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【武器を取れ】能力者スレ【隊伍を組め】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/04/30(月) 13:06:26.03 ID:FItqeXEp0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。

無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。

【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 

【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。

この世界は「多様性のある世界」です。
完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
コテハン「推奨」です!
基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
スレチなネタは程々に。
スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。

国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。

能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1523639699/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/30(月) 19:44:40.13 ID:s3kbcpMl0
>>1乙ですっ
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/30(月) 19:47:09.98 ID:Bdb5xjye0
そこはかとなく>>1
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 19:48:08.66 ID:4xvyh63F0
【路地裏】

【この街は今日は陽も暖かく、祝日ということもあり大変賑やかでした】

【にも関わらず、貴方(貴女)はこの路地裏を歩いていました。】
【単なる近道か、人目をはばかる必要があったか、それは様々でしょう。ただその角、その行き止まりのはずの場所で】

【貴方は緑色のドアをみつけました。唐突にそれはそこにあります。ドアだけぽつねんと立っていました】
【決して捨てられているわけでもなさそうで。そのドアは木製で金具は真鍮かなにか、古い洋館から持ってきたような風貌で】
【取手は丸ノブで鍵穴は古いタイプ。意匠を凝らした紋様がドアを縁取り、その真中には紋章が掲げられていました。】
【向かい合う二匹のライオン。もし、鍵穴を覗いても暗くて何も見えないことでしょう。】

【どう考えてもそれはおかしなこと。なにもないところにただドアが立っている、道理はありません】
【さながら、漫画の何処へでもつながるピンクのドア。それを連想してしまうくらい不自然にそれはありました】

【さて、どこにつながるか。何もないところにドアだけあるのはありえないのですから】

【となると、それを開けてみたくなるでしょうか。例えば好奇心、例えば懐疑心、例えば、正義か悪か。その心は何に揺り動かされた理由は様々。】
【ただ、運命であることは間違いないでしょう――――】

【そのドアを少しでも開ければ、眩いくらいの光が貴方を包み込みます。】
【思わず目を瞑ってしまうことでしょう。景色はその光に一時的に奪われてしまいます―――――】

【――――あの暖かな日差しは、涼しさへと変わり。路地裏のホコリ臭いにおいは、何処か落ち着いた室内の香りへ】
【そして遠くに聴こえていた喧騒は、弦楽四重奏の調べへと移り変わります】

【眩んだ眼が慣れ、目を開ければ。そこは洋風の部屋の一室。さながら高級ホテルのようです。天井ではキャンドルの灯ったシャンデリアが揺れています】
【窓の外は暗く、夜であるようです。その部屋の中心には、クロスのひかれたテーブルと、其れを挟むように椅子が2脚、銀製のベルが置かれていました】

【背後から、ドアがひとりでに、バタン。と、閉まる音が聞こえました】


/>>1乙です!!!!!!!
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/30(月) 19:49:14.60 ID:XGXHKJ/lO
>>997
【何度も連絡をとって、返事が来ないまま何日も過ぎていた】
【最初に異変に気付いたのは、少し前のこと。いつもは返ってくるメールに、何の返事も来なかったから】
【妙だと思って──その時はそれきり。何度かその後メールを送って、やっぱり返事はないままで】
【『風邪か?ちゃんと寝ろよ』なんてプライベートのメールも送りはしただろう】

【────行方不明のことを知った時は、何度も電話をかけた。苛立ちと不安で震える手を】
【必死で押さえ、何度も発信ボタンをタップした。電話と同じくらいメールも送った】【『大丈夫か』『今どこにいるんだ』『生きているのか』────】
【そのどれもが空虚な沈黙を生んだまま…………今に至る】


【最初はその表記を幻かと思った。カジノでの仕事前。ヌルいシャワーを浴びてから】
【冷蔵庫から炭酸飲料を取り出し、フタを開けた直後のこと】
【──ごとんと、500mlの中身が一切減らないままボトルが床に落ちる】
【どくどくと音を立てながら溢れていく炭酸水。しゅわしゅわと二酸化炭素が弾ける音が】
【携帯のバイブ音に紛れて────その音が消えてしまう前に。電話を、取った】


────────鈴音?


【いつもは楽しそうに笑っていた声が、震えていた。本当にこの音の向こう側にいるのは鈴音なのかと】
【それを問いただす、短い一言さえもが。…………ぎし、と。部屋の中、鉄パイプのベッドに腰を下ろす】
【仕事まではまだ少し時間がある。飲み物で汚れた床に、濡れたバスタオルを緩慢な動作で放り投げ】
【もう一度だけ、相手の名を呼ぶのだ。────鈴音、と】

/>>1乙です!!
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 19:51:17.45 ID:iUiNw1BH0
>>1乙です!

前スレ999

わかりやすい説明ありがとうなの、意外と部下思いなのだわ邪禍さん!

【紙袋の上に置いてくれたタオルをたたみつつ、可笑しそうにクスッと笑って】
【「かなり綺麗になったの」と、こちらもご満悦な様子で。もしかしたら要らぬお節介だったかもしれないけど、見た目もアレだったし、臭いもアレだった】
【綺麗なタオルを取り出し、濡れている方をしまって】
【だいぶ綺麗になった相手に、少しだけ近づいてしゃがみ直す】

誘拐はなしーー絶対なのよ!
魔力をもりもり、と?
どんな兵器なのかしら、全然想像つかないのだわ

【聞こえてくる言葉は聞きなれない、まさしく悪魔的で】
【少し、怖いのだけど。この世界の怖いところも知っておいたほうがいいかもしれない、と。もしかしたら秘密事項で答えてくれないかもしれないけど】
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 19:53:13.22 ID:CUWYYlc9o
>>1

前スレ1000

…………レヴォルツィオーン

【忌々しげに男はその名を口にした。かつてはそれを誇り、しかし今では怨敵となった。そんな複雑さのある声だった】

あのゲートがどこに繋がっているか、ですか
あれは、『魔界』に繋がっているのですよ

【男の指先が空間の裂け目に向けられる。仄昏い瞳はその向こう側を見ていた】
【『魔界』────いくつかの伝承、あるいは伝聞で語られる隣接する異世界】
【そこでは悪魔や淫魔、病魔といった神話上の存在が実在するとされる】

【知らぬ者が聞けば妄想か何かだと思われるような答え。しかし、男は単なる事実を言うかのような落ち着きがあった】
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/30(月) 20:04:28.42 ID:s3kbcpMl0
>>5

【――――――――沈黙だった。沈黙があった、だけど、全くの無音では、なかった】
【かすかに吐息の音がする。それだって異常事態めいた荒いものではなかった、むしろ、――ひどく安堵の中、微睡んでいるかのように、緩く、穏やかで】
【ごそり――衣擦れというよりは、もっと。いっそ布にうずまっていて、身じろぎしたような音だった。ふわともう一度吐息。問いかけられた声への返事は、まだない】

【しばらく――といっても数十秒ほど――聞こえて来るのは、それだけだった。相手が思わず相手の名前を確認してしまうくらいの時間があって】

――――――――――――――――クラァケさん?

【――ひどく気の抜けた声がした。ほんの少しだって他者を意識していない声】
【ベッドの中で睦言を交わす恋人同士のような。ベッドの中で微睡む幼子に微睡みの中物語を紡いであげるような。限界まで緩められたギターの弦のような】
【だけれど間違いなく彼女であると分かる――はずだった。それくらいに彼女は特別な声をしていたから。鈴の音の声――ひどくぼうとしていても、変わらぬ特徴があって】

んん、ん、ぅ――、ぁあ、

【ごそり、そういう音がまたする。声がくぐもっていた。微笑み混じりのようにあどけない吐息が電話のマイクを撫ぜる、小さな呻き、外界を久方ぶりに意識する】
【自分から電話をかけて来たくせにその認識さえ薄いみたいに、眠っている幼子を揺り起こそうとするときのような手ごたえ、ならば、きっと声音は寝言の様子にも似て】
【それとも。情事のあとの甘くけだるい余韻にも似ていたかもしれない、とにかく――ぼーっとした声、"彼女"であるのは確かだが、不明瞭な声を漏らしてばかりなら】

えぇと、ねぇ――――、

【――――"まっとう"な精神状態でないだろうことは、確かだった。それが眠さでも何でもなんでもいいけれど。生きている。(けど――?)】
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/30(月) 20:09:10.48 ID:Bdb5xjye0
>>6

「――違うな。」
「酷い扱いをすゥるよォりも、そォれなりの扱いをすゥる方が部下を動かし易い。そォれだけだ!」

「そォれにだ。……完全に縛り付けた魂なァんざ、つゥまらんよ」

【どこか遠くを見ているような眼。……まるで、実際にそうだった存在を見たことが有るような、雰囲気】
【ため息を1つ。それから、相手の問いかけに対してこう答える】

「ククク、無ァしか。まァー、考えといてやァろう」

「兵器か? 簡単に言ィうと、魔翌力のビームを放つ奴だ」
「大量の魔翌力を持ォッた奴がテスターに必要なァんていィう理由で俺様を利用しィやがったって訳!」
「実際に見ィた方が……あァ、完成直後に部下が持ォッてったな」

「――誰だァッたか。軍人の……那須翔子、だァッたか」
「そォいつに渡しに行ィッたらァしいかァらな。見ィてェなァら、そォいつに見ィせて貰いな」
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/30(月) 20:18:25.54 ID:21Sc84Ero
>>7

「へぇ、かのレヴォルツィオーン社ね。そういえば、此処ってレヴォルツィオーンの支社だったかしら」


【自分のお庭を勝手に荒らされたのなら、まあ怒るだろう】
【彼の絶望に満ちた表情は、支社で勝手にゲートを開かれた怒りから来ているのだろうか?】
【──それとも、社内の誰かがゲートを勝手に開いてしまったのか】


「────『魔界』……!?」
「ははっ、冗談だろう?異世界へのゲートが、遂に開いてしまったって訳か」


【その言葉に、好奇心に満ちたその瞳はより輝きを帯びて】
【探究心が擽られる、一体この先に何があるのか──そして、何が得られるのか】
【彼の言葉が嘘や冗談の類とは思えなかった。嘘を言うには落ち着きすぎている】


「どんな仕組みで出来てるんだろうなあ……」


【なんて、ゲートの辺りをぐるぐると回り始めるだろう】
【──その時、彼は気づくだろうか。女の背後に刻まれた、古代文字の紋様が輝きを帯び始めていることに】
【ピンク色の淫蕩な輝きを背に帯びたまま、興味深そうにしゃがんだり触ったりを繰り返している】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/30(月) 20:19:42.89 ID:XGXHKJ/lO
>>8
【────最初は、電話を取り損ねたのかと思った。それくらいに音がまるで聞こえなかったから】
【だがよくよく耳を澄ませば、確かに音の向こう側には誰かがいる気配があった】
【(…………?)鈴音、ともう一度だけ呼ぼうとして、躊躇って──そう、躊躇って】
【向こう側の僅かな音を聞いて、また呼ぼうとして。そこで、やっと声が、届いたのだ】


…………鈴音、鈴音っ?あぁ、えっと────そう、あたしだ

えっと…………あぁ、────、………………
今、……………………どうしてるんだ


【眠たげな声。様子がおかしいということに気付くのに、時間はかからなかった】
【生きている。声が聞けた。そのことに安堵するものの、次々に不安が安堵の感情を押し流す】
【今どこにいるんだ、大丈夫なのか、怪我は──聞きたいことが多すぎて】
【結局、次に出てきた言葉は彼女にしては酷く曖昧な言葉だった】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 20:25:51.61 ID:CUWYYlc9o
>>10

【女の様子に、男は深い溜息をついた。失望したような、落胆したような、そんな表情だった】

貴女もどうにも、人命が失われたりだとか、そういったことには興味がなさそうですね……
最近出会うのはそんな科学者ばかりだ。ここをこんな風にしたやつは、その最たるものなわけだけど……

【彼の怒りの要因はこの街の状況にあった】
【たった一日で、都市にいた数百万の命が消滅していた。そのことに遣る瀬無い怒りを覚えていた】
【それは正義感だけによるものではなかったのだが────】

『魔界』やら何やらに興味がおありですか?
仕組みだったら、ブランルってやつを探したらうんざりするぐらい喋ってくれますよ
あいつ、アホみたいにお喋りですから…………

…………それは?

【うんざり、といった様子で半ば自棄っぱちになって男は会話を続けていた】
【指が浮かび上がった文様を指し示す。陰鬱とした気配を出しながらも、白衣の男はそれを気にしていた】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/30(月) 20:31:58.26 ID:s3kbcpMl0
>>11

【「ええと、ね」――そういうものの言い方を、彼女はたまにしていた。ちょっとだけ困ったときとか、眉を下げて、少し笑って、答えを探す時間稼ぎをする】
【だけど――今は、そうでないように聞こえた。それこそ本当に頭が働いていないみたいな。泥酔しているのかもしれない、ああ、それにしては秩序だっていた】
【全部がちぐはぐになってしまったのではなくって。ただ。全部が全部一律でそろいもそろって活動を停止しています、って感じの――そういう様子】

いま…………、

【――まだ、黙った。だけど今度は数秒ほど。声がひどく近かった、寝転んで携帯を床と頬で挟んでしまったみたいに、すごく近くて、かすかな吐息の音がよく聞こえる】
【相手の方にどんなふうに聞こえるかは――きっと考えていない、と、思わせた。「――いまねぇ、」相手の言葉をなぞる。その言葉の意味を、脳内で探すみたいに】

ん……、――眠たいから、寝てたの……、イルちゃんと"――――"して、……、それで――、
……ああ。えぇと、ねぇ――、おでんわ、したの、おもいだした……――、えっと。ね。

【今どうしている。――その問いかけを少女はひどく言葉通りに受け取ったようだった。眠たいから寝ていた。ひどく素直で、だけど、分かることもある】
【眠たいからって眠っていられる状況にある。電話をしてきた以上、携帯端末が使える状態にある。――別の誰かが隣に控えて、言葉を操作しているような、気配はない】
【けれど同時に分からないことも増えた。"イルちゃん"という人物と居るのかもしれない。ならそれがだれであるのかと――吐息交じりの声は一部不明瞭で、聞き取れないけど】
【また身じろぎ。ごそりごそりって布のこすれ合う音がした。思い出したって呟く――】

――――――――クラァケ、さん、あのね。

【――大事な宝物を一つ見せてくれる子供みたいな、あどけない声】
【それが相手に向けられた。向けられて――だけどもったいぶるように。ああそれとも今までのほんの短い間に幾度となくそうだったみたいに、言葉は、途切れて】
【吐息。布がこすれ合う音。吐息の音、吐息――今すぐにも眠ってしまいそうなくらいに揺らぐ、揺らいで。だけど、"助けて"――それを言い出しそうには、思えない、沈黙】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 20:36:47.88 ID:iUiNw1BH0
>>9

喋り方とか部下へ成り方はちょっと怖いのだけど、その発言だけ見ればとてもいい上司風に見えてしまうのだわ…………

【それはもはや独り言。どんな顔で相手を見ればいいのかわからないようで、なんだか?が引きつっている】

【兵器の話ーー理解しようとしてはいるのだが、やっぱり難しい】
【うんうん、と頷いてーー実際に見たほうがと言われればぶんぶん首を横に振り、部下が持って行ったと言われればほっと胸を撫で下ろす】
【が、悪魔の口から聞き覚えのある名前がでると、明らかに顔が強張って。動揺しているのか目が泳いでいる】
【いや、まさかーー彼女がーーと考えるより前に口が開く】

那須翔子さん……って……?

【同姓同名の別人であることを願ってーー】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/30(月) 20:41:22.49 ID:21Sc84Ero
>>12

「──実験に犠牲はつきものだ。ラットやモルモットも、同じように犠牲になっているんだからな」
「人の命も、モルモットの命も科学者にとっては変わらないさ」


【冗談めかすこともなく、白煙を吐いてそう言った】
【人命が失われることを気にしない科学者といえば、親友である“ブラスフェミア”が浮かんでくるが】
【──女も、かつてアスタンの住人をすべて殺した。それでも冷静な顔をしていられるのだから】



「ブランル──聞いたことがあるな。何処でだったっけなあ……」
「……ん?それって──」


【ブランル、という名前を何処かで聞いた覚えがある】
【いつか彼に会ってみたいとは思っていたものの──思考は彼の指で止まる】
【それが指し示す先を目で追っていけば、自身の背後であることに気づき】


「ああ……、これね」
「なんかこの前から出るようになった妙な紋様だよ。古代文字っぽいのは分かるんだけどね」


【白衣と下に着たシャツをめくりあげて、背中を晒す】
【背中一面に円形の魔法陣らしきものが描かれ、古代文字が刻まれている】
【何らかのものに反応して光を帯びているのだろうか。その正体は女にもわからないのだけど──】
16 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/04/30(月) 20:45:54.43 ID:L+mlnLU00
前スレ>>949>>951>>953

【――――戦いが終わり、1日以上が経過した】
【アルターリからほど近い、とある病院に、戦いの負傷者であるその少女は、担ぎ込まれていた】

――――――――ぐ――――っ、ここは――――――――?

【共に戦場に立った仲間の事は、詳しくは知らない。敵対者として戦った女の事も、詳しくは知らない】
【ただ彼女には、生還の事実があるだけで――――】

――――ッ、アルターリ――――壊滅――――住民、ほぼ全滅――――――――ッ

【そして――――敗北の事実があるだけだった】

――――――――また――――また、敗れた――――ッぐ――――!
また――――守れなかった――――また、今回も――――――――ッ!!

【――――自分は一体、何をやっているのだろう。ここまで己を研ぎ澄まして、本質に至る事が出来たというのに】
【また、大きな戦いで敗れ、多数の犠牲を止められなかった結果だけが残る】
【傷の痛みすら置き去りにして、半狂乱になって泣き叫ぶ。もうこれ以上、自分には力の覚醒など、無いはずなのに】
【それでも、まだ届かないのか――――結局自分は、時の流れに置き去りにされる、徒花に過ぎないのか】
【――――ケツァル・コアトルとは、所詮その程度の存在なのか。自分は、その程度の『兵器』に過ぎないのか】

(許さない――――このまま、泣き寝入りすると――――思わせたりは、しない――――!)

【激昂を収めようと、医者の打ち込んだ鎮静剤で、ラベンダーの意識は落ちていく】
【そのまどろみの中で、彼女は誓う――――こんな敗戦は、これを最後にするのだと――――】

/すみません、改めて〆直します。お疲れ様でしたー!
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/30(月) 20:47:04.97 ID:XGXHKJ/lO
>>13
【ざらざらごろごろ。近すぎる吐息が耳元で電子音に変換されて届く】
【ん、と表情が歪む。だが携帯を少し遠ざけようとかそんなことは思わず】
【逆にぎゅうと、携帯が軋んでしまうくらいに端末を耳に押し当てる】
【ざらざらごろごろ。愛おしさとは程遠い、間違って変換されてしまった音が煩くとも】
【それでも──その奥にある相手の声を、聞き洩らしたくはなかった】


…………そっか、寝てたか。寝れてる、のか────
それは、よかった、な…………今は、イルちゃん、ってのと一緒に…………


────────なんだ、鈴音。聞いてる。ここに、いるからさ


【風呂上がりの体が冷えてきた。今は適当なバスローブを羽織っているだけで】
【ざら、と衣擦れの音が電話越しに届くだろうか。あるいは、間隔の長すぎる吐息も】
【言葉を交わしたのは、まだ10分も経っていない。そんな気はするが──それでも】
【“今の”鈴音のペースが、掴めてきたようで。ミラは怒鳴ることも急かすこともなく】
【ゆっくりと、相手の言葉に答え。じっと続く返事を待つのだ】
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 20:50:16.02 ID:CUWYYlc9o
>>15

貴女も、ブランルと同じことを言う…………それでは人々は科学を使わなくなってしまう
凡人を失っては、その上に築かれた科学はそれ以上、先を見出すことなんてできないっていうのに…………

【男の言葉は女に、というよりはこの場にいない誰かへと向けられていた】
【溜息を一つつく。頭を振り、彼はそれ以上を続けることはしなかった】

は…………?
そんな怪しげなものが身体に勝手に浮かび上がるわけが……
…………少し、見ますよ

【女へと近づき、男はその浮かび上がった魔法陣に注視する。凡庸な科学者ではあったが、魔法陣は専門だった。好奇心には抗えなかった】
【問題は古代文字の方。それに対する見識はなかった。魔法陣を見つめながら、うんうんと唸っている】
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/30(月) 20:50:46.11 ID:Bdb5xjye0
>>14

「俺様をテスターにしィた件の部下に話を聞ィいてみィな。」
「クソ上司、ゴミ上司、ファッキン上司、……素ゥん晴らしい評価をしィてくれるぜ?」

【――プラスの評価をされたというのに、それを何故か打ち消しにかかるその者】
【その表情は、やつれてはいるがとても自信ありげで……】
【まるで、自身が持つのは悪評である方が良いという、そんな態度にも見えた】

「見ィた方がわァかりやすいのにな。残念だ」
「――ほォう? 聞ィいたことがあァる名前か? いィや、そォの態度は"疑惑"の段階か……」

「……櫻の国魔導海軍諜報部の曹長。そォれが奴の立場だ」
「こォこまで絞り込めば、どォッちかわァかるだァろう?」

【追加で出してきたその情報は、おそらく彼女が想像した存在と同一かもしれないし、違うかもしれないし】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/30(月) 21:02:27.28 ID:s3kbcpMl0
>>17

――――――――クラァケさんもね、おいでよ、クラァケさんなら……、あのね――、

【くすくすって笑う、声がした。足の裏を、指の間を、生まれたばかりの子猫に舐められてくすぐったくって、仕方ないような、吐息が】
【おいでって、誘う。それが少女が電話してきた理由だった――そうだと思って、いいのだろう。言葉の並びからして、それで間違いがないはずだった】
【けれどそれがどこであるのかは、分からない。どんな場所であるのかも。だけど――ひとつ確かであるとしたなら。"そこ"は、きっと、彼女にとってひどく穏やかなのだと】
【伝わるかもしれなかった。きっと、黒幕も、円卓も、関係ないんだって思わせる。そんな場所に、――居るらしくて】

――――イルちゃん。ね。……人間、の居ない国――、……作るんだ、って、
おっきなお城――作って。…………ね。そこなら――、――だれも、"わたしたち"のこと、ばかにして、いじめない……。
ひどいこと言って、傷つけない――。ばけものだって、きもちわるいって、死んじゃえって――言われない、


間違いだった――なんて、いわないの。誰も。だあれも……、"ここ"なら――、わたしたちでも。居ていいの。だから――――。

【――ずうっと張り詰めていた気持ちがあったとして。それが破断してしまったのだって、相手は気づくだろうか。頑張っていた――でも、折れてしまった】
【そのきっかけは、分からなかった。メールにあったように人質を取られて脅されたのが原因だったのかもしれない。それだって、十分、理由にはなりそうだった】
【けれど。それで本当に折れてしまうだろうか。なにせそのメールを送ったのは"彼"であった。間違いなく何かのやり取りがあったはずで、そして、彼が、"そう"した】
【一人きりでどうしようもなく抱え込んでしまったなら、ともかくだ。――なら、それは、少し、理由としては弱い気もした。十分でありながら、だけど、どこかで弱かった】

――まちがい。だったんだって。わたしが、"こう"、なったの――。

【――――人間の居ない世界で暮らそう。自分は人間ではなくって、ミラも、また、人間じゃあない。ならばきっと"イル"も人間ではない】
【――だからこちらへおいでよ。ここには怖い人間だなんて居ないし、要らない。ひどいことを言って傷つける人間も居ない、武器を振るって排除しようとしてくる人間も、居ない】

――――――。

【きっと、分かるだろう。彼女の心を折っていったのは、婦警なんかじゃない。黒幕も、円卓も関係ない。関係ないけれど、致死量の現実で、ばきり、って、折れてしまった】
【それとも気付いてくれるだろうか。彼女が"こう"なってしまったこと。間違いだって言った人間が、確かに居た。間違いだったって――告げてしまいそうな人間が、確かに、一人、存在していた】
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/30(月) 21:07:02.27 ID:21Sc84Ero
>>18

【多分、彼のブランルに対する感情はあまり良いものじゃない】
【彼の言うことはそのとおりであろうが、凡人では生み出せない科学もある】
【彼がそれ以上言葉を続けなかったために、女も何の反応を示さなかった】


「──いいぞ、気が済むまで見てくれ」


【彼が魔法陣をまじまじと見始めれば、女はそれを了承する】
【彼も科学者だ、好奇心には逆らえなかったのだろう──同じ感情を、女も抱いたはずだ】

【さて、魔法陣を見てまず分かるであろうことは──生命に癒着してしまっているということ】
【即ち魔法陣を剥がしたり傷つけたりしてしまえば、生命も失われることになる】

【次に、それが『魔界』のゲートから放たれる魔翌力に反応して輝いていること】
【『魔界』の魔翌力を受けることで、魔法陣自体が何らかの役割を果たしているようにも見えるだろう】

【最後に、『魔界』にしか存在しない筈のものが女に“取り込まれている”ということ】
【どのタイミングかわからないものの、女は一時的にでも『魔界』のゲートに触れていたことになる】
【それに加えて、『魔界』にあるべきものを取り込んでいるというのだから──】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 21:18:20.92 ID:iUiNw1BH0
>>19

な、なるほどなの
そんなに言われているのならゴミ箱に入れられても仕方ないのだわ

【耳触りの悪い言葉に困ったように笑う。握っているタオルで手を拭きつつ、チラリと視線をずらせば先ほど置いた自分のハンカチ】
【薔薇の刺繍のハンカチだけど、だいぶ汚れてしまった。そっと手にとり、同じように汚れたタオルの入った紙袋に入れて】
【割と早いお別れだったけど、誰かの役になったのならいいかーーって、優しく入れてやれば、紙袋ごと引き寄せて自分の横へ】
【たぶん、ここに棄てることはしないのだろう】

…………じゃ、じゃぁたぶん違う人なのだわ
私の知っている翔子さんは、同い年くらいだし、軍には入れないと思うの、だわ

【同姓同名だと決めつけて。いや、そうであるに決まってる】
【袋を持って立ち上がる。丸まっていたワンピースがはらりと落ちる】
【すっかり暗くなった辺りに溶け込むような姿の少女ーー白いヴェールだけが風になびいて】

本当はね、路地裏には行ってはいけないって言われているのだわ
そろそろ暗くなってきたし、私はお家に帰ろうかと思うのだけど……
邪禍さん、疲れの方は取れた?

【あれだけ言われて、路地裏で怪我したとでも言ったらいろんな人に怒られるに違いない】
【彼女的には時間切れーー申し訳なさそうに少し頭を下げて】
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 21:18:34.27 ID:CUWYYlc9o
>>21

【視線が魔法陣の上を走査していく。その意味するところを順に読み取っていく】
【その性質、生命との融合に男の表情が苦々しいものへと変わる。魔法陣と命が同一になっているというものは】
【彼にとって少なくない苦い想いを想起させた。だが、この場においては無関係だ。何とかその感情を飲み込む】

【残りの二つについては、怪訝な表情へと変わる。相手は『魔界』に興味を示していたというには見えた】
【だがこの魔法陣については知らないという。なのであればその興味は魔法陣とは無関係ということ】
【奇妙な違和感がそこにはあった。順序が逆になっているような、気持ちの悪さがあった】

…………貴女、『魔界』に行ったことが?
この魔法陣から分かることは、これが貴女の命と繋がっていて一蓮托生だということ
『魔界』側の魔翌力と反応しているということ。そして、貴女の中には向こうにしか存在しないものが取り込まれているということ

この三つが読み取れます。他にもあるのかもしれませんが……

【ひとまず、判明したことを伝えて反応を見ることにした。その間も、魔法陣からは視線を外さなかった】
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 21:27:02.47 ID:FItqeXEp0
>>4
――おいおい、相場通り過ぎやしないか。

【モノクロ調の着流しを着た痩せ男――ヒガサ・ニルヴァーナは、無人で閉まった扉を背に苦笑する】
【腰まで伸びた黒髪、白く濁った瞳。彼のいでたちのどこをどう見てもツートーンしかない】
【言の葉の上には地味な印象を与えそうだが、白黒ではありながら沢山の花々や鳥に彩られた着流しは、間違いなく衆人の目を引く】
【男は不揃いな顎髭の感触を弄びながら、顎を摩る。肌に触れて不安を逸らそうとでもしているのだろうか、と自身の心理を他人事のように推し量って】

ま、あんな仕掛けに興味を割いた俺の負けか。

【退路を絶たれたと見るや否や、赤絨毯に似合わぬ高下駄を鳴らしてヒガサは進む】
【そも、散歩の途中にふらりと覗いた路地裏。先日の恐怖体験など何のそのと、画題探しの魔が差したのがいけなかった】
【あの時黒く煤けた着流しの裾元を確かめることもなく、眩しさに慣れた男の目はその室内を見回し始める】
【部屋の外に夜の帳が降りていることも気にはかかったが】

……飯屋、か?

【金持ちの屋敷と見ると、机上の呼び鈴が邪魔になる】
【従業員を呼ぶため。その存在理由はそれだけしか男の頭に浮かばなかった】
【不審がって触れずに置くこともできただろう。そもそも、背後の扉が施錠されていることだって確認していない】
【だが男は、窓側に置かれた椅子へと歩を進める】
【支障なく辿り着くことができればそこに腰を降ろし、ベルを振るだろう】

/もしまだいらっしゃれば……
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/30(月) 21:27:45.79 ID:Bdb5xjye0
>>22

「ククク、……理解したよォーだな! だァが、俺様は超強ェ……そォれもセットにしィな」

「――なァんだ、別人か。歳なァら、そォれなりに若い奴だァったがな」
「俺様が害を被った兵器だ。そォの眼でばァッちり見ィて貰いたかったとォころ」

【少女とは対照的に、暗くなればなるほど闇へと溶け込んでいくその者】
【色の問題も当然有るが、それを抜きにしても――闇が似合う】

「疲れなァんざ取ォれん。エネルギー……あァ、魂とォか魔翌力とォかの方な」
「そォッちを補給しィねェと。……」

【ちらり、と相手の方を見た。……邪悪な瞳が、輝いていて】

「……まァ、帰るなら勝手にしィな。俺様は色々とまァだまだやァることがあァりそうだ」
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/30(月) 21:29:17.86 ID:XGXHKJ/lO
>>20
【ひゅうと喉がなった。おいでよ────それは酷く、甘美な誘いに思えた】
【人間がいない国。誰かに化けて、演技して、石が投げられる心配のない国】
【それは────居てもいい、と言われる心地よさは。どれほど暖かなものなのか】
【知らないわけではなかった。むしろ、その幸福感は、よく知っていた】

【────知っていたからこそ。その言葉にうんと言うことは、できなかった】

【ぎちりと、端末が音を立てる。掌の吸盤が、壊れんばかりにプラスチックを吸い上げる】


……………………そっか。あぁ、…………うん

────ごめんな、鈴音。でも…………あぁ、それは、…………きっと、さ
すごく…………いい場所だと、思う。あたしたちみたいなのにとっては、さ…………
夢みたいな…………すげぇ、いいとこ、なんだろうけど、さ────

……………………。……………………ごめんな、あたしは、…………
あたしは────その国には、行かれない、や
だって…………ジルと、約束しちまってるから────ジルと、一緒にいるって、さ

…………あぁ、それとも。たまにさ、会いに行くくらいは、いいかなぁ
土産でも、持ってさぁ────あぁ、それとも


【分かってしまった。彼女が限界を迎えてしまったことに。そして、“そう”してしまった原因に】
【端末を持っていない方の手が、ぎちりと握り込まれる。青い血は、まだ出そうにもなかったけれど】


……………………な、鈴音。ジルもさ、国とか、世界とか取りに行くんだ
だから────鈴音がいる国さ…………その、イルってぇのが作る国を、さ
どうにかしてやるよ…………天まで届くようなでけぇ城が作れるようにさ
それで…………あたしとか、鈴音とか…………あと、ゾーイみたいなやつが、いっぱいいるんだ
ヒトのふりして、こっち側に来ちまってるやつがゆっくり出来る国…………
きっとそこじゃ、鈴音はたくさん眠れるんだろ?何にも怯えずに済むってんなら────
そんな国が、ちゃあんと作れるように…………あたしがジルに言っといてやるよ

は、は────だって、さぁ。あたし、“王妃殿下”なんだぜ
こんな、口が悪いのによぉ…………まだ、ちゃんと決まってるわけじゃ、ねぇけど
だから……………………さ

──────あんたが、そこで幸せだってんなら、手伝ってやるよ


【怒りを人間に。同情を彼女に。────戻ってこい、と言うことなど、とてもじゃないができなかった】
【口から出てしまったのは、彼女を取り戻すものではなく】
【むしろ、“あちら側”にあげてしまうような──そんな、言葉だった】
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 21:42:07.89 ID:C2879LSu0
【路地裏】
【日々危険が伴う其処はまともな人間ならば避けて通る場所】
【然れど今日は其処に似付かわしくない人物が一人。――その身形からして修道女であろう】
【護身用なのか、腰に提げた双銃。危険な場所にも関わらずまるで散歩でもしているかの様で】

「友達よしみとして代わりに見回り引き受けたのは良いけど……これって本来自警団の仕事だよね
……まあ、ボクは別に良いんだけどさ」

【何とも気の抜けた様子。危機感が無いとも表せるが、一人で歩ける程度には実力もあるのだろう】
【隙だらけの様に見えて隙は少なく、適当に歩いている様で】
【何時もならば静かなこの場所に音が響くのだ。其れが誰かを誘い込む切っ掛けにもなるだろうし……迷っている人物を呼ぶ音にもなるだろうか】
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 21:45:01.56 ID:4xvyh63F0
>>24

【部屋はそれほど広い部屋ではありません。ドアと、その向かいに窓、右手左手は壁があり】
【テーブルクロスのレースの編み込み一つとっても左右対称。違うのはその銀色のベルだけです】

【その席にヒガサ・ニルヴァーナが座ると、先程くぐったであろうドアが見えるかと思います】
【そのドアの色を覚えているでしょうか。少なくとも―――赤では無かったはずです。】
【今見えているのは赤色のドア。絨毯と揃いの色をしています。】

――――お待たせして、申し訳ございません。

【貴方の背後から、不意に声が聞こえます。落ち着いた、男性の声です】
【振り返ったのならば、其処には窓ガラスに反射して山羊頭が映っていることでしょう】
【ということは、真正面にその山羊頭は居るのです】

【振り返らなかった場合は貴方の背後に。特殊な能力がある場合はほんのコンマ何秒だけ駒落ちしたように視界が消え】
【どちらにせよ、何処からその山羊頭が表れたのかはわからないでしょう】

【山羊頭は――頭から下は燕尾服を着ていて、黒のネクタイを締め、ベストまできちんと着こなし、手は白手袋をしています】
【さながら執事、またはコンシェルジュ。金持ちの館にはまさに執事は相場通り、であるわけでしょう。、その頭を除けば】

―――ようこそ、ホテル、“ラインハルト”へ。…失礼ですが、ご予約は?

【山羊頭の執事は一礼して、そう言いました】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 21:51:30.42 ID:iUiNw1BH0
>>25

興味本位で聞いてしまったけど、怖そうなものだから、逆に此処にもってこれなくてよかったの……

うん、別人。ーー別人なのだわ
たぶん、私は軍人の那須翔子さんに会うことはないだろうけど……あの、邪禍さん、気をつけてーー

【悪魔にそう声をかけるのはおかしいだろうか】
【でも、そう言わずにいられなかったのは少女が邪禍に危険な目に合わされていないからかもしれないのだけど】
【闇に溶ける悪魔ーー少し目を細めた】
【邪悪な赤い瞳と合わさる若葉の瞳ーーあぁ、本当に悪魔なんだって思わずにはいられない赤】
【このまま背中を向けてしまえば後ろから喰われてしまうだろうかーーそれとも誘拐、されてしまうのだろうか】
【「誘拐はなし」ーー少し前の男の台詞が蘇る】

……申し訳ないけど、力になってあげることは出来ないのだわ
私はエネルギーとか、魔翌力とか、たぶんあまりないからーー

路地裏は危ない所だから、長居してはダメなの
疲れているんだから、なるべく早くお家へ帰ってね

【月の光に似た柔らかな笑顔で、手を振って】
【相手に背中を向け、歩き出す。少し、緊張したかもしれない。紙袋を握る手が無意識に強まる】
【そうして歩いて行く、危険だと、行くなと、言われていたその道をーー】

//〆になります!!
//お相手ありがとうございました!!
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/04/30(月) 21:55:52.03 ID:21Sc84Ero
>>23

【彼の表情を窺い知ることはできないが、自身でも嫌な予感はしていた】
【以前“ブラスフェミア”には伝えていた、生命との癒着についても】
【確証はなかったものの、魔翌力構造がそうであったために推測しただけだったが──】


「いや、『魔界』に行ったことは一度たりともない」
「……『魔界』のものが知らない間に取り込まれてて、『魔界』の魔翌力に反応してるってことか」


【まるで順序が逆じゃないかと──その気持ち悪さは女も感じた】
【興味が魔法陣を生み出すわけじゃないし、それに『魔界』のものが魔法陣に関係しているとなれば】
【これからどうするべきか、ということは考えなければならないのだろう】

【そして、更に魔法陣の走査を進めていけばある文章が埋め込まれていることが分かるだろう】
【──『蟲の神を崇めよ』。それだけでは全く意味のわからない文章だろうが】
【『魔界』にいる、蟲を崇める種族がいたならば──それらに干渉されていると考えてもおかしくはない】
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/30(月) 21:59:31.40 ID:s3kbcpMl0
>>26

【――誰もがヒトでないのなら。ヒトデナシだなんて言われてしまうことは、決してない。そんなことを言うやつは一人だって居ない、存在するはずがない】
【いつかばれてしまうってことを恐れる必要だってない。だってみんなが人間じゃなくって。誰一人人間なんていなくって。きっとそこでは、人間が、そういう目に遭う】
【悲しげな声だった。だけど。もうどうでもよくなってしまったひとの、声でもあった。悲しい。悲しいけど――もう底は抜けてしまって、堕ちてしまった。どこまでも深くまで】
【見上げてももう届かない。いつか目指していたものも。――だから、誘う。唆す。狡猾な蛇みたいに。それとも優しく絡めとってしまうみたいに。甘たるい声、眠たい声が】

【――――それくらいここには平穏があるって】

…………――――そっ、かあ。そっか……――、

【ぼんやり、とした声が。少しだけ残念そうに揺らいだ、じゃり、って。髪を頭が潰して擦ったような音がする。ごそりと布のこすれ合う音。吐息の音】
【きっとその向こう側で寂しそうにしているような気がした。――瞳を伏せて、長い睫毛を少しだけ振るわせて、口を噤んで。そして、そんな顔が、きっと、簡単に思い浮かべられて】
【ごそ――と鈍い音。音が少しだけ明瞭になる。吐息の音が少しだけ遠くなる。それでも長い吐息が聞こえた。ため息――ではない、もっと、ただ、漏れ出るような】

【――お友達が。来てくれたならいいのに。って。思った。ここなら――黒幕も円卓も関係がないから。ずっと。友達で、居られると――思った】
【それでずっとお話をする。くだらないお話をして。――電話の理由なんて、それだけだった。戻る気は――ない。というよりも、そんなことさえ、考えられない】
【ひどく眠たかった。ずうっと眠れてしまいそう、微睡むままで食事をさせてもらって。眠たいままで全部を依存して。そういう生活は、なんにも考えなくって、いいけれど】
【微睡みの中でふっと思いついた。その国に――ミラが来てくれたなら、って。そうしたら。きっと。楽しいなって――だけど、断られて、しまったから】

――ん。ありがと、――。

【――――もう少しだけ、微睡んでいたい。ここなら何にも考えなくっていい、怖いものは一つもなくって、ばけものだと、きもちわるいと、死んでしまえと苛む声も、聞こえない】
【ふっとした瞬間に自分自身が発する怨嗟に苛まれなくって、良かった。ふっとした瞬間。それこそありふれた現象。自分だけが、ほんのちょっとの不利益を被ったとき】
【例えばエレベーターに乗りたかったのにドアを開けていてくれなかった。前のひとがドアを開けておいてくれなかった。自動ドアに無視された。ありふれたこと、ぜんぶのたび】
【違うって分かりながらも――だけど、どうしても。自分が"こう"だからではないか、って、思ってしまう。それをやめることが出来ない。どうしても。どうしても】

…………――――、――あのね。クラァケさん。この前は。ごめんね。ありがとう。

【――それで要件は終わり、っていう、声だった。誘いたかった場所に相手は来ない。それだけで十分だった。連れ戻しに来ないなら。もう少し微睡んでいられると、安堵した】
【くしゃりと髪がこすれ合う音――吐息だけを繰り返して、また沈黙する。少し目は冴えてきたみたいで、だけど、――くるまれてしまったみたいに、何かが、鈍い】
【宙ぶらりんの作戦のことも。いろんなことも。忘れてしまったみたいに――あるいは「もうがんばれない」って表明するみたいに、ちっとも、触れようともしないまま】

【また、沈黙。――だけれど、今度は、"それで終わり"って思わせるものだった。きっとまだ聞いている。だけど――いつか、切れてしまう。ような】
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/30(月) 22:02:54.98 ID:Bdb5xjye0
>>29

「ククッ、気ィを付けるって何をだ? さァッきも言ィッたが、俺様は超強ェ悪魔だ!」
「そォれに、路地裏は俺様の活動拠点だ……残念だァが、長居さァせてもォらおう」
「まァ、能力を封じる輩にィはちょいと気ィをつゥけても良ォいが」

【――背を向け立ち去る彼女を、止めることはしなかった】
【代わりに、姿が見えなくなれば再び端末に目を向けて】

「メールが溜ァまってやァがるぜ。……で、えェーっと」

【その悪魔の疲労が更に蓄積するのは、それから数秒後のことだった】

/お疲れ様でした、ありがとうございました!
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 22:03:14.34 ID:CUWYYlc9o
>>30

【女の返答に男の疑念はさらに深まる。相手の勘違いでなければ、かなり奇妙なことが起こっていることになる】

ん……まだ何か書いてありますね
……崇める…………これは……神…………蟲の……?
蟲の神を崇めよ、と。そう書かれているように見えますね……

【それの意味するところは男には分からなかった。だが推察のようなものはできた】
【つまりは、そう、本当に順序が逆である可能性。この魔法陣があるから、この女は魔界に興味を示すのだ、と】
【予想が立ったとき、背筋に震えが走った。あまりにも、あまりにも恐ろしい可能性だった】

…………
………………もしかしたら、ですけど
あー…………何か、心当たりはありますか?
一度でも、意識を落とした状態で誰かに何かされたことがある、とか
何か、何でもいいんですが

【その予想は、恐怖のせいで口にすることはできなかった。途中で止めてしまった】
【その代わりに男は、誰かによって術を施された可能性はないか、という質問に切り替えた】
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 22:10:09.67 ID:FItqeXEp0
>>28

【背後からの声にヒガサは訝しがることもなく、素直に反応を示して、振り返る】
【するとその声の方向とは裏腹に、窓ガラスに映し出されたのは自身と、その背後に居る山羊の頭】
【一時は目を疑い、座り直して相対してみたものの、やはりその男は"ちゃんと男にならない"】
【そうしてからは、ヒガサも諦めがついたように肺の中深くに溜まった空気を吐き出した】
【不気味さに背筋を凍らせるまではない。なぜなら、燕尾服の男も山羊も見たことはあるからだ】
【見たこともない悪魔やらバケモノやらをきちんと目にして対峙までしたのだ。乳白色の瞳は、依然として虚ろのまま、その山羊貌の男を映す】

“ラインハルト”。聞いたことがないな。
すまん、予約は取っていない。この店の佇まいが気になって、な。

【そう告げて、“赤い扉”に視線を移す】
【まだ自分にボケは始まっていないことを安堵すると同時に、そうのんびりできるホテルのロビーでもないことを案じ、男はなんとなしに着流しの懐をまさぐる】
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 22:17:37.64 ID:21Sc84Ero
>>33

「蟲、蟲ねえ……。そんな覚えはないんだけど────」


【蟲の神を崇めよ──という文章に、違和感を感じざるを得なかった】
【誰かによって意識を無くされて術をかけられたこともなかったし】
【なにより蟲のことをすっかり失念していた──そう、“此の時までは”】


「……──思い出した。そうだ、私がまだ大学に居たときだった」
「薬品で汚染された実験室の除染を任されたときに、“蟲”が居たんだ──」


【嗚呼、思い出した。明確に、確実に記憶を取り戻した】
【あの日、大学の一室で蟲を見つけたことを。それが持つ魔力構造が気になって、実験を続けていたことを】
【しかし、体内に取り込んだ覚えはないのだ。なぜ、体内にそれが居るのか】
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 22:25:39.97 ID:OsyZWg1p0
//>>1乙であります!

前スレ>>995

【大男が見回す滅びた街。元はその大通りであったのだろう空間を】
【がりがりと瓦礫を踏み荒らしながら走ってくる、一台の車両があった】

【――黒色のメガクルーザー。市販車でありながら】
【その改良型が軍用としても運用される、大型の車だ】
【ご丁寧にタイヤはその軍用に履き替えられていたし、窓にはスモークが張られ】
【がたがたと道の荒れに応じて鳴る荷物の音が、明らかに"普通"で無いことを知らせていて】

【やがてその車両は、燃えかけた木材を踏み壊して停車する】
【自然と、荒れ果てたこの景色に溶け込む一台だったが】
【緩やかにそのウインドウ――運転席側の窓が、下りていき】


黒いラバーのエプロンに、額に1つ目……。
……アンタがカニバディール、って事で違いないか?


【車に乗っていたのは男だ。栗色の髪に、黒い瞳。容貌に特異な点は無い】
【淡いピンクのベストを着こなした姿は、どちらかというと】
【このような廃墟群より、都会のビル群のほうが似合うような気すらした】
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/30(月) 22:26:55.48 ID:XGXHKJ/lO
>>31
【寂しそうな顔が、幻覚のように頭の中で揺らめいた。ごめんな、と小さく呟く】
【少し心が痛んだ。せっかく、誘ってくれたのに──友人からの映画の誘いを断るより】
【ずっとずっと、苦しいものだった。…………なぁ、と】
【この電話を切りたくないかのように、無為に言葉を続ける】


……………………遊びには、行くからさ
ほら────1泊とか、2泊とか。…………1ヶ月は、無理かもしれねぇけど…………

鈴音がさ、好きな食いもんとか、持ってくから…………
なんか、欲しいもんあったら言えよ。なぁ。…………それで、えぇと

こないだ、あたしの好きな映画がさ…………DVDになって、さ
シリーズ第3作で…………まだ、特典映像とかは見れてなくって、よぉ
それ、一緒に見たりとか…………さぁ────


【鈴音の謝罪と礼が聞こえた。この間──酒場のことだろうか】
【いいんだ、と返す。「いいんだ」もう一度、繰り返す】
【鈴音は十分頑張ったから。だから、少し休んでおいてくれ。後は、自分が頑張るから】
【そんな声だった。頑張るって、何を。UTのことなんか知らないし】
【婦警のことも、特区のことも他のメンバーに投げて。何を頑張るって言うんだろう──分からないけど】

【こんな時、気の利いた言葉が言えない自分に腹がたつ】
【友人のアンドロイドなら、探偵なら──あるいはあの自信家の金貸しなら、もっとぱっと言葉が出てくるだろうに】
【何かを伝えたいのに、言葉が出てこなくって。だから、少しの間、沈黙が続いて】


……………………ゆっくり、休めよ


【最後に出てきたのは、そんな一言だった。飾り気ひとつない、言葉だったけれど】
【普段はよく喋る癖に────まだ、携帯は未練がましく耳元に押し当てたまま】
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/04/30(月) 22:27:54.72 ID:Bdb5xjye0
>>830

【From:邪禍】
【To:厳島命】
【タイトル:緊急連絡】

【本文:

邪禍だ。

転送はタコが行ったようだから返信のみとする。

行方不明の件について把握した。
婦警との関係がわかったらその情報を、
もし拉致だった場合は加害者の情報が手に入ったら、レオーテヴュートに送れ。

なお、婦警が関わっていないのであれば、俺様はこれ以上この件には関わらない。
必要があればレオーテヴュートに頼め。

以上。




「つゥーか、レオーテヴュート……あァいつ、メールは後で返そうと思って忘れるタイプか……」

【やつれた顔でため息を1つ。それから、足元に現れる魔法陣に闇となって吸い込まれていった】
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 22:28:54.82 ID:CUWYYlc9o
>>35

それは、かなり怪しい話ですね
関連が強そうに思えますが……

【魔法陣の走査を終えて、男は「ちょっと失礼」と声をかけてからシャツと白衣を元に戻す】
【それから女の前へと回り込んで、話を続ける】

他に覚えていることはありませんか?

【”思い出した”という言葉はどうにも気にかかった。記憶に支障が出ていてもおかしくない状況だ】
【そのことも踏まえた上で、さらに何か情報はないかと、尋ねてみた】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 22:38:13.65 ID:4xvyh63F0
>>34

【貴方が居た街には、ラインハルトという名前のホテルは存在していないはずでした】
【もしそこまで詳しくないにしても、これほど部屋一つであっても意匠を凝らしたあるような高級な洋館は】
【目にした覚えはないでしょう。】

ご予約ではないと…然らば。

【うーんと、山羊頭の執事は唸って、考えている様子でした。それから、深々と礼をして】

はじめまして、迷われし紳士たるお客様。私は当ホテルで執事を務めさせていただいていおります。
以後お見知りおきを…

まずは初めての御客様をこのようなチェックインルームにお連れして申し訳ございません。
御常連の御客様をお通しする場所でございまして。…是非とも正面から御案内したく存じますが…
ご足労いただいた、御客様を早々に、連れ回すのは失礼かと思いますので。

【山羊頭の執事は一歩近づいて、テーブルを挟んだ距離まで近づきました。彼がテーブルの下へ手を回すと】
【その影から、革の高級な表紙のついた冊子を取り出しました。】

…まずはチェックインの方をお願いしたく。
それと…お飲み物など如何でしょう。ご自由にお申し付けくださいませ。

【執事は革の表紙を開き、テーブルの上において差し出してきました。そこには上質な紙が一枚。ホテルラインハルト、チェックインと書かれてあり】
【そして、一番最後の行には“NAME”、と。横には空欄がありました。】
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 22:41:33.37 ID:21Sc84Ero
>>39

「いや、それ以外に覚えていることはない……」


【今話したこと以外に、覚えていることはなかった】
【記憶に靄がかかっていうというのが上手い例えだろうか──】
【とにかく、なんとか思い出そうとして思考回路を隅々にまで探索していたその時だった】

【ゲートが、蠢き始める】
【何かが向こうから干渉しようとしているのだろうか──?】
【ゲートの蠢きに合わせるかのように、背の魔法陣もその煌めきを増していって】


『────あれ?此処どこだっけ……』


【ゲートの中から顕れたのは、紅い髪を腰まで伸ばし法衣を羽織った女】
【その法衣は蟲の蛹にも似ていて、何層にも殻が積み重なっているようなもので】
【此の女が現れると同時、白衣の女はこの女の方を向いて跪いた】


『とっ、とにかく!此のゲートを開けてくれたのは誰かしら』


【と、眼前に居る二人に聞いてみる】
【兎に角、『魔界』とこの世界のゲートを開いてくれた人間には感謝しなければならない】
【その間もずっと、白衣の女は何も言うことなく跪き続けていた】

【顕れた女の背には、粘質のある液体を纏った羽らしきものがあり】
【ところどころに、様々な蟲の特徴が顕れているようだった】
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/04/30(月) 22:42:29.26 ID:eEM8wrUco
//>>1乙です!!

>>36
【耳に届く駆動音に、大男が素早く振り返る。このような場所に足を踏み入れるのは】
【復興に関わる公の人間か、自分たちのようなまともではない人種か。いずれにせよ、自分にとっては都合の悪い相手】

【果たして、その車両を目にすればすぐにも後者に近い相手だろうと感じ取る】
【軍用タイヤにスモーク、音が伝えてくる物騒な積み荷。あれ一台に、いくらの金がかかっているのか】

【やがて、それが停車すれば。異形はそちらに身体ごと向き直る。さて、何が出てくるか】


――――ああ、間違いない。私がカニバディールだ。私のようなしがない盗賊に何か御用かね?

【すぐに正体を看破できなかったのは、その男の持つ無数の貌がゆえか】
【災厄に踏みつぶされたこの街にあっては、普段は異形として浮いた存在である自分より、彼の方が場違いにすら思えた】
【ともあれ、すぐさま敵意が感じられない以上、まずは対話に応じる。その行きつく先は果たして】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 22:49:05.68 ID:CUWYYlc9o
>>41

うーん、やはり記憶に何か影響が……

【記憶障害の可能性に言及しようとしたとき、裂け目に異変】
【男は咄嗟に向き直る。隣に魔法陣が展開。一体の機械人形が召喚された】
【全長は二メートルを越す、太い腕と脚を持った大型の人形だった】

【この男なりの戦闘態勢、だったのだが】
【現れた女に敵意のようなものは感じ取れない。横目で先ほどまで会話していた相手を確認。跪いていた】
【疑問は現れた女の羽が打ち消す。崇めるべき対象というのが現れたのかもしれなかった】

…………開いたやつはブランルっていう人間だ
こちらの質問にも答えてもらう。そこから出てきたということは、お前は魔族か?

【微かな緊張が走る。尋問する口調で話しながら、機械人形をいつでも動かせるように構える】
【敵意は見えないが、いつ変わるかは分からない。白衣の女の状態を見る限りでは危険性も予想できた】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 22:53:30.97 ID:OsyZWg1p0
>>42

【「私がカニバディールだ」――そうと聞けば、男はニヤリと笑った】
【それは一見した時の、印象の薄い表情を一変させる物であり】
【同時に得物を見つけた狩人のような充実感を覚える笑みでもあって】


ああ。アンタとは前から話したいと思ってたんだ
だが生憎とタイミングが合わなくてな、今まで口も聞いたことがねえ

……安心しろよ。公安だ、婦警だ黒幕だ…――なんてワケじゃない
むしろその逆だ、アンタの味方だよ、俺はな。
……そこで突っ立ってるのも具合が悪いだろ?
助手席、は無理か…――後ろ、空いてるから乗ってくれ。


【公安、婦警、黒幕。取り留めのないワードも群れは】
【聞くものが聞けば意味を成す。その敵だと嘯きながら、促すのは乗車】

【大型車の後ろは観音開きになっていて、開けば運転席と助手席を除き】
【八名が横並びに座れるような、車両の左右にベンチを二つ並べた構造が広がっていて】
【確かにそこならば大柄なカニバディールでも乗れるだろう空間を提示する】

【ちなみに、椅子の下には重たげな弾箱がぎっしりと詰め込まれ】
【中央の開いた空間にも、あからさまなガンケースが二つ並んでいる】
【先程の音の原因はこれだろう――それを見てどうするかは、彼の自由だ】

【実際、無理をすれば助手席にも乗れたりはするし、そもそも乗らなくても良い】
【だがその時は、運転席から男が降りてくる事だろう。その手に、青龍刀を握って。】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/04/30(月) 22:57:14.77 ID:s3kbcpMl0
>>37

【きっと――この通話が切れてしまったら。きっとまた少女は誰とも連絡を取らなくなる。今までミラからのメールも電話も何度も無視されたみたいに、なる】
【だったら。これは本当に一回だけの奇跡みたいなもの、初恋に落ちた瞬間の煌めきのような。初めてキスするときのときめきのような。色あせる瞬間を予言されている、もの】
【ほんの一瞬だけ繋がって。交差して。――だけどまた遠ざかっていく。それでも全くの無意味ではなかった。少女がおそらく元気であるだろうことは、もちろんだけど】
【"イル"という存在ときっと一緒に居ること。どこに居るのかは、分からない。現実はあっても世界のない場所。現実さえ包んで、微睡める場所】

【そういう理想郷みたいな場所に、彼女は居る。――それが、分かるのだ。同時に、そこから抜け出して――"また"頑張ろう、という気持ちは、いま、持っていないことも】

映画――――――……ああ。

【――それでも。引っ掛かる言葉はあった。映画を見る。既視感を覚えて、記憶をさらう。――そうだ、そんな約束、したなぁって。思う。吐息が漏れる】
【ここに来てから、ずっと。外のことなんて考えなかった。考えていなかった。だけど――こうしていたら、どうしたって外のことを意識しなければ、ならない】
【だってミラは外の世界に居る。外の世界で。絶え間なく続いていく事柄がそこにはあって。――自分はそこから逃げ出した。分かっている、けど、頑張ろうって思えない】
【頑張る方法も忘れてしまったみたいだった。だって。間違いだったなら。――もしかしたら。今でも普通に生きていて、きっと大人になっていた、未来も、あったかもしれないなら】

――――――……、――ねぇ。

【――――しゃりっ、と、髪の毛のこすれる音。何かに顔を埋めてしまったみたいに、声がくぐもる。ひどく不明瞭な声。だから、聞き取れなくたって、おかしくない】

【「みんな――怒ってる?」】

【誰かの大事なものを壊してしまった時のような。そういう声だった。だけれど、ひどくくぐもって――――寝台にいくつも積み上げられた。枕に、顔を埋めていたから】
【ふわふわしすぎない毛布は好きな手触りだった。だからずうっと潜って眠っている、そういうせまっ苦しいのは嫌いじゃなかった、世界から遮断されて、微睡めるから】
【毛布の中で身体を動かしたなら、全部の皮膚で毛布を感じ取った。――服さえ着ていない、ひどくやせぎすで色白な身体を責めるひとも、この場所には、居なくって】
【その代わりに。うんと褒めて、愛してくれるひとが居る。こんなに気持ちの悪い化け物を――全部知ったうえで、褒めてくれて。愛してくれる、何度も何度も、奥深くまで】
【頭もせなも全部全部内側まで撫でて愛しているよって言ってもらうのは抗いがたい安堵と快楽をもたらした。だから帰れない。だけど――その刹那に、ふっと、思い出したなら】

【ぐしゃと埋めた顔を動かして――携帯端末をちら、と、見る。色違いの瞳は眠たげで。だけど。その向こう側に、相手の表情を見出そうとするように、細められ】
【真っ黒い髪――顔にかかる毛先を退かす。その手のしぐさのままで、もう一度、少し遠くに置いてしまった携帯端末を、手に取って――、ああでも】

…………――あのね。あなたは……幸せに、なって、

【逃げ出した自分が、これ以上言うことって、きっと、何にもなかった。最後に初めて、通話に適切な距離で声が紡がれる。相手の幸せを願う言葉は、だけど】
【(自分はなれなかったけれど)――って言葉が伏せられている。なれなかった。自分は。――だから、相手にはなってほしい、と、思った。そして、それは】
【決して大人になれない少女が、大人になることのできる子供たちへ。食事を振る舞っていたのと、きっと、おんなじ気持ちで――――だけど。相手が何か、言う前に】

【――つー、つー。あんまりに情緒のない、電子音。鈴の音はそれに切り替わってしまう。だから、それで、おしまいだった】
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 22:59:14.40 ID:FItqeXEp0
>>40
【目の前で山羊頭を下げる、執事と名乗る男。否、名乗ってはいないが、『そういうものか』と頬を掻く】

【その純和風な見てくれに違わず、ヒガサはこういう文化には疎い】
【そもそもこの街もヒガサが偶然に訪れただけであり、辺りの地理には勿論疎い】
【従って、『そういうものか』と頷いている対象が“山羊頭の執事”であったり“色と出先の変わる扉”だったりする】

【その認識のズレに気づくこともなく、ヒガサは執事が弁解をする最中にもきょろきょろと辺りを見渡しては、建物の意匠に目を凝らしたりと落ち着かない様子である】

ふうん、チェックイン――ああ、名前を書いて入室しろ、と。
弱るね。折角の縁だ、蔑ろにしたくはねぇが、銭がないんだ。
客でなくていいんなら、熱い茶がいいねぇ。なにせ元居た場所より余程ここは冷える。

【開かれた台帳を捲ろうとも考えたが、顧客の情報をまざまざと他人に見せるのを執事が許す訳がない】
【ヒガサは脚を組み換えて、その“NAME”の字をなぞるようにぼうっと眺めたままだ】
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 23:02:01.39 ID:21Sc84Ero
>>43

『へえ、ブランルって人なんだね』
『──うん、君たちから見れば多分そうかな。私魔界の生まれだし』


【ニチニチと、粘液がくっついては離れる音をたてて羽を揺らす】
【別に敵意も害意もないのだけど、彼の側に立っていた大型の人形が気になって】
【少しだけまじまじと見た後、男の方に向き直ってから】


『あ、そうだ。私この世界にやることがあるから来たんだけど』
『湿度が高くて汚れた水が多くて、誰も来ない場所ってない?』


【その女は、やることがあるからこの世界に来たのだという】
【ある場所を求めていた──湿度が高く汚れた水が多く、人が来ない場所】
【マンホールや下水道など、適切な場所はいくらでもあるだろうけど】

【その目的は、自ずと分かるはずであって──】
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 23:10:52.18 ID:CUWYYlc9o
>>47

温度が高くて……なんだその場所は
そんなのは…………────

【最適な環境を求めた質問。それはすぐに理解できた】
【問題はその先。どうにも、安易に教えてはいけなさそうだった】
【横目でもう一度、跪いている女を確認する。もしも戦うのだとしたら、恐らくは二対一、か】

……教えてもいい。だけどそれは目的次第だ

【この世界や人間たちに害を成さないのであれば、という言葉は飲み込んだ】
【そういったことをいちいち言うほど、親切でもなかった】
【金属同士の軋む音を響かせながら、機械人形が一歩、前へと出る。威嚇のようなものだった】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/04/30(月) 23:12:27.74 ID:eEM8wrUco
>>44
【読めなかった。カニバディールとて、汚泥の中を這いずって生きて来た中で数多くの人間を見て来た男だ】
【しかし、彼はそのどれとも違う。目の前にいるのに、まるで掴めない】
【表情に印象は薄い。しかし、その笑みには決して凡俗には収まらない何かを感じた】

……そのようだ。私の記憶にある限り、貴方と話した覚えはないな

――――なるほど。そこまでご存知ということは、一連の事態に深く関わっているというわけだ
…………。そうだな、こんな場所で立ち話というのもあまり良くない。お言葉に甘えるとしようか

(『黒幕』の敵……金のかかった車両、積み荷……)

【耳に届くキーワードは、異形に事態を薄々把握させた。確信にまでは至らなかったが】
【警戒は無論あった。しかし、この男の声に騙し討ちを目論むような色は感じない。少なくとも、今は】

【ともあれ、共闘者たちがそれぞれに苦戦を強いられ、その一人たる鈴音に至っては行方知れずとなったこの状況で】
【少しでも進展が見込めるならば、動かない理由はない。異形は判断を終え、促されるままに車両に後ろから乗り込む】


……豊富な武装だ。『円卓』の資金力の、ほんの一端でしかないのだろうが
それで……貴方は、どなたのお使者なんだ? 『円卓』に並ぶ誰か……それとも、王陛下の直属かね?

【兵員輸送用と思われる広い車内と武装の数々。それらに目をやりながら、まずはそう切り出す】
【まずは、彼らの領域へ移動することになるか、このまま車内で対話が進むか。いずれにせよ、異形はまた自らより大きな闇の中に踏み込もうとしていた】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 23:23:22.99 ID:21Sc84Ero
>>48


『──目的次第って、そんなに怪しいことじゃないよ』


【彼が操っているであろう機械人形は、金属音を軋ませながら一歩前に】
【それを見て一歩後ずさったのだけど──怪しいことをしているわけじゃないという自信はあったのか】


『魔族にとっては当然のこと──“卵”を産み付ける場所がほしいんだ』


【口元に笑みを浮かべて、まるでそれが当然であるかのように】
【魔族も人間と同じように、敵が居ない産卵場所を欲しがるものだ】
【此方の世界にせっかく干渉できたのだから、産卵場所も欲しいと考えて】

【白衣の女の身体が、ビクリと震える。額からは汗が数滴流れていて】
【この状況自体がマズイということは、女本人も理解しているようだ】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 23:29:37.09 ID:OsyZWg1p0
>>49

【カニバディールが後ろから乗り込めば、扉がしまったのを確認し】
【約170馬力のエンジンが唸りを上げて瓦礫を踏みつけ、走り出す】
【後部は察しの通り兵員輸送用だ。如何に彼が大柄とは言え】
【どのように座ろうがゆとりがあるだろう。少々、快適性には欠けていたが】


――残念、この車と武器は『円卓』の金で用意したものじゃない。

これは俺が自分で用意した金で、自分のために買ったもんだ
『円卓』に加わるよりもずっと前から、こつこつとな。
だから自慢でもある。……燃費は最悪だが、身を守るのにこれ以上適した車もない。

……しかし、王陛下≠チてのは本人が聞いたら笑うだろうな。


【車両の外は、窓から見える。壊滅したアルターリから離れていく】
【国道を進み信号の少ない平原部へ。天候は少々曇り気味だ】
【もしかしたら雨が降るかも知れない、そんな空気の湿り気を感じさせ】


……カニバディール、アンタどこか行き先はあるか?
無ければ、このまま適当な隠れ家にでも行って
コーヒーでも淹れて……温まりながら話そうじゃねえか。

別に取って食おうってわけじゃない。腹を割って話したい、それだけだ
"俺"はそこらの何考えてるか分からねえ悪党と違って、即物的なんでな
遠回しな言い方も、別な意味を持った言葉も使わねえから…――まあ、安心しろよ。


【態度は非常に有効的だった。何より、運転する男は彼に背を見せている】
【背後から首を絞めることだって出来るだろう。だが、していることと言えばただの安全運転なのだから】
【どう対処するかはカニバディール次第――車の時速は、そろそろ高速巡航の100km/hに迫ろうとしていた】

/と、この辺りで申し訳ありませんが持ち越しお願いします!
/置きレス移行でも、このままこちらで点々と返す感じでもオッケーですので!
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 23:30:37.06 ID:CUWYYlc9o
>>50

(…………面倒なことに、なってきたな)

【男の表情が苦々しく歪められる。状況は加速度的に危険な方向へと向かっていた】

卵を産み付けて、繁殖……じゃないな……とにかく、子供を産んで、その後は?
移民したいっていうんなら、場合によってはそれも可能かもしれない
生憎と俺は権力者じゃないから、そのあたりの交渉ができる立場にはないけれど

【男はまだ、会話だけでこの場を収められないか試みていた】
【もしも、単に繁殖──彼はわざわざ言い直していたが──したいだけなのであれば、問題はない】
【それが侵略だの何だのに繋がるのだとしたら、そのとき初めて問題になる】

【そのあたりを男は慎重に調べようとしていた。甘い考えかもしれないが、彼にとっては重要だった】
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/04/30(月) 23:31:17.02 ID:eEM8wrUco
>>51
/了解です、ひとまずこちらでお返ししておこうと思います!
/いったんお疲れさまでした!
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/04/30(月) 23:32:21.94 ID:XGXHKJ/lO
>>45

…………怒ってなんかねぇよ。怒って、なんか
当たり前、だろ…………?──みんな、心配して、て…………


【みんな、なんて。鈴音がいなくなったのも、メールで知って】
【だから誰の反応も知らないのに────それは、“嘘”なのかもしれなかった】
【驚くほどするりと、その嘘は出てきた。こんなにも、嘘をつくのは簡単なのか】
【でもそんなことは、今はどうでもよかった。あの記憶を消されかけた霧の中のような焦りが】
【じりじりと自分の中のどこかを焦がしていくのが分かった。その感情がなんなのか、よく分からなかったけれど】


──────鈴音?


【ぶつん。声が途切れる。後に残るのは、鈴の音とは程遠い電子音】
【おい、と声をかける。当然のように答えはない】
【なぁ、とまた声をかける。電子音だけが、返ってくる】
【名前を呼ぶ。何度も、何度も────鈴の音は、もう鳴らないのに】


……………………なんだよ、それは────よぉ
なん、だよ…………なんで、…………なん、…………、……………………っ、

あんたは…………っ!あんたはどうなんだよ、鈴音ぇ!!
なんだ、よ…………クソ────クソがぁあああっっ!!

ふざけんじゃねぇぞ!!なんで…………どぉして…………!!あんた、ばっかり────!!
なんで…………なん、だよ…………ッッ!!

どぉして──────そんなこと、言えるんだ、よ…………クソ、が…………


……………………ク、ソ────ぁ、ああ、…………っ、……!!う、あ────あ!!


【がん、と携帯を壁に投げつける。最後の一言が、なによりも苦しかった】
【端末を投げるだけでは飽き足らず、壁を殴りつける。一度、二度、三度──四度目で】
【青い血が滲み始める。皮膚が裂け、それでも何度も何度も壁を殴る】
【何が気に入らないのか、分からなかった。ただ、心が張り裂けそうだった。いっそ、裂けてしまえば楽だったかもしれない】

【幸せを願われることが、こんなにも辛いことを初めて知った。知りたくなんてなかった】
【あぁ、と慟哭が部屋に溢れる。なんだってこんな気持ちになるのか。誰か教えてほしい】
【どうして、…………どうして。────答えは、誰も教えてくれないのだけれど】


【────「なぁ、ジル。あたしさ、欲しいのがあるんだ」】
【泣きはらした金の目で、彼女は王にそういう電話をかけることだろう】
【「は、は────いいだろ?わがまま。あたしさ…………国が欲しい」】
【一つの国でいい。小さな国でいい。とにかく、国が欲しいのだと】
【傾国の姫が紡ぐ我儘のように。それにしては控えめすぎる、かといって凡人には大きすぎる我儘を】
【電話越しに、彼女は伝えるのだ。「ダメならさ────いくら貯めれば、買えるかな」】


/この辺りでしょうか、お疲れ様でしたー!
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/04/30(月) 23:38:30.25 ID:4xvyh63F0
>>46

【そういうものかで、おさまる柔軟さがなければ常識を持つ善良なる一般の人々は落ち着かないことでしょう】
【疎かったことが逆に幸運であったかもしれません。それでも、時間も場所も、様変わりし、山羊頭の執事も】
【何処からか流れる弦楽四重奏も、正しい道理では存在していないという、異様さはわかるかもしれません】

御客様のお名前を存じ上げませんと。我々も給仕する際に粗相しかねません。
お気になさるならば、偽名でも通り名でも、構いません。

…お代はお気になさらず。当ホテルの総支配人かつ私どもの主人であらせられる、ラインハルト侯は寛大な御仁です。
御客様のような、迷われし方々を手厚くもてなすよう、賜っておりますので。
彼処に、ありますのが。…ラインハルト候でございます。

【貴方の心中を察したかのように執事はそう言いました。】
【そしてその執事の指す手の先には、一枚の肖像画がありました。口ひげをたたえた、身なりの良い、白髪の男性の油絵です】
【しかし、貴方は気がついているでしょうか。入ったときには其処には何の絵も飾られてはいませんでした】

【ふと、貴方は気づくでしょう。暖かな、お茶の香りと、湯気が。湯呑が、テーブルの上にあるではないですか】

…御客様のお召し物に合わせて、お持ち致しました。お気に召していただければ幸いでございます
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 23:42:32.01 ID:21Sc84Ero
>>52

『子供を産んだその後は……、儀式室でも作ろうかしら』
『移民というよりは植民なのかなあ?ここ、誰も居ない気がするしさ』


【子供を産んだ後はどうするのか、と聞かれればこう答えるだろう】
【儀式室を作りこの世界の“蟲”を統べて、植民により勢力を拡大する】
【人間の心臓に当たる部分には、一匹の大きな芋虫のような蟲が見えるだろうか】


『それに、この世界にはもう“蟲”がいるようだし』
『問題はない気がするんだけど──、どうかな?』


【足元で跪く白衣の女を指差し、女はころころと嗤う】
【もうこの世界には蟲がいるのだから、自分たちが繁殖しても変わらないだろうと】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/04/30(月) 23:44:24.49 ID:MpVECejto

【水の国】


【この日、とあるイベント会場を借り切って行われていたのは“軍事見本市”だった】
【年に一度、或いはもう少し頻繁に、若しかしたら二年に一度。兎に角、この場所で定期的に執り行われている】
【軍事関係者と軍需企業の人間や武器商人が、そこかしこのブースで話し合い、契約を交わすのが見えた】


 華蔵院君。後は君が纏めておけ。


【部下らしき女性軍人にそう告げて、一人の軍人がブースを離れる】
【銀の髪に国軍の制服、それに年季の入った軍帽。 水国軍中佐、ロロケルム・ランガスターだ】
【戦争狂と呼ぶ者も居れば、彼ほど現場に顔を出す佐官は居ない、とも。良くも悪くも、その名は国軍の中では広く知られている。】


……資本主義とは、げに恐ろしい物だな。市場に善悪はなし。か。


【彼はホールを見渡す2階の通路の手摺に寄りかかり、煙草に火を点けて呟いた】
【── この見本市では、特に“対能力者”用の軍事品がよく捌けている。そのことを指しての言葉だろうか】
【兎に角、彼は1階の群衆からの非難、というか少し引いた視線を気にもせず、悠然と煙草を吹かしていた】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/04/30(月) 23:48:19.79 ID:CUWYYlc9o
>>56

(……最悪だ)

【返答は予想される中でも悪いものだった。植民ではあの男とやろうとしていることが同じだ】
【タイミングも悪かった。まだ水の国の軍はここに到着していない。対処できるのは自分だけだった】

蟲が、いる……?
…………この人の中にいる蟲は、そのうち羽化するとでも?

【白衣の女を横目に見ながら、男は焦燥感のある声で問いかけていた】
【仮にそうなのだとしたら大事になるかもしれない。場合によっては白衣の女を[ピーーー]必要さえ出てくる】
【それが──女を[ピーーー]ということが、この男にできるかは、全く別の問題だったが】


//すいません、凍結いいですか?
//明日は割といつでもいると思われます……いいところで申し訳ないです
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/04/30(月) 23:51:30.58 ID:21Sc84Ero
>>58

//了解しました、あとでお返ししておきます!
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/01(火) 00:01:09.71 ID:3HML44my0
>>57

【水の国、イベント会場】
【軍事見本市】

「さて……必要な物は全部見たな」
「本当、武器まで現地調達?」

【さて、軍事関係者、軍人、軍事産業人】
【これらの業界人が一堂に会するイベントだが、その中で妙な二人組が居るのが見えるだろうか?】

「そう言う訳でもない、最先端能力者用装備の情報収集、そして品物の調達、重要な任務だ」
「ようはお使いじゃない……」

【ネイビーカラーのスーツの線の細い男性と】
【そして細身で身長の高い、オカマであった】
【各企業のブースを見て回り、そして実際に品物を手にしたり等しながら】
【煙草に火をつける将校の所に向かって来る】
【あるいは将校ともあろう人物ならば、櫻の国魔導海軍の話は知っていて、あるいは彼らを見た事もあるのかもしれないが】

「あ、私一服!」
「少尉、少しは禁煙をだな……」

【兎にも角にも、煙草を吸うその男、ロロケルム中佐の元にかけよるオカマ】
【そこで何かに気が付き】

「あ、お兄さん!すみませーん、ライター借りれますか?」
「(ん?この男何処かで……)」

【オカマはそう話しかけ】
【そしてネイビーブルーの男性は、こう少し訝し気な様子で】
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/01(火) 00:08:52.62 ID:unlKAjle0
>>54

【――――――端末を握ったままの手をベッドの淵から垂らして、そのまま、床に落とす。罅が入るような高さではない。音も、大したほどではないけれど】
【だけどそれは確かに何かが壊れた音を立てた。それが何かは分からなかった――いや、知っていた。例えば。例えばここで、助けて、って、泣いて叫んだなら】
【きっと相手は助けに来てくれた、と、思うのだ。――だけどそれはできなかった。あるいは、しなかった。それで、来てほしいと思った、そうして、ここで、一緒に……】

【――来るはずがない、って。分かっていた。ことを、思い出した。あんなふうに誰かを語るひとが。来るはずはないって】
【誰かのことをだいすきなひとの顔と、声だった。だから、来ないって、分かっていた。知っていた。――目を閉じたなら、また眠たくなる。ここに来てから、いつもこうだ】
【悪い病気に浸されてしまったみたいに――甘い甘い卵液に浸されたパンみたいに、ぐずぐずになって/されてしまった。今夜もきっと泣きたくなるくらい愛されるから】
【そしたら明日の朝には、また、いろいろなこと。忘れているだろう――それをひどく他人事みたいに、考えていた。うすっぺらな障壁、それで現実を孕まずに済むのなら】

……………………、

【――うと、うと、と。瞬きがゆっくりになっていく、吐息がまた深く、深く、引きずり込まれるように、なって】
【ふつん――と、意識が途切れた。あるいは、どこか遠くの慟哭が聞こえてしまいそうな気がして――それから、逃げてしまおうと、するみたいに】

/おつかれさまでした!
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 00:13:51.32 ID:+ObaIdYv0
>>55
【"後出しジャンケン"だ】
【そう思った。間違いなく、あの壁には絵どころか、額すらなかった】
【『チェックインルーム』と呼ばれた部屋を隅々まで見回していたこともそうだが、絵がある筈はない】
【絵描きが他人の絵を見ない訳がない。それが油絵であろうが、水墨画であろうが、間違いなくいの一番に目をつけるなら、この威厳あり気な男の絵だ】
【ヒガサの視線はその油絵に釘付けだった。望みの茶が机に置かれても、尚】
【在る筈のない管弦楽の響きが、茶の表面を震わせる。茶柱は、なんとも呑気に寝そべっていた】

……。

【ヒガサは山羊男の言葉を耳に入れ、脳に届くまでの間に取り除きながら、口を噤んでいる】
【このまま黙って、何某とでも書けば、すんなりと一泊できるのか。望みの物を"後出し"され続けてサヨウナラ、となるのか】
【いや、もしそうだとしても気味が悪い。無用な施しをする者など信用できる訳がない】
【腕組み、一頻り目を閉じて、ヒガサは組んだ足を解く】

“ラインハルト”だよな、確かに覚えた。
悪いが急用を思い出した、また来るよ。これ程に居心地の良いとこなんてないからな。

【柔らかい言葉と反転して、無表情のままに立ち上がる】
【障害さえなければ「あの扉から出ればいいのか」と尋ねながら、赤く変わった扉へと下駄を踏み鳴らそうとする】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/05/01(火) 00:18:24.29 ID:8rRvbXQ8o
>>51
【腹の底に響くエンジン音。自分にとってこれは福音となるか、災厄のラッパとなるか】
【自身の図体もすっぽりと包み込むこの車両が、そんな矮小な思いも飲み込んで走り出す】

【足を広げて深く椅子に腰かける。居心地など全く考慮されていない場所をいくつも渡り歩いてきた異形にとっては、むしろ快適なくらいだった】


自前でこれを……そこまで貯め込むには、相当な苦労だったろうな
それだけの価値はあるな。ここに腕の立つ兵を乗せれば、戦場に乗り込んでも十分に戦えることだろう

受け継いだものではなく、金と実力でもぎ取った王位だろうと、王は王だ。事実だと思うがね
陛下の婚約者……未来の王妃殿下にもお会いしたが、彼女も言っていたよ。世界に手を伸ばせる存在だと

【車窓から三つの目玉で流れゆく景色を眺める。一日にして崩れ落ちた都市。いくつの人生があの中に消えたのか】
【そんな事態があったにも関わらず、平原の自然も曇り空も湿った空気も、いつもの通り。どんな出来事も、世界の中では単なる現象か】


……アジトの一つに帰還する予定だったが、ここからは少々遠い
お招きいただけるなら、その隠れ家にお邪魔するとしよう

ふ、ふ。味見したことはあるが、私の肉は不味いからな。とって食うつもりだったのなら、お勧めはしなかったところだ
それはありがたい。私はこの通り口数の多い男だが、こういった対話≠ェシンプルな方が好みだ

【自ら車を操り、こちらに背を向けるのはこの場における一定の信頼を勝ち得ようとするがゆえか】
【あるいは、背後から襲われたとしても対処できる手段を持っているのか。その両方か】

【いずれにせよ、異形の盗賊は彼に危害を加えようとはしなかった。悪漢としての感覚が告げている。この男に手を出すなと】
【それでも、車内の武装と運転席にチラと見えた刃物の輝きに目ざとい視線を送ることは忘れず】
【異形は速度に身を預ける。高速で流れる景色を目に焼き付け、現在地の把握に努めながら】
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/05/01(火) 00:22:46.56 ID:35LOggOEo
>>60

【実際、二人組は目立っている。この会場でスーツ姿をしているのは、殆どが売る側だ】
【買う側にもスーツ姿の軍人、というのは居ないでもないが、殆どが内勤の佐官以上】
【従って、見慣れない二人が歩き回っていると、「どこの誰だ」という囁きがそこかしこで──】


……先程から見ていたが、君等“も”悪目立ちしているな。


【交わされていたのだが、この男に話しかけた時点で、あぁ、という納得の声が漏れ聞こえた】
【何だ、またランガスターがおかしな人間と付き合っているのか、と、人々の注目は散っていく】
【── そして、ぎろり、と。 そのロロケルムの碧の瞳だけが、二人組を向いた】


我が社の人間ではないな。 ……櫻かね?
まさか、金とは言うまい。彼処の風土は一周遅れている。悪いものではないが。



【彼は陸軍、それも首都フルーソ専属部隊の隊長だ。 海軍の話は、門外】
【魔導海軍の存在は知っていても、彼らがそこの人間とは考えず──さりとて、この場に居るのなら】
【友好国の櫻の軍人か何かだろう、と当たりをつけたのだろう】


── お気に召す物はあったかな。
この国の物も悪くはないが、美しさでは櫻に劣る。
機能性さえあればよい、と商人共は宣うが、デザインは立派な武器だ。
兵士は自己と装備を同一化し、常時以上の士気を持つ。敵もまた然り。 ……そら、落とすなよ。


【口の端だけを上げる冷ややかな笑み──これでも、彼は普通に笑んでいる──を見せ】
【“金狼”の紋章が施されたライターを、オカマへと放り投げた。 若しかすると、それを見て】
【先の部隊が“金狼部隊”と称されていること、それに、そこの隊長が長広舌でも有名なことを、思い出すかも知れない】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/01(火) 00:41:26.01 ID:3HML44my0
>>64

「そう?注目を集めるのは良い事よ、もっと目立ちたいわねー」
「……」

【そう陽気に答えるオカマと、黙したままのスーツの男】
【最も、彼らがこの場に居るのは決して怪しい目的ではなく、むしろ正式な公務による物】
【それ故に、こんな事も言ってのけるのだが】
【やがて】

「御名答よ、良く解ったわね」

【あっさりと、そうであることを認めた】
【あくまで、公的な任務であり職務であるため、その部分を隠す必要はないとの判断で】

「いい事言うわね、嬉しいわ、流石色男は違うわね」
「……ッ!!??」

【オカマへと投げ出された、エンブレム入りのライター】
【それを見たスーツの男性の目つきが変わる】

「水国陸軍中佐……ロロケルム・ランガスター……」
「ええッ!?き、金狼部隊の……」

【軍人である事は、制服を見れば一目瞭然だった】
【だが、その階級や地位、名前までは解っていなかった様子で】

「し、失礼しました!櫻国魔導海軍、陸戦隊少尉賀茂宗司!」
「同じく陸戦隊中尉、厳島命です、部下の非礼をお許しください中佐殿」

【改めて恭しく、こうあいさつした】
【これは当然だろうが、諜報部、と言う部分は省いて】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 00:55:10.59 ID:4XE7x4dn0
>>62

【その部屋の仕組に貴方は気がついたことでしょう。そう、無かったものが表れるのです】
【そして望むものが、あるべきところにさも当たり前のように。手順は飛ばして結果だけが現れるのです】

【ここまでの事を、流石に受け入れるのは愚か者ぐらいなものでしょうか。全てが出来すぎていたのです】
【何もかも当たり前のように。言葉を鵜呑みにして、そのホテルに泊まるべきかどうかは―――その人次第】

チェックインだけでも、していかれたら如何でしょう。――貴方は、近からず、遠からず。また来ることになるのです。
貴方は迷い子。そして、このホテルに御客様として“魅入られた”御方。…怖がる必要はありません。
ただ、覚えておいてくださいませ。貴方がどの様な運命を歩んでも、当ホテルは貴方様をお待ちしております。
そして―――運命が歩むその道に、当ホテルはございます故。――よく覚えておいてくださいませ。

【立ち上がり、下駄を鳴らして、歩く貴方に後ろから山羊頭の執事は礼をしてそう述べました】

ああ。そうそう

【執事はわざとらしく、呼び止めます】

御用の際は、6時6分。月のよく見える場所で。いつでも貴方様のお帰りを…お待ちしております。

【ドアは、またいつの間にか緑色に変わっていました。執事は礼をしています。ドアノブをひねれば簡単にそれは開き】
【今度は、何もかもを飲み込むぐらいの真っ暗闇に引きずり込まれます。ほんの数秒の出来事ですが】

【そうして、またふと目を開ければ―――同じ場所に戻ってきていることでしょう。なんてことない路地裏】
【暖かな陽気、日光。ホコリ臭さと喧騒。全てが、見知った顔の町並みです】

【ただそこには、ドアはありませんでした。そして、その街には―――いえ、この世界にはホテルラインハルトはどれだけ調べても見つからないでしょう】


貴方様のお帰りをお待ちしております。



/そんなところで勝手ながら締めにさせていただきます!
/試験的なところもあり悩みつつのロールだったので色々不出来なところもあったかと思いますが
/お付き合い頂けて本当に感謝です。ありがとうございました
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/05/01(火) 01:00:38.36 ID:+ObaIdYv0
>>66
/お疲れ様でした、ありがとうございました!
/いやいや、不気味な雰囲気作りの技術に惚れ惚れしておりました。是非機会があればまたお付き合いください!
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/05/01(火) 01:04:04.21 ID:35LOggOEo
>>65


気にするな、厳島中尉、賀茂少尉。
私に敬意を欠いた所で損にはならんし、敬意を表した所で得にもならん。
……、いや、欠いた方が得になるかも知れんな。クックック。

【態度を急変した両者に、ロロケルムは軽く右手を振って応えた】
【──事実、国軍の中では、上層部になればなるほど彼を嫌う者が多い】
【ランガスターに馴れ馴れしくしてやった、と、酒の席で言えば大ウケ間違いなしだろう】


ん。
……しかし、“魔導海軍”と来たか。


【そこで初めて、彼は何かに気付いたかのように、手摺に背を預ける格好で彼らを振り向いた】
【片目だけを吊り上げ、値踏みするように両者を見つめる。──怪訝、という表情とは少し違ったもの】
【煙草を一つ吸って、ふぅ、と彼が吐き出せば、螺旋を描いて両者の間を宙に消えた。 そして、】



君ら、“運送業”はやっているか。
櫻まで運んで欲しい物がある。金なら出そう。
軍人として何とも知れぬ物を運ぶ仕事など受けられん、と言うのなら、無理強いはせんが。



【 それは、とても奇妙な話だった 】

【櫻まで物を運びたい、というのなら、民間のサービスが幾らでもある】
【重要物品、というのなら、それこそ水国海軍に頼ればいい話だ。──、それを、この軍人は】
【まるで、“櫻の軍人”だからこそ頼む、というような口振りで、言葉を紡いでいた】

【それを断るのなら、この話は、そこで終わるだけなのだろう】
【──それとも、この“奇妙さ”に気付いたのなら、遠まわしに探ってみるのもいいのかも知れない】
【尤も、彼には“荷物”の内容を具体的に話す気は、なさそうであったが】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/01(火) 01:24:32.31 ID:3HML44my0
>>68

「御戯れを、我々は友好国の軍人、その様な非礼が許されよう筈もありません」

【謙遜交じりだが、この国の上層部と直接関わる身分でも無いため、こう答えて】

「輸送業、ですか?」
「中佐殿、お言葉ですが、それはどう言った物なのですか?」

【魔導海軍の名を聞いたとたんに、考えるような動作をし、そしてこう言ったランガスター】
【彼にこう口々に聞いた】
【なんとも、これはまた何とも、訝しい物だ】
【個人的な物ならば民間の輸送サービスを使えばいい、軍の関係ならばこの国の海軍か空軍、あるいは陸軍の輸送部隊を動かせばいいのだろうが】
【どうにもきな臭い話だが……】

「(どうするのよ中尉!)」
「構いません、次回の遠洋演習の艦隊が寄港する際、積載してもらえるように手筈を整えましょう」

【意外にも厳島はあっさりと、こう答えた】
【最も、彼らとてザルではないため、調査はするのだろうが】 
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/05/01(火) 01:53:37.12 ID:35LOggOEo
>>69


結構。 詳細は追って知らせる。
魔導海軍の船に此方の人間をやろう。好きに使ってくれて構わん。


【厳島の簡素な承諾に返すのは、同質の確認だった。──携帯灰皿を取り出し、煙草の火を消す】
【その素っ気なさこそが、逆に、“荷物”の重要性を内包しているようにも思えた。 つまり、は】
【彼自身、この場で“大層な話”をしているように思われたくないのだと】


…… “物”は重さにして約60キロ。台車の類は要らん。
ただ、そうだな。 ──私は、音に聞く“魔導海軍”を信頼してそれを預ける、ということだ。
無論、私は“この国の軍人”として、な。


【それからロロケルムは、再び階下を眺める。 百花繚乱の殺人叡智を眺め、ふと】
【思いついたように、「あれは掘り出し物だ」と呟いて、最新式のジャミング装置を指さしたのだった】




 【 ── 】




【時間は、ロロケルムとの約束の日時に流れる】

【彼からの報酬は既に支払われているだろう。──それを数日前に持って来たのは、とある少女だった】
【初、と名乗った夜色の髪をした少女は、どうやら“荷物”と共に櫻にまで随行するらしい】
【この数日間の身柄は厳島達に任されているから、海軍の雑務をさせていても問題はない】


 ……来た。


【深夜の埠頭で、少女が呟く。 滑り込んできたのは、夜に溶けるような黒塗りの車体だった】
【“荷物”を運ぶぬは似合わぬ高級車。恐らく少女と並んでいるだろう厳島達も、同じ様な感想を抱くか】
【この瞬間まで、初は決して荷物の詳細を話さなかった。──、だが、彼らには想像が付いていたかも知れない】


「……、なるほど、考えやがったな。櫻の海軍船なら、臨検もおいそれとはできねぇ。」


【車から降りてきたのは、還暦を越えた頃の老人】
【── その洒脱な喋り口とカストロ髭には見覚えがあるかも知れない】

【“ヨハネス・ロトゥノカイト”】
【数週間前、国会内で堂々と“暗殺されかけた”人間だ。 そして、若しかすると厳島達はその事件を分析した際に】
【それが魔制法の絡んでのことであり、更には、『円卓』や『黒幕』によって生命を狙われたのだろう、という推測も立っていたかも知れない】


 【つまりは、こうだ】


【『円卓』にも『黒幕』にも殺される理由のある人間の、櫻への亡命。 それが、“運送業”の実態だった】
【それを知ってからもなお、この職務を継続するか否かは──、彼らの判断次第だろう】


/少し時間飛ばさせて頂きました、不味ければ仰って頂ければ
/あとすいません、この辺でリミットです 次のお返しは明日の夜九時以降からになるかと
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 02:22:14.12 ID:M5MmcU3bo
>>58

『うーん、今言い切ることはできないなあ。でもね、羽化するってことは神に認められた証なんだよ』


【白衣の女に目線が向けられていたことで、何が言いたいのか大凡理解できた】
【彼女の中に蟲がいるために、羽化するのかどうかを尋ねたのであろうと】
【羽化するということは、彼女にとって名誉であると──神に認められた証であると語る】


『それで、私の名前は“ワームシンガー”っていうんだけど』
『名前の由来もついでに教えておいてあげるね────』


【すると、女は突如歌いだした。澄んだ歌声で、何処までも届くかのような】
【──しかし。彼と彼の人形にはそれが苦痛にしか聞こえないだろう】
【神経を直接攻撃されているような、大きな不快感と痛みを感じるはずだ】

【一方、白衣の女は顔色が悪いままゆっくりと立ち上がっていき】
【女の側まで寄れば──巣を作るには、下水道がふさわさいです】
【なんて言葉を漏らす。蟲の唄い手でワームシンガーなのだ、蟲を持つ者にとってその命令は絶対である】
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/01(火) 02:29:51.32 ID:3HML44my0
>>69

「お心遣い、感謝します中佐殿」
「……」

【そう言って去って行くランガスター】

「流石です、お目が高い者とお見受けします」

【意味の深い、視線でのやりとり】
【そうして、その場はこの人物と別れた二人】
【一抹以上の不安を残しつつ、やはり荷物とは、かなり重要かつ重大な物なのだろう、と】
【やがて……】

【約束の期日の数日前となった】

「君がランガスター中佐殿の使いの者か?」

【拠点にやって来たのは、初と名乗った少女だった】
【秘密裏に、海軍司令長官へは、この要件を打電済み】
【海軍は、この案件を承認している】

「ありがとう、専用の居室を用意してある、ゆっくりと過ごして欲しい」

【初にはこう話し、そしてさらに日数が経過】
【――期日当日】

【軍港には件の二人に加えてもう一人】
【曹長、那須翔子も居る】

「ねえ、ちょっとあれって?」
「静かに、少尉……ああ、なるほど荷物は人だったと言う訳か、確かに台車は要らんな」
「(中尉……)」

【黒塗りの車】
【荷物と言うにはあまりにも……その場で厳島は何かを察し】
【こう言ったのだ】
【一方の那須翔子は、不安げに厳島を見て……】

「与党の法務部会長、ヨハネス・ロトゥノカイト様ですね」

【老人に近づき、こう頭を下げる厳島を先頭とした三人】
【その士官制服から、櫻の海軍軍人と解るだろう】

「陸戦隊中尉、厳島命、こちらは部下の少尉と曹長です」
「魔導海軍が責任を持って、本国まで送り届けます、どうかご安心を……」

【そう握手を求め】
【そして挨拶が出来たらば、その視線を軍港に係留、補給を受けている遠洋艦隊に向ける】

旗艦:金剛型魔導戦艦『榛名』
軽空母:『龍驤』『瑞鳳』
軽巡洋艦:『阿武隈』『大井』『北上』
駆逐艦:『雷』『電』『暁』『響』『夕立』『春雨』『白露』『時雨』
潜水艦:『伊19』『伊13』『伊14』『強襲揚陸潜水艦伊707』

【小規模ながら、機動力を重視した、堅実な艦隊編成だ】
【やがて、厳島は老人に向き直り】

「戦艦に専用の部屋を用意してございます、櫻までは何不自由なく、ゆるりと船旅をお楽しみ頂けるかと存じます」

【こう恭しく告げた】
【他の士官二人は、気が気でない、そんな表情をしているが……】



//了解しました!お疲れ様です!
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 06:01:37.62 ID:Lwu39sXZ0
>>63

【流れ行く景色は、いずれも水の国の物に相違なかった】
【草原を超えて森に入る。この森は確か、国の南部にあるものだ】
【降水量が多く、年間を通じて沼地となっている箇所も存在する、とか】


フ……く、はっはっ……王妃殿下≠ヒえ。
面白えな、ソレ。アンタそういうの、大真面目に言ってんのか?

それとも、「俺は服従してますよ」ってアピールなのか?
別にどうってわけじゃねえが、なにせアンタその図体だ。
大概の人間は目の前に立たれるだけで威圧されるってのに
随分と腰が低いんでな。アンタなりの処世術、なんだろうが…――。



【――森を抜けると、山間部へ。小さな湖のようになった箇所は木々が無く】
【その向こう側に高い国境沿いの峰々が、雲を冠のようにして聳えている】

【やはり雨は降るようだ。ゴロゴロと不穏な音が天井の世界から聞こえてくる】
【道は悪かったが、振られてしまう前にというように少し速度を上げると】
【およそ10分ほどでようやく車両が停まる。頭の中に詳細な地図があったなら】
【やはりここは水の国南部、湖沼地帯の奥部だ――端的に言って、田舎である】


さあ、着いた。……ここらへんは国のインフラ整備もまだまだでな
携帯も物によっちゃ圏外になるし、道もほとんど舗装されちゃいない。
幸い電気と水道、ガスは問題ないが…――まあ、ゆっくりして行ってくれ


【車両から降りたならば、そこにあるのは黒い屋根の家――民家だ】
【ポストには今日の夕刊。それを手に取りつつ正面玄関から、先んじて屋内へ入っていく】

【内装も――やはり民家だった。台所には所狭しと調味料が置かれていて】
【同じ部屋の隅にテーブルが有り、椅子が4つと、卓上にまた塩やら胡椒やらが置かれている】
【薄暗いのは電球の問題だろうが、あまりにも庶民的すぎる空間に、妙な恐怖感が薄らぐはずで】

【男は夕刊をテーブルに放るとヤカンに水を汲み、火を付けて】
【それが沸騰するまでの間に慣れた様子で粉のコーヒーを用意する】
【ふと振り返って「ブラック派か?」と尋ねる様などは、随分と不用心な物で】
【或いは紅茶、と答えたとしても――大概の飲み物は出てくることだろう】

【――――そうして飲み物も揃えば、ようやくテーブルに腰を下ろす。向かいあって、ひと息ついて。】
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2018/05/01(火) 09:10:57.48 ID:QcUYsQhgO
【────画面を叩く。文字が入力される。何文字か書いて、×を押す】
【その作業を、何度も何度も繰り返す。あぁ、どんな文章を送ればいいのか】
【たたん、たん。鈴音、とか。イル、とか。そんな文字列が書いては消されて】


【送信者──ミラ・クラァケ】
【送信先──“M”】

『鈴音の件からあたしは一抜けする』


【────たったその一文が、送信される。何かを知っている文面】
【だが語りたくはなさそうな文面でもあった。もしも誰かが詳細を問うても】
【返信はない。婦警や黒幕と関係があるのかと、そんな内容のメールにのみ】
【『多分、ない』と。これまた短い文字列が返ってくるだけであった】


/メール的さむしんぐなので絡み不要です
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/01(火) 12:30:12.04 ID:zxvkPH+Fo
>>71


神に? 神とは何だ、お前のことか?


【その大仰な言葉は、しかし確かな現実感を伴ってのしかかってきた】
【蟲の神。魔法陣に描かれていた通りの文言だ。妄言や偽りの類だと考えることは難しかった】
【そして現実的なものなのだとすれば、男の焦燥感を煽るには十分過ぎた】

【「由来?」────その問いかけは音響によってかき消された】
【美しい歌声が静寂を破って屋上に響き渡る。美麗な音律。本来はそう感じるはずのものが、そうではなかった】


ぐっ……!?
こ、これは……何…………っ!?


【思わず男は耳を抑えた。軋む音を響かせながら、人形が小刻みに震える。擬似神経にさえ影響を及ぼしていた】
【神経に直接触れてくるような、不愉快な痛みが耳から全身へと走る。不快な歌声。それは男にはある種、身近なものだった】


くっ…………どいつも、こいつも……!
耳障りな音ばっかり…………作りやがってぇえ────!!


【音を振り払うような叫び声。それと共に男の身体の表面を、いくつもの青い線が走っていく。魔力の放つ色と同色だった】
【手足の末端から生じた青の輝線は彼の瞳に収束。瞳の表面で回路のように複雑な模様が輝き、反転】
【光が瞳から線を通じて末端へと返っていく。男から発せられる魔力が増大。それに伴い、機械人形が動きを見せた】


<アルマドゥラ>、行けっ!!


【繁殖に適した場所まで知らされた以上、もう止めるしかなかった】
【男の両手の五指がそれぞれ動き、腕を振るう。傍らにいた機械人形が重々しい音と共に跳躍】
【巨大な腕を振りかぶり、蟲の女へと落下しつつ振り下ろす。見た目通りの重量のある一撃だが、動きはその分、速くはない】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 18:02:19.11 ID:4XE7x4dn0
【水の国――とある市街、酒場にて】

【ここは水の国、アルターリにほど近い街。アルターリと言えば、先日の事件によって被害を受けた街】
【その近隣の都市はメディアや警察、その他大勢が近隣都市に出入りして、それを埋め合わせるが如く、慌ただしく】
【しかし、アルターリと比べれば、失った日常がそこにはあった】

【春を越えて、暑さすら感じる水の国のある一日、夕暮れに差し掛かり涼しさと過ごしやすさを感じ始めた時間】
【あるパブは通り沿いのテラス席を開放して、営業していた。そこにその男は4人がけの丸テーブルに1人座って】
【スタウトのビールを1パイント、テーブルにマルボロのソフトの箱とオイルライターを置いて、新聞を広げていた】

…また、面倒なことになっちまった。

【そう言ってタバコに手をのばし、火をつける。夕暮れの空を見上げて、煙を吐き出す。】

【黒髪のサングラスを掛けた男はその座った時の足の余らせ具合から多分相当背の高い人物だろう】
【額に白い包帯を巻いている。白いシャツに黒いネクタイを緩め、袖をまくって、ジャケットは空いた椅子の背もたれにかけていた】
【腰に、2丁のリボルバーを下げている。―――彼は先日のアルターリから幸運に逃げ出せた1人だ。そう思わなくても、一般人には見えにくい】
【メディアや捜査関係者なら是非とも話を聞きたい相手だろう。丁度、店も混みだして、相席は自然な頃だ】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 18:19:16.41 ID:TZpi6S7Po
>>76

【それはまるでずっと話をしていたかのように、貴方の良き理解者であるかの如く】
【人影があった、向かい合う様な位置にちょこんと腰掛けた少女が一つ】
【瞬きと瞬きの狭間、その一瞬に向けて出現した】


ですよねっ! んもぅ全くやりたい放題と言いますか、なんと言いますか
あの一件だけでどれだけ被害が出たんでしょうね、鵺ちゃんってば日々の生活でひーひーゆってるのにぃ
あっ、カフェオレお願いします! お砂糖マシマシで!


【白を基調としたゴシックワンピースの上から黒い姫袖のドレスを羽織り】
【軽くウェーブのかかった純白の長い髪と、蕩けるような蜂蜜色の瞳】
【白い手袋とソックス、黒の編上げブーツの少女であった、いつの間にか席に腰掛け、注文】


私の記憶がヘンテコじゃなかったら、オジさん居ましたよね、あの場所に
視界の端かどっかに映ってた気がしますよっ、ほんとにっ
とゆーわけで、そういう縁ですので、カフェオレの一杯ぐらいおごってくれないかなー、ちらっ
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 18:48:38.45 ID:M5MmcU3bo
>>75

『私なんか足元にも及ばないくらい──偉大なお方よ?』
『羽化した後に一度だけお会いしたのだけど、素晴らしい威厳をお持ちだわ』


【先程此の女は、羽化することが神に認められた証だと言ったが】
【その際に謁見したのだろう、纏う威厳は並々ならぬもの──信仰により神格化されているということが分かるだろうか】


『あら、耳障りな音なんて失礼ね。裁きを下してあげなさい?』


【澄んだ歌声は、何もない場所では非常によく響く】
【それが命令文であるということは、“蟲”を持つ者にしかわからない】
【彼と人形にとっては耳障りで──厄介なものであることは明らか】

【白衣の女は女の側から離れると、正四面体の結晶を右手に持って】
【魔法を詠唱すると──雷を纏った槍の形状をした魔力を彼に向けて投射する】


『そんな愚鈍な人形で私を倒せるとでも思っているのかしら!』


【粘液に塗れた羽を広げると、錐揉しながら急上昇する】
【飛び散った粘液は空気に触れると瘴気に様変わりし、辺りにばら撒かれる】
【魔力構造は簡単、吹き飛ばしてしまえば何ともないのだけど──問題はそれを吸ってしまったとき】

【五感の能力低下──視野の狭窄や聴覚が鈍ってしまうなど】
【戦闘中には致命的な能力低下を引き起こしてしまうものなのだけど】
79 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/05/01(火) 18:56:19.93 ID:tXYHBc/go

【水の国の大都市アルターリは、一晩で全ての住民が消えた。数にして数百万。それだけの人命がたった一日で消滅した】
【生存者はゼロ。目撃者も見つからない。そんな状況では原因など一切分からず、その中で政府は対応を迫られることとなった】
【原因の特定のためにも調査隊を派遣。彼らはとあるビルの屋上で奇妙な空間の揺らぎを発見、それの調査を行うこととした】

【調査の結論は、それは空間の揺らぎではなく裂け目だということ。そしてそれは『魔界』と呼ばれる異世界へと繋がっている、ということだった】
【事件との因果関係は不明としたが、無関係であったとしても注意すべき現象と捉えた政府はこれの封鎖と裂け目の向こう側の調査を発表】
【アルターリには軍が常駐してその警護に当たることとなった】

【また、復興のために『レヴォルツィオーン社』が人員や資金の提供に名乗りを上げた。当該都市には第二支部もあったので援助するのは当然、とのことだった】
【空間の裂け目はその第二支部の屋上にあったが、関係性については当然否認。政府はこれを承諾、アルターリにはレヴォルツィオーンの人員が行き来することに】
【裂け目の向こう側、『魔界』の調査もこの企業が協力をすることになった。人員や研究者の提供等々、様々な形で支援が行われる予定】
【加えて、『リンドウ・ハツセ』という個人も援助を申し入れる。夜の国の都市国家アスタンを救った人物からの援助であれば、とこちらも政府は快諾した】
【アスタンからは物資や人員、資金といったものが復興のために送られることとなった。物資運送の護衛にはアスタン解放に参加した剣士の姿もあった】

【以上が、政府による発表だった】
【アルターリには軍が差し向けられ、特にレヴォルツィオーン第二支部の周囲を固めていた】
【しかし不可思議なことに、警備には穴があった。あるいは、侵入者をわざと見逃すような気配があった】
【一人か、二人か。少人数であれば容易にくぐり抜けて魔界側へ向かうことができる。わざとらしく、そう仕向けられていた】

//続
80 :主催 ◆r0cnuegjy. [sage saga !red_res]:2018/05/01(火) 18:58:47.32 ID:tXYHBc/go


【────一方、『魔界』のとある城では】


…………あぁ、なんてことだ
どうして私が統治している領土でこんな…………酷すぎる
事態収拾にあたったナヴァル・ホスは消滅するし…………一体どうすれば


【荘厳な装飾の施された謁見の間に、一体の魔族がいた】
【黒色の人体に頭部は山羊の形状。複数の捩れた角が後ろへと続く。全身には歪なまだら模様。気品ある青色のマントがその身体を覆っていた】
【橙色の瞳には縦になった瞳孔。怪しい光を灯していたが、その双眸は不安げに、そして気弱げに伏せられていた】


第二方面軍の半数近くが向こう側に転移させられるし、その上帰ってこないし……
偵察に向かわせた部隊も消息不明になるし、会議が迫ってるし、最近太ってきたし…………


【玉座の前を右往左往。現状に対する文句は少しずつ、無関係な愚痴へとすり替わっていた】
【そんな魔族の前には何人かの部下が控えていた。周辺地域を担当する各方面軍の長たちが一堂に集結していた】
【いずれも直立不動の姿勢で王の指示を待つ。が、各々の表情は主君の気弱さに困っている様子を表していた】


「……王よ。そろそろお決めになられませんと」

あーうん、分かってる、分かってるよ
いやでも相手は人間だからね……あいつら怖いからね……たまに凄く強いやついるし


【部下に促されても王は決断を下せずにいた】
【その後もあーでもないこーでもないと言い続け、定期的に「王よ、ご決断を」「時間が迫っております」「対処は手早くしませんと」と遠回しに文句を言われ】
【それが五回ほど続けられてから、ようやく玉座に戻って部下たちへと向き直った】


じゃあ、そうだね。とりあえず部隊の再編を行おう
当該地域に軍を集結させて、転移地点の監視と領土の確保。可能であれば向こう側の確保もしないとね

私としては極めて残念だけど、どうやら戦争を仕掛けられているらしい。各々、張り切って職務を遂行してくれ

「はっ!」


【手短な命令に全員が返答。すぐに散っていく】
【残ったのは玉座に座る王一人。はぁ、と小さくないため息をつく。その姿は禍々しさと反比例して小さく見えた】
【「じゃあ行こうかな」────独白の後に、魔法陣が展開。王の姿が消え、玉座の間には誰も残らなかった】

//イベントの後日談的なやつです
//アルターリの復興に『レヴォルツィオーン』の手が加わることになり、さらに魔界側の調査も行われることとなりました
//魔界には誰でも渡ることができます。良ければロールの舞台にどうぞ
//では以上となります。皆様、ご参加ありがとうございました!
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/01(火) 19:08:26.84 ID:tXYHBc/go
>>78


くそ、こっちもか!


【放たれる雷槍を咄嗟に跳躍で回避。後方に着地する】
【機械人形の攻撃は空振り、床に拳が衝突。轟音と共にコンクリートに大きな窪みができあがる】
【人形はすぐに再び跳躍。急上昇していく女を追っていき、拳で殴りつけようと振りかぶる】


(これは、毒の類か……!)


【すぐに腕で口元を覆うが、瘴気を軽く吸い込んでしまったために五感が鈍る】
【まだ明確に動作に支障が出るほどではなかったが、あまりに危険過ぎる】
【左手を掲げる。腕の表面を青い線が走り、手に集結。魔力の燐光と共に魔術が発動。突風が生じて瘴気を吹き飛ばす】


くっ、貴女、操られているのですか!?
気をしっかり持ってください!


【白衣の女へと叫び、意識を戻そうと試みる】
【とはいえ、効果はほとんど期待してはいなかった。精神汚染ならば気合でどうにかなるものではない】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 19:12:47.31 ID:4XE7x4dn0
>>77

【男は見上げていた首を戻して、目の前の突如として表れた少女に目を向けたが】
【全くと言っていいほど驚いたような様子はなかった。サングラスをしているからもあるが】
【いちいち驚いているほどの気力もないと言った様子だ】

ん?…あー…そうだなぁ…何でもかんでも水の国ってのも…
まあそれは…移動が楽でいいのかもしれないけど

【ぼさぼさの黒髪を掻きながら、しゃがれた声は気の抜けた話し方をする。見た目とは少し雰囲気が違うかもしれない】
【一言だけ話せば、また煙草を吸い、煙草の灰を灰皿に落としながら、ぼんやり口の端から煙を吐き出して】

ああ、オジさん居たよ。オジさん……ああ、まあ三十も過ぎりゃあオジさんかぁ
…レオ…?…なんだっけ。あの会社?…レぇ…レぇ…まあいいか。

いいよ、おごるぐらい。どうせ、オレの生活がギリギリなのは奢らなくても変わんないしね

【勝手に注文されても怒らないどころか少し笑っている。楽しいのかもうヤケなのか】


//すみません!離席していて遅れました
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 19:24:53.29 ID:TZpi6S7Po
>>82

【少女は瞼をぱちくりとさせる、何か見た目とのギャップに吃驚したようで】
【手塩にかけて育てた小鳥が、成鳥になって飛び立っていったかの様な落胆】
【むすーっとほっぺたに不満を浮かべて、カフェオレを待った】


んまっ、おじさんってば怠惰なんですねっ! ってか見た目とのギャップ半端なくないですか?
もっと、こう、ハードボイルドで、クールガイな! 泣かした女の数は両手じゃたりねぇてきな!
そんな魅力的な硝煙香るサムシングを想像してたんですけどっ! 鵺ちゃんの期待は何処へ!?

まぁそんなもんですよねー、最近は皆『特区』だなんだかんだでドタバタしてますしぃ
先行き真っ暗というかぁ、こぅくらーいニュースばっかですけど
あ、でも知ってます? この前動物園でパンダ生まれたんですよっ、『櫻の国』との友好で送られたあれ──


【やれやれと両手を広げて言葉を述べる、うるさい小娘である】
【しかして、初対面にも関わらず話せるのも彼女のコミュ力によるものか】
【カフェオレが来て話を中断、ちゅーっと半分ぐらいまで一息で飲んで】


でっ、鵺ちゃんの相手してたグラブル? みたいな魔術師がちょー強くて!!
あっちに消えたりこっちに消えたり半端なかったんですよーっ、もぅむりーってきな!?
魔術師って何なんですか! ズルくないですか!? 何でもできちゃうんですよっ

やったぁ! 優しいおじさま大好きっ! えーっとじゃあ、このパンケーキも頼みますね!
そうですそうです、クリームで可愛い熊さんかいてくださいっ、おっきいやつ!


【勝手に店員を呼んで注文を増す、けろーんと明るい顔して】


/大丈夫ですー!
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 19:55:28.50 ID:4XE7x4dn0
>>83

【髪も見ていて暑苦しくなるくらいに耳が隠れて、前髪も鼻ぐらいまで伸ばしているし】
【その顎髭はいい意味でだらしないし。見た目はフィルム・ノワールに出てきたハードボイルドまんまで】
【そういう映画に出ている俳優だって言われても納得ができるだろう。いかんせんスタイルだけは無駄にいいから】

怠惰っつーか…まあ、なんだろ。そんなシャキッとしてどうすんだって話…なくない?
そういうタイプだったらもっとマシな仕事してるぜ。…おいおい、どっからどう見てもハードボイルドでクールガイだろ?
硝煙は…十分すぎるぐらいさ。…女は…あー…泣かし方がちょっと違うかもなあ…

【確かに見た目は間違いないはずだ。問題はそこじゃないことは気がついていない】
【煙草を灰皿に押し付けて、バツが悪そうに頭をかく。どうも頭をかくのが癖らしい。】

先行きが不安がってんのは俺らぐらいかもな…新聞読んでみりゃ、特区は絶賛の嵐だ。
記者は節穴か、いくら貰ったんだか…

…パンダ?…パンダってあの………え?なんで?

【パンダが生まれたって聞いて、どこでとか、いつとかそういう“W”は当てはまるけど、いまだかつてWHYを唱えたやつはいただろうか】
【そんなもんパンダに聞いてみなきゃわかんないだろう。】

【少女はまくしたてるがごとく矢継ぎ早に話し、男はなんだか無駄に落ち着いていて話を聞いているんだか居ないんだかのマイペース】
【たぶん、何処からどう見ても真逆な2人だろう】

マジで?…あー、俺は…なんかすげえ強い刀つかいの女だったな。
でも味方のお嬢さん方が強くて。…羽根生えてビーム出すんだよ。最近の若い子はすっげえな。…機械とかいってたけど
まあ…似たようなもんだしね

【お互い、ものすごくふんわりとした情報共有。まともな話は一切していないが、多分伝わっているという不思議空間】
【パンケーキを勝手に頼まれても「パンダじゃなくていいの?」とまるで正解じゃない口のはさみ方をする】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 20:09:34.55 ID:TZpi6S7Po
>>84

【かくいう彼女は長く白い髪に、ゴシックワンピース、何処かの絵画から飛び出してきたお嬢様みたい】
【それこそ宛らハリウッド映画の方だろう、凄腕のガンマンと、世間知らずのお転婆娘】
【──違いがあるとすればこの世界が、ジャッロよりも凄惨な血飛沫に満ちているぐらい】


暗い顔してちゃ、くらーいことしか起きませんよ、神様はちゃーんと見てるんですから
ってかぁ、お髭ぐらい剃って下さいよっ! 男前が台無しじゃないですかぁ、やだぁー!
まあでもそのお髭なら頬擦りされて、ジョリジョリやだーっ! できますね! 私得!

そりゃまあパンダもパンダですから、子供の一匹や二匹生まれるでしょっ
あーぁ、あの白黒熊羨ましいですよーっ、生まれた頃から勝ち組ですよ、寝てるだけでご飯出てきますしっ
んまぁ、生まれた時から塀の中ってゆーのも、ある意味で辛いかもしれませんがっ

──なーんか、この先の未来もそうじゃないですかね、『特区』とかに管理されて、自由なんてどこぞへいって
私達はパンダみたいに飼われるんです、首輪をつけられてえんやこーらっ
あっ鵺ちゃんは可愛いので愛玩を受けますですけどっ、おじさんは──


【可哀想な奴を見る目、うるうると瞳を濡らしていじらしい】
【それにしても良く喋る、互いの会話ペース的に丁度いいぐらい】
【小さな身体にエネルギーいっぱいという印象を与えるかもしれない】


んまっ! 最近の娘っ子はすんごいですね! ハイカラですね!
いいなーっ鵺ちゃんの能力も、そんな風にぴゅんぴゅんして、ズバーって!
そういや見ました? この前のテロ! ないすばでーなおねーさんが硝子の翼生やして飛んでましたっ!

最近のムーブメントなんですかねーっ、鵺ちゃんもいつかは飛んでみたいんですけど
しがない忍びの分際では、翼など夢のまた夢、飛べない鵺はただの鵺ですぬえ
いいんですあんな愛玩動物より、自力で鮭を手に入れる熊さんの方がカッコイイです

男の人だってそうです、誰かに飼われるより、自由を求めるんでしょう?


【この前テロとはカチューシャの一件か、チラリと言葉を投げかけて】
【両手をちょこんと置いて、その上に顎を載せる、ちゅーっとストローでカフェオレ吸って】
【ぷはっと吐いたなら不敵に笑う、ニヤリと】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 20:30:31.12 ID:M5MmcU3bo
>>81

『あら、飛べたんだ──!見た目に反して結構軽いのかしら』


【人形が跳躍すると、見た目に反した動きに目を丸くして】
【ばさり、と羽をはためかせると──右手の人差指で何かのルーンを空中に刻んでいく】
【指捌きは達人そのもので、跳躍してから拳を振りかぶるまでに完成させる】


『ほらとっておきの魔法だよ、たんまり味わってね──』


【空中に刻まれたルーンからは、数匹の蜂が飛び出す】
【頭部と尾部を緑に彩られた、白を基調とした彩りのそれらは】
【飛びかかってくる人形に対して、鈍い鉛色の針を突き立てようとする──】

【その毒は物質を溶解させる、強酸性の液体で】
【人形を溶かしてしまえば無力化できるのではないかと想像したのだけど】
【果たしてそれが効くのだろうか。物理的な物質で構成されていないのなら、その毒も意味をなさない】


「うっ……く──ッ。無理だ、私が私じゃないものに蹂躙されて────!!」


【空中で人形の拳を後方に飛んで回避した女が、再び歌い始めた】
【奇妙な独唱は白衣の女の耳に入れば、体が自然に動き始めて──】
【ビルから飛び降りれば天使の羽根を発現させて着地、マンホールの蓋を開け始めた】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/05/01(火) 20:31:08.11 ID:UypSzMGAO
【図書館前の公園。この時期は気温も程よく、公園内でご機嫌な連中も多い】
【そんな中。適当なベンチを占領している女が一人いた。髪も服も、何から何まで】
【赤い女だ。唯一、目の色だけは金だったが────】


…………?……………………??

……………………。…………………………?????


【女はやたらと分厚い本を読んでいた。眺めていた、という方が近いだろうか】
【タイトルは『国の作り方』。シンプルなタイトルの割に内容がうんざりするほど専門的な】
【おまけに落としただけで人が殺せそうな分厚さの本だった。その手の勉学に励む学生のような】
【そんな雰囲気は皆無。酒場で酒瓶片手に殴り合いをしている方がよほど似合っていそうな女だったが】

【案の定。本の内容にはまるで集中できていないらしく──携帯端末を片手で弄っては】
【思いついた単語を検索ボックスに放り込んでいく。『イル』『OMEROS』『いる』『おめろす』】
【『特区』『カミスシティ』『オメロス』『イル』────ページを捲る。『ジルベール かっこいい』『アスタン』】
【ため息をついて、またページを捲る。端末を弄る。欲しい情報なんざ出てくるわけもない。ため息をつく】
【…………はっきりといえば、彼女はだいぶ無駄な時間を過ごしていた】
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 20:37:22.55 ID:4XE7x4dn0
>>85

【そんな2人を主役にした映画なんて撮った日には“レオン”の二番煎じと嘲笑われるだろう】
【それかペーパーバックの三文小説。ありきたりで、中身のない単なる娯楽と。】
【水の国テラスなんて誰もが思いつく舞台だ。銀幕のサイズに切り取るのは容易な画作り】
【それでも、映画と違って、冗長でつまらない時間やセリフが流れるのはそれよりも少し、リアルだから】

神様が見れるんならそんな俺に同情して、少しぐらいお試しで幸運をくれたっていいのにね。
…いいだろ。髭ぐらいさあ。そんな、伸びてないし…あれから色々忙しかったんだよ。
まともなホテルは全部、他所から来たマスコミがとっちまって…

パンダかぁ…見たことねぇなそういえば…櫻に住んでても態々、見ようなんて思わないよ。
あんなの…動物だろ?

【動物に決まってる。彼の頭の中では意外と大きそうだなとかまたしょうもないことばかり考えていた】
【確かにビールを飲んでいるが、まだ3杯目といったところ。ウィスキー一瓶あけても家に帰れるからまだ酔ってるとは言い難い】
【そのほうが重症な気もするが】

パンダみたいに可愛がってくれりゃ、俺だって芸の1つも覚えてやるよ。…だが、実際はそうもいかねえだろ
鵺ちゃんだって…檻の中で玉乗りしてるわけにもいかないだろうさ

【ビールを飲みながら、さも当たり前のように少女の名前を口にする。その自然さはコミュニケーションスキルの高さというより】
【女たらしスキルの高さに由来すると思われる。スムーズかつスマートに名前呼びをするのだ】

テロ…テロ…ああ。あれか。

【男のトーンはまた1つ落ちる。何か思い当たる節か何かあるのかもしれない。ずっとトーンは落ち着きめだからコレ以上暗くなってもわからないかもしれないが】

便利と思うけどね。無くたって、自由に何処にでも行けるんだから…さ。

女の方だってそうだろ。好き勝手、どこでも行きやがって。

【男も返すように笑う。そのへんは少女の希望通りのハードボイルドさが感じられるかもしれない】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 20:47:51.97 ID:TZpi6S7Po
>>88

【例え内容が陳腐でもstingが歌えば名作になる、それぐらいには彼と彼女はキャラが立っているから】
【それはつまり、それだけ長く、各々の時間を生きた証拠──】
【銀幕の中で終わらない日常があるからこそ、舞台の上では映えるのだろう】


鵺ちゃんこういうしゃんとしてないとこ、ムズムズするんですよねっ
ちょっと動かんでください、すぐに終わりますから──


【そう言って姫袖から零れるクナイ、逆手に持って別の手で男の肩を掴もうとする】
【ぐいっと身を乗り出して刃を突きつける、乱暴である】


うっわー、そうやって自分を正当化するやつ〜パンダに謝って欲しいですっ
確かに動物ですけど、あの白黒がいいんですよっ、白黒!
ほら、鵺ちゃんと共通点一杯で──って

……んもぅ、そんなナチュラルに下の名前で呼ぶのひきょーですよ、ひきょー!
危うく鵺ちゃんきゅんって、きそうに、声だけはいいんですから、ロシアンハスキー!
って、そういやまだお名前聞いてませんでしたね!


【鵺って申します、ぬえ! ……とまあ散々かたった名前をぶっ込んで】


女の子は夢見る生き物なんです、知ってるんじゃないですか?
そして夢破れたなら現実を見て、家庭を残す事を考えるんです
自由になんて生きてませんよ、好き勝手させてくれる相手を探すんですから

それでもいつか、好き勝手する男の人を好きになっちゃうんです
ほんとにいつも危ないことばっかして、と思いながらも帰りを待って
──とまあ、そんな具合ですね、女心わかりました?


【頬をほころばせて笑う、ふふーんとドヤ顔を見せて】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/01(火) 20:55:46.64 ID:tXYHBc/go
>>86

【人形の構造そのものは金属だったが、ある程度は酸に耐性があるのか、すぐに融解することはなかった】
【いずれにせよ拳を再び回避された人形はそのまま落下、重々しい音と共に着地】
【独奏が演じられると男は耳を抑えながら女の動きを目で追う。表情には恐怖と驚愕】


ちょっ、ここ何メートルあると思って……────っ!!


【走って女の後を追い、ビルの縁で立ち止まる。眼下では翼を広げて落下する姿が見えた】
【高所特有の風が吹き、身体を揺らしてくる。背筋を冷たいものが走る。高所恐怖症には堪らない光景だった】


……………………これ、飛び降りなきゃ駄目かな
駄目だよな。次は空中戦だよな、どうせ…………

…………あぁもう次から次へと────っ!!


【遣る瀬無い怒りを叫んでから人形に向かって大きく腕を振る。魔法陣が展開して人形の姿が消失】
【数歩下がり、ビルの縁から跳躍。一瞬の浮遊感。重力が全身を引っ張り、落下運動が始まる】
【空中で体勢を崩さないようにしつつ、真下に魔法陣を展開。金属製の三角形の足場を召喚してその上に着地】

【足場は底面から青白い光を出しながら飛行。それは男の身体に走る線と同色のものだった】
【足場はそのまま地上まで降下。風が白衣をはためかせる。男が腕を振り、空中に魔法陣を作り出す】
【現れた人形は先ほどとは違い、女性的な細身のフォルムを持っていた。周囲に風を纏い、魔術によって浮遊していた】

【人形はそのまま男と足場の動きに追従。地上付近に到達すると急停止】


一旦、貴女を捕まえますよ!
頼むから抵抗しないでくださいよ、なんかこう、意思の力とか根性とか働かせてください!!


【戦闘の興奮も相まって無茶苦茶な要求をしながら、機械人形が白衣の女へと疾駆】
【そのまま腕を広げて捉えようとする。細身だろうと機械である以上、その力はかなりのものだ】
【一方で蟲の女の方への対処は今の所なかった。妨害は、容易だろう。とはいえ、マンホールに向かうのであれば、こちらが対処をするのだろうが】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 21:29:38.35 ID:4XE7x4dn0
>>89

【これが映画だっていうのなら、だったら監督、先にエンディングがどうなるかだけ教えて欲しい】
【こちとらずっとインプロでやってるんだ。エクス・マキナみたいな展開ばかり伝えないで、終わりを告げてくれ】
【そしたらエンディングまで突っ走って全力で演じきってやるってのに】

だった大人しく、しゃんとしててくれ……っといいよ、危ないって。怪我するなよ

【男はそれまでの動きに似合わないオーバーな動きで嫌がった。髭を剃られたくないわけじゃなくて】
【そんな中途半端なことをして少女が怪我でもすることを危惧してだ。煙草もあるし、飲み物もこぼすかもしれないから】
【だらし無くてもどっかでちゃんとしているという不思議なバランスが、完璧ではない完成された美学じみたなにかがそこにある】

白黒って…あれなんか大体、埃っぽくなってない?味気ないもんくってさあ

【パンダに一体何の恨みがあるんだから知らないが、やけに気に入らないようだった】

…名前呼んじゃ駄目なの?…いや、いい声ってのはさ。マーロン・ブランドとかエリオット・グールドとかそういうさ…
いやでもこう、バシッと、通るほうが…

あ…ああ、名前だったっけ。俺は…まあ、大体。ロッソって呼ばれてる。しがない探偵でね。

…俺に説教するような歳か?10年は早いよ。
まあ、それに…ったく、こないだも似たような説教されたばかりだ。女ってのはそういうもんか…
悪いが、男ってのはそういうもんだ。夢を見ているうちは現実を受け止めきれる。
夢を失っちまったら、なんにも出来ないのさ。…酔いどれの詩人のようにね

【ため息を付いて、また新しい煙草に火をつけた。最近、女子にあったら説教されることが多い】
【色々知られているのか、はたまた顔にそんな事が書いてあるのかと不安になる】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 21:38:34.91 ID:TZpi6S7Po
>>91

【クナイを嫌がられてむむ、と表情を曇らせる、眉毛を八の字に曲げて】
【別にいいですけどっと、クナイを姫袖に戻した、マックスで納得した訳では無いけども】
【言ってしまえば彼女の側における気まぐれであった、それ以上の踏み込みはひつようなくて】


うっわ、ロマンスの欠けらも無いおじさんですよ、そんなのだからおじさん度が増すんです
白黒は白黒ですーっ、白黒は綺麗なんですーっ! 下品な色彩に覆われてないんですっ
鵺ちゃんも白黒でしょっ? 可愛さと綺麗さが天元突破しますよんっ

……そーじゃないですけど、いきなり言われると、照れます
もぅこれだからナチュラルたらしーっは、イケメンの無駄遣いですよ、ほんとにっ
ロッソ……うーん、あだ名付けづらいなぁ……シャロン、最終兵器……チバ……

じゃあロッソんにしましょっ!


【終着点は何処かのコンビニみたいな名前、講義の必要性が増している】


んまぁ、女の子は喋りたがりやですしねーかくいう鵺ちゃんもその一人だったり
いいじゃないですか、話してもらえるのも男の甲斐性の一つでしょ?
話す価値のある男だーって、思われてたりするんですから

ただ夢追い人も地に足つけなきゃいけないんじゃないですかっ、煙草ばーっか吸って
身体に悪いんですよ? そりゃぁ、吸ってる姿はカッコイイですけど
……鵺ちゃんも一本、貰っていいです?


【大きな瞳をくりくりと輝かせる、凄く興味津々に見つめて】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 21:39:32.35 ID:TZpi6S7Po
>>87
/突撃しても宜しいですか?
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 21:45:55.90 ID:M5MmcU3bo
>>90

【自我を失ったのか、彼の声に耳を傾けることなくビルの屋上から飛び降りる】
【高所恐怖症の人間からすれば、恐怖以外の何物でもない光景だろうが】
【ワームシンガーの目標達成のために、そんな意識は何処にもなかった】


『私の配下の邪魔をするのは──許しませんよっ!』


【再び錐揉み回転しながら地面へ落下していく】
【目標は白衣の女がマンホールの蓋を外そうとしている地点の近く──】
【女性的なフォルムを持った人形が走っているその地点であった】

【地上に降り立つと同時、瘴気が女の周囲を満たしていく】
【“蟲”を持たないものにしか効かない毒であるから、白衣の女がかかっても気にしない様子で】
【まるで自分の子供を守るかのような──そんな覚悟を感じ取ることができるであろうか】


『なんで私達の邪魔をするんですか、誰も居ないから此処を繁殖場として選んだのに』


【迫ってくる女型の人形にたいし、女はその右手に黒い殻を帯びさせて】
【その胴体に向けて、一発だけストレートをかます。殻はかなりの硬度を持っており】
【────背後では、白衣の女がマンホールの蓋を外し終えていた】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2018/05/01(火) 21:46:31.69 ID:UypSzMGAO
>>93
/ぜひぜひお願いしまっす!
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 21:55:14.96 ID:TZpi6S7Po
>>87

【吹雪く夜風の香りが変わる、宛らそれは招かれざる客を示すかの如く】
【感じるのは背後、公園内の空間を二人きり切り取ったみたいな威圧感を兼ね備えて】
【視線を向けるよりも先、揺らめく片側の思いだけを残して】


ねーぇ、おねーさん♪ こんな公園で捜し物?
ダメだなぁ、もーっと背後に気をつけないと、いけないんだよ?
貴方の隣人は貴方以上に、貴方の事を良く見てるんだからっ


【小柄ながら豊満な身体、背中を大きく露出した白のチャイナドレス】
【白い長手袋とニーソックス、それ以外は白く肉感的な素肌を晒している少女】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて、真紅の瞳を濡らす】

【背中には悪魔羽根が揺れて、彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した、悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに、愛らしい雰囲気を創りだす】


──なーんて、言ってみたけど、なぁんか面白そうな本読んでるね
国の作り方だなんて滑稽な本、今のご時世発禁ものじゃないの?
世界の流れは管理に向かってて、それに逆行するだなんて

パラノイアよりタチが悪いって、そー思わない?


【少女は背後から貴方の首筋に両手を回そうとする、柔らかな頬をそっと近づけて】
【可能なら耳元に甘く吐息を吐いてみる】
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/05/01(火) 21:55:43.49 ID:35LOggOEo
>>72

【ヨハネスを送り届けた車は、挨拶もなしに埠頭から去って行く】
【サングラスを掛けた黒人が運転していたが──、その詳細は不明だ】
【厳島達としては、ロロケルムの関係者、とだけ認識しておけばそれで十分なのかも知れない】

【身許不明、という点で言えば、初も同じだった。 ここ数日の会話によれば、軍人ではない】
【──さりとて、事案の重要性に鑑みれば市井の能力者、という訳でもあるまい】
【この件は、単に国軍中佐が独断で動いているものではない、という背景が見え隠れする】


「感謝する。
 …… が、お前らも随分危ない橋渡るもんだ。」


【厳島と握手をしながら、ヨハネスは呆れたように呟いた】

【この件を正式な亡命として取り扱うことができない。表立って「お前の国の政府に殺されそうだから保護する」、と】
【そう喧伝すれば、櫻と水の外交関係に罅が入るだろう。 つまり、露見すれば、言い訳の立たない事態が起こる】

【現実的な落とし所としては、“魔導海軍が独断で反政府分子を保護しようとした”、という辺りか】
【──、無論、今、この瞬間まで厳島達はそのことを完全に把握していなかっただろう】
【だが、もう一方でそれだけの橋を渡る価値もあった。 この老人は恐らく、“魔制法”を巡る争乱の裏を知っているのだから】


…… で、配置はどうするの。
この人の傍には1人ぐらい居たほうがいいと思うけれど。


【初が厳島の背に向けて、問うた】
【──ヨハネスを旗艦の一室に入れるとして、後の問題は戦力配置だ】
【それさえ決まれば、出港に向けて何の障害もない】

98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 21:56:25.48 ID:Ox9ZU7YG0
【水の国 アルターリ 街中……いや。】

【これが街と呼べるだろうか。崩壊した建物は最早原形を留めず、地は裂けてアスファルトが紙のように容易く引き千切られ】
【乾いた血の跡が、ばらばらに砕け散ったコンクリートにこびり付き……そして、人の気配などどこを探しても見つからぬ。】

【廃墟を吹き荒ぶ風が瓦礫を切る音以外は何も聞こえず、風に煽られ舞い上がる埃以外は動く物も見出せない、静寂と静止の支配した場所。】
【その、片隅。この場に人が居たとしても誰も注視しないような片隅から――――突然、静寂を切り裂く風の音とは違う音。】
【明確にこの場を支配している荒涼とした音とは違う「音色」が、突如響く。】

―――――♪

【その「音色」は、次々と高さを変え、大きさを変え、秩序を持って「旋律」と化していく。】
【ヴァイオリンの音だろう。吹き荒ぶ風に音を乗せて、廃墟を支配していた荒涼とした風切り音を美しく塗り替えていく。】
【無機質で灰色だった世界に、一刻限りの彩りを与える。その音色は、穏やかな悲哀に満ち、しかしセンチメンタルではなく】
【この場に未だ留まり続ける苦痛の残滓を、オブラートのように包み込んで溶かしてしまうような……そんな、繊細な音色。】
【聴く者は、きっといない。誰に向けたかも分からない旋律が、かつて街だった場所に響き渡っていた。】

【音の発生源は、すぐに特定出来るだろう。大きな瓦礫の断片の陰になった部分だ。そこを覗けばきっと】
【悲嘆に暮れるでも激情に逸るでもなく、ただヴァイオリンを奏で続ける男の姿が見える筈だ。】
【ジーンズに白いシャツ、濃灰色のベスト。髪を後ろに括った、ある意味場違いとも思うくらいどこにでもいそうな男の姿が。】

99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 21:56:36.41 ID:4XE7x4dn0
>>92

男は別に興味ないんだよ。パンダ見て喜んでる、恋人やら子供やらが好きなだけでさ
そりゃあ…鵺ちゃんは可愛いかも知んないけど、俺はパンダはいい。別に。

【ついにパンダを嫌いと言い張った。パンダはえらい風評被害だ。彼はまたビールを一口飲んで】

おい…そもそもあだ名みたいなものにあだ名つけるなよ。…赤だから、鬼とかさあ、そっちのほうが良いな。
………ま、そんな変わってないし、いいか…

【深く気にしないのが、いいとこでもあれば悪いとこでもある。煙草をくわえながら、楽しげに笑っていた】
【サングラスを掛けているから顔が何処まで良いのか悪いのかはそもそもどれぐらい伝わっているのかは謎である】

だから、どの口が女性の代表みたいな事言ってるんだよ。…女ってのはそういうもんなのな、わかったよ。

【わかったところで直す気はない。それで直せるんだったらこんな事はいましていないとお得意のセリフを付け足して】

…つけようとしたんだけどね。うまくいかなかった。

【バツが悪そうに、頭をかいた】

…煙草吸ってるやつで身体に悪いことを知らねえやつはいないよ
いつ死ぬかわからない先のことより、今日を生きるために煙草はやめるつもりはない。
………駄目。絶対。こんなの馬鹿しか吸ってねえんだから

【話を切り上げるようにすぐにこっちの話題に変えて、煙草の箱をシャツの胸ポケットにしまいこんだ】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/01(火) 21:57:31.05 ID:tXYHBc/go
>>94

【瘴気が充満。それに人形が対応して魔術を発動。女たち側へと強風が発生する】
【女の放ったストレートを人形が両腕を掲げて防御。金属を打ち鳴らす高音が響く】
【細身のフォルムとはいえ金属の塊。重量によってその一撃を耐えていた】


百歩譲って繁殖するのは良くても、人間と共存ができないんじゃ意味がない!
その人みたいに無理やり操るのでは、こっちは対処する他ないんだよ!


【問いかけに答えを返しながら、両腕を振るう。五指が糸を手繰るように動かされる】
【機械人形が片腕を引く。腕の周囲に風がまとわりつき、刃を形成、それを真っ直ぐに突き出す】
【狙いは人間でいえば心臓のある箇所。魔術による攻撃だが、避けられない速度ではない】
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 22:06:36.05 ID:TZpi6S7Po
>>99

【なんとっ、といった感じで目を見開く、むすーっと頬を広げで】
【大きくため息、やれやれですと声に出さずに伝えるだろう】
【千変万化する表情の組み合わせ、辿り着く先の行方は何処へ】


はい! 頂きましたー! 鵺ちゃん可愛い貰っちゃいましたーっ!
知ってるけど、知ってるけど! こうして言われると嬉しさは格別ですね! 知ってるけどっ
てなわけでロッソんですね、ふふ、こうしたら可愛くなっちゃいました!

鵺ちゃんの仕事場、女の子ばっかなのでガールズトークが捗る捗るっ
だから私の考えはある種女の子の総意です、可愛い子ばっかなんですよっ?
分かってくれたならいいですけどもっ


【──と、ここまでマトモな話をしてないことにようやく気付いたのか】
【加えて、そういえば目の前のこのイケメソは探偵だなんとか言ってたような】
【じいっと、サングラスを見つめた、その奥の瞳を辿ろうと】


あーけちぃ! 絶対残り少ないから吸わせたくないんだーっ!
そういうとこケチるぐらい、探偵って儲からないんですか?
まあ確かにあんまお金持ちのイメージはないですけど

こうでかい事件とか、何かないんですか?


【ぷーぷーいいながらテーブルに突っ伏す、伸ばした両手はロッソの近くへ】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/05/01(火) 22:14:06.03 ID:UypSzMGAO
>>96
【強烈な違和感があった。世界から弾き出されてしまったかのような】
【端末の電源ボタンを押す。すぐに画面が暗くなる。最後に見えたのは、ふざけたロゴが並んだ検索ボックス】

【首筋に手を回され、思わず体が硬直する。以前“こう”なった時は、甘すぎるほどの香りが】
【頭をクラつかせたが────ふ、と吐息が耳元を擽る。「うわっ」色気のかけらもない、悲鳴】
【体がびくんと跳ねて、遅れてぞわぞわと肌が粟立つ。頭を振って、嫌な感覚を体から追い出した】
【──そこまで彼女に近付けば、自ずと分かるはず。冷たいイヤリングの感触と、薄い薄い、隠された磯の臭気】


…………、…………さぁな。図書館にあったんだから、まだ読んでて大丈夫ってことだろ
だいたい、こいつぁあたしには難しすぎて何言ってんのかさぁっぱり…………

…………それより、よぉ。……………………いや、その羽根、目立つっつぅか…………
その前に近ぇよ、もうちょっと…………こう、まずは自己紹介とか────


【表情には疲労と、驚きと、その他諸々。本のページは最初の十数ページ目くらいで止まっていた】
【古い挿絵が少しだけで後は文字ばかりの本だ。少し進めるだけで、だいぶ疲れてはいたのだろう】
【そこに距離感なしの接触があれば──ぐい、と真横にあった相手の頭を後ろに押し返そうとする】
【左手、薬指の赤い指輪が見えただろうか。魔石で出来た、真っ赤な指輪】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/01(火) 22:14:55.95 ID:3HML44my0
>>97

【車が軍港を出る】
【そして残されたのは三人と、そして老人と謎の少女だ】
【この少女の身辺は、敢て問うまいと】
【少なくとも、只の少女ではない、かといって、また在野の能力者と言う訳でもない】
【この亡命劇には、ただならぬ何かを感じた】

「いえ、卿よ我々にも得る物はあるでしょう」
「本国に着き次第、司令長官との面会を許可して頂けますね?」

【こちらが得るのは、強力なアドバンテージだ】
【この上なく強い情報なのだ、と】

「うむ、それなのだが……」

【と、初の問いかけにこう答えた】

「旗艦榛名に一名を除き全員搭乗、これが現状最善の策だろう」

【榛名の士官、賓客個室を無理を言って人数分空けて貰う】
【下手に分散するよりも、旗艦の老人の側に出来うる限り集中して居た方がいい、と】

「その除く一人だが、賀茂少尉、すまない」
「君は強襲揚陸潜水艦伊707号に乗艦を願う」
「やっぱりそうだと思ったわ、いいわよ、久しぶりの潜水艦乗ってやろうじゃないの」

【もし、これに決まれば、そのまま出航となるだろう】
【賀茂少尉以外全員が戦艦榛名に……果たしてこの差配は上手く事を成功させるだろうか?】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 22:21:20.54 ID:M5MmcU3bo
>>100

【人形が魔術で強風を発生させれば、瘴気はいとも簡単に吹き飛ぶ】
【そして女が放ったストレートは金属音をかち鳴らして衝撃を与えるが──】
【人形は細身といえど金属塊であり、その一撃を耐えていた】


『おおっ、やるねぇ──ッ!?』


【余裕満々だった表情が、人形の魔術発動により険しいものになる】
【風の刃は見えなくても魔力反応で形成が確認でき、それが放たれるとなれば──】
【羽を広げて回避するにも時間がかかりすぎる、痛手は負うが仕方あるまいと】

【右に小さくステップして、左手の一部だけを切断するに至った】
【スパン、と音を立てて切れて。腕は骨も関節もなくブラブラとブランコのように揺れていた】
【その腕を見て安堵したのか、表情も余裕があるものに戻る】


『共存……?君たちとそんなことが出来るとは思えないなあ』
『前も共存しようって持ちかけたんだけど、断られちゃったしね』


【数千年前の話になるが──共存を持ちかけて、この世界の人間に裏切られた】
【故にもうその道は閉ざされていて──植民支配が念頭に置かれた侵攻となって】
【背後にいる白衣の女が開きました、といえば満足そうな表情をして】


『それじゃ、私は此処で失礼するよ──またね、白衣の青年』


【羽を数回はためかせ、数メートル空中に浮かぶ】
【右腕で白衣の女を拾い上げると、マンホールの中に“落ちていく”】
【────その中を探すのは、かなり難しいだろうと女は踏んでいたからだ】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 22:23:35.43 ID:TZpi6S7Po
>>102

【頭を押し返されてハートマークが付きそうなぐらい、甘ったるい声を漏らして】
【くんくんと、形の良い鼻をひくひくとさせる、舌舐めずりをして】
【それはまるで殿方の胸に顔を埋めて、柔軟剤の香りを嗅ぐ恋人の様に】


おねーさんイイね♪ 不思議な香りがするなぁ、之はねぇ、良く嗅いだ香りなんだっ
這いずる不定形の冒涜、粘着質の怠惰がねぶらかなる粘液を溶かして
ねぇ、おねーさんどーして海の香りがするの? この辺りからはすっごく遠いのに

不思議だね、不思議だよね、ボクニンゲンだったら無条件で殺意しか湧かないんだけど
おねーさんには不思議と、そんなもの感じないんだよ
むしろもっと、ボクのこの身体を知って欲しいって気持ちになるの、何でかな?


【チャイナドレスのスリットから零れる脚線を、すーっとなぞる、その滑らかな感触を確かめて】
【恍惚の笑みを浮かべながら、歪な真紅の瞳をきゅうと細くする】
【虹彩が貪る様に収縮して、貴方の虚像を蝕む】


自己紹介? おねーさん、ボクのこと知ってくれるの?
ふぅん、それはさぁ、中々いい申し出だけどぉ、あんまりオススメしないなぁ
だってボクの名前は呪いだもん、知っちゃったら戻れないよ

イル=ナイトウィッシュ、初めまして♪ 可愛い可愛いイルちゃんだよ
宜しくね、おねーさん、不思議な香りのおねーさん
よく見ると綺麗な装飾品いっぱいしてるね、誰から貰ったの? 彼氏?


【腰を軽く突き出す形でベンチに持たれて、ぷくんと膨らんだ胸を強調して】
【手を自分に当てて自己紹介する、甘ったるい猫撫で声】
【童顔でありながらスタイルは良い、まるで歪んだ欲望を具現化したように】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 22:26:15.30 ID:4XE7x4dn0
>>101

言うだけでいいなら、幾らでも言ってやるさ。そういうのは出し惜しみしたくない
…可愛いか?

【疑問に思ったが、そんな話を追求したところで堂々巡りで延々終わらなくなるだけで】
【そもそも始まってもいないような内容のない話なんだからそれでいいならそれでいいとわりきった】
【楽しそうなら、其れに越したことはない】

【男は薄暗くなってきたにもかかわらず、サングラスを外そうとしない。となれば顔を隠さなくてはならない】
【理由でもあるか、目が悪いからかけざるおえないか、だ。多分、前者だろう。何故なら探偵で、あの様な事件の場所に】
【自ら乗り込んで生きてかえるだけの胆力があるのだから。】

こんなもん吸ったら、老けるぞ?…可愛くいたいなら、諦めるんだね
…儲かんないよ。それに、いい仕事じゃない。他所の人生に首突っ込むんだからな
それに…大体は良くないことがあるから探偵が必要になる。…警察が手を焼くほどのね

悪いね、探偵には守秘義務ってのがあるんだ。悪い人に聞かれたら困るし、俺みたいなもんから聞き出そうとする奴も居る
……あんな場所で戦うような、お嬢さんには。特に、気をつけなきゃならないんだ

【なんとなく、伸ばした両手を彼は軽く握った。理由は、差し出されたから。優しげに、何の気なしに】
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/01(火) 22:32:55.57 ID:tXYHBc/go
>>104


(よし、斬れはする……!)


【十分に傷を負わせることが出来ることを確認して、幾ばくか余裕が生まれる】
【とはいえ、生体が違いすぎてどの程度のダメージになっているかが外見からは分からない】
【舌打ちを一つ。一人で相手取るにはあまりにも厄介な敵だった】


前……? それは一体いつの話なんだ!
って、おい、待て! 話はまだ終わってない!


【マンホールの中へと落下していく二人を追おうと駆け寄る】
【相手の予想通り、その中を追走するのは困難を伴う。特に、追おうとすれば着地を狙われる危険があった】
【普通の能力者であれば、すぐに中断する場面だ。だが、それでも男はすぐには諦めなかった】


バカみたいに疲れるけど、やるしかないな……
…………視神経を……魔力で繋いで…………っ!


【両目を閉じる。身体の表面を青い線が走り、双眸で輝く】
【同色の輝きが機械人形の瞳に灯る。装着されたアイ・カメラが人間の瞳のように動く】
【人形が跳躍。マンホールの中へと落下していく。地下水道に人形が着地、周囲を見回す】

【追走を諦めなかったとはいえ、内部はそれ相応に暗いはずだ】
【逃げ切るのは容易。追えるかどうかは完全に相手次第だった】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/05/01(火) 22:33:11.65 ID:35LOggOEo
>>103

【厳島の指示通りに、各員は船へと乗り込んだ】
【彼らは洋上の人となる。 ──いかに演習航海と雖も、それは紛れもない軍艦の列】
【波を切る彼らを邪魔する者は、想定し難い。この航海は平穏の内に終わる──】


【筈、だった。】



 【 ── 】


【 出港から、数時間後 】


【水国領海上において、レーダーが1つの船影を捉える。それほど巨大な物ではない】
【 ──同時に、旗艦・榛名に向けて通信。識別番号は“水国海上警察”だ】
【通信手に向けて、若い男の声が響く】



“ ……もしもーし。 これ、聞こえてるかなぁ。 ”
“ そこの艦隊、聞こえてるなら止まって──、あぁ、これじゃあパトカーか。 ”

“ まぁ、案件は分かるでしょ。 そのお船、何か運んでるよね。 ”
“ 臨検掛けるから。令状も、ちゃーんと出てるよ。 じゃ、待っててね。 ”



 “ 約束だよ。 ”



【 ぷつん。 それきり、通信は途絶える】

【話し方も内容も、凡そ正式な海上警察の物とは思えない】
【──が、識別番号は逆の事実を示している】

【止まらない、というのも1つの手ではあるのだろう】
【だが、仮に正式な捜査であった場合、後に禍根を遺すことは間違いなかった】
【何れの道を採るのか、止まるにしても前もってどのような処置を取るのかは、厳島に委ねられている】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 22:36:08.32 ID:TZpi6S7Po
>>106

【それはまるで幕間に繰り広げられる、木漏れ日のような暖かさ】
【凄惨な事件があった後の、奇跡のような白昼夢】
【──それならばいいのかもしれない、無理に歯車を回さなくたって】


むむっ、出し惜しみしないとは良い言い方ですが、安売りになっちゃいますよっ
そういうのは伝家の宝刀です、隠して隠してえいやって言うべきなんです
こう息絶える寸前とかに言うことで、威力倍増──

あーっ、やっぱ今のなしです、縁起でもないです、なしなーしっ
可愛いですよっ、可愛いです! 鵺ちゃんのセンス疑うんですかーっ
文句あるならバードメンとかにしますよっ、めーんっ


【伸ばされた両手を掴まれて、ぱっと顔を上げた、困惑が見えて】
【赤くなる頬、大きな手だけど柔らかいな、なんて思ったりして】
【ふにゃふにゃと声を探して、じいっと上目で見上げていた】


そ、そうですね……っ、鵺ちゃんはみんなのアイドルなので、イメージ崩しちゃダメです
まあでもアイドルと喫煙ってみょーに親和性ありますし、無しではないですけども
それでも解き明かしちゃうんでしょ? 真実ってやつを

──それってカッコイイと思いますよ、例えそれが不幸を生んだとしても
偽りのまま生きていくよりよっぽどマシです、時として推理は残酷な真実でも
……明かされないよりは、絶対に


【もっかい顔を落とした、直視出来なくて、視線を逸らす】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/05/01(火) 22:40:09.64 ID:UypSzMGAO
>>105
【ち、と思わず舌打ちをする。もうちょっと香りの強いボディソープに変えた方がいいだろうか】
【生臭いと軽口交じりに言われるのは別に構わなかったが、こういう形で化けの皮を剥がされそうになるのは】
【あまり好ましくはなかった。今は別にいいが──これがどこかに潜入中だったのなら目も当てられない】

【す、と相手に掌を広げてみせる。ヒトの肌がじわりと薄紅に染まり──蛸の如き吸盤が】
【ぞわぞわと姿を見せる。「こういうこった」すぐに吸盤と薄紅はヒト色の中に沈んでいく】


あんな、日が落ちたからって人がそこそこいるんだから、その目立つ羽は引っ込めとけ
下手に目立ってぎゃーすか言われたかねぇだろ?

んで…………、イル────────イル?


【あぁよろしく。その言葉は、思わず飲み込んでしまった。イルといったか。この、目の前の女が】
【コスプレ衣装とも思えない羽。きっと本物で、つまりはヒトではなくて。それは、もしかしなくても】


……………………、ミラ。ミラ・クラァケ────なぁ、あんた、さぁ…………

鈴音、っつぅやつ、…………知ってる、よ、な────?


【投げかけられた質問に答える余力はない。頭の中でちりちりと、鈴の音に似た声が響く】
【もちろん幻聴だ。“彼女”は今もきっと、どこかのシーツに包まって夢に沈んでいるはずで】
【声が掠れる。いつか会わなければいけない相手だとは思っていたが、まさかこうも早くに会うとは】
【まるきり想定していなかった。だから、言うべきこともこれっぽっちも纏まっちゃいなくて】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 22:53:22.13 ID:M5MmcU3bo
>>107

【じめついて温度の高い空間──女にとっては非常に過ごしやすい空間だった】
【胴体を“変異”させると、胸部から腹部にかけて6本の足が生えてくる】
【狭く凹凸が激しい水路を、サクサクと進んでいく──白衣の女にとっては、苦痛以外何者でもなかったが】

【その際、一つのルーンを水中に刻む──モンスターサモンのルーンだ】
【奥へ奥へと、右に左に移動していく。彼が追ってきているのなら、非常に厄介であるから】
【そして人形がルーンの近くを通りかかった時、クモ状の蟲が召喚された】


【人形を一瞥すれば甲高い鳴き声を上げて、辺りの魔力波長を変化させる】
【もしかしたら彼と人形の目を結ぶ回線に影響が及ぶかもしれないのだけど】
【問題はその後──その蟲が、人形の胴体へと噛みかかってきた】

【牙が刺さったなら、そこから毒を注入するわけでもなく魔力を吸い上げようとする】
【そうして生きている“蟲”なのだ。獲物から魔力を奪い、肥えていく蟲】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 22:53:56.02 ID:TZpi6S7Po
>>110

【あったりー♪ とイルは笑う、背筋をなぞる冷たい笑み】
【ベンチに持たれたまま両手を伸ばす、差し出された掌に触れようとして】
【成功したなら両の手で手繰り寄せて、心地よさそうに頬擦りするだろう】


良いんだよ、ニンゲン風情はとっととどっかいってほしーしっ
あっごめんごめん♪ つい言葉がキツくなっちゃった、まぁ周りにこんだけ臭いのがいるしね
おねーさん凄いね、ここまで痕跡消せるだなんて、ボクもちょっとビックリだよ

だけどさ、やっぱ匂いだよね、もっとどぎつい香水つけちゃお
真っ赤な口紅塗って、白粉は真っ白、チークで目元を赤くして
娼婦のような淫らなメイク、きっと似合うと思うんだよねーっ


【そう、あの子の様に──、と】


ああ知ってるよ、ミラさんね、ミラちゃんだったかな? 鈴ちゃんどっちで呼んでたかなぁ
電話したって言ってたから、ボク最初ムッときちゃって
随分虐めちゃったなぁ、はんせーはんせー、話聞いたらキミもボク達のお仲間だったから

ほんとビックリだよねっ、鈴ちゃんにはゴメンなさいしなきゃ
痛いのいっぱいしちゃったから、普段とは違い過ぎて目まんまるにしてたし
あのきれーなオッドアイがね、やめてって、泣くんだ──


【言葉は肯定、音律は否定──間に歪むのは不気味な不協和音】
【それをさながら誇りのように、彼女は紡いで見せた】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/01(火) 22:55:21.42 ID:3HML44my0
>>108

【艦隊は輪陣形を組みながらの航行となる】
【防御と警戒の陣形】
【輪の中心には榛名、その両脇に空母二隻】
【その周囲を駆逐艦と巡洋艦が囲み】
【後ろから潜水艦が追従する】
【小規模ながらの、防御陣形】

【海中を航行する少尉には申し訳ないが、この船上での潮風は久しぶりに心地がいい】


【そして、それは発生した】
【丁度晩餐の準備が整い、艦長以下佐官数名と、そして我々一団との晩餐会を催そうとヨハネス氏の下を厳島が訪れた、その時だった】

「電探に感あり!!」
「聴音儀も同時感知!!」
「通信来ます!!」

【それは、あまりにも唐突で無作法な、海上警察からの通告だった】

「……早すぎる」

【あまりにも、早すぎる対応】
【まるで初めからこうなるのが、解っていたかのように……】

「俺が答える」

【そう言いながら、厳島は通信室の無線兵から通信機のマイクを強引に取り】

「貴艦の所属、船名、船体番号、を告げられたし」
「此方は櫻国海軍の正式な艦隊であり、外交を通さない停船命令には従う事は出来ない、検閲であるならば猶更の事、外務省を通してからにして頂きたい」
「繰り返す、停船命令には従えない、以上だ」

【そして、続いて各艦へと戦闘準備の指令が出される】
【潜水艦戦隊に通信】

「こちら榛名、厳島中尉だ、潜水艦戦隊はこの先の海上警察船舶に向けピンガーを打て各艦一回で構わない」
「ピンガー後、術式魚雷構成、装填にかかる様に」

【ピンガー、即ちアクティブソナーの探針音】
【この場合、警告音にも近く、相手を射撃範囲に捉えいつでも撃てる、との意味合いが海上では含まれる】
【続いて、相手がパッシブソナーを使い、こちらの音を聞いてるならば、無数の魚雷発射管注水音が探針音の後に聞こえるだろう】




【あくまで、国際法上許容される範囲での、警告だ】


114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/01(火) 23:00:42.06 ID:tXYHBc/go
>>111

【地下水道は薄暗く、視覚にだけ頼るのは難しかった】
【近距離であれば、まだ魔力探知を利用した擬似レーダーを用いることができた】
【それを使いながら先へと進む。残念ながら慎重になる余裕はないので手早く、だ】


(……何かある?)


【感知範囲に何かがかかる。だが、気づくのが一瞬遅かった】
【高周波の音波が────聴覚は繋げていないので聞こえないが────地下に響き渡る】
【その影響で脳に送られる映像が乱れる。舌打ちをまたして、遠隔操作で魔術を発動させる】

【人形の周囲に風圧が発生。短距離に強力な圧力を発生させて、周囲のものを吹き飛ばす】
【蟲は少しの間だけ牙を立てることに成功したため、魔力を僅かだが吸い取ることはできただろう】


(くっ、接続が甘い……けど、方向は合ってるか!)


【蟲に構っている暇はなかった。機械人形が魔術で浮遊。速度を上げて蟲は振り切ろうとする】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 23:02:58.70 ID:4XE7x4dn0
>>109

【役者たちが演じている、自然ないつもを演じているような空間。まるでコーヒー&シガレッツのような】
【マッチした2人の繰り広げる会話。白昼夢は頭の中で透明になって、今の自分の背中を蹴飛ばしていく】

安売りの言葉と、本当の言葉の違いがわかるようになったら、女性として一人前って事さ
まあどちらも…ニッコリ笑っていればいいだけだから。対応は簡単だけどね…
息絶える時はこう言うに決まってるさ…“クソッタレ”

【映画じゃないんだから命尽きる時に、そばに愛する人が居るわけがないし、写真を握りしめて思い出すこともないだろう】
【大体、痛みに歯を食いしばって、クソッタレ、死んでたまるかって思いながら…今の所の経験から言えばそうだ】
【死にかけた経験ならそこらの傭兵やスタントマンよりも多いだろう。それぐらいヘマも多いってことだが】

バードメンって…それだと複数形じゃない?マンじゃないの?

【それはあの若頭にきいてくれ。ギアブルーズのズもついでに知りたいぜ。アルカテノールも】

君がジャンヌ・モローぐらいキレイになったら。そうするといい。
…解き明かすわけじゃない。安楽椅子に座って、カマをかけて助手に薀蓄を聞かせるわけじゃないよ
もっと泥臭いさ。一歩ずつ辿ってって…依頼人代わりに命をかけて……たどり着いた先が
偶々、それが真実なだけ。受け入れられないものもある。


ハハッ…鵺ちゃんは強いね。…それは悪いことじゃないけど。
世の中の全員が真実を受け止めきれるわけじゃない。
結局、誰かの幸せのために、他の誰かに不幸を被ってもらうんだ。俺の仕事は…ね
真実に意味があるのかわからないさ。…幸せのほうが余程尊い。

…真実は誰のためにあるのだろう

【探偵は手を離さなかったが、そのサングラスの目は何処を向いていたのだろう】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/05/01(火) 23:11:49.65 ID:UypSzMGAO
>>112
【まるで風邪か何かを引いた時のような寒気がはしった。それも、冬に流行るとびきりタチの悪いやつ】
【手に頬ずりをされれば、最初はされるがまま。顔には戸惑いの色がありありと浮かびあがっていた】
【ここまでべったりと触れられた経験は多くはない。幼少期を除いてしまえば片手で事足りる】


…………、似合わねぇよ。そういうピエロみてぇな化粧はよ

それと────“クラァケさん”、だ
あいつはあたしのこと、そう呼んで……………………、…………っ、


【────どん、と。頬ずりされ続ける手を、ベンチに振り下ろす。みしりと木材が喚いて】
【柔肌に突き刺さる。じわりと滲む、青い血。ヒトのものを模した赤い髪が、ざわざわと蠢いた】


……………………あのよ、イル。あいつから、ちょっと聞いたよ
あんた────あいつと一緒にいてやってるんだって、な
そんで…………ちゃんと、寝れてるみてぇでよ。…………それは、そこまでは、別にいいんだ

でも、よぉ────痛めつけたりとかは、あんま…………してやんなよ
泣かせんな、とかは…………あたしが言えたクチじゃ、ねぇけど、よぉ…………

…………優しくしてやってくれよ。…………休ませて、やってくれよ


【「頼むよ」青い血を手からつらつらと流して、彼女はそう言った。怒っているのだろう】
【どこで怒っているのかは、あまりにも分かりやすすぎた。こんな時に完璧に怒りを抑えきれるほど】
【彼女は“出来た”性格じゃなかったが──結局。今は、相手に懇願することくらいしか、出来なかった】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 23:12:10.27 ID:TZpi6S7Po
>>115

【その尊き時間の一片さえも、辿り切れずに残るのなら、彼女にとってそれが幸せである】
【何気なく過ごす日常に、何気なくなくなった非日常の狭間があって】
【語る言葉の最期すら、残さず果てた何者かに送るが如く】


そーいわれると、鵺ちゃん的には意地でも見極めたくなりますっ
こうヒヨコ鑑定士みたいにっ! えいやっと!
そうして一人前の娘っ子になります、レディです、淑女です

──だーめーでーすっ、そんな死ぬ間際までカッコつけないでいいです!
そこはもう愛する女の名前一択でしょっ、そうじゃなきゃ許しません
あと勝手に死ぬのも許しません、大往生以外ダメダメですー


【さあ? と小首を傾げた、多分そこまで深い意味はないのだろう、から】
【約束ですよ、と最後の言葉を強調する、こんな形でも心配は心配】
【目の前の貴方は、とんでもないところで、あっけなく死ぬような儚さがあるから】


……ハードな生き方ですね、それじゃ、辛いだけじゃないですか
そんな生き方してたら、世の中の嫌な所とか悪い所とか、一杯見えるのに
それなのにどうして、優しくなれるんですか?

──強くなんてないです、でも、強くならないと生きてけなかったんです
選択肢なんてとうの昔に無くて、進むか死ぬかの二択だから
それでも真実を探すのはエゴです、そんな命だから、信じれる道を歩きたい、と


【その視線がどこにあっても、彼女が見るのは貴方の顔で】
【そこに刻まれた幾つもの歴史を少しでも辿るように】
【貴方の欠片ぐらいは、カッコよくなりたかった】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/05/01(火) 23:17:50.30 ID:35LOggOEo
>>113


【厳島からの返答に、先程の男が応えることはなかった】
【 ──否。ピンガーを放って尚、何も応えないということこそが、明確な“返答”だ】

【夜が白み始め、水平線から朝日が登る。すると、乗員には“真正面”に船が見えるだろう】
【それは紛れもなく、水国海上警察の大型警備艇。 真っ直ぐに、輪陣の正面へ向かっている】
【── その船体からは、“避けよう”という意思など微塵も感じられなかった】



 “ くすくす。 格好いいね。 ”



【再び、通信が入る。 男は、子供のように嗤っていた】



 “ なら、僕達も、僕達の名を名乗るよ。 ”

 “ カノッサだ。 僕達は、カノッサ機関。この船は船員を皆殺しにして奪った。 ”

 “ 犯罪者。非人間。君達は、そう理解すればいい。 ”


 “ ── ばいばい、厳島中尉。 ”


【厳島の名を知っている。 ──その言葉は、彼が通信を傍受していることを現していた】
【それと同時に、想定し難い熱源反応。警備艇から宙に向けて、複数発の“誘導ミサイル”が放たれた】
【軍艦に積まれるような大型の物ではないが、それでも、直撃すれば損害は免れ得ない】

【数にして、10発。 放射状に宙へ広がり、輪陣の上空から、旗艦だけを狙って飛来する】
【装備さえあれば、迎撃には十分な猶予がある。──、或いは、あの日、ロロケルムの言葉に従って】
【例のジャマーを購入していたなら、そのスイッチを入れるだけでミサイルは周囲の海面に突き当たり、飛沫を上げるだけ】

【──もし、ロロケルムがこの事態を予見していたのだとすれば、それは慧眼と言うよりも、狡猾、だろうか】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 23:20:03.09 ID:M5MmcU3bo
>>114

【蜘蛛型の蟲は風圧でいとも簡単に吹き飛んでしまう】
【魔力を僅かながら吸い上げたとしても、本当に僅かな量で】
【人形の稼働を停止させるには至らなかったが、時間稼ぎには使えた】


【方向はそちらで合っていたものの、左右の分岐が幾らもあって】
【それ以降、障害となるような蟲も顕れないであろう】
【──追ってみてもいいが、魔力の欠片すら見つけることはできないはずだ】

【白衣の女も抵抗することなく、一緒に下水道の奥へと消えてしまった】
【──彼女達は、何処にいったのだろうか】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/05/01(火) 23:22:44.83 ID:8rRvbXQ8o
>>73
【世界中を逃げ回ることも珍しくない盗賊にとって、地理の把握は必須条件だ】
【ゆえに、森林地帯に入れば察する。目立たない地点とはいえ、もっとも『黒幕』の勢力が及んでいる水の国国内に隠れ家を築いている】
【それも、恐らくは『円卓』とは関わりのない彼自身の隠れ家を】

至極、真面目だとも。立場に関わらず、優れた力には相応の敬意は払うべきだと私は考えている
現時点で彼らの力の程をもっとも強く証明するのは、『円卓』を電撃的に掌握したことだ

それによって得た地位……それすらも踏み台だと聞いてはいるが。その地位に対する敬称くらいは、つけておかねば落ち着かない
ご本人は、王妃と呼ばれることも満更ではないご様子だったしな


……そういう意図も、無論ある。ただでさえ敵を多く作ってきた身だ。不必要に増やさないためなら、そのくらいはするさ

同時に、父と故郷の教育方針でもあるが。「自分より強い者に逆らうな」。「自分より大きなものに敏感になれ」。「本当に強大な相手には体格や暴力など大して役には立たない」
「死にたくなければ、自分の身の丈以上のことをするな」。「死ぬくらいなら這いつくばれ」。「己の身の程を知れ。その上で、強かに生きろ」……そう叩き込まれて育った

流石に、この歳になってまでその方針に盲目的に従っているつもりはないが……それでも、三つ子の魂百までというやつだ


【国境が見えた。聳え立つ山々は、自分たちが境界線として設定されていることなど、何とも思ってはいないのだろう】
【雷の音。雨の気配。そういえば、あの女狙撃手に初めて会った日も雨が降った。今や、別人に「組み上げられた」敵】
【物思いは数瞬で中断し、車両の外を確認する。脳内で広げられる地形図。この国の南部、その端。いわゆる、辺境の地か】

……『魔能制限法』で大騒ぎしている国と、ここが同じ場所だというのだから面白いな
電気、水道、ガスが引かれているだけ、マシだとでも思っているのだろうが……大きくなりすぎると、足元がおろそかになるものだ
そのおかげで、こうして久々に誰かの家に招いてもらえたのだから、私としてはありがたいがね

【このような奥地にも、配達はやってくる。黒い屋根を持つ、奥の奥の家にも】
【配達人は、あの悪路を苦心してやってくるのだろう、と。場違いなことを考えながら、彼の背を追う】

【入り込めば、あまりに一般的な内装。郊外に住む平和な一家が暮らしている、そんな風に思えるような】
【だが、ここにいるのは異形の盗賊と、それを招いた男。恐怖が薄らぐのと入れ違いに、この状況の異質さに微かなおかしさがこみあげた】


【彼が起こす一連の行動もまた、あまりに平穏な光景であった。もてなしは素直に受けようと、先にテーブルについて待つ】
【彼の問いに、「ああ、ブラックを頼む」と返答する異形自身も、いつの間にやら無防備になりつつある自分に気が付く】
【しかし、それも彼が腰を下ろせば。すぐ目の前にいるのに、どこか掴めないそんな男と向かい合えば。強引に己を引き締める】

――――道中では、あのように言ったが。どういうわけか、貴方を目の前にすると畏まって見せる気がなくなってしまう
この通り、平素通りに振る舞っていても構わないだろうか……デュボン陛下

【教育の甲斐あって、この異形は自分より強大な者の気配には敏感だ】
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 23:24:45.57 ID:TZpi6S7Po
>>116

【──笑った、百合の雌蕊の様な眉を歪めて、振り下ろした手の軌跡を視線に映して】
【赤い舌が舐る、ベンチに乗り出して貴方の青い血を尊い物の様にしっかりと】
【華奢な喉を震わせて、とくんと飲み干した、淫らで不気味な雰囲気を見せて】


そうだったね、そういえばそうだったよ♪ く・ら・ぁ・け・さ・ん♪ 確かそんなのだった
どうでも良くってさ、そんなの、ミラだろうがミロだろうが知らないけど
ボクの大切な仔猫ちゃんが、ボクの知らないトコで粗相をしてるんだ

躾てあげるのが飼い主の役目でしょ、今はそういう番だから
クラァケさんは鞭の使い方って、知ってるかなぁ、知らないよね♪ なんか真面目そーだし
ボクが使うのって本格的なやつだから、殺さない様気を使うんだよ?


【それは辿りなれない悪夢の様に、明晰夢──気づいても覚めない熱帯夜】
【何処までも丁寧に凄絶に、彼女は告げる、彼女は遂げる真実を】
【或いはそれは創作した嘘、嘯くような幻、そうであればどれだけ幸福か】


アハハハハ!! 優しくしてあげたの? それボクのセリフじゃないの?
ねぇ、ねぇ! キミたちはあの子に優しくしてあげたの? 休ませてあげたの?
寄って集って虐めて責めて、それでも必死に耐えてるあの子に何をしてあげたの?

頑張れとか? 負けるなとか? 少しでもあの子の助けになることしたの?
ぜんっぜん意味の無い言葉押し付けてさ、心配するのマジムカつくんでーすーけーどっ
あのさっ、分かる? 何であの子がボクの元に来たのか、理解できるかな?

チャームだとか誘惑だなんて一滴足りとも使ってないよ、ボクはただあの子に優しくしてあげただけなんだ
それで十分だったんだよ、てことはさ! てことはさぁ!!
誰もあの子に優しくなかったんだよ、あれだけあの子に知り合いがいたのにさ、何処の誰も!!




【──ねぇ、クラァケさん】




【彼女は笑う、何処までも愉快に】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/01(火) 23:31:00.36 ID:3HML44my0
>>118

「敵艦見ゆ!!」
「トラック2022〜2638!!」

【敵艦隊の姿が視認できる位置に来た】
【大型警備艇、紛れもなく水国のそれだ】

「カノッサ!?機関の者か!?」
「貴様、黒幕か!?」

【ならば、容赦はない】
【加えて、こちらの通信は傍受されているのだろう】
【艦隊各艦に攻撃準備命令が出される】
【そして……】

「熱源反応あり!中尉、ミサイルです!数は10!!」

【ここで各艦は主砲、高角連装砲を稼働する】
【艦隊中央の探知能力者からの諸元、データが主砲制御室に送られる】
【それに合わせ、艦隊が一斉に、ミサイルに向け迎撃砲を放つ】
【そして一方】

「ほうらッ!ぶち込んでやるわよー!!」

【艦隊後方、潜水艦戦隊から魚雷が放たれる】
【目標に向かって正確に、術式構成された魚雷群、数はこちらは8だ】
【魚雷に対抗する手段や、あるいは操船技術が無ければ、確実に命中コースだろう】


【榛名艦内】

「ヨハネスさん!」

【曹長と呼ばれていた少女が、氏の部屋に駆け込む】

「敵が現れました、戦闘状態となりますのでその身の護衛に参りました!」
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 23:33:51.65 ID:4XE7x4dn0
>>117

ああ、頑張ってくれ。レディ。

死ぬ間際ってのは多分…忙しいんだよ。ほら、な?ほら…色々
俺みたいなのはそんな、カッコつけてるわけじゃないんだけど…
大丈夫…まだ死ねないよ。死にたくたって、神様に断られてきたんだ
今は特に。やらなきゃならない、仕事もある。

【少女は何処まで視えているんだろうか。男が真っ赤に血を浴びて、路地裏に倒れる姿】
【銃弾を食らっても、その倍の数の銃弾を浴びせる姿。薬物で誤魔化しながら這いつくばって、繰り返す日々】
【両者とも同じだけの苦しみや痛みを…知らないのに、感じ合える。そんな間柄。だから、言葉を紡ぐ】

なんでって…そりゃあ。

それでもこのクソッタレの世界が愛しいからさ。

そんでもって…そういう世界に変えてやりたいんだ。

【振り向いた過去を糧にして、目を背けたくなる未来へ、ブーツを踏み鳴らす】
【それが33回転の塩化ビニールから学んだことだ。69年のウッドストックで、86年のウェンブリーで】
【またカッコつけって言われるかな。なんて、男は笑うだろう】

強くないと生きていけない…か。あの場所にいて、戦っていたんだろう。…そろそろ教えてくれてもいいじゃないか
俺ばかり、自分の話をするのはね。…俺は、探偵なんだから。
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/01(火) 23:34:50.63 ID:tXYHBc/go
>>119

【水路をさらに奥へと進む。その行く手を無数の分岐が阻む】
【あるいは距離さえなければ別の探知方法で追うこともできたかもしれないが、それも不可能なほど離れてしまっていた】
【三度目の舌打ちをして、機械人形を引き戻す。辿ってきた道を逆走して水路から出るのに大した時間はかからなかった】


…………はぁ。何なんだ、全く
次から次へと面倒ごとばっかり……


【視神経の接続を解除して両目を開く。「……っ」頭に激痛が走り、顔を歪める】
【魔力を用いた接続は脳に対してかなりの負荷を強いる行動だった。その反動が今になって来ていた】
【脳と眼に走る神経が焼けるような、そんな感覚が襲いかかる。それを歯を食いしばって耐える】


……あぁ…………もう……っ
この痛みは……どうにも、慣れないな……っ!
セオドアめ……適当に擬似神経を構築しやがって……脳への負荷も考えろっての……っ!


【師への文句を吐き捨てる。周囲を見渡しても痕跡の一つもなし。結局、単に取り逃がしただけだった】
【深い溜息をつく。この失敗が大きな痛手となって返ってこないか。その不安が胸中で渦巻いていた】
【とはいえ、今日のところはこれ以上やれることはなさそうだった。仕方なく立ち上がると、携帯端末が振動する】
【取り出して相手を確認。ここ最近で最も腹の立つ相手の名前が書いてあった】


何、今忙しいんだけど…………

………………は? 女の子の世話をしろって?


【相手の言葉にこめかみがひくつく】
【怒りに任せて端末を放り投げないでいるのには、随分と苦労したらしい】


//このあたりで終わりですかね?
//お疲れ様でした!
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/01(火) 23:39:19.48 ID:MK9wdG/I0
【水の国ーーとある街】


【比較的歴史情緒残るストリート。レンガ建の家が密着するように並んでいる】
【静まり返る街、散歩する人物も楽しそうな話し声も聞こえてこない。しかしゴーストタウンのようだと例えるにはあまりにも美しき景観で】
【暗めの街灯に居場所を求める虫の群。響く鳥の声。草木から覗く猫の瞳。人間だけが消えてしまったかのように、その場所は今日も佇む】


【ふと、地面に映る影が一つ揺らいだ】
【風もないのにゆれるのは、それは生き物である証拠。そしてーー】
【月夜を背負うようにその人物は、居た】
【とある家の屋根の上。まるでこの場所の支配者であるように気怠げに見下ろして。逆光でシルエットしか見えないが、身長はそこまで大きくないように見える。時折右足を捻るように動かしたり、腕を組んだり首を傾げたり】


「ーーーーーーな」


【静寂にすら響かない小さな声。独り言だろうか】
【人影はどうやら暫くは屋根の上にいるようで】
【闇が落ちるばかりの街に、変化を待つかのように立ち続けーー】
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/05/01(火) 23:41:09.35 ID:UypSzMGAO
>>121


──────────やめろよッッ!!


【思わず、怒鳴り声をあげた。喉が一瞬で、灼熱感を帯びる】
【分かってる。休ませようとしたこともあって、それを鈴音が拒んだって、そんなのは言い訳にしかすぎないんだ】
【無理にでも休ませるべきだった。丸1日寝かせただけじゃ、今までの疲れを癒すには足りないってことも】
【きっとどこかで分かっていた。それでも、それを見ないふりして。たった少しの休みを】
【あげれただけで、それで満足してしまって。もっと、本当は休ませてやるべきだったのに】


……………………ッッ!!休ませたさ、でも足りなかったんだ!!
ンなこた分かってんだよ、でも…………でもあいつがそれでいいっつったんだよ!!
そんなこと言われちまえば、こっちはもう何も出来るこたぁねぇだろ!!

腹殴って、気絶させて!!ベッドに縛り付けちまえばよかったってぇのか!
そんなのは違ぇだろ!あいつに…………そんなことあいつに出来るかよ!

あいつはよ────そんなやつなんだよ!自分のことは放ったらかしにしてよぉ!
こっちが心配してんのに、大丈夫だなんて言いやがって…………!!
挙げ句の果てには────なんだよあいつ!「あなただけは幸せになって」とかよ!
そうだよ、てめぇのとこにいる時にあいつはそう言ってきたんだ!
分かるかよ!!つい昨日のことだよ、電話でだ!!
そんときゃあいつ、もうてめぇンとこにいたんだろ!!
「あなただけは」────この意味が分かるかよ!!
あいつは…………あいつは今でも────今でも幸せなんかじゃねぇんだ!!


てめぇこそ…………物知り顔であいつのこと語ってんじゃねぇよ────ッッ!!!


【殴り付けようとする。怒りに任せて、相手へのダメージなど、自分への痛みなど一切考えず】
【今しがた傷ついたばかりの手で、青い血が滴る拳で、加減などまるですることなく】
【女だとか、子供だとか──そんなことも、何も考えず。顔面を、強かに打ちつけようとするのだ】
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 23:42:07.11 ID:TZpi6S7Po
>>123

【詳しくは知らない、けれどもそのサングラスの奥には筆舌に尽くし難い痛みがあるのだろう】
【血反吐を吐けるだけマシであった、本当の修羅場の前では呼吸すら止まる】
【──そんな汚泥の中で生きている光景を、彼女は知らず知らずと感じ取った】


信じてますよ、その言葉──嘘つく男の人ってかっこ悪いんですからっ
女の子にカッコつけてゆったんですしっ、きちんと用法用量守ってくださいね
だから死なないでください、そしたら鵺ちゃんは安心します

──うん、分かります、この世界って、どうしようもなく残酷ですけど
それでも私もこの世界が好きです、生きる人々が大好きです
ロッソんなら出来ますよ、貴方が居れば、世界はもっと良くなる


【はずです、と付け加える、貴方の言葉につられて彼女も熱くなってしまった】
【少し照れたように座り直す、澄まし顔をつーんと向けて】
【空っぽになったカフェオレをつんつん、つついてみせた】


ふぇ、私の話ですかー? いいですけど、聞いても面白くないですよ?
昨日なんかリハビリがてらお散歩してたら巻き込まれて、んもぅびーっくりです
鵺ちゃんは正統派忍者ですから、あんな化け物の相手できませんって

あっ、バラしちゃいましたけど忍者なんですよ! にんにん!
ふっふーん、ビックリしました? ビックリしたでしょう?
今ならロッソんなんて、ちょちょいのちょいで捕縛できます


【びしっと人を指さす、マナーがなってない】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 23:42:29.51 ID:M5MmcU3bo
>>124

【下水道の最奥、女が行き着いたその地は──】
【下水の集積場だった。各方面からの下水が集まる場所で】
【増水したときのために、かなりの広さが確保されていた。今や水の量も少なく】
【湿度が上がっている上に、気温も高い。好条件の場所を見つけた女は喜んでいて】


『それじゃあ、早速繁殖場を作りましょうか──』


【と白衣の女に同じような法衣を着せれば、太い下水管のところに座らせる】
【水が一滴も流れてこないなんて珍しいが、今となっては不思議ではない】
【数日かけて、女は蟲が生息するための巣を作っていくことになる────】


【────】


【差出人:Crimson "crimson@xxx.com"】
【宛先: [Encrypted]】
【件名: 緊急自体】

【本文】
ブラすフェミあへ

私は虫に囚われた
アルターリの下水道に、ワームシンガーとともにいる
多分帰れそうにない
たすけてくれ

[EOL]

【添付】
一件の位置情報
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/01(火) 23:49:06.05 ID:Lwu39sXZ0
>>120

【ことん、と重たげな、しかし大男の手からすれば小さなマグカップが彼の前に】
【そして同じようなデザインの、飾り気のないものを自分の前に置けば】
【六罪王であり、円卓の王を名乗り――いずれ世界を買うと密かに豪語する男は、腰を下ろす】

【その姿には、いうなれば覇王らしさ≠フようなものは欠片もない】
【所帯じみてもいないけれど、男のそもそもの生き方がこういった場所】
【すなわち、下層の世界にあるのだと感じさせる。――元より、機関でも問題児の金貸し崩れなのだから】


むしろ、陛下≠ネんてのは止めてくれ。むず痒くて仕方ない
六罪王なんてのはロジェクトを殺すための手段に過ぎないし
円卓に至っては俺の夢の為の踏み台…――偶然転がり込んできたもんだからな。

……ミラに聞いたんだろ?そりゃ、確かに将来的には世界を狙ってるが
なにも王様になろうってわけじゃない。それなら早々に軍を立ち上げてるさ。
で、先人の皆々様よろしくどっかで下手打って死んでる筈だ。


【会話は淡々としたものだった。冷静に自分を分析して、畏まる必要は無いと話す】
【「俺がナンバーズだった頃の話を聞いたことは?」とも続けた】

【金の亡者、機関の面汚し、ナンバーズとしての品位が問われる男】
【査問に掛けられた回数、実に三回。かろうじてNo.100という末席を維持していた】
【そういう点ではカニバディールのほうが"上"なのだ。一定の尊敬が、ジルベールの態度にも混じっていて】


にしても、何処から話したもんかな。……まずはやっぱ、礼か?
アンタ、あの馬鹿を助けてくれたらしいじゃねえか

……それだけは先に言っとかねえとな。ありがとよ、カニバディール。
お陰で、俺はまたアイツを抱き締めてやれる。……なんなら、言い値を払ったっていい気分だ。


【最初に語る内容。其れは感謝――ミラ・クラァケを救ってくれた一件への礼であった】
【人並みに彼女への思いを覗かせながら、カニバディールへ申し出るのは謝礼だ】
【金銭で良いのなら、幾らでも。円卓という資金源を別としても――金の亡者なんて言われる男とは思えない、そんな言葉だった】
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/01(火) 23:51:43.78 ID:TZpi6S7Po
>>126

【──鈍い感触があった、少女の顔面を捉える、鈍い感触】
【地面に強く背中から打ち付けられる、大きな音が響き周囲が騒然とする】
【数瞬彼女は起き上がろうともしなかった、一回二回と、瞬きをして】


だからボクは作るんだよ、ボク達の為の国を──ああ、いや
そうだね、この前も誤解されちゃったから言葉を変えなきゃ、そうそう
ボク達の為の世界、魔界だなんて迫っ苦しいもんじゃなくてさっ

そうだもんね、あの子は優しいもんね、じゃあさ、あの子を苛めるものを無くせばいいじゃん
あの子を傷つけるのはニンゲンで、社会で、現実なんだから
それを全部消し去って、新しい世界を作るんだ


【ゆっくりと立ち上がる、チャイナドレスについた汚れをパラパラと払って】
【右の頬が腫れていた、それでもその傷に意識を向けることなく】
【それでも笑う、不滅の愛を誓うかの如く──】


鈴ちゃんはまだ幸せになってる途中だもん、ボクとあの子の世界は始まったばかりだから
そりゃ喧嘩もするし、言い争いもする、諍いもあって、でもその度に仲良くなれるんだ
ぶつからない関係なんて楽しくもなんともないから、そうやってボク達は幸せを目指す

でもさ、ボクも暴君じゃないから、ボクとあの子だけが良いだなんて思わないんだ
だから世界を作るのさ、ボクとあの子と、君達人でなしの国
"フェイクワールドワンダーランド"──グランギニョルの神々が住む楽園

だからね、ボクとキミも、仲良く出来るんじゃないかなーってそう思うのさ
さっきはごめんね、仲直りしよ、クラァケさん


【イルはそう言って手を差し出した、小さな手をあなたに向けて】
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/01(火) 23:52:55.76 ID:8aJg6wNr0
>>125

【――――ひぐ、と、小さな音がした。声のようにも聞こえたけれど、あまりに、鈴の音に似ていたから。ただの物音に聞こえた、猫の首輪の鈴みたいに】
【ひっくひっくとしゃくりあげる声。声が少しずつ近づいて――やがて高いところに居る"誰か"は、その音の根源を見出すだろう。――少女だ。少女だった。あんまりに】
【こんな夜中にふさわしくないような少女。――そして何より、その服装もまた、"おかしい"と言えた。だって】

――――、ひっく、えぐ、……、

【きっと、寝間着だった。身体を全く締め付けないデザインは大らかすぎて、おおよそ外を出歩くのに適さないもの――長い裾を引きずりながら、泣いて、歩いてくる】

【肩を撫でる長さの黒い髪は寝ぐせのようにくしゃつく、真っ白な肌は――けれど泣いているせいか頬も鼻も真っ赤になって。大粒の涙を、必死に袖でぬぐっている】
【ぼろぼろ涙を落とし続ける瞳は左右で色の違うもの――黒色と赤色で。ひどく涙に濡れたならきらきら艶めく。それこそ熟れたばかりの果実が朝露に光るように】
【淡くピンク色の服。裾はうんと長くて、袖も長い。だのに肩は大きく露出されていて、たくさんくしゃくしゃにあしらわれたフリルと同じ色の肩紐だけで、吊るしている】
【その中にある身体はひどく華奢だと見て取れた。――それを少女は庇うように、抱きしめていて。その合間合間に涙を拭う、迷ってしまった子供のよう】
【――長い裾から足元は時々しかうかがえないけれど。ほんの一瞬に目を凝らせば気づくことは、容易かった。はだし。――何も履いていなくて】

痛いよう……、

【あるいは。耳を澄ませたならば聞き取れただろう、鈴の音が、ほんの小さな声で、嘆く。罪びとのように真っ白な素足で歩んで、必死に自分を抱きしめて】
【ぼろぼろ泣きながら。向かう先があるとは思えなかった。――その服のせなにわずかに新しい赤色が滲んでいた、あまりに鮮やかな色、いのちの色。だけど、ひどくはない】

――――、だれか、いるの?

【――――そんな"迷い子"が。だけど誰かの気配を感じ取った。顔中を涙で濡らして、背中に血をにじませて。土にぱさぱさになった足を止めて、見上げるだろう】
【ならばそれは違和感だった。寝床から迷いだしてきてしまったような少女が――ほんのかすかな気配を拾い上げて、誰何を打つ。――夜の風が、少し、冷たかった】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2018/05/02(水) 00:00:36.41 ID:V4VsrLHno
>>122

【艦隊の正確な応射に、ミサイルは次々と爆散していく──、だが、様子がおかしい】
【甲板で目視していた者なら、分かっただろう。撃ち落とされたミサイルから、“粉”のような】
【何か、陽の光を受けて煌くものが、洋上へと散っていく。 それは輪陣の内側の所々へ、ぷか、ぷか、と浮いていた】


 “ 黒幕? ”

 “ ……あはは。 君達、そんな名前で呼んでるんだ。 分かりやすいね。 ”
 “ そんなだから、何も見えないんだよ。 この先も、後も、未来も、過去も。 ”
 “ 名前をつけて分かった気になるのは、人間の悪い癖だ。 どうっていいじゃないか、どこのだれ、なんて。 ”


 “ しあわせなら、それでいいだろ? ”


【厳島の問いに、男は相も変わらず、小馬鹿にしたような嗤いを伴って応えた】
【──、その最中、向こう側から轟音が響く。魚雷が命中。それも、全弾。 目視でも船体が大きく揺れたのが分かる】
【数分の内に沈没は免れるまい。 それでも、あはは、と通信の男は嗤い、「ねぇ、厳島中尉」、と呼びかけて】




   “   動物園は好きかい?  ”




【ぷつん、と。 通信が切れた 】


【それと同時。海上を目視していた者なら、分かるだろう。 沈みゆく船から現れた“人影”が、海上を滑るように迫ってくるのを】
【正確には、彼らはボード状の小型推進装置の上に立っている。──速度は相当に疾く、射撃が当たる可能性は低いだろう】
【数は6。 船上の軍人達を嘲笑うように弧を描き、榛名だけを目的に迫る。 いかにして、乗り込む気なのかは知れないが】
【その目的は間違いなく、白兵による旗艦への強襲だ】


【彼らは一様に、重苦しい黒いロングコートを羽織り、その背には“カノッサ”の六芒星】
【腰には刀と銃器。 フードを被り──、そして】


【 “動物”を象った面を被っていた 】



  【 ── 】


……那須さん。


【部屋に駆け込んできた少女にまず反応したのは、異変を察知しヨハネスの部屋に詰めていた初だった】
【凡そ翔子と同年代ということもあって、ここ数日で話す機会はあったかも知れない】
【──、尤も、大層に無愛想な少女なので、仲良くなっった、という実感はないだろうが】


「……こんな爺を狙って、遠路遥々ご苦労さんな事だ。
 悪ぃ、世話掛けるな。 危なくなったら逃げろよ、嬢ちゃんら。
 死にたくはねぇが、若い奴等の生命奪ってまで生きるつもりもねぇ。」


【室内の椅子に腰掛けていたヨハネスは、その手に銃を握っていた】
【── それを使う相手を、自分と相手、何れに想定しているのかは不明であったが】

【この部屋の窓からも、外の様子は見える。 “狗”の面を被った者が、水上を滑る様子が見えるだろう】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 00:02:31.54 ID:wp2fRbFp0
>>127

【いつの間にかまた彼は、何本目かの煙草に火をつけていた】
【単に中毒ないし癖になっているだけだが、なぜだかそういう話の後だと雰囲気も相まって】
【せめてもの日常を、変わらないものを求めているようにも見えるかもしれない】
【血まみれた世界ではタバコの煙も綺麗なものなのだろうか】

嘘は女の専売特許だからな。男が使うといつも怒られる。――女はそうじゃないのにね。

この世界は――運命と、意志で出来てると思うんだ。どの世界も、運命は抗い難くて
人の数だけ意志がある。だからこそ…なにか変わるかもしれない。
…君がいるならまだ世界は大丈夫だね

変えたいなら、言い切るんだ。それが、運命に…世界に立ち向かう。
最も強力な、最終兵器さ

【一人の意志じゃ運命は変えられない。多数の意志の波に埋もれてしまうかもしれない】
【それでも何かが変われば、あんなに抗い難かった運命も簡単に変わってしまうかもしれない】
【そのために、運命と向き合って、立ち向かって。大声を張り上げる必要があるんだ。時として誰かの意志や運命を】
【捻じ曲げることになってしまっても、それも受け入れて――どうせ、そういう生き方しか出来ないならば】

忍者かぁ…忍者…ねえ…忍者って…いたんだ。へぇ…侍なら結構見たことあったけど。
ああそうか、忍者って、隠れてるからな。…だから、今まで見つかんなかったんだ。なるほどなあ…

【他の人が言うなら、多分これは皮肉だろう。皮肉と受け取られても仕方がないが、こいつは普通に納得していた】
【ちょっとハードボイルドに戻っていたのに、一瞬であの初対面の気の抜けた感じに戻ってしまった】

そんで…じゃあ、忍者に聞いてみようかな。
能力者が“特区”潜入するとしたら、どうする?
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 00:16:38.52 ID:cZSkGQTTo
>>133

【その言葉を聞いて少し笑ってしまった、その通りですよ、と言いたげに】
【嘘は女の専売特許だと、誰が言ったか──事実彼女はそれを是とした】
【経験からも理屈からも、そう言える】


女の子は弱いんです、それでいてどうしても、寂しがり屋だから
振り向いて欲しくて嘘もつくし、構って欲しくて嘘をつきます
ですから男性諸君は、それを受け入れる度量を持ちなさいと、そういうことですね!

──だーったら鵺ちゃんに任せてください、鵺ちゃんは言い切りの達人ですからっ
自信を持ってハキハキと、前向きに何処までも生きてきます!
それが約束なんです、そうしなきゃ、生きてけないんです


【ね? と微笑みかける、満面の笑みをへへーっと見せて】
【年相応のあどけなさ、結局の所彼女という存在はここに終止する】
【微笑みの後には声、ふぇっなんて響きを漏らして】


──あら、もしかしてロッソん天然? まぁそういうことにしときましょ
隠れるの得意ですからっ、忍者とは忍び耐える者と書きますし
……ふぇ、『特区』ですか? いきなり変な質問来ましたねっ

大事なのはまず目立たないこと、能力者なんてファッションで見分けつく人も多いですから
そして武器装備は最小限に、特区なんて一人で壊滅できませんから、情報収集ができるように
最後は──うーん、気合いですかね


【イマイチ要領を得ない答えだ、あんまり頭は良くない】
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/05/02(水) 00:17:31.72 ID:IArWIwP6O
>>130
【「なんだてめぇら、見せもんじゃねぇんだぞ!!」──怒りは拳の感触だけでは収まらず】
【周囲の野次馬にも向けられる。流石に彼らまでもを殴りに行くなんてことはしなかったが】
【それも、イルが言葉を紡ぐのがもう少し遅ければどうなっていたかは分からない】
【ち、と隠すことなく舌打ちひとつ。ついでに唾を地面に吐き捨てて】


…………けっ、いっちょまえに纏めやがんじゃねぇか

けど────あぁ、クソ!確かにてめぇンとこにいるのが今のあいつにとっちゃ“いい”ってぇのも分かる
UTに戻ったところでまたゴタゴタに巻き込まれるよりかはな
まっさらなシーツに包まって子猫みてぇに眠っちまってる方があいつにとっちゃいいんだろうさ!クソ!!
んなこたぁ分かってんだよ、…………でも謝んねぇからな!
あたしは今、正しくムカついててめぇをぶん殴ったんだ。そこはぜっっってぇ謝らねぇからな!!


【「いつまで見てやがんだ!散れ散れ!!」──野次馬を威嚇しつつ、イルに歩み寄る】
【気に入らないというのも事実。だが、鈴音を休ませる場所の主である、というのも事実】
【クソ、とまた口悪く言葉を吐き捨てる。そして先程まで読んでいた、うんざりするほどの】
【分厚い本を、イルの側に投げ置くのだ。──公共物に対する礼儀は、なっていない】


はン────てめぇが国作ろうとしてるっつぅのも鈴音から聞いたわ
つぅか昨日の電話、あたしもその国とやらにこねぇかっつぅお誘いだったしな

んで……今んとこ答えは保留だ。あたしも世界のてっぺん見るっつぅ夢があるからな。今はそっち優先
で、クソイルちゃんのワンダーランドにはたまにお泊りしにいくつもりだったワケ

…………悪くはねぇよ。むしろ、そういう国があったっていいな、ってのは──ほんとに、思ったんだ
だから、手伝おうかなーって…………そう思ってたんだよ!
まぁっさか“イルちゃん”がこんなムカつくクソアマだとは知らなかったけどな!!けっ!!

そんで、だ────国作るにしたって、こう、…………いるだろ。土地とか、なんか、いろいろ
そういうのをちょっと、融通っつぅか…………?しよーかなーとか思ってその本読んでたわけ!!
クッソ、国の作り方なんか分かるかボケ!!土地買ってそれ以上のこと分かんねぇっつぅの!!


【────手は、まだ握らない。だが、そのままずっとイルの手が差し出されたままなのであれば】
【苦虫を噛み潰したような表情ではあるが、ぱんっと。軽いタッチくらいは応じてやるのだ】


/と、そろそろ眠気が近付いてきてまして
/ここでもう締めちゃうか、一旦凍結するかはお任せします
/ただ明日は夜は来れるかどうか分からず、明後日なら本スレで継続できるかなといった具合でして
/とにかくどうするかはお任せしますね。それではこの辺で失礼します。お疲れ様でした!
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 00:21:40.86 ID:ag5y4u6P0
>>131

【何かを待っているように立ち続けた影はやがて三角屋根の天辺にうつ伏せになっていた】
【だらけた飼い猫のように両手足を大の字に広げ、顎でバランスを取るようにーー視線だけは何も行き交う気配のない歩道に向けられていて】

【鈴の音が聴こえてきたのはその影が諦めかけていた頃だった】
【同居猫の首輪の音を聞いた猫のようにぴょんっ、と身軽に飛び跳ねれば姿勢を正す。そしてその音に全神経を集中してーー】

ん?

【漏れた声は少年のものだった。今にも落ちるんじゃないかって、不安になるくらいに身を乗り出して、目を細めてーー】
【この静かな、レンガ建の家が連なる道。どこかの家のふわふわのベッドで眠っているならわかるけど、でこぼこの道路を渡るには不釣り合いな痩せた少女ーー靴の音は聞こえない】
【少年は観察を続けるーー気配なんて消さずに、その珍しい光景を凝視していればやがてはーー気づかれるのだろう】
【そうして、その少女が少年の存在に気づいたなら。屋根の上へと声を投げたのなら。少年は答えるように飛び降りる】
【しなやかな動きだった。途中でくるりと回る余裕さえみせて、猫のように音もなく着地する】
【少女は驚くだろうか、それともこんなこと日常茶飯事に起こりうることなのだろうかーー】
【どちらにしろ少年はそのまま、忠誠を誓う騎士みたいに跪き、顔を上げてーー】

夢の中で誰かにいじめられたのかな?

