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【海を見た日の】能力者スレ【神は幼い】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/21(月) 21:44:32.81 ID:yLZmKFdx0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。

無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。

【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 

【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。

この世界は「多様性のある世界」です。
完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
コテハン「推奨」です!
基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
スレチなネタは程々に。
スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。

国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。

能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1525061185/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/zikken/1711622906/

満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1711617334/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:23:40.62 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459420/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/23(水) 22:19:10.31 ID:vfFKjGXT0
>>1乙です
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 22:19:21.73 ID:jfJ/JdqNo
>>1乙です
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/23(水) 22:25:19.71 ID:XLO5kaG+0
前スレ>>982

「ひッ……」
「わ、ワームシンガー、さま……」

【少女は眼に涙を溜めては流しながら、その優しい猛毒に呑まれそうになる】
【何とも、何とも酷い波乱の予感だ】
【新戦力を持ての侵攻】
【明確な進撃の意思】
【くじかなければ、砕かなければ】

「(伝えない、と……)」
「(皆に……)」

【そんな思いも、魔族の手の内だろう】
【安息地の外に運ばれ、やがて、立てる様に】
【そして意識もはっきりと戻ったらば】
【何処かへと向かってゆくのだろう】
【人類未曽有の戦いは、こうして幕が上がったと言えるだろうか?】
【今はまだ、嵐の前の静寂がある】



//お疲れさまでした
//こちらで〆な感じでしょうか?
5 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 22:27:24.15 ID:45xYefFFo
前スレ >>999

【なるほど、彼女という存在は偶然により紡ぎ合わされて出来ているのだろう】
【癒着と言うよりは、互いに依存しないと人理世界に顕現できないのであろう】
【自分の側に居なければ意思を持ち行動することが出来ないらしい────】


「私が側に居れば、君はここに顕現することができるのか」
「──なるほど、事情はよくわかった。わざわざ話してもらって、申し訳ないな」


【今の時点で、自由に人格を変化させられるわけではないと理解した】
【側にいる時しか顕現できない──即ち、自らも彼女の側に居なければコントロールはできない】
【これは朗報だった、此方としては──強く出られる可能性のある手段になり得る】


「──それは、彼女をコントロールするのに僕が必要だということなのかい?」


【身体を好きにできる、というのはどういうことだろうか──?】
【もとより人類のそれよりプロポーションは悪い。胸元には蠢く蟲が見える上、体格もとても細いのだ】
【もしくは実験に使われるのだろうか、それだけは絶対に避けたいところではあるのだけど──】

// >>1乙です!
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/23(水) 22:28:56.92 ID:kgBNReMP0
いちおつです!

>>1000

まじかーっ助かったーっありがとネーっおねーさーん、
……、……あ、あン? んん、ン……???

【よかったこれで丸く収まりそうだ! 内心胸を撫で下ろして、ふうと一息】
【つきながら、ゆっくりと袋を下ろしていった。下ろしていった手が――ふいに、空を掴む】
【横から通り過ぎていったローブの少女。十字架を見るとき、少しだけ痛そうに、目を細めたけど】
【それもすぐに――ぽかんとした表情に変わって。去っていく後姿を、じっと見ていた】

【――それから、はっと前を見直して。じいっと見つめられる視線に、少しだけ後退り】

いっいやーホントだよ? まじまじ、ハラいっぱいなのはマジなんだけどお、
……あの、コレ、喰いかけなんスけど。えー……いや別にイヤってわけではないんだけどお、
抵抗感とかねーの? ねえほら、間接ちゅーになるんだけど……ねえ。

【「おれは別にいーけどさ、役得ってヤツ?」……へらっとした顔でそう言いつつ】
【そーっと、口をつけてない方からちょっとずつ、彼女の口元へ近付けていくのだ】
【まるで柵の向こうの、ちょっとばかし危なそうな動物にエサをやるみたいに。食べないなら、齧り直そうとするけれど】
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 22:35:24.90 ID:jfJ/JdqNo
>>5

【歌い手の言葉をイルは一笑に付す。── それは真昼に見る月の様な歪さを保ったまま】
【音律は遥か先の淫らに溶けて、啄む行先も知らない囀りの如く】
【── 彼女は嗤う。絹糸の様な喉を鳴らして、悪態の様な風を飲み込む】


まっさかぁ♪ 女の子一つ動かすのにボク以外の力なんていらないよ
少し躾てあげればボクの思うがままだもの、教えて欲しかったら教えてあげるけど
やめた方がいいかもね、── 身体を崩壊させずに痛覚だけ味わうのはボクにしか出来ないし

てゆーかさ、ホントに分かってないの? 蟲の眷属ってそんなにお堅いのかな
いいよ、キミみたいな痩せぎすがボクのタイプなんだ── あの子を思い出させて
そしたらね、思う存分強く抱けるから♪ どうしても、力が入っちゃうなぁ♪


【イルが貴女へと近づく、指先が伸びて貴女の胸元へ触れようとする】
【蠢く蟲を素肌の上からなぞるように、指先がそうっと、星座を指で追うように動いていくだろう】
【地面に蹲りながら"conductor"が苦悶の表情を見せる、どうやら随分嬲られたようで】
8 : ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/05/23(水) 22:48:12.51 ID:kgBNReMP0
前スレ >>996

【人でごった返した繁華街から逃げ果せるならば、最適と言って良い立地の公園。休日の親子やカップルの散歩にぴったりのロケーション】
【さりとてお一人様の人権を保証しないほど静かな雰囲気でもなく、訪れる人々は多種多様】
【中には奇矯な輩が混じることもあるだろう】
【公園のシンボルとも言える大樹の手先で、脳に血を集めている少女の探し物が何なのかは知る由もないけれど】



【そんな長閑な空気を一閃するかのように、バァン!!と発砲音のようなものが響く】

【銃ではない。音の中心に立っている少女は武器を持っていなかった】
【しかし煙を吹いた拳が、怪音の元なのは明白で、数メートル離れた路上には目を回している大男】
【痴情のもつれ?ナンパのあしらい?いずれにせよ白昼堂々の暴力行為。目撃者多数】
【しかし殴った側が年端も行かぬ少女ならば、悪党はどちらかを迷うのが世間の真理】

【その困惑の隙間を拝借して、少女はささっと逃げ出した。人目を避けるように大樹の裏側へと――】


――いいや、登っちゃおう。
追い回されるのもめんどくさいし、寄らば大樹の陰だ。文字通りの意味で。


【安易な発想で木登りを敢行。ほとぼりが冷めるまで、そこに隠れようとしていたが――】
【木の枝にぶら下がっているであろう、もう一人の少女の横を気付かずに通り過ぎる】

【近場で見るならば――いや、近場で見ても特徴のない少女だった】
【いかにも動き易さだけを考慮したようなノーブランドのジーンズとブラウス。取り敢えず後ろでまとめた髪は染めてもおらず真っ黒】
【休み時間に教室の片隅で本でも読んでいるのが目に浮かぶかのような地味な出で立ち】
【その外見に追随するかのように、若干目に隈が有るのが睡眠不足を主張している】

【大樹の枝葉に身を隠すように座ると、欠伸を一つ。隣人の気配にはまだ気付いていない】
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 22:52:07.21 ID:wtlSWHAO0
いちおつなのですよ!

>>6
「間接ちゅー?それは何かの呪術なのか?……食いかけだろうが味は変わらん!
妾の喰らう分が少し減っているだけじゃ!」

【箱入り娘か。それとも元々そう言った事を気にしない輩か】
【何の問題がある、と言いたげな表情を見せるも目の前に飯(餌)が来ればまたころっと変わるのだ】
【ガブッ、と一口。最初に青年が感じたであろう高貴だとかそんなのは何処に置いてきてしまったのだろう】
【手を引かなければそのままガブガブと囓り続け――やがて、食べ終えて】
【腹も満たされたのか満足気に笑って見せた】


「うむ、中々旨いモノじゃった!腹も満たされ妾は満足じゃ
……クク、礼として妾がこの世界を支配した際には部下として扱ってやろう。光栄に思うが良い
――――と言いたい所じゃが、名を知らねば何も出来ん。貴様、名は何という?」

【ペロリと唇まわりのモノも舌で舐め取りつつ訳の分からない事を言いながら青年の名を問うた】
【尊大な態度は崩れる事無く、寧ろ空腹が満たされた事もあってか余計に酷くなったようにすら】
【えへん、と胸を張って答えを待つ姿は少々……では無く、とても滑稽】
10 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 22:53:01.43 ID:45xYefFFo
>>7

【──奪われた“Conductor”、勢力拡大の一手、自らの保身】
【その全てが、頭の中で錯綜する。ベッケンシュタイン限界を超えても可笑しくないほどの量を持つ情報が、ぐるぐると頭を回る】
【貴女の言葉が脳内で反芻する。おかしな悪魔だと、そう思った刹那────】


「其処だけは、触るな──ッ!」


【胸元で蠢く蟲に触れられた途端、咄嗟に後方へ跳ぶ】
【同時に後方で控えていた『ドク』も、何事かとその細い顔を貴女とワームシンガーの間へと向けて】
【ずさァっ、と土煙を上げて着地する。──明確な弱点か、もしくはそれほど重要な何かなのか】


「……すまない。其処だけはどうしても触られたくなくてね」
「人類よりも体格が悪い私を選ぶことはないだろう、痩せぎすでも綺麗な肌を持つ人類なら余程居る筈だ」
「それに、今は新しい安息地の造成計画で忙しい。今から行くのは、厳しいかもしれないね」


【突然鋭利な敵意を剥き出しにしてしまったことに対する謝罪。どうしても触られたくないだけの理由があるのだろう】
【痩せぎすがタイプと言われても、青白い肌を持つ自身より良い人類は山程居る筈だ。そちらを選んだほうが、良いに決まっている】
【そして決定的な理由が、安息地の造成計画が立っているということ。完成したこの安息地に代わる場所を、見つけなければならないのだ】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 22:53:35.33 ID:kFyFftVt0

【とある街角】

【数十分前から急に降りだした雨は次第に強さを増していって】

【半透明の中に疎らに色づいた物が混じる傘の群れが闊歩する通り。濡れて墨色に色づいた道をばしゃりと蹴りながら駆けるのは青い塊で】

……もー、何で急に雨なんか降ってくるの……
【シャッターの閉まった商店の軒先に収まったそれは不満気味に口を尖らす】

【十代の少女だった】

【水色の猫耳がついたフードのケープに白のブラウスと青いスカートをあわせていて】

【目深に被られたフードは水を吸ったのか幾分かその色を濃くさせている】

【少女はハンカチを取り出して服や体についた雨を拭ってはいるものの頑なにフードを被ったまま中に手を入れて髪を拭いているようで】

【そんな非効率な事をやらかしている為か中々状態がましにならず深いため息を吐く】


12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 22:58:55.01 ID:jfJ/JdqNo
>>8

【少女の目が細められて、発砲音からこちら迄── 進む少女の足取りを追っていた】
【軽い身のこなしであった。同業者かな、なんて内心思ってもしまうけど】
【それにしたって貴女の風貌は、そんなアウトドアな雰囲気とは違って── どう見ても深窓の令嬢が近い表現だから】


あら、お嬢さんってば大分お転婆な娘さんですことっ、そんな風に木登りをするのははしたないです
そもそも木登りをするのは庭師か忍びの二択です、前者にしてはハサミを持ってませんし
── 後者にしては、こんな可愛い娘っ子が忍者だったら鵺ちゃんの商売上がったりです

ハローっ! ぜーんぜん気づいてないんですもんっ、鵺ちゃんもうびーっくりです!
こんなに近くにいるのにどうして気づいてくれないのっ、割と目立つタイプの美少女と思ってるんですがっ!
それはそうとこりゃまたすんごいクマちゃんですねっ、寝不足はお肌の敵ですよ!


【欠伸をした少女の目の前、逆さ吊りで驚かす様に顔を向ける彼女が一人】
【堰を切ったように溢れ出す言葉が流れたら、軽い身のこなしで空を駆ける】
【よっ──と言って貴女の側に着地、長いマフラーがふわりと揺れて】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/23(水) 23:01:06.40 ID:kgBNReMP0
>>9

えーっとねえ、ちゅーってのはねえ……まーいっか、うん、たくさんお食べぇ……。

【その返しは想定していなかったらしい。はは、と渇いた笑いを浮かべながら】
【女性が食べて、短くなっていくパン。ちょっとずつ手を前に押し出して、食べやすいように】
【見かけによらず面倒見はそこそこいいみたいだった。やがて手の中が空っぽになると】

いーえ、どーいたしまして。
……セカイ? 支配すんの? おねーさんが? いやそりゃムr……
……、……名前、名前かー……うーん、おれとしてはオムレツって呼んでほしいんだけど……

【だいぶ失礼なことを口走りかけながら。問われたことに返す言葉は、幾分曖昧に】
【告げた名は、そもそも人の名前としては適さないものだった。料理名。エルフでも、知っているだろうか】
【訝し気に思うのもきっと仕方ないこと。だけど彼は、そう呼んでほしいと言うのだ】

そーいうおねーさんはどんな名前なの。
……あ、エルフだから、おれには発音できない系だったりする?

【なはは、と。後ろ頭を掻きながら笑って、茶化すように。訊き返すのだった】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 23:07:07.48 ID:jfJ/JdqNo
>>10

【── 爆ぜる雰囲気があった。イルはその双眸の端を細めて貴方を見やる】
【臨戦態勢に入って、直ぐに戻す。どうやら触れてはいけない所だったらしい】
【同時に思うのはその内面に宿した力、蟲の眷属の強かさを感じ取って】


ニンゲンの肌なんて幾ら積まれても触る気なんてないけどさ、ふぅん、残念
中々どうして蟲の連中も忙しいんだね、年がら年中穴掘って暮らしてるのかと思ったけど
まぁいいや、取り敢えず纏めるけど── ボクとしては、キミ達がこの世界で何かする事に関して、手を貸すのは構わないけど

── まぁその分、"シャーデンフロイデ"は使わせてもらうよ、そっちも"conductor"とやらは使ったらいいし
それ以外の時は好きにさせとこうかな、何時までも縛って虐めるだけじゃつまらないし
── 楔は打ってるから、逃げる心配もないでしょ


【イルの言葉に"conductor"が小さく震えた── きっと主人格が元の少女に戻っている】
【彼女は言う、蟲達と手を組む事に異論はないと、人外と人外で通じる部分もあるから、と】
【それと── 付け加えるように言の葉を散らす】


別に何処に安息地を作ろうが知った事じゃないけど、ボクの邪魔をするなら許さないよ
あくまでも手を貸すだけだよ、矮小な蟲にせめてもの慈悲を──
ボクはねニンゲン以外は好きさ、どんなに裏切られても、ね


【そうして笑う──何処か、少しだけ憂いを見せて】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 23:28:00.12 ID:wtlSWHAO0
>>13
「うむ、妾がこの世の全てを支配するのじゃ。空も海も陸も、見える限りのモノ全てな
――――む?貴様、今何か言おうとしなかったか?」

【本人は本気の様ですが、子供の戯れ言と気にしないのが吉だろう】
【……などと言われなくとも大半の人物は気にしないだろうか。青年が何かを言いかけた所で言葉を止めれば】
【その先を促すが如くずいっと詰め寄るのだけれど】


「オムレツ……ふむ、珍しい名じゃな。溶いた卵で様々な食材を包んだものだと書物で読んだが
――……様々なモノを包む……隠す、か。まさか貴様……」

【元より詰めようとしていた距離。青年が拒絶さえしなければ、両手を頬に当て自分の方へと向かせるのだ。エルフの目が細められ、青年の瞳――否、更にその奥を覗かんと】
【相手の全てを見透かすなんて特別能力が備わっている訳では無い。況してや自白させるなんて魔眼を持っている事も無い】
【それでも、その双眸をジッと見る。吐息を感じ取れるであろうその距離で、爪先を立てながら】
【――やがて、クスっと小さく笑うのだ。一瞬ばかり見せた真面目な雰囲気を、自身で壊すように】


「クク、ククク……!余程その料理が好きなのじゃな!或いはオムレツの精霊か……良い良い。気に入った
そう呼んで欲しいのならば妾は貴様の事をその様に呼んでやろう。なぁ、オムレツよ

妾か?妾の名はエリス=ディアルカン。確かに正式な名で呼ぶならば少しばかり訓練が必要だろうが……これも、確かな妾の名じゃ
よく胸に刻み込むが良い、オムレツ。何れこの世が妾のモノとなった時、支配者の名を知らぬのならば話にならんからな!」

【名前。それは、自分自身で忘れる事が無いもの。――ただ、青年は名を問うたときに少し迷っている様にも思えたから】
【そして、そう呼んで欲しいと願ったから。だから、その様に呼ぶのだ。確かに怪しく思える気もするが――……青年が青年である事に変わりは無い】
【何れ聞いていけば良い。最初から全てを知ってしまうのは詰まらない事だから】
【「分かったか?」そう告げるかのように、小首を傾げて見せる。もしそのまま払う事が無ければ、その時に漸く青年の両頬からエルフの手が退かれる事になるだろう】
【悪戯するかのように、優しく頬を引っ張りながら】
16 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/23(水) 23:33:12.02 ID:45xYefFFo
>>14

【──結局、貴女が此方と“少しばかりは”手を組んでくれるということで決着した】
【代わりに“シャーデンフロイデ”は彼女が使い、此方は“Conductor”を使う】
【普段は自由にさせておくが、命令次第で呼び出すことも出来ると──。そういう形で決着した】


「──僕も、それで了承しよう。此方も何らかの用事があれば“Conductor”を呼ばせてもらう」


【ワームシンガーが後ろに向けて手を2回振れば、「ドク」は安息地へと戻っていく】
【警備はもう必要ないと判断したのだろう、首刈り蟷螂もこの場では邪魔だ】


「──裏切ることはしないさ、魔族の中でも温和的な方だからね」
「あと、僕たちは蟲族とは言え魔族には違いない。其処だけは──勘違いしないでほしい」


【貴女の邪魔をすることは殆ど無いと──現状ではそう言い切れる】
【しかし魔族は魔族である、出るときが来れば──出るに違いないのだろう】
【というより、自らの信仰の対象が矮小と見られたことに少々立腹しての発言なのだろうが】


「……ま、手を結ぶには変わりない。やんわりと協力しよう」


【その言葉と同時、女の法衣のポケットから透明な粘性をもった液体が滲み出てきた】
【──意志を持つかのように、重力に引かれることを拒絶して。致し方なく女がそれを掬ってやると】
【透明な粘液のベールにつつまれた、一匹の蟲が女の掌で蠢いていた】
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/23(水) 23:34:26.10 ID:XLO5kaG+0
>>11

【雨が降ったら傘をさす】
【辛い話は胸をさす】
【娘十八、紅をさす】
【魔がさす、棹さす、将棋さす】
【世間の人は指をさす】
【許せぬ悪に】
【とどめ刺す】



「うーん、まさかこんなに降っちゃうなんて……」
「どうしよう、バイト、遅刻だよ……」

【白いボディに緑のラインが入った、オフロードタイプのオートバイ】
【搭乗して居る訳では無く、押して歩いているのは学生服にレインコートの少年だった】
【年齢的には、そう、少女とあまり変わりが無い様な……そんな年齢の男子】

「ん?」

【そうして急ぎ足ながらバイクを押して歩いていると、商店だろうか】
【シャッターの閉まった店先で、雨をしのいでいる少女の姿を見かける】
【全身が濡れている、可哀想なほどに手酷く振られた様だ】

「あ、え、ええーっと、その……」

【思い切って声をかけた】
【身長はさほど大きくも無く、何処となく声も気弱さがある】

「こ、これ、使います?」

【あまり同年代の少女と、こう言う風に話す機会など無いのだろうか?】
【緊張した様子で、その少女に折り畳みの傘を差しだす】

「僕は、ほら、使わないから、その……」
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/23(水) 23:39:13.31 ID:kgBNReMP0
>>15

なんにも言ってないヨー。いやまじで、ま……ふぁあ?

【びよん。よく伸びる頬、間抜け面を目いっぱい晒しながら、目が丸まる】
【何されてんだおれは。脳内でいろいろ考えてみてるけど――結論は出て来なくて】
【瞳を覗き込まれると、は、と息を呑んだ。……存在を「読まれてる」のか、なんて、ちょっと警戒したけど】

【黄色い瞳。生卵のオレンジ色より、加熱したそれの優しい黄色に近しい色合い】
【その奥底で、数えきれないくらいの生命の欠片が蠢いていたけど――たぶんきっと、読まないなら、どうでもいいこと】


……、……そ、……ぉなんだよネー、実はおれ精霊――――っていうか、
ヒヨコとして生まれてこれず、未練を持ったままこの世に残っちゃった系の?
なんて言うんだろ。ボーレイ? そう、卵の亡霊。なワケ。いやーそこまで見抜かれちゃうなんてナーっ

【ぶは。と、噴出しながら、ウソ800を並べ立てていく。完全に面白がっているらしい】
【余計な詮索をされないなら、楽ちん。気分もだいぶ上向きになってきた】
【エリス、エリス。何度か復唱して、口に馴染ませるようにして――――】

わーったわーった。ほっぺイテーからそろそろやめてくんねーかな……エリエリ?

【――――変な綽名がついた。支配者に対して呼ぶにはけっこう、否かなり、失礼な態度!】
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/23(水) 23:44:47.76 ID:jfJ/JdqNo
>>16

【── イルの表情が固まる。それはまるで絵画世界に切り取られてしまったかの様に】
【或いは全く別の世界に迷い込んでしまったかの如く、柔らかな頬がころん、と舌先を転がした】
【大きな瞳が蜜月の様に瞼と恋をして、項垂れる水仙のように横髪が絡みつく】


── あれ、キミ達って、ひょっとして、ボクが魔族だなんてちんけな存在だと思ってるの?
だとしたらボクは何とバカにして差し上げたらいいんだろう、蟻に世界を説くなんて愚かしいけどさっ
キミ達が魔族だろうと蟲族だろうと、この世界の理に縛られた羽虫って事は代わりないからさ

このボクの機嫌が良い時は邪魔すんなよ、それだけがルールだから
別にボクは家畜が機嫌を損ねたからって怒るような存在じゃないけど
立場は明確にしなきゃ、どっちが上で、どっちが下なのか


【イルは床に倒れたままの少女の腹部を蹴り上げた。── くの字に身体を曲げて少女のが嗚咽を漏らす】
【彼女には名前を名乗る権利すらない、蟲とイルと、それぞれの都合で扱われる】
【── それは最早用具とかわりないのではないか、と誰かが言うように】


ホントに蟲まみれだね、よくもまあそんな知性も何も無いような格好で生きてけるよ
ボクには想像もつかないし、する気もないけど──


【掌の蟲を一瞥し言葉を放つ、驕りに満ちた言葉】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 23:54:33.02 ID:kFyFftVt0

>>17

【中々止みそうもない雨】

【少女は体を拭く手を止め、天を仰いでため息一つ】

【そんな最中に掛けられた声】


【見れば同年代ほどの雨合羽の少年が近くに立っていて】

……ん?
【目を細め、こてっと首を傾げ】

【あれ?もしかして変な所あった?まさか見えてはいけないものとか見えてる?などと思案し】

【そろーっとフードの裾に両手を伸ばし更に深く引き下げようとした刹那】

【これ使って、と差し出されたのは折り畳み傘】

【少女はきょとんと目を丸くして】

……え、良いの……ん、ですか?
あの、使わないって言っても……その、悪い、ですし
【フードの裾に手を掛けたまま尋ねる】


21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/23(水) 23:59:12.71 ID:XLO5kaG+0
>>20

【雨は一層の強まりを見せる】
【本降りの雨】
【アスファルトの匂い】
【湿気の空気は間違いなく初夏に特有のもので】
【人によっては季節感を楽しむのだろうが、どうにも二人にその余裕は無さそうだが】

「え、あ、ああ、だ、大丈夫!大丈夫だよ!」
「そ、その、ほら、僕バイクだし!カッパ持ってるし!」

【キョトンとする少女の綺麗な瞳に】
【それだけで、初心な少年は大いに緊張し】
【しどろもどろにこう答えて、傘を差しだす】

「そ、その、止みそうに、無いですね……」
22 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/24(木) 00:04:14.58 ID:EVDj0KVno
>>19

【──ワームシンガーは、蟲の信奉者としては頂点に立つ者であり】
【故に、蟲の神に対する信仰は純粋かつ最大であり──それを妨げる者には、怒りを感じるのだけど】
【普段からそれを抑圧するのに慣れているためか、表には一切出さない。そういうところだけ、上手な女なのだけど──】


【もはや、何も喋ろうとはしなかった。“Conducutor”が蹴られたとしても、諌めることもせず】
【信仰するものを侮辱されれば、こうにもなる。──自身が“神”ではないのだから】
【信奉者として、指導者として、純粋な信者として────。静かな怒りは、ふつふつと煮えたぎっていたのだろう】


「──君は、人類を最も多く殺した動物は何だと思う」
「否、君には“関係ないかもしれない”。生死を与えられる程の知性があるのなら、それはどうだっていい」

「答えは、“蟲”だ。知性がない故に恐ろしく、そして無知な故に恐れがない」


【驕りに満ちたその言葉に、静かな怒りを僅かながら燃やした】
【世界の理を知りきった貴女には関係ないとしつつも──人類を一番多く殺したのは無知であるはずの“蟲”なのだと】
【無知な故に、無我な故に──恐れも恥も、何もない。其処にあるのは生存のために、人間を殺すという本能だけ】
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 00:08:08.85 ID:XcJIl9EH0
>>18
「……エリエリ。ふむ、なる程……人間は親しみを持ちやすいように相手の名を変えると聞いては居たが、“コレ”がそうか
うむ。良い。許可してやろう。妾は心が広いからな
支配者たる者、親しみを抱かれねばならん。恐怖と武力のみで治めていては何れ破綻してしまうからな」

【初めての呼ばれ方だ。それが自身に向けられたのだと理解するのにそう時間は掛からない】
【何度か反芻させるかの様に呟くも存外気に入ったか、一度頷き】
【コレはコレで良い。そんな結論に達したのだろう。支配者とは一体何なのか】
【――――ただカッコイイ。多分その程度しか無いのだ。このエルフには】


「ほぅ、亡霊とやらも不思議と痛みを感じるのじゃな
しかしヒヨコになれない未練が人の身になるとは何とも……クク……」

【最後にみょーんと頬を伸ばすと、そのまま手を離す事だろう】
【青年の嘘に気付いた上で振る舞っているのか、それとも天然なのか】
【町の時計を見上げれば、もう良い頃合いだ。青年の横を擦れ違うようにして行き、数歩先でその足が止まった】


「なぁ、オムレツ。嘘というのは一度吐いてしまうと中々に難儀なモノじゃ
――別な名で呼んで欲しくなったならば、その時に言えば良い。別な精霊だと言いたくなったならば、そう言えば良い
何であろうと貴様は貴様に変わりは無い。妾は近いうちにこの世界の支配者となる存在じゃ。遠慮は要らぬ
……卵の亡霊ならばその殻が割れん様にしっかりと、な」

【ご馳走様。最後にはそんな事を付け加えて歩み――数歩歩いたと思った頃には、その姿も消えている】
【転移か或いは姿を消す魔術か。何であれ、頬を伸ばされたであろうその感触が幻覚で無い事を告げるだろうか】


/時間も良い頃合いなのでこの辺りで……!
/中々安定しない新キャラにお付き合い頂き、本当に有り難う御座いましたっ!
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/24(木) 00:11:05.35 ID:p8+MjphOo
>>22

【──、イルは訝しむ。目の前の貴女の持つ怒りに、その心が囚われてしまいそうで】
【けれどもそれを然りと認識はしない。何かの勘違いだろうと、けりをつける】
【彼女は驕りに満ちて、それでいて、何処までも幼かったから】


だったらその矮小な存在と仲良くしてたらいいよ、限られた箱庭の中で悠々と終末を楽しむのさ
キミ達蟲が這いずる世界ごと、蛇はこの宇宙を飲み込み食らう
── なーんてね、それじゃまたの機会まで、精々駆逐されないように

……ったく、何時までも寝てるんじゃない、帰ったらもう少し躾てあげなきゃ
鈴ちゃんのお下がりはまだまだあるのに、ほんと堪え性無いよね──
鈴ちゃんに使った半分で気絶しちゃうし、有り得ないなぁ


【少女は"conductor"を抱えあげ、貴方に背中を向ける、吐いた言葉の行く末も知らず】
【一応の協力関係は結ぶ──けれどもそれは、ほんの一時的なもので】
【やがてそれは潰える前の幻に似て、僅かばかりの可能性を信じた】

【──そうして彼女は去っていく、その行先も、見えないまま】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
25 : ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/05/24(木) 00:12:06.01 ID:QQoTXhqs0
>>12
「イ”エ”ッ!!!?」

【欠伸の口を閉じる間もなく、唐突に逆さに現れた少女が一人。それを視認する前に喉の変なところから声が出て、身体が揺れる】
【自分の乗っている枝が不自然に撓んで、あわや落ちかけると慌てて枝を掴んだ】
【まだ状況が掴めていないのか周囲に目を泳がせて、それでようやくあなたの存在を認めるだろう】


「え、……」

【テンパった脳ではただでさえ貧弱過ぎる語彙は機能停止。面白いくらいに目を丸くして、マジマジと来訪者を観察する】


…年、同じくらい?
髪真っ白いな。格好派手だな。マフラー暑くない?
うん、見た目からして正反対。学校ではまず近付かないカースト上位そうなタイプ。

苦手意識は有るけど、この状況で逃げるのは先の行動も有ってバツが悪い。
ダメだ、まだ混乱してる。

【思考を中断。片手で眉間を叩きながらも、もう片手であなたに待ったのポーズ】


「待って、待って。こういう時はアレよ。5W1H。
あなた誰?いつからどこにいたの?何でこんなところに?
ここ結構大きな木の上だよ?どうやって登ったの!?

……あれ?1W余ってない?」

【一息で捲し立ててから、少し考えるように指折り数えて、どうでも良いことを呟いた】
【そして横目に改めてあなたの姿をマジマジと見ると、少し言い辛そうに】


「……万が一気付いてなかったら悪いから言っちゃうけど、そんな格好して木登りしてるとパンツ見えるよ?」
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 00:12:23.82 ID:nbU6YXMi0

>>21

【しどろもどろに話す少年】

【その様子が可笑しかったのか少女はクスリと笑って】

うん、じゃあありがたく使わせて貰うね?
【初めて会う人だし、なんて思って使っていた敬語を崩して傘を受け取って】

えーっと、返す時とかどうすれば良いかな?
【まあ取りあえず聞いておかなければいけない事は聞かなければ、なんて考えたのかそう尋ねて】

【それから相手に話しかけられれば、止みませんねぇ、なんて苦笑する】

恵みの雨、なんだろうけどねー……
【ぽつ、と呟いてため息を吐いて】


27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/24(木) 00:20:06.51 ID:VT1oYQX/0
>>26

「(可愛い……)」

【クスリと笑顔を見せる少女に】
【内心そう思う感情は、隠せずに】

「あ、ああ、うん!その……返さなくってもいいけど、その……」

【ちょっと考えて】

「ええっと、バイト先『Freaks Fes』って言う食堂、ビストロって言うのかな?そこなんだけど」
「良かったら、食べに来て、その時に返して欲しい、かな、あーで、でもめんどくさかったら、いいよ、そのまま使ってて……」

【若干早口目に、こう告げる】
【大衆食堂『Freaks Fes』安価で美味しい食事が有名だが、少女が知っていても、また知らなくとも、どちらでも不思議ではない】
【そしていつの間にか、敬語を外している少女に】
【こちらも、思わず平素の口調で】

「そう、だね……」
「でも、止まない雨は、無いからさ……」

【その部分だけ少々寂し気に、しかし優し気に】
【こう答えた】
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/24(木) 00:21:43.09 ID:QQoTXhqs0
>>23

【言っといてなんだけど、怒られるかもな、なんてちょっと思ってたりもした、けれど】
【――意外にも気に入られたようだった。多少ぽかんとした顔を晒しただろう】
【本日何回目かもわからない間抜け面。……なんか調子が狂っちゃうな、とか、思いつつも】

アー、うん……気に入ってくれた? ンなら、よかったけど。
……ヤサシー支配者サマなんだねえ。そーいうヒトが本当に支配者なら、……いいんだけどナー。

【伸ばされたほっぺたを擦って。ふ、と漏れた笑みは、苦笑に近い――それでも自然なもの】
【悪い気はしなかった。むしろその逆。あなたが支配者ならよかった、それだけは確かな本音】

――――、……、……。

【「……なんだ、わかってたんじゃん」。去り際の言葉に、数秒間の間を置いてから】
【ひとり取り残された噴水前、水の音ばかりざあざあ響くその場所で、しばらく突っ立っていた】
【殻が割れないように。殻を、割ってしまえば中身が出る。その中身とやらは、いったい】

………………、

【「――――どんなバケモンが出てくるモンだか」。自嘲気味に笑いながら、彼も街の方へ歩いていく】
【結局数口しか齧れなかった夕食。改めて何か食べようと思ったけど――嘘が真になったみたいで】
【あんまり、お腹が空いていなかった。……なら何処へ行こうかな、なんて、考えていた】


//ありがとうございました! なかなか盛り上げられずすみませんでした。。
29 :“蟲の唄い手” ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/24(木) 00:26:07.43 ID:EVDj0KVno
>>24

【驕りに染められた言葉を聞き、やはり静かな怒りを燃やし続けていた】
【いつか、痛い目に遭わせてやる──ワームシンガーに芽生えた僅かな復讐心は】
【先程結んだばかりの協定の存在をも希薄にさせてしまう程、強烈なものであった】


「──世界を呑む蛇がいたとしても、僕たちは生き残るだろうね」
「そちらこそ、次に会う時まで“内面に”呑まれないように」


【怒りに囚われてはならない──ウォープリーストの教訓を思い出す】
【感情は理性を狂わせ、眼前にある物事を正確に把握できなくさせるから】
【──しかし、時々はそうであってもいいだろう。信仰対象を穢された復讐は、いつかさせてもらう】


【────】


【住居の壁をダガーナイフで引っ掻けば、其処に時空の割れ目が生じた】
【その扱いは非常に雑なもので──怒りに任せて振るったようにも思える】
【目は恐ろしいほどに虚ろ、胸の蟲の蠢きも激しいものになっていて──】


「もういい、やるよ。人理世界を蝕むんだ、今こそ“神”の神託に従う時だ!」


【かぁん、と音を立てて杖をつく。安息地に居る蟲は全て喜び勇み】
【千を超える数の蟲が、一斉に動き出す。管が揺れるほどの轟音を上げ、人理を破滅させんと行軍する】
【最早、蟲の存在を強めるしかない。信仰を深めろ、贄を捧げろ。行軍を止められるものなら──止めてみろ】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 00:43:03.78 ID:nbU6YXMi0

>>27

【返さなくても別に、と答える相手に少女は、えー駄目だよそういうの、(借りパクの)癖ついちゃったら大変でしょ?なんて口を尖らせて】

【相手がバイト先を告げれば】

ふりーく……ふぇす?変わった名前の食堂だね?
……うん、でも其処に行けば良いんだね?じゃあそうするね
【聞き覚えのない言葉にまた首を傾げ、若干変なイントネーションで店の名前を呟く】

【フードの下からのぞく顔付きは何となく櫻風で。どうやらそこの出のようだと気付いたのならこの不思議なイントネーションの謎も解けるのだろう】

【そうして、相手が止まない雨はないという言葉を口にすれば、良い言葉だね、と返して】

雨はいつか止む……か……
【天を見上げまた呟く】

【中々掴めない探し人達の手がかり、それから自分達に立ち込める魔制法の暗雲──】

【いつか全部終わるのだろうか、と思案して】


31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/24(木) 00:51:33.65 ID:VT1oYQX/0
>>30

「(ああ、やっぱり、可愛いな……)」

【反論する少女に、こう再び思い】
【どうにも、女の子には不慣れなのかもしれない】

「うん!おやっさんの料理は凄く評判がいいんだ、あ、僕もたまに作るんだ……」
「?」

【そう自分のバイト先の事を、簡単に話すも、その場が好きなのか、そう嬉し気に言って】
【そして……】 
【方言でも無さそうだ】
【妙なイントネーションに気が付き、そしてその顔をじっくりと見て】

「君は……その、桜の国の人?」

【恐る恐る、そう聞いて】
【何か事情があるのか、単純な旅行者と言う訳でも無さそうな少女だ】

「うん、雨の後には青空が広がるから……」

【何か思う所があったのか、そうしみじみと】
【そしてどことなく寂し気に】
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 01:05:19.79 ID:nbU6YXMi0

>>31

へぇ!食べてみたいなー!
…… えっ、君も料理するの?凄いなぁ!
【"おやっさん"の料理が美味しいと聞けば少女は興味を持ったように目を丸くし】
【また、少年自身も料理をするのだと聞けば素直に驚く】
【そうして、私も今後の為にちょっとずつ練習してるんだけどねー、なんて笑って】

【相手が恐る恐るといった感じで出身を尋ねれば、うん、と頷き】

そうだよ、櫻の出身……って、まだ名前とか言ってなかったね
私は銀ヶ峰(しらがみね)つがる、君は?
【どうして恐る恐る尋ねたんだろ?とでもいうように答え、名乗る】

【そうして、相手の言葉に】

青空……早く見られたら良いね
【そういって笑って見せる】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/24(木) 01:17:22.53 ID:VT1oYQX/0
>>32

「うん!是非来てよ!賄いも僕が作ったりするんだ」
「何なら、料理おしえてあげるよ!」
「その、僕は一人暮らしだから……」

【食べてみたい、と言われれば嬉しそうにこう言って】
【だが、少し影がある口調で最後はそう言って】

「やっぱり、その、この国にはどうして居るのかなって思って……」
「僕はリュウタ、リュウタ・アリサカ……白ヶ峰つがるちゃん、綺麗な名前だね!」

【恐る恐るこう聞いた】
【話せない事情や、何か特別な事情等があるのでは、と思いつつだが】
【やがて、自分も名前を名乗った後は、心の中でつがるの名前を幾度となく復唱し】
【さて……もし、つがるが人間以上に魔翌力に敏感ならば】
【あるいは、人間以上に鼻が利いたらば】
【時折感ずる、自分に近い魔翌力、しかし同じではないまでも人間とも違う魔翌力に】
【あるいは、人では感知できない匂いに、気が付くのかもしれない】

「うん、見れるさ……いや、見れるようにしないと……」

【どんな意味があるのだろう】
【人の心に、この世界に晴れ渡る青空とは?】
【やがて、ややあって】

「つがるちゃん、マスクドライダーの都市伝説って知ってる?」

【都市伝説マスクドライダー】
【何処からともなくバイクに乗って現れて、悪い能力者や魔物を倒し人間を助けるヒーローの都市伝説】
【良くある話で、別に珍しくも、面白くも無い話】
【それなりに話される他愛もない噂話で、つがるが知っていても知らなくてもどちらも不思議ではない】
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 01:45:28.02 ID:nbU6YXMi0

>>33

えっ!?料理教えてくれるの?
わぁ!じゃあ行ってみようかなーっ!
【料理を教える、という言葉に食いつき、目を輝かせる少女】
【だがその直後相手が少し暗い口調で付け足した一言に何かを察したのか、えっと……と口ごもり】

何か……ごめんね?
【その……と言い淀み】

【相手が恐る恐るこの国にいる理由を尋ねれば彼女は少し考え込んで】

んー……内緒!女の子には秘密の一つや二つあるものでしょ?
【自分の口許に人差し指を持ってきて笑う。なんだか若干どや顔で。多分一度そんな感じの事を言ってみたかったんだろう】

【そうして、相手の名前を聞けばリュウタ君ね、改めてよろしく!と笑うのだが】
【何処か違和感を覚えたのか一瞬訝しげに瞬きをする】
【何か、微かだが変わった臭いがする、ような──そんな気がして】


【青空を見られるようにしないと、と呟くリュウタ。その言葉が不思議だったのかつがるは目をしばたかせ】
【ややあってマスクドライダーの都市伝説を聞いた事がないかと聞かれれば、あっ!と小さく口にする】

知ってる!悪い奴をやっつけるヒーロー、だよね?
……それがどうかした?

【彼女自身が行っている一種の"仕事"。特定の組織や人物に関する情報収集、なのだが】
【その情報の範囲は広く真偽不明の噂レベルのものまで取り扱われている】
【その為か、他の関連性のない噂やら都市伝説のそれまで入ってくるようで】
【その辺りちょっと詳しかったりもする、らしい】



35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/24(木) 02:04:00.47 ID:VT1oYQX/0
>>34

「つがるちゃんなら、直ぐに覚えられるよ!」

【親しくなれば、それなりに軽快に話し笑顔も見せる】
【そして……】

「あ、ええっと、うん、その……」
「大丈夫、だから、気にしないでね!」

【再び笑顔を作り、こう答えた】
【暗い顔にさせてしまった、と自分の表情や言葉を反省し】

「あ、う、うん!そ、そうだね!そう、だよね、ゴメンねそんなこと聞いて……」

【つがるのその年頃らしい少女の笑みと仕草は】
【少年の心を再びドキドキとさせるのには十分過ぎて】
【つがるがその違和感に気が付いたのは、少年には察する事は出来なかった】
【魔族の気配と臭い、これは解る者の方が少ないのだろう】
【最も少年もつがるの半分を流れる妖怪の魔翌力や気配には、気が付かないでいるのだが……】

「知ってるんだ、つがるちゃん、結構噂とか好きなんだね、僕も学校で最近聞いたんだ……根も葉もない噂話だけど」
「そんな存在が居るんだから、きっと青空が見れる日も近いのかなって」

【朗らかに、こう笑いながら、そう話す】
【この世界の人々に、曇りのない青い空は理想だけに終わるのだろうか?】

「あ、雨、止んだね……」

【見れば雨はもう止んでおり、雲の切れ間から日の光が覗いている】
【やはり、雨はいつかは止むのだ】

「じゃあ、つがるちゃん……またね」
「その……」
「ま、待ってるから!」

【レインコートは脱いで仕舞って】
【赤いオフロードタイプのヘルメットを被り】
【そしてバイクに跨り、エンジンを掛けてスロットルを捻り車道に出て行く】
【最後に、そう、緊張気味の言葉だけ残して】


//お疲れさまでした
//この辺りで〆でよろしいでしょうか?
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 02:33:37.25 ID:nbU6YXMi0

>>35

【大丈夫だから、と笑顔で言われれば彼女はまだ少し浮かない顔付きで頷き】


【少年から感じる違和感。それの正体はまだ掴めないままなのだが】

(……何だろう、反応がちょっと面白いなこの人……)
【自分の行動に何やらどぎまぎしているらしい彼の姿の方に興味がいってしまったらしくその事はすぐ頭の中から抜け落ちてしまう】
【何というかそれこそ何か見つけてしまった猫みたいに瞳孔を縦長にさせて相手に気付かれないようにじーっと見て】


ん、まーね……
【噂話とか好きなんだねと言われれば誤魔化すように笑って】
【噂かもしれないけれども、本当にいるとしたなら、なんて考えて】

【見上げれば少しだけ見える青い空】

……うん、また会おうね!
【小さく手を振って相手を見送ると】

さーて!私も青空が見られるように頑張んなきゃな!
【力強く頷いてまた歩き出すのだった】


/絡みありがとうございましたー!

37 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/05/24(木) 11:46:56.03 ID:Rf7PDIjL0
【どろり、どろり、どろり。穢れに塗れた粘着性の物質が、"彼女"の太ももをだらだらと滑り落ちていく。】
【脚と脚の付け根、"こうなるまで"は手入れだってどんなに忙しくても欠かさなかった語れぬ秘所が、ぐちょりと嫌な音を立てる。】
【動かない右脚を、無理やり動かす。激痛―――というよりは、鈍痛が響いた。骨折はまだ完治していない様だった。逃げようにも、これでは無理だった。】

【あらぬ方向に曲がっていた脚は現在、接続方向こそ"飼い主"の意向により元に戻され、簡易的なギプスすら装着していたが】
【それでも一か月やそこいらで自然治癒出来るものではなくて。幸い、後遺症こそ出ない類の"折れ方"ではあったのだが―――ともかく。】
【この脚で逃げることなど叶わず。"彼女"は痛む足を引き寄せて、太ももから零れ落ちていく白濁の粘液がふくはらぎまで伝わらない様、向きを変えた。】


―――ぅっ、……。 痛っ――――……ぁっ、はぁっ……。――――っ……! う゛、ぁぁぁっ――――……!!

【じゃらららら、と不気味な音。両手に繋がれた鉄の鎖が重々しくその音色を響かせた。金属縄の端は彼女を囲う無機質な壁面の上部に繋がれており】
【機械仕掛けが施してあるので歯車で鎖を巻き取ったりすれば、繋がれた両手は無残にも万歳の姿で頭上へと持ち上げられ、白い肢体を壁沿いに晒す事になるのだが】
【簡易的な拘束装置、或いは処刑用道具にも似た構造であった。それはつまり、"彼女"がそういった物に繋がれる存在―――"奴隷"や"囚人"に近い扱いを受けている事を意味した。】

【逃れようと必死に藻掻いたのだろう、手首を戒める手錠部分には多量の血が滲み、皮膚もまた彼方此方裂けて醜い傷を見せつけていた。】
【服装はもっと酷かった。今着せられているのはレース姿の下着のみ。黒と紫を基調としたデザイン、煽情的で情感を誘う様な"見せつける"造りの其れ。】
【全身を締め付けるような食い込んだ縁取りのブラック、白い肌を隠し切れないパープルレース、そして所々で肌をわざと露出させたデザイン―――例えるならば、そう。】

【鎖に相応しい様な、踊り子。惨めな奴隷。貧民。上流階級の玩具にされているのが一目でわかる、そういった―――"屈辱的"な格好。】
【大きく実る二つの丘は下着のタイトな造りに半ば零れ落ちかけており、またその先端は"わざと"隠せない様桃色を咲かせてしまって居て、下腹部は―――】
【"遊ぶこと"を大前提に編まれたアンダーウェアである事を物語る酷い構造になっていた。覗く肉付きの良い太ももが、無理やり中央を隠すよう固く、硬く閉じられていた。】

【そうして、身なりだって酷いもので。美しく少しクセがあったショートヘアの金髪は今や、何度"無理やり掴まれた"のか分からぬほど】
【握られ、引っ張られ過ぎたのだろう、グシャグシャと散って先端が痛々しく垂れており。頬は幾たび殴られたのか、唇からは血が止まらない。】
【割れてはいずとも鍛えられた腹筋は青い痣で埋めつくされ、蝋燭や鞭の跡が余りにもまざまざと残る。通電の焼けどは体の彼方此方を覆っており―――】

―――っ、ぁぁ……ぁ、ぁ、あ、

【脳裏に思い浮かぶ。ほんの数時間前までの屈辱。嬲られ、好き勝手弄ばれ、ぶたれ、蹴られ、物の様に扱われた記憶が】
【―――"彼"の興奮と情欲を受け止めるだけの"捨て場"と化した自分の記憶が―――その悔しさと痛さとそして快感が、全身に走る。】
【鳥肌が立つほどの感覚、思わず言葉が漏れる。声が漏れる。いやだ、やめろ、くるな、やめて、もう―――自分の声と彼奴の声が、"混ざり合って"】

っ、えっ、ぅ、えぇぇぇぇっ……! お゛ぇ゛ぇ゛っ……!! げほっ、かふっ……!!
ぁぁ、ああ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、ぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ――――――――……。

【激しいおう吐。出てくるものは液体だけ。吐き過ぎてもう、何も出てこない。】
【UNITED TRIGGERが創設者、セリーナ・ザ・"キッド"はそこに居た。レボルツィオーン社、研究所。】
【牢獄で囚われれの身、世の中の流れがどうなっているのかすら分からず―――ただ、彼女は涙を吐しゃ物の中に落とした。】

/恐らく次の返事は夜遅くになってしまいますが……一応、投下です。
38 :ヴァルター=アルメクス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 13:04:14.36 ID:2+j6xBIB0
>>37

【――――牢獄をのぞき込む廊下。その少し遠い所から――――閃光が迸り、周囲の空間を短く照らし出す】
【その異変は、牢獄の中に繋がれた『彼女』にも視認できるだろうか――――ひどいコンディションに俯いていた、彼女にも】

【やがて――――カチャリ、カチャリと、少し金属的な響きの、断続的な音声――――足音が、近づいてくる】
【ここまでくれば、もうその出来事は分かるだろう。誰かがその牢を――――セリーナの捉えられた、その牢獄を目指してやってくる】
【そして鉄格子の前までやってきた足音は止まり、逆光気味にその姿を見せていた。深く、重々しい沈黙を湛えながら】

【目元の黄色いバイザー以外の全てを、黒のパーツで構成されているヘッドギアを被り】
【胴体部に砲口、そして両腕にも多数の武器と思しきパーツを備えた、青を基調としたカラーのメカニカルな全身スーツを装備した】
【一見すると何かのロボットと見紛う様な、ヒーロー然とした男が立っていた】

【胸部装甲には、青い文字で『H.E.X.A.』と塗装されている】

【数秒ほど、何も言わずにその中の有様を――――目を背けたくなるような、或いは下種の類なら口元を緩めるような光景を、何も言わずにじっと見据えると】
【素早く左右へと視線を飛ばし、外のコンソールから開錠を操作――――その機械鎧を纏った男は、室内へと足を踏み入れてくる】

――――時間がない。そして、今はまだ、君を救いだすだけの手筈が整っていない。救出対象を抱えながら強引に突破するのは、あまりに困難な場所だ……
だから――――良いか。俺の言葉をよく聞くんだ。分かるか……まだ、折れてないか……ッ?

【いつの間にか、右手に赤い液体の満ちた小瓶を取り出すと、それをセリーナの口元へと強引に押し込もうとしながら、男は声を潜めて囁く】
【薬の中身は――――傷や体力の回復に使える、魔法薬だ――――わずかな備えを、そのままセリーナに摂取させようとしたのだろう】
【嘔吐をそのままにしていては、食道や、下手をしたら気管を爛れさせ、命に係わる。それを心配したのだろう】

……ここの中に入るまではできても、この鎖を砕いた瞬間、恐らくはバレる。そして、ここの手勢が押し寄せてくるまでに2分と掛からないだろう……
だが、『外』は少しずつ、ここに近づいている。分かるか、だから聞け。まだ正気なら……俺の言葉を、聞け……!

【――――恐らく、精神的なダメージで、セリーナが参ってしまっていないか、それを心配しているのだろう】
【男は繰り返しそれを聞きながら、油断なく周囲を誰何する――――分かりやすい力を纏ったこの男でも、ここには『忍び込む』ので精一杯だったのだろう】
【恐らくは、セリーナにとっても聞き覚えのない声――――だが、言葉が届くなら。彼女の『味方であろうとする意志を持った人間』である事は、伝わるだろう――――】
39 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 13:29:52.57 ID:2+j6xBIB0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 森林】

が――――っぶ、ゥヴァ……ッ……っぐぉ――――!!

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【がっしりとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫が】
【全身から細かく、小さいながらも無数の傷口から血を流し、そして今、口から血交じりの胃液を嘔吐し、蹲っている】
【ビタビタっと地面の草を汚すその吐瀉物は――――そばに、そっくりなものが2つ転がっていた】

っ、がふっ……! …………神経戦なんだよ、今俺がやろうとしてるのは…………!
「止せ、それ以上余計な事をしても――――、ッう!」
――――神経戦だっ、っつっただろうが……ッ!! 効率だとかっ、そんな利口な口を聞いたらっ、その瞬間に負けなんだよッ!!

【そばに、黒い色の、同じような服装をした青年が止めに入るが――――その顔面を偉丈夫は横っ面から殴りつける】
【フラフラと、幽鬼の様に立ち上がりながら、震える手で偉丈夫は再び根を構える。今日、何度となく繰り返してきた動きを、もう一度――――】

――――――――ソニア、ソニア……必ず……必ずだ、っ…………必ず、お前を取り戻して……やるからよ…………っ、少し、待ってろ――――ッ



【――――所変わって、水の国 路地裏】

全く、人を休憩させてもくれないんですかこの辺は? 私はただ、今日はゆっくり変わった散歩道を行きたかったってだけなのにねぇ
それともあなた方、私に会いたかったとでも言うんですかね? だとしたら歓迎しますよえぇ、私の方はね……!

【切れ長で涼しさを感じさせる瞳が、艶のある短い黒髪の中で映える顔立ちの】
【医療従事者用と思しき白衣を着こみ、ポケットからはステンレス製の細長い箱が覗いている】
【頭に、白いつば広の帽子を被っている、身長160p前後の女性が】
【足元に、3人組の暴漢を組み伏せて、呆れ果てた様子でため息をこぼしている】
【多少その白衣に汚れが見受けられるものの、腹部に強烈な一撃を食らったように蹲っている男たち――――恐らく、この女性に手を出そうとして返り討ちにあったのだろう】

丁度ねぇ、少しばかり試してみたい事があったんですよ。でも、実験材料が足りなかったんですねぇ……分かりますか、「渡りに船」って奴ですよ
お誂え向きに木人形(デク)が見つかったという事で……!

【男のうちの1人を、襟首掴んで引き上げると、女性はその手に細い金属の鍼を構える】
――――慰謝料は、あなたの身体で結構。命にまではしたくないけど、保証はできないから……頑張りなさいな……!

【そっと男の喉元に鍼を宛がう女性。もはや主客は逆転した。残る2人も、傷と恐ろしさのあまりに、震えている事しかできなかった――――】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 15:53:49.35 ID:K2NBvw0b0
>>39

【水の国ーー路地裏】

【風に乗って、かすかに何かが聞こえたような気がした】
【初めは気にせず家に帰るいつもの道をぼんやりと歩いていた。黒く長いスカートを引きずって、風に白いヴェールを泳がせて】
【何気ない帰り道。ぼーっと歩いていたかもしれないし、もしかしたらいい天気だなあなんて思っていたかもしれない】
【でも、耳に届いた音が呻き声だと気づけば、一気に意識はそちらへーー路地裏へと続く細い道へと誘われて】
【恐る恐る入って行った。狭い道をするりとぬけ、薄暗い路地に顔だけを出すように覗かせて】
【ーー人が苦しんでいれば助けないといけないと思っていた。急な病魔に襲われて倒れたのかもしれないし、上から物が降ってきて怪我をしているのかもしれないって、考えてた】
【でも飛び込んできた光景は違っていてーー】
【三人の男を組み伏せる女性が見えて。思わず「えっーー」って声が出て】
【女性が何かを喋っている、ような気がする。後ろ向きだからよく聞こえないけど】
【そのたびに男たちは震えてーーしまいには引き上げられて】
【詳しい状況はわからなかった。でも、光景を見ていた少女は長いスカートを翻して走り出す】
【波打つ裾がひらひらとその場にいる誰かの視界に入るだろうかーーそして少女は】
【男を引き上げる女性の腕を、両手で包み込むように触れてーー】

あの、もう、やめてあげてください……

【震える声だった。精一杯の勇気を振り絞ったかのように、か細い声だった】
【詳しいことはわからないけど、少女の目には女性がやりすぎているように映ったようで】
【若葉の瞳に涙を溜めて、お願いするように女性を見つめるのだった】
41 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 16:09:57.04 ID:2+j6xBIB0
>>40

さあ分かります? あなたの身体に鍼が入っていくのを……うまくすりゃあ、あなたの経穴を突いて、心肺機能が跳ね上がりますが、下手したら呼吸できなくなって窒息死ですよ……!
立てた仮説を実証する機会、中々無かったもんでしてねぇ、襲い掛かってきた分はこれでチャラにしてあげますよ、えぇ……!

【ゆっくりと、喉元に鍼が入っていく。ユルッと、ごく小さい血の雫が鍼を逆に伝って滴っていく】
【周りを威圧して動きを止めさせ、自分自身は鍼の動きに集中してゆっくりと――――そんな風に、慎重に楽しく『実験』を行っていた時だった】

ッッ!?
ちょ、ちょっと何なんですあなたは!

【男の襟首を掴み上げている腕に、誰かの手が重なる。その時になって女性は、すぐそばに第三者がいたことに気づいて、ギョッと振り返った】
【危うく鍼を抜く。下手にくじってしまっては『実験』どころでなく失敗、下手したら大事な鍼が折れてしまうかもしれない】
【そうした対処とは別に、女性は止めに入ってきた少女に向き合う】

――――悪いですけどねぇ、先に手を出してきたのはこっちの3人の方なんですよ、分かります?
数を頼みに、私に何をしようって思ってたんですかねぇ……財布だけならまだ可愛げがありますけどねぇ……
これは、負けたら負けたでちゃんと通さなきゃならない『筋』って奴なんですよ。さあ、分かったらこいつらが気を持ち直さない内に、離れた方がいいですよ?
私は無理でもあなたならとか、企まないとも限りませんし、そうなると不味いですし?

【襟首を掴み上げながら――――それだけでも、結構な力だ――――女性は、止めに入ってきた少女に相対する】
【自分は襲われた方なのだから、返り討ちにして、そして今、落とし前をつけているところだ。邪魔をするな――――そういう主張を、やや喧しく告げて】
【言い切るだけ言い切ると、足元の2人の男が気を取り直さないように、爪先で1発ずつ蹴りを入れて、もう1度男に向き直った】
【無慈悲な金属の鍼が、もう1度構えられる――――】
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 16:37:08.29 ID:K2NBvw0b0
>>41

【瞳が、自分に向けられた。こちらが何かされたわけでもないのに、視線がジリジリ熱い】
【ついで女性が声を上げれば思わずたじろぐ。ぱっ、と両手を離し、怯えが消えない瞳でもう一度女性を見た、ずり、と靴底が地面に擦れる音がする】
【ちらりと視界の端に光るもの。それが鍼だとは気づかなかったけど、少女はまだ震える声でーー】

あなたが無事だったのはよかったの……
三人の男の人に襲われて、返り討ちにしてしまったのは本当に、本当にすごいと思うのだわ

【状況が少しずつ読み込めてくる。どうやら悪いのはこの三人。女性は自己防衛したに過ぎない】
【ーーでも】
【視線を下ろせば男と目が合う。彼が自分に視線で何かを訴えてきているような気はするんだけど、何を言いたいのかは彼女にはわからない】
【もう一度、女性に視線を戻す。そして、また何かしようとする手にそっと、細い指を添えたーー】

もう、こんなに苦しそうなのだもの、逃げ帰るだけで精一杯だと思うの!だからきっとこれ以上、あなたの事も私のことも酷い目に遭わせようだなんて思わないはずなのだわ!
筋、てのはよくわからないけど……こんな痛い目見たのだから、この人たちはもう悪いことはやらないと思うの!

【「ね!」って、男たちを見てーー】
【お人好しという危機感がないというか、そういう少女なのだろう】
【路地裏には似合わないような、白いヴェールとゴシック調の黒いロングスカートを身にまとった少女は、もう一度女性をみて「お願い、許してあげて」って、言うのだろう】
43 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 16:48:10.61 ID:2+j6xBIB0
>>42

……そりゃあ、ね? そうじゃなかったら、こんなところ歩きませんよ。危ない危ない……

【肩をすくめながら、女性はため息をこぼす。もとよりそうした事態に合う事は承知の上で、対処までを考慮に入れてやってきたのだ】
【それならば、相応に自信があるという事になるのだろう――――即ち、荒事に慣れているという事で】

――――甘いですよ。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」って言うじゃないですか。こいつらどうせ、ここを凌げば「次はこうはいかないように」って、無駄な知恵を回し始めますよ
徹底して、分からせてやらなきゃいけないって事です、良いですか? ここで、折れるくらいに痛い目を見せてやらなきゃ、ダメって事です

【女性の目が、一段階冷たいものになる。少女の発言を、本気とは受け取らずに、ただのお人よしだと見たのだろう】
【ただ、目の前で誰かが苦しむのを見たくないだけ。恐らく本心では、別に彼らの善性を信じている訳ではないだろう、と】
【――――ただ、それでせっかくのチャンスを棒に振るのは、あまりに勿体ない】

――――「羹に懲りて膾を吹く」ぐらいで丁度良い……それに、私もこんなチャンス、逃すつもりはないんですよ
分かります? ――――「私は」「こんなチャンスを」「逃すつもりはない」んですよ……?

【やや難解な物言いだが「スープの暑さで火傷したため、冷たい汁物すら冷まそうとする」の意味で、必要以上に懲りる事を言う】
【それ位で無ければダメだろうと、女性は冷徹に言い放つ。そして――――この事態は、自分にとって望ましいものなのだ、と】
【つまり――――この女性とて、ただの無辜の巻き込まれの類ではない。方向性こそ異なれど、足元のケチな暴漢たちと同じ、決して『善人』の類ではないのだと】
【そして、そんな女性が、仄めかす形ながらに、はっきりと少女に向き合う――――邪魔をするなら容赦はしない、と――――】
44 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/05/24(木) 17:12:31.05 ID:Rf7PDIjL0
>>38

【吐き気だけが胃袋を刺激する。しかし詰められた物がもうない。食料こそ補給させて貰っている物の】
【"行為"が余りに激しすぎる上に、精神的苦痛と嫌悪感を催す"やり口"の為に大抵は吐き出してしまう事が多かった。】
【もう既に吐いてしまった昼食が、部屋の隅、だいぶ離れたところに広がっている。今口から出てくるのは、酸っぱい胃液だけだ。】

【鼻腔を突く嫌な臭いが更に嘔吐を強める。吐き出したい。体の内側を全て。綺麗にしたい。穢された個所を全て。】
【ここも、そこも、あそこも、どこもかしこも"アイツ"と、あの忌々しい"触手"に触れられた所は全て全て―――清めてしまいたい。】
【しかしシャワーを浴びたところでどうなる物でもない。一度穢されればそれまで、それが肉体を重ねるという事であり―――敗北するという事なのだ。】

【憎い。憎い。殺してやる。地獄に落としてやる。自分の蔦で首を絞め上げさせてやる。必ず後悔させてやる。】
【頭の中で何かが壊れぬよう、憎悪だけを加速させる。そうすれば、"堕ちる寸前"で留まれる。憎まなければ、恨まなければ、もう―――】

……っ? な……――――、なに……?

【震える腕に力を入れて態勢を立て直す。一瞬の輝き、がしゃりとした足音。眼前の牢に現れるのは一人の―――いや。】
【"一体"と、そう表現するのが正しいだろうか。そういう何か、機械と電気で構成されている事を感じさせる存在、ロボットがそこに居た。】
【或いは―――パワード・スーツか。鉄の鎧、そう言う事であれば自分にも理解しやすい。"同じ類"の武装で、正に機械仕掛けの鎧を纏って、自分も戦うからだ。】

……っ、やっ……やめろ、やだ―――くるな……っ! ぅ……―――っ!

【であれば。何事もなく開錠し、中に入ってくるその男を、セリーナは味方とは思えないだろう。どういう立ち位置であれ】
【本来ならば、もう少し冷静に対応できる。ブランルの手下なら鎧を纏う必要がないし、開錠も外からならだれでも出来る可能性がある。】
【そもそもが武装の類は見えない、"おもちゃ"の類も―――となれば、助けに来た味方である可能性が高い事を見破れる、筈だが―――状況が、違った。】

っ!? なっ、なに、っこれぇっ……うぐっ!? や、ひゃめ……えぐっ、ごほっ! けほっけほっ、やめ、はなせ……っ。

【男に対しては明らかな怯えを見せるだろう。それほどまでに判断力が弱っている状態、抵抗しようにも相手は機械。】
【両腕で突っぱねようとするが叶わず、そもそも力が上手く入らない。悪戯に相手を面白がらせてしまう様な状況とは、まさにこのこと。】
【無理やりにでもゴクゴクと喉を鳴らされれば、真っ赤な液体を体内へ。途中吐き出しそうになるが、大部分は呑み込めただろう。彼女は身体を強張らせ。】

―――はぁっ、はぁっ、……えほっ、こほっ……!
な、なにを……飲ませ……っ! また……"また"くすり! こんな、ものに―――っ!

頼らない、と……、何も、出来ない……ひきょうもの、おえぇっ……! う、ぐ……。

【朦朧とする意識が何かを訴えかけてくる。"救い出す"、"困難"、"救出対象"、"突破"―――】
【耳がようやっと情報を、状況を理解し始めた。何か言っている―――それも、どうやら味方としての言葉を、だ。】
【だがすぐには信じられないだろう。そうやって弄ぶつもりかもしれない、味方のフリをした誰かを派遣して、希望を持たせてから、折る―――】

【いかにもあの狂気の科学者が好みそうな戦法だ。持ち上げてから落とす。希望は絶望の前フリ―――そう言う事だと、認識し。】


―――っ! くっ……きたない、やりかた……! そうやって、あたしを―――っ、はぁっ……!
もてあそぶのが、そんなに、そんなにたのしいか! このげど……けほっ、けほっ……! げどう、めぇ……!


【脇に置いてあったプラスチック製の皿を、"HEXA"めがけ放り投げた。どうやら、心は折れてないらしいが―――信頼を勝ち取るには、まだ早い様だった。】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 17:30:12.03 ID:K2NBvw0b0
>>43

……女の人にやられちゃってる時点で、絶対に折れてると思うのだわ!!

【庇っているように見えてあまり庇えていない発言だが、珍しく怖い顔をして、開いた瞳孔をみれば彼女が本気で言っているのが伝わるだろうか】
【少女はくるりと彼らの前に立つ。女性と、掴まれた男のと、少女と、崩れた二人の男ーー掴まれた男の後ろから覗かれる若葉の瞳が、女性に何か訴えるように潤んでいる】

見てしまったんだもの、あなたがその人たちに何かしようとしているところを
……何をするのかはわからないけど、たぶん、よくないことでしょう?
あなたにはチャンスでも、この人たちにとってはピンチなのだわ
それを止めないことなんて私にはできないの……
だから、お願い、その人のこと下ろしてあげて欲しいの

【倒れている二人の前に立ち、自分より少し背の高い目の前の女性を掴まれた男性越しにちらりと見上げて】
【この状況、どう頑張ったって恐怖は拭えない。指先は震えて呼吸だって無意識に早くなる】
【でも、この人たちがここで助かれば今後の彼らになんらかの道が開かれるならーーやり直すチャンスが得られるのならーー】

お願いします……

【小さく震える声だった】
【身体だって震えているのだけど、そこから退こうとする気配はまるでなくてーー】
46 :ヴァルター=アルメクス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 17:41:18.32 ID:2+j6xBIB0
>>44

(……ふざけてやがる。旦那が「怪しい」って言った、その嗅覚は間違ってなかったらしい。それが――――ここまで極めるってのは、どうなってんのよ一体……!)

【セリーナ本人の惨状とは別に、部屋の中『そのもの』にも意識が向く。まともに食糧も取れない様な――――否、「取る事が無駄になるような」行為が、繰り返されたのだろう】
【今はまだ、潜入――――つまり、敵地の真ん中なのだ。感情を下手に昂らせる訳にはいかない。だが――――抑えきれない怒りが、ヘッドギアの奥で、歯をカチカチと鳴らしていた】

……済まんな。時間がないんだ。それに、その身体……もう、強引にでもコンディションを整えるしかない。例え食欲がなくても、だ
外側の傷には、そう派手に作用させられない。だから、あくまで内側だ、内側のコンディションを整える程度にしか使えない
しかし――――それが今後、乗り越えられるかの差だ。今は持ちこたえてくれ。無責任な言葉に聞こえるかもしれないが……すまないな

【無理やりに突っ込んだ魔法薬を、セリーナは拒絶しながらも嚥下する。まずは一息、男はため息をついた】
【言葉通り――――手首の傷や、左足の骨折には、そこまで劇的な効果は生まれないだろうが、恐らくは――――ひどい風邪に掛かったように、脱力感とキリキリと差し込む痛み、そして発熱などは、和らいでいくだろう】
【――――あくまで「気のせい」で済ませられる程度にしか、癒してやる事は出来なかったのだ】

(――――錯乱、してる訳じゃないな。これはまだ「理性的な」敵対行動だ。猶予は、あまり無いかもしれないが……だが、ハッキリ言える。「まだ間に合う」んだ……!)

【カツン、と――――投げつけられた皿が、男のアーマーの胸部にぶつかり、弾かれる。あからさまな拒絶の態度だが――――却って、男は安堵した】
【――――理屈に沿った行動だ。まだ精神的に折れ切っていない。消耗こそしているのだろうが、まだ精神的に破綻していない】
【場の状況が状況ゆえに、それが一番の心配だったのだ――――男は、セリーナのそのリアクションが嬉しかった】

(――――とは言え、このままじゃ……時間がないというのに、伝えきれない。さて、どうするか……仕方ない、多少、遠回りになるが……!)

【それでも、事態は決して望ましいものではないのだ。この短時間の間に、セリーナに「救援の当てがある事を理解させ」「現状、心を折られないように出来るだけの支援を残していく」為には】
【まず、今のセリーナに、自分を信用させる必要がある。時間はいつまでも待ってはいない。だが、焦ってここで潜入がバレたりすれば、全ては水泡だ】
【――――難しい状況下で、男は。貴重な時間を惜しみなく使い、とにかくコミュニケーションを成立させようと思い立った】

――――見捨てられた存在じゃ、無いんだ。まずそれだけは、何があっても理解してほしい……
……俺をここに寄こしたのは、とあるギャングだ。そのギャングは……ラベンダァイスの頼みを受けて、俺を寄こしてきた。分かるか、君の仲間の、ケツァル・コアトル=ラベンダァイスだ……!
確実に、君の事を救うために、探し出そうと、動いている……俺は、その為にやってきた。だから、信じるんだ……!

【アーマーで全身を固めた男は、セリーナのそばにしゃがみ込み、薬を飲ませる以上のアクションを起こそうとしない。その段階は、まだ早いのだ】
【だからその代わりに――――男は1人の名前を出す。UTの実働要因にして、生物兵器――――ラベンダァイスの名前を】
【UTのメンバーとしては、あまり世間に知れ渡るような存在ではない。つまり、その名を「目的のために騙る」利用価値には乏しく、騙しの材料として適切ではない】
【そして――――そんな、フロントに出にくい彼女が『ケツァル・コアトル』である事も、男はハッキリと理解している】
【つまりは――――直接、ラベンダァイスとアクセスのあった人間である事の証明で。それはつまり、この施設の敵であり、セリーナの味方である事の証明なのだ】

【――――ラベンダァイスが捕まり、セリーナと同じような目にあって、情報を引き出された可能性――――それを、セリーナは考えるかもしれないが】
【そうなったら、ラベンダァイスは、容赦なく死ぬ事を選択する様なタイプである事を、セリーナが知らない訳ではないだろう】

繰り返すが――――時間に余裕はない。だから……俺の事を信用しろ

【そばに座り込み、それ以上何もせず、ただセリーナのリアクションだけを待ち続ける――――偏に、セリーナが結論を出す事だけを、待っているのだ】
47 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 17:54:37.57 ID:2+j6xBIB0
>>45

――――どうでしょうかねぇ、この手合いは、自分の無様を他人にぶつける事で、良しとするタイプなんですよ。あなたご存知かしら?
いじめっ子ってね、親の厳しさのストレスを、弱い子にぶつける事で発散する様なのが多いんですよ。いじめっ子は、いじめられると弱いなんて言うじゃありませんか……!
折れはしませんよ。より下に、下に……自分の踏みつけられる領域を、探し続けるだけですね……!

【――――空気が変わった。どうやら少女は本心からの叫びを叩きつけてきたらしい。女性は一瞬身を退きかけるも――――思い直してか、真っ直ぐに受けて立つ】
【世間の事を、どれだけ知っているか分からないが、こうも真っ向から否定できるという事は「知らない」のだな、と――――それ故に、受けて立つ】

――――それは、この男たちの肩を持つっていう風にとって構わないんでしょうかね? つまり、私がこの男たちに殴り倒されて、組み伏せられれば良かったと思ってると……!
そんな事を言い出すようなら、えぇ、容赦はしませんよ。私だって、いつまでも待ってやる道理はありませんからね……!
私の取り分を横から掻っ攫おうとするのも、私の敵の肩を持とうっていうのも、私は……許しません、さぁどうなんですかね!?

【女性の表情が、今度はついに――――怒りに歪む。尤も、それは大部分で恫喝の意思を持った、道具としての怒りなのだが】
【相手の少女を威圧するために、わざと大げさに打って出る。その言葉が一部で論理として破綻している事も、勢いで押しきり、無視する】
【ただ、「邪魔をするなら容赦はしない」。それを、直接的に言わずに、含みを持たせる形で伝えるためだけに――――女性は、そうして睨みつけるのだ】

――――さあ、それじゃあ言ってあげますよ。最後の警告って奴です……こんな事、そんなに言う事になるなんて思いませんでしたけどねぇ
「私の邪魔をするな」……分からないようなら、代わりにあなたを、この男たちの代わりに、実験台に使ってあげますよ……!?

【掴み上げていた男を、ポイと投げ捨てて――――女性は真っ直ぐに少女と向き合う】
【その手から――――ピリピリと電撃が迸り、ポケットに突っ込まれていた箱を、磁力でひとりでに開かせた】
【中に入っているのは、とりどりの鍼――――その名から、1本を電磁力で引き出し――――治療用ではない。『戦闘用の鍼』だ――――少女の顔をかすめる形で発射する】
【バキッと、アスファルトの壁面を一部砕いて、金属製の鍼が壁面に突き立つ――――下手をしたら、銃弾ほどの破壊力があるのかもしれないという、デモンストレーションだ】
【それを以って、女性は少女に最後の警告をする。余計な事で首を突っ込むなら、もう容赦はしない、と――――】
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 18:45:06.42 ID:K2NBvw0b0
>>47

【彼女の怒りの声を、俯きながら静かに聞いていた】
【自分が悪いことをしてめっためたに叱られる子犬のように小さくなって】
【転移の魔法とか、目くらましの魔法とか、そんなのが使えればよかったのかな、なんて頭によぎって。そんなのが許され使えるならそれでこの場から逃げちゃいたいくらい。怖かった】
【でもとある言葉に顔をあげる。ーーそれは違うって声を上げる】

あなたがやられればいいだなんて、思ってないの!
結果的に、強いあなたが勝ったのだもの……そこで終わっていたのなら良かったのだけども……
これ以上痛い思いを彼らがすることも、あなたが彼らに痛い思いをさせることもないって思ったから止めただけなのにっ

【掴まれていた男が離された。咄嗟に、逃げてーーって声をあげた】
【男たちは逃げて行くのだろうか。そんなこと確認する間も無く、?に何か掠めて痛みが走る】
【直接?に当たったわけではなかった、と思う。でもその柔らかな?を傷つけるには十分で】
【ぬめり、と?に嫌な感触。生暖かくてそれが自分から流れている事に気づくのに時間は掛からなかった】
【確認した左手が赤く染まる。左手につけた黒い宝石のアクセサリーが血に染まってーー】
【少女は驚いたように目を見開き、その場にへたり、と座り込んでしまう】
【まるで血を見たことが、怪我をしたことが初めてみたいに乾いた瞳で左手の血を凝視してーー】
【?の傷を覆うように手を添えて、女性を見上げた】

そこまで、あなたのことを怒らせるつもりじゃなかったの……
ごめんなさい、私…………

【何かを言おうとして口を閉じた】
【月に照らされた、夜の海色をした髪の毛が、血と汗のせいで顔に張り付く】
【口の端から震える息が漏れ、女性の殺気に打ち付けられたように、視線を女性から逸らすことができない】
【左手のアクセサリーを右手で握りしめーー動けなくなってしまったのかそのままの体勢でこの場の重い空気と、恐怖で固まってしまい】
49 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 19:06:19.45 ID:2+j6xBIB0
>>48

……じゃあどういうつもりだったって言うんですかねぇ。私に「あぁ危なかった」と、ため息でもついてそれで許せと?
それは事故の対応でしかないですねぇ。人の悪意に対してそれは、あまりに無責任すぎますよ、えぇ。相手にも、自分にも、どこかの、次にこいつらが目をつける他人にもねぇ!
こいつらの、自由な意思で。どこにもよらない、こいつら自身の意思で、私は襲われたんですよ?
――――最後まで食ってやる事の、何が悪いって言うんです?

【よろよろと、逃げていく男たち――――もう呆れ果てた様子で、女性はそれを無視する。わざわざ追いかける事もしないだろう】
【興が殺がれてしまったのだ。そしてそれよりも――――無視できない事態が、眼前に展開されている】
【少女の言葉に、女性はいつの間にかヒートアップする。道具として振りかざしていたはずの怒りに、自分自身が飲まれ始めている】
【その無垢さは、女性にとってはそれだけ奇異で、奇特なものだったかもしれない。その暗い本性を露にし始めた】

――――ここがどんな場所だか、分かって無いようですねぇ……
ここら辺は、こういうゴロツキ達が、下手をしたら日に1人ずつ、死んでいく、屍が転がる……そういう場所なんですよ?
今日は、本当にただの近道兼散歩で来ただけで、ここまでするつもりはなかったんですがねぇ、えぇ……そんな気分じゃありませんでしたし?
でも、こうも色々あって、なんかむしゃくしゃしちゃいましたよ私は?

【ほんのかすり傷――――少し警告というには派手だったが。それを受けて――――少女はそれだけで精神的なショックを受けてしまったようだ】
【へたり込んでしまった少女を見下ろしながら、女性は噛んで含めるように言葉を向ける。頭上からの言葉は、本来以上の威圧感を伴うだろう】
【苛立たし気に、鍼を1本、その手で引き抜くと。座り込む少女の背後へと、さっと素早いステップで回り込む】
【――――まるで、格闘技の心得があるような、小回りの利いた足の速さだ】

『実験』とは少し違いますが、少々思い知らせてやりましょうかねぇ……!
動くんじゃないですよ、こっちは打ち慣れた鍼ですが、それでも動かれると、致命傷になる経穴ですからねぇ……!

【背後に回り込んだ女性は、狙いを定めると少女の首の後ろ――――うなじより4pほど左にずれた個所に、鍼を宛がおうとする。後は、力を籠めれば刺していける、そんなポイント狙って】
【もしも、少女が、この女性の得体の知れない鍼技を受けたくなければ、鍼を宛がわれるまでに、抵抗しなければならないだろう】
【――――女性の方も、少女はおびえ切ったと判断している。抵抗するなら、ここが最後にして最大のチャンスだ――――】

/ただいま戻りましたー!
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 19:37:58.41 ID:K2NBvw0b0
>>49

ここがどういうところか……それは分かっているつもりだったわ
近づいちゃダメだよって言われてたし、私もそうしてたの
でも苦しそうな声が聞こえたから、私無視できなかったのだわ

【やっと視線が外せた。目をぎゅっと瞑って、頭から被ったヴェールをぎゅっと掴んで、チリチリ痛む?に当てて】
【自分がやったことは間違いだったのだろうか、男たちを助けない方が逆に世のためだったのだろうか】
【女性の言葉で考えたくない思想がゆらゆらと揺らめき、支配する】
【結果的には男たちは逃げていって助かったけど、自分の行動で今度は目の前の女性がこんなに怒るくらいに傷ついてしまった、そう感じてしまう】
【彼らと女性の立場が逆だったら、もちろんこの女性を庇っただろうし、だなんて話はただの空想だし意味なんてない】
【このまま立ち上がって逃げたところで、女性の武器のスピードには叶わないだろう】
【ああ、じゃあもうーーって】

……

【後ろに回り込まれる気配。狙われる首元】
【少女は動こうとしなかった。動きはしなかったもののーー】

じゃぁ、さいごにひとつだけ

【少し声のトーンが下がった】
【震えももう止まっている。振り返るそぶりも、抵抗するそぶりも見せない】

私はあなたにだって危険な目にあって欲しくないのだわ
だからもう、危ないところってわかっているこんな場所に、散歩で入らないように気をつけてほしいのだわーー

/おかえりなさいませー!
51 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 20:04:28.06 ID:2+j6xBIB0
>>50

――――はぁ……やれやれ。分かりましたよ、分かりましたが……甘いですねぇ。甘すぎですよ、チョコと蜂蜜とあなたと、どれが一番甘いんでしょう、比べてみたくなりますよ……!
分かっているなら……ここはそういう、殺されても文句の言えない場所だって事、もう1度頭に叩き込みなさいな。踏み込むって事は、この場のコード(合意・暗黙知)に同意したって意味になるんだってね
じゃなきゃあなた、下手したら……あの世で泣く事になるんですよ? 私は御免ですねぇ、そんな風にしてこの世界におさらばするのはねぇ……!

【もうモノも言えないといった風情で、女性は深く詠嘆のため息を吐く。まさかここまで純粋に「利他心」で動くような、希少な人間と、自分が遭遇する事になるなんて、思っていなかったのだ】
【もはや、少女には一片の他意も無いのだと、理解せざるを得なかったのだが――――それでも、それとこれとは話は別である】
【そんな親切心で、ノコノコとこんな場所に踏み込むことを繰り返せば、命がいくつあっても足りないだろう。自分の様な、腕に覚えのある人間とも思えない――――】
【なんだか、怒りも呆れも通り越して、哀れみに似た感情が浮かび上がってくる。こんな無茶な首の突っ込み方をしたのか、と――――】

――――残念ながら、それは無理な相談ですね。もう、少しばかりこういう危険に踏み込まなきゃ、ならない情勢になってきてますからねぇ残念な事に……
そして、それはむしろ私の言うべき言葉だと思いますよ? こういう場に踏み込むなら、せめて自分の身ぐらい守れるようになってからにしなさいってねぇ……!

【まるで遺言の様な少女の言葉に、女性は鼻を鳴らす――――今はもう、『表』の顔だけでは、自分の望むものは手に入らないのだ】
【それを理解しているからこそ、女性は木人形(デク)を求める。今度は少女が、それに巻き込まれるのだ】
【自己を顧みるべきなのは、少女の方だ――――冷徹な女性は、鍼をポイントに宛がいながら、そうして宣告する】

――――さあ、動くんじゃないですよ。鍼が入っていくまでに動かれると、あなたは死にかねませんからね――――!

【そして――――打ち込みの準備は完了した。女性はゆっくりと力を込めて、少女の首筋に鍼を刺していく】
【――――見た目程に、予想ほどには痛くないだろう。通常の鍼なら太さは1o以下、それがこの鍼は3oはある。痛覚神経を避けるなど、無理なはずのレベルなのだが】
【女性はどうやら、それ相応に『裏』での腕の立つ鍼使いらしい。さしたる痛みも無く、少女に鍼を刺し進めていく――――ただし、首筋の異物感はどうしようもないだろう】

さあ――――反省なさい。頭がごちゃごちゃになるまで……こんなところに来るんじゃなかったってね……!
“Lighting Strikes Again”――――電磁の女王が命じます。心を千々に乱しなさい――――!

【そうして、鍼が特定のポイントまで到達したのだろう。女性はその手から再び放電――――鍼を通じて少女の身体に、チリチリと電磁波を流し込んでいく】
【――――鍼の、鍼らしい効能を最大限に発揮して、女性は少女に対して折檻を行ったのだ】
【その効果は――――脳内麻薬の、強制増幅。――――徐々に、体が暖かくなり、体そのものが透き通っていく様な、透明な解放感に包まれ――――やがて、訳の分からない嬉しさが胸にこみあげてくるだろう】
【同時にそれは、この状況に対して抱いているはずの恐怖心と混合され――――まるで、心地よくも奇妙な夢を見ているような混乱が、少女を襲うはずだ】
【悦楽と恐怖の混合物で、頭の中が満たされる――――それが、女性の、少女に対する「邪魔をした罰」であり「今後は無いという警告」となる】
【或いは――――味を占めた少女が、自分に対して好感を抱く様に「心が歪みだす細工」ともなりえる――――】
【ともあれ、こちらの鍼技は女性にとってはそれなりに慣れたもので――――無理やりに体を暴れさせたりしない限り、滞りなく終わるのだろう――――】



――――さあ、分かりましたか? ここがどんな場所で、私がどんな人間で、そしてあなたが、どれだけ危険な行為を行ったのか……!

【効果が表れだしてから10分ほど――――ようやく女性は、少女を解放するはずだ。首筋からゆっくりと鍼を抜き取り、改めて少女に厳しい諫言を向ける】
【命を取ろうとしないだけ、温情なのだろう――――危険人物である女性ではあるが、この時はまだ手加減をしたようだった】
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 20:51:08.10 ID:K2NBvw0b0
undefined
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 20:53:04.88 ID:K2NBvw0b0
>>51
…………蜂蜜が一番甘いと思うのだわ…………
ん、ん? んん??

【そういう意味の問いかけではないだろうに、しかし律儀に答えた少女。しかし流石にこれは疑問に思ったのだろう、声色にハテナが浮かんでいる】
【あれ、怒ってないーー? 私、生きてるーー?】
【眉間にシワを寄せると、ぴりっと?が痛んだ。血は乾いてべったりと顔に張り付いてしまっている】
【ただでさえ混乱している頭に、女性の言葉が降ってくる】
【まだ、振り返る勇気はない。女性の忠告ーーそれは最もだ。自分には『自分を守る術』は、ない】
【女性の声色に、呆れというか哀れみというか、そういうのが混ざっていることに気づけば恥ずかしそうにさらに俯いてーー】


あの、鍼って……?
え、死ぬって、なに、なにかしら、動かなければいいのかしらーーーーーー

あっ……何、なんか変っ……あ、やだ、やだなにこれ、んぅ…?!

【女性のいう通りに大人しく、抵抗もせず。死にかねないと言われれば驚いて固まってーー痛いのは大っ嫌いだけど、痛みというよりか……最初は違和感】
【それから直ぐに、言いようのない感覚が頭に身体にぐるぐると巡っていった】
【ぐわんぐわんと視界が歪むーー初めての感覚に次第に混乱し始めて】

やだ!!なに、こわい!!ううん、怖くない怖くない!ふふ、やだ、やだっ、ふふふふ
あっつーい!!の、きらいなの、うふふっ

//分割します↓
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 20:54:59.86 ID:K2NBvw0b0
>>51

【今、自分自身がどうなっているのか彼女は理解することが出来ないーー笑いながら泣いているのだけれど】
【薔薇の飾りのついた白いヴェールが頭から外れて夜海色の、綺麗に切りそろえられた長い髪がーー今はぐちゃぐちゃに乱れてしまっているがーー露わになって】
【黒いロングスカートがめくり上がっていつもは見えない白くて細い足が伸びていて。バタバタくすぐったそうにあばれている】
【そう、なっていることすら少女は気づいていないのだけれどーー】

【夢の中に引っ張られるーー知っている人が何人もいて、こっちを向いて話し合っている】
【お父様ーー】
【お母様ーー】
【村の民ーー】
【彼らは“私達”を指して月と太陽の話をしてたーーあぁ、知ってる知ってる。解ってるから!!】
【お願いだから触らないでーーどうせ長く生きられないならーー使われて死んでしまうのならーー】

【少女は叫ぶ。やめてやめてと言いながら。夢の内容が勝手に口にでる。喋っていることは気づいていないし、ケラケラ笑っている】
【やがて滲んだ若葉色の瞳を薄っすら開けて、くるりと半回転して。目の前にあったものーー女性の靴を掴んでーー】

【髪も服も頭もぐちゃぐちゃになってーー】
【鍼を抜き取られたのにも気づかないままーー】


ごめんなさぁい、ごーめーんーなーさーーい!もう許してぇ、ふふふ、ごめん、ね?
こわい、よう……なんか変なの、こわい、ふふふ怖くない
もう、なんでも……なんでも……

【夢の内容になのか、彼女のことを邪魔してしまったことになのか……笑いながら、泣きながら謝るのだった】

//>>53の続きです
55 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2018/05/24(木) 20:57:05.93 ID:Rf7PDIjL0
>>46

【さて、此処に幽閉されてから慰み者にされる毎日の中で、多様な薬を飲まされ続けてきた、強引にだ。】
【抵抗しようものなら触手で拘束されて無理やり口を開けて流し込み、それも上手く行かないなら注射でも、なんでも。】
【肉体の触覚が研ぎ澄まされる麻薬に似た薬品や、脳裏に働いて悪夢を見せる劇薬、身体を無理やり"興奮状態"に持っていくソレなど。】

【飲んで直ぐに効果が出てくる類の其れを飲まされ続けてきたが故に、肉体からの痛みが消えていっても油断はしなかった。】
【どうせこれも質の悪い媚薬の一種か何かだろう。痛みが消える代わりに得られる喜びが増すという様な、そんな物かと算段を立てる。】
【だが続く言葉にはようやく、セリーナ自身も疑いの目を向け続ける事に抵抗を持つ様になるだろう。ギャングと―――ケツァル・コアトル―――。】


……かえ、で、ちゃん……?

かえ、で―――、かえで……っ、かえでちゃんっ、……!
ぶじなの……かのじょ、いまは―――う、ぐっ……! はぁっ……。


【こんな状況ですら、出てきた名前に対し先ずは相手の心配をするあたり、この女は救いがない。】
【所詮は病気―――英雄病、とでも名付けたら簡単だろうか。そんなだから、こんな事になってしまうのだが―――】
【ともあれ、ハッとして相手を見やる。確かにカエデは秘匿された存在、名を知る者は彼女の味方と考えられるだろう、だが―――、】



(―――いや、いや。いやっ……違う! コイツは―――信じては、いけない!!)


【非常にまずい事に―――今回ばかりは相手が悪かった。そう、これは、こればかりは仕方がなかった。】



ふ、ふ……ふふっ、ふ……。


……、へぇ。かんが、えた……ね。 カエデの名前は……知る人しか、知らないから。
―――だませると、おもった? ばかばかしい……ブランルに伝えな、"その手にはのらない"……っ、はぁっ……!

アンタの"能力"なら、は、あくして、る……ってね……。
きょうかん、と……きょうめい、いったいか―――アタシの、心なんてもう……とっくに、"共有"されてるんだから……っ!


【さて、ここでヒーローに齎されるのは新たな情報だ。相手の能力は共鳴と共感。つまりは、マインドに深く影響する物。】
【セリーナの反応を見るに、ブランルという男が黒幕で、そして彼には脳内を覗かれている、という事実もここで伝わってしまうだろう。】
【そういう理由があるからこそ―――セリーナはまだ、まだ信じようとしなかった。だが―――同時にこうも想っていた。本当だったならば、どうすればいいか。】

(―――……カエデ。アタシを……さがして、いるの……? どうして……。)

(……何か、証明する方法……アタシが知っている回答を応えて貰う、というだけじゃきっと……。)

(どう、見破ればいい……彼は本物か、ブランルの差し金か……どっちだ、信じていいのか……。)


【それは甘い毒。信じてしまいたいという、美味たる嘘。セリーナは信じたくなっていた。】
【誰かが探しに来てくれるという事。誰かが助けてくれるという事を―――ただ、信じていたいと思い始めていた。】
56 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 21:14:58.26 ID:2+j6xBIB0
>>53-54

(……あなたより甘い蜂蜜がありますか……そしたら私の食卓に常備しちゃいますよ、全く……)

【――――だいぶ、この少女は『素』なのだろう。返事を返すのもそこそこに、女性はため息を吐いた】
【――――おかげで『実験』できなかったのは、腹に据えかねるところだが、なんだか、余計な独り相撲をしていたような気になってくる】
【片意地張らずに、すぐに解放してやるべきだったか――――そんな思いが顔を覗かせた】

(……どうかしら、感觉很好、不是吗?(たまらないでしょう?)……そして我怕(恐ろしい)……そのはずよ)

【恐らく、今訳の分からない世界にトリップしているのだろう。あるいは、過去の記憶のキメラの中にいるのだろう】
【体が好ましくグチャグチャになっていく様な、そんな快感を伴いながら――――ジタバタと暴れる少女を見下ろしながら、女性はニンマリと笑みを浮かべていた】
【この力を使えば――――鍼の技術と、電磁の能力を使えば、自分はもっと高みへと行ける。そして、望むだけのものを手に入れて、自分の人生を「最高」の位置へと引き上げる事が出来る】
【その為には――――ここでは、終われない】

おやおや……まぁなんとも愉快な夢の中に墜ちてきたんですねぇ……まぁ、命があるだけ儲けものじゃないですか……!
――――さあ、良く分かりましたか? ここら辺で迂闊な事をしてはいけないし、ましてや私に逆らったりしてはいけない、ねぇ……!
はい、分かったら、体が落ち着くのを待って……そして帰っていいですよ。今回のお代は、サービスしてあげちゃいますからねぇ……!

【どうやら、帰ってこれたらしい。自分の靴に縋りつく少女に、愉快気な笑みを浮かべながら、女性はしゃがみ込んで視線を合わせる】
【後はもう、余韻の中で刻み込んでやればいい。子供を寝かしつけるように、ゆっくりと言葉を少女の胸に浸していく】
【恐らく、混乱状態にある少女には、狙い通りにその言葉は沁み込んでいくはずだ――――それがどういう意味を少女にもたらすのかは、ともかく――――】

【そして――――脳内麻薬の暴走は、時間と共に落ち着いていく。もともと、人間の脳内で生成され、そして消費されるだけのものに過ぎないのだ】
【それが済めば、少女の身体も元通りの感覚を取り戻せるだろう――――尤も、その記憶は、心と体に深く刻み込まれたはずだ。あるいはトラウマの様に】
【それが、女性に恐れを抱かせるのか、それとも愛おしさを抱かせるのか――――それは、少女次第】

【ともあれ、動けるようになるまでは、女性は少女を見守りながらそばにいる事だろう】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2018/05/24(木) 21:24:26.88 ID:vkGEYrBz0

【水の国・某所。様々な店が立ち並ぶ大通り】
【そこに面したとある大型書店から少女が一人、自動ドアを開けて出てきた】

ふー、とりあえず今日はこのくらいかな……

【空色の瞳を持つ少女は、白みがかった金髪を真ん中で分けた短めのツインテールをぴょこぴょこさせながら歩く】
【身長は155cm程度、黒い半袖のブラウスに白いショートパンツ、肩から小さなショルダーバッグを掛け──】
【この書店で買ったと思われる本が二十冊くらい両手で抱えている】

う、ちょっと買いすぎちゃったかも?おっとっと……

【たまによろつきながら歩を進める少女には、前がよく見えていないらしい】
【もし誰かが前を通りかかれば、ぶつかって本をばらまいてしまうことだろう──】
【ちなみに本の内訳は哲学や宗教学の専門書が多く、少女にしては渋いと思われるかも知れない】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 21:36:24.80 ID:K2NBvw0b0
>>56

【女性の視線が、自分の目に合わさればーー】
【ぴょん、と飛びつくように抱きついてーー顔を近づけてニコニコと】
【子犬みたいにーー尻尾が生えていたらぶんぶんと振り回してそうな、そんな笑顔だった】

ねえねえ聞いて欲しいの!

【その体勢のまま、ぴょんぴょん上下に跳ねて】
【いい事をした後に、それをお母さんに報告する子供のようにいやに上機嫌で話し始める】

大きいお家と沢山の木のみがあったら滝ができるんだよ!

【紡ぐ言葉に意味は無いのだろう】
【まだ落ち着かない少女は嬉しさを前面に出すようにぎゅっと抱きつく腕に力を入れて】

でもクロは関係ないんだよ、知ってる?
それにねお肉だってお魚だってみんないらないし、コットンが沢山落ちているの!
あとほらぁ、シロがいじめるから……クロのこといじめるから……
シロは眩しいから嫌いなの……


……………ほっぺが痛い

【だんだん声のトーンが落ち着いてきて、やがて喋りすぎてピリリと痛んだ?で完全に正気に戻り】
【抱きついていた腕をそっと離して、なんとも言えない……嫌いなものを口に入れた時のような、そんな顔と声色で】

…………今のは、なに

【不安げに女性を見てーー】
【今までのことを覚えているような、いないようなそんなぼんやりした思考で絞り出した一言で】
59 :ヴァルター=アルメクス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 21:36:40.14 ID:2+j6xBIB0
>>55

(――――事務的に、必要な事をしただけだったが、迂闊だったか……考えてみれば『そういう事』にも、奴らの汚ぇやり口が及んでたとしても、不思議じゃない……ッ)

【先ほどからの警戒の理由に、1つ具体的な事情が思い当たり、男は己の迂闊を呪う――――必要だからと、無理やりに薬を飲ませたのが、失敗の元だったのだ】
【――――今まで、この施設の『クズ』どもに、強引な投薬など、されてないはずがないのだ。こんな格好で辱められているのなら――――そのイメージに被る行為を、自分はしてしまった】
【それでは、無駄に意固地にさせるだけだと、気づくのが遅かった。これでは、体を癒しても、心をより追い詰めたも同然――――バイザーの奥、今度は己の迂闊さに、男は唇を噛む】

カエデ……そうだ。彼女のミドルネームは『カエデ』だったな。今まで、特別な人間にしかその呼び方を許してないっていう、そのラベンダァイスだよ……!

【突破口は見えた。やはりその名前は彼女の心のキーとなるものだった。当然だろう――――今回の潜入をすることになった、直接の要因なのだから】
【カエデ――――それは『父』に送られた名であり、今まで、『父』と『ケツァル・コアトル』の仲間たち――――そしてセリーナにしか呼ばせていない呼び名だった】
【だが――――直後に態度は再び硬化する。何事かと言葉を待てば――――出てくる言葉は、至極恐ろしいものだった】

(ッ、心のきょうかんときょうめい……『共感』と、『共鳴』……!? 『ブランル』……そいつが、そんな真似を……なんてこった、それがこのセリーナが、ここで敗れた理由……!)

【まさか、セリーナが「自分の心が覗かれている」と考えているとは思わなかった。ある程度まだ頭は正常の様だが――――これでは、どうしようもない】
【つまりは、言葉はセリーナを説得しない。何か、この場に至るまで「前提となる出来事」――――つまりは、証明論で言うところの「前提条件」が必要なのだ】
【それを、今この場で用意しなければならない。そうしなければ、彼女に『救助を待つ』希望を与えて、折れかかっている心を保たせてやることも、できない】

(っ、そうだ……確かアレ! ……そうだ、こんな状態のセリーナに対しては不要かとも思ったが……逆だ。今こそ、この『お土産』が最高の効力を発揮する……!)

【――――そうした品物は、ある。男は先ほどの小瓶と同じく、腰からとあるアイテムを引っ張り出す。青色の細長い八面体、不思議なクリスタルを】

――――俺を寄こしたそのギャングが、「もしもの時には『君に』これを使え」と言った……謂れは、簡単に聞かされただけだが、君なら分かるんじゃないか?
えーと、詠唱のスペルは……そうだ――――スー(水)・ログ(浸食)・ラー(心)・ザン(レベル3)――――『リラクゼーション』……

【青いクリスタルをセリーナに向けてかざしながら、男はたどたどしくスペルを詠唱し、込められた魔力と術式を解放する】
【青く澄んだ光が、セリーナへと浴びせかけられ――――その心を鎮静化させ、精神的なダメージを緩和させる。同時に、肉体的な痛覚も、多少は和らぐだろう】

【――――恐らくは、セリーナは覚えているはずだ。細部こそ異なれど、その特徴的なスペルの詠唱によって発動させる、魔術の存在を】
【豪快に棍棒を振り回しながら、繊細に魔術で必要に応じた立ち回りをし――――かつて、セリーナの傷をバルオー(命) ・ログ(浸食)・ミル(慈愛)・ビン(レベル2)『マジックヒール』で癒した魔術師の事を】

【――――そのギャングは「セリーナの精神状態を憂慮して」持たせたのだが、それは同時に、セリーナの疑心を解くための役にも立つだろう】
【――――魔術師、レグルス、もしくはアルク――――今度は彼らとの繋がりが証明されたのだ。彼自身ではなく、そのギャングを通じた間接的な繋がりだが】
【先ほどから、存在の具体的にならない『そのギャング』も、却って『立ち回りの為に姿を明らかにしていない』事が、本物らしさになる。何より、これは『物的証拠』なのだ――――】

良いか、今度こそ聞く気になったか……? その時は、そう言ってくれ……俺も、本当に時間が惜しい
それに……君のそんな姿を見るのが、正直つらい……何もしてやれないなら、なおさら、だ……!

【これが男の『シロ』の証明。それを踏まえてもう1度だけ、男はセリーナに「自分を信用できるか」を問いかける】
【これで通じないなら――――後は、適当に置き土産を済ませて、この場を去るだけだ――――大事な事を、本当の最低限しか伝えられないまま――――】
60 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 21:49:58.73 ID:2+j6xBIB0
>>58

っ……なぁに?
(キマっちゃいましたか……まぁ、これならこれで良いでしょう。この子が何者かは知りませんが、少なくともこれで、敵にはならないはず……!)

【不意に抱きついてきた少女に、一瞬女性は気圧されるも――――もとより、そうした事態も考慮のうちだったのだろう】
【そっと、自分からも腕を回してその背中と髪を撫でながら、女性は続く言葉を待つ】

そうなの……キレイな夢を見たのね……えぇ、そう。凄いわ……凄いわよね……!

【相槌の打ち方も、対人スキルの一面である――――取り留めなく、或いはトリップした内容を興奮に任せて語っているだけなのだろうが】
【女性はそれを、静かに、そして少女のトーンに合わせて、相槌を打ちながら聞き入っている――――勿論、右の耳から入って左の耳から出ていく様な、聞き流す形で】
【恐らくは、その言葉はトリップした間に見た、意味のない幻影、或いは今まさに興奮の中で、脈絡なく紡がれている、中身のない言葉に過ぎないのだ】
【ただ、テンションを共有してやればいい。そのうちに落ち着くだろう――――女性の考えはピタリだった。やがて言葉のトーンもダウンし、女性は、少女が手を放す前に自分も手を解く】

――――今のは、私の鍼技の1つ。あなたの頭の中に、鍼を通じて電気を送り込んで、無理やり気持ち良くしてやったんですよ
でも、あなたはまだ、怖いとか、私が腹立たしいとか、そういう感情を持ってたじゃないですか。だからそれとぶつかり合って、めちゃくちゃな事になったんですよ、えぇ……
そういうのを押し流すほどに「気持ち良くしてやる」事もできると言えば出来るんですが、今回はね……あなたに反省させるために、わざと混ぜたんです
……そういう事をできるのが、私って事ですよ。まぁ、あなたをあの世に送ってやろうと思えば、もちろん簡単です。それこそ、眠るように、苦しむ事なく、ね……!

【少女の言葉の、その内容もハッキリとしてきた。それを受けて、女性は最初の素の態度に戻りながら答える】
【わざと、頭の中の本来の感情とぶつかり合って混ざり合う程度に、外から混ぜ込んでやって、トリップさせてやったのだと】
【――――その辺の鍼師にできる事ではない。彼女もまた、只者ではない事の証明と言えるだろう。文字通り、その身をもって味わったのだから】

――――ま、これに懲りて、分を超えた真似はしない事ですねぇ今後は。私だから良かったものの、もしもっとえげつない奴だったら……死んだほうがマシって事も、ありますからね?

【正気を取り戻した少女にそういうと、女性は立ち上がる】
【恐らくは、これで『終わり』という事なのだろう。これ以上少女を害するつもりも無いらしく】
【呼び止めなければ、そのまま歩き始めて――――その場から去る事になるだろう】
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 22:02:02.29 ID:K2NBvw0b0
>>60

鍼技……鍼で、あんなふう、に……?
し、信じられないのだわ、私、私……
本当に怖い人を怒らせちゃったのだわ!!

【夢の内容を鮮明に覚えているわけではない】
【でも、確かに不快でーーちらりと過去が呼び起こされたような……気がする】
【落ちていたヴェールを抱きしめて、まだ霞む瞳で女性をみては目をそらすを繰り返す】
【あんな体験をした後にまだ生きているのが不思議で……本当はもう彼女に殺されていてこれは死んだ自分が見ている夢なのではないか】
【そんなふうにも思えたけど、?はキリキリ痛む】

【やがて立ち上がった女性を視線で追う】
【どうやらこれ以上はなにもされないのだろう、と思えれば安心感で座っているのにさらに力が抜ける】
【歩き出す女性ーーあっ、て声を出して。女性が振り返っても振り返らなくても、立ち止まっても立ち止まらなくても】
【少女は最後に、その姿に向かって言うのだったーー】

気をつけて、帰ってくださいね

【疲れが浮かぶ笑顔で、その背中に力なく手を振ったーー】
62 :タオ=イーレイ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/24(木) 22:08:08.31 ID:2+j6xBIB0
>>61

……そんな「本当に怖い人」が、うようよといるのがこの界隈です。分かったら、気をつけなさいね
私だって、次はないんですよ、えぇ……次は……ないんです……!

【自分の技能が特別だという自覚は、女性にもある。だが――――それが奇跡の類かと言われると、そんな事も無いのだ】
【こうした技は、方向性こそ異なれど、使い手は探せば出てくる。そして、そうした面々は須らく、こうした空間に集まってくるのだ】
【それを思えば、少女がそうして恐れを抱いたなら――――今度は、迂闊な行為はしないだろう。それは期待出来ると考えた】

【――――呼び止められる言葉に、足が止まる】

(最後に言う事がそれですか……全く……)
……あなたこそ、帰り道に気を付けなさいな。今日の事……ゆめゆめ忘れない事ですよ、えぇ……忠告は、与えましたからね

【背中越しに、自らもヒラヒラと手を振って、女性はその場を後にする】
【――――何やら奇妙な出会いだったが、存外に自分も、楽しかったのかもしれないと、そう思いながら――――】

/乙でしたー!
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 22:20:45.57 ID:K2NBvw0b0
>>62

はい!気をつけるのだわ!

【手を振り返してくれたのなら。こっちもさらにブンブンと、笑顔で振り返して】
【怖い人だった、けど本当に心底悪い人だったかと誰かに聞かれれば、彼女は首を横に振って否定するだろう】
【男たちは逃がしてくれたしーーくれた、と言っていいのだろうかーー結局は自分だって助かった】
【女性が視界から消えて、振っていた手を下ろす】

ーーんぅ……つか、れた

【どっと、疲れがおんぶするかのように襲いかかるーーぐわん、と視界が歪んだ】
【鍼を刺されたときとはまた違う、不快感のみの疲れ】
【そのまま前に倒れこむーー眠ってしまったのか、気を失ってしまったのかーー】


【数分後、その場所で立ち上がったのはひとりの少年だった】
【赤から黄に抜ける長い髪を一つに縛り、中華調の暖色の服を纏っている】
【陶磁器のような赤みのない肌に、光を許さない真っ黒な瞳】
【くらい路地裏に映える赤い少年は、しばらく立ち尽くしていたがやがてゆっくりと歩き出す】
【女性とは逆方向に向かって、足音も無くーー】

//絡みありがとうございましたー!!
64 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/25(金) 21:40:47.93 ID:8GfKwpu2o
【日に日に能力者への風当たりが強くなりつつある今】
【能力を行使する者全てが悪ではないと証明するために、動いている者もいる】
【水の国の歓楽街を脇に外れた裏路地に──その女の姿はあった】


「ちょっと待ちなさいっての……ッ!!」


【明るいブロンドを両耳に軽くかぶさる程に伸ばし、装飾を廃した半袖のシスター服を羽織る】
【忌々しげな殺意を孕んだ目線の向こうには逃げる男が一人──その右手には、ナイフを握っていて】
【首から下るロザリオが朧ろな街灯を反射して煌き、ルビーのピアスが紅い光を灯す】
【両手に握り込んでいるのは先端に鎖が仕込まれた磔で、男に向けてそれを振るう】

【鎖がジャラジャラと音を立てて飛び出す、目標は男の足】
【正確に放たれた鎖は男の足を幾重にも巻き付き、磔を引っ張れば転倒して】
【しめた、と右足でナイフを蹴飛ばせば──女は四の字固めを彼に仕掛ける】


「ほらっ、観念したわね?女の子を脅して金を盗もうたって、そうは行かないわよ」


【いででで、とギブアップを宣告する男の様子が見えていないかのように】
【地面で伏せている男に四の字固めをかけたまま、男にそのような言葉をかける】
【暫くしたらそれも解いてあげるのだろうけど、鈍い悲鳴は表路地まで微かに響いていて──】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/25(金) 21:58:30.52 ID://Ndl5Ck0
>>64

【男の悲鳴が響き渡った数秒後ーー】
【路地裏に射す光に一瞬影がかかる。まるで誰かが電灯の真下を横切ったかのように、ほんの刹那】
【音もなく現れたそれは、どんどん二人へと近づいて行く】

【やがて路地裏で戦う二人の視界に一瞬赤色が陰るだろうーーそしてその赤は音もなく二人のすぐ傍に舞い降りる】
【赤くて、毛先にかけて黄色く色が抜ける長い髪を一つに縛り、どこかの貴族のような……もしかしたら王族のような、中華調の暖色の服を身に纏いーー】
【陶磁器のような白肌にぽっかりと空いた、光を許さない底なし穴みたいな黒い瞳。それは男を組み敷くシスターに向けられている】
【身長160を少し超えるくらいの、齢16くらいの少年。彼はその場にしゃがみこみ、右手を大きく振りかぶってーー】

わーん、つー、すりー
カンカンカーン

【と、カウントを取り、柔らかな声色でゴングを鳴らせばゆるりとシスターに拍手を送る】

おめでとう、レディの勝利だ
そいつもギブアップしてるし、もう離していいんじゃない?あんまりそいつに触りすぎていないでほしいなあ、綺麗な女性だもの、なんだか汚れそうで僕は嫌だなあ

【コツン、と黒のロングブーツで男を蹴る】
【そして黒の瞳で男を一瞥ーー柔らかな口調には相反する、どこまでも冷たい黒い視線を落としてーー】
66 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/25(金) 22:28:40.45 ID:8GfKwpu2o
>>65

【視界の隅を一瞬だけ赤が掠める──新手が来たかと警戒するに十分で】
【貴方の柔らかな口調も更に警戒を強めさせれば、彼のゴングに合わせて脚を解く】
【そして後方に跳躍、ブーツの底を地面に擦りながら着地する】


「拍手ありがとう、おかげで気持ちよく勝てたわ」
「……さて、ところで貴方は一体何者なの?こんなところにいる人が、まともなはずないわよねぇ」


【腰を落として相手の行動に警戒しつつ、両手で磔柱を握る】
【妙な動きをすればその鎖を同じ様に彼に巻きつけるつもりであったし】
【──闇を湛えたその瞳を注視しつつ、彼の返答を待っていた】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/25(金) 22:41:20.77 ID://Ndl5Ck0
>>66
【黒い瞳が丸く開かれた。ぱちぱち、と二回はっきりした瞬きーーきょとん、とした顔で首を傾げる】
【考えるように口元に、黒い手袋をはめた指をあてがい、コツン、コツン、と音を立てて歩き出す】
【足をあげて踵を鳴らし、ゆっくりとした足取りで、女性の周りを歩き出す。その様子は攻撃的だとか怪しさとかは伺えないのだけれど、初対面の女性にはどう映るのだろうーー】

【やがて足音は止まった。女性にの隣に並ぶように動きを止めると、ふわり、と腰を曲げて女性を覗き込む】
【結んだ赤髪が揺れて、優しく微笑む顔がそこにある】

僕の事はシロって呼んで
何がまともで何がまともじゃないかわからない世の中だから、はっきり「僕はまともです」って宣言は出来ないけどーー
少なくとも、君のような美しいレディを襲うつもりは無いよ
だから、それ、下ろして欲しいなぁ……

【シロと名乗った少年がが見つめるのは、女性のもつ鎖】
【黒い手袋をはめた両手を後ろに組み、全く敵意のない笑顔でそう、言うのだった】
68 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/25(金) 23:13:46.45 ID:8GfKwpu2o
>>67

【貴方の挙動は如何にも不審に見えるが──貴方自身は不審者に見えず】
【シスターは致し方なく貴方が隣に並ぶのを許すだろう】
【腰を曲げて此方を覗き込んできたなら、女は頬をちょっと紅らめて恥ずかしそうな顔をするのだけど】


「シロ、ね。私の名前はマリーよ」
「わかったわよ、仕方ないわね……。でも、何かしたらタダじゃ置かないわよ?」


【貴方に敵意のない笑顔を向けられれば、仕方なく磔柱を下ろす】
【自らの名前を紹介しさえすれば、呆れたような表情を見せて肩を竦め】
【地面で転がる男をどうしてやろうかと──そんなことを考えていた】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/25(金) 23:35:12.88 ID://Ndl5Ck0
>>68

マリーさん、だね。気品溢れるあなたにぴったりの名前、だね
僕を信じてくれた事、感謝するよ

【くるりと手をまわし、胸下に添えて深々とお辞儀。顔を上げれば、無機質な色味の顔とは反対の太陽のような笑みがそこにあって】
【そうすればまた、シロは手を後ろに組んで。たぶん癖なのだろう。隣に並ぶ事を許されれば今度はマリーの前へと立つ】
【ーーふと、視線は彼女が倒した男へと移る。足元で伸びる男。動かない男のを不思議そうに、あるいは軽蔑するように……少し表情の読み取りづらい顔で見下ろしていたけど】
【ーーごつ、っと少し強めに男の脇腹を蹴る。動かないのを確認すればまた太陽のような笑顔に戻るのだろう】

マリーさんを襲ったわるぅい男、でしょ?
いいんじゃない、放っておいて
目が覚めたらあとは勝手に帰るでしょ
あぁ、ほら、マリーさんの服
さっきのドタバタで少し汚れちゃってるよ

【と、マリーの脇腹から背中にかけて汚れているのを指摘して。勝手に触るような事はしないけど、手が届かない場所があるなら言えば手伝ってくれるだろう】
【それが終わればシロはまたマリーの隣に戻るのだろう】
【ただただ黒い瞳を細め、薄い唇に笑みを浮かべてーー】

マリーさん、今から暇?
僕と少しお茶しない?

【と、表へ続く路地を指差してーー】
70 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/25(金) 23:50:34.83 ID:8GfKwpu2o
>>69

【貴方がお礼するのを見れば、警戒はやんわり解けてきたようにも見える】
【手を組むのが癖なのだろうか、先程も隣に立った時もずっと腕を組んでいるような気がして】
【貴方が眩しい笑顔を浮かべて目が覚めれば勝手に帰る、と言えば──そうね、とだけ言うのだろう】


「あら、ありがとう。良ければ背中の方、払ってくれるかしら」


【脇腹から背中にかけて土埃が着いてしまっていたらしい】
【右脇腹の埃は払ったものの、背中にかけて付着している分は取れず】
【貴方に払ってもらえるか、お願いをしたのだけど】


「──ええ、良いわよ?私も丁度、暇になったところだしね」


【貴方が表路地を指さして、お茶しないと声を掛けられたのなら】
【了承の意を告げて、貴方の後をついていくことだろう】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/26(土) 00:15:56.01 ID:GVGcZ9kQ0
>>70

うん、任せて!

【頼まれればこくりとうなづき、後ろへと回ってぽんぽん埃を払う。その時に彼女を叩かないようにしていることに気づくだろうかーー綺麗に払い終われば、自分の手を払い、「おーわり!」って彼女の視界に戻ってくる】

【マリーが誘いに乗ってくれれば、嬉しさがにじみ出る歩き方で表通りへと先導する】
【まだまだ賑わう店が立ち並ぶ通りーー眠ることを知らないみたいにチカチカと眩しく輝っていて】
【シロはその中の端にあるカフェを指差した。ログハウスの可愛らしい外装のお店ーー中に入ればコーヒーの香りが二人をつつむ】
【カウンターで注文するタイプで、シロはオレンジジュースを指差す。そしてマリーにも選ぶように促せば、彼女の分のお代も出してしまうのだろう】
【「気にしないでいいよ」なんて言いながら渡された二人分の飲み物を席へ運びーーあまり混んでいない店内をすり抜けるように歩けば、一番端の席へと誘導して】
【彼女が席につけば、飲み物を渡して。やがて自分も座ればシロは口を開くだろう】

ねえ、マリーさんってシスター、だよね?
シスターってプロレスできるもんなの?
僕、本当はマリーさんのほうがやられてると思って慌てて駆け寄ったんだけど……男が負けててびっくりしたよ

【だから余裕こいてカウントをとったんだけどねーーって黄色のストローで氷を弄ぶように回しながら笑うのだった】
72 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/26(土) 00:52:49.92 ID:2K4/HHuGo
>>71

【埃を払ってもらった後、ありがとうと微笑んで伝えるだろう】
【貴方に付いて歩いて表通りに出れば、目を突き刺すようなネオン光が煌めく】
【暫く歩けば、貴方が指さしたほうを見る──ログハウス調の外観を持つ、コーヒーの芳醇な香りが漂う喫茶店だった】


「じゃあ私はカフェオレを貰おうかしら……」
「ってちょっと、私払うわよ──って、あー……。良いの?払ってもらっても」


【貴方にカフェオレが良い、と伝えた後──貴方が支払った様子を視て慌てる】
【気にしないでいいよ、と言われてもちょっと申し訳無さそうな顔を貴方に見せて】
【カフェオレを貴方から受け取れば、貴方と同じ席に座ることだろう】


「うーん、確かに修道女と同じような感じだけど」
「教会を基盤にした自警団に所属してるのよね、力には自信があるのよ」


【ミルクとコーヒーに少しだけ分離したカフェオレを、ストローで混ぜながら】
【貴方がカウントをとった理由が、そこで漸くわかったのだけど】
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/26(土) 01:13:56.09 ID:GVGcZ9kQ0
>>72

教会を基盤にした自警団か……女性も戦うんだね
戦うシスター・マリーってところかな、美しいだけでなく強さとかっこよさまで兼ね備えているなんて、マリーさんってすごく、完璧なんじゃ?

【くすくすって可笑しそうに笑って。そして思い出したようにあぁ、って声を漏らしたかと思えば】

でも、4の字固めは良くないよ?
今回は大丈夫だったけど、ほら、スカートがめくれ上るのは……あまり良くない。あんなぶっさいくな男相手だったし、ちょっとほら。なんてーか、僕がムカついてくる

【ちらり、と上目遣いーー水滴がしたたるコップを両手で包みこんで、一口】
【手を離せばコップの水滴は全部手袋に吸収されてしまったのか、綺麗さっぱり無くなっていて】
【代わりにもしかしたら湿っているかもしれない両手を組んで、その上に自身の顎をのせてーー】

力には自信がある、かあ
ねえマリーさん、僕と腕相撲しよう

【組まれた指は解かれた。代わりに、マリーに向けて右手を差し出して。しなやかに動く指が、握るように彼女を誘ってーー】
【もし、マリーが勝負に乗って手を掴むなら既に乾いた手袋から伝わる、人の体温とは思えないくらいに熱い手にーーもちろん、握れない程ではないのだけどーー驚くだろうか。掴むのを拒否すれば少し残念そうに手を戻すだろうけど】


74 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/26(土) 15:14:06.54 ID:OD0JTjdM0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――水の国 オフィス街】

――――やれやれ、世相が生きづらくなってまいりましたね……
「……んなの、俺たちにとっては変わらないじゃねぇかよ、兄貴……それよりも」
<……いつの間にか、横流しされていた『INFINITY』……後始末も、考えなければなりませんか……>

【こげ茶色の無地のスーツとスラックスを着込み、首元にはダークグリーンのネクタイを締めている】
【さっぱりした短めの暗い茶髪に、切れ長の目元にすっと引き締まった鼻梁が映える】
【全体的に細身の印象がありながら、どこか所作に重々しさの目立つ、身長170cm前後の青年と】

【灰色のセーターの上から、黒のごつい厚手のベストを装着し、両腰に金属製と思われる黒塗りのトンファーをぶら下げている】
【さらさらした短めの銀髪と、やや不格好なレベルで大きいサングラスが印象的な】
【どこか威嚇的で近寄りがたい雰囲気を宿している、身長180cm前後の青年と】

【白を基調とした修道服でほぼその全身を覆い隠し、ケープの付いた帽子の中に、明るい空色の髪が覗く】
【手には、頭部に幾つかの小さな鈴と、銀でメッキされたと思しき翼の装飾が施されている細長い杖を携えている】
【豊満と表現されるだろう胸部が目立つ、身長160cm前後の女性が】

【特区――――『カミスシティ』にほど近い市街地を、半ば散策するように、連れ立って歩いている】
【グループとして見るに、奇妙なその一団は、周囲から浮いているのだが、当の本人たちは時折向けられる奇異の目などどこ吹く風で】
【それぞれ胸元には、金の十字架を象ったペンダントが掛けられていた】

「……で、なんでこんなところにウロウロと?」
――――あの薬が、魔能制限法に対する意趣返しとして使われるなら、わざとこの辺で使う事で、挑発の意図を込めるのではないかと、そう期待しているのですよ……
<……まぁ、近道はありませんわね。地道に探していかなければ……>

【どこか、周囲の人間を見下すような侮蔑の目を一様に光らせて、集団は当てもなく歩いていく――――】



【――――所変わって、火の国 市場】

っへへ……今日は何食べっかな、おやつ……

【前ポケットがやけに大きく膨らんでいる白のパーカーと、同じくポケットが目立つアウトドアズボンを着ている】
【明るい紫色の短髪と、勝気そうな金色の瞳が、元気の良さを印象付ける】
【ともすれば人ごみの中に消えてしまいそうな、身長130p前後の小柄な少年が】
【周囲の屋台をあれやこれやと品定めしながら、空っぽの財布を景気よく蹴っ飛ばし、ご機嫌な様子で歩いている】
【そばでは「スられた! 畜生!!」と叫ぶ男が目立つ中、まるで眼中にないといった様子で、そのまま歩み去っていく】

お、クレープ……良しッ!

【ふと目についたのは、何人かが並んでいるクレープ屋の屋台。それを見つけると、ニヤリと笑みを浮かべて少年は最後尾に並ぶ】
【その光景だけを見れば、ただの子供に見えても無理はないのだが――――】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

/20時ごろまで待つ予定ですー
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/26(土) 23:52:20.73 ID:bo9XWjcE0
【とある町の大通り】
【若い女性が――左手で右の肩を押さえ、左足をずるずると引きずりながら歩いていた】
【右手には黒いタブレット端末を持っている】

痛っ……折れちゃいましたかね

【20代前半と思われる女性はセミロングの金髪に灰色の瞳を持ち】
【所々が破れたシルバーグレーの作業着の上下に、紐がほどけたままの黒いワークブーツを履き】
【背負っているリュックは、泥だらけになっている】

ふふ、思ったより乱暴な人でちょっとピンチでしたが
「能力」のデータはたくさん取れてよかったよかった……
ふふふ、くくく……

【どう見ても負傷者なのだが】
【ゆるんだ顔でタブレットの画面を見ながら】
【不気味な笑い声を漏らしているその姿は傍から見たらかなり異様な】
【ちょっと危ない人に見えるだろう】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 16:34:22.50 ID:5WXjETkVo
【── その店は『とある街』の大通りに位置していた】


【中世ヨーロッパ風の二階建て建築。一見すると普通の建物であったが、所々に建築家の意匠が凝らされたデザイン】
【休日のランチタイムを過ぎた時間、普段ならば少し遅いお茶の時間を楽しむ人々で溢れ返っていたのだが】
【扉の前に掲げられた『閉店中』の掛札── 閉じた扉の奥の喧騒は届かない様に】


【── 大衆食堂 "Freak Fes" と、その店の名前は言った】


【掃除の行き届いた店内。テーブル席の一角を陣取って彼女達は居た】
【定例集会やらミーティングやら、呼ばれる名称は統一されていないが、この食堂では定期的に店員達の顔合わせがあった】
【総店員数は、臨時の店員や裏方も合わせるとかなりの人数に及ぶ。── その為、顔合わせを何度も行う必要があった】




【──── そしてもう一つ、この店が "大衆食堂" と呼ばれる所以】



【全ての店員が "人ならざるもの" であった。それ故に── 種族間の齟齬を無くすためにも顔合わせが行われる】
【今日の議題は何だったのであろうか。新人の顔見せか、新規メニューの提案か、或いはもっと個人的な用事か】
【── いずれにせよ、この少女、ファラーシャにとっては、── 少しばかり楽しみな行事であった】


……これで全員でしょうか、何時にもまして集まりが悪いです
こういう日常のコミュニケーションの積み重ねが、より良いお店の運営に繋がるのです
── 全く、私が居なければ本当に纏まりが無いんですから


【腰まである蒼銀色の長髪を大きく二つに結って背中が大きく空いたミニのメイド服を着こなし】
【フリルの付いたガーターリングで網タイツを支え、ピンヒールを履く】
【瀟洒な雰囲気を持った、黒と赤のオッドアイの褐色肌の少女】

【ファラーシャ・ライーシュ・ファルカト=ムーシェキィヤ/
‎فراشة رئيس فرقة موسيقية】
【それが彼女の本名であったけども、誰も本名で呼んでくれないから】
【── ファラーシャと、基本的には呼ばれている。基本的には】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/27(日) 16:49:39.92 ID:jOO8sIUu0
>>76

ええと、うん……。今日のところはこれだけ、だね。
まあ、本当にぜんぜん集まらなくてお流れになるよりマシだよ。

【その場を取り仕切るようにぴんと背筋を伸ばすファラーシャに、苦笑を零しながら】
【黒縁の眼鏡の位置を直す、青年がいた。灰色の髪と翡翠の瞳の植わる、穏やかそうな顔立ち】
【細身で、肌の色も白いから。俗っぽく「もやし」と呼ばれることもあったけど、大抵は】
【彼自身がそう呼んでくれと頼んでいる――「エリィ」。女性っぽい響きの愛称で、彼は、呼ばれているはずだった】

【――――切添(きりぞえ)エレイン。100年生きてるかそうでないかくらいの、若い吸血鬼】

【清潔な白いシャツと黒いスラックスの上に、制服である黒いベストと茶色いロングエプロン姿】
【首元をきっちり締める朱色のスカーフタイを、少しだけ緩めながら――着席する前にふと一言】

せっかくだし、飲み物用意しようか。みんな、何がいい?
最近暑くなってきたからね、アイスがいいかな――だったらええと、コーヒー、紅茶、
それとミルク、オレンジ、コーラ、ジンジャーエール……あとレモネードも用意してあったかな。
ココアと、あとグリーンティーあたりも……ちょっと時間貰うけど、出せるには出せるよ。
……お茶請けは何かあったかな、すぐ出せるようなちょっとしたつまみ的な……えーっと、

【彼はおそらく、この場で最年長。だからやたらと、気を遣いたがる】
【黒革の手袋に包まれた手の、長い人差し指を折り、唇に添えて。うんうん考え始めている】
【……ばかがつくレベルの生真面目野郎だった。そんなのいいから早く座れ、と言われれば、慌ててそうすることだろう】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 16:58:20.75 ID:d+POyHHN0
>>75

「あ、あっと、その……み、皆色々予定があると思いますし、その……あんまり過敏に怒らない方が……」

【午後の日差しが、その意匠の施された窓から柔らかく店内に注ぐ】
【初夏の爽やかさと言うよりも、暖かさが感じられる日だろうか】
【喧噪からはやはりかけ離れた日中】
【日の光は、店内の観葉植物やそれを活けるガラス製の鉢を透かし彩を与える】
【少しむくれた様子の褐色肌の少女、ファラーシャに、そう厨房の方から弱々しい声が掛けられる】

「せ、折角の集まりですし……その賄いもまだですから、今日のは美味しく作れたんですよ」

【こう言って其々の前にバゲットと、そして本日の昼の賄い、牛肉の赤ワイン煮込みを置いて】
【その少年リュウタ・アリサカは話しかけた】
【茶色の程よく清潔に整えられた長さの髪に、気弱そうな顔立ち】
【服装は白いドレスシャツに黒の襟付きベストに赤いスカーフ、茶色のサロンとこの店の制服だ】

>>77

「あ、エリイさんも賄いまだ、ですよね?」

【そう言って彼の前にも、牛肉のワイン煮込みと、そしてバゲットを置いて】
【季候的には、これから暑くなるのだろうか?】
【最も、今日は十分に暑いのだが】
【中性的な顔立ちで、比較的に優しく接してくれる先輩】
【リュウタの彼への認識は、そうだった】

「あ、飲み物を忘れてました……レモネードとかいいですね!」
「もし、甘いお菓子があれば、その、お願いします」

【数多くいる従業員の中でも、話しやすさからだろうか】
【彼とは割合多くの会話をする】

「あの……そう言えば、今日は何の議題でしたっけ?」

【眼の前の少女に聞かれれば、また小言を言われてしまう】
【それを恐れてか、小さな声でエリイに聞くのだった】 
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 17:12:24.97 ID:5WXjETkVo
>>77

【── 水面に波紋を起こす一雫。ファラーシャの振った指先が冷ややかにエリィを制止する】
【流麗な所作であった。茶道の家元が僅かな仕種だけで静謐を作り出す様に、無音の呼吸がその色さえ見失う様に】
【長い睫毛が褐色の肌を溶かす、砂糖菓子の如く淡やかな色合いが静けさを纏って】


エリィ── 貴方に働かせると何時まで経っても話が進みません。
最初は飲み物、次はお茶請け、お菓子を経て軽めの夕食まで、私には既にそこまで見えています
ですので、私からお願いする事は一つです

" いいから黙ってお座りくださいませ " ── " お客様 "


【接客の練習だと言わんばかりに彼女は微笑みを向ける、砂漠の夜に浮かぶ幽玄の月に似た蠱惑的な笑み】
【完全な営業スマイルであった。その表情の奥から、お前が動くと話がすすまねーんだよって言ってるみたいに】
【溜息の一つもつかず淡々と、彼女はもう一人の参加者に目を向けて】

>>78

【蒼銀の髪から零れる蕾の様な耳元、ぴくりと反応する様な仕種を見せたなら】
【芽吹く双葉の開く所作に似て、彼女はあっさりと、それでいてゆっくりと目蓋を開く】
【色違いの双眸は深い色味を写していた。相反する網膜の中に貴方の虚像を押し込めて】


怒ってなどいません、一流の給仕はどの様な時も慎ましくお淑やかに、それでいて冷静に対応するものです
ええ、ちっとも怒ってなどいません。── 誰かさんが何度注意したにも関わらず、勝手に厨房を使ったとしても、です
お分かりですか、私たちは話し合いをする為にこの場を用意したのです、決して和気藹々と食事をしに来たのではありません

── ですのに何ですかこれは、昼の賄いにしては豪勢過ぎます
過ぎた贅沢は身を滅ぼすと、私は何度注意すればよろしいのでしょうか
それともリュウタ、貴方は── 痛くされた方が覚えが良いのかしら


【こちらも営業スマイル。組んだ両手が明らかに苛立ちを見せて、とんとんと二の腕をつついている】
【── 今日の用件は単純に定例報告に近かった、故に集まりも悪いのだが】
【最近の客の動向だとか、困ったことだとかが有れば気軽にどうぞ、という── いや全然気軽じゃないけど】
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/27(日) 17:22:36.90 ID:jOO8sIUu0
>>78-79

ああ、うん……いい匂いだ。ありがとう、リュウタ。
赤ワイン、そのまま飲むのは苦手なんだけど……こうして料理に入ってるのは何故か大丈夫なんだよね。

【不思議だよね、と苦笑しながら、立ち上る湯気を手で煽いで香りを楽しみ】
【飲み物のオーダーを聞くと「わかった」と言い残し、冷蔵庫のほうへ】
【細いグラスは3つ用意。いっぱいの氷を詰めて、そこにレモネードを注いで、最後にミントの葉を浮かべて】
【飲み物は完成。続いてお茶請けを探そうと戸棚に手を伸ばそうとして――ぎくり】
【ファラーシャの言葉に背筋を震わせて。はぁい、と、気の抜けた返事を返しながら、戻ってきた】

……え、えっと、えーっと……。今日は定例報告会、だよね?
だからこう、最近あったこととか、気付いたこととかを――こう、なんだろう、適当に……
いや適当じゃダメなんだけど。とにかくなんでも言ってくれていいよ、リュウタ。

【リュウタも、ファラーシャも。弟や妹のようなものだと思っていた、それにしては情けない兄っぷりだけど】
【恐る恐る訊いてくるリュウタに対しては、そう返しながら。辛うじて3人分用意できたレモネード】
【コースターとストローを先に置いてから、グラスをとん・とん・とん、と置いて。ようやく着席した】

僕からは……そうだね、さっきも言ったけど。最近めっきり暑くなってきたから、
冷たいものの売れ行きが急によくなった。だから、アイスクリームとかの在庫確認を
もうちょっと厳しくやっていっても、いいと、思うん……です、けど……

【ファラーシャに対しては。だいぶビビっている、ははは、と渇いた笑いを零しながら、敬語を使う始末】
【年長者としてはあんまりにもあんまりな、情けないっぷりを披露していた。座ったあと、ストローの袋を破いて】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 17:42:32.87 ID:d+POyHHN0
>>79

【その髪色もオッドアイも、彼女の褐色の肌と相まって非常に映えて見える】
【やがて、静かに、そして冷ややかな意味合いをもって瞳が開かれ】
【オッドアイには、それぞれ色違いの自分が写り込んでいるのが見える】

「ひッ、ご、ごめんなさい……で、でもその……僕も、調理補助とか出来た方が、いいのかなって、ほらシェフさん達だけだと、回らない時もあるし、その……」
「ご、ごめん……」

【表情は確かに笑っている】
【しかし、空気、彼女の醸し出す空気とオーラは決してにこやかでは無かった】
【完全に委縮し、そして弱々しくこう言って】
【最も、最後の部分は聞こえていたかすら怪しい声量だが】

「ご、ごめんなさい!」
「いいワインと、牛肉が入ったから……せ、折角だし、それに庭のハーブもあったし、その……」
「ひッ!ぼ、暴力は!暴力はだ、だめ……ですよ、ご、ごめんなさい」

【少女の言葉に、もはや泣き出しそうに、こう言い訳も交えて答える】
【この部分からも、普段の店内のヒエラルキーが見て取れそうだ】
【ホールスタッフのまとめ役のファラーシャ、その部分がはっきりとしている】

「あ、そ、それだったら……」
「その、ちょっと前の○日に、雨の日に会った女の子に傘を貸したんですけど、お店の事言ったら、来てくれるって……つがるちゃんって子で……もし来たら、僕を呼んで欲しいなって、その……」

【少し前の酷い雨の日に、商店の軒先で出会った少女】
【雨宿りに一緒になり、この店で働いている事を話したら来てくれると約束し】
【気恥ずかし気に、こうファラーシャに言った】
【最も、その日彼は派手に遅刻しているのだが……】

>>80

「よ、よかった……今日のは自信作なんです」
「エリイさんに真っ先に食べて欲しくて」
「あれ?エリイさん、ワイン苦手でしたっけ?」

【前日から仕込みをしていたのだろう】
【赤ワインとハーブ、調味料にじっくり付け込まれた牛肉は、丹念に煮込まれ】
【口の中でホロリととろけるだろう】
【やがて、見た目にも涼やかなレモネードが出されると】

「流石、エリイさんのドリンク、季節的にも味も完璧なんですよね!」

【レモネードから立ち上がる檸檬と、そして仄かなミントの香りは食事の香りとも相まって】
【テーブルの上の賄いを一層明るい物に演出する】
【もっとも、食後のお菓子はファラーシャの牽制により止められたが、こちらはご愛嬌だ】

「ええーっと、その……」

【と、定期報告では上記の少女の事を話し】
【そして同時に、エリイとほぼ同時にファラーシャ顔色を窺うように見て】
【なるほど、年上のエリイすらも気を遣う存在、やはりホールスタッフの纏め役は伊達では無いようだ】

「あ、そうですね!」
「デザートの需要も増えますね!フレーバーもそろえたいですね!」

【こう、話がアイスクリームに移れば、明るく答える】
【料理もさることながら、デザートや甘い物への関心も高い様だ】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 17:51:14.55 ID:5WXjETkVo
>>80

【いつの間にやら営業スマイルは何処へやら、知的な表情をその怜悧な目許に残してエリィの言葉に耳を傾ける】
【── 頼りない、と思いつつもその観察眼や発想は優れている、各員のスキルを正確に測るのも給仕の務め】
【ふむ、と熟考する様に口許に手を当てた、一つ二つと逡巡して】


……良いでしょう。アイスクリームの在庫のチェックを増やすと共に新しいフレーバーも用意できるといいかもしれません
アイスクリーム確かイエティ種や雪女種の担当でしたか、冬場は元気でしたのにここ最近は出勤すらしてません、し
という訳でエリィにお願いする事に致しましょう、ご自分で提案したからには責任をお持ちください

── くれぐれも、お客様が所望した際に品切れになる事が無いように、私達の完璧な業務に泥を塗る事は許されません
分かりますか、エリィ。給仕と厨房、どちらが上か下かなど
ありません、どちらも対等に業務をこなすべきです


そして須らく── お客様は "神様" です、努々お忘れなきよう


【提案、そして割り振り。── 流れる川に澱みはなく、滴る露草に僅かばかりの濁りもない】
【オーケストラの様だと彼女は思う、それぞれのパートに不備は許されないから、こそ】
【軽く言い放って淡々と会を進める。── 静かな物言いであった】

【年長者でありながら何処か頼りなさ気なエリィに、ファラーシャは少し曖昧な感情を持っていた】
【私がしっかりしなければいけない、という気負いに近い感情、それと同じ位の濃度で交わる何か】
【── 頼りにしたいな、なんて、そんな甘える様な気持ちを持っているだなんて、知らないから】


……いい提案なんだから、もっと自信を持てばいいのに


【溢れる言葉が聞こえてるかどうかはわからないけど、泡沫は確かに弾けた】

>>81

【頭を抱えたいと内心思った。何故この店の男性スタッフはどいつもこいつも小動物の様なのかと】
【確かに一芸に秀でている存在ばかりであった、得意業務を任せたなら一騎当千、プロフェッショナルの流儀が芳しく】
【── だからこそ落差がひどい、ああ、もう、と】


……貴方が片手間に作った料理に、どれだけのコックが尻尾巻いて逃げ出したと思ってるんですか
新しいコックを探すのも私の業務の一つです、この前の一角種のコックなど一週間持たなかったんですよ
魔海の一流レストランからの引き抜きにどれだけの手間と時間がかかったか、お分かりですか?

暴力など致しません、私はただ正当な主張をしているだけです


【── それをある種言葉の暴力と言うのかもしれないが】


成程、ありがとうございます。── それはそれは、大変素敵な出来事ですね
あなたがその日大遅刻をした事を除いて、ですが
なるほど、件のつがるちゃんと楽しくお話をしていたら瞬く間に時間が過ぎたと、そう仰りたいのですね

そうです、雨の日です。傘の管理も増えます、必然暖かい料理が多くなり手間も掛かります
私とエリィの二人で回せきったのが奇跡に近いと我ながら思ってました、猫の手も借りたいとはこの事か、と
── 今月分の給料、期待していてください
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/27(日) 18:01:21.22 ID:jOO8sIUu0
>>81

うん。実は苦手なんだよね、そのまま飲むのは……
ほらなんか、血に見えるじゃないか。だからちょっと抵抗感があってね……

【この店には他にも吸血鬼がいただろうが、この青年はちょっと特殊で】
【吸血鬼のくせに血を飲むのがきらい、なんだそうだ。だからいつも貧血気味で、弱くって】
【その分他の働きをしてカバーしようとしているんだろう。だからいつも、馬鹿みたいに真面目なのだ】

うんうん。夏向けのメニュー増やしたいよね。
デザートだけじゃなくてもこう、スタミナの付くものとか……

【「僕、料理得意ってわけじゃないから具体的な案は出せないけど」。申し訳なさげにそう言って】
【料理が得意なリュウタなら、なにかいい案はある? と。首を傾げて、訊いてくるのだ】


>>82

……しゅ、出勤してないの? 道理で、顔を見ないと思った……。
彼らには厳しい季節だし仕方ない、か。わかったよ、僕が管理する。

【管理者として自身が指名されれば、きゅっと眉尻を上げて、ひとつ頷いた】
【眼鏡の向こうの翠の瞳は、まっすぐに光っていた。ばかまじめな性格だ、きっとそうそうヘマはしないだろう】
【……この調子がずっと続けばいいんだけど。そう思わせるくらいには、そういうとこだけ、ちゃんとしていた】

……あ、あの、えっと。
リュウタにはそのお、もう少し、やさしく……

【それも、次の瞬間にはすぐにへたれて。弟分へのあたりをもう少しマイルドにできないかって】
【もやしスマイルで、窘め……窘めてる、に分類されるのかこれは。そんな感じの言葉を、かけてみた】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 18:21:45.61 ID:5WXjETkVo
>>83

【オッドアイの目尻が少し緩んだ。── 鋭い目許に僅かばかりの弛みが見える様に】
【甘い頬の色合いは艶やかな肌の慕情を残して、横顔を彩る髪を静かにかきあげる】
【方目を閉じたなら残りの黒があなたを見つめて、頬杖をつきながら言葉を認める】


ええ、大方涼しい『夜の国』辺りへとバカンスに繰り出しているのでしょう。想像に難くありません
全く貧弱な方々です。私の出身である『砂の国』はこんなものではありませんでしたよ
地を焼く灼熱、地平線の彼方まで広がる一面の砂漠── それと比べれば楽園も良いとこ

── 涼しくなり顔を出したならば、然るべき行いをしなければなりませんね
なので、そこまではエリィに一任します。頼りにしてますよ
貴方の実力は一番側に居る私が分かっていますから、自信を持って


【ファラーシャは細い首筋を持ち上げて、貴方を見上げた。柔らかな笑みが年相応のあどけなさを見せて】
【触れたなら砕けてしまいそうに華奢な体躯、硝子細工よりさらに繊細な造形の彼女】
【その細身にどれだけの責任を背負っているのかなんて、分からないけども──】

【── 少なくとも今は、貴方を頼りにしたくて】


無理です。躾も注意も出来る者がやらなければなりません、それは例外なく、です
何か起きてからでは遅いのです。今回は何とかなりましたが、もし不備があったなら
── それは私達皆の責任です、私達はチームであり、そして


…………そして、家族だと、私は思っています、


【言葉を述べた後、彼女には珍しく視線を逸らして。横顔を貴方へと向けた】
【彼女は今、住み込みで働いていて── この店に対する思いは他より深くて】
【押しとどめていた筈の心が漏れた。それを辿られないように】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 18:27:39.80 ID:d+POyHHN0
>>81

「そ、そんな〜……」

【まさに断崖に立たされているような気分で、ファラーシャの淡々とした話を真摯に受けて】
【完全にしょげている様子だ】
【そう言えば期待の魔海出身ユニさん(仮)暫く見ないなあと思ったら……】

「ユニさん……」

【そんな事情だったとは、彼の頭には夜空に燦然と輝く一角獣コックの顔が浮かぶ】
【そして、余計に落ち込んで】
【少女の苦悩は、少年には完全に伝わっていないのかもしれない】

「それを、暴力って言うんじゃ……ひッ!ご、ごめんなさい!」

【完全に委縮している、手を出さずとも十分に効果がある威圧だった】
【最も、ファラーシャの主張はとても真っ当であり、誰も口答え出来ない】
【年長である所のエリイすらも、それは例外ではないだろう】

「そう!凄く素敵な……ご、ごめんなさい……」
「で、でも、その日は大雨で……ほら、僕、学校からバイクだから、あの雨だと運転できなくて、それで……」

【余りにも弱々しい言い訳だ】
【ぐうの音も出ないとはこの事か】
【一段と小さく縮こまり、がっくりと肩を落とし】

「……はい」
「その、エリイさん、ファラーシャ、あの日は……ごめんなさい」

【彼の生活は偏にこのバイトの収入によって賄われている】
【減給は厳しく響く】
【最も、完全に自業自得の結果であるため、特に反論も無いのだろうが】
【そして……】

「あ、あと、その、裏の仕事なんですけど……」

【弱々しくもこう、話を切り出し】

「いつも通り、もし、もし蟲の魔族の話を聞いたら、その、教えて下さいね」
「あ、あと機関の動向もいつも通りですが、さ、最近は蛇のカルト宗教が活発になったって、その噂ですが聞いたんです」

【彼らの裏の顔】
【それは異形の力をもって、この世界の正義を実行する組織】
【弱気を助け悪事を挫くノーブランドヒーローズ】
【その部分の話も、またこの場で話されるものだ】
【最も、本件は極秘であり、その話は当然最新の注意を払ってしなければいけない】
【そして、また……少年はその口ぶりや話の内容から、少女の正体に関しては知らないのだろう】
【また蛇の教団に関しても、あくまで噂を耳にする程度で彼自身は殆ど知らない】


//すみません、分割します
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 18:27:54.43 ID:d+POyHHN0
>>83

「あ、そう言えば……エリイさんだから赤ワインは苦手なんですね」

【彼自身が吸血鬼である事は、皆が知って居り、また血液が苦手と言うのも知られている】
【なるほど、確かに赤ワインそのままは、血液に似ており苦手と言うのも頷ける】
【真面目で謙虚で優しい吸血鬼、だからこそ彼は店の皆に慕われる存在なのかもしれない】

「そうですねえ……ガーリックや唐辛子なんか多めに使った料理がいいかもしれないです」
「季節限定のアヒ―ジョなんかがいいかも……」
「後は、櫻の国のハーブでシソとか言うのがあるみたいなんですよ、どうやら夏にぴったりな味らしくて」

【料理の話を持ちかけられれば、喜々として答えて】
【最もファラーシャには良い顔はされないだろうが】
【季節に合った新しい料理、考えるのはとても楽しい様子で】
【そして……】

「あ、っとその、いつもの事ですが……エリイさんも、蟲の魔族の話、聞いたら教えて下さいね」

【幾分か声を落として話す】
【機密事項であるこの店の、裏の仕事の内容と言うのもあるが】
【こと蟲の魔族の話は、彼の存在に関わる話でも合って、幾分か暗い声色となる】

「それと、機関もですが、最近妙な噂を聞きまして……」
「なんでも、蛇を崇拝する邪教の動きが活発になってきたって、そんな噂を聞いたんですよ」
「そいつらが何なのか、よく解らないんですが……」
「その……気を付けないと、いけないかもしれないです」

【声のトーンはそのままで、こう話した】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/27(日) 18:38:55.88 ID:jOO8sIUu0
>>84

夜、夜って僕の今の居所なんだけど……。いっそ氷にでも行った方がいいんじゃないかな……
砂の国、かあ。生きてた頃も行ったことなかったな、そういえば。……オアシスとか、ないの?

【吸血鬼。そうであるなら日光を避けて生きていて、それなら夜の国はめちゃくちゃ、都合がいい】
【だけど彼は「もともとは」そうではなかった、また別の種族として生きていたころのエピソードがあって】
【けれどそれも、もう遠い昔のころの話だった。特に感傷を混ぜることもなく、ファラーシャの故郷の話を、聞きたがって】

【三色の瞳の色が交錯する。自信を持て、と言われたら、すこしだけきょとんとした顔】
【それから――笑って見せた。へにゃっとはしていたけど、今ばかりは苦笑の色合いを混ぜない】
【「承知した。任せておいて」。正しい年長者の表情をして――それもまた、数瞬のことだったけど】

し、躾……もっとこうマイルドな表現にならないかな、注意とかそういう……
連帯責任も重々承知してるし、きっとリュウタだってもう十分わかったはずだよ。だからそろそろ、

――――え? え、ああ……うん。家族、そうだね……

【「僕も君たちのことは、妹や、弟みたいなものだと思っているよ」】
【またしてももやしスマイルに戻った、かと思いきや。漏らされた少女の想いを、きちんと受け止めて】
【頷いた。それから、自分もそうだと付け加えた。きちんと、兄めいた表情を保たせながら】


>>85

なるほど、スパイス強めのものがいいんだね。とはいえ僕はガーリックダメなんだけどさ、

【あはは、って冗談めいて笑ったのもそこまでの話。話題が移り変われば、表情を変えて】
【グラスを手に取ってストローで中身を掻き混ぜ、一口。冷たい飲み物で意識を引き締める】
【「裏」の話。蟲とか、蛇とか、そういった単語が出てくれば――ふむ、と言葉を零して】

蟲についてはオーケイ、承知した。情報が入り次第周知するよう努めるよ。
……カルト教団、か。最近水の国で暴れてるって言う魔族とは別物?
そういった集団っていうのは大抵、ろくでもない目的のために動いてるもんだけど――

【「分かりやすい例を挙げるなら世界征服とか。……これは本当にわかりやすいものだけど」】
【唇に手を添えて考える。蛇を崇拝する邪教、……彼はまだ、聞いたことがなくて】
【何もわかっていない、気をつけなければいけないと言われても、どうしてそうしなきゃいけないのかもわからない】

……そいつらには、どんな目的があるんだろうね?
わかりやすく動いてくれれば、僕たちだけじゃなく、UTとか――他の組織も動いてくれるだろうけど。

【だから。その動機を知りたがっていた、推測の幅を広げたいがために】
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 18:56:57.08 ID:5WXjETkVo
>>85

【── ファラーシャは溜息を付いた。色々厳しく言いはするが、強く出過ぎれないのも事実であった】
【減給とは言ったがリュウタの事情もよく知っている、特に厳しくするつもりも無かったが】
【以後気をつけるように、と念押しは欠かさない】


……蟲に関しては私は何も、それと蛇のカルトですか
眉唾物ですが聞いた事があります、何でも邪教の集団だと
そして、活発化したのにも理由がある、と──

エリィの仰った『水の国』に出てきた魔族、その一部に巨大な蛇が居たとの話を聞きました
同じ蛇です、何か共通項があるのかも


【リュウタは気づくだろうか、彼女にしては切れ味の鈍い言葉】
【── 色褪せた花束、萎れた一葉が悲しく揺れる様に】
【言い淀むといった表現がふさわしかった、そんな様相】


>>87


オアシスは点在していましたね、私達『ミルドラ族』は乾季にはそのオアシスを求め旅をします
過酷な旅路です、ですので── 親は子供達を、子供達はより幼い子供達を支え旅を続けます
……小さな部族でしたが、家族の絆はとても強かったです


【静かに言葉を重ねた。思い出すのは過酷だった日々、けれども辛くはなくて】
【── 親元を離れ一人で生活する日々、辛くないと言えば嘘になるけども】
【ふっと、表情を緩めた。張り詰めた糸がたわむ様に】


……分かりました、分かっていますよ。全く、エリィはリュウタに甘いんですから
家族と思っているからこそ容赦はしません、私は心を鬼にして皆さんを導きます
ですのでエリィもしっかりしてください、何年生きてるんですか? と、たまに思います


【── 相変わらず一言多い】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 19:09:48.41 ID:d+POyHHN0
>>87

「はい!多分、ビールなんかも多く出る様になると思うので、タパス(小皿)メニューなんかもいいかなって……」
「あ、そう言えば、ごめんなさい……」

【やはり、ここは吸血鬼と言う種族の常なのか】
【すっかり失念して居た事を詫びて】
【そして】

「お願いします……あいつらは、僕の手で倒さないと……」
「水の国の魔族?いえ、違うと思います……あくまで教団みたいなので……」
「その魔族って一体?初耳です……」
「いえ、すみません、僕もその……噂に聞いただけなので、詳しい目的とかそういうのは……」
「ただ、話に聞く限り、人間を攫って残虐に殺したり、何だか生贄みたいな事もしてるって噂で」
「なんだか、近く何か起こるような、そんな気がしてて、すみません、根も葉もない噂ですよねこんなの」

【彼自身も、あくまで都市伝説に近い様な噂話で聞いたに過ぎない】
【なんとなく、彼の予感がそう言っている、そんなレベルの話で】
【被害に直接遭遇したわけでもなく、そして規模も目的もあるいは実在すらも確かではない】
【青ざめた顔で、こう話して】

「そう言えば、UTって、最近話を聞かないです……何かあったんでしょうか?」

【世界に名をとどろかせる正義組織UTは、最近ぱったりとその話を聞かなくなった】
【正確にはある時期を境に、ぱったりと途絶えてしまったかのように】
【同様に正義組織である此方も、動向は気になる所だ】

>>88

「ご、ごめんなさい……」

【やはり、ファラーシャに対してはへこんでしまう部分は大きい様子だ】
【最も、少女の性格や考えも理解しているため、素直に聞く部分はちゃんと聞き反論もしない】
【仲間内への愛情が、一際強い少女なのだと】
【そして……】

「?」
「……本当に、何にも?」

【違和感に気が付いた】
【普段のファラーシャらしくなく、妙に歯切れの悪い部分だった】
【一抹の不安の様な、しいて言うならば小さな引っ掛かりだが】
【普段の少女を良く知るからこその、違和感】
【聞き返してはみるが、しかしその言葉も弱々しいものだ】

「水の国の魔族?」
「その、関係があるの?蛇の魔物……」
「調べてみないと……」

【魔族と聞くからにはこの件はより放って置けない】
【自分自身も、魔族なのだから】
【それが二人の話に出ている、謎の邪教と絡んでいるとなれば、余計にだ】

「そう言えば、UTって最近話聞きます?」

【まさにエリイとの話に出た、この状況下でも話を聞かない】
【ある時期を境に、ぱったりとその活動の話を聞かなくなったUT、何か少女は知らないか、と】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 19:21:42.32 ID:5WXjETkVo
>>89

【── 聡い少年だと思う。同時に、だからこそその弱気な様子に苛立ちを覚える事もあった】
【彼には自立して欲しい気持ちがあって、それはきっと同じ年頃の少年という事、と──】
【その境遇、同じ体内に蟲を抱えた存在であるという事の負い目】


……正確には、聞いた事ある話が幾つかといった程度です、正確性に欠ける情報をおいそれと提示はできません
ただ、アルターリ── そこに大きな蟲らしき影があった、という噂は聞きました
けれどもあそこは、今 『魔界』 と繋がっているという話ですし、近づかない方がいいでしょう

── しかし、リュウタ……貴方は私達の本分を忘れてはいませんか
不用意に事件へと首を突っ込むのは、あまり良い傾向ではないと私は思います
好奇心が旺盛なのは構いませんが── 好奇心こそが人を殺すのです


【彼女はそれでも人、と言う── 自分達が最早人ではないとしても、譲れない気持ちがあって】
【同時に、だからこそ人を護りたいという気持ちもあった。矛盾していると自分の中で思う】
【リュウタに掛けた言葉と、自分の行いとを見比べて、矛盾していると──】


全く聞きませんね。── まぁ妥当でしょう。反能力者が進む世相の中で
能力者として顔が割れているセリーナ・ザ・"キッド"が積極的に活動するのはリスクが大きい、と
彼処の人的資源は逸材ばかりです、そう判断したのではないかと考えます

── 或いは、そう出来ない何かがあるのか、と

リュウタ、貴方がもし"機関"や"蟲"といった、敵対組織の存在であったとして
活動する上での一番大きい支障は何処になるでしょうか
そして、その支障を取り除く為にはどうすれば良いか


【パッチワークの様に、ファラーシャは推論を重ねていく】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 19:47:33.56 ID:d+POyHHN0
>>90

【少女の負い目は、少年には恐らく強大な試練として後に伸し掛かるだろう】
【故に、だからこそ、ファラーシャの危惧と心配そして願いは正しく的を得ていて】

「アルターリ……水の国の、崩壊した都市……」
「そこに、そこに奴らがいるんだね?」
「魔界と、僕は、どうなってしまうんだろう?」

【自分が人間であった時、全てを奪った奴ら】
【そして何より、人類を脅かしている強敵】
【ふつふつと、冷たい怒りの感情が湧いて】
【だが……】

「そう、だねファラーシャの言う通りだ」
「でも、でも……」
「そう、だね、ごめん、人だから僕達は……」

【何か感情のままに言いかけたのだが】
【しかし、ファラーシャの意図する『人』と言う言葉に】
【がっくりと肩を落とし、頭を垂れてこう答えた】
【やはり、少女は優しいのだ】
【どうしようもなく、仲間を気遣うのだ】
【少女の心の最奥に隠された気持ちと真実は、少年には解りえないかもしれないが】
【だが、その優しさは十分に伝わっていて】

「本当に、それだけの理由、かな?」
「僕には……控えているだけじゃ、ないと思う」

【セリーナと言う人物にリュウタは面識は無い、だが信念のみで組織を立ち上げ、そして運営し数多くの正義の実績を上げた人物が、あるいはメンバー達が、まさか時勢や風潮に配慮してその活動を控えるとは、少年にはどうしても考えられなかった】
【それは次の言葉でファラーシャが鋭く指摘して……】

「僕が、機関や蟲の魔族として?」
「……」
「……ッ!?」

【少女の的確な問いかけに、何かに気が付いたように】

「UT……セリーナ・ザ・キッドと仲間達の存在!」
「セリーナやUTメンバーは、何らかの組織に活動を抑え込まれている!?」
「それって、まさか……セリーナの身柄……」

【開いた穴を埋めていくが如く】
【あるいは、欠落したピースを補っていくが如く】
【ファラーシャとの話の中で、その部分を推察していく】

「だったら、もしそうだったら……」
「助けなくちゃ、UTを、正義の組織を!」

【こう、泣きそうな顔になりながら】
【実際には、泣きそうなほどに興奮しているのだが】
【こう、一際強く言って】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 20:01:45.45 ID:5WXjETkVo
>>91

【── 猛るリュウタを制する様に、一匹の "蝶" がリュウタの視界を横切るだろう】
【美しい紋様の蝶であった。左右対称の黒と青、見蕩れる程のグラデーションは鮮やかな夜を模して】
【羽ばたく度に煌めく残滓、それはさながら星屑の様に鱗粉が降り注いでいく】


─── ‎"هيممنوس كرونيكل"───
──"Hymmnos Chronicle"──


……頭は冷えましたか? いきなり何を言い出すのかと思えば、勝手に早合点して、呆れてモノも言えません
あくまで私が示唆したのは可能性の一つです、それが真実だなんて可能性は一割も無いでしょう
地下に潜り機を窺ってると考えるのが普通と、私は考えますし、それが真実でしょう

正義の組織を助ける? ──世迷い事も大概にしてください、貴方一人で何が出来ると言うんですか
" 蟲 "についても何も解っていないんでしょう、その状態で両方を追うのですか?
優先順位を付けること、貴方に足りないのは "まず" それです


【蝶が降り注ぐ鱗粉、それは宛らアロマオイルの様に、昂った気持ちを落ち着けるだろう】
【言い放たれる冷たい言葉。ファラーシャは溜息をつきながら右手で前髪をかきあげて】
【ふぅ、と大きく息を吐く。組んだ腕が慄然と立ち誇る】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/27(日) 20:08:41.76 ID:jOO8sIUu0
>>88

……そっか、君にとって家族というのは――血が繋がっているかどうかではないんだね。
だから僕たちも、家族。そういうことなんだ、……うん、なんとなく、わかった。

ありがとう、僕のことも家族と呼んでくれて――頼りない兄みたいなものだけど、精一杯……
……、ひゃ、百年はまだ生きてないかな。あはは……

【かっこいいこと言って締めようとしたけど、お前いくつだよ的なことを言われれば】
【ずれた眼鏡を直す。そうしてまた苦笑いして――もう一度、眼鏡を直した】
【視線はリュウタに移って、ファラーシャに戻って、またリュウタに移る】
【……ふたりの会話を傍観するように、とはいえ、自分も何かを考え込むような仕草】


>>89

いいや、大丈夫。
……水の国のこと、聞いたことないかい? 蟲の騒ぎが起きる少し前のこと。
何者か――とてつもなく強大な力を持った魔術師か何かが、魔界に繋がるゲートを開けた、ということ。

しかしそれとは別物か、……ふむ。生贄、カルトにしてはよくある話だけど、
……どうもさっき言ったみたいな世界征服、とかそういう分かりやすく壮大な目的があるように見えないな。
それならもっと、おおっぴらに動くだろうし……

【リュウタの表情を見ながら、大丈夫かい、と一応聞きつつ。気分が悪そうなら飲み物を口にするよう促して】
【続く問いに、ふむ、と頷いて見せた。それは確かに、と思ったらしい】

確かに、……彼らならもうとっくに動き始めているだろうに。
嫌な予感しかしないね、……大丈夫かい、落ち着いて。
94 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/27(日) 20:17:19.02 ID:pLyo27eOo
>>73

「そんなことないわよ、傷痕もたくさんあるし私より強い人なんてたくさんいるわ」


【貴方に褒められたとしても、マリーはそのようにして言う】
【自身より美しい人、強い人はたくさんいる──その姿に、謙遜は微塵も含まれておらず】


「ええ、そうね……。これからはあんまりやらないようにするわ」


【スカートがめくれ上がるのは、確かに倫理的によろしくない】
【──貴方がムカついてくる、と言えばマリーは呆れたように首を数度横に振って】
【貴方が腕相撲をしようと提案してきた時、マリーはそれに応じたのだけど】


「──それで、スタートはどちらが言うのかしら」


【──特に、これといって驚く様子はない。貴方の手が、常人より熱く感じると言った程度で】
【体内に流れている血は“可燃性”であり、その内のわずかは常に燃え続けている】
【そのために、常人に比べれば体温はそれなりに高く──貴方の手を握ったとしても、その手を見る程度のことしかしないだろう】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 20:19:38.01 ID:d+POyHHN0
>>92

「――ッ」
「き、綺麗だ……」

【夜の様だった、例えるなら草原かあるいは高い山の上で見上げる夜空】
【その夜空を凝縮して、星を一斉に降り注がせたかのような、そんな蝶だった】
【思わず胸の猛りを忘れ、見惚れてしまう程の】

「ファラーシャの、能力?」
「ご、ごめん……つい……」

【普段は激情があまり発生しない分、一度感情が昂ればコントロールが難しいのだろう】
【だが、少女の言葉は、ぐうの音も出ない程の正論だった】
【あまりに正しい、真っ直ぐな言葉だった】
【恥じ入るように、頭を下げて】
【気持ちは、不思議と落ち着いている、その夜空の様な蝶々の鱗粉による物だろう】

「ごめん……」
「そう、だね、そうだよね……」
「セリーナも、他の仲間達も、実力者、だもんね」
「僕なんかじゃ、UTでも足手纏いにしかならないよね」

【ファラーシャの指摘に、そう一つ一つ頷いて】
【自分の腕に確かな自信があるのか?全く持って違う】
【むしろ真逆だ、少女の指摘そのままに、根拠も無い感情しか彼を動かし得る物は無い】

「うん……僕は、何も解らない」
「それでも……守りたい世界が、あるんだ……」
「ファラーシャ、君は、何でこのお店に入ったの?」

【俯きながら、こう呟くように伝えて】
【そして聞いたのだ】
【眼の前で起こる不幸なら、平等に助けたいと願った】
【それは紛れもなく、最大の甘さであり矛盾】
【優先順位をつけて、と言うのは最も欠如している考えだった】
96 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/05/27(日) 20:24:35.43 ID:QK38OukX0
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97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 20:28:43.91 ID:5WXjETkVo
>>93

【エリィの言葉に静かに頷いた、最小限の動作で全ての感情を示す。── 同時にそれは彼女の信頼をも意味して】


ええ、共に相手の事を思い、生きる── その精神性こそが家族であると私は思っています
そりゃ喧嘩もするでしょう、言い争いも頻繁に思います、でも、最後はきっと仲直りをします
……それが私の思う家族です、そして、── 此処は私にとっての "家" なんです

ですから、時に……厳しい事を言ってしまうかもしれません、── 苦手なんです、言葉を選ぶの
砂漠の環境では、一瞬の油断が命取りです。その為咄嗟に出る言葉は、厳しい言葉ばかりでしたから
どうかお気を悪くされない様に……正直、そんなに怒ってませんから


【ね、と軽く右の瞳を閉じて、残った色合いを向ける。オッドアイのウィンクは、とても色鮮やかで】


── まぁ、家族と言いましたが、エリィが兄だなんて此方からお断りします
私が兄に求める条件を微塵も満たしてはおりません、大却下です
素手でサンドワームを葬れる様になってから出直して下さい


【── そしてまた元の冷たい表情を向ける、悪い意味で表情豊か】


>>95

【── "蟲" の能力、それを貴方に明かすのは彼女にとっても短絡的であった、内心一人反省して】


お分かりですか、これは『ごめん』で済む範疇です、── リュウタはそれを超える事を時折しようとします
やがては必要な事でしょう、いつまでも庇護の下に居る事は許されません、砂漠の民も草原の民も一緒です
──、ですが、私は……私は、まだ早いとも思います。命は無碍に扱ってはなりません

……それと、過小評価も禁止です。貴方にはその、誰よりも優しい心があります
それさえ有れば、正義を貫くのに他に必要なものはありません
── なんて小っ恥ずかしい事言わせないでください、全く


【少し言い過ぎたかななんて内心思っているのか、言葉の棘が僅かに減って】


……砂漠の民は共同社会の中で生きます。それは同時に親の庇護の下生き続ける事でもあります
そして、やがて私も親となり、我が子を守り生活を続ける運命にあったのです
故に、その下を離れる時は── 家族を自ら見捨てる時か、或いは……家族を全て、失くした時か

真実などどうでもいいのです、大切なのは、私は今ここに居るという事です
感謝してください、私が居なければ── この店は成り行かないですから
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/27(日) 20:32:13.38 ID:Wb1e5G3f0
>>94

じゃぁ僕がいうね
レディ……ごー!


【と、いうもののもし彼女が一気にたたみかけるように力を入れれば、ドンーーと鈍い音をたててシロの手は叩きつけられるだろうし】
【様子見で力を入れなくとも、シロがほとんど力を入れていないことがわかるだろう】
【どっちにしろ、自分が負けること前提の腕相撲だったらしく】
【ーーそうして倒されれば「僕の負け」なんて言って握っている手を握手するみたいに握り返すのだろう】


マリーさん、強い女性みたいで安心したよ
僕が心配する必要はないと思うけど、この世界、いろいろとアブないみたいだから、気をつけてね


【きゅ、って彼女の手を握る右手に少し力をいれる】
【にこっ、て人懐っこい笑みを浮かべればちらりと店内の時計に視線をうつして】


こんな時間まで引き止めちゃったね、そろそろ出ようか
マリーさんみたいな綺麗な方とお茶が出来て、僕は幸せだなあ。
楽しかったよ、ありがとうございます


【すっかり氷のとけたジュースに視線を落とす】
【握った手を自分から離す気はないのか、そのままお礼を言ってーーもちろん、彼女が手を放せばそのまま引っ込めるのだ】
【これ以上何もなければここでお別れ、になるのだろう】
99 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/05/27(日) 20:53:04.95 ID:QK38OukX0
【──覗き込んでぱちくり、と瞬きをする蛍光の緑の双眸】

ううん?

【水の国。その賑やかな街中では、双眼鏡を覗く女が居た】
【女性本人≠ヘ、通行の邪魔にはならないよう、端っこでそれを覗いてはいるものの】
【どうしてそれを用いているのか、何を監視しているのか、果たして謎めいていて】

……ようし、なんだかんだ、散歩はゴキゲンに好調のようだ。
アイにも、へんなヒトに絡まれたら逃げろと教えているからな!
自由に育てたくとも我が子には、最低限は迅速な教育をせねばな。

……しかし、親心は常に不安の波だ。今度は、防犯ブザーでも持たせてみようか……。

【と、双眼鏡をずっと覗いたまま独り言を言っている。──その声は、かなり大きい】
【周囲は稀有なもの、不審者を見る視線そのもの】
【はっきり言って、不気味∴ネ外の何物でもなく】

しかし、観察しているとジブンから声を掛ける事が随分少ないな……。
もう少し、その辺りの社交性を教えてみよう。
……しかし、この辺りは楽しそうなヒトが沢山いるな!

【──その女性の後ろには、黄色と黒のデザインの大きなロボットが居た】

【球体の胴に手足がついていて、全体的に黄色地に黒線のボディ】
【胴にはモニター、目≠ェ黄色い光で表示されている】
【……果たしてそれは目と呼んでいいのだろうか、(★ ★)このように星が2つ浮かんでいて】
【それが、時折まばたきしている】
【頑丈で太いアーム。手先は五本指になっている】
【足も大きく、踵にマフラーがついている】

【……女性はともかくとして、もうこちらの大きさは完全にはた迷惑≠ナある】

はっ!! ボ……、

──ボルタリング≠ェしたい……!

【──そこで急に突拍子も無く言い出して、女はわなわなと震えていた】
【そこで双眼鏡を外す、周囲を見渡し、手頃な壁のようなものを探していた】

【それは頭頂部付近は黒髪で、肩ほどまでのセミロング。髪の中腹から毛先が白く脱色されている若い20ほどの女だった】
【瞳は緑。何か特殊な加工でもしてるのか、たまに瞼の落とす影でほのかに蛍光発色をしていた】
【白衣を羽織って、白のワイシャツの胸ポケットにスマートフォンを刺している】
【くっきりとした色合いのグリーンのスキニーパンツを履いて、足元は黒い革靴だ】
【手には黒い革手袋を履き、最後に、その頭には赤縁の眼鏡が掛けられていた】


/途中から置きに移動します…!
100 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/05/27(日) 21:00:56.07 ID:+EpjXDEdo
「なんだよ、ここ────」


【目が覚めると、男はそこにいた──】
【昨夜はようやく勝ち得た「自由」から、仲間と共に酒を酌み交わし、床についたのはおよそ24時】
【そして気がつくと、見知らぬ公園の芝生に一人寝そべっていた】
【日が完全に沈み、夜となっているため、正確な時刻は把握できないが、周りを見た雰囲気からすると、恐らくは深夜であろう】
【空気は別段冷える訳でもなく、車の走る音やそよ風すらない夜の公園に、男は一人────】


「まさか、『政府』の残党か、はたまた第三勢力か?」


【常人ならばパニックになるような状況下においても、男は冷静であった】
【とある国家において、強権的な政治を行う『政府』に対抗するレジスタンスの一員、それが男──不動侑斗、コードネーム『テイワズ』──の素性である】
【彼は自由のため、様々な戦いを経験してきた】


【多くの仲間が死んだ】


【家族が瓦礫の下敷きとなり、ただ泣き叫ぶしかない人々も見てきた】


【そんな日に日に苛烈を極める戦場をくぐり抜けきたテイワズにとって、今回の出来事を受け止めるのは容易いことであった】
【まず考えたのは、敵による襲撃である】
【しかし、その可能性は低い、と彼は考えた】
【襲撃したにしても、眠っていた敵を殺すでも捕らえるでもなく、その辺の公園に放置するのは常識的に考えておかしい】
【いくら周りを見渡し、義眼でスキャンをしても敵らしい存在は見当たらない】


「ていうか、なんで武器も持ってんだよ...…」


【普通ならば就寝時は枕元に置いておく拳銃とナイフを、彼はなぜか携帯していた。ご丁寧に、予備の弾倉もいくつか持っている】
【これも敵襲ならおかしいことだろう。わざわざ武器を持たせて捕虜にするような馬鹿は存在しない】
【そして、彼の象徴であり、テイワズというコードネームの由来でもある義手も、完璧な状態であった】


「ブレード、キャノンともに良好……じゃあほんとになんなんだ?」


【彼の義手を知らぬ者はいない。敵の砲撃によって失った右腕の代替物として着けた高性能義手により、彼は今まで多大な戦果を挙げてきた】
【一般乗用車程度なら一撃でスクラップにできるキャノンと、高周波振動により『斬れない物はない』とも称されるブレード】
【寝込みを襲うなら、これを奪わない敵はいないだろう】


「…………」


【わずかに、不安が募る】
【何人もの敵を殺してきた彼も人間である。得体の知れない出来事に遭遇すれば、恐怖だって覚えるものだ】


「────誰かいないのかよおおおおお!!」


【その叫びは、誰にも聞こえず虚空へと消えていくのか────】



/遅くなりすみませんー! やっとこさできました!
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/27(日) 21:07:10.11 ID:jOO8sIUu0
>>97

【ウィンクに合わせて、ゆるく笑みを返す。ひとつ確かに頷いて】

わかってるさ、ファラは本当は優しい子だって。
家族なんだからわかるさ、兄なんだから、兄……

……兄、だめなの? じゃあどんなポジションになるんだい、僕。
サンドワーム、素手、……素手!? それはその、どのくらいのサイズの……
実物見たことないからはっきりとは言えないけど
きっと大型犬くらいの大きさのやつなら行けると思うんだ、
それじゃダメかな……もっと大きな……ええと、馬? 馬くらいのサイズ……いや……

【……また、眼鏡がずれた。そして話題がどんどん変な方向にずれ始める】
【生真面目というか頭が固いというか。「兄」に対する明確な条件を聞き出そうとし始める始末だ】
102 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/05/27(日) 21:07:52.80 ID:QK38OukX0
【水の国――、繁華街から僅かに外れた路地裏の土地】
【人通りは少なく、人の気配のないそこは、違法行為・事件の濃縮される風光明媚なこの国に置ける掃き溜めのような場所だったろう】
【そして、そんな掃き溜めに差し込む月光が生み出す人影は2つ】
【――今、水音とともにその人影が一つとなった】

「――ックハ、クッッハハハハハァッッ――!!
好かった、善かった、良かった、感謝しようッ!!
お前のその抗い、お前のその努力、お前の生を望む有様、そのどれもがこの俺の胸を打った!!称賛するッッッ!!」

【爽やかに、喧しく、両目から涙を流しながら高笑いを響かせる男】
【180cmを超える長身に、靭やかな筋肉を搭載した肉体。服装は黒の制汗素材のシャツに、カーキのワークパンツ】
【刈り込んだベリーショートの髪は、乾いた血を彷彿とさせる赤色をしていて。目の色も、それと同じ色彩を持つ】
【流れる涙を拭うように、黒い手袋で目元を拭えば、"乾いていない血の色"が、皮膚に塗りつけられた】
【視線の先には、四肢の腱を引きちぎられ、全身に無数の裂傷を受けて息も絶え絶えに蠢く巨漢が一人】
【強い憎しみと、強い恐怖と、強い絶望が綯い交ぜになった視線を、立つ男に向けていた】

「妻子を殺された義憤で俺を殺しに来たお前の勇気を、俺は尊いものだと思うよ。間違いなく。
だが、俺も俺で勇気を持って、夢を持って人を殺して、お前たちの絶望になろうとしている。
悪いが殺されてやる訳にはいかないんだ――、だから。殺されてくれよ?」

【振りかぶる手。ぎちり、と黒革の手袋が軋む。四肢に力が籠もる】
【止める手がなければきっと、その手は眼下の巨体に振り下ろされることとなるだろう】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 21:13:18.66 ID:d+POyHHN0
>>93

「いいえ、それは……初耳です」
「魔界へのゲートが開いたのは、それは、身をもって知っています、でも」
「いかに強力な魔術師でも、そんな事一人で出来るんですか?」

【エリイの話を聞き嫌な汗が一筋流れるのを感じた】
【ゲートの事は、よく知っていた、それは自分が人間でなく魔族になった奇跡の切っ掛けだったから】
【だがその事情、理由までは知らなかった、そして何より信じ難い話だった、あまりにも……】

「ありがとうございます……」

【勧められて、レモネードでのどを潤す】
【爽やかな檸檬とミントが、全身に心地よく染みる様で】
【そして、ファラーシャの能力もあって、大分落ち着いている】

「ごめんなさい、取り乱して……」
「はい、ファラーシャは違うだろうとは言ってますが、でも……」

【確かに少女の意見が最も理に適っている】
【だが、この胸騒ぎは何だろう】

「調べて、見る必要があるかもしれないですね」

【ファラーシャの意見が正しかったならば、それは何より良しで】
【しかし、こちらの疑念が的中していたなら……】

「そう言えば、エリイさんは、なんでこの店に入ったんですか?」

【ファラーシャにも聞いた疑問だったが】
【そう言えば、エリイにもこの話は、聞いた事が無かった、と】


>>97

「その時?」
「命を無碍に?」
「ゴメン……その、急き過ぎたよね?ゴメン……」

【少年の自殺行為を、咎めて止める優しさだ】
【それは、少女なりの気使いに他ならず】
【そして、確実に届いている】

「過小評価か……僕には実感が無いな」
「実力が無いのも事実だし、それに君やエリイさんみたいに頭も良くないし」
「優しいんじゃなくて、怖いんだ」
「僕みたいに、また、誰かが同じように理不尽に全部奪われるのが、怖いだけなんだ……」

【卑屈かもしれないが、それが少年の本音だった】
【それ故に、エリイやファラーシャが眩しく見えて】

「ごめん、悪い癖だよね」
「治さないと……」

【そう笑ってみせて】
【だが、次の少女の言葉に】

「ファラーシャ、君は……」
「君も、全てを……」

【最後まで、その言葉は言えなかった】
【君も全てを失てしまったのか?とどうしても聞けなかった】

「……うん」
「いつも、ありがとうファラーシャ!」

【その代わりに、無理矢理に笑顔で、こう答えた】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 21:14:14.98 ID:5WXjETkVo
>>100

【── 足音が響く、告げる来訪者の音色は確かな足取りを持って】
【幾ら混乱していたとしても、男── テイワズであればその音を容易に察知できるだろう】
【そして、その足音の主が明確に、敵意を持って迫って来ている事も】


……こんな公園に、よくもそんな重装備で現れたものだ──
平和ボケをしているのか? 或いはその逆か、何れにせよ俺にとっては大した違いは無い
俺は貴様を知らない、そして貴様は容易に人を殺せる武器を持つ

── それならば貴様は、確かな力を持った俺の敵という訳だ
"能力者"は殲滅する、一人残らず──


【白銀のセミロングの髪を靡かせて、長い前髪から鋭く青い眼を覗かせる】 
【やや長身でスラリと伸びたボディラインを濃い青のストライプのシャツで包む】 
【燕尾服調の高級そうな黒のスーツとネクタイ、細く長い指先はシャツと同じ色の手袋】 

【男性らしからぬ女性的な端正な顔たちは、まるで仮面を貼りつけたかのように無表情で】 
【陰鬱な雰囲気を纏う、儚い印象を与えそうな青年が公園の入口から歩いてきた】
【右手の手袋の甲には "W" と書かれた文字があった】


"カノッサ機関"──"No.4" Fear , Seven for Four
貴様を殺す、男の名だ──!!


【フィア、と名乗った青年は右手にダガーナイフを握り、間髪入れずに投擲してくる】
【狙いはテイワズの首筋であった。真っ向から殺しにかかる、敵】
【それは手馴れた手段であった、きっと、何人もの相手へその手法を用いてきた、と】

【数々の修羅場を乗り越えてきたテイワズならば対応できるだろう、見知らぬ土地の見知らぬ場所、見知らぬ男の襲撃】
【聞き慣れない組織の名前を口遊ながら、それが道理であると言わんばかりに】


/よろしくお願いします!
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 21:27:02.44 ID:5WXjETkVo
>>101

【ファラーシャは冷たい目を向ける。── 思春期の少女が兄に向けてする様な、そんな色合いで】


その勝手に人の名前省略するの止めてもらえます? エリィは自分からこう呼んでほしいとごねるから呼んでるだけで
私はファラーシャと途中で止められるのも少し嫌なんですよ、家族から貰った大切な名前です
あと、本当とか本当じゃないとか関係なく私は優しいです── 正直なだけで

……さぁ、家族の末端にいる居候とかじゃないですかね。それかペットの吸血鬼か
それでも高貴なる夜の眷属の一人ですか? はぁ……もう一人の吸血鬼が見たらどう思うか
── それもこれも、吸血をしないからでしょう? 飲んだらもっとマトモになるのでは?


【蒼銀の髪の切れ間から、覗く首筋── 艶やかな褐色に彩られた柔肌が、呼吸の度に淫らに濡れる、けど】


>>103


── 怖さを知っている事、それが一番の強さであると、私の部族の戦士が言っていました。
彼は最も強い戦士ではありませんでした、けれども── 一番長く、生き抜いた戦士でした
彼は幼い私の頭に手を置いて、そう優しく言ってくれたのです

……今ならば分かります、恐れを知らない戦士など、それはただの蛮勇なのです
そしてリュウタ、貴方は── 怖さを知って尚、立ち向かおうとする
それが……一番の強さではないでしょうか


【含みのある言葉であった。蟲を宿しても尚、立ち向かう意志を見せる姿は】
【── 僅かばかり表情が強ばった。もしかしたら、リュウタに疑念を抱かせるけども】
【そこにはいつもの様に、眩しい笑顔があって──】


感謝の言葉より、貴方が早く仕事を覚える事が私にとってもっとも嬉しい事なのですが
伝票の付け方は覚えましたか? 領収書の切り方は? 常連のお客様のアレルギーは御存知?
給仕だからと言って愛想を振りまくだけなのは、二流のする事です


【そして此方には冷たい表情があった。お客様には絶対向けない表情】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/27(日) 21:38:42.78 ID:jOO8sIUu0
>>103

聞いた話だと術を使ったのはたった一人。他にも仲間はいたらしいけど……
まあなんにせよ、ただの人間が興味本位でやったこと、なんかじゃないだろうね、絶対。

【「さっきまで言ってた、わかりやすい方の理由で世界を脅かすタイプの輩かも」】
【自身もレモネードを飲み下しながら。眉根を寄せて――楽しくない話をするときの顔】
【落ち着いたと思わしきリュウタを見て、うん、と相槌しながら。……グラスをまた掻き混ぜて】

……僕? 僕は……入ったというか、拾ってもらったんだよ、マスターに。
これは前教えたっけ、僕はもともと人間だったけど――一度死んで吸血鬼になったんだ。
吸血鬼というか魔族ってやつはこう……純血主義が強いからさ。
コミュニティに入れてもらえなくて、それで孤立していたところを……

【「拾ってもらったというわけ」。そう答えたが――言葉にする顔に、どこか翳りを残して】
【半分くらいは本当のことを言っていた。けれどもう半分の要素は、隠している、意図的に】
【嘘を吐くのが上手、というわけではないから、看破することは容易だろう】
【そこに入りこんでいく気がリュウタにあるかどうかは別として。何かを含んだまま、エリィは言葉をそこで切った】


>>105

う、ごめ……ファラーシャ。……居候……ペット、ペットかあ、……うーん……

【少女の名前をきちんと呼び直しながら。納得いかない、みたいな顔をして】
【細い顎に黒革のぴたっと沿った指を添えて、ううん、と唸っていた】
【もう一人の吸血鬼、を思い出して、確かになあとも思っていたりして】
【彼(だと思っている)と自分、同じ種族なのにこうも違うとは。考え直すとまた、弱気が強くなってくる】

……飲んでは、いるよ、輸血パック。
最近のはけっこう新鮮で、上質なやつも増えてるんだ……だから問題はない、はずなんだけど……

【ちら、と。カフェオレスキンの艶めきに視線を落として――すぐに申し訳なさげに逸らした】
【けど、と結んだ。ということは、あんまり問題ないわけじゃない、ともとれる】
【良くも悪くもまだまだ人間としての意識が生きていた。まあそのせいで、時々貧血で休んだりもするのだが】
107 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/05/27(日) 21:40:14.18 ID:+EpjXDEdo
(カノッサ──なんつった、こいつ。まあいいや)


【そんな思考をしながら、テイワズはまっすぐ飛来してきたナイフを義手ではたきおとした】


「100パー敵だろうし、知ったこっちゃねえか」


【今のは小手調べだろう、と推測する】
【明らかに眼前の男は、この程度のスローイングナイフが限界ではないだろう】
【明確な殺意とともにナイフを投げてくるような者が、酔狂で絡んでくるとは思えない】
【それだけで、見知らぬ地に放り出され、ストレスの溜まっていた彼には“充分”であった】


「よう、V系の兄ちゃん。こちとらプチホームシックでイライラしてんだよ」


【喋りながら、彼は義手を“発動”させた】
【どこか聞き心地のいい音とともに、右腕がその形を失い、また別の形となっていく】
【それは、乱暴にいうなら『物騒なモノ』である】
【戦車すら壊せるイオンパルス砲と、装弾数200発のチェーンガン。並の人間が喰らおうものなら、瞬く間にミンチとなるような代物だ。】
【だが、目の前の男が放つ殺気は『並の人間』のそれではなかった。】


【────故に、彼は“全力でぶっぱなす”ことにした】


「地獄で感想聞かせてくれや」



/こちらこそよろしくお願いします!
/書きながら思う…難しい…!
108 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/05/27(日) 21:40:49.42 ID:+EpjXDEdo
安価忘れてたー!
>>211>>208向けです!
109 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/05/27(日) 21:45:47.08 ID:+EpjXDEdo
/また間違えた…>>111>>108向けです…
/専ブラのバグがひどい…
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 21:54:17.25 ID:5WXjETkVo
>>107

【弾幕が公園を覆った。特殊部隊ばりの火力に地鳴りの様な轟音が響き渡る】
【舞い上がる砂煙が視界を染める、── 恐らくはテイワズにとって何の支障も無いだろうが】
【銃弾がフィアを捉える刹那、彼の姿が消えた。── 否】


その要請は受理できない、貴様がこれから行く先が地獄だからな
── 奇怪な右手だな、それが貴様の能力、いや── これは武装か、かなりの技術力だが
そんなもの、所詮玩具に過ぎない、俺の意志を折るには、柔過ぎる──!!


【 "頭上" であった。上空にダガーナイフが静止し、その柄から伸びたワイヤーにぶら下がる形でフィアは弾幕を回避した】
【ワイヤーを手元で切断、重力に引かれテイワズの頭部へとフィアは落下する】
【再びスーツの袖からダガーナイフを展開、右手で逆手に握り、振り下ろす】

【義手に打ち付ける軌道の攻撃であった。その強度を測る狙いもある】
【攻撃の成功不成功に関わらず、フィアは地面に着地し、構えるだろう】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 22:00:09.54 ID:d+POyHHN0
>>105

「怖さを知る事が……」
「ははは、本当に実感がないや……でも」
「ありがとう、ファラーシャはやさしいね、本当に」
「それに、色んな事を知ってるし、敵わないなファラーシャには」

【一瞬、ほんの一瞬だが少女の表情に陰りが見えた】
【気になる表情だった、見た事のない顔】
【しかし、疑念は一瞬で少女の普段の笑顔にかき消され】

「ご、ごめん……その」
「精進、します……」

【俯いて申し訳なさそうに】
【お客さんの嗜好やアレルギーはおろか、時折伝票を書き間違え、彼がおやっさんと呼ぶ店主にはその都度怒られている】
【非常に耳の痛い指摘だった】

>>106

「そんな、そんな事が一人で出来るなんて……」
「まさか、魔族、なんでしょうかね?その人……」

【話は、あまりにも人間離れし過ぎている】
【相手はあるいは、自分と同じ存在かも知れない、と】
【話を聞く限り、可能性は、十分にあり得る】
【レモネードのグラスは、一面に水滴を纏い、冷や汗の様にコースターへと滴る】

「おやっさんに?」
「エリイさん、アンデッドだったんですか?!」

【拾ってもらった、この話は初耳だった】
【初耳だったが故に、妙な親近感の正体も理解できて】
【アンデッドで魔族、経緯は違えど、それでもおやっさんことマスターに拾ってもらい此処に居て】
【こうして自分と話をしている、面倒を見て貰えている、縁の強さと言う物を実感して】

「魔族は、そうですね、多分人間よりも排他的……ですから」
「特異な存在は、認めたがりませんし」

【これは、自分自身にも覚えのある話だった】
【だからこそ、この場は、この店は奇跡的と呼べるのかもしれない】

「……エリイさん?」
「どうか、したんですか?」

【突然だった、ふいに今まで見た事の無い様な暗い影のあるような】
【そして容易にその先へと、踏み込めない様な表情を見せる】
【それは、やはり少年には大きく引っかかるっ所で】
【そして、尋ねずには、いられなかった所だ】
【もっとも、何か踏み込んではいけない様な、そんな気もして、控えめでありきたりな聞き方しか出来なかったが】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 22:10:30.37 ID:5WXjETkVo
>>106

【その所作で十分であった。── ファラーシャに取って、メンバーの思考など手に取る様に分かる】
【­­それだけ長く、この店に関わってきたという自負も手伝って】


── 筈なんですけど、どうなんですか? 逆接で繋いでしまったのはミスですね
隠すなら隠し通してください、そうであったなら私も見て見ぬふりができますが
貴方がそういう素振りを見せてしまったなら、気づいた者として役割を果たします


【二つに結った根元を軽く握って、一つに束ねる様にして、貴方に首筋をさらけ出す】


……飲みますか? 店員の健康管理も、私の仕事のうちの一つです
生憎と吸血される経験も、吸血した経験もありませんが──
そこまで激しいものではないと、思ってるんですが

>>111

当たり前ですよ、リュウタの様な半人前が私に及ぶなど十年早いです
下積みから何まで圧倒的に足りていません、分かったなら一つずつ仕事を覚えてください
貴方は今下っ端です。つまり貴方が努力すればするほど全体の底上げになります

真に良い集団とは上位が秀でているのではなく、下位の質が高い集団の事を指します
帝王学の基本です、理解いただけたなら引き続き努力するように
── それと、私は優しくなんかありませんから、お忘れなきよう


【ピシャリと言い放つ── 冷たい一言でもあるけど】
113 : ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/05/27(日) 22:12:58.04 ID:jOO8sIUu0
>>102
【人気の薄い路地裏――ただそれ故に大声は良く響く。近場にいれば、男の声を察知することは出来ただろう】

……毎日毎日……ここの人達、誰か殺してないと気が済まないの?

【場違いな高い声が聞こえると同時に――ダンッ、ダンッ、ダンッと薄汚れた石畳を粉砕しそうな勢いで、何かが突っ込んで来る】
【人気の薄い路地裏故に、大声を上げればそれは良く響く。男の声を聞いて誰かが駆け付けたのかも知れない】
【弾丸のように疾駆して来る相手から感じるのは、焦燥。今正に振り下ろされんとする、男の腕への、焦り】

――その手を、止めなさいッ!!

【腕を掴むのは間に合わない。警告だけでは止まらないかも知れない。だから突進して、そのまま拳を男へと振りかぶった】
【技巧もへったくれもなく、ただしまともに喰らえばただでは済まないと言う勢いだけが有る。その手を防御に向けさせようとする、目論見】
【暗い路地裏でも接近すればわかるだろう。それはまだ幼い少女だった】
【格好も、至って普通なTシャツとジーンズ。少なくとも公安や自警団ではないだろう】
【社会の掃き溜めのようなこの場所には、通常近付きもしないような人種だろうが、その細腕には、通行許可証代わりとばかりの暴力性が感じられる】

【ひたすらに真っ直ぐ――恐らく、まだ男の姿すらはっきりと視認はしていないだろう】
114 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/05/27(日) 22:13:54.76 ID:+EpjXDEdo
>>110


【やはりとでも言うべきか、予想通りに手応えはなかった】


「まいったな…今ので殺るつもりだったんだが」
「ていうかなんだ、能力って、こちとら瞬間移動もレールガンも撃てませ────ッ!」


【独り言を中断したのは、上からの殺気だった】
【銀のセミロングの髪を風にあおらせながら、フィアと名乗った長身の男が降ってきた】
【彼我の距離は5m前後と言ったところか、この状況では義手の変形も間に合わない】


「悪いけど降ってくるなら美少女に産まれて来いよッ!」


【叫び、彼は力任せに義手でぶん殴る】
【50kgは優に超えている上、パワーアシストもついた金属の塊で殴られれば、いくらフィアといえど、傷は与えられない可能性は高いが吹き飛ばすことぐらいはできるだろう】


/速筆で長文書けるのって尊敬します。慣れですかね?
115 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/05/27(日) 22:21:34.48 ID:QK38OukX0
>>113
――ッハ。今日は――善い日だ。

【足音。焦燥の混ざるそれを耳にして、何かを噛みしめるようにつぶやき。頬に涙が流れる】
【顔に浮かべる表情は、歓喜。血まみれの薄汚れた舞台の闖入者。男は歓迎するように笑みを浮かべ、その少女に目線を向けた】
【にぃ、と裂けるように口を弧の形に歪ませ。口角に垂れる血をぺろりと舐めた】

その勇気に免じて――この手はお前に振るうことにしようッッ!!

【拳に対応するは五指。形は貫手のそれ――空気を引き裂く甲高い音。手に纏わりつく、赤黒い魔力】
【何らかの防御、回避が無ければ相手の拳と衝突するだろうその軌道】
【拳と貫手――それが衝突という結果を得たならば、特殊な事情が無ければ相手の四指には深い裂傷が刻まれる事となるはずだ】
【そして、その衝突の結果如何に関わらず、男は大きく後ろに飛び退り、獣の如き前傾姿勢を取り、少女に相対する】
【手の構えは、五指を開いた独特のもの。その構えから、どの類の攻撃が放たれるのか、想像するのは少々難しいだろう】

紛れもなく――、正義の人だな。君は。
幼く、未熟――しかし、それでもなお、"輝き"を持つ。眩しい人間だ。
――さあ。俺に"もっと見せてくれ"。

【爛々と、"暗く輝く瞳"を向けて、男は相手に語りかけた】
【まるで恋い焦がれるような、悪意など微塵も無いような、憧れに満ちた言葉だ】
【唯の悪人とは、少々違うような。そんな気配も与えるだろうか。――まあ、紛れもなく人を殺す邪悪ではあるのだが】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/27(日) 22:22:31.28 ID:jOO8sIUu0
>>111

わからないけど――魔族と同等、あるいはそれ以上の能力を持っているのは紛れもない事実だよ。
何せアルターリをまるまる一つ潰した奴なんだ、相当な――脅威だろうね。

【楽しくない顔はずっとそのまま、むしろどんどん渋くなっていくみたいに】
【掻き混ぜるのもやめにして、氷とグラスの擦れる音も立たなくなった。中身は、融けた氷で薄まりつつある】
【それを一気に吸い上げて、飲み干してしまってから――一息ついて、うん、と頷いた】

そういうこと。僕が元人間っていうの、なんとなくわかるだろ? ここで結構浮いてるんだから。
マスター、心が広いというか……豪胆だよね、僕らみたいなはみ出し者も拾ってくれるんだからさ。

……さあ、どうかしたかもしれないね。そのうちまた、……詳しく教えるよ。

【「リュウタ、君にも、そういうときが来るかもしれないから」――曖昧な言葉で濁して、口元だけで笑う】
【そういうとき、というものが、具体的にどんなものなのか。言葉にはしなかったけど】
【リュウタとエリィとには共通事項がある。人間ではないということ、――バケモノであるということ】
【そこからなんとなく、匂わせる程度には、何かをうかがわせていた】


>>112

う。……時々、本当にときどきだけど……
生身のイキモノから吸血しないと、気が済まなくなる、ことがあって……

【当然といえば当然のことだった、人間の感覚で言うなら、ずっと缶詰ばっかり食べて生きているようなもの】
【たまに新鮮な肉とか魚とか野菜とか、活きたモノを口にしたくなるのは、おかしなことではない】
【……けれど青年にとってはそれは「おかしなこと」だった。彼の人間らしさは、ここに来て悪影響を及ぼしている】

わ! い、いきなり肌を見せるのはやめないかっ、嫁入り前の娘なんだよ君は……
……、……いや、大丈夫。まだ暫くは持つはず、だから。
本当に危なくなったらそのときは、……お願いしてしまう、かも、しれない。

【おじいちゃんみたいなことを言って(実際おじいちゃんの年齢だけど)あたふたしながらも】
【自然と湧いて出た唾液を音もなく飲み下して。首を横に振る、それから、「してしまうかもしれない」】
【そのワードを口にするとき、本当に悲しそうな顔をした――家族にこんなこと、頼んでしまうなんて、って】


>>ALL

……と、今日は僕が会計当番だった。そろそろ見て来ないとまずいね。
じゃあ僕は、ここらへんでお先に――二人は明日もシフト入ってたっけ?
入ってたんなら、また、明日。

【会計当番。レジと金庫の金を数えて、ぴったり合っているかどうかを確認し、記録する】
【日替わり当番が、今日はエリィの番だった。これをしないことには明日の開店ができなくなるから】
【一足先に抜けて、作業を始める。そのために、席を立った。空いたグラスと賄いの皿を回収しつつ】
【彼はバックヤードに消えていくことだろう。また明日も、この店を、居場所を。守るために】


//途中抜けしておきながらすみませーーんここいらで落ちます。。。
//一足先におつかれさまでした、とっても楽しかったです! ありがとうございました!
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/27(日) 22:24:45.27 ID:yVCEmyMA0
【路地裏――――】
【――そこには蠢くような気配があった。物音はしてこない、ひどく静かであるのに。まるで何人もがそこに居るように、ごちゃっとした気配】
【もしも誰かが覗き込んだならば、やはり、そこには何人もの人。せまっ苦しい道を塞ぐようにして――けれど、何かがおかしい】

…………早くしてください。ウヌクアルハイ様は血はもちろん、涙や悲鳴さえ滴るような生餌がお好きですよ。
あなたがたが遅かったせいで死んでしまっては意味がありません、――早く!

【そこには確かにたくさんの人が居た。けれどそのうちの何人かは鮮やかなマゼンタ色のリボンで縛り上げられて、地面に転がされていて】
【その傍らにはわりに大柄の男たち――全員ばらばらの位置ではあるが、見える箇所に蛇の入れ墨を施している――が、今まさに、縛り上げられた人間を担ぎ上げ】
【それを眺め指示しているのは、どうやら少女であった。――といっても、口ぶりや態度を見るに、この場で一番彼女が"偉い"と見えたなら】

【――透き通るようなウィステリア色の髪は腰ほどの長さ、色白の肌に、ぱっちりと鮮やかなマゼンタ色の瞳が、よく映えて】
【華奢な体躯はそれでも165の高さ、腕組みした仁王立ちで男たちに指示を飛ばす、――その様子をじっと見つめて、彼らが一人一人と担ぎあげたなら、その後ろを歩きだす】
【襟元に刺繍の入った白いカットソーにスキニーのジーンズ、なら、こんな場所には不釣り合いなほどのスタイルを透かして、組んだ腕がゆるりと豊かな胸元を持ち上げる】
【足元はかかとは高くないけれどすっきりしたパンプスだった、――担ぎ上げられた数人のチンピラ、を縛り上げるリボンと同じ色をした目が、それらを捉えたなら】

……あなたがたは"我ら"よりも先にウヌクアルハイ様と"一体化"する権利を得たのです、それはとても素晴らしいことなのですよ。
――――さあ行きましょう、面倒な自警団に嗅ぎつけられては"手間"ですから。

【まるで安堵させるようにとびきりの笑顔で語りかける、――チンピラたちは怯えた様子で、けれど、身じろぎ一つもできないと言う風に、黙りこくっている】
【発話や血流を阻害された人間なんてきっとそんなもの――異様な一行は車を停めている少し開けた場所、まで、ぞろぞろと歩き出して】

【――――あるいは。電話でもあれば"彼女"が応対するだろう。そうでなくとも、彼女らは、すぐにでも本拠地へ戻るのだろうし】
【もしかしたらまた違った場所で待ち合わせでもあるのかもしれなかった。そうであったなら――彼女は車まで"サーバント"を見送り、そちらへ向かうのだろう】
【あるかもしれない電話が呼び出しであれ、もともと待ち合わせがあったのであれ、彼女は間違いなくその時間にその場所へ現れる。本拠地で誰かが待つのでも――きちりと、その場所へ】

/予約のやつです……!
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 22:26:56.46 ID:5WXjETkVo
>>114

【力任せの義手の一撃、直撃の瞬間── 思わずフィアは息を吐いた】
【重量の乗った拳が彼のダガーを弾く、衝撃を殺しきれず後方に吹き飛ばされる】
【一度、二度、と地面をバウンドしながら弾き飛ばされ、それでも姿勢制御】

【地面に両足を広げ、ずずーっと音を立て着地、溜まった息を吐き出す】


……なんだ、能力を知らないのか、一体何処の部隊のものだ
教育もされずにそこまで巨大な武器を操るとは、ただ者ではあるまい
── 興味が湧いた。後に繋ぐためにも情報を知りたい

お返しに俺からも一つ啓蒙しよう、能力とは── 罪だ
俺も含めた全ての人類に課せられた、抗うことの出来ない、罪
故に俺は全てを全滅する── それが俺の、使命だ


【先程のダメージは大きかった様で、直撃を受けた右腕が力無く垂れていた、折れているのかもしれない】
【けれども彼は無表情のまま、淡々と殺意を向けていく──】


──"Liquid Tension Experiment"


【フィアの後方に数十を超えるパソコンのモニターが出現する、皆一様に画面に文字を浮かべていた】
【── Quick その文字を視認するかしないかのタイミングで、再びフィアが疾走する】
【人間のものとは思えない速度であった、瞬く間に互いの距離を埋め、接近する】

【左手でダガーを握り、生身の部位へと切りかかろうとする】


/わー! ありがとうございます! 慣れですね!
119 : ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/05/27(日) 22:41:36.98 ID:jOO8sIUu0
>>115
【ガキンッ!!と鈍い衝突音――ぶつかった拳と貫手。遮二無二突っ込んだ少女は当然防御も回避は出来ない】
【――しかし、鉄板でも斬りつけたかのような硬質な感触は想像とは異なるものだろう】

――ッ!!

【相手が飛びのいてくれたのは僥倖。少女は自分の勢いを殺せず、蹈鞴を踏むように仰け反ったからだ】
【しかし、どうにか、トドメを刺すことは防ぐことができた】
【息を乱しながら、ようやく相手の男を視界に収める】

……何で、泣いてるの、あなた?

【何より最初に気になったのはそれだった。挑発めいた言葉。戦闘を望んでいるのは明白であるのに、何故泣く理由が有るのか】
【喋りながらも少女は拳を庇うように撫でる。男の想定よりは浅かったろうが、拳からは血が流れ、裂傷を負っている】
【無意識に庇ってしまう辺り、痛みにも然程慣れていないように見えた】

仰る通りの正義の使者よ。
そういう貴方は悪人?この倒れている人の……妻子を殺したって。

【問うまでもない。どんな理由が有ればその行為が許されるのか】
【しかし、男の言葉にその辺のチンピラとは違う空気を感じたからか、戦いの場でそんな言葉が口を突く】
【こちらも身構えはするものの、男の独特の構えには戸惑いがある】
【先に受けた一端だけで能力を類推するには、全く経験が不足】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 22:42:14.35 ID:5WXjETkVo
>>117

【── 刹那、少女の周囲の空間だけが一変する。それはまるで世界から隔離された様に】
【例えるならば、一人だけすくい上げられた金魚。どれほど跳ねても網の中から抜け出せられない様に】
【少女が瞬きをしたなら、次の瞬間には、真っ暗な空間の中に身体だけが浮いているだろうか】

【── 宇宙空間に似ていた、上も下も右も左も奥も手前もない】
【ただ真っ暗な空間が何処までも続いて──】


ご苦労様です── "ミス・ムリフェン" いえ、この場では貴女の名で呼んでさしあげましょう
蜜姫 かえで嬢、度重なる "ウヌクアルハイ様" への捧げ物、本当に素晴らしい
私も長くこのカルトに関わってきましたが、貴女程熱心な信者そう見た事はありません

── 故にこの様な場を設けさせて貰いました、初めまして
私は "ケバルライ" の名を持つ貴女の同志が一人
そしてその名を "ジャ=ロ" と申します。以後お見知りおきを


【無明の闇の中に男が一人現れた。長身の男性であった】
【長い黒髪に白いシャツ、年齢不詳なその様子は、取ってつけたように作られた格好をしていて】
【黒い空間を歩きながら、貴女へと近づくだろう、同じ幹部の一人として】

【── しかしその存在は遥か、人間を超越している様でもあった】


"ウヌクアルハイ様" は喜んでおられる、貴女の至上の喜びがそうであったように。
貴女の喜びは "ウヌクアルハイ様" の喜び、 "ウヌクアルハイ様" の喜びは貴女の喜び
そうする事で私たちは主と同一化していく、そうであったでしょう?

── 今宵は貴女に褒美を用意致しました、より一層、"ウヌクアルハイ様" に近付けるように。
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/27(日) 22:47:24.09 ID:d+POyHHN0
>>112

「ひッ……あ、そ、それは、そうだけども……」
「ごめん、修行します……」

【相手は一枚も二枚も上手だった】
【仕事面も考え方も】
【年齢的には、そう変わりは無い筈だが】
【その点はやはり、育ってきた環境とそして立場がそうさせるかもしれないが】

「そんなこと……」
「そんな事、無いと思うけどな」

【自分は優しくない、そう言ってのける少女だったが】
【でも、決してそんな事は無いと思った】
【あくまで聞かれれば、また何か言われそうで、だから、もごもごと聞こえるか聞こえないかだが、そう言って】
【やはり気恥ずかし気に、顔を伏せたのだ】

>>116

「怖い、相手ですね」
「僕達で、勝てるでしょうか……」

【まだ知らぬ、そして得体も知れぬ相手だ】
【だからこそ、エリイ同様に顔を強張らせて】
【そして、そんな不安を口にするのだった】

「はい、何となくですが」
「他の吸血鬼の魔族の人とは、エリイさん、違う感じがしますから……」
「おやっさん、僕も拾われた口です、なんだか不思議な人ですよね?そんな存在ばかり集めて、こんなお店立ち上げて」

【店の店主の存在は、多かれ少なかれ、ここに集う者達には支えとなっている】
【根底は、皆マスターを慕っているのだ】

「……エリイさん」
「わかりました、その……その時が来たら、教えてください」

【エリイの表情の訳を、その暗い部分に何を秘めているのかを】
【きっとその時には、何かが変わっているかも知れない】
【今はまだ、その時ではなくて】



>>ALL

「あ、そうでしたね!」
「じゃあ、エリイさん……よろしくお願いします!」

【レジ金と、そして金庫の資金の確認】
【当番制の業務は今日はエリイだった様で】
【彼に、任せて、そして明日も仕事だ、と思い返して】

「では、すみません、お先に失礼します」

【賄いの皿や鍋、グラスを洗い終われば、そうエリイとファラーシャに告げて、退勤する】
【そう、明日もこの店は開店する】
【お客さんと、そして、まだ見ぬ誰かの平和の為に……】


【ひとつ 人の世、生血をすすり】
【ふたつ 不埒な悪行三昧】
【みっつ 醜い浮世の鬼を、退治てくれよう……】


//お疲れさまでした!
//この辺で〆でよろしいでしょうか?
122 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/05/27(日) 22:49:53.93 ID:+EpjXDEdo
>>118


【突如高速で突進してきたフィアに対し、慌てて身をよじる】
【──が、間に合うはずもなく、左の上腕部、そこから5cm程度をダガーが走る】
【鮮血が吹き出し、テイワズは苦悶の声を上げる】


「──ガアアアッ!」


【続く一閃は辛うじて避け、バックステップを数回して距離をとる】
【まさに『超常現象』であった。フィアの背後に出現したパソコンモニターからの高速移動、そして彼の口にした『能力』という言葉。それらを重ね合わせた解はひとつしかない】


「──ハァ、ハァ…。ハッ、てめぇ、マジでそういう特殊能力者なのかよ」


【そう信じるしかなかった。彼の知る限り、そんな能力者が存在した、という話は噂にもない。ならば、本当にここは一体────】


(クソ、マジで夢ならいいのにな、これ)


【無論、これが夢ではないことは彼も理解していた。左腕の痛みが、それを証明している】
【まず知るべきは、ここがどこかだろう。そう判断した彼は、義手を通常モードに変形させる】


「なあ、数秒でいいから休戦しねえか? アンタもその腕の痛みに慣れるの時間かかんだろ? こっちも色々質問あるしさ」


【それが馬鹿げた提案なのは重々象徴している。だが、今の状況は彼にとって理解できないことが多すぎる。それゆえ、テイワズは賭けに出て質問してみることにした】


「まず、────ここはどこだ?」



/この公園の所在地は水の国郊外でお願いします
123 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/05/27(日) 22:49:58.09 ID:pLyo27eOo
>>98

【力をちょっとだけ入れてみれば、拍子抜けとばかりに簡単に倒れて】
【まるで、此方が勝つように仕組まれたような──そんな感じがしたのだけど】
【きょとん、としていれば手を差し出されて、その手をしっかりと握り返す】


「ええ、ありがとう。私達でさえ危険なのに、市民に危険が及ばないようにしなきゃね」


【危険が迫っているのは私達だけではない──市民もそれは同じなのだ】
【握る力を強められれば、此方もちょっとだけ握る力を強くする】
【貴方の人懐こい笑みに、マリーは頬を緩めて】


「いや、此方こそありがとう。カフェオレのお代、払ってもらったんだもの」
「また会えたら、そのときは私に奢らせて頂戴?」


【なんて言えば、修道服の裾を揺らして女は去っていくことだろう】
【次に生きて会えたときには──私から奢ろうと、そう決めていたのだ】

// コレで〆でしょうか、ありがとうございましたっ!
124 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/05/27(日) 22:53:42.55 ID:QK38OukX0
>>119
ッハ!!どうやら勇猛であっても蛮勇ではないようだ!!

【硬質な感覚ににんまりと笑みを浮かべる。わずかに飛び散った血を、空中で男は掴み取り】
【後ろに飛び退った後は、感触を確かめるように数度、その手を握って開いた】
【死に近いが、未だ死なず命をギリギリのところで繋ぎ止めて転がる男には、なんとも言えない目線を】
【そして、相手の問いかけ。なぜ泣いたかとの言葉には、にんまりとした笑みを浮かべる】
【ぐちり、と涙を血まみれの手袋で拭えば、また顔は真っ赤に塗りたくられて】

それはもう――、君の様な善性の心を持った人間が居る事に胸を打たれたからさ。
俺は正義や善ってヤツが大好きでね。眩しいそれを見られたことが、嬉しくて堪らなかったのさ。泣くほどに。

【破綻した論理。正義や善が好きならば、善行を働こうものだというのに】
【この男は、あろうことか人間を一人半死半生に追い込み、先の言葉では妻子を殺したとまで言っていた】
【相手の問いかけ。己が倒すべきものであるかを確認するかのような問には、青いと小さくつぶやき】

ああそうだ――、この男の妻子をそれはもう残虐に殺し尽くしたよ。
俺は正義や善とかキラキラしたものが好きだからさ。
それを輝かせる。それを引き立てる。それをより強くする、闇だとか試練だとか絶望だとか悪魔だとかになりたいのさ。

――さあ。十分だろう。小さな"正義の使者"さん?

立ちはだかるは倒すべき邪悪だ。その全力で。その全身で。その全霊で――。

【酔ったように連ねられる言葉。狂気の滲むようなその思想は、しかし男からすれば正しい理論。故に迷いなど見られない】
【ポケットにおもむろに手を突っ込み。引きずり出したのは――"赤黒い人の心臓"】
【満面の笑み、直後――心臓を握りつぶし。男の姿が消える。否――】

――"輝き"を見せてくれェェ―――ッッッ!!

【低い前傾姿勢からの、異様なまでの瞬間加速。後ろに振り抜かれた両腕の内の右が、全身のバネを利用して前に突き出される】
【狙いは喉。五指を開いたままのそれは掌底のようにも見えるだろうが、指先が届く間合いに手が届いた直後】
【その五指は閉じられる。指先にわずかでも触れたならば、大型の肉食獣の爪よりも遥かに鋭利な刃物で切り裂かれたかの如き傷が残るだろう】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 22:54:25.19 ID:5WXjETkVo
>>116

【そう言われてファラーシャは静かに髪を下ろして、少し物憂げな表情を向ける】


別に家族に肌を見せるのに抵抗なんてありませんよ、砂漠では日常茶飯事でしたから
特に髪の毛洗ってもらったり、とか── これは今は関係ありませんね
── 意思が弱いんですから、いいですよ、その時はお付き合いします

ええ、私も明日入ってます、では、また明日──


【そう言って彼女はエリィを見送って】

>>121

── ふぅ、お説教ばかりも疲れたでしょう、今日はこの辺にしておきます
リュウタが戦力になれば大きいのは間違いないですから、本当に
頼りにしてます、よ──


【去りゆくあなたに聞こえないぐらいの音量で、小さく付け加えた】

/お二人様お疲れ様でした!!
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/05/27(日) 22:56:47.77 ID:Wb1e5G3f0
>>123

と、いうことはマリーさんまた会ってくれるんだね
ふふ、どこまでも素敵な人だ……じゃあ、その時は……お言葉に甘えて

【マリーの言葉に一瞬ーーほんの一瞬だけど、パァって光が射すみたいに、大好きなおやつを差し出された子供のようにーー陶磁器の?がほんのり染まって、驚きと嬉しさに漆黒の瞳を丸くした】
【去る背中にひらひら、と手を振る。彼女が気づいていてもいなくても、その姿が見えなくなるまで見送るのだろう】

【ーー彼女が去った後】
【少年もまたご機嫌なタップを踏み、帰ってゆくのだろう。手を後ろに組んで、そのあとは音もなくーー】

//絡みお疲れ様でした!ありがとうございますー!
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 22:59:51.80 ID:5WXjETkVo
>>122

【── 浅い、と内心舌打ちする。かなりの反応速度であった、やはりかなり場慣れしている男だ】
【能力に対して無知な状態でこれであったなら、この世界での戦闘に対応したなら──】
【空恐ろしいとすら思える程に、其の戦闘力は脅威とも言えた】


── 『水の国』だ、この世界で最も大きな国の一つに挙げられる
成程、貴様── 別世界の住人か、そうであればその技術力にも承知が良く
俺は知らないが、"機関"のデータベースには何人か別世界からの住人も確認されている

良いだろう、質問に答えてやる。── 感傷に浸る様なそんな理由ではない
貴様の世界の技術力に興味が湧いた。少なくともこの世界のそれよりは上らしいが
一体どの様な世界から来た、貴様は──


【フィアは呼吸を整えながら、言葉を重ねる】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/27(日) 23:09:44.94 ID:yVCEmyMA0
>>12

【男たちがチンピラを運送していく。それを後ろから見守っている少女はさながら彼らの護衛のようでもあった。――そして事実、その役割を担っていた】
【けれど立場は全くの逆、彼女がこうして路地裏で人間を拉致するための下地を整え、そして力はあるけれど無能力者である彼らが運び、彼女はそれを最後まで見届ける】
【彼女が"修行"により、ウヌクアルハイに導かれ、その力のさらなる使い方に目覚めてから――それは日常の一環になっていた】

――――――ッ、

【――その少女が、ふつり、と、隔絶される。驚いたような表情があたりを見渡す、それありふれた人類であったなら容易に発狂してしまえそうなほどの、暗がりだった】
【すべてが始まる前の暗黒に似て。それともすべてが終わった後の暗黒に似て。それともあるいは、すべてを呑み込もうと口を開けた蛇の中に見る深淵に似るなら】
【どこか安らぎを覚えた、そうした先に、彼女のマゼンタ色は、やがて人物を見出して】

――――いいえ、私のことはムリフェンと呼んでください。蜜姫かえでというくだらない人間の名前よりも、ウヌクアルハイ様に仕えるための、その名前を。
けれどそれすら果ててしまいそうなほどに――身に余るほどの名誉です、ケバルライさん。それとも、ジャ=ロさん、とお呼びすべきでしょうか?

【呼ばれた名に、彼女は相手を同志の一人としてみなす。そして実際にそうであった、ならば、平常の声音が、返していく】
【彼女がその名をもらったのはそう昔のことでなく、むしろ最近と言えた。むず痒いようにはにかむならば、白磁の頬がわずかな赤みを帯びる、この身には重すぎる悦びに震え】
【真っ白いドレスグローブに包まれた左手を口元に沿える――そうしてから気づいたように。彼女はそのグローブを抜き取るのだろう】

【――はたしてそこに蛇が居た。指先を揃えて伸ばせば、まるで生きていると見紛うばかりに精巧な、蛇の入れ墨が】
【それはまごうことなく彼女が蛇を崇める証――本当は隠すことを嫌がっている、と、相手は知っているかもしれない。けれど、仕様がなく、こうしているのだと】

――はい、ウヌクアルハイ様に喜んでいただけること、それこそが私の喜びに相違ありません。
そして私の喜びはウヌクアルハイ様を潤し――――ああ、今から"その日"が待ち遠しくってたまりません! ――、あぁ、そんな、こと、

【――ぞくり、と、その薄く形のいい唇の端っこが、悦びに慄いた。浮かべた笑みはかえって無垢に見えるほどになって、赤みの頬に、指先の白さがよく映える】
【そうして彼が伝えた言葉が、この少女をまた潤ませる――それはとんでもない悦びである、と、細胞の一つ一つまでもが、甘く深くざわめくよう、脳髄の奥まで蜜に浸されるよう】
【ならば待ちきれないように彼を見つめるのだ。早くそれを賜りたい、そうしてその力を一刻も早く使いこなし、ウヌクアルハイに捧げたい。そう心底願う目をしたなら――】
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 23:20:45.60 ID:5WXjETkVo
>>128

【見目麗しい娘であった。並の男であれば放って置かない、そしてその娘の寵愛は全て"蛇"に向けられる】
【── その条理こそが神たる由縁であった。理性は限りなく常識を奪い、本能が跋扈する】
【男の口角が軽く釣り上がる。笑みとも呼べない歪んだ表情に、僅かばかりの愉悦を濡らして】


貴女の意志に従いましょう、"ムリフェン"── ならば私も"ケバルライ"と呼ばれるのが道理。
私は道理を重んじます、条理を愛します。因果に導かれた理こそが私の住むべき世界
そう、それこそが"ウヌクアルハイ様"のおられる円環の座、貴女にはもうお分かりですね

我々が望み、願い、希む程に、神の世界は近づき、我々の理は神の理に塗り替えられていくのです。
お気づきでしょう、この空間こそが── "ウヌクアルハイ様" の存在される "理外" の世界
耳を澄ませましょう、目を凝らしましょう、そうする事で、神の世界は貴女の目の前に


【闇が貴女へとまとわりついて行く。粘度のある沼へと、爪先から沈みこんで行く様に】
【全身が総毛立つが如く、皮膚の表層を撫でる無愛想な感触に似ていた】
【── 生温い闇の温度、それはまるで、人間の体温の様に】


"ウヌクアルハイ様" は喜んでおられる、貴女という信徒がこんなにも近くに居て
お分かりでしょう、"ウヌクアルハイ様" は貴女をいつも見守っていたのです
貴女が腕に自らの誇りを掘った時、それはそれは大層深くお喜びになられました

── さぁ見せてください、貴女の忠義の証を、ほら、もっと近くで──


【────ミチリ】


【それはまるで、爪を立てられるかの様に、貴女の刺青に激痛がはしるだろう】
【蝕むといった表現が近かった。無明の闇が貴女の刺青ごと腕に負荷をかけていく】
【それは、腕が折れるまで続くだろうか、特上の痛みと共に】
130 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/05/27(日) 23:23:01.80 ID:+EpjXDEdo
>>127


(水の国? 機関? なんだそりゃ)


【そんな国や組織はテイワズには聞き覚えがない。ならばフィアの言う通りここは自分にとって異世界なのだろうか】
【にわかには信じ難い話だ。異世界に行くなどという話は、中高生向けの本にあるような内容だ】
【だが、逆にそれで合点がいくこともある。パソコンモニターが出現し、高速移動するという明らかに常識を逸脱した現象の数々は、『そういう世界なのだ』と思えば納得できるような気がする】
【結局、彼はフィアの言う異世界から来た、という説に従うことにした】


「俺のいた世界、か。どこもかしこも戦争ばっかの、馬鹿みてえな世界だ」
「俺は〇〇って国に産まれたんだ」


【生まれた国の名を出したのは、恐らくこの世界の大抵のことを知っているであろうフィアに知っているか確認をとるためであった】


「そこの政府相手にレジスタンスしてた。んで、戦いの最中に右の眼と腕無くしちまって、支援国に義肢に優れてるとこあったから、作ってもらったんだ。そこはすげえぞ、ガンダムみてえな──ああ、20mくらいの人型ロボットわんさか作りやがって、刃向かった国は2週間以内には地図から名前が消えるようなところだ」


【次に知るべきはこの世界について、だと考える。本当に異世界なら、帰る方法を見つけるまで過ごさなければいけない。そのためには“常識”が必要であった】


「なあ、次はアンタがこの世界について教えてくれよ。アンタの言ってた“機関”とかさ」


【そして何よりも必要なのは──】


「──あと、どうにかして帰れない?」
131 : ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/05/27(日) 23:29:41.73 ID:jOO8sIUu0
>>124
ああ――もう!テンション高いなあ、全く!

【真っ赤に顔を染める男に鳥肌が立ちそうになりつつも】
【続いた言葉はもっと眉根が寄ってしまう。言っていることが全然分からない】
【男の予想の通りの言葉が出て来ることだろう】

善性が好きだってのなら、自分でやれば良いじゃない。
あなたに引き出して貰わなくなって世の中悪党だらけでお腹いっぱいよ!

