍さんっていうのね
悪魔……はあ、悪魔……懸賞金……?
指名手配…………

【白い肌が一気に青ざめる】
【ポスターの邪禍から目を離し、邪禍本人をぎこちない動きで見つめて】
【ちょっと汚れてしまってはいるけど、間違いなく本人ーー悪魔の指名手配犯、なのだろう】
【殴られたらどうしよう、とか何か盗られたらどうしよう、とかそういう思想が頭の中で渦のように回り出すーー】
【ずりーーっと後退り。警戒した視線を相手に向けながら、ずり、ずり、と下がっていってーー】
【やがて少女はパッ!と走り去ってしまう。猫を見たネズミのように素早かった】

【ーーが、数分後】
【大きな紙袋を両手で抱えながら戻ってくる。重い荷物に慣れていない子供のようによたつきながら】
【やがて邪禍の隣まで戻れば紙袋をどさっ、と】
【中には2リットルの水の入ったペットボトルと、大きなタオルが何枚かと、チョコレート】

……これで、汚れが少し取れるといいのだけれど
本当は、シャワーとか用意できればよかったのだけど、とりあえず、あなたのお家に帰るまでは、ね?

【と、紙袋ごと相手に渡すのであった】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/30(月) 17:34:54.32 ID:Bdb5xjye0
>>985

「ヒャハハ、当然だァろう! 俺様がグッドタイミングで撮ォッた写真だァからな……」
「――ほォう、賢明な奴だ。ククク、誘拐は俺様の得意技。劇的な変化を伴わせて二度と帰れなくすゥるぜ」

【なんということでしょう――なんてナレーションを本気で生み出しかねない、邪悪な笑み】
【だが、疲れているのかなんなのか。走り去る少女を追いかけることはせず】
【その姿が見えなくなれば、ため息を1つ。それから、携帯端末を取り出して色々確認し始める】

「ククッ、有志によォるダウンロードとアップロードの繰り返し過ゥぎで画質がとォんでもねェ事になァってるな、こォいつは」

【――彼女が戻ってくるのは、何かの動画を見終わった後だろうか】
【その動画ページを更新すれば、"この動画は削除されました"の文字が現れて】

「……なァんだ、お前戻ってきたのか。誘拐さァれたくなったか? ククク」

【などと供述しつつ、座った体勢のまま渡された紙袋を受け取って……中身を確認した】
【発言と合わせると、身を幾らか洗わせるための物だとわかった様子だが――】
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 17:35:04.83 ID:OsyZWg1p0
>>984

【ブランルが席を立っても、それを見送るように立つ――なんてことはない】
【顔くらいは向けるけれどもあくまで席には座ったまま】
【それが軸の座った王としてのあるべき姿だから。というわけでは、ないのだが】
【一歩離れただけのブランルが指を立てれば、自然とそこに視線が向いて】


……なるほど?それは構わないが……大丈夫なんだろうな。
そういう要素も含めて、お前の計画なんだろう?

それなら、上手く手回ししておくさ。
俺が直接動かせる能力者が一人、軍部の目立つやつが一人……。
後は雑兵で固めておけば十分だろう

"軍"が出てるってだけでマトモな人間は近寄らないし
守るべき"門"も一つきりだしな。……お前に用が有る奴は通すようにも、言っておくさ


【問題はない。ブランルへのある種の信頼が、その一言を最後に付け足していた】
【敢えて穴の空いた警備配置、それくらいは楽なものだ――まだあるかと、空のマグを片手に尋ねかけた】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 17:43:34.95 ID:CUWYYlc9o
>>987


よし、それなら助かる
全くもって世話のかかる奴らだが、招待客のいないパーティ、観客のいない舞台ほど退屈なものもないからな
これでようやっと、私を追ってこれる。戦いになる。そういう話だ


【説明口調で、しかし詳細や意図を語ることはせずに黒衣の男は笑みを浮かべていた】
【余分なことである可能性もあった。だがそんな気配は微塵もさせず、全てを手の平の上に乗せているかのような余裕があった】


では、今日はこれで失礼するよ
向こうの様子も早速見なくてはならないしな
互いに忙しいが、まぁ頑張ろうじゃないか


【軽々しい激励の言葉と共に、黒衣が蠢く。風が煙を吹き飛ばすように、ブランルの姿はかき消されていった】
【残ったのはジルベールただ一人。机の上には彼の方に向けられた人形が一つ】
【その手には立方体が持たされていた。王への献上品の如く】


//お疲れ様です!
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 17:52:11.84 ID:iUiNw1BH0
>>986

お迎えの連絡?