【光さえ許さないような、真っ黒な瞳が意地悪に細められ、涙に溺れる少女を捉えて】
【少し冷たい夜風にふわりと、一つに結んだ赤髪が揺れたーー】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 00:23:16.90 ID:J8Ttdw3G0
>>132

「否定はしない、と?」

【魚雷の命中音】
【爆発音が無線の背後から聞こえる】
【目視でも解る、あの警備艇は長くは持たないだろう】

「動物園!?何だ!?何の事だ!?」

【狂気じみた笑い声と共に、爆散し沈みゆく警備艇】
【一方の甲板では】

「おい?何だこれ?」
「破片、じゃ無さそうだな?」

【曹兵達がミサイルから散って行ったその、黒い『何か』を指して首をかしげている】
【そこに……】

「ッあ、あれは!?」
「早く!!伝令に!!」

【水上を滑る様に出現したのは、カノッサ機関の者と思しき、ロングコートにフードの集団】
【皆等しく動物の仮面を被っている、あまりに異様な集団だ】
【手には武装が見て取れる事から、機関兵であると思われる】
【白兵戦のつもりだろうか……全将兵に通達が出る】


【陸戦準備、と――】

【先ず、駆逐艦、軽巡洋艦、空母に備え付けられた対空機銃が海面に向け一斉に発射される】
【榛名の周囲の海を、一気に制圧するかのように、機関の兵を一掃するかのように】



//分割します
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 00:23:32.65 ID:J8Ttdw3G0



【榛名甲板】




「来ます!!」
「各員、持ち場を離れるな!!」

【着剣した歩兵銃や拳銃で武装した、榛名の将兵乗り込んでくるならば次々に発砲、交戦が開始されるだろう】






【榛名艦内】

【武装した将兵が慌ただしく行き交う】
【ヨハネスの元に駆けつけ、間に合うことが出来た翔子】

「初ちゃん、初ちゃんも機関の兵が来ます、一緒に安全な所に逃げよう!」

【ちらりと、その船窓から外を見る】
【動物の仮面のロングコートの集団が、迫ってきている】

「ご心配なく!ヨハネスさんも初ちゃんも、身の安全はお守りします!」

【着剣したアサルトライフル、櫻国で言う所の短機関銃を構え】
【拳銃や擲弾筒を腰に帯びて、そう二人に言った】

「一応、危なくなった時の作戦はあるんですよ!」

【外、彼ら機関員からは榛名の物陰になるだろうか?】
【その海面に、潜望鏡を出し、浮上スレスレに航行する船があった】
【強襲揚陸潜水艦、伊707】
【状況は、刻一刻と進むだろう】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 00:28:12.93 ID:cZSkGQTTo
>>135

【軽くタッチされて、楽しげに笑う、歪む音律に僅かな憂いを混ぜて】
【彼女は愛しているのだ、ニンゲン以外の全てを、心の底から】
【だからミラの攻撃にも言葉にも、納得するような素振りを見せて】


褒め言葉ありがとう、ボクも嬉しいよ──是非にお泊まりしにきて欲しいけどさっ
鈴ちゃんもクラァケさんも、大事な所を見落としてるんだよね
まぁボクの言い方も悪いけどさ、国を作るっていったら、そうなるよね

大丈夫、こんな本なんかいらないよ、必要な本はもう明らかだから
『偽書』に『異本』『写本』も『異説』も『異聞』も、その大体は何処にあるか分かったから
後必要なのは楔だけ、すぐに分かるよ♪ クラァケさんにも


【翼を広げた、夜に溶ける真っ黒な翼を】
【くるりと背中を向けたなら、振り向き加減に笑いかけて】
【あ、そうそう、と付け加えるように】


気分が向いたら旧市街においで、運が良かったら鈴ちゃんとも会えるから
その時は三人で遊ぼうよ、きっと、楽しいから
じゃあね、クラァケさん──また会おうよ


【夜に飛んでいく少女の背中、不気味な音律を残したまま】


/それではここで切らせてもらいます! お疲れ様でした!
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 00:30:25.45 ID:yoBiEaBb0
>>136

【――屋根の上。ただ地面に立つ少女からすればうんと高い高い場所から、人影が一つ落ちて来る。くるくる――すたん。音もなく、あまりにきれいに、舞い降りて】
【それを見つめた少女は、一瞬涙を忘れてしまったようになる。色違いの瞳を丸く瞬かせて――でも。すぐに。じりじりと伏せられていくのだ、元気がないみたいに】
【いたい――と呟いていた。ならばどこか怪我をしているのかもしれない――と思わせる。きゅううと喉を鳴らす変な声がして。騎士のように跪いた彼を見下ろしてなお】

――――んんん。

【動揺しない。だけれどそれが必ず全部いいかと言えば、きっと、ちょっと違うのだ。――少女の気は逸れなかった。そういうひとが来たという認識はあっても】
【現実から一瞬目を逸らすだけの猶予は与えなくって――ふるふる、と、首を横に振らすのが少女の答えだった。誰にもいじめられていない――そう、矛盾した答えを返す】
【痛いって泣きじゃくりながら。はだしで。寝間着のままで。歩いてきた少女はやはりどこかおかしいのに。何にも変じゃないよって答えるようなら、沈黙が一時】

……あなたは、だれ? …………わたし、は、

【――――塗りつぶされたように黒い瞳と、塗り忘れられてしまったように赤い瞳と。どちらも彼が持つのと同じ色彩、だけど、きっと意味合いが違って】
【ならば――知らないひとだ、と、思ったのだろう。相手がだれであるのかを尋ねる声は、やはり鈴の音色。くすんとしゃくりあげて――「りんね」と、名乗るのだ」

白い神様の、鈴の、音……。

【白神鈴音。それが自分の名前であると言って伝える。だけれどその名乗りは――相手が櫻の文化を知らねば、よく分からぬものであっただろう】
【寒くて仕方ないように――あるいは不安で仕方ないように、身体を小さく丸めるようにしていた。自分を抱きしめて。――ああ、でも、涙だけは、止まっているみたいだった】
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 00:35:04.95 ID:wp2fRbFp0
>>134

なら、もう少し上手く嘘をついてほしいもんだ。
下手な嘘も嫌いじゃないけどね

【煙草を指先でトントンと叩いて、灰を落とす。短くなったものを持ち替えてでも、無理やり吸い】
【その先端が真っ赤に燃えているので、やっと日がだいぶ暮れてきたことに気がついた】

そうさ、俺たちはその力があるんだから

【せめて、そう思う。思い込むしか無い。これは祈りだ。願いよりももっと不確かだ】
【そう思わないと、悲しすぎるじゃないか。こんな少女ですら、ろくでもない運命につき合わされているなんて】
【やはり世界はクソッタレだ。】

天然?…たまに、言われんだけど。どのへんが…まあいいや。
…あー、そうか。…そういうもんか……いや、まあ。いいや。どうせ、頑張ったところで
ハイテクメカでバレるんだし。忍んだって彼処は、しょうがない。

【タバコの火を消して、彼は「寒くない?」と問いかけた】

なら、そろそろ終いにしよう。…つかの間の休日もコレで終わりだ
良い休みになってよかったよ。
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 00:42:04.41 ID:cZSkGQTTo
>>141

【彼の言葉につられて周囲を見た、確かに暗闇が周囲に降り注いでいた】
【暗夜に瞬くいくつかの星は残照、刻む音色にいくつかの名残を載せて】
【一つまた一つと、紡ぐように描かれていた】


私も楽しかったです! ロッソんとお話出来て鵺ちゃん大満足です
こんな風にまたお話ができたなら、そうやってぐーすか、のんびり過ごせたら
それはとっても幸せだと思いませんか?


【──ですから】


頼りにしてますよ、ロッソ、ハッピーエンドを返してもらいに行きましょう


【どちらがロマンチストなんだろう、えへへと照れたように笑ったら】
【忍びの言葉に嘘はなく、溶けるように闇夜に消えていく】
【溶けた後には残り香だけ、優しい甘さを残していたから】

【──なお会計は支払わない、そこは徹底していた】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/05/02(水) 00:48:47.08 ID:zw1EBkzto
>>129
【そう、彼のそんなところが。こんな何の変哲もない民家のような場所の方が、彼の本来の居場所なのだと】
【そう感じさせられるようなところが、異形の盗賊に表面上の媚びを拭い去ったのかもしれない】

【武骨な手で思いのほか器用にマグカップを持ち上げ、コーヒーを味わう頃には】
【想像とは違った王≠フ姿に、どこか毒気を抜かれつつあった。それもまた、彼の持つ貌の一つに過ぎないのだろうが】


それは失礼した。今後は控えるよ、デュボンさん

ああ、その辺りのことは彼女が話してくれた。『黒幕』との戦いすら、前座なのだと
……ふ、ふ。それはそうだ。かつて数多くの傑物が、強大な戦力を率いてこの世界に覇を唱え、結局は敗れて消えていった
貴方のこれまでの手口は、そういったものとは違うな

【いつしか、異形も淡々と。「ああ、耳にしたことはある。正直なところ、悪評ばかりではあったが」。答える声も至極あっさりと】

【そも、この世に混沌をもたらさんとする邪悪の組織がカノッサ機関。その機関において、品位を問われる事態にまでなったのだ】
【となれば、余程のことなのだろうと異形は察していた。査問にかけられたばかりか、あのカチューシャに仕置きされかけたという噂まで流れて来たのだ】

【口には出さないが、カニバディールとて薄汚い盗賊。先に指摘された処世術と、故郷仕込みの姑息さで】
【本来ならば、ジルベールに向けられたような評価を回避していた。これには、この異形をナンバーズに推薦した当時の六罪王・レギンや】
【繋がりを持っていた会計係・コマチ、参謀・ソーンといった大物たちの後ろ盾も大いに関わっていたが】
【ともあれ、わざわざ彼から感じられるある程度の経緯を、あえて否定もしなかった】


……あれに関しては私自身の都合と、何より彼女の生きる意志の強さあってのことだが
その礼は、素直に受け取っておこう

強欲な盗賊相手に言い値とは、そうそう聞けない言葉だ
――――彼女以外に三人治療して、実をいうと結構な額の予算をつぎ込んだ
治療費はいらない、と恰好を付けたはいいものの、少々困っていたところなんだ

【そういうと、カニバディールは値を提示した。流石に天文学的ではないが、あれほどの重傷を負った四人にかけた治療費はやはり高額であり】
【特に重傷であったミラに対する治療は、やはり一般的にはかなりの値段だった】

【遠慮を知らない盗賊は、今後もうないかもしれない金の亡者の申し出に飛びついた】
【それでも、その金額はミラの治療にかかった分だけに抑えてはいたが】
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/05/02(水) 00:54:16.09 ID:V4VsrLHno
>>137


【周囲の艦船からの制圧射撃。 面で捉えるそれの前では、いかに高速といえど回避は難しい】

【 だが、射撃が開始された瞬間、“水面が盛り上がった” 】

【6つの影は、その勢いを借りて、ボードに乗って宙へ跳ぶ】
【先程の“粉”。 原理は不明だが、それが海水と同化し、水面を意のままに操ったのだろう】
【── 制圧射撃を回避し、そのまま宙でボードを捨てた六人は、榛名の甲板に着地した】


【面にはそれぞれ、“狗” “蛇” “象” “狐” “狼” “鷲” の意匠】



  “  …………。  ”

                   “  …………。 ”

      “ …………。 ”


【改めて眼前に捉えれば、矢張り、それは異様な集団だった。 生気を感じない訳ではない】
【三人が数瞬の内にハンドサインで遣り取りをする様は、寧ろ、訓練された兵士のようでもあった】
【──、だが、一方で感情は発露しない。 面の奥に、真に人の顔が隠れているのか疑わしくなるほど】
【彼らは、その目的の為だけに動き、そして── 】


 【 甲板の将兵達を、次々に切り裂いていく 】


【刀の間合いで銃器を構えられれば、その引き金を引くよりも疾く、腕を斬り落とす】
【遠方より狙われれば、他の兵士を盾にし、さもなくば躊躇なく後退して遮蔽物に身を隠す】
【1人が背から狙われれば、他の者が襲撃者の脳天を銃器で撃ち抜く】


【── 練度の有無、という話ではない。戦闘に長けた兵士ならば、対応することは可能だろう】
【だが、“動物”達は間違いなく、“人殺し”を知り尽くしていた。 動きに迷いがない。殺しに躊躇がない】
【隙を見せた者から殺していく。 怯えを見せたものから殺していく。 それでいて、引き際も心得ている】
【戦闘の中、彼らに若干の傷を負わせることは適っても、相当の手練でなければ命を奪うことはできないだろう】



 “ …………。 ”


【そして、戦闘の最中。 “狗”の面を被った者が、頃合いを見て艦内へと入り込んだ】
【彼は、外観から“目標”の位置に当たりをつけていた。──その部屋に到達するまで、迷いなく】
【ただ、道を塞ぐ人間達を殺し続けることだろう】

  【 ── 】

……、安全な場所?
乗り込まれたら、それこそ、この船の外ぐらいしかないんじゃないの。

【刺々しさに悪気はない。初は、自らの疑問をそのまま翔子にぶつけた】
【それから首を振って、腰のホルスターからナイフを引き抜く】

そこのお爺さんは甘く見てるみたいだけど、私だって戦える。
多分、この船に乗ってるその辺の兵士よりは、ね。 ──どっちにしろ連れて行くなら、早くその人連れて行きましょう。
……作戦っていうのは、逃げる場所と関係あるの?

【──乗り込まれたのか、甲板の方が騒がしくなってきた。動くなら早い方が良いだろう】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 00:56:27.46 ID:ag5y4u6P0
>>140
【少年が立ち上がる。目の前の少女より少しだけ大きい程度の身長】
【赤い髪は毛先に向かって黄色に抜けて。長い前髪をうざったそうにかきあげれば結ばれた後ろ髪がぴょん、と跳ねた】
【暖色を基調とした服ーー橙色の短めのケープに中華調の服。鎖骨下あたりに二つの中華結びの飾りがケープの下から見え隠れして】
【自身の質問に首を横に降る少女ーーそっかぁ、なんて言って少女の周りを歩き出す】
【着地しても鳴らなかったロングブーツがコツンコツンと静寂の街に響いて】
【「僕の名前かぁ、なんて名乗ろうかなぁ」なんて間延びした声で言いながら、しかしどこか警戒するように、少女を中心に一周する姿はもしかしたら失礼に値するかもしれない】
【ーーまた、元の位置に戻る。彼はすごく困ったように笑っていた】

なんかいろいろ怪我してない?
夢の中じゃなくてマジでいじめられたんじゃないのー?鈴音ちゃん

【少し屈んで、少女の双方を覗き込む】
【赤と黒とーー少年は真っ黒な瞳で見つめ、やがて「うん!」と何か決心したように背筋を伸ばした】

白い神様……いやぁ、神様っていうには説得力ないくらいボロボロだよー?
こんな時間じゃ病院もやってないし、家まで送ろうか?
抱っこ?おんぶ?それともまだその足で歩く?それともどっか別のところにする?

【彼女の独特な名乗りには納得したようだが、痛々しい姿を見てそう言わずにはいられなかったようで】
【抱っこか、おんぶか、もしくはーー彼女
が答えるまで、少年は待っているのだろう】
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 01:10:47.02 ID:yoBiEaBb0
>>145

【――――自分の周りとぐるりと一回転。元の位置に戻った相手を、少女はひどく不安そうな目で見ていた、ダンボール箱の中の子猫みたい、雨に打たれ続けた後のか弱さ】
【ぴいぴい泣いて誰かに拾い上げてもらうのを待つだけの――だけれど今は少しだけ違うなら。ああでも。だけど。そんな経験、きっと、忘れることはできないから】
【たったの一度だって経験してしまったら、一生に影響を及ぼすほどの呪い。きっとそういう呪いを受けたのだ、彼女は。――相手の困った顔。こちらも、困った顔】

…………。

【――知らないひと。知らないひとだ。だのに。いやに友達みたいにするひとだと思った。――嫌だって思った、放っておいてほしい、構われたくないって】
【ぎゅうと自分自身がぬいぐるみであるかのように抱きしめる。そうでないと不安でしょうがないみたいに。――薄い布地の寝間着がくしゃりとしわを寄せる、少し寒そうだった】
【覗く肩はひどく華奢で。浮き出す鎖骨はべっこりと凹んで。眉根を寄せて相手を睨むようにしてみるのは――ひどく愛想がない。って、思わせるだろうけど】

や――。……あなた、だれ? "黒幕"なの、"円卓"、……なの? わたし……、
やだよ、もう、やだのに――、わたしに、用事が、あるの? ……。

【覗き込まれる目は、そのまま逸らされる。逸らされた先で地面でも見つめているだろう、ひどく怯えた様子で。震える声が紡ぐのは、知らねば知らぬ名、世界の出来事】
【知らない知らないって言い聞かすように首を振る。それでも。「――――かえる」と呟いたのは、やっぱり、怖くて、寒くて、だけど、ぐるぐる混乱している】
【そもそもどうしてここに居るのかも他人から見ればわかんないような少女だった。怪我をしているのは確かで。だけれど思考回路はちぐはぐで。黒幕だの円卓だのと口走る】
【抱っこもおんぶも要らない。――用事もないのに誰かが話しかけて来るだなんてないって思っているような、素振りだった。相手が無関係であると言う可能性、排除してしまったよう】

【――近しい距離感に、困惑する。じりじりって身体を引いて、今すぐにでも走り出して逃げ出す瞬間を伺う、野良猫みたいだった】
【でも――そんな元気、きっとない。だからじりじり後ずさりするばっかり、ふーふーって威嚇する元気もないなら、ただ、じっと、どこか責めるような視線を、向けるばかりで】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 01:19:56.98 ID:J8Ttdw3G0
>>144

【戦艦榛名、甲板】

「ぐああああああッ!」
「あ、が……ひゅ、う……」

【喉を腕を、切り取られた水兵たちが、鮮血を甲板に広げて倒れ伏してゆく】
【その最中で、一人の機関員、狗の仮面を被った者が船内に侵入する】
【無論、それに対応できる状況ではない】

「撃て撃て!!今更命を惜しむな!!」

【甲板ではそう、残りの動物の仮面達に対抗すべく、銃声と指揮官、下士官の怒号が響く】


【榛名、艦内】


「そう、外ですよ!」

【しれっと、初の疑問にこう答えた】
【しかし、海の外とは、外は一面の海原だが?】

「関係ありますね、正確には外と言うか……海の中ですが」

【扉を開け、短機関銃を構えながら、警戒しつつ進行しようと】

「先ずは後部甲板に出ますよ!中尉とはそこで落ち合います!」

【こう言った事に初は手慣れているのだろうか?】
【戦闘態勢に入る初に合図を送りながら、二人でヨハネス氏を挟む形で、護衛しつつその場所に向かうように】
【進行を開始した】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 01:33:50.20 ID:ag5y4u6P0
>>146

黒幕……円卓……んー
いやぁ……聞いたことないけどなにそれ
まあなんでもいいんだけどさあ
僕の名前ならシロだよ、ね?覚えておいて
……言っとくけど、別に偽名じゃないからね?

【黒幕も円卓も聞き覚えのない単語。それでももしかしたら知っているかもしれないって頭の中を探すように唸っていたけど。やっぱり情報はなにも見つからなかった】
【誰と聞かれればまるで愛称のような名前を教えて。怪しまれるといけないからって弁明も付け足して】
【シロは困ったように、ブーツのつま先で地面を蹴り出す。睨まれたのならそれでも困ったように覗き込む】
【後退りする少女。そんな歩き方じゃ、足がもっと酷くなっちゃうなぁ、なんて。考えながら腕を組む】
【明らかに警戒されているし、なんなら嫌がられている。怪我した少女を放っては置けないけれどこれじゃまるでこっちが犯罪者】
【用事があるのかと問われれば「いやぁ……」だなんて中途半端な返事しかできない】
【屋根の上にいた時は誰でもよかった。ちょっと遊び相手になってくれそうな人が通ればなあ、だなんて思っていた】
【ただ、歩いてきたのが鈴音だった。怪我をした鈴音だった。であれば戯れている場合なんかじゃなくて】

ねえ、鈴音ちゃん

【少し強めの声だった。威圧的とか、そういうんじゃなくて後ずさりする彼女を呼び止めるようにーー】

蛇は好き?

【唐突な質問だったが、彼女を引き留められそうな質問が、シロにはこれしか思いつかなくて】
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 01:41:57.42 ID:yoBiEaBb0
>>148

【「シロ……」】
【震える声が、相手の名をなぞった。そしてそれは反射的でもあった。彼女はただ喰われるだけのありふれた小動物と違うから、違ったなら】
【相手が何かを考えて、理解しようとするだけの頭があった。――熱病に似た眠気は、今は、薄れている。そうしていられる場所ではないと知っている、"ここは"】
【いつまた敵が来るか知れない場所だ。だのに出てきてしまったことを後悔する。だけど――それでも。痛かったから。それだけ。――本当に、それだけ】

………………、

【ずり、ずり、と、音がする。靴底ではないから足の裏が砂つぶを踏む音はもっと生々しい音、大きい傷はないけれど、小さな傷がいくつもあることを思わせる音】
【よほど遠くから歩いてきたのかもしれない。泣きながら? ずーっと、ずーっと、来たのかもしれない。どこから? いろんなこと、きっと白黒つけるには足りないけれど】
【ただこればっかりは"きっぱり"していることがあった。それが白色だって黒色だって別に構やしないけれど。――ああ、やっぱり、白色がいいなって思った。だって】

……――――――すき、

【――すん、と、涙声が答えた。唇をぎゅっと噛んで、どうして今そんなことを聞くのって目をする】
【それは彼女が無視できない質問の一つだった――たったそれだけの偶然で、彼女はその場にとどまったのだ。どこか蛇の目に似る目を、ぱちぱち、瞬かせ】

――なんで?

【――――そうやって尋ねる。薄いピンク色の布地をぎゅうと握りしめて。くちゃくちゃに袖の余った服は、少しでも腕を持ち上げたなら、ぞろぞろと細い骨ばった腕を覗かす】
【少し興味を持った。だけど、あくまで少しでしかなかった。――そうしてまた黙る。相手の言葉を待って――そう、その返事を待って。理由を、聞こうとして】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/05/02(水) 01:47:34.88 ID:V4VsrLHno
>>147


海の中──?

「…… 成程な。」

【翔子の言葉にピンとこない様子の初と、その意図を汲んだヨハネス】
【彼等三名は、後部甲板へ向けて部屋を出る。──意外な事だが、廊下は静かだ】
【“動物”の姿もなければ、争いの声も遠い。目的地へは、拍子抜けするほど簡単に到達するだろう】


……、厳島さんは?


【だが、恐らく。その場に合流する筈の人物は、未だ到達せず】


/続きます
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/05/02(水) 01:49:41.42 ID:V4VsrLHno
>>147
【“狗”は靴を血に汚しながら、歩む。 彼にとって見慣れた光景が、その後には広がっていた】
【人間の血と肉。 或いは、血と肉になった人間。 ──何れにせよ、無価値なことには変わりない】
【そうして幾度も刃を振るい続けた末に、“狗”は、“目標”へと辿り着いた】


 『  やぁ、厳島中尉。  』


【そこが、船内のどの場所なのかは知れない】
【だが、“狗”は厳島を見つけると、その仮面を取り外して笑顔を見せた】

【相貌を詳しく知る必要はない。それは、彼の本当の顔ではないのだから。少なくとも、今は】
【貴方は、彼が“狗”だということを分かっていればいい。 それが、動物としての彼ら自身だ】
【──その声は、先程の通信の男と同じ。「久しぶりだね」、と、馴れ馴れしい言葉に、嗤いを織り交ぜて】



『この船、アイツ運んでるんでしょ。 ヨハネス・ロトゥノカイト。
 ……彼は彼で後々邪魔になるかも知れないけれど、今はどうでもいいや。
 それより、君だよ君。 他所の国でさ、こそこそと。 ──この前の“お仕置き”でも、分かってないんだろ。
 自分達がどれだけ迷惑な事をしてるか。 どれだけ、余計な嘴を突っ込んで人々のしあわせを奪ってるか。




     だから、君を殺しに来たんだ。僕達は。    』




【 彼らの狙いは、初めからヨハネスではなく、魔導海軍の“厳島中尉”】
【それは、“黒幕”にとって至極合理的な対象選択であった。 どこから情報を得たのかは、定かでない】
【だが、この国の闇の一端を支配する彼らにとって、それは容易なことだったのかも知れない】
【──彼を殺せば、魔導海軍の水の国での活動能力は大幅に減退する。少なくとも、諜報面においては】



『 …… でも、僕達は一度だけ君に機会を与えようと思うんだ。
  タダの人殺しじゃないからね。 慈悲は、しあわせに必要不可欠なものだ。 』



【“狗”は血で紅く染まった白刃を宙空に振り、それから、切っ先を厳島に向ける】



『 このまま国に帰って、もう二度と水の国の土地を踏まないのなら、見逃してあげる。
  まだ、邪魔を続けるのなら君を殺す。 ……さ、早く決めようよ。こうしてる間にも、上では部下が死んでるよ。
  人間らしい葛藤とか、そういうのは良いから。 簡潔に、答えだけを頂戴ね。 』



【そう、一方的に告げて“狗”は、再び仮面を着けるのだった】
【──交渉も、妥協も期待しないほうがいい。彼らは人間ではないのだから】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 02:06:10.05 ID:ag5y4u6P0
>>149

【ーーよし、止まった!】
【彼女がその場に止まったのなら、シロはほんの少しだけ近寄る。また猫みたいに足音も立てずに、気づかれない程度に】

蛇ってー、なんも悪いこともしなくていい子だよね。俺も好きだよ
じゃぁ桜は?好き?

【気を引かせられそうな質問、第2弾】
【少し早口に。彼女の興味が薄れる前に】
【前髪をかきあげる。黒い瞳が揺らぐ。何かを思い出すように目を細めれば、ええいって勢いをつけてボールを投げるようにーー】

季節外れの桜、とっても綺麗だったよ
一瞬で散る儚い桜だった。僕も見てたんだよ
ねえ、君はあの時の桜の妖精さんで間違い無いよね?

【ーー投げるように話し出す】
【彼女は覚えているだろうか。葉桜に変わった並木のうちの一本に、桜を咲かせた奇跡】
【あの場所にいたのは黒い服をきた少女だったが、まるでこの少年もとなりにいたように】
【あの時の妖精さんはもっと大人っぽい印象だった。こんなに泣きじゃくって、ボロボロになってーー】
【この短い期間に何があったんだってーー】

ねえ鈴音ちゃん、僕と少しお話ししよう
もしかしたらだけど、怪我だって少し……治せる……うーん……

【最後は少し、自信なさげに俯いて】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 02:16:12.81 ID:yoBiEaBb0
>>152

【――それでも。相手が距離を詰めようとしたなら、少女はその痩躯をびくりと震わせるのだ。だけど――相手が怖い。それはきっと、正解だけど、間違っていて】
【赤いペン先はきっと三角の形を描いてしまうから。――なら。少女はきっと何でもかんでも怖いのだ、ひどく不安であるかのように、視線は、ぐるぐる、よく動く】

桜――――?

【また、なんで、と。口が動いた。だけど言葉になるほどではなかった。蛇。桜。それらの言葉は――ひどく自分に関わるものだ。どうして相手は、そんなものばかり選ぶのか】
【不安はどんどん大きくなって、また泣きそうになる。ケイのようなたぐいかもしれない。敵が自分のことを調べ上げて――送り込んだのかもしれない】
【ならばここで殺さないといけない。殺したらいいのだろうか。それも分からないのに。だって自分は逃げ出したのに。だけど敵はきっとそんな自分を見逃してはくれなくて】

――――――――、あなたは誰?

【――――鈴の音が、ひどく困惑した様子で紡がれた。季節外れの桜。ほんの一瞬の奇跡。――桜の妖精。その言葉は、ほんの最近、聞いたことがある】
【そんなのじゃないよって言ったのを覚えている。――ああ、そんな素敵なものじゃなかった。自分だなんて。そんな風な言葉は似合わなかった。知っていたのに】
【目の前の相手はあの時語らった少女と違う――だけれど、「僕も見ていた」。ならば、一緒に居たのか。どんなかたちで。――だけど、そう聞けば、それは親近感もある】

【――少女もまた容れものでもあったから。真っ白い神様を降ろすための。"そういう"ことなら、理解できる。理解できる、けど――】

…………いやだよ。治さないで――、帰るの、わたし、帰らなくっちゃ……。
――何をお話するの? …………――――、……ああ。ちがうの。ちがくて。

今、クローディアちゃんは一緒に居るの?

【ざわと不安が湧き上がる。この傷を治してもらったなら。きっとまた怒られるって思うのだ。それはひどく恐ろしくって、だけど同時に、ひどく心惹かれる】
【ぞくぞくって背骨に走るのは変わらぬ痛みであるはずなのにどこか熱を帯びるように思えてしまう、――だけれど表面的には怯えた子供のように"いやいや"するばかり】
【――それでも。聞かなくっちゃならないことがあった。こんな自分は見せたくないって思う――そんなの、くだらない、プライドみたいなものだけど】

【あの景色を喜んでくれた彼女に。こんな姿は。見せたくなかった。――わがままをしたからこうなのに、それでもなおわがままを重ねてしまう、――視線が、相手へ向いて】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 02:32:58.83 ID:ag5y4u6P0
>>153
【混乱する鈴音を静かに見守る。近づかれるのが嫌ならば、また一歩下がって距離を取る】
【自分は何もしません、という風に両手を上げて。なんなら左右にふってみせ。力すら入ってませんよとアピールして】
【誰と聞かれれば少しだけ嫌そうに顔をしかめるだろう】
【誰ーークロは僕のことをどういう風に紹介していたっけ……ああ、そうだ】

クローディアの…………弟だよ

【不貞腐れた声、本当は兄だって名乗りたいけど話を混乱させるのは良くない。もう、この際弟でもいい】

【ーー鈴音さんはなんであんなに怪我をしているの?】
【ーー痛くないの?】

【って、僕の中でクローディアが泣いている。少し黙ってて、って語りかける】

治さなくていいっていうなら僕は何もしないけど……
クロもいるよ、見てる。妖精さんの姿を見て泣いてるよ
なんなら僕じゃなくてクロがいい?代わってもいいよ
……でも君がもう帰りたいっていうなら、僕のままここで見送るよ

【手を後ろに組む。くるり、と背中を向ける】
【刺したいならばどうぞ。首を締めたいのならお好きなようにーーそれくらい無防備であるということをわかってもらいたい。そう取れる行動だった】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 02:47:47.11 ID:yoBiEaBb0
>>154

【――――ああ、って、思考が混濁する。真っ白に白濁する、溢れてしまう寸前の川みたいに。だからあの白蛇は神になった】
【全く敵意を見せない相手。欠片も持っていないことをアピールする相手。それでも少女は怯えてしまうのだ、怖いって、泣いてしまいそうに】
【あどけない顔をぐうと歪める。姉でも弟でも兄でも妹でもよかったけど――何をしたかは覚えている。何を話したかも。だけど全部薄皮一枚向こうの景色みたいに霞んで】

…………そっか。

【それでも。それなら。頑張らないといけないなって思うくらいの気持ちは――まだあった。かろうじて残っていた。残っていて"しまった"というべきかもしれないけど】
【一回すべてが崩れてしまった後に元の形を真似するのはひどく疲れる。思い浮かべるだけで途方もなくって、なんで、こんなに、頑張れたんだっけ、って他人事みたいに思う】
【いろんなものを護りたかった、んだと思う。頑張ってきたんだ、って、思う。でも――全部間違いだった。その間違いさえなければ、こんなに、頑張らなくって、よかった】
【――だけど、今は、頑張らないといけない。あんなに喜んでくれた女の子のために。それくらいのことは、きっと、みんなも、許してくれるって】

……――、――ううん。ごめんなさい。クローディアちゃんには、今……、会えない、から。……そのままで、居て。
ごめん、ね、――ごめん、なさい、わたし、は……、えっと、――――なん、だっけ。

【一生懸命に崩れ落ちた自分を集めて並べてみる。おんなじような形になったかと思っても、手を離した瞬間に、がらがらって崩れ落ちてしまうから】
【分からなくなってしまったみたいに呟いた――「なんだっけ」。それで言葉は詰まってしまう、でも、確かなのは。――会いたくないって、言ったのだ。クローディアに向けて】
【実際に言葉を向けたのはシロに対して、だ。こんな自分では会えないって。でもそれは明確にクローディアを拒絶する言葉だった。相手のせいではない、少女が悪い】

【――――だけど】

あのね、……ううん、えっと、

【――きっとクローディアはそれでも傷ついてしまう。泣かないでほしいって伝えたくって、でも、言葉が出てこない】
【意識が曖昧に崩れ落ちていくみたいだった。微睡みは何にも考えることが出来ないけれど、その代わりに、考えすぎてしまう心を護ってくれる】
【だけどここには何にもない。何にもないから。考えすぎてしまう。考えすぎてしまうなら――フリーズを起こすパソコンと、きっと変わらないのだ。何も、何一つも】

ぇと――、あ、……あう……――、

【言葉を喉に、感情を脳血管に詰まらせてしまったみたいだった。ならば手詰まり、何にも言えなくなって、どんな気遣いも出てこなくなって、ただ狼狽える】
【ずり――と足の裏を地面に擦り付ける、足音。今度こそ逃げ出そうとしてしまう、――これが限界だったみたいに。なら、その身の中に居るという少女にはどう見えるだろう】
【あれから何日も経っていなかった。だけど世界は無慈悲に進んでしまう。だけどみんなにとってそれはおんなじで、だから、ただ、平等なだけだけど】

【――余命宣告を受けていた末期の病人が死んでしまうみたいに、彼女もまたへし折れてしまった。ただのそれだけ。それだけだけど――平等は時にひどく冷たくて】
【なんにもなければ。そのまま走って逃げていってしまうだろう、自分が来た方向に、そのまま、逃げていく。――追いつけないほどの速さでは、決して、ないけれど】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 03:13:24.30 ID:ag5y4u6P0
>>155

【言葉を詰まらせる少女。ぎこちない鈴の音を背中で聞いて】
【そのままでいてと言われれば「はいよー」と返事して。クローディアの反応が消えたから、あー、隠れちゃったかあなんてぼんやり】
【この世界に迷い込んできて《交代》したのは今日が初めてで。初めて会ったのが、自分は知っている鈴音で。でも様子が違って】
【彼女の漏れる声を聞きながら、クローディアの内側でみた光景を思い出して。花びらが散っていた。夜の月に照らされて、嘘みたいにキラキラと】

ごめんね、驚かせちゃってー
怖がらせるつもりなかったんだけどさあ
こんな出会い方じゃあー鈴音ちゃん、きっと僕のこと受け入れてくれないだろうけど
でも僕は嬉しかったよ、桜綺麗だったって、妖精さん本人に伝えられて
今度は直接この目でみたいからさあー
あんまり、遠くに行かないようにね

【果たして今の彼女に伝わるかはわからなかった】
【後ろ向きもそんなに意味がないのだと、またくるりと向き直り。ふわりと赤黄の髪が舞う】

僕が怖いならいいよ、帰って
すごく残念だけど。ここで鈴音ちゃんを引き留めないの、本当はすげー嫌なんだけど
でもこれ以上踏み込んだら、もっと嫌われるでしょ?僕ー



157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 03:31:07.50 ID:yoBiEaBb0
>>156

【自分だけが置き去りにされているみたいだった。自分の考えごとからさえも、置き去りにされて。自分だけ、ただ一人だけ、ぽつんと置いて行かれてしまったみたいな】
【どうしようって思ってもどうしようもない。考えようと思うと、何も考えられない。恐怖と不安だけがたくさんあった、それで思うのだ、――帰りたいって】
【帰りたかった――それで。また何も考えずに、微睡む。外は怖いって思いだしてしまった。なんで、この前まで、こんな場所を当たり前に出歩けたのだっけ】
【考えても考えることはできないから。答えは沈黙、――足をずりずり後ろに下げる。震える吐息がしきりに言葉を紡ごうとしていた、初めの音だけ、何度も喉に詰まらせて】

ご、め、――あ、ゥ、――ご、――ご、ぇ、……ひッ、う、

【――結局、言い切ることは、出来なかった。振り返った彼と一瞬だけ目が合う。合う。けれど、すぐに逸れてしまって】
【ぱたたって小さな足音。素足が砂粒を踏みつけて、土くれを蹴り上げて、逃げていく。追いかけないながら、その背中はどんどん小さくなって、そのうち見えなくなるだろう】
【ならば――どこかで、彼はきっとこれで"正解"だったって、思うのかもしれない。あくまで自分で限界を訴えて、逃げ出すことが出来た。これで、もし、追いかけてしまったなら】
【もっと"ひどい"ことになったんだって、思わせるような、背中だった。――だから、彼の判断は正しかった。それに花丸を付けてくれるひとが、どこかに居るのか、分からないけど】

【――――】

【真っ白なベッドにもぐりこんだのは、そこからいくらも後だった。泥だらけで傷のついた足の裏側もそのままで、土に汚れた寝間着の裾もそのままで】
【ならば室内で過ごしたにはありえない様相――足の裏にそのままくっつけてきてしまった石ころが、てん、てん、てん、ちっちゃな星座みたいに、いくつも床に散らばって】
【それでも寝顔はひどく安らかで――"誰か"を傷つけてしまったかもしれない現実を忘れるまで、貪る。柔らかいアイスみたいに溶けた心、少しでももう一度、固めるために】

/おつかれさまでしたー!
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 03:39:54.82 ID:ag5y4u6P0
>>157

僕は気にしないよ、気をつけて帰ってね

【謝っているように聞こえた。自分にか、クローディアにかはわからないけど】
【ならばそれに答えるようにーー走り去る姿に向かって投げかけて。届いても、届いていなくても、いいんだけれど】
【見送りが済めば彼も歩き出す。なんだかへんな気分だなー、なんて空を見て。わあ暗い。昼行性なのに。出る時間を間違えた】
【歩きながら「でもクロは何もできないでしょ」とか「いやー僕も何もできないよ、あれ以上はなーんも」なんて、誰もいないのに一人でしゃべって。人がいたら怪しまれるかもしれない、でもそこはだーれもいないとある街ーー】

//ありがとうございました!お疲れ様です!!
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/05/02(水) 09:43:24.35 ID:IArWIwP6O
>>139

(────本、『異本』『写本』…………?)
(く、さ…………び……、────楔?)


【相手を気に入らないという感情が、よりキツくなる。あるいはこれが──不信感、か】
【古今東西、こうやって訳の分からない言葉を残していくのはムカつく悪者だと彼女の中では相場が決まっていた】
【婦警然り──“OMEROS”然り。ち、と舌打ちをする】
【そうであっても…………けれども、鈴音の今の居場所は“あちら”にしかないことは変わらず】
【足りない頭を回す。こんな時、どうすればいい。…………こんな、時】


…………旧市街、だな
あぁ────気が向いたら、遊びに行ってやんよ
はっ…………最近はちょっとツイてないことが多くってよぉ
天の神様が、旧市街で運の微調整をしてくれることをお祈りしとくぜ


【夜闇に溶けるように飛翔するイルを、そのまま見送る。旧市街、といったか】
【イルの口走った言葉の響きを忘れないうちに、ベンチに座りなおす。そして】
【ずきずきと痛む手で、メールを打ち始めた。昨日よりも、長い長いメールを】


/お疲れ様でしたー!
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2018/05/02(水) 09:43:50.48 ID:IArWIwP6O
【送信者────ミラ・クラァケ】
【送信先────カニバディール】

『よぉ、元気か?こっちはおかげさまってとこだな』
『傷の具合もぼちぼち。たまに痛むが、そんなとこだ』

『で……鈴音がいなくなった、ってのはこないだメールで回したよな?』
『今日はあんただけに特別情報。昨日の一抜けメールの存在はちょっと忘れといてくれ』

『鈴音はきっと、水の国の旧市街にいる。イル=ナイトウィッシュとかいうのと多分一緒に』
『イルは小悪魔みてぇなガキの見た目してる。悪魔の羽と尻尾がぴょっこぴょこのな』
『んで、イルの目的はヒトデナシの世界を作ること、だとよ』
『あたしとか、鈴音とかみたいなのを集めてよ。…………一見するといいこと言ってるように思うんだが』
『あいつ、さっき会った時に異本だの写本だの偽書だのの在り処は分かってるとか』
『後は、必要なのは楔だけ、とか言い残していきやがった。意味不明だろ』
『分かりにくい言葉を使うヤツは古今東西、悪人って相場が決まってる。そんじゃあいつも悪者だ』

『けど…………イルの言ってることは確かに一理あるように聞こえたんだ』
『あたしらみてぇな化け物の国は、本当に聞こえだけはよかった、し…………』
『鈴音はさ。イルの側で、多分しっかり寝れてんだよ。こないだまで、全然休んでなくてふらふらだったくせに』
『だから、その。鈴音が休める場所ってのは、今んとこイルの側にしかなさそうでさ』

『なんか内容とっ散らかったメールで悪ぃな。あんま、頭良くねぇんだ』
『書きたいこととりあえず書いてるって感じでよ。それで要件は、だな』


『…………あんたに、鈴音のことを任せたい。あたしよりもあんたの方が鈴音との付き合い長いだろうし』
『何より……あんたは鈴音が一番信頼してた悪党だ。鈴音のこと、頼んだ』
『あたしはどうしても、ヒトじゃねぇからイルの方に肩入れしちまう。だから』
『あんたが、見てきてくれねぇか。それに、三つの目は他の連中よりも良く見えるだろ?』

『このことを他の連中に教えるかは任せる。ただ、イルは相当な曲者だ。気をつけろよ』


【────送信】

【は、と口を弧に歪める。こんな時、どうすればいいのか。答えは分からない】
【分からないから────誰かに頼ることにした。自分は人の真似ばかりしか出来ないから】
【こうやって仲間に任せるんだ。特区のことも、婦警のことも】


────イルちゃん、よぉ

人間に喧嘩売るんなら…………、覚悟決めとけよ?


【すとんと端末をポケットにしまう。手がだいぶ痛い。中途半端な傷だから余計に】
【今日はカードを撒けるだろうか。ディーラーの仕事を考えると】
【人を殴りまくるのも、もうちょっと考えた方が良さそうだ】

/メール的さむしんぐでございます
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 10:00:58.67 ID:ORkNAid40
>>143

人間の欲望なんてのは、たかが知れてる。
言い値といっても案外人間は遠慮をするもんだ
それに、今までに持ったことのない金額を提示することもない。

なにせ"怖い"からな。何十年と積んできた自分の人生。
それと等価の金をぽんと渡されれば、誰だって心がざわつくもんだ

【相当な額を提示された。それでも尚、ジルベールの反応は軽いもの】
【分かったと一言告げるとマグを置いて――ふと、椅子を立ち】
【かがみ込んで床板に触れる。ちょうど流しとテーブルの間の空間だ】

【しばしもすると――かこん、と板の一枚が外れて、持ち上がり】
【そこから数枚、横並びになっていた物を外していく】
【約60cm、地表と床板の間には空間があった。大概の家屋はこういう構造をしているはずだ】
【そして、その空間には幾つかの塊が置かれていた。黒いラップ包装の、四角い塊であり】


……1つ、1億だ。アンタは幾つ欲しい、カニバディール?


【床に空いた穴に足を踏み入れ、重たげに塊を持ち上げて】
【ドスン、とカニバディールの足元へと、それを置いて】

【穴から出て、キッチンにあったハサミを手にすればラップ包装の角を切り開く】
【そうなれば姿を見せるのは、この世界における最高額の紙幣の束だ】
【切り開き、一つ一つ手にとっても構わない。いずれも本物で、使い込まれた札束だ】
【ピン札――強盗などで出回るそれと違い、合法な金。追われることも無く、すぐに使える】

【――以前から、そうして集めていたのだろう。その一部を持っていって欲しいと、改めて告げた】
【黒い塊は見える範囲でも9つ。幾つ欲しいんだと、ハサミを置きながらごく淡々と語りかけた】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 11:15:03.95 ID:wp2fRbFp0
>>142

【夜も更けて、明日がやって来る。やり場のないものばかり携えて】
【俺たちは明日へ向かう。準備ができていなくたって星が瞬いたなら行かなくてはならない】

そう?大した話していないけど…鵺ちゃんがいいなら、それでいいや。
……俺は大馬鹿野郎だから、幸せから飛び出しちまうんだ。幸せは…こういうときだけでいい

【彼は立ち上がって、ジャケットを羽織った。残り少ないビールを飲み干して】

ああ、俺が…ケリをつけてやる。

【彼は探偵で、主役にはなれないと思っていた。能力も強いわけではなく、あくまでそれを支えるのが仕事だと】
【だがはじめて彼は言い切った。俺が、俺たちが、やるんだと。足りないものは全部、気合で誤魔化してやろう】

【彼は少女がいなくなると、クシャクシャの札を数えて足りることを確認して、真面目に支払ってからふらりと外に出た】
【次に目指すは“特区”だ。その前に、やらなくちゃいけないことが山積みだったけど】


/こちらもコレで〆です!ありがとうございました!!
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 12:28:13.97 ID:cZSkGQTTo
【旧市街──人気の少ない公園にて】
【公園と呼ぶのも躊躇われる空き地、申し訳程度のベンチに腰掛けて】
【一冊の本を読む少女が一人】

【プラチナブロンドの長い髪、朱が差したマリンブルーの瞳、白銀のロザリオを首筋に垂らして】
【零れ落ちそうな豊満な胸を、大きくはだけさせた黒いスーツと短いタイトスカート】
【スラリと伸びた両脚をストッキングで包む】
【白いコートを袖を通さず羽織り、高いピンヒールを履いた、どこか儚げな横顔が印象的な少女であった】

【──やがて嘆息し、傍らに本を置いた、退屈そうに柔肌を向けて】


……退屈なの、仕方ないの──街中を歩くには躊躇われる状態だから
それはもう別に良いことなのだけど、そうね
殿方との縁が果てるのは、少し物足りないの


【テレビを見ている者であれば、ここに居るのが、先日のテロ事件で華々しく戦ってみせた】
【機関のエージェントたる、カチューシャその人であると、気づけるだろう】
【心做しか眠たげに、ベンチに腰掛けていた】
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 12:37:51.83 ID:OsWFybz9o
>>163

【旧市街、と呼ばれている場所があった】
【綺羅びやかな栄光も今は昔のことで──すっかり寂れてしまっていて】
【まるで生きているという実感がない都市だ、というのが第一印象だった】


【──ザリ、ザリ。履いた草履が、荒い路面を擦る音が響く】
【艶やかな梓色の髪を腰まで伸ばし、漆色の瞳は辺りを見回すようにキョロキョロと動き】
【豊満な胸を強調するかのように少しだけ開けた、咲き乱れる花を模した金糸雀色の着物を羽織る】
【初めて訪れた街に好奇と困惑を混じらせた表情をして、】
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 12:43:56.75 ID:OsWFybz9o
【旧市街、と呼ばれている場所があった】
【綺羅びやかな栄光も今は昔のことで──すっかり寂れてしまっていて】
【まるで生きているという実感がない都市だ、というのが第一印象だった】


【──ザリ、ザリ。履いた草履が、荒い路面を擦る音が響く】
【艶やかな梓色の髪を腰まで伸ばし、漆色の瞳は辺りを見回すようにキョロキョロと動き】
【豊満な胸を強調するかのように少しだけ開けた、咲き乱れる花を模した金糸雀色の着物を羽織る】
【初めて訪れた街に好奇と困惑を混じらせた表情をして、婀娜な余香を振りまいていた】


「あら、どなたかいらっしゃるのかしらぁ」


【人気の少ない公園から、嘆息が一つ聞こえた気がして】
【歩き慣れていない──奇妙な街を歩くのに、心配からくる感覚過敏があった】
【聴覚は確かにその嘆息と、それに続く言葉を朧げに捉えていて】


「お邪魔しまぁ──……、って貴女何処かで見たことがあるような気がするのよねぇ」


【公園にゆっくりと入っていけば、声の主である少女が目に入る】
【プラチナブロンドの長髪、零れ落ちそうな豊満な胸、何処か儚げな横顔──】
【何処かで見た覚えがあると、脳内の記憶を巡回していくのだけど】

//途中送信です、ごめんなさい……!
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 12:47:20.12 ID:cZSkGQTTo
>>164

【マリンブルーの残滓が蕩ける、泡沫の欠片の中にその鱗片わ辿って】
【美しい女性だった、艶やかな装束に整った横顔、倭絵から抜け出してきたかの様な雅さと共に】
【彼女は興味を惹かれた、朝靄に投げかけるようにゆっくりと立ち上がって】


ねぇ、お姉様、この様な場所をお一人で出歩くなんて不用心も良いとこではなくて
特にお姉様の様な美しい方が、そんな淫らな格好で歩くだなんて良くないの
それはまるで身を鬻ぐ夜鷹の様、襲われても何の文句も言えないの

──ふふ、そうね、私もお姉様の美しさに惹かれた一人だもの
蝶が蜜を吸いに来る様に、馨しいその香りを確かめに来て
或いは女郎の蜘蛛が如く、私を絡めとってくれるのかしら?


【少女はひつり、と音を鳴らして貴方の前から歩いてくるだろう】
【歪む瞳の色合い、浮かべた貴方の姿をじぃと眺めて】
【愛らしい動作で小首を傾げたなら、長い髪が溜息のごとく揺れた】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 12:50:29.16 ID:cZSkGQTTo
>>165

/以下の文章付け加えといてください!

どうかしら、そこまで安く私を売っているつもりなんて、ないのだけれど
ども撮られるのも見られるのも好きなのは事実なの、若しかしたら知られているかもしれないの
この国では少々粗相をしてしまったから、折檻を望む人々も、いるのではなくて?


【──水の国を指すその言葉、唄うように言葉をひらひらと瞬かせた】
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 13:16:54.21 ID:OsWFybz9o
>>166-167

【公園の中にある人影が、動いた気がして】
【別に警戒するわけでもなく──右手に白刀の柄だけ持っておいて】


「あら、心配してくれてるのかしらぁ?ふふっ、大丈夫よぉ」
「ちゃんと対策はしてるものぉ──、それに“それが”私の仕事だしぃ」
「──貴女をとろんとろんに蕩かしてあげても良いのよぉ?」

「女の子を相手にしたことはないけど、得意な場所はよぉく知ってるわぁ」
「──なぁんて、ねぇ?初対面の子にこんなこと言うのも、いけない大人ねぇ」


【眼前から歩いてくる少女に言葉をかけられたのなら】
【淫らな格好でなければできない“仕事”をしているし、対策もできていると】
【──それに、彼女が求めるなら喜んでその身体を売ろうとも】
【流石に冗談が過ぎたと思ったのか、頬を少しだけ赤らめてバツが悪そうにするが】


「ああ、思い出したわぁ──お得意様が言ってたわねぇ」
「ブロンドの髪の、豊満な女の子。この前『特区』を襲撃してたわよねぇ?」


【『特区』で彼女のことを見たという客が、そのことを言っていただろうか】
【別の女の子のことを話しているのが気に食わなかったけど──その後旅館のテレビでも見かけたはず】
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 13:28:13.82 ID:cZSkGQTTo
>>168

【似た香りを感じる相手であった、否、自分よりももっと深く淫らに身体を粥ぐ商売】
【曲輪がその身を委ねるのなら彼女は芸妓となって、それを捧ぐのだから】
【閨事を被さるのは一房だけで良くて、それならば慎ましく退くのも一興】


そんなことないの、行きずりの関係であればこそ、憂いを持つ必要も無いのではなくて?
お姉様ならきっと、私が悦ぶ場所も熟知されてるんでしょうね
ふふ、素敵な御提案──でも私はお金で愛を買う趣味は無くて

……此処はね、そんな対策だけでは意味をなさない場所なの
不条理と不可解と理不尽が束を組んで、やってくる場所だから
心配よ、カチューシャはとーっても心配なの


【すっと、貴方の横に周り腕をぎゅっと絡めようとする】
【幼子が姉にする様に、愛らしい頬に僅かな笑みを浮かべて】
【寄り添う姿は水仙のごとく、軽い鎌首を持たれさせた】


さぁどうだったかしら、何処を責めたかなんて覚えてないの
唯映してくれれば良かったの、私の姿を余すこと無く
見ていただけたなら光栄ね、それだけで価値があったもの

カチューシャの姿と名前、忌避されるならそれで良くて
賞賛されるなら無上の喜び、それが幸せと呼ぶのだから
ねぇ、お姉様──貴方はどっち? カチューシャを、褒めてくれる?


【手袋に包まれた指先が唇に溶ける、指先を咥える幼い仕草】
【潤んだ目元をくいっと上げて、見つめる色に温度を載せる】
【物欲しげな喉がきゅうきゅうと、切なそうに鳴いた】
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 13:45:26.62 ID:OsWFybz9o
>>169

「行きずりの関係でも、憂いは色々とあるものよぉ?」
「本当の愛はお金で買えないものねぇ、いい趣味をしているわぁ」
「でもね、飢えた人にお金で愛を与えるのも──また一興と思うのよぉ」


【たとえ行きずりの関係であろうと、暴力を振るったりしてくる人間もいるのだから】
【──お金で愛を買う趣味はない。その言葉に、女はひどく彼女に関心を持ったらしく】
【しかしお金で愛を与えることも素晴らしいと──まあ仕事上そうするのが当たり前なのだけど】


「不条理と不可解と理不尽──とんでもない束ねぇ」
「こんな場所に呼び出した殿方も、どうかと思うのだけどぉ……」


【心配してくれている様子をみて、女は安心したらしく】
【白刀を霧散させれば、危険な場所に呼び出した男に対する困惑を浮かべて】
【──そして彼女が腕を絡めてきたのなら、喜んでその頭を撫でてやるだろう】


「えぇ、見てたわよぉ?あれだけ可憐な女の子が、危ない銃を手にして男と戦うんですものぉ」
「最高の見せ物だったわよぉ。男をなぎ倒すその強さにも、卑陋な言葉もねぇ」


【良識と呼ばれるものを咎め、男をなぎ倒していった彼女の姿】
【思い出した今、眼前で愛らしく寄り添う彼女とのギャップを改めて意識したのだけど】
【彼女の存在を名前を忌避することなどなく、只頭を撫でながら褒めていた】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 13:58:04.45 ID:cZSkGQTTo
>>170

【貴方と彼女は近い所にあって、果てしなく遠い距離に居るのだろう】
【裏と表、掛け違えた釦よりもまだ遠く、剥離する前の意識にも似た一瞬】
【そうなのね、と彼女は口内で転がす、その行先は知らずとも】


お姉様はそう考えるのね、私はそれでも良いと思うけど
ダメね、私にとって愛とは、お金の様なものとは最も遠い所にあるの
気高く美しく、それでいて儚く脆く、だからこそ人は愛を確かめる、と思うの

──呼び出されたのね、あまり良い気はしないの、こんな場所に呼び出すだなんて
普通の女性ならとっくに痛々しい目に合うの、そんな場所を指定するだなんて
お姉様のお相手は悪い人ね、少しおイタが必要なの


【無表情の様相を少しだけ崩す、形の良い眉を顰めて、ソプラノに浮かべる抗議の色合い】
【着物の袖をじっと掴んだ、上質な絹糸の手触りも貴方の柔肌に叶わない】
【彼女は怒っているのだ、こんな僻地に貴方を呼び出した男へ──】


そう言ってくれたなら嬉しいの、カチューシャは褒めてもらうのが好きよ
お姉様の手になら幾らでも、撫でられたくなるの
ええ、あれだけの殿方では私は止められないの、皆が皆愛が足りないから

──それにしても不思議ね、新聞やテレビだと、皆私を悪者扱いするのだけど
お姉様はそれを知ってもなお、私の味方をしてくださるの?
私はもう表では生きれないから、こんな場所に来ているのだけど


【頭を撫でられ心地よさそうに目を伏せる、漏れた吐息が甘い香りを見せて】
【子猫のように首筋を伸ばして、ぎゅうとさらに身を寄せる】
【豊満な胸が両腕に押され形を変えた、柔らかな彩を見せて】
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 14:00:39.35 ID:J8Ttdw3G0
>>150

「敵影は、ありませんね……」

【歩調を早めつつ、そしてそのままの隊列を維持しながら】
【やがて榛名の後部甲板へと出る】
【そこには……】

「遅いわよ!あれ?中尉は?」

【榛名のすぐ後方喫水線上には、一隻の潜水艦が浮上、待機していた】
【そこには、軍港で一緒であったオカマの少尉、賀茂宗司が居た】
【金属製の梯子が取り付けられ、降りており、直ぐにでも潜水艦伊707号には搭乗出来るのだが……】

「中尉……」

【ここで合流予定の、厳島の姿は何処にも無かった】

「取りあえず、ヨハネスの爺さんだけ乗せるわよ!」

【兎にも角にも、先ずはヨハネス氏だけを優先して乗せよう、と】
【不安な顔で、翔子は榛名の艦橋を見据えた】


//分割します
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 14:03:20.71 ID:J8Ttdw3G0
>>150


【榛名艦橋、通信室】

「……」

【近づく足音に、軍刀を手繰り寄せ、鯉口を切った】
【そして、現れたのは先ほどの通信と同じ声の男性】
【狗の仮面の男……】
【語られた、その真相は……】

「なるほど……この俺も随分名前が売れた物だな、俺が狙いとは」
「そこまで言わるとは、この諜報戦の成果を感じ取れるようだ、嬉しいよ」

【そう男の言葉に、まるで愚弄するかのように言って】

「お仕置き?なるほど、その様子では、あの件を知っているな……」

【やがて、投げかけられる選択肢に】

「そうか……確かに君達は手強い」
「俺や仲間達の実力を持っても、勝てるかは、難しいかもしれないな」
「確かに、君の言う通りだ、ここで撤退するのが賢いだろう」
「我々の負けだ、大人しく櫻国の鎮守府にでも引き籠ろう……」

【そう、まるで男の言葉を肯定するかのように】
【後ろを向いて、諦めのジェスチャーと共に言い放つ】











「とでも言うとでも思ったか?」




【振り向きざまに軍刀を抜刀】
【男に斬り掛かる】


「言え、カンナは何処だ?」



174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 14:13:36.68 ID:OsWFybz9o
>>171

「本来の愛はそうあるべきよぉ?お金を幾ら掛けても創り上げられないものぉ」
「でもねぇ?お金を持て余しちゃうと、その愛ですら作れるって勘違いしちゃうのよねぇ」
「それが無駄だって、無理だってわかっていたとしても──愛する人を裏切る背徳を選ぶのよぉ」


【彼女の言う愛、本物の愛は人と人の関わり合いを超えたその先にあるものあろう】
【しかし、金を持て余してしまった人間はそれをも作れる筈だと勘違いしてしまって】
【──背徳。愛というものを裏切る悦楽を、感じてしまうのだろうと】

【眉を顰めてその男に抗議する彼女に、柔らかな笑顔を向ける】
【此処まで心配してくれる人などおらず、全ての感情を安堵に向ける珍しいひとときを過ごせるのだから】
【着物の裾を掴んだ彼女の頭を、変わらず撫で続けていた】


「だって、一人の女の子が多くの軍勢に取り囲まれるなんてあってはならないことよぉ?」
「能力者は排斥するべき、っていう主張もわからなくはないんだけどぉ……」
「だからといって、寄ってたかって虐めるなんてことがあってはいけないわぁ」


【くしゃり、と彼女が抱きつく力を強めたために絹が柔らかく折れて】
【豊満な胸が押し当てられ、彼女の包容力の大きさに改めて気づいたのだけど】
【彼女の腕にも、同じような弾力が女のそれから与えられているのだろう】


「ところで、それなら貴女は何故此処にいるのかしらぁ?」
「表で生きられなくても、行くところは他に沢山あるでしょう?」


【表で生きていられないとしても、不条理と不可解、理不尽がやってくるという場所で】
【何故彼女はわざわざ過ごしているのだろうか──?並々ならぬ理由があるのだろうか?】
【少し心配そうな顔をして、頭を撫でながら聞いてみた】
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 14:22:37.78 ID:y25UeKNJ0
【水の国――旧市街】
【いつでも薄暗い曇天の、湿った空気が広がっているような街だった】
【そんな中を歩いて通り抜けてゆく人影が――ふたつ、あった】

……ねえやだ、ここ、じめじめしてて気持ち悪い……
早く帰りたいよ、ねえここで何すれば帰れるの、何処に行くつもりなの?
ねえ、あたしたちなんでこんなとこ来なきゃいけなかったの、ねえってば……

「ワガママ言うなよナーおれだってこんなコト一刻も早く出ていきてーよ。
 ……次の“市”がさ、ここであるらしーんだと。でも詳しい場所まではわかってねーから
 正確な位置を突き止めて来いってのが今日のおれたちの仕事。わかった?」

【先を行くのは長身の青年。褐色肌に銀の髪、黄色い眼をしていて】
【表情はあんまり面白くなさそう。いかにも萎えてます、みたいな顔をして】
【履いている安っぽそうな靴で、空き缶を蹴り飛ばしながら歩いている】

【それに着いて行くのは、パーカーのフードを目深に被った少女だった】
【顔はあまりよく見えないが、声を聞く限り青年より渋い表情をしていそうな気配】
【歩きにくそうな、赤い厚底靴を必死に動かして、大股歩きの青年に必死について行く】


……、……市ってあの、アレ? 前、ケーサツだかコーアンだか来たんじゃないの?
なのにまだやるの、あんなの……なんで、…………あたしやだ、あんた一人でやってよ。

「知らねーよ知るかよおれがそんなコト! とにかくさっさと見つけて帰ろーや、
 早くこっから出ていきてえのはおれもおめーも同じだろうがよ、ちったー協力しろや」

【……とっても険悪そうなムード。二人とも、声色にとげとげが混ざっていくような】
【お互いに苛々しているような会話、それなりにボリュームがあるから、誰かの耳に入るかも】
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 14:27:36.25 ID:cZSkGQTTo
>>174

【なるほどその返答に納得した、それと同時に嬉しくもあった】
【貴方が貴方の意思で喜んでお金の為に、愛を安売りしてるのでないと知って】
【春の隙間、降り注ぐ少しの寒さみたいに、しとりと感情が降り積もる】


啓蒙して差し上げるのね、お優しいお姉様──同時に尊敬に値するの
私ならばそうは行かなくて、そんな風に無碍に愛を語られたなら怒ってしまうの
まぁーだまだ、お姉様には叶わないの、何時になったらそんな素敵になれるのかしら?

どうかしら──寄って集って虐めるのは、人の本懐ではなくて?
私はそれこそ飽きる程知ってるの、一人の少女を集まって嬲る様
或いはそれが堪らなく背徳的で、唆るのかしら、禁忌の果実は甘いもの


【あれはきっと、神様が知られたくなかったから隠していたのね、と、言葉を付け加えて】
【少しだけ遠い目をして見せた、果てなき虚空を見つめる防人にも似て】
【永劫に燃え続ける炎を絶やさない、火防女の如き艶やかな視線】


落ち着くの、どうしようも無くこの場所が──どうしてかしら
それはきっと、この場所は淋しいの、どうしようも無く淋しい場所だから
見捨てられて自棄になるけど、それでも何処か正気でいたい風な淋しさ

それはね、似てるの──記憶の中の、私の故郷に
寒い場所だったの、何処までも何処までも、見渡す限りの豪雪地帯
冬は氷点下40度を越えて、心さえも冷たくなる場所


【それでも私の、故郷だったの、と言葉を重ねた】
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 14:50:31.58 ID:OsWFybz9o
>>176

「本懐の愛は、いつになってもわからないものよぉ?」
「追い求める道すがら、様々な愛を経験してみるのも──良いかもしれないわねぇ」


【本当の愛、本意の愛とは一体何物なのだろうか】
【それを追い求める道すがら、女は様々な愛を経験してきた】
【しかし本当の愛というものは、お金では創り上げられない。人と人の本意の融合でなければ、作れるはずもない】


「ふふっ、確かに貴女は禁断の果実のように甘そうで、そして美しいわぁ」
「蕩ける舌触りの女の子は、皆こぞって持っていかれてしまうものねぇ」
「甘いものを食べる時、いけないことをしてるって感覚。なったことなぁい?」


【神様が隠していたとしても、その存在は何時か暴かれてしまう】
【それは可憐な少女に置き換えたとしても通じるし、甘く蕩ける蜜の味に背徳を覚えるであろう】
【──その感覚は、普段味わうそれと同等。けれど味は格段に上であるはずで】


「私の故郷は、此処より栄えていた覚えがあるわぁ」
「──でもね、壊されてしまったのよぉ。娼妓解放を唱えた、正義を掲げる人たちによってねぇ」

「貴女のその気持ちはわからないかもしれないわぁ。でも、でもね」
「この街が、正気を保とうとして蠕動をしてるのは分かる気がするのよぉ」
「貴女がこうして此の街に辿り着いたのも、何かに導かれたからかもしれないわぁ」


【女の故郷は、そこそこ栄えた場所だった。その場所が遊郭街だったために、その後の運命も定められてしまったのだけど】
【幸福を築いて来たその場所は、正義を掲げる人々の勝手な行動で崩されてしまった】
【先程彼女のことを持ち上げるような言葉があったけれど──逆なのかもしれない】

【そして、彼女のその気持を正確に捉えることはできないのだけど】
【彼女の故郷と似たこの場所に、運命が引き寄せたのかもしれないと──】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 14:50:41.07 ID:yoBiEaBb0
>>175

【――――お使いに行くように、と、言われた。内容はとりとめのないもの、なんでもいいもの、なんだっていいから、誰も気にしないようなもの】
【かさり、と、袋を揺らすして歩く。そんなに重たくないものだから足取りは重たい必要はないはずがのに、なんだかゆっくり、何かをためらうような、足取りが】
【うつむきがちに静かに歩いていた――だから、きっと、聞き取っていなかった。それだけのことはできない、昔はあんなに当たり前に、出来ていたのに】

――――っ、!

【――彼らの視界。その人影が躍り出て来るのは、本当に一瞬のことだった。ただでさえごちゃついた雰囲気の街中、物陰にあった細道から、急に姿を現した】
【その様子からして、人影は二人のことを認識していないとすぐにわかるはずだった。大きな声、とげとげした会話の雰囲気。どちらでも彼らを察知できたはずだのに】
【飛び出してきてから、初めて気づいたように目を丸くする――きっと二人には見覚えのある人物だった。それでも人影――"少女"からはもう避けられぬ距離感、近すぎる距離は】
【到底のんびりご挨拶したり相手に話しかけたりする時間なんてくれない。お互いにお互いを認識して。あるいは誰であるのかを理解したくらいで。ぶつかってしまいそうな】

【――肩を撫でる黒髪の少女だった。ひどく色白の肌、あどけない顔に、手折ることさえ叶いそうなほどの、痩躯】
【色違いの瞳は塗りつぶしたような黒色と塗り忘れたような赤色、ぱちりと瞬いて。宿した感情はいまだに驚きだけだった、――ぶつかりそうな一瞬前の、ことだから】
【反射的に身構えたなら、ひらりっと裾の長いチュニックが翻る――身体つきに対してだぶついたチュニックに薄手の黒いストッキング。手元にはありふれたビニール袋で】
【ぺたん――とそう鋭くない足音がした。ならば足元はかかとのない靴、――いっしゅんの衝撃にぎゅうと身構える、それこそ、車の前に躍り出てしまった、子猫のしぐさなら】
【"二人"がうまくやれば、十分に衝突を回避することが出来るだろう。そうでなかったとしても――ぎゅっと固まった痩躯相手。よっぽど相手らの方が"強くって"】

【――――二人には見覚えのあるはずの少女、だった。一人はUTで出会って、もう一人は、夜の公園で出会った。だけれど二人とも気づくはずだ、こんな人物だったかって】
【ひどくおどおどとしていた、ぎゅうと自分を抱きしめるみたいに。――ぶつかってしまったならそのまま転んでしまう。回避できたなら、そのまま、そこで、固まっている】


――――――――き、ぁ、

【どちらにせよ、だった。固まってしまった少女から真っ先に出て来るのはひどく強張って掠れたような、声。鈴の音の声も、そんな風になったなら、不協和音、金属のこすれ合う音のよう】
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 15:00:59.97 ID:cZSkGQTTo
>>177

【温室の中で噎ぶような感触、貴方の言葉は常温の蜂蜜よりも甘くて】
【愛に対する考えもまた、名残のようにしとしとと降り積もる】
【紡ぐ音律に迷った、背徳の味なんて口に出すものじゃなかったから】


分かるの、官能的で蠱惑的な、あの甘さに身を浸す感触
それがイケないことで無くて、何だというのかしら、分からないけども
お姉様は意地悪な表現をされるのね、その言葉を辿っていたら正気じゃ足りないくらいに

そうなのね、それは痛ましいの──お姉様の故郷は、そういう場所だったのね
私には分からないわ、そういう街でお姉様がどう育ち、何を考えたのか
それは悲劇だったのかしら、故郷を焼き払われるのは──


【それとも、と一音節置いた、空想は何処までも広がるものであって】
【目の前の貴方が見ている景色は、見ていた景色は、決して必ずしも桃源等ではなく】
【吹けば消える芥の如く、残照よりも滑らかな光沢に満ちていたのかもしれない】


そういうことになるのかしら、だとすれば……悪くない気持ちなの
だから私は此処に来たりするの、その度に少しだけ自分と向き合えるの
変わったお姉様、悪い悪い私相手にこんなにお話して──

ねぇ、知ってらして? 最近この辺りには悪い噂があるの
誰も口にしたがらない悪い噂、それでも噂だから、ひそひそと広まるの
気になるかしら、一体どんな、噂があるのか、って


【一滴たらす破片は何処へ、大海に消える雫のように】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 15:06:36.28 ID:y25UeKNJ0
>>178

…………あ、ちょっと、前、前っ!

「ア? ナニ、こんなトコ車もヒトもいねーっしょ……って、うわっ」

【うしろを歩いていたほうが、慌てたように前を指差す。それを振り返りながら歩けば、当然前方不注意】
【先頭を歩いていた青年が、ふっと現れたあなたの身体にぶつかって――倒れないよう、がしっと】
【肩をつかんで支えようとするのだ。……それが、あなたを怯えさせてしまうことになるかも、なんて考えず】

【先に目をまん丸くしたのは青年の方だった。ぱち、と一回瞬きして】
【あれえ、と声を出した――もしかしたら人違いかなって、最初は思った】
【「こんなところ」歩くような子、という印象はなかったし、纏っている雰囲気も、違うなって思って】
【――それでも、これほど鮮やかな色違いの瞳、忘れるはずがない。ふしぎな音した声色も】

【 だから。何とはなしに、世間話でもするようなトーンで……青年は、あなたに声をかけたのだ 】


「……、……あっれェ、リンネちゃん? リンネちゃんだよネ?
 どーしたのこんなトコで。UTは? たんぽぽは、おやすみ?」


【遅れて、後ろの少女があなたに気付く。いつか公園で出会ったときのこと、なんでもない話をしただけの】
【そんな相手だったから――「久しぶり、髪切った?」って、声をかけても良かった、かもしれない】
【でも、その前に。様子がおかしいことに気がついた、何かあったのって言うのが先決だと思った、けれど】

【――――青年の方は、ここまでくれば嫌がらせか、ってレベルで、空気を読まなかったのだ】
【今のあなたからしたら、ひどく耳に突き刺さって――そのまま小さな頭を貫通しそうな勢いで】
【鋭く穿ってくるかもしれないワードを、並べ立ててくるのだ。何の悪気もなしに、平然と。少女より先に声をかけた】
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 15:22:34.79 ID:yoBiEaBb0
>>180

【ぶつかった衝撃に大きく身体が揺らいだ。そんな風になって耐えられるほど元気ではなかった――倒れこむ、というその瞬間に。ぐっと、掴まれたなら】
【身体は支えられて。だけれど、転ぶと早とちりした足元は、がくんと力を抜かしてしまう。ぐらりと一瞬、転んでしまう刹那よりも危うく彼女は揺らいでしまって】
【しかしそれまで抑え込めれば――そのあとに、ようやく、少女は自分の足で立つだろう。――とは言え。目はずっと彼を見ていた、釘付けにされてしまったみたいに、】
【それでかすかに震えてもいたのだ。それにきっと相手は簡単に気づけるだろう。かたかた震えて。まして、彼の言葉が追い打ちをかけてくる、なら】

あ、ぅ、――、ァ、っ、っっ、う、

【――"それ"は明らかに"まっとう"な人間の反応では、なかった。蒼褪めた唇をぎゅうと噛んで、後ずさろうとする。漏れた声は――もはや音、でしかなく】
【けれど。まだ相手がぎゅっと肩を掴んでいたなら、逃げ出すことも叶わない。それとももう離してくれただろうか――それだったとしても、もつれた足では逃げ出すには足らず】
【ぎゅうとその手にある袋の持ち手を握るのだ。――ありふれたビニール袋。本当になんでもないもの。だからそれが、余計に違和感を浮かび上がらせる】
【写真の中に映り込んでしまった存在しない女の情念みたいに。ありふれた景色の中に一点の淀みがあったなら。目立ってしまう、そして、その"淀み"は、きっと】

――――やめ、て、やめて、よぅ、――わた、し、――ぁたし、は、

(【――街の風景でも彼らでもビニール袋でもない、少女自身であって】)

【こうも歪んだ街の中でさえ、彼女はきっと浮いていた。末期のジェンガからそれでも一つずつ抜き取らなくちゃいけないみたいにおっかなびっくりで、あるいは不安定で】
【目はいまだに彼に魅入られている。彼の黄色い卵色の瞳を見つめている。見つめることを強いられている。怖いって訴えていた、やめてほしいって、懇願していた】
【存在すべてが。UTも、たんぽぽも、まるで聞きたくない単語であるかのように。だけど――ああ、もしかしたなら。彼が知っていたなら】

【――この街には、最近、孤児が増えていると言う。それもみんな能力者。なぜなら、特区に向かう親たちが、不要だと言って、ぬいぐるみよりも簡単に、棄てていった】
【人形やぬいぐるみでさえ供養したりするのに、身勝手な親たちは、怨みを晴らすための努力をほんの少しさえせず。置き去りにしていった。そして、それは】
【そういう方向性にアンテナを向けている人間であれば、知ることはそう難しくないはず、なのだ。例えば孤児に食事を振る舞おうと思っている人間――あるいは奴隷商】
【それとも愛玩するために好みの子供を探す人間もいるかもしれない。――なら、彼女がここに居ることは、不自然ではないが、納得できた。けれど、それにしては、やはり異質すぎた】

【まるでこの街に喰いつくされてしまったみたいに、幽かだった。彼が見ても、彼女が見ても、おかしなくらい。"どうにか"していた、あまりに、明瞭に】
【それはかつて和やかに過ごした人物に向けて穏やかに「こんにちは」って。話掛けることが出来ないくらい。――目の前の彼に釘付けにされてしまうくらい、狭い世界しか見えていない、証明だった】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 15:29:18.94 ID:OsWFybz9o
>>179

「いけないことではないけれど、何か悪いことをしている気がするわよねぇ」
「でもその甘美な味わいには抗えない──普段から味わってる、背徳の味よぉ?」


【甘味を舌の上で蕩かすときのその背徳、嚥下するときのその幸福】
【それが忘れられずに、ふと思い出せばまたその甘味を口にする】
【少女を嬲るときに味わう背徳は、同じ類のもの。ただその甘味の味が、倒錯するように濃いだけで】


「故郷を焼き払われるのは、苦痛と怨念だけを残したわよぉ?」
「幸福なんて求めなかった、正義なんて嘘を掲げている人々に怒りもしたわぁ」
「でも、ね。そういう感情も次の幸福を見つけられれば、途切れちゃうものよぉ」
「今となっては好機って思えるようになったわねぇ。遊郭の外に出て、自由の中で幸福を探せるんだものぉ」


【故郷を焼き払われた当時は、怨嗟と苦痛に塗れて暮らしていた】
【しかしいざ遊郭の外に出て数年が経てば、新たな幸福を見つけることが出来た】
【焼き払われた故郷のおかげ──といえば皮肉になるだろうが、それは新たな好機になったのだ】


「うふふっ、自分のことを悪く見ちゃだめよぉ?貴女の生き方は貴女が決めるべきなんだからぁ」
「誰もが口にしたがらない、悪い噂──そう言われると聞きたくなっちゃうわぁ?」


【彼女自身、自らを悪い子だと形容している。しかし、外からされるべき評価を自らに当て嵌めるべきではないと】
【彼女の生き方──人生は、彼女自身が決めること。決して外界からの干渉を受け容れるべきではない】
【そして、わざとらしく表現された噂に──此の女は、それを知りたいと興味を示した】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 15:38:43.75 ID:cZSkGQTTo
>>182

【彼女は髪を撫でた、プラチナブロンドの長い髪が指先に溶けて】
【それはまるで桜蘭細工の網目模様、降り注ぐ木漏れ日を一杯に浴びて】
【光沢を靡かせる宝石の様な、そんな淡い色合いであった】


お姉様はそう思われたのね、でしたらそれは幸福なのでしょう
故郷を焼き払われるのは悲しいのね、多分きっと、それは正常だから
でもね、お話を聞く度に思うの、人は何処までも残酷になれるの、って

正義とは何かしら、そこに指針があって、それに沿うことが正義なのかしら
だとすれば私は分からないの、その指針を誰が決めてくれるのか
だなんて、陳腐ね──自分でも、そう思うけど


【それでも時折、信じてみたくなるのと言葉を返した】
【──彼らは彼らの正義をもってして、貴方の故郷を焼き払ったのであれば】
【そこに怒りを覚えた貴方は、その正義に納得出来なかったという事だから】


そうね、そう思うね──でもね、私の生き方を認めて下さらない人も多くて
私は迷ってしまうの、私の生き方は、私という存在は間違ってるのかって
ふふ、やぁなの、お姉様にこんな事言ったって、困惑するだけなのに


あくまでも噂なの、うーわーさ、睦言よりも信頼がおけないの、別れるだなんて口ばっかし
住処を追われた能力者、親に捨てられた子供達、行き着く先はこの街だから
それでもね、この辺りには人気が少ないの、彼らは一体何処に行ったのかしら


【悪い狼さんに、食べられちゃったの、と言葉を付け加えた】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 15:40:44.66 ID:y25UeKNJ0
>>181

【後ろに居た少女が駆け寄ってくる。厚い靴底をかつかつ鳴らして、急ぎ足】
【慌てて、明らかに様子のおかしいあなたから、この男を引き剥がそうとしているようだった】
【何故かというと、この少女は嫌というほど知っていたから――この男が、こういうときばっかり】

【その最悪な性格を輝かせるタイプの人種であるということを。……この、黄色い眼の男は】
【なんの悪気もなしに人の地雷原でタップダンスをして遊ぶのが趣味の、最悪のろくでなしだから】


「やめてって、なんで。まるでおれが酷いこと言ってるみたいな口振りするんだネ。
 じゃあやめたってコト? たんぽぽ、子供のお世話。あんなに頑張ってたのに?
 どーしたの、なんかイヤなコトあった? ひどいことされた? 言われた?
 うんうんそーいうコトあったんなら挫けちゃっても仕方ないよネ、わかるよお、おれにはわかる――」


【にっこり笑う。肩をぽんぽん叩きながら、ふっくら焼けたオムレツ色の目が】
【いかにもおれは優しいヒトですよ、って語るように、愛嬌を籠めて細められる、けれど】
【――――あいだっ、って、間抜けな声でそれは終わった。語り続ける口も止まった】
【少女が、男の脛に思いっきり厚底の蹴りをかましたのだ。そうしてようやくあなたから男を引き剥がしたなら】

バカっ、クソバカっ、黙れマジで黙ってあっち行っとけクソバカ野郎ッ!!
ごめん、ごめんネ鈴音っ、あのバカ本当に空気読まないから、ほんとごめんっ……
……ねえどうしたの、何があったの、こんなトコで何してんのっ、「帰ろうよ」! あたしが連れてってあげるから!

【その間に割って入るようにして、あなたの両肩にそっと手を置こうとするだろう。引っ叩けば剥がれる強度】
【そうして、短く細く整えた眉毛を盛大な八の字型にして――困りきった顔をして、二色の瞳を覗き込もうとする】
【全部が全部、あなたを思ってのことだった。それが逆にあなたを苛むとも知らず、聞こえのいいことばかり言う】
【そういうところでは、似た者同士のふたりだった。悪気なく人を突き刺していい人の顔をする】
【今のあなたからしたら本当に――――ひどい人、それも相当な、そんな二人でしかない、こいつらは】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 15:52:50.38 ID:OsWFybz9o
>>183

「人々にとってあるべき姿をとった──という意味じゃ正常なのかもしれない」
「でも正義は何のためにあるのか、ってことを考え直したわぁ」
「貴女の言う指針は誰が決めたのか、そして正義はそれに従うことなのか、ってねぇ」


【彼らの正義に則って、彼らは女の故郷を焼き払ったのだろう】
【──今は考えなくても、やはり納得できない。正義の指針は、誰が決めるのだろうか】
【それに従いさえすれば、なんでも赦されるのだろうか。あってはならないと、思っていたのだけど】


「ふふ、自分の在り方がどうあるべきか悩むときもあるわよぉ」
「さぁ、ねぇ?秘密の楽園にでも──連れて行かれたんじゃないかしらぁ?」


【『特区』の制定以来、そして彼女がそこを襲撃して以来】
【反能力者思想は堰を切ったように蔓延していき、捨て子や住処を追われる例も少なからずあり】
【行き着く先はこの街だとしても、此の辺りに人気はない──何処に連れて行かれたのか】

【人体実験か、凄惨な性癖を収める施設へ送られるか、それとも売女にでもさせられるのか】
【数なくともそれらを楽園とは形容し難いのだけど──あえて、そうしたのだ】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 16:02:09.61 ID:yoBiEaBb0
>>184

【かつかつとした足音が聞こえる。――だけれどそれはある意味でカウントダウンのように聞こえた、悍ましいものに聞こえた、彼の言葉は"思い出させる"】
【外の世界のこと。――ああここも外だった。それなら、思い出させるのは、もっと違うものだ。世界に横たわっていろいろなひとを悩ます現在を、意識せざるを得ないなら】
【時間制限の駆け引き。放っている。どうしよう。どうしようもできない。何もできない。もう頑張れない。もう頑張れない。頑張れないって、本能が泣いて叫んでいる】

――――――っ、やめてよ! ――やめてよぅ、やめて――、やぁだ……、やだよお、やめて――やだ、やだ! やめて――、

【「やめたってコト?」「あんなに頑張ってたのに?」「イヤなコト」「ひどいこと」「された?」――「言われた?」】
【「うんうん」「仕方ないよネ」「わかるよお」「おれには」――――彼の言葉が途切れた、瞬間、】

【きゃあああって悲鳴みたいな声が上がる、締め上げた喉から漏れる制止の声はあっさりと不協和音に化けて。周りのひとの視線が向く、が、それだけだ】
【誰かが助けに来てくれるわけじゃあ、ない――そんなに優しい場所ではない。ここは。いろいろな反論の言葉、その残骸はいくらでも出て来るのに、言葉にできない】
【文字をいくらいくらいくら積み上げても偶然の一致で単語が出来ることはあっても文章まで組みあがることは稀であるならば、彼女の連ねるのはただの意思表示に過ぎず】
【何が嫌なのかも何をやめてほしいのかも言うことはできずに身もだえる、脱力してしまって地面に座り込むなら、お使いの袋も放ってしまって、頭をぎゅうって、抱え込む】

【だから夕月が近づいてきてくれた時。少女はすでに地面に這いつくばるように自分を抱きしめて震えている、やだやだって泣きそうな声を並べ立てて】
【もはや元の形さえ分からぬほどに絶望や怨みや悲しみやすべての負の感情を衣のように幾重にも幾重にも被った現実を必死になって遠ざける、正体も分からないものを】
【それはきっと病気だった、深く根差した精神性の病気。だけれど泥の中から咲き出る蓮が美しいものであるように、病気から芽吹く花もまた、きっと、鮮烈に、美しいから】

――きゃぁあぁああああぁああぁああぁぁあ!

【――最初。それでも少女は少し安堵したようだった、見知った人間がいてくれたから。夕月が駆け寄ってきてくれた時、助けてくれようとしたときに】
【まだとっても怯えていたけれど。それでもわずかに表情をやわらげた、両肩に手を置かれても、気にしなかった。少し目線を上げる、――覗き込まれて】

【――「どうしたの」「何があったの」「こんなトコで」「何してんの」】

【帰ろうよ――って、その、瞬間だった。連れて行ってくれると言う夕月の言葉にかぶさるように、かぶせるようなタイミングで、少女は今度こそ、甲高い、悲鳴をあげた】
【同時に。自分を護ろうってするみたいに――どん、って。ただ両手を突き出すだけのしぐさ、それでも、近い距離に居る夕月を突き飛ばそうとする、だろう】
【そしてそれは反射的であって生存本能に従うだけの仕草だったからこそ、ひどく暴力的で。少女の細腕から出てきたとは思えないくらいの力を、一瞬だけ、齎す】
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/02(水) 16:02:32.77 ID:cZSkGQTTo
>>185

【──そうかもしれないの、と言の葉を揺らした、見果てぬ貴方の故郷に思いを馳せて】
【一葉舌先で転がしたなら、その先の行方を探して】
【分からずともその所以を、辿るように見つめた】


そうね、楽園なの──どちらが良いのかしら、私には全くわからないの
例え偽りでもそれが楽園なのか、或いは現実こそが全て楽園なのか
この世界こそが、いいえ、それだと悲しすぎるから

何れにせよそれは、高く飛翔する前の準備に近いと思うの
起こる前の凪、津波が来たならそれが答えになって
お姉様は如何にして、その波に耐えるのかしら


【そっと貴方の元から離れる、長い髪をなびかせて数歩歩く】
【向ける背中、首筋から横顔を覗かせて貴方を見つめる】
【──ねぇ、と言葉を付け加えて、その先にある貴方をたどる】


そういえば聞いてなかったの、お姉様の名前、私としてはずっとお姉様で良いのだけど
でもダメね、そればかりだと、何だか胸がムカムカとしてしまうわ
正しいものは正しい場所へ、正しく名前を呼ぶのも私の役目だから

──そろそろ行かなくちゃいけないの、また次の歯車を回すから
お姉様は応援してくださる? 私の行いを、私の正義を認めてくださるかしら
そうであるのなら、それは幸福よ、何処までも何処までも淡く──


【貴方の名前を聞けたなら、彼女はそっと、歩いていくだろう】
【旧市街の奥へ奥へと、その背中すら見えなくなるまで】
【あとに残る香りだけが、彼女の名残を告げていた】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 16:14:10.18 ID:OsWFybz9o
>>187

「──ふふっ、如何にして耐えるのかしらねぇ?」
「私にもわからないわ、唯一つ言えるのはぁ────」

  「私が私で居続けるのは、確かよぉ」


【この街で何かが起こる、それも規模の大きな何かが】
【それは津波のようにすべてを巻き込んで、そして壊していくのだろう】
【それが襲い来たとしても──女は自らを保ち続けると】


「私の名前ねぇ、ちゃんとしたものはないのだけど──“柘榴”よぉ」
「ふふっ、貴女の正義は貴女が行うべきことよぉ。私はそれを“見ていて”あげるからぁ」
「世界の歯車を、しっかり回してらっしゃいなぁ────」


【花魁の名として使っている“柘榴”の名を、彼女に語る】
【彼女の姿が旧市街の奥に消えていったのならば、女もその街から立ち去るであろう】
【──其処は二つの婀娜な余香を残して、誰も居なくなってしまった】

// 此方こそありがとうございました!
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 16:16:41.57 ID:y25UeKNJ0
>>186

えっ何っ、どうしたの、どうしたの鈴音、えっ、あ――――

【――――悲鳴が上がった、誰の、目の前の女の子の。】
【その事実を受け入れる、それだけのことに相当な時間を費やした、この少女は】
【最初は大きな音にびっくりして、肩を上げただけだった。それからその音が何であるかを理解して】
【それが悲鳴であるなら、誰がそれを上げたのかを次に理解して。その次、なんでそんな声を上げたの? って】
【最後のそれを理解しきる前に――突き飛ばされた。注意もなにもしていなかった体は、簡単に後ろによろめく】

【ど、と鈍い音がした。とはいっても少女が尻餅をついただけ。三角座りの姿勢になって】
【脱げたフードの下、乱れた赤い髪の下、真っ赤な瞳が――限界まで見開かれて】
【なんで? って語るように、丸まっていた。つうっと額から汗が流れ落ちて、鼻筋を斜めに横切っていく】


…………、……え、あ、え……と、……えっと、……ごめ、ん?

【何を言っていいか、本気で分からなかった。わからないから、おそらく一番無難な言葉】
【疑問符付きで、申し訳程度、とりあえずといった具合で口にして……視線が、彷徨う】
【最初は目の前のあなたをじっと見た、回答が貰えなさそうな様子であることを悟るとすぐ逸らして】
【かたわらにいる青年を見上げた。平然とした顔して、「おれが知るわけねーだろ」って言う目をしてる】
【助け起こすための手すら伸ばさない。……そんなことはこんなヤツに期待なんかしてなかった、また逸らす】

え、と、えっと、鈴音、だよね、……ごめん、あの、本当、ごめん……あたし、ひどいこと、言った?
ていうかあたしのこと……覚えてる? 公園で会ったことある、だいぶ前だけど……夕月だよ。
ね、あの、鈴、音……その、ごめんってば。……落ち着いて、ねえ、……悪かったから、

【「もうさっきみたいなこと言わないって約束するから、お話ししようよ」……宥めすかすみたいに、言葉を選んで】
【とりあえずは対話を試みる、まずは悲鳴を抑えてもらわないと、自分たちの「仕事」もできない。そういう事情も、あった】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 16:40:51.57 ID:yoBiEaBb0
>>189

【空間ごと引き裂くように溢れた悲鳴はやがて泣き声へ推移していく、やがて喉が疲れてしまったみたいに声は小さくなっていくのだけど、それまで数分ほどは掛かって】
【しかしここには駆けつけて来る警察も居ない。助けてくれようとする誰かも居なくって。わあわあ子供みたいに泣きじゃくるばかりなら、そんなの終わらないように思えた】
【だけれど――時々その悲鳴に似た泣き声の中に、混ざるものがあったのだ。「いるちゃん」――誰かを呼ぶみたいに。助けに来てって、求めるみたいに、何度か――何度も】

――――、ァ、ああああ、ごめんなさい、ごめんなさい――、――ゆづ、ぁああ、ッ――、

【――嗄れそうな喉はそれでもひねりつぶされるみたいな声を上げる、どうしてなんで謝っているのかも分からないかもしれなかった、だって、彼女自身にさえ分かっていないなら】
【アナフィラキシーの瞬間みたいに鮮やかすぎる絶望は通り過ぎて、だけど、だからって健康には程遠い。一生懸命に言葉を探した様子の夕月に対しても、それは変わらず】
【まして佇んでいる彼には――もう怖くって仕方ないみたいに、目も向けてくれないのだ。あああああって音だけを連ねた声、ぎゅうと頭を抱えて、震えたまま】

【だけれど伝わることもある。少女はきっと相手をきちんと誰であるか認識していた、それは、伝わるはずだった。だけれどそのうえでぐちゃぐちゃになった気持ちのままでは】
【いろんな言葉、組み立てていくことはできなくて。――さっきも呼んだ名前をまた繰り返す、「イルちゃん」「イルちゃん――」泣いてしまって、真っ白な顔が真っ赤になるほど】
【――頼まれていた、ことがあった。とある人物からの練習が一定期間途絶えたら。そうしたら。その時は――――でも。でも、そんなの、もう、出来ない、こんな状態では】
【それが嫌になるくらい分かるし分かってしまう、分かっているって言っても考えはもうばらばらに引きちぎれていたから、もっと、原始的な――理解、だけど】

【――――でも。それも。その理解さえも。理解したって理解できないなら、ないのとおんなじで、なら、時間と意識の無駄遣いでしかなくって】

ゆづ――ぃ。ちゃ、――ぁ、――

【それまでぎゅうと自分を必死に護っていた、手が。がたがた震えながら、あるいは慄きながら、ふっと、相手へ向けられる瞬間がある】
【そうっと手を伸ばすのだ、深い深い森の中で行き合ったしましま模様の猫さん、うんと怖い猫だのに、それしか救いがないときの、迷子みたいに】
【相手のことを呼んで――ならば正しい認識の証拠だった。少女は相手を認識している。そしてそれならばきっと、傍らの彼のこともきちんと認識していて】
【UTもたんぽぽも知っている。分かっている。分かっていてなお、悲鳴を上げるほどの状態にある。だのに――、外の世界はもともとの形を模倣させる、模倣しろと強いるから】

――くら。――け、さん、が、あなたを――、

【――そもそもこの場の状況で言えば、彼女こそが"どうにか"されるべきだった。だけれど少女の中には、頼まれたことがあって。亜人の彼女に、託されたことがあって】
【ミラと連絡が取れなくなったわけじゃない。連絡が取れなくなったのは自分の方が。直近に話した。だけど。そう託されたことだけが、頭の中に、ぽつん、って浮かんでいたなら】
【その名前に相手がどう思うかは分からなかった。二人の間柄を詳しく知っているわけじゃあ、ないから】

【――――それでもやっぱり、相手のこと。この場に居ないひとのこと。昔のこと。ぜーんぶ彼女は覚えている、覚えているって、証明になる】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 16:54:23.04 ID:y25UeKNJ0
>>190

【もう一度近付こうと思って、腰を上げかけて、やめた】
【もうこれ以上、踏み入ったら、今度は突き飛ばされるだけじゃ済まなくなる――というか】
【向こうのほうが先に壊れてしまう。そう思いもしたけれど、引き攣れるような泣き声を聞き続けて】
【……違う、もう、とっくに壊れてる。今になってやっと理解した、そしてそれはもう、遅すぎたとも理解した】

……いい、もういい、謝んなくていい、だから、えっと、あの……

【続きの言葉は探しても探しても見つからない、何を言っても相手の理解に繋がるばかりか】
【崩壊を促進させてしまう気がして。もう、黙って去るのが一番無難なんじゃないかとすら思った】
【それでようやく立ち上がる。お尻についた砂埃を払って、それで――痛ましい顔して、あなたを見下ろして】

【(……イルちゃんって誰)(友達?)(……違う、単なる友達を、ここまで酷く呼ぶもんか)】
【(もっとこう……ああ、あれに似てるんだ)(迷子の子供がお母さんお母さんって、泣きながら呼んでるの)】
【(それに似てる。だったらイルちゃんは……「お母さん」と同じくらい、大事な人、か)】

【思考した。それだけ。それでどうするって話でもない、その人が早く来てくれたらいいねって】
【そんな無責任なことを思ってから、もうここから去ろうと思って、踵を返して――――】


…………、……え? くら、け、……くらーけ、クラァケ?
クラァケってあの、おば、……あの人があたしに何か、言ってたの?

【――伸ばされる手が視界の端っこに引っかかった。それと、聞き覚えのある単語】
【「お化けさん」の単語は、今はやめといたほうがいいって本能が訴えた。だから当り障りのない言葉に置き換えて】
【ぎょっとした顔をしていた。大分前にひとつ約束をした人の名前、それが何故この子の口から出てくるのか】
【わからない――って顔をして、去ろうとする足が止まった。迷ったみたいに上半身だけ捻って、其方を向く】
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 17:13:24.72 ID:yoBiEaBb0
>>191

【ひぐ、ぐす、って、水っぽい音は別に耳に心地よくなんてないもの。鈴の声も普段ならばよくたって、こんな時には、うんと耳障りで、聞き取りづらいばかりで】
【それでも何かを一生懸命に呑み込んで涙を抑え込もうとする。がしゃがしゃの破片を拾い集めて"元通り"を模倣しようとする。――――、それは、どちらが早いだろう】
【相手の方が早いかもしれない――否。相手の方が、早いはずだった。彼女が言葉を発せるように頑張る間に、二人はたやすくどこかへ行ってしまえて】
【もしかしたら本当にそうするべきだったか、は。――多分もう誰にも、分からないのだけど】

…………――――クラァケ、さんが、あなたを、助けてあげてって、

【――ならばこの一瞬はひどく奇跡みたいだった。ちりぢりに崩れてしまった少女が、一瞬、自分の中で、元通りの形を見つけ出すことが出来た】
【瞳が相手へ向いて――悲痛なくらいに見つめるだろう。助けてあげてと頼まれて――ああでもそれは同時に彼女の"おかしさ"もどうしようもなく、浮彫にするよう】
【こんな状態にありながら、相手を助けてあげてと言われたことを覚えていて。それをしなくっちゃいけない、と、きっと思っている。――相手のことを助けよう、と、している】
【そんなのひどく滑稽だって気づけないままで。誰より自分が駄目になっている現状から目を逸らしたままで。二人の関係性は知らない、だから、何も配慮はできないけれど】

――困ったことは、ない、? クラァケ、さんが、言うんだか、ら――、だから――、ぇ、と。わた、し――、だか、ら、
ゆぅ――、あ。……UT。が。必要、なら、――――、わた、しが、

【一瞬噛み合ってしまった人格は、崩壊するまでの束の間、同じように振る舞わせる。がたがた震えながら。頬を涙でぐちゃぐちゃにしながら。だけど少女はきっと笑うのだろう】
【ちいちゃな子供を安心させようとするかのような――だけどひどく強張って歪んでしまった、表情。きっと彼女こそが怯えている、くちゃんくちゃんになっている、それでも】
【託されたことを果たそうとする――くだらない執着だった。ゾンビが生前と同じように学校に向かってみるみたいに、あるいはチャイムを聞いて家に帰る異形の化け物のように】
【ミラが自分に頼むくらいなのだから、と言って。困ったことはないですか、なんて。わたしに頼むのだから、きっとあなたが困っていることは、UTの力が必要なんでしょう、って】
【――――笑っちゃうくらいに壊れていた。そうしてそれは二人にどんなふうに見えるのだろう。言葉を向けられている夕月は、そういう意味では、当事者だけど】

【――少なくとも。もう一人ここには居た。これらの会話には直接関係のない、彼が。――第三者の目線からじーっと見ていたなら、こんなの、どんな風に見えるのだろう】

/うわーーごめんなさい、急遽ごはんが外になってしまって……
/いい感じのところだとは思うのですが、本当にごめんなさい、少しお待ちいただくことは可能でしょうか……
/難しいようでしたら置きでも大丈夫です、本当にご迷惑おかけしますっ
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 17:32:26.66 ID:y25UeKNJ0
>>192

【――――少女より先に、青年の方はもう、歩き出していた。どうにもならないことはすぐ見捨てる性分だったから】
【だからもう、どうしようもなく壊れた子のことなんかどうでもよかった。……というより、実は】
【失望していたのだ。自分がもうできなくなった、かわいそうな子どもを助けてあげること】
【それをやってのける、あなたを羨んでいた。尊敬していた。だからこそ、もう無理って泣き喚く姿なんか見たくなかった】
【今日っきりで彼の頭から「鈴音」のデータはきれいさっぱり消されるだろう。そんな予感さえ思わせるくらいの失望っぷり】

【――――だったけど。ふと、足が止まった。ぱっと振り返って、正常に鳴る鈴の音に耳を傾ける】


……、……あの人が、そんなこと、言ってたの、……ぇ、ていうか、鈴音あんた、

「――――場所変えろ。人目がつきすぎた。これ以上目立ったら――
 おれたちはおろか、リンネちゃん。あんたすら困ることになるんじゃねーの。
 考えてもみろ、無理かもしんないけど……こぉんな街で、『UTとして助けてあげましょうか』だなんて、
 あんたはそう宣ったんだぞ。なあ、そんなことしたら……この街のヤツらに、裏切り者って、追われることになるかもよ」


【信じられないものを見るみたいな目付きで、ぼうっと喋る少女を遮るようにして、青年が言った】
【言う通り、三人の周りには、少し距離を取るようにして――人だかりができていた、いつの間にか】
【それで、適当な――街の中でも人通りの少ない、路地裏のほうでも指差すだろうか】
【そこら辺か、そこが嫌ならどっかもっと安全な場所に移動しろって、そう言うのだ】

【「おれのこと、もう視界にも入れたくないってンなら――おれは先に帰っとくから、二人で話しときなよ」】
【言い加えて、あなたがそれに図星でありそうなら――青年はまた歩き出すだろう。二人のいない、どこかへ向かって】


//承知しましたーそれでは今のうちに風呂入ることにいたしますので! モーマンタイです!
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 17:34:12.83 ID:O8LFqMAYO
>>172>>173


【まず、ヨハネスが潜水艦に乗り込む。続いて初も乗り込みかけたが、そこで】
【翔子が立ち止まり、不安げな瞳で艦橋を振り向くのが目に止まった。 ──甘い、と彼女は思う】
【軍人なら、死は覚悟しておくべきだ。自分も、上官も、部下も。 心配だ、などと思うこと自体が甘ったれている】


【初は甲板に戻ると歩みを進め、翔子の脇を通り過ぎる。背を向けたまま、彼女に向けて片手を上げて】



…… 厳島さん、探してくる。先に出ておいて。



【見ていられない。 そんなに気に病むのなら、私がなんとかしてやる】
【──素っ気ない言葉を残し、彼女は再び艦内へと戻っていった】



 【 ── 】



 “ ……………。 ”



【“狗”は最早、人語を解さない。返答もしない。 厳島が振るった刃を返答として捉え、刃で以ってそれに応える】
【白刃が衝突し、金属音と衝撃を響かせた。──鍔競り合いの形になるや否や、押し込むように力を込める】
【そのまま、相手の耐える力を壁に、自らの身を後方に跳躍させた。 数瞬の内に、間合いの外へ】


【── 更に流れるように拳銃を引き抜くと、厳島の頭部の左右へと向けて一発、二発、と放つ。 だが、これは陽動だ】
【当たりにでも行かない限り、直撃することはない。 尤も、陽動であるからして、狙いは他にある】
【重心を乱す。この二発によって、厳島の身体は厭が応にも銃声に反応し、刀を構える格好から“立ち上がる”】
【尤も、それで尚、構え続けるほどの胆力が彼にあれば別だが── 、兎も角】




       “   ……  、 ……。  ”

      【  “狗”の本命は、その次に  】




【刀を右手に握ったまま、伏せるような動作から、一気に駆け出す。 二足とは比べ物にならない疾さ】
【 ──それこそ、“獣”が獲物に迫るような迷いのなさと、純粋な殺意を伴って、厳島の“足元”まで迫ると】
【そこで初めて、身を起こしながら、独楽が一回転するようにその身を捻り、横薙ぎに刀を振るう】


【凡そ、道場剣術では ──否。人間の作り上げた“剣術”という枠内では想定し難い、獣の動き】
【前以ての銃撃は、その身を起こし“下”への対応を遅らせるための人間としての智慧だったのか】
【ただ、“人を殺す”為だけに。 人の皮を被った獣が取った動きには、一分の無駄もなかった 】


【若し、銃撃の迫力にも耐えて構えを崩さなかったのなら。或いは、変則の動きに対応しきれたなら】
【剣戟を防ぐことも適うかも知れない。 だが、どこかで対応を誤れば、“狗”の刃は狙い通りに── 】



【  厳島の双眸を、或いはその一方を捉え、光を喪わせるだろう 】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/02(水) 18:44:06.11 ID:4x96nrhPo
【水の国・アルターリ】

……ちょっと寝てる間にこれか

【住民が全て消滅した大都市に一人の男がやってきていた】
【年齢は三十代前半。暗い赤髪。外套を身にまとい、背中には大剣】
【表情には苦々しさが表れていた。彼の立つ場所は二車線ある道路の中心。もう車が行き交うことはなかった】

こっちは特区やら公安やらで忙しいっていうのに
向こうはお構い無しだな、全く

【吐き捨てられた言葉が風に飛ばされた。人気のない道を一人きりで剣士が歩む】
【この場に来るものがいるならば、いやが応にもその姿を見つけることができるだろう】





【路地裏】

い、いや、だからお金は持ってないんですって!

【表通りから大して離れていない路地裏で、中年の男性がカツアゲにあっていた】
【銀色の髪に同色の髭。高級そうなコートにモノクルという格好はどこか貴族然としていた】
【一方、彼の周囲には若い不良が三人。睨みつけながら「金出せよ」と脅していた】

誰かー! 誰か助けてー!

【中年は恥とか外聞とかは速攻で投げ捨てて助けを呼んだ。慌てる不良たちだったが、誰かが来る様子がない】
【頑張って中年は叫び続けていた。ちゃんと表通りの方へと。誰かが助けに来てくれることを信じて────】


//上下どちらでもというやつです
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 20:42:10.20 ID:L+tPCwXU0
>>193

【――――きゅう、と、喉の奥が小さく鳴る。わなわな震える身体の内側を必死に押さえつける、肺だなんてがくがく震えてひっくり返ってしまいそうでも】
【脳の血管をつなぐ手術のように緊張し続けていれば、もう少し頑張れそうだった。だって、そうじゃないといけないって――思うのだ、どうしてか、は分からないし】
【もはや条件を満たしていないことも分からないけど。――助けてあげてほしいって言われたから。きっと相手は困っているんだって。そればかりが繰り返されて】

【ぼうっとした目で話す少女に対して、こちらはぐるぐると――ひどく切羽詰まった目をしていた。とうに崩れ落ちたものを組み立てて押さえているのだから】
【それこそ全部がひび割れたパズルみたいに当てはめて両手だけで押さえているみたいな、気持ち――ある意味でひどく強い執着だけでなしている、ちっぽけな奇跡】

――――ぁ、

【そのくせにいろんなことは頭から抜け落ちている、読み方だけを知っている古文書を読み上げるみたい、意味。というよりは染みついた何かが、物事をしゃべらせて】
【――それでも。これは。本能だった、弱虫な生き物が生き抜くための本能。――青年の言葉で初めて少女の意識は周りに向く、周りの人間たちを、認識する】
【ふらふらふわふわ揺れながらも。あるいはだからこそ――くちゃくちゃに濡れたままの顔を一度拭う、冴えて温度を喪失した目があたりを睨んだなら、それこそ蛇の目のよう】
【ひどく不快なものを見た、みたいな顔だった。――それでもこの場で多数がどちらであるのかは動物の本能として、理解したから】

【そうして、そういう本能的な理解は。少しくらいまともな思考回路を取り戻させるのだ、火事場の馬鹿力――というわけでは、きっとないけど】

……………………――、

【――彼のことは拒まなかった。そうするすべを知らないみたいに。前触れなく起き上がって、そのままふらりと歩き出すから】
【そのくせ伝えたいことに明確なビジョンがあるわけでもなかったらしく――ならば路地裏に踏み込んだ後も、少女は一人でそわそわしたような、ふわふわしたような、態度で】
【言葉を急かされるような様子なり言葉なりがあったなら――、ぽつん、って、最初の一文字。そのあとはずらずらって、頭の中にある状況をただ吐き出すように、紡ぐだろう】

【いわく。この前……と言っても少し前の話をしているようではあったが。ミラに出会って、その時に。夕月のことを聞いたのだと言う、もしもミラに連絡が長くつかなくなったなら】
【その時は夕月を保護しろと言われたのだと。そのほかにもべらべらって吐き出すのを考慮するに、直近にもミラと連絡は付いているなら、そもそも前提が成り立ってないけど】
【もしかしたら――ミラと連絡がついていたって。夕月と会ったら何かをしなくちゃと思っていたのかもしれない、そういう様子にも見えた、かもしれない】
【相手が求めるようならそうするって決めていたみたいに。単語と単語が時々混じりあって不明瞭なことを言ったり時々時系列の違う話をしているようだったり】
【顔見知りでなく。共通の知り合いの名前も出していなかったら。到底聞く価値もないと判断されてしまいそうな語りかただった。――それでも、嘘を吐いている様子、ではなく】

【というより。この手のやつは嘘だったとしても、きっとそれを嘘と認識しながらなんて、しゃべれないのだけど。――"どうかしている"ようなら、どれくらい信じられるだろう】

/大変長らくお待たせしました、本当にごめんなさい!
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 20:50:52.95 ID:J8Ttdw3G0
>>194

「う、初ちゃん!?」

【自分自身の気持ちを悟られたのか】
【初が取った行動は、厳島の救援だ】

「曹長!?どうするの?」

【そして、声を掛けられた、時間はもう無いと言う事だろう】

「……」
「先に潜航して下さい、私と初ちゃんは中尉を探しに行きます」

【翔子は初の背中に付いて行く】




【榛名、艦橋通信室】


「――ッぐッ」

【鍔迫り合いの状況となった】
【奇襲の一撃のつもりが、異様な反射だ】
【余りにも人間離れし過ぎている……】

「――ッ!!」

【そして次の瞬間には、もう狗の仮面は間合いの外へと消えた】
【身体能力は、もはや人のソレを遥かに超えている】
【強い、飾り気無しの言葉で言うならそうなのだろう】
【やがて……】

「ッ!?」
「器用な、真似を!!」

【その状態から、銃弾を二発】
【此方に向けて放つ、見切りではあるが腰を屈め、頭の位置を大幅にずらす事で回避を試み……】
【だが、それは叶わなかった】
【否、銃弾そのものは回避が叶った……だが】

「ぐあああッ!!」

【右目に、その刃を受けた】
【獣の暗殺術、まさにそう呼ぶに相応しい刃の殺人術だ】
【身のこなし、身体能力、戦闘感覚、そのどれを取っても……】

「――っくッ」
「小癪なッ!!」

【だがここで終わる事はしない】
【それは余りにも無様だ】
【攻撃の一瞬、その隙に乗じて】

【腰を落とした姿勢のまま、軍刀を床と水兵に横に寝かせ、両手で柄を握り一気に突き出す】
【所謂、平突きと呼ばれる剣技だ】
【迅速の突きが狗に向かって、放たれる】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 21:13:39.84 ID:y25UeKNJ0
>>196

【最悪、何か言った時点で泣き叫ばれるのも視野に入れていたから】
【そうならないなら多少は許されたのだと青年は判断した。数歩分の距離を保って、あなたについていく】
【それに追従するように、慌てた様子の赤い靴が音を立てて――路地裏に着く】

【それからふたりは、黙って話を聞いていた。……嘘を言えるような精神状態じゃないだろうって判断したらしい】

「…………ふうん、そう。よかったネ、助けに来てくれたんだってヨ」

そんな場合、じゃ、ないじゃんっ、こんなのっ……助けなんて!
鈴音のほうにこそ必要じゃん、どうすんのこれ、……どうしたらいいの、

【ちょっと離れたところから、やっぱり無責任なことを言う青年に対し。少女は強めに言い返してから】
【声量はデクレッシェンド、どんどん窄まっていく。どうすればいい、と絞り出すように口にしても】
【「さあ。もう助けられないんじゃねーの、こんなの」と、青年は突っぱねる。あるいは諦めている】
【鈴音が本当に助けを必要としていた時期なんて、知らない間に、とうに過ぎ去っていたってこと】
【それくらいは――少女にもわかったのだ、わかったから、項垂れる。重たい溜息を吐いて】

……、……ねえ、鈴音はさ、……ずっとここにいたいの?
もう、外には……出ない? 出たくない? 誰にも、会いたくない?

【小さな小さな音量で、最終確認するように。口にするのだった、半ば全部諦めているようなものだったけど】
【せめてなにか、会いたい人とか、一人くらいはいやしないだろうかって。僅かな望みがないかどうか】
【砂粒の中から金を探すよりずっと難しく思えた。金はきらきら光るけど、曇りきった鈴はそうしてくれるか、わからない】
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/05/02(水) 21:25:36.54 ID:V4VsrLHno
>>197

【最近接距離。 隙を捉えた厳島の一閃が、その左脇腹を見事に貫く】
【── だが、事もあろうに“狗”は、グローブに覆われた左手で、刃を握る手を握り締めた】
【傷口から迸る血潮にも、痛苦の声はない。 それは、不要な物でしかなかった】



   “  …………。   ──、   ”



【──自らを楔に、厳島を繋ぎ止める。 彼は逃げられない】
【“狗”はただ、殺すために刃を振るう。 生命を刈り取るにはそれで十分だった】
【右手に握り締めた刀を、横薙ぎに、彼の首元へと向けて振り ──、 】




 何、動物ごっこ? 
  ──趣味悪い格好してんじゃないわよ。



【その瞬間、“狗”の背に向けて少女の声が投げかけられた。 ──同時に、発砲音】
【厳島には分かるだろう、初の声だ。 恐らくは、その後方に翔子も居るだろうか】



“ …………。 ”


【── 発砲は、これもまた“わざと”、“狗”の身体を外して為された】
【致命傷を与えては、捨て身で厳島を殺される可能性がある。 故に威嚇射撃】
【“狗”もまた、その意図を理解し、脇腹に刺さった刃を抜き去って厳島から離れた】


……、那須さん、厳島さんを早く連れて行って。コイツは私がやる。


 “ …………  、 ──。 ”


【初は銃を腰に戻すと、ナイフを引き抜いて、腹部を抑える“狗”の間合いへと迫っていく】
【── 二人がどうするのかは自由だが、重傷を負った刺客と、この少女】
【彼女の言葉に従ったとして、逃走の際に追撃を受けることは心配せずともよい、だろうか】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 21:39:25.12 ID:L+tPCwXU0
>>198

【――あったことをあったように言うのは、簡単だった。難解な文章だって意味の理解を置いといていいなら、ひらがなでさえあれば、子供にも読めてしまうから】
【だけどその先のこと。その先のことは――停止しきって。ふわふわして。眠たいのに浸されてフレンチトーストみたいにされちゃった思考回路では、ひどく、難しくて】
【それでもふっと繋がる瞬間があるから。ぐじぐじって何度もこねくり回せば、断線したイヤホンだって、たまに音はするものだ。――だけどそれはまだ使える証拠か、と言われたら】

――――、――ぅ、え、

【眉をひそめて悩みこんでしまう。ここに居たいのかって――、だって、もう、外側は怖いから。ここじゃないところは――あるいは、ここさえ、】
【もうどこだって怖いのかもしれなかったけど。ぎゅっと自分を抱きしめて――、身じろぎする。外に出たいのか、会いたいひとは、居ないのか、――わかんないから】
【子供が困ってしまったみたいに、黙り込む――噛んでしまった唇がわなわなと小さく震えていた。ならばまた怯えてしまったみたいにも、似て。だけど、ふっと、思い浮かぶ】
【行きたい場所では、ない。会いたいひと、でも、ない。だけど一つ、望みたいことがある気がした。――投げ出しちゃった自分にはとうてい難しいこと】

――――……、――ぁの、ね、――ぇ、っと、あの……、あう――、……ぁ、の、あっち、の……、
……工場、工場が――――燃やすの、……臭いが、するから、ずっと――、――……だか、ら、あの、工場……が。

【「――――なくなってしまったら、いいな」】

【夕月の問いかけは、外側を撫でただけでどこかへ通り過ぎて行ってしまう。外に出るか、とか、会いたいひとは居るか、とか、少し、まだ、難しすぎる】
【なにせあれだけ"頑張って"いたはずの"UT"も"たんぽぽ"も、逃げ出してしまった直後だから。罪悪感はいつだって追いかけてくるから、目覚まし時計はうんと未来に鳴る予定】
【そもそも鳴ってくれるのかも、分からない。ずうっと眠ってしまうのかもしれない、それならこれは微睡みの最中の寝言でしかなくって、ああでも、少しだけ、意味はある】

【――今は分からないかもしれない言葉だった。だけど、調べれば、きっと分かることではあるだろう。この旧市街に存在する"工場"と言えば、】
【いかにも"よくない"噂の蔓延るもの。血腥くて、いろんなひとの怨嗟に満ち溢れて、どうしようもない場所が、ある。――震える指先がぐしゃりと前髪をかき上げて】
【その向こう側のひどく蒼褪めて眉をひそめた顔を、よく見せつける。――それで"なにか"が"どうにか"なるわけでは、ないのかも、しれないけれど――――】

――だ、って、わたしは、ヒトじゃ、ない、から……、ばけもの、だから、……間違い、なの、でも、ばけもの、だから――――。
イルちゃん、の、ところ、なら――、嘘。つかなくって、いいの、ばれちゃうこと、ないの、だって、――イルちゃんに、ニンゲンは、要らない――から、

【通り過ぎていったはずの問いかけが、ふと、ひっかかる。少し遅れて理解が及ぶ】

【外に出る気は? ――だって、自分は、ばけものだから】
【誰か会いたい人は? ――だって、自分は、ばけものだから】

【答えになっていないように聞こえて、だけど、それが答えだった。――自分がばけものだっていう認識に押しつぶされてしまって、あとは、もだもだもがくだけ】
【あふれ出た内臓が地面に張り付いて取れなくなってしまったみたいに縫い付けられてしまう、だからもう動けなくなる。動けなくなって――なったなら、あとは、戸惑うだけ】
【"その場所"に居るなら、そんな現実は遠ざかってくれる。ここは近いけれど、まだ遠い。だから怖い。――二人のことは人間だと思っている。だけど。もうぐちゃぐちゃだから】
【ふって口から出てしまうのだ。どこにも行きたくないし誰とも会いたくない。理由を述べたなら――喉の奥がひきつるような声を漏らす――どこか、自棄にも似ていた】
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 21:43:38.94 ID:J8Ttdw3G0
>>199

「……ッ!?」
「っく……」

【この状況から、まさかの刀を握り込んだ手を掴まれる、捨て身の戦法だ、この場に自分を拘束するために……】
【もはやこれまでか、そう思われた時だった】
【男の背後から声が、そして同時に発砲音】

「初か!?」

【声の主の少女に、そう言って】

「初ちゃん!?」
「……すまない」
「助かった、だが、気を付けろ……そいつは、只物じゃない」

【厳島は負傷し、光を失った右目を抑えつつ、壁伝いに離脱を図る】
【一方翔子は、二人を交互に見て、どうしようかとしばし考えた後】

「初ちゃん、危なくなったら、直ぐに逃げてね!」

【そう言い残し、厳島に付き添い、その場を離れる】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 21:56:37.56 ID:y25UeKNJ0
>>200

【工場、と言われれば少女は首を傾げたけど――青年はなんとなくわかったらしい】
【アレを焼くとああいう独特のニオイがするのだ、知っている。……口には出さなかったが】
【とりあえず、それが鈴音の当面の「やりたいこと」であるらしいことだけは、わかった。……それだけ。】

ヒトじゃない、バケモノ、……まち、がい?
わかんないよ、この街の外にも、ヒトじゃない生き物なんていくらでもいるじゃん。
なんで隠す必要があんの、なんで、……、……、

「そーれだけはおまえに言われたくないコトだと思うんですけど?
 あんね、リンネちゃん。このさいだからバラしちゃうけど、おれもこいつもニンゲンじゃないの」

【「こんなふう」と青年は言って――手を伸ばす。ぐぐぐ、と肉の軋む音がして、手の形が変わる】
【次の瞬間には五指を持つヒトの掌が、肉球を持つイヌかネコのあんよに変わっていた。……すぐに戻して】
【正しくバケモノにしかできない芸当、きっとあなたをちょっとだけでも安心させるためにやったこと、だけど】

「まあ、でも……おれたちはニンゲンじゃないことをバラそーが隠そーがどっちでもいいんだけど、
 リンネちゃんはそうじゃなかったんだ。自分がニンゲンじゃないこと、バレたくなかった。
 それか……ニンゲンじゃない自分のからだが、キライなのか。そんなカンジ?」

【元に戻したヒトの形状の手を、腕組みの形で落ち着けて。青年はそう問うた】
【「だったら難しいネ。他の人がどう思おうと、自分がイヤって思うんなら、どうしようもないもん」】
【そう結びつつ、「イルちゃんにニンゲンは要らない」の意味を考えていた。「全部[ピーーー]つもりなのかな」って、呟いたりもして】
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/05/02(水) 22:06:14.14 ID:V4VsrLHno
>>201


── 分かりました。

【厳島と翔子に頷き、初は“狗”へと向き直る ──本職の軍人が、そこまで言う相手だ】
【幾ら手負いとはいえ、撃破ではなく、時間稼ぎに終止すべきだろう。 潜水艦が離脱するまで、が目標か】
【間合いの少し手前で足を止め、ナイフを構えた。 切っ先から紫電が奔り、威嚇する】


その、バカみたいな面。取ったらどう。
……腹立つのよ。覚えてない昔の話聞かされてるみたいで。


【時間稼ぎ紛いの問いかけ。 ──だが“狗”は、何故か素直に仮面に手を掛けて】
【そして、その素顔を晒した。現れた相貌は、まるで、彼女にとって見覚えのない人物で】
【だが、その男は親しみを込めて、彼女に問い掛ける。 】




    『  オメラスの外に、しあわせはありましたか。  』




【、と。】




  【 ── 】



【二人が再び甲板の後部へ到達すると、甲板の兵士から連絡が入るだろう】
【突然に“動物”達が撤退していった──。 だが、損耗は少なくない筈だ】
【このまま、榛名で航行することは難しいのかも知れない。 無論、決定権は厳島にあるが】


 ──、 厳島さん、大丈夫?


【そうこうしている内に、初もまた、後部甲板へ現れる】
【負傷している様子はなく、戦闘をしたにしては現れるのも早い】
【恐らくは、“狗”も撤退したのだろうか──、彼女に問いかければ、その旨の話をするだろう】

【この先どうするか、という話し合いは軍の人間たちに委ねられる。 彼女はそれに従うだけだ】
【──ただ、その最中。 翔子の傍に寄り、一言だけ、初は問いかける】



 …… ねぇ、那須さん。 “オメラス”って言葉、知ってる?



【何処で聞いた、と問われれば、彼女は、“狗”が話していた、と応えるだろうが】
【それ以上は何も知らない。──もし翔子達が何も知らない、というのなら、そう、とだけ言って離れるだろう】
【嵐の様な襲撃の後処理の中では、そんな疑問など、些末な話なのだろうから】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/02(水) 22:11:01.62 ID:f9phlm7r0

【とある町中】

【建ち並ぶ建造物の屋根の一つ。かたりと音が鳴って】


──うん!やっぱり捜し物をするには高い所から見てみるのが一番だよね!
【屋根の上に立ち路上を眺めるのは】

【水色の猫耳がついたフードのケープに白いブラウス、青いスカートに素足に履いた紺色のローヒールのストラップパンプスの少女】


【フードを目深に被った彼女は、よ……っと、などと小さくかけ声をあげながら爪先立ちをして少し遠くの路地を見下ろし】

……んー、こっからじゃよく見えないな……もっとあっちの方から……
【呟きながら爪先立ちのまま立つ位置を調整して】

【たどり着いた屋根の端、うーん?なんて声をあげながら路地をじっと見渡せば】

──!
【ふと目に映ったのは半着に股引、笠といった姿の数人の人影で】

【サッと少女の顔色が変わる。何でこんな所に、などと呟いて踏鞴を踏めば】

──へっ……!?
【屋根から足を踏み外して転落する】

【直後、少女が屋根に乗っていた建物に面した路地裏から「に゙ゃぅ゙ッ!?」という変な悲鳴が聞こえ】

【その声に誰かが路地を覗き込んだのならば路地裏に置かれた幾つかのゴミ袋の上で小さくうーうー唸る少女の姿を見つける事だろう】


205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 22:14:25.92 ID:L+tPCwXU0
>>202

【――――でも。そうやって言うときの彼女の顔は、きっと、無力感に似たもので、溢れている。何かをできなかったひとの、目をしていたから】
【一生懸命に隠していた傷を見つけられてしまったのは、その、ちいちゃなほころびだった。あんまりな現実を直視したときに、ふっと立ち止まってしまった、瞬間に】
【ずうと自分を追いかけて来ていた現実に、彼女は追いつかれてしまった。――たったのそれだけ。ありふれたこと、無限に生きる人間がどこにも存在しないのと、おんなじ】

――――――っ、

【ヒトじゃない人間だなんて、たくさんいる。そんなの知っている、彼女の知る中にだけでも――何人かの名前と顔を、思い浮かべることが出来る。でも】
【それとこれとは、違うのだ。たくさん居たって世界の主流はありふれた人間たち、それだって自分なんかよりずっとずっと人間であるはずの能力者相手に、非道いことをして】
【ならば人間でない自分だなんて――それこそ簡単に簡単に、排除されてしまう。に。違いないのだ。――ひきつったような息、ブレス音は、甲高い声を予想させて】
【ふとした瞬間に限界がまろびでそうになる――でも、踏みとどまった。あるいは気がそれだ。――彼の身体の一部が、ありえない現象を起こして、それを、見たから】

【――ありえない以上の光景を見たなら、やはりどうしても驚いたような、そんな目はする。だけど。見開いた目の向こうで確かに嬉しそうだったのだ、仄暗く、冥い悦び】
【いけないと知りながら自分を傷つけるみたいに。そういう生臭くて湿っぽいからこそ、逃げ出すことの難しい、悦び。同種を見つけ出した瞬間の、後ろ暗い安堵】

じゃあっ……、じゃあ、ねぇ。ねえ――イルちゃんのところ、に、いこうよ、そしたら――、夕月ちゃん、の、こまってることも……――きっと、
オムレツ、――さん、も。"わたしたち"とおんなじ、なら――、ねぇ、ね、――そしたら。そしたら、ね、こわく、ないよ、だれも……わたしたちのこと、
虐めないの、ばけものだって、きもちわるいって……いって。ばかに。しないの、ねぇ――――、

【それで表情は綻ぶ。水たまりに映り込んだ虹を見せてあげたいからって手のひらに掬い上げた子供みたいに、ねぇねぇ、って、何度も、何度も、声をかけて】
【一緒に行こうって。そうしたら怖くないからって。――なんせ、彼は困っているのか、分からないから、どうとは言えないけど――彼女に関しては、頼まれている】
【そうしたらきっと困りごとだって解決するから。だからおいでって――、一緒に行こうって、破れた経典を諳んじるみたいに繰り返す――少しだけ。おかしかった】

【もしも彼女が本当に"ばけもの"だとか"きもちわるい"だとか言われたいたなら。本当にあんなに当たり前にUTに居られただろうか、子供たちのため、食事を作り続けられただろうか】
【ならそれってきっと――誰もそんなことは言っていなくって。少女自身が、自分に向けて繰り返していた言葉なのだ。ばけものだって、きもちわるいって、積み重ねてきた】

――――大人に。なりたかった。

【――夕月と最後に会ったのは、いつだっただろう。何年か前のこと、明確な日付が必要なわけじゃあないなら、結構前だった、っていう、事実で充分だった】
【そこから。少女はほんの少しだって変わっていなかった。変わっていたとしたら髪の長さくらいで――そして、それは、成長ではない。少女は、あれから、成長していないから】
【いまとなってはひどく空の上で煌めく虹色の雲を見上げるみたいに――呟くしか、なくて】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 22:20:36.75 ID:J8Ttdw3G0
>>203

【榛名、後部甲板】

「あ!来たわよ!!」
「初ちゃん!?」
「大丈夫か!?よく無事で……俺は何ともない、とは言えないが命に別状はない」

【時間をそれ程置かずにやって来た初を見て】
【各々がそう口にした】
【厳島も、自分の右目を押えており、流血は止まっていない様子だが】
【こちらも、致命傷とは違う様で】

「これじゃ、榛名は動かせそうにないわね」
「いや、丁度いい、敵の目を晦ませる必要がある、本作戦は伊707号単独での作戦に切り替える」

【強襲揚陸潜水艦伊707号、艦隊とはここで解れ、潜水艦一隻での隠密亡命任務となる】
【甲板作業員の大半を死傷させられ、各部機能が停止した榛名では、この先ヨハネスを守り切れない、と】
【そして何より、あの集団は自分を狙ってきた、これ以上無駄に被害を拡大するような真似はしたくない、と言うのが内心で】
【そして、伊707号に乗り込む直前の事だった】

「……え!?」
「初さん、その言葉を何処で!?」

【頭に思い浮かぶのは、カチューシャの事】
【彼女が口癖のように言っていた、その言葉】

「知ってる!知ってます!!」
「初ちゃん、何か知ってるの?」

【そう、切な声で問いかけた】
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 22:34:43.30 ID:y25UeKNJ0
>>205

あ、あたしたちも、行くの? イルちゃん……の、とこに?

【そこに行けば虐められないよ、と言われれば、ぐらつく。最近散々虐められて、挫けかけたから】
【「あの女の手の届かない場所に行けたなら」――夢想して、それも悪くないなんて思ってしまう】
【思ったからこそ――鈴音を外の世界に連れ戻すのは、限りなく無理に近しく難しい、って確信した】
【そしてそれは青年の方もそう思ったみたいだった、主のことが嫌いなのはこの少女だけじゃない】

【――――でも、と、思える。まだ、心残りがいくつかあって】

あた、しは……あたしは行けないよ、ごめん……、
たしかに外の世界、イヤなことたくさんあるけど、
……好きなニンゲンが、いるの。だから、……おいていけないよ。

【それが大きな一つだった。好きなヒトを見捨てられない、それだけの理由で、甘い夢から目覚めなきゃいけない】
【でも、鈴音は――同じような理由があったとして、それでも夢を見ていたいって願うほどに】
【擦り切れてしまったんだと理解した。……だったらもう、自分ごときの言葉くらいじゃ、連れ戻せない】
【完全に諦めてしまえる要素が見えてしまった。呻くように、嘆息して】

「おれもねーだいたいおんなじよーな理由で行けないんだわ。ごめんネー。
 やり残してることがあんの。それが終わったらまあ……来てもいいケド。

 ……大人に、なりたかったんだ。
 じゃあリンネちゃんは『今』大人になれなくて……『昔』はそうじゃなかったんだ?」

【青年は、鈴音の独白を聞き逃さなかった。なるほど、昔はバケモノじゃなかったんだって】
【きっと昔は「普通」のニンゲンだったから――バケモノの自分を許容できないんだ、って。なんとなく理解した】
【その感覚はわからないでもなくて、だからこそ、あきらめのムードが強くなる。……これ以上喋っても平行線だな、とも感じた】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 22:44:18.03 ID:OsWFybz9o
【──今は機能していない、アルターリの都市管理施設】
【電気水道都市ガスの何れをも管理していたが、今はもう人もおらず】
【そのために一切の異常を示していない────訳ではなかった】

【現状調査の為にその施設へ入れば、水道のモニタに黄色い三角形が表示されている】
【もっと近づいていけば、下水集積孔の水位計が異常を示しているのが分かる】
【異常水位だと警告が表示されているが、そんな量の下水が流れているはずがない】


【入り口と異常地点へのルートを知るためには、地図が必要だ】
【備え付けられたプリンターからは、一枚の紙がすでに出力されていて】
【水位異常が発生した地点と、そこへのルートが赤い矢印と×印で記されていた】

【都市の復興を図るために、重要な問題であることに違いはない】
【何者か訪れる人間は居るのだろうか──?】
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [saga]:2018/05/02(水) 22:48:46.08 ID:V4VsrLHno
>>206


【彼女にとっても、ダメで元々で尋ねてみた言葉だった、ので】
【知っている、という翔子の言葉に珍しく眼を丸くする──、が。 その後の、彼女の言葉に落胆する】
【何か知っているの、ということは、彼女もまた、“言葉だけ”を知っているに過ぎないのだろう】


……さっきの“狗”が言ってた。 “オメラスの外に幸せはあるか”、って。
私が答えなかったら、小さく頷いて、 逃げて行って──。  ……それに、“特区”でも聞いた。
あの白い建物の、地下に居た男の子が、“オメラスに行く”って──。


【列の最後尾。潜水艦に乗り込みながら、消え入りそうな声で初は答える】
【会話、というよりは、揺らぎ切った蜃気楼の中を手探りしているような、何一つ確信のない呟き】
【── 艦内に入ると、ぐらり、と目眩がして壁に手をついた。 決して、海が揺れたせいではない】


それだけ。
……、だから、 、 私は、何も  ──── 、ッ!!!!  


【ごん、と潜水艦内に音が鳴り響いた。 初が思い切り、その拳で壁を殴りつけたのだ】
【見れば右手からは血が出ている。 ──彼女は、「ごめんなさい」とだけ周囲に告げて】
【艦が目的地に到達するまで、隅で黙って、座り込んでいるだろう】



  【 ── 】



【その後の航海を妨げる者は、誰も居ない】


【一行は無事、櫻に到達し、ヨハネス・ロトゥノカイトの身は非公式ながら、国の預かるところになるだろう】
【── しかし、彼からは通り一遍の証言しか得ることはできない。『円卓』の存在も、認めようとはしないだろう】
【それでも、これから先のことを考えれば、櫻が手の内に置いておくには損にならない人物でもある】


【厳島を狙った“動物”達もこれ以降は、姿を現さない】
【片目を奪ったことで警告としては十分と考えたのか──、真実は定かでないが】
【水の国に例の警備艇について照会しても、確かに“奪われた”との返答が帰ってくるだけで、足取りを辿ることは叶わない】


【ロロケルム・ランガスターからは、謝意の電報1つも送られては来ない】
【もし、水の国に戻った後、彼に連絡をとったとしても、“依頼”の件はなかったものとして扱われる】
【恐らくは、その態度こそが──、この一件の裏にある存在の深さを、彼らに告げているのだろうか】



【最後に、ある日。 厳島が立ち寄った、水の国の──どこでもいい】
【喫茶店か、軍事施設か、或いは炉端の公衆電話か。 そこの電話が鳴って、誰かがそれを取れば】
【厳島が呼ばれている、と言って、彼に受話器が渡されるだろう。 それに、耳を当てたなら】




  “  ねぇ、厳島中尉。 動物園は、楽しかったかい。  ”




【 「またいつでも来てよ。」  ──、男は気安く嗤って、電話を切るのだ 】

/少し詰め詰めで申し訳ないですが、この辺で!お疲れ様でした!
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 22:51:31.88 ID:J8Ttdw3G0
>>208

「……」
「ここは、もう……」

【先だっての戦闘の後だった】
【壊滅以上何物でもない都市の惨状、やはり気になる所であり】
【また、海軍諜報部としても、その状況の行く末には目を光らせている】
【そんな状況の都市管理施設に、先だっての戦闘に参加していた一人の少女が潜入する】

「人は居ない筈なのに?」

【そのモニター表示は、確かに異常を示していた】
【戦闘の被害の一部なのだろうか、あるいは……】
【着剣した短機関銃を構え、辺りを見渡すと】

「地図?」

【それも、モニターの異常が観測されている地点までの】
【誰かが来た?そして異常地点を観測して、でもそれは解消されていない】

「何か、ある?」

【そう直感した翔子は、その地図を手に異常地点まで向かう事に】
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 22:56:56.27 ID:OsWFybz9o
>>210

【経路は甚大な被害があった都市にしては、奇妙なほど綺麗に整備されていた】
【経路を塞いでいた炎のついた車輌や瓦礫などは脇道に避けられていて】
【それに、地下水路へ入るためのマンホールの蓋も取り除かれていて】


【地下は残っていた僅かな水が蒸発したために、湿度が非常に高い】
【高温多湿な環境だが臭いはそれほどない。管理用の通路も綺麗になっていて】
【──あの事件があってから、誰かが掃除したかのように思えるだろう】
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 23:02:24.94 ID:L+tPCwXU0
>>207

だって――そしたら、ね、そしたら、ねぇ、黒幕も、円卓も、関係ないよ、――――ねぇ、だって、わたしたちだけ、なら――ねぇ、
黒幕、に、ひどいこと――されない……、円卓――……、円卓。だって。ひどいこと、しない、よ。だから――、

【言葉より先に、きっと温度感で、伝わっていた。断られるって。来てはくれないって。――表情が少しずつ強張っていく、どこか、悲しげになって】
【連ねていく言葉は――知らなければ知らない単語だった。だからそれもきっと要員なのだと思われた。ふっとした現実で折れてしまうまで、精神力みたいなものを削っていって】
【だけど、一番のとどめは、――って、きっと言うまでもなくて。相手の言葉にほんのわずかずつ、眉が下がっていく。最後には本当に、悲しそうな顔をした】

【――好きな人間がいる、って、言葉は。ひどく堪えた。好きな人間は、居た。このひととならって思っていた過去があった。ずっと一緒に居られたらと願う瞬間】
【そしてその願いを疑うこともないくらいに、幸せな時間。この時間は終わらないと無邪気に信じられたころ。ずーっと昔には、あった。――ぎゅうと服の裾を握りしめて】
【まして――そんな風に断られるのは、初めてではなかったから。羨ましいと思った、――同時に妬ましいとも、きっと、思った。"だめ"だったから。理由はそれだけ】

だっ、て、だって……、あう……、――。

【彼にまで断られたなら、その足元がふらりと揺れる。倒れこんでしまうなんてことはなくて、ただ、曖昧に首を揺らす。――「どうして」って小さな呟きを漏らして】
【ここは怖くないのに――寂しげな顔。またふらふらっと首を揺らす。彼女が並べられる理由なんてそれっきりだった、"ここは怖くないから"】

だって……だって、だって、だって、間違いだったって、間違いだって、――大人になれない、のは、わたし……なのに。
…………――ねぇ。ね、なんで……、なんで、ふたり。は。平気――なの、なんで、そんな、ふうに……普通に、してる、の?

【――間違いって言葉はどうしたって"そうじゃなかった"未来を想起させた。間違いのなかった世界なら、もしかしたら、――って考えてしまう、不毛だとしても】
【IFはありえないって知っていたとしても。ずっと執着しながら諦めていた。知らなかったから。だけど知ってしまったなら、幾度も幾度も思い浮かべたIFが、殺してくる】
【手に入らないからとごみ箱に棄てながら何度も何度も拾って見返してしまうカタログの切れ端みたいな憧れが今まで思い浮かべた回数だけ毒性を帯びて、致死性の劇物になってしまう】

【理解できないみたいな呟き。きっと彼女も平行線を理解した、理解したからこそ、どうして――って言うことしか、出来なくなって】
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 23:02:25.43 ID:J8Ttdw3G0
>>209

「特区!?初ちゃん、特区に入ったの!?」
「地下の、男の子……初ちゃッ」

【再び何かを聞こう、そう言葉を発しようとしたその時、潜水艦に乗艦したその時】
【彼女は何かを悔いるように、壁を殴りつけて、押し黙ってしまった】

「(オメラスに行く?どういう意味なの……)」

【疑念も疑問も、尽きる事は無い】
【ただ胸に、黒い靄の様に堆積していくのだ】
【やがて、伊707は何事も無く櫻の軍港、静ヶア鎮守府へ】
【ヨハネス氏は海軍が邸宅を与え、その身柄を引き受けた】
【厳島達は、数日を櫻の国で過ごした後、水の国へ帰投するだろう】



【だが……】


【その日、厳島は水の国のさる喫茶店に居た】
【何の事は無い、任務の合間のほんの僅かな時間潰しだった】
【マスターに呼ばれ、電話を取る】

「貴様!?」
「何処に居る!?」

【もはや片方となった目には、激しい怒りと戸惑いの色が浮かび】
【そしてそれだけを告げると、電話は切られた】
【闇は、底知れず】
【謎は尽きるとこは無かった……】


//お疲れ様でした!
//ありがとうございました!!
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/02(水) 23:02:40.67 ID:DGZRmXpN0

【とある繁華街】
【広場で市民団体が声を上げていた】

「募金のご協力お願いしまーす!」
「皆様、どうかご協力お願いします!」

【大声で通行人に呼びかける若い数人の男女が抱える募金箱には、『アルターリ復興支援募金』と書かれている】
【呼びかけも虚しく、道行く人はほとんど足を止めないが──少女が一人、てくてくと彼らの近くに歩いてきた】

はい、どうぞ

【10代後半の少女は、空色の瞳を持ち、白みがかった金髪を真ん中で分けてツインテールにしていた】
【黒い半袖のブラウスに、白いショートパンツ。肩からは小さなショルダーバッグを掛け】
【右手には高額紙幣が十枚程度という結構な大金が握られていて──それを募金箱の中に、ぎゅっと全部押し込んだ】
【募金箱を持つ男は、目を見開く】

「あなた、確か昨日も募金してくださいましたよね?いいんですか?こんなに……」

うーん。いいのかな?でもわたしのお金なら心配しなくて大丈夫だよ

「は、はあ」

じゃあね

【半ば呆然とする男とその仲間たちを尻目に、少女は再び街中を歩き始めた】

215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 23:05:52.44 ID:J8Ttdw3G0
>>211

「暑い……」

【着ている士官制服の詰襟が、汗を吸って心地が悪い】
【妙に蒸れる、それは周囲の湿度の為に他ならないが】

「でも、妙に綺麗に、誰かの手が入ってるの?」
「この国の、陸軍?」

【考え難い話だが、水国陸軍かあるいは何処かの救援団体か】
【兎にも角にも、懐中電灯で照らしながら先に進んでいく】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 23:12:11.08 ID:OsWFybz9o
>>215

【管理用の通路を地図の示すとおりに進んでいけば──】
【途中水路の中に、芋虫のような蟲が数匹転がっているのが見えるだろうか】
【白色の身体で頭と尾部は緑に染められている。特にどういうこともない蟲】

【奥に進めば進むほど、頻繁に見かけることになろう】
【それに湿度も上がっていき、湿度計を持っていれば100%を示すはず】
【温度は変わりないものの、湿度が上がっているためにより暑く感じるだろう】


【更に進んでいけば、管理用の通路に立つ人影が見える】
【蛍光灯の距離が離れているためにその顔まではくっきりと分からないのだけど】
【通路の掃除をしているようにも見えるが、一体何者だろうか】
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 23:19:07.99 ID:J8Ttdw3G0
>>216

「う、ううう……」

【ぐちゅ、足の裏、靴からの感触】
【思わずライトで照らすと、気味の悪い芋虫のような虫が居た】
【それは、他にも数匹居り】

「わ、も、もう……虫は嫌いですよ!」

【思わず速足で、その場を過ぎ去ろうとする】
【湿度はどんどんと上がり、ついには100%に達しようかと言う時だ】

「……」

【まるでサウナだ、眼鏡も曇り始める】
【虫も増えている、不快感に顔を顰める】
【下たる汗を、手で拭いながら、奥に奥にと進む】

「――ッ!?」

【人の気配、そして姿】
【懐中電灯で、その人物を照らす】

「誰ですか!?」
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 23:28:24.98 ID:OsWFybz9o
>>217

【声を掛けられれば、人影は彼女の方に振り向く】
【懐中電灯で照らされると、眩しそうにその灯りを手で遮って】
【彼女が懐中電灯を下ろせば、誰かは自然とわかるだろう──そう、赤崎桐子だ】


「おや、軍曹じゃないか。なんでこんなところに居るんだ?」


【身に纏っているのはいつもの白衣ではなく、蛹が何層にも重なったような法衣】
【背に刻まれた古代文字の魔法陣は、法衣にも写されており】
【常にピンク色の淫靡な光を灯していた。しかし表情や声、思考に変化は見られず】


「あぁ、掃除を手伝いに来てくれたのか」


【ぽん、と手をたたくと木の魔力を錬成して木の箒を作り出す】
【これを使ってくれ、と彼女に渡せば、また通路の掃除を再開することだろう】
【何か彼女が口出ししたのなら、その動きを止めるはずで】
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 23:38:14.29 ID:J8Ttdw3G0
>>218

「あれ?あ、赤崎さん?」

【其処に居たのは、極めて意外な人物だった】
【懐中電灯を下げて確認すると】 
【一体、こんな所で何を】
【そして何より、その服装だ】
【普段の白衣では無い、その服装……】

「――ッ」

【背中の魔法陣が僅かに痛みを発する】

「え、ええーっと……はい、あ、どうも……」

【成すがまま、箒を受け取り】
【掃除を手伝う】


「ええーっと、赤崎さん、その服装は一体?」

【まるで何かの蛹を縫い合わせたかのような、そんな服装】
【そして、魔法陣の輝き……一体どうしたと言うのか?】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/02(水) 23:43:54.68 ID:y25UeKNJ0
>>212

【黒幕も、円卓も、聞いたことのある単語だったから――逆に、鈴音という少女はそこまで知っていたのかと】
【驚きすらした。両人とも、鈴音のことを、単なるかわいらしい給仕さんだと思っていたから】
【なのに――実際は、そんなに重たいものを背負って、どれだけの距離を歩いたんだか。考えただけでぞっとする】

【悲しそうな顔をされれば、ひどいことを言ってしまった気になって――そうなったのは少女だけだが】
【こうしてひとりひとり、見放されていったのかなって。この、鈴音という、ひどく細い輪郭の少女は】
【どうにもならないことをどうにかしようと、たくさんたくさん積み上げた上で、ぽっきり折れてしまったんだと】
【なんとなく理解すると――ひどく苦しい気持ちになった、ひどいことしているのはこっちなのに】

【そんな少女とは対照的に、ずっと沈黙と無表情を保っていた青年が、静かに口を開いた】

「平気でも、普通でも――ないよ、きっと。そっちの夕月がそうかは知らないけど。
 おれももう、ニンゲンみたいに年取って――結婚とか、家庭持つとか、そういうのは出来なくなって――
 ……でも、それでもいいから、他のやつにナニ言われたっていいから――やりたいことがひとつ、あんの。
 それだけのために、平気なフリして生きてられる。……それがなくなったら、多分、リンネちゃんみたいに、死ぬよ」

【死ぬっていうのはきっと、イノチが、肉体がって意味じゃない。「オムレツ」という人物として死ぬのだと、言って】

「……、……ね、リンネちゃん。おれさあ、リンネちゃんのことすげーって思ってたよ。
 そんなに細くて、ふわふわしてて、あんま強そうじゃないのに……たんぽぽやってるって聞いたとき、すげーって。
 尊敬した。そんで、羨ましいなって、妬ましいなっても思ったよ。おれにはできないことだから、だから、……ンー、

 ……あのね、もう、戻って来いとか、外の世界に帰って来いとか、言わねーし言えねーけどさ。
 もし何か、ある日目が醒めたら急に心が変わってたとか……そーいうミラクルが起きたらさ、
 そのときは――――またたんぽぽやりたいって思ったりしたら、さ、ひょっこり戻ってきて、いいヨ。
 ……ミラクルが起きたときだけネ。起きるかどうかもわかんねーけどさあ、ああ、だからつまり――

 ――――リンネちゃんがいない間、おれとコイツでたんぽぽ守っといてあげる。
 だからいつか、急に心変わりしちゃったら――――呼んでよ、迎えに行ったげる」

【――――口にしたのは、そんなことだった。いつか、さっきみたいな偶然あるいは奇跡が起きて】
【やっぱり外の世界に帰りたいって思ったときには、協力してあげる。そしてその日が来るまでは】
【鈴音が今まで頑張って頑張って頑張って守ってきた大切な場所を、守っておいてあげるって】
【そう言うのだ、そんな奇跡がどうやったら起こるのか、確証もとれないくせに】
【そしてその日が来るまでは、ここで休んでていいよって言う。なんでって聞かれたら】
【「リンネちゃん、いっぱい頑張って、偉いからだヨ」って返すのだ。……とにかく、そんな世迷言を言い残して】
【青年はお先に失礼、と言って――路地裏を出ていくのだ、ぽかんとした顔の少女を置いて】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/02(水) 23:46:37.39 ID:OsWFybz9o
>>219

【もはや此の服装が普通だと思っている女にとって】
【彼女がきょとんとした表情をしているのが不思議に思ったのだけど】


「此処も綺麗にしておかないとな、これから“たくさんのもの”を迎えるんだから」


【箒を手渡せば、空き缶やビニール袋などの散乱しているものを水路の中へ箒で入れる】
【すると、蟲がそれらを食すのである。美味しそうに、もぐもぐと食べていく】
【どうやら顎は強靭らしく、スチール缶でも簡単に噛み砕いて嚥下してしまった】


「此の服装……?ああ、この法衣のことか」
「これは“ワームシンガー”様が作り出してくれた、“蟲の証”たる法衣だ」


【と、喜んで自らが羽織る法衣を紹介していく】
【しかし気になるのは、“ワームシンガー”たる存在と“蟲の証”という単語】
【気をやられたようにも思えない、何故こうなってしまったのか】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/02(水) 23:54:49.69 ID:J8Ttdw3G0
>>221

「たくさんの、もの?」

【赤崎がそう、さも楽し気に話す】
【そして、水路の中にごみを箒で掃きこんでいくと】

「ひッ!?」

【虫は、この空き缶やごみ袋を食べていくのだ】
【少なくとも、翔子が知る中でそんな強靭な身体を持つ虫等、存在しない】

「ワームシンガー?」
「蟲の証?」

【次々と出される、意味の不明な単語】
【それでいて、赤崎は嬉しそうにも見えて】

「あの、ワームシンガーって誰ですか?それに蟲の証って一体?」
「この場所を、どうするつもりなんですか?」
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 00:02:01.84 ID:lcx4HBiFo
>>222

【小さく悲鳴をあげる彼女に、「刺激が強かったか」なんて】
【ちょっとは心配しているようだが、前に進んでいくばかりで後ろを振り向くことはない】
【その間にもゴミを水路の中に放り込んでいき、虫に喰わせていく】


「“ワームシンガー”は蟲の唄い手、私達に命令を下さる“高貴な”お方だ」
「“蟲の証”はワームシンガーに頂いたこの法衣のことだ、魔力効率を高めてくれる」


【赤崎が指先に炎を灯せば、キィンと法衣が高い音を上げる】
【一瞬だけ魔法陣がひどく輝く、その魔法陣をより法衣に刻んていくかのように】
【そして、この場所をどうするのかと問われれば──】


「曹長も来れば分かる、“ワームシンガー”が築く素晴らしい未来を見に行こうじゃないか」


【と、振り向いてから彼女の手をつかもうと右手を伸ばす】
【もし掴まれてしまえば、振りほどけないほど強い力で握られるだろうが──】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 00:13:25.72 ID:5vAfzgek0
>>223

「蟲の歌い手?」
「命令を?」

【回答は得られるが、しかし翔子にとってはどれも意味が解らない物だった】
【そして、法衣が、いや彼女の魔法陣が輝く】
【魔法陣を、より深く法衣に刻んでいくが如く】 

「素晴らしい、未来?」
「え!?ちょ、ちょっとッ!?」

【突然言葉と共に、手を掴まれる】
【振り解こうとするも、力が物凄く強い、振り解けない】
【一体、赤崎に何があったと言うのか……】
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 00:18:48.93 ID:lcx4HBiFo
>>224

【彼女の腕をしっかりと握ったのなら、腕を引いて駆け出す】
【掃除をほっぽりだして、箒を霧散させてまで駆ける】
【突き当りを左、二つ先を右、その次の突き当りを左────】

【縦横無尽に駆け回れば、数分でその地へつくだろう】
【彼女が持つ地図で言えば、異常が発生していた下水集積孔にあたる】
【其処にできていたのは──所々が蠢く、黄土色の粘液に包まれた“巣”だった】


「軍曹、此処だ!此処が私達が気づく、素晴らしい“未来”の地だ」


【周りを一瞥すれば、巣が集積孔の天井からずっと下がっていっていることが分かるだろう】
【異常水位を示すラインは天井から10メートルほどの位置に引かれており】
【たった数日で築かれたとすれば、かなりの勢いだということが分かるだろうか】
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/03(木) 00:20:26.19 ID:NkQzm39b0
>>220

【――――――ああ、って、思った。思ってしまった。だって、おんなじだ、って、思ってしまったのだ。相手がどう思うかは、分からないけど、少なくとも彼女は】
【同じだ――って思った。大人になれなくて。結婚だってしたけれど。結局だめだった。髪を切ってみたってなんにも変わらなかった、少し気が晴れただけ、現実は重たすぎた】
【それでも。それでも――これをしたいから、って、ことがあった。そんな自分でも奮い立たせて、頑張れるって思ったことがあった。あった、けど――それも、結局】

――――――――――じゃあ、二人が、まもって、あげてよ――、わたしのせいで、みんな、みんな……あのこたち、みんな――、黒幕に、婦警に、見つかって、
――ひどい、よ、わたし、がんばった……のに、なんで、――まちがい、だって、――ねぇえ、間違い、だったんだよ! だから、だから、こんな……、
助けてあげらんないの、知ってたよ! そんなにたくさんのこと、出来ないって! でも、今死んじゃわなかったら……いま、いまだけでも、ごまかせたらって……、
そしたら……今お腹が空いてるからって、悪いこと、しなかったら――、時間稼ぎ……できたら、って、なのに。――なかった、意味なんて、ねえ、わたし……。

【間違いから始まったことだから――こんな風に、なってしまった。そうやって嘆く、――黒幕に見つかったんだ、って、言葉は。どうやって聞こえるだろう、叫ぶよりも悲痛な声は】
【たくさん頑張ってきたことを、何人ものひとが。同じタイミングで。それぞれ別の方法で否定した、あるいは壊そうとしたのを示す、だから、――意味なんてなかったって】
【思ってしまった。だって。間違いから始まって。そのせいで何人もの子供たちが人質に取られて。最後に――手の届かなかった現実を、突き付けられて】

【――あるいは、今日で一番だった。怒りにも似た嘆きは一番全うな形で紡がれていく、なにもかも投げ捨てておきながら執着して、だけど、もう頑張れないなら】

すごく……ない、よ、ねえ――すごく、ないよ、なんにも、出来ないのに、大人にだってなれないのに!
かえしてよぅ、かえして……、全部、全部、かえしてよ――がっこう、だって、いってみたかった、のに、みんなと同じ、制服着て、同じバッグで――、
お勉強、して、――友達とカラオケ、行ったり、どこか、行ったり――、――大人になって、結婚、して、そういうの、ぜんぶ、返してよ――、わたしの――、

――わたしの、なのに! ――わたしの、だよ、ねえ、なんで、……できない、の、なんで――。

【どうしようもないのに醜く喚くことしかもうできなかった、何度も何度も夢見ながら諦めて。それでも諦めきれなくて。――最近、ようやく、目を逸らせたのに】
【これから先に頑張ることを見つけたのに。なのに。その矢先だった、全部のことがいっぺんに押し寄せて、――返してって喚く。それはそうやって手渡せるものではないのに】
【子供が他の子供にとられたおもちゃを返してって喚くのと様子は似ていた。問題は、それが絶対に二度と手に入らないもので、人間には戻れないこと、そんな奇跡はないこと】

【――きっともうその言葉の全部を彼は聞いていないだろう、少女の知らない間にこの場には二人きり、返して返してって泣きじゃくるばかりなら、もうどこも見てなくて】
【人間だったころの自分を返して、だなんて、繰り返すことに意味がないのも、分かっている。そんなの――この何年で何度でも繰り返して、八年くらいかけて、やっと、受け入れた(つもりだった)】
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 00:26:00.68 ID:5vAfzgek0
>>225

「ちょ、ちょっと、あ、赤崎さん!?」

【まるで、本人は夢見る少女の様に】
【ただ純粋に、ただ良い者のように】
【手を取り、地下通路をまさに縦横無尽に走り回る】
【やがて……】

「こ、ここは!?」
「ううッ……」

【周囲を見渡せば、ここは下水道の集積孔だろうか?】
【周囲には黄土色の粘液の塊、蠢く蟲の巣】
【それを理解するや否や、思わずその場に蹲り、吐いてしまう】
【これが、素晴らしい未来、否、断じて否】
【冷静に見れば、この蟲の浸食速度はかなりの早さだろう】
【是だけ増殖させ、巣を作らせ、一体何を……】

「あ、赤崎さん、何を考えて?」
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 00:31:51.20 ID:lcx4HBiFo
>>227

【彼女が吐いてしまったのを見て、流石に彼女の背をさする】
【「大丈夫か?」なんて声を掛けた──その後、視線を巣に戻して】


「何を考えて、って──未来を築く場所を曹長に教えたかっただけさ」


【きょとんとした表情で、彼女の方を向いてそう言う】
【何を考えて、といわれても“未来”のこと──蟲にとっての未来を】
【此の世界で、如何に蟲を繁殖させ侵攻させるのかを考えているのだ】


『あら、桐子じゃん!その子は────』


【ひょっこりと、巣穴から紅の長髪を持つ女が顔をだした】
【琥珀色の瞳が桐子を捉えると、帰りを歓迎するかのようにアホ毛が跳ねる】
【そして視線を彼女の方に移すと、口角を僅かに吊り上げて────】

【彼女の姿を前にすれば、“跪きたい”という衝動が走るはずである】
【現に赤崎はすでに彼女の方へと跪いている、抗おうとしても良いのだけど──】
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:43:57.40 ID:LFjqLJOb0
>>226

【去り行く長身の背中、すごくないよ、って反論されたら――ぴたと止まって】
【「すごかったんだよ……おれの中では」って、言い訳がましく小さな音量で、言い返す】
【そこばっかりは青年も退く気がなかったらしい、たとえ鈴音がそう思ってなかったとして】
【彼の中では本当に、きらきらめいて目が焼けそうなくらいだったのだ。そればっかりは否定したくないって】
【言い残して――青年は逃げ去った、どうしようもないことには目を向けすぎない主義。卑怯者の戦法】

【取り残された赤い靴、爪先をじいっと見つめながら――夕月も、いつの間にか泣いていた】
【零した涙がアスファルトに吸われて、灰色を濃くしていく。なんにもしてあげられない感触だけが手に残る】
【虚無の手触り、味わうもなにもなく、ただ握らされるばかりだ、鈴音が返してって泣くたびに】

意味なかった、はず、ないじゃん、あるよ、意味ある、どうしてそんなこと言うの、…………。

【子供じみた反論、どこにも根拠はないのに言い返したくてたまらなくなって、思わず口にしてしまう】
【なんにもならない手の内をぐっと握り締めるのがつらくなって、引き寄せられるように鈴音に寄っていく】
【厚底靴の立てる音。弱弱しく近付いたなら、縋りつくように触れようとする、抱き締めようとする】

【あの卑怯な男みたいに見捨てて逃げれば楽だろうに。それをしたらもう、おしまいのような気がして】
【未練がましくこの場に残って、泣いてる相手にすがるみたいに。拒否されれば、離れるだろうけど】

なんで、なんにもできないんだろ、あたし、……、鈴音、鈴音、ごめん、あたしが助けてなんて言わなきゃ、……

【そうして、後悔し始めた。自分がじっと耐え忍んでおけば、少なくとも鈴音の苦しいこと、ひとつは減ったんじゃないかと、思って】
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 00:44:56.20 ID:5vAfzgek0
>>228

「未来、を、築く……」

【彼女、赤崎桐子が言っているのは人類にとっての未来では無い】
【蟲にとっての未来、いかに人類の世界に侵攻させるか、如何に人類の世界を浸食するかのソレだった】
【故に、故に、その価値観も意思も通じよう筈は無かった】

「――ッ!?」
「あ、あなたは……」

【一体、そう言いかけた時、身体に異変が起こった】
【何者だ、そう問いたいが、身体が言う事を聞かない】
【衝動に、抗おうと試みるも……無駄だった】

「うッ……あ、貴女は?」

【赤髪の女だった】
【赤崎の隣で跪きながら、こう尋ねた】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 00:49:10.59 ID:lcx4HBiFo
>>230

『あら、桐子から聞いてなかった?ワームシンガーだよ』


【口元に笑みを浮かべると、数メートルの高さから跳躍】
【空中で粘液を纏う羽を広げれば、羽をはためかせて彼女と赤崎の眼前に着地した】
【赤崎の頭を数回撫でると、彼女の前に立ってから】


『貴女も、もう体内に“蟲”持ってるじゃない?』


【口元の笑みは意地悪そうなそれにすっかり変わっており】
【彼女に体内にいる“蟲”の存在を告げる──しかしそんな覚えはない筈】
【無論そうだろう、なぜならそれは蟲ではなく────MGC因子だったのだから】
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 00:56:09.38 ID:5vAfzgek0
>>231

「あな、た、が……ワームシンガー……」

【跪きながらも、顔だけは抗って前に向ける】
【羽をはためかせ、そしてこちらに向かって飛んでくると】

「蟲を!?」
「そんなわけ、そんな事無い!蟲なんて、入れた覚えないです!」

【断固として、そんな記憶は無い】
【そう頑なに言うも、あの日】
【因子を投与したあの日の夢、そこで緑の髪の男が夢の中で何と言っていただろうか?】
【そしてこの場で、自分の横で跪いているのは、誰だろうか】
【だが、それは認めたくない事実、断固として拒否すべき事実だ】
【それを示すように、顔だけは横を向き、不服従の意思を示す】
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 01:03:55.47 ID:lcx4HBiFo
>>232

『うーん、口で言っても聞かないなら仕方ないか』


【彼女は頑なに蟲が居る事実を認めようとしない】
【その事実を認めないのなら、実力行使でいることを分からせなければならない】
【湿度の高い室内に、清らかな歌声が響く。それはワームシンガーが放つもので】

【それは翔子への命令文、「私はワームシンガーの下僕です」と言わしめるもので】
【もし蟲が居ないのであれば、その歌声は苦痛にしか聞こえないはずであり】
【命令に従ってしまったのなら、蟲が体内にいるという証明になるのだけど】


『どう?命令されて、ちゃんと言えるかな……?』
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/03(木) 01:11:57.15 ID:NkQzm39b0
>>229

【――ひどく華奢な身体だった。だけど成長していないのなら、そんな風に痩せてしまうくらいの生活をしていたのだろう、大人になれなくなった、そのときまで】
【だけどよっぽど"ひどい"身体ではなかったから。もしかしたらよくなる途中だったのかもしれない、痩せてしまうような生活だったけど、少しずつ、よくなっていくその途中】
【そこでぴったり止まってしまった、身体。縋られるみたいに抱きしめられて――ぎゅううと縋り付く、溺れてしまった人間が藁に縋るみたいに、ひどく強く】

――――――――、

【でも。思い出してしまうから――それはほんの短い間のこと、ふっと離れる、――拒否、じゃなくて。そうじゃないと、二度と手放したくなくなってしまいそうで】
【好きな人間がいるからこちらには来られないと言った少女を。やりたいことがあるからこちらには来られないって言った彼を。人間の世界に返すために、そんな偉くないけど】
【今ここで手放してしまわないと、きっと欲しくなってしまうから。あるいは――こんなふうにぐじゃぐじゃのままで人間の世界に出て行ってしまいそうだったから。そうしたなら】
【きっと今までよりも何もかも祟ってしまうから。――もう全部分からなくなって全部壊すか殺されるまで何にも見えなくなって、しまうから。そんなに全部は分からないものの】

【ここが多分――踏み越えるぎりぎりの線だと、悟ったから、そう、と、身体を、離してしまって】

――あのね、ごめんね、……、お店に……、――置いてある、よ、食べ物の……つくり、かた、……いらない、かな、――、

【相手にお願い、する。まだ日付で言えば少し先のこと、――今は。空白の時間。やっているのは月末の方の平日だけ、だから、だけど、ここから先のことなんて分からないなら】
【きっと今のこの瞬間は――電源を落としたらそれで二度と起動しなくなる古いパソコンと変わらないもの、――そういう自覚も、ある、またきっと眠たくなって、忘れちゃうから】
【ふらふらって視線が揺れる――今ここで相手についていけてしまったなら。そんな風に考えても――人間に戻れないのとおんなじで。いっかい転んだなら、泥汚れはこびりついて】

………………ほんとに、来て、くれない?

【――小さい吐息の音がした。振られるって分かっている卒業式の日と同じ気持ち、それでも未練がましい行為を重ねて】
【そんなの今更か――と、自嘲する。どうせ今までずっと未練がましかったのだから。――もう一回くらい、いいかなって。これから先も、きっと、ずっと未練がましいけど】
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 01:13:28.33 ID:5vAfzgek0
>>233

「――ッ!!??」

【清らかな、非常に清らかで心地のいい】
【魂が未来永劫に亘って、浄化されるかのような感覚を覚える】
【生まれて初めての感覚だ】
【脳が、脳が考える事を停止する、溶けそうだ】

「わ、私は……ワームシンガーの下僕です……」

【そう口に出して言った】
【命令に従ったのだ】
【体内の蟲、これはもはや確定事項だろう】
【光無い目で、頭を垂れた】
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 01:19:55.96 ID:lcx4HBiFo
>>235

『あはっ、これで自分の中に蟲がいるのを意識できたかな?』


【ワームシンガーは嬉しそうに、悪戯っぽい笑みを口元に浮かべて】
【彼女が頭を垂れれば、その頭を幾度か撫でてやる】
【蟲の存在は偉大であり、絶対であると彼女の思考に刻み込んでやろうとしているのだ】


『あと、君の魔法陣には何かが足らないねえ──翔子?』


【といえば、彼女の背後にゆっくりと歩いていけば士官服を捲る】
【刺青のようになった、古代文字の刻まれた円形の魔法陣がそこにあった】
【しかし何かが足らないと、ワームシンガーが右手を其処に当てれば──】


『────『蟲の神を崇めよ』。その気持ちを、ちゃんと込めなきゃ』


【背の魔法陣に魔力を注ぐ。それと共に、因子が体内で暴れだすだろう】
【しかしそれも数秒のこと、一分もすれば暴れていた因子も落ち着く】
【その内に魔法陣には、『蟲の神を崇めよ』という文章が刻み込まれる】
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/03(木) 01:25:44.05 ID:LFjqLJOb0
>>234

【ふっと離される体温も細い輪郭も、なんにもおかしなところなんてないと思うのに】
【どうしてこんなことばっかりになるんだろう――離れると、ぐす、と鼻をすすりながら】
【袖口で目を擦った。二度三度、ぱちぱち瞬きをして――――うん、と頷く】

……ううん、要る。料理そんなにしないし……大丈夫かな、あたしで。なんて、やるしかないんだけどネ。
たぶんあいつは口だけだからなんにもしないよ、でも大丈夫、……あたしはやるから。

【鈴音の心の、ぐしゃぐしゃの線が一瞬だけぴんと整う瞬間が、何度か訪れる。今がそれ】
【そう悟ったら、それが再びぐしゃぐしゃならないうちに――受け取れるものは受け取っておく】
【それが精一杯だった、それしかできないから。なら、出来ることだけ死ぬ気でやるしかない】

【来てくれないかって言われたら、やっぱりつらそうな顔をして――首を横に振った】
【それできっと、これで全部おしまいだって。これでバイバイさようなら、になってしまうのが、わかる】


…………あんたがもし、心変わりできたら、また、会えるよ。
それまでちゃんと――それから先も、たんぽぽ、守るから。


【「大丈夫。あたしは大丈夫――――」】

【わかるから。未練がましいのはこちらも同じだった、来るかどうかも分からない奇跡の日を待って】
【それまで、鈴音が今まで積み重ねたもの、無駄なんかじゃなかったって言えるくらいに守っておくと、宣言した】
【いつまでも来ないかもしれない日、ずっと待ってるからねって――呪いじみて未練を残し】
【少女もまた、ここから、去っていくだろう。置いていけない人がいる世界へ、戻っていくのだ】
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/03(木) 02:05:36.43 ID:NkQzm39b0
>>237

――、――あと、は、家に、あるの、えっと……、へびさま――に言えば、持ってきて、くれるかな……。
あ……、えと、へびさま――、そうだ、へびさま――、ぇと。へびさまに……、……――会ったら、――会えたら、

ええと……、なんだっけ……――――。

【――かちり、って、合ったチャンネルが、ずれていく。秒針が他の針を重なる瞬間みたいに、何度か、何度も、あるのだけど、決して長続きはしなくって】
【むりぐり動かすから破綻したときが余計に目立ってしまうみたいだった。へびさま……いつか話をしたのだっけ。そんな昔のこと、今の彼女には思い出せないけど】
【ああそうだった――って呟く声が。きっと相手に何か伝言を頼もうとして――思い浮かべた言葉がぼやけていく。ほどけてしまって、躊躇い数秒、伏し目の視線はそのうちに】

…………えー、と、……わたしのこと、は、――探さなくっていいよ、かな……。

【家にあると言ったもの。そのひとに言えば持ってきてくれるはずだって――ならば。家族、なのかもしれない。探さないでくださいって書き置きさえできなかった様子が】
【それさえも曖昧であるかのように伝える、――"そう"だった気もするし"そう"じゃなかった気もする。だからひどい疑問形、曖昧にぼやけて、だけど思いだせない】

――――――――そっか。

【ならば――向ける視線はちょっと寂し気だけど。さっきよりはまし。掬い上げた水に虹はもうなかった。手のひらから、水さえも零れていってしまった】
【それでも少し戸惑うみたいな目をする、――だぶついた袖をぎゅっと握ったなら、ひどく濡れていた。自分の涙だけど。それでも少しどうかと思うくらいなら】
【幽体離脱みたいに気持ちが別のところにあるような気がした――ぱちりとゆっくりした瞬き、】

【時計を逆さまに回す奇跡。あるかないかは分からない、だって、こんな世界だし、どこかにはあるかもしれない。そもそも逆さまに回る時計さえ、あるかもしれない】
【だけどきっと一番簡単で分かりやすいのは――誰かがぐるぐるって巻き戻してしまう。それで時間は変わらないけど。そこからもう一度、進めてみたなら】
【もしかしたら違う気持ちにはなるかもしれない。だけどそれをするだけの気持ちはきっと今の彼女になくて、――もう頑張れない。今は。そうやって思うのだ、心の底から】

【――問題用紙の赤い×印と、赤十字マークの婦警さん。それから最後に、人間の焼ける臭いがする、工場】
【きっかけは明確だけど、辿るのは難しい。それが何時何十分だったか、きっと誰も覚えていないから。聞き出そうとしたって、微睡む少女は寝言しか漏らさないから】

……ありがとう、

【――――ずうと他の誰にもやらせなかった。ずっと一人で管理してきて。金のこと、会計のこと、いろいろ、自分じゃできない、大事なこと……は、任せてきたけど】
【伝えた表情が慌てたようになってきょろきょろする、なにか――何か目印を探す、だって、逃げ出した自分がそのままなのに。二人に任せてしまうだけなら、みんな困惑する】
【困ってしまって――そうと相手の手を握ろうとする。そうできたなら、――きら、って、魔力が煌めいて。ころん、と、相手の掌に、触れる。銀色の球体、ちりんって鳴いて】

えっと…………、

【きっとその鈴は少女の声とよく似た音をしていた――していたから、目印になるかな、って、困った顔をする。だけど、きっと、大丈夫かなって、無根拠に思う】

…………――、

【――それで、バトンタッチ。ほんの少しの間かもしれないし、もしかしたらずーっと、かも、しれないけど】
【済んだなら、互いに居なくなる。ふらりと姿を消して――またねもばいばいも言わなかったなら】

【結局一番大事な時に居なくなって。全部任せてしまって。自分は見ていられない――って目を閉じる。誰よりずるくて許されないことをする、頑張ったから、って言い訳して】
【真っ白の寝台で目を閉じる――蒼穹と桜の木の夢。地面の下から呼ばれている気がして、振り返ったなら水鏡みたいな水面の下側に自分が映り込んでいた】
【――それだけの夢だった。起きたら忘れてしまうくらいの些細な夢。――起きたら、それ以外のことも、霧の中だけど】

/おつかれさまでした!
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/03(木) 02:21:57.04 ID:LFjqLJOb0
>>238

へびさま、へびさま……? ……うん、わかった、会えたら……

【思い出すのは最初に会ったときのこと、公園にある水場、揺らめく蛇たちの群れ】
【蛇様と言われればそれを想起した、それらのことを言ってるのかな、と思って】
【……言葉通じるのかな、と、不安になった。だいぶ勘違いをしている、たぶん】

【そっか、で諦めてくれたのが救いだった。また泣かれたらこっちもまた泣いちゃう、って思ってて】
【寂しい顔されるくらいはたぶん、仕方ない。そう思わないとやっていられない】
【握られた手の上、鈴の音、じっと見下ろして――無言で頷く。これで大丈夫と、そう思い込む】

【(結局なんにもできなかった、けど、大丈夫って言い聞かせておけばちょっとマシになる気がする)】


【――――】

【無言の別れ、路地を出たらあたりまえのように青年が待っていて。恨みがましく睨み上げれば】
【彼はにっこり笑って、手にしたスマホを軽く振った、「通話終了 ――ミア」と表示された、液晶】

……、……なに、さっそくあの女に告げ口?

「そーじゃねーよ。おまえ、これからはそっちの方――たんぽぽに集中したほーがいいよ、
 おれはそっち行けねーから。だから、これから先おまえに割り振られる分の『仕事』も――全部おれに回せ、って。
 そう伝えといただけ。だから安心して、全力で給仕やってクレタマエ!」

…………はあ?

【卑怯な男の、最大限できるオテツダイの仕方が――それだったらしい】
【素っ頓狂な声を上げた少女が、大きく溜息を吐いて――街の雑踏の中に消えていった】

//長いことありがとうございました、おつかれさまでした!
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/03(木) 02:49:33.45 ID:NkQzm39b0
>>239

【――そうして、後日のこと。そのノートを開くのが、オムレツなのか、夕月なのか、それは、分からないけれど】
【ぎちって分厚くって重たくなったレシピだとか書き連ねたファイルを開いたなら。まず真っ先に思うのは、多分、いろんなところに落書きがあるなあ、って、きっとそれだ】
【わりにかわいらしい絵を描く性質らしい。よく分からない猫とか、兎とか、蛇とか。お花とかも描いてあって――レシピ自体は、案外きちんとしている】

【けれどやはりどうしたって料理する人間の書き方だった。自分が分かればいいやって書き方だったなら――】
【今までたったの一度だって、誰かにこれをゆだねて全部任せるだなんて考えたこともないような、もの。だってページの片隅に「ねてた!!!」とか書いてあるくらい】
【適当に作ったら常連の何とかさんがおいしいって言って気に入ってたみたいだったからレシピに残すけどうろ覚えだから多分違うものになるとかって書いてあったりもするし】
【キャベツ剥いたら青虫が出てきたから外に逃がしたとか。もうレシピ関係ない。そういうやつ、――だけどノートのナンバリングは進んでいて、進んでいるから】
【ちゃんとやる気だったし、やっていた。"頑張っていた"――のだろう。レシピのついでにちょっとした日記帳みたいになっているのを、ぺらぺら捲っていったなら】

【「セリーナとけんか」】
【「ねむたい」「(謎の時間)」「トマトが安かった」「がんばって」「眠い」「へびさまと電話」――日付がどんどん最近になって、書かれている最後のページ】
【書きさしで、止まっていた。明らかにそこで終わりじゃない場所で止まった文字列がそのまま放っておかれていて、――多分、誰かがぱたんって閉じて、戻してくれたのだろう】
【そっから先を誰かが書いてくれる必要はきっとないけど――残りのページは偶然にもあと少しで、すぐそばに、うんと新しい新品のノートが、一緒に置かれていて】
【ちょこっとだけ掠れたインク。ぐるって一回転の矢印で「次のノートから新しいペン!」って書いてあった、それがちょっとだけ嬉しいみたいに久しぶりの兎の落書き】

【――――誰もいなくなる気なんてなかったし。放り投げちゃう気もなかったし。誰かに委ねたりする気もなかった。そんなの今更、遅いけど】

/単なる補足っぽいやつです、お返事不要ですっ
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 09:41:54.63 ID:5vAfzgek0
>>236

「……」

【頭を何度かにわたって撫でられる】
【此処に至っては、もはや抵抗の意思は見られなかった】
【ただ、目はその光を失ったまま】

「……ひッ」

【そして、ワームシンガーによって、唐突に士官制服が捲られる】
【そのさらに下着の下】
【深紅の魔法陣が光っているが……】

「あ、あ、あああああああああああッ!!」

【何かを施すべく、右手をそこに当てるワームシンガー】
【すると、翔子の中の蟲が一気に蠢きだし】
【魔翌力回路を通し、耐えがたい苦痛を一時的に与える】

「はあ、はあ、はあ、はあ……」

【その場に、どさり、と横になる】
【魔法陣には一角、文字が足される】

「あ、貴女は、世界を……どう、しようと?」

【息も絶え絶えに、ワームシンガーにそう尋ねた】
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 12:53:01.90 ID:lcx4HBiFo
>>241

【魔力回路を強制的に焼き直すような衝撃が走っただろう】
【『蟲の神』を崇めるように思考を変えるべく、ワームシンガーの手が加えられる】
【耐え難い苦痛、どさりと倒れた彼女を見て口角を吊り上げる】


『ほら、ちゃんと刻んであげたよ?』
『折角蟲を持ってるんだから、『蟲の神』を崇めないとね』


【まるで感謝しろと言わんがばかりの、傲慢な言葉】
【まるで蟲を持つ者全てが、『蟲の神』を崇めなければならないとでも言いたげに】
【次に飛んできた質問を耳にすると、ワームシンガーはキョトンとした顔をして】


『ふふっ、翔子はこの世界の行く末を聞きたいのかな?』
『私”たち”、蟲がこの世界を征服するんだよ!そのための橋頭堡が此処なんだから』


【国軍も、能力者も、誰も居ないこの街にゲートが繋がってしまった】
【これが幸か不幸か、ワームシンガー達は“蟲”を入植させるべく侵入してしまい】
【──結局、水が流れてこない集積孔に巣を作った訳である】
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/03(木) 15:46:53.71 ID:jqeB4THro
//>>195で再募集いたしますー
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 21:02:14.09 ID:5vAfzgek0
>>242

「蟲の、神……それは、何?」

【荒い呼吸の中、そうようやく顔を上げて聞く】
【先ほどから、彼女達が頻繁に口にしている言葉だ】
【何か、意味がある言葉なのだろう、と】

「ひッ、せ、征服!?」
「む、蟲が……そ、そんな……どうやって!?」

【蟲がいかに数が多くとも、虫は虫だ】
【ワームシンガーが如何に強力な力を持っていようと、あくまで彼女は一人だ】
【とてもではないが、世界を征服など、出来よう筈もない】
【いや、考え難い話なのだ】
【そう、驚愕の表情を浮かべたまま】
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 21:29:03.60 ID:lcx4HBiFo
>>244

『蟲の神はね、蟲の偉大なる始祖で私達を作り出してくれた方なのよ!』


【蟲の神は実在していると──女は暗に告げた】
【ワームシンガーを始め“蟲”の一族は確かに『蟲の神』が創造したようで──】
【様々な魔族が存在する魔界の群雄割拠を生き抜いてきた】


『どうやってって……、こうやるんだよ?』


【彼女が透き通る歌声を巣に向けて響かせる】
【巣穴からボトボトと、白と緑に彩られた数匹の蟲が落ちてきて──】
【空中で繭を作ったと思えば、その刹那のこと】

【繭を破って出てきたのは、金属の光沢を持つトンボだった】
【先程赤崎がスチール缶を水路に放り込むと、それを食べていたのを見たはずだ】
【蟲は食したものの性質を取り込み、その環境に適合する。これこそが生き残ってきた理由なのだ】


『こうして、その場その場で最適な蟲を作れるんだ』


【ふふん、と自慢げにない胸を張ってみせる】
【ワームシンガー程の力は持たないものの、環境に順応できるというのは脅威だ】
【市街戦でも海上輸送でも──それぞれに対応し得る蟲が生まれるのだから】
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 21:59:14.68 ID:5vAfzgek0
>>245

「始祖……始まりの蟲?」


【どうやら、神話や伝承の類とはまた異なる様だ】
【魔族の一つ、蟲の一族】
【聞いただけでも、悍ましい話だ】

【やがて、ワームシンガーはその歌声を巣穴に響かせる】
【すると、出現したのは数匹の蟲】

「ひッ……」

【それは、やがて繭を作り】
【その中から現れたのは……】

「と、トンボ!?それも、金属!?」

【金属質の蜻蛉、話を聞く限りならば先ほどの屑鉄やスチール缶だろうか?】

「その場に、適応した……最適な蟲!?」

【脅威だった、まさに脅威だ】
【その場その場で、こんな物を大量に生み出され】
【そして各個に強襲をかける】
【そんな事になれば、街も国も、ひいては世界も、たまったものではない】

「つ、伝えないと……海軍に、皆に……ッ!!」

【この危機を、知る限りの全員に通達せんと、この場所からの脱出を図ろうとする】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 22:34:57.58 ID:lcx4HBiFo
>>26

『驚いてくれて嬉しいなあ!各環境に最適な蟲で、強襲を掛けるつもりなんだ』


【彼女の驚く様子に満足したのか、ワームシンガーは口元に笑みを浮かべる】
【様々な場所に此のようなコロニーを造成し、その地の環境に適応した蟲を作る】
【そして各地に強襲を掛け、徐々に領域を広げていくのが目的なのだ】


『翔子、そんなに蟲がいやなの……?』


【彼女が此の場所から逃げ出そうとするのを察知すると】
【ワームシンガーは僅か数秒だけ歌唱した──『止まれ、跪け』と】
【彼女を蟲に服従させないまま、此の場から逃してはならないと】


『なら、好きになるまで分からせてあげないとね!』


【彼女がその場に跪いたのなら、また士官服を捲りあげるだろう】
【そして汗ばんだ背に手を当てて──無理やり因子を暴走させる】
【因子が暴走すればどうなるか、それは眼前の女からよく聞いたはずだ】

【彼女が自ら懇願すれば、ワームシンガーであろうとやめてくれるはず】
【──しかしそれは無条件なハズがないのだけど】
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 22:43:58.21 ID:5vAfzgek0
>>247

「い、や……」

【悍ましい、あまりにも悍ましい計画だった】
【ワームシンガー、この女魔族は、本当にこの世界を手中に収める気なのだ、と】
【後ろ手で、端末を操作、メール送信先は知り得る全ての能力者】

「あ、うう……」

【止まれ、跪け】
【その命令の歌に、身体は正直に反応し、ワームシンガーの前で跪かせられる】

「ひッ!?な、何を……」
「そ、それは、や、止めて……やめてください!」

【再び魔法陣に触れられる】
【ワームシンガーが取ろうとした行動は、因子の強制暴走】
【もはや、抵抗に意味など無く、その意思も潰えた】

「ワームシンガー様……」

【最後の意思か、送信ボタンを押そうとする】
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/03(木) 22:54:54.64 ID:GLQ0RxRW0
【水の国――『特区』】

【同じ国の話とは思えない。アルターリとは打って変わってこの街は平和と幸福が保証されている】
【そのため、多くの市民は心配と同情はしても不安には思わない。そして誰も口にはださないがどこか】
【だから言っただろうと、思っている。多くのテロ、暴動、事件が起きるたびに我々が正しいのだと】

『現在、深夜の外出は安全のため制限されています。市民にはご迷惑をおかけします』

【サーチライトをつけたドローンのスピーカーから繰り返し、喧伝される。テロ対策による特別警戒中につき】
【夜間外出禁止令が発令していた。理由はころころ変わる。許可があればとか地区ごとに制限は持ち回りだとか――】
【不用意に外に出れば不良市民としてIDが照会され、特区にいられなくなるかもしれない。最悪の場合、警察に捕まってしまう】
【ID不携帯だったり、能力の存在を確認されれば…もはや言う必要はないだろう】

『―――許可のない外出は禁止されています。IDカードか市民番号を提示してクダサイ』

【ドローンが街を歩く、1人を照らした。長い銀髪で、青い瞳の女性。赤い色のスプリングコートをきっちりと着込んでいた。】

3T86LL-ANX-332-A345K-63B。オーウェル社、A級従業員として勤務中です。

【女性は長い番号も何のよどみなくつらつらと述べて。真っ直ぐにドローンのサーチライトを浴びていた】

『―――確認完了。ご苦労さまです。エヴァ・グリーンヒルさん。』

【遠くでは警察のサイレンが聞こえる。おそらく、オーウェルの私兵もうろついているだろう。そんな夜に、他に出歩く人は居るだろうか】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 22:56:38.58 ID:lcx4HBiFo
>>248

『そう、蟲を持つ限り翔子は私に恭順じゃなきゃいけないんだよ?』


【彼女が頭を垂れる時、手に持つ何らかの端末が操作されていたが】
【その行為がどのようなものか知らないため、止めることはしなかったものの】
【──なんとなく、わかっていた。彼女がこの場所の存在を広めようとしていることを】


『翔子、君は本当に悪い子だね──蟲が居なきゃ、君も生きられないんだよ?』
『君も蟲の一族になってしまったというのに、他者を呼び込んでどうするんだい?』


【彼女の体内にはすでに蟲が入っている。ワームシンガーの命令は絶対】
【彼女が此処の場所を広めたとしても、彼女への命令権は自身が持つ】
【故に、如何に彼女がこの場所を滅ぼそうとしても──彼女は此方側なのだから】

【彼女のその行動を諌めるべく、ワームシンガーはまた背に手を当てる】
【あの痛みが、因子の暴走が身体に襲いかかる──先程よりも、少し長い】
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 23:18:16.29 ID:5vAfzgek0
>>250

「……わ、ワームシンガー、様……」

【震える手で、最後のボタンを押した】
【例え自分が倒れても、敵の手に堕ちても】
【誰かが、この企みを止めてくれるならば、と】
【だが、ワームシンガーには、全てを察された様だ】

「私も、生きられない?」
「蟲無しでは、生きられない?」

【どう足掻いても、もう自分は抜け出せない様だ】
【どう足掻いても、彼女の手中からは抜け出せない……】

「あ、あ、ああ……」
「きゃあああああああああああああああああッ!!!!」

【全身を激痛が走る】
【魔翌力回路が全て焼き付いてしまうかと思うような、そんな鋭い痛みだ】
【絹を裂くような悲鳴が、地下内部に響き渡る】






【翔子からのメールは、彼女が連絡先を知る能力者全員に届いただろう】
【以下は、文面だ】

【From:那須翔子】
【To:厳島命、賀茂宗司、石動万里子、リオシア、和泉文月、邪禍、ユウト、鵺、アヤ・R・ナイトリー、マリー・ネーブル】
【タイトル:無題】

【本文:魔界から蟲の魔族が、アルターリの地下、この世界を征服に
    助けて
    蟲の魔族、ワームシンガーの侵攻
    助けて、非常事態
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 23:23:58.83 ID:5vAfzgek0
>>251
//すみません、上記メール文面訂正でお願いします



【From:那須翔子】
【To:厳島命、賀茂宗司、石動万里子、リオシア、和泉文月、邪禍、ユウト、鵺、アヤ・R・ナイトリー、マリー・ネーブル、ディミーア、赤木玲司】
【タイトル:無題】

【本文:魔界から蟲の魔族が、アルターリの地下、下水道、この世界を征服に
    助けて
    蟲の魔族、ワームシンガーの侵攻
    非常事態
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/03(木) 23:32:24.07 ID:lcx4HBiFo
>>251

『さて、そろそろ自分の立場を理解してくれたと思うんだけど』
『君には一つ、お仕事を命じます』


【そろそろ彼女自身の立場を理解してくれただろうと】
【背中から手を離すと、ワームシンガーは彼女に仕事があることを告げた】


『それはね、さっき君が連絡を取った人を此処に連れてくることだよ』
『ゆっくりやってるとコロニーも大きくなっちゃうからね、できるだけ早いほうがいいかな?』


【口元に厭らしい笑みを浮かべながら、彼女の焦りを募らせるように】
【早く此処に人を連れてこなければ、コロニーはより大きくなってしまう】
【アルターリ以外に巣の伝播を止めるには、此処で蟲の流れを途切れさせなければならない】


『あと、君のこの端末には細工をさせてもらうよ?』
『機械の魔族はこういうの詳しかったなあ、私でも出来ないわけじゃないんだけど』


【端末の電源を切り、器用に電池蓋を外していく】
【これに類似する端末が魔界にも存在するのだろうか──そして回路をむき出しにしたなら】
【指先で何かを基盤に刻んでいく。それが何かは見えないのだろうけれど】


『はい、こんなものでいいかな。ひとまず返しておくよ』
『君は解放してあげるけど、私から連絡があったら戻ってくるように!』


【良いね?と彼女に確認さえすれば、彼女を解放する】
【そして赤崎を右脇に抱えれば、巣穴から中に消えてしまうだろう】
【────集積孔には、彼女と巨大な巣だけが残された】

// こんなところで良いでしょうか、お疲れ様でした!
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/03(木) 23:44:51.26 ID:5vAfzgek0
>>253

「はあ、はあ、はあ、はあ……」

【その場に放り出され、もう動くことが出来ないように】
【そして、光無なくなった目だけを向けて、ワームシンガーの声を聴いた】

「な、何故……此処に?」

【理解が出来ない話だった】
【連絡を取った人間を此処に連れてくるように、とは、自分達にとって踏み込まれてはマズい場所ではないのだろうか】
【しかし、連れてくるように、それもなるべく早く、と】
【全く持って、意味の解らない話だった】

「あ、ああ……」

【端末は、ワームシンガーによって、何らかの細工が施された】
【随分と手慣れているようにも見えるが、そういえば邪禍もこの手の物の操作や開発は手慣れていた】
【あるいは、魔界は、その手の技術ではこちらの世界よりも上なのかもしれないが】

「……わ、私……」

【やがて、去って行くワームシンガーと赤崎】
【自分はこれからどうすればいいのか、とその姿を見送る】
【そして】

「もう、戻れない……私、人間じゃ無くなっちゃった……」
「もう、帰れないや、皆のとこ」
「中尉、カチューシャ……」

【覚束ない足取りで、何処か帰るべき場所では無い所へと、消えていくだろう】


//お疲れさまでした!
//ありがとうございました!!
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/05/04(金) 03:17:32.69 ID:2xgEgJHZo
>>161
……機関では貴方を金の亡者、などと揶揄する声もあったが
そんな陳腐な言葉では収まらないな。金というものをよく知っていなければ出てこない言葉だ

【そう、人は己の手に余るものを恐怖する。金というものは、その中でも特に現実的でわかりやすい尺度だ】
【己の能力で稼ぎ出せる額であるかどうか。その尺度をあまりにあっさりと越えられてしまっては】
【心の心棒を揺さぶられるのも当然のこと。彼はそれをよく知っている。金の価値を。金がもたらすものを】


【カニバディールは、彼の動きを黙って見守る。ありふれた民家の仮面を引き剥がし、金庫としての正体が露わになる】
【創作物ではよくある、床下の隠し財産。まともな手段だけで金を生み出していたのでは、決して縁のないだけの金】
【あの狭い空間に眠っているのは何人分の人生であろうか】

【響く音は、物理的な重み以上。切り開かれた中身が露わになれば、異形はその一つを手にとって確認した】

……ピン札か。盗賊にとっては、あまり手にする機会のない代物だ

【一目見れば、すべて本物であるとわかる。あまりにも淡々と、人の人生に匹敵するだけのラップ包装がやり取りされる】


先ほど貴方が言った通り。欲望というものは限られている
だが私には他の人間より、少しだけ欲しがり屋だという自負がある

3つだ。ちょうど私の身の丈≠少しばかり上回る額
それに、物理的にもこいつを抱えていけるだけの腕は、もう一本増やすのが限度なのでね

【1億の札束を積み上げれば、高さは約1メートル。異形の身長をいくらか上回る3億が、異形の求めとなった】
【太い両腕で一つずつ。そして、いつのまにか能力によって増殖し、背中から生えた腕が襟から伸びて】
【三本目となって包装を掴んだ。ずしりと重い札束だが、異形はそれを感じさせない軽々とした持ち方で、しかししっかりとそれらを確保した】
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 11:08:27.88 ID:5DvLQidb0
>>255

【3つ――3億。それだけの分をカニバディールが要求し、抱えれば】
【それを惜しむこと無く「分かった、好きに使ってくれ」と返事をする】
【それでも床下には6つの塊が残っていて、また丁寧に床板を戻していき】


なんなら、帰りも送るさ。だがまだ、その3億は置いといた方がいい
他にも話があってな、"M"って言えば1つは心当たりがあるだろう?


【かこ、ん。――床板をはめ終われば、手の埃を叩いて落とし】
【自分はまた椅子に座って、良い具合に冷めてきたコーヒーを口にする】

【"M"――白神鈴音を始めとした、いうなれば"対黒幕連合"のようなもの】
【ただし特定の組織が旗頭になっているわけでもなく】
【UT、自警団、機関、そして悪魔や、円卓側の者も入り混じった愚連隊】


……それを取り纏めている、鈴音ってガキの話だ。
まとめてると言っても、要は全員と顔見知りってだけの話だとは思うが……。

行方不明、ってのは聞いてるか?
一度連絡が取れなくなって、戻って、またすぐに消えた。
別にUTのガキ一人、どうなろうと俺からすればどうでもいいわけだが……

……大丈夫なのか、"M"は。アンタも手を貸してるんだろう?
"円卓/こっち"としちゃ、黒幕と実際にドンパチやる連中が動けなくなるのは困るんだ
金も流してる、モノも用意してる。なら、動いてもらわなきゃ筋が通らない。

敢えて組織を名乗らず、リーダーを標榜することもなくやってるんだろうが
誰かが主導しなければ集団は動かない。それはただの烏合の衆だ
だから、円卓を引っ張ってる身分として、現状俺の前では"M"代表のお前に聞きたいわけだ。


【「どうするんだ」――質問は簡単で、ジルベールが聞きたがるのも無理はない話だった】
【行方不明の白神鈴音。少女不在のままで動けるというのなら別にそれで良い】
【だが違うのならば、方策はあるのか。話してくれるか、と問いかけた】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/04(金) 14:55:51.29 ID:KK0CVe5w0
/>>249で再投下です!
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 17:52:55.29 ID:EgFGzfhoO
>>249

【足音が前方から響く。視線を向けてみれば貴方の方向に向けて真っ直ぐ歩く人影が一つ】
【中肉中背と呼ぶべき体躯であった。伸びたシルエットはやや細身のスーツを纏っていて】
【鼻歌でも歌いそうな上機嫌の笑顔のまま、彼は女性へと声を掛けるのだろう】


すいません、オーウェル社の方ですよね? さっきの発言盗み聞きしちゃいました
いや、不躾にこんな事言ってすいません。実はですね、IDカードを何処かに落としちゃったんですよ
そしたら夜になっちゃって、どうしようかなーって思ってて

だってほら、ドローンは中立を保つとかで、全然話しかけても聞いてくれないですし
困ったなーって、そしたら渡りに舟。オーウェル社の人が歩いてるじゃありませんか
とまあ藁にも縋る思いで、話しかけた次第です

──どうにかなりませんかね? これじゃ無事に家まで帰れないんですよ


【軽くパーマのかかった茶色のセミロングの髪。仕立ての良いスーツを軽く着崩して】
【深い螺旋を描く銀色の瞳を、優しく向ける青年であった】
【困った様子で肩を竦めながら、貴方へと言葉を重ねた】
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/04(金) 18:31:02.19 ID:KK0CVe5w0
>>258

【ドローンは都合よくその場から立ち去っていった。だが特区内で気を抜ける場所は公共の場所には存在しない】
【何処にも"Speaker”と呼ばれる盗聴器があるし、監視カメラもそこら中にある。こんな夜更けに堂々と話していたならば】
【あらぬ疑いで警察がすっ飛んでくるような夜だ。ある程度許されているのは偶々照合した相手がオーウェル社のランクの高い社員だったからだろう】
【この場所でオーウェルは相当優遇されている。公務員のようなものだからだろう】

…ならば、交番にでも出向くのが宜しいかと思います。善良な市民であるならば、名前とその他指紋、網膜等、登録情報を照合すれば
半日程度で解決すると思われます。善良な市民の一人として、ご案内することも可能です。
それとも、何か不自由がお有りですか。

【その女はやけに抑揚のない話し方をした。堅苦しい言葉はこの街では最近耳にすることの多い、"新語法”というやつだろう】
【新時代に即した効率的な言語というが、味気ないだけの余計に回りくどい言葉を政府のやつは好き好んで使っている】
【だがそれにしても固い話し方、表情も一切動かない。オーウェルでその雰囲気ならば――アンドロイドがすぐに連想されるかもしれないが】
【他のアンドロイドは見た目からロボットだと一目瞭然。この眼の前の女は、人間にしか見えないが…】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 19:06:46.66 ID:EgFGzfhoO
>>259

【青年は整った顔立ちを僅かに潜めた。言葉を辿る内に納得した様に一人頷いて】
【"新語法"──政府によって拡散されつつある、新時代の話法】
【従来の言語を破壊する其れを彼は知ってはいたが、好き好んで使う気にはなれなかった】

【彼はそんな幸運を露知らず、些か言葉を選んで喋り始めた】


その交番に出向くのが億劫な話でね、此方の面子も少々あるもんだから
何せ警察側の人間である分、IDカードを落としただなんて不名誉な記録残したくなくて
お嬢さんなら分かるんじゃないかな、立場が高い人物ほどちょっとしたミスを恐れるから

ちょっとした寝坊や忘れ物、そういうケアレスミス程経歴に傷がつく
人間である以上そんな些細な失態は付き物だけど、お偉いさん方は得てしてそういうのを嫌うから
とまあそんな理由でなるべく交番には行きたくないんだ、悪いね、お嬢さん


【青年は仔犬のように頬を綻ばせて笑う。ごめんねと小さく舌を出しながら】
【それは文法的には正しくない表現だったり、曖昧な呼び方であったりする旧来の語法】
【──表情豊かに話す彼は、貴方と対照的な存在であった】


という訳で善良な市民たる僕は、善良な市民たるお嬢さんに探し物を手伝って欲しいのさ
僕一人じゃ『特区』を好きに歩き回れないからね、困った話だし
それに美しいお嬢さんに『特区』を案内でもしてもらおうかな

オーウェル社は色々出資してるんだろ? 自社のプレゼンテーションも社員の役割だよ
まあ夜のピクニックみたいなもの、ビッグ・ブラザーもリトルピープルもこんな夜ぐらい多めに見てくれる
どうかな? 悪い相談じゃないと思うけど


【独特の色味を見せる瞳を向けて、彼はそう問いかけた】
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/04(金) 19:53:26.06 ID:FPzqbBoOo
>>260
/携帯から失礼します。すみませんが急用が入ってしまい
/今日は戻れるかわからなくなってしまいました。
/早くて12時過ぎになってしまうと思いますので
/勝手ながら凍結か待ってられねぇわ!とか都合上ありましたら取り消す感じでも構いません 。
/当方としては続けさせていたたけたら幸いです。
/本当にすみません!ご判断のほどよろしくお願いします
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 20:01:42.84 ID:EgFGzfhoO
>>261
/了解しました! では凍結でお願いします!
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 20:04:41.30 ID:Lj5XEi8I0
【とある繁華街】
【広場で市民団体が声を上げていた】

「募金のご協力お願いしまーす!」
「皆様、どうかご協力お願いします!」

【大声で通行人に呼びかける若い数人の男女が抱える募金箱には、『アルターリ復興支援募金』と書かれている】
【呼びかけも虚しく、道行く人はほとんど足を止めないが──少女が一人、てくてくと彼らの近くに歩いてきた】

はい、どうぞ

【10代後半の少女は、空色の瞳を持ち、白みがかった金髪を真ん中で分けてツインテールにしていた】
【黒い半袖のブラウスに、白いショートパンツ。肩からは小さなショルダーバッグを掛け】
【右手には高額紙幣が十枚程度という結構な大金が握られていて──それを募金箱の中に、ぎゅっと全部押し込んだ】
【募金箱を持つ男は、目を見開く】

「あなた、確か昨日も募金してくださいましたよね?いいんですか?こんなに……」

うーん。いいのかな?でもわたしのお金なら心配しなくて大丈夫だよ

「は、はあ」

じゃあね

【半ば呆然とする男とその仲間たちを尻目に、少女は再び街中を歩き始めた】

//再募です 12時過ぎた場合は置きに移行お願いするかも知れません
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/04(金) 20:32:19.36 ID:r6UI62pVo
>>263

【──歩き出す少女の背後、響き渡る銃声の音】
【振り返ってみれば広場には惨劇があった、血飛沫が周囲を濡らし、夜を染める】
【まるでペンキをひっくり返したかの如く、真紅が地面を浸して】


ヒャハハハハハ!! いーぃ稼ぎになるぜぇ!
ここ数日こんな奴らばっかだしよぉ、全く美味すぎて笑えてくるぜ!!
おっ、いいもん身につけてるじゃねぇか、貰ってくぜ


【奇妙な笑みを浮かべたかのようなホッケーマスクを被った大男であった】
【ボロボロになった米軍の迷彩服、所々に何年もたった血の跡がついている】
【腕も足も筋肉ではち切れそうな程、素手で人を屠れそうな見た目をしていた】

【男は右手に自動拳銃を握っており、今まさに頭を撃ち抜いた数人の男女を見下ろして】
【彼らが大事そうに掲げていた募金箱をたたき割り、中から血に染まった紙幣を奪っていた】
【蜘蛛の子を散らすように通行人は逃げていく、直ぐに人波はほとんど無くなるだろう】

【──先程お金を募金した、少女を除いて】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 20:35:48.45 ID:5DvLQidb0
【水の国・アルターリ――下水道】

【地上の荒れ具合に比べれば、この地のほうが安らかな景色が広がっている】
【そう見る者も居るだろう。だが整備された排水施設が無い以上】
【この下水も徐々に水が詰まり、腐り、淀みが流れ着いて瘴気に満ちるのだ】

【そのような場所に敢えて足を踏み入れるものには、相応の理由がある】
【例えば――「助けて」と、一回り以上も年下の少女からメールを受け取った場合がそうだった】


"蟲の魔族"……"ワームシンガー"……"非常事態"、か……。
……まったくもって、この国に住むと「呪い」というものを感じざるを得ないな。
数え切れないほどの人々が失せた街の下に、新たな災厄の芽があるとは…――。


【黒い外套を帯びた軍服の女性がそこに居た。黒髪は腰まで伸ばし――人物的な外見はそこまでしか分からない】

【理由。彼女がガスマスクを装着し、サスペンダーと弾帯を着用、手榴弾を4つとサバイバルナイフを二振り下げているからであり】
【ついでに言えば黒髪に隠れるようにして何かを背負っているようであったが】

【なにせ、下水道だ。女性がサスペンダーに取り付けた懐中電灯の明かり以外には何もない暗闇であり】
【ちょうど影になって確認できなかった。――さて、彼女の名はアヤ・R・ナイトリー大尉】
【下水道の直上、アルターリのゲート≠警備する主任たる人物であった】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 20:45:21.23 ID:Lj5XEi8I0
>>264

【響く銃声と人々の悲鳴で、振り返る少女】
【大男と、足元で倒れる人々をを見ると】

……

【無言で走り、駆け寄り】
【大男を無視するかのように倒れた男女ひとりひとり、黙々と脈を調べ】

……死んだのね

【全員の死亡を確認すると、力なくつぶやいて】
【じっと、大男を見つめる】
【その目には、怒りの色は無く──】
【ただ、純粋な疑問を投げかけるような表情だった】

267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/04(金) 20:52:15.83 ID:r6UI62pVo
>>266

【男は少女を視認する。ホッケーマスクの奥の瞳が暗い色合いに沈む】
【美しい少女であった、丁度彼好みの柔らかな肉付きをした】
【据えた臭いがする男──軍靴が強く地面を踏み鳴らす】


ああ死んださ、それがどうした?
こんな世の中でボケた面しながら、ボケたことをしていた罰さ
そうだろう? 鴨が葱背負って自分から鍋に入ってるんだ

ぶち殺してやるのが慈悲ってもんさ


【男は真正面から少女を捉える、身長差から見下ろす姿勢になるだろうか】
【拳銃を懐にしまい、代わりにサバイバルナイフを取り出す】
【大きな刃を持つナイフであった。月光に照らされ鈍い光を零す】


ヒャハハハハハ!! どんな考えか知らねぇが、良くもまあこんな所に飛び込んできたもんだ
全く脳味噌ついてんのかわかんねぇなぁ、そういう生意気なクソガキを
教育してやるのも、大人の役目だぜ──!!