【男の理屈は、とにかく肌にそぐわなかったらしい。苛立ちを隠しもせずに】
【――ああ、もう確かに十分だ】

お陰様で――あなたみたいな酔っ払いなら、躊躇いなくぶん殴れそうよ!

【陶酔めいた言葉を放つ男に恐怖を――感じない。この能力は恐怖を塗り潰す】
【だから、惑わされずに冷静に対処できる。ここまでは良い】
【しかし、男の異様な攻撃行動に対応できるほどの――実力がない!】

何、そのキモいの……何かの内臓……って!!

【気を取られた――瞬時に突進してくる男の姿を視認できない】
【ヤバい――!!咄嗟の判断で致命傷を防ぐべく、腕で、庇った。しかし能力の影響化とは言え、無様な防御姿勢。再び鮮血が飛び散るだろう】
【これが男の能力――威力もさることながら瞬間的な加速ならフルパワーの自分よりも上だ】
【ただでさえ目で追えないのに――冷や汗を掻く。ヤバい。離れるのはヤバい】
【距離を取って、今のを繰り返されたら一方的だ】

……勘弁してよ。
これでもクラスでは、彼女にしたくない女子3位の陰キャで通ってるの。
輝くとか、そういうのは――他を当たって!!

【”離れてはいけない”、刃物の如き男の腕を、防御したのとは逆の手で掴もうとする】
【いかに防御力が強化されていようが、ダメージは避けられまいが――知ったことではない】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/27(日) 23:36:59.81 ID:5WXjETkVo
>>130

【フィアは無言で首を振り、テイワズの問いかけに対し否定の意味を示す。つまりはこの世界には存在しない、と】
【同時にそれは明確な証左であった。── この世界は異世界である、ということの】
【理解力の早い男であった。腕も立つ── 異世界の人間とは、皆が皆こんなにスペックが高いのだろうか】


── 成程、道理でこの世界の技術レベルからすればオーバースペックな武具が飛び出してきた訳だ
少なくとも俺が今まで見た中でトップクラスの規模と破壊力を持っていた。── そうだな
あれに対応できる部隊はこの世界には存在しない、"能力者"を除いてな

だが、場所が変わっても世界が変わっても、人間のやる事には変化が無い
それは原初の人類であってもそうであり、終末の人類であってもそうなのだろう
── その様な因果だ、俺達は、俺達も── そう作られたのだから


【"能力者" との言葉に苦虫を噛み潰したような表情をして紡ぐ、どうやら大分嫌悪をしている様子で】
【無表情に戻ったならば貴方の世界の惨状を聞き、そう吐き捨てた。人間という括りを定義付けながら】
【フィアは少し沈黙を返した。テイワズの言葉を静かに逡巡する様に】


恐らく基本的な世界体系に変化は無い。朝があり夜がある、俺達が意思疎通出来ている事から、技術差はあれど文化差は無いだろう。
貴様達の世界が技術に秀でていた様に、俺達の世界にも特筆すべき異端がある
── そう、それこそが、俺が狩るべき"能力者"──

世界の理を根底から乱し、既存の物理化学に縛られない荒唐無稽な"能力群"──そしてそれを行使するのが奴らだ
"カノッサ機関"はこの世界に混沌を齎す組織、── 能力者を狩るのに最も効率が良く、俺が所属している
以上が貴様の質問への答えだ── そうだな、それは大事だ

結論から言おう。不可能だ。── 貴様という存在が個々に来たこと、それこそが奇跡に近い


【理路整然とフィアは語る、能力者に対する強い敵対心を持つ彼は、それ以外の存在には興味が無いのか】
【── 冷たい視線は変わらない、虎視眈々と獲物を狙うように】
133 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/05/27(日) 23:48:01.02 ID:QK38OukX0
>>131
――ッハ!!ハッハァ――ッ!!!

【腕で首を庇ったならば――、男は相手の腕を"摘み取った"】
【にたりとした笑み。五指の力は異様に強く、相手の防御力が高いのと同じ様に、こちらの攻撃力も相応だ】
【魔力による強化、身体能力のバランスから繰り出される、"掴み"は――その強大な強化故に"食い千切り"へと変貌している】
【男の手の中には、微量ながらも摘み取る事に成功した"相手の腕の肉"が有り。それを捕食するように手の内に握り込んだ】
【そしてわずかに男の両腕から吹き上がる魔力――何らかの理由で強化が発生した様子だ】

美味いな。――正義の味は、堪らないよ。
――さあ。抗ってくれ。
――さあ。打倒してくれ。
――なあ?

【恍惚とした顔。眼の前の少女との殺し合いが、楽しくて堪らない様子】
【相手が己に手を伸ばすのを見て、にたりと笑みを浮かべて】

――恥じるな、胸を張れ!!
君の人生は輝きに満ち、君のあり方は美しい――!!誇れッッ!!

【100%の肯定、100%の称賛。この男は、間違いなく眼の前の少女に敬意を抱いている】
【そして、だからこそありとあらゆる手段を用いて、殺そうとしている】
【それこそが、この男ができる。この男が憧れに対して行うことができる、唯一にして最大の行動だからだ】

疾――ッッ!!

【全身のバネが駆動し、手首のスナップを利用して右手の五指が跳ねる】
【軌道は己に伸ばされる少女の手首を狙うもの。当たったならば関節を砕かれる様な衝撃を受けるだろうか】
【そして、そこで体制が崩れたならば――、次は左手。そして右手ととにかく速度を優先した爪の引き裂き、刺突が乱打として繰り出されるはずだ】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/27(日) 23:49:27.72 ID:yVCEmyMA0
>>129

【――いつか、彼女は、ありふれた人間であった。家族、友達、あるいは片思いの先輩。そういった日常に、心を注いでいた】
【なんて馬鹿げていたのだろうと今ならば、思う。蜜姫かえでという人間は馬鹿だった。――もっと素晴らしいものは世界にあったのだ、と、今ならば分かる】
【蛇に赦される――そのために、この世に存在する全ての蛇神を統べるウヌクアルハイにこの身すべてを捧ぐと決めたときから、この世界は、あんまりに色鮮やかに輝くから】

――はい、分かります、私の存在のすべてが打ち震えて、すべての細胞をその美しい鱗で撫でられているよう、――感じます。
――――"ここ"に御座すのですね。我らがウヌクアルハイ様が。――ああ、なんて気持ちなんでしょう、男の人って、いつだって、こうなのかしら。

…………――ですが、三十六億の女の全部といっぺんに交わったとしても、こんな幸福。こんな心地には遠く及ばないでしょう、だとしたら。
私は"ムリフェン"としてこの場に居ることに感謝します、――。

【ぴったりした布地で包まれる足元をくすぐったげに擦り合わせる、はぁ――と漏れる吐息はひどく悩ましげに震えて、脳の細胞がちりちり、と歓喜の声をあげる】
【改めて闇に眼を向けた少女はひどくあどけなく、だからこそ背徳的に笑んでいた。気づけばその目は閉じられて、真っ白の瞼に、ふっくら、眼球の形を透かす】
【それは行為に耽る様子に似ていた、身体の感覚に深く深く沈んでしまいたいみたいに――常人ならば不快とすら思ってしまいそうな温度の闇に、意識を浸す】

ああ、なんてもったいないお言葉でしょう、私は未熟な蜜姫かえでを高めるためにしたのです、そして私は生まれ変わったのです。
ならば私を産んでくださったのはウヌクアルハイ様です、まるで母のように――母のために尽くすのは子の道理です、そのために生まれたのですから!

――――――っ、ん、う、……っ、あ! っ、っ――、ぃ、っん、――、ひ、――っ、

【――ぎりぎり、と、左手に痛みを感じて。少女の身体はぎくりとばね仕掛けのおもちゃのように慄いた、それはさながら修行に励む、サーバント】
【彼女自身もいつかそうであった。さまざまな苦痛にその身を曝し、心の深いところまで意識を沈めていく。蛇の鱗ほど多くその方法はあり、しかし、どれも容易ではない】
【だからこそ、その心をより一層清らかにするために。――整った顔立ちが苦痛を堪えて歪む、けれどそれはどこか愉悦にも似て、唇を噛みしめたなら、嬌声を留めるよう】
【けれど相手に――あるいはウヌクアルハイに見せるように差し出した左手は恐ろしいほどにそのまま保たれる、指先までを、ぴしり、ときれいにそろえて】

――あ、っ、あう、んんっ――、う、ぃ……っ、

【神経をざりざりとこすりつけられるような痛み。けれどそれは甘美にしか映らない。苦痛であればあるほど、ウヌクアルハイの深い深い愛に、浸されていくよう】
【少女はきっとその苦痛が過ぎ去るまでを耐えきるのだろう、――たとえそれが常人であれば耐えきれないほどだったとしても、"ここまで"来られた彼女になら、可能だったから】
135 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/05/28(月) 00:02:25.25 ID:z4n494cto
>>132


【不可能だ、という言葉は重くテイワズにのしかかった。先程までのプチホームシックがどんどん大きくなっていくのを感じる】


「──ケッ、帰れない上に異能バトル世界とか、面倒なとこに来ちまったなあ」


【それは彼なりの強がりであった。傍からすれば余裕があるように見えるが、本心では不安で押しつぶされそうなのをひた隠しにしている。テイワズ──不動侑斗とはそんな人間である】
【意識がそろそろもちそうにない。左腕からの出血は止まる気配がなく、適切な処置がなければいずれ死ぬだろう】
【そこで、彼はもう一度賭けてみることにした。これが断られれば、そのまままたさっきの続きだろう】


「なあ、ひとつ頼みがあるんだが」


【まともな感性しといてくれよ、と祈りつつ、彼は一歩踏み出す】


「お互い怪我しちまってるし、俺も変な腕してはいるけどお前の言う“能力者”じゃあない。つまり狩る対象じゃないわけだ」


【そこで深呼吸し、彼は言葉を紡ぐ】


「そこでだ、まあ今日のははなかったことにして──って言ってもこの公園は直せないけど、とにかくお互い今回はやめにしよ、な?」


【それは作戦でも罠でもなく、本心であった。失血と異世界に来たというストレスから、心身ともにテイワズは疲弊しきっていた】
【だからここでやめにしたい。だが彼には、もうひとつ思いがあった】


「だが、次に出会った時にその『カノッサ機関』とかいうふざけた組織にいるようなら」


【彼はレジスタンスに所属していた。これは徴兵などではなく、自分から志願してのことである】
【それは、弱者を守るため。そのためならば、彼は命を賭けて戦える。それが、彼の戦う意味であった】
【それゆえ彼は、『世界に混沌を齎す』などと嘯くカノッサ機関が許せないでいた】


「────その時は、容赦しねえぞ」


【ライオンも凍りつく目でそう言い切る】
【しかしすぐに表情をどこか恥ずかしそうなものに変えると、】


「──あとさ、ちょっとでいいからお金くんね?」



/すみません、明日早いのでそろそろ締めでお願いしますm(_ _)m
136 : ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/05/28(月) 00:06:01.92 ID:oiYat9KL0
>>133
い――づぁっ!!

【腕に鋭い痛み。肉ごと持ってかれた!?出血量は先程の比ではなく、何より、痛い――】
【一層顔を顰めている少女とは対照的に、男は更に勢いを増したようだ】
【さっきより、出力上がってる……?え?私の肉でテンション上がった?】
【求めるような男の言葉にも、荒い息で応えるだけだ。抵抗するように伸ばした手】
【それさえも、男の五指に弾かれる。砕かれこそしなかったが、ジンジンと手が痺れている。暫くは使えない――】

【残った片腕だけで、乱打のような男の攻撃を捌き切れる訳もなく、それこそ致命傷を避けるのが精一杯だ】
【瞬く間に腕、脚、胴と瞬く間に血塗れにされる――出血もそろそろヤバい】
【潮時か?逃げるか?こいつの正義オタに付き合う義理なんてない】

く、っそ……でも……

【戦闘の最中でも、ちらりと倒れた男に目を向ける】
【見捨て、られない!】

ああ、もう……!

【もうそんなに付き合っている体力はない。男へと向き直る】
【攻防一体とも言える、両手の連撃は、しかし……一発一発なら、まだ分がある】
【……ついでに言いたいことも言うことにした。荒げた息を飲み込んで、一言】


ゴチャゴチャうるせぇ―――!!

【全身全霊で、男の両腕の間、その胴体を、蹴りつけた】
【勿論全力吶喊故に、より体へと深く爪が食い込む。それでも】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/28(月) 00:08:43.30 ID:0+4WchHDo
>>134

【苦痛は続くのだろう、生きたまま身を裂かれる様な痛苦── 永劫の時に近い痛みは、不意に終わりを告げる】
【脳の神経をそのまま切断したかの様に、痛みから解き放たれ、快楽で満ちる様に】
【── それは無限の幸福に満ちた、あどけない無垢な喜びに似た】


── 残念ながら "死" でございます。"ムリフェン" 貴女ではその痛苦は耐えきれないのです。
いえ、正確には貴女の高尚な精神は耐え切ったのでしょう。ですが、あまりに強い苦痛は身体にとってのストレスに他ならず
故に身体が死を選んだのです。それこそが救いであると、伝える様に

お労しや、愛しの "ムリフェン" ──誰よりも強い願望と、信仰を一心に受けた聖女よ
それならば貴女にとっての "死" とは本当の終わりなのでしょうか
願いは果たされず、望みは消え果て、全ては無限の痛苦の中に飲み込まれていく、と

── まさか、そんな茶番を、ジャーロを、"ウヌクアルハイ様" がお認めになる筈がない。
" Mors Principium Est "── 死は始まりに過ぎない、と、主は言った


【電源が入ったかの様に、再び貴女の全身に苦痛が駆け巡るだろう。── 無明の闇の中、誰にも看取られず死に、そして蘇る】
【それはある種の演劇であった。如何に残酷な手法を使って少女を殺すかを描いた、演劇作品】
【人はそれをジャーロと呼び、グランギニョルの名と共に残酷な喜びに耽っていた】

【貴女は享受するのだろう。生きたまま裂かれる苦しみを、蝕まれる痛みを、溶かされる感触を】
【そして闇に包まれたままやがて意識が途切れ、再び苦痛が始まる、延々と死に、蘇る】



【── その繰り返しが、何度も何度も行われて】



── やがて少女は気づくだろう。痛みから自分が分離している事に。
そう、それこそが生きている状態と死んでいる状態の狭間── 量子猫よりも更に胡乱。
今君は新たな" 術 "を身につける。苦痛を司る術──"Itzamna"

さあ目覚めたなら使ってみましょう、君の新しい技です。



【その果てでもまだ正気を保っていたなら、貴女は身体が自由に動く事に気づくだろう】
【意識を集中させたなら、腕に刻まれた刺青が、意識を持って腕から伸びていく】
【── 刺青が触れた物質に"苦痛"を直接与える術式"Itzamna"】

【相手が人であれば噛まれた痛みや、毒で受ける痛み、焼かれる痛みなどを選択できる】
【対象が物質であれば、強引に接着する事が出来る】
【── そんな術式であった】
138 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/05/28(月) 00:16:25.75 ID:ukIb/Zaz0
>>136
――まだだろう?まだだろう?
こんなもんじゃないはずだ。こんなものじゃ――!!

【乱打の最中でも、倒れる男を気にする相手は、正しく尊ぶべき精神性の持ち主だと"確信"した】
【だからこそ、その生命を摘み取る事も、その輝きを失うことがとても残念で、とても悲しくて――】

【――とても嬉しい】

【笑いながらボロボロと涙を垂れ流し、鼻を啜りながら――それでも全身に返り血を浴びて、男は乱打を止めない】
【さあ抗ってくれ。さあ、逆転してくれ。さあ、俺のような"悪"に負けないでくれ。全身全霊の応援を視線に込める】
【一際鋭い一閃、コレが止めになるかと僅かに緩みが生じたその間隙に――"突き刺さる"】

カ――ァ゛……ッッッ!!

【相手の体に突き刺さった爪。だがそれは、負傷を顧みぬ吶喊故に、逆に急所を避けた】
【男の一際深い踏み込みも相まって、相手の蹴り足は深々と男の腹に突き刺さり――吹き飛ぶ】
【吹き飛ぶ瞬間、まるで離れるのを惜しむかのように指にぐぐ、と力が入るが、それでも男は数Mは転がっていき】

……あ゛はは……ッ、"ありがとう"。
とても、今の一撃は――"響いた"よ。

【地面をのたうち回り、びちゃりびちゃりと胃がひっくり返る衝撃に嘔吐して】
【血肉と胃液の匂いにまみれたまま、男は少年の様な笑みを、少女に向けた】
【ゆっくりと立ち上がろうとしているが、その動きは極めて緩慢。倒れた男を連れて逃げ去る事は難しくはないかもしれない】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/28(月) 00:16:44.27 ID:0+4WchHDo
>>135

【── フィアは近づく貴方に身構え、そして拍子抜けした、繰り出された言葉が甘い言葉であったから】
【返答の代わりに興味を失ったかのように一瞥した、── しかし】
【ゾクリ、と蛇に睨まれた蛙の如く、続く言葉に、彼は思わず身構えた】


── 構わない。最初から俺も、殺す気で迎え撃とう。
貴様の持つ力を全て叩き壊し、そして、俺が殺し尽くす──、
それが俺の存在意義で、俺の全てだから







…………、落ちているダガーを拾え、それなりに値段がつくだろう



【奇妙な男であった。身の毛もよだつ程の殺気を放ったと思ったなら、どこか人懐っこい雰囲気もあって】
【── それこそが彼の強さなのだろうかとも思う。自分自身の信念の為に戦う力を持つ者の】
【くだらない、と吐き捨てる。信念ならば既に踏破したと、内心思いながら】

【── フィアはその場を後にしていく、背中に確かな感触を残して】


/ではこんなところでどうでしょうか! お疲れ様でした!
140 : ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/05/28(月) 00:31:28.78 ID:oiYat9KL0
>>138
あ”……ギ、オ、ぉぉッ!!

【ひきつるような痛みに、少女らしからぬ声が上がる。弾丸のような速度で蹴りつけられたと言うのに、まだしがみつこうと言う執念の痛みだ】
【それでも捨て身の攻撃が奏功したか、思ったよりも相手は遠くまで飛んだ】
【今しかない――少女は、倒れた男を抱える。負傷した体からの出血と苦痛で今にも倒れそうになるが、幸いまだ能力は生きている。男を運ぶくらいは問題なかった】

どういたしまして、私の方は反吐が出そう。血の。

【内臓を破るくらいの勢いで蹴飛ばしてやったのに、男はまだ嬉しそうにしている】
【――ああ、ダメだ。こいつとは、きっと心底相性が悪い】
【恐怖ではない。嫌悪でもない。だけど、自分の中に唯一存在している信じるべきものと真っ向から反する存在だ】

あなたの言うことは――全然分からない。――全然よ。

だから、きっとまた会えるよ。
次は必ず”道理を通す”。

【――倒すでも[ピーーー]でも、なく】
【捨て台詞のように呟いた】
【少なくとも懲りてはいないらしい】
【勿論、もっと吐きたい悪態は色々有ったが、そんな時間も体力もなさそうだ】
【少女は、男とは目を合わさないように、早々に路地を立ち去った】
141 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/05/28(月) 00:40:05.23 ID:ukIb/Zaz0
>>140
――だろうな。俺だって、分かって貰えるとは思っていない。それでいいんだ。

【にわかに勢いは止み、静かな瞳で少女を見返して】
【噛みしめるように、理解できないという相手の言葉に、低い声で言葉を返した】

……ああ、また会えるのか。それは最高に嬉しいね。
俺の名前は、エテイオイン・シャードルー。
君の名前は――ッ。

【相手の言葉から、次があると聞き歓喜を隠すことすら無く】
【堂々と己の名前を相手に名乗った後に――相手の名を聞こうとしたが、相手の姿はすでに無く】

"道理を通す"、ねえ――。通してもらいたいものだ。
俺も、俺を消し去る様な光を望んでいるんだから――。

【血と吐瀉物まみれの地面でごろりと転がり、暫し瞑目】
【不快な匂いを漂わせながら、男はゆらりと立ち上がり、更に深い路地の奥の闇へと姿を消していった】

//お相手いただきありがとうございましたー!!とても楽しかったです!!
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 00:44:39.76 ID:VYNOkyhE0
>>137

【――それは無限に思える辛苦であった、真紅の血反吐が何度吐き出されても足りぬほど、これは永遠に終わらぬのではないか、と、思うほど】
【全部の細胞に繋がるすべての神経を一つずつ一つずつ引きちぎっていってもう一度つなぎ合わせる。それを、世界中に存在する全ての痛みの分だけ、繰り返すよう】
【全部の痛みを知らねばならないと神が示すならば、少女は従うのみだった。けれどそれはあんまりに辛く険しいもの、しょせん人間、でしかない彼女には耐えきれない】

【ならばそれは彼女の中にある信仰をより一層鮮やかに引き立てる、――ウヌクアルハイはこれだけの苦しみを知ってなお尊く気高く、そこに在るのだと】
【与えられるならば知っていて然り。あるいはその身の中にある無数の宇宙の一つ一つに刻まれている痛みを、一つ一つ、その華奢な指先で、選んで指し示すように】
【そうして試練を与えてくださる、それは子を崖から突き落とす獅子のようでありながら、もっと崇高な意志を感じさせ。望まれるかたちでありたいと願うなら、応えるほかない】
【身体は耐えきれずに死んだとしても。彼女自身が、彼女自身が死ぬことを赦さない。それは最も無様に信仰に逆らう姿、そんな見苦しいものに、成り果てるだなんて】

【けれど――そうであっても"それ"は善意によって構築された無慈悲であった、違う国のコンセントに差し込まれた機械のよう、ならば、全部が焼き切れて】
【そして気づけば――痛みは遠く。朧げに感じた。死ぬ間際の陶酔とも違う、もっと、――もっと理性的な痛みの亡失、ふわりとマゼンタの瞳を、開けたなら】
【視線はいっとき定まらずにふらふらと揺れる、そうしてやがて一点を見止めるのだ、いつか刻んだ左手の蛇――悲鳴に焼き切れた喉から、吐息が一つ、あふれ出た】

――――――ぁあ。お久しぶりです、ケバルライさん、ですが、私には――ぁ、ふ、……っふふ、あ、――分かります。
"さっき"までと"今"では、――きっと、そう。きっと、大した時間は、経っていないのでしょう、ですが、私は、感じました。
この世界にあるすべての死と輪廻を感じたように思うのです、そしてそれこそ、――輪廻の蛇の別名を持つウヌクアルハイ様が奇跡の一つだと。
――まるでその身の中にあるいくつもの宇宙にある苦しみをウヌクアルハイ様手ずから教えてくださったようでありました、――――。

【――はじめは数度、その方法を思い出すかのように、息をする。そうして声を出すまで、いくらかの時間を要するのだろう、それほどまでに人間には重たすぎる、善意だった】
【びくびくと痛みに慄く身体を抱き留める。そうでもないとどこかに弾けて飛んで行ってしまいそうに思えた、それほどまでに、鮮やかすぎて】

【ずるり――と、その左上から、蛇が、剥離する。まるで生きているかのように掘られた精巧な蛇が、今度こそ本当に、命を持ったように】
【それはとある蛇を模していた。彼女の全部を焼き払うほどの哀しみを齎した蛇。――彼女の乗る自転車に轢き殺された蛇。それは、ヤマカガシであったから】
【変わらぬ無垢である右の指先がそっと左の手に触れる――はあと深いため息。けれどそれは隠せないほどの悦びを内包して、肺胞の一つ一つまで、神の信仰で満ちたように】

【ならばウヌクアルハイなしに生きていけない。陶然とした視線が彷徨う、――まだ、意識の全部がはっきりしたわけじゃあ、ないみたいに】

/おまたせしまたい……!
143 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/05/28(月) 00:46:04.49 ID:oiYat9KL0
>>141
【名乗った男の名前を、耳に入れてはいたが、既に朦朧とした意識では、記憶に残っているかは定かではない】
【――少なくとも、名乗り返すことはなかっただろう】
【既に男から離れた後、ぽつりと呟いた】

私の方は――全然、嬉しくない。

【辛うじて、大通りまで出る。大怪我をした少女と、大怪我をした男が出てくれば、大騒ぎになるだろうが、気にしている余裕はなかった】

あー……これは無理。動けない。
鵺さん今こそ助けに来てくんないかな……

【数日前に出会った少女のことを思い出しながら、路上でバタリと倒れるのだった】


//不慣れながらも楽しく遊べました!ありがとうございました!
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/28(月) 12:18:47.28 ID:0+4WchHDo
>>142

【── 左腕の"蛇"が蠢く。皮膚の下の神経一つ一つまでもがその鱗である様に、呼吸と共にその喉を震わせる様に】
【僅かに心を委ねたなら、後は落ちていくだけだから。願う僅かな道筋すらも感じられないぐらいに】
【唯物に残った微かな信念と信条と、後を追ってくる観念だけが救いであるように、と】


そうだよ"ムリフェン"── 君が辿った幾つもの死こそが、ウヌクアルハイ様の背負っている、無垢な死のほんの一部です
君はそこで何を感じましたか? 痛いとか苦しいとか、その様な考えを持ったかもしれません
── ですがそれはウヌクアルハイ様の身の中にある苦しみの、微かな微かな、残滓の一粒に過ぎず、それは今も増殖しているのです

輪廻は巡り、時間は流転し、我々は今こそ因果律の柵を乗り越えなければならないのです
生が在って死が在るのでは無く、死が在って生が在るのだという事を知らなければなりません
我々は皆、須らく生き続けているのではなく、死に続けているのだと── ウヌクアルハイ様だけが知っている

死の永劫から見れば生の痛苦などほんの刹那に過ぎず、我々が知覚できる遥か想像の外にウヌクアルハイ様はいらっしゃる
それは果たして不幸だと君は言うのだろうか、我々は如何なる手段を用いてもウヌクアルハイ様の元へ行けないと
この無明の空間を以てしても、時間と場所の概念から隔離された、この"スルツェイ"に於いても、変わらないのか、と

── それは違うと、今の君なら分かるでしょう、ムリフェン── 無限の死の狭間にウヌクアルハイ様は顕現された
慮外に意識を向けなければならない、無意識を知覚し、不条理に理を求め、因果を踏破する
そしてその果てに、ウヌクアルハイ様の救いが在るのだと、言うことも


【ケバルライが僅かに身じろぎすると、空間全体が揺れた。── この空間を作り出しているのが彼の能力か】
【コールタールの如く粘土の高い闇は、目蓋の裏に纏わり付く幻に似ていて、現実と夢との境界を曖昧にする】
【痛みだけが真実。── 故に死すらもペテン、生きている事それ自体が唯の喜劇に他ならないからこそ】


君に一つお願いがあります、ウヌクアルハイ様が求める無限の贄の最終楽章を伝えなければなりません。
"その日"が近付いてきました。ええ、ウヌクアルハイ様が受肉される、復活の日が、すぐそこにまで来ているのです
故にムリフェン、今以上に激しく苛烈に死を求めなければならない、数多の死や衆生の死では最早足りません

呼吸が止まりそうなぐらいに濃密な死を、一騎当千を無数の屍に変え、そして我々はその死を冒涜しなければならない。
屍を切り刻む事も、屍を組み合わせる事も、屍と交わる事も、その一つに含まれるのであれば
その善行の積み重ねにしか、先が無いと、もう君には分かっているでしょう?

── 君は死を集め無ければならない、ウヌクアルハイ様に献上する為に


【ケバルライは神託を向ける、ムリフェンに今以上死体を集めろ、と】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/28(月) 16:11:38.70 ID:0+4WchHDo
【『水の国』街中── 少し離れた公園】

【ベンチに一人の少女が腰掛けていた。側には両手でようやく抱えきれる大きさの紙袋が合計五つ】
【少女は困っていた、流石に考え無しに買い込みすぎた、と──】
【方法はある事にはある、けれども、気が進まないのも確かであった】


……店に連絡してエリィかリュウタにでも、手伝ってもらいましょうか
── しかし、昨日あれだけ叱った分、少々心苦しいのもまた事実
……もう少しだけ、考えましょう──


【腰まである蒼銀色の長髪を大きく後ろで二つに結って、赤いリボンの着いた黒いケープを羽織る】
【ケープの下には黒いチョリ、下乳から鼠径部までを大きく露出し、黒いパレオで下半身を透かす】
【中東の踊り子の様な格好をした、黒と赤のオッドアイの褐色肌の少女であった】

【── お臍の下あたりに黒く刻み込まれた、蛇をモチーフにしたタトゥーが印象的か】
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/05/28(月) 16:42:23.72 ID:TPVfhvvwo
>>145

【公園内で乾いた発砲音が響いた】
【それは一度や二度ではなく、何度も。少女が公園に来たときから散発的に聞こえてきていた】

【音の発生源は公園の隅の方。拳銃を構えた青年が空き缶を撃っていた。射撃翌練習としてはありふれた方法】
【公園でそれが行われていることそのものは珍しかったかもしれないが、この世界ならば目を引くほどのものでもない】
【むしろ、それをしている青年の方こそ、少女が公園に来てからちらほらと様子を窺っているぐらいだった】

【青年の見た目は二十代中盤。黒髪に眼鏡。白衣を羽織った風貌は研究者を連想させる】
【両手から腕にかけて金属製の籠手のようなものを装着していた。白衣の裾に隠れた両脚にも何か機械を装着】
【少し前までは銃を撃ち続けていたが、今ではそれを下ろして少女の方を見てきていた】

【見つめること数秒。銃がホルスターに戻されて、右手が掲げられると射撃の的になっていた空き缶が浮かび上がり、ゴミ箱へ独りでに移動】
【散らばっていた弾丸も青年の元へと集まり、右手がそれらを握りしめてポケットにねじ込む】
【そうしてから彼は少女の方へと歩いていき、口を開く】


あー…………もしもお困りでしたら、お手伝いしましょうか?
それ、少し重そうですね?


【指がいくつもある紙袋を示す。手助けを申し出る口調は非常に遠慮がちだった】

//お待たせしました、すいません
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 17:02:13.27 ID:wieqlmI9O
>>146

【前髪を透かしてその表情を覗かせる、研究者然とした青年であった】
【── 暫し瞑目して言葉を置いた。まるでその沈黙を嗜む様に】
【静謐が場を支配したなら、ゆっくりと抜き身の刀剣に似た言葉を振り抜いた】


── 構いません。見ず知らずの方のお手を煩わせる様な真似は致しませんので
お気持ちだけ有難く受け取っておきます、こんな御時世にそんな親切な言葉をかけられる
それだけで十分私は幸運でした、それ以上を望めば罰が当たるというもの

ありがとうございます、── それに、時期に迎えが来ることでしょう


【詮無き答えであった。添え物のように残された微笑みは、僅かな穢れもない均整のとれた】
【── その一方で少し息が詰まってしまうような、そんな隙のない微笑みであった】


……しかし、迎えが来るまでの間時間を潰すのも吝かではありません
こんな所で射撃の訓練ですか? 先程からずっと撃っておられた様ですが
感心なことです、日頃の鍛錬こそが確かな力になるのですから
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/05/28(月) 17:12:13.72 ID:TPVfhvvwo
>>147

【申し出を断られて青年は少し困ったような表情となっていた】
【親切心から言い出したこととはいえ、断られることも考えてはいた。しかし、思ったよりもはっきりと言われてしまった】
【言ってしまえば、言葉の強さに気勢を削がれて何と言えばいいのか分からなくなってしまっていた】


んー……なら、いいのですが


【一種の完全性は人を寄せ付けない厄介さがある。この青年も、例に漏れずその微笑みに近寄りがたさを感じていた】
【話題が鍛錬へと移ると、「あぁ」と微かに安堵したような息をつく。危うく言葉に迷って気まずいまま立ち去るところだった】


僕は技師、でして
銃の改良も業務なので、そのテストも兼ねてやってました
……まぁ、正確には銃じゃなくて”こっち”のテストなんですが


【籠手に包まれた左手が、同じく籠手に覆われた右手を軽く叩く】
【拳銃ではなく籠手の性能試験を行っていたらしい。一見すれば変わった見た目のそれも、技師の作った兵器だった】
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 17:26:36.55 ID:wieqlmI9O
>>148

【葡萄茶色の素肌に落陽が射し込んで、そこに透ける漆の様な肌の質感。── 絹糸の様な滑らかさが指先に広がる様に】
【思い出して息継ぎする様に似た瞬き。珈琲色の水面に浮かぶ黒い波紋は秋風に似て心地よい】
【一足早い夏を過ごして、その先に浮かぶ秋の慕情を感じさせる少女であった。感じる熱もまるで残暑と思わせるぐらいに】


技師様と── 社会を支える大切なお仕事の一つです、特殊な専門性のある職業は替えがききませんが故に
こっち、とは……なるほど、篭手ですか── 恥ずかしながら初めて拝見しました
元々は防具の一つだとお見受けするのですが、どうやら精密動作性もある様です

……すいません、此方に近寄って頂けますか? 私は少々疲れております


【褐色の肌に落ちる煌めきは暮色蒼然として、その瑞々しい肌の色合いを伝える】
【丁寧な言葉尻ではあったが、意外と強引な所もあって、青年がまごまごしていたならじとーっと見て急かすだろう】
【ぽんぽんと自分の左を叩く、ここに座れという事か】

【座ったなら、間髪入れずに手を伸ばして、ぺたぺたと貴方の篭手を触ろうとする】
【近くに居たなら甘い香りが胸いっぱいに広がって、柔らかな指先の感覚── 篭手越しに感じ取れたなら、心地よいだろう】
【そして何よりお腹を大きく開いた格好は、かなり扇情的で】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/05/28(月) 17:42:47.67 ID:TPVfhvvwo
>>149

【見目麗しい美貌に素肌、少女の纏う雰囲気は人目を引くには十分過ぎる。青年も初めはそれ故に、視線を引かれていた】
【こうして話をしていても時折、その顔立ちに瞳を奪われ、無礼だと思ってすぐに逸らす】
【逸らした先で視界に入る、扇情的と言うにも大胆な露出に思わず胸が高鳴って、再び目線を彷徨わせる】

【近くで会話をするには、あらゆる点で少女の風貌は”目に毒”だった】


え、ええ、はい。防具ではありますが、これの用途としては武器、ですね
あまり防御性能は高くありません……打撃が可能な程度には、強固に作ってありますが

…………あー、近くに、ですか?


【籠手の説明をしていたが、少女の申し出にそれこそまごまごする羽目になった】
【そこにじとっとした視線が向けられる。まさか「目に毒だから近寄れない」などと言うわけにもいかず】
【諦めたように「じゃあ」と言って隣に座ることとなった】

【籠手の感触は表面こそ細かな金属の板で覆われているものの、内側は布地のような柔らかさがある】
【さらによく触れてみれば、そのさらに内側に鉄線のような感触を確かめることができるだろう】
【つまりは、籠手と言いながらも一般的なそれとは大きく構造が違っていた】


えーっと……魔術師向けの魔導具でして
魔翌力強化やら何やら、そのあたりの効力を備えてあって、ですね…………


【籠手を通じて、少女の柔らかな指先の感触と微かな体温が感じられた。香りさえ鼻腔をくすぐっていて】
【控えめに言っても青年は気が気じゃなかった。とはいえ、身じろぎするわけにも遠ざかるわけにもいかない】
【彼にできるのは視線を明後日の方角に投げてせめて素肌を視界に入れないことぐらいだった】
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 17:54:25.94 ID:wieqlmI9O
>>150

【清風明月然とした佇まいは、凛と咲く水仙を思わせて、時に相手に緊張を強いる雰囲気を持つ】
【── それでも少女の内面は、瀟洒ではあっても冷淡ではなく、貴方に対する落ち着いた興味を持って】
【存外感情表現が苦手な娘かもしれず、思っている程怖い相手ではないのかもしれない】


ええ近くにです、実際に触ってみなければ分からないじゃないですか。── 私も審美眼に自信がある訳ではありませんが
良い物は良い物だと分かります、そして、良い物に触れる事は私の芸術活動にプラスの影響を齎す、と
音楽家であっても美術家であっても代わりないのです、芸術とは真に良いものを目指すと

── こほん、少々話しすぎました、失礼


【囀りに似た詞の調べ。鶯よりも遥か尊く、迦陵頻伽の如く音律は紡がれていく】
【宛ら昼下がりのカフェで流れるボサノヴァの音色、異国情緒を纏った風味豊かな味わい】
【時折入る艶やかな吐息が、整ったアクセントを伝え、色めき立つソプラノを装飾した】


見た目程固くはないのですね、だからこそ精密な動作が出来ると
……作られた方の繊細さが伺えます、仕事とは常にこの様にあって欲しいものです
機能性もさることながら、このデザイン── 良いですね、私好みです

すいません、これは── あの、そんな方向向いておられたらら 、分からないじゃないですか
こっち向いてください、ここの説明を要求致します


【指の付け根の部分、最も細かい作業で使いそうな部分の作りが気になったようで指さしながら】
【明後日の方向を向いていた青年に抗議の目を向ける、膨らんだ頬がコーヒークリームの様に】
【両手でぐいっと貴方の手を引いて、ちょこんと、揃えられた剥き出しの太腿に置くだろう】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/05/28(月) 18:09:08.31 ID:TPVfhvvwo
>>151

【容姿だけでなく、声にさえ心惹かれる音色があった。視覚だけでなく聴覚にも存在感が訴えかけられる】
【どうにも近くにいては落ち着かない相手だった。至近距離にいて手で触れられているならば尚更だ】
【あぁ、つまりは触覚でさえ意識させられていた。それでも視覚の方を塞いでいれば、つまり目を逸らしていれば多少は────】


精密な動作を保証する機能もありますが、今のところは雑多な機能をつけていますね
職業によって機能を変更したものを作り出すのが最終的な…………

え、あー……いや、それはっ……!


【全く関係ない方角を見ていたのがバレてしまって、慌てて視線を戻す羽目になる】
【おまけに手が太腿の上に移動させられて、心臓が跳ね上がった。思わずばっと手を引いてしまう】
【「あ」と情けない声が出て、気まずそうな表情を浮かべる。言葉を探して一秒、二秒と経過していって】


…………あー……すいません
ちょっと、その…………格好が刺激的なのもあって、それで……
流石に、太腿とか、に手を置かれると……ちょっと…………は、恥ずかしいので


【辿々しい口調で事情を説明しだす。やや白い肌には朱が差していて】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 18:23:03.22 ID:wieqlmI9O
>>152

【彼女にとって青年の作ったであろう篭手は、深く興味をひくもので、故にその作品に賛辞を送る】
【それはつまりその担い手たる青年へも興味が湧いて、水飛沫の様に鮮やかな色合いが弾ける】
【澄ました表情は絵画の様に完成した隙の無さがあったけれども、確かな温もりが指先には残っていて】


── ? どうしてですか、私が恥ずかしいと思うならまだしも貴方様が恥ずかしいと思う所以など
それに私の格好は祖国の名残です。『砂の国』では基本的な格好だと思っています
未熟者ではありますが、砂漠の民の末裔として、私は誇りを持っております

故にその申し出は却下致します、近くに無いと私は貴方様の作品を辿れません
しかし本当に見事な機構です── どれくらいの製作期間がかかったのでしょうか


【二色蓮花のオッドアイ、片柄違いの双眸は比翼連理の如くしとりと寄り添っていて】
【雅な雰囲気を壊さぬ様に、その異色さえも少女の均整の中に押し留められている】
【優美な頬の曲線は砂糖菓子に溶ける紅茶色の水面、僅かな体温を感じさせていく】


……それと、素晴らしい腕をお持ちなのですから、もっとしゃんとしてください
技術には確かな賞賛が与えられるべきです── ほら、オドオドしない
……もう、褒めてるんですから、喜んでくださいよ


【最後の言葉はツマミを絞って、あんまり聞こえないように】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/05/28(月) 18:33:53.19 ID:TPVfhvvwo
>>153

【褒め言葉を向けられるのは素直に嬉しい。嬉しいのだが、状況と相手が悪かった】
【「あー」とか「うー」とか声をあげていたが、少女の反論が始まるとそれに耳を傾け始めて】


んん…………であれば、確かに視線を逸らすのは無礼に当たるのかもしれませんが……
た、ただ、こちらが、こう……なんというか、落ち着かない気分になることも、理解してくれると助かるというか……
貴女の国では基本的な格好なのかもしれませんが、こちらの国ではその格好は…………ひ、控えめに言っても、魅力的と言いますか……


【自分の感覚を極めて慎重に伝える。格好に誇りを持っている、と言われてしまっては無礼な態度を続けるわけにはいかなかった】
【なのでせめて、視線を逸らしてしまった事情もあるのだと、説明をした】
【そうしながら、一度は引っ込めてしまった手を再び差し出す。太腿に置かれたりさえしなければ、見せるのはむしろ喜ばしいことだ】


……喜んでは、いるんですけどね


【こちらも小さな声で。表情は苦笑という方が近い笑みだったけれど】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 18:42:41.69 ID:wieqlmI9O
>>154

【── 悪い気はしなかった。魅力的な風貌な異性に褒められて嫌な気になる様な天邪鬼ではない】
【けれども表情の水面は怜悧な凪を変えない。あくまでも冷静沈着といったスタンス】
【ほっぺたに少しだけ綻びが見えた、悪戯っ子の様なあどけない色合いが微かに】


でしたら、慣れてもらいましょう。異国の事を知るのは創作活動の基本です
違う文化への理解を深め、より良い芸術作品を作り出してほしいのです
東洋では爆発すらも芸術と言い切った芸術家もいるそうです、神秘的ですね

── それに私も女子の端くれとして、魅力的と言われて嫌な気はしません
このパレオは短い布地をスカートの様に腰に巻くのが主流です、砂の国でもミルドラ族がよく身にまといます
すぐ水に入れるような水着の役割も致してるのですね


【慣れてもらいましょうといって、貴方の腕をとって、ぎゅっと自分の身体に引き寄せる】
【密着させる形で腰元のパレオに手を持ってこさせるだろう、殆ど水着と変わらない短い布地】
【ひらひらとさせたなら、その奥の下着すら見えそうな──】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/05/28(月) 18:53:29.29 ID:TPVfhvvwo
>>155

【事情を説明すれば似たようなことはされない、と考えていたのが失敗だった】
【悪戯っ子の気配が微かに見えた。ほんの少しの嫌な予感と、性別故のちょっとした期待が入り混じる】
【差し出した手を戻すわけにはいかず、そう思いきや引かれたのは腕だった】


え、あ、あぁ……確かに文化理解は重要なんでしょうけどっ……!
えー、あー、あー…………えー…………


【心臓が早鐘のように鳴っていて返事も覚束ない。視線が思わず彷徨うが思いっきり逸らすこともできず】
【そのせいで、結局、視界にあるのは少女の魅惑的な肉体だった。露出した腹部に、その上に見える曲線】
【近くで見るほど分かる綺麗な褐色の肌。あるいは、興味の色合いを見せる美しい双眸】

【そういったものを目の前にして平然としていられるほど、青年の精神は全く強くなかった。むしろ弱かった】
【はっきりとその頬に赤色が見えていて、彷徨い続けた煙水晶の瞳は自分の手元に向けられる】
【勿論、そこを見ていたって少女のパレオや太腿が視界にちらつく。落ち着く暇などなかった】


え、っと…………き、機能的な格好、なんですね


【絞り出したような声を出すのが、今の彼には精一杯だった】
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 19:11:09.70 ID:wieqlmI9O
>>156

【目尻の赤と黒が素肌の淡い色に滲む、ラテアートの様にそこに浮かぶ表情を伝えて】
【純朴な青年をからかいたくなる。その気持ちを彼女に持たせるぐらいには貴方という存在に興味を持った】
【浮かぶ表情は冷たくとも、その奥に折られた彩は何層にも重なった色とりどりの着物に似て】


ええ、とても重要です── それに、異性理解もとても大切だと私は思っています
創作活動の根源は美しさです、異性に対する感情は、そこに浮かぶ思いと近いと考えますが故に
女性は柔らかく華奢、男性は逞しく頑強── だからこそ互いに互いの良さを活かすのでしょう


……それとも、私では── 貴方に添えませんか?


【深みを帯びた蒼銀の髪、横顔を飾り立てたなら深い色合いは空を髪に落とし込んだ様に】
【誇り高く咲き誇る日向を思わせるのだろう、彼女の生まれ育った果てなき砂の世界を】
【── そして夜のような艶やかさを兼ね備えていた。昼と夜で表情を変える砂漠みたいに】

【渇いた地表にも花は咲く、夜露を集めて手のひらに透かしたような潤んだ瞳の切れ端】
【水面に咲く一輪の花、そこに浮かぶ表情はとても可憐な花弁の色合いを見せて】
【貴方へとじぃっと視線を向けて、ねだるように上目を濡らして】


機能的な格好ですよ、厳しい環境で生き抜く為の方法です
そして砂漠の民は旺盛なのです、環境がそうさせるのでしょう、逞しい殿方は少しでも多く種を巻きます
だから私の衣装もまた、その殿方を悦ばせる意味合いもあるのです




【──『抱かれる為の格好でもあるんです』】




【身を乗り出して耳元に直接、音を流し込んで】
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/28(月) 20:03:33.54 ID:M+rN52C30
【水の国 アルターリ 街中……いや。】

【これが街と呼べるだろうか。崩壊した建物は最早原形を留めず、地は裂けてアスファルトが紙のように容易く引き千切られ】
【乾いた血の跡が、ばらばらに砕け散ったコンクリートにこびり付き……そして、人の気配などどこを探しても見つからぬ。】

【この場所がかつて同国有数の都市として栄えた場所と言って、誰が信じるだろうか。―――最早、此処は廃墟だった。】
【つい先日、とある事件でこの街は壊滅した。聞いた所によると、数百万人もの住人が一瞬で消えたという話だ。】
【―――つまり、この場所には数百万の死が存在したという事である。さらに言うと】
【この街の一部は異界と繋がってしまい、恐ろしい怪物が跋扈しているのだという。こんな場所に来る人は、よほどの物好きか】
【あるいは、視察に訪れた軍の関係者か。もしくは、死に縁のある人間か……それくらい、だろう。】

【廃墟を吹き荒ぶ風が瓦礫を切る音以外は何も聞こえず、風に煽られ舞い上がる埃以外は動く物も見出せない、静寂と静止の支配した場所。】
【その、片隅。この場に人が居たとしても誰も注視しないような片隅から――――突然、静寂を切り裂く風の音とは違う音。】
【明確にこの場を支配している荒涼とした音とは違う「音色」が、突如響く。】

―――――♪

【その「音色」は、次々と高さを変え、大きさを変え、秩序を持って「旋律」と化していく。】
【ヴァイオリンの音だろう。吹き荒ぶ風に音を乗せて、廃墟を支配していた荒涼とした風切り音を美しく塗り替えていく。】
【無機質で灰色だった世界に、一刻限りの彩りを与える。その音色は、穏やかな悲哀に満ち、しかしセンチメンタルではなく】
【この場に未だ留まり続ける苦痛の残滓を、オブラートのように包み込んで溶かしてしまうような……そんな、繊細な音色。】
【聴く者は、きっといない。誰に向けたかも分からない旋律が、かつて街だった場所に響き渡っていた。】

【音の発生源は、すぐに特定出来るだろう。大きな瓦礫の断片の陰になった部分だ。そこを覗けばきっと】
【悲嘆に暮れるでも激情に逸るでもなく、ただヴァイオリンを奏で続ける男の姿が見える筈だ。】
【ジーンズに白いシャツ、濃灰色のベスト。髪を後ろに括った、ある意味場違いとも思うくらいどこにでもいそうな男の姿が。】

//予約です!
159 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/05/28(月) 20:28:42.32 ID:HIuykBvM0
>>158

【──災害発生の直後から水の国の空軍と陸軍は動きを見せていた。情報の拡散と共に他国の軍も続いた。】
【手始めに先ず高高度偵察機を何機か飛ばし、上空数万メートルからの偵察写真を撮影し、領空侵犯を試みる他国軍機に警告と威嚇射撃を織り交ぜながら、】
【被害状況が整理された所で任務は陸軍へと引き継がれ、所属に関する塗装のないNBC防護の装甲偵察ヘリが数小隊分、仰々しい防護服と調査機材を載せた歩兵を下ろしてきた。】
【それが今日の正午のこと。天候は曇天。重々しい灰色。ほんの数日前まで人のあたたかい営みで溢れていた市街は、剥がれた瀝青ばかり管を巻き、怪異の陋巷する廃墟と化した。】

【戦闘は散発的に行われた。銃声と、砲音と、ときどき、悲鳴。自動小銃の散発的な射撃音はむなしく響いた。意味のない死人、意味のない事後処理。】
【──やがて日は傾いて、雲間の向こうに夕暮れは消え、静寂に満ちた夜が訪れた。だからこそ、その旋律も、なにかの慰めになったろうか。】


「 ──── レクイエムかしら」


【──血のにおい。男の奏でる旋律が、ひとつの落ち着きを見せた所で、女の声、その背後より。】
【振り向けば果たして女である。影のように背は高く、赤黒い血と闇に塗れていた。返り血だった。少しばかり、硝煙のにおいもした。】
【べっとりと紅く汚れた長い髪は、しかし銀髪であるようだった。月光に照らし合わせれば、きっと静かに輝くような。】


「危ないわよ、あなた。こんな場所じゃあ、チップも貰えないでしょう」


【女は男の横、──手頃な瓦礫に腰掛けた。瓦礫というより、それは恐らく、ドレッサー。かつてだれかのものであった。】
【薄汚れた熊の縫いぐるみを、手持ち無沙汰に女は片手で弄んだ。もう片手には黒い拳銃が握られていた。】
160 :ドープ・ラブ・ライク ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/05/28(月) 20:29:39.69 ID:ukIb/Zaz0
【水の国――路地裏では、ゆらゆらと紙たばこの煙が舞っていた】
【燻らせるという字は彼はスキだ。白い有害なもやが昇り揺らぐ様子をよく表している】
【ニコチンとタールを摂取して肺を脅かす行為は、まさに無意味なうえに本来地獄なのだが】

ってぇ訳で。オレは快楽とリスクは紙一重だと思う訳だ。
好きなもん買うと金減るだろ。アレと一緒だ、一緒。
タバコや酒なんてなァ。体削って好きなコトすりゃ大満足だろ。なァ?

……あー……聞いちゃねェか。

【――男の座る木箱の横には、己の腕を口に突っ込まされて絶命した学生男子≠フ死体が転がっていた】
【苦悶の表情を浮かべる若い少年。無理やり異物が入ったことによる窒息が起因なのか、或いは別なのか】
【それすら分からないまま、彼は答えぬヒトに話しかけ続ける】

ヘイ兄弟、なあつまんねェなァ。つまんねェ。
ハッパ詰めたベイプでも持ってくるべきだったか?
こりゃ一大事だ。シケモク一本じゃオレの心が躍らないと来たもんだ。

コーラみたいにスカッとしてエ。宇宙の渦が見てェなァ。
ワッツワッツ……なーんでたまには自制するかね、なんて思ったのかね。

【彼は空を仰ぎ――そう、独りごちる】
【タバコを木箱に押し付けて消す。焼き跡とヤニのかすが残る】


さあ、果たして今日のオレの徳ポイントはいくつなのかねェ。


【彼は、きわめて信心深く――皮肉である。きわめてけだるくつぶやいた】
【髪型は、前面が刈り上げ頭に、後頭部の中腹から多量ぎみのドレッドヘアーになっている】
【その刈り上げには、大きめに真正面からの構図で蛇が口を開けた顔≠フラインアートが剃られていた】
【肌は黒気味の褐色。目元はサンバイザーで隠し、唇は分厚い。首には常にヘッドホンを掛けていて、】
【全体的に大柄で筋肉質。袖無しブルーグリーンのダウンに、カラフルなマリファナリーフマーク≠ェあしらわれた黒いシャツを着たていた】
【だぶついたズボンと、サイズの大きなスニーカーを履いた、まるで夜のクラブにでも居そうな黒人の男だった】
【しかしその右腕には、蛇のタトゥー≠ェ彫られている】
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 20:48:39.11 ID:wieqlmI9O
>>160

【── それはまるで、階段が一段残っている事に気付かず踏み出した様に、あるはずの地面が無い感触に近い】
【見慣れた景色、住み慣れた路地裏、自分だけがその世界から隔離されたが如く】
【それが一つの存在が路地裏に侵入してきただけで、引き起こされたという事実】


ふぅん、なぁんだただの"サーバント"か、少し強い魔力を感じたから夕餉のつまみにしようと思ったんだけど
まぁ、タトゥーを入れるのはクソみたいなジャ=ロにしてはいいアイデアだと思うけどさ
ボクみたいな高尚な存在が、ニンゲンを使役させなきゃいけないのはしんどいんだけど

ねぇ、これ、お前が作ったの? ── まぁ、それなりにセンスあるじゃん、ニンゲンにしては
そんな馬鹿みたいなファッションしてる癖に、見てるだけでその首切り落としたくなるし
ボクが上機嫌だった事に感謝してね、── 遊び相手がいなくてつまんないけど


【小柄ながら豊満な身体を大きく露出したホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は白く肉感的な素肌を晒している少女】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて真紅の瞳を濡らす】

【背中には巨大な悪魔羽根が揺れて彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに愛らしい雰囲気を創りだす】


あ、てかボクの事知ってる? ── そういやキミとあったこと無かった気がするから
まあ覚えてないけど、ニンゲンの顔なんて全部一緒の肉塊にしか見えねーもん
なぁ答えろよ、返答次第じゃ、キミもその死体と同じ状態にしてあげるし


【搾りたての牛乳に檸檬の花を一房投げ入れた様な身体の香り、靡く髪に付随する彼女の色香】
【荒淫じみた雰囲気は極彩色の孔雀に似て、目を逸らす事を躊躇わさせるほどに】
【近くに居ても代わりない、寧ろ近くにいるからこそ、死の香りを強く感じさせる】

【── 身に纏う雰囲気、それだけで貴方ならば理解できるだろう】
【同じ神を信奉する同志であり、それでいて── 自分より高い位置に属する存在である、と】
【名前は知らないかもしれない、けれども、殆ど姿を表さない幹部の一人だと伺える】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/28(月) 20:56:25.54 ID:M+rN52C30
>>159

【人の気配がするのは、すぐに分かった。なにせ本当に生きるものは何一つ存在しない空間だ、そこに生きた人一人が紛れると】
【強い違和として、すぐに気付くことが出来る。それはまるで、白いキャンバスに一滴、黒い墨汁を垂らしたみたいに。】
【彼は、ヴァイオリンを奏で続けながらその違和感を覚えた方向へと気を配る。一歩ずつ、近づいてくるのが分かる。】
【……それが、どのような人間であるかは分からない。こういう場所だ、自分を殺しに来た人であっても不思議ではない。】
【それでも、彼は逃げずに最後まで演奏を続けた。最後の一節、ひと際高い音色が遠く残響して……旋律は、終わる。】

―――君がそう感じたのなら、そうかもしれない。
同じ曲でも、ある人にとっては鎮魂歌。ある人にとっては夜想曲。
音楽は、聴く人によって姿を変える鏡みたいなものだからね。
……つまり君は、この場所には鎮めるべき魂があると感じたんだね?

【振り返って、微笑む。気負っている様子も、気取っている様子も無く、ごく自然に。】
【貴女から溢れる死の雰囲気を感じ取ってなおその態度でいるのなら、彼は余程能天気か、肝が据わっているか。】
【あるいは、その両方なのかもしれない。血に塗れた貴女に、曲の感想を逆手に取った問いを投げかけて】

お金の為に演奏するなら、もっと安全で賑やかな所を選ぶさ。
……チップを貰うための演奏じゃないから、ね。此処で演奏することに、君はどんな意味があると思う?

【貴女が横に座るのを、拒むことはしなかった。演奏が終わって再び灰色の世界に戻ったこの空間で】
【貴女の顔を見る事もなく、ただ並んだまま前を見つめて。「よかったら、教えて欲しいな」と】
163 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/05/28(月) 21:08:52.86 ID:HIuykBvM0
>>162

【血に濡れた女の眉が微かに顰められた、──ように、見えるかもしれないのは、面倒な奴に話しかけてしまったという後悔だろうけど】
【呆れたように気を抜くような息を吐くのは、自分もまた面倒な類の人間であると、彼女が自覚しているからだろうか。兎角、旋律の終わりまで、彼女は口を閉ざしていた。】

【まともな部隊であれば、この状況下で夜間の作戦行動を試みる理由がない。──つまりそれは、彼女はまともな人間ではないのだという逆説を意味する。】
【長く伸びた銀髪が顔の半面を覆うなか、垣間見える酷い火傷のケロイドと、右眼のギラつくような人殺しの視線は、きっとそういうことなのだろう。】
【夜陰に冷たいその顔貌は、しかしどこか憂いているようでもあり、銀の錆び行くような儚さを宿していた。】



「これだけ死んだのだから、それとない義憤に駆られる人間も、いるでしょう」
「別に私が慰霊を想った訳じゃないわ。そうでないとも、言わないけれど」



【およそ彼女は女らしくなかった。着丈は恐ろしく高く、並でない背の男であっても殆ど見下ろせてしまうだろう。】
【見れば其の服装も奇妙である。人の理など通用しない廃墟の戦場にあり、よりにもよって最も役立たぬフォーマルなスーツを纏い、夜の闇に溶けるようなコートを羽織り】
【片方の手に握るハンドガンは言うまでもない。彼女が殺したのは、己れに仇なした怪異であったのだろうか。】
【であれば、ある意味において、一点において、彼女は男に似ていた ──── 異質さ。】
【部隊章らしきものも、ドッグタグらしきものも、彼女の装束には見受けられなかった。けれど、もっと、根元より。】


「意義については、そうね」

「 ──『自分が自分であるために』。なんて、いかが?」


【変わらずテディベアを片手で弄び、──時に慈しむような指先で撫ぜる。曇天を仰ぎ、虚空を見やって、男と同じく視線は合わせず。】
【なにか思索に耽りながら。くす、と皮肉な笑い。少なくとも彼女は、己れの奇妙な巡り合いに、ひととき身を委ねる積もりのようだった。】
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/05/28(月) 21:40:45.36 ID:TPVfhvvwo
>>157

【からかわれていると分かっていても、不愉快な気分にはなれなかった】
【心地良い声に聴き入ってしまう。魅了するような音律がそこにはあって、心を奪われそうになる】
【加えて彼女の物言いには十分に納得いく怜悧さがあった。感性だけでなく理性まで傾いていきそうだった】


異性、理解です、か……確かに大切だとは思います……
俺……いや、僕はそんなに男らしい方じゃないんですが、それでも言ってることは、理解できます

…………って、えっ……!?


【まるで殺し文句のような言葉に、思わず顔が上がって少女をまともに見てしまう】
【褐色の肌に引き立てられる綺麗な蒼の髪も、蠱惑的な赤と黒の瞳も】
【何よりも────その美しい少女が自分のことを見ているのだという事実を】

【頭が痺れるような感覚が走った。どうしたって誤魔化しようがないぐらいに顔が熱くなっていた】
【表現しがたいほどの美しさを持つ少女が隣に座っているだけでなく、彼女が自分に興味を持っている】
【もはや視線を外すこともできなかった。煙水晶の双眸が、吸い込まれるように少女の瞳に向けられていて】

【────そんな状態から、耳元に言葉が囁かれるのだ】


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!


【視線がまた彷徨って、けれどそれは少女を視界から取り除くためなどではなくて】
【むしろ、逆だった。目線の動きは彼女の身体をなぞるようなもの。その肢体を、見つめるためのもの】
【胸の一部さえ露出させた格好。素肌の殆どは晒されていて、パレオでさえその奥を見れそうで】

【魅了してくる声が、冷たくも色鮮やかな美貌が、意識を惹きつけてやまない柔肌が】
【”そういうとき”に少女がどういう姿を晒すのか────その場面を連想してしまうには、その一言は十分過ぎた】


…………………………………………すいません…………からかうのは………………そのへんで


【これ以上ないぐらい顔を赤くして、何かを想像しているように視線を動かして、青年は懇願するように言うのだった】
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/28(月) 21:47:27.53 ID:M+rN52C30
>>163

【隣に座った誰かの、存在感。それは、男性である自分ですら敵わないくらいの大きさだった。】
【だからと言って、その大きさその物に特に抱くべき感情はないのだけれど。せいぜい、大きいなぁ、くらい。】
【それは、身の丈以上にもっと感想を抱くべき特徴があったからかもしれない。―――隠しようのない、死の雰囲気。】

【明らかに、普通の人のそれではない。……だが、それが自分に向けられた死の雰囲気ではないというのも、理解していた。】
【だいたい、殺すつもりならとっくに殺しているだろう。自分はこの通り隙だらけ、そのつもりになれば一瞬で殺される。】
【飄々と微笑みながら貴女と対する彼に、恐れの色は見えず。……かと言って、間抜けな油断がある訳でもなかった。】

不思議な事を言うんだね、君は。鎮魂のつもりはないし、そうじゃない訳でもない。んー、これは明らかな矛盾じゃないか。
……でも、矛盾している事も間違いではないのかもしれないね。だって、人間の感情だってしばしば矛盾するんだもの。

つまり、こういう事かな?君の心に慰霊の存在する余地はない。でも、死を憐れまない程に心を無くしている訳でもない。
うん、とっても人間らしい。……深読みかな?でも、おじさんそういう人間らしい心の揺れは好きだよ。
だって、ほら。そういう心の揺れこそが、人間である証拠なんだから。

【……やはり、面倒くさい。たった一言だけで、ここまで憶測してしまうのは、芸術家ゆえの性なのだろうか。】
【けれど、そうやって深読みをしても、決して貶すことは無い。ただ小さく微笑みながら、その在り方に興味を示す。】
【声色は、演奏と同じく軽蔑や激情といった余計な感情は孕まない。ただ穏やかにストレートに、言葉通りの意味だけを伝えて】

―――そうか、君はそう思ったんだ。
ふふっ、いい答えだ。ヴァイオリンを弾く事こそが、僕の存在理由だと。君は、そう思ったんだね?
演奏家としては、そう思われるのは光栄な事だね。……でも、少しだけ違うかな。半分正解で、半分違う。

君が最初に言った通り、これは鎮魂の為の演奏さ。……無数の死に、たった一人の鎮魂じゃ足りないかもしれないけれど。
全く無いよりは、一つくらいあった方がいいだろう?……それで、ね。それこそが、僕の存在理由でもある。

ほら。たくさん人が死んだ場所では、死は「数」になってしまうだろう?死者○○万人、って。
でも、本当はその一人一人に人生があった訳で。本当は、死んだ人数分だけの悲痛が生まれているんだ。
なのに、その悲痛は大概無視されてしまう。……僕は、それを無視したくなくて。
誰も目を向けない死に、たった一人だけ目を向ける変わり者。それが、僕さ。
……多くの死に触れた君は、そんな僕をどう思う?

【変わり者である自覚はあった。自分は異質な人間だ。……だからこそ、聴いてみたくなったのかもしれない。】
【種類は違えど、同じ変わり者であるあなたに尋ねる。馬鹿にされるなら、それはそれで構わない。】
【それで自分の在り方が歪むのなら、自分の存在はそれだけ軽かったという事だ。壊れた建物を見つめながら、小さく微笑んで】
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/28(月) 21:52:41.80 ID:0+4WchHDo
>>164

【それは灼熱が見せた陽炎、幻の中に映る微睡み似て、世界を誑かす胡蝶の如く】
【言葉が熱を持ったなら、河音が蜂蜜の様にベタついて、蕩ける情熱を意識の様に伝える】
【一房束ねたなら、もう果てには戻れぬ胡蝶蘭、絡みつく指先を解く術なんて無いように】


── おっと、私とした事が少々からかい過ぎました、たまにはこういうお遊びも悪くありません
普段お客様の相手をしてばかりですと、どうしても鬱憤が溜まってしまいますので
……そういう如何わしいお店ではありませんから、『Freak Fes』という大衆食堂です

給仕なんです、私。── 勿論仕事中は制服ですから、目に毒という訳でもないですし
興味があったなら是非一度お立ち寄りくださいませ、大抵私がいるでしょうし、それに
貴方様でしたら、特別にサービスしても、良いですよ


【熱帯夜に見る淫乱な妄想に似て、感じる汗さえも錯覚してしまいそうなぐらい】
【違うのは肌の質感、確かな熱と柔らかさが、指先すらも手繰り寄せるみたいに】
【珈琲の上に乗せたフロートが熱で溶けていく。混じる感情はその光景に似ていた】

【── 『Freak Fes』ある国に存在している大衆食堂であった、良心的な値段で破格の料理が食べられる場所】
【もしかしたら貴方も知っているかもしれない、それぐらいの知名度】
【乗り出した身を直して、ちょこんと座る、落ち着いた表情で貴方へと視線を向ける】


さて、── そういえばまだ名前を聞いていませんでした、私とした事がうっかりです
このままでは来店して頂いた時になんと呼べば良いのか、私の身体に触れた方、なんて呼び方は嫌でしょう?
まずは私から名乗るのが、礼儀というものですから

── ファラーシャ。ファラーシャ・ライーシュ・ファルカト=ムーシェキィヤと申します
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/05/28(月) 22:05:48.12 ID:TPVfhvvwo
>>166

【嘆願が通って、やっと青年は息をつくことができた。ふと気がつけば、外気が冷たく感じるほどに頬が火照っていた】
【若干の罪悪感のようなものが胸中にはあった。今日会ったばかりの相手に”そういった感情”を引き出されたことに対して、居心地の悪さを感じていた】
【それでも、美しい少女に心を揺さぶられることを、心の底から嫌がることはできなかった。喜びのようなものがあるのを否定はできない】


全く、酷い人ですね……親切心で声をかけた相手をこんなにからかうなんて
本当に、顔から火が出るような、とはこのことですよ、もう…………

…………それなら、立ち寄らせてもらいます
今日のお礼をしに、ね


【青年は表面上だけは少し不機嫌というか、非難めいた視線を向けてみせた】
【といっても、そういったことは苦手な人間だ。表面上だけであるというのは容易に見破れてしまうだろう】


……ファラーシャさん、ですか
んん……すいません、一度で覚えるのは難しいかもしれません。こちらはそんなに名前が長くならない国なので
僕は赤木怜司。赤木でも怜司でもお好きなように呼んでください


【国柄の違いで、名前の全てを覚えきれないことに謝罪を挟む】
【それから名乗り返して名刺を差し出した。電子上の連絡先と『レヴォルツィオーン社 開発部門』という所属が書かれていた】
168 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/05/28(月) 22:08:57.09 ID:HIuykBvM0
>>165
【事実、彼女に殺意はなかった。──無論、殺しても仕方ないという感情は確かにあっただろう。恐らく異国の諜報員である彼女にとって、存在の痕跡は多くあるべきでない。】
【然しそれを差し引いても、彼女は男になにか、惹かれるものがあったのかもしれない。その無感情な顔貌は、何も語りはしないのだけれど】


【であれば彼女は黙りこくって男の言葉に耳を傾けていた。否定も肯定も、しなかった。】
【微かに、なにかの軋む音がする、だろうか。顔の半面を隠す銀髪の奥、眼帯のように見える黒布は、暗視装置とサテライトリンカーまで備えた特殊義眼であると、気付き得るだろうか。】
【あゝ然し何たる皮肉であろう。彼女は人間でありながら人間でない。脳髄と神経以外の殆どを人工物に代替したサイボーグであると、】
【そんな彼女が人らしい矛盾を胸に宿すのは、いかばかりの理由があってのことだろうか──?】


【おもむろに、テディベアの腹を彼女は裂いた。真白い綿を引きずり出して、それで彼女は顔を清めようとした。】
【鬱陶しそうに目を瞑り、顔にかかる銀髪を片手で抑えて──乱暴にファンデーションでも塗りつけるように】
【文字通りの腹綿を擦り付ければ、それは蛮族の聖別にも似て。されど、血糊拭われた睫毛の震え、偶然に差し込んだ月光が横顔を照らしたのならば、】
【ひどく端整な、鬼才の彫刻師が心血を込めて彫り上げたような、それでいて血も温もりも決して通わなかっただろう──人形に似た白膚の横顔が、露わになる。】
【シャワーなんて我儘も言いたいけれど、と、苦笑のような自嘲のような、そんな言葉を零した。花びらのように薄くも柔らかく、微かに色付いた唇より。】



「誰かの死を想う──誰かの生を想う。あったはずの、けれどちっぽけな、今となっては残滓さえ怪しい生を。」
「そこに己れの意義を見出し、そのために鎮魂歌を奏でている、と? ──大層なロマンチストね、あなた。」



【呆れたように彼女は笑った。存外、優しい声だった。誰かを嚇したり、貶したりするなら、幾らでも残酷になれそうな、──だが今ばかりは、大人びて柔らかい響きを含み。】
【女もまた月を仰いだ。曇天がようやく晴れようとしていた。手元の返り血までを拭ったところで、また手持ち無沙汰になった女は、次に愛銃を弄することを選んだ。】
【細くしなやかな、グランドピアノの鍵盤に乗せれば耽美さすら備えて舞い踊りそうな指先は、】
【しかし現実には人殺しの道具を握るために使われている。マガジンをリリースし、懐より取り出した予備弾を一発ずつ詰めて、】
【最大装填数まで充したのなら、グリップの中へと戻して、スライドを引き、──弾倉に込めて、セフティ、コック&ロック。】


「まあ、でも。少なくとも、わたしも」
     「──自分が自分であるために、ここに来ているわ」


【独白だった。答えは求めていなかった。月光に溶けるような呟きだった。それでも隣に、男はいた。】
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/28(月) 22:14:27.71 ID:0+4WchHDo
>>167

【千夜一夜の寓話に相応、夜の慕情を感じさせる少女の交わり── 或いはそれが深奥に残るかの如く】
【蒼銀の狭間から覗いた砂糖菓子、甘く蕩けた素肌は鼻腔に染み込み脳まで蕩かすぐらい】
【曲輪よりも未だ幼く、それでいて夜鷹よりも可憐に夜を謳歌してみせる】


あら、貴方様が可愛らしい反応を見せるのがいけないのでは? 誘いに応じて乗り出す殿方なら相手にしません
初心な反応を見せる方が悪いというもの、私が襲われても何も文句が言えないように、貴方様も
── からかわれても文句を言えないような、隙だらけの姿でしたから

赤木様にしておきましょう、言い慣れておかないと、来店して頂いた際に
『レイジ』なんて恋人の様に呼んでしまうかもしれません、から
── あら、レヴォルツィオーンなんて超一流も超一流、大企業中の大企業じゃないですか

その歳で開発部門に所属だなんて、意外とやり手なんですね


【そう言って立ち上がったなら褐色に纏う夜が乱れる、黒い衣と蒼銀と、色彩のコントラストは時に過剰なまでに】
【それは踊り子に似ていた。── 『砂の国』では淫らな格好で踊りながら、裸体をさらけ出す職もあるのだという】
【白銀のポールに身を委ねたならきっと、彼女は尊く踊ってみせるのだろう】


それでは私はこれで、良い時間潰しができました──、貴方様には暫し大変だったかもしれませんが
私はとても、そう良い気分転換になりました、これからまたダメな子達を率いねばなりませんから
また会いましょう、お客様として、そして──、ファラーシャとして

── ‎"هيممنوس كرونيكل"──
──"Hymmnos Chronicle"──


【少女が紡いだなら、夜を溶かしこんだような蝶が複数出現し、荷物の近くに羽ばたく】
【蝶の動きに釣られる様に荷物が持ち上がり、彼女の前をゆっくりと先導する】
【そうして彼女はその場を後にする、何処までも不思議な音色を残して】


/この辺りでしょうか! お疲れ様でした!
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 22:26:08.31 ID:BXPz6ptu0
>>144

【ぼうとした視線が移ろった。それは脳内麻薬に浸された人間の目、何度死んでも追いつかないほどの苦痛の余韻がパチパチと線香花火のように弾けるたびに】
【その衝撃に揺らされるように身体が震える、――それほどのものであった、彼の言葉を聞くことすら、人生で一番の集中を保ち続けていなければ、ならないほどに】
【けれどだからこそそれは深く深く存在の奥深くにまで染み渡る言葉に変わる。さながら砂漠で遭難した後に差し出されるコップ一杯分の冷たい水のよう】

【ならば気づかぬうちの彼女の膝は折れていた。跪くよな視線は祈りを捧ぐ信者の様相、さぞかし眩いものを見上げるかのように目線が振れる、そうして彼を、見上げたなら】
【――こんなにも敵わぬ彼にすら届かぬもの。それがウヌクアルハイだと深く深く刻まれていく、より一層、今までよりも途方もなく、突き抜ける先の地面さえないほど】
【だけれどそれはくだらない人間の錯覚に他ならない、と、言うことを、今思い知らされた。その向こう側に彼の蛇神様は居るのだ、そこにたどりつくときこそ】

【――――――その時こそ、救われる。蛇に赦されるのだ、と。細胞の一つ一つ、ミトコンドリアまでもが蛇を崇めるかのように。赤血球までもが、ひれ伏すように】
【ならば白血球はくだらないウィルスに対応することをやめて蛇のためにと身体の中を彷徨いだすから】

――――ああ、あぁ! ――もうすぐ、なのですね。ついに、――ついに、その日が来るのですね。
もちろんです、……もちろんですとも、私の身など何度枯れて果ててしまっても構いません、そのためなら幾重にも咲き重ねましょう、姫の衣よりも濃密に、塗り重ねて。
その喉を潤す蜜になれるのならば、それ以上の幸福などありえません。――そのために生まれおちたのだと、連綿と続いた系譜のすべてこのためだと、分かります。

そのためであれば屍を単位すら消えて失せるまで切り刻む事も、
屍を組み合わせ万人が死ぬまで嘔吐するほど冒涜的な立像を築き上げることも、
屍と交わりその子を孕むことも躊躇いません、――いいえ、どうして躊躇うことがあるのでしょう? 

【それはさながら毛先までも感覚のある生き物が居たとして。その毛先までを丹念に豚毛のブラシで梳かされるような至福だった、思わず微睡んでしまいそうなほど】
【だけれどそれは安らぎと程遠い。ならば度を超し苦痛と化した快楽を伴う交わりの後の微睡み、脳の回路が一つ一つシャッターが降りていくときの、絶望的なまでの、甘さで】

……――――――もちろんです、賜ったお力はもとより、この存在すべて、使い果たしてでも。

【狂気に満ちた笑みを隠せるはずもなかった。三日月より鋭利に口元が咲いて、瞳はどこか遠くをじっと見ている。この暗がりの向こう側、その鱗の煌めきを探そうとするように】
【ざわざわ落ち着かない細胞をなだめるように自分の身体を抱き留めては撫でる、それでは足りぬとばかりに物欲しげな喉が熱っぽい吐息を溢れさせて】
【透き通るような藤の髪先が背中を撫ぜるだけで果ててしまいそうなほどだった。想像さえすることが敵わない世界に接続された、その余韻が、ひどく色濃く、鮮やかに咲くなら】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2018/05/28(月) 22:32:42.04 ID:TPVfhvvwo
>>169

【隙だらけの姿だ、と。言われてしまっては言い返す言葉もなかった】
【醜態を晒した自覚ぐらいはあった。指摘されて、顔に熱が戻ってくる】


んん…………それでも……ああ、いや…………も、もういい
れ、怜司、ね……赤木”様”ってのも呼ばれ慣れてなくて、なんだかこっぱずかしいですけど
レヴォルツィオーンはちょっと伝手があって……その話は、店に行ったときにでも


【下の名前で呼ばれたのは、ただの例に過ぎない。それでもその声で呼ばれてしまえば、胸が高鳴るのを感じてしまった】
【立ち上がる少女の姿を瞳が追う。黒と蒼と褐色。風に靡く蒼銀の髪に、明かりに照らされる肌】
【淫靡だと人は言うかもしれない。だが彼女の姿に青年は美しさと、気高さを垣間見た。そう、きっと尊く踊ってみせるのだろう】


……ええ、それじゃあまた


【少女の姿を見送って。公園に一人残った青年の口からは嘆息】
【いくらなんでも、少し酷い姿を晒しすぎたと、自己嫌悪がこみ上げてきた】
【それでも────心の中には彼女の声と姿がいつまでも残っていた】


//お疲れ様でした!
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/28(月) 22:38:51.17 ID:0+4WchHDo
>>170

【── 男はその様子を見て満足気に微笑む。娘が初めて喋った言葉を、拙くとも精一杯喋る姿を誇り高く思う様に】
【例えその中身が呪詛であったとしても、蔓延る呪怨をその身に纏っても構わないと言いたげに】
【愛しい娘であった。美しい顔に混じり気のない感情を浮かべる姿が、こんなにも尊いとは──】


素晴らしい答えです、人の身でありながら、良くここまで信仰を深める事が出来ました、
── いえ、或いは人の身であるからこそ来れたのでしょう。君は誰よりも熱心な信徒であっただけです。
そしてそれこそが最も尊く、ウヌクアルハイ様が最も喜ぶべき真実なのです

人は知覚できません。我々がウヌクアルハイ様の円環の中に居ることも、無限の輪廻に囚われていることも
けれども君の脳内は今それを理解して "しまった" しかし、それでも尚、脳内は統制を取り確かな論理を導き出す
それがどれ程までに素晴らしい事なのか、称えるべき奇跡なのかを君は知らず、それでいて君は信じるのです

そう、それこそが、それこそが信者のあるべき姿です、君こそが "サーペント・カルト" の誇りに相応しい、
宇宙の深さと残酷さを知って尚、我々は自らの知性を元に世界を生き抜く事が出来る
それは宛ら断頭台の紐を自ら断ち切る様に、処刑台を自ら組み立てる様に、十字架を刑場まで運ぶ様に


【男は言葉の限りを尽くし少女を賛辞する。ウヌクアルハイの代弁者として、預言者は慣れた口で語る】
【── ある種の同一視であった。自分を神と誤認し、自らの理論に無意味な三人称を付け加えるような】
【それでも今の貴方には何よりも尊く響くのだろうけど】


ではここで一つ試練を与えましょう、此処に一つの死を蘇らせます
そして君は再びその死を繰り返すのです、それこそが恩寵の一つ
さあ、顕現なさい── 全ての因果を断ち切る時が来たのです

────"Death Unlimited"


【少女の目の前の闇に、柱に括り付けられた男性が出現する】
【── 中年の男性であった。特筆すべき情報はほとんど無いけれども】
【敢えて言うのであれば、それは少女の、死んだ筈の父であった、ぐらいか】
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/28(月) 22:49:43.27 ID:M+rN52C30

>>168

【実際、彼は気づいていた。貴女のその身が、生体ではないという事に。―――彼の耳は、異能とさえ呼べるくらいに特別だった。】
【雑踏の中のでコインが落ちる音のような、些細な音でさえも聞き分けてしまう。それゆえ、小さな金属の軋みを聞き取ってしまっていた。】
【それは、生き物の身体からは生まれ得ない筈の音。機械の性質までは判別できずとも、ヒトではないという事には気づいていた。】
【それでも、彼は彼女を「人間」と形容した。彼にとって、人間であるかどうかの定義は、身体の構成成分ではないのだろう。】
【そんな表面的な部分ではなく、もっと別の深い何か。それが何であるかと尋ねられたら、まだ分からないとしか言えないけれど】
【―――無言で、汚れを拭う貴女を一瞥する。遺物を引き裂いた、その行為を咎めることは無い。】

―――ああ、僕はロマンチストさ。そして、リアリストでもある。

目の前に広がる無数の死という現実から、目を逸らさない。それって、ある意味リアリストじゃないかい?
でも、ロマンチストでもある。死人に想いを届けるなんて、ロマンチストの極みさ。
ふふ、僕も君と同じ矛盾した存在だよね。ロマンチストでありながら、リアリスト。……でも、それでいいと思うんだ。

【自分でも、自分の在り方が奇妙であるという事は理解していた。理解していながら、それを受け入れていた。】
【自己が孕む矛盾でさえも、自己であると受け入れて……納得していた。受け入れているからこそ、その存在は矛盾していながら揺るぎなく】
【でも、その在り方を呆れられながらも否定されなかったことに対しては、喜んでいた。その証拠に、少しだけ頬を緩めながら】
【自分の相棒を調節した貴女を真似たのだろうか、彼もヴァイオリンをそっと撫でていた。】

うん。……君がどういう存在なのかは、僕は知らない。
でも、僕の馬鹿げた存在理由を否定しなかった君の事だ。きっと……そう酷な物ではないだろう。
―――たとえ、僕が君から強い「死」を感じ取っていたとしても。僕は、そう思う。

【―――くすりと、はにかんでみせる。他人の独り言にどうこう言うのは、不躾な気もするけれど】
【自分が貴女の隣にいたから、応じてみたくなった。これも、人間故の気まぐれなのかもしれない】
174 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/05/28(月) 23:08:58.53 ID:HIuykBvM0
>>173


「あまり他人から同類扱いされるのは、癪に触るけど ── まあ、否定のしようは、ないわね。」


【夢見がちな男の所作を、彼女はきっと鼻で笑っているようだったが、 ── しかしそれでいて、彼女もまた、夢を見ている。】
【悪い夢。醒めない夢。取り憑かれたような夢。うつつを彼女は歩いているのに、その足取りは夢心地。】
【己れの置かれた立場を認めたくないから。逃げ出したいから。振り払いたいから。それはきっと、宿命だった。】
【 ── 漸く、彼女は男を一瞥した。その微笑みを横目に見た。切れ長の冷たく青い瞳は然し、やすらかな笑みを湛えてもいた。】


「ただの人殺しよ」「権力の犬」「早くどこかの誰かに、首輪を解いてもらうか ── 」
「 ── 早く、自分でも、鎖を噛みちぎれるようになるか。そうなりたいのだけれどね」


【はじめから問うてほしかったかのように、滔々と彼女は己れを罵った。嘲笑った。機械仕掛けの死神に、優しさなど感じてどうすると。】
【けれど言葉にはしなかった。男の性根とその心持ちを、少しは女も知ったつもりであったから。】

【 ── 不意に、遠雷に似て、ヘリコプターの飛行音。遠くに明滅する、サーチライト。女の穏やかな微笑みが、冷たさを取り戻す。】
【テディベアを座っていたドレッサーへと戻してやり、そのまま懐へと手を伸ばし、左手にも彼女は拳銃を握って、虚空を睨んで。】


「 …… ここも、そろそろ、危なそうね。」
「ありがとう。 ── 悪くなかった。そのヴァイオリンも、貴方も、ね」

      「さようなら。またいつか、会えたのなら。」


【急ぎ足に彼女は立ち上がる。影のような体躯は細長く、月光に照らされたのならば成る程死神の背姿にも似ていた。】
【振り向きざまに、最後、彼女は ── ゆるやかに眉根を安らげた、毅然として、けれど優しげな微笑みを投げかけて】
【別れの挨拶もそこそこに、夜闇へと紛れて消え行くだろう。足音も足跡も凡そ残さずに、最初からそこになんていなかったように ── 。】
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 23:13:47.12 ID:BXPz6ptu0
>>712

【それはさながら聖堂で聞く聖なる歌声のようだった、一定の数字を数えるときにカキリとリズムが重なる、そのたびに、人間は言いようのない世界の美しさに飲み込まれる】
【ありふれたポリリズムじゃ物足りない、麗しい神が指先で選び取った無秩序な数字が重なり合うのが天文学的数字の果てでも、それが素数じゃないって知っているなら】
【――――――――――奏でられるすべての音律が一致する瞬間がもうすぐそこまで差し迫っていると、"分かる"から】

――――――……はい、――はい。有り余るほどのお言葉です、……、

【マゼンタの目じりが甘く蕩ける、伏せた視線ながらも薄い藤色のまつげを鮮やかなマゼンタが貫通してくる、涙すら溢れてきそうなほどに、長い毛先まで赤紫が映えて】
【笑んだ口元はひどくむず痒いような無垢を宿した、彼の言葉に相槌を打ちながら、そのたびに、そのたんびに、本当は打たれているのは、彼女のほう】
【祀られた無垢が望む通りに(今の彼女にそれとこれを区別するだけの思考は残されていないから)形を変えられていく、叩かれるたびに火花が散って、そのたびに、洗練されていく】
【それはまさに人間だからこそできることだった。良くも悪くも執着しいの神々には為せぬこと、自身の形を変えて生きていく、それはありふれた生き物らの生存戦略だったが】
【――人間のそれは群を抜いていた。だからこそ無垢なる神に仕えるにふさわしい――そして何よりよく増えて、都合が悪くなったなら、簡単に、終わらせられる】

――ああ、パパ、パパがかえでを高いところへ連れて行ってくれるのね、小さなころに、たかいたかいって、してくれたように。
だけどね、パパ、かえではもう大人になったわ、洗面台の上の戸棚にだって手が届くの。だけどね、パパ、――――まだ一つだけ、届かないところがあったの。

かえでが……ムリフェンが、ウヌクアルハイ様の下へ向かうための――足場の一つになってちょうだい、パパ。

【"あなた"はその少女の顔を見やるだろうか、こんな瞬間に浮かべる表情を、たとえどんな優れた吟遊詩人だって、歌にするには、千年はかかりそう】
【そして同時に理解する、しないといけない、彼女みたいに笑った時にえくぼのある人間は千年前の記憶を引き継いで生まれた証で、だから】
【最も優れた吟遊詩人が歌にしてみせたとして、その場にこの少女はきっと居合わせるから】

【――――――だなんて、ああ、これは検閲に似たもの、美しい川を行く、豪華な船の映像と意味合いはきっと同じで】


――――――――ふふ、ぅふ、あはっ――、ははっ、あははっ! ――ウヌクアルハイ様! ――見ていて、くださいましたか、
ウヌクアルハイ様の奇跡は死んだ人間をすら殺してみせました、――数多の死を積み重ねて! 一人の人間が決して知ることのない幾重もの死を、咲かせて――、

【――それは凄惨という言葉すら生ぬるいほどの地獄だった。少女は新しい力の持ち得る可能性すべてを試すかのように何度も何度も何度も無上の苦痛を父に与えて】
【それでもなお底の知れぬ力に畏怖し跪き泣いて笑いながら、それでも父を痛みだけで以って殺し続けた、――それがどれだけの時間に及んだのか、は、分からないけど】
【とにかく少女の父親は死んだ。それが何度目かであったかは、多分、誰にも分からない。賜った痛みを拙く模倣した地獄絵図、あれが甘美で美味なミルフィーユだったなら】
【これは単なるパイ生地のよう、粗削りで詰まんない、だけど――だからこそどんな風にも調理する余地のある、人間らしい、人間にしかありえない、様相だった】
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/28(月) 23:24:49.48 ID:0+4WchHDo
>>175

【快楽は熱病に似て、流線形は人を殺める殺意の具現、それならば狂気はどの舞台に並べられるのか】
【陰鬱な森を抜けて、鬱蒼とした海を踏破し、その果てに待つ地平線へと思いを馳せたならば】
【── 其れを因果律の終焉と呼ぶ事を、神は許してくれるのだろうか】


ええ、大丈夫です、ウヌクアルハイ様は然と見ておられました。君が尊く美しく業を果たした事を
ウヌクアルハイ様は死者すら殺せるのです、況や生者など、そうあれかしと希望がままに思うがままに
そして須らく、灰は灰へ── 我らが神から齎された恩寵は、正しく我々の元へと

ムリフェン、君は死者すら殺せる力を得た、それならば、生者など、殺す事はより容易いでしょう
そう、これこそが逆説的な殺害保証、全ての生者を殺し切る類まれなる殺人鬼の才能
言い得てしまいましょう、これぞ禁術── 万物を殺戮する術

── "Kukulcan"


【病葉が奏でた三重奏は、暁歌すら生温い不協和音に満ちて、その中で蠢く振動をクワイヤと嘯いて】
【そうして理性の狭間に溶かした一葉、無数に煮詰めて積み重ねた罪の墓碑、月桂樹が如く散りばめたなら】
【臓腑の詰まった肉袋を、何度も殴打するかの様に── 塗れた血と■■が滔々と流れていく】

【新たな術式であった、その術を用いれば万物を殺戮する事が出来る】
【── 対抗神話とも言える術である、この術式を用いれば一瞬でその場の魔力的産物を掻き消すことが出来る】
【ただし副作用も大きい、滅多に使わない方が良いだろう、等と】

【── 彼が言うはずも無かったが】
177 :ドープ・ラブ・ライク ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/05/28(月) 23:37:11.92 ID:ukIb/Zaz0
【――ああ?≠ニ訝しげにそちらを向けば、ずいぶんと肉感的な幼女】
【ずいぶんと長い間見ていた。とはいえ、表情からしてときめききゅんといったものではなくて】
【なんだこいつ、とでも言いたげなとても失礼な表情を向けている】
【むろん、無欲な訳ではない。男として反応しない訳でもない。ただ、】

【濁された言葉だとしても、伝わるのは邪悪の漏れ出る気配】
【あいまいで、明確な意図として伝わるのは、――己の敬愛する邪教のにおい】

……あー。

目の前に悪魔だかコウモリだかヴァンパイアだか、よく分かんねェのが居るな。
つまり俺にも地獄からのお迎えでも来たって訳だな。アーメンソーメンヒゲソーメン。
オレぁこういうのを退散させねェと、階段逆四つん這いで降りなきゃなんねェって映画で学んでんだよ。

【と、サンバイザーを抑えて、うつむきがちにぼやき出す】
【明らかに、彼女の気配を察知している。彼は一般構成員。敬うべきだというのに】
【まるでそれが厄介であるとでも言うかのような――】

SHIT.(ちくしょうめ) 今日は厄日だなァ……。
可愛いお嬢さんってのはオレぁ大歓迎さ。セクシーなら尚更な。
だけどよ、そういう路線じゃあねえんだよな……いっちゃん見たくも無ぇ面拝んじまってよ。

で、アンタ一体何者だ?
オレぁアンタのコト知らねえし、自己紹介ってのは自分から名乗るもんだぜ。
そういう月並みなコト言わせてるウチは、幹部≠フ名も廃れるってもんだ。
コミュニケーション大事だって学校のセンセイに教わらなかったのかい。

とはいえ、絶対服従の身だからこそ名乗っとくか。釈だがなァ。
学校のセンセイってのは社会の厳しさまでは教えてくれなかったらよ。

オレぁサーバント、ドープ・ラブ・ライクだ。よろしくな。幹部さんよ。

【べらべらと継ぎ目なくしゃべる――減らず口で彼女を刺激するかのように】
【物怖じしない理由としては――彼は己の価値には、それほどまで頓着していないのだ】
【彼女がいかにヒト≠ゥら離れていようと、彼を殺しに掛かろうと、そこは最たる問題ではなく】
【というよりも、次に彼女がどのように行動し、返答するかの方が彼は気になるのだ】
【幹部などめったに見れない。だからこそ、己の思想の達成に、便宜上はより近い≠ニ思う同志を知りたい】


――まあ一言、な。
オレはジブンのファッションにソウル掛けてんだ。だから言わせて貰うと。


お前のファッションの方がバカだわ、このタコ助娘……!!
いくら夏だからって水着着て歩くのはどう見てもてめーがクレイジーだろうが!!


【なんか急に怒り始めたが】


【とはいえ、彼は立ち上がり、出方をうかがっているようで】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/28(月) 23:40:30.25 ID:M+rN52C30
>>174

【同時に、彼もあなたを一瞥する。だから、必然目が合う。目が合うと、その目に浮かぶ色も当然見える。】
【ほんの少し、僅かながらに。けれども、確かにあなたの表情に垣間見た穏やかな色。きっと、見間違いではない。】
【冷たい色をしながら、温かい穏やかさも内包する。それもまた、貴女に存在する矛盾……だったのかもしれない。】
【―――それはきっと、彼女の色が血と硝煙に染まった色だけではないという事を示していたのだろう。】

ただの人殺し?……ふふっ。本当にただそれだけ?
僕は、君を表現するのに「人殺し」なんてたった三文字じゃ足りないと思うな。
人間って、色んな側面があるだろう?よしんば人殺しが正しい評価だとしても、それさえも君の一側面に過ぎない。
人殺しの性質とは矛盾した、別の側面もあるかもしれない。それだって、きっと君の一部分だよ。

【そう、人間なんて最初から矛盾しているのだ。ただ一つだけの単純な性質の人間なんて、どこを探してもいない。】
【それゆえ、「ただの人殺し」なんてなり得ないと、彼はそう言う。人間が、たった三文字で表現できるはずが無い、と。】
【それは、信念に似た何か。彼の思想の根幹に近い部分だったのかもしれない。―――別れが近い事を知ってか知らずか、それだけを伝えて】

【その直後、ヘリコプターの音。迎えが来たのだろう。―――ああ、ほら。やっぱり。】
【テディベアを道具にするために無残に引き裂いたのに、捨てればいいのに大事に取っておく。やっぱり貴女は矛盾していて】
【それこそが、自身が単純な存在ではないという証拠ではないか。口には出さないけれど、彼は見ていた。】

……ああ、ありがとう。そう言って貰えるのなら、僕は嬉しいよ。
それじゃあ、またいつか。―――今度は死者ではなく、君に向けて演奏できれば嬉しいね。

【また、いつか。それがいつになるのかは、全く分からないけれど……もし、その日が来たのなら】
【今度は、彼女に音楽を聴かせたい。様々な側面を持つ彼女であるからこそ、きっと良い聴き手になるはずだ。】
【やがて彼女は去っていく。足音も足跡も残していないけれど、短い一夜の確かな記憶を残して―――】

//此処で〆でしょうかっ。ありがとうございました!
179 :アイ ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/05/28(月) 23:43:42.11 ID:ukIb/Zaz0
/>>177>>161さんへのレスです!
180 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage]:2018/05/28(月) 23:43:49.29 ID:HIuykBvM0
>>178
/ロールおつかれさまでした。キャラの方向性も決められて、ずいぶん調子も戻ってきた気がします。ありがとうございました!
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/28(月) 23:55:15.38 ID:BXPz6ptu0
>>176

【――ぷちり、ぶちり、と、聞き覚えのない音がした。そしてそれは禁術に曝された身体の中身のどこかが耐えきれずに張り裂ける音だったのだけれど】
【果たしてその彼が口に"しなかった"警告を聞いていたとして、彼女はここで踏みとどまっただろうか。知らねばブレーキの壊れた車、知るなら、アクセルを踏み込むように】
【ならば結果はそう違わない。知らずに死ぬか、知っていて死ぬか。――どうあれ彼女はそれを望み選びそして果てるのだろう、と、世界のすべての理解させるよう】

――――── "Kukulcan" 。ああ、なんて、なんてすばらしい名前なのでしょう!
ウヌクアルハイ様の化身が一つの名を賜るなんて、ひどく、ひどく、ひどく――、ああ、嬉しすぎて、今すぐにでも、死んでしまいそうです!
ですけどそれをウヌクアルハイ様は赦してくださらないでしょう! ――だけど、こんな気持ち、どうやって表現したら、いいのか……いえ、もちろん、もちろんです。
分かっています、分かっているのです、ですけど、私のような矮小な存在では、それ以上に言葉にしてその喉の快楽を味わいたい、と、願ってしまうのです!

喉奥まで差し込まれその結果味蕾に触れることすらない味すらも感じてみたいと――。

【それほどまでに深く深く引きずり込まれてしまった。泥沼を暖かい温泉と間違ってしまったより罪深く、戻る道はもはや振り返ることさえ許されず】
【それを許される頃など、とうに通り過ぎてしまった。無くしたものを埋め合わせるには信仰はあんまりに大きすぎて、ぼっこり空いた穴より、大きなものが挿入ってくる】
【だから人間なんて矮小なものはびりびりと張り裂けていくのに、それさえ快楽に見間違う。――ならば浮かべるのは先ほどより深い愉悦、無垢にあどけないからこそ、悍ましい】

【――さながら生まれたばかりの妹に嫉妬して殺してしまう二つと半分の姉のように。それをそうだと理解しないまま、動かなくなった妹で人形遊びをするみたいに】
【それに気づいた親の悲鳴はどのようであっただろう、――そして彼はきっとそれを聞いていた。冒涜された父親の悲鳴、それはまさに、どうしようもない絶望の音階】
【きっといまだにどぶどぶ流れ続ける無惨な赤色に少女はもはや興味を示さない、内側から溢れて来る気が狂いそうなくらいに甘い蜜に、対処するすべを知らないのだから】
【ある意味では生存するための本能のようでもあった、――――これはやはり人間には荷が重すぎる、神々の向かう先に付き従うこと、それそのものが地獄絵図であるかのように】

――ウヌクアルハイ様はいつごろに受肉されるのでしょうか。ならば私はその時計の針をいくつもいくつも早めてみせましょう。
それ以外の方法で、私のこの昂ぶりを醒ませそうにないのです、身体の内側を何もかもわきまえず犯されているよう、そうでもしないと、気が狂ってしまいます。
オフィウクスの本懐を遂げたいのです、この力で――、――ケバルライさん、どうぞ、私の存在を一滴残らず使い切ってくださいませ、ウヌクアルハイ様の、ために――。

【けれど】

【血反吐を吐いても付いていくと少女は決めてしまった。それがいつからだったのか、どうしたら、そうならなかったのか、もう分からないけれど】
【震える唇は彼に予想される時間を尋ねて、そして、誓うのだ、――"その日"をよりいっそう近づけて見せる、と。この力はもとより、この、全部の存在を絞りつくしても】
【長く長く吐き出される吐息はひどく震えて、そのたびにひゅうひゅうと息の音がするほど。――そうして乞う、自らより高みを知るのだろう、彼に、頭を垂れて】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/05/29(火) 00:09:15.85 ID:LULbZQrSo
>>181

【父親は苦悶の聲を鳴らした、声帯が裂けて聞こえなくなっても、雑音の様な呻き声が何処までも流れる】
【其れを宛ら聖歌の様に貴女は聞いていた。荘厳なパイプオルガンを奏でる様に、無垢な指先で臓腑をまさぐり】
【祝祷を祈るが如く、腑分けする手順に迷いも無く、聞き慣れた歌をなぞる様に道を進む】


烏滸がましい真似です、出過ぎた願いです。何故彼の者が蝋で固めた翼で満足しなかったのか、太陽を目指したのか
── そしてどの様な末路を辿ったのか知らない筈は無いでしょうに、君は何処までも純粋でなければならない
けれども時に背徳は美酒、淫行は甘露、業を犯す気持ちもまた過ぎた信仰心の賜であれば私は許可をしましょう

しかし、それもまたウヌクアルハイ様の恩寵の下に、分かるはずです、君が言葉にするまでもなく
ウヌクアルハイ様は其れを分かっておられ、其れを理解しておられ、そしてそこに在るのです
ですが故に、だから故に、それが故に、私は君が冒涜を犯す必要など無いと諌めましょう

不必要な罪など犯してはなりません、御自分に酔ってしまう事は狂信者の自己満足です
君は正しい道を歩いてきた人間です、そしてこれからも光り輝く道を逝かねばなりません
一歩一歩が正しい方向に向いていたならば、帰納的に考えれば、その先が救いであるのは自明の理


【ゴシックに塗り潰されたカテドラル、死と苦痛の沼に閉じ込められた幽世を、どの角度から見れば正気と言えよう】
【或いは既に我々は、忘却の湖に囚われて、尽きることの無い永劫を旅路として】
【鈍痛の様な恐怖すらも、誰も彼もが忘れてしまい、そしてその先に映る無限の曖昧だけを踏破しようと】


もう間もなくです、── 君ならもう分かっているでしょう、耳を澄ませばすぐそこに
夜道にふと振り返った事は? 湯浴みの最中視線を感じた事は? 足跡が一つ、多く聞こえた事は?
そう、それこそがウヌクアルハイ様の痕跡── 我々の耳元で静かで確かな息遣いを零します

故に私は君を腑分け "しません" その様な事をしなくとも、君は十分に蛇の元へと近付いている
鳩尾から下腹まで切り裂き、腹膜を割いて内臓を露にしなくとも、大丈夫なのです
だからこそ積み重ねなさい、善行を── その先に未来はあります


【── 闇が薄れていくのだろう、目覚めの前の熱量に似ていた】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/29(火) 00:48:55.78 ID:VprJxs3N0
>>182

【――――――嗚呼と呻いて少女は眼を閉じる、彼の言葉に怯えるように、けれど、やはりそのどうしようもない熱は燻るばかりだから】
【ならばどうしようもなく身もだえするばかり、それはさながら両手足を切り落とされてしまった贄のようでもあった、腸が澄んだ信仰の流れる水面へ落とされる瞬間を待ちわびるよう】
【恐怖と期待にびくびくと身体を慄かせながら身もだえするたびに理由も分からず涙するような気持ち、それこそがきっと信仰で、だから、捧げないとならない】

――――ああ、申し訳ありません、その通りです、出過ぎた真似でした。
――なればこそ、いっとうの奉仕に励みます、――私など、のためにウヌクアルハイ様の名を出すなど、それだけで罰せられるほどでありました。
あなたの慈悲に感謝します――こうして私にもう一度、己が姿を見つめ直す機会をくださったこと、そしてそのために、さらなる修行に励めること。

【まるで空腹の蛇の前に差し出されたピンクマウスのようだった、神威に打ち震えて慄く矮小なもの、今更になって、自らが今まさに羽ばたこうとしていた翼が、蝋細工だったと知る】
【ふっと立ち止まって見たならば、それは確かにそうであるように見えた。けれど自らの昂った血にカッカと燃えるような脳裏ではうまく理解が出来ずに、惑う】
【そしてだからこそ、その鈍った脳の隙間に、彼の言葉が一つ一つ、絶縁体のように滑りこむ。大事な何かを堰き止めて、けれど、それが何かはもう分かることもできないなら】

【ひたすらに彼の言葉を聞く、そうして思うよりも思い知らされる、本能が叫んでいるみたいに、善行を積まねばならない、と、思わせる】
【――耳元に誰かが囁いた気がした。それは澄み切った鈴の音の音律。それを基準にしてすべての音が決められるから、きっとそれは、神が持つ声音に相応しくって】
【少女はとっさに振り返ってしまう――そうして薄れゆく闇に気づくのだ。あるいは、そこはすでに、ありふれた世界の景色、なのかもしれないし】

【とにかく確実であるのは、彼女がこの時以降、より熱心に信仰に励むことだった、――禁術に身を焼き切りながら、けれど、その痛みすら、無上の喜びだと、感じて】



 【――――――――――――どこかで誰かが小さな小さな声をあげた、それは、ふっとした隙に見落としてしまいそうなくらいに小さな、生まれたての神様で】
 【――――――――――たったの一言、自分が何者であるのか。それを定義づけた古のおまじないの文言だけが書かれた、真っ新な神話を、胸元に抱きしめ】
 【――――――――絶えず捧げられる信仰の甘美さにびくりびくり打ち震えて慄きながら、どこかで恐怖して、けれど、拒めず、だのに、泣いているなら】

 【――――――(わたしが消えちゃう)】

 【――――鈴の音の声が、甘美と恐怖のはざまに落ち込んで震えていた。その声を、だからって、だれも、きっと、聞いてないけど】


184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/29(火) 18:49:15.01 ID:VprJxs3N0
【街中――噴水の広場】
【よく分からない像が中央に据えられた噴水はこの広場の名物だった、そこから溢れる水は、子供たちが遊べるような浅い水場に流れ込んで】
【日差しは弱いけれど蒸し暑い今日みたいな日ならばキャアキャアと楽しげな声があちらこちらから聞こえて来るなら、きっとそれは、広場の外まで響いて】

…………っ、う、

【だけれどそれは一つの翳りだった、ならば凶兆に似て――だなんてほど大層なことでもないのだけど。ふらりと揺れる人影一つ、頭を抱える様子だったなら】
【ひどく蒼褪めた顔色も併せてどうやら気分が優れないのだと思わせた。――人気のない細い道から壁づらいに出てきて、そのまま、広場の中へ】
【それから噴水の淵に突っ伏すみたいに地面にへたり込むから、もしも視界に入ったならば気を引くかもしれなかった、――実際、びちゃびちゃに濡れた水着の女の子に取り囲まれて】

【キャーキャーきゃーきゃーうるさい声でどうしたのとかなんだとか聞かれまくって――指先の仕草だけでしっしと追いやったなら】
【「ママー!」「具合悪いってー!」「パパー!」――追い払われる子供たちの大合唱、それぞれの親のところに掛けていきながら、やんややんや、にぎやかに響いて】

クソガキ……ッ!

【ひどく重たそうに持ち上げた頭、前髪どころか後ろ髪の一部までもが顔にかかって、その隙間越しに睨んだ視線は、ひどく鮮やかな色合い】
【――ぐっと淵に手をついて身体を起こしたなら、子供たちに要請された親が様子を見に来る前に立ち去ろうとしているのだろうと思わせた、ふらり、と身体が揺れて】

【淡いウィステリアの髪は透き通るような色合いのロングヘア、肌の白さまで透かすかと思うほどに儚い色合いをして、だからこそ、マゼンタ色の瞳が、よく映えた】
【白色のワンピースは裾に紺色のラインをあしらったもの、ふっくら豊かな胸元につられて前面の裾が持ち上がったなら意図しないアシンメトリーのデザイン、作り出して】
【足元はよく見たなら素肌でなくて薄手のストッキング、それにヒールのあまり高くないパンプス、――それでもおぼつかない足取りが、広場の石畳の溝を踏み抜いて】
【――少女だった。靴も併せたなら身長は170に近いほど――そんな彼女ががくんっ、と、バランスを崩した瞬間は、きっと、よく目立つなら】

【――――まして、子供たちがさんざ騒ぎ立てた、あとだった。まるで不都合なことがあるように移動しようとした少女は、少なくない人の目を集めてしまっていて】
【それとは別に。――膝から転んでいったのは、すっごくすっごく痛そうに見えた、それこそ、しばらく、起き上がってこないくらいに】

/日付変わるくらいまでは余裕で居ると思いますっ
185 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/05/29(火) 19:38:09.29 ID:BbTKogIC0
>>184

あ!ひっさしぶりー!

【離れた場所にいる子供や親たちにも聞こえるような大声が響くと──】
【空色の瞳を持つ少女が、白みがかった金髪を真ん中で分けた短めのツインテールをぴょこぴょこさせながら歩いてくる】
【身長は155cm程度、黒い半袖のブラウスに白いショートパンツ、肩から小さなショルダーバッグを掛けていて】

ほら、わたし!リオシアだよ!
わーこんなところで会えるなんて偶然だねー!

【当然、初対面──】
【彼女にとっては白々しい演技。よく聞けば棒読みで台詞を続ける】

また転んじゃったの?もう、昔からおっちょこちょいなんだから!
大丈夫?擦りむいてない?

【転んだ少女に近づき、手を差し伸べ】
【今度は他の人には聞かれないような小声で、話しかけた】

……おねーさん、どうしたの?
なにか、何か人に見られちゃいけないタイプのトラブル?

【どうやら、周囲の人間に大した事ないということを示すための、とっさの演技だったらしい】
【リオシアと名乗った少女の見た目は10代の中程から後半──】
【どちらが年上かわからないが、おねーさんと読んだのは身長差から大人っぽく見たからか】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/29(火) 19:54:00.90 ID:VprJxs3N0
>>185

【――ゴツ、ん、と。膝から転んだ少女は痛みにわずかな声を上げる。けれど――あるいは思わせるかもしれない、絶対もっと痛そうだのに、思ったよりも静かだって】
【それともそれが大人の立ち振る舞いだって言われてしまったら、どうしようもないんだけれど。――マゼンタ色が相手へ向いた、訝し気な、トゲトゲした敵意が目立つ、視線が】
【世界をちいとも信用してない薔薇の剛毛すぎる棘みたいにちくちくと相手を見やるだろう、唇をぎゅうと噛んでしまって、――返事はなかった、せっかくの助け舟を無下にして】
【だけれど同時に――近づいたなら、より分かるのだ。少女の顔はひどく蒼褪めていた、じとりとした冷や汗が浮いて、その藤色の髪が、ぺたりと頬に張り付いているなら】

…………なんでも、ありません、貧血です、――二日目なんです、思ったよりひどくて。いつもこうじゃないんですけど。

【近くなった距離でふらりと首を揺らす――そしてそれさえ堪えるというように頭を抱えるのだ。右手は素手だと言うのに左手にだけ、長い純白のドレスグローブをしている】
【それが少しだけ不思議な装いだった。痛そうな膝はさておいて――あるいはそこに意識を回す余裕もないみたいに、それとも、そんなのは慣れていると言うみたいに】
【近づいてきた相手に少女はそう答える、――真っ青な顔にじっとり冷や汗。その様子を見たなら、それはよっぽど嘘であるようには、見えないんだけれど】
【真っ白なワンピース、そう長くない丈の服は、ならば、違和感だった。それともそんな服で出ないといけない用事でもあったのかもしれないけれど――】

――少し休めば、良くなると思います。…………そうですね、付き合って、いただけませんか。
どこぞのカフェでも――高級料亭とかでなければお代は出しましょう。救急車を呼ばれるよりマシですから――。

【――蒼褪めた顔に、マゼンタの瞳がよく似合っていた。ふらりと揺れた視線が、重たげに相手を捉えて、何事かを考える間一つ、やがてそう提案するだろう】
【それは言葉通りの意味合いだった、このままここでぶっ倒れて救急車を呼ばれてしまうくらいなら、一芝居打ってくれる程度にはお人よしなのだろう相手へ、頼る】
【"本来"であれば、"彼ら"を呼びつけるべきだったのだけれど。――ついさっき、路地裏の深部で"仕事"の後、彼らだけ先に帰してしまっていたのを、わずかに悔いるから】

【お茶のお誘いにしてはずいぶん不健康だった。ならばナンパだなんてとんでもなくって、意味合いは、ほんとに、少し休む間、付き添っていてくれないか、と、そんなお願い】
【お代は彼女が出すのだと言うし、相手にもし時間があるようなら――生ぬるい日だから、冷たい紅茶やココア、おいしそうだなって、思わせるようで】
187 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/05/29(火) 20:15:13.71 ID:BbTKogIC0
>>186

【少女の顔色を伺う――確かに見える範囲で外傷は無いらしい】
【それだけ、かと言われればそうは思えない様子だったが――】

あー、それは大変だね……
でもなんでわざわざ……まあ散歩したいときもあるのかな?わたしなら泣きながら部屋中のもの壊しちゃいそうだけど

【痛みを勝手に、しかも過剰に想像してしまったのか】
【うへぇ、と苦い顔をしながら、彼女の話を聞いた】
【場所とか、服装に違和感は持ったが――とりあえずは受け入れて】

あ、近くに薬局あるかな?痛み止めとか買ってきても……カフェ?
そうだね、わたしも時間あるから、いいよ。行こうか?

でもでも、この近くあまり詳しくないから、知ってるところあったら案内してくれる?

【適当な店があればと、彼女を促す】
【教えてもらえれば、そこにすんなりと一緒に入店するだろう。必要ならば肩を貸しつつ】

そういえば、お名前は?
わたしは……あ、さっき言ったっけ?リオシア。リオシア・ステロヴァニエだよ

【興味深そうにまじまじとマゼンタ色の瞳を見つめながら、名を尋ねた】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/29(火) 20:37:08.01 ID:VprJxs3N0
>>187

……ちょっと用事があって。――薬は大丈夫です、もう飲んであるので……。あんまりたくさん飲んでも。
胃に穴が空いても困ります……、

【苦い顔をする相手に少女の視線は向いていなかった。ぐわぐわ揺れてかき回されるような体内を、ぐっと、堪えて】
【――その原因にも思い至っている。けれどとりあえず確実にこれは嘘であったなら――震える吐息を呑み込んで、相手の言葉を遮るのだろう】
【痛み止めは要らない。なぜなら、もう、飲んでいるから。――それっぽい理由ではある、というより。本当は嘘である以外は、いかにも"それらしい"様子ではあったから】

一応……知っているところが、ありますから。そこに行きましょう、――たまに行く店なんで、一人突っ伏してても平気だと。

【相手の言葉にわずかに目を細めた少女は、それから、とある場所を伝える。そこにしよう、と言って、相手の肩を借りるのだろう】
【女にしては少し背の高い少女だった。それでも顔立ちはどこか冷たげに整って、ならば、朝露を抱く咲きたての白薔薇のような色合い、蒼褪めるなら、より一層】
【うんと新しい朝の青みがかる日差しに照らし出されるようだった、――ほんの少しだけ甘いような香りがする。ふらりふらり、と、ひどくおぼつかない足取りで歩くから】
【距離のわりに時間はかかってしまうだろう。――広場を出る間際に人の良さそうな子連れの女性が手伝おうか、と、申し出てくるのだけれど】

【――少女がそれを拒んでしまうから、二人だけで、カフェにたどりついて】

【少女が選んだ席は店の一番奥、ちょっと階段を降りて入っていく、奥まった、半地下の席。脚の低いソファはフカフカで座り心地が良く、机も、上等らしく思えて】
【確かに顔見知りらしかった、よっぽど馴染みの店というわけではない様子ではあったけど。店主が心配そうに話しかけて来る、――それにも、少女は、リオシアに向けたのと同じ返答】

………………――、かえで、です。蜜姫かえで。さっき言ってましたよ。……どうぞ、好きなものを飲んでてください。
私はなんにも要らないですから――、少し休ませてください。

【ぞろりと長い髪を身体に這わすようにしながら少女がソファに身体を預ける――というより、半分、寝転ぶみたいに、なってしまう】
【それから机の上のメニューを相手の方に指先でつ、と、押しやるのだろう、それで、なんでも飲むなり食べるなり、していて構わないと】
【その代わりに自分はちょっと休むから――見張っていろ、と、そんな取引だった。――といっても、メニュー自体は豊富、備え付けの本棚にはいろんな本もあり】
【BGMはなんだかいい感じのジャズ、と、わりにいい店だ。個人経営らしく店員は一人だけ、店内の雰囲気もよくまとまって、すーっごく、居心地のよさそうな感じ】

【――目の前に蒼褪めて冷や汗べったりな人間が横になってさえいなければ、ちょっとした休日に一日読書にしゃれ込めそうな雰囲気。目の前さえ、見なければ】

【――――――けれど。そうやって放っておいたなら、三十分ほど、だろうか。少女はようやく――といってもだいぶましという程度ではあったけど――身体を起こす、はずで】
189 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/29(火) 20:41:58.36 ID:Chg8C2do0
【風の国――UTの酒場】
【孤児のために食事を提供する場所があった。……というのも最近は過去形になっていて】
【取り仕切っていた少女が、いなくなってしまったから。おやすみ、ということになっていたけど】
【それが何故か、つい最近になって復活していた。ただしその場にいるのは、別の少女で】

――――っあー、えっと何!? あと何作ればいいんだっけ、てゆーか何をドコまで作ったっけ!?
あーっもうちょっと待ってよ、今忙しいの! ちょっと落ち着くまで待ってったら……ギャーッ焦げる焦げる!!
わーんもうちょっと零したし、……なんなのもう、忙しいんだってば、待っててって言ってんじゃん! ……は!?
「鈴音おねえちゃんのお料理のほうがずっとおいしかった、ユッキーのやつは微妙」……

………………知っとるわンなことっ!! 食べたくないんなら帰んなさいよもうっ、……ア゛ー!!!

【ユッキー、と呼ばれている彼女は、厨房で汚い悲鳴をあげていた】
【ラフなTシャツ、デニムのホットパンツの上から、まだ新品と思わしきエプロンを纏って】
【履いているのは、飲食業をナメとるんかとツッコミが入れられそうな厚底靴。真っ赤で、ぴかぴか】
【同色の瞳はぎりぎり吊り上がって余裕のなさを示していた、手元も同様、ぐっちゃぐちゃ】

【さらに同色、真っ赤な髪をポニーテールに纏め上げて。晒した首には黒いリボンのチョーカー】
【そこにはひとつ、銀の鈴が結わえてあって――りん、りん。鳴いているのだけど、】
【誰か知っている人が聞いたなら、すぐわかることだろう。もともと此処で働いていた、黒髪の少女の声に似ているって】

【……それはそうとして。厨房内はひどい有様だった、使用済みの食器やらなんやらが山積みになっているし】
【焦げるにおいもすれば、止められないキッチンタイマーの大合唱だって聞こえる】
【おまけに何枚か皿まで割っているのだ、いっそ台風が通過した後ですって言ってしまったほうが、納得してもらえるほど】

【――――それでも店員は、この少女ひとりしかいないようだった。誰か、誰か助けてくれないかなあとか、思わなかったり、――】


//日付変わるくらいまでアレしてほしいアレです。
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2018/05/29(火) 21:00:45.77 ID:D1uTwOET0
>>189
/10時前後を目途に置き移行するかもですが……それでも良いですか?
191 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/29(火) 21:01:32.13 ID:Chg8C2do0
>>190
//どうぞどうぞ!
192 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/05/29(火) 21:02:15.95 ID:BbTKogIC0
>>188

【少女の案内する店に辿り着き、席に着く】
【洒落た店だ。物珍しさを隠そうとせずにきょろきょろ見回しながら】

かえで、かえでちゃんね。じゃあ、遠慮なく……

【メニューをパラパラと見て、ジンジャエールを注文すると】
【かえでと名乗った少女の方に向き直り、ソファに深く沈んだ体を眺める】
【もっと話したかったが、どうもそれができる状態では無さそうで】
【おとなしく飲み物が来るのを待ち、飲むのに飽きれば立ち上がり、並べられた本を手に取り出す】

【そして、時間が過ぎ──】

あ、おはよう
一応、体が温まりそうなやつ頼んどいたけど……

【かえでの目の前には、少し前に置かれたらしいホットココア】
【向かいに座るリオシアは読んでいた店の本から目線を上げた】
【読書好きなのか、テーブルの上には何冊か積まれていた】





193 :シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/29(火) 21:02:48.47 ID:D1uTwOET0
>>191
/では失礼して

>>189

久しいねぇ……あれからもう、5年以上になるのか。こんな形で会うなんてねぇ……
「……手前も、驚きだよ。お互いに、色々と変わってしまったみたいじゃないか……
 でもそれは――――どうやら、悪い事じゃないみたいだ……」
全くさぁ……互いに、なんだか随分と、丸くなったような気がするよぉ……

【――――混乱し、大わらわと言った雰囲気の店内に、何気なく入り込んでくる、2つの影がある】
【どうやら、無料配給の食事を当てにした、子供のようではないらしく――――店内をのぞき込みながら、何事かと首をかしげていた】

【華奢ながらも筋肉の浮き出た色白な上半身を晒す様に、ワイシャツだけをボタンも留めずに羽織り】
【下半身はジーンズとスニーカーで固め、腰回りに大量のチェーン装飾を巻き付けた】
【くすんだ水色の髪を前髪ばかり長くした、身長170cm前後の青年と】

【黒いコートをしっかりと着込み、魔術師である事を如実に表す黒のハットを被った】
【手には、頭部に青い石が嵌めこまれて先端を鋭く尖らされている、細い金属製の杖を握り締めている】
【漆黒のボブカットと、幼さを残しながらも憂いを帯びた様な瞳をした、身長160cm前後の中性的な青年】

【子供でごった返し、あちこちに色々と落ちている――――食材や、時には食器の破片――――光景に、店を間違えたかとすら思ったようで】
【だが――――子供たちの中を分け入り、厨房をのぞき込んで。ある程度、事情は了解してくれたようだった】

――――何事だい、今のこの状況……?
「……料理、手が回っていないようだけど……?」

【疑問は絶えないが、唯一の人物は応えられる状況にない様だ――――返答は早々に諦めて、2人は顔を見合わせ、小さく頷く】

「――――どれ、ある程度で構わないなら、手前が手伝う……。今、何をやってる、何から手を付ければ良い!?」
――――床の汚れや割れた皿の類は、僕が集めておく……準備は順序だよ……

【コートの青年は、パッとハットを取り、手ごろなバンダナでその短い髪を留めると、厨房へと割り込んでいく。まず、この状況を何とかしなければならないと思ったようだ】
【一方、ワイシャツの青年はその場で大きく手を広げると――――恐らく、能力を発動したのだろう――――足元に、黒い影のようなものが広がっていき、皿の破片などが飲み込まれていく】
【そして――――手ごろな台を見つめると。その台の上にも黒い影が湧き出て――――飲み込まれた皿などが、そこにせり上がるようにして出現した】
【――――どうやら、床全体からその台の上へと、落ちているゴミを転移させたらしい】

【――――話を聞きたい状況だったが、まずこの状況を手伝って解決しなければならないと、2人は手伝う事にしたのだろう】
194 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/29(火) 21:15:56.73 ID:Chg8C2do0
>>193

【わあわあ。子供たちに囲まれて、ぎゃあぎゃあわめいている少女だったが】
【やって来てくれた二人の青年の姿を見るや否や、助けを求めるみたいな顔をして】
【片手にフライパン、もう片手に焦げたナニカの乗った皿を持って、声を張り上げた】

あーっごめん、ごめんなさーい! あとでお礼するからっ……
えっと、えっとネ、まずそっちのお鍋の火ィ止めて、お皿に盛りつけてほしいかな!
そっからその、まな板の上で途中になってる野菜切って、それから、――――

【……とりあえず、目に入るものだいたいが、中途半端だ。どれから手を付けたってだいたい一緒だろう】
【そうして手伝ってもらえば、ちょっとくらいは少女の動きはマシになる。小一時間動き続ければ】
【ピークタイムは超えるだろう。少し落ち着いたころに、はあ、と息を吐きながら】

…………うう、ほんとゴメン、ありがと、助かった……。
思ってたのよりずっと、……100兆倍くらい大変だった。正直ナメてたの。
あたし、ここで働き始めたばっかりだから、全然慣れてなくって……

【グラスに注いだ冷たいお茶。それを二人に差し出すだろう、自身も同じものを手にして、一口】
【曰く、厨房で働く経験がなかったらしい。だからこんな、嵐のような様相になっていたとのことだが】
【それにしてはおかしい、と思うだろう。未経験者を一人で働かせる職場なんて、どんなに真っ黒でもそうそうない】
【ましてや天下のUTがそんなこと、するはずもないだろう。いろいろ事情があるらしい、いろいろ】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/29(火) 21:16:31.80 ID:VprJxs3N0
>>192

【――――横になって、目を閉じていた。起きているつもりではあったけれど、それは、あくまで眠っていない、という程度の話であって】
【ならば外からは寝ている以外に見えなかっただろう、――考え事をしていた。けれど目を開けた瞬間に忘れてしまった、そんなことを考えながら】
【薄い藤色の髪がとろりと蕩けたバターみたいに身体を雪崩れる、鬱陶し気に指先でかきあげたなら、マゼンタの色合いが、はたはたと瞬き、相手へ向けられ】

…………おはようございます。といっても眠っていたわけではないんですけど。
リオシアさんは身体だけ眠らせた状態で考え事をすることはありませんか? ……今日は失敗しました、うまくやらないと何考えてたか忘れるんです。

だけどおかげ様でだいぶましになりました。ココアもありがとうございます。本が好きなんですか?

【けだるい朝のような温度感だった、それはさながら今朝の全校朝会で全校生徒の前で挨拶させられるって決まっている、ひとみしりの図書委員長みたい】
【凛とした声音はなるほど確かに寝起きと呼ぶにはしっかりとしていた、――ただ少しよく分からないことも、言っているのだけど。寝ながら考え事、していたらしい】
【さっきと比べてだいぶましになった肌色、冷や汗も引いて――少しぬるくなったココアが自分のためのものだと聞いたなら、礼の後、カップを手に取って、一口飲むだろう】

ここの店主(ひと)、たまに変な本入れるんですよね。紅茶キノコがどうとか。この前読みましたよ。どこぞの国だとコンブチャと呼ぶんだとか。

【――それをかたんと机に戻したなら。少女は相手に尋ねるのだ、本が好きなのかと。それで――どんな本を読んでいるのか、気になったらしい。視線を、向ける】
【背表紙を撫でていく視線は常温の生ぬるさ、特別な感慨もなく――述べる言葉は雑談の温度感、さっきまで顔面蒼白していたわりには、、という様子】
【ならば述べた理由とはちょっとだけ剥離するよう。それとも薬を飲んだのがわりに最近だったのかもしれない、といっても、尋ねづらいことでは、あったけど――】

/すみません、ちょこっとだけ離席します! お返事前に戻ってこられるとは思いますが念のため……!
196 :シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/29(火) 21:27:59.69 ID:D1uTwOET0
>>194

「悪いけど、ゴミ掃除が一段落したら、そっちも手伝ってほしい! どうやら、ままならない状況らしいから……!」
――――仕方ない。こういうのは、もう何年も縁がないけど……とりあえず、やるしかないんだねぇ……!

【コートの青年は――――ある程度、料理と言う行為に慣れているのだろう。少女の頼みを受けて、すぐに火の通り過ぎた鍋を判断し消火】
【そうして、皿の盛り付けはワイシャツの青年に投げ出すと、自らはまな板の前に立った】
【――――ワイシャツの青年も、遅れてエプロンを装着し、盛り付けに参加する――――小汚い身なりだが、エプロンのおかげか、多少は衛生的にマシになったようで】

「なるべく小さく切る! どうやら食べる相手は子供の様だし、その方が火の通りも良い!」
……食器はどこだい!?
「多分そっちの棚だよ! そっちはとにかく、盛り付けと配膳頼む! 調理は手前とそこの子とで引き受ける!」

【2人組の青年は、すぐさま自分たちの役割分担を決める。その方が、より効率的に動けると判断しての事だろう】
【とりあえず、3人でスピードも3倍――――とはいかなかった様だが、それでも、マシになったのは間違い様で――――そのまま一息付けるまで、手伝いに没頭する事になる】

【――――そうして、目の回るような時間を過ごして】

――――やれやれ。1人だけであんな作業を請け負おうとするなんて、無茶ってもんだよ……
「まぁ……手前は元々、料理はそれなりに好きだったから良いけど、プロとしての作業は、流石に手古摺らされたな……」

【差し出されたお茶に、一息つく――――厨房仕事と言うのは、要するに火を使うものだ。流石に暑いし、疲れたのだろう】

――――しかし……ここは酒場だと思っていたけど、どうして子供たちに、あんな風に食事を……
「……久しぶりにセリーナの顔を見ようと思っていたけど、どうやらアテは外れたようだね……でも、君1人っていうのは、少し変だと思うんだが……?」

【青年たちは、それぞれに少女に問いかける。恐らく、入ってきて気になった事を】
【――――特に、コートの青年はこの店を――――来る事自体は初めてだが――――良く知っている。それでも、この活動の事までは知らなかったようで】
【まずは、足を運んだ目的よりも先に――――それも、セリーナがいないようだと気づいて、気にしない事にしたようだが――――その事について問いかけた】
197 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/29(火) 21:37:28.47 ID:Chg8C2do0
>>196

【おそらくだけど、多分この少女より二人のほうがずっと動きがいい。多分というか絶対】
【それくらい少女はド素人だった、きっと日常生活でもキッチンに立つことがない人間、みたいな】
【……本当になんでそんな輩がこの場に立っているんだか。疑問は膨らんでいくばかりだろう】

【店内に残っている子供は、10人にも満たないくらいになった。そうすれば彼らとも喋る余裕ができるだろうか】
【「お兄ちゃんたち、誰?」とか、「鈴音ちゃんとかユッキーのお友達?」とか。いろいろ、訊かれるだろう】

……ああ、んー……「たんぽぽ」って言ってネ。家もないような子供たちに、無償でご飯を振る舞ってるの。
といってもあたしがやり始めたことじゃないよ、……セリーナがやり始めたことでもない。
ここで給仕やってた、白神鈴音って子がやってたことなんだけど……知ってる?

【その会話の合間。少女も、からかってくる子供たちを適当にあしらいながら、時にはムキになってやり返しながら】
【ぽつぽつと答え始めた。彼女がひとつ動くたび鈴が鳴る、今しがた口にした「白神鈴音」の声色そっくりな音で】

あたしと鈴音は、トモダチ……うん、たぶん、トモダチなんだけどさ。
今ちょっと事情があって、鈴音、いないから……あたしが代わりにやってんの。
他にアテがなかったっぽいから、あたしだけ。……おにーさんたち、ヒマそうにしてる人のアテとかない?

【「これから先もひとりじゃムリだよー、誰か手伝ってくんないかな……」なんて、零しながら】
【冗談半分本気半分で訊いてみたりした。カウンターに上半身を突っ伏して、疲れた脚を片方ずつぶらぶらさせる】
198 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/05/29(火) 21:39:14.59 ID:BbTKogIC0
>>195

身体だけ眠らせて……?それってあれかな、えっと、瞑想ってやつ?
わたし、頭の中だけで考えるの、苦手なんだよねぇ
歩き回ったり、本を読みながらいろいろ考えたりはするけど

【かえでは30分前の様子と比べると、かなり回復したようだ】
【口数も多く、あちらから質問を投げかけてくれる】

うん。本は好き。わたし、その、あんまり世の中のこと……
あんまりじゃないね。全然知らなくて
だから読む本がみんな新鮮で楽しいんだ。買いすぎて部屋に読んでないやつ、たくさんあるんだけどね

【少しもじもじと、ある種幼稚な――本を好きな理由を語る】
【頬は少し赤く、えへへと笑って】

あー、うん。色々な本があるよね、このお店。小さな図書館みたい
紅茶キノコ……キノコの紅茶……?わぁそれ面白そう

【雑談に興じながら、読んでいた本をパタンと閉じて、机に置く】
【待ってる間の暇つぶし程度のつもりだったのか】
【しかし前に積まれたラインナップは、今置いたものも含めて】
【哲学――民俗学――文化人類学――宗教学――死生学――】

【少女にしてはやけに硬く見える、専門書のようなテーマが多かった】


/了解しました!
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/29(火) 21:49:21.41 ID:Q5HrA5No0

【繁華街から少しばかりずれた路地裏。月明かりしかない暗い路】

【がしゃん──】

【何かの音が響いた】


【それはあまりにも恐ろしげな鬼事】
【ふらつく足を文字通り懸命に動かして走る赤ら顔】
【背後に迫り来るは不気味な"鬼"】

【等身大の鉄の骨組み、だった】
【辛うじて判る部分から推測するに恐らく機械製の人形──所謂アニマトロニクスで】
【とはいっても原形が何だったのかまでは分からないが】
【そんな骨格しかないそれが血のこびりついた身体を動かして酔っ払いの男に迫っている】

……ねぇ、どうして逃げるの?
【不意に聞こえる小鳥のような幼い声】
【その声の主はアニマトロニクス、ではなくその傍らに立つ一人の女の子】

【アッシュブロンドの腰まで伸ばした髪に、血にまみれた入院着。半ば虚ろな桃色の瞳が見開かれて】

折角"パレード"に"ご招待"してあげてるのに、ね?
【不満げな声色】
【アニマトロニクスは斧を携えた腕を高く掲げ、男の身体へと降り下ろそうとする】


200 :シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/29(火) 21:52:12.51 ID:D1uTwOET0
>>197

(……店を預かっている当の本人が、この動きで……)
「(……慣れていない、と言うだけじゃないな……そもそも、根本的なところで、こうした仕事、いや……作業の慣れがない……)」

【――――どうやら、その事については、横目で見ているだけの青年たちにも感づかれてしまったようで】
【作業の合間、彼らはしきりに首をかしげていたのだろう――――目の前の作業にではない。何でこんな事をしているのか、と言う意味でもない。ただ横の少女に対して――――】

【とりあえず、この子供たちが今のお客である事は、彼らにも理解されたようで】
【「手前かい? ……ただの魔術師だよ」「いや……僕は、ここに来たのは初めてさぁ……」などと、相槌を打つ程度の余裕を伴って、残りの仕事を片付けていく】

へぇ……行き場のない子供たちへの、振る舞いか……まるで落穂拾いだね……
「……なるほど。そういう足元の活動もしているのか……セリーナも、意外と考え――――え?」

【少女の話す言葉は、どこか納得できるものだった。正義を掲げた傭兵団であるUTならば、こうした活動もするのかと】
【――――わずかに、コートの青年がセリーナに対して、失礼に当たるものかもしれない言葉を呟こうとしたのだが――――発端は彼女ではないと聞き、そしてその先の名前に――――】

「ッッ……鈴音……鈴音だと……ッ!?」
っ……どうしたんだ……ッ? 知っているのか……その鈴音とやら、さ……
「あぁ、知っている……多分、黒い髪にオッドアイの女だろう……ッ?
 奴め……なんだって、なんだってこんな事を……ッ、心変わりでも、したと言うのか……ッ?」

【――――コートの青年が、突然弾かれたように顔を上げる。その表情には、明らかな怒り――――わずかに戸惑いを伴った、そんな穏便ではない表情があった】
【伴っていた、ワイシャツの青年は、どうやらその名前にも、そしてコートの青年の反応にも、心当たりがない様だが――――】
【だが――――恐らくは、何も知らない少女の前で、そんな感情をむき出しにする事もないだろうと、思い直したのか――――深呼吸と共に、コートの青年は腰を下ろした】

「……なるほど。君は代理だったのか……それで、手慣れていなかった訳だな……」
――――悪いねぇ。僕らは、既に水の国のバーに、半ば雇われてるようなものなんだ……よく、あそこに手伝いに行っていてねぇ?
今日は、知り合いを尋ねに来ただけで、ちょっと継続した手伝いは……
「――――ラベンダァイス……確か、あの子もここの人間だろう? まぁ……あの子は、こういうのには向かないだろうし、そもそも本業の傭稼業が忙しいかな……?」

【――――彼らは彼らで、別な酒場に縁があるという。恐らく、それも手慣れていた事も理由の1つなのだろう】
【継続した協力も、人材の当てもなさそうだ――――その一方で、UT自体にはそれなりに縁があるらしく】

――――自己紹介がまだだったねぇ……僕はシャッテン。シャッテン=シュティンゲル……
「手前は、アルク、アルク=ワードナール……流れの、魔術師さ……」

【揃って、青年たち――――シャッテンとアルクは、自分たちの名を名乗った】
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/29(火) 21:59:55.30 ID:VprJxs3N0
>>198

――人にはそれぞれやりやすい方法がありますから。好きでいいかと思いますよ。
考え事がそもそも苦手という人もいます、ですがそういう人が居ないと世の中は回りませんから。
考えるより先に動ける人材は貴重です、考えたら負けってこともままありますし――。

ですけど、よっぽど考えないより考えた方がマシって場面の方が多いですよね、本を読めるなら上等です、私も本は好きですよ。
それにしても……リオシアさんはこういった本が好きなんですか? 

【生ぬるいココアは快かった、かすかなカカオの風味をミルクがまろやかにして、甘さは控えめ、常識をわきまえている味わい】
【これでもう少しでも甘たるかったらこのバランスは崩れてしまう、そういう絶妙な味の綱渡りが上手な店だった、雰囲気作りも相まって、だから、居心地がよくて】
【わりとよく通い詰めている――とは余談。脳裏に思い浮かべる光景がなんだったかは辿らせない、にこりと浮かべた笑みはやはり整っていたけど】

【――そんな笑みがいくらも本当らしくなる、口角をゆるく釣り上げて、少女は相手が積んでいた本の一つを、取り上げるのだろう】
【そうしてパラパラとめくっていく――ぱたん、と、最後に、閉じたなら】

奇遇ですね、私も読みますよ。むしろ専門かもしれません、……といっても、たとえば大学だとかで学んだわけでは、ないのですが。
リオシアさんはこれらのことを学術として好きなのですか? ――――それとも、どこかの宗教の方ですか?

【すらりと整った足を組んで背もたれに身体を預ける――、ならば本当に元気になったみたいだった、その足先を、ふらりと揺らしたなら】
【すっと冴えた目が虹のように滑らかなアーチで笑む、長い睫毛がふわりと縁取って、口元もまたひどく丁寧に整えられた三日月のよう、造りこまれた造形を模すように】
【尋ねてみせた、――ついで開けた目はどこか愉快そうでありながら探るよう、あるいは――――特に最近"自分たち"の動きは大きくなっている、気取られたか、と、伺うように】
202 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/29(火) 22:02:41.05 ID:Chg8C2do0
>>200

【残った作業を片付けて、適当に子供の相手をして、グラスのお茶を飲んで】
【ひとつひとつの動作にずいぶん余裕が出てきたようで、彼らの話を聞くのにも】
【きちんとそちらを見て、表情を見ながら――できるようになったのだけど】

……え、うん、あってる、……それが鈴音だと思う、けど……
心変わり? え? なに、ケンカでもしてたの? ……、

【コートの青年が急に、鈴音のことを「奴」だとか呼ぶから。困惑した表情を浮かべる】
【いいニュアンスで言ってるわけじゃない、それくらいのことは察せられた。だから】
【「今、その子は大変な目に遭ってます。できればそれも助けてほしいな」とか、言い出せる雰囲気じゃ、なくなった】

そっか、残念。じゃあヒマそうな人見かけたら、UTがバイト募集してるって言っといてよ。
……知り合いってもしかして、セリーナ? あの、……たぶんその人も、最近ここに帰ってない……

【「と、思う……」デクレッシェンドで窄まっていく声、確信がないからそうしているんだろうけど】
【事実だった。セリーナ・ザ・キッドは、リアルタイムで行方不明中】
【そしてもう一つ、彼らが疑問に思うことがあるとするなら。少女が、「その人『も』」、なんて言ったことだった】
【まあ、でも……ここらへんの事情は、少女よりも、彼らの言う「ラベンダァイス」のほうがよく知っている】
【もう知っていたとして、おかしなことではないけれど。それにしても今のUTは明らかに異常な状態だ、馴染みの人間が誰もいない】

【「あたしは、夕月って言うんだけど……」気まずさを感じ始めた少女は、不安げな声で自己紹介を返す】
203 :シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/29(火) 22:20:49.36 ID:D1uTwOET0
>>202

――――穏やかじゃないねぇ……こういう事をするような子に、君がそこまでムキになるなんて……どういう事だ、アルク……
「……そうだね、きっちり話すよ。……君も気になるだろう……手前も、そんなにムキになるつもりもなかったんだけど……はは、まだ……引きずってるのかな……」

【シャッテンとしても、アルクのそこまでの苛立ちは分からないものなのだろう】
【子供たちの為に振る舞いをやる食堂――――立派な事じゃないか、未来の輝きへの投資じゃないかと、そう言いたげなシャッテンだが】
【アルクは、素直に肯じる事は出来なかったのだ。少女――――夕月の困惑も、尤もだ】

「1度、会っただけなんだけどね。もう、5年近く前になるのかな……手前も、1度だけの事を、よくも覚えてるものだと思う……でも、それだけ怒りがあった……頭に来たんだ
 ……だから、君が鈴音の……友人だというなら、手前に腹を立てても、仕方がないとは思うよ……これは、手前の主義の問題だから……」

【恐らくは、鈴音の友達と名乗った夕月に対する、アルクなりの思いやりなのだろう。それで自分に腹を立てても、それは仕方ないと】
【少なくとも、それは自分と鈴音との問題であって――――友達である夕月には、深く巻き込ませるつもりはないのだろう】

「――――5年前の夏、8月だったな……手前は、路地裏で行き倒れている男を見つけたんだ……
 そしたらその男、すっかりと衰弱しきっていてね。このまま死なせてくれ……そう言ったんだ。だから手前は……魔術で、その男を安楽死させてやった……
 ……元々、手前はそういう「死の際の苦しみを取り去る事で、人の、死と言う最大の絶望を救いたい」と……あの頃は、そんな事を思いながら活動していたからね……」

【アルクが語るのは、5年前の昔話。おそらく、アルクがまだ未成年で、丁度今の夕月と同じぐらいの年の頃の、ある夜の出来事だった】

「……そこに行き当たったのが鈴音だ。あいつ……俺のその行為が気に入らなかった様だ。「なんでそんな男に救いなんてくれてやるのか」って……
 「死にかけなんてどうだって良い。そんな奴より、救えばいいのなんてたくさんいるはずだ」と……
 手前は……自分にできる事をやっているだけだ、そう言ったらあいつ……奴め……「そうやって自己満足に浸って、適当に救って良い気になって、取りこぼすような救いなら、そんな無駄な事をやめてしまえ」と……!
 「今すぐに、そんな無駄な事をする両腕を切り落として死んでしまえ」と……そういってきたんだ……無意味だと、死ねと、手前に……ッ!!」

【事情を語るアルクの言葉は――――徐々に、怒りの熱を孕んでいく。自分の行いが、人生に対する主義が、真っ向から否定され――――そして、死ねと言われた】
【流石に、アルクでなくても、その言葉には怒りを抱くのが当然というべきだろう――――少なくとも、アルクの側からだけ見れば、その通りだ】
【だが――――友人であるという夕月なら、また違った見方が出来るのではないのだろうか?】
【――――取りこぼされた救い。その鈴音の言葉の意味を、もしかしたらならば、夕月は知っているかもしれない――――あるいは、思い当たるかもしれない――――】

――――まぁ、僕から向こうの酒場には、話を通しておくよ。伝手くらいは、当たってくれるかもしれないねぇ……
「そう、か……ただでさえ、忙しいと聞いていたからな……今の情勢では、無理もない、か……」

【シャッテンは、その言葉を胸に留めておいてくれるようだ。恐らく彼も、UTの事は憎からず思っているのだろう】
【アルクは、セリーナの不在の報を聞いて、仕方がない事かと割り切った。今の騒動が連発してる中では、ただでさえ忙しい彼女の活動も、ままならないだろうと】
【――――ソニア、もとい――――カチューシャの事が、頭の中にあるのだろう】
【セリーナが、またしても窮地に陥ったことは、どうやら知らないようだった】
204 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/05/29(火) 22:24:23.69 ID:BbTKogIC0
>>201

考えるより先に動ける、人材かぁ

【かえでの言葉には、どこか辛辣さのようなものが含まれていた】
【何か、支配者のような、王の如く――】

ううん、こういうのが好きってわけじゃないよ
学術とか、体系とかをちゃんと勉強しようってつもりもないし……
たまたま最近、興味があったの

「人が死ぬこと」って、どういうことなのかなって

【リオシアは立て続けに「人の死」に遭遇していた】
【アルターリの悲劇――それに路地裏や町中での事件】

アルターリで何百万って死ぬのは歴史的な大ニュースになって
路地裏で誰かが殺されるのは日常みたいな、さ
わたしにとってはどっちも他人だけど……
命の価値って、なんなのかなって思うよ

【読んでいる本に対して、思いの外に興味を示してきた】
【そして、雰囲気が変わった、ような――】

わたしは宗教には入ってないよ。職業はこう見えて軍人だからね!
そう言うかえでちゃんは……

【かえでの言葉から察するに】
【そういった学問が専門で――しかし大学で学んだことがないなら学生でも研究者でもない――?】
【ならば、彼女は――】
205 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/29(火) 22:34:45.90 ID:Chg8C2do0
>>203

【眉間に皺を寄せてアルクの話を聞いていた。鈴音の友人とは名乗ったが、実際は何度か会って会話しただけの仲】
【それだけの中でいろいろ、密度の高い出来事があったのは確かだけど――それで友達面ができるかと言われれば、微妙】
【だから、鈴音の側に偏って話を聞くことも、あんまりなかった。それが幸いなのか、わからないけど】

……そ、んなこと、……あったんだ。……ううん、あたしが鈴音と知り合いになったのは最近のことだけど。
確かにそんなこと、言いそうなイメージ、ないし……なんだろう、本当に何か心変わりすること、あったのかも……

【現実に。少女は、鈴音に救ってもらおうとしたことがあった。だからそういう、「無駄なこと」と言って切り捨てる鈴音の姿が】
【想像できなかった。頬杖をついて、ううんと唸りながら――視線を斜め下に向ける】
【心変わり、の心当たり。……昔流行った、卵? それとも……、……考えてもよくわからない、そういうことは、すぐ無視】

【とにかく、「今たんぽぽをやってる鈴音は、きっと本心から、やりたくてやってるから――」】
【フォローになってるんだかどうか、わからない言葉を付け足しておいた。……それから、ちょっと迷うみたいに間を置いて】

えっと、あの……ネ、忙しいから最近帰ってない……って感じじゃなさそうなの、たぶん。
あたしUTには、鈴音以外の接点がないの、まったくの部外者なんだけど……さ、
……なんかおかしいってわかるよ、今のUT。セリーナも帰ってこない、そのほかの人もほとんどいない、

……、……あとネ、実は鈴音も……最近、……行方不明、で。

【これを言っても、鈴音のことを好く思っていないアルクなら、あまり関心を持ってくれないだろうかと】
【思ったが、言うことにした。実際は行方不明――というわけでは、ないのだが。便宜上そう呼ぶのが、わかりやすいかと判断して】
【セリーナの不在については、ただの予感だけど。こんなに全く帰ってこないなら、流石におかしいって思ったのだ】 
206 :シャッテン=シュティンゲル&アルク=ワードナール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/05/29(火) 22:49:43.33 ID:D1uTwOET0
>>205

「……この5年の間に、なにがあったのか。手前はもちろん知らない。だが、少なくとも……手前は、この言葉を忘れてはいない……
 心変わりがあったなら、1度しっかりと話してみなくてはね……これもいわば「出来る限りでの救い」だろう……それをやる様になったのは……」
――――何かがあった、からだねぇ……良い在り様だと思うんだけど、そんな事が過去にあったなんてねぇ……

【5年と言う時間は、人が変わるのには十分な時間だ。環境次第で、その時間は人間を180度反転させることだって考えられる】
【だが、アルクには、鈴音のこの変心が分からなかった。その間に、一体何があったのか。そして――――あの夜の事を、今の鈴音はどう思っているのか】
【本当なら、このまま接点も持たず、腹立たしい過去と言うだけで記憶から少しずつ消し去っていくはずだったのだろう】

――――それは分かるさ。子供たちの様子を見ればねぇ?
……慕われてるようじゃないか、その鈴音とやら。なら……彼女も、相応の熱量を、この活動に注いでるんだろうさ
「……まぁ、確かにそうかもしれないが……」

【シャッテンは、先ほどの子供たちの――――若干鬱陶しい様なまとわりつき方を思い出していたのだろう。その時、何度も鈴音の名前が挙がっていた】
【恐らくは、それだけ慕われるほどに、この活動を続けてきたのだろう。生きるためにこすい感覚を身に着けただろう、子供たちから慕われるほどに】
【まだ納得しきっていない様子のアルクも、そこには同意する様だ】

――――ッ、アルク……
「……もしかして……最近、アーディンの旦那が忙しくしていたのは、これが原因か……!?
 それに、セリーナ――――まさか、ベクターに続いて、また敗北してしまったのか……まさか、命を落としたんじゃ……!」

【夕月の口から、最近のUTが機能不全に陥っている話を聞かされ、2人の表情が変わる。どうやら、思い当たる節が身の回りでも起こっていたらしい】
【夕月の口ぶりなら、ただの長期的な仕事と言う訳でもない。それならそれで、UTが機能不全にならないように、後を備えておくのが、リーダーの役目だ】
【――――最悪の可能性が頭をよぎる。セリーナは、まさか――――死んでしまったのでは、と】

「――――どう思う、シャッテン……」
UTの周りで、こうも立て続けに行方不明者、ねぇ……おまけに、そのUTのメンバーだって言うスナイパーは、機関に吸い込まれた……
――――君の言う通りだね夕月。これはおかしい……僕の知り合いに、こういう荒事に詳しい人がいる。少し、そこにも当たってみよう……
彼はギャングだけど、人情派だ……そういう事には、力になってくれるだろうね……

【さらに鈴音の『行方不明』を聞いて――――流石におかしいという感情は、彼らにも伝わったようだ】
【自分たちのリーダーに当たる人物が、最近忙しくしているのは、もしやそれが原因なのではないか、と――――】
【――――そのギャングが、一度だけ轡を並べたワーキャットである事は、恐らく夕月には分からないだろうが――――】

/すみません、そろそろ置き移行お願いします……
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/29(火) 22:50:00.34 ID:VprJxs3N0
>>204

【そしてそれはきっと一つ一つ駒を選んで動かす仕草にも似ていたのかもしれない、緩く足を組んで、長い髪を身体に沿わせて】
【摘まみ上げた駒をくるくるって回して、最もそれがあるべき場所に並べていく。――壁を殴って壊したらいい場面で、違う考え事を始めるやつなんて、要らない】
【けれどそれは王とや支配者と呼ばれるには物足りなくもあった。ならばそれはもっと大きなものに仕えるもの、ひれ伏し頭垂れながら、その足の指先で駒を蹴り飛ばすもの】

――そうなんですね。ですが、それは、簡単なことです。
人がどんな場でどんな時にどれだけ死のうとも、最後にはウヌクアルハイ様がこの宇宙を飲み干し、新たな宇宙を創世なさるのです。

ですので、――"人が死ぬこと"が"どういうこと"かというのなら。それはウヌクアルハイ様に導かれるということです。

【少女の手は勝手に別の本を取り上げてもいた、民俗学の本――ぱらぱらとめくられやがて開いたのは異類婚姻譚の頁、蛇が毎夜毎夜人間の娘の下に通ってくるという、話】
【こういった物語で、だいたい、蛇は人間を好いている。もっと言えば数ある神話の中で、蛇は様々な方法で、手段で、人間にその愛を向けている、様々な文献に残されている】

そうですね……それは難しい問題です、人の命に価値の違いなどありえないということになっています。
ですが現実に於いてはそうではありません、実際に人の価値には違いがあります。大災害の時など、誰を見殺しにするのか選んだりもします。

そうでなくとも、女子供は一般的に優先されます。つまり、女と子供は男よりも価値があります。男だけでは殖えませんからね、人間。
最悪男は一人いれば種を蒔くことが出来ますから。女が一人で男が無数より、男が一人で女が無数の方が生物的に救いがあります。

知ってますか、なんとか48とかいうアイドルグループ、あれと……なんとかっていう、男の、なんです? 歌手? のグループが居れば、理論上人間は成り立つそうです。

【長い脚を組み替える、背の高いソファでそれは少しやりづらそうだった。捲れたスカートの裾を指先で直す、――片手だけのロンググローブ、やはり、違和感がある】
【その左手でカップを寄せてすっかりぬるくなったココアを飲むのだろう――さて、ここまで来ればおかしさは目に見えた。"ウヌクアルハイ様"という名前、急に出したなら】
【右手にはまだ先ほどの本が。人間とそうでないものの恋愛を考察する文章が――その中でも特に蛇について記したページが開かれていて、眺めたなら】

軍人ですか? 珍しいですね、そこら辺を出歩いていていいんでしょうか、――私は一般人です、ごく普通の。

【――ぱたん、と、閉ざされた。組んだ脚をほどいて床に降ろす、緩く腕を組んだなら、その胸元が、ふっくら、と、強調されて】
【"ウヌクアルハイ"――その名前は、けれど、秘匿されたものだ。相当隠されたものである、けれど、同時に、最近では活発化したのに合わせて、漏れるリスクは増えている】
【けれど――そう、まだ、そんなに、有名な名前では、ないはずだった。――悍ましい儀式を日常的に行う邪教、その、最高神格。祭神の名前。まだ、まだ、暗がりの中、隠されて】

【軍と言えど――簡単に気取られるようにはしていない、つもりだった。少なくとも、自分は。……他の人間のことは知りやしないけど、だからといって】
【知られていないからこそ、信仰に嘘はつかない。――それはウヌクアルハイを信ずる証としての入れ墨をくだらない手袋で隠しているだけで、吐き気がするくらいだから】
208 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/29(火) 22:52:29.28 ID:Chg8C2do0
>>206
//承知しました! それでは置きスレにお返ししておきますね、おやすみなさいませ!
209 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/05/29(火) 23:20:40.60 ID:BbTKogIC0
>>207

う、うぬくあるはい……さま?
宇宙を飲み干す……?

【聞き慣れない単語であった】
【うまく発音できない――噛まずに言えたのが幸運に思えた】
【この蜜姫かえでという少女は"ソレ"を強く信じているようで】
【彼女が開いた、その頁を食い入る様に見つめた。或いは吸い込まれるように――蛇の話を】

う、うーん……?
もし、もしだよ?わたしが神様で人間を増やしたいなーって思ってるなら、かえでちゃんの言うように命を増やせる人間のほうが重要だと思うけど……
死ぬ人、それぞれ個人にとっては人間が増えても関係ないっていうか、えっと、うまく言えないな
自分の命が一番大事って言ったらそれまでになっちゃうけど……

【リオシアの中では簡単に結論が出せない話だ。だからこそ様々な本を読んでいたのだが】
【かえではあっさりと結論付けた。筋道を立てた論理に基づいて――】

【本の頁に再び目を移す】
【蛇・民俗学――宗教――】
【かえでに語りかけられて、そちらに答えると】

まあ、今は自由時間だし……それにわたしは

【諜報部だから――】
【そう言いかけて、口を閉ざした。他人に話すべきことじゃないのは当然だが】
【諜報という任務の関係上、治安に関する情報は多く集まる――】
【最近、頻繁に起きている猟奇的で残虐な事件。あるカルト教団が絡んでいるらしく、目撃された実行犯は皆「蛇の入れ墨」をしていること】

まさか……ね

【かえでは――少女とは思えない荘厳な雰囲気を持っているが、とても残虐な人間には見えない。それに入れ墨だって――】

【心拍数が跳ね上がった】
【そういえば、会ったときに少しだけ不自然に思った。左手だけの純白のドレスグローブを見つめて】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/29(火) 23:51:18.03 ID:VprJxs3N0
>>209

【――上出来だと思った。おそらく相手は――というより、多分ほとんどの人類が――その名前を知らないを分かって出した単語、それを、きちんと名前だと理解し】
【自分がそうするのは当然だから当然なんだけど、――敬称をきちんと付け足したこと。多分相手がそうしなかったら"よくない"ことが起こったと予感させる】
【ならばきっとリオシアは相手の大事にしているものをきちんと見つける能力に長けていた、それを女の子らしいと評するのは今時よろしくないかもしれないけれど、】

【――――――それでも、正解だったんだから】

そうでしょうか? 自分の命より大切なものを見つけるからこそ、人間は子を生すのではないでしょうか、あるいは、それを果たす。
他者に身体の一部を突き立てて果てるか他者に突き立てられ果てるか、神の下ですべてを捧げ果てるのはだいたい同じです、――――むしろ、

自分を半分に薄めてしまわないだけ、後者の方が色鮮やかに映えるかと。

【ココアをまた一口飲む、――ソーサーに戻したならカチャリ、と、陶器同士の擦れ合う音、ぎりぎり不愉快になる手前の、甲高い音】

自由時間があるんですね、四六時中匍匐前進をしているイメージでした、どんな訓練をするんですか?
さぞかし辛いんでしょうね、二重8字結びで水中にくくられたり? あれは水に濡れると解きづらいんですよね。

【「それにわたしは」――その先に続く言葉を考えてみる、ならば連なる言葉はあんまり考えていない、特に意味がない】
【ころころと笑って小首を傾げた、――四六時中匍匐前進っていうイメージもどうなのかと思うけど、かといって、すぐにロープワークの話になるのも、どうかと思う】

"まさか"――なんでしょう? リオシアさん、これは出過ぎた真似かもしれませんけれど……。
……軍人と名乗った方が、そのような口ぶりをされるのはどうでしょう。一般人相手ですよ、不安がらせてしまいます。

――――それにしても、先ほどはありがとうございました。やはり軍の方はそのように教育されるんでしょうか、貧血だなんてお恥ずかしいです。
すっかり薬も効いたみたいです――ほら、一人で倒れていたら、大事になってしまいますから。リオシアさんが居てくれて助かったと思っているんです。とても。
たかが貧血でいちいち救急車なんて呼ばれちゃったら恥ずかしいです、これでも私、嫁入り前ですから――――。

【少女は一瞬その鮮やかすぎる色合いを細めた、それから、形のいい眉を歪めて、少し困ったような表情になる】
【きゅうと腕組みを細めたなら胸元が寄せられて、服の上からでも柔らかさが分かるだろう、その合間が服の布地を巻き込んで、より一層主張したなら】
【――表情が一転する、にっこりと笑ってみせて、冗談めかすような語尾が鮮やかにほどけていく】

……"これ"ですか? これはですね、傷跡なんです。昔、火事で、家族がみんな亡くなりまして。その時の傷です。
――――――ですが、左手っていうのは自分の一部ですから、不本意ながら切り落とすわけにもいかなくて。なので隠しているんです、見たくありませんからね。

【つう――と、左手の布地を、右手の指先が、なぞった。その指先でかすかに白色がしわを寄せる、その内側の皮膚を、決して透かさない分厚さを、捩って】
【――嘘と本当が入り混じっていた。火事は本当。家族も本当。だがそんな傷はない。――――硝子細工のような顔を悲痛そうに歪める、見たくない、すなわち、見せたくない】

【そして――それを無理やりに見ると言う権利が相手にないことも、分かっている。軍人として求めるならば理由がない。友人として求めるなら? 友人ではない】
【――そしてもちろん、軍人としてでもなく、友人としてでもなく、くだらない好奇心で求めるのなら、それは、殴っていい人間だから】
211 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/05/30(水) 00:24:53.17 ID:ifODVjr40
>>210

【どく、どくと、跳ね上がった心拍数はそのまま維持されている】

自由時間というか、自主訓練って感じになったりもするけどね
もちろん匍匐前進の訓練もする時はするよ、野戦訓練、射撃訓練、格闘、あと座学とか……
あ、水中にくくられることはないけど、水泳訓練もやるよ
それとこれはいちばん大事……金曜日にはカレーを食べるの!

【びっと人差し指をたてて真面目に語る】
【食事は軍人にとって重要な要素だ】

まさか、まさかって、ああごめんごめん
まさかこんな楽しい会話ができるなんてねーって思って

【信じられないほど嘘が下手であった。さすがに無理があるとはわかるのか、すぐに話題を逸らす】
【嘘をついているのはもしかしたら、お互い様かもしれないが――】

うん、まあ重い時は仕方ないよね……
でもあれだよ?ほんとにきつかったら無理に出歩いたりしないようにね

【先程は「用事」と言っていたが――その用事については尋ねない】
【尋ねたところで、答えははぐらかされるだろうし】

そう、なんだ。火事で……かえでちゃんだけでも助かって、良かったね

【憐れみの言葉も彼女は求めていないだろう、きっと】
【なぞる指先がやけに美しく感じて、少々見つめてしまった――これ以上は詮索すべきではないだろう】
【互いの立場の為にも――】

元気になったみたいだし、そろそろ行くね
お言葉に甘えて、ごちそうさまってことでいいんだよね?

【最初の人懐っこい様子と比べて変に思われるだろうか――そそくさとお別れを宣言した】
【拍動は、まだ収まらない】

【席を立ち、店を出ていく。ゆっくり歩きながら――】
【軍に戻ったら、調べることが増えてしまった】
【最後に振り返って、にこやかに言葉を告げる】

じゃあね、かえでちゃん
今度あったら、そうだ。紅茶キノコってやつ、一緒に食べに行こうか


//この辺で!ありがございました!
212 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/05/30(水) 00:26:43.18 ID:ifODVjr40
>>210

//切る部分間違えたので再送しますすいません!こっちを生かしてください


命よりも大切なものかぁ……
わたしにはまだ、よく分からないな。仲間は大切だけど、自分の命を捨てて助けられるかは正直……その場になってみないとわからない

かえでちゃんにとっては、"うぬくあるはいさま"が、見つけられた一番大切なものなのかな

【置かれたココアを見る――用意したものをちゃんと飲んでくれてよかった――】
【しかしもう、自分の分を追加注文する気にはなれなかった】
【どく、どくと、跳ね上がった心拍数はそのまま維持されている】

自由時間というか、自主訓練って感じになったりもするけどね
もちろん匍匐前進の訓練もする時はするよ、野戦訓練、射撃訓練、格闘、あと座学とか……
あ、水中にくくられることはないけど、水泳訓練もやるよ
それとこれはいちばん大事……金曜日にはカレーを食べるの!

【びっと人差し指をたてて真面目に語る】
【食事は軍人にとって重要な要素だ】

まさか、まさかって、ああごめんごめん
まさかこんな楽しい会話ができるなんてねーって思って

【信じられないほど嘘が下手であった。さすがに無理があるとはわかるのか、すぐに話題を逸らす】
【嘘をついているのはもしかしたら、お互い様かもしれないが――】

うん、まあ重い時は仕方ないよね……
でもあれだよ?ほんとにきつかったら無理に出歩いたりしないようにね

【先程は「用事」と言っていたが――その用事については尋ねない】
【尋ねたところで、答えははぐらかされるだろうし】

そう、なんだ。火事で……かえでちゃんだけでも助かって、良かったね

【憐れみの言葉も彼女は求めていないだろう、きっと】
【なぞる指先がやけに美しく感じて、少々見つめてしまった――これ以上は詮索すべきではないだろう】
【互いの立場の為にも――】

元気になったみたいだし、そろそろ行くね
お言葉に甘えて、ごちそうさまってことでいいんだよね?

【最初の人懐っこい様子と比べて変に思われるだろうか――そそくさとお別れを宣言した】
【拍動は、まだ収まらない】

【席を立ち、店を出ていく。ゆっくり歩きながら――】
【軍に戻ったら、調べることが増えてしまった】
【最後に振り返って、にこやかに言葉を告げる】

じゃあね、かえでちゃん
今度あったら、そうだ。紅茶キノコってやつ、一緒に食べに行こうか


//改めてありがございました!

213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/30(水) 00:46:27.98 ID:bK1xgx300
>>221

――――いろいろなことをするんですね。知りませんでした、軍の方とお話する機会とか、めったにないですから。
そういえば、軍にもいろいろありますよね? 陸海空――、リオシアさん、あなたはどこの所属なんですか? 

陸なら迷彩服、海なら水兵服、空なら飛行服、リオシアさんはどんな服を着るの?

【にこにこ、と、花びらさえ零れだしそうに淡い笑みだった、口元に手袋の手を添えて、マゼンタの瞳が細められて、笑っている】
【相手の所属がどこかなんていうのはそれこそ聞きすぎている。あるいは――もっと"疑惑"のない人間だったなら答える気にもなったのかもしれないが】
【疑われたならば、答えるはずもないだろう。多分分かっている、分かっているのに言葉に出したなら――あるいは一瞬の感情のぶれを待ちわびるようでもあった】

【――まさかって言葉を辿る。心当たりがあるのかもしれない。"どこ"がその情報を持っているのだろう、あなたはどこの軍人さんなの?】
【そうやって尋ねているんだった――ならば気取られぬように振る舞うのが正しい。気取られたなら、その先に何があるのかは、分からないから】

そうですか? よかった、同じくらいの年の子ってライトノベルとかばっかり読むから、気が引けるんです。
本が好きだっていうから尋ねたらマンガみたいな絵の表紙の本ばっかり、それが悪いとは思いませんけど――ね、温度差があるじゃないですか。

――だけどライトノベルは私も読みますよ、能力とか奇跡とか魔法とかが全くない世界に転生するやつとか。面白いですよね、異世界ファンタジー。

【グローブの白と指先の白を合わせて絡ます、相手の嘘に同調して見せたなら、それこそありふれた女の子同士の駄弁りのよう、誰が一番動じないか、のコンテスト】

…………はい、気を付けます。いつもはもっと軽いんです、痛いなあって思うこともあんまりなくって。
気温がちぐはぐだから知らないうちに体調を崩しているのかも、――リオシアさんも気を付けてくださいね、激しい運動の後は免疫が落ちますから。

【その手がぺたんと自らの腹部に触れる。うんと豊かな胸元に反比例してぺったんこのおなか、その、下の方を、抑えたなら】
【うそっぱちを塗り重ねて相手を心配する――自分だけでもという言葉に対しての反応と一緒くたにしながら、自分は大丈夫になりました、という風に、笑う】

はい、こちらこそありがとうございました、おかげですっかり良くなりましたから。お支払いは任せてください、――ええ、もちろん。
だけどあれは飲み物だし結構気持ち悪い作り方ですよ、ナタデココあたりで妥協した方がいいですね。

じゃあ、また――。

【――やはり相手はきっと聡かった。けれどほんの少しの手がかりは残る、ウヌクアルハイという名前――それが、きっと、重大な意味を持つから】
【そのままリオシアは帰ることが出来るだろう、誰かに襲われたりとか、そういうのは全くないはず。あったとしても――それは、蜜姫かえでとは、きっと関係がないから】

/おつかれさまでした!
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/30(水) 19:22:48.07 ID:bK1xgx300
【街中――大通りに面したカフェ】
【時刻は夕ごろだった、朝から曇っていた空からついに雨垂れが落ちだして、あっという間に大雨になって】
【それで慌てた様子の人達が通りを駆けていく――あるいは、雨宿りでもしようと、道沿いの店屋に入っていくのが、目立ち】

【――ならば"ここ"も、そんな客で賑わいつつあった。困った店員があちらこちら、相席のお願いだなんて、し出していて――】

…………――あれ、雨ですか。

【――――そんな店員に声を掛けられて、一人の少女が久方ぶりに顔を上げる。平日というのもあって従業員も手薄だったのかもしれない、少し泣きそうな顔と目が合って】
【「相席ですか、構いませんよ」――あらかじめ確認しに来た店員ににこりと伝える、ただその代わりみたいに、空っぽのコーヒーカップを傾げて、お代わりの注文】
【急がなくって大丈夫ですよ、と、伝えて。ぺこぺこ頭を下げながら居なくなる店員の背中を見送ったなら、ふらりと足組み、机に肘をついて、お行儀悪い姿勢】

止まないようなら傘を誰かに持ってきてもらわないといけないですね、職権濫用みたいで嫌ですけど。

【さっきまで読んでいた本を閉じる、本屋のブックカバーがついていてタイトルまでもは読めないけれど――それを、ぽすん、と、机の上に置いたなら】
【すっかり汗だくになって氷も融け切ったコップの水を飲む、――店内はひどくごった返していた、がやがや、わあわあ、BGMのジャズも聞こえないくらい】
【やれ雨でスーツが濡れただの荷物が濡れただの、帰れない、彼氏に迎えに来てもらおうかな――そういう話声、静かとは到底言い難い雰囲気が、気づけば満ちていたなら】

【透き通るようなウィステリア色の髪の少女だった、長い髪は後ろで一つにくくられて、鮮やかなマゼンタ色の瞳、赤いフレームの眼鏡をかけて】
【腰元をリボンできゅうと絞る紺色のワンピース、裾にはたっぷりの布地が使われているなら、座った足元、ぞろり、と、複雑なシルエットを描いてみせて】
【薄手のストッキングにサンダル――高めの身長と大人びた顔が年齢を少しだけ曖昧にして、けれど、まだ、本当は少女なのだ、とは、思わせる様相】

それとも晩まで済ませてしまいましょうか、何か頼むの、気が引けますけど……。

【店内の時計を確認したなら少女は呟く、――気づいてしまったら店内の賑やかさはひどく目立って、読書に戻る気も、失せてしまった】
【かといって珈琲を頼んでしまったのだし、それを飲むくらいまでは居ないといけない。――どこか退屈げな呟き声、にぎやかな店内に掻き消えていったなら】
【――そんな店内、もし誰かが新しく来たなら、あらかじめ相席になってもいいって言っていた少女のところに通されるはずだった。マゼンタの瞳を、窓の外に、じっと向けたままの――】

/日付変わるくらいまであれですが、今から少しの間ご飯で離席しますっ
215 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/30(水) 20:17:24.36 ID:uyiooctY0
>>214

【かたん。断りもなしに椅子の引かれる音がした。まるで当たり前でしょうとでも言わんばかりに迷いのない音】
【そちらを見てみれば、見知っているかもしれないしそうでないかもしれないヒトの顔があった。中性的な、少年】

【――――きれいな子だった。写実的な絵画とか彫刻というより、一昔前の少女漫画の絵とか、お人形とか】
【そういった、多少のデフォルメを施されて愛らしさを増された――造り物のような顔】
【眉も目も鼻も口もすべてが完璧な位置に配置され、あまつさえ完璧な角度に整えられた、精巧な笑みを浮かべて】

や。キミも雨に降られちゃった? ムリフェン……、……「かえでさん」って呼んだほうがいい?
ボクはそうだよ。それにしても奇遇だね、こんなところで、会えるなんて……

【シミとかニキビはおろか毛穴の一点も見えないつやつやの白磁の肌の上、内側に行くほど色味を増すグラデーションリップ】
【それが控え目に開かれて、きれいな音を奏でた。アルトにまで到達しないボーイソプラノ】
【澄んだ海――最後の楽園、とか称されるほど美しい南の島の、それも一番きれいなところ――を思わせる蒼色の瞳が揺れて】
【人懐っこく細められていた。縁取るプラチナ色のまつげはいっそ暴力的なほどの量と長さを誇っている】
【同色の髪――眉のちょっと下と首の中程できれいに切り揃えた、当たり前のようにさらさらのやつも、同時に揺れていた】

【どこかの制服、灰色のブレザーを纏った少年だった。首元はハイネックのシャツ、手元は白絹の手袋】
【脚にはぴったり沿う黒タイツ、その先っぽには13センチ、不吉なセンチメートルのピンヒールの靴】
【徹底的に露出を防ぐ格好をした彼は――――少女と同じ神を信じる、……けれど味方とか仲間とか言うには、少し微妙な子】
【めちゃくちゃに、悪評が目立っていたから。我儘。自己中。クソガキ。陰で口遊まれるそのどれもが、本当のことだったから】

ああ、ご飯まだ食べてない? だったら御馳走させてよ。
ね、聞いたんだよ、風のうわさで――――「君も」選ばれたんだって?

【「蛇神様に。おめでとう、素晴らしいことじゃないか」そう言ってまた笑って、まつげが、震えて――――】

【――――――“サビク”。“サーペント・カルト”の、幹部のひとり。破崎雨竜が、そこにいた】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/30(水) 20:45:47.86 ID:bK1xgx300
>>215

【その存在は知っていた。けれど会うのは初めて――あるいはそれに等しいだろう。何かの時にすれ違うくらいはあったかもしれないが、】
【お互いにお互いの存在を意識して面として向かい合うのは、初めてじゃあ、なかろうか。引かれた椅子の音に視線を戻した少女は、そのまま相手へ視線を移ろわせ】
【「あれ」と小さな声をあげた。――街中で出会う人間だとは思っていなかったのかもしれない、スズランの花を楽器にしたなら、こんな音が出そうな、声をして】

そうですね、ここだとかえでのほうが助かります。癪ですけど。といってもその名に反応するのは同志か敵なわけですが。
――雨には降られてないです、朝から居たので。雨竜……あ、失敬、ウリューさんはお買い物か何かですか?

【彼女は普段――蛇教が所有する物件に住んでいるから、その時とか、蛇教の一員として動いているときとか――眼鏡、なんて、掛けていないのだけれど】
【普段そこらへんを出歩いたりするときは変装のつもりか知らないけれど、そうしていた。ならば現在は全く以ってオフの日のつもりだったのだろう、と思わせて】
【左手だけの真っ白なドレスグローブ――彼ならきっと知っている。彼女はそこに蛇の入れ墨を入れていて、そしてそれを隠すこと、本当はすごく、嫌がっているって】

【――相手の名前を呼び返した。文字で書いたなら分かりやすくとも、音で聞く限りあんまり違いは、ないのだろう、だけど彼女は、相手の望むよう、言い直したなら】
【あんまり買い物に出たりするタイプだとは、思っていなかった。――なんてそれはそれで失礼な印象、だけど、さんざん悪評ばかり聞かされていたから、どうしても、イメージが】

じゃあ、お願いします。昨日人に奢ったので、プラマイゼロにしてください。それだけだと悪いですから……というわけでもないのですけど。
"まだ"大々的に言うほどでないので悩んでいたんですが――そのことも後でお伝えします、ちょっと。面倒なのは嫌ですよね?

【まだ薄暗い朝に咲く白薔薇の表情、しれーっと、あんまりに当たり前に頷くだろう、ほんの欠片の遠慮も見せてこないけど、一応感謝はしているらしいとは見えた】
【ならば奢られる礼に伝えることもあるのだと言う。――まだ重要ではないらしい、けど、いつか重要になるかもしれない。というより、面倒ごとの種になりそうだ、という予感】

――――――ありがとうございます、ウリューさんもですか? おめでとうございます。
どんな力を賜ったんですか? ――私も、すぐにでも使いこなしてみせますよ、ですが、昨日張り切りすぎてしまったので。

【――まるで人形のように美しい彼を前にして、けれど少女はあんまりに平然としていた、それが、彼女がそういうことに興味ないからなのか、悪評をさんざ聞いた後だったからなのか】
【分からないけれど――、両方の手を机について、口元の前で指を絡ませる。にこり、と、笑った顔は――そういう作り上げられた美しさとは少しだけ違う、けれど、うんときれいな】
【無垢さすら滲むあどけない笑顔、とっても嬉しそうなものは、そう、小さな子供が、頑張ったことを両親に褒められた瞬間に浮かべるような――それに似て】

【「今日は勉強がてら、休養を――」】
【閉じて置いた本を指先でぱらぱらっと開く――中身までは読み取れないけれど、頬杖をついて伏し目がちに、そうする仕草は、それはそれで、瀟洒に見えた】

/おまたせしました!
217 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/30(水) 21:10:29.35 ID:uyiooctY0
>>216

そう、じゃあかえでさん……、……朝から。店員に鬱陶しがられない?

【きゃらきゃら、砂の零れるような音で笑う。眉と目尻の下げ方も、口角の上げ方も完璧】
【ひとつひとつの動作をいちいち鏡に映して、チェックしているみたいな精密さだった】
【もちろん鏡なんてないから、そんなわけないのだけど――身に沁みついているようだった、かわいこぶることが】

【「じゃあ、はい。お祝いだから、なんでも頼んでよ」。そう言ってメニューを手渡す、指先の角度まで整えて】
【小首を傾げて、小鳥の仕草。ウリュー、櫻っぽい響きを含まない平坦なトーンで呼ばれれば、満足したみたいに】
【ちょっと肩を跳ねさせて、喜びを示した。じい、と、かえでの姿を見つめながら――見えている上半身を余すところなく】

ああ、いや、ボクはね――――ずっと前から「そう」だったの。
きっと今いる幹部の、誰よりも早いんじゃないかなあ。5年くらい前にね、

【そのときにはもう、既に「選ばれていた」。そう言って笑む、その美しい顔には】
【――――隠しきれない傲慢さが混じっていた。オマエなんかよりボクのほうがずっと早かった】
【ボクが一等賞。ボクが一番、……神様を除いて。そうとでも言いたげなニュアンス】
【なんとも幼稚が過ぎるから、いっそ呆れるくらいするだろうか。……それとも、】

【かえでは間違いなく美しい少女だった。だけどボクのほうがキレイだし、ボクのほうが凄くて】
【ボクがボクがボクが――――。言葉にはしないけどオーラから溢れ出る。明確に、見下していた、かえでのこと】

//わーごめんなさい、此方もお待たせしました!
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/05/30(水) 21:20:20.09 ID:WBElYymX0
【路地裏の一角】

「……そ、その子を離せ!」
「断ります、そもそも、拙僧が素直にそれに従うとでも?」

【これは、悲しい話だが非常によくある、そう、よくある路地裏でのお話だ】
【時刻としては夕刻に差し掛かる時間帯】
【逢魔ヶ刻、この時間の薄暗がりに、古人は様々な魔物を想像した】
【あるいは本当に、暗がりには魔物が潜んでいたのかもしれない】
【最も、それはこの現代とて例外では無く】
【これは、そんな『魔物』と運悪く接触してしまった人間の話とも言える】

「……こちらの、言う事が聞けないと、言うんですね?」
「はい、当たり前ですよね?この少女は栄誉ある事に、今宵のウヌクアルハイ様の贄として選ばれました、まあその前に私と懇意のサーヴァントとで好みの『清浄化』を施させて頂きますが」

【対話しているのは、オフロードのオートバイに乗った詰襟の学生服の少年と】
【編み笠に錫杖を手にした、黒い袈裟の虚無僧と言った出で立ちの男】
【錫杖には蛇の巻き付いた造形が取り付けられており、少々異様な物では在る】
【加えて、僧侶の片手には12か13程の年齢の少女が抱えられている】
【読み取れるように、この状況、決して平穏で平和な会話ではない】 

「お前……まさか、蛇の邪教の!?」
「邪教とは酷い物言いです、聖教、せめてサーペント・カルトと言って下さいますか?」
「ふざけている……その子を離す気が無いなら……」
「やりますか?貴方には、どうも戦う力など無さそうですが……」

【この状況だ、いつ交戦が始まってもおかしくは無い】
【そして、付近を通りかかる人物は、この声を聴くことも、またこの場所に至る事も容易であろう】
【介入者は、はたしてどちらの味方と、あるいはどちらの敵となるのだろうか?】
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/30(水) 21:34:32.45 ID:bK1xgx300
>>217

平日だから、大丈夫ですよ。休日にこんなことはしません、迷惑ですからね。
居心地がいい店は重要ですよ、ウリューさんも行きつけの店はないですか? 一日中本読んでて怒られないところ。

【それは熟練の職人が手によりをかけて作り上げた存在のように思えた、全部が全部完璧で、けど、それは、かえって、緊張させない】
【だいたいのことはそのやり方のルールに則ってやってくるだろうなんて思っていた、とはいえ――誰からともかく悪評は聞いていたのだ、扱いづらい子だ、と】
【とりあえずそういうのを言っているサーバントは仕置きとして何人か再教育の方に回したりしていたけど――別に恩を売るわけじゃなく、だから、何にも言わないまま】

【差し出されたメニューをそのまま受け取る。相手の整えられた所作に対して、彼女はどうにも普通の素振りだった、洗練されていない様子、だからこそ】
【あるいは水際に咲く美しい彼を写し取っては歪み、本当の美しさを際立たせる水面のよう、――「じゃ、これにします」】
【指さしたのは割と普通にお高い方のサンドイッチのセットだった。エビとかアボカドとかいろいろ入ってて、サラダもついてて、スープもついてて、デザートまで】
【遠慮って概念があんまりないのかもしれなかった、――それから「ウリューさんはどうしますか?」って尋ねる、メニューの向きを直して、相手に返したなら】

……――へえ、そうなんですね。私、そのころは普通に小学生か中学生をしてました、12歳のころですね、すごい。
えーっと、ウリューさんはおいくつでしたっけ。どこか学校に行っているんですか? 私、すっかり面倒になって辞めちゃいましたし――。

【マゼンタ色が瞬く、そうして海色の瞳を見つめたなら、きっとその傲慢さも見つけ出すのだろうか、ちらりと昔のことを思い返しながら】
【――そういえば、と、呟く。相手の年齢を知らなかった。あんまりにきれいな顔立ちは実年齢を曖昧にする、……別に、特別に興味があるわけではないけど】
【秘密主義の宗教は同志どころか幹部同士でもかかわりが薄くって、日常生活のことが分からない。こんな場所で偶然出会ったことすら、ウヌクアルハイの思し召しのよう】

私、面倒になると辞めちゃうタイプなんですよ。趣味とか、割と形から入る方なんですけど。

【――――怒ったようなそぶりは、見せなかった。それとも相手の噂が彼女のところに来ていたみたいに、相手も、あるいは、聞いたことがあるかもしれない】
【この少女はウヌクアルハイについてのことになるとドが付くほどにのめりこむけど、それ以外のことはごく一部の趣味、読書だとかを除いて、特に頓着をしないと】
【いろんなことやるけれど。そのほとんどに本当は興味があんまりないようなそぶりをするのだと――ただとりあえずほんとにいろいろするらしい、面白そうって思ったなら】
【ある日いきなり糠漬けの道具一式を買ってきて飽きたってサーバントに押し付けたこととかもあるらしい。――それもウワサだった、ほんとにどーでもいいような、噂】

【――――――――そうじゃない"噂"になると。ここ最近、それこそ、"選ばれた"という話が出回ったのと、ほとんど同じタイミング】
【――元から少女は贄の拉致を主に行っていた。能力で無力化した人間を大量に"持ち帰ってくる"のがいつものことで、ただ、あの日以降】
【幾重にも幾重にも幾重にも"死"を塗り重ねられた、死体。たった一人でありながら何度も何度も何度も"殺された"死体をこさえるようになった、っていう、話がある】

【だからそれこそが賜った力なんじゃないか、っていう、噂が――出回り出していた。タイミングも一致していたから、二つの話が結びついて、ひそひそって、囁かれる】
220 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/30(水) 21:53:14.97 ID:uyiooctY0
>>219

あはは。そんなの図書館くらいしかないでしょ!
かえでさんって面白いね、そんなに本、好きなの? 今はナニ読んでるの?

【人懐っこい子供が興味を持って纏わりついてくるみたいな、ともすれば愛らしい反応】
【その中に、「面白い」なんてワードを混ぜた。間違いなく無害なニュアンスでそう言っていないこと、わかるだろうか】
【「オマエ、ヘンなヤツだなあ」。そういう意味合い。吊り上がった口角、嘲笑とまではいかなくとも】

【扱いづらいのは間違いじゃなかったけど、ひっくり返せばどう扱えばいいのか、はっきりわかる子でもあった】
【とりあえずおだてておけば調子には乗るけど、危害は加えない。ただしめちゃくちゃ腹が立つ、相手をしていて】
【忍耐力を鍛えるための装置としては優秀。そんな評判ばかりだった、うっかり力を持ちすぎちゃった、クソガキ】
【「じゃあパスタのセットにしようかなあ」――財力もそれなりに強いみたい。だから遠慮されないことには、何も言わない】

ボクは15だよ、いちおう中学生やってるけど――なにも楽しくないよ、蛇神様の話もなんにもないし。
やめちゃったの? いいなあ。ボクも高校行くのやめようかなあ。
だってボクら、もう、将来安泰も確約されてるようなもんだし……

【「蛇神サマサマだよねえ」。俗っぽいハナシに神様を混ぜ込んでくる、友達か何かだと思ってるみたいに】
【それはかえでの精神を逆なでするかもしれない。何より大切にしている神様に、そんな、馴れ馴れしく】

……ね、かえでさんさ、蛇神様にどんなもの貰ったの? あるいは、何かしてもらった?
ボクはね、命を助けてもらったんだよ。クソみたいな大人たちから守ってくれたの、ねえ――

【一応。訊いてみながらも、やっぱり自分の話を混ぜなきゃ気が済まない性質らしい。自分が自分が自分が】
【競うみたいに、でも自分の勝ちを確信しているみたいに。完璧な笑みを湛えながら、問うた】
221 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/05/30(水) 22:15:45.04 ID:uyiooctY0
【雨が降っていた】
【数刻前よりパラパラと降り始めた雨は、その後大降りになるということもなく、水の国の名を彩るかのように地面を濡らしている】
【とは言え、概ねの人々に取っては片手が塞がるだけの鬱陶しい気候】
【道行く人の声も、雨音と合わさって余計に耳障りに聞こえる】


【そんな中、大通りから数本離れた街路、裏路地にも程近いそこでは不審そうな気配が漂っていた】
【大通りの端には、まだ年若い少女が、血溜まりの中で倒れていたからだ】
【怪しげな通りからでも出て来たのか、その隣には倍近い体格の男が、同じく満身創痍で気絶している】
【もっと雨足が強ければその痕跡さえ洗い流されてしまったのだろうが、この程度に湿った空気ならば、むしろ血の臭いが鼻に突く】


……死ぬかも……

【辛うじて目を開いている少女は、得意の肉体強化の能力も切れ、一歩たりとも自分で動ける様子はなかった】
【通りすがりの人々は、汚いものでも見るかのように、遠巻きにヒソヒソと喋りながら、立ち去って行く】
【余り治安が良いとは言えない通り、ひょっとしたら行き倒れは日常茶飯事なのか】
【いや、それ以上に、少女の負った無数の裂傷。能力者絡みの諍いであることは明白だったから】

……本当に……ここだと、能力者って、冷遇されてんの、ね……

【喋ったつもりだったが、声になったかは怪しい。そもそもまともに声が出せるなら、助けてくれ、くらいのことは言えたのだけど】
【冷たい雨が、傷口に染みる】
【このままだと遠からず鼠の餌になることが目に見えていた】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/30(水) 22:26:13.13 ID:bK1xgx300
>>220

でも図書館って飲食禁止なんですよ、それは面倒くさくないですか? 本を読んでいるときに、喉が渇いたとか思いたくないです。
……ウリューさんは読まないですか? これは普通にただの本ですよ、エッセイですね、食べ歩きの。

何冊か持ってきてたんですけど、読んじゃいましたからね。読み物としては面白かったですよ、嫌いなやつを呪い殺す悪魔の呼び出し方とか。

【それは明確なニュアンスだった、教室の隅っこに居る子に、スクールカースト上位が面白さを求めて話しかけたときのような、そしてきっと、その通りの】
【けれどやはり声音を変えずに答えたならば、少女はそのまま相手の方へ本を差し出す、――中を開いたなら、ほんとにほんとの、ただの本】
【どっかの誰かがどっかの店で食べたもののレシピを考察しながら自分だったらこう、とか、ここはこうしたい、とか、そういうのをいっぱい書いてる、ちょっとだけ失礼な感じの】

【――そういう意味ではこの少女は彼にとって扱いづらい、かもしれなかった。これが彼女が格下であったなら、間違いなく従ってくるタイプだろう、とは思わせたけど】
【なまじっか同格、同じ幹部だったから。迎合しようという気持ちが全くみえてこない、――ううん、多分、きっと、そんなのなくって】

じゃ、そろそろ高校受験ですね。私は14の時に来たんです、なのでそのままずるずるっと。受験とかもしなかったですし。
勉強するのは嫌いじゃなかったんで割と優等生だったんですよ、――――、だけどウリューさんは学校へ行った方がいいかもしれないですね。

――――ウヌクアルハイ様はあなたの友達でもなんでもないですよ、失礼ではないですか?
"受肉"の日だって近づいているんです、その時にそんな口ぶりで話しかけたりしないと、いいんですけど。

【そしてそれはきっと彼も知っていた。この少女――14のときに家に遭った不幸をきっかけに入信している、つまり、彼に比べてうんと新参ものであり】
【そのくせのめりこみの強さと個人の異能の特異性、そして修行によって手に入れた能力の汎用性から重要視され、数多の人間をコンスタントに拉致ってくることから、幹部になった】
【生ぬるい水を飲む、――その時に、さっき彼女が頼んだアイスコーヒーを店員が持ってきた。問題なければそのまま注文してしまうだろう、二人分。遠慮は無配合】

【けれどその店員が立ち去った時――向ける目はきっとわずかに怒っていた。彼が"サーバント"であったなら、多分、一発でレットカードを叩きつけていた】
【もっと目上の存在に対する敬い方を覚えて来い、って、言っているに違いなかった。――にっこり、と、水盤の水面よりも凪いだ笑み、相手へ向けて】

……そうですね、神託と――新しい力を賜りました。油絵具のように様々な死を塗り重ねる力を。
ウヌクアルハイ様のために死を集めるよう。そしてそのための力までもを。――、"Itzamna" に"Kukulcan"、どちらもウヌクアルハイ様の化身である蛇神の名です。
ウヌクアルハイ様はその身の欠片を私に授けてくださったんです、――ならば私は、ウヌクアルハイ様の存在を満たす蜜になる、当然ですよね。

――――ええ、分かります。ウヌクアルハイ様はとてもお優しいですから、ウリューさんを助けるために、お力を振るわれたのでしょう。
私もそうでした、力を授かる苦痛の中に確かに感じましたから、――無造作でも無秩序でもなく、一つ一つ、選び取ったように、無限の辛苦を教えてくださった。

【――――けれど、そんな水面は、ぱしゃりと崩れる。陶然とした目、それが堪えられないかのように、真っ白な頬を赤く染めて、恋人と睦むさまを話すかのように】
【それは決して無垢な少女の浮かべる表情ではない。もっと性/生を知っている、生々しい様相。手袋と素肌の指先を絡ませて、にこにこと、ひどく嬉しげに、笑ったなら】
【長い睫毛がふわりと弧を描く、――相手の言葉に自分の言葉を塗って重ねてしまう、分かります分かりますって、その主導権を乗っ取ってしまうから】
【それはとんでもなく彼にとっては不愉快かもしれなかった――店員はまだ戻ってこない。ていうか、来るはずなさそうなくらい、混んでいた。がやがやってうるさくて――】

【その片隅で、邪教の幹部が二人で話しているだなんて、だあれも、思ってないみたいだった】
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 22:35:03.28 ID:EWBnAhlV0

>>221

【雨が降り注ぐ通り】
【ぼそぼそと聞こえる人々の声】
【薄目を開けた少女の耳にはばしゃばしゃという水音が聞こえてくるかもしれない】

【ばしゃばしゃ】
【ばしゃ、ばしゃばしゃ、ばしゃり──】

──おい!
【不意に彼女の頭の上から若い男のものと思わしき声が降ってくるだろう】

【もし見上げる事が可能ならば、そこに立っているのは十代後半から二十代前半といった年頃の青年】
【少し伸ばした黒髪に紅色のメッシュを入れていて、黒のレザージャケットと黒のレザーパンツ、黒のレザーブーツに黒いチョーカーと黒一色できめていて】

……生きてるか?立てるか?救急車でも呼ぶか?
【矢継ぎ早に質問を投げ掛けてくる】
【紅色の鋭い目は少女を見下ろしていて】

【その目が、ふっと伏せられて】
【聞こえてる訳ないよな、なんて口が動く】

224 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/30(水) 22:43:00.39 ID:uyiooctY0
>>222

なるほど、かえでさんは本読みながら何か食べるのが平気なヒトなんだ。
たまにいるじゃん、汚すからそういうの見るだけでもムカつくとか言うヒト! ああいうの面倒臭いよねえ。
ボク? ボクはあんまり読まないなあ――へえ、えっせい……。

【カタコト。そのジャンルを知っているかも怪しい、そんな口振り。あんまりどころじゃなくて全然読まないタチだろう】
【渡された本をぺらぺら捲って、へえとかふうんとか言って――読んでない。ハナから興味ないです、みたいな】
【でもポーズだけはそれっぽく、整えて……「ありがとう」と共に突っ返す。心底どうでも良さそうに、けれどきちんと整えた仕草で】

そう、受験! ヤーなんだよね、なんで学校行くだけなのにテストがいるんだか。
……ボク、行った方がいい? なんで? 別に成績悪かぁないよ。……あぁ、

ごめんごめん。ついクセでね、……選ばれるよりも前、うんと小さい頃からずっと、蛇神様と一緒に居たから、ボク。

【ぱん、と手を合わせてごめんなさいのポーズ。それから片目を瞑って、眉尻を下げて】
【だけれど口元は苦笑の形。そして、14から入信したというかえでに対して――こんなところでもマウントを取りたがる】
【聞いたことがあるかもしれない。彼の母親もここの信者で、相当な額の寄付をしていた、熱狂的なサーバントだったって】
【だから、その子供である彼も、おそらく赤子のころから入信を義務付けられていた。……どう、すごいでしょう。そう言いたげな顔】

【注文はつつがなく終了する。待っている間のおしゃべり――も、この二人ならきっと楽しい方向には弾まない】

……へえ、その身の欠片を、……へえええ。よかったねええ。すっごいじゃないかああ、
じゃあかえでさんはこれから先、今までよりもうんとうんと頑張らなくっちゃ、ねえええ……。

【……その予感を裏付けするように。彼の笑みの左右対称性が崩れた、わずかにだけど】
【片眉の端っこがひくりと持ち上がる。声に威圧感が混じる。あまりにも幼稚に、怒気を孕む】
【「調子に乗ってんじゃねえよ」、って、床に擦り付けられるヒールが鳴いた、ようだった。けれども】
【――気持ち良く酔っぱらってるかえでに、それが伝わるかどうか。伝わったとして、この程度で気分を害せるかどうか】
【いずれにせよ彼は怒り始めてるみたいだ、けれどこんな人の多いところでは、何もしない。ヒールでがりがり床を抉るみたいに、踏みつけるのみ】
225 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/05/30(水) 22:46:40.80 ID:uyiooctY0
>>223
【誰か、走って来る音。こちらに、近付いている……?】
【薄れかけている意識でもそれを理解したのは、今までずっとその音を期待していたからだ】
【半ば朦朧とした視線が、男の姿を追う】
【強く掛けられる声の内容は、半分程度しか聞こえていなかったけれど、それでも心配するような言葉であることは、理解した】
【こんな状況でなければ、男の格好に対して、コメントでも述べたかも知れないが、今は蚊の鳴くような声で喋るのが精一杯だ】

……ぁ……て……

【何か呟いたようだが、か細過ぎて聞こえなかった。半端に長い黒髪は無造作に後ろでまとめてあり】
【安物のTシャツとジーンズは何かの獣にでも遭ったかのようにズタズタに引き裂かれていた】
【襤褸布と化した衣服からは露出も多いが、とても色気を感じるような状況ではなく】
【男がその場に留まってくれるなら、立たせて欲しいとばかりに片手を持ち上げて見せる】
【矢継ぎ早に掛けられた言葉によって、少しは意識がはっきりしたか、目には多少の生気が戻っている】

生き…るか………帰ら…いで……

【一縷の希望を手放しまいと、引き絞るように声が出た】
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/30(水) 23:14:36.44 ID:bK1xgx300
>>224

【――――明らかに相手は怒り始めていた、それは、普通であったならば絶対に気づく、温度感。けれど、今の彼女の目線は、それこそ、サングラス越しみたいになって】
【相手の言葉をひどく言葉通りに受け取ってしまう――本当に名誉なことであると言いたげに、というか、言っているのだけど。細めた目がどこか潤んで、きらきらしたなら】
【鮮やかな瞳が溶けてしまうみたいにも見えた。熱っぽく潤む――艶めかしい表情を浮かべて、もうテンションが絶対すっごい高くなって、有頂天みたいになって】

――はい、もちろんですよ? "今まで"が手抜きしていたというわけではありませんけれど……、新しいお力を賜った。
そしてその力があれば――今までの私など比べ物にならないほどに、ウヌクアルハイ様のお力になれる。身に余るほどの幸福です。

ウリューさんは同じ人間を何度も殺す方法をご存知ですか? 私は教えていただいたのです、――、ふふふっ!

【そうして相手の嫌味、みたいな言葉には、あんまりに素直にそう返すのだ。今までが手抜きだったわけでは決してないけど、天井を超える力を賜った】
【ならばその全部使い果たしても――神に仕える。それが当然ですよね、って言うように。わざわざ言う必要はないですよね、って、言うように。とろん、目元を蕩かして】
【机に頬杖を突く、両手の指同士を絡めるみたいにして、そこににこにこ笑った口元を隠して――くすくすっ、漏れた笑い声は、ひどく平和な、少女そのものの声音】

【――それは自慢だった。決して彼女にそんなつもりがなかったとしても、自慢以外の何でもなかった。自分はこんなものもらっちゃったんだ、って、子供っぽく、見せびらかす】
【がりがり鳴るヒールの音も――幸いだろうか、逆だろうか。賑やかな店内では彼女の耳まで届かないようだった、ころころ、と、喉で笑うような声、繰り返し】

――――ああ、失礼しました。つい数日前のことですから、まだ、気持ちが昂ってしまって。

【最悪もうちょっと子供っぽいのに煽情的に笑っていたかもしれないけれど――ふっと素に戻って来る、多分、一分とか二分くらい、と思われた】
【ぽーっと赤らんだ頬っぺたを真っ白の指先で抑えて、はにかんだ笑みを浮かべる。普段のしれっとしたような様子と比べたなら、別の人か、と疑りそうなほど、温度が違って】
【それでもまだ時々嬉しげに笑っていた――どうしようもなく歪んだ悦びの色合いを瞳に宿したなら、これはもう救いようがないくらい、のめりこんでいる】

ウリューさんは小さなころからだと聞いていますよ、その年で幹部ですからね、お噂はよく聞いてます。
……といっても、こうやって話すのは初めてですよね? 一緒の仕事、したことがありましたっけ? 

マルフィクさんはたまにお会いするのですけど。……ほら、私、贄を調達することが多いので。
ケバルライさんとも、この間初めてお会いしました。――私、引きこもりでしょうか? よく出ているので、アウトドア派だと思っていたんですけど。

【それでもいつまでも耽ってはいないから。――それで話題を変える、ちょうど、彼がうんと話せそうな話題、――ただ、やはり、伝聞という点が多いなら】
【話半分みたいな気配もある――実際にあんまり関わり合いだったことはないだろう、そうでなければ、彼女が忘れているんだと思う】
【サーバントとつるんで贄の調達に出てばかりの彼女は、実はあんまり本部をうろついていない。ならばよく会うのは、儀式を取り仕切る幹部たるマルフィク、くらいで】
【だいたいどっかに行っているか、そうじゃなかったら、部屋で本とか読んでいるか。インドア趣味のアウトドア派――だって、口にしたなら】

【――縦については絶対的な力関係があるけれど、横同士の繋がりは弱い。まして――――良くも悪くもアクが強い人ばかりだな、と思い返すなら】

一回くらい幹部だけでも集まりたいですね。

【ふっと思いついたみたいに提案してみるのだろう――半分本気、半分冗談。彼女みたいに割とすることが決まっている幹部は、意外と珍しいのかも、しれなくて】
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 23:15:48.30 ID:EWBnAhlV0

>>225

【本当に、偶然だった】
【行くあてもなくただぶらぶらと歩いてるだけで、道行く人が遠巻きに通り過ぎていたからちょっと興味を惹かれて】
【それでもって、普段なら一瞥して通り過ぎるだけの"それら"が何でか妙に放ってはおけなくて】

【──襤褸を纏ったような姿で倒れ伏す人間なんか"彼処"で幾らでも見てきた筈なのに】


【まあ、聞いてなんかいないだろう。すぐに消える命なんだろう】
【そう自分に言い聞かせて、ほら分かったらもう行くぞ、と心の中で自分に声を掛けて】

【そんな時にか細い声で何か言われて、片腕を伸ばされたものだから青年は目を見開いてビクリと肩を震わせて】

【"生き(て)るから、帰らないで──"】

【恐らくそう紡がれた少女の言葉】
【その言葉に何か思ったのだろうか?青年の瞳が揺らいで】

【ただ無言で、その手を取り身体を起こそうとする】


228 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/30(水) 23:29:51.07 ID:uyiooctY0
>>226

【――――ぎち、と、奥歯を噛み締める音、ノイズが鳴った。もう笑みすら作れない】
【悪辣に歪み始めている顔、それでもなお美しい。それがとってもタチが悪く、厄介な点でもあったが】
【きっともう、天にも昇る気持ちでいるかえでには届かない。ふ、と唸る獣の息遣いで、溜息が漏れた】

……、……、……すっごおおおい。かえでさん、すっごく期待されてるんだ、蛇神様に。
すごいなあ、きっとボクと……同じくらい認められちゃったんじゃない?
それは本当にすごいことだよ、…………いいなああああ。

【そんなの知らない。けれどそれを言ったら敗け。彼の中ではそうだったから、噛み殺して、飲み下す】
【微かに震える指先でグラスを引き寄せる、結露の水が手袋に吸われる。濡れるだけの感覚すら、彼を苛立たせる】
【それでもなんとか、一口、二口――中身を飲み干して、必死に言葉を胃に落としていた】
【ふざけんなよ、オマエなんかが、このボクに、……[ピーーー]、[ピーーー]、[ピーーー]。気を抜けば飛び出してしまいそうな、幼稚な罵倒たち】
【それを出してしまえばきっと周囲の客の注目を浴びる。だから我慢する、それくらいの理性は、辛うじて保たれていた】

……うん、これが初めて。お仕事も、たぶん……したことないよ。
でもボク、かえでさんのこと知ってたよ。蛇神様がね、言ってたの聞いたんだ、……イイ子がいるって。

【真っ赤な嘘。蛇神様と会話なんかしたことない、けれど、なんとかかんとかマウントを取りたがって】
【でも――幼稚だから気付かなかった。そんなこと言えば、かえでが、さらに喜びそうなことすら】

ふふ、ボクも似たようなもんだよお……ボクは「修行」の監督ばっかりしてるから。
基本的にサーバントにつきっきりだよ、幹部、実は会ったことないんだ。

幹部だけでの集まり――ああ、なんだか楽しそう。でもボクみたいな子供が、行っても何か言えるかなあ?

【ぎりぎり、歯噛みしながら答える。そして、一見謙遜しているように見えて――「そんなことないよ」って言ってほしい類の問い】
【「ね、もし虐められちゃったら、かえでさん助けてよ。……たぶん一番年も近いし」、甘える弟みたいな声色で】
【そんな保険までつけようとして。どうにかこうにか、自分の地位を高く保っていたいと言外に言っていた】
229 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/05/30(水) 23:34:01.71 ID:uyiooctY0
>>227
【通りすがりの彼が、偶さか自分を目に留めたのは多分、偶然。足を留めたのは多分、気紛れ】
【しかし、今はそれに縋る以外に手はなかった】
【苦痛と倦怠感で、まともに動ける気はしなかったが、手を貸して貰えれば、辛うじて立ち上がる】
【――否、立たせて貰った、と言う方が正しいだろう】

……あり、がとう……

【先ほどよりは、はっきりと言葉にした。裂傷は多いが、内臓や骨に届くような怪我はない】
【動けないのは、単純に出血量と、能力使用後の反作用のせいだ】

【向き合ってみれば如何にもインドア派と言った風情の地味な少女】
【ボロボロのTシャツには、『メレンゲ』と良く分からないダサい文字がプリントしてあった】
【少なくとも路地裏で喧嘩して行き倒れるようなタイプには見えないだろう】


そこのおじさん……知らない人なんだけど、そっちも、死に掛けてるから……

【支えて貰わなければ立っていることも難しそうだが、どうにか倒れているもう一人の男を指して】
【病院に行かねばならないが、普通の病院だと門前払いを食らいそうだ】
【しかし、土地勘が全くなく、どこに行けば良いのか分からない】
【何かアテはないかと、目で訴えてみた】
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/30(水) 23:53:46.67 ID:bK1xgx300
>>228

【ぱたぱた、と、小さな音がした。それは奇しくも相手のしぐさと似ていて、だけど、その意味合いはきっと真逆のもの】
【嬉しくって思わず、って様子だった。ひどくあどけなく、幼げに、だからこそ煽情的に、真っ白な頬を。真っ赤に染めて。マゼンタの瞳、潤ませて――】
【彼のように研ぎ澄まされたものでは、ないけれど。それでも彼女も整った顔立ちをしていた、そういう目で見ればひどく魅力的な身体も相まって、ひどく艶めかしく】
【――――そう、だから、知っていると思う。彼女が蛇教に入信してすぐから、しばらく後まで。この少女は長いこと、修行と称して、その身体を"使われて"いた】

――――そんなこと、ないです。私などに務まるでしょうか? ……でも、ウヌクアルハイ様が、私を選んでくださったんです。
お応えできないことはありえません――、――そうですよね。ですけど、あの時はお世話になりました、ほら、"修行"の時に――――、

【サーバントが受ける修行。それは彼女も受けていた、そしてその中で能力が開花して、幹部まで上り詰めた。ならば――そう、言いようによっては、彼は恩人ということになる】
【けれどだからと言って恩師にするみたいには、あまりしないのだ。彼女にとって大事なのは、何より、ウヌクアルハイであったなら――ちょっと、恩知らず】
【ころり、と、笑った声。ちょっと自嘲めくように語るんだろう、――彼女の修行の最中にあった失敗のエピソード、彼なら、きっと、覚えていそう】
【――入ったばかりの彼女はどうしようもなく一般人であり、凄惨な光景相手に嘔吐したり貧血でぶっ倒れたり、とか――結構、あったんだった】

――――――――、本当、ですか? ウヌクアルハイ様が? 私を? 
――まあ、なんて……、ほんとうですか? ケバルライさんと会った時に、お声を聞いたのです、今思えば――あれは、ウヌクアルハイ様のお声でありました。
…………――鈴の音、のような。美しい声。……ウリューさんはとうに知っていらしたのですね、――お恥ずかしいです、こんな私では、失望されてしまうかもしれません。

お力を賜っただけで満足しないようにしないと――。

【でも――そんな表情が、ぱぁ、と、華やいだ。相手の嘘つきに気づかなかった少女は、そのまま、それが本当のことだって思って、ひどく喜ぶだろう】
【どうしようもなく喜びを湛えた口元を手で隠す。それでも隠し切れなくって、せめて呑み込もうとするように、ぬるい水を飲む、――それでも笑みは収まらなくて】
【はぁあと熱い吐息、――そんな風に言われていたんじゃ、それに応えなければ。ひどい現状だった、彼の言葉で、彼女は、奮起してしまった、らしいから】

【まして――鈴の音、とか、言い出すのだ。それってどんな風に見えるのだろう】

――大丈夫だと思いますよ。ウリューさんは修行を取り仕切っておられる、とっても重要なポジションにおられるのですから。
体格のいいサーバントが居たら教えてください、もっと贄を集めないと……おっと。

【にこり、と、笑う。それはきっと本心からだった、ひどく上機嫌そうな声が相手へ向けられて。助けるかどうかは約束しなかったけど、――】
【それで、いい感じに力のありそうな――人間を容易く運べそうな――やつが居たら紹介してくれ、と、お願いする。――――と、そこに、店員が来たから】

【彼女は言葉を区切って。――それでも相手に向けた目、細めて、アイコンタクト】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 23:56:39.44 ID:EWBnAhlV0

>>229

【ゆっくりと、なるべく体に負担をかけないように立たせてあげれば少女は礼の言葉を述べて】
【青年はその言葉に虚を突かれたようにまた目を見開いて】

……あ、その……別に……
【礼なんて良いよ、なんてもぞもぞと口にして】

【そうして姿をまじまじと見てみれば何の事はない、普通の女の子といった印象を受けて】
【きっと衣食住に困った事もなく、愛を受けてぬくぬくと育ってきたのだろう。青年はそう結論付けて、はあ、と深いため息を吐いて】

……あの、なぁ
普通のガキがこんな路地裏とか入るんじゃ──

……あん?
【口を開けば少女に言葉を被せられ、元々悪い目付きが更に悪くなる】
【それでも死にかけの見知らぬ男を一瞥して】

……お前を襲った人間、じゃねぇ……のか?そいつ
【てっきりそいつにボロボロにされたのかと……と呟き】

もし、なんだけどさ……お前とかそのおっさんに"ある"んだったら"そういうの"受け入れてくれる所、あるにはあるんだけど……
【会話なんて誰に聞かれているのか分かったものじゃない。青年は曖昧な言葉ながら提案する】
【曰く、能力者を受け入れてくれる病院を知ってるには知ってるが、と】


232 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/31(木) 00:11:06.00 ID:ANmBDVzU0
>>230

【あのときって言われてようやっと思い出したようだった。気付かなかった】
【「あのとき」のかえでと、今のかえで、……結びつく気配がないくらいに、雰囲気が違うんだから】
【泣いて吐いて倒れてこんなの無理って言っていて、そんな「心構え」の足りないサーバント、珍しくもない】
【そんな有象無象の中に紛れていた。ならばこの高飛車な子供がそんな存在に興味なんて持つわけなくて】
【だから覚えていなかった、だからこそ――「今」のかえでがおぞましく、恐ろしいものに、際立って見えた】
【なんでこんなに、……「こんな」になった? ……厳重に隠した肌が粟立っている、だれにも、見えないだろうけど】

あっ、ダメダメ、かえでさんもバツ、イチ!
謙遜したら、蛇神様に失礼だよお――――ね? 自信もって、……「キミも、選ばれたんだから」……

【――取り繕うように。でも先輩としてアドバイス、みたいなマウントポジションは、頑として譲らない】
【でもちょっとだけ、……こいつはやばいって警戒をし始めたらしい。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ】
【彼の中で、かえでのランクを上げてやることにした。――事実上の敗北だ。内心、テーブルを吹っ飛ばしてやりたいくらい怒っていたけど】

……鈴、そうそう、鈴みたいで不思議だよね。でもとってもきれいで、――――、
うん、わかった、そういうの見かけたら真っ先にかえでさんの元に行くよう、指示しておく……、

【声。それも知らない。クソ。殺してやる。心の中で何度も何度も、目の前の女を■して■して■してやる、妄想】
【囚われかけていたけど――アイコンタクトではっと我に返る。「ありがとう、いただきます」って、店員に笑う】
【もうすっかり完璧な角度を思い出していた。それを向けられた店員は、わずかに顔を赤くして――去っていった】

【運ばれてきた料理。適当に、それでもマナーは完璧に、お上品に片付けていくけど――なんにも味がしなかった】
【美味しいも不味いもなにもない。噛み締めても食感すら感じない、――ひどく心がざわついていたから】
【坦々と機械的に、素早く食事を片付けていく。もう早く帰りたい、と、思い始めていた】
233 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/05/31(木) 00:11:29.36 ID:ANmBDVzU0
>>231
【青年の視線を受ける。クソダサい私服を見られたことや、露出した肌に恥ずかしがっている余裕もなかった】
【吐き出した溜息の意図が、分かるはずもないけれど】
【客観的に見るならば、なるほど。迂闊にも路地裏に迷い込んだ少女が、格好の獲物として襲われた姿に見えるだろう】
【男の問いには、そうではないと首を振った】


襲ってたのは、別の奴で……この人も……

【襲われていた、と最後までは口に出来ず、くらりと男にもたれかかる】
【決して歓迎されていないことは察するだろうが、それでも気を遣ってくれることに、胸中で礼を言うのだった】

このおじさんは……多分、普通の人……
私は……"ある"……だから、……ダメ、かも……

【あるいは倍どころではない体重の男をここまで運んできただけでも、少女もまた能力者だと知れるだろう】
【先日出会った少女に聞いた『魔制法』なる法律。冷遇される能力者の話】
【それが死に掛けた者を見捨てるほどの度合いかは定かではないが、命の掛かった状態で、試す気にはならなかった】

面倒は……掛けない、から……場所、教えて……?

【言っている端から、力尽きて来て、瞼を閉じかけていた】
【見捨てるのでなければ、男が連れて行く事になってしまうだろう】
【倒れている方の男は、一緒に運ぶのは難しいだろうし、救急車を呼んで病院に任せた方が良いのかも知れない】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/31(木) 00:30:33.76 ID:mX0kEYh10
>>232

【ならば、きっかけはなんだったのだろう。考えたなら――きっと、多分、それは、運良く/運悪く、能力の使い方に目覚めてしまった、ことだった】
【そうして必要とされた。――確か、家が火事になって。家族全部死んだのだったと思う。親戚に引き取られたけれど――ここに来た。あるいは、来てしまった】
【――――能力が開花してからは、特に熱心になった。熱心になってのめりこんで。ちーちゃな(といっても、彼のが年下なのだけど)ありふれた女の子としてのかえでは】

【それこそ、蛇に呑まれたみたいに、どこか、消えてしまって】

――――――――はい、そうですね、そうでした。
ですけど……こんな重圧(プレッシャー)、果ててしまいそうなんです、こんなこと――、他のどなたにも、言えなくて。

――でも、ありがとうございます。幼いころからウヌクアルハイ様を信仰しておられる、ウリューさんに、そう言っていただけて。

【――相手の指摘にはたと瞬く、それで恥じるのだ。唇を噛んで、しまった……というみたいに、自嘲めいて笑う】
【"それ"はひどい悦びでありながら、同時に、ひどい重圧でもあった。へし折れてしまいそう。――ならばもう走り抜けるしかない、立ち止まれない、戻れない】
【けれどそれも――今、ちょっと、吹っ切ってしまったみたいに、見えただろう。ひどい女だった、気づかないのか、気にしないのか、それとも、プラス思考すぎるのか】

【同格でありながら。変に下手に出はしないけど。そういう先輩みたいに振る舞われたら、彼女は相手を立てる気がないわけでは、ないみたいだった】
【マゼンタの瞳が色鮮やかに。じいと相手へ向けられて――だけど、多分、その裏側には。あの蛇神しか、映しこんでいないから】

……受肉の日が近いとケバルライさんが言っていました。それまでに足並みをそろえたいです。……軍の人間が気取っているかもしれない。
前も――サーバントたちが警察の人間に待ち伏せされて殺されました。"邪魔"されることだけは――――絶対に、避けねばならないです。

【――――店員が居なくなったなら、話題は変わる。さっきも話したことだ、けれど今度は、もうちょっと続く。声を潜めて、彼だけに聞こえるトーンで】
【軍の人間が気取っているかもしれない――、軍。今までも、警察の人間相手に、何度かサーバントが交戦したことは――あった、彼女が抱えていた数人が殺されたことも】
【けれど"軍"となると、規模が違ってくる。――サラダを口に運びながらするには重たすぎる話、マゼンタの瞳はそうやって伏したなら、ひどく冷たくも見え】

といっても。私もあなたやマルフィクさん、ケバルライさんしか知らないです。全員に呼びかけようにも、なかなか――。

【早く帰りたいって思っている相手の気持ちなんかまるで気づかないで、むしろ、話を長引かせようとしてくる。途切れた言葉、続く先は多分、「いい案はないですか」とか、そのあたり】
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/31(木) 00:34:37.11 ID:1BYRfapn0

>>233

【首を横に振り、そうではないと伝える少女】
【曰く、件の男は他の奴に襲われていたのだと】
【となると少女が傷付いた理由は恐らく──】

(襲われてたおっさんを助けたから、か……?)
【青年は眉をひそめる】
【何故、という疑問の言葉が頭に浮かぶ。何故見ず知らずの人間なんか助けるのか?それこそ──】

……ほっときゃ良いのに……
【ぼそり、と少女に聞こえるか聞こえないかの音量で呟かれた言葉。呟いた刹那少女がふらりともたれ掛かってきて、慌てて支える】
【傘は差していなかった為青年の体は結構濡れてしまっているが気にしてはいられないかもしれない】

【そうして少女の自分には能力があるのだというニュアンスの言葉を聞けば、まあそうだろうな、と納得したように返す】
【見知らぬ人を助けてここまで運んでくる時点でそれは確実だろう】

【閉じていく少女の瞼。途絶えていく声。青年はゾッとしたように少女を見やり】
【少しの間悩むように唸っていたが】

……っだぁぁぁ!もう!
【連れてくから死ぬんじゃねーぞ!と叫ぶと端末を取り出し救急車を手配する】
【そうして救急車に場所を伝えた後、少女を俵抱きにして件の病院へと向かい始める】
【何事もなければ無事に病院へと着くだろう】



236 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/31(木) 00:43:29.02 ID:ANmBDVzU0
>>234

【ムリフェン。蜜姫かえで。その情報、勝手に抜き取って調べていた、というか他の幹部の情報全員分そうしている】
【会ったときに確実にマウントを取るために。そんな中で、彼が一番見下していたのが――実はかえでだった】
【入信してまだ日も浅いから。それもあったけど、それより、入信の経緯でそうしていたんだ】

【(蛇神様に赦しを乞うているということは、つまりこの女は、蛇神様になにかしら失礼なことをしたんだ)】
【(そんな存在が、「認められて、愛された」このボクと釣り合うわけがないって。そう思ってほくそ笑んでいたのに――)】

……かえでさんは、まだ新顔さんだからね。仕方ないよ。
でもそんな身分で、ここまで上り詰めたんだからさ――がんばったんだよ、かえでさん。
だからね、自信もって。ボクがここまで言うんだからさ、そうしてくれなきゃ拗ねちゃうよ?