【相手が携帯を見ていると、覗き込みはしないけどそんな風に聴くのだろう】
【彼の状況からみて、誰かに迎えを頼んだーーそんな風に見えたらしい】

【渡した紙袋だが、自ら手を入れてタオルとお水を取り出す】
【どうやって濡らそうかとキョロキョロしだすが、なにせあまり綺麗とは言えない場所ーー自分の膝、黒のワンピースの上にタオルを置けばその上から水をかけていって】

飲んでもよし、だけどまずは綺麗にするのが先なのだわ……希望であればオレンジジュースとクッキーもあるの
誘拐だなんて、暴れる私を抱えていけるくらいに元気になってから言って欲しいのだわ!
それに、私を誘拐したところで意味はないと思うの。きっと誰も助けにこないから身代金も取れないの。

【ぎゅっ、とタオルを絞る。少女の手には大きすぎるタオル。……まだ湿り気は多いが限界だったのかそれを渡しーー受け取れば乾いたタオルを準備するだろうし、受け取らなければ立ち上がって勝手に邪禍の頭をふきだすのだろう】
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 17:58:36.03 ID:OsyZWg1p0
>>988


……ああ、気を付けてな。
それと一つ忠告だ、金と緑の狐を見掛けたら何もしないようにな
俺の雇った有能な術士だ、今はアルターリに居るんでね。


―――……いずれしっかりと成果が出るのを、楽しみにしてるぜ?


【激しい風が一つ吹き、現実性のある夢を語った男は消えた】
【ただ、彼が残した粋な人形を見れば】
【小さく微笑んで、それを手にして。やがてゆっくりと立ち上がると】
【もう一方手には端末を取り出す。その指に黒の指輪が輝くのを確かめて――】


――よう、クズノハ。一つ、新しい仕事を頼まれて欲しいんだが。


【門を機転とした防御陣地の偵察。子飼いの能力者の配置】
【それを短節に指示をして――通話を終えた。静かな湖面が、微風で小波を立てていた】

/お疲れ様でしたっ!
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/30(月) 18:03:49.77 ID:Bdb5xjye0
>>989

「違うな、ちょいと動画を見ィていただァけだ……ククク」
「俺様はいィつでもどォこからでも帰れる! 迎えなァんざ頼む必要ねェのさ」

【――ならばゴミ箱にダンクシュートされる前にさっさと帰れば良かったのではないかとも思われるが】
【疲れていて帰るのも億劫だったのだろう。きっと、おそらく。】

「身代金? そォーんなモノは俺様は請求しィねェ」
「たァだ、"人としての"生を捨ゥてさせ、永遠に俺様の部下となァることを強ィるだァけだ」

「おォッと、オレンジジュースで顔を拭ゥくのは禁止だァぞ」

【何故か、水の代わりにオレンジジュースを用いるという発想に結びついてしまっているが】
【ともかく、タオルを受け取ろうとはしない。あまり本人は気にしていないのかもしれず】
【けれども、勝手に顔を拭かれようとすればタオルを奪い取ろうとし、それに成功すれば自ら拭き始めるだろう】
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 18:33:05.49 ID:iUiNw1BH0
>>991
はっ!知っているのだわ、一瞬でもお家に帰ることができるすごい魔法なの!
すぐに帰れるのなら安心したのだわ

【ぽん、と手を合わせて。もしかしたら疲れている彼を送っていくことになることを想定していたのだが、その必要は無くなった】
【誘拐犯の彼について行くことにならなくて済んだ……と、いう幸運……】

……私、とんでもない人とお話ししているような気がするの
人のとしての……想像するだけで怖いのだわ
でも、その……部下から捨てられたんでしょ?ゴミ箱に

【彼の頭を拭こうとしたが奪い盗られ。自ら拭くその姿をじっと、見つめて】
【ーー路地裏には危ない人がいる】
【ーーそこにはいかないように】
【ーー危機感がない】
【いろんな人に言われたことが頭の中で響く。あぁ、成る程、と一人頷く】

ねえ、あのポスターに書いてあった悪魔って本当なの?

【それはちょっとした興味】
【そういう例えなのか、それともーー】
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/30(月) 18:41:40.80 ID:Bdb5xjye0
>>992

「よォく気ィづいたな……ククク、前科沢山犯の俺様は当然とォーんでもねェ輩だ!」
「安心しィな、怖くねェ。いィつでも任意に人間の姿に戻れるし、衣食住や福利厚生も充実しィているからな……」