【右手にナイフを握り、大股で踏み出す。大きく振りかぶり少女の顔面めがけて振り下ろす】
【大きな動作であった。筋力の分速度はかなりのものだ】
【何より躊躇がなかった。振り下ろすその動作に、微塵も──】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 21:16:52.60 ID:Lj5XEi8I0
>>267

バツ、罰……?
あなたはこの国の軍人さん?軍人が勝手に罰を与えていいの?
ボケたこと?募金するのがボケたことなの?
鴨って食べたこと無いなぁ……鴨鍋って美味しいの?
あ、なんだかあなた言葉、ちょっと聞いただけで疑問が沢山浮かんでくるね

【男の言葉の隅から隅までが少女の脳内で反芻される】
【同じ言語を使うが──考え方は、少女がこれまでの感覚とは大きく違うらしい】
【男に見下されれば、そのまま少女を男を見上げて、見つめ直すが】

【男が拳銃を懐にしまい、一瞬だけ怪訝な顔をする】
【しかし代わりにナイフを取り出したのを見て、やはり攻撃の意思ありと認識】
【男がさらに喋り、ナイフを振り上げるまでに意識を集中する──】

【ギィンッ!】
【金属同士がぶつかり掠れ合うような、鈍い音が響く。男にとっては、金属を叩いたような感覚がするだろう】
【少女は──男のナイフを頭で、正確には額で受け止めた。能力によるものだが──】

これが教育?……それとも慈悲ってやつ?

【少女はそのままの姿勢で右手を拳にして力を込め、男の左脇腹を殴ろうとする】
【拳は額同様に硬化しており、当たるか、受け止めれば同様に金属で殴りつけられたような衝撃が来るはずだ──】
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 21:19:23.16 ID:rJs+qAVco
>>265

【貴女が下水道に入った時、不思議に思うことがあるだろう】
【──水が流れなくなって淀みや瘴気が溜まっている筈の溝に、それがないこと】
【管理用の通路にもゴミは一つも落ちていないし、溝もそれは同じ】

【兎に角、管理職員が誰一人としていないはずなのに清掃されていて】
【それも視界に入る全ての下水管でそれが保たれてるのはおかしいだろう】


【暫く進んでいけば、ガスマスク越しに蠢く何かが視界に映るだろう】
【カサカサと音を立てて溝を這って動くそれ──掌ほどの大きさの蜘蛛だった】
【しかし足先や頭は緑、それ以外は白に彩られているというおかしな色合いで】

【先に進むための下水管に巣を張っているようだった】
【踏んだり蹴ったりしなければ、巣を壊されても何の反応も示さないだろう】


【──ただし、巣を構成する糸も通常のそれではなく】
【糸の粘度が異常なほど高められており、その上触れている対象から魔力を吸収する】
【全身にそれが張り付けばどうなるか、考えなくても分かるだろう】
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/04(金) 21:24:19.70 ID:r6UI62pVo
>>268

【男の目が驚愕に開かれる、何が起きたと目の前の光景を見据える】
【額でナイフの刃を受け止められたのだ。僅かな刃零れを見せるナイフ】
【何だこいつは、と内心思った──発言と合わせて、不気味の印象を受けて】


はん、ちげえよ、誰が好き好んでこんな腐った世界の軍人になんかなるかよ
──はっ、あっちも腐った国だったな、少なくとも俺を見捨てるぐらいには
右も左もクソッタレばっかだ、だったらもう、好き勝手するしかねぇよなぁ!!


【ナイフを手元で回転させ逆手に構える。慣れた手つきだ。軍人なのは間違いない】
【しかし、次の攻撃は読めなかった。少女が男に向けて拳を振りかぶった】
【鼻で笑った。筋肉の束たる男にダメージを与えられるとは思わなかった、から】


──っ!! ぐぁあああああ!! ああああ!!
くそっ!! くそ──!! なんじゃ、そりゃ!!!


【しかし、予想が外れた。金属質の拳に男の顔が苦悶で歪んだ】
【神経を抉る拳の一撃。息を大きく吐いて、体をくの字に曲がる】
【そのまま数歩引き下がって片膝をついた、驚愕の表情で少女を見つめる】
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 21:28:19.45 ID:5DvLQidb0
>>269

(……随分と大きいじゃないか。"栄養"をたっぷり貰っている、ということか?)

【ガスマスクの奥、女軍人は小さく笑った。まるでモンスター映画だ】
【滅んだ都市の地下深く、汚濁にまみれているはずの下水道はよく整えられている】

【そこを跋扈する鮮やかな色合の蜘蛛。緑と白はよくよく目立ち】
【そして自然界にはない彩色――あったとしても、きっとそれは有害なのだろう】
【なにより糸が異様だった。コンバットブーツに触れた程度で歩みを停めたから良いものの】
【何も考えずに前に進んでいれば、それこそ蜘蛛のいい餌だ。――ならば、と】


こういう手合はさっさと処分するに限る…――燃えろ、邪魔だ。


【背後に担いでいたもの。――火炎放射器のタンク、そのバルブを軽くひねり】
【放射部、要は小銃のように手に持って狙いを定める部分を両手で構えると】

【――ぼうっ、と炎を撃ち放つ。その火勢は一部の炎系能力者をも凌ぐ人類の英知】
【加えて言えば、これはガスを燃やして一時的な火炎を作り出す――というものではなく】
【持続性のある燃料を水鉄砲のように噴射して、そこに火を付けているという形式】

【故に、一度燃え始めた場所は暫し燃え続ける。糸も蜘蛛も、急激な温度の上昇で焼き尽くさんとする】
【あまりに淡々とした、それは虐殺。しかしながら相手は未知の存在であるがゆえに】
【この軍人は油断していなかった。――無論、なにもないのならば炎を踏み越えて奥へと進んでゆくのだが】
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 21:44:54.17 ID:Lj5XEi8I0
>>270

あっち……?外国で見捨てられて来たの?
右にも左にも誰も居ないよ。ここにいるのはあなたの前のわたしだけ

【どうやら軍人ではないらしいが──何らかの事情はあるらしく】
【しかしその事情を聞く暇もなく現在の戦闘は否応なく進み】

なんじゃそりゃ、なんじゃって……わたしの能力だよ
体の水分を金属化しただけ……人間って体の半分以上が水なんだって

【男への防御、反撃は成功したようで──】
【殴った直後に能力は解除され、右手をぐっぐっと握ったり開いたりしながら少し離れた男を見て話す──】

ねえ、罰とか慈悲とか教育とか言って、今度は好き勝手するってどういうこと?
……あ、わかった
もしかして、ただの強盗殺人犯?

……じゃあ、捕まえないとね。

変・身!

【変身ヒーローのようなセリフを叫ぶと、少女の姿は一瞬にして変化し】
【パンツスタイルの白いセーラー服に、黒いスカーフと両肩口の階級章と部隊章が栄える──櫻の国の軍服姿となった】

とりあえず警察に引きずって連れてきやすいように、歩けなくするよ

【何気なくそう言うと、少女はショルダーバッグから拳銃を取り出し、男に向けて両手で構え】
【ゆっくりと右足を狙って、1発】
【躊躇なく銃弾を放った】
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/04(金) 21:55:14.73 ID:r6UI62pVo
>>272

【──能力との言葉を聞いて舌打ち一つ、奴もその部類か、と】
【妙にテンポの狂う相手であった。反応がのらりくらりとしていて】
【苛立ちながら視線を向ける、こういう少女でも強いのがこの世界であったから】


はん、何が金属化しただけだよ、十分化け物じゃねーかっ……!!
ああっ、くそっ痛てぇ……!! てめぇみてぇな世間知らずのガキが一番嫌いなんだよ!!
何不自由なく生きやがって──っ!!


【男の右足が銃弾に撃ち抜かれる、ぐらりと大きく体勢が崩れた】
【銃の腕前も手慣れている。──特殊部隊か何かか、と内心思う】
【彼にはその軍服が何処のものか分からない、だから故にその正体にも気づけなかったが】


あああああ!!! いいぜ、そっちがその気なら……っ、俺もぶっ殺してやる!
こいよ、互いに殺し合おうぜ──!!
"Never Ending Nightmare"!!!


【男が両腕を広げると、周囲の環境が一変していく】
【吹雪く砂嵐、地面にも砂が広がり辺り一面が砂漠へと変化していくだろう】
【地形までは変わらない、広場のままに砂漠を上書きした状態であった】

【男が吼えると砂嵐が舞い上がる、鞭のように砂がしなって、少女へと叩きつけようとする】
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 22:02:28.71 ID:rJs+qAVco
>>271

【火炎放射器という兵器に、蜘蛛は気づくことが出来ない】
【燃料が糸にかかって初めて警戒態勢を取ったが、すでに遅く】
【数匹の蜘蛛が炎を纏ったまま、地面で焼け焦げていた──のだけど】

【一匹の蜘蛛が、白い身体を朱に染めて背後から貴女に襲いかかる】
【味方を焼かれた怒りを以て、その牙をどこかに突き立ててやろうと】
【牙が刺さったのなら、魔力と血液を吸われるのだろうけど────】


【その先へと踏み入ったなら、やはり白と緑で彩られた蟲が大量にいて】
【管の底に溜まったヘドロを啜っている様子が見えるだろう】
【──貴女が魔力を探知できるなら、そのヘドロに“何か”があるのが分かるだろう】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 22:12:31.01 ID:5DvLQidb0
>>274

【襲いかかる一匹の蜘蛛。それが飛びかかったのはちょうど脇腹であった】
【元より地面や植物から身を守るための軍服だ、無様に食い破られはしないものの】
【鋭い痛みと、"吸い上げられる"感触に、ガスマスクの奥から小さな埋木が漏れる】

【――もっとも、その一匹の命運は数秒と保たずに潰れてなくなる】
【剛毅にも皮手袋をはめた片手で蜘蛛を掴んだかと思えば、そのまま引き剥がし】
【"ぐしゃり"と握りつぶして、その残骸をヘドロへと投げ込むのである】

【ただ、蜘蛛は死に際に感じただろう。自身を掴み、そして殺すであろうその手が】
【純粋なる人間のものではなく、何かもっと熾烈で、純粋で、邪なものである事に】
【まあ、蜘蛛にそれだけの知能があればであって――他のモノへは、多分伝わらないのだが】


……――流石にこれだけ居ると、不快だな。
そこに溜まっている物は餌、か?それとも…――まさか、な。


【ぼうっ=\―火炎が、つい先程そうしたように蜘蛛へと向けて放射される】
【威力は折り紙付きだ。何より躊躇いのない果断な行動であった】
【蜘蛛を蹴散らせば、興味の対象はヘドロの奥。魔力を感じることが出来るのだろう】

【"それ"が焼け焦げた炭にでもなっていなければ、サバイバルナイフを一振り抜いて、突くように全容を確かめようとするだろう】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 22:14:44.01 ID:Lj5XEi8I0
>>273

世間知らず……?うん、そうだよ
わたしは知らないことがまだまだたくさんあるの

あれ?降参?

【銃弾が上手く命中し、男が両手を広げたことにより、一瞬勘違いをするが】
【それで終わるはずはなく、男も能力らしいものを発動し──】
【砂嵐が発生し、舞い上がる】

殺し合い、殺し合い?わたしは殺さないよ……?石動少佐に言われたから。悪い人を殺したらわたしも悪い人だからね
ねえ、あなたはまた殺すって言うけど、自分が殺されるのは大丈夫なの?
わたしは、死にたくないな

【殺すということが少女の中で何か引っかかっているようで】
【男に疑問を投げかけるが──そのせいか鞭のように叩きつけられる砂への対処が遅れ──】

……うぐぇっ!?

【ナイフのように明確に狙われた部位がわかれば金属化で対処できるが、全体を捉えてくる砂の攻撃には同じような防御ができず】
【両腕で頭部を守ったものの、そのまま吹き飛ばされ、地面に倒れ込む】
【腕には砂粒で削られた細かい切り傷が複数出来るが、にじみ出てきた血が銀灰色の金属に変化し、止血された】
【しかし、体に受けた衝撃は強かったらしく、立ち上がる姿はよろよろと力ない】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/04(金) 22:21:16.92 ID:r6UI62pVo
>>276

【視線の端に映る金属による止血、応用力の高い能力なのだろう】
【頭に血が上る。イライラすると内心の胸騒ぎが収まらない──それでも】
【よろよろと立ち上がる姿を見ると心が踊った、嗜虐心に火がつく】


ヒャハハハ!! ざまぁねぇな、悪いが俺は殺す気なんてサラサラねぇからよ!
殺すのが俺で、殺されるのがお前だ、覆ることの無い世界の理屈さ
分かったらとっとと──死にやがれ!!


【少女の足元の砂が揺れ動く、幾何学的な模様を描きながら一点に収束し】
【円を描くように少女を中心に渦を巻いていく、同時に地面が沈下を始める】
【流砂であった、足元を起点に少女を飲み込むように流砂がうねり始める】


俺様の名前はトゥイーギ=ラミレズ、この世の全てを憎む男だ
あばよ、クソッタレな俺の悪夢の、せめてもの慰めになってくれよ!
ヒャハハハハハ!!!!


【流砂の狙いは少女の足止め、そして同時に男自身の移動にあった】
【流砂に乗って少女に接近する、右手に持ったナイフを振りかぶり】
【少女の目を狙う、ここなら金属化できまいという読みか】
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 22:24:51.23 ID:rJs+qAVco
>>275

【ぐしゃり、と蜘蛛が握りつぶされてヘドロに投げ込まれれば】
【一匹の蜘蛛が、それに食らいつき────咄嗟に下水管の奥の方へ逃げ込む】
【“食すことによる、記憶の共有”。あの女が近づけば炎を出してくるという恐怖】


【貴女が火炎放射器で蜘蛛を焼き払えば、一匹残らず焼け焦げてしまう】
【腐ったものを焼いたような、厭らしい臭いが辺りに充満してしまうのだけど】
【サバイバルナイフでヘドロをかき分けても、何も出てこないだろう】

【────なのだけど、そのヘドロを食した蜘蛛を見ればよく分かる】
【先程まで蜘蛛の形を保っていた身体が、ボロボロと崩れていく】
【蟲の性質──食したものの性質を受け継げる──に気づけただろうか】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 22:37:10.02 ID:5DvLQidb0
>>278


……ふむ。蜘蛛自体は単なる魔術生物と見ても良いのだろう、が


【ヘドロをかき分けても、何も出てこない。或いは人間の目では価値無き物に見えるのか】
【ふと周囲を見回す。焼け焦げた蜘蛛たちがボロボロとその姿を崩していく】
【それこそ、炭化したヘドロのような脆さ。――それほど柔かった、だろうか】

【思い返すのは先に握りつぶした蜘蛛の死骸。かさかさと蠢くものだからつい視線で追っていた】
【同種を食らう。それが熾烈な食物連鎖の結果なのか、或いは違うのか――】


(……まさかな。そのような性質だとすれば、何故ヘドロを啜っていた?)
(いや、それより……こいつらが何をどの程度食っているのかが問題、か)

生物テロの対処部隊でも呼んでおくべきだったか……
那須曹長の安否を気遣うのもそうだが、看過するには余りあるな。
……貴様らが水の国の地下を跋扈していると思うと、ゾッとするよ。


【ボロボロと崩れる蜘蛛の死骸をいくつか無造作に踏み潰す】
【まだ、いい。アルターリの下水道だけであれば処置は出来る】
【だが得てして地下水道というものは何処かで別の都市にも繋がっているものだ】

【――もしもこんな不確定で危険な生物が国全土に蔓延ったなら】
【笑えない。サバイバルナイフを鞘に収めつつ、妙に綺麗な下水道を更に進んでいく】
【蜘蛛を見つければ燃やし、潰す。逃げるようになればひたすらに後を追っていく】
【帰り道への目印は――要らないらしかった。黒い軍服姿は、深淵への接近速度を徐々に増していた】
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/04(金) 22:43:52.15 ID:2eV/vN9O0
/>>204で再募集します!
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 22:44:50.39 ID:Lj5XEi8I0
>>277

はぁ、はぁ……すごい能力だね……
砂嵐を操れるんならもう銃も効かなそうかな?

【男がどこまで砂を自由に操れるかは不明だが──】
【直前の攻撃を見るに、遠距離では銃弾も防がれそうに思えた】

世界の理屈とか、殺したり殺される理由がそう簡単にわかるんなら……わたしはこんなに悩んでない!!
……それに、死ぬのは嫌だって言ったよね?

【あくまで殺意を緩めない男の言葉に、少女は初めて声を荒げた】

あれ……ここまで操れるんだ

【足元の変化に気づいたときはすでに足は流砂に飲まれ】
【少女の足首辺りまで沈み、移動が困難になる】

さっき言ってた"Never Ending Nightmare"……終わらない悪夢って、あなたの夢だったの?
どんな夢を見てるのかな?

【男が右目を狙って振りかざされたナイフ】
【避けることは出来ない──目の水分を金属化させることはリスキー】
【出来ることは、とっさに右腕を出して受け止めることだった】

うっ……

【ザックリと、右腕に刺さるナイフ──】
【刺さった部位から血がドクドクと溢れ出す】

あ……わたしは、櫻の国魔導海軍のリオシア・ステロヴァニエ。夢は戦艦の艦長になること

【少女が男に呼応するように名乗れば、ナイフに刺された傷口の血が金属化し】
【ナイフを刺さったまま固定し、捕らえる形になる】
【少女の体はさらに砂の中に沈んでいく──ナイフを手放さなければ、トゥイーギと名乗った男も道連れになるが──】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 22:57:41.66 ID:rJs+qAVco
>>279

【同種を喰らうのは、決して生存のためではない】
【──より知識を手にし、より強靭な身体を作り、蟲として認めてもらうため】
【それは死んだ蟲だけに限るのだけど──それでも人間からすれば、不気味だっただろう】


【下水管入り口周辺はこれ以上の脅威を認められないだろう】
【その先にある深淵へと、踏み出すことができるはずだ】


【その先に進めば、徐々に黄土色の粘液が管の表面を覆い始める】
【同時に湿度もかなり高くなり、ガスマスクのゴーグルも曇ってくるだろう】
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/04(金) 22:58:27.50 ID:r6UI62pVo
>>281

【少女の言葉を鼻で笑う、その音律の温さに呆れたような響きで】
【純白のシーツが如く、少女の言葉は何処までも穢れなき色合いを見せて】
【それは何処までも平行線、交わることすらない遠く彼方へ消えた憧憬】


ああ嫌だぜ、でも殺すのは好きさ、矛盾してるとでも思うのかい?
そりゃねぇだろ? 誰だって傷つくのは嫌に決まってる、でもよぉ
力を持ったら振るいたくなるだろ? それが道理なんだよ

ふん、俺にしてみれば、生温いこと言ってる奴らの方がよっぽど狂ってるよ
クソガキ、てめぇも力を持ってるんだろ? だったらそれで好き勝手やる方が自然なんだよ
──この現実こそが、一番の悪夢って意味さ


【ナイフごと右腕を固定される、成程──戦法もトリッキーだ】
【目の前の少女は戦闘に関しては天賦の才があるらしい、ますます気に入らない】
【彼に対し夢を語る少女、それこそがまるで、鏡写しの現実のように】


──あぁ後もうひとつ、この能力は俺様の見た現実の再現なんだよ
砂漠の中で戦った経験はあるか? 一寸先も見えねえ砂嵐の中で、仲間が次々死んでいくのさ
それでも前に進めとよ、お偉いさんは好き勝手いいなさる

どっちが悪夢か現実か、わかんねぇよなぁ!!!


【ドロリ、と男の右腕が付け根から砂に溶けていく、まるで砂と一体化するように】
【拘束から逃れ数歩後方に飛び退いた、流砂から逃れる形だ】
【移動したなら砂が右腕に移動し再び形作る、右手には血もナイフも無かった】

【──身体に負荷がかかるのか、心無しか体勢が前のめりであった】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 23:07:36.38 ID:5DvLQidb0
>>282

【奥に進むに連れて、入口付近の整った様相は流石に鳴りを潜めると見える】
【湿度が高くなり、ガスマスクが役に立たないほどともなれば】
【外気が人体にとって有毒か否か、一瞬マスクを外して確認し】
【行動するのに問題はない程度――そう判断できれば、外して進む】

【――人が通った痕跡は無いか、蟲が卵を産み付けでもしていないだろうか】
【そんな確認をしながらだが歩みは早い。どちらかと言えばそれは"サイドクエスト"だからだ】


ぼちぼち、という所か。…――"母体"が居るのなら、見つけておきたい所だな


【それなりの深度へと達したなら、軍人はその"能力"を発動する】
【己の肉体を悪魔のそれへ近付ける、ごく単純な身体狂化の異能】

【外見上は肌が黒く染まり、その瞳の白色はやはり黒へと変貌し】
【額には、その右方からだけ角が伸びる。まさしくそれは、魔族の容貌に違いないのだが】
【それ以上に、その肉体そのものが重厚な魔力の源となっているのだった】

【単純に言えば、大変美味な香りが下水中に満ちていくようなもの】
【一種のあぶり出しでもあり、保険でもあった。――より奥へ、軍人は躊躇わず足を進めた】
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/04(金) 23:14:45.87 ID:/Wps1HVU0
>>204

「全く、こんな所で一体どうした?」

【ごみ袋の上で唸る少女にそう声をかけたのは、一人の男性だった】
【紺の詰襟に、帽子、襟元の階級章、肩口には櫻と錨の意匠、モールは一本、腰には軍刀を帯刀し、珍しく軍装だった】

「何か探し物か、つがる?」

【そう、若干の冗談のニュアンスで話す厳島は、右目に黒の眼帯をしていた】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 23:20:33.69 ID:Lj5XEi8I0
>>283

力を振るいたくなるのは、まあなんとなくわかるかな
あなたの能力、わたしと違って派手だしね。確かにわたしだったら自慢したくなるかもね

現実が悪夢?わたしはわたしで、ここは別にあなたの夢なんかじゃないんだけど

【男から放たれた言葉は、額面通りに受け止めて──】
【互いに、生きてきた世界が違いすぎるのだろう】

砂漠の中で戦ったこと?うーん、ないなぁ。そもそも戦いの経験があんまりないし……
あなた、仲間が居たのね。お偉いさんもいて……
じゃあやっぱり今は違くても"元"軍人さんかな

でもさ、仲間が死んでもあなたは生き延びたんなら悪夢じゃなくてラッキーじゃない?

【男が話した、経験から──過去をなんとなく察する】

えっ、体も砂なの?

【砂に溶けた男の右手を見て、目を見開く】
【少女は考えた。砂を操るだけじゃなく、砂になることまで出来るのか──】
【しかし、それならば──殴った時も、銃撃した時も無効化出来た筈】
【無制限に砂と一体化は出来ないということだろう──ならその制約は?】

よくわかんないけど、とりあえずっ

【少女は自らの足元に拳銃を乱射する】
【銃弾の衝撃で足回りの砂を吹き飛ばし減らし、右足、左足とゆっくり抜け出した】



287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 23:21:33.71 ID:rJs+qAVco
>>284

【気味の悪い粘液が垂れている以外、障害があるわけでもなく】
【ガスマスクを外したとしても、特に影響があるわけでもない】
【とはいえ何かが腐って発酵したような臭いが充満しているわけなのだけど】


【人が通った痕跡はいくつか見つかる──管理用の通路に落ちた二つの箒】
【今日までに二人の人間が此処に居たという証拠になるだろうか】

【壁面には芋虫型の蟲が数匹這っており、卵を産み付けていた】
【中枢が此の奥にあるとしたならば、どんどん拡大していっているという考えで間違いはない】
【奥に行けば行くほど、粘液の量と芋虫型の蟲の数はどんどん増えていくだろう】


【彼女が能力を発動し、辺りに魔力の匂いを充満させたのなら──】
【粘液中をもぞもぞと蠢く芋虫型の蟲が、十数匹貴女に向けて這い出すだろう】
【魔力を少しだけでも手にしたいと、小さな牙を突き立てようとする】

【それに加えて、背後から数匹蛭型の蟲が跳躍する】
【貴女の背にくっついて、血と魔力を奪うつもりなのだろう】
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/04(金) 23:31:44.14 ID:r6UI62pVo
>>286

【はぁ? と思わず言葉が漏れた、どれだけ平和ボケしているのだと彼は思う】
【価値観の違いとはそれほどであった、彼にとって現実とは忌むべき日常であり、悪夢と同義で】
【喜びも楽しさもなかった、ただひたすら苦痛に満ちた生でしか無かった】


ヒャハハハハハ!! ラッキー!? ラッキーとか言ったか今!?
死んだ奴の事を幸運だと言うんだよ!! 国の為と戦わされ、国に帰ったら殺人鬼扱い!!
勝手な理由でこのクソッタレた世界に飛ばされ、そこでも厄介者さ!!

だから俺は生きてやると決めたんだよ! 死んだ方がマシだと思ったからな!
世界全てが俺に死んでほしいと思っているなら、俺一人でも生き抜いてみせるんだよ!
それが俺という存在、俺もまた、悪夢になるからよぉ──!!


【流砂から抜け出されるだろう、変に頭が回りやがる、と舌打ちを零しながら】
【目眩がした、長く眠っていない。ふらつく頭が限度を告げる】
【──副作用や制約があるとすればこの部分か、悪夢の名称に偽りはない】


おつむの緩いガキに忠告してやるよ、この世界に常識なんてねぇって
テメェも俺も、こんな馬鹿げた力を持ってる事が何よりの証明だろう?
だったら俺達は何を信じりゃいい? この世界すらも、誰かの悪夢であっても、おかしくねぇじゃねぇか

──クソ、柄にもねぇ、これだから、ガキは嫌いだ──!!


【再び砂が猛威を振るう、しなり、うねりを上げ鞭のように舞い上がった】
【先程より規模が大きい、直撃したならダメージは大きいだろう】
【苛烈な声に呼応するように砂が嵐のように叩き付けられる】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 23:34:10.50 ID:5DvLQidb0
>>287

【最低限でも2人の人間が犠牲になっている――加えて、一人も知っている】
【そして壁面の粘液。身体から分泌したのか、それとも巣なのかは分からないが】
【そこに蠢く芋虫型の蟲と卵を確認し、それを焼くのを止めた】
【おそらくは無駄だからだ。根絶するには自分の持つタンク1つでは足りないだろう】

【ならばそれは最も大事なときのためにとっておくしか無い】
【故に火炎放射はしばらく鳴りを潜めることとなる。けれど、その代わり】


……私の血はこの国の血そのものだ。高く付くぞ、虫ケラ。


【十数匹――二十匹――百匹――時間が経ち、奥へ行くほど際限なく蟲は増えるのだろう】
【最初は軍服が防ぐ弱小な牙も、数が増せば衣服のほころびも増え始め】
【その隙間から牙を立てるものも出てくるのだろう】

【対策として軍人が使うのは、その闘気とも言うべき身体に纏う魔力を】
【ダンッ!≠ニ一度地面を踏みつける衝撃と共に、熾烈に発散させることだった】

【その衝撃は身体を覆うごく一部にしか届かない。けれど、蟲の柔いボディを灰燼に帰するには有り余る】
【僅かな魔力と血液を引き換えに、その蟲たちは儚く生命を散らす事となるだろう】
【そして何より、軍人にとって幸いなのは――その能力が単純であるがゆえに】
【多少の損耗などは気に留めず、蟲が増える方向へとただただ歩み続ける事が出来る、という点だった】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/04(金) 23:41:16.02 ID:2eV/vN9O0

>>285

【何やら涙目でうーうー唸っていた彼女。どうやらゴミ袋がクッションにはなったものの地味に痛かったらしく】

【しかしその唸り声が不意にピタリと止む。そして数秒の沈黙の後】

……あれだぁぁぁ!!!!
【がばっとゴミ袋の山から身体を起こすな否や叫んで】

そうだよあれだよあれ!思い出した!早速鈴音ちゃんに……って駄目なんだっ……

……ふえ?
【端末を取り出し何事か騒ぎ始めたかと思うと相手に気付いたらしくそちらを見やり】

【相手の姿を凝視したかと思うと、あー、厳島さんかー、とポンと片方の掌に軽く握った拳を当てて】

や、私も鈴音ちゃんの事探してみようかなーって思って屋根登ってみたんですが……

……う、うん?
【平然と話しながら立ち上がり体をほろっていたがふと言葉と動きを止め】

えーと……その目は……
【恐る恐るといった感じで尋ねる】


291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 23:45:31.30 ID:rJs+qAVco
>>289

【誰も居ないこの場所を手にした蟲の繁殖は、手がつけられないほど拡大していた】
【まだ下水道の最深部に限るのだけど、いつ下水道の外に出てくるかわからない】
【根絶することは不可能に近いのだけど──手段がないというわけでもない】


【貴女が地面を踏みつける衝撃で、芋虫型の蟲はその身体を霧散させた】
【儚い魔力の塵となって、粘液に絡め取られていく──彼女の行進の度に、その犠牲は起こって】
【それでも、無尽蔵に湧き続ける蟲は無謀だと分からずに貴女の方へ這っていくだろう】

【蛭型の蟲も尽く衝撃によりその身体を弾けさせる】
【彼女の存在に畏怖を覚える蟲などいない──只の美味しそうな匂いを漂わせる、食事のようにも見ていて】
【────その先に佇む、ただ一人の女を除いて】
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/04(金) 23:48:12.83 ID:/Wps1HVU0
>>290

「つがる、今日の君は随分と気が昂っているな……」

【少々情緒が安定すない様子だ】
【一体何を見たと言うのか、そもそも何をやっていたのか】
【心配そうにそう答えて】

「なるほど、その積極性は良い物だが、不用意に高所に上るのはいただけないな」

【少し窘める様に、こう言って】
【やがて】

「ああ、これか……」
「ちょっとした作戦があってね、敵にやられてしまったんだ」

【目の事を尋ねられたら、少しバツが悪そうに】
【そして、あまり心配を掛けないように、つとめて明るめの声色でこう答えた】
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/04(金) 23:53:33.74 ID:Lj5XEi8I0
>>288

死んだほうが幸運、死んだほうがマシ……
そうか、そうだよね……死にたくない人もいれば、死にたくなる人もいるよね
さっきから道理とか完全に悟ったみたいな感じで言ってるけど、ひょっとしてあなたもまだ悩んでるのかな?

飛ばされてきた……この世界?
あ、もしかして異世界人…ってやつ?始めて見たけど
ちゃんと話は聞けそうにないね

【男から再び攻撃が来る】
【先程よりも大きい砂の鞭──】

馬鹿げた能力?
わたしは、自分の能力は結構気に入ってるよ……最近はね!

【少女は走り出す。真っ直ぐに男に向かって】
【直撃する砂の攻撃──だが、今度は吹っ飛ばない】
【体内の水分を金属化することにより、体重を十数倍に激増させ、その重みで飛ばされずに踏ん張りながら、ズシンズシンと走り続ける】
【しかし、体表へのダメージは免れず、先程よりも多くの傷を負う】
【全身の各所から血が吹き出す──また血液を金属化させ止血するが、あくまで応急処置。すでに流れた血と受けたダメージが癒えるわけではなく】

うっ痛ぁ……ぁ

【痛みに悲鳴を上げながら、男の至近距離まで近づき】
【身長差を埋めるようにかるくジャンプし、渾身の力で思いっきり抱きつこうとする】
【まるで感動の再会をした恋人のように、首に手を回し全体重をかけようと──】
【少女を受け止めてしまえば、人間の本来の体重の十数倍の重さが男にのしかかることになるが】
【成否に関わらず、少女の体は限界を迎え──その場から動けなくなるだろう】

294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/04(金) 23:56:38.79 ID:5DvLQidb0
>>291

【奥へ進めば進むほど、蟲の数は増えてゆく】
【最終的には一歩でどれほどの数が死んでいくのかも分からないし】
【全身を這い回るその感触を、気色悪いと感じるだけの感性も鈍っていた】

【――ただそれでも呼吸が1つも乱れないのは、一重にこの女の頑強さ故だろう】
【鍛えたからか、そもそもの精神性なのか、能力の特異さから来るのかは分からないが】
【今一度、強烈に周囲の蟲を吹き飛ばすと周囲の粘液を焼き落とすように火炎を放射した】
【そこで足を止める。最早ここは相手の腹のナカ、とはいえ――灼けば、少しは黙るかと踏んで】


……随分と趣味の良い所に住んでいるようだな。
住民票は出したか?ペットの飼育許可は?有害生物の申請はどうだ?
まあ、私は役所の人間ではないんだが…――この街の警備を預かる身として、来てやったぞ。


【――"ごうっ"。躊躇いなく、この蟲だらけの下水道に佇む女へ向け火炎を放つ】
【もう燃料は半分を切っていたが関係ない。最大火力での焼尽処置】
【それが効くのなら、だが。たっぷり三秒焚き付けて、頬に張り付いた蛭を引き剥がしながら相手を睨んだ】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/05(土) 00:02:55.36 ID:KT4GIx2Ko
>>293

【若しかすると、男がもっと冷静であったなら、貴方の言葉を丁寧に辿れたかもしれない】
【──出会うのが遅すぎた、リオシアの純粋な言葉はもう届かない程に澱んでしまったから】
【彼の心に僅かな正気でも残っていれば、また違ったのだろうが】


ぐわあああああああ!! あああああ!!
くそ!!!!! くそ!!! いてええええ!!!
なんだ、てめぇ!!!!


【首に手を回され抱きつかれる、そのままあまりの重量に背中から倒れ込んだ】
【骨の軋む音、筋肉が軋み千切れる音がする、死が目の前に見えた】
【男は慌てて全身を砂へと変化させ消える、リオシアは地面に倒れ込む体勢になるだろう】

【男は少し離れた地点に顕現する、膝をついて荒い呼吸を繰り返し】


ハァハァ、リオシアとかいいやがったか……!! 魔導海軍だぁ!?
ひょっとして、厳島とかいう糞野郎の知り合いかよ──!! はん!!
覚えておけ、必ずお前ら全員、ぶっ殺すって──!!


【男はよろよろとその場を後にするだろう、戦闘続行不可能な状態であったから】
【リオシアが倒れ込んでいたらすぐに、救護の手が来るだろう】
【──不穏な言葉を残して、男は去っていった】


/こんな所でしょうか、お疲れ様でした!
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 00:04:05.76 ID:RlRiGI7a0

>>292

【気が昂ってると言われれば彼女はきょとんと目を丸くして、そうですか?と首を傾げ】

まあ変な物見ちゃったし……仕方ない……っちゃ仕方ない……んですかね?
【そのお陰で思い出した事もあるんですけど、なんて笑いながら頬を掻いて】


【不用意に高い所に登るな、などと諌められれば、大丈夫ですって!猫ですし!と笑ってみせるのだが】

【相手の目が敵にやられた物なのだと聞くと小さく声を発して】

大丈夫、なんですか?治るんです……よね?
【不安そうな声でまた尋ね】

【目深に被ったフードの端を両手で握り、更に深く被るように引っ張って】


297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 00:08:02.70 ID:SSG3+k0Go
>>294

【一歩を踏み出せば幾多もの蟲が吹き飛び、粘液も飛び散る】
【粘液を焼けば、焼いた部分の表面だけが結晶のように固まるだろう】
【貴女はすでに腹の中──なのだけど、蠕動の音は聞こえることなく】


【貴女が火炎放射器の銃口を向けた時点で、その人影は何らかの行動を取る】
【炎の方へと手をかざして──感じ覚えのある、魔力によって相殺するはずだ】
【三秒間最大出力で放射された炎を全て相殺してしまえば──】


「ああ、お客さん────って君か!来てくれて嬉しいよ」


【口元に笑みを浮かべると、箒を放り出して貴女の方へ数歩歩む】
【先日は白衣を羽織っていたが今日はそうでもなく、蛹が何重にも重なったような法衣を羽織っている】
【それに、法衣の背後には常にピンク色の淫靡な光が灯されていて──】


「住民票は出しているさ、でも飼育許可に有害生物の申請も出せない」
「出す窓口がここにあれば、いつでも出しに行くんだけどな」


【ふっ、と右手を振れば人差し指と中指の間に煙草が挟まれており】
【切っ先に火をつければ、それを口に加える──煙が排されることもなく、屋上に溜まって】
【羽が生えた蟲が、その煙を吸いに来る──やがてキマってしまったのか、溜まっている粘液へと力なく落ちてしまう】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 00:09:17.77 ID:0haM9UNI0
>>296

「変な物?」
「何を見たんだ?」

【つがるの意味ありげな言葉に】
【少し引っかかるものを感じて】
【思い出したもの、とも言われ、より気になる話に】

「……いや」
「多分、このままだろう、眼球を深く切られてね、このまま見えないままだろう」

【少し深刻そうに聞かれ、それでも尚、不安にさせまいとしれっと答えて見せる】
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/05(土) 00:16:09.36 ID:nQHdSx+n0
>>295

ごへっ!

【男が砂に変化したことにより、顔面から地面に打ち付けられる】

あ、やば……からだ、動かない

【自らの限界を今、やっと理解し、男からの反撃を予想しピンチを悟るが──】
【男にもダメージは相応に与えたようで──吐き捨てるようにな台詞を残して去っていく】

知り合いも何も、厳島中尉がわたしを魔導海軍に誘ってくれたんだけど……

【厳島の名前を出され、反応する。知り合いだったとは──軽率に名乗ったのは不味かったか】

トゥイーギ、ね。わたしも覚えたよ……報告したほうがいいかなぁ、これ……怒られるかな
痛たたっ、まあいいや……あとで考えよう

【なんとか仰向けに体を転がし、空を見上げながら】
【満身創痍の少女は呟いた】

はあ、生き残った。やっぱりラッキーだね……




//ありがとうございました!
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 00:17:03.25 ID:0haM9UNI0
【水の国、アルターリ近郊の市街裏路地】

【雨が降っていた】
【細く、生暖かい、気持ちの悪い雨】
【水滴と湿気が肌にまとわりつき、ああ早く家でシャワーでも浴びたい、そう思わせる雨】 

「……」

【そんな陰鬱この上ない裏路地の中に、些か不釣り合いな少女が一人佇んでいた】
【否、佇んでいたと言うよりは、しゃがみ込んでいるのだ】
【傘もささず、セーラー服はずぶ濡れで】
【目には光も無い】
【見る者が見れば、如何わしい誘いの少女にも見えるだろうか】
【しかし乍ら、薄暗くなり始めの時間帯に、この少女の存在は】
【あまりにも不釣り合い過ぎて、良く目立つ事だろう】
【あるいは、悪い者から見れば、格好のカモが居る様にも見えるだろう】
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 00:22:05.85 ID:Dz4cP7Xx0
>>297

【近代兵器を明らかに相殺している。――蟲、ではない】
【蟲が人間の形を真似ている訳ではないのだとすぐにわかった】

【いや、理由はもっと単純だ。見たことがある≠ゥら分かったのだ】
【蛭を引き剥がした頬から滴る血を舐めながら、ニヤリと笑う】
【相変わらず――どちらが悪党だか、分かったものじゃない】


貴様≠ゥ…――つくづく縁が有ることだ、先程の言葉を訂正しよう。
水の国陸軍代表として、お前を殺しに来てやったぞ――"Crimson"。


【"キんっ"――そんな音と共に、黒い軍人は手榴弾のピンを引き抜いた】
【そして、投げる。レバーが手から離れれば、3秒後には爆発するだろう】
【この狭い空間、爆発の衝撃と飛び散る破片の効果は生物の致死率を大きく引き上げる】

【――もっとも、それで殺せるとは思っていない。相手が煙草を楽しむ隙も与える気はないのか】
【サバイバルナイフを左手に、火炎放射器を右手に持って、爆破の後――"5秒後"を待った】
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 00:28:36.69 ID:RlRiGI7a0

>>298

【何を見たのかと聞かれ、彼女は苦笑する】

猟師、ですよ
半着に股引、何処にでもいる感じの櫻の猟師です
……彼奴らと同じ
【吐き捨てるように言ってから】

ええ、あの時なんですけど彼処にいた彼奴ら、何か変な物着けてたんですよね
えーっと、こんな感じの印……
【近くにあった長い棒切れで地面に絵を描いて見せる】

【目のような物の四方に縦長の菱形があしらわれたマークだ。何処か十字架にも似たデザインをしている】

こんなのを首飾りにしていたりしてました……多分魔除けとか対妖怪用の印、なのかな……そうじゃなければ組織の印とか……
【まあ何の印かは今考えたんですが、と言葉を続けて】

【そうして目が治らないと聞けば、小さく、何で……と呟く】

何で皆そうやって無茶ばっかり……鈴音ちゃんも……厳島さんも……

【もっと自分を大切にしてよ……と泣きそうな声で呟いて】

303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 00:31:23.28 ID:SSG3+k0Go
>>301

「そりゃありがたい──自分から”巣”に入ってくる人間が居なかったからな」


【手榴弾のピンを抜いた音が響くが──女は動揺する素振りも見せない】
【それどころか、煙草を咥えたまま。背後から羽音を立てて数匹の蟲が凄まじい速度で現れて】
【2秒──地面に落ち。3秒──蜻蛉がそれを拾って、4秒──貴女の方へ突撃して】


「此の通り、”巣”は大盛況だ。あそこにお前を放り込めば”皆”が喜ぶだろうな」


【女が法衣をはためかせれば、中から数匹の蟲が飛び出す】
【掌ほどの大きさを持つ蜂で、その針を彼女の方へ向けている】
【”能力”を一時的に阻害する毒──魔力を数秒のみ抑制する毒を持って、彼女へと針を突き立てようとしていた】
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 00:36:56.73 ID:ax1odQQB0
>>300

【雨の夜は、心が落ち着く。雨の匂いは、独特だけれど嫌いではなく。
 雨の音に耳を立てれば、何時しか自身と雨が同化するような心地よい錯覚さえ覚える】

……フェイの身体を借りて散策するのも久方ぶり。
雨の日は、心地よい。夜が優しいのと似ている。雨は、輪郭をぼやけさせてくれる。
自分と世界の境界線がぐにゃりと歪んで混ざっているみたい。

【傘を差し、路地裏を散策する一人の女性。それは、両腕に包帯を巻きつけた白い髪が特徴的な女性】
【巷ではフェイ・エトレーヌという名の犯罪者で通っているその女性は、何処か楽しげに独りごちていた】
【そして、普段のフェイとは大きく雰囲気が異なっていた。まるで別人かのような雰囲気だった】

――…おや、路地裏に紛れたるは子猫か、幽鬼か。それとも、"ひとおに"か。

【路地裏を進んでいって行き着いたのは、雨に打たれて佇む少女の姿。その姿は幽霊の様に生気が無いように思えた】
【だが、見覚えはある。嘗て龍退治で共闘した櫻の国の少女――であっただろうか】

こんばんは、幽霊さん。……いや、那須翔子、……に似た幽霊さん?

【第一印象とはかけ離れていた故の、言葉。決して悪気は無いけれど。
 冷たくも穏かな表情のまま、■■は思い浮かんだ言葉をそのまま吐き出していた】
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 00:47:27.50 ID:0haM9UNI0
>>302

「櫻の、猟師……何でまた、そんな奴らが……」

【つがるのトラウマ、その光景を引き出すには】
【それは、あまりにも十分すぎる物かもしれない】
【あまりにも、強すぎる光景と姿なのだ】

「すまない、その形には見覚えが無いが……何かを意味しているのは間違いが無いな、こちらでも少し調べてみよう」

【そう、つがるの書いたその絵を見て】
【何かの結社か宗教だろうか?それにしても、妙な格好だ、と】
【だが、やがて】

「……すまない」
「任務だ、必要な事なんだ、これは、仕方が無い事さ」
「つがるが気に病むことは無い、これは私の未熟さ故だ」

【そう、泣きそうな声になるつがるに、こう励ますような】
【だが、内容は決してそうは感じ取れない、そんな言葉を口にして】
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 00:49:03.97 ID:Dz4cP7Xx0
>>303

【手榴弾を拾い上げる数匹の蟲――流石に、それがこちらへ来るとなれば目を見開く】
【――直後、轟音と共に爆散。噎せるような火薬の香りと煙が舞い上がり、充満する】

【しかしそれを切り開くように剣閃が走る】
【それは引き抜かれたサバイバルナイフを振るった剣筋に他ならない】
【己へ向けて放たれた巨大な蜂。その悉くを切って捨てたという訳である】

【並大抵の技量ではない。元よりのナイフ捌き、そしてそこに加わる悪魔的動体視力】
【ただ――傷は深かった。衣服が黒い故に目立ちはしなかったが】
【埃と火薬が入り混じったような匂いの中、濃密な血臭もまた漂っていて】


ふ、ッ…――"母"が自ら赴いたほうが、余程薄汚い"子"も喜ぶだろうさ――ッ!


【黒色に塗られたサバイバルナイフの刃が、鈍く光る】
【負傷を感じさせない程の勢いで駆け出したアヤのナイフが】
【正確に"Crimson"の首筋を半ばまで切り開こうと振るわれる】
【狙いは合っている。速度も良い。切れ味などは折り紙付きだった】

【――だが問題は二点あった。一点目は、突き返された手榴弾による負傷の重さ】
【能力による"再生/リゲイン"はあったが――そう、それが二点目なのだ】

【駆け出してすぐに異変に気付く。黒色の瞳に白が混じり、赤が混濁してゆく】
【角が僅かに掠れて見える。それは間違いなく、一時的な能力への阻害であった】
【それが全てを鈍らせる。少なくともそれは、この状況下では大きな"差"になりうるものだった】
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 00:57:54.32 ID:0haM9UNI0
>>304

「あなたは……」

【ぼうっと、顔を上げて女性の言葉に反応した】
【だが瞳には生気は無く、光も消えている】
【確かに、あの時の印象とは桁外れに違うのだろう】
【幽鬼、その印象がぴたりと当てはまるだろう】

「そうですね、那須翔子です」
「でも、幽霊って言葉、合ってると思います」
「人間だった那須翔子は死んだようなものですから」

【女性の言葉に力なく笑う】
【雨は、まだ振り止む気配無く、本降りとなっている】

「お姉さん、何で私の名前を知ってるんですか?」
「何処かで、お会いしました?」

【そう、力の無い声で聞いた】 
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 01:00:39.96 ID:0haM9UNI0
>>307
//以下文章追記でお願いします

「……もしかして」
「カイさん?ですか?」

【首をかしげながら、こう再び聞いた】
【髪の毛の特徴があまりに印象が強く、そしてあまりにも性格が違い過ぎて】
【最初の段階で気が付かなかった様子だ】
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 01:12:47.19 ID:SSG3+k0Go
>>306

「なぁに、私は母じゃないさ。それに────……」


【彼女の角が、掠れて見える──悪魔の能力が沈静化されてきたのか】
【右腕を咄嗟に上げて、右手首で彼女が振るったサバイバルナイフの刃を食い込ませる】
【足元にはまだ蟲が大量に居た──悪魔の力を持つ彼女の血を、狙っているかのように】


「さあ、繁殖場に行こう。君に私達の未来を見せたいからね」


【闇の魔力を左手に凝集させれば、堅い殻が幾重にも重なっていって】
【ナックルのような形を作れば──彼女の鳩尾めがけて振るう】
【此処でダウンさせて、無理やり繁殖場を見させようとしているのだ】

【そこが中枢だといっても、十分に弱体化させれば心配はない】
【それにワームシンガーの唄をきかせれば、碌に動ける人間は少ないはずだと】
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 01:15:14.94 ID:RlRiGI7a0

>>305

【その形に見覚えはないが此方でも調べてみようと言われればつがるは小さく頷く】


【そうして、すまないと謝られればバッと顔をあげて】

何ですかそれ!
任務だ、必要なんだ、仕方ないんだって……!
そうやって一人で抱え込んで……!
誰にも分からずにフッと消えちゃって!皆心配してるのに何も言わないから何があったか分かんなくて……!
それで──
【涙声で捲し立てていたかと思うとふと黙り込んで】

……ごめんなさい……
【ぽつ、と謝る】

【UTに行く時、つがるは一度迷った。変わりゆく世界、きっとUTだって忙しい、それなのに自分は悠長に死体探しをしていて良いのか?と】

【そんな中で、それで良いんだよと背中を押してくれたのが鈴音だった。世界の事もお母さんの事も私達に任せて、と言ってくれたのが彼女だった】

【それなのに彼女は危ない事に関わっていて、きっとそれどころじゃなかっただろうにああ言ってくれていて】

【婦警に弱味を握られて、一度音信不通になって。それでまた消えてしまって】

【それなのに自分は何の力にもなってあげられなくて】

【だから、きっと混乱しているのだろう。彼女とは一度しか会った事がないというのに】

【そんな中で、別の頼れる大人が治らない怪我を負ったとなれば重ねてしまって──】
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 01:17:59.72 ID:ax1odQQB0
>>307

『ああ、そうか。"あの時"はフェイの方が表に出ていたのだから、貴方が解らないのも仕方ない。
 で、あれば。こちらの方が都合が良いみたい。少々お待ちをば――』

【くすり、と笑みを零しながら、■■はフェイへと体を明け渡す】
【すると次第に髪の色が痛んだ茶色へと変化していく―――翔子が良く知る女へ、カイと呼んでいた女へと】

よう、おたんこ那須。元気して…ねえみたいだな。随分と湿気たツラしやがって。

【開口一番、翔子に放つのははからかいの言葉。人を食った様なやや妖しげな笑みを浮かべ】
【右手を翔子の頭へと伸ばし、ポンポンと、否。バンバンと力強く叩こうとする。お前は死んでねえだろ、と言外に主張するように】

アタイが言うのもアレだがよ、死んだようなものって軽々しく口にすんなよ。
あれかぁー。おめえ未成年の癖に酔ってんのかァ?だとしたら。あっはっは、とんだ優等生だなぁ。

【カイは翔子の事情など知らない。だからか、翔子の言葉を軽んじていた】
【生真面目な性質だから、ちょっとしたミスで凹んでんだろうと思っていた】
【ただ思考の隅では、それ以外の可能性も僅かばかり考慮していた】
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 01:23:23.46 ID:Dz4cP7Xx0
>>309

【サバイバルナイフの刃が、受け止めた右手首の骨をがり、と削る】
【しかし届かない。それは致命傷とはなりえない】

【ならば視線で殺してやると言わんばかりの、狂靱な瞳がかち合った】
【そこには恐れが全く無い。――生物としては、生存に向かない欠けた瞳】
【それ故か。相手は近距離戦をしてこない、という思い込みでもあったのか】
【或いはそもそも、能力の阻害と負傷が重なって動けなかったのか】


    Crimson<bッッ…――!!!
  
         ―――貴様、はッ……ガ、あ……―!!


【鳩尾への一撃に、呼吸が詰まる。ごく一瞬の意識の断絶で、ガクリと身体が膝をつく】
【178cmの肉体が倒れると、その身体を覆うように黒髪が背にふわりと被さり】
【左手に握られていたサバイバルナイフからも指が離れることとなるだろう】

【――意識は、確かに失われていた。その能力自体は尚も活性化していたが】
【毒を打たれればやがては単なる人間へと戻るだろう。そうなれば――ただの、一人の女性でしかないのだが】
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 01:27:50.09 ID:0haM9UNI0
>>310

「……諜報員だからな」
「それに、私一人が消えた所で、誰も心配なんぞしやしないさ」

【いい訳にもならない詭弁だった】
【いや、それ以下の何か】

「何故、泣くんだ?」

【ここは随分と不思議そうに】
【本気で解らないと言った風に】 

「つがる……鈴音の事もある、確かに不安は色々あるだろう」
「だが、つがるは自分の事だけを、先ずは考えるんだ」

【ぽんと肩に手を置き】
【かなり、的外れな事を言う】
【恐らくはこれらは全て、正確と職業に起因する物なのだろう】 
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 01:32:53.78 ID:0haM9UNI0
>>311

「フェイ?表?」

【そうすると、女性はその瞬間に、良く知った女性へと変貌する】
【カイと呼んで、ドラゴン退治の際に手を組んだ女性】

「えっと、カイさん、ですよね?」

【面食らったように、こう聞いて】
【しかし女性の口調も髪も、カイ本人で】

「カイ、さん……」

【バンバンと頭を叩かれるようにされれば……】

「ガ、イ、さん……ひっく、えっぐ……」

【ボロボロと堰を切ったように】
【大粒の涙をこぼし始める】

「私、私……もう、人間じゃ、なくなちゃった……」
「皆のとこにも、帰れない……ひっくひっく」
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 01:42:47.36 ID:SSG3+k0Go
>>312

【がり、と音を立てて骨が削れる】
【そんなことなどお構いなし、といったような平然な表情で】
【貴女の鳩尾を容赦なく殴りつけて────腕の甲殻を霧散させる】


「私は“Crimson”などではない────」

     「────ワームシンガーの右腕、“Vissini”だ」


【その言葉とともに法衣を揺すって出てきたのは──】
【単眼の複眼、ずんぐりとしたカメムシのような胴体を持ち、蝿の羽根を胴体から生やす】
【そして先程と同類である能力を一時的に阻害する毒が充填された、蜂の針を尾部にもつ、人間の頭ほどの大きさを持つ蟲】

【膝をついた彼女の背に止まれば、針を脇腹にゆっくりと突き刺す】
【活性化している能力を再びシャットダウンし、無力化を図ったのであるが──】
【無力化に成功したならば、その蟲に貴女の服を掴ませて運んでいくだろう】
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 01:48:51.74 ID:ax1odQQB0
>>314

んぁ!?おいおい、いきなり泣くんじゃねーよ。
そんなに強く叩いてねえだろうがッ!
(そんな泣くほどの力で、…叩いてないよな?■■)

【初めて出会ったあの日のやり取り】
【直情的で、気の強い、負けん気の強い少女の印象が色濃く刻まれていたから】
【カイの表情は困惑一色に染まる。翔子の慟哭につられて動揺してしまった】

(―――〜〜〜ッッ!?…アタイは生まれてこの方、ガキをあやした事なんてねえぞ)

【視線が泳ぐ程に困惑しながらも、思考を働かせる。先程から耳に入る言葉がどうも引っかかる】
【"人間じゃ、なくなった"――外見は人間そのものじゃないか。何が那須をそう言わしめてる?】
【足りない頭で思案しても時間の無駄に思えたから、カイは感情の赴くまま動く事にした】

…あー、もう。とりあえずこんな路地裏でわんわん泣いてたら狼男に食われちまうぞ。
それにおめえの話が良く解らねえ。アタイは頭が悪ィんだから説明してくれよ、な?

【ガキをあやすのは■■の方が上手いに違いない。内心毒づきながら】
【尋常ではない空気を察したカイは、何処か雨宿りの出来る所にでも行こうぜと路地裏から出るよう促す】
【何を言うか。何をすべきか。先ずは翔子の話を聞いてからである】
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 01:49:05.98 ID:RlRiGI7a0

>>313

諜報員、だからって……

少なくとも私は心配します!
それに……貴方の部下の娘だって……!
【思い出すのは厳島と初めて会った時の事。彼と一緒にいた自分と同じくらいの年頃の女の子。きっとあの娘もただの女子高生ではないのだろう。一緒にいたから部下、なのかもしれない】

【援交か、なんて的外れな自分の言葉に顔を赤らめていたあの娘。もしかしたらあの娘にとって厳島さんは大切な人なのかもしれない、なんて思って】

【そうして、何故泣くのかと聞かれればつがるは困ったような顔をする】

【自分でも何で泣きたくなるのか分からない、けれども何だか泣けてきてしまって】


自分の事だけをって……
嫌だ……そんなの……私だって……誰かの力になりたい……!

鈴音ちゃんも……厳島さんも……私に優しくしてくれた"家族みたいに大切な人"なんだもん……!
【ぼろぼろと涙をこぼす】

【あの時、鈴音をお姉ちゃんみたいだと思った】

【厳島の事をもし父親がいたらこんな感じなのだろうかと思っていた】

【実際は──憤怒した母親に殺されるくらい酷い父親だったのだが】

【母親はいたけれども少し他の家族に憧れていた節もあって】

【見知らぬ土地で身寄りもなく独りぼっちなのもあって】

【家族みたいな役割に当てはめて一人ではしゃいでいて】

【だから、余計に苦しくて──】

318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 02:01:50.45 ID:0haM9UNI0
>>315

「だって、だって……カイさん、カイさん……」

【カイの内心の困惑、しかし裏腹に泣き止む様子を見せない】

「……はい」

【ぐすん、としゃくりあげ乍ら】
【カイの提案に乗り、とりあえずこの場を後にしようと】
【気が付けば、雨でセーラー服はおろか、スカートも下着もぐしょぐしょに濡れている】

「……誰にも秘密で、機関のCrimson、赤崎桐子さんって研究者の人に魔翌力因子の注入をお願いしたんです」

【その道すがら、顔を伏せながら、ぽつりぽつりと話を始める】

「魔翌力を爆発的に増大させる因子何ですけど、でもそれは、魔界の蟲の一族の因子みたいで」
「先だって壊滅した、アルターリが魔界に繋がったみたいで」
「アルターリの地下に、蟲を操る魔族が来て」
「赤崎さんは操られてるみたいで、私も抵抗出来なくって」
「蟲の因子が体内にあるから、命令に従わされるし、抵抗すると、因子を暴走させられるから……」
「仲間に助けを求めたら、むしろ仲間を呼んで来いって、魔族に命令されて……」
「私、もう魔族なんです、蟲の魔族なんです……」

【だから、仲間の元に帰れないと】
【人間じゃない、と】
【そう話して、また泣き出した】
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 02:08:45.70 ID:0haM9UNI0
>>317

「つがる……」
「すまない、私は、思い違いをしていた様だ」

【つがるの言葉に、顔を伏せてそう言った】

「そうか、私にも、心配してくれる人が、まだ居たのだな……」

【曹長は、現在謎のメールを残し行方を晦ませている】
【故に、今日は珍しくも軍装で、軍刀等も携行し探していたのだが】
【確かに心配だった、曹長もこんな気持ちなのだろうか、と】
【少し天を見て、ぼそりとこう言って】
【つがるを、思い切り抱きしめた】

「気持ちは嬉しい、だが、その事で君が泣くのを私は快くは思えない」
「どうにも、変な気分だ、私には娘も妹も居た事は無いと言うのに」
「家族、か……つがるのようにつらい経験をした者だけが理解し得る気持ちなのかもしれないな……」

【いけないな、顔を見せられない】
【自分の気持ちの正体が、私には解らないのだから】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 02:27:01.43 ID:ax1odQQB0
>>318

―――……?
(アルターリが魔界と繋がった?魔族?…やべぇ頭が追いつかねえ
 ■■、起きてんだろ。……要約してくれ、サッパリだ)

【路地裏を去る道すがら、翔子の口から語られる事の詳細】
【カイが理解できたのは、自分から翔子が蟲の魔族になってしまったという事ぐらい】

(『フェイ…私も全知全能では無いのですよ?…まあいいでしょう。
 要約すれば、彼女は力を求めて人の数ならぬものになった。ある意味では私達"ひとおに"と同じと言う事』)

(『力を欲した結果、魔族になるとは露程思ってもなかったと。
 結果的に法外な賭けに手を出して、魔族の使い走りに成り下がってしまったという事でしょう』)

【なるほどな。漸くアタイでも理解が出来た。大方唆されて、法外な賭けに手を出した】
【んでもって、その結果が人間卒業で。それが那須には耐えられない残酷な現実って訳か】

【カイが最初に抱いた感想は――単なる自業自得じゃねえか、というもの】
【湧き上がるは突き放す様な言葉と。人の数ならぬ者になった"程度"で何を喚くのか】
【怪訝な顔をしていたのだろう。けれど、翔子の前を歩くカイはそれを見せない】

…そいつぁ、ご愁傷様だな。力を求めたら首輪を付けられて。
それに加えてムシケラの言いなり兼パシリか。――…泣けるな。情けなさすぎて泣けるぜ。

【その言葉は憐憫か、同情か。それとも別の感情か。ただ、その感情は抑えなかった】

ようこそ、ひとの数ならぬ身へとでも言っておこうか。
人から魔族、…いやムシケラに成った感想はどうだよ?

【卑屈な翔子を見ているのが嫌だったのだろう。侮蔑を込めた言葉は言葉通りの意味だけではなかった】
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 02:27:23.00 ID:RlRiGI7a0

>>319

まだ……って……
いますよ、きっと、私とかあの娘以外にも
【厳島さんはいい人だから、と彼女は言う】

【ただ、ちょっと他の人の気持ちが分からないのかもしれないけど、なんて初めて会った時のあの少女の反応を思い出して、その言葉は飲み込んでおいて】


【思いきり抱き締められる。きっとあの時みたいな海と硝煙の匂いがするのかもしれない】

【けれども、あの日みたいに怯える事はなくて】

【それはきっと、彼からするその匂いは自分に害をなす為のものじゃないと判っているからで】


本当の家族じゃない、ですけどね……
【涙を拭って、少しだけ笑って】

【まだ少し泣き笑いのそれだけど】



322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 02:29:31.66 ID:ax1odQQB0
>>320に追加で
//【翔子を奮い立たせ、噛み付いてくるのを期待している様な言葉であった】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 02:38:03.35 ID:0haM9UNI0
>>320

「まさに、その通りですよ……」
「魔族にされて……蟲の使い走りです……」

【顔を伏せたまま、カイの言葉に答える】
【カイがもう一人の誰かと会話し、そして得た答えだと言うのも、知る由も無いのだが】
【顔を伏せたまま、肩を震わせ、そして】

「でも、そこまで言う事ないじゃないですか!!」
「何が解るんですか!?そんなに強くなくても戦わなきゃいけない、そういう理由があって、それで力を求める事の何が悪いんですか!!」

【ここは狙い通りだろうか、泣きながら、ある種非常にみっともなく、激昂し抗議し】

「それに魔族や蟲の配下になったのが嫌なんじゃありません、あの人達、魔族の狙いはアルターリからこの世界への侵攻」
「この世界の征服だからです!!」
「その尖兵をさせられるんです!!」
「だから……」

【ここで再び顔を伏せて、肩を震わせ】

「だから、もう戻れないんです……皆の所に……いつ命令されて利用されるか、解らないから」
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 02:44:31.46 ID:0haM9UNI0
>>321

「諜報員がそれでは、いけないな……目立ったり記憶に残ったり、それは良くないな」

【冗談交じりで、口元で笑って見せて、こう答えた】
【香りはあの日と同じ、香水に交じって海と硝煙の匂い】
【最近では人員も少し増えた海軍陸戦隊諜報部】
【なるほど、つがるの言う通り、家族なのかもしれない、と】

「何、つがるなら、本当の新しい家族が出来るかもしれない、これほど可愛らしい娘だ、いい人が見つかるかもしれないな」

【そこもまた、冗談交じりに】
【やがて、やっと泣き止んでくれたかな?と顔を覗き込む】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 03:04:34.81 ID:ax1odQQB0
>>323

【食いついてきた。その狙い通りになったのは僥倖か、それとも悲劇の幕開けか】
【今はわからない。カイは人を慮るという選択肢を選ばない。故に翔子にぶつけるのは、湧き出る感情である】

力を求めるのは誰にでもある欲求だから何も悪くはないさ。
だがよ、自分で納得して法外な賭けに出たんだろう?それで泣きを入れるのは筋が通らねえだろ。
それにアタイは、那須翔子じゃ無いんだ。おめえの事全てが解るわきゃあねえだろうが。

【だがよう。それ以上に気にいらねえ事がある】
【カイは二の句を告ぐべく、ここから先の言葉こそが本当に伝えたい事だと知らしめるべく――振り向く】

泣いてッ!喚いてッッ!それで降って来る様な奇跡を待ってんのか、テメエは!?あぁッ!?
蟲共の成すがままにッ!クモの糸と蟲共の意図で操られた人形になるのが嫌なんだろうが!

ムシケラの尖兵になって、世界征服のお手伝いをするのが嫌ってんなら、抗え、抗えよッ!
テメエの魂までムシケラになっちまったのか!?違ェだろッ!?

【『フェイ…落ち着きなさい。――…貴方の意図する所は理解できますが少々酷です。
 ――代わりなさい。ここから先は貴方の出る幕ではありません』】

【肩で息をする程に荒ぶるカイは、翔子の伏せた顔と震える肩を瞳に映しながら再び人格の入れ替えを行う】
【すると、徐々に髪色が白く染まっていく。荒御霊を鎮めるように、白く白く、新雪の白のように】

『――…私が思うに。人間にとって尤も不幸な事。それは自分らしく生きられない事。
 那須翔子。貴方は、どうしたいのです?これは、貴方が人間か魔族かは問わないものとして考えなさい』

【■■は、フェイと異なり丁寧にやさしく、翔子に歩み寄る。けれど、言葉の意図はフェイと変わらない】
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 03:05:45.34 ID:RlRiGI7a0

>>324

【諜報員なら誰かの記憶に残っていてはいけない、なんて言葉を聞いて彼女は、それはそうかもしれませんけど、なんて口ごもり】

……人は忘れられたら死ぬんです
【ぽつりと呟いて】

【それでも少し心に余裕が出来てきたのかあれ、と首を傾げて】

……違うかな?例え死んだって覚えてる人がいたらその人の中で生き続けるとかだったかも……ううん?
【何だったっけ?と考えて】


【そうして、いつか本当の新しい家族が出来るかもと言われれば、いやぁそれはどうでしょう?と苦笑し】

……少なくとも人間は……無さそうだなぁ……
【子供が下手に先祖がえりとかしちゃった場合がなー……なんて呟いて】

【とりあえず完全に泣き止んではいるらしく】


327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 03:13:14.04 ID:0haM9UNI0
>>325

「ひッ……」

【その激昂は極めて正しく】
【そして極めて正義で】
【そして、極めて胸を撃つ物だった】

「……違う」

【俯き、そして人格を入れ替えるカイ】
【彼女とは違う、最初の白い髪の女性】
【その語りかけに】

「……違う」
「私は、私も戦いたい!!」
「あんな魔族達に、世界を好き放題させたくない!!戦いたいッ!!」

【今度はしっかりとした覇気で、そしてこう答えた】
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 03:17:59.93 ID:0haM9UNI0
>>326

「そう、なのかもな」
「つがる、やはり君は賢い」

【言葉の例え、名言の類の引用だろうか】
【悩んで見せるつがるに、こう笑いながら言って】

「妖怪か、あるいは魔の者でも良いのかもな」
「近しい存在か、何、何れにしても、つがるならば労せずに見つかるだろう」

【そう言って、再び薄く笑い】
【やがて】

「そう言えば、先ほども出たが、私の部下」
「曹長を見なかったか?」

【携帯端末で曹長、那須翔子の写真を見せて】

「何やら意味の解らないメールが送られてきて、それから帰っていないのだが……」

【と、掻い摘んで説明する】
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 03:31:12.17 ID:ax1odQQB0
>>327

『その叫びこそ、貴方の魂の本当。正しくあるべき姿。
 フェイの恫喝染みた言葉も無駄ではなかったようで何より』

【魂は叫ぶ。正しくあるべき姿を示すべく】
【言葉はそれを裏付ける。正しくあるべき姿を支えるべく】

【■■はこの時初めて柔らかく、小さく微笑む。翔子の姿を喜ばしく思った故に】
【翔子の啖呵が気持ちの良いものであったから】

『なら、抗いなさい。人で無くなったとしても、その魂までは虫けら同然ではないと嘯くならば』

【思惑通りか。翔子の魂はまだ折れてはいない。けれどそれだけ。
 翔子を蝕む蟲に関する問題は解決していない。それは当人も言っていた】

『那須翔子。奮い立ったのは良い事。ですが、依然として貴方が爆弾である事には変わらない。
 尖兵として操られる可能性も消えていない。帰る場所を取り戻していない。』

「『――乗りかかった船だ。手助けをしてやるよ』」

【感化されたのだろうか。カイが震わす声はフェイと■■の二人の声。
 その声は、翔子への差し伸べた手と同義であった】
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 03:37:29.63 ID:RlRiGI7a0

>>328

【賢いと誉められると首を横に振って】

いや、全然です!
さっきのだって地元の和尚さんの受け売りですし!
【あっさりとネタ元をばらす。昔寺子屋で住職が言っていたのだなどと答えて】

多分そっちの方ですね
私の感性が母寄りだと思うんで
【ふふっと笑って】


【そうして】

曹長さん……?えーっと……
【写真を見せてもらい、ああ、例の子だ、と判断する】

意味の分からないメールですか……一体どんな文面だったんです?


331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 03:39:52.70 ID:0haM9UNI0
>>329

「カイさん……」

【自分の手を見て、身体を見て】
【そして改めて、カイの方を見て】

「私……」

【怯えるような、それとも、未知の領域への武者震いか】
【そんな眼差しで、その女性を見つめ、やがて】

「助けてください、一緒に……戦ってくれますか?」

【カイの手を取り、そう言った】
【雨はいつの間にか止み、空には月が顔を覗かせていた】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 03:46:06.82 ID:0haM9UNI0
>>330

「いや、それは頭が良いと言う事だ……」
「学習したことを、覚えて実践する、それは賢いと言う事だ」

【そうではないと、否定する少女に、こう答えて】

「あまり考えたくはないが、ここしばらく彼女は任務と戦闘行動で疲れていた」
「脱走、と言うのは考えたくない話だが」
「それにしては、メールの内容も突飛過ぎていてな、解釈に困っている……」

【そう言ってかぶりを振りつつ、つがるに>>252のメールを見せる】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 03:53:01.84 ID:ax1odQQB0
>>331

【自分らしくあろうとする者にはどうも弱い】
【それに善悪の区別無く、そう思う。生きる意志を見せる者だけの特権】

『…手を、ですね。握られると、…離せない。私はその様な性質ですから。
 那須翔子。戦うというならば、私は、いいや私達"カイ"は共に戦いましょう』

【雨が止んだ。月が二人を照らす。この時始めて、■■は翔子の顔を確りと見た】
【いい顔をしている。けれど、危うい。誰かが支えとなる必要があると思わせた】

『…ふむ。共に戦うものの名前を知らないというのもバツが悪い
 ですからこの場で名乗っておきましょう。私の名は白桜(はくら)。
 そしてさっきまで貴方と話していたのが』

【言葉を紡ぐさなか、またしても人格が変わるのか、髪色が茶色へと染まる】

「フェイ・エトレーヌ。押しも推されもしねえ札付きの犯罪者様で 
 銃を持たせりゃ天下無双のフェイ姉さんだぜ?」

「『フェイと白桜、二人合わせて一人のひとおに、カイだ』」
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 03:57:10.17 ID:RlRiGI7a0

>>332

任務と戦いで疲れていた、ですか……
【相手の説明に皆色々抱えてんなぁ、などと思いながらメールを見る】

【何処か切羽詰まったような文面のメールを見て彼女は少し眉をひそめ】

……魔界に蟲の魔族……ですか……正直訳が分からないって感じなんですが……

アルターリってこの前ニュースに出てましたよね?何だったか、その……凄い事になってた、とかで……
【それでも何とか分かりそうな単語を見つけそれについて触れる】

【ニュースの内容は詳しくは知らないようで少し曖昧な言い方ではあるが】


335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 04:04:30.53 ID:0haM9UNI0
>>333

「一人に、二人の?」

【この部分は、かなり頭を悩ませた】
【一つの身体に二つの人物の人格が存在する、とでも言うのだろうか?】

「えっと、白桜さんに、フェイさんですね!」

【ようやくと、噛み砕いて理解したのか、そう言って】
【話している最中にも、髪色が変わり、話し方も変わっている】

「ひとおに?それは一体?」

【素朴かつ最もな疑問かもしれない】
【人鬼、それが意味する物とは?】
【そして】

「櫻国海軍諜報員、蟲の魔族の那須翔子です」
「よろしくお願いします、暫くは探りを入れて、戦力を集めて戦う事になると思いますが……」

【ここでようやく、普段の笑顔を見せ、二人にこう言った】   
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 04:11:56.60 ID:0haM9UNI0
>>334

「ああ、あまりにも、意味が解らないのだ……」

【切羽詰まっている、そんな状況にも見えるメールだが】
【内容は余りにも、特異な単語が並び過ぎており、意味が解らない、と】

「アルターリは先だって、レヴォルツィオーン社と言う社のブランルと言う技術顧問の魔術師が、魔界とのゲートを繋いだと報告にある」
「その際にこの街は壊滅、何人死んだかも不明な状態だ」

【先だっての事件】
【複数名の能力者が共闘したが、結局街一つは壊滅】
【魔界へのゲートは開かれた】
【このメールが何を意味し、関係するのか】
【全くこの時点の二人には、見当もつかない内容だ】

「一応、他の調査もあるが、私はアルターリを調べようと思っている」
「つがるも、もし曹長を見かけたら教えてほしい……」

【それを告げて、その場を去ろうとする】
【顔には見せなかったが、一刻も早く曹長を探したい焦燥があるのだろうか】
【この時点で、未来がどう転ぶか等、解りはしないのに……】



//お疲れさまでした、何も無くばこのまま〆でよろしいでしょうか? 
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 04:18:45.24 ID:ax1odQQB0
>>335

「ひとおにってのは…簡単に言えば、人ならざるものだよ。人間の形をしたばけもんだ。
 肉体って言う一つの器に二つの人格/魂が同居してんだから、これを真っ当な人間とは呼べねえよ」

【疑問に対する簡単な答え。解りやすくいえば二重人格が近い
 ただ違うのは赤の他人の魂が混ざり合ったという事であろう】

「けっ、おたんこ那須にムシケラに。けけっ、仇名は増える一方だな」
(『フェイ…あなたと言う人は本当に品が無い。何よりデリカシーが無い』)

【フェイと白桜−−詰まる所、カイ−−に向けられた笑顔は少し眩しかった】
【特区、黒幕、蟲の魔族。探し物は増える一方だが、歩く死人の暇つぶしには丁度良い】

「おう。特区に黒幕に魔族と忙しくなるが、まあご期待に沿う程度には働いてやるよ」
「にしても、まさか海軍のヤツと繋がりが出来るとは夢にも思ってなかったぜ」

【徐に差し出すのは、カイの連絡先。アドレスと電話番号の記載された紙】
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 04:26:14.87 ID:RlRiGI7a0

>>336

【アルターリで何があったか。それを聞き彼女はまた顔をしかめる】

レヴォルツィオーン社ってあれですよね?あの製薬会社……何してんの彼処……
【そう呟きながらもあのニュース映像でチラッと出た黒い柱みたいなのがぶわーって奴見間違いじゃなかったのかー、なんて突飛な事を思って】

ああ、でも魔界……魔界かぁ……ゲートが開いて……蟲の魔族っていうのも此方に……来た?
【いまいち想像出来ないなぁ、などとぼやく】

【そうして、曹長を見つけたならば教えて欲しいと言われれば頷き】

あまり無理しちゃ駄目ですからね!
【去り行く背中に呼び掛けて、此方も去って行くのだろう】




/そうですねー
/絡みありがとうございました!



339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 04:29:52.86 ID:0haM9UNI0
>>337

「人ならざる者?」
「うーん、私にはフェイさんも白桜さんも、人間に見えますけど……」

【一つの肉体に二つの魂】
【簡単には理解が出来ぬ物だが、それでも、少女には立派な人間に見えた】

「おたんこ茄子でもムシケラでもないです、酷いです!」

【むっとした顔でそう答えるも】
【やがて差し出されるアドレスと、番号に】

「ありがとうございます!」
「あ、でもあの蟲のリーダーの女、ワームシンガーに私の端末何か細工されたみたいなんですよね」

【なので、と一泊置いて】

「連絡する時は、なるべくこの端末は使わないようにしますね!」

【それでも、連絡先は登録して】

「では、そろそろ私は行きますね……あ、でも帰れないんだった、何処かに宿探さないと……」

【新たなつながり、仲間】
【それは、かけがえのない何かだ】
【あまりにも、尊い何かだ】
【向かう敵は、あまりにも強大過ぎるのだから……】 
【この先の運命が、何を指し示すのだろう……】


//お疲れさまでした、こんな感じで〆でよろしいでしょうか?
 
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/05(土) 04:35:13.90 ID:ax1odQQB0
>>339
//ええこんな感じで〆にしましょう
//夜更けまで絡んでいただきお疲れ様です
//そしてありがとうございました!
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/05(土) 04:38:16.38 ID:0haM9UNI0
>>340

//こちらこそ、絡みありがとうございました!
//乙乙です!
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/05/05(土) 09:30:02.12 ID:Jqgba5Uoo
>>256
ああ、ありがたく活用させてもらおう

……"M"。ああ、無論あるとも。私自身もその内側にいるのだから

【3億という巨額のやり取りも、彼にとってはコーヒーと同じくらいに当たり前に行われること】
【異形も、動揺するほど軟ではなかったが。続く彼の話題を耳にすると、流石に表情が変わる】

【彼の言う通りに3億を脇に置き、再び彼と向かい合って座る。まだ少し残っていたコーヒーを飲み干して】
【そう、歪でまだらの愚連隊。それ故に柔軟であり、しかしそれ故に脆くもある】


ふ、ふ。確かに、中心人物とは言っても鈴音自身は、顔が広かっただけと言えるだろうな
後は、それぞれがバラバラに動いている。共通の敵と、情報網とを持っているに過ぎない

……ああ、行方をくらませたことは聞いた。正直、彼女とはいろいろと奇妙な縁があってね。私としては複雑ではあるが……まあ、今はいい
貴方にとっても私にとっても、黒幕が消えてなくなるまでは彼奴等と戦う者の数が減るのは良くない
何より……そちらの言う通り、円卓への義理は通さなければな


――――結論から言えば、鈴音なしでも動くだけならば問題はない
だが、聞いているかもしれないが現状敵に届き得る数少ない手段……『婦警』が鈴音に行った脅迫に応じる振りをし
『婦警』にカウンターを仕掛けるという目論見が、このままでは瓦解する
私が個人的に因縁のあるUTメンバーの一人を、代わりにその場に引っ張り出すという手段もあるにはあるが……

【異形が、脳裏に因縁深き生き人形の姿を思い浮かべる。未だ、『黒幕』に割れていない数少ないカードの一つ】
【あの人形が、鈴音に代わって『婦警』への引き渡しの場に現れる。敵にとっては不自然であろうか】
【鈴音のあの怯えようなら、顔を見たくなかったなどという言い訳もたつか。ともあれ、苦肉の策だ】


ともあれ、私は鈴音の捜索と『婦警』へのカウンターを同時進行で進めるつもりでいる
幸い、私には身内が多い。人手があれば、取れる手段はそれなりにある

私自身は、鈴音の捜索にあたるつもりだ。クラァケさんが、鈴音を連れて行った者の正体とその居場所を教えてくれたのでね
水の国旧市街を根城とする、イル=ナイトウィッシュ……そいつのところへ行くつもりだ

このタイミングで鈴音に手を出した以上、『黒幕』と繋がりがある可能性も否定は出来ないからな

【ジルベールも出会った病魔、イル。この異形は、未だ彼女について何も知らない】
【しかし、未知の闇をただ恐れて動かなければ、緩慢なる死。狂った肉屋は、旧市街の闇を目指すことにしていた】
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2018/05/05(土) 09:41:07.06 ID:jndx050yO
>>315

【“Vissini”──その名を頭に刻みながら、ガクンと意識が落ちる】
【それでもなお完全に路面に横たわらず、膝をついたままの体勢というのは】
【その意思の強さを表すようでもあり、諦めの悪い性格を表すかのようでもある】


『……、………────。』


【もっとも抵抗もできない状態になれば後は敵の思うがままなのも間違いなくて】
【脇腹に太い針が刺さり、能力を阻害する毒が流し込まれると】
【びくりと体を震わせて肌の黒色、そして額の角が失せていき】
【ただの人間に成り下がりながら蟲に引きずられて行くこととなるだろう】

【もし無力化されている間にその身体を検査されればわかる事、だが】
【この女性はおよそ銃と呼べるものは持っていなかった。手榴弾残り3発、サバイバルナイフ一本】
【そして残燃料32%の火炎放射器。────随分と、身軽なものだった】
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2018/05/05(土) 10:45:41.32 ID:jndx050yO
>>342

【『結論から言えば問題ない』──その言葉を聞けば、へえ、と軽く相槌を打つ】
【脅迫に応えるフリをしたカウンター。悪い策ではないのだろう。ただ、ジルベールは不満げだった】
【それを露骨に出すわけではないし、はっきりと表情を曇らせたわけでもない】
【代案の提示にも、どちらかといえば好意的な雰囲気を漂わせていた、けれど】


『婦警』とは俺も話したことがある。……が、その時の印象じゃ
大人しくあいつ自身が取引場所に出てくるとも思えないが、その時はどうする?

もし代理人だったら。もし"声"だけだったら。そもそも出てこなかったら?
……別に作戦がダメだと言ってる訳じゃない、そういう可能性も考えて欲しいだけだ
どうあってもこっちは受け身だからな。対策が練れる分、主導性は向こうにある。
それを打開するには頭を動かすしかない……それに、敵は『婦警』だけじゃない。

六罪王ロジェクト……アイツを引きずり出して殺すまでが今回の戦いだ。
広い視野を持ってやってくれ。俺からすれば、"M"で頼りになるのはミラとアンタだけだ
ミラは機転が利くし、良い奴だが……こういう頭の使い方は、アンタの方が何枚も上手だろうしな


【そして鈴音の捜索に話が及び、そこで名前の出るとある存在──イル=ナイトウィッシュ】
【その存在には覚えがある。なにせ、カニバディールと会う前はまさに彼女と会っていたのだから】


……あぁ、鈴音は間違いなく奴の場所にいる。
俺も、俺の雇ってる奴も、奴が『鈴ちゃん』と呼ぶ誰かを愛玩してるのを本人の口から聞いてる

あとな、その雇ってる奴……クズノハっていうんだが。
そいつがイルに要求されて、いくつか拷問道具を渡してる。
なかなか仕事のできるやつで……何もなければ、仕込まれたGPSで細部の位置まで分かるはずだ
……まあ、バレてたとしても嬉々としてその道具を使いそうな奴だがな、アイツは

カニバディール、アンタも気を付けた方がいい。
イルってのは生まれついて俺ら人間ってのを下等生物だと認識してる

俺たちがクモや、ゴキブリを見てその数と醜悪さに顔をしかめるようなもんだ
しかも奴は幼稚だ。良心の呵責がない子供が、人を軽く殺せる力を持って自由にしてる
その脅威、言うまでもないだろ?……いっそ、人間じゃないフリでもした方が仲良くなれるかもな。

【それから、いくつかの忠告をする。その中で特に言葉を強めたのは、その存在そのものについて】
【『存在自体がヒトに仇なすものだ。俺の能力によく似ててな。近付かないのが一番だが』】
【『目を見ない、肌に触れない、奴が作り出すものを受け取らない』】
【『最低限、健康な状態で戻りたければそれくらいはした方がいいだろうな』──と、そう加えた】
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 12:43:33.18 ID:SSG3+k0Go
>>343

【彼女の身体を蟲に運ばせつつ、彼女の装備をチェックしていく】
【珍しく銃器類は所持しておらず、3発の手榴弾とサバイバルナイフ1本】
【背負った火炎放射器には残燃料32%と表記されていた】


【暫くして、貴女の腕に冷たいコンクリートの感覚が伝わるだろう】
【それと同時に蟲は巣穴の方へと飛び去っていき、其処には貴女と女だけが残された】
【そこで目線を前に向けたのなら──黄土色の粘液を纏った“巣”が、天井から伸ばされていた】


『おっ、桐子じゃーん…・・ってお客さん?』


【紅い長髪を揺らしながら、巣穴からもうひとりの女が顔を覗かせる】
【貴女の方をみれば、お客さんと呼んで──粘液を纏った羽根をはためかせて近くへと飛んでいく】
【そして興味深そうに、貴女をじっくりと、様々なところを眺めているだろう】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 14:03:52.90 ID:OOSTbP9v0
>>260

【いくら、特区とはいえ普通の市民で新語法を使いこなすのは余程心酔している変わり者ぐらいのもので】
【ほとんどの人がなんとなく断片的にわかる、位なものだ。そうそう直ぐには浸透しないものだが】
【メディアや学校など色々なところで導入は進められている。】
【"新語法”が"市民”とそうでないものを分ける合言葉に今後なっていくのかもしれない】

…警察?ですか。それなら尚の事、出向くことが良いと私は思います。
私は公正かつ健全な状態を良いと考えます。報告を怠ることは良いということはないでしょう。

【彼女は目ざとく、"警察側”という言葉を拾い、回りくどい言葉で話す。】
【さすがは特区のお抱え企業、オーウェルの従業員というわけか、思想も言葉も"満たされている”】
【もっとも、この街の到るところにある盗聴器の存在を知っているならば、不用意に反社会的な事を話す人はいないだろう】
【どのワードが反社会的、非秩序的、道徳不履行となるのかは真理省にしかわからないことだ】

しかしながら、人間である以上、ミスというものは起こりうるものです。例えば探して回ったIDがポケットに入っていたり。

【そういうと彼女は一歩、彼のもとに寄った。肩と肩がぶつかるぐらい近い距離でまるで何かから隠すように立ち】
【彼のズボンのポケットに彼女は触れた。…いや、何かを滑り込ませたような感触。四角い固いものだ】
【それを取り出したなら、『オーウェル社、GUEST 臨時許可書 』と書かれた物が入っているだろう】

政府は善良な市民に対して寛大です。それは義務を果たし、秩序を保ったもののみにのみ、与えられるものです。
そうでない市民には自由を与えます。例えば、12時間の教育プログラムなどで。

…ではミスター。『当初の予定に戻り』、視察を続けさせていただきます。夜間における当社システムのご紹介を続けさせて
頂いても宜しいでしょうか?それとも、どこかで"ご商談”と致しましょうか。生憎、私も"担当外”の部分が多く、全てを
ご説明することは出来ませんので。勿論、シークレットは満たされております。

【特区に寛大さは無いと彼女は逆説的に言う。気の利いたセリフで誤魔化せる監視カメラはこの街には存在していない】
【ただ、この目の前の女は不自然だ。これほどまでに特区らしいのにもかかわらず、その掻い潜った表現を使う】


/やっと戻りました。お時間ある時に再開させていただければ幸いです。
/本当に申し訳ないです。ありがとうございます!
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/05(土) 14:23:10.03 ID:/1/cSxFYO
>>346

【やや不満を抱えた様子で彼は貴方の言葉を耳に浸す、幾つかの音色は彼にとって不愉快な響きであって】
【どうしたものかと思案する最中、相手側からの接触があるだろう、指先でポケットを辿った】
【四角く固い感触、成程──取り出さずとも大体の検討はつく、目の前の女性に軽く微笑みかけて】

【思考を口には出さない。テレスクリーンを掻い潜って日記を書く様に虎視眈々と】
【どうも目の前の女性は体制側に与しながらも、融通がきくという稀有な人物な様だ】
【或いはそれは誘い水が如く、ちろちろと此方を誘っているのかもしれないが】


(──とは言え、今の段階では頼るしか無さそうだね )


ああ本当だ。僕とした事が、スーツのポケットに入れたまま忘れていたらしい、今後気をつけなければ
……そうそう、そうだった以前中断していた視察を続けさせてくれるんだったね
何から何まですまないね、えっとミセス──


【口裏を合わせる。リードする相手のステップに合わせて、踏むリズムはやや複雑】
【それでも手慣れたジャズ奏者の如く、流れに乗ったなら後は付いていくだけで良い】
【舗装された道よりもよっぽど歩きやすい。慣れているのかな、なんて感想を思わせるぐらいに】


お願いしようかな、夜間システムはまだ僕も知らない部分が多いから
オーウェル社の技術は幅広いからね、意外な所にもその手が及んでいる
その内社会全部がオーウェルの支配下に置かれるんじゃないかな──はは、支配というのも変な表現だけどね

思うんだよ、我らの偉大な政府が、完璧たるオーウェル社を信頼し繋がりを強める
そうすればより一層社会は包括的に調和を結ぶ、当然の帰結だよ
それはつまり幸福な支配である、と思ったりもするのだけど


【低空飛行。彼の言葉は真理省が触れるギリギリの線を着くような表現であって】
【思想犯と取られても仕方の無い響きであったが、優男の表情に乱れは無い】
【どうだろうか、なんて言って女性に返答を求める。──相手の懐をまさぐる様に】


/今日は夕方ぐらいまで時間ありますー
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2018/05/05(土) 14:46:48.00 ID:jndx050yO
>>345

っ……く、ぁ……此処、は……っ。

【静かに目を覚ます。その目覚めは決して心地の良いものではない】
【冷たいコンクリートの感触。鼻を突く腐臭、視界を覆う巨大な『巣』】

【いまだ胡乱な瞳は周囲の環境を睨むように確かめて】
【それから、息をしようとして痛みに見開かれる。手が自由であるのなら、脇腹に手を伸ばすだろう】
【巨大な針を刺されたのだ。ナイフを突き立てられたような鋭い痛みがいまだに残り】

ぐ… …っ、誰だ、貴様……ッ…!

【研究対象のようにじろじろと見られて、いい心地のする人間はいないだろう】
【特に、それが敵地であれば尚更だ。全身にじめじめとした不快感を覚えながら睨みつける】

【──女の身体は、軍人というだけあって非常によく鍛え上げられていて、健康的だ】
【欠損もない。魔力との親和性もきわめて高い。女として、という評価をすれば】
【その肉付きも体格相当に、優れている。最も今は、小さな蟲たちに噛み付かれた傷だらけだったが】
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 14:50:58.32 ID:OOSTbP9v0
>>347

【女の方は言葉と同じように表情も"体制”的である。一ミリも変えずに相手に好印象を与えようなどと思っていないかのようだ】
【それは幸福を享受する市民とは違う、幸福を教導する管理者のそれだ。実質的な階級社会がこの場所には存在している】
【完全なる統制を、多くの市民は自ら喜んで受け入れた。特区という首輪こそ自らのアイデンティティだと言わんばかりに】


都市環境システム管理部門のグリーンヒルです。親しいものからはゾーイと呼ばれています。
当社システムを、他都市で御検討中とのことですが、ミスター。

【彼女のリズムは相当強引だ。それぐらいしなければいけないほどここの隠された監視システムは抜け目ないということだろうか】
【だが、地雷が何処に埋まっているか知っているような彼女を頼るのは得策だろう】
【彼女の話す言葉の中からほんとうの意味を探る暗号解読は少し難易度が高いと思われるが】

この街の多くのシステムは当社製品を導入しています。市民情報の保護から治安維持まで。煩雑なシステムは当社によって一本化されています。
IDさえあれば公共交通機関、買い物の支払い、健康状態の把握、銀行――全てを一元管理することで効率的な社会の構築の手助けを行っています。
そして市民の行動、発言等のビックデータを収集し、アルゴリズムに置き換えて数値化することで、如何に市民が"幸福”であるかを数字で表すことが可能になりました。

【つまりは、ここの市民はIDで監視され、行動も常に見られ、挙げ句にそれを評価されて思想にどれだけ染まっているか見られているらしい】

それらの複雑なシステムを処理できるのは当社が保有している、"管理型AI”によって実現されています。多くの市民の行動から人格をシミュレートすることで
制度の高い社会予測が可能となっています。――それらを政府に提供することでよりよい社会づくりのお手伝いをさせていただいています。

【そして、機密的な部分は政府が握っているからわからないという。これぐらいは、社員なら誰でも知っている。なんなら広報が話すレベルの話だ】
【それでも一般の情報筋からは手に入りにくい話だろう】

幸福な支配というのは"新語法”には適しません。新語法では受け身で使われる『支配』の意味は『幸福』であるのです。

【女はそう言い切った。はっきりと強いメッセージを感じる。あえて、それを解説するのは――恐怖と狂気を伝えるためか】
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/05(土) 15:04:22.75 ID:/1/cSxFYO
>>349

【ゾーイ、と口の中で反芻してみる。成程どうして近未来的な響きだなんて思ってしまう】
【ああ、そうだね、この都市をモデルにするつもりさ──なんて軽く受け流す、深く追求する点では無い】
【深く追求したなら、彼に一都市程度をどうこうする力なんて無い事が暴露されるから】


ゆりかごから墓場まで、いやはや、オーウェル社の技術力には恐れ入ったよ
株価もうなぎのぼり業績も右肩上がりで、対抗できるのなんてレヴォルツィオーンか<harmony/group>ぐらいか
両社共に政府との繋がりも強いしね。オーウェルにあらずば人にあらずという時代も近いのかも

そいつは不勉強だった。言ってしまえばさっきの表現は頭痛が痛いみたいなもんだったね
しかし新語法というのも大分ロジカルな方法なんだね、ダブルミーニング、トリプルミーニングも朝飯前
新語法というやつが浸透したなら、過去の言語なんて大部分が破壊されるんじゃないかな


【歩きながら言葉を返す、気になった施設があればあれは? なんて尋ねてみるだろう】
【言葉の節々に危うい音節を残す、限りなく黒に近いグレー】
【それでも彼は臆することなく言葉を重ねるだろう、ゾーイの返答を期待しながら】


ところで、この地域で生活していたなら僕の幸福も測れるのかな?
幸福なんて数値化された事ないから、少し気になるんだ
僕は僕自身のことをこの上なく幸福と思っているけど、君達からしてみれば、そうじゃないのかもしれないし
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 15:17:00.86 ID:SSG3+k0Go
>>348

『ん、ここはアルターリ第一安息地だけど』
『よく此処まで来たね、並大抵の人間だととっくに喰われてる筈なんだけど』


【脇腹に刺し傷があるのを見れば、どの個体にやられたのか大体分かる】
【先程巣穴に飛来してきたヴァリアス・ミガだろう。能力を阻害する毒でも注入したのだろうか】
【それにしても、何重にも構築されている筈の警戒態勢を破って来るとは流石だ】


『私はワームシンガーだよ!翔子から聞いてなぁい?』


【先日、此処に来た少女が体内に“蟲”を宿していたのだが】
【どうやら嫌われてしまったらしく、此処の存在をばら撒いた筈なのだけど】
【果たしてそれを聞かずに此処まで来たのだろうか?】


『それにしても良い体つきだねぇ、蟲なら“特級蟲種”くらいだよ』


【貴女の身体は非常に鍛えられており肉付きもよく、魔力のいい匂いがする】
【おそらくワームシンガー達にとっては最も馴染みのある種類の匂いであって──】
【もし彼女が蟲を身体に宿れば、とんでもない種類が生まれても可笑しくないと】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 15:31:54.05 ID:OOSTbP9v0
>>350

恐れ入ります、他社は業種が異なりますので相互に協力して新時代を目指していければと思います。
現在は特区という一部都市のみ、試験的にこの様なシステムを導入していますが、時代の変化によって
安全はより求められています。平等で幸福な社会は国家レベルでの運用が望まれます。

【政府が倫理を排除して強行を行える力を手に入れたらこれほどのシステムが出来上がる。美しい箱庭】
【俯瞰する者にとっての理想郷。それが特区だ、語法やプロパガンダ、教育によって市民は人間から駒へと成り果てる】
【単なる市民という名のない集まりとしてだけ存在する。幸福な家畜と同じだ】
【それゆえに、単一化出来ないものは除外される。工場において不揃いなものは不良品なのだ】

世の中は進歩しています、技術だけでなく、思想や哲学も。言葉も日々進歩していますがそれを早めていく必要があります
市民を守るために、言葉から悪意あるものは除外する必要があると、政府は考えています。

【悪意あるもの。それは政府にとって都合の悪いものと言う意味だ。言葉から思想すら飼いならされる――テクノロジーを利用して】

幸福の数値は幸福省で知ることが出来ると思われます。良ければ表彰され、悪ければ無料で教育を受けることが出来ます。
残念ながら当社ではそのようなサービスは行っておりません。

【全ては幸福省に繋がる。だがそれは政府の管轄だ。恐怖の象徴。何が行われているのかはトップシークレットだ】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/05(土) 15:47:53.15 ID:/1/cSxFYO
>>352

【言わば政府は脳でオーウェル社は手足、高度に発展した技術が作り上げる理想郷】
【その行き着く先が前時代的な管理社会とは皮肉な物だ、と彼は思う】
【尤も、この状況をどうこうしようなどとはハナから思ってはいないが】


思考は言葉によって支配される、と。『反逆的』なんて言葉が無くなれば、それに基づく思考も無くなる
合理的だとは思うよ、言語に目を付けたのは良いセンスだ──新語法はオーウェル社の発案かな?
だとすればオーウェル社の開発部門の人間は、実に頭が切れる、爪の垢を煎じて飲ませて欲しいものだ

でもさ、その方針が上手くいくのは箱庭のようなスタンドアロンな場所だけじゃないかな
古来より封鎖的なコミュニティの中では管理社会は幾つも成功を収めていた、御存知の通り
しかし、そのどれもが滅びた──外敵の侵入によって


【人差し指を一本立てる、ゾーイの前にひょこっと顔を出して歩みを止めるのだろう】
【猫のように目を細める、楽しげな催し事でもするかの如く】
【じゃあさ、と言葉を続ける。強引に自分のソロへと持っていくように】


このシステムは国家単位での運用を考えているのかな、だとすれば『水の国』の立地は不可解だ
『櫻の国』であればまた別だったんだろうけどね、向こうも向こうである意味封鎖的ではあるし
だとすればもう少しマクロな視点が必要なわけだ、国家単位を越えて

と、なれば『特区』を運用している側は世界単位でこのシステムを適用するのかな
その時政府とオーウェル社は、紛れもなく世界の支配者になる、と
──なんて妄想をしてみたりするんだけどね、どうだろう


【思考実験みたいなもんさ、と嘯く──彼なりのロジックに沿った話ぶり】
【然しながら、『特区』の陣地内でこの様な話をしている事自体が自殺志願者の如く】
【返事を待つ、ゾーイはどのような反応を見せるのか】
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 16:47:08.90 ID:OOSTbP9v0
>>353

【男の言葉はこの街ではギリギリのラインだ。だが、建前上自由と尊厳は認められている】
【オーウェル社のGUEST、部外者であるならば特に良い印象を与えたいという政府の意向もあるだろう】
【だがきっと、耳をそばだてている。そして見られている】

そういったことに関してはお答えできません。ただ、教育という言葉は古くから存在していると思います。

特区のような社会様態は過去に存在していた社会主義のような政治的イデオロギーと似ていると
いうことは否定しません。中世以前の封建的体制、近代の社会主義が様々な要因によってどれも崩壊して行ったことは歴史的事実です。

しかしながらそれらから体制を非効率と結論付けるべきではないと思われます。民主的体制であっても崩壊した国家や都市も
存在しています。単純にこの認識の問題は、歴史上、力の不均等により権威的国家が多く存在していたことと、個人的な政治理念によるバイアス
が理由付けられると思います。かつ、武力的な点に関して、述べるなら。

特区の方針に批判的なのは極一部の"力を持つ少数派”であると考えます。総人口比からみて、異能者はごく少数のパーセンテージです。
力を持たない多くの一般市民は国内外問わず、安全に関して多くの問題や不安を抱えています。

しかし、私達は歴史上、存在しなかった力を持つ多数派なのです。技術と思想という力を持った。

【女は述べる。正しくもあり、間違ってもいる思想を。能力に魔法に、あの強大な力に対抗できると…彼女はいっている】
【それは強力な兵器か、謎の技術か…そもそも多数派であるという強みか】

地政学的見地からそのように考えるのは同意致します。ただ、『水の国』という国家の世界的な位置づけとして、経済の要所というのがある思われます。
かつてカルヴァン派が如何にプロテスタンティズムを布教したかを論じたウェーバーの著書から論じるならば経済の要所はそういった思想を
伝播させる力を持っているものです。

【用意されているかのように女は話す。オーウェル社の代弁をするかのごとく、男の質問に対して理論を積み上げていく】
【ただまあ、水の国であった理由は偶々、水の国の人間が特区を考えたから…そんなところかもしれないが、それらしいことを彼女は述べる】

しかし、特区は市民の思想と、社会システムが合致して生まれた謂わば、大きな個人を目指しているのです。
政府が支配するのではありません。当社が管理することはありません。あくまで、人類の調和を求めるのです。

【マルクス主義ではない古い共産主義者のいうユートピアと同じ様な事を口にする。だが、それはまやかしだ実際にあるのは】
【少数が多数を抑え込むディストピア。その先の未来はかつてのファシズムと似たようなものだろう。統治者がかわっただけで】
【となれば頭によぎるのは、暴走した国家が何をするか。どの国も生存圏を求めて、剣を抜く】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/05(土) 17:09:48.40 ID:/1/cSxFYO
>>354

【理に適っていると彼は思う、積み上げられたロジックは一部の隙もなく重なった土嚢の如く】
【付け入る隙があるとすれば、それは理想論であるとがなりたてる事か】
【個人の話を出すなんて彼の主義では無かった。それはあまりにも幼稚な手段であったから】

【彼は個々に議論へ来た訳では無い、ゾーイが語った思想それそのものはオーウェル社の代弁であろう】
【更に踏み込んで言うならば、その先にある政府と似た考え方なのだろうか】
【ジャーナリストであったならばと仮定する。嬉々として会話を録音し二束三文で売り払うのだろう、と】


御高説ありがとう、僕のような部外者にも啓蒙して下さるなんて良くできたシステムだ
人類の調和、良い響きだね、僕も好きさその言葉──混沌と対義する言葉は何だって好きだけども
マックス・ウェーバーを出されたら此方の根負けさ。経済学の教科書を否定する程僕は優れた論は持ってないしね

とまあ今まで聞いたように『特区』を管理してくださる、オーウェル社も政府も構造的欠陥のないシステムを見せる訳だ
とならば形而上学的に論を詰めるしか他ならない、いや、まあ論戦がしたい訳じゃないのは分かってね
僕は君みたいな綺麗なお嬢さんと口喧嘩する為に、ここに来たんじゃないんだし


【微笑みを絶やさずそう前口上を述べて、少なくともこの時点で彼は『特区』に否定的ではない】
【ただシニカルなだけなのだろう、冷静沈着に言葉を返す貴方に対してやや強く踏み込むだけの】
【紡ぐ言葉の温度が変わる、少しだけ冷えた心持ちを見せて】


さっき君自身が言った、『特区』に批判的な極一部の少数派について
つまりは異能者、表記揺れをするなら能力者かな──唯一にして、最大の懸念材料とするなら
それは恐らく体制側たるオーウェル社も政府も同じ考えなんじゃないかな

先の水国でのテロやその前の市街地での事件、一個人が軍隊やら国会やらをどうにか出来るんだ
いくら完璧な調和を成し遂げたとしても、規格外の存在が現れたなら水泡に帰す、と考えてもいいよね
是非ともオーウェル社の考えや、或いは──手段を紹介して頂きたいものだ


【ね、と付け加えるように微笑みを向ける、悪戯っ子の如く屈託の無い表情で】
【システムを根底から覆しかねない、能力者──それに対する設備やシステムについて尋ねる】
【際どいところだろうか、と内心思う、機密の中でもかなり深い部分に位置するだろう】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2018/05/05(土) 17:10:04.06 ID:jndx050yO
>>351

翔子……那須曹長か……ッ!
あぁ聞いたとも、世界征服がどうのと嘯く間抜けが居ると、確かにな!

【“ワームシンガー”──それが何を意味する単語なのかは、メールだけでは不明瞭だった】
【だが今此処に至れば理解できる。まったくもって、この国は呪われているとしか思えない】
【相次ぐテロリズム、都市そのものの消滅、挙げ句の果てには地底に根付く不快な害虫】

【あからさますぎるほどの敵意が赤い瞳には燃えていたけれど同時に、身体に力が入らないのも事実】
【要は威勢だけはいいのだった。黒髪は埃に汚れ、軍服は蟲に食い破られても、なお──】


ハッ──…!蟲ケラ如きと、並べて語られたくは無いものだな……ッ!!


【唾と血液が混じったものを地べたに吐き捨てる。──やはり、威勢は良い】
【だが瞳は据わっていた。例えば此処で死ぬとしても、後悔はない】
【そういう顔を出来る同年齢の女性はそうはいないだろう
言い換えれば、逸材でもある】

【ただ、別な見方をすれば──明らかに不利な状況だというのに、“自信”があるようにも見えて】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/05(土) 17:18:44.85 ID:SSG3+k0Go
>>356

『間抜け呼ばわりすることもないじゃない……、ねぇ?桐子』


【間抜けという言葉に反応したのか、ワームシンガーはその頬を少し膨らませて】
【あからさまな敵意を向けられてなお、焦る様子も見せずに】
【隣りにいる女に命令すれば、女は貴女の四肢を氷魔術で氷結させようとするだろう】


『でも貴女ってかなりの逸材だよ?この歳でこれだけ魔力があるのも珍しいし』
『──どうする、桐子?この子に“蟲”植え付けちゃう?』


【くすり、と口元を歪ませて彼女の顔を見る】
【彼女は危機的状況に置かれている筈なのに、どうにも自信があるようにも見える】
【なぜそれほど自信があるのだろうか……?それを探るべく、揺さぶるためにその様に発言すると】


「良いんじゃないか?私達としても戦力はほしいところだろう」
『じゃあ、そうしよっか──準備するから待っててね?』


【彼女はワームシンガーが使う技については聞かされてないだろう──】
【突如女が唄い出す。その歌声は清らかで、聞く者の魂を浄化するかのよう】
【しかし、蟲を持たざる者がその唄声を聞いたのなら────精神を直接攻撃されているような、強烈な不快感と痛みを感じるだろう】

【暫くして、先程貴女に針を突き立てた個体が、脚になにか注射器のようなものを掴んで戻ってくる】
【中の液体は粘液と同じ黄土色に染められており──中に“蟲”の卵が入っているのは間違いなかった】
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 17:39:15.10 ID:OOSTbP9v0
>>355

【何処かで聞いたようなオーウェルの思想。幾ら政治家ぶっても奴らは思想家としては二流というわけだ】
【理想論を積み重ねたイビツな社会システムを可能としてしまうのが彼らのテクノロジーということなのだろう】
【そしてなぜ、そこまで強気になれるのか、それの裏側を後に彼女は語るだろう】

あくまで、そういった背景を基に政府や当社は幸福を追求しているということです。
私はそれらについてそれ以上のことはわかりかねます。申し訳ございません。

――我々独自の技術ではありませんが。能力や魔術は、無効化することが可能です。
能力についてその原理を解き明かすことは我々には出来ません。ですが、能力を使う人間については
オーウェル社含め、我々は多くのことを知っています。特に、脳や記憶、意識に関しては
例え、能力を持っていたとしても、能力の使えない能力者は――持たざる我々と同じではないでしょうか。

そして、当社はもっと根本的解決方法を模索しています。しかし、それは私はわかりかねます

【先程までのセリフの大回しに比べ、彼女は簡潔に述べた。それだけ、機密事項で知らない部分だからか】
【それとも口にだすのははばかるような部分だということか】
【単に口を滑らせているわけではなさそうだ。これほど冷静に述べる人物が、不用意に機密をしゃべるとは思えないだろう】

すべては、ソラリスが叶えてくれるでしょう。
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/05(土) 18:03:04.04 ID:/1/cSxFYO
>>358

【奇妙な疎外感があった。これ以上踏み込むのは危険といった所か】
【予想以上に『特区』の整備は進んでいた、これまでのどの社会よりも早く】
【特に言語の出現は興味深かった。それ程までにコミュニティの形成が確立されていた、とは】


それこそが政府やオーウェル社にとっての、伝家の宝刀なんだろうね
今まで何故この世界で管理社会が成し遂げられなかったのか、それはつまり異能者の存在があったからで
力を持つ一個人を度外視できるのであれば、このような方向に進むのは明白だった訳だ

テクノロジーがこれ程までに進んだとなると、僕も驚きを隠せないよ
全く良い世の中になったもんだ、これで僕も安心して眠れる様になる
ねぇ、もう一つ聞いていいかな、ええっと──


【彼の言葉が届くより早く、その名前が出された。表情の水面に興味が揺れた】
【そう、それだ、と彼は思った。その名を彼は知っていた。】
【以前のレセプションで聞いた内容、瞑目すれば直ぐにその中身を辿れた。記憶力には自信がある】


そう、そのソラリスについて──。うん、一番聞きたかったんだよね
無いんだろう? まだ。その大事な部分をなんたらって博士が持って逃げちゃったから
そのお陰で虎の子の<NTD>も不完全、と──、長期的な洗脳にも無理強いを要求される始末

見つかったのかな? ソラリスが、或いは未だ目下のところ捜索中だとか
後者だとすれば見事な技術力だよね、肝心要の部分がなくともここまで出来るんだもの
うちの会社にも見習ってもらいたいもんだ、神話で遊ぶのも大概にして欲しいよね


【明らかに別の調であった。知っていはずのない知識が懐から零れて落ちる】
【微笑みかける彼は異邦人の如く、迷い込んできた道を間違えた悪魔のように】
【僕の出番はまだだったかな? なんて嘯いて見せたりする】
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 18:30:59.85 ID:OOSTbP9v0
>>359

【女は男の態度が変わったことを敏感に感じ取った】
【そのようだと言うこともその女の視線から察することも出来るだろう】
【完全なる特区の中でで、遠くでサイレンが聞こえる中で、嫌に静まり返った夜で】

全て、ご存知だったようですね。なのに、私に説明させたというように感じ取れます。

よろしければ、お立場を明白に為さることが懸命と思われます。
その話は機密―――公安や極一部しか知りえない話。
場合によってはテクノドックスを呼ぶことも可能です。

【オーウェルの子会社、総合警備企業テクノドックスは、オーウェル社の私兵だ】
【警察よろしく国家の安全をと謳っているが、その実は汚れ仕事を請け負っている】
【警察に捕まって、幸福省に連れて行かれる方がマシかも知れない】

【女はそう言ったが、不自然に知りすぎているのはこの女なも同じだ。何処までが嘘で真実かそのボーダーは曖昧だ】

これ以上は、私の口からは申し上げることは出来ません
ただ世界はこのままだと、幸福が訪れることになるでしょう。ソラリスの手によって

【一つ目の分岐点が、訪れようとしていた。】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 18:47:05.38 ID:ega7cA9+0
【水の国ーー公園】

【陽が落ちるのが遅く感じるこの頃ーー山と山の間に沈む太陽が世界を橙に染める】
【少し砂っぽい風が生暖かい。夏を運んでくるのもそう遠くはないだろう】
【ーー砂がパチパチと表紙に当たった。悪戯に風は頁をめくるが細い指はそれを止めようとはしなかった】
【夜の月に照らされた海色の髪は、薔薇の飾りが付いたヴェールで覆われ】
【ゴシック調の黒いワンピース……引き摺るくらいに長いのに不思議と汚れていない】
【手の甲につけた黒い宝石のアクセサリーが夕日に煌めいた。少しだけ眩しそうに若葉の瞳が細められる】
【ーーベンチに少女が座っていた。このまま夜になれば闇に溶け込んで消えてしまいそうな少女だった】
【若葉の瞳は本に向けられているのに読んでいる気配はなくて】
【どちらかといえば何か考え事をしているような、心ここに在らずのような……ぼーっとしているのは間違い無くて】
【ーー強く風が吹いた。軽い本は連れ去られるようにその膝の上から姿を消し、やがて少し離れた地面に落ちた】

ーーあぁ

【本が消えたことに気づいたのは数秒後だった】
【ゆっくりと、首だけを動かして落ちた本をやる気なく探して】
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/05(土) 18:49:28.31 ID:/1/cSxFYO
>>360

【──彼の正体を辿るのは容易いものであった。『特区』内でこの様な話を出来る人間などそう多くは無い】
【警察側との言葉から警察機構に属する人間なのは間違いない。だとすれば次の疑問はその地位】
【生半可な立場であれば揉み消される、それだけの秘匿価値が『特区』にはあった】


──水の国警察公安部特別調停官、嵯峨野 鳴海。
<NTD>のレセプションの時会ってなかったっけ、僕もイマイチ覚えてないんだけど
隠してたのはごめんね、あんまりそういう接待とかが好きじゃなくて
調停官って仕事柄、どっちにも肩入れ出来ないんだよね。だから出来るだけ中立に話を聞きたくてさ。

まぁ君にはそんな配慮不要だったかな、希望通り過不足なくオーウェル社について説明してもらえたよ。
この理路整然とした所を<harmony/group>にも見習ってもらいたいよ、フランツは仰々しいのが好きだから
とまあ種明かしはここまで、少し意地悪な問題だったけど


【『調停官』──公安内部に詳しければ、彼の立ち位置が公安でも特別強い立場にある事が分かるだろう】
【加えて、オーウェル社の中でも高い立場にゾーイがあるとすれば、彼が<harmony/plan>という計画の立案者であると知れる筈だ】
【その内容は犯罪性の因子を遺伝子から取り除き、社会に調和を齎す、というものであったが】


僕が尋ねたいのは後にも先にも変わりないよ、ソラリスの行方について知りたい
僕の計画──<harmony/plan>の一部において、<NTD>の技術は必要不可欠なんだ
その完成にソラリスが必要というのであれば、幾らでも手を貸すつもりだよ

今回の訪問もそれが原因、ドローンか何かに捕まったら手っ取り早く管理者に会えるかななんて思ったけど
予想外にうってつけのお嬢さんが釣れたのは、日頃の行いが良かったから、かな?
幸福を与えたいのは僕も同じさ、調和の取れた幸福に、限るけどね


【立場を明かしてもなお、その部分に食い下がる、余程興味があるのか】
【或いはこのゾーイという相手にある程度の信頼を置いている、即ち相応に立場が高い相手だと】
【それを踏まえたなら、ここで退くのは得策では無かった】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 19:25:50.26 ID:OOSTbP9v0
>>362

【だから堂々と夜を歩き、政治を口にすることが出来たのかと彼女は納得する】
【公安部の上層なら、好き勝手動ける側だ。何があってもなかったことにも出来る。あったことにも】
【ゾーイからすれば、めんどくさいことになったが、それはチャンスだった】

私は開発側ですから。営業や経営のことは存じ上げません。仕様書等で関係のある部分は理解しています。
私のところに回ってくる資料の多くはそういった他社、公安に関係する部分は"黒塗り”ですから。

【ゾーイはオーウェル社の従業員なんてものではなかった。NTDの生みの親、既に故人となったフォルケン博士が残したアンドロイド。それがゾーイだ】
【だからNTDやオーウェルのシステムは誰よりも深く知っている。アクセス権限も上位で、IDの偽造などお手の物だ】
【しかし、最新の政治的な部分は、オーウェルの本当の思惑などは知り得なかった。だから、技術畑の高い地位にある人物としているのが得策と判断した】
【人を演じるアンドロイドにとってそれぐらいのことは簡単だった。淡々と瞳の奥にあるカメラが、データを記録していた】

<harmony/group>こそ新時代を見越しているようです。貴方の計画で、貴方が懸念していた事項は解決されるのですか?
私どもが懸念しているのは当社や、harmony社、そして公安部が似ているようで違う思想を持っていることです。
となればその時点で破綻してしまうとは思いませんか?開発部として定義はゆらぎのないものを求めます。

…ご存知の通りNTDはフォルケン博士の技術です。しかしながらフォルケン博士は死亡してしまいました。彼が何処にも残さなかったNTDの中核
AIによる統制された人類の共意識、意識の統合と調和。その技術と理論を彼は"ソラリス”と。そして、現在はその意味が変わっています。
"初瀬麻季音"。この世界で唯一、"ソラリス”をつくることの出来る人物を指す言葉に変わったのです。尊敬の念を込めて"ソラリス”と。

【ゾーイはそれとなく嵯峨野を探った。こちらこそうってつけのが連れた。harmonyと公安両方を探ることが出来るのだから】

公安部に初瀬麻季音の捜索を依頼しました。しかしながら現在はUNITED TRIGGERを中心とした"能力者テログループ”に保護されているという
情報以後、なんの結果も得られていません。公安内部での対立の対応に追われていると聞いていますが。
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/05(土) 19:45:31.19 ID:/1/cSxFYO
>>363

【その点で言えば嵯峨野の思惑は外れていた、彼自身はソラリスの行方を追ってこの『特区』へと足を運んだのだから】
【しかし、彼自身はそうだと認識していないが、彼の話している相手は相応にうってつけの相手だった】
【彼の欲する<NTD>、その中核に関わる人物の忘れ形見のような存在であったから】


だとすれば初めましてだ、うん。──そっちの方が都合が良いよ
何せフォーマルな場でのキャラを使い続けるのはしんどいからね、そうじゃなかったら説明もめんどくさいし
君みたいな綺麗なお嬢さんに案内してもらう、今の所はそれでいいし、それがいい

そうだね、僕のとこも君のとこも『彼』のとこも、根っこの部分では全て違う
けれども最大公約数的に調和を取ることは可能だろう、餅は餅屋とまでは言わないけど
技術は君のとこ、システムは彼のとこ、人間は僕のとこ

丁度全員が全員、足りないものを補える。──『絶対的な関係』は素敵だろう?


【ある種の三竦みの様であった、オーウェル、harmony、そして公安と、それぞれがそれぞれを補う】
【だからこそ各々が思惑を持っていても、表面上は上手く回るのである、良く出来てるとさえ思う】
【──故に彼は彼の懸念を他に委託している、能力者等、彼がかかわるべきところではない、と】


成程、システムであったソラリスは、それを作ることが出来る相手に成り代わった訳だ
となると、その麻季音ちゃんがキーになる訳だけど、ここでUNITED TRIGGERの名前が出てくるんだね
流石オーウェル社、必要とする情報が次から次に出てくるよ

となると僕は次なる一手として、UNITED TRIGGERをどうにかしなきゃ、か
んー世論の方は大分傾いてるんだけどね、そろそろ痺れを切らした連中に火がつく頃だ
『婦警』にでも尋ねてみようかな、あの子なら会心の一撃をぶちかましてくれるだろうし

──ああごめん、ひとりで勝手に盛り上がっちゃったね
それでオーウェル社としては何の手立ても打たないのかい? 子飼いのテクノドッグスとか、丁度良いのに
或いは、もしかして、手立てを打っている最中だったり


【そうだね、と彼は言葉を少し探した。──口角を軽く上げて】


それなら一つ、手を組まないかい? オーウェル社とharmony社と、公安で
求める相手は一緒だろう、UNITED TRIGGERと、麻季音ちゃん
僕のところは清廉潔白だから、使える手駒は限られてるけど

我が愛しきハートのクイーン、カノッサ機関"No.3"カチューシャ
彼女ぐらいなら直ぐに動かせると、思うけど
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/05(土) 22:37:24.94 ID:K5QN0E7p0
【街中――繁華街】
【どこか淀んだような空気の街だった。酒と煙草と店屋からあふれる煙の臭い、それにいくらかの下水臭さを付け足して、最後に吐瀉物の臭いを添えたなら】
【下卑た世界の出来上がり。ぎらぎら下品に光るばかりのネオンもどこかで見たことあるよなキャラクターによく似た絵の描かれた風俗店の看板も、全部が舞台装置になって】

…………――、ええ、はい。また。

【――ふっと聞こえたのは、そんな世界に似合いの声音。甘ったるく蕩けてしまいそうな猫撫で声、バニラアイスに垂らしたとっておきの蜂蜜みたいな、甘い声】
【愛想よくって人懐こそうな顔がひどく鮮やかに笑う――見送るのは一人の男だった。いくらか年を食っていて、だけど金を持っていそうで。ついでに、何かを知ってもいそう】
【最後に数言交わしたのなら――男はこんな狭い場所まで迎えに来させた車に乗り込んで、どこかへ。取り残された女はしばらく、一人、しんと笑って立っていたのだけれど】

――、――はぁ。

【演奏会なら観客が不安がりだすくらいの休符のあとにふっと吐息を漏らして踵を返す、あんなにも愛想と人懐こさで出来ているみたいだった顔は、すっかりと冷えてしまって】
【短い髪をざっとかき上げて耳にかける――色のない透明なマニキュアをしていたなら。その指先が下品なネオンの色合いを返して、つやりと煌めいて】

【――黒猫に似た黒髪の女だった。ひどく不健康に白い肌、顔には暗がりでもぼけてしまわない程度にはっきりした化粧を施し】
【青りんご、あるいは宝石のように鮮やかでぱっとした黄緑色の瞳は猫と同じ形、ぱちり――と瞬いたなら、繁華街の傍ら、小さなスペースを見出して】
【そっと身体を埋めこむ――ニットのワンピースは肩が大きく露出したもの、足元は薄手のストッキングに、かかとの高いハイヒール、――それでも背は、そう高くなく】
【まだ年若い女――だ。かといってこんな場にはよく似合っていたから、見た通りの年齢らしい暮らしをしているとも思えずに――携帯端末を取り出して、数度の操作】

手がかりなし……、

【少し疲れてしまったみたいに、壁に背中を預けたまま、そうっとしゃがみ込む。――甘たるい声が、それでも、どこか、寂しげになったなら】

――前に居なくなった時は。どれくらいで戻ってきたのでしたっけ。

【ぱた、ぱた、と、指先だけで操作して――呟いたなら、そっと、携帯端末を耳元へ。数十秒の沈黙、なら、そのあとは】
【「鈴音さん――どこにいらっしゃいますか?」――尋ねる声。だけれど通話が繋がったわけでないのは、直後に端末をまたしまい込んだなら、すぐに分かって――】
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 23:53:25.11 ID:OOSTbP9v0
>>364

【彼女は今や反黒幕連合に属する1人だ。オーウェル社でないことがバレることは無いはずだ】
【しかしここで何処まで情報を与え、何処まで引き出すかは非常に難しかった】
【アンドロイドであっても、常に確実に正しい判断を下せられるとは限らないからだ】

問題ないのなら構いません。当社はお役に立てればそれで良いのです。人類の幸福と進歩には
飽くなき探究が必要でしょう。それに、俗な話ですが多方面からの資金協力と政治的なものが無くては
我々の研究は夢で潰えたところでしょう。

【オーウェルの技術者の多くはそんなところだ。自らのしていることを悪と思っていないものと、なんでも良いから】
【自らの技術を発揮したいもの。そして強制的に技術協力をさせられていものもいる。そういった強引さで成し得たシステムだ】
【尤も上層部は単に新世界の独占企業として特権階級を望む俗物なだけかもしれない】

【ただ、フォルケン博士はそうではなかった。本来この技術は人を抑圧したり洗脳したりするものではなかったはずだ】
【人の心を分析し、よりよい社会のために人々が理解し合うための技術だったはずだ。ゾーイはそのために生まれたのだから】

もはや、初瀬麻季音は単なる優秀な技術者や科学者というわけではなくなってしまいました。我々に反目する者の中にいて
そしてこの計画の成就の是非を問う、謂わば特異点となっているのです。公安部の言葉を借りるなら、高度な政治性があると考えます。

特に公安部は異能者などの反体制の捜索を強化しています。当社警備部の考えはわかりかねますが、我々のような素人が手を出しては
足手まといに成りかねないと思ったのではないでしょうか。そういった駆け引きはできませんので。

【彼女の言う通りテクノドックスは技術で武装した野良犬みたいなものだと、評判は良くないだろう。その暴力性は能力者と渡り合えるかもしれないが】
【テロリストを瓦解させたり、UTを崩壊させるほどの力は有していない。特に初瀬麻季音は無傷で手に入れなければならないのだから】

ですので、行動はharmony社と公安にお任せしていると思われます。
…ともあれ、当社判断を私個人で出来かねるところはあります。ただ、そうなると…時間が。
私個人で口利きできる範囲でいいのなら、それか。…ご提案が

【彼女は同じような、また一切変わらぬ様子だったが。これは内密な事項だと簡単にわかるだろう】
【盗聴器が聴こえないレベルの、監視カメラが補足できないように小さな声で、口元を隠しながら話す姿はどこか蠱惑的だ】

調停官のお名前で、私を一件の担当に指名していただければ、私が窓口になります。
社内外の権限がさらに付与されれば、効率的な協力が可能かと。今のままだと、我が社は何も出来ません。
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/05(土) 23:55:55.88 ID:6LzU5j7L0
【 悍ましき手腕を振るう二人の同胞へ、愛をこめてメールを送信。 】


【From:“冒涜者” → To:ブランル、“魔女”】

「やーやーお元気ですか、僕です。
 前に教えた“Crimson”から面白……ヤバそうなメールが届きました。
 どうやらあなたたちが派手に暴れた地下で、すてk……緊急事態が起きてるみたい。
 僕はとりあえず行ってみようかなって思います。なんか面白そうなもの見つかりそうだし。

 どうでもいいけど水の国ばっかり大変なことになってて面白いよね。政治家大変そう。


                                              by “Blasphemia”」


【――――以下、>>128のメール転送】


//おもしろメール共有です。絡み不要です!
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/05/06(日) 03:16:58.42 ID:TUCOlUhRo
>>344
【そう、問題はない。元より、それぞれがそれぞれの理由で動いているのがMなのだ】
【しかし同時に、足並みが揃わないジルベールが言う通りの烏合の衆に近い欠点を抱えているのも事実】
【指輪による暗号通信の連絡網により、ある程度の改善を見たものの、依然として『黒幕』の強大さに対して不利なことは否めない】
【ジルベールの不満も当然だろう。カニバディール自身、この暗闘の中に身を置いてから、必死に対抗策を模索してきたのだ】

敵の要求の一つが、初瀬麻季音の身柄……物理的な引き渡しである以上、声だけだったとしてもどこかで生身の相手が出てくるとは踏んでいるが
貴方の言う通り、良くない可能性はいくらでもある。いずれの場合も、人質はこちらが確保できるように手配はしてあるがね。敵にこれ以上、札を渡したくないからな

『婦警』でなかったとしても、『黒幕』側の人間なら始末する。死体の脳が手に入れば、ある程度情報を抜き出す手段もある……有用な情報が入っている可能性は高いとは言えないが
少なくとも、代理人がどこから来たのか。来る前にどんな相手と接触していたのか。死体から手に入る情報は多い

移送を複数の工程に分けていたとしても、その過程には近づける。死肉は私の専門だ
実のところ、このカウンターにおける私の目的は、敵の肉≠ネんだ。今まで私が返り討ちにした鉄砲玉どもの死肉からは、大した情報が抜けなかった
敵の中枢に近い者の死肉=Bそれさえ手に入れば、彼奴等の喉元に近づく一歩足り得る……

……受け身であることに変わりはないが。現状、敵に対してこちらが切れるカードは少ない
出てこなかった場合は、人質を確保してすぐに次の手に移る。あらゆる可能性を考える必要はあるが、同時に動き続けなければならない


その通りだ。『計劃者』を打ち倒す。それが成されなければ、意味がない
『特区』や水の国の各市街への配下派遣、水の国警察内部への諜報、『黒幕』関係者の捜索……他にもこうした手を打ってはいる
だが、まだ視野が広いとは言えないな……まだ足りない。ああ、決して足は止めないとも

私の持てる全てを総動員して……必ずや

【三つの眼に悪意を漲らせ。ジルベールの危惧と期待に応えるように。異形は脳裏に電気信号を走らせ続けていた】


貴方がたも、イルとは会っていたか
愛玩……私はまだ会ったことはないが、拷問道具の要求といい私に負けず劣らずの歪んだ人格をしているようだ

流石、いい人材を揃えているらしいな。GPSに気が付いても道具を使うほどの歪みようか……悪い意味で、会うのが楽しみだよ


……以前も、同じようにこちらを下等だと見下していた相手と戦ったことがある
半魔リリア……話を聞くだに、イルはあの女に近い性質を持っているようだ

だが、年齢に不相応の狡猾さと確固たる意思を兼ね備えていたリリアと違って、幼稚となると……貴方の忠告を肝に銘じておかねばな
幸い、人外の振りをすることに関しては、私なら何の問題もないだろう。見ての通り、半ばそちらの領域に差し掛かっていることだしな

【軽く苦笑しつつ、彼の忠告をしっかりと脳裏に焼き付ける。「病が具現化したようなやつだな」と感想を漏らしつつ】
【まだ見ぬ新たな脅威に悪意を向ける。どうなろうと、生き残るのは自分だ。いつものように、そう己に暗示をかけながら】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/06(日) 04:53:05.07 ID:MaiT4cDgo
>>366

【ゾーイの内面まで嵯峨野が探れないのは、オーウェル社の使いであるということを盲目的に信じているが為】
【加えてゾーイの擬態が完璧に近い事も手伝っているだろう。疑いの念を彼は持っていない】
【更にいえば筋が通っている、余計なロジックを加える間もない程に理路整然として】


確かに公安は権威主義で秘密主義で、尚且つ形式張ったことを好むからね
幾ら優秀といえどテクノドッグスをそっちに回すことは、その認識だと難しいかな
ふーん、てっきり僕としてはオーウェルと公安は裏で繋がってると思ってたんだけど

──おっと、空想で物を喋りすぎるのは、命取りかな。今の発言聞かなかった事にしといて
取り敢えず任されちゃいました、とは言ったもののharmonyの手駒なんてそれこそカチューシャと
下品なトゥイーギだけと来たもんだ、後は気分屋のフランツと"魔女"──つくづく御船を失ったのが……うん?


【彼女の口元に耳を寄せる。囀りの様な音律が耳を擽って、その色を伝えてきた】
【頬に笑みが零れた。成程どうして優秀な社員ではないか、と──カードの切り方に余念が無い】
【涼し気な目元を静かに流す、いいよ、と答えるようにウィンク一つ重ねて】


"構わないよ"──オーウェル社のゾーイ女史に麻季音ちゃん捜索の窓口になってもらおう
そっちは公安の顔を使おうかな。そうすればオーウェル社と公安との架け橋にゾーイちゃんがなるだろうね
此方としては頭の硬い誰かが出しゃばるよりよっぽど、可愛い女の子が受付にいてくれた方が良いし

とは言ってもあくまで、"調停官"としての要請だ。ある程度の力はあれど公安部全ての同意じゃない
公安とオーウェル社が協力しやすくなったとしても、それは利害が一致する上になる
つまり、適材適所と──まぁこんなこと言わなくても、分かってくれるとは思うけどね


【公安とオーウェル社、それぞれの専門分野まで立ち入らないように、と釘を指した】
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/06(日) 21:13:50.20 ID:1aEOPTmXo
>>369
【ゾーイにとっては思わぬ収穫となった。特区を探るためにオーウェルの身分を偽造し】
【その思惑やつながりをたどって行くのが本来の目的だった。しかしオーウェル社自体はその技術情報が主な収穫で】
【黒幕の思惑や今後の行動、ついては黒幕のメンバーリストなんかはほとんど公安が握っている】
【つまりはそこにアクセスできなければならなかった。しかしここに来て、渡りに船】
【この嵯峨野という人物、とつながる人物を知るだけでなく公安への接触する機会を手に入れた。】

すべてを知るのはほんの一握りなのでしょう。例えば、死んだフォルケン博士であるとか。
彼は何故、オーウェルの全てと言っていい人工知能技術の生みの親でありながら、社を追われることになったのか。そしてフルフェイス事件などの犯人に仕立て上げられたのか。
…何故彼は死んだのか。もしくは…

殺されたのか。

【あれだけ淡白な、この女に少しだけ熱を帯びているように見えた。技術部であるなら何らかの交流が合ってもおかしくはない】
【しかし随分と肩入れしているような、私情を感じるだろう】
【だからこそ、このような危ない提案をしてきたのだろうか】

感謝します。現在の窓口にそう、告げればすぐに変わることでしょう。

我々は企業です。利害については重々承知しています。

【いままで目立った表に出てくる顔役が存在しなかったオーウェルに都合の良い人物ができたのは】
【公安にとって都合は付きやすくなる。NTDも監視システムも強力な武装を持った私兵も】
【警察を動かせないようなときに使えるのなら都合がいい】
【しかしここにいるのはその面をかぶったスパイだ。さながらゾルゲのように深くその中に踏み込んだ】
【問題は公安だ。婦警やその上に居る人間を出し抜けるだろうか】

…長話はあまりこの場では適しません。我々は常に父の目の届くところに居ますから。
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/06(日) 21:33:52.76 ID:zwDgX1Eq0
>>365
/これ再利用でっ
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2018/05/07(月) 00:12:19.50 ID:Msfqe0LEo
>>370

【嵯峨野は貴方の唇へと人差し指をそっと差し出す、涼し気な目元に優しい笑みを携えて】
【滴る熱の色合いは、筆洗に一筋落とした絵の具の慕情。水飛沫より淡い感情が解けて見えた】
【垣間見る束の間の白妙にも似て、朧な月が一葉静かに垂れた】


君らしくないね、滅多な事は口にするべきじゃないと教えてくれたのは君だろう?
よっぽど素晴らしい人物だったんだね、その──フォルケン博士は
君の表情や口振りを見ているとすぐに分かるよ、慕われる人間には慕われるだけの理由がある。

──そして同時に、狙われるだけの理由があるものさ。
蓋を開けてみれば何の事は無い偶然かもしれない。可能性なんてそれこそ無限にある。
だからこそ僕達は、何かに耽溺すること無く冷静に可能性を手繰る必要があるのさ


【柄にも無く熱弁しちゃったかな、と言って微笑みかける。言葉のテンポを相手に譲って】
【少なくとも彼は貴方の正体に気づいていない、愚鈍な人物では無いのだが】
【或いは何処か考えがあって、貴方の口ぶりに乗っているのだろうか】


言ってしまったからには迅速に行動するさ、明日にでも公安とオーウェル社の繋がりが確立される
勿論窓口は君だけど、まぁさっき言ったみたいに必要十分だけ果たしてくれたなら
君も僕も麻季音ちゃんを追わなきゃいけないんだから、そこが最重要だろうしね

……ふむ、僕としてはわざわざ特区に踏み入った価値はあったかな
立場上、そこまでどちらかに肩入れするってのは性にあわないから
他に何かあるかな、僕に出来ることなら、何でもするよ?
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/07(月) 02:49:35.76 ID:2A782pej0
>>357

【相手を睨むアヤの目元が険しくなる。相手の余裕が、気に食わないのだ】
【絶対的優位なのは間違いない、だがそれ以上にこちらを見下している】
【言うなれば実験対象のようなものなのだろう。「たかが蟲が」と】
【こちらが相手をバカにするように、「たかが能力者が」と思われているのだろうか】

【――苗床だか、母体だか、ともかく連中の戦力になるのだけはゴメンだった】
【生理的嫌悪感などはどうでもいい。自らが尽くすと誓ったのは、この国1つだと決めていたからでしかなく】


                  わたしを、ッ……!


   あまり舐めてくれるなよ―――



       『  ――ワームシンガー<bッッ…――!!!   』



【蟲を持たざるモノ―すなわちこの場においてはアヤだが―は、両手足を氷結させられているが故に】
【耳を塞ぐことも出来ず、心身に響くような強烈なダメージを受け――嘔吐する】
【といっても、その大半は吐瀉物ではなく胃液と血液。それでも尚、痛いほどに歯を食いしばると】


【ゾクッ≠ニするほどの寒気が、周囲に走る。アヤの左手が、拘束する氷を"崩壊"させ】
【注射器を持った蟲、"ワームシンガー"、可能であれば"Crimson/Vissini"に至るまで】

【その指先から放たれる、白色のレーザー光により一薙に"破壊"しようとするだろう】
【"破壊"――或いは"崩壊"。それは、アヤの持つ能力の根源的な部分】
【触れるもの、立ち塞がる物を悉く滅する性質。それは"攻撃"ではなく"現象"と言っていい】

【証左として、レーザー光が触れた下水道の路面はものの見事に「分解」、或いは「溶融」しており】
【身体に触れれば否応なく迫る肉体の断裂や、そもそも肉も骨も皮もまとめて吹き飛ばす――それほどの威力を誇っていた】


【けれど、本調子ではないのだ。左目を白、黒、赤と混濁させながら】
【悪魔化させた左手で残る手足の氷結を砕く。無論、無傷で済むはずもない】
【衣服と靴で守られた足はともかく、右手は皮膚がことごとく向けてしまい、痛々しくも生身の肉を晒し】

【フラフラと立ち上がったかと思えば下水道の壁に身体を預けなければ、立った状態も維持できない】
【壁面の粘液にはベッタリと触れることになるのだろう。――威嚇するように、左手は"ワームシンガー"に向けたままだった】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/07(月) 02:50:02.31 ID:2A782pej0
>>368

【しっかりとした口取りで計画の粗筋――いや、細部にまで渡る指針を語るカニバディールに】
【ジルベールはひとつ、頷いた。結局の所、「考えているのならそれで良い」のだ】

【それはこの男の、良くも悪くも癖なのだろう。合理的に、一つ一つと積み重ねる】
【時として思いつきのままに行動することも、無論必要では有るのだが】
【極力予想に予想を重ね、その場における最善の手を最初から考えておく】

【――思い返せばここまで乗ってきたあの車両にしたってそうだろう】
【あれだけの装甲があれば、例え能力者の奇襲でも一撃くらいは耐えそうなモノだ】
【危険を潰し、安全を確保しながら一手ずつ。それは尚更、大事な味方ならば徹底しておきたいらしく】


往々にして、現場で細部を詰めなきゃいけない奴ってのは大局を忘れがちだ
そのどっちをもアンタに要求するのは少々酷だが……期待してるぜ?


【苦いコーヒーは頭を冴えさせる。気付けばマグの中身は空になっていて】
【カニバディールに差し出すのはGPSの端末。水の国の旧市街、廃工場を明確に示すもの】
【自分が持っているより、現地に出向く可能性の高い彼に渡すほうが良いだろうというわけで】


フ……話に聞いてなけりゃ、確かに人外見間違う所だ
こうして話せば随分と"分かる"んだと、理解も出来るんだがな。

ともあれ、だ。奴の基質が幼稚で残忍、そしてそれが通用してしまうだけの強大さを持つ以上
対面する時は特に注意したほうがいい。なんなら、聖水やら銀の弾丸やらがあっても良いと思うぜ?
冗談抜きに奴は魔界の存在…――リリアで一度、煮え湯を飲まされたんだろう?


【――空のマグを持って台所へ。流しに置いて、水に漬けて、軽く洗って】


……さて、こっちからは最後の話だ。ミラからも聞いてるとは思うが
俺は将来的にこの世界を買いたいと思ってる。支配じゃなく、購入だ。

それがどういった形になるのか、どういった世界になるのかは…――正直、見えない。
黒幕をブッ潰し、円卓を根こそぎ排除し、俺個人を消そうとする能力者を始末したあと、だからな。

そこにお前が付いてくるのか、来ないのかを直接聞きたい。
別に、お友達になろうってわけじゃない。奴隷になれってのも違う
手を組むのか、組まないのか。ただそれだけの話だ…――どうする?


【これもまた堅実な一手、なのかも知れない。カニバディールが黒幕と敵対する以上】
【そして機関の一員であり、今もこうして3億という金銭を授受している以上は】
【「手は組まない」とは言い辛い状況が、既に作為されているのだから】

【――とはいえ、組まないと断言しても問題はないし】
【組んだ所で、それが泥舟であればともかく。橋を叩いて渡るのが趣味のような男なのだから】
【ある意味では"投資"なのかも知れず、且つ差し出す物の少ない――ローリスクなやり取りではあった】
375 :@mail [sage saga]:2018/05/07(月) 02:51:39.23 ID:2A782pej0
【From:ジルベール・デュボン】
【To:"Crimson"、ブラスフェミア】
【件名:警告】


『お疲れさん。あんたらにとって面倒そうなのと会ったんで情報共有しとく。
 名前はイル=ナイトウィッシュ。魔族のガキで、"病魔"って存在らしい

 で、何が面倒なのかっていうと、こいつが「ニンゲンじゃない存在」を探してるって事だ
 そういう連中だけの国だか世界だかを作って、人は最小限の労働力にするんだと。
 まあそんな夢物語はどうでもいい。要はこいつがそういう場所を作るために
 純粋な人間じゃない連中に声を掛けて回ってるってことだ

 あんたらの持ち物だが娘だか、それぞれ真っ当な人間じゃない連中が居るだろ?
 そいつらが独り歩きしないように首輪でもしとくことをオススメするぜ

 奴は精神面で相手を狂わせ、誑かす。従順な奴隷が唆されて
 急に牙を剥くなんて事が無いように気を付けてくれ。
 ちなみに、会って感じた奴の力は俺と同じくらいだ。警戒の参考にしてくれ、じゃあな』



/絡み不要であります。
376 :@mail [sage]:2018/05/07(月) 12:50:16.09 ID:KWEcfRSq0
【 信頼を寄せる王にして同胞へ、メール返信。 】


【From:“冒涜者” → To:ジルベール】

「わざわざ連絡くれてありがとう、モウカリマッカ。……こういう挨拶があるんだよね?
 イルとやら、把握した。とりあえず僕の<被造物>については日頃から
 首輪つけてあるから大丈夫とは思うけど……。念のためもうひとつ余計につけておくね。

 それと、送信欄に名前があったから一応伝えておくね。既に知ってるかもしれないけど。
 “Crimson”こと“キリコ”、実は僕、個人的に面識があってそれなりに仲良しなの。
 それで最近こんなメールが届いちゃってね――結構面倒臭いことになってるみたい。
 彼女の<被造物>がどうなってるか、までは知らない。ごめんね。
 でもそこそこ仲良さそうだったし、彼女を探し回ったりしてるかも……あ、これもしかしてヤバい?

 一応、ご報告までってことで伝えておくよ。あなたの糧になりそうなことがあったらまた、連絡する。


                                                     by “Blasphemia”」



【――――以下、>>128のメール転送】


//絡みふよーです。
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/07(月) 19:07:24.91 ID:+70GH6g1o
>>372
【ゾーイは嵯峨野のそのジェスチャにハッとしたように目を見開いた】
【そしてその言葉よりも前にその意味を察したように、冷静に…さらに無機質な表情を更に固くして取り繕った】
【アンドロイドでありながらそのあたりは人間に近い。欠点があることが逆に完全であるという不思議な定義】
【人間が作ったものではない所謂、神の造りし物や自然というものはその定義に則っている】

仰るとおりです。失礼いたしました。
…ただ、この世界と同じように世界は移ろいやすいということです

【常に新しいものが生まれ、古いものは淘汰されていく。それは真実も同じだ】
【この街の多くの真実は生み出され続けるものに押し流されて、人は忘れていく】

【彼女は、旧語法じみた、曖昧なたとえ話で答えた】
【やはり、この女はイレギュラというわけなんだろう。社にとっても公安にとっても】

気になることは…公安です。内部での情勢不安定の中、どこまでの人物を信用していいのかわかりかねます。
本物の公安であっても敵であるならば。我々はどこで判断すればいいのでしょう。
…黒野カンナという人物が嗅ぎ回っていたことは把握しています。
噂では当局で身柄を拘束したとか

この話は貴女のお立場ではお答えできる範囲ではないかもしれません。
しかし、我々は、協力者であって、貴方方の下女でないなら…行使できる権利の範囲内だと私は思います。

【言われたとおり今度は憚るように話す。】

【今度は女は一歩、切り込んだ。個人的な意見と言っているがオーウェル社の見解にも近いだろう】

これ以上の立ち話は不自然です。…目敏い人間に見つかる前に記録を『適切に』処理しておきますので。ご心配なさらず。
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/07(月) 19:44:39.92 ID:5ujUt9TPO
>>377

【実に人間らしい仕草であった。それこそ普通の人間よりも余程──】
【誇張して真似する道化師の振る舞いが如く、その後の繕いまで含めて彼には好ましく映る】
【同時にオーウェル社の技術力、否、フォルケン博士の悪魔的とも言える手腕を思った】


異端は何処にでもいるのさ。大量生産される工業製品と同様に、完璧なシステムなど──
おっと、今のは聞かなかった事にしてもらおうかな、今の発言は些か不完全だったし
黒野カンナは優秀な捜査官だった。──得てして天才とは、組織とは相容れないのかもしれない

けれども『公安』という大きな枠組みで見た時、彼女のような存在こそが不純物なのさ
徹底的な管理と教育、ある意味『公安』以上にシステマティックな組織は存在し得ない、と
信用してくれても良いよ、これは断言出来る。僕たちはどこまでもこの国を愛している。


【彼は笑った。微笑みと言っていいほど淡やなか色合いだったが、それは紛れなく微笑みであった】
【オーウェル社に向かい、ゾーイに対し僅かも曇りなく言葉を重ねる】
【愛しているよ、と恋人に囁く様にもう一度】


僕のみならず『公安』の人間は皆、この国をよくしようと思い従事している、それはシンプル且つ強力な信用さ
黒野カンナはやり方を違えた──それもある種強力な愛国心が故だと僕は信じている
多国籍軍たるUNITED TRIGGERは、それ故に敵対するかもしれない、麻季音ちゃんの件も誤解があるんじゃないかな

以上の理由を以て僕達公安はオーウェル社に信用されるだけの、信頼を持つと主張する
付け加えて僕のことも頭の片隅に入れてくれたなら、こう見ても悪い人間じゃないと、思うけど
大丈夫、僕達は正しい流れの中にいる、正義は必ず勝つよ
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/07(月) 21:13:17.97 ID:5ujUt9TPO
【水の国 カフェ・ル・タンブラン】

【表には『CLOSE』の看板がかかり、部外者の侵入を拒む形となっていた】
【室内を覗いてみれば営業中と変わらない照明、店内BGM──一人でテーブル席に座る少女が一人】

【白を基調としたゴシックワンピースの上から黒い姫袖のドレスを羽織り】
【軽くウェーブのかかった純白の長い髪と、蕩けるような蜂蜜色の瞳】
【白い手袋とソックス、黒の編上げブーツの少女であった】


でさー、りーちゃそ、今日来る新入りさんってどんな人なのー
鵺ちゃん以外の人もう会ったのかなーっ、こーゆー秘密主義ってどーなの?
ねー、ちゃそちゃそー! きいてるーっ?


【少女はテーブルに上半身をべったりくっつけて、足をバタバタ、視線の先にはテーブルに置いた端末】
【携帯型端末には銀髪の少女アバターが映っていた、彼女の言葉には反応せず】
【──といった具合、入ってくる人がいればすぐに確認できるだろう】
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/07(月) 21:35:37.63 ID:JWpMG//N0
>>379

【扉が開かれる。ぎぃっと軋む音が、貴女に来客を知らせるだろう。……閉店中と書かれているにもかかわらず。】
【そんな事をするのは、余程不躾な奴か、文字が読めない奴か、泥棒か―――――あるいは、関係者か。】
【それは分からない。けれど、彼女は確かにこの建物の中に足を踏み入れた。】

【―――開いた時と同じような軋む音がして、扉が閉まる。どうやら、間違って入ってきたわけではないらしい。】
【鳶色の髪を長く垂らし、ダークブラウンの鳥打帽を目深に被って……奥から優しげなブラウンの瞳が覗く。】
【白黒ボーダーのシャツの上から丈の長いベージュのジャケットを羽織り、ジーンズを穿いた……大人びた印象の女性だった。】

―――あなた、は。

【帽子を取って、やや強張った面持ちで見据える。どう見たって緊張するような相手ではない見た目の貴女にでさえ。】
【時々目を逸らすように、店内の様々な所をきょろきょろと見まわして……それから、またあなたを見て。その繰り返し。】
【緊張している時の人間の仕草であることは、きっとあなたには見抜かれているだろう。―――そして、もう一つ。】
【彼女が、テロ未遂の容疑者として逮捕された人間と「よく似ている」という事も、顔を見れば思い出すか。】
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/07(月) 21:39:16.65 ID:yXxVW8iCo
>>373

【ワームシンガーは、確かに貴女のことを見下しているようだった──】
【魔族故の驕りは女にもあり、たかが人間がと思っているようで】
【彼女のその自信を打ち砕いてやりたいと口に出さぬものの、そう思っていて】

【唄に屈して嘔吐した貴女のことを見て、女はほくそ笑んでいた】
【この女を屈服させるのはなんて愉しいんだろう──、こんなにも愉しいなんて】
【強気な人類は力を持っていないのにプライドだけは高いと──そう思い込んでいた】


     「────ッ!?桐子、隠れてッ!!」


【突如、身体が震えるような寒気が全身を覆い尽くす】
【ピシ、ピシと彼女の四肢を固定していた氷に罅が入り始めていて】
【魔力の反応が膨らんでいる。貴女が何か魔術を行使しようとしていることは、明白だった】

【桐子と呼ばれた女は素直にその身体を巣の影にかくして】
【注射器を運ぶ蟲、そしてワームシンガーの右腕は──無残にも吹き飛んだ】
【否、崩壊したのだ。右腕は姿形を残すこともなく、集積孔の底へと落ちていく】


「……──なかなかやるじゃん?人類だからって馬鹿にしちゃだめだね」


【右腕が吹き飛んでなお、女はへらへらと嗤っていた】
【彼女の実力は確かなものだったと、確信できた。それだけでも収穫は大きい】
【切断面からは粘液らしきものが垂れているのだけど──どうも、血液には見えない】

【貴女が壁に凭れれば、当然粘液が纏わりつくだろう】
【だけれど、それに触れたからといってなにか悪影響があるわけでもない】
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/07(月) 21:49:00.28 ID:5ujUt9TPO
>>380

【其れは既視感に似ていた。此処にやって来る同胞達が見せる表情】
【貴方の浮かべていた雰囲気が、トレースした様に被って見えた】
【少女は少し戸惑いを見せたが、直ぐにいつもの屈託の無い笑みをみせて】


──こんばんわっ! もぅ、ずーっと待ってたんですよっ!
と言っても、鵺ちゃんが早く来すぎてただけなんですけどっ
さあこっちこっち、早く座ってください! 時間がもったいないですしっ


【少女は努めて笑顔を絶やさないようにした、自分は敵でないと、示すが如く】
【対面の椅子を引いて笑顔で手招きする、年頃は娘に近いだろうか】
【貴方が座ったなら質問に答えるだろう、大きな瞳をじぃっと向けて】


あ、まだ言ってませんでしたね! 私の名前は──

 ” その前に貴方からです。全く屑の巣窟に新しく屑が増えるだなんて ”
 ” 名前と罪状。──習いませんでしたか? 我々の言葉には絶対服従、と ”
 ” 反抗は即時処刑です。返事は? ”


【端末から声がした。慇懃無礼な少女の音で──】
【目を向けてみれば端末に映る別の少女が、あなたに声を掛けた】
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/07(月) 22:20:13.31 ID:JWpMG//N0
>>382

【緊張の面持ちの理由は、一つ。それが未知の世界であるからだ。知らない、分からない……その感情は人間にとって脅威となる】
【公安の世界なんて知らない。これから自分がどうすればいいか分からない。自ら望んだとはいえ、右も左も分からぬのだから】
【そんな、途方に暮れてしまうような状況だからこそ―――貴女の屈託のない笑顔は、間違いなく救いになったはずだ。】

あ、っ。その、えっと……はいっ!

【遠慮が無いように見えて、その実計り知れないほどの気配りが入った態度。心の懐にすっと入り込んでほぐすような】
【明るさと可愛らしさが、強張った自分の心には眩しく見えた。気が付けば、表情は少し柔らかくなって】
【急かされるようにして慌てて椅子に歩み寄ると、腰を落とす。目が合えば、ふわりと表情が緩んで……】
【……座ってもあなたより目線が高い。ああ、この目線の差は我が子と話している時と同じだ。】
【そんな事を、なんだか久しぶりに思い出しながら――――おや。急に、問いかけられる。この事は別の声だ。】

……は、はい……?
その。……神谷皐月、です。テロ準備……ええ。強硬に……魔制法に反対しようとした、という事です。
……。……いいえ。私は、何もやっていない。それを証明する為に、ここに来たのです。
私は諦めない。ここで終わってなるものですか。今は誰も、誰も信じないけれど―――絶対に。

【呆気にとられた後、目線を落とす。自分に掛けられた罪と言う名のレッテルを、自分で述べるという屈辱に耐えるように。】
【しかし。紡ぐ声色は、徐々に力を増す。それは、罪を悔いた咎人と言うよりは……むしろ、冤罪と戦う証人のように。】
【ここに来たという事は、罪は確定している。刑の執行が早いか遅いか、ただそれだけの話だ。】
【逆転の望みは限りなく低い。あなたには、無駄な抵抗に映るのだろうか。それとも――――】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/07(月) 22:22:39.72 ID:+70GH6g1o
>>378

そういう時こそ、我々に任せてもらいたいものです。<NTD>はそういった組織におけるバグを取り除くためにあるのでは?
優秀な人材というのは偶然に近い。それを有効に利用するために一つの意識を共有するのが目的なのですから。

【幸福省ではそういった教育と言う均一化を行っていることだろう。旧来の方式で行われるそれは非人道的だ】
【NTDを使えば―――それがオーウェル社の売り文句だったことは覚えがあるだろう】

愛国心…さすがは、国民の奉仕者たる警察官ですね。我々も技術の進歩によって人類や文化
この世界そのものを成長させることで貢献したいと思っています。国を愛することは同意いたしますが
いつかはボーダレスな世界もご検討くださいませ。

【そうやって、オーウェル社の広報のセリフを借りて、女は言葉を濁したが実際はこの男の狂気に女は驚いていた】
【男の放つその言葉は綺麗事に聞こえ、実際に理想だろう。しかし、それを男は根底から信じているように見えた】
【しかもそこにあるのは善だ。こうすべきことが正しいと、博愛の延長にあると信じているんだろう】
【それこそ、狂気だ。本来の意味で使われる確信犯というやつだろう】
【悪意なき狂気をどのように打ち倒すのか、彼女にはわからなかった】

【彼女はようやく理解した。この戦いの仕組みは、正義と悪ではなく。悪と悪ではなく、乱立した正義による戦いだ。】
【細分化され、多角化した(相対的、絶対的を含む)正義が黒幕であり、Mチームでもある】
【だとしたら、どちらかが勝利した場合どうなるだろう?Mチームの場合、円卓勢が抜け、そこ争うことになるだろう】
【それは黒幕も同じなんだろう。最後の一人まで、この聖戦は繰り広げられるのかもしれない】
【本当に人類を滅ぼすのは悪ではなく―――正義なのかもしれない】
【我々はありもしない悪と戦う、ドン・キホーテなのだろうか】

【アンドロイドはこの場から逃げ出したくなった。この恐ろしい考えから離れるためにこの男から逃げ出したくなった】

【アンドロイドは初めて恐怖というものを体験した。それはそれはとても強大な】

なら各々、仕事に戻るとしましょう。本格的な仕事の前に、片付けて置かなければならないことも山ほどあるので。
もう、ガイドは不要ですよね?知るべきことはここにはないでしょうから。

【よもや、女がそんなことを考えているようには見えないだろう】
【男の正義に同意するように、静かに笑いかけながら、ごく自然に。】
【しかしこの女にとってはそれこそが不自然にこの場を立ち去ろうとする】
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/07(月) 22:32:51.01 ID:p2UVb03/o
>>383

【──それを希望と呼ぶならば、なんて残酷なのだろうか】


 ” 誰が余計な事を話せと言いましたか、屑。私は確認の為に仕方なくてめーと話してるです ”
 ” 本来ならこんな無駄省くべきですが、未だに形骸化された習わしが山ほどあるです ”
 ” 全く屑はてめーの罪すら認められねーですか? 家畜の方がまだ物分りがいいです ”


【突きつけられる言葉は冷徹そのものであった。響きは僅かな救いもなく現実を見せて】
【強固な貴方の意思を無駄と断じる。アバターの少女は幼き表情に何も浮かべない】
【──その事実こそが何よりも残酷であろうか】


あーっ!! もぅ! リーちゃんってば!! すーぐっ、そういうこと言ってっ!!
なるほど、分かりましたですよっ、ませーほうに反対したんですね!
もぅ、あんな悪法ですもんっ、分かります分かります! それでとっ捕まえるだなんて、警察もダメダメですねっ

私は鵺です! 公安三課では主に前線での任務と、潜入任務とかやってます!
何を隠そう、忍者なのですっ! ちょーすーぱーな忍びですからっ、ご安心なさってください!
えーっと、皐月姉(ねぇ)は前線ですか? それとも後方支援?


【鵺の方はと言えば悪態をつく端末の少女にぐるる、と威嚇をする、皐月の方に向き直って】
【ふふーんっ、と自慢げに自己紹介する。ゴシック調の服装に見合わぬ口調】
【どうやら貴方の見た目から年齢をだいたい二十代と思ってる、らしい】
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/07(月) 22:42:05.86 ID:p2UVb03/o
>>384

【──ゾーイの内面までは辿らない。それは如何なる理由であろうか】
【嵯峨野という青年は悪印象を与えない人物であった。丸でそうるのが正しいと言わんばかりに】
【それは狂気なのであろうか。だとすれば──この世界に正気とは、何処にあるのか】


流石にオーウェル社は<NTD>の本来の使い方を熟知している。──僕のとこでは使いこなせていないからね
また何れは啓蒙してもらいたいもんさ、麻季音ちゃんも交えてね
その時は公安の嵯峨野 鳴海ではなく、一個人として、君達ともお話したいな

ボーダーレスも魅力的だけど、僕は素敵な女性と過ごす時間も同様に魅力的だと思うから
男と女は最小単位の調和だよ。一人の妻に一人の夫。この黄金比は崩すべからず、と
オーウェル社もうちの会社も、美人が多い点は長所だね


【などと言ってまた笑う。爽やかな笑みに僅かばかりのシミを見せず】
【ありがとう、といい踵を返すだろう。ゾーイの向いた方向とは逆を向いて】
【鼻歌交じりに歩み出す、一歩踏み出して止めて】


それじゃあまた。──良い返事を期待しているよ
次会う時には互いの作戦が進歩していることを、祈って


【やがて彼は特区を歩み去る、無数の思惑を残して──】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/07(月) 23:14:00.55 ID:JWpMG//N0
>>385

あはは……うん。フォローありがと。でも、いいのです。

……物分かりが良かったら、今頃私は刑務所にいますよ。
―――諦めることの心地よさは、まるで蟻地獄みたいに甘くて。二度と抜け出せないと、知っているから。
だから、一人でもがき続けるのです。ふふ、哀れでしょ?

【にべもなくバッサリ斬られる。同意するつもりなんて欠片も無いと言わんばかりだ。少し、苦笑いを浮かべながら】
【すかさずフォローしてくれた少女の気配りに、礼を述べる。聡く優しい子なのだろう。だが、大丈夫。】
【こんな事で折れてしまうのならば、とっくの昔に折れている。今更何を言われようが、揺るぎはしない。】
【一度は諦めた希望という道を進むと決めた時に、覚悟は出来ている。最早味方など、誰一人いないのだと】
【自分でも哀れだと自嘲するように笑いながら……でも、その瞳に迷いは無く。一人でも、歩き続けるのだろう。】
【一度諦めたからこそ、諦めることの甘美さと怖さを知っている。だから、もう二度と、諦めたくないのだ】
【その道の先に、光など無いとしても……歩みを止めたく、ないのだ。】

―――ふふっ。さっき会ったばかりなのに、ねぇだなんて……
貴女の人懐っこさには、驚かされっぱなしです!人の心の懐に潜り込むのも、忍者の特技なのかしら?
ええ、鵺ちゃん……覚えました。宜しくお願いしますね?私は……きっと、後方支援です。
これは秘密ですけど、なんと私はハカセだったのです!ふふ、ハカセは後方支援と相場が決まってるでしょ?
でも、いざとなったら私も戦いますともっ。ええ!

【―――ああ、でも。そんな孤独な道の傍に、娘と似た歳のこの少女のような明るさが在ってくれたら、きっと心強い。】
【明るいあなたの口ぶりと表情に、つられて表情が和らぐ。穏やかで母親のような優しげな表情―――きっと、これが素の表情。】
【特に秘密にはしてないけれど、秘密だなんて大袈裟な言葉を使いながら……気が付けば、楽しそうに微笑んでいた。】
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/07(月) 23:27:34.15 ID:p2UVb03/o
>>387

【一瞬彼女はドキリ、とした──しかし、貴方の瞳を見てそれは杞憂だと気づく】
【それは確かな意思を持つ人の目であった、鵺はその目を見て心配はいらない、なと】
【頬が緩んだ──元から緩みっぱなしではあったけど】


えーっ、そんなの里では習わなかったですよっ! ふふんっ、鵺ちゃんの可愛さがなせる技ですねっ
ハカセ! 博士! すっごいですねっ! あれですよね、めちゃ賢い人の証です
きっと鵺ちゃんが三千人集まってもわかんない問題を、すぱぱーんと解いちゃう人なんですねっ

しかも戦えるんですかっ! それはもう鵺ちゃん叶わないじゃないですかやだーっ
うぅ、お払い箱なのです、私なんてカフェで可愛い看板娘をやるしかないのです……っ
それはそれでありですね、天職かもしれませんっ、鵺ちゃん愛想振りまくのじょーずですし!


【それは学校での出来事を語る娘の如く、あなたの雰囲気に合わせて幾らでも言葉が出てきた】
【彼女の存在は公安三課という存在にあって異端であった──それはさながら、もがきに似ていた】
【何処までも残酷な現実を受け入れられない、そんな──】


とゆーことでしたら、今の捜査状況についても皐月姉に聞いてもらわなきゃですね
えーっと、今追ってる事件、どのくらい知ってますです?
魔防法関連の事件です
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/07(月) 23:53:36.18 ID:JWpMG//N0
>>388

もう、そんな事ないですよ!ほんの少し、一つの事に興味を持ち続けただけですっ。
頭の良さよりも、根気の方が大事なんです。我慢強く、諦めずトライし続けるんです。
……だから、もしかしたら現場の方が向いているのかもしれませんよ?
実際、私の知識なんて捜査には何の役にも立ちませんし……。

あ。でもコーヒー淹れるの得意だから、むしろカフェのお仕事の方がもっと向いてたりして?
ふふ、鵺ちゃんのお仕事はやっぱり現場のようです!

【べた褒めされて、頬を少し赤く染めながら照れ笑い。なんだかくすぐったい、こんな気持ちは久しぶりだ。】
【ああ、でも。自分を肯定されるというのは心地よいものだな。―――この前までずっと、自己を否定され続けていたから。】
【此処は、三課。罪が赦された訳ではない、鎖に繋がれた人たちの集まり。だから、もっと抑圧的な環境を想定していた。】
【少女の明るさはMiscastのように思えて……でも、その明るさは無知ゆえの物ではない気がした。】
【ともあれ、冗談を言う余裕も出てきたようだ。……実は本当にコーヒーを入れるのがものすごく上手いのは、まだ秘密。】
【実際、自分の役割がどうなるのかは自分自身もよく分かってはいないのだが。まあ、それはきっと追々分かるはず。】

ああ、そうでした。―――私は、その法案に対する反対者として捕まっていたのです。
だから、当然拘置中は何の情報も与えられていません。知られては不味い人間だったのですから。
……教えて下さい。私は、きっとそれを知らなければいけません。

【―――そして、とうとう事件の事について知る事になる。自分がテロリストに仕立て上げられた理由でもあるかもしれない、一件だ。】
【もはや自分は当事者だ。知れば最後、引き返せないが……ああ、もとより引き返す道なんて存在しないのだから】
【意を決して、頷く。あなたの瞳を、じっと見据えて――――】
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/08(火) 00:07:27.79 ID:jHGeCVGLo
>>389

【そんな事ないですっ、と貴方の言葉に反論するだろう。それだけ彼女は知識人を尊敬していて】
【事実目の前の貴方は、彼女が会ってきた知識人の類よりも柔らかい物腰であった】
【公安という中でいて、特異な部署に所属している彼女──風当たりも相当だったのだろう】


根気なら自信ありますよっ、だーって忍者は耐え忍ぶ者、と書いて忍者なのですから
それはもうお預けを食らった子犬のように、くぅーんと鳴きながら幾らでもお待ちします
ですので任務が終わった暁には、いっぱいご褒美をいただきたいのですっ!

えっ、コーヒー上手に入れられるんですか!? だったら、是非カフェオレ飲みたいですっ
あっまーいカフェオレが鵺ちゃんの好物なのです、ラピちゃんが入れてくれるのがベストなんですけど
最近別の任務でお忙しっなので! えへへ、皐月姉がいれてくれるカフェオレ、きっと絶品ですね


【頬がとろろんとしてる、肘をついてほっぺたをぺろーんと乗せて】
【ラピちゃん、と別の課員の名前が出てくる、貴方が会っていない人物も相応に居るだろう】
【話の温度が変わった──見つめられて、少しだけ姿勢を整えた】


──今主に三課が追っているのは三点です、この内イワン・クローノの件は鵺ちゃんの管轄でないので……
それ以外の二点ですね、『魔制法』と『N2文書』──
皐月姉に関わってくるのは前者かな、えっと、この法律なんですけど

……この法律の成立過程って、すっごく急なんだ、違和感って程じゃないけど
それで、三課で調査してたら──何やらきな臭いというか、何というか
『魔制法』の立案の裏にはね、政治家以外の手がかかってるんじゃないかって、話

……法律を作ったのが政治家じゃなくて、他に裏で手を引いてる人がいるんじゃないかーって


【とんとん、と頬杖をつきながら片方の指でテーブルを叩いた】
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/08(火) 00:34:30.57 ID:WO1fN2Nj0
>>390

【コーヒーの話題にやたら食いつきが良い。直前に自分を子犬に例えていたが、それこそご飯の入った皿を見た子犬のように。】
【こんなに嬉しそうな反応を見せられたら、淹れてあげたくなってしまうに決まっている。彼女は人をその気にさせる天才かもしれない。】
【心が明るくなって、やる気も出て。うん、この少女がなんだかありがたいパワースポットのような気がしてきた。】
【「いつか、あなたにも淹れてあげないといけませんね!」と微笑んで……―――そして、話題は移ろいゆく。】

……。政治家以外の、何か……

【―――法律は、政治家が作るもの。学校の教科書にも書いてある基本中の基本だ。】
【仮に、それ以外の者が介入しているとすれば……それは、法という概念そのものを脅かす、由々しき問題だ。】
【俄かには信じがたい、普通の人ならそう思うだろう。だが、自分にはそう思えない理由があった。】
【だって――――法律の施行に世論を傾けさせるための力の影響を、自分自身がモロに受けていたのだから。】

【自分は冤罪だ。誰にも気づかれないような形で、能力者が悪者に仕立て上げられている。】
【誰も信じない、自分だけが知っている「真実」だが……もし其れに意味があるのなら】
【取りも直さず「能力者は排除すべし」という世論を作るために他ならない。ということは―――そういう目的を持った者が、いるのだ。】

……その推理が正しいとすれば。なぜ、能力を制限しなければならない?というのが当然の疑問ですよね……。
能力者が排除されると嬉しい人が居るから、そういう動きが出るのでしょうけど……理由は?
本当に、お題目通りの「能力は危険だから」かしら……鵺ちゃん、動機の当たりはついているのですか?

【額に左手の人差し指を当てながら、問う。物事を考える時の癖、なのだろう】
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/08(火) 00:48:22.31 ID:jHGeCVGLo
>>391

【貴方に言葉を投げかけられ、鵺はふぇっ、と素頓狂な声を漏らした】
【それはまさしく出来の悪い生徒そのもの、授業中に寝てていきなり当てられた様相で】
【隣に座る友達に答えを聞くが如く、端末にチラリと視線を落としつつ】


はぅ……鵺ちゃんは、体育以外はてんでダメですしっ、いや、学校とか行ったことないですけどっ
うーん、そういうの考えるのは苦手と言いますか、不得手と言いますか……
さーっぱり想像つかないのですっ、リーちゃんパス!

 ” 本当に愚かですね屑。その頭の中にはパン屑でも詰まってるです? ”
 ” ……そっちの屑はだいぶマシです。大体の理由がそうです。 ”
 ” 更に踏み込んで言うのであれば、能力を制限する事での画一化でしょう。 ”


【かくいつか? と鵺が首を傾げる、手助けを求めるように皐月に視線を向けて】
【皐月が注釈を入れようと入れまいと、リーちゃんこと、端末の少女は続けるだろう】
【因みに彼女はリーイェンという。恐らく鵺が本名を紹介する事は、ない】


 ” この世界において、警察という統治機構が力を持つのは不可能に近かったです ”
 ” それは間違いなく能力者の存在にごぜーます。事実、過去の記録に残る大規模な能力者の事件 ”
 ” 解決したのは須らく能力者による自治組織ばかりです。対能力者においては管轄外でごぜーました ”

 ” ──だからこそ『魔制法』です。法律で能力者を取り締まってしまえば、警察が力を持つです ”
 ” 力を持った個人の消失は、力を持った組織の肥大化を示すです ”
 ” 警察、司法、行政──悪いことしそうな連中で、ごぜーます ”


【リーイェンの説明は理路整然とし、簡潔であった。彼女の見解というより、三課のデータベースのなせる技か】
【しかし不備もあった。法律で取り締まるとは些か空想的な話だ】
【そもそも能力者の多くは法の枠組みを超えている、だからこそ警察機構は今まで後手後手に回っていたのだが】
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/08(火) 01:17:38.10 ID:WO1fN2Nj0
>>392

【なるほど、鵺が特に何も考えていないことは分かった。……うん、それはそれで良いのかもしれない。】
【そういう思考は時に雑念となり、戦闘には邪魔なものかもしれないから。考えるのは考える人の仕事だ。】
【ということで、対話相手は端末の中の少女(?)にシフトする。……なかなか辛辣なようだ。】

画一化。……みーんな同じにしてしまう、という事ですね。
個の力を、抑制可能なレベルまでに抑えることで、相対的に自分達に力を持たせようと。
ええ、理屈は分かります。分かります、が……

【言葉に応えるような流れで、さりげなく言葉の説明をしつつ……同時に、自分に掛けられた言葉を飲み込む。】
【画一化。なるほど、能力をコントロール出来るまでに抑えることによって、手中に収めてしまうという事か。】
【理屈は分かる。しかし―――】

……能力を制限させる方法は?能力なんて生まれ持った物で、加減できる物ではありません。
りーちゃんさんの言うように法律で決めたところで、能力者の持つ能力が消えるわけではありません。

ならば、能力を消すしか方法はない。でも……能力を消す方法なんて、実在するのですか……?

【そう、制限だなんて言っても方法が分からないのだ。首を傾げながら、問う。一体どこに、そんな方法があるのかと。】
【自分の思いつく限りではそんな方法は無い。能力を消せるのなら、実現は可能だが……不可能なのではないか、と。】
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/08(火) 01:37:40.66 ID:jHGeCVGLo
>>393

【──それは、ハッキリとした言葉であった】


あります。能力を使えなくする方法は──現に私も、されました。
二回経験があります、一回は『テクノドッグス』という企業の技術です。これは一時的なものでしたが
……もう一つは、思い出すだけでもゾッとします

──『魔制法』の裏にいる存在は、非常に強力です、そして……得体が知れない連中です
私は知りません、あんな躊躇なく人を傷つけられる人を……
いえ、彼らを人と呼んでいいのか、それさえ──わからない


【鵺は思わず右腕を抑えた、言葉が落ち着いたのはその奥にある思い故か】
【直ぐに気づいて慌てて取り繕うように笑う、どこか痛々しい笑みで】
【──その様子ははっきりと伝えていた、能力を制限する方法があると】


えっと、さっきの『N2文書』とも関係するんですが、『魔制法』の裏にいる存在
──それは恐らく二つです、一つは"カノッサ機関"
恐らくはその人員が、この法律の大体を作り裏で糸を引いてます

そして、もう一つは……公安です。
我々のいるこの組織が、その法律の裏にいます
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/08(火) 02:05:04.12 ID:WO1fN2Nj0
>>394

―――!

【方法は、ある。そう告げられた時の皐月の表情は、言うまでもないだろう。―――驚愕の、一言だった。】
【あるのか。そんな悪夢のような方法が。生まれ持った物を一方的に奪い去るようなことが、有り得るのか。】
【それが真実かどうか問い直そうとして……やめた。こんな表情を浮かべるような事が、嘘であるはずが無い。】
【沈痛な面持ちは、さっきまでの元気が嘘のよう。一体何をされたら、あんな活発な少女かこんな風になるのだ。】

なぜ。……一体何の為、そんな……

【分からない。そうまでして力を持ちたいか。世界を支配したいか。あまりに己の価値観から離れすぎて】
【耳鳴りがする。一体、自分が巻き込まれた闇がどれだけ深いのか……気が遠くなりそうだった。】
【伝聞で知った自分でさえこうなのだから、当事者だったであろう彼女の苦しみはいかばかりか……想像もつかない。】

【―――だが。闇は、たった今考えた深さをも軽々と飛び越えて、さらに深いものだった。】

……こ、公安……!
自分たちの組織自体が、信用できないのですか――――!

【カノッサ。これは分かる。名前くらいは聞いたことがある、世界の裏側を牛耳る機関なのだと。】
【ならば、関与してもおかしくはないだろう。問題は、公安―――取り締まる側ですら、裏側についているという事。】
【法律を作るのも、その法律を履行して逮捕するのも、全て自由自在ではないか。これではやりたい放題―――】

……此処は。あなたは、信用して良いのですか。
どこまでが敵で、どこからが味方か、私には分からなくなりそうで―――

【あまりにも「裏」が多すぎて、もう何を信用すればいいのか分からない―――ああ、頼む。この少女の笑顔だけは、真実であってくれ。】
【そうでないと、もう何も信じることが出来なくなってしまいそうだ。縋るように貴女の目を見据えて……願う。】
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/08(火) 02:15:11.52 ID:jHGeCVGLo
>>395

【──それでも、と伝える様な表情で】
【彼女は皐月の手を取るだろう、手袋に包まれた小さな掌】
【両手で包み込む様に、精一杯ぎゅっと握って】


皐月姉は、なーにを心配してるんですかっ! 鵺ちゃんは皐月姉の味方ですよっ
そしてそして! 弱い人の味方です、正義の味方でもあるんですっ!
ですからご心配無くっ、大船に乗った気持ちで鵺ちゃんを頼ればいーんですよっ

確かに公安は真っ黒です、でも──『公安三課』だけは別です
此処は課員の事情が事情なので、公安にあって公安にない、独立した組織ですっ
なので唯一と言ってもいい程、信用できる存在です


【鵺は柔らかい微笑みを向けた、そこには先程の表情の名残があったけど】
【それでも彼女は蜂蜜色の瞳を溶かして、屈託の無い笑みを向けるのだろう】
【──それこそが、彼女の一番の武器だと告げる様に】


怖がらせちゃったらごめんなさいですっ、でも、それだけ大きな相手だって、知って欲しくて
そりゃ法律とか使ってくるんです、生半可な相手じゃないって分かってますけど
やられっぱなしは性に合いませんしっ、わるーい人たちが笑うのもやです!

皐月姉は、どうですか? 嫌じゃないですか!?
だって、無実なんでしょう? 悪いこと、なにもしてないのに!
……反対してるからってだけで、捕まったんですよ


【声のトーンが落ちた、取り調べも経験しているからなのだろう】
【味方がいない辛さ、罵倒される苦しさ、それも分かっているから】
【──心の底から、貴方に同調して心を痛めている、そんな色】
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/09(水) 00:22:10.40 ID:158D64mJ0
【水の国――旧市街】
【がごんっ、と大きな音がした。見れば人影が一つ、投げ捨てられていた空き缶を踏みつけた音であったらしい、きゃあと声が漏れたなら】
【次の瞬間にはかっこーん!と大きな音、――踏みつけられて凹んだ空き缶が八つ当たりされて宙を舞う、わずかに残っていた中身がきらきら飛沫をこぼして】

――――だああ、もう、何? いろいろ落ちすぎ! 治安が悪いとこってこれだから! ――もう、ヤね、さっきガム踏んだし……。
誰のガムだよって――――もう! ……はあ、言っとくけど、このことが終わったらもう手伝わないかんね、自分で処理してくれる、意味わかんないし!

【ぞろりと長いローブの裾を手繰って揺らす――ならば仕草は汚してやいないか確認するのに似て。いらだったような声は――けれど誰かが聞いていたなら】
【まるでボイスチェンジャーを通したかのように無機質無感情な声であるのに気づくだろう。そのくせ仕草は身繕いする獣のようにせっせと、だけど、あまりに不審であり】
【なぜなら――その人物が生物さえ分からないくらいに身体を全部。上から下まですーっぽりと、隠してしまっているから、なのだけど】

【長い布地のローブだった。黒すぎない黒色の布地は身体つきを全部隠しこむのに十分すぎるほど、目深にかぶったフードさえ、顔が少しも見えないほどで】
【そのくせ時々ちらりと見える中から推察するに、面――狐の面などしているらしかった。口調だけならば女のようにも見えたが、】
【身長は百七十前後と少し高い。長ったらしくだぼついた袖ごと左手を持ち上げて、まるでそこに話しかける――そういう光景。姿勢がやけにいいのが、いやに目立って】

……んでね、この辺だと思うのよ。数えてあげたんだから感謝しなさいよね。この辺が一番多かったんだから、多分この辺。
家と職場は抜いたわ。前の家も。前の前の家とかも抜いといたのよ。偉いわね。褒めてくれてもよくってよ――だんまりするの? 失礼ね、
もっと数年ぶりの再会を喜んだらどう、だってあたしは生き別れの――いッた!

【そんな"人影"がふらりと歩き出す――それこそ得意げな顔が幻視出来るような口ぶり、けれど声は変わらぬ機械声。歩き出して、またすぐにごしょん、と音がする】
【――さっき踏みつけ蹴り飛ばした空き缶。壁にでもあたって跳ね返ってきていたらしい。それに気づかないまま踏みつけ――流れる動作で、そのまま再び蹴り飛ばす】
【けれど今度は先ほどよりいらだっているみたいに、素っ頓狂な方向に蹴り飛ばす。――はあーと長い溜息一つ。その先に誰かいるかもとか、何かあるかもとか】
【"そういうこと"を考えているような様子は、まったくなくって――】
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/05/09(水) 15:17:42.78 ID:sFmC0fWpo
【UNITED TRIGGER本部 酒場】
【昼とは違い日が沈み肌寒くなってきた時間帯にて、休業時間中の酒場の中で二人の人物がまだ店内にて動いている】
【一人は酒場の一席に座り、念入りに『OPEN』『CLOSE』の看板を磨いているようだ】

【その人物は、黒い短髪を若干しゃれた状態に整髪料で整えた、自身満々の顔つきとは裏腹に若干年若い印象を与える顔立ち】
【新品同様の真っ白な白衣に身をまとい、その下には白地に薄い青色ストライプのブラウスに真っ黒なスラックスをはいている】
【右耳にはインカム型の機械、右手にはマニピュレーター、そしてその首には髑髏模様が際立つ奇妙なデザインのネクタイを首に絞めている】

【話し相手は三日月の髪飾りで結われた黒のポニーテール。アンテナのような機材が取り付けられた耳。白いフリルとエプロンに飾られた黒い侍女服】
【大柄な男性の体躯とは裏腹に130cmほどの小柄な背丈の彼女は、バーカウンターの奥でちょこちょことせわしなく動きながら掃除をしている】
【小柄すぎてバーカウンターの奥に行くと髪飾りと黒髪くらいしか見えないが、奥で床をモップ磨きしているようだ】


……ジャンクちゃん、世論の流れはいよいよまずい事になってきたようだ
先の水の国デモ襲撃の話は聞いたね?彼女の立ち位置は相当まずいことになったし、民衆たちもいつ暴徒化してもおかしくはない
下手をすれば能力者たちの魔女狩り時代が始まりかねない状況だ

『……最悪の事態が起きれば、そのきっかけとなった彼女の罪はどうあがいても償いきれないほどの規模になってしまう、と思われますデスヨー』

その通りだ。思ったより冷静じゃないか
魔能制限法も後押しし未曽有の大迫害の火種となりかねないほどの物になってきてる、というわけだね
状態はともかく、可能な限り早急に彼女の行動は止めなければならない

……そして、状況はさらに悪いことに、今この場にこの店の……この『組織』の主は不在と来ている。実にマズいな
剛太郎くんとドラくんの力を借りるとしても……まだ足りないな


【いつになく焦燥した表情を見せる両者。最もメイドの方は今まさに換気扇掃除に飛ばした弱めのリモートロケットパンチくらいしか見えないが】

【さて、現状白衣の男が『CLOSE』の看板を磨いているため、開け放たれている酒場の門から足を運ぶのも自由にできる状態になっている】
【正義組織に用事がある者などは、足を運んでみてもいいかもしれない】
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/09(水) 15:23:35.14 ID:gPof0OPj0
【風の国――街中】
【ランチタイムもとうに過ぎ去って、行き交う人の波も大分静まった】
【このくらいの時間帯、歩き回っているのは主婦くらいか。そんな中で、かつかつと】
【そういった穏やかな人種が立てるものとは思えない、硬質なヒールの足音が鳴っていた】

……お、も……重っ、くっそ、買いだしなんて車持ちのヒトがやるやつでしょ、
クソーっあの卵焼き野郎っ、あたしに全部押し付けやがってっ!
鈴音も鈴音だよっ、なにあれレシピじゃないじゃん!? ほぼ日記じゃん!
分量ぜんぶ「てきとう」とか「いい感じ」とか、ぼんやりした書き方、しちゃってっ……

【――両の腕にみっつずつくらい、パンパンのビニール袋をぶら下げて】
【さらにでっかい紙袋を抱えてよたよた歩く、背の丈からして年若い少女】
【履いているのは真っ赤な厚底靴――おそらくこいつが足音の主】

【そんな少女が抱えていた紙袋、ぱっと見る限りその中身は新鮮な野菜で満たされていて】
【てっぺんの方に潰れやすいトマトがいくつか詰め込まれていた――のだけど】
【よろけた隙に転がり落ちていく。あ、と声を上げても、両手が塞がっている状態じゃどうしようもなく】

【ころころ、転がっていく真っ赤な実。進んでいく先は路地裏】
【そうなれば当然、追いかける赤い靴も路地裏の方へ。暗がりの方へどんどん、突き進んでゆく――】
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/09(水) 15:30:15.92 ID:pT9RQ9Mzo
>>398

【酒場の入り口、開け放たれた扉をコンコンと叩く音が響く】

あ〜、ちょっと失礼
これはあれかな、休業時間中に来てしまったかな?
遠路はるばる来たことを理由に入れてほしいんだが、ダメかな?

【出入り口に立っていたのは男だった】
【格好は背広のないスーツ姿。右手には仕事用の鞄。一見した風貌は完全にサラリーマンのそれだ】
【年齢は二十代後半から三十代に見える。若いような、それでいて老獪な雰囲気もある奇妙な男だった】
【髪の色は漆黒。それと同色の双眸が二人の様子を窺うように向けられていた】
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2018/05/09(水) 15:57:29.91 ID:GiR8Iqnlo
>>374
【ジルベールという男を、カニバディールは良く知らない。その過去も、その名が奪ったものであることも】
【だが、その頷きとその裏に感じ取れる彼の合理性を見れば、氷山の一角なれど彼の内面が垣間見える】

【まさに、あの車両と同じ。あの装甲と武装は、ある意味では彼そのものだ。常に慎重を期して、不安要素を潰していく】
【ゆっくりと、しかし着実に。この男の野望はこの世界に浸食しつつある】


その通りだな。だからこそ、本来なら指揮する者と前線に立つ者は分業をするべきなのだろうが
必ずしも、それが出来るとは限らないのが難儀なところだ

期待に応えられるよう、尽力しよう

【胃に流し込んだコーヒーの温度も感じられなくなってきた。同時に、差し出される端末が異形の脳を刺激し、新たな熱が身体を駆け巡る】
【すなわち、悪意の熱が。それでいて、その目は冷たく冴えていく】
【端末を受け取り、その位置を確認し、脳裏にも地図を焼き付ける。獲物を見定める獣のごとく】

だろう? 自分でもよくここまでの異形になったものだと、笑いたくなる時があるくらいだ

そうしよう。どこまで通用するかはわからないが、悪魔対策の装備は万全にしておくとも
……ああ、感情としては思い出したくもない記憶だが、以前と同じ轍は踏みたくはない
あの半魔の時に受けたような傷と屈辱は、もう二度と御免だ

【台所へ赴くジルベールの背を見送りつつ、異形は顔をしかめた。半魔との戦いを、無理やりに脳裏に呼び起こしながら】


……ああ、彼女からも聞かされた。世界を買う=Bそれが決して戯言ではないということも理解している
目の前の問題が第一ではあるが。先のことも無視はできないな

個人的には、貴方が買い叩いた後の世界には大いに興味がある。こうして、大金をいただいてもいるわけだしな


――――私には、個人的利益の他にもう一つ、重要視しているものがある
意外に思われるかもしれないが……恩義だ

【低い声で、突然そんなことを言い出したカニバディールの三つ目はしかし、真剣な色を宿してジルベールの方を見た】

機関には、私と私の手下の命を救ってくれた存在が二人いる
参謀・ソーン閣下。そして会計係のコマチ様だ。私が知る多くの機関員が消えてしまった今、数少ない恩人たちだ

このお二人と、貴方の利害が衝突していない間なら……私は貴方と手を組もう
残念ながら、ここ最近はお二人の陣営も動きがなく、その最終的な目的についても詳しく知っているわけではない
ゆえに、正直なところ条件というにも弱いのだが……それでも、これだけは伏せておきたくはなくてね

(ロッソには少し悪いが……酒場での話とは状況が違う。少なくとも、『黒幕』が支配する世界よりは、暮らしやすいということで勘弁してもらおう)

【彼の投資、それそのものは異形にとっても悪い話ではなかった。機関に身を置いてからの数奇な運命が無ければ】
【おそらくは、彼の誘いに飛びついていたことだろう。しかし、この異形にも歩んできた道のりはある】

【ただ二人。裏切れない存在。その二人と敵対することがない限りは。異形の盗賊は、王の足元に傅くことを厭わないだろう】
402 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/09(水) 16:09:23.55 ID:sFmC0fWpo
>>400

【ちらり、と白衣の男は席に座ったまま、サラリーマン風の男の姿にむけて目に向けるだろう】
【年頃はあまり自分の見た目と変わらないくらいだろうか?どうやら自分が看板を磨いていたから思わず入ってきてしまったらしい】
【手元の看板に目をやると、彼はふっ、と仕上げに一息吹いてほこりを落とすと立ち上がり、軽々と看板を男のすぐ横の扉めがけて投げ込み引っ掛けるだろう―――『CLOSE』】


いや構わないよ、店を閉めてなかったのは私だ
一杯くらい飲んでいってもかまわない。―――かけなさい。何か飲むかね?

『いらっしゃいませ!すぐにご注文をお取りしますデスヨー!』


【カウンターの奥から侍女服の小柄な女性がいままさに飛ばしていた腕をがちゃんと引き戻し、シュー!と何らかの機能で手指を清める音を発すると】
【即座に奥からかけより、男をエスコートし、近くの席へと案内するだろう】
【結構手慣れている。彼女はどうやら接客業の経験は豊富なようだ】


『遠路はるばる、とおっしゃいましたが……この場所に足を運んでくださったのは緊急のご用事でしょうか?
ワタシどもでよろしければお話をお伺いいたしますデスヨー。ゆっくりお休みがてらお聞かせくださいませ』

ああ、「遠路はるばる」ならばここに来る用事はまず「正義組織としてのここ」に用があって来た用事だろうからね
悪いようにはしないさ、座ったままでいい―――話してくれたまえ
おっと、紹介が遅れたが私はジンジャー・ユースロット、こちらはジャンクちゃん。今ここの留守を預かっている者だ


【遠路はるばるきた時点で彼らは用事はおそらく『緊急』の物であると即座に判断した】
【とても話はスムーズだ、彼らはスーツの男から注文を取る用意をしながらすでに彼の要件を聞く姿勢に入っている】
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/09(水) 16:20:42.10 ID:pT9RQ9Mzo
>>402

【女性────”ジャンクちゃん”と呼ばれた彼女の腕が戻されるのを見て、男は驚きと感心の入り混じった表情となった】

おぉ、君は面白い身体をしているね?
それは機械のものか……実に興味深いよ
それに、言語能力も優秀、所作も申し分ない。君を作った技師はかなりの腕の持ち主だね

【機械の類に造詣が深いのか、彼女の肉体構造に感動した様子で言葉を並べ立てる】
【エスコートに従って席まで移動。鞄を机の上に置き、メニューがあるならばそれを手に取る】
【彼らの対応の良さに────しかし、男は苦笑を浮かべていた】

あー、よろしく。ジンジャーさんにジャンクちゃん
で、非常に心苦しいというか申し訳ないんだが……そういった理由で来たわけじゃなくてね?

いや、遠路遥々来た、というのは本当なのだが、出張で来ていてね
それで、折角ここらまで来たのだから、あのUTの酒場というものに来てみたかったというのが本音なんだ
だから厳密には「正義組織として」用があったわけじゃないんだよ、すまないね

【理由は極めて簡単で、彼らの予想を裏切る形になってしまったことへの罪悪感の表情だった】
【彼の目的は単なる観光だったのだ。目尻は下がり、「いやぁ」なんて言って申し訳なさそうにしていた】
404 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/09(水) 16:36:04.73 ID:sFmC0fWpo
>>403

【ジャンクちゃんの性能に言及されたくだりでは―――彼は全く表情を変えず、飄々と受け答えに応じるだろう】


―――……まあね、『彼女』を設計・制作した連中は正真正銘の凄腕ぞろいだったからね、当時私も制作に携わった
とはいえそれからは長い事彼女の新しいパーツは私が制作し組み込んでいるからボディの9割以上はもう私の作品なのだが
つまり……おお、かなりの腕の持ち主とは私の事ではないか

『……いえ、大変失礼しました……ジュニアハカセの自画自賛はもう今更止めようがございませんので……デスヨー』


【若干、申し訳なさそうな苦い顔でジャンクちゃんは一度頭を下げるだろう】

【メニューにはサワー、カクテル、和酒から洋酒まで一通りの酒はそろっているらしい、なるほど酒場らしい】
【右半分にはちょっとした酒のつまみになりそうな小さな料理もあり、チキンから豆、小魚まで大体の物はそろっているようだ】


おやこれは失礼、仕事の合間に立ち寄った用事だったか……いつもご苦労様だ
あいにくここの主は留守にしているが……店を任されている者は何人かいてね。今日は我々が受け持つ日なのだ

『緊急性のある用事など、「ないほうが喜ばしい」とワタシは思うのデスヨー
そういう事でしたら、ゆっくりしていってくださいませ、メニューの簡単なお料理でしたらすぐにでもご用意いたします』


【緊急の用事でないことに安堵し、若干対応も柔らかくなったように感じるだろうか】
【まずジャンクちゃんはお冷とおしぼりを席に置き、ゆっくりとメニューから決めてもらう用意をすることだろう】
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/09(水) 16:49:35.51 ID:pT9RQ9Mzo
>>404

おお、貴方が彼女を作った、と?
それは素晴らしい。いやいや、自画自賛も仕方のないことだとも
それぐらい君の出来は技師である私から見ても素晴らしいもなんだ。感動と尊敬の念を覚えるぐらいにね?

【ジンジャーの自画自賛の言葉に、男は大喜びで同意していた】

いやいや、慌てさせてしまって申し訳ない
あー、とりあえずビールがあれば頂きたい。仕事終わりにはやはりこれが一番だ

……しかし、主が留守、ということはそれはセリーナ・ザ・”キッド”のことだね?
観光気分で言うのは極めて無礼な考えだと理解してはいるが、やはり有名人に会えないというのはちょっと残念だな
うん、とても残念だ……やはり、仕事か何かでいらっしゃらないのかな?

【ジャンクちゃんに注文をしてから、男の話題はUTの主についてのものへと移る】
【観光気分の彼からすれば、お目当ての一つだったらしく、残念そうにしていた】
406 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/09(水) 17:33:00.32 ID:sFmC0fWpo
>>405

【技師、と名乗った所でジンジャーの表情がやや緩み、少々好意的な目で見始める】


―――おや、貴方も技師かな?
やはりこういう専門的な出来を見抜いてくれるのは同じ学問を収めている人間という訳だ……
称賛の言葉の質もあがりうれしさも一入あがるというわけだ……いいねぇ

『なんだか、ちょっと照れ臭くもありますけどね……あ、ビールですね!すぐにお持ちいたしますデスヨー!』


【すっと後ろに引っ込んだジャンクちゃんが戻ってくるのはせいぜい1分もなかっただろうか】
【それなりの大きさのジョッキになみなみと注がれたビールを、彼女は無駄のない身のこなしで一滴も零れることなく彼の目の前に置いていくだろう】
【終わって少し距離を取りジンジャーの横に動きながら、彼女たちは次の質問に答えるだろう】


セリーナ君はね、仕事でいないのではなく敵に捕らわれたのだよ……だから我々が戻って来た

『……ええ、まさかワタシたちが留守にしている間にセリーナさんが捕らわれる事になろうとは……
彼女もここまでの戦いの中で大きく成長をとげ、立派なリーダーになっていました。ですから、ワタシ達は
「彼女がいれば大丈夫だ」と判断して、つい最近までこの場を離れていたのデスヨー……』

当時正義組織側のほうが優勢で、余裕もできていたから久方ぶりにトレジャーハントの計画を立ててね
元々私は冒険者なのだ、だから今回は『魔界』へと手を伸ばし未知の秘宝を求めそこそこ長い期間この場を離れていたのだが……
突如主力のメンバーが連れ去られたという知らせが我々の元に届いてね。急遽冒険を中断し戻ってみたら、セリーナ君はいなくなっていた

だから、ここから何かあった際は我々が戦わなければならないわけだな。我々はUTの皆と共闘する間柄だった。いざというときは力になるという約束事があったからな……


【セリーナは今この場にいない。『敵』に連れ去られ現状彼女は捕らわれの身なのだから】
【彼女の代わりに戦わなければならない身分にあるのがこの二人。UTのメンバーの危機を悟り、なんと『魔界』から舞い戻って来たとの事だ】
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/09(水) 17:45:34.76 ID:pT9RQ9Mzo
>>406


ははは、彼女ほど素晴らしければ、専門的な知識がなくとも人々は賞賛するだろう
だがそれはそれとして、やはり繊細な部分については知識があるからこそ感動できる
私は貴方ほどの技師ではないが、それでも優れた技術を理解することぐらいは、ね
いや、いいものを見せてもらったよ。それだけでも、ここに来た甲斐があったというものだ


【ジャンクちゃんの配膳を見て、さらに男は「ああ、細やかな動きも素晴らしいな」と賞賛の言葉を付け加えた】
【そして机にビールの注がれたジョッキが置かれると「じゃ、失礼して」と一言断り、それを手に取り、二人に掲げてみせる】
【ジョッキに口をつけて軽く傾けて、ビールを飲む。味を噛みしめるように唸り声をあげる】


ん〜、美味いな
やはりこれだよ。仕事にはこういった報酬があるべきだ、しかるべき報酬がね
見返り、と言ってもいいな。例えそれが主な目的でなかったとしても、何かあるべきだよ、うん


【ジョッキを机に置き、二人の話に耳を傾ける。男はその内容に驚いた表情を浮かべる】


敵に捕らわれた? それは本当か?
事実だとしたら大事じゃないか、あの世界を背負って立つセリーナ・ザ・”キッド”が負けたっていうのか?
……単なる一市民に過ぎない私としては、彼女がどれほど強く、どれだけの戦いをしたのか想像もつかないが
しかし、大変なことだというのは分かる。彼女がいなくなって、この世界は大丈夫なのか?


【男の表情が不安そうなものへと変化する。口から流れ出すのは正義の旗印がいなくなったことへの心配だった】
【「『魔界』というと、あのアルターリの?」と、その言葉にも反応を示す】
【アルターリに出現した空間の裂け目は『魔界』へと繋がっている、という政府発表もあった。そのことを思い出したのだろう】
408 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/09(水) 18:28:09.07 ID:sFmC0fWpo
>>407

お褒めの言葉感謝するよ、ジャンクちゃん本人も鼻が高かろう
彼女には、この物騒な世の中でやっていけるだけの『力』を与えた……数多の能力者が相手でも渡り合える頑丈さと格闘性能
数多の鉄壁を貫く重火器、そして愛嬌のいい顔立ちに身のこなし、作法……相手に失礼がないよう動くだけの教養があれば多くの味方を得られるわけだ


【ビールを飲み干しながら、鼻も高々にジンジャーは称賛を素直に受け止める事だろう】
【だが、突如不安そうに声をかけてくるその内容。そうだ―――セリーナは今ここにいないのだ】
【正義の旗印ともいうべき彼女の不在は、多くの者たちにとっての精神的な柱を抜き取られたに等しい事だろう】


―――だから、我々が戻って来たのさ
セリーナ君の不在……これは無辜の民にとってまぎれもないピンチなのは間違いない
さりとて、まだ絶望するには早すぎる。まだ人々にはこの私がついているのだからね……まだ、万策尽きたとあきらめるには早すぎる

『ええ、我々はこれまで幾度も戦いぬいてきたのデスヨー。いかな野望を持つ者が現れてもワタシとハカセはこれを幾度も挫いてきた
なんだかんだで戦闘経験は豊富なのでございます。ですので……我々が残ってさえいれば皆さんはまだまだ守り切ることが出来ますのでご心配なさらないでくださいませ
ですから、早くセリーナさんを奪還して万全の体制を築かねばならないのデスヨー』


【彼らは自信満々にそう言い放った。セリーナが不在な時だからこそ自分たちが存分にその力を発揮し人々を守り抜いて見せると】
【だから絶望に心折れるにはまだ早すぎると、そうたしなめてきた】
【ジンジャー・ユースロット。ジャンクちゃん。二人がどれほどの力量の持ち主かは知らないが―――それをやってのけるだけの自信があるのだろう】

【続けて、魔界に関しても彼は意気揚々と語ってくれた】


ああ、つい最近にもアルターリで向こうとの裂け目が生み出されたなんて報告もあったね
私の場合は知人のコネを使ってもう少しサイズの小さい入口から通してもらったのさ。あちらの見分はまだあまり広くはないかもしれないが
あの場所はとてもいい所だったよ。神秘的な環境があった。こちらとはまた違った人々の営みがあった。

種族もここ以上に千差万別さ……だが種族こそ違っても、素敵な女性はどこまでも素敵な者たち揃いだったとも!
まあ、基本的には平和な場所ではあるが……確かに向こうの力を持った、なにかよからぬことを企んでいる者たちの話もなんどか耳にしたこともあった
だから、突然両者を繋ぐような目に見えて目立つ大きな裂け目など作るべきではないはずなんだよなぁ……

『ええ、確実になにか悪事を働く目的で作り上げられた『裂け目』だと思われますデスヨー……そうでなくても『不正な出入り口』は犯罪の温床
なんとかしてあれをふさぐ手立ても考えなければならないのデスヨー……』


【そう、セリーナにこの世界の平和を任せていた間、彼らは『魔界』を旅していたとの事だ】
【あの『裂け目』の奥に広がる未知の世界がどういうものであったのかを彼らは彼らなりに知っているという事でもあるらしい】
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/09(水) 18:37:52.63 ID:pT9RQ9Mzo
>>408

【「素晴らしい設計思想だ。非の打ち所がないな」──そう言って男は一旦、ジャンクちゃん、引いてはジンジャーへの賞賛を打ち止めとした】
【そして彼らの確かな自信のある言葉により、その不安な表情は払拭されて一転、希望を見出したようなものへと移り変わった】


なるほどなるほど。UTはセリーナだけでなく、二人のような勇士によって支えられているというわけだ
無辜の民の一部としては、それを聞かせてくれたのなら安心できる。平和は守られるのだ、とね
もちろん、そうであったとしても彼女は助けられるべきだ。平和を維持する機構を万全にするためにも

……つまりは、そういうことだね? ジンジャーさんにジャンクちゃん


【自らの考えと解釈を話しながら、それで合っているかと尋ねるように、二人へと視線を向ける】


悪事を働く、か
しかしだね、素人意見なのかもしれないが、あれ自体はいいんじゃないか?
あぁ、つまり、確かに何とかする必要はあるかもしれない。だが、あの裂け目の管理はすでに政府が行なっている
軍が警護をして、裂け目とその『向こう側』とやらの調査だってやっているんだ
だから、裂け目への対応はすでに完璧なものだと、そう考えていたのだが……違うのかな?