【心無い言葉、きれいに色を塗ってそれっぽく装飾して、一言一言発するたびに――胃が捻じ切れそうになる】
【こんな、他人を褒めることなんて。とんでもないストレスだった、傲慢の限りを尽くす子供にとっては】
【それでもそれを悟られないよう、愛らしい顔を必死で維持する。頬を染めて、口にちょっと空気を含んで、ぷくっと膨らませて】
【おやつをいっぱい頬袋に溜めこんだハムスターの顔。その向こう側に――ドロドロの無形が、蠢いていた。殺意という名前のそれを、隠して】

そう、だね……受肉。どんな美しいお姿で降臨されるんだろう? ワクワクしちゃうよね。
ひゃあ、ウワサには聞いてたけどそんなに邪魔がひどいの? かわいそう、かえでさん、大変だよね――

……ううん。よくわかんないやあ、ボク子供だから……。オトナって、どういう風に集合とかしてるんだろう?
ボクらだけならこう――トークアプリでグループ作って発言すれば一発だけどさあ。
幹部みんな、スマホ持ってるかどうかもわかんないしい、……わっかんなあああい。

【案なんてないです。だからボクから興味を失って、早く、解散させてくれ。そうとでも言いたげに】
【「わかんない」を強調して口にした。半分落とした瞼の向こうで、言いようのない焦りだけが、ぐるぐるしている】
237 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/05/31(木) 00:54:23.87 ID:ANmBDVzU0
>>235
【面倒は掛けないと言った舌の根も乾かぬ内に、男によって無事病院へと運ばれる】
【少女の傷は多く、深く、また昨日今日でついた傷ではないものも多かった】
【能力者御用達の治癒術師の下であっても即完治とは行かず、結局入院することになってしまう】
【しばしの間意識を失っていた少女は、男の質問には応えられそうもなかった】


――――――――


【それでも、元よりある程度意識が有ったこともあり、半日も待たずに意識は戻るだろう】
【一通りの治療は終え、病院服へと着替えさせられ、ベッドへと寝かせられている】
【男が少女が目を覚ますまでの理由は、本来は無いはずだった】

【ただ一つ――身元不明の少女を担ぎ込むための治療費が立替だったこと以外には】



……病院……生きてる……
あの人……助けてくれたんだ。


【目を覚まして、しみじみと呟く】
【倒れていた時は、通り過ぎている人々を呪いたくなったものだが】
【見ず知らずの男が病院まで己を運んでくれたのだと思うと、世の中まだ捨てたものではないと思った】
【もしも男がまだ病院にいるなら、お礼を言わねばならない】
【病室を見回し、いないのならば、病院内くらいは探すことだろう】
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/31(木) 01:05:21.53 ID:mX0kEYh10
>>236

【なんてことない、ただの。本当にただの、家だった。彼女が生まれたのは。ならば何もない、ありふれた人生を、送るはずだった】
【だのに、なぜだろう。――小さなころから蛇の死骸をよく見かけた。そしてそれを見たなら、大なり小なり、悪いことがある。頻度は週に何回か】
【運が悪いなあとか思っていた。――それで冗談めかして言っていたんだった、「私、蛇に呪われてるんだ――」って】

【――まさかそれで全部を喪うことになるとは、あの日まで思っていなかった。だからこそ、こびりついた。呪われている、自分は蛇に呪われているんだ、って】
【だから赦されたい。赦してもらいたい。そのためにはどうしたらいいか。どうしたら、これ以上の不幸が起こらないか。――――あるいは、運命づけられていたみたいに】

――――、そうですね。皆さん長くいらっしゃられる方が多いですから。肩身が狭いです、サーバント、と言っても、長い方も多いですから。
……ウリューさんはそんな顔もされるんですね? 修行の時は少し怖い方なのかと思っていました。……ああ、ううん、変な意味じゃないんですけど。

【新顔。それは確かにそうだろう、だから、如何とも思わない。その中で頑張って――それが認められたのだから、嬉しくって仕方ない。ウリューもがそう言ってくれて】
【それからふっと漏らすのは――ひどく気の抜けた声だった。今となっては同格だから言える、そうじゃなかったら、こんなの、一発で静粛されるから】
【どうあれ少女の方が年上だった。相手は年下。――だからどうってわけじゃない。けど。ほんの少しだけ、距離感が近しいような気になって】

――きっとこの世で、いえ、ううん、……、全部の並行世界を束ねてなお、その中で最も美しく輝くお姿です。
"ワクワク"って言うのは、少し……――いえ、でも。どれだけ邪魔が入ろうとも、仕事を完遂するのが私の役目ですから。

彼らはウヌクアルハイ様のすばらしさが分からないから邪魔をするのです、ですから、ウヌクアルハイ様と真っ先に一体化する権利を、ウヌクアルハイ様直々に与えられるのです。
そしてウヌクアルハイ様の中の宇宙で永遠にウヌクアルハイ様と交じり合う――そのお手伝いをするのです、"大変"だなんて、思いませんよ。

【ふわぁと夢見がちな乙女の吐息、さっきみたいに彼の言葉尻を捉えて批判しようとして――けれど、今度はやめた。大変だねーって、その言葉に、真面目に返すため】
【――少なくとも彼女が同行しているときは、時々そういうことがあった。警察の恰好をしたやつが混じりこんでいる。マゼンタのリボンにぐるぐる巻きにされて、動けなくなって】
【くすくすって笑う――、それからアボカドとエビとそれからいっぱいの野菜のサンドイッチを齧る、アイスコーヒーを飲んで、なら】

【こうやって二人で食事する光景はちょっとしたテレビの撮影みたいだったかもしれない。会話の中身は――地獄絵図、だけど】

そうですね……じゃあ、ひとまず、ウリューさんの連絡先、いただけますか? 私もアプリは登録してますから、次にいつお会いできるかもわかりませんし。
大人の方々はもっと面倒くさい方法で集まるんじゃないでしょうか、私はまだ未成年なので分かりませんよ――他の幹部に会うことがあったら、相談してみましょうか。

【――相手の心中なんて全く分かってないんだと思う。にこりと笑ったなら連絡先を交換しましょうって、もしかしたら藪蛇だったかもしれない、普通に誘ってくる】
【胸以外はしゅんと細いのに割にぱくぱく食べるタイプらしかった、そうやって言うころには、大振りのサンドイッチの半分くらい、すでにペロリと食べられていて】
【そのあと食べさしのをぱく、ぱく、って――あっという間に食べてしまったなら、ペラペラでやる気のないおしぼりで指先を拭ってから、携帯電話を、取り出して――】
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/05/31(木) 01:18:35.62 ID:1BYRfapn0

>>237

【病院の休憩スペース。青年は設えられた長椅子に腰掛けながら深々とため息を吐いていた】
【理由は明白である。少女の治療費を立て替えさせられたからであって】
【置いてってすぐ立ち去りたかったというのに長々と拘束されるわ治療費の問題が持ち上がってくるわで】
【ああもう面倒くせぇ俺が払う!なんて預金を卸して結構な額(彼の中では)を支払った、気がする】

【何というか、あの少女に文句の一言でも突きつけてやりたい】
【などとは思ってもあの怪我だ、まだ目も覚ましてはいないだろう、なんて思って】
【今後見舞いに行ってやろうか否かなどとぐるぐると考えていて】
【恐らく、会うとすればその思考の最中なのだろう】



240 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/05/31(木) 01:20:50.49 ID:ANmBDVzU0
>>238

【彼は知らなかった。恵まれない人、追い詰められた人が発揮するチカラの強さを】
【いや、知っていたのに忘れていたのだ――奢りすぎて見失っていた、かつて自分もそうだったのに】
【蜜姫かえでは誰より必死に命を燃やしている。だから強い、強いって言うか――強烈】
【……誰より強烈に輝く信仰の焔、近づいたなら蝋の翼が融けるのも必然。けれどまだ墜ちてはやらないって、なんとか踏ん張って】

……やだなあ、ボクだってまだ15の子供なんだから。拗ねたりむくれたりだってするよお。
そんなに怖かった? 修行のときのボク……蛇神様に言われた通り、やってる、だけなんだけどおお……。

【ここでもアピール。蛇神様の命令を忠実にこなしているのはオマエだけじゃないんだぞって】
【言ったところで――はいそうですね、で流されるだろう、この程度。かえでにとって当然のことなんだから】
【かえでが近付いたと思えた距離感、彼は必死に遠ざけたがっていた。きっと、通じることはないけれど】

そっかあ、愚問だったね。これじゃあボクがバツ2だあ、サッカーだったら退場!
えへへ、ごめんごめん。あたりまえの事だもんね、蛇神様が世界一美しくて世界一尊くて世界一すっごいのも、
そのためにボクらがなんでもできるのも――――ぜんぶあたりまえのことなんだ。
ありがとう、かえでさん……そういう基本的なこと、きちんと再確認させてくれて。

【どんどん言葉選びが雑になっていく。色を塗るのも面倒になってきたのか】
【それっぽい言葉を並べるだけになった、声色も、幾分緩急が少なくなって、棒切れみたいに平坦になって――】

うん。じゃあこれ、ボクのIDね。何かあったらいつでも呼んで――
……あのね、今日、かえでさんに会えてよかったって思ってる。だってかえでさん、優しいんだもん。
ボクひとりっこだからよく分からないけど、もしおねえちゃんが居たらこんな感じかなって――――

【「……思ったの」。恥ずかしがるみたいに言う、そのときだけちょっと偽の感情を復活させて】
【英数字の列を紙ナプキンに書いて渡す。遠ざけたいけど、印象を悪くさせるのもイヤだった。だから別れ際のあいさつで】
【ちょっとだけでも掴んでおこうと思ったのだ。できるかどうかは不明だが――彼の辞書に不可能はないので、やる】
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/31(木) 01:44:23.54 ID:mX0kEYh10
>>240

【それは生存欲求に似ていた、だからこそ色鮮やかにばちりばちりと輝く、線香花火の――いちばん、いちばん、綺麗な瞬間に】
【ならばいつかぼとりと堕ちゆく運命さえも見えるよう。そういう意味では彼の方がよっぽど賢いに違いなかった、こういうタイプは――ブレーキがないから】
【その先が崖だって分かりながら、そのまま、逝ってしまうから。そしてそれすら本人は悲しむことなく、むしろ、悦びの最中、咲ききった花のように、散るのだから】

そうですね――ですけれど、今日お話ししてどんな方かは分かりましたから。安心しました、どうぞこれからもよろしくお願いします、――"サビク"さん。

【――くす、と、笑う。冗談めかした吐息の色合い、あんまりに当たり前なことは、もう、言葉にもしなかった】
【ならば彼女の中ではあの時の怖い子供というイメージがあったのかもしれない、それが、同じ幹部という立場になって――話をして】
【こういう人だったのか、と、理解したのだと言う。――相手にとってもそれはそうだったのかもしれないけど。ありふれた経歴から咲いたにしては、"どうかしている"】

――いいえ? 私もウリューさんとお話していろいろなことを思い直しました。立ち振る舞いはもちろんですが、――そうですね。
立場に慢心せず一から修行に励むのもいいかもしれません、最近は外に出てばかりですから。

【「その時はよろしくお願いしますね」】
【鮮やかに笑みが咲いた、それできっとそれは多分ヒガンバナの赤さみたいに鮮烈な色合いをしていた、近いうちに行きますね、なんて、言うから】
【それで多分本当に来てしまいそうだから、地獄絵図みたいな。――距離を取ろうとすればするだけ追いかけて来るみたいだった、変に距離が近い、"同士"だから】
【いくら蛇教にいろいろなものを見出しても、どうしたって年頃の近い人間は少ない。――友達、とか、出来ようもないのだ。まして彼女は、昇り詰めてしまったから】

【――――――何か感じるものがあったなら、それが、嫌な予感なのかも、しれなかった】

ありがとうございます、ちょっと待ってくださいね、今登録しちゃいますから。……あれ、そうなんですか? 私は居たんですよ、"弟"。
ウリューさんに比べたらもっと馬鹿なガキって感じでしたけど。――メッセージ送りましたよ、合ってますか?

【渡された紙ナプキンを手に取って。件のアプリを起動した彼女はそれでアカウントを探す、そうしながら――ちらと話す、昔のこと。弟が、居たんだって】
【ちょっぴり懐かしい話をするみたいな声音になって――下を向いて少しずれた眼鏡を直す。伊っ達伊達の嘘眼鏡、そのくせ、変に冷たい顔をしているから、良く似合う】
【――言葉の通りに、メッセージが送られてきていた。"かえで"って名前のアカウント。アイコンはなんか、よくありそうな、どうでもいい、食べ物とか飲み物の、写真】

あれ、だいぶ止んでますね、雨。ウリューさん、この後は戻りますか? 私も今日はもう帰りますから、よかったら――。

【――――窓の外を見た少女はそうやって言葉を向ける。そうやって見たなら、実際に雨はほとんど止んでいて――】
242 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/05/31(木) 01:57:07.42 ID:ANmBDVzU0
>>241

……うん、こちらこそよろしくね、「ムリフェン」。

【完璧な笑みのペルソナを被る。ずれないように必死に保って――保って、その内側で毒吐いていた】
【ほんとにコイツ、アタマおかしい。早く死ねばいいのにな。でもどうせ死ぬだろうけど】
【だってコイツ、蛇神様がそう言ったって言ったらなんでもやりそう。だから死ぬんだ、……そうだ、死ぬなら】
【コイツは選ばれてないことになる。だったらボクの勝ち! やった! ……ま、こんなのあたりまえの事だけど!】
【……なんの勝負なのかもわからない勝負を繰り広げて、勝手に勝った気になって、大喜びしていたり】

【――――そうしていたから、予感、あんまり気付くことはなくって。まあどうにでもなるだろって油断、していた】

あっ来た来た、ボクからも送っとくね、えーいっ、スタンプ!
……そうなんだあ、だからおねえちゃんっぽかったんだね。納得だよおお。

…………あっ本当だねえ、じゃあ帰ろーっと!
じゃあまたねっ、お金は払っとくから! するーっと帰ってっていいよ!

【ぽこん。ハムスターがよろしくお願いしますって言ってるスタンプを一つ返したら、それで強引に打ち切るようにして】
【伝票を掻っ攫って逃げていくだろう。言った通り、お金はちゃんと払われているから。何も心配することはないけど――】


【――――】

【蛇教の施設に帰る。そうしてから最初にしたのは、かえでのトークページ、設定ボタンから着信をミュートにしておくこと】
【それから――適当に見かけたサーバントに。「オマエ、なんかタルんでるな。修行付き合ったげる、おいで」って】
【いやに甘ったるい声をかけて、それで怯えられるのを、上から圧し潰すようにして無理矢理連れて行って――】

【――「脱皮」の修行。身体の一部、皮膚を剥ぎ取って肉を剥き出しにし、空気に晒して痛みに耐えるものだったけど】
【今日は特別、全身の皮を剥いでやって――それで、サーバントをひとり、ダメにした】
【完璧なまでの憂さ晴らし。八つ当たりであったこと、……誰も知らないまま、またひとり誰かが此処で死んでった】


//長いことお付き合いいただきありがとうございました、おつかれさまでした!
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/31(木) 02:22:00.69 ID:mX0kEYh10
>>242

【――――そのあとのこと、より、ちょっとだけ、前のこと。カフェで少女はそのまま置き去りにされてった、だから、そのあとは一人で帰る】
【かといって機嫌を損ねるとか気分が悪いとかそういうのはなかったから、それはよかったかもしれない。怒ったり……なんてことは、当然ないから】

【それはそこからさらに数時間あとのことだった。これが本当の"そのあとのこと"】

……あれ、"そいつ"、何かしましたか? よく贄を運んでもらっていたんですけど。――まあ、いいです。"何か"あったんでしょうし……。
言い忘れたから言いに来ましたよ、口頭の方が確実ですよね。"リオシア・ステロヴァニエ"――昨日会った軍人です。私たちのこと、心当たりがあるようでした。

【彼のところに彼女が来たのだ。それで、死んでいるサーバントを見止めて――はたと気にしたように、呟く。それで、すぐに興味を失う】
【そうされる理由があったなら仕方がない。自分がそれを見ていたとしても、多分、そうなっていただろう。――八つ当たりとは思わない、思い浮かぶ、はずもない】
【さっきとは全く違う恰好をしていた、ふろ上がりかもしれないって思わせるような恰好。深い赤色のキャミソールに丈の短いズボン、上下セットの、ルームウェア】
【ふっくらと柔らかそうな胸元も、ぺたんと平たい腹部も、お尻の膨らみも、太ももの肉づきも、ふくらはぎのでっぱりも、全部、惜しげなく見せつけたなら】

色の薄い金髪に青い目の女の子ですね、私と同じくらいかもしれません。背はもうちょっと小さくて……、これくらい、ですかね。
"静粛"しちゃって、いいと思います。その前にどこに所属しているかくらいは吐かせた方がいいと思いますよ、――私がやってもいいんですけど。

私は警戒されてるかもしれませんから――では、おやすみなさい。

【透き通るような色合いの髪がとろとろ艶めく、マゼンタの瞳を細めて、囁く声はスズランの温度。指先で示す"リオシア"の背丈は、おおよそ、155ほどか】
【あんまりに冷たい顔をしていた、――朝露も凍り付くような温度を見せて、それで、それだけが用事だったかのように、立ち去っていくだろう】

【――あと特筆すべきは、すごい早寝なことくらいだった。小学生みたいな時間に寝るっていうことくらい】
【とうてい彼女みたいな年頃の少女が寝る時間じゃないんだけれど――変に優等生っぽいところがあるみたいだった、とは、余談】

/おつかれさまでした!
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/05/31(木) 16:23:55.87 ID:o8YMooF1O
//>>218で再募集です!
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/31(木) 20:16:41.97 ID:yBVA3aHq0
【蛇教――その本部施設】
【談話室の内の一つだった。小規模なミーティングをしたり、食事を摂ったり、あるいは、簡単な雑談、そういうことに使われる部屋】
【けれど今宵はなんだか騒がしい、ギャアギャアと下品な声で笑って話している男たちが居たからだで――】

【――曰く。彼らは機関から来たらしかった。悪いことがしたくて機関に入ったがパンチが足りなかった、その点ここは"どうかしてて"最高だとか】
【蛇がどうとかは興味ないが殺したりなんだりしているだけでいいのは楽だとか。機関みたいにナンバーズが何人もゴロゴロ居なくていいだとか】
【そんなことをひどく下品な声でしゃべくりたてていたから、部屋の雰囲気はすっかり悪くなっていた。何人かのサーバントが、注意をしたりもしたんだけれど、聞く耳持たずで】
【俺たち機関から来たんだから――俺たちの方が悪事に慣れているから――そんな成り立たない理論で、蹴散らす。ならばたまたま、それ以上の争いごとには、なっていなくて】

【――――――かしゃん、と、ビニール袋の擦れる音がしたなら】

…………刺青が定着していないですね、新しい方ですか? もう"お勉強"は済まされましたか?
"まだ"でしたら、良かったらご一緒にいかがでしょう。――そうですか、じゃあ、先に行っていてください、"教材"を取りに行きますからね。

……――――そうですね、**番の部屋で待っていてください。すぐに行きますよ。

【スズランのように冷たげな声がした、そしてそれはある意味で"終わり"を意味しているって、きっと、この部屋のほとんどのサーバントが、気づく】
【けれど彼らは気づかなかった。"彼女"が指摘した通りだった。身体に刻まれている刺青はまだかさぶたが浮いたもの、定着しきらないなら、ひどく新参を意味する】
【彼らはマゼンタの瞳を細めて笑う少女を見やってヒュウと口笛一つ、トントン拍子で話が進んで――いそいそと部屋を出ていくのだ、男三人。全員、馬鹿みたいな顔して】

【――透き通るほどに淡いウィステリア色の髪の少女だった。色白の肌にとびきり映えるマゼンタの瞳、いましがた帰ってきたばかりなら、赤枠の眼鏡をかけて】
【にこにこ笑いながら彼らを見送った顔が。――彼らが部屋から出た瞬間に絶対零度に冷え切る、――座るサーバントの一人の前、たったいま置いた袋を指差して】

食べていいですよ、奢りです。嫌いなものだったらごめんなさいね。そしたら他の人が食べて構いませんよ。

【白いワンピースは背中が大きく空いたデザイン、その隙間を、編み上げの紐がじぐざぐ飾るなら、肌の白がいっとう映えるよう】
【ふっくら豊かな胸元に反比例したぺたんこのお腹。柔らかそうに膨らむお尻のラインに、ストッキングで包まれた足元のも、すらりと、整って】
【――左手にはそれこそ生きているかのように精巧な蛇の入れ墨があった。――そんな容姿の人間は"ここ"に一人しかいない。幹部――ムリフェン、あるいは蜜姫かえで】
【そんな名前の少女は、だけど、有名だった。――――蛇教の中でも特に入れ込んでいる。この少女の前で蛇――ウヌクアルハイ――を馬鹿にしたら、生きて帰れないとまで言われ】

駄目ですね、あれを誘い入れたのは誰ですか? あとで名乗り出てくださいね。大丈夫ですよ、素直に言ったら怒りませんから。

【抜き取った眼鏡を畳んで、机に。「後で取りに来るのでそのままでいいですよ」。可哀想にコンビニの袋と眼鏡を目の前に置かれたサーバントが委縮しきって】
【だのに全く気にしない少女はひたひたとした足音で部屋を出ていく。――彼女が告げた**番の部屋。それは"教育"のための部屋だった、それも、とびきりの地獄を意味する】
【教育のために使われる部屋の中で一番――というか、ここに入る、すなわち、死ぬ。それっくらいの用途に使われる、ような。――ならば教材、というのも、想像させ】

【――ぱたん、と、扉の閉まる音。部屋の中には静寂が満ちていた、けど、あるいは――出て行った彼女に付いていって、自分も手伝う、なんて、媚びを売る誰かが居るかもしれないし】
【そうでなければ、恩情をかけてやってくれと望む心優しい誰かもいるかもしれない。――歩いて出て行った少女に追いつくのは、ひどく、たやすいから】
246 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/05/31(木) 21:44:26.06 ID:UTW/S6Ra0
>>245


【まこと哀れな一部始終を、しかし談話室の隅で、──ほとんど唯一、と言ってよかっただろうか──見つめていた、眼鏡の女が、ひとり。】
【すっかりと畏縮してしまった、一般的な教団員(サーバント)たちの中で、長く艶やかな黒髪をシニヨンに纏めた、スーツ姿のその女は】
【およそフォーマルな格好をしていて、そのくせ化粧はしっかと施され、ハイヒールを履いたストッキングの両脚は、タイトなスカートから否応なく曲線美と危なげな薫りを醸し出す。】
【無論のこと彼女も破落戸どもに絡まれはしたが、飽くまでも落ち着いたビジネススマイルで、やんわりとあっさりとあしらえば少しばかりの不興を買い】
【なればこそ少女が部屋に踏み入れば、彼らはその鬱憤を晴らそうとしたというのも遠からぬ理由だろう。当の女は、変わらぬ穏やか微笑みのまま、恭しく少女に会釈をしていたが。】
【──そして破落戸たちが、ピクニック気分で部屋を出ていくところまでを、笑顔を浮かべて見つめていた。青い瞳だった。それこそ、獲物を定める蛇にも似て。】
【そして徐に立ち上がれば、脚元に置いていたアタッシュケースを手に取り、少女の向かう場所へと、後をつけるように。】
【しゃなりしゃなりと気取った歩調。──唇に手を当てて、ちろり、と舐めれば、先の割れた舌先と、その上に刻まれた蛇の刺青が、垣間見えた。】
【ハミングでもしそうな上機嫌ぶりだった。やがて女もまた、その"教育"のための部屋へと辿り着く、だろう。】

【こんこん、とノックをして。どうぞ、と赦されたのならば、乾いた血溜まりを擦るような軋みとともに、ドアはゆっくりと開いて】



「──精が出ますわね、かえで様。」「わたくしめにも、どうか、お手伝いさせて頂けますか?」



【甘ったるい声だった。猫が飼い主を慕うのに似て、しかし微かに薔薇の香水が薫った。だが、そこはきっと、もっと悍ましい臭いに満ちた場所だった。】
【それでいて穏やかに笑っていた。たじろぎもせず、躊躇いもせず、慇懃な視線で少女を見つめるだろう。視線も交わすだろう。そういう女だった。】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/31(木) 22:13:57.96 ID:yBVA3aHq0
>>246

【「――――――あれ、さっき居た方ですね」】

【冷たいスズランの声が漏れた。その声を相手はきっと上手に聞き取るだろう、その時すでに、部屋の中には悲鳴が満ちていた】
【まだこの少女が部屋に入ってから数分もしていないはずだのに――見たなら、さっきの男たちのうちの、一人。蛇がどう、とか、馬鹿にしていたやつ】
【よく言えば路地裏を1時間歩いたら30人くらいは発見できそうな感じの人。悪く言ったなら、路地裏を1時間歩いたら30人くらいはは発見できそうな人】

【――つまりありふれたチンピラ、みたいなやつだった。悪いことに憧れて。そのスリルに虫けらみたいにすり寄ってくせに、誰かの下に居ないと、それさえできないような】

【――――その男が、全く外傷もなく。傷もない。なんにもない。なんにもないけど、背骨すら自分の力で折ってしまいそうなほどにのけぞって、ごろごろ転がりまわっているなら】
【もう二人はそれぞれ別の部屋の隅っこでガタガタ震えて泣いていた、"こんな風になる"って、分かっていなかった目。いっそ漏らしているかもしれない、誰も気にしないけど】

――――うるっせぇな! ……ほら、お手伝いの方がいらっしゃられましたよ、さすがに男3人に"教える"のは大変ですからね。ありがたいことです。
ウヌクアルハイ様もお喜びになられるでしょう、この"お勉強"によってあなた方はウヌクアルハイ様のことを知るんです、分かりますね?
そしてウヌクアルハイ様の下に導かれていくんです。――ウヌクアルハイ様はあなた方をお呼びです、それはとても、光栄なことなのですよ。

【つやつやとろとろした艶めきの髪は大雑把なお団子に結われていた、相手に振り返って――ごろりごろりと自分のそばにまで転がってきた"そいつ"を、蹴りっとばすから】
【その瞬間に少女からぶわりとあふれ出すのはマゼンタ色のリボン――魔力によって練り上げられたもの。それがぐるりぐるりと、その身体に巻き付いていったなら】
【男はなぜだかピタリ――と、あんまりに急激に、黙って動かなくなる。――だけれど表情はより一層苦し気に、あるいは恐怖に苛まれ、ひどいものに】

【さも当然と言う風に陶然としきった目が笑って彼らに伝える、――あんまりに力の差ははっきりとしていた。能力者と無能力者。そして、圧倒的なまでの、のめりこみぶり】

――ええ、もちろんです。ウヌクアルハイ様のことを彼らにお教えしなければなりません、ウヌクアルハイ様もお喜びになられる。

【――くすりと笑って少女は相手を確かめる、ちょっとばかし平均より高い165センチの体躯、腰に手を当てるように立ったなら、それがいやに映えて】

それに――良い心がけです、あとでご褒美を差し上げなければ。お名前をお伺いしてもよろしいですか? ――私のことはご存知ですね。
オフィウクス――"ムリフェン"。どうぞムリフェンとお呼びください。蜜姫かえでという名前はこの場では不要ですよ。

【――――ひどい部屋だった。本当に、扉を開けるまで、地獄で演奏される楽器みたいに喚いていた彼の声は聞こえなくって、そして室内と言えば】
【どうとでも"掃除"できるようにのっぺらで。それでもこびりつき掃除しきれなかったような染みがこびりついている、それ以外は、特に、あんまり、ない】
【しいて言えばそれが"教材"なのだろう、いろんな道具。ナイフとか、よく分かんない薬、或いは手錠だとか、それから、拷問道具みたいなものとか。――だいたい一揃い】

【これは"修行"ではないから】


【――――――――――教育場という名前の屠殺場であった。そうして"出来た"肉はそれこそ贄にされたり、何かの実験に使われたりする。それを、まだ知らないはずの彼らは】
【けれど秒速で理解しつつもあった。――がたがたとひどく震えて、おもちゃみたいに、滑稽なくらいに、怯えていたんだから、きっと、"分かって"しまったんだろう】
248 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/05/31(木) 22:43:35.41 ID:UTW/S6Ra0
>>247

【開いた扉の先は果たして地獄の一丁目であった。どれだけ洗っても消せない血と絶叫においが染み付いた、そんな空間。】
【怖気付くこともなく、アタッシュケースを拷問台の上に置いて、その女は呼びかけに恭しく礼をした。】
【少しばかり小水の臭いがした。誰も気にする様子もなかった。慣れっこではあったし、そうでない連中は、気にしていられる余裕もない。】
【不可視の荒縄、あるいはリボンが舞い踊る。それはやはり蛇に似ていた。弱らせた獲物をゆっくりと締め上げる大蛇の姿。】


「胸を張って名乗れる程の敬虔さも、聡明さもない身ですが──」「──この名を語ることを、許されるのなら」
「チドリ。チドリ・コジマと申します。ムリフェン様」「差し出がましいようですが、お手伝い、させて頂きますね」


【ほんの少しだけ背丈の低い、チドリと名乗った彼女は、青い瞳をかえで──ムリフェンに向けた。自然、それは上目遣いだった。】
【されど媚びるようなものではなく、けれど長い睫毛が麗しげにまたたいて、ふふ? と首傾げたのなら、両肩に垂らした艶めく黒髪が揺れ】
【──あるいはスーツの中、シャツの下、女として十分すぎる程に豊かでありながら、敢えてそれを隠すような胸元も──見える、だろうか】

【かつん、かつんとハイヒールの音を響かせながら、部屋の隅でガタガタ震える小悪党のひとりへと、──その袖中より、彼女は数本のナイフを投げた。】
【ひぎゃ、と小さな悲鳴。手足を地面ごと縫い上げ、血が滲み出て、大げさに暴れる。けれど、そんなのは、序の口だ】
【手近であったマチェットを彼女は手に取り、包丁を握った料理人のように、純粋な笑い。】


「さて──貴方。随分と怖れていらっしゃるようだけれど、なにゆえに?」
「入信の教義をお読みになられなかったのでしょうか。それともお忘れになられた? ──いえ、責めてはいないのです」
「善悪と賢愚には何の関係もございません。譬うるならそう、賢しい者が大山のように積み上がった書物に手を伸ばす所を考えてみましょう」
「それらを手に取り開くとき、賢者は一読みで諳んじることもできるでしょうが、そうでない者にとっては成し難いこと」
「だからといって、愚者の信仰が許されぬようなことがあってはなりません。慕う者たち全てにウヌクアルハイ様は公平です。
 わかりますか? 我々だけは、ただ"善く"あらねばならないのです。大丈夫。愚かしい貴方でも、きっときちんと、覚えられますから────。」

【なに言ってるんだよ、意味わかんねえよ、──そんな彼の、涙交じりの懇願にも、彼女は優しく笑みを投げかけるだけであって。】
【しぃぃ──。マチェットの刃を噛み、犬歯で挟み、塗りつけるのは彼女の「毒」。その刃先は、それはもう当たり前のように、震える男の腕の根へと、】


「まず試しに、その皮を剥いでみましょう。──こうやって、人の身でありながらも、脱皮を知るのです。さあ。」



【 そして、悲鳴。動脈が切れて、噴水のように血が吹き出る音。切り落とさずに、薄皮を剥くように、少しずつ、時間をかけて。】
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/05/31(木) 23:14:23.90 ID:yBVA3aHq0
>>248

【リボンでグルグル巻きにされた男は発話と身体の動作を"阻害"されていた、すなわち、痛みに呻くことも、身体を動かし、気を紛らわすことも封じられ】
【――容易く発狂した。けれど、声も、仕草も、なかった。そんなことは赦されない。ゆえに限りない沈黙の中で正気を喪った、それはあんまりに異様な姿】

【あるいは蛹のようでもあった。ぴったりと固まった身体の内側でドロドロと壊れていく。だけれどいつか羽搏く未来はない。分かりきったこと、そうするにはあんまりにも】
【だけれどそんな命にも、価値はある。ウヌクアルハイの杯を満たす蜜になれるのだ、ならばそれは至上の悦びであり――そしてこの魂はそれ以外に救済されないだろう】
【整った顔が愉悦に歪む――これから自分の行為によって彼はウヌクアルハイに呼ばれる声に応え、その存在を潤ます、甘露に変わるのだから】

【――――相手はとある儀式を見たことがあるだろうか。死体をいくつも集めて溶かして捧ぐ。それは、まさに甘露となって、甘く、甘く――蛇を、潤していく】

――――いいえ、この場に現れ申し出たこと。それだけであなたは素晴らしい。彼らにその爪の欠片でも煎じて差し上げたいくらいです。
……ですが、それでは意味がありません。彼らが彼ら自身によって"気づかないと"。ただ唱えるだけであれば門前の小僧にさえできますからね。

【――くすくす、と、笑みの声が漏れた。けれどそれはきっと聞こえないだろう、ぞるりと皮膚の剥がれる音、噴き出る血の音、ばたたっ、と、壁に、飛沫が散るなら】
【彼の悲鳴が部屋にこだまする。――可哀想なのは最後の一人だった。泣き叫んで喚きながら部屋の隅をがりがりと何度も爪でひっかく、デバックするみたいに、でもバグはない】
【壁を抜けてしまうバグはどこにもなかった。だけれど彼は泣きわめいて救いを求める、あっという間に爪が剥がれて、幾筋もの血が壁に描き出されても、なお】

――――――あなたは神を信じますか? ――はい、分かりますよね。神とはウヌクアルハイ様のことです。
蛇神様……輪廻の蛇様……アナンタシェーシャ様……へびさま……ミルドラ様。もちろんほかの名前でも構いません、それらはすべてウヌクアルハイ様のお姿の一つであられるのです。
この世の蛇神はすべてウヌクアルハイ様がかたどった姿の一つずつに過ぎません、その名前すべてがウヌクアルハイ様を表し呼ぶのですから。

……ウヌクアルハイ様はお優しい神です。あなたの祈りが救いを齎すにふさわしいとウヌクアルハイ様がお思いになられたら、ウヌクアルハイ様はあなたをお救いになられる。
"その啓示があるまで"――。あなたはウヌクアルハイ様のことを学び、言葉などでは到底語りきれぬ壮大さを、偉大さを、――知らねばなりません。

【それはひどく優しく美しい笑い顔だった。チドリによって"脱皮"していく彼の血がびちゃり、と、その藤色の髪を点々に赤くしても】
【気にしたふうもなく、ひんやり冷たい手を、彼に沿えて――囁く、甘い甘い甘い声、いとおしげに、慈しむように、囁くから】
【――"彼"は期待した。今までの光景を見てなお、その優しい声に。自分だけは助かるんじゃないかって――――、ひどく歪んだ笑みの表情、浮かべたなら】

あれ――まだ分かっていないようですね、ウヌクアルハイ様の啓示があるまで、居残りでお勉強ですよ。
だけど……そうですね。あなたと同じサーバントの立場でありながら。こうして"正しく"励む、チドリさんのことでも見ていたらいいですよ。

――ほら、見てください。それ以外を見ることはウヌクアルハイ様が赦しません。瞬きすらせずに――……さあ。


【――――そんな彼にも、ぞろぞろ、と。マゼンタのリボンが絡まっていく。ひどく怯えたひきつる吐息、けれどすぐに発話を阻害されて、黙り込むから】
【この少女はそういうやり方をするらしかった。まずは黙らせて――そうして"瞬き"さえ剥奪された彼が、ぎりぎり、目を見開いて、チドリの行為を見ていた】

ふふっ、お上手ですね? どこかで練習されたのですか、善い心がけです。

【少女がひどい笑顔で彼女のすぐそばに佇む、その手付きにほれぼれするみたいに、うっとり、目を細めて――】
250 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/05/31(木) 23:37:31.02 ID:UTW/S6Ra0
>>249

【実のところ、彼女──チドリは、信徒となってから決して日が長いわけではなかった。】
【なればこそ屍を蕩かし供物の美酒とする儀式については小耳に挟んだことがある程度だったし、ましてムリフェンの異能について知る由もなかった。】
【それでもやはり、あの男は、随分と随分なことをされているのだろうなと、察するに余りある。同情の余地が、ある訳でもないが】


【優しい笑息。蠱惑的に湿った言葉。チドリもまた、胸に昂ぶるものを宿していた。返り血で真っ赤に染まった顔が、笑っていた。】
【確かに随分と彼女は「剥き慣れて」いた。どうすれば刃物を使って人体を切り取り切り出せるか、熟知している手つきだった。】
【まずは腕の付け根に浅い切れ込みを一周入れて、そこから垂直に刃を入れて、少しずつ、少しずつ、細切れのクズ肉にならぬよう、皮下組織を剥ぎ取っていく。】
【そうして胴体の付け根まで切り取れば、同じことを脇腹伝いに、しかし肋骨のあたりは肉が薄いので気をつけた上で、──腹の周りで、また一周、切れ込みを作り。】
【何度も男は気絶しそうになり、その度に彼女は投げナイフで額を抉ってやる。意識がある方が剥きやすいようだ。あれだけ暴れているのに。】
【あとの残り半分は同じ工程である。そうして切り出された皮と肉は、止めどなく鮮血溢れつつも、その厚さすらも均等、余分な筋肉など一切ない。丁度、シャツのような形をしていた。】
【よし──と満足げにチドリは息を吐き、手術台のような血まみれのベッドに、剥ぎ取った"皮"を、そっと置いて。振り向いて。ひらり舞う黒髪。】


「──お褒めに預かり、光栄です。これは、この技能は、個人的な"趣味"に近いものですけれど……」
「こうして、ムリフェン様や他のオフィウクス様たち、そして我らが神の為に、わたしの力を供せるのであれば──これ以上の幸せは、御座いません」


【眇めて笑う少女の慈愛に、やはりチドリは恭しくて、けれど謙遜の言葉は微かに、歓びの熱をもって伝えられて。】
【そして彼女の笑顔もまた酷いものだった。べっとりと顔一面を血に覆ってなお、むしろだからこそ、どこか妖艶に彼女は甘い息を漏らした。】


「さて。本来なら、全身の皮を剥ぐというのが、正式な儀礼ではありますが──」「まだ理解の足りない方に、高度な洗礼を施すのは、色々と無駄の多いことですので」
「信徒として日の浅い貴方たちでも身近で理解のしやすいよう、略式として服の形に剥がさせていただきました。ご加減、いかがですか?」

【もう一度、彼女は自身で手にかけた男へと向き直る。返答はない。絶叫に絶叫を重ねて掠れ切った喉で、もはや何を喋れるだろう。】
【──けれどきっと、その"ご加減"は良いものだった。剥ぎ取られて露出した男の筋繊維が、唐突に蠢き始め、膨れ上がり、──再生していくように。】

「ご安心ください。私の『毒』には、治癒と回復の効能もございます。──尤も、」
「必ず元の姿に戻れるかどうかは、保証いたしかねますが。でも、けれど、幸せでしょう?」

【なれどその行く末は「にくにくしい」もの。見る間におぞましい膨満は腫瘍と化して男の顔まで覆い尽くし、目も口も鼻もない肉の塊、──それはどこか、蛇の頭に似ていた。】
【いかがでしょう? と彼女はムリフェンに尋ねた。なにも学ばないものに、いっそ知性も思考も必要ではない。ただ主神の姿を真似た"なりそこない"として、新たな命を与えられるのが、最善の幸せであると──】
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/01(金) 00:01:47.06 ID:P7BquGvr0
>>250

【けれどそれを少女は把握していなかった。なにせ名前も知らなかったくらいだ、少女からすれば、相手は、十把一絡げに近い、サーバントの一人】
【相手からすれば、そうでなく、"かえで"という人物だと、認識していたのだけれど。――これは彼女が冷たいんじゃなくって、彼女は、割といつも外に出ている】

【贄の調達を主に行っている幹部だった。人間を大量に持ち帰るためにぞろぞろっと何人ものガタイのいいサーバントを連れて、出かけては】
【車いっぱいとかになるまで、持って帰って来る。それを何度も何度も繰り返して。――だから、だいたい、本部に居ることが少ない。必然的に】

【そして、だからこそ、そのような技術がある人間でも、なかった。それこそ"修行"や"儀式"を取り仕切るオフィウクスなら、ともかくとして】
【贄の調達――組織立った拉致――を任されている彼女にしてみたなら、本当に、本当に、面白い光景なのだろう。チドリのすぐ隣にしゃがみ込んで、じっと見ている】
【あんまりに鮮やかな手口だった。医者すらここまで上手にはできないんじゃないかと思うほど、指先はどんな機械より正確に、人間を切り出していくなら】
【――少女の顔にも、また、血しぶきが掛かっていく。真っ白の肌を赤く紅く汚されて。だけれと恍惚と笑う様は、愛しい人の白濁を浴びる女のよう、ひどく、艶めかしく】

【――――すべてのことが終わったなら、少女はすらりと立ち上がる。くすくす、と、甘く甘く笑う、部屋にこもった血の匂いをたっぷりと吸い込んで、ああでも】

――――――――そうですね、"途中"までよかったです。ですけど――、こんな奴が、"なりそこない"であれ、蛇の姿をかたどるのは、不愉快ですね。
全ての蛇の神はウヌクアルハイ様の化身が一つです。つまり、蛇の形は神聖なものです。――――チドリ、その悪趣味なものを今すぐ片付けなさい。命令ですよ。

我らはウヌクアルハイ様に導かれ、ウヌクアルハイ様と一体化するために善行を積むのです。
このように汚らしいモノをウヌクアルハイ様がお喜びになられるでしょうか? ――お怒りになられると、思いませんか?

【冷え切ったマゼンタの瞳がチドリを貫く、――ひどく不愉快だと言う顔をしていた。ならばそれは言葉通り、こんなに醜悪な蛇を、彼女は認めない】
【蛇とはすべてが美しく崇高である。その中から特に美しい蛇は、ウヌクアルハイ様がこっそりと姿を変えて現世にお越しになられた姿なのだ、と、――けれど】
【もうすぐそんなことも必要がなくなる。受肉の日は確かに近づいているから。――でも、だからこそ、このように汚らわしいものを、早く片付けてしまいたくって】

【――この場合、本当に"怒る"のは、間違いなくこの少女であった。藤色の髪も白い肌も服も血色に滲んで、だのに、凄惨なまでに美しく、笑うなら】

【"早くやれ"、"でないと――"】

【――――"次にこうなるのは、お前だよ"】

【まるでそんな風に言うみたいに、笑う。にこにこって。――その少女の後ろで、瞬きを阻害された男が、ひどいことになっていた】
【ドライアイ患者が思わず「こうじゃなくてよかった」って思いそうなくらいにガピガピに乾ききった眼球を、それでもひん剥いて、あるいは】
【ごろんって地面に転がったまま、静かに、微動だにせず、発狂した男が。――"それ"が嫌なら、早く、しろ。言外に、求めてくるから】
252 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/01(金) 00:25:47.34 ID:UmX9KzET0
>>251


       ────────っ。

【──"地雷"を踏んでしまったと、刹那のうちに理解する。その表情から、愉しげな笑みが消える。】
【だがそれは決して引きつったものではない。自己の感情がただ恐怖に突き動かされたのみにあらず、という意思表示。──あるいは。】
【だからこそ滔々と言葉を紡げる。どんな状況でも相手の目を見て話す。「交渉人」としての基本である。】



「……失礼しました。貴女の目の前にありながら、大変な粗相を──」「己が思慮の浅薄さ、ただただ懺悔に至るばかりです」
「どうか、どうか今ばかりは、お赦し下さい──。我らが神に、誓って」



【────イカれやろーが。】
【己れもまた十分に狂気者であることを自覚しつつも、然し内心に悪態を吐いた。彼女は、チドリ・コジマは、「そういう人間」だった。】
【殺し合いで負けるつもりはない。勝てはしないだろうが、自分の実力なら負けもしない。ただ、自分に与えられた命令を裏切ることになる。】
【無論それはムリフェンの命令ではない。まして興味半分で潜っている邪教の神の啓示でもない。──彼女の雇い主。】
【サーペント・カルトの引き起こす事件、紛争、テロリズム、そのあたりを外交上のカード、治安介入の口実にしようと目論む手合い。】
【置いていたアタッシュケースを手に取り、その側面に空いた「銃口」を肉塊に向け、腰だめに構える。持ち手の所にあるトリガーを、ためらいなく引いた。】
【──射ち放たれるのは、無数の強装弾。鳴り響く銃声。鉄の暴嵐。それでいて正確で精密。暴力的な装薬量と運動エネルギーが、男だったたモノを粉微塵に消し飛ばす。】
【辛うじて原形を留めていた、侵蝕のないその下半身のみが残った。支給品のバレル、またダメにしちゃったなと、内心悔いずにはいられなかった。】
【情けない姿を晒しているもう一人のチンピラはどうしてやろうと思うくらいだった。けれどそういった、およそ薄汚い感情を、彼女は決して外面には出さなかった──曲がりなりにも、プロフェッショナルであることに間違いはないのだから】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/01(金) 00:49:33.08 ID:P7BquGvr0
>>252

……ウヌクアルハイ様は悲しんでおられます、まもなく受肉の刻を迎えられるというのに、このような、"紛い物"。
大層悲しまれるでしょう、そしてお怒りになられます。――チドリ、あなたほどのサーバントだったら、分かりますね?

――――お分かりになられるのでしたら、結構です。ですが、次はありませんよ。このように冒涜的なもの、サーペント・カルトには必要ありません。

それにしても、残念です。サーバントの中ではこのように醜悪なものを作り出すのが流行っておいでですか?
でしたら――彼らの再教育を急がねばなりませんね。受肉の刻は刻一刻と近づいているのです、無駄な時間はないのですが――それとも、あなた一人の、趣味ですか?
ならば悪趣味です。矯正されることをお勧めします。そのための修行も教育も私が手配してあげましょう、安心してくださいね、サビクはあなたよりもさらに、"うまい"です。

【――――細めたマゼンタの瞳がチドリのこと、じっと見ていた。形のいい眉を、至極残念そうに歪めて、相手のことを責めている、何度も何度も重ねて】
【――そして、本当に、本当に、二度目はないのだと、思わせた。だからこそ続く言葉――サーバントの中でこんなものが流行っているのならどうしよう、と、困り顔】
【もしもそうなら大規模な"再教育"の機会を用意しないといけない。――それともチドリ一人、の話であったなら。そのための手は尽くす、と、破顔する、綻ばせ】

――――――……はい、お上手です。"下半分"も要らないので、壊してしまって構いませんよ。
穢れたものを捧げるほど困窮はしていませんからね、それともあなたが使いますか? 新鮮な死体じゃないと"できない"ですからね。
本来儀式を取り仕切るのは私の業務ではないのですが――そうですね、死んだものと交わり子を成す。ウヌクアルハイ様の司る生と死、すなわち輪廻を模する儀式です。

もしそれで子を成すことがあれば、それはウヌクアルハイ様によって祝福を受けた子――生まれる前よりウヌクアルハイ様に見初められた、聖なる子でありますから。
もちろんそれを産み落とすあなたもよりいっそう高みへ行くことが出来るでしょう、あなたがた"母子"はウヌクアルハイ様によって護られ、全ての辛苦から解き放たれて――。
……ウヌクアルハイ様に勤め奉仕するためだけに生きる権利を得るのです。それは、とても、尊いことですよね?

【ひどく冷たい声だった。飛び散った肉片が足先に付着したなら、ぶん、と、足を振るって、どこかへ飛ばし】
【下半身も要らないから消し飛ばしてしまって構わないという"命令"――ああ、それとも。ふと思い至った声、"ぞくぞく"するような声。どんな意味でもいいけれど】
【途端に声音が甘く蕩けた、甘い甘い甘い蜜掛けのパンケーキ、じっとりその内側まで蜜をしみ込ませた一切れのように、甘く、あまぁく、吐息を、蕩かして】

だから――――見ていて、あげますよ? 

【――ふわりと、接近する。甘い匂いがした、けれどそれは香水というより、少女がみんな持つ、堪えがたい背徳の香り、甘くて、どこか酸い、思春期の香り】
【長くてたっぷりした藤色の睫毛が嬉しそうに弧を描いて並ぶ――スズランみたいに甘く冷たい声音が、強いていた。とんでもないこと、常識で考えればありえないこと】
【死体と交われと求めた、――部屋の中がしんと静かになる。気づけば、言葉を発することを"赦されている"のは、相手と、少女だけ、になっていて】
254 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/01(金) 14:49:41.74 ID:UmX9KzET0
>>253

【それこそ蛇のように執拗な忠言と説教だった。愉しげに笑っているのか怒っているのか分かり難い視線に、青い瞳を投げかけ返すのが唯一の抵抗だった。】
【話の流れが妙なところに向かっているとも思った。とりあえず、己れの独断でないことにはして、責任を押し付けることにした。どうせあの怯えぶりじゃ真実など知れたもの。】
【にしたって、どの口が言うのやら──クソアマが。信者どもの鼻や耳を削いだり、スキンヘッドにすんのが"美しい"と思ってやがるの。信じられないほどクソ素晴らしい美的感覚だクソッタレ。】
【どれだけ我々が資金の援助をくれてやり警察に金と手を回してやって捜査の手が及ばないようにしてやってると思ってるんだクソ、いやそれを抜きにしたって、この組織はあまりに堅固ではあるが ── 】
【つらつらと内心に浮かぶ罵詈雑言を固く閉ざした口に堰き止めて、あくまで後悔と憂いの血塗れで儚げな表情に抑えるのは、あまりに被り慣れた仮面であるから。】
【然し話はさらに妙な方向へ進んでいく。── やはり愉しそうな微笑み。耳元にかかる、甘ったるい声。煮詰めた砂糖水にありったけガムシロップを入れたような。】
【成る程こいつはカルトの指導者の器であると、今更ながらチドリは理解した。微かにその憂いある表情を引きつらせながら。】

【アフターピルは ── 一応、支給されてはいる。女であり諜報屋である以上、趣味の悪い夜伽に付き合ってやらねばならない時もあるから。】
【だから別に処女(おとめ)というわけでもない。この身体が役に立ったことも、仇になったことも、何度もある。】
【 ── それでも瞬息、思考するのは、くだらない矜恃ではないのだろうが、しかし、きっと。】

【アタッシュケースのロックを開く。まだ熱を帯びた空薬莢が、コンクリートの打ちっ放しになった床に散らばる。】
【マガジンを交換し再装填、チャージングハンドルを引いてやり、──もう一度、腰だめに構えたフルオートで、トリガーを引き直す。】
【繰り返される炸裂音。イヤーマフもなしにこれだけバカスカ撃っておいて平然としていられるなんて、こいつも己れも大概であると、どうだっていい思考。】
【そうして哀れなチンピラは挽き肉になって、骨を拾うものもなく、というか拾える骨がなく、もう一度殺された。】



「お言葉ですが ── 」


「主神にこの身を捧ぐのであれば」「我ながら、なりそこないに貶めた死体とまぐわって子を成すのも、忌まわしきことかと。」
「ええ無論、かの儀式は尊きこと。いずれ遠からぬうちに、この身と我が子を捧ぐ誓いでありますが ── 」
「善悪と賢愚に繋がりはなくとも、血統の繋がりだけは如何ともし難きものです。そうでしょう?」


【やはり躊躇わずに真っ直ぐな視線、ムリフェンとは別のベクトルで「底の知れない」青い瞳を向けて、 ── 微笑むチドリの、しかし目は笑っていなかった。】
【 ── まあ最悪、ここで"やらかして"しまっても、逃げ果せれば別の"工作"に回されるだけだ。どうせ他の人員が補充されるだろう。】
【そんな投げ遣りな感情も胸に、少しばかり、喧嘩を売った。】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/01(金) 20:09:06.33 ID:u3jWQNzs0
>254

【ただ――ひとつだけ言うことがあったとしたなら。チドリの思い浮かべた儀式は、それは、"彼女"が施したりするものではない】
【スズランのように整った甘く冷ややかな笑みで以って"誘う"ことはあっても、儀礼に修行は彼女の専門でなく、彼女はだいたいが、贄の調達係】
【"この"光景を見たなら、分かるだろう。大の男が一人は微動だにせず発狂、もう一人は身じろぎ一つ赦されずに、からからになった眼球をいまだ見開いている】

【――――それをさておいて、感想を述べよと言われたならば、それは、"もちろん"】

――――――そうですね、では、急ではありますが、明日までに正しく手順を踏み、全ての準備を整えましょう。
マルフィクも快く応じてくださるでしょう、サーバントから達ての希望とあれば、我らに拒む道理はありませんからね。
その系譜のすべてを最も偉大なるものに捧げるための儀式です、"早い方がいいですよね"?

……幸いにもちょうど良いところにちょうど良さげな者もいますから。そちらは"加減"がちょうど良さそうなので、そのままウヌクアルハイ様に捧げましょう。
では"こちら"はチドリ、あなたが頂に昇るための足掛かりになっていただきましょう。少しばかりドライアイかもしれませんが、あまり関係はないですから。

そうと決まればあなたも今宵は部屋に戻られたら如何ですか? とても神聖な儀式です、途中であくびなど漏らされては、台無しですからね。
もうお戻りになって構わないですよ、部屋の片付けも私がやっておきましょう。

【――少しばかりひんやり、とした両手が、相手の顔に触れようとする。頬を撫でて首筋へ、胸元のふくらみを撫ぜてから、その腰のくびれを、それから尻まで、ためらわず】
【それを許せば、それこそ恋人同士が愛撫するような距離感になる、少女のみが纏う熱病に似る香り、無垢と性愛が艶めかしく交じり合った、その香りを、色濃く纏って】
【マゼンタの瞳がじいと相手の目を覗き込もうとする――深い深い悦びを宿した目だった。ならば分かる、彼女は限りなく善意だけを相手に向けていること】

…………"それ"は適齢期の女にしかできないことです。であればこそ、ウヌクアルハイ様はいっとうお喜びになられる。
私にはもはや叶わぬ望みでありますから、――ご安心なさい、私が、"ムリフェン"が、全ての手筈を整えておきます。

【相手を撫ぜる手は受け入れてさえいれば、ひどく慈しむようなものだった。抱きしめ合うような距離感、甘い甘い蜜漬けの声が、相手の耳元に囁こうとして】
【ならばもはや優しげでもあった――ただ、この会話を乗り切りさえすれば、今日は部屋に戻っていいとも言っている。――だけれど、それは必然的に】
【明日の朝を"ここ"で迎えない方がいいだろうと言う理解にも似ていた。――それともそれを許容してなお、残る道を選ぶなら、それを誰かが咎めたりはしないのだけど】

【――――あるいは。調べようによっては、分かるかもしれない。そういうデータがどこかにあるかもしれない、あったとして、容易に閲覧できるものではないはずだが】
【ムリフェン――当時は単なる蜜姫かえで――は、度重なる儀式の果てに子を成せぬ身体になっている。曰く、無垢なる魂を捧げるため、何度も孕まされ、そのたびに胎を裂かれ】
【その結果に、何も宿さぬ胎になっている。だけれども、分かるのだ。それはきっと言い訳に過ぎず、――彼女はそうされる程度には整った容姿をしていたから】

/お待たせしました! そしてちょっとご飯食べてきます……申し訳ないです
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2018/06/01(金) 21:09:46.72 ID:xRzKsPFt0
【路地裏】

【暗い路地裏。カビ臭い臭がするはずのこの場所で、灼ける匂いがした。空腹を誘うものじゃない】
【もっと嫌悪感を感じる。人が灼ける臭いだ。油臭くて生臭い、断末魔は電撃のアークが弾ける音でかき消され】
【激しい放電がその死する姿をかき消す。安いコットンの服が燃え上がり、放電が止んだあとも燃え続けていた】
【すでに息絶えていた。電流に耐えきれない身体が裂け、血を垂れ流し、髪は燃え上がり、筋肉は残留する電気によってまだビクビクと動いていた】


…我が主が受肉なさった。我々のもとに、罪深き肉體を手になさった。
その美しき蛇の躰を捨て、我々と同じ苦しみと喜びをその身体で背負われた。

嗚呼、我が主。我々を飲み込むその寛大な蛇の神よ…。私の中に住まう蛇に導きをお与えください…嗚呼、我が主よ。
この不条理と不浄な苦悩に満ちたカルマよ。我もとに…我は従者。その肉體に魂を…


【その死体の前で、ひざまずき頭を垂れて手を組んで祈りを捧げている。背中に民族柄のタトゥーと無数の雷のような火傷痕がある男】
【彼は上半身は裸で、古ぼけたジーンズを履いていた。灰色の短い髪でイエロー瞳、縁の細い眼鏡をかけていて、若くはない】
【火傷は頬や首、腕にも幾つも大小、全身にある。腰のベルトにはアイスピックのような金属製の針が幾つか、それよりも長い金属製の“指揮棒”を一つ吊るしていた】
【祈りを捧げる腕には鈍い銅色の大きなブレスレッドを巻いていた。熱心に男は祈りをその焦げた死体の前で捧げていた】


和解のときが訪れた。罪深き我々は蛇と和解する。不浄なる世界はその蛇の腹の中で浄化される。
この世界の運命から我々は解脱し、平穏と幸福に満たされ揺蕩うその輪廻を得るのだ。ああ、我が蛇よ…


/蛇教キャラ作って査定してもらいたいけどうまくまとまんないので動かして考えよう的なテストも兼ねた投下です
/見た目とか能力とか後々本決定までに変わるかもしれませんがええんやで!って方、ロールお願いします!
257 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/01(金) 22:26:21.66 ID:gBnCnrfL0
>>255

【 ── ッッッ。】

【過ぎたる甘さは時として毒になる。蠱惑的な指先が自分のからだをなぞる感覚に、チドリは思わず震えてしまいそうだった。】
【恐怖と、恍惚と、あるいは恋慕さえ抱かせるような、それでいて彼女が「調達」の任にしかついていないことは疑問だった。】
【それでも彼女は、どうにか真っ直ぐな視線を、マゼンタ色をした底の知れない瞳に投げ返すことは、できたから。】


「 ── 感謝と敬服の極みです。私のような下賤なる従者のひとりが、ムリフェン様の手により直々に、尊き儀式に身を捧ぐことができるとは」
「ええ。準備が整い次第、いつであっても。 ── 謹んで、お願い申し上げます。」

「ふふ ……… それでは、私は、これにて。お先に、失礼いたします。」


【深く深く頭を下げて、彼女は部屋を出て行くだろう。かつん、かつん、毅然としたハイヒールの音を響かせて。】
【 ── そうして、トイレかどこか、誰にも会話を聞かれない場所にまで、逃げ果せたのなら。こんな"独り言"も、漏らすのだろう】


「 ── ああ、もしもし? そう。"蜥蜴"。」
「すこし面倒なことになった。"パテ"と"ヘラ"と"日記帳"、送ってくれる?」
「夜なべで身代わりが必要でね。……なあに全部こっちでやるさ。むしろ恙無く進行中」
「蛇使いとのコネも作れた。嘆願すれば、色々と役に立つかもしれない」

「それと。蜜姫かえで ── って言って、分かるよね」
「あいつの身辺を漁りたい。いいかな。 ── そいつぁどうも。」
「え? ……まさか。くれてやる情なんて。本当ですよ。」


【そうして彼女は口を閉じて。そして、その夜、どこかの街並み。】



「ねえねえ、そこのひと。ちょっと、いいかしら ── 」



【まったく優しそうな笑顔で、雑踏を歩く手近な女性に声をかける。 ── その懐に、致死量寸前の自白剤を隠し持って】
【そして哀れな小市民が彼女の「棲家」に囚われたのならば、夜通しにひどく残酷な"手術"は始まる。それはきっと、本物の儀式に劣らない悍ましさ】
【ごくごく薄めた彼女の「毒」とメスによる切除を組み合わせ、犠牲者の顔を、手足を、肉体を、 ── チドリと寸分違わず同じ物に、淡々と、作り変えてゆき】
【骨格や身長などは、一度「切り落として」から「繋ぎ直して」、無理矢理に己れの似姿としていく。 記憶に際しては、絶えずその両耳に、チドリ手ずからの囁きを、何度も、何度も、記憶をぼかす薬を打ち込むと共に。】

【 ── 最後に、その「毒」をもう一度投与してやれば、切開と切除の傷痕は、綺麗さっぱり無くなって】
【次の朝、カルトから与えられたチドリの部屋。スーツ姿のまま、光のない瞳を俯かせ、やけに口数の少ない「チドリ」が、ベッドの淵に座っているだろう】
【その後どうなるかは、きっと執行される儀式、次第。少なくとも、「毒」という名の劇薬を投与された「チドリ」は、何をされても簡単には死なない筈で】
【そしてまた全てが終われば、本物の彼女は「チドリ」を迎えに戻ってくるだろう。あるいは、"消し去り"に。】

/私も少し用事があって、大分遅くなってしまいました……ごめんなさい。
/その、色々とアウトな展開かもしれないので。もしよろしくなさそうなら、お手数ですが普通に逃げ出した体で話を進めてくだされば
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/01(金) 23:07:36.85 ID:u3jWQNzs0
>>257

【――――蜜姫かえでという人間は、おおよそ3年ほど前に、行方不明になっていた】

【学校にもきちんと通い、友達も多い。ただそうでありながら、自分の時間は自分の時間、それ以外はそれ以外、と、分けているような子だった、とは、誰の言葉か】
【1時間目の休み時間は友達と楽しげに話していたのに、2時間目の休み時間はしっとりと読書に耽る。3時間目は机で突っ伏して寝ていたりする、ちょっと変わったところのある子】
【けれどよく言っていたんだという。「――私は蛇に呪われている」と。いわく、蛇の死骸をよく見かけて、そのたびに、必ず何か悪いことがあるんだ、と】

【"それ"と"これ"の関係性は、彼女はほとんど誰にも言っていないから】

【――ある日、蜜姫かえでの家は火事を出した。かえで本人はたまたま学校に用事があって出かけていて、一人だけ生存した。それ以外の家族は、みんな死に】
【14歳だった少女は、親戚に引き取られるも、その後、引きこもりがちになり、――――ある日、失踪。その後の足取りはほとんどつかめず、今日に至るまで、発見されていない】
【誰も"死んだ"とは言っていないし、死体が出たわけでもない。彼女の地元を訪れたなら、色あせたチラシを見つけることもあるかもしれない。――"捜しています"って】

【能力者ではあったが、うまく扱うことが出来ず、実質無能力者と変わらない。まして人格からも、彼女が、積極的に荒事に巻き込まれた、とは考えられず】
【ならば事件に巻き込まれたかもしれない、というのが、だいたいの見解だった。――それ以外の話題性もなかったことから、これは、地元周辺を賑わした程度の一件であり】

【それ以外のことは――特に目立つことはない。そしてそれ以降のことは、おそらく蛇教そのものに厳重にデータを管理されている】
【それさえ引っこ抜くことが出来たなら――それをすることによってどんな不利益があっても知らないけど――前述の身体のことなどなど、分かるのかもしれない】
【行った修行や儀式のこと。内容も拷問めいたものから人体実験に似るもの――例えば多種多様な苦痛/ストレスを与えられた状態での能力発動テストだとか――などなど】
【手順から細かな数値からその時の仔細な状況、いっそ嘔吐物の状態から漏らされた譫言まで、――実験用モルモット、さえ、もうちょっとマシな扱いをしてもらえそうに思えるあり様】

【――――――――】

……チドリさん、おはようございます。お加減とご機嫌はいかがですか? ――――ふふっ、そんなに緊張だなんてしなくって、大丈夫ですよ?
マルフィクも快く手伝ってくださいました。あなたはこれから身体を清めて儀式に臨みます、私は"担当"ではないので、同席することはできませんが――。

司祭が連ねる言葉は、全てウヌクアルハイ様から下された神託であるのです、それに従ってください。

【朝に訪れた彼女はひどく気の抜けた部屋着であった、キャミソールに丈の短いズボン、と、おおよそ年頃の少女が、他人の部屋を訪ねて来るとは思えないような】
【割といつもこんな感じ――露出趣味でこそないけれど、とは、余談。スズランの声はひどく好意的に相手の状況を解釈した、いろいろと話しかけて、だけど最後は結局チドリ一人】
【彼女はそこまでついてこないようだった――尋ねたとしても、「神聖な儀式ですから」とか、そういう言葉が返って来る】

【だけれど規定の部屋までは案内するだろう、――そこから先は、チドリたちのことだから】
【――ただ、"終わった"あとに迎えには来るのだ。ひどく上機嫌そうに。さながら、自分の子供が初めて寝返りを打った時の、親みたいに――】
259 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/01(金) 23:40:23.68 ID:gBnCnrfL0
>>258



「 ── ふゥん」


【"儀式"の日。当然ながらカルトの拠点には戻れないチドリは、得難い休暇を個人的な詮索に終始することにしていた。】
【職業柄、人探しのネットワークは広い。サーペント・カルト自体は極端な秘密結社であるから、少なくとも検索エンジンくらいには引っかかりやしないが】
【蜜姫かえで、という人間の前歴については、ある程度つかむことができた。何のことはない、役所の記録や当時の新聞記事に見えるのは、ごく平凡な少女の姿である】
【 ── 「それがどうしてああなったのか」についても、自然、推察できようというものでもあった。チドリ自身は、悪趣味な妄想に浸る趣味はなかったが】
【それでも再三再四、自分が見せられてきた"教義"の"実践"について、誰だって結びつけて考えようというもの】


「はたして哀れな被害者か。それとも性分からしてイカれていて、誰かがそれを目覚めさせただけなのか。」

「 ── ま」「わたしにゃー関係のない話か。」「別に死んだって構わないのだから。」


【 ふぁ、とあくびを零しながら、郊外に残した自身のセーフハウス、ソファに沈みながらチドリは手帳を閉じた。自身がファイリングした、かえでの情報が記されたもの。】
【どうなろうが知ったことではないのだ。彼女には為すべき職務があった。それに、人殺しであることに変わりはないと。】


【    ◆    】


『 ── はい。』『ムリフェン様。どうか、お待ちになられていてください。』
『我が身は、我が命はすべて、ウヌクアルハイ様から賜ったもの。なれば我が全てを捧ぐことは、当然の責務なのですから。』

『きっと、新しい私に生まれ変わってまいります。そして、更なる奉仕を、我らが主神のために ── 。』


【ひどくラフなかえでの姿格好に「チドリ」は然し何も言いやしなかった。いや例え、本物のチドリであったとして、きっと文句は付けなかっただろうが】
【一方的な言葉のやりとりには、機械的な応答。それは緊張にも見えるだろうが、本質はそうでなく。】
【そしてまた、儀式の部屋まで導かれたのなら。彼女はやはり恭しく一礼して、扉を開き、立ち入って ── 。】

【すべてが終わり、彼女がふたたび、── どんな姿であるのかは、語り得ないが ── かえでの前に姿を現したのなら】
【少しだけ表情を綻ばせ、不器用に笑うだろう。 やはりその瞳に、光は宿っていないのだけれど。】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:19:11.30 ID:nRTbKs3k0
>>259

【――そして、もう一つ、分かるとすれば。この少女は、その、ありふれた生活を、すべて。すっかりと。丸ごと、棄ててしまったということ】
【名残としてあるのは名前だけ。しかしそれも秘される宗教の内側、となれば、まずよっぽどのやつでなければ、外側からたどりつくことは不可能に近いほど、難しい】
【だけれど内側から見たなら。そういう人間が居るって分かりながら、調べようと思えば。あんまりにあっさりと繋がってしまう、――インターネットに、そのためのHPがある】
【カメラに向かってピースして笑っている。動物園でヤギに餌をあげている。小学校の卒業式。掲載されている写真には、――確かにあの少女と相違ない人物が、写されて】

【――――その3年間は、あんまりに、無慈悲すぎて】

――お勤めご苦労様です、ではお部屋に戻りましょうか。今日は入浴をしてはいけませんよ、可能であればベッドで横になっているのをオススメします。
あとでお手伝いのサーバントを寄越しますよ、私はこの後外に出るのでごめんなさいね。加減を掴みましたので、その実験をしないとなりませんので。
逝きながら生きた人間の作り方をきちんと身に付けねばなりません、――何か必要なものがあったら、どうぞ、手伝いに申し付けてください、彼女には良く言い聞かせてありますからね。

【出迎えたのはやはり慈しむ笑みであった、――相手の恰好はきっとゆったりしたもの、寝間着に似て、身体のどこも締め付けないような、無地のものであり】
【修行の時とかに使われたり部屋着として使っているような人も居る。欲しがれば支給されるし、要らなかったら――というか、それこそかえでとかは着ていないから、自由】
【白いワンピースに着替えていた、ミニ丈のワンピース。透けるレースの袖から覗く肌の白さが目立って、真っ白の素足を惜しげもなく晒したなら、そういう性質】

ウヌクアルハイ様もひどく喜んでおられることでしょう、昨夜のことはヒヤヒヤとしました。あなたのように優れた技術のあるサーバントとはいえ、
ウヌクアルハイ様を侮辱し嘲笑するようでしたら、最上位の教育を施さねばなりません、ウヌクアルハイ様の偉大さを理解するまで、お教えするのです。
――けれど。チドリ、あなたは、自ら志願し、この尊い儀式を終えられました。ウヌクアルハイ様もあなたをお赦しになられるでしょう。

…………ですから、もう、二度と。ウヌクアルハイ様を侮蔑するような行為に及んではいけませんよ。分かりますね?
ウヌクアルハイ様の受肉の日は刻一刻と近づいておられます。その日を共に迎えましょう、――そのために砕身粉骨の覚悟を忘れぬように。

【室内であるならば彼女の足音はひたひたと冷たい、歩きながら話すなら、視線一度もチドリへ向かないだろう、けれど、声音でおおよその表情は推察できた】
【ひどく安堵しているようで、同時に喜ばしく、――誇らしいと言わんばかりの声だった。やがて相手に与えられている部屋までたどり着けば、そこには、件の手伝い】
【特筆することも特にないようなサーバントの一人であって、――それが付き従って、ひとまず今宵くらいまでは、相手の世話をするのだと言う】

――――では、私は、今日はこれで。どうぞごゆっくり休まれてください。

【くるりと振り返る――淡い藤色の髪がつやつやと艶めきながら翻って、少女の顔をゆるりと包む、その向こうのマゼンタが、それでもなお、鮮やかに映えて】
【ぱっと再び表情がうかがえた時、彼女はとっておきに笑って、それから立ち去るだろう。だけれどその寸前に、】

――あなたの信心が奇跡を賜るにふさわしければ、きっと宿るでしょう。けれど、そうでなかったとしても、安心してくださいね。
あなたが奇跡を賜るまで、我らがお手伝いをいたしますから。あなたのように優秀なサーバントでしたら問題はないでしょう、"善い報せ"をお待ちしておりますよ。

【――――耳元に甘い甘い蜜漬けの声が囁いていく、そうしてどこかへ去っていくのだろう。ならばそれはある種の絶望にも似て】
【一度そうすると言った以上、"そう"なるまで、止めるという選択肢は、ないようなのだった。少なくともこの少女にそのつもりはない。それだけを言いおいて――】

/こんな感じで大丈夫そうでしょうかっ、まだあるようならまだ見てますので申し付けてくださいっ
261 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/02(土) 00:48:20.66 ID:wtFiXFL80
>>260



「 ── 関係ない、」「関係ない。」「私には、関係のない話よ。」「これ、仕事だし、さ」
「それに、人殺しが今更仏心なんて出せるかっての。正義ヅラして得することなんて、何もないんだから」



【自分に言い聞かせるように、チドリは何度も呟いた。疲れた声。スマートフォンのディスプレイに映された写真の中、あどけない笑顔を浮かべる少女の姿を見つめながら。】
【ソファに沈み込んだまま、ひとり、ロックのウイスキーを呷る。さんざん人を殺してきたし、それ以上にひどいことを何度もしてきた。】
【かえでのように幼い少女を手にかけた事もある。それに罪悪感を感じもしなかった。それが自分の仕事だと疑わなかったから。だから、他者の残酷さに憤ることもない。】
【 ── それでも、こうも胸の中にひっかかるものがあると、忘れてしまいたくもあった。夕暮れの空、雨戸から射す残光が眩しくて、彼女はそっと目を閉じた。】


【一方「チドリ」は、身代わりとしておよそ模範的な行動を取ってもいた。それは信徒として模範的であるのと同義でもあった。】
【かえでからの会話には淡々と頷き、詫びて、感動のような声さえ漏らし、 ── そうして、自分が「授かった」ものに対して】
【ひどく悦んでもいるようだった。それは「本物」かり教え込まれた、精神的反動だったのだろうか。それとも、或いは、】
【 ── 何故ならば、最後に残された、かえでからの囁きに。彼女は、打ち震えてさえいたのだから。】


「 ── はあ。下手な誤魔化しはするもんじゃない」「嘘は雪だるま、とはよく言ったものね。」
「……使い捨てるつもりだったけど、予定変更、かな」


【 ── そうしてまた彼女の様子を、自室に仕掛けておいた隠しカメラに中継させながら、チドリはひどく大きく溜め息をついた。】
【少し返事をしくじってしまっただけで、こうも収拾のつかない事態に陥るとは。自分の感情も、いまいち整理できていないというのに。】
【一日誤魔化せば御の字という計画も変更しなければならないと彼女は痛感していた。 ── そしてまた、遣る瀬無い時、仕事に鬱屈した感情をぶつけるタイプでもあり】
【ソファから起き上がり電話を手に取る。"こんな嘘"も、いつかは必ず露わになるのだろうと、そう思いつつも。】


「あーもしもし本部。"蜥蜴"。 ── "日記帳"、追加で必要になったから、毎週送ってきて貰えるかしら。」


/では、わたしからはこのように。いろいろと無茶な展開をしてしまいましたが、絡みありがとうございました!
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/02(土) 01:22:49.37 ID:nRTbKs3k0
>>261

【――――――その後。少女の姿はありふれた路地裏にあった。そこからさらに数時間後、彼女はいつも通りに、十数人の贄を、持ち帰って来る】
【けれど今日はいつもと少しだけ趣が違う。贄たちはみな一つの部屋に集められて、――地獄のような"実験"に付き合わされることになる。すなわち、生かしながら殺す程度を探る】
【時には麻薬に似た薬を投与してでもそのギリギリの分水嶺を探る。――彼女の賜った奇跡はそれほどまでに重篤なものであった、並大抵の人間には耐えられないから】

――――――――――げほっ、――く、ぇ……、っ、っっ、――! ――ぅ、え、っァ、――、っ、

【――それは同時に彼女のようなどうあれありふれた人間には荷が重い奇跡でもあった、蒼褪めた顔、ぎゅうと眉間に寄せた皺が肌にこびりつきそうな間のあと】
【壁に手と頭を押し付けてそのまましゃがみ込んだなら吐き戻す、何度も何度も苦しげにえずいたのなら、犬みたいにだらりと出した舌から唾液が滴り、涙がそれを追いかける】
【それでも残る嘔吐感が収まらないなら身体が納得いくまで吐かせてやる、喉の奥側を自分の指で何度も何度も抉って、そのうち血が混じっても、けしてやめない、繰り返すなら】

はっ――、はあ、――、ぅ、くそ、もう、――ァ、ぐ――、……、ウヌクアルハイさま、……。

【もはや胃液でもなく血交じりのねばねばした唾液に濡れた指先を拭って立ち上がる、――凄惨な光景だった、マゼンタのリボンによって権利を阻害された贄達の、無惨な様相】
【運び込まれた贄の大多数はすでに死んでいた、けれどそれは祝われるべき出来事だった。――生き残ってしまった数人は、はじけるその瞬間を、最期まで生きたまま探られるから】
【死んだ者にはより一層の死を。生きた者には生きたまま死の痛苦を。死してなお/生きながら死を塗り重ねられる冒涜、それこそ彼女が賜った、奇跡であったなら】

もう少し、もうすこし……――――――、

【――運ばれた贄が全部死ぬまで、その光景は続く。全部が死んだなら、また、生きた贄が調達されて、そうして、また、繰り返される】
【ぐるぐる終わらない地獄の光景は、けれど、それこそウヌクアルハイが辿った絶望をなぞるみたいに、少女が納得するまで――何度でも、何度でも、何度でも】

/余談ぽいの添えて、おつかれさまでした!
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2018/06/02(土) 20:10:49.68 ID:NSLYknGc0
【街中】

【夕暮れ時の街の大通りは休日ということもあってか人通りも多く】
【ホットドックの移動販売車やヌードルの屋台、ブランドのコピー品のサングラスやアクセサリーを格安で売る露天商などが】
【その通りに店を出していて、行き交う人はたまに立ち止まって、見入ったり値切ったり頬張ったり酔っ払ったり楽しんでいた】

……たぁいくつねぇ、退屈。どうしてこんなに人がいるのに…退屈なのかしらぁ。

【ある雑貨屋の前の通りで店を出す女はぼやいた。椅子が2つ、一つは自分が腰掛けて対面にもう一脚】
【スケッチブックを立てかけて其処には『似顔絵、イラスト描きます。タトゥー彫ります。悩み相談受け付けます』と文字】
【女の足元にはスケッチブックや色々な道具が山積みになっていて確かに絵を書く用意はされている】
【だが、客が来たような様子はなかったのはその女の容姿にあるのかもしれない】

【長い黒髪に緑色のメッシュを入れて、前髪を切りそろえて。の割に化粧は簡単に済ませている】
【服装は黒のタンクトップにショートパンツ、10ホールのピンクのブーツ。服装と彼女の容姿や有り余るスタイルを見れば】
【似顔絵なんかほしくなくともその彼女との時間を欲して客が殺到してもおかしくはない。だが、彼女のその首から下は】
【色とりどりのタトゥー、入れ墨で埋め尽くされていた。薔薇、拳銃、テディベア。腕から胸元首、脚に至る様々なところに彫られている】

なーんでかしら…でも、今日はいい日ねぇ…

【折りたたみ椅子にはだいぶ余った長い脚の膝に肘をついてウトウトして客を待っていた】




【路地裏】

【血の跡が点々と、続いている。路地裏の薄明かり。街がなんだか騒がしい。】
【ここはアンダーグラウンドと隣り合わせの街で住人は身を護るために、敏感だ】
【パトカーのサイレンが響き、街のギャングがガレージに集まったなら、レストランは閉店時間を早める】

【そんな夜、通りで一台の車がスリップしてガードレールに突っ込んだ。信頼性の高い、桜の国の車だったからか】
【運転席のドアは歪んでも開いたらしく、運転手の姿はない。血の跡が滴って、まだ新しかった―――】

―――クソッタレ。何処までも追ってきやがって

【男はその路地裏の奥で、力尽きて体を投げ出した。】
【黒髪のサングラスを掛けた男。着ていた三つ揃えのブラックスーツはボロボロで、白のスーツには血が滲んでいた】

クソ…全部…置いてきちまった

【今持っているものは拳銃と煙草、携帯電話…ポケットに幾らか金があったかもしれない】
【助けを呼ぶか…でもこんなところに来てくれるやつはいないだろう。乾いた笑いを路地裏に投げ捨てて】

どうすっかな…

【と、路地裏に倒れ込んだまま煙草に火をつけた】




/上か下お好きな方にお願いします!!
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/02(土) 22:05:44.10 ID:nRTbKs3k0
>>263

【狭い路地にわんわんとパトカーのサイレンが反響してきていた、ならばそれは遠くに居座る化け物の鳴き声を聞かされるようで、心当たりがあればあるだけ居心地が悪くなる】
【そういう呪いに似ていた、ならば路地裏は反響するパトカー以外はシンと静まりかえる、――――それこそありふれた"やつら"は公権力に恐れをなして、逃げた後】

【――――――――「警察が居ますね、では今日は出直しましょう。あなたたちは一人ずつ帰るように、警察に見つかってはいけませんよ、面倒ですからね」】
【――――――――「私ですか? 私も一人で帰りますよ、対能力者用の人員が居なければ、あなた方より問題ないでしょう、癪ですが刺青は隠すように」】
【――――――――「では御武運を祈ります」――そんな会話が、あった。ここではない場所。今ではないタイミング。ならば、訪れるのは一人だけ、それ以外の声はなく】

【――こつ、と、足音がした。女物の靴の足音、ならば誰かが訪れたことを表す。サイレンに背中を向けて、深部へ、深部へと歩いていこうとするならば】
【たったのそれだけで"全う"ではないという証明になる、――だけれどやがて表す姿は、まごうことなき、少女のシルエットであったなら、どんな風に、見えるのだろう】

…………――あれ、どうかしましたか? 地べたで寝ていると鼠に齧られますよ、それとも"車"の持ち主ですか?
大変ですよ、表はパトカーだらけです、もっと奥で寝ていた方がいいかと思います。歩けませんか? ――そうですね、いましがた暇になりましたから。

手伝って差し上げても構いませんよ、といっても肩などは貸しませんので、ある程度はご自身で頑張っていただくことになりますが――。

【――透き通るかと思うほどに薄いウィステリア色の髪の少女だった、真っ白の肌に、マゼンタ色の瞳が、色鮮やかに映えて。赤淵の眼鏡を――たった今、掛けた】
【オフショルダーの白いワンピース、きゅうと絞った袖が腕の華奢さを引き立てたなら、左手だけに着用されたドレスグローブのアシンメトリー目立つよう】
【真っ白な素足を惜しげなくさらけ出していた、足元はかかとの低いサンダルで――それでもなお、女としては少し高い身長、165センチほど】

私、力はありませんので。男の方を運ぶのは無理ですからね。

【朝露に濡れるスズランみたいに冷たく甘い声をしていた、とろとろ艶めく髪を耳のところで堰き止めて、そろりと少女は身体を折って、彼を覗くように見下ろすだろう】
【整った顔に躊躇わずさらけ出された肌に、甘い声。だけれどありがちな娼婦ともどこか異なる雰囲気の少女は――けれど悪意なく、敵意なく、相手へそうやって、話しかける】
【車、のことを把握しながらも、そうやって言うのだ。ならばやはり全うではない、――"変な"少女ではあったが、何をどんなふうに信じるかは、彼次第であったから】

【――――マゼンタ色を細めて、少女が薄く笑う。年頃は17ほどだろうか、だのにもっと大人びて見えて、だけど、どう見たって、大人には見えてこなかった】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2018/06/02(土) 22:37:23.89 ID:NSLYknGc0
>>264

【この街で良くないことが起きていることはこの男の経験で得た直感で知ることが出来た】
【初めは俺が連れ込んだ『野良犬』が悪さして居るんだと思っていたがそうでもないらしい】
【この街に根付く、貧困が生み出したギャングや警察の『定期戦』でもない。また別のイレギュラーが渦巻いている】

――――ッ

【足音はよく響く。ヒールのような硬い音でもなく、男の革靴より軽い。女か少年か…地元の人間だろうか】
【だが男は警戒して、腰のベルトに吊るしたリボルバーを引き抜いた。携帯しているにはすこしばかり大きすぎるそれには】
【美しい模様が彫られていて、人殺しの道具には到底見えない。冷たく凛とした佇まいの『サブリナ』と名のついた銃を握りしめた】

【くわえた煙草を吐き捨てて、火がついたまま路端に転がるマルボロ。上体を起こして、待っていた】

ネズミはもっと弱った人間に集る。これぐらいじゃ近寄っても来ない。つまりはまだ、[ピーーー]ないってことだ
……“元”持ち主だ。ほんの30分か前に、この街にあげちまった。

【男は少しホッとした。最悪の状況ならもう引き金を引いて、死んだか死なせたかしてたところだった】
【だが…遅れて違和感もやってくる。この違和感は―――】

そうだな…死にはしないし、歩けもするが…しばらく休みたい。
この街の人間か?…いくら払えば、しばらく身を隠せる場所に連れてってくれるんだ?

【男は血を拭った手でポケットの金を掴んだものだからその紙幣には血がついていた】
【金額にすれば大した額じゃない。道案内のチップには高すぎだが、娼婦にわたすには少ない】
【だが、この少女が単純な街の人間じゃないではないだろうと疑っていた】

【同じようにこの男が単なる交通事故の被害者だと彼女も思っちゃいないだろう】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/02(土) 22:45:19.16 ID:R5zn6+Gc0

【路地裏】

【暗く陰気な細い路地に響くのは絹を裂くような女の悲鳴とカツカツと鳴る高く早い音】
【そして、がちゃん、という機械音】

【ドレスに身を包んだ女だった。化粧をしたその顔は恐ろしい程に青ざめていて】
【そしてその背後、迫り来るのは一体の人型の機械(アニマトロニクス)】
【錆だらけで所々の外装が剥がれたボロボロの身体。剥き出しになってしまった両脚の発条を軋ませて弾む】
【その錆び付いた手の中には数本のナイフが光っていて】

【不意に女が足をもつれさせて転ぶ】
【その姿に機械がクスクスと笑い】
【──否、機械ではない】
【機械の背後には一人の幼い少女が立っていて】

……あはっ♪
つーかまーえたっ
【アッシュブロンドの腰まで伸びた髪に血塗れの病院着。虚ろ気味の桃色の瞳が三日月のように細められて】

──さあ、"パレード"に"ご招待"してあげるわ
【思う存分楽しんでね?と少女が声を弾ませると同時に錆び付いた人形機械はその手のナイフをへたり込む女に投げつけようとする】


267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/02(土) 22:59:32.43 ID:nRTbKs3k0
>>265

【やがて現れた少女は、彼の手に銃が握られているのを見止めたならば、その場所で足を止めた。――銃の間合いではあったが、それ以上は近寄らず、けれど離れもしない】
【どこか涼しげな表情の中でよく映える鮮やかなマゼンタを細めてから――アイコンタクトというほど親しげでもない視線を向けるのだ、それは悪手ですよね、というように】
【どっちが死ぬにしても、生き残った方が警察と対峙することになる。あれだけ居たならば対能力者用の人員が居ておかしくはない、そうでなくとも、押し寄せられたら面倒だから】

【――ならそれはある種で契約に似ていた。お互いに警察を相手にしたくはないですよね、と、分かっていてやっているような】

そうですね、そして、鼠が集まったならば、蛇がそこに現れます。食物連鎖ですね、頂点は何だと思いますか? 人間でしょうか?
残念ながら違います、――蛇ですよ、宇宙丸ごとを呑み込み新たな宇宙を創世されるウヌクアルハイ様こそが万物の頂点ですからね。

【相手がお互いに相手を見止めたタイミングで撃たないのを確認したなら彼女は前述のとおり彼のそばに寄る、そうして、じっと覗き込むなら】
【――嫌な予感を伴った。それとも彼が――探偵である彼が、何にもしらなければ、それは些細な違和感に過ぎる。けれど、知っていたなら、冷たく甘い毒の予感に似て】

いいえ、違いますよ。しばらくってどれくらいですか? "今"歩いてどこかに行けるくらいでしたらお手伝いしますよ。それ以上はそこまで暇じゃないですから。
出直すと言う言葉に今日は休暇ですという意味は含まれません、先生が渋滞にハマって1時間目が自習になるのと似ていても違いますからね。

――ですので、あなたが安心するところにご自身で歩いていくまでお手伝いするだけですよ、分かりますか? 
本来であればこのようなことはしないのですが、それはお互い様ですよね? あの"犬"はしつこいですから、ここで会ったのもウヌクアルハイ様のお導きでしょう。

…………金ですか。おあいにく様ですがそこまで資金に困窮はしていませんから、要りませんよ、それとも、そういう手続きが必要ですか?
でしたらいただきましょう、追いかけられたところで護っては差し上げませんが、よろしいですか? 傭兵ではないので、ご理解いただけますね?

【この街の住人かと聞かれたならば、少女は否定を返す。しばらく休める場所――と言っても、そこまで用意するつもりまでは、ないのなら】
【ひどく薄情にも見えた、けれど、こんな場所であればこんな程度だってひどく優しげに見えてしまいそう、――動けないようなら手助けする。それ以上はしない、明確な線引き】
【血に汚れた紙幣を出されたなら少女はひんやりと笑う――要るか要らないかで言えば"要らない"。けれどそれに、そうすることに、意味があるのなら。受け取る、契約として】
【少女は彼が"どこか"まで歩いていく手伝いをしてやるがそれ以上のことはしない。彼からすれば――金を払って"行きたいところ"まで歩く、手伝いを、少女にされる】
【ただし護ってくれやしないし、最悪余裕で囮にして逃げそうでもあった。とはいえ――ここでこのまま転がっていても、どうなるかは、分からないんだけど】

【――ウヌクアルハイ、という名前は、秘匿されたものだ。けれど最近は、全体の動きが活発化したのに合わせて、どうしても端から漏れ始めている】
【まして彼女はそれを隠さない。証明である蛇を隠していると言うだけで吐き気がして死んでしまいそう、ならば、言葉では、忠誠を誓うことにしているから】
【"蛇"という単語もまた、気になった。――けれど、同時に。こうして路地裏を一人で歩こうと言う意思があるんだから、"そう"だとしても、何かの武装があるに違いなく】

【――――目に見える場所に見受けられないなら、きっと、能力者だったから】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage saga]:2018/06/02(土) 23:50:15.16 ID:NSLYknGc0
>>267

【その契約を成立させるために男は拳銃を仕舞った。吐き捨てた煙草はいつの間にか火も消えて】
【彼はまた新しい煙草に火をつける。ゆらゆらと、壁に手を付きながら立ち上がって】

…鼠に食われてるようじゃ、鼠を何が食おうが知ったこっちゃない。宇宙の始まりも終わりもな
今さっきガードレールに突っ込んだ奴に哲学も宗教もいらないよ

【男は探偵だ。探偵は気がついた。蛇、宗教―――“サーペント・カルト”】
【サングラスがなければその動揺が目に出ていたかもしれない。ほんの一瞬、頭をよぎったその言葉】
【多くは知らなかったが、必要なことは知っていた。そして、知らなくてはならない】

【だがどうすればいい?鈴音を返せというのか?それは馬鹿げてる。ボスに合わせろと?不自然だ。拠点に連れて行け?】
【悪くないが、リスクがデカすぎる。――この少女からどこまで…何を聞けば】
【探偵はもっと詳しく調べる時間があればよかったと後悔した。公安や様々抱えた今、サーペント・カルトはまだ手薄だった】

ならさっさと、この街を抜けよう。土地勘があるやつが居ないのは…ちょっとまずいが。仕方ない
通りが…封鎖される前に…蛇が飲み込む前に、あの野良犬に俺たちが食われちまう

【彼はよろめいて、立ち上がってもその足取りは重かった。平気そうな顔をしているが、見た目通りボロボロで】
【血をにじませて、痛みを堪えているからか額には汗が滲んでいた】

…サーペント・カルトがこの街に何の用事だ。俺みたいに、公安の要人でも殺したか?

【男は悩んで賢い駆け引きをすることを一旦放棄して、カードを切った。それもまた駆け引きだ】
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/03(日) 00:22:53.37 ID:4v7cYp6X0
>>268

……はい、お上手です。それが賢いですね、銃声なんか聞こえたら、大喜びでなだれ込んできますよ、そういうものです。
犬の狩りはいつまでも追いかけまわすそうですね、そんなところまで踏襲しなくってもいいと思いませんか?

【彼が拳銃をしまい込んだならば少女は綻ぶように破顔する、そうして"手助け"するのだろう、手でも、なんでも、出せと求めて】
【従ったなら――鮮やかなマゼンタ色のリボン。どこからともなく取り出して、彼の身体に結び付けようとするのだ。明らかに能力の発動ではあったけれど】
【受け入れさえしてくれたら――いっとき、その苦しみは"阻害"されるだろう。彼にしてみたなら強い鎮痛剤でも飲んだ時みたいに感じるかもしれない】
【脳の、痛みとかなんだとかを受け取る場所だけが、麻痺するみたいに。――あんまり快い感覚ではないかもしれなかった、けど、それならば、きっと、"歩ける"はずで】

【それで、その時にでも金を受け取るはずだった。血の付いた金なんかどこで使うんだか分からないけれど――そういう、契約だから】

【――哲学も宗教も要らないという言葉には返事がなかった、ただマゼンタの瞳がじっと見つめてから、少し遅れて、口元の笑みが追い付く、瞬き一つ】
【冷たかった、――まだ何も言わないけど。あんまりに否定する言葉を重ねるのは良くないって思わせるように。片っ方だけのロンググローブ、白い手袋の指先で口元を隠して笑う】
【ならば目だけが良く見える、――マゼンタ色の瞳が、じっと、じっと、じっと。見て来るから。それは相手を探るようでもあった、相手が何者であるのかを、確かめるように】

土地勘ですか、そうですね、ないですけど。ウヌクアルハイ様の導く通りに行けばいいのですよ、ウヌクアルハイ様はその瞳で万物を見通しておられるのですから。

【きちんとくびれた腰に手を当てて立つ、ならふっくら豊かな胸元が強調されて、真っ白な素足も、うんと、うんと、見せつけるように】
【薄い藤色のロングヘアがとろとろ雪崩れるように艶めいた、――くすりと薄い笑み、それは、相手の続けた言葉に対しての返答、鮮やかな瞳を細めて、笑い】

――――――あれ、私たちのことをご存知ですか? おかしいですね、どこで知りました? 警察の人間、ではありませんね。追われているようですから。
でしたら、どちら様でしょう? 私怨でしたらオススメをしません、ウヌクアルハイ様がもうじき受肉されるのです、――贄ならいくらあっても足りないくらい。

公安の要人に特別の興味はありません、あなたは公安の要人を殺したんですか?
私たちはウヌクアルハイ様がまもなく迎えられる受肉の日のための準備を整えているのです――、ところで。

【否定をしない。それどころか話の内容を聞く限りどこまでも肯定していた、――近頃、やけに動き回っていると聞いた通りだ、それを、裏付けるように】
【きっと彼の方が身長が大きい――それでもひどく威圧するような目をしていた、うんと冷たくて、冴えわたる色合い、色素の薄い中に、マゼンタ色は異物のようによく映えて】
【そこには絶対的な自信があった。ならば少し迂闊でもあったかもしれないけれど、それでもなお、それはとてもとても喜ばしいことだから、という風な、声が紡いだなら】

【――次の刹那には一転して】

ずいぶんと"お元気"ですね。私の手助けは要りませんか? ドタキャンは結構ですがクーリングオフは受け付けませんよ、どうしますか、おひとりで帰られますか?

【余計なことをするのかしないのか――最初の契約通りにどこかまで送っていくくらいなら、まだしてくれる気があるのかもしれない、少なくとも、敵意はない】
【だけれど、彼が寄り道をするんだって言ったなら、それ次第では全く豹変すると理解らせるようだった、――手がかり、ではあった。けれど、容易なとっかかりでは、決してない】
【命綱のないボルダリングで次の石がうんと遠くにあるみたい。このまま捕まっていればきっと落ちないけれど、ジャンプして、そこを掴めなかったら――どこまで落ちるんだろう】

【――それは多分暗がりの中で口を開けて待っている蛇の胃の中、一方通行の暗闇の中、二度と戻れなくって、だけど、登り切った先に希望があるって、信じているなら】
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/03(日) 01:32:43.64 ID:4v7cYp6X0
>>268>>269
/すみませんっ、眠気がひどいのと明日起きないとまずいので、お返事まだですが、お先に失礼させていただきますっ
/明日明後日と来られるのが夜10時過ぎとかなので、置きに移行かこちらで継続かはお任せします
/本当にすみません! ひとまずおつかれさまでした……
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 18:04:36.23 ID:k+jUKRAy0
>>269

…人間を模倣するよりはよっぽど正しい。

【犬は人間に作られた動物だ。牛や豚のような家畜と似て、狼を従わせるために作られた生物だ】
【しかし狩人としては人間よりもよっぽど賢い。人間は主であっても、劣っている】
【彼はそんな犬を真似る“野良犬共”を冷笑するように、つぶやいた】

【そして彼は彼女の差し出した手を取らなかった。】
【苦しそうに壁に手を付きながら、それでも自らの手で立ち上がろうとした】
【そのジェスチャは拒絶だ。信頼をしていない証だ。彼女にとってはそれは気に入らない態度か】
【それとももはや慣れたリアクションか】

【差し出した金は、受け取らなければ男はまたポケットにでもしまい込むだろう。金なんてどうでもいい】
【信頼や繋がりを簡易な物理的なものにしているだけだ。本来、紙切れなんて焚付ぐらいしか意味もないものだ】
【ありがたがるのは何千年と繰り広げた耕作文化が生み出した洗脳だ】

…俺の勘よりは役立ちそうだ。

【彼女の信仰は一切の疑念もないのだろう。経験な信者そのものだ。だが、それはその進行の外にいるものから見れば】
【単なるパラノイアに思える。思慮深い人間なら自分も多くのパラノイアに侵されていることを知っているからそれを否定しないが】
【カルト宗教を受容する程この社会は寛容ではない。それはこの男も同じだ】

知り合いが、アンタのところで世話になってるみたいでな。それに…警察の人間じゃなくても
その手の情報は買える。あんたらが野良犬に付け回される理由ぐらいは…

【器用にくわえたままタバコを吹かす。フィルターが湿らないように、渋い顔をしながらサングラスの男は】
【少女を見やった。威圧する目に答えるように。サングラス越しであるが彼もまた敵意までいかないもの懐疑的な目をしていた】

何処が元気そうに見えるんだ?…そっちこそ今更…3ブロックは付き合ってもらう。

【ひどく頭を打ったのか、額から流れる血は止まらない。】
【追われるものが二兎居るのだから追手も2倍ということだ。これは不幸な偶然か、思し召しか、策略か…】


/すみません。寝落ちてしまってました…本当に申し訳ないです。
/今日はある程度までロールできるかと思いますので一旦凍結でお願い致します

272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/03(日) 20:33:17.80 ID:w9cWlMxCO
【水の国 路地裏──】

【落ちた日差しの残照も消えて、宵闇が薄く靄を広げたなら、そこに浮かぶのは朧な月】
【深い夜の狭間に照らし出されるその輪郭は、微睡みの様に淡い線を見せて】
【──、しとりと目蓋を閉じて、睫毛を頬の水面に浸した】


移りゆく時は永遠に、或いは時に緩やかさを保って、落ちていくように思って
手を伸ばしたなら届くのでしょうか、枝垂れる指先に誰が残っていて
──イケない御仁です、乙女の秘所は暴き立てるものじゃなくて

ただ静かに立ち尽くすものなのに、ね


【腰まである蒼銀色の長髪を大きく後ろで二つに結って、赤いリボンの着いた黒いケープを羽織る】
【ケープの下には黒いチョリ、下乳から鼠径部までを大きく露出し、黒いパレオで下半身を透かす】
【中東の踊り子の様な格好をした、黒と赤のオッドアイの褐色肌の少女】

【お臍の下あたりに刻み込まれた、黒い蛇のタトゥーが印象的であった】

【──、季節外れの雪に似ていた。まるでお伽噺に迷い込んだみたいに、彼女はその薄景色を背に透かして】
【後はもう語る余地などなく、ただ藻屑の様に果てた死体が足元に転がって】
【蛇の跡が示す、戯れの痕跡──、迷い込む掌は何処へと】
273 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/03(日) 20:48:22.79 ID:Wj3j+TW00
>>272

【冷たい雫が夜を満たすような、澪色の靄が世界を覆うような、そんな憂鬱な夜だった。】
【水面に手を触れる冷たさは誰だって知っている。おずおずと差し入れる乾いた掌、水が纏わり付いて、呑み込んで、体温を奪っていく感覚。】
【 ── だからこそ、自分の名前を叫びたくて、肌蝕む水に侵されるのを、人は恐れるのだろうけれど。】


「殺すわね、随分と」


【夜の水面を凍りつかせる様な、怜悧で冷酷で、けれど澄んだ女の声。】
【振り向けば成る程、女がいるだろう。身の丈は少女が見上げるほどで、冷たい夜闇を纏うような黒い外套姿。】
【触れなば溶ける、 ── どころか、手ごと悴ませてしまうような、そんな銀色の髪。腰元まで静かに流れ、顔の半面を隠していた。】


「"困る"のよ。"色々"と。」
「だから、死んでもらう。貴女の名前も、知らないけれど」
「せめて乙女らしく有りなさい。死に顔くらいは、安らかに、ね。」


【 ── 無形にだらりと構えられた両腕、その鋼の鋒に握られるのは、一挺ずつの拳銃。】
【氷の罅割れるに似て、 ── 殺気が走る。黒い躯体に血が通い、神経が張り詰めていくのは、武芸者ならば解る筈で。】
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/03(日) 21:00:53.16 ID:w9cWlMxCO
>>273

【褐色肌の少女は視界の片隅に貴女を捉えて、静かに微笑む──、正確にはその暗示を示す】
【けれどもそれは確かに微笑みであった。表層に浮かぶのは僅かな波紋であるけれど】
【浮かんだ漣は質感を保っている。予想外の上物が出てきた、と】


── "シャーデンフロイデ" 或いは "プリオル"
ごめんなさい、あまりにも名前が多くて、何と名乗ればいいかわからないの
だから私は今の名前を告げましょう、たどる術はだからといって変わらないから

因果を舞って、世界線を渡る。それは普遍的な唄に似て、残る僅かな違和感もなく
唯ひたすらに、唯我儘に、私の蝶はその羽を羽ばたかせるから
だからお嬢様。── そんな粗末な玩具お捨てになって


‎────"هيممنوس كرونيكل"────
───"Hymmnos Chronicle"───



【ひらりと、指先が乱れる。それはさながら夜空に浮かんだ星を一つ摘むように。服飾が風を生んで流れたなら】
【零れ落ちる蝶、宵闇に紛れる黒い羽が世界を渡り、貴方の元へと飛んでいく】
【目の前に蝶が飛来したなら、その位置を中心に風の刃が乱れ飛ぶ】

【皮膚を裂き肉を抉るには充分な鋭利さで、間髪入れずに少女は攻撃を仕掛けてきた】
【攻撃の位置は蝶の周辺であるから──少し離れたなら回避はできるが】




275 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/03(日) 21:15:21.93 ID:Wj3j+TW00
>>274

【蠱惑的な、少女が宿すには余りに蠱惑的な、だからこそ益々持って蠱惑的な、そんな微笑みに】
【然れど彼女の表情は凍り付いたようで、けれど嘲るような言葉には、── 自身の得物を一瞥して、皮肉めいた嗤いで返し】



「此れが玩具だというのなら、この世の全ては皆なまやかしよ」「だって此れは、あまりにも、人殺しの道具であるから」
「"死"さえも児戯に過ぎぬと言うのならば、 ── それもまた、当たらずとも遠からず、かしら」

「アリア。アリア・ケーニギン=デァナハト(夜の女王のアリア)。彼岸の手土産に、覚えておきなさい。」



【痩躯ぐらりと屈んだならば、 ── 転瞬に跳躍、真っ直ぐに少女へと、それは文字通りの"人間業"に非ず】
【ぎしりぐちりと超硬質チタン製のボディ・フレームと人工筋肉が軋み唸る音が聞こえるだろうか。そう、彼女は、つくりもの。】
【闇を撫でる黒蝶々が恐ろしい死の風を生み出して、跳んだ女の肌に触れた。左腕、手の甲から二の腕、掠めるように幾重にも切り裂かれ】
【然し彼女に躊躇いはなく、痛覚神経さえ遮断しているのだろうか、 ── その懐に潜り込めたのなら、冷酷な青い瞳が、少女を見上げ】
【はらり銀色の長髪が閃けば、傷ついた腕を少女の眼前で薙ぐように、──乾いた銃声、装薬量ゆえにマズルフラッシュは朧げで】
【腕を薙ぎ払うように9×19mmパラベラム弾のダブル・タップ。狙うのはどちらかの腕。アイアンサイトも介さない荒い射撃であるから、それは牽制にしか成らないだろうけど】
【 ── ぴしゃり、と。コンクリートの壁に血が飛び散る。血の香りだけが、女を人間らしく在らしめていた。】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/03(日) 21:32:44.67 ID:9vUNcl2Mo
>>275

【蒼銀の髪は艶やかな銀を見せる貴女と対照的に、今咲いたばかりの白百合の様な楚々と可憐さを見せて】
【貴女を謳う言葉に美しいというヴェールを被せるのなら、彼女には可愛らしいという装飾を添えて】
【砂糖菓子の様な頬に染み付く睫毛が、濡れた髪色と、潤いの汀を渡っていく】


、── アリア様と申されるのですね、一人夜に歌うのは悲しい旋律で御座いましょうに
そうであるのなら、貴女もまた物言わぬ骸に成るのが相応しいかと
きっと冥土の方にこそ、アリア様を待つ方々がいらっしゃるでしょうに──

故に私は明確に拒絶致します。── 貴女様の演目は既に終わったと


【示す光は灯火に似て、火点し頃の夜闇を飾り立てる終の住処の如く】
【少女の伸びた指先が、虚空を繋ぐ様相は、星々を繋ぐアステリズムに相応で】
【──、或いはその軌跡を星座と嘯くぐらいには僅かばかりのあどけなさを兼ね備えているみたいに】

【彼女に着弾する刹那、銃弾が切り裂かれる──、風の刃が縦横無尽に吹き荒れた様に】
【そうして奇術師が銃弾を変えてしまったかの様に、黒衣の蝶が数匹飛び去っていくだろう】
【身に纏ったパレオが吹雪いて、風切り音を鳴らすと、伸びた脚線が月に傅いて】


その身を機械に窶しても、それでもなお戦うのなら──
その行く末はきっと、糸の切れた傀儡の様に憐れ無惨に散ってしまうのだから
──それでもアリア様は戦うと、嘯くのでしょうか


【もう一匹蝶が羽ばたいた。──するりと夜を抜けて、貴女の頭上へと飛んだなら】
【降り注がれる鱗粉が爆発する、一つ一つは小さな炸裂であったが、鱗粉が重なると小規模の手榴弾の爆発に似て】
【── 貴女なら気付くだろう、爆発の刹那、蝶から聞こえる銃声に似た音が】
277 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/03(日) 21:50:46.07 ID:Wj3j+TW00
>>276

【躱される、受け止められる、 ── この程度は想定のうちであったけれど、まさか「弾かれ」「切り裂かれる」とは。】
【青い瞳は微かに見開かれた、 ── かも知れない。ともすれば、儚く切ない少女の顔立ちとゆびさき踊る姿に、憧憬でも感じていたのかもしれないけれど】
【然し頭上でなにかが「弾ける」音を聞いた。今も昔もよく聞く音。「GRENADE!!!」それが戦友の断末魔。】
【回避には余りに時間がなかった。それに肉体への執着もなかった。 ── 二発目の銃撃、その反動は敢えて制御せず、頭上へと左腕が来たるように。】
【そして鱗粉の炸裂。蝶が弾けるのであっても火薬の匂いはするのだろうか。外套を焼き、その下の肌に深い火傷と裂傷を負いつつも、喰らい付いた狂犬のように、彼女は懐から離れずに】



「 ── ── ッ。」「 …… 生憎と、会いたくのない連中ばかり。」
「貴女の愛らしい顔を見ている方が、まだ心も和むというものかしら」「蝶の標本を作るのは、昔から苦手だったけれど」



【 ── 飛散した血痕が、輝きながらも影を産まぬ昏い光を宿すのを、少女は見ることができたろうか。】
【"処刑人の血潮"が嘶くのだ。つくりもので、傀儡で、ひとでなしである筈の、女の躯体に流れる赤い血。彼女が唯一、拠り所とする己れの異能。】
【刹那、血痕より顕れて喚び出されるのは無数の"槍"と"刺剣"。鋭い鋒たちは鉄の処女に似て、明白な殺意と速度を以って少女を貫こうとする。】



「人も所詮は傀儡よ。」「肉体は意志の傀儡、そして意志も運命の傀儡」
「己れの動かすところにあると、── そう疑わない貴女の意志に、どれだけの無意識が介在しているのかしら、ね?」



【そして続いて擡げるのは右腕。セーフティなんてとうに切ってある。チャンバーは炸裂の瞬間を待っている。10.4mmの銃口は、睨めつけるように少女へ向けられ】
【 ── その銃声は"爆発音"だった。拳銃から放つには役不足もいい所、だからこそ此の殺し合いには相応しかろうか、】
【夜闇を皆な照らし上げるようなマズルフラッシュが広がり、銀髪に隠れた女の半面をかき上げて、そこに見えるのは醜い火傷の傷跡、眼帯に似せた黒い義眼。】
【ライフル並の火薬量から放たれた大口径の高速弾は真面に喰らえば致命打である。無論のこと蝶の舞う鉄壁の前には、決してそうとは成り得ないのだろうけど ── 。】
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/03(日) 22:04:42.04 ID:9vUNcl2Mo
>>277

【眩き夜に舞う貴女の姿── 月影を游ぐ尊き手腕は彼女の動体視力では残照を辿るだけで精一杯であった】
【細くしなやかな首筋が微かに揺れる、それは確かな息を呑む音色。艶色混じりの音律を響かせて】
【流れる前髪が寄り添う様に頬を撫でて、珈琲色の褐色肌を修飾していく】


っ……──これはまた、恐ろしい能力をお持ちですね……!!
血を媒介に物質を生成、と言った所でしょうか── 量、質共に素晴らしいですが……
何よりもその意思、明確に私を殺そうと放たれる無数の刃

── アリア様と私と、一体何処に差があるのか、違いがあるのか分からなくなってしまいますね
確かな事は貴女も私も、他者を殺める事に躊躇が無い事
それならば私は、私の意志を持って、その理を否定して差し上げましょう──


【血から伸びる無数の刃、再び蝶が風を巻き起こし弾いていくが、貫通力の増した攻撃を捌ききれず】
【右腕や左足に直撃、褐色の肌からも漏れる血の色は艶やかな赤で──、地面を濡らして】
【少女はその体躯を揺らし、片膝をついた──、眼前に迫るもう一葉】


言ったでしょう、私は私の意志を持って、私の理を貫く、と
── それが "虚構現実" を抜け出し、この現実へと辿り着いた私の矜恃、私の正気を滅んだ世界が保証してくれる
それならばアリア様の意志は、無意識の産物でないと誰が保証してくれるのでしょう?

── 聞こえたなら貴女の音も、私の "蝶/調" となります
それが私の "蝶" ── "Amadeus"


【黒いケープから覗かせる大きく露出した腹部。呼吸をする度に肺の動きが見えそうなぐらい、華奢で】
【そのまま視線が臍を辿り、下腹部に刻まれた蛇の刻印を確かめるのだろうか──、そして鼠径部へと下り】
【下着に指をかけるかそのぐらいの位置で漸くパレオが目に入る、兎に角素肌を露出した格好であった】

【──、高速弾が "掻き消える" そうして生まれる一葉の黒い蝶── 業火に似た真紅の色合いが黒地の羽に浮かび】
【羽ばたき、その身を貴女へと近づけたなら、顔の近くで爆発するだろう】
【一瞬の出来事、然し予兆はあった。── 能力のメカニズムを断片的にでも把握出来たなら、回避も可能だろう】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/03(日) 22:18:56.29 ID:uB2mrsmd0
>>271

【――――「あれ、要らないですか?」】
【自身の手を取らなかった彼を見て少女は薄く笑う、"これ"こそが手伝いであったなら、それ以上のこと、するつもりはないらしい】
【助け起こすこともなければもちろん肩を貸すなんてこともないだろう、あらかじめ言っていた通りだった、そんなの嫌だって】
【やるつもりがないならするはずもない。――ならば金も要らなくなった、彼の方から受けとらなかったんだから契約はなくなって、ただの、二人になる】

そうですね、我らは犬っころに追いかけられてガードレールにぶつかるようなことはありませんよ。ウヌクアルハイ様に祝福されているのですから。

【腰に手の威圧的ポーズは変わらなかった、というより、多少の手持無沙汰なのがあったのかも、しれないのだけど】
【片っ方だけの白いロンググローブ、そうだとしてもあんまり目立たないくらいに彼女は色が白くって整っていた、なら、朝露に枝垂れるスズランの花より、誇り高く】
【やはり自身の捧ぐ信仰に疑念など持っていない、持つわけがない。そしておそらく否定されたならば激昂する、相手のことなんて、あんまりに当然に、殺そうとする予感】

――――その方は素晴らしいです、正しく善い行いに気づかれたのですね。我らは善きことのみを積み重ねております、ウヌクアルハイ様のために。
そして我らはウヌクアルハイ様と一つになって、全ての輪廻をウヌクアルハイ様と過ごすのです。――――そうですか、安売りバーゲンセールじゃないと、いいんですけどね。

良かったですね、警察がこんなに大量に近くに居て。どなたですか? そんな情報を売っている方は。
情報の真偽を確かめねばなりません、――ウクヌアルハイ様について虚偽を並べ立てているのだったら、それは違うとお教えして差し上げないといけないですから。

【――そうして少女はうっとりと破顔した、彼の言葉に応じて、ひどく喜ぶように。そしてきっと本当にそうだった、正しく、すべきことに気づいた"誰か"を喜ぶなら】
【そればっかりは少女らしく純粋に嬉しげな声を出すのだ、――都会のクレープ屋さんの前で、不審者として現行犯逮捕されるまで居座ってれば、十五回くらいは聞けそうな声】
【だのに次の刹那に声は冴えてしまっているから、それもまたどこか年頃の少女に似る。移り気な様相、なら、薄曇りの日のお月さまのよう、ちらりちらりと、覗き見せ】

【――――互いに追われるもの、だけれど、それが、かえって互いの抑止力になることも、ある。きっとお互いに不必要に負われるのは、避けたいに違いないなら】
【――ああでも、彼女は、元気そうだったから。もしも気に喰わないことがあったら――動くことに躊躇いはない、に、違いなくて】

280 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/03(日) 22:27:23.99 ID:Wj3j+TW00
>>278

【「やった」 ── 手ごたえはなくとも、刃が肉を抉る音、艶なる苦悶の呼吸が、強化された聴覚系に伝達される。】
【惜しみない賞賛には、「それはどうも」と。その戦いに高揚はなく、敬服もなく、ただ曲がらぬ殺意だけをもって】
【それでも矢張り、瑞々しくしなやかな褐色の肌地から血が溢れる光景は、彼女に"生の実感"を与えるのだろう。】


【なればこそ其の問いにアリアは笑う。】


「ふ ── 」「知らないわ、そんなこと」
「この自我は本当に自我なのか。」「いやほれだけじゃない。どこまでが私の意志で、どこまでが世界の無意識なのか」

「わからないから、ここにいるのよ」「 ── 誰かの命を奪えば、その境界も知れそうな気がして」


【そして再びの炸裂。己れの銃撃が何れも効力射になり得なかったことを、はっきりとアリアは自覚していた。】
【再び片腕で受け止めるけれど、その体躯とて鉄壁の盾ではない。焼け爛れた皮膚の上を、さらに炸裂が躙って】
【 ── 捥げかけた左腕、酷い火傷から流れ出る赤い血潮。しかしアリアは灼けた皮膚を地面に押し付けて、傷咎めでもするように】
【痛み故だろうか、わずかに端整な顔を歪ませて、それでも黒く昏い血溜まりを壁へと描いたのならば】

【喚び出されるのは一振りの剣。"銃撃"では駄目だ。奴はなにかを「受け止めている」。】
【プランA、 ── 受け止められないレベルの火力攻撃。却下。閾値が分からないのならば余りにリスキー】
【プランB、 ── 格闘武器による白兵戦。条件付き、一部可決。ただしやはり、"受け止められる"条件が分からない】
【プランC、 ── 白兵戦、かつ隙を見てのトラッピング。採用。あくまで剣戟はブラフ、どこかでなにかを"仕掛けて"いく。】

【ふたつの銃を懐に収め、剣の柄を"引き摺り出す"。現れるのは、痩躯の彼女の然し身の丈ほどもある大剣。】
【 ── エグゼキューショナーズ・ソード。断頭用の、鋒を潰した大剣。血の中から顕れたそれを、疎ましげに「片手」で振りながら、】
【青い瞳が再び少女を睨む。闘志であるのか殺意であるのか、きっとそれは執念で、自己の存在証明だった。】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/03(日) 22:36:25.99 ID:9vUNcl2Mo
>>280

【── "音" であった。彼女の能力に纏わる自称は全て、その音を元としている】
【彼女の "蝶" は音を元に作られる。調が等間隔の音で作られるのと同様に、鳴り響いた音からその性質を宿した蝶が生まれ】
【故に彼女のひらひらとした格好は、風切り音を立てるのに適していた。主とした攻撃手段はそこにあるから】


掌同士を重ねる二人静の様に、月に寄り添う兎の様に、音楽には調和を生み出す決められた間隔があります
その絶対的な関係こそが "調" ──、全ては私の、音階の中に閉じ込められて
やがて其れは音色を深めていきます、終演へと向けて、指揮者は揮を振るわねばなりません

── 羽ばたくのです、"Amadeus" ──今こそ、既存の音階を抜け出し、新たな調和へと
現世から幽世へ、そしてまた現世へ、而して其れは元の現世に在らず
蝶の羽ばたきは世界線を変える、そして私だけが其れを認知出来るのです

世界が綻び、現実の解れが観念を曖昧にして、理が紐解かれていく
然らば、私は再び糸を手繰り新たな世界を構築するのです
"蝶/調" が転び、世界が変容する── 終幕へと向けた、転調


【大剣を持ち近接戦に切り替えたアリアに対し、彼女は依然として能力を使う】
【── ゆっくりと立ち上がったならふらりと大きく揺れて、細い足が朧気に地面を踏んだ】
【呼吸のペースが乱れている、純粋な身体能力はやはり低いようで──】


私は貴女の命を以て、その境界の果てを示しましょう。──
辿るその旅路の終わりは、呆気ない結末でも
怏々にして人生とはそんな喜劇的でも悲劇的でも無く、それ故に劇的では無いのです
何の気ない日常こそが、その終幕に相応しいのですから──

── 私の下へと属しなさい、そして、終わりを……!!


【彼女が右手を横一閃に振り抜く、── 先程爆発した蝶と同じ色合いをした蝶が大量に出現する】
【大技であった、少しの間合いを置いて、蝶は貴女の元へと殺到する】
【触れれば爆発する大量の蝶、その網をかいくぐるのは至難の業であろうが──】

【────ヒトに辿れない、所以などない】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 22:51:29.55 ID:k+jUKRAy0
>>279

【だがやはり、彼は2,3歩歩いただけで、ふらりと足の力が抜けてその場にまた倒れ込んだ】
【それでも煙草を手放さず、立ち上がろうとするだろう。助けも求めない。眼の前の少女にも神にも】
【彼は抗って、意地を張るぐらいしかできないが。それでも、己で進もうとしていた】

…女神がキスしてきたもんでね。ハンドルを切ったら、ガードレールとも抱き合っちまった

【彼はスーツもサングラスも真っ黒で、多分肺もそんな感じだろう。対比だ。少女と背の高い男】
【白く汚れのない整った彼女と黒く血まみれで不格好な彼、信念に誇りを持った彼女と、迷いに翻弄される彼】
【天国と地獄、信仰の有無がこうなるのだと、誰かが見ていれば言うだろう】

…残された俺らは困ってんだよ。店の掃除もろくにできねえやつしか残っちゃいない。悲しみと後悔が洗い物と一緒に残ってる
あんたらの輪廻に、アイツの運命は――――

【そこで口をつぐんだ。痛みもあるが、それ以上に『冷静になれ』、と自分に言い聞かせた】
【感情で余計なことをしゃべるより、情報のほうが大事だ。これはチャンスなのだから】

この怪我のクレームはアンタのところの神につければいいのか?
…一度、そのツラを拝んでみたいもんだ…神様ってやつのな。

【男は疲れたように笑っていた。――都合よく解釈するなら、救いを求める者だ】
283 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/03(日) 22:55:49.73 ID:Wj3j+TW00
>>281

【どことなく本能で"理解"していた。チタン製の脳殻に収められた彼女のニューロン・ネットワークは戦場に長く身を置き、そして研ぎ澄まされていた。】
【"なにか"大きなエネルギーを生じさせてはならない。それは即ち少女の行使する力へと直結する。】
【そしてそれは何れも、なにか切っ掛けが必要だ。 ── 転調? 調律? 調和? そしてそこには、蝶が、舞う。】

【幾十、幾百もの蝶の大群。 ── 迫る。ゆらり、青い瞳が、殺意と共に残光を残す。そして、】


「自分が、誰のものかも分からないのに ── 」
「貴女にくれてやることはできないわ。」「この体も、この命も、この心も ── !!」


【 ── アリアは「飛び上がった」。その人ならぬ体躯に有りったけの膂力を込めた跳躍、ムーンサルト、くるり虚空にて一回転、】
【路地裏に差し込む冷たい月光は、彼女のシルエットを顕わにして、自由落下、漆黒のチェスターコートがはためくのは宛ら御伽噺の吸血鬼。】
【然しその青い瞳ばかりがぎらと冷酷な熱量をもって光っている。 ── ビルの壁面を蹴り、また蹴り、不規則な軌道の三角飛びで急速に落下しながら、】
【最後に少女へと迫る一刹那、大きく体を捩らせて、"轟"と一際に大きな風音が薙ぎ払う。 横薙ぎに振るわれる大剣。】
【そして少女は右前方、地面へと飛び散る血溜まりに、きっと気付き得るだろう。"それ"が狙い。黒い光が瞬いたのなら、現れるのは幾多もの"指向性地雷"。】
【然し血の飛び所が偏ったのはアリアにとってまた不運であった。地雷、召喚から探知、そして起爆による散弾の飛散まで、 ── "逃げ切れる"だけの時間はある。或いは、渾身の斬撃により、吹き飛ばされても。】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/03(日) 23:05:14.48 ID:9vUNcl2Mo
>>283

【降り注ぐ宵月の、狭間に見える微かな希望── 透かす頬の体温に似た、淡い結晶の様な煌めき】
【きめ細やかな肌は天鵞絨の様な質感を保って、表層に浮かべた潤いすらも艶やかな蜜に似て】
【互い違いの双眸が真っ直ぐに貴女を見据える。目尻が蕩ける頬の熱量にも近い温度】


────っ……!! 


【高速で移動するアリア、その軌跡を追うのがやっとであった。困惑した表情を浮かべたなら】
【振るわれる大剣、思わず前へ飛び回避しようとしたなら、眼前からは彼女と迫る指向性地雷】
【息を呑んだ、刻一刻と迫る二重が──、彼女の身を貫かんとして】



【──、とくんと大きく心音がなった、なら】



【大剣は "空" を切るだろう── 正確には、空を切ったかのような軽い感触】
【指向性地雷も同じ様なものであった。着弾寸前にその対象を見失ったかの如く】
【彼女の居た位置に居たのは、無数の "蝶" ──彼女の体が蝶へと変化し、攻撃は蝶の群れを崩すに終わった】



【──、そして蝶は再び少し後方へと舞い戻り】



【元の少女が後方の地面へと出現する、身体を蝶へと変化させ回避したのだろうか】
【けれども、座り込んでしまう。地面へと手をついて、荒々しい呼吸の色が見える】
【──消費が大きかったのだろうか、ぺたんと、お尻が地面に触れた】
285 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/03(日) 23:15:16.50 ID:Wj3j+TW00
>>284

【「やってしまった」 ── 手ごたえは無いのだから、そう悟るのは必然だった。瞳を見開き、なにか呟こうとするけれど、それも時すでに遅く】
【自身の後方で炸裂する散弾地雷。 ── それが何を意味するのか、彼女は"痛いほど"知っていた。】


「 ── しまっ、」


【そして飛来する無数の散弾がアリアの体を貫く。左脚を挽き肉同然に砕いて、人工筋肉の弾ける嫌な音がして、】
【隆起していた筋繊維が弾け、神経系が断絶し、 ── それ以上は失神だって有り得たから、即座に痛覚をカットする。】
【結果として彼女もまた片膝をついた。およそまともには立ち上がれない重傷。流れ出る血の感覚が、アリアから体温と現実感を奪っていく、けれど】


「 ──  …… …… 。」


【 ── ぎり、と歯軋りをしながら。声にならない唸りを漏らし、 ──その瞳は、やはり、言語としてコンパイルするには深く複雑に過ぎる感情を湛えて】
【暫しの睨み合いは続くだろうか。 ── 然しアリアの失血は続き、その血は大きくコンクリートの冷たさに広がりつつもあって】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/03(日) 23:16:53.82 ID:uB2mrsmd0
>>282

【それでもなお少女は凛と立っていた――当然だろう、怪我も何もないなら倒れる理由がない、だからこそ、彼のことをじっと見下ろしていた】
【165の身長は女としては高めの水準でも、男と比べればそうでもない。ならば男を見下ろすには理由が必要だった、――相手がよほど弱っているとか、跪かれる人間である、とか】
【ならば彼女は前者でしかない。相手が怪我のために崩れ落ちるのに、――だけど、それでも、どこか、後者であると勘違いさせてしまいそうな、冷たさがあって】

【それを自信だと誰かは呼ぶのかもしれなかった。――結局曖昧でしかない人間ではないものにすべてを委ねたなら、自分自身で負うべきものは、うんと軽くなるなら】
【だからこそ宗教はきっと生き延びてきたし生き延びていく。――超常現象に似たものがいろいろなものを持ち去っていくんだから、人間には、すっごくありがたいって思わせる】

店の掃除ですか? 大変ですね。ではその方に"こちら"のお掃除をお願いしましょうか、よく部屋が汚れるんです。仕方ないんですけど。
お掃除がお上手なんですよね? だったらお願いしようかな、――――あはは、そんなこと言いますけど。その方はご自身で気づかれたのですよ、正しき行いに。
それならば、その方の運命とはウヌクアルハイ様に捧げられるべきではないでしょうか。私は、あなたにそれを強要はしませんよ、ご自身で気づかれてこそですからね。

――だけど、そうですね、"気づき"、そして我らと同じ道を歩むと決めた同志を、犬に追われて女神とキスしてガードレールとハグですか?
そういう奇特な方が否定するというのは不愉快ですよ、――。

【本当に全く大変だなんて思っていない顔だった。だけれどそれは同時に心配しているように見えてしまうような表情にも似ていて、ただ、続けられるのは、冗談の色合い】
【居なくなって掃除程度にしか困んないなら特に問題なくないですか、って、言うみたいに。――そして、そのために置いて行かれた"彼ら"を、嘲笑するような、声】
【曖昧でどこまでも闇深い信仰に身を捧げながらも強制はしないやり方、――脅して自白させたって、それは自分で言ったなら、証言と変わりなくできるから】
【――けれど次の言葉に滲む不快感はやっぱり本当であった、自ら気づいて一つ隣の道へ移動した"誰か"の行動を、そんな風に、彼が否定するのは、嫌だと言って】

【足取りがぴたりと止まる、――ひらりと短いスカートが翻る。娼婦にしてはやっぱり、どこまでも、白すぎるから】

ウヌクアルハイ様はすべての痛苦をその身の中に抱えておられるのですよ、もちろんあなたのその痛みさえも知っておられます。
クレームですか? お客様の声ボックスはおあいにくながら用意がないです、ウヌクアルハイ様は善いこと、善行の果てに御座すのですから。
そのような行動は必要ありません、そして、ウヌクアルハイ様のお顔をご覧になりたいというのでしたら――――、

【疲れたような笑みに彼女はきっとどこまでも強気で自信にあふれた笑顔で相対する、ならば白と黒以上に正反対を見せつけるのに似て】

――この世に名を連ねる蛇神のすべては、ウヌクアルハイ様の化身であらせられます。すなわち、八岐大蛇、ニーズホッグ、リントヴルム……、
そのすべての名が、ウヌクアルハイ様を示すのです。ですので、あなたの脳裏に今思い浮かぶ蛇神様がおられたら、それはウヌクアルハイ様のお姿の一つなのですよ。
全ての信仰はウヌクアルハイ様のもとまで流れてゆき、そしてその存在を潤します。ですので、どうぞ、拝まれてください。私はそれを推奨します。

【だけれど答えは簡単だった、――きっと誰にだって一つ二つ、蛇の姿の神様を思い浮かべることが出来るから。それならば"それ"が"そう"なのだと、ある種乱暴さにも似る】
【どの姿に対して拝んだとしても、最終的には一つの神にたどりつくから。それは実質おんなじことだと言ってしまうのだ、――だから、どうぞ、と、あんまりにあっさりと】
【けれど彼の言葉が好ましいことのように、鮮やかに笑うのだ。――家庭教師が子供の気付きを褒めてやるときみたいな、そういう顔で】
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/03(日) 23:24:56.05 ID:9vUNcl2Mo
>>285

【──、少女はやがて根負けした様に、小さく息を吐いたなら、貴女の姿をじっと見つめて】
【言の葉を探した。あどけない頬の行先は、未だ伽も知らない乙女のように無垢な唇】
【それでいて何処か肉感的に濡れた慕情を浸して、僅かばかりの音律にしてみせた】


── アリア様、でしたね、その名前── 忘れません。
"グランギニョル" の虚神が一柱、シャーデンフロイデ
"サーペント・カルト" のオフィウクスが一人、プリオル

如何様にも呼んでくださいませ、音楽家とは、常々無数の名前を持つ者
また会いましょう──、蛇のカルトの印の下に、貴女を必ず


── 生きた贄として、捧げます


【角砂糖が舌先に溶けるように、彼女の身体が蝶へと変化していく】
【紛れもない逃走であった。── 静かに去っていくその名残だけを残して】
【後に響くのは因縁、蛇のカルトは執拗に、類まれなる戦士を追い求めるのだろう】


/こんな所でしょうか! お疲れ様です!
288 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/03(日) 23:42:34.28 ID:Wj3j+TW00
>>287

【諦観の呼吸にさえ彼女は殺意と臨戦に身構えて応じた。精緻極まりないMarionetteのように端整な顔貌は血に汚れ、あまりに穏やかでない感情を知りすぎていて、】
【それでいて"つくりもの"ではなかった。焼け爛れた左半面の膚がそれを証明していた。だのに彼女の表情がいつだって剣呑なのは、精神が肉体すら規定するからだろうか?】



「覚えたわ。蛇の神。邪神の一柱。血に狂い、悪魔に唆され、天国から追放された堕天使ども」
「やってみるがいい。この赤い血だけが人らしい身体が、神に捧ぐ贄として相応しいなら」

「いつであろうと待っている。 ──プリオル。お前を殺す瞬間を。」



【感情の籠らない冷たい声が、然し殺意という意志だけは確かに孕んで、去りゆく姿から片時も視線を離さずに、】
【 ── 毅然と顔を上げ、いっそ美しいくらいの横顔で、次は必ず命を奪うと告げるのは、残酷な戦女神が偶像を忌み嫌う姿に似ていた。】
【そして少女が姿を消せば、ようやく彼女は息を吐くのだ。まだ動く右腕で、通信端末を取り出しながら】



「 ── 聞こえる? こちら"ミューズ1"。 …… しくじったわ」
「始末書も説教も後で好きなだけいいから、今は救援を頂戴。片脚が捥げそうなの。」



【 ── 月光に浴して空を仰げば、ひとしずく、涙が流れた。】


/ではわたしからも、このように。お疲れ様でした!
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/04(月) 00:09:16.78 ID:VdvJR/6m0
>>286

【何もかもメチャクチャだ。神なんて居ないほうがまだマシだ。今いるのはイカれた蛇と、信徒】
【それだけじゃない。もう何もかもが悪意ではなく、善意と正義が俺たちを破滅に連れて行こうとしている】
【運命は理不尽だ。どれだけ自分に問いかけても、間違っちゃいないと答えが出てしまう】
【だから抗い続けなきゃならなかった。ふざけんな、クソッタレ。俺もイカれてんのか?もはや否定も肯定も】
【してくれないところまで来ていて、そこに誰も居ない。―――白い少女。羽根でも生えてりゃマシだったのに】

…五月蝿え。アイツが何処で何しようが俺はいい。それはアイツが決めることだ。俺は連れ戻そうなんざ思ってねえ
帰りたいなら帰ればいい。…いや、一度ばかりは帰ってきてもらわねえと困るんだよ。俺も彼奴等もみんなカッコばかりつけやがって
無理しやがって、何が正義だ何が悪だ、神だクソッタレ。泣いて叫んで喚いて殴り合えばいいじゃねえかよ。そうすりゃよかったんだ

【俺はなぜ、鈴音を助けるんだ?誰も彼ももうウンザリだ。自分自身にもウンザリだ。エゴと綺麗事、本音と嘘の乖離と表裏】
【何度も死にかけて、俺はどうして…もう面倒だ。考えるのが。行動に理由を跡付けんのは】
【かっこつけて賢い真似すんなよ俺。ほら、今そこにある感情を表すには頭に浮かんだ一番目の言葉を使えばいい】

鈴音がてめーらのところに居るのは気に入らねえんだよ。利用しやがってペテンの神が。俺の痛苦は俺のもんだ
勝手に知られてたまるか。全員のツラに弾丸ぶち込んでから幾らでも拝んでやるよ。中指立ててな

もうごちゃごちゃ言うのも聞くのも飽きちまった。慣れねえことはするもんじゃない。

…仲間を返してもらうぜ。俺の大事な仲間を。

【気がつきゃ、俺は拳銃を引き抜いて、撃鉄を起こして、銃口を少女に向けていた】
【少女相手に拳銃向けて、理由が八つ当たりみたいなもんだ。救われないぜ。蛇の神さんよ】
【鈴音が成り代わったにしろ何にしろ俺の味方はしてくれないだろうな。】

【感情的になっている俺が引き金を弾くにはあとほんの数ミリ怒りを足すだけでよかった】
【そしてもし戦闘になったら――そんときゃ、死ぬだけだ。きっとろくに動けないだろうから】

290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 00:42:45.71 ID:z7uVbnmz0
>>289

【銃口が向けられた、けれど薄い色素の少女は滔々と溢れ続ける慈愛に似た笑みを湛えたままで佇んでいた。距離は――近い、十分に銃の間合い】
【けれど全く動じて見せなかったのだ。それは根拠のない自信であったのか、それとも。根拠のある自信であったならば、きっと、性質はずっと悪くなって】

鈴音……、……ああ。――――――――"そっち"ですか。
お探しの方は白神鈴音でよろしいですか? だったら知っていますよ、ウヌクアルハイ様の化身のおひとつであらせられます。

ウヌクアルハイ様は無上の深淵から幾度となく我らを導かれるためにお姿を現しておられるのです――ですので、そのようなことも、あるでしょう。
あなたは幸運な人ですね、知らずして、ウヌクアルハイ様のお姿が一つと知り合っていたのです。であれば、なぜ、ウヌクアルハイ様を信仰する道を選ばないのでしょうか?

【――甘くて冷たいスズラン色の声音は、一番初め、まるで独り言であるかのようにささめいた。ならばそれは何かを知っている色合い、朝露に濡れるスズランが煌めくように】
【ならば桜の花に艶めく夜露のひとつひとつを指差すように、少女は"少女"の名前を伝える、それからさも当たり前であるかのように、言葉を連ね】
【それはひどく幸運なことだと言ってはにかんでみせるだろう、羨ましいのに祝福せずにはいられない二律背反の甘美な感情、味わったなら、頬がわずかに赤らみ】

――――ですが。あなたは少し言いすぎました、そのように穢らわしい銃口(もの)で、ウヌクアルハイ様の崇高さに、届くつもりですか?
オフィウクスが一人、私(ムリフェン)、を前にして、男だからといって無駄に撃ってはいけませんよ、ここは思春期男子の自室ではありませんし――、
まして若くないんですから。残弾には気を使って。……あんまりに大きな音を出しては家族がドアを開けますよ、よろしいですか?

【その頬をうっとりするようなばら色に染めたなら、少女は唇の端っこを蕩かすように笑んだ、――するりとかすかな衣擦れの音は、その左手から、手袋の抜き取られる証拠】
【果たしてそこには蛇がいた。まるで本物かと見紛うほどに精巧な蛇の入れ墨――それこそがまさに蛇を信ずる者の証、甘く甘く、蜜漬けの果実より甘い声が、囁いたなら】
【銃声を聞きつけて警察が駆け付けるまでが、タイムリミット。それまでにどっちかが死んでいるか――それは、分からないけど。細めた目、藤色の睫毛が、目元を縁取って】

――くだらない障害など案ずる必要もありません、相手が悪かったですね、私はあなたのすべてを阻害して差し上げます。
そしてウヌクアルハイ様の素晴らしさを理解するまで、何度でも、何度でも、何度でも、私が手ずから教えて差し上げましょう。
それが贄を捧ぐ杯の中であれ、関係はありませんからね。"理解れば"よろしいのです、私がそれを"知らず"とも。

――――――――――ウヌクアルハイ様はすべての運命が至る場所であなたを出迎え、そして微笑まれるのでしょう。

【マゼンタ色の瞳がいっとう強く煌めいた――ように見えた。これは錯覚だから、現実では、何の変化もないけれど――なら、少女はいつよりも、強気に笑う】
【ざわり――と少女の左腕に刻まれた蛇の入れ墨が、不自然に蠢いた気がした。――ならば能力の一端を透かしたのかもしれない。曖昧な様子は蜃気楼に似て、けれど】

【彼らは結局、そう遠くまで歩いては居なかった。彼の血垂れを追いかけてきたなら、誰か――それこそ警察、あるいは、他の人物――が、訪れることだって零ではなく】
【その場合に少女は大通り側に背中を向けていた――けれど油断はないなら、もしもそうだったとしても、きっと、すぐに気づくはずで】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/04(月) 01:48:54.06 ID:VdvJR/6m0
>>290

/お返事まだですがちょっと眠気がやばい感じになってきましたので失礼します
/お待たせして申し訳ないです…!すみません!!お疲れ様でした
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 01:49:23.39 ID:z7uVbnmz0
>>291
/了解しましたっ、お疲れさまですっ
293 : ◆chzGJBqQ0hns [sage saga]:2018/06/04(月) 16:57:18.22 ID:ftpaqWL80
【大通り──20代後半くらい男が一人、周囲を軽く警戒した後、路地裏に入って行く】
【橙色の瞳に鳶色の髪の毛。中世の修道士のようなゆったりした薄茶色のローブを身に纏い、首もとには長い蛇の骨が悪趣味なマフラーのようにグルグルと巻きついている】

約束通り、私一人で来たぞ。武器も持っていない

【よく通る声が路地裏の奥の闇に響くと、複数の男達が現れ、修道士風の男を取り囲んだ】
【各々が手に刃物を持ち、いかにも犯罪者・チンピラといった風貌だ】

「へっへっへ、じゃあまずは金を貰おうか」

子ども達の安否が先だ。確認させろ

「あー?ガキ共はもうとっくに殺して臓器を売り飛ばしちまったよ」

……何だと?

【修道士風の男の表情が目つきが、変わった】
【その瞬間──首もとの蛇の骨が動き出し、跳ねるように前方に飛び出し──】
【リーダー格らしきチンピラの一人の首を締め付けた】
【あらわになった修道士風の男の首には、”蛇の刺青”が見えるだろうか】

「ぐえぇ!?」

蛮族どもめ……!

【メキメキと蛇の骨がチンピラの首を締め付ける】
【他のチンピラ達は突然のことに戸惑い、立ち尽くしている】

//予約のやつです!
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 17:06:02.56 ID:GhcXgsbiO
>>293

【──、風を切り裂く一音、響く金属音が横薙ぎに振るわれ、一閃を描いたなら】
【蛇の骨へとダガーナイフが投擲される。牽制目的の一撃だ、チンピラを手放したなら回避は容易だろうが】


……悪趣味な能力だ。やはり能力者は始末に負えない──、
尤も、その男が許せないのは俺も同意するが。何れにせよ
俺にとって目下の敵は貴様だ、能力者──、そして

" 蛇 "──、その刺青がはっきりと示している、貴様が蛇に与する巨悪であると
ならば俺は俺の意思と、俺達の意志を持って貴様を殲滅する
カノッサ機関、No.4── Fear, Seven for Four、貴様を殺す男の名だ


【白銀のセミロングの髪を靡かせて、長い前髪から鋭く青い眼を覗かせる】 
【やや長身でスラリと伸びたボディラインを濃い青のストライプのシャツで包む】 
【燕尾服調の高級そうな黒のスーツとネクタイ、細く長い指先はシャツと同じ色の手袋】 

【男性らしからぬ女性的な端正な顔たちは、まるで仮面を貼りつけたかのように無表情で】 
【陰鬱な雰囲気を纏う、儚い印象を与えそうな青年であった】
【フィアと名乗った彼は右手に別のダガーナイフを握り、貴方を見据える】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/04(月) 17:26:42.83 ID:hIKCseE6O
>>294

【ダガーナイフが命中する直前──蛇の骨はチンピラを絞めたまま手前に引っ張られる】
【そのままナイフはチンピラに突き刺さり、その命を奪った──】
【ドサリ、とすでに死体となったチンピラを地面に投げ捨て、蛇の骨──その頭部分を自らの近くに戻し、ナイフの飛んできた方向を睨む】

フィア、カノッサのNo.4‥‥‥‥それが本当なら随分と大物が来たな
ああ、私はツァルエル・アーツバニスト
「アーツバニスト財団」の理事長だ
蛇に与する?なんの話かな。これはただの趣味さ。可愛いだろ?

【アーツバニスト財団は、表の社会では慈善事業を幅広く行っている。知っていてもおかしくない。その「裏の顔」は別として──】
【二人が会話している間に、残ったチンピラは蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ出した。能力者同士の戦闘に巻き込まれたくないという、まともな判断】

私はこれから逃げた連中を皆殺しにしないといけない。君に恨みはない。邪魔をしないでくれるか?
296 : ◆chzGJBqQ0hns [sage saga]:2018/06/04(月) 17:32:14.47 ID:hIKCseE6O
>>295
ID変わって酉つけ忘れました
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 17:38:05.11 ID:GhcXgsbiO
>>295

【フィアが左手を軽く引くと、投擲されたダガーナイフが手元へと回収される。細いワイヤーの痕跡】
【命を奪った事には大きな変化を見せない、所属が示すその意味を】


恍けるのなら首の刺青を隠してからにするがいい、蛇が大人しいフリをするのは看過できないな
──、俺が口上を名乗った上でその肩書きを出してきたのなら、随分と愚かしい
偽善団体等に興味は無い、能力者は全て、── 俺の敵だ


【両手に握るダガーナイフを逆手に握り直す。煌めく閃光が宵闇を散らして】




──、俺は貴様達に恨みがある。それだけで邪魔をする道理には十分だろう?
世界が貴様達を許しても、俺の方に慈悲はない──!!



【疾走するフィア、地面を蹴って互いの距離を近くしたなら、右手のナイフで切りつける】
【流麗な動作であった。手慣れた調理師の様に、貴方の腕を切り刻もうとする】
298 : ◆chzGJBqQ0hns [sage saga]:2018/06/04(月) 18:00:30.69 ID:hIKCseE6O
>>297

【人を殺めたことによる動揺の類いは一切見られない──手慣れている】

偽善団体か、ふふ、確かにな‥‥‥‥上手いことを言う
しかしそれだけ能力者を狂ったように嫌う君が良くカノッサに所属できるな。あそこには悪い能力者さんがたくさんいるだろうに
‥‥‥‥いや、だからこそか?

【悠長に会話をする暇も、チンピラを追う暇も与えてくれないらしい】
【腕を狙ってきたナイフを、そのまま腕で受け止める姿勢を取り】
【同時に、蛇の骨が移動し、腕に寄り添う外骨格の如くピッタリと腕を守り、そのまま骨でナイフを受けとめた】
【特殊な加工をしているのか生き物の骨にしては硬いようだが、弾き返すほどでは無く──ピキピキと受けた部分にヒビが入る】

‥‥‥‥反撃だ

【目をよく観ていれば気づくかもしれない──静かに視線を、フィアの肩越しに、その奥に向けると】
【───死体が動いた】
【死んだはずのチンピラの死体が立ち上がり、走り出し──フィアに向かって背後から体当たりをしようとする】
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 18:07:28.27 ID:GhcXgsbiO
>>298

【深く息を吐いた。── 蛇のカルト、最近活動を活発化させた邪教の集団】
【そのやり口は極めて凄惨かつ、それでいて中々尻尾を出さない強かさを兼ね備えている】
【フィアは内心注意を払う。目の前の人物から感じる禍々しい雰囲気は、一歩油断したなら飲み込まれそうな程に】


──、慈善事業の理事長様が、立派な振る舞いをされるもんだ。その醜悪な蛇が本性だろう
生憎と俺は他人に分け与える慈悲等ない。自分の為で、それ以上の慈しみは品切れだ
恥じるつもりも誇るつもりもない、俺はただ俺の理由で俺の為に生きる、そして

──、俺の都合で貴様達を殺す。それは誰にも否定させない
"機関" に居れば能力者を追える、ただそれだけだ、俺は奴らに身を委ねる程ヤワじゃない
懺悔は済んだか? ならばそろそろ──!!


【受け止められたナイフの感触、硬い──と内心思ったが】
【後方から衝撃がはしり、彼の身体が前方へと投げ出される】
【困惑の表情、男の側を抜け後方へと放り出されたように地面へと叩きつけられた】


くっ……!! それも貴様の、能力か……!!


【片手をついて立ち上がりながら、首筋に向けてひだりてのないふを投擲した
300 : ◆chzGJBqQ0hns [sage saga]:2018/06/04(月) 18:31:09.44 ID:hIKCseE6O
>>299

私だって好きで慈善事業の理事長様になったわけじゃない!好きでこの蛇を体に刻んだわけじゃない!

【初めて声を荒げる──サーペント・カルトの構成員のイメージとは異なる「弱さ」が一瞬だけ、見えたが】
【すぐに平静さを取り戻し】

おっと、失礼。蛮族どもから野蛮さが感染してしまったかな?
もういい、どうせ君とは分かり合えそうにない

【チンピラの死体を使った攻撃は成功し、フィアを地面に叩きつけたが、再びナイフの投擲が襲ってくる】
【咄嗟に首を動かして避けようとするが、ナイフはツァルエルの首筋を掠めた】
【蛇の刺青の横から赤い血がタラリと滴り落ちる】

チッ‥‥‥‥まあいい
君をウヌクアルハイ様の贄とする‥‥‥‥光栄に思え

【左手で首の傷を押さえながら、死体に視線をやる】
【すると、死体がまた動き出た。今度はフィアを羽交い締めにしようとキョンシーの様に両手を上げながら近づく】
【ただし、撃破から拘束に目的が変わったためか、その動きは鈍い】

301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 18:40:07.35 ID:GhcXgsbiO
>>300

【ナイフの軌跡が一筋の線となり、描く揺らぎは瞬きに似て刻まれる】
【ダガーナイフの後方に付けられたワイヤーは、細くしなやかに夜を遮り】
【あるいはその鋭さを誇る様に、唯ひたすらに輝いている】


──、その次は好きで戦う訳では無い、好きで従っている訳では無いとでも嘯くつもりか?
俺は貴様の事情など知らない、どんな理由で蛇の鱗に成り果てているのかは分からないが
一人の存在であるのならば、運命すらも踏破すれば良い

どんな暗い闇の中にも光は指す、見上げればそこに無限の星空が広がる
分かるか? 俺は何処までも希望に縋っていたい、星の輝きを追い続けていたい
俺の旅路を────邪魔するな────!!


【フィアの身体が空中に放り出された。首筋を掠めたナイフが空中に静止して】
【ナイフに仕込まれたワイヤーが収縮し、空中へとフィアが駆け上がる】
【死体を回避し、男のすぐ側まで接近したなら──】





貴様が神を信じるより尊く、俺は俺を信仰する





【空中に固定したナイフを視点にくるりと空中で翻り、姿勢を整える】
【もう片方の手にナイフを握り、自由落下をしながら、男の顔に深くナイフを突き立てようとする】
302 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/04(月) 19:11:32.21 ID:Xoa1Q01I0
>>301

ふん。詩人だな。だが君が星空を見上げることはもう無い
君はこれから大いなる存在と一体となり……

【油断していた。相手は能力者じゃない。ただのナイフ使いだと】
【先の投擲が最後の攻撃だったと──思い込み】
【相手の弁を聞き流す気分で、言葉を紡ごうとした──】

っ!?

【ワイヤーの不自然さに気が付く】
【なぜ落下しない──なぜ戻らない】
【──もう遅い】

(あれだけ言っておいてあいつも能力者だった!?いや、それともナイフに仕掛け……そんなことはどうでもいい!)

クッ!!!

【蛇の骨が瞬発的に飛び上がる】
【ツァルエルの顔を守るべく──突き立てられるナイフを正面から受け止めようと──】
【だが先程のようには行かない。落下の力も加わっている】
【此度のダメージは、ヒビでは済まなかった】
【蛇の長い胴体をバネのようにして衝撃を逃がそうとするも、全体にヒビが入り】
【バキバキバキと、瞬く間にヒビが増加しそのままバラバラに崩れ落ちた。蛇の骨が散らばる】

ああもう!修理に時間がかかりそうだなっ

【バックステップでフィアから距離を取ると──】
【地面でバラバラになっている蛇の骨の、頭部だけがフワリと浮かび上がり】
【牙をむき出しながらかなり速い速度でフィアを狙って空中を直進した。肩に噛み付くのが狙いだ──】
【毒などは無いが、噛まれれば実際の蛇と同様、かなり痛い】
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 19:23:16.50 ID:GhcXgsbiO
>>302

【──、肩に噛みつかれ激痛が奔る。変幻自在の骨の攻撃は予想以上の応用力を持っていた】
【けれども、フィアの表情に変化は無い。ただ静かな水面の様な表情に僅かな苦悶も見せず】
【噛み付かれた左肩へと、右手で握ったダガーナイフを突き立てるだろう、己が肉を削っても意に介さず】


────、大いなる存在とは何だ。自らの意志以上に誇るべきものなどあるのか?
貴様の信じる存在は、この状況に於いても尚奇跡の一つすら起こそうとしないというのに
まだ貴様はありもしない幻想に、縋っていくとでも言うのか

それならば俺はその妄執ごと貴様を殺そう、僅か一片の救いも無くその存在を穢し
そうして一つ一つ潰した先に、俺の願いが成就するのだから
俺の前に、立ちはだかるな……!!


【右手のダガーを投擲したなら、ツァリエルの頭部へと切っ先が向かう】
【真っ直ぐな軌道、けれどもその後方にはワイヤーが控えている】
304 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/04(月) 19:48:27.40 ID:Xoa1Q01I0
>>303

【蛇の頭部は削ぎ落とされたフィアの肉とともに落下】
【深く噛み付いた故に、食らいついたまま動けない】

ふん。私からすればこのチンピラ同様、君も蛮族だな
己の腕っぷしだけで何かを得ようとする……実際はそんなに強い人間はごく僅かだ。だから宗教が生まれた
宗教は人類の叡智だ───自分より上の。大いなる何かに縋る。失敗も成功もあらゆる原因は自分ではなくその存在に有る
それはとても心地の良いものだ……本来ならばな

教義でも神でも良い。我々にとってのそれが、ウヌクアルハイ様というだけのこと

ああ、もし他のサーバントに会ったら今の言葉は内緒にしてくれ……少々客観視しすぎた

【狂信者のように教義を押し付けるようなことはせず、淡々と語った】

【ダガーナイフが飛んでくる───避けるだけでは先程の二の舞】
【しかし受け止めるための骨は間に合わないだろう】
【ならば───】

【またチンピラの死体が再び動き出す───しかし今度は立ち歩かない】
【死体の両腕から、グチャァと皮膚を裂く嫌な音が聞こえ──肘から先の腕と手の骨だけが飛び出した】
【肉を捨てて軽量化した両腕の骨が、投げられたナイフの後方のワイヤーに飛来し、掴みかかる】
【ワイヤーを押さえることでナイフそのものの動きを封じる魂胆だ】

立ちはだかったのはお互い様。君も私の前に立ちはだかったんだ……!

【そして、バラバラに散らばっていた十数個の蛇の骨も空中へ───そのままフェアに投げ放たれる】
【骨の一つ一つは小さいため、当たっても致命傷にはまずならないが───】
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 20:01:56.79 ID:GhcXgsbiO
>>304

【──、奇妙な信徒だとフィアは内心思う。狂信者と比べあくまでも理知的に神を捉えている】
【或いはそれは、より一層の厄介さを孕んでいた。論理的に冷静に誤った道を進めるから】
【舌打ちが響く様に内心で願った、僅かばかりの焦りを浮かべ】


──、行いを他に委ねる等、俺からすれば酔狂もいい所だがな
盲目的に何かを信じるほど憐れなものもない、が──

なるほど、貴様もよく分かっているじゃないか


【自嘲的に笑う。その所作を微笑みと呼ぶのなら、確かなのは何処までも微塵】
【ワイヤーが握られ切断される、見事な手腕であった。── フィアは微かに思考を改めて】
【投げ放たれる骨が彼へと迫る、そして──】


そうさ、ならば、どちらかが死ぬまで戦いは終わらない──!!

" Liquid Tension Experiment"──!!


【右手一本でナイフを振るう、その一撫でによって全ての骨が叩き落とされるだろう】
【貴方の目は捉えただろうか、瞬間的に加速し全ての骨を叩き落としたのであった】
【──加速、呼吸をする暇もなくフィアの身体が沈み、再び接近を仕掛ける】


306 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/04(月) 20:29:05.44 ID:Xoa1Q01I0
>>305

(何だ……やはり能力者……!?)

【ナイフを振るっただけで、骨が全て落とされる】
【勿論、致命傷を与えるつもりの攻撃ではなかった──】
【しかし、暫くの間、身動きが取れなくなる程度には持って行きたかったのだが】
【手慣れていると、先程想ったが、違う、こいつは「強い」──】
【そうだ、単純に強い相手。自分より強い相手──なぜもっと早く気付かなかった】

【──相手はカノッサ機関のナンバーズなのだから】

集まれ!

【ツァルエルが叫ぶ──】
【叩き落とされてさらに細かくなってしまった蛇の骨、ようやく落ちた肉から牙を抜いた蛇の頭部】
【そしてチンピラ死体の両腕の骨と、まだ死体に残っている骨も】
【周囲の骨たちが全て飛び上がり、ツァルエルの右腕に集まる】
【小さい骨をぶつけても落とされるだけならば──ひとつの巨大な骨を作る】
【右腕に収束した骨たちは、隙間を限りなく狭めるように固まってゆき、何倍も大きな"骨の腕”を作り出した】
【大質量を持った骨の腕は、フィアの身体を狙って振り抜かれる──】
【一撃は重いが、あまりにも乱暴で鈍重な、隙の多い攻撃ではある】
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 20:46:49.01 ID:GhcXgsbiO
>>306

【振るわれる巨大な一撃、応用力の広さにフィアは目を大きく見開く】
【質量はそれだけで大きな武器になる──、それ故に単純な回避は難しい、だからこそ】
【覚悟を決める、進むべき道筋に僅かな揺らぎもなく】




寄り集まっても骨は骨、俺の研ぎ澄まされた意志には及ばない



── 蛇が、囀るな────!!




【骨が直撃し、フィアの身体が弾き飛ばされる。羽毛の様に軽く飛ばされて】
【感触は軽い、直撃の瞬間に自ら後方に飛んだのであった。幾分かダメージは低くなる、が】
【それでもかなりの衝撃であった、骨が軋みフィアの顔に苦悶が浮かぶ】

【空中にダガーナイフを固定、それに捕まる形で強引に空中で静止】
【反動で大きく揺れる身体を、ダガーナイフを握った右手一本で支え】
【空中で翻り、固定したダガーナイフを蹴り── 真っ直ぐ男に向かって加速する】

【すれ違いざまに一閃、腹部をナイフで切りつけようとする】
308 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/04(月) 21:11:04.18 ID:Xoa1Q01I0
>>307

研ぎ澄まされた意志なんて関係ない!
人間死んだらみんな骨だ!

【攻撃は当たった──が、手応えが薄い】
【受け止められた?いや】

(往なされたか……!)

【骨に包まれた腕を大きく振り抜いて、ツァルエルの体勢は半ば崩れている】
【そこに反転してきたフェアの攻撃──避けられない】

っぐっぁ!!

【脇腹を切り裂かれる、鮮血が吹き出す──】
【倒れ込みそうなところを、なんとか踏みとどまる】

はぁ、はぁ……そんなものか

【肩を大きく揺らし、呼吸を整える。あまりに弱々しい姿】
【──気を抜けば、意識が飛びそうになるほどの痛みだった。もう、気絶するまでそう遠くないだろう】
【それでも、フィアを睨みつける橙色の瞳にだけは力が宿り続けていた】

309 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/06/04(月) 22:01:59.99 ID:fYaUYm/cO
【日が沈み、水の国の繁華街には昼間とはまた違った喧騒が流れる】
【店の軒先に灯るネオンの光が、猥雑でありながらも人の営みを感じさせる。道には人々がごった返し、ああでもないこうでもないと喋りながら行き交っていく】


【────そんな中に、テイワズは1人歩いていた】


「“餌”を撒いたのはいいが、どんな魚が食いつくかだな」
「あんまし凶暴なのは来て欲しくないなー。こないだの奴につけられた傷も治りきってないし」


【テイワズにはある信条があった】
【それは弱者を虐げる者は絶対に許さない、というものだ】
【異邦人である彼にとって、この世界に存在する所謂『悪の組織』は彼が許さざるモノに充分値する】
【できればUTなどの組織と協力したいが、異世界から来た以上そのようなコネはない】
【そこで彼は、ひとつ手を打つことにした】
【彼は“裏の世界”に自分の情報を流し、接触を待つことにしたのだ】


「UTの連中か、最近活動見ないけどスカーレットが来てくれれば楽なんだが…」


【彼が流したのは、『異世界から来た男が、カノッサ機関やサーペントカルトといった悪の組織に敵意を抱いている』というものだ。あとは簡単な容姿についてなどをネット経由で“餌”とする】
【あとは食いつく魚を待てばいい。正義の者なら協力を申し出、悪の者と判断できるなら問答無用で“歓迎”すればよい】


「さーて、どいつでも来なさいよ」


【彼が釣り上げた魚は、果たして正義と悪、どちらのモノなのか────】


/よろしくお願いします!
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/04(月) 22:19:05.24 ID:VdvJR/6m0
>>290

【彼はサーペントカルトについて、鈴音についてもっと情報を手に入れておくべきだったと後悔した】
【未知というのはそれだけで恐怖だ。真っ暗な道を手探りで歩くがごとく。吊るしたランタンのか細い明かりのような】
【ちゃちな脅しにしか、今この美しいエングレービングが施された拳銃は意味をなしていない】
【恐れをなしているのは俺の方だ】

俺が信じるのはテメーらの神じゃなくて、白神鈴音の方だからだよ。化身にだかならなくったって、十分信者は居るんだ
あんたらの神は幾つも姿があるようだが、鈴音は1人だ。そういうわけだから…返してもらう。

【情報を掴むまで撃つことは出来ない。ここで引き金を引いてこの少女を殺したとて大した意味はない】
【それは少女も気づいていることだろう。どっちが有利で、不利で主導権はどちらにあるかは】

崇高さにたどり着かなくても、殺せりゃ十分さ。…一発で十分だ。歳だからね。テクニックで補うさ
ママに怒られる前に、済ましちまおうか?ノック・ノック。ノッキンオンヘブンズドア…

【遠くでサイレン。…何処かで止んだ。きっと車を見つけたんだろう。そうしたら時間はない。互いに】
【せめて殺すか。それとも“奴ら”に捕まるのだけは避けるために逃げるか。今の体力でそれは可能か?】
【迷いと疲れが彼の思考を鈍らせた。引き金を引くのを躊躇させた】

【救いはあるのだろうか。一体、何が救いなのだろうか。自分も救われるのだろうか】
【自分も救われたかった。いい加減、運命から逃れたかった】

【そんな考えが刹那によぎった。だから少女が能力を用いたなら彼はソレにただ飲み込まれるしかない】
【蛇の腹の中でゆっくりと溶けていくしかない】
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/04(月) 22:38:40.89 ID:z7IzpPK3o
>>308

【──、着地したフィアは、片膝を付きながら静かに後方へと視線を向ける】


──、ならばその骨を拾う者も、誰も居ないとでも言うのか?
貴様の信奉する神とやらは、どうやらそれすらもしてくれないらしい
だから、── 俺は信じない、死んだ者の思いを汲む

────、それぐらいは、してやりたいじゃないか


【かなりギリギリの状態であった、何とか立ち上がるもこれ以上の戦いは不可能で】
【追い詰められたフィアは後方を確認し、小さく息を吐いた】


ツァリエル──アーツバニスト……厄介な名だ
いずれまた会おう、その時は──、容赦はしない


【路地裏の奥へと消えていく背中、語る意味さえそこには無く】
【ただ夜闇へと、紛れるように去っていく】


/すいません! 遅れました! そしてこの辺りで締めでしょうか!
/お疲れ様でした!
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/04(月) 22:42:03.67 ID:PfApJ13m0
>>310

…………そうですか、残念です。ですが、白神鈴音を信じると言うことは、すなわち、ウヌクアルハイ様を信仰することと等しいのですよ。
ですので――あなたのその気持ちまでもがウヌクアルハイ様を甘く満たすでしょう、そしてウヌクアルハイ様はもうじき受肉されます、化身としてではなく……そのご自身が。

それは夜露がそっと零れるよりも恭しい光景であられることでしょうから。

【――くすりと少女は嘲るように笑った。ならばやはり何かを知っている。少なくとも、眼前の彼より、このことについては把握しているように見えた。そして、】
【一つ予感させたのだ。――それは蛇教の一般信徒であるサーバントさえも知らない情報であるようだと。この少女は、――オフィウクスと名乗った意味を彼がすぐに分からずとも】
【ありふれたサーバントとは違うって分からせるようだった。ならばやはり彼女から情報を引き出すことに意味がある、そしてそれを理解するなら、銃など怖くはない】

【――――ただでさえ、少なくとも"ありふれた"銃は彼女に相性が悪い得物の一つなのだから】

では存分に後悔されるがよろしい。ですが、ウヌクアルハイ様の下へたどり着いた暁には理解されるでしょう、それこそが最も善く、崇高な行為であったと。
ウヌクアルハイ様は飢えておられる――、ですので私たちが居るのです。腕も足もない完成されたお姿の、その口元まで、我らは杯を運ぶというお役目を、仰せつかったのです。
あっはは! 私、未成年ですよ? ママに怒られた上に警察にも怒られちゃいますね、そしたらどうしますか? その顔と名前、性犯罪者の仲間入りですよ――――、

【ぞるりと彼女の腕から蛇が"伸びた"。そうして獲物を探すように揺らめいたなら、それは、やがて、彼を見出す。くわりと口を開けたならば、うんと細い毒牙までもが伺えたから】
【だけれど、噛みつかれたしまったなら感じるのはインスタントの地獄みたいなものであったかもしれない、――様々な痛苦、いろんな様相で強制的に味わわされる、苦痛が】
【それはきっとひっくり返してみたって変わらない、――あくまで感じさせるのは痛みだけ。身体の方に影響はない。――けど、人間は案外、騙されてしまう、ものだから】

【極端すぎる苦痛は身体すら壊しかねないものだった、――ゆえに。それはきっと、彼を終わらせるにふさわしい、絶望を導くはずだったのだけれど】

【――――誰かが血垂れを見つけたのだろう、声の後に、重なる足音が近づいてきつつあった。それを少女が気取ったなら、振り返るなら、蛇は彼から離れる】
【ほんの十数秒の間の話だったならば、もちろん彼の精神力や耐性にもよるのだけど――ありふれた一般人のように狂って死ぬということは、おそらくないもの】

――――ち、思ったより早いですね。

【とろりと艶めく色合いの髪が動きに靡いて揺らぐ、――憎々しげに路地の向こうを睨んだならば、マゼンタは次いで彼に向く。彼の様相を焼きつけようとするようであったなら】

残念ですが、タイムリミットのようですよ。ですので私はお先に失礼します、あなたはどうしますか? 
ですけど――聞いたこと、ありますか? 海で鮫が出たときは、他に泳いでいた人より早く泳げさえすれば、助かるんですよ。

…………なので、頑張ってくださいね? 

【――少女はあまりにあっさりと撤退を決め込んだ。それはここで捕まっていられない立場である証、捕まることへの恐怖ではなく、そうして役目を果たせないことへの恐怖】
【そうするうちに少女は歩くよりは跳ねるように、けれど走りだすには少し足りない仕草で彼を追い越して暗がりの方へ向かおうとしていた、――ならば言葉通り、撤退の兆し】
【彼を囮にする気満々であるらしかった、――放っておいたなら、ぱたぱた、と、軽い足音で走り出す。その背中に撃つ、という手も、あったのだけれど】

【――――それよりは、もしかしたら、彼もなるべく早く逃げた方がいいのかも、しれなくって】
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/04(月) 22:43:36.62 ID:z7IzpPK3o
>>309

【──、正義と悪、その二重を求めるのであれば、迷い込む旅路に答えはなく】
【唯それは現に舞う胡蝶の様であった。ひらりひらりと、羽ばたく姿はレトリックに満ちて】
【ぽん、と背中を叩く小さな感触、向いてみれば細い影が伸びて】


……先程からずーっと立ち尽くされておりますが、もしかして往く宛が無いのですか?
この国、最近多いんですよね、──まぁ、捨て子というには些か壮年ではありますが
或いはもっと、何かしらの事情で職を失った方だったりするのでしょうか

──、まぁ、見るからに細かい作業には向いてなさそうな御仁ですが


【腰まである蒼銀色の長髪を大きく後ろで二つに結って、赤いリボンの着いた黒いケープを羽織る】
【ケープの下には黒いチョリ、下乳から鼠径部までを大きく露出し、黒いパレオで下半身を透かす】
【中東の踊り子の様な格好をした、黒と赤のオッドアイの褐色肌の少女がそこには居て】

【お臍の下あたりに刻み込まれた、黒い蛇のタトゥーが印象的であった】
【紡ぐ瀟洒な音律、最後は少しだけからかう様な響き】
【どうやらずっと立っていた貴方を見かねて声を掛けたのか、求めてる人物ではなさそうだが】
314 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/04(月) 22:51:06.65 ID:Xoa1Q01I0
>>311

ほら、起きたじゃないか……奇跡
君と戦い、生き残ることが出来た

【去ってゆくフィアを見ながら、呟いた】
【贄にしてやると言った手前、「待て。逃げるな。ウヌクアルハイ様の御意に背を向ける気か」等と追撃するのが「正しい信者」だろうか】
【しかし、もはやそれをする気力も体力も無く】
【ただただ、生き残ったことを噛みしめた】

散々な日だな、今日は……
だが、寝てるわけには行かない……私にはまだやるべきことが
げほっ

【倒れそうな全身に、右腕に集まっていた骨たちが満遍なく覆い、支え】
【強制的にその身体を動かし、ツァルエルもまた路地裏の闇に消えて征く】


//いえいえ大丈夫です!お疲れ様でした!
315 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/06/04(月) 23:08:39.80 ID:fYaUYm/cO
>>313

【突如として背後からかけられた声に、テイワズは動じることはなかった】
【余裕を持って振り返り、少しばかり警戒しながら相手を見る】


「──壮年、ね。よく言われますよ。これでもまだ25にもなってないんですがね」
(うわあ、エロい女)


【そんな下品な言葉がまず思い浮かぶほど、女が放つ雰囲気は妖艶で甘美であった。ひとたび甘く、そして優しく腕を組まれれば、宿へと向かわない男はいないだろう】


「行くあてが無いわけではありませんよ、誰か人が来ないか待っていたんです。あなたみたいな人がね」


【しかし、彼にはそんなエロティックな雰囲気など意味をなさなかった。元の世界においてそういう誘惑に耐える訓練は受けている──今まで女性とそういうことになったことなどないが】
【そして、女を観察する内、むき出しのへその下に刻まれた蛇の刺青を認めれば、そんな感情など持つ余地もなかった】


(こいつは…“ハズレ”引いたっぽいな)


【この世界について調べたときに、こんな文献を見た。】
【『信者が皆、蛇のタトゥーを体のどこかに入れている邪教』──サーペントカルトというそのカルト教団の信徒には、充分な警戒が必要とのことだった】
【そして、目の前の女が蛇のタトゥーを入れているならば、答えはひとつ】


「なあ、あんた、巷で噂の『蛇教』のメンバーだろ? なら──」


【言いながら、“いつものように”右腕を発動させる】
【キャノンモードになった義手を相手の眉間に照準させ、突きつけながら『隻腕の戦士』、テイワズは言い放つ】


「──悪いがあんたは俺の敵だ」
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/04(月) 23:19:54.38 ID:z7IzpPK3o
>>315

【小柄な少女は突き付けられた銃口に、軽く視線を沿わせる。── ほんの僅かな逡巡を見せて】
【色違いの双眸に微かな憂いが満ちたなら、大きな瞳を静かに伏せて】
【細い輪郭の唇。濡れた羽を畳んだ小鳥の様に、しなやかな質感をこれでもかと見せつけて】


──、刺青入れてる人間全員にそうされるのでしたら、私は貴方様の事を愚か者と断言しなければなりません
蛇は再生の象徴です。無病息災、安産祈願、健康成就といった願いを込めて彫る事も怏々にしてあるでしょうに
私の様な冷静沈着な人間だったからの幸運です、それ以外の方でしたら悲鳴をあげて卒倒してますよ

……大体、今時 "蛇教" なんて一般の人は殆ど知りませんのに、一体何処で聞き及んだのやら
お分かりになられたのでしたら、その乱暴な武器を仕舞って下さいまし、落ち着いてお話もできません
そーれーとっ、そんな風にせっかちな様子ですから、年齢通りに見てもらえないんですよ?


【返ってくる言葉は虚をつかれた様なものか、貴方が思う様な好戦的な言葉ではなく】
【怜悧な目元に呆れた色合いと、そのムダのない身のこなしへの興味を携えて】
【少女は良く通る音色でそう問い掛けるのだろう。── 信じるか信じないかは分からないが】




── "あなたみたいな人を待ってる" だなんて、ロマンチックな言葉、初めて聞きました
ふふ、貴方様の様な逞しい殿方に言われたのなら、それが嘘でも嬉しくなるものです
あら、今更人違いだなんて許しませんけども


【僅かに無表情の水面が揺れる、零れた微笑みはほんのわずかでも】
317 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/06/04(月) 23:54:41.38 ID:fYaUYm/cO
>>316

「ケッ、こっちとしては人違いの方がよっぽど良かったよ」


【吐き捨てるように言いつつ、テイワズは未だ銃口を眼前の少女に向けたままである】
【義眼から得られる情報では少女は無害、となっているが、彼の長年の経験と勘が少女の危険さを訴える】
【そもそもこんな奇怪な武器を突きつけられたとして、少女の言う通り冷静沈着な人間でも少しはパニックになるものだ。しかし眼前の者は、それを跳ね返すかのように立ち続ける】


「自分の組織の情報はちゃんと収集しとくべきだったな。最近のあんたらはちょっくら派手に動きすぎだな。街を歩けば噂なんて山ほど耳にする。こんなご時世に蛇の刺青なんざいれる酔狂な奴はいねえ」


【そう言うと彼は、“蛇教”について調べた時のことを回想する】
【そこには、彼らの凄惨な“活動記録”があった】
【生きたまま、麻酔もなしに内蔵を取り除かれた死体の写真や、血に塗れた“儀式”の様子がまじまじと記録されていたのを、今でも鮮明に思い出せる】
【あんなもの、今まで戦場を渡り歩いてきたテイワズですら見たことがない】


「あんたらの気味悪い“儀式”とやらも調べたぜ。ありゃひでえもんだ。人を人とも思わねえ殺し方だ」


【そこで彼はひとつ深呼吸する。緊張しているのではない。ここで頭を“切り替える”のだ。思考を即座に戦闘向きに変える──そんな技術も、戦場にいれば自然と身につく】


「────だから、ここで懺悔するか頭を吹っ飛ばされるか、どっちか選んで貰いたいんでね」


/遅くなってすみません!
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/05(火) 00:05:35.24 ID:oESEyYpNo
>>317

【──、未だ警戒を解かないのはその戦闘能力が故か、或いは確かな経験則か】
【何れにせよ少女は少し困った。自分の事情を語るには、初対面の相手は些か分が悪い】
【ならば、と──、焙じ茶の様に淫らな色をした頬をしとりと濡らして、紡ぐ音の響きを変える】


────では懺悔をして差し上げますが、一体私は何に償いを向ければよろしいのでしょうか?
見知らぬ他者の魂へ捧げる程、私は信仰深くもありませんし、慈悲深くもないのですが
それならば私は貴方様に向けるのでしょうか、ふーん、まぁ、いいですが、整理しますと

私の様な少女に銃を突きつけて、挙げ句の果てに謝罪を要求、青年と少女という組み合わせもまた問題で
もし私が謝ったなら次から次へと要求される可能性も、捨てられませんし
…………貴方様の気が許すのであれば、傅く事も重ねなければならないのかもしれません


【じとーっと視線を向ける、僅かな温度差を感じるだろうか】
【テイワズの情報収拾能力は見事であった。この世界に転移してから僅かとは思えない程に】
【──、だからこそ、か。目の前の少女はどうやら似て非なる存在の様で】


…………もぅ、鈍いんですからっ! だからっ、私は "蛇教" とは全く関係の無い唯の給仕です!
困ってる様子だから声かけたのに、こんなに疑われるなんて──、はーぁっ
やっぱり、隠した方がいいのかなぁ、これ……


【声がはねた、年相応の甘い響きを残して】


/大丈夫ですよー!
319 :テイワズ ◆/F8W0q5aBI [sage saga]:2018/06/05(火) 00:21:36.84 ID:eNT4tqH7O
>>318

「うん?」


【思わず、変な声が出てしまった】
【義眼に嘘発見器機能が付いていればいいのに、と思ったのは初めてだ】
【それほどまでに目の前の少女が演技をしてるとは思いがたく、しかし警戒を解くわけにもいかず、どうしようもなかった】


「いやいやちょっと待て。蛇教と無関係ならなんでそんなタトゥー入れてんだよ。さっきも言ったように、そんなん彫るやつなんて珍しいぜ?」


【──ともかく、ここは一度義手の変形を解き、少女に質問して見ることにした】
【そう言われると、自然にさっきまで少女から感じていた脅威が自然と薄れ、自分の勘違いであったかのように思えてきた】
【故に彼も次第にリラックスし始める】


「給仕ってお前、どこに務めてんだよ。もしかして、いかがわしい仕事の隠語か何かか?」


【だったら別の意味でやらなければいけないこともあるが、と思いつつ、テイワズは少女に歩み寄る。そこにまだ薄く警戒の色を残しながら──】


/すみません、時間的に次からは置き進行でお願いします…。
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/05(火) 00:23:19.13 ID:zqG+gbql0
>>312

………くだらねえよ。

【苦し紛れの捨て台詞。この男から出てくるものはこんな単純な言葉だけだ。もはや負けたも同然だ】
【その信仰を論破するほどの器用なことはできない。そしてその思想を受容できるような器用さもない】
【もどかしく、沈黙で抵抗する他なかった。奥歯を噛み締めて、その歯がゆさを押し殺した】

【くだらないのは俺だってわかってるさ。そんなんで仲間を救うってのかよ】
【自分が自分を笑っている気がした。】

今更後悔のひとつやふたつ増えたところで変わりゃしねえ。…その分、取り返してやる
てめえらのカルトが何処にあろうが誰が居ようが…鈴音を取り返す

【その根拠は何処にもない。希望だ。取り返すあても、力も…彼と彼の周りには少なすぎた】
【もはやこの言葉は祈りに等しい。無力な人の最後の行為。…一体どちらがカルトかわかったもんじゃない】

【男は少女の腕に這いずっていた蛇が、その身に近づいたときに後ずさりした。】
【とっさに、銃口を蛇に向ける。そして彼女と同じタイミングで足音の方を彼も向いたのだった】

…ッッ!待ッ…クソっ

【あっさりと逃げ出した少女。それを追おうとしたが体がついてこない男。銃口をその小さくなる小さな華奢な背中に向けた】
【だがまた彼の中で逡巡する。そうして、銃口をおろした】

…そこまで、堕ちる気はない。…蛇によろしく言っとけ。

【誰に言うわけでもなくつぶやいた。矜持という最後にして最大の意味もない代物。それが今の自分を形作る】
【なぜそうしたのかはわからない。全ては結果論。全体論的に決まる。後悔のひとつやふたつ…だ。】

さて…逃げ切れるかな。

【不本意も囮役…スケープゴートの役目はしっかり果たせそうだ。足音が路地裏じゃ妙に響いて聞こえる】
【もう少し器用だったらとか考えながら、探偵は拳銃を構え直した―――】



/遅くなってすみません…今夜もここらで失礼させていただきます。
/当方平日はこんな感じにどうしてもなってしまいますので、〆っぽい感じにしてありますので
/長引かせるのもあれなのでいい感じに落としてくれればと思います
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/05(火) 00:45:17.99 ID:oqO34Cn60
>>320

――――――――残念ですけれど、私たちには、同志がたくさんいますよ。皆がウヌクアルハイ様のため、善行を積むのです。
くだらないですって? 私は手助けして差し上げると言ったはずです。だのに受け取らず、崩れ落ちて、――私を殺すことも出来ないあなたよりは、マシですね。
女の子の誘いを断るもんじゃないですよ、学校で習いませんでしたか? その果てに中折れだなんて、見ている私が恥ずかしくなってしまいます。

我らはウヌクアルハイ様の導く先、ウヌクアルハイ様の中にございます宇宙の中で永劫をウヌクアルハイ様と過ごすのです、それをくだらないと言うのでしたら――。
至極残念としか言いようがありません。この場がもっと横やりが入ることない、整った場であったなら――、

――――あなたがすべてを理解するまで、私が、手ずから、教えて差し上げたのですけど。

【少女の纏う雰囲気がぞろりと剥離した、ならばそれは蛇の脱皮に似て、それなら、中から出て来る少女は、きっと新しい感情を示す】
【――嘲笑から透けるのは怒りだった、それなら、彼は運が良かったのかもしれない、それこそウヌクアルハイの思し召しであるかのように、少女は彼を置き去りにする】

【ならばそこにやはり躊躇いはなかった、ありふれた足音と一緒に背中は遠くなっていって、すぐに、道の陰に見えなくなる】
【それなら残していったのはいくつかの手がかり、蛇教の下に"あの少女"が居ること、藤色の髪の少女の存在もまた手がかりの一つ、ウヌクアルハイの受肉、という言葉も】
【そしてあるいは。――全ての蛇神がウヌクアルハイの化身の姿であるのだと、言ったなら。(あの初めて会った時から一つも成長することのなかった少女は、本当は、)】

【――――その夜、もし彼が無事に眠ることが出来たなら、夢を見るかもしれなかった。たった2ページの本でも、栞は挟めるみたいに、ほんの一瞬だけでもいい】
【――真っ暗な空間だった。だけれど何かがうぞうぞと蠢いているのが、分かる空間。あるいは彼の目なら見通すことができるかもしれない、それは、無数の蛇であり】
【そしてそれらが様々な神話に描かれる蛇神たちであるのにも気づくのかもしれない、――その真ん中には1つだけ異質なものがあった、透明な、硝子の棺桶】

【その中で誰かが泣いていた。鈴の音によく似た声が怯えて嘆く。「――――わたしが消えちゃう」って、何度も、何度も、何度も何度も何度も、何度も、彼が、目覚めるまで】

/おつかれさまでしたっ
322 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/05(火) 13:51:57.62 ID:sNLNB3Jq0
【水の国 とある雑居ビルの非常階段】

――――考えるべき事は多い。やはり、あの頃を思い出す、か……
まさか、こうも色々とままならない事が増えるとはな……

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人が】
【開けた、それでいて人目に付きにくいその場所で、人知れず手すりに凭れ掛かりながら、物憂げにパイプを吹かしている】

【昼下がり――――春と梅雨との合間の、穏やかな陽気の中で、吐き出された煙は空へと溶けていく】
【過ごしやすい気候に恵まれたその時間の中で、彼はのんびりと過ごしていた――――決して、本心からのリラックス状態に、ある訳ではないようだったが】

――――異界のバケモノ、豹変した正義の徒、そして現実化した陰謀論か……
さて……どうやって適切な情報を仕入れるべきか……まだ、本格的な事態は、恐らく先だろう……
――――あの時の、ヴェイスグループの事を考えれば……あれ以上の事をやらかそうって連中が、これで終わらせるはずもない……

【パイプをゆっくりと――――それでいて、パイプ喫煙としては適切なペースで吹かしながら、獣人は思案に暮れていた】
【誰もいないその場所で、ニコチンを体に染み込ませながら、1人悩み事について整理していたのだろう】
【――――空に手をかざす。そこに嵌められていた指輪を何気なく見つめ、そして手を下ろす――――思わずため息がこぼれた】

――――現状、打てる手は打ってある。今は……焦っても仕方がないか……

【肩をすくめると、彼はより一層手すりに体重を預け、すっと瞑目する――――あたたかな日差しの中で、ようやく気分はリラックスしてきたようだった】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/06/05(火) 13:59:14.60 ID:oESEyYpNo
>>322

【――――追随する僅かばかりの欠片にも似た、しとりと濡れる足音を一つ】


……こんな天気の良い日に、不健康な御仁ですね、こんな所で日向ぼっこですか?
それにしては随分とまぁくたびれた──……失礼、つい本音が出てしまいました
獣人の方々はこのような時期にははしゃぎ回るのが常だったのですが、どうやらそうでも無い様子でして

まあ見ての通り私は、暑い国の出身ですから。──不健康な方を見ると、どうしても一葉言葉がでるのです


【腰まである蒼銀色の長髪を大きく後ろで二つに結って、赤いリボンの着いた黒いケープを羽織る】
【ケープの下には黒いチョリ、下乳から鼠径部までを大きく露出し、黒いパレオで下半身を透かす】
【中東の踊り子の様な格好をした、黒と赤のオッドアイの褐色肌の少女がそこには居て】

【お臍の下あたりに刻み込まれた、黒い蛇のタトゥーが印象的であった】
【初対面で投げかけられる言葉は、やや棘のある響きを残して、】
【──少女はそんな風に声をかけながら、貴方の側へと立った】
324 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/05(火) 14:12:08.93 ID:sNLNB3Jq0
>>323

…………ん?

【ピクリと耳が震える。誰かがそばにいる事を、音が気取った。凭れ掛かっていた姿勢を起こすと、ゆっくりと振り返って、気配の主を認める】

……ほぉ、随分と遠慮なく言ってくれるじゃないか……まぁ、俺の本業は夜なのでな
たまにこうして日を浴びてないと、忘れてしまいかねないんだ……太陽と言う奴をな

【そこにいたのは――――どうやら、熱帯地方らしき服装で全身を固めた、褐色の少女だった】
【初対面の人間――――否、彼は獣人だが――――に対して、少しばかり辛辣な言葉を向けてくるその態度に、彼は少しばかり興味をひかれたらしい】
【パイプを口から離し、自然と落ち着かせると――――紙巻きタバコと違い、パイプは吸う事で空気に触れさせていないと、すぐに鎮火する――――やや自嘲気味に言葉に応じて見せた】
【――――男にとっては、今はオフの時間帯。元よりくたびれた雰囲気なのは、どうやら自覚しているらしく】

――――そういう君は、砂の国あたりの出身かな? ……なら、この程度の陽光はぬるいモノと言う訳か……
まぁ……色々と考え事があったのでな。こうして、人目につかぬ場で落ち着くには、丁度良いと踏んでいたんだが……

【外見から、少女の出自を問いかけてみる獣人。自分にとっては――――元より仕事上がりという事もあり、眠気を誘われる陽気なのだが】
【彼女にとっては、何でもない天気なのかもしれない。遠慮のない言葉を面白がった彼は、そうして少しばかりの興味を返してみたのだ】

……君も、何か1人でいたい事情でもあったんだろう……まぁ無理もない。今の世の中は……色々と、考える事は多すぎる……

【元より、こんなところで誰かと出会う事自体、物珍しい話なのだ。彼女の行動にも、それとなく問いを向けてみる】
【自らこんな場所に足を踏み入れるという事は、何か、自分の様に整理のつかない考えを抱えているのだろう、と――――】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/06/05(火) 14:22:33.20 ID:oESEyYpNo
>>324

【少女は軽やかに歩き、貴方の側へと動くと──、ちょこんと背中を手すりに預けて】
【頬を傾けて、そちらへと小首を向ける。砂糖菓子の色合いに近い首筋がすぅと蕩け】
【砂漠に咲いた一輪の花が如く、華奢な体躯が煌々と日差しに映されて】


──、夜のお仕事をされてるんですね、それはまあ、何とも大変なお仕事かと
私達が寝静まった時間にご苦労様です、とも言いたいですけど、私達が働いてる間
ぐーすか寝てると思うと、まぁ、似たり寄ったりと言いますか────

……ええ、『砂の国』の少数民族"ミルドラ族"の出身です。凄いですね、一発で当てるなんて
この肌は特徴的ですが、『砂の国』自体がマイナーな国ですし、あまり認識されておらず
特に『水の国』の様な大都会の方々にとっては、取るに足らない小国であることも否めませんし


【言外に示すのは、水の国の存在であったなら、砂の国なんてすらすら出てこないんじゃないか、と】
【少女は長いまつげを透かして、不揃いの双眸で貴方を見つめる、獣人という事は分かったけれど】
【──、きっと貴方は水の国の存在じゃないんじゃないか、ってそんな疑問】


いえ、全然、そんな事ありません、私は買い出しの帰りでふらりと寄っただけです。
正確には夕方の準備まで時間があるので、どう時間を潰そうかと思った次第でして
そんな別に一人でいたいだとか、自分の時間が欲しいとかそんな、思春期の少年のような思いは全くなく

ただ不良の高校生が「かったりーから」って理由で、屋上にてぼーっとしてるのと同義です
そうしたなら、あら不思議。屋上にはいい年した獣人が今にもそのままフライハイしそうな状態で
────、哀れな不良は仕方なく、死ぬんじゃないですよ、なんて声をかけてみたのです


【ほんのりと棘の混じった言葉、どうですか? なんて小さくほほえんでみせる】
【けれどもそれは大きく表情を揺らすわけではなくて、怜悧な目元に変化はないけど】
【────、それでも確かに、楽しそうなニュアンスを孕んで】
326 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/05(火) 14:45:26.14 ID:sNLNB3Jq0
>>325

――――そうだな。全くお互い様だ……「昼に活動しない怠け者」「未だに動物的に生きてる非文明者」なんて……そんな事を言い合ってどうするのやら……
昼には昼の、夜には夜の……やるべき事がある。必要な事が、な……それを認める事が出来るかどうか、ま……視野の広さの一指針にはなるだろう……

【昼の仕事をしていれば、夜に寝るのは当たり前。夜の仕事をしていれば、昼に寝るのは当たり前――――その当たり前が、意外なほどに見過ごされるのだ】
【生活様式の違いでしかないはずのそれが――――「道理に従わずに生きる」とさげすまれ、かと思えば「当たり前じゃない世界を認めようとしない視野狭窄」と過剰な優越感に繋がる】
【そんな『常識』を思い出し、獣人は苦笑する――――そこのところを、どうやらこの少女は――――ややシニカルながらに、分かっているようだと】

どの国も……俺にとっては対して変わらんよ。逆に、俺の事は一目見れば分かるだろう……『魔海』の出身者など、そう簡単には見れないからな……
……いや、逆に「滅多に見れないから印象深い」などと言われるのか? ……まぁ、奇異の目で見られる事には、確かに慣れてしまったがな……
――――しかし、少数民族の出とは……そこまでは気づかなかったよ

【砂の国と言う語句は、割合あっさりと導き出せたが、少数民族である事までは、流石に分からなかったらしく、意外そうに獣人は振り返った】
【すっかりと熱も引いたパイプを腰へと差して、より興味深げにその少女を見つめる――――伝統的でフェルキッシュな衣装だとは思っていたが、そんな謂れがあったとは――――】
【その一方で、獣人については分かりやすいだろう――――人外の領域である『魔海』。あの広大な樹海から人間の世界へと出てきた変わり者。それで簡単に説明がつく】
【実際にその姿を見る事は稀だろうが――――何せ、人間の手の届かない、ブラックボックス的な領域だ。その事は、割合知られているものだろう】

……なんだ、時間つぶしと言うだけだったか。それは俺の取り越し苦労だったな……

【何か、人目を避ける悩みでも抱えていたのかと、言葉を向けてみた獣人だったが、ただの気まぐれだと返されて、肩をすくめて見せる】
【余計なお節介に意識を回してしまったかと、苦笑して見せたが――――】

――――ん……?
……っふ、っははははは……やれやれ、それこそ取り越し苦労と言うものだ。飛び降りるなら屋上からにでもするさ。こんなところで、最後の一服を楽しむ事もないだろうに……!

【――――少女の語る、やや突飛な言葉に。キョトンと獣人はその顔を見つめ――――やがて肩を揺らして笑って見せた】
【自分が声をかけた事を「取り越し苦労」と表現して見せたが、それこそ少女のその言葉も「取り越し苦労」と言うものだ、と】
【まぁ、恐らくは冗談なのだろうが――――その、ややキツいながらもアタリの良い冗談は、獣人の気に入ったらしい】
【――――なんとなく、確かにそんな所作に見えたかもしれないな、と言う自覚もまた、おかしさを感じさせたのだが――――】

……いや、実はな……色々と考える事が多くて、家に素直に帰り着く前に、少しばかり気分転換をしてみたかったんだよ……
――――人知れず、今の世界は結構な動乱の種を抱えている。それを垣間見た以上、どうするべきか、考えなければならない……とね……
未来を担う子供たちをそのままに、自分から命を絶つような、馬鹿な真似はしないさ……

【少しばかり、心情を吐露する。どうやらこの獣人――――夜の住人と言っていたのは伊達ではないようで、色々と抱えているものがあるらしい】
【その憂慮は、この世界を憂いて――――そして、この世界を生きる子供たちを憂いて、との事だが――――】
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/06/05(火) 14:58:36.29 ID:oESEyYpNo
>>326

【まず少女の出で立ちで目を見張るのが、胸の一部すらも露出して、下腹部まで大きく露出した格好】
【すらりと伸びた腹部のラインは彫刻の様に、僅かな乱れも無い神が作り出した曲線美】
【鮮やかな珈琲色の素肌は、健康的な色合いと共に、何処か扇情的な神秘さを浮かべて】


──まあ見慣れてますし、残念ですが私の職場では『魔海』の方がわんさかいらっしゃいますし
御存知ですか? 『Freak Fes』って言うんですけど、そこで普段私は給仕をしております
だから私は貴方様に奇異の目など向けません、私からすれば、見慣れた景色、なんですけど

……獣が混じっているからでしょうか、或いはそういう性質で『魔海』の常識が回っているのか
本当に私の常識からすれば、時間にルーズだったり、とことん適当だったり、といった方が多いのですが
挙げ句の果てに冬は冬眠、春は発情期、夏は熱射病で、秋も発情期──、気が休まる時がありません


【──『Freak Fes』と呼ばれる、人外だけの大衆食堂。貴方ならばうわさ話ぐらいは聞いたことがあろうか】
【そうして紡がれるのは、彼女と共に働く獣人達への文句、まあ本心から言っている訳ではないだろうが】
【ある意味、自由奔放に獣人が過ごせる場所とも言えた、悪い場所ではないのだろう】


────あら、なにやらお悩み事を抱えてらしたんですね、動物でもそんな風に悩むのですか
……すいません、少し言い過ぎた気がしないでもありません、今の聞かなかった事にしてくださいまし
ええ、そうです、馬鹿な真似です。命を自ら棄てるだなんて"ミルドラ様"がお怒りになります

動乱の種、ですか──それはまた、はぐらかした物言いです
少し興味がわいてきました、同じぐらいの興味を私に持って下さってるかは知りませんが
聞いてあげても良いですよ、自分で言うのも何ですが、こんな可憐な美少女に話を聞いて貰うのは

男冥利に尽きるのではありませんか? ────雄冥利、かもしれませんが


【青銀の髪を透かして、貴方にそっと視線を向ける。柔らかい頬が喋る度に揺れて】
【言葉尻は激しいものの、そこに浮かぶ彼女の形は、あどけない少女そのもの】
【長い睫は湖畔に伸ばした緩やかな指先に似て、風に靡いて瞳にさざ波を立てる】
328 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/05(火) 15:27:17.09 ID:sNLNB3Jq0
>>327

(……恐らく、ケチな売春婦の類とは、訳の違う格好なのだな。これが本当に踊りを念頭に置いた服装なら――――それは、奉納舞踊だろう……
 ……それが正解かは分からないが、少なくともそういう伝統に立脚した服装のはずだ……ただの露出過多とは、訳が違うはず……)

【――――年齢の故か、個人的な性質か、それとも種族の故か。獣人は少女に対して、興味深げな視線を向けながらも、そこに下卑た色はほとんど孕んでいなかった】
【確かに美しく、扇情的であるとは思うが――――それは、1つの分析としてそう見ているだけの話。興味は、別な方向に向いていた】
【環境にもよるが――――砂漠は、安易に肌を晒すのはタブーである。熱いのだから薄い服装で――――などと考えていると、すぐに肌は熱気に爛れ、砂に痛めつけられてしまう】
【こうした服装は、伝統的な雰囲気を感じる以上、合理性とは違った、精神性を象徴しているはずだ。そして、踊り子と言う印象を重ねると――――いわゆる巫女的な何かに結実する】

――――あぁ、そうか……確かに最近、流行の話題に聞くな『Freaks Fes』……まさか『魔海』の面々が集う場所が、そんなところにあったとはね……知らなかった。今度時間が取れたら、顔を出してみるべきだな……

【名前は彼も承知していたようだが、その内実――――『Freaks Fes』に、同郷の仲間たちが集っているという事は、流石に知らなかった】
【これは迂闊だったかもしれないと、獣人は考え込みながら頷く。そうした場所は、是非とも1度、自らの目と耳で確かめてみなければならないだろう】

――――なるほど……『魔海』の住人ともなれば、人間とは違って千差万別だ……俺でさえも、聞いた事もない様な連中が居て、それで何らおかしくないのが『魔海』だ……
それが一堂に会しているなら……そりゃ、そうもなるだろうな。俺はすっかりと人間の生活様式に慣れたが……そんな連中ばかりでもないだろう

【洒落のめした言葉である事は承知だが――――なんだか、その光景が浮かんでくるようで、獣人も思わず苦笑してしまう】
【人間なら人間でくくる事はできるが――――魔海の知性体たちは、とても1つのカテゴリーでくくり切れるものではない。それこそ昼型夜型の別などでは測り切れない】
【看板通りに、にぎやかな空間になっていそうだと――――そんな事を思いながら、彼は話を聞いていた】

ん……? ……まぁ良いさ。……その"ミルドラ様"と言うのは……?
――――随分と、自分に自信があるようだな……まぁ……触りぐらいなら話してやってもいいだろう……話の種ぐらいにはなるはずだ
……だが、その前に忠告はしておこう……生中な興味で、あまり深みにはまらん様にな? ……その先にあるのは、身の破滅だ……冗談ではなく、な

【一瞬、ややきつ過ぎる言葉が飛んだ。流石に獣人も顔を顰めるが――――すぐに自ら撤回した事を受けて、そこには何も言わないように努める】
【それよりも、少女の語る"ミルドラ様"と言う存在の方が気にかかった。"ミルドラ族"と名乗っていたが、何らかの信仰対象なのだろうか?】
【やや挑発的な言葉で、興味を向けてきた少女に、獣人は己の中、とりあえずのボーダーを検討し「話しても構わないだろう範囲」で、話してやる事にした】
【無論、冗談では済まないという脅し――――警告は、最初に挟みながら】

――――『魔能制限法』。君だって、名前くらいは知っているはずだな。そして特区『カミスシティ』……安全の約束された、未来のモデルシティだ……
だが――――アレは実は、よろしくない……裏に、とある陰謀が流れているという、その証拠を、掴まされたんだよ……
――――馬鹿みたいな話と思うだろう? 俺だって、自分の身にならなきゃそう思う……だが、どうやら笑ってばかりもいられないらしい……それで、色々と考えていたところだ

【まず、彼が口にするのは『魔能制限法』――――人の世界の、秩序の試金石。そこに悪意が織り込まれているという陰謀論】
【普段なら、罪のない笑い話で終わり、また真面目に受け取れば、正気を疑われるだろうが――――彼はそれを憂慮していた。無論、「何故」と問いかけても、それ以上は言わないのだろうが――――】

……同じく、この国で……なにやら怪異が、人間に対して牙をむいているという話も聞こえてきた――――何百人と、子供が行方不明になってるそうでな……
……そのバケモノと、戦う羽目になったよ……――――どこで、どんな奴と、とかは聞くなよ?

【そして、人とは離れたところからこの世界を襲う悪意――――それとも、彼は向き合い続けているらしい。これまた与太話と紙一重だ】
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/06/05(火) 15:40:04.64 ID:oESEyYpNo
>>328

【──、少女は獣人の視線に気付く。奇異の対象としてでも、色欲の対象としてでもなく】
【それは画家が裸婦を見る視線に似ていた。研究対象や、知的好奇心や、そういう分析に準じた】
【────そして、彼の推察は正しかった。砂漠の巫女、その表現がぴったりであった、が】


鼻の下が伸びていますよ、ふふ、獣人と言えど、欲望には勝てないんですか?


【なんて、分かった上でからかいの言葉を入れるぐらいには、悪戯心があるようで】


給仕の仕事も完璧にこなした上で、店の宣伝をこなす私は、なんて素晴らしい店員なのでしょう
思わず自画自賛が飛び出してしまう程には、私に対する賛辞があっても宜しいのでは?
ここは色男でしたら、ありがとう、君に会いにまた顔を出すよぐらい、言って欲しいものです

──、ミルドラ様は私達部族のかけがえのない神様です。私達の集落の側には大きな川があって
雨季はずっと、その川の側で生活するのです。──それ故に私達は、その川を神に見立てました
そして私達はその恵みに感謝し、歌を歌い、舞いを奉納するのですよ


【落ち着いた瀟洒な表情は変わらなくても、その頬に濡れる色合いは分かる】
【ほんの少しだけ綻んだ頬の形、そこに彩られた笑みの彩りは、確かに伝わる様に】
【柔らかい雰囲気が零れたなら、ひらり、と舞い散る桜の如く】


──、とんだ陰謀論が飛び出してきましたね。何を話すのだろうと思いきや
てっきり私は娘が自分の後に風呂に入るのをいやがるとか、一緒に洗濯されるのをいやがるとか
やだー! パパのパンツ獣の臭いする────とか、そういう悩みと思っていました

失礼、── まあ私からふった話ですし、お伽噺程度には信じますけど
そんなに悪いんですか、その法律、能力を制限したら皆様安心して暮らせるのでは?
それに化け物と戦うだなんて、寓話も良いところ──、眉唾物ですね


【続く言葉は半信半疑か、あまり好意的な返答ではない】
330 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/05(火) 16:08:49.05 ID:sNLNB3Jq0
>>329

……ん、そ、そうか? ――――なんてな。そんな事に一々鼻の下を伸ばしている様じゃ、俺の仕事は務まらんよ……だが、興味深いのは事実だな……

【――――恐らく、それが冗談の類である事に気づいたのだろう。獣人は、おどけるようにして自分の口元を手で押さえる】
【が、割合すぐに離して、肩をすくめながら苦笑して見せた。今のは、少女の揶揄いに付き合ってやったと言うべきだろうか】
【あまりやり過ぎると嫌味になる。だからこそ、すぐに態度を改めて――――、そうした格好の女性と言うのは、自分にとってそこまで珍しくはないと、平静に答えた】
【――――言ってしまえば異種族である彼が、果たして真剣に少女に欲情する事があるのかどうか――――それは定かではない】

……おっと、これはすまなかった。どうも俺はそういう振る舞いは、あまり上手ではないようでな……
まぁ、でも確かに興味は惹かれたよ。また会えるといいがな

【――――虚々実々の言葉の駆け引き。どうやら少女は自分相手にそれを楽しんでいるらしいと、獣人も見当はついた】
【だが――――そうした歯の浮くようなセリフとなると、彼はてんでダメな様で。少しばかり、ついていけなかったことに対する悔しさの様なものを、表情に浮かばせていた】
【それはそれとして、こうした機微に立脚する遊びは、どうやら彼も楽しんでいるようだが】

――――なるほどな。命の水……神の賜物であり、そして神そのものでもある、か……
では、君もその奉納者という事になるんだな。その為に、自分を仕立て上げている……そんな風に感じるが?

【砂漠が国土の大半を占める砂の国にあっては、水は特別な存在だ。確かに彼女の言葉も分かる】
【――――文明と言うのは、得てしてそうした水のそばで発展する。人類学の基本であるが、それは彼女たちも変わらないようだ】
【そして獣人は、少女の、先ほどからの視線の意味を乗せて、そう問いかけてみる。容姿や服装に、これだけ気を使っているのは、単なる美だけとも思い難い、と――――】

……そんな風に悩めれば、良かったのかもしれないがな。残念ながら、娘とはもう10年以上も顔を合わせていないんだ
恐らく、今はもう……『魔海』の中へと帰っていったのだろう。寂しくはあるが、それはもう、あいつの人生だ……

【日常の他愛ない悩み――――そんな風に例えられれば、彼もまた、何らかの冗談に乗せてごまかしながら否定もしたのだろうが】
【娘と言うキーワードが重なってくると――――流石にそういう訳にもいかなかった様だ。先ほどまでとは違い、やや自嘲気味に肩をすくめる】
【何らかの形で別れがあったのだろう。それも、恐らくは不本意な形で――――】

――――そんな君に、ピッタリの思考法というか、問いかけと言うか……良い言葉がある。「誰が見張りを見張るのか?」とな……
無論……法で禁じられたからそれで終わりという事ではない。それを守らせるための有形力がある――――が、分かるかな、この状況……
……これは要するに「異能とは別の力が、法を建前にして跋扈する」と言う事を意味するんだよ……ただでさえ、そこに「民衆の正義」とやらがくっついて、な……
そこに、人知れず悪意が一枚噛んでいけば――――ディストピア、偽りの形の、永遠の楽園が出来上がるだけだ

【いまいちその脅威を理解できていないらしい少女に、獣人は警句と説明を重ねる】
【これは、「暴力を、別な暴力が押し出しているに過ぎない」と。そして、それはどこから来たのか――――迂闊にも、人はそれを妄信しているのだと】
【そこに、何らかの危険を――――恐らく、かなり具体的に、獣人は掴んでいるのだろう】

……なら調べてみれば良いだろう。行方不明者の数――――ここ最近で、跳ね上がっているのが分かるはずだ。それだけ分かればいい……確かに、荒唐無稽な話で、俺もどう説明したものか、少し困惑するぐらいだ……
だが……神、神か……少しばかり、気になる事もない訳じゃない。ともあれ……この国は今、そんな爆弾を抱えているんだ……

【続く非人との戦いに関しては――――彼も、どう説明したものか、考えあぐねているのだろう。疑う相手に、どう信用させるか――――雲を掴むような話だ】
【一応言える事は、説明のつかない犠牲者が、これまで以上に大量に出ている事、それだけだ――――何か、仮説段階で悩む事もあるようではあるが――――】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/06/05(火) 16:20:24.31 ID:oESEyYpNo
>>330

【芝居がかった所作であった。奇妙なことに貴方のそれは彼女にとって嫌みには見えなかった】
【寧ろ洗練された動作は目に心地よく、流水が喉を下るように自然に受け入れられる】
【──、しばし目を細めた。目尻が擽る素肌の景色に、少しだけ懐かしむように】


無論です、私という存在はミルドラ様に仕える身──、それ故に美しく、気高く飾らねばなりません
衆生を誘惑するなどお手の物、まあミルドラ様に悪いですし、そこまで派手に遊んだりはしませんけど
けれども、悪い気はしません。──こうしたからかいにも表情を変える殿方は、とても可愛らしいです

特に貴方様のような壮年の異性をからかうのは格別です、どうせ小娘だと思ってるんでしょう?
……間違いはないですけど、時に少女を淑女として扱うのはエスコートに基本ですし──
────そうだったんですね、失礼しました。そこは短絡的だったと、反省します


【語る言葉には確かな自信と誇りがあった。気高い様子は無垢な白百合を思わせて】
【──、ならば『砂の国』を離れてこの場にいるのは何故か、貴方に疑問が飛来するかもしれない】
【疑問を残したまま、彼女は反省の意を示す。悪い物は、悪い、と】


──そんな、真夜中全てのスパイが歩き出すみたいな、そんな与太話に聞こえますけど
私も貴方様も知っての通り、異能とは多種多様な──、それこそお伽噺のような異能も沢山あります
その中で異能とは別の力が跋扈するとは、思えません。──、あ……だから


【制限するんだ、と彼女は気付いた様に声を漏らした。異能を制限することによって、抑圧されていた無能力者が立つ】
【民衆という括りで話すのであれば、彼らは圧倒的多数であり、それは暗にその躍進を示して】
【少し静かにするだろう、貴方の言葉を精査して】


────、行方不明者、ですね。昔から多いとは聞きますけど
それこど別な勢力が噛んでるのでは、それこそ、宗教団体とか──
332 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/05(火) 16:46:06.32 ID:sNLNB3Jq0
>>331

【こうした駆け引きの遊びは、程度を上手く考えなければならない――――物騒な話だが、ギャング同士の抗争も、そういうところがある】
【如何に相手を本気にさせない程度に牽制していくか。その感覚を、彼はここで生かしているのだろう】
【尤も、それがメンツやシマをかけて、などという事ではなく、純粋に遊びとして、楽しんでいるのだが――――】

やれやれ……なるほど手慣れていると思ったよ。自信を裏打ちするだけのものがある訳だな……恐らく、それだけの研鑽も積んで……まぁ、たまに遊ぶ事を悪いとはいわないが
だが、そうして尽力しているのは、見ていて気持ちのいいものだな。君には、それなりに厳しい道とは思うが……

【――――どうやら教義として、彼女の信奉するミルドラと言う神は、禁欲主義を是とする訳でもない様だ】
【ただ、それはそれとして、神に接する人間として、相応の努力を重ねてきたのだろう。そこには素直に頭の下がる思いだ】
【異性を誘惑する事を面白いと感じているという感性には――――今は、別に何も言う事はない。そこは彼女のやり方だ】

――――お見通し、か……すまんな。どうもこれは、そろそろ年寄りに近くなる人間の、悪癖と言うべきか……
然るべく、そうした事態があれば、俺ももちろん、1人の淑女として扱う事は間違いないが……こう、素の場面ではどうしてもな……まぁ、あまりおっさんを揶揄っても仕方があるまい?
……1人のレディとして、礼を尽くすのならば、それはそれでアリかもしれんがな

【どこか、『女』と言うより『娘』に近い目線で見ていたことを指摘され、彼も苦笑する。そこはもう、意識する事もない自然体なのだ】
【相手は、立派に自分の生活を、そして役目を果たしているのだから、一人前として扱われる条件をしっかりと満たしているというのに――――】
【もしかしたら、そんなところを彼女が揶揄うのは、色香に惑わされる男たちを揶揄うのとは、また別の趣があるのかもしれない】

いや……知らなかった事だろう。そこは構わない……――――まぁそれはともかく、君はなんでこの国に来たんだ?

【少女の踏み込み過ぎには、獣人は水に流す姿勢を見せる。これは事故の様なもので、仕方がないと彼自身、分かっていた】
【その代わりと言う訳ではないが――――彼は問いを返す。先ほど――――敢えて口にしなかったが――――神の前に奉納を行う、その役をしっかりとこなしているという少女が、なぜこの国にいるのか――――】
【恐らく、この一言の問いだけで、何を言わんとしているかは伝わるだろうと、あえて軽い一言で問いかけながら】

――――そういう事だ。そしてその後の世界に生き残るのは誰だと思う?
……そして、その地位を手にする人間が誰なのか、君は事前に予想できるか?
――――詳しくは話せないが、ただ世間の噂を追いかけているだけでも、この状況は決して安全でも何でもないのが分かるのさ。そして……そこに、俺はちょっと垣間見てしまった……

【少女の思考は、どうやら「この状況の歪さ」にたどり着いたようだ。そこに言葉を重ねる。決してこれは、ケチな本の種としての陰謀論ではないのだと】
【世界は、一定の方向に導かれている――――その先が谷底でないという保証は、何もない。そして男は――――それが確実に「谷底に繋がる」確信を、何らかの形で持っているのだ】

あぁ……昔から、異能もそうだし、そこらの悪意で消される人間も多い。元より統計として多いものだが……重要なのは変化量だ。更に跳ね上がっているという、な……
――――ッ、宗教団体? ……――――なるほど、そういう事か……確かに、少しそっちを重点的に洗ってみる必要がありそうだ――――ッ!

【そして、少女の言葉は獣人の背中を押す。とりとめのない思考に、光が差す――――宗教団体と言う言葉に、光明を見出した様だ】

――――助かった、これは礼を言わなければならない。……何か、望む事があったら教えてくれ。金一封でも差し出したいくらいなんだ……金が不要なら、何か……無いか?

【獣人は真っ直ぐに少女に相対して、ハッキリと頭を下げる。そして――――何らかの形で、謝礼がしたいと申し出た】
【それだけ、彼にとってその言葉は大事な示唆に富んでおり――――そして、そうした事に礼を尽くすのが、彼にとって大事な事なのだろう】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/06/05(火) 16:58:49.82 ID:oESEyYpNo
>>332

【追随する言の葉の欠片に、僅かばかりの曖昧を溶かして、呼吸音に似た吐息が漏れた】
【──、ほめられてしまった。予想外の反応だから、少しだけばつが悪そうに視線を逸らして】
【琥珀色のウィスキーに一滴こぼした赤い滴、湖畔に広がる紅潮の色】


……もっと褒めても良いですよ、なんて言ってみますけど──、嘘です、照れます
父親の様な年頃の男性に褒めて貰って照れるとは、私もまだまだ修行が足りません
何時の時も冷静に、瀟洒に、落ち着いた佇まいをすることが巫女の務め、ですし

────たまには甘えてもみたいんです。父の顔など、もう長く見ていませんから
ここは色々あった、と濁しておきましょう。放蕩娘じゃないので、そこはご心配なく
来たというか連れてこられたというか、そんな感じです、哀しい事情とかもないですけど

……この国の涼しさだけはどうしても、慣れませんけど


【男をからかう理由、その意味合いがはっきりと分かるだろうか、──それはつまり、ある種の裏返し】
【ファザコンとかそういう俗称で呼ばれるけれども、彼女にはそれが実感を伴って理解できて】
【軽い一言には軽い一言、其れを語るにはまだ時期尚早だと言わんばかりに】


……なるほど、それでいてもたってもいられない、と──、そういう所ですか
ですがお気をつけて、真実を垣間見た"コメディアン"は絶望しました、この世界を悪いジョークだと嘯いて
そうして彼は謀殺された。彼は何処までもリアリストで、悪いジョークを、冗談とは思えなかった、から

『Freak Fes』──でお待ちしております、ささやかな心の支えぐらいには、なってあげますよ
怪物と戦う際は気をつけなきゃいけないですけど、深淵も覗いてみれば、怪物は案外人懐っこいかもしれませんし
……おや、予想外に良い反応ですね、うーん、どうしましょう、そうですね、でしたら



────私のパパになってください。




【一歩踏み込んだなら貴方の側に、そっと寄り添う形になって、香しい香りが彼女の髪から漏れて】
【貴方の手をそっと取ったなら、自分のお腹の辺りに持って行こうとする。成功したなら、腹部に当てる】
【肌に吸い付くような肌の質感、柔らかい羽毛のように、包み込むような────】
334 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/05(火) 17:15:15.70 ID:sNLNB3Jq0
>>333

――――いや、安心したよ。可愛げ、なんていうと怒られるかもしれないが、そんな顔もできるんじゃないか……
君のような求道なら、少しはそんなところがあってもいいと思う……確かに、そうだな……

【彼女の『素』が垣間見えた。今までの、凛として少し容赦のない言葉で見せていた気高さや、機微に沿ってのゲーム思考とは別の、彼女の素顔】
【それを目にして、獣人は少し嬉しく思った――――そうして力を抜けるなら、良い事じゃないかと】
【そして――――だからこそ、異性を揶揄うのはともかく、そうした緩みは必要なのだと】

――――なるほど、な……

【吐露された人寂しさ、この国に来た理由。それらに対して、獣人はただ一言に思いを乗せて、ため息を吐いた】
【やはり――――神の前に立つ人間として日々を節制に生きていても、彼女は1人の人間だ。時に、表と裏との合間で疲れてしまう事もある】
【そして、この国に来た事は――――何か、重大な事と言う訳ではないが、今は話したくないという事】
【こればかりは、真意が分からない。隠そうとしているのか、或いはただ親密な相手にだけ告げたい、他愛ない事なのか――――そこは彼も、まだ判断するのは早いだろう】

……逆に、日中は暑いと感じるんじゃないか? 砂漠の民はそんな風に感じると、聞いた事がある

【――――砂漠の過酷な環境の1つは、もちろんその暑さだ。だが、それに関連して、昼夜の寒暖差と言うものも大きい】
【夜の砂漠は、極寒の世界でもあるのだ。恐らく彼女は、夜には違和感を禁じえないほどの『暑さ』を感じているのではないか、と】

――――そうだな。いや……まぁ、忠告として受け取ってはおくよ。これまで、こうした事は何度かあった……
時には、この目を失う事もあったし、逆に敵の目を潰した事もな――――ゆめゆめ、忘れないようにしよう……次は命かもしれない、とな……

【世界の裏側――――大げさではあるが、その表現は正確だ。そこを覗き込んだ人間は、もはや戦わずにはいられなくなってしまう】
【せめて自分は、自分であり続けなければならない。自信はあれど、過信は禁物だ。失うものかと笑顔を見せて】

――――え、お……おい、どうした……?

【次には、『freaks Fes』で会おう。そう強く頷いてみせたのだが――――続く少女の言葉に、そしてその所作に、獣人は面食らう】
【ただ、彼女の誘導するままにその手を伸ばして――――】
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/06/05(火) 17:26:37.82 ID:oESEyYpNo
>>334

【砂漠の夜の話になると、驚いた様に水面が揺れて、飛沫が声となって漏れ出てしまう】
【どうして分かるのだろうか、なんて彼女の垂れた目尻が伝える、それは異国の気候に悩む色】
【──、きっと、誰も分かってくれないから。夜が暑い何て言っても、嗤われる、から】


失礼しちゃいますね、私だって可愛らしい表情の一つや二つぐらい造作も無いです
普段はきちんと営業スマイルで皆様をおもてなししてますし、こう見えて好評なんですよ?
看板娘だなんて言われちゃってます、実際は大黒柱も兼任してるんですが

────、ああもう、何でもお見通しなんですね、少し拗ねちゃいます
その通りです、本当に……もう、ほんとにっ夜暑くって、下着一枚で寝るのも辛いぐらいです
それなのに皆分かってくれないんです、昨日は涼しかったなぁ、なんて、馬鹿みたい


【伸ばさせた手をそのままに両腕で抱きしめて、貴方へともたれかかるように体重をかけて】
【それはさながら掌からこぼれ落ちていく砂糖に似ていた、強く握っても尚、溶けていくような】
【蕾のような口元が憂いを帯びて、吐息の音に似た色合いが濡れた呟きをこぼす】


……望むことを、言ったまでです。嘘をつくの、そんなに好きじゃないので
──、私ってば、何を言ってるんでしょうね、自分でも良く、分からないです
でも、名前も知らない貴方様がそうであったなら、──と、思ってしまいます

そうであったなら、私も、ただの小娘として、生きていけたのでしょうか


【彼女の方がきっと、貴方より少しだけ身長が高いから、胸元に預ける事はできないけど】
【それでも、それでも──今だけは寄り添っていたかった】
【砂漠の夜は寒いから、こうして貴方の身のぬくもりを感じたいなんて、伝えるように】
336 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/05(火) 17:46:37.63 ID:sNLNB3Jq0
>>335

……なんだか、分かる気がするな。君なら……看板娘は訳ないだろう。神を相手にするより、ずっと……易しい話のはずだ
そういう意味では確かに……店を支える看板かもしれん……

【無論、それも彼女の冗談が含まれているのだろう――――段々と、彼女との会話のやり方が見えてきたように、獣人は感じていた】
【しかし――――神の前に奉納舞踊を行う事を考えれば、客あしらいなど片手間にしかならないはずだ。これだけの鍛錬を収めている――――外見だけでも、十分に分かる――――彼女なら、造作もないはずだ】
【なら、彼女がいなくなれば? ――――看板は、既に柱の1つと化しているのだ。その先に、果たして『Freaks Fes』の賑わいはあるか。それは――――分からない】

……体が、そういう状態になるのだろうな。俺も……森の瘴気を全く感じない人間界は、最初は慣れるのが大変だったよ……
――――多分、規模は違えど同じ事なんだろう。この国の人間も、砂の国に行けば――――夜の寒さに震える筈だ
そしてようやく分かるんだ。砂漠とは、ただの灼熱じゃないという事がな……

【適温という事を言えば、人間に際して言えば水の国の気候の方が適しているだろう】
【だが、それは砂の国の民が、特別頑健であるという意味ではない――――体のサイクルが、そう出来上がるのである】
【恐らく、水の国の人間を、2週間ほど砂の国で生活させれば――――「夜が暑くて耐えられない」と言う感覚は、ハッキリと理解されるはずだ】
【――――それこそ、昼と夜とを生きる人間の断絶の様に】

――――そうか。なるほど……そうだったな

【望む事――――父親の様な温もりに身を任せる事。今一度彼は思い出した。それが彼女の抱く寂しさに通じるのだと】
【なら、自分は、父親として振舞ってやるべきなのだろうか――――人に比べて小柄なこの身体では、様にならないだろうと苦笑しながら】

――――アーディン。アーディン=プラゴールだ……今はただ……目を閉じて、ゆっくりと心を落ち着ければいい……
……俺の庇護は、確かにここにあるだろう……?

【獣人――――アーディンは名を名乗り、そして――――少しばかりの無理をして――――少女の頭に左手を伸ばし、ポンポンと優しくタップする】
【彼女に足りないのは父性――――どうやら彼女自身、それを分かっているようで。なら、たとえ仮初でも、それを見せてやるべきなのだろう】
【バイオレットの毛並みは、抱きしめれば短いなりにふわふわとその身を包みこんで。そして頭に回された手は、優しく髪を撫ぜる】
【――――出来れば、もう1度娘にこうしてやりたかった――――そんな心の雑音を、静かに奥底へと葬り去りながら】
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2018/06/05(火) 17:55:21.45 ID:oESEyYpNo
>>336

【貴方の温もりに包まれながら、彼女はしばし、瞑目する──、まぶたの裏に映るのは果て無き景色】
【ホームシックだなんて曖昧な事は言いたくない、それでもきっと、此処にあるのは確かな寂しさ】
【──、漏れそうになる声を抑えた。そんな、弱い女だなんて思われたくないから】


────、ファラーシャ、ファラーシャ・ライーシュ・ファルカト=ムーシェキィヤ
ええ、確かに……アーディン様の温もりを、しっとりと感じます──
私が今よりずっと、ずっと子供の頃、怖い夢を見て、夜中に起きてしまった時

……父が、ううん──、パパがね、こうして一緒に眠ってくれたの
私は嬉しくて、でも、少し恥ずかしくて──、ありがとう、って、言えなくて……だから
────、ありがとう、そして……ごめんね


【仄かな液体の感触、頬を伝う涙は、貴方の身体に染み込むのだろうか】
【砂漠に咲いた一片の竜舌蘭、胡蝶が羽ばたくその跳ねに、染み込む柔らかな涙色】
【そうしてしばし、そのまま、そのままが────永遠に続けば良いと、思っていた】




【──────】



……すいません、少し、取り乱してしまって────
もう、こんな時間ですね、私ってば……長居しすぎてしまいました
それでは、私は、仕事に向かいます。色々と、お世話になって

────、ありがとうございます。アーディン様
それではまた、お店で、私はいつでも、お待ちしておりますよ


【どれくらいの時間そうしていただろうか、彼女は徐に貴方から離れて】
【向けるほほえみは最初と変わらない、落ち着いた瀟洒な色合い──】
【それでもその奥に柔らかさを残して、その場を去っていくだろう】


/こんな感じでしょうか、お疲れ様でした!
338 :アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/05(火) 18:05:26.17 ID:sNLNB3Jq0
>>337

(……こんな年の彼女でも、やはり人生には……後悔が、つきものだな……)
……ファラーシャ――――

【少女――――ファラーシャの言葉は、静かにアーディンの胸にしみていく】
【恐らく、その涙は懺悔なのだろう――――彼女は言えなかったその言葉を、ずっと胸の内に秘め続けていたに違いない】
【自分が、自分の娘に対して思いを残している様に――――彼女は父に対して、何かを残している――――その『父』が、生き別れか死に別れかは、分からないが】
【ただ、名前を呼ぶ。そして撫でてやる、体温を伝える――――その名を口にする事に、万感の思いを込めて。自分も同じものを持っているからこそ、伝わると信じて――――】



……俺なら、構いはしない。君の方は……少しばかりでも、気が晴れた様で良かったよ
逆に、今回は助かった……おかげで、少しばかり俺のやる事も見えてきたよ

【落ち着いたようで、ファラーシャは居住まいを正し、歩き始める。アーディンは、むしろ自分が礼を言いたいくらいだと口にして】
【――――当たるべき敵。見るべき真実。その方向性――――ファラーシャの言葉1つで、ぐっと遠くまで見通せた気がする】
【――――異世界の神が『虚構』なら、そこには信仰が必要だ。それを集めるために動き出す可能性は高い】
【それを教えてくれたのが――――ファラーシャのヒントだ】

あぁ、またな……また会おう……!

【こんな風に、父として振舞う事が、又あるのかどうかは分からないが、少なくともまた会う事だけは間違いないだろう】
【『魔海』の面々と会うというのも大事だ。そして、その素顔を垣間見たファラーシャと、再会する事も――――】
【いくつもの未来を見据えながら――――アーディンもまた、その場を去っていった】

/乙でしたー!
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/05(火) 21:12:52.97 ID:YqpjSvfP0

/>>266で再投下します!
340 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/06(水) 21:17:45.84 ID:TMfbRuii0



【 ── 篠突く雨が降っていた。】
【曇天に伸びる摩天楼の数々は、灰色に染まる街並みを道理のない輝きで照らし上げる。】
【だから街行く人々は天気予報に教えられた通り傘を差して、脚元が濡れようとも変わらぬ日常のルーチンを享受できていた。】



「 ── は、ッ」「は、ぁッ、 ………。」



【摩天楼の麓。誰も見ようとしない暗い路地裏から、生温かい吐息の溜まった雑踏に、ひとりの人影が這い出て来る。躄のような足取りで、壁に身体を寄せながら】
【背の高い女だった。月光射す新雪のような銀髪を、腰の辺りにまでたなびかせていた。そうして、それで顔の半分を覆っていた。】
【およそ血の通うように思えない白い膚をしていた。彫られたばかりの雪像のように端整な顔貌をしていた。】
【 ── けれどその視線は冷徹だった。切れ長の、微かに見開かれた青い片目は、澄み渡りながらも撃ち抜くような眼光を宿し】
【そしてまた彼女の左腕は、黒いコートの布地に包まれた左腕は、明らかにおかしな方向へ捻じ曲がり、折れているようだった。 ── 闇色の外套に、血が滲んでいた。】


「 ……手痛い、わね」


【文字通りの意味だった。這い出た雑踏の直近、── どこか何かの店先に、彼女は腰を落ち着けた。落ち着けざるを得なかった。】
【どうにもならぬと知っている筈なのに、彼女は捻転の部位に掌を当て、慰めるようにさすった。 ── 降り注ぐ雨が顔を濡らし、その膚地に髪を貼り付かせたけれど、彼女は瞬きひとつしなかった。】


/戦闘でも、雑談でも、なんでもござれです
341 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/06(水) 21:46:35.52 ID:DptwUl9Y0
>>340

――――――血の匂いだ。ククッ、此処まで匂ってきやがるぜ、馨しいカオリがよォ――――

【――――声がする。地の底を這うような、低い低い声色が】
【それは嗤っているようだった。傷付く貴女を嘲笑うかのように、喜色に満ちて】
【まるで獰猛な獣にも似て。ククク、とか言ってる、めっちゃ低い声で、……なんかすっごい頑張ってる声で】
【……そこまで考える余裕がまだ残っているなら、すぐわかる。作り声だ。それに気付いてしまえば、なんともアホらしい】

ククッ、いたぜいたぜ〜〜〜〜獲物がよォ……えっと、……いたぜェ〜。
クック、クク……フハハハハハッ! さあ喰らってやるぜぇ〜、えっと……いやなんか違うな、
もっとこう、なんかこう……なんかもっと怖くできると思うんだけどナ、なんだろ、……思いつかねぇー……

……あーっもうヤメだヤメ! めっちゃビビらせてやりたかったけどもうそーいうのナシ!
呼ばれてないけど――――じゃじゃじゃじゃーんっ、こんばんはっオネーサン!
どーした!? ケンカ!? めっちゃケガしてんじゃん、うわーっイタそーっ……

【「助けは、いる?」 ――――曲がり角の向こうから、間抜け面した男が顔を出した】
【ばあ、とか言いながら、顔のすぐ横で手をひらひらさせて。にこにこ、人懐こそうに笑うヤツだった】
【夜に融けるような褐色の肌、反して頭髪は明度の高い銀髪。ひょっこり出した頭はそれなりの高さの位置にある】

【そんな男が。この緊迫した事態を理解しているのか、……あるいは理解していて、あえてとぼけているのか】
【おそらくは後者。そういう調子で、貴女――アリアに、声をかけてきたのだ】
【身体はまだ曲がり角の向こう。すぐに近寄ろうとしないのを見る限り、それなりに警戒心というものは持ち合わせている、……多分】
342 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/06(水) 21:56:51.99 ID:TMfbRuii0
>>341

【向けられる害意に対して、彼女は ── アリアは、ひどく敏感な人間であった。】
【相手の声音を聞き分けるより先、反射的にまだ無事な右腕を動かし、】
【 ── 懐のホルスターに差した拳銃を引き抜く。聴覚素子のエコーが音源の位置を特定し、その吟味を待つより先、向ける銃口。だが。】


「 ──── 、 ……… 。」


【じとり、──剣呑な視線が見上げる。青い瞳。濡れそぼった銀髪が束になって、その先端から雫が滴る。】
【真一文字に結ばれた唇はどこか不機嫌そうでもあって、まるで迷惑がるように眉をひそめ、】
【けれどもゆっくりと右腕を下ろして、セフティをかけ直した。気の抜けた顔をした男の、少なくとも笑顔はまともであったから。】


「 …… 夜遊び?」「怪我するわよ。話しかける相手を選べるのは、賢いことだけれど。」


【はあ、と溜息を吐きつつ、 ── その声音は、雨よりもずっと冷たくて、然し澄み渡っていて、落ち着いていた。およそ、酷い手傷を負った人間の声ではなかった。】
343 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/06(水) 22:10:37.86 ID:DptwUl9Y0
>>342

アッ待って待って冗談、ジョーク! ほんの小粋なジョークだからさっ!
悪かったって〜マジマジほんとそう思ってっから、ネ? ……うんうん、よーし。

【銃口を向けられれば流石に慌てたように、両手を挙げて降参の意を示す、なんにもしてないけど】
【それからゆっくり銃が下ろされるのを見るや否や、それでいいんだぞ、みたいな、感心するみたいな】
【何故かやたらと得意げな顔をして、二回頷いた。そうしたらようやく、角から出てくる】

遊んでるの半分、オネーサンを心配してるのもう半分。マジでそう思ってるよ?
ね、ホントどーしたのそれ、腕折れてんじゃん! ぜってー痛ぇっしょ、ビョーイン行く?
それか……こんなところに居るくらいだから、「表」のビョーインには行けないヒト、だったり、

【そして大股で歩いて近づいてくるのだ。服装はいかにも夜遊び大好きとアピールするような若者めいて】
【きっちりした襟なんてついてない、ゆるいTシャツ。色褪せたジーンズはロールアップさせて踝を晒し】
【履いている靴は安っぽいスニーカー。擦り減ったゴムの底は、目立つ足音を立てない】
【そんな感じ。どこにでもいそうなチャラついた青年、だけど口にする言葉は、意外とそうでもなさそう】
【「表」――一般人が行くような施設に、行けない人種なのかと。そう問いかけようとするの、だが】

…………、……オネーサン身長いくつ? めっちゃでけえ。
わー、おれもケッコーでかい自信あったんだけど……もしかしておれより上?