【――悪魔の囁き。とてもじゃあないが信用ならない表情だ】

「あァ、俺様をゴミ箱に捨ゥてた部下は、悪が嫌いでなァ」
「つゥまり俺様の事が大嫌いって奴だ! だァから、使える時は使い、終ォわったらポイ! どォッちが悪だか。」

【そうは言っているものの、その件に関しては対して怒っていないようにも見える】
【まるで、そうされることも想定済みな部下だと認識しているようで】

「ほォう、信用でェきねェのか? 俺様は見ィての通り悪魔だ!」

【懐から取り出されるは、別の指名手配犯ポスター。そこに、人間、半悪魔、悪魔の3つの姿がやはり写りよく掲載されていて】
【3者の顔はよく似ており、それらが同一存在であることなども書かれている】
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 18:54:12.23 ID:21Sc84Ero
【──水の国、アルターリ近郊】
【昨日異形が顕れたという報告を耳にし、興味を抱いて訪れたは良いものの】
【そこら一面残骸や炎で埋められており、世紀末のようにも思えたのだけど】


「────ゲート……?」


【レヴォルツィオーン第二支部、と銘打たれたビル】
【その屋上から、この世界ではないもの──異様な魔力の反応を覚える】
【魔力波長の長さが、現実に存在し得ないもののようにも感じて】


「冗談だろう……、別の世界につなげてしまったのか」


【ゲートの方まで、歩いて向かっていく。歪な空間の裂け目だけがそこに残されていて】
【ゲートのフリークエンシー──固有周波数が、どう考えても同世界の異空間につながるもののそれとは思いづらく】
【しばらく辺りを歩き回ってみるが、それを示す痕跡は見つからない】


「はぁ……。向こうの世界が何か、少しでも掴めれば良いんだけどな」


【しばらくしゃがみこんで、僅かな残骸一つでも持って帰ろうと】
【異世界の異物であれば、この世界にあるはずのない魔力反応を示すはずだと──】
【それを見つけるために、かなり集中して屋上を探し回っているようであった】


【女は右胸に球体に巻き付く蛇の紋様が刻まれた白衣を羽織っている】
【特徴的な真紅の腰まで伸ばした長髪は、風に煽られて白衣の裾とともになびいている】
【かなり集中しているために、足音などでは気づかないだろう。何か大きい音をたてるか、身体に接触して呼び止めない限り気づかない筈だ】
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 19:06:29.13 ID:eEM8wrUco
【水の国・アルターリ】

【惨劇、というにはあまりに巨大過ぎる、災厄とでも言うべき日。この世と地獄が繋がった日】
【その日、異形どもはその場にいた。災厄の主催者、ブランルからの連絡を受けて、この地獄へ遊びに@ていた】

【結果、その日目にしたのは想像をはるかに超える、世界そのものを揺るがさんばかりの出来事だった】
【自分たちと同じく異形と化していく人々。崩れ行く街並み。地獄。地獄。悪夢の具現化】

【「まさにお祭り騒ぎだな」異形どもの頭目は、配下たちを率いてビルの一つの屋上に陣取り、それを見ていた】
【その男にとって誤算だったのは、この事態に対抗しようとする者たちの中に、より大きな敵との戦いを前に休戦し、一時的同盟を結んだ相手が数名含まれていたことだった】


【異形の盗賊の親玉は即座に損得勘定を終えると、アルターリの外に通じるいくつかの橋や道路を爆破して人々の逃げ道の一部を密かに封じ】
【後は、ビルの屋上でその戦いを見物しながら配下たちと食卓を囲むことにした。自身の手料理を配下たちと共に貪りながら、高みの見物をしていたのだ】
【「双方に申し訳なくはあるが、まあたまにはこういうのもいいだろう」そう言いながら、この地獄を酒の肴として異形の盗賊たちは久方ぶりの酒宴を楽しんだ】


【そして、現在。戦いが終わり、誰もが去り、この街に命の気配が失せた後】

さあて……火事場泥棒もそろそろ時間切れだな
火事が収まって生存者が消えた後を漁ることを、火事場泥棒というのかは微妙なところだが

お前たちは先に引き上げろ。私はもう少し粘ってから戻ることにする

【崩れたビルの足元で、その男はそうつぶやいた。身長2メートルを超えているだろう大男だ】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン。黒いゴム長靴を履いた、角ばった顔つきの男】
【短く切り揃えられた黒髪に黒い瞳の両目。額には、面積を埋める巨大な一つ目】

【異形の盗賊は、卑劣にも戦いをただ見物するに留めた挙句、全てが終わった後のアルターリを荒らして、残された金品や物資を奪って回っていたのだ】
【眼前に揃っていた手下たちは、指示を受けて一斉に散っていった。手に手に、持ち主のいなくなった収奪品を抱えて】


【一人残った大男は、恐れと好奇が入り混じった三つ目で改めて滅びた街を見回した】
【来るべき更なる地獄に向けて、戦いの残り香を味わうかのように】
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 19:11:47.23 ID:iUiNw1BH0
>>993

悪が嫌いなんて、立派な部下なのだわ……ん?いや、上司を投げ捨てるのは……でも、投げ捨てられたのは悪魔で……

【首を傾げる。頭に浮かんだはてなが見えそうな思慮顔】
【もしかしたら上司部下の関係はかなり複雑で、意外と彼は苦労人だったり……なんてよぎって】

自分の指名手配ポスターを持っているだなんて!!
……ちょっとお顔が怖いのだけど、とてもよく撮れているのだわ!