【『魔界』及び裂け目については、自身の考えと合わない部分があったのか、それほど危機感を持ってはいない様子だった】
【一度首を傾げてから、再びジョッキを手にとってビールを飲み込む。「ん〜」とまた呑気な声を出していた】
410 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/09(水) 18:59:48.32 ID:sFmC0fWpo
>>409

ふふふ、理解が早くてとても助かるよ御仁。
なので……安心していい。直にセリーナ君も救出し、君たちの安全は万全なものになるだろう

『だからこそ今心配なのは……セリーナさん個人の事ですね……
捕らわれの身となって今どんな扱いを受けていることやら……彼女を生け捕りにしている時点で何か死なれたらマズイ事があると
考える一方、その代わり間違いなく疲弊している事は……間違いないのデスヨー』


【『いざとなったら、またワタシが……』、そんな一言と共に彼女は今捕らわれているセリーナの安否を気にかけていた】
【ジャンクちゃんの言葉を聞くと同時、ジンジャーも己の手を見つめ始める。今この手で、彼女のために何をしてやれるだろうか、と】

【そして、裂け目に関する情報に関してはジンジャーもまた意見することだろう】


そうだとも。現状政府ががっちり警護しているし、調査の経過も順調との報告を受け取っている
この私も控えているしね。いざってなったら駆けつける用意もできているし、少なくとも『こちら側』から仕掛ける者たちへの対応は問題ないだろう

―――だから懸念しているのは逆に、『向こう側』に悪意のある者が現れてあの裂け目を悪用する事を考える者が現れた場合だね
ちょっとやそっとの連中くらい彼らや私の敵ではないのだが……向こうに住まう魔族もピンからキリまである
それこそかつてのリリア君のような……こちらの"六罪王"に匹敵する強大な魔族が現れた場合こそがピンチかな。

『まあそもそも"六罪王"クラスの敵の出現したらどういう状況でも普通に脅威だと思いはしますが……』


【『魔界』という所には当然のようにすさまじい力を持った強大な魔族も存在しているという。噂話とかでも聞くような話ではあったが】
【ジンジャーはそれが『実在』していると言い切った。そしてこれから不測の事態があるとしたらそちらだろうと警戒を強めていたようだ】
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/09(水) 19:24:53.29 ID:pT9RQ9Mzo
>>410


…………うん、それならば良かった
”疲弊しているのであれば助けなくてはならないね。そのような状況からは、確実に”

やはり助け出した後は、セリーナ・ザ・”キッド”はすぐに私たちを助けてくれるんだろうか?
つまりまた、以前のように世界のために戦ってくれるんだろうか? そのあたりについては、どうお考えかな?

何せ、最近は能力者への風当たりが強くてね。もっと言えば、このUTへの批判もかなりのものだ
聞けば、構成員がフルーソでテロを起こしたとも聞く。ちゃんと責任を取っていないじゃないか、という批判もある

そういったものをちゃんと跳ね除けてでも、私たちを助けてくれるのかどうか
そこが、私は気がかりなんだ


【男の言葉はどこか奇妙なものだった。予め用意された台詞を暗唱するかのような違和感を与えるようなものだった】
【話は彼女が助けられた後のものへと移る。男は再び不安そうな表情を浮かべて、セリーナがどう動くかについて述べていた】
【世論はほとんど反能力者に傾いている。その煽りを受けて、UTへの批判も少なくない。そのことを男は気にしているようだった】


六罪王というと、カノッサの?
そんな強大な存在が現れるのは御免被りたいな……何とも恐ろしい話だ
軍やレヴォルツィオーン社の人員が向こう側の調査をしていると聞く。一応、危険がないか調べている、とも
彼らがきっちりと対処してくれればいいが、果たして上手くいくんだろうか


【ジンジャーの次なる意見には男も同意、というか、怯えるような様子を見せていた】
【六罪王という言葉が恐怖を促したようだ。軍がいると知っていても尚、安心できないようだ】
412 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/09(水) 19:56:02.14 ID:sFmC0fWpo
>>411

【ぴくり、とジンジャーとジャンクちゃん、両者の眉がやや上がる】
【彼の言葉に何を思ったのかはこの場では読み取れない。だが、彼の心配する事に関しては普通に受け答えしてくれるだろう】


……ま、彼女が戻って来たなら……きっと困っている者たちのために助けにいってしまうんだろうね
たとえ民衆たちが味方しなくても……あるいは敵に回ったりしたときのためにもね。そういうときのために我々はいるのだ
我々のように……能力者でもないただの人間でありながら、戦う者がね。彼らと同じ、『ただの人間』が

『その話を始めると……元はと言えばセリーナさんもただの人間でございます
特殊な力は"弾"末魔によるモノで、彼女自身の強みは並外れた拳銃の腕前という等身大の人間のモノ
それが今以上に知れ渡れば……ひとまず彼女自身への風当たりは弱まることデスヨー』


【―――ジンジャーは科学者、ジャンクちゃんはその兵器、その戦いの中で『異能力』に分類される力は確かに目撃されてない】
【『UT』や『SCARLET』などの正義組織の中でもそれなりに稀有な戦力であると言えるだろう】
【無能力者側によりそう存在がいる。そしてセリーナも本来そちら側の一人である。この事実が彼らの心に楔として打ち込められれば】
【反能力者な世論に関するUTへの風当たりを防ぐ最初の『一手』となるであろうことを彼らは堂々と言い放っていた】


……さいわい、こちら側の世界にも多くの強敵を倒してきた強力な戦士たちがいる。そうしたものたちが
いざというときの号令で即座に集うシステムもこれまで多く作られてきたし私も手掛けた。そうした人々の『勇気』が多くの困難を乗り越えていたのだ

セリーナ君という穴は大きい。だからこそ。こんなご時世だからこそ残る我々の力が万全であることを何とか示したいし
いざとなれば増員の一手をうちに行くのも悪くない……まあ、状況はまだまだ大丈夫さ、『戦う者は皆命を持ちこうして生きている』のだ
だから絶望するには早い。心配などせずともいい―――皆の傍にこの私がいると示していきたいものだね


【ふふん、と自信満々な一言を残しながらジンジャーは己の実力の確かさに裏打ちされた自信をこれでもかと見せつけてきた】
【セリーナたちの欠員があっても我々は負けない、抗い続ける、と堂々と言い放って見せたのだった】

【そんな彼の姿にジャンクちゃんも苦笑しながらも何も言葉を挟みなどしなかった―――今言った言葉は真実だ、と確信しているからだろう】
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/09(水) 20:26:31.39 ID:7P08e6IG0
【路地裏――】
【特に細い道のエリアから抜け出た先、急に道が開けるのはかえって落ち着かない気がするような――そういう、場所】
【こつん……と小さな足音がした。ならば予想通りに細道から人影が一つ出て来る、数度警戒するようにきょろきょろと目線を動かしたなら】

……よしなのっ、誰もいないわ! もう、大変なの、能力使えないってね、ドキドキしちゃうっ!

【こそりとひそめた声が――だけれどどこか嬉しそうに呟いた。小さなガッツポーズをしてから――けれどもあまり長居はしたくないよう、また歩き出し】
【――ひどく小さな人影だった。背の丈だけで言えば子供と変わらない……というよりも。見つけたならば、気づくだろう。それはあまりに当然に、子供であって】
【ちょっとしたお使い帰りという風な顔をして、出てきたのだ。ずるっこの近道をした後みたいに、ぱたぱたっと小さな足音、向かう先はまた、どこかの細道であったなら】

まったくね、鈴音お姉ちゃんたらね、二度目だわっ、前もね、たくさん探したのよっ。
…………えーとね、音々子お姉さん、どこかなっ? あとで合流して……、そしたらね、作戦会議でしょ、ケーキが食べたいな、なの。

【ぽつりとした独り言が漏れる――といっても、子供であるからか。声量はわりに普通のもの、静かな道であったなら、誰かが居さえすれば、聞き取るのはたやすく】
【どうやら誰かを探している……ように見えた。危険な人物がいなさそうなのは真っ先に確認していたから、今度は――探しビト。いるかしら、と、視線をきょろきょろ】

【そのたびに淡いクリーム色のツインテールがふわり、ひらり、と揺れる。真夏の青空色の眼、まあるい垂れ目――右目の下に毒々しい紫色で蝶のタトゥが刻まれ】
【黒色と白色を基調にしたゴスロリ調のワンピースの裾をぽわぽわ揺らして歩いていた、足元は爪先のまあるいおでこ靴で――ことんことんと軽い足音は】
【声と足音だけでも子供だと知れる。目で見ればどうしたって子供に相違ない。――五つか六つほどだろうか。この時間に一人で歩いていて"正しい"はずもないのに】
【周りに保護者らしいような人物はうかがえず――挙げられる名前も、とうてい、親相手であるようには思えないような、もので】

とりあえずね、今日はね、あっちまで行くわ、イヌさんの像がある、公園! そしたらね、音々子お姉さんにお電話して――、

【ぶつくさとしゃべくりながら歩く――そんな様子は、見つけてしまえば、いやでもよく目立つ。そういうたぐいの、異質さがあって】
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/09(水) 20:31:43.92 ID:pT9RQ9Mzo
>>412

【ジンジャーの言葉に男は静かに頷いていた。その力強い言葉によって、彼の表情から不安は払拭されていた】
【ジョッキを手に取って、またビールを飲む。そうしながら、時折、相槌を打って話を促す】
【いくらか中身も少なくなってきていたが、まだ継ぎ足すほどじゃない。そんなジョッキを机に置く】


民衆が味方しなくても、か
もしも大勢の人間が批判する中で、それでも己の行動を続けられるのだとしたら
それは……何なのだろうね。それは良いことなのか? 少し考えてしまうね

確か、セリーナという女性は地の国かどこかでテロに加担している疑いもあったと思う
そういった方向からの非難も強かったと記憶しているよ……彼女はそれを跳ね除けられるのだろうか?

そのあたりはどうかな。二人は、どう考えている?
また、貴方たちがいれば究極的にはセリーナ・ザ・”キッド”がいなくとも、世界の平和は維持されそうだ
それについては?


【問いかけが重ねられる。民衆に対してさえ戦うことに対して、まるで懐疑的であるかのような言い方だった】
【さらにセリーナが、かつてベクターという六罪王が起こした事件の場にいたことを男は引き合いに出していた】
【それを踏まえた上で彼女が戦えるのか。ジンジャーたちがいるのであれば彼女は必要なのか。それを男は問いとしていた】
415 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/09(水) 21:18:23.01 ID:sFmC0fWpo
>>414

……ヒーローになっちまう人ってのはなんというかね……苦境であっても『正しいと信じた事』を曲げず、周りに流されないんだ
かつての織守君もそうだったが、本当に意思の力が強い者たちの元に人々は集う。―――最もお察しの通り、無理したダメージは引き継いでしまうがね
そういう時のために我々はいるのだ。苦境に見舞われていても心の苦しみを取り除ける者。そして―――民衆たちとの摩擦を軽減する者がね

そのためにもセリーナ君"たち"の無実を証明する事も……必要だろうね
一つは、彼女たちの心を操った下手人を徹底的に撲滅する事と、無実の証拠を突きつける事
そしてもう彼女たちの心は問題ない事をアピールする事。その全てをやるのは……決して不可能じゃないと私は思う

【カウンターに肘をついて、遠くをみながらジンジャーはそうつぶやいた】
【責任感、カリスマ性。そういったものを持つ人間はまれだ。そういう人間を守れるしくみがほしい、と彼はずっと作り続けてきたのだ】
【だからその技術を差し出した。だから戦力として戦い続けた。それが自分のやるべきことと信じて】

【そして、最後の問いについては彼は椅子にやや行儀悪く腰かけたまま、屈託ない笑いを浮かべつつ言い放つ】


―――おいおい何言ってる?セリーナ君どころか……究極的というのはね、『我々すら必要がない』世界というものだよ
"英雄なんていらない"世界。お役御免になってその後は人々と共に過ごすなり自由に生きるなり出来る世界こそ究極系というもの。
今回の事を思えばなおの事そうしたいと思ったよ。そうしてみせる。そうなってもらわなきゃあ私が困る。おちおちレディたちとデートにも行けないだろう?

―――そのためにはセリーナ君の力は必ず必要になる。ここに必要な人間が存在する以上最後の質問は何も問題はない
そう、なにより……セリーナ君のような素敵なレディが傍にいるのといないのとではモチベーションが全然違う!私のね!!


『……ほらぁ〜最終的にはこういうオチに持っていくのデスヨーこの方は〜……いやなんだか申し訳ありませんデスヨー……』


【男の傍にかけより、やや申し訳なさそうに頭を下げるジャンクちゃん】
【……そうか、こいついつもこんな事ばかり言っているのか……ジンジャー・ユースロット、有名な逸話通りなるほど、稀代の女好きであることは間違いないらしい……】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/09(水) 21:37:17.63 ID:pT9RQ9Mzo
>>415

【「ふむ」と一言呟き、脚を組んで、その上で両手を組み合わせる】
【少しずつではあったが、男の気配、雰囲気──そういったものに変化が現れ始めていた】
【単なる一般人ではない何か。注意深い観察力が必要だが、ただのサラリーマンではないと、ジンジャーになら見破れるかもしれない】


ああ、私の述べた事としては”民衆に敵対することはどうか?”ということだったが
しかし、そうだな……なるほど。”君”のような者が、いわばサポートをすると、そういうことか

そして……彼女の”力”が必要だ、と
確かに、最終的には英雄の不要な世界が理想的なのかもしれないな

だが、”報酬”は? 私がさっき言ったこと、二人は覚えているかな?
”仕事には報酬があるべきだ。主な目的でなかったとしても、何かあるべきだ”
民衆に批判をされ、心をすり減らし、結果として平和が訪れて、それで?
それだけで彼女は満足か? …………本当に?


【頭を下げにきたジャンクちゃんに向けて手を掲げ、気にしていないと示す】
【「素敵なレディかは別として、良い女であることは同意するとも」などと言ってジンジャーの言葉に頷きさえする】
【ジャンクちゃんにとっては残念かもしれないが、どうやらこの男も同じタイプらしい】


個人的な興味として聞かせてほしいのだが
セリーナ・ザ・”キッド”とはどういう女性なんだ?
つまり、君たちからはどういう女性、人間に見えている?

気高い理想を掲げて戦い続ける、真に強い人間……とかでもいい
”彼女のことをよく知らない”私に対して、是非とも教えてほしいのだ


【話題が再び変更される。男はセリーナ・ザ・”キッド”と呼ばれる人間が、一体どういう人間なのか】
【それを知りたがっていた。あるいは、ジンジャーやジャンクちゃんがどう見ているのか】
【彼らなりの把握、認識の仕方を尋ねていた】
417 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/09(水) 22:23:10.02 ID:sFmC0fWpo
>>416

【彼の言葉を聞いて、ほう、とジンジャーは興味を示したかのように耳を傾けるだろう】
【……その雰囲気に気付いているのかいないのか。むしろ気付いたところで特にいう事もやる事も変わらないのか】
【と、ばかりに彼はペースを一切崩すことなく男を正面切って見つめながら彼の言葉に意見を返すだろう】


なるほどな。つまり君はこう言いたいわけだ……『民衆たちはセリーナ君たち正義の戦士たちに対して"報酬"を与えるべきだ』と
それはなんというか……素晴らしい意見だね!!どこのどなたかは存じぬがその点に関してはこの私も共感しよう……至極まっとうな意見だと思うね
民衆たちも決して無理しないでも出せるような何かを差し出し、対等の関係に持っていくというのは……個人的にアリな判断だ

『……それは、ええ。ワタシも決して反対などとはいいません。セリーナさんはもちろんの事、これまで共に戦ってきた方々全てに
何かしら見返りは保障できてもいい、とワタシも思うのデスヨー。最も三割くらいは元からそれくらいのリアリストで各々報酬を受け取っていたようですが
トップにいた方々などは……十分、とは言い難かったかと』

だろう?少なくとも私も……『正義組織の強い人間たちは無力な民衆たちを守ってあげて当然だ』などとは、考えたことも賛成したこともないね
それはまぎれもない確かな事実だよ。皆の前で堂々と言ってやるのもアリなくらいにはね


【彼の正体はわからない。敵なのか?味方なのか?】
【だがいくつか彼にとっても共感できる言葉自体は存在していた……そこには素直に共感を示してくれた】
【頭ごなしに否定するような者でもない。自分の価値観でモノを考え、自分の意見を言えるタイプの人種であるようだ】

【そして変更された話題、セリーナとはどういう女性、と評価しているか?】
【最初にその質問に答えてくれたのはジャンクちゃんの方だった】


『……ええ、実のところ……UTが立ち上げになって間もない頃、ハカセに、『セリーナさんへの支援』をお願いしたのはこのワタシなのデスヨー

最初はテレビで、その次は実際に彼女と並んで戦って。……完全無欠の人間などとは思ったこともない。ごく普通の……どこにでもいる明るい女性でした
ただ、ごく当たり前の……困ったときは助け合おう、という気質が強く色濃く出せて、それを行動に示せるという点では……
ごく普通でも、そんな当たり前を確かにできる、周りの人よりほんのちょっと心の強い女性である、とワタシは思うのデスヨー』


……そうだね、なんだか……彼女が傍にいてくれると、すごく元気が出てくるんだよ
私はほら、なんというか……ただでさえ美人な女性が大好きなのに……彼女はその中でも特に近くにいてくれることがうれしくなる女性なのだ
大らかで、明るくて、私でさえ惹きつけるほどに力強い女性で。そんな彼女の笑顔があると、なんだかホッとするんだ

一方でそんな彼女が傷ついて元気がない時を見ていると、こちらまで胸が締め付けられる。笑顔になってほしい。元気を取り戻すまで守ってあげたい
そんな素直な気持ちが心から飛び出してくれるんだよな、彼女からは


……まあようするに、私はセリーナ君という女性が心の底から大好きだ。これまで出会ってきた女性の中でも特に大好きだ。それは曲げようのない確かなことさ


【言い切ったジンジャーの事を一度、「えっそんなに?」みたいな顔でジャンクちゃんが見上げこそしたが……やがて彼女は男をまっすぐみるだろう】
【ジンジャーも同じだ。彼はすっく、と席を立ち男の方向に歩み寄りながら訪ねてくるだろう】


どうだね?気に入ってくれたかな?これが私の嘘偽りのない正直な気持ちなのだが……ええと
そういえば私はまだ君の名前を一度もうかがっていなかったね?もしもさしつかえがなければぜひこの私にも名乗っていただきたいのだが……いいかな?


【どこかわざとらしくおどけながら、言うべきことは素直に全部言ったと宣言し、逆に彼に対してその名前を聞き返してくることだろう】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 16:34:54.31 ID:sMtTTsCFO
【水の国 旧市街】

【夕方の街は赤い色に溶ける。僅かばかりの人通りがより一層の寂しさを告げて】
【露天街と呼ぶのも躊躇われる光景であったが、一応はそういう場所であった】
【大通りにはちらほら、寂しいスペースに物がちんまりと並べられていた】

【得てしてそういう所に掘り出し物はあるようで、辛うじてそれを理由に外から人が来るぐらい】
【──それ程までに寂しい街並みであった、それがこの場所】
【その大通りを歩く、一際似つかない人影】


『例の一件』の余波で能力者が増えたと聞いたけど、相変わらずの街並みだねぇ
僕としては此処は変わってくれない方が良いんだけど、確かに人の層は変わったみたいだね
しかしまぁ、濁った空気だ──そりゃ、犯罪の一つや二つ横行するだろうね

……ちょっと前だったら、嬉々として潰そうとしたんだけど


【軽くパーマのかかった茶髪に、上等な仕立てのスーツをラフに着崩して】
【深い螺旋のかかった瞳が印象的な青年が歩いていた】
【彼がここに居ること、それ自体が違和感を感じさせる】

【身のこなしや雰囲気、それらは僅かな乱れも無い上流階級のそれで】
【だからこそこの廃れた街並みには場違いであった】
【彼は興味深そうに周囲を見渡しながら、その場を歩いていた】
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 16:52:50.41 ID:FM8xFu2G0
>>418

【「お買い物帰り」、だった】
【買った品々は「付き人」に持たせて車のほうへ、だから「彼女」は見事に手ぶら】
【迎えを待っているところだった、そこら辺にある適当な柵に腰掛けて、脚をぷらぷらさせて】

【首の中程まで伸びた黒髪と、暗赤色の瞳を持つ、低身痩躯の女だった】
【いつもは職業をアピールするために白衣だのなんだの着ているけど、今日は違って】
【それなりにめかし込んでいた。フォーマルな黒いワンピース、ドレスほどの華美さはないが】
【それなりに品が良くて作りもしっかりしている、多分ブランド物。その裾を、握って】

……、……あ

【ぼうっと道路を見つめていたけど――ふと、視線を外した隙に】
【青年と目が合った。ぱち、と瞳が丸まって、それから】

…………どうも今日は。儲かってる?

【なんて、声をかけるのだ。どうやらこの女、青年を「同類」と思いこんだらしい】
【化粧で血色の悪さを隠した顔が、慣れたように笑みの形に整えられる】

【“冒涜者”。知る人なら知っている、女の異名。裏社会でそこそこ有名】
【彼女は今日も、この街のどこかで行われる「闇市」で、「お買い物」をしていたのだ】
【どうせこの街でそれなりの格好してるヤツなんて、そういう意図で来たヤツしかいないよねって】
【それくらいの浅ーい思考。それを許す程度には、ショッピングが楽しかったらしい――】
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 17:08:43.10 ID:rUp2S1pa0
>>418>>419

【――小さな、足音がした。ならばそれは世界の中でも上等な方に位置する人間とは根本的に違うもの、どこかで、常に自分の存在を訝しんで不安がる生き物のもの】
【ふらり、と歩いていたのを、あるいは彼も彼女も見つけていたかもしれない。俯く仕草で、少し長めの前髪をまなこにかぶせてしまって――所在なさげに、歩いてたなら】
【だけれど時々ふっと気が向いたみたいに、道端の露天商の品物を眺める瞬間も、確かにあった。よく分からないどっかの民族が作ってそうな呪い掛かってそうなお面だとかを】

――――――っ、あ、わぁ、う――、あ、えと、ごめん、なさい、……、……前を、みてなくて、

【何度目かのその時も、見ていて。――だけれどすぐに興味をなくしたならば、歩き出す。だけれどその一瞬、少女の意識はどこでもないどこかを、眺めていたから】
【この街には似合わぬ様子で歩いていた彼の前に、刹那、飛び出しかける。幸いにかその寸前に気づいたならば、ぎゅっと足元でブレーキ、ぶつかるまではいかないのだけれど】
【ひどく気弱そうに身体をちぢこめて謝るのだろう、――特徴的な鈴の音色の声。俯いてしまえばやはり表情は隠れて、だけど、少し慌てた風の口元が、かえってよく目立って見えるよう】

【――それから少しして。彼に話しかけている女性にも気づいたらしいのだ、男女二人の仲にいきなり割って入ってしまった、みたいな、気持ちにでもなったのか】
【少女はきっと女の方にもぺこりと頭を下げるだろう。ごめんなさいって小さな声が紡がれて。――そして、そんな態度、もしかしたら心当たりというか、あるのかもしれない】
【逆らえない恐怖に押しつぶされて何かに支配されている人間って、きっと、こういう態度をするのだ。強気な態度など最初から持ち合わせぬ奴隷のよう、ふらと後退したなら】

【肩を撫でる長さの黒髪――透き通りそうなほどに白い肌。真っ黒な髪の隙間からわずかに覗く瞬間のある瞳は、左右で色の違うものであったから、よく目立つ】
【黒色と赤色――あどけない顔はひどく自信のないように移ろって。ならば街中をふらつくよりもどこか病院にでもいた方がいいかもしれない、って、思わせそうなくらい】
【墨色のワンピースはシンプルなデザイン、それでも真っ白い丸襟とふわっと膨らんだスカートなら、必要以上に無感動にはなりきれなくって、華奢な足の白いのまでも目立たせ】
【手折ることさえ叶いそうな足と手――どちらも不安そうに自身にぴったり寄り添わせたなら。ひどく小動物みたいな装い、年頃は十六ほどだろうか、少女なのだけど】

【――――まるでぶつかりそうになってしまった自分は二人に許してもらえるまでどこにも行くことができない、みたいに。その場に留まるのだろう、視線を伏せたまま】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 17:19:22.19 ID:sMtTTsCFO
>>420

【彼はすっと少女に手を伸ばす、可能ならその指先を貴方の細い顎に浸そうとして】
【成功したならくいっと、自分の方向へ顔を上げさせるだろう】
【もう一方の手で前髪を摘む、その奥の少女の顔を見つめるようにして】


ふふ、うっかり者のお嬢さんだね、前を見て歩かないと危ないよ?
特にこんな暗くて人気の少ない道だもの。悪い人間が吐いて捨てる程いる
君の側にいる彼女なんて、可愛い見た目と裏腹に中々やり手の研究者なんだから

こんな可愛い女の子が隙を見せるのも、こんな綺麗なオッドアイを見せるのも、危なっかしいことこの上ないよ
こっちは赤で、こっちは黒──どれも一級品の綺麗な色彩をしているね
ほんの僅かでもどちらかが濁ったり、淡かったりしたらこのバランスにならないだろうね

──いけない、いけない、ごめんね、驚かせちゃったかな?
僕は調和が好きなんだ。君みたいな整った顔の子は凄くタイプで
もう少し見させてくれないかな、君の顔


【いきなり述べるのは中々に不審な言葉、響きは完全に犯罪者そのもの】
【それを何とかごまかせるぐらいには彼は美形で、尚且つ声に微塵も下心がなかった】
【ただ純粋な、純然たる好意で貴方へと言葉を投げかける】

>>419

【上機嫌なのだろうか、目の前の相手は私に挨拶をしてきた】
【切れ長の双眸が貴方を上から下まで見回す、なるべく不愉快にしないよう気をつけたつもりだが】
【細身で小柄な体躯と、不健康そうな色合い、それでいて美しい容貌は彼岸花を思わせる】


こんにちは、こんな可憐なお嬢さんに挨拶されるだなんてわざわざ足を運んだ甲斐があったね
こういう時はぼちぼち、と答えるのがマナーかな、何分客商売とは程遠い身分だから
其方はどうだい? ああ、ごめんね、やや言葉の礼儀がなってなかった

──御機嫌いかがかな、ミス "冒涜者" 僕の耳にも入るくらい君の噂は聞いているよ
曰く、"天才" 曰く、"悪魔" どちらが正しいかなんて、僕には分からないけど
確かなのは君が一流の科学者という事かな、それも歴史的に見て稀有な人物

しかし、噂の人物がこう歩いて話している姿を見ると、なんだか神話生物にでも会った気分だね
本物はこんなに華奢で可愛いなんて知らなかったよ、公安のデータベースにつけ加えてもらわなきゃ
今日の御用は『闇市』? 確か今日も奴隷売りが出てたかな──


【そう言って彼は手慣れた様子で貴方の側に座るだろう、自然に手が触れるぐらいの距離】
【スーツから香る柑橘系の香水と、柔軟剤の香り、微笑む横顔は貴公子然として】
【間違いない、優男と呼ぶのが相応しい──】

【ついでに>>420もぽんぽんと自分の側を叩いて、おいでと示す】
【美少女二人に挟まれる形で座ろうとする】
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 17:34:00.24 ID:FM8xFu2G0
>>420-421

――大丈夫? 君、顔色が良くないよ。

【「僕ならなんにもないよ、大丈夫」とか、少女に言いながら】
【柵から降りて、これまた上等そうなパンプスで地面を踏み締めようとした、けれど】
【その前に青年のほうが、少女にアクションを起こした。軟派な調子に、咎めるような声】

いきなり顎クイはよくないよお、たぶん。もうちょっと勿体ぶってから触れるくらいが……
……いや、今は強引系男子? のほうが流行り、なのかな?

というわけで改めまして今日は。僕のこと知っててくれたんだね、ありがとう。
……そんな大した存在じゃないよ、可愛いって褒め言葉は受け取っておくけど。
そう、よくわかったね。お買い物してたんだ、最近いろいろ忙しくなってきたから――

【笑みは崩さない、そのまま小首を傾げて、隣に座られても嫌そうな顔はしなかった】
【――というか、実は嫌がっていたとしても、それをアピールするタイミングを逃したっぽい】
【とりあえずは何も拒まない。香水の香りも押しつけがましい程じゃない、だからまあいいかと思ったらしい】

【おいでおいで、されている少女に目配せ。僕一人じゃ心許ないから君もこっち来て助けてよ、みたいな】
【曖昧な笑みを添えた視線を投げかける。少女が、自分たちに逆らわないのだということを】
【なんとなく理解しているような素振りだった。だからこそ、視線だけの命令はとても自然に】
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2018/05/10(木) 17:43:56.63 ID:rUp2S1pa0
>>421>>422

【――びくり、と、華奢な身体が震えた。まるで幾重にも花びらを抱えた大輪の花を撫ぜられた薔薇のよう、触れられたなら、驚いたように震えて】
【一瞬だけ逃げようとした気配はあったが――結局はなされるままになる。顔を持ち上げられたなら、陶器で作った人形のように白く滑らかな喉までもが彼に捧げられるよう】
【少しだけ長い前髪をつまみあげられたなら。色違いの瞳がひどく困惑したように相手を見つめてから――怯えてしまったみたいに逸れた。自信などすべてへし折れた後の、態度】

えう……ぁ、――え、っと、あの……、……えぇ、と、うぅ、え、

【不審者じみた言葉が並べ立てられて――だけど、少女はそれ以上に怯えて見せる、ということはないだろう。ただひどく困ってしまったみたいな声、鳴き声のようなものだけ漏らし】
【すでに困り果てているからこれ以上に怯えたりしない。――なんていうのは一周廻って駄目になってしまった後の安定、粉末まで崩した硝子はもう割れない、みたいな、状態】

調和……? ――わ、わた、しは、えと……。だいじょ、――大丈夫、です、……。

【それでもきっと勇気を振り絞って。あるいは生き物としての本能かもしれないけど――相手の好きを見計らって、ほんの半歩くらい、後ずさりしようとするのだ】
【だけれどそれは相手に隙がなかったら通用しない、――たとえそれで離れられたとしても。ほんの一瞬少女はもう一人(>>422)に言葉と、救助要請の視線を向けるのだ、けど】

っ、ア、ぇ……――、

【その瞬間に視線がかち合ってしまうなら。相手の思惑通りだ、少女は二人に逆らう方法なんて知らないみたいに、あるいはそれを表す言葉を持たないみたいに】
【おどおどなんて様子がぴったりな仕草、彼の隣に、そっと、座るだろう――だけれどどうしたって最初に示されたよりも距離があって】
【それこそ最初に"ぽんぽん"された場所に誰か座っていたとして、その人間が全く狭い思いをしないで彼と少女に挟まれるだろう、ってくらい、距離が】
【――その距離感は、あんまりに遠いからって抱き寄せられたりしたって仕方ないくらい。それだって――きっと、拒みは、しないから】

【――――その場所で、借り物みたいになってしまう。悪魔とか天才とか闇市とか聞こえて来る。それに変わらぬ顔と声で答える彼女が、それらが彼の妄言ではないと裏付ける】
【――膝にきちんと揃えた手がワンピースの布地をぎゅうと握りこんでいた。どうしようって考えるみたいに】
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 17:49:23.56 ID:sMtTTsCFO
>>422>>423

【彼の音律は乱れない。そうあるべき場所に言葉を置いていると言いたげに】
【柔らかな笑みを携えたまま、一つ一つ貴方という存在を精査する】
【話しかける時はキチンと相手の目をみる。目の下にクマなんてあるのかな? なんて思いながら】


最短距離を行ったまでだよ。欲しいものはすぐ手に入れる主義だから
……実はさ、この辺りが部下に伝播しちゃって困ったりもするんだよね
櫻の男子は侘び寂びを重んじるらしいけど、僕の主義じゃないから

"オペラント"から話は聞いてるよ、曰く冒涜者さんは選ぶ個体が一流しかないって
ふふ、やや困った口調だったよ? たまには外れ個体も掴んでほしいだなんて
彼をそんな風に言わせるなんて、中々貴女も人が悪い


【──かつて『公安三課』の小娘に潰された奴隷市場、その主人であったオペラント】
【彼は未だに旧市街で奴隷市を開いているようで、貴方との面識もあるだろうか】
【鼻歌でも歌うように、軽い口調で言葉を重ねて】


──ああごめんね、こっちで話が盛り上がっちゃった
年頃の女の子に聞かせる話じゃなかったかな、状況を弁えなきゃ
僕としたことが迂闊だったよ、ごめんごめん

そんなに怖がらせちゃったかな? お嬢さん、じゃ少しだけ呼びづらいから
お名前教えてくれない? そう、君の名前、お嬢さんの口から聞かせて欲しいんだ
そうだろう、綺麗な瞳のお嬢さん──


【よいしょ、と両手を伸ばして貴方の脇腹を掴むだろう、そして持ち上げて】
【わっ軽っ、なんて声が漏れるだろうか、自分の横にぽんって座らせるだろうか】
【そうして矢継ぎ早に言葉を投げかける、やや強引】
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 18:05:51.08 ID:FM8xFu2G0
>>423-424

【少女がこちらに来てくれたなら、一安心、とでも言いたげに安堵の息を吐いた】
【――手慣れている。こういう、ピラミッドの下側にいる人々を、何の容赦もなく「つかう」のに】
【そう確信させるくらいには、悪気を見せなかった。「そう緊張しないでよ」なんて小声で言って】

最短距離、って……ふうん、なかなか悪い人だ。
女の子の扱いがとってもお上手。最近はそういうのに弱い子が多いよね、
スーパーダーリン? っていうの。……伝搬されても困るけど。

……、……ああ、オペラントの知り合いなの。
しょうがないじゃない、「客」が高品質なものばっかり要求してくるんだもん。
文句言うなら僕よりもっと偉い人に言っといて。

【世間話のトーンで続く「お買い物」の話。少女の耳に入るには、聊か凶悪な形になるだろうか】
【そうしながらも、青年が慣れた手つきで――人形をそうするみたいに少女を扱うのを眺めて】
【「ほんとーに悪い人だなあ」、なんて溜息交じりに零しながらも――じっと見ていた、少女の顔を】

確かにきれいなお目目、してるね。
黒いほうはメラニズムみたいなのに、赤いほうはアルビノっぽくて――不思議。
ねえ君、「どこの子」? ……ああ、言っちゃダメって言われてるんだったら、答えなくてもいいけど。

【そして、ちょっとだけ笑いながらそう訊くのだ。「君の所有者はどんな人」、って】
【まるで少女が、誰のものでもない、しっかりした一人の人間じゃないと確信しているような】
【誰かのモノであるとわかっているような口振りだった。やっぱり悪気は籠められない、声色】
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 18:14:02.02 ID:rUp2S1pa0
>>424>>425

【聞こえて来る話を右から左に受け流す。よく分からない話を聞いて考えるだけの余裕は今の少女には存在しないから、ただ、聞きながら、聞かないでいる】
【だからか――急に話しかけられた時には身体中をびくんと驚かせて振り返るのだ。そしてその瞬間をわしっと掴まれて、持ち上げられたなら】
【ごはんを食べている間に後ろにきゅうりが置かれていた猫みたいな顔、すごくすごくびっくりしたなら――だけどかえって身体が強張って、動かしやすくなる】

【――しばらくそれで驚いてしまったみたいに変な声を漏らしていることだろう。だけれどそれは黄色い声なんて程遠い、むしろ、捕食される前の雀みたいな声に似て】
【びくびくした態度――色違いの瞳がかすかに潤んでいるように見えた。ぱくぱくって言葉を探すように口を動かす、だのに漏れ出て来るのは、よく分からない音階ばかりで】

わたっ……、わたしは、えと……ァ……、あ――、りん、……、あう……、
――――しらか、み、……りん、ね、

【だけれどそのうちに回路が繋がるから、放っておけば、名前は自分で言えるだろう。しらかみりんね――櫻の方の響きだ。ならば、字面も想像しやすく思えた】
【白神鈴音。正しい文字を導き出せるかは置いておいて――音として名前が分かれば、呼びつけるのに問題はないだろう。「――――です」と消え入りそうな声が続いたなら】

【――もう>>$"%NO
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 18:14:22.19 ID:rUp2S1pa0
/ぎゃん!途中送信です、ごめんなさいっ
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 18:22:05.78 ID:rUp2S1pa0
>>424>>425

【聞こえて来る話を右から左に受け流す。よく分からない話を聞いて考えるだけの余裕は今の少女には存在しないから、ただ、聞きながら、聞かないでいる】
【だからか――急に話しかけられた時には身体中をびくんと驚かせて振り返るのだ。そしてその瞬間をわしっと掴まれて、持ち上げられたなら】
【ごはんを食べている間に後ろにきゅうりが置かれていた猫みたいな顔、すごくすごくびっくりしたなら――だけどかえって身体が強張って、動かしやすくなる】

【――しばらくそれで驚いてしまったみたいに変な声を漏らしていることだろう。だけれどそれは黄色い声なんて程遠い、むしろ、捕食される前の雀みたいな声に似て】
【びくびくした態度――色違いの瞳がかすかに潤んでいるように見えた。ぱくぱくって言葉を探すように口を動かす、だのに漏れ出て来るのは、よく分からない音階ばかりで】

わたっ……、わたしは、えと……ァ……、あ――、りん、……、あう……、
――――しらか、み、……りん、ね、

【だけれどそのうちに回路が繋がるから、放っておけば、名前は自分で言えるだろう。しらかみりんね――櫻の方の響きだ。ならば、字面も想像しやすく思えた】
【白神鈴音。正しい文字を導き出せるかは置いておいて――音として名前が分かれば、呼びつけるのに問題はないだろう。「――――です」と消え入りそうな声が続いたなら】

【――もう>>425の彼女には、助けてって目を向けなかった。視線で命じられた瞬間に"分かって"しまったみたいに、俯きがちな視線を本格的に俯かせて】
【それこそ人形のように座ってしまって――目の色について話したなら、ぴくり、と、小さな反応。きゅうとかすかに唇を噛んだなら、あんまり、好きじゃあないのかもしれない】
【それだけなら言葉を返すつもりはなかった、ように見えただろう。――だけれど、続く問いかけ。――どこの子――まるで、野良猫に、どこでご飯をもらっているのか聞くみたいな声】
【向けられたなら、やはり、思い知らされる。このひとたちはほかのひとを"扱う"ことに慣れているんだって、ならばやはり自分は敵わないんだって、ゆっくりと】

………………どこの、

【小さな声が言葉をなぞる。どこの――という言葉、答えるべきはなんだろう、って、考えたなら】
【UT――だなんて、名乗れる気は、もう、しなかった。やりたかったことさえひとに任せてしまって、なら、自分が居る必要も、なくなってしまって】
【M――だなんて、それも、名乗れない。だって、逃げ出してしまったから。こんなふうになってしまった自分を、みんなは、赦してくれないと、思うから】

【なら――自分が今居るのは、どこだろう、って。一つしかない。……だめ、とは、言われていないけれど。それでも、それを言ってしまったら、(戻れない気がして)】

イルちゃん、の、ところ、――――――……。

【――――だからって、この二人の前で口を噤み続けることも、叶わないのだけど】
【隣町から聞こえて来る夕方のチャイムみたい、幾重にもぼやけた音の連なり、不明瞭な声が、それでも、たしかに、答えた】
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 18:30:11.69 ID:sMtTTsCFO
>>425>>428

【見つめ合う美少女二人を愉快げに見つめる、目を細めたならそこに表情が見えて】


知り合いというか、一方的に知ってるだけというか
──まあ知らない仲じゃないよって感じかな、君の噂はよく聞くけど
逆に言えば顧客の話は僕には触れられなくて……ああ、ごめん

逃げてきた子かなと、思ったら中々どうして愉快な子が釣れたよ
ねぇ、冒涜者サン、君はこの子の名前知ってるかい?
白神 鈴音、まぁちょっとした有名人だったりするんだけど

いったいぜんたいこの様相はどうしたのかしら、乙女も三日会わなかったら刮目して見なきゃ
憔悴しちゃってるのかな、医学的な知識は皆無だけど
どうだろう冒涜者サン? 何か薬物とか──


【彼はそんなふうに声をかけながら、耳を傾けた、ああ、なるほどと頷いて】


イルちゃんのところ、か──それは中々どうして素敵な名前だ
さて困ったな、僕の記憶が正しけば、その名前は人間嫌いの病魔ちゃんの名前で
君みたいな可憐な女の子、嬉々として殺しちゃいそうなんだけど

……ねぇ、イルちゃんの所で何をしてるんだい? お手伝い?


【言葉を投げかける、丁寧に辿るように】
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 18:41:51.33 ID:FM8xFu2G0
>>428-429

【「イルちゃん」――それを聞いた瞬間に、目を、見開いた】
【もしも彼女がネコだったなら。全身の毛並みをぶあ、って立ち上らせただろう】
【それくらいの驚愕、あるいは興奮を交えて――笑った、いいこと聞いた、みたいな顔して】

リンネちゃん、って名前は初耳だけど、「イルちゃん」は知ってるなあ。
僕みたいな――「ニンゲンじゃないモノ」を侍らせてるタイプの人種は気をつけろって、
その「イルちゃん」に取られちゃうかもしれないから、って。連絡網が回ってきたんだけど――

――――じゃあリンネちゃんはニンゲンじゃないんだ? なあるほどお。

【くつ、くつ。肩を震わせていた、内心で、揃ったパズルのピースを並べて行きながら】
【角っこ、くらいの重要ピースは頂けた。それでもまだ、全部のピースがそろったわけじゃない――】

【こういうとき、目の前の青年みたいに丁寧にヒアリングする技術は持っていない、だから】
【黙ってじいっと、少女の返答を待っていた。もう少しおこぼれが欲しい、みたいな】
【きらきら輝く物欲しげな瞳。純粋な子どもめいて透き通っているのに、圧だけは失わない】
【ピラミッドの上のほうから見下ろす、重力を伴って、見つめていた。色違いの瞳。ノーコメントは許さない、と言うように】
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 18:55:54.27 ID:rUp2S1pa0
>>429>>430

【――――びくり、と、また小さく震えた。彼がきっと自分の名前を知っていたのを知って、どうしよう、って、少し、うろたえた様子になる】
【その名前を知っていたならば、やはりこれは"どうかしている"としか見えないのだ。彼女が主だってテレビに引っ張り出されたことはめったにないけれど】
【それでも何度かはあった。例えばCM。そのことに関連して何度かどこぞの番組に呼ばれたこともあったし――だけど、最近は、そんなことはなかった。だけども】
【少なくとも――"知っていた"なら。UTに所属するような人間がこんな場所で、こんな素振りで、されるがままになっている、というのは、やはりどうしたって、おかしくて】

………………イルちゃん、知って、いるの? イルちゃんの、こと――、

【ぱちりと瞬きした。それはもしかしたら小さくっても安堵だったかもしれない、ちぢこまってないといけない場で、ふっと、知っている名前を聞いたのだ】
【強張るようだった表情が少しだけ柔らかくなる――なったように、見えた。――でも、続く言葉に。ああ彼はそこまで知っているんだって、またも、思い知らされる】
【人間嫌いの病魔――それなら。つまり。自分が人間じゃないって、ばれてしまいそう、――ああ、いや、もう、彼は、気取っているのかもしれないけれど、――】

――――――――ひッ、

【――少女が息を詰まらせた。それはもう一人の相手――冒涜者、の方の、言葉を聞いて。そちらもまたイルのことを知っている。人間が嫌い、というのも、多分】
【それで並べられる言葉を聞いていったなら――この女もまたニンゲンじゃないものを従えて……ああ、侍らせて、いるらしくて。なら。さっきの目。理解が及ぶ】

――あ、ぁ、あああ、…………、わたし、わたし、は、――、

【「じゃあリンネちゃんはニンゲンじゃないんだ?」】
【――発せられた言葉が、どうしようもない武器のように、突き立った。呼吸が不規則になる、怖くって仕方のないみたいに。小さく震えて】
【喉から漏れる声は不明瞭な音、向けられる圧を理解している。理解していることを、きっと二人は理解するだろう。なら強者が弱者を見下ろす瞬間を、知っている】
【あるいは出遭ってしまったことそのものが不幸に他ならない怪異のような。悪いことしかしない化け物のような。あるいは祟ることしか知らぬ未熟な神のような――だけど】
【今となっては。本当に小さな子猫のよう、がたがた震えて、踏みつけられる、逃げ出す方法はもはや分からなくって――、なら、】

にんげん、じゃ、ない、で、す、――わたし、は、ちが、くて、――、人間、じゃ……、

【とびきり上等の信者が、崇める神の絵を踏めと強いられるときみたいに。それだってしたくないと拒んで死のうと瞬間を、無理やり暴力で従わされるみたいに】
【鈴の音がひどく震えて紡いだ、――人間じゃないって。自分は違うって。だけれどそれ以上は命じられていないから言わない……あるいはそれだけのサービスも思いつかないみたいに】

――――て、つだ、い? ――わたし、は、なんにも、なにも……、してない、

【ならば震えたままで彼の言葉にも、返すだろう。これも――聞かれたことだけ、だけど】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 19:04:24.29 ID:sMtTTsCFO
>>430>>431

【冒涜者の言葉を小耳に挟んだ、手間をかけさせるペットを思う様に】
【柔和な表情に初めて、小さな怠惰そうな色合いが滲んだ】
【なるほどね、なんて思いながら】


イルちゃんに取られちゃうかもって、あながち間違いじゃないからね
まあ僕も今のあの子をそんなに詳しい訳じゃないけど、手癖の悪さは折り紙付きだよ
冒涜者さんは気を付けなきゃ、我儘娘だけど戦闘力はそれなりだし

あとね、やっぱりあの子の強さってニンゲンじゃない子にとことん優しいとこなんだよね
冒涜者さんとこの子達が心に弱いところあったら、コロッと騙されちゃうかもね
まあ間違いなく幸せにならないけど


【知っている風に話しながら少女の様子を見る、静かにその様子を確かめながら】


CMで見かけてた時より少し痩せた? 元々細い子だけど、少し心配しちゃうな
確かに細い子は可愛いけど僕は少し肉が付いてても、可愛いと思うよ
特に鈴音ちゃんは痩せぎすだから、触るのもちょっと躊躇っちゃうし

──私は、ね、だったらイルちゃんは何かしてるんだ
それを知ってるかな? どこに良く行くとか、何か知ってるとか
何でもいいから教えてくれないかな、じゃないと


【──虐めちゃうよ、と耳元に口を近づけて、言葉を零した】
【彼の雰囲気が少し変わった、嗜虐的な笑みをそこに浮かべて】
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 19:14:52.78 ID:FM8xFu2G0
>>431

【「そうなんだあ」。ひどく味気ない返答だった、もう知ってるから別にいいよ、みたいな声色】
【それでもその返答を引きだしたときの、少女の怯えっぷりを好ましく思ったらしい】
【キツネみたいに細められて笑う眼。夕食が終わったあとのリビングで、テレビを見て笑ってるような顔だった】

よく知ってるんだね、「イルちゃん」のこと。
一応僕のヤツには首輪着けてるんだけど――ふうん、なるほど。
そういう風にしてオとすんだ、林檎を勧めるヘビみたいなもんか。
優しくされたらコロッと行きそうなヤツが約一名ほどいるから気をつけなきゃ……

【青年の忠告に相槌を打つ。そうしながらも、少女を見つめるのはやめないで】
【――「まあ間違いなく幸せにならない」とか、さらっと言ったなこの人、大丈夫か、って】
【それを聞いているであろう少女に心配の念すら送った、やっぱり悪い人だ、とか思いつつ】

【――――それでも助けようとする気も起こさないのだ。楽しげな瞳で眺めて、それだけ】
【青年の言葉通りに少女が虐められても、きっと、手も伸ばさないだろう。断言できるほどの、傍観者の姿勢】
【スカートの裾を払いながら、じっと眺めていたら――遠くから車の音が聞こえた。一瞬だけそっちに視線を移す】
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 19:59:52.40 ID:rUp2S1pa0
>>432>>433

【ぎゅうと身体が強張る、彼の言葉は――そうやって転んでしまった自分が責められているみたいな気がして、だけど、もう、頑張れないって必死に心で唱える】
【間違いだったなら。もう頑張れない。頑張らなくっても――きっと、みんなが、頑張るからって、もう、わたしは、頑張れないから――って、一生懸命に、繰り返すのに】
【――間違いなく幸せにならない。ひりついて張り付いてしまったような喉からは何の声も出てこない。じゃあどうしたらいいの、って、言えないままで】

【助けてほしいような視線が移ろった。だけど誰もいなかった。もしも通りがかるひとが居たとして――誰も助けてくれないだろう。こんな場所では】
【ぎゅうと服を握りしめるのが精いっぱいで――「そうなんだあ」って言葉はあまりにあっけない、あんまりにあっけないから、ほんの少し残るプライドみたいなものまで、削られて】
【それならば雰囲気も態度も全部が助けてって泣き叫ぶみたいになる、ひどく腹をすかせた肉食獣の前に躍り出てしまった小動物のよう、喰われるのが分かりきった】

っ、っ――――、しらな、……しらな、です、――――ひっ、
やです、や……――、うあ、う、――虐めな、ひ、

【ふるふると首を揺らす、イルのしていることは分からない――何にも知らないです、と言って。泣きそうな目を向ける、本当に知らないから、って全部が語っても】
【それは結局相手の判断次第だろう。知っているって思われたら"知っていること"になる。そういうものだった、立場が違いすぎたなら、"ない"も"ある"にされてしまうもの】
【知らないって言っても態度が知っているように見えたなら、知らないことを言うまで――許されない。言ったって許されないかもしれない、けれど――】

【――怖がっていた。きっと。とても。すごく。虐めないでほしいってお願いをする――泣きそうな目。ひどく嗜虐欲をくすぐる、目をする】
【わざと、であるようには見えなかった。あるいは生来のものなのかもしれない。本当に嫌がっているのに、怯えているのに、どうしても、そうされたいように見えてしまうから】

や――、あう、……、

【耳元に囁かれたなら、ぞくりと冷たいものが背筋を伝って、脳髄をびりびりっと冷やす。はくはくと動いた口、目線が――ここでどうしようもなくなったように】
【彼女へ、向くのだ。怯えた目。だけれどやはりそこにはどうしたって"らしさ"がある。本当の気持ちとは別に、ぐちゃぐちゃに踏みつけられたいと、ねだるような】
【ようく熟れた果実が踏みつけられたって、種が地面にうずまっていくならそれが悦びになる植物のように。虐められたくない――だけど、瞳の奥底、どこかで望むのは】

…………――ぼ、う、……ァ、――あう、

【あるいは――悪いことをしたから仕置きをしてくれ、と、本当はどこかで願っている様子にも似ているように見えた。それくらいに自分は悪い子だって、思っているような】
【それでも。彼女本人はひどく怯えてしまっているなら。――口が動いた、「ぼうとくしゃ」って、――彼女に、助けを求めた。怖いよ、って、縋る、みたいに】

/たいへんお待たせしました……!
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 20:12:10.81 ID:sMtTTsCFO
>>433>>434

【ブラスフェミアの言葉に肯定を示す、うん、と微笑みを浮かべて繋げて】
【少しだけ視線を外した、件の相手について思案を巡らせて】
【聞いた貴方の言葉に意識を向けた】


まあね、選出したのは僕の判断だったし、──"魔女"は反対してたんだけどね
手に入れたいくつかの遺伝子の中でも、特異なやつだったから
……ああごめん、つまんない話しちゃったね、僕らしくないや

女の子との話で他の女の子だしたら、嫉妬されちゃうし
首輪って物理的につけてるのかな、それとも精神的に?
古いけど裏切ったら爆発しちゃうとかも、効果的だったりするかな

どんな気持ちなんだろうね、自分の生殺与奪権を他人に握られるって
人は好きに生まれる事ができないから、せめて好きに死なせてあげたいと
思ってしまったりもするんだけどね


【紡ぐ音色にはいくつかの残響があって、どんな音色を響かせるのだろうか】
【彼の雰囲気に変化は無い、落ち着いて滔々と言葉を流しながら】
【一つ二つと何処からか、歪が見えるようで】


知らない、と──本当かな? 知らない、と知っているけど知らない振りには大きな違いがあって
嘘と過ちには壁があるんだよね、前者を許してしまったらもう社会は成り行かないから
だから僕は信じてあげるんだ、鈴音ちゃんが知らないって言うから知らないんでしょう

でもね、あんまりそんな唆る表情と声をしちゃダメだよ
可愛く自分を着飾りながら、襲われないだなんて夢見心地通用しないと思うから
分かるかな、鈴音ちゃん、今のままの君でもとても可愛いけど


【そこで言葉を止めた。少しやりすぎちゃったかななんて思って】
【取り繕う気はしなかった、すぐ側にいる小動物、虐めるのは一つの手段だけれども】
【──彼は彼の事情を思案する、もう一度鈴音に視線を向けて】


ねぇ鈴音ちゃん、お友達はどうなったのかな、お仕事は?
イルちゃんの所に入り浸ってたら、マスターが怒るんじゃないかな
──何だったっけ、セレーネ? セリーヌ?


【少しだけ感情を揺らす、正しい方向に戻ってこれるかな、と思いながら】
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 20:28:19.62 ID:FM8xFu2G0
>>434-435

【少女から視線を離さないまま、青年の話を聞いていた】
【“魔女”も知っているなら、例の会社のヒトなんだって――ここに至って確信する】

ミス・ウィッチ、相当変わり種の遺伝子ばっかり持ってるなって思ってたけど――
その中でもひときわ「上等」なヤツを使って作った子なんだ、「イルちゃん」は。
はあ、そりゃ厄介だ。……イルちゃんには、首輪つけてなかったの?

僕のつけたやつは、元々つけてた物理的なヤツがあるんだけど
もう一つ余分に付け加えて……、……ん、呼んだ?

【まだ続く、世間話のトーン。其処に挿し込まれた、少女の、助けを求める声】
【それによって青年との会話は一旦中断される。怯え切った少女にひらひらと手を振って、笑いかけて】
【わかりきったことだろうけど、やっぱり助けてあげようとか、そういう気配は欠片も見せず――】


【――――そうしている中、ふたりには車のエンジン音が聞こえたろうか。真っ直ぐ此方に近付いてきて】

【「お迎え」の車だった。荷物を先に運び終えて、街に戻ってきた「付き人」の】
【女は、ちょっとだけ顔を歪めて。「失礼」と言い残してから立ち上がり、近寄ってきた車のほうへ行く】

――――あー、ごめんごめん、今ちょっと大事なハナシしてんの。
だからもうちょっと、そうだねまた連絡するから……それからまた迎えに来てよ。
……なんだよ、うっさいなあ、好きにドライブしてていいから――――

【外から中が見えないよう加工されたガラス。それをちょっとだけ開けさせて、中に居る人物と会話している】
【ちょっとケンカっぽく拗れているらしい、まだもう少し、女は帰ってこなさそう――】

【――――少女には、見えただろうか。鏡みたいにきらきら光る硝子の向こう側、運転席に乗っている人影】
【明るい銀の髪。褐色の肌。卵焼きの色した瞳の、男。そいつだった。こないだ会話して、怖いこと言われたばっかりの】
【向こうはまだ、少女に気付いていない。外に立っている女に文句ばっかり言ってるようだが、――――】
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 20:43:50.99 ID:rUp2S1pa0
>>435>>436

【真っ白な肌は余計に蒼褪めているように見えた、すっと細い眉をうんと下げて、ぱちりとした眼を、潤ませて、色の淡い唇を、噛んでしまって】
【虐めないでくださいと願ったならば、見つめる視線はどこか色さえ帯びるよう。虐めないで――っておねだりするのは、虐めてほしいって、ねだるのと、似た色をしていた】
【怯えた身体をちぢこめたならば足同士を擦るような絡めるような仕草をする、自分のことを護るみたいに腕を身体に近づけて、自分を、抱きしめて――】

しらなっ――――、知らない、です、――――……ほんとぅ、に、わたしは……なんにも……。
イルちゃん、は、ごはん……つくって、くれた、り、お話。聞かせて、くれたり――、――、……それで、わたしを、虐める……から、
――痛いの、やだよう、……――、でも、

【――本当かな。そう言われた彼女は慌てた様子で言葉を並べていく、本当に知らない、知らないから、信じてほしいって、乞うように】
【だから知っていることも一緒に並べる。ご飯を作ってもらったとか、お話を聞かせてもらったとか、――それから。曰く、寝ていたら痛いことをされた、とか、そういう】
【ことを言って。――それは嫌なのだと言う、痛いから。けれど言葉は続いていった、――性的なことを匂わせる言葉。言わなきゃ虐められると思ったなら】
【本来初対面の異性に言うはずないようなこと――、ただ声はさすがに小さかったが】

――――――――、

【――――それを言い終えた後、だった。呼んだか、と、尋ねられて。視線がぱっと向く、そうだって、言うみたいに、ああでも】
【ひらひらっと振られる手、あんまりに他人事な笑み。――さあって表情が消えた、ここには自分の味方は居ないみたいだって、今度こそ、思い知らされるみたいに】

――――やめ、っ、て、やめて……! やめてよ、なんで、みんな……――、戻ってこいって!
間違いだったんだよ……、人間じゃなくなったの、間違い――だったのに、……なんでイルちゃんのところにいたら、いけない、の……?

【喉がぎゅうと強張ったような声だった。セレーネもセリーヌもテリーヌもヨークシャテリアもなんでもいいけど、誰を指しているのかは分かってしまったから】
【ぎゅうと頭を抱えるみたいに拒む――まるで子供、というよりは、子供そのものの仕草。いやいやと頭を揺らして――分からない、って、言うみたいに。視線が伺う】
【蹴飛ばされてきゅうきゅう鳴く子犬のような目。そういう趣味の人間に対しては、それこそ、"唆る"。――車の音に反応した冒涜者が立ち上がったなら、目線は逸れて】

――ッ、あ、

【見るでなく、見た。だけどそのやる気のない一瞬で、確かに見出してしまった。硝子の向こう側、見知った人間が居る。――いや、人間ではないのか、でも、知った顔が】
【思わず立ち上がりかける――だけどその理由までは分からなかった。助けてほしいのか、どうしてほしいのか、全部、ちぐはぐみたいになってしまって、ただ】
【――――今この瞬間、何となく感づいていた。あの時のオムレツの言葉。今日の冒涜者の言葉。きっと彼はこの女に所有されているのだって、だから、――似ているから、何か、何かを、期待しかけて】
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 20:54:26.23 ID:sMtTTsCFO
>>436

【呼応する様に言葉を返す、しかし、ブラスフェミアならば気づけるだろうか】
【恐らくは関係者であろうが、彼からは研究者的な雰囲気は感じ取れない】
【──寧ろそこから大きく離れた、浮世離れした雰囲気を見せて】


そうだね、『ミィ』ちゃんとか『夕月』ちゃんに使ったのと、同格の遺伝子だったと聞いてるよ
誤算があったとすればイルちゃんの方──まさかあそこまで、自我と怨嗟が深いなんて
僕の主義的にさ、必要無いんだよ本来なら

見たでしょ? 遺伝子に分解するやつ。あれで分解して、反社会的な因子は全部抹消してるのさ
だから厄介なんだよ。イルちゃんはね、心の底から自分の行いを善行だと思ってる。
ニンゲンを抹消すること。喜んでニンゲンをいたぶること、それが正しいことだって──


【一旦中断される発言。青年は暫しお預けを食らって肩をすくめるだろう】
【会社と関わりがあるのはほぼ間違いない、魔女の上にいる事は分かるだろう】
【おかえり、なんて言ってひらひらと手を振って見せた】


とまあこういう事態になったからには、後学の為に冒涜者さんの手腕を聞いておこうかな
物理的なやつと、余分な一つ、それは中々気になる発言だね
後付けでも通用するなら是非教えてもらいたいね、対抗神話には丁度いいし

冒涜者さんも手塩にかけて育てた成果を、横から攫われるのはお望みじゃないでしょ?
もしかしたらそういう願望があったりして、その場合は僕もなんとも言えないけどね


>>437

【耳に心地よい音色で、紡がれるのは背徳的な歌詞】
【悲劇的なオペラに似て、鑑賞しながら彼は笑みを深めた】


そっかそっか、そこまで深い仲になっちゃったんだね
古来より病魔に魅入られた存在に、未来なんてないけど──人外同士お似合いかもね
ごめんね、鈴ちゃんを罵るとかそういうのじゃなくて、ただ事実を言っただけだよ

痛いことされて、優しいことされて、■■をして、恋人みたいに仲睦まじく
だったらもう鈴ちゃんは戻れないんだ、その身体の奥底まで病魔に染められたから
──残念だな、呆気ない幕切れだ。もう少し骨があると、思ってたんだけど


【最後の言葉は雑踏に消えるぐらいの音量、環境音に支配されて】
【取り乱す貴方の様子、それを見て彼は少しだけ考え込んだ】
【どうしようかな、なんて笑って見せて】


居ちゃいけないなんて思わないよ、あるべき所に戻るだけだから
塵は塵に、人外は人外に、正しい所にあるべき所、調和の取れた美しい光景さ
ある意味君は僕の体現者とでも──言うべきかな

だからこそ、イルちゃんの場所を教えてもらえたら……っと


【本音が漏れた、それと引き換えに鈴音の精神が大分揺れている、と】
【どうしようなんてブラスフェミアを見たりして】
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 21:08:41.64 ID:FM8xFu2G0
>>437

げ、あのレベル? うわあやだ、あんなのが手を離れて勝手に暴れられたら、
……はあ、なるほどね……人の心を消したのが裏目に出ちゃった、と。

やだな、冗談言わないでよ。そんな願望持つほど僕ぁマゾじゃない――――


【車のそばで青年との会話をこなしてから、帰っていこうとする。そうしていたら】
【見えない硝子の向こうで、人影が蠢く気配がした。ようやく少女に気付いたらしい】
【まだ車のそばにいた女が怪訝そうな顔をした、「何おまえ、鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔して」――】


【 ――そう口にした瞬間、ばん、と車のドアが開かれた。内側から文字通り、蹴破られたのだ 】


【膝までぴんと伸びた長い脚。上等そうな黒いスラックス、茶色の革靴に包まれたそれが】
【あろうことか、車のそばにいた女を思い切り、ドアと一緒に蹴飛ばした】
【女の顔が、驚愕のかたちに歪んで――硬直した。そのままの勢いで、軽い躰は容易に吹っ飛ばされる】

【そうして乱暴に開かれたドアの向こうから、風切り音が鳴る。ひゅン、と鞭を打つような】
【青年と少女は見るだろうか、肉色をした細長いナニカ。俗っぽく言うなら「触手」というやつ】
【数は四本。それが勢いよく伸ばされて、青年と少女のほうへ、真っ直ぐ向かっていく――――】

【――――叶うなら。触手は少女の細い躰を絡め捕って、車内に引きずり込もうとするだろう】
【突き飛ばされた女は、地面にどっと倒れ込もうとしていた。上等そうなワンピースが砂埃に汚れて】
【その下の、飾りつきのストッキングが無残に破れていた。……表情は、こわばったまま、動いていない】


【(少女にわかるだろうか。この触手が「だれのもの」か。あの日、自分はニンゲンじゃないんだと)】
【(そう言ってみせながら、手品するみたいに自分の肉体を変化させていた光景。思い出すだろうか)】
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2018/05/10(木) 21:26:39.72 ID:rUp2S1pa0
>>438>>439

【視線がかすかに振れる。相手の言葉にひどく動揺しているのが手に取るように分かるのだろう、ひどく悲しいような、寂しいような、どこかで怒っているような】
【「だったらどうしたらいいの」「だったらどうしたらよかったの」――どうしたら、自分は、幸せになることができたのか。どうしたら。当たり前に生きていけたのか】
【両親が死んだのが悪かったのか。それともあの孤児院か。あの夜に*んだことが悪かったのか。再び目覚めてしまったのが? ずうとひとに憧れて生きたのが悪かったのか】
【思考がぐちゃぐちゃになって溢れてしまいそうになる、――この世界はもう怖いから。だから。だのに。あそこなら怖いものもなくって、眠っていられるのに】

…………だったら、どうしたら、よかったの……。

【それさえ、許してもらえないのか、って、思ったなら。――――――。きっとそれがどうしようもない本心なのだろう、何も、分からないって】

【――ひく、と、喉が震える。悲鳴を上げて逃げ出してしまいそうになる。――たとえそうしたとしても、逃げかえる先だなんて、あの一室しか、ないのだけど】
【それともUTに帰ったなら、みんなは当たり前に受け入れてくれるだろうか。Mの面子だってやるっていったことを全部投げ出した自分を、許してくれるのか?】
【人間じゃないのに。なんにも正当な理由なんてなかった。死ぬことだってやるつもりだって――嘘だ。自分じゃない人間にいい恰好をするためだけの言葉だ。あれは】
【ほんとにその覚悟があったらあんな言葉は出てこない――ぐるぐると思考が巡る、ぞろりと這いずる、黒いもの、赤みを帯びた黒いもの、ぞろぞろねばねば汚らしいもの】
【もしかしたなら一番近くに居る彼は感じ取るかもしれない。少女は人間じゃない――じゃあ、何かって。簡単に表すのなら、魔術式で形作られ魔翌力を養分に動くモノ、なのだけど】
【わずかにあふれて煌めいたものは確かに"あれ"に似ていたのだ。見たことがあるかは知らない。櫻の国にたまにいるらしい。――祟る神。祟り神。あれの持つ、祟りに似ていた】

【「イルちゃんの場所を教えてもらえたら」】
【――――少女が小さな吐息をした。その瞬間、だった。ばんって大きな音。視界の端っこで、冒涜者の痩躯が吹き飛んで、地面に、叩きつけられて】

【ひどく丸くなった目が反射的にそちらを向いた。硬直する、一瞬の出来事に驚いてしまって――だから。"それ"への対応は遅れる、あるいは】
【そうでなかったとしても――今の彼女にはきっと、反応することは、出来なかっただろう。ぐるり、と、身体に巻き付かれる、それを振り払うこともできないから】
【――ずるり、と、引きずられる。だけどこれはやはり本能的な反射。相手が誰かを分かりながらも、本当に思わず、という様子で、唯一自由だった左手が、ふっと、伸ばされ】

【誰に助けを求めるでもない。何かを掴むでもない。――あくまで、少女だけなら。だけどその場にはもう一人、動くことのできるひとが、いたなら?】
【――少なくとも、少女は拒まなかった。それが出来なかったのかもしれないけれど。彼女だけなら、無抵抗で――身体はひどく軽いから。何にもなければ、たやすい、はずだった】
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 21:50:21.10 ID:FM8xFu2G0
>>440

【車内に引きずり込むことに成功したなら、少女を助手席に下ろす。解いた触手ですばやくドアを閉めた】
【運転席に座っていたのはやっぱり、卵料理の名前の男だった。ひどく焦ったような顔をして】
【シートベルトを締める暇すらほとんど与えない、それどころか、少女が何かを言おうとするならそれさえ遮って】

――――――右!? ひだり!? まっすぐ!!?
それだけ教えてッ、とりあえず、そっちに行くから――――――ッ

【そう叫ぶのだ。おそらく、少女を「外」に連れ出そうとしているわけではないらしい】
【「どこに行きたいか」を教えろと、そう言う。「イルちゃん家」でもいい、そうでない場所でもいい】
【ただ只管、少女が方向を示したら、そっちに向かってハンドルを切って】
【アクセル。アクセル。アクセル。そればっかりを踏みつけるだろう、つかまって、の声と一緒に】

【――――走り出したら車内はひどく揺れる。何かにぶつかってがくんと揺れても、そのまま】
【一目散に突っ走るだろう。けたたましく吠えるエンジン音が、ひたすら煩い】
【ハンドルを握り締める男の表情は、ひどく余裕がないようだった。一刻も早く目的地に行かねば、というよりは】
【一刻も早く「主」から、逃げなければ。そう言っているような横顔だった、ひたすら前だけを見て】



【――――所変わって、三人がいた場所】
【女は地面に座り込んだまま、上半身だけ起こして、逃げていく車の後姿をじっと見ていた】
【睨み付ける、という表情ではない。というか、表情が、――――ごっそり抜け落ちているようだった】
【笑わない。驚かない。怒らない。悲しまない。ただただ平坦に凪いだ、虚無の表情をして】

【 じいっとじいっと、車の消えていったほうを見ていた。眼だけを、ぎちぎちと音がしそうなくらい見開いて 】
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/10(木) 21:53:09.66 ID:a8fkjDLEo
>>417

【ジンジャーとジャンクちゃんの言葉に、男は返事をしなかった】
【ただ静かにそれらを聞き届け、そして二人が言い終えると背もたれに身体を預けて天井を見上げる】
【両目を閉じるその姿は、言葉の意味を噛み締めているようにも、その意味を精査しているようにも見える】

【名を尋ねられても男は答えなかった。姿勢を変えないままに、十秒、二十秒と時間が過ぎ去っていく】
【そのまま無言を貫くかと思わせるほどの静寂の後に、男は二人へと視線を戻した。表情には不敵な笑みがあった】


────よろしい。それならば、”私と彼女の賭け”にも結果を出すことが出来よう


【そのたった一言を境に、男の雰囲気が一変した。今までジンジャーが感じ取れていたであろう、緩やかな変質とは違っていた】
【表裏が入れ替わるかのような完全な変貌。暗澹とした双眸に宿る狂気的な光。微かに漏れる重々しい魔力、それに伴う気配】
【先ほどまで座っていた一般人が一瞬にして消失。代わりにそこにいたのは邪悪な気配を身に纏う何者かだった】


では、お前の質問に答えるとしよう
私の名はブランル。先のアルターリ事件の首謀者にして────


【男の右手が掲げられる。手の周囲で光が捻じ曲げられ、背景が屈折する。淀み、あるいは歪み、空間そのものが歪曲される】
【次第に曲率が減少していき、空間が元に戻る。発動していたのは小規模な転移術式。右手に握られていたのは、一見すれば何の変哲もない古式の銃だった】
【だが、二人ならば見覚えがあるはずだ。古めかしいパーカッション式リボルバー。その正体こそは────】


                     お前たちの、仇敵だ


                  【 ────”弾”末魔だった 】
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 22:11:27.06 ID:rUp2S1pa0
>>441

【絡め取られた痩躯が車の中に引きずりこまれて、一瞬後。少女はきっとひどく驚いた顔をしていただろう、彼が車の中に居たのは――気づいていた、とはいえ】
【助けてくれたのか、と、思う。思ったけど――そんな風な話をしている場合ではないというのは、分かる。場面がどうこうではなくて、彼にその余裕がないことに気づいたなら】
【ただ――車に慣れていないのだろう。もたもた、と、車の時はそれをしないといけないんだよねって感じで、シートベルトを手に取ろうとしていたのだけど――せっつかれ】

――――――――、

【やがて、ぽつり、と、答えるのだ。ここまで歩いてきていた少女は道が分かる。だから、当たり前の問題を解くみたいに、小さな声が、彼に向かう方向を伝えるだろう】
【けれどそれは――あくまで彼女が歩いてきた道の逆回しであるから。もしかしたら途中に明らかに車の入れない道とか、あるかもしれない。乗らないなら、その気づきがない】

――ふ、きゃぁっ! 

【車が走り出せば――ようやくシートベルトを手に取って引っ張ったくらいだった少女が、ばん、て、吹っ飛んだ。幸いにも彼に激突、とかでなく】
【自分側のドアにばんってぶつかって。それでやっと少し目が覚めたみたいに、頑張ってシートベルトを留める。――かちん、って、音がして。それでも、ひどく揺さぶられれば】
【元来車って乗り物があんまり得意ではない彼女はぎゅうと目を閉じてしまうのだけど――道を求められればその都度答える。ただ、カーナビの才能はあんまりないから】

【それでもやがてある場所にはたどり着くだろう。それには多少なりとも彼のほうでアドリブが必要かもしれないけれど。――あるいは、途中で事故らなければ】
【とある高級マンションの前とかにたどり着くはずで――ただ、その時にはきっと少女は目を回している。ぐるぐるって目を回してぴよぴよってひよこが飛んで、ちらちら星舞う様子】
【かろうじて嘔吐してないくらいの様子だった――というか酔うとかそういう次元じゃなくブン回された、って、感じで】

【とにかく。お高いマンションであるなら、そのまま、中に、というわけにはいかないように見えた】
【誰かが追いかけてきているかは分からないけれど――ピヨったまんまの少女は少しの間だんまりをするから。深呼吸の何回かくらいは、きっと、出来るみたいで】
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 22:34:14.28 ID:FM8xFu2G0
>>443

【走っている途中はひどく煩かった。何か声をかけるなら、相当音量を張らなきゃいけないくらい】
【狭い道を走るときには、ごりごりごり、と嫌な音が鳴っていた。車体は無残に削られていることだろう】
【それでもアクセルを踏み続けて、やめなかった。横顔、見開いた黄色い眼はひどく血走って】

【――――数分、そうして、荒れ狂う洗濯機の内部みたいな様相の車内】
【進むときが急だったなら、止まるときもそうだった。いきなりびたっと止まるから、ぎぎぎぎ、とタイヤが悲鳴を上げて】
【数十メートルはアスファルトを滑るようにして、そしてようやく止まった。やっと煩いのが静かになる】

【どうにかこうにか辿り着いたマンションの前。目をぐるぐる回しているだろう少女に対する、男の一言目は――】


………………、ッ、……ッッ、〜〜〜〜〜、ッッッ!!!

【――あろうことかなんにもなかったのである。大丈夫、とか、ひどい運転してごめんとか】
【そういうのも何もないんだから、少女は何かしら文句を言ってもいい。むしろそうするべき】
【だけど、……落ち着いてみることが出来たなら、気付くだろうか。男の様子は明らかにおかしいものだった】

【首の辺りを手で押さえて、悶え苦しんでいる。まるでそこを締め上げられているみたいに】
【そこから上だけ、血走って、肌が赤黒く変色しているのだ。……そういえばさっき、あの場所で、女は青年に言っていた】
【「首輪」がどうとか。……女の「モノ」であるこの男に、それがつけられているのだとしたら】
【蹴飛ばして、それからこんなところへいきなり走り出したのだってきっと命令違反――どころの話じゃないだろう】
【その罰を受けている。気付くだろうか、自分の言うことを聞かなかった駄犬の首輪を、あの女は締め上げている真っ最中だ】

【――――血走った黄色い眼が、なんとかと言った調子で少女の方に向けられて】
【しっしっ、のジェスチャー。大きな手で振り払うみたいに、振っていた】
【「おれのことは放っておいて、さっさと中へ逃げろ」。声にならない声でそう言っている、ぎらぎら、赤く充血する眼で睨んで】
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2018/05/10(木) 22:56:28.97 ID:rUp2S1pa0
>>444

【洗濯機に突っ込まれてぐるぐるされたあと、ついでに乾燥機にも突っ込まれてぐるぐるされた、みたいな、気分だった。目がぐるぐる回って、身体の内部がかき混ぜられたよう】
【卵を殻のままぐるぐる回すと中で全部混ざるらしい。そういう気持ちだった――けれどたっぷり数十秒後、やっと、もったりと、緩い動きで身体を起こしたなら】

――っ、う、……、いた――、

【多分どこかのタイミングでぶつけたのだろうおでこを抑えて呻く――、ひどく緩慢に瞼を持ち上げて、何回か、瞬きをして】
【ちかちかする視界を振り払うように頭を揺らす。……ぼんやりした目が、少しだけ遅れて、ようやく相手を捉える――けど、文句を言うことは、なくて】
【一瞬不思議そうにした目が――だけど違和感を見つけてしまったから、急に不安そうになる。喉の奥を無意識に締めてしまったような声が、躊躇いがちに】

あ……ぇ。え――、あ、…………――、オムレツ、さん?

【ひどく困惑した声がまじめくさって、普通なら人名にはならない単語を呼ぶ。だけど車内の二人になら通じるからそれでよかった。ここには、人間以外しかいないから】
【心配そうに身体を乗り出したならシートベルトがしっかりと少女の身体を抑え込んで引きずり戻そうとする。それを無視して、もう一度、ぐっと――また引きずり戻されて】
【もどかしいみたいに嫌なものみたいにシートベルトをかちりと外す。ぱんっ、って、戻る間の時間さえ惜しいように、手をつけそうな場所、手をついて、近くへ】

【――――そこを、しっしと振り払われたなら。ひるんだように顔を引く、それでも――数秒遅れ、また、彼の方へ、身を乗り出して】

――――どう、したの、? え……、あぅ、――、どこか、ぶつけ、…………っ、
"それ"……なあに? …………、――痛い、の? …………くるし、い? えと……ぇと、

【泣きそうな顔をする。どうしたのって、尋ねる途中に――気づいた。あるいは、気づいてしまった。彼が苦しんでいる理由、その原因に】
【そうしたら狼狽えたようになって――どうしようって何度も繰り返して呟くのだ。助けなくっちゃって思って、だけど、救急車だとかは、こんな場所に来るはずない】
【治療師のたぐいも心当たりがない。そもそもそれが何であるのかも、分からないなら――だけど、一つだけ。うまくかみ合えば、って、思いつくことはないではない】

…………――それ、魔術? 魔術なら、わたし、――、こわせる、かも、しれない……。

【――彼の気持ちを無視して、尋ねたのは、全く確実な方法ではなかった。そもそもそうじゃないって言われたらお終いの案、だけど、それしか思いつかなくって】
【そうでなかったら――今頼れるのだなんて、病魔たるイルしか、いなくって――連れて来ることはいとわない。だけど。すぐに捕まえられるかは、全く、分からなかったから】
446 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/10(木) 22:58:48.05 ID:CgFRuhkYo
>>442

【ふう、とジンジャーが一息吹く。その一動作で彼の精神はニュートラルに落ち着き―――柔和な目つきが敵意に吊り上がったモノへと変わる】
【そこからは迅速だ。おもむろに白衣から機械製のベルトを取り出し振り回してかちゃり、と己の腰に巻き終わる】
【ジャンクちゃんはすでに彼の目前に立ち、一動作でも攻撃とみなされる行動を行った時点でいつでも撃てるよう内蔵された火器とロケットパンチを放てる姿勢に移っていた】


―――改めて、"WILD"……ジンジャー・ユースロットだ。
ようこそブランル君。我らが仇敵の身ながら単身訪れたその勇猛さを称えよう

『超最先端対能力者戦闘用メイドロボガラクタメイドジャンクちゃんVer.5。
これより戦闘駆動に切り替えます。当方に迎撃の備えあり……デスヨー』


【"戦士"としての正式名称を再び名乗る二人―――彼の変貌による動揺は間違いなくあったが、ものの1秒で平静を取り戻していた】
【純粋に、彼らの極めて高い経験値が、この危機的状況を対処する術を狂いなく行える自信につながるが故の落ち着きだろう】
【すでに敵に与える一手目の攻撃を頭の中で構築している最中だろうか―――しかしそんな中二人は彼の右手に握られる実に見慣れた銃に注目していた】


……”弾”末魔。まったくもってとんだタヌキだね。君自身がセリーナ君を連れ去った犯人、その第一容疑者という事になるじゃないか
返してもら……いやいい。自分で行くから教えてくれるかな。今彼女はどこにいる?

『一人で来るとはずいぶんな自信なのデスヨー。よほど自分の実力を信用しているとみられます
……最もそれが"弾"末魔を所持していることからくる自信だったら楽ではございますが。『その銃』は、貴方には十全の力を分け与えませんから』


【遠回しにブランルが行使する程度の"弾"末魔の性能ではこの二人には勝てないと言い切って見せるジャンクちゃん】
【よほどセリーナと、”弾”末魔の実力をよく知っていると思われる―――無論、二人ともブランルの力の本質にその銃は関係ないだろうと読み切っているが】
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 23:10:52.41 ID:FM8xFu2G0
>>445

【男は歯を食いしばっていた。ぎちぎち音を立てて、歯を擦り減らして割らんばかりに】
【そうして「首輪」に耐えていた。この後もまだ、やらなきゃいけないことがあったから】
【まず間違いなく追ってくるだろう主を迎え撃たねばならない、撃つわけじゃないんだけど、とにかく】
【ここに来させてはならない。それだけ、それだけを思っていたから】

…………ッ、

【助けてもらおうという気なんて、なかった。自分で蒔いた種だから自分で処理しなきゃって】
【思っていたから――此方を覗き込まれるのは、予想外だとでも言わんばかりに】
【目を見開いた。首を押さえていた手が下ろされる、――その下には、案の定、絞め痕があった】

【(人間の手で握られたみたいな痕がついている。その手のサイズは然程大きくなくて、丁度大人の女のそれくらい)】

【呼吸はすでに出来ていないようだった。かひゅ、かひゅ、と絞め出されて零れるような吐息ばかり】
【喘ぐように口を開いて、はくはく、色を失った唇がわなないていた。何かを言おうとしているのか】
【それも握り潰されて音にならないよう。だから、「おれのことはもういい」の言葉も、かたちにはならなかった】


【――――訊かれたら、頷いてしまった。反射的なモノだったのか、そうでないのか、もうわからない】
【頭では格好つけたことを考えていても、身体は苦しみに耐えられなかったのかもしれない。そんな中で確かに、頷いた】

【少女の言う通り、魔術式。主に背いた所有物に対して発動する、呪いじみた幼稚なもの。彼の身体の内部に刻まれたものだった】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/10(木) 23:15:44.79 ID:a8fkjDLEo
>>446

【迅速な応対。二人の戦士の、確たる経験から来る手早い動きに男の唇が、欠けた月の如き円弧を描く】
【ブランルは嗤っていた。嘲笑などではなく、ただただ愉しげな微笑みを湛えていた】


んー、ふふふふ……実にいい反応だ
サプライズは相手の驚いた顔があってこそのもの。それだけ反応してくれれば、私としても一芝居打った甲斐があったよ

とはいえだ、そう怒らないでくれ。何せ、私はほとんど嘘をついていないのだからな?
つまり、観光というのは本当だ。仕事のついでに来たのも本当。一杯、やりたくなったというわけだ
唯一、セリーナに会えないのが残念だ、というのは嘘かもしれないな。だが、本当にあの娘がいたらそれはそれで面白そうだ
そういった意味で言えば、やはり私は何も嘘はついていない。敵ではない、などとも言っていないしな?


【椅子の肘掛けで頬杖をつきながら、ブランルは愉快そうな声で言う】
【まるで二人をからかうような態度だ。それでいて、戦闘態勢など何も取る様子がない】
【戦う気がないのか、その必要さえないのか。不気味な笑みは考えを読み取らせなかった】


しかし、”一人で来るとはずいぶんな自信だ。よほど自分の実力を信用しているとみえる”、か
ついこの間、もっと長台詞だったが同じようなことを私はセリーナに言ったな
あー……その結末を知りたいかね? 正義の代名詞、セリーナ・ザ・”キッド”が”まぁいけるだろう”と思って私に挑んだ結末を?

あ、因みにこの銃はこういったときのためだけに取ってある代物だ
つまりはサプライズ用というわけだな。なので、別に使う気はない


【セリーナの行動をせせら笑いながら、右手を握りしめる。その短い動作だけで、”弾”末魔は消失】
【「それで、セリーナの居場所だったかな。質問は」などと言って、尚もブランルは答えを返さなかった】
【二人の予想通り、ブランルにとって”弾”末魔は彼の持つ力と全く無関係だった────都合の悪いことに】
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 23:29:29.18 ID:rUp2S1pa0
>>447

【時間が経過するごとに少女は狼狽えていく。どうしよう、どうしよう――って、泣きそうになって、慌ててしまう】
【首を絞められる方法は知っていたけれど。それとこれとは別のものだろ、戯れでそうするのと、仕置きのためにそうするのでは、意味合いが違うから】
【助けてくれた――と思っている。そんなひとが目の前で苦しんでいる。ならばそれは自分のせいだ、なら、自分にできること、しなくちゃならないと思う】

【――はくはくと動く唇、そこから言葉を見つけ出そうとして、少女は彼との距離をぐっと縮めるだろう。一番最初に会った時と、少し違う、香りがする】
【そんなの感じ取ること、出来ないと思うけれど。――違った雰囲気があるのだ、この距離感だと、それがよく分かる。なんでかっていうのは、きっと、分からないけど】
【あるいは年頃の女の子なんてそんなものなのかもしれなかった。――だなんて。彼女は年頃でもなんでもない、年齢だけで言ったなら、もう、だいぶ、大人の女性】

――――――えと、ね、……動かない、で、だけど、……苦しかったら、すぐに――、――ああ、ううん、もっと、変に、なるようだったら、
――わかんないの、わたしも、どうなるのか、でも――魔術式、なら、もしかしたら、

【うんと近い距離。手をついて乗り出すだけじゃ足りなくなって、彼の座っているところまで出しゃばって、一つの椅子に、無理やり乗っちゃう】
【目の前で震えている彼がとてもとても小さな雛鳥に見えてしまっているように怯えた顔、手も――変な形になって、まだ、ためらっている。だけど。彼が頷いてくれたから】
【もしかしたら、出来るかもしれない。だけど。もしかしたら、もっとひどいことにしてしまうかも、しれない。――そしてそうなったとき、彼女では、対処しきれない】

【――――――だけど、一つの可能性。失敗したら。それを考えていたら諦めてしまうくらいに分の悪い賭け】

【少女の手がふっと彼の首に触れようとするだろう――受け入れたなら、少女の存在そのものが、彼に掛けられた魔術式を"浸食"しようとする】

【原理は簡単だった。彼女はそもそも起こしてはいけない奇跡を実現するため、呪いにも似たもので練り上げられている。最終的な原材料は魔術式と能力と魔力、だけど】
【ありようとして彼女は魔なるものであり存在してはいけないもの。無理を通すために道理を捻じ曲げる魔術で造られた異物――なら、本来ありうる正しい魔術とは、相反する】
【ならば正しくない少女は存在するために、魔術式で出来たイキモノとして、本来正しいはずの術式を浸食してしまおうとする。誰も意識的に鼓動を止めてしまえないみたいに】

【――もちろん彼に掛けられた魔術の強度にも因る。それに、浸食した結果綻んだとして、彼女はそれを引き剥がしては、あげられない。その手伝いが、できるだけ】
【あるいは浸食しきって全部腐り落ちてしまうまでか――、また、あるいは。そうやって解除しようとする不届きものに対する罠に似た仕掛けまであるなら、余計に困難になるし】

【何より問題なのは、彼女がこの事象を全くコントロールできていない、ことだった】
【それがどうなるのか。結果だけは分かっているけど――過程だなんて、全部、黒い箱の中に、しまわれてしまっていて】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/10(木) 23:44:25.46 ID:FM8xFu2G0
>>449

【首に触れられた瞬間、一度大きく、男の全身が痙攣するように波打った】
【びっくりしたのか、そうではないのかわからないけれど。少なくとも表情的には前者であるよう】
【一回目に会ったときはふわふわ、柔らかそう。二回目に会ったときは今にも折れて崩れてしまいそう】
【そんな質感をしていると、思い込んでいた少女の――思いがけない力強さに、驚いたのだ】

………………、

【吐息が漏れた。彼の体内では、大量の「なにかの欠片」が蠢いていて】
【そこに結び付けられるみたいに、呪詛の術式が絡まっていた。触れてみれば存外拙く】
【だけど執念じみて硬く硬く結ばれていた、ほどくにはきっと途方もない時間がかかるくらいに】

【――けれど、それも、「ほどく」じゃなくて「侵蝕する」手を選択されたなら】
【少しずつ、少しずつだけど――結び目がとろとろ蕩けていく、緩まっていく】

【その間、聞くだろうか。小さな小さな子供、女の子が泣いて喚いて――「だめ、これは僕の」って】
【お気に入りの玩具かあるいは人形を取られそうになっている子が上げる泣き声。……ただの幻聴ではあるけど】

【――――――けほ、と男が咳き込んだ。それを許されるくらいには、喉を締め上げる力がゆるんだらしい】
【それから、あ、と声が出た。幾分掠れてはいるが、音が出るくらいまではとりあえず、回復した】
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/10(木) 23:59:28.37 ID:rUp2S1pa0
>>450

【――そして、これもまた、彼女が普通の人間ではない証拠だった。普通の人間にはできない芸当――あるいは、これをするには、そのための練習をする必要がある】
【それを少女はただ関わるだけで、してしまう。魔術を上手になろう、練習しようとノートに書いてみたなら文字化けを起こすし、詠唱などしようものなら、端から崩れていく】
【そういう特異体質――だけれど、今ばかりは、彼を少しだって助けてあげたいって思って、使う。そして神にすら祈るのだ、彼を助けてあげてほしいって】

――――、

【そうっと触れた手が、だけれど、今すぐに彼を苦しませることはないって気づいたならば、ゆっくり、優しく、その手形に沿うように、触れるだろう】
【それでこんなものは壊れてしまえ、と、願う。そんな気持ちはなんてことない意味なんてないかもしれないけど――それでも、願わずには、いられないのは】
【どうしてだろう。よく分からなかった。自分は安らげるからという理由だけで逃げ出してしまって、今も、きっと、この後、そこに戻っていって、しまうのに】

…………――ん、んん、ぅ……、

【子供の声が聞こえた。わずかに眉を顰める――生き物が心臓を動かすくらい当たり前のことに意識を向けて、少しでも、少しでも、と、意識を張っていたなら】
【集中が逸れそうになる。ただでさえ今の少女は普段よりも劣っているから、余計に。ならば余計に距離を縮めようとする――それに意味はなくても、気持ちの問題として】
【まだ苦しそうにしているだろうか。ならそれがひどく悲しくて仕方ないみたいに。それともさっきよりはずうとましになっているだろうか。それでも、彼女自身が、寂しいように】
【勝手に膝すら乗ってしまいそうな距離感で。首に触れているのは右の手、もう片っ方は――、ぎゅうと、彼に縋りつく。大丈夫だって伝えるみたいに、大丈夫だって、言ってほしいように】

あ…………――、大丈夫? 苦しくない? 痛くない? 

【――彼の声が聞こえて、少し、安堵したようだった。まだ変わらず不安そうな顔ではあったが、その口元をわずかに笑ませて。彼の顔、のぞき込もうとする】
【そうやってすると――あのとき。朝の店の中。一緒にご飯を食べて話したひとと同じだって、きっと、伝わるのだ。それが、ほんの短い間に、全部壊れてしまったのも】
【だけどおんなじ存在であるのなら、浮かべる表情は変わらない。――あるいはよく似ている、はずであって。小さな子供をあやすみたいな、声】

【左手がそっとその頭を撫でようとする――、まだ、終わってない。少しだけ。良くなったかもしれないけど。それでさえ安堵するくらいに、自信なんてなんにもなかった】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/11(金) 00:12:44.25 ID:YCB7OfI40
>>451

……、けほっ、けほ……、……だいぶマシ。

【ようやく紡げた言葉になる声は、がらがらになっていた。何も事情を知らない人に聞かれれば笑われそうなくらい】
【間抜けな声だった。それでも響きは、平常時のへらへらした色を含んで】
【少女を安心させようと無理に形作ったところもあったが――概ね嘘はついていない】

【息を大きく吸い込むと、ひゅうと音が鳴った。それでも久方ぶりに摂取できた酸素だ】
【煙草をそうするみたいに味わってから――まだ色がよくならない唇を、笑みのかたちにして】

だ、いじょ、……ぶ。げほっ、……あんがと、ネ。

【目付きはまだ弱弱しい。それでもにへ、と、人懐こい笑みを浮かべるのだった】
【最初に会ったときと同じように。少女がそうであるなら、此方も同じくそうしようって】
【思ったかどうかは定かじゃない。でも、作り笑いじゃないことだけは確か、そう思わせるような表情】

【だいぶ近付いていた少女の身体、撫でられればくすぐったがるみたいに頭を動かして】
【無意識、少女の背中へ上っていきそうになっていた手に気付いて、さっと下ろした。ちょっとばつの悪そうな顔をする】

……はあっ、うん。ほんと、ありがと、助かっ……助けにきといて逆にそうされる、なんて、だっせえなあ。
ごめんネ、メチャクチャなことばっか、して……おれはもう大丈夫だから。

【「おうち此処なんでしょ、さっさと帰んな」。そう言って、またも手をひらひらするのだ。先程の荒々しさはないものの】
【ここから先は自分で何とかするから。みたいな、突き放す仕草。車を降りるよう、やんわり指示する】
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/11(金) 00:35:55.80 ID:SD3Jup820
>>452

【――――よかった、と、笑うのだ。ひどく安堵した声で笑って、彼の髪の毛を"くしゃくしゃ"じゃなくて、親猫が優しく舐めてやるみたいに、同じ方向に撫でる】
【がらがら声にも笑うことはない、笑うはずがない。良かった――って何度もつぶやいて、何度も撫でる。――それは彼のためでもあるけど、彼女自身のためでもあると】
【もしかしたら気づかれてしまうかもしれなかった。全部の自尊心みたいなものを叩き折られて。やりたいって始めたことも投げてしまった彼女が、立ち上がろうとしている証拠】
【ずーっと、ずっと、こうしているつもりは、あんまりないのかもしれなかった。あるいはそうするにはどうしようもない罪悪感が強すぎるのかもしれなかった。どっちにしても】

――あのね、あのね。助けてくれて……ありがとう。……助けて、くれたでしょ、だからね――……、

【あどけない顔によく似合う表情。前みたいに泣いて叫ぶようなのは、やっぱり、どうしようもなく変だった。にーっと笑う、相手を少しでも、安心させるように】
【あるいは自分自身が安心できるように。それでもしゃべりかたまだ少し気の抜けたようなもの、いつかより子供っぽい語尾の温度感、それでも、今日は、安定していた】
【一緒に来てくれるって、言ってくれなかったけど――、それでも。互いに人間じゃないって知れているから、っていうのも、あるかもしれなかった。怖くないって、思えるから】

…………ださく、ない、よ。

【――だから、それだけは、大事なことみたいに、言っておくのだ。嬉しかったって。怖かったからって。そんな言葉、ぽつぽつって、伝えて】
【彼がもう一度、ひらひらって彼女を拒絶したなら。その時は――少し困ってしまった顔をする。でもそれにたてつけるほど強い心は、まだ、眠ってしまっていて】
【真っ白な寝台の中で、膝を抱えて眠っているのだろう。いつ起きて来るのかは分からない、もう起きてこないかもしれない。ぽっかり抜け殻の身体を、自分で抱きしめたなら】

【お買い物って、あのひとはヒトを買ったの?】
【そのひとはどうされてしまうのかな】
【非道いことをされて、棄てられてしまうの?】
【あの工場の子供たちみたいに】
【どうしてみんなそんなことをするの?】
【ねえ】

【――――――(人間を護る価値は本当にあるの?)】

【出かかった言葉を、飲み込む。幻視する赤い煌めきごと、なかったことにする】
【唇を噛んで一瞬黙り込む――それで、やっと、従うことにしたらしい。ゆっくりと立ち上がる――といっても、狭い室内だ。まして位置もあるなら】
【多分運転席の方から出した方が早い。小柄でこそないけど華奢な少女ならきっとそれができて。――やがて、やっと、車の外に立ったなら】

――――――――……、

【――じっと見つめる、自分を助けようとして苦しんだひと。きっとこれから、自分の知らない場所で、また彼は、あの女に、仕置きをされると分かりきっているなら】

……ほんとに、来ない?

【もう一度、尋ねてしまうのだ。答えなんて知っていたとしても。ここなら――、人間にいじめられることは、きっと、ないよ、って】

【(ああでも。脳裏にはどうしたって浮かんでいる。さっきの男の言葉。――でも。ここ以外に抉れた存在を癒していられる場所なんて、思いつかなくて)】
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/11(金) 00:52:13.29 ID:YCB7OfI40
>>453

いやいや、だせえっしょ……ああ、うん、こないだのと、オアイコってことで。
こないだおれがさ、リンネちゃんはすげえよって言ったら――リンネちゃん、それ否定したっしょ、
それとオアイコ。そーいうことにしとこ、……なんかもー、面倒くせーし。

【はは、と後ろ頭を掻きながら言う。存外根に持っていたらしい】
【それからごん、と音を立てそうな勢いでシートに背を凭れさせて――運転席のドアを開けた】
【そのままここから降りなさい、の意。それに従ってくれたなら、内側から窓を開けて】

【また、誘われた。それを聞いて、――――――車を降りることは、なかった】


……、……うん、ごめんネ。おれは帰るよ、帰んなかったら代わりに夕月が虐められて、
夕月も「だめ」になったら……また別の誰かが虐められる。だからネ、

【もっともらしい言い訳をして、断った。――本当はそれ以外にも、帰らなきゃいけない理由はあったけど】
【べつに今言うことでもないだろうって判断した、それで、おしまいにする】
【外から見たなら、かわいそうなくらいボロボロになっている車。それをまた起動させて、エンジンの音を鳴らす】
【まだ窓は閉めない。そこから片腕を外に出して、ぶらんと垂らして】

……だから「またね」、だよ。

【最後に、ぎゅっと。少女の小さな手を握ろうとするのだ、握手するみたいに】
【握れたら何回か軽く振って、ぱっと離す。それからひらひら、バイバイの形に振って】
【「外の世界で待ってる」とは、言わなかった。呪いを残すには、少女の心はまだ柔らかすぎると判断したから】

【それだけ。言ったら、何も言われない限り窓を閉めて。ぴかぴかの鏡みたいな面が、運転席の彼の姿を隠す】
【そうしてボロボロ車は走り出すだろう、がたがたと頼りない挙動で、遠いところへ去っていく】
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/11(金) 01:08:57.27 ID:SD3Jup820
>>454

【意外と根に持たれていたらしいと気づいたなら、少女は少し面食らったように目を丸くしたのだ。あの時ああいったのが、どんな意味合いだったのか】
【それをまだ理解しきることはできないけれど。多分――またいつか気づくだろう、折れてしまったまんまでいられる子では、なさそうに見えたから】
【大人しく車からも降りていた。地獄みたいなドライブのあとでも世界は変わらなくって。多分この瞬間にも工場は動いて、黒い煙があふれ出しているのに、物事は変わらなく見え】

…………――、

【もっともらしい言葉は、脳が半分くらいしか動いてないような少女にはよく効く。怖かったら怖いと言うし、目の前で誰かが苦しんでいたら、そのために動くけど】
【その全部が元通りだったなら――多分、さっき、ここじゃない場所に連れて行ってくれ、と、言っていたはずなのだ。それをしなかったなら、まだ、その半分はここにあって】

……夕月ちゃん。困って、なかった? ……あのね、わたし、わたしが、分かればいいやって――、……、あ、う、ええと、
…………ううん、いい、や。――――んと、ね、……また、ね、

【手をぎゅうっと握られて――握手するみたいな仕草。少し驚いたように目を丸くしてから、それでも大人しく振らされる。最後の方では、弱くだか握り返してもいて】
【この場に居ないひとのことを少しだけ話す。相手の言葉で思い出したのかもしれない。困ってなかったかって――本人に聞いてなければ、分からない、と、思う】
【まさか誰にも見せるつもりなかったからすっごい適当ぶっこいていたのを後から思い出したらしかった。だからそれを、尋ねようと思ったのだけど】
【――それは今度、自分でやるね、って、言うみたいに。言葉を区切る。……それで、またね、って、相手と同じ言葉を繰り返すなら】

【――――少しずつ、少しずつだけど。気持ちは世界に向きつつあるのかもしれなかった。だけどまだ足りない、大雨のあとの地面みたいに、ぬかるんでいるから】
【誰のどんな足跡だって、綺麗に残ってしまうから。――彼が回避していった呪いには、きっと、気づけないままで。ばいばいの掌、こちらも、真似をする】

――――、

【何か言わなくちゃいけない、って、思ったのかもしれなかった。確かにばいばいしたはずの手が、ふっと、窓硝子、閉めたら間違いなく挟まる場所に、置かれたから】

……………………、え、と、あの……、――、ありが、と、う、

【だけれど言葉はうまく出てこなくって。ひどくもどかしい様子、なら、本当は、もっと違うことを言おうとしたのだと分かる――でも、出てきたのは、これだったから】
【少女はそれで手を離す。――そうすれば、もう、おしまいだった。あとはがたがたの車を見送るだけに、なって】
456 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/11(金) 01:14:21.87 ID:gd0KtkZJo
>>448

【わざわざ見えるようにブランルの言葉に対して指折りカウントしながら、ジンジャーは軽口を叩き始めるだろう】


……ふむ確かに。君のいう事に嘘偽りがない事はこの私も確認した
別にいいよ。敵であろうとビールくらい振舞うとも……実は過去女性用の服を機関員に売って差し上げたこともある
機関員であろうと私も貴賤なく商売してきたんだ……『買われちゃまずい物』などそもそも店で取り扱わず直接必要な人間に売り込むのが私のやり方だからね

『まあ、そりゃ今世間を騒がす悪党がひょっこり現れてビールを注文してきた状況は多少なりとも驚かざるを得ないと思うのデスヨー
それで喜んでいただけるのは別に何も構いはしません。―――そんなことはとっくにどうでもいい』


【ジンジャー&ジャンクちゃんとブランル。両者の間に緊張が走る】
【一触即発。どちらかが仕掛ければその時点で殺し合うことになるだろう。それをお互い理解している】
【理解したうえで、両者全くペースが崩れない。自分の実力に確かな自信を持ち、落ち着き払っている……】


ほう、では次『このセリフを言われた側の運命』は君の方に降りかかるという事でいいのかね?
そういうことならば実に知りたいね……悪いほうの想像だとしても、君の身にそれを返してやることが出来るからな

『使わないのでしたら正直返還を求めたいところなのデスヨー……そう、全部を!セリーナさんも、”弾”末魔も!』


【どんな無様を口にしようともこれからやることには変わりはない。『やろうというなら相手になり、叩きのめしてでもお前を倒す』】
【たとえこの場にいる二人だけで―――誰も間に合わなかったとしても戦いが始まったらこの場が戦場になるだろう】
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/11(金) 01:28:19.13 ID:YCB7OfI40
>>455

夕月はまあダイジョーブだよ、不器用だけどまあ……やろうと思えばやれる子だよアイツは。
だから心配いらねーって。安心して、寝ときな。

【だいぶ投げやりに言ったけど、まあまだ根を上げてはいないから。なんとかなるだろ、くらいの勢い】
【それじゃあこれで終わり、と言わんばかりに窓を閉め始めて――慌てて止める、手が置かれたから】
【えっ何、みたいな感じで顔を上げて――一瞬だけぽかんとする、それからへらっと笑って】

うん、どーいたしまして。そんじゃあネ、……おやすみ。

【言い残す。そうしたら今度こそ窓は閉まって、車は発信し始める】
【がたがたのエンジン音をその場に置いて、彼は来た道を元通り、帰っていった――――】


【――――】


……、……、おまえは、夕月と違って、身の程をわかってるヤツだと思ってたのになあ。

【帰り道――案の定、途中まで追ってきていた女を車に乗せて。街から出ていく】
【大荒れ模様の助手席に乗った女が、俯いてぽつりと零した。表情は、やっぱり削げ落ちていて】
【呟く言葉も冷え切っていた。死刑を宣告する裁判官のそれみたいに、高いところから降りてくるみたいな声色】

【きっと帰りつけばひどく虐められる、というか、虐められるというレベルで収まれば、それは最早奇跡】
【それをわかっていながらも、男は車を走らせ続けていた。約束事はきちんと守る。それだけ、遂げようとして】


//ここらへんでしょうか、長いことありがとうございました!
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/11(金) 01:36:29.30 ID:SD3Jup820
>>457

【――――車が走り去っていく。一人になって、だけど少女はほんの少しの間、そこで、ぼうっと立ち尽くしていた】
【というよりも――気づいたのだ。嗅ぎなれた匂いがする。それも近い場所に。――といっても人間ならば感知するはずない程度には、遠い距離ではあったが】
【ぱちりと一度瞬いて、視線が移ろう――、わずかに息が詰まる。それで――思わず、というように踏み出した足を、頑張って、頑張って、後ろに下げる、そうしたなら】
【くるっと踵を返して――今居る場所だと決めた場所に、戻っていく。振り返りかけた仕草は、だけど、途中で止まる。――後ろ髪を引かれないように。だから髪を切ったから】

………………、へびさま、

【それでも呟かずにはいられなかった。どうしてこんな場所まで来ているのかって、考えたなら】
【そして自分が察知したなら、相手もそうだろうと分かりながら。無理やり入ってこようとして警察だなんて呼ばれないと、いいけれど】
【ああ、ここには警察なんて、多分、来ないから――ぼんやりと考える。やがて部屋にたどり着いたなら、真っ白の寝台に潜り込んで、少しだけ、思い返す】

【――違う匂いがした。誰かといるんだと思った。だけれど知らない匂い。でも――どこかで知っている、ような、匂い】
【真っ白い蛇のことを考えながら、真っ白の寝台に横たわる。――会いたいな、って、思った会いたい。けれど】

【(どんな顔をして会ったらいいのかは、分からなくって――だから、今も、来てくれるのを待ってなかったのだけど)】

/おつかれさまでした!
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/11(金) 21:21:46.66 ID:zgSjSQ31o
>>456

【静かだが、しかし重たい敵意を受けながらもブランルは涼しげな表情をしていた】
【それこそ、馴染みの酒場で店主と会話しているかのような、リラックスした気配さえ醸し出している】


いやぁ……いいな。その返し方、実にいいよ
少々ベタだが、そういった直球の言葉を返してくれると、会話の楽しさが増すというものだ
もちろん、私としてもその運命がお前たちの手によって私に降りかかるというのであれば、望外だ
お前たちにそれが可能だというのなら、今から楽しみで仕方ない


【優雅な笑みを浮かべた男の視線が、過去を思い返すように天井へと向けられる】


そういった意味で言えばあの小娘────セリーナは期待外れだったな
確かに強いのかもしれないが、お前たちが評した通り、そのへんにいる人間より少しばかり勇気がある程度だ
勇気だの友情だので私のような悪党が倒せるのなら、誰だってそうしているだろうな?

そう……だから結末は実に単純なものだ
たった一人の若造が私に挑み、力も技量も精神力も、何もかもが足りずに負けた。ただそれだけだ
この世界は冷酷なので、敗者に残るものは何もない。全て捕まえた私の自由だ
かくして、正義やら世界やら、身の丈に合わない物を背負った哀れな娘の戦いは終わった。めでたしめでたし


【童話を語って聞かせたように、両手が本を閉じる動作を真似る】
【それから、「あぁそういえば」と言ってわざとらしく指を一つ、立ててみせる】


この話は童話ではないので続きがあるんだったな?
セリーナ・ザ・”キッド”が敵の手に落ちた後、どんな目に遭ったのか

あー、そうだな。お前たちにも現状を伝えておかねばなるまい
つまりは……そう。”弾”末魔に用はないが、セリーナにはまだ用事があってな?
まだやっていないことが沢山あるのだよ。私はまだ彼女で遊び足りないというわけだ


【唇が円弧を描き、狂気的な笑みを形作る。最低な話を予感させるのに十分な笑みだった】


この間はドレスで着飾ってやったが、案外似合っていたな
櫻の国の和服は微妙だった。メイドの格好もさせてみたが、それは中々だった
どれもこれも、適度に破いてやると”そそる”ものでね……屈辱の表情は見ものだったから、写真でも撮っておけば良かったな?

いや、喫煙や飲酒の習慣があったようなので内臓器はそうでもないのだろうが
戦闘を続けて来た肉体は適度に引き締まっていて抱き心地が非常に良いんだよ。体型も実に私好みだった


────何回”抱いた”か、知りたいか?


【机に身を乗り出して、下種な自慢話を囁く。捕らえられたセリーナの環境が最悪よりも悪いものだということは】
【想像に難くないだろう。問題はこの男の目的だった。ただ喋るばかりで戦う気配が一切感じられない】
【ただ二人を嘲笑って楽しむだけか、あるいは別に目的があるのか】
460 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/11(金) 22:52:04.64 ID:gd0KtkZJo
>>459


―――ほおう、吹いたな。この私の実力を知らずに
これまで何人の巨悪が君のようなセリフを吐いて楽しむどころじゃないほど落ちて行ったと思っているのだね
明日も優雅なブレイクファーストタイムを楽しみたいなら多少は自重する事をお勧めするよ

『……ええ、こんなですけどこの方は……この世界でも有数の"強さ"をお持ちデスヨー
歴代"六罪王"の持つような圧倒的武力、とはまた違ったものですが……ハカセ及び多くの正義組織の方の『それ』を侮って
これまで何人もの巨悪が撲滅される瞬間をこの目で見てまいりました―――貴方は、「そうした類の連中」とは違うとでも?』


【軽口に軽口で返しながらも二人の挙動に一切のブレはない―――機械のごとき精密さが保たれている】
【明鏡止水、と言うのだろうか。心に怒り狂うほどの熱量を灯しながら、その頭脳は澄んだ水のごとく冷たくおだやかだった】
【―――やはり、戦闘経験でいうならばこの二人は正真正銘のトップクラスだ。いかなる強者といえども。『一手』以上しくじれば痛手は免れない―――!】


いやいや、そこは自分を誇りたまえ。

セリーナ君は勇気だの友情だのはもはや標準装備で厚く持ち合わせているし、力も技量も精神力もこの私に認められるほどに持ち合わせている
君が勝てたのは確かに一つ目は力と技量と精神力のいずれかが多少セリーナ君を上回ってたのは事実だろうし……それ以上に『喰われず』に住んだ幸運だ
よほどの実力の高さと、なおかつ絶好調のコンディションとそして、たまたまセリーナ君が不調だったとかなどのその日君に味方したツキ。
全部を兼ねそろえてなければ勝てるわけがないのだ……勝利して今日を迎えた事実を、誇るべきだ

『最も……それが果たして我々に通じるほど残っているかどうかはかなり疑問の残るところではございますデスヨー
ただでさえ……ワタシ達は貴方がセリーナさんを痛めつけた事を知らされ怒りが高ぶっているというのに』


【セリーナの敗北した事実を受け止める二人は―――それでもセリーナの実力をけなされることへの反発を強めた】
【本当に、心底信頼している事がうかがえる―――変化があったのは、その後の話題だ】
【捕らわれたセリーナに行った『仕打ち』を聞いた瞬間、まずジャンクちゃんの表情が凍り付くように消える】

【続いて、ブランルの目前から伝わってくる熱量が―――膨れ上がっていくことをブランルの第六感に訴えかけてくる】

【膨れ上がり続けている―――業火のように。否―――活火山の中で脈打つ溶岩のように】


『…………………………………。』

―――……セリーナ君はねぇ、気さくで豪胆、人当たりがよくてひたすら明るい女性だが
その一方、女性としての貞操観念はしっかりしている子でね……私も彼女を口説こうというのなら
長期スパンで根気強く付き合いハートを虜にしてみたいなどと思ったものだ。

ゆえに、私の見立てでは容易くない事は目に見えていたから、昨日今日連れ去った彼女にそこまで
踏み込むなど正攻法ではまずありえないはずなのだが……ふむ、参考までに聞いてみるかな?



【――――――突如、熱がふ、と消えた】
【いや、消えたのではなく――――彼の心の一点に急速に凝縮されたというのが正しいか】



……最も、君が死なねばならない外道であることは私にバレてしまったから―――五体を引き裂かれながらやってもらうとするがね



【≪変身≫―――の一言はブランルの耳に遅れてやってきた】

【すでに、いつのまにか―――ブランルの挙動と挙動の合間、呼吸の虚を突いて―――赤い複眼の仮面の戦士が己の攻撃の間合いまでブランルに接近している事がわかった】
【手にはすでに――――剣の形をした細身の圧縮チェーンソーが起動しており、ブランルの胴を左斜めに袈裟切りを狙いに来た―――!!】
【静かなる一太刀――――その切っ先にはやはりというか、二人分の『激怒』の感情が乗っていた!】
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 14:15:36.24 ID:slCwVJ04o
【___ジリ___】



【_______ジリ____】



【_____________ジリ______】







今これを聞いているのは誰であろうか。男性だろうか、女性だろうか。大人だろうか、子供だろうか。

開いたのは好奇心故か、恐怖心故か、或いは────導かれて、ここまで来たのだろうか。





答えは無くていい。ただ在るのは、返答を期待しない言葉が故に。





【___鈴の音が鳴る】   【___事実はそれだけ】   【でも────】







                             【貴方たちには】





    【────それで、十分】          
       





               【────意味が通るのだから────】




 ” 秘密の合言葉のようね ”  ” 内緒のパスワードかもしれない” ” おやすみの合図かもしれない ”

 ” 此処に居ないダチ公に向けた ” ” 尊ぶ事のできない ” ” 現と幻と、境目に消える言葉 ”

 ” それは茫漠 ” ” それは虚無 ” ” 這いずり回る ” ”蠢きのたうつ ” 燻り狂える "




          【開いてしまったパンドラの筺、現実は何処へ】
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 14:16:11.84 ID:slCwVJ04o
【暗澹とした街であった。すれ違う人々の誰もが暗い目をして歩いている】

【其の多くは何かしらの事情があってこの街に来ていた。犯罪者や世捨て人が大半であったが】

【それでも彼らの目は僅かな光があった、誰も死のうと思って生きてないのである】



【しかし、其の話をする時、彼らの目は一様に恐怖に支配されていた】

【──止めておいた方が良い。その工場には近づくな、と】

【けれども、白神 鈴音の手がかりを求めて来た貴方達には選択の余地はなかった】



【そうして工場へとたどり着くだろう。巨大な工場であった。廃れた雰囲気は十分にあったが】

【煙突からは黒々とした煙が出ている。未だ稼働している証拠であろうか】

【内部からは機械の駆動音が響いていた。歯車と歯車のかみ合う、適切なリズムで】



【魔 力を感じ取れる者ならば一目で分かるはずだ。おぞましい魔 力が内部で渦巻いている、と】

【其れは例えるならば深海、光の届かぬ深い深い海の底。──そこで何者かに足を捕まれた、感触】

【恐怖が波の様に襲ってくるだろう、それでも後ろに進むことを許さない様に】



【それでも貴方達は意を決して進むのだろう。其れを人々は蛮勇と笑うのだろうか、無謀と歌うのか】

【けれどもその選択は間違いではない。往々にして進むしか道は開けない。敗者はそれを知らない】

【しかれど無知なる者は幸福であった。この先にある恐怖を直視せずに済んだのだから】



【人々は無知を恐れる、しかしそれは動物が火を恐れるのに近い現象でもあった】

【本能的な忌避であるのだ。無知のまま死ぬ事への怯懦が、そこにはあるのだから】

【──認識すること。それそのものが絶望の始まりとなることも、多くあるにも関わらず】







【────】







【────────】
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 14:17:14.46 ID:slCwVJ04o




【開けっ放しの門を抜けて、扉を抜けて内部へと進入するだろう。その瞬間違和感を覚える】

【自分たちが居る地点は間違いなく橋であった。ベルトコンベアのある作業所を見下ろせる橋の上】

【しかし、彼らが進入したのは間違いなく一階であった。にも関わらず出現したのは橋の上であった】



【空間が歪んでいる、と勘の良い者であれば直ぐに気づく事ができるだろう】

【考えても見ればこの工場の存在自体が夢幻、非常に曖昧な感覚をしている】

【一筋縄ではいかないと、伝えてくるかの如く】





【入り込んだなら酷い腐臭がするだろう。夏の暑い日、冷蔵庫に入れ忘れた牛乳の腐った──】

【鼻で呼吸するのを躊躇う程の臭気が、工場内部に充満していて】

【それと同時に、噎せ返るような湿気を伴った暑さがあった、体感温度は真夏を超えている】



【────工場の内部は凄惨であった。奥の扉へと続く橋の上、見下ろす事の出来る作業場は地獄の様相】

【ベルトコンベアに向かって作業している人員、上は高くとも少年程の年齢、下は未就学児では無いかという程】

【それらの子供達が、身じろぎするスペースもないように詰め込まれ作業していた】





 ”────……っ……ぁ……!! ひぎゃああああああ!!!!”





【子供の内一人が早いリズムで上下する機械に腕を巻き込まれた。鈍い音を立てて腕が砕ける】

【目を見開き絶叫する。根本から腕が千切れびくん、と身体が大きく跳ねた、血飛沫がシャワーの様に降り注ぐ】

【すし詰め状態の子供達に、彼を許容する余裕は何処にも無かった。後ろで作業していた少年が押される】

464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 14:17:38.48 ID:slCwVJ04o




               【────グシャ】





【少年が前のめりにベルトコンベアに乗り出し、そのまま機械で頭を潰される、熟れすぎた果実が地に落ちる様に】

【赤い塗料を塗りたくったような血溜まりに、脳漿や脳髄の破片が飛び散っていた】

【────ゴロン、と転がる眼球、視神経がまるで糸くずのようにこびり着いている】



【頭を潰された少年の身体が倒れ込む、押された少年が側の少年を押して、将棋倒しに次々倒れていく】

【数人の子どもたちがベルトコンベアに躍り出た、ゴトンと大きな音を立ててベルトコンベアに運ばれる】

【ボトン、とベルトコンベアの奥に落ちた────そして】





 ”いぎゃああああああ!!!! ああああああ!!!”





【一際大きい悲鳴が響き渡った、声帯をギリギリまで引き伸ばして、そのまま力いっぱい裂いた様な叫び】

【排出口から出てくるのは一繋ぎの腸詰め。骨も内蔵も何もかも詰め込まれた、腸詰め】

【それを子どもたちが出荷する為に梱包していく、喧騒など何も耳に入っていない様に】



【そんな惨状が周辺一体で起きていた。欠損した死体はそのまま放置され他の子どもたちは作業を続ける】

【血の汚濁した臭いが橋の上まで伝わってくるだろう、舌先に鉄錆の味がしそうな程に】

【悲鳴は終わること無く響き渡っていた、それはさながら垂れ流されるラジオの如く】





【違和感がある筈だ、子供達の惨状に対して、他の子供達が全く反応を示さない】

【つまりこの、事故の状況や被害は過去にあったものだと、判断できるだろう】

【再生されているだけなのだ、かつてあった現状を、この場に於いて】



【故に助けに行こうとしても無駄なのだ、と実感を持って伝わるだろう】

【今見ている景色は過去にあった状態で、此処にいる全ての子供達はもういない】

【そうすれば一つ疑問が生じるだろう、誰が何の為にこの場を用意したのか】
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 14:18:24.67 ID:slCwVJ04o


 ”なぁ、これは何だ────”





【誰かがそう声をかけるかもしれない、或いはそれがなくとも自然に口火を切るだろうか】

【暫し子供達の惨状はレイトショーの如く垂れ流しにされる、会話をするには十分な音量】

【能力者達は居合わせた面々で話をする時間が与えられる、初対面の人物もいるかも知れない】



【情報共有は必要だろう、個々に理由がありこんな場所に来ているのだから】

【或いは物見遊山でやってきたのだろうか、そうであるならば私は警告しなければならない】

【────此処は信仰の工場、信じる者以外入るべきではない、と】





 “ やめて!!! やめてええええ!!!! いやあああああ!!! ”





【君達が話している間にも子供達は死に続ける。圧死。焼死。轢死。全ての尊厳がそこにはなかった】

【けれどもそれを描写することを私はしない。目に見える物全てを描写するのは公平ではないから】

【ただ貴方達は確固たる意志を持って進んできた、と私は信じている】



【ここにあるのがどこまでも不条理で】       【どこまでも不合理で】  【理不尽で、でも】

【意味があるのだから──】  【貴方達が此処に呼ばれた事は】    【少なくとも】

【ジャーロを見せたかった訳ではない】  【出来の悪いフィルムノワールでも無い】



【言うならばこれは声の着く前のトーキー】      【彩色前のラフスケッチ】

【世界は変わる余地を残している】      【もしかしたらそれは、更なる絶望を生むだけの代物】

【それでも、余白に違いはない】   【何を】  【どう】   【描いても良いから】



【与えられた力】   【知能】 【知謀】 【知略】 【知識】 【──罪なる知が、そこでは必要】

【けれども同時に ” Care ” を忘れてはならない】 【最後の最後、それが役に立つ時が来る】

【進むべき道筋を、私は示そう】



/これよりイベント “ Factory of Faith ” を開始いたします。参加者は此方にレスをお願いします

/参加者の皆様は工場内部の、橋の上に居る状況と思って下さい!
466 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 14:37:55.06 ID:YPag1hO40
>>461-465

【――――ゴクゴクと、液体を飲み下す音が響く。パシャっと、液体がぶちまけられる音が響く。パリンと、ガラス質が割れて砕ける音が響く】
【工場の入り口手前では、足元に半ば砕けたフラスコが転がった。その破片を気にせず踏みしだく足――――】

――――貴重な備えを、だいぶ持ってきてしまったな。空振りということだけは、避けたいものだが――――

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人】

【――――猫の姿を象った獣人、ワーキャットであった。頭から青い液体を被ったその姿は、何か退廃的な工場には不釣り合いな印象を与えるかもしれないが】
【左目の抉れた古い傷のあるその面容、そして残った右目の鋭い眼光は、ただ者ではないという気配を嫌というほどに放散している】
【他にいるのかもしれない同行者を気にかけることなく、彼はそのまま内部に足を踏み入れる――――】

【――――頼まれた、行方不明者の捜索。その対象が、自分と知古の存在であるということを、彼はうかつにも知らなかった】
【聞いた人物像が、印象の異なるものだったし、名前さえも微妙に違っていたからだ――――だから、これはただの偶然だったのだろう】
【だが、彼がこの場に足を踏み入れたのは、そうした偶然だけでは片づけられない――――何らかの引き合わせがあったのかもしれない】

【――――足を踏み入れる。だが、向かう先は覗けていた内部とは違う。何事かと身構え、すぐさま事態は察知】
【空間が細工されている。外からも感じられた異様な気配は、まずここで現れた――――が、その内部の光景までには意識が向かなかった】

――――っ、こ、これは…………!?
――――ずいぶんと、ふざけた状態だな。こんなものを――――!!

【足元には――――まだ、賽の河原の方が心に優しいのではないかと思われる、子供の地獄がある】
【表情が歪む。先ほど煽った薬の効き目を、早くも押し返さんばかりに心が跳ねる。拳が、ギュッと音を立てた】

【――――だが、幸いに、というべきか。彼はそのままその身一つで飛び込むという愚を犯さなかった】
【そんな事をしても、自分がラインに巻き込まれて終わるだけだし、まずは状況をしっかりと把握しなければ、敵の巣では命を繋げないのだ】
【相応の修羅場を潜っている男は、眼前の痛ましい光景にも、軽率な行動をとることを良しとしなかったのである。尤も、本心では今にも飛び込みたかったのだが】

――――なにか、いるはずだな。見つけさせてもらうぞ――――俺の、目と耳と鼻で――――ッ!

【手の甲から、ジャッと3本ずつ、刃物のような爪が飛び出る。橋の上で腰を落とし姿勢を低く構え、男は小さく口元を緩める】
【――――牙が静かに、熱気の中に見え隠れしていた】

/アーディンです。よろしくお願いしますー!
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 14:38:46.29 ID:CaxAzfSL0
>>461-465

【そこへ足を踏み入れる影が1つ。】
【それは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代後半〜30代前半の男】
【左頬には猫と思われる引っかき傷の痕があり、頭部と両上腕には赤色の鉢巻が巻かれている】
【他、ほんのり青いタンクトップ、紺色のジーパン、両手足にグレーの指ぬきグローブ、紐タイプの無難な黒ベースの運動靴】

「うーん、ここが怪しい気がする……って思って来たのは良いけれども」
「うん。酷い所だね。彼らが悪者ならどーでも良いんだけど、その辺わかんないからなぁ」

【上司はこの件から降りるなんて言っていたが、この状況的にはアイツの方が適任ではないだろうか】
【――扉の接続先がおかしい事にはどっかの誰かのせいで慣れてしまった、けれども】
【"ああいう光景"は好かない。――最初は助けに行こうかと思ったが】
【橋を飛び降りる寸前で覚えた違和感、……これが現実であるならば、少しくらい他の反応があってもおかしくない】

「……ちょっと見てきて良いかな?」

【"魂を完全に消された"か、あるいは――そもそも、"幻影である"か】
【彼は確かめたかった。今、自分が見ていた光景がどちらであるかを】

【もし何かしらの要因で止められなければ、彼は橋を飛び降りるという行為を再開して】
【背に龍の翼を生やしつつ、乗れそうな機械等があればその上に、無ければ空中に留まりつつ】
【"見えてるもの"に対して、手を触れようとするだろうか】

「(前者だったら、まだ望みは有るけれども――)」

【――そもそも、飛び降りた先が見えている場所に繋がっているとは限らないだろうし】
【繋がっていたとしても、彼らが不用意に触れてはならない存在である可能性もある】
【その辺りのリスクは承知の上だ。――もっとも、制止を振り切ってまでやりたいことでもない。前述の通り、止められれば素直に橋の上に留まるだろうか】

/レオーテヴュートです、よろしくお願いします
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 14:38:48.94 ID:IMyPaeI40
>>461-465

【「おまえはただでさえ不器用なんだから。たんぽぽのことにだけ集中しとけよ」】

【――「兄」にそう言われて、このところずっと料理の練習ばっかりしていた】
【他のことは全部おれがやってやる。そう言われたから、言葉に甘えて】
【「あの女」にいびられず過ごせる日常を満喫、すらしていた、けど】

【 ――――ちりん 】

【鈴が鳴るたび思い出す。澱んだ空気の街で、あの子があんなに泣いていた】
【一度会ったことがあるだけ、ちょっと話をした程度の、仲とも言えない仲なのに】
【どうしても忘れられなかった。ちりちり震えて泣く声が耳にこびりついて離れない】
【ずっとずっと気がかりだった。そう思い続けていたときにはもう――靴音を鳴らして】

【情報は意外にもすぐ集まった。「あの女」の客に、個人的なアポを取って】
【若い少女の肉体を利用して媚びれば笑っちゃうくらい簡単に、あの街のことを教えて貰えた】
【「工場」。そういえば鈴音も言っていた、あんなもの無くなっちゃえばいいって、――】


…………、…………


【――その言葉には同意するしかないな、としか、思えなかった】

【「兄」は話を聞いただけで惨状を察しているようだった。なんでそれを、教えてくれなかったんだろう】
【そう思ったけど――教えてもらったところでこんなもの、どうしようもないなって、思った】
【子供たちがモノのように扱われ捨てられていく光景、……モノのように、というか】
【文字通りモノか、それ以下のナニカとして扱われている。でも子供はモノじゃない、当たり前のことだ】

【――――頭がくらくらする。鉄錆のニオイにあてられたから、理由はそれだけじゃない】
【目を覆いたくなる光景のはずなのに、視線が剥がせない。瞬きすら忘れて、乾いた眼球がひりひり痛む】
【いま自分が呼吸できているのかどうかもよく分からなくなってきた。……ひどく、現実感がない】


【少女だった。黒いパーカー、大きなフードの下、肌色を真っ青にさせている、この場に似つかわしくない人影】
【かつん、と橋の上で靴音が鳴った。赤い靴の分厚い底が、ふらついてたたらを踏んだ音だった】
【彼女はうう、と呻いて、柵に寄りかかって嘔吐を堪えながらも――真下に広がる惨状を、じっと、見つめ続けていた】


//ゆづきでーーーーーすよろしくお願いいたします。
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 14:42:32.83 ID:WLdYtO6s0
>>461-465

「何だと……」
「どういう事だ、これは……」

【声を発したのは、紺の詰襟に、飾緒が一本、首元と肩口には階級章と所属を示す桜と錨の意匠のワッペンがある】
【腰には弾帯に取り付けた軍刀、拳銃、擲弾筒を帯び、そして短機関銃を手にしている】
【そして右目には、黒の眼帯を着用している】

「子供が多数?いや、違う、違うな……ホログラムか?」
「それも違う、魔翌力的な物?」

【噎せ返るような、まさに胸を悪くする匂いだった】
【鉄さびに混ざり、そしてカラメルを焦がして濃縮させたような、胸の悪くなる甘い匂い】
【死臭だ、そしてそれに混ざり腐臭、屠殺場に極めて近い匂い】

「……」

【不快、ただ只管に不快也】
【噎せ返る臭いに、思わず鼻を塞ぎ、映像を凝視する】
【この場にこの人物、厳島命が来たのは、ある少女の探索の為だった】
【銀ヶ峰つがると言う少女からの連絡により、かの少女、白神鈴音が疾走したと知り】
【最も、純粋に人道的な目的とは少々異なってはいる、が】
【そして探索を行っていたのだ、噂を辿り、周辺を調査し、そして行きついたのが、この旧市街廃工場だが……】
【この場を見渡し、その場の橋の上に偶発的か、あるいは意図されたものか、言わせる面々を見渡す】

「レオーテ、カニバディール、君達はどう思う?」

【顔見知りの二人に、振り返りこう血と不快な悲鳴に耐えながら、この状況に関して尋ねてみた】

「これは、この先に、何かが間違いなく居る、そう判断していいのだな?」

【以前、周囲への警戒は解かずに、そう二人に聞いた】
470 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 14:54:14.48 ID:NDB3PNDF0
>>465

【踏み込む者たちは、各々の意志と、確かに果たすべき目的を抱いて在るだろう。その狭間に、微かな空隙があった】
【そこにあったのは、人型の闇。一切の光を返すことのない、黒の外套を目深に被り、武装すら見えぬ姿で細身の影はある】

【無明の闇が粛滅の意志を核に一振りの兇器と成るならば、こんな姿形を取るのだろうか】
【断ちきるもの=B存在すら朧な影ながら、一目見たならば確信させる存在定義はそんな凶兆。これより始まる悲喜劇には、ひどく似つかわしいものとはいえたか】
【その標的たる“なにか”があることを半ば確信する様な足取りが、聞かれれば一言二言を返すという程度のものを除けば、誰と言葉を交わすこともなく進んでいった】

【けれどその歩みはやがて止まる。自分以上の異様と異状を前に、そうせざるを得なかった、のだろう】

【――――理解したのは、この狂気の所業があったということ。そして、今もこれを再生する“なにか”があるということ、】



貴方たちが何者であれ、私が何者であれ……そんなことは、問題にする意志は私にはない

……私から伝えたいことは今はひとつ。
“これが何であれ、起点を滅ぼすほか、路はない”――――

……罠だというのなら、此処に足を踏み入れた時点で全員が死んでいる。
そうなっていない以上。徒に手をこまねいていれば、状況は只管に悪化してゆくだけだと私は思う

……だから、進む=B
私を“遣う”意志がある者があれば、目的とともに、その機の訪れとともに伝えてほしい――――
壊し、断ち切ることがその意義である限り。断ち切り、切り刻み尽くして応えてみせましょう――――

【ヒトには珍しいまでの冷厳な口調。阿鼻叫喚の取り巻くなかを、男とも女とも、年齢のほども窺わせない声が通るだろう】

【まるで、“過去の再生”という現象の経験があるかの様に。冷徹極まりない態度を以て、苦しみを無視し続けて行動を続ける】

【生者の痛苦が混じれば、この幻燈との差異を、僅かにでも見出すことのできる“何か”は零れ落ちるだろうか?】
【綻びを求め彷徨う視線は、敵対者のない――少なくとも、この一行の主目的における敵の姿のない――この状況を、】
【一歩先すら見えぬ混迷と捉え、されど頑迷なまでに、刻み墜とすことを望む様でもあった】
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 14:55:15.69 ID:lEdQu2xCo
>>74
>>160

【送信者────カニバディール】
【送信先────ミラ・クラァケ】

『どうにか、生きている。傷の治癒も順調なようで何よりだ』

『特別情報の提供に、心から感謝する、王妃殿下。鈴音の件については、こちらも確認した』
『イル=ナイトウィッシュとは、デュボン陛下も遭遇なさったようだ。彼の話では、強大だが幼稚で人間を見下した危険な存在だと』

『人ではない存在を救済する、ということか。確かに耳障りの良い言葉だが、一見して良いことを言っているように見えるのは『黒幕』どもも同じだ』
『その意味の分からない言葉も、貴女の言う通り。そんなことを並べたてる輩に、まともな人種はいない』

『鈴音が、イルの下に安息を見出しているという事実も、確かに無視は出来ないが。どうにも、疑わしい部分は拭えないな』
『気力も体力も削られた鈴音なら、付け込むのも容易いだろうからな』


『とんでもない。非常に助かった。おかげで、何も知らないままでいることを避けられたよ』
『貴女にとっても聞こえのいい言葉だったというのに、よくそれを知らせてくれた』

『要件、確かに承った。私の三つ目で、しっかりと見極めてこよう。鈴音の居場所が、そこにあるのかどうか』
『忠告も確かに肝に銘じておく。調査結果は、後ほど報告する。それでは』


>>461-465
【端末のGPS表示を睨みつつ、異形は裏町を歩いた。この男にとっては表通りよりも慣れた道のりだ】
【脛に傷ある者たちが、それでも微かな希望に縋って這い回る。強大な敵との戦いで劣勢を強いられ、疲弊しつつあった異形にとっては】
【むしろ、故郷に帰って来たような気さえしていた。工場の件についての住民たちの恐怖すらも、懐かしいもののように味わって】

【やがて、そこ≠ノたどり着き。工場を見上げればいよいよその思いは強まった】

(精肉工場……私にとっては、ノスタルジーすら覚えるというものだ)
(しかし――――この魔力の気配。懐かしむには、少々不純物も多いようだな)


【三つの目玉を細める男は、薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し、黒いゴム長靴を履いていた】
【角ばった顔つきに短く切られた黒髪、黒い瞳の両目。そして男を異形たらしめる、額の巨大な一つ目】
【身長は2メートルを軽く超えているだろう。その巨躯も、この工場の不気味さの前では大海を漂う流木か】

【果たして、工場に踏み込んだ途端。橋の上に飛ばされる。空間の歪み。工場自体の不安定さ。まるで悪夢の中】
【だが、それ以上に異形の男は工場内の光景に顔をしかめた。過去の幻影と思しき、その凄惨極まる光景に】


――――ひどい。酷過ぎる
まず工場内部の温度が高い。これでは精製した肉があっという間に傷む
作業員をすし詰めにしているのも最悪だ。適切なスペースがあってこそ、正確な作業が可能になると言うのに

何より……この臭気。衛生状態は精肉工場の大前提だ。その上で、あの管理体制
作業員が巻き込まれているのか、最初から子供を加工する目的なのかは知らんが、いずれにせよふざけている
複数人をまとめて機械に詰め込んで、一繋ぎに腸詰めにするだと……? どれだけの不純物が混ざると思っている?

最悪だ……最悪だ。これが精肉工場だと? 全精肉業者への冒涜だ……

【彼なりの、しかし一般的感性とはズレた怒りをブツブツと吐き出しながら、その男・カニバディールは橋の上から工場内を見渡した】


>>469
空間の歪みと、感じ取れる魔力からして、話に聞くイル=ナイトウィッシュが噛んでいるのは間違いないだろうな
この光景自体は、この工場でかつて行われていた人の業の範疇かもしれないが……まあ、それは今は重要ではない

お前の言う通り、この先に何がいるのか。重要なのはそれだ
迂闊なことは出来ないが、ここでいつまでも留まっていても始まらない……どうしたものかね

【かけられた声に反応を返しながら、じっくりと周囲を睨みまわしつつ。カニバディールは慎重に歩を進めた】
【まずは、奥の扉の近くまで。到達することが出来れば、その奥から何らかの音が聞こえるが聞き耳を立てようとするだろう】
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/12(土) 14:56:14.95 ID:fl7ogGJ9o
>>461-465

【不条理、不合理、理不尽が束になって襲ってくる──】
【嘗て出会った艶やかな少女は、其の地をそう形容していた】
【藁が旧市街の苔むしたアスファルトと擦れて、湿った音を立てていた────】

【黒煙が立ち昇る煙突が空高く伸びた、廃工場と思わしき場所】
【白菊が咲き乱れる様子を描いた色留袖を羽織る女は──似つかわしくないようにも思えた】
【これから起こるであろう状況に比べれば小さな違和感だろうけれど──】


「此処が、不条理で不合理で、理不尽な場所、ねぇ……」


【ざり、ざりと足を擦る。気味の悪い工場の入口は施錠されていないようで】
【武器も持たぬまま、何も意識すること無く──地獄の門をくぐっていった】


「……──趣味が悪いわねぇ。懐かしい臭いだけれど」


【押し入ってみれば、眼下に凄惨な光景が広がっていた】
【湧き立つ腐臭、死に続ける子どもたち、梱包される肉詰め──】
【一瞥してから呆れたように首を振る。全ての尊厳を奪われた、虚無の空間だった】

【他者のように武器を手にすることも、警戒することもしない】
【おそらくこの場に置いては、正気を失ってはならない────】
【否、狂気に染められてはならない。全ての見たものを、見たままに捉えるために】

【怒りの感情すら湧き上がってくることもなく、鋼板に草履を擦り当てて】
【どこか違和感を感じるこの建物を、探索しようとしていた】
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 15:04:48.22 ID:slCwVJ04o
>>466(アーディン)

【飛び出すという選択肢を取らず、その場で警戒を強めるという方法を選んだ】
【それはまさしくワーキャットたる彼の、一流と言っていい嗅覚よるものか】
【飛び込まなくて正解であった。状況の把握が何よりも必要とされる状態】

【──最善が必ずしも最良の結果を生むとは限らないが】
【アーディンが周囲の状況を探っている間にも、あちらこちらでは悲鳴に似た怨嗟が漏れて】
【囀りに似ていた、或いは罵りに近かった。貴方の無慈悲を恨むように】

>>467(レオーテヴュート)

【レオーテヴュートが橋から乗り出そうとしたなら、その行為は中断されるだろう】
【まるで橋の周囲に見えない壁が張り巡らされてるかの如く、魔力的な障壁であろう】
【或いはそれは観覧席の如く、この景色を見せることに意味があるのか】

【そうこうしていると>>469(厳島)が声をかけてくるだろう。見知った顔の筈だ】
【レオーテヴュートは一つの経験則を得た。この場から下に向かうことができない、と】
【情報は大事だ、命綱はどこまでも、太く堅く編まれなければならない】

>>468(夕月)

【──目があうだろう。偶然にも子供の一人が貴女へと視線を向けた】
【正確にはその予兆、きっと彼は何の気なしに天井を見上げて】
【そして曲がった。横の子供の肘が当たって、プレス機に押しつぶされた】

【さっきまで貴女の視界一杯に映っていたあどけない眼球。解剖実験みたい】
【カエルとか豚の、眼球を切開して切り開いたかのような断片】
【びちゃりびちゃり、って血しぶきをあげて、惨状を見せつける】

>>469(厳島)

【流石は櫻国の軍人といったところか。この状況を前にして取り乱さないのは経験が故か】
【或いはすり切れているのかもしれない。摩耗していったいくつもの宿命の果て】
【それを軍人と呼ぶのであればなんと因果な職業であろうか】

【而してそれは狂気と呼ぶにも相応ではなく、寧ろこの場ではその冷静さが有用であった】
【知己の二人とコンタクトを取ることにより、状況への対応力が上がる】
【平常であればそれが最善であった──疑う余地も残さず】

>>470("Slasher")

【静謐は高らかに語る。その言葉を蛮勇と嗤う事を誰もしないだろう】
【それまでに強い意志であった。此処にいる誰にも劣らない、研ぎ澄まされた一振りの刀剣が如く】
【もしくは、この状況を目の当たりにしても冷静さを保っているのは、ある種の狂気的か】

【──貴方の問いを私は然りと答えよう。少なくともこの奥にいる何かは、生者の苦痛を求める】
【それは傲慢で、それは独断で、それは高慢であったけれども、それが此処での道理だから】
【だからこそ進むべき強い意志は、時に更なる悲劇の幕開けになるのかも、しれない】
>>471(カニバディール)

【カニバディールの指摘は尤もであった。そして同時に誰よりも本質を見抜いていた】
【これが精肉工場であってはならない。その思考は正しく、そして本懐に近い】
【少なくとも此処は精肉工場であった。旧市街の歴史を紐解いてもそれは正しい】

【けれどもこの現状は精肉工場にあるまじき光景、そうだとすれば幾つかの疑問が生じる】
【此処は本当に精肉工場であろうか。或いは既に、そうですらないのか】
【答えは無明。その場に居る知己に尋ねることもベストだろう】
>>472(柘榴)

【この惨状にあっても貴女は美しく冷静であった。時に気高さすら感じさせるほど】
【探索しようとしても橋の上から降りることはできない、故に周囲を観察するのが道理か】
【映る景色はどこもかしこも死骸にまみれていた。血と肉の饗宴と、呼ぶに相応】

【しかし、奇妙な点もあった。惨状に目を逸らさず観察していれば気付くだろう】
【子供達の流した血が、少しずつ地面へと吸収されていく。まるで飲み込まれるが如く】
【流した血だけではない、飛び散った肉片や、脳髄、それらも含めて──】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 15:05:46.64 ID:slCwVJ04o
>>466->>472(ALL)

【能力者達の会話中、地鳴りのような音が響いた】

【──否、正確に言えば、音はずっとなっていた、悲鳴の旋律、機械の駆動音】

【しかし、今回響いた音はそれらとは全く別種の音であった】



【誰かが指差すだろうか、貴方達が立ち尽くしている橋、それが後方から徐々に崩れだす】

【まるで巨大な何者かが力任せに握り潰しているかの如く、破砕されていく橋】

【急かされている様であった、前へ前へ、橋の先にある扉を開け、と】





 ”ぎゃあああああああああああ!!! ぐあああああああああ!!!”





【瓦礫が子供達を押し潰す、過去の存在である子供達に被害が出ている】

【潰された子供達はヒキガエルのような声を出して、その中身を撒き散らすだろう】

【逃げ場など彼らには無かった、此処では彼らを使い潰す事しか考えられていないのだから】



【──だとすれば、この工場自体が肉を作る工場ではないのかもしれない】

【子供達を苛め、苦悶と苦痛を作り出す────】

【支配者の悪意が透けて見えるような光景であった、けれども】



【今求められているのは思考ではない、疾走だろう、橋の破砕の速度はどんどん上昇している】

【貴方は急き立てられる、早く早く、と生半可な速度では子供達の二の舞であるが故に】

【扉まで辿り着けば容易に開くだろう、それはつまり退路を失ったという事であるが】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 15:17:11.43 ID:CaxAzfSL0
>>469

「――なんとも言えないね」
「まぁ、確実に言えることは……"僕たちは既に術中に嵌っている"ってこと」


>>473-474

「なるほどね。そもそも行くことすらできない、ここでショーを最後まで見てください、ってところかな」
「まぁ、そうなると後者の線が濃いかな。……"必ずこの時間に僕たちが来る"なんて、確定してないもの」
「幻影だったらどうでも良いや」

【――先程まで宿っていた正義の意思、……他者を助けようとする思いが一気に消え去って】
【残るは、冷たい眼だ。……"助ける必要が無い相手に向ける感情は、必要あるのだろうか?"】

「っと、次の場所に誘導されているみたいだね。……僕は後ろの方から向かうよ」

【おそらく、彼は皆の後ろの方の位置を保ちつつ扉の先にへと向かうだろう】
【もしも、何かしらの要因で崩れ行く橋に巻き込まれてしまうのならば、その者を助けようとする】
【自分は問題ない。……必要に応じた変身をすれば、先程のように魔翌力の障壁等で阻まれさえしなければ、なんとかなる。そう思ったのだ】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/12(土) 15:18:29.73 ID:fl7ogGJ9o
>>473-474

【橋の周辺を探索してみても、橋の先にある扉くらいしか見つからない】
【──これ以上探索しても、何も見つからないだろう。裾を揺らして、惨状を伺う】
【プレスされる子供の腕、トマトを潰したように赤い飛沫が散らばる】


【──一つ、気になることがあった。飛び散った飛沫の行く末を眺めていたのだけど】
【血液、肉片そして脳髄に至るまで──其の全てが“綺麗さっぱり”なくなっていた】
【床面が吸っているのだろうか?まるで喉にそれらを下しているよう】

【橋の欄干から半身を乗り出すようにして見ていた】
【その光景に吐き気を催すこともなく、不条理を打ち破る何かを見逃さないように】
【やがて飛沫の行く末についての疑問が浮かべば、鋼板に足をつく】


「──あの子の言ってた理不尽って、このことなのかしらねぇ」


【機械の駆動音、裂くような悲鳴が響く中──異種の音が響く】
【まるで地割れでも起きる前兆のような音の後、橋は崩れ落ちていく】
【金髪の彼女が言っていた理不尽は、このことなのだろうか。なんてことを考えながら】

【橋の先に見える、開け放たれた扉へと駆ける】
【草履を履いているにも関わらず、常人離れした速さを見せ】
【其の扉へと飛び込む──退路が絶たれたと分かるのは、その後で良い】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 15:20:10.43 ID:lEdQu2xCo
>>473
>>474
【はた、と気が付く。そうだ。これが精肉工場であるはずがない。つまり、これは】

殺すこと……苦痛を与え、ただ磨り潰すこと。それが、ここの目的か
肉屋の目線として言えば、こんな製造過程で作られた肉など、どんな変態でも口にはしない
医療用にも実験用にも、観賞用にも使えない。何かの成果を生み出すための工場ではない

ただ、苦悶を生み出すための。それだけの工場だ。ばかげているな

【異形はまずます顔をしかめて、階下の惨状を見る。>>467のレオーテヴュートが障壁に阻まれるのを見て、触れ得ぬものであることも認識しつつ】
【さて、扉の奥には何が待つか。聞き耳を立てようとした、次の瞬間。背後から、不吉な音】


……ずいぶんと古典的な展開を用意してくれたものだ

【背後から崩れていく……いや、捻り潰されていく橋を見て舌打ちを漏らすと】
【異形は、すぐに踵を返して太い両腕で扉を開こうとする。潰されていく子供たちの声には、振り向きもせず】

【共にこの場にある者たちが扉のそばにまだいなかったなら、カニバディールが最初にその奥に踏み込むことになるだろうか】
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 15:21:43.06 ID:IMyPaeI40
>>473-474 >>ALL

【目が合った。合っていたものが、つぶれた】
【音は聞こえてこなかった、悲鳴だって、こうも輪唱されていては――どれがどの子のものだかわからない】
【なのに、彼女は引き攣れた声で呟くのだ、「……ごめんなさい」って】
【助けてあげられなくてごめんなさい。そんな謝罪、誰にも届かないのに】

【少女は、あまりにもあまりにもこの場にそぐわない人物だった】
【他の誰もが冷静に、それでもその内に義憤の焔を燃やして、何かしら思考しているというのに】
【この少女だけだった。頭が真っ白になって、もう何も考えられないなんて顔してるのは】


【――――そうこうしている内に、轟音が鳴った】

【崩れていく橋。きっと他の誰もが、落ちないようにと前へ前へ、走っていくだろう】
【けれど少女は、この少女だけは――動けないまま突っ立っていた。じっと、子供が潰れたところを凝視して】
【後ろから走ってきた誰かに追い抜かれるだろう。突っ立っているだけの少女に、誰かぶつかるかもしれない】
【それでも少女は動かない。そうしていれば当然、崩落に巻き込まれ、落ちていくだけだろうに――】


………………、……、

【落ちてゆく細い躰。誰も助けないならそれでもいい、それなら彼女はぽつりと何かを呟いて】
【何らかの術を行使し始めたようだった。脚でいちばん細いところ、くるぶしの少し上の辺り】
【そこに魔翌力が渦巻いて――黒い線が描かれる。一直線に伸びて、ひらひらめく細長い布――サテンのリボン】

【誰かに手を出されない限りはそれを伸ばして、どこかへしがみつく。そうして落下を防ぐけど】
【それでも。……それとも、誰かに助けてもらえたとして、視線は動かない。瓦礫の降り注ぐ下、子供たちのほうをじっと見て】
479 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 15:24:25.69 ID:YPag1hO40
>>473-474

――――っく

【状況が、一切の猶予を許さないものだということは、彼にも良く分かっていた。全てを救う事はできないと言う事も、1秒1秒で命が失われていくと言う事も】
【だが、そんな感傷で足を止めていいのは、死人だけだ――――それを彼は、嫌と言うほどに理解している】
【ポツポツとあちらこちらから響く悲鳴に、わずかに眉を潜めながらも、獣人――――アーディンは姿勢を変えることも、視線を迷わせる事もしなかった】
【――――これを助けたいのなら、一時的にではあっても、まずは見捨てなければならないのだから】

――――ッ!!
っ、しまった……誘い込まれたのか! 迂闊だった、おのれ……!

【感覚を研ぎ澄まし、周囲を見て、聞いて、嗅いでいたアーディンだが、異変は思いもよらぬ方角から始まった】
【背後――――つり橋になっている足場が、崩れ始めた。飛び降りるのは危険だと、判断したばかりなのに、下へと落とさんと――――】
【――――空間歪曲を仕掛けてきたのだから、こうした可能性も考えるべきだったというのに。己の不覚を呪っても、後の祭りだ】

(――――前へと進んで、また別な空間に誘い込まれる可能性は高い! だが、もう入り口に戻る猶予もない……やむを得ない、ここは奥へと――――!)

【敵の図に当たった状況にいる事は、アーディンにとって有利な話ではない。ここで落とすか、あるいは奥へと考えなしに突進するか】
【どちらにせよ、敵はそれを前提に何らかの備えをしているはずなのだ。だが、今はそれ以外の選択肢を模索している時ではない】
【時間を失えば、自分も死ぬ――――全ては、敵の書いたシナリオ通りに。それこそが、現状の『最悪』というべきだろう】

【――――やむなくアーディンは駆ける。元よりヘタな人間などと比べ物にならないスピードとアジリティを誇るワーキャットの身だ】
【崩壊する橋より早く前へと進むことは、大した問題ではない――――その余裕の中で、アーディンは1つの手を打っていた】

【――――コンベアの先にあるプレス機。其れ目がけて袂から抜き取った2つのビー玉のような球体を投げつけたのだ】
【黄色と、オレンジ色――――命中すれば、電撃と爆発とがプレス機を襲う。機能停止を狙ったのだ。破壊する、あるいはショートさせる事を目論んで――――】

(レイド――――悪いが今回、お前の遺産は出し惜しみなしだ。形見として取っておこうかとも思ったが、大盤振る舞いさせてもらうぞ――――!)

【――――裏の仲間同士での、物品の仲介。今はもういない仲間が残したマジックアイテムを、彼は伴っていたのだ】
【それを、これ以上の子供の死を、とりあえずでも食い止めるために使う。この程度の反抗なら、現状でもできる事だと――――】

【そのまま、2本の足で、四足歩行動物の疾走じみたスピードを発揮し、眼前へと突き進んだ――――】
480 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 15:28:33.30 ID:NDB3PNDF0
>>473-474

【哀願の声は届かない。影は表情を窺わせることもなく、黙して悪夢を探り、】

…………ッ!?

【けれどさらなる変容が急かした。此処には幻燈としての意味しかなく、迎えるべき惨劇はもっと先にあるのだと報せる様に】
【影が、わずかにざわめいた様でもあった。守勢ではなく攻性の現象、破壊への意志だとか否定という情念だとか――害意=B】
【絶つ理由を増やしてくれてアリガトウ/嘆ける理性にサヨウナラ。骸を轍となし踏み越えるなら、保てる理性は、きっと何処までも兇器のそれでしかなった】
【疾駆する行程においても思索は進む。処理すべき“現状”は、迎撃を主目的とするならばいっそうに不可解なものでもあって】

【儀式か実験、或いは工程――――それら実利を求めた行いでないならば、幻想においてなお、ヒトや子を苛むことを愉しむ精神的異形。】
【要は、標的の理解の標であった】

【理不尽にすら意図や目的を求めてしまうことは、知的生命体として、そしてこんな惨劇に馴染み深いモノとしての業だったのかもしれない】
【喉に立てるべき牙は、喉に立てねば意味がない。その悦楽は、元凶なりしものの破滅の引金となってこそこの切断者には意味がある――――】

【走り抜ける中で視界に求めたのは、魔力および現象の性質だ。逆行、経路の造成、演算、ただの再生――】
【微かな魔力が迸り、この幻想に呑み込ませることでその経路と用途を探るだろう。その結果が何を返そうとも。無為であろうと、影は、扉を開き先へ進む――――】
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 15:38:25.16 ID:WLdYtO6s0
>>466>>467>>468>>470>>472>>475

【改めて周囲の状況を確認する】
【自分、カニバディール、レオーテの他には、この場に不釣り合いとも思える赤毛の少女が一人、何かの使い手だろうか?黒い外套の人物が一人、恐らく名前は聞いた事があるかも知れないワーキャットの御人が一人、極めて冷静に振る舞う女性が一人】

「……出来過ぎている……」
「まるで、集められたように……」

【あの日の状況がフラッシュバックする】
【あの日、黒幕の罠に掛けられた、その状況が】

「ああ、カニバディール、レオーテ、やはりそう思うか……イル・ナイトウィッシュ……鈴音を拐した疑いのある張本人、目的は不明」
「レオーテの言う通り、彼我不明な相手は手薬煉引いて待っている、と言うのが正解か」
「情報が無さすぎる、此方には判別の手立てがない、すまない」

【そうカニバディールとレオーテに答える】
【そして、レオーテがその行動を阻害されるのを見て】
【やはり、何かが仕組まれていると感じ】

「全員、ここはバラバラに動くより、団体による部隊行動を行った方がいいと思うが」
「何が目的かは知らないが、この場に居合わせてしまった状況だ、一時的にでも手を組んだ方がお互いの目的の為に上手く行くと思うが?」

【その場の全員に声をかける】
【すると】



>>473>>474>>478

【まさに、摩耗しているのだこの軍人は】
【普通の神経では無い、普通の状態ではない】
【徐々に壊死しているのだ、人間としての感情も感覚も】
【それを狂気と呼ぶならば、間違いなく狂気で】
【軍人として当然と呼ぶなら、間違いなく優秀な軍人だろう】
【最も何れも、人間ではないが】
【やがて……】

「崩落ッ!?」

【子供たちの悲鳴と血肉と共に】
【橋が崩壊、瓦解を開始していく】
【直ぐに反応し】

「全員急げ、崩れる!!」

【そうその場の全員に告げると、自分も駆け出し――はしなかった】

「ッ!?」
「止む追えない……」
「貴様ッ!!掴まれ!!」

【見れば、赤い髪の少女が橋と共に崩落していくのが見える】
【これでは、とばかりにその場に止まり、その手を掴まんとする】
【不思議な事に、少女は下を見て、その視線を動かそうとはしないが】

「――っく!」

【上手く少女の手を掴めれば、その手を引き上げ、抱えてでも橋を渡り、カニバディールの居る扉まで向かうだろう】
【最も失敗すれば、そのまま単身で橋を渡る事になるが】
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 15:42:55.05 ID:CaxAzfSL0
>>478,481

「うん、元からそのつもり。だから――」

【厳島が夕月を助けようとすれば、それの手助けを行うだろう】
【見た目は変わっていないが、もしかすると内部的に変身済みなのかもしれない】
【普段よりも脚の速さや腕力が上がっている。……もっとも、崩落から抜け出すことに間に合うか、あるいは助けられるかは別だが】
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 15:44:14.09 ID:slCwVJ04o
>>475(レオーテヴュート)

【その割り切りこそがレオーテヴュートの強みであろうか、正しい選択を下す能力】
【かつてある騎士が振るった刃の上の選択──それすらも、技量の一つ、と】
【レオーテヴュートは後方へ向かうだろう、その動きは阻害されない】

>>476(柘榴)

【柘榴が見た光景、それはきっと後々必要になる事柄の一つだろう】
【この工場こそが一つの意志をもった存在が如く。暴食の獣に似て】
【橋を駆ける柘榴の速度、それだけで特筆すべき能力なのだろうが】

【肝要なのは別の事実。──後述の声が、貴女にも聞こえるだろう】

>>477(カニバディール)

【知識は正しい場所に納められてこそ意味がある。道具と同じだ、使い手に左右される】
【今貴方が得た気づきは、工場の謎をあかす大切なファクター、その重要性は重々承知してるだろうが】
【恐らくはカニバディールより先に>>476(柘榴)が扉の側にいた。貴方が開き、彼女が最初に踏み込む】

>>479(アーディン)

【────その行為はこの場に於いて、何よりも優しい行為であった】
【助けるための行為。ビー玉はプレス機を撃ち抜き、ショートさせる"だろう"。軽い爆発が起きる"だろう"】
【────────筈であった】

【そこで漸く気付くだろう。これは触れることすら許されない、と】
【ビー玉は虚空を撃ち抜いた。ホログラムの様にプレス機を透かして】
【今はここにいない仲間が残したアイテムは、今はここにいない死を止めることは出来ず】

【無念を抱えたまま進むのだろうか、扉の先へ────】

>>480(Slasher)

【意図を手繰るのは正しかった。その先にあるのは例え残酷な真実としても、正しさに向かう行為だから】
【けれどもその果ては、恐らく只の不条理。理不尽──理など何処にもないかもしれない】
【魔力は奔る。幻想に飲み込んだなら、それが工場の奥へと吸い込まれていく事が分かるだろう】

【途中までは分かる。しかし、その先で遮られた。まるで完全に消化されたが如く】

>>481(厳島)

【厳島の手は虚空を掴む。厳島が少女を掴むより先に、破砕される先から何かが手を伸ばし、夕月を絡め取る】
【そこで停滞はしないのだろう、直ぐに次の判断に移り、走り出す】
【そうして夕月を除いた全員が、扉へと向かうだろう】

/↓
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 15:45:24.50 ID:slCwVJ04o
【カニバディールが扉に手を触れたなら声がする、各々の耳元で爆ぜるような音律を保って】

【子供達の声であった、橋の砕ける轟音の中でも、はっきりと聞こえるだろう】

【カニバディール、柘榴、Slasher、アーディン、少し遅れてレオーテヴュート、厳島が扉の前に立つ】










 "嫌だああああ!! 死にたくないよおおおお!!"



               

                 ”見捨てないでえええええ!! 助けてよおおおおお!!!”





       ”おかあさあああああああああん!! あああああああああ!!!”





  ”ごめんなさいいいいいい!! ゆるしてえええええええええ!!!”







【呪詛であった、子供達の声は脳髄に血痕を付着させるが如く粘っこく絡みつく】

【彼らにも生命があった、無垢で尊い生命があった】

【けれどもそれは失われてしまって、誰かの何か勝手な都合ですり潰されてしまった】


/↓
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 15:45:59.06 ID:slCwVJ04o


【理解できるだろうか、渦巻いているのだ、この工場全体に、その無念が】

【隙を見せたなら取り憑こうとする、この場に居る限り、この無限の怨嗟から抜け出せないから】

【迷い込んだ生者を取り込み、あわよくば乗っ取ろうとすら考える、したたかさ】



【此処では誰も貴方達を歓迎していないのだ、皆が、全て、全て────────】



お前が

   【──羨ましい、生きていることが】     【──妬ましい、存在していることが】

                     お前が

【自分たちがこんなに苦しんでいるのに】      【どうして貴方達は平気なのか、と】

                                お前が

         【告げる様に、訴える様に、子供達が割れんばかりの絶叫を唄う】



                憎い

【砕いて裂いて割かれて焼かれた子供達の無残が、それを許容した人類を呪う】

【けれどもこれは序幕ですらない、幕が上がる前の喧騒にも似た、唯の囀りの様であった】

【故に彼らの怨嗟は届かない。泡沫に溶けて、空気中に消えて、充満するだけだから】

/↓
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 15:47:05.57 ID:slCwVJ04o
【扉の先は宿舎であった、作業を終えた子供達が就寝する憩いの場】
【そこにはシーツすら無く、天井までコンクリート製の穴蔵が続いているだけであった】
【子供達が詰め込まれていた、寝返りを打つスペースも無く、乱雑に】

【教科書で見た奴隷船、黒人奴隷が詰め込まれたあの景色、それを想起させる光景】
【それでも子供達は身じろぎせず、耐えていた。まるで声を出すことに怯えているが如く】
【例の如く彼らは貴方達の声掛けに反応しないだろう。彼らもまた、過去の存在であると理解できるか】



【腐った匂いがした。生ゴミが発酵したよりなお、鼻腔を汚濁する臭気を孕んだ空気であった】

【それは湿っていて】【それは淀んでいて】【それは曇っていて】【それは腐っていた】【それは汚れていた】

【吐瀉物と血と便の混ざった物が穴蔵の隅に固められていた】【蠅や虻が集っている、羽音が耳障りで】


【足下を蠢くのは虫であった。形容しがたい黒い光沢を持った虫。名状しがたい無数の節足をもった虫】

【子供達は反応すらしなかった。それらが自分達の服の上を這いずっても、なんら反応しない】

【死んだ者は幸せであった。生きた者は須く、この責め苦を受けるのだから】

【____かちゃり】


【宿舎の奥の扉が開いた。子供達が一斉にビクッと身を震わせる。本当の恐怖はここからだ、と言いたげに】

 " 来たよ "


【のっそりと、扉の奥から現れる影。照明も無いのに貴方達はその姿をはっきりと視認できるだろう】

                " 来たんだ "


【鈍い音を立てて、 “それ” が足下の虫を踏みつぶす。実体を持っているという事の証左】

         " 看守が "

【 “それ” は長い四肢を持っていた。手を伸ばせば天井へ容易に着く程の長さを持っている】

                           " 僕たちを " 


【長さに反して太さはそこまででもなかった。何故ならそれに肉はついていなかったから】

                                    " 殺すために "


【人体から肉を削いで骨にした様な四肢であった。申し分程度に着いた血肉が赤黒く染まって】

   " ごめんなさい "

【身体全体がそのような状態であった。胴体だけは無数の頭骨が、帷子のように胸から下腹部に向けて掛かっている】

                         " ごめんなさい "


【見つめているとその頭骨の眼球が動いた。貴方達を視認し、声にならない声を漏らした】

             " ごめんなさい "


【────そして、それが堰を切った証明であった】

/↓
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 15:48:22.88 ID:slCwVJ04o
「『”<たすけてえええええええええええええ>”』」





【腹部の頭骨が一斉に貴方達を見据える。眼窩から零れるのではないかというぐらいまで目を見開いて】

【頭骨だけになって何故喋れるのだろうか。最早理屈を辿っている段階ではなかった】

【狂気よりもまだ深い、暗澹と呼ぶにふさわしい声が、絶叫の彼方から襲ってくる】



【 “それ” の顔は黒塗りであった。まるで子供の落書きのように塗りつぶされ、視認できない】

【 “それ” はのっそりと手を挙げた。前のめりに体勢を向けて、近くにあった穴蔵に手を向けて】

【振り下ろす。そこで眠っていた子供達の頭が数個、根本から千切れる。どれだけの筋力なのだろうか】



【 “それ” は指を子供達の眼窩に突っ込んでいた。貫かれ潰れた眼球から水晶体がどろりと流れ落ちて】

【首の断面図から引き抜かれた背骨が、まるで尾っぽのように着いている。掌で頭蓋骨を軋ませる】

【宿舎に横たわる子供達が口々に紡ぐ、漸く彼らが言葉を述べた】





 ” 看守が怒っている ” “ 看守は僕達の脳みそを食べるんだ ” “ うるさい子供達を殺して ”

 “ ごめんなさい ” “ 看守が怒ってる ” “ ごめんなさい ” “ 僕達みんなを殺すまで── ”





【一様に彼らは怯えていた。この異形とは看守なのだろうか】

【看守と呼ばれた存在は、手に掴んだ頭蓋骨を投げ捨て、貴方達を視認した】

【一歩、また一歩と大きな両足を踏み込み、距離を詰めていく】



【確かな敵意を持って、看守は近づいてくる、明らかにその筋力は驚異であった】

【そして何より、腹部から垂れ下がった頭骨が、口々に呪詛を並べ立てる】

【地獄の門番としては随分、悪趣味な存在であった】
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 15:55:53.68 ID:slCwVJ04o
>>478(夕月)>>481-482

【夕月の足から巻き上がる布──黒が一陣、狂気の工場を切り裂く】
【真っ白なキャンパスに一筋振り抜いた墨絵、その天井に巻き付くだろう】
【夕月なら最後までしかと見られる筈だ。橋だけではない、まるで本の頁を閉じるが如く】

【破砕される橋の先から、暗闇が飲み込んでいる。扉の先以外が消失するように】
【無明だった。深い深い深淵。それ以外の形容詞が無いように】
【橋から落ちた夕月は、天井からつり下がる形で投げ出される、厳島とレオーテヴュートが手を伸ばす、が】


────あはは♪ だーめっ、この子はボクのお客さんだもん


【暗闇から手が伸びた、夕月の足を掴んで、そのまま闇の中へと飲み込んで】
【直ぐに夕月の姿は見えなくなるだろう。厳島とレオーテヴュートは直ぐに切り替え、扉に向かうだろうか】
【夕月の視界は一端暗転する。何も見えない黒闇に包まれて】



【────】



【────────】



【気がつけばどこかの一室に出現しているだろう。扉も窓もないコンクリートで塗り固められた部屋】
【夕月はそこに寝転がっている筈だ。無機質な室内、そして】
【その室内には一つの人影があった、貴方を視認したなら声をかけるだろう】


おはようっ♪ よく眠れたかなっ、可愛い可愛いお嬢さん
あは、におうなぁ、ぷんぷん♪ ニンゲンじゃない素敵な匂いがするよ
うーん、これは死人の匂いかなぁ、どうかなっ、ボクの鼻、まぁまぁ利くし

────それと、うん、同種の香りが、足からするよ



【小柄ながら豊満な身体を大きく露出した、ホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は、白く肉感的な素肌を晒している少女であった】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて、真紅の瞳を濡らす】

【背中には悪魔羽根が揺れて、彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した、悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに、愛らしい雰囲気を創りだす】

【彼女は貴方の側にちょこんと座って、声をかけた】
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/12(土) 16:04:35.63 ID:fl7ogGJ9o
>>483-487

>>477が扉を開けば、彼が入る前に橋を駆け抜けてしまうことだろう】
【しかしながら気になったのは──呪詛にも思える、怨念が込められた言葉だった】
【単に泣きじゃくるだけではない、全てを踏みにじられた道具となった其のことに対する呪詛でもない】
【────生者への、嫉妬、憤怒、羨望、悲嘆。彼らの“理不尽”は、そんな言葉で片付けられるほど清らかなものではなかった】

【此処に縛り付けられた、人の子としての運命】
【彼らの呪詛は有限の空間の中で波となって反響するだけ、それが何か干渉するわけでもなく】
【腐臭を揺らしながら、また一人プレス機に押しつぶされた】


【扉の奥には、宿舎があった。作業を終えて生き延びてしまった子供が、ここで眠る】
【野宿よりも環境が悪いそこで、彼らは眠らなければならなかった】
【衛生環境も全く整っておらず、排泄物と吐瀉物は穴蔵の隅に固められていた】

【宿舎に無機質な音が一つ響く。奥に見える扉のドアノブが回された音】
【長い四肢を持った“何か”。その手を伸ばせば天井まで悠々届きそうなほど】
【しかし太さはそこまででもなく、骨に薄い肉と赤黒い皮が張り付いてるかのようで】


【眼球が落ちそうなほどに目を見開き、絶叫するそれ】
【子どもたちの頭がちぎれる様子を壁に凭れて平然と見ていたのだけど、此方に迫るそれを見て】
【右手に白刀を喚ぶ。音もなく、柄をつかめば迫りくるそれの行動を読もうとするだろう】

【焦りは禁物、まずは相手の出方から見なければならない】
【狂気に苛まれた、何もかもを喰らい尽くす空間においては、少なくともそうすべきで】
【正気を保つべく、自身をゲーム内のキャラクターの様に眺めて──思考を続けていた】
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 16:04:40.51 ID:CaxAzfSL0
>>483-488

「うーん、間に合わなかったか。じゃあ、行こうか。それとも、君は追うかい?」

【――厳島に先へ進むよう促しつつ、彼もまた先へ進む。】
【追うのを止めはしないが、その場から動かないようならば引きずって持っていこうとするだろう】
【"うるさいなぁ"、どうでも良い存在だと判断した相手に対しては酷く厳しく】
【(昔からそうだったのだろうか? いや、そうではなかったはず。)】

「"怨念"が好物なのかな、ここの工場の持ち主は」
「――ところで、さっきから色々聞こえてくるんだけれども」
「彼らは幻影かな? それともまだ生きているのかい? 後者でかつ悪者じゃあないならば、なるべく助けたいけれども」

【――どっちにしても、頭部だけの彼らを助けるならばクソ上司を呼ぶ必要があるだろう。呼ぶ気は今のところ無い】
【それよりも、目の前から放たれる敵意を取り除きたい。きっと、僕たちに害をもたらす】

【先程、内部的に行っていただけの変身を外部にも反映する】

【青い身体で二足歩行な170cm代のトカゲ男。それにへと姿を変える】
【変身前が装備していた鉢巻3つはそのままに、グローブ的なものの面影も見える】
【頭部と手の甲には濃い赤色の刃があり、尻尾の先端にも斧状にその刃がある】
【爪や牙もあり、彼の分身の様な存在にあった模様の面影が見え、それは蛍光緑色だ】

【また、腕は筋肉質で4本存在する。つまり、手の甲の刃も4つ。】

「行くよ。」

【そこから行われる行為は単純。看守に向けて素早く接近しつつ、4本の腕の刃、それから尻尾の刃をタイミングをずらしながら振るう攻撃】
【刃の切れ味に不足なし。刀程度のそれは持っていて、けれども特殊な性質は一切無い】
【一応、腹部の頭骨に攻撃はなるべく行わないようにはしているが、別に当たったとしても大した反応は見せない……はず】
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 16:06:29.48 ID:IMyPaeI40
>>481-482 >>488

【厳島、レオーテが伸ばしてくれた手。かけてくれた声】
【それにようやく気付いて、フードの下の瞳を動かしたときにはもう――すでに遅かった】
【暗がりから伸ばされた、ダレカの手に身体を引っ掴まれていた。見開いた眼が、再び下に向けられる】

【――――、無意識に手を伸ばしていた。上に向けて、でも誰にも、届かない――――】


【――――――】



【――――――――ぎゅうっと目を閉じていた。落下していく感覚に、内臓が急激に冷える錯覚を交えて】
【墜落する衝撃に備えようとして――備えるもなにもあったもんじゃないけど、心の準備だけでも】
【とりあえずしとこうかな、みたいな。投げやりな意識は、強いショックで脳を虐められたせい】

【けれど、衝撃がくるより前に。ぶつん、と意識が途切れるほうが早かった、みたいで】


……っ、う……何、ここ、どこ、……あたし工場に落ちたんじゃないの?
ていうか誰っあんた、……なんなの、同種……? ワケわかんないことっ、

【くらくらする頭を押さえながら、上半身を起こす。怪訝な瞳で部屋中を見渡して】
【なんにもないのを確認すると――傍らに座る、サキュバスみたいな存在にようやく焦点を合わせた】
【何もわからないのに、嫌な予感だけはびりびり、刺さるくらいに感じる。眉間には深い縦皺が刻まれていた】
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 16:13:11.07 ID:WLdYtO6s0
>>483-488>>482>>490

「レオーテ、助かる!」

【夕月を引き上げようとする、するとレオーテが側から助力をしてくれる、が】

「っくッ……何だ、これは!?」
「一体……」

【その手は夕月を引き上げる事は出来なかった】
【それどころか、知らぬ声と共に、橋の下の闇から聞こえた声と共に、彼女の脚を謎の手が掴む】

「イル・ナイトウィッシュ?」
「っく……レオーテ、先を急ごう、我々にはどうもこの先の工場へ行くしか道は無い様だ……」

【レオーテの問いかけには、僅かに苦みの入った顔で答えながら】
【そうして駆けだし、カニバディールの解放したその工場内へと向かう】

「すまない、カニバディール、少々遅れた……」


【工場内】

「……酷い物だ」

【周囲を警戒しながらも一瞥】
【片方のみの瞳は、その状況を、両の耳はその怨嗟の声を】
【すし詰めにされた子供達、そして醜悪な臭いと蟲】
【この世の地獄が、限界しているとも言えるが、それもホログラムなのだろうか】
【最も、現実であっても、その表情を変える事は無さそうだが……】
【やがて】

「なるほど、話は出来無さそうだ」

【そのままの表情で、短機関銃を構える】
【問いかけも会話も、可能で価値のある相手にのみ使う物だ】
【意味など無い、そんな相手には全く持って無用】

「……」

【そのままアサルトライフル様のその機銃の引き金を引き、幾発もの弾丸を見舞うだろう】
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 16:13:41.86 ID:lEdQu2xCo
>>483-487
【同行していた女性(>>476)が、自分の脇をすり抜けて先に踏み込む。異形の巨躯は、それに続いて】
【背後の闇に消えた少女(>>478)には、振り向きもしない。元より利己主義者のカニバディールだが、この時ばかりは他者を気遣うほどの余裕はなかった】

【耳に届いたその声。呪詛。怨嗟。階下の子供たちのものか。救われず、見捨てられ、無残に踏みつぶされた命の声】

――――やかましい

【異形が返したのは、その一言だけであった。異形にとっては、少し鬱陶しい程度のものでしかなかった】
【何故なら、いつも聞いてきたからだ。全く同じ声を言葉を、生まれた時から。今この瞬間も】

憎イ……憎イ。俺達モ憎イ……憎イ憎イ憎イイイイイイイ!!
出せよおおおおおおおおおお!!!∞死にたくなかった……僕たちだって……

【その囀りに呼応したかのように、カニバディールの肉の中の怨念が顔を出す】
【工場の汚れた空気に漂う子供たちの怨嗟に叫び返した異形の肉は、すぐに異形の意思によって抑え込まれて動きを止めた】


これは……宿舎、というのもおこがましいな。管理体制が杜撰なのは、製造過程だけではないらしい
それとも、これすらも子供をいたぶるための手段か? 貴重な若い肉が、どれだけここで失われたんだ……

【またも的外れな怒りを露わにしながら、その惨状を見る。同時に、鋭敏な嗅覚を突き刺す臭気に鼻をおさえる】
【部屋の隅の汚物の山や、這いずり回る虫から努めて目をそらす。狂った肉屋とてこのような物は好んで見たがりはしない】

【そんな嫌悪も、扉の開く音にすぐに破られた。その後に続く、子供たちの呻きが脳髄に忍び込む】

看守=c…? ここは刑務所か収容所ということか?
だが、殺しに来る看守だと……? つくづく、ここは冒涜的だ。精肉工場を拷問施設に変え、処刑人を看守呼ばわりするとは

それで……その看守が、これか。なんだ、その肉付きのまるでない姿は。私を狙い撃ちにして嫌がらせしているのではないだろうな?


【恐怖よりも嫌悪よりも、この部屋と看守≠フ姿に、カニバディールは怒りを先に表した】
【三つの目玉が、死してなお許しを請い続ける頭骨の目玉と視線を合わせる】

【異形の歪んだ精神は、理屈になど思いは馳せない。轟く声にも耳は貸さない】
【ただ、看守の行為を睨み。ただ、こちらに向く敵意を感じ。それに対抗すべく、動くのみ】

脳みそを食う……確かに、人体では特に美味な部位の一つではあるが
あんな雑な喰い方では、本来の旨味の半分も味わえないぞ……こんな奴に、これだけの人肉が無意味に消費されたのか
まったくもって、不愉快だ

【カニバディールは右腕を振り上げ、看守を睨みつけると能力を発動させる。膨張した腕の肉が巨大な肉塊に変わる】
【次いで、>>480(Slasher)の方へと声を向けた】


>>480
遣う∴モ思があれば、と言ったな!! ならば、今やれ!!
私が前面に立つ!! その隙にあの看守≠゚を、怖し、断ち切り、切り刻み尽くして見せろ!!

【同行者たちに先立つように看守≠ノ向かい、カニバディールは右腕を振るって叩きつけようとするだろう】
494 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 16:16:04.69 ID:YPag1hO40
>>483

っ、なに――――!?

【それが効果を示したかどうかの確認は取れない。そこまでの余裕はなかったのだ。だがそれにしても、炸裂音の1つも聞こえてこないのはおかしい】
【走りながら背後を振り返り、そして『それ』は未だ厳然と存在していることを垣間見る。大きな疑念が、彼の中に膨れ上がった】

(あれは幻? ……いや、確かに子供はあれに潰された。其れとも子供もろとも幻か? これは『もう終わった事』と言う事か――――?
 だが、それを確かめている余裕はない。何か、何か容易ならない何かが、確かに仕込まれている……!
 ……くっ、後詰は手配していたが、あの魔術師コンビの方がよかったかも、知れないな――――ッ!)

【助けられなかったという後悔よりも、何故ビー玉――――もはや『魔玉』という正式名称を、誰も呼ばなくなって久しい――――が、効果を現さなかったのかが、アーディンには引っかかった】
【もしや、この先にもこうした仕掛けがないとも限らない――――結果は振り返らず、先を考えなければならないのだ。そうしなければ、自らの生還も怪しいのだから】

【とりとめのない考えを幾つか伴いながら、アーディンは扉へと飛び込む。その先に、更なる転移の危険性を予感しながらも】

>>484-487

ぐっ――――ッ!?

【響く呪詛の声。充満する呪わしい空気。流石のアーディンも、思わず顔をしかめ、微かに俯いた】
【はるか昔、既に物理的に排除されたはずの、哲学者の卵の古傷が痛む――――大丈夫、こんなものは気のせいだ――――】
【気を持ち直し、真っすぐに眼前の闇を見据える。もう、呪いに振り回されることもない】

――――ふざけた光景だ、本当に……

【続くのは、奴隷の様な宿舎。気を持ち直したのは無駄だったのかもしれないというほどに、アーディンは静かに怒りを湛えている】
【とはいえ、口に漏れたのはそれだけだ。刃のような爪を剥き出しにしたまま、静かに眼前の光景を見据える】
【――――これは、ただの合理性だ。挑発の意図をもって配置されたようなものではない。これは、この場における『正常』なのだ】
【その事に一々心を乱すわけにはいかない。幾分か冷えた頭は、確かな定位を見出していた。事実をありのまま受け入れ、そして粉砕する、と――――】
【――――先ほどの幻を見て、微かにこれが『もう終わった事』なのだと、理解し始めたのかもしれない】

――――ッ!?

【そんなアーディンであっても――――続く『現在の存在』の接近には、さすがに反応を示す】
【ようやく、敵らしいのが出てきた。ようやく、やり場のない怒りを正当化できる対象が現れた。どこかで彼は、それを待ち望んでいた】
【――――それもまた、この『世界』の呪いの一部なのだと理解してはいても。もうそんなことは関係なかった。たまったものは、どこかで発散しなければならない】

【――――かつての仲間を思い出す。『彼女』は、自分の使い魔と融合させられたあげくに、サイボーグ強化を施され、魔でも機械でもない何者かにされてしまった】
【思わずアレを思い出したが――――そんな事は、もはや完全に意味のない感傷だ】

――――――――死人がいつまでも動くな――――ッ

【現れた『それ』に対して、真っ向から跳躍。その頭部に対して飛び込みながら刃の爪を振るう】
【先手必勝を期した、電光石火の一撃。何かの反応があっても、相手の背後を取れる。二重三重に考えた末の、瞬間的な攻撃判断だった】
495 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 16:18:04.53 ID:NDB3PNDF0
>>483-487

【扉の内には、またしても狂気としか呼びようのない悪夢があった】
【吐き気を催して然るべき光景、生物であれば受け入れられるはずのない無数の無念。“人”があるには、苦しすぎた領域の残滓で】
【けれど泰然としてさえ見える影は、ヒトらしからぬ思いを以て己が存在を命なき彼らに投げ返すだろう】

【在るべきものが、そこにあるだけだ――――】

【穿たれれば血を流し、縊られたなら喘ぎ、軋み、涙を零す。……それを許さずに、人は人でいられるのだろうか?】
【答えはない。けれど己の受け取るべきものを、拒むことなく首許を晒すように。まるでひとときの静かな夜の様、凪いだ姿で、影が佇んだ】
【返せる言葉はない。嘆ける心もない。けれど、闇なればこそ嘆きには相応しい隣人の様で】

【“だからこそ憎悪の声が恐怖に染まることは、決定的な影響を及ぼした”。】
【痛苦が見える。嘆きが聞こえる。それらを強い、なおも与えるものがそこにいる――――。】


――――邪魔だ、残骸ッ――――――――
……あるべき嘆きを、遮るな……ッ‼


【静かな声は、憎悪と呼ぶにも凄絶に過ぎる激情を、無念を喰らい尽くすかの様に迸らせた。】
【秒を那由多に切り刻み、その一つ一つに億を注ぎ込んで余りある斬撃の暴風豪雨。弾丸にも優らんばかりの速度を以て肉薄し、叶えば、至近より無数の火花が咲いて散るだろう】
【熱線を平面化させて“物質”に対しては特に効力を及ぼす、破壊的な力と成したならば、それが最も実情を再現したものとなろうか。斬撃の性質をそれは帯びて】
【真に斯くも凄まじい手数に及ぶかはともかく、激烈な破壊への意志はそこに暴威となって顕れる】

【末端から刻みはじめ、隙を晒せば首・四肢の付け根・眼窩・“子供たち”の狭間に見出す軌道、シャレコウベの不在が許す軌道のすべてに溶断と切断と破断を置こうとした】
【けれど、それも接近が叶ってからだ。始まりから不条理を帯びたこの闇に、予断を許す余地などどこにもない――。】
496 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 16:22:12.70 ID:NDB3PNDF0
>>493

請け負った――――――――この身を遣い潰してでも、必ず応えあれを斬り尽くすッッ‼

【己が刃(ぞうお)と、彼の意志。そしてともに挑む彼らの力こそが、あの悪夢を滅ぼすのだと叫ぶように。そうして、兇器は己が全力を叩きつけていった】
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 16:22:23.98 ID:lEdQu2xCo
>>492
別に、気にする必要はない。頭数が減りさえしなければな
その短機関銃と、戦意を失いさえしなければ問題はない

それより……イル=ナイトウィッシュと言ったか? 彼奴が、下にいたのか?
……いや、今は悠長に話している時間はないな

【厳島からかけられた言葉には、短く返答する。この工場は、異常な次元は】
【常に侵入者たちを追い立てる。束の間の会話も許さずに】
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 16:27:38.73 ID:WLdYtO6s0
>>497

「ああ、声が聞こえた、若い女、少女かも知れないが……」
「あの赤い髪の少女は、どうやら『呼ばれた』様だ」

【短機関銃を構えながら、そう答える】
【イルと言う人物と面識のない厳島には、この声がイル・ナイトウィッシュかは判断は出来ない様だ】

「全く、解りやすくていい……」

【それだけ答えると、正面の『看守』目がけて引き金を引く】
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 16:28:22.21 ID:slCwVJ04o
>>489(柘榴)>>490(レオーテヴュート)>>492(厳島)>>493(カニバディール)>>494(アーディン)>>495(Slasher)

【現れた看守はゆっくりと貴方達を視認する。黒塗りの顔の何処に目が在るのか分からないが】
【長い四肢が揺れ動く、動作は緩慢であったが、その破壊力は十分に分かるだろう】
【早速レオーテヴュートが接近し刃を振るう────が】


         " 無駄だよ、看守は無敵なんだ "


【細長い四肢に刃が触れても、看守は反応をしない。まるで蟻を踏みつぶしても気付かない様に】
【そのまま無造作に右の手を大振りに振るう。近くのベッドを潰し、子供が何人か下敷きになる】
【右の手には子供が一人捕まれていた。頭部を鷲づかみにしレオーテヴュートへと振り下ろす】

【そして無造作に振り下ろした子供を持ち上げ、厳島の機関銃掃射を防ぐ】
【びくんびくんと、まだ死んでいなかった子供が無造作に反応する、反射であれば良かった】
【そして看守はその子供を縦に引きちぎり、それぞれ厳島と柘榴に投擲する】


   " そして僕らは殺される "           " 永遠に "


【その隙を縫って、Slasherとアーディン、カニバディールが接近した。Slasherの神域の剣技とアーディンの神速の跳躍】
【しかし、それら全ては "空を切る" まるでその場に看守がいないかのように、看守の身体をすり抜けるだろう】
【アーディンなら分かるかもしれない。それはまるで、先ほどの幻と一緒だ】

【虚を突かれるだろうか。看守の左手が地面に触れて、看守の大きな身体が逆さまに傾く】
【片手一本で逆さ立ちしたなら、両足を開き、その場で高速回転、嵐のような蹴りを三人に放つ】
【長い両脚による暴力的な蹴りであった。狭い宿舎内ということもあり、回避には難があるかもしれない】


        " そうさ、誰も勝てない、誰も──── "


【看守が攻撃をする度に、宿舎に押し詰めにされた子供達が犠牲になる。はじけ飛ぶ臓物が血に塗れて】
【特に看守が巻き起こした暴風でその近くのベッドに居た子供達は、例外なく死んでいく】
【既に半分程度しか生き残っていないだろう、口々に怨嗟を述べながら】

【でたらめのような存在であった。実体か虚像か分からない、ほど】
【────だが、魔力を感じ取れる人間がいれば分かるかもしれない】
【徐々にであるが、看守の持つ魔力が、薄まっている、と】
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 16:36:13.64 ID:slCwVJ04o
>>491

【──彼女は愉悦の笑みを浮かべる。この部屋は神聖なのだと伝えるが如く】
【事実この場に臭いは無かった。甘い少女の香りが一杯に広がって】
【それは貴方に安堵をもたらすのだろうか。絶え間ない責め苦の中に残った唯一の救いが如く】


あらら、教育がなってないんじゃない? 最初に自分の名前を言わなきゃ、何されたって文句いえないしっ
でもね、ボクは優しいから特別に許してあげるよっ♪ そ、そ、同種の馴染みなんだ
ボクはね、イル、イル=ナイトウィッシュ、初めましてかな? 素敵なお仲間さん

あーっやーっぱり良い匂いするぅ、知ってるよ、これ、死人の臭いでしょ?
知ってるんだよ、死んだニンゲンを素敵に蘇らせて、特別な仲間にするんだぁ
嬉しいなっ♪ ニンゲンから目覚めてくれるのは、ボクもうれしーしっ


【イルは貴方の考えなど何も介さず、ひたすらに自分の言葉を述べる】
【幾重もの思惑が渦巻くのだろうか、この状況に際して】
【──やがてイルが次の言葉を述べる、貴方に向けて】


ねーね、貴女もボクの仲間にならない? ボク達ニンゲン以外の世界を作ろうよ
鈴ちゃんもね、手助けしてくれるんだぁ♪ それにこの奥にも、頼りになるのが、いるし
良いでしょ、それにね、見たでしょ、さっきの光景──

痛快じゃない? ほんと、びっくりするぐらい愉快な光景だったでしょ
にっくいにくいニンゲンの子供達が、バカみたいに死んでくの、もーっ最高!
ボクそれだけで十分、あいつが来て良かったって思うから


【彼女はそう示す、先ほどまでの惨状を痛快だと笑い飛ばす】
【それはまるでテレビのバラエティを評するかの如く、それがまるで日常の出来事と言わんばかりに】
【そうして紡ぐ一葉一葉に、無数の不快感をまくし立てて】
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 16:38:28.81 ID:lEdQu2xCo
>>498
呼ばれた……嫌な予感しかしないな。恐らく、この状況でそんな真似をするのは、ここの主だろうイル以外にはいないだろうが
あの赤髪自身にも、何かそうされるだけの要素があったのか……

残念ながら、今は向こうの心配をする余裕はないな


>>499
――――!!! 向こうの攻撃は通り、こちらからは子供の幻と同じくすり抜けとはな……
何のチートコードを使ったのやら

【こちら側の繰り出した攻撃の全てが空振りに終わり、子供を武器にした同行者への反撃に歯噛みする】
【厳島と柘榴、ユウトに向けられた攻撃に意識を割くことは出来なかった。すでに眼前で、看守≠ェ逆さになっていたから】

ぐ――――!!!

【片手逆立ち。からの、回転蹴り。狭い部屋の全てを薙ぎ払わんばかりの、広範囲攻撃】
【子供たちを苦も無く粉砕していく様を見れば、その威力のほどは嫌でもわかる。しかし、それに怯むほどに異形はまともではなかった】


>>494>>496
私が盾になる!! 攻撃の手を緩めるな!!!

【共に接近していたはずのSlasherとアーディンにそう叫び、カニバディールは蹴りの前に身を晒した】
【作業服を押し破り、膨張した全身の肉を持ってその蹴りに体当たりし、威力を殺そうという狙い】

【持ち前の生命力と耐久力に物を言わせた、肉の盾とも言うべき捨て身の戦法。普段から手下との連携攻撃を行っているがゆえか】
【この場限りの共闘者たちを信じ、異形の悪漢は今だけの献身を選び取った】
502 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 16:42:52.16 ID:YPag1hO40
>>499

――――むッ!?
(やはり……やはり手ごたえを感じない!? これは、こいつまでもが、ただの虚像!?)

【十分な加速の乗った斬撃は、その異形の頭蓋を粉砕するはず、だった】
【だが、そこには『何もない』。手ごたえがなく、ただ回避されただけとも違う。実在というものを、まるで感じ取れないのだ】
【視覚だけが、それを伝えてくる――――とすれば、先ほどまでの光景と同様に、結局これは幻か――――】

ぐ、はッ!?

【だが――――放たれた蹴りは、確かにこの身を捉え、打ち据えた。狭い室内、そして回避すらなく放たれた蹴りは、どうしようもなくアーディンに命中する】
【壁に叩きつけられ、思わず絶息した。右にしか残っていない目が、ぐっと瞑られる】

(――――不味いな。今の戦力で対応できるかどうかも怪しい、特殊な敵だ……これでは、退くことを最優先に考える必要が出てくるかも――――!?)

【こちらの物理的攻撃が何も効かずに、逆に向こうの物理的攻撃は届いてくる――――これはかなりの難問だ】
【手持ちのマジックアイテムである『魔玉』にしたって、まずは『割る』という物理的発動の手続きを取らなければならない】
【つまり、攻撃手段がない。それでは戦いにならない――――退路を模索しなければならないかと、周囲に意識をむけた、その時だった――――】

【――――もう20年以上人間社会に住んでいるとはいえ、彼も『魔海』出身である、魔力の感覚は、並みの人間よりは優れている】
【敵の気配が、薄まりつつある――――言うなら第六感ともいうべきそれで、アーディンは確かにそれを知覚した】

(――――なら、目には目を、魔には魔を――――だ!)

【咄嗟にアーディンは、己の能力を発動させる。光で構成された、自分自身と同じような姿をした分身が、壁にもたれる体から放たれる】
【本来なら挟撃や囮、目くらましに使う、攻撃能力を持った分身なのだが、純粋に魔力の塊であるこれならば、揺らいだ『敵』に対して干渉可能だろうと踏んだのだ】
【というよりも、他に取れる手段が無かったというべきかもしれないが――――ともあれ分身は、先ほどと同じ様な、高速での突撃を敢行する】
【狙いが胴体部で、そしてまばゆい光の塊のような存在であるという違いこそあるが――――】

(これが決まるなら――――一度、頭を整理したほうがよさそうだ――――)
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/12(土) 16:44:48.19 ID:fl7ogGJ9o
>>499

【それぞれが持ち前の能力、武器で対処している中】
【縦に裂かれた子供が投擲されて此方に向かう────】
【それを視認すれば、脱兎の如く駆け出す。死体を踏み台にして、狭い宿舎を跳ねる】

【大きな体が逆さになり、脚を広げて回転していた】
【あの筋力を持って蹴られればひとたまりもない、滞空時間をなるだけ増やして】
【色留袖の裾が揺れる。はじけ飛ぶ臓器片、血飛沫、それらを顔に浴びて──】


「誰も勝てない、なんてことはないわよぉ?」


【分かっていた、”看守”の力が徐々に弱まっていることを】
【柄を両手でつかみ、刃を下に向けて──力を以て一気に振り下ろす】
【刃を下に、身体を上に。落下しながら重力とともに、重い一撃を看守に与えんとする】

【退魔の力を持つその刃を突き立てれば、地獄の番人といえどもダメージがないわけはない】
【──この一撃は、”看守”に通るのだろうか────】
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 16:45:37.66 ID:CaxAzfSL0
>>499

「無敵ねぇ。じゃあ、無敵なら防御の必要なんてあるのかな」

【――とはいえ、刃による攻撃に全く反応しないというのは不気味である】
【物理攻撃が効かないタイプだろうか、幽霊的な存在だろうか、それともこれもまた幻影か?】

【振り下ろされる、1人の子供。――悪者かどうかわかっていない存在。刃で防ぐのはさすがにはばかられたか】
【防ぐ2本の右腕、そこから刃は取り除かれており、代わりにあるのは、黒い毛に覆われた筋肉質なそれ】
【衝撃をいなすためか、後方に脚を運ぶ。……子供がどうなったか、それはあえて確認しなかった】
【それが功を奏して、看守が他の者へ向けて行った攻撃の余波を抑えられたか、けれども全く0ではなく、顔を歪める】

「(――魔翌力が減った? なら、試してみる価値はあるね)」
「(3種混合はちょっとまだ不安定、あまり多くの種類に短期間で変身しすぎるのも負担が大きいから……単体でいこう)」

【変身を一旦解いた彼、その左手が白く染まれば……繰り出すは、手刀】
【本物の刃に比べれば、その切れ味は酷く劣る。豆腐なら何とかなる程度か】
【けれども、それに宿るは"聖と魂砕"のエネルギー。……魂を砕くとは言うが、実際はエネルギーの破壊が主体だ】
【攻撃によって魔翌力が減った気がする、ならば直接減らしてみるのはどうだろうか――】

【看守が動けば動くほど、子供たちが壊されていく】
【それにいちいち感傷を抱いてる暇なんて無い、だが、あまり見たいものでもない】
【】
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 16:47:00.99 ID:CaxAzfSL0
>>504
/途中送信! 最後の1行は
/【故に、目の前の存在をすぐに排除しようと、彼は考えた】
506 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 16:49:28.01 ID:YPag1hO40
>>501

味なことを……無理はするなよカニバディール!