【近付いて、遠近法が通用しなくなったら。目を丸くして――アリアの全身を眺めはじめるのだ】
【青年、慎重190センチとちょっと。それと並ぶ女性なんて見たことないって、言いたげな顔をする。――そんな場合じゃないのに!】
344 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/06(水) 22:28:27.66 ID:TMfbRuii0
>>343

「 ── ご親切にどうも。」「ずいぶん優しいのね。怪獣ごっこが下手なのも頷けるわ。」
「私から撃ち殺したりはしないから、安心なさい。人殺しの趣味はないの。」


【面倒臭いのに絡まれてしまった ── とでも言いたげな顔をして、俯いたまま、視線を合わせることもなく。けれど言葉を交わすのに、吝かではなさそうなのは】
【男の親しげな人柄ゆえだろうか。また、彼女は溜め息をついて。だが滔々と、結ばれた唇を解いて、 ── 細くも、どこか柔らかそうな光を宿した、口先。】


「痛くはないわ。左肩から先の感覚系は切ってあるから。」「血流も遮断してあるし、これ以上の失血もない。」
「 ── ご厚意はありがたいけれど。このフレームをメンテできる闇医者なんて、いるのかしら?」
「少なくとも、生体工学とサイバネティクス、それに義体の深層学習に造詣がない人間には弄らせたくないけれど。」


【暗号めいた返事を、少しばかり皮肉な笑いを浮かべて語る。 ── よく見れば、女の追っている傷は、左腕のそれだけではない】
【スラックスの右太腿には銃創らしき血の滲みがあるし、右手の指の爪は何枚か、何故か剥がれてしまっている。】
【その割に細々とした擦り傷や切り傷はなく、 ── そしてコートの下、ジャケットごとその下のシャツにまで、べっとりと返り血が、雨に滲んで。】
【服装も全く奇妙だった。この梅雨入りの初夏に、冬場に着込むようなコートと、ビジネススタイル。 ── ともあれ、ゆらり、徐に彼女は立ち上がり】
【確かにその背丈は男よりも僅かに高い。きっとそれは、細い身体の全てが── あるいは、殆ど生身ではないが故なのだろう。】


「 ── 196。それが、どうかした?」


【そうして彼女は、傷ついた右足を動かそうとして ── っ、と声を漏らし、膝をついて。】
345 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/06(水) 22:39:22.49 ID:DptwUl9Y0
>>344

そう、おれヤサシー好青年だからさあ、傷付いてるレディを放っておくよーなマネできねーの。
シュミはないけど銃はいっつも持ち歩いてんだ? へー、大変な「オシゴト」なんだネー。

【からかってるんだかそうじゃないんだか、微妙な境界線を綱渡りしながら男は言葉を続ける】
【そうしながら――アリアの傷をひとつひとつ観察して。このテの怪我ならどこの闇医者に持って行くのがいいだろう】
【思考しながら、真っ黄色――加熱した玉子みたいな色合いの目を、細めて。しかし次の瞬間には、丸くする】

感覚、切る、血液、遮断。……フレーム?
んん……えーっと、オネーサン、あれ? ロボとかそーいうヤツ?
じゃー残念だナー、そーいうのを治せる医者……じゃなくてメカニックになるの、こーいう場合。
それは知らないんだよナ。……ねえホントに痛くないの?

【かた、こと。ひとつひとつ慣れない言葉を使うように、ぎこちなく発音しながら】
【膝をつくアリアを追うようにしてしゃがみ込む。彼女よりもう少し低くなって、下から覗き込むように】
【そうしてしまえば数センチの身長差なんて関係なくなる、なら、元からなかった遠慮もさらになくなって、しまう】

……おれよりたかーい。女のヒトに身長負けたのはじめてよ。
ってゆーかそれはどーでもいいわな、ねえオネーサン。どー考えても大丈夫じゃないっしょ?

【「どっか行くアテある? それかここで出来る応急処置とかある?」 ……見捨てるという選択肢は、とうに潰えた】
【じーっと心配そうに覗き込んでくる黄色のたれ目。パーソナルスペースというものを一ミリも理解してなさそうな】
【他人を恐れようともしない仕草。それはなんだか――とびきり人懐こい大型犬にも似ていた、賢さはあんまり、なさそうだけど】
346 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/06(水) 22:56:20.64 ID:TMfbRuii0
>>345

【 ── 小馬鹿にされたのであれば威嚇射撃の一発でも撃ち込んでやろうかという所だったけれど、実際のところ、彼女は後ろ暗く】
【正確には後ろ暗い経歴を持つ人間だったから、 ── 黄色い両目の好奇心が、あまり憎めないようにも思えたから】
【ふン、と軽く外っ方を向けるのみに留めた。】


「全身義体よ。 ── サイボーグ、って言った方が、分かりやすいかしら?」
「単なる機械オタクでも駄目だし、いくら腕が良くても普通の医者じゃ治せないわ。」
「本当なら専属の義体医師にメンテを頼めるんだけれど ── ここは、"本部"から随分と遠そうだし」


【とはいえ視線を外しても、覗き込まれたのなら世話はない。溜め息を吐けば、微かに甘い香りがした、ような。】
【無遠慮であるのか無神経であるのか、それでも其れなりに心を許してしまえるのは、男の人徳の成せる技だろうか。】
【呆れたように、諦めたように、青い瞳が見つめ返す。 ── 深い色合いだった。けれどそれは、きっと、作り物。】


「 ……… 大丈夫でないというのは、そうかもしれないけれど」
「でも、そうね。……… 一応、自己再生(イモータル)機能はあるから、」
「十分な栄養素があれば、修復もできるかしら。」

「 ── 仕事詰めで、朝から何も口にしていないし」
「それに、この辺りには疎いの。どうしても面倒を見てくれるのなら、案内してくれる?」


【どうやら彼女は随分と高性能なサイボーグらしい。放っておけば、壊れたパーツも治るのだと、か。】
【飯でも、宿でも、何でもいいから、休めるのならそれでいい。──肩を貸せ。顎で指して、暗に示す。】
347 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/06(水) 23:12:23.59 ID:DptwUl9Y0
>>346

サイボーグ! 映画で聞いたコトあるヤツだ、へーっそうなの。
ロケットパンチとか撃てるヤツ? ……あ、それはロボ? どっちでもいーか、まあ。

【へらへら笑う。あんまりにも無遠慮、口にする言葉も似たようなモンなら、一発くらい殴ったってよかろうものだ】
【でも、まあ――悪意ありきでそうしてはいないって、なんとなくわかるだろうか。これがこの男の素であって】
【人によっては猛烈に嫌われる。そうでなくてもちょっとばかし距離を置いておくほうがよさそうな人種。面倒なことには変わりない】

【見つめ返されればにっこり笑んで。大丈夫じゃない、そう言われるのを心待ちにしてた、みたいな顔をして】

つまりメシってコト? おっけーおっけーそーいうのは任せなさい!
伊達に遊び人やってねーし、なんか喰いたいモンある? 和洋中、いろいろあるけど、あっ酒も飲む?
おれはオネーサンが飲むならいっしょに飲むよー、飲まなくても飲むかもだけど、あははは!

【さっと彼女の脇の下に手を滑り込ませる。肉付きはそれなり、けれどわりかし力持ち】
【……だけれど。サイボーグがどのくらいの重量感であるかどうかは、知らない】
【見たまんま、背の高い女性の体重をイメージして肩を貸そうとしたけど。それより重いのであったら――】
【――即、ぺしゃん、だ。一回がくんと膝を落として、それから吃驚したみたいな顔するだろうけど、さて】
348 :エーリカ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/06(水) 23:16:37.68 ID:muS0T0pW0
【サーペント・カルト本部施設 大広間にて】

【この大広間は主にサーペントと呼ばれる一般信者達が集う場所であり、公安からの潜入捜査官も紛れ込んでいた】
【公安からの刺客の名は、エーリカ=ファーレンハイト。公安5課所属の女性である】

【左前髪に黒のメッシュが入った金髪に、左耳に開けたトランプのマークを模した四つのピアスが特徴的な女性】
【その女性の右手の甲には信者の証である蛇のタトゥーが見て取れる。尤も、本当に彫った訳ではなくタトゥーシールなのだが】


(――…サーペント・カルト。噂以上に異質で、異様で、狂信者共の集まりね)


【サーペント・カルトへの潜入捜査を命じられたのは一週間前。エーリカの上司たる人物から命じられての事】
【公安の同僚である棕櫚曰く「人の理屈から離れてる奴等を相手にするのは最悪だ。貧乏くじを引いたな、キヒヒッ」】
【公安の上司たる人物曰く「サーペント・カルトは最早看過出来ない。このままでは国さえも食まれてしまう」】


(こんな連中を蔓延らせる訳にはいかない。コイツらの好き勝手にさせたらどれだけの悲劇が生み出されるか)
(だから――カルトの全貌を暴いてみせる。そして、こんなカルト集団壊滅させてやる…ッ!)


【この施設に居るのは九分九厘信者であろう。だが、エーリカは信者ではなく公安の潜入捜査官であり】
【故に、この大広間でこれから執り行われるであろう儀式やカルトの教義には熱心ではなく。寧ろ内心では嫌悪感さえ抱いていた】
【それに加えてエーリカが潜入捜査官としては未熟であった為、信者とエーリカの間にある温度差を感じ取るものがいるかもしれない】
349 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/06(水) 23:30:39.43 ID:TMfbRuii0
>>347

【「武器を仕込むような義体はみんな安物の粗悪品よ。覚えておくといいわ。」 ── 冗談のようで、真面目とも取れるような、女の口ぶりは、】
【忠言じみてもいて、それなりに男の身を案じてもいたのだろうか。あまり危ない橋ばかり渡っていると、手脚を捥ぐような痛い目に遭うぞ、と】
【お節介焼きな笑顔には鬱陶しそうな溜め息を吐くけれど、それでも嫌うような素振りを見せないのは、そういうことなのだろう。】

【そうして、男の提案があったのなら ── 存外にも、彼女は饒舌であり。】


「………、 中華が食べたいわ。」「青椒肉絲、麻婆豆腐、 小籠包に春巻、老酒と一緒に。」
「後はそうね、蘭州拉麺、興味があるかしら。」「久しく白米も口にしていないし。ああ、炒飯もあったわね?」
「八宝菜は中華料理だったかしら。なにか餡掛けのものも食べたい気分。あとは飲茶や、杏仁豆腐も、いいかも。」

「けれど生憎、任務に財布は持ってこない主義なの、 悪いけれど、── 。」

【 ── そう言いかけたのは、男が彼女を背負おうとしたのと、殆ど同じタイミングで。】
【FRPによる軽量化が幾らか施されたボディであるとは言え、頭蓋骨相当の脳殻は超硬質のチタン合金製、】
【骨格のフレームはタングステン合金で削り出された彼女の体躯は、ゆうに100kgを超える重量であって】
【膝を折って仕舞えば、彼女の重さが割合容赦なく、ずっしりと男にのしかかるだろう。 ── あるいは、背中に、柔らかで豊かな感触を感じつつも。】
【重ね着の上からでは判じ辛かったに違いないけれど、実際のところシャツの下の其の胸囲は、身長に負けず劣らずの豊満さであって ── 。】

【 ── 偶然にも視線が合えば、きっとアリアは、きょとんとした顔をして、男を見つめていて】
【そうして暫しの沈黙の後、 ── くす、と、小さく笑うだろう。血の通わないような冷たい顔貌を、ほんの少しだけ綻ばせて。】
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/06(水) 23:31:36.15 ID:YQEf+8Zfo
>>348

【──、その場には多くの信者達が屯していた。教義という名目でこれから演説が行われるのである】
【壇上には一人の男がいた。幹部"オフィウクス"が一人、ケバルライ──】
【白いシャツと黒い長髪の男は慣れた口調で、丁寧に蛇の教義を語っていく】



【────】



【一時間ほどして教義の時間が終わり、信者達は皆先程の話に感銘を受けた様子を見せていた】
【それを貴方は遠巻きに見ているのだろう。哲学的な話は西洋の古典哲学の焼き増しの様であり、目新しいものでは無い】
【教養が深い人間であれば、その源流をたどる事ができ、蛇の教義は各神話体系の寄せ集めの様に、と──】

【足音が響いて、貴女の側へと向かう。聞き慣れた声が漏れてきた】


ふむ、どうやら入って間もないサーバントの方かな。どうやらキミはまだ"ウヌクアルハイ様"の偉大さに気づいていない様だ
私はそれを否定するつもりも、責めるつもりもないよ。無知は恥ずべき事ではない、我々も原初は無知であったから
そういう人々を正しく導くのも私の役割の一つである、と今また確かに実感した所であるから

初めまして、教義を受けるのもこれが最初かな? 拙い喋りを長時間聞いて疲れただろう?
どうだい私と軽く話し合いでも、── この大広間を出て少し歩いた所に談話室がある
キミが感じた事、興味を持った事、或いは──、疑問に思った事を、聞かせて欲しいんだ

私の名はケバルライ、偉大なる神の心臓を頂きし者──


【彼は微笑む。整った顔たちの写す笑みはモデルの様に整っていて】
【それでいて一流の教師が如く、丁寧に生徒へと説明する様な口調で話したなら】
【貴方の背中にそっと手を伸ばす、もう片方の手を開いてエスコートする様に扉に向け歩き出すだろう】
351 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/06(水) 23:46:13.34 ID:DptwUl9Y0
>>349

【忠告とも警告ともとれるアリアの言葉、理解しているのかそうでないのか。たぶん後者】
【ぽかんとした顔をして、「……じゃあアニメとかに出てくるロボはみんな粗悪品?」】
【大真面目にそんなことを訊いてくるのだ。頭のよろしくなさを露呈させるように。つまりは、アホ】

中華、中華りょうかーい。辛いのとかスキ? おれはそんなに好きじゃないんだけどお、
……えっちょっと待ってめっちゃ喰うじゃん。待ってよ中華ってあんま安いトコねーんだよ?
へ、しかもおカネ持ってねーの!? 待って待って待っておれもオサイフそんなに上等じゃな、い、っ

【がっくーーーーーん。ものの見事に膝が地面と熱烈なキス。ぎゃ、って思いっきり、悲鳴をあげて】
【しばらくそのままで悶絶しているようだった。ファニーボーンは肘にあるものだけど、それに似た感覚】
【びりびりびりっと電流が、膝から脳まで駆け上ってくるような感覚。それと必死に戦っていたから】
【背中に押し付けられる、天国めいて幸せな感覚に喜ぶ余裕がなかった。かなしい。自業自得かもしれないけど】

――――――……あ゛ーーーーーーッッッで、いっっっでぇ……クッソ、そっかぁ、
オネーサンがニンゲンじゃねーの忘れてたっ……あ゛ァあ、ぐあーっクソッ……絶対青痣できたっ、
両ひざとも! 両ひざともでっけー青痣作るってナニ、だっせーっ、ヤンチャざかりのガキじゃあるまいしっ……

…………、……ヒトがいてーいてーって泣いてンのにぃ。オネーサン、そんな顔すんのずりーって!

【涙目。それをゆるっと上げれば目の前に、柔らかく笑むアリアの顔があって】
【男は拗ねたように唇を尖らせる。非難めいて言葉を口にするけど――ちょっとだけ、笑うのを堪えきれてない】

【数秒たっぷり、間をおいてから「よいしょ」の一声で立ち直る。わりと力持ち、それはニンゲンの尺度の話ではなく】
【ちゃんと手筈を整えれば、結構を越えるレベルの重さのモノも持てる、らしかった。ならば彼もまた、ヒトでなしの部類に入る】
【だろうけど――この場ではきっとどうでもいいことだろう。よろよろした足取りで街の灯の方へ向かっていく】
【行先は、なんだかんだ言っていたけどちゃんと中華のお店だった。ただしそんなに高級なところではない、彼の財布の精一杯レベル】
352 :エーリカ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/07(木) 00:05:02.67 ID:8y76P7uB0
>>350

【カルトの信者達を冷めた目で見ていれば、いつの間にか壇上には一人の男が立っていた】

【その男は、知恵無き者に啓蒙する様な口調で蛇の教義を説いていた】
【人間の言葉を用いている筈なのだ。だが、エーリカには男の演説が人間の言葉に聞こえなかった】


(――…ご丁寧に、こりゃどーも。って駄目だ駄目だ。ガチで無知な信者のフリをしなきゃ…)


【兎にも角にも、神妙な面持ち――の様な表情を作り周囲の信者達に同調するフリをする】
【信者達は皆、一様に感銘を受けているようであり、エーリカには受け入れがたい光景であった】


(――…あぁ、全く話が理解出来なかった。理解する気も無いけど)
(つーか、気色悪い。気色悪すぎる。宗教にドはまりする奴等特有の空気に酔いそうだ…)


【前もってカルトの悪評や悪行を調査していたのも相まって、信者達の生み出す異様な空気に顔を顰める】
【この空気に悪酔いして吐きそう。そう思った折に、壇上に立っていた男――ケバルライがエーリカへと歩み寄っていた】
【"やっば、早速バレたか…?"そんな懸念を抱くもおくびには出さず。ケバルライに対して無知な信者を装うのであった】


……そうっす。入信して間もないサーバントっす。なので教義を受けるのはこれが初めてっす。

加えて私は頭悪いんで。正直アンタが何言ってるかちっとも解んなかったし、"ウヌクアルハイ様"の偉大さもわかんないです。
だから、ケバルライさんが軽い話し合いの場を設けて私に"特別講義"をしてくださるってんなら大歓迎っす。


【カルトの信者でなければ、きっとモデルの様な佇まいにも、紳士然とした振る舞いにも好感が持てたであろう】
【だが現実は違う。背中に手を伸ばす男は危険なカルト集団の一員。幾多の信者を纏め、言葉で信者を操る危険人物】

【しかし、幹部クラスが声を掛けてきたのは僥倖か。故に、エーリカは言葉を慎重に選ぶのであった】
353 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/07(木) 00:11:31.52 ID:gM3YJ9+Z0
>>351

【やはり何処までも間の抜けた質問を寄越す青年に、アリアは呆れたような顔をしているのだけれど】
【 ── きっと、満更でもないのだろう。色々と。人柄であるとか、言葉であるとか、あるいはこうして過ごす時間の雰囲気が。】
【がくりと青年が膝をつくなら、彼女は少し驚いたように背中を握って、 ── そして悶える様子を見るなら、くすくすと楽しげに笑うのだ。】


「漢泣きなんて似合う顔じゃないわ。 ── ほら、泣くのはお止しなさい?」


【傲慢な言い振りのようで、その実すこしだけ申し訳なさそうな苦笑い。青い瞳は真っ直ぐに、アリアはそっと其の指先を、青年の目元に伸ばすだろう。いつのまにか雨は止んでいた。】
【慈しむように目元を拭うのは真っ白な指先。涙の熱でさえ解けてしまいそうな、儚くもしなやかで、そして絹地のような心地をしていて】
【目尻の柔らかな肉と重なれば、淑女のハンケチーフが撫ぜるような ── およそ、作り物の指先とは思えないくらい、"血が通って"いた。】
【 ── 顔を合わせれば、気付くかもしれない。青年の膂力が、きっと全うな人間のそれではないように。】
【半面を覆い隠す銀髪の隙間に、垣間見えるのは焼け爛れた皮膚の傷痕。そうしてまた、眼帯に似た精巧な義眼。】


「 ── そうね。」


「名前、聞いておこうかしら。」「私はアリア。アリア・ケーニギン=デァナハト。」
「借りは返す主義よ。歳下に奢らせるのなら、尚の事。」


【飯屋に向かう足取りの中、きっとアリアはそう尋ねるだろう。答えたのならば、それがどんな響きをしていても、「 ── いい名前ね」と返して】
【とは言え店に着けば彼女はきっちりと、食べたがっていた料理は全て注文し、上品な箸遣いながら米一粒残さず腹に収めてしまうだろうし】
【更にはきっと宿まで求めてきて、それでいて次の日の朝になれば、まるで初めからいなかったように、忽然と姿を消しているのだ。】
【 ── ただ。「ありがとう」と、流麗な書体で残された書き置きと、どこから調べたか青年の口座に振り込まれた、10倍返しの食事代を残して。】


/日付が変わるくらいまで ── と伺っていたので、すこし強引ですが、このような〆でいかがでしょうか?
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/07(木) 00:18:36.17 ID:Rvr8GcaUo
>>352

【ケバルライは貴女の言葉に静かに頷きながら歩き出す、エスコートは自然で、僅かばかりの強引さもない】
【しかしそれは川の流れに似て、立ち止まる事を許さないように、貴女を強制的に歩かせるだろう】
【無論拒否すれば阻害できる、けれども、沈黙は肯定であると言わんばかりに】


正直で宜しい、多くの信者はこの場合少しでも私に気に入られようと媚を売ります
曰く、素晴らしい教義であったと、感服した、と──、私はその言葉を聞く度に心を痛めます
彼らは本当に理解して私にそう言っているのか、と、そして或いは──、それで理解したと思っているのか、と

ウヌクアルハイ様の偉大さは大変深いのです、私程度が幾ら言葉を尽くしても尚理解には程遠い
況や僅か一時間程度の教義で何がわかるのでしょうか、何言ってるかちっとも分かんなかった
──、素晴らしい、その通りです。その反応こそが正しく教義を知る模範的な反応なのですから

それでは産婆術で行くとしましょう、貴女のお名前は──?
こちらにはどの様な経緯で? サーバント達の勧誘か、或いはもっと別の理由か
──そして貴女自身は、ウヌクアルハイ様が存在すると、信じていますか?


【大広間を抜け長い廊下を歩いていく、二人の足音と、声しか響かない空間であった】
【定期的に置かれている照明は高速道路のランプに似て、等間隔の呼吸に似ていた】
355 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/07(木) 00:24:19.23 ID:22BHjszQ0
>>353

だ、れのせーで泣いてると思ってんの、……あー。
もーっそーいうのヤメてよお、恥ずかしいじゃん、おれこー見えてもアラサーよ?

【童顔だけど。雰囲気、サボりまくりのダブリまくりな大学生にしか感じられないけど】
【それでもアラウンド・サーティであるらしい。真っ赤な嘘かもしれないけど、とりあえずはそう主張して】
【触れられた指先の柔らかさに目を細めた。……実はサイボーグってのウソなんじゃないかな、と思わせるくらいに】
【心地良かった。けれど、確かに感じる重量がそれを否定する。――まあそんなこと、どうだっていい、って思っていた】

【似たような色合いの髪、その向こうに見える治らない傷痕。併せて、今負っている傷のことを考えれば】
【彼女がどんな「オシゴト」をしているか、アホの彼でもなんとなくわかった。ならば自分にできることはただひとつ】
【その苛烈なオシゴトの、息抜きをさせてやる。精一杯。死ぬほど力を抜かせてやる、内心そう決意して】

……アリア。アリ、……あーちゃ、……違うな。あーりん。あーりん! ヨロシクねー。
おれ? おれはねえ……「オムレツ」って呼んでよ。卵色の瞳の、オムレツくん。

【名前、教えられて。妙ちきりんな綽名をつけた。拒否されても未練がましく使い続けるだろうが、マジギレされたらたぶん、やめる】
【それから自分のそれを訊ねられれば――これまた妙な、おおよそ人名とは思えない単語を伝えるのだ】
【十中、百くらいの勢いで偽名。それでも褒められるんだから、「そんなこと言われたのハジメテ」って、笑って】

【――――次の日の朝。すっからかんの財布を携えて、とぼとぼ一人で宿から出ていくんだけど】
【きれいな文字で書かれたメモだけは大切に持っていた。半分、さらにもう半分追って、中身のない財布に仕舞って】
【歩いてどこかへ帰っていく。その両ひざにはでっかい青痣、――――名誉の負傷。そういうことに、しておいた】


//お言葉に甘えてここらへんで! お付き合いいただきありがとうございましたっ
356 :エーリカ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/07(木) 00:53:12.70 ID:8y76P7uB0
>>354

【ケバルライの緩やかな強制(エスコート)。それに従っていくと次第に人気が無くなり】
【世界に二人しか居ないような錯覚に陥る。二つしかない足音と声もソレを強調していた】
【尤も。ケバルライのエスコートに逆らう理由は無かったから、成すがままに二人だけの世界へと足を進める】


まあ、アレだよ。知ったかぶりってのは仕方ないよね。けど私はそれで痛い目に遭ってるからさ。
人が何と思おうとも知った事じゃない。重要なのは、"知るべき事を正しく知る事"だからねー。

だから、私は解らない事には解らないって言うよ。私が理解出来るまで何度でも聞く事にしてる。
見解の相違、認識の食い違い、齟齬が生じにくいだろうし。何よりアンタもその方が良いだろうしね。


【そう、潜入捜査官のエーリカにとって重要なのはサーペント・カルトを"正しく知る事"】
【カルトを構成する人員の規模、カルトの本拠地、カルトの最終目的――すべてを把握し持ち帰る事】
【そして公安ひいては国家の力を投入してカルトの壊滅させる事こそがエーリカにとっての最終目的だから】


名前はエイリス。エイリス=カーマイン。水の国生まれのその日暮しのフリーターっす。

サーペント・カルトに入信したキッカケはサーバントの人たちによる勧誘っスね。
そりゃあもう熱心に勧誘するモンですから、話くらいは聞いてやろうって思ってたら。
あれよあれよの内に入信しちゃってねー。いわば成り行きってヤツかな。もしかしたら縁があったのかも。

あと、ウヌクアルハイ様を信じるかって?――今現在は何とも言えないかなー。
だってアンタ達はウヌクアルハイ様が居るという確信と根拠があるんだろうけど。
私はその確信と根拠が無いから何とも言えない。けど、存在しないとは言ってないから其処は信じて欲しいかな。


【エーリカの軽やかに語る言葉は全てが嘘。エイリスという名も、サーバントに勧誘されたと言うのも嘘、嘘、嘘だらけ。

【事の真実は、公安5課がサーペント・カルトの存在を危険視していたからであり】
【公安5課がサーバントの一人を捕獲した上で、カルトに関する全てを洗い浚い吐かせたから】
【そんな経緯があって、エーリカはサーバントとして潜入捜査が行えているのである】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/07(木) 01:04:08.01 ID:Rvr8GcaUo
>>356

【彼の印象は結婚式場に居る牧師そのものであった。神聖なハレの日に於いて、幸せの絶頂を彩る】
【貴女の言葉に恭しく頷いてみる様子など慣れたもので、何処までも落ち着いた雰囲気を残していた】


その通りです、素直であること。特に自分に対して素直であることがウヌクアルハイ様の教えの一つです。
つまり貴方は、──既に一つウヌクアルハイ様の教えを実行しているのですよ、自分の無知に対して素直であること。
そしてこれは何処までも広がっていきます、或いは欲望に素直という形で世界の理と衝突することもあるでしょう。

ウヌクアルハイ様はそれすらも肯定致します。私達が持つ欲望、それ単体は卑しきものであると思われがちですが
しかし、欲望こそが我々の生きる最も強い原動力になるのです。これを肯定する事にウヌクアルハイ様の寛大さと
そして我々人間に対する深い理解が伺えるのです、貴方はそのままで、宜しいのです


【角を曲がる。──同じような廊下がまた、ずっと伸びている】
【大きな施設であった。調度品も少なく、清潔感を保った室内】


私はケバルライと言います。エイリス──、そう貴方も導かれて此処に来たのですね
私達の中でその様に勧誘されて訪れた人々は少なくありません、家族ぐるみの信者と比べて、どうしても無垢である、と
つまり、ウヌクアルハイ様に対して不信感を抱いておられる方が、多い印象を受けます

──そうですね、確信と根拠は大切です。きっとエイリス、貴方はウヌクアルハイ様が見えないから信じられないのでしょう。



では貴方は目に見えない空気の存在を否定しますか? 或いは目に見えない時間の流れを信用しませんか?
我々の生きているこの大地が球体であるということをどうして信じているのですか? 空の果てには本当に宇宙があるのですか?
貴方は今までも今も、そしてこれからも、目に見えていないものを信じている、それは即ち信仰と何が違うのでしょう



与えられた知識を盲目的に信じることを信仰と呼ぶのなら、私たちの生活は既に信仰に囚われています
今までの生活の中で、奇跡を感じたことはありませんか? まるで何かの意志に導かれる様な体験をしたことは?
──、それがたんなる偶然だと、決め付けてしまうことは、信仰に対する裏切りなのでは、ありませんか?
358 :エーリカ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/07(木) 01:42:40.32 ID:8y76P7uB0
>>357
//すいません。凍結をお願いしても宜しいですか?
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/07(木) 01:43:39.48 ID:Rvr8GcaUo
>>358
/はーいっ了解です! また置きの方で続きしましょう!
360 :エーリカ ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/07(木) 01:45:23.38 ID:8y76P7uB0
>>359
/置きレス移行了解です。今日は遅くまで絡んでいただきありがとうございます
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/07(木) 21:28:31.94 ID:OJOocUiq0
【路地裏――――】
【生ぬるい温度が満ちていた、高めの湿度のおおもとはなんだったんだろうかって思わず考えてしまうぐらいに、湿っぽい、空気が】
【ならそれはきっと誰かの涙や血なんじゃないかって思わせる、凄惨な場所。――光景、ではなくて。路地裏という場所そのものが抱く、絶望】

――――――っ、は、はっ、

【――そこに小さな呼吸音が混じりこんでいた。荒く乱れた短い呼吸であったならばどこか犬のようでもあって、なら、逃げ出した犬かと思わせる一瞬は】
【けれど誰かが覗き込んだならば、それは間違いなく人間である、と、伝えるのだろう。――人間だった、それも、きっと、少女だった。薄汚い地面に膝をついて】
【これも薄汚い壁に手と額をこすりつけるみたいに――間違いなく立った姿勢からそうやってずり落ちて来たんだろうと思わせる姿勢で、まだ辛うじて縦になっている様相】

つ――ぁ、――、く、そ、……――こんなこと、してる、場合じゃぁ……、え゛ほ、
――もっと、もっと、

【もっと、――と呟いた声が、途中でつぶれた。水っぽい湿り気を帯びた咳が言葉を遮って、けれど、嘔吐するほどでもなく、代わりに粘こい唾液を一筋垂らすだけ】
【出来の悪い酔っ払いみたいでもあった。けれど顔は整えられたように真っ青で――というよりもむしろ蒼褪めて。酒の臭いもしないなら、代わりに、少女らしい香りを纏う】
【ならば悪い薬(ヤク)でも決めているような様子にも見えたかもしれない。――ざり、と、汚い壁を髪の毛ごと頭で擦る、ぐしゃっと乱れた髪は、けれど、見ようによっては美しく】

【――色の薄い、透き通るようなウィステリア色のロングヘアだった、とろとろ艶めくような質感なら、よく手入れされているのを伺わせて】
【真っ白な肌は今では蒼褪めて余計に白くって。それならば、瞳の、鮮やかすぎるほどに鮮やかなマゼンタ色がよく映える。苦し気に地面を睨みつけたなら】
【薄く透ける白のカットソーだった、中のインナーを透かして見せて、それから膝より少しだけ短い丈のスカートも色合いの薄いもの、真っ白な素足を見せつけるように】
【かかとの低いサンダルから覗く爪先は路地裏の汚らしい泥をひっかいてしまったのか淀んだ茶色をまぶして。――少女だった、まだ、十七ほどだろうか】
【どこか大人びた雰囲気で、だけど、ようく見たなら、これは大人ではないって、思わせるような――、左手には、片っ方だけのロンググローブを、付けていたなら】

――――――――、

【その指先が汚い壁をずりずり擦って、最後に、とすん、と、地面に落ちるのだろう、気づけば壁に触れるのは手でも頭でもない、肩、或いは脇腹とかになって】
【――もしも誰かが訪れたなら、わりに見た目の整った少女が倒れこんでいる……なんて状況だった。ただ意識はあるようで、マゼンタの瞳はぼうと開けられたままだったけど】

【――――――その口元がかすかに動いていた。まるで助けを乞うみたいに、誰かの名前、繰り返して呼んでいるらしいと――気づく、だろうか?】

/よやくのやつですっ
362 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/07(木) 21:49:14.44 ID:gM3YJ9+Z0
>>361


【初夏に向かう街の生ぬるい大気は、きっと人々の口から漏れた嘆息であろう。それは街並みの底へと淀んで、溜まって、じっとりとした流動を作る。】
【だから諦観と絶望に似ていた。季節が変わることがどうしようもないように、吹き溜まった穢れもまた、どうしようもないから。】
【 ── そんな街並みの中にあって、決して汚れやしないものも、世界にはあるのだろうけれど。】

【路地裏に踏み入る人影があった。わずかに曲がった道無き道の向こう側から伸びる影は、やたらに長い。】
【姿を現したのならそれは女である。遠い表通りの明かりを後光に浴びて、煌々と輝く長い白銀の髪。氷像に似た、端整なれど血の通わない顔立ち。】
【シャツ一枚でも汗の不快な人混みの温度が彼方から流れてくるというのに、脛まで届くロングコートにスラックス、肌の露出なんて殆どなくて】
【なのに汗一筋流していなかった。 ── そうして、顔と指先だけ、微かに露わになった肌は、雪のように白い。】

【青い隻眼に、倒れこむ少女の姿が映る。薄い藤色の髪。薄汚れた裏通りを歩くには、余りに鮮明な色彩をした"からだ"。】
【けれど吹き溜まった大気の中で、それは少しずつ淀み行くようでもあって、 ── その側に歩み寄り、そっと膝をつき】


「 ── 生きてる?」


【不躾な第一声は、けれどひどく澄んでいた。死んでいても生きていても、どうだってよさそうだった。】
【手持ち無沙汰に彼女は、少女の首筋へと手を伸ばして、脈を測る。 ── その口元から垂れた涎が届いていた。】
【ろくでもない薬に酔って人様に迷惑をかけるような跳ねっ返りの小娘に、かけてやる情もない。 ── 一瞬、女はそうも思った、けれど】


「 ……… ガラでもないわね。我ながら。」


【はぁ、と溜息をつく。独りごちて、「立てる?」と聞くけれど、返事はないだろうか。ただ妙な囁きは、応酬系の異常から来るものだろうと】
【 ── まったく軽々と、女は少女を背に負うだろう。ひどく高い背丈の後ろ、腰まで伸びる銀髪で、その身体を包み込みながら】
【向かうのは彼女のセーフハウス。扱いはきっと丁寧なもの。 ── もしもそこで眼を覚ますなら、柔らかいベッド、清潔な白いシーツの上に、少女は意識を取り戻す、だろうか。】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/07(木) 22:03:23.45 ID:OJOocUiq0
>>362

【――――ひどくぼうとした目は、けれど、相手を捉えていた。それに相手は気づくだろうか、マゼンタの瞳は、ただ、ただ、開け放たれただけに見えて】
【それでもきちんと相手の行動を追いかけていた――ならば、生きている。生きている以上に、ある程度、冷静でいるらしいとも知れて。ただ、身体の方が付いていかない】
【ただ、一つ確実であったのは。相手のことを認識したときに、彼女はまるで病気に侵された結果のような譫言を止めていた。なら、誰を呼んでいたのかももう分からなくって】

【――立てるか、と、聞かれて、やはり返事はなかった。しいて言えば、本当にわずか、身じろぎよりも小さく、首を横に振ったようにも見えたけど】
【言葉が出ない代わりに震えるような吐息を漏らす、――ならば何を言ったのかも分からなかった。嫌がったのか、喜んでいるのか、それさえも、分からないなら】
【あんまりにあっさりと彼女は負ぶわれるのだろう。そしてそこからいくらも先の時間軸、気づけば閉じていた眼がゆるりと開くのは、きっと、一時間とか、それくらい後のこと】

――――――――――――……、 あ、

【その時に相手は近くに居るだろうか。それなら、彼女がぽつんと漏らした小さな声に気づくだろう、どこか冷たいような、だのに甘いような、特徴的な声】
【続いて聞こえるのは布同士が擦れ合う音――着た服がそのままでも、或いは処置のために着替えさせられたのだとしても。とにかく、ぞろりとこすれ合う音がして】
【ぼうっとした目が瞬くなら、今がどこで何がいつなのかもきっと分かっていない視線、ゆるり、そろり、と、室内にめぐるのだろう。――まだ、曖昧な意識だけれど】

【――もとより"特別に"ひどいものでも、きっとなかったのだろう。少なくとも死ぬような状況ではなかった。だからこそ、相手も、きっと病院へ担ぎ込まなかったのだろうから】

――――、っ、え、どこ、……? ――――くそっ、一人は、残しておくんだった――っ、つ、
迎えを……、うあっ、!

【そんな彼女は思ったよりも早く動き出す。重たい身体をなんとか引きずるように寝返りして、そのまま、腕で支えて、身体を起こそうとするなら】
【長い髪がぞろりと付き従って布同士とは違う音で鳴く、――だけれど起き上がれずに、がくんっ、と。またベッドに倒れこむのだ、――ぼふん、って音がして】
【ほんの数十秒前まで気絶していた人間にしては割と賑やかな方かもしれなかった。――――ああ、ところで、一つだけ。これはきっと、必要なことだから】

【――――もし相手が彼女の服を着替えさせたりしていたなら。その時に、左手だけのドレスグローブを、脱がせてしまっていたなら】
【その時にきっと相手は見るだろう、あんまりに鮮やかな刺青――指を揃えて伸ばしたなら、本当に生きているかのように錯覚しそうなほどに精巧な、"蛇の入れ墨"】

【けど。その手袋さえ外さなければ。特筆すべきことは、きっと、あんまりなかった。――しいて言えば、下手な男に見つかってたら、今頃大変なことにされてただろうな、くらい】
364 :アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/07(木) 22:23:55.96 ID:gM3YJ9+Z0
>>363

【 ── 自分の動きを追いかける視線に、女は気付いていた。仕事柄、"死んだふり"を見極める癖は、自然と身についていた。】
【妙な女の子。そう思いもした。朦朧とした囁きは、いつのまにか止んでいて。だから、気に留めもしなかった。】
【背中に感じる、肺腑ごと震える呼吸が止まらなければ、それでよかった。死にはしないだろうとも、踏んでいたし】
【もし死んでしまったら所轄の検死に回すしかない。それは面倒だったし、"本部"の医療施設に回すのも癪に触った。】


【 ── 目を開ければ、そこはダブルベッドの上。窓際に配されたベッドに、静かなる月明かりが差し込む。どうやら都市の郊外、何処かの高層マンションの一室。】
【淀んだ街の空気に浸った少女にとっては、よい空気を吸えるだろうか。背格好は凡そそのまま。ただ汚れた身体の幾らかは、軽く拭き取られているようで】
【女はあくまでも女であった。およそ女らしくない経歴を持つ女だったけれど、それでも最低限のデリカシィというものは、携えているつもりだった。】


「── あら、お目覚め?」「ずいぶん早いわね。朝まで起きず終いかと思ったけれど。」
「"クスリ"なら、まだ抜けないでしょうし。」「じっとしてなさい。それとも、誰かと待ち合わせていたのかしら?」


【起き上がり、またベッドに倒れこむ、ぽすりという物音。愛らしくも掠れてしまった声。それを聞いたか、女の声がする。氷のように澄み渡って、冷たく聞こえる声音。】
【リビングの向こう側、細々としたインテリアの並んだガラステーブル。そこにチェス盤と、ロックのコニャックが置かれ】
【片手に持った本に視線を落としていた女は、顔を上げる。物憂げで、けれど端整な顔立ち。月光のみを頼みにした棋譜並べ。ブランデーの甘く灼けるような香り。】


「ま。言えば、連絡つけといてあげるから。」「取り敢えず、これでも飲むといいわ。"飲み合わせ"が悪くて、ジンマシン出ても知らないけど。」


【溜め息を漏らしつつ、テーブルの上に置いてあったもう一つのグラス ── 氷の入ったカフェオレを、背の高い彼女は手に取り】
【ベッドサイドのテーブルに置くだろう。「こぼさないでね。」そう、釘を刺して。】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/07(木) 22:45:04.28 ID:OJOocUiq0
>>364

【――――ぼすん、と、ベッドに倒れこんで。顔をしっかりと真っ白いシーツに沈めこんだ少女は、その場で、少しの間、思案する】
【まずここがどこであるのかということ。こうして生きているなら、敵勢力に見つかったわけではないらしい、ということ。少なくとも、警察ではない】
【それから――下卑た男たちに持ち帰られたわけでもない、ということ。処女性などもはや摩耗しつくしたし、"それ"だけなら、全く問題はないのだけれど】

【――それなら。本当にありふれた善人に拾われたのか、と、導き出して。けれどそれが本当かも分からないなら、気は抜ききらないようにして】

クスリ……? ……クスリは、しませんよ。嫌いじゃ、ないですけど――、待ち合わせも、べつに……。

【相手が見るのはそんなときだろうか、ベッドに完全にうずもれるみたいになりながら、顔だけ少し傾げて、相手の方を見やる】
【まだ消耗している目をしていたけれど、さっきまでに比べればずっと良さそうだった。――声は多少朧気だが、相手の言葉を理解して、適切な言葉を返してくるから】
【頭の方も割と生きているらしい、と、分からせる。――ただ、クスリではないと真っ先に否定したのが妙だったかもしれない、なら、どうしてあんなに、と】

連絡も……要らないです、私が自分で、しますから、……――、……水はないんですか。
酒でないだけ、マシですけど……。……私、割と下戸なんです。

【小さな吐息はため息に似ていたかもしれない。それからもぞりと視線を動かせば、氷入りのカフェオレを捉える、起き抜けに飲むには少し適さない気がして】
【軽く文句まで付けてくるからよっぽど元気らしかった――酒の匂いを嗅ぎつけていたのかもしれない、ならばどうでもいい情報一つ、小さく呻いて、身体を起こせば】
【文句を言ったくせにカフェオレに口を付けるのだろう。といっても寝転んだままだから、そうたくさんは一度に飲めなくて。――口の中を潤す程度に、飲むのだろう】
【それから小さめの氷を一つ口に含む。そうしたならベッドサイドのテーブルにコップを戻して、数十秒ほど黙るだろう、――カリ、と、氷を噛み砕く音がしたなら】

…………それで、あなたは、誰ですか?

【――――それでやっと少女は核心に触れる。けれど、もしもこれで、望まぬ答えであったなら、"よくない"】
【それが分かっているからこそ、声はあるいは必要以上と思えるほどに真剣で、向ける瞳も、褪めきって】
366 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/07(木) 23:06:59.90 ID:gM3YJ9+Z0
>>365

【対して女は、あまり深く詮索しようとも思っていなかった。様子からして、あまり真っ当な素性とも暮らしとも縁がないと、それを問われて快い者などいないと。】
【正義感は人並みに持ち合わせていたから、きっと少女の素性を知っていたのなら、少なくともこうして家に招き入れることはしなかった、だろうし。】
【 ── ともすれば、撃ち殺してさえいただろう。腰に提げた黒革のホルスターと、そこに収まった二丁の拳銃。】


「 ── まあ、そう言うなら、信じるけれど。」「若気の至りは怖いもの、よ。」
「お口に合わない? てっきり二日酔いか何かかと思ってたわ。」


【やはり見た目よりかは跳ねっ返りであると、女はそう思った。ベッド近くの椅子に腰掛けて、「何だったらシャワーも使えばいいわ」と。】
【いちいち忠言じみているかもしれない。彼女の気質はきっと、"おまわりさん"に近いのだろう。それにしては、随分とぶっきらぼうだけれど。】
【ともかく感情の薄そうな横顔だった。冷たい顔立ちは月明かりに照らされ、余計に冷たく見えた。 ── コニャックのグラスを手に取り、くい、と舐めるように。】
【 ── 褪めた目線、褪めた言葉。同じくらい、冷たい青い目線と、冷たい声音の言葉で返し、けれどしっとりと濡れて瑞々しい唇から、静かに語った。】


「ただのお節介焼き。気まぐれよ。」「貴女に話して苛立たれるような連中の仲間じゃないわ。」
「安心なさい。取って食うつもりもないし、警察に突き出すつもりもないから。」


【嘘をついていた。けれどその作り物のような横顔は、恐ろしいくらい微動だにしないポーカーフェイスでもあった。】
【きっとその帰属する所は、少女とは相容れないものであって。薄々そう勘付いていながらも、女がこんな真似をしているのは、 ── きっと、彼女自身にも、分からない。】
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/07(木) 23:23:35.44 ID:OJOocUiq0
>>366

【口に含んだ氷の砕けていく音がする、かり、かり、と、繰り返して。そのうちになんにも聞こえなくなるまで、彼女はきっと、黙っていた】
【相手の言葉から真意を探るように。少なくとも言えるのは彼女がいま本調子でないこと――それは相手にもよく分かるだろう、だから、彼女からは手を出せない】
【ならばこれは相手が許容してくれている限りの平穏である、と、きっと互いに理解していた。少なくとも名乗らねば平穏であり、壊そうと思えば、いくらでもその手段がある】

クスリも酒も、してないですよ。……そもそも、私、未成年ですから。きれいな肝臓なんです。煙草もしませんよ。
肺もきれいです。……じゃ、後でお借りするかもしれないです。年頃ですからね、なんか汚い感じがするのは嫌なんです、ただ……、もっと汚れてましたよね?

【「多分ですけど」】
【――少女も少女であんまり愛想がなかった、クスリも酒もしてない。煙草もしない。ただ、クスリと酒については、おそらくだけど、やったことがある】
【煙草については感想を述べなかったから本当に吸ったことがないのかもしれない、なんて、余談だけど――、未成年だから、とは、今更過ぎる】
【そもそもまっとうな未成年はあんな場所で気絶などしないものだ、――そろりと身体を動かしたのは、借りてもいいなら後で、と、言う言葉と一緒に紡ぐ】
【相手がざっと汚れを拭ってくれたのだろうことに気づいたようだった。少し遅れて「ありがとうございます」と呟いて――】

…………そうですか? なら助かります、――私、家出少女なんです。家が嫌で。飛び出してきたはいいんですけど、行く当てもあんまりなくって。
多分地元だと捜索願とか出てますから。警察は困るんですよ、……さっきのは貧血です。お金があんまりなくって。ろくなもの、食べてないので――――。

【あるいは、女の自然さと同じくらいに、彼女も嘘を吐いていた。といってもこちらは顔の半分をシーツに埋めているから、表情はあまり基準にならず】
【ろくなもの食べてない……ってわりには、綺麗な身体つきをしていた。不自然に痩せていることもない。髪の毛もすっごいつやつやで、なら、嘘だと分かるんだけど】
【束の間の贋物の平穏を守ろうと思うのならば。――お互いに指摘しあわないのが、きっと、一番だろう。理由の分からぬ善意も、それを訝しむのも、悪くない】

――ここ、あなたの家ですか? すごいですね、高層マンション。高層マンションでチェスして酒ですか? 悪役のボスみたいですね。

【――なら、お互いに詮索しすぎるのも、よくはないだろう。そう思ったのかは分からないけれど、少女はふっと話題を逸らす】
【ぞろっと音をさせて視線を反対側へ、――窓の方へ向けて、それから、少し身体を起こして、覗き見てみようとする】
【そうでなくともなんとなく寝転んだままでも見える景色から高い場所であるとは思ったのかもしれない、――冗談めかした言葉、相手をからかうように、述べて】

私、今時の子なので、チェスとか知らないです。将棋はやりました。山にするやつ。――――、

【それから――最終的には元通りの恰好、天井を見上げるように、あおむけに転がって。左手――手袋を付けたままの――を、そっと、目隠しするように顔へ乗せたなら】
【表情はよくうかがえなくなる。そして――目を隠してしまったなら、この少女、きっとひどく真っ白で。だからこそ、この違和感が、白の中に浮かび上がるように、思わせた】
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/08(金) 21:14:53.77 ID:DA0T8yYD0
【街はずれ――裏町】
【特にさびれたエリアだった、近郊にできたショッピングモールに逆を取られた商店街の亡骸が寂しく残るばかりで、歩く人もいないのに】
【――だからこそ、"それ"は目立っていた。特に目立ったところのないありふれたバンなんだけれど――だあれもいないのに停まっているから、ちょっとだけ、おかしくて】
【そうやって思って見たなら。車内が見えないようにされているのもあって、急に怪しく思えてくるんだった、――ひらひらと窓の外に揺れるのが幽霊じゃないかと疑るみたいに】

…………はい、お疲れさまです。誰も来なかったですか? まあ、そうじゃないと困るんですけど。
最近は物騒ですからね、――ほら、早く積んじゃってください。入らないですか? そんなことないと思うんですけど。
詰めこんじゃって大丈夫ですよ、――まあ、吐かれないくらいにどうぞ。窒息されても困りますし、窓開けらんないですからね、開けてもいいですけど。

私は窓開いてる方が好きですよ、高速で窓全部開けるんです、暴風域みたいで楽しいですよ?

【――――やがてそこにぞろぞろっと人が集まってくる。さびれた裏町でありながら、さらに、もっと、さびれた道、人目に付かない道を選んできたかのように】
【体格のいい男たちだった、――それぞれがちょうど人間の入りそうな大きさの袋とかを抱えて。バンの後ろの方、どすんどすんって、乱暴に、それらを積んでいく】
【だけれど、そんな彼らの後を追いかけるように最後に姿を現したのは、――ありふれたような少女だったから。そのまま歩いた少女は助手席の方へ、窓を開けさせたなら】
【――後ろで詰め込まれる"荷物"とそれを積み込む男達のことはあんまり興味もないみたいに、それでも一応は車を背にして、運転手と話をしていて――】

【――透き通るように薄いウィステリア色のロングヘアは一つに結わえられたポニーテール、真っ白な素肌に、嫌になるほど映える瞳は鮮やかすぎるマゼンタの色合いで】
【セーター襟のワンピースは真っ白な色合い、車に背中を預けて腕を組んだなら、ふっくらと柔らかそうな胸元が、うんとうんと強調されて。腰の細さが付いてきたなら】
【背中ついでに片足も預けてスカートが持ち上がれば、真っ白な太ももが露わになって。ぞろりと枝垂れたワンピースの布地、裏布が白いのまでよく見えて】
【あんまりかかとの高くないサンダルを履いていた。――それでも身長は少女にしてはわりに高く、大人びて見えて。――だけれど、それはどこまでいっても少女の色合いをして】

ま――だいたい嫌がられますけどね。ママに。弟は好きでしたよ、あいつバカなんで。
あれ? 言ってませんでしたっけ、私、弟が居たんですよ。三つ下。超バカでした、マジでバカだったんで、将来心配してたんです。

【――――車の中からの声は聞こえないから。少女の声だけが聞こえて来ていた、スズランみたいに冷たげで甘い特徴的な声、やる気なさそうなポーズはそのままで】
【ただし分かる人が見たなら、辺りにずっと気を向けていると、分かるのだ。なら――"彼女"が"見張り役"だと、理解させて】

――あ、この言い方だと私もバカになりますね。それはヤダなあ。
………………あと何人くらいですか? 早くしてくださいね。

【くすくすって笑い声がひどく平穏な様子で揺れていた、――けど】

【その車には変わらず、明らかに不審な荷物が積み込まれていて。あといくつか積んだなら、きっと、この車はどこかに向かうのだろう】
【それを裏付けるみたいに、運転手と雑談しているみたいだった少女が男たちに尋ねて――手持無沙汰に、右手の爪先を見やる、もう片っ方の左手には、長い手袋を嵌めていたから】
【見られる爪は合計5枚だけ。――すぐに飽きたみたいに、また、どうでもいい雑談をし始めた温度感が、さびれた街に、この状況に、ひどく異質だった】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/09(土) 01:09:15.30 ID:/FRqS6tH0
>>368
/こちら撤収しますっ
370 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/09(土) 11:25:28.82 ID:b7WoYC/+0
【夜の街。最近では、近辺で猟奇殺人が頻繁に起こっており、カルト宗教が絡むという噂等から、人通りはあまり多くない】
【そんな街の中でも、特に深い闇が集積する――寂れた繁華街の外れ。】
【平時から非合法組織が廃墟などをねぐらにしている為、そこに踏み込むのは酔狂者位だろう。】
【そう、例えばそこを住処とする悪党・ホームレス・隠遁者や――】

"代行"を行うよ。あなた方の行いは、到底許されるものではないから。

【――それらを狩り取る、"処刑人"など。そんな存在しか、ここに踏み込む事は許されない】
【呟きは誰が聞き届けたか。大通りに繋がる横道、そこからその声が漏れた直後】
【大通りに立つ、蛇のタトゥーを額に掘った男に対して、駆ける影が一つ。手元には、細長い"銀"の何かが握られている】

――"骸と踊れ"。

【駆ける影は、制服姿の少女だった。何事かの呟きと同時に、少女の四肢が何処からか現れた黒い焔に包まれる】
【焔が散れば、四肢に骨のような装甲が装着されている。そして、装甲からはヒラヒラと、黒い火の粉が舞う】
【直後、空間を殺意と悪意と敵意と害意と――"憎悪"が染め上げた】
【あまりにも強大な感情の圧は、それだけで少女が男を殺そうとしている事を男に察知させた】
【振り向く男。しかし、そこからの対処はすでに間に合う物ではない】
【"黒い蜃気楼"を残して、すでに少女は男の前に踏み込んでいたのだから】

苦しめ。苦しませたように。

【月下で――"銀"が煌めく。"銀"が閃く。"銀"が鮮血[アカ]を散らす】
【瞬間、鋭き四閃。――両手両足の腱を断つ、鋭い一撃に、男は反撃を許される事無く、苦痛の叫びと共に崩れ落ちた】
【眼下の男を見下ろす深いくまで彩られた、濡羽色の瞳は――ひたすらな憎悪で熱く揺れ、しかしながら冷酷に冷え切っていた】

罪は罰によって終わりを迎えるべきだ。
人を苦しめて殺したあなたは、苦しんで死ぬべきだ。
――そうしてやっと、"復讐は完遂される"。

【左手で男の髪を掴み、ぐい、と持ち上げる。髪が幾本か抜け、それに男が声を漏らす】
【だが、その声も――眼前に突きつけられ、今まさに目を抉ろうとしているその銀刃の前には、消え去るしかなかった】
【このまま誰も止めるものがなければ、この男は徹底的に肉を腑分けされ、苦しみながら死に絶える事だろう】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/09(土) 11:42:30.25 ID:Yxao7KJno
>>370

【──、黒い刃が奥から飛来する。回避したなら、持ち上げられていた男は地面に落下し、這いつくばるだろうか】
【夜に紛れる様に、小さく伸びた影が貴方の方へと流れ込み、緩やかな曲線を描く】
【満ちる宵月の遥か一片、遠くの空から流れ出る僅かな残照のみを確かめて】


まさかこのボクがニンゲンの為に活動するなんて、思ってもみなかったけどさぁ
ボクの家畜に手出されるのって、すっごくムカつくって言うか、何様? って言うか
あははっ、知ってる? ニンゲンのコミュニティでは家畜を盗んだら極刑なんだって♪

じゃあボクもその道理に従わなきゃっ、郷に入っては郷に従え、かな
キミ、死刑けってーい♪ 裁判は略式で、刑は速やかに処されなければならなーいっ♪
裁判長も弁護人も、検事も処刑人も、ボクがぜーんぶやったげるしっ

────分かったらとっとと死ねよ、きったねぇ骨の化け物


【小柄ながら豊満な身体を大きく露出した、ホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は、白く肉感的な素肌を晒している少女であった】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて、真紅の瞳を濡らす】

【背中には悪魔羽根が揺れて、彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した、悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに、愛らしい雰囲気を創りだす】

【5m程度の位置に立ち止まると、軽く羽根を羽ばたかせて少しだけ跳躍する】
【蜜月の様な赤い唇に、白百合の様な指先を這わせて、その輪郭をなぞったなら、硝子細工の様な月明かりに溶ける】
【──、かくして病魔は夜に君臨し、無慈悲な審判を思うがままに撒き散らす】
372 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/09(土) 11:47:00.24 ID:2t5uWx8T0
【――――風の国 公園】

……少し、空気がピリピリしてる感じがする……
「(無理もねぇな……ちょっとばかり、この国も染まり始めてるって事なんだろ……?)」
{(気を付けてみれば……意外に身近に、傾向ってあるものなのねぇ……)}

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットと、緑色の瞳が印象的な、身長140cm前後の少女が】
【ベンチに深く腰掛けたまま、公園の中で行き交う人々を、何するでもなくじっと見つめ続けている】

【昼下がり。和気藹々とした親子連れなどが、のんびりと時間を過ごしている様に見えるが――――しかし、それは上辺だけの事だった】
【周囲に気兼ねして、或いは警戒してか。子供を連れた大人たちも、ジョギングで行き交う大人たちも、どこか頬が引き締まっている】
【殊に、額に文様の浮かんでいる少女の姿を目にすると――――彼らは一様に、すぐさま目を逸らしてしまっていた】

……良くない、よね。これ……
「(仕方ねぇさ。まだこの国はマシな方なんだろ? ……よその国はどれだけかって話だ)」

【額の光の円環がぼんやりと明滅する。物憂げな表情のまま、少女はじっと前を見据えていた――――】



【――――所変わって、水の国 商店街】

やれやれ「面白き、事も無き世を、面白く」って、誰の言葉でしたっけ?
私も出来たら、そんな感じで行きたいんですけどねぇ……

【切れ長で涼しさを感じさせる瞳が、艶のある短い黒髪の中で映える顔立ちの】
【医療従事者用と思しき白衣を着こみ、ポケットからはステンレス製の細長い箱が覗いている】
【頭に、白いつば広の帽子を被っている、身長160p前後の女性が】
【手にストローの差された紙コップを携え、のんびりした表情で雑踏の中を歩いている】
【人気は少ないとは言わないが、一人一人の姿はよく見える程度で、その白衣と紙コップも相応の特徴として目立つだろう】

ま、面白い事が向こうから歩いてくる訳はありませんし? 今日は今日という事で、少しばかりのんびりさせてもらいましょうか?
久しぶりに、あそこのケーキあたりでもちょっと頂いて――――

【軽くストローを吸い込んで、女性は楽しそうに歩を進める。完全に、今の時間帯を楽しんでいる様だった】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

/最初は返信が遅れると思います
373 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/09(土) 12:13:26.15 ID:b7WoYC/+0
>>371
……ッ。

【復讐に心を灼かれて居てもなお、復讐を遂げる為に倒れぬ為、危機察知能力は相応のものを持つ】
【当然ながら、飛来した黒刃の察知は可能であり――、男を離すと素早く飛び退りそれを回避した】
【飛来した元に現れた、人ならざるもの。"悪"を具現したかのようなその女の姿を見て、少女の目はどろりと黒の深さを増していく】
【より大きな悪を見れば見るほど、復讐を、打倒を行う対象を目の当たりにするたびに、彼女の憎悪は深化し、激化する】

――"大物"だね。出し惜しみは。していられないか。

【これまで"処刑"を行った中でも"別格"、目の前の相手は四肢のみの骸装では到底足りない事は分かった】
【平時では身体・魔力・精神の負荷を抑える為に一部の装着としていたその武装を、完全開放する事を即断】
【呟きの直後、少女の全身が"憎しみの黒き焔"に飲み込まれた。焔から伸びる腕が黒を振り払い、一歩踏み込む】
【現れたのは――肉を持つ髑髏か。全身からチロチロと漏れる黒焔の舌、五体に装着された骨の白のプロテクター】
【濃厚な憎悪の感情と、死の気配を漂わせたそれはもはや少女ではなく――死者の遺志を継ぎ、復讐の代行を行う"処刑人"に他ならなかった】
【髑髏の面の奥で、相手の悪意を満載した言葉への返答が生み出される】

殺しは悪。故に私は――いつか死を持って償わなければならない。
だけどそれは、今じゃない。今じゃないんだ。だって私は――。

【自問自答するような呟きは、次第にその熱を増していく】
【髑髏の眼下の奥で、青白い焔が揺れる。その光を、その熱を強く、激しく、大きくしながら】

――[悪性/お前たち]を根絶やしにし終えていない、――"骸と踊れ"。

【右手の銀刃に黒焔が纏わりつく。そして、背負った業を示すように、その背から焔が吹き上がる】
【爆豪の音。空気が蜃気楼で歪む。髑髏の処刑人は残響と残像を残して、踏み込みを行った】

悪は根絶[タ]つ、悪は殺す、悪は終わらせる――ッッ!!

【狂気に等しい悪性への憎悪。それこそが、この少女を動かすすべての理由】
【黒焔を纏う銀の短剣は、相手の胴を両断せんと少女からみて左から右へのなぎ払いの一閃で振り抜かれる】
【刃に触れれば肉は容易く引き裂かれ、触れずとも至近で炸裂する黒の焔に幾らか身を灼かれる事となるだろう】
374 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/09(土) 12:32:43.45 ID:EWzItmq90
>>372

【少女の腰掛けるベンチに、もうひとりがその隣に腰を掛けた】
【そんなに大きくないベンチでそこに座ってくるのはいささか不気味かもしれない】
【どうしても気にしてしまう距離感に入り込んできたからだ】

【特に、この空気のなかそんな行動をしてくるのだから気になるだろう】
【背の高い男だった。黒い髪で、サングラスをしている。彼が腰掛けるとそのベンチではだいぶ小さいようで】
【余った所在ない脚を組んで座っていた。服装は黒のペイズリー柄の長袖カットソーにジーンズ、この陽気でもブーツを履いていた】

【気になるのは腰にあるホルスターだ。2本のリボルバーのグリップが見えていた。それぐらいならこの時勢といっても】
【まだ、見慣れた光景だろう。だが、警戒するに値するひとつの要因となるだろう】

……能力か?…今は使わないほうがいい。――奴らがいる

【彼はしゃがれた声でごく自然に話しかけてきた。そして顔を向けた先に――その緊張感の理由が居る】

【特殊部隊のような黒い戦闘服に身を包んだ2人、顔はガスマスクのようなもので覆っている。勿論、武器らしいものも持ち歩いていた】
【そして一際目立つのが黒いコートの人物がその中心にいた。顔を同じくフルフェイスのようなもので隠し、背中には身長とほぼ同じサイズの直剣を背負っている】
【そして彼らのその肩にはテクノドックス/Techno doogs と書かれたワッペンが見えた。】

【彼らは水の国――特区で対能力者専門の警備組織として活動していた。親会社はオーウェル社である】

探しているみたいだ。――奴らのリストに乗ってなけりゃ問題ないはずだ…
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/09(土) 12:50:34.95 ID:Yxao7KJno
>>373

【振り抜かれる一閃を真っ正面から受け止める様に、漆黒の大鎌を生成、彼女は攻撃を鎌に託す】
【両手にかかる攻撃の重さ。愛らしい素足がが地面を踏みしめ、表情に驚きが混じる】
【黒い焔が僅かに両手を焼けども、少女の手のひらに刻まれた傷は、調理実習で付けた小さな手習い事みたいで】


あははっ♪ ボクからしてみればキミみたいな存在がよーっぽど悪だけどね♪
自分の青くっさい理論に酔いしれて、好き勝手に自由気ままに暴力を振りまく異教徒!
これのどこが悪じゃないって言えるんだろうね? ほーんとっニンゲンってどうしようもなく愚かなんだからさぁ

いいじゃん骸骨の格好、お似合いだよ♪ キミの未来を見てる様でさっ♪
どんな事情があって、大切な少女時代投げ捨てて血みどろになるか知らないけど
残念だけどそんな願いなんて、ボクが少し吹けば消えるんだよね♪

── "Killers Like Candy"


【攻撃を受け止める彼女から黒い妖気が漏れていく。それはまるで、目眩く色香を具現化した様に】
【淫魔が漏らす吐息に似た、甘い甘い黒い呼気を周囲に撒き散らしたなら、それは真っ直ぐ貴方へと向かう】
【吸い込んだなら目眩や頭痛を引き起こす気体であった。── その作用は決して大きくないが】

【近接戦闘に於いて、僅かなロスは大きな痛手に繋がる、実にいやらしい一手とも言えた】
376 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/09(土) 13:09:25.67 ID:2t5uWx8T0
>>374

「(……おい、隣っ)」
ぇ……――――ッ!?

【額の光――――赤がぽうっと光度を上げる。それを受けてか、少女は何事かと隣を伺い】
【全く遠慮のない様子で腰を掛けてくる長身の男性。最初は驚き、そして訝しげに首を傾げ――――微かに緊張する】
【まさかナンパの類とは言えないだろう。生まれてこの方、そんな浮いた話には縁がない】
【だが――――そんな「浮いた話ではない」のなら、可能性は有り得る。警戒心が心の中、鎌首をもたげて】

奴ら……? ……奴らって、何ですか――――ッ
{(シッ! ……どうやら『アレ』っぽいわよ。まぁ分かりやすい連中ねぇ……)}
「(……やり過ごそうぜ。今は、な……流石に)」
は、はい……!

【まず、何事かと相手に問い返したい少女だったのだが――――事情は、彼女の中に宿っている存在達が、先に斟酌したようだった】
【3人連れの、如何にも何かを探しているらしい集団。そして横の男性の言葉をあてはめれば――――異能狩りの類の行為をしているのだろう】
【まさか、この風の国で――――そう言いたくもなるが、現に彼らがこの場にいる以上、反論に意味はない】
【男性の警句を受けて、少女は静かに俯き、寝入っているふりをする――――自らの目と耳を閉じていても、彼女の中の『彼ら』は、変わらずに状況を教えてくれるだろう】

――――何か、知りませんが……私は、特に何も、していません……知られたり、してないはずです……

【小声で、そっと男性だけに届くように呟く少女。これは事実だった――――かつての大きな戦いと言えば、5年前の夏、昼の国首都のグランツでの戦いぐらいのもので】
【『リスト』なるものの、情報収集対象になっているとは、到底思えなかったのだ】

(……ねぇ2人とも。この人って……)
「(可能性はなくはねぇな。今の『情勢』に噛んでる……その可能性は十分にあるだろうよ……)」
{(まぁとにかく、今はこれをやり過ごしてからよねぇ……全ては、そこからよぉ)}

【胸中、同じ体に宿る面々と、意識の中で疎通を交わす少女――――この状況は、予想以上に切迫したものである事に、気づき始めていた――――】

/ただいま戻りましたー
377 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/09(土) 13:10:09.33 ID:b7WoYC/+0
>>375
――徹らない……ッ。

【全てをかなぐり捨てるそれではないが、加減をした一撃では間違いなくない】
【そんな己の攻撃を容易く受け、その上で軽傷で済ませた相手の実力が極めて高いものであることを、改めて骸は認識して】
【ぎちり、ぎちりと決して折れない刃である事を良い事に両の手を添えて骸装の膂力を最大限に行使しようとする】
【拮抗の中で耳に流れ込む相手の言葉。そのどれもが、少女にとっては不愉快で、憎悪を煽るものでしか無く】

いつかは私も骸になる。その未来を、私は恐れてはいない。
ただ私は、それでも。眼の前の[悪性/お前たち]の存在を許せない。

そうだ。許せない。許せない。許さない。許さない……ッ。
私は、私の我儘で。私は[悪性/お前たち]の存在を否定しているッ。
それが[復讐者/私達]の望みで、総意だから――ッ!!

【相手が悪魔であれば、わかるかもしれない。彼女の纏うそれには、幾人もの魂が込められている事】
【そして、そのどれもが、非業の死などを遂げた、悪霊一歩手前か悪霊そのものとなった憎悪と怨念の塊である事を】
【彼女が悪を殺すのは、青臭い正義感ではない。心の底から衝動として湧き出す感情、"憎しみ"に他ならず】
【故にこそ、彼女は悪を殺す己を正義などと言わないし、それに酔う事も有りえはしない。あくまで彼女は、醜い復讐者でしかないのだから】
【感情が加速し、憎悪の激情が心をより黒く染め上げようとした最中の、目眩と頭痛。甘ったるい匂い。それに即座に反応】

嫌らしいッ。

【絡め手に仮面の奥の顔を顰め。剣に纏わせた黒焔を炸裂させる事で、その反動で己自身を後ろに吹き飛ばす】
【炸裂の衝撃で呼気は吹き飛ばされて、幸いながら吸い込む量は少なく済んだだろう】
【そして、その上で目眩と頭痛に体を慣らす時間を稼ぐ為、徒手の左手に焔を纏わせて突き出し、狙いを定めずばら撒くように幾つかのこぶし大の焔弾を射出する】
【衝撃を殺しながら地面を殺して着地し、頭蓋の眼下の奥から相手を覗く。防御は固く、絡め手に長ける相手の首を掻き切る術を探す為に】
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/09(土) 13:23:45.24 ID:Yxao7KJno
>>377

【とくんと高鳴る心の一葉、それは深淵に潜む貴女の力の根源が故を見たから】
【恍惚に頬が緩みそうになるのを何とかせき止めて、果てる寸前の心地よさを永久に噛み締めるように】
【雪白の頬に赤みが交じる、色彩の赤が可憐に滲んで、泡沫の様な色合いを確かに強めたなら】


いいねっ、ゾクゾクするよ、そういう醜い感情は──、ニンゲンだけしかもたないから♪
ボクが憎い? それとも生者が憎いの? 自分達が何も果たせず死んだからって、みっともなく妬んで嫉んで
ほんっと! 哀れだよねっ、惨めだよねっ! 逆恨みでわぁわぁ怒りを喚き散らしてバッカみたい!

挙句の果てに力の差も分からずに戦いを挑んでさ、呆気なく死んでいくんだもん
無意味なんだよね、キミたちの人生は! 全部、全部、ぜーんぶっ!
────、復讐は何も生まないってさぁ、赤子でも知ってるのに


【大鎌を片手で握り直し、体勢を低くしたなら、背中の悪魔羽根が大きく開かれて】
【一度強く羽ばたいたなら、地面を滑空し、彼女へと放たれた焔弾を潜り抜けていく】
【後方で着弾し、弾ける噴煙を踏破しながら速度を緩めない隼の様に接近し】


いつかじゃなくて今だよ、キミが骸になるのは、たった今すぐなんだよね♪
ボクの名はイル、イル=ナイトウィッシュ
──、それは気高き病魔の名前、誰も僕の魔の手から逃れられないから

あはは♪ いるんでしょ? きっといるよね! 夢ばっか見て、その途中で病気で死んじゃったニンゲンも!
夢も希望も心も願いも、ボクは有象無象の区別なく思いつきで殺しちゃうからさっ
ご愁傷様、何遍だって殺してやるよ──!!


【貴女の目の前で急上昇、低く飛んだ燕が空中で旋回する様に、上空で身を翻したなら】
【大鎌を両手で握り直し、急転直下と共に切り伏せようと刃を振り下ろす】
【洗練された動作ではあるが予備動作は大きい、回避の隙もあるが──、】
379 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/09(土) 13:31:42.87 ID:EWzItmq90
>>376

【横の男は自然な態度で椅子に座り、スマートフォンを取り出した】
【初夏の陽気を避けるサングラス、休憩がてらスマートフォンをいじって居る――ありがちな光景だ】
【背景に混ざるように情景の一部となって、一般人を装う】


【黒ずくめのテクノドックスはその名の通り犬のように嗅ぎ回りながら、だんだんと近づいてくる】
【一人はなにかパラボラアンテナのようなものを持って、通りかかる人物にそれを向けていた】

――検知器を持ってやがる。…じっとしてればいい、だが能力は使うな。拾われると厄介だ

【彼もまた小声で、隣の少女だけに伝わるように囁いた。事情はまだ話せない。奴らが通り過ぎるまでは】
【だが良くない状況だという見立ては正しい。少女が寝たふりをするならそれは理解できているということだ】
【今はそれでいい、この一瞬でそれを受け入れるなら彼女は相当理性的だ――彼女の中の人物が…かもしれないが】

【眼の前にその黒ずくめのテクノドックスがやってくる。検知器を向けた―――】

<異能レベル測定。反応なし。該当なし。>
<了解、異常なし。>

【口々に彼らはなにか、マスクの下で言っていた。どれも似たような声に聞こえた】
【そうして野良犬たちは、二人の目の前から立ち去っていった。】
【公園の雰囲気もどことなくホッとしたようだった。能力者であってもテクノドックスが見逃した能力者なのだから】
【ニュースで流れる『悪い能力者』ではないと、認知されたのかもしれない】

…うまくやり過ごしたな。機械ばっかり頼りやがって、犬ども。お蔭で鼻は利いても目は利かない様だ

【サングラスの男はニヤリと笑った。その様子からもう問題ないとわかるはずだ】
380 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/09(土) 13:44:08.07 ID:2t5uWx8T0
>>379

(っ、探知器……!)
「(おい、俺ら大丈夫なんだろうな……!?)」
{(知らないわよ……今は、そう……もう、なるようになるしかないでしょッ)}

【わずかに表情が強張る。俯いている状態である以上、大した意味はないだろうが――――それでも、胸中の焦りは少し跳ね上がっていた】
【――――3つの人格による肉体シェア。それを『探知』されたらどうすればよいのかと】
【とは言え、今から何らかのリアクションを起こすのはもう遅すぎる。ただ、彼らがこのまま通り過ぎていくのを祈るだけで――――】

……………………
「(来やがった……なんなんだこいつら……ッ)」
{(『話』に聞いたとおりね……始末の悪そうな顔をしてるわぁ……)}
「(? ……マスク越しに分かるのかよ?)」
{(そういう事にしときゃあいいのよ、どうせ敵なんだから同じでしょ?)}
「(チッ、言ってろ……!)」
(……2人とも、少し静かにしてよ……)

【狸寝入りをしつつ、少女は胸中の人格と会話を交わし、眼前の敵が去っていくのをただ待つ】
【のだが――――表に出ていない人格たちの声に、少しばかり表情を顰める。この重大な事態で何をやっているのか、と】
【とは言え――――どうやら、問題なく彼らは去って言ったようで、少女は押し殺していたため息を、ようやくホッと緩める事ができた】

……あの、ありがとうございました……
……それで、あの人たちは……いや、それは良いですけど、あなたは……?

【脅威が去って、少女はようやく顔を上げ、男性を真っ直ぐに見ながら頭を下げる。同時に、当然の疑問と言うべき質問を向けた】
【彼らとの敵対者と言うのは分かったが――――『敵』と言う認識で十分と割り切った態度は、少々おかしいかもしれないが――――彼の事は、少女も良く分かっていない】
【どうやら、彼らの存在を快く思わないという事は、良く分かったのだが――――】
381 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/09(土) 13:44:45.87 ID:b7WoYC/+0
>>378
【骸の遺志。骸の意志。骸の怨念。――それらが己に語りかける。悪を許すな、悪を殺せ、復讐を遂げろと】
【それらが非生産的なものだと分かっている。何も産まない。復讐を遂げても死者は蘇らない】
【だがそれでも、それでも良いと。数多の怨念に、自己を重ね合わせて――少女は是を答えとした】
【故にこそ、死者の意志を背負う生者。故にこその――[生で死を代行する者/コープス・リバイバー]】

復讐は何も産まない――だけど。お前たちを消し去る事はできる。

【幾度も悩み。その果てに出している答えはこの一言に帰結する】
【何も産まないが、悪を殺し、悪を消し去る事はできる。それで己の様なものがこれ以上生まれずに済むならば】
【――それで良いのだ】

【接近してくる相手。やはり、己とは隔絶した実力を感じる。出し惜しみしても届く事はないだろう】
【作戦は決まった。五体に怨念を取り込むように、深く、深く息を吸い込んだ】

――"コープス・リバイバー"。
悪を憎む意志と遺志の執行者で――お前を殺す、処刑人だ。
、何遍・何人殺されても。私は、遂げるまで彼らを連れて歩み続ける。

さあ。"骸と踊れ"。打骨、K焔――。

【名乗り返す。遺志を意志に混在させて、数多の憎悪を一人の人間に集約させて。眼下で青白く燃える焔の光が数多の憎悪を視線に込めさせた】
【己の骸装に意志を流し込み、骸装の遺志がそれに呼応する。骨の装甲がその厚みを増し、鋭さを増していく】
【死者の怨嗟の声が呼び声となって、先程までとは比べ物にならない焔が、地面に生まれた割れ目から吹き出していく】
【急転直下の振り下ろしとの衝突の瞬間。おもむろに顔を上げて、そこから――骸装が変貌した】

――"薊"。

【焔を全身に纏い、骨はいびつに歪み、鋭い棘を生み出し、歪む音は亡者のうめきのように低い音を連ねていく】
【右手で柄を、左手で刀身の背を抑えて、大鎌の刃の切っ先をぴたりと受け止める】
【衝撃で地面が陥没し、大きくなった大地の裂け目から更に強い焔が生まれ――】

ォォォオォ゛オ゛オ゛オオォオ゛ォ―――ッッッ!!
"K焔"ッ!"骸を焼け"ッッッ!!

【"コープス・リバイバーごと"、大地から吹き出した焔は焔柱となって諸共悪魔を焼き殺そうと吹き上がった】
【少女の雄叫びは、おおよそ人間に出せるような感情を込めたものではない。何らかの形で、異常なまでにその憎悪が増幅されて起きたものだ】
【防御と同時に自分ごと灼くという、実力が追いつかないが故にたどり着いた、自分を投げ捨ててでもたどり着くという答え】
【この策は――、届くか、否か――ッッ!!】
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/09(土) 13:57:31.45 ID:Yxao7KJno
>>381

【──、刃の切っ先を受け止められる。イルの表情が歪む、浮かぶ愉悦の色は何処までも嘲笑に似て】
【砂糖菓子が蜜に溶ける様に、大鎌が先端から黒い霧に変わっていく、先程出現した不定形の呼気】
【コレくらいやってのけるだろう、という読み。── 何時までたっても、ニンゲンは変わらない、と】


あはははは♪ 勝手に一人で踊り狂ってな、ボクの相手する所じゃないしぃ!
丹精込めて作ったボクの病、骨の髄まで侵して殺す、特上の病気を堪能して──!!
そして呆気なく、一人で消えてしまえ!!!


【──、彼女の表情が一変するのはその後、少女の雄叫びが天を突いた刹那】
【凡そ人間が出せる咆哮では無かった。激しくそれでいて何処か悲しい、慟哭に似た叫び声】
【その瞬間、彼女は確かに戦慄した、人の身がもつ可能性に魅せられるが如く】

【次の一葉は突然に、目の前を覆い尽くす、深い怒りを持った炎】
【回避、──と脳にフラッシュバックした命令を尽くすより早く、その焔柱が直撃する】
【数瞬後、焔柱から飛び出した影が、後方へと飛び、地面へと着地するだろう】


っ……!! ニンゲン風情が……小癪な真似を──!!
ふ、ふふ……はは、そうだね、そうだったよ、いつだってキミたちは、そうしてきたよね
自己犠牲だとか、捨て身だとか、そんな──、自意識に酔った行動を美とする

──っざいんだよね、そういうの、命を捨てることに酔ってるニンゲンが一番きもいわ
そうであったなら通じる、とか、それぐらいしか方法がない、とか
ほんと憐れだよね、無知こそが本当に愚かなんだって、分かってないんだから


【病魔は健在であった、決して浅くないダメージを受けたが戦闘はまだ可能で】
【剥き出しの素肌に刻まれた火傷の痕、じくじくと痛む傷口が、白磁の皮膚を妖しく照らす】
【呼吸が荒かった。童顔に似合わない豊満な胸が、何度が大きく揺れて】
383 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/09(土) 14:09:39.87 ID:EWzItmq90
>>380

【少女(少女ら)の心配はもっともで、探知機は発せられる魔力を拾う。熟練した魔術師が】
【相手から発せられる気を拾うが如く、それを技術的に科学的に検知することができるはずだ】
【しかし、探知機の精度が悪かったのか、それとも他の要因があったのか、彼らは見逃した】
【そしてこのサングラスの人物はその探知機の特性を知っていたようだった】

【ガスマスクは無機質に、目の奥にあるその素顔すら見えないようなスモークが貼られていて】
【彼らの隊長と思われるフルフェイスは顔の部分がまるでディスプレイのようになっており、そこには】

<Keep Calm and Carry On>

【のデジタル文字が延々とリピートされていた】

―――アイツら、ここでもでかい顔するようになったってことはいよいよだな…

【サングラスの男はおもむろに、胸ポケットからタバコ――マルボロのソフトを取り出して、火をつけた】
【多分…というか絶対この公園内は禁煙だったはずだが、能力者を取り締まるものは居ても、喫煙を取り締まる警備員は居なさそうだった】
【せっかく晴れた周りの疑いの目は、別の怪訝な目に変わった】

あいつらは特区の番犬だ。名目上、警備会社ってなわけだからどっかの金持ちにでも雇われたんだろう
俺は…どこにでもいるしがない探偵だ。アイツらの探知機をジャミングできる装置を持った…ああいう奴らが嫌いな一人だよ。


【彼は笑っていた。しがない探偵などといって誤魔化しているのかよくわからないが、奴らの機械をジャミングできるならますます怪しい人物だ】
【この事態をよく知っている――それ以上の存在の可能性があるが、それはそれだけ危険な人物かもしれない】
384 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/09(土) 14:28:56.34 ID:b7WoYC/+0
>>382
【焔柱が顕現したのはごく一瞬――一秒にも満たない瞬間だったろう】
【それでも届き。相手の肌を焦がし、傷を残した。その事実は――少女に一抹の希望を与えた】
【もうもうと燃え上がる黒煙から足を踏み出す。踏み出す足の装甲は、薄汚く焼け焦げていた】

ッ……っは………ッ……ッぐ。
……ッハ……。ッハハハ―――ッ。届いた。

【焔を直に受けた少女もまた、焼け焦げた装甲などから分かる程には浅くない傷を負っている】
【それでも立ち続けられていたのは、幾つか理由がある】
【まず、打骨の出力強化による防御力強化、そしてK焔は自己も灼くがそれでも自己の能力ゆえ多少の耐性がある事】
【そして、薊の発動による狂化の余韻の恩恵による、痛覚が鈍くなった状態。己の手の総動員が功を奏して、まだこうして刃を握っていられた】

――案外。人間を見ているんだね。悪魔って。

【小さなつぶやきは、少女としての言葉だったろうか。僅かな関心すらあった】
【そして、その上で。人をよく見た上で、その上で人をこうも弄ぶのか、悪意を行使するのか、とまた憎悪に薪がくべられた】
【ところどころ砕けていく装甲。震える足。それらを意志と遺志で押し留めて】
【ちきり、と刃を構え直す。そして――その上で】

届かないなら。――届かせるまでの事。
お前がどうかなんて、知った事じゃない。
私は。私にできる事で――私達の"意志/遺志"を完遂させるッ!

"骸を砕け"、"骸を焦がせ"、"骸よ狂え"――ッ!!

【砕けた装甲に魔力が継ぎ足され、歪み肥大化した装甲は右手の刀身に絡みつき、短刀を長剣へと変貌させる】
【大地から吹き上がる業火は、その刀身に纏わりつき、刀身の表面コンマ1ミリに圧縮されて高熱の溶断の刃と変貌した】
【そして、鎧に込められた数多の憎悪はその箍を外して、少女を"復讐者"から、痛みを知らぬ"狂戦士"へと至らせた】

――オ゛ォォオ゛ッッ!!それでも――それでもッ!!!
私は――"許さない"ッッ!!どうなろうと、なんと言われようと――ッ!!
[お前たち/悪性]を――[私達/復讐者]は――否定するッッ!!

【業火の爆発による超加速。振り抜く刃は限界までリミッターを外した膂力で振り抜かれ相手の頭上から迫りゆく】
【それは、最初の横薙ぎのそれに比べ、威力も速度も精度も段違い――武装の総動員により成り立つ一閃の"必殺"だ】
【僅かでも通ったこの好機。そして、己の消耗も加味して、ここで全てを使い切る短期決戦に挑もうという魂胆だ】
385 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/09(土) 14:29:58.50 ID:2t5uWx8T0
>>383

「(っ、なんだこいつら……訳の分からない連中だな……正直、ハッタリにしてもやり過ぎだぞ……?)」
{(って事は、ハッタリじゃ無いんでしょうねぇ……それよりも――――リーダー格の、見た?)}
「(『静寂であり続けろ』ってか? ……なんだありゃ、本当はロボットだった、とか……そんなオチなんじゃないだろうな……?)」

【赤と青の光が交互交互に明滅するなかで、少女の中に宿る彼らは、会話を続けていた】
【去り際に見えたその面容は――――正体を隠す事に尽力している兵隊と、逆に特徴的な隊長格】
【まるで、機械の様な印象があった。バイザーに文字を投影するならともかく、それを外に向けて表示するのは――――奇妙と言うほかない】

……この国じゃ別に……異能者を取り締まるような事は、無かったはずですけど……?
「――――って事は、勝手にやってるってこったな。ふざけた真似しやがって……」
{まぁ、あいつら自身が何かをしてる訳じゃないから、周りも何も言えないんでしょうねぇ……グレーなところ、上手くさらってくれてるわぁ……}

【煙草を取り出す男性に、少女はわずかに――――周囲と同じような――――怪訝な表情を向けるが、それよりも大事な事があった】
【――――風の国に、魔防制限法はない。それでも彼らは、明らかに魔防制限法にのっとった活動をしている】
【それを、違法行為だと言わなければ――――そのうちに、既成事実と化してしまうのではないか、と】
【――――額の明かりの明滅と共に、テレパシーじみた、彼らの声が実際の音として、男性にも聞こえるようになるだろう】

……っ、探偵、さん……?
{……随分妙なものを持ってるのね。道理で……まぁ、私たちも慌てて飛び出したりしなかった訳だから、とりあえずはそれもあるんでしょうけど……}

【そして男性の名乗りに、少女はキョトンと呆けたような表情を見せる。彼の名乗りに、ではなく――――自分の中の記憶に対してだ】

(――――2人とも……!)
「(……可能性はありそうだ。これは試してみて損はないんじゃないか……?)」
{(いざって時には、とぼけられるように……それくらいはできるでしょ、頑張んなさい……!)}

【『探偵』であり『彼らの敵』――――そこに、思い当たるものがあったのだ。素早く胸中で意見を統一させると、少女は再び俯いた】

――――ヨハン、ヨハンは……ヨハンは………………あれ、メロンライスにガムライス……?

【ぶつぶつと、何事かを呟きながら、少女は考え込む仕草を見せる】
【その動作自体に大した意味はない。重要なのは――――少女の言葉に、男性がなんと言って答えるか。それが聞きたいだけなのだ】
【思い違いならば、適当に誤魔化してしまえばよい。そこのところも計算に入れながら――――『とあるキーワード』を待つ】
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/09(土) 14:50:06.73 ID:Yxao7KJno
>>384

【──、皮膚を剥いだ傷口には滑らかな血の跡が見える、火傷の傷は神経を焼き切り、痛みを増す】
【苦痛に喘ぐ度にその首筋が艶やかな彩りを映す。瑞々しい唇から、吐息混じりの嬌声に似た】
【貴方のつぶやきが静かに波紋を起こして、水面に映ったその影を見ない事なんて出来なくて】


──、病魔だって言ってるでしょ? あんな下品な連中と一緒にして欲しくないんだけど
ニンゲンが恐れ、ボク達を畏怖してくれる程に、ボク達の存在はより強固に、強大になるんだもの
どうすればより良く家畜を飼育出来るかなんて、キミ達も通った道でしょ?

あはっ♪ だからボクはキミ達を嬲り、甚振り、殺す事に興味があるのっ♪ どれだけ痛め付けたら、より恐れてくれるのか
キミ達の意思なんてとうの昔に果ててるのさ、何故ならこの現実が、この世界が、この宇宙は──、
ボク達じゃない、誰かの意志の下にあるんだからっ


【振り下ろされる高速の一撃、元々が近接戦闘タイプでない彼女には目で追うのがやっとだ】
【付け焼き刃の攻撃では対処が出来ない、思考を高速回転させる】
【──、憎々しい程にその怒りは、彼女にとって食欲を煽る色合いであったから】


熱い熱い、一体全体なににそんな風に怒ってるのかなぁ♪
ねぇ、やっぱり復讐なんて無駄なんだよね、分かってるのかなぁ、キミは憎悪を他に向けるけど
それはさ、キミ自身が持ってる憎悪なワケ? それとも、誰かに持たされた憎悪なワケ?

どっちにしたって、どうしたって、どうやったって、キミの意思は根本から否定されるんだよねっ
だって、復讐だけで生きるなんて、死んでるのと一緒じゃんっ
──、まぁいいや、現実を教えてあげる


【イルの目の前に影が出現する、丁度背丈も形もイルを映した人形の様な】
【刃は人形へと振り下ろされるだろう、余波を受け、イル自身も吹き飛ばされる】
【──、人形は刃の直撃を受け霧散する、その霧は周囲に漂って】

【霧は形作り、再び人形を少女の前へ出現させる、そして──】
【霧を吸い込んだなら、貴方は再び、その全力を以て"人形"に刃を振り下ろすのだろう】
【──、まるでその人形を破壊するのに固執させられる様に、何度も】


──、"Mors Principium Est"── まさか、こんなに早く、使うなんて、ね……


【直撃を回避したとはいえ、余波だけでも凄まじい威力であった】
【ぺたりと座り込み、イルはその行先を見つめる】
387 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/09(土) 14:50:39.64 ID:EWzItmq90
>>385

【探偵と名乗った――職業を名前とすべきかは別として――は煙草をふかしながら彼女の問いに答えた】

警備会社だから彷徨くのも所持も認められている。身辺警護の延長線としてこのあたりの調査をしているとでも言えば
そのついでに能力者を探していてもごまかせる。風の国もテロは多い大国だからな。
UTが居たおかげで能力者に対する風当たりも良い方だったんだが…風向きが変わりつつあるということかもしれない

確かに、この国じゃ勝手に能力者を取り締まるのは認められない――だから誰彼構わずってわけじゃないが、アイツらのリストに乗っている様なやつは
非合法な手段で暗殺される。彼奴等はそういう存在だ。だから、厄介なんだ。

【この国にあの法律はなくても、彼らには関係ない。法律を掻い潜った違法行為をするために金持ちや奴らに買われているのだから】
【だからこそ犬と呼ぶにふさわしい】

…あれ?声が3人ぐらい…まあ、いいか。いや…いい訳じゃないんだけど…とにかく、だ。
今までのようにはいかないと、気をつけてほしい

【彼は立ち上がろうとした。長居して奴らがまた戻ってきてほしくなかった。この少女に比べ、探偵は身元が割れたら危険だった】
【なにせ深く入り込みすぎているのだから。余計なトラブルにも巻き込みたくなかった―――しかし】

……『ヨハンは639号室の隣人』だろ?…俺が作ったときよりだいぶ変わったみたいだな。

【立ち止まって、少女の顔をもう一度見た。顔も知らない隣人がそこに居たからだ】
388 :リベル=アシェル ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/09(土) 15:10:26.35 ID:2t5uWx8T0
>>387

……本当に、汚いですよね……こういう時の『大人』って……
――――自分たちで作ったルールを、そうやってチキンレースみたいに、理屈をつけて踏み破っていくなんて……ッ
「こっそり裏から暗殺するってのは、もうルールの裏をかくどころじゃないがな……」

【少女は、物憂げに沈痛な表情を浮かべ、頭を振った。そうした海千山千のやり方が、どうにも気に入らなかったのだ】
【ルールと言うのは、理念にのっとって作られるものだ。字面だけを守ればいいというものではない。そこには「守るためであり、脅かすためでないのなら、例外的に認める」と言う理念があるはずなのだ】
【それを、肩書だけを使って、実際には他社を脅かすために例外を都合よく使っている――――そんな彼らに、少女は青くも正しい、怒りの炎を燃やしていたのだ】

――――ここに、いるんです。私の中に――――
「だからこそ、だぜ……あんな連中に後れを取らないように、んで、この「こういうこと」に慣れてないお姉ちゃんを、守るためにな……」
{ま、安心してよね? 別にあたしたち、精神分裂だ、とか、のっとって食っちゃおう、とか……そういう手合いじゃないからさぁ?}

【自分の額を指さしながら、少女は男性と向きあった。そして――――呼応するように、男性の声と、女性の声が再び響き、それに合わせて額の赤と青が光る】
【――――何か、精神体のようなものを、その身体の中に宿している様だった。少女はあくまでただの少女なのかもしれないが】
【――――そんな少女に、すぐそばからナビゲートをする役目を負った存在が、2人も存在していたのである。だからこそ、少女は冷静に立ち回る事ができたのだろう】

ッッ、『639』……!
――――ごめんなさい、惚けていました……さっきのは、わざとです…………『これ』を――――

【その数字――――と言うよりも、正確なキーワードの全体を口にされて、少女の表情が変わる】
【パッと顔を上げると、静かに自分の左手をかざして見せる。そこにはまっている、1つの『指輪』を】
【――――面識のない、だが確実に『仲間』だと分かる。そんな確信と信頼を込めた目で、少女は男性を見据えた】

――――じゃあ、あなたが……『ロッソ』さん、ですね……?
思ったより……早く会う事が、出来ました……――――私、UTにお世話になってる……リベル、リベル=アシェルと言います……

【探偵と言う言葉に、思い当たるところがあったのだが――――カマかけは、正解だった。間違いなくこの男性はロッソなのだろう】
【少女――――リベルは、自分の名前を名乗りながら、しっかりと頷いてみせた。偶然の邂逅だが、志を同じくする人間は、ここにも居たのだと】

……詳しい事は――――{――――あたしがお話ししようかしら? 初めての仲間さんですものねぇ……ちょっと、今すぐに呼べる、あたしの仲間も併せて、ねぇ?}

【少女の瞳――――緑色のそれが、すっと青く染まり。そしてその仕草が変わった。まるで、外見に不相応な『大人の女』とでもいうべきそれに】
【恐らく――――彼女の中に宿る人格と、交代したのだろう。先ほどの少女よりは、より話の通りがよさそうだ――――】
389 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/09(土) 15:37:06.04 ID:EWzItmq90
>>388

…汚い、か。そうだな…大人ってのは言い訳のうまいヤツのことを言うのかもな

【そう言ってタバコをくわえた。まるで自分のことを言われているようだった。自分も十分に大人で】
【しかも彼女の言う、汚い大人の一人だと自覚している。裏をかく奴らの裏をかいて暗殺する。もっと汚い手もつかう】
【そして過去はもっと汚れていたから、なんの正義も振りかざす権利なんてないのに正義の真似事をしている自分が滑稽だ】

中?…ああっと…多重人格みたいな?なるほど…

【その中の声が聞こえてくるというのは果たして多重人格といえるのかどうかわからないが、まあ能力というのは理屈じゃない】
【重要なのは結果で全体論的に物事を見るべきだというのがこの世界の生き方だと探偵は思っているから深く考えない】

【それにそのほうが至って健全だと彼は思う。彼もまた、過去を払拭して新しい――理想とする自分になろうと人格を演じているけらいがある】
【得意な人格がランダムに訪れる事象を対処するというのは理性的なように思えた】

…合言葉の意味は誰もわかってないみたいだな…まあいい、俺だけの楽しみとするさ
聞いたのはミラか?鈴音か?…

【彼もまた同じ指輪をしていた。符号は完全に一致した。彼らは誰かを通じて繋がり合っていた。ようやく、出会ったのだ】

ああ、そういうことだ。…UTの…そうか。

【彼は時折影を帯びた表情になる。UTと聞いてまたそんな雰囲気を醸した】

オーライ、そっちのクールな方も、リベルと呼べばいいのかい?
390 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/09(土) 15:56:27.65 ID:b7WoYC/+0
>>386
ッ゛オオオ゛ァ゛ア――――ア゛ッッッ!!!

【人か、獣か。そもそも人も獣か。ならば――その雄叫びは、人間という獣が失った筈の獣性から生ずるもの】
【影に対して振り下ろされる一閃。それは容易く他者を殺しうるもの。影は容易く引き裂かれ、霧散する】
【霧を吸い込み、相手の能力の影響を受けた少女は、更に己の憎悪に、"復讐"に固執し、薊の狂気と共にそれは加速し続けていく】

許さない……ッ。"悲劇を生むモノ"を私はッ!!
そうだ。この気持ちは、意志はッ。"私"も、"私達"も、同じ思いだから。
だから私達は――"コープス・リバイバー"なんだッ。

【数瞬で無数に切り裂かれる人形。切り裂くたびにその妄執は狂気となって加速していき】
【それがある一定を超えたその瞬間――、振り抜かれる一閃は、その質を変えた】

――"復讐を遂げろ"ッ!!

【その一閃の描く軌跡に、強い魔力が宿る。漆黒の魔力が装甲とK焔を吹き飛ばし、銀刃を顕とする】
【一閃がまた同じ様に影に叩きつけられたならば――霧散すらせず、消失するだろう】
【相手が術の制御を細かく行っていたならば、衝突の瞬間に、"威力とは別の性質"で、その事象が発生した事が認識できるかもしれない】
【その一閃の性質は、"悪の存在否定"。もしこの刃が、病魔に直接届いていたのであれば】
【強大な病魔の存在だろうと、刃に触れた部分の存在否定が行われ、一閃は過たず相手を裂いた筈だ】

【振り抜いた直後、力を大きく消耗したのか、ボロボロの姿で立ち尽くす少女。髑髏の面が砕け、右目の濡羽色が顕となる】
【相手の能力の干渉が溶けているのであれば、"少女自身の強い憎悪"が、無言で相手に向けられている事が分かるだろう】
【震える足を引きずり。幽鬼のように歩むその姿。この少女はまだ――諦めては居ない】
391 :リベル=アシェル ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/09(土) 15:57:33.53 ID:2t5uWx8T0
>>389

……こんな事、言い訳し始めたら、キリがないって……分かっているはずなのに……

【別にリベルとて、性善説に傾いている訳ではない。自分だって、嘘もついたし友達と喧嘩をした覚えもある】
【「嘘も方便」と言う言葉だって知っているし、その重要性にも何度となく世話になった――――正しいだけでは、世界は回らないのだ】
【だが、それでも――――踏み越えてはいけない一線と言うのは、あるのではないだろうか?】
【やむを得なく破るルールもある。それは分かっていても――――これは「絶対に破ってはいけないルール」なのではないか?】
【そんな事を思いながら、ただリベルは、上手く言葉にならないその怒りに、何とか折り合いをつけようとしていた】

……そう、なんです。私の体……この2人と一緒に、シェアして……何とか、上手くやってるんです
「じゃなきゃ「この世界に来て」、そう間もなく、二進も三進も行かなくなってただろうよ……ま、元の世界からして、俺たちはこんなのだったがな」
{……よっぽど、天使面したバケモノたちとやり合ってた方が楽だったわぁ……こっちに来て、初めてよ。まともに人間とぶつかるようになったの……}

【憑依されていると言った方が、近いのかもしれない。だが、実態としてはそれは穏便なもののようだ】
【――――どうやら、こことは異なる異世界の人間であるらしい事を仄めかしつつ、彼らはその特異な力について説明を続ける】
【確かに、彼らの個性は多種多様な様だ。それぞれに得意を活かして問題に対処するというのは、間違っていないらしい】

……合言葉の、意味? ――――あの、私たちにこれを教えてくれたのは……カニバディールさんです。先月に……

【『ヨハンは639号室の隣人』――――なにか、通り一辺倒ではない意味があるらしいと聞きながらも、リベルは首をひねるばかりだった】
【恐らく、彼女にはその合言葉の真意は理解できていない――――恐らく、覚えるだけで精一杯とか、そういう事なのかもしれないが】
【そして、彼女は自分たちと繋がっているメンバーの名をあげる――――カニバディール。UTの関係者と直につながるのが彼と言うのも、奇異な話かもしれないが――――】

{あたしはねぇ……人間だったころ『ルヴァ』って名乗ってたのよね。ま、別に問題ないから、今でもそう名乗ってるわぁ……よろしくね、名探偵さん?
 さて……ちょっと失礼――――}

【表に出てきた、『青』の人格――――彼女は彼女で、別なパーソナリティを持っているのだろう。自らを『ルヴァ』と名乗り】
【そうした紹介もそこそこに、彼女は端末で連絡を入れ始めた。誰か、人を呼ぶらしい――――】



<――――ルヴァさん。一体何事ですか――――ッ?>
{あ、来た来た。先月のアレ、覚えてるわよねぇ……見つかったわよ、2人目の仲間が……}
<――――ッ!>

【焦った様子で、公園へと飛び込んでくる1つの影があった。それは小さな姿で――――】

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のまるで死人の様な冷たいオッドアイを持ち、体表に紋様の様な、仄かな光を放つ金色のラインが走っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女】
【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/09(土) 16:11:09.36 ID:Yxao7KJno
>>390

【影を食らう死の舞踏。──、美しい少女の踊る舞は、葬送曲を飾り立て、そして何処までも晴れやかに】
【誰もその不条理から抜け出せなかった。他者の運命など彼女の掌の上、生きとし生けるもの全てを笑う】
【──、彼女の"固執"の能力こそが、彼女の本質であり、虚ろな神であるその性質を宿していた】



【────、しかし】



…………!!! そんなっ……なんで──……!!
ボクの "誘惑" に── 打ち勝った!? そんな、そんな……!!
有り得ない!! だって、だって、……無数の現実の中、そんな事できたニンゲンなんて、一人たりとも……っ

──っ、なんだよ、それ……!! 知らないよ、ボク、そんなの……っ
なんで、ただの、ただの……!! 弱っちいニンゲンが、ボクの能力に打ち勝てるわけ!?
くっそ……くそ!! 有り得ない、有り得ない、のに──!!



【それは定められた運命に抗う様に、無限の円環から抜け出すたった一つのやり方の様に】
【── ドープが言っていた言葉が脳裏によぎった。ニンゲンの持つ、その崇高なる力を】
【唇の端を強く噛み締める。一片たりとも理解が出来なかった。強い意志が、時に神に打ち勝つ事実を】

【──、最後の攻撃の性質を "理解してしまった" その事もまた、彼女に深い怒りを齎す】
【もし、その攻撃を受けていたなら、と──伝う背筋の悪寒はきっと、生死に関わる事への安堵】
【気に入らなかった、全てが。その場に居る貴方という存在が、そして、そして──】

【今も尚諦めずに幽鬼の如く接近を続ける、その存在に──】


っ……!! やめろって──!! ボクに、ボクに……!! 近づくな……!!
なんだよ、なんだよ!! 惨めで弱っちい、ニンゲンの癖に、なんで──!!
許さない……、許さない!! 絶対に、絶対……ぶっ殺す……!!


【彼女の存在が夜に溶けていく、爪先から徐々に、黒い靄へと変容していき】
【やがてその痕跡も残さず消えていくだろう。そこにあった、僅かな力も残さず】
【──、蛇教のニンゲンも置きっ放しであった。きっと、最初からそこまで興味も無かったのだろう】

【────病魔は姿を隠す、その名前を静かに語って】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
393 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/09(土) 16:17:52.56 ID:EWzItmq90
>>391

…君は間違っちゃいないよ。

【自分のように間違った人間が言える言葉はそれぐらいだった。道理に押し流されて妥協していくと】
【なんでも都合よく流されて行くだけの大人にいつの間にかなってしまう。だから抗うその背中を押してやるべきだと思った】

どうやらいろいろあるみたいだが…まあ、うまくやっているならいいじゃないか。
俺はゴメンだけどね。考えたことが筒抜けになりそうで。忘れたいことだって沢山あるのに

【肩をすくめて笑った。探偵らしくない見た目と、その雰囲気だがそれは前評判どおりだろうか】

ああ、まあ…意味自体はほんのお遊びみたいなもんだから気にしなくていいけど……カニバディール?
ハハッ…そいつはいい。傑作だ。…あいつもこんな少女を仲間に引き込むとは…さすが、大悪党だな

さてさて、何処まで所謂…“黒幕”について知ってるんだ?カニバディール先生に、一通りは聞いてると助かるんだが。

【合言葉の意味に気がつくそんな変わったやつはいつ現れるのか楽しみにしながら探偵は話を続けた】

オーケィ、ルヴァ。じゃあ話を―――――

【と、そこで彼女の行動に言葉を切って、探偵は様子を、煙草片手に伺っていた】
【そして現れた人物に目を向けて…サングラス越しにでもなにか、はたと気がつくものがあったんだろう】

…この間の
394 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/09(土) 16:23:53.03 ID:b7WoYC/+0
>>392
知るもんか……ッ、私はそれでも、弱い人間だろうとなんだろうと。
私は、この牙でお前の首を食いちぎるッ。

【一歩歩むごとに装甲は崩れ落ち、地面に血糊を垂れ流すその様】
【うろたえる相手と、ただ一つの意志、悪を根絶つ事に特化した意志で歩む少女の構図だった】
【一歩踏み出すごとに、命が崩れる音がする。それほどの消耗。そして、その消耗には意志を継ぎ足して動力とする】

【しかし、その動きで相手に到達する前に、相手の姿は痕跡すら残らず消えていき】

――っ逃げるのか……ッ!!
イル=ナイトウィッシュ――覚えた、覚えたぞッ!!
忘れるな……。お前の罪を、お前の悪を。その報いは――死だって事をッ!!

【聞こえたかどうかはわからない。だが、この怨嗟の、憎悪の声は広く強く轟いたことだろう】
【そして、少女もまた――、一人の人間を殺した後に。その姿を夜の街に消していくのであった】

【――倒しきれず。倒すことを誓った悪が一つ増えた】
【"復讐を遂げろ"。その念が達せられるのは、一体いつになるのだろうか――?】

//お疲れ様でした!!楽しかったです!!
395 :リベル=アシェル&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/09(土) 16:39:57.71 ID:2t5uWx8T0
>>393

……すみません。一人で熱くなり過ぎました……

【今の本題は、彼らに対する怒りではないのだ。そこに対して、感情のままに言葉を連ねるだけでは、意味がない】
【恐らく、彼の相槌でリベルの頭は冷えたのだろう。また頭を振って、自分の気持ちを切り替えようとする】

え、えーと……
「あぁ、まぁ……な。確かに、プライベートなんてほとんどないみたいなもんだよな……」
{まぁ、心に壁くらいは、作る事出来るんだけどねぇ……なんというか、同じ体っていうのに、もう慣れちゃったというか……慣れたわよね?}
そう……だよね。ちゃんと、目を瞑って……じゃないな、心を閉ざして……っていうのも変だけど、一応、最低限のところは……

【3つの人格で1つの身体を回す――――そうなると当然、ロッソの言う通り上手くやっていかないといけないのだろう】
【一応、彼らの中でもリベルに対して最低限のプライバシーは尊重しているようだが、そこにも限界はあるのだろう】
【まぁ、だからこそ、先ほどの様な場面におけるメリットも大きいと言えば、その通りなのだが】
【――――名前と、探偵と言う肩書だけしか聞かされていないに等しい状態だったので、そこに何かを思う事は、無かったようだが】

{……ヨハン……ジョン、ヨハネ? ……639……数字よねぇ……}
「……おい、何マジになってるんだよ」
{良いじゃない、せっかくなんだし……隣で、640、それとも638……あー……これだけだと分からないわねぇ……}

【合言葉の意味――――ふと、ルヴァは興に乗ったようで、あれこれと思索を始める】
【それに、残る2人は呆れるばかりだが――――やはり、彼らの関係性は、中々良好なものの様だ】

――――『N2文書』とかいう、根底的な本をきっかけにして、募っている勢力だって……聞きました
「いつの間にか、『カミスシティ』の中身は相当にとんでもない事になって? そこで、なにやら人体実験じみた真似事も、さんざんやられてるそうじゃねぇか」
{……しかも相当に防備を固めて、異能を打ち消す力で、危うく仲間さんに死者が出るところだったそうねぇ……相当な難物よ、これ……}
……『ルハニア』、『オーウェル』、そして……私たちの仲間が、探りを入れてる『レヴォルツィオーン』……3つの、企業が、そこに噛んでいるって……

【とりあえず、カニバディールからは、一通りの『敵に関する情報』は聞かされているようだ】
【だが、彼女らに足りないのは――――『円卓』と、そして『仲間』の情報と言うべきかもしれない】

<ッッ、あなたは――――!>
{え、なに……顔見知りって事?}
<――――アルターリ。あの時――――助けてくれたガンマンさん、ですよね――――?>

【少女――――ラベンダァイスもまた、すぐに気が付いたようだ。恐らくは、その2丁のリボルバーをきっかけにして】
【アルターリの惨劇。そこで的確な援護をして、気を失った自分を病院に担ぎ込んでくれた男だ。まさか、こんな巡り合わせがあるとは――――】

<――――改めて。ケツァル・コアトル=ラベンダァイス=カエデ=キャニドップと言います――――あの時は、本当にありがとうございました
 カニバディールとは――――元々敵同士だったのですが、今回の事で、手を組む事になって――――リベルちゃんは、『うち』で保護してる、関係にあります――――>

【改めて自己紹介をし、そして手早く自分たちの関係を説明するラベンダァイス。どういう素性なのかハッキリさせるというのは、この状況では大事だろう】
396 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/09(土) 17:21:08.83 ID:EWzItmq90
>>395

【一人で頭を抱えたり怒ったりブツブツ言っていたりすれば他者から見ればそれは相当やばいというのが一般論だが】
【そういう事情を鑑みればむしろブツブツ言わないほうが不自然なんだ。探偵はその同居生活が微笑ましいように思えた】

ヒントは作曲家だ。…まあわからないだろうな。…カニバディールの授業は十分なようだな

で…カニバディール目線、というかそれはカノッサ機関目線の解釈だ。俺のは…UT目線…というよりかは初瀬麻季音目線とでも言おうか。
付け足すなら、オーウェルにとっての重要人物が今言った麻季音だ。あーっと…UTにしばらく居たのか今も居るのかしてるような
オーウェルの技術が完成するか否かは彼女にかかっている。最初に彼女と出会ったのは俺で、俺はUTとはそれなりに付き合いがあった
カニバディールともな。二派閥両方を打倒してやろうってのが俺たちだったんだが…

【現状のことは知っての通りだろう。探偵もバツが悪そうに髪の毛をグシャグシャと掻いていた】

まあ…助けたと言うか…俺は何もしてやれなかったさ。俺ぐらいじゃ戦いにまともに参加できなかったから…
君みたいな、本職に任せるしかなかった。…帰りに担いでやるぐらいしかできなくてね

あれから俺はすぐに特区の方に向かったから…元気そうで何よりでよかったよ

【ガンマンと名乗るにはいささか恥ずかしい能力しか持ち合わせていない。だが、一番危険な状態にあった彼女が生きていてよかった】
【素直にそう感じた。ここのところ嫌なことばかりだったからそんなことすら嬉しい】

ということはUTの―――いや、たまに出入りはしていたけど…
俺はロッソと呼んでくれ。しがない探偵で…セリーナや鈴音とは知り合い。カニバディールも…今回のことのまあ…言い出しっぺみたいなもんだ
あとは…何言えばいいんだろ。

【探偵は歯切れが悪い。もともと、そういう性格なのだろう。またバツが悪そうに頭をかいていた】
397 :リベル=アシェル&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/09(土) 17:49:42.34 ID:2t5uWx8T0
>>396

{あー……なるほど、こりゃ、後で図書館あたりお邪魔しなきゃ、分からなさそうねぇ……お手上げだわ}
……そうなの?
{こういうのはねぇ。今手元にある知識だけで解かなきゃ、負けみたいなものなのよ。調べれば、結局は分かっちゃうことなんだから}
「――――本当に調べて分かるのか?」
{はいそこ煩いわよ}

【どうも、ルヴァが中心となって一団の輪が気持ちを和らげているようだ】
【まぁ、これも余談だろう。いつまでも引っ張る事は善しとせず――――何気に、そのヒントを胸に留めながら――――本題へと戻る】

<――――また、出てきた訳ですね。初瀬麻季音――――いい加減、彼女とも接触の機会を持たなければ――――>
{あぁ、ごめんなさい。そういえばそこは聞いてたの、忘れてたわ……特にオーウェル社には気を付けろ、と……で、麻季音を守らなきゃいけないって、ね……}
――――とんでもない、事に……本当に、先の見えない状況に、なってるんですね……
「ただでさえ、UTはUTで……おまけに、カルトはカルトで、問題が山積だってのに、これ以上厄介事が増えるのは御免だぜ……?」

【初瀬麻季音――――カニバディールも、そして鈴音も口にしていた、現状での『黒幕』との戦いにおける、最重要級人物】
【今、どうなっているのかは分からないが――――一行は、まだ彼女との面識がない。故に、いつかはコネクトしなければならないと、頭を悩ませている様だった】
【実際――――カニバディールと鈴音、この2人にしか、彼らは接触できていないのだから】

【――――話の中で、姿を見せないのも面倒になったのだろう。リベルの肉体の主導権が『緑』――――つまりリベル本人に戻り】
【その身体から、赤と青の人魂のようなものが飛び出し、そばで浮遊――――それぞれに、男性と女性の声で応答し始めた】

<――――もう少し、上手いやりようもあったんじゃないかって、個人的には、そう後悔している所です――――戦う事こそ、私の最も大事な役目なのに――――
 結局、『レヴォルツィオーン』の図に当たって、都市1つが、完全に壊滅してしまった訳ですし――――。でも、助けられたことには、本当に感謝しているんです――――>

【あの一件、ラベンダァイスはハッキリと『敗戦』と受け取っていた。そして、数百万と言う途方もない命が、彼らの策略の為に、消耗される事となってしまったのだ】
【生物兵器として、その敗戦は心の傷の様に残っていた。だからこそ――――次は、必ず敵を殺す――――そう誓っていた姿も、遠くない過去だ】
【しかし――――どてっぱらに拳大の穴がぶち明けられた事も、どうやら快方に向かっているようで。虚ろな瞳ながらも、ラベンダァイスは頭を下げた】

<はい――――私はUTの正規メンバー――――リベルちゃんたちは、うちで保護している客分です。でも、今じゃ一緒に手伝ってもらう事が多くなりました――――>
ロッソさんが、この仲間の、発起人……なんですか……!?
{なるほど、それを鈴音ちゃんが取り仕切ってたって、そういう訳ねぇ……}

【ラベンダァイスたちも、ロッソの事を頭へと叩き込む。こうして、直接に会って情報を交換できるのは、貴重な機会だ】

{――――そうそう。まだカニバディールから聞いてはいないかもしれないけど、私たちは私たちでもう1人、この『指輪』を預かった仲間がいるの
 で、そいつはそいつで、私たちと、その周辺の輪の束ね役でね――――その同盟の仲間達とは別に、助力のアテは結構あるって事、伝えておくわ……}
<――――今、『レヴォルツィオーン』社に、探りを入れてもらっているのも、その『指輪』のない仲間、なんです――――連絡が、まだ来ていないようですけど――――>

【そこで1つ、彼らはロッソにも伝えるべきだろうと、それを口にした。ここにはいないもう1人の仲間と、その背後にいる、まとまった数の戦力を】
【一応、アテならそれなりにあるという事なのだろう――――指輪を手にするまでの間、相応の地固めがあった、という解釈が分かりやすいかもしれない】
398 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/09(土) 18:09:00.15 ID:EWzItmq90
>>397

麻季音に会うのは難しいかもしれない…いや、簡単なんだが…
…UTに保護を頼んでいて、居候している。そこで奴らに対抗するために理論を研究しているとか…
だが、直接奴らと、ネゴシエーションするつもりなんだ。…現状、それでどうなるかわからないが
まあ、特に詳しい話は彼女が担当だ。俺は…全体のこう…まあだから言い出しっぺなんだ

【彼女の特異性が『ソラリス』たる所以。決して、強い能力があるわけでも最新のメカニクスを持っているわけじゃない】
【今後を変える特異点になりうる可能性。それが彼女だった。オーウェルはそれを知っている。だから引き入れようとしていた】

やりよう?…あれ以上うまいやり方はあったとは思えない。突発的な事態に彼処まで対応できたのだから。
俺たちは生きて帰った。あえて言うなら、俺達にはあれ以上のことはできない。
自らの持つ力をリアルに受け入れていた方が――正しく行動できる…と、まあ俺は…思う。

【リアリスティックな目線で、彼は言った。経験が冷酷な現実を突きつけた。でもこれが彼なりの優しさでもあった】

こうするしかなかった。俺が、巻き込んだと言ってもいい。
だが、俺のシステムはうまく言っているようだ。情報と目的だけ共有して、仲間は最小限に知って行動する。
…もし何処かで綻びが出ても、被害を最小限にするためにあえてネットワークは希薄にしたんだ。
せいぜい仲間の仲間までしかわからないように。…合言葉だけ共有して、新たなつながりは作れるように

それで…そっちはどう動いている?それとも俺の知っていることを話すべきか。まあ、大したことは知らない。
今は……仲間をどうにかしなきゃならないんだ。俺は、そう思ってる。

/ちょっとお返しが短くなっちゃいましたが、そろそろ出かけなくてはならなくて…
/今夜はお返しできるかどうかわからないので、凍結等の判断よろしくおねがいします
/ひとまずはお疲れ様でした!!

399 :リベル=アシェル&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/09(土) 19:17:00.75 ID:2t5uWx8T0
>>398

<――――っ、ちょっと待ってください、直接――――!?>
{っ……思い切った事をしたものねぇ。こんなふざけた世界を作りかけてる連中に、交渉の余地なんて、あるとは思えないのだけれどねぇ……}
<――――確か、父親を、攫われてるって、聞きます――――交渉なんてしても、相手の思うつぼなんじゃ――――>

【人となりは分からないが、断片的な話は、それこそ鈴音とカニバディールの2人から聞いていた】
【現状の鍵であり、自分たちの技術的な拠り所であり――――絶対に、守らなければならない存在だという事を】
【これは、非常に大きな賭けになるのではないか――――思わず、彼らは呻く。事態は、いつの間にか再び危険な方向へと転がりだしている】

<――――あんなものが、あんなものが――――私の限界だったのだと思うと――――とても、やりきれないんです――――
 勿論――――結果は、厳然とそこにあります。あの足止めに、結局最後まで押し切られた事、それ以上の戦力だろう敵の本懐に、どうやっても可能性なんて無かっただろう事――――
 でも――――それを認めるなら、私たちは――――結局、もう勝てないのだと、認める事になるんです――――ッ>

【ラベンダァイスとて、その辺のロジックが分からない訳ではないのだろう。むしろ、ドライと言っても良い思考は、既にそれを分かっている様だった】
【だが――――彼女は人間ではない。すなわち、思考の基底が普通とは違っている。『負けた』という事――――それも、敵にあっさりと目的を達成され「圧倒的に負けた」事が、どうしても消化しきれないのだろう】
【兵器としてフル稼働の領域に到達した自分が勝てないのでは――――もう、戦う意味すらないと、呻くように呟いた】

<――――あれは、あの時点でのベターだったのでしょう。でも、今なら言えます。ベストを尽くさなきゃ、戦える相手じゃない――――
 次は、絶対に容赦はしません。この身を削ってでも――――これ以上、好きにはさせません>

【突発的な事態に、あれ以上の対応の仕様がなかった。それは仕方がないだろう。なら次は――――不意打ちなどさせない、機先を制し、頭を叩くのだ】
【その為なら、何も惜しまないと、ハッキリとラベンダァイスは宣言した。先ごろ、それこそ己の腹をぶち抜かせて、逆に相手に有効打を叩き込んだのだ。その意気に、偽りはないだろう】

いえ――――分かりますよ。この形の、必然性は……
{まともに実体をハッキリさせちゃうと、それこそどこかから乗っ取られちゃうなんて事も、有り得るでしょうしねぇ……}
<――――新しく、接触する側としては、大変でしたが――――でも、防諜を第一に考えなきゃならないっていうのは、確かに――――>

【どうやら、思った以上に彼らの同盟は、互いに希薄な関係にあるものの様だった。カニバディールの言葉からは、そうした印象は受けなかったのだが――――】
【だがそれは、彼が特別という事なのかもしれない。ロッソの言う通り――――「薄いが、確かに存在する繋がり」と言うものも、こうした場面ではメリットを享受できる】
【――――どうやら自分たちも、「繋がり過ぎない」事を意識しなければ、ならないのかもしれない】

<――――私たちは、その『レヴォルツィオーン』への探りと並行して、今――――『サーペント・カルト』への攻撃を考えています>
{その仲間っていうのが……まぁ、ただの寄り合い世帯の癖に、予想以上に緊密な連中でねぇ……そこが、まとめ役のカリスマって奴かもしれないけど……
 ……行方不明になった鈴音って娘と、前々から邪魔だった異世界の邪神たち――――そこを繋いでるのが、どうもそのカルトらしい、って情報を掴んで、共有させたのよ……}
<このままでは――――人間以前に、そんなバケモノ連中に世界を破壊されかねません。だから――――その連中の尻尾を掴んで、全て叩き潰して、砕き散らさなきゃならないんです――――>

【アルターリの惨劇での、怪しさを漂わせている『レヴォルツィオーン』への情報攻撃、そして、行方不明になった鈴音と繋がっているらしい『サーペント・カルト』】
【まずはこの2者に当たる事を、ラベンダァイス達は考えているらしい。異世界の邪神――――ロッソがそれを知っているかは、分からないが】
【どうやら『黒幕』以外にも、厄介な問題は山積しているようで。そちらにも意識を向けなければならないと――――】

/了解です。明日と明後日はは朝が早いので、置き進行でお願いしますー!
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/09(土) 21:32:53.91 ID:b+WFKPEP0
【夜・砂浜】

【ぽつぽつと降る雨空の下を、一人の男が傘を差して歩いていた】
【男の衣装は肩章付きのチェスターコートに、つばの長い革製の帽子が特徴的】
【髪は金色で、ふわりと長く。高めの背にしては線の細い人物だった】


今日は雨。何かが足りない、けれど何かが美しい夜だ
詩でも詠おうか、それとも暗い海でも描こうか。

……どちらにしても、良い夜になりそうだ。


【男は歩く。靴は革靴だ、砂にさくりと沈んではまた一歩、小さく進む】
【右手は傘を持っていて、左手は手持ち無沙汰というように足下へ掌を向けていた】

【けれど問題は――その軌跡。男の歩いた足跡を辿ったならば】
【そこには楼閣や、人物の彫像や、獅子や、楽器が無数に"砂"によって作り出されていた】
【いずれも砂遊びにしては異様なほどに細部までが良く出来ていて】
【今もまた、男の左手側に模型が1つ――灯台を模したそれは、蝋燭の明かりすら漏れていて】

【不審、であると同時に、物質を召喚、または生成するタイプの能力者だと分かるだろう】
【ただ歩いているだけだけれど――ざあ、と波が脚に掛かって、その歩みは一度、止まった】
401 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/09(土) 22:47:41.95 ID:q8emIbP20
【夜・水の国――】

【蒸し暑い――雨こそ降ってないが、湿気は水の国と言うだけ有って非常に不快指数が高い】
【黙って歩いているだけでも額に汗の粒が落ちる】
【週末と言うこともあり、つい先程まではどの通りも活気が有ったのだが、それもぼちぼち帰路へとつき始め】
【大通りはともかく、一本路地を外れると途端に人気がなくなる】
【そんな有り触れた通りの一つを、少女は歩いていた】
【こんな時間に散歩でもしているのか、動きに指向性はなく、ただ雑然と歩いていると言う風情】
【顔立ちこそ、そこそこに整ってはいても、化粧っ気はなく、大雑把に後ろでまとめられた黒髪は特徴的だとはとても言えない】
【服装も、サンダルに膝上までのハーフパンツ、『十万馬力』と大きくプリントされた謎のTシャツ姿】

……暑い……

【夕食代わりのグリーンスムージーを片手に、うだるように少女が呟いた】
【口する言葉まで何の芸もないならば、誰か通り過ぎたからと言って、気に掛けるような要素はないだろう】
【強いて言うならば、露出している肌に所々残っている生傷が多いのが、僅かに目を引く程度】

【歩く先に目的が有った訳ではないけれど、何となく辿り着いた先は、水の国聖教会だった】
【流石にこの時間に中に入ったりはしないが、建物に据え付けられた十字架を見上げて、溜息】
【少女は水の国に来て長くない。ここが一体何の宗教を祭っているかすら知らなかった】

宗教勧誘って良いイメージないのよね……

【少女が外で声を掛けられるケースは、6割がセールスで、4割が宗教勧誘だった】
【景気の悪い顔が何かに悩んでいるようにでも見えるのか、気が弱そうだから押せば乗ってくれると思ったのか、いずれにせよ迷惑な話だった】
【ふと、遠くからサイレンの音が聞こえる。警察か救急者か――どちらにしても何か悪いことが起こっているのだろう】
【ここ最近、不穏な空気が様々な場所で流れていることは何となく察している】
【しかし、少女には情報を提供してくれる組織もコネもない】
【何かすべきなのでは?そう思っても、一向にとっかかりがないのだ】

……路地裏で悪い人殴るのも……意味有るのか分かんなくなってきたし……どうしたら良いのかな

【何度目かの溜息を吐いて、どこか座れる場所はないか視線を巡らせた】
402 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/06/09(土) 23:44:06.45 ID:Wa8d8nz0o
>>401

【肩口で切り揃えられた明るいブロンドの髪を風に靡かせて】
【装飾を排した紺の薄く丈夫な生地で作られた、膝まで伸びた修道服を羽織り】
【慈悲を帯びつつ、殺気を孕んだ瞳を前面に向けて──その女は警邏に当たっていた】

【ここ最近、蛇の宗教や魔防法といった事案が多く発生していて】
【教会に来る人間にもそれらの被害にあったり、迫害された者が増えていて】
【前より警邏に当たる時間を増やしていた──犯罪を減らすために、できることをしようと】


「あら、こんなところで何してるのかしら」


【路地裏を暫くひた歩けば──少女が一人ごちていた】
【片手には緑色の液体が入ったカップを握っている、少々怪しんだような表情で貴女を見る】
【首元で鈍い光を反射するロザリオは、この女が教会に属する人間だということを証明していて】

【ともかく、露出した肌に幾つも刻まれている点は気になったようで】
【この傷、どうしたの──なんて貴女に聞いてみるのだ】

//かなり遅れました、申し訳ないです……!
//宜しくお願いします!
403 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/09(土) 23:59:45.80 ID:q8emIbP20
>>402
ひゃっ!

【声を掛けられると思っていなかったのか、上擦った悲鳴が上がる】
【首を竦めるようにして振り返った】
【見れば教会の人間のようだった】
【……こんな時間に何を?と思いはするが、客観的に見ればそれを問われるのはこちらの方だろう】
【両手で互いの指を突くような仕草をしながら】

い、いや、怪しい者では……ぶらぶら散歩してただけなんですけど、この辺りの道にあんまり詳しくなくて!

【相当な早口で捲し立てるものだから余計に怪しかった】
【ただしかし散歩だと言う点にはかなりの説得力が有っただろう】
【何しろ歩いて5分の店にレンタルビデオを返却しに行くくらいのラフな格好】
【胡乱そうなあなたの視線を受けて、視線を泳がせる。もっと良い言い訳は出てこないものか】


【傷について聞かれると、改めて自分で見返してみる】
【転んだ、で通りそうには見えない】


――これは、その……この前通り魔にやられて……


【厳密には通り魔ではなかったし、襲い掛かったのも自分からだったのだが、混乱させそうなので割愛した】
【あ、でもこれ会話の繋ぎになりそうだ!】


そう、水の国も裏の方行くとやっばいのウロウロしてるんですよ。
シスターさんも、こんな時間に外出歩いたらダメですよ!


【と、自分のことは棚に上げつつ、危ないですよ、と主張するのだった】
【ふと、視線があなたの持っているカップに向いた】
【まさかこれはグリーンスムージーではないだろう】
404 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/06/10(日) 00:17:54.47 ID:Zg3zRpoUo
>>403

【早口で捲し立てる様に理由を話されて──呆れたように首を横に振った】
【少なくとも悪いような人間には見えないが、散歩というには“準備が出来ていない”】
【それにたとえ迷子だとしても、路地裏に入れば危ないという直感を持つはずなのだ】


「通り魔にやられて、ねぇ……。余計ほっとけないわ、ついてらっしゃい」


【貴女の眼前に立てば、また一つ呆れたようにため息をつく】
【彼女の生傷は、どうも通り魔に付けられたものではない──数は多いが、傷が浅いから】
【そう想像した後、貴女についてくるよう手招きをするのだ】


「それは貴女の方よ、碌な装備も持たずに路地裏に入るなんて無謀も過ぎるわ」


【棚に上げたかのような発言を諌めるように、背を向けてそういった】
【ろくな装備も──と言われてみれば、シスター然の格好をした女も同様だ】
【銃器も剣も、一切身につけていない。言い換えれば武器を一つも持っていないのだから】

// ごめんなさい、緑の液体の下りは三枝さんの描写です……!
405 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/10(日) 00:41:20.81 ID:tz9HOPhy0
>>404
【シスターの呆れたような声を聞くと、「あれ?」と言う顔になった】
【どうにも会話がズレている】
【夜の悪漢を怖がるような性質ではなくて、むしろその手の悪意には少女よりも余程慣れているのだろうとは、まだ気付いていなかった】
【怒られると少し縮こまるようにしながら、手招きされるままについて行く】
【相手がシスターとは言え、初対面の相手にホイホイ着いて行く警戒心の無さも】
【――手慣れていない、と言う印象を与えるだろう】


装備って……路地に入るのに、そんな戦争みたいな。


【はは、と冗句めかして笑うのだが、すぐに乾いて途切れてしまう】
【実際、目の前のシスターも、武器らしい武器を持っているようには見えないし】
【冗談だと思ったのだろうが、あなたの真剣な声音に二の句が継げなくなる】

私は――あんまり武器とかは得意じゃなくって。
素手のやり方しか、知らないから。

【少なくとも、相手は人畜無害の一般人と言う訳ではないと思ったのか】
【こちらもある程度、正直に話すことにした】


街の空気も、何かピリピリしてて……だからなのか分からないけど、悪い人も、何か増えてるみたいで。
この前も、蛇の刺青つけた人に、絡まれたりしたし。


【カルト宗教団体サーペント・カルトが最近行っている生贄集め】
【気が弱そうで、力も弱そうで、なのに"能力者"であれば格好の標的だったに違いない】
【もっとも少女自身は、そんなことは知る由もなく、慌てて張り倒して逃げて来たのだけれど】


//読み間違えすみません!了解です。
406 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/06/10(日) 02:00:13.23 ID:Zg3zRpoU0
>>405

【貴女が手招きされるままについてくる様子を見れば、“慣れてない”と判断する】
【再びため息をつくこともなく、教会の扉を開いて中へ貴女を手招きすることだろう】
【その表情は狂信者のそれには見えず──慈悲を少しだけ帯びた、優しいそれに見えるはずだ】


「ほら、座って。何か飲み物でも持ってくるわ──何がいいかしら?」


【信者席の一つに貴女を座らせれば、何を飲みたいか尋ねる】
【ステンドグラスや聖女像──それらを見れば、やはり正統な宗教だと知れる筈で】
【貴女を宗教に引き込もうだとか、そのようなことが目的ではないとわかるだろう】


「それほど危険になってきてるのよ──死人が毎日出るくらいには、ね」


【貴女がそのように言えば、やはり危険だと述べるのだろう】
【冗談には聞こえない、真剣な声色で──まるで貴女を諭すかのように】
【右手には貴女が頼んだ飲み物が注がれたコップを持っており、貴女に手渡した】


「へぇ、素手で戦うんだ。どんな風にして戦うの?」


【貴女が素手で戦うといえば、興味深そうな表情を顔に浮かべる】
【武器を使うことなく、徒手で戦う──どのような技を使うのか、ちょっとだけ気になって】


「……蛇の刺青をつけた人、ね。どんな人なのか教えてもらってもいいかしら」


【蛇の刺青──その言葉を聞いた瞬間、少し表情が険しくなって】
【最近活発に活動しているカルト組織、ということは聞いていたのだけど】
【一体何者なのか、それだけは貴女から聞きたかった。何も、話すのを強制することはなくて】
407 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/10(日) 02:23:00.20 ID:tz9HOPhy0
>>406
【少女の乏し過ぎる人物眼からすれば、目の前のシスターは少なくとも悪人には見えなかった】
【むしろ、こんな行きずりの相手に対して、何某か面倒を見てくれると言うのはシスターらしい慈悲に満ちてるんではないだろーか】
【自然とテンパっていた意識も落ち着きを取り戻していた。そういうの、職業柄なんだろうか。何か話しやすい】
【などと呑気な感想を浮かべている少女とは裏腹に、シスターの様相はどうにも緊張感が有った】
【この人も相応の修羅場を経験したことが有るのだろうか……そこまでは読み取れないけれど】

あー、えーと、お構いなく……じゃなくて、お水……いや、お茶、で……

【教会とかも入るのは初めてでマナーが一切分からない】
【こういう時は断る方が失礼だったりするの?遠慮するからってお水とか要求する!?無駄な場面でグルグルと思考を回して、結局無難な回答に至った】
【信者席の一つに座る。膝の上で拳を固めるように乗せている姿はもうガチガチに緊張している】

危険……そんなに?表通りとか、お昼は人でいっぱいなのに。

どんな風って……ちょっと前に師匠――ええと、知人に、武術を教えて貰って……
あとは、私ちょっと体を固くしたり、力を強くしたり……できる、から。
それで、えいやって――

【能力の詳細を細かく教えるのは流石に躊躇ったから、できるだけファジーに伝えるが、少女のシンプル過ぎる能力はそもそも隠しようもない】
【"能力者"と出会ったことは何度か有るが、その中でも自分の持っている能力は相当しょっぱいものだと自覚はしていて、そういう意味でも言い難そうだった】
【手渡されたカップを両手で掴みながら――先程まで持っていたグリーンスムージーのパックは横に置いといた。後で忘れず持って帰ります】
【上目遣いにシスターの反応を伺っている。彼女が期待しているような特別なことは何もなかった】
【少女の言を解釈すれば、即ち身体強化に頼って、普通に突っ込んで殴っているだけなのだから】

どんな人って、普通にピアスつけて、髪染めた男の人が何人かで――車に連れ込まれそうになったから。

【そこまで言ってからバツが悪そうに頬を掻いた】

――ぶん殴って逃げちゃった。死んでは、いないと思うけど……

【下手人は恐らくただの下っ端なのだろう】
【少女自身もさっさと逃走したらしく、それが最近巷を騒がしている事件の一つなのだと気付いてもいない】


ああ、でも生贄だとか。
能力者は"当たり"だとか、そういうことは、言ってたかも。
408 :マリー ◆zuR4sSM1aA [sage saga]:2018/06/10(日) 02:47:32.91 ID:Zg3zRpoUo
>>407

【貴女がお茶を求めたのなら、そのとおりに持ってくるだろう】
【冷えた麦茶を注いで貴女に手渡す。緊張している様子は確かに見て取れて】
【会話をするのだから、緊張はできるだけ解してあげたいと──貴女の隣に座す】


「はい、持ってきたわよ。そんなに緊張しなくて大丈夫よ、ほら深呼吸してみて」


【貴女にお茶を手渡せば、落ち着いて深呼吸するように諭す】
【まずは緊張を解さなければ、落ち着かせれば貴女に微笑みかけて】
【それから貴女の戦い方を聞けば──身体能力の強化だということは、すぐに分かって】


「なるほど、だから貴女武器を持ってなかったのね──ごめんなさい、勘違いしてたわ」


【路地裏に入るにしても、その腕があればどうにかなるのだろう】
【てっきり無謀にも路地裏に入ろうとしていたのだと勘違いしていた】
【素直に謝れば、左手に掴むコップを傾けて麦茶を一口飲んだ】


「──ええ、ありがとう。それだけ聞ければ十分だわ」


【下っ端、生贄、能力者は“当たり”──脳内にその情報を刻んでいく】
【サーペント・カルト、蛇の宗教。巷を賑わせる邪教は、確かに蠕動しているようで】
【この近くでも対策を強いられることだろう。少しだけ、頭を悩ませて】


「そうだ、貴女──人を守ることに、興味ないかしら」


//すみません、眠気が凄いため凍結していただいてもよろしいでしょうか……
409 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/10(日) 02:59:38.24 ID:tz9HOPhy0
>>408
//了解しました。続きは置きレスの方に載せておきます。遅くまでありがとうございました!
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/10(日) 17:47:00.11 ID:n3ffdS4t0
【水の国・市街地の外れ】

【雨の降る中、建造途中で放棄された廃ビルから煙が漏れ出していた】
【煙、といっても湯気程度で、明かりを見るに】
【ホームレスがドラム缶で火を炊いたか、食事を用意しているか】
【ともあれ人が居るらしく――ただそれだけ、ではあるのだが】


【件のビルの背後。狭い路地にはわざわざ黒塗りのバンが二台止まっており】
【そのいずれも窓にスモークを張っていて、ナンバーは双方とも『0000』】
【それが有り得ない数字であることは一部の人間なら理解出来るはずであり】


【そして何より、そのビルは一棟全てが『淀んで』いた】
【雨だから。夜だから。繁華街ではないのだから。】
【いくらでも理由はつけられたが、言いようのない嫌悪感が周囲に漂っていた】

【それは言うなれば、ホラー映画における地縛霊の棲家のような】
【或いは何件もの自殺者を出した建築物であるかのような】
【でなければ、墓場に近いもの。打ちっぱなしのコンクリート、はめ込み型の割れた窓】
【その階数は4階建て。入り口には『立入禁止』の看板と共に】
【用意に潜り抜けられる、錆びた有刺鉄線が二本ばかり張られていた】
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/10(日) 19:46:38.48 ID:GSo4x9uxo
>>410

【遠くからパトカーのサイレンが徐々に近付いてきていた】
【闇夜に赤色光をまき散らしながら、二、三台が連なって】
【しかしその連隊はビルのことなど気にも留めぬように、すぐ側を走り抜けていった】

────…………

【男が一人、傘の下から横目でその様を見送った】
【黒いハットに、墨色の着流し。革ブーツの表面が雨粒を弾いている】
【不規則にちらつく街灯が、その姿を暗中に明滅させていた】

【ふう、と男は一つ嘆息をして、暗い雨空を見上げた】
【止まぬかもしれない──何となくそう思われ、男は帰路とは違う方向へ足を向けた】

【即ち、廃ビルの方へ】
【『立入禁止』の札のすぐ脇をあっさりと通り抜け、鉄線を掻い潜った】
【その場に満ちる怨念の気に、しかしそれにこそ惹かれていくかのように】


/まだいらっしゃいましたら。
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/10(日) 21:03:23.30 ID:n3ffdS4t0
>>411

【有刺鉄線をかいくぐった先は、ガランとした一階フロアが広がる】
【左右に広い空間、左の床には珍しくマンホールが存在し】
【その奥にはまた左右に小部屋が2つ】
【この小部屋を隔てる廊下の奥に二階への階段が見えていて】

【――問題なのは、内装が全く施されていないビルであるにも関わらず】
【監視カメラ―それも稼働中の緑ランプが点いた―が、入り口を捕らえ】

【まず間違いなく、この建物への侵入者を映像に収めている事だった】
【しかし幸いにして即座に警備員が出てくる訳でもなく】
【ジー、という機械の駆動音が小さく響くばかりであり】

【そして建物に渦巻く怨念の正体は未だ不明、だけれども】
【入れば、感じるだろう。間違いなくこの上、あの明かりのあった位置】
【そこに"根源"が居るのだと分かるはずだった】

/すみませんおまたせしました!
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/10(日) 21:17:41.60 ID:GSo4x9uxo
>>412

【傘を折り畳み、ハットのずれを直す】
【それからふと何気なく視線を上げれば、監視カメラと目が合った】

────…………

【男は何の感慨も無さそうな眼でカメラを見つめたまま、数度瞬き】
【カメラというよりはその奥にある何かを見透かそうとするような間があったが】
【それも長くは続かず、気まぐれな猫のようにふいと視線を外すと、歩みを再開した】

【かつ、かつ、かつ──と】
【がらんどうの屋内に、虚ろな靴音ばかりが響いて】
【それは一歩一歩、気配を隠そうともせず、階段を上っていく】

【何の妨害もなければ、男はそのまま明かりの部屋まで至り、そこを覗き込もうとするだろう】


/いえいえ! 23時頃には持ち越しなり何なりお願いすることになると思いますが大丈夫でしょうか?
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/10(日) 21:29:24.48 ID:n3ffdS4t0
>>413

【2階――何もなし。小部屋をぐるりと廻る形で同じ構成の階段へ】
【3階――何もなし。ただし、部屋を見て回れば黒いボックスがいくつか見つかるだろう】
【圧迫感は増していて、明らかに"上"の存在感を伝えている】

【しかしながら全くの無防備は3階までだった】

【4階――階段を上がったならば、すぐ右手が小部屋なのだが】
【その扉の前を通りがかった瞬間に、かちゃり、と音がする】
【据銃する音だった。フルフェイスのヘルメットを被り】
【黒革で統一した戦闘装着セットを身に付けた――機関員】


「……動くな、両手を上げろ。……脅しじゃない、安全装置は外れてるんだ」


【薄暗い部屋の奥にはモニターから溢れる光が漏れていた】
【カメラの映像で確認していたのだろう。守衛、にしては手強かったが】
【確かにその指は引き金に掛かっていて、少し指圧したならば】
【速やかに自動小銃は火を吹いて、人一人は蜂の巣に出来る。そんな体勢だった】

/問題ありませんです、よろしくおねがいします!
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/10(日) 21:50:11.73 ID:GSo4x9uxo
>>414

【暗黒の満ちる廃ビルを、男は何に臆する様子も無く進んだ】
【途中、暗がりの濃いところには、手持ちのオイルライターを灯して照らす】
【部屋の中にいくつか散見された黒い箱を、しかし触れようとはせず】

【ただ壁を見透かすかのように存在感の主の方へ時折視線を向けていた】

【4階──】
【廊下の壁のとある染みが、逃げる女の背中に刃物を突き立てているように見えるな、と思ったとき、気配の動く音がした】

────…………

【男は据わった眼差しで機関員を見つめたまま、静かに両手を挙げた】
【荷物は無い。傘は入り口に置いてきた。オイルライターも今は懐の中】
【傍目には丸腰と言っていい。その割にはひどく落ち着いていたが】

あー……命だけは助けてくれると、嬉しいです。

【何とも腑抜けた声で、夕飯の残りもので出来たような命乞いをした】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/10(日) 21:50:43.98 ID:GSo4x9uxo
>>414
/よかったです、こちらこそよろしくお願いします!
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/10(日) 22:08:16.57 ID:n3ffdS4t0
>>415


「……それは、お前の態度と行動次第だな。
 部屋に入れ。事情聴取、というのをさせてもらおうか」


【相手は丸腰、にも関わらず機関員の動作は確固としたものだった】
【わざわざこのような場所にカメラを配置し】
【それを常時モニターしているくらいなのだ、暇な部署ではないだろう】

【いつでも鉛玉を吐き出せる銃口で男へと指示を出す】
【部屋に入れ――モニターのある部屋だ。入ったならば】
【更に部屋の奥には、扉が一枚あることが分かるだろう】

【室内には男一人。椅子、買い出したらしい飲食物、モニター】
【他には何もない寒々しい打ちっぱなしの壁面が目立つ】
【建物の構造からすれば、件の明かりは奥の扉ではなく】
【もともと男が進もうとしていた通路の奥、なのだろうが――】


「所持品があるのなら、まずはそれを出してもらおうか。
 壁に近寄って右手を付き、身体はこちらに向けるように。
 隠れて銃を出されても面白くないからな…――身分証があるなら、話は早いぞ?」


【狭い部屋だったが、機関員の男の手順はよく訓練されていて】
【従わなければすぐに撃ち[ピーーー]――そういうように、なおも引き金に指が掛かっていた】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/10(日) 22:34:07.97 ID:GSo4x9uxo
>>417

……座右の銘は、人畜無害です。
どうか、お手柔らかにお願いします。

【一切反抗の意思を見せず、部屋へと入っていく】
【そして指示されるまま、袂や帯に手を突っ込んで、】
【そこから細々とした私物を取り出して床に置き始める】

【銀色のオイルライター、ポケットティッシュ、スマートフォン】
【革のキーケース、財布、避妊具、飴玉三つ、とその包み紙】
【出し終えれば、壁に右手を突いて、男の方を向き】

一応の身分証は、財布の中に入っています。
別に大した身分じゃないので、面白くないと思いますけど……

【彼の言う通り、もしその無名ブランドの財布を開けて中身を改めたならば】
【現金数万ばかりと、顔写真入りのIDカード──国交省庁へ入るのに必要なそれらしい】
【それともう一つ、IDに記された名前と同じ氏名の入った免許証も見ることが出来る】

【『円城 塔夜』】
【水の国発行のもので、事故をした形跡はない。生まれは今から二十と数年前】
【人生の目的とかその辺は全部胎内に忘れてきました、というような無表情の写真が、のっぺりと張り付いていた】
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/10(日) 22:58:07.97 ID:n3ffdS4t0
>>418

【持ち歩いている物はごくごく普通の物品ばかり】
【財布の中身も無論確認する。銃を向け、逐次男の様子を確認するため】
【その動作は緩慢であったが、故に確実で】

【やがて身分証を取り出し、その名前を確認したならば】
【所持品の検査はそれで終了する。しかしなおも、銃口は男の上半身に向いたまま】


「"円城"――お前の目的は何だ?
 中央省庁の立ち入りを許された人間が、何故このような場所に来たのか……
 雨宿りなら、4階まで登る必要もないはずだが。

 ……"誰かに用事がある"と、でも?」


【個性という個性のない男。その目的を男は探り始める】
【けれど、何かの心当たりがあるかのような口ぶりだった】

【小銃は、安全装置が掛けられて。その銃口はついに下を向いた】
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/10(日) 23:25:26.42 ID:GSo4x9uxo
>>419
/っと、すみません、レス書いてる途中でしたが眠気がしんどくなってきてしまったもので
/明日に続きをお願いしてもよろしいでしょうか?
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/10(日) 23:26:57.92 ID:n3ffdS4t0
>>420
/大丈夫ですよ〜。明日は21時頃には来られると思いますので
/またそれくらいからお相手頂ければ幸いです!
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/10(日) 23:30:39.35 ID:GSo4x9uxo
>>421
/承知です、ではまた明日そのお時間に!
/今日のところはひとまずお疲れさまでした!
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/10(日) 23:42:14.06 ID:n3ffdS4t0
>>422
/はーいっ、本日はお疲れ様でしたっ!
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/11(月) 08:35:54.88 ID:dfPDSNx5o
>>419


──ああ。“誰か”いるんですか、やっぱり?


【円城はちらりと、視線を動かした。その先は、件の明かりが存在する方向】

あ、いえ、それほど怪しい者じゃないんですよ。
ただ雨宿りをさせてもらうからには、建物の主に挨拶をしておこうと思っただけで──

【彼はふと緩い笑みを浮かべた】
【媚びへつらうことに慣れたような、あるいはそれを何度も演じてきたような】
【モニターの光を受け、青や緑に彩色された顔が、暗がりにぼんやりと浮かんだ】

──近付くな、ということなら、深く詮索はしませんよ。
知りすぎても、あまり良いことのない世の中ですからね。

【ごう……とどこか遠くで雷鳴が轟いた】

【──そのとき微かに、彼の片眼の虹彩が捻れて変化した】
【夜闇に蠢く獣の瞳のように、一瞬だけ爛々とした光を帯びて】

【その変化はほんの僅かな間だけであったが】
【もしも眼差しを合わせていたならば、そこに『機関』を意味する紋章が浮かんだのを目に出来たかもしれない】


/先にお返しだけしておきますね。また夜にお願いします。
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/11(月) 20:56:49.48 ID:2yoS3v240
>>424

【フルフェイスに覆われた一機関員の表情は掴めない】
【露骨に構えることもなければ、ガタガタと震え始めることもない】

【けれど遠雷の僅かな光がもたらす虹彩の変化には、気付いたのだろう】
【そしてそれがどういう意味合いを保つかを】
【おぼろげにであれ理解できる。それだけの教養は、あるらしく】


「……そうか、ご苦労なことだ。
 
 奥には、人が一人いる。私の上司だ。
 扉はないし、誰か来ることを厭う人でもないからな
 挨拶をしたいのなら……好きにするといい」


【部屋の扉は開け放たれている。奥に居るという人物には】
【通路へ出て、ほんの数メートルも歩けばたどり着ける筈だ】

【そこにあるのは適当な角材を突っ込んだようなドラム缶の焚き火】
【放置されていたらしい事務机が1つ、革の破れたソファが1つ】
【机の上には札束と、それから"水晶玉"のような物が1つ置いてあった】

【それから――誰か、居る。けれどそれを視認するより先に】
【視界には"水晶玉"が混入する事だろう。ならば、常人はそこに誰が居るのかを認識できない】
【認識よりもこの場に存在する事、それそのものへの拒絶感が生まれるからだ】

【一言で言えば、それはこの建物を深々と覆う淀みの根源であり】
【濃い負の空間を作り出す、一種の"宝玉"とも言えるのかも知れない】
【ただ――パニックに陥るか、嘔吐するか、虚脱するかは別として】
【すぐに"それ"には布がかけられて。少なくとも、見ることくらいは出来るようになるだろう】

【少し伸びた栗色の髪、黒い瞳。長袍、と呼ばれる漢服を着た男がそこには居た】

/お返事、お返ししておきます。こちらはこれより再開可能ですのでー!
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/11(月) 21:46:27.62 ID:dfPDSNx5o
>>425

【ほんの一瞬の変化であったが】
【相手がそれを確かに感じ取ったことを、円城もまた察した】

──そうですか。
じゃあ遠慮無く、そうさせてもらいます。

あなたもお勤め、ご苦労さまです。

【そうして許可が下りれば、床に散らばっていたものを手際良くしまい込んで】
【口元だけの微笑と共にハットのずれを直し、会釈。そのまま部屋を出て、通路を進んでいった】


【そして、件の部屋へと辿り付く】
【予想に反して、誰もいない──少なくとも、一目見たときにはそう映った】


…………おや?


【途端──彼の身が一瞬硬直した】
【と同時に、何か得体の知れない熱が体内に迸った】

【全身の血液が瞬時に沸騰し、脳の神経回路が焼き切れるような異常が彼を襲う】
【平衡感覚が崩壊する。内臓を捻られるような呻きが漏れる】


────ゥおぇ……ッ……?


【膝が折れ、意思と関係なく跪き、蹲る】
【ごぷ、びちゃり、汚れた水音。吐瀉の臭気が立ち上る】
【上体も床に崩れ、熱い脂汗を噴出させながら、空気を貪り喰うような荒い呼吸となった】

【まるで劇物を飲み込んだかのような有様】
【にも関わらず、如何なる訳か──その表情は、】

【底抜けの快楽に浸る笑みに歪んでいた】


【──しかしそれも、長く続くものではなく】
【布がかけられたとほぼ同時に、全身の緊張が一瞬で霧散し】
【夢から覚めたかのように、ぼやけていた焦点が次第に定まって】


────ッは……ッは……ッは……
……ああ……──やっぱり“あなた”でしたか……────


【まだ軽く揺らぐ視界の中で見えたその姿は、】
【現実のものなのか、それとも“そうあって欲しい”という願望が見せる幻覚なのか】
【円城にはまだ判然としない様子だった】


/おかえりなさいませ、お待たせしました。再開、よろしくお願いします。
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/11(月) 22:04:28.40 ID:2yoS3v240
>>426

【男の側には、もう少し、いくつかの物品が置かれていた】
【3階にもあった黒いボックスがいくつか。特注の、業務用サイズの黒いラップと】
【あとはハサミ。そして無造作に積まれた、何度か使用された形跡のある札束だ】


やっぱり?ひでェ事言うじゃねえか、円城。
まるで俺には廃ビルがお似合いだと言ってるように聞こえるぞ?

……フ。悪いな、誰も来ないもんだからつい布を外してたんだ
"病魔"からの貰い物。俺でも直接触れたくはない……良くないモノだ。

……それで?何処かの大先生にけしかけられて、俺に伝言でもしに来たのか?


【男――ジルベールがしていたことは、以前からの事と何ら変わりない】
【市場に既に出回った、好きなタイミングで使える金を勘定し】

【濡れてしまわないようにラップでひとかたまりにすると】
【それで黒いブロックの出来上がり。戦場で弾薬などを濡らさないようにする工夫と同じ】
【二台のバンはその輸送用だろうか、この場だけでも軽く数億は無造作に積まれていて】

【問題はその場に据えられた飾りだったわけだが】
【そんな事は気にしない。そんな風に、円城へ歩み寄ると上物のハンカチを差し出しながら】
【円卓のメッセンジャーが何をしにきたのかと、端的に尋ねかけた】
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/11(月) 22:31:52.00 ID:dfPDSNx5o
>>427

──へ、へへ……そんな、滅相もない……
ただこれほどの濃い『現実感』を私に感じさせてくれるのは、
あなたぐらいのものですので……──リンドウさん。

【円城はよろめきながらも立ち上がり──〈王〉を瞳の中心に映した】
【未だ余韻に浸るような笑みの残滓を口の端に残しつつ、】
【彼から受け取ったハンカチで、汚れた口元を拭った。意外と遠慮は無い】

ああ、どうもすみませんねぇ……

ええ、全くその通りです。
色々とお伝えしなきゃならないことが出来まして。

本当なら先に連絡を取りたかったんですけど、
近頃はどうも各所からのマークが厳しくて、迂闊な通信が出来なかったんです。
だからこうして、直接足を運んだ訳でして────

【着流しに付いた埃をぱんぱんと払いながら、再び姿勢を直す】
【周囲に積まれた法外な金に、円城の視線は一切移らない】
【背負ってきた言づてに比べれば、如何ほどのものでもないというように】


────とりあえず、
一面の見出しから、お伝えしますね。

『リスト』が、“向こうさん”の手に渡ったみたいです。


【そうして単刀直入に切り出すのは、〈円卓〉の『チェックメイト』であった】

【──この〈円卓〉という大層な名を冠した裏金構築システム、】
【それを構成し運用する中枢構成者達の名簿情報が〈黒幕〉の手に渡ったらしいとうのだ】
【恐らくは最も渡ってはならぬ相手に、システムが生命線が握られた】

【もっともそれは〈円卓〉構成者にとっての生命線であり、】
【ジルベール個人の命綱ではないのだろうが】

【どうあれ、円城の淡々とした表情からするに、これはあくまで見出しに過ぎず】
【まだ伝えなければならない委細があるようで、そのために一度間を空けた】
429 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/11(月) 22:44:34.97 ID:+FVjSnE+0
【水の国・路地裏――】


【月の光すらロクに届かない街の暗がり――真っ当な人間なら入るだけで襲ってくださいと言っているような場所】
【少女がそこに潜って何日目だろうか。一目見れば格好の標的と分かるが、しかし今誰かに馬乗りになってマウントを取っているのは少女の方だ】
【下にいるのは、これまた一目でガラの悪さが伺えるような男だが、少女に何度も顔面を殴られて、顔は腫れ上がり、完全に気絶していた】
【拳と顔を返り血に染めながら、少女は荒く息を吐き出した】

【クラスに一人はいる地味な女子と言った風情の黒髪の少女】
【ハーフパンツにTシャツと言うラフ過ぎる格好も今は血の跡で汚れている】
【目は半ば据わっていて、全く余裕を感じられない】


ハァッ…!ハァッ……!これで、何人……?あと、何人……?


【少女の能力は非力で、武器を持った複数人に囲まれるとかなり危険だった】
【だから、走って相手を撒きながら、一人一人確実に叩きのめしている】
【しかし、身体が強化されていても疲労の蓄積までは防げない】
【うだるような暑さも手伝って、頬を落ちる汗を返り血と一緒に拭った】


……ゼェ……傍から、見たら、こっちが、犯罪者よね……表通り、逃げて大丈夫かな……?


【正直なところ、迂闊にもこんな時間に路地裏に潜った少女に襲い掛かった彼らが"悪い"のかどうか、良く分からない】
【目的が何だったのかもはっきりしないが、少なくとも先に手を出すには十分過ぎる危機感は感じた】
【しかし――】


……ひょっとして、囲まれてる?


【路地のどっちを向いても、誰かの足音を感じる】
【先制攻撃と単騎な点を利用して、しばらくは主導権を握っていたものの、混乱さえ収まればここは彼らの庭】
【人数もさっきより増えている気がする】
【能力をちゃんと発揮できれば、無理矢理突破もできそうだが、"条件"はまだ満たしていない】

つくづく……不便な力……

【虱潰しに探しているのか、怒声の幅が狭まっている――下手に攻撃を加えたせいで、怒り心頭なようだ】
【どうする――?】
【汗が、気持ち悪い――暑さと焦りが、冷静さを奪っていくのを感じる】
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/11(月) 22:53:00.44 ID:2yoS3v240
>>428

【――――リストが向こう側に渡った=z

【その大ニュースに対して、「王」たるはずの人物の反応は】
【随分と気の抜けたものだった。顔が強ばるわけでもなし】
【強大な敵と遭遇したときのような、歪んだ笑みを浮かべるでもなく】


そうか、そりゃ大変だな。これでこの国の"円卓"も終わりって訳だ
長らく続いてきた集金システムも、終わりは呆気ないもんだな

……それで?号外にしちゃ、お前随分冷静じゃねえか
聞かせろよ、その続きを。起きた事象を"判断"するのはこの俺だ
……連中の方から、なにか接触でもあったのか?


【もしそうなら面白い。その程度の好奇心が僅かに覗いた質問だった】

【結局の所――リスト、という生命線を握られたところで】
【ジルベールという男自身にはさしたる影響も無い】
【なにより、元からそれを握っていつかは"円卓"を[ピーーー]つもりだったのだから】

【――ただ、含みを持たせた言葉というのは自然と興味を惹くもので】
【その点、円城が空けた間というものは、実によいアクセントとなっていた】
431 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/11(月) 23:02:50.24 ID:BvG3dh+l0
>>429

【 ── 暑く湿った大気を引き裂くように、少女のとなりへと、「なにか」が風を切って落ちてくる。人影である。】
【黒い外套の裾をはためかせ、微かに差し込む月光にその身を晒し、 ── 長い長い白銀の髪が宙に広がったかと思えば、転瞬片膝をついてコンクリートの地面に降り立ち】
【衝突音。なにかが割れる音がした。いや砕ける音がした。影の降り立った脚元の地面は、大きく窪んで罅割れ砕けていた。】


 「 ─── 。」


【振り向いて少女を一瞥するのは果たして女である。女とは思えない2m弱はあろうかという巨躯が、長い影を路地裏に落としていて、】
【冷たく光る青い左眼で、睨め付けるように少女を一瞥した。人殺しの目だった。それでいてその両手には拳銃が握られていた。】
【 ── 女は片腕を持ち上げて、暗い路地裏の奥へと数発、弾けるような射撃音。短く、だれかの悲鳴。それは同時に断末魔でもあった。】


「逃げるわよ。人助けなんて趣味じゃないけれど。」「ちゃんと掴まってなさい。腕、もげるわよ。」


【この初夏だというのに、女は冬に着るようなコートを着て、しかもスーツの正装だった。ご丁寧にネクタイまで締めていた。それでいて汗ひとつかいていなかった。】
【少女に向けて、片肘を突き出す。そこに掴まれと命じる。逆らってもいい。だがもしも、素直に従うことがあるのなら。助け舟と思しき言葉を信じるなら。】
【 ── その痩躯は、跳躍する。急激な上向きのGと共に、路地裏を挟む摩天楼の上層へと、ごく僅かな窓枠に足かけ、三角飛びさえ織り混ぜながら】
【やがてどこかのビルの屋上に辿り着けば、ようやく彼女は飛び上がる足を止めるだろう。およそ人間の膂力ではなかった。】
432 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/11(月) 23:22:41.21 ID:+FVjSnE+0
>>431
【焦燥と混乱の中、颯爽と現れる人影――】
【例えるならそれは、レンタルビデオで借りた洋画のヒーローのような登場の仕方だった】
【現実離れしている、と言う意味も兼ねて】
【どれだけの質量だったのか、地面を半ば割りながら現れた女性――咄嗟には女性と認識できなかったのは、自分よりも頭一つどころではないくらい大きかったからで】
【敵――?味方――?】
【分からない。でも少なくともチンピラの味方とは思えなかった】
【と言うか、その目に宿る殺気が段違い――事実、銃声が聞こえたかと思えば、息を吸うように、彼女は人を殺していた】

え――

【助けに来たのだと、その冷たい眼からは咄嗟には飲み込めず、しかしそれを待っている暇もないまま、差し出された手に捕まると――】

ひっっ!!

【短く悲鳴を上げて慌てて捕まり直す。能力の影響下になかったらもげまではせずとも肩くらい外れていたかも知れない】
【重力に逆らう状況に胃がひっくり返りそうになりながらも、どうにかその女性にしがみついていて】
【――気が付けば、響く怒声は遥か眼下へと移っていただろう】

……ハッ……の……なた、は……?

【先程まで息を乱していたが、今度は息が詰まっていた。どうにか吸い込み過ぎた呼吸を吐き出すように、途切れがちに声を絞り出して】
【夜間で有れば、流石に冷えているコンクリートの上に膝をついて、どうにかこうにか少女は顔を上げた】
433 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/11(月) 23:31:08.24 ID:SZegM5ji0
>>399

…アイツは自分の立場ってもんがわかってるんだ。それに周りの状況もな。
俺の半分ぐらいの歳なのに俺よりよっぽどわかってるし、最善を知っている。
アイツは天才なんだ。多少ぶっ飛んでる方がそれっぽいだろ

【本人は絶対に認めないが、同年代と比べても多くの人間と比較しても彼女は天才だった】
【だからこそ誰もその思考を理解出来ないし。理解されない。でもそれは彼女の中ではちゃんとしたルールに則っている】

【ロッソはだからそのぶっ飛んだ理屈を信頼していた。信じるということはそういう不確定なものもまとめて抱き込むことかもしれない】
【勿論、この賭けに失敗したらもう本当にチェックメイト寸前となる。それでも勝負はいつも攻め手に回らなくちゃならない】

…だからこそ、次は勝つんだ。生きていれば、いくらでも次がある。だからこそ、負けてでも生きていなくちゃならない。
まあ、その…俺はそう…思うんだ。トータルで勝てばいい。這いつくばっても、戦い続けりゃいい。
受け入れなきゃ、次もまた同じだ。…まあ、俺が言わなくてもわかってるだろうけど…

【この黒幕との争いで、探偵はずっと戦い続けていた。それでも状況は悪くなるばかりで何度も死にかけた。それでもまだ彼は諦めちゃいなかった】
【無駄だと思っても、あの手この手で戦い続ける。そのお陰で、たまにはこうして新しい仲間と知り合えるようなこともある。】

そもそも相手は公安なんだ。諜報が最も得意な相手に対しては過剰なぐらいがちょうどいいと思っていた。
まあ…それは個人の判断に任せる。一人じゃ何もできないのは事実だ。うまく連携を取れれば一番いいんだけど

【彼はまた何本目かわからない煙草に火をつけて、頭を抱えていた。】

…カルトのことは少し聞いている。優秀な協力者がこちらにも居るんでな…それに、奴らにはもう接触した
タイミングが悪くて…大した収穫は無いに等しい。それでも…奴らから仲間を取り返す。それは目下の問題だ

【だがどうするか…だ。 と、また彼は悩みこんだ。】


/すみませんお返し遅れました!置きレスのほうでの進行のほうがよろしいですかね?
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/11(月) 23:32:16.22 ID:dfPDSNx5o
>>430

いやあ、これが悪いニュースなのは、
ほとんど『議会派』にとってだけですからね。

【──『議会派』】
【前にどこかで、円城から聞いたことがあるかもしれない】

【ジルベールの登場によって、〈円卓〉内の派閥は大きく二つに分裂した】
【彼のやり方を快く思わず、旧態に固執し自らの権益と保身のみに拘泥する一派と、】
【彼に大いなる変革の可能性を見いだし、これを支持する一派である】

【「──前者の方を『議会派』、後者の方を『王侯派』と私は呼ぶことにしました」】
【「その方が、後の世で教科書を書く人も書きやすいでしょうから」】
【「『頭にカビが生えた鈍くさい方の屑』とか書くよりは」】

【即ち、現在のシステムが崩れて困るのは、ほぼこの『議会派』のみであるということで】
【とはいえ、『王侯派』の連中とて『リスト』の中に含まれているという点で、決して安泰とは言えない】


──そこで、一か八かの大博打を始めようとしている人がいるんです。

〈伯爵〉──と呼ばれています。
私の直属の先生ですね。そのお方からの遣いで今日は来ました。


【〈伯爵〉──】
【曰く、〈円卓〉における最古参の一人であり、『王侯派』の筆頭】
【あの闇の諮問において、ジルベールをトップに据えるよう密かに議論を誘導していたとのことで】


──かなりのお年なもので、もうずっと耄碌していると思っていたんですが、
蝋燭の最後の灯火というやつなのか……急に活き活きとし始めて、こんなことを言うんです。


 【 「──あの男が統べるには 国一つでは とても足りぬ」 】

 【 「──築かねばならぬ 真の〈円卓〉を」 】


────つまり、
国一つの中で収まっているような小さいテーブルじゃなくて

盤上を『世界』に移しませんか? って──話ですね。


【あるいは、それは元々ジルベール自身の描いていたスケールだったかもしれない】
【ここで言及されたのは即ち、紛うこと無く世の富全てを掌握する、世界規模での〈円卓〉──】

【そこでまた一区切り】
【反応を伺うように、円城はジルベールの瞳をじっと眼に映し】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/11(月) 23:36:13.32 ID:dfPDSNx5o
>>434
/時間かかり気味で申し訳なかとです……!
/お時間厳しければ無理せず仰ってくださいませ。
436 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/11(月) 23:36:38.37 ID:BvG3dh+l0
>>432


「人助けの悪癖がついてしまった莫迦な人殺しよ。」「 ── 後はそうね。なんとなく、だけど。」
「チンピラに付くよか、色々と利がありそうだと思ったから。貴女、素直そうだし。」


【とくに感情の起伏もなく彼女はそう告げた。視線を合わせることもなかった。ただ横顔だけを晒していた。】
【拳銃を腰のホルスターに提げ直して、懐からライターとシガレットを取り出す。マールボロを一本摘んで、ジッポの蓋を開け、】
【口に咥え、摩擦音と共に点火して、手のひらで覆った火をそっと煙草に移す。深く息を吸い込み、赤熱する先端。そっと口許から白煙を漏らした。】


「それで。貴女、何者かしら?」「破落戸にちょっかい出して追っかけ回されてた、って訳でもなさそうだったけれど。」
「それくらいは教えてもらってもいいわよね。 ── あと、名前も。」


【青い瞳が一瞥する。そこに殺気はなかったけれど、殺意を満たすのに余りにも慣れすぎている色合いだった。】
【片手をポケットに突っ込んだまま、もう片手で煙草に指を添えつ、少しずつ紫煙を燻らせる。じっと少女を見つめながら。】
437 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/11(月) 23:58:42.61 ID:+FVjSnE+0
>>436
悪い、クセじゃ……ないと、思います、けど……

【乱れていた呼吸も、どうにか整えることができて】
【苦し紛れに笑おうとして見せたが、全く笑顔にはなっていなかっただろう】
【しかし、利とは――だとすれば、失望させることになるだろう】
【少女は、何も知らないし、何の後ろ盾もない】
【後ろめたそうに、女性を見上げる。煙草を吸う様が、妙に様になっている】
【感じるのは、余裕だ――アクション映画張りの動きを見せた直後でも、日常との地続きのように振舞っていられるのは、少女にはとても遠いことのように感じた】

名前……三枝、双葉……何者って、言われても……

【自分は外から見たら何なのだろうと、哲学的な問いを浮かべてしまいそうになる】
【こういう時、いつもは名乗りを上げる言葉が有るのだが、無様にも助けられた直後では到底口に出せそうになかった】
【彼女の審美眼は確かだろう。素直と言うには、愚直過ぎるほどに、少女の貌には何の裏も感じなかった】


ゴロツキにちょっかい出して……追い駆け回されてた。


【と、身も蓋もない回答をするのだった】
【静かに称えた瞳にたじろぎそうになると、慌てて言い訳をするように】


いつも、は……襲われてる人とか、ヤバい取引してる人を見付けて、やっつけてるんだけど……今日は先に絡まれちゃって。
私の方が襲われそうになっちゃったから……

【殴り倒したのだと、語る】
【事実、彼女に助けられる前に、少女は8人ほどチンピラを血で染めている】
【しかし、ただの一人も殺してはいないのは、殺す度胸がなかったのか、そこまでの余裕がなかったのかは、分からないけれど】
【無謀?過信?それ以前の問題――少女から感じるのは、ただひたすらに――"無知"】
【自分がどれだけ危険な行為をしているのかすら、把握していない】
【しかもその言からは、今日が初めてではないのも分かるだろう】
【薄着の服から伸びた手足にある多数の傷跡も、それを証明している】
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/12(火) 00:06:03.51 ID:hqnm6YGu0
>>434

【「議会派」と「王侯派」――まるで歴史の授業だな、と呟く】
【だが、それはそれでいい。歴史の中の出来事に足を踏み入れる】
【或いは歴史の教科書を自ら書き換える。これほどの征服感というのも無いだろう】

【――もっとも、大概の失政者はここで調子に乗るのだが】
【元より降って湧いたような立場。外見や言動とは裏腹に】
【堅実に足元を固めるのがこの男の特徴らしい特徴、でもあって】


    ……なんだ。


【〈伯爵〉――それがどんな老獪な人物であるのかは、何も知らない】


    "円卓"にも居るじゃないか

       少しはマトモな考えのやつが。


【円卓という集合組織の伝書鳩ではなく、『王侯派』の筆頭とされる人物】
【その個人的なメッセンジャーとして語る円城に、今日はじめての笑顔を見せた】

【それは孤高の旅人が深い森の中で同胞を見つけたような】
【安堵を感じ、けれど交わろうとはしない、そんな昏い喜びにも似て】
【惜しむらくはその老公がこの場に居ないこと、と言うように溜息を交えながら】


……いいさ、やろう。その賭け、一か八かというほど分は悪くない
既にいくつかの国に種は蒔いてある。
黒幕と、他の連中が騒ぎ立ててくれたお蔭で……静かに、順調にな。


【だから、いつでも盤上に上がるだけの準備はできている】

【――お前には何か他にも言伝があるんじゃないのか】
【そう問いかけるような視線を、ジルベールは円城に向ける】
【瞳はごく穏やかなものだ。ただギラギラと、黒曜石のように煌めいていたが】

/いえいえ、量と速度より質で楽しませていただいてますので!
/そして時間なのですが、そろそろ下がらねばならず……
/明日は来れそうにないのと、今週他の平日は夜が不安定でして
/こちらで点々と進めるか、置きレスへの移行をお願いします。
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/12(火) 00:10:17.20 ID:7x3z8CkPo
>>438
/いやはや恐縮でございます。
/そしてお時間承知です、こちらからは次でラストにさせていただきますんで、どうぞお先にお休みになっててください。
/遅くまでお付き合いありがとうございました!
440 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/12(火) 00:13:12.17 ID:xlrGeU770
>>437


「 ── はあ?」


【微かに目を見開いて素っ頓狂な声を上げる。ごく冷たく澄み渡るような口ぶりであったのに、すっかり呆れてしまったような。】
【呼吸を整えるように深く煙草を吸って、ため息混じりに煙を吐き出す。ネオンに遮られた痩躯の影。】
【見ればその手足は生傷ばかりであった。微かに青い左眼をしかめて、しばらくの間の後に、女は言葉を続ける。】


「 ………。なんのために、そんな危なっかしいこと、してるのかしら。」
「まさか、人助けとか言わないでしょうね。」「そうだったら本物の馬鹿よ、あなた。」
「 ── もしも私が、あのチンピラどもの味方についていたら、どうしてたつもりかしら?」


【ずいっ、 ── と、煙草に触れていない方の片手で少女を指差し、そのまま額にずいずいっ、と人差し指を押し付ける。】
【「この手だって左右が違えば根性焼きにだってなるのよ。理解してる?」問い詰めるように、あるいは責めるように。】
【煙草のにおいの中に混じって、別の煙たさを女は纏っていた。それはきっと、銃を持つ人間として染み付いた、硝煙のにおい。】
【らしくないことをしてばかりと女は思っていた。こんな説教のような、お節介のような、あまり人とは関わらない性質だというのに。】
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2018/06/12(火) 00:25:43.32 ID:hqnm6YGu0
>>439
/次のレスでまとめる……だと……?
/いや流石であります。ではお言葉に甘えさせていただいてお先に失礼をば
/こちらこそ、遅くまで大変ありがとうございました!お休みなさい!
442 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/12(火) 00:40:43.21 ID:R87VptH40
>>440
【ようやく、息が整って、少女は立ち上がった。立ち上がっても、見上げなければ彼女の顔を見れない】
【予想の通りと言うか、すっかり呆れられたような声音に、少女は首を竦めて見せる】
【少々凄まれた程度で、ビクビクしているその様は、目の前の女性とは正反対で、とても戦いに身を置く人間の振る舞いではない】
【何のために、そう問われると顔を伏せて、暫く考えている】
【さながら自分でも答えが出ていないかのように】

……正しいことを、しないと、いけないから……

【ややあって、口に出した答えはともすれば人助けよりも馬鹿らしいものだっただろう】
【そろそろ乾き始めた返り血で染まっている手をぼんやりと眺めてから】

でも、何をすれば良いのか、分からなくて。
人助けがしたいって言う訳じゃないけど……でも、取り敢えず人助けをするのが早いのかなって。
後は悪いことしている人を倒して、時々死に掛けたりもして――

【傷が有るのは手足だけではないだろう】
【服の下にも同様の生傷が有るのは容易に想像がつく】
【つまり、その程度の実力しかないと言うことだ】
【彼女がチンピラ側についたら、その問いには難しい顔をして見せる】

――分からない……でも、最後までやれるだけのことは、やったと思う。

【少女の言葉は、どこか他人事のようだった】
【だと言うのに、詰問されるように言葉を継がれると、身震いして沈黙してしまう】
【刃物のように澄んだ言葉を受けただけで、怯んでしまうくらいの臆病さ】
【どう考えても、一人で路地裏に突入できるような類の人間には見えない、矮小さ】


【そんなどうしようもない有様だったからこそ、馴染まぬ世話を焼かせてしまっているのだろうか】
【言葉はきつかったが、そこには悪意らしきものは感じなくて】

――ごめんなさい。

【何に向けてかも定かではない、謝罪の言葉が、短く口を突いた】
443 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/12(火) 01:00:19.22 ID:17QBQuse0
>>442



「 ──…… あのねぇ。」


【嗚呼この少女は「そういう奴」なんだと女は理解した。そして溜め息をまた、深く深く吐き出した。】
【この世界、この手の人間は多い。不条理と非道と残酷性が大手を振って目の前を歩く。それに憤るティーン・エイジャー。】
【大抵はささやかな不満を胸に抱いて、しかし日常の中にそれを忘れゆくのみ。けれどこの少女のように、時折立ち上がる者がいる。 ── 大抵は、手に入れてしまった異能がゆえに。】


「はーーー ……… 。 そういう顔されると、きつく言いにくくなるじゃない。もう、本当に。」


【目を伏せて、悲しそうな顔をされて、 ── いかにも何も考えず義憤で動いていた、なんて純粋な面構えをされたのなら、】
【女も言葉に困らずにはいられなかった。これが跳ねっ返りの罵詈雑言でも寄せてきたら、まだ冷たくあしらってやれたものを。】
【らしくない。ああらしくない。自分が誰かに説教するなんて。しかも歳下。自分の生きる道さえ儘ならぬというのに! ──けれど、目を開けて、ふたたび少女を見つめたのなら。】


「まず最初に。大前提として。」
「 ── それは勿論、結構なことよ。正しいことをしたい。誰かの力になりたい。身の程を知れなんて、 ── 言いたいけれど。あえて言わない。」
「人殺しではあるけれど、私もそう思ってない訳じゃないわ。誰だって、仰いで恥じぬ人生は送りたいものよ。」


【滔々と、言葉を紡ぎゆく。その声音は冷たいけれど、どこか静かな熱を秘めて、あるいはそれは優しさと呼ばれるべきだろうか。そっと、諭すように。】


「けれどそれにしたって遣り方というものがあるわ。何の繋がりもない孤独な人間が、一生のうちにできることの範囲。考えたことある?」
「ひとりで我武者羅に突っ走ったところで、何も変えられやしないわ。貴女に助けられた人は、感謝しているかも知れないけれど」
「それは、取り敢えずの解決になっただけ。 ── 貴女は、いつ死ぬかも分からないようなリスクを冒したっていうのに。」

「草の根活動大いに結構。けれど好き好んで選ぶならともかく、不要な孤独に意味はないわ。」
「もしも其の命を、少しでも大切に、効率よく、無駄のないように役立てたいなら ── "仲間"を求めなさい。」
「貴女を守ってくれる仲間。貴女を支えてくれる仲間。貴女が守れる、支えられる仲間。いいこと?」
444 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/12(火) 01:46:54.35 ID:R87VptH40
>>443
【彼女の言葉は、真摯なものだっただろう。ともすれば馬鹿にしているとも思われかねないような少女の動機を、理解してくれようとしてくれている】
【そして、その予想も、全く的外れなものではなく、"これ"を少女が続けていれば、そう遠くない内に命を落とすことになるだろう】
【彼女が気紛れを起こさなければ、それが今日だった可能性さえある】

【恐らくは少女自身も、酷くちぐはぐなことをしていると、自覚は有るのだろう】
【だから、何も言い返せずに、ただまごついているだけだ】
【それでも、女性は蹴り出したりはせずに、幼子を諭すような、言葉を重ねた】
【少女は静かな瞳で見上げたまま黙って聞き入っていたが――】

――そう、ですよね……

【それは正しいことだ、とそう言われた時だけ、少し安堵した顔を浮かべるのだった】
【もっとも、それ以外のことは間違いだらけだったのだろうけれど】

ちょっと、前まで……戦い方を、教えてくれる人が、いたんですけど……
死んじゃったので……

【ぽつりと呟くも、然したる悲しみも感じない、平静な声だった。話の腰を折ってはいけないと、それ以上のことは語らず】
【ただ真面目に、大真面目に続けられる言葉を聞く】
【確かな実感が篭っていた。この女性の、最初の印象からするならば、少々熱が入り過ぎているくらいに】
【恐らくは、少女の想像もつかないだろう人生を送って来ただろうこの人の心中は、測りようがない】
【でも、声には、確かな暖かみを感じて、それだけで、彼女の一面は、見えて来るだろう】

仲間――……

【一人であることの限界は、少女も常から思っていたことだ】
【路地裏で悪党を退治、なんて無謀な行動を取っていたのも、どうすれば良いのか誰にも聞けなかったからに他ならない】


私は――自分が正しいことをしてるのか、自信がなくて、分からないから……誰かを、こんなことに付き合わせて良いのかも


【分からない、と首を振る。残念なことに少女はどうしようもないくらいのコミュ障だった】
【守って、守られて――……孤独ではないと言うのは、それは素敵なことに思えるのだけど】
【同時に、酷く遠いことのように感じた】
【だからふと興味が沸いて、視線を合わせる】

あなたには――そういう仲間が、いるんですか?

【見るからに孤高のアウトローと、失礼ながら見えてしまう。彼女にも、背中を預けれるような相手がいるのだろうかと】
445 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/12(火) 02:02:35.39 ID:17QBQuse0
>>444


【果たして少女が素直であることは幸いだった。だれかの言葉を受け止めて、己れを顧みる事ができるのならば、行く道を変えることはそう難しくない。】
【少なくとも女はそうでなかった。よしんば誰かの言葉に耳を貸したとして、彼女は道を変えることはできなかった。それはひとつの呪いだった。】
【 ── およそ冷たい横顔をした彼女が、ずいぶんと入れ込んだ様子で言葉を綴るのは、叶えられない自分の夢を、少女に重ねているからだろうか?】


「 ── 師を亡くしたなら、自分を正しく思えないなら、尚のこと仲間を求めなさい。」
「背中を見てくれる戦友がいるなら、たとえ貴女が間違った道を進んだとして、きっと呼び止めて引き戻してくれるわ。」
「そしてまた、貴女が強くなるために手を貸してくれる。互いに磨き合い高め合うために、絶えぬ相互批判のサイクルを以て。」


【然し師匠を持っていたというのは女にとってやや驚くべきことだった。戦い方も ── これは戦術的なことに限らず ── 知らない少女は、孤独な想いを秘めていたのかと。】
【「師匠に見染められた命なんだから、もっと大切にしなさい。いいわね?」伸ばした掌で、宥めるように頭を撫でて。】
【 ── そうして、少女からの問いがあれば。どこか寂しそうに、言葉を零す。】


「探してるわ。ずっと。」「 ── けれど、私は所詮、飼い犬だから。」
「自分の首輪を外してくれる人間を、今は求めているの。」「手を汚すにしたって、自分の満足できる汚れ方であってほしいもの、よ。」


【女もまた孤独だった。孤独だからこそ、誰かに自分を重ねずにはいられなかった。これもまた彼女の悪癖であったけれど。】
446 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/12(火) 02:21:55.91 ID:R87VptH40
>>445
【彼女は自らを人殺しだと語り――事実目の前であっさりとチンピラを殺しているところも見ているのだが】
【不思議と、頭を撫でる手を恐ろしいとは思わなかった】
【酷く親身に――或いは自分を通して他の何かを見ているかのように、その声音は優しい】
【少女はようやく緊張を解いたように、クスリと笑った】

――何だか、師匠より、全然師匠らしいこと言ってます。

【女性の胸中の疑問を察した訳ではないのだろうけれど】
【少しぼんやりしたように、呟く】
【その師のことを、思い出しているのかも知れない】

【彼女のどこかやりきれない孤独さに、視線を細める】
【助けて貰ったのだから、何か力にもなりたいけれど、きっとそんな器ではなくて】

その……上手く言えないですけど、もしも私に出来ることが有ったら、私も手伝いますから……

【それを言うだけで精一杯だった】
【気が付けば、下のチンピラたちも諦めたのか、怒号らしきものも聞こえなくなってる】

ありがとうございました。何か少し気が楽になったって言うか……


【――少女はとても素直に、話を聞いた。その全てに納得できた】
【彼女の言うことは正しい。仲間を探して、背中を支え合って――それはとても理想的で】
【なら、次はきっと――――"次もきっと"】


そろそろ、行きます。
お礼、言いそびれちゃったけど、助けてくれてありがとうございました。

私だけ名乗っちゃいましたけど、あなたのお名前も、聞いて良いですか?
447 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/12(火) 02:48:22.77 ID:17QBQuse0
>>446

【柔らかい手のひらだった。それは女の元来のものではなくて、それどころか女の体に元来あったものなど殆どなくて、】
【 ── ほとんど全身を人工物に置き換えた義体(サイボーグ)であるのだけれど、それはきっと、言うべきことでもないだろう。】


「私の力になりたいなら、せめて無茶はしないで頂戴。何のために助けたか判らなくなるわ。」
「慕ってくれるなら結構なことだけれど ── 」「 …… ま、いいわ。」


【そのくらいしか願えることはなかった。他人に自分の願いを叶えてもらおうとは思わないタイプであるし、】
【万が一なにか叶えて欲しいことがあったとして、口にすれば無理をするタイプであるだろうと。だから命じたのは、「無理をするな」と。】
【 ── そしてまた、彼女のような優しい少女の目指すところは、きっと己れの目指すところとは食い違っている筈で。いずれは、銃口を向けることさえあるかもしれない。】
【けれど今ばかりは忘れようとした。そうして名前を問われたのなら、静かに唇を開き】


「アリア。」「アリア・ケーニギン=デァナハト。」
「また会いましょう、双葉。」「 ── 次はもう少し、危なげないようになっていなさい。」


【"次"が有りうる程度には、強くなっていろ、と。忠言のような、命令のような、警告のような。】
【ともあれ女は屋上に残り、2本目のシガレットに指を伸ばすだろう。 ── ほんの少しの微笑みで、双葉の背中を見送りながら。】


/こんなかんじで、いかが、でしょうか。
448 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/12(火) 03:07:56.94 ID:R87VptH40
>>447
【名を呼ばれると、嬉しそうに、はい、と返事をした】
【少女に取って、誰かと親しくなることはとても稀有なことだったのだ】
【複雑そうな女性の心中の懸念などきっと察してもいなくて】
【その身が機械の身体に置き換わっているのだと知れば、どんな顔をするのか分からないのだが――知らぬが仏】

また、会いましょう、アリアさん。

【少女は、自身も何かの能力を使ったのか、屋上からすいっと飛び降りて行った――】
【或いは、いずれ会う時に敵同士であったのだとしても、遠慮なく銃口を向けれる程度には、安心させられるような人間になりたいと思って】
【少し嬉しそうに、路地に着地する。表通りに出る前に、返り血を洗わなければいけないだろう】

〜♪

【何だか気分が軽かった。先の見えない状況が、少しは良くなったように思えて】
【彼女の言うように仲間を探すのは悪くないと思う】
【この国に来てから会ったのはほとんど悪い人だったけれど】
【倒れていた私を助けてくれた人や、仲良く話してくれた人もいて、今日もまた、助けられた】
【だから、きっと私のこんな酔狂でも付き合ってくれる人が――】


……声が、聞こえる。


【ふと、何もないところを見上げるように呟いた】
【立ち止まって、拳を握って、つい先程、心に刻んだはずの大切なことも頭に浮かばなくなって】


分かってる……正しいことを、しないと。


【そうして、誰かに背中を押されるように、誰かに腕を引かれるように、少女は再び路地裏へと消えて行った】
【屋上に残った彼女がそれを見ていたかは、定かではない――】


// お相手ありがとうございました!
449 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage]:2018/06/12(火) 03:09:37.48 ID:17QBQuse0
>>448
/絡みありがとうございました&おつかれさまでした!おやすみなさい…
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/12(火) 08:34:06.20 ID:7x3z8CkPo
>>438

【既に種は撒かれている──】
【ジルベールのその言葉に、円城の飄々とした表情に笑みが滲んだ】


──〈王〉の沈黙こそ、恐ろしいものはありませんね。


【これまで、世間の表層を掻き乱してきた〈黒幕〉の一連と比べれば】
【物静かとも言えた〈円卓〉ではあったが、それは決して停滞していた訳ではなく】
【ただ単に、闇の中で蠢く影であったからに過ぎない──ということを示していた】


……恐らくそう言ってくださると思って、
〈伯爵〉も既に絨毯を敷き始めています。

もたらされる結果は、シンプルです。
──金が動きます。それも複数の国にまたがって。

そして、彼らはきっと仕えるべき主のところへ集まるようになるでしょう。


【それは迂遠な言葉回しではあったが、新たな〈円卓〉の実相を表していた】

【即ち、水の国という枠を超えて、世界規模で金が〈王〉の元へ流れる機構】
【基本的な仕組みそのものは変わらない。ただその裾野に際限が無くなり、】
【管轄は完全に〈王〉へ移り、最早横領にしか余念の無い『議会派』の手が届くようなものではなくなる、ということ】

【その金の使途は、全て〈王〉の意志に委ねられる。本来のあるべき〈円卓〉の姿】


──なので私はこれからあちこちへ渡って、『外交』をしてきます。

〈伯爵〉に言わせれば、
近頃は『国防費』の使い方がなっていない国が多すぎるということで──
まずはそれらを『生きた金』にしてこい、と言われました。


【円城は決して言葉多くは語らなかったが、それもジルベール相手ゆえのこと】

【──要は、争いによって金を動かす】
【『戦争特需』が新たな〈円卓〉の源泉となる、ということは】
【最早わざわざ語るのも野暮に思われたのであった】


【──と、丁度そこまで語り終えたとき、彼の携帯端末が震えて】
【話の途中であったが、「ちょっと失礼します」と言ってそれを取った】

/↓
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/12(火) 08:34:56.84 ID:7x3z8CkPo


────え? 殺された? 〈大臣〉が?

ああ、はあ……そうですか……
どうすれば、って……知らないですよ、そんなこと。
あなた達の先生でしょう。しっかり見送ってあげればいいじゃないですか。

はい、はい、じゃあ、はい。


【何か端末の向こうで騒ぎ立ててくる声を平然と無視して、通話を切った】
【すみませんねぇ、と言いながら端末を袂にしまい込んで】

『議会派』の先生が一人、早速やられたみたいです。
それはどうでもいいんですけど、あまり時間がないのは確かなようでして──

【その言葉に追い打ちをかけるかのように、遠くで再びパトカーのサイレンが鳴った】
【そしてそれは、次第にこちらへ近付きつつあるようだった】
【円城は割れた窓の外を一瞥すると、小さく嘆息した】
【今宵は雨も追っ手も、止むことがないらしい】

──ああ、もう、言っちゃいますね。──やれやれ。

何ならご飯でもご馳走になろうかなと思って来たんですけど、
これじゃあおちおちお茶も飲んでられませんよ。

少しはリンドウさんの優雅さを見習っていただきたいものです──

【母親から急にお使いを頼まれた子供のような表情をして、円城はハットのずれを直した】
【そうしてやってきた伝書鳩は、また慌ただしく次の城へと羽ばたこうとするのである】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2018/06/12(火) 08:44:27.77 ID:7x3z8CkPo
>>438
/お忙しい中あんまり拘束してしまうのもあれかなと思ったので、
/一方的に語るだけになってしまいましたがここで切れる感じにさせていただきますね。
/もちろんまだ何かもう一くだりありましたら喜んでお付き合いしたいので、置きの方で継続でも大丈夫です。おまかせしまーす。

/ひとまずお疲れさまでした! お付き合いありがとうございました!
453 :リベル=アシェル&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/12(火) 19:07:00.31 ID:dpi2SwAb0
>>433

{……本人なりに、何らかの勝算があってって事かしらね? ……にしても、とんでもない話だとは思うけど……}
<備えなり、保険なり――――あればいいんですが――――>

【直接的には知らない面々には、ただ推測だけでしゃべる事しかできない】
【伝え聞く天才の決断と言うならば、何らかの裏打ちあってのものだと信じたい――――感情的になっているという可能性が、どうしても排除できないのだが】
【もしも、これが滑るのなら――――その先には、今以上の絶望的な事態が待っているだけである】

<――――私1人だけの戦いなら、私だってそう思います。でも――――負けと言うのは、ただの数字じゃない
 私の負けは、誰かの終わりです。1つの負けが、何かを歪めるんです。――――そういう戦いに、私は足を踏み入れているんです――――ッ
 私には、たまたま『次』があるだけです。でもいずれ、「『終わり』としての『負け』」はちらつき始めます――――そんなもの、1つだって少ないに、越した事はない――――>

【あのアルターリの戦いで――――ラベンダァイスは「これ以上仲間を失うのは御免だ」と呻いていた】
【そして、誰も与り知らぬ事ではあるが――――担ぎ込まれた病院で、アルターリの全滅を耳にして、彼女は「らしくない」程に泣き叫んだ】
【ここはもう、根本的なスタンスの違い。そう言うしかないモノなのだろう。理解のその先を見据えるラベンダァイスのその瞳は、切迫している――――】

{――――なんとも、余裕のない話をしてるのねぇ。そんな事じゃ、1つ躓いただけで、ずるずる落ちていっちゃうわよ?
 『生きる』事、次に『負けない』事……『勝つ』事なんてのは、その次くらいよ……今の状況じゃね。そう考えなさいな、お二人さん?}

【ルヴァが、たまらず横やりを挟む。常に余裕を持て――――それは、彼女の戦闘における、否、それさえも越えた事物全般に対するスタンスだ】
【無論、状況次第の話ではあるが――――命よりも戦局よりも、勝つ事を最優先に考えなければならないほど、まだ追い詰められてはいないはずだと】

匙加減……ですよね。そこは……こんなの、私は……どうしても……
{まぁ、あたしもね。流石に情報戦なんて初めてで、どうしたものか……でも、逆に相手は緊密に連携をしてくる訳で……そこに、各個撃破される事は、御免被りたいわよねぇ……}
<私たちは、私たちの加減で動いてみます。少なくとも――――どこかから芋蔓に、なんて事はならないように、気は付けますが――――>

【メリットに対するデメリットとしては、どうしても秩序だった動きがやりにくいという事に尽きるだろう】
【敵は、物量と連携を以って攻めてくるのだ。個別の戦力に頼り切っていては、消耗戦の果てに各個撃破されてしまう】
【しかして、どこかに穴が開いたおかげで戦力がダウンするというのも、確かに難題だ――――そこは、完全に個人裁量で行くしかないのだろう】

{っ、もう接触した……!? 早いのね……でも、大して成果はなし、か……}
<――――問題ありません。全て砕き散らします。全て砕き散らします――――>
――――邪な信仰って、一番手ごわい敵なんですよね。本当に、命の全てを捧げる事に、何も躊躇しなくなってしまいますから……後は、実力以外の何も、介入の余地がなくなっちゃう……

【どうやら――――自分たちが情報面で遅れている間に、既に仲間たちの事態も動き始めているらしい】
【だが、さすがは『破壊的カルト教団』と言うべきか。戦力とは別の面においても、難敵と言う認識が全員に走る】
【殲滅――――それ以外には考えられない敵なのだと】

/次に安定して返せるのが、木曜日以降となりますので……場所に関しては、そちらにお任せしようかと……
454 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/12(火) 20:43:45.89 ID:R87VptH40
【夕暮れ、街中、歩道橋。歩く人の数もまばら】
【そのてっぺんの中央辺りで――行き交う車を眺めながら、転落防止の柵に上半身を預けて】
【煙草。吸っている男が居た、明らかなるマナー違反】

…………………………、

【タールばっかりきついだけの安物のそれを咥えながら、彼はスマホを弄っている】
【落ちる陽の橙を透かす銀の髪。それとは正反対に光を吸収するばっかりの褐色肌】
【逆光のために光を宿さない黄色い瞳は、だるそうにスマホの液晶を辿って――はあ、と溜息】
【何かを諦めたような顔をして、手にしていたそれを耳に当てる。何かしら聞こうとしているらしい】


【『――――こちらは留守番電話サービスセンターです。メッセージが一件、――――』】

【『………………もしもし、「兄さん」?』】


……………………――――にっが!!

【――何かを聞いた途端。彼はぎり、と煙草を噛み締めて。当然そんなことしたら、フィルターがぎゅってなる】
【おいしくもないはず。わかりきったことなのに、何故だかそうせずにはいられなかったらしい】
【味覚を襲うあまりの苦々しさに悲鳴をあげれば、咥えていたそれが落ちていく、あっやべっとか言っても遅い】
【思わず腕を伸ばしてキャッチしようとしたけど、届かない。放物線を描いて落ちる煙草、――誰か、見咎めるだろうか】
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/12(火) 20:54:50.71 ID:RoSbx1u4o
>>454

【──吹いた風の名を偶然と呼ぶのなら、導かれた二人の出会いまでもが奇跡になってしまうから】
【だからきっと彼女はこう言う。その風はきっと、導かれてここまで来たんだって】
【それを示すのは一葉の蝶、夜を溶かし込んだ翅に、星空の様な鱗粉を撒き散らす蝶】

【小さな掌で煙草を掴んだなら、薄く夕焼けを旋回して、虚空を紡いで、──まるで星座みたいな軌跡を映した】


危ないところでしたね、"偶然" 蝶が飛んでこなければ、火のついた煙草は地面に落下し
風に吹かれて近くの道路を歩いていた、マのつく自由業の皆様にぶつかるのです
そしてそのまま怒った彼らは貴方様を見つけになり、そしてそのまま山奥に哀れ埋められるのでしょう

──、つまり此処に "偶然" にも蝶を使役できる私が来た事は、一つの大きな奇跡なのです
そして結果的に命を救った恩人とも、言えるでしょう
一端の教育を受けた成人男性であるのなら、その恩人にすべき事など、分かっているでしょう?


【腰まである蒼銀色の長髪を大きく後ろで二つに結って、赤いリボンの着いた黒いケープを羽織る】
【ケープの下には黒いチョリ、下乳から鼠径部までを大きく露出し、黒いパレオで下半身を透かす】
【中東の踊り子の様な格好をした、黒と赤のオッドアイの褐色肌の少女が近くまで歩いてきて】

【蝶は彼女の近くまで来ると、強く羽ばたいて、煙草自体を粉微塵にかき消した】
【小柄な少女は上目に見上げる、どこか懐かしいオッドアイと】
【お臍の下あたりに刻み込まれた、黒い蛇のタトゥーが印象的であった】

456 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/12(火) 21:05:28.83 ID:R87VptH40
>>455

う゛ぇ、苦っ、あ゛〜〜〜〜……ン、ん?

【未だ舌を犯し続ける苦味に悶絶しながらも、瞳は疑問形に丸まって】
【橙の空を泳ぐものをぼうと眺め、それから――声の主を見た】
【瞳の色以外はわりと似たようなカラーリング、してるコだなあ。第一印象はそんなもの】

……ぷえ、んん……イエ、あの、ハイ……そのとーりです、ハイ。
偶然が命を助けてくれることってあるよネ、いやーほんと、感謝しなきゃだナー。
ハイ、なのでハイ……アリガトーゴザイマス。そして処理まですんませんでした。

【へたくそな敬語。使わなきゃいけない気がした、それで情けなく背を折って】
【もう一度上げたときには相当な高さに頭がある。190センチとちょっと、少女とどのくらい差があるだろうか】
【じっと見下ろす少女の姿、……けしてやましい意図はなかったけど】
【こうも肌が露出されてたんなら仕方ないじゃない。仕方ないよネ、そんな感じで】

…………寒くない? この季節とはいえ夕方は冷えるよ、
オンナノコってお腹冷やしたらダメなんでしょ。あとそれ、隠さなくてイイの?

【とんとん。スマホを持ってない方の手で自身の下腹部を指差して】
【さすがに少女のそれを直接指差すことは躊躇われたらしい。それで、首を傾げる】
【「それ」とは多分タトゥーのことを指しているんだろう。魅せるタイプのヤツなのか、って訊いて】
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/12(火) 21:20:01.35 ID:RoSbx1u4o
>>456

【──首を上げるのも疲れますね、なんて言いそうなぐらいの身長、平均よりやや小柄な心地】
【落ち着いた表情は瀟洒な雰囲気を強め、彼女の凛とした様相を確かに伝える】
【長いまつ毛が透かす大きな瞳、見つめられたら思わずたじろいでしまいそうな】


要求した訳じゃないですけど、感謝されるのは心地の良いものです。何なら特別にもう一度、頭を下げても良いのですよ
大きな殿方が謙る姿は、こう見てて気持ちがいいと言いますか、嗜虐心を擽ると言いますか
──、何かしらの特別な優越感を私に齎します。どうしてでしょうね


【頬に浮かぶ僅かな彩り。それは何処か加虐心に満ちた表情の様で】
【続く貴方の言葉に呼吸をするみたいに、目蓋を一度二度と閉じて瞬きをして】
【これですか、と自身の指先でタトゥーをなぞる。その刻まれた紋様を確かめる様に】

【──暗闇で貴方の体の輪郭を、まさぐる様な、そんな淫らな手つきだったとは、言わないけども】


砂漠の夜と比べたなら、この程度寒い内に入りません。私にとってはお風呂と相違ない環境でして
之ぐらいで冷えるのならその程度の身体と言ったまでのこと、そんな柔な鍛え方はしていません
それに、タトゥーとは見せるもの。刻んだ模様を隠すなど、最初から刻まれなければ良いのです


【ピシャリと言い放つ。怜悧な双眸が貴方を捉えて静かに閉じた】
【どうやら『砂の国』出身なのだろう、格好と言葉は、その通りを伝えてきて】
【──、ぴゅうと夜風が吹いたなら、小さく身震いして、着ているケープを見に寄せる】
458 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/12(火) 21:33:25.89 ID:R87VptH40
>>457

【瞳の大きさ、……というか色合い。それになんだか心が揺らされるような気がした】
【「あのコ」とは左右逆みたいだったけど。それでもこの鮮やかさ、似てるから】
【ちょっと前に見た夢のことを思い出して――ぞ、と。ロールアップで晒した踝のあたりに鳥肌が立つ】

……それはキミがそーいうシュミだからなんじゃないかなア?
おれとしてはこう逆に、ちっちゃいコにアタマ撫でてもらうみたいな。
そーいうのスキよ、なんかこー逆転したみたいなカンジになって。どう、やってみない?

【それは無視することにして。言われた通りに頭を下げてしまうのだ、ばかみたいなこの男は】
【そうして「今ならおさわり無料だヨ」とかなんとか言って、頭、撫でさせようとしてくる】
【無論放置してやってもいい。そうしたら数秒、頭を下げたままの間抜けな姿勢で固まって――あきらめて戻ってくる】

ウッソだあ〜今震えたの、オニーサンは見逃しませんでした!
ってことでハイ! これ着なさい! 強がりはダメ!

……ふうんそう。オシャレで入れてんの?
それにしてはセンス、……もっと可愛い柄入れればいいのに。

【ばっと自分のジャケットを脱いで、少女の肩に掛けて(確定描写)袖をぐるっと巻いて、結んでしまう】
【そうしたら逆に、暑くすらなるかもしれない。あと煙草臭い。文句言っても、いいですよ】
【それからあと、タトゥーの話題。センスのことを自分が言うのもなんだと思ったんだろうか】
【ちょっと言葉を濁してから――それでも、「蛇はそんなに可愛くないんじゃないかナ」みたいな】
【ニュアンスで言う。「せっかくなら蝶々とか入れればよかったんじゃねーの、さっきのキレーなヤツみたいな」】
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/12(火) 21:46:25.30 ID:RoSbx1u4o
>>458

【彼女は夜と戯れるみたいに手を伸ばして、貴方の髪を一葉掬うだろう】
【指先が毛先から根元へと、つむじの辺りまで落ちたならそこをぐりぐり】
【──、悪戯っ子な笑みを表層に浮かべて、小さく目元を綻ばせたなら】

【それでおしまい。彼女の微笑みは、本当に微かだから】


似た色の髪をされてますね。きらきらとした色合いが、とても私のものと近いです
私の方が綺麗だと思いますけど、それに染めた痕跡もありませんし
──それと遠回しに私の身長を馬鹿にするのは止めてください、小柄な方がエネルギー効率が良いので、過酷な環境に適しているのです


【です。──と言って、じとーっと拗ねたような目線を向けるだろう。冷たい】
【茫漠の砂漠に浮かぶ一陣のオアシスみたいで、潤いに満ちた瞳の色合いは鮮やか】
【砂糖菓子にも似た淡い褐色の肌と合わせて、ミステリアスな魅力を醸し出すのだから】


っ……!! やです、これ、タバコ臭いし……それに、この生地、そんな高いやつじゃないですよね
天然素材じゃないと肌に合わないんです……っ、ああ、もう! 固結びしてますよね! 取れない……しぃ
……はぁ、もういいです、寒くなんかないですけど、ないですけどっ

──そんなものです、それに蝶なら、見飽きる位には出せますし
それに自分の能力をアピールするとかバカのする事じゃないですか? どれだけ自分好きなのでしょう


【──少しジャケットは嫌がったが、観念して、きゅうと包まれる姿は借りてきた猫みたいに】
【続く言葉には刺があるけど、そんな能力を使ったのはどっちだろうか】
460 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/12(火) 22:06:10.82 ID:UegwfvWo0
>>453

【チェスのようにゲームはターンを繰り返す。事態は急転して、沈黙し、また大きく動いては…そんな攻防が続いている】
【麻季音打った言っては何処かでまた大きく動くきっかけになるかもしれない。同時に息の詰まる沈黙がまた訪れる】
【黒幕との戦いは機関や他の今までの相手とは何もかもが違っているような気がした】

俺には誰かに差し伸べられる腕は2本しか無い。神と違って万能じゃない。それでも、仲間ごと世界を救おうなんて思ってるんだ。
…ルヴァ、心配しないでくれ。俺は十分ポジティブさ。…思いつめるほど若くないからね。ペシミストだって明日は晴れてほしいと思うもんだ
だが、俺はこうも思うんだ―――

ジャスタファッキンドゥイットナゥ。俺は死ぬつもりで生きてるんだ。そればかりは誰にも邪魔されたくないね。俺だけのもんだ。

【彼は半笑いでそう言い切った。ルヴァの仲裁の言葉も、場をなだめる言葉も。生きることが大切だなんて根本の話をぶった切った】
【彼もラベンダァイスにはそう言って宥めたが、自分はそんなこと、そんな生き方考えるのも嫌だった。今死んでもいいと思える生き方だけしていたい】
【だからこそ、今は死ぬわけにいかなかった。死にきれない。こんな世界で世界を終わらせる訳にはいかない】

さあもう、こんな話はやめよう。好き勝手、戦って生きるなり死ぬなりすればいい。ただ、仲間と世界は救ってもらう…それだけさ

【彼は話の句読点のように手を叩いた。自分勝手でマイペースなやつがこの組織の中枢に居たから…と考えたくもなるが】
【それはそれだと信じてもらいたい。人間性ってのは組織にはあまり関与しないものだ】

このやり方は古いゲリラ組織がやっていたっていうシステムなんだ。“黒幕”に対して好意的なものもいれば否定的なものも居る
特に異能者は。…そいつらを引き込んで、組織を拡大していく。そのつもりだったんだが…といったところもある

…奴らの活動が激しい地域に行ってみたら、うまいこと…な。信者として潜入するのがもっとも良さそうだが…生憎、俺は面が割れちまった。
……嫌な夢まで見ちまったよ。とにかく、単に拉致されてるから連れ出せばいいってわけでもないようだ

そこで…いま現状をどうにかするには、現状をうまく利用する他ない。…例えば、奴ら同士に潰し合いしてもらうとかな
ほっといてもサーペントカルトと黒幕は衝突し合う。それを利用したい

【だが、具体的なプランがない。彼はそう断言し、なにか無いかと仰いだ】


/了解いたしました!自分は多分お返しできるのが金曜になるかと…
/このまま本スレにてゆっくり進行で行きたいと思いますのでよろしくおねがいします!
461 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/12(火) 22:09:36.26 ID:R87VptH40
>>459

あっ、あ゛〜そこそこ、あ〜丁度いい、あ゛ァ〜〜〜〜……
……イヤ嘘です調子乗りました。すんません。
いやでも撫でて貰えたのはウレシかったです、ハイ。

……そーねえ、肌の色も似てるし。ハタから見たら兄妹に見えっかもネ?

【悪ふざけ――するのも怒られる寸前でやめて。ぐしゃぐしゃになった頭、元に戻したときには】
【もう少女の表情のほころびも見えなくなってしまったろうか。肝心なところ、逃してばっかり】
【それでカラーリングについて言及されたなら、そんなこと言うけど。嫌がられるだろうか】
【男はわはは、と楽しそうに笑うけど。「バカになんかしてないよお」、言いながら、少女の頭も撫でようとして】

えーっそんな敏感肌なら先に言ってくれるぅ?
ていうか敏感肌ならなおさら露出なんかすんなってハナシじゃん。
あーはいはい、今日は暑ぅゴザイマスねえ暑い暑〜い。

えーいいじゃんアピール。わかりやすいのイイことじゃん、逆よかぜんぜんイイっしょ。
……てゆーかなんで蛇選んだの? つよそうだから?

【からかうみたいに言いながら、結んだ袖のさきっぽをびよんびよんさせて。完全に遊んでる】
【男の中での蛇のイメージは「つよそう」であるらしい。単純。……他にないわけではなかったけど】
【あんまり、いい思い出がなかったので。それくらいに留めておいて――でもやっぱり気になるみたい】
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/12(火) 22:23:57.55 ID:RoSbx1u4o
>>461

【ピシャリと拒否するかと思いきや、案外素直に頭を撫でられるだろう】
【複雑な表情をしている、嬉しそうな表情を飴細工で塗り隠したような、そんな】
【大人だから、お姉ちゃんだから、そう言って子供っぽい楽しみを我慢するような、色合い】


えっ、嫌です。貴方様を兄に持つなど私の望むところではありませんし、そう思われるのも沽券に関わります
……まぁ、私に兄弟はいませんから、いたとしたら、案外兄を持つ心地など、こんなものかもしれませんが
──でも、なんか、こんなちゃらちゃらした兄は嫌です、兄替わりの方は沢山いましたが

もっと逞しかったです、皆様


【兄替わりの人、と少し変わったフレーズを投げかける。音階から違う曲に似ていて】
【異国情緒溢れる旋律は誰かの耳に止まるには十分だから、そんな様相】


っ──!! いいじゃないですか! 私がどんな格好してもっ! 可愛いデザインの服ぐらい、好きに着たいですしっ!
それにこの格好は、私の部族で用いられてる服装なんですから……っ、まぁ露出は激しいですけど
でもそんな夜鷹みたいに好き勝手さらけ出してないです、胸の谷間とかもちゃんと見えませんし

──、ああ、えっと──そんな感じですね
私の部族、ミルドラ族にとって、蛇は神聖な神の象徴ですから


【谷間は見えないけど下乳は見えます】
463 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/12(火) 22:37:58.21 ID:R87VptH40
>>462

【ハネっ返りの妹には慣れている。慣れてるから、微妙な顔されても何も言わない】
【むしろそれすら楽しんでいる節があった。筋張った大きな手で、二度三度】
【ゆるく撫でたらそれで終わり。仕上げに毛並みを整えてやるのも忘れない】
【そこを怠るとメチャクチャに怒られるのも知っているから。「妹」に何度もそうされた】

えっそこまで言う? わりと傷付く。
おれこれでもちょっと前まではみんなの頼れるオニーサンやってたんだよ?
こうさー、ちびっ子が周りにいっぱいいてさー、みんなおれのこと、……、……

【そういうこと言ってたら、急に黙ってしまった。飛行機がエアポケットに入ってしまった、みたいな】
【急落するテンション。何か楽しくないコトでも思い出してしまったらしい。……振り切るように、かぶりを振って】

タニマなくてもオナカ丸出しじゃん。ダメだよーオンナノコのオナカ大切よ?
露出低くてもかわいー格好いっぱいあるじゃんね、こう、ふわふわーっとしたやつとか……

部族ねー、タイヘンそーだよねそーいうの。シキタリとかあんでしょ?
へーそう、そんで、ミルドラ……、……ミルドラ?

【――――そのワードで急に、何か思い当たる節でもあるみたいな顔をした、は、と息を呑むような】
【ミルドラ。何度か復唱して、それで――神聖な神。そのあたりも復唱、し直して】

……蛇の神様。そうなの、へえ、……それはどんな神様なの?

【「たとえばどんな、願い事を叶えてくれるタイプ?」 ――急に真面目くさった顔をして、聞き始めるから】
【それまでとのギャップに少しばかりは吃驚する、だろうか。いうてそこまで難しいことは、言ってないけど】
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/12(火) 22:55:58.88 ID:RoSbx1u4o
>>463

【──、内心この人慣れてるな、なんて思ってる。優男然とした風貌から、チャラ男かなと思ったり】
【そう思ったなら急に真剣な表情をするからタチが悪い、彼女は一端の少女なりの感性を持つから】
【その横顔に何も靡かないと言えば、嘘になる】


──もう少し撫でてくださっても良いのに


【なんて言うのもきっと、小さくて聞こえなかったら良かったのに】


頼れるお兄さんというのは、砂漠に住む巨大なサンドウォームを一人で倒す勇者の事を指します
私の部族にも伝説の男として伝わってました、名前は──少し思い出せませんが

しきたりは勿論ありましたけど、私はそこまで悪いものとは思ってません
砂漠の過酷な環境を乗り越える仲間でしたから──家族の様に深い絆で結ばれていました

蛇の神様と言っても、私達の集落の側に大きな川が流れていて、それを見立てたのが始まりです
豊かさや豊穣の象徴です。──それが、何か?


【不思議そうに視線を向ける、宗教や信仰に興味がありそうな相手では無いように見えたから】
465 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/12(火) 23:07:14.58 ID:R87VptH40
>>464

エッなに!? 聞こえなかったナーーーーーもっかい言ってほしンだけど!?!?!?

【突発性ラノベ主人公性難聴。……というわけでもなかろう、きっと聞こえている】
【だけどわざわざ聞こえなかったふりをしてもう一回言わせようとしているのだ】
【ほっといたら「もーいっかい! もーいっかい!」みたいなコールが始まることだろう】
【無視していてもいいけれど。勝手にじゃれついてくるからうざったいことこの上ない】

サンドウォームかぁ〜実物みたことねーからなんとも言えねーけど
たぶん牛? 牛くらいのおっきさだったらおれでもイケると思うんだけどどう?
それじゃダメ? ダメならそーだな……カピバラ。カピバラサイズならイケると思う。

……そう、川。ゆたかな川、……コワい神様ではないわけね、ならいいの。

【ふざけたかと思えば急に真面目っぽくなったり(当社比)、あんまり安定しない男であったが】
【彼女らが信仰する神が、邪なものではないとわかったなら。安心したように息を吐いて】

……ンにしてもいいネ、そーいう家族? じゃないけど家族、みたいなコミュニティ。
でも今おじょーちゃんが此処に居るってことは、ヒトリダチしてきたってコトでしょ?
寂しくない? 故郷帰りたいとか思わない? それかもう此処で――あたらしい家族、できた?

【そう、訊いてくる。穏やかな顔をしていた、兄らしい顔つきをして】
【それでもう一回、ゆるやかな速度で手を伸ばして――また頭を撫でようとする。なんにも言われなくても、だ】
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/12(火) 23:16:36.33 ID:RoSbx1u4o
>>465
/すいません! ちょっと体調が優れないので置きレス移行しても宜しいですか?
/折角なのにごめんなさい……
467 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/12(火) 23:23:22.79 ID:R87VptH40
>>466
//それでも大丈夫ですし、次で〆ようかなーとかも思ってました!
//なんでここで適当に自己紹介してお別れした感じでも大丈夫ですよっ、おだいじになさいませ!
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/13(水) 16:59:55.25 ID:3a96pf4U0
【蛇教――本部施設内部】
【夕方の時間だった、それでも窓のない廊下では明かりは常に一定で、時間間隔を狂わせるよう】
【硬い床に硬い壁、足音は向こう側のどこまでも反響していくような場所。――だったから、きっと、その音も目立っていた】

――――けほっ、ぇ゛っ、えほ――、っ、け、ふ、

【――咽るような咳込むような声。それでいて不自然に力の入った、あるいは、不自然に力の入らないようなやり方、上手にできない理由があるかのように】
【誰かが通りがかるでもすればあんまりにあっさり見つけるのだろう、その人物。――少女であった。反省の芸をする猿みたいなポーズ、壁に手をついたなら】
【けほけほ不自然な咳をまだ繰り返していた。――そうしていくらか後、きっと何にも状況は改善していないんだけれど、無理やりに息を呑むのだろう、呼吸は整わないまま】

【――――ゆっくりゆっくり歩いて行こうとする足取り。苦し気に細めた目に浮かんだ涙を拭って捨てる、口元を服の襟元で拭ってたなら、歩く姿だけは、繕って】

【薄く透き通るウィステリアのロングヘアが少し乱れていた、真っ白な顔も普段よりも蒼褪めて見えたのに、鮮やかなマゼンタ色の瞳はぎらぎら輝くように見え】
【身体を締め付けないシルエットのワンピース。わずかに青みすら感じさせるほどに白い布地。限界まで晒された真っ白な素足には、けれど、いくつか治療中の痕跡があり】
【その左手には生きているかと思うほどに精巧に刻まれた蛇の入れ墨――17歳ほどの少女だった。そしてこの場所においては幹部の一人、であり。ならば余計に目立ってしまう】

――――――――、けふっっ、――っく、

【――本当は、しばらく前からこうだった。少し歩くごとに咳込んで止まるから、繕った歩き姿、しゃんとしたのが嘘だとすぐにばれてしまう、様相】
【はあ――と荒い息を吐くんだけれど、何か状況が変わるわけでもなくて。――真っ青な顔を携えて、けれど歩いていこうとする先は、きっと、神に祈るための部屋の一つであり】
【行動そのものは日常的な。けれど状況があまりに特殊な。――その人物が何日か帰ってこなかったとか噂になっている"幹部"であったなら、もっと、もっと、余計に】
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/13(水) 18:37:52.49 ID:3a96pf4U0
>>468
/1時間ほど離席しますが、その以降は日付変わるころまでのんびりお待ちしてますっ
470 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/14(木) 08:29:00.47 ID:W85h8sPE0
【繁華街――路地裏】

ひい、ふう、みい、よ……なんだ結構少ないんじゃん。
もーちょっと数増やせない? 表で見繕ってきてさあ……はあ?
「多すぎても一遍に運べない」? ばあか、もう一台車調達してくればいいでしょ。

【絶えず何かしら働き続ける、何人かの大人。それに声をかけているのは】
【少年だった、金髪碧眼――ビスクドールめいて美しい、つくりもののような顔をした彼】
【暑かろうに、灰色のブレザー制服。インナーはハイネックのシャツ、ショートパンツの下は黒いタイツ】
【手元は白絹の手袋。足元は高い高いヒールの靴。徹底的に、顔意外の肌を隠すような恰好をして】

てゆーかさあ、これ、本来ならボクの仕事じゃないんだから。
オマエらのほうが慣れてんでしょ? だったら何でも自分で判断してやれよ。
……はあ、「ムリフェン」のやつ。大事なときに死にかけて、このボクに迷惑かけやがって――

――――――そのまま死んじゃえばよかったんだ。ね、オマエらもそう思うでしょ?