でも、今日会ったのがなんだかお疲れな邪禍さんでよかったの
元気な時だったら、もうちょっと怖かったのかもしれないの

【冗談ぽく笑い、立ち上がる。濡れてしまったスカートを、水滴が飛び散らない程度に払って】
【「そろそろ立てるかしら?」って手を差し出しーーあまり力はないから支えにはならないかもしれないけどーー手を取られれば立ち上がる手伝いを、まだ休むのならまた彼女も座り込むのだろうけど】
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/30(月) 19:19:13.26 ID:s3kbcpMl0
【――黄昏の時間帯だった。すぐそばに居る相手でさえ"あれは誰か"と尋ねたくなるような、曖昧に薄暗い時間帯】
【昼間の暑ささえもぼんやり崩れて、曖昧な温度になる。ならば空気も空も何もかもが――曖昧に崩れて。崩れきって。だけれど、きっと機械はうそを吐かないなら】

【――――――着信 白神鈴音】

【その向こう側に居るのが誰かはともかくとして。その名前を"彼女"の端末は表示するだろう。ぶーぶー震える端末で、受話器のマークが揺れていた】
【取らねばきっと切れてしまう。けれどこれがありふれた電話ではないことをきっと相手は知っていた。――だって、この人物は"行方不明"であるはずで】
【もしも彼女らが何度メールを送っていたとしても。何度電話を鳴らしていたとしても。今まで全く無視してきたのだ――それが、今になって。あるいは、今だからこそ】
【それともふっと微睡みの中で思いついた妙案をメモに書くみたいに。――――ミラ・クラァケの端末が鳴っていた、相手の都合も何もかも無視して、無遠慮に】

【罠かもしれない。あるいは助けを求めているのかもしれない。そんな判断さえ、ひどく無機質なバイブレーションだけでは、難しかった】

/予約のやつですっ
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/04/30(月) 19:22:16.01 ID:CUWYYlc9o
>>994

────……何か、探しものですか?

【酷く、重苦しい声が女へと向けられた】
【声の主は若い男だった。白衣を着た二十代中盤ぐらいの男が、いつの間にか屋上に立っていた】
【眼鏡の奥にある瞳は仄昏い輝きを宿していた。どこかやつれたような、そんな顔だった】

ここにはもう、まともなものは何も残っていませんよ
全部、何もかも、浚っていってしまいましたから

【男の声には明確な絶望が表れていた。この景色の要因をその目で見たかのような】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/04/30(月) 19:26:34.36 ID:Bdb5xjye0
>>996

「……簡単な説明をしィてやァろう。部下は自由な輩ばァッかり! 以上。」
「まァ、そォれが俺様の方針だァがな。……」

【とりあえず一通り拭き終えたらしく、タオルを地面に置こうとして――】
【……一応何か思ったのだろう、それは止めて紙袋の上にへと乗せた】

「残念だァが、俺様は疲れていよォーともそォーで無ァくとも!」
「ククク、……やァる事は同じだ。まァ、今日は気分が乗ォらねェから誘拐は無ァしにしィてやァろう」

【ポスターを懐に再びしまう。シワひとつつけず懐から出し入れしているのは、技術かそれとも……】

「あァ、立ァつのは後にさァせろ。……まァッたく。魔力をもォりもり吸収すゥる兵器なァんて危険物使わせやァがって」

【その手を取ることはなく、座り込みを続行するその者】
【態度はともかく、疲れているのは本当なのだろう】
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 19:45:42.74 ID:21Sc84Ero
>>998

「……──ああ、あのゲートが何処に繋がってるか知りたくてな」


【背後から、ひどく重苦しい雰囲気を感じ取ったから】
【その声に呼応するかのように、女は背後を振り返った】
【白衣を着ている辺り同業者なのであろうが、何処かやつれたような表情で】


「ほう、もう持っていかれたのか。残念だったなあ」


【ゆっくりと立ち上がると、右ポケットから煙草のパッケージを取りだす】
【底を叩いて一本だけ取り出し口から頭を覗かせれば、口に咥えて火をつける】
【白煙が立ち昇り、風に攫われて彼方へと飛んでいく】


「それで、君も同業者みたいだけど。何処で働いてるんだい?」


【素朴な疑問を一つ、彼にぶつけてみた】
【一体何処の所属で、何をしているのだろうか──】
1001 :1001 :Over 1000 Thread

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