【――――今まで状況が状況ゆえに、声を掛ける事も出来なかった、唯一の顔見知りが、盾になるという】
【なら、もうこの窮地で頼らない理由がない。短く返事を返す】

【――――同じく、仲間と共に行動することも多いアーディンだが、それは十分な互いの特性の理解が前提にあるものだった】
【だからこそ、よく知らない相手と『組む』事は、できれば避けたかったのだが――――現状では、そうも言ってられまい】
【分身に突撃を敢行させながら、アーディンはこれを機にと体勢を立て直す】
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 16:57:21.84 ID:WLdYtO6s0
>>499>>501>>502>>503>>504>>506


「小癪な真似だ、いや褒めるべきか……」

【機銃をそこで下げる】
【なるほど、弾幕は弾薬の無駄だろうとの判断で】
【いや、幾つかの疑問があった】
【先ほどのレオーテの攻撃、これは通ったがしかしダメージは無かった】
【続くワーキャットの御人と黒づくめの外套の人物、そして、カニバディール】
【彼らの攻撃は、まるで先ほどの橋のホログラムの様に透過した】
【そしてこちらの攻撃は『防がれた』おかしい、理に合っていない】

「――ッ!」

【そして投擲される、子供の半身】
【最早、その顔に血しぶきや、肉片が掛かろうとも感情は動かないが、投げられるそれを、半歩横に移動し回避を試みる】
【その間にも思考をまとめる】

「何故だ?」

【拳銃に切り替え、片手で数発撃ちこんで行く】

「何故、だ?」

【子供は確かに自分の攻撃を受けた、近接しての攻撃はレオーテ意外触れてすら居ない】
【彼らが過去の繰り返し、ホログラムと言うなら、防御行動や、あるいは自分達への対処攻撃は理に適わない】
【三人の様に、攻撃は通じない只のホログラムである事が解っているならば、防御の必要は無く】
【しかし、レオーテや自分の攻撃は子供や看守には通っている、これが何を意味するのか?】

「魔翌力が!?」

【すると、徐々にその魔翌力が、看守を渦巻く魔翌力が薄くなっているのに気が付く】

「レオーテ、カニバディール、そして他の三人!!」
「魔翌力も弾薬も体力も節約するんだ!!罠かも知れないッ!!!!」

【拳銃を発砲しながら、叫ぶように周囲の仲間に言う】
【嫌な考えがよぎった、全て仕組んだ者の罠ではないか、と】
【我々をこの場に釘付け、消耗させるための……そして罠は仕組んだ者の自由自在なのだと】
508 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 16:59:30.87 ID:NDB3PNDF0
>>499

【斬撃の嵐は届ききらない。それは、他の力も同様で】
【ゆえ躊躇いなく行われる反撃は、限りなく回避困難な脅威として在り――――。】

……は、ッ――――

【べきりと、何かが圧し折れる様な厭な音がした。同時に確かに吐き出される呼気は、この影の幻想ならぬ体躯に、看守≠ェ確かな打撃を与えたことを示唆する】


【仰け反り、吹き飛ぼうとするその肉体が。けれど異能の斬撃の本領を以て、強引にその場に踏み止まった】
【“力”の媒体に圧の多くを乗せ、還し、再び喚ぶことを以て軌道を変える。】
【球体が空中を回転しながら飛翔する様に、蹴りから受けた力の流れを回転に回したのだ。そして流れを手繰り寄せたならば、それは、既にこの手に掴む力に他ならない――!】

…………ッ、……‼

【さながら慣性制御の如き技能は、けれど何処まで行っても“技能”でしかなかったのだろう。影からはぽたぽたと少なからぬ血が零れ落ち、無理を通した代償を示していた】
【だからこそ、この機を遣い尽くす。斬撃は、決して留まることなく、とある宝玉に酷似した“時”の力を解放、】

【時間流への干渉――――実体であれ幻想であれ、停めて、縛り、火と刃とを注ぎ続けてやがては塵に還す。命ある限り、それは止まらない】
【それでも単騎であれば、看守≠ヘ己が身を削りながら叩き込む様な猛攻を、無謀な特攻として処理しきれただろう】
【理不尽は、それほどに現実に対しての優位を示している。
【そして一撃一撃に載せるその力は、積み重なれば相応に弱所から看守≠フ動きを停め始め、さらなる強大な力を叩き込むための礎を生み出す。】

【  単騎でなお己を揮い続けんとした兇器が、揮う意志と、強大なる共闘者たちを得たのだから。】

――――――――ッ‼

【“こんな程度は、ただ踏み越えるべき幻でしかない”――――――――‼】
【その背にある者たちの存在ゆえ引き出せた全力が、停止と終焉を看守≠ノ命じようとしていた。】
【まるで、届かない結末があることを否定しようとする様に――許されてよかった絶望など、未だ嘗てなかったと、既に命潰えたものたちに示す様に】
【けれど、この影においてその感情があることは幻想なのだろう。示し続けた無慈悲な刃は、どこまでも戦い、破壊するものとしてあったのだ】
509 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 17:01:34.90 ID:NDB3PNDF0
>>508
/【理不尽は、それほどに現実に対しての優位を示している。

【理不尽は、それほどに現実に対しての優位を示している。 だが勝つために要する、無限遠に近しいだけの道として、躊躇いを捨てる様に影は選び取り】

…でしたっ
510 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 17:03:09.53 ID:YPag1hO40
>>507

ッ!?
――――安心しろ、魔力の消耗なら手は打ってあるさ……
(イマミレイ……お前の薬、6年物の熟成だが、今でも問題なく効力を発揮するのは、さすがだったな……)

【何かに感づいたらしい、知らない男の警句に、アーディンはただ端的な言葉を返す】
【――――足を踏み入れる前、最初に煽っていたあの薬。あれが魔力の回復剤だったのだ】
【そういう意味では、今のアーディンは普段以上に魔力に余裕がある。仲間に余裕をアピールするのは、精神の緩和にも役立つはずだ】
【――――即席のチームを嫌うアーディンだが、最低限のチームワークとして、その返事を飛ばしたのだった】
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/05/12(土) 17:04:11.00 ID:slCwVJ04o
>>501(カニバディール)>>502(アーディン)>>503(柘榴)>>504(レオーテヴュート)>>507(厳島)>>508(Slasher)

【嵐の様な蹴りをカニバディールに叩きつける。常人であるならば全身の骨が砕け散るのではないか、という衝撃】
【それは無惨に蹴りで引き裂かれた子供達の死体が告げるだろう。そぎ落とされた脚に臓物が絡みついて】
【びちゃ、という音と共にカニバディールに小腸やら大腸やらのなれの果てが、ついでとばかりに叩きつけられる】


       " 看守は悪夢なんだ──── "


【子供の嘆く声が響き渡る。狭い室内を反響し、サラウンドで奏でられる幾重ものシンフォニー】
【それはさながらクワイアの如く、違うのはそれが賛美歌などではなく、酸鼻極まる歌声であるから】
【櫛の歯が欠けていくように、一本また一本と子供達は折れていき────】


" 献身すれば、殺されはしないから "  " 我先にと媚びを売った "


【アーディンへの蹴りはカニバディールの献身もあり、幾らか弱まっただろう、それでもかなりのものだろうが】
【魔翌力の分身が、攻撃を仕掛ける──看守が帷子のようにぶら下げた頭骨が、かちかちと鳴った】
【"噛みちぎる"だろう、無数の頭骨が看守へと向かう分身へ、貪る様にその身を食い散らかし攻撃をかき消す】

【Slasherはその身を削りながら、永遠にも近い攻撃を加えるのだろう。手応えは一向に現れない】
【しかし、それは確かな意志であった。折れない気高き魂の誇りを示すが如く】
【無意味な死などない、と無慈悲な命などない、と高らかに歌うように】


            " ────誰も勝てないよ、僕達はそう信じてる "


【レオーテビュートの手刀と柘榴の刃、そのどちらも特別な対魔の能力を孕んで】
【魔翌力的な存在であれば、確実にダメージを与えられる、そんな攻撃であった】
【しかし、やはり、すり抜けられる────まるで因果が、そこには無いかの様に】


    " どこからともなく現れて "    " 僕達を殺していくんだ "


【厳島の拳銃もすり抜け看守は再び襲いかかる攻撃をいなし、攻撃の態勢に移る。左手で強く地面を叩いて天井へと跳躍】
【その最中体勢がひっくり返る。黒塗りの頭が天井へとぬぷりと染み込んで】
【胴体だけが天井の下からぶら下がっている状態であった、腹部の頭骨が各々を見据えて】


  " 知ってるよ "  " 僕達に配給される食事 "  " 仲間の肉なんでしょ "


【浮かび上がる無数の頭骨。それらが此処にいる各々へと伸びていき、身体のあらゆる部位を噛み千切ろうとする】
【鋭い歯であった。とがった表面は噛むより、削ぎ落とすというべきか】
【頭蓋骨はさながら餓鬼のように、各々へと群がり攻撃を仕掛ける】

【それぞれ攻撃したなら砕ける。──どろり、と粘ついた膿の浮いた脳みそがこぼれ落ちるだろう、が】
【また、頭骨は貴方達以外の子供達にも攻撃を仕掛ける。子供達は抵抗する術なく貪られる】
【身を挺するなどして守るなら、また別だろうが】

【────厳島の叫びが聞こえるだろうか。冷静沈着な軍人が導き出すロジック】
【それには一理があるのかもしれない、この状況そのものが狂気、そうであるのなら】
【目の前の驚異に攻撃しないという狂気すら、正気/勝機になりうるかもしれないから】
512 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 17:04:16.19 ID:NDB3PNDF0
>>501
【……紡ぐ言葉はなかったけれど。その諦めない意志と彼の戦いが、揮われる兇器の背を限りなく押したことは、きっと言うまでもなく真実だった】
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/12(土) 17:18:14.43 ID:fl7ogGJ9o
>>511

【能力を孕んだ刃ですら──その身体を通り抜ける】
【なるほど、この異形は実態と非実態とを使い分けることができるのだろう】
【背後から男が忠告する──むやみに攻撃するな、というもので】

【異形が攻撃を放つ時が、唯一攻撃が通る時なのだろうか】
【実体化したときだけを狙わなければ、意味がないようにも思えて──】


「なかなか、面白いやり方をするわねぇ」


【天井に頭を突っ込んだかと思えば、腹部の頭骨が此方を見据えて】
【そして伸びてくる──露出した鋭い牙は、見据えた相手を削ぎ落とそうとしているようにも見える】
【白刀を霧散させて再び右手に喚ぶ。下段に構えれば、頭骨が突っ込んでくるタイミングで刃を上にして切り上げる】

【相手に攻撃をすべきなのか、探索にあたって別のルートがあるのだろうか】
【兎に角、勝機を狙うためにも一瞬を突かなければならない。食いちぎられる子供に見向きもせず】
【入り口近くまで後方へと数回ステップすれば、壁に背をつけて異形を凝視する】
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 17:21:34.98 ID:IMyPaeI40
>>500

【はじめまして、の挨拶を受けても、名乗り返すことはない】
【きついまでのツリ目をぎっと、さらに尖らせて――精一杯睨み付けた】
【そのままじっと黙っていた、黙って――吐き捨てるみたいに、最初の一言】

……、……おま、えがっ……「イル」かよっ……!

【その名を知っていた。泣き喚く子供みたいな鈴の音から聞き出していた人の名だった】
【イルが「鈴ちゃん」と口にしたなら、それを確信に変えて――唇の端っこを噛み締める】
【「こんなところで」「こんな風に」笑う女が、はたして鈴音を、幸せにできるのかって】

【――実のところ、「イルちゃん」が良い人であるなら――鈴音を幸せにしてくれそうな人だと】
【そういう確証が取れたら、その瞬間にもう帰ろうと思っていた。そしてもう、ここには来ないつもりだった】
【あの子が幸せになれるんなら、外の世界の苦しいこと全部忘れて笑ってられるなら、それでいいって】
【思っていた。思っていた、けれど、――――】


――――――ふざけんのも大概にしてっ、バカみたいって、何っ!!
何がバカだよ、あんた知ってんじゃないの、鈴音がっ……
……あんたがっ、そうして「バカみたい」って笑い飛ばす子供を、助けてたことっ!!

それをあんたは、……おまえはッ!!!


【――――赦せなかった。幸せにしてくれるかどうかの判別は、つかなかったけど】
【それでもこうして、ヒトの死を笑い飛ばす「こいつ」の姿を見て、鈴音はきっと笑わない】
【それだけは確信できた、できたから――「マックス!」。術の号令、右手に銃を喚びだして】

【銃口を向けた。まっすぐ、イルの頭に向けて】
【仲間にならないか、の問いに対する答えはない。けれどこの姿勢が、視線が】
【言葉なんかより遥かに雄弁に物語るだろう――――「死んでもイヤだ」って、そう言っている】
515 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 17:25:14.99 ID:YPag1hO40
>>511

――――忌まわしい。ここに既に生き残りがいないなら、こんな場所、すぐにでも更地に変えてやろう――――!

【とうとう、感情のままに、現状とは関係ない言葉が漏れ出た。それがアーディンの素直な感情だった】
【この場所は、悪意に染められた悍ましい場所。ならば、そんな場所を放っておきたくもない】
【気に入らない事ばかりだ。久々に自ら動いてみれば、胸糞の悪い事件に首を突っ込む形となった――――全て壊してやりたい。素直な気持ちだった】
【――――そうもいかないということは、重々承知の上だ。だからこそ、せめて言葉の上で発散したのだから】

――――見切ったぞ。もうお前の蹴りは、怖くはない――――!

【カニバディールの盾のおかげで、体勢を立て直すことができた。そして、一呼吸を置く余裕も――――】
【その一呼吸のおかげで、状況を仕切りなおせるのは、彼の経験則の賜物だったのだろう。その一瞬は値千金だった】
【狭い室内、広く薙ぎ払われる、その蹴りの軌道が見える。身をかわす。当たらない。身をかわす。回避成功――――】
【もう、その攻撃は脅威ではなかった。あとは、その隙に状況を打開するきっかけを見出すだけだ――――】

(分身は、ダメか……まぁ仕方がない。次のチャンスを待って、もう一撃だけ施行する……! 魔には、魔だ……!)

【分身の攻撃は届かず、頭蓋骨たちに阻まれ、そして噛み裂かれて消滅する】
【――――実体を持たない分身に、物理的な攻撃力を持たせる代償として、不安定なのだ。外からの攻撃などの干渉で、分身は容易く瓦解する】
【なら、確実に相手に届く手段を講じながら、もう1度打ち込むしかない。対処は、決まった】

【だが、そこで敵は動きを変える。天井に張り付いたその体から、大量の頭蓋骨】
【狙いは明白だ――――周りの子供たちの、何か示し合わせたような言葉も、それを暗示しているのだろう】
【あれを以って、自分たちを食いちぎる気だ――――】

――――小賢しいぞ

【袂から、再び取り出したのは――――ダークグリーンの『魔玉』。それを己の足元で炸裂させる】
【封じられていた効果は『突風』――――飛来してきた頭蓋骨たちを、無秩序で、狂暴な、刹那の空気の乱れで吹き飛ばす】
【自分自身は、それを跳躍で乗り切って、狙いから外させる――――身体能力と道具に物を言わせた対処だった】

(さて、どうしてやろうか……いつまでも、こんな雑魚1匹にかまけている余裕はないんだが――――)

【もう1度袂に手を突っ込みながら、アーディンは着地し、そして静止する――――次の攻撃手段が浮かばなかったのだ】
>>507の声は聞こえていたが、これを前に戦闘態勢を解除する腹は、アーディンの中にはなかったのだ】
【とはいえ、現状では有効な策が思いつかないのも事実。次に仕掛けてくる攻撃を待ちながら、少しでもアーディンは時間を稼ぎ、手段を模索する――――即応の体勢だけを用意して】
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 17:29:03.98 ID:slCwVJ04o
>>514(夕月)

【イルは唇の端を愉悦に歪ませる、夕月が自分の名前を知っていることに喜びを見せて】
【貴女の感情を辿るまでは行かない、そこにどんな色があるなんて分からないから】
【ただただひたすらに愉快だった、猛る感情こそが喜びだから】


あはっ♪ うれしーな、知ってくれてるんだっ♪ うん、そーだよ、誰から聞いたのっ?
ボクそこまで有名かな、だったらそれもそれで良いんだけど
ボクは不条理な存在だからさ、あんまり有名になると、それはそれで困るんだ

そうだけど、今は助けてないじゃん、鈴ちゃんは目覚めたんだよ
その行いに何の意味がないって、ボクがけーもーしてあげたから
だからさ、きっと、今なら鈴ちゃんもちゃんというよ

────「バカみたい」って


【向けられる銃口に物怖じもせず、ぐいっと顔を近づける、撃たれないと確信してるように】
【細い手が伸びた、銃を握る貴女の手に向けられて】
【深紅の瞳がまっすぐ貴女を見つめて、一つ言葉を重ねる】


あはは♪ ねね、こぉんな玩具しまってないと、危ないよ?
ボクに向けてもなーんにも意味ないもん、だって、君は本心じゃ、そう思ってるんじゃない
ボクを殺したって、何も変わらないって、腐ったニンゲンは変わらないって

──どうなのかな、この光景全部ボクが作っただなんて思ってるの?
君が見てきた世界が、ニンゲンがしてないだなんて、誰が証明してくれるのさ
ねぇね、教えてよ、ボクと一緒に行くのが嫌でもさ

────君の居場所なんて、どこにあるの?
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 17:29:03.99 ID:WLdYtO6s0
>>511>>510

「煩い事だ……」
「子供は、何処でも煩い物だが」

【声が、声が響く】
【無数の声だ】
【否、果たしてこれは本当に聞こえている物なのだろうか?】
【現状を確認する、攻撃はカニバディールに集中している】
【そして自分の放った拳銃弾は、全弾が目標を透過】
【魔翌力を含んだ攻撃である、レオーテと少女の攻撃も同様だった】
【やがて、ワーキャットの言葉、なるほど彼の魔翌力は何らかのブーストが掛かっている様だ、まだかなりの余裕があると見える】

「わかった、気を付けるんだ……くれぐれも、だ!」

【かつて、彼の元を訪ねた少女をこのワーキャットの御仁は覚えているだろうか】
【彼女の語る海軍、そして隻眼の軍人は海軍の制服だが、もっともそれはこの場ではあまり関係の無い話だろう】

【そして、やがて無数の頭蓋が出現し、その身を食い千切らんと迫る】
【それは機銃の弾幕の様に、周囲の動く物全てに無差別に向けられるようで】
【そして軍人がとった行動は、一つだった】

「すう……はぁ……」

【深呼吸の後、腰の軍刀を横に置く形で目をつぶり、その場に正座する】
【背筋を伸ばし、そして手を量の腿の上に置く、極めて正しい形の正座】
【目をつぶり視界を絶ち、深く、魔翌力の生成と構成、そして『探知』にのみ全神経を注ぐ】
【極めて落ち着いた形だが、同時に敵の攻撃に無防備に姿を晒す行為だ】
【明鏡止水、そう呼ばれる】
【だが、あまりにも危険、あまりにも無謀だろう】
【果たして、どう出るか?】
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 17:29:56.48 ID:lEdQu2xCo
>>506
元より、無理は性に合わない!! 適度にやるさ!!

【つい先日に初めて顔を合わせた男に。闇社会でも一目置かれる、歴戦の戦士にしてブローカーに叫び返す】
【互いの手の内を知らず、しかし今あるのはお互いのみ。ならば、互いの命を賭さねば、この窮地は乗り越えられない】

>>512
【言葉はない。十分だ。その手に握った力と、それを振るう意思。行動こそが、何より必要なものだったのだから】


>>511
がぐ……!! ぐぅ、お――――!!

【膨らませた肉が衝撃を和らげる。しかしそれでも、身体の芯を揺さぶるその打撃】
【しかし、カニバディールは常人ではない。ただ生き残ることに己を特化させた怪物だ】

【脚から離れて、叩きつけられる子供たちの残骸など意にも介さない。この程度は、慣れたもの≠セ】


悪夢か……この工場そのものが、精神病患者の見ている夢の中のようなものだがな……!!
その様子だと、媚び売りの成果は大したものではなかったらしい

【響く声に独り言ちる。そのころには、あまりに重い打撃に晒されたカニバディールは、相応の傷に塗れていた】
【膨らませた肉が爆ぜ、鮮血が滴り、蹴られた部位が変色している】

【同行者たちの攻撃は全てが効果を成さず。看守≠ヘ更なる異質な攻撃へと移行する】
【それでも、カニバディールは生きることを止めない。それだけが、この異形の目的なのだから】

く、ふ……つくづく残念だ……私がその場にいれば、同じ仲間の肉でも、もっと豪勢な肉料理に仕立ててやったというのに
それで……お次は、我々の番か? お前の配給の足しにしようというわけかね?


―――――私を誰だと思っている?

【蹴りに潰された肉が、なおも蠢く。四肢が膨らみ、持ち上がり、カニバディールもまた更なる異形へと変形していく】

人喰い肉屋……カニバディールだぞ

【背中から伸びた肉の柱を支柱とし。手足全てを長大な肉の凶器と化した、看守≠ノ引けを取らない有様】

貴様ごときが、私を食おうなどと……

【四肢の肉塊から、いくつもの刃先が生えた。肉の塊の中に仕込まれた、何本もの肉切り包丁の切っ先】

身の程を知れ――――!!!!!

【物騒な刃の生えた四本の肉を、高速で振り回した。差し向けられた頭骨たちを砕き潰し、そして】
【天井の看守や、宿舎の壁や床そのものを切り刻もうと。その軌道は、同行者たちだけを器用に避けていた】
【巻き添えを食うだろう子供たちの幻影にまで、配慮する気は異形にはなかった】


>>507
残念ながら、こいつを無視することも出来ん!! だが、このままでは罠に嵌まったままだ!!
ひとまず、部屋そのものを攻撃してみてはいるが……何か打開策はないのか!?

この奥の扉は!? 部屋の中に何かあるか!?

【ひたすらに攻撃を繰り返しながら、厳島へ叫び返す。彼の忠告とは裏腹に、削られていく体力】
【この状況を打開できる者が、果たしてこの中にいるだろうか】
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 17:31:02.57 ID:CaxAzfSL0
>>507,511

「――なるほどね。厳島、君の考えは当たっているかもしれない」

【幽霊だったのならば、エネルギーが存在するならば、この攻撃は当たるはず】
【けれども、攻撃は空を切った。そこに姿は存在するが、存在しない。】
【――これも悪趣味なショーの一環だろうか。ともかく、幻影相手に攻撃するのは無駄だと判断】

「一体どこまでが本物だろう。もう、全部偽物ってことで良いかな? その方が楽でしょ? ねぇ」

【攻撃すべきは、幻影を生み出した主。もしかすると、子供たちもリアルなフェイクか】
【どこまでが現実で、どこまでが虚構か? ――自分が知っている、あるいは知らない味方も本物だろうか?】
【……例え偽物だとしても、味方は味方か。この際、全てが偽りだと思って行動すれば楽だ。ため息を1つ】

「うん、ごめんね。僕たちは先に進むよ」

【躊躇の1つも無く、再び現れる両手の甲の刃が、頭骨たちを斬っては砕けさせていって】
【粘ついた膿が衝撃で散れて、自身の体に付着する。ああ、汚い。】
【その行動をしつつ、宿舎の奥の扉――看守が入ってきたそれに向けて脚を進める彼。頭骨を撒くのも狙いだが】
【もし何もなければ、その扉の先にへと進むだろうか】
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 17:33:28.24 ID:WLdYtO6s0
>>518

「待て、落ち着くんだ……今、探知を掛ける」
「僅かの間だけ、場を持たせてくれ……頼んだ」

【そう言うが早いが、深呼吸し】
【その場に正しく美しい姿勢で、目を瞑り正座をする】
【魔翌力の生成とそして探知にのみ全神経を注ぐ】
【真、正気の沙汰では無い筈だ、無防備、無謀だ】
521 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 17:38:48.18 ID:NDB3PNDF0
>>511

――――――――く……‼

【異能による無数の斬撃は手応えを返さない。時間流への干渉は、実体でなくとも奏功するはずではあったが】
【空間そのものを対象に指定し、余力の大半を注いででも足止めを優先すべきだったかと――――過ぎりかける不安が肉体の負荷とともに圧し掛かり、】
【瞬きの間にそれを呑み干した。元より戦うための命、破壊すべきものを破壊することを求められたのだから、貫くべき道はそこにある】

【ならば、標的が物理的に手の届かぬ位置に到るなら――】
【そしてそれが犠牲者を武器として嗤うなら、果たして次なる一手とは何か、】

……、――――――――

【黒い布地をなお昏く血に染め上げながら、飢えた牙が肉を削り落とす。
【迎撃はなく、回避すらもなく――――それこそを以て、自陣営の何者の消耗をも許容しない。】
【己を捉えた牙を“離させず”。反撃が、

【攻撃ではなく、“共存”――――己が内に溶け込ませ、同化することなく、命だけが数多の無念に寄り添う】
【とある不安定な力の制御のための精神接続を、接続先を死者に切り替えることによる技能だった。憑依を促し、なお一切自我を揺るがさせずあることによる  】

【攻撃の不在という勝機など識らない。ただ。嘆きと痛苦を強いるものに、彼らを奪わせたままになどしておけない――――】
【無尽蔵の“力”の根幹を奪う可能性を合理的に求めながら、それだけの様に己を御し、襲い掛かられる幻たちへの攻撃をも遮り】
【あくまで冷徹な口調で、身を削られながら、看守≠損耗させようとするのだろう。きっと副次的に、加害行為をも阻害して――――、】


……ただの飢えた子供に、私が食い殺せるとでも思ったか?
餓えた悪趣味なあの看守にも――――……せめて、この程度は教えてやろう……ッ‼

【容赦のない斬撃を選んだ兇器が、看守≠ノも不可能なことはあるのだと満天下に示そうとするかの様に。】
【無敵の怪物を末端から潰し、その果てに破壊への道を敷こうとする様に――まず根こそぎに奪略するという法外な一手を以て、対敵の牙をひとつ折ろうとした】
【共に戦う者たちに勝機を生めたなら幸いで、不可能ならば次を求める。ごく当たり前に、そう選んだのだった】
522 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 17:39:52.70 ID:YPag1hO40
>>517>>520

(……彼には彼の役目があるようだ。任せよう、そちらは…………それに、あの軍服は……?)

【状況を絶えず観察し、そして分析し続けていたのだろう。軍人らしい彼の言葉に、、アーディンは1度だけ頷く】
【精神を集中させている――――何か、打開のための方法を、彼も模索しているのだろう】
【なら今は、驚異に対応するのは自分の役目となる。改めて敵を見据えた】

【その中で――――思考に混線したような、別な疑問も浮かんだ】
【かつて、リオシアから聞いていた『信頼のおける、海軍の大人たち』――――妙に、その言葉が思い出されたのだ】
【なんでこんな状況で。そうは思ったが、ふと気がつく。この軍人、もしかして――――】
【だが、それを確かめたりするのは、流石に場違いだろう。そこまで行きついた思考を、一度凍らせる。事態は、まだ容易ならないものなのだから】
523 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 17:41:08.75 ID:NDB3PNDF0
>>507
【罠であるならば、打開してみせろ。兇器は兇器として、あくまで敵を見据えながらこの戦いを征く――。】
【時を稼ぐことにも等しい全力は、答えを返さずに戦いで示した。それ以外、紡げる意味などなかったから】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 17:44:31.88 ID:IMyPaeI40
>>516

【イルの言葉が突き刺さっていく。思い当たる節がいくつもいくつも】
【ささくれ立ってひりひり痛む――きっと、少し前までの少女だったら。もう折れていただろう】
【だけど今日ばっかりはそうしない。知っているから。イルの言葉が、間違いだってこと】

【ひく、と――――唇の端が戦慄いた。引き攣った、それでも、笑みの形に歪んで】


……は、ははっ、はははははっ!
なぁんだ、おまえ……鈴音のコトなんでもわかってますみたいな口振りしてっけどっ、
知らないんじゃん! 言わないよ、鈴音はそんなこと言わないっ!!

だって言ったもん、あの子――――あんなにぐちゃぐちゃになってたのに!
あたしに向かって言ったんだよ、「助けてあげましょうか」、なんて!

知らないンなら教えてやるよ―――――― 白神鈴音は、まだ生きてるの!!


【イルの知らないところで、この少女と鈴音は会っていた。イルの手中に堕ちたはずの鈴音が】
【確かなことばでそう言ったのを、聞いていた。聞いていたから、今回だけは折れてやれない】
【あのときの鈴音がまだ生きてるって信じている。信じている限りは――裏切れない】


たしかに、おまえを殺したってなんにもなんないかもしんない、
ここにいればあたしは誰にも虐められないかもしんない、
外に帰ってもどこにも居場所がないかもしんない!

だけど――――おまえはこのまま鈴音を幸せにしない、そうでしょ?
それならあたしには引鉄を引く理由ができるンだよ――――「おまえのこと、嫌いだから」ッ!!


【引かないって思われてるんならそれでいい。こっちだって退かない】
【人差し指に確かな力を籠めて、それでも動きは最小限。その理由だって至極シンプルなものにして】
【引鉄を、引こうとした。一発だけ。なにも阻害されないんなら、弾ける音が鳴り響くだろうけど――】
525 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 17:45:02.01 ID:NDB3PNDF0
>>521
/【己を捉えた牙を“離させず”。反撃が、

【己を捉えた牙を“離させず”。反撃が、 そうして選択される――――。】

…でしたっ
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 17:46:54.46 ID:slCwVJ04o
>>513(柘榴)>>515(アーディン)>>517(厳島)>>518(カニバディール)>>519(レオーテヴュート)>>521(Slasher)

【砕かれた頭骨が、地面に散らばって。雲散霧消と消えていく──これも柘榴ならば見知った光景】
【違うのはその感触。つけた壁から、どろりと液体が零れて】
【そこには黒塗りの顔があった。壁から頭だけが飛び出して、貴女の顔面の直ぐ側に顔を突き出して】

【そのまま看守はその顔を柘榴の肉感的な身体へ、叩きつけようとする──重たい頭部で直接的な攻撃だ】
【柘榴の読みが正しければ、このタイミングで攻撃をすれば利くだろうが】
【頭部の攻撃は肩の骨を打ち砕かんと放たれるだろう】


        " 終わらないかくれんぼ "   " ねぇ、いつまで続くの "


【アーディンと厳島は見に回っていた。その様子見はある種正しさもあった】
【しかし、正しさには代償がつきものと言わんばかりに、貴方達は目の当たりにするのだろう】
【切り刻み果てていく子供達の多くを、一人、また一人、と────】

【カニバディールの呼びかけに応じて室内を見渡すと、レオーテヴュートが奥へと向かっていくだろう】
【扉は開かない。まるで壁に扉の形を貼り付けたかの如く、その奥の空間がまだ作られていない様に】
【袋小路であった────逃げ場所など、何処にも無く】


    " 入ったら二度と出られない "  " 何処でもそれは一緒──── "



【看守が天井に右腕を突っ込んだなら、扉から右腕が出現、そのままレオーテヴュートを力任せに殴ろうとする】
【同時に腹部の頭骨が落下し、看守は力任せに其れを蹴り飛ばす、アーディンと厳島に一発ずつ向かう】
【アーディンは回避可能だろうが、正座し探知に集中している厳島に防御の手段はあるのだろうか】

【Slasherの取った一手は攻撃を仕掛けた頭骨を分離させるだろう、看守の統制下から離れた頭骨】
【それはSlasherの手腕により略奪される。力をなくしたなら元の頭蓋骨に戻り、落下するだろう】
【あり得ない奇跡であった。死して尚もとらわれ続ける定めを、覆すように】


           " ────僕達も、殺すんだね "


【カニバディールの矜持を刺激したのは何だったのであろうか、不作法な人食いが、本職を嬲ったのか】
【答えは分からない、肉の狂気が暴発する。壁や床を切り刻まれ、同化している看守を襲う】
【しかし、手応えはないだろう────あるのは、子供達を切り刻む、嫌な手応え】


【────けれども、しかれど】


【厳島は気付くだろう。攻撃を受けてもなお、探知に集中していたなら気付くはずだ】
【カニバディールが暴風を吹かし、子供達を殺した瞬間、看守の纏う魔力が大幅に減少した】
【言わば看守の力の根源は、この無辜の子供達にあるのだ、と気付くだろうか】

【無敵の怪物など幻想なのである。けれども、時に強い幻想は現実をも浸食する様に】
【カニバディールの嵐がはれたなら、残る子供の数はほんの僅かだ、数人が息も絶え絶えに宿舎に寝転がり】
【後は何をすべきか、厳島には分かっているだろう、それを他にゆだねるかは、分からないが】
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 17:55:23.31 ID:slCwVJ04o
>>524

【──初めて、イルの表情に陰りが見えた。嗤うその姿が不愉快だった】
【美しい少女の笑みは、彼女の好むところ、それが不愉快なのは────】
【只ひたすらにその笑みが、嘲笑であったから】


何を言い出すかと思えば、そんなのリップサービスでしょ?
鈴ちゃんはボクと一緒で、可哀想なボク達に優しいの、ひょっとして真に受けちゃった?
うっわーいったーいっ、そういうのニンゲンの専売特許でしょ、やだやだ

君こそ、鈴ちゃんを知らないのに、知った口利いて────あーちょっとむかついちゃった
お仕置きが必要だね、鈴ちゃんもそういうとき在るから、そういうときはお仕置きすると静かになるし
そうでしょ♪ わぁるい子は躾けなきゃさぁ!!


【言葉の端が爆ぜる、響く音律に激情が混じって、言葉が揺れた】
【引き金を引くより早く、イルはその指を掴もうとする──意外に俊敏な動きだ】
【そして可能ならばそのまま、貴女の指を、逆方向に叩き折ろうとして】


あははははははは♪ バカは死ななきゃ直らないっていうけどさぁ! 死んでも直らないんだね!
やっぱニンゲンは作り替えてもニンゲンなんだね、鈴ちゃんみたいに神に見初めらんなきゃ
君みたいな出来損ないの屑で愚図が、鈴ちゃんを話すなんて烏滸がましいんだよ!

ありがとう♪ ボクだって君なんて、だーいっきらい!!
死んじゃえ、死んじゃえ!! どこにも居場所無いまま、惨めに無様に死んじゃえばいいんだ!


【投げかける罵倒、口汚く罵る言葉と共に腹部に向けて蹴りを放つ】
【身体能力自体が高いのだろう、容赦なくみぞおちに向けて放たれて】
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 17:57:32.46 ID:WLdYtO6s0
>>518>>519>>522>>523>>526


――Without the light in dark
闇の中に光はない――


【耐える、全身を削ぐ様な攻撃の中で】
【恐らくは、ひどい傷を負っているのだろうが、耐える】
【心はそこに無かった、声すら出さずに】
【思えば、自分の人生は航海に次ぐ航海だった、幾倍の機会を考えて守りなど無かった……】
【成ればこそ……】

「――ッ!!」

【瞬間、目を見開き、血塗れの身体を一気に持ち上げ、立ち上がる】
【迷いなく短機関銃を手に取り、解った、解ったのだ】
【この地獄の、幻影の発生装置が】

「皆、解ったぞ!!」
「子供だ!!その子供を狙うんだ!!」

【その場の全員に、こう大声で伝え、言うが早いが、短機関銃を構え】
【その場の子供たちに向け、機銃弾を放って行く】
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/12(土) 18:02:43.37 ID:fl7ogGJ9o
>>526

【砕いた頭骨は地面に散らばり、霧散して消える──見慣れた光景だった】
【壁に背をつけて、あの異形の動きを図ろうとしたとき──嫌な予感がして】
【どろり、と黒ずんだ液体が零れ出る。直ぐ側に、異形の顔があった】

【肉を切らせて骨を断つ、何て考え方は嫌いなのだけど】
【この際少々のダメージは仕方ない、この異形を打ち倒せなければ前進できないのだから】
【相当の重量を持った頭部が振りかぶられる、それに合わせて刃を上にして右手で柄を持ち】


「ぐっ……つぅっ────」


【左手に異形の頭突きが命中すると同時、右手を振り上げる】
【実体を伴ったはずの異形に、なんとかダメージを通そうとして】
【異形の魔力減少に関しては軍人然をした男が原因を探ってくれているだろう】

【門番たる看守を打倒さなければ、そのさきに進めるはずもないのだから】
【後は彼らを信じるしかない、鈍痛を訴える左肩を落としながら、また壁から離れて立つ】
530 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 18:03:46.22 ID:NDB3PNDF0
>>526

【無力だったものたち。絶望したまま死したものたち。その深淵は、どこまでも深くて】
【……けれど、】

……檻を斬り裂き、骸を取り出す。
それも不可能だと――――そう言うのなら、まずは証明してあげる……ッ

【躰は動く。意味は果たせると既に知った。ならば、そうあることに躊躇いもない――――。】
【一瞬だけ変容した口調は無意識のもので。誰が聞くこともなく、突き進むその意志だけを語った】

【着実に失われゆく血と肉が、動きを鈍らせようとするが知ったことではない。寿命を削らんばかりに振り絞る力が、遮り、接続し、強奪の奇跡を繰り返さんとする】
【奪われる前に奪い、奪わせず己が内に響く鼓動を器とする。冷たい兇器でも、血肉だけは温度を保つから】
【この器にあれと、かつて一度、そしてこの日再びに成功した手段を実現してゆくだろう】

【彼らに、何の救いももたらせず。心に、何を残すはずもない、けれどまるで救われざるモノを守らんとするかの様な闘争の舞い――――。】
【この幻想の工場で消え去る魔力が何処に行くのかは知らず、それでも時を稼ぐための戦いは続く。その先に、何が待つのかすらも知らず――進む、】
531 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 18:04:22.33 ID:YPag1hO40
>>526

っ、なんだ……確かに、気配が弱まったぞ……

【『見』に回りながらも、アーディンは体勢を維持して、その謎の敵と相対し――――そして気がついた】
【時間と共に、この敵の魔力が減退している。どうやら、いつまでも存在し続けられる類のものではないらしい、と】

っ、下らん悪あがきだ。いつまで続けるか、こんな不毛な事を――――!

【放たれた頭蓋骨は、まさに『飛んで火に入る夏の虫』だ。アクションを待っていたのに、それに対応できない法はない】
【真っ向から、アーディンは片手でその頭蓋骨を切り払う。パキャリと、嫌に小気味の良い音が響いた】

そんなことより問題は――――ッ

【攻撃は凌いだ。だが、いつまでもこれでは堂々巡りの消耗戦だ。何か、状況を打開しなければならないのに変わりはない】
【敵は、時間と共に消耗している。なら、『何かが終わりを告げるとき』、この幻も晴れるのだろう】
【なら、それは何なのか――――ゆっくりと試行したいところだが、そうするだけの時間はない】
【なら、期待できるのは――――】



>>528

――――!?

【状況に対して、自分以上に『見』の姿勢を貫いていた軍人。彼の言葉に顔を上げる】
【幻が、役を終えるのは『それを見る人間がいなくなった時』だ。観測者がいなくなれば、観測される事実もなくなる】
【見えない敵への対処法は、その敵を見ている存在を滅ぼすことにある――――なるほど、理屈としては成立するだろう】

――――――――この場合、やむなしか……仕方がない。まだ事態は終わってないんだからな……!

【正直、躊躇がないと言えば嘘になる。だが、だからと言って止まってもいられない。わずかに深呼吸――――気持ちを切り替えるのは、アーディンにはそれで十分だった】
【爪を閃かせて、数少ない子供たちを切り裂いていく――――最後の矜持として、なるべくに即死を狙いながら】

/すみません、晩飯に行ってきます……
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 18:08:44.87 ID:CaxAzfSL0
>>526

【押したり引いたり、あるいはスライド、シャッター、観音開き、etc……】
【色々なドアに対する開け方を試すだろうが、開かないものは開かない】

「ありゃ、閉まってる。なぁに? ショーが終わるまで出てっちゃ駄目なの?」
「僕はさっさと鈴音を探して帰るんだ。忙しいから早く帰らせてよ。あぁ、でも見つけた鈴音も本物なのかな?」
「外に連れてったらいなくなってたってパターンだったりしてね」

【――見える全てが幻だと思って動けば、考えることも少なくなって楽になった】
【隠す必要なんて無い。ここにいるのはきっと自分一人なんだ、だから思うように動けば良いんだ】
【けれども、自分に害を齎す……具現化した攻撃だけは対処しなくてはならず】
【現在は両手の部分変身のみを行っている。この形態は防御には不向きで、防御のために変身を行う余裕もなく】

「おっと」

【行うは、バックステップ。……拳の全てを防ぐことは出来ず、けれども直撃よりはずっと良い結果で】
【腹部に受けたそれが体勢を崩して着地失敗、背面に衝撃を受けるも】
【程なくして立ち上がった。】


>>528

「うん、この子たちは悪い子だったんだね、わかったよ」

【もしも他のものが殲滅していないのならば、立ち上がった直後に近場にいる子供に近づけば】

「悪い子には、こう。」

【一切の躊躇なく、子供に向けて刃を振り下ろし、首を飛ばそうとするだろう】
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 18:09:42.22 ID:IMyPaeI40
>>527

へえ? 鈴音に、リップサービスなんかできるくらいの余裕あげてたんだ?
お優しいゴシュジンサマだネ、もっときつく縛ってぶって虐め抜いて――――
なんにもできなくなるくらいドロドロにしてやってんのかと思ってたからさあ!

【「あたしがおまえのことヒドいやつだと思い過ぎてたみたい、ごめーんネ!!」】
【吐き捨てるような嘲笑と共に、すべての交渉のすべが、ぶつんと断ち切られた】
【あとにあるのはもう、敵意と敵意と敵意ばっかり。ぶつけ合うばかりになるだろう】

【人差し指の運動ひとつだけですべてが終わるんだったら、そんなに楽な話はない】
【だからどうせ、撃つのだって阻止されると思っていた。案の定、銃を握る指に伸ばされるイルの手】
【掴まれたら、ぐん、と。銃を持つ手ごと引き下げて――勢いよく持ち上げた膝で、打ち抜こうとする】


うるっせェよ――――じゃあそういうおまえは、どーいう自信があって鈴音を語れるの!?


【刃物での突きめいて鳩尾に抉りこんでくる蹴り、身体をくの字に折り曲げて受け流したが】
【それだけじゃあすべての勢いは殺せない。げほ、と咳き込みながら後ろへ滑って】
【――それが目的だった。距離が欲しかった。近づいたままでは、やりづらい】

【「カスパール!」――痛みに滲んだ声で、もう片方の手に銃を喚ぶ】
【そのままの勢いで引鉄を引いた、二発。狙いは、多少ずれてもどこかしらには当たるだろうと踏んで、胴体に】
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 18:10:27.99 ID:lEdQu2xCo
>>526
何がかくれんぼだ……このふざけた工場に、隠れる場所などありはしないだろうに
出られないかどうかは、こちらが決めることだ!! 貴様らごときが、ほざくな!!

【『黒幕』にしてやられ続けた苛立ち。最悪のタイミングで鈴音を連れ去られたこと】
【そして、この空間に対する異形なりの憤激。全てが、カニバディールの怒りとなって、肉の凶器に力を伝える】


ちぃ……看守には変わらず手応えなしだ!! 子供の方にだけは、斬った感触があるが……

【荒れ狂う肉の暴風雨。この異次元で、それはどれほどの力があることか】
【ともあれ、カニバディールは動き続ける。子供を切り裂く手応えへの嫌悪感を抱く感性など、すでにカニバディールにはなかった】

>>520の厳島へと、無防備な彼へと飛んだ頭骨を、空中で切り落とすべく肉を叩きつけんとし】
【その行動の直後、厳島の声が耳に届く】

>>528
なるほど……死してなお、動力源にされているわけか
ならば、解放してやらねばな――――!!

ああ、そうとも。お前たちも殺す。意図してかどうかなど関係はない。私は私の障害になるものは許さない――――!!!

【厳島の言葉を受けて、カニバディールは攻撃の全てを子供たちへと向ける】
【一欠けらの情け容赦もなく。ただ己のために】
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 18:13:29.89 ID:slCwVJ04o
>>528(厳島)>>529(柘榴)>>530(Slasher)>>531(アーディン)>>532(レオーテヴュート)>>534(カニバディール)

【柘榴の攻撃は通らないだろう。再び攻撃はすり抜ける──推測は外れであった】
【しかし、状況は大きく変化していく。看守からの追撃の攻撃はなかった】
【黒塗りの顔が、落下する────地面へと、叩きつけられて】

【Slasherの行いは矛盾していた。時代に逆行するといっても良い。既に死んだ子供達の魂を救うなど】
【生者が死者を救おうとする、それはまるで慰めに似ていた。救われない心の礎を】
【それでも良かった。──少なくとも貴女に触れた魂は、救われるのだから】

【それはただの子供であった。確かに能力を持っていたかもしれない、けれども】
【彼らは生きる理由のあった子供達だった。誰にも無惨に命を奪われる理由なんてない】
【けれども此処では殺されなければならなかった。そうすることでしか道が開けないから】

【無辜の子供達を斬りつけ、撃ち抜く感触。──それは幻覚と、分かっていても】
【手に残る感触は命を絶ちきる感触、命を撃ち抜く衝撃、目の前で咲く血の花】
【看守の身体が朽ち果てていく、子供が一人、また一人と息絶えるにつれ、落ちていく】

【──椿の花が落ちるように、アーディンの爪先が子供の首を断ち切ったなら、それが合図】
【看守が力なく動きを止めた、そして霧が看守を包み、消し去っていくだろう】
【その行方は分からない。レオーテヴュートが立ち入ろうとした扉なのだろうか、なんて】

【看守の身体が消え、周囲を霧が包んでいく────この部屋の光景が消えていく】
【此処は宿舎などではなかったと思うかもしれない。室内の様相が変化する】
【現れるのは無機質な部屋であった。コンクリートで塗り固められた部屋】

【座標が移動したのだろうか。だとすれば、この工場内で起きる現実とは何か】
【それに答えを持つ者は誰も居なかった。ただ鎮座する魂が如く、冥府の神よりも未だ静謐】
【そして、もう一つ、異変に気づく者が居ただろうか】



【____かしゃり】



【もし踏み込んでしまったなら、嫌な音律が鳴るだろう。足下一杯に広がった、白骨の死体】
【足の踏み場もないほどに白骨は積み重なっていた。骨の具合から全て子供の物だと分かる】
【ならば此処はガス室か。子供達を集めて処刑する為の部屋】

【──否、違う。天井を見れば直ぐに分かるだろう。天井には何もついていない】
【そして気付くはずだ、此処は宿舎に間違いない、と。先ほどの穴蔵よりもまだ、下層の宿舎】
【死期が近づいた子供。仕事でヘマをした子供。或いは反抗的な子供を放り込む、懲罰房のよう】

【察しの良い者なら理解できるだろう。此処に詰め込まれた子供達の末路】
【僅かな光も無い密閉された空間。上も下も分からない極限の暗闇】
【先ほどの看守は彼らの恐怖の象徴であったのだろう、と。そしてこの工場内には】

【どれだけの業が詰まっているのか。それを語る術を誰も持たない程に】
【足音が聞こえるかもしれない。誰も何も音を立てていないのに】
【──凄惨な光景が現れ過ぎた。それでも、まだ、足りないと言いたげに】


【目の前の扉が見えるだろうか。異形が入って来た時に開いた扉であった】
【先がない筈だった扉が軽い音を立てて開く。此方に来いと手招きをするかの様に】
【しかし、そこに向かうには無数の白骨を踏みしめていかねばならない。勇気を試すが如く】

/↓
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 18:15:05.26 ID:slCwVJ04o

【──】



【────】



【────────】








【扉を開くと書斎に出る。大量の本棚と豪勢な机、今まで見た景色とは圧倒的に違う】
【恐らくは重要な人物が仕事をする場であったのだろう。敷かれているカーペットも高級品だ】
【能力者達は此処で身体を休める事ができる。扉もまだ出現していない】


【また、周囲を散策すれば本棚に不可思議な本が何冊か在ることに気付くだろう】




【『INF-008』『財団職員へのオリエンテーション』『燻製ニシンの虚偽』】





【これらの本、或いは小冊子は不思議な魔 力を含んでいた。まるでこの世界のものではないように】
【能力者達は手を取るだろうか。読んでみたなら内容を理解できるはずだ】
【そしてこの工場の真意について、理解できるかもしれない】



/『INF-008』https://www.evernote.com/shard/s266/sh/4d7726fd-1376-43f0-9760-49f47f3eb56f/f6bc4907e2e598d155667462a94d8e3d
/『財団職員へのオリエンテーション』https://www.evernote.com/shard/s266/sh/01e346b5-b9fe-4476-ad38-63a9a3661727/d698fde84bcb15f72672aff825b70ff4
/『燻製ニシンの虚偽』https://www.evernote.com/shard/s266/sh/7bcbba07-1fa6-4d00-9de5-708bf20732bd/90b086981dc26c71e4eb7daeddcbb55b
/上部からの閲覧を推奨します。
/そして一時間ほど休憩時間を取らせてもらいます、再開は19:30を予定しています
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/05/12(土) 18:24:42.28 ID:slCwVJ04o
>>533

【膝が顔に迫る──思わず手を離して回避するだろう、中々戦いなれている】
【ふぅん、とイルは虚空を見た、どうやら深部まで能力者達が近づいて来ている、と】
【──イルは嗤う、夕月の言葉に相対しながら】


時間だよ、共に過ごした長い時間だけがあの子の事を分かってあげられるから
ボク達は、ずっとずっと、お話をしてるんだ、楽しかったこと、哀しかったこと、嬉しかったこと
君が知ってるのはただの表面なのに、ずいぶんと知った口を利くんだね♪

──お仕置きしてあげたかったんだけど、そろそろ時間みたい
主賓のお色直しをしなきゃ、それがボクの役目だしぃ
じゃあまたね♪ あーあ、ここで仲間になっておけば、良かったのに


【銃弾がイルに触れる直前、イルの身体が床に溶ける──どうやら、逃げる様子で】
【また会おうと言葉を重ねる、その言葉の真意はどうか────】
【気がつけば夕月の周囲の壁が変化し、場所が移動する】

>>536と同じ部屋に、夕月は出現しているだろう。移動してきた他の能力者と一緒に】
【何があったか、何があるのか、語ることや推測することも可能だろうが──】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 18:30:06.08 ID:Z41szF3So
>>460

【仮面の戦士の一閃。意識の間隙を狙い済ました高速の一振りは妨害されることなく振り抜かれる】
【肉を断ち骨を斬る感触が恐らくはその手に伝わったはずだ。僅かな鮮血が切っ先に引かれて宙に舞う】
【一瞬遅れて白いシャツに直線が走る。赤黒い染みがそこから広がり、無地のシャツを染め上げる】

【ブランルの表情は笑顔のまま固まっていた。切断された上体が重みによって滑り、音を立てて床に落下】
【椅子に残された身体の断面から、体圧で鮮血が噴出。周囲に夥しい量の血が飛び散り、独特の臭気を漂わせる】
【やがて血の噴水は止まり、静寂が訪れた。上半身は仰向けで床に転がり、残りの肉体は椅子に残されただけ】

【呆気ない幕切れ。奇襲は簡単に成功して、男はジンジャーを侮った代償を命で支払うこととなった】
【────それだけで終わらないことは、歴戦の戦士たる二人ならば容易に分かるだろう】


────では、ご要望通り、五体を引き裂かれながら続けるとしよう


【声は上半身からだった。肉体から完全に分断されたはずの顔が動き、双眸が二人へ向く】
【さらには下半身が脚を組み替え、残った片手を膝の上に置く。本来ならば重心がずれて椅子から落ちるはずの肉体は】
【何故だか椅子に座り続けられていた。そんな状況の中で、男は笑みを形作っていた】


実に良い一撃だった。愛する女を想う切っ先というのは、格別な味わいがあるな?
中々、クセになりそうな痛みだよ。もっと味わっていたいところだが、今日の目的は別にあってな

あぁ……その観点から言えば、少し二人をからかい過ぎたな
私としては穏便に話で済ませるつもりだったのだが、あそこまで言われてはお前たちも私を八つ裂きにせざるを得ないな
そこはこちらの落ち度なので、存分に八つ裂きにしてくれればいいのだが

それはそれとして、だ
お前はさっき、非常に良いことを言った。極めて重要な視点だ
”たまたまセリーナ君が不調だった”、と言ったか?


【指摘するように椅子に座ったままの身体が腕を持ち上げ、人差し指を立てる】
【ブランルから笑みが消える。嘲笑の気配が霧散し、重々しく口を開いた】


…………では、私から質問だ
”何故、セリーナ・ザ・”キッド”は私に単独で挑み、そして敗北した?”
もっと言うならば、”何故、セリーナ・ザ・”キッド”は正体不明の相手にわざわざ単独で挑み、そして敗北するまで戦い続けた?”


【男の暗澹とした双眸から狂気の光が消え、怜悧の輝きが宿る。その問いかけは、明確な目的を持って発せられた】
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 18:31:54.51 ID:IMyPaeI40
>>537 >>ALL

お話? はぁ? 馬鹿げてるっ、どうせ嘘しか吐かないくせにっ――

【続けて銃弾を叩きこもうとした、次はまっすぐ頭に向けて――】
【――その瞬間に、世界が融けた。コーヒーに混ざるミルクみたいに、ぐにゃりと】
【思わず視線をぐるりと回したときには、イルの姿は消えていた。大きく舌打ちをして】

【――――移動してきた先。両手に銃を持ったままの少女は、うんざりしたような顔をして】
【周囲にいる人々を見ると、そちらへ近付いていった。まずは先程助けようとしてくれた男(>>528)の元へ】


…………さっきはごめん、おじさん。助けようとしてくれたんだよネ? ありがと。
で、…………ここは何処なの。あたし、「イル」と戦ってたんだけど……

【一言目はそれだった。説明を求められれば、話し始めるだろう】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 18:44:02.20 ID:CaxAzfSL0
>>535-537

「さーて、悪い子いなくなったかな?」

【――浮かぶのは、なんてことはないただの笑みだった。幻影なのだから元々躊躇なんて必要ないのだろうけれども】
【その幻影で見た子供が"悪"だと認識できれば、無意識的に覚えていた残りの罪悪感も消し飛ぶというもの】
【子供が――既に死んでいたのだろうが――殺されていく度に、看守もまた命を散らしていって】
【それから、風景がまた変わって……】

「……うわ、悪趣味。死体回収業者……は良いや。どうせこれも偽物だもの」

【ふと、足元の感触に違和感を覚えて下を見れば、白い骨たちが視界に入って】
【――どうせこれも幻影なんだろう? なんて、気にせず踏みつけながら、】
【先程どれだけ手を尽くしても開かなかった扉に向けて足を進める】

「で、次は何をすれば良いんだい、主サマ?」
「何をすれば扉が開くのかな? ショーは終わりかい? それともただの休憩かな?」

【辺りの様子を探りつつ、天井に向けて語りかける――聞こえるかはわからないが】
【とりあえず、本を見てみることにした。……何かがわかるかもしれないと思ったのだ】
【もしかすれば、嘘八百の内容があるかもしれない、本自体が罠かもしれない、警戒は解かず】

「……うーん、よくわからないけれども、さっき見た光景の内容が一部書かれている気がするね」
「この工場は異世界から飛ばされたのかな?」


「――さっき、間に合わなかった子が合流してるし」
「ここで何かやってきそうな気もするなぁ」

【変身は解除せず、何かしらの変化が起きないかと警戒している様子】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 19:02:52.88 ID:WLdYtO6s0
>>529-537


「終わった……」

【表情の無いまま、銃を下し、そして周囲の仲間達全員に告げた】
【まるで、そう、そこに一ミリの感情すらも持ち合わせていないかのように】

「カニバディール、レオーテ、すまない手間を掛けさせた」

【そう良く知る二人に言って、だがゆっくりともして居られなかった】

「――ッ!?」
「ここは?」

【座標の移動?いや、全く違う何か】

「??」

【足元に奇妙な感触があった】
【いや、彼にとっては非常に慣れた感触があった】
【骨だ、コンクリートで打ちっ放しとされたその武骨な部屋の、その床に無数に積み上げられた小さな骨の群だ】

「……全く、いい気分はしない」

【それでも、身体を引きずりながら周囲を見渡すと、本棚だ】

「……これは、魔翌力?」
「この本は?」

【手に取り、一通りを読み内容を頭に叩き込んで、そして解釈していく】

「(INF財団にレッド・へリング?)」
「(俄かには信じがたい話だが、手記によれば異世界の物、ではこの工場は?内部は?もともとこの世界に無かった?)」
「(いや、肝心なのはそこでは無い、この書物では一連にある事柄を示唆している……)」
「(一体、何を意味するんだ、これは)」
「(俺の想像が正しいならば、壮大な……)」

「レオーテ、君はどう思う?」

【思考を纏め考えを巡らせながら、傍らの人物にそう聞いた、あるいは彼の研究所に近い物かも知れない、と】
【そこまで書物を手に取り、思考をまとめていると、ふとある事に気が付く】

「君は、先ほど橋の下に落ちた?」
「何故ここに居るんだ?」

【赤い髪の少女、レオーテと自分とで助けようとしたが叶わなかった】
【何より、イルの物と思われる声が聞こえて、それは遮られた】
【何故、少女は此処に?と】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 19:06:48.04 ID:WLdYtO6s0
>>539

「ああ、構わない、無事なら何よりだ……」

【先ほど確かに橋の崩落と共に、何者かに連れ去られた少女】
【恐らくイルと言う者だろうが、詳細は解らない】
【だが、少女は無事な様子だ】
【おじさん、と言われているが、最もそういう事を気にする質でも無い】

「誰かに連れ去られたようにも見えたが、何故ここに?」
「何があったんだ?」

【そう、赤い髪の少女に聞いた】
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2018/05/12(土) 19:11:46.91 ID:CaxAzfSL0
>>541-542

「――そうだね、この工場は異世界から何らかの方法・理由で飛ばされてきた」
「僕は、本の内容からそう推測したよ。もちろん、この本の内容が真実かどうかはわからないけれども」

「僕の研究所は、……君たちがよく知るカノッサ機関。ああいう類の、悪組織の術によって飛ばされた」
「それは、僕たちが彼らに立ち向かっていたからだ」

「……この工場は、それとは状況がおそらく異なる気がする。けれども、ある意味では似ている。」
「"厄介払い"――推測で物事を語るなら、そうなるかな」

【それから、厳島が夕月に対して行う問いかけの返事を静かに聞くことになるかもしれないし】
【他の何かがあるかもしれないし】
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/05/12(土) 19:14:13.91 ID:fl7ogGJ9o
>>535-535

【推測は外れ、骨を断つどころか肉を切らせるだけに終わってしまい】
【──しかし、状況は大きく変化する。異形からの追撃はなく】
【其の顔は地面へと落下していき──地面へと叩きつけられた】

【眼前で散っていく儚い命は、只の有象無象にしか見えなかった】
【仮に生き続けていたとしても、その存在が虚像であったとしても──】
【常に死が、親友の如く隣に座っているのだから。いつ死神が微笑むか、それを待つばかりだったのだから】

【ギリギリと痛む肩を右手で押さえて、看守が霧に包まれるのを見れば】
【──その存在が、本当にあるのかという疑念に駆られる】
【もしや、此処の存在自体が虚構なのではないか────】


【コンクリートで造られた、無機質な部屋。装飾や家具といった類は存在せず】
【此処が何処なのか、もはや理解できない。何処かに転移でもしたのか】

【かしゃり、と音をたてるものがある。視界を下に移せば】
【床一面を埋め尽くす、白骨だった。骨組織が崩れるとともに、軽い音を立てて】
【まるで処刑室だ、あの子どもたち──存在の真偽は不明とは言えども──の末路なのだろうか】


【凄惨な光景が広がっていると言えども、骨は骨に過ぎず】
【何も気にすることはなく、白骨の海を渡る。其の先に見える扉の先に、何かがあるのだろう】
【痛む左肩に顔を少ししかめながら、室内へと歩みを進めていった】


【先程の無機質な部屋と異なり、装飾が施された部屋だった】
【書斎とでも言えるのだろうか、たくさんの本棚に豪勢な机が一つある】
【床に脚を伸ばして座れば、左肩に負担がかからないように右肩を壁に当てていた】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 19:25:05.89 ID:IMyPaeI40
>>542-543 >>ALL

【少女は銃を手にしたままだ。「イル」のことを警戒しているらしい】
【ちら、と視線を外した先にあった本を何気なく読んで――「?????」って顔をした】
【謎解き要員としては何の役にも立たなさそう。放っておいてもいいだろう】

【厳島の問いに対して。んー、と首を傾げながら】

わかんない。あの橋が落ちるとき、あたしは「イル」に引っ張られて、それで――
気がついたらなんにもない部屋にいたの。ここじゃないどこか。
で、そこで戦ってたら――世界がぐにゃって融けて、イルもいなくなってて、いつの間にかここにいたの。

あたしは、さっきの部屋で――――イルに「誘われた」。こっちに来ないかって。
もちろん断ってきたよ、あいつムカつくから――、……で、ううん……

【ここまで答えて、きっとその次に「何故誘われたのか」と訊かれるのだろうと考えると】
【言い難そうにどもった。自分がニンゲンじゃないから、という簡単な答えを口にするのは苦ではない】
【けれど――鈴音が。今イルのそばにいる鈴音までもが、そうであるって知られてしまったなら】
【それはきっと、鈴音にとってひどく辛いことなんじゃないかと思って。だからそこまで、言えなかった】
【だってあんなに、ニンゲンじゃない自分が嫌だと泣いていたから。……言える気がしなかったのだ】
546 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 19:28:33.12 ID:YPag1hO40
>>535-536

(――――嫌な幻だ。感触すら伴うとは……しかも、分かって、割り切っている己自身にすら苛立ちが募る……何重にも、質が悪い……
 甘ちゃんなら、ここで死んでしまっているだろう。……誰かに割り振らずに、俺が直接来たのは、正解だったと言う事か?)

【子供たちの首を掻き切りながら、アーディンは何とも言えない不快感に苛まれていた。形の上だけとはいえ、子供を殺すことの何と不愉快な事か】
【だが――――どうやらおかげで事態は打開できた様だった。あの敵は消え去り、そして状況は再び進行する――――子供の屍の跡だけを残して】

――――どうやらここは、全部過去の出来事を、形を変えて再生しているだけらしいな。そこに所々、悪意で干渉が混じる――――
仕掛け人は、俺たちをおちょくっているんだ……まずは、アプローチをしなければ……どうにもならないか

【――――ここまでの流れで良く分かった。これはやはり、悪意を持った幻影。そこにどういう訳か――――自分の能力の様に――――時折現実に干渉する力が混在する】
【それを仕向けている、本当の要因に追いすがらなければ、幻に包まれたまま消耗し、やがては敗れてしまうだろう】
【――――過去の遺物に、敬意は払っても、現実を脅かさせるつもりはない。もはや足元の遺骨は気にせずに、アーディンは歩を進めた】

――――!? 書斎……どうやら、趣を変えてきたらしい。――――と、これは……

【現れた次なる風景に、アーディンは面食らう。これまでとは傾向が違う。どうやら、事態はもう1段階先へと進んだらしい】
【それは望ましい事なのだが――――ふと、妙な気配を放つ本を見つけ、開いてみる】

――――レッド・ヘリング? 手品師がディレクションのために使う仕込み……?
……チッ、データが改ざんされ過ぎて、何を言いたいのかわからん。これは……

【――――内容は、荒唐無稽にも程がある。そして抽象的だ。本質を見ろと言いながら、その本質が描かれない】
【虚構の神、などという稀有壮大な話も絡んで――――これをどう解釈すべきなのか】

概念的な存在と言う事なら――――『洞窟のイドラ』。ここは施設そのものが洞窟のイドラとでもいうべきか……?

【1つだけ言えるなら――――仮象。本質を見えなくする空間に自分たちは居る。そういう解釈は成立しないだろうか?】

>>539

――――生きていたか……まぁ、当然だろう。どうやらここは、ただ我々をおちょくるだけの茶番の舞台だったらしいからな……

【入り口の橋で別れてしまった仲間がやってくる。端的に、アーディンは短く言葉を返した】
【どうも、幻や空間の歪曲など、ここには殺意とは趣の違う悪意が感じられるのだ。いうなれば、質の悪いジョークのような】
【ならば、彼女もおそらくはどこかで生きているだろうと踏んでいた。合流できたのは、幸いだったかもしれないが――――】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 19:33:47.85 ID:lEdQu2xCo
>>535
【まずは初戦――――そう、初戦だ。それで、これほどに手こずらされた】

【ともあれ、まずはこの場を生き延びた。無垢なる子供たちの魂に、何度目かもわからぬ死を与えて】
【ただ道を切り開くために。そうして、いくつもの罪なき命を代償に開かれた『道』は。更なる闇へとつながっていた】
【そして、その奥の『真実』へと】

>>541
礼には及ばん。この状況では、それぞれがやれることをやる。それだけだ
【返答は短く。異形にも、余裕はあまりないのだ】


また移動したか……? 今度は……もう一つ下のランクの宿舎、らしいな
というより、もはやゴミ捨て場か……

【苦々し気に足元に敷き詰められた白骨を見やる。無機質で殺風景で、どこまでも無慈悲な部屋】
【ここを収容所とするのなら、懲罰房といったところか】

この暗闇の中にこれだけ詰め込まれれば、発狂して自死でもしたか共食いに発展したか……
いずれにしても、胸糞悪いことこの上ない。貴重な肉資源を、こうまで無駄に……

【眼前の扉が開けば、躊躇いなく白骨を蹴散らしながら進む。己のために。この哀れな子供たちと同じ道を辿らないために】


>>536
書斎……? またずいぶんと、先ほどまでとは雰囲気が違うな

【これはこれで、盗賊仕事の途上でそれなりに見慣れた光景だった】
>>539の夕月には、一瞥をやって「お帰り」などと冗談めかして言って見せつつ】
【カニバディールは、盗賊の観察眼を部屋に投げていく。やがて、厳島やユウトが本を見出せば、カニバディールも彼らに続いて目を通すだろう】


>>ALL
――――もとは、別世界で『INF財団』とやらが、この工場の裏にいる存在を封じ込めていたわけか
怪物たちを神話の存在として力を与えることを防ぎ、「対抗神話」とやらに基づいてその化け物たちの影響を防いでいた……
だが、失敗したのだろう。こうして、こちらの世界にこの工場が出てきている以上は

イル=ナイトウィッシュも、この"虚神"の一角なのだろうな。幼稚な神など、冗談ではないぞ……
ともあれ、この書物から確実にわかることは一つ。このままいけば、この工場で起きたという何らかの事故が再現され
この場にいる全員が命を落とす。それを避けたければ……レッド・へリングをどうにかしなければならない

鈴音探しのはずが、神殺しをやる羽目になったわけだ……

【考え込みつつ、異形は再び書斎を見渡した】
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 19:34:21.56 ID:slCwVJ04o
>>ALL

【────】




【──────】




【────────】




【漸く準備が出来たと告げるが如く、部屋の奥に新たな扉が出現した。頑丈に閉じられた鉄製の扉】

【その奥から漏れ出る瘴気、不快感を齎す鈍痛の様な色合い、触れる事すら躊躇うそれ】

【排水溝に詰まった汚泥の様に、何ヶ月も溜めた生ゴミの様に醜悪な臭いを発していた】





【それでも、扉を開ける事に躊躇する人間は最早居ないだろう。その奥に何があるとしても、進まなければならない】

【痕跡は示した。この先に居る存在は外宇宙の神話生物であると。別次元の別体系の存在である、と】

【けれども君達は進むのだろう。真実を求める旅路は、退く事を許さないから】





【──それは何故なのだろうか。白神 鈴音を取り戻す。その目的の一点しかないだろう】

【君達にとって彼女はどんな存在なのか。権力に立ち向かう為の希望であろうか】

【或いは仲間を越えた特別な存在、親しき友の為にならば命すら投げ出していい、と思ってるのだろうか】





【──もしかすると、軈ては殺し合う宿命の下に位置している相手かもしれない】



【そこには各々の理由があり、理論があり、理屈があるのだろう。確かなのは君達が今ここにいる事だけ。】

【そして君達は、決して立ち止まろうとせず先へ進もうとしている。】

【私は賛辞を送らなければならない。例えその先にあるのがらどうしようもない現実でも】





【進み続けるその先にしか、人類の叡智は無いのだから】

/↓
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 19:36:25.21 ID:slCwVJ04o
【────】

【──────】

【────────】


【そこは機関室なのであろうか。開けた空間を取り巻くように歯車仕掛けの機械が唸っている】

【蒸気を上げながら上下する金属塊。スチームが霧を巻き上げ周囲を濡らして】

【そして開けたスペースがあった。体育館に近い巨大なスペース】





【人影が二つあった。一つが貴方達を視認し、興味を向けてくる。照らされる明かりがどこからか差し込んで】


【歩みを寄せるだろう。自分の姿が見えるまで、貴方達の姿が見えるまで】


【────見つけたなら微笑みを向ける。楽しい催し事と、示すが如く】





【小柄ながら豊満な身体を大きく露出した、ホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】

【同色のローライズのショーツ以外は、白く肉感的な素肌を晒している少女であった】

【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて、真紅の瞳を濡らす】


【背中には悪魔羽根が揺れて、彼女が人間でないことを伝えるのだろう】

【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した、悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】

【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに、愛らしい雰囲気を創りだす】








初めまして♪ ボクの事はもう知ってくれてるかなぁ? イル=ナイトウィッシュ、愛しき愛しき"病魔"の名前。
しっかし良くここまで来たね。さっすがボクの愛する人外達だよ♪ ボク感動しちゃった♪
まぁ何人かボクの呼んでないニンゲンがいるけどさ、どうせ死んじゃうんだしまぁいいかっ



皆『鈴ちゃん』を探しに来たのかなぁ、きっとそうだよね。そうじゃなきゃこんな奥まで来ないもん♪
此処はね "レッド・ヘリング" の為の工場。彼の存在を強大にする為の信仰を集める為の工場だから。
能力を持った子供達を虐めて苛めて殺して、恐ろしい存在をより強固にしていくんだ。


まだ一ヶ月もたってないのにこの規模なんだぁ♪ ふふ、この世界でもここまで強力になれるんだね。


それはそーと、何の話だっけ? そそ、『鈴ちゃん』────キミ達は彼女を、探しにきたんだった。


/↓
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 19:38:13.34 ID:slCwVJ04o
【イルは言葉を重ねる。自分の正体と、この工場の真実と。おそらくは貴方達が想像した通り】


【工場内に響く反響音。ソプラノの音がやけに無機質に響いた】


【そしてもう一つ、彼女の後方に、見知った少女の姿があるだろう】





【肩を撫でる長さの黒髪──透き通りそうなほどに白い肌。真っ黒な髪の隙間からわずかに覗く瞬間のある瞳】


【黒と赤のオッドアイは、色彩が抜け落ちてしまったかのように虚ろで、開けていても何も見ていないかの様に】


【少女は白いウェディングドレスを纏っていた。少女が絶対にしないような、肩を大きく露出させたデザイン】





【白いヴェールが彼女を修飾して、深い色合いの黒をより一層強めていた、が────】


【人形の様に細い両腕は、カフス状の手錠で一つに拘束され、天井からつり下げられていた】


【手錠の先の両手は包帯でグルグル巻きにされていて、すべての指先は包帯の下から血が滲んでいる】





【その姿はどこまでも美しかった。天井から伸びた手錠に縛られ、両足は座り込む姿】


【生け贄に捧げられる娘の如く、痛々しい姿の中に儚い可憐さすら感じさせる程に】


【彼女こそが探し求めていた白神 鈴音──その人であった。声をかければ届く距離で】


──綺麗でしょ、ボクのお嫁さんの姿、特別な格好なんだから
ボクがどれだけ鈴ちゃんを愛してるか、分かるでしょ?
ほうら、こんな、可愛い可愛い────♪
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 19:46:25.58 ID:IMyPaeI40
>>546

……あんたらも、「イル」におちょくられたの? ……ほんとヤなヤツ。

【イル。おそらく人名であろうそれを口にして、溜息をついた】
【その言葉からするなら、この少女は「イル」に引きずり込まれていたらしく】
【詳細を聞けば>>545のように返すだろう。何故誘われたか、と訊かれればどもるのもそのまま】

>>547

【おかえり、と気軽に声をかけられたから、気軽に返そうとして――ぎょっと固まった】
【カニバディールの異形の様相にビビったのだ。何とも、この場に似合わない一般的な感性】
【消えていたことに関して何か訊かれたなら、>>545の通りだ。もっとも鈴音の素性を知っているなら、すぐわかるだろうが】

>>548

【出現する扉。びく、と肩を震わせつつも、退かない。そのまま進んでいく】
【進んだ先――広い空間に、先程まで殺してやるつもりで相対していたイルの姿を見定めると】
【すぐに視線を尖らせた。手にしたままの銃をもう一度、右のほうだけすいっと上げて】

【――――それでも、その隣に在る人影を見たなら。驚愕に、瞳をまん丸くした】
【それはすぐに、激昂の色合いを伴って燃え盛る。意識するよりも先に、叫びが、喉から迸った】


――――――ふざッ、けん、なッッ!!!
愛してる、だぁ!? 寝言は寝てから、死んでから言えッ、玩具にしてるだけでしょ!!

【誰にも止められないのなら。また、反射的に引鉄を引くだろう、イルの頭に銃口を向けて】
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/12(土) 19:53:48.82 ID:CaxAzfSL0
>>545

【一通り本を読み終えれば、大きく息を吐いて】
【――彼女の口から発せられる言葉、それを聞くことに一旦は集中する】

「――なるほど、スカウトされたわけね」
「なぜ君がそうされたのかを聞きたいところだけれども――」
「……うん、無理に言う必要は無いよ」


>>547

「神殺し、かぁ」
「――大丈夫だと思うよ。だって、別に本当の神サマじゃあないでしょ。ちょっと強いだけの存在。」
「全ての平行世界、全ての時間線から寸分の狂いもないタイミングで消し去らないと死なない存在なら、話は別だけども」

【舐めている訳ではない、ただ、"どうしようもない存在ではない"だろうという推測を投げただけらしい】
【彼の知る"本当の神様"は、どうにも強大すぎるらしく……相対的に、小さく見えているのだろうか】


>>548-550

【そして、現れる扉。……進まなければ、話も進まない。これまでの流れから、彼はそう思い】
【見える風景は、やはり工場のどこかのそれのようで――開けた空間は、よく言えば戦いやすく、悪く言えば逃げ道がなく】

「君が、さっき彼女をスカウトしたって話のイルだね」
「ずいぶん、怨念が好きみたいだけれども、とりあえず」

【"鈴音を返してもらったら、後は帰るから早く出して"】

「(――信仰は信仰でも、厄神信仰の方針かぁ)」
「(確かに能力者に厳しい今、能力者の子供を集めるのは普段よりも楽だったろうなぁ)」
「(まぁ、帰るなんて言ったけど、一応潰しておきたいよね、ここ)」

【――考えていれば、目の前に現れるのは痛々しい様子の少女。そう言えば、彼女とは直接顔を合わせたことは無かったが】
【状況からして、周りの反応からして、彼女が鈴音で間違いないか】
【彼はまだ、幻影にとらわれている。目の前にいる存在は、はたして本当に存在するのだろうか?】

「君が鈴音で良いのかな? うん、帰ろう。帰りたくないなら、理由を述べてね。」

【――ひとまず、イルという存在が本当にそこに存在しているのならば、"消毒"しなくてはならない】
【手の甲から生える刃が金色に変化する。纏うは、邪を打ち消し、あらゆるエネルギーを破壊する、2つのエネルギー。】
【何か罠をしかけているかもしれない。攻撃準備はしたものの、少しの間、様子を伺うのみ】
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 20:04:45.72 ID:WLdYtO6s0
>>543

「なるほど、此方も同じ考えだが、そんな経緯があったのか君の研究所は……」

【これは初耳な話だ、恐らく懇意にしている曹長すら知らない話だろう】

「書面の内容、転送術はそれを物語っているとも考えられるな……」
「最も、正直にこれを捉えるならば、その存在はまだ……」

【そう言いつつ、ぞっとしない話に嫌な顔をする】

>>547

「こちらも同じ見解だ、だが、まだ何かあるような気がする」
「少なくとも、額面通りの言葉だけじゃない様だ、この資料を読む限りは、な」

【カニバディールの言葉に、そう答えた】
【だが、もう一つ、どうしても隠せない疑念、その資料を読み解くに辺り靄の様な何とも言えない疑問が湧いていた】
【その不安も、伝えつつ】


>>545

「なるほど、君を連れ去ったのはイル・ナイトウィッシュに違いが無いのだな?」

【予測はしていたが、では何のために?】
【その疑問は、次の少女の言葉で解消された】

「空間転移術か、器用な事だな……」
「誘われた?仲間に、何故だ?」

【恐れているその最もたる疑問は、思わず口をついて】
【だが、その言葉は、会話は……次の瞬間には遮られることとなる】

>>548-550


「扉!?」

【夕月との会話を遮る様に出現するのは、扉だった】
【意を決し、出現した扉を進んでいく】
【やがて、そこには】

「貴様がイル・ナイトウィッシュ……」

【幼くも妖艶な少女の姿、ある意味その筋の好事家ならば手を出さずには居られない少女の姿】
【片目で睨みながら、そう声をかける】
【だが、その間にも……】

「鈴音!?」

【実際に出されて見せたのは、無残にも美しい白神鈴音の姿だった】

「……」
「イル・ナイトウィッシュと言ったか、鈴音を解放しろ」
「これは懇願ではない、要求だ」

【短機関銃を向け乍ら、こう言った】
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 20:04:47.59 ID:lEdQu2xCo
>>ALL
【書斎にて。異形は同行者たちに付け加えるだろう。ミラ・クラァケから聞いた、イルの言葉を】

……私に情報を提供した人間は、イルが言った言葉を教えてくれた
『異本だの写本だの偽書だのの在り処は分かってる。後は、必要なのは楔だけ』

つまり……この資料にある、財団が使っていた『禁書目録』の在り処を彼奴等はすでに知っているということだ
楔、が何のことかはわからないが……

>>551
【自身の異形に驚いて見せる、その反応にむしろ懐かしさすら覚えながら。彼女とわずかの間言葉を交わす】
【彼女の親友と、かつて殺し合ったのだとはお互いに知らないまま。いつか、この奇縁が清算される日も来るのかもしれない】

>>552
……ふ、ふ。その通りだ。流石だよ、セヴォランディさん
ちょっと強いだけ……ただそれだけだ。邪禍さんに比べれば、何ほどのことがあろうか

【異形も、希望的観測とはいえ彼の言葉に乗る】
【ユウトの言うような存在だったのなら、どのみち自分たちにはどうしようもない。ならば、希望に乗るのも悪くはない】


>>548-550
【異形は進んだ。その先へ。そして、機械仕掛けの空間の中で、それを見た】

【魅力的、と言えるだろう彼女の姿を目の当たりにして。異形は苦虫を嚙み潰したような表情を隠さず】
【さらに、その背後。自身にとっては、あまりに特殊な存在――――特別ではなく、特殊なである少女が】
【狂った花嫁衣裳に身を包み、場違いなほどに美しい姿を『晒されている』のを認識して。深い、深い、溜息をついた】

……ほんの一瞬でも、鈴音の安息を期待した私がバカだった

【呟いた肉屋は、懐から携帯端末を取り出すとイルと鈴音を撮影し。ここにはいない自身の協力者、ミラ・クラァケへと短いメールを送信した】
【この惨状を撮影した写真を添付して>>160のアドレスへと。『ご覧の有様だ。もはや、彼奴を信じる理由は失せた』と】


ご親切に解説をどうも。つまりは、ここはお前の仲間のドーピング施設というわけか
世界が違えど、こちらの世界の怪物たちとやることは大して変わらんな

【吐き捨てながら、異形の肉屋はズタボロになった右腕を痛みなど無視して膨らませ】
>>551にて夕月が放つはずの銃弾の軌道を塞ごうとする。誰かがもし止めていれば、無意味な行動に終わるが】
【その結果に関わらず、夕月に「その怒りはもう少しとっておけ」と重苦しく言葉を放った】

……一応は、本人に聞いておこうか。おい鈴音。起きているなら答えろ
その露出狂の隣は、お前にとって居心地がいい場所なのか?

【そして、そう問いかける。渦中の少女へと】
555 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 20:06:29.00 ID:YPag1hO40
>>551

いや、分からんが……俺はただ、仕事を頼まれてきただけだ。UTのメンバーの1人が、この近辺で行方不明になったとな……

【――――イル。実に嫌な名前だ。今すぐにでもこの手で切り刻みたいほどに。だがそれは、自分のことに過ぎない――――ただ、変わらず端的な返事を返すのみ】
【今は、まだ思考の段階なのだ。熟慮して会話ができる状態にない。自分がここにいる理由を、ごく短く説明する】
【――――UTと何らかの所縁のある人物。ワーキャットというのは特異だが、要するにとりあえず仲間と数えて問題はない人物なのだろう】

>>548-550

――――さて、時間か……イドラ。それをディスカバーする事……我々にできるのは、それくらいのものか……
さて、どこまでやれるかな……実在論の哲学なんて、俺のカバーする範疇じゃないんだが……

【不意に出現した扉。其れはもう、この建物では当たり前のことだ。いつだって事態は、建物の側からアクションしてくることを要求してくる】
【読んでいた本を置き去って、アーディンは歩を進める。手にした休息には、ほんのわずかな手がかりだけだ。そしてその手掛かりを以って、自分たちは戦わなければならない】
【どうやらここでは、力押しは下策らしいのだから――――】

【――――――――――――――――】

――――機関室? …………ッ!! 匂うぞ……濃厚な、退廃と死の匂いだ――――!

【踏み行った先で、アーディンの表情が変わる。確かに感じた気配。どうやら今までの幻とはわけの違う敵が、この先にいるらしい】
【改めて爪先を閃かせ、手の中に魔玉を握りしめる。今度ばかりは、現実と戦うことになりそうだから――――】

(――――こいつが、イル――――そして、奥のアレが……ッ、捉えられ、散々甚振られたらしい、アレが鈴音、か……)

【眼前に現れた悪魔――――友人の敵と同じ名を名乗る、イル=ナイトウィッシュ。そして奥の繋がれた、血とウェディングドレスに包まれた女が、鈴音】
【状況は理解した。どうやらまずはこの敵を倒さなければならないらしい】

――――どけ塵芥。俺たちはお前の上に用があるのだ……!!

【まともに言葉も交わさずに、アーディンは奇襲を仕掛ける。手の中の魔玉を、スナップを効かせてイルの足元に放ったのだ】
【床にぶつかり、割れる魔玉は薄いオレンジ。効果は『爆音』――――強烈な音と、それに伴う衝撃波で攻撃する、爆弾とスタングレネードの中間のような武器だ】
【これを以ってペースをつかみ、後は即殺する――――この先にあるはずの『レッド・ヘリング』とやらが、本丸なのだから、あまり時間は掛けられないのだ――――】
556 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 20:21:39.81 ID:r27KXxU70
>>535-537

(――――――――な、に――――――?)

【突き付けられた現実は、一瞬だけ思考を漂白し無化させる。嵐の様に進み、過ぎ去らんとする状況は、守ろうとした――けれど既に喪われていた――幻の再度の死を要求していて】
【そして躰は相反する思いを荒れ狂わせたまま、その結末を許容するための所作を加えて動く】
【“兇器”には許されざるその感情を、せめて1つでも多くを救おうと――そう勘違いしたなにかを成すことに充て、決着はその手を離れたままついに訪れた】

【……そして。】

…………、―――――――――。

【決着を、喜ぶべきだったのだろう。けれどその心に生じようとする感情の名を、■は――――知っていて、】
【だからこそ、切断者がここにある。容赦はなく、ただ、戦うべき意味のため斬撃をこの世界に在らせ続ける一振りの兇器として――。】
【“嘆く心など、存在しない”。だからこそ取り入れた無念たちは、己自身を、内なる虚空に響かせ続けていった】

【肉体の温もりを、けれど救いとなど見出せぬまま。直視する光景を、決して忘れてはならないと魂にまで刻みつける】
【骸の山を踏み拉く歩みは、どこまでも躊躇いを殺す様に制御され、続く。やがて至った場所は、むしろ穏やかでさえあったのだが】
【順番に手にした三冊の書物は、桁外れのスケールで意識を理解へと導いていった。氷山の一角にも満たぬ、その眼でみた“なにか”の理解の一端へ――――。】


(――――幻想より生まれ、やがて真なる力となった神話の怪物――――?)

【虚構ならば虚構だろうと、“力”を相手取ることに慣れた兇器の感覚はそう語ろうとした。だが、】
【その胸に宿る幾つかの嘆きが、一切の逃避を許さなかった。レッド・ヘリング=\―敵の名をそう見定め、滅ぼす術はまるで見えずに】
【けれどそうしなければ繰り返された数多の“生”が、真に無意味になるという絶望的な局面を見る】
【武器は、書物から得た知識と、敵をより強めるものとなるはずの“力”】

【……それでも心折れず進むことを選ぶのは、果たして狂気とも呼ぶべき粛滅の意志だけから来るものだったのか。】
【己を識るだけの余白すらもなく、兇器は、それでも待ち受ける悪意を見定めんとしていた】
【その武器となるのは、あの一戦とそこに至るまでの道程だろう。魔力の急な消失は――――果たして“捕食”以外ならば何を意味したのか?】

【僅かな光明と細い糸を頼り、手繰る様に、記憶と情報をひも解いてゆく。……そして状況は、さらなる局面へ。】
557 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 20:22:04.10 ID:r27KXxU70
>>548-550

【扉を開くのは――きっとこの影ではなかっただろう。元凶を討つ理由、共に戦う彼らを援護する理由は強くあれど、主たる理由が“己以外”にあったのだから。】
【ゆえ元凶を捉えた視線は、言葉から推測を確信と、刺し貫く様な言葉に変えた】

…………やってくれたな=A病魔。私からお前にあげる言葉はそれだけだ

人に寄生し、共に腐り落ちるだけの卑小な災いがよく吼えた――――
褒美には、あの子たちが味わったものの十分の一の刺激でも期待していればいい……。

【この工場の惨禍は、かつては幻想ではなかったのだろう。この病魔の意志ひとつで、あれだけの痛苦が、“生きた”人間の子供たちに与えられ】
【死後も繰り返され、あんな光景を作り出している。何が目的なのかなどどうでもいい――――ただ許容しないと、兇器が、兇器と成り果てて紡ぐ】
【静かに赫怒を叩き付けた言葉とは大きな落差を生みながら、黒衣越しの視線は、囚われの“花嫁”へと向けられて】

……“私”はあなたを知らないし、嘗ての私も……きっと、何一つ理解してはいない。

それでも、あの災いに苦しめられた幾つかの想いを識るものとして言う。
あんなモノに弄ばれるだけの命が、あっていいはずがない=\―――

今が苦しいなら、その檻を斬り裂きたくて仕方がない。

……だから。

【胸に抱いた、かつてこの工場で死した子供たちの無念。その声に懸けて、譲ってやらない――――。】

何もかも終わってイル≠ェ斃れたなら、伝えたいことだけ伝えればいい。
今は空白だからこそ、何でも書き込めるし好きなカタチで繋がれる――
憎しみも、嘆きも、何かを欲しいという思いでもいい。

……諸共に抱いて進むだけの兇器(バケモノ)が、知りたいし、諦めてほしくないと願うことができた――――
そんな奇跡を起こすほどの想いが、ここに到るまでの彼らの戦いにはあった。

立ち止まろうと、立ち上がろうと知ったことじゃない。好きにすればいいし、それを責める理由も私には無い。
……けれど。

それを勝手に救いたがるほどの意志で進んできた者たちが、貴女を願って此処にいる――――
……私から言えるのは、それだけのことだ。

【答えをどこまでも彼女に委ねながら。男とも女ともつかぬ声が、ただの兇器の様な思いをぶつけた】
【自分たちは勝手にやるし、彼女を諦めはしないだろう、と――――戦意は既にイルへと向く様で。】
558 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/12(土) 20:31:48.74 ID:fl7ogGJ9o
>>548-550

【書斎の奥に一つ、金庫室に使われてそうな頑丈な鉄扉が現れる】
【──準備が出来た、ということなのだろう。”不条理”の本体を、ようやく目に出来る訳で】
【其の奥からは、強烈な不快感を覚える瘴気が噴き出していた。強く響く、痛みのようなそれ】

【周りの人間がその扉に向かうのに合わせて、女もそちらに向かう】
【色留袖の裾を揺らしながら、左肩を右手で押さえて】
【深い瘴気の奥へと、自ら踏み込んでいった────】


【其の先には、蒸気機関によって駆動するいくつもの組織があった】
【体育館程のスペースを持った、巨大な空間】
【人影が視認できたタイミングで歩みを止め、そちらへと視線を送る】

【”不快感”の正体は際どい格好をした魔族──淫魔の類か】
【揺れるアホ毛に目線を度々奪われながらも、ヒトを見下す彼女の演説に耳を傾ける】
【”レッド・ヘリング”とは先程男たちが噂していたものなのだろうか?】


【兎に角、彼女が”神格”に当たる存在を強化せしめようとしているのなら】
【それに要するは信仰、贄、そして犠牲。それら全てが揃えば、神として見ることができるだろう】
【眼前に座り込む包帯巻きの少女が、其の贄だとしたのなら────】

【なるほど、奪い返しに来たのだろう】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/12(土) 20:35:27.04 ID:fSpnpF7k0
【――――ふわり、と、吐息が溶けた。水たまりに落とされたわたあめみたいに、どこまでも昇って行ってしまった風船みたいに、瞬きの瞬間に見えなくなるほど、幽かな】
【ひどく緩やかな瞬きをするなら――微睡む子供を無理繰りに引っ張り出してきた瞬間にも似ていたのかもしれない、まだ眠っていたい、と、わがままをするような】
【そういう素振りで、ゆるゆると首を揺らす。そのしぐさで手首を繋ぎ止めた手錠が小さく音を立てた――追従する擦れる痛みに、わずかに、眉根を寄せたなら】

>>548

【ひどくけだるげに持ち上げられた視線が――凍り付いた。夕月が上げた声に驚いてしまったみたいに、がちゃん!と鎖が荒ぶる、音がする】
【ならばあの日見せた怯えと同じ顔をするのだ。ひどく怯えた顔、うんと小さな子供の顔をして、座っていた、その姿勢のまま、わずかに後退しようとするだろう】
【しゃらり――と鎖が引っ張られて、揺れる。そのたびに擦れる痛みが、でも、――それさえ無視して仕方ないくらいに"怖かった"。誰かの怒鳴る声、怒り狂う声は】

【まして銃声――ともなれば、少女は吊るされ動かせない両腕をそれでも引いて、自分を護ろうとするみたいに、身体をちぢ込めてしまうだろう】
【それでも純白のドレスは無垢な乙女に課せられる地獄に似た願望みたいにぞろぞろ引きずられて――鎖いっぱい限界いっぱいまで逃げても、足の爪先も見えないから】
【ざらと雪崩れた前髪が、表情を隠す。だけどきっと怯えているのが見て取れた――なぜって、もう引っ張れないところまで来たのに、まだ、鎖を引いて逃げ出そうとしている】

【――――つう、と、気づけばその手首。手錠に押さえつけられた箇所から、真っ赤な真っ赤な、血の色が。一筋垂れて、右目と同じ色が、純白をわずかに染め上げるだろう】

>>552

【――そうして怯えてしまった少女は、見知らぬ彼へ。聞き覚えのない声には、返事をしなかった。ただ一度ひどく怯える目を、前髪越し、ヴェール越しに向けたなら】
【追い詰められた動物の目。けれどそれは噛みつくほど元気じゃないもの、四肢をもぎ取られてびくびく慄くだけの小動物みたいなもの】
【何か大事なものをもぎ取られてしまった存在の目、だった。見ないで、と、願うように。またわずかにドレスを引きずる――雫がまた一つ、垂れて来て】

>>553

【――――がちゃん!】
【また、鎖の大きく揺らぐ、音がした。呼ばれた名に反応して、(それでも精いっぱいに持ち上げた)視線が、彼を捉えて】
【というよりも――その視線は短機関銃にあることに、誰か気づくだろうか。彼女が今まで反応してきたもの――怒声に、銃器。それが怖いのだ、と、態度が言っているけど】
【だからってそれを聞いてやって銃を棄てるような場面では、ない。――ないの、だけれど】

【――まだ血垂れが増えていく。真っ白な腋の窪みにたまって、それから、ドレスに落ちていった】

/↓
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 20:35:39.16 ID:IMyPaeI40
>>554

【外見が怖いのでだいぶビビっていたが、話が出来るのだと知ればすぐに馴れ馴れしくなった】
【そういう分かりやすい娘だった、夕月は。きっと彼と親友の間柄を知れば、傷付いてしまうだろうとすぐわかるくらいに】

【――――扉をくぐった先。撃ち放った銃弾が、カニバディールの肉に減り込んだのを見て、ひゅっと息を呑み】
【諌められると、はあっと息を吐いて……銃を下ろした。ごめん、と小さく謝って】

……あんた、鈴音の知り合いだったんだ? ふーん、口ぶりからするとあたしと一緒のこと考えてたんだネ。
あたしもネ、あいつ――イルが「良い人」だったなら。鈴音のこと任せて帰ろうかと思ってたよ、

――――でもダメ。あいつ、あたしに向かって最初になんて言ったと思う?
「子供が死んでく光景、愉快だったでしょ」、だよ。ダメだよ、あいつはダメ――鈴音、取り戻そう。


>>555

そう、猫さんはUTのほうの人なんだ、……っ、

【機関室に辿り着けば自然と会話が終わる。そこで先にアクションを起こしたのは少女の方だった】
【自分の攻撃は>>554に止められたが、彼のものはどうか。……きっとそのまま通りそう】
【なら、その後何が起こってもいいように。遠くから攻撃できる自分がなんとかフォローしなくては】
【そう考えて、再び銃を構えた。引鉄に指を置いて、それでもまだ、動かさない】
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/12(土) 20:35:42.42 ID:fSpnpF7k0
>>559

>>554

【――涙すら浮かんだ目が、彼を見つめた。ひどく怯えているって、彼には分かるだろう。こういう顔をした人間を、きっと、嫌ってほど、見てきただろう】
【それは今まで彼女が彼に見せてきた表情のどれより原始的で幼げなもの、そこに、今まで二人で積み上げてきたようなものは、もう、伺えなくなって】
【何もかもがこそげ落とされてしまっていた。あるいは抉りとられてしまっていた。きらきらぴかぴかきれいなイチゴのケーキも、一口食べたなら、どうでもよくなるみたいに】
【もう毀れてしまったものが吊るされていた、――最後に会ってから、そう長い時間は経っていない。だのに、"こう"なるには、あんまりに、十分すぎて】

――――縺斐a繧薙↑縺輔>

【――――色違いの目が、確かに彼を見ていた。だのに。漏れ出る言葉は、とうてい人間の声帯が紡ぎだせる音とは思えないもの】
【泣きそうな目――眉がしゅんと下がって、何かを言ったのに。何も。きっと誰にも。分からない。――ああ、でも、一人だけ。分かる人物が居たとするなら】

【それはきっと、イルだけなんだって、思わせた】

>>555

【――――爆音が、衝撃波が、炸裂した。鎖の揺れる音はもはや少女が揺らしたのか、衝撃波のせいであるのかも、分からないほどで】
【だけれど一つ確かなことがあったとしたなら――】

――――ッ、っ、あ、き、ぃ、きゃああぁあぁあああぁあぁぁぁあ――!

【怒声に、銃器。見知らぬ人物に、見知った人物に、それ以上に特別な人物に、――みんなに、呼ばれて、彼女にはそれを処理する余裕なんて、なかったのだ】
【爆音と衝撃波がほんの少しだけの自意識を激しく揺らすなら――ひどい嵐の中、紐の先っぽにくくられた鈴のように。それとも文字通りだったかもしれない、鈴の音の声が】
【おおよそ少女の細い喉から出るとは思えないくらいの声量で――とはいえ、単に大きい声ってだけで、それ以上の意味はないのだけれど――悲鳴、を、あげた】

【ならば――そのあと(>>557)(>>558)の出来事について、彼女はひどく無防備になる。誰かに目を向けるとか、声を返すとか、そういうのは、難しくなる】
【怖いと泣き叫ぶこともできないままでここは嫌だって言葉にならない音で喚く、がちゃりがちゃりって拘束された腕を引くたびに、鑢が白肌を抉り取っていくのに】
【ほんの短い間で、純白のドレスは少しずつ少しずつ赤く染まりつつあった。だけれど無垢さの象徴である純白に生命の色合いである紅色が染めたなら。どこか、特別にも見えて】
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 20:39:13.96 ID:slCwVJ04o
>>551(夕月)

【銃弾はカニバディールに防がれるだろう、へぇなんて声を漏らしたら】
【ダメダメ、なんて甘い言葉を吐きながら、貴女の感情をなで回していく】
【赤い舌がちろりと唇をなめた。艶やかな色合いが不釣り合いに見えて】


玩具にしてる様に見えてるだけじゃん、愛の形はそれぞれでしょ? こういうプレイ鈴ちゃん好きだしっ
縛られるとね、可愛い声で啼くんだぁ♪ もうゾクゾクして、ボク堪らなくなっちゃうし♪
それともなぁに、君は死んでもまだ寝言でも言ってるのぉ?

アハハ、少しは大人になりなよっ、使ってない頭がかわいそー♪ もう腐っちゃってるのかなぁ?
わかんないなら喚くって子供臭くてやんになるね、聞き分けの悪い子供の末路、散々見たでしょ?
それともさぁ、君も一足早くあっちの世界にいきたいの?


【激昂を口汚く潰していく、さながら其れが快感だと言うように頬を緩めながら】
【口調は幼稚で、それでいて完全に自分の強さを知っている存在であった】
【────なおのこと厄介であった。力を持った子供とは、これほどまでに】

>>552(レオーテヴュート)

【彼女はそこに居る貴方を一瞥して、あれ、と小首を傾げた】
【この場にふさわしくない愛らしい表情で、可愛らしい仕草を重ねて】
【ねーね、ってこびるような口調を踏まえてそう投げかけた】


あれ、おにーさんひょっとしてニンゲンじゃない? うーん、ボクとしたことがちょっと分かんないや
おにーさん大分ちょっと変わってるねっ、ボクニンゲン以外は大好きだし、聞くけど
ねぇどっちなの? 答え次第だったらこれから殺すの、すっごくもったいなくなるから

────あっ君は別だよ、赤い髪の死に損ない、ああいや、もう死んでるんだっけ
ほんと死人が歩いてるのうけるんですけど、しかも知った口調でしゃべり出して
何なの? しゃしゃりでるのはおとぎ話だけにしなよ、場違いな小娘が分別を弁えなきゃ


【レオーテヴュートの存在へ思いを馳せる。その存在に奇妙さを感じたから】
【少なくともこの世界、基底現実の存在ではないように思えて────】
【じぃ、っと見つめる、その意味合いを辿ろうとして】

>>553(厳島)

【向けられた短機関銃を見て嗤う。心の底から端正な顔を歪ませて】
【貴方の行動は正しかった。寸分の狂いもなく正しかった────だからこそ、そうだからこそ】
【可笑しかった。この状況においてもなお、機関銃だなんてちゃちな火器に頼る姿が】


だあれに口聞いてんだよニンゲン、糞みたいな脳みそでも少しは分かるでしょ?
ボクがニンゲン風情のゴミみたいな言葉、これっぽちも聞くわけないじゃん
ひょっとしてそれすら予想着かないとか? ナメクジに世界の大きさは分からないもんねっ

ほんとにその阿呆さで良く生きてこれたね、ニンゲンの世界ってホント愚か
在り来たりなんだよね、大体、ホントにニンゲンの反応って予想通りだからさ
せめて笑える死に方してよ、そうじゃなきゃボク、物足りなくってありやしない

/↓
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 20:39:25.98 ID:slCwVJ04o
>>554(カニバディール)

【カニバディールが手をふくらませて銃弾を防ぐ、その姿を見て、きゃぁと声を上げた】
【憧れの先輩にあった少女相応の表情、両手を合わせて片足をぴょこんとあげて】
【ねね! なんて言葉は甘い甘い媚びの旋律】


わっ! すってきぃ♪ ボクってばそういうかっこいい姿に弱いんだぁ♪
ねね、お兄さんもニンゲンじゃないんでしょう? だーってそんな素敵な格好、ニンゲンには理解できないし
ボクを助けてくれたって事はさ、ボクの味方になってくれるんだよねっ♪

うれしーなっ♪ ボクかっこいい友達が欲しかったんだっ♪
ちょっと遊んだくらいじゃ壊れない、強くて逞しい友達がさっ
ねぇね、一緒に悪徳を貪らない? 今なら鈴ちゃんついてくる〜♪ なーんてっ


【愛らしい目元をくりくりと蕩けさせる、長いまつげはアイドルのように整っていて】
【それでいて豊満な胸元や、ぷっくりふくらんだおしりが、妙な愛玩を感じさせる】
【──其れを補って余るほどの悪意、隠すことなくまき散らす】

>>555(アーディン)

【放たれた魔玉──覆い被さるように黒い霧が割れる前にそれを包み込んだ】
【爆発する前に霧が飲み込み、その攻撃を防ぐだろう────】
【イルが笑顔で人差し指を振った、だめだめ、なんて言いながら】


もぅ、せっかちな殿方は嫌われるよっ♪ まぁそういう激しいの、嫌いじゃないけどさ
ボクはどっちかというと主導権握りたい方だから、下になるのは趣味じゃなくて
ねぇね、君もニンゲンじゃないんでしょ、だったらこっちにおいでよ、きっと楽しいよ

どんな理由があってそっちにいるのか知らないけど、それって不自然じゃん
何で優秀なボク達が下等なニンゲン共に合わせなきゃいけないの?
理解できないし、理解したくもないし、理なんてそもそも、ないでしょ?

>>557(Slasher)

【優しい言葉であった。──あれだけ苛烈な神技を扱う剣士とは思えないほどに、慈愛に満ちた】
【その矛盾こそがニンゲンの強さなのだろう、傷つける力と救う力を同時に持つ】
【貴方はその体現であった、ニンゲンの持つ強さの、誇り高き────】


そのどこまでも自分達の主観で喋る姿が、一番ムカつくんだよニンゲン
まるで自分達が世界で一番正しくて、世界で一番偉いだなんて思い上がり
無知は罪って自分達で言ってたでしょ♪ あれは事実なんだよねっ、どうしようもなく

分かる? 君達は無知なんだよ、この世界の僅かばかりも理解してないのに、理解したつもりになる
暗闇の奥に何が居るか知らないくせに、世界が明かりで満ちてるなんか思ってる
だから殺さなきゃ、バカは死ななきゃ直らない、死んでも直らないヤツもいるけどさ

>>558(柘榴)

【イルは彼女を一瞥する──ニンゲン以外とニンゲンとで露骨に対応を変える存在であったから】
【上から下まで見つめたなら、その姿と魔力に非凡なものを感じるものの】
【言ってしまえば、どれだけ高度な知性を持とうと蟻は蟻──彼女が気に留めるまでもない】


ふぅん、まだ他にもニンゲンがいたんだ、ホント、叩いても叩いても一向に減る気配無いけどさ
そういうのは雌が大体悪いんでしょ? 考えもせずぽんぽん産んで、それで多すぎて棄てるんだって
ホントばっかみたいじゃない? 此処に来た餓鬼共もみんなそう♪

うるさくって仕方なかったし、腹いせにぶち殺してあげようって思ったけどぉ
レッド・ヘリングの為だもん、我慢我慢って、ほんと、ボクって出来た存在だよねぇ
だからご褒美が欲しいのっ、数多のニンゲンぶっ殺して、丁度良いデザートにしちゃおっと

/↓
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 20:41:02.02 ID:slCwVJ04o
>>559>>561 >>ALL


【───────────ぴし】








【音が聞こえた。────どこからか、音が響いて】


【それはどこまでも歪な音であった。各々の耳の奥から響く様な、そんな音色】


【音の主を探したなら、今話しかけていた『鈴音』から聞こえるだろう】





【当の鈴音自身が困惑の表情を浮かべる。どうして自分からこんな音がするのだろう、なんて】


【答えは無くて、ざわつく胸騒ぎだけが真実で───イルはそんな様子を、愉しげに見つめて】








         【 "鈴音の美しい顔に縦一本の線が入った" 】







/↓
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 20:41:21.41 ID:slCwVJ04o
                      【ぴし――――――――――――――――――――】





【卵の殻を割るように、彼女の皮膚が剥落して】 

                     

                             【玉葱の皮を剥くように、彼女の顔がずるりと向けた】





            【熟れた果実の皮を強く押したが如く、彼女の柔肌がぼこっ、と膨らんで】 




                                【破裂した】





【うどん玉のような脳味噌がずるりと落ちて、ミンチ肉のような肉片が周囲に飛び散る】





【破裂した顔の中身から現れた赤い粘液】 

                         【粘ついた塊が彼女の体を覆っていく】


【そして全身を包み込んだなら、細い四肢がぐちゃぐちゃに砕けていく】







         【まるでアルミ缶でも潰すみたいに】








【後に残るのは赤いスライム状の物体であった。鈴音と同じぐらいの大きさで】

/↓
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 20:41:42.01 ID:slCwVJ04o

        ―――――――――――――― " みぃ "








【スライムの目の前に、ウェディングドレス姿の『鈴音』が出現する。手錠で拘束された被虐的な姿で】


【スライムから触手が伸びた。『鈴音』の腹部を貫き、触手がどくどく、と脈打つ。からからに乾いた喉に勢いよく流し込む様】


【華奢な両腕が力を無くして揺れた。触手は内臓を吸い尽くし、スライムは身体をより一層大きくする】








" みぃ "――――――――――――








【からからになった『鈴音』は雲散霧消し。再び無事な『鈴音』が現れるだろう、再びスライムから触手が伸びて】


【四肢を引き裂いた。細い両腕は枯れ枝を思わせて、妙に現実的なパキンとした音が響いて】


【スライムは全身を大きく伸ばして『鈴音』を飲み込んだ。咀嚼するバリバリとした音】





【しばし、その場には死があった。ありとあらゆる死が『鈴音』におとずれ、ありとあらゆる生が与えられて】


【それは饗宴と呼ぶに相応しい光景が如く。その度に赤いスライムはその図体を増していく】


【やがて工場の天井にまで身体が伸びる。不定形の身体が工場の壁面まで貼り付いて、もぞもぞと蠢いていた】

/↓
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 20:42:14.71 ID:slCwVJ04o

アハハハハハハ♪ ばあか♪ ボクがさぁ、大事な大事な鈴ちゃんをこんなトコに誘う訳ないじゃん♪


ほぉんとバカばっか、やっぱニンゲンってこれっぽっちも脳味噌ないんだねっ、あー愉快愉快♪


何が起きたって? 何も起きてないよ、ただキミ達が持った不安を具現化させただぁけ♪





可哀想な鈴ちゃんは痛々しく拘束されて、無惨に虐められて、凄惨な死を迎えるんじゃないかって、不安を持ったんでしょ?


化け物が身体の内部から現れて、殺されるんじゃないかって、考えちゃったんでしょ? 化け物に攻撃されて傷つけられるって


ありもしない妄想が、空想が、無数の鈴ちゃんを殺したんでしょ? なぁに正常な面してんだか
















だぁからキショいつってんの、ボクがさぁ、鈴ちゃんを傷つける訳ないじゃん、大切な友達なんだから♪





用が済んだら全員死のうか、"レッド・ヘリング" に十分な力も溜まったし♪


キミ達全員ぶっ殺して、華々しく『グランギニョル』の名前を響かせる事にしよっと


そうして信じる奴らが増えたら、ボク達はより一層の力を持てるってわーけ





【病魔は笑う。自分の作った舞台で、踊る人間達を見て――高らかに響き渡る】


【彼女の声に釣られて赤いスライムがゆっくりと這いずり回る。巨大な図体は工場の天井にまで及ぶ】


【イルは後方に下がった。"レッド・ヘリング"と呼ばれたスライムに後は任せると言いたげに】

/↓
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 20:43:20.92 ID:slCwVJ04o
【"レッド・ヘリング"はコールタール状のねばねばとした赤い生物であった。貴方達とは10m程の距離を保って】


【蠢く巨大な不定形は心臓に近い形態をしていて、そこから太い触手が血管のように張り巡らされている】


【酷く饐えた臭いがした。夏の暑い日に孤独死した老人の居た部屋が如く、滴り落ちる赤い液体は毒々しい赤に染まった】



                【──────────ぐるり】



【身体が大きく流動して、巨大な一つ目が貴方達を捉える。瞳孔から節足が伸びて瞳の表層を掻き毟る】


【瞳の奥から這い出して来たのは『指先』子供の指先が大量に零れ、藻掻く様に巨大な目玉を抉る】


【一つ目が瞬きをしたならばギロチンが落ちたかのように、ボトリボトリと指先が地面に散らばって】


【触手の表面に無数の口が出現した。どれもこれも、乳歯が目立つ、子供の口であった】


【遠目から見れば、赤い身体に巻き付いた白い紋様の如く、ひしめき合う口が大量にあって】

【声にならないうめき声を漏らしていた。ひどく冒涜的な白昼夢に似て】




【かちかちと各々の口が歯を噛み合わせる。無数の歯ぎしりが不協和音を奏で、周囲を覆っていく】

【まさしくそれは、形態を失った人間の集合体であった。骨も皮膚も内臓も、全部溶かして混ぜ合わせたかの如く】

【触手が地面に叩き付けられる。地面に接触した部位にあった歯が砕け、地面に乳歯が散らばった】


さぁお仕置きの時間だよ、"レッド・ヘリング" ――愚かなニンゲン共を好き勝手蹂躙しなきゃ♪

何体かニンゲンじゃないのもいるけど、一回ぶっ殺してから再生すればいーよねっ

全員滅多打ちにして、全身貪って、全滅させてからゆーっくり後始末しなきゃ♪


【イルの言葉に呼応するように "レッド・ヘリング" が身もだえする。巨大な図体を工場に這いずらせて】


【伸びた触手が能力者達の周囲を乱舞する、攻撃する相手や箇所を選別するように】


【一本一本の触手が人間の図体ほどに太い。直接叩き付けられるだけでもダメージは大きいだろうか】





【そして何より不気味さがあった。"レッド・ヘリング" がまき散らす呪詛は、触れる事すら躊躇う程に】


【吹き荒れる暴虐が、無数の死を蹂躙し、その先にある救いすらも飲み込まんと】


【飽食する悪食の赤――――混沌よりも深い色合いをそこに晒して】
569 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 21:03:40.81 ID:YPag1hO40
>>560

……正確には、UTのメンバーに協力を依頼された、と言うべきだな。俺はUTとは別の酒場の、ただの用心棒だ――――!

【会話の途切れる間の直前、彼はそう返事する。実を言えば『ただの用心棒』でもないのだが、それを言え話はこんがらがる】
【今は、余計な頭を使うリソースは食いたくないはずだ、お互いに。なら、認識はもう、この程度で丁度良いのかもしれない】

>>561、>>ALL

チッ――――やはり、まともな精神状態ではない。ヘタをしたら、もう戻らんかもわからん…………
声掛けなど無用だ……救出したいというなら、実力で奪い返せ!!

【周りのメンツの様に、自分と鈴音は深い仲ではない。一度行き会い、軽く言葉を交わしただけ。しかも、互いにその事を忘れてしまっている】
【否――――鈴音の方は、ワーキャットという外見から思い出すかもしれないが――――こんな状態では期待薄だろう。もっと仲の深い面々にも、まともな反応を返していないのだから】
【なら、するべきはそんな彼女に言葉をかける事ではない――――この事態を仕組んだ連中を、滅ぼす事だ――――】

>>563

……くっ

【魔玉は発動――――だが、黒い霧に包まれ、その力を減退させられてしまう。こいつ自身は、確かな現実の存在であるはずなのに】
【――――要するに、それがイル自身の能力と言う事なのだろう。奇襲は失敗。怒涛の攻めに入ろうとした姿勢を、一時改める】

――――黙れドサンピンのガキが。理がないというなら、お前の言葉は全て無駄だ。言葉は生きてる人間だけにあれば良い、余計な事を口にするな……!

【まるで右目の眼光で射殺そうとするかのように、アーディンはイルを睨みつける――――今まで数多の人間を殺してきた、その力を伴った目で】
【自分たちは、人間か否かに関わらず、生きているのだ。こいつは、その命を冒涜し、そして空虚に操っている――――存在するだけで、不快だ】
【言葉すら交わしたくないといった風情で、アーディンは構えなおす。既に人生経験を敬虔に積んできた彼には、揺らぎなど存在しないかのように――――】

>>564-568

――――――――んっ!?

【――――そんな彼でも、驚くことは避けられない。何か、異様な事態が進行している】
【救出対象が、砕けた。しかし、すぐに形を成して。ならばこれは囮だったのか? ――――だが、その後に、さらに続く破壊と再生】
【――――訳が分からない。いつの間にか、再び幻の中に囚われてしまった様だ。何事かと、じっとその事態を見据える】

――――『何も起きていない』『ありもしない妄想』……『レッド・ヘリング』……!

【言葉を整理する。事態を当てはめる――――周りの熱に充てられなかったからか、じっと腰を据えた思索が重ねられた――――そして、腹が決まった】

――――やはり貴様はドサンピンだ。これはイドラ――――ただの『偶像』だ。なら、いくら力を持とうが――――ッ!!

【じっと、周囲を取り囲む触手と呪詛を、静かに見据えながら身構える――――思い出した知識が、もしも正解なら】
【――――『種のイドラ』。ヒトの形に囚われる『仮象』。『洞窟のイドラ』。個に囚われる『仮象』。『市場のイドラ』。伝搬に囚われる『仮象』。『劇場のイドラ』。規模に囚われる『仮象』】
【――――その真実を見破ればよいのだ。あの書物に書かれている、『レッド・ヘリング』のデータが本物ならば】
【ならば、こちらから仕掛ける必要はない。ただ、対応し――――そして、看破してやればいいはずだ】
570 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/12(土) 21:06:23.30 ID:fl7ogGJ9o
>>558


「あらぁ、魔族と意見が一致することなんてあるのねぇ」
「私もそう思ってるわよぉ?産んでも自分の子を育てる覚悟が足らないものねぇ」


【────彼女の言葉に、意外と同調できる部分を多く感じた】
【能力者の子が生まれたから棄てる──親としての、女としての覚悟が足らない】
【育てる覚悟もなく考えもせず子供を産み、能力者だからといい此処に棄てていくのだ】

【生物的に言えば、女性は雌で男性は雄。弱い個体は淘汰されて死ぬ】
【人間は制度や法律といった”作り物”の元では平等だろうが──その立場は、尊厳は決して同一ではない】
【馬鹿じゃない?なんて嘲笑う彼女の姿は──確かに正しいものなのかもしれなくて】


「……──輪廻転生、みたいねぇ」


【生と死を繰り返す、それもただひたすらに】
【彼女が言う”鈴ちゃん”という存在は、此処に人間の殆どにとって重要な存在なのだろう】
【冷静さを欠くかもしれないし、激高して狂気に苛まれるかもしれない────】

【何れにせよ、抵抗をしなければ殺される。痛む左肩は軋むような音を立てて】
【コールタールのように粘度を持つ赤いスライム状の物質は、広々とした空間の最上部にまで到達する】
【これだけ巨大な存在なのだ。質量も、体積も、そして信仰も────】

【それもそうだ、あれだけの”犠牲”をなげうったのだから】
【山神が何故山神として存在できるか、それは信仰と贄が捧げられるからだ】
【彼女の言う『グランギニョル』が神格に値するものならば、それが注ぎ込まれれば注ぎ込まれるほど”偉大な存在”になるはずで】


「犠牲をあれだけ注ぎ込まれれば、こうも冒涜的な存在が生まれるのねぇ」


【白刀を右手に喚ぶ──あくまで冷静に、常識が存在しない敵を相手にやるのだから】
【先程の話を伺うに、幾ら図体は大きくても本質は小さなものだと言うことなのだろう】
【このレッド・ヘリングは修飾が大いになされた、”華美”な存在なのだろうか。ならば玉ねぎの皮を剥くかのように、本質を見出さねば】

【白刀を振るい、乱舞する触手を高速で切り捌いていく】
【刀の扱いは達人を超える程の実力であり、見切りをつけて次々を裂いていく】
【乳歯を零させ、開いた口を裂き、奇形の塊を崩していく。この巨体の本質を、なんとかして見出さねば】
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/12(土) 21:11:09.80 ID:CaxAzfSL0
>>559,561

「うーん、これはアレだね。回収したほうが良さそうな状態」

【――どう見ても、その姿は望んでこの場にいるようには思えなかった】
【精神的に傷つけられたような顔だった。いや、傷つけられた、なんて表現で足りるかはわからない】
【どちらにせよ、まともな精神状態では無いと判断。原因は、おそらくイルかもしれないけれど――】

「(自らが背負った重みに耐えきれず自滅したってパターンもあるからね。)」

【さて、もし手分けして彼女を救出したところで、脱出はどうする?】
【僕たちはまだ、敵の術中から抜け出せていないのだ。むやみに助けても仕方がない】
【ならば、明確な悪を討つのが先か。全ての悪は滅びるべきなのだから】


>>562

【その金色の眼が、イルを捉えた。冷え切った眼だ。表情ばかりが優しげでそれがいびつだった】

「――"元"人間ってところかな。どっかのクソ悪魔のせいでね、人間やめさせられたんだ」
「別に、それ自体に文句はないんだけれども」

【――この状況、"あえて変身を解くのが正解だ"、そう思った彼の姿が、両前腕……攻撃のためのそれ以外が変化していく】
【そして完成するは、金色の眼とマスクの様なものを装備した身長170cm程度の男――のような、異形】
【白い身体に金色の模様、頭部には橙色をしたサメのヒレのような角、後頭部には同色で恐竜の背のようなギザギザ】
【そして、頭部と両上腕には赤色の鉢巻のようなものが巻かれていた】

【――人間の姿が本来のものなのか、この姿が本来のものなのか】
【言動としては後者だろうか、けれども本来は前者だったのだろうか】

「ところで、君が僕を殺す話だっけ?」
「ちょっと間違いがあるから訂正しておくよ。」

「"君を僕が殺す"だ。間違えないでね、悪者サン」

【人間か否か? そんなの、些細な問題だ。】


「なぁんだ、こっちも偽物かぁ。君、偽物大好きだねぇ」
「まぁ、容赦はしないよ。だって、それ、悪い子でしょ?」 「昔は良い子だった? それは関係ないよ」

【――それがもし鈴音だったモノだとしても、こうなったら助からないだろう】
【だったら、ばっさり切り捨ててしまえば良い。これは、そのための力だ。】
【だが、触手が乱舞するこの状況。イルを直接叩くにも近づくのが難しく】
【一刀両断するには太すぎる。刃の長さが足りない……通じるかはわからないが、試してみるか】

【目の前を薙ぐようにして迫る触手を見切りつつ跳躍、その上への着地が成功すれば】
【すかさず両腕の刃を突き刺そうとする。……それだけでは終わらない】
【流し込むのだ、暴れ狂う聖と魂砕のエネルギーを。――物理ではなく魔法で、外からではなく内から攻める。】
【……効かなければ、あるいは動きを止められなければ、触手の動きによって振り落とされる危険性も高い、ちょっとリスキーな行動。】
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 21:18:19.81 ID:IMyPaeI40
>>559 >>562-568

ソレが悦んでるカオに見えるんだったら、おまえの眼も腐ってンじゃねえの?

【一度諌められたから。もう怒鳴りはしない、なにより鈴音が怖がっている】
【自分のせいで怖がらせたのだとわかったから。だから、イルを見て、鈴音を見て】
【じいっと耐える、何があってもいいように、何が、何、――――――】


【 ――――鈴音が 死んだ。 】


………………、は?


【限界まで見開いた眼、赤色の瞳がきゅうと縮こまって――汗が伝って流れ落ちていく】
【ぽかんと空いた口の中、舌が縮まってぶるりと震えた。……声が、出ない】
【信じられないものを見るような目でその光景を見守っていた。見守ることしかできなくて、――――】

……っ、な、に……なにコレ……ッ!!

【やがて視線は上に向く。レッド・ヘリングの、巨大な一つ目を真正面から見つめ】
【そうしていたら、触手が伸びてきたのが見えた。――――ぎち、と歯を食いしばる。やるしかないって、判断した】


――――"Butterfly Swimmer"ッ!!


【能力を起動させるキーになる言葉。高らかに歌えば、両足首から黒いリボンがぶわりと伸びて】
【中空で絡まっていく。精密に編み込まれていくリボンは、やがて蝶の形を成し】
【跳躍。すると彼女の身体はふわりと宙に浮く、普通のジャンプじゃ到達できない、高いところまで】

【高い高い上空から――少女は、化物に向けて発砲した。右から3発、左から2発】
【合計5発の弾丸は、発砲音を伴って――しかしレッド・ヘリングの肉を穿つことはない】
【発射されてから、中空に留まっている。これもきっと、何かしらの能力によるものだ】

【残弾――右:2、左:3】
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 21:21:09.34 ID:WLdYtO6s0
>>554

「禁書目録?一体、それは何だ?」
「カニバディール、君は一体何を知っている?」

【カニバディールの言葉】
【それはこの状況を打開せしむる、最大のヒントがある、そんな気がして】
【思わず聞き返す】

>>559

「鈴音ッ!!」

【だが、ここで彼女の、その光無い視線が銃器に向けられている事を察し】

「君は……何を、怯えているのか?」

【暫し、少女と自身の武器を交互に見やり】

「君は……君は……」
「UTに、いや、世界に帰りたくは無いのか?」


>>562-568

「言うではないか、なるほど、流石は邪神様だ」 

【感心せしめる様に、こう言って】

「では、幾つか聞こうか、幸い言葉は認識できる様だ」
「お前は何者だ?病魔と名乗ったな……」

【上空から見下ろすが如く、イルは人間を見下して話をしている】
【虫酸の走る話し方だが、だがそれ以上に】
【違和感を感じていた、確かな違和感だ】
【やがて……】

「鈴音ッ!?」

【内側からまるで食い破る様に、赤い、まるでそう……先ほどの資料に出たレッド・へリングの病の様に】
【内側から食い破られる、あまりにも凄惨で、関係者、それも彼女との関係の濃い者ならば思わず目を背けるであろう】
【そんな状況】
【だが……】

「なるほど、何処までもあざ笑う……」

【イル曰く、これはあくまでこちらの不安の具現だと言う】
【そして、限界したそれは、レッドへリングだと】
【銃を構え、警戒の姿勢を取る】
【だが同時に、頭にある事が過る】
【先ほどからの違和感】

「イル・ナイトウィッシュッ!!!!!」

【怒鳴るように、そう去り行かんとする病魔の少女を読んだ】

「レッド・へリングは病魔ではない虚飾の怪物だ……病魔はお前だな?」
「レッド・へリングの名を借り、実質病を蔓延させたのはお前か?『病魔スナーク』」

【一か八か、記述を読み解き解釈した、本質は決して見える部分にはない、全ては虚飾だ、と】
【一か八かの、問いかけだ】
  
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 21:33:19.51 ID:slCwVJ04o
>>ALL

【這いずり回る冒涜的な赤、触手が乱れる度に、透明な粘液が飛び散るだろう】
【触手に付いた無数の口から止めどなく分泌される唾液、周囲にまき散らされ辺りを汚す】
【汚濁する様子は工場の廃液に似て、形容しがたい色が無垢な川に注ぎ込まれるが如く】

【一振り触手がなぎ払われる度に声が響く。男女の入り交じった無数の子供の声が】
【不協和音であった。黒板を釘でかき鳴らす金属質な音、どこまでも背徳的に子供を用いる】
【その化け物は数多の怨嗟を身に孕んでいた。柘榴が見た血液は、此奴に吸い込まれたのだろう】

【暴虐は鱗粉を纏い、喚き散らす怯懦の如く──蝕む僅かばかりの行方も漏らさず】
【あるのは幾重もの死であった。圧倒的な、存在感であった】
【その場からまんじりもせず、触手を振るうだけの存在が──その世界を支配していた】

>>569(アーディン)

【アーディンの冷静さは正しい。けれども、それはやはり平常な場で効果を発揮するものであった】
【偽りだ、幻覚だ、そう思いこむだけで救われるのなら────】
【それはなんと、幸せな妄想であろうか】


────えーっ、ホントにそんな風に思ってるの? 愚かすぎない?
ボクがいくらニンゲン以外に優しいって言っても、限度があるよ
淘汰しなきゃ、出来損ないはっ、じゃあさ、とっとと

『偶像』にぶち殺されてよ、恨むんなら自分の愚かさを恨んでよ
そして来世ではせめてボクに愛玩されるような、そんな賢しさを身につけて
その頃にはきっちりきっかり、世界をボクらのものにしてるからさっ♪


【触手がしなり、アーディンに叩きつけられる。縦振りの一閃、豪と風が大きく吹雪いて】
【叩きつけた後にそのまま横薙ぎに振り払う、看守の蹴りよりも尚鋭い軌道であった】
【少なくともそこには実体があった。手を伸ばしたなら実際に触れられる────】

>>570(柘榴)

【柘榴の剣筋は見事であった。レッド・ヘリングの触手は次々に切り刻まれ落ちていく】
【──しかし、地面に落下した触手は未だにびくびくと跳ね動く、未だに生きているかのように】
【しぶとい存在であった、伸ばされる無数の其れが、一つ一つ命を持っているかのように】


冒涜的だなんてひどいなぁ、やっぱニンゲンは美術も介さないんだから
信仰は何にも勝るんだから、信じる者は救われるって君達も嘯くんでしょ?
ほら、君も雌の端くれなんだから、受け入れないと

────まぁニンゲンの子なんて全員殺すけどさ


【柘榴の足下の床から触手が出現、そのまま貴方の脚を絡め取ろうとする】
【乱舞する触手に気を取られたなら、この本質に気づけない、かもしれないが】
【絡め取ったなら強い力を持って締め付ける、ぎちぎちと砕けそうなほどの力を込めて】

575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 21:33:28.37 ID:slCwVJ04o
>>571(レオーテヴュート)

【触手に注ぎ込まれる二種類のエネルギー、内側からの破壊を試みる行為】
【その選択は一つ正しいものであろう、試行錯誤の中に勝機はある】
【しかし、触手の動きを弱める程度の作用しかない、根本的なダメージには至らないだろう】


ボクじゃないよ、レッド・ヘリングの本質が虚飾だって書いてあったじゃん♪
ニンゲンは得てして目に見える物ばっか信じちゃうし、仕方ないんだけど
────ああもうニンゲンじゃないんだっけ、まぁ、そっちにいる時点で興味ないし

ボクを殺すんだろ? ほらやってみろよ、さあ早くしようよ
そうこうしてる内にレッド・ヘリングはどんどん大きくなるよ────ほうら
そんなんじゃ、満足できないってさ!!


【触手から節足のように子供の腕が数本出現し、レオーテヴュートの脚を掴もうとし】
【成功したならそのまま触手が振るわれ、貴方を地面に叩きつけようとする】
【この存在自体がどろどろに溶けた人間の形態であると、理解できるだろうか】

>>572(夕月)

【銃弾は滞空するのだろう、夕月の姿をイルは忌々しげに見つめる】
【シャーデンフロイデ、夕月の脚に組み込まれた遺伝子は、"虚神"の一柱のもの】
【故にか、それは心臓を撃ち抜く銀の銃弾になりうる可能性があって】


……いいもんつけてんじゃん、返しなよ、其れはボク達のものさ
君みたいな愚かな死人が持つには、強大すぎるから
────返せよっていってんでしょ! ホント君、むかつくなぁ!!

弱っちいくせにちょこまかちょこまかして────っ!!
ニンゲン達のそういうところが、一番ボクを怒らせるんだよ……!!
死人が喋るな!! とっとと墓の下に戻れよ!!


【天井がぐにゃり、とへこんだなら、天井から触手がしたたり落ちた】
【視線を向けてみれば、レッド・ヘリングの一部が天井にまで這っている、どこまで伸ばすのか】
【触手は網目状に膨張し、夕月を絡め取ろうとする】

>>573(厳島)

【厳島の問いかけ、イルはその言葉にへぇ、と小さく表情を変えて】
【其れはさながら小動物が芸をしたときに見せる表情に近い──】
【ちょっとした余興であった、それまでも、これからも】


そうだよ、ボクは"グランギニョル"の神々が一柱、"虚神"スナーク
──病魔はイル=ナイトウィッシュの方、そこだけが惜しいかな
うん、全ては虚飾さ、目に見えるものに真実なんて無い

でもさ、それがどうかしたの? ニンゲンは簡単に、思いこみで死んじゃう存在だよ?
君達だってそうでしょ、これが虚飾だ、虚偽だなんて言うけどさ
──死んじゃうよ? レッド・ヘリングの攻撃を受けたら


【厳島の推察は完璧ではなかった。イルの正体を解き明かしても、レッド・ヘリングの本質には至っていない、と】
【触手が振るわれる、縦薙ぎの一閃、叩きつけられたならダメージは大きいだろう】
【それはまるで問いかけるようであった、これが虚飾と思うのかい、と】
576 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 21:34:59.67 ID:r27KXxU70
>>564-568

【死。破壊。無惨。終わり――――残酷な所業は、簡単な言葉で語れてしまうあっけないものだった】
【この病魔の掌中にあるということは、いつあの惨劇の贄となった子供たちのように扱われても可笑しくないということで。】

【それを理解しきれず紡いだ言葉が、こんな結末をもたらした――――揮うべき刃は、標的に届く機会すらなく奪われることを許した】
【そう胸を貫く悔恨は、けれど、さらなる異様な光景に上書きされる】
【黒衣越しに見開く瞳が映すのは、再生と死を繰り返す彼女の姿で、】
【続く嘲弄に、明確に殺意を叩き付けるけれど――――やがて、クスリと、滅ぼす意思の余りの様な微笑う気配があった】

【それは、狂気ゆえのものとは言えて。けれど、決してイルに与えられ、強いられたものでなく――――、】

“おまえを、安心して刻み墜としてやれる”――――嘆く必要が何処にもない。
お前が私たちに伝えたのは、たったそれだけの愚かな救いだ。
“勝手に望むままをもたらしてやるとそう決めた”――――独善だろうと、その程度は知ったことじゃない

そして死んだわけでもないのだから――――お前は、単に手段を間違えたという“今”を晒しているだけだ……‼

【そう言いきると、対処しなければならない脅威を見遣る。“敵”は、幻想の怪物はそこにいる】

【目に映すレッド・ヘリングの姿は、あの子供たちや、それだけではないのかもしれない犠牲者たちの無念と残骸をそのまま示す様だった】
【……痛いのだろう?苦しいのだろうか?或いはこれも、勝手な思い込みに過ぎないのかもしれないが――――】

二度と、繰り返させてはやらない――――――――そうあるために、幻想(おまえ)は幻想のまま褪めて消え失せろ……‼

【憎悪が昂ぶる。だから、看守にひどく痛めつけられた肉体を駆り立てられる――――】
【突き進む影は、取り入れた想念から情報を引き出せるなら、子供たちと対話する様に、かつての惨劇を少しずつ理解することを試みるだろう】
【“そして同時に、ただ悪夢であると答えを返す”。これまでの経過が真実の怪物を描かせるための過程ならば、このうち消しが僅かでも可能性を生めばいい】

【もしも功を奏するならば、ひどく皮肉な話だけれど。イルが戯れに彼らを嬲ろうとしたことが、、"レッド・ヘリング" への一打を生む可能性を、この局面で兇器は求めた】
【その喉に刃を立てるために、幻想なりし悪夢をまずは散らす。そのための筋道は未だ見えず、けれど、どこまでも躊躇いなく――】

【繰り出すのは、慰撫する程度の柔らかな、金の火を散らす異能の斬撃】
【対・物質において最大の効果を発揮するそれは、ただの幻想という確信を得るためのひとつのカギ――】

【共振、共鳴、想念の伝播――――その経路を築く一手でもあった。もしも彼我の内なる子供たちが許すなら、】
【書物から得、看守≠ニの戦いから到るこの答えを、犠牲者たちを通じて伝えようとするだろう】
【肉体をひどく蝕む痛苦が、それを越えて得ようとする確信を、かつての子供たちが迎えた惨劇への説得力と為そうとする】

【まるで、彼らの“生”は無意味でも――――奪われるためだけにあったのでもないと伝える様に――――この悪夢を、遂に打ち破る暁光を望む様に、強く――――‼】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 21:41:00.11 ID:lEdQu2xCo
>>560
【彼女の馴れ馴れしい様子にも、特段気にする様子もなく。円滑にやり取りができるなら、むしろありがたく受け入れる】
【今ここにいない彼女の親友との関係が、今後どう影響するのか。それはまた別の物語なのだろう】

【素直に銃を下した彼女と謝罪に、一つ頷いて見せて。しかし、異形の三つ目にも確かな不快感が宿っていた】

鈴音とは、少々複雑な間柄でな。間違いなく敵ではあるのだが、お互いにそれだけでは割り切れない諸々があるんだ
故に、彼女が彼奴の下で安息を得ているのなら、そのままにしておこうかと考えていた
今回は、その見極めも兼ねて来たんだ。まさか、同じ考えの者がいるとは奇遇だったな

……ああ、それはダメだな。論外だ。その手の台詞を平然と吐ける輩に、安息など作り出せるはずもない


>>573
この資料にある、財団が使っていた情報源だよ。彼奴等への信仰に汚染されていない、情報源
私は大して知らない。この書物で、初めて知ったことだ

【事実であった。この異形も、結局は暗闇をさ迷う肉塊に過ぎなかった】
【しかし、思考は止めない。この悪夢から抜け出すために】


>>561
【そう、カニバディールにとっては見慣れた顔だった。幾度も幾度も。自分がそうさせてきた顔でもあった】
【もう、以前の彼女ではない。異形はそう認識した。彼女が何をされたのか何を言われたのか、そんなことは知る由もなかったけれど】
【そこに、かつて彼女を形作っていたものはいくらも残っていない。それをどう受け止めるべきなのか、異形はすぐに結論を出せなかった】

【何も言わず、異形はただ彼女を見た。溢れる言葉は、自分たちの世界とは違う理に吸い込まれて、届かなかった】
【そこに異形が出来ることはなく。そもそも、最初からあったのかどうかも疑問だが】
【三つの目玉は、病魔の方を見た。もはや、己が捉えるべきはそちらのみだと】


>>563
【姿や仕草だけを見れば、魅力的だと言えるのだろう。しかし、耳に届く甘い声は、異形にとっては不快でしかなかった】

……ああ、その通りだ。まさか、私を見て人間だとは思わないだろう?
しかし、お前は友達を作るのはあまり上手くないようだ。私の知る限り、友達というものは壊れるまで遊ぶものじゃあない

悪徳を貪る、とはなかなかに魅力的な申し出ではあるが。勧誘するなら、せめてもう少し悪意を隠せ

【平然と人ではないと嘘をつきながら、異形は言葉を返していく。普段は口数が多く相手を言葉で翻弄しようとするこの男には珍しく】
【ペラペラと喋る彼女を前にして、三つの目玉は急速に冷めていった】


>>564-568
【そして。決定的な光景が異形の三つ目に映り込んだ】

【鈴音が。己と奇妙な縁を紡いだ女性が。剥がれ。破れ。飛び散り。砕けていく様】
【そして、その内側から現れる赤い何か。冗談のような、愛らしくすら聞こえる鳴き声】

【現れたスライムが、鈴音の姿を弄ぶ。生かし。殺し。生かし。殺し。何度も何度も】
【カニバディールは、ただ見ていた。ずっと見ていた。どこまでも冷めた目で】

【それが終わり。イルが笑い。罵り。嘲り。スライムが。レッド・へリングが姿を現しても】
【異形は見続けていた。何も返さず。何も叫ばず】

【スライムが触手をむき出しにし、呪詛を撒きながら災厄そのもののごとく動き出してようやく。ただ一言、吐き捨てた】


                 ――――食う気も起きんな。クズ肉どもめ

>>574
【乱れ飛ぶ触手を、最小限の動きでかわしながら、カニバディールは観察し続けた。装飾の向こう側。敵の本質】
【それをむき出しにするには。異形は思考し、結論を出した。懐から何かを取り出す。筒状の物体】

【幾度も異形の計画に使われた爆薬。コバルト・ボマー。今は亡き、蛇王からの贈り物】
【カニバディールはそれを頭上に投擲し、起爆させようとするだろう。青い閃光の爆風で、虚飾を吹き飛ばすべく】
578 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/12(土) 21:45:28.02 ID:fl7ogGJ9o
>>574

【一閃、一閃、また一閃──兎に角前面に対する攻勢を掛ける】
【絡め取ろうと、喰い付こうと、噛み殺そうとするそれらを切り捨てては切り捨て】
【びたんびたんと跳ねる触手に気を向けることもなく、戦線を前へと押しし進めんと──】


「──そうねぇ。人間は弱いもの、だから他者に縋るのよぉ?」
「でもね、求めれば求められ、与えれば与えられ──人類の英知はこんなものじゃないんだから」


【白刀をぶん回しながら、彼女の嘲笑にそう応える】
【人間は弱いから他者に縋る──だが、それは相互に作用するものであって】
【決して一方的ではない、人類の絆とも言うべきものがあるのだ】


「ひゃぁっ……!!」


【突如足元に現れた触手に足元を掬われ、其の場に倒れる】
【ギリギリと骨を砕くように締め付けるそれを、なんとか刀で両断してみせる】
【鈍い痛みが右足首に残る、もしかしたら罅が入っているかもしれないけど──】

【ここで、入り口でのことを思い出した。触手が振るわれる度に響く呪詛の声】
【とめどなく分泌される唾液、こぼれゆく赤い液体──ああ、なるほど】
【橋の上で見かけたメカニズムは──全てこれに類似しているのではないか】

【となれば、プレス機、コンベア、梱包機に相当する何かがあるはずだ】
【それに此処は機関室、もしかしたら動力源を断てば動きが止まるのか】
【少しよろめきつつも立ち上がり、それに相当するものを探すべく周囲を駆けながら見渡していた】
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 21:47:53.93 ID:slCwVJ04o
>>576

【凛と佇む剣士は己が信念を刃に乗せて語る、そして其れは穢れ無きまっすぐな意志】
【けれども、それが通るには既に道理は尽き果てて、後に残るのは無数の闇】
【故にそれは進むべき道を違えたと言いたげに、イルは貴方の言葉を吐き捨てる】


────あれ? ひょっとしてまだ奇跡とか、そういうの信じてるの?
手段を間違えたのは君の方でしょ、ニンゲン、この状況に及んで刀だなんて
時代錯誤も良いところだね、脳みそが子供の状態から成長しなかったらこの程度かな?

あは、成長しなかった子供達って点では、ここにいる有象無象と一緒だよね
だったら一緒に死んでよ、そしたら君の幼稚な独善が満足するでしょ?
慰め合えよ、地獄で、それが一番お似合いだからさぁ────

ゴミはゴミ箱へ、基本中の基本でしょ


【Slasherの攻撃はある種の正当性を持っていた。此処までの経過から見るに、レッド・ヘリングは幻想である、と】
【正しくそれは間違ってもいた。その肉体は確かな質感を、質量を持っていて、攻撃を触手が防ぐだろう】
【伝わらない、どれだけ願っても、奇跡が起こらないのと同義で────】

【返す刃で触手が貴方の腕へ巻き付こうとする】 

>>577


悪意なんてないよ? 言ったじゃん、ボクはニンゲン以外には優しいんだって
だから優しく嬲ったり嬲られたりしようって、傷つけて傷つけられて、きもちいいことしよって
鈴ちゃんも好きなんだよ♪ 鈴ちゃんはいじめられるのが好きなんだ、だからボクもやりすぎちゃって

────なんて言ったらそそるのかな? 鈴ちゃんの軟らかい肉を刻むことを感じるのかな?
男性ってそうなんでしょ? 女の子をいじめるのが大好きなんでしょ?
貴方だってきっと、それが理由で、そうなったんじゃない?


【──冷めた感情なんて分からない。何を考えているか何てたどれない】
【少しでも分かったならこんな惨状なんて産まない、単純な道理であるから】
【吐き捨てる様子を見て、漸く、イルは楽しげに嗤う】

【────しかし────】

【爆風が弾けた。レッド・ヘリングの身体が大きく震えた。工場全体が揺らぎ軽い地震が起きる】
【頭上に投擲された爆薬は天井に穴を開けた、無明の闇が天井に見える】
【レッド・ヘリングが悶えた。爆発に弱いのであろうか】

【そしてお返しとばかりに、触手がうねる、再び襲いかかる単調な攻撃】
【しかし、今度は違う────触手が近づくと、カニバディールの機動力が著しく落ちるだろう】
【まるで悪性の病に身を犯されたが如く。触手から距離を置けば、その影響はなくなるが】

【判断が遅れたなら、触手の攻撃をもろに受けるかもしれない】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 21:51:06.94 ID:WLdYtO6s0
>>574>>575>>ALL

「――ッ」

【不快な音と、そして周囲で振るわれる】
【そして、そしてだ】
【それは、確実に実体を帯びていた、と言う事だろうか】
【不快な声の音と、そして周囲にまき散らされる冒涜的な液と赤い身体】

「どういう事だ?」

【記述には、少なくともスナークは病魔と記述されている】
【そしてイル・ナイトウィッシュの名前は無かった】
【数ある側面の内の一つ、とでも言うのだろうか?】

「言い得て妙だ、まさにその通りだな!」

【思い込みで死ぬ、それも簡単に、いとも簡単に】
【その言葉には素直に感心して見せる、なるほど明確で解りやすい真理だと】

「――ッ!!」

【振るわれる剛腕の、その触手】
【それを思い切り跳躍し、空中で身を回転させながら、回避を試みる】

「レオーテ、カニバディール!!皆!!こいつには実体がある、気を付けろッ!!!!」

【当たり前の話だ、今更だろうが、そう周囲に大声で叫び、注意を促す】
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 21:51:50.98 ID:IMyPaeI40
>>575

……どいつもこいつも、どいつもこいつもどいつもこいつもさあ……っ
無茶苦茶なコトばっか言いやがって、ふざッけんなよマジでぇっ!!
知るかよバァカ、勝手につけられたモンだよこれはっ、つけたヤツ――「魔女」だっけ!? そいつに言え!!

なんなのっ、どいつもこいつも……っ、あたしのこと好き勝手使いやがって!!
よくわかんないけど死んだと思ってたら勝手に生き返らされてっ!? そのあとも散々いじくり回されてっ、
こぉんなよくわかんないモノ、めっちゃ痛い目見せられて付けられたと思ったら、
今度は「返せ」だぁッ!? どいつもこいつも、あたしを何だと思ってンだよっ!!!

【長く、長く。繰り出される悪態はきっと、イルだけに宛てられたものではなく】
【長い、長い時間をかけて、彼女の存在を弄んできたすべての存在へ向けて吐き出される】
【完全に頭にキているらしい。中空で、身体を捻って】

【――――中空に留まっていた5発の弾丸が、うねった。輪郭を融かし、5つが同じところに寄り集まって】
【やがてそれは一つの塊になって、形を変える――「大剣」だった。両刃の、少女と同じ背丈くらいの】


――――≪ TF ⇒ c"Lay"-more ≫っ、喰らえよバケモノっ!!!


【それの柄を、掴むモノがあった。もちろん少女の華奢な腕ではそうできないから】
【――――"Butterfly Swimmer"の、リボンだった。吸着力のあるそれが、ぴったりと柄に張り付き、支えて】

【少女が脚を振りぬく、何もないところを蹴るようにして。同時にリボンも薙ぎ払われる】
【そうすれば大剣も同時に、大きく薙ぎ払われるのだ。網目状の触手もろとも、その向こうの肉を切り裂かんとして】

【残弾――変わらず右:2、左:3】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/12(土) 21:54:20.96 ID:CaxAzfSL0
>>574-575

「――魔力生命体ではないか。」

【これで大きなダメージを与えられないとなれば、邪でもなく、魔力に大きく依存する存在でもない】
【となると、今のままでは有効打が殆ど無いか――さて、どうしたものか】

【刃を引き抜くと同時、何者かに脚を掴まれる感覚。……それを斬り捨てるよりも早く触手が己を襲って】
【そのまま地面にへと叩きつけられる。――咳をした音が、1つ。】

【どうにか致命的なダメージは避けられたのか、ゆっくりとその体を起こして】
【もしも触手や腕がまだ自分に纏わりついているようならば、両手の刃で切断しようとする】

「そう、虚飾ね。じゃあ、"核を探して"ってことかな?」

【――そちら方面は正直不得意だ。魔力に対する感覚はそれなりにあるが、特別鋭いわけでもなく】
【透視の類も持っていない。……じゃあ、何をするか?】

【まず探すは、"レッド・ヘリング"が前方を塞いでいない場所だ】
【全てを塞がれているのならば、厚みが薄そうなところを探すだろう】


【ここからは、突破口を見つけた時の流れだ。全てを覆い尽くしていて隙間も薄さもない場合、この行動は行われない】

【まず、その背に鳥の羽のような――白を基調に、金色や水色もあるそれを生やせば】
【蛇行しつつ、魔力弾をレッド・ヘリングに向けて放つだろう。……これに大した意味はない、威力も同じく。】

【そうしつつ、隙を見て一気に隙間や薄い部分に向けて突撃する。必要ならば両腕の刃を用いて、道を切り開こうとする】
【彼が行おうとしているのは、裏に回ること。つまり、イルが存在しているかもしれない方への移動だ】


【こちらは、見つけられなかった場合の流れ。】

>>579で開けられた天井の穴に向けて、同じように翼を生やして突撃する】
【こちらも目的は単純、穴を経由してイル側に向かうことだが】
【当然、天井をある程度崩さなくてはならない。――そこで、刃の変身を解く代わりに】
【その腕の本数を4つにする。……亀裂のある部分を、ゴリラ並の強い力で叩けば崩していけるのではと考えたのだ】
583 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 21:57:45.97 ID:YPag1hO40
>>574

――――知っておるわ。思い込みで何とかなるような、そんなものを貴様らが後生大事に血を注いで、育てる訳はないッ!!
その程度の道理が分からないなら口を噤んで引っ込んでいろ!! そうして、死ぬまで笑っているんだなドサンピン!!
貴様らのやり口など、そこら辺の三流ギャングと同じよ!!

【『偶像』がただの『偶像』ならば、こうまで信仰の力は集めないし、わざわざ大規模に殺しをやって育てたりしないだろう】
【――――シノギにならない販路を開拓したがるギャングは居ない――――所詮、やってる事は人間と同じだ】
【いくら超越者を気取って見せようと――――イルは所詮、ただのクソガキに過ぎないのだと、アーディンは咆哮する】

(――――とはいえ、その通りなのだ……こいつは『偶像』、だが『力』がある、実体がある……さて、どうするか……!)

【考えるべきは、この怪物の本質なのだ。そこにアーディンは思考を置き、ひたすらに考える】
【――――『本質に迫れ』という言葉がキーなら、『コア』となる何かがあるはずで。そしてそれ以外は、全て無駄なアプローチに過ぎない】
【戦闘行動は最小限で良い。おそらくは、無尽蔵な再生能力ぐらい、この塊は持っているはずだ――――全てを断つ一刀。求めるべきは、それになる】

(っ、そら来たッ!!)

【そうして思索を重ねているところに、振るわれる大ぶりな触手。やはり、いつまでも時間を与えてくれる訳ではない】
【カウンターに重点を置いていた以上、最初の大ぶりは回避できる。横へとステップ――――だが、続く薙ぎ払いに対応するのは、やや厳しかった】

っぐぅッ!!

【殴り飛ばされる――――元より中空へと逃げていた為に、見かけほどのダメージではなかったが】
【元より、その『見かけ』が凄まじいのだ。決して軽視できるようなダメージではない。受け身を取り、調子を確かめるようにトントンと軽くステップし――――わずかに足が震える】

(しまった……響いた。さて、消耗戦に突入することは避けたいが、コンディションの悪化は無視できるレベルを超えそうだ……どうする!)

【足さばきに、痛みが邪魔をする。どうやらよくない食らい方をしてしまったらしい。苛立たし気にアーディンは血反吐交じりの唾を吐き捨てる】
【――――そしてその上で追いかける。あの書物に書かれていた手掛かりの事を】

(――――『本質を見ろ』『虚飾に囚われるな』……こいつに実体がないと言う事は、考えられないか?
 正確に言うなら――――『存在と肉体が別』という、そういう可能性は――――こいつを破壊しうる『コア』は、この体の中にはないという可能性――――!)

【力押しなら、他のメンツにもできる。それが正解なら、後からでも手は貸せる。考える事は、『条理の思考を外した思考』だ】
【青の魔玉――――冷気玉を触手に投擲する。それでダメージを与えつつ、動きを鈍らせようという腹なのだろう】
【其れとは別に、アーディンは再び意識を集中させた――――周辺に、この敵に影響を与えている何者かは居ないのか】
【極端な話、巨大な幻術を見せつつ同時に攻撃をかましてくるような術者の様な存在までもが想定できないか――――最低限のリアクションにとどめ、ひたすら気配を探る】
【――――常道ではおそらく、答えに届かないのだから。特殊部隊が力押しに負けるなら、もとより――――自分たちにどうこうなる相手ではない】
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 22:01:08.30 ID:lEdQu2xCo
>>579
口を閉じろ。貴様の声は聞くに堪えない

【もう、言葉でやり取りする気をカニバディールは失っていた。この口数の多い盗賊をそうさせるだけの毒が、イルにはあった】
【確かに、この異形は悪党だ。彼女の言うような、いじめることが好きでそうなったタイプではなかったが】
【それを否定する気すら起きなかった。言葉を交わすことすら、彼女という病に触れる。そう忌避しているかのように】

【ジルベールから聞いた通りの幼稚。しかしあまりに強大な力。それゆえにこちらの感情などわからず。それゆえにこの惨状をいくらでも生み出せる】


(爆風が効いた? それで済むなら、財団とやらも苦戦はしていないだろうが……)
(『燻製ニシンの虚偽』……あの禁書によれば、密閉された空間でこそ猛威を振るう病こそが、レッド・へリングの本質)

(あのスライムも、虚飾に過ぎないならば……狙うべきは――――)

【こちらへと襲い掛かる触手を見て、カニバディールは顎が外れるほどに大きく口を開けた】
【その奥から、青色の砲台がせり出してきた。廃の国で盗掘し、改良を加えた魔力砲台】
【魔力を持って高速で実弾を射出し、着弾と同時に爆発する兵器だ。その反動の強さゆえ、連発は出来ない代物だが】

【この瞬間は、その反動が使える。カニバディールはそう判断した。砲台が起動し、発射される】
【狙いは、後方の壁。この工場、この部屋を密閉しているその壁そのものだ】

【同時に、使い手に襲い掛かる反動が、カニバディールの巨躯を後方へと吹き飛ばすだろう。それによって、触手から遠ざかろうという狙い】

【攻撃と回避。双方を兼ねた行動が失敗すれば、ただでさえ鈍い機動力を触手に奪われることになる】
【己の生死を賭けた一発の成否は果たして】
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 22:03:03.59 ID:slCwVJ04o
>>578

【触手は両断される。血の塊が周囲に飛び散って────】
【何度も見た光景だろう、今日一日でどれだけの血液を見たのだろうか】
【しかしその血液は全て、床に吸収される、これも柘榴だけが確認した事実】


ニンゲンの叡智だなんて、嗤わせること言わないでよっ、寝ぼけた事言っちゃってさ
あいつらの考えてることは縋るんじゃなくて、寄生だよ、強いニンゲンに媚びを売って傅く
それが道理でしょ、見てきたんじゃない、今まで沢山

それでも尚ニンゲンの味方をするの? ほんと、愚かが通り越すとあきれて物も言えないや
せいぜいその叡智とやらに頼りな、ありもしない知恵をひっくり返して
それが全部徒労だったときの顔、楽しみにしてるからさ────!!


【周囲には通常の工場で見られる機関がいくつかあった。精密機械のような塊だ】
【柘榴の推察は良い線を付いていた。本質はそこまで派手なものではない、と】
【イルも其れに気付いたのか、レッド・ヘリングに命じた────】

【目玉が大きく柘榴を捉えると、瞳孔から一発の弾丸が発射される】
【頭蓋骨であった────まっすぐ柘榴の顔面をめがけて頭蓋骨が発射される】
【着弾したなら着弾箇所を噛みきろうとする】

>>580

スナークの所になんて書いてあったか覚えてる? ボクは不条理なんだよ、理不尽なんだ
ボクには無数の側面があるのさ、スナーク狩りの一説にもあるでしょ?
でも、今のボクはイル=ナイトウィッシュっていう、可愛い可愛い病魔だから

遅いよねぇ、ほんとニンゲンって、今更分かったって感じだしぃ


【振るわれる触手は回避される。しかし、触手から節足のように腕が出現して】
【その腕からまた別の腕が出現し、空中に飛び上がった厳島の脚を掴もうとする】
【成功したなら足下の触手から歯が射出される、散弾のように大量の歯の弾丸が襲いかかる】

>>581

あははははは♪ ただの弱くて情けない実験動物以外の何だろうねっ、それ以外があるなら聞いてみたいよ♪
全部全部ぜーんぶ、君に力がないからじゃないの? 力がないから死んで、死んだ後もぐちゃぐちゃにされて
そして、今からまたぐちゃぐちゃにされて死ぬんだ、ホントに哀れだね♪

同情も何もしないけどさ!! きくかよニンゲン!!!


【弾丸の大剣が触手をなぎ払う。加えてレッド・ヘリングの一部も切り裂かれるだろう】
【使いこなしている、その能力は確かな痛みに耐えた彼女の強さ】
【けれどもそれは焼け石に水か、地面に落ちた肉片は床に吸い取られ、消えていく】

【天井と床から別々に触手が襲いかかる、夕月の脚、どちらか片方で良いから絡め取ろうと】
【応用力の高い銃弾と脚、どちらかを潰さなければという判断】
586 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/12(土) 22:13:56.91 ID:fl7ogGJ9o
>>585

【確かにそうだった、”この空間自体が”それなのだ】
【ならば──それらを止めればいい。その動力源を探し当てればいい】
【蒸気機関か、魔術機関か、タービンか──そのどれであっても、壊せば良いのだから】


「ええ、見てるわよ?性根から醜い人間もとっても多いわぁ」
「強い人間には跪いて、弱い人間には強く出る。それが”普通”だもの」

「──でもね、心の底から愛したい、好きだと思える人もいるものよぉ」


【彼女の言葉に応えつつ、痛む右足を労り左足を主にした跳躍を繰り返す】
【韋駄天とも称せそうなその速度は、飛来する矢のようで】
【下段に構えた刀で、障害となる触手を全て薙ぎ払っていく】


【突如放たれた頭蓋骨は、左目の隅で捉えていた】
【先程の看守と同じような類のそれだろうと、空中で左に半ひねりすれば──】
【その頭を上から下へ一閃する。それとともに、もう半ひねり】

【着地後、即座に走れるようにしたのだ。無意識に身体がそう動いていた】
【あれを動かすのは、とても精密な機構なのだろう。どれか一つでも壊れれば、全てが崩壊する】
【贄を、信仰を、死を運び込むものは何処にあるのか。それを求めて、跳ね回っていた────】
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 22:16:18.09 ID:IMyPaeI40
>>585

(っ、なんなのさっきから、みんなキョショクとかなんとか言って、……、)
(……消えた。はーん、そういうコト? ただブチ抜くだけじゃダメってか)

【書斎で真面目に書物を読まなかったのがここで悪いほうに効いてきた】
【とはいっても、読んでもほとんど意味を理解できなかったから、あんまり変わらないかもしれない】
【中空でまた身体を捻る。リボンがまた蝶を編んで、飛翔する。まだ着地はしない】


っ、死ぬかバーカ!! 見とけよ、あたしのことコケにしたヤツら全員、
脳天ブチ撒かしてやっから、なァっ――――、

【そうこうしている間に二方向から迫る触手。もう一度蝶を飛翔させて避けようとしたが】
【逃げきれない、なら迎撃――時間がない、豆粒の銃弾じゃ効かなさそうだし、変形させてるヒマもない】
【そう考えたら受けるしかない。少しだけ考えて――床からきたほうに、蹴りを放った】

【リボンが伸びる。くるくる巻かれて、鋭利なワイヤーのように尖ったら、先端で穿つようにして迎え撃ち】
【そうしたら天井のほうの触手に対する迎撃は、申し訳程度のものだった】
【右の銃に残っている2発を放って、勢いを殺そうとはしたけれど――さて】

【残弾――右:0、左:3】
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 22:18:15.10 ID:slCwVJ04o
>>582

────でたらめな力ほど、厄介なもんはないよねっ
何処でそんな力手に入れたのやら、それでニンゲンの味方するなんて
どうかしてるんじゃない? 何か弱みでも握られてんの?

どうでもいいけど、そっちはムカツクなぁ……!!


【魔力弾で隙を作り、レオーテヴュートは天井の穴に向かうだろう】
【イルの表情が変わった。余裕そうな色合いが消えて、溜息混じりに】
【レオーテヴュートが亀裂を叩く、浸食していくように闇が広がっていく】

【黒い刃が放たれる。レッド・ヘリングの奥からイルが放った一撃だ】
【禍々しい刃は近づくほどに身体の自由が利かなくなる、遠くから回避や迎撃をすればどうもないが】
【所見で性質が分からなければ直撃するかもしれない】

>>583

アハハハハ♪ よく言うよ! ひょっとして図星だったから焦ってるぅ?
女子供に向けて怒鳴るのってさいこーにかっこわるーいっ♪ それが論破されたときならなおさらっ
議論に大声出すのってみっともないよねっ、脳みそ腐りはててるんじゃない?


【触手は冷気玉の直撃を受け動きが鈍る。しかし、また次の触手が現れる】
【単純な物量で言えば此処にいる能力者達の比ではなかった、だからこそイルも消耗戦をしかけられる】
【そして何よりアーディン達の思考をよぎるのが、レッド・ヘリング自体にダメージが入ってるか不明な点か】

【イルも其れが分かった。単純な物量で押し迫る、触手が数本、たたみかけるようにアーディンに襲いかかる】

>>584

【カニバディールの出現させた砲台、その狙いを見て明らかにイルは表情を変えた】
【それはまずい、と言うように──レッド・ヘリングの後方から飛び降り、翼を羽ばたかせ疾走】
【両手で握るのは漆黒の大鎌、禍々しい雰囲気をそこに携えて】


────"Killers Like Candy"……!!!


【イルの大鎌が振り抜かれた、砲弾を切断し、その場で爆発させるだろう】
【彼女の身体が吹き飛ばされる、軽くないダメージをそこに受けた】
【そして、その行動こそがはっきりとさせた事実】


やってくれるじゃん……!! 今のはちょっとばかし、痛かったよ……っ!!
へぇ、今の状態でそんな事言っていいのかなぁ! ボクニンゲン以外には優しいけど
やり過ぎた狗は躾けなきゃ、折檻が必要だね、これは……!!


【レッド・ヘリングの前方に達ながら大鎌を振るい、刃をとばす。鋭い刃がカニバディールに襲いかかる】
【砲撃は防がれた、しかし、イルがわざわざ出てきてまで、防いだのだ】
【────示す痕跡は、一つ、虚偽が漸く明るみに出た】
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 22:19:58.82 ID:WLdYtO6s0
>>585

「不条理……ッ」
「――ッ!?」

【突如跳躍し、回避した身体がバランスを失う】
【脚が掴まれたのだ、次の瞬間】

「ぐッ――あああああああああああああああッ!!」

【大量の弾丸、否、歯の散弾が体中に突き刺さる】
【咄嗟に、頭を抱えガードするも、体中無差別に襲い来る散弾には然したる意味も無いのだろう】

「っぐう……」

【次の瞬間には、身体中を撃ち抜かれ、床に投げ出されるだろう】
【だが、思考は、決して衰えては居ない】

「レオーテ、カニバディール……無事か?」

【そう周囲に問いかける位には】
【何か、何か重要な事を忘れていないか?】
【レッド・へリングはそれ自体が目を逸らす為の存在だと……では本当に重要な物は?】 
【虚飾とはレッド・へリングが虚飾の存在なのでは無く、レッド・へリングの存在によって何かを隠す、為に虚飾なのではないか?と】

「こうなれば……」

【再び、無防備な身体を晒し、魔翌力探知を試みる、果たして……】
 
590 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 22:20:29.11 ID:r27KXxU70
>>579

…………ッ!?

【右腕に絡みつく触手をもう片腕での異能の斬撃で処理――――けれど遅く、ぶちりとなにかが断線した様な音が響く】
【思う様に動かないことからすれば、筋線維か腱でも千切られたか。けれど戦う力を残す以上、それは、さしたる問題でなく――――】
【……そうだ、こんな痛みだったのだ。“彼らが生きて、苦しんだのは”――、】


痛かった、苦しかった=\―――――――
それでも最後まで望んでいたッ、最後まで……救い出してくれる“誰か”を願って、潰えるその時まで、あの子たちは“命”としてあったッ‼
それを、ただ貪るだけの残骸になどさせられるものか――――奇跡なんて幻想じゃないッ、その軌跡に応えるために……

戦い、貫き通して“勝って”やるだけだ……ッ‼

【犠牲者を、加害者の糧とさせないために。さらなる悲劇の礎など、斬り裂けるものだと示すために】
【“進む”――――自我を代償とさせかねない意志を、この心に兇器はやどして】

力を寄越せ、■戒の宝■<b――――――――私に、あの悪夢を斬り滅ぼす刃を授けてみせろォォ――――――――ッ‼


【狂気の域で研ぎ上げた意志、“時”を操る宝玉とのさらなる感応。絶望を前に燃え上がる憤怒が、破滅的な灼熱を伴って
【かつてに比しても激増した力が見出せたのは、あまりに色濃く過去を再生し続けたこの場所ゆえの“経路”、】


【過去に到る経路を見出さんとし、決して変えられないまま力を求める。救い出したい、切り拓きたい――――だから、繰り返させないため力を寄越せと。】

【もしも、完全にあの子供たちの心が無化されてしまっていたとしても――――】
【苦しんだことは、弑されたことは、悪意に滅ぼされた結末は消えていない。ならば過去の怨念と呼応し、致命傷たる核への門を抉じ開ける――】
【呆れんばかりの力押しの害意が、あの絶望を許さないと慟哭び、吼え哮けっていた。それは――――子供たちの恐怖と絶望、それらからくる幻想に、力で迫らんとする行いだった】
【力で神に挑もうとすることなど、もはやただの狂気だっただろう。可能性の有無すらわからず】
【けれど遺された言葉と願いを抱き、兇器は。今こそ、真に兇器となるこの害意を選び取った。一瞬でも到れたならば、幻想を、ただの幻想へと貶めるための刃を揮う――――‼】
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 22:26:22.14 ID:slCwVJ04o
>>586

【そうして柘榴は見つけるだろう。触手によって守られた、ひときわ大きな蒸気機関】
【戦闘中にも関わらず、轟々と音を立てて稼働している。怪しい臭いは十分で】
【────しかし、それ故に守りも堅かった】

【触手の数は七本、それぞれがしなりながら柘榴へと、襲いかかる】

>>587


────────なぁんだ、簡単に捕まるじゃん


【天井の方の触手は予想外に機敏な動きを見せた、視線を向ければイルがレッド・ヘリングの前にいた】
【直接の視認であった、銃弾を回避し、夕月の脚に迫る、そのまま締め付け砕かんと】
【更にからみつけたなら収縮し、天井に叩きつけようとする、成功したなら、そのまま拘束を解く】

【つまり、攻撃が完全に成功したなら、天井に叩きつけられた後、落下することになる、が】


>>589

一回上手くいったからって何回も繰り返すのってさ、愚かじゃない?
動物だってもっと、まともに考えるけど、あっそっかぁ
ニンゲンだから仕方ないよね、一生堂々巡りしてな


【状況が違いすぎた。レッド・ヘリングの触手が乱舞する最中で無防備な身体をさらすのは愚の骨頂だろう】
【何かを探知するよりも早く触手が襲いかかる。顔面を陥没させる勢いで振り下ろされる】
【立ち止まって思考が出来たなら────厳島の思考を阻害するのも、一つの戦法であった】
592 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 22:30:28.60 ID:YPag1hO40
>>588

……俺が論破されたと思うのか。むしろそれが、貴様が人間と変わらないと言う事の証明に思うがな!!
(……もう、ボロを出してはくれないか。ヒントは尽くされた……さあ、どうする……!)

【この手のおちょくりは、まともに付き合えばバカを見るだけなのだ。適当なところで切り上げてしまうに限る】
【その一方で――――何らかの失言の類も期待してみたが、そちらは上手くいかなかったようだ】
【この状況で、虚飾をどう見破ればよいのか――――思考は、眼前の敵を、完全には無視できない】

っく…………何もないのか……ここには、こいつら以外なにも……何もいないのか……ッ

【思わず、胸中が言葉に漏れ出る。周囲の気配をひたすらに探る。対応だけにとどめて、こちらからの積極的な攻撃は行わず、ひたすらに『コア』を捜す】
【――――このまま消耗することは下策。それは先の戦士者たちの残したノートに、既に書かれていた事だ。それは肝に銘じなければならない】
【ひたすらに見る。ひたすらに耳をそばだてる。ひたすらに空気を吸い込む――――何か、違和感はないか、何か――――】

ッ――――チィッ!!

【そうした探りを、いつまでも続けさせない腹なのだろう。今度は数で押してくる】
【跳躍する。まるで因幡の白兎の様に、振るわれる触手を乗りこなし、ついでとばかりに爪を振るって切り裂く】
【――――こんな事をいつまでも続けていては、体力が持たない。その前にきっかけを見つけなければ――――流石のアーディンも、胸中に焦りが湧き始めた】
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 22:33:07.75 ID:slCwVJ04o
>>590

御高説どうも、反吐が出る以外の感想がないんだけど一応送っておくね
あの子達は命としてあったなんて、立派な事言うけどさ、君が日々殺してるのも命だよ
ニンゲン以外の命をさ、一体どれだけ奪ってきたのやら

それ全部棚に上げてニンゲンが殺されたら怒るって、ホント何様のつもり!?
ああ、そうだった、ニンゲン様だもんね、君達は、みんな、みんな!!
悪夢だと思っているのも君達だけ、他の皆は、ボクの勝ちを祈ってるから──!!


【苛烈なSlasherの言葉、信念が刃に叩き込められる。それを見てもイルは嘲笑を止めない】
【狂気であった。しかし、その純粋な狂気こそ、この場には相応なのだろうか】
【止まらない。触手の雨を切り開き、レッド・ヘリングの心臓部へと迫る】

【無数の乱舞があるだろう、それらを受けたのだろうか、或いは切り開いたのだろうか】
【いずれにせよSlasherの刃はレッド・ヘリングの巨大な一つ目をたたき割る】
【真っ二つに、切り伏せるだろう────】










────ざーんねん♪



【切り裂かれた一つ目は分裂し、二つになった。貴方を捉える二つの瞳】
【両方の瞳から放たれるのは歯の弾丸、細かく砕けた乳歯が散弾のようにばらまかれる】
【点ではなく面の攻撃、剣士には効果的な一撃となるか────】
594 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/12(土) 22:35:29.52 ID:fl7ogGJ9o
>>591

【見つけた──ひときわ巨大な蒸気機関、数本の触手が纏わりついて守っている】
【しかし、其の視界は徐々に閉ざされていく──それに、身体も倒れていって】
【そして床に顔を伏せてしまった。格好の餌食となった女に、触手が群がっていく】

【その四肢を千切らんと、雌を喰らわんと、ヒトを殺さんと────】
【その刹那、女の容姿が変わっていく。色留袖は漆黒に染められた黒留袖に変わり】
【そして腰まであった梓色の髪は、漆色の短髪に切りそろえられて────】


「なァんだ、俺の出番か」


【群がってきた触手を、黒い刃が裂いた──】
【破壊の象徴たるそれは、裂くと共に衝撃を与えて言葉通り”ぶち破った”】
【びたんびたんと地面で触手が跳ね、剣士は一息つく】


「やれやれ、とんでもねェ時に喚びやがるな」


【破壊を、破滅を、殺人を求める──まさに人外たる形態】
【もうひとりの柘榴が、その花を咲かせた。黒い、どす黒い柘榴の花を】


「それじゃ、いっちょ決めてやるかなァ」


【蒸気機関を守る触手を絶たんと、周りの触手を切り刻んでいく】
【刃が通る度に組織が弾け、乳歯と共に飛んでいく。精密性など皆無だが、威力は凄まじく】
【地面に切り刻まれた触手が打ち上げられた魚のように跳ねる。ようやく、機関が露出シア】
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/12(土) 22:38:20.47 ID:lEdQu2xCo
>>589
今のところはな!! 魔力探知をするなら急げ、私が足になってやる!!
【再び無防備な姿を晒す彼に気を割きつつ、カニバディールが叫ぶ】

>>591にて振るわれる触手から厳島を庇うべく、彼の身体を抱えて背負おうとする】
【成功すれば背中から肉の触手を生やし、彼の身体を固定して動き回り】
【彼を護りながらその魔力検知を遂行させようとするだろう】


>>588
……底が知れたな。危機だからと言って、そうまで焦って動いては敵に弱点を知らせるようなものだ
折檻が必要なのは貴様の方だ。その迂闊さを、主神のグランギニョルとやらに詰められなければいいな?

【イルの貌を見てカニバディールが言い捨てる。その顔に笑みはなく、ただ侮蔑があるのみだ】
【攻撃は確かに防がれた。しかし、彼女が身を挺して防がねばならないだけの効力が今の自分の攻撃にはあったのだ】

【そう判断したカニバディールは、再び攻撃に移る。こちらへと飛んでくる大鎌からの刃を睨みながら、叫んだ】


>>ALL
工場の壁を狙った攻撃を、彼奴が防いだ!! この空間そのものを攻撃する!!!
この場の密閉を打ち崩す!!

【短く叫ぶと、カニバディールは両腕を膨らませて刃を受けた。肉が削ぎ落され、さらに傷が追加される。苦痛は無視する】
【再び口を開けると、カニバディールの口中から不吉な音がし始めた。濁流が流れるかのような】

赤い死の病……貴様の物語を、再現してみせてやる――――ゴバアアアアアアアアアアアア!!!

【濁った絶叫と共に、カニバディールの口から吐瀉物が吐き出された。それこそ、風呂桶一つ、二つでは済まない量が】
【その吐瀉物に交じって、いくつもの筒状の物体。先も使われた爆薬。しかし、量が違う】

【それらが、次々に起爆しようとする。それも先ほどのものと違い、これは爆風に指向性を持たせたものだ】
【一方向に向けて放たれる爆風。工場の壁に、床に、工場に。あらゆる方向に向けて】
【この部屋そのものを穴だらけにするために。工場自体を、叩き潰さんばかりに荒れ狂った】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/12(土) 22:41:04.12 ID:CaxAzfSL0
>>588

「刃や4本の腕などは、僕がある時目覚めたものだけども――」
「本格的な人外化と"天の使い"の力だけは、君のだぁぁい好きな"人ならざる存在"から貰ったんだよ?」

「それに、僕は人間の味方をしてるんじゃあない。"悪ではない存在の味方"をしているだけ。」
「もしも、君が僕から見て"正しい"行いをしていたのなら、きっと味方してたかもね」

【挑発的に言葉を投げかける間も、天井を叩くことは止めない。反動で手は痛むが、許容範囲だ】
【なお、下方で戦う者たちの事は少し頭から抜けているため、もしかしたら瓦礫が悪い作用を齎すかもしれないし、そうでもないかもしれないし】

【――目指すは、レッド・ヘリングの奥――だった、けれども相手の発言と様子から、何かを察した】
【"ただ単に道を開かれるだけ"とは違う、何か……】

「――へぇ、ムカつくんだ。じゃあ、もっと叩いて崩して欲しいってことだね?」

【その笑みは、おおよそ敵に向けるものではなかったけれども、眼だけは正しく敵に向けるべきそれ】
【――続く、黒い刃。……まだこの力は使いこなせておらず、錯乱程度の魔力弾なら扱えるが迎撃のためのそれは自信がない】
【となると、素直に回避すべきか……なんて考えていると、身体が重くなっていって】
【"見えない効果がある"、自由を封じられゆく身体に刃が迫り――全身に魂砕のエネルギーを纏わせるも、多少の減衰程度に収まる】

【角を、頭部を、刃が切り裂く。……おそらく、地面かレッド・ヘリングの上のどちらかにレオーテヴュートの角が落下するだろうか】
【血の色は人と変わらない赤色だ。けれども、僅かに見える……溶け込んだ虹色の魔力】
【誰が利用しても有効的な強化を発揮してくれるかもしれないし、別にそんなことはないかもしれない】


>>589,>>ALL

「……無事だよ、それよりもさ」
「天井壊されるのムカつくんだってさ、天井に陣取られた方かもしれないけど」

【予想以上にダメージが大きかったのか、頭部を上の右腕で押さえつつ】
【厳島含む他の者共に、体勢を立て直す合間に情報を提供する。】
【天井にいるためある程度大きな声を出さざるを得ず、それが傷に響いた様子もあるが――】
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/12(土) 22:41:38.89 ID:IMyPaeI40
>>591

ッぐ――――――ぅううっ、

【赤と黒のボーダー模様のサイハイソックスの向こうから、めきめきめき、と音がする】
【締め付けられれば文句なしに痛かった、骨が軋んで、このままなら砕け散る予感がする】
【でも、頭は冷静だった。不埒にも、「あの魔女に受けた仕打ちよりずっとマシ」なんて、考えて、いて】

【ぐん、と急激に上昇する身体。それが天井に激突する前に、残っていた3発を全部吐き出した】
【それも当たり前のように、中空で融合。ひとつの塊になって、形を変えて】
【――否、明確な形状は取らなかった。クッションのように広がって、衝撃を吸収したのだ】

【それでも大きな音がした。天井に叩き付けられた身体、クッションのおかげで骨は折れたりしなかったけど】
【衝撃は甘んじて受けるしかなかった。ぐ、と呻きながら、自由落下に身を任せ――】


(――――――だれかッ、何か――いいポイント、おしえてよっ、)
(「火力」ならある、一帯まとめてブチ抜くだけのやつなら、あるからっ……)


【――そうしながら、必死に視線を、地上で戦う人々に向けるのだ】
【誰かがどこか、「弱点」を見つけてないだろうか。そう考えながら、戦場を見渡して】

【――――リロード。この瞬間は何もできない、代わりにすべての弾が再度籠められる】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 22:44:02.43 ID:WLdYtO6s0
>>591

「……」
「全く、真面に答えるのも、莫迦莫迦しくなる」

【そのイルの声掛けにより、幸か不幸か、触手の攻撃に気が付き】
【伏せてそれの回避を試みた】
【そしてそのまま、腰の擲弾筒を取り、地面に設置し】

「少し黙るといい、邪神様……ッ」

【そのまま、出鱈目に射出する】
【これだけの触手、これだけの範囲で広がっているのだ】
【爆発を生じさせる擲弾(グレネード)ならば、どこかしらにダメージは生じるだろう、と】

【あまりにも、無策な攻撃ではある、だがこの場合なるべく広い範囲にわたり、尚且つ攻撃翌力の高い武器が望ましい、と】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 22:44:48.99 ID:slCwVJ04o
>>592

ねーねー、口だけは達者だけどさぁ、何時になったら先に進めるのかなぁ
それともさっさとあきらめるか、どっちかにしてくれなきゃボクだって何時までも暇じゃないし
今日はいっぱい戦って疲れたからさぁ、家に帰って鈴ちゃんに癒して貰わなきゃ


【イルの言葉は何処までも自分本位、情報量が多い割に成果は上がらないだろうが】
【アーディンに関しても一緒であった。戦闘中という状況が正常な思考を阻害する】
【レッド・ヘリングは持ち前の質量と物量を以て波状攻撃をすればよい、単純な相性問題】

【しかし、レッド・ヘリングの方も回避されてばかりでは、と思ったのか】
【アーディンに向かう触手の量が途端に増える。かと思えば、一本ずつ突撃したりする】
【攻撃に緩急がつき始めた、狙いは一つ、その体力を奪い、隙を見せたなら絡みつこうと】

>>594

【────イルはその存在に気付いた、身に纏う雰囲気が大きく変容する】
【一人のニンゲンに宿って良い力ではなかった、振り回される刃は暴風の如く】
【触手が瞬く間に切り開かれていくだろう、そしてその先には露出する機関】

【通常のニンゲンではまずたどり着けない境地であった、それこそ人外の域】
【最早そうなると、これはイルの試練だったのではないかと思うほどに】
【これを壊せる人外を探すこと、それそのものが彼女の目的だったのでは】









ありもしない知恵をひっくり返して、それが全部徒労だったけど、どうしよう?


【機関が爆発する。飛び散る無数の骨片。人体にある骨が爆風と共に襲いかかる】
【如何にも大事そうに見せかけるという "虚偽" それこそがレッド・ヘリングの罠か】
600 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/12(土) 22:51:45.53 ID:fl7ogGJ9o
>>594

【──ああ、そうだった。失った理性は、その全てを虚無に還す】
【喚び出され、権限を渡した。しかし短期記憶だけは共有されている】
【それからすっぽりと抜け落ちていた──”虚偽”の、証明】


「やっぱそうじゃねぇか、あんの阿呆──ッ!!」


【骨片が爆発により放たれると、露出されている部分全てに襲いかかる】
【見せかけの罠に引っかかった自ら、そして記憶を共有した”阿呆”に怒りを覚えれば】
【感情が昂ぶったおかげでなかなか痛覚が言うことを聞かない。都合が良いかもしれない】

【後方に吹き飛ばされるも、ズサーッと音を立てて着地】
【草履の抵抗値の低さに救われた形となった】


「はんっ、徒労でも構いやしねェさ。次だ次!」


【彼女に見えるように口角を吊り上げれば、再び駆け出す】
【大事そうに見えて、そうではない。そうではなさそうで、大事に見える】
【──また一からやり直しだ、ハリボテなのかもしれないが────】

【それでもトライする価値はあった。幾ら嘲笑を浴びようと、他の連中は境界を崩そうとしているのだから】
【此方にいくばくかヘイトが向けば、動きやすくもなるだろう】
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/12(土) 22:51:57.94 ID:WLdYtO6s0
//すみません>>598に下記を追記でお願いします

>>595>>596

「カニバディール!?レオーテ!?」
「すまない、頼む……天井だな……」

【僅かな時間、仲間が稼いでくれたほんの僅かな時間だ】
【出鱈目な擲弾筒での攻撃が上手く行けば、指向性を天井に向け、そして再び魔翌力探知を行うだろう】 
602 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/12(土) 22:59:37.02 ID:YPag1hO40
>>599

――――飽きっぽいガキだ。やはり所詮貴様も、その器の中身は人間と変わらんな……!
……貴様らが倒れるまで、俺は止まらんよ――――――――オヤジを舐めるな、小娘

【わざわざ切り上げたはずの罵声を、再び浴びせかけたのは――――別にイルに向けてではない】
【それは、己に対する鼓舞だった――――戦いと殺しに明け暮れて、48の今まで生きてきたのだ】
【ならば、これからも生きてやる。刻まれた時間は、自分だけのモノ。この重みは、自分だけのものなのだ】

(レッド・へリング……落ち着け、こいつはディレクションの存在。なら『ミスディレクションしたい対象』がどこかにあるのは、間違いないんだ……
 目を逸らさせる……なんだ、『何から目を逸らさせる』……?)

【基本に立ち返って、アーディンは思索をもう一度やりなおす。この巨大で目に付く存在は、どうしても無視できない】
【逆に言うなら、『これがあるおかげで目に付かなくなる』存在はなにか、と――――】

――――――――ッ!?

【1つの思い付きがあった。だが、それは流石に奇をてらい過ぎて、無い様に思う】
【――――だが、試してみるだけならいいだろう。それでなければ、いずれ消耗は避けられないのだから】

くっ、鬱陶しい!!
――――ッッッ!!

【だが――――攻撃の数は、にわかに増えた。どうやらレッド・ヘリングは、自分を危険視し始めたらしい】
【これで囮になれる――――とは考えない。元より敵の手数が多すぎるのだ。仲間の負担を軽くする役にも、たっていないだろう】
【なら、破れかぶれに、試してみるしかない――――】

【――――光の分身を発射する。狙いは、先ほどから傍観者の立場にいるイル――――】
【ついで、ダークグリーンの魔玉を投擲する。狙いは自分の足元。その突風を以って、自分自身を吹き飛ばす】
【触手が一撃、足をかすめた――――掠めたというには重い一撃で、響く。が、今は無視だ】
【そして自分自身も跳躍――――狙いはイル。その目を突き破ってやろうと――――】

【――――レッド・へリングのために、イルは傍観者。この状況はおかしくないかと考えたのだ】
【勿論、過去のレッド・ヘリングの戦いにも、介入していないのならハズレはハズレだ。だが、試してみるだけ試してみようとしたのだ】
603 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/12(土) 23:01:43.74 ID:r27KXxU70
>>593

――――――――かふ、……ぅ、くぅうぅぅ――――――――……ッ‼

【切り裂いた眼球は、反撃を撒き散らしながら、影の総身にさらに深く傷を穿ちながら、ふたつに増えて絶望を増した】
【脳裏に蘇ろうとする不可能、限界、“人間だから”、届かないのだとイルは言うかの様で】

(……ああ、そっか。だから、貴女は――――。)

【破壊的な意志に入り混じって蘇る“かつて”は、その答えに、己を取り戻しながらくつと、また笑った】


誰も彼もが“人間だから”――――だから、思いあって守ろうとする?
……思い込みも、ここまで来ると笑えて仕方ない。

私は“命”としか言っていない――守りたかったのは、“人間”に限ってなんていない。
人間だとか人間じゃないとか、そんな理屈は……初めから、何の関係もなかったのに。
むしろ斬り裂いてきたものは、きっと、人間の方がずっと多い……。

だからこそ、ただ苦しめて笑うだけの病魔(おまえ)を否定する――――
守りたいと願ったモノのために踏みしめた、数えきれない骸にかけて――――たとえ独善でしかなかったとしても、絶対に、何も諦めてやらない……‼

【再び、そしてさらに前へ。思い描くのは勝利への経路】
【この刃は、今やレッド・へリングにさえも届く。けれど幻想の怪物が変わらず再生を繰り返すならば、願うべきは力の比べ合いではなく、】

私は、“力”でこれに及ばなくていい――――
ただの幻、ただの夢……それを覚ますための一撃を、叩き込む筋道さえあればいい……ッ!

【下から上へ、左から右へ。十字に与えようとする攻撃は、“時”の力を、不定のカタチにして載せていた。それは、呼びかけでもあるかの様で】
【頑迷に進むしかない命だから、どうか、答えを教えてほしい――――共に戦う彼らでも、虐げられたものたちでもいい。今度は両眼を、断つのではなく、叩き潰す様に斬撃し再び“経路”を願う】
【絶対に、諦めてはならないこの局面――――この力を捧げることになってでも、夜闇の幻想を打ち払わなくてはならないから】
【倒せる誰かに譲り渡すことさえも選択肢に加えるように、再生され続ける幻想の真なる核を今一度求めた】

【無為だとしても諦めず――幾度でも幾度でも挑んでやると、人の諦めの悪さで】
【命尽きるその時まで、滅ぼされてしまったたくさんの命に倣い、応えようとする様に――きっと独善的に。】
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/12(土) 23:44:37.63 ID:IMyPaeI40
>>ALL

【誰かが言った。天井、――――「はーんなるほど。こういうときはいつでも天井、おっけーおっけー」】
【――――ブチかませ、と本能が叫んだ。ならばもう、やることなんてあと一つだけ】

【足首に絡まるリボンがほどけて、消えた。羽搏く蝶の翅のきらめきも、もうない】
【それと同時に、両手の銃すら手放した。見る人が見れば、もう全部諦めたんだな、と】
【何もかも失って、もう終わりにしてしまいたいんだと思わせるくらいに。空中で、丸腰】


【 ――――――まったく違うけど。もう終わりにしてしまおうって思ったのだけは、本当 】


【手放した銃が空中で融けて、光の粒になって消えた。その、きらきらが】
【水面に打たれる波紋のように、宙に広がっていく。円を描く。その内部に複雑な文様を刻んでいく】
【わかりやすく、魔法陣だった。何かを召喚するための――――相当に大きな陣】

【そこから現れたのは、一門の大砲だった。鉛の悪魔、と言うらしいけど、今はきっとどうでもいい】
【少女が天を指差すと、大砲の大きな顎もそちらに向いた。きゅい、と音を立てて周囲の魔力を吸い込んで】
【吸い込んで、吸い込んで吸い込んで――――収縮させる。そしてそれは、】



  ――――――――ブチッッッかませ、 ≪ ザミエル ≫ ッッッ!!!!!



【少女の号令と共に、咆哮する。吸い込み切った魔力を全部、ありったけ、一塊にしてぶっつけようと】
【思いっきり、放たれた――――斉射!】
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 23:46:24.14 ID:slCwVJ04o
>>ALL

【厳島をカニバディールが拾い上げる、その後厳島がグレネードを触手に放つ】
【アクション映画さながら、間一髪のスタントアクション。爆風が触手の動きを止め、走り抜ける】
【カニバディールの献身もあり、厳島は任を果たす。──魔力探知が示す結果】

【この工場内の魔力は全て、レッド・ヘリング本体ではなく、周囲の壁や天井、床にいっていると】
【厳島はすぐさまカニバディールに伝えるだろう。それはカニバディールに一つの確信を委ねる】
【しかし、思考の時間は殆ど無い、刻一刻と状況は悪化していくから】

【その刹那カニバディールにレオーテヴュートの情報提供が飛ぶ、それも彼の確証を強めるだろうか】
【柘榴とレオーテヴュートへ再び触手が向かう、二人の働きによって幾分かカニバディールへのマークが外れた】
【けれども、それで彼に掛かる負荷が変わるわけではない、いずれにせよそれは強大で】

【────しかし、カニバディールに向かう寸前で触手が動きを止める】
【イルに攻撃を仕掛けたアーディン、本体へ攻撃を放つSlasher、二人の対応にレッド・ヘリングは尽力せねばならなかった】
【触手でイルを守り、Slasherの攻撃を受け、再生するのに力を使ってしまった】


>>595(カニバディール)

うるさい!!! だまれ、だまれだまれ!!! 
っ……何で────何でだよ、そんなデタラメな……!!
そんなデタラメな身体をした、化け物のくせに……っ!! どうしてニンゲンの味方するんだよ!!

分かってるくせに!! そんな身体で、ニンゲンの中で生きられる訳ないって!!
化け物、人でなし、異形、ボク達を形容する言葉なんて無数にあるんだ、ニンゲンが作った忌々しい言葉!!
それだけの呪詛を吐かれながら!! なんで、なんで────!!!

他のもそうじゃん!! ニンゲンなんか何人もぶっ殺せる力を持ちながら、ニンゲンの味方をする!!
なんでなの!? 全然意味分かんない!! こんな腐った世界、知ってるでしょう!!
どれだけ鈴ちゃんが傷つけられてたか!! どれだけ追い詰められたか!!

────全部、全部、ニンゲンだよ、追い詰めたのも、追い詰める環境を作ったのも、全部、全部!!
だからボク達が壊さなきゃ、もう、ニンゲンにこの世界は任せてられないから
違う理の神が必要なのさ、絶対に間違いない、強大な神が!!

────それなのにどうして分かってくれないの!? ニンゲン以外が、どうしてボクの敵になるの?


【最後の問いに答えは無かった。カニバディールと夕月の引き起こした崩壊が工場を包んでいた】
【レッド・ヘリングは何も言わない、ただ這いずり回る呪詛を述べて、身悶えさせる】
【天井が落ちる、壁が崩れる、床が砕ける、崩壊が迫っていた】

【そして、それが引き金とばかりに、レッド・ヘリングの身体が崩れて果てていく】
【────終幕が来たのだと、誰しもが理解するだろう】

/↓
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga !red_res]:2018/05/12(土) 23:48:40.95 ID:slCwVJ04o

【――――――――――――――――ぼとり、と触手が落ちた。天井に貼り付いた部位が落下する】
【それが火ぶたを切ったかの如く、あちらこちらから "レッド・ヘリング" がその図体を崩壊させていく】
【 "レッド・ヘリング" の本体は工場そのものであった。不定形の生物こそが、それから眼を反らす為の虚飾】


【触手の口から血が零れた。吐瀉物のように飛び出したのは目玉や骨、白が赤を中和するかのように周囲に塗れ】
【這いずり回った死の痕跡が、周囲を地獄絵図のように書き換えていく】
【而してそれは断末魔。何を壊すこともせず、ただただ果て無き死であった】




くそ!! くそ!!! くそ!!!! なんで "レッド・ヘリング"がやられるんだよ……っ!!
弱くて惨めなニンゲン風情が!! あああああもう!!! むかつく……っ!!
全員覚えたからね、絶対、絶対……!!! 破片も残らず殺しつくしてやる!!


脳髄掻き毟って目玉抉って、鼻削ぎ落してこれ以上ないぐらいぶっ殺 す!!!
許さないから、全員惨めに逆らった事を後悔するぐらい、死んじゃえ!!!!
――――次は"Lethe"で、ニンゲンなんて、だいっ嫌い!!!!!








【イルの怒声が響き渡る。小さな身体の何処にこんな力があるのか、という程の音量で】
【その眼には深い怒りがあった。深紅の瞳が貴方達を捉え、そのまま貪り尽くすが如く】
【舌打ちを響かせたなら、踵を返して、深い霧が彼女を包んでいく】

【霧に紛れるようにその姿を消していく。気がつけばその場に彼女は居ないだろう】
【後に残るのは崩壊していく "レッド・ヘリング" 最早戦う力は無いが、周囲に身体の部位が飛び散っていく】
【そのどれもが急激に腐食していくのである。止まった時間が動き出したように】

【やがて、周囲の風景が一変する。崩壊していく工場の壁や天井、内部の施設が消え、夜が満ちていく】
【気がつけば "レッド・ヘリング" は腐敗した肉の塊となっている。黒々とした肉片が周囲に散らばって】
【それを取り巻くように無数の白骨死体が散らばっているだろう。おそらくは子供の骨】

【能力者達は気づくだろう。自分たちは工場跡を旅させられていたのだと】
【現実にあったのは焼け落ちた工場の跡。そして散らばった無数の死体だけ】
【殺された子供達は記憶でしかなかった。それもある種の残酷さを孕んでいて】

【 "レッド・ヘリング" の死体は分析しても、人間の死体であるという事しか分からないだろう】
【正確に言えば無数の死体が繋ぎ合わされた物体である、という事だけが伝わる】
【それだけ特異な存在であったのだ。だとすればその意義とは】

【――――いずれにせよ、白神 鈴音の手がかりは殆ど得られない。多大な徒労に終わるのだろうか】
【手がかりとなりそうなのは途中手に入れた書物、おそらくはイル達の正体を示す書物】
【そして彼女が残した、"Lethe" 物語は再び、混沌の中へと落ちていく】

/これにてイベント終了させていただきます! 皆様長時間のおつきあいありがとう御座いました!
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 00:00:10.56 ID:YWlM8L4t0
>>604-606

「これ以上壊させない、ってかっ!」

【向かう触手、ふらりと立ち上がりつつ、天井上でサイドステップ】
【それは着地する前だったか、後だったか。どちらでも大差ない】
【強い衝撃、それから崩れ行く天井、彼はそれに巻き込まれたのだ】

【もしかしたらカニバディールがどこか――異世界のどこかで見たことがあるかもしれない形や色の翼は、この状況では役に立たず】
【けれども、このまま無策で落ちればどうなるかなんて、考えなくてもわかっていた】

【――エネルギーを砕く、それは非常に範囲の広い、強力なもの】
【彼が砕くは落下に伴うエネルギーたちだ。……落下速度を弱めて、その衝撃を軽減するのが目的】

【……彼が瓦礫に埋もれることはなかった。それもまた、幻影だったのだから。……けれども、落下は現実。身体が痛む。】
【むくりと、ゆっくり身体を起こす。立ち上がるのはまだ先。……背の翼で身体を覆ったのに深い意味はない。ちょっと疲れただけ】

「……最初から、工場は壊れたままだった。……はぁ、これも幻じゃあないよね?」

【一度疑心暗鬼になると、どうも抜け出せなくなる。……ともかく、元凶と思わしき存在がいなくなったのだから、今のこの風景は本物なのだろうか――】

/お疲れ様でした!


>>厳島、カニバディール

【こんな状況でなんだけどさ、なんて最初に言いつつ2人に弱った声で呼び止める――もしそれに応じれば、彼は次のように続ける】

「……なんか、……赤木って人からこれ渡してくれって、邪禍的な奴から言われてさ」

【震える手でどこからか取り出されたのは、2つの銀色に鈍く輝く腕輪】
【漆黒に輝く部分を1つ持っていて、……なんだか聖を持つ彼の腕を嫌がってるように見えるような、そうでもないような】

「なんか、……どっかにワープできるらしいよ、何だっけ。……アパート? 違うなぁ……まぁ、うん」

【さすがにダメージが大きいか、説明は酷く雑だが……まあ、嘘は言っていない】
【密かに邪禍が用意したMチーム用の拠点(賃貸)への移動をスムーズにするため、赤木が開発した魔道具であり】
【細かい仕組みは省くが、ともかくまあ、制限有りの転送装置的なものである】
608 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/05/13(日) 00:00:59.34 ID:FZYepPip0
>>605-606

っ、なんだ……天井が――――フィールドそのものが、レッド・ヘリングの正体……!?

【吹き飛ぶ天井に呼応するように、レッド・ヘリングは壊死していく。その光景に、アーディンは言葉を失った】
【――――やはり肉塊は、ディレクションのための存在で、ミスディレクションしたい本命が他にあった――――それは事実だ】
【だが、それが空間そのものだったとは――――道理で、いくら周囲を――――2人以外の存在を探っても、意味がなかった訳である】
【自分たちは既に、箱の中にいたのだから、感じなくて当然なのだ――――結局自分はディスカバーできなかった事になる】
【だが――――ともあれ勝利は勝利だ。これっぽっちも貢献は出来なかったが、そこは考えないようにしよう】

――――『偶像』にすがる負け犬が、いつまでも吠えるな……さっさと失せろ。次はその両目を突き破るぞ……!

【イルの怒りの叫びが響く。冷ややかに、アーディンはそれを見返した】
【――――かつての友人の仇とは、名前が同じだけの完全な別人だ。それは理解している】
【だが、その邪悪な意思は、やはり世界に仇成し、そして人の命を無為に奪うものだ――――そんな存在に、自分は絶対に負けはしない】
【体力の消耗に、呼吸が乱れながらも、アーディンは霧に包まれ消えていくイルを、冷たく見送った】



――――っぐ、どうやら……最初から最後まで、無駄な徒労をしてしまったようだ……せめてあの本、回収しておくべきだったな……

【工場が、ただの跡地である事をしり、アーディンは溜息を吐く。重要な情報の書かれた書物まで、露に消えてしまった】
【そして、本来の目的は達成できず――――やりきれないといった表情で、アーディンはどっかりと座り込んでしまう】

「――――おぅおぅ、酷い目にあったらしいな、旦那?」
――――すまん、軽口を返す余裕もない。疲れ果てているんだ……悪いが、すぐに運んでくれ……
「……仕方ねぇ。その様子じゃ、色々とあったらしいしな。ま……詳しくは、後でゆっくりだ……」

【その工場跡地に飛び込んでくる車に、アーディンは飛び乗る――――おびただしい死の跡を、その場に残して】
【――――果たして、これからどうなるのか――――まだアーディンは、先の見えない幻に包まれていたような気分だった】

/長時間、乙でしたー!
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/13(日) 00:07:35.30 ID:2mm1Kklj0
>>605-606

【「大嫌い」。イルが放った言葉を受け止めて、ひどく胸が痛んだ気がする】
【本来なら、自分だってニンゲンの側に居られない。わかっていることなのに】
【鈴音だってそうだ、傷付いたっていうのも本当だと知っている、なのに】
【……どうしてイルに銃口を向けたんだか。あんまり、思い出せなかった、けれど】


だからって、だからってえ……なんでも壊して、殺して、傷付けてっ、
それを笑っていい理由になるって、思ったら、大間違いっ……なん、だからっ……

――――――――やっぱおまえのこと、あたしもっ、大嫌いっっ!!!


【――――理由なんてそんなものだ。鈴音が、鈴音だけじゃなく、いろんな人が泣くから、悲しむから】
【それだけの理由で少女は銃を取るし、銃口を敵に向けるし、引鉄を引く】
【同族だろうがそうじゃなかろうが、誰か好きなヒトが傷付くんなら、誰だってそうしてやる】
【それだけのシンプルな価値観で少女は進んできた、今までも、これからも】

【 それだけでいい。それくらいのほうがきっと、よっぽど、人でなしっぽくて似合ってる 】


【撃ち終えた少女は、そのまま落下して――死肉の蔓延る大地へ背中から落下する】
【数度寝返りを打ってもんどりうってから、ようやく起き上がるだろう――そして周囲をきょろきょろ見渡して】
【大きな大きな息を、吐くのだった。……心底疲れたと言わんばかりに】


//おつかれさまでした〜、途中私のせいでテンポ滞りまして大変申し訳ございませんでした……
610 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/13(日) 00:09:18.03 ID:Ozss1TNZo
>>605-606

【屋上が崩れ、触手がぼたぼたと垂れてくる──そして崩壊】
【今日の生存は少なくとも担保された、安堵してその光景を眺める】
【例の淫魔は逃走してしまったし、虚無の空間だけが其処に残されてしまった】


「──よゥ、帰れるらしいぜ」


【はぁ、と一つ嘆息を吐けば傷だらけの身体を地面に落とす】
【思考領域、記憶領域ともにパンパン。先日の戦闘以来の疲れを感じて】
【アドレナリンが切れて、突き刺さった骨片から痛みを感じるようになって──】

【その痛みが相当なものになるまでは、長くなかった】
【暫く地面を転げ回った後に、スイッチが切れたかのように動かなくなる】
【多分、何をしても起きないだろう。連れ去っても、殺しても気づかないだろう】

【兎に角、泥のように眠る。それは数日に渡ることだろう】

// 主催者の方、参加者の皆様お疲れ様でした……!
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/13(日) 00:16:56.03 ID:VhHifruMo
>>600
く、はは……ずいぶん様子が変わったが、おかげで上手くいきそうだ!!

>>596
相手の嫌がることをやる、戦闘の常道だな!!
ありったけ叩き込んでやろうじゃあないか!!

>>601
そうだ厳島、天井だ!! 全火力を叩き込んでやれ!!


>>605
【共闘者たちにそれぞれ叫ぶと、異形は病魔に向き直る。全員で暴き立てた、貪欲な獣の正体を睨みながら】
【連携の力。たとえ本来は敵同士でも、たとえ即席のものでも。それは時として、大きな力となる。神さえも討つほどの】

【アーディンとSlasherが注意を引いてくれたことを確認すれば、後はただ破壊を振りまくのみ】

味方だと? 私が人間の味方をしているように見えるかね?
ならば答えてやろう。『利益と打算』だよ。私の行動は、常に私の利益に直結する

人間の中で生きられない? 当然だ。だから、似たような連中を集めて自分たちの利を貪るシステムを作った
人間を殺せる力を持ちながら? その力をただ振るっても、利益にならない

この腐った世界? その通りだ。だが、その腐った世界でなければ、私は生きられない
人間の作ったその環境をぶち壊してしまっては、私の得にならないんだよ。利を得るためには、土台となる世界が必要だ

結局のところ、私はこの腐った世界が嫌いじゃあないんだ。この汚泥の如き混沌が
そこに、絶対の神になど登場されては困るんだよ

【カニバディールが発した答えは、彼女に届いたのかどうか。どこまでも利己的で身勝手で、ゆえに彼女と相容れない答えが】
【どちらにせよ。自分の爆薬を引き立て役に、解き放たれる鉛の悪魔≠ェ、全ての決着をつける】

【そして、ピリオドが爆風と破壊と共に打たれる。外なる世界の神の一角は、こうして滅び失せた】
【断末魔までも悍ましく。暴れ狂う神の死は、派手ではあるがあっけなくもあった】


……次、か。この傷では、残念ながら……次には、参加できそうにない、な……

【流石に、受けた傷は堪えた。異形がその場に膝をつく。それでも、怒り狂うイルから、最後まで目は離さず】
【霧と共に病魔は去り、残された獣は腐り落ち。気が付けば、廃墟に立っていた】

……まさしく、全てはただの悪夢。引き剥がしてみれば、こんなものか
肝心の鈴音については、わからなかったが……仕方あるまい。他に、託す……

【血反吐を吐き捨てると、異形はふらつきつつ立ち上がった。手に入れた情報だけはバラ撒かねばならない、そう考えながら】

>>607
【呼び止められれば、すぐに足を止めて振り返る。差し出された腕輪を、同じく震える手で受け取って】

赤木……。……ありがたく、セヴォランディさん
拠点を用意してくださった、と……邪禍さんに、よろしく伝えておいてくれ……

【礼を言いつつ、配布用にといくつか予備も求める。複数を受け取れば、それを肉の中にしまい込んで】
【この地獄を生き延びたことを、ひそかに安堵した。また自分は生き残った。まずは、それでいい】


【どこまでも暗い夜空を一つ見上げて。異形は未来の更なる脅威を思った。その時も、必ずこうして生き延びて見せる、と】

/主催者様、参加者の皆さま、本当にお疲れ様でした!! ありがとうございました!!
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/13(日) 00:25:48.77 ID:RIoxX3BS0
>>605>>606

「すまない、カニバディール……助かった」

【崩壊して行く天井、いや、工場そのものが消えて行くのだ】
【成る程、この工場こそが本体、その本質というわけか】

【まるで吐瀉物を吐き出すかのように、垂れ下がり腐り落ちる工場、レッドヘリング……】
【やがて、そこに残るのは、無数の白骨死体と工場跡のみで】

「スナーク……貴様……」
「鈴音……」

【その場を睨みながら、そう呟くように】
【そして】

「Letheとは、一体……それに『鵺』とは?まさか……」

【謎が、また一つ増えた】

>>607

「レオーテ、これは?」
「赤木?邪禍から?拠点への、転移装置なのか?……すまない、ありがとう」

【レオーテからその腕輪を受け取り、自身の腕にはめて】
【そう答えた】




//おつかれ様でした!ありがとうございました!
613 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/13(日) 00:27:49.05 ID:m3b9F/wk0
>>605-606

……私の躰がどうなろうと、悔いることは決してない……。

“勝機を掴み取られたから敗れた”――――……それが分からないお子様が、力だけ膨れ上がらせて勝てると?