【あはははは、と、無邪気な笑い声。それに何かを返す人は、誰もいなかった】
【大人たちは皆、ナニカの入った――寝袋みたいなモノを抱えて、スモーク張りの車へ運ぶ作業を続けている】
【時折その袋はもがくように蠢いていた。ならばその中身はイキモノであると、すぐわかる】

【――――気付く人がいるかもしれない。最近になって活動を活発化させ始めたカルト宗教】
【「サーペント・カルト」。そいつらが、「生贄集め」と称して、生きた人間を何人も、何人も誘拐している、ということ】
【それならこの少年も、そのカルトの一員であるのかもしれないけど。……こんな、幼い、少年が?】


//朝にちょっと余裕があったので投下してみたなどと供述しており
//次のお返しは夜になります+日付変わるころに持ち越しをお願いすることになりますが、よろしければ遊んでやってください
471 : ◆chzGJBqQ0hns [sage saga]:2018/06/14(木) 12:53:12.86 ID:cmEZoh4E0
>>470

一般人の目撃情報を聞いて来てみれば……
全く……生贄を集めるのはもっと慎重にやれ。
どこのどいつだ?面倒だが注意してやらねば……

【苛立つように独り言をつぶやきながら、路地裏に現れたのは橙色の瞳に鳶色の髪の毛を持つ20代後半の男】
【中世の修道士のようなゆったりした薄茶色のローブを身に纏い、顎の下あたりには「蛇の刺青」が彫られている】
【男の歩く後からは、全長5mはある”大蛇の骨”がまるで生きているかのように肢体をくねらせながらついてきている】

さて、誰が指揮をしている?

【男が見渡すと、作業する者たちの中でどうしても目立っている”美しい少年”に気が付く】
【そして、少年の発する言葉を聞くと、男の顔色が変わった】

【すべてを聞き取ることは出来なかったが、確かに彼は言ったのだ】
【“「ムリフェン」のやつ”――と】
【最高幹部であるオフィウクスの称号がひとつ、ムリフェン】
【それを呼び捨てに出来るような立場、そして少年の纏う常ならぬ雰囲気――】
【男の頭は急速回転し――次の瞬間には地面に片膝をつけて頭を下げる姿勢をとっていた】

お勤めの途中に大変なご無礼を!……オフィウクス様とお見受け致します。
私はツァルエル・アーツバニスト。サーバントとして教団の末席を汚させて頂いております。
ここでお会いできたのも何かのご縁。私に出来ることがあれば何なりとお申し付けください。

【恭しく礼をしながら、少年を見上げた】
472 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/14(木) 18:59:19.15 ID:W85h8sPE0
>>471

【ツァルエルの言う通り。その手口はあまりにも杜撰であった】
【本職である「ムリフェン」のそれとは及びもつかないほどに。けれど仕方ないとも言える、かもしれない】
【少年の、教団内における役割は「修行の監督」だったから。監督、すなわち見守ることだけ】
【実質自分で何かをやったことはない。見守るだけの簡単なお仕事しかやったことないから、実働は不得意なのだ】

【――――「あァ?」 苛立ち交じり、鬱陶しげに片側の髪をかき上げて、耳を晒し】
【振り向きざまにツァルエルを見る、というか睨み付ける。しかしその喉元にある蛇の印を見て】


……、……へえ、ツァルエルさん! あなたとっても頭がいいんだね。
そうだよ、ボク、オフィウクス。“サビク”だよ――――ウリューって呼んでくれても、いいけど。

【次の瞬間には愛らしく笑いかけた。ずっとお留守番していて、やっと帰ってきた親を迎えるような】
【心からの歓迎を示す笑みだった。けれどすぐ気づくことだろう、その笑みの裏、嫌な予感しか漂わせていないこと】

できること? そうだな、あのね……今これ、やってることをお手伝いしてほしいなあ。
知ってる? 「ムリフェン」、ひどい怪我をして帰ってきたの――かわいそう、あんな、ボロボロになって……

……いけないいけない。それどころじゃなかったね、それで、ボクがムリフェンのお仕事の代行をしてるんだけど。
見ての通り……あんまり上手くできなくって。すごいよね、ムリフェン。いつもどうやってたんだろうって思う。
あっまたお話が飛んじゃった! いけないいけない、それで、ボクどうしても「こういう」のって、苦手で――――

【白々しい小芝居。「死んじゃえばいい」なんて笑い飛ばしたムリフェンのことを語るとき、瞳に涙を浮かばせて】
【それを拭い去って、いかにも悲しみに負けず頑張ってます! みたいなアピール。したあとに】
【困ったような、心苦しいみたいな、そんな顔をして上目遣いにツァルエルを見上げる、見上げるというか――】


――――――ね、ツァルエルさん。ツァルエルさんはボクなんかよりずっと頭いいから、
もっと、うまく、――――やれるよね?

大丈夫だよ、全部丸投げする、なんてことはしないから。「ちゃんと」「見てる」から、――――ね?


【――――言外に、言っている。尻拭いをしろ。ここから先はお前がやれ。そこで誰かに見つかって騒ぎになったなら】
【オマエが、すべての罪を被れ。ボクの名を、穢すな。――――そんな「命令」だ、「お願い」などではなく】


【――――サビク。少年、破崎雨竜は。自分の手で何かをしたことはなかったが】
【その代わり――「自分の手を汚さずに“やる”」こと、だけにおいては。天賦の才があった】
【監督官――こんなに幼い少年でもできる最低限のことがそれだったから。その役が与えられた、とも言うけれど】
【たとえば、修行の手順を信者たちに伝えるとき。「こうしたらいいと思うんだけど」「つまりこういうことだと思わない?」って】
【そういったアドバイスめいた言い方をして――――必ずしも、直接「こうしろ」とは言わないのだ】

【そうして。誰にも穢されぬ聖域でひとり、美しく笑い続けているのがこの少年。“サビク”であった、けど――――】
473 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/14(木) 19:43:46.36 ID:mCsX3gsio
【裏町】

【先ほどから続いていた明らかな戦闘音と、その後の絶叫や呻きは間違いなく響き渡っているはずだが】
【外に出てきたり、通報したりしようとする者はいなかった。住民たちは知っている。治安の悪い裏町で、余計なことに関われば死ぬのみだと】


【苦鳴の主は、汚れた地面に倒れ伏す5人の男たちだった。程度の差はあれ屈強な体格をしていることと】
【その身体のどこかに蛇のタトゥーが刻まれていることが、彼らの共通点だった】

【そのうちの一人、四肢を銃で撃ち抜かれて血を流す男の右腕の銃創を、残虐にも黒いゴム長靴を履いた足で、容赦なく踏みにじっている男がいた】
【身長2メートルを軽く超えているだろう大男だ。薄汚れた灰色の作業着と黒いラバー地のエプロン。角ばった顔つきに短い黒髪。右顔面に皮膚が引き攣ったような醜い傷跡】

【昏い光を湛えた黒い瞳の両目の上には、額を埋める第三の目が存在していた】
【そんな異形の男は、強い口調で踏みつけている男に何かを問い質しているようだったが。やがて男が動かなくなると溜息を共に足を離した】


――――ダメだ。くたばった。スカーベッジ、ポイゾニック、そっちはどうだ?

「すいやせん、こっちもダメですぜ……指や耳を切り落とそうが、目を抉ろうが、ワイヤーで締め上げようが、まるで吐きやしませんで……」
『こっちもダメです……どれだけ毒浴びせても、神様の名前だか何だか似たようなことばかり繰り返して。自白剤、使いきっちゃいましたよ……』

【大男の声に答えたのは、その背後でそれぞれ二人の男を痛めつけていた者たちだった】
【一人は、両耳と口元、唇から覗く舌の外周とあちこちに鉛色のピアスを付けた男だ。カーキ色のジャケットの上に黒いベストを着用し】
【迷彩柄のズボンと黒い軍用ブーツを着用している。その手に握った血塗れのナイフが、後ろで死んでいる男たちの身体を削いでいたのだろう】

【もう一人は、地味な黒スーツに革靴、細いフレームの茶色の眼鏡。髪を丁寧に撫で付けた、ビジネスマン風の男】
【その姿にアンバランスなことに、腰には赤い刀身の蛮刀を吊り下げており。手には空になった注射器を握っていた】
【彼のそばで事切れている男たちは、双方とも見えている皮膚が全て無惨に赤く爛れており、身体の至るところに注射痕があった】

……3グループを襲撃し、17人も責め殺したというのに、未だ有益な情報はほぼなしか
下っ端信者には何も知らされていないのか、連中の狂信の成せる業か、その両方か……いずれにせよ、このまま続けていてもあまり効果はなさそうだな

『割と強いですしね、この人たち!! 暗闇でも平気でこっち見つけてくるし、いきなり身体硬くなるし、変な蛇出してくるし!!』
『この前襲ったグループの人なんて、僕の腕握り潰してきましたもんね!! 死ぬほど痛かったですよ!!』

「ボスのお力がなけりゃお前、本来ならまだ病院のベッドだぞ……」
「ともあれ、埒が明きませんなあぁ。こりゃ連中がでかい動きをするまで待ち構えるしかないんじゃ?」

消極的だが、致し方ないか。彼奴等の口ぶりだと、どのみちこのままチマチマと拉致を繰り返すだけには終わらんだろうからな

【言いつつ、大男は殺害した5人から少しずつ死肉を切り取り、1個1個口に放り込んで味わった】

……やはり不味い。修行と称して己を痛めつけるような奴らの肉だ、わかってはいたがそれにしても不味い……
『黒幕』どもといい、蛇教どもといい、こうも敵の肉が不味いものばかりだと気が滅入る……
ああ、アーディンに頼んだら、ちょっとだけでもシャッテンの肉をかじらせてくれないだろうか……

『頼んだ時点でぶっ飛ばされるんじゃないですかね!』「仕置きの猫又のパンチ食らったら、流石のボスもだいぶきついでしょうなあぁ」

……ああ、美味い肉が食いたい。蛇教に肉の柔らかそうな若い女でもいれば、少しはやる気も出そうなんだがな……
いや、この際男でも若ければいい。10代の肉が食いたい……。ステーキにしたい……ハンバーグでもいい……

【くだらない問答の間にも、男たちは動き続けていた。殺害した5人の死体を、彼らが乗ってきたらしい車両に手早く放り込むと】
【ピアス男が慣れた手つきでガソリンを漏れ出させて火をつけた。たちまち、車が爆発炎上する】

【それを尻目に、3人の悪漢はその場を立ち去ろうとする。今誰かが来れば、間違いなく目に入るだろう】
474 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/14(木) 19:46:37.46 ID:X2wjYcCY0
>>472

お目にかかる事が出来て光栄です。サビク様
いえ、私ごときが御名を直接口にすることなど恐れ多いこと。とても出来ませぬ。

【少年は微笑んだ。恐ろしい笑みだ―――】
【年相応の無邪気さと残虐さを含み、不相応の圧力までも包括した笑みだと、ツァルエルは思った】
【背筋を寒気が襲うが―――表面上はあくまで冷静に、続ける】

お恥ずかしながら、ムリフェン様に拝謁したことはございません。
我らの中でもオフィウクス様方の情報は秘中の秘……しかし案ずることは無いでしょう。
怪我など、些細なことのはず

【幹部への絶対的な忠誠と信頼。それはサーバントにとって必須だ】
【まるで同じ次元にいるかのように怪我を心配をするなど、あまりに無礼】

【そして、少年からの「お願い」という体をとった「命令」】
【他の信者なら最悪な状況かもしれない。失敗したらどうなるか分からないのだから】
【しかしツァルエルにとっては、チャンスであったようで――】

勿体無きお言葉。私に任せて、見ていただけるとは……身に余る誉れにございます。
このツァルエル・アーツバニスト、全力でお役目を全う致します。

【ツァルエルが"表の世界"で支配する慈善団体"アーツバニスト財団"は、孤児や身寄りのない病人を幅広く受け入れる孤児院や病院を経営している】
【裏では患者を死んだと装って"生贄"を大量に確保し―――資金面でも教団に多大に貢献】
【圧倒的な物量を以て、一般信者の中では先祖代々高い地位を得てきた】
【尤も、この少年は他人への興味より自分、というタイプに見える為、知らない可能性は十分にあるが】

ああ、その前に。一般人に見られるという失態を犯したこの者たちを処分してもよろしいでしょうか?

【ギラリと、侮蔑の目を隠さずに作業をしていた男たちを見渡した】
475 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/14(木) 20:19:36.97 ID:W85h8sPE0
>>474

そう? でもムリフェン、すっごくひどい怪我してて……今もまだ回復できてないんだよ?
かわいそうじゃない、そんなの、すっごく綺麗な女の子なんだよ、ムリフェンは。
なのにあんなズタズタに、ボロボロに、され、っ、て……

【俯く。さらさらの髪が下に零れていく。シルクに覆われた両の手のひらで、顔を覆い隠して】
【思わず抑えきれない泣き声――――なんかじゃ、ない。思い出し笑いをしている、確実に】
【どうやら“サビク”は“ムリフェン”のこと、個人的に気に入ってないようだった】
【だから瀕死の状態で帰ってきたと聞いたとき――腹を抱えて笑ったのだけど。それは今はどうでもいいこと】

【ただ――――組織としての「サーペント・カルト」、それを治める幹部同士の仲がこの有様では】
【サーバントであるツァルエルたちに、どんな影響を与えるだろう。そこまで考えが回っていない、らしい】

【しばらくして。顔を上げた少年は、ツァルエルの自信に満ちた顔を見て】
【「へえ」と言って――また笑った。上手くやれるんならそれに越したことはない、そう語るように】


うん。全部全部お任せするよ、ツァルエルさん――「見ている」からね。

【海色の瞳が、愉悦の形に歪む。ツァルエルに睨まれて怯えるサーバントたちを嘲笑するかのように】
【「いいよ、やって」――――くい、と。真っ白な指先が向けられる、「行け」の合図だ】
476 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/14(木) 20:45:03.02 ID:X2wjYcCY0
>>475

私がオフィウクス様に憐憫の情を向けることなど許されません。
存在するのは、ただただ畏敬の念のみ。

(なんだこいつは……情緒不安定、いやそういう"演出"か?)

【内心ではそう思った。当然絶対に口に出すことはないが】
【立ち居振る舞いは敬虔な信徒だが、ツァルエルの忠誠心は、実際のところそうでもない】
【しかしのオフィウクスの情報は貴重だ。少年が勝手に喋っただけだが思いがけず手に入れることができた】

(今のムリフェンは"女の子”?こいつといい、教団の上層部はお遊戯会でもやっているのか)

では、貴様に責任をとってもらおうか。

【サーバント達を処分する許可は得た】
【再び少年に向かって一礼をすると、ツァルエルは立ち上がり】
【同時に、彼の傍らにいた"大蛇の骨"が跳ねるように飛び出した】
【一番近くに居た怯えるサーバントの一人へと、およそ蛇とは思えぬ超速で近づき、そのまま首を食い千切るだろう】

残りの処分は後にしてやる。
同じサーバントとは言え、貴様ら蛮族と私は違う。
だが……今日は共にサビク様の御為に働こうじゃないか。

【どうやら実力の違いをわからせて、従わせるための"見せしめ”】
【残った者は殺さず、命令を出すつもりのようだ】
【幹部に対する遜った態度とはあまりにも間逆な尊大な態度である】


477 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/14(木) 21:00:18.24 ID:W85h8sPE0
>>476

【――――びちゃ。ツァルエルの「蛇」が男の首を食い千切って、中身を噴出させる音】
【路地裏のモノクローム。冷たい灰色をしたコンクリート、床も壁もいとわずに】
【そこかしこを紅く塗り潰していくことだろう、そうであるなら、傍にいた二人にもわずかに降りかかるだろうか――】

【……否、だ。少年の、皺ひとつ付いていない衣服にも。ぴかぴかに磨かれたハイヒールにも】
【さらさら艶めく金糸の髪にも、すべらかな白磁の肌にも。……どこにも、返り血は、付かない】
【ツァルエルは見たかもしれない。少年に降りかかろうとしていた血飛沫が――彼の身体に触れる前に】
【何かしら、見えないモノに。ぼうと輝く「ナニカ」に、振り払われるよう、「撥ね退けられた」のを】
【――――異能者だ。それも、平然とした顔でそれを行使して。息をしているのと同じくらいの感覚で使っている】
【それならまあ、幹部を名乗っていてもおかしくはないと。思わせるくらいには――彼はきれいなままだった】


…………あはははっ、すうごい、すごい!
ね、この大きな骨――ツァルエルさんのペット? それとも、能力で作ったモノ?
まあどっちでもいいけどね、とっても派手でいいと思う、うん――「心を入れ替えさせる」には十分。

そういうワケだからさ、オマエら。これからはちゃあんとツァルエルさんの言うこと聞いて、よく働きなよ?

【ぱちぱち、拍手すらしてみせながら――すっかり怯え切った「残りのやつら」に、笑いながら】
【言ってしまえばもう――あとは、何から何までツァルエルの思う通りに動いてくれる】
【彼らはまだ、蛇教に染まりきっていないようだった。正しい人の心の残滓が、まだかすかにこびりついていて】
【だからこそ――恐怖によって、よく動く。何か言われるたびに肩を震わせ、大袈裟な音量で返事をするようになるだろう】

【――――これまでに集めていた人。それはだいたい、表通りでよく見かけるタイプの若者たちだった】
【化粧もピアスも香水も服装も派手な者ばかり。そういうのばっかり集めてくるよう命じたのは、誰だったろうか】
【……この少年以外にいやしない、考えるまでもない。ツァルエルは訝し気に思うだろうか、それでも少年は上機嫌そうに笑むばかり】
478 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/14(木) 21:33:19.57 ID:X2wjYcCY0
>>477

【思いの外に血を出しやがった。汚らわしい蛮族め――】
【これでは少年に血が掛かって――機嫌を損ねるかもしれない】

……!

【そんな刹那の思考は杞憂に終わった】
【神聖さすら感じさせる少年の能力――ツァルエルが知るどの蛇術とも違う】
【ああ、逆らえば自分の血を払うかの如く簡単に跳ね除けられるのかと、そう思わせるのには十分で】

お褒め頂き恐縮です。サビク様。
これはペットでなく"ただの骨"……我が家に伝わる、死んだ骨を操るだけの下らない呪術です。
サビク様の御力には毛ほども及びませんが、少しでも役立てることが出来れば幸いと存じております。

【残った者を見渡して、指示を出す】

さて、では始めるとしよう。

(……どうやらサビク様は派手な生贄がお好きらしい)

【これまでに集められた哀れな生贄を見て、感じる】
【選ぶ基準に間違いなく少年の意志があるのだろう――】

よく聞け。
まず、直接誘拐などするから目立って人々から下らぬ嫌疑を掛けられるのだ。
貴様らは今から表の大通りに出てなにか適当なことを叫びながら……そうだな。社会や政治への不満とかそんなんでいい。
生贄の候補を見つけてどんどん襲え。当然殺さずにな。

【多少なりともウリューの下で働いていた連中。"好みの傾向"はツァルエルよりは詳しい筈。皆殺しにしなかった理由のひとつでもある】

この近くに私の財団が経営する病院がある。負傷者が出ればすぐにそこに運び込まれる手筈を整えておく。
負傷者が我が病院に入院すれば、あとはこちらのもの。
サビク様にお寛ぎ頂きながらご自由にお選び頂き、お気に召された生贄を「治療もむなしく死亡した」として処理し……世間から抹消する

【蛇教とは関係ない無差別テロに巻き込まれた犠牲者】
【そしてその犠牲者を死んだものとして院内で処理することで、大量の生贄を手に入れつつ教団による誘拐を隠蔽する】
【当然、犯人らも最後に抹消されなければ意味がないが、そのことは口に出さない】
【如何ですか、サビク様――そう言わんばかりにちらと少年を伺った】

479 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/14(木) 21:46:01.29 ID:W85h8sPE0
>>478

ホネを操るなんて面白いじゃない、あはは、ヒトの骨もそうできるの?
それにしたって大きな蛇――――、ね、蛇神様もこれくらい大きいかな?
いやもっと大きいかなあ。うふふ、もうすぐだよ、もうすぐ会える、蛇神様――――

【ツァルエルの術、大層気に入ったらしい。きゃらきゃら笑いながら、両手をいっぱい広げて】
【彼らが信ずる神――「ウヌクアルハイ」。どれくらい大きいか、なんて、子供っぽいこと】
【言って笑う。あまりにも無邪気な笑みだった――人死にの香りをこうも近くで嗅いでおきながら】

ああ、そういうタイプのヤツね。集めるの、ボクが一応言っといたんだよ。
だってこーいうヤツらって家に帰らないのが普通みたいなモンじゃない、
つまりいつ「いなくなった」っておかしいと思われないヤツらなんだよ。
親に心配もされないで、創作届も出されない。かあわいそうなコたちだよねえ、ふふ――――

【集めた人間のタイプ。どうやら少年なりに考えはあったようだが、それにしては目立ち過ぎた】
【そこら辺は100%の過失であると言えるだろう。だから、ツァルエルの言うことは素直に聞く】
【そうして――――また笑った、こどもの顔で。よくもそんなこと思いつくな、って、褒めてるような顔だった】

へえ、財団……そーいうのあるの、あっははは! やるじゃん!
そんなのあるのにわざわざ蛇神様のトコに来たのもまあ、不思議なハナシだけど……

……何突っ立ってんだよオマエら。早く行けよ、ツァルエルさんの言うこと聞けって言ったでしょ?

【――――対して。サーバントたちは凍り付いていた、自分たちがそんなことしなきゃいけないのか、って】
【なまじまだ人の心が残っている層ばかりだったから、見るからに嫌がっているのがわかる。けれど】
【サビクの声を聞くや否や、苦虫を噛み潰したような顔をして――めいめい何かしらの武器を携え】
【表通りへ走っていくだろう。そうしたら――――悲鳴。たくさんたくさん聞こえてくる】
【少年は、それを聞いてもなお面白可笑しそうに笑っていた。それでツァルエルを見上げる、オマエはどんな気持ち? と訊くように】
480 :リベル=アシェル&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/14(木) 21:52:41.34 ID:PCWdUpUg0
>>460

{……とにかく、相手にイニシアティブを取られている現状が、一番痛い訳よねぇ……そう考えると、確かに……「虎穴に入らずんば虎児を得ず」に、なるのかしらね?}
<――――劣勢ゆえに、奇策に走るしかないという事になる訳ですか。歯がゆい話です。どこまでも――――>

【ついついリスクの方を見てしまうのは、自分たちの思考も陰性に傾いているせいだろうか。確かに悪い事ばかりでもないのだと、思い直す】
【無論、危険な事には変わりないが――――このままいけば、ズルズルと順当に潰されるだけだ】
【どこかで思い切る必要はある。それが今だと割り切るしか、無いのだろう】

<――――そう、万能じゃありません――――だからこそ、1つでも少なく――――モアベターを目指さなきゃならないんだ――――>

【――――分かっては、いるのだろう。ただ、その現状を踏まえてどうするか。そこの差と言っていい】
【全てを救うなど、土台夢物語なのである。だからこそ、少しでも犠牲を少なくする事を目指す。その犠牲の中に、仲間が含まれないように祈りながら】
【そんな考えが利かない敵の出現に、ラベンダァイスは焦っているのかもしれない】

{へぇ――――意外、と言っては失礼でしょうけど、言うものねぇお兄さん?
 後悔しなけりゃ――――って事かしら。それができる人間は強いわよ……伊達に人生やってきてないわね?}

【青色の人魂が嬉しそうに揺れる――――ルヴァはその答えが気に入ったようだった。こうやって人生を生きている人間は、本物の強さを持つものだ】
【命に固執する事をやめて、開き直ってしまえば、余裕は無限大だ。のびのびと、有るがまま、思うがままに生きる事ができる】
【その強さを持った人間は、間違いなく人生を好きなだけ突き詰める事ができる――――そんな言葉が聞けて、満足したのだろう】

<――――私たちと、本来なら不倶戴天の敵のはずの、カニバディール達が手を組む事になるぐらいです――――確かに、難しいのは仕方がないですね>
{まぁ、草の根になっていくのはしょうがないとして――――ランド、あなたはちゃんと聞いてるのかしら? さっきからだんまりだけど}
「いきなり振るなよ。……問題ねぇ、ちゃんと聞いてるさ。ま、それこそ『草』の活動になる以上、そこは仕方ねぇだろ
 問題は、そうして組み上げた同盟の力を、どうやって最大化するかって事だ――――いや、違うな……『最大化』じゃねぇ、『最適化』だ……」

【今の同盟体制は、無論必然性があってこの形に落ち着いている。とはいえ、呉越同舟と言うには、あまりに玉石混交が過ぎた】
【今まで沈黙していた赤の人魂――――ランドも、そこは悩ましい問題だと、意識を共有させたらしい。どうすればこの寄り合い世帯は、最適な姿になれるのか――――】

<――――『拉致』されたんじゃありません。自分から付いていったんです。白神 鈴音はもう――――『仲間』じゃない可能性が高いです>
{はぁ……}
「ッ……!」

【サーペント・カルトへの潜入と、その限界――――その話は非常に興味深いものだったが、その前に――――ラベンダァイスはキッパリとした前提を置いた】
【『仲間』――――鈴音を連れ戻すという目的意識には、準じるつもりはないと。つまり――――彼女を救うつもりはないと】

{――――誘導は、してやる必要はありそうねぇ。それこそ、表の方便としての『魔能制限法』が、真っ先に敵として攻撃すべき相手なんだもの……
 ま、敵対者リストなんてものを作って、そこを当たる形でやってる以上、望みは薄いでしょうけど……二虎競食を狙うなら、火種は撒いておかないとねぇ}

【もしも、『黒幕』とサーペント・カルトが敵対する事になれば、自分たちとしても余裕はできる】
【無論、サーペントの方はともかく、『黒幕』はこの手に乗らない可能性も高いが――――それは、手段として考慮に値するものではあるらしいと、ルヴァも考えている様だった】
481 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/14(木) 22:13:35.38 ID:X2wjYcCY0
>>479

ええ、人間の骨でも死んでいれば可能です。
このように余計な肉がついていても……

【そう言って先程殺した男の死体に目を向けると――】
【バキバキッ!と嫌な音と共に男の腰が逆方向にひん曲がった】
【要するに、死んだ生き物の骨なら蛇でも人間でも自在に操れるということだろう】

それは素晴らしい……!蛇神様との一体化、その時がついに迫っているのですね!
正しくオフィウクス様方の御働きがあってこそ!私達も精進致します。

【過剰にも恭しい態度で賛辞を述べる】
【幹部らの真の目的も知らぬままに――】

アーツバニスト財団は表の世界で私の一族が代々運営してきました。
慈善団体として活動していますが目的は教団への資金提供と生贄の効率的な回収。
特に資金面ではお役に立たせて頂いていると自負しております。

私の両親もサーバントでした。私が蛇神様を崇めるのも当然でしょう。

【表の世界での営利活動。過激な宗教団体の収入源として重要な立場ではあるが】
【信仰の世界では、俗物的とも言える】
【それ故なのか――ツァルエルの信仰心は、薄かった。信仰の理由も個人的なものではなく、両親がそうだったからというだけ】
【まだ少年には見抜かれていない――はずだが】

【通りから聞こえてくる悲鳴を聞きながら】

表では上手くやっているみたいですね――あとは手筈通りに進むでしょう。
事が落ち着いたら、いつでも私の病院にいらしてください。患者でも、必要とあらば職員でも、贄として捧げましょう。



482 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/14(木) 22:19:37.97 ID:uITxKJHn0

【初夏の夜。じっとりと肌に張り付く不快な汗が人間性を蝕む夜。暗い空は名ばかりで、薄っぺらな消費社会の街は摩天楼を高々と照らしあげる。】
【陽気な人混み多き大通りの、しかし一歩脇道に逸れて路地裏に踏み込めば、そこは無軌道な悪意が蔓延る世界。 ── そんな所に、好き好んで足を運ぶのは】
【なにかしら後ろ暗い傷を脛に負っているか、あるいは溝攫いに何かを探す必要があるか、さもなくば狂える類いの人間である。】
【 一発。二発。三発。仄暗い路地の奥から。銃声は断続的に、湿った大気の中でさえ乾いていた。興味にせよ、偶然にせよ、もしも其の光景を覗くのならば ── 。】



「 ── 何も、例えば教団の存続に関わるような、そういう機密を話せと言ってるわけじゃないのよ?」「信徒なら知ってるような情報を、個人的な質問として訊いているの。」
「かえでという指導者のことについて。」「オフィウクス、って呼んだ方がいい?  ── ま、関係ないわね」



【果たして其処に立っているのは一人の女である。倒れているのは数人の男女である。事切れてこそいないようだが、例外なく両脚が根元より、おかしな方向に曲がっていた。】
【一人の男の手を足蹴に躙り、苦悶の声を聞きつつも、女は至って平然としていた。2mはあろうかという痩躯。腰にまでたなびく白銀の髪。】
【この暑さの中でコートを羽織り、それでいて端正な顔立ちには汗ひとつ流れていなかった。細い唇が、淡々と言葉を紡ぎながら】


「彼女、どういう人間なのかしら。……だから、別に、訊いてどうこうする訳じゃないわ。個人的な、質問。」
「ほら、もう少し協力してくれないと、 ── 死んじゃうわよ? 死んでからじゃ信仰も奉仕もできないわ。それって、神様に対する冒涜じゃないかしら?」



【細く長い脚に力を込めて、指先を一つへし折る。呻くような悲鳴。 ── 男の顔に、微かな恐怖が浮かんだ。】

/よやくです
483 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/14(木) 22:27:34.30 ID:W85h8sPE0
>>481

あっはは、おもしろおい……けど死んでないとダメってのはちょっと残念だね。
生きてるときにソレしてやったらきっともっとイイ声で泣いたよ、ま、いいけどさ……

……ふふ、そうそう。僕らだけじゃ辿り着けないところに蛇神様はおられるんだ。
みんなで「協力」して、頑張ろうねえ――そしたら蛇神様が、この世界を
うんとうんとキレイなモノに作り変えてくださるよ――――。

【捩れ曲がる死体、新たな血が噴き出そうとも、やはり少年には一滴の汚れもつかず】
【何も知らないでうっとりしている様子のツァルエルを見て、目を細めた。――その内心、】
【「ああコイツもどうせ、選ばれないだろうなあ」――。そんな、ひどい評価を下して】
【(……けれどこの少年自身も気付いていないのだ。自分が「そう」なるかもしれないってことに)】

……、……そう、親の代からサーバントだったの。へええ。
熱心なこったね、……僕もそうだったよ。赤ん坊のころから蛇神様にすべてを捧げることが決まってた。
――――じゃあツァルエルさんも、そうだった?

【僅かな僅かな共通点。見出してしまえばそこを追及してしまうのが、子供というものだ】
【ただ、その顔はちっとも楽しそうに輝いていなかった。その逆、ひどく不愉快なことを思いだしたみたいな】
【歪んでいて、それでもなお美しい顔面。ふっと何もかもに興味を失くしたように無表情になってから】
【――――すぐに元通り、きれいに整えた顔面に戻して】

そうだね――――あと小一時間くらい? 遊ばせとけば結構な数にはなるでしょ。
ありがとね、ツァルエルさん。本当ボク、「こういうのは」苦手だから――

【その言葉の通り、小一時間暇をつぶしたら少年はツァルエルのもとへ再び訪れるだろう】
【「けっこう、数、集まったね」。生きたままのヒトが入った袋、いくつもいくつも並んでいるのを眺めて】
【それから――物珍しそうな顔で、病院内の設備を眺めはじめるだろうか。こういうところは年齢に見合って、無邪気な動作】
484 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/14(木) 22:39:39.50 ID:W85h8sPE0
>>468
【――『マチ』と言う少女がいた】
【かつて、サーペント・カルトに所属しており、今ではオフィウクスの一人となった蜜姫かえでと同時期に入信した少女だった】
【整った顔立ちで熱狂的な信仰を持ち、信者達の中でも何かと人目を引いた蜜姫かえでとは異なり、その少女は能力者でもなく、お世辞にも器量良しとは言えず、サーペント・カルトに傾倒した理由も、単純に外の世界と上手く折り合いがつかなかった逃げ道に過ぎなかった】
【それ故に、サーペント・カルトの異様に過ぎる信仰に、着いて行けなくなるのも早く――】
【取り分け、蜜姫かえでへの修行と称した仕打ちの数々には深く激昂していた】
【こんなものは修行でも何でもないと、お前らの欲望の発散に過ぎないと、そう叫んで『儀式』の邪魔をしたのが、彼女に関する最後の記録だった】
【勢いとは言え、儀式に乱入しようとし、見張りのサーバントの一人を刺し殺した少女は、最早『再教育』すら赦されず、さりとて殺されることもなく、今では――】



《オオ、敬愛ナル"むりふぇん"様、如何ナサレマシタカ?》

【サーペント・カルトの本部施設内部――日も落ちようかと言うその時間に通り掛かったのは、ナース服を着た女――と言って良いのか】
【顔を潰され、頭に手術痕を施された異形の女は、畏怖すべき彼女に対して、敬意を喪わない程度の心配の声を向けた】
【話している言葉は人語であるのに、人間の声帯ではどう逆立ちしても発することは出来ないだろう音域――事実、女の潰された唇はピクリとも動いていない】
【最早教団の誰も覚えていないほどの昔から、サーペント・カルトの備品として扱われている女――"アルジャーノン"】
【今も何体かいるらしい内の一体は、かつて『マチ』と呼ばれていた少女の肉体だった】

《ヨモヤ、オ怪我ヲナサレタノデスカ?》
《顔色モ悪ク、代謝ニモ異常ガアリマス》


【見ているだけでも、正気を抉りそうな様相だが、それでも心配をしたような、大仰なリアクションを取っている】
【馬鹿にしているのではなく、表情がないからリアクションでしか意思疎通ができないのだ】


《我ラガ道標タル、"むりふぇん"様ノ事――キット、キット、我ラガ神ヘノ信仰ノ結果ニ違イアリマセン》
《シカシ、今ハ大事ノ前――、おふぃうくすノ貴女様ニ、モシモガアッテハナリマセン――》


【女は首を傾げて、少女を見る――】
【それこそ蛇の舌ような視線は、しかし下心はなく、ただ隅々まで少女の身体を舐め取るのだった】


《手当ノ痕跡ガ見エマス――既ニ何処カデ処置ヲ?》
《シカシ、傷ガ深過ギル……宜シケレバ、モウ少シ治シマショウカ?》
485 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/14(木) 22:42:01.94 ID:AqHYLSsQ0
>>482

おやおや、これはいけませんねえ。折角の夜が台無しです。
如何様な理屈があるかは存じませんが、"弱い者いじめ"は良いものですねえ。


【路地裏に紛れ込むのは一人の男――その名は棕櫚。黒い短髪、黒シャツといった身形がまず最初に目に付くだろう】
【ノーネクタイの男は重苦しく見える黒を基調としているにも関わらず、一見すれば軽やかな雰囲気を醸し出していた】
【しかも血生臭い路地裏には到底似つかわしくない軽薄さを携えて修羅場へと軽やかに踏み込むのであった】


あぁ、あぁ。これは用意周到と言わざるを得ませんなあ。
両足を在らぬ方向へと捻じ曲げて、指を一本ずつへし折って。
まるで――蜻蛉の羽を毟る幼子の様です。


【つかつかと容姿端麗な女性へと近づく間に見遣るは地べたに這いつくばっている男女の姿】
【皆一様に足を折られ、今にも死にそうな顔をしている。その中には助けを請う様な視線を送る者さえいたが】


とりあえず――…事情、お聞かせ願っても宜しいです?こう見えてもボカぁ、公安の人間ですんで。
貴女がどんな理屈を用いて私刑を行っているのか、少々興味がございましてね。
まあ尤も。個人的な理由が無くとも公的な理由はございますので、四の五言わずに言う事を聞いてもらいますよ。


【一瞥さえ向けず。棕櫚のぎらついた糸目は白銀の髪の女性のみへと向けられていた】
【にこやかな面持の棕櫚が軽やかに口にした言葉には、"公権力に逆らうんじゃねえよ、ガタガタ言わずに従えや"という傲慢が絡み付いていた】
486 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/14(木) 22:54:24.10 ID:AqHYLSsQ0
>>482

おやおや、これはいけませんねえ。折角の夜が台無しです。
如何様な理屈があるかは存じませんが、"弱い者いじめ"は良いものですねえ。


【路地裏に紛れ込むのは一人の男――その名は棕櫚。黒い短髪、黒シャツといった身形がまず最初に目に付くだろう】
【ノーネクタイの男は重苦しく見える黒を基調としているにも関わらず、一見すれば軽やかな雰囲気を醸し出していた】
【しかも血生臭い路地裏には到底似つかわしくない軽薄さを携えて修羅場へと軽やかに踏み込むのであった】


あぁ、あぁ。これは用意周到と言わざるを得ませんなあ。
両足を在らぬ方向へと捻じ曲げて、指を一本ずつへし折って。
まるで――蜻蛉の羽を毟る幼子の様です。


【つかつかと容姿端麗な女性へと近づく間に見遣るは地べたに這いつくばっている男女の姿】
【皆一様に足を折られ、今にも死にそうな顔をしている。その中には助けを請う様な視線を送る者さえいたが】


とりあえず――…事情、お聞かせ願っても宜しいです?こう見えてもボカぁ、公安の人間ですんで。
貴女がどんな理屈を用いて私刑を行っているのか、少々興味がございましてね。
まあ尤も。個人的な理由が無くとも公的な理由はございますので、四の五言わずに言う事を聞いてもらいますよ。


【一瞥さえ向けず。棕櫚のぎらついた糸目は白銀の髪の女性のみへと向けられていた】
【にこやかな面持の棕櫚が軽やかに口にした言葉には、"公権力に逆らうんじゃねえよ、ガタガタ言わずに従えや"という傲慢が絡み付いていた】
487 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/14(木) 22:55:21.93 ID:AqHYLSsQ0
//すみません、連投になってしまっているみたいなので>>486は無視でお願いします…
488 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/14(木) 22:55:48.00 ID:uITxKJHn0
>>485


【 ── 不快な声がした。いや、元々この夜、彼女は決して機嫌が良くなかったから、誰に話しかけられても不快であったろうけど】
【個人的な感情とは別のベクトルで、ことに不快であった。あまり聞いていたくない類いの声音だったからだ。】
【あまり気は乗らなかったようだが、顔だけは向けてやった。長い銀髪が顔の横半分を覆い隠して、左眼だけが露わになっていた。】



「あら、公安?」「こう見えて、生憎と軍法側の人間なの。」「ポリ公は嫌いよ。何時だってハイエナ野郎だから。」
「ついでに言うなら機嫌も悪いの。生理中なのよね。」「だから、任意同行なら御断り ── カツ丼でも持って来なさいな。」



【対して女は人形のような顔立ちを歪ませ、いっとう皮肉な笑みを浮かべた。冷たく澄み渡るような声色は、極めて極めて喧嘩腰だった。】
【 ── 足元の男、その首の根を思い切り蹴飛ばして、肋骨の数本を罅割れさせつつ失神させる。そうして、改めて、眼前の軽薄そうな男に向き直る。】
【悠々と外套の胸ポケットに手を伸ばして、タバコとライターを取り出そうとするだろう。マールボロを細い唇に咥え、ジッポライターで火を灯して】



「煙草はお好き? ── お裾分けして差し上げるわ。」



【 ── 仮に煙草とライターを握る手を、そのままに放っておいたのなら。彼女は紫煙を深く胸に吸い込んで、そのまま男に吹きかけようとするだろう。】
【虚仮にしていた。殺し合いになるならそれさえ上等だった。「ん?」と微かに首傾げ、煙草摘む指先で灰を落としながら。】
489 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/14(木) 22:56:15.85 ID:X2wjYcCY0
>>483

サビク様の親御様も、蛇神様に仕えていらしたのですね。
素晴らしい能力と魅力をお持ちのサビク様をお生みになられたのです……さぞ崇高な方々だったのでしょう。
私の親などとは比べるべくもありません。
もちろん、私も物心が付いたときから偉大な存在に全てを捧げております。

【少年から持たれた興味に答えるが】
【途中で不愉快そうな表情になったのを見て、途中で切り上げる】
【過去の話というのは、デリケートに心境に左右しやすい。少年ならば特に―――】


【時が過ぎ―――】
【少年を病院で迎える。とりあえず集まった生贄に満足そうで――】
【生贄集めは成功したと言って良いだろう】

これもサビク様に見守って頂けたお陰です。
ああ、サーバント達……いえ、謎のテロリストどもは蛇の刺青を皮膚から削り取ってから始末致しますのでご安心を。

「こういう」仕事は我々下の人間にお任せいただければ良いのです……
オフィウクス様方は我らを導くという崇高なお役目があるのですから。



490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/14(木) 23:03:53.99 ID:mKzZGtuT0
>>484

【――――何度目もの咳を繰り返す。喉の奥に絡まった不快感を吐き出すことが出来なくて、ならば、咳は拗れて、苦しさばかりが積もっていく】
【――ならば阻害すればいいかと言えば、そうでもなかった。ただでさえ致命傷。――そう、致命傷であったなら、なるべく能力の使用は控えていたい、と思うのは】
【魔力の温存という点でも一つ、もう一つは――この能力は、何かを阻害すればするほど、思考力を奪い取っていくから。最終的に何も考えられなくなってしまうならば】

――――げ、ほっ……、……、ぅ。あ……――、アルジャー、ノン、……。
……げほっ。……どうか、しましたか。医務室からはあんまり出てこないものだと、思ってましたが。

ていうか……、……――その身体。まだあったんですね。とっくに処分されたと、思ってましたよ。……はあ。

【最低限の阻害だけで、活動している。だからこそ外に出ていないのだろう。主に生贄の調達に携わる少女は――1日の多くを、外で過ごしているものだから】
【わずかに口元を濡らした唾液を手のひらで拭う。眉をひそめたならば振り返る――だけれど、彼女は相手を視認するより先に、相手が誰かを気づいているようだった】
【特徴的な声。しゃべり方。そんなやつはこの蛇教の中であっても珍しい――というより、奇特だ。拷問じみた修行を受けた後でも、相手の治療を受けるかどうかは悩みどころ】

【――それでも彼女は。過去何度か、相手にこの身体を任せているだろう。といっても、頻繁では、ないのだけど】
【わずかににらみつけるような目をしていたのは、体調のせいだろうか。それとも、――――何かを思いだしているのだろうか。感傷に浸って? そんなのありえなくて】
【緩く首を揺らす。――「今日はずいぶんと頭が良さそうですね」。冗談というよりは確認するような声であった、はあと荒いため息、一つ揺らしたなら】

【(――――だけれど、それは。その"マチ"という少女が、"人間"として"死ぬ"原因になった、修行というのが)】
【(――何度目だったろうか。確かその時の子を捧げるための儀式がきっかけで子を孕めなくなったから。ならば。*回目の時)】
【(なんにも思うことがないと言ったならば、嘘になる。――――――――そういう馬鹿な子が居たなぁ、と、どうしたって、思ってしまうんだから)】

そうですね……、怪我をしました。どっかの狼さんを殺したかったんですけど。思ったよりやんちゃで。
視覚的にうるさいんで、もっと静かでいいですよ。言語で意思疎通できれば十分です。今日は頭良さそうなんで。……そうですね。応急処置だと思いますけど。

――お願いしておきましょうか。こんな怪我、放っておいたら、いつ治るか分かりませんからね。
死ぬ予定はないですが――有事にすでに能力の容量を喰われているのは不覚です、そんな風では私が私を赦せなくなってしまいそう。

【――会話する裏で、わずかに能力を強める。それは些細な意地だった、幹部として、あるいは一人の少女として。弱ったところは、あまり、見せたくないと】
【痛みを阻害する。少しくらい馬鹿になっても相手は時としてそれ以上に馬鹿だったりするから、気にしなくてよくて。そもそも医療担当相手になんだとかかんだとか、今更だ】
【身体の中身まで見られている相手に無駄な気遣いは必要ないという判断。――ならば少し態度はしゃんとする。変わらず顔色は悪いが、相手の治療を受けると決めて】

――――ただ、歩くのダルいんで、運んでもらっていいですか? あと、ここまで来たんで、お祈りしてからで。

【――――――腰に手のお決まりポーズ。セリフはお願いのふりをした"命令"。ついでにちょっと待ってろ、とも、付け加え】
【――それで実際ほんとに三十分くらいは待たすのだろう。だから、その間に、なにか、運ぶ手段用意していればきっといい、ガタイのいいサーバントでも、なんでも】
【そのあとは――大人しく医療室にでも連れていかれるのだろう。ならば場面はそのあたりに移ろうだろうか、それとも、一緒に祈るなら、それでも――いいんだけれど】
491 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/14(木) 23:04:14.96 ID:W85h8sPE0
>>489

――――いいや。ボクの親はダメだったね。
蛇神様に「選ばれなかった」。たぶんボクを産み落とすことだけを義務付けられた、
ちっぽけで、醜い、……不ッ細工なヤツだったよ。

【吐き捨てるように。言ってしまえばもうそこまでで、自分のことは終いにしておいて】
【「ツァルエルさんの親は、酷い人じゃなかった?」 なんて訊いてくる、まるで真人間みたいな声色で】
【心配しているみたいな声ともとれた。「親」についての話題だと、こうなるらしい――】

【――――けど。切り上げられたならそこで終い。なにもかも、だ】


ふふ、いいや――ボクは本当に見てただけだよ。
お礼してもし足りないや、ね、ツァルエルさん――あなたのこと、
他のオフィウクスたちにも言っといてあげる。イイ人だったって。だからね、

【「今後ともよろしくね」――言って、これ以降の「ムリフェン代行」は、すっかりツァルエルに押し付けることだろう】
【そして、他の幹部にもよく言っておくなんて言うけれど。余計なお世話、になるかもしれない】
【何せ最初のほう、ムリフェンとの不仲を示した少年のことだ。他の幹部ともきっと上手くはいってない】
【その状態で話されたって、どうなることやら。……止めるなら今のうち、だけども】
492 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/14(木) 23:25:05.65 ID:AqHYLSsQ0
>>488

おやおや、人と話すときは目を合わせて話すようにと教わらなかったのですかあ?
あからさまな仏頂面に、不承不承ながらに向ける顔。それに口汚い言葉の数々。
どんな理屈が浮かび上がるか、非常に解りやすくて結構。実にぃ、結構です。


【コツ、コツ…と革靴の底を鈍く鳴らして、白銀の髪の女性へと近づいていた折に】
【棕櫚に降りかかる言葉は侮蔑。不快。嫌悪。それらが多量に絡み付いた言葉の数々だった】
【軽薄な面が僅かに陰りを見せるものの、未だその仮面は剥がさぬままであった】


大方、機嫌が悪いのでしょう。そしてそこら辺に転がってる"蛇ども"に何かしらの用事があったのでしょう。
おや、こうなると目的は果たせていない。加えてそんなところに公安の僕が紛れ込んで一等機嫌が悪くなった。
公安アレルギーでもお持ちなんですかね。そうするとそれらの事象は一つに繋がりますねえ。
子供用のパズルみたいに"簡単な理屈"です。――どうです?間違ってますかあ?


【女性を逆撫でするような声で紡ぐ棕櫚の推理と"理屈"。棕櫚曰く"酷く拙い"と言う顔をしながら】
【糸目は僅かに歪み、嘲りの色を宿す。片側の口角はくいっと吊り上り、嘲りの色を滲ませる】

【侮蔑の表情を浮かべながらコツコツと音を鳴らして煙草の煙が吹きかかる位置にいたのが災いして】
【女性の口から吹きかかる紫煙をモロに顔で受け止める。吹きかかる紫煙に咽て、咳き込み、表情が歪む】


…げほっ、げほっ!――…これだから、喫煙者って生き物は嫌いなんですよ。
好き勝手にこれ見よがしにスパスパヤニを喰って悦に入る――…喧嘩、売ってますかぁ?


【"――というより、喧嘩売ってんだろ。この雌穴風情が。お裾分けして貰ったから、コイツはそのお返しだ"】
【棕櫚の軽薄な面構えは何処かへ消え去り、糸目を見開き――その瞳は怒気と殺意の二つを孕んでいた】


                  【――瞳術・暗夜行路――】


【棕櫚は銀髪の女性と目を合わせ、自身の瞳術を発動させていた。その瞳術の効果は目くらまし】
【まともに目を合わせていれば、黒い靄が女性の視野を遮る様な状態になるだろう。――その瞳術発動が意味するのは、意趣返し】
493 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/14(木) 23:31:07.55 ID:X2wjYcCY0
>>491

……

【自らの親を酷く貶す少年に、言葉は見つからなかった】
【否定も、同調しても不正解になりそうだ。黙って聞くしか無い】

……私の親はごく普通の献身的な信徒でしたよ。
私が成人すると財団を引き継がせ、自らを贄として蛇神様に捧げました。それだけです。

【他のオフィウクスたちにも――】
【サビクと会えただけでなく、他の幹部にまで――】
【幹部の後ろ盾があると他の信者に知れれば、教団内でも動きやすくなることだろう】
【この少年が「どう伝える」かに依る所が大きいのだが】

それはこの上なき幸せに存じます、サビク様。
私と私の財団は今後も蛇神様とオフィウクス様方に尽くします故、どうぞ善きように……

ムリフェン様の回復もお祈りしております。
私の病院などが治療するのは烏滸がましい限りですが、何かありましたらいつでも使ってやって下さい。
財団の経営する病院は各地にございますので……

しかしムリフェン様とは、どのようなお方なのでしょうか?
サビク様が一層に気にかけておられるようで……いえ、不躾な質問でした。戯言と思ってどうかお気になさらず。

【最後のは敢えてだ】
【少年のムリフェンへの良からぬ感情は察していたが――】
【そろそろ帰るのだろう。ほんの少しだけ、踏み込んだ言葉を投げかける】
494 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/14(木) 23:45:01.23 ID:W85h8sPE0
>>493

【「そう。酷いヤツじゃないんなら、よかったよ」 ――――その声色は、きっとこの少年が】
【まともな親の元に生まれ、まともな場所で育ち、まともな生き方をしていたなら】
【きっとずっと、こんな穏やかな声色で喋ることだってできたろう。そう思わせるくらいには、優しさが滲んでいて】

【――――――けれどそれらすべてが、たら・ればの話に過ぎないのなら】


ふふ、心配しないで。うんと良く言っておくからさあ、
もしかしたら「儀式」のときにでも、「マルフィク」に特別扱いしてもらえるかもよ?
あのヒトめちゃくちゃ厳しくってヤんなっちゃうよね。……あ、これ秘密にしといて、へへ。

……わかった。言っとくよ、きっとムリフェンも喜ぶ。
こんなに働き物のサーバントがいるなんて、って、きっと彼女なら喜ぶよ。
あの人、蛇神様のため頑張る人には優しくしてくれるから――――


―――――――気にかけてる? ボクが? あの女を?
……ふふ、そうかもね。

だってあの人、………………「かわいそう」なんだもん。とっても。


【――――】

【最後に見せた笑みは、悪辣に歪んだものだった。ムリフェンのことを語るとき】
【「かわいそう」だなんて言葉を使った。なら、――――彼女のことを見下しているとわかるのだ】
【そんな言葉、上から目線じゃなきゃとても言えない、傲慢なものだから】

【そうして――滲ませた幼いぬくもりの残滓すら、自身で全部台無しにしながら。少年は帰っていく】
【「またね、ツァルエルさん。――一緒に、蛇神様にすべて捧げようね」。狂信者にふさわしい台詞を残していったけど】
【はたしてツァルエルは、それを受け取ってくれるかどうか。……それを確認しないまま去っていった、きっと幸運なことだった】


//お時間良い感じなので、ここらへんで……! 長いことありがとうございました!
495 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/14(木) 23:45:12.89 ID:uITxKJHn0
>>492

【この手の輩に口先で付き合うのは疲弊するだけだと女は知っていた。 ── 何も警察に限った話ではない。上官、司令部、制服組。嫌味の上手い連中は殴ってやるに限る。】
【「公権力で他人を殴れない気分はどうかしら?」そんな、皮肉めいた笑いを浮かべたまま、あまり虚仮にするようならタダで済ませるつもりはないと、 】
【── そう口にしようかと思って、さて果たしてどんな面をしてるのやらと、その顔を覗き込もうとした、瞬息。】


        「 ── ッッ!!」


【 ── ほとんど反射で彼女は飛び退いた。距離を取らねば殺られるというのは本能の理解だった。そういう戦場に、彼女は長い間生きていた。】
【咄嗟に視覚系を確認する。しかし異常はない。左眼のアイカメラは正常に作動している。赤外線センサーに切替、応答なし。】
【であれば脳の認識系そのものに介入してきたか。これは"本部"に戻ったら精密検査が必要かもしれない ── ああ、全くもって腹立たしい。】
【どういう仕組みか知らないが、奴は"自分の視界"を奪ってきた。視覚素子にせよソフトウエアにせよ、一切の損傷を与えないまま。目を見ようとした時、か?】
【 ── 右目は正常に稼働しているだろうか。彼女の顔の半面、ならびにその下の「目」は、白銀の髪で隠れていた。男の能力は、果たして其処にまで影響を与え得ただろうか?】


「そう。そっちが其の気、なら ── ッ!!」



【なんにせよ舌打ち混じりに彼女は着地する。コンクリートの地面に罅が入る。戦闘用の全身義体である彼女の体重は悠に100kgを超える。】
【懐のコートから引き抜かれる燐光。 ── 異様な勢いをもって、それは"男がいた方向"に投げ付けられるだろう。ガラス製のナイフを3本 ── その中に満たされているのは、"血液"だった。】
496 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/14(木) 23:53:58.95 ID:AqHYLSsQ0
>>495
//すいません、凍結をお願いしても宜しいですか?
497 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/14(木) 23:55:47.35 ID:X2wjYcCY0
>>494

マルフィク様に……ええ、光栄です

【さらっと別の幹部の名前が出て】
【さらっとその幹部の愚痴を言う】
【サーバントからすれば卒倒しそうな所業だが】
【やはり、この少年は底が知れない――】

「かわいそう」……それはどういう……

【真意を図る前に、少年は去ってしまう】
【ツァリエルは最後の言葉には深々とした御辞儀で答えた】
【姿が見えなくなるまで頭を下げ続ける敬虔な信者――をやりきって】

すべてを捧げる?
もう十分捧げたさ

【病院の天井を見上げ、大きくため息を付いた―】



//お疲れ様でした!ありがとうございました!
498 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage]:2018/06/14(木) 23:56:15.48 ID:uITxKJHn0
>>496
/ん、はあいっ。かしこまりました!折を見て置きスレの方に投げていただければ、お返しいたしますので。
499 :棕櫚 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/14(木) 23:58:06.47 ID:AqHYLSsQ0
>>498
//了解です。ありがとうございます。
//今日はおやすみなさいです。明日中には置きレスのほうへ返しておきますので。
500 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/14(木) 23:58:53.02 ID:W85h8sPE0
>>490
《他ノ方カラノ依頼デ出張ッテイタ帰リデス。ソウデスネ――マタ一ツあじとガ襲撃サレタヨウデ――配備サレテイタノガ、何人カ死ニマシタ》

【医務室にいない理由と、頭が良さそうに見える理由の二つを同時に答えた――教団が暗躍を深めると同時に、その敵対者達も動きは活発になる。犠牲もその分増えるのは自明だろう】
【医療担当である女は、彼女が幹部になる前からの付き合いで――無論、親しいなどとは口が曲がっても言えないだろうが――彼女の阻害の力についても、認識している】
【それ故に、並ならぬ傷を負ってなお、真っ当に立っていられることも】
【彼女の矜持故に、その身に掛かっている負担も――彼女の身体を診て来たモノとして当然のように把握していた】
【しかし、意見などある訳がない。誰であろう、彼女は教団のトップである"オフィウクス"――対して女は、サーバントですらない教団の一備品。差し込む口など有る訳もなかった】


《コノ身体ハ、本部ニ長クイマスノデ、間引クナラ支部ノ者ガ多イノデス》


【少女の言葉に律儀に答える――この体が処分されていないのは、如何なる意図もない単なる偶然で有ったろう】
【そして――彼女と同い年だった件の少女の身体は、当時と比較してより女らしい体付きになっている。――成長しているのは、この体が死体の再利用などではなく、まだ生きている証】
【アルジャーノン自身の説明によれば、肉体の意識も消えてはいないらしく】
【それが事実であるのならば、今この時でも――異形の意志を通して、彼女は観ている。教団の凄惨な修行を乗り越え、今や幹部の一人となった、かつての少女の姿を、観ている】


《ゴ随意ニ。コノ動作ハ不評ナ方ガ多イノデス。トテモ残念デスネ》


【冗談でも言う設定になっているのか、無感情に呟くと、祈りを行うと言う少女の言に、恭しく礼をし、一歩下がって同じく祈りを捧げていた】
【既に別の個体で指示でも出したのか、少女の期待通りに、祈りを終える頃には白塗りの顔をした大男が二人ほどやって来た。ご丁寧に担架まで持ち出して】


《むりふぇん様ハオ怪我ヲナサッテイル。努々揺ラシナドスルナヨ》


【オ"と返事をする大男達は、言われた通りに寸分も揺らすことなく、少女の身体を医務室へと運ぶだろう】
【――VIP用だ。むせ返るような血の跡に塗れた通常の処置室とは異なり、幹部専用とも言える白い壁に囲まれた清潔な空間だった】
【この異形が場違いなほどに――いくらかの科学的な設備が搭載された手術台に少女を寝かせると、女もまた手の消毒を始めている】


《――麻酔ヲシマスガ……オ眠リニナリマスカ?》


【誰であっても女はそう尋ねる。手術の様を自分で見るのは最低の気分だろうが】
【脳をいじることが本職のこの女が、気が付かない内に自分を洗脳していないかと疑う気持ちもまた深く――この二択は中々に信者達の頭を悩ませている】
【アルジャーノンが――と言っても"この"体ではない彼女だったが――かつて少女の胎を手術した際にも、同じ問いを投げかけられたものだ】
501 :アリア ◆1miRGmvwjU :2018/06/15(金) 00:00:13.38 ID:nRWLwebP0
>>499
/こちらこそ一先ずはおつかれさまでした&ありがとうございました。また後日よろしくお願いします!
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/15(金) 00:21:56.65 ID:fUaMm1Az0
>>500

【「そうですか、お勤めご苦労様です」】
【それが最初の彼女からの返事だった。――そうして続いた言葉に、少女は珍しく不愉快そうに表情を歪めるのだ、あまりにも、明確に】
【古い付き合いであった。ならば――不必要に親し気ではないが、どこか、柔らかい温度感が横たわっている。何をどう言っても、全部把握されているのだ】

【――それはかつて彼女が"修業"により能力の新たなる使い方に目覚めたとき。より一層その力を引き出すための"修行"に明け暮れたとき】
【生物毒から鉱物毒。薬。人を殺すことをできる毒を"明らかに"致死量より多く投与され、限界まで発動させた能力で以って、かろうじて、生きたまま運び込まれたとき】
【わざと用意された不衛生な環境に人間相手とは思えぬ扱いで一月は幽閉されていた後の衰弱しきった状態で運び込まれたとき】
【ほかにもいくつもの出来事があった。そのほとんどで彼女はだいたい死にかけていた。時としては"死んでいるべき""死んだほうがまし"と評されるほどであり】

【彼女の能力は使い道が多かった。だからこそ。蛇教は彼女を幹部として扱いながら、時として、実験動物のように扱うこともあり】
【なにより彼女自身が協力的であるからこそ、非人道的――という言葉でいいのかもわからないのだけど――な行いが罷り通る。実験ではなくて、修行、儀式、言い換えたなら】
【それを少女が拒むことは、決してないのだ。――であればこそ、アルジャーノンは、きっとおそらく、蛇教の誰よりも、この少女のともすれば死んでしまいそうな姿を見ていて】

……そうですね、ひと昔前のポリゴン数少な目の洋ホラゲーみたいなんですよね。夜中にエンカウントしたくない感じというか……。

【――――マチの身体については、もう、何も言わなかった。興味がないみたいに。相手の仕草については。――思ったこと、思ったまま、素直に、ありのまま述べるけど】
【多分嘘じゃないとおもう。怖がるサーバントのほとんどは多分同じ理由だ。――少女は割と平気な方。というか、見慣れている、というか、――】

【――そうして、運び込まれる。もはや見慣れた部屋であった。昔はもっとひどい部屋だったという記憶もあるけれど、――それにあんまり興味はなくて】
【こんな部屋のきれいさで何をどうと思うこともない。不衛生だろうと自分は生き延びることが出来て。ポリゴン少な目洋ホラゲー(主観)であれ、相手の腕は確かである】

………………ううん、起きてます。起きていた方が、対応できるので。ていうか、麻酔、要りますか?
嫌いなんですよね。――自分の能力でも割と気持ち悪いんですけど。なんていうか。何で効いてんのか分からないとか聞いたら、信用できないと言うか……。

【――――マチによって儀式が妨害された日。否。"されかけた"日。少女はじっと相手を見ていたのだ、贄を捧ぐための台の上に押さえつけられて】
【――――マチがどうしてそんなことをするのかが分からない、というような目を。どうしてそんな顔をして、そんな風に叫んで、泣いているのか、分からないと言うような目を】
【――――マチがその部屋から引きずり出されていくのまでを、見ていた。そして、蛇教の公から消えたのを、彼女は後日知った。――馬鹿な子。それが、感想だったけど】
【――――同時期に入信した二人は年齢が近いのもあって、割り当てられた部屋も同じであった。本来であればもっと大人数の部屋のはずだったが、たまたま、部屋が空いていて】
【――――話してみたなら、意外と地元も近かった。ちょうど二つの町の間にある大きなお祭りに行った話で盛り上がったりして。ちょっとだけ、普通の話をしたりして】
【――――どこでずれてしまったのかは、分からなかった。たまたま整っていたから。たまたまのめりこむ理由があったから。それだけじゃ、言い訳出来ない気がして】

【寝転がされた処置台の上、天井を見上げて少女はぼうと呟くのだろう。それはあの日と似た答えであった。「――――いらないです」。その理由は思い出せない】
【なんだかそんな気持ちになったのだけを覚えている。だけど、続く言葉は少しだけ違う。「――自分でやりますよ、麻酔」。――あの日には、まだ、出来なかったこと】
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/15(金) 00:24:37.19 ID:fUaMm1Az0
>>502

/【寝転がされた処置台の上、天井を見上げて少女はぼうと呟くのだろう。それはあの日と似た答えであった。「――――いらないです」。その理由は思い出せない】

のところですが

【寝転がされた処置台の上、天井を見上げて少女はぼうと呟くのだろう。それはあの日と似た答えであった。その時「――――いらないです」と答えた、その理由は思い出せない】

に修正お願いしますっ
504 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/15(金) 01:18:46.60 ID:lg9lHMlD0
>>502
【彼女の不愉快そうな仕草には得心が行っているだろう。教団の要で有ればこそ、枝葉末節を手折られることにさえ、怒りを覚えるのは当然のこと】
【女は改めて深く礼をして、少女の信仰を崇めるのだった】
【この女は医療に関する腕だけは誰もが評価するところでは有るし、ちゃんと命令をしておけば勝手に体をいじるようなことはしない】
【だから、瀕死の重傷を負えば、否が応でも出番が来ることになり――この少女は、その出番が破格に多かった。それだけの、接点】
【しかし、"識っている"と言うのは、時に友好的な付き合いよりも理解を得られることもある。特にカルト団体などと言う、異質な空間においては】

【――そう、女は知っている】
【修行と呼ぶには余りにも過酷。常人で有れば――否、異質だらけのカルト教団の中にあっても、その痛ましい姿は直視に耐えかねることも有っただろう】
【であればこその、人外の役目。女は上辺には彼女を気遣うような言葉を掛けはしても、その実、同情も憐憫も見せはしなかっただろう】
【そして正確に、緻密に、彼女の身体を元に戻す――その整った顔に、身体に傷を遺さぬように、我らが神の供物として、相応しい美しさを備えていられるように】
【変色し、スポンジのようになった肉も、栄養失調でボロボロになった肌も、粉砕されもう元には戻らぬと思われた骨でも】

【だからこその失態だった。彼女がもう子を宿せない体になってしまったのは】
【――まだ持たせるつもりだったのに、何故失敗したのか。手が滑った?有り得ない話だ。新しい肉体に不慣れだった?そう、"この肉体"が不慣れだったのだと、納得した】


《こみゅにけーしょんトハ難シイモノデス。モウ少シ人数ガ減レバ、上手クヤッテミセルノデスガ》


【珍しいと言えば、そうなのか。それも長い付き合いのなせる業か、それでもまだ、この少女はアルジャーノンと良く口を利く方であったか】
【世間話のような軽口に意味のない軽口が出るのもそれ故か……今は、手術の方が優先されることだろう】
【彼女が、どんな環境であれ生き残れることは承知している。事実生き残って来た姿を見続けている――だからこの清潔さは敬意の証以上の意味はなかった】
【――もっとも彼女は余り気にしてもいなさそうだったけれど】
【麻酔のことに触れられると、女は珍しく顔の筋肉を動かした。多分"困った"顔をしている】


《畏マリマシタ。シカシ麻酔ハ――》


【耐えるのだろう。この少女で有れば、今まで如何なる苦痛をも、その信仰をもって乗り越えて来たのだから】
【あの儀式の日も、乱入などしなくても、彼女は耐えていたのだから――】
【いけない。ノイズが――これから手術なのだから、万が一にも手が滑ったりはしてはいけない。あの時のように】


【"マチ"が消えたあの日――教団から後に通達されたのは、背信を告げる言葉】
【愚かにもあの凡庸な娘は、祝福されし少女に――ウヌクアルハイに見染められし貴女に嫉妬し、裏切ったのだと】
【それも"修行"や"儀式"と同じ。そう言われれば、彼女は納得すると言う、確信――何故ならば】
【蜜姫かえでは――狂信者なのだから】


《仰セノママに》


【結局、反抗などするはずもない。麻酔は要らないと、はっきり告げられれば、女は従う他ないだろう】
【いざ、手術に入れば女の腕に躊躇いはない。少女の阻害の能力が有れば、どの程度まで"死なない"のか、完全に把握しているのだから】
【損傷した内臓を修復しようと、服をたくし上げ――腹にメスを入れ始め――】


《アア、シカシ何タル悲劇――神聖ナル、"むりふぇん"様の儀式が、最早行ウ事ガ出来ヌトハ――》

【残念そうに――どこまで本音なのか、女は嘆く。少女が起きているから、気を紛らわせるためのお喋りなのか】

《……モシモ、器官ノ移植ヲゴ所望ニナルナラ、コノ肉体カラ摘出シマショウカ?》
《内臓ノめんてなんすハ万全デスシ、未使用ナノデきれいデスヨ》

【冗談――?だとすれば誰かが吹き込んだのか、あるいは、ただの思い付きをそのまま口にしただけか、軽口の続きのように女は呟くのだった】
505 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/15(金) 01:26:26.14 ID:lg9lHMlD0
>>504
/ 【世間話のような軽口に意味のない軽口が出るのもそれ故か……今は、手術の方が優先されることだろう】

/ 【世間話のような意味のない軽口が出るのもそれ故か……今は、手術の方が優先されることだろう】

訂正します!
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/15(金) 01:59:24.55 ID:fUaMm1Az0
>>504

【――――あの日、彼女はどうしてか、麻酔を断った。気まぐれだったのかもしれない、それもまた修行の一つになると、考えたのかもしれない】
【――そうして手術は開始された。今日みたいに。これからみたいに。――であったなら、それは壮絶な光景であった。当然だろう、麻酔なしで胎を開くなどと】
【常人が耐えきれるものではなく――それでも耐えようとしたのはなんでだったのか。居なくなったマチへの手向けだったのか。それさえも、分からないんだけれど】

【ならばそれはそんな要因が重なり合った結果だったのだろう。――彼女自身がその痛みにひどく暴れたのだ。どれだけ強く縛っても、骨すら自分で折りそうなほどに】
【そうであったならば、どんな名医であれまっとうな治療などできないだろう。まして――身体そのものが、不慣れであったなら。その故の、結果が、あって】

【この少女にはそういう実験動物としての意味合いもあった。ならばこそ身体の状態は事細かにチェックされる。次の健康診断も、そろそろだったはず】
【どこまで耐えるのかも。どの種類の痛みに弱いのかも。数値以上に何を苦痛と思うのかも。全部全部知られていた。何か数値が少しでも違えば、その理由を探される】
【であればこそ。――Triumphus Serpentis Magniの使用による副作用。医療的にそれは副作用と呼ぶべきものだろう、"ここ"の人間たちにとっては違うんだけれども】
【きっと相手はその時に気づくんだろう。少女の数値は明らかに悪くなっていた。深くまで堕ちこみ始めていた。少しずつ――少しずつ、何かが変わりだしていて】

――――っ、う、く、

【――その瞬間、わずかに目を細めた。そうして息を吐いたなら、――あの日のような状況にはならない。あの日は再現されない。だけど、それは、】
【なんだか彼女がどんどんと違うものになっていってしまいそうな、なってしまったような、なんだかそんな気持ちにさせてしまいそうで。少女は明確に意識を保ったまま】
【まったく麻酔を施されぬ状況で、――けれど異様なまでの静かさであった。ただしこれはどうしようもなく思考回路を抉り取られて、口数は減るしかないのだが】
【逆に言ったなら。たったのそれだけで。本来ありふれた人間であれば発狂するほどの激痛に耐えられる、ということでもあって。――それはきっと生存するためにも似ていて】

【――――理論上は、意識さえ保っていられれば、死なない】
【そうとまで言われていた。そこまで適応するほどの痛みを苦痛を強いられ続けた。それでも、まだ、人として生きていたなら】

…………――そうですね、それもいいかと思うんです。アルジャーノン、あなたなら、きっと、うまく、やりますし……。
だけど……、……――また邪魔しに来ませんか? それは、ちょっと、めんどくさいかな……――。

私、もう、偉いんで。今そんなことしたら、間違いなく、今度こそ、その身体、破棄されますよ。

【ぼうとした目をしていた。どこを見るでもなくて、ならばどこか微睡むように。それでいて、自身の胎を開けられたままで、しゃべっているなら】
【痛覚を阻害しているだけで、どこか遠くで触れられている感覚は、あった。身体の内側。痛くないからこそ、余計に悍ましく、目を逸らしたくなるのに】
【話しかけてくれるのがなぜだか嬉しいように思えて――眠ってしまわなくてよかった、と、どこかで思ってしまう。最近こんなのばっかだった。らしくない】

【――身体の中はひどいあり様だった。腹部を二発ぶち抜かれている。それだけで致命傷と言ってしまえそうで、それ以上に、身体中を串刺しにされたようになっていて】
【ならば。こんなふうにしていられるはずがないほどの重症人であった。――あるいは生きている死体のような様相、破綻しないのは、能力のために】

/ちょっとだけ入らなかったので分割で!
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/15(金) 01:59:55.65 ID:fUaMm1Az0
>>504>>506

……じゃ、今度のことが終わったら、お願いします。今日は……傷だけ。

【感傷には程遠い。本当に面倒くさそうな声をしていた。けれど、きっとその瞬間、彼女は、アルジャーノン、――ではなくて、マチに、話しかけている】
【相手が彼女のことを知るように、彼女も相手のことをいくらか知っていた。たまにもともとの人格らしき言葉を発する。そんなに詳しいわけじゃ、ないけれど】
【ぼうっと濁った思考の中で、少女はふっと何も考えないままでそうしてしまっていた。それに少し遅れて気づいたのか。鈍い思考回路が追い付いたのか。今日は、傷だけをと願う】

【"今度のこと"――とは、やはり、近頃、蛇教内部もざわついていた。活動が活性化したのはもちろん。様々な要因から、何か、大きなことがあるんじゃないかって】
【そういう噂話が出回り始めている。というか。ほぼ確信を持って語られていた。――それが終わったら、そうする。そうやって彼女は、答えるから】
508 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/15(金) 21:32:13.10 ID:lg9lHMlD0
【「サーペント・カルト」――――施設内】
【大きな大きなプール、あるいは水槽のようなものがある部屋があった】

………………うんいいよ、そのまま。飛沫立てないようにしてね、
ひっかかったらオマエも「そうなる」よ。そうそう、ゆっくり、爪先から浸けていくの――――

【しかしそこに満たされている液体は中性の水なんかではなかった。ならば何が湛えられているかといえば】
【強力な強力な「酸」だった。それが、プールに、なみなみと。注がれて、静かな水面を保っている】
【けれどそこに、ひとり、かわいそうな人間が、ゆっくりと。沈められようとしている真っ最中だった】

【少し離れた高いところからそれを見下ろしているのは、少年。金髪碧眼、ビスクドールめいた顔立ちの】
【顔以外の肌を一切露出しない格好。それでいて一滴の汗もかかない。足元は鋭利で高いヒールの靴】
【それでもって、視界は約170センチの高さを保つ。そこからじいっと――つめたい海色の瞳で、見ているばかり】

【今にも酸に沈められそうになっているあわれなサーバント。涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、すさまじい声量で】
【「申し訳ございませんでした、サビク様。どうかお許しを、どうか、どうか、どうか」 ――――――】
【ずっと少年に向かって懇願し続けていた。暴れてもいるようだったが、手足は厳重に拘束されていて】
【最早指一本も動かせないような状態だった。だから唯一自由に動かせる顔だけを、必死に、引き攣らせていたけど】

【「サビク」 ――――そう呼ばれた少年は、その声を聞いても眉一つ動かさない】
【ただじっと、サーバントが酸に浸けられていくのを見てる。哀れもうともしなければ罵りもしない】
【まったくの無表情だった。そしてそれで、周囲に理解させるのだ――猛烈に、怒っているのだと】

【サーバントの爪先が酸に触れる。絶叫が響き渡る。水面が一気に蠢き始める】
【しかし少年はそれを見守っているばかりだった――――静かな怒りを湛えたまま。……なにか、あったみたいだけど】
509 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/15(金) 21:47:44.67 ID:lgPHiCTT0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――水の国 森林】

おおおおぉぉぉぉッッ!!
「……ッ!!」

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【がっしりとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫と】

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人が】

【森の中で激しく打ち合い、時折火花を散らしている。獣人の手の爪が、振り下ろされた棍棒を受け止め、押し返す】
【それを更に偉丈夫は棍棒を振るい――――その一瞬、風が走った。眼前のはずの獣人が、偉丈夫の背後から爪を閃かせ――――】

ッッ!!
「くっ!?」

【咄嗟に偉丈夫は背後に棍棒を回して構え、背中を狙った獣人の爪をやり過ごした――――2人の動きが止まる】

「……ふぅ。……お前、こんな事をやってる場合じゃないんじゃないのか?」
構いやしねぇよ……行き詰ったら、切り替えるまでだ。今は、頭空っぽになるまで、体動かしたいんだよ……オヤジ、もう少し、良いか……!?

【背筋を伸ばして構えを解く2人。恐らくは、手合わせと言った程度の、軽いぶつかり合いだったのだろう。ただ、彼らの間に流れる空気は、非常に重いもので――――】



【――――所変わって、水の国 路地裏】

あーぁ……全く、やってられないったらないですよ。今度はアホなカルト宗教? こんなんじゃ生きていけないじゃないですか……アレですか、小市民は死ねって事ですかねぇ?
全く、外に神を求める様なザコなんて、教会もカルトもみんなお前らの方こそ死んでしまえばいいってのに……

【切れ長で涼しさを感じさせる瞳が、艶のある短い黒髪の中で映える顔立ちの】
【医療従事者用と思しき白衣を着こみ、ポケットからはステンレス製の細長い箱が覗いている】
【頭に、白いつば広の帽子を被っている、身長160p前後の女性が】
【壁に寄りかかりながら、手元の通信端末を覗き込み、不機嫌そうにため息をついている。ぼうっと光に照らされるその表情は、画面のニュース記事を深刻そうにのぞき込んでいて】

……これじゃ、どこについていけばいいか、分かったもんじゃないですねぇ。世間の荒波ったって、ちょっと荒過ぎはしませんか?

【足元に倒れ伏す2人のチンピラを、つまらなそうに見下ろしながら、女性は独り言めいた問いかけを投げかける。勿論、返答など期待していないのだが――――】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
510 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/15(金) 22:00:08.72 ID:lg9lHMlD0
>>506
【あの日の事故の実際の原因は分からない――様々な要因が絡んでのことで、ある意味においてなるべくしてなった、と言うことなのだろう】
【結果として彼女を蝕んでいた一つの儀式はそれで終わりとなったものの――それは所詮、たった一つのこと】
【流石に以前とは立場も扱いも違うとしても、幹部となった今ですら、針の山を歩くが如き、彼女の道は続いている】
【せめてもその山の向こうに救いが有れば良いのだろうが】
【日増しに、"悪く"――真っ当な倫理観に当てはめればの話だ――なって行く彼女の心身を見るに、それはきっと叶わぬことなのだろう】

【――今も、そう】
【かつてとは異なり、麻酔無しに内臓をいじられるとなどと言う正気とは思えぬ所業の中でも、彼女は大きく騒ぐこともなく】
【ただ今までずっとそうして来たように、静かに全てを受け入れている】
【それは成長?幹部として――或いは、敬虔なる信者としての精神的な強さの証だと?】
【アルジャーノンはそれに対して、額面通り応えるだろう。例え返事がなかったのだとしても】

《素晴ラシキカナ。流石ハむりふぇん様。脳波ハコンナニモ揺ラギ、激痛ヲ訴エテイルト言ウノニ》
《貴女様ノ心ハ湖畔ノヨウニ静カニ凪イデイル》
《下々ノ輩ニハトテモ真似デキマスマイ》

【惜しみなく賛辞を述べる。事実として驚嘆すべきことだ。この年若き身でここまで至ることのできる人間がいようとは】
【否――本音のところでアルジャーノンはこう考える】
【この異形がこんなことを物思うのは全くナンセンスなのだが】
【蜜姫かえでは、最早人間の規範から外れ掛かっていると】
【これは成長ではなく――言うなれば変質なのだと】


【思考とは別に、女の手は手術を続行する。早めに処置を出来たのは僥倖――放置し過ぎれば、壊死を招いていたかも知れない】
【例え能力によって生存を維持できたとしても、それは望ましいことではないだろう】
【大きな動きを控えた今で有れば、尚更のことだ。いつものように、正確に処置を施していく】
【医療行為に優しさは不要とばかりに、穴を塞ぎ、血管を繋ぎ、問題なく肉体が循環するように――彼女はもう何度それを体験したことか】
【勿論、腹部の内臓以外にも損傷は数多――これは長い手術になりそうだった】


《ゴ冗談ヲ……邪魔ナド、入リマセン》


【それは彼女に取って数少ないプライドだったのか、珍しくはっきりと否定する。有り得ないことだからだ】
【この肉体の脳は物理的に半欠けなのだから、感情も、思考も断片しか残らず、意味のある人格を形成できるはずはない】


《……畏マリマシタ、むりふぇん様》
《皮モ肉モ骨モ――何度モ入レ替エマシタシ、血モ幾度ト無ク輸血シマシタ》
《生マレタママ残ッテイル部分ナド、後ドレダケ有ルノヤラ――》

【それがまた一つ増える。異形の女に取って、それはそれだけの事象】
【もっとも次の"大きなこと"の後に、彼女が生き残るのかどうかは定かではない】
【不死に近き禁術の使い手、一騎当千のオフィウクスであれど――この街の能力者達は決して楽観できる相手ではないから】
【ましてや、敵が"外側"だけとも限るまい】

// 続きます。
511 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/15(金) 22:07:32.86 ID:BoMG3QGto
>>508
【その部屋に一つの気配が滑り込むように入り込んできた】
【一切の足音はせず、しかし確かな気配が。彼が振り返れば、そこには一人の男が浮かんでいた】

……サビク殿

【彼なら、その壮年の男の顔くらいは知っているだろうか。両手足が根元から欠損し、足の断面から漂う靄のようなものの上に乗って浮かぶその男を】
【スキンヘッドに、顔に這い降りるような形で彫られている蛇のタトゥー。不気味に光る、蛇のそれのような縦の瞳孔の義眼】
【胴体を赤い祭服で包み、蛇の模様が刺繍された帯を首からかけている】

【司祭、アレクサンデル・タルコフ。彼と同格の蛇教幹部の一人である】
【その両腕の断面から、靄と同じ半透明のエネルギーが蛇の形で伸び、酸のプールの上でのたうつサーバントの足元へ向かい】
【その足を持ち上げて、酸の水面から遠ざけようとするだろう】

差し出がましいこととはわかっておりますが、儀礼を取り仕切る立場として申し上げます
儀式≠フ時は近く、今は一人でも人手が必要な状況です

どうか、お怒りを鎮めてはくださいませぬか。伏して、お願い申し上げます

【両腕の蛇を伸ばしたまま、司祭は足元の靄を消して床にその身を投げ打ち、少年にそう告げた】

/まだいらっしゃいましたら、よろしければ!
512 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/15(金) 22:17:57.21 ID:lg9lHMlD0
>>511

【音も何もなかったけれど――少年は確かに「彼」に気付き、振り向いた】
【表情はまだ凍り付いたままだった。そうしていれば本当に、人形めいた造り物っぽさが際立って】
【――――床に転がるアレクを見下ろす。長い睫毛が影を落とす。ふ、と息を吐いて】

…………こんなヤツ、こんなヤツでも「人手」にするの?
ねえ「マルフィク」さん。コイツ、ボクに水をひっかけようとしたんだよ?
そんなヤツを、蛇神様の御前に出すの? そんなの冒涜だよ、……そう、思うんだけど。

【語る言葉。それはあまりにも単純な切欠が原因で、あまりにも幼稚な怒りを抱いたのだと】
【そんなものだった。呆れもするだろうか、けれど同じオフィウクスであるアレクなら知っているかもしれない】
【少年、サビク、破崎雨竜はひどく、ひどい潔癖症だった。ならばここまで怒るのも納得――なんかできないだろう、当然】
【あからさまに苛々しているのを抑えきれない、みたいな顔で。しばらくアレクを見下ろしていた、けど】

………………はあーあ。わかったわかった、いいよもう――ソイツ、引き揚げて。
ごめんねマルフィクさん、もうしない、もうしないから……顔を上げてよ。
そうも簡単に頭下げられちゃったら、なんか誤解されちゃうかもしれないじゃない。

【他のサーバントたちに合図を送る。そうしたら、かわいそうだったサーバントは無事地面に転がされて】
【本当に、本当に。神を見たとでも言わんばかりの輝かしい表情で――アレクを見るだろう。助けてくれたと思っている】
【少年はそれを見て舌打ちしたが、……それ以上はもう、何もしない。困ったような顔をして、その姿勢を止めてくれと言うのだ】

//おりました! よろしくおねがいしまーす
513 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/15(金) 22:26:18.06 ID:lg9lHMlD0
>>510
【――この"マチ"と言う少女が何をしてもしなくても、彼女の行く道に大きな違いなどなかっただろう】
【かつて短い間だけすれ違い、その後大きく道を別つことになった結果に変わりはない】
【もしも、"こう"なってなかったのだとしたら】
【オフィウクスとして大成した彼女の視界に入ることさえ稀で、話しかけることも躊躇っていたかも知れない】


【数奇なことに――こんな風に"成り果てて"初めて、この行き過ぎた少女の近くにいることが出来るのだ】
【だから仮に、ここで話していたのが"マチ"だったのだとしても、何を言ったところで彼女の眉すら動かすことは出来なかったに違いない】


【『頑張って』?『無理しないで』?『生きて戻って』?……『幸せになって』?】
【原色めいた単純な感情から出て来た言葉なんて、何一つ届きはしない。それくらいに彼女の心は歪に入り組み過ぎてしまっている】
【言えることなど――】


……ムリフェン様。手術は終わりました。少しは、眠ってください。


【ただ一時だけでも、休息を促す言葉だけ】


【『いつだって私のような人間は無力で――』】
【『自分で何も成すことはできない。それでも何かせずにはいられなくて』】
【『何か他の"誰か"が悲運の運命から救ってくれることを、願うことしかできない』】
【『"神に祈る"って多分そういうことなんだ』】
【かつて迂闊にも、カルト宗教へとのめり込み、そうしてそれすら信じられなくなった少女は、宙に散らばった意識の中で、ようやく神を知るのだった】
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/15(金) 22:33:43.54 ID:euUz4Yu10

【人気のない公園】
【夜という事もあるが雨が降っているのもあって、誰一人踏み入れる事のないその場所】

【一人の少女が濡れそぼったベンチに膝を抱えて座っていて】

【月白色の肩まで伸ばした髪に生成色のキャスケット。ノースリーブのデニム地のワンピースを着ていて】
【長い事いたのかキャスケットもワンピースも濡れている】
【その右の肩口には鋭利なもので切った後に指程の太さのもので広げられたみたいな傷があって】
【昨日今日で出来たようなそれはまだ側面を赤く濡らしている】

【抱えられた膝。色が濃くなってしまったそこに埋められた顔】
【ちらりと見える金色の瞳がひどく虚ろで】

【何度も深いため息を吐く。異様な光景がそこにあって】

515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/15(金) 22:47:39.62 ID:fUaMm1Az0
>>510>>513

【――――ならば"それ"すらも、誰かの思し召しのように思えてくるのかもしれない】
【能力の特異性ゆえに実験動物のように扱われるサーバント。そんなものは不穏な因子でしかなかった。実験――いや、修行。儀式。のたびに、能力は細分化し】
【できることが一つずつ増えていく。――ううん。彼女自身が生き残るために、新しい使い方を見出してしまう。そんな中で。ならば。それは恐ろしい未来を導きかねなくて】

【いつ破断するか、分からなかった。信仰心はある。傾倒している。しかしそれが何かのはずみで、蛇教にあだなすものになる可能性は、いつだって無視できないなら】
【"それ"こそが彼女をこの場所へ縛り付けるためのものだったのかもしれない。あるいは最終的に殺すためのものであるのかもしれない。――幹部の座、それそのものが】
【まるで死刑囚の座る電気椅子のように。――――彼女みたいな人間相手なら、そうやってすれば、逃げ出さない。より一層のめりこむだろう。見透かされたように】

【そして事実、そうであった。何にも疑わない。疑うことなく。どこまでも善意で動く。――だからこその"オフィウクス"】

――――それは、ここまで私を導いてくださった、ウヌクアルハイ様のお力あってのものです。
下々の、というのは、不適切でしょう。ウヌクアルハイ様はすべてをご覧になられておりますから。……励むことでのみ、認めてくださる。

【――ぼうとした表情に、けれど、わずかの笑みが差した。惜しみない賛辞。普段ならば、平素の顔で済ませたのだろうと予感させて、――だけど今は確かに笑った】
【自分がどうなっているのかを分からない。――知ったとしても、おそらく、止まらないだろう。それは医療に従事するものとしてどう見えるのだろう、でも】
【それがここの運命でもあるのだろう。熱心であればあるほど。――きっと相手も見てきたのだろう。そうして人間をやめていった、誰かたちのこと】

……そうですか。ならば良いです。

【小さく吐息が漏れた。――痛みは、感じない。いろんな機械が証明してもなお、彼女の意識に、それらは登ってこない。邪魔しない。けれど、その分靄に囲まれたように】
【ならばそうして紡がれる言葉たちは譫言に似ているのかも、しれなかった。――ゆえにこそ時々ふとした言葉が漏れてしまう。どこか人間らしい、くだらない言葉】

あはは、サイボーグみたいですね、――――、

【――愉快そうに目を細めたのだ。その意味をきっと相手は、分からないんだけど】

…………………………、それは、医者としてですか?

【ふ、と、息交じりの声が漏れた。――ならばやはり彼女としても快くはないのだろう、痛みを感じないとはいえ、意識あるまま他人に臓腑を預けるというのは】
【どこか安心した――というにはあまりにわずかだけ、和らいだ様子があった。「ありがとうございます」、と、伝えた声。――そこからたっぷり、十数秒は空けて】

【――マゼンタ色がきっと相手をまっすぐ見ていた。ならば彼女は"マチ"という少女の存在を、認めない。そうであったなら、従わない】
【それは過去の出来事であった。馬鹿で愚図の子が淘汰されていった、ありふれた、過去の。――だけどきっとその少女は誰より優しく。ならば、ボタンの掛け違いだけ】

【――――――時々、この少女は、「ヒヤヒヤした」というものの言い方をすることがあった。特にサーバントに向けて。迂闊な行動をした、サーバントに向けて】
【――――――自分の言葉に従って"正しく""善いこと"をすることが出来たなら、蕾が綻ぶように笑って、それで、褒めるのだ。――善人だった故に消えた少女をいつか見ていたから】
516 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/15(金) 22:48:50.57 ID:BoMG3QGto
>>512
それについては、確かに大きな過ちです。尊きサビク殿のお身体を、未遂とはいえ穢しかけてしまったのですから
しかしながら、私を含めて信徒たちの全てが完璧とは程遠い、哀れな迷い羊なのです
そも、我々がそのような有様だからこそ、ウヌクアルハイ様は無限の輪廻を巡っておられるのですから……

それでも、我々は今あるもの、今できることをもって聖なる職務を果たさねばならないのです
(サビク殿……間違いなく強力な力と強い信仰をお持ちではあれど、あまりに危うい)
(オフィウクスもサーバントも、いずれはウヌクアルハイ様に捧げられるべき命なれど……それには相応の手順こそが重要だというのに)

【床に臥せったまま、司祭マルフィクはつらつらと訴える。心中では、やはり多少なりとも苦々しい思いを抱えながら】
【アレクサンデルとて、カルトの目的を正しく理解した幹部の一人。自身の身も含め、サーバントら信徒の命は蛇神のためなら使い捨てることも厭わないだろう】
【しかしながら、眼前の少年がやっているように、個人的な怒りや癇癪によってサーバントの命が消費されることは】
【マルフィクの考えるところの、正しい手順に則った殉教とはかけ離れていた】


感謝いたします、サビク殿……
さあ皆さん、その方を医務室へお連れしてください。それが終われば、今日のところは解散してくださって構いません

【少年の言葉を受けて、異形のダルマ男は再びふわりと空中へ浮かび上がる。サーバントたちが哀れな信徒を酸の上からどける間】
【その蛇は、爪先の傷を庇うように展開していた。本来なら、蛇神のみがその身を飲み込むべきなのだと、そう信じるがゆえに】

【爪先を酸に侵されたサーバントに微笑みかけ、他のサーバントたちにもそう告げる】
【今宵のところは、彼らは怒れるサビクから解放された。今後どうなのかは、わからないが】


……嘆かわしいことですが、このところは警察などの公的機関のみならず、蛇教をつけ狙うパグローム≠ネる凶賊を始め
教団に、ひいては蛇神様に仇なす者たちが後を絶ちません

何者の仕業かはしれませんが、先日も生贄を集めに出ていたサーバントのグループが三つ襲われ、17人もの信徒の命が奪われたのです
全ては我々の果たすべき職務、受肉≠フため……サビク殿のご理解に、心より感謝いたします

【全くの異形である。全てが均整の取れた、ぞっとするまでに美しいサビクことウリュー少年とは、あまりに対照的な男だった】
【しかし、その外見とは対照的にその声は深く穏やかで、姿さえ隠していれば告解を聞く神父のように相手に安心感すら与えるかもしれない】

【義眼とタトゥーで醜悪に彩られたその顔を、穏やかな笑みで飾り。しかしながら、やはりその姿は異形であり、その精神は少年とは別の形で歪み切っていた】

……よろしければ、共に一息入れませぬか。以前から、サビク殿とはお話しする機会を戴きたく思っていたのです
以前から聞き及んでおりました――――貴方様が蛇神様から『選ばれた』瞬間のお話

その逸話……いえ、神話といっても過言ではありますまい。この一信徒めに、どうか語り聞かせてはいただけないでしょうか?

【そうして問いかける姿すら、不気味さと穏やかさのアンバランスだった】
517 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/15(金) 23:04:23.76 ID:lg9lHMlD0
>>516

……わあかった、わかったってば! もう、マルフィクさんったらいっつもお話長いんだから!
まるで学校の校長先生みたい、知ってる? 長話に耐えられなくって生徒たちがバタバタ倒れていくの。
そんな感じがするよ、……威厳が全然違うけどさ。ま、そういうのはもう、どうでもいっか。

【一応、話は全部聞くけど。それをすべて理解しているかと言われればそうでもなさそう】
【うんざりしたような顔して、手袋を纏う手をひらひらさせて――サーバントたちを撤収させる】
【彼らはめいめいマルフィクに感謝の言葉を掛けて去っていくけど――サビクには目も合わせない】
【当然だ。オフィウクスの地位を濫用して無理矢理いろいろやらせようとしてくる、それも幼い上司など】
【好かれる理由もなかった。少年もそれは理解しているようで、彼らの背中を睨んでいたけど】


パグ、ああ……聞いた聞いた。アイツまだ死んでないんだ。
ムリフェンを「やった」ヤツもいるしさあ、面倒臭いの多いよね最近。

【世間話でもするようなトーンで対話に応じる。そうして、一息入れないかと言われれば】
【「こんなトコでする? まあ別にどうでもいいけど――」 言いながら、適当なところに座るだろう】
【最初。マルフィクの姿を目に入れた少年は――あきらかに怯えたりもした、あまりにもヒトの形からかけ離れていたから】
【でももう、同じ立場になって何度も相見えることになったなら。慣れざるを得なかったのだ、本当に、慣れただけであって】

【――――つまりまだ、少年は内心、マルフィクのことに怯えている。「ボクもいつかああなっちゃうのかな」、って――】

……神話だなんて、やだなあ。それ、マルフィクさんなりのジョーク?
そういうのを持ってていいのは蛇神様だけだよ、……でもそうだね。ボクはそんな蛇神様に選ばれたんだ。

ふふ、じゃあ教えてあげる。ボクはね、汚い女の股から生まれてきたわけなんだけど――――

【……そう思いつつも、自分の話をしろと言われれば満更でもなさそうに。むしろ嬉しそうに、語り始めるだろう】
【自分は乗せられてるだけなのかもしれない。そんなことはこれっぽちも思ってなさそうに、すらすら喋り始めるだろう】
【何の変哲もない平凡な女が母親だったこと。そいつが熱狂的なサーバントだったこと、それから先は――】
518 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/15(金) 23:27:48.79 ID:BoMG3QGto
>>517
はは……いやお恥ずかしい。司祭という立場上、どうしても無駄に口数が多くなってしまいましてな
確かに、私が校長だったとしたら保健室は満員御礼となってしまうでしょう

【いかにも少年らしい言葉と仕草にも、マルフィクはいつもの調子を崩さない】
【司祭としての顔以外を、ほとんど表に出すことのしない男だ。彼が怒りを見せたところを見た信徒はいないと噂されるほど】

【去り行くサーバントたちに気遣いの言葉をかけつつ見送る。しかし、当然ながらサビクに対しては明らかな反感が見て取れた】
【蛇教の最高幹部たるオフィウクスの一人が、信徒からそのような目で見られるような振る舞いをしていることは】
【やはり、マルフィクとしては好ましくない事態である。かといって、ウリュー少年を矯正する手腕など持ち合わせてはおらず】
【異形の司祭は、心中で小さくため息をついた】


そのようです……先日も、サーバントのドープ殿が交戦し負傷なされたとか
ムリフェン殿の件も聞き及んでおります……全く、嘆かわしいことです

【事実、彼ら蛇教の狂信者たちにとっては日常茶飯事のことなのだろう。世間話の範疇なのだ】
【拷問部屋で話を始めたのも、ある意味では日常といえるだろうか】

【自身の姿に怯えられていることにも、表面上は気にする様子は見せず】
【されど、やはり彼にも年相応の面は残っているのだとも思う。蛇教の凶器への恐怖も】
【だからこそ、彼は苛烈なまでにサーバントを痛めつけるのかもしれないが】


確かに、失言でした……どうかお聞き流しください
蛇神様がお選びになられたお方が眼前にいるとなれば、信徒としてどうしても羨望と興味を抑えきれないのです

【確かに、サーバントへの怒りの矛先を収めさせるという意図は大いにあった。ナルシストな面が強く見える彼なら、自身の話はしたがるだろうと】
【しかし、興味をそそられたのも本当だ。【蛇神に選ばれたと豪語し、実際に力を示してこの座に収まった少年】
【その過去に何があったのか。珍しく、司祭ではなく個人としてそこに惹かれた】

【彼が話を始めれば、時折相槌を打ちながら、じっくりと聞き入る】
【サーバントの母。彼女への侮蔑を感じさせる言葉。その理由は、その先にわかるだろうか】

【司祭の穏やかな声は、控えめに先を促していく。ウリュー少年がサビクとなった、その日のことを】
519 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/15(金) 23:42:18.10 ID:lg9lHMlD0
>>515
【なるほど、実験動物とは言い得て妙――叩けば叩くほどに進化するのであれば、最初の方こそその成長に興奮冷めやらぬとしても】
【ある日唐突に気付くのだろう。ここまで育ててしまっても良いものかと】
【いつか牙を剥かれたとして、自分達は"これ"を制御できるのだろうかと】
【彼女に与えられた椅子は、そのための苦肉の策だったのだろうが、思ったよりもそれは座りが良かったらしい】
【故により一層に、加速した――それを目論んだ者達の思惑通りだったのかどうかは、知れないが】

《失礼――失言イタシマシタ。設定ヲ修正イタシマス》
《ソレデモ、貴女様ホドノ、信仰ノ在リ方ハ、他ノ誰ニモ真似出来マスマイ。長ク教団ヲ観テ来タ中デモ――貴女様ハ破格デス》

【浮かぶ表情は目に映っていた。だからと言う訳ではないのだろうが、女は言葉を継ぐ】
【この異形が真っ当な感情でモノを喋るとも思えず。その言葉は話半分程度に聞いておくのが常であろうが】
【朦朧とした頭には効くこともあるのだろう】

【サイボーグのようだ、との言葉の意味は当然女には分からない。おかしそうに笑う理由も見当はつくまいが、深く追求することはなかった】
【すぐに若干不機嫌そうになる声を聞いて、何かおかしなことを口にしたかと、異形はその顔のない頭を少し傾げて見せる】

《モチロン。術後ノ体力ノ回復ハ必要デス。イツモノ通リデショウ》

【真っ直ぐ見詰められたマゼンタ色の瞳を見返す。その歪な眼には一切の動揺は存在しなかった】
【アルジャーノンと呼ばれるモノは生き物ではなく、ただの"現象"であり。肉の身体はその結果に過ぎない】
【だから時に何かノイズめいた言葉を喋ったりすることも有るのだろうが――】
【それもただの反応であり、意志や――ましてや奇跡など交わりようがないのだ】

《何ヨリ、オ疲レデショウ?ソンナ顔ヲシテイマス》
《ウヌクアルハイ様ニ向ケルソノ美シキ顔ヲ曇ラセテイタトアレバ――アア、私ガオ叱リヲ受ケテシマウ》

【――過ぎ去った過去を物思うならば、彼女は"まだ"人間なのだろう】
【やがて、いつか、信仰の果てにそれも消えるのか――或いはそれでも縋りつくのか――異形の身にはそれはどうでも良いことだった】

【でも"識っている"。長い付き合いだからだ】
【その在り方はどうしようもないくらいに歪んで、捻じれて、取り返しがつかなくなってしまったのかも知れないが――】
【それでも――この少女は優しいのだと、知っている】

《……私ハ仕事ガアリマスノデ、席ヲ外シマス》
《寝起キニ見ルニハ適サナイト、評判デスノデ》
520 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/15(金) 23:43:14.78 ID:lg9lHMlD0
>>518

……マルフィクさんも学校行ってたことあるんだ?
けっこう意外かも、……ごめんなんだか偏見だった。そりゃそうだよね、マルフィクさんだって――

【「ふつうだったときも、あったでしょ」。そう言いかけてやめた、なんだかおかしなことを言ってる気がして】
【普通とは、何だったろう。そう考えて――むしろ普通じゃないのは彼じゃなくて自分のほうな気さえしてくる】
【蛇のために生きて蛇のために死ぬのが、「ここ」の普通。だったら自分は、……なんなんだろうって】

【――マルフィクみたいに手足を失くして蛇になるのが普通なら。そんな普通は、……考えるのを、やめる】
【そんなことを考えてしまった自分がひどい異物であるような気がしてきて、なんだか、居心地悪くなったから】
【小さくかぶりを振って、続きを話し始めることだろう】


…………あの女はたぶん、ボクに嫉妬していたんだと思う。だってボクとあの女、全然似てなくって。
アイツはとても不細工だった、なんでボクをこのカタチに産めたのか――わからないくらい。
それくらい容姿の差があって、それでいてボクだけ蛇神様に選ばれたんだから当然――まあ、嫉妬も、するだろうけどさ。
だからあの女は、ボクにひどいこと、たくさんした。最後の最後にはボクのこと殺そうとまでしてきたんだよ。

マルフィクさんなら知ってるよね――タイボン? ってやつ。
こう、穴にたくさんたくさん毒蛇を敷き詰めて、そこにヒトを突き落とすヤツ。
あれをやれって言ってきたんだよ、あの女、最終的には突き落とされたんだけどさあ。

「ここから生きて帰って来れたんなら、あたしあんたのこと、初めて抱き締めてあげてもいいわ」って。
そう言って、ボクの背中を、押して、

【――――彼は決して、自分の母親のことを母と呼ばなかった。それくらい、彼は自身の母のことを恨んでいる】
【そう確信させるくらいには、語る際中、ずっと苦々しい顔をして――ヒールでぐりぐり地面を弄り】
【一旦言葉を途切れさせる。一番思い出したくない部分を想起してしまって、気分が悪くなっているようだったけど】
【放っておけばきっと続きが、また始まるだろう。それにマルフィクだって止めはしないだろうって、思って】
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/16(土) 00:13:04.13 ID:Y9bj2fjb0
>>519

【そして――少女はきっとただの一度でさえも、これらの扱いを、不服だと。不幸だと。苦痛だと、思ったことがないのだろう】
【ならばそれは要らぬ心配であった、文字通り杞憂であった。――けれど。今その人物たちが生存して蛇教に所属しているかは、分からないんだけれど】
【少なくとも当時彼女を"実験"に使い倒した連中は恐れをなして。いつ爆発するとも分からぬ人物を座らせた。――だって彼女はあんまりにありふれた少女すぎるから】

【――その反面で、それを誰もおかしいと思わぬ程度には、彼女は当時すでに逸脱していたのだけれど】

――あはは、そんなの別にいいですよ。もっと有意義なことに容量を使ってください。
…………そうですね、アルジャーノン。あなたはきっと、いろいろ見たのでしょう、であればこそ、まもなく悲願の刻を迎える。この現在が。

とても尊いとお分かりでしょう。

【――――冗談めかした笑い方をした。それこそ友達同士がするような。けれどそれは相手に向けて、というよりか。この少女は時々そんな風にする。サーバント相手であっても】
【機嫌だか気分だかによっては本当に友達みたいにしゃべることもあるんだという。それでもその反面怒らせたら――というのはもっぱらの噂、というよりも、事実であり】
【彼女の指摘するままに正しく善い道に戻れれば、良かった、と、安堵して笑うのだが。それ以上怒らせたり。戻ろうとしなければ。――――それを彼女は許さないから】

――では、そうしましょうか。そうですね、少しですけど、疲れました。この程度なら無視できるんですが。
…………ちょっといろいろ吐きすぎたので。貧血なんですよね。お肉が食べたいです。……あれ、顔に出てますか。数値なら分かるんですけど。

起きたら食べるんで、なんか用意しといてください。おかゆとかでいいですよ。いきなり食べて吐いたりしても、嫌なんで。
嫌いなんですよね、吐くの。気持ち悪いんで――――。

【じっと見つめ合う時間は、きっと、ほんの少しのことであった。治療の一環として求められたならば従うしかないだろう。そうでなかったら、無視していたけれど】
【小さな吐息で諦めた。服の布地を手繰ってみるのだろう、特に意味はなくって。――相手の言葉に同意するのは、付き合いの長さ故だった。少女は普段、言わないから】
【疲れたなんて言わない。そうやって誰かの前で言うくらいならさっさと阻害してなかったことにする。――治療のあとに時々あった。少しだけ、どこか、甘えるみたいにする】
【――今日の"それ"は食事の用意を求めることだった。あとで食べるからなんか置いておいてくれ、と。そうであれば相手が居なくとも、別に構わないなら】

――――――――それにしても、仕事ですか。ほかにも誰か、負傷人が居るんですか? ほんとに、もう、大事な時なのに……。

【――――小さな呟き声は、現状を憂うもの。あんまりにまっすぐに憂うから。――どうしようもなく取り返しがつかないんだけれど、それでも、綺麗な色はしているはずだった】
522 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/16(土) 00:19:03.79 ID:2FHwPLF7o
>>520
……もうずいぶんと昔の話でございます

【彼が飲み込んだ言葉に察しはついていたが、追及はしなかった。司祭は人を惑わすのではなく、導く者なのだから】
【未だその境地には遠いが、それでも彼の抱える迷いを助長することはしたくはなかった】
【そも、この狂った環境の中で人を導くも何もなさそうなものだが】

【それを思えばこの場において普通ではなくても、疑問を抱けるだけウリューは正常≠ネ部分を残しているのかもしれない】
【修行というにはあまりな地獄の如き所業、それを自らの身に行って四肢も目も鼻も失った司祭に比べれば】
【教団における自身の立ち位置に疑問を抱く、彼の方がまだ人なのではないのか】


なるほど……選ばれたことゆえに、謂れなき妬みを買ってしまわれたのですね
わかりやすい容姿の差に加え、そのような大事が起これば……
確かにそういったこともあるだろうとは思います。それでも、許されることとは思いませぬが
尊きサビク殿のお命を奪おうとするなど……

無論、存じております。ウヌクアルハイ様の象徴たる蛇を使う、という点において修行としてもあまり好ましくないものだと考えておりますが
そこに……サビク殿は落とされた

【彼が実母を心から恨んでいることはよく察せた。それゆえに、その恨みを否定はしなかった】
【地面を抉りながら言葉に詰まる彼を、司祭は今度は急かしはしなかった】
【忌まわしい過去と格闘しているのだとわかったから。その先に、彼の根幹があるのだと知っていたから】

しかし――――サビク殿は、今生きてここにおられる

【彼が続きを離し始めるだろうタイミングを見計らって、マルフィクはそう言った】
【彼をオフィウクスたらしめる、端的な奇跡を示して】

/すみません、お待たせしました!
523 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/16(土) 00:34:11.69 ID:OIVyTVIJ0
>>522

……昔。昔って、どれくらい? はは、そういえばマルフィクさんのトシも知らないや。
ダメだね、もうすぐ蛇神様がやってくるって言うのに、ボクたち――身内のことぜんぜん詳しくないままで。
ねえボクにばっかりお話させないで、マルフィクさんのことも教えてよ。
どうしてそんなに、蛇神様に魅せられちゃったのか――――知りたいな。知ればボクも、

【「マルフィクさんみたいになれるかな」。言って、無邪気に笑う】
【この場合、正しい大人なら教えないのが正解だろう。けれどここは狂気の園だ】
【深淵に向かってより多く進んだヒトほど、崇められる場所。だったら今は、少年よりマルフィクのほうが、偉い】
【それなら可能な限り距離を詰めたい。誰より先に進みたい、一等賞になりたい――幼い願望で、破滅へ進む】


そうだよ。蛇神様はボクを殺さなかった。だからボクは生きて帰って来れて、

――――あの女の抱擁なんか受けなかった。あんな汚いヤツに、そうされたって嬉しくないもの。
だからね、やり返したんだ。オマエも同じことやってみろって言って、それで同じように突き落としてやったら、
……あんまりにもあっけなく死んだんだ、アイツ! あはははっ、ボクとは違ってさ!

【「選ばれなかったんだよ」――――そう言って笑うけど。知っているだろう、同じオフィウクスであるマルフィクなら】
【彼の異能が、触れるものをみな撥ね返すだけのシロモノであることを。だから毒蛇に囲まれても死ななかったということ】
【だから――――「選ばれた」というのも、少年の単なる思い込みであるということまで。容易に理解できるだろう】
【けれどその思い込みによって、少年はここまで上り詰めてきた。皮肉なことだった、残酷なまでに】

……ふふ。ボクのお話はこれくらい。じゃあ次はマルフィクさんが話す番だよ、まずトシから教えてよ。

【ひととおり語り尽くして満足したらしい。それなら次は相手の番だって、ねだるように訊いてくるのは】
【まるで親に御伽噺をせがむ子供、そのもの。……それにしてはあまりにも、血腥い会話になりそうだけど】


//此方は大丈夫ですよ、むしろ其方がお時間大丈夫でしょうか!? 
524 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/16(土) 00:36:21.37 ID:OIVyTVIJ0
>>521
《エエ……私メニトッテモ遠キ過去ヨリ夢ミタ悲願――》
《ソノ時マデニ皆様ヲ万全ニ仕上ゲルノガ私ノ役目デス》

【定型通りの返事。どこか気安い雰囲気を見せたとて、機械のような反応は特段変わることはなかった】
【そして、少し考える仕草をして】

《何カ、コノ教団モ昔トハ違ウ空気ヲ感ジマスガ――》
《キット、ソレモ我々ガヨリ、ウヌクアルハイ様ヘト近付イタト言ウ事ナノデショウ》


【大した懸念も示さずに、そんな言葉を口にする】
【そんな思い出話を口にすること自体が、稀では有るのだろうが】
【深く追求するような愚を、女は侵さないし、その必要もない】
【彼女は怒る時はとても容赦がないのだから――】

【そしてこれも長い付き合いの一環か。どう言えば、彼女は大人しくしてくれるかも知っている】
【それこそかつて彼女を椅子に座らせた者達のように】

《エェ、用意イタシマショウ。胃ニ優シイ食事ニハ、自信ガアリマス》

【少女が治療後に見せるちょっとした変化――大抵の場合は、女はそれを受け入れる】
【それこそ、本当に看護師であるかのように。少々ばかりの優しさを感じるとしたら、それは多分錯覚なのだろうけど】

【コレの用意した食事を食べるような相手は、サーバントの中でも多くはない】
【故に、実はそこそこ料理ができることを知っている者も、また少ない】
【得意なのはアルジャーノンなのかその肉体なのかは分からないが】

《数ガ減ッテシマッタモノデ、ソノ分、仕事ガ増エタノデス》
《デハ、オヤスミナサイ。むりふぇん様》

【教団の未来を真っ直ぐに憂う彼女に、背を向けて、ゆっくりと異形は歩き出す】
【最後に掛けられた挨拶にも、全く感情は感じられなかった――】



【そうして、彼女が目を覚ます頃には――ほんの少し、彩を添えられたおかゆが】
【まるで起きる直前に作られたかのような温かさで台の上に置かれているのだった】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/16(土) 00:51:56.47 ID:Y9bj2fjb0
>>524

【そうして少女は眠りに落ちるのだろう。あるいは、別の部屋で寝るのを求められれば移動するのに文句はなく、ただ、自分では歩かないけど】
【ここでこのままでいいなら、そのまま寝てしまう。あんまり場所に頓着はしなかった、やがて瞼を閉じてしまえば、完成された未完成の人形のようであり】
【――これを完成品というならば、その人形師はとってもとっても、意地悪だった。身体じゅうボロボロになって。それで完成だと言うのなら。あんまりに救いがないから】

【"だから"神様はもっと進んでおいでと彼女に囁く。こっちにおいでと誘う。ならば少女は進んでいくしかなかった、視えざる腕の誘うままに。そのためなら何をしたって構わなくて】

【――――彼女の場合は。あるいは、よく世話になるから。その後、しばらく入院、というわけではないのだが。経過を観察する必要があることも、ままあって】
【ならば仕方ない部分もあったのかもしれない。なんだかんだで一緒に居る時間は長いのだ。いつもいつだって誰かサーバントが食事を作ってくれるわけでも、ないなら】

【――少女が起きるのはたっぷり十時間以上後であった。それこそ本当に自然がに目を覚ますまで。もとより長く眠る体質では、あったけれど】
【そうだとしてもよく眠っているように見えただろう。なら――きっとお腹も空いているはずだった。やがてぱちくり、マゼンタ色を瞬かせた少女は】
【傷に障らぬ程度にぐうと身体を伸ばしてから手を付ける、表情は事務的なもの、おいしいとも何とも言わないんだけど。それでも、きちんと全部、食べてある】

【やがて相手が皿だとかを片付けに来るとき、少女はすでに居ないだろう。そしてそれは相手の技術の高さと処置が適切だったことを示しているにほかならず】
【処置を受けて、寝て、ご飯を食べて、居なくなる。――――まるで礼儀のなっていない野良猫みたいだった、そのくせ、うまいやり方をどこかで分かっている、野良猫】
【お礼の手紙なんてかわいらしいものも、ない。――ただ一つだけ。食べたままじゃなくて、食べ終わった後にきちんと整えて行ったのだろう、お皿だけを残して】

【(まあ皿まで片付けてくれては、いないんだけど――幹部だから)】

/おつかれさまでしたっ!
526 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/16(土) 01:17:21.94 ID:2FHwPLF7o
>>523
もう……20年以上は前になりますか
確かにその通りです……我々は日々の職務に邁進するあまり、お互いのことを知るのを怠っていたのかもしれません
共に、蛇神様のために働く同志であるというのに……

……あまり、面白い話である自信はありませんが。お望みとあらば

【「私のような有様になるのは、あまり得策とは言えないかもしれませんが」。マルフィクは苦笑を返す】
【司祭は狂気的な信奉者だが、己の姿の異質を自覚もしていた】
【だが、やはり狂信者だ。彼が後戻りのできない深淵に向かって突き進んでいくのを、彼は止めない】
【どころか、共に突き進む。それが蛇教だ。それがサーペント・カルトだ】


――――サビク殿を殺そうとしたのです。当然の報いだといえるでしょうな
そして、彼女は選ばれることはなかった

しかして、サビク殿は。選ばれて、ここにおられる
ありがとうございます、サビク殿。なんと尊い奇跡であることでしょう
そして、サビク殿は今、その奇跡に恥じぬよう行動しておられる。信徒としての私の心に、染み入るお話でした

(これは……おそらくは能力によるもの。サビク殿自身の力によるもの……)
(しかし、それこそが彼の信仰の源であり……ウヌクアルハイ様のための力となる)

【そう、指摘することは簡単だった。しかし、彼にとってはある意味では幸運なことに、同時にこの上なく不幸なことに】
【眼前にいるのは、この上なく蛇の教えに漬かり切った狂気の司祭である。蛇神のためなら、どんなことでもする】
【哀れな少年が、思い込みから道を踏み外し、罪を犯し、破滅へと向かっていくのを、むしろ後押しするのだ。導くように。司祭のように】


そうですな……では、拙いながらお話いたしましょうか
私は、もう40になります。この教団に出会ったのは、私が20代のころ――――

【そうして、司祭もまた語り出す。意外にも、10代のころは一般家庭での裕福ではないが何不自由ない暮らし】
【ある日、能力者のテロに巻き込まれて自分以外の家族は全滅。全てを失い、失意の中彷徨い続けて、辿り着いたのは『泥の街』】
【地獄のような環境の中で生き続け、当時の蛇教の幹部と出会い。自身に起きた不幸など、小さなものだったと知った】

【そして、教えを受け。蛇神のために働くことに喜びを覚え。時を過ごすうちに、司祭にまでなっていた】
【特別なことはなく。ありふれた悲劇から生まれ。いつしか持った信仰心。それだけで、この男は】
【自身をダルマにするまでに、この狂気にのめり込んだのだ。ある意味では、サビクやムリフェンよりもよほど狂気的といえるだろうか――――】

/言った傍からまたお待たせしました……こちらはまだ大丈夫です!
527 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/16(土) 01:35:36.39 ID:OIVyTVIJ0
>>526

……ふふ、そんなに褒められたら照れちゃうなあああ。
そう、ボクは選ばれたんだからさ……その分もっともっと頑張らなきゃいけないよね、
「選ばれなかった」人たちのためにも。そういうこと、だよね?

【褒められればあまりにも簡単に調子に乗る。そういう点では、扱いやすい子でもあった、サビクは】
【何もかも幼いから。与えられたものは何でも受け取って吸収してしまう】
【マルフィクの、サビクの「使い方」はパーフェクトだ。少年はすっかり目の前の男のことが気に入ったらしい】
【ころころ笑って――ヒールをかつっと一回だけ、鳴らした。上機嫌なときにする仕草】

40、40かあ……ボクの父親、それくらいになるかも。
なんだか不思議だね、そんなに歳の離れたヒトたちが同じ立場になるなんて――

【「……ああ、ヒトじゃないのもいたっけ」。言いながら思い出すのは、「ラサルハグェ」のこと】
【わかりやすくヒトにはあり得ないパーツを持っている彼女のことを考えて――あいつは何歳くらいなんだろう、って】
【ぼんやり想像を巡らせていたけど。マルフィクが語り始めたなら、それを聞くのに集中する】

…………へええ。「かわいそう」だったんだね、マルフィクさん。
それでも蛇神様が助けてくれたんだ、ならマルフィクさんも「多少は」選ばれてるのかもしれないね。

【「まあ、ソコまでして選ばれなかったら悲惨としか言いようがないけどさあ――」】
【……それは口にしなかった。代わりに、マルフィクのことを見下していることを示すようなワードを】
【節々に混ぜて。それで笑ってみせる――傲慢な子供だった。何でも自分が一番じゃなきゃ気が済まないタイプの】
【よかったねえ、とか、心にも思ってないことばかり言う。あからさまに白々しい言葉に、それっぽい色を含ませて】

【――――同時に警戒しているようでもあった、たったそれっぽっちの理由でそこまでできるなんて、って】
【だから少年の中で、少しだけだけど――マルフィクの地位が上がったらしい。多少は、なんて付け加えたけど】

//よかったです、、私は多分3時くらいがリミットですとお知らせしておきます!
528 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/16(土) 01:56:11.98 ID:2FHwPLF7o
>>527
おっしゃる通りかと。選ばれたということはすなわち、相応の責務も負うのです
多くの、選ばれることのなかった者たち……我々のような他の信徒も含めての、多くの者たち
選ばれたサビク殿は、それに代わって信徒たちの先頭を進まれるべきでしょう

【まるでスポンジのように、司祭の言葉を少年は吸い込んでいく。蛇の毒が回るように、ゆっくりと着実に】
【表面上は、司祭の様子は変わらない。穏やかで緩やかだ。だが、決して少年を怒らせないよう内心では注意を払い】
【それでいて彼を持ち上げ、更なる破滅の道へと共に踏み込んでいく。カルトの狂った教えにのみ忠実に】


まったく、奇妙なことです。蛇神様のため、バラバラな私達が共に歩んでいく……
私が最初に蛇教に迷妄を開いていただいたのも、そんな要素が大きかったのかもしれません

【「……彼女は少々特殊かもしれませんが」。控え目にいいつつ、同じ人物を思い浮かべる】
【人への敵意を隠そうともしない、あの煽情的ながらも恐ろしい女性。同じ幹部でありながら、その奥の闇は見通せぬ】


はい。この身に余る光栄です。あの汚泥の中から、蛇神様が救い出してくださったのです
……サビク殿には、無論のこと到底及びはしませんが。わずかながらも、蛇神様が私を選んでくださったのなら
私は、その責務を全力で果たします。先頭をゆくサビク殿に、恥じぬよう

【自身への見下しには、当然気が付く。同時に、彼の傲慢ゆえの警戒にも。それなりに歳を重ねているがゆえの能力だ】
【されど、司祭は態度を変えず、むしろへりくだった様子すら見せる。サビクをより高みに――――二度と降りてこられないところに】

【それとなく、押し上げていくかのように。サビク。この少年の嫉妬に、足を引っ張られてはならないのだと、そう考えて】
【全てはウヌクアルハイ様のために。全ては蛇神様の受肉のために。彼には力を振るってもらわねばならない】
【そのための手順≠整えるのが、司祭たるものの務めなのだから――――】

……受肉≠フ儀式は、目前です。サビク殿、選ばれし貴方のお力なくして、この儀式の成功はあり得ません
言うまでもないことですが、どうかよろしくお願いいたします

サビク殿と一司祭に過ぎぬ私とでは、あまりに重みが違いますが……ともに、聖なる職務を果たしましょう

【そうして、司祭らしく来るべき儀式のことへと思いをはせるのだ。彼の信じる責務はそれを成就させることにこそある】
【例え、幾人もの信徒を犠牲にしようと。たとえ一人の少年を深淵の中に誘い込もうと。ウヌクアルハイ様のために。蛇と和解せよ――――】
529 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/16(土) 02:19:35.49 ID:OIVyTVIJ0
>>528

先頭? ボクがあ? まさかあ、もっとすごい人いるんじゃないかな……
……ふふふでも、一番若いのもボクだしね。次世代の担い手、って意味ならもう少し――頑張れるかも。

【謙遜しているようでその実ぜんぜんしていない。「そんなことないですよ」って言われたい類の発言だ】
【すでに表情はにやにや笑い――教団を率いる自分の姿を想像して、悦に浸っている】
【そんな感じですっかり楽しそう。まったく、これっぽちも何かを疑っていないようだった。なんとも幼稚な】

ばらばらなものも全部ひとつにまとめてくださるのが、蛇神様だもんね。
きっとボクらなら「やれる」さ――――この世界をもっとキレイにできる、蛇神様のために、なんでも。
……あはは、おんなじこと思ってたんだ。ねえ、アイツ何なんだろうね。病魔だかなんだか名乗ってたけど――

【「蛇神様の、なんなんだろう? 魔物が他の神様を信じるなんて、ねえ」】
【ふと思いついた疑問だった。けれどその答えに行き着くことはないんだろう、少なくとも今、この場では】
【わかる日がきたとして。それはきっと――――ウヌクアルハイがきちんと受肉してからの話になるだろうし】


ふふ、……ふふふっ。頑張ろうねお互いに、「選ばれた者」どうし。
そうだ、受肉――――あと何人くらい贄がいるだろう? ……あ、そうだそうだ。
ムリフェンがいない間の贄集め、ボクがちょっとだけやってたんだけど――手伝ってくれるサーバントがいたんだよ。
ツァルエルさんっていう、大きな蛇の骨を操る人。良い人だったし、いろいろ手札を持ってるようだったから、
マルフィクさんも何かあったら彼に頼ってみるといいんじゃない?

【上機嫌そうに笑いながらも。ふと思い出したことを相手に伝える、よく動く駒がいたということ】
【ツァルエル・アーツバ二ストのこと。華麗な手際で自身を手伝ってくれたのだと言う】
【彼には、他の幹部にもよく言っておいてやると約束したから――それを今言ってみたのだけど】
【取ってつけたような話だったから。あんまり参考にはならないのかも、しれない】

【「こちらこそ、よろしくね」――――最初のころの不機嫌そうな雰囲気はすっかり消え去って】
【軽やかな足取りで立ち上がった。互いの情報とか、気持ちを交換できたから。もうそろそろ十分だろうって】
【帰るつもりだ。マルフィクの口車に乗せられた、なんてこと、まったく気づきもせずに】
530 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/16(土) 02:40:14.40 ID:2FHwPLF7o
>>529
ご謙遜を。あまり大きな声で言ってしまうと他の信徒の方々やオフィウクスの皆さまの手前、憚りますが……
今この教団の先頭を挙げるなら、サビク殿を置いて他にはいないと確信しております

そう、貴方はお若い。その若さで、それだけの尊さを秘めておられる
長い歴史を持つ教団において、これほどの希望がかつてあったでしょうか。少なくとも、私は存じ上げません

【露骨なまでの持ち上げだと、そう見えるだろう。しかし、おそらくは彼ならばそれに気が付かないまま】
【自分の世界に入り込み、それがゆえに更なる自信を深めていくはず。それこそが、教団にとっての武器となるのだ】
【彼の幼さに付け込んで。司祭は闇を振りまく。この場そのものが、彼の祭祀場であるかのように】


その通りです。サビク殿を筆頭として、全てが蛇神様の下に一つに
ええ、きっと。やり遂げてみせましょうぞ。世界をあるべき姿へと導く大きな仕事です

私にも、彼女についての詳細はわからないのです……人ではないことは確かなようですが
過去、聞いたこともありませんな。信仰心を持つ病魔など。何物だったとしても、サビク殿には及ばないでしょうが

【かの病魔については、この司祭にも知らされてはいなかった。異世界の神。全ては闇の底】
【彼らが真実を知るその時。彼らは果たして正気とと命を保っていられるのだろうか】


はい。全力を尽くしましょう
ふむ……すでに信徒の方々の尽力で相当数が集まってはおりますが、まだ必要数には届いていないようです

ツァルエル殿……アーツバニスト財団の。お噂は聞き及んでおります
サビク殿のご推薦とあらば、間違いはないと信じられます。いずれ、儀式の際に必要になればお頼り申し上げるとしましょう

【サビクが挙げた信徒の顔を思い浮かべる。まだ直接言葉を交わしたことはなかったが、サーバントの中でも強い地位と存在感を持つ彼のことは知っていた】
【確かに詳細には欠けるが、同時に興味もわく。その信徒が、どれほど蛇神様に貢献してくれるのだろうかと】
【ツァルエルの中に渦巻く葛藤など、当然知る由もなく。彼らは教団幹部なれど、全知の神などではないのだから】


【彼がそう告げれば、にっこりと笑って。相変わらず、異形の笑顔には変わりなかったが】
【部屋を去っていくだろうサビクを見送る。話に付き合ってくれたことへの感謝を改めて示しつつ】
【そう、これすらも儀式なのだ。受肉のための。信仰の為の。一人の少年の、あったかもしれない戻る道を生贄にする儀式】

【全てが終われば、司祭もまた部屋を去り。再びその脳髄は儀式のことを考え始める】
【それすらも、いつものこと。ここはサーペント・カルト。狂気と信仰が暗闇の中で交わり合う、地獄なのだ――――】

/このあたりでしょうか? ありがとうございました!!
531 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/16(土) 11:18:21.06 ID:OIVyTVIJ0
>>530

【帰っていく。軽やかな足取りで、一歩一歩踏むたびにヒールを高く鳴らしながら】
【「マルフィク」のことはこれで完全に味方――というか、自分を持ち上げてくれる、接していて安心できる相手】
【そういうものだと分類した、らしい。鼻歌まで歌って、本当に上機嫌そうに】


…………あ、オマエ。後で改めてマルフィクさんにお礼言っとけよ。
あのひとのおかげで、オマエは生き延びることができたんだから――――


【――――していたけど。酸に沈めて殺そうとしていたサーバントと、再会するや否や】
【顔つきが変わる。また、絶対零度の無表情へ。……なんだかんだ怒りは治まっていないらしいが】
【マルフィクの手前、改めて殺してやることもできず――そう声をかけるのみにとどまった】
【するとサーバントは、心の底から安堵したような顔をして。深く深く頭を下げて、少年を見送って――――】

【――――この一件で。マルフィクの株は、ひとりのオフィウクスからも、サーバントからも】
【大きく上がったと言えるだろう。蛇遣いの肘たる彼の手腕によれば、この程度のこと。造作もないことだったかもしれないけど】


//遅れてすみません、長いことありがとうございました!
532 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/16(土) 21:52:43.88 ID:ahdwYx6r0
>>480

端っから綱渡り。だがそれを渡り切れる奴らだと信じているし…俺はやるさ

【俺はやる。そう彼はいい切って、笑っていた】

…もちろん、君らならできる。後は自分さえ見失わなければ。
それを頭に叩き込んで、リアルを考えよう。置かれてる現状やプランとハートは別問題だ

こうして今は探偵なんて稼業について、正義の真似事しちゃいるけどね。もともと、碌でもない人間なのさ
正直、ああだこうだと説教した後で言うのもあれなんだが…ついこないだまで明日だののことなんて考えても居無かった
よくわかんないもんにあれこれ思案するのはチャンスを掴むときだけでいい。それ以外で考えるのはその大事な
チャンスを掴むときにその考えを疎かにしてしまう気がして…まあ、いつも酔っ払ってただけなんだけさ

【恥ずかしそうに頭をかきながらそんな事を話した。一体何をしていたのかはその後すぐに枯れは口にする事になる】
【ともかく、まともじゃないんだ。狂気とかイカれているとか、カノッサの機関員のような目に見えた形じゃないが】
【それとは別の部分でぶっ飛んでる。それは誰にでも持ち合わせてるものかもしれない】

Right…最適化はいい言葉だ…麻季音が好みそうなフレーズだ。…なら、どうする?

鈴音は…助けを求めてる。少なくとも、怯えている。…理由?そう感じるんだ。探偵の勘…希望的観測が生み出した妄想でもなんでもいい
いいか、俺は取り戻す。本人が嫌がってもな。……俺はもともと銀行強盗。無理やり奪うのが俺のやり方だ。
後のことは知らねえ。……やってから悩むことにするさ。

【それも知ってのことなのか、既に悩みに悩んだ結果か。彼はきっぱりといい切った。無理やり奪う、予告状でも出して連れ去るつもりかと】
【聞きたくなるぐらいな調子で。プランはない、居場所もわからない。それでも、それについての迷いはない】
【だから誰もついてこなくても彼はそうするだろう。】

誘導についてはオーウェル社を使おう。丁度内部に味方が居るんだ。使わない手はない。特区で揉めてくれれば一番いいんだが
パトロンの1人をうまいことだしに使うとか…カルトの情報がどうしても足りないな。
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/17(日) 00:45:31.39 ID:CUO+C7JR0
【ある国の草原】

あ゛ーなんか面白いこと起こんねえかな、この前のサーp…サーペ…何だっけもう蛇事件でいいや
あれみたいな事起きねえかな、まぁ近々何らかの組織が動くと思うからそこまで我慢するかぁ、

【黒銀の髪をなびかせる褐色の肌と薄い青色の目を持つ、女に見える美しい男が石の上に腰をおろし煙草に火を付ける】
【今ぼーっとしながら煙草を吸っている男の名は⦅セアン・フォールス⦆不老の薬により千年の時を生きる錬金術師である】
【セアンがぼーっとしていると草むらからウサギが出てきた、最初は何だ只のウサギかと思ったセアンだが、】

【そのウサギが絶滅危惧種のウサギと分かると目を見開き保護しようとする】
【様な男ではないのがセアンなのだが、多分解剖しようとしてるのだろうか?】

(おいおい!何でこんな所にこんな珍しい奴がいるんだ?いや、今はそんなこと考えてる場合じゃねぇ、早く捕まえよう。)

【セアンがウサギの足元から檻を生み出して捕獲した】

よっしゃ!ゲット、帰ってゆっくり解剖しようそうしよう

【セアンが絶滅危惧種のウサギを解剖しようとしている場面をを見られたらどうなるのだろうか】

//誰でも気軽に返信してください。返せない時間帯があると思いますがご了承ください。
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2018/06/17(日) 21:52:57.40 ID:YUBEsYc60
【夜】

【水・風、両国間の国境地帯を見下ろす小高い丘の上】
【そこに一匹の妖狐が立っていた。狐、とは言うが人型で】
【巫女服と狩衣を足して2で割ったような和装を身にまとう"彼女"は】
【薄暗闇の中、月光を受けて輝く金と緑の瞳を国境の要衝に向けていた】

【彼の地は、国境にあたるとはいえ――平和な土地だ】
【両国が大々的な戦争をしたことは近年久しく無い事であり】
【貿易の観点からも通過は容易で、むしろ両国軍の兵士が仲良く戯れているくらいである】

【本来はもっと緊張があって然るべきなのだろうが】
【平和な大国同士、事が起きるとは思っていないのか】


……そうですねえ、街というほどの規模ではないですが
宿が結構ありますし、通行許可待ちの方が市場を開いていたり。

人口は結構ありそうですが、砦のような物があるわけでも無いですし
お互いの信頼関係で成り立っている平和ボケした拠点、という所でしょうか。
そんな所で大丈夫です?はい?……ええまあ、それじゃまた後でご報告しますね?

……ぁ、所でジルベー……って、もう切れてますし。


【向かって左側の毛並みは亜麻色を、右側は新緑色でくっきりと別れ】
【頭髪からは狐の鋭角な耳が覗き、腰には三尾の尻尾が揺れる】

【その妖狐は随分と近代慣れしているようで――電話中でもあった】
【が、相手が電話を切ったのだろう。夜風に溜息を1つ交えながら】
【平穏、とは言えない視線を、改めて国境を頒かつ土地へと向けた】
535 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/17(日) 23:47:22.12 ID:v64pd8t60
【水の国・公園】

【然程大きくもない公園――それでも昼間はそれなりに人通りは有るものの、もう日も変わろうかと言う時間帯であれば、静けさに包まれていた】
【季節を感じさせるように、古びた蛍光灯に虫が集っており、ジメジメとした空気は流れてはいるが、昼間とは異なり大して暑くもなかった】
【その公園のど真ん中で、少女は入念にストレッチをしていた。パッと見るならば、凡そスポーツとは無縁そうな地味目の顔立ち】
【半端に長い黒髪は適当に後ろでまとめられ、"モンゴロイド"と大きく描かれた謎のTシャツにハーフパンツと言う、出で立ち――】
【まぁ、これから運動しようと言うのなら適切な格好かも知れない】
【目を引くのは露出した手足に残っているたくさんの傷跡――どれも治りかかってはいるようだが】

【ストレッチをたっぷりと時間をかけて行うと、少女はその場で、地面を踏みしめ、何かの型を構えた――】
【それは何らかの武術の型であるようだったが、とにかく風体が合わないため、遊んでいるようにも見えただろう】

【ふと、静かな場所を求めてやって来たカップルと目が合うと彼らは気まずそうに帰って行った】


……別にふざけてる訳じゃないんだけど、何か恥ずかしい……


【顔を覆いながらも、再び動作を開始した】
【何とも夢中になっているのか、誰かが近付いても、その気配には気付けないかも知れない】


こんなんどこまで意味有るのかわかんないけど――能力者の人達めちゃ強いし……ちょっとでも――


【このところ相手にボコられたり、危ないところを助けられたり、良いところがない。弱い少女なりに忸怩たる思いが有るらしい】
【ホッ――ヤッ――とテンポ良く声が公園に響いている】
536 :白桜 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/18(月) 00:05:08.29 ID:qXRnVX1g0
>>535

「おうおう、カイぃ。こんな夜更けに出歩くたァいい身分だなあ。しかも髪を白く染めてイメチェンかァ!?」
『まさかこんな公園でお前と出くわすとはなあ。俺ら兄弟の顔を忘れたなんて言わねえよなァ?』
         「『アン時の恨みィィイ――ここで晴らさせてもらうぜェ!!』」


【少女が鍛錬に勤しんでいる所から少し離れた場所。そこから柄の悪い怒号が飛び出した】
【騒乱の兆しを齎すのは柄の悪い二人組の如何にもなチンピラ。騒乱に巻き込まれたのは一人の女性】

【その女性は新雪を連想させるような白い肌と白い長髪に、遠くを見ているような目付きが特徴的な人物で】
【攻撃的な雰囲気の主人格と異なり、落ち着いた雰囲気を滲ませていた――チンピラに絡まれているにも関わらず】


―――……どちら様?私、……貴方達の様な知り合いなんて居ない。
だから道を空けてもらいたいんだけれど。……はっきり言って、邪魔なので。


【淡々と二人組のチンピラを煽る白い女性――白桜は二人組の事など意に介さない】
【例え――"んだとゴラァ!!"と天を劈くような恫喝を前にしても何処吹く風か。表情一つ崩さない】
【もし鍛錬に勤しむ少女がチンピラ達の怒号を耳にして、その声の方へと足を運ぶなら。そこには男二人に絡まれる白桜の姿が見えるだろう】
537 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/18(月) 00:22:06.93 ID:5L5gc/1a0
>>536
【不意に聞こえた怒号――この水の国に来てから飽きるほど聞いてきた類の声だ】
【しかし、それは少し離れた場所で響いており、少なくとも、自分にお礼参りに来た訳ではなさそうだった】

――いや、でも……

【誰かが襲われているのなら放置すべきではない。概ね偏見なのだが、この手の声音の相手にロクなのはいない】
【大急ぎで公園を出て、ダッシュで現場へと急行すると、案の定と言った格好のチンピラが二人】
【彼らのファッションには何か規則でも有るのかと言うくらいに、どれも見た目に違いがない】

【対してそれと向かい合っているのは――白磁と言う形容が似合うような少女】
【幸か不幸か『アン時の恨み』と言うワードは聞こえていなかったらしく、単純に女性が絡まれていると判断した】


【それにしては、あの人落ち着き払ってるけど――】
【自分に自信が有るのか、それとも世間知らずなのか――状況が読めない。えーと、どうすれば良いんだこの場合?】
【丁度、白色の少女と向き合っているチンピラ達の後ろから、ズサッと砂煙を上げながら立ち止まって】


ちょ、ちょっと!
女の子相手に絡むのは――え、これ絡んでるよね?

お友達って訳じゃ……ないよね?


【イマイチ勢いのつかない台詞のまま指を突き付けて】
【最後の一言は、チンピラの向こうにいる少女に向けて、難しい顔をして尋ねた】
538 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/18(月) 00:23:46.33 ID:eYedgl7T0

【 ── それは都会の初夏であった。宵であった。墨色に染まるような昏い空は、然し猥雑な都市の光が汚らしく照らす。だから雑踏を歩く誰もが、空を見上げることはない。】
【もっとも今日は雨であった。それが人々の無軌道な熱気を冷やすことはなく、湿度をいたずらに引き上げるのみ。安物の合羽の下で、軽薄な客引きも欠伸を一つ零す。】
【路地裏に踏み入っていくのなら、今夜ばかりは破落戸たちも、行き着けの酒場に篭るばかり。溝鼠も野良猫も、どこか棲家に隠れたまま。】

【 ── 故にきっと、こんな夜の闇を陋巷する影は、どうしようもない気違いばかりだ。】



    「 ……… 。」 「 ── 最悪、ね。」



【入り組んだ路地裏の、奥の奥。いつも誰かが殺し殺されするような、 ── 破落戸たちさえ近寄らない、本物の狂気者が踏み入るような場所。】
【雨に流されて尚も、隠しきれない血の匂い。見渡す限り一様に、コンクリートは鮮血で塗りつぶされて、その中には2人分の死体。壁に凭れるもの、倒れ伏すもの。】
【倒れ伏しているのは ── 刀を持った、男だろうか、女だろうか。顔が吹き飛んでいて、わからない。対して壁に凭れているのは、 ── 女の其れ、だった。端整な顔立ちを、憂うような表情に浮かべていた。】
【夏前だというのに黒いコートを着ていた。長袖のスーツ姿だった。けれどワイシャツは自身の血で、どす黒くに染まっていた。皆な雨にぐっしょりと濡れていた。そうして最早、手指に力は入っていなかった。】
【胸元が荒い呼吸に上下することもなければ、激しい鼓動が何かを漏らすこともない。白かっただろう首筋を真一文字に裂く傷痕は、よく見れば首の皮さえも断(た)っていた。】
【 ── だから、死んでいる筈だった。けれど冷たい声で、確かに誰かが自身の不遇を嘆いた。何故か? ── 彼女が、ひとでなしだから。】

【ぐしょぐしょになって顔にへばり付く銀髪を、疎ましくも振り払う手を失ったアリアは、然し意外にも冷静であって ── 淡々と、なにか、物思いにふけっていた。】
【「生」の脊髄に損傷はなかった。脳も無事だった。骨髄のバックアップも本部にちゃんと残してある。生命維持装置も十二分に持ってくれそうだ。】
【ただ身体の首から下が動かないのは矢張り言いようもなく不快な感覚だった。溜め息をつこうにも呼吸ができない。それでも最低限必要なものは、ちゃんと脳に供給されているけれど ── 】
【どこか胸騒ぎがするのは、どうしようもない居心地の悪さ、故だろうか。然し最早彼女には胸がなかったから、きっと別の何かがシナプスに囁いていた。】
539 :白桜 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/18(月) 00:43:52.17 ID:qXRnVX1g0
>>537

【チンピラ二人組が白桜に襲い掛かろうとしたその瞬間、割り込むのは砂塵を伴って現れた少女】
【白桜の視線は眼前のチンピラ二人組ではなく、チンピラの背後から現れた少女へと向けられた】
【尤も。最初から白桜の視線と関心は、チンピラ二人組には一切向けられてはいないのだけれど】

「んだァこのガキィ…いきなりシャシャリ出てきやがって…!」
『兄貴ィ…どうするよ?このチビッ子もやっちまう?つーかやっちゃう?』
「『まあ、邪魔するなら二人纏めてフクロにしちまえば良いだけだかんよォ!』」


気の抜けた言葉。締まらない台詞だけれど。……その通り。正解。
……見ての通り、絡まれてる。そして、目の前の人たちはお友達なんかじゃあない。
粗暴な知り合いなんて私には"一人しか"居ないから。


【チンピラ達の神経を逆撫でする言葉を連ねて。勢い良く火に油を注ぎ続ける白桜】
【そうすれば当然の様にチンピラ達は激昂して、逆上して。堪忍袋の緒が切れたチンピラ二人は白桜と少女に襲い掛かる】
【けれど白桜の顔色は何一つ変わらない。まるで目の前の脅威に現実味と危機感を感じていないかのよう】

【それどころか白桜は少女に向けて目配せをする。その際少しだけ穏やかで悪戯っ子めいた表情を浮かべていた】
【"――格好良く現れたのだから、この程度のチンピラ。事も無げに倒すのでしょう?"と】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2018/06/18(月) 00:47:27.43 ID:N139omMg0
>>538

【――ざあざあと雨が降っていた。その中であったなら、普通の人間であれば、少女一人分の足音など、聞き取れるはずもない】
【だけれど、"相手"だったなら、どうだろう? 薄く広く道のすべてが水たまりのようになってしまった路地を、ぱち、ぱち、と、小さな足音で歩いている】
【傘を差しているらしかった。あたり前なんだけど。――そうしてやがて姿を現すのだろう、大柄の男が使うような大きな傘を差していた、真っ黒なもの。雨水を弾いたなら】

…………あれ、うわ、――何してんですか。生きてます? 生きてる方が怖いんですけど――。

【ぱたぱたぱた――無機質かつランダムの雨音が、彼女のスズラン色の声を、彩った。どこか冷たく、同時に甘い、年頃の少女らしいみずみずしさを宿した、涼やかな声】
【足取りが止まっていた。"二つ"の死体を認めて――その一つに眉をひそめてから、違和感に気づいて。そうして呟いたのが、前述の言葉たちであった】
【驚きの様相はあった――けど、悲鳴を上げて狂乱の中に逃げ出すことは、決してなかった。ならば彼女とてまともでない証拠。"気違い"のあかし】

【――――蜜姫かえで。それだけで相手にはすべてが伝わるだろう。薄い藤色の髪に、マゼンタの瞳。透き通るように白い、皮膚の薄そうな白い肌】
【肩だしのワンピースだけでは寒いのかカーディガンを羽織っていた。その足元はやはりさらけ出した素足に踵の低い靴であって。ちらりと覗くつま先は、濡れそぼるから】
【ずうっと歩いてきたんだと思わせた。――であるならば彼女の目的はなんだったのだろう、まさか、相手を探しに来たわけでは、なさそうだったなら】

活動圏、近づきないですか? ……嫌だなあ、引っ越してってくれたら、嬉しいんですけど。ほら、蛇教本部(うち)は引っ越しとかできないんで。
……ところでほんとに生きてますか? ――――はあ、仕方ないですねえ。――ね? ほら、二回分の恩を返してあげますよ――、特別です。

家まで運んであげましょうか? 私のじゃないですよ。死体担いで帰ったら、ウワサされちゃいます。嘘です。されないですけど。

【――きっと彼女はためらうことなく、距離を詰める。けれどそれは無警戒の素振りではなかった、わずかに警戒しながらも、それでも、近づいていくだろう】
【そうして目線を合わせるようにする――ついでに傘を傾げて入れてやりながら――傘の中に二人が収まったなら、スズランの声は、傘の中、幾重にも反響するように】
【ひどく快い声音に変わるのだ。――だなんてそんなの気にしている余裕が相手にあるのかどうか、というのは、全く別なんだけれど】

【――――嫌だなあ、って、言葉の割には。なんだか優しげな声をしていたのだ。それはどこかで相手のこと嫌っていないんだって分かるような、温度を持って】
【――元気そうだった。少なくとも腹を撃ち抜かれ串刺しにされた後には見えなかった。――それは相手も似たようなものなのかもしれないものの】

それともどこかホテルでも行きますか。いいですよ。どこでも連れてってあげます。飼い主さんも気づかないような場所がいいなら――。
――――そうですね、私の部屋でもいいですけど。でも、黙って帰るの、難しいと思いますよ? なんか昼夜逆転してる人たくさんいますからね。不健康ですよね。

【あはは、と、軽い笑い声。――冗談めかした声は、けれど、相手が望めば叶いそうな音階ではあった】
【――といってもその時点で彼女は条件づけている。過去二度の自分がそうであったように――黙って、勝手に、いなくなれ。それ以外の何もするな、と、求めている】

【――――きっと、本当に、彼女はどこでもいいんだった。大丈夫な場所まで運ぶことは約束しながら、「治療師じゃないんでそれは期待しないでほしいんですけど」――付け加えて】
541 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/18(月) 01:01:45.15 ID:5L5gc/1a0
>>539
【助けに現れたのは全くその通りなんだけど、少女が泰然とし過ぎていて、微妙にリアクションに困っている】


ひ、一人はいるんだ……粗暴な知り合い。
じゃなくって、ちょっとそんな挑発すると――!


【困ってはいるのだが、今になって5W1Hを確認させてくれるほど状況は甘くなさそうだ】
【こっちに向かって来てくれれば良かったのだが、チンピラ達は逆上して、まとめて逆方向に向かってしまった】
【大慌てで、男達を追いかけて走ると、向かいの少女が目配せしてくるのが見えた】


――ああ、もう!そんな強く、ないって、の!
ゴロツキの人達、何か間違ってたら後で謝るから――!ごめんなさい!


【能力を発動――したとしても、見た目に何か違いがある訳ではない】
【しかし、一気に走る速度が上がり、チンピラの背後から跳躍すると、その頭を太ももで挟み、思いっきりフランケンシュタイナーを仕掛けた】
【勢いよく頭からチンピラをを叩き落す――ひとつ間違えれば殺してしまいかねないような荒業だが、上手く加減できたようだ】
【チンピラは泡を吹いて動かなくなってしまった】
【しかし、それは一人だけ。もう一人は突然いなくなった相方に驚愕しつつも、勢いは止まらずに、予定通り突っ込んで来る】

――……

【そこで、先程の目配せをお返しするように、ジト目で見返す】
【"あなた、実はピンチでも何でもないでしょ?"との言葉代わりに】
542 :白桜 ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/18(月) 01:08:04.20 ID:qXRnVX1g0
>>541
//すみません。今日はここで凍結をお願いしたいのですが宜しいでしょうか?
543 :三枝双葉 ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/18(月) 01:11:15.80 ID:5L5gc/1a0
>>542
//了解しました!では、またお手隙の時にでもお返しくださいー
544 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/18(月) 01:19:37.58 ID:gt3bZcbZ0
>>540

【ノイズの混じる聴覚素子の向こう、 ── なにか、聞こえた。足音。ひとり。重くはない。傘をさしている。なんとなく、嫌な予感がした。】
【こちらに来て欲しくないとは思った。誰かに見られたら厄介だ。最悪、殺される可能性もある。回収部隊が来るまでは、 ── 五体満足である必要もない、けれど。脳殻だけは無事である必要があった。】
【足音が直ぐ其処まで来た。首が動かせないから、足元を見るだけ。背伸びに似た気取った靴。浜辺に埋まる貝殻の裏側のような、穢れない爪先。】
【 ── そして、聞き慣れた声。無感情だった顔を、微かに驚かせた。目を見開いて、溜め息を吐こうとしたけれど、肺がない。】


「お生憎様。生きてるわよ。」「 …… 貴女に出くわすとは、思ってなかったけれど。」
「 ── にしても案外、義理深いのね。このまま殺されるかと思ってたわ。」


【呆れたような、皮肉めいて、どこまでも冷たい声音。けれど、どこか親しげでもある声音。腐れ縁のそれに近い距離感。だからかえでの言葉も、すんなり受け入れられた。】
【警戒されようにも危害を与えようがない。出力はじめ基礎スペックこそ高いが、義体そのものは非武装であるし、まして頭部に武装など仕込めるわけがない。】
【視線を合わせるなら屈み込むことになるだろう。何せ彼女は顔を上げられない。よく見れば口元は閉じたまま。発話機能は頸部内蔵の緊急スピーカーで賄われていた。】


「できることなら身体ごと持って帰ってくれると嬉しいかしら。 首から下、繋がってないけれど ── 自己再生型なの。」
「そうでなければ本部の連中が勝手に持ち帰るわ。身体も、頭も。」「静かにやれと注文を付ければ、従ってくれるでしょうけど。」


【果たして女は乗り気だった。冗談めかした声音には相応の本気をもって応じていた。唇を皮肉めいて吊り上げて、頼れるならば容赦なく頼る、と。】
【 ── 少しでも頭に触れたのなら、「 ── っあ。」ごろり、と音を立てて、無碍にも彼女の首から上は、地面に落ちるだろう。】
【そしてまた肉体は、 ── 肌を重ねたかえでなら分かるかもしれないけれど ── とても、重い。強化チタン製のフレームを筆頭に、彼女の体重は100kgを超えていた。】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2018/06/18(月) 01:40:48.85 ID:N139omMg0
>>544

【真っ白のつま先は世界中でいっとうきれいなところだけを歩いてきたのを予感させるようにあどけなかった。けれど、そうでないのを、お互いに知っているから】
【彼女は自分自身の記憶として知っている。そして相手は――彼女の左腕にある蛇の意味合いとともに、知っているはずだった。全うな道など歩けぬと、分かっている】

そうですか? 殺しませんよ、なんか、ほら、詰まんないじゃないですか。次は殺すか殺されるかなって思ってましたけど――。
――これじゃ、あんまりに詰まんないですもん。ベリーイージーすぎて飽きちゃいますよ、薪だしマッチを覚悟していたらチャッカマン出てきたみたいな気持ちになっちゃいます。

キャンプファイアーするのに火炎放射器で着火する人がどこにいます? そう言う感じですね。もっと手順を踏みたいというか――。

【よいしょと声がしたわけでもないけど、彼女は相手の眼前、――眼下? に座りこむだろう。真っ白の膝をきれいに揃えて、しゃんとしゃがみ込んだなら】
【傘はきちんと相手の頭上に届くまで。それできゃらきゃらと笑うのだ、それは自分が明らかな優勢にあるからにも見えたし、あるいは、面白がっているようにも見えて】
【たとえるなら気高い百合の花だって水切れしたならこっくりと傾げてしまう、その瞬間を見つけてしまったのに似る気持ち。――であれば、言葉は本音の色合い】

確かに今なら殺せそうですけどね。やめときます。

【そうだと分かりながら――あくまで気まぐれであると言い張って、彼女は相手を殺さない。と、宣言するんだろう】

…………身体ごとですか? 無理ですよ、私、自分より……まあ……30センチくらいは大きそうな人、担げないです。
こう見えても非力なんです――、ていうか、逆にこれでムキムキだったら怖くないですか? 私なら怖いです、マジかよって思います。

なので――うーんと、どうしましょう。呼びますか? 私の部下(サーバント)。人間運ぶのには慣れてますよ。ヤですかね。どっちでもいいんですけど――わっ、

………………――あ、これなら大丈夫そうですね。これじゃ駄目ですか? ていうかごめんなさい、急すぎて無理でした。痛かったですか?

【しゃがみこんだ姿勢、小首をかしげたならばあどけなさをアピールするよう。無理ですって強調した、――まして、彼女は相手の身体の重みを知っている】
【そう全力でのしかかられてはいないと思うんだけど、――それでも、察するくらいには、分かっていた。だからってそれを指摘はしないのだけれど、どちらにせよ】
【もし相手が常識的な範疇の体重をしていたとして。――それでもなお、2mにも近い他人を運べる身体を彼女はしていなかった。そうだったなら、少しだけ困ったように】
【ううん、と、小さく悩んで。手持無沙汰であったのだろう、彼女はそうっと手を伸ばす――相手のほっぺた。相手が何度かそうしたように、撫でてみようとしたなら】

【――多分まっとうな人間であったなら、泡とか吹いてひっくり返って気絶するんだろう。けれど彼女は、――それでも一瞬驚いたような声をもらして――対応する】
【まして数秒後に"これならイケそうなんですけど"というような態度をするのだ、――あんまりに急であったなら。受け止めること、は叶わず】
【きっと地面に一度落ちてから、になるだろう。――抱きあげようとする指先はそれでも優しげだった。布団の一番邪魔なところで丸くなってる猫を抱きあげるような、暖かさ】

【――――その頭までも素材ゆえに重たいようなら。ほんとにほんとに彼女の限界はそれだけであるようだった】
【箸より重たいものは持ったことがないけど、爛れた関係性に"なってしまった相手の頭なら抱えられる。そういう温度の感じ、それなら、傘すら捨ててしまいそうに】
546 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/18(月) 02:06:50.86 ID:gt3bZcbZ0
>>545

【返り血と自分の血に汚れたアリアの顔。然しその肌もまた白かった。誰も脚を踏み入れなかった新雪のように。そうでないことを、互いに知りすぎている。】
【こんな有様になって未だ生きているのだから自ずと知れたものだろう。何より記憶野が覚えていた。彼女の狂信に疑いなき笑顔を。】

【良いように弄ばれるのは少しばかり癪に触ったが、かえでならば悪くはないという内心でもあった。雨が止んだのは傘のおかげだった。】
【睨め付けようか刹那に悩んだけれど、こんな笑顔を相手が浮かべたのは初めて見たから、毒気を抜かれた感じがした。重金属を含む雪に似た、冷たい毒。】
【視線を合わせたなら少しだけ安心した。ここ1時間程ずっと、動かない身体と指先ばかり見つめていたから。電脳通信もノイズが多く、本部の連中は事務的だったから。】
【 ──── リードされてやってもいい、ということにした。あくまで其れが、気まぐれの善意から来たるものならば。】

【いたいけでいじらしい仕草は態とやっているのだろうか。きっと、そうではないのだろう。そういう魔性を負って産まれてきたのだろうと察していた。】
【「引きずってでもいいのだけれど」 ── そんなことも言う。柔らかく細い唇は動かさずに。部下に運ばせるのも結構な話だったが、出来るなら運ぶ相手は選びたかった。】
【 ── そして伸びる掌に、やめたほうがいいと言う前に、 ── 絹のような柔らかさと温もりがが、濡れきった頬に沁み入るようで。けれど、】

        「 ── っっっ。」

【地面に頭がぶつかる音。三半規管がトリプルスピン。対G訓練の教程くらいは受けたことがあるが、それでも目を回しそうになる。】
【おまけに顔中、幸いなことに切られなかった長い長い髪まで、血の溶けた水たまりに濡れそぼる。傷痕まで丸見えになってしまう。】
【それでいて妙案でも思いついたようなかおをされるから、あからさまにアリアは不機嫌さに顔を歪めるのだ。こんな皮肉まで吐きながら。】




「 ─── 時々、何考えてるか分からない、って言われない?」「同じお仲間にも。」




【さて頭部は最も厳重に防護されている部位だった。放射線シールド処理に始まり、頭蓋骨を代替するのは超硬質の複合チタン合金。小銃弾の直撃でも一発くらいなら如何にかなってしまう身体。】
【けれど首という筋肉量の少ない部位のみに支えられる器官でもあるから、軽量化処理は施されていた。 ── 優しい少女が傘を捨てるなら、両手で持つこともできるだろう。】
【腕の中に抱きとめられるのは悪くない気分だった。さっき刹那に感じた掌の愛おしさを、ずっと感じていられる。まして丁重に抱きしめられながら。役得かな、 ── そんな気の抜けた考えも、過るくらいには。】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2018/06/18(月) 02:28:43.45 ID:N139omMg0
>>546

――――そうですね、サーバントには言われないですよ。私、偉いので。
でも友人にはよく言われました。――だけど、そんなでもないと思うんです。特に何にも考えてないですよ。

――死んでてもいい匂いがするんだなぁとか、それくらいですって。

【それは歪んだ上下関係の形だった。変に悪口など言おうものなら"消される"んだから、誰も、上司その人に面と向かって「変人ですよね」とは言わなくって】
【であれど、かつての親しい友人たちにはよく言われたものだ。だけど友達がいなかったわけじゃあない、その奇特な性質は。けれど、だいたいの場合は無害であったから】
【気まぐれというべきか。それとも、自分の世界がしっかりしているというべきか。きっとどれでもよかった、彼女はそんなことに興味がないから】

あはは、だから、ごめんなさいって――、よいしょ。ほら、ナデナデしてあげます。上手ですよね? 昔犬飼ってたんです。犬。デカいの。

【――最初、彼女はうんとおっきな男物の傘を肩と頭のところで挟むようにして相手の頭を抱きあげようとしていた。けれど、すぐに、気づくなら】
【別に何かを言ったりすることもないままで、あっさりと傘を除けた。そのまま地面に開いたままで転がしたなら、雨粒から守られる聖域は地面の、ちっちゃな、石ころ専用に】
【そうして二人は雨を浴びるのだろう。アリアにとっては、雨を浴びていなかった時間の方が一瞬みたいに感じられるのだろうか。――優しく、抱きあげようとする、刹那】

【自分が着ていたカーディガン。脱いだならば、そっと、相手を包んでやろうとするのだ。それは――誰かに見られることを憚ったのかもしれないし、】
【それとも生首であれ相手のことを尊重しているという意思表示だったのかもしれないし。それとも、なにか、ものがなしくなってしまいそうだったからかもしれない】
【知りあいを手にかけるときの殺人者が顔を隠したがるみたいな、心象だったのかもしれない。一つ確かであったのは甘い柔軟剤の香りがしたこと、くらいで】

【言葉通りであった。ばかにしているんじゃなくて、どこか、からかうように。――その気を逸らしてやろうとするようにすら見えたかもしれない、元気出して、って】
【とうていそんな場面ではないはずなんだけど――ただその後は。彼女も人間の頭など抱える経験はあんまりないらしい、いくらか、その抱き方に悩んで】
【最終的には――視界がなければ不安だろう、ということで、外が見えるように抱かれるはずだ。であれば柔らかな胸元、ぎゅうと、後頭部に押し当てて、というか】
【むしろ相手の後頭部の方を胸元に押し当てて、というか――とにかく、そう言う感じになって。傷には触れないようにしていることが、きっと伝わるのなら】

――それとも、身体の方は、アリアさんの飼い主の人が拾ったらいいですかね。ほら、なんか、親切そうな人が助けてはくれたんだけど。
身体まではどうしようもなくって――頭の方は、まあ、後日返還。みたいな感じで。

【――――――ばかみたいなことをしているな、とは、思った。というより、ばか以外の何でもないな、と、思った。思っていた】
【今が重大な時期であることは、分かっている。分かっていながら、そうしたい、と思ってしまった欲求を、とどめること、できなくて】
【であれば、自分は関わらなくって、いいはずだった。このままここに放っておいたなら、相手は多分死なないし、そのうち回収されるって、どこかでわかりながら】

【立ち上がった少女の藤色の髪からぴたぴたと雫が滴り初めていた。――そうなったなら、長居する気持ちは、ない。アリアの身体を見下ろして、けど、これまではどうしようもない】
【相手が回収しろというのなら、あとで何かしらの方法で回収するだろう。幸いにも、それを極秘裏にするだけの権力は、あった。――だから、どっちでも、よかった】
548 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/18(月) 03:05:26.60 ID:gt3bZcbZ0
>>547


「 ……… 。」「一応は助けて貰った訳だし、まして私も人のことは言えないのだけれど。」
「十分に変なこと考えてるわよ、貴女。」「 ── ま、きっと興味なんて無いのでしょうけど。人からの見られ方なんて。」


【まったく呆れるのは何度目になるのだろうか。どこから、なんと言ったものか。ただ一つ確かに言えることは、蜜姫かえでという人物はズレている。】
【そしてまた、 ── ズレた世界の中で生き抜くだけの、なにかを持っている。それは強かさであるのかもしれないし、賢さであるのかもしれないし、】
【狂信は間違いなく其処にあるのだろうけれど、けれどそれのみと斬り捨てることは、女にはできなかった。】
【何より、ズレているのは女も同じこと。他人がどうおかしいのかなんて、余り分かったものではない。 ── ただ、己は良い匂いがするのかどうかは、聞きたくなった。】



「 ─── 私でなかったら、或いは貴女でなかったら、間違いなく怒ってるわね。 ……… 構わないけれど。」


【同じことを他人にやったら、他人が同じことをやっていたら、きっと穏便には済まなかっただろうと。尤も、生きている首なんて他にはそうそう居はしない。その逆であるなら尚の事。】
【だからそれは役に立たない警句だった。親しさを示す為の冗句のようなもの。 ── それでも、あっさり傘を手放して、自分を抱き上げようとするのには驚いて、】
【ましてカーディガンを「着せられた」のならば、冷たい顔をした女でも、流石に何処か、思う所があった。「 ── 悪いわね。」そう、呟いて】
【気分としてはベッドに寝転んだのと同然だった。それでも傷痕と、血の溶けた水に濡れた「残りの身体」が、じんわりと上質そうな外套に紅い滲みを残していくのが、少し歯痒かった。】
【そうしてまた躊躇うこともなく脱ぎ払われたカーディガンの下、一枚だけ柔膚に近付く刹那の煌めきに、魅せられてもいた。 ── 感嘆の呼吸を漏らそうにも、だから、肺がない。】

【さて結局は、スイカでも抱えるような姿勢になった。 ── やはり躊躇いもなく、秘するべき女らしさを自分ごときの受け皿にするのは、止した方がいいだろうとも言いたかったけれど】
【いつか抱き締めた柔らかさと甘い香りに包まれつつ、少しずつ血が抜けていく感覚は、まるで母の腕に抱かれているようで。幸せでないと言えば嘘になった。】
【 ── それに、遠くに、鼓動を聞いた。自分が貫いて、撃ち抜いて、引き裂いた臓器の奥。心臓が静かに蠢く音。今の自分にない音に、なにか、満たされていく。】


「余計面倒になりそうね。『思ったより動けそうだから救援は不要』 ── って事にしておいたから。」
「後で身体を持ってきて頂戴。首の傷痕とくっ付けておけば治るわ。綺麗さっぱり、ね。」


【信徒としての少女の内心も知らぬまま、GPS機能を遮断する。彼女の拠点に、特務部隊の連中を踏み込ませるような真似はしたくない。】
【藤色の髪先から垂れる雫に、眼球だけで彼女を見上げた。 ── 白い喉筋。うつくしい容貌。雨に濡れた、どこか思い詰めたような表情。どうしようもない世界の中、神に祈るばかりの聖女のよう。】
【いやきっと事実そうなのだろう。彼女は邪教の聖女であり、不可侵の潔き儀式に身を捧ぐのだろう。それが彼女の幸福なのだろう。】
【 ── 誰かの価値観に干渉するつもりはない。其れは間違いだと声高に糾弾して何になろう。そんなものは正義の戦争を囃し立てる時に言う台詞だろう。けれど、それでも。唇が勝手に開いていた。】


「 ── ねえ。」「前から、聞いてみたかったのだけれど。」

        「 ………。」「どうして、かえでは"信じる"の?」


【帰路のうち、どこかで、そんな問いが投げかけられる。女らしい冷たい声音で。けれど、どうしてか、悲しそうに。雨に溶けそうな温度で、かえでの胸中に吐き出して。】
【神や教義の素晴らしさだとか、如何にしても救いが来たるかだとか、信仰の結果に何が得られるかだとか ── そういう事を聞いているんじゃなかった。】
【聞いてはいけないことを聞いている自覚はあった。触れてはいけないものに触れて、投げ出されてしまうかもしれないとも思った。それでもまた、構わなかった。】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/06/18(月) 03:33:48.21 ID:N139omMg0
>>548

【「そうですかね――」】
【紡ぐ声は、やはり、自分がどう見られているかなど気にしていないようであった。自分の世界には自分と、信ずる神様だけ居ればいいけど】
【だからってそれは天涯孤独を選ぶ覚悟とは、違うから。――だからやっぱり気まぐれだった、いろんなことが。誰かと話すのも。誰かと寝るのも。そんな気になるのも、全部】

あははは、生首に怒られても怖くないですよ。――いや、"そういう"意味なら怖いですけど。ほら。妖怪とかお化けとか。そういう。
魑魅魍魎とかモンスター的意味なら怖いかもですね。――でも、生首のサイボーグに怒られても怖くないです。ちーっとも。

【――カーディガンは頭一つを包むには、あんまりに布地が多すぎた。ならばいくらかくしゃくしゃっとして、それは、朝日に起こされる瞬間に似るのかもしれない】
【身体に絡まる布の感覚。――違うのは起こすべき身体がそこで死んでいることくらいであるはずだった、抱き止められて起きる朝は、物珍しくはないから】

そうですか。じゃ、後でなんかしときましょう。ていうか動ける気だったんですか? すごいですね、サイボーグ。
結構簡単に首取れちゃいましたけど――断頭台も真っ青です、ギロチン業者が廃業待ったなしです、路頭に迷って一家離散、憐れな娘は、身売りに――。

【歩いていくなら、そのたびに、ぱちゃん、ぱちゃん、と、足音がする。――考え事の裏側で相手がGPSを切っているのは、気づかなかった。知る由もなかったなら】
【簡単に彼女は頷くだろう。――そして実際にそうなるのだ。その結果サーバントの二三人くらいが記憶を不自然に失っても、誰も、誰も、誰も――気にしない場所だから】
【涼しげな声がくだらない言葉を連ねていく。それこそ何にも考えないでしゃべっているのだろう、覗き見たならばわずかに笑んですらいた。――たく、たく、鼓動は一定に】
【ならば限りなく生きていた。話すたんびに、身体の内側からも、彼女の声がする。血流のざあざあいうノイズ。全部、全部が、生きている色彩を持っていて】

――――――蜜姫かえでは、すべての蛇を統べるウヌクアルハイ様にお赦しを乞うために生まれてきたのです。

【――ある場所についたとき、彼女は、わざと相手の視界にかからぬようにしていた布地を落として、相手の視界を隠すのだろう。それは、最後の躊躇いに似て】
【合意の上のベッドで最後に見せる恥じらいにも似ていた。――やがて足音は外から、室内のものになる。かつ、かつ、――いくらかの足音を、連ねたのなら】
【やがて、扉を開ける。――かちゃん、と、施錠の音、いくらかの音、それは例えば靴を脱いだような音だとか、そういうのを聞かせるだろう、やがて、柔らかな感覚】

――はい、着きましたよ。下半身……いや、上下半身はしばし待っててください。まあ、遅くても明日の昼くらいには。
身体以外でほしいものはありますか? この部屋になかったら用意させますよ。お風呂とかはあります。タオルとかも。

【――――"ありふれた"部屋だった。その広さがほんの少しだけいい感じのホテルのいっとういい部屋、くらいの、広さである以外は、きっと、ありふれていた】
【壁の書架に並べられた蔵書はジャンルも作家もちぐはぐなもの。あちらには額に入ったクロスステッチで描いた模様が飾られ、そちらでは、ハーバリウムの小瓶が並び】
【折り紙――足のある鶴――が転がされていると思えば、ベッドの横の小さなテーブルには小さなスノードームが置かれて、棚の一角には、船の模型が置いてあったなら】
【多趣味だと思わせるかもしれなかった。そのくせ、そのどれにも、本当はあんまり興味がない様子でもあった。板敷の床に、大きな窓が雨越しの夜の明るさを導いて】

【――ベッドの上。それが今の相手の位置であった。ふわふわのタオルとかクッションとか並べて、あんまり居心地が悪くないように、努めたつもりで】
【そのくせ生首の人を接待したことがないから――相手がどう思うかは、分からなかった。とりあえず確実なのは少女はひどく雨に濡れていて、ぱたぱた、雫が落ちていく】
【濡れたカーディガンはすでに取り払われて床に落とされていた。――それでもまだ濡れているんだろうけど、勝手に拭いてやるのは、どこか、はばかられて】
550 :シガン ◆vqNGs2LHRKzU :2018/06/18(月) 14:20:50.15 ID:QGMk1+WS0
【櫻の国、とある商人の集まる街にて】
【時刻は昼過ぎ、店側も客側も最も賑わう時間帯であり、案の定どこの露店も人でごった返していた】
【そんな人混みの中をふらふらと歩く人影が一つ】

(腹ぁ減ったが……どうにもさっさと食えそうな雰囲気じゃないな……)
(さてどうしたものか……かと言って次の街まで行くのもな……)

【何処かの店を目指す訳でも無く、人混みの間をそぞろ歩く黒髪赤目の男】
【服装は黒地に赤い花の模様―――恐らくは彼岸花だろう―――が入った着物をコートのように着こなし】
【首元には灰色の襟巻、焦げ茶色の袴に足袋と草履を履いた古風な服装】
【腰には生成り色の帯を巻きつけ、見ればこの時代にも関わらず二振りの刀を佩いているではないか】
【編み笠を被ったその姿は正しく侍そのものだった】

うーむ……
見つからんなぁ……

【露骨に迷っている風を醸し出す。事実、道に迷っている訳ではないが店選びには迷っているのだ】
【その見た目から声を掛けるものもいない。そんな好事家がいるのならば、金を払ってでも出会いたいものだった】
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/18(月) 14:43:20.66 ID:N139omMg0
>>550

【そんな彼の佇む前に、露店が一つあった。硝子細工の髪飾りや帯飾りを扱っているのなら、年若い女たちが眺めていて、おかしくなさそうなのだけど】
【がらん、と、店先は空いていた。なぜなら、不審者がいたから。けれどそれは行いや立ち振る舞いが不審なのではなく、純粋に、単純に、すっぽりと狐の面で顔を隠す、人影】
【まして身体全体はずっぽりと丈の長いローブで隠してしまっていて。だから。めちゃくちゃな不審者。――店主も割とドン引きというか、困った顔、しているのだ目立って】

……やっぱ似たのじゃ駄目よね、ていうか、別にそんな似てないし。
はー、無理、ほんと無理。……自分は行かれないって来たくないだけじゃんね、――。

【――――ぽつん、と、声が呟いた。手に持っていた赤い硝子の髪飾りを黒布でかぶされた台の上に戻したなら、くるり、振り返った瞬間に】
【店主が安堵したような息を吐くのだろう。――ふらりとそのまま歩き出す人影は、けれど、どうやら女であるらしかった。身体つきは伺えないままで、どこかそう思わせ】
【だけれど呟く声音は機械質にゆがめられた人工の声であって。――あんまり周りのこと、考えてなかったのだろう。振り返って歩き出す刹那、「きゃあ」と歪な声が】
【ちょうど目の前に立っている彼にぶつかりそうになったのに気づいて、漏れだして。――立ち止まるだろう。そうしたなら、相手にしてみれば、めちゃくちゃ近い距離の不審者】

…………あ、あー。ゴメンね? 見てなかったあ、ふふ。

【――上等な造形の狐面が、彼を見上げた。かすかに覗く髪は黒色であったなら櫻の人物として違和感がない。ただそれ以外の肌などは、全く見えないんだけど】
【黒色のローブに、狐面。それが相手が"それ"を判別するための材料の全部。しいて言えば身長は百七十ほどだった、機械越しのような声は、どこか女のように紡がれ】
【あるいは。相手に魔術の知識があれば。――ローブにも、狐の面にも、その中身への認識を阻害するための、魔術が仕込まれている。すなわち、後ろ暗い人物だと思わせ】

お兄さん、何してるの? あたしはねえ、プレゼント探しなの。でも今やめたんだ、どっかで休憩したいんだけど――、
――いいお店、知らない? あたし、この辺って初めて来たからよく分かんなくって。お使いの帰りなの、まあそれは、終わったんだけど。

【それでもどこか人懐こいような態度は、していた。ころりと笑うような異音を上げたならば、相手に尋ねるのだ、――座っていられそうなお店、知らないか、と】
【相手がまさに食事のための店を探していたなどと知らぬなら――どうかなぁ、とでもいうかのように。その恰好なら、この辺り、きっと詳しそうだと分かっているみたいに】

【――それなら、きっと、面の裏で笑っているんだろう、と、予感させて】
552 :シガン ◆vqNGs2LHRKzU :2018/06/18(月) 15:06:01.09 ID:QGMk1+WS0
>>551
【ふと、視界の隅に映った露店の得体の知れない奇妙さに気が付く。否、露店が奇妙なのではない。決して】
【奇妙なのはその客足。この繁忙時にも関わらず、人っこ一人寄りついていない】
【その元凶、その要因がたった一人の客であると言うことは、誰の目にも明らかだった】

おう?
いいや、すまん。俺もついついボーっとしてたみたいだ。許してくれ

【振り返った女―――外見からは判断がつかないが、その口振りと雰囲気が女であろうと思わせた―――に謝罪の句を述べる】
【見れば、その顔は狐の面に覆われ表情の一つも判別がつかない。背が六尺と少しある彼の目線からやや下辺りに、それはあった】
【どうにも、奇妙で異様な気配の人物だ。何故か、相対する者であるのにその情報が頭に入って来ない】

何をしているか……そうだな、飯処を探している
残念だが、良い店を知らないからこんな風に路頭に迷ってるんだな。で、どうするんだ?

店を探すんなら人手が多い方が良いが、生憎俺も詳しくはないからな

【やたらと距離の近い相手に、やや不可思議な気配を覚えながらも、淡々と言葉を返していく】
【何でもお見通しと言うかのような、何にもわかりませんと宣うような、どっちつかずでどっちとも取れる雰囲気】
【狐、キツネ、狐憑き。トリックスターでも気取る気だろうか】
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/18(月) 15:24:06.78 ID:N139omMg0
>>552

【――狐面、と言えども、装着した人間の視界まで遮る気がないのが普通であった。であれば、"それ"が身に着けているものも】
【目元にくっきりとした穴ぼこが空けてあって――しかし/だけれど、その中を覗き込めば目が合うのに、それを理解するのを脳が拒むような感覚、あるかもしれない】
【それでも、相手の魔術耐性によっては、その色合いを認識することが出来るだろう。――赤色と黒色の一対であった、わずかに笑むように細められたなら】

ご飯? ふーん、あたし、時計持ってないけど――、お昼時じゃない? なんか、ほら、見た感じ……。
みんなご飯食べてるじゃんね、――どこでもいいんじゃない、あたしみたいなの連れてたら、客の三人四人くらいは一度に帰ると思うけど。

――それか持ち帰りの店でも探したら如何、お花見にはいくらも遅いかな。

【ぶつかりかけた距離感。ひょいと離れたならば、そいつの印象は余計に朧げになる。といってもやり取りそのものは友好的であった、辺りをぐるうと見渡したのなら】
【思った通りにありのままの言葉を述べる、――確かに昼時だった。いろんな店がごった返しているというのは彼も知っている通りだろう、だったなら】
【特に悪気もなく、自分みたいな不審者連れて行ったら空くんじゃない――なんて、冗談めかすのだ。通報されるほどではないと思いながらも、不審者である自認はあるらしい】
【――そうだったなら、別に店内にこだわらなければ何かあるのではないかと。こちらは少しだけ真面目なアドバイス、真面目な見た目なんてしてないけど】

――――あたしのこと視えてる? 視えてないよね、その感じ。
ならいいの、ごめんね、こっちじゃあ顔とか出せなくって。ちょっと前までなら、まだよかったんだけど――。

ほら、ね、怪しくっても無害だから。許してくれる?

【ふらりと離れた距離感が、くるりと振り返る。ぞろりと長いローブの布地が内側から持ち上げられて――ならば、その中、腰に手でも当てたらしい。そのシルエットが浮き上がれば】
【わずかに人物の足元が覗いた、それ以外のものは見えてはこないけれど、女物の和装を身に着けているのが分かるならば、やはり女であり、多少は近しさもあるだろうか】
【――やはり訳ありであると"彼女"は軽い口ぶりで述べる。怪しくっても――だなんていったなら、笑い声に似た音、やはり機械にゆがめられて、漏れ出て】

――――あ、ほら、そこのお店、お弁当やってるって。コンビニとかないのかな。この辺にはないのか。水の国とかにはあるんだけどなあ。

【それがふっと気の逸れたように、全く別のことを言い出すのだろう、テイクアウトにしたら簡単ではないかと提案した通り、店屋の中から、テイクアウト対応の看板を見つけ出して――】
554 :シガン ◆vqNGs2LHRKzU :2018/06/18(月) 15:50:26.92 ID:QGMk1+WS0
>>553
【やや目を凝らし、仮面の奥を覗き見てみる。不躾だが、相手の素性がわからない以上仕方がない】
【双眸に宿りし偽りの天眼。全開までいかずとも、ほんの少しだけ解放するならば目への負担も軽く済む】
【ぼんやりと見えるのは赤に黒の瞳。所謂オッドアイと言うやつか。中々小洒落たものだ】

見た感じ、どころか太陽が真上にあるから昼だな
帰りたいなら勝手に帰れば良いだろう。俺は飯が食えるならそれで良い

お花見は……桜はもう散ったろうな。今は、紫陽花の季節だ

【季節は梅雨時、今日はまだ晴れている具合だが、日によってはしんしんと降る雨が身を冷やす】
【じめじめとした雰囲気を好くものは、蝸牛や蛙共以外にはあまりいないだろう】

視えている? そうだな、姿は見えている
だが顔は見えない。言葉通りに返すなら、それだけだな

【ローブの内側、身に纏うのは和装か。であれば、自身と同様に櫻の出身なのだろうか】
【ふぅ、と溜息を一つつく。どうやら、中々に癖のある相手に出会ってしまったようだ】

怪しい奴なら今までに五万と見て来ている。今更ぐちぐちと言いやしない
ん―――――? 良いじゃないか。弁当っつってもちゃんとした店がやってるなら食えるだろう
あんたはそれで良いのかい?

【編み笠をちょいと持ち上げながら、紅い瞳で彼女を見やった】
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/18(月) 16:07:45.21 ID:N139omMg0
>>554

【相手の行動を彼女は咎めなかった。咎められるはずもないだろう、――面に隠された向こう側ではたはたと瞬いたなら、明確に目が合っている】

だから空くでしょ、って。太陽は見ないの、眩しいから。昼間ってだけで結構眩しいんだけど――ま、いっか。
櫻のどっかではずっと桜が咲いているんだって聞いたんだけど――紫陽花。紫陽花も好きよ、彼岸花も好きだけど、いっとう好きなのは桜かな。

【笑い声。機械のノイズにしか聞こえない声音であったならばそのたびに不快にさせてしまうかもしれなかった、きりきりとこすれ合うような音、響かせ】
【たしかに片方は色素のないような赤い色をしていた。それならば明るさにちかちか眩むというのは道理であって――まあいいか、で、済ますのは雑なやりよう】
【「そういう話を聞いたことがあって」と言いながら視線を巡らす、けれどそんなものはどこにもなく。――人通りの多い道であったなら、植物らしいものもあまりなかった】

そーね、あたしを理解しなければそれでよくって。認識は猛毒なの、特に今は。だけど、あたしがここに居ること自体が、バグみたいなものだし――。
血液が混ざんないようにする弁みたいなもの、――割り切ってるならいいの、五万と一人目なら僥倖でしょ、知らないけど。――あたし?

あたしは何も食べないから大丈夫。……あとは帰るだけなんだけど、ただ帰るのもつまらないでしょ。
ちょっとくらい寄り道していっても、いいかなあって――。――まあ、飲み物くらいなら。"これ"、取ったらまずいから。

【ならば適当に並べる言葉は理由には程遠い。それでいて気遣いのつもりであるらしかった。他者に認識されないことが必要であると言って、やり方を改める気もない】
【そして相手の言葉には、自分は食べないから、と、ひらひらローブの中で手を揺らす。――それからローブ越し、指先が、狐の面に触れてなぞる、そろりと布がこすれる音がして】
【食事する――となれば、これは邪魔になって。だから、自分は食べない。――単に相手と話していたいだけのようだった、しいて言えば、どこか座っていられたらもっとよくて】

だから――買って来たら? あたしはここで待っててあげるから。

【――ちょっぴり偉そうな口ぶりで告げる、それでもどこか予感させるのは、面の下、どこか得意げに笑っていそうな――温度感があって】
556 :シガン ◆vqNGs2LHRKzU :2018/06/18(月) 16:24:35.80 ID:QGMk1+WS0
>>555
【機械的だがどこか人間味のある声を聞きながら、彼は口に出した花々を思い浮かべる】

あぁ、そんな所もあるようだな。生憎、俺は一度も行ったことはないが……
彼岸花ね……あんな花より、ずっと良い花幾らでもあるさ

【自分の着物の柄であるのに、彼は彼岸花を余り良くは言わなかった】
【だが、その口調はどこか懐かしむような、愛おしいような、そんな気配を感じさせるもの】

本当に五万も出会っていたら、どんな奴でも狂っちまう。あんたは……今日出会った一人目だ
言ってることはよくわからんが……悪意があるって訳じゃないな。それだけは理解した。今はそれだけで良い

【食べない、しかし、飲む。そう解釈したらば、彼は自身の持ち金を確認する。まぁ、二人分を払うくらいなら余裕がある】
【さて、何を選ぶべきだろうか。何を好くのだろうか。予想を立てても悉く否定されそうでたまらない】
【それならいっそ、直感で選び取ってしまえば後腐れが無い。行動は常に素早く、巧く、滑らかに】

それなら、適当に買ってくるさ。そこで待っていれば良い

【そうして、彼は本当に適当に選び取り、代金を払い、帰って来た】

そら、抹茶オレだと。最近はハイカラなものが増えたみたいだな

【そして、やや安めの弁当を買って来た彼は、どこか座れる場所を探す】
【示すのは露店の近くにある長椅子。誰でもご自由にお使いください、と言うものだろう】
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/18(月) 16:41:03.47 ID:N139omMg0
>>556

あたしもないの、櫻に来るのは初めてで。本家の家探しをしにね。――合法だから大丈夫。
そう? あたしは好きよ、咲いている時よりも、枯れかけているときが好き。みんなが一様に赤黒くなって――、彼岸花は嫌い? そう。

【ちらりと彼女の視線は相手の服装を撫ぜる。どこか愛おし気に、けれど、言葉の上では否定する彼を見て。ふうん、と、小さな声】
【それでも彼の言葉を否定しなかった。自分は好きだけど――と勝手に述べて、首をかしげる仕草。ぞろと長すぎる布地が揺らいだなら、出来の悪いお化けみたいに】
【多分夜中に出会ったら結構びっくりするだろう。わざと墓場なんて出歩きそうだった――それで笑って、居そうだった】

じゃ、ことさらいいわね。――あれ、買ってくれるの? じゃあお言葉に甘えて――、そう、悪意はないの。
悪意があったらこんなものじゃ済まないでしょ? ――あたしなんでもいいよ、珈琲以外がいいなあ、苦いのは嫌いだから。
ストローで飲めるやつがいい。あと、冷たいやつ。それから――、

【――相手のしぐさに彼女はどこか驚いたようにする、ひょこりと離したはずの距離を少しだけ詰めて、見上げるよう、礼を告げたなら】
【"なんでもいい"――言ったくせにいろいろを注文が連なっていくのは冗談めかす口ぶりであったなら、多分、本当はなんでもよくって、からかっている】
【それでいて本当の好みでもあった。少なくとも珈琲については、本当に苦くって、まともに飲めやしないから】

【――――――そして彼が目当てのものを買って戻ってきたとき、彼女は、通りすがりの人間と話しているのだろう】
【訝るような顔の通行人から何事かを聞きだして「あっち?」「あっち」「ありがとう」――そういう感じの会話を、しているのだ。本当はもうちょっと丁寧なんだけど】
【彼が戻ってきたならば、ぱぁと雰囲気が華やぐ。差し出されたまあっちゃオレを当たり前に受け取って、「ありがとう」と紡ぐ声は、どこかはしゃいだ音色】

――なんかね、あっちに紫陽花が綺麗なところがあるって。そっちに行かない? 池とかもあって、なんか、魚とかもいるって。
そこらへんでもいいけど、――ね、せっかくだから。あたし、そっちがいいなぁ、抹茶オレ分くらいは、多分、きれいだと思うんだけど――。

【よいしょと布越しではあるが、狐面をわずかにずらす。ストローで一口味わったなら、それから彼女は話し出すのだろう、通行人から聞き出した、場所のこと】
【どうやら少し行ったくらいのところ――彼女の口ぶり的に――に、そういう場所があるらしい。公園だろうか、とかく、せっかくならばそちらに行かないか、と】
【抹茶オレの値段を知りはしないけど、この情報が礼であると言うかのように。――もちろん、無理強いはしない。彼が嫌だというなら、その長椅子、あっさり座ってしまうから】

【――そうでないなら、二人で歩き出すことになるのだろう、けど】
558 :シガン ◆vqNGs2LHRKzU :2018/06/18(月) 16:59:42.08 ID:QGMk1+WS0
>>557
【本家、家探し、一体全体何の事だろうか。何かしら危ないことな気配がしないでもないが】
【だが、彼女が合法と言うのならばそれで良い。流石に、関わる必要の無い面倒事にまで首を突っ込む趣味は無い】

(何かを聞いていた……? どこぞにでも行くつもりか)

【その予感は的中したようで、どうやら目当ての場所があるようだった。それが何処であっても、彼が文句を言う事は無いだろう】
【元来、そう言う性格なのだ。余り自己主張がない。静謐、冷静と言えば聞こえは良いが、結局の所諦観に近いものでもある】
【よって、提案された場所に向かう事に、彼は異議の一つも唱えなかった】

まぁ、良いだろう。飯を食う時間くらいはそこにいよう
それで、俺と話したところで有益な情報なんて一つも無いだろうが、それでも良いのか?

【事実、ただの旅人である彼に、初めて会ったばかりの彼女に伝えるべき情報など殆どありはしなかった】
【訂正しよう。ただの旅人ではない。ただの、神様を殺し続けるだけの旅人だ。そんな人間、滅多にいやしないだろう】
【どうにせよ、ただ流れていくだけの彼が、何かしら彼女の家探しやらに使える情報など、持っている筈も無かったのだ】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/18(月) 17:21:15.64 ID:N139omMg0
>>558

【彼が文句を付けないままで居てくれたなら、彼女はそのままゆるりと歩き出す。味も気に入ったのか、手元の抹茶オレを時々飲みながら】
【背の高さのわりにはあどけない振る舞いをすることが多かった。やがて歩いていく先に一つの看板が見えてくる、――公園、であるらしかった。その場所は】
【そうしてたどりつくのだろう。敷地はうんと広くて向こう側まで広々と手入れされた草木がバランスよく配置されている、特筆すべきは、その中の紫陽花の含有量だろうか】

【あちら、こちら、と、――立派な大株の紫陽花が咲き誇っていた。櫻風に整えられた景観も美しく。大きな池にかかった緋色の太鼓橋が鮮やかに映えたなら】
【彼女はそのまま――太鼓橋の向こう側。池に浮かぶ小島のようなエリアにあるベンチに対して「ここがいい」というのだろう。相手はきっと嫌がらないと決めつけて】
【だけれどよっぽど悪い場所では、なかった。――彼が嫌がらないと見れば、もふん、と、音もしないけど、彼女はそこに座るのだろう。静かな場所だった、人気も少なく】

有益な情報なんて要らないの、あたしたちの持ってる情報はかなり高水準で充分なくらいだからね。
少なくとも、目的に対して困窮するほど無知じゃあなくて。まあブン投がってくるリクエストが実行可能かはそれとは別なんだけど――、

――その刀、本物? あたしも持ってるよ。借り物なんだけど。

【果たして彼女が求めたのは情報ではなかった。であれば、本当に気まぐれで話し相手に任命されてしまった、と、気づくのかもしれなくて】
【ふらふらと足と揺らす――それなら、その話はあんまり楽しくない、というように。彼女はあっさりと話題を変えてしまおうとする、彼の帯びる得物に目を向けたなら】
【興味があるような、声だった。和装であったのもそうだし、刀も彼女は持っているらしい。とはいえ、伺えるシルエットから、帯刀しているようには見えないんだけれども】

お侍さん? 水の国とかには行かないの? 便利だよ、お店とかいっぱいあって。
あっちにも刀とか持ってる人たまに居るし――いんじゃない、この辺が好きならね、それでもいいけど。

【――どこか冗談めかすようにして尋ねる、無表情の狐面がじと彼を見つめていた。けれどその向こう側には、きっと、笑った顔を幻視出来て】
【水面のどこかで鯉か何かが水音を立てる。――ぷかぁ、と、やる気のない亀が泳ぐでもなく漂っていくのも見えて、ひどく、平和な温度感】

【ちゅうと何度目かの一口を味わったなら、容器の下の方で、ずぞ、と、小さな音がする。少し傾けて飲む――それで、もう、中身がなくなってしまったなら】
【空っぽの容器を弄んで尋ねるのだ、きっと大した意味はなくて。ならば雑談の範疇を超えないもの――】
560 :シガン ◆vqNGs2LHRKzU :2018/06/18(月) 17:45:51.63 ID:QGMk1+WS0
>>559
【ふらり、ふらりと彼女の足取りに合わせ進んでいく。景色が流れる。視界の端に消えていく。また、現れて、消えていく】
【辿り着いた場所は、咲き誇る紫陽花の庭だった。きっと、何年も、何十年も、此処を愛した人が守り続けているのだろう】
【誰かが伝えて、誰かが守って、誰かが接いで、誰かが削って、そうして常に作られ続けてきたのだ】

見事なものだな……

【思わず口に出た言葉。本心からの言葉だった。そう思わせるまでに、彼の目には美しく儚いものに見えたのだ】

あぁ、本物だ。遊びで抜くようなものでも、人に見せるものでも無い
正真正銘、「何かを斬る」為に作った……作ってくれた代物だ

【借り物。と言うが、とうの刀はどこにあるのだろうか。ローブの裏、であればわざわざ見せてくれと言う訳にもいかない】
【そもそも、人の刀を好き好んで見る趣味など持っていない。彼は弁当を開け、白飯を口に運びつつ、淡々と答える】

水か……以前いたことがある。短い間だったがな
それ程店を回った訳じゃないが、あの国の発展具合は群を抜いている。余りにも、危険な程に

【文明が発展することは世の常だ。人々が前に進む限り、文明も前進する。時たま、前に進もうとした人間のせいで後退することもあるが】
【そう言った異常《イレギュラー》は暗黒時代として処理される。そもそも、前に進もうとしていなかったことになるのだ】

あんたはどこに行くんだ? どこにも行かない、なんてことはないだろうよ

【水音が響く。蛙が池へと飛び込んだ。波紋が広がり、やがて消え、静寂が訪れる】
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/18(月) 18:09:05.57 ID:N139omMg0
>>560

【梅雨の晴れ間。そうとは思えないほどに、見事な晴天だった。透明な池の水面は凪ぐようでありながらも、時々、ふっとその中の営みを感じさせ】
【やる気のないまま流れていく亀。お腹の空いてない鯉。よく分からない羽虫が落ちてしまってもがいているのを、気の向いた鯉が、飲み込んでいく。向こうでは子供の声がして】
【岩の上に積み重なった亀の数を数えている。今も一匹の亀がよじ登ろうとして――他の亀を巻き込んで、ぼちゃぼちゃ、と、水の中に落ちて行ったなら】

――そうなんだ。あたしのはね、家宝みたいなものなの、持ち歩いてるけど、しまってあって。
"この家"に生まれて来る女の子たちを護るための、刀。それがね、あたしの持っているやつの意味なの、"だから"借り物。

造ってもらったんだ、いいなあ、家(うち)のは、なんていうか、ナマモノだから。

【彼女は"しまってある"のを示すように、ローブの布地をふわりと持ち上げた。それで中を見せてくれるわけではないものの、やはり刀のシルエットは見つからず】
【護身用のもの――なのかもしれなかった。となれば彼女もまた護られているのだろう。であれば続く声はどこか羨ましげ、そういった類は持ったことがないから、少し気になって】
【だけどわがままをしてまで見せてもらうほどの昂ぶりがあるわけでも、なかった。ゆえにどこか羨ましそうな声をするだけに留めて】

危険? そうかな、路地裏とかは、そりゃあ危ないけど。人間だらけだから、しょうがないのかな。
表を歩いてるくらいなら、そんなに。テロとかなければだけどね、――あの時はすごくって。

【一度言葉をなぞり返した彼女は。――そのうち意味合い通りに受け取ったような言葉を返す、ふらりと足を揺らして、小石を蹴っ飛ばす。水面に、こちゃ、と、落ちたなら】

――――案外本当にどこにも行かないかもしれない。

【その波紋にすらかき消されてしまいそうにかすかな、声だった。機械の音階でも隠し切れぬ感情、どこかに滲ませて】
【ほんの数秒だけの静寂が満ちる。――ずうと静かで居続けるには、あんまりに、この場所は外界と繋がりすぎていたから。孤独を認識、出来ないほどに】

やんなきゃいけないことがあって。それが終わったら――まあ、帰るかもしれないし、帰んないかもね。

【きゃららとハウリングしたような音で笑うのだろう、無表情の狐面が一度彼を見つめてから、いつしか池へと視線を戻すのだろう、またどこかで、水の音】
【であればあるいは彼以上の根無し草なのかもしれなかった。ほんの少し先のことさえ分からないくらいの曖昧さは、それは、彼女を詳しく認識できない違和感と同じなら】
【彼女さえも自分の術に惑わされているみたいに――見えるのかも、しれなくて】
562 :シガン ◆vqNGs2LHRKzU :2018/06/18(月) 18:26:22.92 ID:QGMk1+WS0
>>561
家宝……か

【この家、なのに借り物。であれば、もしや、彼女を今操っているのは、本来の身体の持ち主ではないのかもしれない】
【そうであるならば、何れ自身が斬るべき相手になるやもしれない。その時は、きっと容赦はしないだろう】
【だが、今では無い。今では無いのなら、斬る必要などどこにもない】

だが、一応はあんたのものなんだろう? それなら、大切にしまっておくべきだ
来るべき時まで、じっくり大切にな

いいや、そう言う危険じゃない。ふと訪れて、ふと全てを消してしまう。そんな奴が現れるかもしれない危険だ
不必要に成長し過ぎた枝がどうなるか知ってるか? 剪定されるんだ。丁度良い形になるように、切られる
そう言うことだ

【とても概念的な言葉。しかし、彼は余りにも発展し過ぎた文明を破壊する者が現れることが危惧しているのだろう】
【もしかすれば、この世界には既に現れているのかもしれない。荒ぶる魂、人智を越えた者、上位者、魔神とも呼べる存在が】

まぁ……帰るべき場所があるなら、そこに向かって帰っていった方が良い
その方が、幸せなことだ

【そして、彼は席を立つと、編み笠の淵をやや下ろす】
【もう行くのだろう。きっと、誰にも教えず何処かへ流れていくのだろう。今までも、これからも、ずっとそうやって行くのだろう】

またいつか、出会った時は話をしよう。じゃあな

【そして、紫陽花の咲き誇る庭園を眺めながら、彼の背中は遠ざかっていった】

/この辺りで〆で良いでしょうか?お付き合いいただきありがとうございました!
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/18(月) 18:32:57.80 ID:N139omMg0
>>562
/ちょっと用事が入っちゃったので、申し訳ないのですが、お返事は後でお返ししますっ
/ひとまずお先にお疲れさまでした!ありがとうございました!
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/18(月) 20:01:49.81 ID:N139omMg0
>>562

【――彼が立ち上がった時に、彼女はまだ、そこに座っていた。立ち上がったのを見上げたなら少女のような色合いにも似て】
【空っぽの器をローブ越しに出て弄んでいた。――またいつか出会った時には。その言葉に、表情は見えないんだけれど、どこかで、目を細めようだったなら】

――――――そうね、どこかで出会えたら。
――その時のあたしが今のあたしとおんなじかは、分かんないけど

ありふれた人間たちよりか、多分、変わんないはずだから。

…………、帰るの? じゃあ、これ、ご馳走様。おいしかった。

【空っぽの入れ物をふらふら揺らして、そうやって彼を見送るのだろう。紫陽花の向こう側、その背中が小さく小さく、なっていくまで】
【そのあとに振り返ったとしても、そこにもう人影はなかった。――その代わりに、ぼちゃん、と、いっとう大きな鯉が、その身を水面の近くで翻すから】
【それを見た子供が張り裂けんばかりの喜びようできゃあきゃあ騒いで――父親だろうか。よく似た男性から「落ちる! 落ちるから!」だなんて、ぎゅっと掴まれている】

【――その平和な風景に居合わせるのは、きっと、彼らみたいな、人の方がいいから】

/遅ればせながらおつかれさまでした、ありがとうございました!
565 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/18(月) 22:09:51.07 ID:5L5gc/1a0
【マズルフラッシュが、幾重にも光る――タタタタタ、と軽快な音を立てながら放たれる弾丸は、施設のそこかしこに穴を開けて、時に何かの機器なども破砕させていた】
【パグロームが両手に持つIMIウージーの弾丸が、容赦なく施設の防衛を行っている者達を蜂の巣にしていた】
【この手の武器は嫌いではない、然程狙わなくても、バラ撒くだけで制圧射撃が行えるからだ】

幸っせは〜歩いて来ない〜だーから歩いて行っくんだね〜
と、言うワケでェ……今夜は蛇神教徒さんのおたくにやって来ましたよ〜?

【絶え間なく襲い掛かる銃弾と爆風――火器の類は充実している】
【サーバントと言えど、"能力者"は然程多い訳ではない。そして邪教徒狩りをするのにわざわざ手強い相手を選ぶ必要もない】
【何故なら、この手の宗教を潰すためにはまずは"数"を減らすのが最も効果的だと、知っているからだ】
【減らす数は何だって良い。信者なら最良だが、施設でも良いし、何なら生贄でも構わない】
【勿論、教祖を仕留められれば、それが最も手っ取り早い選択肢では有るが、サーペント・カルトは上に行くほど持っている能力も厄介になるし――】
【複数人の幹部で構成されているあの組織は、仮に多くの犠牲を払って幹部を仕留めたとしても、また別の誰かがその椅子に座る】
【宗教弾圧には慣れているのか、タフな構造をした組織だった】

ン、ン、ン〜♪ハイ、種も仕掛けもアリマセン!
実在の人物・団体・神様とは一切関係なくなりましたァ!クヒッヒッヒ!ヒハハハハァ!!

【とは言え、だ。連中がそろそろ大きな動きをしようとしているらしいのは、組織からの噂として聞いている。末端のアジト潰しも良いがそろそろ本部の情報が欲しいところだ】
【意外に見えるかも知れないが、この男はカルト宗教相手の尋問はそこそこ得意だ】
【サーバント達は馬鹿みたいに口が堅く、どんな拷問でも口を割らない――だから"そこ"を先に何とかする必要がある】
【パグロームはその点適任だ。捕まえた信者を再洗脳し、信仰を捨てさせるのが休日の趣味なのだから】

だけど、下っ端はロクなこと知らないもんなァ。縦社会のボトムズは捨て駒にされるってなァ、どこの組織も変わらんね。

【そんなことを考えている内に、銃撃は終わる。しかし、凄惨な光景ではないだろう。むしろ数秒前まで鉄火場が有ったことが信じられないくらいの、静寂】
【信者達は数人を残して、影も残さず消え去っていた】
【死んだ人間が消え去る……暗殺では有用なれど、実戦闘において何の役にも立たないこの能力は、しかし彼ら相手には効果がある】
【……恐怖とは容易に伝搬するのだから】


狂信者ってのはよ、拷問とかあんま意味ないんだよな。
どんだけエグいことやっても祈ってりゃ耐えられますってのは、トリビアになりませんかねェ?
だが、"消える"のは嫌だって奴が多い……何でかって?


【短機関銃を片方だけその場に打ち捨てて、男は生き残りの信者の元に歩いていく】
【"ウヌクアルハイ様"――そう唱える、祈りの声を聞くと、男は歯を剥き出して、嗤った】


死ぬのは怖くなくても、その"意味がなくなる"のは嫌なんだよなァ?
信じたくないよな、"死ねばそれで終わり"だなんて。


【場にサーバントの中でもそこそこ立場が上そうなのを2人ほど残した。そのまま彼らは連れ帰るつもりなのだろう】


神ってのも大概タチの悪い生き物だが、人間だって負けちゃあいねェ。
――そう心配するなよ。すぐにそいつの長い名前も思い出せなくなるさ。
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/18(月) 23:05:43.48 ID:y3p367Wa0
>>565

【黒銀の髪に褐色の肌と薄い青色の目を持つ女に見間違える程美しい男セアン・フォールスが暇を持て余して散歩していた時】
【何処からか銃声が聞こえセアンは戦闘体制を取るが自分が狙われて無いと分かると好戦的な笑みを浮かべて銃声の方向に走る】

やっとなんか面白そうな事が起きるじゃねぇか、ココ数か月退屈だったからな暇つぶしには丁度いいだろ。
えーっと聞こえたのはあっちだったけな?まっおふざけはここら辺にして行くか

【セアンは走り出す銃声の方向に向かって少しだけ嫌な予感を感じながら】
【走りながら愛用の槍を創り出し構えながら走る、住民から奇異の目を向けられ少し恥ずかしい思いをして】

着いたっていうかココ邪教のアジトじゃねぇか!!ちくしょうっ俺が先に潰そうと思ったのになぁ…
まぁ、こればっかりは仕方ねぇか。お願いだから楽しませてくれよなぁ

【溜息を吐きながら言いアジトの中に入って警戒しながら進む】
【アジトの中には恐らく教徒であろう物の死体がころがっている】

この傷の付き方からして弾をばらまいたな弾が勿体無いじゃねえか
明らかにプロのやり方だなこれはしかも大分この手の事に慣れてやがるぞこいつ

【アジトの中を進んでいると教徒の中でも地位が高いであろう物に歩いていく男の影が見えた】
【恐らくは何処かの組織の物であろう男は教徒を連れ去ろうとしているように見えた】

チョッッッッッッッット待ったーー!!!!

【空気が揺れたのかと錯覚するぐらいに声を張り叫んだ】

そこの銃を持った怪しい不審者そいつを連れ去るのはそうは問屋が卸さないぜ
チョットお兄さんとお話ししようぜ

【ニヤリと口角吊り上げ男に言い男の注目を惹きつける】

567 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/18(月) 23:31:18.96 ID:5L5gc/1a0
【男が乗り込んだアジトには、銃撃戦の痕跡がまざまざと残ってはいたが――】
【死体は、ただの一つも転がっていない。血の痕さえどこにも残っていない】
【傍目から見れば、誰もいない場所に銃弾をバラ撒きまくったかのような……酷くちぐはぐな様子の現場だった】
【生き残りの信者二人に猿轡をして、両手を頭の後ろで拘束させたまま、帰り道を進む男】
【このジメジメとした季節にそぐわない黒コートにスーツ。片目には眼帯をつけた男にはやはり一滴の返り血もついてはいない】
【短く切った白髪を軽く掻いて、眉根を顰めた】


――アァン?


【やたら元気な声だった。蛇神教徒の増援か?】
【……とてもそうは思えない。平時は割と"それっぽい"相手ならば、無実であれ、手を出すことも有る男だが】
【ここまで露骨に違うとなれば、気勢を削がれるのも無理なからぬことだろう】
【片方だけになった小さな瞳をギョロリと動かして、相手の様子を吟味する】
【蛇神教の情報を横取りにしに来たのか?それとも何も知らずに入って来た野良の能力者か?】
【ノコノコこんな場所に突っ込んで来ると言うことは、相応に腕に自信が有るのだろうが――】

【男は戦闘屋ではない。蛇神教でない相手と無駄に戦う趣味はないし――それで怪我をするのも馬鹿らしい】
【ニヤリと好戦的な笑みを浮かべる男を一瞥した後、捕えている男二人に目を向けて、苦笑いのように、嘆息した】


やっぱり、神様っていないんじゃあないカネ?
"ツイてない"ぜ、オマエら。


【躊躇の無い銃声が、二つ――頭を撃ち抜かれた蛇神教の男達は、人形のように崩れ落ちると、その場で何かに喰われるかのように、消滅した】


さァて、身軽になったところで、用件を聞こうかい、お兄サン?
それが宗教勧誘だってのなら、俺も銃を抜く理由になるんだがねェ?
クックックック……
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/18(月) 23:55:51.50 ID:N139omMg0
【街中――並木道の通り】
【時刻は夜半時であった、膨らみゆく三日月が空にあって、道沿いに点々と等間隔で配される街灯は、予算がないのかちらついている】
【であれば人通りはないに等しく車も通らない。――唯一あるのは人影が一つ。だからこそ"人通りはないに等しい"】

…………はい、もしもし。私ですよ、何か用事ですか? ――はい、はい、……ああ、"また"ですか?
まったく、いくつ目ですかね。ずいぶんと熱心なものです、――そんなに我らがお好きなら、入信したらどうですか、と、お伝えください。
会う機会があったらですよ。その時は私からの伝言だと伝えてもらって、結構ですよ。喜ばれるんじゃあ、ないでしょうか? ――分からないですけども。

【幅広い道路の真ん中に、人影が一つあった。ゆっくりと急ぐでもなく、どこに向かう様子もなく。聞こえて来る声があったなら、電話でもしているらしい】
【苦々しいような声だった。なら、もし、誰かが人物の表情を見たとして――そこにあるのは声音に違わぬ不愉快そうな顔だ。数分ほど会話をしたなら、電話を切って】
【ポケットにしまいこむ――その直後から、かつかつ、と、足音が鋭く荒くなる。足取りもどこか乱暴になって、――夜の中、いくつも、いくつも、足音が重なり合うなら】

【――透き通るようなウィステリア色のロングヘアに、真っ白な肌。それならば鮮やかなマゼンタ色の瞳は否が応でも目を惹いて、思わず目が合いそうになるほど】
【華奢な首筋の細さに反した豊かな胸元、前面をボタンで留めるタイプのワンピースは純白の色合い、足元は惜しげもなく露出させて、そう踵の高くないサンダルを履いていた】
【それでも"少女"の背丈は平均よりいくらも高く、170に迫るほどであって。――そう、少女だった。片手、左手だけに白いドレスグローブを纏っているのが、どこか目立つ】

――クソっ、もう、もう少しなのにッ、――、早く磨り潰さないと。正義なんかよりよっぽど害悪じゃあないですか、っ……、もう、!

【――――かつん! と、最後にひときわ大きな足音を立てて、彼女はそこで立ち止まるのだろう。競歩みたいに歩いた距離はそう長くなくとも】
【何か焦らす要因でもあったのか、真っ白な肌がわずかに赤らんですらいた。わずかに荒くなった息を吐き捨てたなら、藤色の髪を、ぐしゃり、とかき上げて】
【そのままざっと夜に払う――恨みがましく歪んだ表情から呟かれたのは、「パグローム、」と、その一言であった】

/一時過ぎくらいで凍結お願いしちゃいますが、それでもよろしければ……!
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/18(月) 23:59:01.46 ID:y3p367Wa0
>>567

【男は教徒の頭を容赦なく打ち抜くと能力であろう物の効果で死体が消え】
【男に冗談交じりの言葉を言われて警告された】

あーー!!てめぇ何してくれてんだよ狂信者の血はいい素材になるのにーー!!勿体無ぇ
んっ?別に俺は邪教の関係者じゃねえぞ、銃声が聞こえてきたから来ただけだしよ。
戦うってんなら俺も容赦しねぇぞ?俺の魔槍⦅awful Virtue⦆が火を噴くぞ?

【まっ別に戦う気もそんな能力もねぇんだけどなとカラカラ笑い】
【構えてた槍を下げて消した、】
【どうやらセアンは冗談が好きらしい】

まぁそんなことより随分と派手にやったなお前さんは
いいんだけどな俺も派手にやるのは大好きだからな、だがなチョット派手さが足んねぇぞ?
やるんならもっと派手にやんねぇとよ、こんくらいにな、

【男に派手にやったなと言い周りを見渡すが死体が一個も無いと残念だと言いながら俯く】
【派手さが足りないと言い再度槍を創り振り回し周りを破壊し笑う】

570 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/19(火) 00:22:47.97 ID:OqlmHNMq0
>>569
馬鹿を言うなよ。お前のせいだろうが……
この爬虫類どもが1秒だってこの世に存在していることが耐え難いってのに。
お仕事のために、我慢して我慢して、捕まえて行こうとしたってのによ。

これは仕方ない!横から掻っ攫われる可能性がミジンコ程でもあるなら殺っちまっても仕方ない!
哀れなもんだろォが、俺も被害者なんだぜ、男女クン。

【手で目を覆うように嘆く。テンションが一度は上がったものの、最早周囲に蛇神教もいないとなれば、それはすぐに下がる】
【ふー、と長く息を吐き出した後に男の言い分を聞く】

狂信者の血とか言う、採ったらカルマが下がりそうなアイテムをご所望で?
そいつは残念だったな。あァ、でもこの奥に貯め込んでた生贄が有るみたいだからそいつらから取ったらどうだ?
活きは良さそうだし、生贄に選ばれるくらいだ。それなりに良い血をしてるんじゃァないかね。

【知らんけど、と付け加える。元より諸共消し去るつもりだったが、欲しいのなら譲ってやると、親指で自分ん後ろを指した】
【派手さが足りないと言う言葉と同時に槍で周囲を粉砕する男に、もう一度眉を顰めて見せて】
【想像通りに、いざ戦うとなると厄介そうだ。荷物も"下ろした"ことだし逃げるのが得策だろう】


ご近所迷惑で申し訳ありません。
しかし、蛇神教の関係者じゃないなら、俺にも戦う理由はナシ。
こう見えて節約家なもんでね。奴らにぶち込む弾丸は1発だって惜しいところだ。

――お前も力が有り余ってるようじゃねェか。
いけねぇなァ?適当に暴れるだけじゃ。俺のようにもっと世のため人のためにカロリーを使うもんだろう?


【大仰に肩を竦める。既に戦意は無いらしく戦闘態勢は解いていた】
571 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/19(火) 11:51:00.20 ID:+pS7Iwd/O
【水の国の路地裏では、今日も暴力の音がしていた。殴る音、叩きつけられる音】
【あながち危険な目に遭いやすいそこには、やはりごろつきのような連中はいる】
【壁に追い詰められた不良は、焦った顔で胸ぐらを掴む彼女に弁解していた】

「おッ……お前も、もうやめろよォ!!──お願いだ勘弁してくれェ!オレは財布盗んだだけなんだぁ!」

いやなに、それに関してはとても怒ってはいるが。
しかしてワタシはキミの事がスキなのだ、そうそう悪いようにはしないのだよ。

「は、はあ……?」

そうだ!そう、なに聞きたい事があってだな。無理はさせない。
≠ニいう人物を知っているか?


「え、ええ……?わか……いや、名前だけしか……」

……うむ、ありがとう!ならば了解したぞ。
あまり悪いことはするものではないぞ!ではな!

【と、すぐさま胸ぐらから手を離し、不良に対して不躾に頭をわしゃわしゃと撫でると】
【彼女自身が、先ほどの不良に殴られた青あざを光に照らし出され。鼻血を白衣にぬぐい】


……少し疲れたな。眠いのかもしれない。
……確実たる収穫を……早く会わなければ。……


【ぼそっと呟いて──少しだけ焦燥した目つきで、あまりよろしくない心持ちで、ふらふらと歩いていた】
【黒髪で、肩ほどまでのセミロング。髪の中腹から毛先が白く脱色されている若い20ほどの女】
【瞳は緑。何か特殊な加工でもしてるのか、瞼の落とす影でほのかに蛍光発色をしていた】
【白衣を羽織って、白のワイシャツの胸ポケットにスマートフォンを刺している】
【くっきりとした色合いのグリーンのスキニーパンツを履いて、足元は黒い革靴だ】
【手には黒い革手袋を履き、最後に、その頭には赤縁の眼鏡が掛けられている】

【その片手には、盗まれた財布を掴んだまま、疲れ切っていたために、路地裏の奥へと歩を進めていた】
【そんな女だ、そのさまは格好の餌食にもなり得る──】

/お昼休憩中のため、13時までお相手して頂いたら置きに移行になります…!
572 :リベル=アシェル&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/19(火) 20:53:37.33 ID:No9aWrHT0
>>532

<そう――――先の事を考えるしか、無いんですね――――>
{全く……ありきたりな物言いだけど、過去は変えられないから、未来を変えるしかないのよねぇ……どこの熱血マンガ? って話だけれども}

【今は、今を信じて未来を走るしかない。そこは、ロッソの言う通りだろう】

<ハートは別問題、ですか――――確かにそう、私は兵器です――――心が折れた、なんて、立ち止まる理由にはなりませんね――――ッ>
{あぁ……なんか分かる気がするわぁ。ねぇランド?}
「だな……要するに、余計な事に気を取られるって「自分が薄まる」んだよなぁ。余計なもんは余計なもんだ……
 それで自分の純度を薄めてると……肝心な時に濃い力を出せない。研ぎ澄ませて、待って――――力を放つのは、大事な時だけにするもんだ……」

【その人生観は、2つの人魂たちの間でも理解される感覚の様だった】
【本当なら、雑音になど惑わされない生き方をする方が、よっぽど建設的だ。そんな風にして生きられる世界なら、最上だろう】
【それは欲望に正直になるという怠惰にも紙一重だが――――命は、己が満足するために生きるものだ】

「さてな……俺たちはまだ、ここには噛み込んだばかりで、ハッキリと見通しが立ってる訳じゃないからよ……お前らも知恵出せ」
{そうは言ってもねぇ。さっき「この形にはこの形になった理由がある」って言ったのかしら?
 なら……連絡の頻度を上げるっていうのは、確かにありきたりな解決法だし、新しい問題を抱える事と、トレードオフなのよねぇ……}
……連絡の回数とか頻度を上げちゃダメって事なら、連絡の……1回1回の意味を強くするって事……?
<いえ、それは――――事態の進捗や、情報の質に左右されます。構造の問題とは言えません>
「…………――――俺たちゃ、さっき話した仲間の元、この指輪のネットワークとは別にある程度のまとまった戦力抱えてるんだ
 そういうのを、各人で作ってみるってのは……良くはねぇか? 連絡の価値を上げるなら。メンバーそのものを中継所として、波及させるってのがアリだと思うんだが」
{……いざとなっても、一蓮托生とはならない程度の、お手伝いって事かしら?}

【ネットワークの力を最適化するならどうするか――――その命題は予想以上の難問と言えた】
【あれこれと合議はすれども、これと言う策は出てこない。思い当たると言えば――――自分たちの、特殊な連帯構造を、フィードバックさせることぐらい】
【密度を高めずに連絡の効果を上げるなら、単純に母数を増やす。ネットワークの『下』に、ぶら下がる戦力を用意する――――それぐらいしか、思い及ばなかったらしい】

<馬鹿なっ、そんなはずは――――ッ!? っ――――ぁ、いえ――――
 ――――それなら、それで構いません――――ここにいない、もう1人の、カニバディールから指輪を託された仲間が、言っていました
 「所詮寄り合い世帯、『黒幕』と戦う事しか共有できない面々なら、多少の意見の相違はあって当たり前だ。ただ、裏切らなければそれで良い」と――――ッ
 ――――その事には、何も言いません。お任せします――――ッ>

【思わず声が出た。ラベンダァイスの態度は明らかにロッソに食って掛かるそれだったが】
【そんな自分の言葉にも、違和感が働いたのだろう。ぐっと続く言葉を飲み込み、ただ「自分は何も言わない」とだけ返した】
【「神様である事は、気持ち良くてやめられないんだ」などと言っていたあの態度を――――そして、本人も気づいていない、そこにオーバーラップしている感情の根源である悪魔の顔を――――思い出しながら】

{……ここにきて、情報の足りない敵、ねぇ……流石に、潜入するとなると危険すぎる集団だし、威力偵察でとっ捕まえて来て、拷問……いや、そりゃないか}
「あぁ、そういう相手は多分吐かねぇだろうぜ――――魔術の心得のある仲間に頼んで、頭の中を覗くような事出来ねぇかって、聞いてみるぐらいだな……」
……それ以前の問題でしょ!? 拷問なんて、人のやる事じゃ、ないよ……深淵を覗くものは、なんとかって……そう言うでしょ……

【確かに、サーペント・カルトの最近の動向や目的が分からないのは痛い。正面切って戦うには、自分たちの戦力も足りない】
【もう1つの課題を突き付けられた格好だ。彼らの思索は続く――――】
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/19(火) 22:03:55.80 ID:jt+9EJ7U0
>>571

――――――――、クソッ、探さなくても来るくせに、探してもいないとか、どうかしてます、――どうかしてる!
もう少しなのに……これ以上邪魔されるわけには。――――早く見つけて殺さないと。パグローム……、――クソ、クソッ! もう……――もうッ!

【――がしゃん、と、鋭く、けれど鈍い、金属の音がした。それは相手の進む方向でありながら、わりに近い位置であり】
【であれば――相手が目を向けさえすれば、その人物を認めることはたやすいのだろう。――少女であった、考えようによってはこの場には不釣り合いなほどに、白い少女】
【音の元凶は蹴り飛ばされたと思しき金属のゴミ箱。がらりと転がったならば中身がぶちまけられる、――生ごみ。いくらかの鼠と不快害虫も驚いたように飛び出したなら】
【まるで八つ当たりのように――いや、まったくの八つ当たりで、少女は虫の一匹を踏みつぶすのだろう。ざりとかかとですりつぶしたなら、荒いため息、一つ漏らす】

【透き通るように薄い藤色の髪を乱雑に掻き上げた、そうして払ったなら、興奮に赤くなった肌がよく見える、だからこそ、色の白いのまでがよく目立ち】
【ぎらぎら何かを睨みつけるような目は鮮やかなマゼンタ色。いらだった様子で顔を手のひらで拭うなら、真っ白の素肌と、同じくらいに白い、左手だけのロンググローブが映えて】
【白色のワンピースだった。ふっくら豊かな胸元を窮屈そうでなく包んで、腰元をぎゅうとベルトで締める、ならばその腰の細さが浮かび上がるように彩って】
【真っ白の素足を惜しげもなく晒しだしていた。その足元はかかとの低いサンダルであり、――そのくせ本気で蹴り飛ばしたのだろう、金属のごみ箱はわずかにひしゃげていたなら】
【――はあはあと荒い息。口汚い罵倒語をいくらか呟いて――最後にもう一度だけ「クソ」と呟いた声は、どこか甘やかで。――年頃は17ほどだろうか、まだ、若い】

……何しに行かれるんですか。この先には何もないですよ。ていうか。誰もいませんでした。しばらく歩きましたけど。
ナンパされに行くのならオススメしませんよ、その財布カツアゲされてヤられて捨てられるのが関の山です。――――はあっ、

【――――そんな少女が相手を見咎めた。苛立ち紛れであったなら向ける目と語調は鋭く、けれど、言葉の内容そのものは、どこか、相手を気遣うのに似て】
【感情を落ち着けるように何度か吐息を繰り返す――腰までのロングヘアを手櫛でざっと整えたなら、それで、やっと、少し落ち着いたようだった】

/まだいらっしゃってよろしければ……!
574 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/19(火) 22:13:11.62 ID:6ENLUwuG0
>>573
//同居人よりですが、今から返信するようですー!
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) :2018/06/19(火) 22:29:32.83 ID:J7HAh9pt0
【廃墟――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を[ピーーー]と意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【……近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ……“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【……悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】
576 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/19(火) 22:39:24.33 ID:6ENLUwuGo
>>573


──ぬ゛っ!!!


【疲れていた為に、背後から聞こえてきた愛らしい怒りの声、ゴミ箱が転がる音、それに対して】
【一瞬地面から浮くほどにぴょいんと跳ね、目をまんまるにしてそちらを振り向く】
【さまざまな状況が一気に襲いかかった為、驚愕と動揺でしばらく固まっていたものの】
【素直に、美しい容姿だとしばらく見惚れてしまった。ぼーっと眺めてから我に帰り】

……ありがとう!キミはイイ人だ!ワタシはスキだぞ!
うむ、そうだな。コレはヒトの財布なんだ。また盗られたら元も子もないな……。

とはいえ、そんなに怒っていては美人が台無しだ。
何だろう、その……パグローム?というヤツがキミにヒドイ事をしたのか?大丈夫か?