【怒りと憎しみに、皮肉を返して見送るのだろう。決して許しておけず、けれど、足を停める手段も今はない“敵”――イル】
【戦闘の中で聞いた言葉からすれば、彼女もまた、レッドヘリングと同格の怪物だという。だからこそ許容できない結末を、噛み締めるほかなく、見送った】

【躰中を穿たれ潰され、引き裂かれながら辿り着いた勝利。】
【共に掴み取ってみれば、戦果と呼べるのは、終わりなく繰り返されたあの悪夢と、痛苦が終わったという結末ぐらいで――――】


……は、……ッ……―――――――――。

【……その戦果をどう捉えるかの如何に関わらず。ガクリと膝から崩れ落ちたのは、無理からぬことだったのだろう】
【臓器にまで及ぶ傷はひとつではなく、血みどろの闘争の代償のように、戦闘が終われば、一歩たりとも動くことができないほどに消耗していた】
【その視界に、白い欠片が映り込む。切断者は――戦う理由が今はなくて。だから、“それ以外”の感情が生じる】

――――ごめんね……

【零れた声は、高く、細く。誰が聞いたとして、この者の声とは信じないであろう声】

【忘れ得ぬよう、手放さぬよう――――悪夢の終わりとともに己が内から去り、消えた残留思念の源に、“独善”なのかもしれないこの感情を、己がものとして握りしめた】
【兇器としての己をも形作って挑んだ一戦は、■≠ニしての痛みを以て終わりを迎えた。その先に、さらなる悪夢が待つならば――流す血も覚える思いも、きっと、相応のなにかを伴うのだろう】

/お疲れ様でした。ありがとうございました……ッ!
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 00:31:38.00 ID:YWlM8L4t0
>>611

「アパート、ああ違う、拠点? だっけ。……よろしく伝えるのは、忘れとくよ」
「うん、僕は忙しくて確認してないけれども、……まあ、とりあえず配る分ね、はい」

「邪禍、かぁ。……アレが用意したんだとしたら、きっと……ろくでもないだろうなぁ」

【拠点自体はマトモである。ただ、ちょっと家賃を請求されているだけであって……】

【――ナンバーズである目の前の存在、それもまた彼にとっては悪であり】
【けれども、今は味方。……トドメを刺そうと一瞬思ったが、すぐに思いとどまって】
【代わりに、ため息を1つ。】

>>612

「……うん、なんだっけか。やっぱり拠点が無いと不便とか、……なんとかだっけ?」
「皆が利用するかは知らないけれども、……まあ、勝手にとはいえ作ったみたいだし、……家賃取るつもりみたい、だから」
「よろしく」

【――それから、死の香りと共に暫しの間空を眺めて】
【体力を失って動けなくなった他の存在を助ける気力もなく、……命に関わる傷さえ負っていなければそのまま放置して】
【切られた角を回収した後、その姿は闇となって消え去った】


//改めてお疲れ様でした!
615 :@mail [sage saga]:2018/05/13(日) 00:39:27.91 ID:VhHifruMo
【送信者────カニバディール】
【送信先────ミラ・クラァケ】

『どうにか、生きている。傷の治癒も順調なようで何よりだ』

『特別情報の提供に、心から感謝する、王妃殿下。鈴音の件については、こちらも確認した』
『イル=ナイトウィッシュとは、デュボン陛下も遭遇なさったようだ。彼の話では、強大だが幼稚で人間を見下した危険な存在だと』

『人ではない存在を救済する、ということか。確かに耳障りの良い言葉だが、一見して良いことを言っているように見えるのは『黒幕』どもも同じだ』
『その意味の分からない言葉も、貴女の言う通り。そんなことを並べたてる輩に、まともな人種はいない』

『鈴音が、イルの下に安息を見出しているという事実も、確かに無視は出来ないが。どうにも、疑わしい部分は拭えないな』
『気力も体力も削られた鈴音なら、付け込むのも容易いだろうからな』


『とんでもない。非常に助かった。おかげで、何も知らないままでいることを避けられたよ』
『貴女にとっても聞こえのいい言葉だったというのに、よくそれを知らせてくれた』

『要件、確かに承った。私の三つ目で、しっかりと見極めてこよう。鈴音の居場所が、そこにあるのかどうか』
『忠告も確かに肝に銘じておく。調査結果は、後ほど報告する。それでは』


【送信者────カニバディール】
【送信先────ミラ・クラァケ】

『ご覧の有様だ。もはや、彼奴を信じる理由は失せた』

【吊るされた鈴音の姿の画像】


【二通のメールが、ミラ・クラァケへと送信された後。敵の手に落ちた鈴音を除いて、Mに携わる指輪を持つ者全員へと向けた、カニバディールからのメッセージが飛ぶだろう】


【From:カニバディール】
【To:Mチーム(鈴音を除く)】

『カニバディールより、Mチーム各位へ』

『水の国・旧市街の工場跡地にて、イル=ナイトウィッシュ……いや、スナークと名乗る病魔と、戦闘に及んだ』
『複数名の同行者との連携により、どうにかこれを退けることに成功。敵はこれ見よがしに鈴音を吊るした姿を見せつけて来たが』
『それは、敵の作り出した幻影であり、鈴音本人の情報は得られなかった。だが、成果はあった』

『彼奴等は、別世界からここへとやってきた邪神の類であり、"虚構神"グランギニョルに従う"虚神"たちであるようだ』
『工場施設内で入手した文書、INF-008=A財団職員へのオリエンテーション=A燻製ニシンの虚偽≠フ文書データ及び』
『今回の探索・戦闘の記録を添付しておく。各位、参照されたし』

『燻製ニシンの虚偽≠ノ記された"虚神"の一角、 "レッド・ヘリング"はこの戦いで斃したものの』
『文書によると、少なくとも他に七体。邪神どもが存在していると見られる』

『スナークが最後に言い残した「次は"Lethe"で」という言葉から見て、再び仲間の邪神を使っての何らかの企みを進行させている可能性もあり』
『各位、十分に注意を。『黒幕』どもとの戦いは難航しているが、それでも無視できる脅威ではないと判断する』

【添付されているデータには、カニバディールが工場で目にした光景と、同行者たちとの戦闘の流れがつぶさに記録されているだろう】
【世界は広く、脅威と驚異に満ち、混沌は常に隣にある。その事実を、異形の肉屋からの連絡は雄弁に物語ることになるだろうか】


/メールタグの付け忘れの保管も兼ねて、メール的情報補完をしてみました
/ご指摘などあれば、お手数ですがおっしゃっていただければと思います!!
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2018/05/13(日) 00:46:52.46 ID:VhHifruMo
>>614
【一瞬、感じ取れた殺気には流石に内心で冷や汗を流し。しかし、それが抑え込まれれば密かに安堵する】

【カニバディールは、彼を良く知らない。が、あの邪禍はこの世界で数々の拉致を働いている。ならば、その中には不本意に従わされている正義の徒もいるのではないのか】
【その可能性にカニバディールが思い当たるのは、この場を去って数日してからのことであったが。そのことについては、怯える以外に出来ることはなかった】


……ふ、ふ。相変わらず愉快なお方だ。ならば、直接伝えておこう
ああ、ありがとう。有効活用させてもらおう

……まあ、その辺りは覚悟してある。邪禍さんなら、多少ろくでもなくとも、悪いようにはなさらないだろう

【家賃は、請求されれば素直に支払う。カニバディールは、邪禍に対してはやはり尊敬の念を抱いているのだ】


>>612
お互い生き延びた。それで良しとしよう生きてさえいれば。次がある

【厳島には、そう声をかけて。生存を第一とする、この男らしい言い草だ】
【彼の抱いた『鵺』への疑念には、今はあえて触れず。異形もまた、アジトへの道を急ぐこととなるだろう】


/こちらからも改めまして、お疲れさまでした!!
617 :THE OTHER Side : [sage]:2018/05/13(日) 00:49:04.65 ID:WvpVa9VJ0


【―――コトン。チェスの駒が倒れる。張り詰めた空気に耐え切れないと言った様子、ポーンはその場に崩れた。】
【盤面を見下ろしていた二人の人物の内、一人が触れもせず指を動かすと駒が自在に動く―――倒れた其れが盤から消えた。】
【役目を終えればそれまで。動けなくなれば盤面<戦場>から降りるしかないのだ。もっと言えば―――[ピーーー]ば世界から弾かれるしかない】

「ねぇ? まだ貴方が動くには早いと思うのだけれど―――」

【口を開いたのは女性。目深に被ったとんがり帽子がトレードマーク、黒いマントに白のシャツ、覗くのはピンク色のロングヘア―。】
【ワインを嗜みながら目の前に座った自身の上司―――"大男"に向かって言葉を発す。口に含んだフルボディが渋い味を舌に伝えた。】

『遅いも早いもある物か。静観するのが仕事だと思っているなら、給料について話し合う必要がありそうだな。』

【大男は口元にクラッカーを運ぶ。小さなチーズの破片と、生ハムが載ったシンプルなフィンガーフード】
【齧るというより頬張りながら、男もまた言葉を返す。指を弄べば駒が動き、盤上で容赦なく攻撃を仕掛け。】

「……そんなに人間の干渉が嫌い? 今口にしている物だって、"あの子"がお土産に持ち帰ってきた彼等の食べ物じゃない。」

『嫌いだ。これも配下の兵士が持ち帰ってきた戦利品を消耗しているに過ぎん―――その赤い液体と同じように、な。』

「仰々しい物言いね。あの子普段"、オレの仕事は市役所の職員"って言い張ってるけど。貴方だけよ、兵士だと思ってるの。」

『公務員ならバイク通勤は不可だな。公共交通機関に限らせて交通費の支給は打ち切りだ。それから減給もな。』

「意地悪。―――話が逸れたけど。下界は下界で大騒ぎみたいよ? 門が開いた、って。そこで貴方まで動けば、事態はもっと深刻になる。」

『人間が我らの世界に干渉してくる事自体が、"深刻"この上ないのだよ。我らは我ら、彼らは彼らの"時間"に生きている。』

「交わる事もあるわ。かつてはそうして、常に接していたのだし。それに―――"ゲート"の位置。……ウチの領土外よ?」

【盤上での動きが止まる。女は駒を動かすのを止め、ワインをゆらゆらと指で揺らした。】
【男がつまらなそうに食事を頬張る。さくりと音が鳴り、小さな粕がぽろぽろと零れ落ちる。】

『だから―――なんだ?』

【チェックメイト。全ての駒がそれぞれ宙に浮けば発火、燃え尽きてチェスは崩壊した。】
【灰と化したそれらがぱらぱら机に降り注ぐ。指で合図をすれば、後片付けを担う女中達がそそくさとテーブルを掃き。】

『いずれ全てが私の領土になるのだ。それは"外"も"内"も等しく―――全てが、だ。』
『魔界も、地上も、この私の完全なる支配下に置かれる。機関も政府もまるで恐れるに足らん、その時が来れば―――全てが、灰と化すのだから。』

『つまりだ―――"ミミ"よ。』

【立ち上がった男は巨躯を現す。身の丈2mを超す長身、長い手足、怪物のような瞳―――獰猛な表情。】
【振り上げた手が、室内の窓の方を向く。瞬間、半径100mを超す巨大な"火柱"が外で上がり、爆発的な火力で窓からの風景―――】
【彼らの居る"城"に攻め込もうとしてきていた、"敵勢力の悪魔達の軍勢"を、たったの一撃で綺麗に消し飛ばす―――ただ腕を、翳した、その動きだけで、だ。】

【城の外に繰り広げられていた"悪魔たち"の戦場は戦況が一気に翻る。】
【城を守ろうとする兵士たち、攻め入る敵軍。押し込まれていた防衛側の兵力が息を吹き返す。】
【大半が消し飛ばされ、本陣であった巨大な魔導戦艦を火の海に飲まれた敵勢力は勢いを失い、次第に敗走を始めていった。】





『――――――――私は最近、機嫌が悪い。』


「……最近? いつもでしょう、"サタン"?」



【"魔皇"の名を持つ軍勢。強大にして無慈悲、絶大にして絶対。最強最悪の悪魔が司る城は、その重い腰をゆっくりと持ち上げようとしていた。】
【"門"が開く。人と、魔と、そしてそれぞれの時間が交じり合う。朝焼けと闇夜、純白と漆黒。光と闇が重なるとき―――再び、時代は生命に問いかけるだろう。】


【"我らは、我らの支配者足り得るのか―――"、と。】
618 :シンクロライダー"W-1" [sage]:2018/05/13(日) 00:57:03.33 ID:AE9bj3Qko
>>538

【シンクロライダーシステム、一号機"ツインジョーカー"再改装機―――シンクロライダー"W-1"(ワイルド-ワン)】
【ジャンクちゃんとの融合により肉体のポテンシャルが二人分に合わさった状態となり、攻撃翌力、機動力、耐久性が格段に跳ね上がるシステム】
【異能力を生まれ持たなかったジンジャーは、異能力と同等の戦闘力を『自ら作り出す』事で能力者と同等の戦力となるのだが、その中でもこのシステムこそ彼の最高傑作だ】

【極めて知名度の高いホラー映画の怪物の身に着けているようなホッケーマスクのデザインに赤い複眼とV字の触覚が施され、ヒーローめいたデザインに作り替えられた頭部】
【全身を白を基調とした耐衝撃ボディスーツに胸部、肘、膝に銀の装甲を搭載され、腰には風車とカセット挿入口の搭載された機械のベルトが巻かれており】
【その腰にはいくつものカセットがセットされたホルスターがぶら下がっている―――まるで、ホラー映画の怪物を朝の特撮モノのヒーローにリメイクしたような姿だった】

【だがその装着者、そして『装着される側』の力量は本物だった。本物であるがゆえにその一太刀には一切の無駄がない】
【ブランルはあっけなくその胴を両断されてしまった。確実な手ごたえを感じていた――――『だからこそ』、W-1は困惑を抱き、警戒を強める!】
【『彼女』を倒した者がこんな簡単に殺害される――――?とても現実味がない事実だ、飲み込むことはできない】

【そして、目の前にすぐにその警戒は正しかった事実がやってきた】


……なるほど、体を引き裂くという方法では殺せないか……
ここにいる君がフェイクなのか、なんらかの再生機構が体に備わっているのか?
謎の多い能力だな……ジャンクちゃん、『マクロアイ』を起動してこの体になにか外部からエネルギーが送られてないか調べてみろ

『YES,Sir。……不気味な敵なのデスヨー……
しかし、この期に及んでまだ話したりない事が?……セリーナさんが、何故敗北したか、デスヨー……?』


【赤い複眼がチカチカ点滅すると、ジャンクちゃんの甘ったるい少女の声が響き渡る。ジンジャーの指示通りに探知を開始するだろう】

【……ブランルが何か得体のしれない能力者であることは一太刀入れただけで十二分に理解した】
【これからエネルギーの流れなどを感知して能力の正体を暴こうとしながらも敵の討ち方を全身全霊で探り当てる作業を続けるわけだが】
【その際に彼が自ら情報を口にしようというのなら、喜んで聞いてやるのもいい手と考えた】


……妙ではあるね?彼女の勝負勘は多くの戦いを得て間違いなく洗練されるほどのものになっていたはずだ
正体不明ならば暴くためにそれこそ捕まる前に我々なり他の仲間なりに連絡を取るという手も取れたはずだ……なぜ逃げなかったのか?
……彼女の立場で行動を考えるならば……そうだね、『逃げるわけにはいかない』事情があった、とかかな


『……その場には貴方方二人の他に『誰』がいたのデスヨー?
おそらくは……セリーナさんが貴方を自分に惹きつけてでも触れさせたくなかった『何か』、いや『誰か』がいると見ました
あの方が無茶をするというのなら、おそらくはそういう点かと思われますデスヨー』


【複眼を点滅させながら投げかけられたジャンクちゃんの問い。―――セリーナが敗色濃厚な状況で無茶をするというならばそういうときだ】

【W-1は備える。ホルスターからカセットを引っ張り出しながらブランルが問いに応えるのを待つことだろう】
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/13(日) 15:45:37.39 ID:E65BlnSJo
>>618

【エネルギー────例えば電磁波などは検知されることはなかった】
【魔力であれば、探知することができるだろう。しかしそれは一般的な魔術師より少し多い程度のものだ】
【ある程度の感度までの感知であれば、分かるのはそれだけ。能力なのか魔術なのかさえ、定かではない】

【だが、もしもそれでも魔力の調査を続けたならば────それはほんの一瞬で現れる】
【ある程度までは何も変化がないのだ。しかし、その”ある程度”を超えた感知を行なったその瞬間】
【検出される魔力量が無限大に発散────つまり、オーバーフローを起こすだろう。それはどれだけの耐久度を持った手法を取ろうとも、だ】
【その無限の魔力は外部から供給されるものではなく、この男の内側に秘められたもの。分かるのはそこまでだ】


一つ、ヒントを言っておこう
予想としては後者、すなわち再生機構が”近い”
だが、よくある”中にコアがある”だとか”再生能力を超えた損傷を与えれば”だとかは違う
セリーナはすでに私の肉体を完全に消滅させることは試した。結果は知ってのとおりだが

さて、では本題に入るとしよう。とはいえ、会話するのにこの状態は無礼だな?


【分割されたブランルの肉体が黒い霧となって消滅。一瞬の後にカウンターの上に霧が出現】
【霧が人の形に固まり、そこにブランルが現れた。スーツ姿は影のような黒衣へと変わっていた】
【切断されたはずの肉体は完全に元通りに戻っていた。カウンターに腰掛けたまま、リラックスしたように脚を組む】


実に良い推察だ。あの小娘は戦いについては賢い女だ。それは確かに、答えの一つだろう
つまり、私が単純に何者かを人質に取っていた、とかな。そうであれば、あの女はかなり粘るだろうな
そしてそれは、完全に誤り、というほどではない。確かに、その場には鳴神義勇という少年がいて、彼女はそれを逃すために留まった

では、逃すための時間を完全に確保するために、あの女は私に敗北するまで戦い続けたのか?────いや、そうではない
そうではないのだよ。ジンジャー・ユースロットにジャンクちゃん。あの女は、他に戦い続けなければならない理由があったのだ
それが極めて重要な事柄だ。私と彼女の”賭け”であり、あるいは彼女と世界の”賭け”であり、それ次第で私と彼女の運命が変わるだろう

────当然、世界の運命もな。一体、その理由は何だと思う?


【ブランルは二人の推測の正確性を賞賛しつつ、そしてその推測が間違ってはいないことを説明しつつ、答えではないと話した】
【問いが再び重ねられる。運命が決まるほどの重々しい意味があることを男は示唆していた】
620 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 16:24:49.96 ID:Ozss1TNZo
【安息地──"蟲"が生息する地を、誰かがこう表現した】
【外域に頼らずとも食糧を生産でき、幼蟲を生み育て、娯楽を提供する場所】
【其の周囲には緊密な防衛網が張られ、能力を持つ者でも侵入は難しいと言われている】

【アルターリ第一安息地──人理世界に存在する"蟲"にとって、最も重要な安息地】
【数日かけて落成した其処には、"蟲の神"を信奉する為の儀式室がある】
【贄を捧げ、信仰を捧げ──"神"からの恩恵としての"蟲"を授かる者としての義務だった】

【その代行者はワームシンガーと呼ばれる、紅髪の女】
【"神"の神託を得るために、信仰を捧げていたのだけど──ようやくその神託を、得ることが出来た】
【"我らの地を広げろ、人理を蝕め"────其の詞を、女は確かに聞き取った】


【────】


【けたたましいエンジン音を上げて、その編隊は飛行していた】
【ミガ・ヴァリアスと呼ばれる個体が4匹ずつ固まって、全方位を警戒しながら】
【そのうちの2匹は手に黄色の球形をした物体を掴んでおり、何処かに向かっているようだった】

【アルターリの下水管を飛び出た"蟲"が向かったのは、火の国にある『ダレルフール』という小都市だった】
【ダレルフールは採石業を主な産業とする都市で、産出する大理石の質は遥か昔の史跡でも定評を得ている】
【人口は十数万人と少ないが、山地の面積が広いため人口はゲート付近の平地に集中している】

【其処に奇襲をかけてから、別働隊──本隊を突撃させるつもりだった】
【その都市をめがけて、一直線に低空を飛行する。蝿の羽根は、月光に反射して淡い色を放っていた】


【────】


【先日から、夜間に響く奇妙なエンジン音は街中で話題になっていた】
【眠れない市民もおり、調査に乗り出したところ──低空を飛行する"異形"を一匹捉えた】
【警衛兵が異形を銃撃したものの、易易と回避されて上に逃げられてしまった】

【この一件から、異形に対する警戒のために傭兵の依頼を各所に出していた】
【能力者でも構わない、兎に角この街を防衛するためには手段を選ばないと】
【──薄暮になり、異形が飛来する時間になる。そろそろ集まった傭兵達に招集がかかることだろう】

// 小規模イベントの導入になります!
// 参加を希望する方はレスくださいっ
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 17:08:57.14 ID:YWlM8L4t0
>>620

【火の国に迫る危機か。全ての魔物が悪ではないだろう、が、確かめる必要はある】
【ああ、すまない。ちょっと出かけてくるよ、すぐに帰ってくる――】
【――――】

「……風来坊、アングリー・クリスタルだ。よろしく。」

【なんとなくどこかで聞いたことがあるような無いような、ガスマスク越しだから気のせいか。そんな声の男が招集されれば挨拶を1つ】
【何故か装備されているごつくて顔がよく見えなくなるガスマスク、そこからはみ出る長い金髪】
【そして服装は、上下共に白いラインの入った赤ジャージ、薄汚れた白い運動靴、茶色のウェストポーチ】

「魔物狩りには慣れているから安心してくれ」

【ウェストポーチから取り出されるは、1丁の拳銃。リボルバーの形をしているが、見慣れぬゲージとツマミが1つずつ存在していて】
【――他に必要と思われる武装はあるか? と、拳銃をくるくる回しながら問いかける】

「街中となると、バズーカ等の兵器は避けるべきか。多少の被害は構わないと言うならば別だが」
「……いや、銃撃は回避されるという話だったな。機動力を奪う方面も考えておく」
622 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 17:45:24.31 ID:Ozss1TNZo
>>621

【彼が名前を伝えれば、警衛兵は頭を下げて感謝を述べるだろう】
【彼がつけるガスマスクはどこかおかしいと思っていたようだけど】
【必要と思われる武装はあるか──と聞かれると、通常武装はダメージが入りにくいとだけ伝えて】


【その内太陽も地平線の向こうに沈んでしまって、見えなくなる】
【夜になると同時サーチライトが空中に向けて灯され、警衛兵も双眼鏡を携えて警戒に当たる】
【被害を抑えるために住人には外出禁止令が下されている、家屋でも壊れない限り人が死ぬ心配はないだろう】

【────しばらくすると、一人の警衛兵が声を張り上げて叫ぶ】
【敵襲、東の方向距離20──聞いた警衛兵は一斉に銃座に取り付いたものの】
【二匹の蟲が黄色の球体を銃座に向けて放り投げると、爆ぜて炎を生じる】

【一部の家屋に燃え広がってしまったらしく、消防団も慌ただしく動き始めた】
【しばらくして8匹全てが地上に降り立てば、それぞれが自律して行動する】
【うち2匹は正面から貴方の方へ突撃してくる。尾部の針を突き刺そうとしているようだが】
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 17:59:01.56 ID:YWlM8L4t0
>>622

「了解。魔法系統重視で行く」

「――ちっ、消化器は持ってきてないな」

【火球が火事を巻き起こす様子を横目で確認しつつ、自分が加勢しても仕方がないか】
【中に取り残された人々を助けたいという気持ちはあったが、そのために呼ばれたわけではない】
【――迫る蟲、ひとまず自分に向けて攻撃してくるそれらの対処が先か】

「ライト水晶弾!」

【暗闇でもよく見える、白く光る水晶の弾。光だけでなく強い熱も帯びたそれが拳銃から2発放たれて】
【それと同時にバックステップ。針の攻撃が届くのを遅らせて、その間に弾で迎撃するのが狙いだ】

【更に確実に撃ち落とすべく、命中したか否かを問わず追加で2発ずつ先程の蟲たちに同種の弾を撃つ】
【先程の弾もそうだが……実際の銃弾より速度に劣るのが難点である、代わりに多少ならば軌道操作が可能だ】
624 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 18:13:58.89 ID:Ozss1TNZo
>>623

【蟲は同様に他の銃座へと強襲をかけ、警衛兵を撃破していく】
【残った6匹で防衛体制は殆ど無力化されてしまって、統率が取れなくなってきた】
【家屋を破壊し回り、中にいる人間を喰らい始めていた】


【貴方に迫った蟲は二匹とも眩い光に視界を奪われて】
【強熱により身体の一部を焦がしたまま、地面でひっくり返って悶ていた】
【もう一発が飛んできたとしても動くことはできず、もろに銃弾をくらい】

【激しくもがいた後、数秒もすれば魔力の砂粒となって風に攫われてしまう】
【これで二匹は処理できた、残る蟲は6匹だ】
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 18:28:32.41 ID:YWlM8L4t0
>>624

「……ふむ」

【死亡時に死体が崩壊するタイプか、やはりただの蟲ではない】
【――嫌な予感がする。この手の雑兵に手こずっている内に、別の場所で何かが起きてもおかしくない】
【が、ここを放置して探索するなんてことをできるだろうか?】

「マズいな、2匹程度に時間を裂いている場合じゃアなかったか」

【破壊されゆく家屋たち、あまりモタモタしていられない】
【ウェストポーチから同種の拳銃をもう1丁取り出し、それから少しの間、動きを止める】
【拳銃から僅かに聞こえるかもしれない、電気が流れる音――】

「よし、……焼き尽くせ!」

【そして同時に引き金が引かれた。発射されるは、やはり白熱した水晶の弾が複数】
【だが、先程と違って"着弾時に小範囲へ炸裂"を引き起こす効果を持つ。白熱した水晶片と衝撃による追加攻撃だ】
【起動操作は先程と同様、まあ多少程度ならばといったところか。速度に変化もない】

【確認できる全ての蟲を一度に処理できるのが理想だが、取りこぼしたらその時はその時だ。彼はそう考えている】
626 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 18:34:17.25 ID:Ozss1TNZo
>>625

【発砲音が聞こえた方向に、全ての蟲が向く】
【夜闇の中で輝く水晶体はよく見える。飛来するのが見えた一匹は跳躍して回避する】
【一方、人間を喰らっており気づくのが遅れた個体が一匹両断されてしまった】

【残った5匹は一度空中で落ち合うと、3匹は貴方の方へ向かい】
【残り2匹は襲来してきた方向へと戻っていく──一体何のためだろうか】
【そんなことを考えさせる暇を与えないためか、牙と針を突き立てようとする】
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 18:43:02.49 ID:YWlM8L4t0
>>626

「(逃げた……? いや、違う)」
「(残留組が存在するということは、やつらに時間稼ぎを行わせつつ)」
「(何かを行うつもりだ、おそらく。何かと言えば、それは――)」

【――3匹まとめて向かってきたのは都合が良い。左右の銃口から発せられるのは白熱した水晶の刃】
【それが銃に纏われガンブレードのような状態になれば】
【向かう蟲を斬り落とそうとそれを振るう。――近距離による迎撃故に、回避されれば牙と針の餌食になるのは間違いない】
【ガスマスクはそこそこ頑丈で、ジャージも防弾素材で作られている特注品だが……牙と針は十分通るだろう】
628 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 18:49:40.32 ID:Ozss1TNZo
>>627

【得物が銃器だけと思っていた蟲達は、いきなり現れた刃に驚き】
【振るわれた瞬間に回避を図るも──いかんせん距離が近すぎたために避けきれず】
【2匹が白熱した刃の餌食になるも、少し後ろに位置していた1匹は脚を斬られたのみにとどまり】

【貴方の右の肩口にその牙を突き立てようとする】
【毒腺などがあるわけではないが、単純で大きな痛みが与えられるだろう】
【牙をしっかりと突き立てたなら、麻痺毒が充填された針を腹部に刺そうとするが──】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 19:00:52.11 ID:YWlM8L4t0
>>628

「避けたか、……っ」

【攻撃直後の隙を突かれたか、その右の肩に突き立てられる牙】
【それに慌てることはなく、針を腹部に突き立てようとする動きを止めるべく】
【左の拳銃が持つ刃を蟲に突き刺そうと、腕を動かす。――ダメージが足りないと判断した場合、刃が持つ熱を強めるだろう】

「ぎっくり腰に比べたらマシだ、……それよりも」
「戻っていった奴らだ。……怯えて逃げていっただけだとしても」
「再び戻ってこないとは言い切れない、……」

【もし上記行動によって蟲を撃退できていた場合、刃を消滅させつつ】
【左手の拳銃をウェストポーチに入れて、右手のそれを左手に持ち替えつつ】
【何か変化がなければ、蟲が戻っていった方向に向けて脚を進めるかもしれない】
630 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 19:15:36.96 ID:Ozss1TNZo
>>629

【肩口に牙を突き立てることに成功すると、肩を噛み砕くこともせず】
【貴方の動きを鈍らせようと、その針を突き立てようとしたのだけど】
【貴方の得物のことをすっかり忘れており、蟲の腹を白刃が貫通する】

【熱によって内部が侵され、苦しそうに羽根を忙しそうに羽ばたかせた後】
【突如動きを止めると、そのまま砂のように崩れ去ってしまった】
【街にいた蟲はもう居ないが、時間稼ぎには十分な間だったらしく────】


【蟲は、再び東の方角から飛来していた】
【先程逃げていったタイプの蟲2匹と、遠くに居ても指3本分の大きさを持つ"何か"】
【2匹は飛行しているようにも見えるが、その個体は滑空しているように見えて──】

【後1,2分で着陸と言ったところだろう。飛び道具を持っている彼からしたら、好機だろうか】
【2匹の腕には、また黄色の液体が満たされた球体が掴まれていた】

// すみません、飯なのでお返しが遅れます……!
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 19:31:58.31 ID:YWlM8L4t0
>>630

「――やはりか」
「援軍となると、……ふむ、来なくなるまで駆除し続けるか」
「もしくは、街への被害には多少眼を瞑って発生源を潰すか」

【前者ばかりではジリ貧になるのは間違いなく、だが明らかに大きな蟲に、先程火事を巻き起こした球体を持っているとなれば】
【目を瞑れる程の被害で済むとは到底思えず。……仕方がない】
【あの球体は、衝撃を受けたタイミングで爆発していたはず。つまり、空中で撃ち落とせば被害を多少は押さえられるかもしれない】

「狙いを付けるなら上か。……フォトン、行くぞ」

【彼は近くのオブジェクトや塀などを利用し、適当な一軒家の屋根の上に移動しつつ】
【黄色の液体に向けて狙いをじっくり定め、……左手の拳銃から電気の流れる音がして】
【着陸まで時間があった、だから"チャージ"の時間を多く取れた。……引き金が引かれて、弾が発射される】

「(……液体の燃え広がり方がゆっくりだとすれば悪手にもなりかねないが、……ある程度燃やせるか?)」

【白熱した水晶弾が2発、球体それぞれに向けて飛翔する。鋭さを上げたのは、球体を射抜くことを重視したから】
【また、着弾時に熱を周囲に放出する性能を持つ。……他、今までよりも起動操作性を高めていて、やはり確実に当てに行くつもりなのだろう】

//了解です、こちらもご飯行ってきます!
632 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 20:54:56.67 ID:Ozss1TNZo
>>631

【舞い戻ってきた蟲は、あの男がまだいるであろうと考えていた】
【故に警戒は解かなかったものの、彼の得物は拳銃であったはずで】
【人理世界において長い照準距離を持つ武器は少ないはずと油断していたのだ】


【──まあ言い換えれば、舐めていた。たかが人間が、と】
【その球体の性質を知られているとしても、それを守ろうとはしなかった】
【前方から飛来する、白熱した水晶弾が駆けてきた時──其の単眼は驚愕に染められた】

【熱が液体の中で発せられれば、途端に発火して蟲に燃え移る】
【柔らかい腹からジリジリと内部を蒸し焼きにされ、羽ばたく羽根も周期がおかしくなり】
【やがて地面に向けて落下していく──残るは、一匹の巨大な“何か”だけになった】
633 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/13(日) 21:08:35.22 ID:VjkrsFMy0
>>632
【英雄の手で全てが斃される恐るべき蟲たち、訪れる新たな脅威。異変は、それだけには留まらなかったのかもしれない】
【破壊の狭間を縫う様にあるのは、人型の闇。一切の光を返すことのない、黒の外套を目深に被り、武装すら見えぬ姿で細身の影はある】

【無明の闇が粛滅の意志を核に一振りの兇器と成るならば、こんな姿形を取るのだろうか】
【断ちきるもの=B存在すら朧な影ながら、一目見たならば確信させる存在定義はそんな凶兆で】

【細身の刀身ならば、落とす影もまた見落としかねない程にはか細いものだった】
【――――けれど、それは首を刎ね胴を割き、命を奪うに足る兇器の落とす闇なのだ】
【待ち構え迎え撃たんとする様に、視線とともに、微かな、されど剣呑な魔力が巨大な蟲へと構えられる――――】
【その害意を以て、この影が、少なくとも街の脅威を喜ぶ類のものでないことは知れるだろう。尤も、かといって安心できるものではないのだろうけれど】
634 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/13(日) 21:09:17.08 ID:VjkrsFMy0
/っと、書き忘れましたが…それでは、よろしくお願いしますッ
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/13(日) 21:20:06.48 ID:Go5BIimC0
>>632

【眼前に広がるは、災禍。眼前に存在するは、厄災】
【蟲が災いを振り撒いていて、思わず舌を打ち鳴らしてしまう】

チッ、ツイてねえなぁ。前はドラゴン退治で、今は害虫駆除。

見渡せば災害かい。んでもって、目の前には一等大きな蟲ときた。
全くよお、この渡世は一体全体どうなってんだ。人の理屈から外れすぎだろうよ。

【茶色の痛んだ長髪ときつめの目付き、筋肉質でスレンダーな体型が特徴的な女性の両手には拳銃が握られており】
【その銃口は一等大きな"何か"へと向けられていた。そして既に、自身の能力を二挺の拳銃に付加させていた】

おい、そこのガスマスク。お前さんの援護をするから状況を教えてくれねえか。

【普段の余裕ぶった態度ではなく、臨戦態勢を取っているカイ】
【目の前の蟲。それは、たった一匹の蟲。だが、その一匹こそが厄介だと本能的に察した故の事か】

//途中参加ですが、宜しくお願いします。
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 21:26:16.06 ID:YWlM8L4t0
>>632

【ひとまず、街が燃え盛る可能性は潰せたか。】
【けれども、落ち着いている暇はない。次なる驚異が街に迫っている】

「よし、……しかし、あのデカブツはどうしたものか」
「"ヒート強化電銃"だけで対処可能ならば良いのだが、……」
「……ふう、駄目なら駄目でコストパフォーマンスを下げれば良いだけか」

【長期戦を想定しすぎて逆に消耗を激しくするのは本末転倒だ】
【巨大な何か、……流れを考えれば蟲か、蟲となれば】

「(先程の蟲とは大きさが違う、……もしもだ、ハエのように"体内に卵や幼虫"を持っていたとしたら?)」
「(撒き散らされるのは厄介だ、となると様子見も兼ねて……)」

【巨大ならば手動ホーミングは控えめでも問題ないだろうか、……問題あった場合はそれはそれで次に活かせば良い】
【左手の銃から放たれるは、やはり白熱の水晶弾。命中しても特に追加で何かが起こることはない】
【――ただ、光の強さは上がっている。目潰しも少しは考えているのだが、"その姿を確認する"のが大きな目的だ】


>>633

「(こちらにも援軍か。……心強い)」

【増えた気配、それは蟲ではない、――味方の気配。人が多いほうが、驚異に立ち向かうのに都合が良い】
【屋根の上から声をかけることも、姿を確認することもなかった。けれども、存在は確かに認識した】


>>635

「……助かる。状況だが、現在蟲を8匹ほど撃破。死骸は無い。魔力の砂となって風に飛ばされた」
「また、ある程度の知能か何かはある様子。……こちらへ向かってくる巨大な何かは、援軍として呼ばれた存在」
「足止め役と援軍役に分かれての行動だった。――他に必要な情報はあるか?」

【彼女に対しても振り向くことはなかった。――巨大な何かから視線を外したくなかったのだ】
637 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 21:40:37.37 ID:Ozss1TNZo
>>644-636

【パラグライダーのようなものを広げて、ゆっくりと着地する】
【体長が4メートルほどもある蜘蛛状の蟲、その体色は青】
【6つあるルビー色の目は眼前に居る三人を見据えて、空気を大きく揺らして吼える】


【ふわり、と空中に浮いた後に着地する】
【その質量は大地を揺らすほどで、普通の人間ならよろめくほどの揺れが三人に襲いかかる】
【それから糸を周囲に撒き散らし、容易に接近出来ないように策をとった】

【糸は強い粘性を持っており、触れたならその糸に魔力を吸い取られてしまう】
【人理世界に住まうものであれば、近づきたくはない糸だろう】

// よろしくおねがいします!
638 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/13(日) 21:54:30.80 ID:VjkrsFMy0
>>635-637

――――……ッ!

【黒衣の影は、振動自体に大きな影響は受けなかった。よほどに体術に優れる様で、けれど】
【別の打撃を受けた様な――抉れたどこかが火を噴いた様な、そんな反応が痺れを生んだ。そして軋む膝に力を篭め、視線は、剣呑さを保つまま

【大蜘蛛の怪物が放つ糸の性質を正確に把握した訳ではない。あれが現れたこの状況も。】
【だが、凍てさせたならば同じなのだ――――】

【糸に干渉するは“時”の力。ごく薄い膜が、ごく短時間だけ接触の有無を誤魔化し無化させんとする】
【この魔力自体が呑まれる可能性もあるのだろうが――物理的接触を欠き、魔力自体に停止の性質を帯びることが、少しでも奏功することを期して】


……今の私に、さしたる攻撃能力はない――――あれに通じ得る攻撃は、放てて数発が限度になる。
だから、可能なら……挑んでほしい――――……あれを斃すために、力を貸すから貸してほしい――――……ッ!

【共に戦う両者へと、そんな言葉を向けるだろう。“時”の力による干渉は、当人に大きな負荷を与えながら、明示的に活路を拓こうとする】

【見込むものは短期決戦――――態々囮まで用意して運び込まれた脅威は、その真価を発揮させずに討つことが至当。】
【防御に回された力を殺し、速攻を促すための一手。吉凶は、人と蟲との両方に委ねられて】
639 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/13(日) 21:56:00.68 ID:VjkrsFMy0
/
>>638
【別の打撃を受けた様な――抉れたどこかが火を噴いた様な、そんな反応が痺れを生んだ。そして軋む膝に力を篭め、視線は、剣呑さを保つまま


【別の打撃を受けた様な――抉れたどこかが火を噴いた様な、そんな反応が痺れを生んだ。そして軋む膝に力を篭め、視線は、剣呑さを保つまま据えられている】

…でしたッ
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 22:00:09.70 ID:YWlM8L4t0
>>637

「――ちッ」

【屋根の上で左手を用いつつ、バランスを保とうとして】
【それから、援軍として現れただろうその存在を確認、……糸が厄介か】
【周囲に撒き散らされて近づきにくくなったことだけではない、……攻撃に転用された場合、更に厄介だろう】

「(下手に燃やせば街ごと燃えかねないな。……さて、こういう場合最初に破壊すべき部位はどこか)」
「(機動力を奪うか、それとも攻撃能力を奪うか――)」

【彼が選んだのは、後者だった。】
【屋根の上を移動しつつ、必要があれば別の家の屋根に飛び移って】
【狙うは、おそらく存在するだろう糸疣だ。――銃口から発せられる、白熱のビーム】
【光と熱が合わさったそれで、焼いて破壊してしまおうと考えているのだろう】
【魔力による攻撃であり、本物の光とは違う。故に、速度もまあまあ理解できる範囲だ】

【(――魔力を吸い取る糸を吐いていたという事実を、彼はまだ認識していない。)】
641 :シンクロライダー"W-1" [sage]:2018/05/13(日) 22:02:09.29 ID:AE9bj3Qko
>>619

【魔翌力量はそれなりに多め、という結果。それでは説明がつかない】
【質にこそ答えがあるのか?そんな疑問を投げかけるも―――突如変化が訪れる】
【魔翌力量の数値が突然上がる!何千、何万、何億、次々と上がっていく、このままでは機械がオーバーフローを起こす!!】

【W-1は即座に『マクロアイ』のシャットダウンを行った―――危なかった……】


『も、申し訳ございません……シャットダウンしていなければCPUがオーバーフローを起こすと判断しました
なんという事デスヨー……これは、これは一体!?』

……無限のリソースに身を任せた『再生』かな……見た目はなんか自然系悪魔の実の能力者みたいな復活だね
それだけだったら覇気をまとった拳でぶん殴ればいいのだが……やれやれ、ちとヘビィな難問だね

リソースがあるとして……いったいどこからくみ上げているのか?そこを突き止めるのが攻略の糸口となるかな……?


【分断されたブランルは別の黒衣に身を包み現れる。服は再生していない。本当にブランルを『切断』はできたとみてもいい】
【得体が知れない……W-1はすでにブランルを、"六罪王"や各敵性組織のボス達同様の『首領級』の戦力としてカテゴライズしていた】
【なるほど、W-1の性能をもってしてもサシの勝負では分が悪すぎる】


(奴の息の根を『力づくで』止める手段を思いつく限り持ってくるにしても……その案件のほとんどは『今すぐこの場では用意できない』物ばかりだ
奴の能力のメカニズムがわからなければ……いよいよもって撤退も考えなければならない)


【そんな中ブランルから投げかけられる『答え』のヒント】
【やはり誰かを庇っていたのは当たっていたが、他にも理由がある―――?】


……セリーナ君自身の、個人的な理由かな。彼女の全てを知っていたわけではないから
彼女が敗北したという事実だけでは推論するには材料が足りなすぎる。……クソッ、やっぱり周りのやっかみとかで刺される事を恐れて
慎重にゆっくり口説く作戦はまどろっこしすぎたな

『その案件は心底どうでもいいと判断しますが、しかし、あなたとセリーナさんの"賭け"、あるいは世界の"賭け"でございますか
その"賭け"の内容、もしよろしければ聞かせていただいても?』


【ブランルが攻撃に移る気配は本当にない。いつまでたってもこちらを害する事をしてこない】
【……そもそも目的が分からないのだ。こいつは……何を言いたい?そもそもこいつは何を言いに自分たちの前に現れた?】
【敵であると判断するモノに接触したからには間違いなく踏み込んでくるだけの"理由"があるはずだ……会話の余地があるのならまだ耳を傾けてもいいと判断する】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/13(日) 22:12:25.84 ID:Go5BIimC0
>>638

【気配。刃が、カイの全身を斬り裂く様な錯覚】
【人の形をした一振りの気配に、思わず額に汗が伝う】

(……只者じゃねえ。だが、今はアタイ達の味方であるらしい)

【今は、矛先が蟲に向かっている事に安堵さえ覚える】

アタイの弾丸だってあの蜘蛛助に通じるか解らねえよ。
――…だが、任せな。鉄砲玉ぐれえの役割は果たしてやるさッ!

【一人欠けてしまえば、勝算の目は潰えそうな気がした】
【だから、見ず知らずのヒトガタの言葉に耳を傾け、頷いたのだった】
【それが証拠に、カイは何処か楽しげに口角を吊り上げていた】

>>637

【青色の巨躯。そこに嵌め込まれた六個の紅玉に見据えられて思う。
 ―――人の理屈から外れていやがる、と。】

【大気を振るわせる咆哮と、人の何倍もの巨体から繰り出される着地による振動】
【警戒して尚、その振動には対処しきれず。身体が揺れ、よろめく】

ぐおぉっ…!

【よろめいている間に周囲に展開された糸。蜘蛛の吐く糸などろくでもない】

随分とデケェ形してんじゃねえかよ。
だが、蜘蛛の糸で近づけないようにした所でアタイの弾丸から逃げられると思うなよ?

【蜘蛛の糸に態々触れる愚行はしないとばかりに、カイは体勢を立て直し後方に飛び退きながら】
【両手に握られた二挺の拳銃の引き金を引く。そして、左右の拳銃から5発の魔力弾が放たれた】

【右手の拳銃の効果。それは着弾すると、平衡感覚を一瞬だけ崩すことができるというもの】
【左手の拳銃の効果。対象に特殊なポインタを表示させ、目標に当たるまで弾丸を追跡させるというもの】

【右:残弾3 左:残弾4】
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/13(日) 22:14:45.94 ID:Go5BIimC0
//>>642に追加です

>>634 >>641
情報はそれだけありゃあ十分だ。礼を言うぜ。

【言葉短めに礼を述べながらも、カイは眼前の蟲から視線を離さない】
【気を抜いていられる程の相手ではないと判断しての事。その点において認識は共通していた】

644 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 22:25:29.85 ID:Ozss1TNZo
>>638

【糸に触れれば魔力を奪われる、という事象は“無効化”できる】
【それが時間経過によって一定量を奪うという性質をもっているのだから】
【しかし少しでも触れてしまえば、数秒で魔力を奪われてしまうだろう】

>>640

【視界の端に捉えた男が、白い光線を飛ばしてくる】
【狙っているであろう位置は大凡わかっていた、恐らく紡績突起だ】
【かさかさとすばしっこく角度を変えれば、ジュッっと音を立てて胴体の一部が焼かれる】

【が、特に痛みは感じていないようだ。腐ったものを炒めたような臭いが立ち込める】
【柔らかい筈の胴体も、比較的固いようだ。外殻の一部を削ったに過ぎない】
【お返しに、紡績突起を男の方へ向けると糸を吐きつける。男を建物の屋根に磔にするつもりなのだろう】

>>642

【一人がよろめいた隙に、大蜘蛛は跳躍する】
【拳銃の魔力弾は胴体から腹部にかけて命中、黄色の粘液が垂れてくる】
【しかし、特に痛がるような素振りは見せず──結局ボディプレスは彼女が後退したことで命中しなかった】

【とはいえ、至近距離に着地したことで再び地震が起きる】
【それを分かってか蜘蛛は貴女の胴体に向けて糸を吐きつけてから】
【鋭い、神経毒腺が内包された牙を彼女に突き立てようとするだろう】
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 22:37:21.37 ID:YWlM8L4t0
>>644

「――気付かれたか。」

【選択肢は前者が先だったかもしれない、そう思いつつ照射を止めて】
【迫る糸。……回避しようとしたが、脚を滑らせた。糸が己の身体に絡みつく】
【身動きが取れず、……魔力を吸い取られるだろうことも考えると早急な脱出が必要だが】
【両手は塞がれている。銃による攻撃は望めないし、多少もがいたところで切れる糸ではないだろう】

「やむを得ない。フォトン、頼む」

【――その身体から生えるは、無数の白熱した水晶の刃。糸をそれで切り裂いて脱出を試みて】
【成功すれば、その刃をそのまま攻撃にへと転換。……狙うは、蜘蛛の脚だ】
【隙を見せずに行動するのを重視したため、多少狙いは甘いものの】
【ガンブレード化した時と同様の切れ味を持っている。】

【(彼はどうやら、魔銃使いというわけでは無いらしい。白熱した水晶自体が、そうなのだろう)】
646 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/13(日) 22:54:22.08 ID:VjkrsFMy0

>>640>>645
【屋根の上、これまで戦線を維持し街を守った炎熱の力が放たれる。地上の影は、

(あれは私と、それなりに相性がいい――――、か)

【燃焼を目的とする魔力投射――――そして熱の斬撃。“共闘者として”、この状況における相性のよさを考えた】
【攻撃の補助は可能だろう。延焼を阻害することも……不可能では、なくて】

……勝てなければ、街はきっとすべて消える。手伝えることがあれば、全て焼け落ちる前に手を貸す

【端的にそれだけ伝えると、自身の役目に再び没頭。伝えるべきだけは、伝えられるはずだった】


>>642

……頼んだ。致命傷に届かせるのは――――その武器は、恐ろしく得意だろうから。

【銃弾の様に――――真っ直ぐに突き進み、そして必ず貫き通す。そんな彼女を思い浮かべた様に、信頼めいた言葉が、そっと耳朶を揺らすだろう】
【決定打に到りうるひとつの“力”は、ヒトの知と、荒ぶる暴威とさえなる鼓動を同時に証明する様に力強く、果敢だった】

>>644

【あらゆる共闘の誓いを踏み砕くように、身軽な巨躯が宙を舞う。再度の振動を、受け流しながらギリ、と負荷と状況が強いる感覚を噛み締めた】

【戦いとは、えてしてこんなもの。繊細に積み上げ大胆に最速を期そうと、一つ何かが計算を外れれば容易に窮地は訪れて――――】
【――――だからこそ、そこに膝を屈してやる道理は何処にもない。瞬息の前進を、影は選んだ】

【自らの生み出した好機を利用すべきは、攻撃に接近を要する自身ゆえ、そう決断し。】
【“時”の薄膜が許した疾駆は、爪と手がどちらも届き得る間合いへと到るだろう。つまりは至近、ゆえ禍々しく凄絶に――――】


【影の細い左腕が掻き消え、無数の黄金火を伴った、異能の斬撃が同数だけ降り注ぎ、横合いから苦境を押し流さんと猛る】
【反作用を殺さぬまま、攻撃の継続に転用することを可能とし――――可能な攻撃の数を引き上げる、能力での攻撃媒体の、異界への召還と再召喚による挙動だった】


――――――――ぁ、ぐ、ッ……――――――――‼

【悲しいほどに無意味なはずで、火事場の死力に過ぎない暴挙だ。黒衣が吸いきれず零れる緋は、無理を通す代償を証明していた】
【この場に到るまでに、余程の手傷を負っていたのか。それでも、果たすべき意味を見出すがままに】

【有効打を生むために、亀裂を生み出しやがて致命傷を届かせる――――そのために、巨体の外殻を僅かずつでも削り、道を開ける。】
【一撃一撃が本来ならば重合金さえも問題としない、熾烈な刃がそれを望むかの様に繰り出されんとしたのだ】
【大蜘蛛の右側面から削り裂く様に、大きな消耗を攻撃者に強いながら、決定打の前座に過ぎないであろう連撃が起つ。いずれは勝機に到るためにこそ、身を削って――。】
647 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/13(日) 22:56:18.71 ID:VjkrsFMy0
/度々申し訳ないです…!
>>646
【屋根の上、これまで戦線を維持し街を守った炎熱の力が放たれる。地上の影は、

【屋根の上、これまで戦線を維持し街を守った炎熱の力が放たれる。地上の影は、その力の胎動こそを蟲たちを焼き払ったものと確信して】

…ですっ
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/13(日) 23:03:38.00 ID:Go5BIimC0
>>645

【ガスマスクの人物も、蜘蛛の糸に絡め取られていた】
【だが、それを心配する余裕はカイには無かった。緊迫した状況がカイに迫っていたから】

>>646

【黒衣のヒトガタの言葉は、すっと耳に入った。妙に浮き足立つ様な口調の言葉に呼応するのは】
【言葉ではなく、5つの銃声と弾丸。だがその弾丸は、蜘蛛にとっては大した脅威では無かった様で――】

>>644

【跳躍する大蜘蛛に着弾する5つの弾丸。だがそれは羽虫の羽ばたきに等しかったのか】
【平衡感覚を崩している様子も無く、事も無げにカイの至近距離で轟音と共に着地していた】

――…くそッ!涼しい顔しやがって…ッ!ブチ殺してやるッ!
(テメエから見たらアタイが一番やりやすいってか…!?舐めやがってッ!)

【驚愕と憤怒の混じった表情と、徐々に沸騰し始める思考は直ぐさま焦燥に塗り変えられる】

【今度の地震は、カイの至近で行われた。よって、先程の振動程度でよろめいていたカイが】
【至近から放たれる地震に対処しきれる訳も無く。足元を掬われている間に胴体に蜘蛛の糸が絡む】

…ッッ!やっべえッ、力が抜ける…ッ。
ぐうっ――畜生風情が、調子コイてんじゃねえッ…!!

【蜘蛛の糸に絡め取られた生き物は、蜘蛛に食われるその時を待つだけである。
 だが、カイはその結末を受け入れない。幸いな事に両手の自由は奪われていない】

【カイは自身に向けられた牙目掛けて有りっ丈の弾丸を放つ。この状況で放つ弾丸は、いわば地獄に垂らされた一本の蜘蛛の糸にも思えた。
 魔力を吸い取られ弾丸の効果と威力が弱体化しようとも、自身の放つ弾丸に縋るしかなかった】
649 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/13(日) 23:18:31.49 ID:Ozss1TNZo
>>645

【貴方に糸が絡まったかどうか、大蜘蛛はその結末を見ていない】
【というのも、距離があるために直接の攻撃手段がなく】
【一番の脅威を放って置く事しかできなかった──この選択が、あとで痛い目を見ることになろうが】


>>646

【大蜘蛛が前方の女性に気を取られているあいだ】
【貴女の方に目が行っていなかったのだけど──衝撃により嫌でも意識させられる】
【甲高い音を立てて外殻が削れていく。柔らかい筈の腹が曝露して】

【──その腹に暴力的な斬撃の嵐が当たって黄色の粘液が噴き出そうとも】
【大蜘蛛は痛みも何も感じていないようだった──感覚がないというより、気にしてないと言う風に】
【不思議に思うだろうが、貴女なら分かるはずだ──“見た目に騙されるな”】


>>646

【腹に平衡感覚を狂わせる銃弾を喰らってなお、平然と着地する】
【──粘液が漏れ出すばかりで、ダメージを与えているようには見えない】
【不思議に思うだろう。普通の動物なら、此処まで痛めつければ少しは怯む筈で】

【貴女に糸が絡みつけば、牙を突き立てて喰らおうとするが──】
【銃弾が朱玉のような瞳に当たった刹那──ビクン、と身体が揺れる】
【そして後ろへと飛び去った。その間には黄色い粘液の線を残して】


【──ふと見れば、蜘蛛の瞳が一つ黒くなっている】
【まるで“ライトの電気を落とした”かのよう。それにしても、何故ひるんだのか】
【これだけ図体が大きければ、“どこかに本体がある”】
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/13(日) 23:33:34.42 ID:YWlM8L4t0
>>646

「……わかった」

【多くは言わず、けれども――求められていることは理解した】
【人々を、家々を、その気になれば幾らでも焼き尽くすことができるだろうこの力】
【再び恐れられることを恐れ、目の前の驚異を排除できなかったなんて馬鹿な事をするくらいならば……】


>>648,649

「(――今、怯んだか。何で怯んだか、……眼だ)」
「(糸疣への攻撃を避けられたことも気になるが、……ともかく)」

「一旦、おとなしくしてもらおうか」

【熱線は確かに効果があった。ただ、その動きを止めることが出来ず、致命傷を負わせることもなかっただけ】
【――糸を断ち切った刃が今度は反撃の刃として、蜘蛛を断つべく襲いかかる】

「眼への攻撃で怯んだのを確認した。……それと、糸が出る部位への攻撃は回避された」
「狙うならそこだろう。……確実性のため、私は脚を狙う!」

【その刃が身体から分離、白熱のエネルギーを取り戻しつつ――大剣だ、刃が集まってできた1本の剣。】
【助走を付けて屋根から飛び降りつつ、蜘蛛の脚――片側にあるだろう4本のそれを断ち切るべく】
【白い光の外側の風景をを歪ませる熱を発しながら、その大剣は振り下ろされる】

【もしも周囲に可燃性のものがあった場合、引火・延焼を引き起こすかもしれない】
651 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/13(日) 23:37:45.42 ID:VjkrsFMy0
>>648
【彼女の窮地に、降り注がす刃の手を速めた。けれど蜘蛛から帰らぬ反応と削れ行く体躯が生む焦りは、予想もしなかった変調を以て別の意味を帯び、】


>>649

…………は、ぁ……ッ――――――――。

【失血と運動と魔力消費、そして必要となった連撃の停止が影に衰弱を強いる。頽れようとする身は、そこを辛うじて踏み止まったという程度の有り様で】

(……これは……まさか、――――――――ッ……?)

【けれど自らの熾烈な連撃の無為と、射手の生み出したこの異変が可能性を呼び起こした。】
【加えて、つい先日の特級の脅威との対峙が答えを思わせ。その確信が、間髪入れず次なる一手を導いて――――。】

【ありったけの“時”の力を篭め、影は風の魔力を帯びた、櫻様式の小刀を懐から取り出し、投擲する。狙うは、大蜘蛛の巨体】
【何の痛痒も覚えないならば、こんな小さな得物など気にしないのだろう。だからこそ、僅かな時を、隙を晒させる形で稼ごうとする、その煌めく軌道は意味を帯びた】

【――その性質は、“魔を退かせる”こと。】
【時の力にて挙動を抑制するとともに、骸の如き巨体に巣食う者があれば、小刀の生む形容しがたい不快感と忌避感が、その器にある現状から逃れ出させようと促す――】

【帰結として、真に穿つべき“何か”が自らの身を晒すことが望めようか。もはや一撃放つ力すら残さぬ身が、残る魔力を振り絞り、煌々と燃え盛る戦意に託し、戦局に投じた】
652 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/13(日) 23:42:01.42 ID:VjkrsFMy0
>>650
【その決意に、まるで微笑を返す様な雰囲気が起こった。錯覚だったのかもしれないが――――それは、真に共闘する者として、背を預けようとするかの様で】

/…と追加しつつ、分かりづらいであろう部分の修正ですっ

>>651

【ありったけの“時”の力を篭め、

【ありったけの“時”の力を“停滞”をもたらさんとするカタチで篭め、

…で読んで頂ければ。前者のままでも大丈夫ですが……ッ
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/13(日) 23:58:30.73 ID:Go5BIimC0
>>649->>651

【蜘蛛の糸に絡め取られて尚、カイは足掻き続けた】
【その甲斐あってか、無造作に放った弾丸によって蜘蛛に喰われずに済んだのである】
【それどころか、蜘蛛が危機感を抱き飛び退いていた。その光景がカイに侮蔑を吐き出させた】

……どうしたよ、蜘蛛野郎。ブルっちまったのか?

(『いえ、…どうやら貴方が無造作に放った弾丸の何れかが効いたのでしょう。
 現に六つある紅玉の一つが色を失っている。蜘蛛が飛び退いたのもそれが関係している筈』)

【自身の精神に潜むもう一人の人格である白桜は淡々と現状を分析して、その内にある仮説を立てる】
【大蜘蛛の本体に攻撃するのではなく、六つある眼球を撃ち抜くべきではないかと】

(『もし六つある紅玉を撃ち抜くべきなのであれば、蜘蛛の身体に銃弾を穿つのは暖簾に腕押し。つまり無意味。』)
(「だったら、アタイはあの目玉をブチ抜きゃあ良いんだな?――オーライ、相棒。今はおめえの仮説を信じるぜ」)

【であるならば、偶然にも紅玉を撃ち抜いた事がカイの命を救っていた事になる】
【そして鉄砲玉として何処に打ち込むべきかを定める契機ともなる。蜘蛛の糸は依然として巻き付いたままだが】
【カイは体勢を立て直し、銃弾を再装填し、改めて銃口を蜘蛛の目玉へと定め、冷徹な眼差しを向ける】

【ガスマスクの男は蜘蛛の足を狙い、黒衣の人物は蜘蛛の巨体を狙い
 ――そして、カイは蜘蛛の目玉を撃ち抜かんとして、右手に握られた拳銃から銃弾を放つのであった】


てめえから盛っておいて突然ケツを捲くるのは無しだぜ?Fatman?
こいつはアタイからの贈り物だ。何、遠慮は――要らねえぜェッ!!


【自身でも何の効果が付与されているか把握出来ない状況であるが、カイは意に介する様子も無かった】

【右:残弾1 左:残弾6】
654 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/14(月) 00:14:12.55 ID:4hOiq60Xo
>>650

【上空から異常な熱を帯びた“何か”が降りてくるのは感知していた】
【そのために、選択した行動は──飛び上がること】
【飛び上がると同時に振り下ろされた大剣が左側真ん中の脚を削いでいくが──】

【目的は飛び降りてその身体を潰すこと。巨躯を活かした戦法を取らんとしている】
【もし命中しなかったとしても、また地震を起こすことはできるだろう】
【衝撃によって十数棟の家が崩れ去る、その瓦礫に火がつくだろう】

>>651

【その小刀が巨体を貫いた──が、巨体はびくともしない】
【痛くも痒くもないといった様子で、貴女のことを意識すらしないだろう】
【────だが、突如襲い来た強烈な不快感に、嫌でも意識させられて】

【貴女の方を向いたかと思えば、いきなり飛びかかってくるだろう】
【その感情は怒り──強烈な不快感を与えている原因だとわかっているから】
【もし押し倒すことができたのなら、大きな牙で左肩を砕こうとしてくるだろう】

>>653

【もうひとりの貴女が立てたその仮設は、間違いではなかった】
【大蜘蛛の巨体に攻撃をしても意味がない、とめどなく黄色の粘液が流れ出るだけ】
【その眼球こそが、大蜘蛛の“正体”を知るために必要なヒントであった】

【眼球を撃ち抜かれるたび、大蜘蛛は少しばかり怯む】
【しかし>>651に取り付いている最中は怯みすらしないだろう──リソースの全てを感情が制御している】
【全ての目を壊すのが早いか、彼女に噛み付くのが早いか──】
655 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/14(月) 00:34:23.15 ID:IyzknymL0
>>654

【瓦礫についた火を、水の力――覚えがあればとある宝玉の断片であると確信できるであろう、俄かに湧き上がる清水が鎮火しようとする】
【それは、信頼に応え信頼を返すかの如きヒトの所業。彼に、どこまでも戦い抜くことを促す

【多彩にして強大な幾つもの力は、越えてきた戦いの軌跡そのものだ。まだ命を残し、けれど全てを擲たんばかりに躊躇いなく投じて】
【それが多くもの怒りを買うことは、きっと無理からぬものだった。何故なら、害するためにあらゆる手を打ち、】
【自分自身を削ろうと――――この蜘蛛の目論見を、背負う日々と、ヒトの営みを守るために砕くのだから】

【この局面……動かぬ躰で何ができるだろうかと、迫りくる断頭台の刃を見る様な心は、どこか静か。】
【押し倒され、迫る牙を押し退けることなどできはしなかった。体格と膂力の差は、あまりにも明白だ】



【けれど――――戦うべき理由があるのだから踏破しろ=B】
【或いは大蜘蛛の器は一切の干渉をその本質に受け付けず、だから時の鎖さえもすり抜けたのかもしれないが。それは、次に打つべき手のカギでもあるのかもしれない】

【牙が届こうと届くまいと、回避する余力はもはやなかった。阻害要因は残る2人に限られ、――――けれど、】
【至近から、“時”の鎖が再度襲い掛かるのだ――――蜘蛛を網にかけ死の因果へと絡め、終焉へと縛り上げんとする魔力の波濤は】
【今度は、幾つかが潰れた紅い球体こそを標的として。肉を裂かれ骨まで穿たれて、蹂躙されても心は譲らずにあることを証明し続けている】

【受ける攻撃の顛末を問わず、耐え、斃すための経過を続かせようとするだろう。その身が削られるなら、貪られることを、弱々しく続ける抵抗とともに勝因に加えようとする様に】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/14(月) 00:39:18.14 ID:5AVzV+nq0
>>651-654

「――くッ、上かッ!」

【確かな感触、だが機動力を奪うには足りなかったか――】
【自分が着地するほうがおそらく早い、……このままここに留まっていた場合の結果を確かめるなんてことはせず】
【すぐさま飛び退いた。……直撃は避けたが、風圧に巻き込まれて】
【そのまま、火の手を上げた瓦礫の中にへと埋もれ……脱出。背後に熱を感じる――】

「(……いや、気になるな。本当に眼が弱点ならば、先に処理すべきは"眼を撃つ者")」
「(怒りに身を任せているのか? それとも――)」
「(瓦礫化した家の住民には申し訳ない、後で補助金を出すよう伝えておく。だから、怒らないでくれよ)」

【――瓦礫の中から現れるのは、2本の腕だった。光り輝く水晶と、光り輝く流体のようなもので構成された腕】
【燃え盛る瓦礫をその腕が掴んだかと思えば、地面に張り巡らせられた魔力を奪う厄介な糸を処理すべく、】
【けれども2人の邪魔にならないように気をつけながら、その瓦礫を糸に向けて投擲した。魔力的な炎ではないはずだが――】

「少し熱いが勘弁してくれ。――弱点を見極める為にも、少々考える時間を頂こうか」

【余裕があれば、瓦礫を蜘蛛そのものの脚部にも投擲して機動力を引き続き削ごうとしてくるだろうか】
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/14(月) 00:47:44.20 ID:5AVzV+nq0
>>656
//下の文章を良い感じの位置に追加で!
//後はすみません、良い感じに補完していただければ……

【――背後の熱の弱まりを感じた。瓦礫の火が、宝玉の断片の力によって消されたのだろう】
【燃やすことはできる、だが消火する力は無い。……その力を目の当たりにすれば】
【なるほど、これならある程度の引火や延焼が起きても、辺りを焼き尽くさずに済むかもしれない】
658 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/14(月) 00:49:43.22 ID:IyzknymL0
/>>655
多くもの怒りを買うのも→大蜘蛛の怒りを買うのも …誤変換ですっ
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/14(月) 00:54:26.52 ID:OrdWMBIn0
>>654-656

ひゅうッ♪――BINGO!ってトコか。
クソ虫にゃあその紅玉は勿体無え。おめえには、クソッタレな黒色の方が似合ってるぜ。

【弾丸は確かに蜘蛛の紅玉を撃ち抜いていた。大蜘蛛から見れば小さな存在の、より小さな弾丸は効果覿面であった】
【しかして、蜘蛛は止まらない。矛先をカイではなく、黒衣の人物へと向けていたのである】

【不図、周囲を見回せば住宅の幾らかが倒壊していた。】
【時間経過と共に火の海となる事は想像に難くない。異形のものが暴れれば、こうなるのも必然か】

(『フェイ…、私も加勢します。故に、身体の半分を寄越しなさい』)
(「チッ…仕方ねえな、白桜。四の五言ってられる状況じゃねえのも事実だしな」)

【故にその口は、告げた。――Heaven's Hell――、と】
【その瞬間、痛んだ茶色の髪に白色が混じり始め、天国と地獄もまた混ざり始めた】
【これから放たれる弾丸には、着弾時の衝撃発生と着弾時に浅い傷でも激痛を与え、体力を奪う効果が付与される】

【カイの専心は依然として大蜘蛛の紅玉へと向けられており、この状況は言わばガンマンの早撃ちの様な気分にさせた】
【そして、両手に握られた拳銃の引き金を幾度と無く引き続けた。弾丸が無くなるその時まで、引き続ける】

【全ては自身の本懐を果たすため。ひいては黒衣の人物を護るため】
660 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/14(月) 01:05:53.25 ID:4hOiq60Xo
>>365-367

【矮躯を押し倒し、その牙を少女の左肩に食い込ませた──】
【その時だった──側から飛んできた弾丸に瞳を撃ち抜かれた】
【衝撃により僅かながらに位置をずらしたことで、少女の方は噛み付いた程度で済む】

【それに、黄色い粘液も各所の傷から勢いよく噴き出していた】
【──“時”が迫る、死の因果に取り込まれる。強烈な不快感は自傷へと至り】
【脚の爪で自らの腹を貫き、粘液を吹き出させていく】


【そのうち全ての瞳がその光を落としたのなら──】
【外殻が歪んで蕩けていき、やがて粘液を大量に撒きながら】
【一匹の掌程度の大きさの蜘蛛が、其処にはいた。頭部には小さな角が二つある】

【粘液に押し流されてひっくり返ってから、動かなくなってしまった】
【──死んだふりか、本当に死んだかはわからない。だけれど、レプリカのように動かなくて】


【粘液に引火し、腐ったものを炒めたような臭いが辺りに立て込める】
【放っておけば大火事になりかねないが──?】
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/14(月) 01:16:20.04 ID:5AVzV+nq0
>>660

【――"死んだかどうかわからない"なんて不確定な状況を終わりとみなすことは出来ない】
【それが本体かはともかくだ。……危険性が少しでもあるならば、潰すべきだろう】

【瓦礫を投擲していた水晶の腕が、"地面をすり抜けて"】
【現れたその小さな蜘蛛の真下から現れたかと思えば、白熱のエネルギーを纏いつつ握りつぶそうとする】
【他の者の攻撃が向かえば、手は放す。巻き込まれたくはない】

「……ふむ、この粘液だが」
「卵等が混ざっていると悪い。……火事にならないようにしつつ、破壊したいと思うのだが」

【それから、2人が閉じ込められないように気をつけつつ……】
【水晶の柱を地面から無数に生やして粘液が辺りに流出することを防ごうとするだろう】
【――火を止めるかどうかは、他の者に委ねた。どっちみち、復旧の手伝いをする際に燃やして処分する予定なのだから】
662 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/14(月) 01:25:17.84 ID:IyzknymL0
>>659>>660

――――……ッ……‼

【転倒に伴って打ちつけた躰のあちこちが痛み、――――けれど、その痛みが命があることを報せている。】
【“だから、戦う”。牙に左肩を刺され、もうできることがない局面で、それでも諦めることのない意志が、――――】

……蜘蛛に押し倒されるのは……どうやっても、好きになれそうもない。
このドロドロも……蟲らしく、悪趣味極まりなかった、な――――……。

【――――彼と彼女との共闘が。何よりも真っ直ぐに突き進む弾丸と火が、確かにこの蟲を斃したことを知って言葉を紡いだ】
【どこか満ち足りて、どこか誇るような。穏やかに、この瞬間を受け止め、抱くように――――】
【華やぐ雰囲気があったなら――それは、この影が刃を伴わぬ日のものだったのだろうけれど。ありえないものだから、きっとそちらは錯覚だった】
【ほぅ、と安堵の吐息が静かに融ける。……果たすべき役目、返すべき借りは、まだ残っていた。】


【精神接続による制御を■戒の宝■から切り、翠■の■■一本に絞って水の魔力を補強――――清水が火勢を弱め続けて】
【腐臭に取り巻かれながら遂行する誓約は、けれど、完全に火を鎮めるに到らない。このままならば、この影ごと燃え墜ちるものかもしれず】

【――今は影に果たせない、火を御する無能力者の営みは、残る2人や“この街”には可能だろうか?】
【或いは清水に魔力を補充することやこの場から影を動かすことも、効を奏するのかもしれないが――】

>>661

【蜘蛛の卵を潰そうとする深慮は、間違いなく正解としてあっただろう。】
【それを行う者としてこの地でもっとも優れた彼に、賞賛と、応えてくれた感謝のような感情が――きっと、どこかから向かっていた】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/14(月) 01:30:50.71 ID:OrdWMBIn0
>>660-662

【Show Dawn――弾丸は放たれた。蜘蛛は黒衣の人物を食らおうとした】

「『私の弾丸の方が速いに決まってんだろ、スパイダーマン』」

【西部劇のガンマンの様な一瞬の攻防は、カイに軍配が上がった様である】
【紅玉は全て撃ち抜いていた様で、六つあった輝きはすでに失われていた】
【己が本懐は果たせたようである。そして黒衣の人物も軽症で済んだ様である】

「『貴方も、生きていて何よりです。そして蟲に蹂躙されるのはもう御免だぜ、けけっ』」
「『いや、貴方達と言うべきでしょう。アタイ一人だったら蜘蛛助になぶられてたぜ』」

【そして、蜘蛛から流れ出るのは大量の粘液。巨躯から抜け落ちたのは、手のひらサイズの蜘蛛】
【それも撃ち抜こうとした矢先の事。ガスマスクの人物の提案が耳朶を震わせた】

「『…破壊しても構いませんよ。アタイはここがどうなろうが知った事ではないから』」

【カイが震わす声はフェイと白桜の二人分の声が重なっている様に聞こえるかもしれない】
【そんな声で紡ぐのは、承諾の言葉。それを紡ぐのと同時にカイは蜘蛛から離れるのであった】
664 :『Marble Rush』 ◆zuR4sSM1aA [sage saga !red_res]:2018/05/14(月) 01:41:07.49 ID:4hOiq60Xo
>>661-663

【彼が水晶の腕で蜘蛛を握りつぶしたのなら、何の抵抗もなく潰されるだろう】
【けれどその残骸からは、黒ずんだ結晶が一つ出てくるはずだ】
【魔力の解析ができるものなら分かるだろう、その結晶は悪意と嫉妬、恐怖に満ちている】


【水晶の柱で粘液を封じたのなら、中に含まれた卵もそこで堰き止められて】
【放っておけば中で勝手に燃え尽きてしまうだろう。湧き立つ腐臭は仕方ないとして】
【結局十数棟の家屋が倒壊した程度の被害に済んだ。死者も少ないほうだろう】

【粘液を浴びたとしても、卵を体内に吸い込まない限り影響はない】
【卵は気化することはない、粘液を飲み込まなければ大丈夫だ】


【────かくして、三名の英雄によって蟲は退治された】
【あとは、その結晶を誰が持っていくかということになろうか────】

// これにてイベント終了です、参加していただきありがとうございました!
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/14(月) 01:51:03.37 ID:5AVzV+nq0
>>662-664

「ありがとう」

【――2人から届く肯定の言葉を聞けば、水晶のバリケードはドームにへと変化するだろう】
【蒸し焼きだ。……既にある火の手を活かしつつ、更なる熱を持ってしてそれを素早く焼き尽くそうとする】
【そのままでも問題なく焼けていただろうが、やはり長い間嗅いでいたくはない臭いがするのだ】

「……蜘蛛の中から出てきた結晶だ。」

【それから、握りつぶした蜘蛛の感触が少し妙だったことを感じた彼は】
【結晶を腕に握らせて回収、2人に見せるだろう】
【もしも2人のうちのどちらかが持っていきたいと言った場合、素直にそれを渡してくれるはずだ】

【――さて、これで終わりではない。倒壊した家屋の再建、先程の行為で燃やしきれなかった粘液の探索とそれを燃やし回収すること】
【その他の残骸も念の為燃やしてから魔海辺りにでも処分すべきか、有用そうな素材ならば考えるが――】
【再建は明るくなってからになる、……それともう一つ】

「(いずれ、我が市を脅かすことになるかもしれない。奴らが向かってきた方角を調査して見る必要がありそうだ)」

【蟲たちが飛来してきた方角、そちら方面に何かないかを調査し始めるだろうか】

//お疲れ様でした!
666 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/14(月) 01:53:46.52 ID:IyzknymL0
>>663

……違いない。お互い、受けた手傷は軽かったし――――
悪夢なんてせず、このまま気分よく勝ちきりたい、な――

【クスリと微笑する気配。同意と、感慨と……きっと感謝と。言葉にすることはなくとも、問うたならば否定することは決してなく】
【そうして身を起こし、焼き尽くす過程を遮らない様に躰を退けた。自らの行いに起因する失血はあったが――――】
【彼女たちというべきだろうか?不思議な射手の言葉の通り、もう味わいたくない蹂躙を、彼女らはこうして切り抜けたのだから。】
【この結末は……この世界に揺蕩う数多のの脅威を予感させながらも、短い安息の時を許すだろう。だから、今は休息のとき――】

>>664

【斬撃を伴った黄金の火が、清めるかの様に影の身を撫でる。粘液は灼け飛び、あちこちが裂けた黒衣にももう残らない】
【血で汚れた身を清めるのか、黒衣の影はいつの間にか去るだろう。戦果と、疲労と。そして消え去ることのない戦いのひとときの、この結末に至る記憶を刻んで――。】

/ありがとうございました……ッ!お疲れ様でしたー!
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/14(月) 02:12:10.04 ID:OrdWMBIn0
>>664-666

【火葬とはココまで嫌な匂いがするのだろうか。酷く鼻の曲がりそうな匂いだった】
【恐らく生涯忘れる事が出来ないくらいの酷い匂い。思わず嘔吐きそうになる程に】

「わお、こいつァ気色悪ィ。つーわけで、だ。アタイは要らないよ、そんなもん」
(『ただ、気になりますね。あの蜘蛛が、そして蟲達が何処から沸いて出てきたのか』)

【その手がかりとなるであろう結晶。しかし、一個人が持つよりは広い人脈を持つ人物が持つべきだと考え】
【カイは結晶を受け取らなかった。何れまた、蟲と対峙する日が来ると確信めいた予感を抱いた為に】

「じゃあ、後始末は任せたぜ?ガスマスクの旦那。機会があれば、またどっかで酒でも飲もうぜ」
『それでは何時かまた、何処かでお会いしましょう。黒衣のお方。次があるならば語らいたいものです』

【カイは踵を返し、去っていく。蟲との遭遇。戦友とも言いうる二人の人物との邂逅】
【得た物は色々あって、失うものがなかったのは僥倖であろう】

//お疲れ様でした!絡んでくださった皆々様に感謝いたします。
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/14(月) 17:36:15.05 ID:Nn3aG2vfo
【────時は遡り、アルターリ事変の直後】
【魔界の荒漠とした大地に一個の光球が漂う。突き出した丘の上にそれは降り立つと、破裂】
【光球の内部から現れたのは男女だった。男は黒衣に身を包んだ魔術師の風貌だった】

【男が息を吸い込み、そして吐き出す。大気は重苦しくのしかかる圧があったが、男は慣れた様子だった】
【丘の上からは風景が下がり、荒れ果てた漆黒の大地を見渡すことができた。空は暗雲が立ち込める】
【陽の光は一切ない。暗闇に支配された暗黒の世界。それが彼らの降り立った場所、『魔界』だった】

【異質な魔力が周囲を支配していた。ここは人間たちの住む世界とは別の世界。何もかもが違っていた】
【その中であって、黒衣の男は平然としていた。人間界と魔界。どちらもこの男にとっては同じものだった】
【黒曜色の双眸が下がる。丘の下、遠く離れた先にあったのは空間の裂け目。人間界と繋がる、男が作り出した”門”だった】


ひとまず、第一段階は終了、といったところか
さて、怪我の様子はどうだ?


【男は連れ添った女へと声をかけた。声色には心配と呆れが混じり合っていた】
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 17:52:01.75 ID:S8GSINejO
>>668

【重苦しくかかる圧に魔女は膝をつく、数度激しい咳をして片手で胸元を抑えた】
【暫し檸檬色の双眸が周囲を見渡す。その目に映る光景が不可思議な色合いをしていると】
【終末の景色を思い浮かべた。──否、想像など出来ないほどの果て】

【──それこそが、魔界と呼ばれる世界なのだろう】


此処が……魔界、なのですね──ブランル様から頂いた臓器を研究しても
その世界が、私達の住んでいる世界より遥かに過酷な環境という事しか、分かりませんでした
それと同時に、基底現実を凌ぐ量の魔力……ここまでの光景とは

──ぅ……申し訳ございません、矮小な私の身では少々、濃密でありますが故
暫し休憩を頂ければ、と──


【彼女は寄り添うようにブランルの袖を掴む、添い遂げる様に視線を向けて】
【少女そのものといった瞳に怯えが見えた。幼子が兄に向けるような】
【不安な小動物そのものといった様子が、貴方へと向けられる】


大きいものは此方の腕だけです、大分痛みもひいてきましたが
それにしても強力な能力者ばかりでした。私の最大出力を以てしても、僅かな時間稼ぎしかできません
ブランル様はあれだけの能力者を相手して、圧倒しておられて──本当に尊敬致します


【魔女は静かに折れた腕を差し出すだろう。──まるで食い破られたかの様に無残な腕】
【恥部を見られるかの如く、魔女は恥ずかしそうに目を伏せる。それは力不足な自身を嘆いて】
【同時に仄かな愉悦もあった、虐げられる悦──どこ迄も暗い喜び】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/14(月) 18:08:06.25 ID:Nn3aG2vfo
>>641

【激昂から一転。効果がないと見れば無意味な攻撃を取りやめ、必要な行動だけを的確に取っていく】
【二人の、激情さえ上手くコントロールする精神性とそれを可能とする経験、知性に男は感嘆の表情を浮かべていた】


いや、思ったより冷静だな。もう一発ぐらいは殴りかかってくるかと思っていたのだが
無駄と見るや、一切してこなくなるとはな。本当に優秀だな、お前たちは
敵に回したくないと思わせるほどだ…………が、それはすでに不可避なので諦めるとしよう

能力についてだが、理解することそのものが容易ではないと言っておこう
何せ、私は”神”に選ばれ、そしてその加護を受ける存在だ。戦うのなら、それを弁えた方がいい


【不敵な笑みを形作り、ブランルは”神”などという言葉を大真面目に使ってみせた】
【大言壮語と捉えても仕方のない言葉だ。事実、こういった言動をとる悪党は少なくない】
【声には嘲笑の音色もあった。それをどう捉えるかは、二人次第だった】


さて、話を戻すとしよう
お前の言うとおり、これはあの娘の個人的な理由によるものだ。ならば、それは何か?
そこが問題となるだろう…………だが、そうだな、ふふふ

慎重に口説くという作戦も悪くないが、あの娘は押した方が効果的かもしれないな?
もっとも、そこも上手くやらないと逃げそうだが。あれは恐らく、私が思うに見た目以上に臆病だからな


【ジャンクちゃんがどうでもいいと言い切ったジンジャーの発言に、ブランルはわざわざ反応していた】
【普通ならば、にやついている、と表現するような表情だった。ジンジャーの言動を楽しんでいる節がある】


賭けの内容だが…………それは教えることはできない
何故なら、それは答えそのものだからだ。私からお前たちに答えを言うことはできない。”それでは意味がない”

だが、一つ大きなヒントを与えよう
お前たちからすればおかしなことだろうが…………私が勝てば、お前たちに利益がある
逆に、あの娘が賭けに勝てば、そのときはこの世界はどうなるだろうな
少なくとも、あの娘は私のものになるだろうし、私はそうするつもりだ


【ジャンクちゃんの問いかけに、ブランルは不可思議な答えを返した】
【つまり、ブランルが望む状況となれば、しかしそれはジンジャーたちにとって得であり】
【逆にブランルが望まない状況となれば、セリーナがその手中に収まるというのだ】

【謎かけのような話だったが、ブランルはそれ以上を答えようとはしなかった】
【その代わりのように、彼は近くにあったテレビのリモコンを手に取り、電源を点ける】


…………答えそのものはやれん
だが、そこに至る道筋ぐらいは示してやる
重要なのは、”これ”だ


【画面に映し出されていたのはよくある討論番組。ここ最近の世界の動きについて議論を交わしている】
【映像が切り替わり、記録が再生される。地の国における六罪王ベクターが破壊活動を行ったときのものだ】
【その映像には恐らくはジンジャーたちも知っているだろうが、セリーナと思しき女の姿があった】

【出演者たちは口を揃えてセリーナ・ザ・”キッド”の正当性について非難をしていた】
【曰く、自我を失っていたという話だったが、それが真実なのかどうか。危険性がないのかどうか】
【出演者たちはセリーナという人間が世界にとって必要なのかさえ、議論の対象とする────すなわち、疑っていた】
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/14(月) 18:17:22.09 ID:Nn3aG2vfo
>>669

【身体に纏わりつくような不愉快な気配は、この世界特有の魔力によるものだった】
【魔女の言うとおり、あまりにも濃密な魔力は人体にとって有害とさえなる。あるいは、万全の状態ならば無害かもしれないが】
【袖を掴まれて、男はその手を掴んで取った。ただそれだけだ。ただ、握るだけだ】


今のお前には、少しばかり面倒な濃度か
少し待て。多少はマシにしてやろう


【魔女の手を取っていない方の手が持ち上がり、指が鳴らされる。周辺の空間が断絶され、魔力が地上のそれへと置換される】
【絡みつく異様な魔力は魔女にとっても慣れたものへと変わっていくだろう】


ふふ、そう褒めるな、むず痒い
それに、単に役割の問題だ。私は科学者である前に魔術師だったからな
単に戦い慣れている、という事実もある。それよりも、だ

随分と張り切っていたな、お前は
死なれるのは流石に困るのだがな。分かっているのか?


【それは明確な叱責の言葉だった。だがそこには、自らに献身する者の存在への喜びもあった】
【掲げられていた手が戻されていき、魔女の折れた腕へと向かう。その表面を、細い指先が触れ、なぞる】
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 18:28:07.78 ID:S8GSINejO
>>671

【それは密閉した室内に新しい空気が流れ込むよう、魔女は大きく一息をついて】
【続く叱責の言葉に魔女はびくっと、身を震えさせる。借りてきた子猫よりもまだ弱々しく】
【折れた腕を撫でられ苦悶の声を漏らす。──触れただけでもひどく痛む腕、ここ迄きっと我慢していたのか】

【それはただひたすらに、貴方に心配をかけさせないが為】


ひぅ──……申し訳ございません、少しでも、ブランル様の……お力になれれば、と思いまして
私は不出来な存在です、研究者としても魔術師としても、人間としても、遠くブランル様に及びません
それ故に……不安、なのです


【魔女は一度言葉を置いて、貴方へと視線を向ける──否、】
【まるで太陽を直視するかのように一度目線を外した、はばかる様に下を向いて】
【やがておずおずと、恥じらいを持って服をはだけさせるがごとく、静かにうわ目を向けた】


……捨てないでくださいませ、貴方様に見捨てられると、私は生きていけません
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/14(月) 18:38:21.64 ID:Nn3aG2vfo
>>672

【怯えた様子の魔女を見て、ブランルは気が抜けたように息を吐いた】
【表情に浮かび上がるのは微笑みだった。弟子に向ける慈愛があった】


はっ、本当にお前は困ったやつだな
やれやれ。ちょっと虐めてやろうかと思ったが、そこまで怯えられるのでは仕方ないな?

────よくやってくれた
誇るがいい。お前はこのブランルに助力したのだ


【腕の表面を撫でていた手から黒曜色の触手が飛び出し、腕に絡みつく】
【一瞬の痛みの後に、凄惨な怪我が次第に修復されていく。数秒もあれば完治するだろう】


それにしても、今更、私がお前を見捨てるとでも?
もう少し信用してほしいものだな。ここまで連れ添ったお前を、どうして捨てられる?


【微笑みを湛えたままで、ブランルは怒るわけでもなくそう言った】
【そして彼女の片手を取ろうとして、その甲に口づけを落とす。それを証明と言わんばかりに】
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 18:39:39.00 ID:S8GSINejO
【何処かの国の路地裏──】

【この世界では多くの犯罪が横行していた。路地裏はその代名詞的場所であり、通常の人物は殆ど近寄らない】
【けれども力を持て余した存在が、暴力の矛先を探して漂う場所でもまたあった】
【──表通りにでも聞こえる大きな悲鳴、男の振り絞る声が聞こえた】


おやおや、随分と良い声で泣くものだ──私の部下にも見習って欲しいものだ
奴は幾ら痛めつけても大声など出さないからな、全く色気の無い事だ
最も醜い男の矯声など金を貰っても聞きたくない。呻き声すら聞かせるんじゃあない

その心積りで来たのだろう? わざわざ、金の持っていそうな相手だと誘い込んだ訳だ
愚かしさの代償は大きいぞ、私の貴重な時間を邪魔したのだ
──貴様にはただの死すら生温い、存分に殺し尽くしてやろう


【黄金の様に輝く長い金髪、同じ金色の双眸は全てを見通すが如く】
【白い軍服の上から黒いコートを羽織る、黒い紋様の書いた手袋をはめ】
【威圧感を与える貴族然とした長身の男】

【男の目の前にはズタボロの若者がいた。怯えきった目を向けて、男を見ていた】
【男は躊躇なく若者の腹部に蹴りを入れて──正しく暴行の現場であった】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 18:47:43.66 ID:S8GSINejO
>>673

【一瞬で完治する自らの腕を、魔女はじっと見つめて──やがて大きく息を吐いた】
【力が抜けてしまったかのように座り込んで、胸をなで下ろす】
【檸檬色の目尻に潤いが満ちた。零れ落ちる涙を悟られぬ様に】


勿体無いお言葉です──私など、ほんの僅かばかりの力にも、なれません
ブランル様の力はそれほど強大なのです。私ではその末端すらも追えません。
だからこそ、嬉しくもあります。私と話してくださる時のブランル様は、本当にお優しい……

──心配性は、研究者の本分です。私はひときわ臆病者なのです
だからこそ、それが杞憂に終わった時、落ちる安堵が心地よいのです
変だと笑われますか? ……愚かな女だと


【手の甲に口付けを落とされて、頬に赤い色が混ざった。白い色が滲んで】
【そこからキャンパスに色が満ちるように、耳まで真っ赤にして】
【もぅ、と視線を逸らす──どこか、嬉しそうに】


魔界だと言うのに、困った人です──、いつもはもっと、激しくする癖に
それに、虐めるのはベッドの上だけにしてください──そうじゃないと
……そうじゃないと、私が、私が……我慢できません
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/14(月) 18:53:14.38 ID:1w5O5nEK0
〉〉674
【なんとなく路地裏を歩いていたら何処からか男の悲鳴が聴こえてきた】

悲鳴か?…いやこんなご時世だから、めずらしくはないが一応助けに行くか…

【黒いコートを着た金髪の男が若者に暴行を加えていた】

オイオイ兄ちゃんそんぐらいで勘弁してやったらどうだ
それ以上続けるんだったら俺が相手になるぞ?

【いつでも武器を作れるようにしながら言った】
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 18:58:48.07 ID:S8GSINejO
>>676

【男は声のする方向へと視線を向ける。蹴りが止み、ぐったりとした若者が壁にもたれかかって】
【男はほう、と口角を軽く上げた。目の前の相手は相応にできそうだ】
【興味が向く先が変わる。ゆったりと大きな身体を向き直し貴方に声をかける】


例えばの話だが、支配者に楯突いた愚者を僅かな罪で許す事をどう思う?
或いは国王の暗殺を企てた者達を、同じ罪で裁くのだろうか
──否、彼らは考えられる限り惨たらしく殺されなければならない、それが見せしめだ。

君は利口そうだ、だからこそ忠告しておこう
君が相手になる等と片腹痛い。君は、君程度で相手になると思っているのかな
だとすれば嘆かわしい。相手の力を正しく把握するのも、立派な才能だと言っておこう。


【男は悠然と歩みを進める。両手を大きく開いて語りかけながら】
【大股で闊歩する様子は様になっていた。貴族と呼ぶのが相応な歩み】
【何もしなければ互いの距離はすぐ近くまで迫るだろう】
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/14(月) 19:11:37.02 ID:1w5O5nEK0
≫677

【男が両手を開き仰々しくこちらに歩いてくる】
【こちらはいつ戦闘になっても大丈夫な用に構える】

あんたの理屈は正しい、
俺も同じ考えだからな
だがなあんたは何者なんだ?

支配者なのか?王なのか?
お前は何者なんだ?
それを踏まえてもう一度言おう
俺が相手になるぞ?

【怒気を含ませた声で男に言った】
【愛用の槍を作り構えた】
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/14(月) 19:14:09.43 ID:Nn3aG2vfo
>>675


愚かなどと、笑いはしないさ。変わってはいるかもしれないがな?
お前のその性質も、案外楽しめるものなのかもしれない。その性質だからこそ、見えるものもあるのかもしれない
そうであれば、人も魔族も、生ける者どもには全て存在価値があると言えるだろうな


【変わっていると、ブランルは言う。だがその上で、それも”楽しめる”ものかと考える】
【愉快かどうか。それがこの男にとっては重要だった。狂気の魔術師の根底にある価値観だった】
【そしてその性質の価値さえも認める。人間にはそれぞれの性質があるとして、それらにも価値があると語る】

【魔女にとって、その言葉は意外に思えるだろうか。あるいは────そう言った上で、この男は人々を殺すのだ】
【価値を認め、それが重要だと考え、それこそ普遍的な人々が持つ価値観と同様に人命と人間の重要性を認識していて】
【そして、それでも殺す。殺せる。命の重みを抱えた上でそれを捨てられる。それがこの男の”性質”だった】


ふ、ふふ。誘うのが上手いのも困りものだな?
そう言われてしまっては私もつい…………この場でお前の肌に触れたくなってしまうが
しかし、流石に魔界ではそれも”今は”不可能だな。なので、堪えておけ。その方が後で楽しめるからな?


【男の手が女の頬へと伸びていき、その指先が肌に触れて唇をなぞる。そうして惜しむように指が離れていく】
【楽しみは後で。そう言ってブランルは魔女から視線を外し、彼方にある光景を指差した】
【暗闇の向こう側。暗雲の空と漆黒の地平線に挟まれた境界線に、小さな光点を見ることができた】


先の話をするとしよう
ここは魔界における、ある”王”の領土だ。先ほど、アルターリで召喚した魔族どもはその王の配下でな

『私が召喚したことによって、彼らの軍勢は大きく数を減らしている』

つまるところ、我らレヴォルツィオーンの目的としては、魔界の侵略が挙げられるのだ
まずこの一帯の土地を我らのものとする。それが目的だ。アルターリにおける儀式はそのための手段に過ぎない


【女を慈しむ声から狂気的な野望を実行する魔術師のそれへと変えて、ブランルは計画の詳細を語る】
【アルターリに魔族を呼び寄せたのはアルターリの殲滅のためではなく、魔族の殲滅だった】

【さらには計画はその先があり、この人間界とは異なる世界である魔界を、一部とはいえ手中に収める】
【途方もなく、また夢想にさえ思える計画を、ブランルは本気で実行に移していた】


なので、次にお前とブラスフェミアにやってほしいことはこれの手助けになるな
当然、戦場に出ろということではない。特注の兵器開発に協力してもらいたい


【次に魔女への本題が語られる。先の魔族を素材とした兵器開発はこれを申し出るための前座だったことが分かるだろう】
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 19:18:46.19 ID:S8GSINejO
>>678

【正しい問いかけであった。──少なくとも、間違ってはいない】
【支配者の様に振る舞い問いかける男、彼自身は間違いなく人間である】
【だからこそ、傲慢であった。力を持った人間がどのように振る舞うかの証明に似て】


──力を持つ者だよ、君だってそうだろう? 作り出した槍がその証明だ
人は私達の事を能力者と言うがね。知っているかい? 我々のような存在は極一部だと言われている
私からしてみれば恩寵なのだ。選ばれし者だけが与えられた、天性の賜。

故に我々は何者になる事を許されている。絶対的な力は圧倒的な権利を産み
そして競わなければならない。この辺りは市場主義の原理かな、自由競争だよ──企業家なのでね
ならば相手になってもらおう。すぐに果てぬ事を、祈るよ


【男の右手にも長槍が出現する。生成術というよりかは、召喚術に近い】
【彼はそれを右手一本で軽々しく振るい、真っ直ぐに先端を貴方へと向ける】
【荒々しい突きであった。貴方の左肩を狙い勢い良く放たれる】
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/14(月) 19:28:19.24 ID:1w5O5nEK0
>>680
【男は自分を力持つ物だと言い右手に長槍を作った】

生成術っ!いや召喚か?
だがっ
生憎自分は錬金術師でねぇ
召喚するより作り出すほうが早えんだよな

【錬金術により男の一撃を防げるであろう盾を3枚左肩に展開する】
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 19:29:06.09 ID:S8GSINejO
>>679

【しなやかな指先が肌をなぞる。甘い声をとめどなく吐き出しそうになってしまう】
【それは抑えの効かない感情に似て、勢い良く流れる河川を止められない様で】
【彼女に出来るのはただ感じることだけだった。貴方に傅く悦びを静かに携えて】


お優しいブランル様。そこまで命を大切なものと、尊きものと捉えた上で殺せるのですね。
恐ろしいブランル様。それはきっと心苦しいものなのでしょう、愛しきものを捨てる程心を蝕むものはございません。
貴方様の強さはそこにあるのでしょう……でも、私は捨てられると、悲しいです──、

……知ってますもの、私はブランル様に喜んで頂くことが、悦びでございますが故
ふふ、知っております。ブランル様が喜ぶ事はなんでも、……
それに、最近は別の玩具に興味を惹かれてますが故に、私も危機感を抱いているのです


【見せる様子は少しの嫉妬心。ひた隠しにしながらも、構ってもらえないことを不満に思う】
【ブランルの玩具とは、つまり『彼女』の事だろう。詳しくは知らないだろうが】
【指差した先を視線でなぞる、尊い色合いをそこに浮かべて】


──途方も無い計画でしょう、私にはそう思われます
だからこそブランル様はいどむのでしょう、貴方様には途方では足りない
信じております、貴方様なら必ず、成就できると

……兵器開発にございますか、それはどう言った兵器で?
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 19:35:27.42 ID:S8GSINejO
>>681

【金属同士が弾ける音。高音が爆ぜるように響いて、男は軽く息を吐いた】
【槍の一撃を防ぐ盾。男はその一瞬で、その盾の強度を理解するだろう】
【──錬金術師と、目の前の貴方は言う。成程、厄介な人種だ】


──ふむ、中々レアな能力だ。このレベルの錬金術は中々お目にかかれない
洞察力もいい。つくづく勿体無いな、私が相手でなければもっと長生きできただろうが
相手が悪かったと思うがいい。私の前に敵はない


【男の持つ長槍を一度引く。両脚を広げ重心を落とす】
【吐き出す呼吸がうねりをあげて、その音すらも辿れる様に】
【一瞬の静寂の後、男が再び槍を突き穿つ、速度は先程より早いが】

【長槍の先端のみが高速回転を始める。螺旋を描くような軌道で】
【貫通力と破壊力は先程と比べ物にならない、生半可な盾ならば貫くだろう】
【──無論その威力は見ただけでもわかる、対応を求められる】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/14(月) 19:49:07.79 ID:1w5O5nEK0
>>683

っ防げたか!

【男が冷静にこちらを分析し武器を構えた】

お褒め頂きありがとうよっ!

【男に向かって全力で攻撃を加えようとしたが】
【すぐさま男の雰囲気が変わった】

(不味いっ!何かやばいのがくるっ、)

【自分はすぐさま防御姿勢を取り先程と同じように盾を展開した】
【先程と違うのはさっきの盾は名無しだったが今回の盾は名前付きだった】
【しかもその盾を5枚出した】

くそっ!このままでは防戦一方だからなこちらも仕掛けるぞ

【男の槍が当たると同じタイミングで男の後ろに数個の武器を作った】

685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 20:00:50.64 ID:S8GSINejO
>>684

【良い判断であった。男の槍は盾を穿つだろう。──陶器でできた皿を割る様に】
【しかし、三つ程割った辺りで威力が大幅に落ちた。全て穿いたなら、すっかり勢いは殺されるだろうか】
【周囲には盾の破片が散らばり落ちている事だろう】


……ふん、成程そういう芸当もできる訳だ
どんな原理かは知らないが随分と器用な事をする、僅かばかり興味が湧いた
名前を聞いておこうか、敬意を払うのが私の流儀だ

例えその相手が、直ぐに目の前から消えるとしても──


【手首を返す。長槍が向きを変え、男の呼吸が震える】
【大きく身体を後ろ向きに一回転させ、嵐の様な槍が振り払われる】
【後方に出現した武器を叩き壊そうという試みであった、力任せの荒々しい攻撃】
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/14(月) 20:09:59.15 ID:1w5O5nEK0
>>685

【男の攻撃を防ごうとしたが自分はかすり傷を受けてしまう】

(チッ、6枚出すんだったなまぁいい回復だ)

【自分は回復薬を創り出して回復する】
【回復した瞬間男は展開した武器を壊した】

(来たっ!)

壊したなっ!爆っ!

【展開した武器には任意のタイミングで爆発させることができるようになっていた】

(これでかすり傷ぐらいはついてくれよじゃないときついからな)
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/14(月) 20:18:26.32 ID:S8GSINejO
>>686

【轟音が爆ぜる。砂煙が舞い上がりその衝撃を伝えるだろう】
【砂埃が晴れ、膝をついた男の姿が見えるだろうか、長槍の柄を荒々しく地面に突き立てる】
【──何が起きた、思案する脳裏をシナプスが駆け巡る】


ちぃ……姑息な真似を、爆破術式とは中々見ない応用法だな──!!
だがその程度、私を殺すには遠く及ばない、後悔するがいい
私に傷をつけた事、私に膝をつかせた事──!! 屈辱は百倍にして返す……!!

これまでも、そして、これからもだ──!!
我が槍に穿てぬ物は無い!!
──"Spiral Architect"!!


【男の端正な顔が歪む、野望に満ちたその眼が、確かな本性を伝えて】
【立ち上がるや否や、長槍の先端が高速回転を始める。──そして同時に風が吹き荒れ】
【貴方を引き寄せようと風がうなるだろう、長槍を中心に風が吸い寄せられていく】

【右手で長槍を一回転させ、そのまま腹部目掛けて槍を振り抜くだろう】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/14(月) 20:39:47.87 ID:1w5O5nEK0
>>687

【男に傷を付ける事は出来たようだが男は憤怒しているようだ】
【男の必殺技と思しきものが迫ってくる】

不味い不味い不味い。これは防げん、

(同じ威力のものをぶつけるしかないか)

街中で使うのは遠慮したかったんだがなぁ、
まぁ仕方ないか
〖我つくりしもの、我壊すもの、遥か遠い時間の盟約に従い我の敵を滅する、〗穿て〈アメロチア〉

689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/14(月) 20:54:11.73 ID:3Woxlbp0o
>>688

【吹雪く魔力の質が変わった。男の表情に驚愕が交じる】
【──技の深奥が見えない、それはつまり男では辿り着けない境地にあるということ】
【気に入らなかった、相手の技量が上だと、認めたくない気持ちが現れた】


どんな小細工を弄したかは知らんが! その程度の技で防げるとでも!
我が名はフランツ=フェアブレッヒェン! この世界を支配する運命の下
──何びとたりとも、私の道を邪魔させてたまるか!


【フランツは退かない、それどころかより一層の力を込めて振り抜く】
【膨大な威力の乗った突きであった。能力による補正も掛かって】
【真っ向から貴方の技と打ち合うだろう】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/14(月) 21:05:36.71 ID:1w5O5nEK0
>>688

【男の纏う力が一層強くなった気がした】
【セアンは思った見たところ数十年しか生きてないのに大したものだと】
【同時のこうとも思った若いな、とまだまだこれから学んでいけるかどうかで男の人生は変わるだろうと】

力を入れてきたか、そうじゃなくちゃな。
お前はまだまだ若いのだから

【セアンも相手に呼応するかのように力をためていった】
【こうしているうちにもセアンは槍を錬成し続けて強くしているのだ】
【そうして放った、町が滅ぶ可能性を持つ鋭い一撃を】

691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/14(月) 21:15:25.64 ID:3Woxlbp0o
>>690

【──放たれる一撃、切っ先が触れ合う刹那にフランツは理解するだろう】
【相手が放つ攻撃。その威力は、これまで放たれたどんな技よりも大きい、と】
【すかさず攻撃を転化させるのが、彼の経験と技術か】


チィッ──!! どんなデタラメな力をしているのやら……!!
路地裏とは言え、こんな街中で放つ技では無いだろう──!!
持ち堪えよ──"Spiral Architect"!!


【攻撃に向かう長槍の螺旋回転を逆方向にシフトさせる、攻撃を相殺させる逆回転の流れ】
【それと同時に長槍を伝って衝撃を受け流す。──攻撃ではなく防御に転化させた】
【街を守ろうというそんな思いは無かった。ただ単純に生き残る為の戦法】

【空気が破裂する程の衝撃波が周囲に放たれた。路地裏の壁が波打つように揺れる】
【攻撃は相殺されるだろう、フランツは弾き飛ばされ数歩後退する】
【長槍の切っ先は地面に向き、はぁはぁと荒く肩で呼吸していた】


……ふざけるな、貴様、一体何者だ──!!
ただの錬金術師が、ここ迄の力を持っている筈がない……!!


【フランツは睨みつける、視線の先の貴方を】
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/14(月) 21:25:37.12 ID:1w5O5nEK0
>>691

【耐えたか、やはり有能だな。勿体無い、もっと世界を広く見たら強くなれるかもしれないのに】
【フランツがこちらに向かって問いかけてくる】

フランツと言ったな俺はセアン・フォールス
錬金術により千年の時を生きた錬金術師だ
フランツお前はまだ若いのだから、色々な物を見て学び。強くなれ、そうすればまた戦ってやるよ

とりあえずこれ置いとくぜ

【セアンは創り出した回復薬をフランツの傍らに置いた】
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/14(月) 21:37:06.23 ID:3Woxlbp0o
>>692

【屈辱であった。──自身の力には絶対的な自信を持っていた、信念が踏み躙られる様な感触】
【けれども苛立ちに任せて突撃する程若くもなかった。彼我の実力差は自分が痛い程分かっている】
【置かれた回復薬を踏み潰す。液体が靴底を伝って地面に流れた】


セアン・フォールス……!! その名前、忘れはしないぞ
良くも私の顔に泥を塗ったものだ、錬金術師だと? バカバカしい
自惚れているが良い、次は必ず──必ず殺す


【紳士的な雰囲気をかき消す。其れは蹂躙された矜持のため】
【吐き捨てる様な呪詛と共にフランツはその場を後にする、残ったのは深い怒り】
【──セアン・フォールス、その名前を深く心の底に刻み込んで】


/お疲れ様でした!
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/14(月) 21:39:59.45 ID:1w5O5nEK0
/お疲れ様です。
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/14(月) 21:53:13.41 ID:Nn3aG2vfo
>>682

【「捨てるはずはないさ。何度でも誓おう」────ブランルは魔女のその言葉にだけは必ず答える】
【兵器の詳細を尋ねる声に、男の口角が上がる。不気味な笑みを、しかし魔女には見慣れたそれを浮かび上がらせる】


────巨大な兵器、だ
我らが魔界の侵攻を成すにあたって、主力となる兵器
構想はすでに練ってある。あとはお前たちの助力があれば完成するだろう

お前に作り出してほしいのはな
この世界に住まう魔族を元に、”膨大な魔力を生成し得る”生物を作り出してほしい
当然、やつらの遺伝子を解析し、それを改良することによって、だ


【ブランルは黒衣の中から、一個の魔導具を取り出した】
【それは所謂、”ジェネレーター”だった。周囲の魔力を循環させ、また内部構造より魔力を出力する機械】
【それを右手に持ち、掲げる。何も持たない左手を同様に掲げ、手の中に魔力の塊を生成する】


レヴォルツィオーンで魔導具開発を行っていて、常々感じていたことがあった
人間とは、あるいは魔族とは何か。魔術発動のメカニズムを考える上で、その存在はどういう役割を持つのか

魔導具というのは元々、魔術が扱えない者が擬似的に魔術を再現するためのものだった
それ故に、大気中の魔力を利用するか、こういった出力機を用いるかの違いはあれど、何かしらの手段で魔力を獲得する
なるほど、それなりに上手くいっていた。だが、その出力は実際はどうだ? ────十分とは言えない


【ブランルの左手から放出される魔力量が、出力機のそれを上回っていく】
【右手が傾き、出力機は丘の下へと投げ出された。濃霧の向こう側へと落下していき、遠くで小さな音を奏でた】


こんなものを使うぐらいなら、いっそ普通の魔術師に出力させた方がマシだと気がついた

────なので、魔族にそれを担わせることにした


【黒衣を翻して、ブランルは魔女へと振り返る】
【その表情には邪悪な笑みがあった。魔女とブラスフェミアに素材を渡したとき、あるいは彼女と初めて遭遇したときのような】


これから私たちが作るのは────巨人だ
お前にはその心臓部を頼みたい。魔族を”魔力を生成する部品”として用いる
極めて重要な仕事だが、やってくれるな?


【男は女へと、手を差し出した。いつものように、その手を取れ、と】
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/14(月) 22:12:21.31 ID:3Woxlbp0o
>>695

【彼女は思う。──ブランルの笑みは、世間一般で言う所の不気味な笑みなのであろう。底知れぬ慾望を含んだ】
【けれども、彼女にはそれが煌々とした輝きを持っている様に思えた。眩い夢を語る少年の様な】
【だからこそ支えたいと思う。力になりたいとすら感じる──、確かな愛が、そこにはあった】

【献身的な、傅く愛──例えそれが、何処に向かおうとも】


……不思議です、きっと貴方様以外に命じられたなら、私は首を振ったでしょう、
それはフランツ様だとしても同様です、例えその結果殴られ蹴られ嬲られようとも
──私の力量を遥か超えております、魔族を用いた膨大な魔力を生成できる生物など


【差し出された手を握り返す。その手に引かれる様にしてゆっくりと立ち上がるのだろう】
【小柄な少女は貴方に寄り添い、その逞しい腕に華奢な両腕を絡ませて】
【微笑んでみせた。それはきっと、研究者などではなく、ただの一人の恋する少女として】


ですが、貴方様に命じられたなら、私はええ、と答えられます
私の持てる力全てを使って、必ず果たすとお答えするのでしょう
我ながらなんと無責任な、と思います──でも、言いたくて仕方が無いのです

貴方様に褒めていただきたい、貴方様によくやったと言っていただきたい
女の子が奇跡を起こすのに、それ以上の気持ちなど、必要ないのです


【彼女は思った。──ブランルの最も優れた能力とは、強く人を惹きつけるカリスマなのだろうと】
【膨大な魔力も、悪魔的知能も、高度な魔術も、そこには遥か及ばない】
【不思議な充足感に満ちていた、胸がとくん、と高鳴って】
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/14(月) 22:27:27.23 ID:OrdWMBIn0
【水の国のとある廃ビルにて】

【その建物は既に色を失っていた。人気の無いビル。目的を失い、ただ朽ちる時を待つだけの建物】
【そんな建物の広々とした一室には、人の気配が在った。人数にして3人。だがそれは決して穏やかなものでは無い】


天網恢恢、疎に漏らさず――って言った所でしょうかね。
おたくらゴミ虫が何匹集まった所で何の意味もござんせんよ、よよよ?

こうして踏み躙られて、踏み潰されるのを待つだけなんですから、ねぇ。
痛えかぁ、痛えだろぉ?げひゃはっはははッ!もっと鳴けよ、鳴けって言ってんだろォ!?


【その状況。黒ずくめのスーツの男が、床に蹲る女性と子供を足蹴にし続けているという不穏な状況】
【だが、水の国においては黒ずくめの男・棕櫚の方に分があったのだ。能力者を排斥する気運の高まったこの水の国で】
【制限法が成立した水の国で、能力者を甚振る棕櫚の行為は非道であれど、決して罰せられるものではなかったのだ】

【今宵、この廃ビルに入り込むのは果たして正義か悪か、それともほかの何かか――】

//お待たせしました…ッ!
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/14(月) 22:30:33.63 ID:bd6M9kY2O

【月のかげった気味の悪い深夜だった】
【空気は湿気っているが、雨は夜半に止んでいる。水溜まりを踏んでブーツが路地裏を歩いていく】
【ゴミ捨て場の影から人の姿が現れて、その歩みは止まった】

この男性をご存じでしょうか

【丈の長いエプロンドレスに桃色のミディアムヘア、そこに添えられた白いカチューシャ】
【黒曜石の如き瞳を持つ、愛想のない女は、手の中の写真を掲げる】
【その前に現れた浮浪者然の男。身なりは汚いが体は大きく、腰に妙な膨らみがある】
【緩慢に顎髭を撫でる。男は場末の情報屋であった】
【首を横に降り、無言で顎をしゃくる。向こうへ行けの合図】
【それに気落ちした様子もなく、一拍開けて女は踵を返す――――その髪に、冷たい鉄の塊が押し付けられた】


『礼儀のねえトーシロが』

【男の足元には頭を撃たれ倒れ伏した女】
【目障りな相手を殺して黙らせる。それが日陰に生きる彼らにとっての日常】
【ガムを踏んだ程度の不快さで呟き、拳銃をベルトに戻し背を向けようとした男が大きく目を見開いた】

【頭蓋を撃ち抜かれた筈の女が、手をついて何事もなく起き上がろうとしている】
【打ち損じた訳ではない。後頭部からは赤い色がつうっと滲んでいる】
【なのに、呻きすら上げず無言で振り返り。乱れた前髪の向こうからじっと見つめている】
【男の驚愕が、恐怖の色に染まった】


【ぱん、ぱぱん、ぱん。路地裏に立て続けの発砲音が響く】
【この街では決して珍しいことではない】
【それを聞くものは奥を覗けば、騒ぎの一端に触れられるだろう】


/使い回しですが、よろしければ何方でもどうぞ
699 :シンクロライダー"W-1" [saga]:2018/05/14(月) 22:32:12.28 ID:HUfIfKOpo
>>670

ああ。君が私を本気で怒らせてくれたからな。本気で殺してやろうと思っている状況で
通じないとしか思えない事はしないさ。激情は、確実に通じる『一手』にのせると決めている
確実に君の命を断つための実のある『一手』でないなら振るう意味はない……ベクター戦でそれを心底思い知り反省した結果だ

しかし、"神"。神ね……どこの社におわす神かは見ただけではわからんが、なかなか猛々しい神だと考えたほうがよさそうだね?
つまり君を殺すにはこの世に"神殺し"の神話を一つ増やすつもりで挑めという訳だ

『経験がない訳ではございませんが、死力を振り絞るつもりで挑まなければならない戦いとなることは間違いないのデスヨー
(……となると、本気で神殺しの武器を調達しないかぎりこの場でワタシたちがこの男に勝てる見込みは……ない、というわけデスヨー)』


【W-1がチェーンソーを握らぬほうの手をだらりと下ろし、握り拳を強く固める】
【『敵を討つには神殺しをするつもりでいどむほかない』―――そう突きつけられ、圧力から息をのむ事はあっても、それを投げ出そうとは全くしない】
【強敵を前にしてもまるで折れるという事を知らないのだろうか。長年培った『図太さ』は人一倍という訳だ】


……臆病。確かにそんな脆い一面を私も見ている。
なるほど……押すにもまず彼女の安心を勝ち取ってからの方がいいというわけか
なぜわざわざ私が有利になる事を言ってしまったのかはわからんが……ふむ、すごくいい事を聞いた

『………?なぜ、わざわざそんなことまで……』


【ジャンクちゃんはまだ疑問が解けていないようだが、ブランルは明らかにジンジャーのいつも通りな姿を見て喜んでいるようにしか見えない】
【この男の女性に関する暴走具合はいつも通りのためもはや『対応』も平常運航ゆえあまり注目しなくなったジャンクちゃんだが……ブランルはそれをむしろ見たがっている?】

【そして、賭けの内容、これについてはブランルは教えることはできないと言われてしまう】
【だが、ブランルが賭けに勝てば自分たちに利があり、セリーナが勝てば世界はどうなるかわからないしセリーナがブランルの物になってしまうだと?】
/続きます
700 :シンクロライダー"W-1" [saga]:2018/05/14(月) 22:32:35.22 ID:HUfIfKOpo
>>699続き
【……ジンジャーはここに大きな疑問を持つ。なぜセリーナが賭けに勝った場合のほうにブランルの利益らしき物がちらついているのか】
【逆に、ブランルが賭けに勝つほうがジンジャー達の望みが叶うと言う。なんだそれは?賭けの内容以上に一体ブランルは敵のはずの自分たちに関する『何』をBETしたのだ?】

【―――W-1がチェーンソーを『クラークタクト』の中に収納し、腰のホルスターに納刀した。そしてジンジャーは本格的に考え始め出した】


(どういう意味だ……?本当にわけが分からん、セリーナ君とこいつは『何』で賭けた?そして『何』に関するモノをBETした?
……普通に考えればセリーナ君が我々を害する願いを差し出したり、口にするとは思えん。だが、願いというか、『賭け』?モノでもなく、なんというか……
そう、セリーナ君の賭けた物は彼女の願いというより……『思い通りにならない現実』が実現する悲観……?)

『……ひ、ヒントデスヨー?これは……過去のニュースデスヨー。ベクター戦の一件が映っています!』

……む、本当だな……おいおいこのヘリのプロペラに押し込まれてる奴は私たちではないか……そして、この後のは……

『(……『レイン』。そう、あの子の……)』


【ダークスリンガー化したセリーナの外装をこじ開けるために自分が彼女を抑え、総員に攻撃させ、カミナの聖の気を持って浄化し外装を引っぺがした映像もあった】
【間違いなかった。あの時の戦いだ……あの時のダメージは本当にすさまじかった。ブランルに対しては『口を出すこと』もできないが、この一件で表に出てきた『あの子』の今に思いをはせ始める】
【だが、その後に現れる出演者たちのセリーナに対する心無い非難。セリーナの危険性だの、セリーナが世界にとって必要かだのまで言い出し始めた】


『……そんな!!こんな言い方ってないではありませんか……!
セリーナさんはもう大丈夫なのに……!もう、その問題は『完全に解決』したのに……!!』


(……なんだ、この気持ちは。もちろんこの者たちへの『怒り』が第一だ。だが、それ以上に……今私が感じているのは『困惑』だ
このブランルという男が言わんとしているのかを、理解しつつあると同時に……それを私に伝えてくる『意図』がなんであるかを察し始めている……その事に困惑している

そして、私が……オレが今、怒りと、困惑と同時にこの場で胸の中に抱きつつあるこの感情は……なんだろう)


【やり場のない憤りで固められる握り拳。だが、同時に仮面の赤い複眼はブランルの事をまっすぐ見つめてくる】
【殺そうとしているはずの男への攻撃及び対策すらもを完全に後回しにし、W-1はパチン、と指を鳴らし―――手元にホログラムモニターを出現】
【Volボタンの+を指で何度も押しボリュームを上げこの言葉を聞く。そして―――ブランルの表情を観察し始める】
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/14(月) 22:44:08.86 ID:Nn3aG2vfo
>>696

【男は女の答えに、僅かばかり驚いた表情を浮かべた】
【フランツに対してさえ拒否するような要望を、しかし自分が言ったという理由で頷いたというのだ】
【それが、ほんの微かに不思議に思った────何故か。理由は単純だった】


…………まさか、お前が私をそこまで想っているとはな
朴念仁であったつもりもないが、それでも驚いたぞ。本当に

だが────良い答えだ


【腕を解き、その代わりに女の腰へと回す。強く抱きしめる】
【片手を頬に添える。その瞳を自分へと向かせようとする。黒曜色の双眸が女を見つめる】
【女がそれを捧げるのであれば、男の答えは決まっていた】


     ならば、世界の果ての果てに辿り着くまで、この世界が黄昏を迎える時まで

         ────お前は永遠に私のものだ


【それは、囁くような誓いの言葉だった。女の傅く愛に応えるものだった】
【そのまま男は女へと口づけをするだろう。長く、長く、決して離さぬように】
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/14(月) 22:52:40.12 ID:3Woxlbp0o
>>701

【強く抱き寄せられる。──吸い込まれる様に貴方の視線を見た】
【深い黒であった、初めて会った時から──強く、強く引き寄せる引力を持った瞳】
【心までも丸裸にされる様な感覚で、続く言葉がすぐには見つからなくて】

【──心からの喜びに、形容する言葉など見つからない様に】


……はい、改めまして、よろしくお願い申し上げます。
ブランル様の作る世界を側で、──いえ、共に見届けましょう
貴方様の願いは私の願い、貴方様の喜びは私の喜び

望む物は全て鬻ぎましょう、出来ることなら全て、出来ずとも必ず
貴方様に寄り添えるだけで私は、心の底から無上の喜びを感じるのです
──ブランル様、私の愛しき────人


【口づけが重なる。──絡めた唇の、柔らかい感触だけが全てであった】
【全身が蕩ける様な感覚で、その舌先に全てを溶かしてしまったみたいに】
【──永遠の様な一瞬、何方も決して離そうともせず、ただ愛を貪って】

【煉獄の様な魔界で、たった一度。──尊き愛を願った】


/この辺りでしょうか! お疲れ様です!
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/14(月) 22:53:54.87 ID:Nn3aG2vfo
>>702
//お疲れ様でした!
704 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/14(月) 22:57:13.85 ID:4hOiq60Xo
>>697

【──廃ビルなんて場所に来る人間は、皆無だと言っていいだろう】
【悪の巣窟、混沌の産地────人によってその呼び方はまちまちだろう】
【さて、艶やかな色留袖を羽織った豊満な女は階上で“仕事”をしていたのだけど──】


「あらぁ、やけに騒がしいわねぇ……」


【扉の向こうに聞こえる喧騒は、やけに耳に入った気がして】
【その扉をゆっくりと開ければ、草履の擦れる音が耳に入ることだろう】
【──その女が、正義か悪かその時点ではわからない】
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2018/05/14(月) 23:08:10.36 ID:Nn3aG2vfo
>>699>>700

【ブランルの表情は────ただ笑みを浮かべるばかりで、何の感情も情報ももたらさなかった】
【内心や内面といったものを、一瞬で隠してしまう。隠せてしまう。ジンジャーが相対しているのはそういう男だった】
【故に、その言葉から推測するしかなかった。一体、何を考えているのか。幸いにも、口数は多かった】


…………さて
私はこの件の詳細は知らないし、そこまで興味もない
私に言えるのはこのあたりが大きなヒントとなっている。その程度の話だ

あとはお前たちと、そして彼女との話だ
あの愚かで哀れな娘がどうなるか。それはお前たち次第だ。”私次第ではない”


【カウンターから降りて右手を掲げる。床に置かれていた鞄が転移させられ、男の手へと収まる】
【画面では今でもセリーナをどうすべきか、あるいは”弾”末魔をどうすべきか、などという話が続いていた】
【だが既にブランルは興味を失っていた。少なくともその先に、彼の示したい事柄はなかった】


場所ならば教えてやる。そのうちな
だから”お前が”迎えに来い、ジンジャー・ユースロット。そうすれば賭けの結果も明らかになろう
他のやつは寄越すな。同伴させるのはいいが、代わりなど差し向けたらその者は私が殺す

────あの哀れな娘に、自分が培ってきたものを示してやれ


【その一言には、僅かな感情が────憐憫が乗せられていた】
【ブランルは嘘偽りはない、と言っていた。それはもしかすると、彼がここに来た当初に話していたことも含まれるのかもしれない】
【つまり彼は二人と何を話していたか。セリーナについて、何と言っていただろうか。あるいはそれもヒントなのかもしれない】

【セリーナに、彼女自身が積み上げて来たもの。それを示してやれ。それがブランルの最後の言葉だった】
【言い終えたブランルは出入り口まで歩いて行き────そして、音もなく姿を消した。残るのは魔力の微かな残滓だけだった】


//数日間、ありがとうございます。お疲れ様でした!
706 :@mail [saga]:2018/05/14(月) 23:12:53.21 ID:YW1vVfdWO
【送信者────ミラ・クラァケ】
【送信先────ゾーイ】

『よぅ、ゾーイ。ご機嫌か?こっちはぼちぼち。ところで、特区のことに加えてもう一個お願いがあるんだ』
『黒野カンナ、ってやつのことを調べて欲しい。可能ならその居場所も』
『だけど調べる時はとびきり気をつけろよ。なんつったってカンナを捕まえてんのは黒幕連中だからな』
『危ない事ばっか頼んで悪い。帰ってきたらまたスシでも食おう』

『それと糸目の看護師にも気をつけろ。曽根上の可能性がある』
『実際に、協力者が特区の中で曽根上っぽいやつを見てるそうだ』
『ヤバそうならとっとと逃げろよ?あんたとメールが出来なくなっちまうのは寂しいからな』


【送信者────ミラ・クラァケ】
【送信先────カニバディール】

『サンキュ、しっかり見てきてくれたみてぇだな…………イル、あのクソ野郎』
『鈴音をどうするつもりかは知らねぇが、ろくでなしってぇのはこれではっきりした』
『黒幕を潰すついでにその余波でイルもぶっ潰す。ムカつく奴はみんな潰す。シンプルにな』
『面倒なこと任せちまって悪かったな。今度一緒に飯でも食おうぜ』


/メール的なでございまっす!置きでのメールがとっ散らかったのでまとめも兼ねて!
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/14(月) 23:19:18.51 ID:OrdWMBIn0
>>704

【廃ビルの一室には依然として非道が繰り広げられていた】
【この部屋を支配する暴力は、徐々に速度を上げる自動車の如く、加速度的に苛烈なものとなっていたt】

どうですかぁ?癖になるでしょう?気持ちいいって言ってごらんなさいな。
――…まぁ、こんな状況では呻き声を上げるしか出来ねえかぁ?

【私刑にも等しい暴力は、子を庇う母親の命を削り、果てには削り尽そうとしていた】
【母親の頭部からは尋常ではない程の流血。もはや、虫の息と言うべき状態であった】

きひひっ、仕事熱心も程ほどに、ですねえ。さて、次は――ガキ。お前の番だ。
お前も不憫なモンだなぁ。能力者に生まれついちまったばかりによ。

生まれる時代も場所も全て間違えて、それでも此処まで生き汚く永らえて。
それは間違いだ。間違い。大間違いだ。――正解は、俺に嬲り殺される事だけだ。

【糸目があくどく、そしてぎらついていた。口元が妖しく、半月に裂けながら。
 身動き一つしない母親を思い切り蹴り飛ばし、暴力の矛先を子供へと向けようとした矢先】

…おや、誰です?申し訳ないんですが、ここは立ち入り禁止です。
今、ボク仕事中ですんで。もう少しだけ、お待ちいただけないですか?

【未知なる者が足を踏み入れた。予期せぬ来訪者に視線を移す。そして、物腰低めな態度を取り繕い】
【嘘っぱちのにこやかな笑みを作りながら、猫を被る。だがその猫被りは意味を成さない】
【助けを請う様な子供の目が、柘榴へと向けられていたから。この状況もソレを後押ししていた】
708 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/14(月) 23:43:41.99 ID:4hOiq60Xo
>>707

【きぃぃ、と扉が軋む音を立てて開く】
【中をそっと覗き込んで見れば、母子と思われる二人と】
【黒ずくめのスーツの男──横たわる母親を蹴る男が其処に居た】


「お仕事、ねぇ。ふふっ、それは失礼したわ」


【口元に笑みを浮かべると、子供の視線を無視するが如く壁に凭れて】
【腰に巻いた帯からパイプを取りだすと、先にライターを近づけて白煙を上げる】
【口からそれと同じ白煙を吐けば、淫靡で甘ったるい甘香が辺りに広がる】


「それにしても何のお仕事かしらぁ?やけに暴力的ねぇ」


【彼が“仕事”をする様子を見ながら、そうやって貴方に問いかけるだろう】
【胸元を少し開けさせた色留袖の裾を揺らして、彼の返答を待つ】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/15(火) 00:01:34.42 ID:qQfQFjPL0
>>708

おや、仕事の邪魔をしないと言う。ご理解いただき誠に感謝します。
ってワケで――さくっと終わらせましょうか、オシゴト。

【手抜きは止めだ。そう言わんばかりに子供へと体を向け、駆ける】
【程よく子供に近づいた所で、棕櫚は子供の胴体へと鋭い蹴りを繰り出した】

【すると、子供はボールの様に勢い良く吹き飛び、窓硝子を突き破り、外に放り出された】
【この瞬間を以って、棕櫚の仕事は終わりを告げる。水の国における正義を執行したのだった】

んーー、ボクの仕事は"治安維持"なんですよ、"治安維持"。こう見えても公安なんですよぅ。
能力者は危険な生き物ですから、暴力的になるのも已む無しです。おお、怖い怖い。

【廃ビルの一室に交わる声は、双方共に異端】
【変わらずにこやかな表情を崩さず、猫被りを続ける棕櫚】
【棕櫚の殺戮を咎める事無く、同類の匂いを微かに匂わせる柘榴】

【だが、異端であるという事は理屈が通じないという事。故に棕櫚は相手の様子を伺う】
【もし、何かの拍子で牙を向くのであれば、無事では済まないと言う予感がしたから】
710 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/15(火) 00:23:44.70 ID:bqF/hVGjo
>>709

【貴方が子供を蹴っ飛ばす姿を見たとしても、動揺する素振りすら見せない】
【一つの生命のために、他の数千数万の命の存在が脅かされるのだ】
【自身も能力者なのだが、魔防法には賛成──客の命を能力者に奪われたら嫌なのだから】


「“公安”のお方なんですねぇ。治安維持もこのご時世じゃ大変なお仕事でしょう?」


【能力者を排除するという彼の仕事は、今最も大変な仕事の一つだろう】
【人を殺すことをいとわない彼らの仕事は、ある意味狂っているとも言える】
【──まあ、身体を売る商売をしている人間が言えたことではないが】

【牙をむく様子は全く見せない、そうすることが安全だと判断しているから】
【何より自身が能力者だと気づかれないのが最も重要だろう】
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/15(火) 00:46:39.21 ID:qQfQFjPL0
>>710

そぅなんですよ。こう見えても公安なんです。昼も夜も無く馬車車の様に働かされて。
大変ですよ、大変。能力者は好き勝手横暴の限りを尽くして過労死しちゃう位です。ほんに。。

【柘榴の方へと振り向き、肩を竦めながら、やや疲れた笑みを作り激務をアピールする棕櫚】
【一仕事終えてどうも口が軽い。だからか、突如踏み込んだ未知に対して嫌に饒舌であった】

能力者って呼ばれる連中が引き起こすものの。最早厄災ですよ、厄災。
しっちゃかめっちゃか暴れまわりやがって。お陰でこわいですわ、おおこわい。
"人、神、鬼。強(こわ)いのはだぁれ"って聞かれたら、鬼ですよ鬼。能力者って言う人ならざる鬼っすわ。

【捲くし立てる様な、洪水の様な勢いの言葉。軽薄な雰囲気から吐き出されるそれは】
【棕櫚の本心――ではない。棕櫚自身も能力者であるから。能力者という存在自体は肯定しているから】
【何より制限法を定めた側に属する人間であるから。能力者は自分達、公安だけでいいのだから】

――…と、まあボクに纏わる話はここまで。
おたくは何をしにこんな所にいるんですかぁ?疚しい事が無いなら、お答え頂けますよね。

【棕櫚の非人道的な行動に動揺している様子も無く、平然と言葉を交わす柘榴への疑念】
【何より人気の無い廃ビルに居たという事にひっかかりを覚えた故に、軽薄ながらも蛇の様に絡みつく口調で――問う】

【お互いに牙を向ける気が無いからこその言葉。もしかすると同類かもしれないと思ったから】
712 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/15(火) 01:27:17.35 ID:bqF/hVGjo
>>711

「そうですねぇ、私もお客さんを能力者に殺されちゃいましたから」


【彼が能力者を鬼と表現するのに呼応するかのように、微笑みを湛えたまま】
【捲し立てるような勢いの言葉を、ゆっくりと反芻しながら理解していく】
【能力者であることを口に出さないように意識しながら、対応している】


「ふふっ、私のことを聞きたいんですかぁ?疚しいことはないんですけどねぇ」
「お金持ちの殿方とちょっとした“お遊び”をしてただけですよぉ」


【くつくつと嗤いながら、愉しげに袖を揺らして話す】
【絡みつくような口調に関わらず、女は平然として対応しており】
【──なにもこんな廃ビルで、と思われるかもしれないのだけど】
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage saga]:2018/05/15(火) 01:47:44.43 ID:qQfQFjPL0
>>712

"お遊び"ですかあ…。こんな廃墟で殿方と"お遊び"と来ましたか。――…いけませんねえ。
風紀が乱れておりますねえ。"お遊び"では無く、お熱い"火遊び"でもしてたんじゃあありません?

【柘榴の言葉を文字通り受け取る心算は無いが、胸元を主張する柘榴の身形のせいか】
【その言葉には蠱惑的なものが絡み付いていると錯覚する程だった】

全く…けしからんです。実にけしからんです。ボクも混ぜてくださいよぅ。
って風に羨む様に言えば、お嬢さんはボクとも"遊んで"くれますかい?

【舌先でレロレロと飴玉を転がす様に、言葉を弄ぶ棕櫚】
【口にする言葉は公安組織の人間としての説教染みた物と一個人の欲望が混在する様な見せかけ】
【見せ掛けの言葉に真実味を持たせる様に、締まらない表情と口調を添える】

【口にするのはスリル。今の棕櫚の姿は刺激を求めて火遊びをする悪童そのものだった】
【"お遊び"とは何ぞや?言葉と表情に加えて、ぎらつきを滲ませた糸目も柘榴へと向けられていた】

714 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/15(火) 02:27:34.82 ID:bqF/hVGjo
>>713

「うふふ、見破られたなら仕方ないですねぇ」


【それは只の“お遊び”なんかではなく、“火遊び”をしていたと認めているかのようで】
【蠱惑的で、何処か誘うような素振りを見せつつ──この状況を楽しんでいた】


「でも貴方は公安の方でしょう?劣情に身を任せても良いんですかぁ?」
「貴方が相応の“対価”を示してくれるのなら、“遊んで”あげてもいいですよぉ」


【やはりくつくつと嗤いながら、貴方のギラついた視線を受ける】
【説教じみた言葉のなかに、欲望が混ざったような見せかけ──】
【羨むように言わなくとも、“相応の”対価を払えば気が済むまで“遊んで”くれることだろう】

【別に他意などない、火遊びを楽しんでいるのは此方も同じなのだから】
【彼がそれに乗ってくるのなら、やはり愉しむのであろう。胸元をちら、と貴方に見せて】
715 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/15(火) 02:59:20.15 ID:qQfQFjPL0
>>714

ええ、そうですとも。公安です。…でもその前にボカぁ一人の紳士、一匹の狼です。
人間が劣情に身を委ねるのは日常茶飯事です。そも力ある者の横暴は往々にして罷り通せますのでご心配なく。

【母と子を殺した直後には思えない程に、下劣】

【劣情を前面に押し出した――かの様に見せかける男と、それを踏まえた上で火遊びに興じる女】
【間違いなく、異質。灰色の爛れた空間と形容出来る程に、異質であった】

【扇情的な柘榴の仕草。垣間見える胸元は、火遊びに用いる火にガソリンを撒くが如く】
【ニヤリ、と人の悪い笑みを浮かべ。あたかも加減を忘れ、自身に引火する事を厭わぬと言わんばかりに】

――で、"相応の対価"とは何を指すんで?

"金銭"であるなら、口座にたんまり入ってるんで心配無用ですっ。

あ、それとも"お目こぼし"ですか?それならボクの目が光っている内でも"お目こぼし"してあげます。
まあ、その代わりと言っては何ですが。天国まで昇天させてくれる位に遊んでもらいますけど、ね。

もし、"お目こぼし"でもなく――他の何かというんであれば聞きますよ。
【尤も、俺が許容できる範囲での話だがな。淫売。精々、"遊び"如きで壊れる玩具であってくれるなよ】

【棕櫚は二の足を踏む事を躊躇せず、深く、深く、歩みを続ける。火遊びで済まなくなる境目まで
 歩くような速さで、韻を踏むかのように】
716 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/15(火) 03:00:35.53 ID:qQfQFjPL0
//すいません、凍結をおねがいしたいのですがよろしいでしょうか?
717 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/15(火) 03:10:12.06 ID:bqF/hVGjo
>>716
// 了解です、お返ししておきます!
718 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/15(火) 03:13:15.24 ID:qQfQFjPL0
>>717
//ありがとうございます。では今日は落ちます。
//おやすみなさいです。
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 18:17:28.18 ID:ODDbVkbw0
【とある国のバー】

【黒のTシャツに長ズボンを着た長髪の男が酒を飲んでいた】

マスターもう一、杯次はこの店で一番強いの
ショットでくれ
マスターは男に言った

いいんですかお客様倒れても責任はとれませんよ?
男は言った、大丈夫だよこう見えても俺は強いんだぜ

【黒銀の髪の男はショットグラス一杯を一気に飲んでニヤリと微笑んだ】

720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 18:18:18.39 ID:ODDbVkbw0
//何方でもいいので参加して下さいね
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 18:48:21.47 ID:N6/jdegr0
>>719

「酒は呑むもので呑まれる物ではない、アルコール濃度だけを求める呑み方は感心しないな」

【薄明りの店内】
【まるで、飛び疲れた鳥たちが止まり木に羽根を休める様に】
【その店は静かな賑わいを見せていた】
【男の横のカウンター席に、また一人の男が座り声をかけた】
【ウィスキーをショットグラスで呑みながら、そう声をかける】
【暗いネイビーカラーのスーツに、右目に黒い眼帯の男だ】
【年齢は20代後半と言った見た目か】

「さりとて、そんなに強い酒を所望してまで、忘れたい事でもあったかい?」

【冗談めかすような口調で、こう問いて】



//宜しければ、お願いします
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 19:01:44.46 ID:ODDbVkbw0
>>721

【眼帯の男がこちらに問いかけてきた】

「なに、いまはこんなご時世だろ?それを嘆いていたのさ」

【眼帯の男に問い返す】

「君の名前は?俺はセアン・フォールスしがない錬金術師さ」
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 19:09:34.96 ID:N6/jdegr0
>>722

「錬金術師か、それは嘆きたくもなるな」

【くいっとショットグラスを傾け、そして干し、再び新たな一杯を所望し】
【そう何処か寂しげに話すセアンの言葉を聞いた】

「厳島命、しがない記者さ」

【そう問われれば答える、最も眼帯の記者等、些か厳つく、訝しい存在なのだろうが】

「あまり外では自分が能力者だ、と言うのは語らない方が良いかもしれないな」
「先に水の国で魔能制限法が可決され、世間での能力者への風当たりは強い物になっている……気を付けた方が良い」

【こう忠告のように話す】
【店内のBGMは雰囲気を演出する古典的なジャズに】
【一枚木のカウンターは、年季の入ったバーの歴史を今に伝え】
【まさに、この二人の心情に良く合った物となっているだろう】
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 19:27:47.40 ID:ODDbVkbw0
>>723

【眼帯の男がグラスを傾け酒を飲み干しもう一杯と言い】
【自己紹介をした厳島命というらしい読みにくいな眼帯でいいか】

「ほう、眼帯お前記者なのか意外だな。どっかの軍人かと思ったぞ」
「軍人にはあんまりいい思い出がないのでな」

【ウイスキーを飲みながら眼帯に言った】

「後ご忠告ありがとよ、」
「だが、そこまで柔な鍛え方はしていないぜ」

【ジャズを聞き流しながら言う】
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 19:35:45.60 ID:N6/jdegr0
>>724

「……軍人、ね」

【一瞬だが、片目の眼光が鋭くなる】
【良い思い出が無い、と言うなれば正体は明かさない方が良いのだろう、と考えて】
【そのまま、ウィスキーの醸し出す香味を楽しみ】

「水国日報の、下っ端記者だ、大した立場でもないさ」
「なるほど、だが過信と侮りは禁物だ」
「暗躍と研究の黒幕に組織力と資金力の円卓、カノッサ機関は並大抵の能力者では太刀打ち出来ない」
「加えて信じがたい話だが、魔族からの侵攻も見受けられる……いかに個人の力が強力でも、流石にそれら全てを相手には立ち回れないのだろう?」

【こう、再び口元にのみ笑みを浮かべて】
【最も、だが、是ほどの情報、たかが一介の下っ端記者が持ちうる情報なのだろうか?】
【連日メディアは反能力者方面に舵を切った報道を成しているが、どうにも彼は違う様子だが】 
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 19:52:36.51 ID:ODDbVkbw0
>>725

【ふむ、あっちも訳ありらしいな。あと、やっぱりただの記者じゃねぇな】
【まぁ、いいそれは問題ではない。下っ端の域を超えている情報量、こいつナニモンだ?】

「水国日報か、カノッサ機関のことは置いといて。その情報量、眼帯てめぇナニモンだ?」

【眼帯にだけ届くようにした殺気を睨みながら放つ】
【殺気を緩め笑顔でこう言う】

「俺は俺の美徳を侵さない世界のことなんてどうでもいいし研究ができるならカノッサ機関にだって行くさ」

【楽しそうな顔で眼帯に言う、その時のセアンの顔は。見るもの全てを見惚れさせてしまう様だった】
【この空気の中で、グラスの中の氷が揺れた音と、先程とは違う変わったであろう音楽だけが響く】




727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 19:54:56.78 ID:ODDbVkbw0
//ご飯行ってきます
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 20:03:20.38 ID:N6/jdegr0
>>726

「……」
「櫻国魔導海軍陸戦隊諜報員……君の、大嫌いな物さ」

【何者、と問われれば、そう表情を固めたまま答える】
【些か不用心、彼我不明の相手に正体を易々と明かす等】
【表情は、口元だけで薄く笑っている様な】
【店内は、ちらほらと帰宅客が出ており、先ほどとは変わり周囲に客の影は無い】
【それは、セアンの笑顔とは全く違うが、同様の意味を持つ笑みだった】

「美徳、ね」
「カノッサ機関にも、か……セアン、君の美徳とは何だい?」

【こう、表情を変えずに尋ね】
【そして、妙な表情を浮かべている、何か良い事を、楽し気な事を語るかのような顔だ】
【眩しい、そして、人好みのしそうな表情のその意味には気付けずに、ただ徐々に溶けるグラスの氷を眺めて】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 20:29:39.87 ID:ODDbVkbw0
>>728

【櫻国魔導海軍陸戦隊諜報員と眼帯は言った】
【正直俺は軍を毛嫌いなんかしてないちょっとめんどくさい事になっただけだが】
【勝手に勘違いしてそちらから情報を吐いてくれただけ、いやー狙い通り】

【俺に話し掛けてくるんだからそこそこの奴だとは思っていたがここまでとはな】

「俺にとっての美徳か?まずは美徳の意味を教えようか」
「美徳とは正しい道という意味だが」
「俺の中では美徳とは俺の進む道だ、例え俺が悪事を起こそうとも」

「俺が道を踏み外したと思わなければ、俺の進む道は何処までも正しき道だ」

【仰々しくセアンは言った、真剣な顔つきで】

「おっと酒が切れたもう一杯くれ」

【受け取った酒を嬉しそうに飲んだ】

「お前は飲まないのか?飲まないと折角の酒が勿体無いぞ」

【酒の方に顎をしゃくる】


730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 20:42:43.86 ID:N6/jdegr0
>>729

「軍人と言っても色々だ、存在は十把一絡には語れないさ」
「素性を隠すのは当たり前だが、隠してばかりでは情報は得られないからね」
「君もアルケミストならば、複数の方向の研究者が居るのは知っての通りだろう……」

【研究者同様に軍人も様々らしい】

「なるほど、自分の進む道こそ美徳と」
「深淵だな、それは美徳と言うよりも正義かもしれないな……」
「錬金術師ならば、不老不死の探求、賢者の石の生成が最終目標と言うのは一般的な認識だが……君の最終目標は何だい?」

【これは興味本位な質問だ】
【あくまで、一般的な認識と知識を絡めた上での話】
【腕にも自信がある様子だが、並の研究者や探求者の類では無いのだろう、と想像し】

「……そうだな」
「酒は嗜むものだが、呑まないのは勿体無い、言う通りだ」

【自身のショットグラスにもウィスキーを注いで】
【そしてセアンのグラスにも注ぎ入れる、ボトルキープだろうか、自由に飲んでいる】
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/15(火) 20:47:28.79 ID:gF/yRNP9O
【月から雲が剥がれていく】
【都会の真ん中の一等地。ビルの谷間に立つ古めかしい建物がひとつ】
【塔が幾つも生え縦にも横にも長いそれを外壁がぐるりと囲んでいて】
【洋館と言うには大きい、まさに古城といった趣き】
【都会には珍しい其所には荘厳さに相応しい数の使用人が働いていて】
【そのうちの一人、年若い女が掃除に精を出していた】
【エプロンドレスに身を包み、腰を落として懸命にモップを掛ける】
【ふと額の汗を拭えば、銀のショートヘアが強風に流されて】

雨上がりは汚れが落ちやすいって先入観、婦長はいい加減無くして欲しいなぁ〜

【明かりである三日月を見上げて、少々うんざりげに宣う。彼女がモップを動かすのは床ではなくーーーー地上十数メートルの煉瓦の外壁】
【赤茶けた壁に対して紺と白のメイドが垂直に立つのは、間抜けな生け花のようで】
【ペタペタと裸足の音が軽快に壁面を這い回る】

よっし完成っ……ーーーーあっ、こらぁ!

【汚れと離別し真新しさを取り戻した壁に頷いていると、ぽたりと白いものがつく】
【見上げると、月を横切るカラスの小群】
【無遠慮に落とし物を置いていった彼らについモップを振り上げたとき】
【意図せず足が壁から離れてしまった】

うわっと

【一瞬手足をばたつかせた女は、直ぐ様重力の虜になり、風にあおられて屋敷の敷地外へ落ちていく】
【その瞬間は地上から、塀の外は勿論、他の建物からもよく見えただろう】
732 :@mail [sage saga]:2018/05/15(火) 20:50:53.40 ID:BieRu45eo
>>706

【to:ミラ・クラァケ様】
【from:ゾーイ】
【cc:Mチームの方々】
【title:特区潜入に関する中間報告】

ゾーイと申します。
Mチームの一員です。
私はフォルケン博士に作られたアンドロイドです。

その為、オーウェル社のいくつかのアクセス権限を持っているので
名簿改ざんし、社員として『特区』の潜入捜査を行っています。

1.
特区内は多くの監視カメラ、盗聴器が存在し、その全ては公安部しか把握できないものと思われます。
IDチェックなど警戒も厳しくなっていますので活動の際はお気をつけください。

2.
水の国公安部調停官、嵯峨野と接触しオーウェル社との仲介役という役職を担いました。
嵯峨野については画像と音声ファイルを添付しておきます。

今後この立場を利用し黒幕に関する重要な情報を手にすることが可能と思われます。

3.
黒野カンナについての情報は得られていません。
公安の極一部、嵯峨野でも知り得ない機密になっている可能性が高いです。

皆様の活動におかれましても身分証明書の偽造等で
お手伝いできるかと思いますので是非よろしくお願い致します。

以上

【to:ミラ・クラァケ様】
【from:ゾーイ】

スゴいでしょ :D

ご心配ありがとうございます。


/メール的なやつです
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 21:09:29.00 ID:ODDbVkbw0
>>730

【ふむ、話しをして分かったが、そこそこ実力もあるし頭も切れるらしいな】

「俺に嫉妬して暗殺者を送り込んできた奴もいたしな、本当にこの世は十人十色と知ったよ」
「あぁ、そうだ俺の進む道こそが美徳であり覇道でもあり王道でもあるだから俺は迷わないし立ち止まらない」
「俺の目的か、流石に不老不死は無理だったけど不老は成功しているからな、」

「強いて言うなら、無限の探求かな、全てを知ってしまったら詰まらないだろう?」

【少年の様な顔をして語り続ける、セアンは心の底から楽しそうに喋る】

「八ッ、済まん喋り続けてしまった。」

【いやー失態失態と笑いながら酒を飲み続けると】


734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 21:20:25.18 ID:N6/jdegr0
>>733

「嫉妬されている内が華さ、実力の嬉しくない証明というやつさ」

【なるほど、同業者に暗殺されかける程には研究は優れた物なのだろう】

「不老、本当か?」
「だとしたら、それは随分な物ではないのか?」

【どういう理屈かロジックかは不明だが、不老と言うなればそれは権力者にとっては喉から手が出るほど欲しものだろう】
【ともすれば、その構図を塗り替えかねない程に、禁忌にでも足を踏み込んでいるのか】

「全知は面白くない、か……辿り着いた者の考えだな」
「諜報員にとっては、羨ましい考えだ」

【心底楽しそうに話す錬金術師】
【なるほど、彼は根っからには錬金術師で、研究者らしい】
【研究に没頭する事が、さも生き甲斐で在るかのように】
【研究者の、魔術師の鏡とも言える考え方だ】

「気にするな、酒に話は付き物だ」
「世界の真実には、興味はあるか?」

【ボソリと、そう聞いた】
【傾けるショットグラスが、シャンデリアの光を反射しキラリと輝く】
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 21:41:50.88 ID:ODDbVkbw0
>>734

「そんな物かねぇ、生憎弱肉強食の弱になったことが無いからな」
「あぁ、本当だ細かくは覚えてはないが、千年は生きてると思うんだよな」
「そこまで大したもんじゃねぇよ、適当に遊んでたら出来ただけだ」

【ポケットから煙草を出し火をつけ口にくわえ吸う】
【口から紫煙を吐出し一息つく】

「そんな高尚な考えじゃねぇよ、ただ単につまんねえだけだ」
「おっ、そうかじゃぁもっと飲め飲め」

【そうして酒をついでいると、世界の真実に興味ないかと聞いてきた】

「出来れば場所を変えて話したいんだが、俺の家に来てくれるか」
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 21:52:31.26 ID:N6/jdegr0
>>735

「強いな、最も過信で無い事を祈りたいが」
「千年か、気が遠くなるな……遊んでたら出来る物か?」
「禁忌に踏み込む研究の類か?どうにもそちら方面は詳しくはないのだが……」

【冗談めかしながら、そう言って】
【しかし、本当に不老であるならば、恐らくは魔術師としての実力はかなりの上位】
【同時に同業者以上に、機関研究員が放って置かないだろう】
【それは、非常に危うい事でもある】

「ふむ、飲酒は士官の嗜みと言うのが海軍の教えだ」
「頂こう」

【こう言って、くいっと、再びグラスを空にするも】
【やがて】

「家?工房か?」
「……わかった、着いていこう」

【仕込んだ拳銃や銃剣を確認し】
【そしてマスターに会計の意を告げる】
【セアンの分も同時に払うだろうが、会計が終わればそのまま着いていくだろう】
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 22:16:12.58 ID:ODDbVkbw0
>>736

「すまんな俺の分まで払わせてしまって」
「俺の工房はちょっと行きにくい所に会ってな、」
「ちょっと路地裏に入るぞ」

【路地裏に入るとマフィア達が頭を下げてくる】

「おうお前ら警備会社上手くいってるかー」
「もう、悪いことすんなよー」

【そうしているうちに工房に着いた】

「ココが俺の家兼工房だ、何もないがゆっくりしてくれ」
「世界の真実についてだがそれが本物っていう証拠を見せててくれ」


738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 22:28:24.29 ID:N6/jdegr0
>>737

「……」

【無言でセアンに付いていく】
【この街にこんな場所があったのか、そう思うほど】
【陰気で猥雑な路地裏に、これもまた解りやすい人種が居る】
【マフィアを従える程の研究者?これもまた、色々と考えさせられる】

「邪魔をする」

【そう言って案内された家、工房に入り、手近なところに腰を下すと】

「残念ながら、物的な証拠はないな」
「そして、知ったらば後戻りは効かなくなる、それでも聞くかい?」

【物怖じ一つ見せない表情で】
【しかし、片方の目は真剣な眼差しで、こう答え、そして聞いた】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 22:45:07.31 ID:ODDbVkbw0
>>738

【眼帯には証拠はないと言われたが、まぁそれもそうだろう証拠があったら驚きだよな】
【後戻りは出来ないと言われたがそんな物とっくに覚悟は出来ている】

「どうした早く聞かせろよ、あとはい紅茶」
「じっくり最初から最後まで聞かせてもらうぞ」

【その時のセアンの顔はおもちゃ箱を目の前にした子供のようだった】
【尻尾と耳があったら凄い勢いで動いていたことだろう】
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 22:57:19.22 ID:N6/jdegr0
>>739

【懸命な判断力だ、そう感じた】
【尚も証拠と食い下がる様子であれば、服装を変え拳銃を見せていた事だろう】
【櫻国海軍の意匠入りの、士官拳銃を】

「良い趣味だ、紅茶はやはり並々と注ぐのが良いな」
「では、話させてもらおう……」

【紅茶の香りに乗せて、厳島は語り出した】
【この世界で暗躍するカノッサ機関、その内情は黒幕と円卓にほぼ二分されている】
【この世界、こと水の国は、現在反能力者思想を強めているが、それは黒幕の手による思想誘導】
【政界とそして警察組織公安に根を張り、先の魔能制限法を打ち立てた派閥で】
【裏では怪しい人体実験なども行っている】
【対してこれに抗うのが円卓】
【この国の政財界に根を張り、莫大な資金を集め、そして黒幕に対抗すべく暗躍をしている】
【最も、この二派閥はあくまでカノッサ機関の主導の組織、トップはどちらもカノッサ機関の頂点六罪王の二人だ】
【正義はどちらにも無く、また悪と言う概念も同様】
【自分達魔導海軍は、機関そのものの動向を追うべく、櫻の国より派遣された存在】
【主に自警団や善良な公安と組み、これを、特に黒幕を追っている】

「こんな所だな、これがこの国の裏側だが」
「さて、ここで質問だ……セアン、君は何処に付きたい?」

【あるいは架空の質問だ、付くならば何処に与したいか?、と】
【出せるだけの情報を掻い摘んで提示した】
【無論話せない内容もあるが、概要は十分に伝わっただろう】
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/15(火) 23:03:48.73 ID:l0AvG+G+0
【路地裏――】
【――ひどく細い道だった。建物と建物の隙間にある場所、よく分からないパイプとかが壁に血管のように走り回って】
【その一角に、古びた郵便受けだらけの、場所があった。――近くにたむろするチンピラ曰く、いつだってどれも鍵が掛かっていて、開けられないけど】
【中を覗いてみると時々"いかにも"な茶封筒が入っていたりする。……だけど。だからって、それを取り出して持っていくと、その人間は――絶対に、死ぬのだと言う】

…………――――、

【――そんな"いわくつき"の郵便受けの群れの前。今宵は一つ人影があった――遠目だけでも背丈から女だと知れるだろう、ふらりと現れて】
【端っこから一つずつ指先で軽く触れて――数えるようにしながら、やがて一つの郵便受けに、やっぱり"いかにも"な封筒を、懐から取り出して、ごとんと入れる】
【そうすればひらりと踵を返して、街明かりの方へ戻っていこうとするのだ。その様子は本当にただ「道を間違えたので戻ります」とでもいうような、平凡なもので――】

【――――黒猫によく似た色の髪は首筋を真っ白にさらす長さ、ひどく不健康めいて色白の肌には血色よく見せる程度に化粧が施されて】
【猫のようにつんと釣った眼は宝石みたいに鮮やかな青りんごの色合い。すれ違えばふわりと甘い香りがするだろう、脳髄まで蕩けそうに甘い香水の香り、微かでもよく目立ち】
【ショルダーカットのトップスにすらっとしたシルエットのパンツ、足元は高いヒールのパンプスで。丸いぱっちりとした目を伏し目がちに、足早に歩いていこうとする】
【まだ若い女だった。だからこそその姿はしれっとした様子以上にどこか目立って――】

/一時頃で凍結お願いしますが、よろしければっ
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 23:05:33.04 ID:ODDbVkbw0
>>740

「成程考察していたのとほぼほぼ同じだな」
「お前たちについて行った方が面白そうだな俺は俺の美徳を貫く」
「眼帯お前について行こう俺は魔導海軍につこうこれからよろしくな眼帯」

【セアンは眼帯に向けて手をだす】

//明後日当たりにもう一度やりましょう



743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/15(火) 23:07:37.40 ID:ODDbVkbw0
>>740
//ありがとうございました
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/15(火) 23:08:41.91 ID:N6/jdegr0
>>742

「なるほど、協力者、と言う形か、それとも……」
「いっそ入営するかい?我らが海軍に」

【そう、冗談交じりに聞いた】
【やがてその手を取り、握手を交わす】
【これよりは、情報戦】
【暗躍の戦いになる、と】


//凍結了解しました、お疲れ様です!
745 :ジンジャー&ジャンクちゃん [sage]:2018/05/16(水) 02:41:05.08 ID:bqqSDLj7o
>>705

あっ、待て!私はまだ聞きたい事が!!

『……ダメです、博士……反応ロスト。転移してしまったようなのデスヨー』

【ブランルのいた出入口の方向をしばらく眺めていたが、完全にブランルが去ってしまった事を確認したW-1は】
【はあ、とため息をつきながらベルトを外す―――すると光と共に、先ほど同様メイド服に身を包んだ機械の少女と】
【―――さっきまでいた大柄な男が来ていたぶかぶかの白衣に身を包んだ長い艶やかな黒髪の少女の姿に分かれる】

【"W-1"の副作用。変身解除後、しばらくの期間変身者であるジンジャーの姿が幼い少女の姿に変えられてしまう事。原理は不明―――】

【服の袖のカフスを回すと、白衣やズボンが幼い体躯に釣り合った丈まで縮みだした。今の自分の姿に釣り合ったサイズまで服を縮めた白衣の少女は再び椅子に座る】


まったく、変身し損だね……あーもう!!この姿だとなんか落ち着かないんだよね!!

『仕方ないと思われます……あの場で生身でいるほうが明らかに危険だったと思われるのデスヨー
当分は出撃もないでしょうししばしの間はその姿で情報収集をしてはいかがでしょうか』

ま、そうかなー……だが彼はどうやら私を本気で始末する気ではなかったみたい。少なくとも『今、ここ』では
……どうやら私は『対決』を挑まれたらしいね。場所を教えてくれる上に私をご指名してくるみたいだし?
同伴がどの程度アリなのかはともかく……まあおまえは確定としてだよジャンクちゃん。最終的に本気で挑まなければならないのは私自身っぽいかも


【座りながら、黒髪の少女は忌々し気にTVのほうを見る。心無い世論の言葉を吐く身勝手な者たちのほうに】
【これを浴びせられてセリーナはどう思っただろう。カミナの時からまるで進歩がない自分も、「この世界」の言葉にも流石にうんざりしつつあるのが事実だった】
【そんなセリーナが受けた"痛み"を想いながら、幼い姿の少女は頬杖を付きながら考える―――ブランルが言っていた"賭け"について】

【この"賭け"はセリーナが勝つ結果になることは望ましくない事はわかった。……こんなものを受けた彼女が口にした言葉とはなんだ】
【……想像はできた。それはきっとよくないものだ。きっと痛ましく傷ついた彼女の『嘆き』から飛び出した物であることは想像ができた】
【そして、それに対してブランルが望んだもののほうが、自分たちの求める未来であるという事実】

【―――本当は途中でピンと来ていた。ブランルの真意が。あの男が本当には"何"を願っているのかを―――余計に先ほどの質問を投げかけられなかったのが悔やまれた】


……やれやれ、最悪かな。どうやら私は今あのブランルといういけすかない男を"賭け"に勝たせてやりたいと思っているらしい
受けて立ってやる。……ジャンクちゃん。W-1の新システムを完成させるよ。念願の強化フォームだ

『!!……それはやはり、例の―――『WORLD』を!?』

あれは間に合わないね、素材が足りない。なにより今回の場合はあまり有用じゃない。あれは『仲間に助けられて初めて効果を発揮するシステム』だし。
今彼が私に対し求められているのは『私自身』の力だ。私の肉体、私の技術。それを『個』の単位で表現した場合の極地。
となればそっちではなく完成させるべきは『ギアデュアル・ザ・フール』だ……さっさとケリをつけよ。そして……セリーナ君を迎えに行かなくっちゃ

(……やることは決まった。これから何をすればいいか。何を言いに行けばいいかは分かった。
―――……ああ、でもやっぱり惜しかったな、やっぱりこの疑問は聞いてみればよかった)

【決意を固め、ジンジャーは行動を行うだろう。自分のいない間にとられた多くの物をもう一度取り戻すために】
【ジャンクちゃんが狙撃手の少女を取り戻す決意をしたように……ジンジャーも本気で正義の長たる女ガンマンを取り戻すことを決意した】
【これから彼は目的に向けて動き出す。……が、そのためにもひとつだけ聞きそびれた事があったことがしこりとして残っていたが】


(聞きたかったな、なんでそんな私に得な内容でセリーナ君の悲観に対して"賭け"を持ち掛けたのか。ハッキリさせてみたかった


―――――――本当は、『君も』セリーナ君に恋してるんじゃあないのか?ってさ)


【To be continued →】

/お返事おそくなりましたが、長い間お疲れさまでしたー!!
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/16(水) 21:39:15.37 ID:sXtad1APO

【叩き付けるような雨が空から降り注いでいる】

あめあめふれふれかあさんが〜……


【昼の公園も、前触れないゲリラ豪雨によって人気は途絶え。遊具に囲まれた広場にはただ一人だけ】
【ピンクの雨合羽とレインブーツ、傘の隙間から亜麻色の髪が覗いて】
【雨音で途切れがちな女の歌声と共に、足は水溜まりを踏んでいく】

じゃのめでおむかえうれしいな〜……とっ!

【揃いの色の傘を捧げ持ち、両手を持ち上げる。すると、天を覆う分厚い雨雲に、ぽっかりと穴が開いた】
【それは全体で見れば針の一刺しに等しい微小さ。それでも地上には10mほどの、雨のないサークルが現れる】
【そこだけ円形のカーテンを敷いたような荘厳な晴れやかさで、中心にて陽光を浴びる女】

ぴちぴちちゃぷちゃぷらん、らん、らん♪

【飛び跳ねてフードが脱げる。年の頃は15、6だろうか】
【戯れに蹴った水溜まりから、飛沫が散った】
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 08:13:39.96 ID:+DP+UCDT0
>>746

【黒銀の長髪を束ねた、女の様に美しい男がいた】
【その日は珍しいゲリラ豪雨で、昼間の公園だというのに人はいなかった】
【が、セアンは頭上に盾を錬成して、雨を凌いでいた】

「ちっ、急に降ってきやがった。ゲリラ豪雨ってやつか?」
「なんだ?水のはねる音か?」

【音のする方に近づいて行くと14〜17ぐらいの少女がいた】
【最初は早く帰れと注意しようとしたが、少女が両手を上げた瞬間、空の9〜10mほどがぽっかり空いた】

「ほうこれは見事なもんだ嬢ちゃんも能力者かい?」
「なに、俺はセアン・フォールス、ただの錬金術師だ、よろしくどうぞお嬢ちゃん?」

【セアンは少女に微笑みながらそう言った】
【ゲリラ豪雨の風に寄って、束ねた長髪が揺れる】

//乱入しても良かったですか?
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 08:20:15.95 ID:+DP+UCDT0
//後病院に行くので返せない時間があるかもしれません
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 15:19:44.33 ID:+DP+UCDT0
//帰って来ました
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/17(木) 18:30:32.93 ID:fcHveyyY0
【廃墟】

「……試験的に制御を切ィッてみィたが、特段問題はなァさそォーだな」
「大体は魔海にでェも居ィるだァろう。……亀の気分任せだァが」

【そのとある場所に座ってぶつぶつと何か呟くそれは、黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長約216cmの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「玄関かァら入る奴にィは気ィをつけろと、俺様が教えてねェ顔が転移しィてきィたら通報の2点さァえやァッてもォらえば問題ねェ」
「さァてと……」

【近くに落ちていた瓦礫を拾えば、それを懐にしまって。……奇妙なのは】
【結構な大きさの瓦礫だったのにも関わらず、一切外套に膨らみが発生していないことか】
【風が吹いたとしても、懐に瓦礫らしきものは一切無い】
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 19:45:55.81 ID:+DP+UCDT0
>>744

「はっ冗談じゃねぇそこまで強引に来るのだったら俺だって怒るぞ?」

【冗談交じりに殺気を飛ばす】
【眼帯がこちらに手を出してきたので握手を交わす】

(あとはこいつから情報を搾り取るだけだ)
(面白れぇな、本当に面白れぇ)
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/17(木) 19:50:30.57 ID:K7oqYBLj0
>>751

「全くだ、安心しろ初めから入営など期待していない」
「君は自由に振る舞うと良い、最も協力者である以上協力してもらわねば困るがな」

【セアンの殺気にすら、やや大仰な笑みで答える】
【躱されているのだ、その殺気を】
【情報が欲しければ、聞けばある程度の部分までは答えて貰えるだろう】
【少なくとも、現状の抗争に介入するには十分な量は……】

「夜も更けてきたな、いや……嫌な夜だ、そう思わんか?」

【そのままの表情を男に向けて、こう聞いた】
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 20:17:51.37 ID:+DP+UCDT0
>>752

「へぇ、本当に冗談だったんだな意外だわまぁそれはいい」
「成程、協力さえすれば命は取らないと、言いたいのか?」

【流石に遊びで放った殺気は応えないようだまぁそれもそうか一応軍の所属だからな】
【聞けばある程度の情報を聞かせてくれるだろうが、それでは意味が無いのだから】
【大仰な笑みでこちらに嫌な夜だなと聞いてきた、自分はその顔をみて明らかに何かを隠していると見た】

「嫌、そうは思わんな俺は夜っていう時間が好きなんだよ、気分を害したらすまんな」
「眼帯聞け、俺が、お前個人に協力しようだから、俺と引き換えに情報を寄こせ」

【自分は眼帯に真面目な顔をして言った、この俺が協力してやるのだから情報を寄こせと】

(さて、どう出るかな?ここの反応でおれがこいつを良さを知れる)
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/17(木) 20:19:28.78 ID:yUslLDf30
【――――それは、空の遠く彼方から聞こえる天上におわす"誰か"みたいに厳かなようにも聞こえたし】
【――――それは、俗世を知らぬ巫女が神より受けた啓示を民草に伝えるときの壮麗さにも似るように思わせて】
【――――あるいはどこまでが個かも釈然としない夕暮れ時の椋鳥の囀るように愉しげであって、とにかく】

――――白神鈴音は**のない*である。君はどんな言葉を当てはめるのが正解だと思う?

【――そこに"それ"はいた、あんまりに当たり前に。だけれどあんまりに異質に。真っ白な寝台の上、これが正しく玉座であるかのように、腰かけて】
【ひどく鮮やかな色合いをした少女――だった。あの白黒色に一点の赤を交えた少女ではないのは確かで、本来そこで寝ている"はず"だった少女は、全く見当たらず】
【真っ白の寝台に腰かけて戯れのように足先をふらふらと揺らしている、その白さに映える鮮やかな紫色の髪は――それこそ少女の背丈ほどありそうに、長くて】
【同じ色合いをした瞳は愉快げに細められる、――魔術師のような服を着ていた。見るものが見れば分かるとびきりに上等な魔術師の服。糸の一つ一つにまで魔術式を刻みこみ】
【その人物のすべてを補佐するように誂えられた、一級品の服。その裾さえも真っ白の寝台に投げ出して、見た目だけを信じるならば、十二歳ほどの――】

こんばんは。緊急事態であるのは分かっていたんだけど、どうにも、ボクも暇じゃなくってね、うちのペットを代わりにやったんだけど――。
――あれも気まぐれだからね、思ったように仕事をしてくれなくって。急になってしまったことについては謝るけれど、それ以外については……。

…………まあ、ボクも勝手には立ち入らないから。鈴音(あれ)は今、外に居るよ。ボクが行かせたんだ。可哀想な白蛇が禁断症状で壊死しそうになっていたからね。
ここに入ってもいいか、許可を得たうえで――、というので、許してもらえると嬉しいんだけれど。どうかな、――"イルちゃん"?

【小鳥の囀るような声で笑って、少女が一度言葉を区切った。――透き通るように白い肌、けれど頬はばらかりんごのように赤くて、ひどく愛いらしい見てくれをしている】
【そのくせ限りなく人間"なんか"ではない――というのが、きっと、相手には分かるのだろう。人間ではないものが、あくまで、機能上人間の形をしているだけ、という風】

外の二人は長引きそうだからね。だけれど悪いようにはならないから。それまで少し、お話をしていようかと思って――。

【――鮮やかな紫色、というのは、あるいは相手にとっても見覚えがあるかもしれない。それは、あの少女の身体に刻まれている術式に】
【もしも干渉しようとしたことがあったなら――あるいは彼女はどこかからか誰かからか、魔力の供給を受けていた。その根っこを、辿ろうとしたことがあったなら】
【そのどちらも"鮮やかな紫色"を最終的に示す。干渉に対してはそれ以上の干渉を拒む防壁として、辿る道筋に対しては、自分がそうであると示すように、見せつけて】

【――"にこり"とひどく無邪気そうに笑っていた。敵意はない。明らかに関係者だが、取り戻しに来たようにも、見えない】
【空を吹き抜ける風みたいに軽やかだった。誰もが必要とする空気のように当たり前に。そのくせ、万物を押しつぶしている大気圧みたいに、確かに、そこに】

/予約ですっ
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/17(木) 20:38:00.60 ID:G76mpl86O
>>747

ん? 誰かな?

【両手をぶんっと振ったところで、雨足が泥を打つより重い音】
【自分以外の足音に手を広げたまま振り返る】
【目に留まったのは女性的な顔つきよりも、頭上の盾】
【しげしげと首をかしげ、男の言葉に薄い笑みを浮かべる】

名乗られたら自己紹介しなくちゃね。
識織 合世(しきおり あわせ)です。ただの家出少女だよ。よろしくどーぞ!

【雨音に掻き消されない程度に張り上げる高めのトーン。二人の間は水滴のカーテンで遮断されていて】
【少女が一歩踏み出すと、雲の切れ目が連動して雨が消え、彼もまた晴れ間の境目に入るだろう】
【お互いがよく見えるようになれば傘を閉じ、滴る先端を振りつつ顎に手を添える】

錬金術師って……あれでしょ、鉛を金に変えるヤツ
頭の上のもその関係かな?

【頭上に浮かんでいる(?)其れを指で示してみるも】
【彼の職業にはあまりピンと来なかったり】


/お待たせしました、よろしくお願いします
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/17(木) 20:41:34.56 ID:0GlcXA7VO
>>754

【イルは振り返った。── 然してその先にいるのは、見知らぬ光景であって】
【僅かばかりの逡巡が思考に落ちる、頭からつま先まで彼女の視線が貴女を辿り】
【印象的な紫の少女、どこかで見た色合い── 記憶の海に身体を委ねて】

【イルは表情に不機嫌さを浮かべながら言葉を返した、明確な苛立ちがそこにはあった】


何か用? ボクまだ鈴ちゃんと遊んでる最中だったんだけど、勝手にどっかやらないでくれる?
次もボクが『上』の番なんだけど? 目、離したら鈴ちゃん寝ちゃうじゃない
鈴ちゃんは今が一番可愛いんだから、勝手な事しないで──欲しかったんだけど

あのさ、キミが何様だかは知らないけど、此処はボクと鈴ちゃんの愛の城なんだ
官能に浸って背徳を甘受する、そうして二人でどこ迄も堕ちていける──そんな楽園なのに
身勝手な誰かさんが勝手に入ってきて、許してもらえると思った?


【イルは下着姿であった。── 正確にはブラの代わりにキャミソールを着けていたけれども】
【指先でお尻の位置を調整しながら明らかに不愉快そうな視線を向けた、言の葉がひらりひらりと】
【── 寝かしていなかった。ここ数日、寝る度に少しずつ平穏に戻る事が分かったから】

【気絶寸前まで愛を重ねて、意識が飛びそうになったならねっとりと絡みつく様に】
【体力の差であった。── あと世界三週分ぐらいは余裕で耐えることが出来る】
【病魔はため息をひとつ吐いて、近くの椅子に腰掛ける。扇情的な両脚を軽く組んで】


── 知ってるよボク、キミでしょ? 鈴ちゃんにあんな術式書いたの
ビックリしたよ、あのレベルの術式をあんな風に使うだなんて
鈴ちゃんを何だと思ってるの? ほんと、大切なんだか──

でさ、ボクまだキミに入ってくる許可出してないんだけど
偶然にもキミは、ボクの好みの女の子であるみたいだし
礼儀があるでしょ、レーギ── 着てるもの、全部脱いでよ


【そしたらお話してあげる、と少女は笑った。いつも貴女に向けるようなとびっきり嗜虐的な笑み】
【それは肯定を期待していない表情、拙さを笑う意地悪な色合い】
【ほら早く、なんて言葉を重ねるかもしれないが】
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 20:41:35.35 ID:+DP+UCDT0
>>755

すみませんが、今のロールが終わるまで待ってもらえないでしょうか
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/17(木) 20:41:47.29 ID:K7oqYBLj0
>>753

「ああ、そう認識してもらっても構わない」
「何せさっき『知れば戻れなくなる』情報は話したからね、何処かしらに付いてもらうのが君にとっても有益だろう?」

【男性の質問には、こう笑顔の、しかし隙の無い口元のみの笑顔で答えた】

「意外な答えだな、夜が好きか?」

【遊びで殺気を放っても、仮に本気で放っても、この状況では効果は薄いだろう】
【それ程に、場慣れしていると言える】

「情報か?先ほどの情報では足りないと?」
「情報は勿論与えるさ、最もそれが君にとって有益か否かは解らないが」
「先ほど話した情報が、概要であり結論だが、これ以上の詳細は聞かれるなら答えよう」

【無尽蔵に所有し、ばらまく気は無い様だ】
【聞かれればその都度答える、と】

「これが、俺の連絡先だ、何かあればここに連絡をくれたらいい」

【新聞記者としての名刺の裏、住所と番号、アドレスが手書きで】
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/17(木) 20:47:58.79 ID:G76mpl86O
>>757
/了解しました、ごゆっくりどうぞ
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 20:57:06.64 ID:+DP+UCDT0
>>758

「やっぱりか、てめぇんとこも性格悪いな。」
「まぁそれもそうだな、ウン」

【夜が好きと言ったら、偽りの笑顔で、意外だなと言われた】

「やっぱりあんたとはまたの機会に戦いたいな、今度やろうぜ」

【口元を歪ませながら楽しそうに言った】

「あぁ、たりねぇ、俺は準備万端で行く派なんだよな」
「勿論だ、有益かどうかは俺が決めることだ」
「いや、またの機会にするわ。また来てくれ、その時にじっくりと聞くんで」

【と、言ったら名刺を渡してきた、裏には住所と番号、アドレスが書いていた】

「おう、またな今度会った時はやろうぜ、闘技場は作れるから」

【拳を打ち付けながら言った】

//お疲れ様でした21日ぐらいに空いてたらこの話とは違うのやりましょうよ
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/17(木) 21:14:12.75 ID:yUslLDf30
>>756

【不機嫌な目を向けられる、だけれど鮮やかな紫色の瞳はかえって愉快そうに笑うのだ、――彼女の言葉に、大した感慨もなく、怒る、だなんてこと、当然なく】

――そうだね、ボクは君に用事があって。"ボクじゃない方"は、あの子に用事なんだけど……、あれは王子にはなり得ないものだから。安心したらいいよ。
ボクらの話が終わったら拾いに行ったらいい、――上も下もボクには関係がないものだからね。好きにしたらいいよ、ボクは寛容だから。
ただ――眠らせないのはボクとしては少し困るんだけれどね。偽り装うには十全な状態でなくっちゃ、――そう、手土産でも持ってきたらよかったかな。

【目のやり場に困る――ような初心さは到底期待できない様子。それどこか、相手の言葉を聞いてなお、自分は相手に用事があってきた、というのを崩さない】
【そのあとは好きにしたらいいとまで言い切って、幼げな笑み一つ。だけれどそれは結局造形の問題の話であって、その中身は、とうてい幼いものだとは思えなくって】
【相手の不機嫌さに靡く素振りさえ見せないならその実繊細に繊細に掘られた木彫りの花のよう、どこまでも本物みたいだのに、触れれば、違うって気づくしかない】

――――ううん? ボクはあんな拙いの、書かないよ。あれは蛇が書いたんだ、魔術式の基本さえも理解してない蛇がね、見様見真似で。
持っていた奇跡も信仰もほぼ使い果たしてね、書いたんだよ。そうして無理やり動かした。

あれと一緒にしないでほしいな、ボクはもっと上手だ――とはいえ、手直しくらいはしたよ。あんまりに拙いから。

【――だけれど、ほんの一瞬、少女の笑みがぱちくりと変わる、きょとんとした目を見て、「そんなまさか」って言うみたいに、ころころっと、笑い声が続く】
【確かにこの少女は"あれ"に関わっている。だけど、――あんな風な拙いものは書かないと言い捨てる、そう疑われることは心外であるように、誇り高い鷹のように】
【そうして侮蔑する、――だけどそれは基本を分かっていないとか、そういう拙さに対する侮蔑、ではなく。"そんなこと"を"しでかす"やつを、馬鹿にする、素振りであって】
【そのくせ見捨てられなかったのだろう少女の中の複雑さも同時に透かす。わずかに傾げた首、子供の造形なら、侮蔑さえ戯れに似て】

あはは、ごめんね。ボクのペットなら好きにしたらいいけど――、それとも君はあの子を"好き"にしたい?
ボクらには目標があるんだ、それもなるべく早く実行に移したい、――本来なら、もう数百年くらいは、誤魔化すつもりだったんだけれど。
状況が変わってしまったから。ボクたちも動かないといけなくって――――さ、早く話をしようよ。それに、ほら、ボクの身体を見たって面白いことはないから。

【そのままの色合いが笑む――相手の言うことを聞く気だなんてちっともない、ちっともなくって、じゃあ、何があるかって言ったなら】
【――そういう意味合いでいったなら、偉そうではあった。というより、自分がそうであることを疑わないような振る舞い。だけれども――まあ、冗談めかすことくらいは、して】
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/17(木) 21:19:21.34 ID:K7oqYBLj0
>>760

「スパイが性格が良かったら苦労は無いな」

【これには心底、面白いと言った笑みを浮かべて言った】
【あくまで諜報員、駆け引きは必要不可欠な物だ】

「研究者が戦闘か?」
「どうしてもと言うなら付き合うが、俺も戦闘は得意ではない」

【軍人ではあるが、能力者として見れば、決して強くは無い】
【だが、どうしても戦いたい、と言うならば模擬戦と手の内公開もかねて付き合うだろう】
【それもまた、必要な事だから】

「ではな、帰してはくれるのだろう?」

【最後にそう冗談めかして言って】
【そして、引き止められなければ、そのまま彼の工房を出るだろう】
【やはり夜は嫌いだ、彼は帰りにそう思って】 


//お疲れさまでした
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 21:41:14.12 ID:+DP+UCDT0
>>755

【こちらが少女に向かって自己紹介をすると彼女も返してくれた】
【識織 合世という少女がこちらに向かって一歩踏み出すと自分の頭上が晴れ、少女は傘を閉じた】

「嬢ちゃん優しいんだな、お爺さん感激感激」
「うーん、その知識はだいぶ古いが合ってるぜ」
「まず錬金術師っていうのはな、その物質の構造を読み解き理解して強化または何かを作り出すんだ」

「はっはっは!分かるぞピンと来ないんだろ」

【豪快に笑いながら合世に言った】

「錬金術っていうのはこう言うもんだ」

【自分の背後に剣や槍はたまた斧を作り展開した】
【作った武器は全てが宝具クラスだった】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/17(木) 21:42:02.20 ID:EqQiKuyOo
>>761

【イルの不機嫌さは単純に相性の問題もあるだろうか。── 何でも見透かした様に話す口調】
【それは彼女にとって心地よいものではなく、寧ろどうして心を掻き毟られる様なもの】
【膨れた頬に手を当てて、椅子の肘置きに小さな肘をちょこんと載せた】


そーゆう何か含んだ言い方ボク嫌いなんだけど、用件があるならさっさとしてくんない?
隠し事されるのも嫌いだし、ボク以外の奴が鈴ちゃんと仲良くしてるのも嫌いなんだ
みみっちいんだよね、何もかもが── ニンゲンみたいでさぁ

ねぇ、キミもボク達と同じ種類じゃん、じゃあ手っ取り早くやろうよ
ニンゲンなんかがするみたいに、腹の底さぐり合うなんて性にあわないし
それともさ、時間稼ぎでもしてんの? もう一つ呼んでるみたいだけど


【貴女が鈴音に向けた感情を、彼女は疎ましく思う。── それはきっと嫉妬の様相】
【自分の知らない彼女を知っている貴女。その傾向が最も彼女を苛立たせる】
【──何とも人間くさい感情であった。彼女が忌避してやまない】


ふん、どーだか。魔術師連中は口だけの奴が多いし、信用してないんだよね
言っとくけど下手な小細工は通用しないよ、ボクはそれなりに詳しいんだから
── 好きにしたいかだって? そうに決まってるでしょ

あんな可愛くて可愛そうな子が、ボクに好意を向けてくれるんだよ、ボクを頼りにしてくれるんだよ
ボクの指先であんあと鳴いて、赤子のようにぎゅって抱き締めてくれるんだ
そんなの、大切にしない訳ないじゃん、鈴ちゃんはボクの大切なパートナーなんだから


【だから好きにするんだよ、と付け加えて──】
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/17(木) 22:08:13.12 ID:G76mpl86O
>>763

お爺さんって歳に見えないけどなー
わっ、ビックリした!

【彼の何気ない一言にはツッコミつつも冗談だと思ったようで】
【次の瞬間なにもない場所から武器が現れた。一歩飛び退いて水溜まりが跳ねる】
【一息ついて、彼の言葉を反芻する】

成る程、全然わかんない!
武器を作って売るのが仕事なの?

【合瀬には難解すぎた説明は、頭にハテナマークを浮かべるに終わる】
【彼の背後に現れた武器の数々にしげしげと目をやる。危険そうなので流石に近付かないが】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/17(木) 22:09:49.09 ID:yUslLDf30
>>764

――――じゃあ手っ取り早くしようか。だけどそれには君の言葉が必要不可欠で。
つまり――今最も白神鈴音の近くに居るのは君だからね。ボクとしてはそれでも構わないのだけど、あの蛇にとっては"不本意ながら"。
あれは過保護が過ぎる。全部の信仰も奇跡もかなぐり捨ててただの憑き物に堕ちる気持ちをボクは分かれないけれど、尊いとは思うんだ、信仰に似ていて。

それで……UTのリーダーは不在だと聞いたよ、君は聞いたかな。"そっち"に聞きに行くより、君の方が楽そうだったからね。
ボクとしては誰でもいいんだけど――その答え次第で結果が変わるかもしれないし、変わらないかもしれない、だけどセーブはしてはいけないよ。
どこぞの誰かは今までセーブだなんてしていなかったんだ、バックアップのデータさえ用意していなかった。思いつかなかったんだ、ただの蛇には。

【――真っ白の寝台から立つ。そうだとしても背丈は小さかった、子供の見た目通りに、子供の身長。百五十にも満たない、あどけない姿をしていて】
【それが一つ二つと歩いてイルの前に立とうとする。あるいは目の高さが同じくらいなのかもしれない、自信……という言葉さえ色あせるような、自分自身に満ちた目の色】
【囀る声音がくすりと笑ってじっと相手を見つめる――だろう、それで提示する、絶対戻れないって、これから投げかける問いかけは、そういうものだと】

【ああでも、もうすでに投げていたから。これは催促だった、「手っ取り早くしなかったのはそっちなんだけど」と言うような目、からかうように、向けたなら】

――白神鈴音は**のない*である。君の言葉で、答えてほしくって。それっぽちですべては定義できないけれど、真っ新の存在には基板が必要だからね。

【あるいは他に適役も、居たのかもしれない。だけど紫色はそれらを選び取らなかった。だから相手に問う、「あれは何だと思う?」――目を細めたなら】
【愉快げだけれど、どこか、複雑そうに見える。気もした。気のせいかもしれない。むしろ気のせいだったのだろう、――とかく、答えを相手に委ねてしまうから】
【それはきっと言葉通りだった。相手の言葉が何か重大な意味を持ってこれから先に関わる。その答えを発するのは、深く関わりのある存在でなくては、いけなくて】
【また同時に――"それ"が"イル"であることを望まない奴も、居るらしいけど。――――それでも、紫色は、相手に尋ねたのだ】


【――それはまるで神話を描くのに似ていた。理解できないものを前にして、一生懸命にそれが何であるかを考えて、形を、名前を、与えようとした人間たちの営みに】
【ならばこれは儀式、なのかもしれない。だけどその説明はなく、けれど、必ずしも従う必要もない。回避することはできた、――黙り込んでしまえば、きっと、許されるから】
【だけれどそれ以上は言えないみたいに紫色は黙りこむ――答えを誘導してしまうことを恐れるみたいに、それこそ赦されないことであるかのように】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/17(木) 22:22:52.85 ID:EqQiKuyOo
>>766

【彼女は睨みつける。── 自分の前に立つ尊大な態度の相手へと敵意を露わにして】
【拗ねた感情が一番近いのだろう、支配者気取りのどこか試す様な口振りが】
【大事な玩具を取り上げられ抗議する子供みたいに、彼女は何処までも我儘な子猫の様で】


肝心要の大事な時に不在届持ってくる蛇に、大事な鈴ちゃん任せらんないしぃ、それで保護者気取って何様のつもり?
別にボクはあの子の過去に何があって、どう苦しんできたなんてもう聞きたくないんだよね、散々聞いたし
ボクは優しいから、あの子が苦しむ光景も苦しんだ光景も、もう見たくないから

白神 鈴音は加護/籠/過誤/訛語の無い蛇だよ。── ボクの大切な大切なパートナー。
だからボクが守るんだ、あの子を世界の全てから守らなきゃいけない
その為にならボクは何だってする、あの子に然るべき加護を与えるんだ


【その答えに彼女は何も加えない。── 答えなんてどうでもいいという様子で】
【素足を貴女へと向ける、卵の表面の如く滑らかな足の裏を】
【ちらちらと揺らしたなら口元へと向かうのだろうか、屈辱的な色合いを滲ませて】
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 22:38:23.66 ID:+DP+UCDT0
>>765

「あぁ、爺であってるよこのなりでも千年は生きてるんだからな」
「おっとすまなかったな、驚かしてしまった」

【セアンはくっくっくと笑っている】

「あぁ、それでいいんだ普通に生きるのならばだがな」
「そう言うので生きてる奴もいるだろうな」
「まぁ、難しいよな」

「ん?これが気になるのか?触っていいぞ。」

【適当な剣を合世に渡す】
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/17(木) 22:55:57.15 ID:G76mpl86O
>>768

うっそだぁー、せめて100年にしときなよ。っとと
わぁ……へぇ。あれだね、マジシャンみたい。ほら、脱出ショーとかに使うアレみたいな

【差し出された剣をおっかなびっくり。受け取って切っ先を掲げてみるが】
【所詮合瀬の知識ではこの剣のポテンシャルをうかがい知る事はできず】
【重みを確かめるように柄をぽんぽんしたあと、彼に差し出すだろう。ありがと、と呟いて】

ふーん、セアンさんは違うって言いたげじゃん?
じゃあ千年も……って言ったら失礼かな。一体何を作ってきたの?
そもそも何で錬金術師になろうと思ったのかな

【千年というのが本当なら、と疑い半分ながらも、昔の彼を思い浮かべるように目を閉じて】
【開かれた目からは悪戯っぽさを消え、純粋な興味だけを残して瞬いた】
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/17(木) 23:07:45.07 ID:yUslLDf30
>>767

【ひょいって持ち上げられたお人形はきっときれいな色違いの目をしていた、死んだみたいにぷらぷらってした足の爪先が、ちょうど相手の眼前に届くよう】
【だけどもしかしたらそれは形のない不定形の名状しがたきナニカであるかもしれない。あるいは足などもとより存在しない鱗にまみれた尾であるのかもしれないし、】
【それとももっと何か全く違ったモノであるのかもしれない。もちろんすべてが妄想、思い浮かべる中のお話でしかないけれど、――だからこそ、相手の言葉が必要であって】

何様ってボクは神様だけど。もっと言うならば白神朱音(へびさま)も神だ。神で"あった"というのが適切なのだけど、あれは神としての役割を与えられているから。
もはや神ではないものを神と定義することで神のように振る舞わせるんだ、それはもはや信仰ではなく呪いだよね。それで――――、

――それで、君は、あの子を蛇だと定めるんだね。あんなにも人間の中に混じっていたいと泣いていたのに?

【ひどく愉快げな声音だった、けろりとした表情から溢れて、それから――って付け足していく、その名前を聞いたことがあるかもしれない】
【少女の話の中で何度も出てきた"へびさま"という存在、そして少女に憑いているのも、また、それであり――彼女には蛇が憑いていた、真っ白な蛇と、(鮮やかな紫色の)】
【確かめるように言葉を紡ぐ――けれど、それが決して覆らないものであるって、きっと、相手にも伝わるだろう。それは人生で一番最初にするキスと同じもの】
【あるいは祈りであって、救いにも呪いにもなり得るもの、奇跡にも幻にもなることができて、きっと、世界中の何にでもなることが出来る、たった一度のおまじない】

【――その蛇には大きな翼があった。だから、根本的に違うと理解させる。"これ"は違うのに関わってきている異物であり、だからこそ、介入できない制約がある】
【これは過干渉のグレーゾーン。を大きく超えたブラックな行為。それでもそうしないといけない状況だった。針の穴より小さな可能性を宇宙の中で探す、みたいに】

そうだね、結局人間に蛇の子を任せるのは無理だったのかもしれない。なまじっか人の形をしているから、本人さえも自分を人であるかのように錯覚してしまった。

【つい――と、少女の眼前に麗しいほどの足先が示される、朝露を抱えた薔薇の花びらのよう、重たげに枝垂れるようでありながら、最も美しい角度を知っている振る舞い】
【けれど紫色の視線は意に介さず逸れる、どんなに飢えても花を喰らうことのない獣みたいに。ふらりっと長すぎる髪を揺らして、長丈の裾を揺らして】

――――――蛇なのに、ね。

【――それで満足という素振りだった。答え合わせはなんにもない、だって、白紙の本には解答の書かれた別紙なんてくっついていないから】
【真っ新だからこそ何を書いても正解になる――そういう問いかけだった。そして同時に真っ新なままでは意味がないから、誰かが、それを書く必要があった】

【――――――かたん、と、ドアノブを振るわす、小さな音がした。取り損ねたみたいに、かちゃん、って、手が滑ったみたいな、音が。続いて軽い、柔らかい音】
【まるでドアに誰かがしなだれかかって、倒れてしまったみたいに。ずり、ずる、って、擦れる音がして――それで、少しの沈黙。それから、小さく、鈴の震える声がした】
【――それで、もしも、相手が紫色から目を逸らしたなら。気づけば居なくなってしまう、――それさえ白昼夢だったみたいに、ふっと、最初から何にも、いなかったみたいに】
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 23:17:01.45 ID:+DP+UCDT0
>>769

「まぁ、信じれねぇよな」
「残念ながら俺は魔法使いじゃないからな」
「危なっかしいな嬢ちゃん、まぁ渡したのは俺だけどな」

【かっかっか、と笑いながら剣を受け取る】

「不老の薬だよ」
「それしか道がなかったんだよな」

【悲しみの顔をしながら言う】

772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/17(木) 23:18:24.90 ID:+DP+UCDT0
>>769
//今日は凍結でいいですか?
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/17(木) 23:20:47.98 ID:EqQiKuyOo
>>770

【、── ああもう、と思う。この世界には神が "多すぎる" とさえ感じてしまう程に】
【八百万なんて嘘っぱち、本当はその何万倍も無数の神がひしめき合い蠢き合う】
【ひょっとしたら其れは、多すぎる言葉の修辞法の様に、無くした音律の名残を探すが如く】


── ボクがあの子をニンゲン扱いする訳無いじゃん、今はこんなに落ち着いてるのに

別にキミが神様だろうと、へびさまが神様であろうと、鈴ちゃんがボクのパートナーである事変わりないでしょ?
それを今更あーだこーだ言われても、ボクは何も譲る気は無いから

ボクの女に手ぇ出すんなら、神様だって赦さないから


【ドアの取っ手を鳴らす音が聞こえたなら、それが合図──泡沫の様に消えてしまう幻】
【溜息を一つ吐いた。強がっては見たがあれが恐らく鈴音の根源なのだろう】
【身に余るほど強大な力── 興味が湧かないなんて、嘘だけれども】

【──違うから。彼女が鈴音に求めるのは、そんな、神様の様な力では全然無くて】



……もう、世話焼かせさんなんだから、ほらほら鈴ちゃん、今日は■■してないから歩けるんじゃない?
それともボクに抱っこしてもらいたいのかなー? あはは、その場合は■■してもらおっかなー♪
はいはい、今開けるからね──


【彼女は椅子から降りてドアへと向かう。きぃ、と軽い音を立ててそのドアを開いて】
【──神様が欲しいのならボクがなるから、と小さく思った、声には出さなくとも】
【何かに定義される存在じゃなくとも、今生きてる証左だけがあればいいから】
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/17(木) 23:22:21.25 ID:G76mpl86O
>>771>>772
/凍結了解です、後程お返ししておきます
/お疲れ様でした
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/17(木) 23:42:02.88 ID:yUslLDf30
>>773

【――――ずるり、と、そこには、大きな大きな蛇が居た。真っ黒な身体をした蛇。その鱗の一つ一つが、まるでオパールのような遊色効果を持って】
【瞳の色が左右で違う。だから。"分からせる"。黒い瞳と赤い瞳を一対にした、大きな、黒蛇が。相手を見上げる、ぞろりと、長い、長い、尾を引きずって――――】

――――――、     

【だなんて、そんなはずはないのだ。そこには変わらぬ少女が伏していた、ひどく弱っているように、それこそ病床に伏してこそ相応しい人間であるかのように】
【ひどく焦点の合わない視線をそれでも相手に向ける――何かがちょっとだけ違っていると相手は感じるかもしれなかった、それは、たった今にほんの一瞬起こった"錯覚"に似て】
【さっきまでと違うモノになってしまったかのような、そういう気にさせるかもしれない。――甘さすら感じるほどに清い水の香りがする、前からだったろうか。分からないけど】

【――それは外に出るにはふさわしくない恰好であった。寝間着、それも、恋人同士が睦み合うときのような、煽情的なもの】
【もうそれがどんな意味合いであるのかを考えるだけの余裕すら奪われて。何日眠っていないのだろう、何度泣いて眠らせてと乞うたかも分からないくらいで】
【眠りに似た気絶の権利さえ剥奪されるたびに泣きじゃくってごめんなさいごめんなさいと熱に浮かされたように繰り返す、繰り返して、それでも、許してもらえないから】

イる、ちゃ、――、ひう、ァ――……、ごめ、――さ、――――、

【ぐたりとくずおれた身体は力の入れ方さえ分からなくなってしまったみたいに柔らかくて、抱き上げるしかないだろう、あるいは引きずるか。どちらにせよ】
【きゅうと産まれたばかりの赤子みたいに少女は相手へ縋るのだ、――それで、願う。今宵は眠らせてほしいって、お願いだから、眠りたい、と、震える声が、懇願する】
【起きた後になんでもするから。爪だって要らない、指を潰されてもいい。だけど。だから。今夜は眠らせてください――と、ちいさな、ちいさな、声】

【――――それでも。それはやっぱり悲しいありようだった、どうしたって唆る目をする】
【知らないものを知りたいって願うみたいに。それはなんでもかんでも口に含む赤子とどこか似るもの、真っ新な赤子が誰だってする、生きていくための、儀式みたいなもの】
【そうじゃないと生きていかれないみたいに――何かをねだる目をしてしまうのだ、それが本心からの懇願だって、それを嘘にすり替えてしまうくらい、生々しく】
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/17(木) 23:43:10.59 ID:G76mpl86O
>>771

不老不死かぁ、王道のロマンだねー
で、完成したんだ
魔法使いって名乗っても少なくとも怒られないと思うけどね。十分魔法だよ

【合瀬にはそもそも錬金術師と魔法使いの区別がつかない】
【頭の中には杖を振り回すファンタジーな画が浮かんでいるが、出来ることは違うのだろうか】
【彼の表情からは言葉の裏までは察せられないが、千年生きるという秘密の一端は明かされた訳だ】

……長生きって楽しい?

【不老を目指す理由は今は聞かない事にする】
【悲しげな眼差しから笑いに変えるのも憚られて】
【少し落としたトーンの下、雨の一粒が頬に落ちた】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/17(木) 23:54:38.87 ID:EqQiKuyOo
>>775

【── ゾクリ、と彼女の背筋にはしる淡い感触。止めることの出来ない欲求であった】
【とても大切にしてるから、世界で一番大好きだから、だからね、だから──】
【君が苦しむ顔をもっと見たいの、なんて、思ってしまうぐらいに】

【イルは彼女を持ち上げる。── ぬいぐるみの様に軽い重量で、慈しむように柔肌を撫でる】
【扇情的な寝間着がはだけて華奢な肩を出していて、少し迷って肩に紐を掛け直す】
【そうして寝床へと運んで、ぽんっとベッドの上に放るのだろう】


んーっ、相変わらず鈴ちゃんはかぁいいなぁ♪ ねぇ、ね、何処でそんな可愛くなる様教えられたの?
みんなそこに行けばいいと思うんだぁ、あっ、でもダメか
そこで鈴ちゃんは一杯虐められたもんね、殴られて蹴られて、気分で虐められたもんね
でも気分分かるなぁ、鈴ちゃんって虐めたくなるもん♪ ボクの心をどうしようも無く揺らすんだから

ねぇ、寝かせてもらえると思ったの? 一体何回言ったら分かるのかなぁ
そうだよね、今は大丈夫、お話だけでまだ起きれるもんね
お話だけでおきれなくなったら大変だもんね、もう『水』は嫌でしょ?


【寝る事を決して許されない寝床へ貴女を転がしながら、イルは貴女の上に跨る】
【そのまま押し倒すように顔を近づけて、頬と頬をすり合わせながら】
【右の手が貴方の左手を握る、絡め合う指先は舌先の暗示に似て】

【『水』のいっぱい詰まったバケツに顔をつけたなら、誰だってきっと眠れないよね】


ね、ね──今日はさ、お話して欲しいんだ、鈴ちゃんの過去をね
虐められてたんでしょ? 施設で、ねね、どんな風に虐められてたの?
ボクはそれを想像してきゅんきゅんするの、可愛そうな鈴ちゃんを可愛い今でコーティングするから

それと同時にニンゲンの愚かさを実感して、ボクの存在を強めたいの
ほらほら、寝ちゃったら酷いよ? 頭働かせて、寝ないようにしなきゃ
気絶したらどうなるか、三日前にも、教えたよね?


【イルはチラリと寝床の奥に視線を向ける、無造作に箱一杯に詰められた『器具』】
【そこに視線を向けるだけで貴女はきっと、その意味に気づいてくれるから】
【──聡明さは時に身を苛める。】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/18(金) 00:26:35.14 ID:my3c4uFz0
>>777

【ぽんっ、と、華奢な身体が放り出される。脱力しきった四肢は硬直さえ終わった後の死体の様に似て、ベッドの発条で跳ね返る瞬間に、呻く声がした】
【おそらくは身体の下になってしまった右腕が痛んだのだろう。――だけど鋭い感覚は嫌でも神経を逆さまに撫でていって脳髄を目覚めさせる、――ひどく泣きそうな目をする】
【ずりと身体を這わせて下敷きの腕を取り出す、足を擦り合わせて、身体を小さく縮める。――その間もぶつぶつと口元で呟いていた、眠らせてくださいって、繰り返して】

や、や――、やだ……、ゃだ、あう、――ねかせて、くださ、…………――こわれ、ちゃう、わたし、……ばらばら、って、――だからあ、ッッ、ひ、
――――やだっ、やだ……、ごめんなさい、ごめんなさ、いぃ、――ひ、でも。でも……、

【――ぎしり、と、寝台の発条が軋む。布や皮膚が互いにこすれ合う音、うんと近づいた距離で――けれどやはり少女は懇願する、必死になって、願うけど】
【頬擦りされるなら、相手は彼女の懇願を耳元で聞くことになる。だけれどそれは同時に、相手の言葉もまた、耳元で聞かされることになって。――水、という単語に】
【びぐりっ、と、その、痩躯が。跳ね上がる。けれど相手を跳ねのけるほどの力はなく、怯えて手繰った足の膝が相手のせなにわずかに振れる、がたがたって、震えて】
【途端に泣きじゃくる声になるのだ、じたばたって暴れるけれど、力はひどく弱くって。だけど、それと同じくらいに――眠れないことが、ひどく、辛いのだと、でも】

【――――いっかいめ。一番初めの時。少女はその時眠りよりも救いようなく気絶していた、それでせめても自分自身を癒そうとしたのだ、眠りには程遠くとも】
【けれど、許されなかった。空気の代わりに水を吸い込んで、意識を取り戻して。状況を理解する前から、理解してからも、ひどいパニックを起こしたのを、覚えているだろう】
【"あれ"――数年前――から少女は一度も深い水に顔を浸すようなこと、しなかった。指先でちょんっと触れることさえ怯えるくらいなのに、そんなこと、するはずがなかったなら】
【ばぢりばぢりと迸った魔力はけれど指向性さえ喪って意味なく喚き散らされていた、それこそ暴走のように。筋肉に電気を流されたみたいにびぐびぐって暴れまわって】

やだ、やだ……、お水、やだ、痛いの……やだ、ひぃ、ァ――――、

【絡められた指先はひどく冷えて強張って震えていた、がたがたっておもちゃみたいに、怯えきって、ただ震えて、泣きじゃくるように】
【けれど願うのが水も痛みも快楽さえもない安らかな眠りであるなら、叶うはずがない。気づかれてしまったならお終いだった、蛙をぷくって膨らまして遊ぶみたいに】
【ぱんって破裂したって次の蛙が犠牲になる。破裂することのできない少女に逃げ場なんてなかった、――死んでも死ねないだなんて、どんな地獄だろう】

【一つ目。魔力を作り出す魔術式】
【二つ目。その魔力を使って、身体を維持修復するための魔術式】
【三つ目。その魔力を使って、これらの魔術式を維持するための魔術式】

【――それが彼女に刻まれている術式の正体だった。死ねないことを決めつけられている。死ぬことを許されていない。だから、ここから逃げ出す手段も、ない】

ひぐ――、――わた、わたし、は、わるいこ、で、……泣いてる、から、ずっと、ないちゃう、から、――っ、ひ、
殴るの、かみのけを、ぎゅうって、掴んで――、いっぱい、なぐって、けっとばす、の、――みんなの、まえで、っ、投げて壁にぶつけて、

【気づけばぼろぼろ泣いていた、今が怖いのか話す過去が怖いのかももはや分からないけど、泣きじゃくりながら、"されたこと"を並べ立てていく】
【何日もご飯をもらえなくて。空っぽのおなかを胃液さえ吐けなくなるほど踏みつけられた。首の上によいしょって片足立ち、身体の上をジャンプしてげらげら笑って見ている職員たち】
【見せしめにされていたのだと分かる、"言うことを聞かなかったらこうだぞ"って見せつけるために。不幸だったのはたまたま生き残ってしまったこと、致命的に殺されるまで】

【――助けてくれた子がいた話。多分相手が聞きたいのはそれではないだろう。口から出るけど、要らないなら、それは要らないって教えないと、きっと覚えない】
【どちらにせよ最後は――浴槽に閉じ込められて、沈められて"死んだ"話で終わる。がたがたって震えて怯えながら、ただ、イルの言うことを聞かないのは、もっと、怖いから】
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/18(金) 00:42:40.36 ID:oJCHXTUUo
>>778

【それは傷つきながらも羽ばたく白鳥の様に、切り刻まれても尚踊り続ける踊り子の如く】
【喉が擦り切れても歌う少女のアリア。旋律に耳を傾けて胸に染み渡る様に】
【股の間に自分の脚を絡めた。閉じれないようにしっかりとホールドして】


大丈夫♪ 壊れても直ぐ元に戻るでしょ、鈴ちゃんは可愛いのとがんじょーなのが取り柄だから
だからね、ボクも思いっきり鈴ちゃんを虐めることが出来るの、だってそっちの方が気持ちいいって知ってるもん
鈴ちゃんがその細い喉をきゅうきゅうって、震わせる度にね、ボクはまた一つ残酷になれるから

あはは♪ ねね、眠りたいのに眠れないってどんな気持ちなの? バカになっちゃうの? 一日中■■するのとどっちが辛い?
そういやあの時も鈴ちゃんおねだりしてたよねぇ、ほんと堪え性のない子なんだからっ
あんまりわがまま言ってたらさぁ、ほんとに如何しても眠れない様に呪いかけちゃうよ?

──あは、それいーかも♪ 鈴ちゃんから一つずつ権利を奪うの、最後には何が、残るかなー♪


【せせらぎに似て、とめどなく紡がれる残酷な提案。彼女はそれをきっと実行出来るのだろう】
【眠る権利、食べる権利、動く権利、喋る権利、一つずつ奪って苛める】
【──それすらも容易く、やってのけるのだろう、きっと】


うんうん、そうそうその話が聞きたかったんだぁ♪
辛くて痛くて苦しくて、如何に惨めに残酷に憐れに鈴ちゃんが死んだのかを知りたくてさ
お水怖いよね、だって一番最初だったもん── あ、だからって水の罰無くしたりしないけど、寧ろ増やすし

で、そっからは? 施設から出て、次はどんな風に虐められたの?
痛みってさ、一番根源的な記憶だからね、過去を辿るにはどんな痛みがあったか辿るのがいーんだっ
ほらほら教えてよ♪ それだけじゃ、ないんでしょ


【もう片方の手も掴んで、両手を開いたまま固定させる、顔を隠すことも出来ないように】
【目の下に出来ているであろう大きな大きなくま、痛々しい色合いが少女の美しさを飾り立てる】
【また一つ奥底の水面に甘露が落ちるように、彼女は薄く笑みを強めた】
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/18(金) 01:12:37.35 ID:my3c4uFz0
>>779

【それはさながら逃げる最中に足を折ってしまった草食動物のようだった、足を摺り摺り逃げた果て、ついに捕まってしまった瞬間の、絶望だった】
【どんどんと身体の自由を奪われていく、びくりと震える足が跳ね上がったなら、まーっしろな内もも、下着までもが、きっと露わになって】
【怯えて身をよじればよじるほどに相手の身体に擦り付けていく、繋がれた手の指先がぱーっと広がってから、強張るように、ぎゅうと頑なに握りしめ】

――やだ、やだ、やだぁっ……、やだ、――イルちゃん、ゆるして、ごめんなさい、ごめんなさ――、
なんでもっ、――なんでも、します、するから、ごめんなさい、――、――ッ! やだ、やだやだやだっ、やだ、――いやっ、やだ、ぁっ――、
お願い、――イルちゃん、――ごめんなさい、許して、――ごめんなさい、

【慄くように震える喉から声が漏れ出る、せせらぎを堰き止めるにはあまりに弱い懇願、ひとの頭を供えてやっと止まる氾濫に、菓子でもない石ころを供えるみたいに】
【泣きじゃくり首を揺らして必死に許しを乞う、――だけどどうしてそんな風に謝っているのかは、きっと、分かっていなかった。それほどの思考回路、もはや抉り取られて】
【許してほしいと願うのに、何が悪かったのかは分からなくて。ぼろぼろ溢れる涙は早くも真っ白のシーツを濡らす、暴れたからしわくちゃになったシーツを、濡らして】

【取らないで、と、懇願する。何度目だろう。だけど同時にすべてを奪い取ってほしいとも乞うようだった、そうしたら、もう、きっと、怖くないから】
【なんにも考えないものになってしまったら。すべての気持ちが追い付けないくらいの場所に行ってしまえたら。そうしたら怖くない、何も怖くなくって、きっと、平坦で】

――――――――ッ、

【あんまりに残酷な言葉に少女はひくつく、こんなに恐怖の顔は世界中を見渡したってあんまりない。それくらいに、怯えた、怯え切った、壊れてしまいそうなほど】
【敵わないって秒速で思い知らされる、あるいは刷り込まれる。自分はこの病魔に敵わない。どんなふうにしたって、許してもらえることもきっとないって、刻み込まれていく】
【だって――子供にとって親は絶対的なものだから。どれだけやりたいことも、親が駄目って言ったなら、それはできない。この世界はそういう風にできていて、そして】

【イル=ナイトウィッシュによって存在を定義づけられた少女は、きっと、まさしく彼女の"子供"みたいなもので、あって】

【――仕置きから逃れようとした少女はいろいろなことを話すだろう、路地裏でのこと。食事にありつけなかったこと。けれど、そのときは、まだよかった】
【臆病な少女はかろうじて生き延びる程度だけを紡いで、生きていたから。特別なことはあんまりない、ならば、それは、もう少し後のこと】
【ずうっと普通の暮らしに憧れていたこと。それで、人間に関わろうって思ったこと。初めて名前を呼ばれて。その人間に殺された。それが間違いだったことも】
【行く場所がなくなったこと。路地裏に逆戻りして。――何人かの男にひどいことをされたこと。誰も助けてくれなかったこと。ひどいことをされた、ひどいことを、】

――――――ぁ、あ、あああ、ああああああああぁああぁ、

【***されたんだって言って、そこで少女の言葉は止まってしまう。腕を引き戻そうとしても抑え込まれているから何もできなくて、見開いた目から、どろり、と、】
【本来人体から出るはずのないものが溢れていた、――真っ赤な色で煌めくもの。だけどそれは悍ましく汚らわしいもの、触れるだけで穢れてしまいそうなほどに、ねばこく】
【そしてそれはきっと櫻では祟りと呼ばれるもの。呪いよりも悍ましく、どうしようもなく身を蝕むもの。それを涙みたいに溢れさせて――】
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/18(金) 01:29:03.54 ID:oJCHXTUUo
>>780

【── 舌先が貴女の頬を伝った。柔肌に染み込む様に彼女の赤い舌が這いずる】
【瞳から溢れ出る冒涜的な赤を、彼女は舐り取るだろう。蝶が蜜を吸うように。赤子が母親の存在すらも搾り取るように】
【肌に吸い付く小さな口元。唇を窄めて、吸い取るように貴女の赤い涙を舐めて】

【口いっぱいに溜めたなら、喉を鳴らしてごくんと飲み込んだ】


── 辛かったね、痛かったね、苦しかったね、……たった、一人で耐えてたんだ
そう、それでも、……それでもね、優しい鈴ちゃんはニンゲンを心配して、いたんでしょう?
ボクと最初に会った時、覚えてる? 鈴ちゃん、探しに来たよね、捨てられた子供達

守ってあげたかったんでしょ? 自分みたいな目に合わせたくないから
自分が辿ってきた地獄を、他の子には味わって欲しくないんだって──
言わなくても分かったよ、この子はそんな優しい子なんだって、分かっちゃった


【少女は微笑む、慈愛に満ちた表情で。──それは貴方がついぞ受けられなかった親の愛に似て】
【心配しなくていいよって見つめる、何度か確かめる様に頷いて】
【── ゆっくりと口付けをしようとする。中学生のカップルがする様に、瞬きしていたら見逃してしまいそうな短さで】


だからね、もう── 頑張らなくていいんだって、言ってあげる
ボクがね、心の底からキミをだいじにしてあげるんだっ、世界で一番大切にするから
今苦しいでしょ? 全く寝れてなくて、頭がぼぉっとして、生きてるのに生きてないみたいな

このまま二人で抱き締めあって、泥の様に眠ったなら、どれだけ気持ちいいだろうね?
脳みそが蕩けてくちゃくちゃになって、ボクとキミとの存在が混ぜ合わさって
そして心も身体も一つになろうよ、ねぇ、鈴ちゃん──





【──『ケッコン』しようよ、なんて彼女は言った】





【あんなにニンゲンが嫌いなのに、こんなにもニンゲンを軽蔑しているのに】
【やる事もする事もどれもニンゲン紛いの愛の形】
【言っちゃっただなんて、照れたように笑う。──鈍い思考を揺らして】
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/18(金) 01:50:57.52 ID:my3c4uFz0
>>781

【頭の中が全部全部かき乱される、それこそ脳みそを取り出してミキサーにかけて戻されたみたいに、何もかもが分からなくなって、ぐちゃぐちゃになって、】
【ただひたすらに恐怖と怨みとがないまぜになる、怖くて憎くて呪わしくって嫌いで嫌いで嫌いで嫌いでこんな生き物全部滅んでしまえばいいのにって、思った瞬間を思い出す】
【一人殺して二人殺して三人殺して十人も三十人も六十人も殺して百も百五十も二百六十二も三百四十も通り過ぎていっぱい殺した、多分、千人くらいは。覚えてないけど】
【それでも納まりきらなかった。みんなみんなこんな生き物は一匹残らず死ねばいいって思った、いつの間に忘れていたんだろう。なんで忘れていたのか、思い出せない】
【その感情があふれ出したなら赤色が一層溢れてきらきら光って立ち上る。きっと桜色の彼女の魔力を凝縮して煮詰めて煮詰めて怨みで味付けたもの、真っ赤な血色に咲く桜花の色】

【けれどその桜を染め上げてしまうには千ぽっちではちっとも足りない、もっと欲しいと存在すべてが願う、――だって、そう、もう、ヒトじゃないんだから。知ってたけど】

【――それで、ふと、思い出した。そうだった。その気持ちを忘れてしまえたのは、"あのひと"が居たからで。――ああ、でも、もう、居ないから】

【もういいかい、って、誰かが、呼びかける。まあだだよ、って、声を返す】
【また、誰かが、もういいかい、って、呼んでいる。――だから、まあだだよ、って、言い返す】
【それでも誰かは諦めてくれなくて。もういいかい。もういいかい。何度も、何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も繰り返すから】

【――――もういいよ、って、答えてあげたら、その瞬間に、ずっと待ちわびていたみたいに、"その子"が、笑った】

【(長い黒髪の女の子だった。真っ白な肌で、あどけない顔をした、女の子。瞳はどっちも黒色で、まるで鈴の音みたいな声で、しゃべる、女の子だった)】
【(その子には大人になる権利があった。当たり前に成長して、いつか大人になる権利があった。そしていつか好きなひとの子供を産む、お母さんになって、おばあさんになって)】
【(それでいつか当たり前に、死んでいく、権利があった。――だけど。その権利がなくなった時に。あの女の子はぐるんって反転した、全く違うモノに、なってしまった)】

――――――――ほんとはね、知ってたの、わたしは、へびさまとおんなじで、逾溘j逾槭□縺」縺ヲ縲、――、

【――だらだらと赤い祟りの涙が止まらない、イルが口に含んだ分よりもずっとずっとたくさんの赤色が、それこそ、膿のように溢れて、あふれ出して】
【赤色にまみれた眼には何も見えなかったけど。その裏側で幻視する光景があった、――蒼穹と桜の木。あれは夢なんかじゃなくて。あの女の子、――いつかの自分は】
【"桜花鈴音"は。――どうして自分が"逾溘j逾"だって気づかないのか、ずーっと、ずっと。不思議で。"そう"じゃないことを理解できなくて。あなたは誰、って、聞いていた】

【それを理解してしまったから】

――――――――――――――、うん、

【だから自分は***だって理解する、眼にはまだたっぷりの赤いきらきらを湛えて、それでも、それだからこそ、鮮やかに、笑って】
【受け入れる、全部を。あるいは――あの紫色が選んだのが誰か別の存在だったとして。その誰かが、この少女はヒトであると定義してくれていたなら】
【――ありえたかもしれない未来は、だけど、結局誰かが思い浮かべるわがままでしかない、そうであったなら。そうやって思ってしまう誰かを置き去りにして、】

【――――脳髄が焼き切れるくらいの快楽が欲しかった。誰かの吐いた真っ赤な内臓で塗りつけられたダンスホールで踊るみたいに、何もかも塗り替えちゃうくらいの、快楽が】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/18(金) 02:09:28.73 ID:ALf3FgVAO
>>782

【── 舞台に幕が降りて照明が消える。暗転した室内に喧騒が広がった】
【衆目は各々思い思いの言葉を投げ掛けた。これでお終いなのかと抗議する様に】
【その演目は不完全だった。── 正義が勝つ訳でも無く、少女が救われるでも無く】

【ただ不完全に終わった。お話の途中で照明が落ち、演者やスタッフが撤収していく】
【やがて群衆は一人また一人と散っていくだろう、三文芝居の方が幾らかマシだ】
【── そうして残るのはたった二人だけの世界。何もかも投げ出して逃避したその先にあった】



【    ─── もしかしての話をするのは公平じゃないから ───   】



【もしも、他の誰かだったなら彼女を救えたのかもしれない。── 気高き女ガンマンや、生き抜くことを決めた生体兵器】
【でも違った。── 彼女に手を差し伸べたのは、どうしようも無く歪んだ別世界の化け物】
【病魔が目を付けてしまった少女は憐れ、その歯牙にかかり■■してしまうから】

【彼女は舞台を降りてしまった。それを嘆くことは出来ても、それを責めることは出来ない】
【何故ならそれは既に決定づけられてしまった事だから、今までに何度も好機があったというのに】
【──それなのに私達は捨ててしまった。白神 鈴音を救う無限の好機を、消してしまったから】



【、── 病は彼女が持ってきた訳では無い】
               【  ──、ずっとずっと前から、あったから】


【彼女はただのきっかけに過ぎず】   【それはただの帰結でしかない】



【後悔は尽きず懺悔は果てない、それでも時を戻すことは叶わない。── 囚われの姫君は最早、逃れる事を望まない】
【世界が寄ってたかって彼女を痛めつけた結果、世界は何処までも無残に彼女に見棄てられてしまった】
【希望が絶えた事を絶望と呼ぶのなら、最初から希望が無かったなら何と呼べば良いのか】





【──  願いとは時として残酷な真実に過ぎず、祈りとはその所作でしかない  ──】


【エンドロール、終幕 ── 終演 ──】





【劇場に鍵がかかる。演目は終わってしまった── 全ては最早胡蝶】
【けれども、貴方達は向かうのだろう。終わってしまった物語を、絶えてしまった希望を絶やさぬ為に】
【今一度因果は巻き戻る。── その先にある輪廻が、何処まで残酷でも】


/お疲れ様でした!!
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/18(金) 20:49:34.70 ID:RGzIYQDq0
>>783

【――――夜の中に人影が一つ、あった。場所はどこでもよくて、ただ、ここから少し前に、真っ白い背高の男と、色違いの目の少女がいた、ということだけが重要で】
【そこには決して目に見えない残骸が無惨に転がっていた、"存在"そのものを喰われた哀れな亡骸。見ることはできず、触れることはできず、嗅ぐことも味わうこともできないけれど】
【たしかにそこで"何か"が死んでいた。ほんのちいちゃな存在の欠片を飛び散る肉片や血痕のように散らして――――その欠片の一つが、あまりにあっけなく、踏みつぶされた】

――――、"あたし"が言うのもなんだけど、ほんとにね、"どうかしてる"。

【――すりつぶすように靴底が擦られる、同時に聞こえるのはうんざりするような……あるいはどこかで呆気にとられるような、珍妙な声音の、呟き】
【その人影は身体じゅうをすっぽり隠してしまうようなローブを着ていた、声はボイスチェンジャーを通したようにちぐはぐな音色を紡いで、言葉から女だとは、思わせ】
【ずり、ずり、と、しばらく引きずったなら――はあとわざとらしいため息。振り返った先に当たり前にいる人影へ、ひどく不機嫌そうな気配を向けて、沈黙】

どーすんの、あたしもう知らないかんね、手伝わないし――手伝うって何を? ……はあ、もう、分かってるけどっ。
必要でもないのに"してやる"ほどお人よしじゃないから! …………ほんとに――、

――"へびさま"まで喰っちゃって。

【人影はもう一度辺りを見渡す、見渡して、存在の肉片を見やる、――いがいがした不機嫌オーラをしばらく発していたのだけど、くるり、踵を返したなら】
【「あたし帰る」――勝手に宣言して、勝手にその姿を転移の魔術で消してしまう。ならばあとには人影は一つだけ、長い長い鮮やかな紫色の髪が夜風にふわりと揺らめいて】
【糸くずのように細い三日月を見上げて見ていた、ほんとうに、長い間。あるいはほんとうに短い間。その場にとどまっていたのだけど、それさえも、やがて、消えるから】

【――――病魔たる彼女は、少女を加護していた神々を否定した】
【だから白蛇は少女そのものによって存在を喰われて、その養分になりさがった】
【だから紫色の少女も。ふらりと姿を消す。生まれたばかりの無垢な存在に喰われてしまうほどにかすかなものでは、けしてないから】

【さっき食べたお菓子が賞味期限が過ぎていたって気づいてしまった瞬間にお腹が痛くなるみたいに】
【知らない間にとんでもない失敗をしていたと気づいてしまった瞬間に冷や汗がどっと溢れてくるみたいに】

【――自分が人間を祟る概念に成り果てていたのだと気づいてしまった瞬間に、白神鈴音は、蛇に変貌ってしまったから】

【(だけど、まだ、多分、神と呼ばれるには、幽か過ぎた。誰にも神だと認識されぬなら、それは、悪さをする魑魅魍魎と何一つ変わらなくて)】
【(あるいはそれがただ一つ希望みたいでもあった。生まれたばかりであったから。まだあの少女の神話には一説、イルが定義づけた文言しか、書かれていないから)】
【(――ああでもそれは希望と呼ぶにはあんまりにか細くもあった。だけれど、絶望だと言い切るには、まだ少しだけ、期待してしまえるだけの、余地があった)】

【――――――ぐるぐる、と、糸車を逆さまに廻して、探してみる。真っ白な蛇の執着から生まれた因果の、分岐点。結びつけられた輪廻をほどいて、その先へ向かう道筋】
【それがどれだけ途方もないことだって。まして少女本人が投げ捨ててしまったものだって。――誰かがそれを見つけてくれることがあったなら、あるいは】

【(――白神鈴音は自覚のない神である)】

【(知っていて言わなかったのは、意地悪なんかじゃなくって。人間として生きることを望むなら、それがどれだけ無理のある願いだったとしても)】
【(知らぬ間に禁忌の果実を食べてしまっていた。決して赦されることはないけれど。"たったそれっぽち"のことで受ける罰にしては、"これ"はあまりにひどすぎたから)】
【(そう知ってしまったら、二度と元には戻れない。――だから、黙っていた。いつか訪れる日は"いま"である必要はないと、判断していた)】

【(――けれど世界はやっぱり彼女を赦さなかったから。宙ぶらりんのままで居ることを赦してはくれなかったから。だから、これからは、蛇として生きるんだと思う)】

/遅ればせながら、おつかれさまでしたっ
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage saga]:2018/05/18(金) 22:51:14.35 ID:X9iRFSLko
【路地裏】

【水の国の国境沿いにあるこの街は、その土地柄か多くの人が行き交う大きな街で】
【きな臭い側面も他の街よりも色濃くある街だ。管轄の変われば警察や政府なんかはなかなか追ってこれないからである】

【それでも超法規的に動く正義もいれば悪も居る。】

<コチラ、アルファ1―――容疑者確認。追跡中>
<了解、ブラボーが回り込む。>
<二人やられたぞ、残りを再編成しろ>

【無線のやり取りが飛び交う。路地裏は騒がしかった。】
【顔をメカニカルな黒いマスクをかぶった謎の人物たちが銃を持って走り回る】
【その彼らの制服のコートの肩には『TechnoDogs』の文字があった】

クソッタレ…似たような顔をしやがって

【二丁拳銃のリボルバーを握りなおす。美しいエングレービングが施されたその銃の名はSABRINA】
【ブラックスーツを着た、背の高いサングラスをかけた黒髪の男が持ち主だ】
【そしてテクノドックスに追われている張本人でもある】

【彼が路地裏の複雑に入り組んだ曲がり角を一つ曲がるたびに激しい銃弾が飛び交う】
【オーウェルの猟犬が徐々に迫っていた】
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/18(金) 23:10:30.66 ID:XtxiqPYy0
>>785

【もしかすれば、その光景とは良くある事なのかもしれない】
【だが、今この間、それが万分の一秒かも知れない、悠久の時かもしれないが】
【人間の運命は流れて居る事に変わりはないのだ】
【流れる運命は、何処かで誰かと合流する】
【それもまた、運命なのかもしれない】

【路地裏】

「魔翌力構成完了……『風刃結界』」
「展開」

【その男からすれば、自分の進行方向に居た事になり】
【猟犬達からすれば、思わぬ出現に捉えられるだろう】
【上手く行けば、迫る猟犬達と男の間に、風の刃で構成された壁が出現する事になるだろう】

「こっちだ、急ぐといい」

【暗いネイビーカラーのスーツ、右目の眼帯の男が拳銃を構えつつ、壁を背にしてこう声をかけた】
【状況的に、能力の持ち主は彼の様だ】
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage saga]:2018/05/18(金) 23:48:49.70 ID:X9iRFSLko
>>786
【サングラスの男はその猟犬らの完璧なチームワークによってその包囲網は狭められつつあった。】
【むしろ自分にとって有利なはずのこの場所が危機を招くことになったのは自分の浅はかさに腹が立つ】
【そして強行突破しようにも数だけでなく相手が悪かった。】
【そのことはこの場に現れた『能力者』にもすぐにわかることになるはずだ】

――――ッ!!!なんだって一体…

【サングラスの男はその風に身じろいで動きを止めた】
【しかし、黒いマスクの機械じかけの猟犬たちは足を止めたものの落ち着いた様子であった】

<能力者だ>
<こちら、ブラボー。能力者を新たに補足。B種装備の使用許可願います>
<了解。ナノマシン散布します。>

【黒ずくめの一人が手榴弾のようなものを取出した】
【ピンを抜き、風の刃にそれを投げつけると白いキラキラとした粉があたりに舞い散った】

【それは能力者の体外に放出された魔力を吸収するナノマシンであった】
【特殊な能力や強力な魔法でない限り影響は少なからずあるだろう】

…エスコートするぐらいなら策はあるんだろうな?
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 00:04:49.00 ID:jgRPvcu20
>>787

「全く、姑息な集団だ」
「人の事は、言えないか……」

【妙に人間離れしたチームワークだった】
【ジリ貧である事には変わりは無く、精々メリットと言えば一人が二人に変わった事位】

「なるほど対能力者装備か、能力は効かない物と見える」
「実弾のみが頼り、か」

【投げつけられる手榴弾様の何か、白く日の光を反射する粉が、風に舞い】
【やがて自身の風の刃へと纏わり着き、徐々に徐々に、その力を吸収、弱めていき】
【やがて、消滅させていくだろう】

「ならば……」

【自身の足元に竹の水鉄砲の様な形状の筒を設置し】
【次の瞬間には、ポゥンッと音と共に、何かが猟犬達に向けて射出されるだろう】
【擲弾筒、個人携行用のグレネードランチャーだ】
【オーウェルの猟犬達に向け、擲弾を放つ】

「策があれば苦労はしないな、あるとすれば、実弾で応戦、上手く隙を突きながらバイクの位置まで移動、か……」
「新たな対能力者装備か……」

【男の言葉に、ネイビースーツに眼帯の男はこう答える】
【状況はこの男が加わっても、あまり進展はないのかもしれない】

「厳島命、櫻国海軍陸戦隊諜報部員、少々この辺で調べ物があってね、偶然襲われている君を見つけてね」

【そう名乗った男は腕輪と、そして指には深い海の色に似た指輪が嵌められている】
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage saga]:2018/05/19(土) 00:37:00.53 ID:3fhELCgQo
>>788
やつらはあれだけいて、『一人だけ』みたいなもんだ。
チームワークで言えばどのプロフェッショナルより一流さ

【サングラスの男は妙に詳しい様子であった。】
【その言葉通り、テクノドックスの私兵たちはオーウェル社の洗脳装置で完全に作り変えられて制御されている】
【だから動きも一流で恐怖も感じない。もっとも完全な機械に近い生身なのだ】

…5,6人はいる。いや…もっと多いだろう。
拳銃も正確にぶち抜かないと―――っって、おいおい…どっから出したんだ?

【炸裂する爆発音。先頭を切っていた猟犬の一人がそれに巻き込まれる】
【その後ろをついていた2名は巻き込まれなかったため、なんの躊躇もなく】
【仲間の肉片や血をコンバットブーツで踏みつけて、追跡を続けた】

諜報員?おいおい、アンタの国は戦争でも始めるつもりか?
…まあ、どうだっていい。俺もアンタもアイツらからすれば排除対象だ
国の為なんかじゃなく、俺らの為にどうにか生き延びよう―――――

【その時。そういう彼の横にあった鉄筋コンクリートでできたビルの壁が崩落する】

【男は拳銃を向けた。そして躊躇なく両手の拳銃の引き金をありったけ引いたが】

―――ああ、クソ。『ヤツ』だ。急げ、更にまずくなった…!

【キィィィィンンという高い音がその崩れたビルの奥から聞こえる】
【その瓦礫の奥、暗がりからゆっくりと歩むそこにいたのはまたしても】
【黒いマスクや格好は他の猟犬と同じだが。腕章とその片手に握られた赤く熱された片刃の大剣が彼らを統べる隊長クラスだとわからせる】
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 00:59:12.90 ID:jgRPvcu20
>>789

「一人だけ?」
「異常なほどの部隊統率能力、と言う事か?」
「随分と詳しいな、君は、何者だ?」

【そう、男に聞いた】
【そして、あるいは……と】
【男の言葉をの意味を理解しようと、噛み砕くものの】

「武器は常に携行し、そして瞬時に取り出せねばね……」
「最も、あまり余裕はないが」

【そう言いつつも、次の瞬間には服装は一変】
【紺の詰襟に首元の階級章、金色の飾緒が一本、肩口には櫻に錨の意匠、腰に軍刀を下げた海軍士官の制服だ】

「っち、仲間の死も爆発の衝撃にも怯まない、か」
「ああ、そうだな……先ずはこの場を生き延びる事だ」

【そう言いつつ、今度は拳銃を取り出し構える、と】

「――ッ!?」

【崩壊する壁、そして中から出てきたのは……】

「何者だ!?」
「っく、強者のお出ましか……逃げるぞ!!」

【拳銃を数発、その隊長クラスに向けて発砲、そのままサングラスの男と共に、撤退の姿勢を示す】
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage saga]:2018/05/19(土) 01:53:07.34 ID:3fhELCgQo
>>790

作られた意識で繋がれてるのさ…奴ら

俺は…まあ、なに…しがない探偵さ

【男は遠回りな言い方をする。それはこの話が単純ではないということを裏付ける 】
【あのテクノドックスたちは考えることすら奪われた傀儡で、特殊な教育や訓練というレベルの代物ではない】

【そしてこの探偵を名乗る男はそれだけではなく、それにつながる多くのことを知っていると思われた】
【これだけの相手に狙われてるのだから、それだけの理由があるはずだ】

オーラィ、軍人さんよ。俺が目になる。ありったけ、ぶちまけて逃げようぜ
今日の夜は逃げるにはもってこいだ

【銃弾が乱れ飛んでいた。探偵の放った弾丸が猟犬の一人を捉えても、致命傷でなければそいつは立ち上がるし】
【まわりのやつらはただ、目標を狩ることだけに専念している】

【そして隊長クラスのあの猟犬が大剣を振り上げると】
【コンクリートはまるで熱したナイフをあてがったバターのようにするりと切れてしまう。】
【狙われている探偵はその刃をなんとか交わしながら路地を逃げ続けていた】

やってくれ!!チャンスは一度しか無いっ!!

【オーウェル社の番犬が、能力者の血に飢えた野良犬が噛みつかんと迫る―――!!


/すみませんが睡魔が…本日はこのへんで失礼させていただきます
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 02:10:04.60 ID:jgRPvcu20
>>791

「作られた……共通思念か!?」
「……わかった、なるほどな……上手く終わったら、話を聞かせてくれ、探偵さん」

【探偵と名乗った男の意図を察して、そう答えた】
【どうあっても、先ずは生き延びる事】
【それが先決であると言う事】
【拳銃をここでアサルトライフル様の短機関銃に持ち変える】

「ああ、そうしよう……頼むぞ……」
「長居は無用と言う事さ」
「さて、お手並み拝見だ……」

【スコン、と再び擲弾を装填、狙いは当然の如くその隊長クラス】
【続き、再び狙いを定め、是を射出、弧を描き擲弾は隊長クラスの猟犬に向かうだろう】
【そして、着弾を見る前に、狙いもまともにせず、一気に短機関銃の引き金を引く】
【一発の正確な狙いの擲弾と、無作法にばらまかれる機銃弾が周囲を襲うだろう】
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 02:10:39.08 ID:jgRPvcu20
//>>791了解です、お疲れ様です
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 07:17:34.05 ID:Qsqi5dxa0
>>776

「不老不死とは違うんだよなぁ…」
「おう、頑張ったからなぁ…」
「まぁ、魔翌力を使うって点では魔法だけどな」

【不死だったら詰まらないし、と思い。言った】
【あの頃は相当頑張ったなぁ…と、思いながら言う】
【少し考えながら言い、自らの間違いを正した】

「ん?…なんでそんなこと聞くんだ?」
「まぁ少なくとも今は楽しいぞ?」
【日常に起こった愉快なことを思い出し、笑いながら言う】
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 12:18:46.76 ID:O6cS6lbD0
/test
796 :@mail :2018/05/19(土) 12:55:02.89 ID:O6cS6lbD0
【送信者────鵺】
【送信先────厳島 命】


『やっほーみここん! お元気にしてた? 鵺ちゃんはお元気一杯大満足ですっ!』
『えっとね、今さ、みここん達が変な相手と戦ったって工場跡に来てるんだけどね』
『なんか焼け跡から変な冊子が出てきて──えっと、鵺ちゃんじゃ、ほんとチンプンカンプンな内容だったから』

『とりあえずみここんに送るね! 周囲に知ってる人とかが居れば共有しといて!』
『鵺ちゃんはもうちょっと周囲を調べてからそっち合流するね!』
『じゃあ頑張って! お鈴ちん、絶対に助けようね────』


/添付ファイル1 『INF-003』 https://www.evernote.com/shard/s266/sh/13213443-df09-4f77-8453-b8254ae1ee25/613f6a6b812e879db08005ed7b3365ab
/添付ファイル2 『異聞創世記』 https://www.evernote.com/shard/s266/sh/aef88d0b-6d66-47c9-850b-cff059b92143/a70d4a8bfe4aa1e617a6155c18fc0211
/参加者の方は上記の情報を知っている状態で動いていただいて構いません。
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 14:12:52.81 ID:O6cS6lbD0
   
         【 、── それを人は "Lathe" と呼んだ。】



【 その意味は "忘却" 人間に与えられた特権にして、枷。── 人が人である所以であり、人が人である罪】


   【──、詩人曰く】





 ” 我々は冥府に着くと、"Lathe" の水を飲み現世での生を忘れる。”


 ” そして、生まれ変わる時。再び "Lathe" の水を飲み、冥府での生活を忘れる。”



        【それは救済なのだろうか】        【、── 或いは果てのない責苦か】




          【人はそれを "輪廻" と呼び、逃れられない宿命の一端を担わせた】





 ” 昔々 君の名前が 今と違っていた頃 ”


【貴方はきっとこう言う。── 私は選んで此処に来たのだと】
【誰にも左右されない私そのものの意志を持って、この選択をしたのだと】


 ” 太陽は夜の傷を 消毒してくれる親戚みたい ”


【 、── 大切な『貴女』を救う為に、無数の夜を踏破して、幾重もの朝を泣いて】
【渇きに似たその感情を。名もない心の働きを情動と呼ぶ様に】




 ” でも、君は変わった ”



【、── 大切な『世界』を救う為に、無限の朝が萌芽して、幾数もの夜を殺して】
【?きに似たその行動を。果て無き体の働きを反射と呼ぶ様に】


 ” メスを入れて傷を広げる ”  
 ” 柔らかい君のお腹に ”
 ” ルビー色の夜がそこから溢れ出す ”



 ” ここは楽園さ ”


        【 ── " レテ・ビーチ " ── 】
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 14:14:13.56 ID:O6cS6lbD0
  
       【 ── " Lathe " の足取りを追う道程は相応に厳しかった。】



【特にこの旧市街では過去の記録が殆ど残っておらず、能力者達は地道な捜査を必要とされただろう】
【しかし、努力はやがて実を結ぶもので、能力者達は一つの土地へと辿り着く】
【その名も "レテ・ビーチ" 旧市街の外れ、遠く進んだ先にある巨大な湖であった】





【水面は青々とした水に覆われ、空の色を反射し煌めく色合いを見せていた】
【湖畔には草原が広がり、比較的落ち着いた雰囲気の土地である】
【── 静かな場所であった。同時に不思議な場所でもあった。まるで現世から隔離された様な】







【能力者達はふと思い出すかもしれない。 "レテ・ビーチ" に纏わる伝説を】
【 "レテ・ビーチ" の水を飲むと現世での一切を忘れてしまう。──と、実しやかに語られていた】
【何を馬鹿な、と一笑に付す事も出来る。けれども、眼の前の湖は本当にそうなるかもしれない、と思わせる程】




【それ程までに神秘的な雰囲気を携えていた。禁忌とされていた土地に踏み込んだ様な背徳感】
【忌避していた予兆を果たすかの様に、祀ろわぬ民が空疎な御供を具えるが如く】
【深々とした水面は何も語らない。静謐が周囲に広がり、微かな波音すらも無かった。】




【──どれ程の時間貴方達は居ただろうか】
【永劫だったのかもしれない。一瞬だったのかもしれない、時間の相対性は誰しもに尊く】
【二十歳の若者にとっても、千年を生きた錬金術師にとっても、それは真実であった】





               【不意に、水面が揺れた気がした。】






/↓
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 14:14:59.16 ID:O6cS6lbD0
【それは一瞬の出来事。卵の殻を割る様に、静かな水面の表層が裂けて、中身が飛び出した】
【湖畔へと溢れ出る水飛沫が、各々の足を濡らし微かな冷たさを伝えたなら】
【見上げる程の高さに、確かな存在が出現していた。】





【巨大な海蛇であった。細長い身体が天を貫くのでは無いかという程に伸びて】
【水飛沫が日差しを反射し煌々とした輝きを添える。天から落ちてきたかの如く光を携え】
【そしてそれはまた同時に無慈悲さの象徴でもあった。変わりなく世界は流転する事を伝える様に】



【海蛇の表面は真っ白な鱗で覆われている。滑らかな鱗の一つ一つに文様が刻み込まれているが如く】
【穢れ一つ無いその姿は降ったばかりの新雪に似ていた。初雪の朝、朝日につられ開いた窓の外の景色】
【白鷺の様に艶のあるその身を誇示したなら、そこにいる存在が圧倒的な威圧感を持って迫ってくる】




【場違いにはっきりとした双眸が貴方達を捉える。神々しさとまた違った禍々しさを持った双眸】
【──それは事実であって、何らかの示唆かもしれない。ただの結果で敷かなくとも】
【その白蛇は赤と黒のオッドアイをしていた。それだけで十分、貴方達には意味が通るだろう】






【美しい瞳であった。──禍々しく神々しく、異世界の存在である蛇の中に在って、唯一】
【その瞳は現実性を持っていた。例えるならそれは、実際に誰かの瞳を持ってきたかの様に】
【ううん、或いは。──或いはね、本当はね、実際は──】










【誰かがこの蛇に、なっちゃったみたいな──】










【あの娘の黒い髪が真っ白になったら、こんな風になるんだろうって鱗の色。艶やかでそれでいてきめ細かい、丁寧に手入れのされた】
【あの娘のスラリとした身体が蛇になったら、そう思うぐらいに蛇の身体は調和的なバランスが取れていて】
【鈴の音さえ聞こえてきそうな、そんな存在感であった。──本当はきっと、分かっているくせに】

/↓
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 14:16:29.62 ID:O6cS6lbD0
【蛇が動きを見せた。俊敏な動きで身体を動かす、奇術師が動かすハンカチの様な所作で】
【白い残像だけが映る。眩さに目を閉じて、瞼の裏に残る残照が如く】
【煌めく一筋が、跳ねる筆先の名残のように響いて──】



【 "飲み込んでしまう" ラベンダァイスと厳島 命を一口で飲み込んでしまった】




【先程まで意志を持って動いていた。 が、次の瞬間には存在していない。蛇の胃袋へと消えてしまった】
【矛盾している。その光景は──あってはならない光景に似て】
【歪な双曲線が不確実な位置で交わる様な、不愉快な格子状になっていた。】


【残った貴方達は蛇と相対する事を求められる。慟哭に身を焦がす間もなく、別れを惜しむ隙もなく】
【ただ滔々と語られる悪夢の様に、貴方達は否が応でも戦わなければならない】
【オッドアイの双眸が貴方達を舐め回す。次の犠牲者を探すように】




ハロー♪ 元気にしてたかな、ニンゲンに協力する愚か者たちに、ピッタリの罰でしょ?
彼らはこれから溶かされるんだ、永劫の時間をかけてゆっくりと。ボクに逆らった事を後悔しながら
じゃあさ、気になるよね、なんでボクはキミ達をわざわざ食べないであげたかって────


ふふ、そんなの決まってるじゃない♪ ボクの手でぶっ殺してやりたい連中を残してるんだからさぁ
そうでしょ? 二人ともこの前は好き勝手やってくれたもんね、ホントに心の底からムカついてるんですけど
ニンゲンの肩を持つんだったら、ニンゲンじゃなくても関係ない、ボクの敵なんだからさぁ



────おいで "アナンタシェーシャ" いや、今はへびさまだったかな? まあどっちでも一緒だから
彼らの世界を食べつくし、地上をエデンに変えてしまおう。── ボク達の楽園を作るんだ

【小柄ながら豊満な身体を大きく露出したホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は白く肉感的な素肌を晒している少女】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて真紅の瞳を濡らす】

【背中には巨大な悪魔羽根が揺れて彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに愛らしい雰囲気を創りだす】

【イル=ナイトウィッシュは自らが "アナンタシェーシャ" と呼んだ蛇の頭の上に乗って、二人を見下ろす】
【その瞳には愉悦の表情が滲んでいた。どこまでも残酷で残忍な笑みが、注がれて】
【── そうして愉快そうに笑うんだ。子供のように屈託の無い笑みを】

/↓
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 14:17:42.33 ID:O6cS6lbD0
【── その光景を貴方は見ていただろうか。あるいは遠くで傍観していただろうか】
【曰く、諦観それそのものも罪の因子を孕んでいると、見ている事それ単体も、ひとつ確かな罪であったから】
【 "セアン・フォールス" は考慮すべき最大限の懸念であった。その存在を確認した時から、ずっと】

【 イル=ナイトウィッシュは考慮した。その結果どのような手段を取ろうと、この存在を阻止しなければならないと】
【千年を生きる錬金術師、蓄えた知識と技量、神をも恐れぬ能力は "グランギニョル" の神々にとっても同一であった】
【それは同音無垢に求められる対応の策、選び取る一筋の呼吸すらも尊く】

【 ──── 奴を呼ぶだなんて、本当に癪だけど、仕方ないよね、と彼女は思った。それだけが真実】



【歩みを続ける "セアン・フォールス" の前にゆっくりと歩く一人の青年が居た。貴方を視認したなら、適度な距離で立ち止まる】
【森の中の開けた地点であった。この位置からは海蛇の様子は伺えないが────】
【軽くパーマをかけた茶髪に着崩したスーツスタイルの青年は、人当たりの良い微笑を浮かべ声をかけた】


ふーん、なるほど……そりゃ "スナーク" が嫌がるわけだ。いや、今はイルちゃん、だったかな?
ニンゲンの身で此処まで練り上げた存在なんて、あの子の一番嫌いなタイプだもんね
初めましてかな、ニンゲン社会の礼儀はきっちりとマスターしているよ。何なら僕が一番得意だし

── 錬金術師さんなんだろ? そいつは凄い、世界の理を誰よりも知りながら、その理に反旗を翻す。
それはどれだけ深い自己矛盾なんだろうか。僕には想像もつかないや、探究心はそこまで傾くのだね。
前口上が長くなってしまったかな──── "グランギニョル" の "虚神" が一柱

ロールシャッハ── それが僕の名前さ、君の抹殺をお願いされてね



【ロールシャッハと名乗った青年は、セアンに視線を向けたまま静かにそう付け加えた】
【それはまるで街角でする挨拶のように、何の気なしに口から零れる世間話が如く】
【彼はそう言い放って、貴方の反応を待った。── 雰囲気は今の所、普通の青年そのものであるが】


/↓
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 14:19:30.62 ID:O6cS6lbD0

【 ────         原初         ────】       


【空間には何も無かった──── ただ果て無き闇がひろがって】   【無限にも近い時間を、永劫の枠組みに当てはめた】
【誰も彼もが塵芥。それならば意思とは知覚とはどこから生まれたのだろうか】
【人が自我を持ったのは何時か。思い出せる始まりの記憶はどこにあるのだろう】


【──── 幼子の見る悪夢】         【知覚の無い世界で感じる痛苦を、人は痛みと認識できない】   【────ならば幼子はどうして】



【そんなにざゝざゝ啼ゐてるのだろう────】  



【人は胎児の内に宇宙の創世から終焉までを追体験する。それは数十億年もの長い長い旅路】
【そして無限の悪夢。救いの無い果て無き煉獄の怨嗟。だからこそ怖ろしくて、啼くのであった。】
【さめざめと流れる雨の様に。土砂降りがその雨音すらもディスコードに歪めるが如く】

【白い蛇が私を食べる。── 意識を保ったまま、ゆっくりと消化されていく。酸が肌を蝕み、皮膚を溶かす】
【胎児がその脳裏に間際に浮かぶのは、前世の記憶か。 "Lathe" の効能さえも、忘れたのかしら】
【低く貴女が笑う、美しい顔を歪めて。】


【羊水に浮かぶ心地であるのだろうか。上下も何も無い浮遊感だけが 私 を包んでいた】
【温度は一定に保たれて、不快感の無い空間は、優しい悪夢の様に不条理を伝えてくれるから】
【それは病に似ていた。痛みもなくゆっくりと末端から腐り落ちるような────】


【──── 何が起きたんだっけ。 そうそう、私達は、食べられてしまったの】
【御伽噺のようにあっさりと。現実のように救い無く。夢のように不条理に。】
【私達は────■んでしまった。 だから私達が見ている光景は、矛盾ではない】

【痛みは無いだろう。 ■んだ後も痛いだなんて、人の世界に救いなんて無いから】
【のどの渇きも無くて、ただ意識だけがふわふわと、浮いている。木漏れ日の下でうとうとと転寝する心地】
【まどろみの景色は心地よかった。ひたすらにその温度に身を濡らせば良かったから】




【だから────】




【だから────────】


/↓
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 14:21:02.01 ID:O6cS6lbD0
【──────────────────泣かないで】



【夜更かしした次の日の朝。意思に反して開かないまぶた。それを無理にこじ開けようとする】
【それでも快楽には勝てない。あと5分だけ、なんて甘い甘い誘いに身を委ねてしまえれば、どれだけ楽なのか】
【けれども、まぶたを開くのだろうか。そのまま寝床で寝ていれば良かったのに。】

【──── 幸せな心地の中■んでいけたなら、それはどれだけ至福であったか】



【誘いを振りきり、かどわかしに負けず、惑いを振りぬいたなら、真実の光景が浮かぶ】
【それは真っ白な空間であった。蛇の胃袋の中身は、くり貫かれたかのようにまっさらで】
【貴方達は意思を持ってその空間を歩けた。出入り口らしきものは一切無くて】



【──── しかし】




【そこには唯一の存在があった。そうして無二の存在であった。再三会いたいと願った彼女が】


【白神 鈴音は白い和装をしていた。長い袂と飾りのついた美しい白の着物──結婚式で花嫁が纏う白】
【黒い髪とそれは調和的なコントラストを見せつけ、彼女という存在の神秘性を鮮やかに飾り立てる】
【空間の中の彼女はとても幸福そうな表情をしているだろう。 ぐっすりと、眠れたような晴れやかな色合い】





【彼女は貴方達を認識するのだろうか。 それを語るのはもう私ではないから】


【貴方達の声は彼女に届くのだろうか。 それを歌うのはもう私ではないから】




【結果は神に委ねられた。──── 白神 鈴音にはそれだけの力が今あった】




【貴方の願い次第で空間は変容する。どんな景色も、どんな映像も思うがままに再現でき、投影できる】
【ここでは貴方が神だから。ムカつく相手を■■ことだって直ぐに出来る。ただ願えばいい】
【できないことなんて無くて、それが貴方に委ねられた神の特権だから】


【貴方はどうするのだろう。相対した彼らにどんな話をするのだろうか】
【あるいは話なんてせず、存在を消し去るのだろうか。今の彼女ならそれすら可能だから】
【すべてはやがて胡蝶。夢と呼ぶにはやけに現実的な光景だったけど────】







【──── 白神 鈴音は今、自覚を持った神である。】



/これよりイベント"破水"開始いたします
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 14:42:53.36 ID:fgTCEbD00
>>797-800

「――ここで良いんだよね? みんな居るし……」

【それは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代後半〜30代前半の男】
【左頬には猫と思われる引っかき傷の痕があり、頭部と両上腕には赤色の鉢巻が巻かれている】
【他、ほんのり青いタンクトップ、紺色のジーパン、両手足にグレーの指ぬきグローブ、紐タイプの無難な黒ベースの運動靴】

【……彼もまた、とある存在を追ってこの場所に辿り着いたもの。】
【関わりが深いわけではない、けれども巨悪に立ち向かうには解決しなくてはならない】

「……蛇、かぁ。」

【巨大な蛇には見慣れている。……かつて、人々が神と呼んだ存在だ】
【神とは言えども、真なる神ではない。けれども、その力は強大で……】
【――その存在に警戒する間も無く、この場にいた2人の姿は消え去っていた】
【助けに行くべきか? いや、そんな暇も無い。それに、飲まれればどうなるかも……】


「――――、……やぁ、久しぶり。イル、だっけか?」
「そこの蛇……なるほど、アナンタシェーシャって言うのね」
「それの腹を引き裂くにはどうすれば良いのかな?」

【その腕に現れるは、赤い刃。……血の色ではない、けれども血を生むには申し分無いそれ】

「(――しくった、水辺で炎系を……いや、炎煙の流雲龍は炎以外の芸もある。大丈夫か、……大丈夫ってことにしようか)」

【その背に現れるは、龍の翼。……赤い骨格に、黄色の翼膜。空を駆けるのに十分な力を持つそれ】


「前も言ったけれど、僕は別に人間の肩を持つつもりはない。僕を陥れ続けたのも人間だから。そう、――君が"悪"だから斬るだけ。」
「つまり――(僕たちが)殺すか、(君が)殺されるかだ!」

【助走をつけつつその翼を用いて急加速、イルに向けて接近を試み――成功すれば、腕の刃で斬り裂こうとしてくる】
【――先手必勝か、それとも無謀の一言か、……。】
805 :ラベンダァイス&アーディン+α ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 14:44:10.33 ID:rqYwUM5E0
>>797-803

――――ここだ。間違いない。傷が治ってから、隙間もなく散々時間を費やして、ようやくたどり着いたといったところだな……
「……ったく、今度は俺は後詰ですらないってか? 勘弁してくれや……最近はこっちのほう、ご無沙汰なんだからよ……」
<――――ここが――――>

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人と】

【こげ茶の皮ジャンを着こなした、長髪と言う訳ではないがやたらボサボサとボリュームのある金髪を持つ、サングラスの男と】

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のまるで死人の様な冷たいオッドアイを持ち、体表に紋様の様な、仄かな光を放つ金色のラインが走っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女】
【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

【3人1組のチームといった趣で、じっと美しい湖面を見据えながら、たたずんでいた。考え込みながら、考えあぐねながら】
【――――1週間ほど前に起こった、人知れぬ大きな戦い。そこで垣間見た手掛かりを元に、今度は個人ではなく集団で、行動を開始していたのだ】
【ともあれ、この湖の名を元にたどり着き、次は何をするべきなのか――――思索にふける彼らに、状況の方からアプローチは始まった】

「うわっ!?」
あ、ラベンダァイス!!
<――――ッ!?>

【突如、水面から飛び出した巨大な蛇。これからどうするか、思考に向かっていた3人は、咄嗟に反応を返し切れない】
【狙われたのは、中央の少女――――ラベンダァイス。身をかわす間もなく、その小さな体は飲み込まれてしまう】

<(今のは――――)>

【ふいに、脳裏に浮かんだビジョンを、その場に置き去りにしながら――――】

「お、おいおい大丈夫かよあのお嬢ちゃん!?」
奴は――――飲まれた程度でそう簡単に死ぬ輩じゃない、安心しろ。それよりも問題は……!?

【普通なら、取り乱しの1つもするだろう。特にサングラスの男は、慌てた仕草を見せる。が――――ワーキャット――――アーディンは済ましたもの】
【蛇に飲み込まれたぐらいで、命がどうこう言うタイプではない。それを完全に理解しているからこその、信用だった】

いたぞ……見ろ、奴が今回の首魁――――いや、現場で出張っている敵のリーダー格だ……
「はー……こりゃまた随分と。危険なオモチャを振り回す子供って感じだな……とはいえ、やべぇのは十二分に分かる……旦那、さすがにこんな巻き込まれは御免だったんだぞ?」
言ってろ……それより、戦わなきゃ死ぬぞ、あっさりとな――――探偵、もう時間だ。さっさと出してこい、お前の中の『ヒーロー』を
「――――仕方ねぇ。こんな大ごとで復帰戦かよ――――ッ、Come on,『Nert Thunder』!!」

【ため息交じりに頭を抱えたサングラスの男は、頭上に右手を突き上げ叫ぶ――――その身体が、閃光に包まれた】

【目元の黄色いバイザー以外の全てを、黒のパーツで構成されているヘッドギアを被り】
【胴体部に砲口、そして両腕にも多数の武器と思しきパーツを備えた、青を基調としたカラーのメカニカルな全身スーツを装備した】
【一見すると何かのロボットと見紛う様な、ヒーロー然とした男が立っていた】

【胸部装甲には、青い文字で『H.E.X.A.』と塗装されている】

――――今度は殺す。覚悟は決めたな……イル!?
「……お前たちの悪徳、見過ごせるほど人間は愚かではない……さあ、来るがいい悪魔の尖兵たちよ!」

【獣人と、ヒーロー然としたパワードスーツの男。2人の戦士が、イル=ナイトウィッシュ、そして "アナンタシェーシャ"と対峙する――――】
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 14:52:19.24 ID:jgRPvcu20
>>802>>803

「?これは……」
「鵺?何故……」

【その先の疑問は言葉を飲み込んだ】
【何故、彼女は私の連絡先を知っている?何故彼女は我々があの工場で戦った事を知っている?】
【そして、先の工場で発見した資料に、スナークと並んで記載されていた『鵺』の文字】
【一体、これらの事象は何を意味するのか、あるいは、ただの偶然の産物か?】
【渦巻く疑問は、ただ一言、『ああ、情報をありがとう、鈴音はなんとしても救い出すさ』の言葉を返信し】
【そして、飲み込んだ】
【紺の詰襟の制服に、一本の飾緒、銃器を下げた弾帯、軍刀を装備した姿】
【この場の全員に託された資料を開示して】
【やがて……】


【旧市街:レテビーチ】


「――っ!?」

【旧き神、いや違う】
【この瞳は知っている、鈴音……彼女の双眸だ】
【この蛇の身体は?まるでそう鈴音のあの身体をこの蛇にしたかのように】

「皆っ!!」
「一旦離れ――ッ」

【そう周囲に指示するや否や】
【自分自身は呑まれてしまった、あまりにもあっけなく】
【そしてあまりにも、早く、静かに】

【意識は既になかった】

【まるで春の日の転寝の様な】
【心地がいい、存外に死とはこう言う物なのかもしれない】
【――声が聞こえた気がする】

「……」

【かつて聞いた声が】
【いや、どうだろうか?】
【何せここは……ここは、何処だったか?】
【徐々にその意識が思考を取り戻し始める】
【そうだ、私は……】

「――ッ!?」

【快楽に抗い無理矢理目を開く】
【そこに、そこに居たのは……】

「……」
「鈴音、なのか?」

【和装、懐かしさすらこみ上げる装束だ】
【婚礼の装束】
【白神鈴音の姿は、肌も髪も、そして瞳の色さえも相まって、美しかったのだ】
【皮肉な物だ、もはや蛇に呑まれ死した自分がまさか今わの際に見る物は、探していた鈴音とは……】
807 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 14:57:18.06 ID:rqYwUM5E0
>>802-803

(――――――――これは――――――――)

【蛇に飲み込まれた。それから――――どうなったのか。思い出そうとしても思い出せない】
【まるで、映像編集されたドラマのように。場面と場面のつながりが断ち切られている。今の自分と、先ほどまでの自分が、つながらない】
【頭を悩ませているうちに――――先ほど、蛇に飲み込まれた事実さえも、うやむやになっていく様な気がした】
【そもそも自分は、なんでこんな所にいるのか――――今朝、何をしにUTを出たのか。昼頃、目的地にたどり着いたはずだったが、どこだったか――――】

【まどろみの中で、ラベンダァイスはただ、『分からない』という一言に覆いつくされていた】
【忘却の湖――――その伝説は、ラベンダァイスにとり、実効性のある『現実』だったのか――――それとも、それすらもただの幻だったのか】
【悩むうちに――――穏やかな眠りが、その意識を、体を包みこむ。まるで、陽光の中の午睡――――】

(――――こんなもの、私は欲しくない。こんなもの、こんなもの――――立ち上がれッ!!)

【――――その心地よさに、なぜか――――ラベンダァイスの心はいら立ち、跳ね上がった】
【――――そうやって、穏やかに眠る事を、ラベンダァイスは善しとしなかった。なぜなら――――彼女は兵器『ケツァル・コアトル』】
【状況が不可解な中で、眠るなど――――愚行である。己の本質からすら目を背けた、冒涜である】
【そんな中で眠るような、自分を裏切る行為など――――殺しても飽き足らないほどに、許せなかった】
【かろうじて動く口元で、己の唇を噛み締める。血が出るほどに、痛みが全てを塗りつぶすように――――力が入らない。だが徐々に、望み通りに血が流れ、痛みがまどろみを押しのける】

――――ッ、ここは――――――――ッ、鈴音さん――――

【真っ白な空間。何が起こったのか――――目覚めれば分かる。地文は不意を突かれて蛇に飲まれた】
【だのに、この空間はどういうことか――――考えるよりも前に、その姿を認めた】
【ここのところ行方不明となっていた、鈴音――――どんな理由でこの場にいるのかは、ラベンダァイスには分からなかった】
【外の立場に等しいところからの協力者なのだ。事態を追い切れていない。ただ――――自分のやる事は1つだ】

――――帰りますよ、鈴音さん――――さっさと、こんなところから――――

【鈴音を連れ戻す――――UTは、いい加減機能不全を起こしている。そこに、戦闘要員でなくても、鈴音は必要なのだ――――】
808 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 15:03:46.94 ID:MoFVLyNi0
>>797-800

【神秘と暴威、神話と暴虐――――災厄が遍く命を容易く飲み込む様に、抵抗を無意味と悟らす様な、力】
【それが或る敵対者を捉えなかったのは、病魔の意向によるものなのだろう。だがそれを知らぬ者には、破壊の痕から滴るがごとく、闇が起つ】

【一切の光を返すことのない、黒の外套を目深に被り、武装すら見えぬ姿で細身の影はある】
【無明の闇が粛滅の意志を核に一振りの兇器と成るならば、こんな姿形を取るのだろうか】
【断ちきるもの=B存在すら朧な影ながら、一目見たならば確信させる存在定義はそんな凶兆。けれどそれさえも嗤う様に、かつて邂逅した病魔は望みを遂げ――――。】


……つまり、今はまだ生きていると。
おまえを刻み墜とし地を這わせたら、吐き出させ方をまずは吐かせましょうか――――

歪んだモノに似合うその羽根も、もぎとってみれば胸がすきそうだ……

【――――当たり前の様に呑み込まれた“彼ら”の生を明かす言葉を、貪欲に拾い上げて動機に加えた。】

【諦めという概念が欠落している。既に助からないという可能性を、理解していながらそれを真実と捉えていない。】
【目前に突き付けられない限り、きっと“信じられない”その有り様は――――狂気とも、愚かさとも病魔には映るのだろう】

……イルを墜とすため、ある程度あの蛇≠阻害する。
あれ自体をどうするかは、その先で決めればいい――――

“どうできるか”が、そもそもの問題になることは否定しない……

【その予測を無視、己が方針を端的に伝達。共闘する彼らとも、問題なく共存可能ではあるはずで】

――――――――けれど、掴み取ったならそれだけのこと=B
好きにさせておけないのなら、その通りにありつづければいい……ッ‼

【かつての戦いにおいて操った“時”の力を、一時的な空間固定のために利用。一秒足らずの持続時間を、連続する踏み込みのためのみに幾度となく用いた】
【あえてアナンタシェーシャの視線を引く様な接近、そして叶ったならば、黄金の火が踊り斬撃が舞う】
【遂げられればその反作用を活かす急転換で、巨躯を目隠し代わりにイルへと接近――――宙返りの様、擦れ違い様の二発を、右の翼狙いで叩き込もうとする】

【過程は仮定、ゆえ可否など知れず。それでも状況を識り、そして変えるための一手であった】
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 15:10:02.92 ID:Qsqi5dxa0
>>801

「なんだ?!あの馬鹿でかい蛇は!…魔物か異形の類か?…嫌違うな身体の構造が微妙に違うから…」
「分かった!あの魔翌力とは違う感じの力は妖力か?…。嫌これも違うな、流石に俺も全ての物事が分かるってわけじゃないし」
「ちょっとだけ離れて確認するとするか、」

【セアンはいきなりのことに困惑するも直ぐに冷静さを取り戻し分析を始めた】
【魔翠力とも妖力とも違う感じの力を、今すぐ近づいて調べたい衝動を抑えその場から離れた。】
【時だ、目の前にスーツ姿の男が微笑みながらこちらに話し掛けてくる】

「スナーク?イル?なんの話しをしているんだ、そこのスーツ」
「そのあの子とやらは知らないがお褒め頂きありがとうよ、」
「まぁ確かに礼儀はなっているが、そんなことはどうでもいいんだよ。お前は俺の敵か?味方か?それとも傍観者か?」

「あぁそうだ、俺は世界の理だか何だか知らねぇが、俺は誰かが俺の進む道を邪魔するのが許せねぇだけだ」
「矛盾?知ったことか、俺は自分が研究したいと思ってる物を研究してるだけだ。俺の心に矛盾何ぞねぇよ、後研究者なめんなよ、」
「ほう人ではないとは分かっていたが、神とは思いもしなかったぜ、で名乗りを待ったんだからもうドンパチしても構わんのだよな?」

「俺を抹殺だと、クァッハッハッハ!!笑わせるな。俺を抹殺だと?俺を殺したいのならばもう一柱神を連れてこい」

【セアンは槍と弓を創り出し槍を弓につがえ、背後には宝具クラスの武器を作り展開した。】

「さぁ戦り合おうじゃないか、楽しぃ楽しぃ戦闘をなっ」

【セアンは口元を釣り上げ楽しそうに言い、弓を放ち、弓を消し。槍を造った】
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 15:11:45.07 ID:O6cS6lbD0
>>804

【目の前へと飛来する竜人とかしたレオーテヴュート、その姿をイルは鬱陶しそうに見下す】
【ニンゲンとはかけ離れた姿。だからこそ余計に彼女のコンプレックスを刺激する】
【何故コイツは自分を否定しているのか、理解ができなかったから────】


あはは、レオーテヴュートだっけ? ボクに傅かなくても一応覚えててあげてるんだぁ
ボクってば優しいでしょ? それなのにキミ達はボクの優しさを踏みにじったんだ
地獄の底で後悔しな、一枚ずつその翼毟ってあげる

──ばーか、殺すのがボクで、殺されるのがキミ達って、言わなくてもわかってるでしょ?
鬱陶しいなぁ、ボクが悪だなんて、一体どうして言えるのさ
ボクから言わせてもらえば、ニンゲンの肩を持つキミの方が悪だよ──!!


【イルは蛇の頭から飛び降り後方宙返り、軽い身のこなしで腕の刃を回避する】
【同時に漆黒の大鎌を生成、くるくる回しながら両手で握って────】
【下から上へまっすぐ切り上げるように、下方向から大鎌の一閃を放つ】

【何の変哲も無い攻撃だが、彼女の名前は"病魔"──以前の戦闘でも、その傾向はあった】
【注意するに越したことは無いだろう】
【切り裂かれたなら、傷口から激痛が奔る。全身の痛覚を上げる作用を持つ病──】


>>806

【イルは見知った顔を見つけて雌蕊のような眉を軽く上げた、へぇ、だなんて言葉を重ねて】
【ラベンダァイスを失っても尚戦う意思を見せる彼ら。目論見がやや外れてしまう】
【けれども想定の範囲内であった、小さく微笑む表情は小悪魔然として】


今度は殺すだってー♪ おっかないねっ、やっぱニンゲンの肩を持つぐらいだもん
気に入らないものは武力で押し通すんでしょ? あはは、同じ穴の狢って言葉がお似合いかな
悪魔の尖兵だなんて夢見心地もいいところだね、あんな下品な集団と一緒にしないで

ボク達は神なんだよ、わかるかなー? そこいらの悪魔とかよりよっぽど高尚な
いくつもの宇宙を壊して、今度はこの現実を楽園に変えちゃおうってわーけっ♪
わかったならとっとと死ねよ────あっ、いっけなーい♪ ニンゲンの悪い口癖移っちゃった


【イルは既に蛇の頭から飛び降りて滞空している、自由になった蛇の相貌が二人を捉えた】
【アナンタシェーシャの巨体が震えて、鞭のように体をしならせながら二人へと顔を急接近】
【そのまま大きく蛇の体をゆすって、横一面をなぎ払うように攻撃を仕掛ける】

【細長い身体と相まって、上への攻撃範囲はそこまで広くない、回避は容易か】

>>808

【神速の足運び、神域の抜刀──相変わらず出鱈目な力だとイルは内心思う】
【これで人の身であるというのなら、一体どれほどの鍛錬があったのか────或いは】
【一体どれほどの経験をすれば、この境地に至れるのだろうと、考えてしまう程に】


──翼を持たないニンゲン風情が、神の境地まで辿り着こうだなんておこがましいんだよね!
キミ達は永遠に、届かない太陽に思いを焦がれ、果てない月に心を委ねて、祈ってるのが良いのさ
そうして無慈悲に無残に無作為に、きっちりきっかり雑音にしてやるよ────!!

キミ達ニンゲンの存在そのものが間違ってるんだから、正しく排除しなきゃ
全身全霊をかけてキミの存在を、否定してあげる!


【斬撃がアナンタシェーシャを捉えた。深い傷がついてもその身から血は流れない】
【大きく怯んだ様子も無い。物理的な耐性はかなりのものか────】
【蛇は切りつけられても尚、その身を揺らし、たたきつけようとする。地面との間に挟みこむように】

【イルはその間に空中に退避し、レオーテヴュートと空中戦を開始する】
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 15:14:53.07 ID:1Q1feBo80
>>805>>806

【――――くすり、と、鈴の音がかすかに笑った。それは長い長い冬の後、ようやく綻ぶ時を迎えた桜の蕾のよう、あの儚さが笑うとしたなら】
【きっとこんなふうに、笑うだろう、と、思わせるほどだった。穏やかで/晴れやかで/喜ばしくて――――悍ましい汚泥から咲き誇る蓮よりも尊く気高く、比べるまでもない】
【ならば"彼女"はずっと冬の中を過ごしていたのかもしれない。自分が居るべきはここじゃないって思っていたのかもしれない。ここは寒すぎて/辛すぎるから】

【――――――――――――あんなにきれいな神様の子孫がこんな風にされるはずがないのに、って、思わないと(やっていかれない)】

――――――ねぇ、あのね、ここは"わたし"の場所だって、今のわたしには、うんと、よく、分かるの、

【――少女は両の眼を緩やかに閉ざしていた。眠る赤子のように穏やかな笑み、この場所にはたった一つも怖いものがない、って、分かりきっている、表情が】
【惚けるほどに優しげな声が、明らかな異質の中で浮き立っていた。――彼らは大蛇に呑まれた、はずだった。そのことさえ忘れてしまいそうなくらいに、微睡んでしまえそうなほど】
【するりと和装の裾を引き摺って、歩く。布が地面――ただの白――に揺れる音がかすかにして、その足は真っ新な素足だった。音もなく。小さな衣擦れの音だけがして】

【気づいたなら、そこに、透明な硝子の棺桶があった。逆さまに伏せられた中で、"誰か"が眠っている】
【"それ"は限りなくそこで穏やかに笑う少女と同一だった。だのに、何かが明確に違っていた。だけれど、彼らが知っているのは、――きっと、"そちら"だった】
【少女はふっと膝を折るように跪くと、そっと指先で棺桶に触れる。――そうしたら伏せられた内部には桜の花が溢れる、無限に、無数に、限りなく、ぎちぎちになって】
【やがて"ぱりん"とあどけないほど容易い音をきっかけに、割れて、すべてが溢れ出るまで。その花弁が空間中に吹き荒れて。彼らの視界を一時奪い取るだろう、――確実に】


――――こんにちは、えっと、……"久しぶり"、のほうが、いいのかな。それとも……"はじめまして"? カエデちゃんと、厳島さん。
わたしはあなたたちの名前を知っているし、あなたたちも、わたしの名前を、きっと、知っているけど……。……――それでも、はじめまして、って、思うの。

【次に視界を取り戻すとき。世界はがらりと変貌っている。どこまでも突き抜けるような青空は、その向こう側に深淵の闇すら透かすほど、途方もなく】
【そしてその天蓋を覆い隠すほどに大きな、大きな、桜の木。蒼穹の端から端まで枝を広げるほどに大きく、そして限りなく咲き誇る、――悍ましさすら、感じるほど】
【その足元は空のようにどこまでも続く水底であった。だけれど薄い不可視の板が渡されているよう、歩くのに支障はないけれど。あまりに覗き込めば、深淵に喰われそうなほど】

【――そして気づくかもしれない、その水中。銀色のちいちゃな鈴が、いくつも、いくつも、いくつもいくつも無限かと思うほどに、意志を持つかのように、泳ぎ回っていて】

/↓
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 15:15:22.56 ID:1Q1feBo80
>>807>>811

……だからね、初めまして。

【――――舞い散る桜吹雪が少女をくるりと包む。そうして少女は"産まれなおす"、そうとしか、言い表せないほど】
【"瞳を開けた"。ただそれだけの仕草で、すべての気配が塗り替わる。空間は一気に神聖さを帯びる、ここは誰か神の聖域であると主張するように】
【甘ささえ感じるほどに色濃く水の魔力が満ちる――左右で色の違う瞳が彼らを捉える。にこりと向けられる笑みはやはりあどけなく、敵意は、なかった。――今は、まだ】

【だから。話そうと思えば"そう"することは可能に思えた。――だけれど。ひどく穏やかな表情は、言葉の通り、自分がここに居るべきだと、心の底から思っている証拠】
【ずいぶんと久方ぶりに、穏やかな気持ちだった。やっと自分のいるべき場所を見つけた、と、思った。陽だまりの中での井戸端会議みたいに、ころりと、笑ったなら】

お茶を用意しようか、――まだね、いろいろなもの、創るの、慣れないの。お菓子は食べる? カエデちゃんには、ビスケットがいいかな――。
厳島さんは、何がいい? 櫻のお菓子にしようか。ならお茶も緑茶がいいね。カエデちゃんは紅茶がいい? ……ふふ、

【お客様を持て成す温度感が彼らを出迎える、けれど光景はあまりに非現実で、そうやって笑う少女は穢れを知らぬ白無垢の様相、そして、悍ましいまでの神性を纏って】
【けれど鈴の音ばっかりが変わらなくって、ひどく上機嫌。きっと今の少女を表現するならば、それが、正しかった】

――お客様だなんて初めて、へびさまは誰にも信仰されなかったから。かわいそうなへびさま、……ううん、これからね、わたしたちはね、みんなに信じられるから。

【「――それでね、うんと、うんと、大きな神様になるの」】
【ころころ、って、笑う声。――あんまりに無垢な笑顔が彼らに向けられた、さながら生まれたばかりの赤子が浮かべる、無意識さのような】
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 15:19:07.76 ID:O6cS6lbD0
>>809

【ロールシャッハは深い思慮を携えた笑みを崩さず分析する。セアンの力の根源を】
【作られる武器の一品一品が高い錬度を持っていた。"聖遺物"やら"遺物"やら、この世界に残るそれに近い】
【放たれた弓を、身体をそらして回避する。前髪が数本持っていかれた】


──それはできない相談だね、彼女が例外なだけで、基本僕達は個別行動しかしないから
と言うより、できないんだよね、文字通り──水と油だなんて、ちゃちなもんじゃなくて
それこそこの世界の現実が根底から覆るような、そんな事象を起こしかねないから

喧嘩早いのも構わないが研究者たるもの、もう少し思慮深くはいけないものかい?
何事もキミ基準で考えてはいけない、世界は広いと分かっているだろう
────いや、深い、と言うべきだったかな


【ロールシャッハが虚空に手を向ける。空中に浮かび上がるのは魔方陣】
【小さく息を吹き込んだなら、魔方陣から瘴気が溢れ出し、セアンへと向かっていくだろう】
【黒煙であった。触れたならば、触れた箇所から燃焼を始める、火属性の煙】

【──風に乗るほどの速度であった、まっすぐセアンへと向かい】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 15:20:17.30 ID:Qsqi5dxa0
>>801

「なんだ?!あの馬鹿でかい蛇は!…魔物か異形の類か?…嫌違うな身体の構造が微妙に違うから…」
「分かった!あの魔翌力とは違う感じの力は妖力か?…。嫌これも違うな、流石に俺も全ての物事が分かるってわけじゃないし」
「ちょっとだけ離れて確認するとするか、」

【セアンはいきなりのことに困惑するも直ぐに冷静さを取り戻し分析を始めた】
【魔翌力とも妖力とも違う感じの力を、今すぐ近づいて調べたい衝動を抑えその場から離れた。】
【時だった目の前にスーツ姿の男が微笑みながらこちらに話し掛けてきた】

「スナーク?イル?なんの話しをしているんだ、そこのスーツ」
「そのあの子とやらは知らないがお褒め頂きありがとうよ、」
「まぁ確かに礼儀はなっているが、そんなことはどうでもいいんだよ。お前は俺の敵か?味方か?それとも傍観者か?」

「あぁそうだ、俺は世界の理だか何だか知らねぇが、俺は誰かが俺の進む道を邪魔するのが許せねぇだけだ」
「矛盾?知ったことか、俺は自分が研究したいと思ってる物を研究してるだけだ。俺の心に矛盾何ぞねぇよ、後研究者なめんなよ、」
「ほう人ではないとは分かっていたが、神とは思いもしなかったぜ、で名乗りを待ったんだからもうドンパチしても構わんのだよな?」

「俺を抹殺だと、クァッハッハッハ!!笑わせるな。俺を抹殺だと?俺を殺したいのならばもう一柱神を連れてこい」

【セアンは槍と弓を創り出し槍を弓につがえ、背後には宝具クラスの武器を作り展開した。】

「さぁ戦り合おうじゃないか、楽しぃ楽しぃ戦闘をなっ」

【セアンは口元を釣り上げ楽しそうに言い、弓を放ち、弓を消し。槍を造った】
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 15:20:41.39 ID:Qsqi5dxa0
//間違いましたすいません
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 15:22:59.29 ID:O6cS6lbD0
/>>810の真ん中は>>805でした、すいません
817 :アーディン+α ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 15:28:15.07 ID:rqYwUM5E0
>>810

……居たんだよ、お前の様な邪神が……7年前にもな。そいつは最後には、無意味な塵芥となり果てた……!
神だろうが悪魔だろうが、滅びる時には滅びる。ゆっくりと……いや、すぐにそれを教えてやるさ。俺たちを、塩の柱にもできない分際で、神と名乗るだけ、滑稽というものだ……!
「お前は鏡を知らないのか? 一度覗いてみると良い。そこに、神はいないのだ――――ッ!」

【アーディンは、過去の記憶を思い出す。『命』全てを醜いものと言い切り、死霊の力を用いて全てを破壊しようとした思念体――――邪神を】
【『奴』は最期には、『おもいでをカタチ』にされ、永遠に止まった時間の中に閉じ込められた】
【同じとは言わないが――――そうして、無意味な存在に還してやるだけだと、アーディンは鼻白む。口の中の剣歯が、緩く覗いていた】
【一方の、ヒーロー然とした男は、端的にリフレインする。先ほどまでの気だるげでやる気に掛ける言動はどこへやら――――ある程度、ヒーローに『なりきっている』所もあるかもしれない】
【が、その構えの堂に入った態度は、修羅場慣れしているもののそれだろう。格好だけの男ではないようだ】

――――ヒーロー、頼んだぞ!
「あぁ、今日の俺はあくまで援護担当。いよいよという時まで、影に徹する!」

【そして、いよいよ戦いの火ぶたは落とされる。短く言葉を交わせば、それで十分だった――――ラベンダァイスこそいないが、打ち合わせはすでに、為されていたのだから】

【巨体を以って薙ぎ払わんとした蛇に対して、アーディンは跳躍。その体の上に着地すると、間を置かずに再び跳躍――――イルに対して、ナイフを2本、投げつけた】
【これはまだ、ただの牽制にとどまる一撃だ。そもそも、空を飛翔する力のあるイルに、まともに命中するとも思い難い】
【接近戦を仕掛けるまでは、こうしてペースをつかみにかかる方が得策だと判断したのだろう】

「っぐ――――『ソニックカッター』!!」

【一方、ヒーローはその薙ぎ払いを受けに掛かった。回避よりも、その方がアプローチとして有効だと踏んだのだろう】
【重く響く一撃だが――――アーマーの力か、なぎ倒されることなく受け止めて。反撃とばかりに、右手の武器を発動。青い軌跡を描いて、真空の手刀を胴体へと叩き込む】
【蛇の身体なら、深く切り裂けるだろうと判断した――――鱗の強度にもよるだろうが、とりあえず、一撃を入れることはできるはずだ――――と】
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 15:40:28.67 ID:fgTCEbD00
>>810

「――その優しさは、純粋なる優しさなのかい?」
「違うよね。……優しさの裏にあるモノは、自己を満たす何かなんだ」
「……僕って悪い子だから、よーく知ってるよ。うん、――僕が悪なのは否定しない」

【それは、相手に対する返答だから攻撃的になっているのか、】
【それとも――少なからず本心で言っているのか、……それはわからない】
【こんな場面でも、彼は優しげに受け答えをしていた。――目は別に笑っていないんだけれども】

「――真に本当の神サマなら、僕たちみたいなちっぽけな存在なんて秒も要らずに消せる。やってみてよ」

【刃は宙を裂いた。風を切る音が1つ。――連続でもう1回、隙をついて斬ろうかと思ったが】
【別の刃が迫っている、――あえて減速を行わず、先程の迫る勢いを活かしながらそのまま飛翔し回避】

【――元々は地上に生きる存在。純粋な空中戦に持ち込むのは少々分が悪いか】
【できれば相手を地上に下ろして他の者と合流したいところだが……】

「(……さて、どうやってそれを行おうか)」

【回避後に減速しつつイル側を向けば、口部が――まるで爬虫類のように裂けて、牙を並べていって】
【そしてそこから吐き出されるは、黒い煙だ】

【性質は物が燃えた時に発生する黒煙と大体同じそれ。火事現場で見るような雰囲気で、火傷の原因にはなりにくいがそこそこ熱い】
【視界阻害はもちろん……人間相手ならば咳き込ませることも可能だろうし、場合によっては酸欠等を引き起こす可能性もある】

【そしてその狙いはイルの上方。……吸わせることも目的だが、地上に近づけるというそれもある】
【遠距離攻撃を仕掛けるにしても、あまり距離が離れていてはし辛いだろうと考えた】
819 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 15:41:20.85 ID:rqYwUM5E0
>>811-812

――――――――ッ

【眼前にいるのは、不思議な着物に着飾った鈴音。だが――――何か違和感がある。もちろん、状況が状況ゆえに、違和感がない方が無理があのだろうが】
【そうしたものとは違う、もっと根本的な――――上手く言葉にできない部分に、ラベンダァイスは違和感を禁じえなかった】

(――――――――ッ!! あれは――――!!)

【そして、棺桶の中にもう1人の鈴音を見つける。その瞬間、ラベンダァイスの心臓は跳ね上がった――――間違いない。確信こそないが、あちらが自分の「探し求めているもの」だ】
【これは一体、どういう事か――――思索にふけりながら、ラベンダァイスはただ、眼前の光景を見守り、そして経緯を見届ける】

こ――――これは――――ッ!?

【――――周囲の、不思議な白の空間がその様相を変化させる。何が起きているのか――――ラベンダァイスはまだ、その本質を理解しきれていない】
【――――先の戦いに、もしもラベンダァイスが踏み込んでいたならば、この概念的な出来事にも理解が及んだのだろうが――――】

――――ど――――どういう事、ですか――――鈴音さん――――何か、私に理解できない事が、起きているようですが――――ッ

【全てを解していると言いたげな鈴音の所作に、ラベンダァイスは疑問を投げかける――――今ここで、何が起こっているのか】
【何もわからないままに、ただ話を続けるつもりはなかった。今は鉄火場だ――――ラベンダァイスの本能が、そう告げている。穏やかな空間の光景は――――見せかけに過ぎない、と】

――――そんなにゆっくりしている間はありません。今は――――そう、よくない事が起きている。この場に――――世界なんかじゃない、この場に――――!

【ビスケット、それを聞いて――――ラベンダァイスはなおも焦った。それが、鈴音の記憶の、所作の――――本質であるところに、気が付いたからだ】
【これは、フェイクとか幻影とか、そういう事ではない――――鈴音は、本人であり、そして何か『おかしくなっている』――――それを理解したのだ】
【――――外――――恐らく、そう形容するのか正確だろう――――では、戦いが始まっているはずで。すぐに対応しなければならないと、ラベンダァイスは焦っていたのだ】
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 15:41:59.06 ID:jgRPvcu20
>>807>>811>>812

「君は、君も呑まれたのか?」

【この蛇に呑まれた少女】
【自分とは別にもう一人、飲み込まれてしまった少女】
【鈴音の言葉から、彼女の知人であると考えられるが】

「君の場所?」

【意味するところは、なるほど】
【ここは彼女の支配する領域、いわば心象の具現】
【少なくとも、現世とは言い難いのではないだろうか?】
【もう一つの可能性を示唆している、単純な今わの際の夢ではないと言う事だ】

「では、そうだな、私もお呼ばれしよう」
「随分、疲れてしまってね、一休みも決して悪くは無い」

【何とも、ここは心地の良い場所だった】
【桜の国の出身だからなのかもしれないが】
【心地のいい、そして懐かしい】
【そんな暖かな陽だまりの場所、これが、これが鈴音の心象なのだろうか?】
【固有の領域なのだろうか?】

「これは……鈴音が、もう一人?」

【一体どういう事か?】
【まるでお伽噺の小道具の様な、ガラスの棺の中には、もう一人の鈴音】
【鈴音の言葉もさることながら、これは、あるいは鈴音の本来の姿なのかもしれない】
【とすれば、眼の前に居る鈴音は?】
【そして、棺の中に櫻の花弁が満たされ、やがて飽和の限界を超えて】
【キラキラと粉微塵に散る棺と桜の花弁が周囲をその色に染めて】

「……美しいな、ああ、故郷でもこんな風景は見られなかった……」
「久しぶりだな、鈴音、奇妙な事を聞くね、私は厳島で君は鈴音では?」

【人としての純粋な感想だった】
【そして、あらためての挨拶には少々ニュアンスが伝わりづらかったのか、こう聞いて】
【会った時とは違う、眼帯ともう片方の目線を向けて】
【水の中を泳ぐのは魚や虫ではなく、無数の鈴】
【それ故に、ここが彼女の固有の心象領域である事を示している】
【それを具現出来うる存在とは、即ち……】

「ありがとう、お呼ばれしてしまおうか……」
「櫻の菓子か、知っているのかい?」
「お礼にお話をしようか?どんな話が聞きたい?」

【そう、何故だろうか、くつくつと平和な笑みが零れて】
【それは、この空間がそうさせているのだろうか?】
【そのお茶会は、静かに穏やかに、始まったのだろう】

「蛇様?それは一体?」
「まるで櫻の国の神の話の様だな、向こうでは神は信じる者がいなければ、力を失い何れ消えてしまうと聞くよ」

【うんと大きな神様になる、その言葉は訝し気な視線でこう聞いて答えた】
【鈴音は、どこまでも無邪気だった】
821 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 15:44:48.55 ID:MoFVLyNi0
>>810

―――――――、ッ……!

【戦闘に特化し、それ以外を削ぎ落した様な思考。だからこそ、眼前の脅威がどれだけのものか、あまりにも明瞭に理解してしまう】
【直撃すればひとたまりもなく、文字通り虫を潰す様に捻られる。疑似的な慣性操作を行おうと、この大質量を前には焼石に水―――― 一滴にすら満たないだろう】
【ゆえ受け止め、自ら吹き飛ばされながら大地を一斬。深い深い亀裂を刻んで消費し、その媒体として、間違いなく刻まれた消耗に、裏返らんばかりに内臓が揺れた】

【けれど、命尽きてなどいなかった。だから、さあ、立ち上がれ――――、】
【普段は異空間への“納刀”状態にあるその太刀を、本領を発揮する証の如くに携えて。再び経路を構えながら、呼吸を整え、静かに戦意を紡ぎ上げ、】

祈るまま踏み拉かれ、間違った存在としてただ終わる、か……――――
……それが相応しいというのなら、そのための全霊なんてただの我儘――――

やってみせろ、イル=ディザスター

ああ、祈りを捧げることはない=\―――赦しなど、地獄の底で冀えばいい……‼
かつても今も人は人のまま――――この愚かさを通し尽くし、神殺しの先にさえ、遺せる未来を追い求めるだけのことだ……ッ‼

【羽虫であるならば、羽音と苛む針とで神を名乗る者を――――否、虚ろな真なる神をも踊らせよう。】
【未発動状態で“時”の力を乗せた斬撃が、愚直なまでに、傷口を拡げ、深める様に繰り出されるだろう。真意たる魔力の潜伏を、発動の機まで悟らせないため、この刃さえも捧げる様に】
【そして、■戒の宝■≠用いた、あまりに些細な妨害を展開した】

【予兆に気付ければ容易く躱せるそれは、“時”の鎖による片翼の固定。座標を指定し、先読みを合わせることで、イルの戦いに横槍を入れ共闘者を支援しようとする】
【もはや安息の時はなく、ヒトが闇を懼れる様に叶わぬ逃避を願うがいいと――――届かぬはずの高みへ害意の指を伸ばす影は、遥か高く、巨いなるものにはきっとひどく煩わしいのだろう】
822 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 15:56:01.37 ID:MoFVLyNi0
/>>821
やってみせろ、イル=ディザスター

やってみせろ、イル=ナイトウィッシュ

で…‼
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 15:56:45.62 ID:O6cS6lbD0
>>817>>818

【──── 回る、廻る、遡る。全ては無限の逆円環、宇宙を取り巻く無制限の函の中】
【時間の神は輪廻の蛇へ。今一度顕現するは、痛苦と絶望の二重螺旋】
【今一度、永劫を繰り返す水面へと────】

>>(アーディン)
【気がつけばその光景は>>810の時点での景色と一緒であった。アナンタシェーシャが身体を揺すって攻撃を仕掛ける】
【違うのはその軌道であった。跳躍して回避するアーディンの行動を読みきったように、身体をバウンドさせる】
【丁度跳躍したアーディンを撃ち落す薙ぎ払いの軌道であった。先ほどと同じ回避をしたなら、直撃する様に】

へぇ、ボク達はこんな事も出来るんだけど、まだ滑稽なのかな?
無意味な塵芥になるのはキミ達だよ、アナンタシェーシャは永劫の時を繰り返す
何度も何度も、キミ達が朽ち果てて、動かなくなるまで

【受けに掛かったヒーローはそのまま直撃を受けるだろう。かなりの衝撃であった。とんでもない質量と伺える】
【同時に深い一撃がアナンタシェーシャを捉えるが──動きに僅かなぶれもなく、血も噴出さない】
【タフネスはかなりのものであると、想定はつくだろうが────】

【二人は困惑するだろう。明らかに時間が "巻き戻った" アナンタシェーシャがもう一度攻撃を放ち、今度はその軌道を変化させた】
【まるで回避された現実を巻き戻し、それを踏まえて攻撃を放ったかのように】
【二人には確かに記憶があった。巻き戻る前の記憶が、そして、アーディンの攻撃は無かった事になってしまった】

>>(レオーテヴュート)
【レオーテヴュートもまた、>>810の時点での光景に戻っているだろう。イルの攻撃を回避する直前に】
【イルの大鎌の軌道も"変化"する。飛翔するその先を見据えたかのように、大鎌の先端が急激に伸びた】
【先ほどの飛翔を続けたなら槍のように貫かれるだろう、変幻自在のイルの攻撃である】


ボクはそういうの趣味じゃないんだよね、宇宙ごと消し去るなんて趣も何もないから
キミ達の苦悩がみたいのさ、苦難が知りたいの、苦痛を辿りたいんだ
アナンタシェーシャもそう言ってる。キミが勝つ未来を否定しているから

──キミみたいなちっぽけな存在を消すのに、時間なんていらないんだ♪

【不可解な事が起きている。それはレオーテヴュートも認識できるだろう】
【確かに自分は回避した。けれどもその、回避した現実が、無かった事にされ】
【同時にイルに向けたレオーテヴュートの攻撃も消えてしまった。】

>>(The Slasher)
【Slasherは地面に叩き付けられても尚立ち上がる、その様子をイルは愉快そうに眺め】
【口元で薄く合図する。大丈夫──だなんて言う様に】
【彼女は笑った、神域の剣士が、巨体に弾かれて地を舞う姿に】


だから愚かなんだよニンゲンは、何度繰り返したって分かりもしない
今の自分達がどれだけ矮小でちっぽけな存在なのかを、理解できないんだから
そうして宇宙の広さを知らずに死んでいく────それってね、防衛反応なんだ

知ってしまったら、耐えられないから、今生きる自分達の世界が蛇の胃袋の中だなんて
理解できないし、理解しようともしない、だからボクは現実を突きつけるのさ
未来なんて、最初からどこにも無かったって──!!


【イルは饒舌に捲くし立てる、絶対的な距離感が彼女の安寧を生んで】
【──その刹那であった、刃が空をかけて、イルの元へと向かう】


っ────!! ニンゲン風情が……!! 鬱陶しい……!


【イルの右肩を刃が貫いた、零れる血は人間と同じ赤】
【空中での体勢を僅かに崩す、次の攻撃に支障を来たす程の変化】
【──呼応するようにアナンタシェーシャが唸る。再び力任せに巨体をたたきつけようとして──】

【The Slasherの攻撃に対しては、時間が巻き戻らなかった、事実はそれだけ】
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 15:57:46.32 ID:O6cS6lbD0
/>>823の安価に>>821追加で!
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 16:05:50.99 ID:1Q1feBo80
>>819>>820

【透明な棺桶の中の"白神鈴音"は消えてしまった。けれど――あるいは、言いようによっては、そこに"あった"】
【桜の木。それはまさに硝子の棺桶のあった場所に生えていたのだ、――この空間が見た目通りであり、彼らの認識が正しければ、全く同じ場所だったから】
【けれどその木の傍らには白無垢の少女が立っていた。護るよりは無感動に、けれど無視してしまうには思うところがあるように、そのそばに寄り添ってあげる、可哀想だから】

【――そう、可哀想。可哀想だと思う。現実から一生懸命に目を逸らして。ずっと走って逃げていた。追いつかれないように、気づいてしまわぬように、必死になって】
【――けれど、現実は少女に追いついてしまった。少女が現実に惑って怯える間に、少女を呑み込んでしまった。それはさながら先ほどの彼らを映し出すよう】
【だからここは限りなく現実の中であった。あるいは外よりも。――だって外の人間は誰もまだ彼女の今を知らないから。だから、ここが最速の現実以外の何かであるはずがない】

――ううん、ここではね、ゆっくりしていても、いいんだよ? だってここはわたしの場所だから、
わたしが要らないって思うものはね、消えてなくなっちゃうの、曽根上ミチカも、黒幕も、円卓も、……ここには、ないの。ないんだよ。
だからね、カエデちゃんは外に戻りたくなかったら、ここに居てもいいの。ここにはね、――あなたを縛るものは何にもない、わたしが、そんなの、"消してあげる"。

……――――わたしを信じてさえくれたなら。

【くすりって笑った少女は厳島のために机を一つこさえる。といってもひどく拙いものだ、きれいなお城にありそうなはずもないもの、けれどそれが精いっぱいなら】
【これもまた拙い入れ物にお茶を用意する。――ちょっと物足りないけれど、まあ、"お茶"と言われればお茶だった。四回くらい使いまわしたティーバッグのお茶みたいだったけど】
【やがて用意される菓子もまた拙い。全部が拙かった。――言葉通りだ、まだ、慣れていない。不完全なモノであり、けれど、自分が"そう"だとは、知っている】

へびさまは櫻の国の神様だよ。だけどね。人間に封じられちゃったの。誰も覚えていないの。……だから、わたしが、食べてあげたの。
そうしたらわたしは"神様"のやり方が分かるから。……今のわたしには分かるよ。静かに凪ぐ水面を濁流に変えて街一つを呑み込む方法が。
全部の文明を一度ひっくり返す神様の奇跡のやり方だって分かるの。すべての動物のつがいを用意する時間も、船をこさえるだけの時間も、あげない方法が、分かるんだよ。

――だけどね、足りないの、"今の"わたしには、まだ、出来ないの、――……信仰、されなくちゃ。

【さあどうぞ、と、少女は人懐こく笑って、厳島にそれらのものを差し出す。どれも飲んで食べて問題はなかった、全部、拙いだけで】
【それからカエデに向き直る。――どうやら彼女は穏やかに話をすることを望まぬらしい、それを認識したのだろう。少しだけ悲し気な目を、した気がした】

/↓
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 16:06:10.08 ID:1Q1feBo80
>>825

…………カエデちゃん、あのね、カエデちゃんはね、分かってくれると思うの。
自分の全部を他人に塗り替えられちゃう、瞬間。……知ってるでしょ? 分かるでしょう? あの瞬間の痛いのも苦しいのも辛いのも、全部、あなたなら。
他人の行動で自分の全部が塗り替えられちゃうの。今までいた自分は不要になるの。全く別のものにならない限り、生きていくことさえできなくなっちゃう瞬間――、

――――――――――わたしの場合ね、"それ"は間違いだったの。"そう"したひとが、言ったんだよ。

【厳島からカエデへ視線を映した少女は、それから数歩、彼女の方へと歩むだろう。そうして目線をそろえるために、しゃがみ込む。――前と同じことをして】

カエデちゃん、考えてもみて、今までの自分を全部塗りつぶして。全く違う自分に生まれ変わることを"強いられた"、出来事が――……間違いだったと、知ったなら?

【それは死刑判決を読み上げる裁判長のようでもあった。"それ"はつまり"少女"が"人間"を赦さないことを表明する言葉であり、揺るがないものであると伝えるのに似て】
【だからこそ、それこそ――これこそが、少女の絶望だとも、知れた。少女はつまり世界を見捨ててしまった、外の世界を見限って、自分のための場所を、創生した、神として】
【深淵まで覗き込めそうな水面に跪いて――そしてきっとカエデは気づくだろう。視線を感じる。足元から、無数に、無限に、這いずるように、悍ましい、視線が向けられている】

【――少女とカエデが会話する周りを取り囲むように、水中の鈴が集まっていた。ぞろぞろと集まってきて、そして、"見ていた"。それをきっとカエデは、分かってしまう】
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 16:15:56.35 ID:Qsqi5dxa0
>>813

【セアンの放った弓は躱されて髪を数本持って行ったぐらいの感じだった、】
【だがこちらには展開した武器がある】
【展開していた武器を半数以上放ち、また倍の数補充する】

「そうか…ならお前は俺に勝てないな、俺としては増えてくれた方が楽しかったんだがな」
「成程なら尚更残念だが、今は目の前の敵に集中するまでだ」
「見てみたい気もするがやめておこうかな?いや、あくまでも起こし兼ねないだけだろ?」

「そんな普段から考えてたらいざと言う時に柔軟な考えが出来なくなるからな、」
「世界が広い何て1000年も生きてるんだから、分かっているさ。分かった上で言ってるんだ」
「別に、そこまで深いことなんか言って無いぞ、俺の考えた事を言っただけさ」

【スーツ野郎が虚空に手をかざした時に魔方陣が出てきた】
【その後に魔方陣から、触れてはいけない類の煙が出てきた】

「そんな、煙で俺を殺せると思うなよ、」
「本当に殺したいなら、竜殺しの英雄でも連れてくるんだな」

【煙が肌につく前に、大盾を創り出し。前に展開した】
【現在可能な限りの武器を創り出し、背後に展開する、】

「全砲門展開ありったけ撃ちやがれ!」
「まだだ、行くぞ!受け止めろよ、」

【以前町で使ったものとは比べ物にならない程の魔翠力を纏わせ、纏わせている間も出来るだけ槍を強化して放つ必殺の一撃を】

《我創り出す物、》
 《我破壊する者、》
  《我表裏一体を操るもの、》
   《今我が名を以って汝を滅せん》
             
       ⦅天穿ツ盟約ノ槍⦆
828 :アーディン+α ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 16:16:20.05 ID:rqYwUM5E0
>>823

なっ――――――
「かっ――――――――」

【うめき声が、無意味なシンクロを起こす。それだけ、不可解な現象が眼前で発生した――――今、時間が捻じ曲げられた】
【まるで、同一の存在が同時に2つの出来事を同時に行ったような――――否、それだけでは、頭の中に鮮明に残る、先ほどの記憶の説明がつかない】
【どういうことか――――分からないままに、アーディンは殴り飛ばされ、ヒーローは相手のタフネスに戦慄する】

っぐぅ――――ッ! これは――――どういう事だッ
「永劫の時を繰り返す、邪神の蛇だと……馬鹿なッ、一体何なのだ、こいつは……!?」

【何とか着地で受け身を取り、飛び上がるアーディンだが、やはりその打撃は重かった。体勢を立て直すために、ひと呼吸の間が必要で】
【ヒーローの方も戦慄している――――先の騒動、話には聞いていたが――――こんな不可解と、彼らは戦っていたのか、と】

――――ナート・サンダー。どうやらこいつも、概念的存在らしい。永劫回帰……奴はそう言ったな?
「あ、あぁ……」
――――永劫回帰に対する、人間の答えは――――『精神的超人』。無意味な繰り返しを絶望する事無く、また敬遠する事もなく、貫徹する事が、永劫回帰の絶望に対する、最大の反撃だ――――!
「と、とはいえ……我々の消耗が、巻き戻る訳ではない――――どうするんだ、アーディン」
……考える事だ――――コギト・エルゴ・スム……「我思う」と言う解釈では分かりづらい、こう考えろ――――「疑う我だけは疑えない」と……!

【それが概念的な敵であることを、アーディンは『体得』している。なら、これもその手合いなのだろうと理解して――――話に聞いているだけのヒーローに、言葉をぶつける】
【巻き戻されるなら、永遠に同じ事を繰り返せ。つまり――――これだけで絶望して、戦闘行為を諦めるな、と】
【そして、状況を打破するための集中を忘れない事だ――――永劫に飲まれれば、たとえ戦闘を継続しても、その瞬間に敗北は確定する】
【心構えなのだ――――概念的な敵には、直接的な戦闘力より、そちらの方がより大きな力となる――――】

――――そんな風に遊んでいるから、レッド・ヘリングも塵芥に還ったんじゃないのか?
所詮、その程度が貴様の限界だ……なんなら、レッド・ヘリングも永劫の時から読み戻して見せたらどうなのだ!

【懐から、赤いビー玉――――魔玉を取り出して、アーディンは投擲する。その効果は『火炎』――――狙いはもちろん、アナンタシェーシャ】
【これの、『時間を巻き戻す』能力が、どれほどの範疇なのか、調べなければ始まらないのだ。あの時と同じ――――まずは知る事、そして考える事だ】

「……ッ! 『バーニングブーメラン』!!」

【一方、ヒーロー――――ナート・サンダーの方は、左手の武器を発動。ブーメラン型に形成された、緑色の炎の様なエネルギー体を、イルへと向けて発射する】
【弧を描く軌道で放たれるそれは、牽制でもあり、有効打を期した一撃でもある――――あちらも、放置まではしておけないだろうと――――】
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) :2018/05/19(土) 16:26:19.95 ID:O6cS6lbD0
>>827

【暴力的なまでに過剰供給される武器群、ロールシャッハは思わず眉を顰める】
【限度というものは無いのか、と── それはまるで洪水の様に武器が降り注ぐ】
【再び手のひらに魔法陣を生成、噴出す黒い靄が彼に触れる前に、放たれた武器類を溶かしていく】


随分な自信だね── まあ、これだけ強力な錬金術が使えたら無理も無い
数もそうだが錬度もそうか、絶え間なくこれだけのレベルを放てるだなんて
成るほど、千年の鍛錬も無駄ではなかったということだね

煙でニンゲンは殺せないよ、ニンゲンを[ピーーー]のは、何時だってニンゲン自身だもの


【煙は楯に阻まれセアンには届かない。単純明快な能力であったが、この物量は恐るべきレベルであった】
【一呼吸整える。纏う魔翌力のレベルが桁違いにあがっていく】
【── ロールシャッハが怪訝な顔をする。随分と勝負を急いでいる、と】


ああ、全く── どうしてこうもニンゲンは、良き急ぐのやら
千年生きてるんだろう? 少しは余裕を持って生きなよ────っ!


【放たれた槍の一撃。ロールシャッハにあたる寸前に、彼の姿がとろん、と空間に溶ける】
【その衝撃は地面を揺らし、木々をなぎ倒すだろうが、倒したという手ごたえは無いだろう】
【攻撃の後、同じ地点に再び出現する。心なしか顔色が悪い】

【身に纏っている魔翌力量が大分減衰している。今の回避に使用したのだろうか】
830 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 16:27:25.83 ID:MoFVLyNi0
>>823

【今一度の打撃――――再び同じ手を用いたなら、今度こそ継戦は不可能になるだろう。それだけの負荷、それだけの威力で】
【だから選べたのは、捻りに沿わせ受け流す護り。僅かな足場を三度構成、一瞬だけ刀身で受け止め、異空間へと“流す”ことを試みて】
【関節が一息に潰されそうになった。ひしゃげた臓腑が苦悶を強いた。誤った一手が、一刻も早く逃れ去ることを求める様で――】

……無意味じゃないから繰り返す――――“生きた”ことは、消えやしないから遺し続けられる……‼

未来の有無など知ったことじゃない――――私は今、手放せないものがいるから此処にいる
現実だというなら突き付ければいい。私は――――――――そんなものに、この世界の何一つ譲ってやるつもりはない……!

【あえて、影は踏み止まる=B選んだのは前進、刀身の鋭さに総てを託すことで、極小の負荷で可能になるカウンター――――】
【けれど、その圧を己が身で受けることは何ら変わりないのだ。刃の鋭さが極限まで抵抗を削ろうと、ヒトの身には、あまりに巨きすぎる過負荷だ】

【……けれど。】
【大魚から逃れ出るヨナ。獅子の窟より生還するダニエル。死して蘇る、“救う者”――――】
【神話を物語と捉えるモノにも、擬えて意志力を絞り出すくらいには役立つのだ。勇気を貰うと、きっとマトモな人であれば表現するのだろうが】

【諦めなければ貫ける“なにか”も、ここで圧し折れたならば届かない。死神の吐息さえ感じるこの距離こそが、死中に活路を拓かんとするがゆえの必然で】
【こう選べたのは、あまりに埒外な“回帰”を目にしたからだろう。時を統べる力に対し、同質の威を以て僅かでも抵抗してみせる――】

【決定打はきっとまだ遠く、“だから”――――“届かない”という確信を断つことを望んでいた。唸りをあげる切断概念、斬撃の鋭さは、正確な操作というちっぽけな差異によって最大化されんとした】
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 16:28:34.86 ID:fgTCEbD00
>>823

「――ふーん、つまり"できない"んだね?」
「やれないから誤魔化してるんだね?」

【――確かに、自分は回避して……それからだった、攻撃の1手を行ったのは】
【その記憶はある、けれども現実が追いついていない。風景が――草原とはいえ距離が戻っていた】
【混乱しつつも、すぐに認識できたことはあった。……"同じ行動を取ることは許されない"】

【先読みで加速していた都合上、完全な回避は叶わず】
【腹部を引き裂かれながらも、しかし何とかして上方へ急旋回して直撃だけは避けて】
【強い痛みが腹部を襲う、けれども飛翔を急に止めればどうなるか……堪えつつ下方を見た】

「(……巻き戻った?)」
「("あの時"も使えたのならば、間違いなく工場の破壊を阻止していただろう……なら)」
「(これは、あの蛇が持つ力を利用している。……そして)」
「(……防げない条件もある。全てを戻せるならば、右肩も無事だ)」

「――とある神は可能性を嫌った。だから、それを奪って捨て、別のモノにへと変えた」

【――思考ばかりに時間を裂いていては、いつまで経っても物事が片付かない】
【それこそ試行錯誤だ。何が良くて何が悪いか、今回もきっと明確な弱点がどこかにある】
【蛇への攻撃は……相当な火力がないと通すのも難しそうか、魔力か何かを砕くのも通用するか怪しい。……"今のところは"】

【その両足がエメラルドグリーンの結晶でできたそれにへと変化した。……淡水色で淡く光る模様を持っている】
【そして、まるで雨を降らすかのように水晶の柱……小振りなそれを幾つも降らせる】
【水属性のエネルギーを蓄えたそれは……当たれば多少は刺さるかもしれないが、狙いは非常に適当。……地面や湖などに落ちるものも多いだろう】
【破壊は容易で、けれども壊れた程度では消滅しない。】
832 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 16:33:19.10 ID:rqYwUM5E0
>>820

――――『UTNITED TRIGGER』所属、ケツァル・コアトル=ラベンダァイス=カエデ=キャニドップです。ラベンダーとでも呼んでください――――
――――行方不明になった仲間を――――白神 鈴音を探して――――私は来たのですが――――
――――私は、生物兵器『ケツァル・コアトル』――――何かがあれば、今は協力します――――

【端的に、的確に、自己紹介を行う少女――――ラベンダァイス。眼前の、どこか軍人じみた男の事は、良く分からない】
【だが、どうやら彼もまた、鈴音との面識のある人物だという事は分かった。なら、この非常事態の中で、協力しない手はない】
【己の手の内――――生物兵器、つまり戦う存在であることも明かして。それだけ分かれば、今は十分だろうと――――】

>>825-826

(――――桜の木? ――――何か、言いようのない何かが――――ここから感じる。これが、気になるのは、どうして――――ッ?)

【理解はしていない、だが、無意識のところで分かっているのだろう。それが『コア』なのだと。ふっと見上げる。青い空を背景にたたずむ木――――何を、意味しているのだろう?】

――――――――ッ、鈴音さん、それは――――!

【話している内容に、ラベンダァイスは戦慄する。黒幕や円卓の事を、この男の前で話していいのだろうか?】
【――――彼が、話に出た仲間である『厳島』である事を、まだラベンダァイスは知らなかった。それ故の焦り――――無意味な、焦り】

――――っ

【――――自分を塗り替えられる瞬間。ラベンダァイスの胸が軋む。その意味するところを知り、己のそれを思い出すことは――――容易ならざる痛みだ】
【それが、彼女の話に必要なのだろう――――わずかに、血の滴る口元に力を込めながらも、ラベンダァイスは、続く鈴音の言葉に耳を傾けて】

――――『戻りたい』と、願うんですか――――? 間違いだったと知ったから、戻りたいと――――
それとも――――前でもない、今でもない――――そんな、全く別の何かに、なりたいと思うんですか――――その為に、この空間があるんですか、その為の、神様、なんですか――――ッ?

【今の自分が間違いだった。それを仮定するなら――――ラベンダァイスだって、きっと耐え切れない。己の身で、感情をともなって、それが現実と化したなら――――きっと、鍵を己に突き立てるだろう】
【なら、今のこの良く分からない空間は――――そんな鈴音の絶望の為にあるだろうか。それをラベンダァイスは問う。否――――問いではない、それは確認に過ぎない】

――――なら、残されたものは1つだけです――――『戦う』。何が相手でも、もう関係ない、何を求めるかなんて、もう関係ない――――戦う、それだけです

【自分の場合、答えはそれだろう。――――兵器であることが、自分に最後に残される意味のはずだ。なら――――もう、人間など捨てる。ただ、兵器であり続ける――――】

――――なら、鈴音さんは――――『ここ』で、何を望むんですか――――私にとっては、ここは居場所じゃない――――そうとしか、思えないんですが――――

【足元の、無数に向けられる視線を見返しながら、ラベンダァイスは今度こそ『問い』かける。深淵など、とっくの昔に覗いたものだ。怖くはない】
【怖いのは――――鈴音という存在から、解離しかかっている、眼前の少女の方だ――――と】
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 16:48:25.48 ID:O6cS6lbD0
>>828

【アーディンの経験則は正しい。レッド・ヘリングと同様に、アナンタシェーシャもまた"虚神"】
【それは道理では説明のつかない存在であり、それと同時に不条理に縛られた概念的存在】
【だからこそその歩む道は正しくもあり、間違ってもいた】


冥土の土産に教えてあげるよ、 "虚神" にもランクがあるのさ。その能力の高さに応じて
レッド・ヘリングは残念だったけど、わざわざ復活させる程でもない
それだけアナンタシェーシャは強力なのさ、それをキミ達は全然理解して無いもん

────そんな悠長な真似してて、勝てるとでも?
遊んでても勝てるのさ、だってボク達は "グランギニョル" に愛された神格だから
さあどんどん追い詰めていくよ! どこまで耐えられるかなぁ!!


【アナンタシェーシャは火炎に怯える様子を見せない。白い皮膚が勢い良く燃えて、焦げた鱗が落ちる】
【ヒーローが戦慄したタフネス、そのタフネスがあるからこそ防御を考えていないのだろう】
【同時にアナンタシェーシャは身を捩りイルへの攻撃をも肩代わりする、この位置関係は非常に不利だ】

>>830

【死中に活を見出すとはこの事か、身を犠牲にした後の先、剣先が深くアナンタシェーシャに食い込む】
【僅かにその巨体の動きが鈍くなった。── 人の身で、その僅かな剣閃にどれだけの鋭さがこめられているのか】
【アナンタシェーシャが追撃を躊躇う。肉体は強くとも、その精神には綻びがあるのか】


……っ、なんだよ、それで良くニンゲンだなんて言えたもんだ、出鱈目な戦い方して
手放せないものね、そういうの好きだよね、キミ達、何が大切とか何を護るとか
だったら全部ぶっ壊してあげるよ、全部投げ出して────殺したら、どうなるのかなぁ

譲らなくて良いよ、全部飲み込んで、新しく作り直すんだ


>>831

【レオーテヴュートのおった傷を見て、彼女は笑う──まるでそれこそが深い愉悦のように】
【けれども何時までものんびりはしてられない、すぐさまレオーテヴュートは雨を降らせる】
【水晶の柱。イルは一旦距離をとってアナンタシェーシャの身体の下に隠れ、雨をしのいだ】

【──直撃を受けるアナンタシェーシャ、蓄積するダメージは、かなりのものになっただろうが……】


>>828>>830>>831

────さぁ、始めようかアナンタシェーシャ、もう十分 "Lathe" は満ちたから
全ては忘却、永劫の時間の中に消えていく幻── しかして真実は、限りなく無限に近い時間の円環
その理すらも踏破して、破れ出る "Lathe" の水が、キミ達を食い散らかすのさ


【四人の脳裏にイメージが侵食していく。脳内に直接映像を流し込まれる様に】

【それは巨大な黒い人型による蹂躙だった。殴られ、蹴られ、甚振られる自分自身のイメージ】
【五感全てにその感覚が襲い掛かってくる。イメージの中の自分は、華奢で非力な少女で】
【その少女へ、人型は躊躇なく暴行を加える。枯れ木のような腕を掴んで、鉛のような拳を腹部に突き立てて】

【暴力だけではなかった。気絶寸前まで水につけられたり、■■をされたり────そこには数多の苦難があった】
【イメージの中の自分は無力で、それでも暴力は止まない。過剰に加えられ】
【やがて、息絶える────暗い水の底で、戯れに沈められ、死んでしまう。そんなイメージであった】

【現実の時間にすれば一秒にも満たない、しかし脳内では10年近く、そのイメージが繰り広げられるだろう。】
【反応は分からない。生半可な人間であれば、心に深い傷を負うどころではすまないが】
【今一度能力者たちの精神の強さが、試される】
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 16:56:57.52 ID:jgRPvcu20
>>825>>826>>832

「ラベンダァイス?」
「なるほど、UTの……通りで、鈴音とも縁がある筈だ」
「櫻の国の魔導海軍中尉、だが取りあえず落ち着こう、この状況では我々は何も出来ない」

【この状況で、彼もまた、彼女がチームMのその話に上る人物だとは、知る由も無く】
【また眼帯のこの軍人も、少女にこう名乗った】

「なるほど、差し詰め神域と言う訳か……」
「ありがとう、頂こう」
「円卓も黒幕も、そして自分を害する存在など居ない、素晴らしい理想郷だ、そういう世界ならば私ももっと楽かもしれない」

【出現させたテーブルに、対面するように座りお茶を、そして御菓子を頂戴する】
【この状況で、なんとも呑気な事か】
【だが、この落ち着きは、また考えの内でもある】
【激情と激昂、これだけが会話の手段ではない、と】

「……なるほど、な」

【落雁、金鍔、桜餅、果てはお茶に至るまで、全てが随分と味気なく拙い】
【顔を少し顰めるも、それらから状況を、彼女と言う存在の一部を理解し、そしてお茶を飲み干し】
【菓子を口に入れていく、櫻が櫻のみが動きを示しているのだろうか】

「間違いだった?そうした人が?」

【こちらから目を外し、そうしてラベンダァイスの元に向かう鈴音】
【話は、極めて難解で、事情を知らずに聞いている自分には解りにくい内容だった、だが……】
【だが、後に続く言葉から、その後全てを察し】

「なるほど、君はそうして病んでしまったのか?」

【最後に供してくれた菓子、索餅を手に取り、口に運びながら】

「鈴音、単刀直入に聞きたい……」
「神を食べたと言ったね?」
「君は何を望む?何でも聞かせてくれないか?」

【お茶も御菓子も既に無く】
【厳島はラベンダァイスの側に行く、ゆったりとした視線で鈴音を見据え】
【そして、接近する無数の鈴に一瞥し】
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 17:04:51.47 ID:fgTCEbD00
>>833

「(――わざわざ巻き戻すほどでも無かったか、あるいは……)」

【いつの間にか腕の刃は消えていて、……きっと脚部を変化させた時と同じタイミング】
【けれども、ある程度水晶をばらまくことには成功した。ついでに相手の高度を下げることにも】

【追撃の1手は――】


【――ここは一体どこだろうか?】

【"巻き戻ったのか?"】

【違う。……僕は別に性転換をしたことはない。】

【――それに、アイツがいない。隠れてすらいない。】

【あーあ、連れてくれば良かった。】

【"ユウト・セヴォラインディ"を。】

【僕を盾にして隠れていた臆病者を。】


【――幻覚か、それとも】

「本当、"魂"ってみーんな勝手だよね。リサイクルゴミにしなければ勝手な奴は産まれなかったのに」

【嫌なことを思い出したような顔で、イルが隠れている方に向けて降下する】
【もし可能ならばアナンタシェーシャを掴んで体勢を急激に変えながら、その脚部より水のレーザーをイルに向けて発するだろう】
【赤い水が腹部から滴る――】
836 :アーディン=プラゴール&ナート・サンダー ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 17:11:31.88 ID:rqYwUM5E0
>>833

――――っ、またか……! どうやら奴は……相当にランクの高い存在であるらしいぞ!
「どういうことだ、アーディン!?」
前の戦いでもな……こんな感じの化け物が現れ、そして、奴をかばったんだ! ……どうやら、我が身を犠牲にしてもって言う事の様だ
もちろん、自分の不死性を信じ、そして誤認した結果だろうが――――かばわなきゃいけないほどの何者か、それがあの悪魔である事に、間違いはない様だ……!

【火炎が、どう敵の能力に影響するか。それを確かめたかったのだが。しかし結果は『無視』――――基本的なところで、このアナンタシェーシャは強力なのだろう。力の片鱗を使うまでも無いという程に】
【そして、放った『バーニングブーメラン』も、受け止められる。アーディンは、そこに1つの事実を見出しこそしたが――――それが、勝負のターニングポイントとなるかは、怪しいものがある】

――――神を冠する様な、完全に近づく存在が、言う言葉じゃあないな……!
例えそれが邪神であろうとも、お前のような事は言いはしないだろうよ……ッ!
「……戦いには、結果があるのみだ。そこに理解など、意味など、関係はない。ただ我々は戦わなければならない――――それだけだッ!」

【『レッド・ヘリング』――――アレよりも上のランクの存在。まぁ道理だろう。こんな奇跡の力を振るう存在は、今まで見聞した事がない】
【ただ、それよりも格の高い存在と思われるイルが――――どうも、その力を行使する様子はない。それが意味するところは何なのか】
【その疑問を胸に、ただ眼前の脅威を戦い続けなければならない――――このアナンタシェーシャに飲み込まれてしまった仲間――――ラベンダァイスのためにも】

――――ッ、『満ちた』……ッ!?
「なにか、仕掛けてくるぞ……ッ、な――――なんだ!?」

【そして放たれる、アナンタシェーシャの力の本分。その瞬間に、アーディンは顔を上げ、ナート・サンダーは身構えるが】
【――――無意味だった。そういう『攻撃』ではないのだ。次の瞬間には、植え付けられたビジョンが肉体を蹂躙する】

うぁ、ああぁぁぁぁぁッッッ――――!?
「く、っぐぅぅぅぅぅぅッッッ――――!?」

【のたうち回る2つの身体。彼らには、現状が理解できていない。ただ、少女と化した自分が、暴虐の嵐に晒される事を、五感を通じて植え付けられているだけだ】
【まるで、自分自身すら見失ってしまう様な絶望と苦痛の嵐――――非力な少女と化した自分は、こうも脆い存在なのか、こうも弱い存在なのか、こうも耐える事をできない存在なのか――――と】

(――――くっ、今は……思った通りだった。そうすれば……!)
「(旦那――――てめぇの言ったとおりだ。自分を見失うことが、負けの要件みたいだなコレ……きっついけどよ……!)」

【――――永劫回帰、精神的超人、コギト・エルゴ・スム――――先ほどの言葉に、彼らは支えを得る。どうやら、その思索は無駄ではなかった様だ】
【――――そして、ようやく彼らの意思は、現実の身体に帰ってきた】

――――――――か、っ…………エリス…………よくも、よくも…………!
「う、ぐっ…………リーリア……すまねぇな、こんな親父でよ…………でも、だが、しかし――――ッ!!」

【彼らの心は折れなかった。自分を見失うな、という言葉の意味を、己のうちに据えることが、間に合ったから】
【そして――――暴虐のビジョンの中の己の姿にも、その強力な理由があった――――自分の、娘だったのだ。2人はともに娘を持つ『父』の身であり、その身体を模したビジョンで、暴虐にさらされていたのだ】
【――――怒りが、2人の親父に火をつけた】

――――分かったぞ……貴様は『満ちて』いないんだな、イルよ!!
「――――幻想の中ではいえ、娘に手を出したんだ……楽に死ねるとは、思わない事だな!!」

【なぜ、イルは戦わないのか――――レッド・ヘリングは『満ち』、そしてアナンタシェーシャも『満ちた』と言った。なら、イルはまだ『満ちていない』のだろうと、アーディンは吼える】
【ともあれ――――彼らの戦意は、心に刻みつけられたダメージを、まるで無化するかの如く昂っていた。子を持つ父としての怒りが、そこに煮えたぎっていた――――】
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 17:19:19.57 ID:1Q1feBo80
>>832>>834

――――――――あの"間違い"がなかったら、今頃わたしは大人になれて"いたかもしれない"。

【――それは、あるいは、どうしようもない絶望だった。誰も決して、それがなかったら、そうなったとは、誓うことが出来ない、確約なんてされることはありえないのに】
【そうだったかもしれない。そうなれたかもしれない。「ありえない」と言い切られたなら、諦められた。「そうなれる」と言い切られたなら、また別の気持ちを抱けた】
【けれど彼女にあったのは「そうなれたかもしれない」という不確かなもの、希望と絶望が重なり合ったもの、箱を開けてみなければ、現実は見えなくて】

【そしてそれを観測する手段は、もはやない。通り越した過去まで戻る方法はありえないから。――だからこそ、それは、"自覚なき神"を殺すための、猛毒に変貌した】
【開ける手段のない箱、希望と絶望をいっしょくたに詰め込んだ"IF"は。何もかもが不明瞭だから――自分がナニであるかという現実から目を逸らし続けた神を、殺せた】

【"ありえたかもしれない未来は、いつだって今より輝きすぎて"】

……ここには。死んでいたら良かったのかもしれないって思ってしまうような日は、――二度と来ないのに?

【"ここ"は、少なくとも彼女にとって世界で最も安全な場所だった。それこそ母の胎内に等しく、そして彼女はそれに護られる胎児に等しく】
【世界各地に洪水伝説はある。それはきっと生き物たちが生まれる瞬間に起こる洪水の寓意だった、――すなわち破水、だからこそ、洪水の後に世界はひっくり返る】
【なにもかもから護られる安寧から生まれ出でてしまった命は、戦うことを強いられる。だけど。ここなら。――まだ生まれる前に留まる、この場所ならば】

【――――そして、その様子を少し離れていた厳島は"見る"だろう。そこでカエデと話す少女の姿、白無垢の裾を引き摺り、話す少女の姿が、きっと彼には見えるのだ】
【――それは真っ黒な蛇だった。鱗の一枚一枚にオパールに似た煌めきがあって。ひどく美しく――――ああ、でも、それは、"錯覚"なのだけどね】

カエデちゃんも、厳島さんも、……どうしてそんなことを、わたしに、聞くの? "あの"世界はね、意地悪なの、だからね、要らないの――、
人間として生まれたのに誰も人間扱いしてくれない。人間みたいに生きたいって思ったなら、間違いで人間であることさえ奪われて。……そんな世界、もう、要らないの。
いっぱい頑張ったの。セリーナだってそうだよ。なのにみんなセリーナを要らないって言うじゃない。セリーナだけじゃない、わたしたちを、――能力者も。

【厳島までが近くに来れば少女は嫌がるように立ち上がる、ずるずるって裾を引き摺って歩いて――少ししてから、歩きづらいな、という風に、振り返る】
【裾をつまみ上げて、落とす、――ぱっ、と、花が咲いた。花が咲き誇るように"変貌"った。純白な無垢さがふわりと咲き誇るようにシルエットを崩して、やがて】
【普段の彼女が好んでいたようにふわふわとした服に変わる。白色の服、ふうわりと膨らんだ裾からは、ちりちりと花びらが剥落して――桜花そのものを纏うように】
【その指先を自身の頭髪に触れさせる、毛先をわずかにつまんで、すうと引いたなら――その髪は腰ほどまで一気に伸びる。真っ白な素足で、一歩、一歩、進んで、振り返る】

/↓
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 17:19:30.62 ID:1Q1feBo80
>>837

――――――ふたりはわたしを虐めるためにここに来たの?

【――その瞬間に崩壊した、何が、って、世界が。あまりに無感動な蒼穹は反転して悍ましい赤色に煌めきだす、足元の水面も、また、赤く湛えられ、きらきらと瞬き】
【ならば同時に気づくだろう。彼らの足元――うぞうぞうぞうぞ、と、不可視の薄皮越しに、鈴が蠢いていた。それはさながら橋の上から餌を投げた時の鯉の狂喜乱舞の様】

【少女は彼らを訝るような顔をしていた。――疑いだけで世界が反転してしまった、それはひどく恐ろしく感じられる、まさしくここは少女のための世界である、と理解らせる】

虐められっこは違ったお部屋に通うの。虐めっこは、みんなと一緒に授業を受けるの。
虐められた子だけが損をするの。虐めた子だけが得をするの。――――わたしを虐めた世界を今度はわたしが虐めるの。

――イルちゃんはね、こんなわたしをね、好きだって言ってくれるの。イルちゃんには、嘘を吐く必要もなかったの。わたしはヒトじゃなくても許されたの。
一番きもちいとこを何度だって撫でてくれるの、――ねぇ、お外に、どんな楽しいことがあるの? 神様になってしまう以上に、きもちいことが一つだってあるの?

【――陶酔しきった目をする、悪い快楽に耽る瞬間のような、駄目だと知りながら禁欲を破る聖女のような、潤んで、熱っぽい、とろむ声が】
【決別までの数字を数えだす――そちらには行かない。少女はそれほどまでに絶望してしまった、病魔に魅入られて。骨の髄も脳の髄も犯されて、快楽を刻み込まれて】
【ぞくぞくって頭の中を真っ白にされる快楽を教え込まれてしまったなら――それが苦痛に近ければ近いほど、どうしようもなく"くせ"になって、戻れないから】
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 17:28:33.84 ID:O6cS6lbD0
>>835

【── レオーテヴュートの深奥は、辿ることの出来ない深い闇の底にあった】
【だからこそか、その復帰の早さに、イルは明らかな驚愕を表情に浮かべている】
【何故、どうして、と────考えるより早くレーザーが放たれた】


っ……!! 何だよ、キミ……よくもまぁ、あんな光景を目の当たりにしながら、平気だね
悲しい悲しいノンフィクション、一人の何の罪も無い女の子が苛め殺されるだけの良くある話だよ
────そうさ、良くある話なのさ、こんな事、ニンゲンの世界だったら、さぁ!!

虫も動物も、植物も、みんな皆、自分の子供を殺したりもしないし、苛めたりもしないのに
ニンゲンだけなんだよ、ニンゲンだけさ、こんな風に暴力を振るうのは
それでもキミ達はまだニンゲンの味方をするんだね、こんな愚かで醜悪で無様な────!!


【イルの右肩を撃ち抜かれ、大きく体勢を崩した。風に舞う木の葉のように身体を反転させて】
【後方に距離をとった。肩で呼吸をする。その表情に余裕はなく、真っ直ぐにレオーテヴュートを見据えて】
【言葉を呑んだ、そして────静かに薄く、微笑んだ】


──── "Killers Like Candy"────


【イルが左手を翳す、左手に握った大鎌に魔力が集中していき】
【周囲に病原菌を撒き散らす、空気感染するそれは、吸い込んだなら魔力を食い散らかす】
【攻撃の出力が著しく落ちるだろう、距離を取れば影響を受けないが】

【それはつまり、彼女に再び上昇の隙を与える】

>>836

【耐え抜いた────それは二人の半生が故か。子を持つ者の強さ】
【驚愕であった。イルには理解の出来ない強さであった、育み育てた父親の強さ】
【初めてイルはその声に気おされる。高ぶる戦意に呑まれそうになって】


────何を言い出すかと思いきや、この世界は病気に満ちているっていうのに
まだ見て見ぬ振りをするのかな、やがて皆皆、病魔に食い散らかされるってのに
希望にすがってみっともない、情けない────!! とっとと棄てるんだよ

手を出したのはボクじゃないよ、キミ達の同類たるニンゲンだろ? 神はそんな事しないから
それでも護るってなら呆れてものも言えないよ、愚かも此処までくると救えないね!
ほうらアナンタシェーシャ、奴らの身体を食い破れ!!


【アナンタシェーシャが口を広げ二人に襲い掛かる。その獰猛な牙を持って食い散らかさんと】
【触れたならそのまま牙を立てるだろう。切断の作用の高い物理的な攻撃】
【速度は速く直線的、回避は難しくないだろうが────】


" Lathe " はアナンタシェーシャの胃袋の中身を溶かしてるのさ、記憶を蒸散させ周囲を満たす。
痛みの記憶、死の記憶、苦痛の記憶── 一体誰の、モノだろうね
今はこの程度、でもね、ずっとずっと溶かして行ったなら、やがて世界中にこの痛みが広がるから

何割ぐらい狂っちゃうかな、ほんの一部しかのこら無そうだけど────


【イルが言葉を付け加えた。──先ほどの攻撃の正体を伝える】
【アナンタシェーシャを呼び出した目的がこれだろう、今貴方達に与えた精神攻撃を世界中に広めると言う】
【同時にこうも言った。アナンタシェーシャの胃袋の中身、その記憶がこれだ、と】
840 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 17:29:45.94 ID:ll8XrIKo0
>>833

【刃を通した直後――皮肉めいた言葉とともにに襲い来るのは、未曽有の痛苦と喪いゆくだけの世界】

【肉体の負荷。堪え得ない激痛。心を抉り、尊厳の一切を奪い尽くされるこの世の地獄――――】

――――……ぅ……あ……‼

【ひどく苛まれ、八つ裂きにされて五感が保てない。記憶と混濁して増幅されたそれは、精神を焼き尽くさんばかりに、与えられたものをさらに膨れ上がらせる】

(……あの子たちも、きっと……こんな思いをしていたんだ。嬲られ、壊され……最後には、命まで……失って――――)

【肉体が勝手に涙を溢そうとして。思い出すのは、あの工場の、結局救えるはずのなかった子供たち】
【贄とされた無念を思うことが、いっそうに心を苛んでゆく。心までもが、落涙の域まで、墜落を引き起こそうとし、】

【死に臨む精神が、“自分の最期より遥かに受け入れてはいけない結末を蘇らせて”――――、】

――――――――――――――――――――ッッ‼


【無力、痛苦、救いのない“終わり”――――全て全て全て全て、こんなモノを繰り返させる終わりよりは些細に過ぎると、声なき叫びが停滞を拒絶した】
【切断者≠ヘ、自分の躰より心より、守るべき他者を重んじたがゆえの欠落者。自分の惧れを理由に減速できるという機能など、一切欠いていて――――。】

【立ち上がりその刃に伴う黄金の焔が、宣戦の意志を伝えるだろう。紡ぐ言葉は、ひどく重く、】

……痛みを識るから、守ろうとできた。

失くせば痛むから……もう何も残らなかったとしても、繰り返させないために戦える――

矛盾していようと、その先を目指して駆け抜けられる――――――――
それがおまえの憎む“人”で。辿り着かずにはいられない、この狂った兇器(モノ)の願う未来(さき)だ――――
理を踏み越えるのはその意志ひとつ――――そんな虚ろな“力”でなんて、笑わせるのよ……‼

【“切断者”であり、■■■である一つの命は――――そうして、己の限界を無視する様に、時≠フ力と己が異能を結合させた】

【“停滞”によって生み出される刃は、世界そのものが己を呑み込む世界蛇に抵抗するかの様に。雷霆の鎚には相応しいサイズで、けれど飽く迄刃として世界蛇の傷口を狙う】
【けれど、それだけでは決して届くことがないのだ。最後の一枚を越えさせる手掛かりが、まだ、決定的に足りていない――。】

(……機は、どこに……ある――――――――?)

……う、ぐ…………っ‼

【幻痛と現実の痛みが綯い交ぜになり、心身を苛んで物理的に行動を抑制する。太刀を用いた真なる刃は、この瞬間に到底放てずに】
【だから世界を刃と成し、よろめく躰が踏み止まる様は。容易く潰えて然るべきモノが、それでも“生”を保つという、“人”の諦めの悪さの証の様でもあっただろうか】
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 17:37:11.43 ID:O6cS6lbD0
>>840

【── Slasherが辿った内面は、無数の痛苦に満ちて、それは生を諦めさせる無為に満ち】
【而して尚、貴方は立ち上がった。その内面には慈愛があった、それはきっと、驚くべき奇跡】
【彼女は知らない、── どうして、と彼女は聞くけれども、彼女は分からない】

【人だけが、自らの命を棄ててでも、誰かの為に行動できる事を】


狂っても尚未来を願うだなんて、まるで妄執するゾンビだね
果たしてそれを生きてるって言えるの? そんな呆れた力滑稽としか言えないよ
キミも経験したでしょ? その痛みを与えたのは紛れも無いニンゲンなんだ

────行くつく先が絶望って、分かったでしょ、キミ達がいくら足掻こうと……!!
全部が全部、全部、全部無駄なんだよ!! ニンゲンは未熟で無様で醜悪なだけだ
消えちゃえ!! 存在そのものから、一片も残さず、消え果てしまえ!!

アハハハ!! もう足も動いて無いじゃん、さっさと諦めて、死ね────!!


【アナンタシェーシャが再びその身を振るう。さまざまな能力を持っているが、攻撃パターンは少ない】
【その突撃の速度はかなり落ちている、けれども、貴方にかかっている負荷も大きい】
【──ならばその身を突き動かすのは、一体何であろうか────】
842 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 17:44:02.94 ID:rqYwUM5E0
>>834

――――何もできない、それは、確かに――――ッ

【現状、自分は戦闘に備えている。だが、ここでは戦闘はまだ縁の遠い話らしい。まずは戦闘に備えるのは、ラベンダァイスの本能のようなものだが】
【眼前の海軍中尉のいう事も道理ではある。自己紹介を交わし合い、ふぅ、と溜息を吐いた】

(――――軍人。間違いなく――――鈴音さんに深く噛んでいる、そして、黒幕と円卓の綱引きとも――――なら――――?)

【そんな中で、ラベンダァイスは理解する。どうやらこの軍人は――――自分たちの、より深いところの『味方』なのだと】
【だからこそ、こんなところまで来たのだろう。自分よりも、もっと具体的に、今の事態を理解しているのだろう――――と】

>>837-838

――――代わりに得たものがあったんじゃないですか? あの言葉は嘘だったんですか? 私に、腹を割って話をしてくれたと思った、あれは上っ面だけだったんですか――――!?

【ラベンダァイスの言葉に熱かこもる。問う言葉は、徐々に『問い詰める』それへと趣を変えていく】
【何が、鈴音の絶望を後押ししたのかなど、自分は詳しくはしらない。だが、それにはもうすでに答えを出してきたはずではなかったのか――――】
【少なくとも、こうも態度を急変させるようなことは、なかったはずなのに――――なら、鈴音は――――あの語らいの時を、上辺だけで、或いは偽りを以って迎えたことになる】
【――――捨て去ったはずの人間の心の中で、ラベンダァイスはどうしようもなく、頭に来ていたのだ】

――――同じように苦しむ子供たちも要らないのですかッ、ファラエナちゃんも要らないのですかッ、みんなの協力してくれたという場所も――――『UNITED TRIGGER』も、『あなた』が要らないというのですかッ!!

【体の中の魔力が逆巻く。その身体を走る金色の光のラインが、じわじわと光度を上げて輝き始める】
【――――これはもう、自分たちが求めた鈴音ではない。すでに、おかしくなってしまっている――――『あの日』などではない。自分たちの前から姿を消した、『その時』に――――だ】

――――こんな偽りの空間に閉じこもって、何が神様かッ!!
――――あなたは『ラブシャワー』という言葉を知らないみたいだ――――あんなバケモノに、あなたを温かく迎い入れる心なんてあるものかッッ!!
どうせあなたは、奴らが人を滅ぼしたら『ヒト』として一緒に始末されるまでだッ!! 私の父が、操られ――――死体の山を道具として操って、全てが済んだら捨てようとした様にッッ!!

【怒りは、ついにラベンダァイスを叫ばせる。一変してしまった光景。ここに真実などありはしないと】
【――――極限というのは、必ずパラドックスに陥る宿命を持っている。極まった方角は方角でなくなり、回転の中心点の運動力はゼロなのだ】
【神になるというのはつまり――――究極の負け犬なのだ、と――――】
【『ラブシャワー』――――歓迎と敵対を繰り返すことで、正常な判断力を奪い、自己に依存させる――――悪質な宗教団体の使う手口だ。それにハマっているだけだと、ラベンダァイスは怒りの怒号を上げる】
【――――所詮鈴音も、イルにとって――――自分にとって忌まわしき邪神と同じ名を冠した敵にとって――――『ヒト』に過ぎないのだと】

――――私をここから出してください。こんなところに、私はもういたくありません。ファラエナちゃんの姉には、私はがなります――――あなたはそうやって、神を気取った負け犬で、居続ければよいでしょう――――!
――――あなたが全てを突き放すなら、全てがあなたを突き放す――――私も、あなたが突き放す中にいるのなら、もう、いう事もありません――――

【背を向ける。これ以上ない拒絶の仕草だ――――鈴音はもう、変わってしまったのだ。手の届かないところに行ってしまったのだ】
【――――今の言葉が届かないようなら、本当に――――もうラベンダァイスは、仲間としての鈴音を諦める。イルに対して、何の疑いも抱かないというのなら、それが『自分』だと思うのなら】
【もう、自分たちには理解しえない断絶があるだけだ――――それよりも、ファラエナに会わなければならない。吐き出したことで、多少は怒りを鎮めながらも、ラベンダァイスはそう態度表明をする】
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 17:47:48.88 ID:fgTCEbD00
>>839

「平気じゃあ無い奴が昔いたんだよ。耐えられなかった奴が。……耐えるための盾を欲しがったんだ、彼は」

「――人間以外も多く暮らす世界でだって、身勝手な魂は同じことをする」
「動物も、植物も、――あらゆるモノは、"悪意の魂"を持てばそれを振るうんだ。」

「だからさ、それは人間だけの特権じゃあない。種族で敵味方を変えるのは無駄なんだ」
「君の言う楽園は、君だけの楽園じゃあないのかな。」

【――撒き散らされる病原菌、僅かに触れてしまえばすぐにわかる】
【"喰われる"――能力行使には魔力が大きく依存している、熱が効くかどうかを確かめるよりも】
【その場から退避することが先決だ。……狙い通り隙を与えてしまうことにはなる、が】

「源を喰うとは厄介な……っ」

【表情は病原菌に対して見せる、厄介そうに顔をしかめる様子のみ】
【だが、距離を放すと同時に行うは……"先程ばらまいた結晶"の利用】

【地面に落ちたモノ、あるいはどこかに突き刺さったままのそれらから一斉に……イルに向けて噴射されるは水のレーザー】
【(湖の中に落ちたかもしれないモノにも一応働きかけはしているが、ちゃんと発せられるかはわからない)】

【直接自分の身体から発していないためか、病原菌の効果か……】
【ともかく、先程のそれよりは威力・狙いともに衰えていて、噴射時間も限られる。――それを数で補うつもりだ】
【なお、破壊されている等の状態があった場合、大きさ相応に噴射時間が更に短くなる】
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) :2018/05/19(土) 17:55:47.17 ID:O6cS6lbD0
>>843

【──── 同じ感覚がした。時間が巻き戻る、その感覚が】
>>839の状態に巻き戻る、イルが病原菌を撒き散らした、その状態へと】
【違うのは今度はレオーテヴュートが退避する先へも、病原菌を放っている事】

【つまり、退路を防いだ。どうしても病原菌を回避したければ、本人であるイルを撃つしかない、と】


じゃあキミはその耐えられない奴を見捨てるの? ニンゲンらしいやり口だね
悪意の源はどこから来るのかしら、知性こそがその源じゃないの?
妬み嫉み、羨ましいと強請り、欲望は際限なく、全ては知性を持ってしまったから

だからアナンタシェーシャは繰り返すの、ニンゲンが知性を持たない動物であればよかったって
ボクの楽園とはそのことだもの♪ ニンゲンのような出来損ないは全て消しさらなきゃ
ほらほら避けてごらんよ、こういうの嫌いでしょ? 前の戦いで、分かったんだから──!!


【時間が巻き戻された事で水のレーザーも無かった事にされる。発動さえすればこの能力、非常に強力である】
【しかし、イルの意思で動いている気配もない、それならばアナンタシェーシャはどんな条件を以て発動しているのか】
【病原菌をくらっても、呼吸しなければ────被害は最小限ですむ】
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 17:56:22.77 ID:jgRPvcu20
>>872

「ラベンダァイスと言ったか、気持ちは常に冷静でいるべきだ」
「ここは鈴音の領域だ、だが……鈴音が本当に白神鈴音を失っていないのなら……恐らくは」

【淡々とだが、ラベンダァイスにこう答えた】
【最も、この状況だ、無事に帰れるのかすらも不明】
【最悪、自分を囮にこの少女だけでも逃がす方法を、と頭の片隅でそう考えて】


>>837>>838

「――ッ!?」

【ラベンダァイスの側で話す鈴音】
【彼女の姿は、一瞬黒い蛇のソレに見えて】
【だが、一瞬後には、すでに元の鈴音の姿に戻って】
【一体今のは、いや、ともすれば、これが鈴音の現状の姿なのかもしれない、と】

「……」

【この世界は、それが意図するものかしない物かは解らないが、この少女を】
【いや、かつて少女だった存在を、否定し、拒絶したのだ】
【結果は、この状況だ】
【なるほど、それは、それは余りにも心が痛すぎるのだ】
【水神の伝説と言う物がある】
【蛇は櫻の国に置いて、水の象徴だ】
【それが神格化された物が、水の神だ、これには神使信仰も深く関わるのだが】
【多くは川とし、そして水害を鎮めるべくそうされたものだが】
【ことそれ以外の国においては、不老や不死の象徴とされ、こと錬金術師にとってはウロボロスを筆頭に、不老不死の研究のシンボルともなっている】
【それが、蛇の神の一般的な認識だが】

「違う……」

【違う、そう声に出した】
【少なくとも、この世界は……】

「それは違う、鈴音、私とこの子は、君の身を案じて来た」
「君が望むならば、このまま連れて帰る、しかし君が本当にそれを望まないと言うなら」
「……君が本当に、イルとともにこの世界全てを敵に回すと言うなら、私は君の敵となろう」
「だが、もし、もし僅かでも、たんぽぽの子供達や、UTのセリーナや麻希音、ゾーイの事や、鵺やカニバディールやミラの事が……つがるの事が気にかかると言うならば……こちらに帰ってこないか?」
「神がどうした?人間でない事が何だと言うのだ?」
「それが、君を害する理由になるのか?」
「いや、違う断じて違う!」
「イルが好きだと言ったのか?ならば言おう、先ほど挙げた全ての者達は例外なく君が好きだと!」
「[ピーーー]ない事も、年を取れない事も彼らは一度でも、君を間違いだと否定したのか?」
「それでも、それでも尚、イルの側にいるのか君は?それら全てを、自分の手で殺めたとしてでも?」


【さて、ここで疑問だ】
【この少女にとって、いや神にとって、優しさとは何だろうか?】
【よもや櫻の国の神が、救済とは破滅させる事とは言うまいが】
【ここで世界は一変した、先ほどの平和な穏やかな世界では無い】
【まさに水の如く、気持ちによりその様相を変貌させる世界の如く】
【鈴音の雰囲気も、変貌をしてる、言葉が届くのだろうか?】
【それでも、言葉を投げかける事を止めない】

「本当に、それら全てを否定し、破壊するのか?」
846 :アーディン=プラゴール&ナート・サンダー ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 18:02:44.16 ID:rqYwUM5E0
>>839

だったらお前こそとっととかかってこい、口だけ悪魔。あと10秒でも俺たちが死ななければ、お前は神でもなんでもない……ただの道化と言うべきだな
『満ちて』いるならば、今この場で、俺に喀血でもさせてみるんだな――――ッ!

【アーディンの牙が剥かれる。唾液に塗れた剣歯が、イルを食い散らかしたいと戦慄いている】
【自分たち相手に、遊んでいる結果が、先のレッド・ヘリングではないかと。それを勿体ないというのなら、全力ぐらい出したらどうだ、と】
【――――それが出来ないからこそなのだと、アーディンは確信を持っていた】

『ニンゲン』など、そんな概念を護るものかッ! 俺には娘がいる、そして未来を担う子供たちがいる。それさえ守れればなんでも結構だッ!
「そうだ――――ヒーローは愚かだ、いつだって! 俺だって! だがな、神よりかはお利口さんの様だぞ。ニンゲンどころか、何も護れないのがお前だろうッ
 ……何も守れないものは、何も掴めない――――ただ手足振り回す駄々っ子の様なものだな!!」

【――――そんな大枠の為に、アーディンは力を振るわない。それは分の過ぎた行為であると、既に思い知っている。だからこそ彼は】
【未来のために――――こんな人間たちを、少しでも良い方向に是正してくれる希望――――子供たちを、守るのだ】
【そしてナート・サンダーは――――確かに、ヒーローには、人類を守るという、曖昧模糊として、正義でありながら清濁を併せのむという矛盾を抱えている】
【だが――――なら悪はどうなのだ。それは、何かを壊すだけ、何かを侵すだけ――――そんな存在よりかは、ヒーローも少しはマシだろうと、バイザーの奥の瞳は訴えていた】

ッッ、聞いたなナート・サンダー!!
「あぁ、確かに聞いたぞ、あとは私に任せろッ!!」

【胃袋の中身が、アナンタシェーシャの先ほどの攻撃の根源――――それを聞いて、2人の腹は固まった】
【真っ向から食らいつくアナンタシェーシャの牙と顎に対して――――ナート・サンダーは受け止めに掛かる。ガキンと、金属と魔の牙がぶつかり合う】
【いつまでも持つものではない――――現に、スーツに食い込み、徐々に血が流れている。恐らくは、装着者であるサングラスの男の血が――――】

「うおおぉぉぉぉぉぉッッ!! 『ギャラクティックレーザー』!!」
もう少しだけ、耐えろナート・サンダー!! ……食らえッ!!

【ビキビキと、スーツにひびが入り、血が流れる。その中で、ナート・サンダーは胴体の砲口をチャージ――――アナンタシェーシャの喉へと向けて、ビームを発射した】
【負けじと、アーディンもナート・サンダーの支える顎を縫って、青の魔玉――――冷気玉を投擲。エネルギーと冷気とで、アナンタシェーシャを腹の中から破壊しようともくろんだ】

(――――レッド・ヘリングは、その存在そのものが『虚飾』、だから物理攻撃も無意味だった。だが――――こいつは、そうではないはず――――!
 無駄にはならない。攻撃の手を止めるな――――!)

【かつての経験があったからこその無茶】

「(――――リーリア。俺はお前も……そしてお前だけじゃない、多くの人をも、守るんだ――――っぐ、こんなものに、負けてどうするよッ!!)」

【そして、人の親であるからこその無茶だ――――】

/すみません、そろそろ晩飯行ってきます……
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 18:11:03.90 ID:Qsqi5dxa0
>>829

【武器が煙に溶かされながらも錬成し続け、武器を放ち続ける】
【(この煙には恐らく強い酸性か火属性が付与されてるんだと思うから、今度からは耐性ガッチガチに付けて出そうか)】
【さっきまでは溶かされていた武器がドンドン溶かされにくくなっている、(よしっ成功だな暫くはこれで行こう)】

「まぁ、錬金術だけは自信あるからな、錬金術だけだけどな」
「あんたも凄いぜ?こんだけの宝具の雨を防いでるんだからよ」
「文字通り血反吐はいたからな、うぅあの時、の修行を思い出すと震えるぜ」

「おおぅ過激なこと言うねえ、にぃさん放送禁止用語って知ってる?」

【ふざけた会話をしながらも攻撃を続けている】
【今度は全部展開しては使った分は補充する】

「人間だからっ、かな?わかんねえけど」
「千年も生きてるとなっ、飽きっぽくなるんだよ、って神にはわかんねえか」


【速く終わらせる為に必殺の一撃を本気で放つが恐らくはこれでは倒し切れないだろう】
【攻撃を放った瞬間に空間の揺らぎを感じたので、もう一度魔翠力を張る】

「おう、スーツ野郎空間を使う何てできるじゃねぇか」
「だが、もう魔翠力がないんじゃねぇのか?」
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) :2018/05/19(土) 18:13:43.20 ID:O6cS6lbD0
>>846

【アナンタシェーシャの牙がナート・サンダーを捉える。強大な顎の力を以てして噛み砕かんと欲する】
【けれども、まだしばし時間がいるだろう。それほどまでにヒーローの意志は折れない】
【或いはそれこそが、ヒーローたる所以だと伝える様に、アナンタシェーシャは牙を突き立てられない】


屁理屈だけは一人前だよね! そんな今にも死にそうなボロボロの状態なのに!
子供の言い争いかな、いい年してばっかじゃないの!?
──ニンゲンの味方ばっかり……!! どうしてキミ達も、分かってくれないの!!

じゃあ良いよ、全部、全部壊してあげる! 未来なんて最初から無かったって、教えてやる!
まずはキミ達の子供から、ゆっくりつま先から切り刻んでやるよ
あは♪ 或いは、末端から腐っていく病とか、面白そうだね────!!


【アナンタシェーシャはビームと冷気玉を受けるだろう。牙の力が明らかに弱まり、ぐらりと大きく身体を揺らした】
【イルの表情に苛立ちが浮かんだ。溜まったダメージはかなりのものか】
【──左手の大鎌を振るう、黒い刃が一本ずつ二人に向かうだろう】

【直撃したなら内臓へとダメージが入る。──そういう形質の病を孕んだ刃であった】
【その結果として喀血するかもしれない、イルの子供っぽい所が出ている攻撃だ】
【直線的な軌道は回避するのに苦労しない、が】
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 18:20:40.75 ID:fgTCEbD00
>>844

「(――不意を打つ方向性は駄目か、となると"条件反射"の類)」
「(いや、"再び"巻き戻ったと言うことは……僕が次に動く先に何かをしかけている!)」

【素早く背後を向いた、――予想は正しかった。】
【空中という場は急な方向転換に弱い、地面に向けて水を噴射して病原菌の影響が少なそうな場所でブレーキをかけつつ】
【上だ。……ひとまず上に逃げる。上にも撒かれていたら? その時はその時だ】

「――うん、耐えられない奴は"殺した"。……殺したかったけれども、クソ野郎が回収したから生きちゃってる」

「人間を特別視し過ぎだよ。人ならざる存在たちと共存・交流している世界から来た僕からしてみればさ。」
「それに、――例えば、魔界に住む魔族たちはどうなの?」

「君も"都合の悪い存在を消す"って意味じゃあ、出来損ないの人間と変わらないのさ」

【魔力を喰われた影響か、技の出力に耐えうる魔力を集めるのに時間がかかる。……一呼吸おけば多少は戻るはずだが】
【――その分は思考に回す。一度だけだが攻撃は通っていた、その時と他の場面では何かが違ったのだ】
【攻撃の方法に差は無い、……水のレーザーだから通ったとか、種類に差はないのだろう】

「(――ひとまず、これ以上喰われる前にアレから距離をおかなくては。2回とも回避からの攻撃時に発動している、だったら回避のみはどうなるか)」

【――アナンタシェーシャへの攻撃はある程度の成果を見せている、無条件で巻き戻せるならばそちらも巻き戻して防げば良い】
【距離を離しつつ、魔力の回復を待つことにしたようだ】
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 18:22:17.24 ID:O6cS6lbD0
>>847

【── ロールシャッハは内面でその変容を捉えていた、形質の変化、それは対応力の高さか】
【火の攻撃がきたならすぐさま火に対する耐性を上げる。その辺りの判断が常人の何倍も早い】
【戦いの経験値の多さであろうか、賞賛の声を内心一つ入れて】


──そうだね、この身にはあまり魔力を持ってきてはいないから
それにしても錬金術とは恐れ入る。此処までの事ができるだなんて
僕も観察が足りないな、ニンゲンの奥深さを甘く見ていたようだ

これだけ話していても、君の内面を少しも図れないのが、少々悲しいけども──


【会話の最中にもどんどん武具の数は増え続ける。常人であればそれだけで投了するほどに】
【しかしロールシャッハは実体を持ちながら、その一本一本を見極める】
【── その深奥は未だ遠く、相性の問題もあるだろうか】


────なら次は、趣向を変えてみよう、押してだめなら退いてみる、と


【セアンの足元の地面が黒い霧に包まれ、崩落していくだろう。足をつけていたならその部分からどんどん沈んでいく】
【それはまるで底なし沼のように、黒い霧がどんどんと深みを増して】
【──直ぐに足を抜けば脱出できるだろうが】
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 18:31:10.86 ID:1Q1feBo80
>>842>>845

【真っ赤に染まった世界がきらきらと輝いていた。赤い光が立ち上るのに対して、桜の花びらはあくまで重力に従うようにひらひらと舞い降りて来るから】
【時々赤色の煌めきと桜色の花弁とが交差して――その光景の中で、少女は、カエデのことをじっと見つめていた。ぱちり、と、見開いた目、驚いてしまったように】
【そして理解はたっぷり数秒も遅れて訪れる。――そして少女が相手の言葉を理解したことを、彼らもまた理解するだろう。というよりは、理解、せざるを得ない】

【それで何も分からず突っ立っていたら、死ぬから】

――――うるさい、なあぁ! ――、それも、間違いだったんだよッ! "間違われた"わたしがしたことなんて、意味ないって!
だから曽根上ミチカに使われた、間違いじゃなかったらそんなことにもならなかった! あの工場だって――間違いじゃなかったら、あんなの!

【張り裂けるような叫びが空間を穿った、それは世界に反映されて、それこそ彼らを穿つためのモノに変貌る、――すなわち、地面の下から生え出る桜の根】
【それこそ槍か何かのように鋭く尖った木の根が彼らを貫かんと地面から現れるのだ。きんきんと反響する鈴の音の声はひどく耳障りで、悲痛さに震えたなら】
【――予兆なんて、ほとんどなかった。それこそ少女が見せた"拒絶"、それが、それだけが、予兆に似て。ならばそれは無意識の発露、自分の力を制御できない神の所業】

人間じゃなくなったのが間違いだったなら……、

【――ぎゅうと自分を抱きしめるように身体をちぢこめた。「間違い」という言葉は二つの存在を殺していた、って、誰かが分かってくれるかは、分からないけど】
【ヒトに憧れてヒトのように振る舞おうとする少女である白神鈴音と、それにかまけて自身が神であることを理解しようとしない無自覚の神である白神鈴音、そのどちらもを】
【頑張ってきた(と思っている)からこそ、抉り取られる。あるいは知らねば苦しむこともなかった、だけど知ってしまった。だから、もう、戻れないから】

――――――――――そんなの関係ないよ、分かんないの!? 間違いだったんだよ、じゃあ、返してよ!
"わたし"を"私"に還してよ! ――こんな気持ち悪い身体じゃなくて、それが嫌だって、何が悪いの、――わたしの何が悪かったの!?

【挙げられた名前に少女はより一層声を荒げる、だけど、それがどうしようもない本心だった。どれだけ積み重ねられたって、重ねるための土台はもうない】
【いつか"強いられた変化"で空いた大きな穴ぼこを少女は何年も何年もかけて必死になってふさいできた。そうして大穴に板を渡して、いろいろなもの、積み重ねてきた】
【"間違い"って言葉は彼女にとってそういうものだった。そうやって一生懸命にやってきたことも一緒くたに任せて、深淵の穴の中に引きずり込む、呪い】

――何にも悪くない! なら今すぐ殺して持ってきて、わたしを人間じゃなくした奴を今すぐここへ持ってきて!
何度だって生き返して殺してやる、わたしが知ってる限りの死に方で殺してやる、わたしがそうなるみたいに、何度も生き返らして、ここで殺してやる!
セリーナを攫った会社の人間だよ! そいつがわたしも殺してたんだよ、それを間違いだって言ったの! そんなやつ殺しちゃっていいじゃん! 

【ぞろりと赤色が這いずった――少女の身体からふっと煌めいて立ち上ったものは、半分個体のようにも、半分気体のようにも、それからもちろん半分液体のようにも見え】
【赤い赤い赤い煌めき、悍ましくってただの一滴でさえ人間ごとき簡単に狂わせ殺してしまいそうなもの、――呼ぶなら祟り。それが、少女自身から、あふれ出た】
【そしてそれは反転した空間をきらめかせるものでもあったのだ、――祟りを宿す神。まして女であり蛇ならば、とっておきに"性質が悪い"って、思わせて】

/↓
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 18:31:22.37 ID:1Q1feBo80
>>851

――――人間なんか嫌い、人間のための世界なんか、――大嫌い!

【ばきりっ――とこの世界のいたるところで、音が上がった。それは先ほどと同じ現象、桜の根が鋭く尖り、無造作に――全く狙いもつけずに、いくつも、いくつも、生え出て来る】
【前兆らしきものは、やはり薄い。けれど、冷静であれば対処は可能だ。――ほんの一瞬地面が盛り上がる感覚を目印に跳ぶ。ひどく原始的な手段では、あったけど】
【気づけば舞い散る桜の花びらは赤く紅く朱く変貌っていた、祟りを吸い上げて悦びに咽ぶかのように――咲き誇って、散り急ぐ。だのに花弁は全く減らずに、変わりない】

【――ぼたり、と、少女の瞳から涙が落ちた。涙、だったと、思う。真っ赤に煌めいていたけれど】
【ほんの瞬きの間に針の地獄みたいになった景色の向こう側に、少女の姿は一時隠れこむ――――悍ましいまでに呪わしい表情が、最後に、一瞬、見えた】
853 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 18:34:20.34 ID:ll8XrIKo0
>>841

【ふらつく躰は、病魔の言葉通り抗う力すら残さない様でもあり。体験した痛苦が、守るべき意味さえも否定しにかかる】
【それでも光を失わずに見据える瞳が、黒衣越しに決して視線を外さずにある様でもあった】
【影を帯び、闇に喰われて。それでも砕け散らず、どこまでも鋭利に黒曜は澄んで】


……だけど、それだけじゃない――――……守りたいと思わせてくれるものが、“かたち”の有無を問わずこの世界にはまだ残ってる……。
……一つでも、遺したいものがある限り。
一つでも、そんな“なにか”が、何処かで生まれる余地がある限り……。

この命に代えても、そんな終わりを斬り裂いてみせる――――

【せめてもの抵抗か、幾度も酷使し、襤褸の様になってしまった右腕を、迫りくる世界蛇へと撃ち出そうとして、】

……う、ぐ……っ! ――――――――ああぁっ、く、うぅう――――――ッ‼

【――――その帰結は、早すぎるタイミングで力が迸り、加えた身体能力と併せて右手を斬り飛ばすという無惨な決着。】
【この影を知る者にも、そうでなくともあまりに絶望的な光景だっただろう。宙を舞う片手は、本当に最後の頼みの綱で】
【前へ進み続けようと耐え続けた心は……最後の鍵を、必要なその真実を、未だ得ることすらできてはいない】

【答えが何かなど分からない――――頼るべき右腕さえもが、もうこの躰を離れ世界蛇が襲い来るはずの軌道を無意味に通過して。ならば、行き着く先は無明の闇で。】

……焔翅、剣葬――――――――

【黄金の火が黒衣を灼き、その身を包んだその直後――ないはずの右手を黒髪の少女は振るい、】
【“それでも絶対に諦めないという意志が――――――――忘れ得ぬ過去を乗せて燃焼を選んだ”。】


―――――――――――――迦楼羅ァァ――――――――――ッッ‼

【かつてセロ・ワンダーショットに放った二段加速からの焔翅剣葬=Aそのために必須だったのは、強引に右手を加速させ、さらに力を加える余地】
【そのために切断≠フ力さえも推力に加えて、残る躰が、あらん限りの力を右腕の残りに加え、調整する】

【二力を“繋げる”のは――太刀金翅鳥≠ニの“存在としての融合”からくる、普段とは逆に、自分の躰を召還/再召喚することによる疑似的な転移】
【そのために千切れ飛んだ右腕を、記憶石の腕甲――思い描き記憶≠ウせた形状を再現する、黒い石の鎧から“繋がり”ごと燃焼させ、再現する】

【結果として右手の長大な移動距離そのものを、血と黄金火に彩られた斬撃の軌道と変え、右手に繋げるカタチで己が肉体を再召喚した少女が斬撃を放つ――――‼】
【過去の総てを注ぎ、そして新たな強さを加える。限りなく耐え難い痛みを覚えようと、護り抜くため、越える――――――――‼】


【背負う過去と、願う未来のために。これほどの痛みを受け入れる“強さ”は――――果たして、虚神たちに想像のつくものだっただろうか?】
【けれど右腕を再び繋ぎ合わせたとはいえ、その消耗はこれまで以上だ。いつ絶命しても可笑しくないほどに、この破壊の刃は少女自身を切り刻んでいる】
【死力を尽くすという言葉を、その“生きる”強さを証明する様に。】
【ただのちっぽけな人間は、何処までも諦めずに進むことを――己が“答え”と成してその命を刹那の全霊に賭けた。】
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 18:34:26.30 ID:O6cS6lbD0
>>849

【──── 再び時間は巻き戻った。>>839の状態へと、呆気なく】
【イルの攻撃の鋭さが増す。上への回避をも読みきった黒い霧、完全に仕留め切ろうという算段か】
【同時にレオーテヴュートの脳内には一つの答えが見つかるはずだ、巻き戻す為の条件が】

【即ち "アナンタシェーシャ" は獲物を逃さない猟犬の如く、攻撃が当たるまで永劫を繰り返す蛇であるのだ】


……ふぅん、その動き、どうやら漸く分かったみたいだね、少しは出来るみたいだけど
でもね、分かったところでどうしようも無いのっ、アナンタシェーシャは少しずつキミ達の身を削る
その先に待っているのは死だけさ、だってこっちは削れる事がないのだから

知った口をべらべら利くけどさぁ、共存交流してる世界だなんて、笑わせるよね
内心どう思ってるかすら分かってないの? ニンゲンがボク達みたいなやつをなんて呼ぶか
────"化け物"その言葉で、十分でしょ

ボクは間違えない、正しく選択し、世界を作ってみせる──!!


【イルが翼を大きく羽ばたかせ接近、レオーテヴュートへの距離を詰めようとするだろう】
【左手の大鎌を振り抜く、大きく身体を袈裟斬りにする軌道であった】
【──直撃したなら、今以上に魔力を蝕む。攻撃の仕方が直線的になってきた】
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 18:42:08.61 ID:O6cS6lbD0
>>853

【────弾け飛んだ右腕、病魔は確信した、これでこの剣士は終幕だ、と】
【しかし、次の瞬間自身の目を疑う、その光景は果たして現実であったか】
【人の身で出来る業ではなかった、それこそ最早、神域の精神】


……狂ってるね、やっぱりニンゲンは、どうかしてる……!!
そんな方法で失った腕を補えたつもり? うまくいきっこない!!
いいや、うまくいったとしても────体が持つわけ……っ!!


【病魔の言葉は真実であった。生きたまま五体を引き裂かれるような痛苦が、全身を襲っている】
【にも関わらず少女は攻撃を放った。──驚愕の色が病魔を色濃く支配して】
【アナンタシェーシャが身を放り出す、衝撃がその巨体を大きく後方へと吹き飛ばした】


────バカげてる!! アナンタシェーシャの質量がどれだけあると思って……!!
くそ、だめだ、キミだけは、キミだけは絶対、此処で殺しておかなきゃ……!!
一体どこにそんな力があるんだよ、ニンゲン────!!


【イルの大鎌へ魔力を貯め、振り払う。──刃が宙を駆け、貴方へと向かうだろう】
【衝動的な攻撃であった。回避も迎撃もたやすい、が────】
【この状態での攻撃はたとえ僅かであっても負荷が高いはずだ、精度よりも速度、彼女はそれをとった】
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 18:51:10.23 ID:fgTCEbD00
>>854

「(――回避の意思のみでも駄目、かっ!)」

【急ブレーキ。追い詰められていく、空中故に方向は地上よりも多いが】
【ただ闇雲に回避しているだけでは、そのうち囲まれて喰われてしまう】
【――回避が駄目ならどうすればよいか、自身の能力では"魔力を奪う"攻撃に対する防御は難しい】
【いわゆる"盾"を生む技は回避扱いされるのではないか? ――じゃあどうするか】

「へぇ。化け物呼ばわりされるのがそんなに嫌なんだ、出来損ないの言葉なんて聞き流せばいいじゃん」
「そもそも人間じゃあないなら自分たちの事を化け物呼ばわりしてこないなんて言えるの? ねぇ」

【――鎌はそのままレオーテヴュートを裂くことに成功するだろう。脚部が人間のそれにへと戻り、地面かどこかにへと墜ちる】
【だが、斬り応えに妙なモノを感じるかも知れない――運動エネルギーが壊されているような、重さ】

「(……これで4枠目か。水に落ちた時の為にヴァイブレート・E・フィッシュは残しておきたかったけれど、仕方ない)」

【墜ちると同時、傷口か身体のどこかから噴き上がるは白く光る火炎。エネルギーを焼き尽くし破壊する力も持った、聖なる炎だ】
【彼が選んだ行動は、"クロスカウンター"……空中にいながら魔力を蝕む攻撃に耐えつつカウンターを行うにはどうすれば良いか】
【その答えが、前述の変身だった。】
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 19:02:03.75 ID:O6cS6lbD0
>>856

【急加速するイル、その表情には鬼気迫るものがあって。真っ直ぐに嫌悪の意思を向けていた】
【それはレオーテヴュートの言葉に対する何よりの答えであった、彼女の表情が肯定を伝える】
【──── 虚神であるイルの最も大きな弱点、それがこの言動に全て、集約されていた】


出来損ないの存在だからこそ我慢できないの! ニンゲン風情に化け物呼ばわりされる事が一番ムカつくの!
言わせる訳無いじゃない! ボク達の事を、誰にも否定なんてさせないから!!
でもね、ニンゲンだけだよ、そんな自分の身もわきまえない発言するの!!

ボクは許さない、ボクを愚弄する事も! ボクを否定する事も! そんな存在、全て否定してやる!
幾つもの宇宙がボク達を尊敬した、ボク達を崇めた、なのに、なのに!! ニンゲンだけが、認めないから!!
そんな存在────全て消し去ってやる!!

────つーかまえた!


【イルの大鎌がレオーテヴュートを切り裂く、恍惚の笑みが少女を包み込む】
【刹那、その表情が固まる。妙な手ごたえが指先にあった】
【まずい、と内心に驚愕が現れた。────これは、しゃれにならない、と】


ああああああっ!!! ぐぅ……!!! あっぐ……!!
なにっ……これ、わけ、わかんない……!!


【エネルギーを焼かれる。イルは思わず飛びのき、アナンタシェーシャの背に座り込む】
【呼吸が荒かった。レオーテヴュートの捨て身の一撃は、彼女の身を大きく削った】
【少なくとも追撃はできない、身を焦がす炎に、苦しみを委ねながら】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 19:03:21.03 ID:Qsqi5dxa0
>>850

「やっぱり、本体じゃなかったか、まぁ弱すぎるしな。」
「俺が極めただけだぞ、世の中の錬金術師が皆これだったら世界はとっくに破滅しているぞ」
「だなお前らは人間をなめすぎだ、もっと警戒して研究して対策を練ったら良かったのに」

「俺の内面を知ろうなんて千年早えよスーツ野郎、だからサッサと死んどけ」

【槍を弓に持ち替えて一度撃っただけで、無数の矢になり襲った】
【セアンはやっぱり強いと思っただったらもうちょっと厳しくしようかなと思い】
【錬成の量を増やして一部能力解放をした】

⦅我創り出すもの⦆
  ⦅我雄創造⦆

【小山と同じサイズの剣を創り出してスーツ野郎に放つと同じタイミングで】
【セアンの足元が底なし沼のようになり、セアンが沈んで行く】

「ちっお前の能力か?まぁ、どうでもいい今は出ることに集中だ、」

【⦅黄創雄我⦆自分の足元に盾が出てきてそれが自分の足場になり】
【それを使って上に上がり槍を相手に向かって突く】
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 19:04:26.24 ID:jgRPvcu20
>>851>>852

「そうか……」
「では、君は世界の全てを憎むか?」

【赤と櫻が奏でる暖色の世界】
【世界の赤と、そして桜の花弁の色が織り交ざる幻想の世界】
【厳島自身は、その世界にすら懐かしさを感じてしまう】

「セリーナを攫った?レヴォル社の事か!?」

【まさかここで、その名前を出すことになるとは】
【あの企業でブランルの他に知っている名前は、面識は無いが赤木と言う人物】
【当の本人とは、まさか厳島も考えてもみなかったが】
【やがて……】


「間違い、か、それは君をそうした者が言った言葉なのだな?」

【状況を知らない為に、全ては理解しかねる話だったが】
【鈴音の言葉は、間違いなくもそう話しており】
【それは酷く、残酷に聞こえた】
【あちこちで、桜の根が隆起し、そしてそれは武器の如き槍の様な形状を取り】

「では、俺はその間違いを否定しよう」
「返して欲しい?なるほど、つまり返れるならば帰りたい、と認識して構わないか?」

【極めて淡々と、努めて冷静に】
【そう鈴音に言いながら、聞きながら】

「その手立てを、探す気は無いか?」
「UTが無理ならば海軍がある、道を探す手段は、いくらでもある」
「鈴音、君にはそれを手伝い助けてくれる仲間達が沢山いる」
「カニバディールも、ミラも、つがるも、命がけで君が元に戻る方法も、君のしたい事も助けてくれるだろう」

【激昂する鈴音に対し、あくまで淡々と答える】
【認識と知識には酷く相違があって、だが、埋める事は決して不可能ではない、そう感じ取り】

「最後の質問だ」






「それでも、君は、その者達全てを『間違いだった』と同じように否定し、屠るのか?」
「間違いだったと、見なかった事にして、全てを無かったことにして、神として振る舞い[ピーーー]のか?」
「それを打ち消せるかもしれない未来を、それすらも否定して」

【隆起する地面に合わせ、そうして、その攻撃翌友防御ともとれない木の根の槍を、飛び退いて回避しようと試みる】
【最後に見た表情は、泣いていた】
【赤い涙を流していたのだ、まだ、まだ……言葉は通じる、と】
860 :アーディン=プラゴール&ナート・サンダー ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 19:09:55.59 ID:rqYwUM5E0
>>848

――――屁理屈によってでも、生きるのが人間だ……お前は人間に何を期待した、コンピューターか!?
「――――いい年か、なってみるんだな。そうすりゃ分かるよ、オヤジの心意気もな……! あるいは……子でも産んでみたらどうだ!?」

【ふと、ヒーローとしてではない、生身の人間としての言葉を口にするナート・サンダー。時間を操る怪物を使役し、自らも神を名乗るイルには、まず届かないだろう境地だが】
【――――年を取り、枯れていくからこそ分かる境地があるのだ。所詮、父にもなれなければ、母にもなれないだろうイルに、それを理解できるとは、思わない】

滅ぼされることを、分かれというのか!
「今度はいかにも『神様』らしい、てめぇの勝手な理屈を言うものだな! 何が気に入らないか知らないが……先に拳を振り上げたのは、お前たちの方だ……!」

【なぜ、そんな嘆きを怒りに乗せるのか――――親父たちの怒りが、静かに滲む】
【外見通りに、子供っぽいところがあるのは、もう既に理解した――――ならこれは、無邪気な残酷さとでもいうべきなのだろうか】
【――――否、こんな存在が無邪気であってたまるものか。アーディンも、ナート・サンダーも、言葉こそ交わさないが、見解は一致していた】

――――輪廻の理屈に従うなら、『未来』はなければ『過去』もない、そして『今』もなくなるぞ……それで良いのか悪魔の小娘……!

【どうも、彼らの存在は概念に依存している。なら、そこを突いてみよう――――そんな思惑で、アーディンは挑発を言葉に乗せた】
【時間の外にいる存在だから、などとは言えないだろう。間違いなく時間に依存している存在なのだから。なんと言葉が返ってくるだろうか――――】



「――――っく! さすがにもう限界だ!!」
仕方がない、離れろ! あとは外から、こいつの腹を何とか切り裂くしか――――ッ!?

【このままでは、スーツは破壊され、自分自身が真っ二つになる結末が待っているだけだ。やむなくナート・サンダーはアナンタシェーシャの虎口から逃れる】
【やはり――――こいつ自身は、レッド・ヘリングの様な奇をてらったからめ手の存在ではない。確かなダメージの蓄積を感じる】
【ならば、チャンスをうかがいつつ攻撃すればいい――――そう決めたところに飛んできたのが、イルの斬撃だった】

なに!? っく――――ぅ、ガハッ……!?
「なっ、『ソニックカッター』!! ――――あ、アーディン!? くそっ……『爆裂スパイラルリボン』!!」

【咄嗟に、アーディンは回避し、ナート・サンダーは真空の手刀で弾く。だが、アーディンは回避しきれずに体に掠らせてしまう】
【そして――――病はその体を侵し、思わずその場に喀血――――どうやら、力の規模こそ異なれど、イルが戦闘態勢ではない、という事もない様だ】
【その様を見て、ナート・サンダーはイルへと向けて左手を突き出し、武器を行使――――螺旋を描いて飛ぶ、線状のビームが発射される】
【幅広に、多少エネルギーの減退があっても、確実に捉えようとする一撃だ。咄嗟の行動で、アナンタシェーシャまで手が回らなかったのだろう】
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 19:13:14.84 ID:O6cS6lbD0
>>858

【荒々しい口調と、それに呼応するような降りしきる矢であった。──ロールシャッハは内省する】
【どうやら内実はとても激情家のようだ、とも。内心に思いながらも口には出さない】
【言葉に呼応するような矢、ロールシャッハが楯のように黒い霧を出したなら、矢は殆どそこへ消えていくだろう】

【──底なし沼を楯のように使う。原理は分かれど、能力の体系はやはり不可思議であった】


ふふ、千年早いか、ならば千年程度待たせてもらえるかな── 僕も君も、どうやら永劫を生きれるようだ
それならば時間は問題ないのではないかな、一つ忠告させてもらおうか
蟻を恐れる象がいるだろうか、僕にとってもニンゲンとは、つまりそういうものさ

──なら、錬金術師を極めた君を倒したなら、世の錬金術師はおそるるに足りない、と


【続いて放たれるのは巨大な剣であった。流石の彼もそのサイズに閉口する】
【単純な回避ならば続く槍の攻撃に捉えられるだろう、それならば────】
【彼はあえて接近戦を仕掛ける、巨大な剣はその懐に潜り込めば回避できる】

【槍の突きは脅威であったが直線的な攻撃ならば、右肩を槍が貫くだろう、が】


────やっと君の近くまで接近できたよ


【流れ出る血をそのままに、ロールシャッハは不適に笑った】
862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 19:16:17.40 ID:fgTCEbD00
>>857

「君を認めないのは本当に人間だけかい?」
「僕は人間じゃあない。ああ、でも僕は元人間だから微妙だね」
「うん、皆にアンケート取ろうよ。魂持つ者たち皆にさ――」

【血の軌跡が宙に描かれる。僅かに虹色の魔力が混じった、けれども蝕まれゆく赤い液体】
【――強い衝撃が身体に迸る。多少は翼で減速して致命傷や湖落ちは免れたが】
【魔力を蝕まれ、大きく身体を斬り裂かれたこの状況だ】

「ねぇ、皆。……回避は駄目だけどクロスカウンターは効くみたい」

【――こちらもすぐには次の行動に移れなかった、魔力を利用せずとも攻撃ができる形態もあるが】
【そちらへの変身にも今は時間がかかる。だから】
【他の者たちに、情報を託すことにしたのだ。――湖の畔で、身体を少し起こしながら伝える】
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) :2018/05/19(土) 19:23:48.54 ID:O6cS6lbD0
>>860>>862

────何も期待してない! あんな連中に何も期待するもんか!
ああそうだね、期待するとしたら早く絶滅してくれないかなって事! あんな苦痛だけ生んで、何もしない連中!
みんな! みんな!! みんな!!! 滅んでしまえばいいんだ!!

……ふ、ふふ、アハハ!! ボク達が最初に拳を振り上げただって? 笑わせるね!
何時だって最初に手を出したのはニンゲンだよ、奴らの勝手な理屈でボク達を縛ろうとする!
だからボク達はきちんと理解させなきゃいけないのさ! どっちが上で、どっちが下か!!


【イルは言葉を向ける。── レオーテヴュートの攻撃が直撃し、アナンタシェーシャの背に隠れている状態で】
【機動力は失われた、それでも紡ぐ言葉は止めない。凄絶な言葉が雨の様に降り注いで】
【同一視する音律に、僅かばかりの果てもなく。やがて止め処なく流れていくのだろう】


── それはキミ達が輪廻の渦中にいるからだよ、観測者たるボクらはそれをメタ的に捉えられる
分かるかな! キミ達は時間の流れにとらわれてるけども、ボクらはそうじゃないのさ
概念は時間の観念にとらわれないのさ、哲学の基本でしょ?


【再びアナンタシェーシャが攻撃を防ぐ。巨体が大きくよろめいた。── 反撃はない】
【白い蛇に蓄積したダメージはかなりのものであった。すぐさまの反撃に移れないほど】
【否、満身創痍はこの場にいる全ての存在がそうであった。そして>>862に言葉が飛ぶ】

【────イルの表情が強張る】
864 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 19:27:28.11 ID:ll8XrIKo0
>>855>>862

……はぁ、はあ……っ、ぅ、く――――――――っ……

【病魔の見立て通り、剣士の肉体は完全に限界を迎えている。もう、動けようはずがなくて】
【時戒の宝玉≠ニの精神接続が及ぼす負荷も、世界蛇の精神干渉と相俟って、不撓不屈の精神さえも消しきりかねない域に達している】
【……それでも、この躰を頽れさせないものがあるのなら。】


……“この世界に”――――そして今や過去や未来にあるはずの、かけがえのない“私の大切なもの”に。

そんな流れを絶やせないのは――――もしも戦う理由を持てるなら、貴女も同じはずだけど?

【クスリと、橡色の瞳に煌々と戦意を湛えて少女は――――八攫柊はイルへと笑った。挑発の様で、諦めてなどやらないと改めて示す様、不敵で】
【過去も次代も無いであろう虚神には、ひどく残酷であるのかもしれない言葉だった。それさえも、武器として刻んで挑む意志が】
【そうして、今一度前に進むことを選ぶだろう】

【……きっと、囮くらいが限界で。勝てるとしても、もう、言葉を交わすこともできなくなるのかもしれない肉体――――。】

(……それでも、いいよね――――?)

【ずっと守りたかった、世界さえ引き換えにしてしまいそうな大切な“ひとり”。想えば、限りない痛みとともに力が湧き上がった】
【きっと泣かせてしまうのだろうし、それは苦しくて仕方ないけれど。守りきれたならなんて自己満足を、兇器は、少女は、選び取り】

――――――――……ハァアアアアアア――――――――ッッ‼

【――――命尽きるまで生きて、戦い抜くと、血に穢れた躰が地と宙を蹴り飛翔した。】
【コンマ数秒の足場を作ることすら限界を早めるも、もう一度、今度はイルへの経路を構成することを狙う】
【世界蛇が動くなら、その時こそ潜伏させた魔力の遣い所――――カウンター≠ェ、傷口を抉り抜き斬り飛ばさんとするもので】


【最接近――――記憶石≠フ腕甲とあの太刀を構える右腕は、切断者の背へと構えられ。“振り抜くだけで胴を別つと、そう確信させながら”、】
【僅かにタイミングを早めながら、囮めいて前方に構えた左手が黄金の火を纏う刺突を放つのだ。構えの差異と間合いの延長とを以て、決定的に優位を導きながら――――。】

【けれどそれは、ある程度の余力を確保できていればの話だ。幾つも限界を迎えなお戦意を振り絞る躰は、もう、常の精細を半分も残せてはいない】
【だからこそさらなる重傷を擬装し、偽りの呼吸を読ませ、踏み越える。脆弱なヒトがヒトを相手取るための業は、何処まで彼女へと通じるのだろう】
【共闘する者たちに、後を託す様な想いが、ひどく寂しく――それでも生き抜かんとする全力が、世界に解を求めるよう、刃を揮った】
865 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 19:29:21.68 ID:ll8XrIKo0
/分かりづらい文になっちゃったので補足を…‼

>>864
【僅かにタイミングを早めながら、囮めいて前方に構えた左手が黄金の火を纏う刺突を放つのだ。構えの差異と間合いの延長とを以て、決定的に優位を導きながら――――。】

【僅かにタイミングを早めながら、囮めいて前方に構えた左手が太刀を再召喚し、黄金の火を纏う刺突を放つのだ。構えの差異と間合いの延長とを以て、決定的に優位を導きながら――――。】
866 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 19:31:20.21 ID:rqYwUM5E0
>>845

――――そのつもり、ですがっ――――何故だか最近、色々と、抑えきれないものがあります――――ッ
――――もしもの時は、生き延びてください。窮地を預かるのは、私の――――『兵器』の役目です――――

【元より、ラベンダァイスの心は冷え切っていた。だからこそ、冷徹に己を『兵器』とも自称してみせるのだが】
【なぜか、ここ最近はラベンダァイスの心を抉る出来事が多かった。余裕が――――失われつつあった】
【だからこそ彼女はなお、己の存在に固執する。兵器でいる事――――それだけが、平常心を維持するための手段なのだから】

>>851-852

ッッッ!! 『セイバー・フォース』!!

【輪廻の激昂――――そこまでは予想の範疇だ。だが、その先の攻撃までは、さすがに読み切れなかった。慌てた格好で、ラベンダァイスは力を行使する】

【黒い身体に幾筋かの光線のラインが入った、細く歪んだ人型】
【右手は肘から先が光の剣となり、左手は肥大・硬質化し、爪のついた盾の様な形になる】
【何らかの機械の様な頭部には、ラベンダー色の髪が、束ねられたように幾筋かに分かれ、風もなくはためいている】

【斬撃と跳躍の『セブン・フォース』の形態の1つ。黒い剣士だ】

――――そんな事は聞いてないッ、私の言葉に答えろッッッ!! あんなバケモノに、命や未来を預けて、おかしいと思わないのかッッ!!

【――――隆起する槍を回避する】

子供たちに食事を振舞って、ファラエナちゃんにお姉さんとして慕われたことも、間違いで済ませるつもりなのかッ!!

【――――隆起する槍を回避する】

――――人に『間違われた』事を言い訳にして、自分から人を殺して良いとでも思ってるのかッ!! っぐ――――ッ

【――――槍を回避しきれず、その細い脚に裂け目が走る。ヨタッと危うく体を崩れさせそうになった】
【両手に力を籠める――――もう、下手をしたら自分たちは――――本当に鈴音を殺さなければ、ならなくなる――――】

――――なんで、それを言わなかったんですか――――ッ、あなたの敵なら、私たちの敵も同じ事――――そんな奴を殺す事を、敵として殺す事を、私たちが止める筈、ないのを――――分からなかったんですか――――ッ
それを――――この世界を、人間の為の世界にしてしまうのは――――あなたが黒幕や円卓との戦いを捨てる事にあるんですよ――――ッ!
こんな事をしでかして――――奴らにおいしい正義をくれてやって、どうしようっていうんですかッ!!
――――自分が人間じゃないって思うのは勝手だ――――だけど、あなたは『ケツァル・コアトル』じゃないし、神でもない――――
そして、イルの奴から見たら、腹の底であいつは、あなたの事を人間としか思っていない――――分かりますか、答えてくださいッッ!!

【歪めた元凶――――その事を、ラベンダァイスは初めて知った。なら何故、それを言わなかったのだと、鈴音に怒鳴りつける】
【――――敵を討てでもしたら、そうすれば、多少なりとも留飲を下げて、イルの口車に乗せられる事もなかったはずなのに――――自分の『間違い』を清算するために、こんなやり方をする事は、断じて認めない】
【そして――――あの災厄は、決して鈴音の味方などではない。それをラベンダァイスは繰り返す。そして思考を、返答を促す。答えろ――――と】
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 19:37:31.74 ID:1Q1feBo80
>>859>>866

【少女の姿が無数の根の向こうに隠されて、一瞬、静寂が満ちた。――ううん、だけど、それは、ただ気のせいでしかなくて】
【きんきんうるさい声でしゃべる少女がいっとき黙ってしまったからに他ならなくて。ならばとばかりに、代わりに鳴り出す音は、いやに不吉な地響きだった】

――――――――ふふっ、ぁは、――あはは、っ――――、

【――やがてそこに混じり出す、笑い声。ごりごりと地面の下から音が鳴り響いて、笑い声に重なったなら、全く別の化け物が潜むような錯覚】
【無数の根がぞろりと融解する――その向こう側に少女が見えた。笑いすぎた、って様子でお腹を抱えて、くすくす、きゃらきゃら、苦しそうなほどに笑っていた】
【だけれどそれは決して相手の言葉に反応したのではなく。身体の内側をぞわぞわって何かにかき乱されるみたいに。それがくすぐったくて、仕方ないみたいに】

【――――――ぷつり、と、音がした】

――ねえね、わかんないの? 神様はね、誰かに見てもらうことが大好きなの、信じてもらうとね、ぞくぞくするの、きもちくって、トんじゃうの。
そのたびに力が強くなるの、だから神様は信仰を集めるの、いろんなひとに見てもらって……うんとうんと大きな存在になるの、気持ちいいから、やめられないの。
"こんなの"やめらんないんだよ、戻れないの、――今だって、わかるの、ここの外で、イルちゃんが戦ってるの。イルちゃんがわたしのこと考えるたびにね、ぞくぞくってするの。

――――だからきっとわたしは病気なんだ。

【その瞬間に少女は張り裂けた。身体の至る所がぷつぷつって裂けて、そこから、ぞろぞろと無数に蛇があふれ出す。黒い蛇。最初は一つ、二つ、だけれど、やがて】
【濁流によって堤防が押し流される瞬間みたいに――少女、の形を打ち破って、その内から。無限とも思えるほどの蛇が――それぞれ鋭い牙を剥いて、迫るから】
【それはまさに濁流のあり様だった。黒くうぞろうぞろ這う無限の黒蛇の濁流――あるいはその鱗がざらざらとやすりのようであることも、気を付けねばならないだろう】
【――ただそれらは数が多い反面で、一匹一匹は単なる蛇と大して変わらなかった。殺せば死ぬ。ただしその中身は赤混じりの桜色の魔力であって、悪趣味なお菓子のように】

【それと同時にぞっとするほどに濃い魔力が発せられる――それは"氾濫"を促す神の命令、この場においては、これら黒蛇がその役割を果たす】
【けれどあるいは"外"にさえ伝播するのかもしれなかった。水を操り溢れさせる力――それは白神鈴音という生まれたばかりの神に宿る、別の神の力】
【それ自体は彼女の力ではない。けれどその神を喰らった少女には、その力を使うことが出来た。――けれどそれが外まで届くのかは、ここに居る自分たちには見えなくて】

【――――ぞろりと黒色の瞳から蛇の一匹を"産んだ"少女は笑っていた。彼らがそれを見ることは難しくっても――ずべたっ、と、産まれた蛇は落ちて、濁流に紛れていって】
【それはほんの数秒間の出来事。だけれど、もはや面というより空間そのものが襲い掛かるみたいな、攻撃――そう、攻撃だった。さっきまでのとは違う、明確な】

――イルちゃんがわたしのことをそんな風にだなんて、言うはずないッ! ――ケッコンするんだから、ひとつになるの、どろどろって溶けて……。
溶けて溶けて一つになるの――、ねえ、そしたら、きっと、うんと気持ちいいから。

【――熱に浮かされたように笑う、笑って、――けたけた、って、笑い声が空間に響く】
【神様の力を行使するのは、やっぱり、"慣れていない"と分からせるかもしれなかった。――それは明確な隙、彼らがうまく、濁流の中泳ぎ切ることが出来たなら】
【今となっては裂けた後もなく真っ白な服も肌もそのままで。色違いの瞳もそのままで。ああ、って、――ひどく恍惚とした声、漏らすのだ。自分の力を確かめるように】
868 :アーディン=プラゴール&ナート・サンダー ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 19:47:18.34 ID:rqYwUM5E0
>>862-863

――――ガ……っ、人間の存在に依存しなきゃ、存在できない――――如何にも『神』らしい言葉だ……I!
人間など、取るに足らない虫けらのように思うなら、高次の存在として誇り高くあり続ければ良いものを――――ッ、ぐ……!
「……貴様らは所詮、偽りの『神』だ。そこの猫の言うとおりだよ。本当に人間より高尚な存在なのか? 分かったものではない……」
――――貴様…………!
「ほら、いつまでも血なんか吐いてないで立ち上がれ。これくらいの激がなきゃ立てないって、嘘だろ」
――――後で、一発覚悟しておけ……!
「はいはい、そっちこそ、後で一杯奢ってもらうからな……」

【人間を無視できず、わざわざ直接に害をなそうという神など、どんなところで謳われているのだろうか。どこで信仰を集めるというのだろうか】
【――――ふと、誰かの言葉を思い出す『神なんて人間の作り物に過ぎない』と――――それは、概念遊びとしか思わなかったが、或いはこいつらにとって、存外に当てはまる考え方なのではないか、と】

【ダメージに喀血するアーディンに、さりげなくナート・サンダーは棘を含んだ皮肉を飛ばす。苛立ちが――――支えになるなら、この際何でもよい――――ようやくアーディンの身体を起こした】

「なに……ッ、しまった、よく聞き取れなかった。なんて言ったんだ。今、確実にあの悪魔の表情が変わったぞ?」
――――回避はだめだがカウンターは有効、だそうだ…………本当か。だが、本当なら――――ただひたすらに、攻めれば良い……!

【そして、その糸口は伝搬する。ナート・サンダーは聞き取れずとも、アーディンはそれを聞き取った】
【そして――――ダメージにはまずいアーディンでも、肉弾戦にも強いナート・サンダーがいる――――イレギュラーさえなければ、そしてこれが真実ならば、この戦闘、もらった――――】

っ――――はぁぁぁぁ…………ッッ!!

【一度、呼吸を整えて――――アーディンは刮目し、跳躍する。狙うは、ただ只管にアナンタシェーシャの身体】
【自ら突進し、さらに能力『攻撃能力を持った光の分身』を発動。右と左、2重の斬撃を見舞う】

「なら――――攻撃させなきゃダメだな! 『バーニングブーメラン』!!」

【それを見送りながら、ナート・サンダーも再びエネルギーのブーメランを投擲。自分に向かって攻撃してくるようにと誘いをかけた】
【無視するならそれで結構だが――――その間にも、アナンタシェーシャは消耗していくだろう】
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 19:52:29.09 ID:Qsqi5dxa0
>>861

「だな、俺もお前も千年何てすぐだよな、わりぃ言い直すわ、永遠に早えぞスーツ野郎」
「なら、俺は像を狩る虎だな、これでお前を殺し肉を喰らう事が出来るぞ、」
「まぁ、そういう事になるな。だが俺は簡単には死なんぞ!!」

【巨大な剣を普通に回避するのかと思いきやこちらに突っ込んできやがった】
【俺の突いた槍を右肩に受けながらも突っ込んできた】

「つっ面白れぇ!だったらこっちもインファイトしてやろうじゃねえの」

【槍をスーツ野郎に投げてから今作れる剣の中で最強の物を創り、切りかかる】

「気持ち悪い顔すんなよ、そぎ落とすぞっ、いいね!面白くなって来たぜ」
「オラァァ喰らいやがれ、⦅深名開放⦆《スピリニル》こいつはいてぇぞ」

【セアンが深名開放をしてスーツ野郎に切りかかる】

//すいませんがご飯に行きます
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 19:58:07.78 ID:jgRPvcu20
>>866>>867

「っく、ダメか……」

【会話は出来る、間違いなく出来るのだが】
【意思の疎通が、出来ないのだ】

「ラベンダァイス、力は尽くしたがすまない……」
「我々には、説得は困難だ」

【奇声にも近い、狂った、そして狂おしいほどに愛らしい笑い声だった】
【それは最早、神代の人間の境地なのかもしれない】
【苦悶の表情を浮かべ、傍らで同じように声を上げるラベンダァイスに声をかけた】
【やがて……】

「っぐッ!?」

【鈴音の声と共に、その場に解き放たれたのは、大量の蛇】
【それは内部から生じ、さながら、鉄砲水の様に、氾濫の様に】
【あるいは出産のその状況の様に……】
【押し寄せるのだ、蛇と魔翌力の渦が】

「僅かでも、迎合の意思があるならばと思ったが……止む追えないな」

【この世界には、どうしようもなく】
【どうしようもなく、止められない者がいる】
【彼らが、最後にしてやれる事は、敵対し殺してでも止めてやる事】
【それが、最後の優しさなのだ】

「鈴音……貴様は最早、人類の敵となった」
「……貴様を、仕留めるッ!!」

【もはや完全に正気を失い、そう狂ったように恍惚の表情で語る鈴音に、もはやイル意外の言葉は届かない鈴音に】
【軍刀を抜き去り、切っ先を向け】
【こう、言い放った】
【そして……】

「術式構成、展開……『風刃結界』」
「ラベンダァイス、ここを動くな!!」

【迫りくる大量の蛇と魔翌力に向け、自分とラベンダァイスの間に、風の刃での障壁を展開し】
【少女と自分を防衛しようと試みる】
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 20:16:00.55 ID:O6cS6lbD0
>>864

【柊の言葉はあまりにも残酷であった。紡がれてきた縁が人間の強さであるのなら】
【前も後ろもない "虚神" 達には進むべき道も、戻るべき道も無く──唯、今を無為に過ごす事しかできなくて】
【それをイルは分かっているのだろうか。否、きっと、彼女は否定する。それすらもニンゲンの所為にして】


────!!! だめ……!!


【アナンタシェーシャが誘いに乗ってしまう、柊の元へその首を向ける。その身体を噛み砕かんと】
【牙よりも先に刺突がその傷口を捉えた。黄金の火が傷口を焼いて】
【アナンタシェーシャは身悶えしながらも、柊へとその身を捩り、たたきつける】

【もう理解できているだろう。この致命的な一撃を、確固たるものにするには、アナンタシェーシャの攻撃を、受けなければならない】
【互いに蓄積されたダメージ量は大きい、この一撃の行方如何でどちらかが倒れるかもしれない】
【けれども過去を確定させるには、騙さなければならない。神たる蛇を、欺く────】

【────それこそが原初の罪、齎された原罪であるから】

>>868

誇り高くあれだなんて世迷い言──!! 自分の理屈で定義するのがニンゲンのやり口だもの!
うるさい、うるさい……!! よくもまあそこまで嘯ける! それだけ傷を負いながら、まだ向かうんだね!
とっとと諦めれば良いのにね! 諦めるの得意でしょ? 今までも、これからも、そうやって諦め続ければいい!!


【イルの激昂と裏腹にアナンタシェーシャは切り刻まれその身を苦悶に捩る。一度大きく湖畔に身を乗り出して】
【そして顔だけでブーメランを追うように身体を動かす。消耗しつつもオッドアイの双眸は二人を捉えて】
【大きく顔を伸ばして薙ぎ払う。Slasherと一緒だ、ダメージを確定するためにはこの攻撃を受けなければならない】

【── 消耗戦であった。多勢に無勢、アナンタシェーシャはレッド・ヘリングと違い物理攻撃が有効なのが裏目に出た】


>>862>>864>>868

【────刹那、この場にいる全員が虚を突かれるだろう。アナンタシェーシャが鎮座する湖の水が、突如その嵩を増した】
【 "Lathe" の水が氾濫する。先ほどこの場にいる皆に悪夢を齎した "Lathe" ──── そもそもこれは、アナンタシェーシャの分泌液】
【アナンタシェーシャの胃袋にいる存在が、溶けて出てきた液体であった】

【溢れ出た液体がアナンタシェーシャの傷口から内部へと流れ込む。それはさながら永劫を内部で循環させる様に】
【永遠を示す尾を食べた蛇と一緒の光景であった、身を捻り。その内部へと "Lathe" を浸透させていく】
【神とかした白神 鈴音。── それをもう一度、自身の内側へと取り込む、彼女の性質を、宿していく】


……ふふ……はは、はは────!! さすが、さすがだよ、鈴ちゃん────!! それでこそボクの、大事なパートナー
なんて、素敵なの! このタイミングで、こんな事してくれるなんて、ホントに素敵なの!
あはは、まさか、だよ、まーさーか、ほら、目を見開いて見るんだよ

──── "輪廻" が巡る。円環の理が、正しく方向性を示すのさ。
鈴ちゃんはどれだけ傷ついても直るのさ。それが彼女の持った "へびさま" の理屈。
それはね、とてもアナンタシェーシャと<親和性/神話性>が高いのさ、成り代わるぐらいに

再び巻き戻るのさ、アナンタシェーシャが、あるべき姿へ!!


【アナンタシェーシャの傷が、元通りになっていく。 "Lathe" の水を一身に浴びて、傷さえも無かった様に】
【輪廻の蛇は自らの中で循環する、その身に纏う時は永劫────】
【黒と赤の双眸がその場に居る全員に向けられる、確かな敵意を持って。】
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 20:16:52.12 ID:O6cS6lbD0
>>ALL




【──── "厳島 命" ────の端末に連絡が入る、それをきっと、貴方は確認できずとも】



【その空間が世界の理から外れていても、届く思いは決して、挫けはしないから】
【無明の中に光を探す。その行いは無駄ではない、その先に残る希望を探すように】
【例えその先が果ての無い地獄であったとしても、進み続けるその先にしか】



【──── 希望 はないと、雄弁に語るのだろう】



【 "血の処断" 後、カニバディールの場所で治療を受けている最中彼女は厳島の連絡先を手に入れた】
【出すぎた真似であった。けれども『三課』の諜報員たる彼女は、厳島の能力を高く評価していたから】
【貴方となら世界を救える。──そう確信したなら彼女にもう、迷いは無かった】



【──── あんな辛い体験はもう、したくなかったから】



【定期的に足取りを追っていた。端末の連絡先さえあれば『三課』の目たるリーイェンに不可能はない】
【工場での事件。その全貌は知らずとも、何かに引き寄せられる様に彼女はその跡地に向かって】
【焼け落ちたその惨状から、無数の亡骸を踏破し、先ほどの冊子を見つけていた】



【──── それはまるで引力。虹に惹かれるようにその根元を辿った】



【そこで "貴方達" と出会ったのは本当に偶然であった。彼もまた白神 鈴音を探して旧市街に来ていた】
【渡りに船。── 彼女は伝える、自分の能力なら白神 鈴音の元へとダイレクトに運べる、と】
【だからお願い、と彼女は言う。そこから先の支援は彼女に出来ないから、と】



【──── 今もう一度。あの子の為に飛んで下さい】



【あの子の笑顔を、あの子の幸せを、無かった事になんてしちゃいけない。あの子が不幸で終わっちゃいけない】
【誰よりも優しく、誰よりも健気に、どんな時でもあの子は、誰かの為を思って生きていたから。そんな終幕は悲しすぎる】
【そんなあの子が苦しんでいるのなら、直ぐ側に行って、引きずり出さなきゃいけない、から────】



【──── ハッピーエンドを、取り戻しに行きましょう】
873 :@mail [saga !red_res]:2018/05/19(土) 20:17:38.53 ID:O6cS6lbD0






【送信者────鵺】








【送信先────厳島 命】














『──── 正義の味方は、遅れてやってくるものです』

874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 20:18:43.54 ID:O6cS6lbD0

【 "アナンタシェーシャ" へ落雷が落ちる。黒き雷がその脳天を真っ直ぐ貫き、吹き荒れる衝撃を湖畔に響かせる】
【アーディンならば、或いはレオーテヴュートならば、もしくは "The Slasher" ならば、その正体を辿れるかもしれない】
【黒い雷の中に一組の男女が、帯状の雷撃を纏うように存在していた事を────】




     昏遁制御開放術式
──── "Sonata Arctica"────




【錐揉み回転しながら脳天に着地し、少女は印を結ぶ。── 黒いマフラーが風に靡いて】
【忍装束の少女は影を纏いながら降り立つ、小さく呼吸をして、その目に相対する蛇を見つめる】
【オッドアイの蛇、知らない筈なのに、何故かとても、懐かしい気がして】

【彼女は自身の側の"半魔"へとアイコンタクトで合図をする。 "この中です" と静かに伝えた】
【マフラーを解き、アナンタシェーシャの頭上に広げた。 二人 が触れたなら分かるだろう。それは水面の様で】
【触れたなら沈んでいける。そしてそのまま、その奥へと向かえるだろう】



昏遁術式──夜行"Nightfall"



【何時までもグズグズはしてられない。アナンタシェーシャが再び活動を開始するのは直ぐであった】
【彼女は貴方達を急かすだろう、その目には── どこか痛苦な色合いが映っていた】
【この先へ彼女はいけない、と視線が伝えてくるだろう、私は一緒に戦えない、と】

【──退路を作らなければならなかった。彼女まで内部に侵入したなら、最悪の場合に対応できない】
【彼女は少女であると同時に忍びであって、それはつまり、時には冷淡な判断を下さなければならない】
【ただ祈るだけであった。彼女が不必要でありますように。また笑顔で、皆で会えるように、と】



────……助けてください、あの子を、必ず────



【かくして舞台は整い、演目の幕は上がる。── 照明が照らし出す白無垢に、佇む少女の姿を捉える】
【而してそれは人の身を模した神。少女は今、神を自覚し、その深い慈愛を以て世界を拒絶しようとして】
【演者が一人また一人と終幕に向かい声を上げる、産声にも似た言の葉が、紙吹雪の様に舞うならば】

【── 観客は皆拍手を持って迎え入れるだろう。場内は割れんばかりの歓声に包まれ】
【辿る道先の行方も知らず、唯の放浪者すらその一挙手一投足を固唾を呑んで見守る。】
【演目の行く先は、最早誰も知らない────】


【アナンタシェーシャの体が大きく揺れた。── イルの表情にいぶかしむ様な色合いが強くなって】
【何が起きたのかを辿ろうとする。その内面までははっきりとは分からない】
【ただ伝えられるのは悪夢に似た、光景。──── あってはならない現実が、そこに鎮座している様に】
875 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 20:19:56.92 ID:rqYwUM5E0
>>867>>870

――――やっぱりそんな事だった。物事を考えないで、自分の快苦に理由を後付けして――――逃げたんだ、白神 鈴音は――――ッ、自分の命から!!