【財布を抱き締めながら、気恥ずかしさに目線をしどろもどろさせ答える】
【突拍子も無くスキ≠ニ伝えたのちに、疲れ切っていたながらも笑顔で問いかける事が出来た】
【何故なら、気遣ってくれたからだ。それだけで彼女の事は信頼に値すると思った──心からとは、言えないものの】
【[ピーーー]≠ニいう単語が聞こえた以上、笑いながらも、警戒と共に距離を付かず離れず詰めていく】

(……闇との繋がりがあればよいのだが)

【──そう、ここは路地裏だ。彼女に対して警戒には怠らない】
【以前の出来事でそう学んだ。ヒトは何かしら裏があると分かっていても】
【……前の自分のように、頭ごなしに全てを信頼してはいけない】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/19(火) 22:57:11.03 ID:jt+9EJ7U0
>>567


イイ人――ですか。ありがとうございます。ですが、我らの目指す"善い人"というのは、また違ったものでありますから。
そうですね、お言葉だけ、お気持ちだけ、いただいておきましょう。――はて、人のお財布ですか。人のお財布を持ち歩いているだなんて、珍しいですね?

……――ええ、はい、その通りです。パグロームという男に日夜嫌がらせをされているんです。大事なものを壊されたり、せっかく集めた大事なものを、消されたり――。
あなたは見かけたこと、ありませんか? とても短い白髪の男。"我ら"の邪魔をするもの。――とても、とても、とても。困っているんです。

【いろいろな行為の果てにようやく落ち着いた――そうして言葉を紡ぐなら、少女の声はきっと涼やかで甘やかだった。スズランの蜜のような風合い、凛と佇むように】
【まだかぁっと頬はわずかに赤いんだけれど、それでも、表情は落ち着きを取り戻して。であれば、こちらもまた整った様相、珍しいと言いながらも咎めることはないのなら】
【くすくす、と、小さく笑うだけだ。――不思議な言葉の使い方をした。我ら、というには、少女はあんまりにもただ一人すぎるのに。ならば、わずかな違和感が】

【――そうして少女はため息交じりに伝えるのだろう。演技ぶったというよりは、本当に本心の様子がうかがえた、ほんとに、本当に、――憎々しい】
【ぐうと形のいい眉をひそめたならば、また苛立ち交じりの吐息が漏れる。――ひどいストレスの負荷がかかっているような顔、声、様子、――それでも、気づくのは】

――どうされましたか? ひどくお疲れのようですね。今日は私も疲れました、ストーカーのストーカーをするほど好意があるわけじゃなくて。
良かったらお茶でもいかがですか、もちろん、無理にとは言いませんけど。

【相手の、その目。追い詰められたような目。焦燥した色合い。わずかに興味を持った、それは気まぐれかも、しれないんだけれど】
【なんだか今日は疲れてしまった。――何時間も歩き通していた、とは、言わないけれど。そろそろ少しくらい休まないと、かえって効率が悪くなると判断した、と言い訳して】
【少女は相手を誘うのだろう、――であればそこにあるのは善意であった。1人でお茶を飲む気分じゃないという理由だって、疲れた相手を気遣うことに問題はないから】

【――にこりと人当りのいい笑顔。それでもどこかで冷たさがあるから、それは野良でも気高い血統書付きの猫みたいで】
578 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/19(火) 23:25:47.83 ID:6ENLUwuGo
>>575

?……よく分からぬが、イイというコトは、誰かにとって必ず嬉しいというコトなのだ。
キミ……キミたち?も、きっとそのキレイな輝きの、ヒトツなのだろうな。キミの夢も、叶うと良いな!

うむ。先程盗人が大通りで盗ったモノなのだ。
……そうだ、さっき盗まれたヒトに返さなきゃ……。
電話で連絡して……交番に……。

……少し、疲れたな。
……電話を入れたら、急がなくてもいいか……。

【我ら>氛氓サのニュアンスに奇妙を抱きつつも、にこりと微笑み】
【その善い≠ヘ否定もせず、受け入れる。それが彼女達にとっての、かけがえない心を満たす幸せならば】
【彼女がその行いをして幸福になるのなら、
【そして財布に関して、取り返したものの、返す∴ラの行為に少々の煩わしさがあるようで】
【余裕が無い様子で切羽詰まった声音を──ふと、その言葉に反応する】

……なに、なんと!パグロームとはそのような悪漢なのか!?
キミは可憐だ!故にストーカー被害というのは全く持って深刻なのだよ!
そのパグロームに、下着ドロや盗撮なんかされた日にはたまったモノではない!

さりとて、ワタシはその彼を見たコトは無いが──
キミが困っているのなら是非ともワタシは助けになろう!

【──と思えば、食い気味で彼女のストーカー話に返答する。気分次第な人格であった】
【あとからお礼を言われる通行人よりも、正直、いまこうして触れ合ってくれてる彼女へ情が沸く】
【そんなワガママな理由から、ばっ!と片手に顔を覆うポーズを急にした。ダサかった】

ワタシは兼愛信生!22歳!花も恥じらう科学者だ!

そうだな、ワタシも少々根を詰め過ぎた。
ワタシはキミに、臆病ネズミみたいにおずおずと頼もう。
……是非ともキミと、お茶をさせてくれないだろうか?

【と、やや背中を丸めて、へらりと微笑み、問いかけた】

【──何より、近づかなければ、という思考ではいた】
【なおかつ、今こうして優しくしてくれるのであれば、問いにも答えてくれそうだと】
【普通にお茶が楽しそうではあるとは思ったのだが】
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/19(火) 23:41:16.55 ID:jt+9EJ7U0
>>578

【――――危うい顔をする人だな、と、思った。少女はスズランのように冷たく甘く冴えた顔の裏側で、そんなことを考えていた】
【――であればこそ。救わねばならないとも思うのだ。善人であるように思えた。――間違えた善を積んでいる。そして、そのために、疲弊し始めている】
【ならば正しく善を教える必要があるのではと考えた、――限りなく善意から。あんまりに当たり前に少女はそんな風に、考えていたなら】

――あはは、蜜姫かえでです。17歳です。年齢の名乗り必要でしたか? 信生さん――、科学者の方だなんて、街中で初めて見ました。
"科学者"って生き物は研究室から出ることないと思ってましたよ、彼ら、研究室の中で一生を終えるつもりなのかな、って、思うくらいに――、――そうですね。

私が誘ったので、そんな風な言い方はしなくって、大丈夫ですよ? 何か希望はありますか、――ううん、そうですね、私が行きたいところにしましょう。
あなたはとても疲れているみたいですから。大丈夫です、安心してください。おいしいお店を知っていますから――、ね、そこで、一緒にお話しをしましょう?

きっとそれが"善い"です。

【転がすように表情が笑む、軽く漏れた笑い声はどこかあどけなさが混じっていて、相手よりも片手分若い年齢を告げた、花も引きこもってしまいそうに思えて】
【面白がるように相手の名乗りをなぞる。研究者をなんか変な特性のある生き物かなんかと思っていそうな口ぶりだった、少し失礼で、だけど、興味を匂わせたのなら】
【――そうしてたしなめる。臆病な鼠のように振る舞う必要はないのだと。相手に尋ねた言葉は、けれど、すぐに彼女自身の言葉によって、遮られ】

【いい場所があるから、行こうと――誘うのだ。相手が同意を示したなら、彼女は、当たり前に街の方へ戻っていくだろう。相手の遮るタイミングを絶妙に隠しこんだなら】
【――果たして案内する場所はありふれた喫茶店の一つだった。チェーンではなく個人経営の店。地面と同じ高さであるのはレジと調理場だけで】
【客のための席は半地下のようになっているか、ロフトの上のようになっている二階か。席はいくつかしかなくて、店自体もすごく細長い。調度品もBGMも店主のこだわりで】

――――今日は私が代金を持ちますよ。どうぞ、お好きなもの、召し上がってください。とても疲れた目をしていらっしゃられる、心配ごとがあるのですか?
私でよければ。なんでもお話を聞きますよ。誰かのために動こうとするあなたがそんな顔をする必要はないんです。――ですから、聞かせてください、何にお困りですか?

もちろん。私にお手伝いできることでしたら、お手伝いしたいです。――信生さん、あなたはきっと、とても、優しい人だから。

――ですけどね、私には、気遣いをしないでください。そうですね、私のことは、そこらへんに置いてあるキュウリくらいに思っていただけたら――。

【彼女は半地下の方に相手を導いた。そうして可能であれば相手を壁の方へ、自分が通路の方へ、――座ろうとして】
【メニューを差し出して笑う。――人当りのいい笑顔だった、どこか人懐こくて。けれど必要以上に媚びなくて。――あなたの話が聞きたい、と、態度が、訴えてくる】
580 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/20(水) 00:19:45.54 ID:j+PkHg25o
>>579

【──とても優しくて、ドキリ≠ニした。というよりも、予想していたものよりも優しかった】
【本当に年相応の少女だった。もしかしたら先程の[ピーーー]≠ニいう発言すら】
【若いからこその気持ちから出た言葉でしかないんじゃないかと思うほど、──とはいえ】
【どことなく、怖いくらい@Dしいとも、今の信生には思えた。やや、ぞっとした】
【それは、裏表ない慈母のような善意に思えたからこそ。微笑みが──】

【「うむ、蜜姫かえで……カエデちゃんだな!よろしく頼むぞ!」】
【嬉しそうに返答したのち、ワーワーと縮こまって嬉しそうに喫茶へ、そして──言われるがままの席へ】

あ、ありがとう!と、とても良い店だな……緊張する。
……うむ、やはり若いからか、写真映えしそうなセンスの良さが滲み出てる!
御察しの通り研究者というのはカビの生えたイキモノだ、そしてワタシはオンナとして死んでいる!
こういう店は楽しいモノだ!

【喪女です≠ニ自己申告して胸を張り、そのうえで楽しく返答する。実際彼女は近しく、嬉しい】
【気兼ねない話をしたのも、アイ以外は久しぶりだ。こんなに談笑したのも、愛らしい笑みが返ってきたのも】
【だからほだされていた。それでも目的は忘れちゃいけないと思いながら、それでも──】

──え、ええと、本当に良いのか!?
奢りとは気が引ける……あ、ありがとう。
そ、そんなに良くしてもらっていいのだろうか……うむ、……冷たいキャラメルマキアートのアイス乗せを……。

【とはいえ、流石の待遇の良さには、再びやや警戒する。煮え湯パターンとして、何か壺とか買わされるのだろうか……と】
【そのくらいの警戒ではあるのだが。しかし、席などに関してはノーマークだ】

……では、言おう。ワタシは今からとてもキミに失礼な事を聞く。
……それはとても失礼だから、今のうちにごめんなさいをする。出来れば、怒らないでくれたまえ……。

──キミは、裏の世界≠ノ近い仕事をしているだろうか?

【と、そこで──彼女も注文をし終えたら、本題≠ニして切り込んだ】
【単刀直入に聞く。ここで変に誤魔化さない方が、良いはずだったから】

ワタシはヒトを探している。──ブラスフェミア
この名前に聞き覚えは?冒涜者∞裏社会∞研究者

カエデちゃん。ワタシはキミを信頼して、ワタシはキミが尊いからこそ、偽りなく聴きたい。
ワタシ自身散々デマをかまされたもので、今は少しだけ余裕が無い。
分からなかったら、それで良いから──頼む……。

【──続けて、勢いのまま更に切り込む。問いかけを続けた方が良い】
【かえでも路地裏を歩いていた。ただ歩いていただけなのなら、全く問題無い】
【むしろかえで自身が安全な世界で生きている証だ、喜ばしい限りなのだが】
【何かしらの接点があるはずだと、身勝手ながら、そういうところにも──掛けてしまう】

【彼女に対して、話していくうちに、徐々にくしゃりと表情を歪めて。その後頭を下げた】

/かえで人さんすみません、めちゃ楽しく、そしてそろそろ寝る時間に…
/今日はありがとうございました!以降を、置きに移動してもよろしいでしょうか?
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/20(水) 00:22:49.52 ID:ezNR0ZNR0
>>580
/りょうかいしましたっ、可能そうでしたらこの後置きにお返ししておきますので、どうぞお先に休まれていてくださいっ
/ひとまずおつかれさまでした!
582 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/20(水) 22:06:01.18 ID:GgJ2+mR+0
【――――百貨店、コスメショップエリア】

【数日前のことだった。某有名ブランドの、ロングセラーのルージュに新色が出たという】
【夏を先取る限定色、パッケージまで専用の可愛らしいヤツ。その情報がSNSに出れば】
【あっという間にミリオン単位で拡散された。「かわいー、絶対ゲットする!」ってコメントがいくつもついて】
【……だから、売場は最早戦場のようだった。着飾った少女たちが我先にと、可愛くない値段のそれを奪い合う】

【――――その中に、彼女もいた。赤髪赤眼、ストリート系ブランドのパーカーを着た少女】


……………………、

【最後の一本、だった。それを追い求めるうちに、誰かと手が触れあったかもしれない】
【ぶつかるような勢いだったから、一瞬だけ躊躇したみたいに固まって。触れた相手をじっと見てから】
【「あ、ごめーんネ」。めっちゃ白々しい声色でそう、一応謝りつつも手先はしれっと、止まらない】
【最後のルージュをひったくろうと動くけど、様々な方向から伸びてくる手と争って】
【もみくちゃになっている、もう、くっちゃくちゃに。被っていたフードが取れる、その下の髪の毛もぐちゃぐちゃに】

……あ゛ーーーーッもうっ、ダメっ、あたしが一番だったもん!
これはあたしのモンだよ! もう何日も負けてンだから今日こそは、今日こそはっ!
ぜったい誰にも譲らないもん、あーっ離して、離してってばあ! 今日こそ絶対買うんだったらあ!!

【うるさい。ぎゃあぎゃあ。他の少女たちと言い争いになって――肝心のルージュ、ほったらかしになっている】
【漁夫の利ってやつで、今ならかるーくかっさらっていけるかも。そう予感させる程度には――隙だらけだった】


//よやくです
583 :ミレーユ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/20(水) 22:31:14.60 ID:Ks68tOdV0
>>582

【 ── そんなショッピングモールの小綺麗な一角に、まったく悠々と歩き来る人影が、ひとつ。女性にしては、割合高めの身長だった。】
【季節感なんて何処吹く風か、手の甲まですっぽり隠したゴシックロリータ。けれど短いフリルの下から見える真っ白なストッキングは、タイトな細さをさり気なく、否応無く、見せつけていて。】
【その指が握るのは、板チョコレートを象った、ビレバンで売ってそうなカバーに収まったスマートフォン。SNSのリア垢で、何か至極適当なことを発信していて、速攻で囲いから「いいね」がついて】
【然し顔立ちは、肉眼で見ても盛ってるとしか思えないくらいだった。まっしろだけど、決して厚塗りでない肌。愛らしく色づいた頬と唇。すらっとした鼻梁。くりっとした両目。眉上ぱっつん黒髪ロング。】
【 ── 有り体に言えば、オタサーの姫に手脚が生えて歩いてる、みたいな姿をしていた。気取ってカチューシャを一撫で。ビデオ撮って本垢に上げたら1万くらい拡散されそうな争いを横目に、】



「 ふ ── 。まったく、お馬鹿さんたちめ。」「もーらい。」



【 ── およそ純真無垢な青い双眸を、一瞬だけ下衆く小狡い愉悦と嘲笑に歪ませながら、悠々と最後の一個を掠め取っていった。】
【であれば少女と視線が会うかもしれない。 真っ赤な髪の毛、真っ赤な瞳。── V系のコピバンで椎名林檎とか歌ってそうな顔だな、とか失礼な事を思うから、表情にもそれとなく出てくるかもしれない。】
【とはいえ、そのまま実にゆったりとした歩調でレジに向かう。こうなると分かっていて敢えて遅れて来たらしい。ひらり、スカートがひらめいた。】
584 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/20(水) 22:46:25.16 ID:GgJ2+mR+0
>>583

【「彼」がラストワンを手にしたころ。ちょうど少女は、ごちゃごちゃの中からぺいっと弾き出されていた】
【それでぺたんと両ひざを床につけて、あ゛ーとかわ゛ーとか喚いて。再び立ち上がって争奪戦に戻ろうとして】
【――――気付く。やられた。きついまでのツリ目がぎりっと尖って、「彼」を見る】

ちょ、ちょっ…………っと、ちょっと待ってよぉ、ずるいっずるーいっ!!
あたしが一番だったのに!? なんでこんな目に遭うワケぇ、ってゆーか、
あんた今あたしのことバカにしたでしょ!? 目で! わかンだよそーいうの、っ……

――――あーーーー待って待って!! 待ってってば、交渉させてっ!!
あたしそれ目当てでもう何日も連敗してんの、今日こそは絶対ほしいのっ、ねえちょっとだけでいいからっ!
会計いかないで、おいてかないでえ――――足いった!! 誰いま踏んだのっ!!!

【うるさい。めっちゃうるさい声で必死に引き留めようとする、がつがつ、近付いてくる足音もいやに必死な音量で】
【見れば何故だか真っ赤なロッキンホース・バレリーナを履いていた。パーカーに合わなくない? とか】
【そもそもそれいつの流行り物? とか、バカにできる要素は多々ある、それはもう、多々】

【そんなこんなで、ろくに弾けもしないギターぶら下げてパワーコードだけじゃかじゃか鳴らしながら新宿は豪雨とか歌ってそうな、少女】
【めっちゃ必死な顔して、情けない表情で、ミレーユの前に立ちはだかろうとする、けど】
【……交渉ったってお金はそんなに持ってなさそうな感じはする。だったら代わりに何しよう、とかもあんまり考えてなさそう――】
585 :ミレーユ ◆1miRGmvwjU :2018/06/20(水) 23:01:54.56 ID:Ks68tOdV0
>>584

【 ── そのシャウトが自分宛てのものであると気がつけば、くるりと片脚軸にして、実に気取った振り向き方をする。深夜アニメのヒロインがやりそうなやつ。長い黒髪がばらけて舞った。】
【剣呑な視線には全く気押される様子はなかった。それどころか堂々と見つめ返すだろう。いつでも潤んでいそうな青い瞳が、にんまり目尻を笑わせていた。】
【 ── がつがつ音を立てて来て、鼻先まで迫られたのなら、ちょっと引きかけたような及び腰にもなるけれど。それでも、怖がる様子はなく。そこそこ荒事慣れしていそうだった。】


「言い掛かりで食ってかかるのは止してほしいかなぁ ── 。」「ボクは至って正当な遣り口でこれを手に入れたつもりだよ。」


【隠すこともなく小馬鹿にするような口ぶり。真っ赤な唇が饒舌に動いていた。もちろん視線は逸らさずに、片手で収穫を弄びながら】
【服装に関しては ── まあ、「彼」も趣味でやっていることだから、あまり罵倒はできない。バカにしてやっても良かったけど。】
【 ── けれど少女がいきなり平身低頭になるなら、やっぱりそれは一瞬だけど、引きかけて。】


「 ……まあ、単純に転売したとして、3倍くらいの値は付くだろーねー。」「もちろんボクとしては全然そんなつもりないし、自分の為に買ってるワケだけど。」
「こうして楽に手に入れる為に、其れなりに考えたつもりだからなぁ ── 。」「まあ、あるんじゃない? 誠意ってヤツ。ねぇ?」


【とはいえ全力な小悪党っぷりがメイクの下から浮き出ていた。背丈としては歳上に見えるだろうし、事実として歳上だろう。其れを「彼」は知る由も無い、けれど】
【甘ったるく媚びるような声をしている癖に、言っていることは凡そ脅迫じみていた。大人げなかった。くすくす笑っていた。黒縁の丸眼鏡の奥で。】
【くいっ、と白い指が其のフレームを上げる。 ── フリルの下、女性にしては少しばかり、手の甲が筋張っていた。】
586 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/20(水) 23:17:21.03 ID:GgJ2+mR+0
>>585

うそっ、絶対タイミング見計らってたじゃんっ、横取りしたもんっ……
……えっうそっ3倍もする!? 値引き交渉しちゃダメ!? うう……
誠意、誠意って……えっと……、……、……

【ぶつぶつ言いながらもパーカーのポケットを探る。折り畳み式の財布を出す】
【中身を確認して――目当てのモノがぎりぎり買えるだけのおカネしか入ってないことを、確認したら】
【ううと呻きながら肩を落とす。それでもなんとか、なんとかして手に入れたいって気持ちは潰えなかったらしい】

………………えっと、……ごはん、……あの、最近酒場でバイトをしておりまして、
そこでのごはん、当分の間おごらせていただきます、けど……それだけじゃダメ、ッスか……

【考えに考え抜いてその程度しか思いつかなかったらしい。であるなら、おつむの出来は相当残念】
【恐る恐るといった調子でちょっと媚びつつ上目遣いに見やるけど――まあまず効かないだろう、「彼」には】
【ぐぬぬ。内心すっごい歯噛みしながら、なんかないかなんかないか。ずっと考え込んでいて、けれど】

――――……ん? あれ? ……手ェめっちゃ男じゃん。そーいうシュミの人?

【見えてしまったらもう、集中がそっちに向いてしまった。何気ない口ぶりで訊ねる、デリカシーはゼロである】
【ちょんちょん、と自分の手の甲を指差しながら。「女の手じゃないよネ」とか言ってくる、悪気ももちろんゼロである】
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/20(水) 23:21:23.42 ID:ezNR0ZNR0
【路地裏――――奥まったところ】
【そこに旧いビルがあった。もう十何年も前に放置されて、そのあとに、どんどん周りに建物が建ってしまったから、壊すに壊せなくなって】
【それでいて当然老朽化していくならいつか倒壊してしまいそうなあり様、――けれどそんな場所だのに、立ち入り禁止を示すチェーンが、なぜか新しい】

【――近頃、噂があった。そんな古い建物に、何か集団が出入りしているのだと言う。ありふれたチンピラとは違う様相であったなら、カノッサではないか、などと噂があり】
【だけれど、こんなふうに囁かれることもあった。「――――最近流行りの蛇教ではないか?」と。曰く、蛇の入れ墨を入れている男を見た、とか、なんだ、とか】
【であれば。このような路地裏の場であっても、その場所は恐ろしい場所として避けられていた。ならずものも迂闊には近寄らない。――――そういう、場所であったなら】

…………煙草の臭いで銘柄って分かりますかね? なんか、こう、煙草の臭いみたいな煙草なんですけど。
……そうですか、分かんないですか? じゃ、クビで。……――――嘘ですよ。別にいいです。ただの雑談なんで。

もしかしてほんとにビビりました? ――それより撒き餌になってることにビビった方がいいですよ。"絶対"来ますから。

それにしても世も末ですね、私、戦闘要員じゃあ、ないんですけど。……仕方ないです。あいつを野放しにしたまま"臨む"のだけは避けたいですから。

【1階――何もない。何もないが、積もった埃のない部分があった。獣道めいて、2階へいざない】
【2階――これも、何もない。強いて言えば事務机とか。もともとのビルの備品がそのまま放置されている。あとはこれも放置されきったような注射器がいくつか。獣道は3階へ】
【3階――また、何もない。何もないが、強いて言うなら浮浪者が1つの冬を乗り切ったあとのようなゴミがいくつも放置されている。もちろん、これも4階へ】

【4階――――果たしてそこに人が居た。偉そうな席はもともと社長か誰かの物だったのかもしれない、そこの机に、誰か腰かけている】
【その傍らには数人の男たち――だが確かめるまでもないだろう。机に腰かける"少女"こそがこの場において最重要であり、そして、もっとも意味がある】
【事務机に足を組んでその爪先をふらふら揺らしたなら。周りの男たちに話しかけていた、――わざとからかうような口ぶりが、どこか、平和な色合いでありながらも歪で】

【――――淡い藤色の髪。紅紫色の瞳。まだ年若い女。間違いなかった、彼なら知らぬはずはなかった。けれど、こうして会うのは初めてだった】
【オフィウクス・ムリフェン。けれどその人選は違和感でもあった。彼女は贄の調達を主に行っていたはず――】

【――なら、話が早い。つまるところ。重大かつ重篤な障害物を排除するために、配された。そう判断して間違いがないだろう、"わざとらしく""場所まで誂えて"】
【それでもどこかで確信があった。――――必ず来る。だから、少女は、ずっと、ずっと、ずっと、この階に至るための唯一の出入り口を、ずっと、見つめていた】

/ご予約です!Q
588 :ミレーユ ◆1miRGmvwjU :2018/06/20(水) 23:33:33.09 ID:Ks68tOdV0
>>586

【見たところ高校生か大学生くらいだろうか。高校生なら多分あんま頭のいい所には通ってないだろう。校則的に。 ── そんな歳下から金を奪うのは、ちっとばかし良心が痛むが】
【しょせん此の世は弱肉強食。搾取する側に立つ人間が無条件に得をする世界。小悪党らしく躊躇いなく行こうじゃないかと胸を張る。 ── パッド詰めの。】
【外観的に非常に薄ら寒いお財布を見れば、よくもまあそんな経済状況でコスメなんて買おうとしたねぇエンゲル係数いくつ? くらいは聞いてやろうかと思ったけど、まあ、口にはせず。】
【にこにこにまにましながら、中々ふざけた交渉を聞く。それは店長に認めてもらえるのかとか、ボクが死ぬほど食ったらどうするんだとか、心の中で年相応の浅慮さを嘲笑いつつ。】


「中々おトクなプランを提示してくれるじゃないの。ん?」「ホットペッパーのクーポンよか100倍くらいコスパが良さそうだ。」
「こう見えても結構ボク、フォロワー多くってさぁ。近々オフ会とかやろうと思ってたから、どうだろう、そこのお店でタダで宴会開けるなら、悪くないとも思って ── 。」


【 ── そんな軽薄な脅迫は、少女のごく自然なツッコミで、停止する。ネジの切れた人形みたいに、やたら重いフリーWiFiで観る動画みたいに。】
【つんつん。つんつん。やはり其れは硬い。よく見れば喉仏が少し出ている。 ── 胸元でも触ってみれば、清々しいくらい偽物だろう。】


「 ── え。」「やっ、」「おとこ?」「まさかぁ。」
「ボクは至って普通の善良な小市民であり、恋に恋する花も恥じらう乙女なんだ、けど ── 」



【 ── メイクが落ちそうな冷や汗をだらだらさせながら、流石に無理のある言い訳をする。取ろうと思えば、右手のコスメは取れる位置にある。】
【もう一言、もしもデリカシーのない言葉が重なったら、 ── たぶん、「彼」は爆発する。そういう精神状態にある。】
589 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/20(水) 23:46:54.14 ID:GgJ2+mR+0
>>588

は? いやいやいやそーいうのはナシだから、個人で来てよ個人で!
てゆーかそーいうのアレでしょ、オフ会って言わないんでしょっ、なんかアレ、囲い? とか言うヤツ!
あーいうのに貢物もらったりする儀式的なヤツでしょ! マジ無理だからマジ!
あたしの経済的にも精神的にも無理なヤツ、っ、

【やっぱりほとんど考えなしだった。アホ。ぶんぶん首を横に振ってNOを示しつつ、……次の瞬間には訝しげな顔】
【何気なく放ったつもりのワードでここまでぎくしゃくされるなら、きっとなんかあるのかな、とか思った】
【んー、と首を傾げてそれで……なんとなくイイコト言おうと思ったらしい。ふんと得意げに鼻を鳴らして】
【――――先に言っておくけど、イイコト言うつもりで、以下の台詞を言ったのだ。悪気、まじで、ゼロのつもりで】


あ、あー……うん、大丈夫大丈夫。あたしそーいうのに理解あるから。
最近そーいうの流行り? でもあるもんネ、ジェンダーレス男子ってヤツ?
……うーんここまでばっちり女装すんならそれにも該当しない? えー、じゃあ、えっとお……

――――――「オカマ」じゃなくてなんて言ったらいいの? 「そーいうの」。


【――――最ッ高に、最ッ悪に、頭が悪かった。この赤いアホは】
【そもそも当初の目当てだったルージュの話がどっか行ってるし。アホの頭はもうすでに、彼をどう分類するのが正しいか】
【それにばっかり興味が行ってるし。……地雷タップダンス選手権、全国レベルで表彰台に上がれそう】
590 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/20(水) 23:55:07.83 ID:GgJ2+mR+0
>>587
【男は中々来なかった――事実、パグロームと言う男は、今まで一度たりとも彼女の前に姿を見せたことがない】
【いつも留守の時や出掛けている時を狙って襲撃を掛けている――幹部を避けるのはある意味で当然ではあるが、狂戦士染みた男の噂と比較するならば】
【自分の年の半分にも満たない少女から逃げ回ると言うのは、如何にも風聞が悪いことだろう】
【しかし、その臆病な立ち回りのお陰で、彼女はきっと、何度も苛立ちを感じたに違いない】
【一度など挑発めいた落書きまで見せて来たのだから、存在自体は間違いなく意識しているはずで】
【遂には、本来の職務から外れてまで、お膳立てをして見せるほどに】

【見るからに罠。見るからに待ち伏せ――しかし、それでも男は来る、と確信されているのは。きっともう、"その時"まで時間がないから】



【町のチンピラですらおいそれとは近付けないその場所。外から見るなら、寂れたスラムの外観の一つに過ぎないそこには殺意を漲らした狂信者達が詰まっている】
【それは、良い。さながら血を詰めた袋のようだったから】


【少女達には罠を張る準備が十分にあるだろう。男もまた、それと知っての来訪なれば、十分に準備をして来るだろう】
【どこか茶番染みた白々しさが宿った緊張感――男は中々来ない】
【サーバント達も常に緊張を張っていれば、それは疲れることだろう。何より、持久戦ならば飲み物も必要だし、トイレにも行く】
【緊張に倦怠感が混ざり始めたのは、もうそろそろ明け方も近付いてきた頃】

【――音が聞こえる。それは外から。聞き慣れたような、しかしビルの4Fでは早々耳にするものでもないような、それは――エンジン音】
【刹那、恐らくは木でも打ち付けて塞いでいただろう窓ガラスを諸共にぶち破って、バイクが突っ込んで来る!】
【"縦"では窓に収まらないから、わざわざ車体を横に倒しながら、隣のビルの屋根から跳びでもしたのか、冗談のような超重量の慣性を宿したそれは、窓際にいたサーバントの一人を轢き殺して、そのまま壁に激突した】


オッス、お嬢サン!
あ〜そ〜び〜ましょ〜う?
クヒッ……クヒヒひっ!!


【中破して、最早走るに耐えなくったエンジン音に紛れながら、唸るような声が、響く】
【季節感のないスーツを全身に纏った短い白髪――誰に傷付けられたのか報告とは異なる、眼帯を身に着け】
【バイクから手に取ったのは、サブマシンガン】


噂のアイドル幹部がまさかこんなガキだとは!
こりゃあもっと早くにアイサツしておくべきだったかなァ!?
591 :ミレーユ ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/21(木) 00:03:22.80 ID:/900WyUp0
>>589

【完全に凍り付いた様子だった。フリーズしていた。いやぁな空氣が流れていた。「彼」から、なんだか冷たい感じがする。ひんやりした。】
【この場をどう繕おう。それしか、彼の ── 少女と同じくらい、大概にゆるふわな ── 頭の中には考えがなく。】
【いろいろと諦めて、半分いじけた心持ちの中、素直に告解しようとした、その直前。本当に、最悪のタイミングで。きっと少女は、最悪の地雷を踏んでしまう。】


「 ──── オカマ?」


【 ── メイクの下に、青筋が見えた。転瞬、コスメを持ってない方の手が、少女の頭を鷲掴みにしようとする。割と普通に男の力で。】
【出来たのならば額と額を引っ付け合ってごっつんこ、 ── 糸目な笑顔でまくし立てる。前髪の下に黒いオーラ。暗黒微笑。めっちゃ早口で言ってそう。】


「ん?」「もっかい言ってみてくれるかな御嬢さん?」「やっぱ言わなくて良いやマジでキレそうだ。」「というか、キレてるよボクは。」
「君が幾ら頭の足りなさそうな椎名林檎コピバンサブクソ女に見えても、流石に超えちゃいけないラインを考える脳みそくらいは有るかと思ってたん、だが ── 」



【 ── 万力みたいに手指の力は強まっていくだろう。掴めていたなら。その掌から、少しずつ、「つめたいもの」を感じるだろうか。】
【少しずつ、少しずつ、触れられているところが冷たくなって行く。こんな公衆の面前で異能を行使しようとしていた。そのくらいには、「そのワード」、彼の逆鱗であった。】



「 ── 訂正しようか。」「ボクは、オカマじゃあない。」「『男の娘』だ。お、と、こ、の、こ。いいね?」
592 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/21(木) 00:20:24.93 ID:2Ox47yzR0
>>591

【少女の頭、たぶんバスケットボールくらい。まあそのくらいなら、「男」の片手で握ってしまえるか】
【ぎえ、みたいな、間抜けな悲鳴をあげた。それからギリギリギリ――締め上げられれば】
【「いだいいだいいだいッ、バカ、力つえーよ離して離して」 ――喚いていたけど。額をぶつけられれば、びくりと震えて】

…………えっ何っ痛いうえに冷たいんですけどっ、なにっ、なんかしてる?
やだちょっとやめてよもしかしてこれアレ、能力? 凍らせてバキーンってするヤツ?
……あ、あはは、やだなーっもうっこんな公衆の面前でそーいうことしないでしょ? ネ? ネ、……

…………………………お、……おとこのこ。はい。……おに、
……おにぇいさんは、「おとこのこ」です……ハイ。夕月まちがえました、すみませんでした……

【両手を挙げる。降参のポーズ。顔は真っ青。ヘンな引き攣り笑いを浮かべている】
【そんな様子で――さりげなーく自分の名前をゲロりながらも。必死に謝罪している、つもりであるけど】
【確実に「おにいさん」って言いかけた。とっさの判断で発音をぐねらせて「おねいさん」っぽくしたけど】
【どう聞こえたことやら。キレた「彼」に、はたしてその言葉はまっすぐ届くものだろうか】

【――――――内心。「いやそれ一緒じゃね? どこが違うの?」とか思ってたけど、言ったら死ぬ】
【それくらいの知恵は残されていた。というか生命維持の本能がそれを気付かせただけかもしんない】
【ていうかもうやべえしルージュどうでもいいから帰りたい。そういう願いすら抱きつつあった、あんなにもみくちゃなってたのに】
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/21(木) 00:22:28.08 ID:GhwpYHKe0
>>590

【――――時刻は少しずつ進んでいく。そしてそれは少女らが信仰する神の受肉さえも近づいてくる、であれば、浮きだって来るのは疲れか、それとも怒りか】
【くだらない雑談も尽きてしばらく経っていた。――少女とていつもいつだってこの場所に居るわけではない、"このビル"自体は、もういくらも前から用意されていて】
【その時々でそれなりの戦闘力が準備されているんだけれど――聞き慣れた/けれど/違和感しかない音がした。ビルの4階。降って沸いたエンジン音に、男たちが視線を上げる】

【――瞬間だった。張り裂けるような轟音を伴って暴力性の塊が室内に突っ込んでくる、――1人は確実にその瞬間に死んだ。もう1人が巻き込まれてくぐもる呻きが聞こえた】

――――――あはははっ、ホントに来るんですね、待ちくたびれてお家帰っちゃうところでしたよ。女の子を待たせすぎです、濡れてたって乾きますよ?
せっかくおめかしして待ってたのに来やしないんですもん、――でもよかったです。このビル、ボロいじゃないですか。罠にするより先に瓦礫になるんじゃないかと思って。
まあこれからなるかもしれないですけどね。――あなたの墓石にしては数が多いですけど、まあ、肉片1つにつき1欠片、とかなら相応しいですかね。

【それで場の空気は一転する。従えていたサーバントたち――4人ほど――がいっせいに銃を構えて相手を睨む、けど、それは十把一絡げに過ぎず】
【とすん、――と軽い音で、少女が事務机から降り立った。天使が舞い降りるよりも現実味を帯びて――スズラン色の声音が部屋の中に反響する、視線は鋭く鋭く睨みつけるから】
【――初めてまみえた。こいつが。こいつが。ぞろぞろとさんざ馬鹿にされた記憶が蘇る。それは彼女が幹部の座を戴いてすぐのことだった、生贄の全部が消し去られ】

【"正しき神の御許へとお返ししました"】

【血流がぞろっと逆さまに翻るような感覚。ざあと鳥肌すら立ったようになって、けれど立ち姿の気高さは、とうてい、ありふれた信徒では敵わず】
【であれば間違いなく幹部だった、――ガキ呼ばわりされようとも凛とした在り様は変わらない。ただ、スズランが裏側に秘める毒のような暴力性、透かして見せるなら】

アイドルですか? ――そんなの恐れ多いです。蛇教じゃあ、私なんかよりもよっぽど人気者が居てですね。当然"悪い"意味合いなんですが。
パグロームという、白髪の男が――大人気なんですよ。あれ? もしかっしてそれってあなたですかね、サインをもらわなくっちゃ。――その生首玄関に吊るしてやりますよ。
そして滴った血が赤血球の一つまで擦り切れて見えなくなるまで踏みつけてやりましょう、そしてやがて風化しきった頭蓋骨で子供たちにサッカーでもさせましょう。

――――あっはは! 握手でもしてみますか? ちゃんとトイレのあとに手を洗ってるなら、してあげますよ!

【――きら、と、瞬いた。鮮やかなマゼンタ色。彼女のまばたきに呼応したなら、――するり、と、虚空から同色のリボンが"引きずり出される"】
【そうしてその先端を鋭く尖らせ迫るのだ、――それらはすべて阻害の力を宿していた。であれば、見てくれよりも"強固"であり、たとえ銃弾の中でもすべては壊れぬはず】
【数はざっとでも10はありそうだった、――もしも受ければその傷口より問答無用に麻酔にも似た"阻害"の力、流し込もうとするから。――けれど直接的な攻撃であり】
【しかして同時に従えたサーバントたちからの発砲もあった。――そちらの狙いはあくまで"すこしうまい常人"程度であったなら、きっと彼にとっては戯れに等しくて】

【――――――ぶっ殺す。言葉にならない殺意は、けれど、言葉にしてしまう以上に鮮烈に光り輝くから、きっと、本気だった】
594 :ミレーユ ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/21(木) 00:38:03.13 ID:/900WyUp0
>>592

【実際 ── もう少し長く掴んでいたら、凍らせて砕く事もできなくはなかった。というかやってたかもしれない。割と彼は短気だった。】
【四肢には筋肉運動を補佐するナノマシンを共生させているから、とても細身の身体であれど、その最大出力は割とえげつなく ── 。】
【 ── そしてよく見れば、腰元のフリルの隙間、似つかわしくないホルスターが見える。そこに収まっているのは、二丁の拳銃であって。】
【なんとなく色々と察せられるかもしれない。脛に傷の多いタイプの人種だった。だから彼は、夏場でもストッキングを履くのだろう。】

【 ── とはいえ、素直に少女が謝意を見せたのなら、そして確かに訂正を聞いたのなら、途端に彼は笑顔から恐ろしさを消してしまって】
【ぱっと手を離すだろう。そうして嬉しそうにニコニコ笑う。多少言い間違いかけてもまあそこはいい、ボクは男でも女でもないのだから ── 。】


「 ── うんうん。」「賢いなぁキミは。すごく賢い!」「それでいいのさ、それでっ。」
「ふふっ。キミが話の分かる子でよかった。バカとかノータリンとか言ってごめんね?」「キミはとても可愛くて素直な子だよ。ここはひとつ、歳上らしく奮発してあげよう!」


【わしゃわしゃ真っ赤な髪を撫で撫でしながら、途端に彼はすごい上機嫌になったみたいだった。罠とかじゃなく、本当に。】
【吊り橋効果。ストックホルム症候群。良い警官と悪い警官。まあ、そんな感じ。自分のアイデンティティを認めてくれる人には、彼は割とすんなり心を開くらしい。】
【 ── おまけに自分が掠め取ったコスメまで奢りにしておいてくれるという。割と、ちょろかった。】


「夕月ちゃんって言うのかぁ。ボクはミレーユ。ミレーユ・ミスゲシュタルト=ストレーン。」「これからもよろしくね、夕月ちゃん?」


【Missgestalt ── 「怪物」の名前をミドルネームとする彼は、レジに向かって歩きつつ、そう名乗るだろう。】
【いちいち甘ロリな財布を開ければ、まあ0の沢山ついたお札が潤沢に。たぶん、きなくさいお金。】
595 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/21(木) 00:50:46.96 ID:2Ox47yzR0
>>594

【離されればほっと息を吐いて。それでようやく彼の顔から視線を剥がして――下のほうへ】

(…………獲物だ。こんなデパート来るときすら、こんなの持ち歩く……?)

【奇しくも似たような獲物で戦う少女であったから。銃が収められたそれを見つけるのは、わりと簡単なことだったらしい】
【まだちょっとひんやりする頭を両手で抱えながら――さむい。パーカーのフードを被る】
【怖がってる表情に多少の怪訝そうな色を交えて。じいっと彼を見つめていた、けど】

……あ? ん? えっ何っ、……おご、おごってくれんの? やだ、それは悪いよ、
腐ってもデパコスだし、なんかちょっと悪――――あぁ、

【言う前に彼は悠々とレジへ歩いて行ってしまって。……なにこのテンションの変わりよう、みたいな感じで】
【げんなりした顔して後姿を見守る。躁と鬱の差の激しさで言ったら、じつのところこの少女もあんまり変わらないけど、これは余談】
【「ミレーユ。ミレーユさん、はいよろしく……」 ちょっと疲れちゃった、そう言わんばかりの声で返したけど】

…………えっ、ちょっと待って。「これからも」っつった?
あたしこれからもまだ、あん……ミレーユさんになんかよろしくしなきゃいけないの?

【――――不穏なワードがはさまったのは聞き逃さなかった。そして、自分が無意識のうちに名乗っちゃったことに気付く】
【さあ、と、血が顔から下に落ちていくような感覚がした。……捕らえられた、そんな気分】
596 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/21(木) 00:51:44.47 ID:2Ox47yzR0
>>593
いやあシツレイ!怖がりなモンで。
今までも、何度も何度もご挨拶に伺おうとしたんですが、ブルっちまって、隠れてるしかできなかったんだよォ!

【大仰に嘆くような声音を上げた後、思い出したように、「お」の字に口を広げて】

そう言えば伝言も頂いてたっけ。入信しませんかってェ?
お嬢ちゃんみたいな可愛い子とヤりたい放題なら、役得だろう。
そりゃあ信者を何人消しても、教団が安泰なワケだ。

セックス&ドラッグはカルト教団の基本だよなァ?
未成年だろうが神様のためならノープロブレムってか。流石は爬虫類のカミサマ!人間のルールなんざお構いなしだ!


【男を取り囲むサーバント達――しかし、どう転んだところで、目の前の少女が目を引くだろう】
【男の言の通りに年若いを通り越して幼さすら感じる容貌は、しかし誰が見ても一目瞭然の幹部の佇まい】
【挑発に挑発を返しながら、周囲の人数を見回す。それは四人――無視するには数が多いが、攪乱するには数が少ない】
【なるほど、男の手口も大概知られ過ぎたらしい】
【実際人数など大差ないのだろう。目の前の少女には、眷属のように揺らめく能力の産物が、その二倍は立ち上がっているのだから】

【ただの少女ならば、この場にいるだけで居竦んでしまいそうなのに】
【潜った修羅場の数は、歳に合わない可愛げのない数であろうことは明白だ】


アァ、いや。でも握手はご遠慮願いマース。
嫁が嫉妬深いもんでなァ?俺こう見えても一途な男でさァ?
危ないクスリもケンカもしたことないし、ロックにも詳しくねェんだよ。


【そんな、言葉が最後まで終わる前に、周囲の男達が発砲を始める――欠伸の出るような発砲だった。即撃ち返して始末してやりたいが】
【その隙間を縫うように、迫る……少女の能力――】
【お互いの能力の詳細は、当然にして知らぬまま。噂レベルで有れば、悪名と一緒に伝え聞こえてはいただろうが】
【それを加味しても、銃弾よりもヤバい代物に違いはなかった】
【牽制するようにマシンガンを乱射しながら、その場から飛び退く】
【まだ小手調べなのだろう――だが、"慣れている"。この年齢の少女からすれば信じられないほどの練度を感じる】
【それだけでも彼女が教団に入ってからの地獄が垣間見えようと言うものだが――】


クッ…クヒヒヒッ、ヒャハハハハハッ!!


【それだけで、男は笑えて来て仕方ないのだ】
【奴の頭に血が登っているのなら――その間に少しでも知るべきだ。その能力の実態を】
597 :ミレーユ ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/21(木) 01:03:41.86 ID:/ZCDBxsq0
>>595

【もしも少女の疑念を問うたのなら ── 「こんなデパート」であるから持ち歩くんだよ、と答えただろう。】
【諜報。暗殺。情報収集。破壊工作。有り体に言うなら、汚い仕事。そういうのを引き受けるのが彼の生業だった。だからこそ、どこで命を狙われるか、知れたものではなく】
【 ── 或いは、どこで命を狙うかについても、知れたものではないのだろう。とは言え其れは問われなかった事だから、彼の笑顔は至極もっとも上機嫌で】
【ギフト用の包装まで頼んでしまうだろう。ピン札をパンと出す。そして買い終わればポンと夕月に其れを渡し、ポンポンと背中を叩いた。】


「やだなぁキミとボクとの仲じゃあないか!」「水臭いことは言いっこなしだ。」「賢いキミとは仲良くしたいんだ。」
「どうだろう此れからディナーなんてのは?」「居酒屋バイトなんだからお酒はイケるよね、行きつけのイングリッシュパブがあるんだ。」
「今すごくアップルジンジャーが飲みたい気分でさ、付き合ってくれるかな? 付き合ってくれるよね!」


【 ── まぁ間違いなく厄介な人種であるのは確かだった。きゃはきゃは笑う彼の様子からは想像がつくかもしれないけど、機嫌によって相手への接し方を変える人間だ。】
【下手に不機嫌なときに呼び出されたりしたら、延々メンヘラトークされる可能性も、割合なきにしもあらずであり ── でも断ったら、たぶん、ズル賢いことをされる。】
【どこまで意図してやっているのやら、既に柔らかな掌で手を繋いで、天使みたいに笑いかけてくるだろう。ある種、魔性だった。】
598 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/21(木) 01:17:16.56 ID:2Ox47yzR0
>>597

【ふぇ、だかヒェ、だかわからないけど、とにかく間抜けな声を出したときには――すでに手を繋がれていた】
【べつに未成年飲酒したことないわけではない。そこそこに悪ぶっているので。でもなんかこれ、ついてったら、って思うけど】
【――――断れない理由までできてしまった。ラッピングされたルージュ、手渡されたなら】
【あんなに欲しかったはずなのになんでこんな重々しく感じるんだろう。みたいな、後悔――時すでに遅しにもほどがあった】

【そうしつつも――「アッちょっと親に連絡だけさせて〜」とか言ってスマホを取り出し、サササと操作する】
【メッセージアプリ。タイトル:「クソ卵」のトークルーム。「助けて」「やべーやつ」「絡まれた」(土下座スタンプ)】
【……そのどれもが既読無視されたなら。画面を睨み付けたまま畜生、と内心叫んでいたけど――気付いてない。そういうことしてたら】
【「へ〜そのアプリやってんだ〜ID交換しよ〜」とか。言われる可能性。まったくもって考慮していなかった】


……アッじゃあアノッ日付変わる前には帰らせて、親がっ、心配するっからっ……アハハッ……

【……とか。付け加えてみたけどどうなることやら。ぜんぜんわからないけど】
【がっちり手を繋がれたままなら。そのまんま、どこへだって連れて行かれるだろう――その手に、限定ルージュが握られているかぎり。】


//このへんでキリがいいでしょうか、ありがとうございました!
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/21(木) 01:25:44.96 ID:GhwpYHKe0
>>596

――――あれ? そうなんですか。じゃ、言ってくれたならご挨拶に行ったのに!
ほら、壁に落書きしていったことが合ったじゃないですか。あれってもしかっしてラブレターでしたか? ごめんなさい、学校行ってないので分かんなかったです。
有名な常套句とかでしたかね、――そうですね、相当"お好き"らしいのでよかったらどうですかって思ったんですよ、何度か本部にも来ていただいたようですし――、

せっかくお越しいただいたのに担当者不在だなんて申し訳ないです。今からでも面接をしましょうか? 入室の態度最悪ですね、ご挨拶は? 着席の前に一礼して――、
――――――残念ですけど、私はクスリはしないんですよ。能力の精度が落ちるので――ですけど、そうですね。

優しく抱いてくれるならシてあげてもいいですよ。男の人ってホントに銃器が好きですねえ、棒から何か出るのがそんなに好きならところてんでも食べてたらいいのに。
私より一回りも二回りもお年を召したおじさま、若い女の子って意外と元気ですけど、最後まで付き合ってくれなきゃ――嫌ですよ?
中折れだなんて興醒めもいいところです、だからって早すぎるのも駄目ですよ、――これだけのことをされたのに、即死だなんてウヌクアルハイ様がお許しにならない。

【――真っ白い服を着ていた。であればそれは神聖さすら混じりこむ純白の色合いを宿して、そしてこれから血に赤く染まるなら、その時はきっと巫女のよう笑うのだろう】
【鮮やかな瞳は彼女の白い色彩の中でいっとうよく映えたから――スズランの音色は常の涼やかさをどこか薄れさせて迫る、手作りしたレジンアクセのバリに似て】
【どこまでも透き通っているのに時々ちらりと鋭く尖る。尖って翻って煌めいたなら、――マゼンタのリボンが相手のさっきまで居たところへ、幾重も突き立つ】

そんなの私もおんなじですよ? クスリだなんてしたことなくって、ケンカもロックも嗜みませんし。
そうですね、趣味は読書です。眼鏡かけたら薄幸の令嬢ですよ、自分で言うのもなんですけど、窓辺で最後の葉っぱを数えるのがお似合いなんです。

【ならばそれは到底リボンと思えぬ音で床のコンクリートに突き立った。見た目以上に鋭く険しく、――けれどやがて掻き消えていく。解れるように、消えていくなら】
【それの代わりであるかのように少女の眼前に薄く薄くマゼンタ色の壁が浮かび上がる、向こう側の少女すら容易く透かして、であるのに、牽制の弾を容易く弾くのだろう】
【――彼も、きっと、多少なりとも彼女の能力について知っているのだろう。そのマゼンタ色に巻き取られた哀れな贄は、瞬きすら許されず、そのまま蛇の口に消えていくと】

【――――――マシンガンの銃弾に喉を撃ち抜かれて、一人が倒れた。残り三人】

ていうか――――妻帯者なんですか? "こんなの"と結婚するの大変そうですね、よっぽど不幸な人生送ってきた方ですか?
自己評価がマントル越えちゃって向こう側に出ちゃって真逆の有頂天、そんなメンタルキメてメジャー常用、趣味はリスカとSNSで傷の舐め合い、それっくらいじゃないと。
付いていけないと思いますけど、組織にストーキングされてる妄想はありがちでも組織をストーキングしてるだなんてどうかしてます、頭大丈夫ですか?

――お似合いですね、そんな嫉妬深い奥さんがいるなら早くお家に帰ってあげた方がいいですよ、人知れぬビルで17歳女子と密会なんて聞いたら、死んじゃいますよ?

まあ――――――――帰しませんけどね。

【きゃらきゃらと年若い女のよくする鮮やかな笑い声。――いくつめかの弾丸が薄ぺらいマゼンタの障壁をカチ割ったなら、パリン、と、あっけない音がする】
【舞い散った切っ先が煌めいた、――いっとう鋭い方をぐるりと相手に向けて、撃ちだされる。――ひとつひとつは大した大きさではなかった、向きが合わねば傷さえ難しい】
【それでいて――もしも皮膚に突き立ちでもしたなら、阻害の魔力が身体に溶け込もうとする。そういう"攻撃"。であったなら】

【――この距離感はどうやら少女が得意とするものであるように思えた。なら――もっと近くに、?】
600 :ミレーユ ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/21(木) 01:32:18.90 ID:/ZCDBxsq0
>>598

【 ── およそ少女の見込んだ通り、トークアプリを開いていると見るや、いや多分見ていなくても、「交換しておこ!?」って言い出すだろうし】
【更に言うならSNSのアプリ3つくらい起動させて、表垢・裏垢・裏垢その2 ── くらいまで、相互フォローに持ち込まれるだろう。少なくとも、この夜の間に。】
【そうして確りラッピングされたルージュを握らせて、夜の街へと駆り出すのだ。ふたり手を繋ぎ、先ずは言った通りのパブへ】
【 ── そうして彼は威勢よく飲むわ飲むわ、40度くらい有りそうなウイスキーさえストレートで一気に飲み干して、サイドメニューもゴワゴワ食べて】
【そうして一軒目で既に出来上がりつつ、二軒目はその辺のイタリアン・チェーン。安物のワインを飲むわ飲むわ、ミラノ風ドリアを頼んでまた食べて】
【三件目は大衆向け中華食堂。もうこの辺になると呂律も脚元もおぼつかない。シメと言わんばかりにラーメンと餃子とビール、やたら大きな身振り手振りで、食べて呑んで食べて呑んで】

【 ── 実を言うと彼は、そこまで酒が強い訳でもなく。いや正確にはそれなりに飲めるけど、勢いよく飲み食いするもんだから直ぐに酔いが回るタイプで】
【だからそのうち粗相をする。 ── 気付いた時には、たぶん手遅れ。公園の噴水に顔を突っ込み、メイクを溶かしてお化けみたいな顔になりながら、なんか、出してはいけないものを出して】
【そうして其の辺のベンチで眠り出すのだろう。きっと日付が変わるまでには帰してもらえる。なにせ全く此の有り様だから ── 。】




       「 ── あり。ここどこ。」





【 ── 鳩たちが目覚め、夜を掃除する暁の中、そんな台詞を独りごちるのだろう。彼は、そういう人間だった。】
601 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/21(木) 02:08:02.15 ID:2Ox47yzR0
>>599
【戦いの場に相応しいとは到底思えない純白の衣装――アイドルでないなら殉教者のつもりなのかも知れないが】
【このカルト教団において、それは容易に血に染まるのだろう。傑作な話だった】


ウーン、残念!今が天職だから死ぬまでここで社会の歯車をさせて貰おうか!
そうそう、嫁とも職場結婚だったんだよ。
別に際立った趣味なんぞ持ち合わせちゃあいないが、カルト教団が嫌いだってところだけは気が合ってなァ?

お陰様で、年中仕事人間で顔を合わせるのも一苦労……おのれカルト教団!!


【能力――リボンを鋼鉄のように固くしている?その程度ならお粗末なものだが、仮にもサーペント・カルトの幹部】
【この応用力は、そんな単純な力ではない。もっと概念的な何か――その正体はまだ知れないが】
【戦闘の合間、銃を揶揄られたからと言う訳ではないだろうが、乱射しながら逃げ惑う内に、袖口に仕込んだ刃物で、一人の首を掻き切った。あと、二人――】
【倒れた信者は、何かに喰われるように、影も残さずその場から消滅する――これは敢えて周知させてきた、男の能力の一端】
【さて、この距離での戦闘は分が悪い。彼女の瞳と同色の壁に銃弾も尽く防がれる。弾と向こうの能力とどっちが底を付くかを試しても良いが――面白くはない】
【ならば、近付く――?】


…………


【先程までとは打って変わって、沈黙。思索を巡らせたのは数秒のことだ】
【壊れたバイクの陰へと身を潜めた男は――、重苦しそうに口を開いた】


魅力的な提案、ありがとう。
だが、そいつぁ無理だ。妻の件を抜きにしても無理だなァ。
おたくかぐや姫とか好きかね?無理難題を言ってオジサンを困らせちゃア、困る。

読書が趣味なのに世間知らずも良いところじゃアないか?お嬢さん。
"居もしない"蛇の神様に赦して貰うなんざ――どうやって?


【"ムリフェン" 蜜姫かえで――サーバント達の中でも異彩を放つほどに、鮮烈な存在】
【それこそクラスのアイドルのように振舞ったかと思えば、崇める神のためならばどこまでも冷酷に、苛烈にもなれる】
【そして多くの人々を生贄として集め、非道と謗るも生温い地獄を与えて来た少女】


【嗚呼――恐ろしい。何が恐ろしいって、善行のつもりでやっているのが恐ろしい】
【狂ったカルト教団の中でも一際に狂った、オフィウクス達――その先鋒たる彼女が、こんなにも……】

【――――そんなの、嗤うしかないだろう?】


【男は、言葉と共にバイクの陰にはいなかった】
【蜜姫かえでの能力は極めて強固なもの――だが、しばし乱戦をすれば見て取れる。扱う本人は――素人】

【男の能力は虚数の世界を渡るもの――消えてから、表の世界に自己を再定義するのに掛かる時間は数秒。勘の良い奴なら見切るかも知れないが――】
【出現位置は、より少女の近く。同胞を4人も消されてすっかり縮こまってしまったサーバントの、真後ろ】


【無言のまま、男は少女の死角を得たことを確信して、先よりも近距離から弾丸を放つ――】
602 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/21(木) 02:23:58.21 ID:2Ox47yzR0
>>601
//困らせたら困るって何だ?
//困らせちゃア、ダメだ。に変更で!(大汗)
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/21(木) 02:43:31.69 ID:GhwpYHKe0
>>601

【――――――ち、と、少女が舌打ちをした。彼の能力を目の当たりにして――知っているのと初めて見るのでは、その感情は違いすぎるから】
【ともすればその瞬間、彼女はきっとひどく穢いものを見るかのような目をするのだろう。さながら飲食店の前で無数に死んでいる太郎と花子を見下ろす目、じゃりと靴音】

――――まあ、なんて可哀想! であればこそ、あなた方にいっとうの安寧を与えたくって仕方がないです、あの世だなんてどうでしょう?
坂道はちょっと多いかもしれませんが住めば都とも言いますし。根の国の姫も振り返りさえしなければ美少女でしょう、まあ見なきゃ見えないわけですが――。

【残り二人。どうせもとから大した期待はしていなかった、無能力者を制圧するならまだしも、相手は能力者。まして――こちらのやりようをよく知っている】
【残った二人はきっと絶望的な顔をしていた。それでも必死に振る舞っていた。――"よりによって自分たちの日に来やがった"、と、目が口よりも語りつくしていた】
【それでもたった一人の能力者/だけれど少女/しかして幹部――よりも、劣っている。それはどうしようもなく人生の価値が違うことを意味する】

【だからこその"魔制法"。けど、ここには届かないなら】

【こんなふうにありんこみたいに蹂躙されていくのはあんまりに報われなさ過ぎた。――そうして頑張ってなお、彼に殺される限りは、蛇のもとにも行けぬだなんて】

かぐや姫ですか? 嫌いじゃあないですよ、特に好きでもないですが。無理難題だなんてとんでもないです、バッチリ好みのイケメン相手ならベリーイージーですよ?
そうですねえ、どんだけ実家強くてもワラスボみたいな顔した醜男と、多少実家弱くても見てるだけでシコれそうなイケメンなら圧倒的に後者ですし――。
そしたら前者にゃおおいぬ座から一つお星さまを攫ってきてだなんて生ぬるい。イケメンには庭先のいしっころが欲しいのって猫撫で声で媚びますよ?

――――どうされたんですか? 急に存在するものにしか祈れぬご自身の浅さを得意げに晒されて――、それにウヌクアルハイ様は間違いなく居られます。
今とて世界のすべてを見守っておられる。感受性がなさすぎるのも問題ですね、そもそも読書趣味というのは感受性豊かでないと楽しめぬものですが。

もしかして描写の一つ一つにケチ付けて回るタイプですか? やだなあ、嫌われますよ。現実と空想の区別を付けなくっちゃあ、病気になっちゃいますよ?

【バイクの裏側――見えない。わずかに目を細めた。――――決定打に欠ける。相手もそろそろ気づくだろう、この距離で銃では、分が悪いと】
【であれば何かをしでかしてくるに違いなかった。何をするのか、までは、分からない。――互いに知っている情報は少なすぎた。互いに探るきっかけは持ちながらも】
【互いにそれをのんびりと考えている時間を与えはしないなら。――背後に立たれたサーバントは怯えていたがゆえに、敏感に、反応した。おかしな吐息をした】

――――――――――――――――クソッ、

【――それをきっかけに少女は振り向くのだろう。けれどその一瞬、少女は確かに相手を見失っていた。であれば銃弾を見切れるはずもなく――、けれど】
【"それ"はなんだったのだろう。――咄嗟に背後に立たれたサーバントが動いたのだ、それはあんまりに滑稽に、ばね仕掛けのおもちゃが壊れた瞬間みたいに、射線上に躍り出る】
【そして銃弾がサーバントの一人をぶち抜いた。これで最後の一人になる。――引き攣るような吐息があった。であればそれはきっと少女のもので、そうしたなら、きっと、笑っていた】

【――――躍り出たサーバントが倒れ伏したならば、一時隠されていた少女の姿が見える。そうしたなら鮮やかなマゼンタの眼の中で蛇が牙を剥いていた、あんまりに、鮮やかに】
【禁術。見つめた先に刹那の仮死を与えるもの。――目が合えばほんの一呼吸の間ではあるがその力は彼の視界を奪い取ろうとする、部下の死すら、彼女には無意味だったなら】

【追憶は遠く、指を絡めて祈られることも決してない。そしてその無慈悲は時としてほんの呼吸の間に人生を終わらす熾烈さを宿すから、――けれど、さらにその一瞬】
【もし目が見えずとも。直前の記憶を頼りに撃つことができたなら、――きっとまだ少女は、そこに居て】
604 :剛田 剛太郎 [sage]:2018/06/21(木) 17:59:53.15 ID:rSsDwMDLo
【とある国の路地裏にて】
【無法地帯とされる場所ゆえ決して「それ」自体は珍しくはないが……すでにこの場所は噎せ返る様な血の匂いが充満していた】
【ある者は串刺しに、ある者は手足を?がれ、と数十人に及ぶ単位のさっきまで命だったものが辺り一面に転がる空間だった】

【だが今この時はそんな空間で、肉を打ち、壁に叩きつけられるような豪快な戦闘音が響いている】


―――せ い や ぁ ッ!!


【顔に蛇の入れ墨を入れている男がまた一人、この空間に『乱入してきた者』の延髄蹴りを喰らい地面に倒れ伏せた】

【乱入者は若い青年だった――柑橘系の甘酸っぱい香りが漂う整髪料で整えた茶の短髪、真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【水色の質素なシャツを白い柄シャツの上から羽織り、腿や脛にダメージがはいった青のジーンズに赤のスニーカー】
【背は結構高めで推定180cmほど、その肉体は鍛え上げられており、機敏に動き『狂信者』たちを叩きのめすには十分な説得力がある】
【首には赤いマフラーを巻いているのが特徴的な年若い青年だった】

【そして、彼のすぐ傍には首に複数の鍵をぶら下げた茶色いトイプードルがいる―――周囲を警戒してるこの犬に向けて青年は叫ぶ】


これで全部!!残りの人質はこれでなんとか助けられそうだぞ!ムク!
……そう、『残り』の、人質は、だけど……

『……この手合いは相変わらず苦手じゃあ。何を考えてるか、どういう"理"で動いてるかがまるで読めんからのう
理があるだけマシかもしれんが……いや、どっちみち常人に理解できない頭の中身だってことがわかるだけで不毛でしかないのう……』


……理解したくもねーよ……こんな……こんな事!!


【苦い顔をしながら、青年は辺りを見回した―――以前より報告を受けていた邪教、"サーペント・カルト"】
【青年、剛田 剛太郎は依頼を受けてこの界隈を調査しにきていたのだが、そこで偶然彼らのナワバリを一つ見つけ出した】
【儀式場として使おうとしていたのだろう、辺りにはすでに見るに堪えないほど惨い形の死骸が並んでおり、ほとんどが苦悶の表情を浮かべている】

【中には年若い子供だっていた―――それを目前にして剛太郎はより一層怒りを顔に浮かべ、強く歯を食いしばっていた】
605 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/21(木) 20:54:36.41 ID:2Ox47yzR0
>>603
あの世ォ?ねぇぇぇよ、そんなもんッ!
死ねばただ消えて無くなるだけだ!


【生きていても、死んでいても、その身は神に捧げなければいけないとされる蛇神教において、男の能力は特上の冒涜だろう】
【無論男は分かっていてやっている。そのために得た能力だとばかりに。死体が消えるのは質量保存の法則に反しているが、全く問題は無い】
【コレの質量が存在している世界の方が間違っているのだから。消えた分だけ世界は正しい姿に近付いたのだと】
【臆面もなく自身の価値観を揺るがせない――それはある意味で、狂信と言えるだろう】


そいつぁ耳が痛い!道理で、嫁は狂信者の首ばっかり要求して来る訳だ!
一山いくらで買えるモンなァ?ベタ惚れなようで安心しましたァ!


【うっかり消してしまって慌てたような、想い出話。本当かどうかは知らない】
【続く言葉に、男はそれこそ蛇のような――笑みを浮かべている】
【"間違いなく居る"、"全てを見守っている"……狂信者に限らず、宗教に関われば、一度は聞くような台詞だ】
【――ああ、だから。男は"信仰"と言う言葉が嫌いだった】


【罵り合いも一区切りついたか。男が黙れば少女もお喋りを続けはしないだろう】
【流石に背後に立てば、有象無象の信者でも気付くだろうが、男の能力の特性――出現中は無防備と言う欠点に気付かない以上、数瞬の隙を突くような真似は出来ず】
【最早眼中にない――振り向いた少女が対応するには遅い。殺った――そう確信したのが、失態】


――!?


【銃弾を遮るように、立ち塞がるサーバント。勇気を振り絞ったか。狂信故の無謀か。それとも単に足を滑らせただけか――】
【蜂の巣にされ、消え去った後では確かめる意味もなかった】
【その向こうにあるのは、少女の笑み。部下が死んだ後に見せるには――余りにも少女らしい微笑みだった】


チィ――まだ持っていやがったか!


【目を合わせた瞬間、視界を奪われる。"二つ目"の能力――男の単眼が暗闇に染まる】
【それは、僅かな瞬間――しかし少女が能力を宿したリボンを差し込むに足る時間だったろう】
【闇雲の銃を乱射すれば、少女に当たったかも知れない――だが】


【男が選んだのは、残る一人のサーバントを仕留めることだった。サブマシンガンだったのは僥倖――正確に狙わずとも、殺せる】
【範囲は広い故に、流れ弾が少女へも降り注ぐかも知れないが――致命を与えるには程遠いだろう】
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/21(木) 21:17:08.92 ID:wXRZcDQ10
>>605

【――ぶち抜かれたサーバントは、きっと、ひどい顔をしていた。恐怖と絶望と様々なものに支配されて、けれどその中で唯一、それは誇りに似ていた】
【幹部である少女を護って死ぬのだ。――たとえその結果"自分が消える"としても。それでもなお――その少女を護ることが最大限の名誉であることに、身体を擲ったなら】
【――――――そして、消える。消えていった。跡形も残さず。記憶の中にのみ残滓を残して、掻き消え――、誰も追憶しない。きっと、誰も。誰も。世界中のだれ一人さえも】

あれっ――――、この場においてよそ見ですか? 見えてないと思いますけど――、とんだ余裕ですね! 縛りプレイは少し間違えたら舐めプですよ?

【――――じゃり、と、小さな音がした。そしてそれはきっと少女の軽い身体が動いた証、真っ暗がりの視界の中で、けれど確かに最後の一人が死ぬ音がした】
【そのさなかで――少女の足音が消える。消えて――静寂、ではない。空気が動いている。そしてきっとその瞬間に視界が取り戻されるんだろう、同時に、パリンとかすかな音】
【"見えた"。取り戻された視界に映るのは少女であった、割れ砕けたマゼンタの残滓を虚空に引いて、いくらかのリボンを中空から引き連れて、跳びかかるように】
【見たならばその中空には足掛かりにしたのだろういくつかのマゼンタの煌めき。――それはもう役目を果たして一つ一つと消えていく刹那で、であれば、気にすべきは】

――――――――ッ!

【――薄く薄く三日月より鋭利な笑みを唇の端に湛えた少女のみであるだろう、長いウィステリアの髪をほうき星のように揺らして、そのまま、蹴り倒そうとする勢い】
【それでいながらその左手――鮮やかな赤と黒と黄の蛇の入れ墨――は獲物を求めるかのようにぱっと開かれて。着地に瞬間に押し倒し/つかみ取り/巻き取ろうとする】
【真っ白いスカートがひらりと翻ったならば太ももまでがぞろりと見えていた。特に意味のないキャットガーター。それより気にするべきは】

【体当たりに似た特攻。彼女の体重は平均より多少軽くとも乗せた勢いがあった。高くないとはいえかかとのある靴で蹴倒そうとする勢いは、よほど軽い攻撃ではなく】
【その左手に掴まれたなら様々な痛みの情報を流し込もうとする。それは単なる擦り傷のようでもあれば意識を保ったまま胎を開かれる激痛であり、あるいは串刺しにされる痛みであり】
【従えたリボンに巻き取られたなら、まるで麻酔を流し込まれたかのように身体の動きを阻害しようとする。どこかひんやりとした感覚、朝露に濡れる白薔薇の花びらを食むよう】

【――――だけれど、結局直線的ではあるのだろう。ぶつかられる前に差し込むことさえ出来たなら、彼女はきっと無防備に等しく、場合によってはその後のすべてが繋がらなくなる】
【何よりその一瞬、彼女は実際に全部の防御を棄てていた。少しくらいならくれてやる――その代わりに、殺すと決めたなら、一途に突っ走る少女の様相、色合いは違くとも】

――――当たり前です、女の子はあの手この手の上に奥の手までしっかりちゃんと隠しとくんですよ?

【肉薄する刹那に囁く、――瞬き一回さえ許されぬような刹那。けれど、きっと、彼と彼女の経験には少なくない差があるのなら、きっと、道筋も見えてきそうで】
607 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/21(木) 22:26:23.92 ID:2Ox47yzR0
>>606
なぁに、手元が狂っちまってなァ……歳は、取りたくないね。

【視界を奪ったのは、ほんの数瞬のこと。それが開く頃には、既に少女は行動を起こしていることだろう】
【サーバントを先に撃ったのは、無論、少女より危険だと思ったからではない】
【皆殺しを簡単には出来ないと、今更ながらに認めたからだ】

【場合によっては逃げるかも知れない。場合によっては死ぬかも知れない】
【だったら勿論――1匹でも多く消した方が良いに決まっている】


【部下全員と引き換えに、少女が獲得した行動権――その結果は、まさかの白兵戦だった】
【無論、非力に殴りかかるだけではない。マゼンダ――男に取っては然程見慣れない、目に痛い色だ。その色が尾を引くように残っている】
【中空を舞うのは、同じ色をした瞳の少女――なるほど、華がある。神様だって贔屓したくなるだろう。そんな主役の色だ】
【しかし、それはそれ、これはこれ。見惚れるはずもなく、迎撃しようと腕を引くが、先に取り巻きにかまけた代償は安くはなかった】
【一手、少女の方が早く、男は地面に蹴り倒され、少女が伸ばした左手は、首を庇った男の左腕を掴み、情報が――流し込まれる】


――――ッ


【男の身ではそう想像することのない痛みだろう。解剖される蛙の如く生きたまま胎を裂かれる痛みは】
【少女の味わってきた数多の痛み――そう考えるに足る幾重もの苦痛の記憶が男の動きを鈍らせている】
【この体重差と体格差であっても、容易には覆せない――】


なぁるほど……これはこれは。随分と"酷い目"に遭ったんだなァ?
蛇神様も可哀想なことをするもんだ。


【それはきっと少女に取って聞き飽きた同情の言葉――あるいは的外れな勘違い】
【この男から出るにしては余りにも陳腐過ぎると言う点では、意外であろうが】

【意外で有るのは言葉だけではなく。視界を奪われていたとはいえ、反撃の余地すらなく】
【あっさりと理想的なポジションに持ち込めたのは少々ばかり、都合が良過ぎると】
【少女は思い至るか――?或いは、思い至ったとしても男の殺害を優先するのか】

【事実として――男の動きは麻酔を打たれた後のように緩慢としていたが】
【この距離で相手を殺すのに、大きく動く必要も、速く動く必要もないのだと、男は経験則から知っている】
【だから、ほんのひと時、雑談のように言葉を交わした】
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/21(木) 22:46:33.10 ID:wXRZcDQ10
>>607

【――それはきっと一瞬の出来事だった。少女は長い髪もスカートも翻して、その身一つで、彼のもとへ飛び込んで】
【そうして自分よりも大きな背丈の彼を蹴り倒し――馬乗りのような姿勢、だろうか。少なくとも即座に動けないほど、と、推測されるだけの魔力を流し込んだなら】
【左手でぎゅうと抑え込む。――可能ならば首を抑え込んでしまいたかった。わずかに目を細めるのだろう、けれどそれでも、まだあどけなさの残す少女は、これを優位と見た】

――――この後に於いてそのようなことをおっしゃられますか? でしたら至極残念です、ウヌクアルハイ様はその身に宿す痛苦を手ずから私に教えてくださいました。
私は未熟でありますから、そのお力のほんの一端を模倣することで精いっぱいではありますが――、あなたは全く他人である私の痛みを、ウヌクアルハイ様の奇跡により垣間見た。
それでありながら、どうしてそのような口を利かれるのでしょうか、――涙を流してお喜びになられて構いませんよ、とても光栄なことでしょう?

【あるいは。それこそ彼女が戦闘要員でない証拠になるのかもしれない。戦うに十分なだけの能力はある。だけれど彼女自身はそのための訓練をしていない】
【体重をかけてはいるが、彼が十全であり本気を出せば容易く覆せるだろう。だからこそ阻害のリボンと一緒に突っ込んできた、その程度までは分かっているんだけれど】

【――――そう思ってしまったなら、少女は相手の雑談じみた声音に応じてしまうのだろう。相手の言葉に激昂することもない、すぐには動けないはず】
【この至近距離では当然見切るまでの時間は足りなくなりがちだけれど、そもそもその動きが緩慢であれば見切れる。――何より多少死にかけても、死なないと言う自負が】
【きっと少女の判断を鈍らせていた。――そんな風にするなら、もっと早く動くべきだった。言葉を返すことなく、それより先に、仕留めてしまうべきだったんだけれど】

今までさんざんイラつかせてくれたお礼に遺言くらいは聞いたげますよ、半紙に書き上げて、その首と一緒に晒してやりましょう。
達筆な感じで書けば名言みたいに見えますかね、――あはは、内容によりますよね。じゃ、どうぞ。――最期に一言だけ、聞いて差し上げますよ。

【――あるいは。今まで感じていた苛立ちや怒りや殺意が。それが積みあがってきた時間が。今こうしてその元凶を組み敷いて自分が優位である、という状況を、彩って】
【きっとその様子を言葉にするのなら――"調子に乗っている"だなんていわれるのかもしれなかった。変わらず麻酔に似た阻害は施こそうとしながら、左手は離さずではあったが】
【間違いなく彼女はその瞬間明らかに油断をしていた、――ここまできて取り損ねるということはないって、思ってしまっていたなら】

【くしゃりと乱れた薄い藤色が少女の顔にかかっていた。薄らと汗ばんだ肌に張り付いたなら、微かに上気した肌の色合い、ばら色の頬を際立てて】
【薄い唇を愉悦に笑ませていた、――――】
609 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/21(木) 23:54:20.79 ID:2Ox47yzR0
>>608
【戦いの趨勢は決まったと、少女は自らの優位を確信したか。今までの苛立った様子も収まり、いつもの少女然とした佇まいに戻っている】
【流し込まれる阻害の力――ここに着てようやく男は少女の力の性質を知った】
【能力としての幅が広い、優秀なものと言えようが、ここまで練り上げるのにどれだけの血を吐いたのだろう】
【この娘も紛れもなく――狂信者と言って良い。男のらしくもない言葉に、陶酔さえ浮かべて返す様も、実にそれらしい――】

【どう見たところで手遅れ中の手遅れ――行き着くところまで行った以上は、後は死ぬまで、彼女は走り続けるのだろう】
【だが、男は先程聞いた】
【"間違いなく居る"、"全てを見守っている"――まるでそれは、捨てられた親の帰りを待つ孤児のように】

【男は当然知らない。ムリフェンとしての彼女のことは組織から聞かされていても、"蜜姫かえで"の過去を知らない】
【サーペント・カルトの中でどのように扱われ――どのように生きて来たかも、知らない】
【唯一今知ったのは、彼女の味わってきた苦痛だけ】


【だからこれは紛れもなくただの戯言であり。恐らくは挑発ですらない】



――違うね。お前はただ認めたくないだけだ。
610 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/21(木) 23:55:08.90 ID:2Ox47yzR0
>>609
いつか勝手に不幸になった"誰か"も
今までお前が犠牲を強いて来た"誰か"も

……"どうして"、と泣きながら意味を探したお前自身の運命にも

大した理由なんてなかったんだってことを。


【果たして――】
【あの日、蛇を殺さなければ――少女と家族は今も幸せに暮らせたのか?】


【そんなものは神のせいではなく、ましてやお前のせいでもないと、男は口にして】
【怒りでも、嘲笑でも、僅かでもムキになったのなら良い。その間隙でほんの僅かに指を動かし、義手である左腕を――自爆させる】
【阻害されたままでは、男も能力の使用がままならない――もし炸裂すれば両者とも無傷では済むまい】
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/22(金) 00:16:24.80 ID:77NUywia0
>>609

――――――――――は。何をですか? 
はぁ――せっかく機会を差し上げたのにくだらないことにお使いになられましたね、じゃあ、そろそろ死んでもらって、よろしいですか?

ご存知でしょうけれど、まもなくウヌクアルハイ様は受肉されます、――その時にあなたみたいな方が近くをうろついていたら困るんですよ、本当に。
ですので待っていました。ほかにもいくつかの場所で"こういった"罠を仕掛けていたんですが、――珍しいところではマルフィクなんかも出張ってました。本当に珍しいですね。
――それっくらい邪魔なんですよ、――まあ、そんな風に言ったら褒めているみたいで癪なのですが。ですが褒めて差し上げましょう、――大したものです、と。

ですがここで終わりです、――残念でした。来世ではウヌクアルハイ様のすばらしさに気づいてくださったら、いいんですけど。

【そうして少女は一瞬のみ、相手の言葉を待った。待って、そして、聞いた。――けれどそれ以上のことはなかったのだ、強いていうならば】
【ひどく憐れむように眉を下げて目じりを柔らかく解くようにして笑った、――であればその色合いは嘲笑に似ていた、自分の優位を疑うことなく、相手の戯言を耳にも入れず】
【聞いたとしてもその意味まで理解しないのは、――その目も耳も心まで蛇に心酔する証拠なのだろう、魂すらとっぷりした蜜に漬け込んだなら引きずり出してももはや戻れぬ道筋】
【うんとうんと甘く滴るまで染め上げられて、――「じゃあ、さようなら」――スズランの甘い蜜みたいな声が宣言して、その時に、少女は左手を引き下げるのだろう】

【――その瞬間に彼の脳髄をがなり立てるように揺らしていた痛苦がふっと掻き消えたなら】

【――――――ぞろりと。けれど実際は何の音もなく。少女のせなから鮮やかなマゼンタ色のリボンが幾筋も沸き上がった、それでまるで無数の蛇のしぐさに似て】
【相手のことを絡め取っていこうとするのだ。優位でなく相手の死を確信するための行為、そのくせに血の一滴も滴ることない静かな殺意をたっぷり注げば】
【やがて呼吸も血流も心拍も何もかも"阻害"されて死ぬ。――"阻害"させて殺す。だけれどそのしぐさがひどく緩やかなもの、緩慢に、見せつけるようであったなら】

【それこそ彼から見たら隙は嫌になるほどあって。――リボンに気を取られたか、彼に流し込まれる阻害の力、減ってすら、いた】
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/22(金) 00:17:41.39 ID:77NUywia0
>>611
/ごめんなさい2つ目のレス気づいてなかったのでこれ取り消しますっほんとごめんなさい!
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/22(金) 00:36:56.67 ID:77NUywia0
>>609>>610>>611

――――――――――は。何をですか? 
はぁ――せっかく機会を差し上げたのにくだらないことにお使いになられましたね、じゃあ、そろそろ死んでもらって、よろしいですか?

ご存知でしょうけれど、まもなくウヌクアルハイ様は受肉されます、――その時にあなたみたいな方が近くをうろついていたら困るんですよ、本当に。
ですので待っていました。ほかにもいくつかの場所で"こういった"罠を仕掛けていたんですが、――珍しいところではマルフィクなんかも出張ってました。本当に珍しいですね。
――それっくらい邪魔なんですよ、――まあ、そんな風に言ったら褒めているみたいで癪なのですが。ですが褒めて差し上げましょう、――大したものです、と。

ですがここで終わりです、――残念でした。来世ではウヌクアルハイ様のすばらしさに気づいてくださったら、いいんですけど。

【そうして少女は一瞬のみ、相手の言葉を待った。待って、そして、聞いた。――けれどそれ以上のことはなかったのだ、強いていうならば】
【ひどく憐れむように眉を下げて目じりを柔らかく解くようにして笑った、――であればその色合いは嘲笑に似ていた、自分の優位を疑うことなく、相手の戯言を耳にも入れず】
【聞いたとしてもその意味まで理解しないのは、――その目も耳も心まで蛇に心酔する証拠なのだろう、魂すらとっぷりした蜜に漬け込んだなら引きずり出してももはや戻れぬ道筋】
【うんとうんと甘く滴るまで染め上げられて。うんと甘い感覚は脳髄の奥底までを愉悦でしびれさすから、緩やかな仕草で、少女は左手を引き下げるのだろう】

【――だけれど言葉が続いたのはその時であった、それは奇しくも左手が話されたことによって彼に与えられる"少女の"痛苦がふと掻き消えた瞬間であって】

――――あははっ、ほんとに何の話ですか? どうかしちゃったのかな、元からどうかしてたのは知ってますけど――。

勝手に起こる不幸などありませんよ、その方の信仰が、あるいは、積んできた善が足りなかったにすぎません。間違った善に支配されているからこその歪みが発露したに過ぎず。
……犠牲ですか。犠牲などただ一つもありません、我らとて心苦しい。ですがそれは正しくないものに世界が支配されている証左です、――私たちですらも。
であればこそ、正しく善い道筋に向かわねばなりません、"それ"を"犠牲"と呼ぶのは、かえって失礼ですよ?

どうして――ですか? ふふっ、もう、面白いなあ、作家にでもなったらどうですか? この時の作者の気持ちを考えなさい、って、問題、お得意なタイプ?
妄想も甚だしいです、他者に自分の妄想を当てはめ押し付けるのが最期の言葉だなんて。親御さんが泣いてショック死しますよ、お嫁さんも、まあ、死にますかね――。

私は泣いてなどいません。この身体も生まれたことも、今まですべての系譜さえもウヌクアルハイ様に捧ぐためにあった。それ以上の理由が必要ですか?
あなたの陳腐な物差しで判断されても困ります、――興が殺がれてしまいそう。まあ、殺しますけど。

【そのせなからぞろり、と、音もなく。無数のマゼンタのリボンが幾条もあふれ出したなら、それらはきっと蛇のように振る舞うんだろう、頭をゆうらり揺らして】
【そうしながらも少女は相手の言葉に返すのだ、――返さざるを得なかった、とも、言い換えられて。変わらず嘲る声ではあったが、彼女は、返事するよう強いられた】
【――否定しなければいけないとどこか無意識で思ってしまったなら。悪手であった、あんまりに鮮やかに笑うなら、言葉の端っこ、急ぐように区切るということもなく】

――――――――――じゃあ、さようなら。

【"それだけ"の時間は、あった。むしろ、ありすぎたくらいだった。少女は彼の言葉によって返事を強いられてしまった、だから】
【――気づかなかった。気づくのに遅れた。そして気づいたのは、炸裂の瞬間であったなら。きっと炸裂の音、ビルの中をひどく揺さぶって、あるいは、建物ごと揺らす】
【降り積もった埃や放置されたままのコピー用紙だったものなどなどがあたりに舞い上がるのだろう、――であればそれらは煙幕のよう、互いの視界をきっと覆いつくしてしまう】

【――――それでも確かなものがあった。炸裂の瞬間まで少女はそれに気づけなかった。炸裂してなお、その直後まで、彼女は確実に彼の身体に触れていたなら】
【相当の至近距離で。自分を護ることも出来ず。――喰らったと見るのが妥当であった、ざあざあノイズに似た煙幕がまるでじらすよう、その結果をすぐには見せてはくれないのだけれど】
614 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/22(金) 01:08:03.81 ID:me/ZbI/20
>>613

――饒舌だな。オマエの祈りはまるで■■■だ――

【最後の言葉は、しかし、爆風に掻き消されて、届くことはなかった】
【多分、唾を吐くみたいに最低な言葉を吐きつけたのだろうと、容易に想像がつくけれど】

【――そう、分かり切っていたことではある】
【その言葉を掛けるならば、もっとずっと前でなければいけなかったのだろう】
【少女はそれくらいに手遅れで有ったから――有ったから男はそう口にした】
【機関銃のように放たれる、否定の言葉。男の言葉の隅々までを否定しなければ気が済まないかのように、口早に放たれるその合間を――見逃すはずはない】


【炸裂――芸がないと言われようが、爆発物は男にとって能力を活かすための道具だ】
【男も、少女の阻害から逃れた後、その身を虚数の海に沈め、消え去ったのだが】

【無論、無傷のはずはない。半身に大きな火傷を覆い受け、飛び散った石片を身体に突き刺しながら、それでも男は立っていた】
【額を流れる血を、ペロリと舐めながら、爆風の中の彼女を探す】


【――まさかこれで死んだと言うようなことはないのだろう。確実にここで殺して置くべきだ】
【彼女が男を厄介だと評したように、男も少女をそう値踏みしていたのだから】


――クッヒッヒヒヒヒ……受肉ね。
だったら俺も試してみたいモンだがねェ?果たして、ウヌクアルハイ様ってのは焼いて食ったら美味いのかってなァ?

【爆風の中、男の調子は、全く元に戻っていた。自己統一性がないのは、過去に能力のルールを違反した、後遺症か】


勘違いして貰っちゃア困る――死刑を執行するのは、俺の方!
お前ら爬虫類どもは判決の余地なく全員――


【爆風が収まろうとしている。男はつまらなそうに、窓の外を見た】


全員死刑!オマエも、アイツも、神話から這い出て来た神モドキも、最初から何もいなかったみてェに跡形もなく!
残らず世界の黒歴史にしてやるよ!二度とこんな神話が流行らねェようになァ!


【捨て台詞を吐いて――男は窓から飛び出て行った】
【見れば、窓の外には増援の部隊――装備も失い、深手を負った今では、流石に厳しい故に】
【決着は――結局、その日に先延ばしになるのだろう】

615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/22(金) 01:32:47.08 ID:77NUywia0
>>614

【――――脳の中がかき混ぜられてしまったような感覚だった。何が起こったのかを理解するのさえ数秒も遅れて、なぜか床に転がっているのだけ分かる】
【吸い込んでしまった無数の粉塵に咳込んだ、見開かれた眼に細かすぎるほどの塵がまとわりついたなら目を開けていることさえできなくなって、身じろぎしたなら、粘こい音が】
【――くちゃりと音がした。ずるりと引きずる感覚があって初めて、少女はいくらも遅れて現実を理解する、――そして痛みが追い付いた瞬間にやられた、と、思った】

――げほっ、けほ、っ、っっ、――う、ぇっ、――――、く、そっ、クソ、っ、クソがっ! パグローム……パグロームッ!
殺すッ、……殺してやる、殺してやるっ――、げほっ、――、お前はここで殺すッ!

【ならばそれはきっと執念に違いなかった、さっきまでは自分が優位であったはずという認識を引き摺って、いまだにそれを保とうとする、この場において】
【じりりと粉塵が落ち着いていくならばきっと彼はその光景を見るだろう、――特に近かった右足は張り裂けていた、真っ白な肌は肉まで弾けて、時々骨すら覗かせて】
【咄嗟に頭をかばったのだろう両腕の外側を含めて火傷を負った箇所はいくつもあったなら、じゅうと肉の焦げる嫌な臭い。塵に痛む目はほとんど開かない様子、それでも色鮮やかに】
【ずるずるに焼けた腕で床を引っ掻くように這ったなら身体を起こす、耳さえきんとして音が幾重にも反響して聞こえた、――それでもまだ、あるいはさっきより、鮮烈なら】

【――――――――自分に"阻害"を施す。そうしたなら痛みは分からなくなる、ひんやり冷たい麻酔の感覚、自分の身体が異物のように感じられる瞬間は、好きじゃないけど】
【――――――そんなことは言っていられなかった。この男を殺さないといけない。さっきまでそうできる状況だったはず。頭の中が混乱する、まだ、揺れている気がする】
【――――とにかく殺す。逃がさない。無理やりに身体を起こしたならば嫌な音がするけれど、耳鳴りのひどい彼女の耳には届かないし、痛まないから、関係なくて】
【――それでもきっと壮絶だった。張り裂けた右足を引きずって、全身のいろんな場所に火傷を負って。それでも自分で歩く少女は、出来の悪いおもちゃみたいに】

――――――ッ、逃がさないッ、逃がさない、逃がさなッ、

【――けれど。相手の方がずっとずっと素早かった、窓辺から飛び立った姿を認めてもなお少女は諦められなくて、その場所まで行くのだけど】
【その時に彼の姿はもうきっと見える場所にはないだろう。――後を追って飛び降りようとした少女を増援のサーバントが押さえつけた、その光景を彼もきっと見ないけど】

【――――だからきっと少女はサーバントたちによって回収される。そうしてきっとこの間も世話になったばかりの医務室に運び込まれるのだろう、怒り狂った様相で】
【治療が終わったならほんの一瞬だって休むことなく出て行ってしまうから。――だからきっと、逃がした彼を探し出して今度こそ殺そうとしているのだと思えて】

【(けれど、きっと、その日の訪れるほうが早くって、そしてきっと、ううん、確実に、彼はそこに現れるから)】
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/22(金) 01:35:44.84 ID:77NUywia0
>>615
/書きはぐった!おつかれさまでした!
617 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 13:49:41.52 ID:Xgr13xPl0
>>572

変えるって言い方より、造るっていう方が俺は好きだね…つくろうじゃないか。俺たちでさ


兵器でも、人間でもなんでも俺たちにはハートがあるんだ。だからこそ組織ってもんは難しい
計画も綿密であればあるほど、それは芸術的になりすぎる。――まあ、こんな話はどうでもいいか

【彼らにこの男の話がどれほど伝わってどういう印象になったのかは彼にはわからない。くだらない話だと】
【自ら一蹴して、「ええと…」と何が本題だったかを指先をくるくる宙を回しながら少し考えていた】

そうだな…ここらで方針を変えるのも良いのかもしれない。この現状で残ったメンバーで再編成して
連絡は密に…というのも悪くない。指輪によって機密は守られたんだ。なら…問題はないはずじゃないか?

そっちの戦力ってやつは、そっちでうまいこと扱うほうが良いかもしれない。俺やこっちのメンバーが口を出すと
動きづらくなるだろう。ある種のスピード感は――必要だ。


【軍隊というよりか極左のオルグのような小集団の網目のネットワーク。母数が多いならそれは明暗かもしれない】
【ただ現状の人数を考えると再編成して密な組織も悪くない。―探偵はこういうときに決められないような男としては少々】
【マイナスポイントな性格であったので、こういうときは頭をかくばかりになってしまう】

…そう、思うならそれでいい。…ただ、UTのメンバーなら。君みたいな中心のメンバーが…閉口してちゃ…なんというか
……寂しいね。なにもないならそれでいいんだ…何もないなら…さ。

じゃあ、暫くは情報収集といこう。ここで新しい繋がりができただけで儲けもんだ。連絡を定期的に取り合うとして…
…こっちのチームを代表してなにか言うなら「無茶はするな」、だ。肝心なときに動けなくちゃ…さ。

【そう言って、シャツの胸ポケットから名刺を、2人(物理的に数えて)に差し出す。電話番号、何処かのBARの住所。】
【あとは赤い目をした鷹の絵が書かれていて、名前もない。 DETECTIVE とだけ文字が踊る】

とにかく、無茶はするな。蛇と、公安、テクノドッグス。…勿論他の奴らも、気を張って。
――他のヨハンにもよろしく言っておいてくれ。639号室でまた会おう。


【探偵は急に話を打ち切った。そして街に消えていくように振り返りもせずに消えていくもんだから、なんだかマイペースも通り越して】
【薄情に思えたかもしれない。だが、その奥からテクノドッグスの声と、サイレンが響き渡った。悲鳴と、銃声と――――】

【世界は回り続けている。だが巨大すぎるがゆえに我々は気が付かない】


/少々強引となってしまいましたがここで〆にさせていただきます。長い間、拘束してしまって申し訳ございません
/お付き合い本当にありがとうございました!お疲れさまでした。
618 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 13:50:14.32 ID:RT4l8Hhv0
/test
619 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 14:08:48.07 ID:RT4l8Hhv0







                   【      ──────    】







                   【 ──── かつて厄災があった。】







                 【 故に人々はその地を忌み嫌い、捨て去った。】








                   【 けれども、そこに残る信徒も多く、】







                 
                 【 いつしかその地は "Malta" と呼ばれた──。】









620 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 14:09:45.83 ID:RT4l8Hhv0

【深い曇天が空を埋め尽くす。溜息の様に満ちた雲が、澱む心の色合いを示すが如く】
【踏み出す一歩に絡みつく陰鬱さは、深海に居るかの心地で、一呼吸する度に肺へ鉛が下る】
【夜烏の森を抜け、貴方はその土地へと踏み込むのだろう。二度とは戻れぬ故郷を思いながら】


【踏み込んだ街中は荒廃していた。住んでいた人間が、そっくりそのまま消えてしまったかの様に】
【朽ち果てた家屋、雑草の生い茂る街路──、その全てが、この街の終焉を伝えて】
【それでも貴方が足取りを止めないのは、内心に響く確かな決意が故、か────】


【──、此処に辿り着いた由縁を私は知らない。それは貴方達に委ねる事に他ならず】
【重ねて言えば、誰も彼も自らの首を切り落とす、処刑人の顔など見たくも無いのだから】
【或いはそれは戸惑いに近かった。知ってしまったならもう、戻れないと伝える様に】


【路傍には打ち捨てられた信仰の跡、破壊された偶像があちらこちらに散らばっている】
【ふと貴方は "思い出す" 。── どこかで聞いた御伽噺の続き。それは老婆か、或いは書物か】
【── 或いはきっと、 "前の" 貴方が体験したこと。でも、それを今此処で語ってはいけないから】


【この "Malta" と呼ばれた街は "サーペント・カルト" の信徒達が隠れ住んでいた地域であった。】
【かつて "旧市街" 全域で起きた "大災厄" そこから逃れた人々は、その責任の全てを蛇に押し付け、】
【故に彼らはこの土地へと避難した。──故にこの土地は<信徒達の避難所>という意の "Malta" の名を冠し】


【────そして、大規模な宗教弾圧が起きる。老いも若いも男も女も、皆一遍の区別無く戮殺された】
【蛇教の信者達の無念が、時折怨嗟の渦となり、我々の耳元を侵食する、と誰が言ったのか────】
【この土地は長く放置されていた。だからこそ、それは奇怪な噂であった。若しくは、確かな証左だったのかもしれないが】


【貴方は足を止めた。それはきっと、偶然。──思考の切れ間、思念の止まり木、思惑の袋小路、兎角理由など無くとも】
【静かな土地だから、そう、呼吸の音だけしか聞こえないぐらいに。自分の足音だけが、きっちりきっかり、鳴り響くだけの静謐に】










                        【──── もう一つ、足音が響いた。】








                           

                                     ────ようやく、見つけてくれた。








                           【────<暗転>────】
621 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 14:10:32.80 ID:RT4l8Hhv0

【 "Malta" 中心部に聳え立つ大聖堂、打ち捨てられたステンドグラス、荒廃したゴシック様式はそれでも尚荘厳で】
【一際巨大な大広間に "生け贄" が集められ、身を寄せ合う様に座り込んでいる。──誰もがその目に恐れを浮かべ】
【それと同時に諦念すらも感じさせられる程に──、それはきっと、拉致されてから、あまりにも "見すぎた" 】

【麻痺した恐怖心に似ていた。痛みは薄れても尚、傷口に瘡蓋が残る様に、極度の恐怖は心理的外傷として深く根付く】
【生け贄を取り囲む様に "サーバント" 達が立ち尽くす。各々がその手にナイフを握り、無表情を残して】
【──、そして大広間へと、一人の男性が歩みを進めてきた。】


【白いシャツを着た、黒い長髪の男性。──── "ケバルライ"】


ようこそ、今日が全ての始まりの日にして、記念すべき最初の日、尊ぶべき原初の日にして、墜滅の記念日。
そして君達は、その奇跡の生き証人となるのだから、祝福しなければならない、と私は伝えましょう。
永劫に記されるべきこの一日を、君達が余すことなく伝えられる様、君達を余すことなく伝えられる様に。

私の名は "ケバルライ" ────。心臓の名を持つ、サーペント・カルトのオフィウクスが一柱。


【サーバントの一人が一歩前に踏み出し、手元のナイフを逆手に握り、自らの頬に突き立てる】
【瑞々しい果実の薄皮に爪を突きたてた様に鮮血が飛び散った。生け贄の一人の顔に血が着き、響く悲鳴】
【深々と突き刺さったナイフは硬い頬骨で止まる。男はもう片方の手でナイフの柄を押した】

【頬から顎骨を突きぬけ、ナイフの先端が下顎から飛び出す。鮮血の中に混じる白い脂肪の塊】
【抉られた歯茎から零れ落ちた歯の欠片。赤と白のコントラストが地面を塗りつぶして──】
【ぐるん、と手首を返したなら、頬を引き裂きナイフが顔から乖離する。反動でビクンと大きく体が揺れた。】


そう、君達は、この儀式の目撃者で無くてはならない、現在を綴る記録者で無ければならず、未来へと繋ぐ観測者なのだから。
故に目を逸らしてはいけないのです。彼は今、とても "頑張っている" そんな彼を応援するのは正しい行いです。
努力は報われるべきなのですから、そうでなければ、この世は何と無情なのでしょう。

──私は信じています、君達の可能性を、君達の、強い命の輝きを。


【肩で大きく息をしながら、彼はもう片方の頬にナイフを突き刺した。手首を返し、今度はナイフが上部へ回転する】
【眼窩を奥から抉り出す様に、眼球が零れ落ちた。視神経がパスタの様に噛み千切られ、地面へと転がって】
【更に深く、彼はナイフを押し込む。その奥の脳髄を、余す所無く掻き出すかの様に】

【やがてテレビのスイッチが切れる様に彼は地面へと倒れこむ、流れる血液が生け贄へと向かって】
【それは同時に他のサーバント達も同様であった。彼らもまた、各々の方法で、自死を遂行して】
【七箇所から生け贄へと血が、流れていく────、それが合図】


────"Triumphus Serpentis Magni" 願えば夢はきっと、叶うものです。


【生け贄を取り囲む様に血が円を描いたなら、彼らを取り囲む "床" が上昇する】
【大聖堂の屋根が消え去り、その床は空中へと浮かび上がって、生け贄はおびえた様子で中心部へと移動する】
【やがて巨大な床が空中で静止するだろう、その様子は街中から確認できる】
622 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 14:11:06.92 ID:RT4l8Hhv0

【床からは七つの赤い光が伸びて、その一つは、満足げに空を見上げるケバルライの側へと続いていて】
【ケバルライは開け放した大聖堂の扉を見つめながら、静かに言葉を重ねる】
【──、それはきっと、もう誰も聞いていないけれども、語らなければならない、物語の続きだから】


病を司る"ラサルハグェ"────我が愛しき "虚神" の同胞にして、永遠の宿敵。
貴方と共に同じ道を歩むとは思ってもいませんでした、いえ、だからこそ信じなければならない
我々にとって、信仰こそが光、願わくば──、共に宿願を。因果の彼方に我々の虚構を

世界を渡る"プリオル"────傾世の蝶は可憐な躯を謀り、そうして調べを愛撫するのでしょう。
彼女もまた終末の観測者、終焉した世界は幾重にも、またこの世界をも悪戯に葬るのか。
けれども、今の彼女は蛇に縋る、いや、蛇をも縋るとでも言いましょうか。これもまた、不可逆的な奇跡。

生を拒む"ムリフェン"────誰よりも "ウヌクアルハイ" 様を信じ、蛇に仕える信徒。
その信仰心は世界をも侵食する。或いは彼女こそが、この現実の要とも言えるでしょうか。
今はその目に死を捉え、死者ですらも殺してみせる。彼女の前では、死は安寧ではなく、始まりに過ぎない。

穢れ無き"サビク"────この世界は彼にとって醜く、耐え難い。故に彼は、穢れ無き聖人。
誰よりも愛された使途として、全ての穢れを打ち払うのでしょう、そこに僅かばかりの曇り無く。
彼の後ろに澱みは無く、ただ只管に、無明の光が満ちるのみ、と

戒めを破る"ポステリオル"────欲望は際限なく人の身を蝕む。けれども、研ぎ澄まされた純度の欲望は、時に美しく
それは宛ら、その身を焼かれながらも雄雄しく羽ばたく不死鳥に似て、絶え間なき責め苦の果てに救いを見るのですから。
彼にとって戒めとは枷に過ぎず、それを破りながらも尚、彼は第一の信徒であり続ける。

禊を果たす"マルフィク"────偉大なる儀式には偉大なる司祭が、尊き神事には尊き指揮者が、かくして罪は祓われる。
その御身を無くした神へ、捧げた恩寵はどこまでも深く、それ故に彼の信仰心は何処までも、純粋な無垢であり続ける
そして称え様、その先にこそ、我々オフィウクスの救いがあるのだから。


────私は死の体現者、神に仕える"ケバルライ"────、さぁ、グランギニョルを始めよう。


【七つの赤い光は、それぞれの使途の側へと伸びていた。サーペント・カルトの七人の幹部達】
【常人を遥かに凌ぐ魔力と、深淵よりも暗い信仰心を共に持つ、類まれなる傑物の集団】
【──、彼らが揃う事、それが奇跡であった。誰もが皆、自分こそが第一の信徒であると、信じるが故】

【嗚呼、だからこそであろうか。──それは星空の歌うグランドクロス、並び立つ事の無い一等星が紡ぐアステリズム】
【世界はバランスを失う、平衡感覚を失ったなら、錘を失った天秤と同義であって、そこに僅かな救いも無く】
【傾いていく、傾いて、毀れて、溢れて、塗れて────】

【──、ケバルライは天井の開いた大聖堂で、来客を待つ。静かに笑みを浮かべながら、貴方を待つ】
【夢の終焉はすぐ側へ、彼方へと残る僅かな彩りすらも無く、そうして戦ぐ少しばかりの誇りを胸に】
【紡ぐ言葉はもはや無く、終わりへと向かう旅路を微かにたどるが如く】


/これよりイベント"新世界より"を始めます! リオシアさんの方は此方にレスを下さい!
/また、【悪サイド】の皆様も投下の方をよろしくお願いします!
623 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 14:11:51.82 ID:RT4l8Hhv0



【──── "Malta" 大聖堂と街を繋ぐ、大きな橋の上】
【眼下には破壊された町並みが見えた。視線を上に上げれば上昇した床が見えた】
【そしてその目の前には、どこまでも愛らしい病魔が存在しているだろう】


あは♪ ねぇ、わかるかなぁ? ボクがどれだけ、この日を心待ちにしてたか、なんて──。
一日千秋なんて言葉じゃ足りないよね、それが永劫であったとしても、ボクは驚かないから
どれだけ鈴ちゃんを思って、どれだけ鈴ちゃんを待ちわびて、どれだけ鈴ちゃんを願ったことか

──、だからね今日は記念日なんだ、ボクが何処までも純粋な奇跡を果たす最初の日
それをキミ達は邪魔するんでしょ? 適当な思想や理念を以って、ボクの恋路を邪魔するんだから
だったらね、そんなね、愚か者、八つ裂きにしたって足りないって、そう思うでしょ?



【小柄ながら豊満な身体を大きく露出したホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は白く肉感的な素肌を晒している少女】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて真紅の瞳を濡らす】

【背中には巨大な悪魔羽根が揺れて彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに愛らしい雰囲気を創りだす】


だから殺す。ありのままに、徒に、ボクはボクの思うが儘に、キミ達を殺す。
たった二人だけの愛しい時を、どこまでも純粋で無垢な時間を、邪魔するキミ達を
僅かな欠片も残さず、僅かな悔いも残さず、思う存分殺しつくしてあげる。

ボクはもうキミ達の無味乾燥な感情には、一遍たりとも興味の破片が持てないから
さぁ角砂糖を献上しな、甘い甘い死を、ボクに捧げて果てるんだよ
──、前菜にもきっと、ならないだろうけど、さ


【白露の様な頬は幼子の如く、柔らかなラインにクリーム色の笑みを浮かべて、紡ぐ言葉はビター】
【香る甘ったるい芳香すらも、人工的な甘味料を思わせて、それでいてどこまでも天然色な愛を歌う】
【イミテーションの輝きは、彩りだけは見事だけど、その奥にあるのは孤独だって、誰でも知っている】

【──、真紅の双眸が二人を視認したなら、戦いの火蓋には十分だろうから】


/イル=ナイトウィッシュです、よろしくお願いします!
624 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/23(土) 14:13:58.84 ID:WB6h1eEP0

【空は曇り、神々に血肉なし。溶けた鉛をぶちまけたみたいな切れ目のない空。風一つ吹かない静止した世界は、溜息だって許さない。】
【放棄された宗教都市"マルタ"。 ── その市街中央、古びた大聖堂にて、"受肉"の儀式は執り行われると、貴方はそう聞いているかもしれない。】
【であれは其の道中には一人の信徒が立ち尽くす。かつて焼き払われ、煤けて、所々が崩落し入り組んだ市街地の中、】
【突然に開けた場所に出るなら、そこは広場。真ん中には枯れた噴水。蛇を模した彫像が配されていた。】
【 ── その噴水の淵に、女が腰掛けているだろう。およそこの場に似つかわしくないフォーマルなスーツを上下に纏い、艶やかな黒髪をシニヨンへ纏めた、妙年の女。】
【タイトスカートの隙間から伸びる両脚は蠱惑的に組まれて、ジャケットの下に隠した豊満さ、 ── 真白い首筋から垣間見える、"蛇"の刺青。】
【危うい肉感を孕んで、毒牙を隠すような女だった。それでいて端整な顔立ちは優しく笑っていた。】






「 ──── 蛇は女に言った。」「『園にあるどの木からも取って食べるなと、ほんとうに神が言われたのですか』」






【貴方が彼女に気付くなら、彼女もまた貴方に気付く。そうして仰々しい手振りと口振りで立ち上がり、旧い聖典の一説を諳んじる。白い喉が蠢き、紅色の唇が瑞々しく開く。】
【 ── 懐に収めた大ぶりのクックリ刀と、小ぶりなサバイバルナイフを、それぞれの手に握っていた。順手と、逆手で。ぎらり、刃が曇天を映して、鈍い光。】



「さァて。 ──── この度はどうも、遠路はるばる御足労頂き誠にありがとうございます、正義の味方さま。」

「キミ、神様って信じる? 信じるとして、神様って実は悪魔なんじゃないかって、考えた事ない?  ま、いいんだけど。」
「ともあれワタシの仕事はキミを止めること。イカレポンチのお偉いさんは果たし合いと洒落込むらしくてねぇ。呑気なもんだよね。 ── それでもさ。」
「人様の決闘やら儀式やらに余計な横槍入れるってんなら、そりゃあ正しく蛇足ってものよ。 ── 灰吹きから出てきた蟒が、きっちり絞め落としてやんないとね。」



【くすくす楽しそうに嗤って、彼女はその「歯」で其々のナイフを「噛み研いだ」。まるで、何かを塗り付けるみたいに。刹那、得体の知れない殺気を感じるかもしれない。】
【 ── 風を切って、腰を落とし、その双刀を構えた。やはり唇は笑っていた。けれど目は笑っていなかった。確かな殺意に満ちた青い瞳が、真っ直ぐに見つめていた。】
625 :ドープ ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/23(土) 14:14:45.92 ID:xPZ7LQKro
【宗教都市マルタ=B弾圧から荒廃しきったその都市には、おそらくかつての祈りの残り香が各所にあったのだろう】
【蛇の偶像のかけらが転がっている。もとは蛇教の隠れ家だったその場所は、今はもぬけの殻だ】
【それこそ──脱皮した、蛇の皮のような。そこには何か≠ェ在った筈なのに、様々な思惑と弾圧から、無と化したこの地】

【そこは、もとはひとつの寺院だったらしい場所。おそらく遠い過去に行われたのであろう、修行≠ノよる血痕がいくつかあった】
【日常的に行われていたのだ。今ほど過激で無いにしろ、己を傷つけ、他者の肉も欲する行為。その光景のポートフォリオ】

【寺院≠ニ表記したが──さまざまな建物がある為に、ここの役割としては】
【そういった修行や拷問を行う専門の用途だったらしい】
【他にも拷問器具は点々と、数多く置かれている。──木製、鉄製。そのどれにも血はこびりついている】
【周囲は甘いミルク色のコンクリート作り。広いホールの中、何本かの太い柱で支えられている】
【──規模はそこそこ広い。学校の体育館くらいだ。拷問器具があちこちにあるとはいえ、走り回るくらいには困らなさそうな】


【その真ん中に立っていたのは──髪型は、前面が刈り上げ頭に、後頭部の中腹から多量ぎみのドレッドヘアー】
【その刈り上げには、大きめに真正面からの構図で蛇が口を開けた顔≠フラインアートが剃られていた】
【肌は黒気味の褐色。目元はサンバイザーで隠し、唇は分厚い。首には常にヘッドホンを掛けていて、左頬に小さな蛇の刺青=z
【全体的に大柄で筋肉質。袖無しブルーグリーンのダウンに、カラフルなマリファナリーフマーク≠ェあしらわれた黒いシャツを着たていた】
【だぶついたズボンと、サイズの大きなスニーカーを履いた、まるで夜のクラブにでも居そうな黒人の男だった】
【右腕は肘から先が欠損しており──もとは蛇の刺青があったであろう場所は、蛇の中腹、途中から尻切れとんぼになっている】
【手の方に向けて頭がついたデザインだったようだ、今はトカゲの尻尾のようなモノしか残っていない】

──邪魔者は排除しろ、て言われてるんでな

【コキリ。首を鳴らす、それはあまりにも意味の無い呟きだった】
【誰にも聞かせるコトも無かった、──ただただ、事実の確認なのだから】

……だから来るのを[ピーーー]だけだ。ただ、それだけ。

【──彼は相手に対する興味も湧かない。否、言葉からは無意識にそんな風に思いこむようにしているような気さえする】
【元々はそんな性格ではないのだが、現在ムリフェン≠フ能力が脳に張り巡らされていて──好奇心=Aそれに関連するものを阻害≠ウれ続けている】
【数日前にオフィウクスの一人に植え付けられた洗脳は未だ解けるコトなく、今日という日まで生きてきた】

【与太話だ──そして、今】

──儀式は完成させる。から……

【この大きな儀式にすら──現在の彼は、期待も、興奮も湧いていない】
【ただ任務を終わらせなければという義務感。儀式を邪魔されないように遂行する為の機械人形だ】

【彼は、生きたまま#\力者を拉致し続けたその一人、張本人】
【であればアナタは、正義を下すのだろうか。その悪しき意思≠断つのだろうか──愚問な、問いかけだろうか】
【今ここに訪れるであろう彼女≠ヘ──きっと瞳に覚悟を宿して】
【優しき慈悲を持ち、ヒトの苦しみを断つ為に、そして大事なモノを──守ろうとするのだろう】
【──そしてアナタは、ヒトビトが、能力者が苦しめられたこの場所を】


【──終わらせる為に、ココに来たのだから】

──だから、来い。全力で迎え撃つ


【ドープ・ラブ・ライク。悪に堕落したが故に、自業自得の蛇≠フ天罰を得た受けた男】
【それに相対するは──美しき聖櫃。白亜の神≠フ光を得た、かけがえのない明日≠望む聖女】


/ドープです。マリアさんの方、よろしくお願いします!
626 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 14:15:45.10 ID:B29byw680

【旧市街・ "マルタ" ──】

【来訪者が歩みを進めると、煉瓦造りの大きな建造物の廃墟が目につく】
【中に入れば、体育館ほどの広い空間──かつてこの建物が倉庫だったとわかるはず】
【その中に、一人の男が佇んでいた】

よく来たな。私はツァルエル・アーツバニスト。サーバントだ
君の所属と名前を聞こうか?

【男の年齢は30手前くらいだろうか。橙色の瞳に鳶色の髪】
【中世の修道士のようなゆったりとした薄茶色のローブを身に纏い】
【首元には、全長5mはある"蛇の骨"がグルグルとマフラーのように巻かれている】

さて、私と当たった君は運がいい。とっても幸運だ
他の信者なら君を贄とする為に捕まえようとするだろうが……
私は野蛮な事が嫌いでね。君が"儀式"を邪魔せずこのままマルタから立ち去るのなら、見逃してあげよう
ふふ、内緒だぞ

【指を1本口元に。シーッと言いたいかのようなポーズを取り】

それでも戦いたいなら一応忠告だが……この建物には当然、私を有利にする罠や仕掛けを用意している
敵陣に乗り込んでまさか卑怯だなんて言わないな?
さあ、というわけで悪いことは言わない。立ち去りなさい

【不敵な笑みを浮かべながら、来訪者に諭すように語りかけた】


//ツァルエルです。厳島の方よろしくおねがいします!
627 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 14:16:47.97 ID:rW2LOlMS0
【宗教都市マルタ――――廃れた住宅街、大聖堂へ続く道のひとつ】
【右を見ても左を見てもモノクロームの廃墟ばかり。たまに生い茂る蔦や苔の暗い緑】
【そういった、彩度の低い風景の中に――ふっと、輝きが、舞い降りた】


ダァメ、だめ。ここから先には蛇神様がおられるの、
邪魔しちゃダメだよ――――とくに、オマエらみたいなきっっっっったないヤツらがさあ。


【それは少年のかたちをしていた。白金色の髪をさらさら揺らして、空気を含んで】
【うるうるわしい海色の瞳は笑みの形に細められ、暴力的な量と長さを誇るまつげで縁取られ】
【シミや雀斑、面皰はおろか、毛穴の一点すら見当たらない白磁の肌は艶を含んで輝いて】
【愛らしく口角の上げられた唇は縦皺もなく、ぷるぷる。内側に行くほど紅色を強くするグラデーション】

【――暑かろうに、顔以外の膚をまったく露出しない格好をしていた。灰色のブレザー、ショートパンツ】
【インナーには黒のハイネック。脚は黒タイツで覆って、手元すら白絹の手袋で徹底的に肌色を隠して】
【履いている靴は女でもそうそう履かないようなピンヒール。13、不吉なセンチメートルの高さのそれ】

【そんな様相。見てくれだけなら天使に見えた、荒廃した地を再生するため降臨した、ような――――】


……うぅえ、ダメだホント、オマエらほんっと気持ち悪い! 見た目が!
なぁんでボクがこんなのの相手しなきゃいけないんだか! ホントヤダ!
蛇神様ったら、こんなの「試練」にしたってあんまりだよ、ひどいよう、……ふふふ。
――――「会えたら」、真っ先に文句言わなくっちゃ。ねえ?


【――――でも「ちがう」とわかるのだ。天使は、こんなに、悪辣に歪んだ笑みは浮かべない】


よろこべよ。オマエらみたいなキタナいヤツらでも、蛇神様の贄になれるんだ。
よかったねえ? 蛇神様はね、なんでもかんでもぜえんぶ作り直してくださるから――

――――オマエらみたいな「汚物」もね。きっとボクみたいに、キレイにしてくださるよ。


【少年。破崎雨竜――――オフィウクス、“サビク”は。目に見えるほどの輝きを纏って】
【汚泥の底より這いあがってきた、あなたたちの前に立ち塞がり。嗤っていた――美しくも歪んだ顔で】


//ウリューでございます! スクラップズさん、どうぞよろしくお願いします!
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 14:18:00.32 ID:yyycwOqh0
【――――そこは街中にいくつもある小さな小さな教会の一つであった。とっくのいつかに崩れ落ちた残骸、それでもどこかで確かに気高い場所】
【大聖堂のように美しくなく、荘厳でなく、神聖でなく。けれど思わず跪き祈りを捧げたくなってしまうような瀟洒が満ちていたなら】
【この場に於いて――全く未知の成分が空気中に混じりこんでいるかのように、静かだった。それはきっと神様が近くまで訪れている証拠】

【まもなく悲願の刻が迎えられる証拠以外の何物でもなく。――であれば、そこに"彼女"が居るのは、道理であった】

【――その場に踏み込んだならば、まず、真っ先に、見るだろう。いつか焼かれたように朽ちた偶像、もはや何とも判断のつかぬ、金属の塊】
【そしてそこに少女が居た。入口に背中を向けたまま跪いて――だから祈っているのだと分からせた。あの夜のように指を絡めて、小さな声で、祈りを捧ぐ】
【相手がほんの数メートルの位置まで近づいてくるまで、彼女はそうしていた。だから、その前に殺すことは出来たはずだった。――けれど、そうでなかったなら】

――――――――あはは、っ、ほんとに来ちゃうんですね。おかしいなあ、GPSかなんか仕掛けられてます?
困ったな――、――残念ですけど、今日の私は本当に本当の本気ですよ。今までは戯れでした。――ということに、しておきましょう。

【少女は背中を相手に向けたままで話しかけるのだろう。見ていないはずなのに理解していた。足音で。気配で。雰囲気で。あるいは、その、嗅ぎなれた香りで】
【あんまりに馬鹿げたものを見てしまった時のように、笑う。――そうして立ち上がり振り返るのだろう。そろりとわずかに衣擦れの音、すべらかに振り向いてなお】
【追随する毛先の仕草はもはやなかった。――髪を切ってしまっていた。腰まであったロングヘアをあんまりに心残りなく、ばっさりと。であればうなじまでもを見せつけて】

こんばんは。そしてさようならです。あなたはここで死んでもらいます。私が殺します。今度こそ。だから……そうですね。
――やり直しましょう、出会いも、何もかも、――何もかも。あなたを殺せる私に戻るまで。――原罪を負わぬ人類を求めて繰り返す、ウヌクアルハイ様のように。

【――――透き通るほどに薄いウィステリアの髪。真っ白な肌にいっとうよく映える鮮やかなマゼンタの瞳、は、どこか泣きそうなほどの決意を秘めて】
【さらさらした質感の深い赤色のワンピース。袖は透けるチュールに飾られるきりで素肌になって、その手――特に右手――には包帯が巻かれているのだろう】
【肌に負けぬ白は、足元にもあった。それでもなおしっかりさらけ出された真っ白の素足。その右側に、ぐるぐるぐる、と、厳重に、厳重に、厳重に。巻きつけられて】

【その左手に気高く刻まれているのはあんまりに鮮やかすぎるまでの蛇。――だから、もう、殺し合うしか、許されないから】

…………だから。もう終わりにしましょう。こんなの。どうかしてます。私は――"かえで"であることよりも、ムリフェンであることを選びます。
ううん、それ以外の私など要らないのです。それ以外の私など必要がない。私にとって必要なのは――ウヌクアルハイ様と、ウヌクアルハイ様に仕える私だから。

【(この場に来るのが誰か違う人であるように、という祈りは、たった今、潰えてしまったから)】

/↓
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 14:18:11.53 ID:yyycwOqh0
>>628


【甘い冷たいスズランの声がより一層冴えわたる。そうして決別を宣言する、そんなのはありえないから、と、言葉と納得を積み重ねていく、そこに情動なんていらなくて】
【そうだったなら――行動はひどく簡単だった。少女はその絹でこさえたように細く白く凪ぐような指先で以て、自分の顔から頭まで、そうと撫でていく】
【そうしてそれだけで十分であった。――次に瞳を開けた瞬間の少女はひどく冷たくなっている、それはまるで"初対面の人間とまみえるように"】

――――――あれ、えっと、、……思ったより早いですね。まあいいです、一人きりですか? なおいいです。
――信徒ではありませんね。であれば、残念ですが、ここで死んでいただきましょう。――まもなくウヌクアルハイ様が受肉される。

その瞬間をこの身果てても護り抜くのがオフィウクスである私の役目でありますから。

サーペント・カルトがオフィウクスの一人。ムリフェン――それがあなたを死へ導く人間の名前です。冥土の土産に、どうぞ、覚えておいてください。

【――そして少女は一度不可解を感じたように瞬いた。そして何かを納得した。そうしたなら、情の宿らぬ声が相手に投げかけられる、薄らと冷たい笑みと共に】
【ならばきっと理解させた。相手はもはや少女の能力の全貌を知っていた。彼女の異能は物事を阻害する。それは――感情や記憶にすら作用させられる、彼女は記憶を消してしまえる】
【そして自らが何かを忘れたことすら、忘れることが出来る。――それが全くの記憶の消失でなくとも。後から彼女自身の意思で取り戻せるのだとしても】

【――――――――今の少女はアリア・ケーニギン=デァナハトと初めて出会った瞬間の蜜姫かえでであることに相違ないから】

/蜜姫かえでですっ、アリアさんのかたよろしくおねがいします!
630 :チドリ ◆1miRGmvwjU :2018/06/23(土) 14:18:17.75 ID:WB6h1eEP0
>>624
/書き忘れましたがチドリ中身です!八櫻さんよろしくお願いします!
631 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 14:22:51.40 ID:rW2LOlMS0
【宗教都市 "マルタ" ――かつては善意と言う名の炎で焼かれ、荒れ果てたその街に再び戦火が上がっている】
【異端の渦中へと引きずり込もうとする者と、それに抗う者――多くの思惑が募り、交錯する過程で】
【各地では戦闘が始まり、多くの悲鳴が、銃声が、或いは走り回る人々の音が聞こえることだろう】
【そんな中――】


「ウオオオオオオッ!!」
「オーオオーオオーッ!!」
「ギッ、ギッ、ギィィィィィアアアアッ!!」


【中でも一際にけたたましい区域が有った】


【中央の大聖堂――儀式の根幹となるその場所には、情報を得た誰もが向かっていることだろう】
【住宅街の中でも、貧しい者達の住む、区画整理の成されていない区域は、大通りよりも侵入に与しやすいのだろうが――】
【そこには人海戦術で侵入者を探し、追い回している生きた死体が数多に蔓延っていた】
【白塗りの顔をし、上半身は裸で凶悪な筋肉を見せつけ、不自然なほどに充血しきった目を爛々と光らせ、片手には鉈だのバールだのと原始的で簡素な武装ばかり】
【無論、単体では能力者とは比べるべくもない戦力では有るが、それでもそう簡単に死ぬことのない彼らが、大人数で追い回して来れば、狭い住宅街の隙間では相応に厄介なことだろう】

《――節目トナルカ、潮時トナルカ――マサカ再ビコノ地ニ火種ヲ撒ク事ニナロウトハ》


《別ニ殺ス必要ハナイノダ。追イ回シテ時間ヲ稼ゲ。儀式ノ邪魔ヲサセナケレバ良イ》
《アア、シカシ、モシ捕マエラレタラ連レテ来イ》
《人数ガ足リナイ。男ナラ、ぶっちゃーニ。女ナラ私ノ材料ニシヨウ》


【区画にある古びた家屋の中で、珍しく高台にある平らな屋根を持った建物の一つ。顔の潰れたナースの女、アルジャーノンは、そこで状況を俯瞰し、彼らに指示を飛ばしていた】
【捕まえた生贄を使う訳には行かないから、戦力をこれ以上増員するなら、現地調達しかない】
【本来使い捨てであろう彼らも、おいそれと失う訳にはいないので、傷付いたものは手遅れでなければここで即席の治療を施していた】

【かくして不死の軍団とも言うべき厄介なゾンビ達は、この区画より中央に進もうとする者達を見付け、猛烈な勢いで追い回していることだろう】

《ン――?マタ一匹鼠ガ掛カッタカ?》


//アルジャーノン&ブッチャー君です!よろしく!
632 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 14:27:01.76 ID:B29byw680
>>622

あ、あれ?
なんかすごい本拠地っぽい……!
もしかしてわたしが一番乗り……?

【白いパンツスタイルのセーラー服の少女が大聖堂へと入ってきた】
【空色の瞳に、白みがかった金髪を真ん中で分けた短めのツインテール】
【10代中頃から後半の少女は、背中には大きなリュックを背負い、ボルトアクション式の小銃を携行している】
【その装備と、両肩口の階級章と部隊章を見ればセーラー服は学生ではなく軍人を意味するとわかるだろうか】

……その人たちって、今まで誘拐された人たち?
で、あなたが誘拐した人ってことね?

【"生贄達"と長髪の男性を交互に見据え、状況をうっすらと理解する】

わたしは櫻の国魔導海軍陸戦隊、リオシア・ステロヴァニエ!
とりあえず生贄をみんな解放してもらおうか?

【小銃を男に向けながら──】
【聞くわけ無いと内心わかっていそうだが──問いかけた】


//よろしくおねがいします!
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(dion軍) :2018/06/23(土) 14:28:59.23 ID:VXFCbz/50
【宗教都市・マルタ。その一角に建てられた教会にて】

【寂れた教会というのは寒々しい。神を崇める場所が神に見放されたかの様だった】
【それでいて壊れたステンドグラスから差し込む柔らかな昼間の日差しは、荒れ果てた教会備え付けの備品と穴の抜けた床を照らす】


――…アイツら、遂に動きを見せたみたいね。
……っ、結局アイツらカルトの凶行を止められなかった。捜査の為とはいえカルトの片棒を担いでしまった…ッ!
生きてる人たちを、罪のない人たちをアイツらの儀式に差し出してしまった。くっ、はは、ぁぁぁあああっっっ……!


【寂れた教会。その奥には顔を亡くした聖母様だったものに蹲っている女性の姿があった。その姿は許しと救いを乞う様に】
【左前髪に黒のメッシュが入った金髪に、左耳に開けたトランプのマークを模したピアスが特徴的な女性であった】
【スレンダーかつ小柄であり、右手の甲に貼られた尾を噛む蛇のタトゥーシールと顔を隠す様な黄緑色のフード付きローブも目に付きやすい】

【サーペントカルトに潜入している公安捜査官・エーリカはサーペントカルトの信者という身分を装いここにいる】
【カルトを壊滅させるために潜入しているのに、カルトの片棒を担ぎ、剰え神の受肉に加担しているのだ】
【自己矛盾。捜査官とサーバントの正反対の身分と二重生活はエーリカの精神を蝕み、確実に狂い始めていた】
【そしてそれだけでは無く。実際にサーペントカルトが信ずる神様を知覚してしまった事も精神に異常を来す大きな一因だった】


今の私は――どっちなんだ?もうわからない。ははっ、はははっ、ははははっ……


/エーリカです。カチューシャさんよろしくお願いします
634 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 14:31:57.98 ID:RT4l8Hhv0
>>632

【ケバルライはリオシアを一瞥すると柔和な笑みを向ける】


──、ほう櫻の国の軍隊のお嬢さんですか、こんな可憐な軍人とは私も驚きます。
改めて自己紹介を、ケバルライ、それが私の名です。サーペント・カルトの幹部が一柱
けれども僭越ながら、貴女に対して私は忠告しなければならない

本当に、解放しても良いのか、と────


【ケバルライは宙を指差す、底には空中に浮いた床があった】
【生け贄たちはその床の上で立ち尽くしている状態だ、この状態で解放されたなら】
【そのまま地面にたたきつけられる事は、火を見るよりも明らかであった】


悪いことは言いません、およしなさい、解放しないほうが彼らの為です
或いはきっと、貴方達の為なのです、私は無用な折衝を嫌います
何故なら生きている限り、キミ達は私に力をくれる、信仰の元になるのですから

さあ議論は平行線です、その場合、軍隊ではどの様に振舞うのでしょう
635 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 14:35:49.42 ID:rW2LOlMS0
>>631

【物陰にしゃがみ込む人影がひとつあった。そう大きくもない、少女のものであるとわかるシルエット】
【両手に獲物、従たる銃を携えて――けれど表情はひどい焦りを含んで、呼吸も荒い】
【――――追い詰められていた。ひとつひとつ、撃破は簡単でも――こうも数が多くては、単純に、しんどい】

……っは、はーっ、はーっ……なんなのっ、なんなのアイツら……っ
こんなの全然聞いてないんですけど!? ホントなんなのもうっ、
早く、早く鈴音のとこ行かなきゃいけないのに、もおおっ……

【赤黒ボーダーのニーソックスに包まれた片膝をつく。その足の先には、厚底の赤い靴】
【着ている半袖のパーカー、被っていたフードは既に脱げて――被り直すヒマもない】
【真っ赤な髪と真っ赤な目は焦燥に塗れて乱れ切っていた。ぎりっと奥歯を噛み締めて――銃をふたたび握り締め】

あーっもーっ、……キモい、キモいよおどいつもこいつもっ!
だいたいなんなのあのナース!? マジ無理なんですけど! R-18Gじゃん!!
こちとら永遠のセブンティーンだっつの、目に入ってくんじゃ――――ねえよッ!!

【発砲。10発ぜんぶ――一気に撃ち尽くしたなら、その弾丸は中空に留まって】
【そのままぐにゃりと輪郭を融かし、融合を始め――――巨大な巨大な剣となる】
【その柄を掴むモノがあった。少女の脚首から伸びる黒いリボン。何本か、生き物めいて蠢くそれは】
【絡みつくように剣の柄を握り締めたなら。大きく、大きく、横凪に振るう。猛烈な風切り音が鳴る】

【――――大量に湧いて出るブッチャー君を、一気にずばーっと。薙ぎ払ってしまおうとした、もうなんもかも、面倒臭いから】


//夕月ですよろしくおねがいしまーす(棒)
636 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 14:38:40.44 ID:RT4l8Hhv0
>>633

【────それは季節はずれの雪風に似ていた、淡い純白の残り香に似て】
【踏み出すピンヒールの踵が床を叩いたなら、その先に映る彼女の姿を告げるのだろう】
【透ける瞳の色合いが、どこまでも尊く注がれて】


ねぇお姉さま、貴女は何に祈っているの、顔を無くした像に、救いを求めて?
それならカチューシャは無意味だと思うの、神様は人を救わないから
だって、身分の違う愛なんて成就しないから、愛は須らく、人から人へ、注がれて

──、だからねカチューシャは蛇が嫌いよ、嫌いなの、だって気味が悪いの
存在しない愛に溺れて、世界を乱すだなんて、児戯もいいところだから
お姉さまは蛇のお仲間? そうね、こんな所にいるのだもの


【プラチナブロンドの長い髪、紅が差したマリンブルーの瞳、白銀のロザリオを首筋に垂らして】
【零れ落ちそうな豊満な胸を、大きくはだけさせた黒いスーツと短いタイトスカート、スラリと伸びた両脚をストッキングで包む】
【白いコートを袖を通さず羽織り、高いピンヒールを履いた、どこか幼げな横顔が印象的な女性】


だったらカチューシャは、カチューシャの意思を以って、お姉さまを殺すの
素敵な見目のお姉さま、願わくば蛇であってほしくなかったけれど


【──そういって彼女は狙撃銃を右手に握る、公安の捜査官ならば、彼女を知っているはずだ】
【二度の水の国のテロ、その主犯格である機関の狙撃手────】
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 14:41:30.48 ID:s9RVxvhA0
>>619-623

【旧市街・マルタ大聖堂】

「ノウマク サンマンダーラ バサラダン センダン マカロシャダヤ ソハタヤ ウンタラタ カンマン……」

【シャン、シャン、と手にした錫杖を鳴らし】
【ジャッジャッと数珠の音を立てて、僧は一心に祈りを捧げていた】

「この日、我々一切の苦役は解より放たれん……蛇よ偉大なるウヌクアルハイよ、我らに光明を……」

【黒衣の法衣、袈裟に編み笠、手には水晶の長数珠、全体に蛇が纏わりついたデザインの錫杖】
【サーペント・カルト、ポステリオル、法然】
【恍惚の表情をもって、その全てを眼中に収めていく】
【大聖堂に集う、七人の幹部達、その各々に光が伸びて、曇天の中にそのグランギニョルは、神話の一端は】
【確かに始まろうとしていたのだ】

「迷う日々は、もはや過去の物です」
「あの日、この教団の薫陶を受け、そしてその教えに導かれてからは、拙僧は最早惑う事も迷うことも無いのです」
「続きましょう、紡ぎましょう、我らが敬い、我らが率い、我らが導き、我らが再生する」
「神よ!!どうか、この物語を、神話を!!」

【ケバルライの言葉に続くように】
【そして、周辺の幹部達にも聞こえる様に、歌う様に、こう強い祈りを捧げて】

「なるほど、受肉を良しとされませんか……仕方ありませんね」
「先ずはあなたも、贄とさせて頂きましょう」
「いざ……参らん!!」

【踏み込んできた、その人物に対峙し】
【錫杖を向けて、こう宣戦布告する】



――それは愚かなる名、だが時は求む
  不屈の英雄、その物語を……
638 :アレクサンデル・タルコフ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 14:45:03.71 ID:YdnfFM3ao
【 "Malta"。その名が地上から消えうせて、もうどれほどの時が経ったのだろう】
【かつてこの地で起きた惨劇、この世の地獄の痕跡が未だあちこちにこびりついている】

【今、この場は再び惨劇の舞台になろうとしている。中央に座するは呪われし大聖堂。伸びる赤い光が七本】
【それに付き従う気配が六つ。それらとぶつかり合う意思が十六。過去の惨劇すら超えんがごとく、この日この場で地に塗れて踊る】


【赤い光の一本は、この場所に差していた。すなわち、かつては信者たちの地下墓地出会っただろう場所】
【今は入り口の建物が崩落し、その背後の地面も崩落し。かつては大聖堂に続く一本の道であったはずの場所は】
【細長く断続する、底抜け穴となっていた。大聖堂にここから向かうには、この崩れ落ちたカタコンベに入り込み】
【崩落が終わる場所、大聖堂手前の瓦礫の山を這いあがる他ないだろう】

【周辺にはいくつもの墓石、いくつもの瓦礫。利用すれば、隠れることも立体的に動き回ることも出来るはず】
【同時に、強い衝撃を受ければ更なる崩落を招きかねない危うさもある】


【しかして、無数の蛇の彫刻があちこちに施され、蛇の彫刻が守護するように巻き付いたいくつもの墓石が立ち並ぶ】
【この地下空洞の上部に、浮かぶ影が一つ】


……さあ、大きな仕事です。司祭として、私は全身全霊をもってこの職務を果たさなければなりません
全ては、ウヌクアルハイ様のため。そして、私自身の信仰を貫くために

【そう、その男は空中に浮かんでいた。四肢は根元から存在しない、ダルマのような壮年の男】
【その足の断面から、靄のような半透明のエネルギーが噴き出し、男を空中の住人としている】
【両腕の断面からも同じくエネルギーが噴出し、それが一対の蛇の姿をとっていた】

【耳も鼻もなく、両目は夜行性の蛇の目を模した、縦長の瞳孔の義眼】
【頭髪のない頭には、顔に這い降りるかのような大きな蛇のタトゥーが彫られている】
【口から覗く舌の先端は、二つに裂けていた。サーペント・カルトの狂気の儀式の痕跡だ】

【唯一残った胴体は赤い祭服で包まれ、首からは蛇の模様があしらわれた帯をかけている】
【不気味に光る両の義眼で、ダルマ男はカタコンベを見回す。訪れる敵の気配を感じて】


儀式の円滑な遂行が司祭たる者の役目。ケバルライ殿が、正式な手順を外さず、全てを終えてくださるまで……
ここは決して、お通しするわけには参りません

【見た目の凄惨さ、この状況のひっ迫に似合わず、どこまでも穏やかな安心感すら覚えそうな声音で】
【異形の司祭は、やってくる自らの相手へと語り掛ける。裏社会で鳴らした強盗であり】
【今は、この世界で蠢く闇を追い続ける、孤高の探偵に向かって】

/大変お待たせしました……"マルフィク" アレクサンデル・タルコフ です!
/ロッソさんの方、よろしくお願いします!
639 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 14:45:04.30 ID:B29byw680
>>634

名前はケバルライさんね。けばるらい……?

【ふとリオシアは眉を顰める】
【軍の諜報部で集めた情報によると、確か"ケバルライ"という単語は──】

幹部の称号……じゃあ本当の名前じゃないよね。わたしが二等兵ですって名乗るようなもんだよね
……強いのかな、うん、どうせ強いよね

【ケバルライと名乗った男を改めて観察する】
【物腰は柔らかいが、得体が知れない──不気味だ】

じゃあ、その床を降ろしてから安全な街の外まで送って解放してよ。
あの床ってあなたの能力?

【浮かぶ床が男の能力なのか、サーペント・カルトの装置なのか】
【現状では何もわからない──わからないことは素直に口にするのだった】

軍隊の場合はまずは"警告"
それが駄目だったら……

【"威嚇射撃"】
【リオシアは小銃を男に向けて1発、発砲する】
【狙いは男の右足だ──威嚇射撃なら本来は狙いを外すべきだが】
【そんな余裕は無いように、無意識で感じていた】


640 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/23(土) 14:52:34.03 ID:WB6h1eEP0
>>628>>629


【 ── レザーシューズの足音が、祈りの囁きに重なって、賛美歌みたいに響く。かつて恐懼の炎が貪った石造りの教会へと、誰かが踏み込む証左であった。いや其れはきっと、少女にとって「誰か」ではなかった。】
【ステンドグラスから差し込む光が痩躯を照らし上げた。新雪のように輝きを宿した長い銀髪。黒いコート。黒いスーツ。静謐な暗闇は、それら皆なモノトーンに落とし込む。喪服のように。】
【けれど瞳だけは青かった。濁っているようで、どこまでも深く澄み渡ったターコイズブルー。タングステン弾芯のシルバーチップでブチ抜くみたいに、或いは処女を奪うみたいに。】
【 ── 祈りの声を、きっと"彼女"は聞いていた。だから殺さなかった。神に祈る時間は必要だったから。もしかしたら、甘い囁きに聞き惚れていたのかもしれない。】



「天国を去った天使は、悪魔になるしかないのよ。」
「 ── では、天国を去った人間は、どんな姿になってしまうのでしょうね。」

「こんばんは。かえで。」「 ──── 素敵よ。貴女。」



【ひどく穏やかな笑いだった。ベッドの上で重ねた言葉みたいに。それでも、真っ白な右手には拳銃が握られていた。紅色の唇が紡ぐ言葉は何もかも迂遠だった。】
【そうしてまた、かえでの決意なんて凡そ気にも留めていないみたいだった。断ち切られた藤色が何を断ったというのだろう。真っ赤なワンピースは、跳ねる鮮血を隠す役割しか持ち得ない。】
【 ──── 終わりにしようと言われて、絹地の指に自らを愛撫するのなら、少しだけ悲しそうに笑うけれど。それでもきっと、去り行く"かえで"に向けて、こんな言葉を遺す。】



「イヴは知恵の実を口にして、恥らいを知り、神の叡智を得た。」
「女には罰として、子を孕む苦しみと逃れられぬ死が与えられた。」「今更に知恵の実を吐き出しても、貴女の諚(さだめ)は変わらない。」
「いいこと? 気付いた時には、手遅れなのよ。何もかも。」「それでも、その"罪"は償われなければならない。 ── 違うかしら。」



【 ── 溜め息を吐くみたいな告別。懐から取り出すのは、いつか貰ったサンドピクチャー。"ムリフェン"の過去が記された紙束に、挟み込んで】
【高く高く其れを投げ上げた。右腕を虚空に持ち上げ、アイアンサイトが哀悼を捉えた。冷たい声が、小さく呟く。冷たくなった少女に、せめて下らない熱を与えないよう。】




                「始めましょう。殺すわ、貴女を。」




【だから響き渡る銃声は、きっと弔砲だった。紙束の留め具が撃ち抜かれて、挟まっていたサンドピクチャーは粉々に割れて、その向こう側にある蛇のステンドグラスが砕け散った。】
【 ── 七色の輝きはひどく感傷的で、舞い散る紙々は大きすぎる雪のようで、落ちてゆく砂を止めることは、もう誰にもできやしない。】
【唄う声という足場を失ったオルガンは、駆け寄る足音に姿を変え、狂想曲の序奏を高らかに奏で上げる。 ── 青い残光が、司祭へと迫るのなら。】
641 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 14:52:40.24 ID:XgR4AbQf0
>>624

【誘惑と、諧謔と欲望と。妖しくヒトを誘う魔のゆらめきを、その美しい女はその身に纏いつかせていたのだろう】
【けれど、相対するのが月光すら裂く無機であるならば。泉を鉱が苛むがごとく、ただ闘争と焔を言葉は奏でる様だった】

……創造論も、進化論も私にはさして変わりない――――
害するのなら一息に断って、焚書にでもしてしまえばいい。

【互いが互いを知覚したならば、声を隠そうと務める理由もなく。返答の声は透る音で、不似合なまでに苛烈な意味を奏でていった】
【そこにあったのは、人型の闇。一切の光を返すことのない、黒の外套を目深に被り、武装すら見えぬ姿で細身の影はある】

【無明の闇が粛滅の意志を核に一振りの兇器と成るならば、こんな姿形を取るのだろうか】
【断ちきるもの=B存在すら朧な影ながら、一目見たならば確信させる存在定義はそんな凶兆、】

祈りを捧げることはなく、赦しを求めることはない。
それが悪魔であれ神であれ、人の世を脅かすものとしてあるのなら=B
そんな何者かを屠る罪と血と虐を選んだからこそ、私は望んで此処に居る――――

……その刃先に触れるというのなら、手足以上は覚悟して貰いましょうか。
命や身を惜しむのなら退けばいい――大蛇に揺られる落とし仔は“人”の火を前に、祖諸共に斬り散らされるが定めと識れ……‼

【The Slasher=\―――八攫柊。虚神<Eヌクアルハイにかつて挑みし人型の兇器が、虚空を灼く黄金火とともに己が得物を抜刀する。】
【仄かに金の耀きを伴う白き刃は、櫻の神話にありし青銅の生太刀をどこか思わせて】
【それが銃火をも蹂躙する害意の器となればこそ、この能力者同士の闘争にその閃きは顕れたのだろう】

【深く身を沈め、一息で詰めきる距離へと先ず前進。されど縮まんとする彼我の距離感に、未だ成り行きを許すことなく抉り込むように軌道を転換――】
【帰結として成立するのは、誘いをかけながら接近の前段階、すなわち視線を外れることと躰に速力を乗せることを、同時に成立させんとする一手。】
【黒衣と速力を以て視界を逃れることができたならば、敵手の初手の性質を探るためという、黒衣の剣士の目論見も幾許かは叶おうか】
【例えば視認の要不要、嵌めたときの必殺性。視界外からの一撃で、屠られる可能性を消しきれる類か否か――――。】

【それも、知覚を躱し切れればという前提での話だ。叶わねば、それは単に、次手にて接近を目論むというだけの意味でしかなかった】

/よろしくお願いします…!
642 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 14:52:45.95 ID:BVsbpQZQ0
>>625

【自分も、宗教というものに触れ、そこに身を置いた者である。であるからこそ、宗教の何たるかは心得ているつもりだ。】
【時に、救い。時に、心の拠り所。時に、自戒。しかし、そのいずれも己を善くあらんと願い、望むが為の物である。】
【自分を救い、他人を救う為に、信仰は存在する。―――痛み、傷つき、苦しみを生むための物であるはずが無い。】
【世界にはさまざまな宗教が存在する。しかし、他人に痛みを強いる宗教は、その悉くがいずれ信を得られなくなった。】

【であるが故に、この場を見て確信した。―――これは断じて救いを得る宗教などではない、と。】

【彼女は、血塗られたこの場に足を踏み入れる。コツン、と、確固たる足音が響いた。】

【白いローブを纏った、やや小柄な女性だった。フードから覗く髪は金色を呈し、白い素肌が見えるのは顔と手だけ。】
【ローブに隠れているが、体躯はすらりとしなやか。一見、か弱そうに見えるが……射竦める海色の視線は、鮮烈に】
【その女性の、芯の強さを描く。……ああ、こんな風に何かと対峙するのは何時ぶりだろうか。】

【血を流すことが神への理解を深めるのだというのなら、そんな理解は要らない。痛みに、真理など存在しない。】
【彼女の心に愛と信仰が強く根付いているからこそ、この異様な空間に足を踏み入れた時に、心は揺らぐことは無かった。】

……私は、貴方を殺める為に来たのではありません。―――鈴音や皆を助けるために、来たのです。
けれど……止めるというのならば、押し通ります。私にだって、譲れないものがある。

だからこそ、貴方と戦い、問いましょう。―――貴方はなぜ、信じるのか、と。

【―――これは、鈴音を助けるための戦いである。殺し、傷つけるための戦いではない。】
【殺意とは別のベクトルの、覚悟。守る事を得意とした彼女が、今、救うために戦う。一歩、足を踏み出して】
【貴方に歩み寄れば、それが戦いの始まりの合図となるか―――】

//宜しくお願いします!すっごく遅くなってすみません……!
643 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 14:53:36.56 ID:RT4l8Hhv0
>>639

【リオシアの言葉にケバルライは少し言葉を置いた。或いはそれは呼吸の所作に似て】
【掌の上で転がす余裕にも近かった、ふむと言いよどむ様な雰囲気を見せつつも】
【──それでも尚真っ直ぐと向かってくる少女に興味を抱いた、と言う様に】


分かりませんよ、私の能力や存在はキミ達のそれとは大きく違う、単なる暴力であれば、私は勝てません
貴女の手に握るそれは最も簡潔な暴力の道具でしょう? その点で言えば貴女の方がずっと上です。
私は銃器の類を持ちません、いえ──、持てないと言った方が正しいでしょうか

何故ならそれは、私の存在が故に、揺らぐ二つの状態が、観測されずぶつかっている。
ならば死の闇すらもそこに近く、生きていると死んでいると、真実はどちらへ?

──── "Death Unlimited"


【ケバルライが紡ぐと銃弾が急激に勢いを失い、その場に落下するだろう】
【向けたのは軽い視線、それだけで銃弾を封じ込めてしまった────】
【不気味な雰囲気を携えながら、少しずつリオシアへ近づいていく】


あの床は私の能力ではありません、蛇の信者達による奇跡なのです。
彼らが命を賭して、この儀式が遂行される事にかけた証があの床であるのなら
私がそう易々とおろすことは、彼らの魂に傷をつけることに他なりません

────ならばその意思を継いで、私の蛇をお見せしましょう
"Triumphus Serpentis Magni"


【ケバルライの足元から魔力で出来た蛇が出現、一直線にリオシアへ向かう】
【狙いは小銃を握る右の手、接近したなら噛み付こうとするだろう】
644 :ラベンダァイス&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/23(土) 14:55:25.05 ID:fimxwp7B0
>>637

――――殺す。みんな、殺す――――敵だったら、なんだって殺す――――そうですよねッ?
「……あぁ、その意気で良い。今回の敵は――――許す事などありえない」

【――――祈祷を捧げる大聖堂。正面の扉が重々しく開かれる】
【既に、この場にいる人間たちならば、みな理解しているのだろう――――今は祭の始まり。神を奉る、熱狂と血の時間】
【そこに、神と事を構える事を決めた人間たちが、ただ踏みしだかれようとしている人間たちの為に、踏み入ってくる事を】

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のまるで死人の様な冷たいオッドアイを持ち、体表に紋様の様な、仄かな光を放つ金色のラインが走っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女】
【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人】

【――――小さな、小さな2つの影だった。その場へと踏み入り、祈りの全てを望まれぬ流血で汚してしまおうと目論んでいる人物は】
【まるで、糧として攫われた無辜と見まごうかと言うほどの、小さな姿――――だが、その背負う、禍々しいまでの殺意は、本物だ】

――――あの悪魔に、『自分』のないどこぞの馬鹿な神様に、これだけの命を献上してのけて――――未来を掴もうなんて、思ってないですよね――――ッ?
死ぬ覚悟がなきゃ、さっさと消え失せなさい――――私は、イルも、鈴音も、どっかの何とか言う神も、みんな殺してやる――――ッッ!
「何を信じても勝手だ。だが……『祈れ』。せめて楽に死ねますようにとな……!」

【冷たいオッドアイが蔑みと共に細められる。獣人の手に、荒々しい爪が閃く】
【――――かつての弾圧の再現を、可能ならば望むのだろう。両名のどこまでも暗く、そして熱い殺意を内包する、狂熱と冷酷の瞳は、それを雄弁に物語っていた】

「――――お前と実戦で組むのは初めてだが、ついて来いよラベンダァイス!」
勿論です――――『セイバー・フォース』!!

【――――殺し合いは、もう秒読みだ。すぐさまに少女――――ラベンダァイスは、己の力を開放する】

【黒い身体に幾筋かの光線のラインが入った、細く歪んだ人型】
【右手は肘から先が光の剣となり、左手は肥大・硬質化し、爪のついた盾の様な形になる】
【何らかの機械の様な頭部には、ラベンダー色の髪が、束ねられたように幾筋かに分かれ、風もなくはためいている】

【――――人に在らぬ生物兵器『ケツァル・コアトル』――――敵はすべて殺す。その為に、彼女はここにいるのだ】

がぁぁぁッッ!!

【真っ向から、右腕の刃を構えて僧侶――――法然へと突進するラベンダァイス】
【世界がまた、流される血を求め始めた――――】

/よろしくお願いしますー!
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 14:57:41.75 ID:s9RVxvhA0
>>626

【旧市街・マルタにて】

「……」

【その荒廃したかつての都市を】
【嘗ての宗教弾圧の名残を、踏みしめながら一人の男が歩いてゆく】
【紺色の詰襟に階級章と所属を示す意匠、金色のモールが一本】
【手には着剣した短機関銃、装着した弾帯には拳銃と擲弾筒、軍刀が備え付けられている】

「(拙いな、リオシアとはぐれてしまったか……)」

【この日、この軍人は部下と共にある邪教の、その宗教団体の儀式に潜入すべく、行動を開始していた】
【だが、運悪くも行軍中に部下の少女とは逸れてしまった様子だ】
【この巡り合わせの悪さに、思わず歯痒く表情を歪めるも、単身その煉瓦造りの廃墟】
【嘗ては何が存在したのか、それすらも不明瞭なその建物へと身を潜ませるように入って行くと】
【そこには……】

「サーバント?サーペント・カルトの者だな」
「厳島命、櫻国海軍陸戦隊中尉……折角の優しい申し出の所すまないが、故在って貴様らの御神体に用があってね」
「ありがたい忠告だが、罠や術式は、覚悟の上だ」
「かの教団にして、会話が成立して居る事が奇跡とも言えるが……何れにしても」

【ツァルエルと名乗った、年齢は同じ位だろうか?】
【サーバントと言う事は、幹部では無い様だ】
【カチヤ、と僅かに音を立てて、短機関銃の銃口をその修道士然とした男に向けて】


「退くわけには行かない、鈴音を、奪還させて貰う……」


【その引き金を引いた】
【リズミカルな発砲音と共に、幾発もの銃弾がツァルエルに迫るだろう】
646 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 15:02:48.92 ID:rW2LOlMS0
>>623
【――では、弾圧に向かうとしよう。かつてこの地に首を捧げた彼らと同じように】


【虚数の海を渡る男に取って、大聖堂までの道のりは無人の高原と大差ない】
【そこは現実の世界には形を成さない無数の情報の羅列のみが存在する場所――】
【真っ当な人間が立ち入ったのならば、幾許と経たぬ内に"あちら側"の法則に引きずられ、人の形をしたまま現世に戻ることは出来ないだろう】

【戻るために必要なのは、現世における"認識"】
【虚数渡りの男は、他者に依存しない。執着もしない。たった一人自身の価値観のみが自己を構築している】
【故に――ただ一人の認識をもって、世界に自分を定義できる】

【そして今もまた、現世へと這い出て来るのだ】



【大聖堂――儀式の要となるその場所に、一番乗りを仕掛けたのは、この男】
【決戦の場に相応しく、充分の装備を纏い込み――刃物を思わせる鋭角的なフォルムを持った大型バイクで、街の瓦礫を踏み躙りながら、橋まで一直線に走る】


――そんなに一緒になりたきゃオマエが"向こう"に逝きなァ!


【"ムリフェン"を相手にした時と同じ手口――しかも今度は大量の爆薬を搭載している。舌なめずり。フルスロットルでメーター限界まで速度を上げながら】
【――そのまま可憐なる人外の少女ごと轢殺し、聖堂の入口へと激突しようかと言う勢い】
【しかし、少女がそのバイクを視認した時には、既にバイクの上に男の姿はなく――掛かったエンジンの馬力と慣性だけで、質量と爆薬の押し込まれた鉄塊が、突っ込んできた!】
【素直に避ければ、聖堂に破壊を招く――接近に至る数秒で、少女は如何な判断を下すか】



腐乱死体どもがこぞって愛を語ってんじゃアねぇよ!迷惑極まりねェッ!!
どこの神話でもコイバナは下界の災害だって相場が決まってるんですゥ!
キヒッ、キヒハハハハハッ!!!



【挨拶代わりとばかりに、大声を上げて男は橋の入り口に立つ】
【もう夏も近いと言うのにスーツとコートでびっしりと決めている白髪――】
【隻眼が捉えるのは、眼前の病魔――男の"組織"から多額の懸賞金を掛けられているその娘は】
【まるで甘過ぎる砂糖菓子のような容貌――蕩けるように愛を語る仕草は口に入れれば間違いなく胸やけが確定する】
【だが、酒を飲まない男は割とそういう毒の一歩手前みたいな甘さの菓子が好きだった】



【さて、自分の他に、橋にたどり着いた者はいるだろうか――?】
【取り分けこの男の場合は、敵の敵が味方とは限らない。先にいる者も、後から来る者も、充分に警戒し、利用しなければならない】
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 15:08:38.65 ID:yyycwOqh0
>>640

【――――高く高く投げられるもの。それを認めて、少女は一度わずかに目を細めた。彼女自身は間違いなく相手を初対面の人間である、と認識しているのに】
【その相手は明確に彼女の私物を持っていた。――あの日目覚めた少女は自室から二つのものがなくなったのに気づいていた。だから今の彼女にもそれが無いことは認識されていた】
【けれどその理由を知らないから。――それだけで彼女は何かを理解した。あるいは察した。だけどそれはもはや関係のないこと、記憶にないなら、追憶することすら叶わず】

――――――そうですね、ですが、おかしなことをおっしゃられる。その口ぶりでは――まるで私にのみ興味があるように見受けられます。
ううん、説明はしなくて結構です。何となくわかりましたので。――そして私のすることに変わりはありません、あなたを殺して、ウヌクアルハイ様をお守りする。
我々オフィウクスはそのためにこれまで数多の善を積んできたのです。ここで果ててしまったとしても――我らの積んだ善がウヌクアルハイ様を潤ませる甘美な蜜になるのなら。

それはいっとう幸せなことでありますから。――。

【――それでも。相手の口ぶりと、私物を持っていたこと。それから。――"自分がそうしたこと"。それらの現実を掛け合わせたなら、彼女はもう一つ、何かを察する】
【そのうえで説明は必要がなかった。それらが不要であると判断したから自分は忘れたのだろう。――忘れようとしたんだろう。ならば今の自分が果たすべきは、職務だけ】
【眼前に迫る悲願を思い浮かべたならばその純白の肌はわずかにばら色を帯びる。色の薄い唇を甘く蕩けるように笑ませたなら、マゼンタの瞳が一度瞬いて】

【駆け出す相手の足音に合わせて、少女のせなから幾条ものマゼンタが這い出た。まるでそれはリボンの様相、そしてどこか蛇の仕草にも似通う様】
【その先端を鋭く尖らせたなら――切っ先がいくつもいくつも相手へ迫るのだろう、自機狙い弾のように一瞬ごとに相手の居場所を狙うから、数十の切っ先は停止を許さない】
【そしてその反面で常に動き続けていれば、当たることはないだろう。であれば問題はそちらではなく、】

――!

【そうして誘導する逃げ道の先に、ごう、と、迫るのだろう。そしてそれは"阻害"のかたまりであった、あんまりに鮮やかなマゼンタ色を、撃ち放って】
【浴びればそれは麻酔のように身体をひんやり冷やして"阻害"させる。――直接的な攻撃ではない。痛みにはつながらない。けれど最終的にはヒトを殺すことが出来る攻撃】
【だけれどひどく直線的ではあった。――ただ、何かの攻撃で壊す、というのはきっと難しい。"阻害"してしまうから。――だから避けるのが、きっと、望ましくて】

【――少女自身は偶像の前から、動かない。あるいはその溶けてしまった偶像を護るかのように、その場所、佇み続けて】
648 :チドリ ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/23(土) 15:11:51.93 ID:WB6h1eEP0
>>641

【彼の名を我は知らず、我の名をまた彼は知らざりけり。男とも女とも取れぬ異様な姿。それでも瞬息、女は感じた。 ── ぞっとするような感覚を。】
【諜報員としての経験が教えてくれる、まともに立ち向かってはいけない類いの相手。技術で負けるつもりはない。だが言うなれば、闘争に賭ける"覚悟"が違う。】
【 ── 暗闇の中、それでも光る一振りの刃が銀色だとするのなら、然し其れでも彼女は笑うのだ。ここで死ぬなら其れもまた運命、とばかりに。】



「そりゃ結構なことで。だが私も仕事なんだ。そして私はプロフェッショナルだ。帰れと言われて帰る訳にも行かなくてね。」
「生憎ワタシにゃ『手足』が無いんだ。悦び勇んだ流星光底、大蛇を逸して後悔すんな ── !!」



【「追い切れない」。そう感じた。彼女の異能は、決して瞬息の判断には寄与しない。知覚の外に外れる数秒に、相手は"殺り切れる"だけの殺気を持っていた。】
【ウェルニッケ野が迂遠な言葉遊びを紡ぐ前に、脳幹が痺れるような条件反射。左手のナイフをククリ持つ右手に握らせ、咄嗟ふところから取り出すのは ── 】
【短銃身のサブマシンガン。握ると同時にセレクターをフルオートへ。コッキングなんてとうに済んでる。思い切りトリガーを引くのなら、】
【紡がれるのはディレード・ブローバックが織り成す銃声の賛美歌だった。「いそうな方向」に向かって放たれる、9mmホローポイントの乱れ撃ち。】
【狙って撃ってはいなかった。当てるつもりもない牽制の弾幕だった。だが刹那の隙を補う為に放つには其れだけで十分だった。 ── 飛び込んで行くことが、叶うか否か。】




「甘く見るなよ刀使い(ブレード・ランナー)。ワタシだって、切った張ったで殺されるほどヤワじゃないんだ。」




【 ── そうしてまた、迎撃の準備もできていた。剣呑な青い瞳。右目の下の泣き黒子は何の愛嬌にもなっていない。右手に構えた曲刀に、込められる膂力。】
649 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 15:11:52.05 ID:Xgr13xPl0
【ざらついた、瓦礫の山の間を縫って歩く。履き慣れた10ホールのブーツでも歩きづらい。もとは石畳か、今は崩れ去って】
【固く締め上げたブーツの白い紐は反逆の意思表示だ。ラバーソウルが失われた過去の信仰心を踏み鳴らした】

【彼は背の高い男だった。街の中心のあの大聖堂に向かって、1人歩いていた。煙草の煙とともに】
【着ている三つ揃えのブラックスーツはカーボンが織り込まれて魔術が施された生地で出来ている。多少の刃も弾丸なら通さない。】

【シャツも黒、ネクタイも黒で、髪も黒。サングラスも黒――だか首元に巻いた、バンダナだけが気取ったように真っ赤な色をしていた】
【その姿はウェスタン映画に出てくる強盗団の一味のようだ。腰に巻いたベルトに差した2丁のリボルバーが更にそんな風に思わせる】
【他にも彼は腰に輸血パックやら、喘息の薬で使う吸入器のようなものだとか、グレネードだとかナイフだとか引っさげていた】
【吸入器には薬が入っている。合法違法問わず、脳内麻薬をぶっ放して、痛みを忘れさせて戦い続ける薬だ。―――命を削ってでも】

【彼は事前にこの街のことを調べていた。情報からまともに大聖堂に入り込むことは不可能だろう、と】
【そして都市の構造は都市開発の建築資料なんかでわかる。、都市開発の変遷や上下水等の整備なんかがわかる――カタコンベの存在も】
【崩れ落ちたその入口の一つから、“蛇の巣穴”へと入り込んだ。薄暗いが、彼にとっては好都合だった。サングラスを掛けなくても良くなる】

【サングラスを外した彼の目は真っ赤に染まっていた。瞳は黒く不気味だった。そして、口元をバンダナで覆った】
【欲しいものは何だって手に入れた。かつてのチンザノ・ロッソが其処に居た―――――】

クソッタレ…何処まで続いてるんだ。

【蛇の巣穴の奥底を目指して、その静謐な暗がりを進んでいく。そして、どこかで、対峙した】

【四肢のない、義眼の、スプリットタン。壮年の男…真っ赤な司祭はどう見てもヤワな相手じゃない。だが、価値のない相手でもない】
【この薄暗い地下道が、無意味じゃないことを示していた。チンザノ・ロッソは何処か心の奥底に“希望”を見出した】
【同時に、覚悟した。何度めかの覚悟…ここで死ぬかもしれないが、構わないと。】

悪いな、俺は墓荒らしなんだ。墓守さん。全部暴いて、金目のものは貰ってくぜ
代わりに―――弾丸ならいくらでも置いてってやる。…仲間のためにな

【交わす言葉は少ない。彼の声はブルースのようにしゃがれている。そして、殺気立っていた】
【覚悟と、思いを込めるのに、一言あれば良い。後はリボルバーがそれを伝えてくれる】

【彼はリボルバーを引き抜いた。2丁拳銃のガンマンは、クイックドロウで、銃口を目の前の司祭に向け、撃鉄を起こす】
【そしてトリガーを引くまで1秒あれば十分だった。放たれる弾丸は、彼の意志のこもった血でできた能力の弾丸】
【魔術や能力を打ち破る効果のある魔弾。勿論、物理的な力もある。暗闇を引き裂く弾丸が司祭を狙っていた】


/ロッソです。よろしくお願いします!
650 :ラベンダァイス&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/23(土) 15:12:13.90 ID:fimxwp7B0
>>637

――――殺す。みんな、殺す――――敵だったら、なんだって殺す――――そうですよねッ?
「……あぁ、その意気で良い。今回の敵は――――許す事などありえない」

【――――祈祷を捧げる大聖堂。正面の扉が重々しく開かれる】
【既に、この場にいる人間たちならば、みな理解しているのだろう――――今は祭の始まり。神を奉る、熱狂と血の時間】
【そこに、神と事を構える事を決めた人間たちが、ただ踏みしだかれようとしている人間たちの為に、踏み入ってくる事を】

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のまるで死人の様な冷たいオッドアイを持ち、体表に紋様の様な、仄かな光を放つ金色のラインが走っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女】
【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人】

【――――小さな、小さな2つの影だった。その場へと踏み入り、祈りの全てを望まれぬ流血で汚してしまおうと目論んでいる人物は】
【まるで、糧として攫われた無辜と見まごうかと言うほどの、小さな姿――――だが、その背負う、禍々しいまでの殺意は、本物だ】

――――あの悪魔に、『自分』のないどこぞの馬鹿な神様に、これだけの命を献上してのけて――――未来を掴もうなんて、思ってないですよね――――ッ?
死ぬ覚悟がなきゃ、さっさと消え失せなさい――――私は、イルも、鈴音も、どっかの何とか言う神も、みんな殺してやる――――ッッ!
「何を信じても勝手だ。だが……『祈れ』。せめて楽に死ねますようにとな……!」

【冷たいオッドアイが蔑みと共に細められる。獣人の手に、荒々しい爪が閃く】
【――――かつての弾圧の再現を、可能ならば望むのだろう。両名のどこまでも暗く、そして熱い殺意を内包する、狂熱と冷酷の瞳は、それを雄弁に物語っていた】

「――――お前と実戦で組むのは初めてだが、ついて来いよラベンダァイス!」
勿論です――――『セイバー・フォース』!!

【――――殺し合いは、もう秒読みだ。すぐさまに少女――――ラベンダァイスは、己の力を開放する】

【黒い身体に幾筋かの光線のラインが入った、細く歪んだ人型】
【右手は肘から先が光の剣となり、左手は肥大・硬質化し、爪のついた盾の様な形になる】
【何らかの機械の様な頭部には、ラベンダー色の髪が、束ねられたように幾筋かに分かれ、風もなくはためいている】

【――――人に在らぬ生物兵器『ケツァル・コアトル』――――敵はすべて殺す。その為に、彼女はここにいるのだ】

がぁぁぁッッ!!

【真っ向から、右腕の刃を構えて僧侶――――法然へと突進するラベンダァイス】
【世界がまた、流される血を求め始めた――――】

/よろしくお願いしますー!
651 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 15:13:10.91 ID:B29byw680
>>643

うーん……
あなたの言ってること、正直良くわかんないだけど
でも、でもとりえず、わたしは死んでるより生きてるほうが絶対いいと思うな

【生と死──人はそれに悩み続ける。それに結論を与え、悩みを和らげるのが宗教の役割のひとつだろう】
【宗教というのはそれでいて、掴みどころが有るようでないようで──】
【男の言葉を考えていると、リオシアの思考は大きく割かれてしまうようで】

【放った銃弾が落下するのを見れば】
【とにかく眼の前の的に集中しようと、自分に言い聞かせるように】

いくよ

【目の前に迫ってきた蛇を見据え】
【避けずに、右手に噛みつかせた───血が吹き出ることも、蛇の牙が少女の腕に食い込むこともなく】
【がきんと、嫌な音がする──少女の腕は能力によって硬化していた】
【そして、右手を思いっきり振り払い、魔力の蛇を持っていた小銃もろとも投げ飛ばすと】

とぉー!

【そのまま走り出し、両手で拳を作り】
【ケバルライの前まで無事に来れれば、そのまま右の"硬化した拳"で胴を殴りつけようとするだろう】
652 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 15:13:17.40 ID:VXFCbz/50
>>636

【神は人を救わない。そんな事知っている。知っているが、縋らずにはいられない】
【もしこの場に酒があったなら、姉と慕う女性がいたなら、妹同然の白色の少女がいたなら】
【そんな折—―エーリカしか居ない廃協会に足音が響き、演劇めいたセリフが並々と注がれる】

【"違う…!私は蛇の仲間じゃない…!公安5課のエーリカ=ファーレンハイトだ!"と言えればどれだけ救われたか】
【けれど、この場所で。廃協会に入り込んだ女性にそれを叫ぶのは愚策に過ぎて。同時に、無意味な事であった】


――こんな時に物見遊山とは感心しないね……。それに私が祈ってるように見えたかい?
そんなのは見間違いだよ、見間違い。というより何が目的でこんな蛇の巣にいるんだい?


【ふらっと力なく立ち上がるその姿は幽霊の様に。模糊な自分を表しているように。その口調は弱弱しく、何かの支えなしでは消え入るようだった】
【振りかえ見れば、先ほどの芝居がかった言葉を連ねていたのは見覚えのある姿――カノッサ機関の狙撃手】
【そして今この瞬間。自身に銃口が向けられている。ならば為すべき事は一つ――敵を殺す。解りやすい答えだ】


よく見ればアンタ……機関のテロリスト様であらせられるカチューシャじゃないか。くっくくくく。好都合だ。
機関もサーペントカルトと何らかの関連があるんだね。実に面倒なことだよ本当に。

まあ、それ抜きでも。私が"蛇であっても、蛇じゃなくても"。アンタは見逃せない。
なら殺すしかないじゃないか。ああそうとも――アンタと私が何者であっても、さぁ…!


【思わぬ来訪者にエーリカは少しだけ救われた気がした。これも神様の描くシナリオなのか。】
【兎に角、今この瞬間は在るべき私に戻れると内心喜んでいる自分。蛇の教義に蝕まれて儀式用の供物を拵えなければという自分が混在しながら】
【エーリカは能力を発動させる ――Hell Edge Road――と口ずさめば、エーリカの両手には計五本のナイフが突如として現れ】
【カチューシャに向けて牽制の意図から、5本のナイフを投擲。それと並行してエーリカは駆け出した】
653 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 15:13:45.09 ID:Xgr13xPl0
/ごめんなさい!>>649>>638宛です!
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 15:15:51.30 ID:s9RVxvhA0
>>644

【破戒僧の目の前に現れたのは、少女とワーキャットだった】
【ラベンダー色の髪のまだ幼い少女と猫人の組み合わせは、この状況においても異質と言える存在】

「いいでしょう、猛ると言うならば、刈り取るまでです」
「喜びなさい、受け入れなさい!」
「あなた方は、誉れにも贄として選ばれました!」

【まるで歌劇の役者の様に、舞台の上でそう振る舞う様に】
【二人に向かい、両手を天に掲げ、さも喜ばしい事の様にこう宣言して見せた】

「ああ、この尋常ならざる魔翌力量、人造兵器ですか……」
「この場合、贄とは、まあその身体があれば成立するでしょう、鹵獲させて頂きますよ、最も……」

【ワーキャットの爪は伸び冷たい鋭さを増して】
【そして、少女はその姿を一気に変貌させた】

「流石は人造兵器ですね、最も私の贄の作り方は少々異質で」
「貴女位の年齢の少女を中心に街で捕獲して」
「信者達と一晩も二晩も好きにした後に、蛇の形にして、殺して、そうして瑞々しい贄とするのです」

【向かって来るラベンダァイスに、悪びれることも無く、こう言ってのける】
【気が付くのだろうか、幾ら狂気じみた殺気を叩きつけても、柳の葉の如く、躱されている】
【同様に、狂っているのだ、この二人が熱い怒りの狂気ならば、この法師は冷たい狂気】
【冷と熱の二つの狂気が、ぶつかる】

「ノウマク サマンダーラ バザラ ダンカン……」

【向かって来るラベンダァイスに、まさに蛇を模した】
【魔翌力で構成された、黒い炎を真正面から叩きつける様に放つ】
【黒い炎の蛇が、牙を向き迎撃せんと迫る】
655 :ドープ ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/23(土) 15:15:53.17 ID:xPZ7LQKro
>>642

【──】
【鈴音=z

【その言葉を聞き、彼はゆったりと

……白神鈴音の関係者か
UT?いや、違うか……この際所属はどうでもいい……
……問題は一つ、お前がその名≠口にした。それだけだ

【彼女は魔術師にも見えた。しかしその雰囲気は、何となく──シスター≠思わせる気がした】
【気がした、だけで。そこから何かを掘り下げる必要は無いと、冷徹に判断する】
【あるのは事実。白神鈴音を救出すると語ったコト、この儀式を止めに来たというコト】

……信じる?……

【──その言葉に、少し黙り込む。やぼったい唇を左手で押さえて、俯く】
【やや自分の中で動揺した、気がした。それから──問題ではない≠ニ顔を上げる】

【そこから判断するのは彼女は──芯がある女性というコト】
【心を折るにも、倒すにも、中々骨が折れそうな気配がする】

……奇遇だなァ、どうにもオマエさんとは、全く逆ベクトルの思考みたいだ

オレァ──オマエを[ピーーー]だけだ。崇拝?信念?どうでも良い

問われても──何かを答えるか?いや、無い≠ヒ。
オマエさんの努力次第だ、なあ、美人サンよ。オマエは今まで、信念だけで何かを変えて来れたのか?
立場の違うオレが、心揺さぶるような言葉を──言えるもんなら、言ってみろってんだ

【そして──彼はポケットから何かを取り出す。じゃらり、といくつもの錠剤が手の中に】
【それを数錠、一気に煽って──悪≠フ気配が、その場を満たして行くのが伝わるだろうか】


──行くぜ、ベッピンサンよ


──Divine


【すると彼の渦巻いたオーラ──チャクラ、魔翌力、そういった概念のエネルギーが彼から吹き出す】
【それが形作り、彼から分離して、大型の蛇≠召喚した。──彼の身長が190そこらだとして】
【その蛇は彼の身長以上で──全体的な大きさは、それこそ、バスケのゴールポストまで届きそうだ】
【──明らかに普通の大蛇なんかとは比べものにならない、透明な紫のモンスター≠生み出した】


──行けッ!!


【そのまま蛇は──あなたに食らいつこうとする。牙それ自体の本数は少ないといえど、口を開き、腹めがけて咥えようと】
656 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 15:19:31.37 ID:RT4l8Hhv0
>>651

【──軽く眉をひそめた、破蛇が伝える感触、金属質の音】
【何らかの能力か、と推察するよりも早く接近する少女──、なるほど、と軽く口の中で反芻する】
【能力の正体を少しずつ見極める、ケバルライは狡猾な男であった】


なるほど、大した身体裁きだ。その年で軍人というのも、案外まぐれでもないのですね。
けれども──、ええ、戦争とは大人がするもの、子供は往々にして、巻き込まれて死ぬものです
ならば命を無駄にする必要は無い、大人のふりをするのはおよしなさい

、子供の軍人だなんて、平和な世界の御伽噺にしか存在しないのですから


【ケバルライが右手を振るう、再びの狙いは足】
【足に向けて放たれる蛇の魔力、足を掬い攻撃を回避しようという魂胆】
【巻きつくような動きであった、硬くするだけでは対応が難しいだろうが】


時に死は生を凌駕します、気高き死は、惰性である生を遥かに凌ぐのですから
そうでなければ何故私達は死を賛美するのでしょう? そこに由縁などなくなるでしょう
故に私は死を賛美するのです、ええきっと、そういう風に出来ているのですから
657 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 15:20:04.89 ID:YdnfFM3ao
>>627
【かつては信仰の場であったこの都市の住宅街。多くの信徒が、生活していた場所】
【今や白黒の崩れ去った跡でしかない場所とはいえ、すでに惨劇に見舞われたとはいえ、踏みにじられていい場所であろうか】

【増して、あのサビクが。残虐で歪んではいれど、なお美しい少年が降り立ったこの場に】
【この醜悪極まりない――――腐れ外道どもが、踏みつぶしにくるなど、許されるのだろうか】

【派手なエンジン音を響かせて、走り込んできたのは大型車両。少年の姿を認めれば急停止し】
【荷台と運転席のドアを蹴り開けて、複数の汚れた魂が聖地に降り立った】


……これはこれは。カルトには求心力となる美形が不可欠なものとはいうが
お前は最たるものだな。まるで欲望の対象になるためだけに作られた人形だ

【そう言い放ったのは、助手席から降りて来た身長2メートルを軽く超える大男だった】
【薄汚れた灰色の作業着に黒いラバー地のエプロン。足には黒いゴム長靴。角ばった顔つきに短い黒髪】
【黒い瞳の両目の上には、額を埋める第三の目玉が存在していた。獣のように鋭く尖った歯をむき出し、その男は醜悪に笑った】

【広域指名手配されている盗賊団の首領。信仰に生きて来たサビクなら、知る必要もない相手だろうが、彼には一つ知っていることがあるはずだ】
【すなわち、大型車両に見せつけるように括り付けられた男たちの死体だ。あるいは焼け焦げ、あるいは穴だらけにされ】
【死体たちは全て、蛇の入れ墨が施されていた。数は17。司祭が以前、語った数と符合するだろう】


【そんな光景を背景に、さらに二つの人影が大男の横に並ぶ。片方は、擦り切れた白い着物を着た骨と皮ばかりに痩せた男だ】
【飛び出さんばかりに大きな目。不健康な青白い肌。着物なのに、なぜか黒いジャージズボンに白いスニーカー】

【少年とは対照的に醜いその男の、ほぼドクロのようになった顔を半ば覆い隠す長い長髪だけが】
【少年の白金の髪にも劣らないほどに艶やかで、それが男の不気味さを助長している】
【そして、その心臓のあるべき位置には、着物の上からめり込むように小型のエンジンが埋まっていた】


【もう一つは、この二人に輪をかけた異形だった。人影は一つ。だが、その身体には二つの頭と四本の腕が存在した】
【向かって右側の頭は、病的に青白い肌にほっそりとした顔つき。落ちくぼんだ目に白く濁り切った瞳。長い白髪を後ろで一つに束ねている】
【向かって左側の頭は、浅黒い肌に顎の突き出たがっしりした顔つき。つり上がった目に爛々と光る黒い瞳。短い黒髪をボサボサに乱している】

【本来の腕の位置にある両腕は、青白く細い。脇の下あたりから生える両腕は、浅黒く筋肉質だ】

【その身体でも袖を通せる、特注と思しきスーツは中心から向かって右側が白、左側が黒にカラーリングされており、ネクタイや革靴も同じように左右で色分けされている】
【両側にある胸ポケットには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で、それぞれ「No.50」と刺繍されていた】

【少年の言う通り、見た目から気持ちの悪い集団。少年にとってはひどい試練だろう。さらに、異形どもは口々に聞くに堪えない言葉を吐き始める】

/いきなり本当すみません、分割で……
658 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 15:20:32.08 ID:YdnfFM3ao
>>627
〈てめえ……なんだあ? なんだあ、てめえええええええ!!! 小奇麗な恰好しやがって、出会うなり人を気持ち悪いとほざきやがって!! 舐めてんじゃねえぞ!!!〉
〈なーーにが「試練」だ!! てめえら宗教家気取りのイカれクソ野郎どもよりマシだってんだよ、爬虫類マニアの変態どもが!!〉
〈なんだその肌の一つも出さねえ恰好は!? きたねえ相手が触れたきたねえ空気には、肌を晒すのもごめんだってか!? 美しい自分様と対峙しただけで光栄に思えと言うつもりか!?〉
〈あーあーあー、どうせ俺らは薄汚ねえ盗賊さ!! この世にこびりつくクソのクソだ!!これで満足か、ええ!? だがてめえらも同じ穴のムジナだろうがよ!!〉


『全くだぜ、マサツネ。見ろよあいつ、汗一つかいちゃいねえ。あのクソ暑苦しい恰好でそれが出来るってことは、普段から着込んで慣れていやがるんだ。なあ兄貴?』
「そうだなギュスターヴ。見てくれだけで、だいたい察せられる。あのまるで似合わないピンヒールも、地面に触れたくないと言わんばかりだ」
『ヒャヒャヒャ!! つまり病的なまでの潔癖症だろお前!! わかるぜ、そのお綺麗な見た目だ!! おおかた、教団連中に売春でもさせられてたんだろ!?』
「貴様の見た目なら、さぞかし高く売れただろうな? 変態どもに何度掘られた≠だ?」

【ヤジを飛ばすエンジン男と二つ頭を尻目に、三つ目の大男は醜悪な笑みを顔いっぱいに浮かべて彼に相対した】

全てのみ込んで、輪廻の流れを作り直す……だったか? 鈴音の奴も、随分と大きな使命を負ったものだな
私は、お前たちの蛇神とは顔見知りでね。だから、彼女は我々が煮ても焼いても食えぬことをよく知っているはずだ
いくら彼女でも、我々を贄として貪る趣味はないだろう。綺麗にするにも、この有様では限界があるからな

【天使と悪魔。美麗と醜悪。気品と下品。全てが対照的な少年と異形どもは、されど同じくらいに歪んだ内面でそこに立つ】

久しぶりに、悪党らしい仕事が出来るんだ。こちらこそ、邪魔されては困る
出来れば、お前の身体は綺麗なまま始末したいな……きっといい値段がつくぞ

さあ、始めるとしよう。お前の命も身体も、この儀式の成功も全て……我々が奪い取る

【大男は言葉と共にエプロンの内側から大型拳銃を取り出す。少年の妨害がなければ、それを挨拶代わりに発砲するだろう】
【それを合図にエンジン男と二つ頭が左右に展開する。連携に慣れた者たちの動き】
【さあ、殺し合いを始めよう。お互いの譲れぬもののために】

/お待たせしました! こちらこそ、よろしくお願いします!
659 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 15:21:24.00 ID:rW2LOlMS0
>>635
【見た目について言えば、一般市民に『狂信者ってどんな奴?』と聞いたら取り敢えず出て来そうな姿だった】
【しかも半端に殺しかけても、別のブッチャーがアルジャーノンの元に連れ帰り、応急処置だけ行ったよりグロテスクな姿で、戦線に復帰して来る】
【地の利は完全に掌握されているのか、路地を突っ切って逃げることも難しい】

【或いは、司令塔となっているナース服の女を叩けば、突破する隙も出来るかも知れない】


《ホウ、若イ、活キモ良イ。シカモ能力者!コレハ無駄遣イシタラ、らさるはぐぇ様ヤむりふぇん様ニ怒ラレルカナ?》
《マァ、良イカ――今カラ連レテ行クノモ遅イ》


【巨大な剣の一薙ぎは何人かの上半身を吹き飛ばし壁へとぐしゃりと激突させる。直撃しなかった者達も風圧だけで、バランスを崩し、転がっている】
【しかし、止まらない。脳が半欠けの彼らには自らを止めるような感情は一切存在しない】
【少女の華奢な体を抑え込もうと、いくつもの目と、手が、迫って来る】

【見れば上半身だけになった者達すら、内臓を引きずりながら少女の足元に群がって来る】

《鈴音――アァ……諦メロ。コノ物語ノ行ク末ガ、ドチラニ転ボウト――》
《"神トシテ生キルモ"、"人トシテ消エルモ"、イズレニセヨ人間ノ手ハ届カナイ》


【アルジャーノンは表情と言うモノが存在しない顔を傾げて見せる】
【人の体力には限界があろう――だが、彼らは数が潰えない限り、いくらでも使い潰せる】

《ブッチャー君、圧殺シタマエ。手足ノ数本ハ千切ッテモ構ワナイ》
660 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 15:25:58.69 ID:RT4l8Hhv0
>>652

【ただの一発の銃声が響く。──放たれた銃弾は、その一発を以って五本のナイフを打ち落とす】
【それは何の能力も含まれて居ない、技術──、研ぎ澄まされた刃がどこまでも鋭利になるように】
【磨きぬかれた技術は、時に神域を凌駕し、その境地へと至るのだから】


──世界に頭は二つも必要ないの、と、あの方が言ったもの、それならカチューシャは従うから
ねぇお姉さま、カチューシャはお姉さまが戦う理由が分からないの、だってそうでしょ
蛇ならばただの蛇でるべきなの、人に手も足も出ない、獣でしかないから

それでも向かってくるのなら、お姉さまは蛇じゃないのね、或いはとびっきりの牙を隠して
ふふ、かまわないわ、かまわないの、お姉さまがどんな色をした姿であっても
カチューシャの目に映るお姉さまは、きれいなきれいな、白色をされているから


【右手の狙撃銃が地面を叩く、空中に躍り出る彼女の身体】
【駆け出したエーリカを飛び越える様に跳躍したなら、すれ違いざまに貴女の肩を、けろうとする】
【成功したならあなたの身体は前へと投げ出されるだろう、反動で彼女は空中で翻って】


────その上にどうしても、赤い花を咲かせたくなるの


【転地が逆転する、空中で正反対になりながら、右手の狙撃銃で貴女の肩を狙い打つ】
【成功せずともそのまま彼女はくるりと回って着地するだろう、立ち尽くす背中に靡くプラチナブロンド】
【物憂げな横顔を肩に添えて、肩越しに貴女を見つめるのだろう】
661 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 15:27:36.74 ID:B29byw680
>>645

厳島中尉殿か。士官が部隊も引き連れずに直々に潜入とは、ご苦労様だな
ここに来たのが下品な蛮族じゃなく君のような知性を感じる軍人で私も嬉しいよ

【厳島と名乗った男の姿はまさに軍人という出で立ち】
【話の分かりそうな相手に、ツァルエルは少し上機嫌になるが】

【やはり退く気は無いようで、放たれた機関銃──】

【すぐにツァルエルの足元の床を突き破り、何の生き物かもわからないバラバラになった骨が次々に飛び出した】
【骨の数は機関銃の弾よりも多いだろうか】
【大量の骨は宙を舞いながら弾を次々と受け止め、弾け飛び落下していく】

鈴音……?攫われた生贄の中に君の恋人でもいるのかな?
残念だが諦めてもらう他無いな……

【幹部ではないツァルエルは、鈴音の名を知らない】
【話を適当に受けながら、彼の背後に視線を遣ると】

【厳島の背後で地鳴りと共に床が盛り上がるだろう】
【"なにか巨大なもの"が下から出てくると感じさせる――】
【厳島が動かなければ、盛り上がった床に巻き込まれてしまうが――】

662 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/23(土) 15:31:31.81 ID:xPZ7LQKro
>>623 >>646

……恋、恋≠ネのか。そうか

【機械音。──そこにマフラーからの排気と共に、その橋の空で浮いていたのは、黄色のカラーリングのやや大きめのロボット】

【突っ込んで行くバイクの動きに便乗し、そのまま──彼女に向けて、一発分だけのミサイル≠放つ】
【──バイクに気をとられるであろう彼女に向けて、追撃にも似た攻撃】
【あまりに容赦は無いが──バイクの軌道もだろうが、ミサイルもまた軌道も、一直線である】

【呟きは、閉じているハッチ。そこのマイクを通して、聞こえている。そこに居るのは──、ひとりの女性】
【赤いメガネを掛け、黒と白のツートンの髪。蛍光グリーンの瞳が特徴的な──白衣】

【一瞬だけ、彼女に対して苦悩するような表情をする。──恋∞好きな女の子∞その為の犠牲=z
【犠牲、犠牲犠牲犠牲犠牲犠牲犠牲犠牲犠牲犠牲犠牲犠牲犠牲犠牲】
【積み重なる死体。目の前の小悪魔の少女も、きっと大好きな誰かの手を取る為に】

【──ミア】


ワタシはキミがスキ≠ネんだ、ダイスキ≠ナ──頑張ったキミを受け入れたい、止めたくない
ワタシのアイ≠ネんて要らないと思う──でも

──ヒトが傷つくのなら、まだソコに助かる命があるのなら
ワタシはキミを止めたい!──だから、今回は、キミの恋を邪魔させてもらう!

【きっと戦わない場だったのなら、何も知らなかったら、イルという少女の成就を、恋を謳歌して欲しいと思ったのだろう】
【だけど、知ってしまったから。今だけ、思想がぶつかる事を許して欲しいと──構えた】

【そうして彼の隣に機体がズシン、と降り立ち、引き締めて構えた】
【チラッと見て、ああ、ええと──名前どうしよう、と一瞬迷った内に】

──ワタシは兼愛信生だ!シラガ君!

【ヒドい】

ワタシはキミをサポートする!もしして欲しい指示があったら言ってくれ!
ポップ君≠ヘパワーがある分燃費も悪い、ちょっとノロいのでな──ワタシはキミと一緒に健康的に行きたい!

【ポップ君と称された機体の翼は、地面に降り立ちながらも格納していない】
【彼女は彼に指示を仰ぎ──】
663 :ラベンダァイス&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/23(土) 15:33:14.37 ID:fimxwp7B0
>>654

――――狂信者め――――ッ
「でなければこんな信仰に浸るものか……まぁ、盲いた目には世界など見えん。己の世界だけにこもっていれば良かったものを……!」

【――――人の狂気には、憎悪には。既にこの2人は慣れ過ぎていた。獣人――――アーディンは時間の為に、そしてラベンダァイスはスクラップズ――――機関の、吐き気を催すような盗賊たちの為に】
【勿論、その容量は――――それらを凌駕するほどに底知れないものがあったが。それでも――――その場に一言、感情を吐き捨てて終わりだ】
【殺し合いの前に、そんな事は些事。その事を、彼らは戦場に立ち続け、理解しすぎたのだ】

「…………ッッ!!」
――――その程度の冒涜は、あなたたちの得意技でしょう。今さら何を驚く事があるものかッ!

【まるで挑発する様なその言葉――――否、それは真実なのだろう。信仰に誇りを持つのならば、その内容を騙ってみせる必要もない】
【そばに立つ獣人、アーディンの表情が歪み、牙が剥かれる――――その事を、誰よりも許せないと思うのが、この男だった】
【――――あったはずの未来を、こうも簡単に奪われた。その事を思うと、被害者たちにやりきれない思いが募る】
【――――だからこそ、こんな企てに加担する人間は、1人残らずに殺してやろう。この罪は、ただあるだけで死の理由たり得る】

【一方で、ラベンダァイスは特段に心を揺らす事はなかったようだった。既に彼女は、その心を一面で凍てつかせている】
【自分はもう、人間ではないのだ。いや、初めから人間ではなかったのだ。なら、そんな事で動揺する様な弱さなど、必要ない。ただ敵を倒せばよい】
【それはただの態度表明に過ぎないが――――それだけで十分なほどに、彼女の精神は人間を逸脱しつつあった。心など、捨てようと思えばギリギリまで捨てられるのだ――――】

ぐぅ……ッ!?

【放たれた炎を前に、ラベンダァイスは咄嗟に盾と化した左腕を用いて受け止め、防御する】
【――――そのまま、跳躍を用いて回避しつつ、さらに接近して一撃を加えるのが理想だったが――――逸った故か、踏み込みが深く、回避までは移れなかったのだ】
【左腕の防御は固く、大幅にダメージを減退している様子だが、それでもその攻め手は中断せざるを得ない。炎に炙られながらジリジリと後退して、態勢を立て直さなければならなかった】

「――――イルを殺し鈴音を殺すに、貴様ごときに躓いている訳にはいかんッッ!!」

【潰された初手のカバーを、アーディンが果たさんとする。彼もまた、獣人としてのスピードとアジリティを用いて跳躍】
【そして、その身から光の分身を展開――――右と左からの挟み撃ちで、法然へと斬撃を見舞わんとした】
【――――光は幻影。単純な干渉でもその姿を維持する事ができなくなるが、本体は無事なままだ。そして本体は、迎撃されればダメージを負うだろうが、そこを分身が追撃する】
【この挟み撃ちには、彼なりの計算がきちんとなされていたのだろう】
664 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 15:38:17.41 ID:RT4l8Hhv0
>>646

【追憶と追悼とその狭間に生きるのが情念であるのなら、それは何処までも苛烈な感情に他ならず】
【頬の温度で溶けてしまいそうな位の、瞬きすらも届かない刹那の呼吸に似ていた】
【淡く荒く、それでいて確かに、無くした筈の片割れを探す旅路に、届かない思いを託す所作の如く】

【靡く髪が透かす首筋、それは垣間見る夏の幻に似て、どこまでも儚い陽炎の様に】
【飲み込む吐息の欠片にすら、及ばないその暗示は、まるで舐る様な質感を保ったまま】
【蕩ける目尻に触れる、指先でさえ咥えてしまう、そんな淫らさを孕んでいた】


アハハ♪ どんな奴が来るかと思ったら頭のねじが外れたニンゲンが飛び込んできたよ!
へぇ、少しはピーチクパーチク喋れるんだねっ、ボクびっくりしちゃった、そんなまともな思考できるとは思わないけどっ
きったねぇ声上げんなよ、ニンゲンが話してるだけでボクのイライラが振り切るんだからさ

内容まで汚いってなったら救えないよねっ、まあニンゲンなんて元々救えない連中ばっかりだけど
その中でも特にキミはいっとう気持ち悪いよ、家畜が囀らないでほしいから
いいから黙って生き絶えてよ、せめて地面の養分にならなきゃ


【少女の指先が唇に触れた。童顔にそぐわぬ肉感的な色合いが蕩けて】
【毀れた接吻が、空中に踊る。──バイクに投げたキッスが触れたなら、その軌道が少しずつ右にずれ】
【橋からの欄干にバイクが直撃、炎上するのだろう】

>>662のミサイルもまたそうだ、彼女の接吻に触れたなら、制御を失い、橋の欄干へと叩きつけられる】


やっぱりニンゲンって乱暴だよね、変質者みたいにいきなり出たり消えたりして
キミの事聞いてるよ、ムリフェンが言ってたっけ、きったない芋虫にも少しは価値があったんだ
透明ニンゲンじゃないんでしょ? だったら大丈夫、きっちりきっかりぶっ殺してあげれるから

キミの存在そのものがボク達を愚弄してるんだから、磔刑じゃ足りないよね?
────"Killers Like Candy"


【イルの右手に出現する漆黒の大鎌、一度二度と手首で回転させたなら、勢い良く飛び上がる】
【虚空を切り裂き、背中の悪魔羽根が羽ばたく、大きく得た推進力をそのまま、男へと向けて】
【斜めに切り伏せるような一閃、袈裟切りを男の身体に向けて放つ】

【直撃したなら、その傷口が熱を持つことに気づくだろうか、全身に広がる気だるさ】
【──病魔、その二つ名は伊達ではない、彼女の攻撃は全て、病に繋がる感染症のように】
【相対したならば細心の注意をしなければならない、僅かな隙間から病魔は牙を向けるから】

>>662

スキとかアイとか、また脳みそが沸騰したニンゲンが出てきたけどさ、何なの? 馬鹿は馬鹿に引き寄せられるの?
だったら仕方ないけど、ボクは全部潰さなきゃ気が済まないんだよね、そうじゃなきゃ満足しないから
そうでしょ? そうだもん、鈴ちゃんはボクのすること、全部見ててくれるから

だからね、ボクは精一杯頑張らなきゃ、頑張って頑張って、頑張って! キミ達ニンゲンを芥の様にぶっ殺すから
じゃあその礎になってよ、キミのお友達はきっと、沢山あっちの世界で待ってるよ♪
あはっ♪ まぁ、あっちの世界も、すぐにぶっ壊しにいくんだけど────


【男へと飛び込んだ勢いでイルは信生へと視線を向ける、愛らしい真紅の瞳がノイズに歪んで】
【再び接吻が毀れた、キスマークが形を作り、ポップ君へと向かうだろう】
【投げキッスにポップ君が触れたなら、一時的に動きが止まるだろう】
665 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 15:38:23.28 ID:B29byw680
>>656

大人のふりをしてるつもりなんてないよ!
それに、大人でも子供でも殺されれば同じように死んじゃうんだからっ!?

【ケバルライの言葉に気を取られたか】
【足に巻き付く蛇の魔力──足を硬化させて巻きつきのダメージは防いだが】
【敵の狙いはその先だった。そのまま足を掬われて思いっきり転倒する】

ぐえっぷ!
……いてて

【転んだままでは追撃を受けてしまう可能性が高い】
【うつ伏せの状態で上半身だけ持ち上げ──一丁締めのように両手をぱんと叩く】
【すると、そこから銀灰色のキラキラした煙がぶわっと周囲に広がり、少女の姿を隠した】
【能力により空気中の水分をタングステン化して発生させた、"金属の煙"】
【煙はゆらゆらとケバルライの近くまで広がる】
666 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 15:38:56.60 ID:rW2LOlMS0
>>657

【車に飾られたサーバントたちの死骸を見て――ひくりと眉を戦慄かせたが】
【それだけに留めた。「パグローム」にやられるみたいに、消されるよりはマシだ】
【それより問題視すべきことがあった、……相手の数が、思っていたより多い】
【まあ別に構わないけど。贄は多ければ多いほどよいが――面倒臭いのは、いただけない】

あーあーあ、煩い煩い。コバエの羽音にしちゃあ音量デカすぎンだよ。
せめて黙って死んでくんないかな、それか――――

【最初に投げ付けられた罵声には、あからさまに嫌そうな顔をして耳を塞ぐポーズ】
【するだけで留まったが――その次のものには、びき、と。目尻にあきらかな歪みを含ませて】
【眉間に深い縦皺が刻まれる。明確な嫌悪を示している――それは、少年にとって、地雷だった】
【形のいい唇の向こうから歯軋りの音が漏れる。返答はない。……完全に、キレている】


…………顔見知りィ? オマエみたいな汚物と、蛇神様が?
妄想も大概にしときなよ、なんだっけ、トーゴーシッチョー? とかいうビョーキなの?
それかなにか――――愉快なオクスリでもキメてんの? その副作用で「そんな」身体になっちゃったあ?

だったら安心しなよおおおおお、……蛇神様、やさしいから。そーいうのも造り直してくれるさあああああ。


【きゅい――――と、何かが引き絞られるような音が立つ。少年の全身を纏う光、それが足元に集まって】
【最終的には履いているピンヒール――その靴底に、集められた。そうしたら――――か、と閃光を迸らせて】
【炸裂の音。少年の立っていた地面に、僅かな罅が残されて。「弾き飛ばされる」ように、少年の身体が前方に躍り出る】


はッハ、無駄だよ無駄無駄ァ!! オマエらは、ボクに指一本触れることさえ出来ずにッ!!
ここでズタズタになって死ぬンだよ、わかったら――――――死ねッッ!!!


【猛烈な勢いで、三つ目の大男に向かって疾駆する――その最中。またしても光が、きらきら輝いて】
【少年の前方を覆い隠すように、守るように、収束する。それは盾となって、飛来する銃弾を「撥ね退ける」のだ】
【――ただ、完全に勢いは殺せない。ばち、と打撲音を立てて少年の膚を打ち付けるだけに終わるけど】

【――――次の瞬間。盾として機能していた光が、強烈な勢いで煌く。打ち上げ花火が眼前で炸裂するように】
【目晦ましだ。きっと此方をずっと見ているであろう三人の目を焼かんと――――ばぢり、瞬いた】
667 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/23(土) 15:40:59.52 ID:WB6h1eEP0
>>647

【頬染める少女は恋い焦がれているのだろう。恋人の夢を見るみたいに。その色合いと唇の艶めきを、アリアはよく知っていた。誰よりもそれを至近で見たつもりだった。】
【もっと近くで目に焼き付けたいとも願っていた。だから駆ける。脚部の人工筋肉がリミッターまで出力を引き上げて、チタン製のフレームが床を踏み抜くくらいに軋む。】
【 ── 転瞬、マゼンタ色の弾幕が己れに迫るのなら、銀色が身を翻した。ほとんど直角に走る方向を変えて、着弾するのは脚元を嬲るように。】
【壁際へと追い詰められつつも、弾幕の隙間を縫って走り続ける。そうして、残していた左手にも、銃を握って ── そのまま、少女へと向けたのなら】



        「 ──── ッッ」



【躊躇いなく引き金を絞る。両手に握った二丁拳銃。セフティはとっくに降ろしてある。セミオートと3点バースト、入り混じる行進間射撃。】
【 ── 右手からは嘘みたいに明るく、左手からは3回連続で、マズルフラッシュが彼女の顔を照らし上げる。それを繰り返し、放たれる弾丸は8発。】
【幾つかは牽制で、かといって本命の射撃を当てる気があるかと言えば、あまり意欲的ではなかった。所詮はハンドガンであり、あまり精度のよいものではない。】
【教会の中に響き渡る断続的な発砲音。然しそれを躊躇いと呼ぶのは余りに浅慮。】
【幾つかの流れ弾が偶像を抉るかもしれない。無論それを守るというのなら守れない訳ではないのだろうし、少女にはまたその力があると、アリアは知っていた。】




「『一つの微細な罪悪は百の善行に償われる』 ── けれど残念、貴女は自分の罪がどんなものか、疑った試しがあるかしら?」
「貴女の罪は、愚かさは、貴女が思っているような形には有り得ないわ。贖罪の遣り方も知らないまま。」




【最短距離で少女に迫る機動は封じられ、角に追い詰められてもいたが、それでも少しずつ女は距離を詰めていた。祈る少女に向かって、致命に満ちた一撃を与えるために。】
【 ── 煤けた壁際を蹴り、宙に舞う。黒いコートの裾、照らされる影のように閃いて、長い銀髪と入り混じる。そうして再度、手近な柱を蹴って、】
【"本命"の一撃を、跳んで、躱す。そんな人間離れした空中機動の三角飛びを見せたのなら、そのまま少女の懐に飛び込もうとするのだろう。次なる痛打を繰り出すために】
【もしも少女が、女の"からだ"に関する記憶を消していたのなら、その正体も察せられるだろうか。然し宙に舞うのであれば、そこには自由な回避の効かない瞬間も、見いだせる筈で ── 。】
668 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 15:43:21.97 ID:RT4l8Hhv0
>>665

【──ケバルライは追撃の手を止める、出現する金属の煙】
【摩訶不思議な能力であった、彼の世界には存在しない、そんな理】
【表情が曇った、一歩二歩と踏み込むことを恐れるように後退するだろう】


そうでしょうか、同じ死などこの世界には存在しない、と私は改めて伝えます。
子供の死は往々にして悲劇的です、それはきっと、子供は死ぬべきでないと、思っているから
けれども、放って置いて死ぬのは大人よりも圧倒的に子供なのです、ならば、子供は庇護されるべきでしょう

──、何度でも言います、キミ達は自然のままでは生きられないから、大人に守られる
だから、と私は続けましょう、キミの行いは、命を無碍にするのと同じです
キミは何故戦うのか、子供ならば子供らしく、快だけを貪れば良い


【言葉を紡ぎながら魔力を練り上げる、煙の正体が分からない以上、此方からは攻め辛い】
【その応用性に舌を巻いた、彼は絶好の好機を失ったのだから】
669 :アレクサンデル・タルコフ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 15:44:48.66 ID:YdnfFM3ao
>>649
【鼻に届く、煙草の匂い。足元の悪いこの場を、ブーツで踏み鳴らす音は相手が只者でないことを伝えてくる】
【反逆の意志を湛えた探偵は、四肢を捧げた自分とは対照的に長身で、首元の一点の赤を除けば黒づくめ】
【その点でも、浮かぶ司祭とは対照的であった。聖職者の恰好と、強盗を思わせる恰好もまた、然り】

【それでありながら、この日邪悪の側に立つのは司祭で、それを止めるのは探偵の方なのだ】


【司祭の義眼が放つ光が、その姿を撫でる。輸血パック。吸入器。グレネードにナイフ。『泥の街』時代の経験が司祭に伝えてくる】
【その装備、その佇まい。彼もまた、自分と同じで決して止まらない。彼を留めるには、頭か心臓を叩き潰す他ないだろう】

【迷いのない足運びからも、すでにこの都市の構造を調べ上げていることも伺える。プロフェッショナル。司祭は敵にそう評価を下した】


……この荒れ果てた墓には、長らく訪れる者は一人もおりませんでした
たとえ墓荒らしだろうとも、ここに眠る信徒たちは久方ぶりの来客を歓迎したことでしょう

――――貴方が、儀式を妨害した敵でなければ。残念なことです
お仲間とは……今回集められた贄の中に、お知り合いでもおられましたかな?
だとしたら、お気の毒なことですが……我々もまた、譲れぬものがあるのです

【しゃがれた声と殺気に対して、穏やかな声と柔和な笑顔。それも、異形の姿では不気味な表情にしか見えないが】
【ずっと静かだったカタコンベに響く、銃声。恐ろしく素早い早撃ち。パグロームの狙撃は備えていたから避けられた】
【だが、これは無理だ。左手の蛇を防御に用いようとし。その蛇を、銃弾が貫いた】

む――――!?

【彼の意志を媒介とした血で編みこまれた弾丸は、司祭の能力を破り、その左肩を撃ち抜く】
【最初の鮮血が飛び散る。まず初手はロッソのものだ。痛みに顔をしかめながら、司祭は足のエネルギーを加速させる】

(遠距離戦は不利ですな……ならば!!)

【ジェット噴射のように足からのエネルギーが司祭の身体を推進させ、ロッソへと迫る。その余波が周辺の墓石や瓦礫を吹き飛ばす】
【それを目くらましとつつ、単純な突進攻撃を仕掛けるつもりだ。速度は早いが、見切れないほどではないだろう】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 15:45:06.30 ID:s9RVxvhA0
>>661

「生憎と、諜報部の者でね、部隊を率いる事は出来ないのさ」
「正直な話だが、私も相手が言葉の通じない狂信者でなくて光栄だ」

【僅かな、ほんのわずかな間での語らいだが】
【無論これは、馴れ合いとは程遠い】
【それが証拠に、二人の殺気とそして緊迫は最早飽和状態にある】
【やがて】

「ッやはりな……」

【放たれた所撃の機銃弾はその全てが防がれてしまった】
【これだけ言う事は在る、身を守る防衛策は万全と言う訳だろうか】

「(やはり、鈴音の話は知らない、一般信者だからか?)」
「残念ながら、そう単純な話では無くてね、知らないのであれば話す必要もないだろう」
「――ッ!?」

【そう答え、続きの一撃を見舞わんと腰に手を掛けた、その時だった】

「な、何をッ!?」
「ぐッ!?」

【地鳴りと、そして足元から伝わる、奇妙な感覚だった】
【咄嗟にその場を飛び退き、前転し『それ』からの回避を試みる】
671 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 15:48:20.31 ID:XgR4AbQf0
>>648

……なら、首でも落としてみましょうか――――
息絶える寸刻の間に“留まれた”なら、万に一つの奇跡も望めるのかも、ね――――?

【人の世を守るためならば、血に塗れ悪夢ともなりはててみせる。決意と呼ぶにはあまりに壮絶なその意志は、言葉に、何か別の意味も込めるかの様で】
【そこに柔な疑問を挟める者なら。蛇神教の僕として、斯くも力強く生を掴み続けることなどありえない】

【大蛇。力の規模こそかの蛇神には及ぶべくもないのだろう。けれど、そう呼ぶに相応しい脅威をこそ、スーツに秘めた肉身は伴っていた】

【己を外れた視線の動きに、狙い撃たれるリスクがないことは理解して――――】
【けれど間髪入れず決断さる無視しきれない対応に、敵手の練度を瞬時に悟る】
【さまざまな組織の新兵に飽きる程見てきた、フルオート特有の過ちなど期待すべくもないだろう。僅かに刀身を傾けるだけの防御に、否応なく幾つかの火花が散る】


【その灯りは、再び両者を引き合わせることだろう。疾駆し接近を望む剣士、迎撃の用意を整える蛇教の女。二組の視線、鏡合わせになる一組の敵意。】

【地を這わんばかりに低く変わる姿勢は、速力を落とさず迫るという異様を示した。そして、慣性を残す儘加速度がやや落ちて】
【僅かに体が前傾し。同時、悟らせる呼吸が、緊張する直前にあるべき筋肉の弛緩を伝えようとした】
【人間の視界は、横に比べて縦の動きに弱いという事実。そして、この剣士が人間の知覚というものを知り尽くすが如く、先の一手を打ってみせたという情報】
【サーペント・カルトの構成員が蛇を目指すものとするのなら、鎌首をもたげ躍りかかる予兆の様な、この屈曲の意味は像を結ぶに難くなく――――、】
【その可能性をこそ、剣の具象は利用する】

【跳躍への備えには太刀を守りに回しながらの直進。低空への備えには、直進で迎撃位置を限定させてから再び回りこむことによる接近。】
【己の本領たる近接戦闘で戦う限り、そして速力で十分に優越する限り】
【この兇器が握ろうとするアドバンテージが、攻性の選択肢を、瞬時に選択する事を許すだろう。跳躍という素直な選択肢だけは、愚挙と見定め自ら封じて。】

【ならばヒトにとっての最適解は、間合いの差を活かした射撃戦の継続になろうか。自ら選ぶべき遠隔攻撃の手段を、この剣士は持たない様ではあって】

【もしも接近を許してしまえば、まずは構えた一閃を“放たせる”のだろう。だが、構えが逆に誘いであるという可能性も共存している】
【そこからは、近接戦の技量を競うことにもなろうか】
【そして異能という埒外もまた、伏兵として彼我の喉元を狙う――――とりわけ、既に仕込みを済ませた蛇教の女の“兵”が。】
672 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 15:50:31.43 ID:rW2LOlMS0
>>659

【剣閃が通ろうがそうでなかろうが。少女はそれを皮切りに、物陰から飛び出した】
【とはいえ全弾撃ち尽くしたばかり、手元はがら空きだ。……それでも進まなきゃならない】
【鈴音。鈴音。鈴音。――――会わなきゃ。それだけ考えて進まなきゃ、やってらんない】


うるっせェんだよヒトの言葉喋んなバケモノがッ!
届かないだと!? だったら何で、鈴音はあたしたちの夢に現れた!!
なんであたしたちに――――「自分は何」かなんて訊いたんだ、そんなのっ、

――――――「こうなりたくない」って思ったからだろうが!!
泣いてたんだよ、あたしたちは確かにそれを聞いたから!!
ぜったいぜったい、――――「ウヌクアルハイ」なんかに、させないっっ!!


【叫ぶ言葉。きっとアルジャーノンには意味不明――そもそも鈴音が実際本当にそう思っているかもわからない】
【けれどそうだと、思っていなきゃ――願っていなきゃどうにかなりそうだった。心が、魂が】
【だから叫ぶ。願う。望む――――鈴音もそうであってくれって。むなしいまでに欲望まみれの、ヒトに似合った願い事】

【大量に湧いて出てくるブッチャー君。それに対して使う手は――"Butterfly Swimmer"】
【出力最大、出せるだけ出す。足首から噴き出る勢いで中空に蠢く黒いリボンの群れ】
【その先端をキリキリ尖らせ、ワイヤーめいて細くして――狂ったように踊らせたなら】
【縦横無尽に襲い掛かってくるブッチャー君たちを、いくらか切り刻めるだろうか。そうしながらも疾駆を続け】

【――――リロード。両手の銃に魔力を籠めて。アルジャーノンのいるほうに向かって走り続ける、けれど――】
673 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 15:53:29.64 ID:BVsbpQZQ0
>>655

【殺す。ただそれだけ。その言葉を聞いた彼女は、しかし心を揺らがせることは無かった。むしろその逆で】
【より、心を鎮めさせた。静かに、貴方の言葉を受け止めて……そして、しじまを切り裂く叫びを合図に】
【戦闘態勢に入る。まず何を仕掛けてくるか様子を窺う為に、何をされても対応できるような自然体の構えで】

……ええ。確かに、信念だけでは、変わる物はないでしょう。
しかし、信念が生み出す行動は―――っ

【出てきたのは、怪物とでも形容すべき蛇。その巨大さに、圧倒されている暇はない。なぜなら】
【現れるや否や、食らいつこうとするのだから。瞬時の判断で、マリアは腰を低く落として……それから】
【屈んで足を曲げた事によるバネを利用して、食らいつこうとするまさにその瞬間に斜め前へと飛び出し】
【すれ違いざまに、手に生み出した光の剣で首筋を切りつけようとする。透明であるがゆえに、場所は直感に頼るが。】
【それは、陸上選手のスタートダッシュを思わせるような瞬発力。後ろに退くのではなく、前に飛び出すことで】
【突っ込んでくる蛇の視界から外れるようにしたのだ。―――この一連の動きで、戦いの素人ではないとは判断できるか。】

―――何かを変える力を、持っているのです。他ならぬ鈴音が、そうだった!

【そして、其処で安心して動きを止めるような暗愚な彼女ではない。切りつけが成功しようが失敗しようが、そのまま】
【ある程度までは走り続けて、距離を取る。大きさに歴然とした差があるのだから、近づいたままでいるのは愚策だろう。】
【……そして、もう一つ。物理的な攻撃のほかにもう一つ、切り口があると睨んだ。―――どうも彼の言葉が、矛盾している気がした。】
【距離を取って対峙したまま、言葉を投げかける。問いが帰ってこなくても、心が動揺するだけでも良い。何より、損得勘定抜きにしても聞きたかった。】

問いましょう。貴方は、信念も崇拝もどうでもいいと言いました。
ならば、なぜ貴方はそんな「どうでもいい」コトの為に命を賭すのです?
神を崇拝していないのならば、なぜ神の儀式を守ろうと思うのです?―――矛盾、してませんか?
674 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 15:53:58.93 ID:VXFCbz/50
>>660


【一発の銃弾で、ナイフのことごとくが撃墜されて。正鵠を射た言葉で打ち抜かれる】
【狙撃手の疑念は正しい。それによって顔に浮かぶのは本質を見抜かれた事による焦燥】
【けれど、黄緑のフードはそれを覆い隠し。それが故にエーリカは今もなお蛇の信者という装いを捨てられなかった】


きれいねえ…歯が浮くようなセリフをありがとさん。お世辞だったとしても嬉しいよ。
まあ、アンタみたいな悪党の吐く言葉じゃなけりゃ一等嬉しくて悶えちゃうんだけど…ッ!


【カチューシャへと近接しようとした瞬間、彼女は空を優雅に歩くように跳んで。エーリカの肩を足蹴にしていた】
【すると当然ながらエーリカは自身の勢いも相まって前方へと投げ出される。そして、背後から迫るのは蠱惑的な言葉と華麗で流麗な狙撃】

―――うぁッ……!

【やばい。このままだと射殺される。肌を刺すような狙撃の気配。まごついたら射抜かれる】
【ならば。エーリカは投げ出された勢いはそのままに。更に前方へと勢いをつけて転がり込むことによって銃弾を回避する】
【そしてその勢いが止まったなら、エーリカはカチューシャへと振り向く。――後光に照らされるカチューシャは聖母の様に】
【その光景に目を奪われた――などとは口が裂けても言えず】


赤い花だなんて随分と詩人だねえ。ケバルライの様な哲学者めいた難解な言葉よりよっぽどマシだよ。
なら私も花を咲かせたいんだ。私の花ってのは白と赤。それに黒色だとか銀色が混じっててアンタよりよっぽど綺麗だ。

――ところで、カチューシャ。アンタは私が戦う理由がわからないと言った。
私はその理由を持ってる。人には言えない理由と理屈でこの場に身を投じてる。理由が知りたきゃ――


【"私を組み伏してご覧よ、カチューシャ/狙撃手様"言葉で感情を濁しながら再度ナイフを五本召喚し】
【その内の四本を大雑把にバラける様にカチューシャに投擲したあと近くにあった長椅子へと転がり込むのであった】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 16:00:01.05 ID:yyycwOqh0
>>667

――――――もうすぐ。もうすぐです、ウヌクアルハイ様、もう間もなく。その刻を迎えれる、もうすぐ――。
……もうすぐ。もうすぐ。だから、……だから、早く死んでください。ほかにも居るかもしれないじゃないですか、侵入者。そっちも殺さないといけないんです。

――――あなたみたいにやけにデカい女相手している暇はあんまりないんですよ? 顔はいいんですけど。私、結構忙しいんです。これでも一応、幹部なんで。

【引き絞られる銃弾八つ。けれどそれを少女は造作もなく防ぎきるのだろう。いつか見せたマゼンタの障壁、びしびしと受け止めてなお、輝くなら】
【――最後の一発がやはり打ち砕いた。そしていつかと同じく切っ先を相手に向けて迫るのだ、――いつかの写しであるのなら。それは彼女好みのカウンターなのかもしれない】
【であれば相手にもきっと伝わるだろう。この戦闘、記憶を保持したままである相手の方が、有利だった。――少女は相手の出方を知らない。交戦した事実さえも忘れている】
【熱っぽい吐息交じりの声が冴えわたる。――早く殺して次の場所へ行きたい。そう態度の全部が語っていた。すらりと左手の指先で自身の髪をかき上げた、真っ白な耳を覗かせて】

――私の罪はただ一つだけ。ウヌクアルハイ様の正しく善いあり様に気づくのが遅かった、と、それだけであります。
それ以降の私に罪など一つもありません。ウヌクアルハイ様の示される正しい在り様に、正しい善に、導かれて。そうすることのどこに過ちが存在しうるでしょうか?
それを過ちと思うならばあなた方が間違った善に囚われ行動を制限されているに他ならない。それは不当な扱いであります、ゆえに、早く気づくべきです。

ウヌクアルハイ様の示される善が正しい。――あなたがたは間違えています。

ですけど――そうですね、じきに、気づくでしょう。ウヌクアルハイ様はまもなく受肉されます。そのお姿を見られてから、決めてもいいんですよ?

【――リボンがリボンならざる音で地面に突き立っていく。ガリガリギャリギャリ、あるいはザリザリ。そうして刹那、海藻のように揺らめくのだけど】
【やがて端っこから崩壊するように消えていくのだろう――相手の人間の範疇から超えた動作にはわずかに眉を顰める。彼女は知らないなら、それを想定できない】
【けれど一方で語る言葉に焦りは伺えなかった。むしろ素晴らしいことを陶然と語るときの声をしていた。自分の頬を両手で包むようにしたなら、あの日、泣いた瞬間と似通って】

――――――――――――まあそれまであなたが生きていたら、ですけど。

【飛び込んでくる挙動を、彼女は見据えているのだろう、そうしたならば左手の蛇をかざす、――ぞるり、と、刺青の蛇が剥離したならば】
【牙を開けて跳びかかるのだ、――それは痛みの概念だけを相手に与えようとする。けれど執拗な痛みは時として無傷の身体を殺すこともある、ときっと相手は知っている】
【けれどそれは少女自身が相手の間合いに入る一瞬前のことであった、――引きつけて、引きつけて、そうして、叩き落そうとする。まるで羽虫にそうするように】

【――他愛のない擦り傷。切り傷。悪いことをして親に叩かれたときのような痛み。転んだ。ぶつけた。どこかに引っ掛けた】
【全身を自分よりもずっと力の強い何かに押さえつけられる痛み。破瓜。注射。皮膚を剥がれて。注射。身体じゅうが張り裂けそうなほどの激痛に】
【麻酔無しの開腹手術。腹部を撃ち抜かれる。串刺しにされる。あるいは右足が弾ける痛み。火傷。――ほかにも様々な痛みがあった、そして、そのどれもが間違いなく彼女のもの】
【"思い出さなくても"痛みの事実はあったなら、消えたはずの思い出すらそこには混ぜ込まれていた。――差し向けて、だけど、その一瞬、蛇の蠢く瞬間に、きっと少女は笑っていたなら】

【――――――その意識はすでにもうとっくにウヌクアルハイにのみ向いている。あるいは油断に似ているのかもしれなかった。浮足立っている、まるで遠足を心待ちにする子のよう】
【その態度をきっと相手は見逃さないだろう。――だってそれは明らかに隙に繋げられるものであるはずだから】
676 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 16:03:14.38 ID:RT4l8Hhv0
>>674

【白銀の髪を表情に透かせる、そのマリンブルーの双眸が見下ろす貴女の断片】
【──、その内心を歪ませる僅かすらも、彼女は辿れない、そこに最早慕情は無くて】
【ただ幼子の様に滑らかな指先を口元に落とした、ぷくんと膨らんだ唇が溶けて】

【滴る粘液は涙みたいに、その由縁を辿られたくない乙女心が透けて見える様で】
【涼しげな目元を重ねる。長い睫がしとりと濡れて、乳白色の頬白におどけるが如く】
【何処か不相応な狙撃銃を、そっとほっぺたに寄せて、労わる様に撫でて見せた】


素敵なお姉さま、カチューシャの弾頭から逃げるだなんて、とっても吃驚
だからこそ、疑問なの、こんなに可憐で強いお姉さまが、宗教の味方になるなんて
不思議よ、不思議──それならね、それを解消しなきゃ、いけないのでしょう?

カチューシャは悪い人かしら? 私は思うがままを生きてるだけよ、思うが儘に生きてるだけなの
ねぇ、お姉さま、お姉さまもそうしたいと思ったことは無い? 自分の好きな様に生きれたら、どれだけ
そうね、どれだけ────幸せなんだろうって、感じたこと

好きな時に起きて、好きな時に眠る、好きな時に食べて、好きな時に抱かれる
だからカチューシャは悪いとは思わないの、自由を求めるのは、人の性でしょうから
────ならお姉さまの花を見せてもらわなきゃ、私、とっても興味があるから


【召還されるナイフと、間髪いれずに投擲される腕前、そして同時に自分は安全圏へ】
【なれた動きであった、軍人でもこうはいかない、カチューシャは狙撃銃を薙刀のように振るう】
【ナイフの大方は弾いたが一本程、右肩を掠める、羽織ったコートに傷がついた程度】


ふふ、やーね、やーなの、お姉さまったら、随分とカチューシャが悦ぶ言葉を知っているのね
でも駄目なの、そんな逞しい音色じゃ濡れないの、そんな誘うような言葉は
もっと淫らに、もっと危機的に、それでいて饒舌に耳元で熱を以って

ねぇ、そうでしょう、ねぇ、そうしましょう、ねぇ、貴女の愛を私に晒して
そして何処までも、二人の肌を重ねて、一つになりましょう
────これが私の、愛/合言葉

"Broken Glass Syndrome"


【室内に展開される大量の姿見、空中に浮かぶそれは、長椅子を映す位置に広がる】
【カチューシャの硝子と鏡を用いた狙撃術、それも公安のデータベースには記されているだろう】
【姿見の一つが長椅子の奥の貴女を捕らえるだろうが────】
677 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 16:03:21.36 ID:B29byw680
>>668

【能力で作られた金属の煙自体には殺傷能力は無い】
【多少なら吸ってしまっても別状はないだろう──】

ケバルライさん、子供好きなの?
あ、変な意味じゃなくて……幼稚園の先生みたいな意味で……
でも若い人たちだってあなたの宗教に誘拐されてるはずだけど?

えっとね、なぜ戦うのかは最近考え中なんだよね
とりあえず今は、将来のためと助けてくれた仲間のため……
厳島中尉だって今どこかで戦ってるはず……!

【煙の中から話しかける】
【──邪教の幹部なら、信仰の為なら誰の命でも奪うようなイメージが有るが】
【子供は別なのだろうか──それとも詭弁か】
【はぐれた上官を想いながら】

っと!

【次の瞬間、煙の中からリオシアが飛び出してくるだろう。右手にはさっきは無かった何かを持っている】
【その形は"剣"だ。長さは日本刀くらいの、真っ直ぐな片刃で、切っ先から柄まですべて銀灰色の金属で作られた剣】
【飛び出すと同時に剣をケバルライの肩を狙って振り抜いた】


678 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 16:04:13.72 ID:RT4l8Hhv0

【──── "Malta" 大聖堂を見上げる事の出来る位置にある広場】
【かつては集会にも使われた開けた土地、近くに赤い光を灯しながら、佇む少女が一つ】
【妖艶な雰囲気を醸し出す、艶やかな憂いを帯びた目元に、流し込む吐息の感触で】

【嗚呼、と感嘆を吐露したのなら、迷い込む貴方へと視線を向けた】


……素敵な殿方、人の身に余る力を持ちながら、どうしてまだ人の形に在り続けるのかしら?
それは矜持? 貴方がまだ人間であると、コウノトリを信じる少女の様に夢でも見て
だとすればお笑い種ね、だからこそ貴方達は、人間の域を出ないのだから

ふふ、滑稽だなんて言ってしまいたくなるわ、今日は久々に舞台に上がったもの
戯曲は当に飽きて、それなら残る言葉は幾重にも結ばれるから
──、ねぇ、だとすれば、貴方は私を満足させられるかしら


【腰まである蒼銀色の長髪を大きく後ろで二つに結って、赤いリボンの着いた黒いケープを羽織る】
【ケープの下には黒いチョリ、下乳から鼠径部までを大きく露出し、黒いパレオで下半身を透かす】
【中東の踊り子の様な格好をした、黒と赤のオッドアイの褐色肌の少女が言葉を向ける】

【お臍の下あたりに刻み込まれた、黒い蛇のタトゥーが印象的であって、腹部をゆっくり指先が辿る】
【タトゥーに触れたなら、声にならない嬌声を漏らす、響く音律に艶が混じって】
【その感触を確かめるように、目じりをそっと濡らして、果てるが如く────】


私は "プリオル" ──サーペント・カルトのオフィウクスの一柱にして、
"虚神" シャーデンフロイデも、私の名に加えられるわ、どうぞ、よろしく
ロールシャッハから聞いてるわ、貴方、とってもやるんでしょう?

──、だったらせめて、少しでも長く、夜を結べる様に


【彼女は微笑む、溶けた雪の下から蕾が芽吹くように、愛らしい表情をして】
【そうして身にそぐわない蜜を滴らせながら、かける言葉に一片の熱を込める】
【静謐が満ちて、呼吸音が確かな肉感を持ったままに】


/プリオルです、セアンさんの方よろしくお願いします
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 16:04:18.14 ID:s9RVxvhA0
>>663

「狂信、盲信、大いに結構!!」
「おや?そちらの猫人様は、どうやら興味がおありの様ですね?」
「語って聞かせましょうか?10歳と12歳の姉妹を贄とした時?学校帰りでしょうかね?13歳の友達同士を贄とした時、あるいは11歳の娘と母親を同時に贄とした時、どれがいいですかね?どの話がお好みですか?」

【アーディンの表情と受け答えの感覚から、何か彼には引っかかるものがあると感じた様だ】
【わざと神経を逆撫でする様な事を、抑揚なく悪びれることも無くこう言って】
【二人にとって、否、アーディンにとってどれ程効果があるかは不明だが、精神を的確に揺さぶろうとする】
【純粋な狂気と悪意、戦場に立ち過ぎた二人には、慣れた感覚かも知れないが】
【そして……】

「おお、流石ですね人造兵器とは、これ程なのですか」

【素直に感心の言葉を述べつつ、盾をもって防がれた炎を見やる】
【印を切り、その防がれ散らされた黒い炎を、再び蛇の形に構成していき……】

「こういうのは、如何ですか?」

【ラベンダァイスの周囲から締め上げる様に、纏わり付かんとする】
【黒い炎の蛇による、締め上げの攻撃だが、果たして】
【そして一方】

「器用な事を……」
「それならば……」

【光の分身を形成し、左右からの挟撃に出んとするアーディン、彼に対しては右には、そのまま錫杖を振るい】
【左には、その数珠の巻き付いた腕で拳を振るい、斬撃をカウンターをもって抵抗せんとする】
【武術の心得がある訳では無いが、力任せの一撃づつ】

「イル?鈴音?異な事を……残念ですが、あなた方はここで終わりですよ」

【最も、この時点ではまだアーディンの目論見には気が付いていない】
【その能力すらも、気が付いていないのだ】

680 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 16:04:21.21 ID:YdnfFM3ao
>>666
【手数で押すのは盗賊どもの基本戦術。だが、それを主とするのは盗賊どもが生粋の戦士ではないことも示す】
【一人一人は大したことがないからこそ、異形どもは徒党を組むのだ。対して、眼前の少年は間違いなく強者】
【表面には出さないが、盗賊どもには緊張が走っていた】

〈コバエだとお!? 俺らがコバエならてめえはなんだ!? 掃きだめのツルのつもりかよ、クソガキがあ!!〉

『お、図星か? 図星だろうがよ、男娼野郎!!』
「どうした、キレたのならば言い返してみろ。それとも、当時を思い出して興奮したか? なら我らが買ってやろうか?」

【相手を怒らせるのは盗賊どもの戦術の一つだ。だが、同時に相手に容赦をなくさせる諸刃の剣】
【この場合は、元より容赦など期待できない相手ではあるが】


嘘じゃあない。彼女がああなる前から、縁がある。敵同士としてではあるがな
夢枕に立たれたこともあるぞ。それで、この場所を教えてくれた。つまり、私はお前たちの神の客も同然だ

……まあ、妄想だというならそれでもいいさ。元より、狂信者に理解など期待してはいない
薬はやっていないが、持ってはいるぞ? お前のような極上の獲物を動けなくするための薬だ

蛇神に頼らずとも、我々がお前を作り直してやろうじゃあないか……立派な商品にな……

【だが、盗賊どもの表面上の余裕は引き剥がされる。蛇教の幹部、オフィウクスの座を若くして射止めたこの少年が】
【それに見合う確かな実力の持ち主であることを、まず思い知らされることになったのだ】

何――――!?
〈おああ!?〉 『速……!』 「チイィ!!」

(光……あれが彼奴の能力か……!! 相当な機動力に防御力……少々、相性が悪そうだ……)

【銃撃がさしたる効果も見込めずに潰されたことを認識した、次の瞬間。盗賊どもの視界を光が覆った】
【くぐもった汚らしい悲鳴が四つ。少年の光は、異形どもの目を完全に潰した。特に銃撃のために彼を凝視していた大男は】
【三つの視界を完全に潰され、思わず膝をつく。こうなればいい的だ】

〈ッッッがあああ!! クソッタレえええええええ!!!〉
『舐めんな、売女がああ!!』 「お返しだ……!!」

【エンジン男が吠え、口から高熱の蒸気を吐き散らす。至近距離で触れれば軽い火傷もあり得る高熱だが】
【それ以上に、白く濃い蒸気は光の勢いを抑え、更なる目くらましを上書きする狙いだろう】

【同時に、二つ頭が四本腕から地面に向かって泥と砂を乱射する。少年がどこにいるのかわからない故の、滅多打ち】
【これに足を取られれば、ピンヒールに慣れた少年でも転倒しかねない粘度と量だ】

【姑息な盗賊どもの苦し紛れの反撃の行方は、果たして】
681 :チドリ ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/23(土) 16:08:00.68 ID:WB6h1eEP0
>>671


「は、上等ッ。」「首を刎ねるだけで殺せると思うな。キミが見てるのは、首じゃなくて尻尾かもしれないんだ。」
「ワクワクする戦い方だ。竜頭蛇尾はやめてくれよ、サムライ野郎 ── !!」



【牽制射撃が功を奏したことは見ずとも分かった。自分の首が刎ねられなかったからだ。耳元に迫る恐るべき死の音を聴かずに済んだからだ。】
【マガジンに込めた全弾を撃ち尽くしてリリースする。ボルトが開いて装填を待つ。 ── スーツの懐に収めた、50発のドラムマガジンを、手と脚を使った曲芸じみた動きで差し込んで】
【然し恐るべきは相手の躱し方だった。当たらない位置に動くのでもなく、遮蔽物を利用して防御するのでもなく、鋒が弾頭を「弾く」音を女は聞いていた。】
【刀の一振りのみを頼んで戦うのなら、その力量は否応無く感じ取れた。 ── 首筋を狙う、冷たく鋭い薄ら寒さが拭えないなら、尚のこと。】
【 ── そしてまた、女は「腹を括った」。このまま距離を取り続ければ、自分は何れ集中力を切らし、致命的なミスを犯す。彼女の戦闘経験がニューロン越しに警告していた。故に、】



                「ッ、速ぁっ ── ………。」



【 ── 敢えて相手の肉薄を許す。然し構えたククリは"振らない"。死角からの跳躍はまだしも、相手の刃を視界内に収めているなら、後手に回れば迎撃は効く。】
【にしたって出鱈目に速い。人間業じゃあない。鍛錬でどうにかなる類いの代物ではなかった。神経伝達の理論値に迫ったイキモノでも、この機動と剣戟は追い切れない。】
【口惜しげに女は「唇を噛んだ」。けれど刹那に彼女は「笑った」。真っ白な歯を見せつけるみたいに ── 命の遣り取りに現れた極限のランナーズ・ハイにしては、余りに不気味でもあって。】
682 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 16:10:34.74 ID:Xgr13xPl0
>>669

【このカビとホコリ臭い地下墓地、歪な司祭にはお似合いだな。と彼は思う。そして自分も似たようなもんだ】
【眠りについた人々の上で騒ぎ立てる銃弾は、まっすぐに、愚直なパンクロックのようにストレートに何の邪魔も気にせずに】
【タルコフの体を貫いた。蛇は煙のように居なくなった。もう少し、その濃く蛇を作り上げていたら防ぎきれてしまっていだろう】
【弾丸の力は撃つたびにバレていくだろう。何もかも貫く、魔弾。そう思われているうちにケリを付けたい】

【なぜならばチンザノ・ロッソの能力はこの弾丸と、目、そんなシンプルな組み合わせでどちらも血を引き換えにしている】
【だからこそスピーディに物事を進めていく必要があった。脳内のストップウォッチがカウントダウンを開始した。時計が回り始める】

安らかなる眠りに水を指すのはコイツらには悪いが…生きてるもんは時間が有限なんだ。慌てずにはいられない。

……鈴音を返してもらうぜ。全てをな。
今にその気になるさ。――こいつで開かない金庫は今まで一つもなかったからな

【右手には白銀、左手には黒色のダブルアクションの拳銃は美術品のような美しい細やかなエングレービングが施されていた】
【撃鉄を起こすとまるで血管のようにエングレービングを赤が這い回って、まるで彼の肉体の一部かのように生き返った。】
【魔力に敏感であるなら気がつくだろう。その銃から――彼からは、残酷で無情な悪魔と、慈愛と悲しみに満ちた天使が見えるような気がした】
【相反するその2つの魔力が、彼にまとわりついていた。その銃は“sabrina/サブリナ”と名乗っていた。HEAVEN/天国か、NO HEAVEN/そうではない場所へ、連れて行く】


――――クソっ…ッッ!!


【彼の朱い目が、朱に染まった世界の時を止めて“視た”。墓石の一欠片、瓦礫の方向が視える。そして撃ち抜く場所も、飛び込む隙間も――!!】

【彼は飛びかかる瓦礫に銃を撃ち鳴らした。ピンポイントに瓦礫を砕いていく。飛び散った欠片が狭い地下墓地に弾けて、硝煙の匂いが立ち込める】
【そして、司祭の突撃を彼の目で視えたポイントへ飛び込んだ。司祭からすれば既の所で回避されたように思えるだろう。神業だと、剛のものだと】

【だが、目を使った。彼はその飛び込んだポイントで荒い息をしていた。膝を付き、立ち上がるのが一寸遅れた――――!】
683 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 16:10:39.58 ID:RT4l8Hhv0
>>677

【素っ頓狂なリオシアの言葉にケバルライは意識を逸らした、不思議な事を聞く、と思いながら】
【煙の中から飛び出してくるリオシアに反応が遅れる、回避は難しい距離間】
【左手を差し出す、肉を殺がせる軌道で、剣のダメージを左手に集中させた】

【────鮮血が地面を濡らす、零れる色合いを確かめながら】


……っ、私は────無為な死が嫌いなのですよ、死にはきちんと意味がある
だからこそキミ達は死を恐れ、そして同時に死を崇拝する。死神だなんて神も居る位ですから
私は全ての死に意味を作ります。サーペント・カルトでの死は全て意味があるのです

──そうです、故に、生きていることも意味が生まれる。確かな死の上にしか、確かな生はない。
その死を不確かにした瞬間から、私達は量子猫の狭間に生きるのと同義
ならば私は確かな死を与えましょう、それが私の役割なのですから


【振りぬいた剣の軌道、踏み込む足取りは速い、互いの距離を一瞬にして埋める】
【ケバルライの右腕が伸びる、出現する蛇が、リオシアの腕を絡めとろうとして】
【成功したなら、そのままリオシアを地面へと叩きつけようとする、柔道技の "投げ" である】

【──物理攻撃はダメージが薄い、ならば搦め手といったところか】
684 :ドープ ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/23(土) 16:11:51.74 ID:xPZ7LQKro
>>673

【蛇は生き物としては思考は単純だ。彼の操作もあるものの、動物的本能で動いている】
【故に蛇は──その動きのままに向かい、彼女の行動に面食らうように目を見開き】


【そして──彼女の光≠ヘ、初撃で確かに闇≠切り裂いた】


──違いねェな。オレも分かんねェんだ、実は

【ぱたり、と蛇は力無く倒れる。──しかし、消滅しない=z
【アナタはそこに違和感を抱くだろうか。確かにピクリとも動かなくなったソレだが】
【そして彼はゆら、と左腕を動かしたまま答える──】

いや、考え無くなったな。──急にある日、興味が失せたんだ、そこら辺

信念が生み出す行動?チカラ?何を言ってんだ。オマエに何が分かる
信念絞り出しても、オレに呆気なく殺されたヤツも居たぜ
蛇教じゃねェ宗派のやつは、生け捕りになる直前に神に祈ってたなァ

結局は運命のリロードだ。天がオレ達を見放すか、見放さないか
そうだろう?──鈴音だって、アンタだって、等しくくだらねェのさ

奢り過ぎだ。──その小娘が、アンタが、どんなコトを変えてきたってんだよ

【──自分にしては、よく喋る、とふと思考した】
【何故だ?──分からない。いや、単なる時間稼ぎだ】

【だからこそ──真剣に聞かせている間に、蛇は再び跳ねるように起き上がる≠ゥらだ】
【──彼の能力によって生み出されたソレは、数撃翌与え、確実に消滅しない限りは、生き続ける】
【ソレは大口を開け──思い切り、アナタの体に向け、薙ぐように体当たりしようとするだろう】
685 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 16:16:09.92 ID:B29byw680
>>670

ふぅん、諜報部……
その君が言うなら鈴音という人物は何か重大な……まあいい。調べることは後でも出来る
君を捕らえてじっくり聞けばいいしな

【厳島は自分の知らない情報を知っている――?】
【だとすれば、詳しく聞きたいところだが――口は硬そうだ。会話でどうにかなることはないだろう】

言っただろ、私の有利になる仕掛けがあると
いや、こいつは仕掛けと言うにはデカすぎるかな?

【前転して回避したことにより厳島が巻き込まれることはなかった】
【床を崩しながら現れたソレは、図鑑や博物館で見たことがあるかもしれない】

【体長10m近くある、巨大な肉食恐竜の化石だった】
【骨だけの姿になりながらも生きているかのように、立っている】

さあ、始めようか中尉殿

【軋むような音を立てながら恐竜は厳島に向かって動き出す】
【大きな足を持ち上げ、踏み潰そうとする】



686 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 16:16:43.30 ID:rW2LOlMS0
>>662 >>664
【突っ込ませたバイクは、少女の行った何某かによって、その軌道を変える――】
【それに便乗して飛来したミサイル――ミサイル?】
【深く考えるべきではないのだろうが、それも、同時に軌道を反らされて地に落ちる】
【サーペント・カルトの中でも一際に危険な――そしてある意味において、この件の元凶とも言える彼女の扱いは、やはり一筋縄ではいかないらしい】


ヒヒヒ、ヒャハハハハハはははァッ!!イーヤーダーネ!!
ピーチク囀るのは人間サマの特権だろうが!

オマエこそ人外を気取るならグダグダ並べるんじゃあねェよ。
神も悪魔もサイコロの目も!無口で言いたい放題言えるから価値が在るんだろうがよォ!!


【さて、新たに現れたのは少なくとも敵ではないらしいが――】
【と言うか、ロボット?バイクでいきり立って突っ込んだのが恥ずかしくなるくらいの異質感では有ったが――言ってる言葉は更に度し難い】


アアアアッ、痒ィ痒ィ背中が痒ィ!ガールズトークなら二人でやってな!こちとら妻帯者なんだ!!


【だが――やはりと言うか、"マルフィク"は持ち帰った情報を伝えたらしい】
【接近戦を仕掛けるのは男の能力の特性を知るが故か――突っ込んで来る大鎌――不利なことに男の方は少女の能力を知らないが】
【わざわざ突っ込んで来るものを食らってやる所以もない】


【腰から引き抜いたのは、珍しく銃ではなく――、一振りの日本刀】
【何かの力を宿したような代物ではない無銘だが、男に取っては手に馴染むものだった】
【振り翳された鎌を刀身を滑らせるようにして受け止める】
【空かさずに、蹴りをその矮躯へと放った。正体不明の魔力は脅威。挑んできた以上、長く接近戦に付き合うのは愚行だ】


何だァ……コスプレだとばかり思ってたが、その羽根、きっちり飛べるんじゃアないか。
可愛いツラしてエグい表情するもんじゃアないぜ、お嬢ちゃん。

――そんな顔してたらまるで人間みたいだ。、

【何にせよ、一方的に能力を知られているのはやり難い。ちらりと視線をロボットに乗った女へと向ける】
【やはり、これも使わなければ勝機はないか】


何でもいいからぶっ放せ。俺ごとで良い。勝手に避ける。


【短くそこに指示を飛ばした】
687 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 16:19:40.02 ID:rW2LOlMS0
>>680

…………うるっせぇな黙れよクソ蟲どもっ、
まずはその汚ェ口一生開けないようにしてって、蛇神様にお願いしてやる!!

【あまりにもあっさり挑発に乗る。聞けばわかるだろう、言い返す語彙も少ない】
【であればすぐにわかるのだ――この少年、見た目通りに、精神が幼い】
【挑発。精神への責め。そういった類のものは、きっと何よりよく効いてしまう】
【――――弱点を晒すのがあまりにも早かった、だけど、それを差し引いて余りあるほどに】


――――――作り直すだと? このボクを? その汚い手で!?
冗談も休み休み言えよ、――――このボクに触ろうとしただけでそれはもう厳罰、確定だよッ!!

【灼熱の蒸気。粘滑なる泥と砂。それらが到達する前に――少年の靴底にまた、光が満ちる】
【そうしてまた地面を蹴りつける、今度は「真上」に向かって――高い高い跳躍。バネで弾き出されたように】
【空へ躍りだしたなら、宙で細い躰を捻って。向きを変える、鋭利な鋭利なヒールの先を下に向け】

【自由落下の勢いを乗せて。金属で補強し、さらには異能――「反発」の光を纏ったピンヒール】
【それは真っ直ぐ、「三つ目の大男」の頭めがけて。落ちてくる、上から串刺しにしてやらんとばかりに】
【行儀良くも両脚揃えて。それを覆う光に触れたなら――やはり「弾き飛ばされる」のだ、真下に向かって】
【地面に叩き付けられるだろう。それから、真上から迫るヒールに穿たれるだろう。それくらいの暴力性を秘めていた】


【――――精神的に幼稚がすぎる。けれど、それを差し引いて余りあるほどに――異能が凶悪的だった】
【それが、この少年を幹部――オフィウクスたらしめる理由。十分すぎるほどだったけど、……明確な弱点は、まだ、ある】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 16:25:26.49 ID:s9RVxvhA0
>>685

「私を捕らえる、か……」
「残念ながら、それはこちらの台詞だ!」

【この男を捕らえ、拘束し】
【そして情報を引き出せるだけ引き出す、無論だがこちらから情報を提供する気は毛頭に無い】
【その意思を示したところで、ソレは姿を現した】

「恐竜!?莫迦な……」
「貴様、ネクロマンサーか!?」

【先ほど銃弾を防いだ骨、そしてこの化石の恐竜】
【なるほど、死霊術、骨を使ったそれと推測し】

「ぐッ……冗談では、ない」

【再び、その恐竜のあまりにも巨大なストンプを飛び退いて回避を試みる】
【最も、先ほど前転の直後故か、回避行動には少々支障が出ている、遅れているのだ】
【もし成功したならば、そのまま腰の擲弾筒を取り出し、狙いを付け恐竜の頭部目がけて、擲弾を放つだろう】
689 :ラベンダァイス&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/23(土) 16:26:47.64 ID:fimxwp7B0
>>679

っ、アーディンさん!
「分かっている!! お前に冷静になれなど、言われなくても分かってるわ!!
 ……貴様どうやら、真っ直ぐに死ぬ事すら望まないようだな……コロンビアンネクタイがお望みか、それとも舌縄にしてやろうか……!
 言っておくが、豚の…………いや、蛇の鳴き声など、俺は聞いてはやらんぞ……!」

【――――チャイルドポルノとドラッグは、アーディンの最も憎む概念だ。それを仄めかされれば、流石に心穏やかにはいられない】
【ただ、幸いだったのは――――この場に2人で乗り込んできた事だろうか。ストッパーがそばにいる、それだけで精神的な余裕は計り知れない】
【尤も、親子という言葉すら似あわないほどに年の離れた2人の事――――半ば言わずもがな事ではあるのだが】

【戦意は高め、その意思は濁らせない。そういう術を、どうやらアーディンは知っている様だった】
【知る者ならば身の毛もよだつ残虐な処刑法を仄めかしながら、ゆっくり、ゆっくりと牙を剥く】
【――――元より、彼の本業はギャング。そうした事と決して無縁ではない。ただ、勝負の果てにある何かを夢想すればよい――――瞳は、今ではなく先を見据えて】

「(っく――――この火炎、中々の威力だ。流石に邪教の人間と言うだけは――――。だけど、この姿のまま押し切らせるつもりも――――ッ!?)」

【ジリジリと後退しながら、ラベンダァイスは跳躍の機会をうかがっていた。一気に反転攻勢を掛ければ、虚を突くこともできる】
【そして、そこにアーディンとのコンビネーションも活きてくる。そろそろ左腕の耐久にも支障が出てくるが、その前に攻勢に転じれば――――そう考えていた時の事だった】
【飛び散った火炎の残滓が、再度集結する。流石にその動きは予想外だった】

「く、あぁぁ――――ッッッ!?」

【――――身軽さの代償として、その姿は左腕以外の頑健さに乏しい。思わずラベンダァイスは苦痛の悲鳴を漏らす】
【身を包む火炎は、ぐるりと周囲を取り囲み、逃がさないという意思を伝えてきて】

チッ、流石に術頼りの頭でっかちでもないか――――だがッ!

【反応できる事は、アーディンにとって驚きだった。そも対応すらさせないつもりでスピードを乗せた一撃を見舞ったのだ】
【錫杖を叩きつけられた分身はすぐに瓦解して、その役割を終える。だが拳を見舞われた本体は――――咄嗟に、その腕を自らの両手でつかみ、抑え込んだ】

ラベンダー!!
「ぐ――――ぉぉぉおおおおッッ!!」

【相手の動きを封じる。咄嗟の動きとして、アーディンはそれを実行し、そしてラベンダァイスに追撃をさせようと計った】
【無理やりに右腕の刃で炎を振り払うと、ラベンダァイスは頭上高く跳躍。大上段から法然を切りつけんと飛び込んだ】

【――――チームワークとして悪いものではなかったが、その咄嗟の動き、そしてダメージを押してのジャンプは、ややテンポを外している】
【或いは、そこに対処の時間が見いだせても、おかしくはないほどに】

「その言葉、全く返そう。貴様らの関係者……何人が生きて帰れるか、せいぜいそれを祈るのだな!」

【元より、サーペント・カルトの関係者に情状酌量の余地はない――――先ほどの言葉に合わせて、アーディンは吼えた】
690 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/23(土) 16:30:12.47 ID:xPZ7LQKro
>>664 >>686

い、礎になったら困──あ、あれッ!?ポ、ポップ君!?ポップ君ッ!!

【イルがミサイルをキスマークで落とし、そしてバイクすら逸れた瞬間、信生は驚愕し】
【──そしてその数秒後、戦況が動いた際に、ポップ君の目の表示が完全に星からハートマークへ。信生はぐちゃぐちゃした思考になる】
【叩いてもボタンを押しても応答しない。知能を積んだAI、いや──それ以前に】

(や、やはり無機物に効くのだな──!?乱発されてはマズイ!)
(二対一の有利性が既に失われている──なんて強力な能力!彼女に一撃を与える手立ては!)

【──動揺。とはいえ、このパグロームと戦闘している瞬間を見逃すわけには行かない】
【そしてパグロームから仰がれた指示。何でもいい?本当にか?】

【ポップ君は何も出来ない。自分は何が出来る?】

【──出来るじゃないか。ひとつ】



(──改造だ。思考を改めろ!!)



【ハッチを勢いよく飛び出し、右腕を突き出す。その黒手袋の中から突き破って──】
【明らかに──身の丈に合わない、巨大な大砲≠フようなデザインの片手になる】

【一瞬神経が隔絶され、本当の一瞬、機械と肉体のハザマが激しく悲鳴をあげる】
【ひとつの部位に関して一回だけ、己を機械改造する能力。それをフルに使い──】


──ぐ、ぁ゛、らああああああぁあああああああああぁああああああッ!!!


【痛みと共に、放った。──巨大な球状の──エネルギー弾=B体力が激しく消耗された気がする】
【彼を信じ、彼ごと巻き込むつもりで放つ。たとえ当たらなくても、当たっても──信生は地面に力無く叩きつけられ】
【息も絶え絶え、ヘロヘロの状態で再び起き上がろうと】
691 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 16:30:23.40 ID:B29byw680
>>683

【左手で防がれたものの、やっとダメージを与えられた】
【敵から流れる鮮血を見て】
【ああ、やっぱり人間なんだ、なんて呆けたことをちょっと考えながら】

またっ!

【今度は腕を絡め取られ、倒れ込みそうになるが】
【先程の経験もあり、剣を床に突き立てることによって"受け身"をとり、転倒は防いだ】
【しかし、すぐに反撃に転じることは出来ない中途半端な姿勢になってしまう──】


692 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 16:36:15.56 ID:rW2LOlMS0
>>672
【アルジャーノンには少女の放つ言葉のほとんどが理解できない】
【鈴音と言う少女との直接の面識はない】
【だから夢とやらも、何の話かは分からない――少女のそれは、恐らく自分に言い聞かせるが如き叫びであったろう】

《失礼ナ。セッカクオ前達ニ合ワセタ言葉ト常識デ喋ッテイルト言ウノニ》
《――シカシ、夢、夢カ》

【それが事実なら、アレはとんだ片思いと言う訳だ】
【声に出さない程度の配慮は有った。誰が聞いている訳でもないのだろうが】
【まぁ真実がどっちであろうと異形には関係のない話であったが――】

《コウデアレト望マレルガ神ノ定メカ……成程、神ニ適シテイル者トハソウデナクテハナ》
《ダガ、無力モ良イトコロ――コンナ場所デ哀レニ挽肉ニサレルオ前ガ――イクラ叫ボウトモ、届クマイ》


【自棄を起こすかのように、少女が更なる突破を試みる】
【黒いリボンの群れが、次々と男達を切り刻んでいく――十分な攻撃力がそこには宿っていたのだろうが】
【それでも、"止まらない"。腕が千切れようと、頸動脈が裂かれ血が溢れても、脳に刃が差し込まれても――】
【男の群れは命令通りに少女を捕えようとする】
【走り続ける少女の目の前にまたも複数人――持久戦では完全にこちらに分がある】
【そうして、その内の一人が、少女の腕を掴む】


「ウオオオオオッ!!オオオオオ……!!」
「オオッ!!!」


【言葉を知らない原始人のように、女をあてがわれた野獣の如き男達のように、次から次へと手が迫り、動きを止めた少女の】
【腕を、脚を、髪を掴もうと伸ばされ、引き千切らんばかりの力で、彼らの元に引きずり込もうとして来るだろう】


《サア、オ前モスグニ何モ浮カバナクナル。ソノ情熱的ナ脳ハ良イ味ガスルダロウ》
693 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 16:36:31.06 ID:XgR4AbQf0
>>681

【人間であればあって然るべき怯みも、一念を以て捻じ伏せるが如く。斬撃そのものの鋭さで択ぶ闘争手段が、彼我の距離を切り詰めてゆく】
【返す言葉は皮肉めいて。残酷という言葉では足りぬ破壊を、手段として割りきる様だった】

ならば、塵に還せばそれで済むだけのこと――――
全身を余さず呑み込むのは、貴女たちの得意技でしょう?

【そして、接近――――――――】
【低空を穿ちながら太刀を構え、下段から昇る様に銀光が閃いた】
【ぎゅるり、と。右脚を脛から刎ね腹を割き、臓物を掻き出しながら肺までを斬り裂く。軌道としては、そんな歪な一手】
【反作用さえも乗りこなしたならば、一閃で描く弧が斯くも破壊的な軌道となりうるのかもしれない。
【一つ。切断≠フ概念を乗せた太刀は、並みの重合金装甲をまるで問題としない突破力を有する】
【元は櫻の太刀であり、相応の業物であれば打ち合うことは十分に可能。されどその上で、守りを強引に断ち切るための初太刀を剣士は数多の実戦を経て修めていた】

【そして二つ、こちらが本命。迎撃の刃を前に、太刀は虚空より出ずる黄金の焔を前に突如消失=\―――、】
【破壊範囲を数十センチ規模で取り除きながら、再びその手に柄を握られて。残る軌道で放つ斬撃が、骨も肉も纏めて斬り穿たんと唸りを上げた】

【無論奏功したとして、自らの身に刃を受けることは避け得ないだろう】
【それでも攻撃に際しての怯みの有無と、攻撃の予備段階での、攻防のイニシアティヴを以て生存を図る】
【決して果たさせてはならない儀式を阻止するために。その途中で遭遇したこの大いなる障害を、斯くして斬り破らんとしてのけたのだった】

【初撃で致命打を狙うのは、互いが一撃で致死を約する手段を持つならば定石でもあろうか。ならば、手段はともかくとして】
【この一刀の激烈さそのものは、十分に読みうるものといえた】
【……加えて。致命傷だが、即死ではない――――完全に入った場合に期待される殺傷力は、その程度に抑えられ、幾許かの行動の余地を残すもの】
【それは、この剣士の側にとっての“余地”でもあったが。敵手には、迎撃をやりすごすための、破壊範囲の空白も生まれる】
【ならば攻撃の成否に関わらず、蛇教の女には、何らかの手段を以て戦局を変え得る余白が残されるのだろう】

【それが、黒衣を剥ぎ取り命さえも奪い尽くす可能性は――――決して、低いものとも言えなかった】
694 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 16:37:42.32 ID:VXFCbz/50
>>676

この世は不思議だらけ。在るのに無いものばかり。無いのに在るものばかり。
小説よりも奇なる真実ってのが転がりすぎてて嘔吐きたくなる程だよ。
だから此処にいるのも何の不思議もないだろう?蛇と狙撃手。ただそれだけ、それだけなんだよ。


【公安の人間である。身も心も蛇に食われてなどいないと言い聞かせるような物言い】
【カチューシャへの返答でありながら、自己へ施す暗示。しかし公安と蛇という異なる立場の境目がやや曖昧なものになっていた】
【聡い狙撃手ならば、きっとエーリカ自身も自覚していないその矛盾、綻びに気が付くだろう】


それにアンタの主義主張、思想には興味が無い。勝手に囀っていればいい。喘いでいればいい。
私の花が見たいなら、これから思う存分見せてやるさ。アンタが死ぬその瞬間まで刮目させてやる…!


【畜生め。愛だの濡れるだの。仕草の一つ一つが艶めかしい。それでいて、たおやかだとも思えてしまう】
【そんな雑念は即座にかき消される。二人の居る室内に展開される大量の鏡――これは…!】
【フードに隠れた目つきは鋭くなり。エーリカの醸し出す気配は鋭利なナイフの様に尖っていく】


(――これじゃあ、逃げられない。もとより逃げる気なんて最初からないケド)
(−――……冗談。冗談きつい。最悪の場合"アレ"を使う羽目になるかもしれない)


知ってるさ――その愛/合言葉は、さ。見たことがあるし聞いたことがある。
けど、アンタは私の合言葉を知らないようだから冥土の土産に教えてあげようじゃないか。

               ヘルエッジ・ロード
―――Hell Edge Road/Lord―――

【それはまるで合わせ鏡の様に。それはまるで、求愛に対する答辞である様に】
【冷たく、鋭利に。熱く、迸って。改めて己が信ずる能力(カミ)の名を口にするのであった】

【カチューシャの能力が展開されるや否や、エーリカはバカの一つ覚えの様に】
【右手にナイフを3本召喚し、カチューシャに投擲しながら長椅子から飛び退き、距離を詰め始める】
【ナイフを執拗に投げるのはヘルエッジロードのもう一つの能力が関係していて】
【現に何本ものナイフが地面に転がったままにしているのは、その能力を発動させる時を伺っているからである】
695 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 16:38:34.20 ID:RT4l8Hhv0
>>686>>690

【飛び道具の軌道を変化させる接吻、それは淫魔が扱う誘惑の術に近かった】
【彼女の<固執>させる能力、彼女の接吻に触れたなら、たった一つの行動に支配される】
【そこに指向性を付け加えたなら、遠距離の攻撃を防ぐ事も、少しの間動きを止める事も容易い】

【彼女は全身で愛を振りまく。羽ばたく度にゆれる豊満な胸も、張りのあるお尻も】
【水着で曝け出されたくびれのラインは、まるで彫刻の様に見事ななだらかさを描き】
【肉感的でありながらも、少女特有の柔らかさや華奢さを感じさせる、絶妙なバランス】


へぇ、キミの知ってる神も悪魔も喋らないの? だったらどれだけ、狭い現実に生きてたのやら
神は多弁だし悪魔も喧しいんだよ、どいつもこいつも自分勝手に喚くんだけど
分かってる? うるさいのは強者の特権なんだから、なんでニンゲン風情が一人前に口利いてるの?

ふぅん、妻帯者なんだ、だったらボクの行いも分かるよね? 理不尽なニンゲンに、奥さんを盗られたんだ
悲しいよね? 悲劇だよね? 分かるでしょ、ボクがどれだけ辛くて、辛くて可愛そうなのか
あはは、でもね、いいの、いいんだよ、だってもうすぐ、会えるから────


【重なる鎌と刀、彼女の剣術自体はそこまで巧みではなく、あっさりと受け止められ】
【返す刀で蹴りが直撃した、軽く吹き飛ばされ、一度、二度、と橋でバウンドする】
【──苦悶の声が漏れた、きっと、直ぐに顔を上げて】


あはは! バカもそこまでいったら筋金入りだね!! ボクの顔がニンゲンみたいなんじゃないよ
ニンゲンがボク達を模したんだよね、ボク達神様にあこがれて、勝手にボク達を真似て
それで世界を我が物面で闊歩するんだよ、ねぇ、呆れてものも言えないよねっ

挙句の果てにボクの大事な大事な鈴ちゃんを、鈴ちゃんをね、あんな風にするんだから────



死んでも文句言えないよね、滅ぼされても仕方ないよね、この現実も、あの現実も、全部、全部!!!
世界を全てぶっ壊して、ニンゲン全員ぶっ殺して、ボクと鈴ちゃんだけの現実を作らなきゃ
その為なら、キミ達全員何遍だってぶっ殺してあげるよ────!!!


【巻き上がるどす黒い魔力、コールタールの如く粘ついたそれは、執念と呼ぶのが相応しい情感】
【そして放たれる信生の巨大なエネルギー弾、常人であれば直撃したなら一たまりも無いだろう】
【それを見てイルは笑った。何処までも残酷な童を模して】


──── "Mors Principum Est"


聞いてるんだよね、ニンゲン、どうせ、隠れようと思ってたんでしょ?
発動までタイムラグがあって、連続使用が出来ないって、ちゃーんと聞いてるんだから
さぁ我慢比べだよ、早く出ておいで────


【放たれたエネルギー弾が動きを止める、巻き上がる魔力全てをその<固執>に込めた】
【イルの狙いはエネルギー弾を止めている間に、パグロームが再び出現する事】
【出現したなら、再び別の命令を与え、パグロームに向けて、エネルギー弾を指向させるだろう】

【──しかし、これは、エネルギー弾をパグロームが能力を用い、回避したならば、という仮定の上のもの】
【別の回避を用いた場合、イルの思惑ははずれ、エネルギー弾を固定させるだけに終わるだろう】
696 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 16:38:54.59 ID:XgR4AbQf0
>>693
/
【反作用さえも乗りこなしたならば、一閃で描く弧が斯くも破壊的な軌道となりうるのかもしれない。



【反作用さえも乗りこなしたならば、一閃で描く弧が斯くも破壊的な軌道となりうるのかもしれない。だがそれ以上の剣呑さが、ふたつの脅威に支えられてあった】

…でした。入力漏れ、申し訳ないです…!
697 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 16:40:03.80 ID:B29byw680
>>688

ネクロマンサーか……
まあ、死した生物を操るという意味ではそう呼ばれても矛盾はないな
尤も、私は骨専門だが

【厳島を踏むことは失敗し、ズシンと大きな音が響く】

良い反射神経だ
もし君と遭遇したのがどこかの路地裏だったら、私はあっさり敗北していたかもしれないな
こうしてしっかり準備をして良かったよ

【放たれた擲弾が頭部に命中】
【拍子抜けするほどあっさりと恐竜の頭部は吹き飛び、砕けながら地面に落ちた】
【しかし、頭部を失っても身体は止まらない】
【今度は厳島を打撃せんと、長い尾を横薙ぎに振り抜いた】


698 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/23(土) 16:43:52.23 ID:WB6h1eEP0
>>675

【ステンドグラスが砕けるみたいにマゼンタ色の障壁が破れて、フラグメンタルな記憶の残滓が自分へと突き返される。 ── 今度は喰らわない。コンマ数秒で中距離射撃用のFCSを立ち上げて、】
【飛来する破片のうち、自分に当たりそうなものを銃撃にて撃ち落とそうとする。それが誰かを傷つけうる"実体"を持てていたら、の前提だけれど】
【ともあれ其の身で受けるとしても、アリアの行動は続くのだろう。真っ直ぐに、飛び込むように、少女の素足を踏み躙るみたいな機動は、】
【 ── 然し生々しい蛇の毒牙によってのみ阻まれる。その蠢きに、残された青い左眼が見開いたのなら、真白い肌を咬撃が抉った。その一刹那に、】



             「 ──────── ぁ゛、がは、っ゛」




【言葉にするのも憚られるような、冒涜的な痛覚の洪水に、アリアは片膝を付いて呻く。情事のような荒い呼吸。絞り出して息を吐いて、悶えようとする身体を必死で堪える。】
【痛覚系統を遮断しても意味のないことだと知っていた。それに何より、然し、彼女はこの痛みを「知りたがって」もいた。あの書簡を読んだ日から、ずっと。】
【幼かった時の追憶。狂信の熱に身を捧げた激痛。ひとりの少女であることを捨てた日の鈍い痛み。 ── 自分が与えた苦しみ。締め上げられた胸を、そのまま火炙りにされるみたいな】
【懐かしいものを思い出す。自分も味わった痛み。榴弾の至近爆発。両腕を無くす感覚。溢れる自分の腑(はらわた)を見た時の絶望。脊髄を切り落とすメッツェンの鋒。自分の体が自分のものでないと悟った瞬間。だから、だからこそ】




           「 ── 馬鹿ね。」




【 ── 荒い息を吐き出す口許を、悪意に見せかけた忿怒に歪めて、彼女は笑った。握った銃は、取り落とさなかった。】
【コートの裏側から指の間に挟んだ、硝子で出来た「薄刃」を、彼女の血に満たされた鋒を、嗤う少女の胸元めがけ、 ── 3本、投げ付けるだろう。】
【けして深い傷には成り得ない。それどころか真ん中の1本以外は、何もせずとも少女には当たらない。首の両脇を掠めて、少女の祈った蛇の像に割れて、深紅の血で染め上げるだろう。】



「 ── ッッ。自分の想いさえ、口にする言葉さえ、本心じゃないって、気付けない。それが貴女の、罪の一つよ。」
「疑い得ない導きを、得たのではなくて? てあれば何故、貴女は自分を"消した"のかしら。気の迷いなんて、 ── 言わせないわ。」
「迷わぬように、カミサマは、指し示してくれているというのに、 ……… 。愚かな主教に導かれる信徒も、可哀想ね。 ── だから、ここで、」


「死になさい、ムリフェン。神は貴女に微笑まないし、貴女は神に微笑めない。」



【だから、途切れ途切れの嘲笑と共に、彼女は至近で銃を向ける。黒洞々とした2つの銃口が、深淵のように司祭を覗き込む。涙に潤んだ青い瞳には、確かな殺意を宿していた。】
【 ── 然し其れはブラフでもあった。藤色の髪の背後、昏く光る"なにか"の輝きに、少女は気付きうるだろうか。】
699 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 16:44:01.67 ID:RT4l8Hhv0
>>691

【──鋭い身のこなしだと心の中で賞賛する、けれども、それが仇となった、と】
【直ぐには攻撃に転じる事が出来ない、接近戦においてはそれがある種の致命】
【ケバルライは笑みを強める、その先に何処か残酷なビジョンを描きながら】


キミがただの子供であったなら、今の技で楽に落ちる事が出来たのに
キミがただの子供でなかったから、私は全力を以ってキミを殺さなければならない
それはキミにとって幸福であるのか、不幸であるのかは分かりません

──、けれども、確かなのは、その行いの先にウヌクアルハイ様が顕現する、と


【右の手に蛇が収まる、"蛇顎" 一時的に筋力を高く向上させる蛇術の一種】
【ケバルライは右の手に力を込め、リオシアの首をつかもうとするだろう】
【成功したならば、そのまま力強く締め付けようとする】
700 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 16:46:05.07 ID:rW2LOlMS0
>>692

【もう言葉なんていらない。ぶっ放せればそれでいい。それだけ考えて走り続けて】
【――でも、それすら届かない。圧倒的な物量で抑え込まれるなら、何もかも】
【無意味になってしまう。引鉄を引く力が残っていても、照準を合わせるための動作を阻害されるなら】


――――っあっ、離っ、離せっ!! やだっ気持ち悪いっ……
くそっ、ほんとっ、邪魔ぁっ……あ゛っ痛、いだあッ!? やめて髪ひっぱらないで、
痛い、痛いってば……ぐ、ッ、――――ぁああぁぁ、ッ、


【たった10発の弾丸なんて石ころより弱くなる。たくさん出していたリボンだって、切り刻む相手が多すぎるなら】
【困惑しきって縺れてぐちゃぐちゃになって――――あまりにもあっけなく、潰される】
【そうしたら、もう。上げようとした悲鳴すら押し潰されるのだ。少女ひとりの身体なんて、あっという間に、】



【――――――――潰されてしまう、直前に。】



【――――ひゅン、と。風切り音――それでも然程重くないものが響き渡った】
【ナニがそれを立てたかと、思うなら――視認できるのは、「黒い布」だ】
【薄い薄い素材でできた、縁に刺繍の飾りがある――たぶんヴェールとか、カーテンとか、そういうの】
【そういう布が。いきなり戦場にはためいて、翻って。――「斬撃」の特性を持って、薙ぎ払おうとする】
【夕月に群がるブッチャー君たちを。そうしたら、声がする。……女の声だ、音量は大きくないけど、ひたすら冷たい】


「……あら嫌だ。こんなのなんて聞いてないわ、相も変わらずひどい人ね、『あの人』は」
701 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 16:52:10.24 ID:RT4l8Hhv0
>>694

【純白雪の柔肌は、未だ穢れを知らない乙女の様で、戯れに笑う童の如く】
【表情の水面に凪を添えたまま、それでも確かに視線は貴女を辿る】
【──、奇怪な人であった。言われるがままに悪事を為す信者とは違う】

【だからこそ興味がわく、誘うような言葉も、貴女になら奉げてもいいと願う】
【肉は熱を持ち、心の隙間を埋めるように、うだるような暑さすらも慕情を思う程に】
【それならばきっと、雪の少女は、結晶の様に淡く消えてしまうのだから】


夜鷹の嘶きに意味があると、お姉さまは思っているのかしら。だとしたらそれは、思い違いなの
私は小夜啼き鳥よりも可憐に、鶯のように凄絶にこの細い喉を震わせて啼くのだから
ならばそこに意味は無くて、ただ聞いてもらうことに意味があるの

睦言に意味は無いの、お姉さまも知っているでしょう? 殿方の言葉はうそばっかり
だからね、私もせめて、あんあと啼いて、少しでも可愛がってもらわなきゃ
子猫の様に咽び泣く、その先に女の喜びがあるのだから


【カチューシャは右手の狙撃銃を向ける、投擲されるナイフに向けて銃弾を放つ】
【一発で弾き落とせる、それだけの芸当──、最初に見せた通りの、腕前】
【それならば、と彼女は笑う、哀れ道化なアルルカン、エチュードだけでは客は満足しない』


同じ演目を演じてばかりいては、腕が訛ってしまうの
退屈は病、怠惰は煩い、つまらない演目なら、幕間にも相応しくないから
私は新たな技を見せて、少しでも悦んでもらえる様に、芸を磨きましょう

──そうしてきっと、郭の命を吸うのでしょう?


【無数の姿見が放たれた銃弾を映したなら、姿見から銃弾が発射される】
【彼女の鏡が映した物質のコピー、一発の銃弾でナイフを叩き落す彼女の、四方八方からの一斉狙撃】
【さすがに全ての狙いが研ぎ澄まされている、とは言えないが、それでも生半可な弾幕ではない】
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 16:55:43.25 ID:l87sBOYx0
>>678

【一人の男が寂れた大聖堂に迷い込んでいた、黒銀の髪に褐色の肌と薄い青色の目を持つ美しい男が】
【その男は女に見える程、美しく華麗であった。見た者を魅了する様な雰囲気を身に纏い、カリスマ性が溢れ出ている】
【男の名はセアン・フォールス、不老の薬に依り千年の時を生きる錬金術師。バイクに乗り大聖堂の中に迷い込んで来た】

成程お前が俺の相手相手か、まぁ相手に取って不足無しって奴か、
名前も知らないお嬢様?こんな所で夜遊びかい?

はっ!お前等に褒められたって、これっぽちもうれしくねぇよ
矜持何て高尚な物持ってないんだよ、俺は研究が出来ればそれでいいんだから
勝手に人をなめて一人で笑ってろ、後俺はもう人間を辞めてると思うけど

俺からしたらお前らの宗教の方が滑稽だな、そのまんま降板しちまえ
だったら聞く曲を変えたらいいんじゃねぇの、あんまり俺は舞台に詳しくねぇんだよ
──、あぁ思う存分に味合わせてやるぜ

【先程まで乗っていたバイクを消し、愛槍⦅awful Virtue⦆を創り出し構える】
【肩程までに伸ばした髪をウルフカットに切り揃え、右耳にサファイアのピアスを付けている】
【白と黒のジャンパーに黒のカットシャツをキチっと身に付け、ズボンは灰色のダメージジーンズを履いている】

ほー、プリオルって言うのか、俺はセアン・フォールス。
只の才能の無い錬金術師さ。どうぞ宜しくお願いするぜ?プリオルさん。
ロールシャッハ?あぁ、あの時の胡散臭いスーツ野郎か、まぁそれなりにはやれるぜ。

──、俺は直ぐに終わって欲しいけどな

【彼は笑うニヤリと好戦的な笑みを浮かべ、力を込める】
【彼の足元は力を入れすぎたのか若干へこんでいる】
【そして言う俺は直ぐにでも終わらせたいよ、と】

/セアンです、宜しくお願いします
703 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 17:00:00.44 ID:B29byw680
>>699


うぬくあるはいさま……
今、うぬくあるはいさまって言った?

【攻撃を受ける直前──聞き覚えのある単語が飛び込んできた】
【そう、ひょんなことから出会って一緒にお茶した、蜜姫かえでが言っていた──】
【あの時は、まさかという疑いしか持っていなかったが──】

やっぱり、かえでちゃんも……信者だったんだ

【ケバルライの右手が首に触れる直前、リオシアを支えていた剣が瞬間的に"水に変わる"】
【正確には変わったのではなく戻ったのだが──それによって支えを失った身体はがくんと地面へ】
【結果的にケバルライの攻撃を避ける形になった】

【今度は両手でしっかり受け身をとりつつ、ごろっと転がってケバルライから距離を離しつつ立ち上がった】

かえでちゃんもこの街にいるの?
一緒に紅茶キノコを食べる約束してるんだ

【背後で広がっていた煙の一部が段々と収束し、リオシアの元に集まっていく】
【正確には手元に──徐々に先ほどと同じような剣を形作る】
704 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 17:01:50.39 ID:RT4l8Hhv0
>>702

【プリオルは虚空に手を伸ばす、微かな風切り音が響いて、指先から蝶が飛び交う】
【黒い蝶であった。夜を溶かし込んだ様な翅に、星空の如き模様が煌いて】
【羽ばたく度にキラキラと星屑が零れ落ちる、蝶が指先に止まる】


────、あら、騒々しい方ね、長く生きたのならもう少し落ち着いても良いのだろうけど
まあ良いわ、せめて私の退屈を紛らわせる様な、そんな熱を期待するから
最も、それが叶うかどうかはあまり期待していないけど

私の蝶は世界を渡る、せめて少しぐらいは耐えて頂戴


【羽ばたく蝶がセアンへと向かい、翅から星屑を瞬かせる────、触れたなら鋭い傷跡が着くだろう】
【蝶が巻き起こす風の刃、一匹の蝶が放つ風の量は、その翅よりも多く】
【直撃したなら皮膚を裂き、肉を抉る、それほどの威力であった】
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 17:03:41.00 ID:s9RVxvhA0
>>689

「奇遇ですね、拙僧も猫の鳴き声などは特に聞くに堪えない物と思って居りますれば……」

【挑発はもはや、このワーキャットの戦意を高翌揚させるだけなのだろう】
【やはり、傍らの少女が抑止力となっているのだろう】
【無意味、と判断すれば、早々にその問答を断ち切って】

「良い悲鳴ですな、いやはや、やはり少女の悲鳴は良い物です極上のオーケストラにも勝ります」

【ここで、アーディンの分身と本体に、其々カウンターを見舞う】
【錫杖が命中した分身は、そのまま瓦解、だがもう一方拳を見舞った本体は……】

「な、なんと!?」
「放せ!放すのです!!」
「――ッ!!??」
「まさか……あの炎を……在り得ぬ!在ってはならぬ!!」

【全ては、この二人のコンビネーションによる物だった】
【ピッタリと息の合った、それでいてお互いがお互いを信頼しきった絶妙な一撃だった】
【拳を捉えられ、そして回避する事もまま成らず、しかし時間に誤差が生じた為か、咄嗟に身体は捩って急所を避ける行動に出た】
【無論、これを避ける事は不可能だったのだが、致命傷はなんとか逃れようとする】

「があああああああああああああああッ!!!!」

【身を捩ったことによって、頭部から右半身にかけて、縦一文字の深い斬撃が走った】
【鮮血がその周囲に散り、アーディンにも無論ラベンァアイスにも、少なくない量の返り血が掛かった事だろう】
【地面には既に夥しい量の鮮血が、血だまりを作りその上に、バラバラになった編み笠の残骸が散らばる】

「貴様、貴様達……ゆ、許さぬ……」
「め、目の目で、この、娘を、犯す……ジワジワと、嬲りながら、痛めながら、犯して、[ピーーー]……」

【ヒューヒューと、苦しい呼吸音と共に、そう告げて】

「ナウマク サマンダ バザラ ダンカン……ナウマク サマンダ バザラ ダンカン……」

【術式の構成を開始し始めた】
【傍らのアーディンにも、ラベンダァイスにも解るであろう量の魔翌力が渦巻いてゆく】
706 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 17:03:46.56 ID:BVsbpQZQ0
>>684

【消滅しない事にも、違和感は覚えた。しかし、それよりも……動かなくなったにも拘らず、何も対応しようとしない事。】
【それに、彼女は一番違和感を覚えていた。蛇を操って戦う者が、その肝心の蛇を失って、こんな風に安穏と会話に応じるか。】
【それは、決闘で剣を手から落としたのと同じ状態だ。普通、戦うために別の策を講じる筈だろう。】
【何度も戦いを経験したからこそ、その不自然な隙に気付いていた。「何かある。」と、彼女は睨んでいた。】

……興味が失せた割には、よく喋りますね。
まるで、自問自答しているみたいです。ふふっ……気のせいかしら。

全ては運命。そうですか。……じゃあ貴方は何のために生きて、戦ってるのです?
生きるか死ぬか、全ては運命で決まっているのでしょう?だから、信念に興味が無いのでしょう?

それじゃあ、全て運命に委ねればいいのに。なぜ、わざわざ自発的に戦おうとするのです。
そうする運命にあるから?いいえ、違います。あなたはあなた自身で戦う選択をしているはずです。
だって、そうでしょう?貴方は私が来る前に逃げることも出来た。

それなのに、あえて待っていた。あなたはあなた自身の選択で生きて行動しているはずです。
―――信念、意思。それは、どんな小さな行動ですら、付きまとうもの。

【そして、その上で会話に応じる。緊迫した状況であるが、笑顔も見せて……―――しかし、集中力は切らずに。】
【蛇はその体の構造上、薙ぐように動く場合は動かない「支点」となる部分が必ずあるはずだ。そこを目掛けて】
【……走り切る前に、巨体と接触する。やや鈍い音共に弾き飛ばされるが、しかし支点に近い分まだダメージは低い。】
【受け身を取って、すぐに立ち上がり、支点となった部分を切りつけて、ヒットアンドアウェイ。】
【少し体が痛むが、まだまだこれくらいで音を上げる訳にはいかない。少し呼吸を整えて、】

貴方こそ、人の力を軽んじ過ぎです。
―――信念で変えられる物など何もないと、全ては運命だと、人の無力を嘆くのならば。
なぜ貴方は、私に抗う―――?

【また動かなくなるのなら、今度は容赦なく追撃すると言わんばかりに、構える。】
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 17:06:28.86 ID:yyycwOqh0
>>698

【"それ"が痛いことを彼女は知っていた。与えた全部の痛みが全部全部全部痛いことを彼女は知っていた。だってそれはまさしく彼女の思い出だから】
【いつかはぴゃあぴゃあ泣いてしまった膝の擦り傷。だのに、それよりうんとうんと痛かったはずの傷に涙の記憶はついてこない、だから、泣かなかったんだと思う】
【それが信じられた強さだった。信じてしまえたから、強くなれた。あるいはいろんなもの喪ったんだとしても、それは、強さにきっとよく似ているに違いなくって、】

――――――――っ、くそ、

【――彼女はその痛みをよく知るからこそ、その痛みの重さを理解する。すぐには動けぬだろうと予想した、――相手がそれをすでに知っていることを知らないままだったなら】
【彼女にしてみれば、同じようなものだ。しいて言えば――その爆発の痛みは、火傷の痛みは、知らないだろうか。そして彼女の右足と右手には包帯が巻かれていた、厳重に】
【足の弾け飛ぶような痛み――そこから推測される傷はひどく重篤であったはずなのに。前に出会った時から数えて、数日も経っていないはずなのに、だけど、立つから】

――あははっ! 馬鹿はどちらでしょう? 痛いですよね? だから――いいんですよ、膝を折って頭を垂れて。まるで祈るように、赦しを乞うても。
その頭を切り落として差し上げましょう。細胞同士の癒着を阻害したなら人体はたやすく切断できます。物質的な硬さを無視して。骨も、何もかも――何もかも。
そしてその頭を捧げてやりましょう、ウヌクアルハイ様の受肉される大聖堂まで。蹴っ飛ばして持って行って、どこかに跳んでいったなら――もう忘れてしまうの。

学校帰りにやりませんでしたか? 一つの石を蹴りながら帰ろうって決めて。だけど、どうでもよくなっちゃう。――あなたは下らぬ石と等しくて。

【相手がその痛みに眩むことを期待した。そして実際眩んだのだろう、――その相手に語り掛けた、嘲るように、あるいは慈悲深く、慈しむように】
【そうして話の中で自分に向かうナイフを手で叩き落とすのだ。その手には薄くマゼンタを纏わせて、――ちょうど彼女の足元に落ちる。その血が、しみ込んでいく】
【もう二つのナイフも同じであった。相手の狙った通りに彼女の背後にある偶像を血でしとどに濡らして、そして少女はそれを何とも思わない。無様だった、くだらない】

私の本心はウヌクアルハイ様のためにのみ存在します、それを他者に語り明かす必要がありますでしょうか? まして素知らぬあなたにそう言われる謂れはなくて――。
――そうですね、端的に言うなれば不愉快です。それは私自身が後で確かめましょう、そしてその時に後悔することはありえません。私は、ウヌクアルハイ様のためだけに。

――――――ウヌクアルハイ様を侮蔑するのは私が赦しません。これよりウヌクアルハイ様が受肉される世界に、そんな不届きなものは必要ないのです。
ううん、死ぬのは私じゃなくってあなたですよ。だから――、あなたがここで死ぬんです。頭を蹴っ飛ばすかは、まあ、どっちでもいいんですけど。
死んでくれたらそれでいいですよ、――、少なくともその口、二度と開けないようにしてやりましょう。そうでもないと私の気が済まない。

【――そして少女はあんまりに当たり前に不快な顔をした、嘲笑に眉根をひそめたなら、その時には蛇はすでに相手から離れている、それでも、残滓はこびりつくのだろう】
【相手の言葉は聞きながら届かず、代わりにその気持ちに不愉快を描き出していく。記憶を消した理由なんて分からなかった。だってもう覚えていないから、確かめることはできても】
【それを今すべきではないだろう。――それでも少女は思考の裏側でかすかに意識を向ける。確かにそこにあった。理由も知らずに発動している能力の容量、確かめて】

【するりと指先を差し向けたなら、またマゼンタのリボンがあふれ出す。今度は真正面から、五条が鋭く伸びて、相手の身体、ぐすりと穿とうとするのだろう】
【速度は速い。狙いは単調。切っ先は刃の如く鋭さを持って、――そして何より麻酔めいた冷たい無感動さが付随する。動きを鈍らす、阻害の魔力が】

【――――――けれど、彼女は、気づいていなかった。自分の後ろに仄暗く瞬く血の赤色に。あるいは自身のマゼンタ色の中で見失って】
【だから――防げない。まったく無防備な背中晒すなら。それでも、一つ。こちらは彼女自身が叩き落した三つ目の末路。その血だまりまでも、光るようなら】
【そのときは少女は気づいて――きっとその瞬間飛びずさるのだろう。一瞬攻撃も諦めて、煌めきだけを避ける。その結果、どちらにせよ無防備は、出来上がるから】
708 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 17:07:41.46 ID:RT4l8Hhv0
>>703

【曲芸的なリオシアの回避、空を切ったケバルライの攻撃】
【聞きなれた名前がリオシアの口から零れる、ある種聞きなれない響きであったが】
【肯定を示すように彼は首を縦に振る、リオシアの言葉を聴きながら】


蜜姫かえで────、ムリフェンは我等が幹部、オフィウクスが一人です
類まれなる信仰心と、聡明な頭脳を持ち合わせた、無くてはならない人物
ムリフェンを知ってましたか、ならば私はキミにこう告げなければならない

──、私と共にウヌクアルハイ様を信じる気はないかな?
キミならばきっと、より良い世界を作ることが出来る。──第一の使途にもなれるだろう
ならば私のすべきことは、その道を指し示すことなのだから


【ケバルライはそう言って右の手を差し出す、追撃の手を止め、返答を待った】
709 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 17:08:16.89 ID:RT4l8Hhv0
──── "Malta" ────、異端とされた人々が処刑された処刑場跡】
【彼女はそこに佇んでいた。身に纏う巨大な魔力は、貴方達の注意を惹くには十分で】
【それでいてその気高き雰囲気は、何処か異質さを帯びていた。満月に見る幻の如く】

【軽くウェーブのかかった長い白銀の髪、シースルーの黒いドレスの上から白いコルセットドレスを纏う】
【透けた素足には薄手の黒タイツ、編み上げブーツを履きこなすスタイルの良い女性】
【特筆すべきはその目を隠すように巻かれた包帯であった。視界の全てを覆っている】


主は仰いました。── 今日こそが素晴らしき救いの日であると。この世に顕現される、約定の日である、と。
ですので私は、無念の内に死んだ同胞達へと鎮魂を捧げなければならないと思いました。
そしてそれこそが主の求める行いだと、今この場に来て私ははっきりと分かります。

──、さぞ無念だったでしょう。貴方達の苦悩を、無残を、誰が分かるものか。
故に私は刻み込む事しかできません、この胸に、この脳裏に、貴方達が生きた証を、伝える為に。
誰もが忘却の波に消えていったとしても、私だけはきっと、覚えているよ、って──。


【彼女は貴方に気づいたのだろうか、軽く視線を上げる。包帯で視界を覆っていても尚、見えているかの様に】
【透かした前髪から覗く整った顔たち。緩やかな頬のラインは雪を思わせて、それでいて通った鼻筋は彫刻に似て】
【肉感的な唇が吐息に濡れる、僅かばかりの艶音が、一滴二滴と注がれて】


初めまして。サーペント・カルトのサーバントが一人、ミサ=ソレムニスと申します。
役目は異端審問、異教徒の皆様に、快く転向して頂く事が生業です。
──、時には言葉の通じない異端者へ、肉体への問いかけをする事もございますが

大丈夫です、私の手にかかれば、皆様喜んで主の下へと降り立ちます。
真実はすぐ側に、目覚めるときは、もうすぐ側まで来ているのですから
────さあ始めましょう、躾の時間です。


【ミサの手に握られる高級そうな書物──、彼女はその書物を徐に開き、指先で軽くなぞった】
【瞬間、書物が淡い光を帯びて、彼女の右手に長い一本鞭が出現する】
【一度、二度、地面に向かって振るったなら、小気味の良い音を立てて、転がる岩を砕いた】


/アナスタシア改めミサ=ソレムニスです、牙さんの方よろしくお願いします!


710 :チドリ ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/23(土) 17:10:23.00 ID:WB6h1eEP0
>>693



【左手を「仕込んだ」ナイフにしたのは失策だったと、女は内心に悔いた。防御用の代物ではあったが、あんなオモチャ同然の強度で相手の刃が御せる筈もない。】
【フルタングのククリナイフで、どうにか打ち合えるか否かと言ったところ。鍔迫り合いになったのなら、自分にも分はあると疑いたくはなかったが ── 。】
【 ── 迫る鋒の鋭さと、足元から響いて大気を引き裂く音に、瞬時に女は「悟ってしまった」。躱せない。この動き方じゃ、鍔迫り合いなんて出来ない。】
【それでも右手のククリを振り下ろす。致命傷は避けたかった。何処で当たったかは分からないが、その鋒は微かに刀を掠めて、袈裟懸けの軌道を僅かに「ズラし」、】
【それでもやはり、真面に一太刀を貰う。皮質の奥まで深く深く、肉が切り裂かれる嫌な感触。骨に触られなかったのは幸いだった。 ── "消える"刃を、どうにか視界に収めることも、できていた。】
【上物のスーツが真っ赤に染まって、影の顔まで血は散るだろうか。然し同時にこれは、彼女にとっての好機でもあった。】



  「ッ、く、ゥ ── ── っ。」「 ……… こう見えて、其れなりに、痛いんだから、ねッ ──── !!」



【 ── 斬り裂かれた女の肉体、その太腿に収められていた肉が、増殖するように隆起する。その体内、別の生き物が蠢いているように。】
【転瞬そこから現れるのは「腕」である。太腿の切れ目から這い出たのは、紛れもない血塗れの「腕」であった。爪の先にはびっしりと自分の肉が詰まっていた。】
【およそ冒涜的な見た目の其れは彼女の意志で動くようであり、熱病のような体温と感染症に似た俊敏さをもって、影が刀を握る手首を握り締めようとするだろう。】
【逃げぬように。躱せぬように。あわよくばそのまま力を込め、「握り潰して」しまおうとする。人間の膂力ではなかった。振り払わねば、骨まで砕かれる ── そう感じる、ような。】




「お返しだ。大喰らいが羨ましいって? ── 安心しな、キミにも出来ることだ。
「ホローポイントのマッシュルーム・サラダ、たらふく土手っ腹に持ってきな ── !!」




【そうして影の動きを縛ることが出来たのなら、彼女は左手に握ったサブマシンガンの引き金を絞る。 ── 至近距離で放たれる、運動エネルギーに物を言わせた対人弾頭の嵐。】
【リング型のアイアンサイトが狙うのは、宣言通り影の腹部。だが痛みによる震えからか、そうでなくとも片手撃ちゆえの不安定さからか、そのリコイル・コントロールは杜撰なものでもあった。】
【 ── 浮き上がる銃身に任せるまま、弾丸は決して一箇所ではなく、振り上げる弾幕のように放たれるだろう。もしも影が真っ当に受けるのなら、丁度右腹から左肩まで、袈裟懸けのように。】
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 17:12:27.00 ID:s9RVxvhA0
>>697

「お褒めに預かり光栄だ……最も俺は会いたくはないがね」
「ネクロマンサーとも、違うのか?」

【死霊使いとは、どうにもニュアンスが違う様だ】
【最も、これだけ大規模な術式を扱えるのだ、何れにしても魔術師としての技量は高いに違いが無いが】
【ストンプは回避できた、直ぐに擲弾を放ち、その頭蓋を文字通り粉砕するも】

「チェックか?さて、切り札は無くなったようだが……尋問させてもらおうか?」

【甘さだった、油断とも言える】
【頭部を破壊した事により、完全に倒したと判断してしまったのだ】
【軍刀に手をかけて、ツァリエルに接近しようとするも……】

「――ッ!?」
「しまッぐあああああッ!!」

【その大質量の一撃を受けて、思い切り吹き飛ばされるだろう】
【壁に叩きつけられるのか、あるいは追撃が来るのか】
【何れにしても、その尾の強靭な一撃をまともに受けてしまったのだ】
712 :アレクサンデル・タルコフ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 17:13:14.53 ID:YdnfFM3ao
>>682
【そう、この二人には薄汚れて暗いカタコンベは似合いの空間だ】
【墓石の下に眠るのも、狂った信者であったのなら、騒がせるのに問題はないだろう】

【左の蛇を一時失って、司祭の顔に警戒が浮かぶ。ロッソの狙い通り。今のところ、その銃弾は】
【司祭の目には、どんなものでも打ち消す魔弾に見えていた。その認識が剥ぎ取られるのは、戦いの最中か決着の後か】

【自身の血を削って鋳造される銃弾は、時間を同じで限りがあるのだろう。司祭自身の生命力と同じくして】


それについては同感ですな。すでにウヌクアルハイ様と一つとなった方々と違い、未だこの世界に取り残されている我々は
いかに愚かであろうとも、己の成すべきことに邁進せねばなりません

鈴音……なんと。貴方の仲間とは、蛇神様ご本人であられるのですか
……ならば、なおさら。我々は蛇神様の受肉のためにこそ、動いています。此度の儀式は、その総仕上げです
蛇神様のお仲間だというなら、邪魔翌立てなされぬがよろしいかと

――――お美しい武器を持っておられる。まるで相反する天使と悪魔といったところでしょうかな?
それを、貴方は金庫破りのために使われるとおっしゃる……

【光る義眼は、今だけは強盗に戻った探偵を睨む。魔翌力を感知する義眼の光が、その容易ならぬ力を伝えてくる】
【それでも、司祭は止まるわけにはいかない。儀式成功のため。己の職務のため。異形の司祭は暗い空間を駆ける】


――――手練れではあれど、無敵ではないようですな
(突撃をかわしたばかりか、致命となる瓦礫のみを……身体能力と射撃の腕もさることながら、とんでもない目……)
(しかし、その神業は連続して使うことは出来ないらしいですな)

【その右腕から、残った蛇が伸びる。地を這うようにそれは探偵へと迫り、彼の胴体を狙う】

蛇のもっとも恐るべき能力はなんだと思われますかな?
熱感知・猛毒・鋭い牙……私は、いずれでもないと考えています
すなわち……締め付けです

【半透明の蛇は、地下墓地から這いずり出た迷える魂のごとく揺らめき、されど確かな物理的質量を持って】
【膝をつくロッソの胴を締め上げようろするだろう】
713 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 17:19:27.05 ID:rW2LOlMS0
>>690 >>695
【奴の能力の詳細は不明だが――問答無用の質量を込めた無機物の軌道を、あっさりと変える以上は、物理法則以上の力が宿っている】
【あの接吻には、自身は勿論、他の何かが触れることも拙い――】

【なるほど、病魔と言うよりは、まるで淫魔……この場合、どちらも大差ないのかも知れないが】
【先日抗争した"ムリフェン"とはまた趣が異なるが、蛇神教の中でも一種のカリスマとなっているのも納得できるだろう】
【意識しているのか無意識なのか、動作や仕草までそれらしいのはそれこそアイドルさながらだった】


知らんね。そんなものは"いない"。狭いもクソもねェよ。
俺の信じることだけが現実だ。それ以外のモノは消えろ。俺の世界に必要ねェ。存在も記憶も歴史も――
それに分かってるじゃアねェか。うるさいのが強者の特権なら――俺が喚いたって何の問題もゴザイマセンッ!!


【少女の語る寓話を、頭から否定する】
【男の口から出てくるのは、否定。否定。否定】
【世界中の全員がその存在を信仰したとしても――自分だけは絶対に認めないと言う、全身全霊の否定】
【男は未だ知らないが、もしも彼女の接吻が男に触れたのならば――固定しうる感情は、それしか存在すまい】


奥さんを取られた、ねェ――浮気でもされたってか?
アァ、お前は浮気された時、浮気相手と恋人とどっちを刺すタイプかな?
って聞くまでもねェか?ヒ、ヒャハハハハハッ!!



オマエの創ったその筋書きが――ウチのボスは気に入らないらしい。
卵と鶏は正しい順序でなけりゃならない。例え、世界がひっくり返っても。

ま、俺はオマエらが殺せればどうでも良いんだがねェ。


【格闘戦は不得手なのか――男の蹴りは、あっさりと少女の身体を跳ね飛ばした】
【自分の能力を悟られていても、使い方次第では有用に使えると言う頭はまだ有った】
【煙幕に使うならば、前線を同じくしているこの女が最適だろう】
【そう思っての指示――彼女の持ったリスクと覚悟を知ることはなく、しかし、要求の通りに放たれたエネルギー弾はその役目を十分に果たしてくれるだろう】
【しかし――待てども、そのエネルギー弾は着弾しなかった。既に能力の準備に入った男は、途中で取り消せない】
【拙い――!】


【長く消えただけ、再出現のリスクは致命的になる――】
【少女の思惑からは少し外れたが、エネルギー弾の斜線上から外れた位置に、男は再出現をした】
【それによって生じた再定義の時間は僅かに1.5秒――しかし、今正に破裂せんばかりにエネルギーを貯め込んだそれが放たれるには十分な時間】


【エネルギー弾を放った信生が手を打たないならば、それは少女の思惑の通りに男の身体を吹き飛ばすことだろう】
714 :ラベンダァイス&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/23(土) 17:21:25.66 ID:fimxwp7B0
>>705

「……その余裕、いつまで続くか見てやる。邪な信仰に身を預けたなら、精々殉じて見せろ……!」

【せっかく自分の立ち位置を安定させたのに、自分から転んでは本末転倒だ。それ以上の言葉を重ねる事無く、アーディンは真っ直ぐに法然を見据える】
【――――事が済むまで、捕らぬ狸の皮算用をしても仕方がないのだ。怒りは、発散の時を待って、貯められるだけ貯めておくに限る】
【それを出来るだけの経験を、アーディンは重ねてきたのだ――――ピクリと、その耳が震える】

――――この、生臭坊主がぁッ!!

【斬撃を成立させて飛びのきながら、ラベンダァイスは思わず呻く――――黒い体に分かりにくいが、結構な火傷を負ってしまった】
【接近しての戦いに、いざと言う時体が思ったように動かない――――などという事はあってはならない】
【その意味では、実質以上の痛手を負ってしまったと、苛立たし気に右手の光の剣を振るう】

【――――そして、その僧侶の格好も、完全に見せかけだけの倒錯したものなのだという事を理解した、その苛立ちも含まれていた】
【加虐の愉悦に満ち満ちている。そんな言葉の随喜が、自分に向けられるのは――――思った以上に不快だった】

「ッ、退け!」
はい!

【斬撃は通り、2人は咄嗟に身を退いた。どうやら一筋縄ではいかないらしい相手だと踏み、一気に止めを刺そうと踏み込むのは危険と判断したのだ】
【咄嗟に後方へとステップして構え直す2人の戦士――――その髪に、顔に、そして体に、返り血はこびりついている】

――――――――あなたの情欲、果たして私みたいな『兵器』に、本気で叩きつけられるとお思いですか?
――――ネオ――――『ケルベロス・フォース』

【傷に呻きながらも叩きつけられる、怒りに満ちたその宣言を、ラベンダァイスは冷めた目で受け止めた。自分を女として――――それ以前に、人間としてみるのは、完全な間違いなのだと】
【その身から再び魔力を溢れさせ、光と共に変じた姿は――――】

【ラベンダー色の体色をした、カバの様な巨大な獣の姿】
【腹部からは、左右に一対、象の鼻の様な形の太長い触手が、緩く前方へと弧を描き】
【沈鬱な赤青のオッドアイが、気だるく睨みつける様に前方を注視している】

【先の人型、いわんや最初の少女の姿の面影など無い、巨大な獣。魔を宿した凶暴な魔獣の姿となって、その殺意を真っ向から粉砕せんと立ち向かう】

――――これは――――
「詳しくは分からんが、恐らくマントラの一種だ。気を付けろラベンダァイス、大物手が来るぞ……!」

【先ほどまでとは違う、長く、そして不吉な詠唱。咄嗟に警句を飛ばしながら、アーディンは真っ向から法然へと斬りかかる】
【まだ、止めを刺すには敵に猶予を残し過ぎている。だがそれでも、この詠唱を中断させねば危険だと――――真っ向から踏み込む危険を承知で、スピードに賭けたのだ】
715 :ドープ ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/23(土) 17:21:44.02 ID:xPZ7LQKro
>>706


──


【彼女の言葉に、息を呑んだ気配があった。攻撃している間、左手で頭を押さえる】
【ズキリ、と急に頭痛が走る。──どうしてだろう、彼女と話していると、苦しい=z
【甘んじて、もうそれで良いんだ≠ニ諦めて受け入れた何かを】
【まるで、もう苦しまなくて良いんだって安心した堕落を──手放されるような、苦しさ=z


……オレに、意思なんて無ェよ


【──彼女の行動。蛇という怪物を狙いながらも、その支点≠ノ当てた攻撃】
【蛇は牽制し──また斬られる。しかし、次に蛇が取った行動は──】


オレはドープ・ラブ・ライク。オマエを[ピーーー]為にココにいる
白神鈴音≠居る≠ニ主張する者を[ピーーー]。それだけの為に

良いか?白神鈴音≠ネんてな、居ねェんだよ
分かるか。分かれよ。オレ達はウヌクアルハイって唯一神のモトで生きてんだ

オレは──オマエが鈴音鈴音って言うのを否定する為だけに居るんだ
オレに意思なんて無ェんだよ……ねーったらねぇんだッ!!
オレはただそれだけの為に逃げてない!!オマエを[ピーーー]、それだけの為にッ!!

【叫ぶ間に──蛇は、彼女に向かってくる】
【と思いきや巨体の蛇は、彼女の側に在った太い柱≠ボカン!と大音と共に凪いで──ゆらり。力つきるように、消滅した】



なんなんだ──何なんだよ、オマエはッ!!
白神鈴音≠チて誰だよ!!オマエは何でそこまでして戦うんだッ!!
白神鈴音≠チてのは──鈴音≠ネんて──居ないなら、どうでも良いだろォがッ!!

ふざけろッ!!消えろッ!!頭が痛ェんだよ!!クソがァアアアッ!!!!!



【男が汗をかき、動揺し、叫ぶ。柱は彼女に向けて倒れてくる】
【それに気を取られている隙に、彼は駆け出していた。──己にオーラを身に纏い、強化された雰囲気を出している】

【──彼女が回避した瞬間に、彼は彼女に向け、飛び膝蹴りをしようとする】
716 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/23(土) 17:23:39.77 ID:xPZ7LQKr0
>>709
【――歩みを進める。死の気配の満ちる土地から、燐光がふわりと浮き上がる】
【寄る辺をなくした魂は、その行き先を定めていた。――燐光の集う先には、黒の女学生が一つ】
【黒の髪をボブカットにしており、前髪の一房が骨色に染められている】
【野暮ったい黒縁メガネ越しに、濡羽色の瞳はどんよりと濁った黒い圧と熱さで相手を睨む】
【ブレザーの内側に装着したナイフホルダーから、一振りの短剣を引き抜いた。右手に握る】
【左手に握るのは、胸元にある銀のロケットのペンダントトップ】

――また、蛇の輩共。か。
あの悪魔も。何もかも――お前たちが悲劇を生むというのであれば。私のする事は決まっている。

"コープス・リバイバー"。

【死霊たちが、彼女の胸元のペンダントに吸い込まれていく】
【目を伏せ、深く息を吸う。それは、きっと彼らの遺志を己の内に収める為の、一種の儀式】
【伏せた目を相手に向ける頃には、その瞳には煌々と昏く輝く――"黒い輝き"、"死の狂熱"、"遺志と意志"が宿っていた】

意志に遺志を束ね。お前たちみたいな悪を、私は根絶[タ]つ。
それこそが私の意志で。私と共にある遺志の存在意義。――[私達/復讐者]の総意。

――お前たちの存在を、私達は根底から認めない。
――悲劇を生むモノを、私達は許さない。

故に、意志と遺志を以て――これから復讐を果たす。
私達の復讐を。悪性全ての否定を――行わせてもらう。

【死霊の憎悪が、生者の憎悪が――聖者を前に吹き上がる】
【岩が砕かれ。戦いが始まるかのような気配を見せたその瞬間――少女もまた、戦いに挑む姿へと姿を変える】

――"骸と踊れ"。

【生じたのは爆炎。色彩は黒。波動が周囲の空気を吹き飛ばし、轟音が辺りを染め上げた】
【そして、直後。――相手の眼前に現れたのは"死を纏う生者"。骨を意識させる様な装甲を身に纏い。振りかぶるは右の銀刃】

――K焔!!

【肘、手首等を視点に小さな黒焔の噴射を行い、一閃の速度を超加速させる】
【狙いは右腕。相手の利き腕を潰し、今後の展開を有利に進めようとする布石の一手目】

//よろしくお願い致します!!
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 17:26:14.72 ID:l87sBOYx0
>>704

【彼女が手を伸ばすと、指先から蝶が飛び交う】
【まるで星の見える夜の様な蝶が大聖堂の中で舞う】
【その黒い蝶が羽ばたくと、星屑の様な鱗粉が零れ落ち、蝶が彼女の指に止まる】

ふっ、長く生きたからな。騒がしく行かなきゃ、退屈で退屈で仕方ないのさ。
おうっ!だったら灼熱のマグマに落としてやろうか?熱いのがお望み何だろう?
だったら、今から物凄い期待をしな!

少し処か永遠に耐えてやろうか?

【蝶が羽ばたくと華麗な星屑と共に風刃が巻き起こる】
【あの風に触れたらかすり傷じゃすまなそうだ】
【見ただけでも、高威力と言うのが分かる】

はっ!そんなぬるい攻撃じゃ俺は殺せねぇぞ、
もっと殺意を持った奴じゃないと

【無数の風の刃を⦅awful Virtue⦆を使って振り払い相殺しようとする、】
【これが普通の槍ならばとっくにバラバラであろう】
718 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 17:26:18.26 ID:VXFCbz/50
>>701

その通り。男は嘘吐きばかりだ。しかも狼ばかりで嫌になる。そこだけは意見が合うね、私たち。
けど、可愛がってもらうだなんて媚びた真似は勘弁だ。女は子猫なだけじゃない――化ける生き物なんだ。
男が狼ならば。女はそうさな、狐さ。女狐さ。私はアンタみたいに可愛い顔してその裏に何隠してるか解ったもんじゃない。

【まるで友達と下らない事を話すような軽やかな言葉。場違いな言葉】
【けれど、その軽やかな反論はお互いの立場が敵対するものであると改めて知らせる意思表示】

【そしてカチューシャの笑みとともに、周囲の気配が一変する】

【――来る。来る。来る。あの芸術めいた殺戮が。四方八方を塞いで襲い掛かる無慈悲の弾頭が】
【逃げ場など、どこにもない。目の前に用意された道が険しいヘルエッジ・ロードであるならば――活路を拓け】
【覚悟を決めろ。五体満足で帰れるなど思っていない。ここで死んだとしても蛇に飲まれるよりは納得できる】


【これ以上投擲に避ける余力は無い。地面に転がるのは都合10本前後のナイフ】
【カチューシャが無数の弾頭を放つなら。こっちもナイフという名の弾幕を放つだけ――】
【そんな状況下では。差し違える様な行動をとれば――当然エーリカの体には幾つもの血筋が流れ出る】

【必要最低限、致命傷になる場所に当らぬように右に左に、動いて飛んで。上に下に、跳ねて沈んで】
【やや陰りがあるものの軽やかな動きで弾幕を避けて距離を詰める――その結果、頬と両足を幾つも掠め、脇腹と二の腕を貫く】


ぐうっ、っぁぁあああああっっっ!!いっっ、ぇええええッ!


【体を貫く苦痛に顔を歪め。苦痛に震える声はカナリアの様に甲高く木霊する】
【けれども、動きは止めず。未だ無事である左手にマチェットを召喚しカチューシャへと突貫する】
【獲物を借るヒョウの様に勢いよく、跳びつく姿は翅の様に軽やかに飛び込んで。左手に握られた獲物を振りぬいた】
719 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 17:28:32.30 ID:VXFCbz/50
>>718
/文章の修正をば…
 私はアンタみたいに可愛い顔してその裏に何隠してるか解ったもんじゃない。

→私やアンタみたいに可愛い顔してその裏に何隠してるか解ったもんじゃない。
720 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 17:29:00.32 ID:B29byw680
>>708

幹部……かえでちゃんが……

【信者というのは予想していたが──そこまで上の地位に居たとは】
【リオシアとそう年の変わらぬ少女が──】

え、勧誘?
このタイミングで……?
第一の使途って……何?
そうやってかえでちゃんも誘ったの?

【ケバルライの行動に純粋な疑問が湧き上がる】

悪いけど良い世界を作ることはあんまり興味ないかな。今の世界も楽しいよ?
まあ軍人になる前の……無職だった頃に勧誘されたら、わたしも入信してたかもね
あ、機関紙とか売ってるんなら購読してあげてもいいよ?

おりゃっ!

【剣を構え、ケバルライに向かって投擲する】
【ただの投擲ではない。投げられた剣は空中で水に変わって散り】
【散った水が再び金属に変わる。数十個の、数センチの小さい刃物として速度を維持したままケバルライへ迫る】
【一つ一つは当たっても傷は浅いだろうが──】
721 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 17:29:23.31 ID:RT4l8Hhv0
>>716

【巻かれた包帯の下の素顔は伺えない、それでも、無駄の無いラインはぴたりと張り付くドレス越しに伝わる】
【曇り一つ無い磨きぬかれた肌の質感、雪の上澄みだけを貼り付けても尚、たどり着けないぐらいに】
【誘うような唇が表情の大部分を伝える。舐る様な吐息が重なって】


──、これはまた美しき復習者がいらしたものです、どうやら話し合いは既に不可能、と
ならば私は私の新年を以って、貴女を躾けなければなりません
痛くなければ覚えない、これは全ての調教の基本です

私を悪性と断ずるのでしたら、私もまた貴女を悪鬼と定義するでしょう
死者は大人しく弔われなさい、貴女がたはもう、役目を終えたのです
──── "Lost Prophets"


【左手の書物のページが捲られる、出現するのは巨大な鉄の棺】
【書物に記されていたのはアイアンメイデン、貴女の直線軌道上に出現し】
【そして開かれる、開いた棺の中には針がびっしりと用意されているだろう】

【このまま直進したなら、アイアンメイデンの内部へと閉じ込められ、針に貫かれる】


722 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 17:29:24.11 ID:rW2LOlMS0
>>700
《挙動ガドウニモ即物的過ギルナ――抑エテイル時ハ良イノダガ》
《犯シテイル時間ハナイゾ。喰ウ程度ハ良イガ形ハ残シテ置ケ》

【女の意識は既にブッチャー達の脳改造に向いていた】
【蛇神がこれから受肉しようと言う時に些か場違いな思考で有ったかも知れないが――】
【少女は、まぁまともな姿にはなるまいが、アルジャーノンの身体としてはいっそ丁度良いのだろう】
【そう思って眼下を見下ろした刹那――】

【まるで、紙か何かのように、少女を取り囲んでいた男達が、寸断され、絶命する――】
【生き残る余地も治す余地もないくらいにバラバラに】
【見えたのは黒い布――?新手の能力者――】

《何者カ――イヤ、ドウデモ良イナ。ソイツハ捕エナクテ良イ》
《全員デ殺セ――》

【危機感が浮かんだ――アルジャーノン自体に戦闘力はない】
【蓄えたブッチャー君達の人数と、それを治す手腕だけが全てだ】
【今のように容易く殺し切られては、数が持たない――】
723 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 17:33:53.69 ID:YdnfFM3ao
>>687
〈はあぁ!? 誰がクソ蟲だてめえ!! 口が汚ねえのはてめえも同じだろうが!!〉

『こんな時に神頼みだってよ!! これだから救えねえんだ、狂信者はよお!!』
「このような幼稚なガキを主神におねだり出来る地位においているのでは、サーペント・カルトも大した組織ではないな」

【激昂する少年に、なおも空虚な言葉を弄びつつ、二つ頭は冷徹に少年を観察する】
【少年と同じくらいに激昂するエンジン男とは違い、盗賊団の副首領たるこの異形の双子には観察眼程度はあるらしい】
【だが、少年の精神的な付け入る隙を見出したところで。全てを拒絶する強大な力が、それを許しはしない】


……そうだとも、私の汚い手はその分だけ経験豊富なんだ
数えきれない肉を切り分け、加工し、舌もとろける肉料理に仕立て上げてきたんだ

お前に触れる程度の罪なら、いくらでも犯してきたんだ。罰を下せるなら、やってみろ

【ようやく、視界が回復しつつある大男は、三つ目をかすかに開きながら、それでも口の滑りは止まらない】
【滲む視界に移ったのは、光の力で今度は自身を真上に打ち上げる少年の姿だった】

【光を纏う美少年が宙を舞う、さながら神話の光景か】
【そのものが凶器足り得るピンヒール。宿敵の一人、あのカチューシャを想い出して蒸気の中で顔をしかめ】
【されど、今の敵はあの少年。三つの目玉を無理やり開いて、顔を上げて。猛スピードで向かってくる、一個の弾丸と化した少年に相対する】

【太い右腕を振るって、両足に叩きつけようとし。光に弾かれ。したたかに地面に叩きつけられ】
【そのまま、わずかに身体を反らしたことで急所を外すも、鋭利なヒールの先端に右肩を貫かれた】

がぐっ――――!!

【濁った悲鳴。脂汗。してやったり、といったところだろう。大男の肉厚の身体に、大穴を空けてやったのだ】
【だが、その悲鳴こそが合図。二つ頭でもエンジン男でもなく、大型車両の方から、それは飛来した】

[ひひっ……ゴミ、いかがっすかあぁ!!]

【それは生ごみや屑鉄をひと固まりにした、あまりにも汚らしい塊であった】
【それを撃ち出したのは、カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒ベストを着用し】
【迷彩柄のズボンに黒い軍用ブーツを履いた男だった。両耳と口元、舌の外周全て。それぞれにつけた鉛色のピアスが鈍く光る】

【その男の膝が少年の方に向けられていて。その膝は空洞のように穴が開いていた】
【ゴミと身体を一体化する能力で作り出した、ゴミを打ち出す即席砲台だ】

【スクラップズの伏兵。三つ目の首領はこの腹心の部下を、最初から少年の前に晒さずに隠していたのだ】
【卑劣な不意打ち。まともに喰らえば、その衝撃以上に。塊が纏う汚水がまき散らされる】
【盗賊らしい嫌がらせ。光の拒絶が間に合うか否か】
724 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 17:35:10.28 ID:RT4l8Hhv0
>>717

【──、特殊な槍であろうか、彼女の蝶が生み出した刃が掻き消される】
【プリオルの表情に怪訝さが増した、その攻撃の正体を推察するが如く】
【或いはその槍が、特別な強度を宿しているのか────】


長く生きることは退屈なのね、それならばどうして、長く生きるの?
私には分からないわ、一瞬の命を激しく燃やす方が美しいとすら思うから
貴方の頭蓋を砕いて、その脳髄を覗いたなら分かるのかしら、なら──

少し貴方の音色、使わせて貰うわ────


【セアンの側に再び別の蝶が出現する、星屑を散らしながら接近するだろう】


私の蝶は音を糧に羽ばたく、それは世界の理を知る為に
そしてその先に、確かな彩を伝えたなら、顕現するのでしょう
飾り立てるのは貴方の刃、どうか愛しく果てるが良いわ


【再び出現した蝶は、その星屑に触れたなら斬撃が襲い掛かるだろう】
【セアンほどの腕前であれば、その威力が、自身の槍で放つ威力に近いと分かる】
【いずれにせよ攻撃の質が上がった、先ほどと同じ対処は難しいか】
725 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 17:36:46.35 ID:rW2LOlMS0
>>722

「…………なあに? もう、「盛大な祭りがあるからデートしようぜ」なんて。
 数年ぶりにお誘いくれたと思ったら――何この、なに。この光景、いったい何なのかしら。
 ガンシューティング、あるいは無双系ゲーム? そういうの趣味じゃないって知ってるくせに。
 もう、やっぱり『あの人』――無茶苦茶にもほどがあるわ、そもそも待ち合わせ場所も教えてくれなかったし――」

【ぽかんとした表情を浮かべた夕月を尻目に――――「その女」はあまりにも唐突に。戦場に現れた】

【眉の下と、腰のあたりで丁寧に切り揃えた髪。光の射さない昏い瞳】
【禁欲的な詰襟のワンピース。その下の膚を隠すストッキング、レースの手袋】
【それから、頭に被る半透明のヴェール――そのどれもが黒一色で統一されたなら】
【……ひどく暑そう。そんな印象を与えるけど、汗ひとつかいていないのだ、「あの男」と一緒で】


「あんなキ■■イと結婚しちゃったの、やっぱり大間違いだったかしらね。
 ねえお嬢さん、そう思わない? ……そう思うでしょう、思って頂戴よ、――――思いなさい」


【――彼女は名を「ヴェロニカ」と言った。過去、とある教会の異端狩り組織に属していたが】
【そのやり口があまりにも、あまりにも常軌を逸していたため。破門されて――フリーになった】
【そしたら似たような境遇の「彼」と出会って。共に行動するようになって、そのうち互いの都合のために】
【契約めいた婚姻関係を結んだ。そういう過去を持つ女――――ひとことで言ってしまうなら】

【ヴェロニカは――現在もこの地の何処かで戦っている男、「パグローム」の「妻」である。】
【そんな女が「夫」から情報を得て、この地にやって来たのだけど――はあ、と溜息を吐いて】
【いまだに硬直している夕月の隣に立ち、脅迫的な言葉を投げかけながら。見据える、アルジャーノンを……ではなく】
【その向こうだ、きっと、見ているのは。「夫」を探している、……何処で暴れているんだと。混ぜろ、と、】


「――――いやだわ、本当に嫌。わたしはお祭りに参加しに来たのよ。デートしに来たの。
 散らばるゴミの清掃活動なんか、本当にやりたくないの……ねえお嬢さん、わかるでしょう?」


【――――思っているから。だからこんな雑兵たち、相手している時間も惜しい。無表情の目尻に苛立ちを混ぜて】
【ヴェールをもう一度はためかせる。それは空を覆うほどに広く広く、拡がって――――「収縮してゆく」】
【向かってくるブッチャー君の群れ、全部、布に包んで握りつぶす。それが目的】
【叶ったなら、ヴェールは女の拳ほどにまで小さくなってしまう。その内にブッチャー君たちの血肉、ぜんぶ収めたまま】
726 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 17:38:06.86 ID:Xgr13xPl0
>>712

【曇天の空の更に地下で、俺達は戦っている。互いになにかを信じて、イカれてるだけかもしれない】
【それでも、俺は何度も何度も繰り返した、強盗をスマートに行うんだ。金じゃなく、美術品でもなく、仲間を取り返す】
【過去においてきたものを守るために、今は戦うんだ。弾丸で切り開く以外の術を知らないから】

俺はこの世界が気に入っている。クソッタレだが、愛おしい世界だ。だから、あんたらが勝手に世界に
見切りをつけて変えるのは気に入らねぇ。どうせ信じるなら、俺はロックンロールに殉死してやる。

【どうせ互いに、言葉じゃ蹴りがつかないことはわかっているはずだ。だが、言ってやらないと気がすまない。】
【姿も見えぬ奴らに仲間を奪われた悲しみと苛立ちを言葉にしないわけにはいかなかった】

違う、俺の…俺達の仲間だ。神だの何だの知ったこっちゃねえ。勝手に、崇めて利用して何しやがるんだよ
……消させはしない。アイツの居場所は彼処だろう。…そうだろう?

【虚空に言葉は消えていく。それでも、拳銃をしっかりと握りしめ、タルコフ貫く勢いで目を見開いた】

サブリナは気まぐれさ。俺に余計な運命ばかり連れてくる。だが、撃ち鳴らす弾丸はストレートだ。

――――クソっ!

【足元が体についてこない。荒い呼吸が反応を送れさせる。コンマ一秒の世界の話だったが。それでもタルコフの蛇が胴体に絡みついて】
【その動きを止めるには十分だった。】

【だが、ロッソもただ、絞め殺されるわけじゃない。拘束から逃れた手は、亡霊の蛇を至近距離から撃ち抜いてやろうとするだろう】
【激しい容赦ない連発で。確実に、明確な意志の塊で撃ち抜こうとするだろう】

【そして同時にタルコフ本人を撃ち抜こうと、もう一方の銃をで狙いをつける。彼の目に死角は殆ど無い。2方向同時に狙うのは確実ではないが出来なくはない】
【どちらかというとタルコフを狙った射撃は牽制に近かった。】
727 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 17:38:39.05 ID:B29byw680
>>711

おーおー、痛そうだ

【尾の一撃で吹き飛ばされた厳島を見据える】

ふふ、尋問させてもらうのはこちらの方だ
今ので死んでないだろうな?

【頭のない恐竜の動きは止まった】
【代わりに、ツァルエルの首に巻き付いていた蛇の骨が動き出し】
【ツァルエルの身体から離れた。顕になったツァルエルの首には蛇の刺青がある】

【蛇の骨は地面を這いながら厳島に近づき】
【身体に巻き付いて捕らえようとするだろう】
728 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/23(土) 17:40:00.63 ID:xPZ7LQKr0
>>721
――私は生きている。私は彼らの遺志を私の意志で代弁する。
だから私と彼らは、"私達"なんだ。

【役目を終えた?死者は語らぬもの?――それでも、死者の声が聞こえた。死者の怨嗟を知った】
【己には、彼らの無念を代行できる術がある。彼らと同じ無念を生きながら背負っている】
【故にこそ成り立ったのがこの力。コープス・リバイバー。――だからこそ、役は終えられない。壇上からは降りられない】

――私が生きる限り。彼らもまた終わらないッ!!"打骨"――ッ!!

【突き出す足。装甲を厚く、固く強化しアイアンメイデンの扉の縁を蹴り飛ばし、僅かに反動で後ろに下がる】
【速度の一瞬の停滞は。黒の焔の噴射を駆使する事で取り返す。辺りに盛大に火の粉が散った】
【直角に等しいその移動の軌跡の変更は余人で有れば臓腑をかき回され嘔吐は避けられないほどむちゃくちゃなもの】
【しかし、人から外れた死せる生者たる今の彼女であれば、そんな動きにすら耐えられる】

――"骸を燃やせ"ッ!!

【一際強い踏み込み。地面に生まれた裂け目から黒の焔が漏れ。直後に炸裂】
【黒い焔をまとった無数の岩の散弾が前方の相手にに向けて弾け飛び。同時に、死者の代行者もまたそれに追従する】
【精妙な制御、強大な出力。その双方を活かした結果の――放たれるは岩に紛れて繰り出される左の正拳】

【焔を宿し、焔によって加速されたそれは、並大抵の人類には回避し難い程度には必殺を名乗る事が許される代物】
【超圧縮の骨粉の装甲の拳は、人体に致命傷を与えるには十分な威力を持つ】

まだ私達は――"終わらない"ッッ!!
729 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 17:40:34.99 ID:RT4l8Hhv0
>>718

【それは吐息すらも白蜜に見えてしまいそうな温度、肌の質感は何処までも深い雪を思わせる】
【絹糸にも似た柔肌を振るわせる度に、とろんとした眼差しが狂おしい程に濡れて】
【呼吸を重ねる度に開けた胸元が主張する、まるで、それも武器の一つだって、言うみたいに】

【ピンヒールで刻むBPM、円舞曲を踊るよりもさらにゆったり、と】
【──歩みと共にゆれる腰つきは誘うように、貴女の視界にべったりと張り付いて離れない】
【ストッキングに包まれた両足が、彫刻の様な造詣を少しばかりも崩さずに】


ふふ、素敵よお姉さま、──血を流しながら踊る姿を凄絶と言わず何と言いましょう
それでも向かってくるのね、塗れながら進む道のりは、さぞ険しくも
──その先に可能性がある限り、私もとまる事が、できないの

私は可愛がられたいの、殿方の逞しい腕に抱かれたならそこに幸せを感じるから
そうでしょう、愛撫されること、愛玩されること、愛寵されること、それが女の悦び
知らないのなら教えて差し上げるの、貫かれる喜びは、また格別だから


【カチューシャは右手で狙撃銃を向ける、マチエットを正面から受ける様に】
【金属と金属がぶつかる音、誤算があったとすれば、エーリカのその執念の様な力であろうか】
【狙撃手がその銃を手から離した、弾かれた狙撃銃が地面を転がり、流れていく】

【──、彼女の表情が、強張った、初めて、無表情に揺れが見える】
730 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 17:44:44.78 ID:RT4l8Hhv0
>>720

【──、疑問を持つリオシアにケバルライは言葉を返す】


ムリフェンは誘う必要などありませんでした、自らの意思で、われらの門を叩いたのです
私の勧誘はおかしいでしょうか? 戦いの最中で相手を認めるなど、ニンゲン達では茶飯事なのでは?
──、ああ、いけない、私としたことが、すっかり口を滑らせてしまう

ええ、キミ達にとっては楽しいのでしょう、それはこの世界が、この現実がキミ達の愛しき現実だからです
私達にとってはそうではない、それが私達にとっては、耐え難い痛苦なのです
交渉は不成立、それはならば、どちらかが果てるまで戦いを続けるのでしょう


【放たれる雨の様な刃の応酬、見事な応用であった──、ケバルライにとって、慮外の攻撃】
【慌てて右手で庇うも無数の細かい傷が身体を覆う、苦悶の声が漏れて】
【──、ひざを着いた、傷は決して、浅くない】
731 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 17:47:00.21 ID:rW2LOlMS0
>>723

【「煩いッ」 ――――なおも続く罵言に、返す言葉はそれしか無くて】
【それでも嗤っていた。大男を「獲った」、確実に。そう思っていた、いたんだけれど――――】
【実際肉を穿った感触が伝わってきたのだ。そう思ったのも間違いではなかったんだろうけど】


――――――ッ、


【息を呑む。……もうひとり、居た? 考えてすらいないことだった、少し考えれば、警戒もできたものを】
【飛来するゴミの塊――――それだけはどうしても受けたくない。本能がそう叫んでいた】
【たとえ他にどんな犠牲を払ってでも。……病的なまでの潔癖症。それが少年の、もうひとつの弱点でもあった】

【声にならない悲鳴が上がる。絶対に、絶対に、嫌だと身体全体で拒否して】
【今しがた一撃喰らわせた大男を踏み台にして――再度高く跳躍した、考えも何もなしに】
【顔が真っ青になっていた。ひどく汗もかいていた。あれだけは絶対に嫌、嫌だって、言葉にしなくてもすぐ伝わるくらいに】

【驚愕に見開いた海色の瞳はこうして、車から現れた新たなエネミーに釘付けになってしまう】
【あまりにも簡単に。揺らいでいる、心が、……異能さえ、そうなっているとわかるだろう】
【視覚的にわかりやすい異能だった。強く輝いている部位に強い「反発」の力が加わるなら】

【――――――光っていない部分は、どうなっているかって。すぐわかる】

【現在。少年の異能の光は、大男を踏みつけて跳躍してそのまま――脚先に留まったままだ】
【であるなら。他の部位への攻撃は、あんまりにも容易く通る。きっとこの場にいる誰もが瞬時にわかってしまうことだった】
732 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/23(土) 17:47:08.61 ID:xPZ7LQKro
>>695 >>713

そ……ッ、ん、な……

【息を整え、最悪のコンビネーションを披露してしまったコトに、
【己の失態だ。あの場面で飛び道具を放つ訳には行かなかった、どうする、どうする──】
【──このままだと、イルに何も出来ないまま、なおかつ、パグロームを傷つけてしまう】

(飛び道具はダメだ。エネルギー弾も──なんで打っちゃったんだよォ!!ワタシのバカ!!)
(マズイ、マズイマズイマズイマズイ──最悪だ!!ワタシ、ワタシはッ!!)

【──諦めそうになる。地面に手をついて、鬼気迫った表情のまま眼鏡がぽろりと落ちていく】
【そのまま地面の上の手をすぐに握り締めて──決意した顔で、何を言ったかと思えば】


──責任、は……取、る……
あとは、ワタシのイノチを……使って≠ュれ、シラガ君


【と、それだけ伝えて──バキ、メキ、と。──女から、何か≠ェ、駆動した音がした】
【刹那的に体が隆起する。ドクン、と息を漏らして、息を驚いて零す音。全身を包む、まるで排気のような煙】

──

【突破的に、煙から何か≠ェ飛び出した。──もともと透明化したパグロームが立っていた場所にソレは瞬時に向かい、体当たりが来るだろう】
【体当たり、というよりも、パグロームを抱えるモノ。警戒して弾いたのであれば、離れるのだが】
【もし抱えるコトが出来たならば、地面に摩擦の火花を散らしながら即座にエネルギー弾を余裕で回避出来そうな場所にまで運ぶ】

【──目視するかもしれない。アナタを抱えるモノ=B白く女性的なボディライン。時々緑が走っている】
【さきほどの女性と同じくらいの身長。蛍光グリーンの目元がキツめにデザインされた、黒の長髪が流れるようなデザインの女性型ロボット】
【手は人間のものだが、足は車輪。やや大きなタイヤのようなソレがついていて】


──敵性確認


【アナタに対し問いかけるだろう、──彼女≠ヘ】

マスター登録ヲ申請シマス
──オ名乗リクダサイ

──ソシテワタシニ、乗ッテクダサイ。先程ノバイクノヨウニ

【──と、伝えた】
733 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 17:53:39.90 ID:RT4l8Hhv0
>>728

【ミサにとって、この場でその言葉を紡がれることは耐え難い苦痛であった】
【此処は蛇教の無念の地、無残に散った、幾多もの魂の墓場──】
【彼女に死者の声は聞こえない、だからこそ、妄執的に自分の実感を信じた】


戯言を────!! サーバント達の信仰心は、死よりも深いのです!!
彼らを貴方のような異端者の仲間にして、たまるもんですか……!!
私達がどのように虐げられ、どのように耐えてきたか、知らないでしょうに

────ならば貴方の死を以って、彼らの安らかなる眠りを取り戻します!!


【蹴り飛ばされたアイアンメイデンは消失する、むちゃくちゃな動きに、彼女は苦悶する】
【視界を覆っている都合上、耳からの情報が大部分であった────故に】
【イメージが難しい、あまりにも人間を超越したその動きを、脳内で辿ることが】


祝福を我が手に──── "Lost Prophets"


【だからこそ、彼女は右手の鞭を振るう。空気を裂き豪、という音をたてて鞭がしなる】
【一度目の素振りは地面を叩き、此方もほぼ同数の岩を放つ────そして】
【すぐさま二度目の攻撃に移る、点ではなく面の攻撃、鞭の一撃は範囲が広い】

【まるで叩き落すかのように、鞭で貴方の攻撃を迎撃しようとする】
【触れたなら理解できるだろう、彼女の鞭は、とてつもない質量を持った鞭である、と】
【故に大量の岩を出現させ、攻撃を防げた──、ならばそれを片手で扱う彼女、とは】
734 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 17:54:38.10 ID:rW2LOlMS0
>>725
【現れた女は、傍目に見るならばシスターだった】
【やや禁欲的にも見える、きっちりとした服装――しかし夏に着るならば酷く暑そうだ】
【だと言うのに、汗一つかいていない様はどこか非人間めいている】

《何ヲ言ッテイル――?》
《ココハ我ラガ神ヲ降ロス為ノ儀式ノ場ダ――用事ガナイノナラバ――》

【消えろ、と言い出しかけたのは、この場において自分が決して優位だとは思っていないから】
【女の嫋やかな姿の裏にはドス黒いまでの殺意が漲っていることに気付いて】
【この場において見逃されるはずはない――戦線を下げるか】
【逃走して、他の場所を巡っていればブッチャー達を集めればまだ戦力にはなる】

【判断すれば、アルジャーノンの判断は早い。時間を稼げと、ブッチャー達を一斉にけしかける】
【すぐに殺されたとしても、その肉塊が、少しでも足止めをできれば良い】

【そう思って振り返った瞬間に――】


グシャリ、と。まるで大きな紙を潰すみたいな音が聞こえて、あれだけ叫び声で騒がしかった声が、途絶えた。


《……異端狩リ――"ヴェロニカ"!》
《教会ヲ破門ニナッタノデハナカッタノカ――》


【アルジャーノンの知識は、蛇神教の中で知ったものではない】
【彼女の名を知る、それはアルジャーノンが他の場所でも活動していることの証左に他ならないのだが】
【この場において今はどうでも良い話だろう。守りの生きた死体達は、赤黒い小さな塊になるまでに圧縮され、地面へとコロン、と落ちた】


【暗殺や侵入に特化した夫であるパグロームとは異なり、この女の能力は完全な武闘派――】


《――……》


【蛇神教の中で、こんなことを思うのは全く滑稽なのだが】
【この様はまるで蛇に睨まれた蛙であったか】
【振舞われたそれは一方的な暴力にもほどがあり――何も、できない】
735 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/23(土) 17:55:36.61 ID:WB6h1eEP0
>>707


【苦痛とはアリアにとって他ならぬ隣人だった。何度も殺されかけたし、何度も殺した。人を殺して涙が出なくなったのは何時のことであったろう。生身の体を失った頃には既にそうなっていたようにも思える。】
【 ── 相変わらず、余りに生々しい感覚だった。かえでとは、アリアにとって初めて見つけた"生者"だった。醒めない夢みたいにピントの合わない世界で、唯一ほんとうに「生きている」存在。】
【自分が生きていると思わせてくれる存在。だから愛しかった。だから今でも愛しい。治ってもいない傷を推して立つ健気さも、自分が見出した彼女そのものだった。だから。】





               「良いわ。 ──── 貴女に殺されるなら、本望よ。」
  「けれど其れは今じゃない。でなければ私、自分のこと、許せないから ……… !!」






【忌み嫌うようなかえでの表情は、自分の部屋に小汚い羽虫を見つけたのと似たようなもので、 ── だからアリアは、傲岸不遜に唇歪め、そんな台詞も吐き捨てる。】
【紅色の弾幕は甘んじて受けた。かは、と血を吐く。全身を斬り刻まれて、夢に沈むみたいな茫洋とした痛覚が走る。白い手指の先が、紅く染まる。】
【足元の聖壇には赤黒い血溜まりが生じて、焼け残った絨毯は効率よく血を広げてくれた。「これでよかった」。飛び退く少女を、アリアは見据えていた。】


【少女の足元より現れるのは、「機関銃」。MINIMI軽機関銃。小手調べとばかりに、かえでへと威嚇射撃。そして膝立ちに体を起こし、焼けるバレルを掴んで銃床までを引きずり出す。】
【少女の背後より現れるのは、「対空砲」。8.8cm Flak/アハトアハト。弾頭は対人用の炸裂榴弾。蛇神の彫刻より顕れた、文字通り「桁違い」の大きさの其れは、】
【 ── 天まで轟くような炸裂音と共に、1発の砲弾を、かえでの頭上めがけて撃ち出す。砲身が後退する。ただ其れだけで教会のステンドグラスは全て砕け散った。 そして次の瞬間、接触信管により炸裂した榴弾は】
【凄まじい爆風と爆轟、無数の砲弾片を以ってふたりを襲うだろう。ある程度の距離はあったから、即座の致命打とは成り得ないだろうが ── アリアは其れに吹き飛ばされ、したたかに石の壁へと叩きつけられた。】


【ひとつ女には仮説があった。かえでの元より奪った研究レポートには、彼女の異能についてもまた、仔細な記述が為されていて】
【「阻害」の力についても同様だった。そして其れは決して無制限なものではなかった。サブルーチンへ向かう時、レジスタが現在のアドレス位置を記憶しておくみたいに】
【その用途には「容量」の限界がある。果たして自分との邂逅の記憶と其の苦悩が、どれほどまでにリソースを消費するものなのかは判らないが】
【彼女は自分の負傷を「阻害」して応急処置する癖があった。 ── ならば、能力の行使なくては生きていけないような、およそ致命的な傷を負わせてやれば】
【少なくとも今の彼女にとっては至極どうでもいい筈の「記憶」の阻害は、最も優先して解除されるし、そうせざるを得ないものではないか。手持ちのチップは、ただ其処にだけレイズされていて】
【そうしてまた、まだ彼女はカードを残していた。破損しかけた聴覚素子になんとかリカバリーをかけながら、銀髪の髪をかき上げて、機械の左眼と醜い火傷を露わにして】
【砲弾の破片を幾分か身体に食らっていたし、だから壁際に倒れ込んだまま、サーモグラフィーで彼女を探す。腰に収めた拳銃の代わり、機関銃のトリガーに指をかけ】
736 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 17:58:13.00 ID:RT4l8Hhv0
>>713>>732

【愛憎の二律背反に、僅か残る理性を煮詰めたなら、後に残るのは情念の結晶】
【その塊をそのまま擂り潰し、存在にしたらきっと、彼女という存在を形作るのだろう】
【淫らに笑う、その所作の何処にも、断りなど存在しないと伝える様に】

【──、故に彼女は不条理の病魔であった、大きな瞳も、長い睫毛も、形の良い唇も】
【全部全部愛される為に作られても、それでもきっと、絶対にニンゲンを愛さないジレンマ】
【どこまでも逆説的な愛を唄ったなら、欠片ですらも伝えられない】


────? 浮気なんてされないよ、だってボクと鈴ちゃん以外に生命なんていらないもん
鈴ちゃんが戻ってきたらね、まずはそうしなきゃ、そうじゃないとまた離れ離れになっちゃうでしょ?
やーっぱりニンゲンってバカだよね、自分のスケールで物事考えちゃうんだから

殺せればどうでも良いって、発想が既に獣だし、他にまともな脳の使い方してないの?
まぁ、いいや、ボクもそう思うよ♪ ニンゲンなんて、殺せればどうでも良いし
うらむんなら自分の弱さをうらみな、能力がばれたら御仕舞いなんだからさぁ──♪


【エネルギー弾が放たれる、巻き上がる排煙が、彼女にも伝わって】
【──しかし、黒鉛が晴れるにつれて、その表情が強張った、そこに直撃した筈のパグロームはおらず】
【回避された、しかも、何か良く分からないロボットが出現して────】


……ねぇ、何処から来たの、それ──、ピンチのときに救援だなんて、萎えるんだけど
どっから呼んできたの、ってきいてんだけど────


【苛立ちを隠さず彼女は言った、一つ、また一つしたうちを重ねて】
737 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 18:02:23.75 ID:B29byw680
>>730

そっか、かえでちゃんは……

【自らの意思で──】
【懸念した、何らかの強引な手段で信仰させれらたようなことはないらしい】

そんなに嫌かな?この世界
まあ、いろいろあるか……
でも、わたしはどっちかが果てるまでなんてつもりはないよ

【リオシアの本来の目的は幹部を殺すことではない】
【傷を負い、ひざを着いたケバルライを確認してから】
【浮かぶ床に乗っている生贄達に声を掛ける】

ねー!そこから降りる方法、知ってる人居ない?
やっと逃げれそうなスキが出来たよー!


738 :アレクサンデル・タルコフ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 18:02:53.54 ID:YdnfFM3ao
>>726
【暗い表情の空よりもなお暗い、この地下空洞。頭上に見える大聖堂からの激戦の音がここまで響いてくる】
【それに比べて、ここでの戦いは何とも泥臭く、それでいてシャープな応酬であった】
【強盗と司祭。形は違えどそれぞれの職。強盗は取り返すために。司祭は遂行するために】
【目標は真逆なれど、やることは同じ。結局は、その手に握った暴を振るうしかない】

なるほど。今この世界を愛する方とは、我々は到底相容れないのは道理ですな
我々に言わせれば、見切りをつけているのではなく、あるべき姿に返すためなのですが……

貴方の反逆/ロックが、果たして神にどこまで通用しますかな?

【言葉の投げ合いもまた、戦い。義憤に溢れた強盗の言葉を、狂気に染まった司祭の言葉が迎え撃つ】
【どこの誰とも知れぬ敵に、自分たちの使命の核たる神を奪われようとしていることに、憤りではなく使命感すら抱きながら】

いいえ、神です。この世界の理そのもの、ウヌクアルハイ様です
崇め奉るのではなく、ウヌクアルハイ様のために我々は動き、ただ粛々と職務を果たしているのです

消えなどしません。元に戻るのです

【狂った司祭に言葉は通じても話は通じない。だが、銃弾はきっと通じる】


素晴らしい。魅力的なパートナーをお持ちなのですな
ですが、直線的な弾道のみで蛇は捕らえ切れませぬぞ

【にたりと笑う司祭の祭服が闇に溶ける。右腕の蛇を通じて伝わる敵の命の感触】
【だが、それもひと時のこと。サブリナの放つ弾丸は、強盗に切り開く道を指し示す】
【右腕の蛇が雲散霧消し、ロッソを解放する。死角を極限まで削った目は、司祭自身すら捕らえ切る】

く……!!

【その身を銃弾が掠め、穿ち、さらなる鮮血が垂れ流される】
【だが、それでも接近の有利は譲らない。まだロッソの動きは鈍っている】

【司祭の口が開き、裂けた舌が露わとなり、その奥が強く発光し。手足を形成していたエネルギーが、弾となって吐き出された】
【ロッソの正確無比の魔弾には遠く及ばない飛び道具。しかし、この距離ならばそれなりの威力をもって攻撃できる】

【エネルギー弾の狙いは鳩尾。まともに喰らえば、そこを殴打されたかのような衝撃を受けることだろう】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 18:04:55.14 ID:s9RVxvhA0
>>727

「ぐッ……」

【口の中に血の味が広がる】
【それを呼吸と共に吐き出す】
【吹き飛ばされた後に、そのまま地面に投げ出され】
【そして】

「冗談では……」
「冗談ではない!」

【術式構成開始】
【展開『風刃結界』】
【此方に向かう蛇の骨、これを巻き込む形でツァリエルの周囲に風の刃で構成された壁を展開しようとする】
740 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 18:07:53.12 ID:rW2LOlMS0
>>734

【大量の血肉を握りつぶした布はやがて、ぺいっとその中身を吐き出してしまう】
【ひとかたまりになった、ブッチャー君たちだったもの。それを捨ててしまって】
【――もう一度広がったときには、何故か全然汚れていないのだ。血の一滴すら、吸い取っていない】


「なったわよ。わたしの遣り方、教会のイメージを損ねるんですって。
 だからばっさりクビを刎ねられちゃって――拾ってくれるような人、『あの人』しか、いなかったから。
 しょうがないのよ、しょうがない。わたしだって嫌だって思ってるし、きっと『あの人』だって嫌だって思ってるわ」

「――――――こんな伴侶、持ちたくないって。思ってるはずだわ、ねえ、……面白い話だと思わない?」


【けら、と笑った。ただし口元だけ。真っ暗い瞳はちっとも愉しそうでもなんでもなくて】
【ざーっと周囲を見渡す。ブッチャー君たち、あとどれくらい残ってるかな、みたいな】
【……大した数じゃないんならもう、ふっと踵を返してしまうだろう。あまりにも簡潔な動作で】
【あとはそこに座ったまんまのお嬢さんによろしくどうぞ。して、……夫を探しにふらふら歩いて行ってしまう】

【あまりにも舐め腐ってる動作だった。隙というか、それ以前の話――戦場で見せるような姿勢じゃない、こんなの】
741 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 18:08:21.39 ID:VXFCbz/50
>>729

【血に塗れながらの行軍。傷だらけになりながらも血路を往った果てに活路は開けた】
【弾幕を踏破した末に行き着くのは雪の様に儚く、見目麗しい西洋人形の様な狙撃手。その狙撃銃】

【廃教会に轟いたのは幾何学的な軌道を描く弾幕と稚拙ながら貪欲に絶命に向けて走る白銀の凶刃のぶつかり合い】
【大音量のオーケストラの末。響き渡るのは狙撃銃とマチェットが衝突し、鍔迫り合う音。命を寄越せと執拗に要求して】


つくづく、子猫なんだね。この愛玩動物め。あいにく私は刺す方でね、刺される喜びなんて生まれてこの方味わったことがない。
それに、アンタの思い描く喜びと私の思い描く喜びが一緒だと思うなよ―――ッ!


【方や歌劇の様に優雅な振る舞いを裏付けるような妖艶な瞳。方や茨の道を切り開いて痛苦と使命にて傷物となり血走る瞳】
【鍔迫り合いの最中、あらゆる意味で相反する双眸が重なりを見せたのち、均衡は崩れる。マチェットが狙撃銃が弾き飛ばしたのだ】


――はッ、もらったぁぁあああああああっっっ!!


【好機到来。カチューシャは今無防備だ。血肉を散らして活路を拓いた甲斐があった】
【あとはこの手に握られた刃でカチューシャの命を喰らうだけだ―――!エーリカは降りぬいた勢いを殺さぬように】
【体を翻しながら。その勢いをも利用して力の限りカチューシャに向けてマチェットを振りぬいた】

【鬼気迫る。まさしくその一言に尽きるエーリカの表情。それはカチューシャも見る事ができるだろう】
【この一瞬の攻防で、エーリカの顔を隠していたフードが外れていたから。この時初めてエーリカの素顔があらわとなる】
742 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 18:08:50.98 ID:RT4l8Hhv0
>>737

【リオシアの思惑とは裏腹に、生け贄達は口々に無理だ、と伝えるだろう】
【正確に言えば、床には七本の赤い光が伸びている──、これを何とかすれば、いいのだろうが】
【ケバルライも長々とひざを着いている訳でもない、ゆっくりと立ち上がり】


内側からは外側は覗けない、観測者になって初めて、私達は知覚してしまった
──、それが更なる絶望の始まりとは知らずに、ね──。ふふ、私としたことが
どうやらキミには饒舌になってしまうようだ、リオシア

──、それはキミの性質に依るものだろうか、どうしても殺すつもりになれない
キミにとっての死を定義しなければいけない、と、そういうことだろうが
嗚呼、それならばそれでいい、私は私の意志を以って、キミを殺めるのだから


【ゆったり、と幽鬼の様に両手を垂らし、その双眸をリオシアへと向ける】
【左腕と全身の傷、蓄積した傷は決して軽いものではない──、が】
【一つ、呼吸を置いた、纏う空気が少しずつ変容していく】


──── "Death Unlimited"


【再びケバルライの周囲から蛇が出現する、一直線に放たれる蛇は槍の如く】
【リオシアの腹部を貫かんと、その蛇は突進するだろう】
【──、僅かに雰囲気が違う、用心に越したことはないだろうが】
743 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/23(土) 18:12:18.88 ID:xPZ7LQKr0
>>733
――知るか。知ったものかよ。嘆きが聞こえる。恨みが聞こえる。
殺されたお前たちの怨嗟の声もまた聞こえているよ――。だがそれでも。
お前たちの在り方を。"私達"は認められない。

【儚の瞳に狂熱が乱舞する。――無数の遺志が混ざりあった混沌とした瞳だ】
【彼女の意志に同調し、力を貸している魂はおそらく――ここまで付いてきた、蛇教の犠牲者の魂なのだろう】
【そして。彼女はまた、迫害された蛇教の民たちの声や意志も聞こえている。そしてその上で、潰すと決めたのだ】

【布石たる岩の散弾は、相手の同じ一撃によって相殺。砕きあう力の衝突は、辺りに轟音を響かせる。】
【そして、本命たる彼女の白の一撃。――それに呼応する、無知の一閃。衝突】

――っグ……ッ!!"打骨"ッッ!!

【衝撃を受けたその瞬間。理解した――この女もまた、圧倒的なまでに強大な敵だという事を】
【衝撃を受け止める為に、右の腕を更に振り抜き、刃で鞭を受ける。しかし、鞭の軌道は剣のそれとは違う】
【彼女の背に回り込むようにした軌道は――彼女の背を叩き、地面に彼女を叩きつけて、大きな轟音と共にめり込ませた】

っガ――ァァッ゛――ッ!!

【獣の如き咆哮。それは苦痛からか、一歩届かぬその無力さの無念からか】
【背の骨と肩甲骨が砕けた感触が有った。だが、意志は有り、遺志はある。故に】
【ぶちり】【ぶちり】【ぶちり】【ぎちり】【ぐちり】【ぶち】【ぐちゃ】
【装甲が歪み、彼女の内側に骨の楔を叩き込む。それによって無理やり骨を固定し、背骨の代わりに体を支える芯を生み出した】

【ゆらりと立ち上がる】【彼女のめり込んだ大地の裂け目からは、黒の焔が吹き上がる。 そして纏う】
【黒の焔。蜃気楼。焔からチラリと見える白い装甲。低い唸り声のようなうめき声】
【相手に目が見えていたのならば。その姿は正しく、怨念そのものであっと言ったかもしれない】

まだ。まだだ。まだ終わらない。まだ遂げていない。まだ終わらせない。
お前たちが背負うように。私もまた、私達を背負っている。

故に――"骸よ狂え"。

【怨念は狂気となった。――相手が耳を頼りとしていたならば、それは頼りとならないかもしれない】
【足元から無差別に吹き上がる爆豪の焔柱。そして――】

ッガ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛アア゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛―――――ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛――――――――――――ッ゛!!!

【遺志と意志の中から凶暴性と憎悪だけを抽出して生まれた――"狂熱の慟哭"が、周囲を染め上げたからだ】
【体制は獣に等しい前傾のそれ。彼女の存在していた座標は砕かれ、速度が引き換えに生じる】
【その速度の用途は対象を屠ることにのみ行使され得るモノ。即ち行動は接近。限界を超越しうるそれは、最早移動の音などとは言えない音を引き連れて行われる】
【自らの肉体を焼き尽くしながら行われる、右拳のふり被りからの振り抜き。それが防がれれば、次は左の拳が追従する】

【――全てをかなぐり捨てて、強者に対して己自身を賭金としての捨て身の全力。これが、これしか――彼女の勝ち筋は存在しない】
744 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 18:13:35.24 ID:BVsbpQZQ0
>>715

【捨て身の蛇の攻撃。と思ったのに、攻撃したのは、明後日の方向。自分の方向とは、全く違う。ミスによる自滅か?】
【呆気に取られていると、―――柱が倒れてくる。ああ、狙いはこれだったのか!一瞥すれば、自分の方に倒れてきているのが分かる。】
【倒れる方向を制御するなんて、器用な真似をする……!当然、彼女は、回避をしようとする。柱の回避自体は難なく出来る……が】

―――な、っ

【回避を狙っての攻撃までは、流石に受けきることが出来ない―――!不意を突かれた彼女、流石に回避の後の回避は間に合わない!】
【回避が間に合わないと判断するや否や、本能的に背を向ける。腹部や頭部を護る為の、咄嗟の判断。しかし】
【回避できないという事実には変わりなく、背中に強い衝撃を受けて……弾き飛ばされる。二度、三度と体が弾んで地面に打ち付けられて】
【そのまま、数秒。地面に伏して、動かなくなった。――――かと、思いきや。ピクリと動く。やがて、体を起こし―――】

―――っ、ふふ。言いましたね?
白神鈴音がいると主張するから、殺す。ウヌクアルハイという神を信じるのに、白神鈴音がいると不味い。
それが理由……ふふっ。―――「聞き出しましたよ。」

【―――にやりと笑った。ダメージが無い筈はない。現に、まだ立ち上がれずにいる。けれど、不敵な笑みが歪むことは無く】
【やがて、立ち上がる。おぼつかない足取りなのに、今にも倒れそうなのに、不思議と揺るぎない雰囲気を纏い―――】

―――答えよう!白神鈴音は、私の友だ!かけがえのない、友だ!神なぞではない、友だ!
私は、大切な友に会いに行く為に戦うのだ!ああ、そうだ。この程度の痛み、友に会う為なら物の数でもない!

お前がどれだけ白神鈴音を否定しようとも、私が彼女と重ねた時間が消える事はない!
私がいる限り、白神鈴音の存在は消せない!お前の意思無き言葉なぞに、消されはしない―――!

【毅然と、叫ぶ。主張する。動揺と共に発せられた大男の叫びすらも、かき消すかのように。腹の底から、声を出す。】
【信念とは何だという問いの答えがあるのならば、まさにこれが彼女の答えだろう。其処に宿る信念は、揺るがしようが無く】
【―――そして、同時に光の球が彼女の手に収束して大きくなって、貴方に向かって放たれる。速度こそ速いものの、一直線で】
【回避しようと思えば、出来なくはないだろう。……余談だが、その光球は聖の力を凝集させたような物。高い熱を持つのと同時に】
【邪教の術ならば、反発しあって浄化しても不思議ではない……かもしれない。】
745 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 18:15:24.48 ID:B29byw680
>>739

ちっ!

【厳島の能力が発動し、蛇が到達する前に風の壁に囲まれる】

風を操る能力者か?
冗談じゃないのはこっちの台詞だよ。やるじゃないか
それは軍で習うのか?
それとも固有の能力?

【探るように言葉を投げかける】
【余裕な態度は崩していないが──能力の詳細がわからない以上は手出しできないようで】
【厳島の出方を伺った】
746 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 18:15:50.86 ID:RT4l8Hhv0
>>741

【──、ほんの刹那、呼吸すらも出来ない、瞬きよりも薄い一瞬】
【彼女は身を翻す、致命傷を僅かに避ける最低限の所作】
【マチェットが皮膚を裂いた。肉が抉れ、血が飛び散る、──柔らかい肉に刻まれる刃の感触】

【彼女の身体が仰向けに地面へと投げ出される、流れ出る血が、白いコートを濡らして】


……っ────ああ、素敵よ、素敵ね……ねぇ、お姉さま
お姉さまは……んぅ、気高い方、なのね、私の様な身を鬻ぐ夜鷹ではなく、て……
ふふ、分からないの、分からないわ、私にはそんな風に、気高い生き方なんて

……でもね、私は間違っていないとも、思うの、──雌としての生き方を、否定できないの
何れお姉さまも家庭を持つのかしら、子を産んで、女はやがて、妻になり、母になる
それは、女の喜びよ、喜びなの、それを否定できない、から


【両腕を投げ出して、彼女は地面に寄り添う、それでもどこか儚い視線は崩さずに】
【あらわになった素顔を彼女はじぃと見ていた、それはまるで、殺される前の愛玩動物に似て】
【微笑む────、その暗示だけを静かに残して、貴女へと向ける】


……ねぇ、お姉さまは、私を殺すの? 童にするように、あっさりと
私の首を落とすの、それとも、淫らに無残に、この胸に刃をつきたてて
私は何度もいやだ、いやだ、っていっても、かまわずに────


【殺すのかしら────?】
747 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 18:16:33.54 ID:YdnfFM3ao
>>731
【エンジン男は少年の怒りにさらに罵詈雑言を叫び。二つ頭どもはゲタゲタと邪悪に笑った】
【だが、自分たちの首領に穴をあけられて、その声も止まる。敵意が膨れ上がる】

【それでいて、すぐには仕掛けなかった。この三つ目の大男が、自分たちの首領が】
【自分自身すら囮に使うことを厭わない存在だと、知っていたからだ】

【美しく気位が高く、それに見合った実力を持つ少年に対抗するは、醜く下劣で、手段を選ばない盗賊どもの泥臭さだ】


【ピアス男を伏兵に選んだのは偶然であったが。少年にとってゴミを操るこの男の能力は、少年の精神に最悪の相性を持っていた】
【踏み台にされた大男が更なる苦鳴を上げる。だが、三つの目玉は少年を追う】

【他の異形どもも同じ。先ほどと打って変わって汗に塗れ、顔色を変えた少年の見せる弱みを冷徹に突こうと】
【その足先に光が集約している、その光景を見る。三つ目の首領を中心として繋がった思考が、答えを導き出す】
【強力極まりない異能だが、それだけに弱点も分かりやすい。一長一短。その力を振るうに、まだ少年は幼く。それを容赦する盗賊どもではない】


〈おら盗賊に隙見せたなてめえこらあああああああああああああ!!!〉
『おら、落ちてこい!!』 「とっておきを見舞ってやろう」

【二つ頭が泥の球と砂の刃を次々に空中に放つ。少年の胴体や腕、顔を狙っての飛び道具】
【砂の刃は早いが、威力は低い。泥の球は遅いが重い衝撃を受けるだろう】
【少年の潔癖ならば、泥の方に意識が集中するはず。そこを狙って、エンジン男が動く】

【恐るべき腹圧で口から噴出されるは、鉛色の細い含み針だ。少年の首めがけて飛ばす】
【まともに喰らえば、その細い首に異物が突き立つことになるだろう。本当に、なるべく傷つけずに仕留めるつもりらしい】
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 18:22:34.60 ID:s9RVxvhA0
>>714

「生臭、情欲、大いに結構!!」
「何故いけない?何故悪い!?」

【血液を周囲に散らし乍ら、あるいは血だまりを大きく形成しながら】
【そう、叫ぶように二人に答える法師】
【もはや、この二人の読み通り、この人物は見かけだけの僧侶】
【仏に仕える身と言うのは、あくまでほんの、見かけだけに過ぎない】
【倒錯した信仰、狂った信念、それがこの人物の姿なのだ】

「――ッ!?」
「これでは、最早、抱くことなど出来ないですな……魔の姿か?差し詰め、魔獣ですか?」

【ラベンダー色のカバの様な獣、腹部には一対の触手】
【まさに魔獣、人造兵器たるその姿ケルベロス・フォースに、さしもの法師もたじろぎ乍ら】
【しかし……】

「ならいい、いいでしょう」
「その姿何処まで維持できるか、やってみますか?」

【術式の構成は終わった様だ】

「ノウマクサーマンダーラバザラダンカン……」
「焼き尽くせ、我が信仰の仏敵を……」

【次の瞬間法師の前方に、巨大な翼、いや、黒い焔の巨大な不死鳥が出現する】
【焔を散らしながら、翼を羽ばたかせ、魔獣と化したラベンダァイスに向かって飛翔、真っ直ぐに向かって行く!】
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 18:23:33.69 ID:l87sBOYx0
>>724

【蝶が放った風刃を消し去り、槍を再度構える】
【彼女の顔に稀有さが増す、恐らくこちらを解析しているのだろう】
【此方の槍を見ているので言う、この槍は銀鋼を6Kg使って創ってるんだぜ、と】

戒めだ……この愚かな男の自己満足だ、
アイツは綺麗だったよ…物凄くな……
俺は過去の罪を償う為にこうして戦うんだ、

俺の脳髄は難解だぜ?果たしてお前に解読出来るかねぇ?

【また新しい蝶がこちらに近づいてくる、毎度お馴染みの星屑をまき散らしながら】

ふっ、世界の理を知ったらもう探究できねぇからつまんねぇだろ
へー俺あんまりそう言うのわかんねぇから、
はっ!俺は死ぬときは酒を飲みながら死ぬって決めてるんだ

【先程の蝶がこちらに近づいてきて、貴方を切り裂こうとする】
【見ただけで分かるこいつはさっきまでの蝶とは違う、と恐らく此方の槍の威力に近いだろう】
【ふむっ、此奴は槍じゃ厳しいな。ならば、と思い⦅dense Defilement⦆と言う弓を創り出す】

槍で無理ならっ!弓でやるまでよ!!そらっ!

【セアンは風刃が当たる前に跳躍し上空から、無数の矢を放って蝶を地面に縫い付ける】

750 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 18:23:57.78 ID:Xgr13xPl0
>>738

これがあるべき姿なんだよ。愛があって憎しみがあって、ろくでもなくて、美しくって残酷で…

―――――神に届かなくたって、あんたらから鈴音を取り返すのには十分だ。
いくらでも聴かせてやるぜ、3コードの8ビートをな………ッ!


【正義の味方のヒーローなんかにはなれないってわかってた。だが、悪役にもなりきれないって思ってた。】
【ロックンロールを愛したやつは皆、そうだろう。だが、どっちかって言われたら俺はやっぱり正義だったのかもしれない】
【正しいなんて思っちゃいないけど。身近なものを命がけで守ろうとするのは――正義だった】


言ってろ。それか、他の信者のように静かに眠りにつくことだな。子守唄はラモーンズを聴かせてやるぜ


【銃を撃ちまくって、蛇の拘束から解き放されると、その場によろけながらもなんとか彼は立っていた。】
【息は荒く、額に汗がにじむ。銃弾から敵を捉えた感触がサブリナを通して伝わってくる。目で見るまでもない。だが、“目は見せる”】


―――クソッ!!まだ持ってやがったか!!


【目はぐるりと見渡した、だがまだ蛇がまとわりついているかのように体は動きそこねた】
【銃口を奴に向ける。何発か撃ったが、そのエネルギーにかき消され、司祭には届かない】
【エネルギー弾は、チンザノ・ロッソの体を捉えた。激しい衝撃と閃光が彼の目を眩ませる。その目の弱点は光だ】
【薄暗い地下では彼のほうが有利だっただろう。しかし、強い刺激は人よりも敏感で目を一時的に使えなくさせる】

【急所に入った攻撃は人間の生理反応で体をもこわばらせる。完全な好機が。司祭のもとに訪れた。これこそ神のご意思だろうか―――――】



751 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 18:25:58.04 ID:RT4l8Hhv0
>>743

【────ミサは唇の端を噛む、狂人め、と思う言葉を隠して】
【彼女もまた、彼女なりの理論を以って戦いに赴く、それでも、ここまでの──】
【ここまでの執念は持てなかった、或いはまるで、妄執と呼ぶべき────】


……平行線ですね、貴女と私は永遠に交わらないと、今のではっきりしました
私は野蛮人ではありません、言っても分からぬ獣には鞭を、従順な犬には飴を、と使い分けるつもりでした
──けれども、貴女は最早獣ですらない、ただの執念です、……怒りに身を焼かれた、哀れな屍です

それは最早災害と変わりません、ええ、私はそう、思います────!!


【間髪入れずに相手が銃弾の様に突進してくる、攻撃の予兆は読めた、けれどもその全ては伺えない】
【捨て身の攻撃に彼女は対応が遅れる、何故こんなにも、己を捨てて戦えるのだろうか、と】
【或いは、そう、或いは────、最早己等ないのかもしれない】




────捨て身の戦いは見事といいましょう、けれども、そこに理性が無ければ無謀で、無策
私の "Lost Prophets" は忘却の能力、誰も彼も、己の力を信じなければ
────そう、信じなければ、ならないのですから



【彼女の身体が消える、否────、正確には、空中にふわりと浮かび上がる】
【体重を忘却させたなら、彼女の体重はいま羽毛と同じぐらいの軽さであった】
【高速の貴女の一撃、巻き起こす風もかなりのものであった、故にその風にのって、彼女は回避する】

【虚空へと躍り出て、後方の地面に着地する────、相性もあるだろうが、この勝負、分が悪いだろう】


/剛太郎さんの方へ! このレスに返信する形で乱入していただけると助かります!
752 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 18:27:36.27 ID:ojuNPaGo0
>>710

【接近、斬撃――――相互の“軽減”。肩口から鎖骨に亀裂を刻まれ、己もまた刃を叩き込んだが】
【あまりに浅い――――即死を避け致死に留めるはずの斬撃であったが、それにつけても齎された破壊は期待に比べ、ごく僅少だった】
【軌道を読まれたのだ――乃至は知覚から対応を間に合わせられた。練達の手管は想像を絶する域で生存の術を掴み取り、こちらの目論見を外してのけた――。】


――――く、ぅっ……!?

【瞬時の理解にすらも遅れずに、異形の腕が女の傷口から延びる。斬撃の慣性を残す躰は、それを回避しきれず左の手首を掴まれて】
【漏らす声は、苦痛のためか苦境のためか。肘を入れて抉り潰すように体重をのせ、脱出を図るも――――全ては、既に手遅れだったのだ】

【死の音が響く。肉が穿たれる。降り注ぐ銃火に外套が裂け、ばらりと艶やかな黒髪が零れる。血に染まる黒衣、揺らめく体躯、】
【女と同程度の体格が、風に吹かれる木の葉のように乱打に苛まれる】
【至近距離から溢れる血臭は、仄かに花と果実の香りを包むようで。清冽な気配と柔らかな肉は――きっと、隠されずとも何の意味もなかったのだろう】
【弾数の限界まで放たれるであろう四秒弱の連撃は、やがて、砂漠の太陽にも似た灯りに迎えられ、】

【――――――――その熱は、天を灼かんばかりの熱波を渦巻かせて苛烈に爆ぜた。】

【衝撃と熱が蛇教の女を襲うだろう。膨れ上がる熱に気付けたなら、寸前で距離を空け、滑らかな肌を熱風が撫でる程度に留まったが】
【黒衣を焼却しながら露わになる姿は、いっそうの意志力を滾らせて戦意を示していた。それこそが、何より悍ましい一撃≠ナあった】

【腰までの黒髪。熱波の中心にあってなお月光のよう、澄んだ耀きを放つ白磁の肌。】
【橡色の双眸に宿る精気は、櫻の少女の容貌に、同国の刃にも似た完成
【けれど右の脇腹に数発を受けた弾痕と。それ以上を許さず灼き尽くした代償たる、焦げた藍色の櫻の日常の装束は】
【蛇教の女の策の成果と――己を標的に火焔の異能を操り、さらなる消耗を代償に、己もまた生存を勝ち取ってみせた覚悟を顕す様だった】

/続きます…!
753 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 18:27:55.57 ID:ojuNPaGo0
>>710

【溢れる鮮血は火砕流に可燃物を投じたが如く燃焼し、殺到する弾丸を瞬時に気化させ熱風に乗せて押し流した。】
【その判断の手掛かりは、女の言葉にもあったのだろう】
【ホローポイント=\―変形を前提に設計される弾頭において、鉛以上に適格といえる素材もそうはなく。】
【特別な呼称を欠いたことも、その弾頭の特性にこそ殺傷力の中核があるという推測を後押しした。よって、理性と意志で下す判断が絞られる】
【焼却し、流れを己が手に引き戻しながら次手に繋げよ。この会話に至るまで身を灼き続ける熱さえも、覚悟にくべて状況を破壊しろ――――。】

【命を賭けて、明らかに寿命を削りながら迸る焔。邪悪を滅ぼすことを定められた無慈悲な焔のよう、纏いつく夜気さえもその視線が滅却して――――、】


……仕事だと言ったわね、蛇教の走狗――――なら、その誇りの拠り所はなに?

貴女の戦いにある理由(もの)が何であれ。
あの蛇≠ノ脅かされる全てより重いというのなら、この命を砕いて進んでみせろッ――――
私は――――――――ただそうであるというだけの何者かに、譲れる理由≠ネんて持ち合わせていない――――ッ‼

【ただの狂信ならば、是非もなし。かの蛇神に捧げられる“世界”にあるひとりとして、斬り刻み尽くして迎え撃つのみ】
【けれど何かに縋るのでなく。自らを恃み、自ら戦う者――――だから、あの状況でなお全霊を尽くせた?】
【そんな風に思わせるほどには、先の攻防にある覚悟は凄まじいものだったのだ。闘争を通じてこそ理解できるなにかが、もしもあるのなら――、】
【斬り破らんとする覚悟を揺るがせぬまま、己に刻み込もうとするのだろう。きっと傲慢で、きっと悪辣で】
【それでも、そうすべきだと思ったら躊躇えない。そんな、突き進むことばかりが得意な“命”(もの)として】

――――はぁああッッ――――――――‼

【熱風を纏う灼熱の刃が、――距離が開いたならば純粋に速力を向上させた接近を経て――至近距離から右脚の傷口へと抉り込まれんとした】
【片脚を物理的に破壊し尽くし、直立を至難とすることを目論む様に。叶うなら、そこからの派生さえも目論む様に】

【純粋に異形の腕を延ばす異能ならば、増設でその損傷を補うことも可能だろう。或いは傷口から反撃のため、新たな攻撃手段として生やす手もあろうが――】
【何れであれ、炎熱を帯びて己が身さえも灼く肉体に挑まざるを得ない状況が残る。消耗は激しく、もはやこの一戦に全てを注ぐことは必定となっていた、が】

【そんな程度で妥協ができるまともな神経を、切断者≠ヘ持ち合わせない。今なお己が信念に支えられ、兇器と成り果てながら“目的のため”、全霊を捧げる】
【その意味する所は、この少女の戦いを識る者には好機をも意味したのだろう。けれど、】

【互いが互いを識らぬことが、切断者にこの瞬間だけは味方した。誰かが想定した範囲の闘争ならば、想定した者こそが優位に立つ――それはただの必然】
【ならばこの先の戦況は、互いに得た手掛かりと、それを如何に勝利に繋げられるかなのだろう。全力の闘争は、其処にあった】
754 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 18:30:02.69 ID:B29byw680
>>742

うー、無理なの?
じゃあなんとか飛び降りてもらって……それも無理だよね
他には、赤い光……1本はここに、6本はどこか遠くに伸びてるけど……うーん

【生贄を前に悩んでいる間に、ケバルライが立ち上がる】

わたしを助けてくれた人が、悪い人でも殺しちゃだめなのだよって教えてくれたからね
だから殺さないよ
あれ……ケバルライさん、そんな喋り方だったっけ?

【蛇が突進してくる】
【最初の攻撃と同じならば、腹部を硬質化させて受け止めれば大丈夫だが】
【──嫌な予感がした】
【身体では受け止めず、硬質化した両手をクロスして受け止める】

755 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 18:31:12.16 ID:RT4l8Hhv0
>>749

【曲芸師の様に次から次へと武器を作り出すセアン、錬金術師の名は伊達じゃない、と】
【プリオルは思案する、相手の攻撃のバリエーションをも考慮しながら──】
【小さく息を吐いた、この相手、一筋縄ではいかない、と】


……錬金術を用いた大量の武器の生成ね、なるほど、とても応用が利くじゃない
そうね、貴方は過去の罪を理由に戦うのかしら、だとすればそれは、感傷的ね
そうでしょう? ロマンチックじゃない、過去の過ちを理由にするなんて

──、でもそれは本当に償いなのかしら、思うが儘に力を振るう事は、贖罪と言えるの
自己満足と、償い、と──貴方の本心はどちらにあって?
……もしかしたら、思い切り力を振るう喜びに、飲まれているのじゃなくて


【地面に縫い付けられた蝶は霧散する、彼女は此処で一旦攻撃の手を止める】
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 18:31:14.50 ID:s9RVxvhA0
>>745

「能力はあくまで固有の物だ、強化位は訓練で出来るが……」
「それを知った所で、貴様に何か意味があるのか?」

【風の刃により作られた壁は、以前男の目の前に】
【やがて】

「これで、一手だ……」

【周辺に警戒を怠らず、その風の壁を分解】
【ツァリエルに無数の風刃として放つ】
【彼から見れば、眼の前から、幾つもの風の刃が殺到して来るだろう】

「(ダメージさえ与えられれば……情報は引き出せる!)」

【鈴音に近づくための情報、その貴重な第一手、尚も目的は尋問の様で】
【その作戦の意図を、失っては居なかった】
757 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 18:33:12.59 ID:rW2LOlMS0
>>732 >>736
自分の目線で測ってんのはどっちだクソ女がァ!

【どこまでも平行線の罵り合い――気が合うなんてことは、決して欠片もないのだろうけれど】
【しかし、それでも戦いには決着がつく】
【多くの犠牲を払って能力の欠陥を伝えた、マルフィクの功績も有ってか――】
【或いは、それを最善に活かした、悪意の少女の手腕によるものか――】
【兼愛信生と言う女性が己が肉体を挺して放った、エネルギーの奔流は、最悪の形で活かされることになった】

【ダメージを覚悟する。回避ではなく防御に切り替え。致命傷を防げれば僥倖――それは、目の前の病魔を相手にするには余りにも大きなハンデとなるだろう】
【ただでさえ傷付いて地に落ちた彼女には――対処は間に合わない。そう"人の身"で在るならば】


ハン、元より期待もしてねェ……が!?


【自身の身体が、急速に引力を帯びる――動けなかった男は、それに逆らうことなく抱えられることだろう】
【間一髪――エネルギー弾は、地面の石畳を粉砕し、爆風を巻き起こすが、それから逃れることが出来た】

【先程まで俄然うるさかった男が沈黙する。沈黙せざるを得ないだろう。味方であるはずの男にも、全く状況が飲み込めない】
【いきなりバイクがやって来て、男を窮地から救うと言うのは――しかし、この趣味は、紛れもなく、先程のロボットと同じ】


【男にはその意味を知らない。精々、今消え去った信生はバイクに変形できる能力でも持っていたのだろうと】
【その程度の認識しかない。知れば尚のこと驚いたことだろう】
【神を信じるでもなく、何をすればそんな狂奔に至れるのかと】


パグ……


【取り敢えず登録が必要らしい。ふざけた話だと思ったが、能力も割れている今、あの病魔たる少女と一人で戦うのは、困難を極める】
【名乗りかけた名前を途中で止めて】


"カリスト"だ。姓はねェよ。
嫁にゃあ考えろとうるさいがね。
さっきのバイクを俺がどう扱ったか知ってその言い草なら上等だ。
精々――使い潰してやるとするか、奴らを轢き殺すのになァ!!


【単なる気分だったのだが、男は本名を名乗り――そしてバイクに跨った】
【スペックも何も知らないのだが、意志が有るのなら上手く殺ってくれることだろう】
【既に温まっているエンジンを掛けて、再び少女へと突っ込んでいく】
【今度は乗り捨てはしないだろう――追突を狙うのではなく、その真横を通り過ぎるように、すれ違いざまに銃弾を放つ】
【側面――すぐに背面――銃も持っていないのにどこから?それは男の義手に仕込まれた銃器だった。人体を内側から破壊するために造られた、対人破砕弾】
【男の能力が暴かれたように、少女の能力の特性も一端は見えた――つまり、狙うならば、その艶を惜しげもなく晒した、脚だ】

【その気が有るのならば、信生も援護してくれることだろう。ミサイルに、先のエネルギー弾】
【二度もしてやられた留飲は有るのだろうから】


アーーレルゥーヤァァァァア!!!

随分なスピードだ!バイクの才能が在るんじゃアねェかあ?
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 18:33:16.56 ID:yyycwOqh0
>>735

【それは全く以って反射的な行動であった。台所で料理をしているときに目の前を不快害虫が横切った瞬間みたいに、何もかもが、反射的であったなら】
【中空に至ってようやくわずかに思考を巡らす。血が光る――本来であればありえない現象だ。であれば能力。能力ならば、それは、何を齎すものなのか?】
【――そこに至って初めて自分の行動をわずかに怨めしく思った。せめてその記憶だけは残しておくべきだった。後悔しないんだって、言ったばかりのはずなのに】

【だけどそれとこれは違う後悔だから、と。そういうことにして】

――――クソッ、

【小さく吐き捨てた。その指先が中空をつかみ取る、――正しくは、中空に現れた阻害の塊。ぎゅうと掴んだなら、勢いを殺して、自分の足で立つ】
【そのまま指先の阻害を練り上げたなら幾度目かの防壁。機関銃の威嚇射撃はそれによって防がれる。――今度は割れ砕けなかった。動揺しているのかもしれない、少しだけ】
【そこから攻撃に転じようとすることなく塞ぐことにのみ意識を向ける。続く対空砲の出現に少女はきっとその冷ややかな顔をこわばらすのだろう、――なんだ、こいつ、】
【そんな風に思ったに違いなかった。そうでないとおかしかった。――いくら少女であってもそんなものを見たことはない。けど。意味は理解できてしまうから】

――――――――――――、

【薄く透けるマゼンタの障壁越しに、同じ色の瞳が見開かれる。――そして刹那。その瞬間きっと世界は何よりいっとう静寂で満ちる、一秒が無限の瞬間のよう、感じられて】
【炸裂の音はもはや聞き取れる限界を容易く飛び越えて、吐き出される暴力は幼女に向かう男の性欲にきっと似ていた、あんまりに違いすぎた、だから】
【"それ"が齎した現実はあんまりにあっけなく少女の命を抉り取るのだろう。けれどそれで死なないのは幸福であるのか。死ねないのは、不幸であるのか、分からないけど】

――――――っ、ァ、――――あっ、ぅ、――、

【――やがて相手は少女を"見つけ出す"。衝撃に崩壊した壁に巻き込まれたのだろう、それでも"埋まって"いないのは、きっと、限りない幸運であった】
【それでもなお包帯で巻かれていた右手をトドメのように大きな瓦礫に踏みつぶされていて。転がった背中にはいくつかの破片が突き立っていた、生ぬるい血だまりが広がるなら】
【呻く声が小さく漏れるから、死んでいない。死んでいないし、意識を保っている。痛みか衝撃かにひどく震える指先はぎゅうと耳を抑え込む、ひどい耳鳴りがした】
【そしてそれはこの間右足を吹き飛ばされかけたときの比ではなく。――何より実際の被害もその通りだった。右手の感覚がない、背中の違和感に、血がぬめる】

――ちく、しょうっ、おかしい、……おかしいッ! ――どうかしてる、こんなのっ……、どうかしてるっ、クソ、クソがっ――、
クソっ――、クソ、イカれてるっ、――、殺す、っ、殺してやる! 殺す、殺してやる、――、

【――かろうじて無事であった左手を背中に回す、ぐちり、と、嫌な音で破片を引き摺り出したなら、あんまりにも簡単に血が噴きだす、ねばこい水音に怨みの声、重ねたなら】
【一つ目。二つ目。一番大きな三つ目。――その都度痛みと出血を阻害する。まだ動ける。そうしたなら――それでも一つ荒い息を吐きだす。痛くないと、分かっていても】
【――ぐちりぐちりと水っぽい音に、何かが引きちぎれるような。断裂するような。音が混じるんだろう、けれど痛まないなら容赦もなく、少女は自身の腕を瓦礫から引きずり出す】

/分割でっ
759 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 18:33:24.34 ID:ojuNPaGo0
>>710
/っと、一文>>753に抜けてました…!遅さも含めて、申し訳ないです…orz…ッ

【接近の中途で迎撃することも、当然の一手ではあって。ならばその先は、攻勢の側に有利要素を一つ増したものにはなるのだろう】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 18:33:35.06 ID:yyycwOqh0
>>735>>758

――――クソッ、クソ、もう、足りないッ、! 足りない……。足りない足りない足りないッ、――、もういいッ、もういい、殺してやる、殺して――!
お前が誰でも関係ないッ、殺す、もう、ここで殺す――! 私が殺すッ、私が殺す……、――――、誰であっても――――、

【それでも壮絶なものだった。潰れた右腕をぶら下げて、びちゃびちゃ垂れる血は無理やり能力で止血して。痛みも阻害する。全身麻酔の紛い物、睨みつけるなら】
【――"相手の予想は合っていた"。ぞろりと立ち上がった少女は足りないと呻く。呻いて――ならばそれはきっと宣言に似ていた。神託を述べる巫女より生々しく、伝える】
【これだけは本当に奇跡のようにきれいに残っている左手を頭に触れさせた、――その瞬間にきっと少女の顔の色合いは変わる、ぎりぎり、歯を噛み締めたなら】

――――――――アリア・ケーニギン=デァナハト! "今度こそ"――殺してやるッ!

【名乗られていないはずの名前。血みどろのスズランがかき鳴らされて――それが合図だった。少女の身体から吐き出されるリボンはさっきまでの比ではない量】
【数えたならばきっと五十以上にもなって、ざわざわと蠢いたなら、――けど、さっきと、動作だけは同じだった、アリアを狙う軌道。けれど、制御しきれていない】
【時々ふっと偶然に全くそうでない動きをするものがあった。――それは誤差に近くて、だけど、アリアを狙うことだけは同じであるから、性質が悪い。読めないものが混じりこみ】

【――その口元から血が泡立って溢れた。けれどそんなことさえ気づけないほど、彼女は、相手のことだけ。見つめていたから】
761 :ドープ ◆xgsUYuhzWc [sage]:2018/06/23(土) 18:35:06.44 ID:xPZ7LQKro
>>744

【膝蹴りが命中し、狡猾に、焦るようにニヤリと笑う。──大丈夫、相手はオンナだ】
【力技じゃ絶対押し負けない。魔術的なギミックの、特殊な技の持ち主だろうが】
【──そこで聞いた。マリア・シャリエールの主張を。言葉を、熱意≠】
【自分が──ムリフェン≠ェ、どれだけ否定しても。たとえ、色んなものに隠蔽されたとしても】
【彼女は居たと言った。彼女は、それを自分だけは否定しないと言った】

【咄嗟の判断とはいえ、目の前で行われる攻撃はもしかしたら何とか回避すれば、掠めるくらいでも良かった筈だ】
【でも、だけど。──】



──



【心が、確かに震えたのだ】
【よくわからないけれど──確かに、涙が、溢れたのだ】

【友、──嗚呼】【そっか、良かったなあ】
【ああ、そうか】【オマエ、ホントに居たんだな。白神鈴音=z


【何だ。──イイトモダチ°盾スんじゃねェかよ、オマエ】


【──直撃する。そこで熱が身を焦がし叫んだ。叫んだ時点で口しかしソコで歯を食いしばり、オーラを再び噴出すように纏う】
【頭が痛い。ひどく頭が痛い。割れそうだ。皮膚も肉も焼けて痛い。だけど──目の前の女性を、おざなりにするなんて】
【それこそ、なあんて自分は、大バカ者なんだろう!──そんな風に思考し、汗をだらだら垂らして唇の端を引き上げる】

……よォ、だったら……オレに、証明……して、みせな……!
テメェが、白神、鈴、音、を……取り返し、たい、のなら、
──オレと、本気で、殺りやって、みろッ!!

【にたりと笑い──さきほどよりも、皮肉めいて、感情が溢れているような笑い方だ。楽しくて仕方ないと言ったような】
【何かに抗いながら、彼は──そこで、更に錠剤をポケットから取り出した】
【一気に目の前で煽る。──大量に飲み込み、にたりと笑うと、彼女に向けて】


──行く、ぜ──耐えられるか、オレのサイキョー攻撃ッ!!

【かくり、と。一瞬、ふらついて地面に倒れこむかと思われた】
【──その直前、屈み込むような姿勢で立ち踏ん張り──ゆらり、と彼女に向けて、】
【──サングラスが落ちた。完全に彼は白目を向いている。それは──】

【──走り出す。早い。その間に彼は彼女に向け、真言≠フような名状しがたい声を出した】
【それは波動となり、アナタを吹き飛ばそうとする──まるで、さきほどの意趣返しのようだ】
【その間も早すぎる速度で迫り来る。アナタもきっと──全力を持って、迎え撃つだろう!】
762 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 18:35:20.56 ID:rW2LOlMS0
>>747

あっ、

【――――おさない悲鳴だった。サーペント・カルト、その幹部が上げるものとは思えないほど】
【あどけない、子供の悲鳴だった。……だけどそれを痛ましく思う相手じゃない、それもまた、相性の悪いことだった】
【一拍遅れて攻撃に気付く。反射的に両手で顔を覆って――そんなことしたって何にもならないのに】

【慌てて光を前方に押し出そうとした。けれど砂の刃の到達までには間に合わず、皺ひとつないブレザーを切り裂いて】
【その下の白磁の膚に赤い線が引かれた。悲鳴。痛い、だかいや、だかわからないけど、そんな感じの、甲高い】
【続く泥の球は「反発」で防げども――びちゃり。弾いた瞬間に弾け飛んで、少年の身体を汚す】
【それに対する悲鳴がまた上がって――最後に、針がやってくる。そこまで気が回っていなかった、本当に】
【だからそれらは音もなく、なだらかな肌に突き立っていくのだ。再び上がる悲鳴が、せり上がってきた血液に溺れて】
【――――ごぼ、と。泡立った音を立てて、青くなった唇から鮮やかな赤色が零れ落ちた。それで終い】
【あとはもう、着地のことを考える余裕もなくなって――少年は地に墜ちた。細い躰が地面に叩き付けられて】


…………………………ッ、…………、……ぅ、…………


【……それでもまだ死んでない、あるいは「死ねてない」。しかしそれを憐れむ人なんか居やしない、ここには誰も】
【か細い声で、それでも苦悶を表現して、痛めつけられた身体はなんとか立ち上がろうとして、尺取虫みたいに】
【頭と膝を地面に擦り付けたまま。手袋をした掌で地面を舐めて、ぐっと力を籠めて、――必死に起き上がろうとしている】
【かわいそうなくらいぶるぶる震えていた。……それは痛みによるものだったろうか、……いや違う、そうじゃない】


………………ゆる゛ッ、ざ……え゛ふぇ、ぐ……おえ、……赦さないッ、
赦さ、ない、……赦さない、赦さない、赦さない赦さない赦さない――――――ッッ


【――――怒りによるものだった。血液交じりに泡立つ言葉は怨嗟に満ちて、まだ尽きない敵意を、殺意を】
【明確に表してくるのだ。やがて、ゆっくり顔が上がる――海色の瞳は涙に塗れ、それでもぎらぎら光っていて】
【ここまで憎悪に歪んでいても、なお美しい顔だった。それが彼をここまで堕とした要因のひとつであると、気付きはしないが】

【――――――光が満ちる。煌煌と、痛々しいまでに輝いて――少年の身体全体を包み始める】
【彼の異能は、ここにきて。最大出力で敵を屠らんと考え始めているようだった――傷を負った身体がそれについていけるかは、知らないけど】
763 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 18:36:19.08 ID:RT4l8Hhv0
>>754

【────、笑い声が漏れた、嘲笑を噛み殺した様な、底意地の悪い声】
【そして取り繕うように、彼は一つ、二つと音節を置いた】
【疑念に答える様相は何処か、気だるげな色を残したまま】


言っただろう? キミを相手にすると、どうしても饒舌になってしまうと
私からすれば、啓蒙しているような趣なのだけれども、キミにはどうしても伝わらない
それは何処か悲しく、それでいて、何処か楽しいのだよ

禅問答も時には良い、知覚する以上の出来事を私達は辿れるのだから
なるほど、恩人の忠告に従っているんだね、中々泣ける行いだ
感動的とも言える、だからこそ私は────疑問に思ってしまう

──その恩人を盲目的に信じることは、果たして正しいのか、と


【蛇は硬くなった両手に噛み付く、無論、牙は通らないだろうが──】
【牙に触れた瞬間、リオシアに痛みが奔るだろう、それも強烈な】
【蛇に強く噛まれた痛みと同義であった、そんな痛みが奔る】
764 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 18:37:25.89 ID:VXFCbz/50
>>746

【マチェットを振りぬいた先に広がるのは、扇情的に仰向けになる狙撃手の姿】
【血肉を啜ったマチェットは狙撃手に突き付けられ。マチェットを揮うエーリカは険しさを滲ませつつ、視線を落とす】

【終始一貫して人を妖しく惑わすような、揺るがすような甘い声で紡がれる言葉】
【淫蕩さが絡む言葉と蠱惑的な雰囲気に、エーリカの警戒心は更に加速する。何故この期に及んでブレないのか、と】


―――……殺すわ。例え泣いて喚いて助命を懇願しても。
愛玩動物の様に振舞おうが振舞わまいが。私は私の仕事を遂行するだけ。そこに一切の躊躇いは無い。

例え私が蛇であったとしても、蛇で無かったとしても。殺す必要があるならば殺す。
ただ、アンタの理屈は記憶の片隅に残しておくよ。その理屈は過激だけど、解らなくもないから。


【頬を伝う赤色の線。肩で息をするが故の体の揺らぎ。けれど、瞳は変わらず冷徹で狙撃手を見つめ返す】
【ただ疑問が残る。なぜカノッサのナンバーズが此処にいたのか。そして死に際でこうも微笑んで居られるのか】
【考えても詮無いことに思えて。兎に角、エーリカは狙撃手の胸に刃を突き付けて――】


――さようなら。これは感傷だけれど、別の形で出会いたかった。


【愚かしくもこの時点で勝ちを確信しながら、手に握られた凶刃を狙撃手の胸へと振り下ろす】
【ただ一抹の不安、杞憂はあった。果たしてこのまま終わるのか―――と】
765 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 18:42:49.55 ID:B29byw680
>>756

櫻の国には疎いものでね……
噂に名高い魔導海軍について少しご教授願いたかっただけさ
そうだ、魔導海軍に病院船はあるのか?
私は表の世界で病院をいくつか経営しててね。あるなら何かお手伝いできるかもしれない
無いのなら、作ってはどうだ?今の時代、軍隊も慈善活動をしなければ支持は得られないだろう

【まるで商機を見つけたビジネスマンのような態度を見せる】
【そして放たれた風の刃】

使い勝手が良さそうな能力だな……

【銃弾を防いだときのように、無数の骨が飛び出して身を守ろうとする】
【しかし、弾を受けるようには行かず、風に裂かれながらツァルエルもろとも吹き飛ばされてしまう】

ぐぁっ!!

【後方に叩きつけられる。致命傷ではないが軽く傷を負ったようだ】
【同時に再び恐竜の骨が動き出し、先ほどと同じように尾を横に薙ぎ払う】
【風の壁を破るのが目的だが、動きはすでに見られているもの──対処は容易かもしれない】
766 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 18:44:44.34 ID:RT4l8Hhv0
>>757

【──睨み付ける視線はどこか滑稽で、何処まで進んでも愛らしい域を出ない】
【それがどこまでも歪であった。半音ずれたチューニングで描くハーモニーに似て】
【響くコードはディミニッシュ、解決できないディスコードを携えたままで】


ふぅん、何だか知らないけど、さ──ほんの僅か、死ぬのが伸びただけじゃん
いいよ、じゃあもう一回、あっけなく、惨めに殺してあげるからさ──!!
ほうらおいで、遊んであげるよ、ニンゲン────!!


【突っ込んでくるバイクに対応するように羽根を広げる、しかし、】
【バイクは彼女の真横をすり抜けた、視線が一瞬右にそれて】
【放たれる銃弾、仕込まれた銃器の一撃は、彼女を以ってしても知覚に時間がかかった】


っ────!!! ああああっ……ぅぅ────んぅ……!!!
ったいなぁっ……、なにこれ────!!


【銃弾が右足を貫く、前に投げだされた少女は言葉を零しながら、赤い跡を橋に塗りたくる】
【うずくまったまま軽く顔を上げる、病魔だからこそ、それなりに耐久力はあるのだろう】
【立ち上がろうとして痛みに苦悶する、絶好の好機であった】
767 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 18:47:18.33 ID:rW2LOlMS0
>>740
《異形ノ私ニコンナコトヲ言ワセルナ……貴様ハ、話ニナラナイ!》

【潔癖症なのは夫婦の共通点なのか――血の穢れなんて一滴も存在していないと言うのに】
【彼女は一瞬で、その場のブッチャー君達を一掃して見せた】
【まずい――彼女の相手は有象無象が何人いても歯が立つまい】
【幹部か、そうでなくても能力者ではなくては】

【と言うか目の前の異形を見ても、路傍の石を見るみたいな目で見て、妻としての愚痴を吐く彼女の姿は一種異様ですらあった】
【女は、アルジャーノンに手を出さなかった。どうでも良い、みたいな対応だった】
【フラフラと、夢遊病者のように去っていく後姿が、余りにも無防備だったが】

【それを追撃するなどできるはずもなかった】
【彼女が去った後に残ったのは、同じく茫然としているであろう、真紅の少女】
【邪魔者はほとんど消えてしまったから、この場を離脱することは容易いだろうし】

【散々やってくれたこのナース服の女を仕留めることにも、然したる時間も取られないだろう】


《災害ノヨウナ女ダ――ダガ、シカシ、時間ハ十分ニ稼ゲタカ?》
《随分ナ有様ニナッタガ――無力デモ無駄デモ行クナラバ、モウ止メル術ハ、私ニハナイ》
768 :剛田 剛太郎 [sage]:2018/06/23(土) 18:49:52.54 ID:0iDqkX17o
>>ALL

【――――突如、戦場の全てに、敵味方を問わず怒号がスピーカー越しに響き渡った】


――――――――…聞こえてるか"サーペント・カルト"のクソ野郎共ォォォ!!!よく聞けェッ!!!


【その戦場に轟く怒号の音源は、今まさに六角形の特徴的なフロントのバイクにまたがりエンジン音を鳴らしながら猛スピードで疾走していた】

【走りながらメガホンをもって叫ぶのは若い青年だった――柑橘系の甘酸っぱい香りが漂う整髪料で整えた茶の短髪、真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【水色の質素なシャツを白い柄シャツの上から羽織り、腿や脛にダメージがはいった青のジーンズに赤のスニーカー】
【背は結構高めで推定180cmほど、その肉体は鍛え上げられており、首には赤いマフラーを巻いているのが特徴的な年若い青年だった】

【そして、彼の駆るバイクのフロントには首に複数の鍵をぶら下げた茶色いトイプードルが顔を出している】


【乱入者は若い青年だった――柑橘系の甘酸っぱい香りが漂う整髪料で整えた茶の短髪、真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【水色の質素なシャツを白い柄シャツの上から羽織り、腿や脛にダメージがはいった青のジーンズに赤のスニーカー】
【背は結構高めで推定180cmほど、その肉体は鍛え上げられており、機敏に動き『狂信者』たちを叩きのめすには十分な説得力がある】
【首には赤いマフラーを巻いているのが特徴的な年若い青年だった】

【そして、彼のすぐ傍には首に複数の鍵をぶら下げた茶色いトイプードルがいる―――】


お前たちの主義主張!掲げる正義!!正直俺はまださわりしかわかってねえ!!
大事なモンなんだろうって事はわかった!でもな!!そんな事はお前たちがやった事の正当化には何一つならねえ!!
生きたいと思ってた人の命を惨たらしく踏みにじりやがった事を!!俺は絶対許さねえからなッ!!!


葉隠流、剛田 剛太郎!!さっきもお前たちのアジトの一つを叩き潰してきた!!
今から俺はお前たちに宣戦布告する!!――――つまり、全員!俺一人だけでも!ぶちのめしてやるからなァァァ―――!!!


【いつになく、整った容姿すらも大きく乱しながら剛田 剛太郎は怒り狂い戦場中に轟く怒号を振りまく】
【口にするのは宣戦布告―――今ここに、邪教に挑む男がまた一人!!】

【そしてまず剛太郎が目にするのは、すでに交戦中と思われる者達>>743>>755―――接敵!】

/続きます
769 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 18:49:55.76 ID:RT4l8Hhv0
>>764




【──── 駄目ね、と彼女は言った。それは何処でも艶やかな音律で】





   会う事に遅いも早いも無いの、最初の出会いが最悪なんて、艶事には良くある事だから



       あいにくと、私はまだ死ねないの、──私は私の愛を、果たしてないから





【空中に展開された姿見が映す "マチェット" ──生成されるマチェットのコピー】
【彼女は右手にそれを握ったなら、突きつけられたマチェットを、その刃を以って弾こうとするだろう】
【同時に足を絡めようとする、寝技の応用であった、押し倒された状態から、逆転して馬乗りになる足運び】

【──軍隊仕込みの技、とエーリカなら分かるだろうか、コマンドサンボと呼ばれる技術も含まれていた】
770 :剛田 剛太郎 [sage]:2018/06/23(土) 18:50:08.20 ID:0iDqkX17o
>>751

【フロントに鎮座する犬、ムクは己の首輪から赤い宝石の付いた鍵を咥えてはずし、剛太郎の手元に投げると】
【彼はハンドルから手を放し、無駄のない動きでその鍵を右手で掴み、六角形の錠前を前に突き出した】
【すると、彼の腰回りに光が灯り、ほんの一瞬で彼が引いてきた棺型の魔術礼装と同じ装飾のベルトが発現するだろう】


――――変 身 ッ ! !


【錠前とカギを持った両手をクロスして前に威圧するように差し出して…次に肘を引いてカギを持つ右手を顔の横まで引く】
【そしてその錠前を持つ左手を右手へと持って行きそのままカギ穴に差し込んでガチャリとひねった】
【するともう一度錠前の外殻が凹凸状の溝にそって割れ、内側から赤い輝きを放つ】
【そのまま引き抜いて錠前を前に威圧するように差し出すと、錠前の内側から吹きこまれたような声が響く】


「―――『Flare≪フレア≫』 Lock-free』


【内側から赤く開いた錠前をベルトの中央部に押しこみ、再びハンドルを握ると金属を叩き割る様な甲高い音が鳴り響く】
【ブル、と空気が震え剛太郎の身体が銀色の、というか鉄の色をした何かのエネルギーに包まれる、そしてその同時に棺桶型の魔術礼装が彼の後ろに移動した】
【錠前に連動するかのように棺桶が開くと……そこから赤いエネルギー玉に包まれた炎のナイフのような物が姿を変えて行く剛太郎に接触する】

【バリン!と割れると…無機質でのっぺりしたシルエットの戦士が登場すると同時、赤い炎のナイフが入ったエネルギーが肩や胸のプロテクター、仮面のパーツになる】
【胸と肩などでつなぎ合わせその顔の前面に仮面のパーツががっしりとはまれば…】

【顔の正中線を赤い刃が突き出した横縞の溝のついた防護の鉄仮面の下から赤い複眼を覗かせた異形の顔立ち】
【肩や胸に肩衣半袴を思わせるデザインの堅いプロテクターで覆われた肘や膝に鮫肌のようにザラリとした手触りのサポート】
【手の淵や踵は鋭く尖った鉄となっており……本気を出して叩きつければ本当に斬れそうなデザイン】

【そこには優男の姿から――――魔術の鎧を身にまとった異形の武者へと変わった戦士がそのバイクを駆り両者に割って入ろうとする】


そこのお前>>743!!今助太刀するぞ!!――――葉隠流 奥義!!



【敵と思われる目を覆った女性、彼はこの女からここまで叩き潰してきたアジトに漂っていた雰囲気と同じ物を感じ取る】
【背後を取ったその女の体めがけて、バイクの前輪をその勢いに任せ叩きつけようとするだろう】
【最も、こんな大声を出している奴だ。察知するのはたやすい、簡単に避けられるだろうが―――突如気づくだろう、その席にいつの間にか、『武者』が載っていないことに】

【―――囮だ!搭乗者はぶつかる前にシートを足場に跳躍している!避けた方向めがけて彼は空中から!】


――― 落 花 狼 藉 ッ!!


【バイクそのものを防御、もしくは回避するのに気を取られた隙に!その足での一撃を叩き込もうとするだろう!】
【目標は右肩、空中から勢い付けての踵落とし―――当然まともに受ければ粉砕する!】
【目を覆っているがゆえに!囮を交えての攻撃ならば防御が遅れると判断しての一撃だ!】
771 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage sage]:2018/06/23(土) 18:55:15.18 ID:xPZ7LQKro
>>736 >>757

【立ち上がると、ペコリ、と──イルにも頭を下げた】
【ソコで静かに伝える。──己の人格、そして魂に犠牲を払ってまで手に入れた力】

──用意シタノデハ、アリマセン
──人間ノ意志力デス。サーペント・カルト

【ふるふる、と首を振って否定する。そこからパグロームに向き直り──カリスト、の名前を聞いて】
【満足そうに頷いた。──それもまた、本名であるというコトを知らないまま】

──グッド。花マル∞ヨイ返事デス
──マスター登録承認。確認シマシタ

──ヨウコソ、マスター・カリスト∞アナタノ正義、共ニ幸アランコトヲ

【ロボットらしからぬ動きで、腰に手を当てサムズアップし──ペコリ、恭しく頭を下げる】

──行キマショウ、マスター・カリスト
──アナタノ敵ハワタシノ敵。早急ニ撲滅イタシマス

【ロボット状態から組み変えられ──白い緑線の入ったバイク≠ノ変形する】
【彼が乗ったコトを認識するなり──

──ウルセェ∞アリガトウゴザイマス

【一瞬何やら生意気な態度が露見した気がするが──ギュン、とドリフトを上手いコトかましつつ、走り抜ける】
【パグロームの運転のままに、的確な指示を──そして】

──マスター、攻撃ノ種別ニヨリ、ワタシハ停止スル危険性ガアリマスガ
──上手イコトカワセマスカ

【──ソコで信生が試しに放ったのは、ミサイル>氛氓オかし予期する】
【今発言した言葉通り、無機物──そして有機物さえも無差別に固執≠ウせるであろう、イルの攻撃】
【ゆっくりとエンジンが掛かるように停車するならまだいい。しかし急停車なんかした日には──彼らごとお陀仏になりかねない】
【注意し、──彼女自身もジリ貧の運転の中、彼の判断に委ねる】
772 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 18:57:09.46 ID:B29byw680
>>763

悲しくて、楽しい?
なんだ、やっぱり楽しんでるんじゃない
わたしと話すのが楽しいなら今度お茶でもしようよ
かえでちゃんも誘ってさ

【リオシアからすると、なぜ自分相手に饒舌になるのか】
【啓蒙してくるのか、理解できない。だが──】

ケバルライさんも、ほら、子供に教えるのが好きなら先生とかやってみたら?
なんか……蛇教の人って、意外と性格は優しいのかな

【眼の前にいるのは一般人を生贄にしようとしている宗教の幹部】
【殺さないどころか、殺すことが出来れば国から表彰されてもおかしくない人物だが】
【緊張感の欠片もないが──人間らしさを感じてしまった】

わたしだって、なんで人を殺しちゃいけないって言われたのか、正直良くわかってないけど……でも
その人はわたしを信じてくれたから、わたしも信じてる

うっ……あぁああぁあああっ!?

【襲い来る強烈な痛み】
【背後に残っていた金属の煙は消え、水蒸気となって散った】
【両腕の硬化もなくなる──集中力途絶に依る能力の停止を意味して】

はぁっ、くそっ

【痛みに苦しみながら、蛇を払おうと力なく両手を振り回す】

773 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 19:00:24.85 ID:rW2LOlMS0
>>767

「そうよ、話にならない。わたしもあの人も、みんなにそう言われちゃって――つまはじきにされちゃったんだわ。
 だから一緒になるしかなくって、……本当、仕方のないことなのよ。仕方ないわね、……ふふ」

【「じゃあ、さようなら――――」 それだけ残して去っていくだろうけど、最後の最後にちょっと笑った】
【それだけのことだった。あと何か余談をつけるとするなら――彼女、ヴェロニカは凄絶なまでの方向音痴であって】
【どこをどれだけ彷徨おうと、この戦いのさなかに夫と合流することは決してない。ていうか、街の外まで出て行ってしまう】
【……そういうところもあって破門されたのもあるかもしれない。本当に余談。――――】


…………えっ、え? なに今の……何? えぇ?
えっぜんぶやっつけちゃったの、えっ……うそお、あたしまだ、奥の手……見せようと思ってたんですけど……
ねえちょっと、ウソでしょ、なんか一体でもいいから敵出してよ、じゃなきゃあたしアホみたいじゃん……

【アホでーーーーーーーす。アホの少女はその場に取り残され、あたふたと】
【ヴェロニカが歩いて行った方とアルジャーノンとを交互に見て――それで、懇願し始める始末】
【盛大に困ったような顔をして……それでも立ち上がる。コントやるために、ここに来たんじゃ、ないから】


………………なんか遺言ある? あるなら聞いたげてもいいよ、……あんたただのバケモノじゃなさそうだし。


【歩いて行って。アルジャーノンに銃口を添えて、引鉄を引く前に――そんなことを訊くだろう】
【先程のヴェロニカとの会話で、蛇教以外の知識があることを知ってしまった。だから】
【……アルジャーノンじゃなく、だれかとして。何か言いたいことがあるなら最期に言え。そう言うのだった】
774 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/23(土) 19:00:48.38 ID:xPZ7LQKr0
>>751>>770
――ガァア゛――ッッ!!

【――必殺のそれは。しかしながら、確かに獣のそれでもある。故にこそ避けられ得た】
【空を切る拳。僅かな理性を手繰り寄せて、リミッターを超えた力をリミッターの内側へと引きずり戻す】

――ぐ……ゥ。静まれ。
……私は。確かに、もはや妄執だけの人間かもしれない。
私にはもう。妄執以外には残っていない。憎しみ以外には残っていない。

……それ以外は、きっと。あの時に燃え尽きて消えてしまった。

だが。それでも。私は生きていて。私には妄執だけがある。
コレ以外にないんだから。私はコレ以外を信じていない。

【静かな瞳が相手を射抜く。唯の執念。大いに理解していた。己を生かすのは、それだけだと】
【両親を失い、両親を殺したモノを殺したあと。残ったものは、怒りと憎悪だけだった。だからそれだけで生きてきた】
【復讐は儚に何も与えなかった。ただ殺しの報いに死を生んだだけだった。残ったのは、行き場のない怒りと憎悪だけだった】

【――そんな事は。とっくのとうに分かりきっている】
【ゆっくりと一歩を。確かに踏みしめた。体を突き抜ける痛み。それは認識している。それを意志でねじ伏せる】

――そして。きっと。[お前達/悪性]を殺し尽くせば。
少しだけでも。悲劇はなくなる。"私達"が生まれなくなる。私はそう信じている。

――何かを産めなくても。得られなくても。

お前たちを消し去る事で。私達が生まれないなら。私は。私達はそれで十分だ。

【直後。戦士の突然の乱入。しかし、気配から分かる。少なくとも敵ではないことに】
【故に――直後の行動は黒の焔を一発。鋭く男の蹴撃と同時に女に着弾する様に射出する事で助太刀の返礼とした】

助太刀。感謝するよ。
"コープス・リバイバー"。死者の遺志を意志で代行する復讐者だ。
――悪いが未熟の身だ。彼女を殺す手助けを頼みたい。

――"骸を砕け"。

【銀刃を両の手で強く握る。死霊の黒い魔力が銀の刃に染み渡り、増幅されてまた彼女に戻る】
【右手には銀の刃。左腕の装甲が、不気味な軋みを立てながら変貌。獣を思わせる有機的なシルエットとなる】
【その他の装甲も同じ様に形を歪め、人間の骨格というよりは大型のネコ科を思わせる様な有様と化す】

――"骸を燃やせ"。

【足。肘。拳。吹き上がる黒い焔がまとわりつき、圧縮される】
【乱入者の存在によって、少しばかり脳が冷えたようだ】

――仕切り直そうか。ミサ=ソレムニス。
この刃で過たずにお前の命を奪う。

【刃を構え。――見据えた。妄執だけを携えて】
775 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 19:02:16.56 ID:RT4l8Hhv0
>>757>>771

【──睨み付ける視線はどこか滑稽で、何処まで進んでも愛らしい域を出ない】
【それがどこまでも歪であった。半音ずれたチューニングで描くハーモニーに似て】
【響くコードはディミニッシュ、解決できないディスコードを携えたままで】


ふぅん、何だか知らないけど、さ──ほんの僅か、死ぬのが伸びただけじゃん
いいよ、じゃあもう一回、あっけなく、惨めに殺してあげるからさ──!!
ほうらおいで、遊んであげるよ、ニンゲン────!!


【突っ込んでくるバイクに対応するように羽根を広げる、しかし、】
【バイクは彼女の真横をすり抜けた、視線が一瞬右にそれて】
【放たれる銃弾、仕込まれた銃器の一撃は、彼女を以ってしても知覚に時間がかかった】


っ────!!! ああああっ……ぅぅ────んぅ……!!!
ったいなぁっ……、なにこれ────!!


【銃弾が右足を貫く、前に投げだされた少女は言葉を零しながら、赤い跡を橋に塗りたくる】
【うずくまったまま軽く顔を上げる、病魔だからこそ、それなりに耐久力はあるのだろう】
【立ち上がろうとして痛みに苦悶する、絶好の好機であった】

【迫るミサイルは再び接吻を放ち逸らすので精一杯といったところか、突然の出現に困惑している】


……っとーしぃなぁ、何がニンゲンの意志力だよ、なぁ、あはっ
その姿の何処がニンゲンだよ、ただのオンボロなガラクタじゃん
どういう原理か知らないけどさ、ニンゲンの意志力とやらも、お笑い種だよね


【それでも悪態は尽きず、紡ぐ罵倒のバリエーションも減らない】
776 :アレクサンデル・タルコフ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 19:02:27.96 ID:YdnfFM3ao
>>750
……愛も憎悪も美も、そのすべてがウヌクアルハイ様と共にある

私はそう信じ、それを己の真実としました。その世界そのものを愛し、ビートを刻むのが貴方の真実であるならば
この場に残れるのは、どちらか片方でしょうな。よろしいでしょう、私もいくらでも聞かせて差し上げますよ

我が神を讃える讃美歌の調べを……!!

【確かに、彼はもしかしたら、どっちつかずだったのかもしれない。強盗であり、探偵であり。悪漢ながら、義に殉じる】
【だが、それでも。彼は戦うのだ。その手に握った銃で、その身に宿した意志で】
【それを正義と言わず、何と言おうか】


いい選曲ですな。是非ともお願いしたいものです
それが出来ればの話ですが。貴方の墓標には、私がラモーンズを届けて差し上げましょう

【銃弾で受けた傷にふらつきつつも、司祭もまた空中に浮かんだ。死角のないことを知ってか知らずか、義眼の光はロッソの魔眼と交錯する】
【悪態をつく強敵の弱点を突いていたことは知らず。エネルギーの光が、彼の目を潰し。出来た大きな隙を、捕らえた】

――――ご案内しましょう。我が祭祀場≠ヨ……!!

【ここで、確実に敵の戦意を挫く。司祭は切り札の発動を決断した。すなわち、ケバルライから授かりし禁術=z
【宣言と共に、カタコンベはこの狂った司祭の心象風景で塗りつぶされるだろう。現れるのは、かつて司祭自身が手足を失いし瞬間】

【蛇のレリーフに囲まれ、頭上に巨大な蛇のクリスタル像がとぐろを巻く、異様な空間。これが発動していたなら、ロッソはそんな空間に捉えられているだろう】


我が祭祀場、 "マグ・シュレーフト"にようこそ
"因果を逆流させる術" ── "Crom Cruach"。私が蛇神様より賜りし奇跡です

ウヌクアルハイ様は無限の円環を歩み続ける神。それに仕える者は、その苦しみの無限分の一でも、味わって覚えておかねばなりません
そのために私が、この手足を捧げたあの日の記憶を……貴方にも体験していただきましょう……

【そう言う司祭の姿は、最初に会った壮年の男の姿からいくらか若くなっており、両手足も目鼻も揃っていた】
【その言葉を信じるなら、これは司祭の過去の姿。まだ手足があったころの、まだ少しだけまともであった頃の】

【そのまま、司祭はロッソに掴み掛ろうとする。その手足のいずれかに触れられれば、まさに地獄の痛みがロッソを襲うことになるだろう】
【右腕に捕まれれば、右腕が卸し金で摩り下ろされる痛みを。左腕に捕まれれば、左腕が酸で解かされる痛みを】
【右足に踏まれれば、右足が刃引きの刀で削ぎ落される痛みを。左足に踏まれれば、左足が焼き尽くされる痛みを】

【その痛みを受け続ければ、それに合わせてこの世界におけるロッソの手足も欠損してしまうこととなる】
【実際に失うわけではないが、実際に失ったと思い込むような地獄の苦痛を流し込まれる】
【四肢のどれにも触れるわけにもいかない。触れられれば、精神を攻撃される。肉体を傷つけず、精神を痛みで侵すのがこの禁術の本質だ】


【――――だが、もしその苦痛に彼が捕われたとしたら。死の絶望すらもたらしかねないその苦痛を受けてしまったとしたら】
【その時に限り、ロッソは聞くはずだ。そして、その死角なき目が見るはずだ。司祭の腹の中に、司祭自身すら気付いていない】
【もう一人の気配があることを。それが、彼にとっては聞き覚えのあるだろう、あの三つ目の化け物の重苦しい声で語り掛けるのを、感じ取れるはずだ】

【(ロッソ――――私が隙を作る。どうにか絶えて、その隙を撃て――――!)】
777 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 19:05:59.49 ID:RT4l8Hhv0
>>772

【──、蛇はあっけなく払われるだろう、痛みにもだえる姿をケバルライは見下ろす】


今私が再現させたのが "Itzamna"ええ、ムリフェンが扱う苦痛を司る術のほんの一部分
キミが信じるムリフェンは、この術を使い、数多のニンゲンを傷つけ、殺してきた
分かるでしょう? 常人にこんな痛みを与えたなら、どんな末路を辿るか

──、ムリフェンは分かっていながら、こんな痛みを人々に与えているのです
何を見たのか、何を理解したのかは、知りませんが
この状態で、性格が優しいなど、口が裂けても言えないでしょう?


【一つ一つ、リオシアの言葉を潰していく、それは何処か意地のような執念を纏って】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 19:08:18.83 ID:s9RVxvhA0
>>765

「ご教授ね……」
「病院船?補給船や救援船は、それはあるさ、無論軍艦にも軍医は乗艦している」
「なるほど、邪宗の狂信者の病院か……ぞっとするな、残念ながらその申し出は却下だ」
「我が軍の軍医に今の所不足は無い、それに邪宗の門徒と手を組むなど、すまないが何が起こるか解った物では無いのでね」

【男の冗談とも取れるような、そんな協力の申し出には、さらりと拒否を示し】
【再び向き直る事となった】
【やがて……】

「ありがたくお褒めの言葉は受け取らせてもらう、使い勝手は、ああ、悪くない……」
「――ッまたか、だが……」

【風の刃に吹き飛ばされ、ツァルエルは後方に叩きつけられる】
【深くは無いが、手傷は負わせられた様だ】
【だが同時に、あの恐竜の化石もまた、再び動きを見せて】
【それを目の端で捉えると、今度は再び向き直り】

「同じ手に二度もやられる程、愚かでは無い」

【スコンと、擲弾筒に擲弾を装填】
【今度はその恐竜の右足に向け、擲弾を放った】
779 :ラベンダァイス&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/23(土) 19:08:39.90 ID:fimxwp7B0
>>748

そんな恰好をしてるからだぁッ!!
「貴様のその恰好は伊達らしい……世界中の、あらゆる信仰が言っているだろう。殺すなかれ、奪うなかれ、偽るなかれと……!
 それとも、それは許されるか? それは神じゃない……『お前』の言葉よッ!」

【信仰――――その形は正に千差万別、様々だ。だが、おおよそ邪教と謗られるものを除いて、共通して守るべき3つのモラルを説いている】
【生命・健康を侵害してはならない。所有権を侵害してはならない。流言で人を乱してはならない】
【どんなに信仰する神が異なっていても、それが『まとも』な信仰ならば、これらは必ず守られるのだ。いわばこれこそ『自然の法』と言うもので】
【殺す事に愉悦を見出し、女犯に随喜を見出す――――それも、修道者たる僧侶が行う――――事は、いわば世界中の『人間のモラル』を否定するのも等しい】
【そこにはもう、神も悪魔も存在しない――――欲望を抱えた等身大の、卑屈で卑猥な『人間』がいるだけだ、と】

――――私は、敵を討つ。空も、海も、大地も、全ての敵を、私は討つ――――!!
このまま――――お前は吹き飛ぶんだ、そのふざけた煩悩と一緒に――――ッ!!
そして私は、貴様ら蛇を皆殺しにしてやるッッ!! 私だけじゃない、アルクさんだって、お前らを許しはしないぞッ!

【まるで獣そのものの様に、嘶きながらラベンダァイスは重厚に体を震わせる。その巨体と言うだけで、既に脅威と言うべきかもしれないが】
【何より恐ろしいのは、その戦意――――少なからぬ人間が、この場に『白神鈴音の救助』を求めて現れているのかもしれないが、彼女はそこさえ違う】
【『自分』を捨て、悪魔に身も心も委ねた、ただの『空虚』――――もはや、かつての仲間をそうとしか見ていない】
【この場に居ない、意志を確かめた仲間もあって、ラベンダァイスは吼えた。ここから先はもう、血みどろの殺戮しかないのだと】

(っ、今度は炎の鳥――――! 真っ向から――――減退させてやる――――ッ!!)
グゥオアアアアアアッッッ!!

【法然の構成した術式は、巨大な火の鳥を形成。今度は恐らく本気で、こちらの身体を焼き尽くそうと飛び掛かってくる】
【ラベンダァイスはそれを認めると、口を大きく開く――――世間一般に「あくび」などと言われているが、これはカバにとって威嚇のポーズであり】
【そしていわんや、ラベンダァイスにとっては戦いの一動作でしかない――――開いた口に、まばゆいほどの魔力の光が収束し、そして大口径のビームとなって発射される】
【光の奔流は飛翔する炎の鳥に向かい放たれ、その勢いを照らし出し、切り裂き、そして吹き飛ばさんとする――――強烈な、魔力と魔力のぶつかり合い】
【飛び散り、飛散していく黒い炎だが――――流石に、真っ向から無力化は不可能だったようで、その体に残滓が叩きつけられた】

ぐ、ぁぐっ――――!!

【ブスブスと炙られ始めるラベンダァイスの巨体。だが、カバに近い外見から分かる通り、その動きはそこまで俊敏ではない】
【無論それは、高い体力も併せ持つのだが――――両脇の触腕で体をはたき、火を揉み消さんとあがいた】

「――――ッ!!」

【その隙をついて――――アーディンが法然へと駆ける。飛び込んで――――爪は振るわなかった】
【既に一度使った手を、敵は警戒しているだろう。なら、今度は別の手段を用いるのだ。その足元に、薄いオレンジ色の、ビー玉のような弾を投げつける】
【それは、強烈な音を封じ込めた『爆音玉』――――足元で割れれば、衝撃波と、文字通りの爆音が、その身体を打ち据えるだろう】

/ただいま戻りましたー!
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 19:09:07.17 ID:l87sBOYx0
>>755

【上空から、落下し着地すると蝶は全部地面に縫い付けられてジタバタしている】
【役目を終えた弓を消し去り槍を再度創り構える】
【小さく息を吐出し、気合いを入れる】

そうだな、これぐらいしか取り柄が無いんだよ
そうだ…俺は罪を犯した、だから今償うんだ、時間を掛けてな
ロマンチックなんかじゃねーよ…この罪は償っても償い切れない

どういう意味だそれは!そうだこれは贖罪何だ…そう贖罪のはずなんだ。
莫迦を言うな!!俺の本心は贖罪だ!!確かに自己満足かもしれないが…俺の今までの行動は贖罪なんだ…
うるさい!うるさい!うるさい!あ゛ぁぁ゛ぁぁっ゛ぁ《アメロチア》!!

【彼女はもう戦闘体制を解いているがセアンは狂った様に全力で槍を突き出した】
781 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 19:09:22.00 ID:VXFCbz/50
>>769

【しまった――—やはり、杞憂は杞憂では終わらなかった】
【一抹の不安をかき消すように振り下ろされたマチェットは、寸分違わぬマチェットによって弾かれた】

(――――っっっ!?なぜ!?これも能力か…!)

【それだけでは終わらない。カチューシャの足がエーリカに絡みつき、押し倒される】
【その構図は――情欲に塗れた男女の睦み事の幕開けの様に。押し倒された際に頭を打ち、苦悶の表情を浮かべていれば】
【いつの間にか形勢逆転。横たわるエーリカの上に乗るはカチューシャ。突き付けられた明確な死の形に肝を冷やし、焦燥に染まる】


―――やっぱり、女狐じゃないか。何が子猫だ。
それに同性の私を押し倒すなんて、少々節操がなさすぎじゃないか……ッ!


【この動き――こいつ軍人崩れ、いや軍人そのものか。完全に見誤った。エーリカの歯ぎしりが、ぎゅうっと鳴り】
【このままだとカチューシャの言う愛というお題目とやらで殺されてしまう。故にあがく、足掻く、足掻き続ける】
782 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 19:10:01.65 ID:RT4l8Hhv0
>>768>>770>>774

【────突然の乱入者にミサは困惑する、音が一つ、増えたと──】
【逆説的に言えば、聴覚に情報収集を頼るミサだからこそ、一足早く判断できた、とも言える】
【迫るバイク、そしてそれを囮にした攻撃、貴方の判断は悪くない、──誤算があったとすれば】


異端者がまた一つ、それはならば私は、サーバントの名の下に、貴方を躾けましょう
聖歌は荘厳に、言葉は饒舌に、そうして祈る願いは果てなく正しく紡がれなければならない
貴方の音律はとても不愉快です、自ら攻撃の名を名乗るなど言語道断

──、まずは磔刑を、そうして悔いるまで鞭を、手順は何処までも、決まっているのです


【ミサを庇うように出現する巨大な十字架であった。その影に隠れるようにバイクを防ぐ】
【巨大な木で出来た十字架は剛太郎の踵落としをも防ぐだろう、その先端は地面に突きつけられ】
【剛太郎が十字架に触れたなら、右手の鞭を振るい、十字架へと剛太郎を縛りつけようとする】

【──どうやら攻撃の際の技名で判断したようだ、彼女の耳は伊達ではない】


……ふふ、なるほど──、それなら私も、貴方を此処で潰さなければならない
貴方は災害と変わらない、意志を持った災害です、そんなもの、許してはいけないのです
私の身一つで済むのなら、安いもの────


【放たれる焔は十字架で防ぐ、──出現させる拷問具は、そのどれもが巨大であった】
【彼女の左手に持つ書物、そこに描かれている拷問具が、彼女の使役できるそれなのだろう】
【冷静になった貴方ならばそれが理解できるはずだ、何を狙えば良いかも】
783 :チドリ ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/23(土) 19:11:38.62 ID:WB6h1eEP0
>>752>>753

【当たった。勝利を確信 ── なんてするほど、女は未熟な兵士ではなかったけれど、それでも痛烈な一撃になったのは明らかだった。】
【此のまま行くなら一気呵成、こちらのペースに乗せたまま、少なくとも戦闘不能にしてやろうと ── 目論む、けれど。】


「 ────── ッッ。」


【湧き上がる爆炎の収縮に、 ── 反射的に身をそらす。スーツを焦がす紅色が、自分の血によって押しとどめられたのは幸いだった。】
【卑近なくらいの戦闘距離で、露わになった其の顔に、女は刹那わずかに狼狽える。自分よりもずっと歳下である対手の、何よりも其の容貌に】
【櫻国の出身。その剣客。成る程よく戦う訳だと悟った。そしてまた彼女はプロフェッショナルであるから ── 捨て身の覚悟も、悟れるもの、で。】
【だから問いには答えるだろう。ぴくりとも笑わず、真摯な青い瞳は、焔を映してなお射抜くように。】


「 ──── ワタシはワタシの飼い主に、"蛇を助く者となれ"と言われた。自分の国を、影から守る飼い主だ。」
「ワタシはあんまり頭いい訳じゃないから、あの頭のイカれた信者どもを助けることが、どうして御国の為になるのか、イマイチ分からない。世界か滅ぶかもしれないのに。」

「でもね。 ── 『手脚』が脳ミソの命令に背いちゃいけないんだ。イチイチ手脚が反抗したら、守れるものも守れないだろう?」
「だからワタシは従うんだ。ワタシに下された命令に。キミのことは、ワタシがここで、止めなくちゃならない ──── !!」

【彼女は諜報員であると。蛇教の動きを支え、その上で外交を有利に進めるためのカードであると。己の仕事が国を守ることに、誇りを持っていると。そう、彼女は言っていた】
【 ── サブマシンガンを抛り捨て、右手にずっと握っていたサバイバルナイフを、再び左手に握り直す。その切っ先が狙うのは、あろうことか赤熱する刃。】
【打ち合えないのは百も承知だった。刃と刃が触れ合うなら ── 作りの甘いナイフは、熱量と打撃ゆえに触れた瞬間、根元から破断して】
【けれど、それでも軌道はずらせる。炎を纏ってくれたのはある意味で幸いだった。これなら何とか"見切れる"から。 ── 足から生やした腕がちぎれるくらいで。何より、その本命は】
【ナイフの鍔に、黒い穴。グリップの「トリガー」を引く。そこから放たれる小口径の弾丸は、完全なる奇手として、少女の肩口を「掠め」ようとして ────。】



「 ……… けれどまた、絶対に死ぬなとも言われている、からね。」
「それに、 ── あまり殺す気にはなれないな。『我が国』の、こんなに小さな国民を。」




【 ──── 小さく、彼女は呟いた。右手にククリを構えたまま、けれど躊躇いのような、諦観のような、溜息を吐いて。】
【それでも少女が「行く」というのなら、女は止めやしないのだろう。見逃してやる、なんてことは言わないけれど】
784 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 19:11:53.15 ID:BVsbpQZQ0
>>761

【それは、破れかぶれの一撃と言っても過言ではなかった。あまりにも単調で、単純な一撃だった。】
【当たれば大きなダメージを与えられるが、当たる可能性は高くない。そんな、確実性の低い攻撃。しかし】
【―――当たった。いや、避けなかった?どうして。今更、抗うのを諦めたというのか。それが運命だというのか。】

【いや。―――違う、そうじゃない。彼は笑っている。空虚な表情ではなく、笑っている。】
【それは、彼自身の意志だ。彼自身がそうしたいと思ってしているのだ。彼は、諦めていない―――】

【―――来る。最強を自称するだけあって、これが彼の全力の攻撃だろう。対する自分は立つのもやっと。】
【あえなく、吹き飛ばされる。体勢を立て直す間に、一瞬で距離を詰められ、肉弾攻撃がとどめを刺すか―――】



【その瞬間。彼女の手に、虹色に輝く盾が召喚される。】



――――――悪いですね。生憎、耐えるのは大得意なんです。



【それは、彼女の切り札。かつての守護騎士の、本領。攻撃ではなく防御を最大の得意とする彼女の、必殺技ならぬ必守技。】
【―――ありったけの魔力を込める事で、一度だけ触れた物のエネルギーをゼロにしてしまう盾。全力で守る時にしか使わない、とっておきのジョーカー。】
【衝突の瞬間、貴方は衝撃も痛みも感じないだろう。ただただ動きだけが、魔法でもかかったかのように受け止められて―――】

これがっ!

……私のっ……!

――――想いだぁっ!!!

【もはや、魔力は残っていない。だからこそ、それは、何の変哲もない拳。信念と想いだけを乗せた、小細工無しの拳。】
【貴方の本気を受け止めた瞬間、その瞬間を狙って、思い切り頬を殴ろうとする。直接、貴方の頭に、叩き付けようとする。】
【女と侮るなかれ。信念を込めた彼女の拳は、その信念の大きさの分―――重い。】
785 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 19:14:03.06 ID:RT4l8Hhv0
>>780

【例えそこに冷静さが無かったとしても、達人の放つ刃はその一振り一振りが、また脅威であるから】
【彼女の身体能力では完全な回避は不可能、左肩が貫かれ、苦悶の声を漏らし】
【片方の手で傷口を押さえながら、彼女は言葉を重ねた】


──戦うことが贖罪なんて、随分自分勝手な理論じゃないの、ねぇ、そうでしょう
罪を償う道は、もっと地道で、もっと辛くて、もっと、暗い道のりでなければならない
貴方はきっと、贖罪という言葉に酔っているだけ、喚くだけじゃ、子供と代わらない

────何百年生きたって、結局ニンゲンは、ニンゲンのままね


【嘲笑が混じる、言葉はどこまでも苛烈に、セアンの精神を焼こうと】
【プリオルは口元に艶やかな笑みを浮かべる、冷や水よりも冷たい、感情を携えて】
786 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 19:17:38.55 ID:YdnfFM3ao
>>762
【他の少年とは違う。そうかもしれない。しかし、やはり少年だ】
【その事実をくみ取るほどまともな者たちが相手だったなら、もしかしたら違う形もあったかもしれない】

【だが、盗賊どもは容赦しない。容赦すれば、自分たちが死ぬ。そんな世界で生きて来たがゆえに、異形どもは容赦をしない】
【砂の刃がその身を裂き、モノクロの住宅街の壁に痛ましい悲鳴が反響する】
【泥の球がはじけ飛んで消滅し、されどその飛沫が少年を侵食する】

【そうして、最後に。被害妄想に深く捕われた、邪悪なるエンジン男の放った汚らしい針がその白磁を汚す】
【突き立った針は、致命傷には足りない。彼が血泡に溺れるようなくぐもった悲鳴を上げるのを見て】
【そのまま、転落したのを見て。華奢な身体が頼りなく伏すのを見て。なお、盗賊どもの恐怖は拭われなかった】


〈ガキィ……!!〉 『こいつ……』 「ぬう……!!」 [ひ、ひ……!!]

【四人の異形どもがそれぞれに漏らした声は短かった。死ぬことすらできなかった、傷ついた少年一人を相手に】
【理由は明白である。この少年が、ただの少年ではないからだ。その能力で、その精神で。オフィウクスの座にまで上り詰めた、恐るべきサビクであったからだ】

【苦しみ、のたうち、必死に立ち上がり。震えながら、起きようとするその姿から。気圧されるほどの、狂おしい怒りが、怨嗟が、殺意が、自分たちを貫いたからだ】


【そうなってなおも美しく。それだけにあまりに凄絶だった。異形の盗賊どもは、その醜さゆえにそれに怯んだ】
【一歩、二歩と後ずさる。そこへ、冷酷なる首領の号令が飛んだ】

怯むな――――かかれ!!!

〈ッッッうううおあああああああ!!!〉 『クソガキイイイイ!!!』 「くたばれ――――!!」 [ひひ、ひっひっひっひぃ!!]

【エンジン男が刀を抜いて切りかかろうとする。二つ頭が四本腕に泥と砂を纏わせて殴りかかろうとする】
【その後ろから、右腕の肘から先をガラス片のブレードに変えたピアス男が突きを見舞おうと走り寄る】
【そして、最後尾に三つ目の大男。配下たちを一時使い捨ててでも、次に来るだろう最大の攻撃を防ぎ】

【その隙をつこうという魂胆か。だが、盗賊どもは知らない。少年の最大の一撃が、どれほどの威力を持つのかを】
【この単純な一斉攻撃で、果たして少年を討てるのか。それでも、盗賊どもは賭けるほかなかった】
【早く始末しなければ、こちらが殺される。少年の目が、その光が、雄弁にそう伝えて来たからだ】

【それだけに、的は固まった。今なら――――サビクの名にふさわしい一撃を、叩き込んでやれるだろう】
787 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 19:18:56.14 ID:RT4l8Hhv0
>>781

【──馬乗りになって見下ろしたなら、零れ落ちる血液が、貴方の肌を濡らす】
【バランス感覚で何とか体勢を保つが、長くは持たない──貴方の足掻きが長く続いたなら、と】
【それでも焦る事は泣く、悠然と、一つ一つの所作を丁寧に果たす】


あら、一面性だけを見せるのは、女ではなく童のする事なの、時には二面性も、素敵な女性には必要だから
そうでしょう? 誰だって、愛しい相手に見せる顔と、それ以外の顔を持つのだから
それを捕まえてうそつきだなんて、寂しすぎるじゃない────

ふふ、愛に垣根はないの、性別の違いなんて、大したものじゃなくて
愛は時間も時空も世界も超えるのに、性別なんてとうの昔に置き去ったの
綺麗なお姉さま、こうしてみても、全く色あせないの


【彼女の語る女性像は、潜入捜査官と蛇教の板ばさみである貴方に向けた言葉】
【──知ってか知らずか、それはどこまでも藪の中に隠した秘密であったけど】
【彼女の方には止めを刺すつもりは無いのか、言葉を重ねて、終わる】

【──少しずつ力は弱まる、もがき続ければ抜け出せそうではあるが】
788 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 19:27:15.78 ID:rW2LOlMS0
>>773
【一言で言えば狂人であった。言葉は通じても会話は通じない】
【サーペント・カルトにもそんな類の人間は山ほどいるが、狂人が狂信者を殺すのならば――】
【きっといつかままならなくなるのだろう。世界と言うのは概ね正しい方向に動こうとするのだから】


【それはそれとして彼女の向かった方向は全然正しい方向ではなく、むしろ街の出口だった】
【わざわざ指摘するほど、女は親切ではなかったのだが】
【そうやって見送っていた女の頭に、銃が突き付けられる】


【アルジャーノンに抵抗する術はないのだろう】
【顔のない貌で、少女を見上げるのだった】


《"あれ"ハ酷イ暴力の類ダガ――》
《アノ類ノ人間ガドレダケ暴レタトシテモ、オ前ノ望ミハ叶ワナイ》


【彼らに出来るのは、その誰かを殺すことか、それに失敗して神として顕現させることだけだろう】


《別ニ応援スル訳デハナイ。私ニトッテハドチラデモイイコトダ》
《ダガ、ソロソロ喚バレタ義理モ果タシタロウ》
《カツテ私ヲ喚ンダ者達トハ、今ノ教団ハ大キク形ガ歪ンデシマッタ》
《ソノ後始末ハ人間同士デヤルベキダ》


【そこまで言ってから、女は観念したように首を振って、やがて、潰れた片目が薄っすら開いた人間の発声器官でくぐもった声を上げた】


殺し、て――
789 :ドープ ◆xgsUYuhzWc [sage sage]:2018/06/23(土) 19:34:35.30 ID:xPZ7LQKro
>>784

【出現した彼女の盾。それに無意識ながらも、声を呻くように漏らす】
【まるで守る為に居るみたいな──自分とは正反対の存在だ。真逆だ】
【オレもそんな風に生きられたらなら──そんなしょうもない考えが浮かび、消えて】
【──エネルギーが、吸い取られ、】


【思いっきり、ただ、想いを乗せた拳で。シンプルに──殴られた】
【まっすぐだった。彼女はどこまでもヒネてなかった】
【彼女は──きっと、自分≠ェちゃんとあらから、そうやってずっと生きてきたのだ】


【パチクリ、地面に倒れるまでの間。一瞬意識を取り戻した時は──オンナの癖にパンチ痛すぎだろ!」なんて笑った】
【でもそれは想いの力だ。単純な気持ちと、思い出と、信念の強さなのだ】

【再び意識が途切れ──地面に頭をゴン、と打ち付けて、また意識が復活する】
【リモコンで何度もオンオフ食らったみたいな気分で具合が悪い、──ああ、でも】
【何でだろう、頭は痛くない。色んなコトがしたい。色んなコトが気になる】

【笑いたい】



──ああ、クソ、チクショウ強い≠ネァ!
悔しいなァ!あーあー、負けだよ、オレの負けだ!降参降参!!
所詮オレなんざ底辺サーバントだ、倒されても別にソン無ェからよ!



【カラカラと爆笑しながら、彼は起き上がる。先ほどとは打って変わった雰囲気だ】
【──そこで、はー、と笑い転げてから】

なァ、ひとつ、頼んでいいかい。愚問だが

【ヒト殺しは、そうやって剣呑に笑う。彼女に向けて、嬉しそうに】
【何故ならせっかく見つけた手がかりなのだ。しかし立場上、しっかり協力は出来ない】
【であれば──】

アンタは、オレの分まで、白神鈴音を、
白神、鈴音を……ちゃんと、見てやってくれよ

オレが言えたコトじゃあないけどよ、居ないコトになっちまってるなんて──寂しいからよ

【と、伝えた。肩を竦めて、ノンビリ、穏やかに会話する】
【言うまでも無いコトを伝え──しかし、自分は白神鈴音≠信じるとアピールしてあるかのような】

あと、まあ、だ。オレは普通に倒されたってコトにしてくれるか?
……ダメかね

【──少し落ち込み、汗を垂らして伝えた。……後で色々どやされるからよ、と】
790 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 19:35:23.10 ID:rW2LOlMS0
>>786

赦さな゛、ィ、がらぁア゛……っ、オマエら、全員っ、……蛇神様の贄になんかしてや゛んないィ、
ここで殺す、ぜったい、殺して、――――――塵ひとつ残さないからなぁああぁア゛!!!

【咆える、その言葉はオフィウクスにあるまじきものだった。何よりも贄を欲する主神に対し】
【背くような言葉。それはきっと――破崎雨竜、個人の感情によるものだった】
【怒りだった。悔しさだった。悲しみだった。それとあと、いろいろあったろうが――】
【こうまでごちゃごちゃに混ざっていては、きっと少年自身にも名付けることができない。そんな感情の奔流】


――――――――ッあ゛ぁああぁぁああ、ああぁッッ!!!


【その勢いをそのまま零してしまうように。乱流。膝立ちになったまま、しかしなんとか上半身を起こして】
【向かってくる男たちに手を翳す。開いた掌、その向こうを限界まで見開いた眼で睨み付けて】
【――――咆哮。それと同時に、ぎらぎらめく光を翳した手に集めて――「射出」した】

【大きさとしてはバスケットボール、それより少し大きいくらい。それくらいの球体は、けれど太陽のように強烈に輝いて】
【襲い来る彼らに当たったなら――――「炸裂」「炸裂」「炸裂」「炸裂」「炸裂」――、そればっかりを繰り返す】
【何度も何度も。触れたものにあらゆる方向から弾き飛ばされる感触を与えて】
【それでも輝きを失わず、ただ愚直に突き進む。向かってくる四人、全員弾き飛ばしてしまえるだろうか――】

【ただ、その軌道は本当にまっすぐすぎた。だから回避も容易であって】
【加えて――最大出力のソレを放ってしまったら。少年の身体には今度こそ何も残らなかった、最低限の防御のための光とか、なにもない】
791 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 19:40:28.73 ID:rW2LOlMS0
>>788

………………わかった。

【アルジャーノンの長い長い独白。それに返すのは、それきりだった】
【あるいはそれだけあれば十分だったろうか。敵同士だから、感傷とか、そういうのは必要なくて】
【だから――――突きつけられた要求に。応えてやるだけ。それだけの話】


【人差し指に力を入れる。簡単な動作で人を殺せる、感触もなにも残さずに】
【だから少女は銃を好んだ。ひどく臆病だから。刃や拳で人を殺すのは、――――怖い】






                                       【      銃声   】






【――――――花は咲いただろうか。アルジャーノンの頭を吹き飛ばして咲く赤い華、……束にならない一輪咲き】
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 19:42:16.32 ID:s9RVxvhA0
>>779

「いいえ、神の御仏の導きに、他なりません」
「欲は生への渇望です、即ちそれこそが人が人である事の証明、神より仏より授かりたもうた特権」
「これを無理矢理押さえつけんとする教えこそが、即ち悪法」
「それこそが人を縛る枷なのです、解放なさい解き放ちなさい、さすれば人類は一切の苦役から解放されるでしょう」
「貴方は幼い少女を犯したことがありますか?とても甘美で素晴らしい物です、その不要な良識や常識など捨てなさい」
「捨てて手を出してみればよいのです、常識や良心等はただの肉皮、虚飾に満ち満ちた意味の無い物ですから」
「少女が悲鳴を上げ乍ら両親や、友人の名前を呼ぶのです、呼びながら次々と我々の欲望を吐き出されるのです」
「是ほど素晴らしい景色が音楽が他にございましょうか?最後には泣くことも暴れる事も無くなりただ淡々と受け入れるのみです」
「さあ、捨てなさい、下らぬ概念を、つまらぬ良識を、所詮は後の世に人が作った勝手極まる法なのですから」


【まるで神の仏の代弁者と言わんばかりに、自身の信仰を舞台役者の演技の様に語って見せる】
【そこに曇りは無く、純粋に信仰しているが故の狂気なのだろう】
【無論だが、この法師の説くそれにモラルも人としての法も、何も無い】
【その人の法こそ悪なのだと言わんばかりに……】

「やってごらんなさい、出来ないでしょう、所詮人造兵器、所詮猫人、不完全なあなた方には、崇高な神の教えは理解できなかったようですね」
「その怒り、その戦意、もはや魔物ですね、いいでしょうウヌクアルハイ様の名の下に、あなた方に最後の救済を与えます」
「贄となり、ウヌクアルハイ様の受肉に手を貸すのです、さすれば、死後の救済は約束されるでしょう」

【カバに似た魔獣ラベンダァイスの狂気に似た戦意と怒り】
【もはや鈴音でも、いやこの場の誰であってもそれを止める事は難しいだろう】
【それほどまでに、この少女は猛っているのだ、怒りをもち挑んでいるのだ】

「ぐッ!?大質量魔翌力!?」
「まさか……そんな……」

【自身が構成し、放った黒い炎の不死鳥】
【対してラベンダァイスが放った、魔翌力砲】
【質量対質量、魔翌力と魔翌力の強大な鬩ぎあいの中、やがて……】

「そ、そんな、馬鹿な……」

【不死鳥はその魔翌力砲の光の中に、消えていったのだ】
【これが、人造兵器たるラベンダァイスの実力か】

「こうなっては……」
「ッ!?」

【そして、アーディンもこれに合わせて、追撃を掛けてきた】
【足元に転がるのは、幾つかの硝子玉】
【綺麗な色をしたそれが、足元で弾けると……】

「ぐうッ!!??あああッ!!!!」

【強烈な爆音とそして衝撃波が襲い来る】
【無論、抗う術も無く、後方に叩きつけられる様に投げ出される】
【先ほどの傷が、再び血液を吹き出し、周囲に血を撒き散らす】

「ゆる、さん……ゆる、さん……ウヌクアルハイ、さま、ご加護、を……」
「ノウマク、サーマンダ―ラ、バーザラ、ダンカン……」

【地に伏せり乍ら、口元で詠唱する】
【対象はアーディン、身体中に纏わり着くような、あるいは周囲の重力が一気に自分にのみ乗っているかのような、鈍化の呪い】
【それを、猫人に向けて放った】
793 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 19:43:06.03 ID:VXFCbz/50
>>787

【もがく間に止めを刺すのは容易いはずだ。であるのに未だに止めは刺されず】
【ピロートークの様な奇妙な一時にエーリカはやや困惑するも、一先ずは馬乗り状態から抜け出す事を第一にもがき続ける】
【先ほど振るった刃は浅くなかったらしく。エーリカの肌を伝う生暖かい血液がそれを証明していた】


……そりゃごもっとも。自分で女狐だって言っておきながら他人がそうじゃない訳がない。
くくっ、私もヤキが回ってるみたいだ。―――敵のアンタに言う事じゃないけど、少しだけ気が楽になったよ。

にしても、だ。節操のない女だねぇ。――…敵対してる人間に言われるのもなんだけど綺麗って褒められて悪い気はしないケド。
敵対する人間じゃなければもっと歩み寄れるんだけど、さ。


【今も殺し合いを繰り広げている間柄であるのに、カチューシャの言葉が何故だか腑に落ちる】
【殺すべき敵の言葉、本来ならば耳を貸してはならないのに。板挟みにて張り詰めていた心は次第に弛緩し始める】
【ずっと追い詰められていた顔をしていたエーリカはこの時初めてエーリカ本来の人懐っこい笑みを微かに浮かべていた】


【そうして、もがき続けたエーリカは馬乗り状態から脱出し、体制を立て直す】
【どうやら相手に手心を加えられた様で、内心悔しさが渦巻いていた。けれど余計な殺しをしなくていいなら今はそれで良かった】

んで、――どうするんだい。まだ戦うかい?正直言って私は負けたと思ってる。
アンタに手心を加えられて殺されてないだけだし。それにそれで手打ちにするなら――私がこの場に身を投じてる理由を話してもいい。
794 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/23(土) 19:43:38.90 ID:WB6h1eEP0
>>758>>760

【 ── 立ち上がろうとして気付く。ほとんどかえでと変わらない位置で炸裂を喰らったアリアもまた、負った傷は決して浅くない。主要な動脈が幾つか千切れている。】
【懐かしい感覚だった。砕けた天井を見上げても、そこに星々はもう有りはしない。 ── 静かに降り始めた雨が、肩を撫でて染み渡る。右腹と左太腿に裂傷。硝子の破片が突き刺さっていた。】
【舌打ちしながら、何もかも引き抜いて立ち上がる。ノイズ混じりの右視界が、熱感素子に少女の影を捉えた。抱えた機関銃の、コッキングレバーを引く。】

【血の足跡を残しながら、何度も瓦礫を踏み越えて、かえでへと歩み寄る。一歩ずつ、一歩ずつ。 ── そうして、その姿をようやく見つけたのなら】
【随分ひどい格好になっているものだと苦笑した。自分がやった事ではあるけれど、それでも。つやつやで藤色の髪も、己れと同じように白い肌も、愛らしい顔立も】
【真っ赤でドロついた血に汚れきって、そこに瓦礫の砂埃が舞い上がるから、その度に汚れて行く。喉が張り裂けそうな忿怒の絶叫に顔を歪ませるなら、なおのこと。】
【アリアも同じだった。けれど彼女は笑っていた。自分の妹でも見るみたいに穏やかな、いいや其れよりもずっと深い感情に満ちた、青い蒼い隻眼。】



「 ──── 何回目よ。」「だから言ってやるわ。」「貴女に、私は殺せない。」
「殺せないから、殺すって言うのよ。何度も、何度も。」「奮い立たせるために。」
「そしてまた」「私も、 ── "貴女"を、殺せない。」「蜜姫かえで。」




【けれども言葉は截然として吐き捨てる。蛇教の信徒としてのムリフェンは、必ず殺すと彼女は誓っていた。けれど、己れを好きだと囁いてくれた蜜姫かえでを、彼女は殺せるか分からなかった。】
【だから駆け寄る。そして跳ぶ。当たりもしないと知っていて、構えた機銃を乱れ撃ちなから。半損した全身のフレームが悲鳴を上げる。吐き出される紅色の弾幕が狂おしく迫る。】
【 ── 引き裂かれたって構わなかった。事実もうアリアは避けなかった。己れの身体を引き裂くマゼンタに委ね血を散らせて、流れ弾が右腕と機関銃を吹き飛ばして、全身の感覚がぼやけて行く中、】
【それでも肉迫できたのなら、── 血と硝煙と土埃のにおいの彼方、きっと銀色の髪からは、ほのかに甘い匂いがするだろう。夜を重ねた時、かえでを愛したにおいが。】


「名前、思い出してくれたのね?」「嬉しいわ。」「 ──── ねえ。かえでにとって、私って、何なのかしら?」


【 ── ひどく優しい声音の問い。残された隻腕が、かえでの左腕に伸びる。真っ赤な指先と掌が掴もうとするのは、その根元であり肩口。】
【それを許すのなら、 ── 尽きかけた膂力を以ってして、アリアはその指を握り締め、あるいは手頸を強引な遣り方で捻ることにより、】
【かえでの左腕までも根元から圧し折ろうとするだろう。なにもかも囁ける距離感の中で、静かに射し込む雨粒だけ、冷たくて】
795 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 19:45:54.36 ID:rW2LOlMS0
>>771 >>775
【バイクはほとんど半自動で動いていた。手を離しても指示通りに動いてくれるのだから、これはやり易い――】
【放った弾丸は、おあつらえ向きに、少女の足を貫いた】
【圧倒的な魔力を持ち、人間を蹂躙するために生まれたかのようなその病魔に、唯一不足しているもの】
【それが戦場での経験だと睨んでのこと】

能力者ってのは顔や胴体なら、咄嗟にガードできても足への狙撃ってのは意識が浅いんだよ。
銃くらいで死なない奴なら尚更だ。さて――


【脚を射抜いても、少女の暴言は留まることを知らない】
【苦悶にうめいて動きもまだ鈍い――ここで、敵の親玉を仕留める絶好のチャンス――】
【だが、しかし――この底の知れない力を宿した少女をこのまま始末できるか?】
【これから乱戦にもつれたとして、それにどれだけの時間が掛かる?】


【忘れてはいけない。とは言え、人間嫌いのこの少女はパグロームの噂など端から興味もなかったかも知れないが】
【異端狩りパグロームは、狂信者達の最も嫌がることをするのだと】


間違えるなよ、バイク。俺の目的は奴らの撲滅じゃアないんだ。


このまま聖堂に突っ込め。儀式をぶっ潰す。


【男は短く、信生に指示を飛ばした】
【そう、これは絶好のチャンスだ。男が、自らの目的を果たすための――】
【男は勝利条件を違えていない。勝利条件は、サーペント・カルトの殲滅ではなく――儀式を潰すことだ】
796 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 19:49:05.93 ID:RT4l8Hhv0
>>793

【過ぎ去る夜風に似た髪の質感、触れた欠片すらも辿れない絹糸に似て】
【それでも一片一片、数えるように紡いだなら、漸くその彩が見えてくるみたいに】
【尊きその色合いに、語る術を持たないかの如く、紡がれる一遍も気づかない内に】

【──、カチューシャはそっと髪をなびかせる、その所作だけで十分だから】
【艶やかな言葉も、仕草もいらない。ただその白雪に似た、プラチナブロンドだけが】
【彼女を彼女足らしめる矜持の如く、咲き誇っていた】


……でもね、カチューシャは狐はお嫌いよ、猫の方が好きなの
そうよ、自分の心に正直に、殿方に甘えるのが一番気持ちいいもの
お姉さまと馬鍬っても、それは風流があったとしても、生産性がないから

──、ふふ、カチューシャはそうは思わないの、敵対しているのは、私? それともお姉さま
或いは誰かに言われたから、そうしているのじゃなくて、雨の中傘も指さず踊る人が居てもいいの
カチューシャは好きに生きるわ、子猫ちゃんには、それがお似合いだから


【貴方の人懐っこい笑みに、確かな感触を感じて】
【──、彼女はぺたんと座り込んで、コートをぎゅっと身体に寄せる】
【肩に乗る小さな頭、傾げた様子は、子猫のように大人しく】


──まさか、こんな状態でカチューシャが銃を撃つわけ、無いじゃない
狙撃手は百発百中じゃないと、いけないの、──はずす前提の銃なんて、いやなの
ねぇ、お姉さまのお話を聞かせて、カチューシャはとても、興味があるの


【貴方がどう思っていようと、彼女は勝ったという実感は無くて、言葉がそう伝える】
【まるで寝る前の御伽噺をねだる童の様に、貴方の理由に興味を持って】
797 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 19:51:11.89 ID:Xgr13xPl0
>>776

【電撃バップが鳴り響く。銃声は鋭く、殺し合いながらも彼らは言葉を交わし続けていた。】
【どうせ相容れないとわかっていても。だからこそだろうか。チンザノ・ロッソは声を張り上げずとも】

【リボルバーに思いを込めて、撃ちまくった。なにかが変わると信じて、明日があると信じて】
【置いてきた過去を思って。―――Revolver Junkies/リボルバージャンキーズの名に相応しく】

【タルコフに訪れた幸運が、チンザノ・ロッソを祭祀場へと連れて行った。―――禁術。サーペントカルトの切り札】
【司祭が単なる狂信者ではない証だ。失ったものに対して、十分な恩恵が彼をその心象の中に閉じ込めた】

……何だよ。…クソッタレ。幻術か?器用な真似しやがって…!!