【――――こうなってしまっては、もうどうしようもない。『ラブシャワー』は、依存を作る為の方法論。飲み込まれた人間は――――もう、生半には、帰ってこれない】
【初めて、辛そうに絞り出すラベンダァイス。だが、そんな感傷も一時の事だ。代わりにこみあげるのは――――どこまでも熱い、怒りだけ】

――――理由になってないぞ鈴音ぇぇぇ!! そんな飼い猫みたいな屁理屈、血の一滴にも劣るものだぁッ!!
あのバケモノが、病以外の何も大切にしようとしないバケモノが、便利な道具でしかないあなたを大切になんて、するものかぁッ!!

【理由になっていない――――それは、全くのラベンダァイスの本心だった。本人はただの感情論でしゃべっているだけ】
【だが、感情論で捨てられる側としてはたまったものではない。あくまで理を以って通す。それを放棄するなら――――否、成否を明確にさせるまで、理を突き付ける。その臓腑にまでも叩きつける】
【それを否定するなら――――その時こそ、鈴音を諦めれば良い。ただそれだけの、話なのだ】

――――ぶん殴って、この寝坊助の頭を覚まさせてやります。そのまま殴られて死んだなら、それまでです――――
――――こんなモノと化した人に、いつまでも未練がましくするつもりもありません――――!

【軍人の言葉は尤もだ。今この場では、鈴音はもう分からないだろう。ただ馬鹿のように、快楽に身をゆだねるだけだ】
【――――そんな人間ではないと、信じていたのに。だが、現実は受け入れなければならない。ラベンダァイスは、真っ直ぐに顔を上げる】
【最後まで分からないのならば、最後まで――――死の果てまでどつき回すだけだ】

――――――――ネオ――――『ベルセルク・フォース』

【――――己の中の、真の力を覚醒させ、とうとうラベンダァイスは『戦う覚悟』を固めた。一時は憎からず思った仲間を、最悪殺してでも――――と】

【ラベンダー色の装甲の様な表面に覆われた、太く、寸胴な体型の人型】
【ごつい大きな手を備えた腕には、左右にそれぞれ3枚ずつ、円盤状の刃が備えつけられている】
【機械的な頭部も相まって、まるでSF作品に出てくる宇宙服か潜水服の様な、人型のロボットの様な機械的な姿をしている】

【ロボット然とした姿の、戦闘兵器としてのラベンダァイス。――――そこには迷いはない――――鈴音の様な、迷いはない】

『Q.E.チャクラム』――――行け――――っ!!

【軍人は動くなと言った。なら、動かないように攻撃すればよい。腕の6基のチャクラムが発射され、迫りくる蛇を振り払い、切り裂き、両断していく】
【あとは、結界が自分たちを守るだろう。2重の斬撃が、蛇の奔流を押し返していく――――】

――――また酔っぱらうかッッ、今度こそ自分から『間違える』かッッ――――どうなんですか、白神 鈴音!!
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 20:27:31.63 ID:O6cS6lbD0
>>869

【──目論見が外れた、どうやら相応に近接戦も練り上げている様であった】
【ロールシャッハは右肩についた傷を気にしつつ、上半身を逸らし剣の攻撃を回避するだろう】
【錬金術の奥深さ、内心で思いつつも表には出さないが────】


随分と傲慢な物言いだね、まるで自分に並ぶ者などないみたいに
孤高は孤独さ、研究者がその道を選ぶのは、感心しないけど
──老婆心が過ぎたね、僕も身の危険を感じてきたから……!!


【剣の振り下ろしを回避したタイミングで再び足場に霧を出現させる。セアンの機動力を減少させる狙いであった】
【足止めに成功したなら右手で魔法陣を描く、虚空に出現したそれが、夜を仰いで】
【放たれるのは黒い衝撃であった。物理的なダメージを与える独特の塊】

【至近距離で放ち、セアンを吹き飛ばそうとする】
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/19(土) 20:31:11.22 ID:B+ezTYgK0
>>874
>>867 >>870 >>875

【――数時間前、とある兄妹(モドキ)の会話。】

「やっっっっっと見つけたァ、てめーどこ行くつもりだコラ。
 あれっっっっほどたんぽぽで待機しとけッつったよなあああぁ??」
『ギャアッどこから湧いて出てきやがった腐った卵野郎っ、
 ……あれ、なんか弱ってない? やせた? 顔色よくないよ』
「気のせいですぅー。気のせいだからさっさと戻りやがれこの■■がッ」

『あ゛ァ!? ンだとそれじゃあてめーは■■野郎だっ、……絶対戻んないっ!!
 鈴音、鈴音がいるのっ! 今度こそ絶対、絶対絶対っ、取り戻すのっ!!』

「だからそれは、おれに任せとけって」
『そんな弱り切ったカラダで!? バカ言うのも大概にしてよっ』
「……、……、……」

「…………わァったよ、行かせてやる。ただしてめー一人じゃ行かせねー。
 おれもだ。おれも連れてけ、……足手纏いにだけはならねーって約束してやる」

【――――回想、終了。時間は正常な流れに乗る、能力者たちが激戦を繰り広げる刻へ――】


【ばしゃん・ばしゃっ、と水の弾ける音が、ふたつした。黒い蛇の蠢き犇めく空間へ】
【赤髪の少女と、黄色い瞳の男が投げ出された音だった。ふたりはめいめい頭を抱えながら、周囲を見渡していたが】
【濁流の渦のまなかにいる少女、の声。それを耳にした瞬間、ふたりともに、はっとした顔をして】


『――――――鈴音、鈴音っ!? いるの、どこ、てゆか何ここ……まあいいやっ、

 あたしだよ、あたし――――夕月ッ!! あとなんかオムレツ野郎もついてるけどッ!!
 今度こそ、今度こそっ…………あんたを迎えに来たっ!!! 返事してっ!!!』

【先に咆えたのは、少女だった。叫んでから、それからだった。この場にいる「もう二人」の存在に気付いたのは】
【そしてその、二人――厳島とラベンダァイスが、鈴音に攻撃を加えているのに気付いて。ひあ、と悲鳴すら零して】


//お熱いところ乱入失礼します、「オムレツ」と『夕月』です! よろしくお願いします!
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 20:40:18.17 ID:fgTCEbD00
>>863,871-874

【ふぅ、と息を1つ吐いた。鉄のにおいがする、それは別に大したことじゃあない】
【多少は魔力に依存しない武器も持っておくべきか――今更思っても遅い】
【それに、この状態でそれらを扱えるかと言われると、それも怪しいか】

「――結局さ、臆病なんだよ皆。驚異は排除したいのさ」

【地面に手を付ける。――僅かでも良い、魔力を補給したかった】
【魂砕技以外はまだ使い慣れていない、故に攻撃用途として用いることもあまりないが】
【多少不安定で火力が出ない状況が許されるならば、慣れるためにも使っておきたい】
【――魂吸技。地面にあるエネルギーがどれほどかはわからないが、喰わないよりはマシだ】

「……水がっ!」

【――元からアナンタシェーシャを狙っての攻撃は行っていなかったが】
【回避が有効でない相手に回復されれば、長期戦になればなるほど不利だろう】
【……飲まれた2人の状況はわからない、けれども黒い雷が運んできた存在たちは】
【"誘導されて"その中にへと入っていたように見えた。……見覚えのあるような、顔だったが】

【(外傷はいつ回復されるかわからない。もし内部からの攻撃が有効だとすれば、……僕たちが狙うべきは誰か?)】

「(……カウンター狙いばかりではさすがに消耗が激しすぎる。有効な別の手が欲しいなぁ)」
「(例えば、あっちから外してくれるとか……)」

【その身体は再び空を舞った。――黒い煙を噴き上げ纏いながら】
【それは故障した飛行機かも知れないし、あるいはタコかもしれない】
【――理屈は簡単。煙を纏い、自身の位置を掴みにくくしたいのだ。もっとも、煙の大本を辿ればすぐに見つかりかねないが】

「(……ただ、他の人達が見にくくならないようにってのも考えると裏周り安定なんだよね)」

【その状態のまま、ある程度イルに……他者の視界の阻害防止も考えつつ接近できれば――火炎放射だ】
【今回は聖などは混じっていない。……ある意味でこれも様子見だろうか、あえて火力を下げたりはしていないが】
879 :アーディン&プラゴール&ナート・サンダー ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 20:42:19.79 ID:rqYwUM5E0
>>871

世迷言の1つも言えない、それに身を任せることもできない……!
「そんな奴が神だなんて、悪い冗談というものだ……!」

【2人の男の言葉は、まるで意思の疎通があったように通じ合い、紡がれ、1つの成句をなす】
【神を自称して荒れ狂う敵の姿を、彼らはどうしても神だとみることができない。それが敵である以上に――――不完全なのだ。神を自称するには】
【だからこそ、彼らは立ち向かう――――本物の神なら、立ち向かうことに希望などありはしない。だからこそ立ち向かうのだ】

くっ、行けよ『分身』!!
「――――チッ、『局所的無常爆弾』!! っぐぅぅぅ!!」

【狙わなければならないのは、カウンター。そのための手段を、2人は講じていた】
【アーディンは、分身を身代わりにする。己の打撃を分身に受ける軌道にずらさせ――――分身が、爪の鋭い一撃をその体表に浴びせ、消滅する】
【そしてナート・サンダーは、腰から抜き取った爆弾を、アナンタシェーシャに向けて投げ放った。爆発したそれは、破壊エネルギーのベクトルが一定距離に到達すると、逆転する】
【要するに、狭い範囲のみを繰り返し繰り返し破壊する、特別な爆弾――――その代わり、ナート・サンダー自身は殴りつけられた】



【――――それ相応に、ダメージを与えただろう、捨て身の一撃だが】

なっ――――っく!
「やりやがった――――とうとう、自分の身体を元に戻しやがった…………ッ」

【――――全ては水泡。このフィールドにいる限り。アナンタシェーシャは倒せない。その現実を、突き付けられた】

――――おい、ヴァルター……どうやら、俺たちはここまでの様だな……
「あぁ……存外にあっけないもんだ――――こうなったら、無傷で切り抜けられる気がしない――――はぁ、ダメなオヤジだったな、俺たちは、最後までよ……」
そうだな…………あの世で一杯、奢ってやるよ……さっきの暴言も、水に流す……
「あぁ、せめて横の2人だけは逃がしてやろう、このオヤジの命でな…………ゆっくり、しっぽりやろうぜ……ゆっくりと――――な」

【口から漏れ出てくるのは、あきらめの言葉だった――――この状況で、無事に逃げ切るとも――――ましてや勝利できるとも思わない】
【できる事はせいぜい、悪あがき、そして時間稼ぎ――――そして、オヤジだからこそ知っている。それは、自分たちの役目だと】
【気の抜けたような、友人同士の会話――――それは、この世界に残す最後の言葉――――】

>>874

っ、なんだ――――!?
「あれは……!」

【そんな中に、見えるのは――――良く分からないが、乱入者。どうやら何か、この事態を察して飛び込んできた輩がいるらしい】

――――――――すぐに逃げろッ!! こいつらはここにいる限り倒せない!! ここは俺たち2人に任せて、早く逃げるんだッ!!

【目を見開き、アーディンは叫ぶ。この先にあるのは、死と絶望だけだ。それを閉じるための『用心棒』は、自分たちだけで十分なのに――――と】
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 20:47:35.72 ID:1Q1feBo80
>>867>>875>>877

【――――ちりん、と、鈴の音がした。それは桜の木から、今となっては真っ赤な煌めきを散らすだけになった、桜の木から】
【気づけば桜花は散り果てていた。代わりに赤い煌めきが満開を誇って、けれどよく見れば、その中には銀色の鈴。一つ、二つ、花の代わりにそこにあって】
【それがちり、ちり、と、鳴いて/泣いていた。「――――どうして?」って尋ねるように。どうして、そんなひどい言葉で、わたしたちを傷つけるのか、って】

【――分からなかった。どうしてそんなに怒られるのか。だって、自分は、ずっと……ずっと、何度も、何度も、何度も何度も何度も、助けてって言ったのに】
【今更になって怒るのは、どうしてだろう。あの時に助けてくれたひとが居たなら。そういう場面ばかりが思い浮かんで、そうしたら――こうならなかったはずなのに】

【少女は首を傾げる、ひどく不思議そうに。ひどくひどく不思議で仕方がないみたいに。形のいい眉をひそめて、あどけない顔を、不可解に染め上げて】

【二人はきっとあまりに容易く蛇の濁流を抜け出す。――違う、蛇はすべて通り過ぎていってしまった。流れる水とおんなじ、意識的に動くことはありえないから】
【白く細い指の関節をわずかに噛む、――それは知らないって言うような、顔だった。どうしようって考えている顔、この少女は、氾濫の奇跡しか、知らないから】

【――――――――その瞬間だった。少女は新たに現れた人影に"気づく"。そうして振り返るのだ、あまりに無防備に――、そして、笑う】
【口元の前で自身の指を絡め合うみたいにしながら、ひどく嬉しそうに。それで小さな足音、ぱちゃ、ぱちゃ、立てて――彼らの方へ、数歩、歩む】

【――真っ赤な空間だった。空は天上に向かうにしたがって深淵の黒を透かす赤、きらきらとした悍ましい光の粒子が、絶えず、立ち上り、あるいは、降り注ぎ】
【無限に近しい鈴を実らせた桜の木がりんりんと泣いている、空間に満ちる赤色を吸水したように赤黒く染まった幹は気づけば蛇であるかのようにぐねぐねと不気味にうねって】
【地面の下は、間違いなく深淵であった。深淵に続く、水底であった。底に吸い込まれたならば"神"に喰われる。そんな予感だけが訪なう、悍ましいほどの、深淵であり】
【そしてそこには銀色の鈴が無数に泳いでいた。――その空間の中であっても少女の色彩はよく映えた。白色と。黒色と。それから赤色。――ああ、髪が伸びている、腰ほどまで】

――夕月ちゃん、どうしたの? 遊びに来てくれたの? ……ごめんね、お茶を出して、あげたかったんだけど……。
もうちょっと練習してからにするね。蛇は出せるの、いくらだって出せるよ、だけど、お茶とか、お菓子とかは、まだ――。

【それは最初に厳島とカエデを迎えたときのような声だった。お客様が来てくれた、って、喜ぶような声。そうして少女は、明確に、彼らに背を向けた】

――――オムレツさんも、来てくれたんだ、あのね、このまえはね、ありがとう……。もちろんね、夕月ちゃんもだよ、ありがとう。

【きゃらきゃらってあどけない声が嬉しそうに弾む――それは異質、だった。いや。でも。ある意味では正常、でもあった】
【だって彼女はもともとそういう風にしゃべる娘だったのだ。楽しそうに。ならばあの泣いて叫ぶような狂乱こそがおかしくて。でも。ああでも】

あのね――――、わたしね、神様だったんだ。

【――夕月とオムレツの前に立つ彼女は何より彼女のままでありながら、けれど、何かが明らかに違ってしまっていた】
【だのにそれを言葉で説明することはきっとひどく難しい。にこりとあどけなく笑って――夕月とオムレツにとっては、平穏な、会話。状況を理解していないから】

【けれどそれは同時に厳島とカエデにとっては、明確な隙だった。――この空間において万能を誇るだろう少女に、本当に隙なんて存在するのかは、知らない、けれど】

【(でもそれを知らないのは、世界中で少女以外の全員だけだから。白神鈴音という神が統べるこの空間において、白神鈴音という神が、それを認識していれば十分だから)】
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) :2018/05/19(土) 20:49:44.53 ID:O6cS6lbD0
>>878

【煙幕を纏ったレオーテヴュート、それを介せずアナンタシェーシャはその身を振るう】
【乱暴な攻撃であった、大体の位置を煙越しに掴んで、そこに向けて自分の身体を叩きつける】
【高い体力を持っているからこそ、戦法も何もない、本能だけの攻撃であった】


あはは、どうしたの? 今更逃げの一手? いいよ、いくらでも付き合ってあげる
鬼ごっこは好きなんだぁ♪ 最後にボクがおいしく食べれるから
ほらほら早く逃げなきゃ、そんなんじゃ追いつかれるよ?


【イルは再びアナンタシェーシャの頭上へと移動する。見晴らしの良い景色を見ながら、声を流す】
【──彼女のダメージは回復していない、それは唯一の突破口になり得るかもしれないが】
【いずれにせよ物量戦ではどうしようもない────】
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 20:55:03.62 ID:O6cS6lbD0
>>879

【諦めの言葉を漏らす二人にイルは愉悦の表情を向ける、そうだ、この姿を見たかったのだと】
【しばし、その様子を見ていようとした。食後のデザートをゆっくりと食べるように似て】
【────二人の下に、忍び装束の少女が着地するだろう、かけられた声を聞いて】


『……お願いします、出来る限り長く、時間を稼いでください。────』
『今、中では対話が続けられています。鈴音さんを救うための』
『私の解釈──いえ、私達の解釈が正しければ……』

『アナンタシェーシャの根源は今、鈴音さんにあります。つまりは、鈴音さんさえ救えれば』
『明けない夜は無いのです、永遠のループに囚われても、必ず突破口があります』
『お願いします、それまで────命を賭して、世界を護ってください』


【少女は簡潔に並べ立てた。為すべきことを明確に示す、この役割は二人にしか頼めないから】
【──少女は返事を聞いたら、直ぐに影に溶けて行くだろう、彼女には彼女の役割があった】
883 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 20:57:39.36 ID:rqYwUM5E0
>>877

――――ッ!?
――――入ってこないでください、ここはもう、殺し合いの場です!! 下手を死にますよ!!

【突然の介入者――――一体どうやって入ってきたのか。それに気を回す前に、ラベンダァイスは叫んだ】
【もう――――『アレ』には言葉は届かない。だからこそ、ここは殺し合いの場になっている――――そこに飛び込んできても、希望など残っていない、と】
【敵か味方かもわからないが――――鈴音を呼んでいるなら、敵ではない可能性が高い。でも、だからこそ――――巻き添えにはできないのだ】

/よろしくお願いしますー!

>>880

――――もう、声も届かないですか――――ッ

【――――とうとう、応答すらなくなった。もう彼女に認識できる世界は、己と、イルと――――その他大勢の雑音だけなのだろう】
【ついに、腹を決める時は来た。それを認識して――――ラベンダァイスは一度首を振って、顔を上げる――――これで、友人とは『お終い』。『ケツァル・コアトル』は――――兵器になる】

殺してやる――――私が殺してやる――――せめて私が殺してやる――――あんな奴の道具にされる前に、せめて私が殺してやる――――ッ!!

【それは、ある意味で狂気的ともいえるリフレインだった。恐らくは――――自分に言い聞かせているのだろう】
【軍人さんの言う通りだった――――後は、せめてこの手で殺してやる事が、最後の手向け――――こうも早く、結果を見切らなければならないとは、思わなかったが】
【――――即断をしなければ、無駄な死者を出してしまう――――そんな事は『兵器として』許されない事だ】

おあああああああああああああ――――――――ッッッッ!!

【哀しいウォークライを叫びながら、ラベンダァイスは拳を構える。スラスターを噴射。稼いだ加速が、鈴音のもとへと踏み込んで。その腕を叩きつけようとする】
【速度と、質量の乗った、機械の鉄拳――――相応の破壊力だ。ただし――――その隙を狙うために、ラベンダァイスは無駄に叫び過ぎた】
【或いは、対応の可能性もそこには十分に残っている】

【――――あるいは、ここでの攻撃を良しとしない誰かの、妨害の可能性も――――】
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 21:07:17.60 ID:jgRPvcu20
>>872>>873>>874>>875>>877>>880

「っくッ」

【濁流の如き、蛇の群れ】
【だが、風の刃を盾に何とか、自分の身とラベンダァイスを守り切ろうとする】
【そして、その傍らで少女はチャクラムを放ち、同様に防衛を試みている】

「無事か!?ラベンダァイス!?」

【そんな最中だった】

「!?端末、一体誰が……」

【画面には、『鵺』からのメッセージの文字】
【そして、内容は短く、正義は遅れてやって来る、と】

「鵺、一体何を!?」

【思考を巡らせる、さりとてこちらも余裕はない】
【神なのだ、紛いなりにも相手は神なのだ】
【しかし、風穴を開ける存在がこの場に出現する事となった】

「あれは、夕月!?」
「もう一人は、知らない顔だが、味方か!?」

【先の工場の事件の際に同行した赤い髪の少女】
【もう一人の青年は、知らない顔だったが】
【だが、夕月と共にこの場にいるならば、味方だろう、と考えられ】
【そして対峙する鈴音にと何事かを会話している、なるほど、親しい、かなり親しい間柄なのか】
【そして蛇の襲来は、止んだ】

「ラベンダァイス隙が出来た」
「このまま、鈴音を攫うぞ……構わないか?」

【こう傍らで激昂する様に語りかける少女に、こう話し、術式を解除】
【軍刀のみを手にし】

「鈴音、何故と聞いたな……」
「答えは、帰ってからじっくりと語って聞かせてやる……」

【一気に鈴音の元に駆けだした】
【風を纏い、なるべく速度を加速させながら】
【鈴が、幾つかの花に紛れて咲くように存在する鈴の音が、今は一際目立ちつつ鳴っていた】
885 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 21:07:34.73 ID:ll8XrIKo0
>>871

【己に迫る巨躯。逃れてはいけないことは、きっともう、分かっていた】
【己が命を度外視するならば、相討ち覚悟のカウンターは、“斃す”確実さで言えばそれなりなのだろう。刃を届かせることに長けた生ける兇器が、彼女の戦闘技術の根幹にはある】
【だから、これはきっと必然】
【骨が砕け、臓器が血を溢す。切断者は一撃で噎せ返り、喉を苦しめるその流血は、ヒトというものの脆さを容易く示した】
【……そんな代償を要求した一撃は、あっけなく掻き消され再生を遂げて。絶望を強い、確信する様な哄笑が、戦場にあるもの皆の意識に波を立て】


――――だから、どうしたの?

その蛇や貴女にとってはあるべき姿でも、私にはただ斬り裂くべき器物(モノ)でしかない――――
……そして、斃すための道さえも見えたなら。

心を折ってあげる理由は――――もう……私には一つたりとも存在しない……ッ

【折れ砕けた左脚を、“時”の拘束を以て杖代わりの棒切れと成す。呼吸すらおぼつかない躰が、震える腕で地を押して立ち上がる。】
【鼓動が揺らぎ、骨が軋む。咳き込めば血が躰を染めて、諦めが欠け落ちた切断者に、それでも終わりを突き付ける】
【……けれど動けないだとか、眠ってしまいたいだとか。躰が勝手に伝えてくる答えは概ねそんなものだから、無視して“戦う理由”を優先した】

【僅かな生命力の増大――太刀金翅鳥≠ェ帯びたその効果だけで、これだけの継戦が叶うはずもない】
【けれど死に瀕した今こそが。越えなくてはならないこの絶望が、そこにくべる燃料がゆえに“僅かな”力を極限まで増幅させて】

……喰らい、滅ぼせ。

焼き尽くせ、焔翅剣葬ッ――――――――命でなくかたちある悪夢(モノ)を、絶望もろとも終わらせろ―――――――ッッ‼

【その身に直撃を受けながらの反撃は、追加の被弾を要さずとも直後の破壊がそれを確定させる=B狙いに気付かれたなら不可能で――】
【けれどアナンタシェーシャの怒りとイルの動揺、そして共闘者たち――――新たな英雄(ヒーロー)を加えたこの状況こそが、唯一無二の好機を導くのだろう】
【先の“焔翅剣葬”の記憶およびカウンターの“時の刃”は、完全再生を遂げた今――――余裕から、攻撃を誘うはずだと判断】
【挑発を兼ねて、擽る程度の威力の、些細な“時”の干渉を行う】

【襲い来るならば、それは――――自らの生命力を、結びあった異能の太刀と右手へと注ぎ込み、生の“増幅”のプロセスを逆回しにする反撃の一刀を呼ぶ】
【“生”そのものを武器と為し、時戒の宝玉≠初めとする、今使えるあらゆる魔力を斬撃と焔を生むために注ぎ込む】
【心が消え去っていなければおかしい負荷、幾度も息絶えて然るべきだった破滅的な損傷。もう……躰は残骸のようなもので】
【だからこそ、残る命は絶対に諦めず――――――――】

【虚神たちとはまるで違うやり方で、“人”が、たった一つの命でしかない願いが――――今こそ、世界蛇に全てが呑まれる現実を砕こうとした】
【けれどそれは、本当に命を遣わせてしまうのだろう。絶望を砕き、絶命を負う。ひとりではないから放てる刃は――少女を、ひとりにする覚悟の一閃だった】
【それだけで未来に届くことは、きっとなく。ならば、残る可能性は何を齎すのだろう――――?】
886 :アーディン&プラゴール&ナート・サンダー ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 21:11:16.18 ID:rqYwUM5E0
>>882

――――もう少し、周りを見るべきだったな。見ろ……あの鼻持ちならない表情を……ッ
「――――幻覚とはいえ、あんな奴に、リーリアは辱められたのか。せめて、最後に一撃くらい、一矢報いてやりたいところなんだがな――――!」

【この場所の特殊性にさえ気づければ、こんな醜態を晒す事もなかった。そのことが、今更になって悔やまれる】
【レッド・ヘリングのような手詰まり感がなかったからこそ、まともに相対して――――相手が、全力を発揮できる状態が整った事に、気づけなかった】
【見下ろしてくるイルの愉悦の表情にも、返す言葉がない。自分たちは明確に、負けたのだ――――と】

ぬっ……!?
「なっ、君は――――!?」

【そうして、最後の攻勢に出ようとした2人の前に、忍び装束姿の少女が現れる。何事かとアーディンとナート・サンダーは身構えるが】
【向けられる言葉は端的な、それでいてスッキリとした正確で理知的な言葉。むろん、問い返したいことはいくつもあるが――――今はそんな時ではない】
【ただ、その言葉に従うのが得策。2人は経験故に、それを即座に理解した】

――――何者か知らないが、アテがあるんだな。ならもう少し……悪あがきと行こう……!
「……任せろ。もとよりそのつもりだった。血の流すのも、ヒーローの役目、何かを救うのも、ヒーローの役目だ……!」

【短く言葉を返し、そしてその背を見送る――――どうやら、もう少し『生きるための戦い』をする理由が、できたようだ】

「――――ぅうおおおおおぉぉぉぉぉ!! 『兼六園インフェルノ』!!」

【左手の武器を、周囲へとぶちまける。そこから飛び出したのは――――光の結晶体だった】
【それに向けて、ナート・サンダーは、その場で回転しながら、『ギャラクティックレーザー』を連射、的確に結晶体へと命中させていく】
【そのレーザーは――――結晶体から反射。複雑な屈折のレーザー嵐となって、アナンタシェーシャを襲う】

――――ぬぅぅぅ……ぉぉぉぉおおおおッッ!!

【その光の嵐を縫うように、アーディンは突撃。今度は策もないもない。ただナート・サンダーの援護を背に、爪での高速斬撃を仕掛けるだけだ】
【あとは力押し、そして『どこかでの決着』を待つだけ――――それが彼らの選択である】
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 21:15:34.69 ID:Qsqi5dxa0
>>876

「少なくとも錬金術師の中では並ぶものは居ないとおもってはいるがな」
「まぁ、俺は研究者の中でも異端だから、今更気にしねえよ」
「いいねぇ生きてる証だからな、もっと感じようぜ、さぁさぁ」

【セアンが剣を振り下ろすとスーツ野郎が躱し、足に霧をかけられ】
【魔方陣が描かれて出てきたのは黒い塊だった。わかるのはヤバいと言うことだけだから必死に撃退する】

「喰らってたまるか!!神名開放《剣ヨ今ソノ名ニ於イテ我ガ敵ヲ滅セヨ》〔カリスエクス〕」
「これなら、てめぇも無傷では無理だろうよ。さぁどっちが死ぬか賭けようぜ」
「勿論賭け金はお互いの命だ!!さぁどっちが強いか比べようぜ」

【超エネルギーを纏った剣を黒い塊に向かって振り下ろす】

888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/19(土) 21:15:52.93 ID:B+ezTYgK0
>>880

【少女の喉が、引き攣れたように蠢いた。ぐ、と空気と唾液を呑み込んで】
【目の前の鈴音が、何を言っているんだか――何もわからない。何もかも、この空間が何であるのかも】
【まん丸く見開いた眼だけが彷徨うことなく鈴音に釘付けになっていた。……なんで髪、伸びてるのって、思った】

『あそ……びに、なんか、来てないよ、……迎えに来たんだよ、
 ねえ、何言ってるの? 鈴音、なに、神様って何、どういう……』

「ウーンぜんっぜん状況わかんねーな! とりあえずどーいたしまして?
 やべーなおれ、カミサマに感謝されちった。……ってー冗談は置いといてナー、

 こないだぶりだネ、リンネちゃん。随分元気になったみてーだ、……本当に元気?」

【呆然と言葉を零すばかりの少女の前、遮るように男が立った。平時のようにへらへらと、調子よく笑って見せながら】
【なんでそんなに元気になれたの、と訊くのだ。そうしていたら――――】


>>883

「…………え、殺すの? いやそりゃダメっしょ、ダメっつーか、おれがイヤ。」

【ラベンダァイスが殺すと言った。それに男が、イヤだと言った。殺し合いの場に似合わない、世間話をするみたいなトーン】
【決死の覚悟を決めたラベンダァイスにとっては、ひどく不快に聞こえることだろう、けれど】
【男だって、ラベンダァイスの「殺す」決意が、不快なようだった。中途の乱入者にしては傲慢すぎる意思表明】

【そう口にしたなら、行動は最早簡単なものだった。駆け出す、水面を蹴り飛ばして、飛沫を散らし】
【駆け抜ける。鈴音を通り越して、鈴音の背後から迫るラベンダァイスと、厳島のほうへ】
【そうして鈴音と背中合わせの位置に立ったなら――めきめきめき、と、骨と肉を掻き混ぜる音を、響かせて】

【男の身体、腕の部分が膨れていった。ヒトの形から、異形の姿へと、変化してゆく】
【着ている服の袖を破いて膨張したそれは、黒い毛並みの生え揃う――大きな大きな丸太ほどもある、太い異形の腕と化し】
【それを以って、ラベンダァイスの拳を。受け止めた、受け止めたのだ、受け流すことなんてせずに】
【その腕は多少頑丈なものではあったけど、当然無傷ではいられない。ラベンダァイスの手には、男の骨を砕く感触が伝わるだろう】

【――――庇った。黄色い瞳の男は、鈴音のことを庇おうとしたのだ、とても単純な動きで】


>>884

『…………おじさんっ、だめ、やめて!! 鈴音にひどいことしないでッ――――』

【後方。目まぐるしく動く環境について行けず、呆然としているばかりの少女は、厳島を見て】
【悲鳴、あるいは絶叫するように。そう口にした、鈴音に攻撃をしないで、って】
【かぶりを振って拒絶した。軍刀のきらめきを目にして、そうしたのだ】

【きっと勘違いしている。あれで鈴音を斬るつもりなんだって。そんなだったら、絶対、赦さないって】
【けれどもし、そうじゃないと、伝えることが出来たなら――きっと少女は、厳島に協力を惜しまない。きっとと言うか、絶対】
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 21:17:03.76 ID:fgTCEbD00
>>881

「――いや、かくれんぼだ。」

【自身の能力故に、煙による自滅は基本的にないのだが】
【――やはり、多少の視界阻害は自身も被る。……それはそれで良いとして】

「(……やっぱり、回復したのはこっちの蛇だけだ。)」

【振るわれる巨体、直撃すれば湖に叩き落とされかねないが】
【回避したところで再び巻き戻されて、より適切な軌道で振るわれるだけ】

「(これで尻尾はもう使えないな)」

【――煙の中で、何かがへし折れる音がする。それが何であるかはすぐに分かる】
【赤い鱗を持った龍の尻尾だ。……空から落ちてきたのは、間違いなく肉体を持ったそれ】
【けれども、血液は落ちてこない。……受けることを覚悟して、傷口をすぐに焼いたのだろう】
【煙が風圧で飛ばされる、けれども少し不自然な飛び方だ……ある程度の操作が可能故に、風圧に抵抗したのである】
【なるべく自身の体が煙から現れないように移動したり追加で放出しつつ、けれども完全に隠れられるほど、慣れた戦法ではない】

【――煙がイルの方に向けて高速で伸びてゆく。大きさだけ見れば誰か入ってそうだがその気配はなく、実際にそう】
【相手が視覚に頼っているかはわからない、けれども……】
【長時間浴びると低温やけどを起こすかも知れない程度の温度で、火事のような黒煙】
【吸い込めば人体ならば有害だろうが、直ちに影響はない。おそらく。……目的はサポート方面だ、火力は求めていない】

【もくもくと、煙を広げていく。――それなりの大きさの球体程度まで成長させれば後はその場に留めるだけになる】
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 21:27:18.86 ID:O6cS6lbD0
>>885

【気高き少女は絶望に折れなかった。── それは正しく磨きぬかれた一本の刀剣が如く】
【彼女はそれを一笑に付す。蛮勇にしか思えない、追い詰められた猟犬が身を挺して牙を向ける】
【ならばそれを正面から叩き折ってしまおう、と彼女は言葉を向ける】


ボロボロの状態で言っても、ぜんぜん、全然、ぜーんぜん! 説得力が微塵もないよねっ
ねぇね、わかってる? 体中ぐちゃぐちゃでしょ、あは♪ かわいー顔が台無しだよねぇ
挑まなければ傷つかなかったのに、逆らわなければ苦しくなかったのに!! あはははは!!

信じなければ救われたのに、願わなければ、絶望しなかったのに!!
いいよ、その顔、凄くすきぃ♪ 最後までその顔で居てよ、せめてさぁ
ボクが楽しめるぐらいに、すっ、と派手に死んでよね────!!


【病魔は踏みにじる、少女の気高き思いも、意思も、全部を全部纏めて罵倒する】
【諦めない命の残滓を無駄と笑い、それでも尚立ち上がる精魂を芥と掃いて棄てる】
【だからこそ、彼女は何も警戒しない。神たる傲慢さを以て、攻撃を仕掛けて】

【アナンタシェーシャの巨躯が這いずる。その牙を突きたてようとして】
【覚悟の一刀をアナンタシェーシャは身に受けるだろう、口が横に大きく裂け、大きく揺れる】
【巨体を震わせて、身震いした。これだけの質量を以てしても、この衝撃を殺しきれない】

【── だがそれは等価交換、その攻撃に対価を要求する】


>>886

【── 再び立ち上がる二人をイルは怪訝そうに見つめる、表情から笑みが消えて】
【それはイラつきであった、不可解さをその目に残して── どうして彼らはまだ戦うのだろう、って】
【上手くいかない計画に不満をぶちまけるように、声を張り上げる】


はん、今更何してんだか──あのさ、分かってる? どんな攻撃したって、無駄なんだよ?
だったらさ、そんな事しないでさっさと死ぬのが大人でしょ、ほんと、なんで分かんないの
そーゆーの、ほんとみっともないしっ、だっさいっつーの!!

ああ、もう!! 何回いってもわっかんないんだから!!
アナンタシェーシャ! 薙ぎ払うよ、全部全部、惨めにぶっ殺してやる!!


【イルの声に呼応するようにアナンタシェーシャが横薙ぎに一閃その身を放つ】
【レーザー嵐や爪での攻撃は着実に溜まっているようで、攻撃自体の威力が下がっている】
【既に技のキレは半分以下だ。長引かせることは必ず出来る】


>>889

くっそうっざいなぁ……いい加減お前も分かれってーの!
そんな攻撃いくらしたってさぁ、ボクを狙うのは悪い手じゃないけど
────あは、そんなんしてたって、アナンタシェーシャを怒らせるだけだよ!


【黒煙の効果は絶大だ。イルの視界を奪うということは、アナンタシェーシャの攻撃の正確性を低下させる】
【破れかぶれの乱雑な攻撃が繰り返される、この状態であれば回避は容易だろうが】
【──回避できない理由があるのならば、最低限のダメージで済ませる回避がベストか、その意味ではレオーテヴュートの戦いは合理的だ】
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 21:31:59.06 ID:O6cS6lbD0
>>887

【黒い塊に剣を振り下ろされかき消される──同時に右腕を切り落とされた】
【視界の端で転がる自身の右腕を確認して、自嘲気味に小さく笑う】
【成程──勝てない相手だ、一体どれだけの鍛錬を積んだのか、とさえ思う】


──望むところだよ、僕だってただでやられる訳にはいかない
随分な自信を持つのは結構だけども、僕も相応に策を張るのさ
右腕はあげるよ、タダではないけどね────!


【左手から黒い塊を出現させる。右腕を切り落とされたタイミング】
【この攻撃は覚悟していた、だからこそ、次の一手に早く転じることが出来た】
【黒い塊を放つ、セアンの身体に届くように、と】
892 :アーディン&プラゴール&ナート・サンダー ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 21:36:59.20 ID:rqYwUM5E0
>>890

――――大人だからだ。大人だから、子供を守り、そして見せてやらなければならない――――ッ
どんなに無様でも、最後まで立ち続ける姿というものを、な……ッ
「ヒーローが……いつも、華々しいだけであるものか……時に負け、そして這いつくばる――――だが、諦めない。その姿だけは、いつだってそうなんだよ……!
 それは人間も同じだ。父親失格のオヤジも、萎れた探偵風情にも、それは同じなんだ…………分かるまい、小娘……!」

【既にパンチドランカー――――打撃が効きすぎて、まるで酒に酔うようにフラフラし始める――――の様相を見て取れる状態で。その中でも2人は真っ直ぐに答える】
【彼らの背中には、子供がいるのだ――――それは、自分の娘に限らない。その背中を見ている子供は、必ずいる】
【そしてその為に、示してやらなければならない――――自分たちは、希望を守り、そして繋ぐのだと。そして子供たちに託すのだ。諦めずに、希望を――――自分たちが掴めなかった希望を、つかめ――――と】

ぐぅ、ッ!!
「ガハァ!!」

【薙ぎつけられる。それを避けてはいけない――――分かっている事だった。2人は甘んじてそれを受ける】
【今度は打撃のダメージゆえの喀血。ナート・サンダーも、バイザーの奥に液体が吹き付けられた。同じよう状態なのだろう】

ッッぐぅン!!
「そ、『ソニックカッター』……!」

【愚直に、愚直にカウンターを狙う。アーディンはその爪を、切り裂くのではなく、アナンタシェーシャの胴体に突き刺し、捩じり上げ、くじる】
【そしてナート・サンダーは、再び真空の手刀でその胴を切りつける】

【――――せめて、もう少し消耗させなければ、持久戦に持ち込むのも難しい。だが、彼らは消耗しすぎている】
【ただ、待つだけなのだ――――先の忍びの少女の言う決着を。そのために、持ちこたえ続ける――――大人として】
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 21:38:37.67 ID:1Q1feBo80
【――――ここは、白神鈴音という神のための空間だった。ここならなんだって叶うし、その少女は全知全能の神と等しかった】
【それは願えば彼らをこの空間に踏み入った瞬間に心臓を噛み潰すように殺すことだってできて】
【あるいは、この空間の定義を書き換えて、誰も生存できぬ場所にすることさえできた】

【けれど少女はそれをしなかった。それともできなかったのかもしれない、なぜなら】

【それはその神がまだ芽生えたばかりの胎児に等しいからかもしれないし】
【それはその神がまだたったの一度も信仰されたことのない、ひどくかすかなものであったからかもしれないし】
【それはその神が本当はどこかに帰りたいと願っているからかもしれないし】
【それはその神が】

【(世界で一番嫌いなのは、本当は、自分自身だからかも、しれないし)】

>>883

【――カエデの叫び声が空間に反響する。どこまでだって広く見えるのに、そういえば、さっきもそうだった。どこかで、音が跳ね返ってくる】
【あるいはそれは少女自身にも似ているのかもしれなかった。頑張って気強く振る舞うけれど、その内面は、ひどくぐじぐじと膿み切った、傷みたいで】

――――――死ねないから、神様なんだよ?

【少女が振り返る。ひどく悲しそうな顔をしていた、――それで死ねる子だったから、こんなふうに、ならなかったのにね】
【――その一撃で少女の細首はへし折れる、ぐらりと頭が当然あり得ない方向に傾げて――少し遅れてから、少女も、ばちゃんっ、と、倒れこんだ】

>>884

【――けれど、少女は、立ち上がった。へし折れた首がぞろぞろぞろと解れて、無数の黒蛇に変貌って、それから、ずるりと少女の頭に、戻る】
【それは彼女に掛けられた不死性の呪いだった。そしてこの空間によって増幅された呪いの力は、瞬時に彼女を生き返らせた。――冒涜的なまでの禁忌が、色鮮やかに】

……厳島さん。あのね、無意味なの。関係ないひとがどれだけ寄り集まったって、それじゃね、奇跡は起こらないの。
――――――桜花鈴音は死んじゃったの。死んだ人間を生き返らせるのは、世界の一番嫌いなルール違反なの。

【その軍刀は狙った位置を切り裂き、切り落とすだろう。それこそ首でも腕でも胴でもどこでも。切り落とせる。ぼたん、って、落ちるから】
【その一部は不可視の薄皮を超えて深淵の中に沈み込んでいく――悲しげな顔をしていた、物覚えの悪い生徒に八十時間くらい教え込んだ後に、初歩的なことを聞かれた先生みたいに】

/↓
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 21:38:49.79 ID:1Q1feBo80
>>893

>>883>>884>>888

【――――――だなんて、それも全部"錯覚"だけど】
【だけれど厳島は、カエデは、確かにその光景を見たと認識しているだろう。確かに少女は首を折られ、そして、どこかを切り落とされた。あるいは貫かれた】
【だのにそれと同時にもう一つの現実が存在していた――すなわち、カエデの腕はオムレツによって防がれ、厳島には、夕月が声を掛け】

――――――――ああ、

【くすりと少女は笑う。それは好ましかった、だって――厳島とカエデは怖いから。よく分からないことを言う。よく分からないことを言って、責めるから】
【多分"わたし"も怯えていると思う。さっきからりんりんって鈴がうるさいから。あれは泣いているんだ――知っている。怯えている気持ち、心の奥底から、伝わってくるから】

【それは例えるなら古いノート。一冊使ってしまって、新しいのをおろした後に、仕舞われてしまう方】
【少女は真っ新な神だった。けれど少女は今までずっと存在していた。――新しい神として生まれ直すのと、だからって古い存在が消えてしまうのは、きっと、別のこと】

……カエデちゃん、そんなひどい言葉で言ってもね、わたしは、傷つかないの。……そんなふうな言葉、いっぱい聞いたの、わたしを馬鹿にして嗤うんでしょう?
だけどね、それでもいいの。――その言葉でわたしは潤むの、あなたを嫌いだって思えば思うほど、わたしの気持ちは昂って、あなたを祟るの、――末代まで赦さないって。

厳島さんはね、そんなに"最近"の知り合いばっかり言われたってね、ドキドキしないの、行きずりの誰かと寝るのと変わんない、……桜花鈴音の欲しいのはそれじゃないから。
死んだ女の子の幽霊をね、満足させるの。そんな言葉じゃ足りないの、――いまのわたしにはなんでも分かるよ、ここにはね、今までの輪廻/鈴音(わたし)の欠片が落ちてる。

【護られた少女は変わらぬ位置で、蕾の綻ぶように笑うだろう、――ちらり、と、舞い落ちるものの色が変わっていた。真っ白。純白。気づけば、雪が降っていた】

全部の始まりも、分かったの――へびさまがわたしを雪みたいに白いって思ったのと同じで、わたしも、へびさまを、雪みたいに白い、って、思ったから。
――わたしはへびさまの代わりにみんなに信じられるの、へびさまを信じない人間たちを見返すの、今のわたしにはそれができるの! 全部ひっくり返して……。

【――神様っていうものは万能に見えるけれど、その実、すごくすごく視界の狭まった生き物だ。欲しいものにまっしぐらで、それ以外のものなんて眼中にない】
【だから彼らの言葉は"神"である彼女には、きっと、届かない。――――気づけば世界は一番最初の白に戻っていた、ただ唯一、桜の木だけが、変わらずそこにあって】

――――――、

【ざざ、と、少女の姿が歪む。時々ちらつく。ならばそこに居るのは真っ黒の蛇だった。オパールのようにきらきら艶めく鱗の、蛇】
【でも瞬きの次の瞬間にはそこに白神鈴音が居る。だけどその刹那には蛇に成っている。ゲームのバグみたいだった、どっちもが、そこに、存在するから】

【(そして、もう一つ。さっきの彼女の言葉を信じたなら)】
【(ここにはいままでのわたしのかけらがおちてる――それは、もしかしたなら)】
【(彼らが取り返したいと願う、少女さえも、あるんじゃないのか。そしてそのありかを、カエデは、厳島は、知っているんじゃないのか)】

【――ちりん、ちりん、ちりん、幽かな音。けれど確かな音。気づけば桜に実った鈴が一つ一つと落ち始めていた。熟れ切った果実が、そうなるみたいに】
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 21:44:44.29 ID:fgTCEbD00
>>890

【下手に言葉を発すれば、自信の居場所がバレてしまう。】
【だから返答は無かった、――ただ、できる限りイルの視界を黒い煙で遮ろうとするのみ】

「(――狙いは甘いけれども、……くっ、あまり風圧を出されると……!)」

【大体の攻撃が飛んでくる位置は、見えている。が、完全な回避を行うことが出来ない状況だ】
【全身に纏うは、魂砕のエネルギー。……回避はしない、ただ"直撃"は避ける】
【位置調整や体勢変化にによって命中角度を浅くしつつ、衝撃を破壊する。……どの程度までが回避扱いか、少し計りかねているようだが】

【さすがに制御によって留まらせることが厳しくなってきたか、煙の塊の中央――ではなく、少し端にずれた位置に彼の姿が見えた】
【疲労の色が見える、煙を再び纏う余裕もないらしい――が】

「まだまだ、やれる」

【それは同じ行動だった。――先程から継続する、黒い煙による視界阻害】
【だが、性質が変わった。……高温なのだ、本物の炎よりはぬるいが火傷を齎すのには十分な程に】
【念の為位置取りを、吹き飛ばされても湖に落ちないように調整しつつ、高速で煙を飛ばし視界を覆おうとする】
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 21:48:26.52 ID:O6cS6lbD0
>>892

へぇ、口だけは立派だね、世の中のニンゲン共にきかせてあげたいよ!
でもさぁ、見たでしょ? この前の工場、無数の子供達が、棄てられて、働かされて、殺された
あれを見てもまだ、大人だ子供だって言えるの? あれ、ぜーんぶ、大人が棄てたんだよ?

ねぇ、 "Lathe" を通して見たんでしょ? 蹂躙される女の子の景色。大人に身勝手な暴力を受けた
可愛そうな鈴ちゃんの記憶! あれだけ見ても、あれだけ見せ付けられてもまだきれいごと言うんだ!
それが大人なんだね! 口ばっかり立派で、そのくせ何も救えない! それがニンゲンの────いや

大人って、やつなんでしょ?


【 "虚神" たる彼女には──縁の無い存在であった。大人も子供も、言うなればこの姿で生まれてきたから】
【だからこそなのかもしれない、彼女には家族だとかそういう観念が希薄で────】
【彼女の言葉は突破口になりうる可能性を秘めていた、しかし、時は既に遅い】

【──血を吐きながら続ける悲しいマラソンの様であった。アナンタシェーシャは好き勝手に身体を叩きつける】
【それを避けることも許されず、二人は牙を立てるのだろうか】
【どちらが根を上げるかの勝負でもあった】
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 21:52:15.06 ID:O6cS6lbD0
>>895

【信念をぶつけるアーディンと違い、レオーテヴュートは効率的に時間を稼ぐ】
【その手法は貴方の高いバトルセンスが故か、合理的に勝利を狙う姿でもあった】
【──しかし、決して千日手にはなりえない。煙が晴れてその姿を曝け出したなら】


……あぁ鬱陶しい、一体どれだけ戦法があるわけ?
そろそろボクも飽きて────っ……!!
なるほどね、温度をあげたってわけ──! こんなん効かないけどっ


【軽い口調で答えながらも、アナンタシェーシャを動かし煙から離れていく】
【いたちごっこであった。煙を回避する分攻撃の頻度が減った】
【──レオーテヴュートが受けるダメージも少なくなるだろう】
898 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 21:55:25.84 ID:rqYwUM5E0
>>888

――――はッッッ!?

【腕に伝わる感触。そして眼前の――――見知らぬ乱入者の姿。思わずラベンダァイスは息を飲み、そして絶息する】
【――――今砕かなければ、今砕き散らしてしまわなければ――――鈴音はもう、道具と化してしまうのだ。悪魔たちのオモチャとして、かつての自分の父のように】

あぁぁぁぁッッ!! 退けッ、ダメッ、退いてェェェェッッッ!!

【殺意と必死さと悲壮感にかられた、悲鳴じみた懇願の叫びが、自然と口からあふれ出す】
【この先にあるのは、尊厳持つ存在としてあってはならない命の形だけ、そしてその先に――――罪にまみれた死だけだ】
【それを食い止めるのには――――せめて、今殺してやるしかないのに。より深く力に目覚めれば、自分たち全員が敗北して死んでしまいかねないのに】
【――――もう鈴音の目には、イルとの爛れた時間しか映っていないのに】
【――――乱入者である彼らには、それは分からない。無理もない――――だが、その為に待ってやることはできない。もう時間がないのだ】

殺さなきゃ、殺してあげなきゃ!! もう『そいつ』は鈴音でも何でもない、ただのイルの道具にしかならないから!! だから殺させてッ! じゃなきゃダメなんだから! だから殺させてぇぇぇッッ!!

【外聞も何もない。ただ、余計な犠牲を出したくない。そして、鈴音にせめて、人としての死をもたらしてやりたい――――だからこそ、兵器としてラベンダァイスは叫ぶ】
【――――これ以上、悪しき者たちの手で、誰かの魂が歪められる光景なんて、見ていたくなかったのだ】

>>893-894

あ、あれ――――!?

【だが、確かにもう1つの現実はそこにあった。自分の拳は鈴音の頭を砕き、そして――――彼女はまだ絶命しない】
【蘇生する。そして>>884の剣を受けて、倒れ――――やはり、絶命しない】

――――結局、私の言葉は聞こえていない――――ッ。言ったはずです、あなたの敵なら、私の敵でもあるって――――でも、あなたはもう、私も敵でしかないんだ――――そんなふざけた、決めつけと思い込みで――――ッ!!
――――勝手に嫌えば良い『神様』ッ? ――――私も、もうあなたを嫌いでいない理由が、ない――――!

【歪めた存在が何者か知っているなら、それを討つ事を――――鈴音が、わずかでも慰めを得る事を――――ラベンダァイスは拒否しないと。そう言ったはずなのに】
【もうこの『妄念』には聞こえていない――――神に至った故の不死性は、予想外だったが――――それでも戦うのが『兵器』なのだ】
【対話の時間はもう終わりだ。ここからは――――相克の時間】

――――ッ、!?

【そして、世界はもう1度一変する。最初の――――桜の木以外、何も存在しない白の世界】
【あの桜の木が、これ以上なく映える世界――――キーはやはり、ここにある】

――――どうする、どうすればいい――――ッ?

【もう、爛れた幻想の妄念など無視だ。自分の目的は、この桜の木に存在する】
【スラスターを噴射して、ラベンダァイスは桜の木に飛び掛かる。そしてその木の幹に手を当て――――思索する。自分のやるべき事は何か、と】
【――――輪廻を取り戻すにはどうするか。鈴音を救えず、今度こそ殺すにはどうするか。この桜の木に、なんとするべきか――――】
899 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 21:58:40.61 ID:ll8XrIKo0
>>890

…………命より大事ななにかがあるなら、こんな程度はただ“選ぶ”こと。
それも分からない貴女にあげられる楽しみは――――驚いて、心臓が停まることくらいかしらね……‼

【“虚神”はこの刃を決して持てない。それは優越するがごとく、彼らには羽虫に等しいはずの命を、先のやり取りを思い起こさせ様とするかの如く示され】
【直後の一撃、死力を尽くし、命を賭けて――――全力の全力を注ぎ込んだ刃が切り裂き、それでも、】

――――……ぁ、ッああああぁァ――――――――っっ‼

【大きく斬り裂かれた顎門は、それでも、少女のみならずあらゆるヒトにとって致命的だったのだろう】
【太刀と腕甲を構えた腕が圧し折れる。胴が圧迫され意識が明滅する。突き立てられた牙が、四肢を貫き、いっそうに血を絞り出して――――。】
【断末魔の様な声にならない叫びは、病魔の心を満たすだろうか。満足してしまったならば、きっと、誤算がひとつ生まれる】

――――――――絶望は、命に――――勝ては、しない――――。

【微笑む様に、確信する様に。きっとただの願いでしかない、言葉――――】

【彼女が――“命の最後の一滴まで、絞り尽くす覚悟でこの一手を選択したこと”。命は、まだ――――潰えきってはいない】
【増幅/消費/切断/燃焼、増幅/消費/切断/燃焼――――生み出した切断する焔は、この命と繋がればこそ、生と死を繰り返すがごとく意志を受け容れ続ける】
【内側から刻みつくし灼き尽くすその連鎖は、再会も守ることも諦めないから願えた“力”で。きっと虚神たちに、彼女らには理解できないまま抗いを示し続けようとするのだろう】
【やがては弱まってしまう火勢は、そのままきっと命の終わりだ。それでも、まだ、諦めない――――――――、】

【或いは――――喰らわれながら記憶を失わず、己が意志を保つことは何か意味を生むのだろうか。どうあれ、もう、この焔以外に打てる手など無かったけれど】
900 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 22:00:53.01 ID:ll8XrIKo0
/っと、誤解を生みそうな部分を修正です…‼

>>899
【太刀と腕甲を構えた腕が圧し折れる。

【太刀と腕甲を構えた、その両腕が圧し折れる。
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [saga !red_res]:2018/05/19(土) 22:07:00.08 ID:O6cS6lbD0
>>890

【── 両腕が折れる、その姿は正しく彼女の溜飲を下ろす ──しかし】
【それでも尚、立ち上がった。そしてあろうことか意思を向けてきた】
【何度、何度蹂躙しても、この少女は負けない── イルには到底理解できない理由で】


── なんで向かってくるのさ……!! いいからとっとと、楽になれよ!!
そんな意地張って何になるの、結局キミも何の意味も無く、無為に無駄に死んでしまうんだよ!
それでも、どうして────どうして!!


【それは最早慟哭に近かった。振り絞るような声が、貴方へと向けられる】
【人の身とは一体どれほどの意思を、強さを持つことができるのだろうか、と】
【──理解できなかった、けれども確かに少女は炎を燃やす】

【アナンタシェーシャが呻き声を上げる、それほどまでに内側を苛烈に焼く】
【身悶えするその身にイルは困惑し、その頭上から振り下ろされないようにしがみついて】
【しばし攻撃が中断されるだろう、──刃が確かにつきたてられる】
902 :アーディン&プラゴール&ナート・サンダー ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 22:08:09.42 ID:rqYwUM5E0
>>896

――――そんな事は百も承知だ。だからなんだ? だから人間は皆殺しというか?
『カミスシティ』もまた、我々の敵だ……! 我が子を捨てる畜生など、世界以前に――――俺の敵だ……!
だからこそ、あの街は滅ぼす。俺の手の届く限り、同じ過ちを犯す大人は殺す。俺が、許さん……!

――――あぁ、その通りだよ。救えないものはいくらでもあった。俺たちの人生は、後悔の色にばかり塗りつぶされた――――
その後悔に報いるためだけに、生き続けているようなものだ……!
「だが、だからこそ……だからこそ人の命は輝き、人はなお生きるのだ……! そこで開き直れば、お前たちの待ってましたの事にしか、ならないだろう……!
 いや、いずれにせよ、お前たちは我々を嘲笑うだろう。ならばもう、自己満足で構わない――――それでも、『我に美しく』――――それが人間の『義』だ……!」

【――――汚い現実など、腹の底まで思い知っている。できる範囲でそれを掃除してやっても、後から後からキリがない】
【だが――――だからと言ってそれから目を背けては――――今の、そしてこの前の戦いと同じだ。その瞬間に、人間という存在は『終わる』】
【我に美しくあるために、そして人が人として生きていくために、『義』を通す――――彼らの人生の答えは、もう決まっている様だった】

ぐぅッ!! く、ぅ……ッ!
「だ、旦那!! っち……こんなことなら、もう少し体鍛えておきゃあよ……酒、控えて……っぐ…………」

【防御に専念しても、削られるだけ。回避しようとしても、敵は時間を巻き戻して、因果を修正して命中させてくる】
【できる事は、ただ反撃で応戦する事だけだ。だが、それももう、限界が近い――――振るわれた体に、アーディンは吹き飛ばされ】
【ナート・サンダーも何とか食らいつきながら、傷口に『局所的無情爆弾』をねじ込んで爆発させ、ひざを折る】
【――――消耗はもう、本当に限界が近くなっていた――――敵がそれでも動くなら、こちらはもっと動くのだ。そして敵が攻撃してきたなら、こちらは倍返しで攻撃するのだ】
【――――その様は正に「血の吐きながら続ける、悲しいマラソン」だった】
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 22:11:52.70 ID:jgRPvcu20
>>888

「酷い事?」
「夕月、何を言っている!?」
「お前たちは、鵺からここに送られたんだろう」
「だとしたら、鈴音はまだ救う方法があると言う事だ……殺しなどする筈ないだろう?」
「鵺が君達を態々送り込んできているんだ、何か、何かある筈だ」

【こう心からの叫びを叫ぶ夕月に、答えて見せた】
【事実、軍刀はあくまで先ほどの様な鈴音の攻撃に対する迎撃翌用】
【攻撃の構えは、取っていない】
【また、オムレツにとってはその肩の意匠のワッペンは】
【先だってであった少女の拳銃にも刻印されている物と同じだが、こちらは気が付くかも覚えているかも不明だ】

>>898

「ラベンダァイス作戦変更だ!!」
「まだ手があるかもしれない!!鈴音を、この場から連れ去る!!」

【こう激昂し、前の見えない状況なのだろう】
【その少女に、声をかけた】
【届くかどうかは解らない、いや、届いてもらわねば困るのだ】
【たった一人で悲しんだ、可愛そうな少女を今度こそ救い出すために】
【世界を、旧き悪霊の神々から救い出すために】

//分割します
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 22:12:33.03 ID:jgRPvcu20

>>893>>894

「関係ない、だと?」
「俺は良い、だが、夕月やラベンダァイスまで、関係ないと本心から言えるのか?」

【関係ない人、だと?】
【その言葉に、眦がピクリと反応するのが自分で解った】
【きっと、酷く厳しい表情をしているに違いない】

「何故、何故そんな事が……うっ!?」

【ここで、本来在り得ない、在り得ないビジョンが見て取れる】
【自分が、鈴音の首をその軍刀で切り落とすビジョン……何故だ!?何故こんな行動に出た!?】
【自分にはその意思は無かった、正確にはあったのだが捨て去った】
【状況を整理して考えてみよう、先ほどまで確かに鈴音を手に掛けるつもりだった、だが】
【鵺からのメールと、そして実際に送り込まれてきた二人の存在により、その意思は放棄し】
【鈴音をこの場から連れ去る作戦に切り替えた、筈だった】

「どういう、事なんだ……」

【そして次の瞬間には、また先ほどの様に元に戻った鈴音が、ゆったりと話しかける】
【目を凝らして、桜の木に縁りそう鈴音に声をかける】

「――ッ!?」

【宝石の様な鱗の蛇だった】
【鈴音の姿とダブりながら、鈴の音の中で語りかける】

「行きずりの相手とは、また随分似合わない言葉を吐くな」
「誰に教わったのか?慣れない言葉は使わない方が良い」

【片目でそう、じっと見据えながら答える】
【済んだ鈴の音が不似合いな様に聞こえる】
【まるでそれは、あるかもないかも解らない内心の様に】

「――鈴?」

【違和感があった、あの鈴に何の意味があるのか?】
【先ほどから、何故あの鈴だけ普通の、赤く染まっていないのか?】

「桜花鈴音、それが君の名前か?」

【失った名前、そう問いかけながら距離を詰めていき、軍刀は……もはや不要だと腰に仕舞い】

「よく、よく解った……鵺は本当に、どこまで知っているのか解らないな……」

【深呼吸し】

「鈴音、その蛇は本当に神か?」
「お前は今真っ白い蛇と言ったな?その蛇は……黒いじゃないか」

【片方の瞳でじっと見据えながら、こう言い放った】
【バグの様にちらつく蛇は、どうみても黒い、これは何を意味するのか?】
【そして……】

//さらに分割します
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 22:12:45.95 ID:jgRPvcu20


>>内部ALL

「夕月!!ラベンダァイス!!そこの男!!」
「この木だ!!この気に『なって』いる鈴だ!!これが鈴音だ!!これを回収するんだッ!!!!」

【ありったけの声で、その場の全員に叫ぶ】
【鈴はひとつふたあつと、地面に落ちている】
【予測だ、あくまで推察に過ぎないが】
【確信はあった、これが鈴音の探している部分ではないか、と】
【それをこの場にいる全員に伝えた】
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/19(土) 22:14:11.10 ID:fgTCEbD00
>>897

「(……くそっ、長期戦は完全にあっちが有利だ)」
「(魂砕による防御も多様すれば当然魔力の消耗も激しくなる)」
「(――はぁ、あんまり賭け事は好きじゃあないんだけれども)」

「――どっかの悪魔は、僕の持つ魔力を"進化と変化"って呼んだ」
「使い方次第では空間の安定にも使えるみたいだよ? どーでもいいけど。」

「じゃあ、……飽きてきた君に向けて」

【――その身体が虹色の魔力に包まれ、そして渦巻く。眼の金色が虹色に染まり、滴る血液もそれに支配されて】
【翼の形状が明らかに変わった、より上の存在のようなそれにへと】
【人間の姿をした部分が多い故に見た目的な変化は少ないが……明らかに"解放した"】

「まずは……こうだっ! 煙で視界を覆う!」

【攻撃の手が緩んだのを良いことに、その口部から吐き出されるは……エネルギーをも燃やす、聖なる火炎】
【先程のカウンターの時のそれに比べると、火力が上がっていて】
【そして、地味なところだが……操作性能も向上しているのだ。延々と追い続けてくる程ではないが、ある程度のホーミング性能も持っている】

【火炎と同時に吐き出したのは煙だ。……煙が火炎を覆い、一見"ただの黒煙"に見えるようにちょっとした小細工をした】
【……魔力が探知できれば、本当にただの小細工にしか過ぎないのだが】
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/19(土) 22:17:05.70 ID:Qsqi5dxa0
>>891

【どうにか塊を消すことが出来た、しかも嬉しい事に右腕を切った上でだ】
【だが、こちらも衝突の余波で関係のない左腕を負傷してしまった】
【このまま行くと勝てるぞっ、畳み掛けるか】

「おう、てめぇも案外ノリいいんだな。」
「あぁ、策を張ってこそ戦だ。俺は研究も好きだが、戦も好きでな」
「さぁてと、俺も左腕の代金は払ってもらうぞ?」

【お互い、全力で攻撃する、】
【神命開放《剣ヨ今ソノ名ニ於イテ我ガ敵ヲ滅セヨ》〔カリスエクス〕
【剣を構え、ありったけの魔翠力を纏わせて】

【片腕だが、全力で振り下ろし。攻撃する】
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/19(土) 22:17:09.79 ID:B+ezTYgK0
>>893

「……はぁ? ナニ? なんだよー、あんた“リンネちゃん”じゃねーの?
 じゃあ庇ったイミねーじゃん、なんだっけ、骨折りゾンのクタビレ儲け? じゃん、文字通り!」

【くる、と振り向いて。男が不満げに唇を尖らせながら、言った】
【ひとつの現実として、ラベンダァイスの拳を受け止めた異形の腕は砕けてボロボロになっていた】
【それもこれも、「あのコのためなら惜しくない」って思ってやったことなのに。……「あのコ」じゃないなら、】

「あんねえ、おれはネ、“リンネちゃん”を助けに来たの。ニンゲンでありたいって泣いてた“リンネちゃん”に。
 カミサマになっちゃって、それに満足しちゃうようなコにはそんなことしたくねーの。ねえわかる?

 返してよ、おれの好きな“リンネちゃん”を。何処にいるの? 何処で――泣いてるの?」

【何したって意味がない。こんなコのこと、好きでもなんでもない。それなら何にもしたくない】
【好ましく思っていた。ラブかライクかはひとまず置いておいて、「オムレツ」は「白神鈴音」のことが、だいぶ好きだった】
【だからあの日、自分が罰を受けると知りながら、主の命令に背いてまで鈴音を、助けたんだった】

【返してよって要求するのは、またほかの日に鈴音に言われたのと同じだった。毀れちゃいないから、泣き喚きはしないけど】
【――――卵焼き色の瞳は、存外真剣に尖っていた。おれの好きなコ、どこに隠したのって。神に訊く】


>>898

「……そうだネ、邪魔してゴメン。このコ、オレの知ってる“リンネちゃん”じゃなかった。
 ね、おじょーちゃんなら知っている? おれや、おじょーちゃんが知ってる――“リンネちゃん”が何処にいるか」

【意外にもあっさり謝罪した。そうしてズタズタに砕けた異形の腕を、退いたなら】
【ラベンダァイスに、自分よりも長くこの場にいた存在に、訊くのだ。そうして、彼女の視線を追いかける】
【――一直線に向かっていったサクラノ樹。なるほど其処か、って判断して、また駆ける。彼女に追従するように、樹の元へ】


>>903

『ヌエ? ぬえって言うの、あの白い髪の子――――』

【殺しなどしないと聞けば、少しだけ安堵するように、身体から力が抜けた】
【続く言葉にはっと息を呑む。呆けていたのも安堵していたのも、ぜんぶ置き去りにして】
【先に駆け出していた男に続いて樹の方へ、走り出す。厚底靴が水面を打って、波紋をいくつも生み出して、止まらない――】
909 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/19(土) 22:27:59.79 ID:ll8XrIKo0
>>901


…………見たいものも、遠くで煌めいていてほしいものも消えていない。

それに……私が死んだら、きっと泣くひとがまだいるから。
こんな程度で、諦める訳には……いかない――――――――っ、

【もう、視界は朧に過ぎて。けれど瞼の裏では、やさしい安らぎが待っている】
【“だからこそ”、この現実にしがみついていた。“大切なもの”がいない安らぎより、こんな地獄でもこの世界を選ぶと――――。】

……さあ、どうしたの?
無為に、無駄に死なせてくれる……そのためにその蛇ごと、癒えない傷を負う覚悟を決めたんでしょう?
ただのお子様に――――そんな風に戦うのは、……そこまで難しい?

【この状況で、きっと耳を疑う言葉を放つ。……疑わせたなら、或いは役目を終えられる言葉。】
【あろうことか攻撃を促して、まだ余力があるかの様に振る舞ってみせる。事実は……蒼白をとっくに通り越して、蝋の様に白く血の気を失った肌が悟らせるだろう】
【腿を牙に貫かれ、まるで泉から水が溢れるかの様に出血が止まらない。この状況が“攻撃”に当て嵌まるなら、この瞬間にも、内側からの破壊は続いているはずで】
【……上手くすれば、このまま敵意を引けると思った。…………けれど、】


…………はぁ……っ、あ、……あ、ぁ――――――――

【僅かに……けれど、確かに火勢が弱まった。何かの一線を越えてしまったと、イルにも、アナンタシェーシャにもハッキリと理解できるはずで】
【勝ち誇れるなら、注意は切断者を無為と成すこの結末に向くだろうか。それは、決着に程近い様にも思われて――、】
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) :2018/05/19(土) 22:32:09.08 ID:O6cS6lbD0
>>907

【────振り下ろされる刃が、男の首筋を捉えた】
【真っ二つに断ち切られる、細身の身体はあっさりと切断され】
【ロールシャッハは地面へと倒れこむ、物言わぬ躯が、そこには残った】


────……成程、警戒していて正解だったね、随分とイレギュラーな存在だ。
キミのような強力は規格外がアナンタシェーシャと対峙していたなら、と思うと
これだけの時間足止めできたのだ。それだけで僕の顕現した意味があったという訳さ


【何処からか声が聞こえる。男の躯を投げ出しながら、現出した声が周囲を包む】
【それは明確な賛辞であった。気高き錬金術師の腕前を称える音律で】
【──同時に何処か勝ち誇る様に、目的を果たしたと言わんばかりに】


言っておくけれども、本気じゃないとかそういうのではなく、今の僕の全力がこれさ
──それを此処まで圧倒するんだもの、錬金術──恐るべき、だね
けれども、僕達もやられっぱなしではいられないのも、事実だから

研究させてもらうよ、君の言葉を借りるなら、ね


【やがて声は雲散霧消と消え、僅かばかりの痕跡も残さず】
【──ロールシャッハは消え去るだろう。セアン・フォールスの足止めをかろうじて果たして】
【そして残すのは意味深な言葉、その意味をどうか辿れるように】


/こちらの戦いはこのあたりでしょうか! お疲れ様でしたー!
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 22:40:20.12 ID:1Q1feBo80
>>898

【――――――――ぞ、とした】
【カエデが何かに気づいたことに気づいて、少女は、表情をこわばらせた。そんなカエデに声を掛けるように、鈴が一つ、また、カエデのすぐ目の前に】

【桜の木はかすかに動いていた。それはまるで脈動するように、それとも、呼吸するように。どちらにせよひどく穏やかに、思えて】
【――だけれど景色は一変する、確かにカエデは桜に触れていたはずだった。だけど、次の刹那に、そこには白神鈴音が立っていたから】

――――触んないでよ、汚い手で! 蛇を犬と見間違うなんて、どうかしてるっ――、あんな四つん這いの獣とは違う!
わたしたちはもっと綺麗なの、犬っころに川を溢れさせることが出来る? 五時のチャイムに遠吠えしてわんわん言うのが精いっぱいの獣と一緒にしないで!

【――――少女と桜の木の位置関係がくるりっと入れ替わっていた。それはさながらテレビのマジックショウ、タネもシカケもない。だって、神様の奇跡なんだから!】
【それをなんだのかんだのって考えるのは無粋でしかない。だから人間は嫌いだ、神様の美しい奇跡を、くだらない、ほんとにくだらない、原理で塗りつけてしまったから】
【川が氾濫するのに理由なんて要らない。神様が怒っているから。――――それだけでいいのに】

【(だけれど、分かることもある。彼女は聞いている、聞いているのだ、だから、あとから怒ってくる、あのときは……って、三年後とかに、言い出しかねない)】
【(――――だって、この場において"白神鈴音"は全知全能の神だから)】

>>903>>904>>905

――――似合わない言葉って、なあに? ****だなんて何回もしたよ、人数も数える? ……十人くらい、かなぁ、
"あいつら"が何人いたのか覚えてないの、全員殺したのは、覚えてるんだけど――、あははっ、あのときから、わたしね、神様だったんだよ!

あの時に桜花鈴音は消えちゃった、死んじゃったのはもうちょっと前だけど。桜花鈴音の存在は祟りに変貌ってしまったの、あの時助けてって言ったの、聞こえてなかった?
……ないよね、だって、誰も助けてくれなかったから。だれも路地裏で***されそうになってる女の子だなんて助けてくれないの、だからね――、

――――厳島さん、話、聞いてた? 桜花鈴音は死んじゃったんだよ。もう居ないの。人間は生き返らないから。

【くすくすと笑い声を漏らす。――似合わないだなんて笑っちゃう、それは結局、彼のイメージでしかなくて、でも、それは、神にとっては致命的】
【わずかに眉をひそめた――今の存在の中に彼らのイメージが混じりこんでしまう、だから、わざと嘲るように伝える、――乾いた喉で無理やりするように、ざらついて】

【神にとってそれは致命的な現象だった。特に信仰のない彼女にとっては、彼らのイメージが自分を形作るために、必要不可欠で――だけど、それは、】

【――――にこり、と、笑った。だって笑っちゃう。笑っちゃうでしょ? (それは違うから、余裕っぽく笑っていられる)】

/↓
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 22:40:30.57 ID:1Q1feBo80
>>911

>>908

【だけれどその表情が、褪めた。――あれ?っていうみたいに、鋭く尖った目を向けられて、少女は明確に困惑した】
【自分をかばってくれた存在は彼女にとって好ましい。――まして彼女の記憶にはそのイメージがある、彼がこの前も自分を助けてくれたっていう、イメージが】
【特にそれは少女が真っ新になりつつある中での、ことだったから。――そして少女は真っ新になった、生まれ直した。だから、洪水だって起こったのに】
【――ああそっか、彼らはそれに行き合わなかったんだった】

――うるっ……、さい、なあ! "わたし"はここに居るじゃない、わたしはここに居るんだよ!
なのに、なんで、みんな、わたしじゃないわたしじゃないって――わたしなのに! わたしなんだよ! ――ずっと神様だったんだよ、知らなかっただけで!
なのに――っ、やっと"わかった"のに! ……わたしは神様だったんだよ、人間全部祟るって決めたの、ずーっと、ずっと、みんなに会う前から!

――――ねえ、ね、夕月ちゃん。夕月ちゃん、なら、分かってくれるよね? わたしが、わたし、だって……、ねえ、
やだ……、……――――そこに行かないでよッ! 行かないで! 

【ふらり……と少女の足元が揺らぐ。それはあるいは不思議と映るかもしれなかった、――特に、厳島と、カエデにとっては】
【少女は三人きりだったときは誰かの言葉なんて聞いていないことが多かった。でも、今では、――彼らの言葉に反応して、惑うのだ。それは、かつての少女のように】

【(そしてそれこそが神であるからこその、特性だった。――上書き、されてしまう。みんなが知っている白神鈴音が、みんなの中にある、そのイメージが)】
【(この生まれたばかりの神を浸食するから)】

【――桜の木は、移動した。だけど。そちらに向かえば、そこにあった。ていうか。ずーっと。そこにあった。あったんだ】
【だって天蓋まで覆いつくすような大きな木が、ころころって手品みたいに動くはずないんだから。"ここはそういう場所だから"】

【とくんとくんってかすかに動くのは、明らかに、普通じゃない証拠。切っちゃう? それとも、ぶち抜いちゃう? なんだっていいけど】
【"これ"が大事だって、分かるはずだから――だけれど同時に、タイムリミットも、近い。世界がばきばきばきばき、鳴きだした。彼らを追い出すことを神が決めたように】

――出ていけ、わたしの場所から! ――――今すぐに!

【――――だから、出来るとしたら、ほんの一瞬。何が正解でどれが正しいのかも分からない。桜の木には死体が埋まっている、なんて、よく言うけれど】
【根っこは遥か深淵の先まで伸びていて死体どころじゃなさそうで。それでも絶対に何かがあった。あるいは――信じて、触れている。それだけで、奇跡さえ起こりそうで】
【だって神様は人間の願いを叶えてしまうから。――それはどうしようもない本能、お日様を浴びると二酸化炭素を出しちゃう植物みたいに、願えば、叶っちゃう】

【だけどそれは思いの強さに因るから。――神様は嫌がっていた、出て行けって叫びながら、泣いていた。――そういう風に、見えたから】
913 :ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/19(土) 23:00:37.30 ID:rqYwUM5E0
>>903-905

出来るんですかそんな事!? もう、もう私たちは――――ッ!?

【手遅れだった――――それがラベンダァイスの認識だ。ただでさえ、目の前で『殺せない』という事実を突き付けられて、焦っていたのかもしれない】
【何とかして、決着をつけなければならない。その為にはもう、鈴音の救出に拘泥している余裕もないはずだと、そういい返そうとして――――】

――――っ、鈴――――!? これが――――ッ、えぇい――――!!

【その推測が続いて耳に届く。それが正解かどうかなど、今は考えている余裕はない。もし間違いなら、その時は――――この桜の木毎、吹き飛ばしてしまうだけだ】
【戦闘兵器として化している腕では、なかなか拾うのは難しい。仕方がないので、ラベンダァイスは飛翔する。まだ木になっていて、落ちそうになっている鈴から優先的に回収しようと】

>>908

分かりません! 可能性があるのは、この木だけです。ここに、鈴音さんの身体があった!
この木こそ、鈴音さんの変容(メタモルフォーゼ)――――もし、間違いならもう無理です――――!!

【余裕はない。本当なら、攻撃を当てたことに一言ぐらいは謝罪したいところだが、もう時間がない】
【ただ、回収作業に専念しながら、ラベンダァイスは突如現れた黄色い瞳の男にそう告げる。――――救えるかどうかは、今度こそここで見切らなければならない】

>>911-912

――――――――ッッ、邪魔だぁッ!!

【鈴を回収していた。確かに自分は、鈴を回収してきたはずなのだ。だが、瞬時に、やはり映像を編集したように、眼前の光景が桜の木と鈴音とで入れ替わる】
【――――力を、本格的に使いこなし始めている。もう――――今度こそ時間がない。なりふり構ってはいられないのだ】
【――――咄嗟に、鈴を抱えた腕で、眼前に現れた『鈴音』を裏拳一発、振り払う。そして、すぐさま――――その成否を確認する間も惜しんで、位置をずらされた桜の木へと飛び掛かる】

ッッッッ、もう――――もう時間がない、今度こそ!!
(この蛇が、いつまでも存在し続けたら――――外で、アーディンさんたちに迷惑が掛かる――――そして、鈴音さんも、今度こそイルの奴のオモチャに――――)

【世界の鳴動が、ついに始まる。力を使いこなし始めた『鈴音』が、神としての全能を振るおうとする】
【そうすれば、この戦いはお終いだ。鈴音は救えずに、悪魔のオモチャとなり、世界の敵となる。そして――――外で戦う仲間たちの足を引っ張り、犠牲は数えきれない】

【――――――――――――――――それを止めるのが、兵器である『ケツァル・コアトル』の役目だ――――――――――――――――】

(思い出せ! あの時の事を! そして最適解を導き出せ!)

【思い出すのは――――鈴音の身体を入れた棺桶が、桜へと変貌した瞬間の事。体が花びらになって、砕け散って――――世界を覆って、そしてこの木になった】

(――――この木は、この木は鈴音さんの変化? 本当に? あるいは――――鈴音さんを繋ぐものなんじゃ――――ないの――――? ――――時間がない、間に合え!!)
――――『Q.E.ブラスト』!!

【――――最後の最後、ラベンダァイスはこの桜の木を『鈴音をこの許されざる世界につなぎとめる『楔』』だと判断した】
【回収できる限りの鈴を回収し――――胸元にためたエネルギーを、桜向かって放射する。その木を破壊するように】
【――――願う事は、事態の打開、そして鈴音の解放――――生還か、道具にならずに済む死か、それは問わない――――だった】
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/19(土) 23:23:12.56 ID:jgRPvcu20
>>908>>911>>912>>913

「そうだ、ラベンダァイス!」
「これには、これにはきっと意味がある」

【そう判断し、ラベンダァイスと共に、自分は地面に落ちた鈴を拾っていく】
【回収していく】
【最早時間的余裕は、何も無い】
【そして】

「関係性が掴めないが、桜花鈴音と白神鈴音は別人で同じと考えていいのか?」

【片方の瞳で鈴音を見ながら】
【木の位置は、変化している】
【なるほど、ここも自由自在と言う訳だが、何故わざわざ木の位置を変化させる必要があったのか?】
【そして、先ほどから随分と『まとも』に受け答えしている】
【この状況に、違和感を感じない筈は無かった】

「随分としっかりと話してくれるようになったな、やはりこの木か?それとも鈴か?これが原因か?」

【口元に笑みを浮かべながら、そう尋ね】
【ラベンダァイスが夕月が、その木に向かい何かを成すだろう】

「何がどうかは解らないが、なるほど木の方かな本体は?」
「いい加減、馬脚を示したらどうだ、黒い方の蛇」

【拳銃を、今度はその木に向けて】

「随分と余裕が無さそうだな……ビンゴだ」

【そう自分はこの神様、らしい何かを引き付けておく事にした】

「夕月!!ラベンダァイス!!どうやらその木のようだ!!鈴音を助け出せ!!」

【二人に、こう叫んで】
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/19(土) 23:30:09.72 ID:B+ezTYgK0
>>911-912

「ウソつけ。ずーっと前からそうだったんなら、なんで“たんぽぽ”なんざやってた。
 子供を助けてやれないって泣いてた。……おれはそーいうリンネちゃんがすげーなって、思ってた。思ってたんだよ、

 おまえがカミサマだって言うんなら、おれはおまえをを信じてやんない、畏れてやんない。
 おれは、おれの好きなコを否定するおまえのこと、すげーヤツだなんて、思わねーぞ。
 ――――“リンネちゃん”のほうが、ずっとずっと、綺麗だった!」

【ぽつぽつ、零されていく言葉は怨み言に似て低いトーン】
【きっと恐らく、絶対に怒っている。平時のへらへらした表情はどこかに失せて、冷たく尖り】
【最後には叫ぶような声色で、祟り神を、真っ向から否定した。拒絶した。卵焼きの男はもう、神の声を聞かない】

『……あた、しは……あんたが、どんな存在なんだか、よく、わかってない、けど……
 ……、……ごめん、ヤだ! あたしもイヤ! あたしのことを助けようとしてくれたあんたが、
 ヒトを祟って傷つけようとするところなんか、見たくない!!』

【助けを求めるように名を呼ばれた少女もまた、祟り神を否定した。すり抜けるように逃げていく櫻を追いかけて、追いかけて】


>>913

【「そ、ありがと」。攻撃を自ら受け止めにいったのはこの男のほうだ、だから特に怒ってもなにもいなくって】
【微かに笑んで、ラベンダァイスに続けて手を伸ばす。異形になっていないほうの手を、教えてくれた桜の樹のほうへ】
【もう片方、ヒト型のものより大きな異形の手で、同じように鈴をたくさん、たくさん、拾い集めながら】


>>914

【ラベンダァイスが攻撃を加えた樹に、少女も手を伸ばす。赤いマニキュアの乗った爪先がぴんと伸びて】
【厳島の叫びに呼応するように、叫ぶため、息を吸い込む、大きく――――――】


>>ALL

「『戻って来い――――――ニンゲンを愛した少女、白神鈴音ッ!!!』」

【兄妹は、願った。同時に手を伸ばした先、樹の中にいるだろう、鈴音の名を呼んで】
【――それは間違いなく、神の名を呼ぶようなトーンではなかった。尊さも、慈しみも、なにもなくて】
【ただ只管。自分たちが好ましく思っていた、少女を取り戻したい一心で。望んだ、彼女と外の世界へ、帰ることを――】
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 23:43:53.79 ID:1Q1feBo80
>>913

【――――ざあああ、と、急に降り出すものがあった。ばきばきと世界が端っこから黒塗りになって――違う、何もかもが消えて、いく最中で】
【それは鈴だった、銀色の鈴。小さな鈴。――それはあるいは彼らの気を逸らすよう、どうしようもなくなった子供の自棄に似ていて、止まらない】
【だからこそ――聞こえなく、なってしまった。だって、その鈴は、少女の声とよく似た音で鳴るものだったから。――だから、きっと彼らが感じることだけ】

【まず。降り出した鈴が地面に跳ね返って、この場所はひどくうるさくなった。一つずつなら澄んだ音色も、そうなれば、まるで拷問のようになり】
【それであってなおばきばきと世界が縮こまっていく音がする。それは音量とかではなく、魂で感じるような音だった。もうここには居られないって――理解させる】
【そしてそれはもしかしたら子宮の中で胎児が見る、最後の光景なのかもしれない。楽園が壊れる瞬間の光景、救いようのない洪水が、自分たちを、地獄に産み落とす瞬間】

――――――やめてえええぇえぇぇえ!

【――エネルギーが桜の木を捉える。けれどこれは最後の抵抗だったのだろう、木が不自然に"ぐねって"、そのエネルギーを、避けようとする】
【けれど逃れきれなかった幹の一部が抉り取られて――ぶしゃ、と、血がはじけた。そしてカエデは見るだろう、木の抉れた断面――紛れもない桜色の魔力の、幹の中】
【人間の身体があった。胴体部分。そこしか見えないけれど、確かに"そこ"にあったのだ。――内臓の大部分を抉り取られて、でろり、と、その中の赤がまろびでる】

【――――――――カエデは真っ先に外の世界へ放り出されるだろう。だから、最後に見る光景は、間違いなくそれだった】

>>914

【――――ざあざあ降りしきる鈴の中で、少女の形をした神様が必死になって叫んでいた、それをしたらいけないって、泣きじゃくるように喚いていた】
【けれど声は聞こえない。あるいは――彼が読唇術のたぐいを扱えたなら。彼女の言葉、理解できたのかもしれないけれど】

――――――――――わたしを殺さないで!

【――そうして少女はそれを思い浮かべてしまった。彼が木に向けた拳銃は、彼の意思も行動も全く関係なく、あまりに唐突に、鉛弾を吐き出すだろう】
【銃弾が木の幹を捉えた。捉えて――その表皮が張り裂けたなら、そこには、やはり"あった"。――白神鈴音、まさにその人物が、眠っていた。木の幹の中で】
【けれどひどく蒼褪めた顔をしている、――前述のカエデの攻撃により、その腹を抉り取られていたから。気づけば木もまた弱り始めている、ように見えて】
【――――ぐちゃり、と、その少女の顔が張り裂けた。真っ赤な肉が零れ落ちて、――また木が枯れていく。そこで彼は振り向くことを"強いられる"。気づけと命令されるよう】

――――――!

【彼らから離れた場所に居た少女の脇腹が抉れて、その顔面が、はじけていた。――だけど、それは、何か、ひどく不吉に思えたのだった】
【決してそれは悪い神を退治する物語としてふさわしくない温度感を持っていた。例えるならば夜中、家の廊下で鉢合わせた強盗に殺される、罪なき民のような】

【――――――――これが彼の見る最後の光景になる。それで彼は、外の世界にはじき出されて】

>>915

【少女の形をした神様はいやいやをして駄々をこねた。わき腹を抉られて顔面が爆ぜた、その恰好のままで、ふらふら、って、揺れながら、泣いていた】
【もうしゃべらない。鈴の音ばかりがうるさくて。――――――それが、二人の、最後に見た光景、だったから】

/↓
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res saga]:2018/05/19(土) 23:44:08.29 ID:1Q1feBo80
>>916

>>913>>914>>915

【最後に、ばきん――って音がして、少女の世界は、終わった。ううん、終わっていないけれど。観測する存在のいない神は、存在できないから】

【――――彼らは気づけば外に居るだろう。そして、兄妹――その傍らには、あの少女が、倒れている。すっかり血の気の失せた身体を投げ出して、地面に転がっている】
【脇腹が大きくえぐれて内臓が溢れていた。顔は撃たれた衝撃で爆ぜて、原形は保っているけど――それでも、明らかに"ひどくて"】
【どちらも致命傷レベルの傷だった。それはまさに自分たちがつけた傷だと分かるだろう。だけど、確かに、"髪の短い"少女はそこに居て――――、ああでも】


【――きっとその光景を見るイルには、分かるだろう。その"白神鈴音"は、"違った"】


【だけれどそれを説明するにはすごく難しい。彼女は本物でありながら、贋物だった。確かに本物なんだけど、それは、限りなく、違うものだったから】
【この場においてイルだけがただちにそれを理解する――彼らが持ってきたのは、"イルによって再定義される前"の"白神鈴音"だと】
【イルによって加護/籠/過誤/訛語のない蛇であると定義される前の、白神鈴音。それはまさしく"彼ら"が望む彼女ではあったが、同時に、限りなく、抜け殻でもあった】

【 ――――それはしまい込まれた古いノートとおんなじだから 】

【――なら"本当"の少女はどこかで取り残されている、って、イルには伝わるのだ。きっと彼らも、そのあとで気づくだろう。けど、今は――――きっとイルだけが理解して】

【(少女はあの抜け殻を大事にしていた。生まれたばかりの神である彼女は、もともと存在していた概念を色濃く反映することで、揺蕩う幻から少しだけ、確固になっていた)】
【(その抜け殻を持ってこられてしまったということは――――)】
918 :イル ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/05/19(土) 23:50:21.43 ID:Zc3G5OABO
>>All



           【──── 変容は、一瞬であった ────】

【アナンタシェーシャの腹部が膨らんだ。】   【それはまるで、まさしく妊婦のように】

                  【 どこかおかしい光景でもあった】     

  【風船の如き膨らみが目に見えるほど広がって】       【── 弾けた】

【撒き散らされる水飛沫、透明な、あまりにも透明な、──── 透き通る無限の青】 

    【清涼な潤いに満ちて】        【周囲に撒き散らされる】

   【それは "Lathe" 】    【忘却の名を冠する水】

             【 言い伝えではこういわれていた、から】   

【 "Lathe" の源流を辿ると、その先にあるのは】    【────エデンの園】

   【 "イブ" が泣いている。── ざゝざゝと、どうして、泣いているんだろうか】

  【それは罪を持ってしまったから。】   【知恵の実を食べてしまったが、故に】

         【──── 果たしてそれは、許されざる罪であったのだろうか】

                 ” でも、君は変わった ”
                ” メスを入れて傷を広げる ”  
                 ” 柔らかい君のお腹に ”
              ” ルビー色の夜がそこから溢れ出す ”

                    ” ここは楽園さ ”


【アナンタシェーシャの腹部が弾け、水が零れる。── 正しく、"破水"であった。】
【溢れ出る水の中に、鈴音達が浮かんでいるだろう。水は柔らかい温度を保って、水面に浮かべていた】
【そのまま湖畔へ皆を運んでいく、全員が地面へと、たどり着くだろう】
【アナンタシェーシャはピクリとも動かなかった。死骸が湖の中に浮かんでいる】
【力の源たる 鈴音 が居なくなった今。それは抜け殻の様に存在感を無くし】
【やがて塵芥のように、少しずつその身を朽ち果てさせていくだろう】


/↓
919 :イル ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/05/19(土) 23:52:22.10 ID:Zc3G5OABO
────くそ、くそ! くそ!!! どうして、どうして!!! 鈴ちゃん約束したでしょ!!
ボクと、ケッコンするって! ボク達が幸せになれる世界をつくろうって!!
信じてたんだよ、ボク!! 心の底から、キミとなら幸せになれるって、信じてたのに!!
だからね、だから────頑張ったんだよっ……鈴ちゃんに、幸せになってほしかったから……
鈴ちゃんを傷つけるニンゲンを殺して、世界を鈴ちゃんの愛で包んで、それで、それで……
もう、キミが泣くことのない世界を、作りたかったのに……!!

【イルの言葉が漏れた。それはどこまでも悲しい音律で── 果ての無い慟哭が、虚空に響き渡る】
【どうして、どうして、──── その声は届く先も無い、彼女には理由が、皆目分からなかった】
【貴女となら幸せになれると思った。貴女を幸せにできると思っていた────、でも】


全部、全部許さない……!! この世界も、この宇宙も!! みんな、みんな!!
ボクを否定するこの現実を、塗りつぶす────!! 虚構の現実で、塗り替えるから!!
ニンゲンも、獣人も、元ニンゲンも……神様だって、もう全員殺してみせる
全ては虚構、全ては────全ては、 "グランギニョル" の名の下に、滅ぼしてやる

【夜がイルを包んでいく。深々とその色を携えたまま、包み込む── 抱かれる彼女は、赤子のように】
【結局の所、彼女を愛してくれるのなんて、信じてくれた存在なんて、きっと、きっと───】
【夜は沈黙、月は寡黙────黙祷のように祈りを捧げたなら、届く場所なんてどこにもないから】
920 :イル ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/05/19(土) 23:53:55.62 ID:Zc3G5OABO
【病魔の痕跡が消えていく。今度は何の言葉も残さずに────】
【やがて朝日が差し込むように、月明かりが水面に浮かんだ。 "レテ・ビーチ" に深く差し込む明かりが煌いて】

【水を一滴飲んだなら、先ほどまでの戦いが嘘みたいに、その冷たさは喉に染み込んで行くのだろう】
【何もかもやがて永劫の時の中に消える。けれども記憶は────受け継がれていく唯一の可能性を以て】
【冥府に来た死者は、その泉の水を飲み現世での生を忘れ────】

【────現世に赴く際にもその泉の水を飲み、冥府での生を忘れる】
【その名は "Lathe" ────忘却の名を冠する湖】


/長時間お疲れ様でした! これでイベント終了です!
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/20(日) 00:02:08.86 ID:wFAb1n6X0
>>916-917 >>918-920 >>ALL

【さんざめく鈴ノ音の大合唱に、思わず顔を顰めながらも――兄妹は、伸ばした手を引っ込めなかった】
【赤い華をいくつも咲かせた細い躰のどこかを掴んで、決して離さないように。手に力を籠めて】
【そうしていたら――――世界が罅割れて、砕け散って。元の世界へ流出した】

『鈴、音……鈴音っ! やだ、ひっどい、怪我――――どうしよ、早く、……病院っ!?』

「おーちつけって。……はーもう、なんだアイツ。リンネちゃん泣かしてた張本人、アイツじゃねーのかよ」

【かたわらで深い傷を負い、動くことのない鈴音を抱き寄せて、おろおろ泣き始める少女に】
【諌めるように声をかける男。……彼は「イル」が消えていく際、残した言葉に、ひどい不快感を感じたようだった】
【眉間に皺を寄せて――ち、と舌打ち。イルが融けて消えていった夜闇を睨み付けてから――鈴音を抱く妹に、向き直る】

「リンネちゃん、リンネちゃーん。……ダメかな、声、聞こえてくんねーかな……」

【男もまた、鈴音の身を案じ始めた。ずぶ濡れになった躰が冷えるのは、最早気にも留めていない】
【誰かこういうとき、回復の術でも使える人がいやしないかって――周囲を見渡した】


//おつっかれさまでしたー!! 途中からの参加、快く許可してくださりありがとーございました!
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/20(日) 00:05:06.34 ID:NM7tMv0S0
>>918-920

「――あぁ、こうして聞いていると」
「どっかのクソ上司はまだマシなんだなぁ。……いや、アレはアレで駄目だけどさ」

「壊した先にある世界が秩序に満ち溢れ、悪意の欠片もない世界ならば――考えるけれど」

【それから、ふんわりと地面に降りてきた。……渦巻く虹色は既に消えていて】
【アルティメットフォーム。……言い換えれば、リミッター解除だ】
【長くは持たない。消耗が激しいのだから――疲労の溜まった身体でそれをすれば、当然動く気力も無くなる】

「……みんな、無事だったんだね。よかった」

【蛇に呑まれていた彼らの姿、それにもうひとり――とりあえず、ひと安心。】
【本当ならば動けなくなった者共の救助もしたいところだが、当の本人がその対象では話にならない】

「ごめん、先に帰るよ」

【そういえば、こんなものを押し付けられていたなぁ――銀色の腕輪をどこからか取り出せば】
【何事もなければ、それの力によってどこかにへと飛ばされ消えるだろう】

//お疲れ様でした!
923 :ラベンダァイス&アーディン&ヴァルター ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/20(日) 00:07:42.09 ID:b3A8Ev5i0
>>916-920

<――――ッ、あれは――――!?>

【桜の木、それは鈴音の魂を繋ぎとめる、霊的なシンボルだと、そうラベンダァイスは理解した。だが――――木の中に、鈴音の身体が埋まっている】
【それが、血を流し、破壊されていく――――これは、どういう事なのか――――考える間もなく、ラベンダァイスはその空間から放逐される】



ッッ――――ラベンダァイス!?
「お、っ……おいお嬢ちゃん、大丈夫か……!?」
<アーディンさん、それにヴァルターさん!? そちらこそ、ひどい傷――――!!>

【突如して――――前触れなく、砕け散ったアナンタシェーシャ。そこから飛び出した来たラベンダァイスを、満身創痍のアーディンとナート・サンダー――――改め、ヴァルターが出迎える】
【水の中から必死にはい出るラベンダァイスは、既に元の少女の姿を取り戻していた。それに引き換え、アーディンとヴァルターは、この怪物との死闘の傷が、もう瀕死レベルで積み重なっている】

それが――――鈴音の、死体か……
<えっ――――>

【振り返れば――――そこには、もう死体としか思えない鈴音の姿があった。まだ命は繋がっているのかもしれないが――――恐らく、そう永くはない】
【――――思うところはある。だがそれよりも、3人には他に見なければならない事があった】

<ッッッッ、悲しむふりはやめろ、怒るふりはやめろッッ!! 所詮、鈴音さんを道具として仕込んだだけの分際でッッ!! 汚らわしいこの悪魔めがぁッ!!>
――――まるで、子供の癇癪だ。自分たちが戦場に――――殺し合いの場にいるのだと、分かっていないのだな。だからお前は『神』などなれぬと言ったのだ……!
「――――大人を舐めるなよ、ガキンチョ。次は何のオモチャを持ってくるんだ? ――――俺たちはな、最後まで諦めない。そして最後には勝つ……それが、ヒーローだ」

【激昂するイルに、3人はそれぞれに思いの丈をぶつける。そんな激昂など、見せかけのものに過ぎないと、怒りのままに振り払うラベンダァイス。ボロボロになりながら子供とこき下ろすアーディンとヴァルター】
【――――ともあれ、彼らは勝ったのだ――――正確に、勝利と言えるかは分からないが、敵の目論見は敗れ、自分たちは生き残った。とりあえずの勝利と言って、良いのだろう】

<――――鈴音さんは、もう――――>
――――アレは、傷の深さから考えて、もうどうしようもないか…………どんな力があっても、あの様子では…………
「――――チッ」

【ただ――――鈴音の生存は、もしもそれが成っても、その先の覚醒はもう絶望的だろう。その意味では、彼らの目的も潰えた】
【だが――――少なくとも、イルの手からは解放されたのだ。今はそれだけを慰めとしよう――――】

そうだ……ヴァルター
「なんだ――――んげっ!? な、なんで殴る!?」
俺の事を猫と呼んだ落とし前だ……良いだろう、生き残ったんだから……チャラにしたことを、チャラにする……
「ってて……あぁそうかい。なら――――俺も後で、一杯やらせてもらうぞ……」
<――――2人とも、まずはその傷をどうにかしなければ――――!>

【――――ともあれ、彼らは勝ったのだ。まるで何も知らない顔をするように、湖面の水だけは、ただ静かだった――――】

/長時間、お疲れさまでしたー!
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/20(日) 00:11:00.29 ID:37WaXolD0
>>916>>917>>918-920>>921

「さようなら、だ……」
「お茶と菓子、ありがとう、だが鈴音は料理上手だ、あれほど拙くは無い……」

【拳銃弾は確かに放たれた】
【そこに、意思も思考も、そして何も関係は無い】
【ただ事象と、事実のみがそこにあった、あった筈だった】

「――ッ!?」
「あれは!?鈴音!?」

【あるいは最初に棺桶に入っていた鈴音だろうか?】
【木の幹の中、ラベンダァイスの攻撃で抉れ破砕した内臓】
【そして拳銃弾により、顔は抉れ】

「これは……一体……」

【そのまま外に、放り出される】
【訳も、詳しい説明も何もないままで】
【いや、解明できる人間は、他に居るのだろうか?】

「……お前の頼みは一つ消滅した」
「どうあっても、だ」
「次は、どうするつもりだ?旧き神々よ」

【慟哭の嘆きと叫びをあげるイルに】
【こう吐き捨てる様に問いかけ、片方の瞳は冷たく睨み】
【そして……】

「夕月、そしてそこの男」
「軍医ならばあてがある、そしてもう一人もな」
「こちらの拠点に連れて行くか?」

【鈴音を抱きしめる二人】
【この二人に、こう声をかけた】
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/20(日) 00:19:19.14 ID:RCJ2gJFO0
【――――――真っ暗い場所だった。ただぽつん、と、硝子で出来た透明な棺桶だけが、そこに、伏せて置いてあって】
【その中で、何かががたがた震えて泣いていた。それは真っ黒い蛇のように見えたし色白の少女のようにも見えた、――それで、貴女を呼んでいた】

【"それ"はその神によって縁だった。神様と少女は限りなく同一で、だけど、限りなく何かが違うもの。例えるなら一対でようやく意味を成す道具、みたいに】
【神様は限りなく白神鈴音自身であり、少女もまた白神鈴音自身だった。けれど再定義のおまじないはそれだけ重要だから、違うもの、として、扱われる】

――――イルちゃん、どこ? イルちゃん……、助けて、……イルちゃん、――、イルちゃん……、ねぇ、ね、わたし、ここに、居るよ――。

【――あるいはその声は届くだろうか。届くなら、迎えに来て、って、助けて、って、何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も鈴の音が、呼んでくる】
【それは自分を知る存在に対する神様っぽい干渉の方法だった、天のお告げとか言うと恰好がいいけれど、実際は、――限りなく弱弱しい、救難信号だったから】

>>921>>923>>924

【――ぐた、り、と、抱き上げられた少女の身体は揺れるだろう。けれどそれほどの距離なら気づくはず、明らかに死にかけた少女は、けれど、あんまりに綺麗すぎた】
【あるいは二人なら気づくかもしれない。冒涜をよく知る彼らなら。――少女もまた"そういう"存在だった、死してもなお関係のないモノ、だって、こっちの身体には、まだ】
【加護が残っている。イルが要らないって言って棄てちゃったものが、残っているから。――"何か"に気づくなら持って帰ってもいいはずだった】

【――――ただ、分かるとしたなら。人間じゃないのが嫌だって泣いていた少女だから。ありふれた病院とかは、絶対に、嫌がる。それじゃあ、知れてしまうから】
926 :The Slasher ◆fsq5uTqB74AP [saga]:2018/05/20(日) 00:24:47.74 ID:QObSkSpy0
>>918-920

【膨れ、破裂し、そして溢れた。一瞬の間の出来事に、理解が追いつかぬまま、現象に襲われる】

(……終わる、の――――?)

【それは、己の命が終わることを思わせて。冥府の水ならば遠からぬ意味でもあるのだろうけれど――――】
【押し流され、辿り着けば聞こえたのは病魔の慟哭。その意味するところは、この世界にある何物にも、聞き違えようもなかっただろう】


……何処まで行っても、貴女は私には“敵”か――――
誰が壊したのであろうと――――――――……その嘆きが導く絶望を、許容するつもりは毛頭ない――――。

【それは、まるで自らに斯くあれと命じるかの様で。喪う嘆きを、ヒトも、ヒト以外も識ることのできる思いだと知るからこそのものだったのかもしれない】
【けれど敵対者としての関係は何も変わらず。……何より、その嘆きをこの世界にまで強いることなど許せるはずもなかったから】

【死闘の代償であった傷は、寿命を削った焔のぶんだけを除いて不思議と冷涼だった。けれど、忘れ去ることはないだろう】

【傷と痛み、失う痛苦――――それらを忘れずにあり続けながら、それでも守ろうとできるからそうあれた。病魔には、きっと理解できないままの“生”で。……そして、】
【さらに破滅的なものとなったと思われて已まない、イルの残した怨嗟の言葉。それは――――この舞台に浮かんだ、もっとも重い役目を帯びた“ひとり”の眠る姿とともに、記憶に焼き付いて離れずにいた】
【ならば兇器は追うのだろう。自分の理由で、けれど確かに守ろうとするものを、何処までも想いながら】

【――――その願いは、病魔がこの日以前抱いていたモノとどれだけ違ったのだろうか。答えはなく――――けれど捨て去りもせず、歩みは、きっと続いてく】

/長時間お疲れ様でした…! ありがとうございましたー‼
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/20(日) 00:29:53.55 ID:wFAb1n6X0
>>924

「ああ? アー、ん……ビョーインは、ちょっと……やめたげて」

【男は言葉に不自然な間を挟ませながら、やんわりと、医者の紹介を断った】
【厳島は、思い出すだろうか。工場でのこと。あのときの夕月も、こんな微妙な間の取り方の喋りを、したときがあった】
【鈴音の情報を、何かしら言い渋る姿。彼らだけが知っていて、厳島が知らないコト――なんだろうか】


>>925

【少女はぎゅう、と鈴音の身体を抱き締めた。肩口に額を押し付けて、嗚咽を漏らす】
【鈴音が目覚めてから。また、あのときみたいに泣くのを繰り返すのかと思うと――気が、滅入ったけど】
【それでも、それで鈴音をイルに返してやる気はさらさらない。顔を上げる、赤くなった目のふちを袖で拭って】


>>ALL

『……鈴音、の、これから……は、……あたしたちが連れてくよ。
 ちゃんと、安全なトコに連れてく、から……あたしたちに任せてくんないかな。
 ごめん、……ちょっと、事情があって。それを鈴音の許可なく説明することは……あたしには、出来ない』

【周囲にまだいる人たちに、少女は声をかけた。どうやら彼女らは、鈴音が持つ特殊な事情を知っているらしい】
【だから、自分たちに任せてくれないか、と。そう言うのだ】
928 :ラベンダァイス&アーディン&ヴァルター ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/20(日) 00:37:59.96 ID:b3A8Ev5i0
>>927

ん…………?
<ッ…………>

【去り際。ふと彼らは気づく。その主張に】
【――――アーディンには面識のある少女が、鈴音の身体を預かると言う。どういう事かといぶかしがるが】
【――――そこでラベンダァイスは思い出した。鈴音の身体、既に致命傷だ――――「それが本当に人間の身体であれば」――――】

……俺の判断する所じゃない。どうする、ラベンダァイス――――UTのメンバーとしてして……
<――――鈴音さんの事だから、そうですね。そうした方がいいかもしれません――――私が預かっても良いんですが、正直、今は――――任せます>

【同じUTに所属する仲間として、本来ならラベンダァイスが請け負うのが筋なのだろう。だが――――ラベンダァイスも、今回の一件はしこりとなった】
【もしもまだ、鈴音がイルに心惹かれているのなら――――残念だが、敵であることに変わりはないのだ】
【そして、ラベンダァイスもまた、鈴音の特殊性を――――直接聞いた訳ではないが、間接的に仄めかされ、ほとんど察するといった形で――――知っている】
【同じく、それを理解しているらしい2人に、それを任せることにした】
929 :@mail :2018/05/20(日) 00:49:58.01 ID:37WaXolD0
>>927

「……そうか」
「解った、では鈴音は君達に託そう」
「くれぐれも、気を付けるんだ、イル……あいつが現れるかもしれないからね」

【そう、それだけ二人に告げて、そしてその場を去って行くだろう】
【だが、途中で端末を取り出し】


【送信者:厳島命】
【送信先:鵺】
【内容】
【鈴音の一件に関してだ、鈴音は現在その意識を失った状態で、あるいは魂を失った状態で、夕月ともう一人の連れの男性が保護している、あの湖での一件は解決した、が本質はまだ解決できていない、後日詳しく話がしたい……それから今日は、ありがとう】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/20(日) 00:51:28.87 ID:wFAb1n6X0
>>928 >>929

『うん。……ありがと、イルを追ってたら、また会えるかも……しれないネ』

【「あたしは夕月っていうの。また会うかもしれないし、ヒマがあったら覚えてて」】
【そう言い残す。彼らもまた、イルの存在を赦さないでいてくれるだろうと思ったから】
【味方同士で再会できることを祈って。少女は名を告げて、少しだけ笑った】

【そうしてから立ち上がる。当然少女の身体じゃ鈴音を運べないから、彼女の細い躰は男の手に渡り】
【横抱きに抱えて、壊れ物を恐る恐るそうするように。大事に大事に扱いながら――兄妹は街の方へ、消えていった】


//ここらへんで〆られますかね、おつかれさまでした! 乱入者の身でありながら優しくお付き合いくださりありがとうございましたっ
931 :@mail [sage saga]:2018/05/20(日) 00:51:58.09 ID:wFAb1n6X0
【メール送信――「夕月」⇒「ミラ・クラァケ」】

【ミラのもとに、メールがいくつか届いていた。短いものが小分けになって、何通か】
【おそらくトークアプリに慣れ親しんだ弊害。長文を、きっちり書いて伝える能力の欠如】


「ミラさん(だよね?)へ。あたしです。夕月です。覚えてますか。
 助けてほしいことがあってメールしました。迎えに来てほしいって意味じゃないです、
 ごめんなさい。そっちは、まだです。助けてほしいのは、鈴音のことです」

「鈴音からあなたのことを聞きました。あたしのこと、助けてくれようとしてたんだね。
 ありがとう。それで、鈴音とあなたが知り合いであることを、知りました」

「何回もメールごめんなさい。本題です。知ってるかもしれないけど、鈴音は悪いやつに誘拐されてました。
 それで、取り戻すのに成功しました。成功したけど、たぶん、ココロはまだ戻ってないと思います」

「本題っていったのにまたクセで途中送信しちゃった。ほんとごめんなさい。
 鈴音は今のところあたしのそばにいますが、あたしは定住してる家を持ってません。
 よければビジネスホテル、お金があまりなければネカフェ、最悪路地裏の廃墟で寝泊まりしてて。
 これから先、鈴音を匿い続ける自信がないです。

 もしよければなんですけど、ミラさんのおうちとか、他にいいところがあれば、そこで匿ってもらえませんか」

「……なんかすっごいまとまりのない文章になっちゃった。メール苦手ですみません。
 会って話したほうが手っ取り早いかな。できたらそうしたいです、よければ返信ください」


【――――知らないアドレスから、つたない短文がいくつも、いくつも】
【けれどスパムメールのような温度のない感じはしない、ひどく切羽詰まったみたいな感情が、そこには確かにあった】
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/20(日) 01:28:59.29 ID:RCJ2gJFO0
【――――とある日から。もしかしたら、その夢を見るかもしれない】
【それはまーっくらな空間だった。真っ暗な空間の夢。きらきらって、白雪姫の眠るような、硝子の棺桶だけがある、真っ暗な空間の夢】
【あるいはごく狭い場所から硝子で造った何か越しに真っ暗な世界を見ている夢。あるいは、ヘビともヒトとも取れぬ形をした、ナニカの夢】

【――それは見るひとやその時々によって多少ではあるが、景色を変えた。けれどそれ以外の内容は、おおよそ、いつだって一致して】

――――――――わたしはだれ?

【まるで鈴がそのまま喋ってみせたかのように澄んだ、美しい声が。ひどく悲しげに、あるいは泣いているように、どこか寂しいように、尋ねて来る。それだけの、夢】
【それは誰だって答えたなら、その夢は終わる。答えられなくとも――その夢は終わる。だから、それは、ゲームの中のイベントみたいだった。選択肢が関係なくて】
【ただ見せられるだけの、イベント。それで何か結果が変わるわけじゃない、何か。――――だけど、その夢を見るには、条件があって】

【――その夢を見るためには、とある少女を知っていないといけない。その少女の記憶の中に、"あなた"が居ないといけない】
【まるで見失った"自分"を探すみたいに、鈴の音の声をした少女と思わしき"ナニカ"が、夢のなか――現実じゃない場所で、かなしげに、話しかけて来る】

【――――けれどその夢は必ず見ると言うものではなかった。必ず見ないと言う保証もないけど。ただ一つ言えることが、あったなら】
【お互いに親しいって思っていれば、いるほどに。あるいは何か関係性が強ければ、強いほどに】

【――その夢はよりリアリティを伴ってくる、よく分からない夢では済まないほどになって、あるいは頻度も、増えるから】

…………たすけて…………。

【――――――"誰か"の夢に紛れ込んだ少女が、泣きながら、"誰か"に求めた】


【――――――――――――――これは貴女だけへのとっておき】

【少女は貴女の夢にいつも現れた。それだけじゃなくて。起きていたって、ふっとした瞬間に、声が聞こえて来るだろう】
【それで呼ぶのだ、貴女の名前を。貴女はわたしが誰だかを、知っているはずだから】

…………――――イルちゃん。わたし、ここだよ……。イルちゃん、どこ――? こわいよ、たすけて――。
……――わたしの身体、どこ? ――、わたし、どこにいるの……? ……イルちゃん。――わたし、どこに、いるの……?

【泣いているときの、声だった。それもうんと小さな子供が、はぐれてしまった親を探して、か細く泣くときの――ひどく小さくて、震える、声】

わたしのかたち、が、みえない――、

【ぞろり、と、硝子の棺桶の中には無数の黒蛇が詰め込められていた。神である白神鈴音はもともとの形を忘れてしまったみたいに、ばらばらにほつれてしまっていた】
【そういう夢――――夢が、ぷつ、って、終わる。だってそれは、イルが目覚めた証拠だから】

【――目覚めたときに隣に少女は眠っていないけれど】

/補足マンでしたっっ
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/20(日) 19:24:07.70 ID:Edd1FVYPO
>>794

そうなの? いまいち違いが分かんないや

【そも合瀬には魔力を感知する術を持たなかったが、彼の呟きを聞くに努力の賜物であることは想像に難くない】
【そこまでして得ようとする不老の利に足る目的は考えても分からなかったが】
【不思議そうに訪ねられると頬を赤くして目をそらす】

ちょっと悲しそうに見えたからね
気を悪くしたらごめん

【剣を返したときに見た彼は沈鬱の色を湛えていたと思えたが、今はそんな様子は微塵もな。笑っている顔は空元気には見えず】
【自分の見間違いか、或いはとうの昔に気持ちの折り合いをつけたのか】
【何れにせよ遥かな年月を生きたという彼を気遣うなど釈迦に説法に等しいだろう。照れたように前髪を玩ぶ】
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/20(日) 21:17:30.06 ID:T0s2EdoSo
【水の国 市街地】

【ここ数日降り続いていた雨も止み、一気に冷え込みが来た。薄着だった人々も上着を引っ張り出し】
【安定しない気温について不満を漏らす人々もちらほらと、翳す掌に止まる靄よりも多いぐらいには】
【そんな街中を少女は歩いていた。── 幾分か考え込むような表情で】


この辺は全然気温が安定しはらへんなぁ、羽織持って来て正解やったわ
地元やったらこの時期からもう暑い暑い。襦袢だけで十分過ごせはるし
ああ、せやった── 夏物買いに行く途中やったんやね


【染めたての茶色い長髪を、紅細工の簪でポニーテールに結って】
【紅いキャミソール状の半襦袢の上から、長い白羽織を着こなす】
【黒いニーソにブーツ、黒曜石色の瞳をした少女であった】
【白木と黒木の鞘に包まれた太刀を二本、左の腰に添えている】

【奇妙な口調であった。イントネーションも響きもどこか異国情緒があって】
【加えて周囲をキョロキョロしている様子、観光客か何かにも見えた】
【危なっかしい様子を見て、声をかける人もいるかもしれない】
935 :カイ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/20(日) 21:44:21.68 ID:oxstzoOW0
>>934

【異国の少女が日常を満喫している所に割り込むのは、"ひとおに"】
【人の形をしていながら、人に非ずと自称する人鬼――カイであった】


皐月の空模様は、どうもご機嫌斜めみたい。
糸雨が心地よく降り頻っていたと思えば、不意打ちの様な寒気。
――他人の身体越しでも解る。…上着が、要る。


【行き交う人々の耳にも入るような、人に話しかける様な独り言を口にするのは】
【浮世離れした雰囲気を醸し出す女性。白い髪と白を基調とした衣服が特徴的な女性であった】
【その人物の名は白桜。普段はカイと名乗り、対外的にはフェイ・エトレーヌという名の犯罪者である】

【冬を思い出させるような寒さに、若干口を尖らせていた折】
【白桜の向い側から生まれ育った国の言葉が耳に入り、意識を引っ張られる】
【郷愁を抱かせる言葉に聞き入っていて――それ故に、その声の主たる少女と身体がぶつかるかもしれない】

936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/20(日) 22:03:07.73 ID:T0s2EdoSo
>>935

【少女は目の前の女性と肩が触れ合う既で気づき、そっと身体を横に逸らした。── が】
【かしゃんと腰につけた太刀の柄が女性の腰に触れてしまい、腰から太刀が零れ落ちてしまうだろう】
【少女は慌てた様子で、声を向ける。── 春先の桜の様に淡い音律で】


── あっ、す、すいません……考え事してはって、全然前向いてなかったどす……っ
えっと、怪我とかあらはりませんか? うぅ、本当に申し訳ありません……
こないな綺麗なお姉はんに怪我とかさせはったら、うちどないして詫びたらええか──


【それはまるで借りてきた小動物が如く、そわそわとして落ち着かない様子を目の前で繰り広げて】
【袂からハンカチを出したなら、貴方の白い服に触れさせようとする】
【── 綺麗な白妙の服装、汚してしまったなら大変だと】
937 :カイ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/20(日) 22:30:37.06 ID:oxstzoOW0
>>936

【春とは思えぬ肌寒い空の下。空気を震わす少女の声は春を想起させた】
【その声色に聞き蕩れ、小動物の様な仕草に視線は釘付けとなるのであった】

【少女の腰に差されていた太刀も、自分の生まれ育った土地を思い出すのに一役買っていた】
【そうか。先ほどの声の主は、この少女だったか。僅かに柔和な表情を浮かべた】


……怪我はございませんので、お気になさらず。
櫻の国の言葉遣いに聞き蕩れて上の空で歩いていた私の方に非がございましょう。
故に、お詫びはいりません。むしろ、こちらが詫びるべきです。


【少女の出したハンカチを、右手でそっと柔らかに制止して】
【気にしないでほしいという旨の意思表示を行う。それよりも関心事は少女の身なりと言葉遣いであった】
【白桜は、地べたに横たわった太刀を左手で拾い上げて、少女へと差し出しながら問う】


腰の太刀に、その独特な言葉遣い。――貴女"も"櫻の国の生まれ?
この国では滅多に聞く事のない言葉遣いだから、恐らくそうでしょう?


【その言葉は暗に白桜が櫻の国の生まれであると示唆していて】
【同時に、白桜が少女と同郷であると言っている様なものだった】
【異国の地で、同じ国の人間との会話にある種の安心感を抱くのであった】
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/20(日) 22:39:29.53 ID:T0s2EdoSo
>>937

【丁寧な言葉が少女に流れ込む、慌てた様子の彼女と対象的な瀟洒な様子── 流麗な目元が美しかった】
【同性ながらも見蕩れる程に、暫し呆然と貴女の表情に目を奪われて】
【そうして漸く現実に戻ってきた様子で、は、はい、と少し調子外れな声が漏れた】


えっ、えっと── は、はい! 櫻の国は、"桜桃" がうちの故郷やけど……
貴女もってことは、お姉はんも、櫻の人やろか?
わぁ、嬉しいどす! こないなところで同郷の人に出会えるなんて思ってもみはらへんかったし

うち本土来てまだ全然友達とかおらんくてな、すごい心細くて……
それにこっちやと気候とかも違うしで、体調崩さはるし……
ああ、ごめんなさい! 同郷やと分かったら、つい色々話したいことが……


【堰を切ったように言葉が溢れ出る、差し出された太刀ごと貴女の手を両手で握って】
【気がついたように慌てて離すだろう。太刀を腰に下げながら、バツの悪そうな表情で】
【照れた様に笑う姿は安堵の色合いが強くて、彼女の言葉を静かに飾り立てる】


えっと、うち文月です。── 和泉 文月
お姉はんのお名前は、なんと言わはるんどすか?


【少女の名乗った "桜桃" ゆすらと呼ぶその土地は、櫻の国でも特に観光名所として栄えている】
【名に冠した美しい桜の木は非常に有名で、貴方ならばきっと知っているだろう】
939 :カイ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/20(日) 23:11:00.24 ID:oxstzoOW0
>>938


そう、…私も櫻の国の人間。桜桃は、……一度だけ行った事がある。
確かにあの桜は麗しかった。今もなお変わらず在るのであれば、今一度、この目に収めたい所。


【流れ出る言葉は郷愁と安堵を齎し、少女の両手から伝うは人間の温もりが】

【白桜の瞳に映るは、輝き。照れながら笑みを零す姿に僅かな眩暈を覚えながら、目を細めた】
【ただ、それに他意は無く。ただただ、少女の仕草が眩しかったからである】
【同時に癒される様な気分になり、それを悪からず思うのであった】


文月…。和泉 文月。確かに、…覚えた。私は――白桜。白い桜と書いて"はくら"。
ただ、私はひとの数ならぬ身。普段は"ひとおに"或いは"カイ"と名乗っております。


【かつて、白桜の育ての親が自身の名前の由来について語る場面がフラッシュバックする】
【確か、自身の名前は桜桃の美しい桜から取ったと言っていた――不意に、思い出す】
【それが今や、人の数ならぬ身であると自嘲するような名前を自分で名づけているのである】

文月…さん。ここで立ち話というのもあまり宜しくない、…でしょう。
なので、何処か腰を落ち着ける場所で話の続きをしたいと――


【思うのですが如何でしょうか?という言葉を継ごうとした矢先、遠くから群れた声が聞こえた】
【その群れの声が紡ぐのは、能力者の弾圧と廃絶。群れの声に顔色を曇らせながら、ぽつりと言葉を漏らす】

           【――人、神、鬼。強(こわ)いのは誰。それは人だ、と】
940 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/20(日) 23:17:14.70 ID:L5jj/quJo
>>715

【母子を殺した後にも関わらず、そのような物言いをできる】
【貴方もそれほどに下劣な人間なのだろう──この女と同じ程に】


「あらぁ、ひどいお方。“お目溢し”してもらえるなら、それがいいわねぇ」


【ニコリと微笑んで、やはりくつくつと嗤って】
【“お目溢し”──その“意味”を、女はぼんやりと理解できた】
【故に、笑んで細められた瞳の奥には冷静さが垣間見えて】


「それで、どんな“遊び”がしたいのかしらぁ?」


【貴方が“お目溢し”を許したのなら、どんな“遊び”がしたいか聞くことだろう】
【壊れぬ程度の体力も、自信もある──余程激しい、“遊戯”でなければ】

// すみません、おまたせしました……
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/20(日) 23:23:11.49 ID:T0s2EdoSo
>>939

【矢継ぎ早に名前を幾つか名乗られる、やや困惑した色を表情に浮かべたが、何らかの事情があるのだろう、と】
【白露の様な頬に微笑みは絶やさない。落ち着いた様子は水仙のように品のいい笑みを見せて】
【白桜はんで、よろしいどす? と、尋ねるように声を傾けて】


ええ、今でもめちゃ綺麗どすよ。── ほんまやったら、もう桜の季節はとうに過ぎはったけど
あそこは、ほら、特別やさかいに、年中綺麗な桜が咲いてはりますし
冬桜ならぬ夏桜もまた綺麗どす。青々とした木々と、桜とのコントラストは絶品で──

あはは、また話しすぎちゃいました、ふふ、白桜はんとでしたら幾らでも話せはります
幾つぐらいの時に来てくれはったんどすか? もしかしたら、昔のうちと逢ってはったりして
あんま昔と変わらへんから、もう少し大人になりたいんやけど──


【少女にもその喧騒は聞こえた。彼女は眉を顰めてその言葉を聞いていただろう】
【それはまるで晴天の霹靂。── 夜露が額に落ちて空を見上げるように、天気雨と錯覚するかの如く】
【貴方の方へと思わず視線を向けた。騙し絵の様にその場にいる貴方が別人に見えてきて】


白桜はん……どうしはったんですか、何か……雰囲気が変でしたけど……
── 最近はぎょうさん、目にしはります、ああいう輩は何処にでもいるさかい
気にしはらん方がええと思います。どうせ一過性のものであらはるし

……そんな顔しはるってことは、白桜はんも能力者?


【小首を傾げる、後ろで結った髪がふわりと揺れて】
942 :カイ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/21(月) 00:19:45.88 ID:B+tC2unK0
>>940


【欲しいものは"お目こぼし"か。成程、身の丈に合った要求は悪くない】
【人の悪い笑みは依然として浮かべたまま。棕櫚は火遊びに興じるのであった】


でしたら、"お目溢し"という事で良いですね。了解です。りょーかいっす。
貴女程のお人の"火遊び"位なら幾らでも黙認しますよ。ええ、ええ。


【この空間には下劣な人間しかいない。性善説などどこ吹く風か】
【母子を殺してなお軽薄な公安。それを嗤って看過する女】
【ドロドロに混ざり合った腐りきった空間で繰り広げられる下衆の遣り取り】


そうですねえ…、どんな"遊び"が良いかですって?
およよ、扇情的な身なりの女性に問われたら答えは一つじゃあありませんか。

――"お目溢し"して欲しいんでしょう?であるなら、貴女のやる事は解りますね。
言葉でなく、行動でお願いしますよ♪

【殿方の口からそんな事を言わせないで下さいよ、と言わんばかりの回りくどい言葉】
【それは棕櫚の嗜虐心や暴虐をチラつかせており。劣情を抑える蓋の様でもあった】

943 :カイ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/21(月) 00:20:12.43 ID:B+tC2unK0
>>941

          【群れ。それがかつての私/はくらを殺した】

【群れは何時見ても気分の良いモノでは無い。死骸に群がる蟻の様に。死肉を食らうハゲタカの様に】

【その群れは、自身の一度目の終わりの景色を連想させて。胸が軋む錯覚に襲われていた】
【だからだろう。文月からすれば、今さっきの白桜は別人の様だと思っても不思議では無い】

【無意識のうちに呼吸が荒くなっていたのか。動悸が止まらず、額には汗が滲んでいた】


――…失礼。昔を思い出した。……それだけの事です。
てんつく、てんつくと。彼らの掲げるお題目は、…余程、心地よく染み入る物なのでしょう。


【喉に詰まった息を吐き出す様に、若干震えた声で言葉を選ぶ】
【折角の良い気分を壊した愚か者共へと矛を向けたくなる衝動に駆られるが、今は思い留まった】
【多勢に無勢。何より衝動的に能力を行使すれば間違いなく能力者への風当たりは強くなるのだから】

【そうこうしている内に、能力者の根絶を叫ぶ群れの声を遠ざかっていく】
【群れが遠ざかる事に心の底から安堵を覚え、徐々に落ち着きを取り戻し始めた】


……その問いに「はい」と答えておきましょう。
その口ぶりだと文月さんも…能力者であると聞こえますが。


【呼吸を落ち着かせる様に、継ぐ言葉は何処か弱々しげだった】
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/21(月) 00:30:26.37 ID:gAohZ/CFo
>>943

【気が付いてみれば不安そうな表情をした横顔が映るだろう、レンズのピントが合うように白い柔肌が見えて】
【震えた声色に心配はするが、聞こえる音律に胸を撫で下ろす。良かった── 元の彼女だ、と】
【軽く口ずさんだ昔、それは彼女には、遠い憧憬の様にも思えてしまう── 踏み入れないその淵を、闇と呼ぶのなら】


……うちは、嫌いどす。能力者云々もそやけど、大勢が少数を責めるのって、間違ってると思わはります
── こんな喋り方やさかいに、昔はよう本土の子らにからかわれたりもしはったので……
せやから一時期は、標準語で喋ってはったんどす

ふふ、今ではすっかり元に戻らはったけど── 地元に戻ってはると如何しても、皆使ってはるさかい
白桜はんの標準語、めちゃ綺麗で……うち少し嫉妬しはりますよっ
もう全然覚えられへんくて、びっくりしたさかいに、頭抱えてもうてたし


【そう言って彼女は柔和な笑みを向ける。窓から差し込む朝焼けの様に眩しい笑顔で】
【それはどこが気遣う様な雰囲気であった、少しでも元のあなたに戻ってほしいと】
【器用な子じゃないから、敏感な貴方ならば察することができるだろう。── 上手じゃない気遣いを】


うん、うちも能力者どす── と言っても、戦うんは大抵この剣術やけど
一番は戦わへんのがええけど……中々そうも言ってられへん世の中やさかいに
一体全体どうしはったんかなぁ、うちが地元帰ってる間にすっかり変わってしもた──
945 :カイ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/21(月) 01:19:28.48 ID:B+tC2unK0
>>944


……ふふっ。ありがとう。――…お陰で、少しだけ晴れた気分に、…なれた。

【やさしい子。本当に、思いやりのある子。今は、貴女に救われた。ありがとう】
【人の気遣いに、強張った心身が解れ。次第に落ち着きを取り戻すのであった】


本土の人からすれば確かに聞こえ方は可笑しなものでしょう。
ですが、――……私は、文月さんの話し方は…、好きですよ。
確固たる自分が其処に在って。それに、聞いていると活力を貰える様な気も…するので。

そして、多数が少数を責めるのを嫌うのであれば、…それは希少価値。
加えて、貴女の言葉と行動。――…それだけでも貴女は強い人に思える。


【先程の気遣い一つ取ってもそうだ。文月の言葉は、白桜を元気付けているのだ】
【真摯な眼差しを文月に向けたのち、微かに笑みを零す――けれど、何処かぎこちない】


……人は群れれば、一つの意図に染められる。一人一人が善良であったとしても。
一度、志向性を定められればその方向にしか進めない。…自分の頭で考えている心算であっても。
それ程に群れは恐ろしい。……多勢の前には一人など虫けらと同じ。空しく…蹂躙されるだけ。


【白桜の言葉はまるで自身の体験談の様に、過去にその様な目に遭ったかのような口ぶりだった】
【水の国を取り巻く環境は、かつての自分を取り巻く状況と似通っているのだろう】


――それは…


【難儀な事だ。次の言葉を選んだ矢先、空気を読まず白桜のお腹の虫が鳴き声を上げる】
【シリアスな空気を壊す鳴き声に、しらを切るように言葉を捜すも――見つからない。思わず、赤面】
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/21(月) 01:33:36.67 ID:gAohZ/CFo
>>945
/すいません! そろそろ時間ですので置きレス移行宜しいですか!?
947 :カイ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/21(月) 01:36:05.66 ID:B+tC2unK0
>>946
//置きレス移行、了解です。
948 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/21(月) 01:36:10.28 ID:rYxyqlT/o
>>942

「嬉しいわぁ、公安の方から直々に許可を貰えるなんて」


【表情を崩し、満面の笑みを浮かべる。公安である貴方に認めてもらった、“公娼”として】
【澱んだ空気の中、それ以上に汚れた二人の表情は可笑しいほど明るく】
【片方は他人に身体を売る淫売、そしてもうひとりはそれを黙認する公安】


「──あらぁ、分かってますよぉ?言葉ではなく、行動ですよねぇ」
「それじゃぁ……。貴方のお好きなように、私を“使って”くださいなぁ?」


【柔らかな笑顔で、被虐的な心を滾らせて、彼にその顔を向ける】
【頬はやや紅らんでおり、女からも興奮が見えることだろう。こんな場所で、公安の人間と“行為に及ぶ”のだ】
【──貴方がこうしたいと言えば、文句一つ言うこと無くそれに従うことだろう】
【啼けと言われれば啼き、命令すればすぐ遂行してくれる。今だけは、従順な奴隷なのだから】


【────】
949 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/21(月) 01:57:06.40 ID:B+tC2unK0
>>948

クカカっ、物分りが良い様で誠に結構。
ボクは――いいや"俺"は分をわきまえた女は好ましく思うぜ。


【本性を晒した棕櫚に最早猫被りは意味を成さない】
【この瞬間、契約は成された。公権力をチラつかせた横暴。その対価は黙認】

【それだけの事。己の言葉一つで、あり方を如何様にも変える柘榴に対して一等悪い笑いを零した】


【―――】


……けっ、こんな廃墟で"火遊び"たぁ。遊びが過ぎちまった。
公権力を振るうのは楽しいが……さてはて。一仕事増やしてどうすんだ、俺様よお。


【"火遊び"はまともな思考判断を奪っていた様で、一連の行動を振り返った棕櫚は嘆息を漏らす】
【言葉通りに柘榴を"使った"棕櫚は、頭をガジガジと掻きながら――まあいいか、と言う思考放棄という答えに至る】
【困惑気味の言葉は恐らく柘榴の耳にも聞こえるであろう】
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/05/21(月) 07:24:08.40 ID:pwPBQ5/o0
>>933

「ハハハ!そうか、そうか。分からないか、」
「うん。さっきも言ったが普通に生きるのならば、必要の無い知識だからな」
「嬢ちゃんは、普通に生きてくれよな…本当に、」

【笑いながら合瀬に言い、再び納得する】
【セアンは先程言った事をもう一度言い】
【悲しそうな声で言い、願い。巻き込まれ死んでいった、知り合いの顔を思い出した】

「そんな悲しそうな、顔してたか?」
「いや、大丈夫だ。大分昔に吹っ切れたからな、」

【セアンは、ニンマリと笑いながら言う】
【悟った様な顔をして、吹っ切れたと言った】

//遅くなり申し訳ございません。
951 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/21(月) 20:53:13.48 ID:rYxyqlT/o
>>949

【貴方が本性を見せたのに合わせて、女は舌なめずりをした】
【一体この男がどれだけ自らを辱めてくれるのか──その期待に、身体は感度を上げて】
【男の言うがまま、なすがまま────“遊び”は進んでいった】


【────】


【澱んだ空気に栗の花の匂いが充満する中、貴方は平然としていただろう】
【床面には着物に、胸に白濁を浴びた女が小さく痙攣を続けていた】
【蕩けた目を見られるのが恥ずかしかったのか、右の二の腕で視線を塞いで】


「はぁ……、はぁっ……。ふふっ、これほど“お遊び”を楽しんだんですからぁ……」
「きちんと“お目溢し”はいただけるんでしょう……。お掃除は私もやりますから、ねぇ……」


【途切れ途切れに、荒く淫気を帯びた吐息とともに女の声は発せられる】
【貴方の困惑気味の言葉は、“遊び”をしたのだから、その責任は貴方が持つべきだと主張しているようで】
【掃除は手伝う、と言ったものの──ここは廃ビルの一室、どうするかは貴方次第】
952 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/21(月) 21:41:41.20 ID:B+tC2unK0
>>951

【乱れたのは衣服だけではない。乱れたのは棕櫚と柘榴の理性】
【交わるのは、お互いの欲望。貪欲に、欲求を満たす男女の思惑】
【棕櫚と柘榴の逢瀬は、神話に登場する己が尾を噛む蛇の様に円環していた】

【互いの情欲を満たした後に見せる柘榴のいじらしい仕草と息遣い】
【そこまで扇情的だとは。実にいい女だな。遊び終えて尚、俺をそそらせるか】


…ああ、約束するさ。俺の目が光ってる内は"お目溢し"してやるよ。
だから気兼ね無く他の野郎共と思う存分"火遊び"に興じてくれや…けひひっ。


【確かに楽しんだ。余す所無く、棕櫚は柘榴という女性を貪った。男の女喰いと言った所か】
【だが女も男を喰らう生き物だ。行為の過程で、棕櫚は柘榴に喰われていたのだから】
【喰うか喰われるかの火遊び。そんなものが楽しくない訳が無い。だからか――責任放棄をするか否か逡巡する】


掃除。…掃除ねえ。"私も"って事は俺もやれってか?
――…仕方ねェなあ。いいだろ、俺も手伝ってやる。
女に関する面倒の一つや二つ。そんなもんは男の甲斐性だからよ。

んで、掃除って言うが俺は何をすれば良いんだよ?
俺は散らかしたらそのままで平気な男だからなぁ。掃除なんて柄じゃ無い。


【決め手は柘榴の扇情的な仕草と淫らな吐息。喰らう筈の者が喰われた瞬間であった】
【棕櫚の目付きはいやに細まりながら、責任は持ってやると言外に告げるのであった】

//お待たせしました…!
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/21(月) 21:46:02.39 ID:yLZmKFdx0
//代行にて次スレ立てました
//よろしくお願いします

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1526906672/l50
954 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/21(月) 22:21:55.86 ID:rYxyqlT/o
>>952

【貪欲にお互いを貪り、理性を崩し、身体を重ねた】
【互いの欲望──被虐心と嗜虐心をぶつけ合い、思惑の内にそれらを満たして】
【白濁に塗れた色留袖を羽織ったまま、ゆっくりと立ち上がる】


「ふふっ、ありがたいわぁ。これでお仕事にも集中できるってものねぇ」


【まだ足がガクガクとして直立できないものの、壁を背にして立ち】
【貴方の顔を両眼で見れば、柔らかい微笑みを貴方に送ることだろう】
【それだけ、満足したということだ。これだけ被虐心が満たされ、汚され、理性を崩したのはいつぶりだろうか】


「ありがとう、流石に帰り道に淫靡な香を残すのもあれだから、ねぇ」


【乱れた帯のうちから、清潔そうな布切れを二つ取り出して】
【貴方に一枚渡せば、女は色留袖を脱ぐ。巻かれたさらしは豊満な両丘の下へ垂れており】
【色留袖の裾についた白濁を拭い、匂いを取ろうとしているようだった】


「貴方様、私の身体を拭いて下さるかしらぁ……?」


【なんて素の姿で“お願い”をしたのなら、貴方から視線を外してまた白濁を拭う】
【彼が身体の方も綺麗に拭ってくれたのなら、恐らく廃ビルを出ることだろう】


【────】
955 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/21(月) 22:56:37.47 ID:B+tC2unK0
>>954


残り香を気にするか。ンなもん思う存分垂れ流しておけばいいだろうに。
そうすりゃ、お盛んな獣が寄って集って商売繁盛だろ。


【反射的に悪態を着く棕櫚。言葉を吐き出した後に頭の中で自分の言葉を想像する】
【常に香りが垂れ流されているならば、それはきっと胸焼けがする。であるならば…】


――…ああ、そうか。得心した。
淫売の癖に変な所で気遣いをするんだな、と思ったが確かにお前の言う通りだわ。
キッチリ〆て漸くコトが綺麗に纏まるんだからよ。そりゃあ納得だ。


【フルコースの料理の順番の様に。最初から重い料理は出されない。それと同じだ】
【物事には手順がある。それはどの事柄にも当てはまる理屈だ。半ば感心さえしていた】

【この廃ビルの一室で展開された一連の行為の締め括り。それは禊ぎ】
【己が内から出でた穢れた白色を、手渡された布切れで綺麗に拭うその行為は、正しく掃除と言うべきか】
【いいや掃除と言う言葉では趣が無い。けれど棕櫚にはその代わりの言葉が見つからない】


――…けっ、そんな声で懇願するな。言われなくても拭いてやらあ。
ったく……この淫売め、誘ってんだろ。心配せずとも御贔屓にしてやる。


【……男は目で惚れ、女は耳で惚れる、か。…冗談じゃねえ】
【蕩けた瞳を隠すのも、柔和な微笑みを向けるのも同じ女のモノとは思えない。――万華鏡みてえだ】

【口から出るのは変わらず悪い言葉。しかし言葉とは裏腹に、柘榴の身体を綺麗に拭う棕櫚】
【柘榴の身体を拭った後、自身も衣服を身に纏い何食わぬ顔で廃ビルを出るのであった】
956 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/21(月) 23:10:23.56 ID:rYxyqlT/o
>>955

「そんな簡単な話じゃないのよねぇ……。質と量の関係も、案外あるものなのよぉ?」


【常に残り香を振りまいて、男を寄せればいい────】
【というわけではない。サービスの質を最上まで高めて、良い経験をさせるのがこの女の仕事で】
【淫靡になるところと普段でいるところは、きっちりと分けているのだ】


「そう、その通りよぉ。その時にその人とだけ付き添うんだから、全部きっちりしなきゃ勿体無いでしょう?」
「最初から最後まで、全部通すの。これが私の“お約束”、よぉ?」


【殿方にできるだけ良い体験をしてもらうために、最初から最後まできっちりと通す】
【初めは軽いボディタッチから、前戯、本番──それはまるで、フルコース料理のよう】
【当然ながら手順があるのだ。いつも残り香を振りまいていれば、これは成立するはずもない】


「あらぁ、誘うつもりなんて毛頭ないわぁ。ただ優しく、拭いて欲しいってだけよぉ?」
「ふふっ、ご贔屓にしていただけるとありがたいわねぇ。今回は“お目溢し”だったから、次からはお金かしら、ねぇ?」


【貴方が案外優しく拭いてくれるものだから、ちょっと驚いた表情を浮かべて】
【表情をころころ変えて、相手を盛り上げさせる──普段から使う、戦術のようなものだった】
【くつくつと嗤いながら次回からの報酬を要求すれば、恐らく“掃除”も終わったころだろう】


「今日は愉しかったわ、ありがとう。お名前だけ聞いてもいいかしらぁ?」


【ニッコリと笑いかければ、帯から一枚の名刺を取り出して貴方に渡すだろう】
【小料理屋“瑠璃”店主──肩書はそう書いてある。不思議なものだ、店主が淫売だろうとは】
【最後に貴方の名前を聞いて、この場から去るのだろう────】
957 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/05/21(月) 23:50:17.76 ID:B+tC2unK0
>>956


くかかっ、公安を強請るか。いい度胸してやがる。
いいか?次に何を交換条件にするかは俺の舌先三寸次第だ。
それにな、身に余る強欲は身を滅ぼすぜ?何でも程々が丁度良い。


【悪友同士の様なからかう言葉に、心にも思っていない無い言葉】
【不思議と気分は悪くない。寧ろ心地よささえ感じるのは棕櫚が柘榴の術中に嵌った証左なのか】

【営業スマイルを伴いながら差し出されたのは一枚の名刺】
【淫売風情が名刺とは随分と意識が高いじゃないの――そうタカを括っていると】
【淫売にはかけ離れた文字の羅列を目にするのであった】


くくくっ、何の冗談だよ。ったく、この渡世は出鱈目だらけだなぁ、オイ。
どんな理屈を用意すれば小料理屋の店主サマが淫売に成るんだあ?クカカッ。嗤かせやがる。

笑わせてもらった礼だ。俺の名前は棕櫚(シュロ)。何かあったら俺の名前をを出しておけ。
若しくは公安5課の名前を出しとけ。そうすりゃあ大概は罷り通る様にしておく。

――…俺も楽しかったぜ。小料理屋の店主サンよお。
今度はアンタの小料理屋で暴飲暴食してやるから楽しみにしとけや。


【猫被りをしなくて済むおかげで棕櫚の舌は良く回る。余所行きの顔を作らず、本来の自分で】
【心の赴くままに言葉を選ぶのは何と気楽か。公権力の腐敗を体現した様な男は、破顔する。悪い笑みを伴って】

【柘榴が去るのを見届けてから棕櫚も廃ビルを去る。何とも言えない奇妙で爛れた一時であった】

//この辺りで〆…ですかね。お疲れ様です!
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2018/05/22(火) 18:57:00.32 ID:uAaICYka0
>>750
//再投下
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/22(火) 20:32:43.63 ID:HDd7hTr60
【夜の公園──日中は人で賑わう噴水広場】
【夜間は噴水は止まり、ただの静かな水の張った池となっている】

うーん、ふーん……

【その噴水の前で、10代後半ほどの少女が屈みながら唸っていた】
【空色の瞳に、白みがかった金髪を真ん中で分けた短めのツインテールを揺らし】
【黒い半袖のブラウスに白いショートパンツ、肩から小さなショルダーバッグを掛けている】

【少女は噴水の水に右手を突っ込み、水から引き出すと──】
【その手には、銀灰色に輝く金属製の短い剣が握られている】

ちょっと短いかなぁ

【少女は剣を噴水にボチャンと投げ捨てると、今度は両手を水に突っ込み、引き出す──】
【すると、今度は金属製の長い槍を両手に抱えていた】

あれ、長すぎたかな……

【少女は槍を眺めながら、渋い表情をしている──】
960 :柘榴 ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/22(火) 20:38:30.69 ID:uYq4SCfeo
>>957

「あらぁ、私も欲張りすぎないようにしないと、ねぇ」


【貴方が軽い笑みを浮かべて話す様子を見て、一つ確信できた】
【随分と此方を気に入ってくれた──そう気づくと、頬も自然と緩み】
【柔らかい笑顔は変えぬまま、控えめな言葉を貴方に返す】


「ふふ、意外でしょう?うちの料理屋は“そういう”お店なのよ」
「一般の方が来る夜の時間帯は小料理屋として、深夜には遊郭として──」
「時間帯で分けてやってるの。深夜に来るときは予約制だから、電話頂戴ね?」

「棕櫚さんね、覚えておくわぁ。公安の方の名前を教えていただけるなんて光栄よぉ」
「本当にありがとうねぇ、気兼ねなくお仕事に励めて嬉しいわぁ」

「──私も愉しかったわよぉ、棕櫚さん」
「ふふっ、そのときは豪勢な食事と──愉しい“遊戯”を用意して待ってるわ」


【色留袖の裾を揺らし、後ろ手を振って去っていく】
【澱んだ空気の中、一つの契は結ばれた。爛れた、愉しい時間は終わり──】

// 此方こそありがとうございました!
961 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/22(火) 20:47:45.99 ID:uYq4SCfeo
【From: ワ欄ン経ミタ燐ソ】
【To: 那須翔子】
【本文】

やあ、翔子!元気にしてた?
色々と準備しなきゃいけないことがあるから、君の力を借りたいんだけど
今大丈夫そうだったら、アルターリの安息地まで来て欲しいんだ
ついでに色んな施設とかも紹介するね、それじゃまた後で


【携帯電話が一つ鳴動すれば、そのようなメールが届く】
【文面は当たり障りのないもので、用事がなければ安息地に来て欲しいというものだった】
【──彼女がこれを拒否するかもしれない。ワームシンガーはそう考えて、携帯電話に細工をしていたのだ】

【ワームシンガーから送られてきたメールは、見るだけでも“あの唄”が聞こえてくる】
【蟲を持ちし者に、命令を下す唄──貴女が嘗て拒絶した、身体を無理やり動かさせる唄】
【命令を伴ったその唄は、貴女を強制的に行動させる。何処を歩いていたとしても、其処に向かわせるように】

【────紅髪の唄い手は、貴女の到着を安息地で待ち続けていた】
【先日まで粘液で覆われていたその巣は、いつの間にか黒い外殻を伴っていることだろう】
【つまり、完成したのだ。安息地としての機能を果たすに値する、第一の拠点が】
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/22(火) 21:02:38.77 ID:RD/Cn8QI0
>>961

「?」

【少女は身を隠していた】
【あの件から、そう、仲間に迷惑を掛けない為に無断で出奔していた】
【そのメールを受け取ったのは、そんな身を隠していた路地裏の木賃宿だった】
【治安も最悪、貴重品も武器も手放せない】
【雨風凌げる狭い部屋のベッドと灯り、コンセント類だけが、少女に安息を齎す】
【そんな中で、端末画面が光った】
【誰からだろう?カイさん?鵺ちゃん?ユウトさん?アヤ大尉?あるいは中尉……】
【そう思い、端末画面を開くと、思わず凍り付いた】

「そ、そんな……」
「うッ……あ、ああッ!」

【画面を開くと同時に聞こえてくる、あの不快にして最高の心地の良い、あの歌】
【内容は、自分を呼び出す物】

「そ、そんな……」
「や、やだよ、た、助け……ううッ」

【拒否は、許されない】
【少女はアルターリの安息地まで、向かう事となった】

「……こ、こんなに」
「……」
「私が、何とかできなかったから……」

【その安息地の姿を見ると】
【もう、その場所は既に完成しきっていたのだろう】
【粘液や泥の状態のソレでは無い】
【黒い外殻】
【その現実は、少女にただただ無情な現実を容赦なく突き付けた】

「……」

【顔を伏せ、無言でワームシンガーと対峙し】

「い、一体、何で……呼び出したんですか?」

【恐怖の為声は引きつり、ようやくと、そう尋ねた】
963 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/22(火) 21:39:43.35 ID:uYq4SCfeo
>>962

「やぁ翔子、元気にしてた?久しぶりだねぇ」
「ふふっ、すごいでしょ?君が外に行ってた間に、これだけ作業が進んだんだよ」


【貴女が恐怖に染められた声を上げると、そんなに心配することないってと微笑み】
【まずは貴女のことを心配していたようだ、外に居て大丈夫だったかと】
【そして表情は自慢げな笑みに変わり、背後に建てられた巣を自慢するかのようで】


「とりあえず、君に安息地を一通り紹介しておきたくてね」
「大丈夫、大丈夫。蟲は君を襲ったりなんかしないよ、“同胞”だからね!」


【──無情な現実を突きつけているにも関わらず、その顔は笑みに染まっていた】
【貴女はもう人ではないのだと、暗にそう伝えているようで。襲われる心配は無くなっただろうけど】
【安息地の入り口の前にたてば、ついてきてねと貴女に命令してから扉を開いた】
964 :アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/22(火) 21:43:39.97 ID:/zZNWM02O
【??水の国。街中では人々が行き交い、笑顔を交わし】
【なんてことはない、平々凡々な日常を繰り返している】
【ひとつ歩けば笑い声。ひとつ歩けば親子の足音】
【そして、静かな機械音、???】

ピ、ピ、??ピ

【そこに居たのは、】
【それは全体的に滑らかな白で塗り固められた、子供ほどの機械人形だった】
【ツインテールが二本ずつ生えたような造形の装飾が頭部に生えており、関節の駆動部分は丸い球体】
【顔も大変シンプルで口元は無く、目元はモニターの構造】
【モニターには緑の光で常に縦二本線の目が写され、例えるならば(? ?)という表情】
【手のひらはしっかり指が5本ある。脚部は足が無く、ふくらはぎ部分から足首にかけて尖るように削られたデザイン】
【所々に緑の光の線が通っていて、血液のように脈動するかの如く、ときおり柔らかく点滅している】
【身体のシルエットは少女らしいもので、目立つほどではないが緩やかな凹凸がある】
【身長は120cmほど。しかし微妙に浮かんでいるので、実質的には125cmほど??なのだが】

【いかんせん、容姿が容姿。やや目立つ??】
【街中で歩く子供は指をさして笑う。大人はあらまあと驚く】
【悪目立ちではないものの、向けられるのは物珍しさの色眼鏡】

??ピ?

【ピコピコ。そのロボットからは、スキップのように軽やかな8bitのような音が時々聞こえる】
【それが子供の笑顔を見るなり頷くと、再び地面を滑るように浮いて、人の間を縫って移動する】
【とはいえ、随分とキョロキョロ、注意散漫。いろんなものを見渡してる様子で、いずれ相手とぶつかってしまいそうだ】
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/22(火) 21:48:29.31 ID:RD/Cn8QI0
>>963

「……その、はい、見ての通りです」
「これが、あの安息地?」

【若干の間を置いて、再び俯きながら】
【こう、静かに答えた】
【その声は、言葉は、状況に反しとても慈しみ深い優しい物だった】
【そして答えた言葉は、驚愕の意味を持って】
【短期間に、まさかこれだけ進展していたとは、と】
【改めて、蟲の魔族の侵攻速度の脅威を思い知らされた】

「――ッ」
「わ、私は……」

【同胞、そう呼ばれ、そして反論する言葉も】
【もはや、最後の部分は消え入りそうであった】
【言い返せなかった、断言できなかった】
【自分は人間だ、そう言い切れなかったのだ】

「……はい」
「ワームシンガー、様……」

【その現実に、唇を噛みつつ】
【ワームシンガーの言葉に従い、付いていくのだった】
966 :アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/22(火) 21:49:12.61 ID:/zZNWM02O
/すみませんレスお借りします
/テスト ──
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/22(火) 21:55:11.87 ID:ZvJDW1h90
>>964

【平和な街中――そこに紛れ込む機械っぽい音、ピコピコっとした音を聞きつけたなら、最初は不思議そうな顔を、相手は真っ先に見つけるのかもしれない】
【ぱちくりとした丸い目がもっとずーっと丸く、丸くなって――いっしゅんの沈黙、それから、ぱっ、と、綻ぶより鮮やかに咲いたのは、あどけない笑顔で】

――――――わあっ! ロボットさんがね、歩いて……あ! んっとね、浮いてる!
ロボットさんがね、お空飛んでるの! すっごい! ねえねえ、ロボットさんね、どこから来たのっ?
私ね、ロボットさんって初めて見たわ、こんばんは! あのね、あのね――。

【――あるいは夏の夜空に華やぐ花火みたい、ぱっと開いた笑顔はすぐにずんずんっと距離を詰めようとするから、あまりにも無遠慮で、警戒させてしまうやもしれず】
【けれどそこにあるのはひたすらに無邪気なもの――だった、きゃあきゃあと人懐こい声と笑顔が相手に向けられて。近くに居た親子が、ちょっとだけ微笑ましそうに】

――あ! ごめんなさいなのっ、あのね、ご挨拶ね、まだだったわ! 私ね、ファラエナっていうのよ、なの!
ロボットさん……えとね、ロボットさん! あなたのお名前はなんですかってね、私ね、気になるなっ!

【けれどそうしているのは少しの間。それだって初対面なら長いかもしれないけれど、やがて"彼女"も気づいて、相手から会話に適切な距離を取るだろう】
【そうしてぺこりっと頭を下げたなら――ふわり、と、ツインテールが揺らいで。姿勢を戻したなら、にーっこり、と、人懐こい笑みが、相手へ向いた】

【――くしゃっとした猫毛をツインテールに結わえた幼子だ、淡いクリーム色の毛先はふわふわ跳ね上がって、子猫の毛のよう、しなやかなのが見るだけで分かり】
【まんまるな瞳は真夏の青空と同じ色合い、人懐こそうな垂れ目――右目の下には毒々しい色合いで蝶のタトゥが刻まれていて、それがどこかおかしくはあったけれど】
【ピンク色のワンピースはテディベアとかメリーゴーランドの柄が書かれたもの、ぷわっと膨らんだパフスリーブ、両腕は無意味にぱたぱた、感情のまま動くから、子供ぽい】
【つま先の丸いおでこ靴に白いソックス、子供っぽいデザインのポシェットを斜めに"きちん"かけていて。――そういう子供、だった。まだ五つか六つほどの、女の子】

あ……あのね、お話ってね、出来るのかなっ? 私ね、見たことあるよ! ケータイのお店の前でね、白いロボットさんがね、お仕事をしていたの!
そーいうロボットさんなのかな! お散歩? 迷子なの? あのね、私ね、この辺りの道ね、ちょっとだけ詳しいよ! 

【テンション高め――なのは、たぶん、ロボット、なんて、見慣れないものを見かけたのも、きっと、あるのだけど】
【それにしたって元気――だって、思わせるかもしれなかった。――迷子なら一緒に道を探そう、なんて、言ってもないこと、勝手に話が進んでいってしまいそうで】
968 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/22(火) 22:00:10.21 ID:uYq4SCfeo
>>965

「そうだよ、繁殖したり新種の開発したりするんだ」


【この外殻の中では、蟲が繁殖や新種開発等を行っているらしく】
【たった数ヶ月で拠点を作り上げてしまった、脅威は相当のものだろう】
【彼女が従う姿を見せれば、ワームシンガーは口元に笑みを浮かべて上機嫌になる】


「まず、右手にあるのが繁殖室だね。ここで卵を産み育ててるんだよ」
「つぎに左手にあるのは、研究室。人体の研究とか、新種の開発とかをしてるんだ」


【それぞれの部屋にはクリアガラスのようなものが取り付けられていて】
【部屋の中の様子は簡単に伺い知れる──それをワームシンガーが、バスガイドのように案内して】
【繁殖室の内部では、雌と思わしき個体が数十匹の幼蟲を育てている様子が見える】
【研究室の内部は血痕らしきものが床にぶち撒かれ、いそいそと研究を続ける蟲の様子が見えるだろう】


「そしてこの向こうにある右側の部屋が娯楽室、左側は食堂だよ」


【娯楽室の中にはテレビが設置してあり、ビリヤード台も見えた】
【ルールは独自のものらしく、色付きの球を打って白球を先に落としたほうが勝ちらしい】
【テレビは電源が付いておらず放置されているが、姿鏡の代わりに使われている】
【食堂では普通ごみとなるようなものが出されているが、蟲は文句一つ言わず美味しそうに平らげていた】

【人類よりも少し低いが、文明と呼ばれるものは持っているらしい】
【それは即ち知能があるということを意味しており──その賢さも伺い知れるものだった】
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/22(火) 22:14:57.77 ID:RD/Cn8QI0
>>968

「た、卵を……」

【まさに人類の脅威となるのだろう】
【新たな尖兵を生み出さんと、メスの恐らく女王個体だろうか?】
【幼虫の個体を育てている様子が、そして研究室と称されたそこには】

「ひッ!」

【思わず小さな悲鳴を上げた】

「誰の、誰の血なんですか?」

【恐る恐る、そうワームシンガーに聞いた】
【人体の研究と新たな個体の開発、そう言っていた】
【即ち、この血痕は……】

「……これって……」

【娯楽室と食堂と称された場所】
【そこには、そこにはビリヤード台とテレビが】
【まるで、人間のそれと微塵の違いも無い様な】
【食堂には、ゴミを食する蟲たちの姿が……】
【独自の文明を、社会を形成していると言う事なのだろうか】
【さながら、軍の研究駐屯の施設のそれだ】
【組織を形成し運営する、知能を有している】
【そう言う事なのだろうか?】

「……こんな事って」

【これらが一斉に進撃を開始するならば】
【それは、もはや脅威以外の何物でもない】
【青ざめ、震え出し、その場にへたりと座り込んでしまう】
970 :アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/22(火) 22:24:48.96 ID:/zZNWM02O
>>967

【愛らしいふわふわが目の前に来た際に、キキッ、と宙でブレーキ。モニターがぱちくりと瞬きする。──そのまま滞空しつつも、】
【ずずいと接近、話しかけられ。ロボは驚く反応らしく、両腕をあげる。モニターの目が、縦長から丸い円に表示された】
【それから距離を離した彼女に、目は縦長に戻り、首を傾げるような動作。まじまじと上から下まで見る】

──ファラエナ。──ファラエナ、データ回路に記憶シマシタ。
──こんにちはファラエナ。ワタシはアイ=B
オートマチック・ピュアホワイト・アイ
アイとお呼びクダサイ。

【カリカリ。明らかにCPUがなにかを処理しているような、爪で布地を引っ掻くのに似ている音】
【それからファラエナを識別するために──みいいいん、と急に音を出し】
【目から薄い膜の緑の光が、ファラエナの横幅ほどまで広がり、地面から爪先までスキャンしようとする】
【描写がしづらい】

シツレイ。

【まるでお菓子のような可愛いクリーム色。ワンピースはピンク。テディベア、メリーゴーランド】
【そういった情報を刻むために、唐突にスキャンしていく。無論ファラエナが嫌がったらすぐに中止するが、】
【告知無しでこんな行動をしている。しかも例に漏れず眩しいだろう】

【それが終わると、ぱちり、と縦長の目が表示された】

…いかにも、ワタシはロボットデス。ファラエナ。
アナタはロボットではなく人間デス。ですヨネ?

ハイ、アナタが話しかけてくれる限り、ワタシは応答致しマス。
ワタシからもおはなしシマス。会話はキャッチボール…デス。
でも携帯は売りマセン。アレよりワタシは知能は高い。

【えっへん、と胸を張る動作】
【──ファラエナと背は同じか、少し高いのだろう】
【青い目に目線を合わせるように、球体関節部を屈伸させ、少し屈む】

ワタシは迷子ではありません。ワタシは、アイを探してイマシタ。
アナタは持ってマスカ?スキ、アイジョウ、ココロ、キモチ

【と、まっすぐにファラエナを見ながら問いかけた】
【随分と、曖昧な問いかけだった】
971 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/22(火) 22:32:50.12 ID:uYq4SCfeo
>>969

「この前此処に来た、ジケイダンとかいう男だったかな?」
「解剖して人体理解を深められたよ、彼には感謝しなきゃね」


【人体の研究──肉質の柔らかい部位を見つけるために、解剖したのだ】
【彼のおかげで随分と研究は推し進められた。ありがたい限り、と女は述べて】
【別に何も気にしていないかのような澄ました顔で、そのようなことを言っていた】


「そう、この安息地は蟲が休み、育まれ、楽しむための場所なんだ」
「もちろん君も例外じゃない、気に入らないなら此処に居なくてもいいけどね」


【人類とは異なるものの、文明のレベルは高いことが分かる】
【環境適応能力が高い蟲達にとって、その文明は必要なものであって】
【組織を上手く形成し、保有する知能でコミュニティを発展させていくのだ】


「そして、この眼の前にあるのが儀式室。此処でちょっとお手伝いをしてほしいんだよね」


【三重に掛けられた鍵を、指先でルーンを刻んで解除していく】
【ガチャリ、と音を立てて重苦しい扉が開いたのなら──その先が儀式室だという】
【そこで彼女に手伝ってもらうことがあった。そのために彼女を呼び出したのだ】
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/22(火) 22:37:23.04 ID:ZvJDW1h90
>>970

【目の前でききーっとブレーキするロボットを見て幼子もまた目を丸くする。モニターに表示される目にはころころ笑うから、なんだか好ましいのだろう】
【かわいいー!だなんて。そんな口ぶりはどうやら相手のことを愛玩用のペットロボットとかだって思っていそうなほど、ちょこっと失礼だけれど】

データ回路ってね、なあに? でもね、そうよ! 私ね、ファラエナって言うのよ、なの!
ロボットさんはね、アイちゃんっていうのね! えーと……、アイ、くん? かな? んーっとね!
よく分かんないわっ、あのね、あのね? ――アイはね! ……わっ!

【そんな眼がぱちぱちと瞬く。でーたかいろって言葉はよく分からなくって、だけど――なんとなく通じた、のだろう】
【相手の名前がアイであることも理解する。――それからちょこっと悩んでしまうのだ、ロボットの知り合い、だなんていうのは、初めてで】
【だから結局求められた通りに呼び捨てしてみる、――それでまた何か質問攻めにしたような気配が、けれど、鮮やかな緑色、ぱっ、と、発せられたなら】
【わぁ!とひどく驚いた声――だけど楽し気に、「テレビで見たことがあるわ!」とか「えすえふってやつなの!」とか、言いだして、そのままにしているだろう】

えっ……、……――んーとね! あ! あのね! お話したいなってね、思うな! 私ね、ロボットのお知り合いってね、初めて!
うんっ、キャッチボールなのよっ、――そうなんだ? あのね、私ね、あのロボットさんね、じーって見て来るからね、ちょっとびっくりするの!
だけどね、アイはね、怖くないわっ。うんとね、かわいいって思うの! ピコピコってね、音ね、聞こえたんだよっ。

【――幼子は一瞬ぎくり、と、したように見えただろう。それであからさまに話題をすり替えた、――ひどくぎこちない、やり方で】
【それは相手に人間かと尋ねられた瞬間。――明らかに目を逸らしていた。ひどく怪しくって、だから、キャッチボールなのよ、なんて、うんうん頷きだすのがわざとらしい】
【自分が相手を見つけたのは例の音を聞きつけたのだって教えたなら――】

……んん? あのね、アイはね、アイをね、探してたのっ? 自分をね、探すってね、二十歳くらいのね、ヒトがすることよっ!
自分探しの旅って言ってね、外国に行くんだって! ――あ、分かったわっ、あのね、それってね、"愛"ね! あのね、私ね、いっぱいあるよっ。
私ね、みんなとお友達になるの! だからね、みんなのことね、だーいすき! だよ!

【その顔が急に怪訝そう、というか、難しそうになる。相手は自分を探していたのかって、そんなの難しいな、っていうみたいに】
【けれどすぐに気づくのだ――ああそうなんだって思ったなら、今度はこちらが胸を張るだろう、にこりっと笑って、やらかそうな頬っぺたを見せつけるように】
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/22(火) 22:42:08.23 ID:RD/Cn8QI0
>>971

「ひッ、そ、そんな……」

【非常に、非常にぞっとする話だ】
【恐らくは、名も知れない自警団の男性】
【無数の蟲に強襲され群がられ、絶命した後も切り刻まれ】
【こうして、蟲に尽力させられる羽目になる】
【その無念さ、残酷さは如何なる程か】
【顔はより青ざめ、そして震えも増している】

「完全に、蟲の軍勢ですね」
「人と同じか、それ以上の軍勢……」

【敵わないかもしれない】
【蟲の魔族固有の統率力と数】
【そしてこの、進化の能力と知能】
【これでは、もはや人類に太刀打ちの術など、ないのではないか?と】 
【やがて】

「儀式?」
「私に……何を?」

【恐る恐る従い】
【その重厚に管理された部屋に入る】
【一体、何をさせようと言うのか、と】
【顔には、背には、嫌な汗が浮かぶ】 
974 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/22(火) 22:53:22.61 ID:uYq4SCfeo
>>973

「これでもまだ足らないよ、人類の方が戦闘能力は高いからね」
「なんせ色んな道具を使えるんだから、ちょっと卑怯に思うけど」


【人と同じか、それ以上の軍勢と言われて、それをやんわりと否定する】
【人類は様々な道具を使える、それに戦闘能力が高い】
【恐ろしいのは“能力”なるものを有する者たち、同じ異形を打ちのめしたという噂は耳にしていたから】


「──簡単な話さ。今から“知慧の儀”をやるんだ」
「“蟲の神”から知慧を授かり、これからどうするか決めるための儀式なんだけど」
「君には“贄”をやってもらいたい。あぁ、死ぬわけじゃないから大丈夫」


【“知慧の儀”と呼ばれる、蟲の儀式を今から執り行うらしく】
【そのためには、贄が必要なのだと。そしてそれは貴女のことで】
【死ぬことはない、と落ち着かせるように言うものの──この場では、あまり効果を有さないか】


「それじゃ、その台座のところに座ってくれるかい?」


【足元に、正三角形のようなマークが刻まれた大理石の床があり】
【そこに座れとワームシンガーは命じた。眼前には趣味の悪い、黒石で作られたムカデのような像が立ち】
【これから儀式を行おうとしているのだと、嫌というほど分かるだろう】
975 :アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/22(火) 23:03:06.28 ID:/zZNWM02O
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976 :アイ ◆xgsUYuhzWc :2018/05/22(火) 23:03:56.08 ID:/zZNWM02O
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977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/22(火) 23:06:37.35 ID:RD/Cn8QI0
>>974

「それは、そうですが……」
「でも、この進化の速度なら、何れは?」

【それは違う、とやんわりと言われるも】
【この進化の速度だ、何れは人間のそれを超える日も近いのではないだろうか?】
【進化とはそれ程の可能性を秘めている】
【その場合の最後の希望は、やはり能力者なのだろうか】
【あるいは、彼らすら超える日も来るのではなかろうか、と】
【やがて……】

「智慧の、儀?」
「に、贄、そんな、そんな……」

【嫌ッ!そう悲鳴にも似た声をあげ】
【まるでこれから蹂躙される乙女の如く】
【その場からの逃亡を試みようとする】
【死ぬことは無い、そう言われても、死なないだけで何があるのか解ったものではない】
【少なくとも人類にとって、決して有益な事では無い】
【悲鳴と逃亡は、僅かな抵抗の心】
【最も、これは意味がないだろう】
【全く意味を持たないであろう、事なのだ】
【支配層にとって、組み伏せる等容易なのだろうから】 
978 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/22(火) 23:17:17.87 ID:uYq4SCfeo
>>977

「逃げちゃだめだ……よっ!」


【貴女が逃走すると同時、ワームシンガーもすぐに駆け出して】
【貴女の背に触れる──同時に因子が暴走し、全身に強烈な痛みが走るだろう】
【こうして、分からせていくのだ。蟲には逆らえない、ということを】


「──さっさとやるよ。君が逃げようとするから、気分も変わっちゃった」


【貴女をまた台座に座らせれば、素早く何かをつぶやき始める】
【貴女の足元のシンボルが仄かな緑の光を帯びて──刹那、また“あの痛み”が蘇る】
【無理やり因子を暴走させているのだ、先程のそれより強烈な痛みが全身を蝕む】


「陝イ縺ョ逾槭h縲∵?縺ョ螢ー繧定◇縺代?ゆココ逅?ク也阜繧定摯繧?謌代i縺ォ縲∵ア昴?遏・諷ァ繧堤、コ縺帙?」


【「蟲の神よ、我の声を聞け。人理世界を蝕む我らに、汝の知慧を示せ」──】
【ヒトに理解できない言葉で、呪詛を紡いでいく。貴女が苦しんでいるとしても、気にかけることもせず】
【“蟲の神”から知慧が受けられるまで、何度も何度も繰り返すのだ。その痛みは、その度に襲いかかる】
【それが数度、数分に渡って続いた──痛みに、身体は耐えられるだろうか】
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/22(火) 23:31:52.93 ID:RD/Cn8QI0
>>978

「――ッ!!」
「あ、あああ、あああああああああああああああああああッ!!!!」

【またもだ、またも強烈なあの痛みが襲う】
【魔翌力回路を通じて全身に伝播する苦痛】
【成す術など何も無く、その場に倒れ込む】
【そして……】

「ひッ、や、やめ……」

【無慈悲なまでの処置】
【そうして少女は抵抗空しく、台座に座らされる】
【まさに魔族の所業か、緑色の陣が光を放ち】

「あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」
「いやあああああああああ!!やめ、やめてえええええええええええええええええええええええええッ!!!!」

【最早悲鳴では無い】
【絶叫、全身を焼かれ内部から喰らわれるような激痛に対する、絶叫だ】
【声が枯れると言うような物ではない】
【気を失う事すら許されない、地獄のような拷問に等しい】
【呪詛、蟲の神を崇め奉る祝詞、それが紡がれる度に】
【地獄に等しい痛みが少女を襲うのだ】
980 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 07:21:31.89 ID:45xYefFFo
>>979

【貴女が悲鳴をあげようが、もはや気にかけることもない】
【“蟲の神”から知慧を得るために、呪詛を紡ぎ続けていた──】
【そして、聞こえた。“蟲の神”からの言葉は、ついに耳に届いたのだ】


『──戦士を二人授ける、使え。人理世界における我らの領域を、広げるのだ』


【その詞が聞こえると同時、女は呪詛の詠唱を止めて跪いた】
【「ありがたきお言葉、頂戴いたしました」と一言述べれば、貴女の拘束も解ける】
【身体や精神には何の変化もないはずだ、まだ痛みは残るかもしれないが──】


「ありがとね、おかげで“神”とも交信できたよ」


【ニッコリとした笑みを浮かべながら、貴女に話しかけるだろう】
【これで侵攻の手はずはようやく整った──あとは、戦士を受け取るだけだ】
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/23(水) 13:29:32.68 ID:XLO5kaG+0
>>980

「あ、ああ、あ、あ、いや、いや、あああああああああああッ!!」

【終わらぬ詠唱】
【賛美の言葉は、呪詛として具現し苛む】
【苦悶の時は永劫かの様に続き】
【魔翌力回路も因子も、全てが焼き付くが如き激痛を伴ってその呪詛に応呼する】
【やがて……】

「あ、ああ、あ、あ、あああ……」

【もはや、脳内すら焼かれたかのように】
【下される蟲の神託が舞い降りるも、言葉も反応も追い付いていない】
【二人の戦士】
【その存在が何を意味し、何を指しているのかは不明だが、紛れもなく人類にとっては未曽有の災厄だろう】
【ドサリ、とそのまま椅子から崩れ落ちる様に倒れる】

「あ、あ、あ……」
「ふ、た、り……せ、んし……わーむ、しんがー、さ、ま……」

【最早光の無い瞳で、ワームシンガーを見つめながら】
【神託の言葉を反芻する】
【痛みの為か、あるいは続いた痛みによる精神汚濁の為か】
【その場から動くことは、現状は難しい】
982 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 18:12:01.19 ID:45xYefFFo
>>981

【知慧と神託、それを得たワームシンガーは納得したように台座を離れて】
【崩れ落ちた貴女の元へ歩み寄り、しゃがんでその髪を数度撫でてやる】


「ごめんね、ごめんね翔子……。君のおかげで、僕たちが歩むべき道が分かったよ」


【慈愛をもった、柔らかな笑顔を貴女に向けて感謝を伝える】
【神託が得られれば、これからどうするべきか分かるものだ】
【二人の“戦士”を得られた今、取るべき行動は一つしかない──】


「“私達”の領土を広げるよ、翔子。人理世界を蝕むんだ」


【「一緒にやってくれるかい、翔子」────】
【その詞とともに額に口づけをして、彼女を安息地の外へ運ぼうとした】
【どうやら立ち上がれない様子であったし、長く此処に居ては怪しまれてしまうだろうから】
983 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 18:28:06.97 ID:45xYefFFo
【────安息地にこもりがちだったワームシンガーに、気になる情報が入ってきた】
【強力な人外が別世界の存在を呼び寄せている可能性がある、という話で】
【人理世界でも人外が居る可能性は想定していたが、それほど強力な人外が居るのだろうか?】
【できれば協力関係を結びたいものだけど、出会って敵対しようものなら──その危険性は確かに鑑みていた】

【結局一度出会ってみることにしたワームシンガーは、住処と思われる旧市街に一匹の使いをよこし、手紙を落とさせた】
【「よろしければ、アルターリ近くの場所で会わないか」──そのような内容であり】
【日時や場所なども大雑把だが記載されていた。日が完全に落ちきった夜に、安息地最寄りのマンホールで待つと】


【────】


「──さて、あれで例の人外が来るかどうかだけど」


【魔界へのゲート直ぐ側の、マンホールの付近にその女は立っていた】
【白い除虫灯に虫がたかり、また一匹感電して落ちていく。その様子を眺めながら】
【側に仕える一匹の体長2メートルはあろう蟲をあやしながら、“人外”を待ち続けた】
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 18:58:07.14 ID:jfJ/JdqNo
>>983

【── 人々はそれを忌避した。深い異形をマスクに見立て、道化にしてそれを嗤う】
【深い所以は唯ひたすらな恐怖の為に、怯える心をひた隠しにして皆が皆踏襲する】
【曰く、病とは形になった死であり、神が遣わせた終焉であると】


── で、何の用? ボクに態々連絡をするだなんて物好きな奴も居るもんだね
キミがニンゲンだったなら、気紛れに八つ裂きにしてあげようと思ったんだけど
ふぅん、中々どうして── 唆る存在も居たもんだ

それは蟲かな? ニンゲンは蟲とか苦手らしいけど、ボクは好きだよ、可愛さがあるよね
……まぁ、最近のボクの執着は蛇だから、呼んでないっちゃ呼んでないけど
イル=ナイトウィッシュ、お呼ばれにあずかった病魔だけど


【小柄ながら豊満な身体を大きく露出した、ホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は、白く肉感的な素肌を晒している少女】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて、真紅の瞳を濡らす】

【背中には悪魔羽根が揺れて、彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した、悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに、愛らしい雰囲気を創りだす】
985 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 19:15:22.27 ID:45xYefFFo
>>984

【──やがて、それは訪れた。病の気配と黒ずんだ闇を帯びて】
【壁から背を離すと、足音がする方向へ身体を向ける。来訪者は、遂に来たのだ】


「やぁ、忙しい時にすまないね。僕はワームシンガーだ、よろしく」
「あぁ、そうだよ。名前は「ドク」っていうんだ、こっちもよろしくね」


【貴女の外見を見れば、まあ人外だということは分かる】
【背中の悪魔羽根といい尻尾といい、恐らく悪魔の一種だろうと】
【愛らしい雰囲気を感じるものの、どこか冷酷さを感じる──まあそれでこそ、悪魔なのだろうけど】

【撫でられていた蟲は、一見蟷螂に見えるのだけど──】
【光に照らされた姿を見れば、やけにか細く見えるだろう。針金が数本捩られてできたかのよう】
【しかしその外殻は全て光沢をもつ金属に見え、鎌も人理世界のそれより鋭利に見える】
【──首狩りに秀でた、暗殺者。音を出さず、その軽い躰と瞬発力で相手を一瞬で殺す】


「それで、今日君を呼んだのは噂を耳にしたからなんだけど」
「──此方の世界で協力してくれる相手が欲しくてね。蟲を持つ同胞は居るには居るんだけど」


【貴女が如何に強力かは、すでに様々な噂から聞いていた】
【例の工場の話や大蛇の話など──そういった類の話は、少ないけれど耳に入っていて】
【人理世界における協力者が欲しい魔族としては、そのような相手と組みたいものなのだけど──】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 19:32:45.01 ID:jfJ/JdqNo
>>985

【病魔は蟲を一瞥して視線を貴女に戻す、真紅の双眸は怜悧な色合いを見せつけてはいたが】
【── その奥には、隠しきれない興味があった。無関心を装っても尚余る程に】
【愉悦に近い感情の狭間、滞ること無く流れる時間に僅かばかりの慕情を向けて】


── キミ達がどんな存在で、ボク達のどんな噂を耳にしたか知らないけどさ
キミ達がボクの興味を満たしてくれるなんて、ちっとも想像が付かないんだけど
……少し前のボクならさ、キミ達みたいな端でも声掛けてたんだけど

事情が変わったんだよね。流転する時に於いて、停滞は退化に相応しい言葉なんだ、知らなかった?
だからボクはハッキリとNoを告げるよ、キミ達の様な存在に興味も無いし
── ああ、それとも、蟲の親玉にはこう伝えなきゃ分かんないかな?



蟲けらが話し掛けんなよ、キショいっつーの



【そう言ってイルは嗤う。嘲笑の笑みが愛らしい頬を染めたら、それはまるで極彩色の御伽噺の様に】
【寓話の登場人物が色に耽る様な気味悪さ、少女の眼差しで彼女は歪に笑う】
【── 或いはそこに、枯れた花の美しさを見るのかもしれない。白百合を穢すシャーデンフロイデに似て】

【彼女の拒絶は一種のパフォーマンスであった、交渉に於いて下手に出る事を避ける様に】
987 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 19:57:21.69 ID:45xYefFFo
>>986

【ワームシンガーは黙して彼女の主張に耳を傾けていた】
【──とどのつまり、貴女は蟲に興味がない。なんて受け取り方をした】
【貴女の拒絶に、女は致し方ないとも感じた。協力するもしないも、当人の自由なのだから──】
【しかし、次の言葉で女の目は見開かれることになる】


「────ッ!!」


【他者に信仰を汚されたとき、その信者はどう思うだろうか?】
【怒りか、哀しみか、それとも別の感情か──此処において、女はその全てを感じていた】
【蟲に対する侮辱であり、そして敵対ともとれる言葉。それがパフォーマンスと気づけるほどの知能はなかった】
【渦巻く感情を無理やり抑圧する。今はこの悪魔と交渉をしなければならないのだから──、と】


「──そこまで言われちゃ、仕方ないか」


【なんて、トボトボと呟く。此処で攻撃に出たとしても、一切の利益は生まれない】
【そんな勘定だけは出来たから、できるだけ敵対するのは回避したいところで】
【彼女の歪な嗤いとは相対的に、女は淋しげな表情をしていた。案外純真なところがあるみたいで──】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 20:10:32.76 ID:jfJ/JdqNo
>>987

【病魔はその反応を見て胸の奥底が疼くのを感じる。── ゾクリと背筋をなぞるのは確かな快感】
【美しい少女を嬲る喜び、苟もその感情は時に尊さすら感じる程で】
【── 本来なら、"だから"と言って此方から譲歩するつもりはなかったが】

【貴女の表情に、唆られたから── 】


あはは! いい表情だね♪ 蟲はきっしょいけど、キミなら可愛がってあげてもいいかも♪
朗報があるよ、一つ大切なコト思い出したんだ── キミ達は、蟲の種族なんでしょ?
だったらさぁ、知ってるでしょ、コレ── そうじゃないと、困るんだよ


【イルが軽く右手を振ると、とすんと軽い音を立ててそこに何かが落ちた】
【地面に激突し、くぐもった声が漏れた── 視線を向けたなら、そこに一つの少女がいる】
【── 銀色の髪に蒼い輝きが見える、世にも珍しい複雑な色合い】

【腰まである蒼銀色の長髪を大きく後ろで二つに結って、赤いリボンの着いた黒いケープを羽織る】
【ケープの下には黒いチョリ、下乳から鼠径部までを大きく露出し、黒いパレオで下半身を透かす】
【中東の踊り子の様な格好をした、黒と赤のオッドアイの褐色肌の少女であった】


"コレ" キミ達の仲間でしょ、似たような雰囲気感じるし──
でさ、ここからが相談なんだけど、コレにさ、ボクんとこのロクデナシもついちゃってるんだよね
コレをどうにか出来たら、協力してあげないこともないけど


【少女はアームバインダーで両腕を拘束され、猿轡を噛まされていて】
【足枷の為地面に転がされながら、その双眸で貴方を見上げるだろう】
【名残があった。── かつて、蟲の眷属として共に戦ったであろう同種の名残】

【彼の者の名前は"Conductor"歌い手であるシンガーと、強い親和性を持っていた】
【恐らくはそれがこの少女に寄生しているのだろう、そして、イルの仲間たる"虚神"すらも、拠り所にしていると】
【── いわば架け橋であった、蟲と、虚神との】
989 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 20:25:24.99 ID:45xYefFFo
>>988

【知ってるでしょ、コレ──その詞と同時に、地面にすとんと落ちた何か】
【踊り子のような格好をした、褐色の肌を持つ銀髪の少女────】
【似たような雰囲気を感じれば、その胸元を見る──確信には至らないが、蟲を持っている筈だ】


「ああ、多分僕たちの仲間だ。蟲の存在を確かに感じる」
「……君のところのロクデナシ、がこの子に憑いてるのかい?」
「僕に出来ることだったら何でもしようじゃないか、どんな奴なのか教えて欲しい」


【猿轡を噛まされ、両腕を拘束されている──同胞として、どこか申し訳無さを覚えるのだけど】
【彼女の言う“ロクデナシ”とは、一体何者なのか。其処までは知り及ぶことは叶わない】
【何かが憑いているのか、もしくは寄生しているのか。それを取り除くためには、存在を知ることが必要だ】

【──何かが取り憑いていたとしても、唄をきかせれば出ていくことだろう】
【それに耐えられる程の精神力を持つ存在は高位の魔族くらいしか見たことはない】
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 20:42:31.73 ID:jfJ/JdqNo
>>989

【どんな奴なのか、と言われイルは腹立たしげに頬を歪めた。雲間に翳る三日月の如く】
【褐色の少女の腹を踏みつけた。── ゴムボールの様に腹部が凹んで、少女が目を見開く】
【そのまま声にならない呻き声が漏れて、地面に蹲った】


── ああ、ごめん、いきなり言われたから思い出しちゃった。蝶だよ、蝶々── 飛びっきり悪意に満ちた
名前は "シャーデンフロイデ" 傾世の美女だなんて言われていたけど、そんなのはどうでも良くって
ボクがキミ達にお願いしたいのは、まぁ、取り除く事なんだけど

今は"コレ"にもちょっと用があってさ、迂闊に壊しちゃう訳にも行かなくて
だからさ、取引しよーよ。── キミ達の同胞なんでしょ、コレ
ボクが必要ない時はコレ貸し出すからさ、ボクが必要な時はコレ使えるようにしてよ

── 中々コレの中にいるキミ達の同胞が強力でさ、ちょっと痛めつけた程度じゃびくともしなくて


【イルの提案は一時的にこの少女を"蟲"と自分とで共有しないか、というものであった】
【少女の中にいる"conductor"── 今は眠っているようだが、呼びかけたなら歌い手には返事するだろう】
【蟲達が必要な時は使ってくれれば良いし、そうじゃない時は邪魔しないようにしろと、そう言っている】

【── 少女は小さく痙攣しながら、丸まって、踏まれた腹部の痛みに悶絶していた】
【頬に汗が浮かぶ、それを拭うことさえ許されずに──】
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 20:57:59.55 ID:wtlSWHAO0
【それはとある町の中での出来事】
【町、とは表したが其処は小さな場所だ。酒場等は開いているもののこの時間に出歩く人は少ない】
【さて、そんな町のシンボルたる噴水に一人の女性が腰を掛けていた】
【腰程までに延ばされた銀の髪は月明かりを眩く反射させ、褐色の素肌は滑らかな質感をより一層引き立てる】
【――人間とは異なり尖った耳からして、エルフと呼ばれる種族だろうか。ダークエルフ。その存在は、伝承だ物語だによって大きく異なってくるのだろうけれど】

【そんな幻想的にも思える人物が憂い気に水面に映る月を眺めて居るのだ】
【時折掌で水を掬っては其処に入り込んだ小さな月を眺め、唇を寄せる】
【その姿にワラワラと男共が近寄ってくる……と思いきや、一向にその気配も無い】
【と、言うのも。少しばかりこの女性が“異質”であるからなのだが】


「ぬわー!腹が減ったのじゃ!!泉の水を飲んだ所で腹の足しにもならぬっ!
妾好みである店は全て閉まり挙げ句には酒しか置いていないとは次期冥王たる妾を馬鹿にしているのか!?
……むぅ。余計に腹が減ったのじゃ。このままひもじく朝を迎えるのは妾の沽券にも関わるというもの……」

【バシャバシャばしゃばしゃ。意味も無く水に八つ当たり――こんな具合に騒ぐような輩など、自ら進んで話し掛けて来る者など少ない】
【そう、“自ら”話し掛けて来る者は少ないだろうがこの女から絡みに掛かる事は大いに有り得る】
【例えるならば何か美味しそうな物を持ってたり、持ってたり、食べてたり、持ってたりすれば】
【或いは、もし本当に食べものを持って歩いていれば……気付いた頃には横に居る。なんて事だって】

/予約ですん!
992 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 21:04:02.19 ID:45xYefFFo
>>990

【貴女が腹を踏みつけたとしても、女がそれを咎めることはない】
【──咎められる立場にないことは、自覚していた。協力を申し出たのは、此方なのだから】
【呻き声が耳に入れば、心配そうな顔を彼女に一瞬だけ見せて──また貴女の方を向く】


「……なるほど、つまり“シャーデンフロイデ”っていう蝶を取り除いて欲しいってことだね?」
「わかった、やれるだけのことは試してみよう。ただ出来るという確証は持てないけど、そこはいいかい?」


【まずはその確認から入る。やれるだけのことはやるつもりだけど、確実に取り除けるとは限らない】
【もし取り除けなかったときの保険として、一応の余裕は設けるつもりだ】


「君が彼女を必要とする時に、拒否しなければいいってことだね?」
「わかった、平時は僕が責任を持って彼女の面倒を見よう。シャーデンフロイデの対策に関しても考えておくよ」


【貴女の提案を、確かに女は飲んだ】
【貴女が彼女を使う時に邪魔をしないように“教え込む”、もしくはそれ以外の方法を考えるか】
【ともかく、彼女の蟲と会話をしないと何事も進まないと思い、話しかけようとするも──】

【し彼女から蟲の反応を感じるもののそれが“起きている”感じがしない】
【冬眠しているのか、はたまた仮死しているのか──その状態まで計り知ることは出来ない】
【故に、女は強硬策に出る。蟲以外の種族が居る中で、できるだけ使いたくない手段ではあったのだけど】


「耳、塞いどいてね。君に何かあっても、僕は保証できないから」


【その言葉を伝えて、確かに貴女が耳を塞いだのなら──】
【高らかに、そして清らかな唄声を路地に響かせる。まるでオペラのソロ歌唱のような美しさを伴って】
【しかし蟲を持たざる者にとって、その唄は苦痛以外の何者でもない。精神を直接攻撃されているような痛みと、強烈な不快感を伴う】
【“起きろ”、唄にはそう意志が込められていた。これで彼女の蟲が目覚めるかどうかは、別なのだけど】
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 21:15:38.63 ID:kgBNReMP0
>>991

お、

【第一声。あまりにも間抜けに、ドラマチックのかけらもなく】
【通りがかった男がいた、そこそこの長身にイマドキの若者ちっくなゆるーい服を着て】
【カラーリングはエルフの女性と似たようなものだった、褐色肌に明度の高い銀の髪】
【ただ――同族ではないだろう。ニンゲンの形状の耳をしていた、中身はわりと、ニンゲンではないけど】

【彼は黄色い瞳をぱちくりさせて、もの珍しそうに女のほうを、見ていた】
【手にしていたのは屋台で買ったと思わしき、パン生地的なナニカにソーセージと野菜を挟んだもの】
【もう片方の手には紙袋。おそらく、同じものがあといくつか入っている】

(……めっちゃ腹減ったっつってる。うーんどうしよ、わけてあげるベキ?)
(いやーでもなー、あれエルフっしょ? そーいう系のヤツって肉喰わねーんだっけか)
(そもそもなんか高貴? っぽいし。そんな俗っぽいモノ食べるわけがないのですわー! とか言いそう)

…………うん、パス!

【第二声、結論付けた声色もだいぶ間抜け。それでもやたらよく響いた】
【きっとながーいエルフ耳にも十分届くことだろう、紙袋の中の品の香りとともに】
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 21:16:20.72 ID:jfJ/JdqNo
>>992

【理知的な言葉だった。理路整然とした言葉運びは止めどなく流れる清流を思わせて】
【彼女はつまらなさそうに手をひらひらと振って、それで良いよと投げ捨てた】
【空中に黒い椅子を作り出して、そこに腰掛ける。両足を組み直したならぷっくりとしたお尻が向けられた】

【── そして、歌が響いた。イルは特段大して反応を見せない。魔力的な加護があるのだろうか】

【しかし、拘束された少女はそうではなかった】


「────!!!! ぅ……!!!! ひっ……い──!!!」



【それはまるで痛覚神経をそのまま乱雑に抉るかの様な痛みであった、肉体の反射で身体が大きく仰け反って】
【一回二回と大きく悶える様子は、まだ新鮮なまま殺された野生動物を思わせて】
【ざりざりと、少女の膝が地面に強く擦り付けられる、滲んだ血が憐れに濡れて】

【パレオが肌けてショーツが目に入る。褐色のお尻に黒がきゅうと挟み込まれて】
【汗を零して乱れる彼女は、背徳的で官能的な、痛みに揺れる嬌声を漏らして】
【── 刹那、がくん、と意識が飛んだなら、纏う雰囲気が大きく変容した】


「── 何事かと思ったら。久しぶりね "ワームシンガー" 目覚めの歌にしては、貴女の歌声は立派過ぎるから」
「今の御主人様には刺激が強すぎたみたい。精神の中ももうズタズタよ、常人なら一回り発狂しても足りないぐらい」
「── 久方振りの逢瀬に幾つかお伺いを立てても良いけど、それとも何か私に用かしら?」

「……それとも、この私の中に居る"誰か"に用事があって?」


【猿轡が解ける。── 零れでる音律は、歌い手にも至極馴染みの深い声であろうか】
【汗で額に張り付いた髪をそのままに、凄絶な状態ではあったが、彼女の声は落ち着いていて】
【── イルはその様子を静かに眺めていた、へぇ、なんて言いながら】
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 21:35:03.91 ID:wtlSWHAO0
>>993
【スンスン、と鼻が動いた。いや、動きすぎた】
【空腹状態にある今、匂いの元を辿る事など余りにも容易い。例え自身が風上であっても嗅ぎ取れる超嗅覚】
【其処からの行動は実に早い。数秒後には、青年の進路を塞ぐようにして立つのだ】
【――顎に手を添え、何やら威厳たっぷりな様子。仮に邪魔だからと避け様としたらムーンウォークばりの移動でやっぱり進路を塞ぐので止めてあげよう】


「……ほう、貴様……今この妾に対して“パス”などと言って居たな?ならば良かろう、寛大な心でこの妾がその“パス”とやらを受け取ってやろうではないか!
別に腹が減っている訳では無いぞ?しかし将来支配する民の者に献上させてくれと言われれば妾も無下には――――……」

【ぎゅるるるるる。台詞を言い終える前に大きな腹の虫】
【そもそも“パス”の意味を取り違えているのもアレなのだが。発している言葉も電波そのもの】
【だが、その瞳はじっと紙袋を見ていた。穴が空く程に】
【今にも手を出してしまいそうだが、それを理性で抑えるだけの常識は持ち合わせているのだろう】
【ごくり、と飲み込まれる生唾。威厳も無ければ高貴さの欠片も無くなってしまっている】


「……む。くれないのか……?妾はこんなに腹が減っていると言うのに……」

【それでも渡すのを躊躇すれば、上目遣いで小さく非難するのだ】
【空腹の余り目尻に溜まる涙。あっさりと本音を言う辺り、自身で言いふらす肩書きへの自覚が足りない】
【何であれ、だ。そのまま歩こうものならば、青年の裾を摘んで引き留め様とする事だろう】
【怨めしそうな視線たっぷりで】
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 21:51:34.15 ID:jfJ/JdqNo
【水の国 繁華街── から、少し離れた公園】
【騒動は多くとも、この街は未だ最も栄えている街であることに変わりはなくて、相変わらず人通りは多く】
【特にこの公園は、その立地も手助けし非常に活気に満ちていた】

【── 特に一本の巨大な木が中央に陣取り、どんと存在感を強めて】


── しーっかしまぁ、表面上は何も無い平和な日々が過ぎてるんですけどっ
ここにいる多くの人は鵺ちゃん達の様なっ、社会の裏側で頑張ってる人達を知らないのです
まぁ、それは選んだ道だから仕方ないんですけど、少しぐらいは賞賛されたいなぁ、と

……要求してる訳では無いのですけど、たまにはそう思ってもいいんじゃないですかって
あーっだめですだめです、元気印の鵺ちゃんがこーんなマイナスムードだなんて
さてと、パトロールの続きです


【純白の長い髪をツーサイドアップにし、黒いコサージュリボンで片方だけを飾り】
【黒く長いマフラーと巫女服を基調とした無袖の裾が短い白の着物】
【ゆらりと長い袂からメッシュの長手袋が漏れて見える】
【白いニーソに厚底の下駄を履いた、蜂蜜色の瞳をした少女が居た】

【── 特筆すべきはその場所であった。彼女は木の枝に逆さまでぶら下がり、周囲を監視していた】
【何気に気配をしっかり隠しているため一般人には気付かれてはいないが……】
【着物の裾が短いため、逆さまになってるとペラリとめくれて、下着があわや見えそうになっている】
997 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 21:52:56.86 ID:45xYefFFo
>>994

【貴女が耳を塞がないのを見て不思議がったものの、唄を止めることはなかった】
【眼前の彼女がのたうち回ったとしても、蟲がいる確証があるために止めることもなく】
【滲んだ血を見ても、精神が崩れていくのを見ても、唄を止めることはない】

【──痛みに喘ぐ嬌声を耳が捉えたとしても、容赦はしない。清らかな唄声は響き続ける】
【嫌な汗が体中に流れているのだろう、肌に吸い付く衣服を見てそう思った】
【しかし身体が跳ねた瞬間に、女は唄うのを止めた。そして、纏う雰囲気の変化に気づき──】


「……その声は、“Conductor”じゃないか。こんなところで会うことになるとはな」
「すまない、君を起こすにはこうするしかなかった。君の主人には申し訳ないことをしてしまったな」
「──ふっ、やはり君は察しが良いな。そのとおりだ、“シャーデンフロイデ”なる存在がいるだろう」

「奴は、君と癒着してるのか?」


【至極馴染みの深い、落ち着いた声だった。指揮を律する役目を担った、高位の蟲が其処に居たのだ】
【“Conductor”──彼女は自身のことを、そう形容していた。懐かしい音律に、目を瞑り味わうようにして】
【彼女の察しの良さも健在だった、彼女の中にいる“シャーデンフロイデ”と蟲が癒着しているのなら──】

【引き離すのは不可能、それが結論になるつもりだった】
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 21:53:40.58 ID:kgBNReMP0
>>995

おぅっ、……いやそのパスってそのパスじゃなくてネ、
……うわっナニその音!? こっわ! バケモンの鳴き声かと思ったわ!

【齧っていた分のパンを取り落としかけて、あわててキャッチ。ふうと息を吐いて】
【どーしよっかなあ、なんてちょっとばかし悩んでいた。別にあげることには構わないんだけど】
【のちのちなんか面倒そうなことになりそうだなあ、とか思っていたりした、のだが】

【上目遣い。服を引っ張られる。その光景を、周囲の人々に見られている】
【一目見ればどちらが「かわいそう」という評価を受けるかは、すぐにわかることだろう】
【かたや美しいエルフ。もう片方は――ちゃらーいかるーいイマドキ男。……】
【……視線が、どんどん痛くなってきた。はあ、と大きく息を吐いて】


…………いやーおれ腹いっぱいになっちったー、今日はあんま食欲なくってナー、
この袋の中にまだ残ってる分どうしよっかナー! 捨てるのももったいねーんだよナアーッ!!!

【――半ばヤケクソじみた勢いで吐き捨てながら、袋を高く掲げた】
【高く、と言っても、女性でも十分届くような位置。そこらへんまで上げて、これ見よがしにふりふり】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 22:03:37.31 ID:jfJ/JdqNo
>>997

【"Conductor"は流麗な目元に微笑みを浮かべた。── オルタナティブの古代から共に歩んだ日々を思い出して】
【蟲の寵姫たる唄い手、その歌声も然る事乍ら、深い思慮と巧みな洞察力、そして尽きることの無い発想力は健在であった】
【── オッドアイの少女の頬、褐色の色合いは宛ら砂糖菓子の様に甘い慕情を携えて】


「── 癒着というには少し表現が難しいわ。私が存在できるのも、彼女が存在できるのも、全て絶妙な奇跡の上」
「そうね、例えるなら── タイプライターの上を歩いた猫が、シェイクスピアを描く様な奇跡ね」
「貴女に釣られて私もロマンチックになってしまうわ、あら、それは元々だったかしら」

「本当に懐かしいわ、是非貴女の歌声で世界を再び脅かしたいけれど──」
「私が意思を持てるのは貴女が側にいる時ぐらい、それ以外は御主人様に主導権を委ねるの」
「それが私達の約束。── そうしないと、誰も生き残れない」


【それは彼女の振るうタクトの様に、澱みない河音の如く言葉が紡がれて】
【ハッキリと今の段階での分離が難しいと伝える、同時に貴方が側にいれば顕現できるとも伝えた】
【── それはある種の朗報であるのだろうか】


……まぁこんな事って思ってたけど、結論もついたし
どうしよっか。ボクとしては、所々力を貸すみたいな関係性もしょうがないと思うけど
── ボク個人としては、キミの身体を好きに出来るのなら、少し力を貸してあげてもいいよ


【イルが言葉を重ねる。童の様に無邪気な笑みを、曲輪のように鮮やかな色で飾り立てて】
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 22:15:36.86 ID:wtlSWHAO0
>>998
【青年がヤケになったその時、エルフの頭上には大きな『!』マークが見えたと後に人々は言う】
【多分お世辞とかそういった社交辞令も分からないタイプなのだろう】
【目を輝かせながら一番に挙手。いや、他に青年の者を奪おうなんて人物は居ないのだが】


「クク……ならば妾が喰らってやろう……。如何なる食い物とて無駄にするなど、冥王としての名が廃るというモノじゃ
なに、感謝はせんで良いぞ。当然の事をしてやったまでじゃ」

【その手を顎に添え、クククと本人曰く悪そうな笑み】
【一々格好付けるだけの余裕はあるのだろうか。余裕タップリにその袋に手を伸ばそうとした、その時】
【青年の予期せぬ所から小さな手が伸びてくるだろうか。それは袋を掴んで、引き抜こうとする】
【強引では無いが、文字通り受け取るが如くヒョイと取ろうとして】


『――それでは、イリニが頂きます。教会への支援、感謝します』

【もし、そのまま渡してしまったのなら。今度はその袋を持つのは、純白のローブを纏った少女だった】
【同じ様に色素が抜けてしまったかのような肌、髪。首から提げる十字架はその所属を示す為のものか】
【無表情ながらも大事そうに胸に抱えると、青年に向かってペコリと一度お辞儀をして】
【そのまま何事も無かったかのように立ち去って行くのだ。そう、何事も無かったかのように】


「……貴様、腹が一杯ならば妾が其れを喰らってやっても良いのだぞ
……腹が一杯なのだろう?なぁなぁ、妾が其れを……」

【さてさて、その視線は青年の唯一残されるであろう囓り掛けの其れに向けられるのだ】
【じーっと、もう本当にじーっと。もし食べる様な素振りでもするならば、「あーっ!」と叫ぶ程度には】




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