【眩んだ目がようやく視界が戻ってきて、ロッソは顔には出さないが動揺した。今までとは違う空間。蛇に睨まれた厳かな空間】
【思わず拳銃に力がこもる。――嫌な予感がしたそれでも、まだ】

因果を…?…失ったものは元には戻らない。だから、取り返しに来たんだ。前に進んで。
それを戻すなんて―――ナンセンスだ。妄想の中に囚われ続けるなんてな。

【俺は進むと決めたのだから、もう戻らない。過去を取り返すには進まなくてはならないとやっと気がついたんだ】


【迫る司祭にロッソは銃を向けた。幻覚だろうとなんだろうと、そう簡単に近づけさせやしない…そう思ったはずだった】

―――クソ…何だよこれ。

【その司祭は若かった。手足も、揃っていて、目鼻も。今よりも何処かずっとまともだった。赤い目で――――――】


【――――――これは、俺だ。】


【歩み寄る、その司祭の顔は、鏡越しで見た、見飽きたその自身の顔だった。】

【因果が流転する。過去が現在に追いついて、絡みつく】


……なんだよ。何だって言うんだ。

【一歩、また一歩と後退りするが、銃を握る手に力が入らない。】
【俺が置いてきた過去が、後悔や残酷な運命がこの祭祀場で祭り上げられて。あの頃がフラッシュバックする】
【残酷な記憶より、楽しかったあの瞬間が】

【―――俺の右の手を取った】



/ちょっとだけ分けます!
798 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 19:51:19.58 ID:YdnfFM3ao
>>790
とうとう、贄を捧げることすら放棄したか!! これは嬉しいな、お前の意識を完全に我々が奪った!!
盗賊としては、この上ない栄誉だ!! 我々の異形を塵一つ残さず消せるというなら、やってみろ!!

【臆病な盗賊は、戦闘の高翌揚と狂気で恐怖を塗りつぶして、その膨大な感情に対抗した】
【オフィウクスではなく、ただ一人の破崎雨竜としての彼を引きずり出したのは】
【あるいは、狂気の信仰からの解放ですら、あったのかもしれない】

【――――そして、その感情の奔流は、確かな形となって顕現する。さながら神の降臨のごとく】
【濁った叫びと歪めた表情。それすらも美しく。放たれる光も神々しく。されど、あまりに剥き出しの殺意】


〈ぐぎゃあああああああああああ!!!〉
『げふっ――――!!』 「がはぁ……!!」
[ひ、ひいいいい――――!!!]

ぬ、ぐ……!!!

【先陣を切ったエンジン男が、まず飲まれた。光り輝く球体たちが、泥の中の盗賊どもを照らし出す】
【またも目を潰され。直情的な軌道のそれを、交わすことは出来なかった。やせ細ったエンジン男の身体が、頼りなく吹き飛ばされる】

【続いて二つ頭の一つきりの身体が。エンジン男よりはしっかりした肉体も、役に立たない。同じく弾かれる】
【ピアス男は距離があったが、やはり光からは逃れられない。目を覆って立ち止まった、次の瞬間には空中へ】

【三つ目の大男もまた、結局は逃れ切れず。後方へと巨躯が飛んでいく】

【吹き飛んだ大男の手下たち、四つの異形、五人の盗賊どもは無数の炸裂の渦の中に落ちた。先の球体に触れて横に吹き飛び、またその先にあった球体に飛ばされる】
【まるでビリヤードかピンボール。あちらに弾かれ、こちらに投げられ。そのたびに炸裂に身を削られ】
【鮮血をまき散らしながら、盗賊どもが宙を舞い飛び。もはや悲鳴すら上げられぬ】

【やがて、その中から弾き飛ばされた盗賊どもは、それぞれに廃墟の壁に叩きつけられて】
【そのまま地面に転落し、完全に動かなくなった。これこそが、オフィウクスが一柱サビクの実力】
【満身創痍でありながら。異形どもを一度に返り討ちにしてのけたのだ】


……とんでもない男だ。前言を撤回しよう。サーペント・カルトは良い人材を揃えている

【震えながら、ゆっくりと大男は立ち上がった。配下を盾にしたことは、無駄ではなかったらしい】
【血を吐き捨てて。地面に叩きつけられた時の傷を、手足から滲ませて。それでも、ゆっくりと少年に歩み寄ろうとする】


だが、終わりだ。殉教の時だぞ、狂信者――――!!

【大男の太い腕が、エプロンの内側の肉切り包丁を握り。それを少年の胸に突き立てるべく】
【鈍重な動きなれど、威圧と殺意に満ちたその攻撃。果たして、サビクに届き得るのか】
【大男は、少年しか見ていない。今、何かが乱入すれば。あるいは、まだ少年に手札があれば。まだ、何かが――――】
799 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 19:51:28.63 ID:Xgr13xPl0
>>776 >>797


――――――――アアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!



【出せるだけの声を張り上げた。いや、勝手に出てくるのだ。銃がスルリとてから落ちて。もがく】
【タルコフの能力は彼を混乱させ、精神を蝕み、すり減らした。まともの頭がショートする寸前だった】
【真っ赤なその異様な目を張り裂けんばかりに見開いて、視界が世界が流転しているような気分だった】
【もうろくに何も思考ができなくなってきたそんなときに―――声が聞こえた】

【ろくに会っても居ない、聞き慣れた。悪徳の悪漢。あの声が―――――】


―――ハートに火をつけろッッ!!!Revolver Junkies/リボルバージャンキーズッッ!!


【叫んで出た言葉がそれだった。悪くないだろ?なあ、カニバディール。】
【相変わらず頼りになるやつだ。神出鬼没なのは元々だが、だからって今回は驚いたぜ】

【そうだ、俺の目は“視える”。たった一発の、銃弾で明日を切り開く。その、小さな希望が―――】
800 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 19:52:52.34 ID:B29byw680
>>777

ムリフェン……あ、さっき言ってたかえでちゃんの幹部名だっけ
なんであなたがかえでちゃんの術を使えるの……?

【この男も、只者ではない──】
【ほんの一部と言うなら、まだまだ手数はあるということ】
【ムリフェンが人々に行った行為を聞かされるが──】

知らないよ……そんな子、知らない
わたしが知ってるのは、一緒にお茶したかえでちゃんだけ
それに、ケバルライさんだって……今まで何をしてきたかわからないけど
わたしをただ襲うんじゃなくて、大人としてお説教してきた
い、今だって、わたしと話そうとしてる
殺そうと思ったら、今殺せたのに……

【絞り出すように答える】
【そして、立ち上がり】

【一歩一歩、踏みしめるようにケバルライに近づいていく】
801 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage sage]:2018/06/23(土) 19:58:40.83 ID:xPZ7LQKro
>>775 >>795

【──その言葉に、少しだけ押し黙る。確かに現在の自分はガラクタでしかない】
【記憶と意識は引き継いでいるものの、それは沼の男の伝承のようなモノ】
【何より性格の人間的な部分は全て打ち捨てた。──とはいえ】

──ソレハ、アナタヲ倒シテカラ、ワタシガ考エマス
──デスガ、ワタシハワタシデス
──アナタハ、アナタデアルヨウニ

【と、伝えた。──二つ目の緑のヘッドライトが、点滅するように】
【そしてカリストの指示を聞き──】



──ヨッシャ



【淡々となんか言った。──今はそういうコトを言う雰囲気では無いというのに】
【ブルン、とエンジンが掛かる──やる気満々だと返事をしているようだ】

──了解デス、マスター∞フルスロットルデ行キマス
──ソレト、ワタシノコトハ──ノブキト呼ブヨウニ

【バルンッ!!大きな音を立て──それは、たった一回きりの技。バイクでは、到底出せないようなスピードで──超加速で走り出した】
【──電気、或いは動力エネルギーにプラス、魔翌力放出によってソレ以上のスペックを出す技】
【肌がビリつくほどの速度で、アナタを乗せたまま──ノブキは突っ込もう≠ニする】
【その最中、何かがあった場合──ノブキは咄嗟に対処出来ないだろう。カリストを信頼し、全判断を委ねて居た】
802 :剛田 剛太郎 [saga]:2018/06/23(土) 20:02:13.67 ID:1Dyau0kl0
>>774

……そんな手伝い俺はしねえぞ。けどお前を止めたりもしない
それくらいの報いが降りかかるぐらいの事をこいつらはしたからな

後は……俺が奴らをぶん殴る手伝いをついででやってくれたら嬉しいって感じだ

【共闘前に事前に示す剛太郎のスタンス】
【彼は基本殺生を好まない。だが……此度の敵はそれをされても仕方ない程のことをした】
【その復讐は正当なものだと判断する。自ら命をとりはしないが邪魔にはならないだろう】

>>782

……別にいいだろ。だって俺が来るってわかってれば防ぎに行くしかないもんな
そこに、普通に攻撃してくる奴がいたら……きっとお前はやりにくいよな

おっと!捕まってたまるか!葉隠流、紫陽花!!


【拘束されては流石に厄介と判断、なんと手刀の乱撃を放って鞭を切り裂き】
【そのまま十字架を足場にしてジャンプ。狂信者たる女と間合いを取り構え直すだろう】

【バレて防がれても構わない。こちらには敵の命を取りに行く物騒な味方がいるのだ】
【自分が攻撃を宣言して放つ技に気を取られれば命はない、と暗に圧力を掛けてくるだろう】
【数の理を早速利用しにかかってくる。なかなかに強かな若者だ】

【ずしぃん、とバイクが棺桶の形に戻り縦の状態で着地する】
【すでに相棒は中の空間に引っ込んでいた。先の大きな一手のために待機している】
【武者はそのままクラウチングスタートのような低姿勢で女に狙いを定め】


……ほらほらお前の前から来るぜ!構えないでいいのか?葉隠流、奥義!疾 風 迅 雷 ッ!!


【今度は何と、目を隠す女に向けて堂々と宣言してから奥義を発動】
【目にも止まらぬー否、目など相手にはないが、凄まじい速度でひと呼吸のうちに距離を詰め、突進を叩き込みにかかる!】
【無論防がれてもいい、こちらに対応したら共闘者の凶刃が迫るのだから!】
803 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 20:02:28.73 ID:B29byw680
>>778

軍医に不足は無し、か
それは何よりだ。まあ、必要になったらいつでも言ってくれ
ふふ、だろうな。君たちから見たら私も他の狂信者と変わらんだろう

【それはそれで良い情報は得たと言わんばかりに微笑み】
【いてて、と身体の傷を確認しながら立ち上がる】

【恐竜の右足が爆破される】
【またも、もろく右足は吹き飛んだ】
【片足を失った恐竜は地面に倒れ――ることはなかった】

【左脚だけで立っている――どう見ても巨体を支えるバランスではないが、倒れず】
【"爆ぜた"】
【恐竜を構成する大きな骨の一本一本が爆発したように四方に飛び散る】
【かなりの速度を以て、骨の一部は厳島にも飛来するだろう】

804 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 20:04:02.47 ID:RT4l8Hhv0
>>800

【ケバルライは静かに笑った。──リオシアの問いは、その悉くが正解に近い】
【惜しむらくはその行いが彼女にとって無意識である、ということ──これが、確かな知恵であったなら】
【末恐ろしい少女だとさえ思う、或いは、末恐ろしい少女で居てくれて、良かった】


──簡単な事です、ムリフェンに与えた力は、私の能力の一部分なのですから
彼女はそれを知らない、ウヌクアルハイ様の力の一つだと、思い込んでいる
否、思い込んでいなければならないのです。故に私は、"Itzamna"の名を付けたのです

分かりますか? 今彼女は、神の名を元に殺戮を行う、神の名を為に儀式を行う
しかしその手はずは、私が整えた場を飛び出してはいない、と
────、信者はこれだから、与し易い


【リオシアの歩みを彼は見守る、それは始めて歩き出したわが子を見る視線に似て】
【一つ一つ確かめる、その足取りの意味合いを探したなら】
【言葉を重ねた、その言葉の意味はきっと、今は分からないだろうけど】


────殺しませんよ、今貴方の死には、何の意味もないのですから


【────、ケバルライが、そう言った刹那】


>>795>>801


【大聖堂の扉を突き破り、二人の侵入者がやってきた。貴方達は相対する、少女と男を見るだろう】
【全身に傷を付けた男、ケバルライ、──実質的なサーペント・カルトの指導者であった】
【そして、大聖堂の上空には、未だ空中に浮かぶ床に放置された生け贄たちが居た】


────、あの病魔め……時間稼ぎすらまともに出来ないとは
キミ達は何者だい? ここがサーペント・カルトの儀式の場と師っての狼藉かな
だとすれば、愚かであると言わざるを得ないね、そこに何の正当性もない


【ケバルライは突入してきた二人に告げる、視界の端で橋を追ったが、足を怪我したイルは、まだ時間がかかるだろう】
805 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 20:04:52.40 ID:rW2LOlMS0
>>798

………………は、……はぁ、……はあっ、はあ、…………

【――――光が止む。すべてを拒んで、何もかも弾き飛ばして――それで全部を出し尽くした】
【美しかった少年の髪が、心なしか色彩を失っている。元から薄い色だったからわかりにくいが】
【それでも確実に――髪だけじゃなかった。肌も、瞳も、なにもかも。輝きを失った】
【あとに残されたのは、ひとりぼっち、小さな小さな子供だけ。それで呆然と前を見やって――、】

【……殺し損ねた。すぐに理解した。大男が此方に向かってくるのが見て、しかし何もできない】
【立ち上がる気力もない。地べたに座り込むことすら億劫だった。ただ、ぼうっと、眺めることしかできず】



【――――――――想起していた。自分より大きな女の姿だった――それは誰だったろう、……蜜姫かえで? 違う、】
【ならば彼が一番信頼を寄せていた「蛇神様」の姿のひとつ、……白神鈴音? それも、違う】


【(だって言ってくれた。「ここから生きて帰って来れたんなら、あたしあんたのこと、初めて抱き締めてあげてもいいわ」)】
【(覚えてるもん。ちゃんと覚えてる。その言葉の通りちゃんと生きて帰ったのに、……どうして、どうして)】






……………………おねがい、…………抱き締めて…………――――。



【最期の言葉はそれだった。大男に言うにはあまりにも可笑しな言葉】
【それ以前に、誰と触れ合うのも嫌がっていたはずの彼が言うには――――あまりにも「おかしい」言葉だった、それで】
【…………それだけ言ったら、くしゃりと頽れるように、泣き顔を晒して。――――音もなく、胸に、その刃を受け入れた】






                                          【         (おかあさん)     】
806 :アルジャーノン ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 20:06:46.43 ID:rW2LOlMS0
>>791
【銃声が一発――頭蓋を撃ち抜かれれば赤い華を咲かせて、顔のない女は、その場に倒れ伏す――】
【糸が切れた、壊れた玩具のように。しかし、生きていた証のように血だまりが広がっていく】
【これは本来とっくに死んでいたものだ。そう思えば、きっと、少女の心の負担も軽くなるだろう】

【しかし――】


……えでちゃ……


【人の声音で絶命の間際に呟いた言葉は、誰かの名前のようにも聞こえたのだった】
【それは掠れていて、相対していた赤い少女にも、はっきりと聞こえたかは分からないけれど】


【――最早、少女の行く末を遮る者はいないだろう】
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 20:06:58.53 ID:l87sBOYx0
>>785

【完全に我を失ったセアンであるが、達人は達人。その一振りは左肩を貫きダメージを与えた】
【プリオルは左肩を押さえて苦悶の表情を浮かべている】
【今セアンの心の中は目の前の女に対する憎悪で一杯である最早話しは通じないであろう】

違う…俺は……違うんだ…う゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ
そんなことは……無い…んだ・・絶対に…そんなこと……有っては…いけない……
そうだ、早く終わらせて償うんだ。だから、

“コロソウ”

【これで完璧に狂ったセアンはサーペント・カルトに対して深い憎悪を抱く様になった】
【槍を弓に持ち替えて魔翠力を込める弦に槍を番えて放つ必殺の一撃を】

《crazy birth》

808 :アレクサンデル・タルコフ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 20:07:36.13 ID:YdnfFM3ao
>>797
【言葉と銃弾が交わされる。忘れられた地下が随分と賑やかな夜だ】
【司祭もまた、死力を尽くす。この強敵をこの場に留めるために。自分の真実に殉じるために】

【強盗は明日に向かって撃つ。過ぎ去った過去を示す名を共に】
【司祭は明日に向かって呪う。狂った未来を実現するために】

【しかして、運が味方したのは信仰心がゆえか。禁術の執行は、確かに成った】
【司祭の狂信の表れ。悪夢の具現化。地獄の顕現】


幻術ではございません。これは記憶……過去の因果です
いえ、貴方は取り返せません。失ったものは戻らない、その通りです

ウヌクアルハイ様は受肉し、永遠に神となる。その因果だけは、私も戻せないのです

【進み続けようとする者の足を止め、意思をくじくこと以上の罪があろうか】
【それを、司祭はやろうとしているのだ。ただ己の血と肉と意志で、ここまでやってきたこの男に向かって】


さあ……捧げなさい

【彼自身の過去は知らず。彼に自分がどう見えていたのかも知らず。ただ、目を光らせて】
【彼がおいてきた因果を贄に。祭祀場は儀式を行う。銃が上がらない右腕を、司祭がとる】

ぐ……私も共に、そこにいます。さあ、職務を果たしましょう……捧げるのです……!!

【司祭自身の身体もまた、右腕が摩り下ろされ、左腕が溶け、右足が削れ、左足が燃えている】
【狂った精神は、それを任務として受け取る。受け入れる。それが、ロッソを侵食していく】
【狂気。狂気。苦痛。苦痛。全てがロッソを塗りつぶさんとして――――司祭もまた、その声を聴いた】


な――――!!

「お前が、まさかサーペント・カルトの司祭なんぞになっているとは驚きだな、アレクサンデル」
「お互いに敵同士だったことを知らないまま、取引などしてしまったのは不運だったが……塞翁が馬だ」
「異形の盗賊から買い取ったものを、腹の中にしまい込むなどという真似をしたのが、お前の失策だよ司祭様……!!」

【突如、タルコフの腹が裂け。その内側から大量の細長い何かが伸びて来た。それが、司祭自身に絡みつく】
【菌糸だ。キノコの菌糸。ロッソなら、数年前の昼の国・ヴェンドゥラーでの戦いで、都市の中央部に鎮座した巨大キノコを思い出すだろうか】

【そのキノコに、巨大な一つ目が生えている。あのイカれた肉屋の額に埋まっていたのと同じ、黒い瞳の単眼が】


ぐあ、が……!! があっが……!!!

【祭祀場が、破れた。空間が割れるように消え、カタコンベの薄暗い地下空間が戻って来た】
【胴体だけの身体を、皮肉にも蛇に巻き付かれているような姿で。菌糸に塗れてのたうつ司祭の姿は隙だらけ】

【さあ、明日に向かって撃てロッソ。Revolver Junkies/リボルバージャンキーズ。こいつのハートに火をつけてやれ】
【カニバディールの狂気的支援は今、強盗に戻った探偵に最高の勝機をもたらした】
【小さいが確かな希望。銃弾一発分。それできっと、十分だ】
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 20:09:44.21 ID:yyycwOqh0
>>794

【――――呻く、小さな声。痛みはなくとも体内から血がこみあげて来る不快感までは消してしまえないなら、きっと彼女はひどく苦しげに血を吐くのだろう】
【ぐちゃぐちゃに潰れてしまった右手は動くはずもないから垂らしたまま。ざりと小さな足音。――足が動くなら良かった。これなら、まだ、戦える、"殺せる"】
【そうやって自分を奮い立たせる。殺せる。殺す。殺す――、口の中で囁く。そもそもこの気持ちは"ムリフェン"とは関係がないから】

【少女は、たぶん、この場に立つ自分がそうやって間違えてしまうことを恐れていた。だから蜜姫かえでを消してしまった。だけど、もう、駄目だから】
【"そんな余裕"はなくなってしまった。だから。今度は。限りなく自分自身の全部で相手を殺さないといけない。――ううん、殺す。殺せる。足は動くし意識もある】
【利き腕は潰れてしまったけれどそれでもどうにかなる。――だからできる。その刹那に少女は相手から目を離すのだろう。ほんの一瞬だけ、背後の偶像を見上げて、】

――殺すッ、殺せる! 私があなたを殺すッ、――、あなたとは違う、殺せるっ――、殺すの、だから!
ウヌクアルハイ様がまもなく受肉されるのに。あなたみたいな人ッ……、生かしていけないっ、――首だけでも引きちぎってやる、絶対に――!

【そうして少女は頑なに閉ざす。そんなのは戯言だと言うように否定して、それでもなお、否定しきれぬ証拠であるかのように、殺すと繰り返す】
【絶対に諦められない目標が眼前にある。そのためになら全部を使い切っても構わない。――たとえその瞬間を見ることが出来ずとも、護ることさえ出来たなら】
【――それでもいいと思った。心底から。だから、殺す。きっと相手はその目的を許してはくれないから。だから、譲れなくって】

【――――――乱れ撃たれる機関銃は、確かに、アリアの思った通り。当たらないだろう。"ほとんど"。そもそも当たらず、あるいは阻害され】
【けれどごくまれに、ひどく少ないいくつかが少女に傷を刻んでいた。それは一つ腹を貫くこともあれば、潰れた右手をもう一度打ち砕き、足に小さくない傷をつけ】
【それでも揺らがない。もう多分痛くないんだと思わせた。それを果たして生きていると言ってしまっていいんだろうか、これが善いことだというのなら、それは、あんまりにも】

【――――】

くそっ――ナメてるっ、ふざけんな――ッ、私は! "ここ"に居る私は! そんな名前じゃないッ!
だから関係ない――! 蜜姫かえでなんか要らないッ――、私、は、――ウヌクアルハイ様のために、そのために、ここに居るんだからッ、!

【瓦礫の山を背中にして。少女は追い詰められた。足が動くことと、かといって、十全に動き回れるか、は、別であったなら】
【脳髄がじりじりとひりつくようだった。痛むことはなくても、横たわる冷たさは無視できない。麻酔の効いているときに、上手に水も飲めないみたいに】
【ぎゅうと肩を掴まれる。いけないと思った。思って。思ったのに、身体は動く動かないのだろう、だから――少女は代わりに相手の左腕を見据える、力を込めたなら】
【そのマゼンタの中に際立つのは蛇の目印、――Kukulcanの力の一つ。その左手をほんの一瞬仮死状態に導こうとする、そしてこの距離であれば、それで、十分だったから】

うるさい――うるさいッ! だから死ね! ――!

【――とうに容量など使い切った脳にさらに阻害を作用させる。そうしたなら溢れかえる言いようのない苦痛は魂が焼け焦げるような感覚、痛くない身体に唯一痛んで】
【最後に少女は意図的に身体のリミッターを外す、――火事場の馬鹿力なんて呼ばれるものを意図的に呼び起こす。すなわち、相手の身体、思い切り、思い切り、蹴飛ばそうと】
【前みたいにはしない。相手の身体の重さに対して少女の力は"常"なら及ぶはずない。けど、今の彼女に、生き物めいたリミッターは存在しないから】

【骨が折れてもねじくれてもなんでもいいから、相手のこと、蹴っ飛ばすことにのみ全力を行使する、――そして、これは、仮死が及んでいなかったなら、きっと、そのまえに】
【腕の方をへし折られる。――そういうぎりぎりの分水嶺を歩いて渡るみたいな、賭けだった。左手はあげられない。でも。そうじゃないと殺せない、――殺したい、から】
810 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/23(土) 20:11:20.99 ID:xPZ7LQKr0
>>782>>802
【相手の攻撃はそのどれもが巨大。そして、その威力も強大】
【ならば。――要するに、弱点は小回りが効きづらい事。危険だけど、懐こそが逆に安全】
【少女はそう考えた。相手の所作から、相手の力の焦点が何処にあるかということも理解した】
【骸の仮面の奥の瞳が、ジィ、と相手を見据える。深く息を吸い、吐いた。痛みが体を突き抜ける】

――ああ。私が悪を許さない様に。
お前は、きっと。私を認めない。

私は、お前を否定する。お前に否定されたところで――何も変わりはしない。

【問答は最早不要だろう。少女は相手を殺し。相手もまた少女を殺すのだ。それが決定している】

――ッ。

【徹底的に収束してからの火炎の開放は、0の速度からの100の加速を最速で実現させた】
【地面から足は離れ。焔の噴射による細かい姿勢制御により、轟音を引き連れて彼女は女の左】
【そしてそのまま踏み込み。振り抜く右腕。一閃は極めて鋭く――相手の左腕を切落すべく銀孤を描く】

――"復讐を果たせ"ッッ!!

【直後。その銀の刃から、彼女自身から――周囲の空気が凍りつく如く、重く、鋭く、冷たい気配が発露する】
【――それは。純然たる殺意。集約された否定の意識の具現。悪を根絶する覚悟の具象。その集大成】
【防がれたとて、その防御すらも否定して貫き引き裂き、刃の通った道程には否定による傷が残るそれ】
【大火力などではない、"悪性の否定"による一閃が――剛太郎の奥義と同時に振るわれた】

【剛太郎の突進は疾く、防げば縫い留められ刃が当たる可能性は高いだろう】
【逆に、こちらの攻撃に脅威を感じ避ける、防ぐを選択すれば、逆に剛太郎の攻撃に対する対処が疎かとなりかねない】
【どちらをとってもどちらかが脅威となり、必殺を成しうる筈だ。それを越える手は、きっと相手にはあるのだろうが――】
811 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 20:12:18.01 ID:BVsbpQZQ0
>>789

【殴った瞬間、倒れる瞬間。浮かべたその表情を、マリアは確かに見た。痛かったろうに、笑っていた。】
【特に何の変哲もない、ただの拳。しかし、その拳に乗せた想いは、きっと伝わっていたのだろう。】
【そして、音を立てて倒れる。――――まだ油断はしない。まだ襲い掛かってくるかもしれない。と】
【身構えた所で……やめた。なぜ?それは……彼の表情が、変わっていたから。】

【何とははっきり分からないが、分かるのだ。明らかに、雰囲気が変わったと。……ああ、もう大丈夫。】
【何とは言えないが、多分大丈夫。そんな気がする。だから、もう戦いは終わり。】

強くなんかありませんよ。ただほんの少し、友達想いで頑固なだけ。
……勿論です。私を誰だと思っているのです、鈴音の友達ですよ?ふふっ……

―――決まってるじゃないですか。私が信じないで、誰が信じるんです。
わたしの信じる神様はね、友達の為に身を惜しまない事こそが最大の愛だと言ってるんですよっ。

【請け負った、と言わんばかりに微笑む。言われるまでも無く、元よりそのつもり。】
【その為に、危険を冒してまでここまでやって来たのだから。其処が揺らぐようなら、彼女はここには立っていないだろう。】
【彼女の言う神は、間違いなく鈴音ではない。少なくとも、傷つき殺しあうような宗教ではないのは、間違いなさそうだ。】

……ふふっ。「神が人々を許したように、我々も互いを許しなさい」という言葉があります。
いいでしょう。―――許された後どのような行動を取るか、神様は見ていらっしゃいますよ。

【―――また、そっと微笑む。彼女の心に根付く信仰は、きっと愛と寛容で出来ている。勿論、寛容とは何でも許すという意味ではないが】
【許すべき事を許せるのは、許せるかどうかという判断がしっかりできるから。―――彼は許してもいいと、彼女は判断したようだ。】


812 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 20:15:10.39 ID:ojuNPaGo0
>>783

【腹部に受けた最初の数発を、“仕方なく”自らの臓腑を裂く形で体内に顕現させた火焔により遮断――――その反動は凄まじく、活動限界は否応なく差し迫っている】
【それでも、前に進むのだ。打ち破ることでしか果たせない意味があるのなら、そうあることを躊躇えるハズがない――――‼】

……なら、脅かす総てを断ち切るためにこそ私は進む――――この渇望(のぞみ)を阻めると思うな、護国の刃。
貴女の願う明日をも込みで、初めて私の守りたい場所≠ヘ存在してる――――

……ああ、そうだ――――――――私の“生”は、ただその戦いにこそ在る剣なのだからッ‼!

【世界を賭けた一幕だと、かつて虚神≠ニ対峙した少女が理解している一戦の一欠片は。けれど、容姿からは想像もつかない練度と覚悟を秘めた女を敵手に据えた】
【重なりあう“守るべき場所”、減速など到底許し難い双つの覚悟。
【刃が刃を裂く。次の一合の一切の予兆を、筋線維一つの動きさえ見逃すまいと五感のすべてが冴え渡りきる】

【激痛を敢えて強く意識、脳内麻薬さえ捻じ伏せて活性化。到る呼吸の読みあいと動作の調和は、命を曝しあう様もどこか交情に似て】

ッ、――――――――‼

【幾千滴もの弾雨を平然と薙ぎ尽くす知覚力さえも、無用の長物と為さしめる極まった妙手。それは、致命打を圧した反動たる、不可避の眩暈を追い風に得てさらなる完成度を見せる】
【或いはここまでを読みきられたのか? 答えはなく】
【剣士が表情をひどく強張らせるこの瞬間、女は、確かにその先読みを越えてみせて――――、】
【小口径弾でも内臓を、傷口から穿てたならば十分だろう。分の悪い賭けでも、立ち向かうほかない状況に少女は置かれて】

【その肩口を掠めるだけで――――致命を望むはずだった一射はその意味を終えた】

……え?、――――――――、

【反撃を行おうとする意志を、真意を伝える女の言葉が押しとどめて。直前に聞き届けた偽りない在り方が、その言葉に真実を灯らせていった】
【敵意が霧散する。張り詰めた空気が凍てた山に似た存在感を残す。けれど紡がれる言葉は、再び戦端を開こうとするものでは決してなかった】

/続きますっ
813 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 20:15:28.80 ID:RT4l8Hhv0
>>807

【透き通る砂糖菓子の様な褐色の肌、奇しくもセアンと同種の色合いであった】
【けれども貴方の色合いは、逞しい男性らしさと、それでいて女性的なたおやかさを象徴し】
【──彼女の褐色は、何処までも神秘的な、異国の御伽噺に出てくる姫を思わせて】

【纏う黒い服装が、その肌の色に映えた。色鮮やかなモカの色、煌きは夜露に似て】
【砂漠に咲く一輪のバラを思わせる情熱的な唇の温度、質感、濡れたならそこに艶が満ちる】
【そうしたなら何処までも、シルクに包まれた愛を伝える様に】


────、意外と脆い精神でしたね、狂人に刃とは……力を持つ童が、最も恐ろしい
貴方の音色は我が元に、歌う蝶の旋律は、再び私の元へと舞い戻るわ
それを人は伝える、属調、と────

今一度、私の為に飛んでくれる────?


【少女が手を振るうと、一匹の蝶が出現する。セアンの放つ、必殺の一撃、それを真正面から受け止める様に】
【同じ技であった、今セアンが放った一撃と、全く同じ技が、その蝶から放たれる】
【相殺される衝撃、地鳴りが響き、周囲を一段と大きく揺らすだろう】
814 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 20:15:39.66 ID:ojuNPaGo0
>>783

私が護ろうとするものは、きっと貴女のそれとは違う。

私は自分の“大切”の全部の源をつくってくれた、あの国が今も好きだけど。
そこに住まう人達を……“他のどこかで生きようと足掻く人たちと同じぐらい”。
……どんな枠組みより、大切に思ってしまっているから――――。

【言外に、再び敵として見えた暁にはやはり躊躇いなく戦うことを伝える言葉。自国と民を守る意志に、共感はしても】
【だからと他国での犠牲を許すことは、彼女には断じて正当化できない答えだった。その願いのまま在ることは、政など素人同然の生き方でしかなかったけれど】
【此処で言葉にすることが、せめてもの誠意だったのかもしれない。対策の構築も、その意味はないと判じて捨て置くも。女の、自由でしかなくて】

【再び開く桜色の唇は、守られる民でなく対等であることを望むように。つい先ほどまで殺しあっていた相手へと、陽想う月の気配を纏って言葉を伴う】
【或いはあの敵意は障害≠ニして、否が応にも打ち破るという意志から来ていたがゆえか。その理由が消えたならば、今は関係は変わって】

……それでも

もしも、お互い生きてここから櫻に帰れたら。

その時は――――どうにか無事でいてくれた世界で、ほんの少しだけ穏やかにやりあいましょう?
貴女の主のことは、たぶん好きにはなれそうもないけど……――――、

【くすりと、どこか下手な冗談でも言うように自分の真実をまた貫き通した。油断はなく、けれど害意も今はなく】
【そうして少女は征くのだろう。夥しい血の跡を残し、灼き塞いだ傷口の手当などロクにせず。背と背でなにかを伝えあったなら、それで、もう終わるだけの様で】


……八攫 柊(やつか しゅう)。
忘れても別に構わないけど、それが……今宵貴女と戦った私の名前。

【けれど或いは、最後になるかもしれない言葉のやりとり。もしも名乗り返されたなら――――】
【忘れ得ぬ“ひとり”として、手脚を自称する彼女の名も、そっとその背に乗せてゆく】
【胸に刻み込んだなら、明日を再び求めだすだろう。終わろうとする世界を前に、その細い刃に、ちっぽけな己の凡てを載せて――――。】
815 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 20:17:27.67 ID:B29byw680
>>804

じゃああなたは、かえでちゃんを騙したの?
自分の意志で信者になったかえでちゃんを……

わたしも、騙されそうになってたの……?

だったら……!

【リオシアの瞳に、意志が宿った】
【初めて見せてケバルライへ個人への、何らかの強い意識】


【しかし、その瞬間に事態は急変した】
【バイクが飛び込んできたのだ】


えっ!?
何!?誰!?

あ、ケバルライさんもわからないってことは味方かな?
おーい!わたしはリオシア!いま幹部と戦ってるの!

【援軍?の登場にぱっと表情を明るくし、飛び込んだ二人に手を降った】


816 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 20:19:15.15 ID:VXFCbz/50
>>796

【さっきまで殺しあっていたのが嘘だった様に、均衡が勢いよく崩れていく】
【ぺたんっ、と地べたに座り込むエーリカの目に映るのは艶やかな振る舞いのカチューシャ】
【単に神をなびかせているだけなのに、その所作に釘付けになってしまうのは何故だろう】


――……んー、この場には居ないかな。もう私たちは敵同士じゃないし、さ。
此処にいるのは蛇を装った公安5課の潜入捜査官とカノッサの見目麗しい狙撃手サマだけだから。

何はともあれ、慈悲のココロってやつかな。あるいは狙撃手の矜持。まあどっちでも良いよ。ありがとーごぜーます。
つーわけで引き分けってことにしとこう。きっとそれが良い落としどころだと思うし。

(――子猫みたい。まあ、子猫と侮ってたら最期、私の体の風通しがめっさ良くなってたんだろうネ)


【小動物。愛玩動物。そう断じて過言ではない仕草に思わず表情が綻ぶ。けれどブンブンと頭を振ってごまかした後】
【――本題に入る。自分が此処にいた理由を語り始める】


アンタの察する通り私はサーペントカルトの信者なんかじゃない。ご丁寧に手の甲に蛇のタトゥーシール貼ってるけどこれは単なる偽装。

私の本当の身分は公安五課所属の潜入捜査官。最近のカルトの動向は、もはや無視できない物になってしまったから、
組織の全貌を暴くためにこんなトンデモ宗教に潜り込んでたわけ。――だから、表向きは蛇の信者を装う必要があった。
だから、蛇の凶行に加担せざるを得なかったし、こうしてアンタと戦う羽目になった。

んでもって、本来ならあの儀式を阻止しなきゃならないんだ。けど表向きは蛇の信者だからそれができない。なにより


【公安五課・通称:特別警備局 エーリカの所属する公安五課は黒幕に属する組織であり、カチューシャもその存在を聞いたことがあるかもしれない】
【そこに所属するものが皆国家のための捨て石であることも、人権を取り上げられた生きる死人であることも】


――…あんな位相の異なるバケモノ勝てる勝てないの次元じゃない。あんなのは現世に受肉させちゃならないんだ。
だけど、あれを思い出すたびに心が砕けそうになるのさ……情けないよ、ほんに。


【沈痛な面持ち。震える声色。小刻みに揺れる身体。その姿は怯えであり、この世の物ではない何かを知覚してしまった故の恐怖だったのだろう】
817 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 20:19:34.79 ID:RT4l8Hhv0
>>802>>810

【下に重ねたシースルードレス、透ける素肌には無駄な肉がついておらず】
【それでいて肉感的な慕情を残しているのは、女性的な箇所に描くふくらみが故】
【華奢な首筋は陶器を思わせた、細い水仙を彩る艶やかな陶磁器のそれに似て】

【ボディラインを誇示しながらも露出は多くない、それは彼女の純潔さが故か】
【それは紛れも泣く聖女であった。蛇教の審問官でありながら、それは宗教の奉仕者の様に】
【何処か歪な相似形を、それでも確かな形にするのが、宗教の作用であった】


……──なんとむちゃくちゃな戦法を……!! これだから異端者は……っ
サーバントの誰も、こんな戦い方をしませんのに──っ
わざわざ攻撃を名乗るだなんて、信じられません!!

──それに鋼鉄製の鞭を切り裂くだなんて、どんな身体能力をされているのですか
異端の力とはかくも恐ろしい、だからこそ私はどんな手段を使ってでも、守らなければならない
私は私の信仰を守ります、私の術を持って、私の存在価値を守る────!!


【鞭を放棄する、右の手が空いたなら、すぐさま左手で書物のページを捲る】
【出現するのは "ファラリスの雄牛" 金属で出来た巨大な牛のオブジェであった】
【──彼女の合図でオブジェは熱される、歪な鳴き声をあげて、剛太郎の突進を防ごうとする】

【──高温で熱された巨大な鉄の塊である、突進が直撃したならただではすまない、が】


……ならば私も役目を果たす────!! サーバントとして、私の責務を……っ


【純然たる殺意は彼女の行動をも阻害する、彼女はその一瞬、確かに怯えてしまった】
【気圧されてしまった、あなたの持つ、何処までも純粋な殺意が、彼女の覚悟を捻じ曲げて】
【次に放たれる悪性の否定、彼女を守る拷問具が、砕かれて────】

【間に合わない、と直感した、剛太郎の突進が彼女の胸部を捉え、彼女は大きく弾き飛ばされる】
【何度か地面でバウンドし、倒れこんだ、血を吐きながら、何度か荒い呼吸を重ねて】
818 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 20:26:17.64 ID:RT4l8Hhv0
>>816

【──指先が唇にしみこんだ、幼子のように軽く指先を口で銜える】
【それだけの仕草が色めきたつ位に、彼女はあでやかな様相で────】
【兎角、静かに貴方の話を聴いているのだろう、そこにどんな色合いが映るか分からないが】


引き分けなんてないの、どちらかが勝って、どちらかが負けるだけなの
──それに、勝ち負けを決めないと、どちらが上で、下か、決めれないの────
それは混乱を招くの、どちらが責めるか、それで決めなきゃ──

……そうなの、それは、とても怖い思いをしたの


【カチューシャの指先が伸びて、貴方を抱き寄せる──軽く血がつくけれど、あまり気にしないで】
【そして、そのままぎゅぅと抱きしめるのだろう、語る言葉は少なく、それでも確かな熱を伝えて】
【それは豪雪の中で見る町の灯みたいに微かだったけれども、けれども、彼女のぬくもりだから】


──カチューシャは帰るの、お姉さまは────……お姉さまの道を選ぶの
それが正しいか、正しくないかなんて、分からないけど
……進むことが出来るのなら、それは幸福だから────


【とめなければ彼女はそのまま、その場を後にする、狙撃銃を手にして】
【儀式の時間までにはまだある、今ならきっと、まだ間に合うだろうけど────】
819 :ドープ ◆xgsUYuhzWc [sage saga]:2018/06/23(土) 20:28:30.49 ID:xPZ7LQKro
>>811

【頭をかいて──かなわねぇなあ≠ネんてひとりごちながら、伝える】
【そんな風に、彼女は笑って問いかける。こんな風に、殴り合いをした後でも】
【だからこそ強いのだ、──きっとそれは、ただの闇なんかじゃ打ち消せない光だ】

……やっぱ、アンタ聖職か。雰囲気からしてそんな気配はしたがよ

オレも丸くなったもんだな、すっかり、何もかも折られちまった
ただ、オレァ悪人だ。やりたいようにやるのがサガさ、つっても

アンタのほかのカミサマの説教聞いて反省してるよーじゃあ、呆れるぜ
……ただ、許してくれてサンキューとは言っとくよ、ベッピンサン

【ふ、と笑って。力無くうなだれながら。鼻が折れていたので、たり、と鼻血が垂れてぬぐう】
【──いいなあ。オレもそんなカミサマを信じたかったよ≠ネんて、ぽつりと】

オレァ、多分この後死ぬ。殺される気がする。──そんな気がしてなら無ェ
うまくはやるがよ。ただ、オレはココがスキなんだ。ソレに、やりたいコトはヒトツ残ってんだ
オレァ、立場上アンタと相容れねえのが残念だ──でもよ

大聖堂=B分かるか──そこで、儀式≠ヘ行われている
多分、鈴音の手掛かりもソコにあるんじゃ無ェかな──だから行ってみてくれ
オレの置き土産だと思って、教えとく

白神鈴音のコト、よろしくな
アンタなら──救えるさ、アンタの想いの量なら

【内緒だぜ、そんな風に笑って、シーッとおどけて表現した】


──とりあえず、オレはここからとっとと帰るさ
じゃあな、ベッピンサン──なぁ、アンタの名前は?


【と、彼は問答無用で立ち上がって──よろめきながら、先に入り口に向かおうとする】
【そして彼女に向かって振り向き、笑うのだら──何となく、名残惜しそうに】


【──そして、別れるのだ。きっとアナタが入り口を出たら、姿は消えている】
【──ドープ・ラブ・ライクというオトコは、アナタのコトを忘れないのだろう】


【もしかしたら】
【もしかしたら──アナタに真の意味で、立場を救われた未来も、あったのかもしれない】


/ここら辺でしょうか…お疲れ様でした…!!楽しかったです、ありがとうございました!
/院長さんのご指示でおそらく大聖堂への移動となります!お疲れ様でした!
820 :ラベンダァイス&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/23(土) 20:28:32.76 ID:fimxwp7B0
>>792

「……本当にその恰好は、伊達と言うらしいな――――門外漢の俺でさえ、御仏の教えぐらいは知っているぞ……ッ!」
ッ――――!?

【目を血走らせながら、アーディンはその言葉を下らないとこき下ろした。その言葉の重みに、ラベンダァイスも顔を向ける】
【幼子を愛し、未来の可能性を愛し、そして人間の尊厳を愛した――――だからこそ、その言葉は捨て置けなかったのだ】

「貴様はこの蛇神を差し置いて、永遠でも生きるつもりか? ならばやってみれば良いだろう!
 人は永遠を生きるものじゃない、必ず死ぬモノだ!! だからこそ、欲望は全て苦痛の原因となる!
 欲望を断ち切れなど、凡夫にはできない話だ、それは仕方がない。だが欲を満たす事が全ての苦から解放される道など、片腹痛いというものだッ!!」

【――――『渇愛』ありて『取』あり。『取』ありて『有』あり。『有』ありて『生』あり。『生』ありて『老病死』あり。『老病死』ありて『苦』あり――――】
【仏の教えの根幹は、この『因縁』に基盤を置いている。欲望をむさぼる事は即ち――――最終的な終わりへの怯えを、加速させることに他ならないのだ】
【だからこそ、修行者は全ての欲望と戦う。普通に生きる人間には、それが不可能でも、せめて自制しろと教える】
【――――それを投げ捨てた先には、絶対に苦しみからの解放など、ありえないのだ。それはまるで、魂の贅肉の如く――――】

――――本当にできないかどうか、その身で教えてやる――――ッ!!
「あぁ、口先だけで身のない蛇の言葉など、俺たちには理解できんね……ましてやお前たちに理解できるとも思わんよ……!」

【――――このカルトの発起人である悪魔。そこにラベンダァイスの怒りの根源は存在した】
【当人も気づいていないが――――神に祀られた鈴音への怒りさえ、その『根源』との混同が原因となっている】
【尤もそれは、今のこの場の殺し合いには無関係な話なのだが――――ともあれ、彼らの怒りは、ひたむきで、ある種狂気的でもあった】

――――『人間』如きが、お前たちのその尺度で、私を測ろうとした事が愚かッ!!
これが『兵器』たる命の力です――――戦いの為に生きれない分際で、私に敵うなどと夢を見るんじゃないッッ!!

【敵も、必殺を期して先の一撃を放ってきたようだった。攻撃に特化したこの身体だからこそ、それを往なし切る事は出来なかった様だが】
【それでも、ラベンダァイスは身を炙られながらも、その矜持を叫んで見せた。敵と戦い、殺す事こそ、自らの存在意義――――それだけの覚悟があるのか、と――――】

(――――とは言え、この炎――――ッ、厄介な――――これ以上、身を焼かれても良くはない――――)

【体の炎を揉み消しながら、ラベンダァイスは焦る。少しまともに浴び過ぎた――――これ以上は、出来るなら被弾は避けたいと思うのだが】

「――――見えた。終わりだ――――ッッ、なに……!? しまった――――!!」

【ついに最後の一撃を叩き込む好機は見えた――――アーディンは今度こそ、その爪を喉笛目がけて振るおうと接近して】
【急に――――体が重くなっていく感覚。まるで、鉛のような重りを体に巻き付けられたような――――そんな、重量感】
【気が付けば、敵の真ん前でたたらを踏む格好となってしまった。これでは格好の的だ】

っ、アーディンさん――――

【背後のラベンダァイスも、両者の距離が近すぎる故に、援護射撃をする事も躊躇われた――――明確な、隙がある】
821 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 20:29:15.42 ID:rW2LOlMS0
>>804
【どこか、奇妙な形をしたバイクに乗って突入して来た男は、実際滑稽に見えたのだろう】
【バイクの動きを止めれば、その場にいるのは、これもまた幹部の一人――"ケバルライ"】
【その男は、ともすれば感情的に襲撃を行ったあの病魔よりも――厄介な性質を持っているように見えた】

【そして>>800にも目を向ける。蛇教の人間には見えなかった。ならば儀式の阻止に乗り込んだ能力者か?】


正当性たァ畏れ入る。
あの病魔よりも後ろに控えてるってのは敬虔な蛇神教徒には見えねェなあ。

俺こそ、聞きたいね――オマエは"何者"なんだ?


【サーペント・カルトの幹部"ケバルライ"――その名を問うているのではない】
【男が聞きたがっているのは彼のもう一つの名だ】


【さて、一手目をどう動く。目の前の男とまともに交戦している暇はない】
【時間を掛ければ、先程の病魔が追いついてくる】
【ならば、宙に浮かんでいる生贄どもを皆殺しにして、消滅させるか?】

【儀式の失敗を願うならば、それが最善手――】
【しかし、ここに来て、自分の跨っているバイクの存在が邪魔になる】

【先程の話を聞くに、コレはかなり人道的な思想に見えた】
【間違っても、無辜の人々を皆殺しにする策に手を貸しはしないだろう】
【下手をすれば、この敵陣で敵がもう一人増えることになる】


チィ――手が足りねェな。
せめて後、もう何人か"こっち側"がいれば――


【苦々しく呟くのだった】
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 20:36:13.09 ID:s9RVxvhA0
>>803

「必要になるようなことは、未来永劫無いだろうがな」
「少なくとも、蛇の邪宗の力を借りねばならない程、魔導海軍は落ちぶれてはいないさ、これまでもこれからも……」
「まるで自分が、他の信者とは違うと言いたいような口ぶりだな?」

【この人物の口調、言葉に若干の違和感を感じ】
【そして感じたままを、男に聞いてみた】

「ッ!?どうだ?」

【擲弾は右足に命中、目論見通り右足を粉微塵に吹き飛ばした】
【吹き飛ばした筈だった、計画通りであるならば、このまま重心を保てなくなった巨体が倒れ伏す所であった筈だが】

「ッ!?き、貴様、な、何をした!?」
「何故立って居られる?!」
「ッ!!ぐうッ!!」

【刹那、片足立ちしたと思った恐竜は、自爆したのだった】
【その巨大な骨を周囲に爆散させながら】
【爆発したのだ】
【咄嗟に頭部を守り、伏せるような体制になるも、幾つかの骨の破片はその身を】
【身体を傷つけてゆく、いくつかは自分自身の骨にもダメージを与えている様だ】

「ぐう、うう……」

【痛みに、苦悶の表情が浮かぶ】

「貴様……」

【ダメージを受けつつも、拳銃を取り出し、ツァルエルに向けて数発発砲を試みる】
823 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 20:39:31.60 ID:VXFCbz/50
>>818

【ぎゅっと抱きしめられて。突然の出来事にエーリカは狼狽え、視線が定まらない。泳ぎに泳ぐ】
【殺し合いに身を投じていたとは思えない二人。きっとお互い本心からの行動で。そしてそれは逢瀬の様に】
【血に濡れる事は厭わない。元々血まみれなのだし、何よりお互いの血が混ざり交わり、そこから生きる者特有の熱が伝って】


――ありがと、カチューシャ。……私は、私の道を選ぶ。在るべき本当を選ぶよ。
もし、生きて帰れたならさ。改めてお礼を言いに行くね。だから、――私は為すべき事を為しに行く。
アンタの抱擁のおかげで少しだけ。もう少しだけ、頑張れるよ…。


【エーリカもぎゅっと抱きしめ返す。お互いに心臓の鼓動が聞こえるくらいにまで強く深く抱きしめあう】
【そうして行く内に一つになった様な、揺蕩い曖昧となっていく感覚がエーリカを奮い立たせていく】

【カチューシャの姿を見送った後、エーリカは走り出す――こんなくそったれな儀式なんてご破算させてやる】

//お疲れさまでしたー!ありがとうございます!
824 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 20:42:05.57 ID:BVsbpQZQ0
>>819

もう、引退した身ですけどね。今はただのお母さんです。
……貴方がそうするのなら、私は止めません。それが、貴方の選択なのでしょう。
ですが、無事を祈っています。……―――ありがとうございます、大聖堂、ですね。

【それは、間違いなく彼の意思。意思なき行動ではないというのは、もうはっきりと分かる。】
【だからこそ、止めはしない。彼の決定に、幸あれと祈るだけ。そうするのが、最良だと思っているから。】

【―――そして、最後の最後にとても大きな情報を得る。大聖堂。儀式はそこで行われている、と。】
【これ以上ない、ピンポイントな情報だ。今すぐ向かいたい……が、まだだ、まだ言うべきことが残っている。】

私はマリア。マリアと言います。……鈴音の事は、任せて下さいな。
―――それでは、私も行きます。

【最後に、名を名乗る。……覚えてくれるのなら、少し嬉しいな、なんて。そんな事を考えながら】
【―――さあ、大聖堂に向かわねば。せっかく伝えてくれた情報を、無駄にするわけにはいかない。】

//はい、此方こそありがとうございましたっ。お疲れさまでしたー!
825 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage saga]:2018/06/23(土) 20:44:02.17 ID:xPZ7LQKro
>>804 >>815 >>821

【──ノブキはピリついた雰囲気を察し、マイペースに思考する】

──シンキングターイム

【──と、ここでノー告知で勝手にロボット形態に変形】
【カリストをズデン、と地面に転がすコトになりかねなかった】
【ふざけた調子で、両腕を挙げたポーズをしたような状態で──そこから、腕を下ろし】

──ハロー、リオシア∞デハ、惜シゲナク協力イタシマショウ
──ワタシハ単独で戦イマスガ、マスター

【──どうにも迷っている調子の彼に問いかけ、そしてリオシアに頷きを返す】
【フム、と首を傾げ──よもや、生贄を殺す≠ニ考えているとは思わず】

──デ、アレバ∞シンプルニ

【──彼女は右腕を構え、ソレが大砲≠ノ変形する──先ほどイルに見せたのと、同じもの】
【念の為足に力を集中させ──まずはケバルライに向けて走りながら、細かなエネルギー弾を数発撃ちまくる】
826 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/23(土) 20:45:54.49 ID:WB6h1eEP0
>>809


【 ── その「仮死」は刹那のこと。それでも確かに十分だった。入れようとした力が入らない感覚に、すこしだけ、諦念のような表情を浮かべて】
【およそ真っ当なヒトから放てる筈もない蹴撃が、アリアの身体を後方に吹き飛ばす。瓦礫の尖ったところが思い切り腹に突き刺さる。ぇほ、と血を吐けば、シャツがドス黒く染まっていく。】
【そろそろ危ない気もしたから自己診断プログラムを立ち上げる。 ── すぐに電脳にアラートが鳴った。フレームの損耗率が75%を超えていた。随分と無茶をしてしまった。】
【それでもアリアは立ち上がる。執念だった。機械仕掛けに置き換えられた此の身体であるからこそ、魂の気高さを自分に叱咤せねば、生命の証明にならなくて。】
【 ── だから、ほとんど「死んでいる」と「生きている」の境目に立つようなかえでにも、変わらず微笑んでみせるのだ。腕の裂け目と、手の先と、コートの裾と、白銀の末から ── 止めどなく、血を流すとしても。】

【口紅を塗りすぎてしまったみたいに真っ赤な口許が、然し瑞々しく言葉を放つ。かえでの心を抉るために ── どこまで抉り取れるかは、分からないけれど】
【もしも心の隙間が其処で生まれるというのなら、或いは見出せるというのなら、そこに静かに滑り込むように。】



「 ─── いいえ。殺せないわ。」「貴女は怖がりだから。」「貴女はただ、赦して欲しいだけだから。」
「愚かな自分が大嫌いで、それでも愛しくて仕方ないから、代わりに信じる神様なんて丁稚上げて、自分のことを責めて罰して殺し続けて、」
「そうして辛い目に遭って、けれど其れが正しいことだと教えられるなら、なんだか自分は世界から赦されて、生きていてもいいような気がする。」


「馬鹿ね。本当に、貴女って馬鹿な子。」「 ── そうでもしなければ、自分は意味のある存在だと、かけがえのない人間だと、思えなかったの?」
「 ── 殺してみなさい。貴女に出来るものなら。」「けれど私を殺すのなら、誰も貴女に微笑むことはないわ。もう、二度と。」



【優しく諭すような言葉の最後は、 ── しかし恐ろしく冷たかった。少女の知る、どんなアリアよりも冷酷な声。】
【自分の傷痕から流れる血に、彼女は静かな光を宿す。昏い闇が何故か輝いて、 ── 一振りの短剣を産み出した。然るべき場所を狙うなら、きっとアリアだって殺せてしまう、であろう】
【そうして真っ赤な片手が其れを投げて寄越した。からん ── と少女の足元に、鈍く光る銀色の切っ先が落ちて、それを握るのなら、アリアは立ち尽くしたまま動かない。銀色の髪がたなびいていた。】
827 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 20:47:12.16 ID:B29byw680
>>822

他の信者と違う?
私はごく一般的な敬虔な信者さ。ただ、少しだけ自分と世の中を客観視出来るだけだ

【恐竜が爆ぜ、厳島にダメージを与えた】

だから言っただろ、ネクロマンサーとは違って"骨を操るだけ"だと
あれはただ、恐竜を蘇らせたんじゃなくて骨に"恐竜の動き"をさせてただけ
そもそも両足で歩く必要もないし頭も必要ないのさ

【得意げに厳島へ近寄りながら、語る】

ああ、君が死なない限りは君の骨を操ることは出来ないから安心してくれ
そもそも出来たらとっくにしてるか

【しかし、近寄りすぎたのが仇となる】
【厳島の拳銃による発砲に、骨での防御が一瞬、遅れた】

ぐっ!

【防御しそこねた1発がツァルエルの脇腹を掠るように撃ち抜き】
【大きく体勢を崩した】




828 :ケバルライ ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 20:51:24.26 ID:RT4l8Hhv0
>>821(パグローム)

【────、ケバルライの雰囲気が大きく変容する、招かれざる来客を目にして、か】
【或いは貴方という、絶対的な自身の敵を確認してか、────】
【向ける双眸は冷たかった。白いシャツを着た、黒い長髪の男】


話が早い、キミは中々どうして此方側の事情に明るいようだ。
けれども、イカロスの寓話ではないが、常人が深く踏み入る事情ではないと伝えておこう
火に憧れるのは勝手だが、火に焼かれる事も、承知しなければならないのだから

────、嗚呼違った、違いました、そうです、教祖であるのなら、丁寧な口調じゃないと。

"グランギニョル神話" が一柱、"ジャ=ロ" ──そう告げれば満足でしょうか?
けれども、それを知ったところで何が? キミ達では私に対応する対抗神話を持たないのですから、
対抗神話を持たないのに相対できる、あの病魔がイレギュラーであることを、知らないのでしょう?

>>825(信生)

【放たれるエネルギー弾、ケバルライはそれらを一瞥し、軽く視線を向けた】
【瞬間、エネルギー弾は掻き消されていくだろう、彼の視界に映ったエネルギー弾は全て】
【視界の端に信生を捉える、その姿を見て、珍妙な物を見たと言う様に】


万物を殺す術 "Kukulucan" 果たしてあの少女は正しく使えているだろうか。
そんな豆鉄砲にもならない攻撃を幾ら重ねても、私には届かない、文字通り殺す気で来たまえ
そしてもう一つ訊ねよう、キミは今、生きているのかい?

──、生きているをどう定義するかによるが、今私はキミが生きているとは思えない
"Kukulucan" は死を持たない存在に、死を定義し殺す力だ、キミが生きていないのなら
私の目が、キミを殺しつくそう────


【紡ぐ言葉は何処までも冷やかに、確かな殺意を信生へと向ける】
【──もし貴方が全自動のロボットであったなら、その瞬間に行動をとめていた、と】
【彼は暗に伝えていた、その強大さも、共に】
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 20:54:56.44 ID:l87sBOYx0
>>813

【力と力のぶつかり合いで大爆発が起こった】
【辺りの地面は抉れ、セアンは右腕が無くなっていた。今は見えないが相手も結構な傷を負っているだろう】
【セアンは完璧に狂い、狂い過ぎて言葉遣いやらなんやらが以前に戻っていた】

【右腕が無くなっても尚、プリオルを殺そうとするセアン】

ハァ…ハァ……クックック…波ーッ破ッ覇ッ葉!!
馬鹿正直に何を迷っていたオレ!!中途半端に狂って、あぁなるのだったら。完璧に狂えばいいじゃないか!!

(サヨウナラ俺、コレカラヨロシクオレ)

【右腕が無いにも拘わらず、血ドバドバで笑い続ける】
【セアンはこれから、プリオルの倒れている方に生きてるか死んでるかを確認しようとするだろう】
830 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 20:57:46.21 ID:VXFCbz/50
>>828

【間に合った――まだ受肉は果たされていない。ならば、私のやる事は一つ】
【エーリカは息を荒げて、肩で息をしている程に走り。そうして大聖堂へと駆けつけた】

――…蛇共の邪な野望もここまでだ。
はっきり言ってやる。アンタ達の存在は、アンタ達が崇めるカミサマはこの世界において許容されていない。
目に見えないカミサマと共にここで終わらせてやる―――!


【黄緑色のフード付きローブを目深に被った小柄のスレンダーな女性の乱入】
【それはケバルライに向けて投擲されたマチェットと共に為されるのだった】
831 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 20:58:23.71 ID:Xgr13xPl0
>>808

【何処もかしこも戦闘が起きて、賑やかなことだろう。地下ですらこんなに騒ぎ合って】
【それでもなお、カルトから見れば荘厳な空気だっただろうか。俺達からすれば重苦しく物悲しく、冷酷で】
【何かが変わるっていうのに、うつむきたくなるばかりだった】


【因果の祭祀場で、儀式は進んだかに思われた。新たな殉教者を生贄にして更に、更に】
【彼は痛みの中でいろいろ記憶が現れては消えて、また現れていた。混ざり合う、妄想と現実】
【これが因果なのだろうか。永遠に、このまま囚われてしまいそうだった。痛みが、より塗り替えていく】


【だが、ここまでやってきた男の意志は。まだ、前を見ていた。――仲間の助けによって】


―――流石だな。カニバディール。

【抜け目ないこそ泥だ。…勿論、これは同業者からの褒め言葉と受け取って欲しい】
【それよりおい、つーことはこいつも単なるペテン。…しょうもねえ小悪党ってことかよ。俺達みたいなさ】


【戻ってきた、薄暗いカタコンベに俺たちは戻ってきた。菌糸が俺にまとわりついた蛇のように見えた。滑稽だった】
【あれほど、苦しめたカルトの司祭はもはや、小悪党のペテン師にしかみえない。】

【チンザノ・ロッソは震える右手で、落としたリボルバーを拾い上げた。銃はまだ生き生きとエングレービングの朱が脈打ってるような―そんな気がした】

【目を閉じて、一呼吸。世界は俺の目の中で赤と黒のブルースへと変わる。其処に差す、たった一つの光】
【握っていた2丁のリボルバーはいつの間にか、古びたリボルバーライフルへと変わっていた。6発もあるが】
【生憎、一つで済みそうだ。】

【ロッソは狙いを定める。光差す希望を撃ち抜くだけ。簡単だった。でも、右手が未だに震えていた―――その時】

【誰かがそっと、その手を包み込んで支えてくれたような気がした。それはサブリナか、天使か?悪魔か?】
【柔らかく、そのぬくもりがしっかりと感じられた。―――わかってる。】


――――――Love is for Lovers 愛は愛する者達の為に

【祈りのような言葉とともに、銃口は青白く輝いて、激しいマズルフラッシュと共にタルコフめがけて――明日へと】
【真っ直ぐ、愚直に――何もかもを貫く勢いで撃ち放った。】
【不思議な銃弾だっただろう。撃ち抜かれても、傷一つつかない。タルコフの術のように内側から締め付ける。】
【ハートに直接語りかける。愛が、彼を、殺すだろうか。それとも許すだろうか。廃人になってしまうかもしれない】

――I LOVE YOU , BABY
832 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 20:59:30.21 ID:RT4l8Hhv0
>>829

【────煙の跡に、プリオルの姿は無かった、文字通り、痕跡すら残さず消えうせていた】
【否、血の匂いは残っていた。強大な一撃に蒸発したのか、或いは──】
【兎角、セアンはプリオルが消失した事実を知るだろう、それは確かな勝利であっただろうが】
833 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 21:00:09.77 ID:rW2LOlMS0
>>806 >>828

【何かを呟いて死んだアルジャーノン。彼女のエピソードなど何も知らないまま、少女は進む】
【そうして大聖堂へ――開け放たれた扉へ、転がり込むように駆け込んで】


――――――鈴音、鈴音、鈴音っ!! 鈴音は……どこ、まだ、……来てないのっ!?


【赤い瞳を焦燥に濡らしながら。少女はその場へ、脚を踏み入れた――――ヒールが鳴る。】
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 21:03:28.03 ID:s9RVxvhA0
>>820

「伊達も酔狂も大いに良し、それを人の欲が渇望するならば、是大いに良し」
「永遠を生きる?それこそまさに片腹の痛い話……欲も満たせぬ凡人の言葉……」
「その苦痛を生むのが、欲と人が勝手に定めた道徳であると何故理解できぬか!?」
「愉悦こそ生の活力、快楽こそ人の苦悩の打開、何故それを拒むか!?」


【御仏の教えは悟りへの道であり、人の苦役からの解放を教えている】
【即ち悟りの道こそ救済であると考え、その方法を論じている】
【明らかに、この法師の考えは詭弁のそれだ】
【仏の教えからも神の戒めからも逸脱した、ただの外道のそれに他ならない】
【だが、この法師は信じている狂信しているのだ、その自らが敷いた教えに】
【偽りの仏の道に】

「無意味!あまりに無意味!」
「やはり兵器と猫人如きでは、教えの理解など無理だったのですね」
「もはや、道は一つ……拙僧が救済しましょう、その無意味で無価値な魂を救済せしめて見せましょう」

【怒りに燃える人造兵器と猫人】
【その怒りは蛇の邪宗のみならず、その根源の旧き異世界の神々を鈴音をも焼き尽くすのだろうか】
【全てを焼き尽くし、その先に何があるのだろうか】
【それすらも、狂信的な怒りの闘志の中には存在しない考えなのだろう】
【故に、彼らは愛で満ちているとも言えるのではないだろうか】
【人類への、人間への不変の愛で】

「ぐはッ……」

【よろよろと立ち上がりながら、その場に多量の血液を吐く】
【もはや、この戦い、決着は近いのだろう】
【死力を尽くして、互いの一撃をぶつけ合わせた後だ、これが最後の一撃になるかもしれない】

「決まりましたね……これでも拙僧はこの教団の幹部となる前は、呪術で生計を立てておりましてね」
「身動きを封じる、この呪い位は今の状況でも……十分に発動できるのです」

【錫杖を手にアーディンに迫り】

「最後に言い残すことはありますか?」
「少し猶予を与えてあげましょう、御仏の心です」

【錫杖の底、それは刺突武器の様になっていて】
【尖った先端を、アーディンに向けてこう言って】
【その部分を、先ずは腹に向かって突き立てんとする】
835 :チドリ ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/23(土) 21:04:08.66 ID:WB6h1eEP0
>>812>>814



「 ──── そうかい。至極もっともな感情だよ、それは。」「諜報屋だけはやめときな。折角キミは、人間らしい感性の持ち主なんだから。」
        「大切にして生きていくといい。キミも、キミの周りの人達も。」


【 ── ふぅ、と息を吐いて、女は構えた曲刀を降ろした。張り詰めていた殺意が呼吸ひとつの間に霧散して、乾いた大気に溶けていく。】
【相容れない道ならそれでもよかった。甘っちょろいだの理想主義者だの、 ── そういう罵倒をくれてやるほど幼稚ではなかった。】
【そうしてまた横顔は、年頃の少女に相応しく、幼くも愛らしさを知ったもので。それでいて櫻の乙女らしく、どこか儚く】
【自分も何時かこんな顔をしていただろうか、なんて、思い出しそうにもなった。それが何の役にも立たないと知っていても、どうせ此れからそれ以外にすることもない。】



「敵としては二度と会いたくないかな。こンなにボロボロにされたのは久しぶりだ。ワタシ、ホントは戦うの得意じゃないし。」
「けれど、まあ、 ── こうしてワタシが負けたこと、無駄にしないでくれよ。犬死にでもされたら全ては水の泡だ。」



【冗談めかすようなその言葉に対して、ちょっとだけ引き攣るような苦笑いで返した。 ── たまたま相手のリズムに合わせられたから、なんとか意表こそ突けたものの】
【速度では完全に負けていたし、焔を纏った後は純粋な力でも上回られていた気がする。引き分けに持ち込めたのは、偏に互いの出自ゆえ】
【 ── だから彼女もまた、言葉少なに見送るのだ。細胞の増殖を操る自分の牙毒は、濃度によれば応急の手当くらいには使えるのだけれど、其れを望むような背中に見えなかった。】



「シュウ。なるほど。上手くやりな、シュウ。」
「 ── チドリ。児嶋 千鳥。まァこれも暗号名だ、 ── 覚えなくったっていいさ。」



【さよならも言わずに視線だけを遣って、彼女は其の場にへたり込む。懐の携帯端末で、"本部"の救援を求めようとして ── 斬られていた。】
【最悪だった。この血まみれのスーツ姿で、疲れて傷ついた身体を引きずって、どこか連絡が取れる場所まで行かなければならない ── 漏れる溜め息から、血の匂いがしたけれど、まあ構わない。】

/こんな感じでいかがでしょうかっ。お疲れ様でした!&ありがとうございました!
836 :剛田 剛太郎 [sage]:2018/06/23(土) 21:06:01.68 ID:0iDqkX17o
>>817>>810

―――いい『切れ味』してんだろ?俺の一振りはヤワい鉄じゃあ容易く断ち切るぜ!

(……って言いながら、振るう技術はともかく『切れ味』の方は
かなり『職人芸』に助けられてるんだけどな……つまり、変身してないと無理)


【内心舌を出しながら、剛太郎―――炎牙は鋼鉄の鞭を断ち切った手刀をヒュンと振るい挑発を重ねる】
【刀工――大山 無玖。究極の"一"へとたどり着く一振りにたどり着くべく魔術の道を志した妖刀専門の刀鍛冶の生まれ】
【魔道を追及するがために若き日には『魔界』にすら足を運んだとされる男である。その張本人が今、愛犬を通して若き新たな相棒を見守っている】

【鉄をも断ち切る『一振り』を無刀の剣士のために仕上げ、受け取った若者は幼少より鍛え上げた無刀流の技を応用し、素手で『断つ』その御業を披露する】
【刀工と剣士。造る者と振るう者。二人の技が呼応してこその『神業』。そうたやすくは捕らえられない】


(なんだこれ、牛!?こ、これはやばいか――――!?)


【だが次に打って来た一手には"炎牙"も仮面の下で苦い顔をする。続く突進をなんとミサは熱した鉄の牛で防ごうとする】
【今度は質量が大きい、いくら自分の技でも断ち切れることはないだろう。そして……自分の炎は大丈夫でも相手の炎には普通に火傷する】
【そういう性質ゆえにこのまま突進してしまえば必然的にその熱は剛太郎の身を焼くことだろう】

【方向転換をするしかないか?そう思われた矢先に目の前でなんと、"コープス・リバイバー"の一撃で牛が砕かれていく】
【質量の大きな防御ではあったが悪性の否定の特性を持つその一撃の前には、見事に砕かれてしまうのを目前で見届け、踏みとどまるのをやめる判断ができた】
【どういう状況でも相性という物はある。"コープス・リバイバー"の一撃はまさに有効打としては最適だっただろう】


―――サンキュー嬢ちゃん。……いや"コープス"だったか!
おかげで―――決まるぞッ!!せ い や ぁ !!


【―――手ごたえあり、胸部を捉えた!剛太郎の奥義がクリンヒットしたのを感じ取る】
【跳ね飛ばされていくミサにゆらりと近づき、右手は握り拳、左手は貫手の状態で構えを取りながら"炎牙"は問いかけるだろう】


……ミサ、とか呼ばれてたか。びっくりするほど体が軽いな。女の子なら仕方がないのかもしれないけど
だがまだお前たちを許さないぞ。俺はお前たち"サーペント・カルト"を敵とみなし、全員ブチのめすつもりでいるんだからな

他の奴の情報でも吐いてみるか?そしたらムショ送りだけで済ませてやるかもだぜ
最も、隙を晒してたら―――あいつに殺されちまいそうだけどな


【無論、カルト信者相手ならばこんな事を言ってもその信仰ゆえに突っぱね口を割ろうともしないだろう】
【これは―――挑発だ。次の一手を誘っている。剛太郎の構えは現在葉隠流 向日葵にて全方位どの方向から来ても対応できる状態にある】
【―――『後の先』。先に動くことを促すことで自分が先に想像した通りの一手で刺す。そのための挑発だ】
837 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 21:06:32.63 ID:BVsbpQZQ0
>>830

【痛む体の回復もそこそこに、マリアは駆けて、駆けて……ようやく、大聖堂に辿り着く。】
【一歩、踏み入れる。―――ああ、間に合った。儀式はまだ完遂されていないらしい。】
【まずは、安堵。しかし、安心している暇などない。完遂していないにせよ、現在進行形なのだから。】

―――お邪魔します、私の友達の鈴音に会いに来ましたっ!

【白いローブを身に纏った、女性。聖職者を思わせるその恰好は、この場では異教と呼ぶに相応しいか。】
【しかし、教義だの何だのという主張はしない。真っ直ぐに単純に、言い放った。「友に会いに来た」と。】
【ただ、それだけ。立場なぞ、関係ない。大切な友が其処に居るから、自分は駆け付けたのだと】
【主張しながら、まずはいきなり光弾を発射。勿論ケバルライに向けて。真っ直ぐに、ただ真っ直ぐに】
838 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 21:07:01.37 ID:B29byw680
>>821

【バイクに乗っていた男は生贄たちを見てなにか考えているようだが】

さっき生贄の人たちに助かる方法聞いたんだけどね、無理だって諦めちゃってるみたいなの
床自体は能力じゃなくて奇跡って言ってたよ
あの7本の光がなにか関係あるかもだけど……

>>825

ロボット!?変形した!?
え、これ科学!?魔法!?わーよろしくロボットちゃん!

【場の状況を一切捨てて瞳を輝かせるリオシア】
【エネルギー弾を見てさらに驚くのだった】

>>828

これチャンスかも?

【ケバルライが二人に相対する間に、一番近くにいたリオシアがそっと近づき】
【体内を金属化させ、常人の十数倍の体重を持ってケバルライに抱きつこうと飛びかかった】
839 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 21:07:51.69 ID:RT4l8Hhv0
>>830(エーリカ)

【──、フードを目深に被った。それで正体を隠したつもりなのであろうか】
【ケバルライの視線はそれを静かに伝えていた、かつて向けた優しいものではなく】
【それは何処までも静謐に、儀式を為そうと試みる男の姿であった】


……キミはもっと、聡明な女性であったと思ったのだがね
はっきりと伝えただろう、私達が降臨させようとしている存在の、片鱗を
そうして理解した筈だ、彼女が顕現し、私達は救われる、と

この世界は許容しないだろう、だからこそ、次の世界で会おう





                エーリカ




【ケバルライが視線を向けたなら、投擲されたマチェットが粉々に砕け散る】
【無機物の投擲や遠距離攻撃は彼に影響を与えない、少なくとも、今現在は】

>>833(夕月)

【──、白いシャツに黒い長髪の男、ケバルライが飛び込んできた少女へ視線を向ける】
【鳴り響くヒールの音、そうして紡がれる鈴音という言葉の響き】
【嗚呼そうか、彼女が────『夕月』】


ええ、まだです。ウヌクアルハイ様が顕現されるには、まだ時間が必要ですから。
キミもウヌクアルハイ様の権限を心待ちにする信者の一人でしょうか
或いは、レッド・ヘリング、アナンタシェーシャを葬った、異教徒

────名は確か、夕月と、そう言ったかな


【紡ぐ音律は確かな根拠を示していた、彼もまた、虚神の一柱であると】
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 21:08:21.17 ID:l87sBOYx0
>>832

【セアンが確認に行ったらそこにはもうプリオルの姿は無かった】
【セアンは取り敢えずで鋼鉄の義手を創り出し装着して立ち上がり】
【再びバイクで大聖堂に突っ込む】
841 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 21:11:16.46 ID:ojuNPaGo0
>>835
/とってもいい感じで〆て頂けたので、ここで〆で……‼
/長時間、本当にお疲れさまでした……ッ!ありがとうございましたー‼
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 21:11:33.48 ID:s9RVxvhA0
>>827

「客観視、とはね……では客観視した自分自身とこの教団は君の眼にどう映るのか聞きたい物だね」
「骨を操る、か、風よりもよほど汎用性が高い能力じゃないのか……」

【爆発の攻撃を受けて、よろよろと立ち上がりながら、こう聞いた】
【なるほど、死霊術で無いならばこの動きもそしてこの骨の扱い方にも納得が出来る】
【予想以上に、厄介な相手だったと言う訳だ】
【やがて……】

「見切った!」

【拳銃がツァルエルのわき腹を掠める】
【僅かによろめくその隙を、見逃さなかった】
【軍刀に手をかけ、鯉口を切り】
【そのまま、ツァルエルに向けて、居合切りを放つ】
843 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 21:12:40.04 ID:rW2LOlMS0
>>839

……っ、なんで、あたしの名前――――

【知ってるの。そう訊く前に、答えをもう得てしまった。レッド・ヘリング、アナンタシェーシャ】
【それらの名前を並べられるなら。……この男も「そう」であると、わかる、なら】
【ぎりっと奥歯を噛み締める。――――ここじゃ殺せない、悟ってしまった】

――――ンなわけないでしょ、逆だよ逆っ!!
あたしは、鈴音を、ウヌクアルハイなんかにさせない!
そのためにここに、来たんだよっ……

【言いながら、銃口を向けて――何もできない。睨み付けて、汗を流すことしかできず】
【――周囲を見渡した。幸い、見知った顔(>>837)があったから、多少は安堵したが】
【それでも焦燥は止まない。……そこから一歩も、動けない】
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 21:14:31.23 ID:l87sBOYx0
>>828

【大聖堂の扉をぶち破っていこうと思ったら既に開いていた】
【から、セアンはウィリー状態で突っ込んでった】

ヒャッハー!汚物は消毒だー!!オラァァ
セアンさんの登場ですよー!

【薄い青色の目を爛々と輝かせて言った】
845 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/23(土) 21:15:32.43 ID:xPZ7LQKr0
>>817>>836
【迷わず。過たず。振り抜かれた刃。しかし、それは聖女を殺すには一歩届かず】
【しかしながら、身を護る拷問具を問答無用で"否定"することで、剛太郎の奥義を届かせる一助となった】
【それでも。儚の顔。仮面の奥の顔は苦しげに歪んだ。憎々しげに歪んだ】

――チ……ぃ。だけど……、役立たずよりは。マシ……ッ。

【剋殺とは。悪性を否定し、消失させる代わりに、その同価値の"何か"を彼女から失わさせる技だ】
【装甲の一部が崩れ落ち、精気は失われて、その視界は僅かに霞んだ。ふらつく体を支えるよう、それでも足に強く力を込めた】

――まだ。まだ私は。"役目を果たしていない"。

【顔を上げる。視線の先には、血を吐き倒れる女。そして、己の手には復讐を遂げるための刃】
【最早先ほどまでの様な爆発的な移動などではできないが。それでもできる限りの最速で駆ける】
【砕けた背骨が痛みを発する。傷ついた神経が全身に痺れを及ぼす。それでも、骨の装甲で体を支え、無理矢理に肉体を駆動させる】

拷問に掛けるっていうなら。やっても良いけれど?
彼らを、"サーペント・カルト"を"皆殺す"のに十分な情報は、私だって欲しいんだから。

【――刃を持ち。倒れる相手の前に立つ。両の手で柄を強く。強く握りしめて。振りかぶった】
【相手は満身創痍。こちらもまた、同じ様に――少なくとも儚は背骨を砕かれ、剋殺で満身創痍】
【それでも――この状況の有利が何方かと言われれば。それは間違いなく今この瞬間はこちら側に有っただろう】

【首を傾げ剛太郎に問いかけるコープス・リバイバー。体格や声から、この少女もまた年端もいかない女子だと分かるだろうが】
【だが、これまでの動き。コレまでの言動で分かるはずだ。この少女は、やると言ったら、"やる"のだと】
【手段は問わないと口にすれば、彼女は躊躇いなく女の四肢を落とそうとでもするかもしれない】
846 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 21:17:17.50 ID:rW2LOlMS0
>>828
俺ァ信者じゃねェんだ。
別に今の口調で構いやしねェさ。

【常で有れば、会話など試みもせずに、銃撃を放ち、攻撃を仕掛けていることだろう】
【だが――】


【グランギニョル神話が一柱――"ジャ=ロ"】
【それ絡みだと言う話は睨んではいたが――】
【まさか、それそのものが来ているとは――なればこそ、この舞台は】

【思い返すのは相対して来た、"マルフィク"や"ムリフェン"――】
【知らず、笑みが浮かんでしまう。間違ってもそれは同情などではなく。嘲笑と言うほどの、悪意ではなかったかも知れないが】


あれだけ身体張ってこのザマとは――やっぱ、いねェよ、カミサマ。

【薄っすらと笑むだけだ。彼の目的は、何となく察した――圧倒的な力と言葉で挑発せしめて、一同の目を集めているその理由を】

>>825
ん?あァ運んでくれて大義だったな。
お陰様で、ここまで乗り込めたワケだが――

【珍しく歯切れも悪い。彼女が、自身で動くと知れば、それを止めることはなく、突然変形して、慌てて着地したことには文句の一つも言ってやりたかったが、今はそれどころではない】
【大砲を生み出し、ケバルライを撃ったところで、止めることはないだろうが、自身での攻撃は未だに行っていない】
【彼女が、離れて行動を始めた今、取れる選択肢はいくつか出て来た】
【だが、足りない――まだまだ足りない】



【そもそもの話――この場に置いて、ケバルライの打倒は決してキーではない】
【そこに拘って、手数を費やすならば、取り返しのつかない事態になるだろう】
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 21:19:00.49 ID:yyycwOqh0
>>826

【――ごぎり、と、嫌な感覚がした。でも、痛くないからどうでもよかった。蹴り飛ばしたアリアに近づこうとした足取りが、がくんっ、と、崩れて】
【少なくとも一度跪くのだろう。――目視の限りでも最悪折れていた。一番よくっても、かろうじて、折れていない程度なのだろう、わずかに引きずったなら】

――殺せる、殺せるっ……、そのために、――そのために、私はッ、――だからっ!
違う、ちが――、違うッ! 違う、私はッ、――、私は、ちがくてッ! ……うるさいッ、うるさい――、うるさいなあッッ!

そのために私は生まれたのっ、――ウヌクアルハイ様にお仕えするために生まれたの! 何も知らないくせに……なんにも知らないくせに!
パパもママも死んじゃった――、***も死んでッ、私のせいで――私がッ、――だから! ――ウヌクアルハイ様にお仕えするの、赦して、もらうの、――、

【きゅうと小さく喉が鳴らされた、右腕と、右足と。身体の右側の四肢がほとんど動かなくなって、それでもなお、目的を果たしたいと願う心は、折れていないから】
【せめて動く足と手を使って這うようにする、――殺せる。殺せるから、殺す。それもきっと祈りに似ていた、祈るしかなかった、そうじゃないと、もう、果ててしまいそうで】
【脳裏ではずっと不快感が渦巻いている。異能を処理する脳が焼け始めている。視界が濁って、ひどい吐き気と不快感が止まらない、でも。殺さないと、自分を許せなくなる】

【耳を塞いでしまえたならどんなにか楽だったろう、けれど右手はぴくりとも動かなくって、アリアの声を塞いではくれなくて】
【そのまま走って逃げてしまえたらどんなにかよかっただろう、けれど、右足は上手に動かなくて。であれば、逃げ出すことも、叶わなくて】
【能力によって淀んだ思考回路はただ泣きじゃくる子供みたいな否定しかできない。――だけどきっと本当に泣いていた、表情をきっと生きて来た中で一番鮮烈にして】
【――殺さないといけない。その使命だけで這いずる、――その眼前に切っ先が落ちてきたら、少女は、止まってしまうのだ。きっと呆とした顔をする】

【――――――それで躊躇ってしまったから、きっと、駄目だったのだろう。許されたいなら。報われたいなら。それでも、動かないといけなかった】
【ならばそれは神様からの冷たい啓示にもきっと似ていた。――そんな子は要らないって、指差して、指名されてしまったかのように】

――――――、っ、う、ぇ、っ――、ぇ゛っ、――、あ、

【ぷつん、と、何かが裂ける音がして。それがきっと彼女の脳の限界だった、――ううん、少しまえから限界は超えていて】
【切っ先を拾い上げるより前に少女はその刃の上に倒れこんでしまう、そうしたなら唇から絶えず血があふれ出すから、――あるいは分かるのかもしれない、能力が、途切れている】
【そうしたなら潰れた右手も破片が突き刺さった内臓も撃ち抜かれた腹も全部がひどい激痛を訴えてうずくまるしかできなくなる、悲鳴よりも拙い吐息を重ねたなら】

や――っ、だ、やだ、――ッ、やだ、っ、やだ、! やだ……、ウヌクアルハイ様、――、いや……、もうすこし……、もう少しなのに……。
ウヌクアルハイ様、――、――ウヌクアルハイ様ぁっ! やだ、やだあぁ! ――え゛ほっ、

【ひ、と、小さな吐息が震えて。そうしたなら血液の赤よりも鮮やかな気持ちが漏れ出てしまう、――死にたくない、とは、言わなかったけど。きっと、同じ色だったなら】
【それはきっとアリアにとってひどく見覚えのある感情なんだろう、決して言わないだけで彼女はそんな風に喚いていた。泣きじゃくったなら、ごぼりと溢れる血液に溺れかけ】
【必死になって自分が下敷きにしてしまった切っ先を探す、――誤って指先をざっくりと切ってしまったけど、もはや関係なかった。なんとか引きずりだすのだろう】

――――――――――――誰もッ、誰も、要らないっ――、ウヌクアルハイ様、だけ、――私にはっ、

【――泣きじゃくりながら。それでもぎゅうと歯を食いしばって身体を起こす、死んでしまいそうに強張る身体と、ぐじゃぐじゃになった脳内を無理やり駆動させ】
【きっと最後に少女はアリアのすぐそばまでたどり着くのだろう、震える指先で、それでも、切っ先を取り落としてしまわないように。――――それでも、】

【――――――ごぼり、と、血を吐いて。きっと少女は相手の方へ倒れこむ。手からこぼれた短剣の落ちる音だけ、いやに澄んで】
848 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 21:19:24.77 ID:RT4l8Hhv0
>>837(マリア)

【──、この場にそぐわないとケバルライは感じた、そこにいたのは一人の女性】
【けれども、紡ぐその名は彼にとっても意味を持っていた、鈴音、と確かに伝えて】
【ならば相手をしなければならない、種明かしには、まだ早い】


──お早いレディですね、まだウヌクアルハイ様は顕現されておりません
だからこそ、今もてなしをしなければならないのに、手荒い対応ですね
けれども、それでこそ、それでこそ絶望を伝えられる


【再び光弾は掻き消える、ケバルライの能力が、猛威を振るう】

>>838(リオシア)

【近づくリオシアの魂胆、飛び道具に頼らず、自身の身体を用いたのは悪い手段ではなかった】
【けれども、それは決して良策ではなかった、──人ならざる存在と相対する際に】
【考えなしに突っ込むほど、愚かな行為は無い、と】


……────よもや忘れてはいませんね?
──── "Itzamna"


【ケバルライは飛び掛るリオシアを打ち落とすように、魔力の蛇を伸ばす】
【苦痛を与える術、"Itzamna" その強力さはリオシアが一番骨身にしみているだろうか】

>>843(夕月)

……はて、それは不思議な話ですね。この世界に顕現されるのはウヌクアルハイ様しかおらず
鈴音なんて存在は、当の昔に存在していない、と言わなければ分からないのですか?

若しかしてキミはまだ、ウヌクアルハイ様と白神 鈴音が、同一であるとでも、思っているのですか?


【向けられた銃口越しに言葉を向ける、その意味合いすら、辿れずとも】


>>844(セアン)

──全く、シャーデンフロイデも肝心な時に頼りにならない
錬金術師風情が何の用でしょう、貴方が此処にきて、果たせる役割があるとでも?


【溜息を重ねる、──集まる役者の数に、微かな驚きを残して】
849 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 21:22:12.99 ID:VXFCbz/50
>>843

―――ッ!?(なんで私の本名を言い当ててるんだ!?)

【あの時はエイリスと名乗っていた筈だろう。現状では偽名も目深に被った変装も意味がない】
【肩の荷が下りたようにエーリカはフードを脱ぎ捨て、言葉で切り返す――先ほどのマチェットの攻撃が無意味だったから】


ははっ、だから買い被りだって言ってんでしょ?
私が聡明だったらこの世の人間の過半数が聡いことになるよ。
それにあんなのを受肉させることが救いだって?あんなモノを救いじゃない。ただの"形のない恐れ"だ。

次いでながらに言っとくけどさ。ケバルライ、アンタに次なんてない。無いんだよ。
私が、いいや此処にいる私たちが!アンタの野望を台無しにしてやる!

【勢いよく啖呵を切れど、現状ではケバルライに刃は届かない。だから二進も三進もいかなかった】
850 :ラベンダァイス&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/23(土) 21:22:29.26 ID:fimxwp7B0
>>834

「――――簡単だ。俺たちが『人間』だからだ。そうだろう『蛇』が……! そんな胸糞悪い欲望、俺は……いや人間は……いわんや獣でさえ満たしたいとは思わんさ……!」
――――所詮、あなたは蛇『ごとき』でしかない訳だ――――!

【皮膚感覚が違えば、その目に映る光が違えば、もう同じ感覚を共有する事は出来ない】
【後は、理と言葉を以って理解するしかないのだが――――彼の言葉は、やはり響いてこない。その言葉に説得される事は、ないのだろう】

――――お前たちは、ただ腐蝕した魂だけを、地獄へと持っていけ――――!
「そうだな……道は1つ。ただどちらかが死に、どちらかが生き残るだけ――――だ!」

【世界はやはり、歪み始めている――――2人の実感がそれだった。やはりそこには、旧き神々の策略があるから、なのだろう】
【だが、その前に――――それに乗せられた、この人間たちの浅はかさが、小さく胸を刺す。ここまでの大事にしてしまった燃料、それは紛れもなく、人間自身だ】
【例え生き残ろうと、それには向き合わなければ、ならないのだろう――――】

「(く……しまった。少し急き過ぎた……ッ。不味い、このままラベンダァイスもろとも、足を封じられている訳には……!)」

【動かない体を何とか力ませながら、アーディンは後悔する。ラベンダァイスは軽くはない手傷を負って、そして自分は無理をした結果、敵に隙を見せてしまっている】
【このまま、ラベンダァイスが攻撃を躊躇するようであれば、状況は敵の良い様にしかならない】
【――――それを打開するための答えは、ただ1つだ】

「ぐぁ、が――――っぐ、ぃッ、ぃぐ――――!!
 で、出来れば、貴様のその舌、切り落としてやりたかったぞ――――!」

【腹に尖端を突きさされ、徐々にめり込まされていく。両手でそれに抗いながらも、その口からは噛み殺し切れない苦悶の声が漏れた】
【ザラっと、口から嫌な息が漏れながら、それでもアーディンは敵への敵愾心を殺さず、そして――――】

「――――ラベンダァイス、巻き込む事は恐れるな、俺ごとに撃てぇッ!!」
――――ッッ!!

【――――状況を打破するその答え。自分が人質になっている状態を気にせずに、とにかく法然を討て、と】
【ラベンダァイスも、それが答えだとは分かっていたのだろう。ただ、躊躇だけがそこにあった。それを、アーディンはその言葉で拭い去る――――】

っ――――おおおおぉぉぉぉぉ!!

【再び、口を開くラベンダァイス。その舌から――――プツプツと『棘』が形成されると、隣接する2人目がけて、闇雲に発射した】
【――――傷の具合で言えば、まだアーディンの方が軽傷だ。あるいは、アーディンを傷つけても、法然だけを倒す事ができるのではないか――――と】
851 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 21:22:34.15 ID:B29byw680
>>842

……っ!

【居合斬りを避けるすべがなかった】
【今まで厳島は銃や風の能力、擲弾による遠距離攻撃しかしてこなかった】
【刀は、軍人の飾り刀だと想いこんでいた】
【体勢を立て直す前に、その斬撃は腹部に命中】
【その瞬間に、サーペント・カルト固有の蛇術"蛇鱗"を使い皮膚を硬い鱗に変化させ】
【身体が両断されることは免れたが傷は深く──腹から血を吹き出し、倒れた】

がぁっ……!

【地面に倒れ伏す。もはや戦闘継続は不可能──敗北だ】

さすがだ中尉……櫻の国のサムライドウってやつか?恐れ入った……ごほっ
取引しないか……今、この街の中心部にある大聖堂で儀式が行われている
幹部もそこにいるはずだ……

【この情報と引き換えに、逮捕・拘束は勘弁してくれと、そう言いたいのだろう】
【厳島の返事を聞く前に情報を出したことからも、このツァルエルの信心の浅さは伝わるだろうか】
【もはやこれ以上はしゃべれないらしい、厳島を見つめた後、そのまま気を失った】


//このへんで〆ますね!ありがとうございました!この後合流してもしなくても大丈夫なようにしておきました


852 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage saga]:2018/06/23(土) 21:24:33.34 ID:xPZ7LQKro
>>828 >>846

──

【その言葉に、AIが──性格、言語センス、CPU。そういった定義の無機が搭載された場所が震えた】
【人間であれば
【己が無機のロボットだと定義するならば──余りにも、相性が悪すぎる】

──ウーム∞ム∞質問デスミスタ
──ワタシハ生キテルデショウカ?
──ワタシハソウ思イタイノデスガ、ミスタ・ジャ=ロ

──アナタガ否定スルノナラ、死、デショウカ

【首を横に振り──呆気ないくらい、素直に、平穏すぎる調子で問いかけた】
【──己はこれ以上、前線に出られない。生きていないという定義に──当てはまるのなら】

【──その後来た数人、パチクリ


──オオット、素晴ラシイ、続々ト応援ガ──
──リンネ=H


【思考が少し凝りはじめていた時に、続々と来た応援にきょとん──と】
【そうだ、儀式の破壊。──ううむ、とロボットは思考する。その手立て】
【本格的に倒して終わり──というだけでは、なくなってきた】

──ウーム∞イマ、儀式中デスモノネ

【ぽそ、と当たり前のように、あっけらかんと首を傾げて言う】
853 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 21:25:16.73 ID:RT4l8Hhv0
>>836>>845

【投げ出されたミサは地面に寝転んで、荒い呼吸を繰り返す──戦闘継続は難しく】
【だが同時に口を割る様子にも見えなかった、──どうしても、口を割らせるなら】
【それこそ、コープス・リバイバーの言う、乱暴な手段を取らざるを得ない状況であった】


────っ……殺すなら殺しなさい、私は決して、口を割ることはしません
異端審問をする過程で、拷問は実際に受けてきました、故に私に拷問は聞きません……
それでもやるのなら、何日でも、付き合って、さしあげます


【放たれる雄弁な言葉、それは確かな事実なのだろう────】
【それでも拷問にかけるのなら、誰も止める事はできない、しかし】
【どちらかが気づくかもしれない、彼女の口調はまるで、拷問をされたがっている】

【────なぜか、それは時間稼ぎのため、自分が痛みに耐え、口を割らなければ時間が稼げる】
【ミサの狙いはそうであった、狂信者は己の狂信を以って、信仰を果たそうとする、が】


【────空中に伸びる赤い光、そして天に浮いた床、彼女は見えていなかった】
【何処に何があるのか、はっきりと示されていることに】
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 21:29:20.23 ID:l87sBOYx0
>>848

ハッ!!そんなこと言ってやんなよ、アイツだって俺の右腕を持って行ったんだから。
そんな寂しい事、言うなよぉ。キッチリカッチリ殺してやっから。

【自分の右腕を見ながら言い放った】
【真面目な顔をして言った】
855 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 21:29:25.83 ID:rW2LOlMS0
>>848

……はあ? 何言ってんの、……ふざけないでよ、鈴音はいるよ!!
あんた知らないかもしれないけどね、あたしたちの夢に出てきてそれで、泣いて――――

――――ちがう、違う違うッ!! おまえらがっ……一緒のモノにしようと、してんじゃないのッ!?

【理解が追い付かない。焦燥はどんどん燃焼して、それで、言葉がひどく切羽詰まっていく】
【思わず問いかけてしまった。サーペント・カルトの目的、それは、鈴音の存在を】
【「ウヌクアルハイ」にしてしまうことだと思っていたから――そうじゃないなら、いったい何なんだって】

【――――銃口はまだ下ろさない。けれど引鉄は引けない――なにも、わからないから】
856 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 21:31:09.68 ID:BVsbpQZQ0
>>848

【これでも、かつては騎士の端くれだった。戦う力は、それなりに付けているつもりだった。】
【だからこそ、その対応には目を丸くした。まさか、赤子の手をひねるように攻撃を消されるとは。】
【避けられるのならば、話は分かる。何かで受け止めたのなら仕方がない。しかし……消されるとなると】
【話は全く違ってくる。それはつまり、自分の使役する力を何らかの手段で消せるという意味なのだから】
【殆どの攻撃が通らないということになりかねない。―――強い。伊達に絶望を口にしていない。】

……っ!
私の友達を利用するような者に、手荒くしない訳がないでしょうっ!

【知った顔(>>843)があるから、まだ心細さはマシだ。しかし、―――迂闊に手は出せないというのは】
【はっきりと分かる。されど手をこまねいていると事態は悪化するばかり。胸に焦燥が募る。】
【じり、とひりつくような緊張を感じながら……しかし、動けない。先ほどの戦闘の疲労もあって】
【打てる手がなかなか思いつかない……!】
857 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 21:32:59.73 ID:YdnfFM3ao
>>805
が、はあぁ……がふっ、ぐ……

【邪悪な盗賊が押し勝ったのは、美しい少年に対して幾度も泥の中を潜ったしぶとさ、生命力ゆえであろう】
【それ以外においては負けていた。数でかかっても、この有様。連れて来た配下たちは、もはや全員戦闘不能だ】

【後少し、何かが掛け違っていれば自分たちはここで死んでいただろう。戦慄は悪意で塗り固めて】


【何もかも絞り尽くして。光も色も薄れて。持っていて輝きを奪い取られて】
【そうして、ただ一人残った幼い少年に。異形は容赦なく歩み寄る。この男は、悪党だ】

はあっ……では……さらばだ

【痛みに呼吸を乱しつつ、異形は包丁を突き出した。この男は、この少年を知らない。その過去も知らない】
【故に、何を見たのかも知らなかった。自身が知るあの司祭が、この少年を突き落としたことも知らなかった】

【その瞬間。異形が見たのは、故郷や『泥の街』でおなじみだった姿。何もかもを失った、無力な子供】
【誰からも抱きしめてもらえずに。誰からも恐れられ、疎まれ。そんな少年を、誰も省みない、ここはそんな残酷な世界】


――――…………

【慣れた手応えが、右手に伝わった。命を奪い去る時の、あの。しかし、もう一つの慣れた感覚は】
【魂が、己の肉に縛られる感覚はなかった。少年は、死してなお辱められはしなかった】
【それは、異形の選択か。それとも、亡き彼の母のようやくの加護か】

【何のつもりか、その一瞬。異形の男は刺し貫いた少年を、抱きしめた。太い両腕で、がっしりと】
【母の温もりとはまるでかけ離れた抱擁ではあっただろうけれど。ただ単に、商品価値を落とさないためだったのだろうけれど】
【少年の命は、その腕の中で、ゆっくりと消えていくことだろう】


……ふん

【鼻を鳴らして己自身を嘲笑うと、カニバディールは少年の身体を抱えて踵を返す】
【少年の身体を、大型車両の荷台に横たえて。吹き飛ばされた配下たちも回収し、素早く積み込んで】

【そうして、大型車両の運転席に乗り込むと。大聖堂めがけてアクセルを踏み込んだ】

>>848
【けたたましいエンジン音を響かせて、大男は大聖堂の中に直接車で乗り付けようとするだろう】
【妨害がなければ、そのまま運転席から降り立って。三つの目玉で虚構の神を見る】

【彼は知っているだろうか。恐れ多くも、同じ神の一柱に爆弾をまき散らし、他の能力者たちと共にレッド・ヘリングを殺した男】

金髪のガキは死んだ。司祭も、死んだだろう。……あと何人残っている? 蛇教ども
全員引きずり出せ。一人残らず食い殺してやる
858 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 21:38:56.22 ID:B29byw680

>>848

あ、こっちはどうせ防がれると思ってたけどっ!
やっぱりいたぁあああぁあ!うううう!!!

【ある程度覚悟はしていた攻撃だが、一度経験していてもやはり苦痛は苦痛だ】
【叫びながら、硬化は解除されケバルライに飛びかかる前に落下するが】
【同時に、リオシアがずっと背負っていた大きなリュックからごろんと何かが飛び出した】

【透明の小型タンク──中には水が満ちているが、飛び出して地面に当たった衝撃で中の水が飛散った】
【それが真の狙い】
【そして、水はケバルライにの足元に降りかかり、かぶったなら次の瞬間には金属化し、足元が固定されてしまうだろう】
【避けられたならば、地面に広がって金属製の床が出来上がるだけだが──】
859 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 21:40:09.42 ID:rW2LOlMS0
>>830 >>837 >>838 >>843 >>844 >>852


おい!!


【大声で叫んだ。その場の全員に聞こえるように】
【不本意では有るし――この場に置いて誰とも面識のない男の言葉など誰が聞くとも分からないのだが】


そいつに攻撃を加えても、湖に石を投げこんでるようなモンだ。
石で埋まるまで、投げつけりゃ意味は有るかも知れないが、そんな時間はねェだろうが。


潰すなら儀式の方だろ?
こんだけの人数がいるなら――


【恐らくは、これだけの人数がいるからこそ、この男は攻勢に出ずに、ご丁寧に一人一人の相手をしている】
【その目的は時間稼ぎに違いはなく――なれば男も動くだろう。虚構の海に自らを沈めるように消え去って】
860 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 21:40:10.68 ID:RT4l8Hhv0
>>846(パグローム)
【好戦的な雰囲気の男性であると、ケバルライは認識した。──にもかかわらず】
【パグロームは決して我先にと仕掛ける気配を見せなかった、ある種の不気味な静謐を保ち】
【何を考えていると、──心の奥で思案する】

──だからこそ、今から顕現するのです。それがお分かりでない、と
ならばキミはその場でじっと見ていれば良い、私から手をかけることもない
残念ながら、キミの相手ばかりをしてはいられないものでね

>>849(エーリカ)
【────、ずり、とケバルライの足音が揺れた】
【そう、貴方はその名を名乗っていなかった、けれども彼は知っていた】
【その理由はなぜか、──或いはきっと、この形こそが、ペテン】

ほう、ならば見せてもらおうではないか。私の野望とやらを台無しにする術を
キミ達はキミ達の思考を以って、思想を以って、これに相対しなければならない
その先にあるのが、どんな絶望とも知らず────

>>852(信生)

【ジャ=ロはそこで微笑を向ける、出来の良い生徒に感心するような笑みを】

試してみるかい? 私のほうには何のリスクもないから、望むところではあるが
曖昧は私の好むところではない、キミを殺せなかった場合が、少し厄介になるからね
私達は認識の存在であるが故に、その認識を信仰を覆されると、脆いのだから

>>854(セアン)

【セアンの言葉に冷笑を浮かべて、その言葉を真っ向から否定するだろう】

ほう、キッチリカッチリ殺した、と──、どうやらキミはまだ、我々という存在を理解していない
そもそも概念に物理的な死とはどういう領分だろう、この身体すらも、──ああ、すまない
どうしても私は饒舌になりがちだね、直したいと常々思っているのだが
861 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 21:41:11.32 ID:ojuNPaGo0
>>848

【余裕、高慢、大いに結構――――されどその意識の外から焔翅の剣が、八首目を目論む蛇を葬らんと夜を両断する。】

【黒髪靡かせ躍り込めば、橡色の視線に触れるはヒトならぬ気配を纏う長身の人影。】
【対峙する者たちの姿を視て、言葉を聞けば――――瞬く間に標的は見定められた。】
【胴に弾痕と裂傷、躰中に炎熱の残滓。その手に執る太刀に宿る灼熱は、かつてウヌクアルハイへと叩き込まれたものを思わすほどで。】

……潰えて爆ぜろ、幻想の現身――――
虚の神を気取りたいのなら、なにもないどこか≠ナ踊っていなさい……‼

【その身に帯びた魔を退かせる¥ャ刀の性質を、その刃に乗せて焔翅剣葬≠ヘ放たれる。今ならば視認されるだけも効果は見込め、直撃ならば言わずもがな、だ】
【だが純粋な相性や出力が、虚神≠ノ対して意味を持ちづらいことは嫌というほど理解していた。】
【ならばこの一手の狙いは。蛇神教幹部であれば斬り伏せ、虚神≠ナあればその特性を掴む一助を為すという、無効化手段の解明にある】

【そのためならば、これほどの消耗さえ偏に前提と為して斬り込んでみせる――――】
【同郷の女諜報員が見守る様に送り届けた櫻の剣士は、幾許かの見知った顔のある戦場へ。】
【この夜の始まりより遥かに強まった熱を帯びて、譲れぬ道として降り立った】
【戦いを経て得たものを、断じて無意味になどさせないため。守りたい民と場所≠ニを胸に抱いて、忘れ得ぬ名と共に剣が征く――。】
862 :アレクサンデル・タルコフ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 21:45:39.50 ID:YdnfFM3ao
>>831
【そう、この地は今とても騒がしい。されど、そろそろ宴もたけなわだ】
【荘厳だったろうか。少なくとも、この司祭にとっては敗北の味だ】
【誰がこの場で願いを叶えたのか。いや、まだ総仕上げの途上か。とかく、時は前に進む】

【司祭にとっては、悪夢だった。賜りし禁術すらも用いて。この強敵を、神の供物にせんとした、その一歩手前で】
【自分自身の選択に、過去に足元をすくわれたのだから。ロッソが幾度も妄想と現実を行き来し、痛みの中にいたのと同様に】
【今度は、司祭が己が支配したはずの因果に捕われ、のたうち回ることとなった】


「――――お前ほどじゃあないがな。ロッソ」

【皮肉っぽい口調だが、それもまた異形なりの同業者への称賛だった。奇妙な縁で結ばれた、敵か味方かも覚束ない男への】
【そう、司祭は全て剥ぎ取られ。今やカルトの幹部・マルフィクではない。『泥の街』で彷徨っていたただの小悪党・アレクサンデル・タルコフだ】

【カタコンベの闇の中で、胴体だけの姿で菌糸に拘束されたその姿は、蛇に捕われた獲物か、鎖に繋がれた罪人か】
【いずれにせよ、もう司祭ではない。ただの、敗北して死にゆく、悪人一人】


【激しく明滅する義眼が、ロッソを見る。何も出来ない。両腕の蛇は消されている。禁術は破れている】
【そんな滑稽さとは真逆に、生気に満ちた銃の鼓動。古びたリボルバーライフルは、このダルマ野郎をこの世界から追い出すために】

【その瞬間、彼の手を包んで支えたのが何者だったのか。それは、タルコフにもカニバディールにもわからない、彼だけのものだろう】

バカな……愛などと……!! 私の職務が……そんなものに……!!

【必死にもがくその姿は、しかし何ももたらさなかった。皮肉にも祈りのような言葉と共に。最後の弾丸が放たれる】
【それはカタコンベの闇を切り裂いて飛び、狙いたがわず司祭の心臓部を貫通した】

あ――――

【それが最期。司祭の終わり。足からの靄もなくなり。その胴体がばたりとあっけない音と共にカタコンベの汚れた地面に落ちて】
【そのまま、仰向けにひっくり返って動かなくなった。愛は傷を与えない。皮肉にも己の禁術と同じく、その内部を焼いた】

【愛は、彼を殺した。職務を果たせなかったという絶望と合わさり、それは彼を焼き尽くす炎となり】
【その脳細胞が誇張なく焼き切れて、司祭は事切れた。その身体を菌糸がみるみる覆い尽くし、大きなキノコが生えて】
【何とも歪な新しい墓標をこのカタコンベに迎え入れた。司祭“マルフィク”、アレクサンデル・タルコフの最期である】


「……余裕があれば、大聖堂で会おう。ロッソ」

【キノコの目玉は最後にそれだけ告げると、ゆっくりと閉じられて消えた】
【後には、ロッソと大聖堂へ続く道だけがこの地下に残された】
863 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 21:46:17.28 ID:ojuNPaGo0
>>861
かつてウヌクアルハイへと叩き込まれたものを思わすほどで。】
→ かつてアナンタシェーシャへと叩き込まれたものを思わすほどで。】

…でしたっ
864 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 21:46:17.32 ID:rW2LOlMS0
>>857

【息絶えた少年に、抱き締められる感覚は伝わったろうか。わかりはしないことだったけど】
【盗賊たちの目論見通り、少年の身体はわりかしきれいなまま。死体に変えることが、出来た】
【顔に傷はついていない。であれば、――――よく売れることだろう。実際、後日――ひとつの連絡が来る】
【アルトの音、女の声だった。名を聞いたならば帰ってくるのはそこそこ有名な名前――――「冒涜者」】


【 「おたくの扱うお肉に、金髪碧眼のキレイな子が居るって聞いたんだけど。僕、それがほしいなあ」 】


//ウリュー戦はこれにて〆で! 本当に、ありがとうございました!
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 21:47:32.48 ID:s9RVxvhA0
>>850

「これは異な事を、あなた方は人間ですら無いでしょう?」
「拙僧が蛇と申されますか、これは嬉しい事です、我が神と同様の存在と呼ばれるとはまさに誉れ」

【そう、感覚が感じ取る世界が、受け取る何かが、もはや人間の其れでは無い】
【蛇、その存在と同様の物、人はそれを化け物とでも言うのだろうか】
【兎にも角にも、アーディンやラベンダァイスとは全く違い過ぎる存在なのだ】
【故に、言葉を交わすことは出来ても、理解はし合えない存在】

「それは、此方の台詞だ、あなた方こそ、無間地獄へと堕ちるがいい!!」

【もはやこの歪みはどうしようもない物だ】
【人間がそれを望んだからか、はたまた神々が付け込んだのか】
【少なくとも、犠牲になるのは弱い存在からだ】

「この期に及んで、最期の言葉がそれですか?」
「残念ですが、あなたはこれで、御仕舞だ……」

【腹部に突き立てた錫杖、それを思い切り押し込み貫かせんとする】
【貫通したのなら、そのまま引き抜き、止めとして胸か頭を貫くつもりであった】
【そのつもりであったのだが……】

「き、貴様ッ!!」
「ええい、小癪、あまりに小癪なッ!!」

【次の瞬間、その言葉を受けたラベンダァイスが、口を開き】
【無数の棘を射出して来る】
【余りの事態、あまりの展開に、当然手負いの法師には対応が出来ない状態となって】

「ぐッああああああああああああああああああッ!!!!」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

【一撃目は胸を】
【二撃目は太腿を】
【三撃目は頭をそれぞれ棘に穿たれ、その場に倒れ伏した】

「そん、な……仏よ、ウヌクアルハイさま……」
「救済、を……」

【薄れゆく意識の中で……果たして、何を思うのか】
【虚ろな目で天に向かい、手を伸ばすも、やがて崩れ落ちて】
【サーペント・カルト幹部、ポステリオル、蛇遣いの後手、法然はここに物言わぬ躯となった】
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 21:49:00.47 ID:l87sBOYx0
>>860

【セアンは右腕の義手を見ながら、あーやっぱ急ごしらえだから、チョットあれだな、と文句を言う】

だったら概念的にも物理的にもぶっ殺してやるよ!
ヒーハー!!突撃ー!!!!
867 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 21:51:57.96 ID:RT4l8Hhv0
>>855(夕月)>>856(マリア)

【──、愉悦に頬が歪みそうになる、種の割れた手品をいつまでも見ている様相に似て】

ならば信じているがいい、もう分かっているだろう? 我々 "虚神" が信仰によって成り立つ存在だと
ウヌクアルハイ様が白神 鈴音と信じていたならば、その要素が僅かに紛れ込むかもしれない

──故に我々は誰も、ウヌクアルハイ様が白神 鈴音と同一等と、信じていない。
知っているのだろう? 白神 鈴音が最早身体を持たない、と、
ならばキミはウヌクアルハイ様の儀式を手伝わなければならない

そうすれば、万に一つの可能性で、ウヌクアルハイ様の中に、白神 鈴音の要素が混じるかもしれないのだから

【精神だけの存在になった神を誰が定義できるのであろうか、故に白神 鈴音の精神を救う方法は一つ、と】
【ウヌクアルハイを顕現させ、その中に白神 鈴音が居る事を願い続けるだけだと、彼は言った】

>>857(カニバディール)

【ケバルライは男に視線を向けた。──知っている顔であった、自らの同胞を葬った、異形】

私に安いセンチメンタリズムはない、実態を持つ神など、"虚神" の中でも格下なのだから
それを葬った程度で随分とキミ達は横柄な態度を取る。何も定義されていないのに
その先が閉じていることに何故気づかない? 本当は、分かっているのだろう?

>>858

【────それは、初めての驚愕であった、彼の予測の遥か上回る戦法】
【雲間で研ぎ続けた無形の刃、リオシアの振るった秘策は確かに功を奏する】


────なるほど、中々考える……っ


【ケバルライは足元ごと固定される、ちょっとやそっとでは動かないだろう】
868 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 21:53:23.93 ID:YdnfFM3ao
>>864
【もう一つ、誰にも知られなかったこと。あの司祭が、愛の銃弾に撃ち抜かれて、内側から焼き滅ぼされたのは】
【すなわち、少年を後戻りできない道へと誘った、あの司祭マルフィクが絶命したのは、サビクこと破崎雨竜がこの世から去ったのと同じタイミングであった】

【罪深き二人の蛇教幹部は共にこの世から落ちていき。されど、世界は回り続ける】
【この戦いのしばらく後、異形の男の耳にその声が届いたのは、ちょうど手にしたサビクの遺体を綺麗に洗っている最中だった】

【その名にも聞き覚えがある。金髪碧眼の奴隷を好んで買い集める女。この世界の裏社会が抱えるいくつもの闇の一つ】
【わずかの間をおいて、異形の盗賊は取り戻す。悪徳者としての、己の顔を】

【「……商談なら、大歓迎だ。いくらでこいつを買ってくれる?」】
【哀れな少年は、こうして「冒涜者」の下へと送られる。彼の死後の安寧は、どこにあるのだろうか――――】

/こちらも締めとさせていただきます! ありがとうございました!!
869 :剛田 剛太郎 [sage]:2018/06/23(土) 21:53:42.65 ID:0iDqkX17o
>>845>>853

【"炎牙"―――剛太郎はその鎧の姿のまま首を傾げ腕を組み困ったように呻き始めた】


う、うーん……戦闘中ならともかくほぼ無抵抗な状態まで弱ってる奴を叩きのめすのもな
"コープス"、こいつらは宗教という一本筋を腹ン中に通してるんだぜ……多分コイツが言ってる事は本当だ
拷問をする場合はガチで時間がかかると考えたほうがいいぜ、このまま誘いに乗ってればそれこそ何日も……あれ?


(……『誘い』?何日でも付き合うって……?実際こいつは数日耐えきるくらいの自信はあるんだろうな
だが何日もと言い切ったのが今気にかかった……まるで『何日』でもかけてほしいみたいじゃねえか……こいつは宗教家
ガチな宗教家なら『殉教』のために自分の命をかけるくらい……自分に何日も使わせたいのは……)


【知識量は恐ろしく少ないが、戦闘時における感は鋭い。ムクからみた剛太郎の評価である】
【彼が『何かに気付いた時』はたいてい気のせいではないと相棒のムクはわかっていた。己の鼻に神経を集中し周囲を探知する】
【そんな中かぎ取ったのは空中からの反応。上を見れば赤い光―――?】

【全てを察した瞬間、棺桶から茶色い子犬が素早くミサの胴めがけて飛び出した!そして……】


『Blitz』―――!!(雷鳴よ!!)


【雷の魔翌力を纏い、直にミサの体に流そうとするだろう……威力は強めのスタンガン、昏倒させこの場の戦闘及び問答を終了させようとする】
【相棒の迅速な行動に流石に面喰いながら剛太郎は―――しかしすぐに自分の心が行動を決めつつあるのを実感していた】


―――ムク!?どうして!?……いやまさか、マジでこいつ時間稼ぎしようとしてたのか!?

『間抜けが珍しく感がいいのう剛の字!上を見ろ!!まだ終わっちょらん!!この娘はおそらく『アレ』に近づけまいとさせたのだ!
そこの小娘もあれを見てみろ!!アレをどうにかせんときゃつらの目論見は崩せんぞ!』


【この女に集中している場合ではない。今すぐ急行すべき戦場があるのではないか?と二人は察していた】
【天の床、赤い光、そしてそこにたどり着くために再び二人は自分が乗って来た『棺桶』に視線を向けるだろう】
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 21:53:43.97 ID:l87sBOYx0
>>866

【セアンはバイクをアクセル全開で蒸かし槍を構えて突っ込んで行った】

//チョットミスで分割になっちゃいました
871 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage saga]:2018/06/23(土) 21:54:14.01 ID:xPZ7LQKro
>>859 >>860

【響いた主人≠フ声──ふむ、と頷き、ロボットは顔を伏せる】
【ソレゾレが、ソレゾレの思惑を抱いて向かっている。しかし】
【主人が考えろ≠ニ言うのなら──ノブキは、それに従うまで】

──イエス、マスター

【儀式。そこを壊すための核は?ヒントは?──何も無いのか?】
【鈴音という少女が居る、居ない。会話からヒントを探る。その問答──】

(──鈴音=H)


【そうだ、──知ってるじゃないか、】
【己の娘たるロボット、その友達は──確か──】

──穏ヤカデス∞アナタハ──怖イデス
──然シテ∞無意味ハダメデス
──無意味ハ、ホントノ無意味ニナッテシマウ

【──そうして、己が無為に死ぬと言うのは嫌だ、と】
【機械になっても、なお思い浮かぶ。ミア≠フ顔──思えば、どうしてあんなに執着していたのだろうか】
【でも、──今だって、まだ壊れない理由になり得てる気がする。何故だか会いたいと思う】

【とはいえ──ひとまず、一旦バック。ジャ=ロから遠のいて】

──儀式ッテ、何カガ核ダッタリスルノデショウカ?

【と、──パグロームに問いかける】
872 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 21:57:52.88 ID:rW2LOlMS0
>>856 >>857 >>859 >>867

【見知った顔が何人かいて。何かしらしようとしている男がいる。それでも、それでも】
【少女の焦燥は止みそうになかった――――引き攣った顔。銃口をケバルライに向けたまま】
【硬直して、引鉄も引けないで。……はあ、と、息が切れた。のどが渇く。……声が、かすれる】


……ばか言うな、ふざけんなっ、同一とか混ざるとか、そんなんじゃなくてッ!!
白神鈴音は純度100%でこの世に居なきゃダメなのっ――――ほかの何も、混ざっちゃダメ!!

あたしが信じてンのは鈴音のことだけだっ、……おまえらなんか信じない!!


【それでも。言うべきことは言わなきゃ気が済まない――ウヌクアルハイの一部としての鈴音じゃダメだって】
【白神鈴音というひとりの女の子だけを信じてる。それだけはどうあっても揺らがなかった――叫ぶ】
873 :ラベンダァイス&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2018/06/23(土) 21:59:40.22 ID:fimxwp7B0
>>865

――――お前に比べれば、立派に『人間』です。少なくとも、アーディンさんは――――!
「蛇が誉れか……! なるほど貴様ららしい勘違いだ……!」

【そう――――この場に、純粋な意味での『人間』は、もはや存在しない。それは、それを口にしたアーディン自身、良く分かっている事だ】
【だが、その在り様を捨てたものに、それを言われたくはない。ラベンダァイスはそうして言葉を叩き返した】
【――――少なくとも、獣人であろうと、そのメンタリティは、人間と少しも変わるところがない。少なくとも、アーディンは――――】

「ぐ――――バケモノめ……ッ!」

【その姿、その性根は、もはや怪物と変わりがない。アーディンはただ一言の言葉に、そんな思いを込めた】
【こうまで、生死の境に追い込まれるとは、流石に相手もこのカルトの重鎮であるという事なのだろうか――――】

「ぐっ、ぅおぁがぁぁぁぁぁッッ!!」

【咄嗟に背を丸め、姿勢を小さくし、棘の嵐をやり過ごさんとするアーディン。だが、それでも流石に無理があった】
【ザクザクと、景気よく棘はアーディンの身体に突き刺さっていく。勿論、もろとも法然を倒すため、覚悟した一撃だったが】
【さしものアーディンでさえ、その自爆覚悟の一撃には、悲鳴を噛み殺し切れなかった】

――――っ、やった、倒した――――ッ!!
「……………………っぐ」
あ、アーディンさん――――ッ!

【ひとしきりの射撃が終わって――――そこには、脱力し、もう動かない法然の姿】
【ついにこの場における強敵を倒したと、ラベンダァイスはようやく気を吐いた――――だが、次に問題になるのはアーディンだ】
【ドスドスと不格好に駆け寄り、その腹の触手でアーディンの身体を支える――――術の効果はもう解けているかもしれないが、それと傷とは別問題だ】

「っ、や……奴は…………ッ?」
――――大丈夫です。無力化に――――いえ、恐らく殺害に、成功しました
なにか、妙な異能を持っていない限り――――
「っ……そう、か…………よし…………!」

【体に突き立った棘を、可能な限り抜き取りながら、アーディンはゆっくりと体を起こした】
【――――当初の狙い通り、体力の余裕の差で押しきった格好だ。とはいえ、流石にこれ以上の戦闘は厳しい】
【――――強敵だったが。しかし彼らの意地が、最後には勝負を決したのだろう】
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 22:01:46.80 ID:s9RVxvhA0
>>851

「はあはあ……」

【肩で息をしながら、血が滴る軍刀を再び構え直す】
【文月や中佐程上手くは無いが、それでも剣技は陸戦隊の嗜みだ】
【それが功を奏したと言える】

「全く、現金な物だな……武士道と言えば、間違いではないか」
「いいだろう、取引は成立だ、元より逮捕する権限も無いからな」

【軍刀を納刀し、そうツァルエルに告げ、踵を返す】
【感触からすれば死んではいないだろう、だが再び起き上がるのも厳しいと見える】
【中心部、大聖堂……そう心の中で反芻しながら】

「リオシア達も、そこに居るのか……向かう他は無い」

【そう考えて、大聖堂まで向かうのだった】


//ありがとうございました!お疲れ様です!
875 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 22:02:41.17 ID:RT4l8Hhv0
>>861(柊)

【それは嫌と言う程見た光景であろう、振りぬかれた刃は彼を殺める事無く、虚空を切る】
【ケバルライの様子は変わらない、リオシアの秘策によって動きは封じられているが、それは大きな意味を持たず】
【──、しかし、その刃は証明する、目の前の彼もまた、虚神の一柱であると】

──、そうか、キミもまた、あの二柱に相対して生き残った存在であったか
だとすれば嫌と言う程理解してるはずだ、私達に挑むには、状況が足りない
アナンタシェーシャもレッド・ヘリングも、積み重なった偶然の上の奇跡だと、分かっているだろう?

>>866(セアン)

【──、ケバルライが視線を向ける、万物を殺戮する術、"Kukulucan"】
【何の耐性も無ければバイクはバラバラに解体されるだろう】

しかし、その両方もキミでは難しいと、私は忠告しなければならない
強い弱いではない、相性が悪いのだ────

>>871(信生)

【──ケバルライは視線の端で信生を見送った、少なくとも今は彼から攻撃を仕掛けることは無い】

>>872(夕月)

堂々巡りだよ、それならばウヌクアルハイ様の顕現をとめるとでも言うのかい
それならば白神 鈴音の精神を復活させる手立ては、もう果てたといわざるを得ない
そうだ、おしまいなのだから──、もちろん、私は全力で阻止するけれども


【聞き分けの出来ない子供に伝える様に、ケバルライは言葉を紡ぐ】
876 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/23(土) 22:03:57.09 ID:WB6h1eEP0
>>847



      「全部、ぜんぶ、知ってるわよ。 ── だって私たち、こんなに似てるから。だから、貴女の事が解るの。かえで。」


【きっと其れは僅かな違いに過ぎなかったのだろう。少しばかり寝惚けた朝に目覚め、急いで掛け違えたボタンの数が、1個か2個かであったような。】
【自分のせいで家族を殺したと、仲間を殺したと、誰かを殺したと、 ── そう思わなかったことが、幼い日のアリアに無かったと言えば、嘘になる。】
【けれど彼女は只に恨んだ。自分を悔やませる世界すべてを。それでいて、どこか現実感を持てなかった。自分の家に戦闘機が落ちて、家族みんなが死んでしまったあの日からずっと、自分は夢を見てるんじゃないかと】
【 ── 責任感の違いだったのかもしれない。かえではきっと優しすぎた。負わなくてもいい罪を背負い込んで、請わなくてもいい赦しを請うた。貴女は自分の"罪"も知らないって、だからアリアは告げていた。】

【然し其処で、ぐらり、かえでの身体がよろめく。だからアリアは隻眼の瞳を見開いて駆け寄る。もしもかえでが見えていたのなら、 ── 其処には初めて、動揺が宿って】
【間に合わずに彼女は倒れ込み、必死で立ち上がろうとして、泣きながら這い寄って、ついに意識を手放して ── だから、アリアは抱き上げる。嘘みたいに軽い、かえでの身体。】
【「かえで ── !」 ── 名前を呼ぶ。きっと答えはない。落ちるナイフと、手のひらを濡らす生温かい血が、皮肉にも酷い現実感をもって感じられた。】



「 ──── っ、くそッ」



【呼吸と脈拍を先ず確かめる。気道が確保できているのなら、鼓動が未だ止まっていないなら、助かるかもしれない ── いや、助けられる。】
【だって自分は助かったのだから。あの時、かえでよりも幼かった彼の日、両腕も両足も胎から下まで千切れてしまったのに、アリアは生き延びた。生き延びてしまった。】
【 ── 其れは、呪いに似ていたかもしれない。自分が生きたのだから、お前も生きろ。天国でも地獄でもない、現世という此の煉獄に産み落とされた者として、】
【苦しいままに死んで終わりじゃあ、あんまりに呆気ない逃げ道じゃないか。もっと踠いて、苦しんで、けれど確かに光明を掴んで、生きろ。生き続けろ。】



「アドラー。アドラー。こちらローレライ。要救護者1名。トリアージレッド、繰り返す。トリアージはレッド。」
「緊急の義体化準備1名分も要求する。全身だ。装備L4を要請。外因性脳外傷用のナノマシンも5000万単位で用意。」
「そうだ。私の分はいい。『ボール・オブ・ヒュギエイア』だ。上空待機の救護ヘリ、最優先で回せ!」


【携帯端末を首に挟みながら、何処かの誰かにそう伝える。同時に義体に内蔵したGPSの発信により現在位置を伝達、救護ヘリの位置は ── 到着まで6分。】
【最悪の場合、自分と同じように脳以外は義体化すればいい。ヘリが着けば此の場での手術も不可能ではない。けれど、其れまでに息絶えてしまったのなら ── 。】
【 ── 呼吸がないのなら、人工呼吸を。脈拍がないのなら、心臓への刺激を。衣服を短剣で引き裂いて、主要な出血箇所の動脈を探り、】
【手持ちの鉗子による最低限の止血を手際よく行う。当たり前だった。だって兵士として、自分がされたこと、自分がしてきたこと、だったから ──── 。】






      「 ──── 死ぬな、かえで」






【 ── 絞り出すような囁きは、或いは神への祈りにも似ていて。それが叶うかどうかは、分からなかった。】
877 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 22:04:43.97 ID:rW2LOlMS0
>>860
いねェよ。そんなものは存在しねェ。
だが、その提案には賛成だ、ケバルライ。
手を出さないでくれりゃア、ありがたい。

【男はその身を虚数の海へと沈め込む――いくらかの制約はあれど、これだけの人数がいれば、然程のリスクでもない】
【この男が自分で言ったように、ケバルライはパグロームだけに構っている訳にはいかないのだから】

【リオシアの放った策が奏功し、動きを封じたならば、意識は逸れてくれるだろうか】



【そのリオシアから聞いた言葉。この儀式の要は七本の光と、生贄】
【生贄が儀式に取って重要なら、皆殺しにして、男の能力で消滅させるのが最善の手段】
【この中の何人かが敵に回ったとしても、儀式が完成するよりはマシだろう】
【なれば狙うのは――】



【ケバルライの視線を切るのは、僅かな時間で構わなかった。懐から取り出したのは、爆発物――狙うのは、人質達が乗った――空に浮かぶ床】
878 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 22:05:07.81 ID:BVsbpQZQ0
>>867

【その言葉は、甘き毒。鈴音が万が一にも残る可能性があるという甘い囁きで、自分を引きずり込む為の。】
【――――しかし、そこでマリアが情に惑わされることは無かった。キッと睨みつけて、その言葉を否定する。】

手伝う?―――私を、舐めるな。
私は、お前たちのような残虐行為には手を貸さない。決して、断じて。

ええ、私は鈴音の事が大切です。だからこそ……鈴音を助けに来た。でも。
―――覚悟は、とうに出来ているのですよ。万人を傷つけて鈴音を救うくらいならば、私は鈴音を捨てると。

そんな血塗られた救いを、鈴音は私に望んでなんかいない。
故に、私が望むのは――――犠牲の上に成り立った神に紛れ込んだ鈴音のかけらなんかじゃない。

【どれだけ絶望的でも、言い放つ。自分がそれを信じなくて、誰が信じるのだ。】

――――鈴音、本人だけです。妥協なんて、するもんか――――!
879 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 22:05:18.84 ID:B29byw680
>>867

やった……うぅ……ほぇ

【痛みに苦しみながら、足元固定化の成功を確認する】
【なんとか立ち上がり、後ずさるようにケバルライから距離をとった】

>>859

うん、わたしもそう思うよ!ライダーの人
ケバルライさんの動きは止めたから、今なら邪魔されずに儀式をどうにかできるんじゃないかな?

【男に対して賛同を示す】
【何をどうすればよいかはわからないが――】
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 22:11:06.84 ID:l87sBOYx0
>>875

(これはっ!!バイクの構成ごとバラバラにするだと!)

【バイクがバラバラになり、セアンは地面に落ちる】

痛った!!クッソどんなチート能力だよ!
だが!近距離がダメなら、遠距離だ!!

【槍を消し去り、弓に持ち替えて撃つ】
881 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 22:12:14.32 ID:VXFCbz/50
>>860

急かさなくたって直ぐに見せてやるから、ガツガツしてんなよ、ケバルライ"さん"。
手品にさ、タネも仕掛けもある様に。舞台にはハレもケもあるように。物事全てにゃ順序がある。

【ケバルライと対峙するとやはりあの時の恐怖がよみがえる】
【かろうじて悪態をつけるのは先のカチューシャの暖かい抱擁と。帰るべき場所にいる姉妹同然の人達のお陰】
【奮い立ち啖呵を切れど、手段がない。途方に暮れていれば>>858の攻撃が通っていた】
【そして大聖堂内に響く残酷な正論((>>877)にエーリカは渋々賛同する――最善ではないが、最小の犠牲で済むのならば】

【エーリカは能力を発動させ、鋭利なナイフを5本ほど召喚し、それを生贄――ではなくケバルライに向けて射出した】
【成果は無いに等しいだろう。けれど、時間を稼げればそれでよかった】
882 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/23(土) 22:12:45.60 ID:xPZ7LQKr0
>>853>>869

――。
(まるで。時間を掛けてくれるのを望むような。――ッ)

【空中に伸びていく赤い光、天に浮く床。それらの異常を目の当たりにした少女は。今取るべき行動を決定した】
【煌々と燃え上がる殺意。憎悪。それらが呼び声となって、少女の体に焔を与える】
【黒の焔を身に纏い。少女は大聖堂へと視線を向けた。電撃によって倒れた女には軽く一瞥し】

……確保だけ頼むよ。あとで必ず息の根を止める。
私は行くよ。死霊たちが言っている。彼処に有るのは、間違いなく巨悪。邪悪だって。

【女の行末を剛太郎に託し。二人に対して、己は行く。そう答えた上で】

――"骸と踊れ"。

【"コープス・リバイバー"の術式を再起動。死霊たちと己自身の魔力を振り絞り、装甲を再装着】
【全身に纏う焔を加速させ――、今出せる限りの全力で。白菊儚。"コープス・リバイバー"は駆ける】
【後ろを振り向く事はない。あの二人であれば、きっとついてくるだろうと。何となくそう思ったから】

【わずかの時間の後。死霊と遺骨を纏った生者は、聖堂の壁を破壊しながら突入した】
【明らかな殺意。明らかな害意。明らかな敵意。明らかな憎悪】
【そのどれもが、彼女の観測した悪に向けて全力で放射されているもの。――大分遅れた、追加の乱入者だ】

――悪を。根絶[タ]ちに来た。
お前が何者なのか。お前が何を目的としているのか。知ったものか。知るものか。

これからお前を殺害する。お前の行う悲劇を殺す。お前の悪性を私は否定する。

――"骸を燃やせ"、"骸を焦がせ"。

【足に焔を集中。装甲の形状を速度重視に研ぎ澄ます】
【両の手を銀の刃に添える。髑髏の眼下の奥で。青の焔が揺れる。燃え盛る】
【そして。直後爆轟。小手調べなどしない。無数の死を燃料とし。獄炎を背負い。銀の刃を相手の心へと突き立てようと】

【――届くかわからないが。それでも悪性否定の刃を突き立てずには居られない。妄執の突きが、彼女を一つの矢とせしめた】

――"復讐を遂げろ"ッ!!

【刃が相手に刺されば。"相手に刺さる"。それ以上でも以下でもないが。それだけは当たれば絶対に成し遂げられる一撃だ】
883 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 22:16:06.68 ID:ojuNPaGo0
>>875

――――……く……!

【乾坤一擲は何ら手傷を与えずに素通り。思わず、傷の痛みとともに呻きが声になろうとした】
【かたちあるものを斬る$リ断概念を宿す刃。――彼ら虚神との相性差は、絶望的でさえあって】

【だが絶望的なだけの戦況など、減速を否んだ櫻の戦闘者ふたりの、この場へ辿り着いた一には懼れるべきものではなかったのだ】
【何故なら守るべき場所が、かつてこの身に取り込んだ数多の嘆きが闘争の理由を生む。】
【ならば、あとは護り抜くのみで――――そうあらねばならないのだから妥協はなかった】

【膨大な“力”を、発振体代わりの時戒の宝玉へと送り込んで。織り成すのは、虚神たるあの男の姿そのままの停止領域】
【かたちあるものを斬る≠スめの刃を叩き込むために、一瞬だけ停止する空間・光子を素材に認識の“器”を作り上げる。】

【金属化の異能を操る少女の策が、実体すら持たぬはずの男へと干渉できた事実、】
【それが、“固定”“現実への楔”を意味するのではないかという推測――――そしてこの儀式。】
【実体を持たないことそれ自体が鍵である可能性を、駆け抜けるべき幾千幾万の試行錯誤の一として。】
【幾度となく虚神への無為な手を打ったこの少女が、だからこその、全力の闘争をこの刹那に重ねた】
884 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 22:16:10.90 ID:rW2LOlMS0
>>875

――――――ッ、

【ぎゅうっと眉根が寄った。何も言い返せなくて――でも諦めたくない、みたいな顔】
【実際、鈴音を取り戻す方法なんて何も考え付いちゃいない。……だのにウヌクアルハイは嫌、と言う】
【ひどい我儘でしかなかった。けれど、それを諦めてしまえば――泣いていた鈴音を裏切ることになる】

……じゃあ、ウヌクアルハイが混ざって、帰ってきた鈴音は――いままでどおりに、生きられる?

【――――ひどく弱弱しい声音。折れかけていた、……もうどうしたらいいか、わからない】
885 :カニバディール ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 22:18:26.85 ID:YdnfFM3ao
>>867
薄情なものだな、神というやつは。レッド・ヘリングと言ったか、あの工場の化け物は、随分と頑張っていたと言うのに
あの病魔にも見放されて、丸ごと叩き潰された可哀想な同胞に、向ける言葉がそれとはな
神にあの世があるのかは知らないが、浮かばれないものだ

ふん、横柄なのは私の性分でね。定義などされずとも、我々は自分で我々を定義する。お前たちと違ってな
……さあて。感づいてはいても、何もせずにはいられないのが人間だ。私はその中でも、特に浅ましく欲深いのでね
やれるだけのことは、やってみるさ

【三つの視線でケバルライを睨み、言い返す言葉は饒舌に。周りを見渡せば同じく集まってきたものたち】
【サーペント・カルトという組織そのものは、もう立ち直れないかもしれない。だが、この神は。この儀式は】

【一瞬、>>872の赤い少女に目を向けるが、声をかける余裕もなく。三つ目が周囲を観察し、決断を下す】


【異形は上を向いた。ケバルライ自身は、>>858のリオシアの活躍で動けない】
【ここは、>>877のパグロームに乗っかろう。異形の悪党として、どこか近いものがある】
【だが、転落によって生贄が[ピーーー]ば、それも結局生贄として再利用されるかもしれない】

【故に、カニバディールは両腕を最大限膨張させて頭上に広げ。巨大な肉のクッションを作り出そうとする】
【足場を砕かれて落ちてくる生贄たちを中に包み込み、成功すれば死なない程度に大聖堂の外に放り出して】
【この場から利用できる命を無くさせようという腹だ】
886 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 22:18:54.39 ID:Xgr13xPl0
>>862

Hey ho, let's go...

【―――彼は胸ポケットのマルボロに火をつけたところだ】
【真っ赤なバンダナを首に下げて、地下墓地の中で吸う味も変わらない】
【司祭に捧げるレクイエムはそんな電撃バップだった】


【愛する者の為に放った弾丸はヤツを焦がした。愛に焦がれて死ぬなんて中々、ロマンチストじゃないか】
【そんなライフルはいつものリボルバーに姿を戻していた。この地下墓地に転がる最後の殉教者になることを祈って】
【また長い長い眠りへとこの墓地はついていくことだろう。】

【過去を利用し、そして過去に足元を救われた男と、過去を受け入れて希望を見出した男】
【囚われていたのはきっとどちらもそうだったんだろう。だが、結局最後の最後でどちらもただの人間だという証明になってしまったのかもしれない】


ここまで来て、行かないわけないだろ?


【煙草くわえて、大聖堂へと歩き出した。しっかりと前に向かって。】



>>867 と大聖堂組の皆様


―――ちょっと、遅刻かな。

どうなってやがるカニバディール。…状況はクソッタレだってことはわかるぜ。

彼処のやつがクソ野郎だってこともな。

【タバコを吸いながら遅れて現れたのは、全身黒のスーツの赤い目をした背の高い男】
【とにかく、その雰囲気を察して、いやでも目につくあの大男に声を掛ける】
887 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 22:21:01.04 ID:rW2LOlMS0
>>871
知るか――足元の七本の光とかじゃあねェのか?

【問い掛けられた言葉に、男は消え際にそう返す】
【この期に及んで、己をマスターと呼ぶこのバイクのことを、信用していなかったから】
【善性が時に行動を阻むことを、男は知っている。なればこそ、彼女に何かを期待するのであれば】

【それは人質の方ではなく、もう一つの儀式の要素だった】
【もっとも、それをどうにかする手段を彼女が思いつくかどうかは分からない】

【あくまでも保険のための一手】

【もしくはケバルライの気を引いていてくれるのならば、それはそれで助かるのだが】


【いずれにせよ男は詳細に指示を出したりはしない。仮初にマスターになったとはいえ、考える頭まで失った訳では、ないのだろうから】
888 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 22:23:06.51 ID:RT4l8Hhv0
>>877(パグローム)>>878(マリア)>>879(リオシア)>>880(セアン)>>881(エーリカ)
>>869(剛太郎)>>882(コープス・リバイバー)>>883(柊)>>884(夕月)
>>885(カニバディール)>>886(ロッソ)

【──、パグロームの誤算は一つ、今は亡きマルフィクが残した、情報】
【イル=ナイトウィッシュが知っていたなら、ジャ=ロが知らない道理が無い】
【故にパグロームの姿が消えた刹那、ジャ=ロは最悪のシナリオを描いた】


────────ッ


【 "それだけは阻止しなければならなかった" 】


【ケバルライはすぐさま、人質が乗る床へ向かおうとした、だが────】


くそっ……!! この期に及んで……!!!
エーリカ!!! まだ分からないのか!! 偉大なるウヌクアルハイ様に触れて、貴様は尚!!!
この世界の現実を、全ての認識を無に返す神を────!!


【セアンの放った弓、エーリカの放つナイフがケバルライの行動を止めた】
【彼は今、パグロームへ物理的な干渉をしようと試みた、故に、その身体を実体化する必要があった】
【故に彼らの攻撃は、効果的であった、彼の動きを止めるには、十分で】



【──コープス・リバイバーの刃がケバルライを貫いた】



────ちっ、とんだ邪魔が────っ……!! まだ来るか!!



【続く柊の攻撃を、ケバルライは回避した。実体を持つ今の状態で、受けてはいけない】
【彼女の刃はそれだけの意志を持っていた、それを重々理解していた】
【不可避の二択であった、ケバルライは、パグロームの行いを、止めることができない】
889 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage saga]:2018/06/23(土) 22:23:45.02 ID:xPZ7LQKro
>>875 >>838 >>879

/大変申し訳ございません、リオシアちゃんのこのレスを見逃しておりました…
/申し訳ございません、情報を聞いていたコトにしたいです


──ン

【ふと顔を上げる──主人が向かった行為に、さして気にするコトも無く】
【パグロームが床に向かって行ったのを見送る。──きっと人質を助けるのだろうな、と剣呑に】

──然シテ

【7本の光。ソレを探すのが先決か】
【さきほどはロボットですイエイ、とピースサインかましてから】
【──立ち上がったリオシアを抱き上げて、問いかけた】


──リオシアチャン∞光はドコニ?
──アナタニ破壊シテモラウタメ、一時的にワタシニ乗ッテモ構イマセン
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 22:26:31.51 ID:s9RVxvhA0
>>大聖堂ALL

「ここか……」

【市街中心部大聖堂、状況はかなり進展している様だ】
【此処に至るまで、あちらこちらで戦闘の跡が見て取れた】
【切迫しているのだろうか、あるいは……】

【紺の詰襟の軍服の姿、装備を複数身に着けて戦闘の体勢そのままの姿】

「リオシア!居るのか!?」

【着剣した短機関銃を構えつつ、その場所に辿り着く】
【観れば、同様に情報を得た者達だろうか、何人かの見知った顔があった】
【この場所が、儀式の中心部】

「カニバディール!ロッソ!夕月!情報を伝えてくれ!」
「何があった!?」
891 : ◆Fang.lgDvQ [sage saga]:2018/06/23(土) 22:31:00.69 ID:xPZ7LQKr0
>>888
【――突き立った。その瞬間、己がやるべき行動は決まっていた。否。これ以外にもはやできる事は残っていない】
【肺に残った僅かな空気を絞り出し。己の纏う骸の装甲に宿った4種の術の内の一つを起動した】

――"骸を燃やせ"ェ゛ェエ゛ェ゛―――ッ゛!

【瞬間。彼女の突き立てた刃から"黒い光"が漏れ出した。否、それは黒の焔が生み出した光であり唯の副産物】
【突き立った刃に焔を込めて。相手の体内で爆散させることで。相手の存在全てを灰燼に帰そうとする一手】
【全てを無にする神?――悪を無に帰す復讐者の前では、それは恐怖の対象でもなんでもない。復讐という虚無を。見つめ続けてきたのだから】

【この一撃がどういう帰結となるかはわからない。だからここに全身全霊を注ぎ込んだ】

――悪はッ。潰えろ――ッ!!

【一際強く。少女の手すら殆ど灰にしかねないほどに。黒が吹き上がって――】
892 :カニバディール ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 22:31:05.51 ID:YdnfFM3ao
>>886
【司祭にはその鎮魂歌は届いていただろうか。キノコの下の肉塊は、何も語りはしなかった】
【薄闇に映えるバンダナとタバコの火。二つの赤が、闇を溶かして】

【そう、きっとこのダルマ男にはもったいないほど、ロマンティックな最期だったに違いない】
【再び、この地下に静寂が戻る。見守る墓石たちは何も語らず、司祭を新たな葬列者として迎え入れるだろう】


【そう、結局彼らはどこまでいっても人間で。それがゆえに、彼らは前に進むしかないのだろう。その命ある限りは】


【そして、舞台は大聖堂へ。この祭りの最後の劇場へと移る】

なあに、まだまだ余裕だともロッソ。むしろ真っ最中だ
私も、全ては把握していないが。そこに立っている男が、自称・神の一柱で
上に浮かんでいる連中を生贄にして、クソッタレの儀式を完成させる間近らしい

それを今から、みんなで邪魔してやろうという話だ

【タバコを吹かす彼の懐かしい姿、あの酒場での再会以来か】
【にたりと笑いながら、異形は返す。今この時は、轡を並べる共闘者へと】


>>890
厳島か!?
そこで喚いている男が、サーペント・カルトの一味で自称・神!! 上には生贄、連中の儀式は完成間近だ!!
どうにかして止めろ!!

【叫ぶ言葉は短く。視線は前に向けたまま、聞き覚えのある声に叫び返す】


>>888
どうした、焦ってきたようじゃないか神様!!

【異形は憎たらしく呵々と笑う。その伸ばした肉のクッションから、さらに何本かの野く触手が伸びて】
>>883の柊が、見覚えのあるかつての敵が放った攻撃をかわした直後のケバルライに、触手が握った拳銃による射撃が襲う】
【見たところ、今なら物理攻撃も効く。嫌がらせ程度にはなるだろう。盗賊は、やはり姑息であった】
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 22:32:15.05 ID:l87sBOYx0
>>888

しっ!!ざまぁ見やがれ!
全員聞け!!俺は一人で突っ込む!!その内に生贄を!!《crazy birth》

【セアンは全速力で突撃し突いた】


894 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 22:32:49.98 ID:rW2LOlMS0
>>888
【男の目論見とは異なり――ケバルライはすぐにでも、男を追撃しようと、行動を開始した】
【それには少々冷や汗をかいたが――】

ヒヒヒッ!!人数が集まるまで待った甲斐が有った――!
こっちが多人数ってのも偶には役に立つじゃアないか!

【エーリカ、そして飛び込んできた新たな来訪者に、ケバルライは動きを封じられる】
【かくして、パグロームは動きを止められることなく、その一撃を放った】


ジャァァァァロ!申し訳アリマセン!!俺ァ嫌がらせをさせたら、右に出る者はいねェんです!!


【男の放った爆発物――大量の火薬を込めたそれが放物線を描いた折、男はそれを銃撃し、炸裂させた】
【連鎖的に、一段二段と広がる破壊は、床を破壊しようとする――生贄も多少の怪我人は出るかも知れないが――】


【床に落ちるならば、男の能力を知らない >>885 の異形の男が、生贄達を確保してくれるだろうか?】
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/23(土) 22:34:50.71 ID:yyycwOqh0
>>876

【けれどそれは本来彼女がずっと前に迎えるはずの姿だった、――あのファイルにはそれだけのことが書かれていたんだから】
【最初は全うな修行であったものが、能力のいっそうの開花からはどんどん実験のようになって、けれど、名称は、変わらず修行/儀式のままで】
【そうでなくとも無垢の魂を捧ぐためと言って何人もの男たちに"使われ"て、そのたびに胎を抉じ開けられる。それは彼女が子を宿さぬようになるまで、続いて】

【――ならばきっと、瞼がないという理由で永遠にシャンプーをまなこに流し込まれる兎に似ているのかもしれなかった】

【そうやって抱き上げた身体にきっともう力はないのだろう、吐き出した血で口元を、元から赤い服をよりいっとう染め上げながら、けれど、本当に、本当にかすか、吐息はある】
【それはきっといつ消えてしまってもおかしくないもので――あるいは、本来すでに消えているはずのもの。けれどまだ彼女は生きている、生きていた、アリアの腕の中で】
【であれば脈もあった。――もちろんそれが瞬き程度目を離しただけで消えてしまわないって保証は、どこにも、ないんだけれど】

――――――――、

【――――だから。アリアの処置はすべてが滞りなく行われるのだろう。それを拒むものは居ないから。居るとしたなら、それは、きっと、唯一少女自身】
【そんなふうになるなら死んでしまいたいと願ってしまいそうだった。だけど、それと同じくらい、きっと、心の中で死にたくないって叫ぶのだろう、そういう子だった】
【"だから"さっきの言葉は、ほんとうに、ほんとうに。漏れ出てしまったんだろう、死にたくない。信じて、そして、救われたい。だから、彼女は、ここまで来てしまったから】

【――――――――だからこそ、かも、かもしれなかった】

【どこか似る境遇を過ごしたアリアだからこそ、沈み込んでしまった少女を救いあげられるのかもしれなかった、その可能性が零だなんて、どこの神様も言わないはず】
【けれど今死なせてしまったら、それも、出来なくなる。だからきっとアリアはそんな風にするのだろう、――傷は、ひどかった。けれど、それよりも】
【能力によって焼き切れてしまった脳の中身の方が問題かもしれなかった。――でもそれが判明するのはきっとここではないのだろう、それまでに、阻害の力は重たくて】

【薬効と致死量のひどく近い薬みたい。――そしてそれはファイルの書類にも書いてあった。過度の能力使用は控えろと、彼女自身が何度も言われていたこと】


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――、ママ?

【――ふ、と。呆とした目が相手のことを見つめた、けれど焦点はぶれていたから、きっと、何も見えていなかったはずだ】
【それでも/だからこそ、少女は一回だけ言葉を紡ぐ、――それはほんとうにほんとうに幽かだったから、ともすれば、風の音にすら紛れてしまいそうで】
【だから意識を手放すのだろう、――それが一時の眠りであるのか、それとも永遠の眠りであるかは、分からないんだけど。それはきっと、彼女以外の誰かの頑張りだから】

【それでも――これが一時の眠りであったなら、きっと、ほかならぬアリアが隣にいてくれて。永遠の眠りであったなら。きっと、そこには、家族が居てくれるって】
【――天国になんて行けるはずないよ。脳裏に囁いた声はきっとスズランの声をしていた。――――――そのあとのことは、全部、全部、マリアに委ねられるから】

【(だから――だから、多分、生き残ってしまうのだろう。彼女がそれをどれだけ悔やんでも。泣いて喚いて死にたいと願っても。アリアがそれ以上に彼女の命を願うから)】

/おつかれさまでした!かな!
896 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 22:35:06.51 ID:rW2LOlMS0
>>888

【――――息を呑む。何かしら、状況が変化したと理解する】
【ならば、誰が、何をした――――誰かが攻撃を仕掛けている。それに焦っている?】
【……違う、と思った。なら、――――そういえばさっき、誰かがここから「いなくなった」】


…………ザミエル、――――ザミエル!!
そうだ、なんだ、いつも通りでいいんじゃん――――ははッ、


【銃を取り落とす。しかしそれは何もかも諦めたから、というわけではなく】
【「だれか」の名前を呼ぶ。すると二挺の拳銃を媒介にして――何かを、召喚し始めるのだ】
【ケバルライは知っているだろうか。レッド・ヘリングを吹き飛ばした一因の、「鉛の悪魔」の一撃――――】

【――――それを放つだろう。召喚した大砲を、空の床に向けて――邪魔されなければ。】
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [saga]:2018/06/23(土) 22:41:14.14 ID:0iDqkX17o
>>882>>888

……お、おう、とりあえず捕まえておく。ムク!

『もうやっとる。まったく物騒じゃのう』


【ムクがぶつぶつとまた何かを唱えると空中から黒い紐が現れミサの手足を縛り上げ始めるだろう】
【続いて橙の鍵を取り出し、錠前で回すと『Vehicle Mode』と音声が鳴り再び棺桶がバイクに変形する】
【隣ではコープス・リバイバーが再び姿を変え、その焔の出力で現場へと駆け込もうとしているではないか―――!

【"炎牙"たちもバイクに乗り込み彼女の後を追っていくだろう―――再びエンジン音が鳴り響く】


す、すごく速いぞアイツ!俺のバイクを使うまでもなくアイツの方が早く連中に追いつくぞ!
アクセル全開で向かわないと俺たちが置いてきぼりにされちゃうかも!

『大した出力じゃのう……それだけに痛ましい、あの力に込められた感情は『恩讐』以外の何物でもないからのう……』


【少しばかりの時間でバイクは到着、大聖堂の戦いは大詰めを迎えつつあるのがわかった】
【すでに各々の戦いを終えて駆けつけた戦士たちの姿がちらほら見かけられる―――自分と同行していたコープスに至っては】
【すでにその憎悪の一撃を持ってケバルライを貫いていた】


いいぞ"コープス"!!よし俺も続くぞ!!究極奥義だ!!!

『≪Open sesame≫!』


【ベルトの錠前を閉じ、再び赤の鍵を差してひねる。呪言音声が響き渡ると同時に彼の右足に赤色の"炎"の魔力が蓄積していく】
【使うのは先ほどミサにも放った技だ―――だが今度は威力が違う、収束された魔力は足の筋力を高め、より強力な一撃へと昇華する!】


葉隠流 奥義! 『落 花 狼 藉』 ッ!!―――せ い や ぁ っ!! 


【他の者達と共に追い打ちをかけるように放たれる右足での飛び蹴り!】
【命中すれば骨を砕き、魔力が肉を焼くだろう!―――この勝負決まったか?】
898 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 22:42:00.51 ID:B29byw680
>>888

あれ、なんかちょっと待って、なんかみんな生贄を殺そうとしてない?

【パグロームや、賛同したものの行動に違和感を覚えた】
【生贄たちを開放するのではなく、消すことで儀式を邪魔する──】
【リオシアにそんな発想はなかったのだが──どうやらそう考える人間もいるようだ】

床から伸びてる光はケバルライさんと、あとはどこか遠くに伸びてるみたい!
だからあの床を壊せば……でも私は飛べないし!
それよりロボットちゃん……え!乗せてくれるの!!

やったー!じゃなかった!飛べる!?
たぶんあのライダーの人がぶっ飛ばしそうだから
生贄が死ぬ前に助けよう!

【リオシアはワクワクを隠せないように乗ろうとするだろう】
【そして、共に台座の近くまで向かい】

>>894

【生贄が殺されるのは杞憂だったようで──爆発によって】
【飛ばされた生贄たちを助けようとするはずだ】

>>889

中尉!!無事だったんですね!
現状はえーと、交戦中であります!!

【厳島の姿を認識し、安堵する】
【状況が状況で説明できずに丸投げした】

899 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 22:42:43.07 ID:B29byw680
>>888
>>889

あれ、なんかちょっと待って、なんかみんな生贄を殺そうとしてない?

【パグロームや、賛同したものの行動に違和感を覚えた】
【生贄たちを開放するのではなく、消すことで儀式を邪魔する──】
【リオシアにそんな発想はなかったのだが──どうやらそう考える人間もいるようだ】

床から伸びてる光はケバルライさんと、あとはどこか遠くに伸びてるみたい!
だからあの床を壊せば……でも私は飛べないし!
それよりロボットちゃん……え!乗せてくれるの!!

やったー!じゃなかった!飛べる!?
たぶんあのライダーの人がぶっ飛ばしそうだから
生贄が死ぬ前に助けよう!

【リオシアはワクワクを隠せないように乗ろうとするだろう】
【そして、共に台座の近くまで向かい】

>>894

【生贄が殺されるのは杞憂だったようで──爆発によって】
【飛ばされた生贄たちを助けようとするはずだ】


>>889

中尉!!無事だったんですね!
現状はえーと、交戦中であります!!

【厳島の姿を認識し、安堵する】
【状況が状況で説明できずに丸投げした】

900 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage saga]:2018/06/23(土) 22:43:25.34 ID:xPZ7LQKro
>>879
/あああ、えと、流れに乗り遅れたためにすれ違いレスなので、リオシアちゃんの方に背後レスで
/リオシアちゃんの攻撃の補助としてバイクになるので、それに乗って攻撃するといいよ!て言ってたコトになさっても大丈夫です!
/連絡遅れてすみません、届いてくれええ
901 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/23(土) 22:44:33.95 ID:BVsbpQZQ0
>>888

【動きが止まった。攻撃が通った。――――その二つは、絶望を打ち消すには十分すぎた。】
【打開できる。ならば、自分は……その状況を、少しでも好転させる手を打たねば。】

―――カニバディール!お久しぶりです、いつ以来かしら……っ
零れ落ちる分は私がフォローします、気にせず受け止める事に集中して!

>>885で、かつて仇敵として戦ったこともある異形の男が、受け止めるためのクッションを作っているのが見える。】
【生贄は、それで受け止めてしまおうという算段だろう。―――ならば恐らく、自分が出来るのはそのフォロー。】
【もし生贄の何人かが肉で弾んで零れ落ちたとすれば、その場に駆けつけて転移魔術を掛ける。転移場所は―――遠く。自分の住む街。それだけ。】
【一人たりとも、この場には残さないという姿勢。誰一人、生贄にさせてなる物か、と】

902 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 22:45:09.48 ID:VXFCbz/50
>>888

【今なら物理的な干渉ができる。今なら、戦える。刃が届く…!ならば――
 ――エト姉ぇの様に嘲嗤え、白桜の様に泰然としろ、棕櫚の様に理屈を弄して踏みにじれ―――!】

わっかんないねッ!あん時も言ったろう、アンタの話す言葉はちっとも理解できなかったって!!
姿の見えない白痴でチキンなウヌクアルハイが偉大だなんてちゃんちゃら可笑しいさ!
そしてそんなもんを御大層にありがたがる阿呆共はもっと度し難いさ。理解不能だよ――ッ!


             【今ならば、刃が届く。ならば出し惜しみは――なしだッ!】


                  ヘルエッジ・オーバーフラッド
                ―――Hell Edge ・ Over Floodッ!!―――



【エーリカの体を巡る魔力のような何かが体中から溢れ出て――それはまさしく洪水、フラッド現象だった】
【普段の召喚上限を大きく振り切り、エーリカの周りには10、20、30…と次第にナイフを始めとしたさまざまな刃物が溢れ出し】
【それらはみな一様にケバルライへと牙をむく。その一連の流れは群体の様に。その総体は一本の巨大な刃物の様だった】


私から一つアンタに啓もうしてあげるよ――世迷言は行燈にでも説いてやがれ―――ッッッ!!
903 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 22:48:04.93 ID:ojuNPaGo0
>>888

【好機。もうじき儀式の贄たちは殺されてしまうが――――それを阻む術の可能性を、ケバルライの焦りが生み出している】

……かふ……ッ、ぁ、く……ぅッ……――――――――

【ケバルライが回避した瞬間だけの檻を。今一度捻り出す“時”の力、切断者≠スる己が一部を構成する異能を以て行使する】
【発動は遅く、単騎でならば容易く回避されただろう。けれど、今ならば共に戦う者たちの存在が彼女を守る】
【損壊した臓器から血が溢れ、咳き込みながら口角を穢したが。途絶えそうな意識を、戦意で支え、突き進んで】

……貴方は、自分自身ごと消え去りたいの?
信じる人たちを消し去ってしまえば、この世界から虚神≠スちもやがては消えるでしょうに――、

【振り抜く刃は、凍てさせんとする“かたち”を斬り裂くために鮮烈に閃いた】

(……その焦り――――致命傷にもなり得るものだと、“人”の恐ろしさを教えてあげる……‼)

【けれどそれさえもがただの前段階。本命は、接触からその身を明け渡すことによるケバルライの実体化=z

【あの工場で子供たちの残留思念を取り込んだ様に。虚神には、存在としての格差ゆえに身を明け渡すことにはなるが、巫としての資質を八攫柊は有する】
【櫻の刀との“存在としての融合”という、始原の異能はその顕れであったのかもしれない。そしてそれは、奏功したならば致命的であったか】

【何せ――――器となった者が滅び去ったならば、虚神もまた諸共に消え去るのだ。】
【工場を失ったレッド・ヘリングの様に――白神鈴音を失ったアナンタシェーシャの様に。眼前の虚神は、実体を持つ同族を下等と見下したが】
【新たな器とならんとする者がいるこの状況では、彼らの“実体”こそがその悪夢を防ぐ鎧ともなりえたのだろう。それも、今は詮無きこと】

【“停止”、斬撃、器の提供。敵手の苦境に三重の策を叩き込まんと、本来なら圧されているであろう傷だらけの少女が力を揮う。】
【そうしてあの男には遥かに重要事としてある、この儀式が阻まれることを。この虚神を打倒することで、己以外に犠牲を要さぬままに目論んだのだ】
【他の手段があるのなら、例えば断ち切れば片付く器ならばそれでいい――――けれどあんなものに。この世界の、誰一人としてもう渡さない――――‼】
【覚悟の焔は闇を喰らって。自らの死の運命さえも滅ぼさんと、虚空の月に似た不思議な穏やかさとともにあった】
904 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 22:48:05.61 ID:Xgr13xPl0
>>888 >>892

なるほどな。それだけわかれば、十分さ。
邪魔してやるのは、得意分野だ。なあ、悪党?

【ニヤリと笑うその姿。こんな状況でも、やつも俺も変わらないなと笑えてくる】
【もう、絶望は味わい尽くした。正義の味方になる気はないけど、やってみてもたまには良いだろう】

>>890

だって、さ。さあ、もっと、踊り明かそう。明日のために、もがいてやろう


【ニヤリと笑い、煙草の煙を吐いた。そして、2丁のリボルバーを構えると】


あのクソッタレは任せるぜ。野郎の相手は一日一回で十分だ。

【強盗は、探偵は、考える。人質を助けるにはどうすべきか。まあ、どうするって一つしか無い】

【階段を、ハシゴを、シャンデリアを何でも使ってあの床まで登ってって飛び移るとかすりゃ良いんだ】
【後のこととか細かいことを考えるのなんて、あの世でもできる】

【今は走り出そう。】
【あの嫌味なサングラスを彼は掛け直して人質の元へ飛び出していった】
905 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage saga]:2018/06/23(土) 22:52:39.50 ID:xPZ7LQKro
>>900 >>888

【彼女の言葉を聞き、満足げに頷く】
【──なおかつ、何だか期待されてるので嬉しく】

──了解デス、リトルガール
──フフーン。舐メ舐メオ舐メニナッテハ困リマス∞トウッ

【むん。何故か腰に手を当てて胸を張り──見る見るうちにフォームチェンジ≠する】
【──バイク型≠ナはあるのだが、全体的に小型でコンパクト。機体横に機械的な羽が生えているモード】
【ソレに乗ると──アナタの命令、そして運転通りに飛行する】

【速度も自由自在だ──】

──ウーム

【成る程、主人は生贄を殺そうとしてたのか──と、唸り。あまりよろしくないな…という感想】

──オ気ヲツケテ、フライアウェイ!

906 :カニバディール ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/06/23(土) 22:54:57.46 ID:YdnfFM3ao
>>901
マリア――――!? ……ふ、ふ、さあて何年ぶりになるか
お前とまで轡を並べることになるとは、何と因果なことだろうな……!!

いいだろう、盗賊が人助けなどというこの場限りの冗談だ!! 全身全霊でやってやる!!

【驚き、そして皮肉な笑い。この場においては、同じ敵をもつ共闘者だ】
【全てを確保するのは難しい、ならばここはお言葉に甘えよう】
【取りこぼしを追うのに意識を割く必要はなくなる。受け止めた生贄たちの安全確保に集中する】


>>904
ああもちろんだ、悪党。これこそ、悪漢の本分だよ
今回に限っては、相手がクソなおかげで大義名分のおまけつきだ

【まったく、どこまでも変わらない。どこに居ようと、相手が誰だろうと、我々はただの悪党としてここに立つのだ】
【マリアに続いてロッソもフォローに回ったのなら、複数の攻撃で粉みじんになるだろう空の床の上の、哀れな犠牲者たちの取りこぼしはなくなることだろう】
907 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 22:56:08.03 ID:RT4l8Hhv0
>>889(信生)>>890(厳島)>>891(コープス・リバイバー)>>892(カニバディール)>>893(セアン)
>>894(パグローム)>>896(夕月)>>897(剛太郎)>>898(リオシア)>>901(マリア)>>902(エーリカ)
>>903(柊)>>904(ロッソ)

【────ケバルライの絶叫が響いた、しかし、セアンの追撃とコープス・リバイバーの攻撃が彼を襲う】
【それに足を止めたなら、剛太郎の一撃が彼に刻み込まれる、苦悶の声すら漏らさず、彼は一瞥し】
【エーリカの一撃で足を止めようとも、その身に柊の一撃が叩き込まれようとも、そこに反応することも無かった】

【──柊は察するかもしれない、アナンタシェーシャ、レッド・ヘリングと、根本的に違う、と】
【彼らの攻撃は確かに彼の肉を削る、皮膚を裂く、けれども────流せども、ケバルライにダメージを与える気配はない】
【けれども足止めには十分であった、カニバディールの銃弾すらも、はっきりと】


やめろ!! それだけは、それだけは!!
分かっているのか貴様、貴様!! その行いが、どれだけの被害を生むのか!!
ウヌクアルハイ様が顕現されない事が、どれだけの、不幸を生むのか!!


【恥も外聞も無く彼は吼える、それは今まで見せた事の無い表情であった】
【止める手立てなど無かった、──響く銃声が、ダメ押しを告げた。】
【視線を向ける、そこには、──只管銃口を向け続けた、少女がいて────】


……!!!! 分かっているのか、その行いが……白神 鈴音を取り戻す手段を、永遠に失うことになる、と


【放たれるザミエル、そしてパグロームによる床の爆破────】
【落下する人質達のフォローはカニバディールとマリア、ロッソ、リオシア、厳島が担っていた】
【十重二十重に張り巡らされた権謀術数に、虚神が入り込む余地は無かった】

/↓
908 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 22:57:50.98 ID:RT4l8Hhv0





      【床が崩れ落ちる、地面が崩落し、生け贄たちが地面へと落下していく、空中から投げ出された】
    【そして落下した先には肉のクッションがあった、生け贄達は皆、一様に着地し、安全圏へと投げ出される】
     【それを貴方達は見ていた。誰も彼も、戦いの手を止めて、見ていたのだろう、その儀式の、終焉を】











            【故に貴方達は見るだろう、その儀式の、"失敗" を────。】
 






【何人かはマリアの転移魔術で避難を勧める、数人はリオシア、ロッソ、、厳島が救出するだろう】
【彼らは皆一様に、互いに目を合わせるだろう。何があったのかを確かめるが如く、自分達の命が助かった事を、実感する様に】
【歓喜の声があがった。それは果て無き喜びの聖歌であった。抱擁し、叫び、悪辣なカルト教団から助かった事実を確かめる】

【この場には最早、ケバルライの好きに使える命は存在しなかった。────】










【そして彼らは、我先にと、その場を後にしていく。──こんな地獄の釜の底に、長く居る、道理は無い、と】







【ケバルライは始終を見ていた。その双眸を見開き、戯曲の顛末を、余すことなく観察していた】
【長い月日と、無数の労力と、そして、多くの命を費やした、その儀式の結果を】









【 ────、笑った。確かに、惨めな儀式の失敗を経て、ケバルライは笑った。】

/↓
909 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 22:59:12.58 ID:RT4l8Hhv0




キミ達は『集合的無意識』という言葉を知っているかな。キミ達人間が共有する、先天的なイメージの事を指す言葉だ。
恐怖という言葉から何をイメージするだろうか、キミ達の多くは、"死" を連想するだろう、生物の持つ根源的な恐怖。
更に言えば "死" をより具体的にした "火" もまた、恐怖の具体例として表れる。

──どの文化圏の存在であったとしても、火事で燃え盛る家屋に飛び込む愚者は居まい。
いきなり何を言い出す、と思うだろう? かまわないだろう、種明かしは盛大に、行われるべきだ。

我々は苦心した。ウヌクアルハイ様は神話を持たない神であるが故に、どうにかして神話を作らなければならない、と。
更に言えば、神話を作るだけではなく、そこには確かな信仰が無ければならない。それでこそ、彼女を受肉できる。
だからこそ我々はキミ達の持つ、先天的なイメージに目をつけた。『集合的無意識』という、深いパンドラの箱へ。


【ケバルライは戦いの手を止める、それは最早、時間を稼ぐ必要が無くなった事を示す】


『蛇』は邪悪の象徴として、キミ達のイメージはあった。それは各種の神話体系からも読み取れる。
イヴを唆した蛇、仏陀を唆したマーラもまた、下半身が蛇の化け物であった。これらは氷山の一角なのだ。
古今東西、ありとあらゆる神話体系の中に蛇は出てくる。時にキミ達の敵であり、キミ達の味方である、蛇。

ならばその蛇のイメージをそっくりそのまま乗っ取ればいい。サーペント・カルトはその為の布石であった。
ありとあらゆる神話の蛇の名を借りる、"Itzamna" "Kukulcan" "Crom Cruach" "Anantashesha"
それら蛇への信仰を全て、一元化することはそう難しくない。キミ達の先天的なイメージが、既に蛇を神と看做しているから。

そして私達は蛇の名を冠し、蛇の刺青を刻む。凄惨な儀式や殺戮は、キミ達の脳内に刻み込む術なのだから
蛇=悪であると、恐怖であると、私達は最初から、キミ達の無意識を犯す為に、蛇であり続けた。
これがサーペント・カルトの種明かしさ、納得していただけただろうか。


【──、全員の瞳を見つめる。ケバルライの視線が、歪む】


結果としてキミ達のミームは私達によって汚染された。最早蛇という文字列を正しく認識はできまい。
そう、我々にかかわった時点で、キミ達にとって蛇は、忌々しきカルト教団を連想させる憎憎しき言葉であり
そしてそこから巻き起こされる、未だかつて無い恐怖の象徴となるのだ────。

──、では此処で訊ねようか。目の前でカルト教団の凄惨な儀式や殺人を目にし、命からがら逃げ出した人々。
彼らにとって蛇は、どんな存在だろうか。今までの様な、ただの動物種の一つであるだろうか。
いいや、そうではない。それは畏怖の象徴であり、恐怖の具現であるのだ。そうある様に、仕向けたのだから。

彼らは起爆剤なのだよ。彼らは親切心から、世界に蛇の恐怖を広める。蛇の名を冠する我々が、どれだけ邪悪かを伝える。
それでこそが我々の望む所であったのだ。ねずみ算式に蛇に怯える人々が増える、彼らの無意識を、どこまでも汚染していく。
恐怖とは信仰の相似形に他ならない。今までだってキミ達は死に神の名を冠し、崇めて来たのだから。

キミ達は失敗したのだ。取るべき手段は、哀れな生け贄を、遮二無二何も考えられないうちに殺戮すべきだったのに。
ありがとう、キミ達がキミ達の正義を貫いたからこそ、キミ達の偽善を果たしたからこそ、我々の成就が萌芽した。


今、此処に新たな『神話』が生まれた。その『神話』はキミ達の『心世界』から、『深世界』から来る『神話』
キミ達の世界そのものが『神話』であり、キミ達の心そのものが、無意識そのものが、ウヌクアルハイ様の『神話』なのだ。
そして『神話』の中で、彼女は千差万別の姿を取る、キミ達が蛇から連想するイメージそのものが、彼女を肉付けするのだから。

────それはきっかけに過ぎない、ウヌクアルハイ様が顕現する為の。

信仰によって存在し、信仰によって強大になっていく、故に私達と同じ "虚神" として、ウヌクアルハイ様を定義できる。
『INF-10』『Qimranut』────、最もこれらは、蛇足に過ぎないだろうけど、ね。
無いよりはマシさ、彼女を定義する全てが、彼女の存在をより確固としたものにしていく。

今彼女は、自身を信仰する者の身体を借りて顕現できる。──それこそが、受肉の真の意味なのだから

/↓
910 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 23:01:17.05 ID:RT4l8Hhv0

                       失敗した。



そう、キミ達は失敗したのだ。何度だって言おう、キミ達はとるべき手段を間違えたのだ。

                  

                       失敗した。



私はキミ達の無知に感謝しなければならない、そこの薄汚い狂人が作った好機を、別の狂人が捨て去ったのだから。


               
                       失敗した。



だからこそ私は今満ち足りた気分でキミ達に語っている、もう取り返しはつかない。ウヌクアルハイ様は直ぐにでも存在できる。



                       失敗した。



キミ達の無意識に根付いた蛇は恐れるたびに強大になる、キミ達の恐怖を糧に、成長していく。



                       失敗した。



キミ達は蛇を見て恐れるだろう、我等がカルトを想起するだろう。その瞬間にバイパスが繋がる。



                       失敗した。



その瞬間からウヌクアルハイ様は、キミ達の身体を糧に出来る。逃れる術は一つだけ。



                       失敗した。



最初から、我々を認識しなければ良かった。──今となってはそれは、最早叶わぬ泡沫であろうが。



                       失敗した。



            キミ達が蛇を知った時点で、失敗していたのだ。


/↓
911 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 23:01:57.98 ID:RT4l8Hhv0

【ケバルライの身体が闇に包まれていく、役目を終えた語り部が退場する様に】


また会おう、願わくば、より尊く恐怖を────、伝えられる様に


【そうしてケバルライは姿を消した、戦いの終幕は静かに、それでいて確かに奏でられる】
【生け贄は全て生きて帰った、そして、それこそが──より深い絶望の証とでも、伝える様に】
【時は流転する、思惑をはらんだまま、何処までも深く、早く────】



【後に残るのは深い絶望だったのであろうか、ウヌクアルハイは今、確かな実体と神話を得た】
【ウヌクアルハイを定義する虚構神話とは、この世界そのもの、そして、この世界に住む我々の無意識と言う】
【一度広がった無意識はもう戻らない、人々は無辜に、親切心で、蛇の脅威を伝えるのだろう】



【そして蛇を脅威と認識した人々は、その無意識に楔を打ち込まれる。蛇を見て、本能的に忌避する。】
【その楔を得た人間をウヌクアルハイは依り代に出来るのであった、故に彼女の拡散を、最早止める手立ては無い】
【唯一の対抗策は、知らない事であった、サーペント・カルトを、ウヌクアルハイを知らずに、死ぬ事】




【けれどもそれは、最早成し遂げられない。貴方達は認識してしまった、そしてそれは、全ての失敗を伝えた。】















/↓

912 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/06/23(土) 23:02:52.12 ID:RT4l8Hhv0













                      【  ────  ザザ____ ────】









            ケバルライは大切な事を伝えていない。私が汚染した無意識は、それだけではなかった。





                 貴方はこの一ヶ月、蛇という文字に新たな意味合いを植えつけられた。



             日常のちょっとした瞬間に、ふとした時に、蛇の事を連想したりはしなかっただろうか。



                       私が汚染したミームは、貴方の無意識に及ぶ。


        
                        貴方が蛇という文字から連想する全ては、



                           私が刻んだ楔に他ならない。







          暗闇の帰り道、後ろから視線を感じた事は? シャワーを浴びている際、誰かに見られている感覚って、ない?






                    貴方は蛇の意味を理解したから、私の事も、もう分かるはずだから。





913 : :2018/06/23(土) 23:03:29.86 ID:RT4l8Hhv0





















                         
                     モニターの後ろからずっと、見ているのに、気づかないの?


















                           【Message From the New World】
914 :カニバディール ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/06/23(土) 23:23:24.34 ID:YdnfFM3ao
>>907-913
【――――心臓を、冷たい手で鷲掴みにされたような、感覚。そうとしか形容のしようがなかった】
【ケバルライの語り口が、耳の中に飛び込んでくる。防ぎようもなく】

――――失、敗……
ふ、はは……全て、貴様ら神≠フ掌の上だと……?

そうか、そうか……どこまでも、コケにしてくれるよ貴様らは……

【あらゆる感情を、はらわたが煮えくり返るような怒りで満たして。カニバディールは低い声を絞り出した】
【つまりは、これをもって儀式は完遂してしまったのだ。これから、彼奴等が何を起こすのかは知らないが】
【神話は完成し。神は完成した。これからは、常に。この世界は、蛇に睨まれる】


【闇に溶けて消えていくケバルライを何もできずに見送って。異形の肉屋は、深く息をついた】
【燃えるような憎悪と憤怒に彩られた溜息を】


――――今夜は終わった。こちらが負けた
なら、次は殺す。必ず神を殺す……!!

【大聖堂の空中を睨んで、カニバディールは戦いが終わって元の静寂に包まれた廃墟の中心で、ただ怒りを燃やしていた】


【――――背中から見られているような、どこまでも見通されているような、心底からの恐怖をごまかすように】
【その巨躯は、ガタガタと震えていた。どうしようもなく、隠しようもなく】

/ひとまず、これを締めレスとしておきます! 主催者様、参加者の皆さま、本当にありがとうございました!!
915 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 23:25:09.49 ID:rW2LOlMS0
>>907

わかんないよ、さっぱりわかんない――――わかんないけど。
……おまえの言いなりになるのだけはヤだ、それだけ、思っただけだよ――――

【邪魔は入らなかった。ならば鉛の悪魔が咆えて、それで、壊すのだけなら大得意】
【――――だったけど。続く、ケバルライの言葉によって――――表情を失う】



【 「それじゃああたしたち、最初から、負けてたってこと?」 】



【……砲撃の終わったあと。少女は呆然として、その場に立ち尽くして――動けないままだった、しばらく】


//みなさま本当長いことおつかれさまでした! ありがとうございましたーっ
916 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/23(土) 23:29:47.46 ID:Xgr13xPl0
>>907 & >>ALL

【崩れ落ちる床より先に人質の手を引いて、彼はその古びたシャンデリヤの上で幕が下りた】
【さっさと逃げろと人質には一蹴して、タバコを吸いながら、顛末を語るケバルライと皆の元へと戻ってきた】

【皆と同じように彼の言葉を黙って聞いていただろう。マルボロの匂いを携えながら】
【だが、この愚直な悪党、チンザノ・ロッソは少し違ったかもしれない】

【ケバルライの体が闇に消えていきそうになったとき、いの一番に拳銃を抜いた。】
【指先に挟んだ火のついた煙草が宙を舞う。光が飛び散って、音が遅れて空気を震わせた】

【クイックドロウで弾け飛ぶ3発の銃弾は、瓦礫にあたってそれを砕いただけに過ぎなかった】


―――チッ、逃した。


【リボルバーの銃口から、煙が立ち上っていた。それをホルスターに収めて投げ捨てた煙草を拾い上げる】


…アイツの言葉と、今俺達がやってきたこと。どっちを信じる?
命がけでやってきたこのリアルと、今まで殺そうと思ってたクソッタレの言葉を

あのまま儀式を成功させればよかったとでも思ってるのか?ハッ、なわけないよな
俺たちは、勝った。やるべきことはやった。―――何を恐れる必要がある。

……この程度で、ビビって正義だの悪だのやってんのかよ!!


アイツが居なくたって、鈴音は居たッ!!ミームだかなんだか知らねえけどな。くだらねえよ
俺らは―――――あの優しい蛇を知っている。

何処かに連れ去ったとしても…多少迷うかもしれないが、俺達が連れて帰ればいい。
迷って、時間がかかっても。手を引いてやるんだ。何のために、ここまで来たんだよ。


【探偵は誰の顔も見なかった。ただ、言葉の合間にタバコを吸って。その吸い殻を投げ捨てた】


……見てんなら、見とけ。俺の全てを。最高のエンターテイメントにしてやるよ。


【その後は誰の言葉にも耳を貸さずに、その場を後にするだろう。】

【この男も皆と同じ思いだった。だけれど、啖呵を切った。そうしなくちゃ、俺はロッソでいられない】
【前を向いて、明日を探して。――鈴音よ。迷子にしちゃ、ずいぶん遠くまで行ったんだな。】
【家出にしたって、さ。皆で迎えに行くから、支度しといてくれ】


/ロッソ締めでございますー主催者様、皆様、お疲れ様でした!
917 : ◆chzGJBqQ0hns [saga]:2018/06/23(土) 23:32:21.03 ID:B29byw680
>>905

おお、本当に飛べるんだ!?
やばっすごい!

【空飛ぶバイクに跨り、リオシアたちは生贄たちを何人か救出し】
【地上に降り立った】

はあ、楽しかったけどすごい疲れた……やっぱ戦闘機パイロットは無理かも
あ、ありがとうねロボットちゃん!また乗せて!


>>907

【儀式の妨害は成功したようだ】
【ケバルライの言葉にはどうにも理解できず、ぽかんとしていた】

えーと、なんかよくわかんないけど
失敗って、どっちがしたの?
でもみんな生き残ったし、まあいいか

【疑問は尽きないが、とりあえず】
【生き残ることは出来た。生贄も解放された――】
【リオシアにはそれで十分だった】

>>890

中尉!
大丈夫ですか、怪我されているようでありますが
あ、わたしは大丈夫!

【人々の中から厳島の姿を見つければ、駆け寄って】
【傷の止血を手伝い、共に帰還するだろう――】




//みなさんお疲れ様でした!
918 : ◆D2zUq282Mc [sage saga]:2018/06/23(土) 23:36:52.83 ID:VXFCbz/50
>>907-913

【―――かつて、神様に対して倒すだの殺すだの言葉は不適格だと思った】
【――訂正しなければならない。サーペント・カルト。それに関わった時点でもう詰んでいるのだ】


―――……何なんだよ、アンタは、ケバルライは、ウヌクアルハイは……!!
ハハッ、今なら"理解出来てしまう"よ、ケバルライ。アンタが言ってる事を、さ。


【けれど、理解できるけれど、認めない。認めたら――正気じゃ居られない】
【勝ったはずのこの戦い。神様に対して奉るという言葉が的確ならば、この戦いは何だというのか】
【そもそも勝った負けたの次元ではなかったのだ。関わった時点ですべての事が済んでいるのだから】


……どっと疲れが出てきた。帰って、……寝たい。
エト姉ぇとシロに思う存分甘えよっと……今はそれだけが救いだよ。


//皆様お疲れさまでしたー!そして主催者様ありがとうございました!
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/06/23(土) 23:39:20.30 ID:s9RVxvhA0
>>892

「カニバディール!!」
「なん、だと……解った、アレが、あの男が」

【観ればこの中心に置いて、一人全員と対峙し】
【そして何事か喚き散らしている人物が見える】
【なるほど、この人物がこの儀式とやらの中心であり取り仕切る祭祀と言う訳なのだろうか】

「神とは、また大仰な……」

【作戦行動を取るべく、接近を開始する】

>>899

「リオシア!」
「解った、ではこれより作戦行動にかかる」
「リオシア二等水兵、生贄として捉えられた民間人の解放だ」

【短く、そして彼女らしい状況報告だ】
【カニバディールから与えられた情報により、その状況を分析し】
【短く、そう必要と思われる指示をする】

>>909-913

「待てどういう事だ!?」
「損害だと?鈴音を取り戻す手段を失うとは、どういう事だ!?」

【儀式その物は、既にその場の仲間達の攻撃により失敗したと考えられる】
【だが、気になるのはその言葉だ、白神鈴音を取り戻す手段を永遠に失う、これが何を意味するのか】
【何もかもが、不明だった】
【いや、その後のこの男の話から幾分かを察する事は出来た】

「つまり、恐怖のイメージの伝播なのか?貴様達がやって居た事は?」
「そのイメージを作り上げ、無条件に蛇=邪教の恐怖が連想されるように仕向けたと?」
「その恐怖の意識を、信仰として利用しようとしたのか?神々としてその存在を維持するために?」

【前提として、神は信仰されなければ、認識されなければ存在することが出来ない】
【ならば、この教団の、あるいは旧き異世界の神々の目的とは】
【これは、壮大な計画、壮大な謀略であったのではないか、と】
【では、白神鈴音はそこにどう関係して来るのだろうか?】
【取り戻す手段を失う、とは、どういうことなのだろうか?】

「待て!!説明しろ!!どういう事だ!?」

【消えゆく語り部としての男に、そう声をかけるも】
【これは全く、意味を成さなかった】
【後味の悪い、苦悶の顔を浮かべながら】

「っく……」
「救護者を、民間人を救助、解放する……」

【床の崩落、爆発とともに巻き込まれる生贄の人々を救助、解放するべく行動を開始した】
【状況は一歩、全く予期出ぬ方向へと動いていった】
【向かう先は、混沌か、あるいは……】
【胸に疑問と、そして、複雑な心境が渦巻いている】





//お疲れさまでした!イベントありがとうございました!
920 :The Slasher=^八攫 柊 ◆fsq5uTqB74AP :2018/06/23(土) 23:39:28.70 ID:ojuNPaGo0
>>907-913

【確かに刃をその身に叩き込んだ――――その瞬間に感覚した事実は、この手段では決してこの虚神を止め得ないということ。】
【けれど男の絶望じみた声が、それで構わないと報せ、足止めを継続させた。共に戦った者たちの尽くす手が、生贄たちをも救ってみせることを識って】
【傷の痛みさえも忘れた様に、力強く力と刃とを揮った。儀式の失敗は、いくつもの意味で心が晴れる様にも感じさせ、】

【そして、男は、虚神は――――笑った=\―――?】

……な、……に――――?

【初めは理解が追いつかなかった。気が触れて、壊れたラジオの如く情報を垂れ流すならどれだけよかっただろう。……けれど】
【朗々と謳い上げられる絶望は、自分たちが新たな怪物を生み出したという事実を与え。足元が崩れ落ちる様な感覚が、眩暈と共に、生じて――、】

【ならば叩き斬れば片付くことと、不可能の存在を認めることのできない意志力が活力を与えようとして――――直後、】

……、ぁ……――――――――。

【“理解”してしまう。夜の海の暗冥に見る氷山が、それでも絶望の報せにも等しい様に】
【この日掴みかけた真なる虚神の無形が、対抗神話≠フ不在という意味がどれだけ重大なものであるのか――――。】
【己が贄に選ばれたならば、億に一つ勝機を求めることもできるだろう。だがそれまでに選ばれたものたちには、あの工場の悪夢のよう、決して、この手は届かない】


【守るために死力を尽くし、結果として奪う断崖を増やした、と】
【自らが人々を猛獣の檻へと解き放つ、その一端を担ったことの重みに苦るのは――――】
【どうすることもできなかった後悔は、全てが片付くか、この命が潰えてからでいい】

【……けれど、いつまで?それまでの果てしない犠牲の連鎖のなかで、心に焔を灯しつづけることなど出来るの――――?】
【また守りきれず失わせることに、ひどく深い慟哭じみた痛苦を覚えながら。縋る様に“大切なもの”を思い浮かべて、四肢に少し力を取り戻す】
【敗北の痛苦は、これまで幾度となく味わってきた。けれど、まだ残る輝く灯を守れるならば――――或いは――――、】

【奥底に火を宿しながら、ひとつの兇器が重く鎚を受けて。折れまいと願う心の行く先は――きっと、“理由”が刻むのだろう】
【そこに、新たに得たものもまた。この夜の意味として、失い得ぬものではあっただろうか】

/皆様遅くまでお疲れ様でしたっ。ありがとうございましたー‼
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2018/06/23(土) 23:46:00.89 ID:0iDqkX17o
>>906

……見ろよムク!見間違いじゃないかな……!?カニバディールが人助けしてるぞ!?
あいつら機関員にも真っ当な事をしようって気持ちがあったんだな……!?


『(……あやつ、アマギの一件の時の!!……『馬鹿弟子』と組んでたと聞いたが、こんなところにまでおるとは!!)』


【剛太郎も驚いていたが――――むしろ心底目を見開き過剰に反応を示したのはムクのほうだった】
【この犬、カニバディールに対し以前から警戒を向けていたようだ―――だが、それゆえに今こうして人命救助をしていることに心底驚かされているようだ】


>>907->>913

『……なるほどのう、すでに恐怖におびえる行動をしたからこそ、恐怖によって彩られた神話は
神を確かな存在として固定する、か……前にそんな事をやらかした奴を見たことがあったのう、ずいぶん久しぶりじゃわい

これで人工の神は確かに存在できることじゃろうな……とんでもない事をしてくれおったわい……』


【全ての理屈を理解し、歯噛みするムクに対して―――知識量が多すぎて正直理解できてない剛太郎】
【こういう時脳の出来の悪さが逆に働くという物だろうか、現にこの男はまだ鈴音の存在自体よくわかってないのだ】

【だが、全てを聞いてうーんうーんと唸った末に剛太郎は言った】


……なるほど、じゃあ逆に蛇を怖がらないように―――面白くて愉快な『蛇』を作り出すことで対抗できるって事かな!?
蛇のおもしろグッズとか造ってイベントで売ったりして……正義のヒーロー『ウヌクマン』のアニメとかを放映するってのはどうだ!

『……お前この状況でよくそんな自由な事思いつくのう』

だってこのままじゃ悔しいじゃねえか!!人が蛇を恐れると現れる蛇の神様がアイツらに悪用されるくらいなら
こうなったら俺たちは俺たちのいい蛇の『みーむ』ってのを混ぜてなんかおかしな蛇にしてしまおうぜ!!

そんなことのために皆は殺されたとは思いたくねえ!諦めたくねえんだよ!!

『……まあ、確かに現れる姿がちょっと面白おかしくなりそうではあるのう……
もうええ、この場の戦いは終わった……撤収するぞ剛の字』


【必死に無い知恵出してでも対抗しようとする剛太郎―――馬鹿にも馬鹿なりの意地があり、あがき方があった故の発言だった】
【この一件を機に剛太郎はジンジャー達とよく『蛇』にまつわるいい伝承を探して話題にするようになった―――やらないよりはやってみて効果が出るのを確かめたいと】

【……この時はまだ、この話題は与太話でしかなかった】

【To Be Continued →】

/イベントお疲れ様でしたー!!なんだかお返事が遅くって本当に申し訳ありません……
922 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/23(土) 23:47:01.49 ID:rW2LOlMS0
>>907-913
【ケバルライの饒舌な弁論を聞いて、パグロームは自身の失策を悟った】
【落ちた生贄をきっちり全員殺して置くべきだった――】
【男の力はそのために有ったのだから】


【舌打ち。今はそれだけだ。上にもドヤされるだろうが――あのジャ=ロもいずれはまた姿を見せるだろう】
【その時に"間違い"を正すべく、対策を講じておくべきだ。面倒だが一度組織に顔を出すべきか】


>>905
ノブキ――だったか?
マスター登録は解除だ。

オマエだって分かってるだろう?
俺とオマエじゃ、違い過ぎるってことによォ。

そのバイクを貸したさっきの女には礼を言っておくぜ。

【にべもなく、男は答える。女の能力が不可逆の改造であったことを、男は知らない】
【知ったところで、どう思ったかは知れたことではないのだが――】

【ふと、電話が鳴ったことに気付いた】



――ヴェロニカ。オマエ今どこで何やってんだ。
オマエがいりゃア、もうちょい楽に――いや、もう良い。
一度組織に戻る。迎えに行くからそこで動かずに待ってろよ。
923 :アリア&??? ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/23(土) 23:50:26.91 ID:WB6h1eEP0
>>895

【 ── 何度目かの人工呼吸と止血のすえに、かえでは息を吹き返すのだろう。本当に、本当に、か細い糸を辿るような、然し確かに掴んだ希望。】
【はぁ、 ── と溜息をついた。安堵のものだった。これで自分が手にかけたりしていたら、笑い話にもならないから。そうして、穏やかな苦笑いが続いた。】
【さて自分は助けてしまった。殺すと決めていた相手を、いつのまにか殺せなくなっていた。感情の整理は、未だに付いているとは言い難いもので】
【けれど、だからこそ、覚悟しなければならないとも思う。これから続く自分の道のりに、 ── 自分が孤独に歌う筈だったステージに、誰かを引き入れてしまったのだから。】
【その背を負わなければならない。彼女を救わなければならない。それがアリアの咎だった。あまりにも罪を犯しすぎていた ── けれど2人なら、進める道も、あるのだろうか?】

【そうしてアリアは気づく。自分の胸元で開く瞼に。そして、 ── 茫洋とした呟きに。困ったように笑った。なんと返事をしたものか、と。だからせめて、何度も呼んだ名前で、答えて。】


              「 ────── かえで。」



【そうして程なくして救護へリが教会の前に降りるのだろう。扉が開けば、そこにあるのは、2人の人影。】



「 ──── 遅いわよ。サーペント・カルトの幹部、蜜姫かえで。」「こっちは私の腕。 場所は何時もの病院。」
「身元引受人は私名義。一般の入院患者として上手く処理しなさい。あと私も乗せなさい。」


『何だい何だい、いつになく焦ってるね。惚れてんの?』『人遣いも荒いんだから。ボクらだって暇じゃないし、ヘリの燃料代もタダじゃないんだからね』


「ふン。悪いわね」「まあ此れも、『勧誘活動』の一環としてツケておこうかしら。」
「其処の金に糸目は付けないって言ったのは貴方でしょう? 『カミソリ』」


『そう言われると立つ瀬がねえなぁ。まァ、毎度どーも』『これでカルトが壊滅してくれれば、僕らにも活動予算が降りるわけだ。』
「最悪、蜜姫かえでは『死亡』したということにすればいい。その辺の後処理も頼んだわよ」




「外務者との交渉は?」『 ──── 勿論。一から十まで、準備オーケー。』


              「 ──── では、始めましょうか。」




【そうしてヘリは飛び去っていく。どこか遠い空の彼方、恐らくはかえでの知らない場所に ──── 少なくとも其処は、天国ではあり得ないのだろう。】


/おつかれさまでした/ありがとうございました!!
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/23(土) 23:54:23.95 ID:l87sBOYx0
>>907

畜生!!アイツ美味しい所持っていきやがって、ホントにふざけやがって
落ち着けー、落ち着けー、ふぅ。マジ今度はバラバラにして研究材料にしてやる

【セアンは懐から煙草を出して火を付けて吸いながら】
【地団駄を踏み、愚痴を言う】

まぁいいこの経験を活かして神殺の武器を作ってやるからな!
覚えときやがれ!クソ野郎!!

【セアンは消えゆく男に向かって暴言を吐き宣戦布告をする】

はぁ、つっかれた。ていうか何だよあれ関わった時点で終わりだと?ふざけんな!

【何故セアンは恐怖が少ないかと言うとセアンは一度、狂っているからである】
【ココにいる大半の者は恐怖を抱いていると思うが、セアンが抱いているのは、向上心と狂気だけである】
【セアンは心の奥底に向上心と言う名の灯をともし】

【バイクを全速力で蒸かし走り去って行った】

//皆様お疲れ様でした。院長先生ありがとうございましたー!
925 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/23(土) 23:58:58.95 ID:rW2LOlMS0
>>922

【電話の向こう。女の声、……ひどく音量が低いけど、とにかく応答があって】

「……何よもう、どこにいたの。全然分からなかったわ。わたしは今――あら、ここ、どこ?
 もう、やだ。最初からちゃんと待ち合わせ場所教えてくれればこんなことにならなかったのに。
 本当、今日は最悪だったわ。 聞いて頂戴、わたし、ゴミ掃除ばかりやらされたのよ。本当に嫌だった。
 あなたがちゃんと最初から場所を教えてくれれば――ねえ聞いている?
 本当に疲れたんだから、わたし。ねえ、どう償ってくださるの?」



「――――――ねえってば、あなた。次はわたしにも、狩らせて頂戴ね」


【――――さんざ愚痴ったあとに一方的に切る。しかも今何処にいるか言わずに切りやがった】
【それでも電話口からは車の音がしていた、なら――いつものように突拍子もないところへ歩いて行って】
【大方どこかの市街地にでも着いてしまったんだろう。そんなことを思わせる、それだけだった】
926 : ◆jw.vgDRcAc [sage saga]:2018/06/24(日) 00:04:20.80 ID:4iz0t/Br0
>>907

……ああ。

【ぽつり、呟いた。今は、そうする以外の行動が思いつかない。あまりにも、事が大き過ぎて。】
【あの男の放った言葉を、今自分は半分も理解できていないだろう。だが、半分でもその重大さを味わうには十分すぎた。】


――――最初から、思い通りですか。

……鈴音。


【脱力する。一体、これからどうすればいい。―――――助けたい友は、今や手を伸ばそうとも触れられず。】
【彼は言った。蛇で恐怖を連想する限り、それが信仰となるのだ、と。既に神話は作られたのだと。】

【ふとこんな考えが頭をよぎった。それが正しいのならば――――鈴音を神とする信仰は、恐怖で形作られているのではないか。】
【恐怖を信仰とするのならば、鈴音は、皆から怖がれ、悪とされ、忌避される存在になる。神は神でも、邪神だ。】


【ああ、それは……とても、かわいそうだ。】


【其処に沸いたのは、恐怖心ではなかった。未だ鈴音を友と信じてしまっているがゆえに、抱くのは憐れみと心配で】
【どうしても恐怖心は抱けなかった。……鈴音。依り代として自分の身にも降りてくる事が出来るのなら、それでもいい。】
【貴女は、それを望んでいるのか―――ただ、それを知りたい。……帰ろう。もはや、この場で彼女の為に出来る事はないのだから。】
927 :兼愛 信生(けんあい のぶき) ◆xgsUYuhzWc [sage saga]:2018/06/24(日) 00:04:20.92 ID:sDsTygCNo
>>907-913

【その言葉は──無機物の耳に届く。否、組み上げられた人工的な仮想の知能に】
【ヒトである以上、この世界に溢れるそれは──きっと、ヒトビトの心を蝕んでいく】

(──無意識=j

【蛇。──何故、こうなったのだろうと考えた】
【──これを望んだ、彼の最初の願いは、あるいはヒトビトは】
【何をもってして、それを望んでいったのだろう】

>>899

【顔を上げる。リオシアの言葉に、ヒラヒラと片手を振って返答する】
【フランクな様子で胸を張り、実際楽しそうに運転してもらうのは悪くないなと】

──イエ、コチラモ楽シカッタデス
──今度ハ、モーットスゴイ運転をゴ期待クダサイ

>>922

【その言葉に──うむ、と頷く。それもそうだよな、と】
【ノブキ自身も、パグロームの思想よりもリオシアの思想に寄ってしまっている】
【──きっと諍いを起こしてしまうかもしれない。そうなる前に】

──了解デス∞オ疲レ様デシタ、カリスト

【ペコリ。頭を下げ】
【そこから歩き出す。ポップ君も待たせているし──さあ、帰ってアイに充電の支度もしなければ】
【日々やるコトのタスクだけは覚えていた。人間でなくなったとしても、それはやる義務がある】

──サアテ


【何かが終わって、何かが始まった。──塗り替えられたそんな、土曜日の夜の話だ】
【さあ、ヒトビトは恐怖に震える時間だ】
【病む、というコト。心意的な事象を超えられぬモノは、この世に居ないのだから】


【ていうか、ホント、この先マジでどうしよう。そんな感じの思考が──頭を貫いていた】

/〆ます!お疲れ様でした!
928 :カニバディール ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/06/24(日) 00:10:19.12 ID:kMcGI4Gvo
>>916
……ふ、ふふ……臆病さは私の武器の一つだが、こういう時は枷にしかならんな……
大した男だ、お前は。そうだ、その通りだとも。あんな自称・神の戯言などにビビっている場合じゃあない

まさか、そんなことは思っていないさ。彼奴等の儀式に付き合う必要などありはしない
我々は足掻いて、そしてこれからもだ。それだけだ、それだけだ……

【ロッソの言葉で、ようやく震えを止めた。カニバディールもまた、その場を去る。大型車両に乗り込み、その場から走り去っていく】

【赤い少女・夕月にはかける言葉もなく。厳島も、この場から去っていき】
【マリアもまた、脱力しながらもこの場を後にする。ただ一人、こちらを見て驚いた様子を見せた一人と一匹に】

>>921
……成り行きで、似合わないことをしてしまったよ
"WILD"によろしく。上手くすれば、私やお前の知己たちが今関わっている事態について、彼奴にいくつか情報が伝わっているはずだ
今回の一件についての情報は、ないがな

【彼らの無理もない驚きに、空虚な笑いを返して。その意味深な言葉を最後に、異形はこの場を後にする】
【また、この廃墟には静寂が戻るのだろう。新たに増えた墓標と共に】
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 10:08:41.80 ID:cT0FUKl60
【喫茶店――】
【わりに朝からやってる店であった、それなら、仕事前の、あるいはどこかに出かける前の、ちょっとした朝食代わりの客も多く】
【だからこそ客の出入りは激しくはないけど頻繁であるのだろう、――だから、そこの席の客は、ひどくよく目立っていた】

………………――――、

【――窓から一番遠い二人掛けの席。けれどそこに人影は一つしかいなかった、一つしかなくって、そして、誰かが来るはずもない、と、思わせるのだろうか】
【なにせ唯一の人影は机に突っ伏して、そして時々思い出したように携帯電話を眺める。そしてその席周辺に漂っている(気がする)不可視の重さ、いくらも重たくして】

【黒猫みたいな髪は肩甲骨を撫でる長さ、ひどく真っ白な肌はあるいは不健康そうに見せるほど。だから余計に目立つのが鮮やかすぎるほどに青りんご色のまなこ】
【だけれどきっとその表情はひどいものなのだろう、陰鬱なもの。あるいは追い詰められたもの。――そのせいか時々店員が様子を見に来て、声を掛けるんだけど】
【そのたんびに彼女――年若い女――は広げたままのメニューの適当なところを指差すから、店員に「そうじゃない」って顔されて、けれど、適当なものが届きつづけている】
【だから机の上は一人客とは思えないほどに大混雑しているんだろう、黒布のシンプルなワンピース、まるく豊かな胸元を引き立てて、足元は、素肌の透ける黒いストッキング】
【わずかに足を動かしたならかかとの高いハイヒールの、まさにそのかかとがころころと床を鳴らして。その傍らには黒い傘が掛けてもあった、――外は晴れている】

【――ふっと思い立ったように、あるいは覚悟が出来たように、彼女はあるタイミングで携帯電話を耳元に当てるんだろう、そうして数秒、黙りこくったなら】

……――――――――――――――――――――もしもし? ――お誕生日おめでとうございます、鈴音さん。……それだけです。

【――――おそらくは留守電のメッセージに語り掛ける、声。表情に似合わぬ暗い声であったなら、どこか楽しげな朝の店内に翳りを落として】
【――そんな客が、七時くらいからずうっと居座っているんだった。――外は梅雨の合間に似合わぬ果てない晴天で、だからこそ、だからこそ、よく目立つ】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 10:11:52.88 ID:cT0FUKl60
>>929
/【――――おそらくは留守電のメッセージに語り掛ける、声。表情に似合わぬ暗い声であったなら、どこか楽しげな朝の店内に翳りを落として】
/【――――おそらくは留守電のメッセージに語り掛ける、声。表情に見合う暗い声であったなら、どこか楽しげな朝の店内に翳りを落として】

ですねっ、それだけ修正を……あとお暇なのでしばらくぼんやりお待ちしておりますっ
931 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/24(日) 14:36:50.62 ID:w9JpMp7V0
【某国・市街地】

【男は明け方の国道沿いを歩く。時間も時間なので、車通りは多くなく、気怠そうなトラックが数分に一度通り掛るくらいだ】
【男は目立った怪我をしている訳ではないが、重たい疲労は見て取れただろう】
【コートを肩に掛けながら、幾分かくたびれたスーツを着込んで、欠伸交じり――徹夜の戦いの後だった】
【GPS――迷子が趣味のような女には必要なものだ――を辿って進めば、目当ての女はすぐに見付けることが出来た】

どこをどう歩いたら、こんなところまでたどり着くんだよ。
いい加減、地図の読み方を覚えろ、ヴェロニカ。

【渋面。最早十数年の付き合いなのだが、我が妻ながら、どうにもこうにも思い通りには動いてくれない】
【もっとも、男自身もそうであろうし、"彼ら"はそんな連中ばかりが集まっている】
【だから基本単独行動なのだが】


【それでも】
【もし、パグロームがあの場に置いて死の危機に瀕したのなれば、この女は空気を読まずに必ずやってきたであろう確信が有った】
【――どういう理屈なのかは、男にも全く分からないのだが、"そういうもの"らしい】
【そうなっていれば、彼女はまずをもって逃走を優先しただろうから、ならずにいたのは僥倖だ】
【共闘したあのバイク?ロボ?ノブキと呼ばれたアレには感謝すべきなのだろう】

ゴミ掃除ってのァ何だ?
オマエ、マルタにまでは来てたのかよ。
932 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/24(日) 14:44:38.22 ID:w9JpMp7V0
>>931

【ひどく、ひどく、ひどい不機嫌そうなツラをしていた。黒いヴェールの下】
【とはいえ無表情をちょっと歪めた程度の話ではあるのだが――「夫」であるなら】
【その些細な変化すら、滅茶苦茶に面倒なものであるとわかるのだろう】
【実際、女は男の半歩後ろを歩きながら――絶えず肩パンを入れていた。そんなに痛くない】

……地図ってあれ、上下左右がわからなくなるもの。いやよ。
あなたが適宜そこを右とか左とか教えてくれたらこんなことにはならないの、本当に、嫌――――

【いや、というのは最早口癖のようなものだった。何でもかんでも嫌という、子供みたいに】
【それで。肩パンを何度も繰り返した手がようやくしんどくなったのか――下ろして、はあと溜息を吐いた】

ついたわ。なんとか到着だけはしたんだけど――なんだかよくわからない、
大量生産の粗悪品みたいな雑兵どもがウヨウヨいたの。だから「潰した」わ、……本当に嫌だった。

…………ね、昨日のお祭り。「何の神」を祭るものだったの?
わたし、それすら知らなかったから――――本当嫌だわもう、なんにも教えてくれないんだから。

【訊ねる。サーペント・カルトの存在は知っていても、その仔細までは知らないから】
933 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/24(日) 15:03:14.33 ID:w9JpMp7V0
>>932
【いくつになっても子供みたいな女だった――拾った時はそれこそまだ子供と呼べる年齢だったのだが、今になってもそのまま大人になったみたいで】
【この破天荒な男も妻の前ではある程度常識人にならざるを得ない】
【肩にぺしぺしと当たるパンチに余計に渋面が深くなる。こうなると愚痴が長いのだ】


聖堂に来いつっただろうが。でかい目印が有っただろ?
何であれで道に迷うんだよ。

【実際のところ、女はよりにもよって区画整理の入っていない最もややこしいルートを選び、結果として入り口と出口が同じになった。そのまま真っ直ぐ進めば自明の結末である】

それじゃわかんねェよ。狂信者なんてどいつもこいつも人間の粗悪品みてェなもんだろうが。
何かよく分からん、蛇の神様?
サーペント・カルトとか言ってたが、奴ら自身は案の定、踏み台だ。
ボスの睨んだ通り、裏には例の連中が絡んでやがった。

【面倒そうに、男は答える。サーペント・カルトの祀る神の存在自体には男は然したる興味がなかった】
【それを畏怖すべきものだと認識すること自体が、彼らを相手取るには危険であるため、それは恐らく正しい判断なのだろう】
934 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/24(日) 15:14:49.21 ID:w9JpMp7V0
>>933

めじるし……? あったかしら、……十字架みたいにわかりやすいものを掲げてもらわないと。
わからなくて嫌よ、最近の「獲物」ってそういうわかりやすいマークつけてくれないもの。
嫌だわ本当に……ああでも、昨日のは蛇の刺青がいっぱいあったわ。そこだけわかりやすくて、評価したげる。

文字通りの粗悪品よ、たぶん改造人間? そういう感じで、同じ見た目のやつがうようよと。
ふうん、…………蛇は踏み台。そうなの、あんなにたくさんいたのにね、使い捨てられちゃってかわいそうに――

【かわいそう。口ではそう言ったけど、実際かけらほどもそんなこと思っちゃいないの、すぐわかる】
【むしろバカにしているような素振りですらあった。そういうところはきっと、似たもの夫婦】
【例の連中。聞いて、また「ふうん」と口にして――――また溜息。今度は大きめ、大袈裟に】

…………「グランギニョル」? あれ嫌だわ、普通に殺しても殺せないもの。
わたしあなたみたいに細かいことできないから、……そうね、これから先あんまり暴れられないかも。
嫌あね本当、……嫌になる。どいつもこいつも首を刎ねて心臓潰したら死ねるようになるべきだわ。
シンプル・イズ・ベストよ。それくらいのほうが、わたし、好き……はあ。

【すっごい脳筋だった。殺しても殺せない相手は「いや」だと言って――また肩パン。八つ当たり、らしい】
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/06/24(日) 15:18:27.35 ID:iJ1KIfyU0
【とある路地裏】
【只でさえ暗い其処を歩く一人の姿は、まるでその暗闇に溶け込むかのよう】
【所謂忍装束と呼ばれる其れだろうか。漆黒の其れを身体に纏わせ、顔には木彫りの般若の面】
【音も無く歩く様は、まるで幽鬼の様にも見て取れるだろうか。或いは、腰に提げている2つの生首がより危険な存在だと知らせるだろうか】
【どちらも綺麗な斬り口からは未だ血が滴り落ちて居る。それならばきっと、死後そう時間が経っていないと知るのも簡単で】

…………そうですか。分かりました。
別にそちらまで首を運ぶのは構いませんが、それならば報酬は上乗せさせて頂きますよ
ええ。では、また後ほど

【その者が話し掛けていたのは一羽の鷹。腕を止まり木代わりに使わせ、会話が終わると同時に飛び立ってしまって】
【バサバサ――静かなこの場所に響く、唯一大きな羽ばたきの音。それは近場に居る人物の注意を引く程度には大きく】
【また、忍の警戒心を高めるには十分】
【誰かがこの場に来るのだとしたら、様子を伺うかのように面を其方へと向けて小首を傾げるのだろう】
936 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/24(日) 15:39:22.63 ID:w9JpMp7V0
>>934
【まだ肩パンをして来る相手を止めろ、疲れてるんだから、とあしらって】
【女の能力は戦闘向き――組織に置いてはむしろ珍しいとも言える完全なる武闘派だった】
【だが、それもまた必要な要員だ。彼らの仕掛ける策に、穏便なものなど有るはずがない】
【暴力装置が不要になることなどないのだから】

文字通り、蛇神様とやらと一体化して幸せいっぱいなんじゃあねェのか?
その神様が偽物でしたってなったら……クヒヒ……まァ、知ったことじゃアないがねェ

【無論、彼らに同情など有るはずもない。これは仕事であると同時に男の趣味でもあった】
【マルタへと打ち捨てられた数多の死体の数々、生き残りもいるだろうが、幹部の大半を失った彼らにはもうかつてのような活動は出来ないだろう】
【本来ならば、それでも追い立て、完全に根絶やしするまで手を緩めないところなのだが……】


そこは適材適所に行きゃあ良いだろうが。オマエの役目は俺の護衛だろ。


【まだ機嫌が悪そうだったので、女の喜びそうな言葉を口にする】
【事実として、男の戦闘力は組織内でも高いものではないから、この二人が組む時は、大抵物質的な脅威を伴う時だ】


復活は阻止できなかった。完全にかどうかはちょいと分からんがなァ。
ボスからは説教かね。全く、面倒くせェ。
教団の首並べて土産に持ってきゃア、少しはお咎めも減るかねェ?


【何にせよ、一度戻るつもりだったのだろう。男も久々に自宅にでも帰るか、などと呟く】
【下手をすれば、年単位で空けかねない場所ではあったが】
937 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage saga]:2018/06/24(日) 15:47:50.81 ID:mOJQb/nw0



「 ──── この時間は、番組を変更して報道特別番組をお送りしております」
「今月██日に決行された、宗教法人『サーペント・カルト』に対する強行査察について、 ──── 」
「 ──── 水国公安は幹部級3名の死亡を確認したと発表、然し数名が依然として行方不明との情報も ────── 」



【水国某所の総合病院。その高層階に位置する、夕暮れの病室。一度は緊急医療室へと搬送されたような、重症度の高い患者が配される個室。】
【1人の少女が其の真白いベッドに横たわっていた。透き通るような藤色の髪を肩口ほどまでに伸ばし、触れるなら溶けてしまいそうな白磁は深い眠りを甘受して】
【傷跡すべてを隠すように胸元高くまで清潔なシーツと病衣を被せられ、今ばかりは穏やかなる休息に浸っている。】
【ベッドの淵から溢れるその手は、ひどく儚げであった。射し込む夕日に翳していたら、すぐにでも溶けてしまいそうな、切なさ】
【だから掌を握る者がいる。橙色の黄昏を背に浴びて、白銀のヴェールに疎ましい太陽を遮りながら、暗い影を端整なる顔立ちに落として。】


        「 ──── かえで。」


【薄い唇が、小さく呟く。澄んだ声。悲しげな声。ぎゅ、と片手に重ねられた両掌に、自然と力がこもって】
【殺風景な病室だった。見舞い人は、きっとこの銀髪の女しか居ないのだろう。申し分程度に飾られているスズランの花束は、誰が為のものだろうか】
【ベッドサイドには幾つかの軽食と、日用雑貨と、ブランデーが一瓶。これらはきっと、女自身の為のものだろうし】
【更に述べるなら彼女は、きっと病院の方にも無茶な話を通して、ほとんど泊まり込みで側に居続けているのだろう。 ── 水平線の向こう、沈む太陽が、最後の残光を輝かせる。】
938 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/24(日) 15:51:35.68 ID:w9JpMp7V0
>>936

ひどいこと言うのね。かわいそうだわ、あなたには人の心というものがないのかしら。
……一体化ねえ。できたのかしらね、蛇って意外と偏食なのもいると言うじゃない。

【まあどうでもいいけど。言いながら自分が叩いた肩を擦る、目を細めながら】
【――――この男が疲れてる、なんて言うのはほとんど聞いたことがなかった気がする】
【だから相当、だったんだろうなという予測はついた。……だからといって何をするわけでもないけど】

護衛ったってあなた勝手に其処彼処行くじゃない、嫌よ、ついていくのも一苦労。
きちんと今から何処へ行くってことを伝えておいて頂戴ね、これからは――

……説教? 嫌だそれ、わたしも喰らわなきゃいけなかったりする?
絶対に嫌、怒られるならあなた一人にして。わたしは誘われただけだもの、――――、



………………えっあっちょ、かえっ、……帰るの? いまから?

【ここで唐突に女が、明確に焦り始めた。男がなかなか帰らない家、番をしているのはこの女であって】
【そしてこの女は徹底的に家事をしないのである。であれば、食事は買ってきたもので済ませて】
【掃除はたぶんロクにやらないだろうし、ゴミ出しもきっと、…………そうであるなら】

【――――――今。彼らの住家である10畳アパートは――無残なまでにゴミ屋敷と化しているのである】
【そんなところに帰ると言うなら。……きっとおそらく、どころか絶対、説教が始まってしまうだろう、ボスにされるより先に】
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 16:07:32.67 ID:cT0FUKl60
>>937

【――――夢を見ていた。だけれどそれはきっと夢というにはあんまりに悲しすぎて、だから、それは、生き残ってしまったならしなければならない、禊に似ていた】
【あの日燃える家に飛び込んでいけたならみんなと一緒に死ねただろうか。それとも助けることが出来ただろうか。そもそも、自分が、蛇に、呪われていなければ――?】
【過去にうずまるどうしようもない後悔を一つ一つ読み上げられるのを聞いているような気持ちだった。それでもなおどうしようもなく死にたかった/生きたかったなら】

【どうしたいのかなんて多分とっくに分かっていなかったのだと思う。生きたくないけど死にたくないから生きていていい理由を探していたに違いないなら】
【どうしようもないほどにあの日アリアが告げた言葉は真実だった。――――だからこそ生きてしまった、生き残ってしまった、アリアは全部分かっていたから】

【だけど。だからといって。してきたことを赦してもらえる道理なんてどこにもないなら。生きていたくても、死にたくなくても、生きていてはいけない存在も、時としてありうる】

――――――――、

【であれば握られているのは左の手であるはずだった。右手は――多分まだ痛々しい。力なく垂れた手には、けれど、きっと、能力封じの腕輪が嵌められて】
【首輪を嵌められた蛇と等しかった。そして多分本当にそうだった。――今まさにその瞬間、蛇に頭垂れて全て捧げる道を選んでいた少女は、限りなく自由を許されないまま】
【――もう何度目にもなるんだろう呼ばれた声に、けれど、初めて、小さな反応を返す。小さく呻くような吐息は――けれど少しだけ失礼だった。うるさげに眉をひそめて】

【――――傷は、傷自体は、処置が早かったのもあって、きっと良かったんだろう。少なくともそうひどくはなかったはずだ、失血は、ひどかったけど】
【いつかぶち抜かれて串刺しにされた傷も一度ぐちゃぐちゃになったような右足も誰かによって治療された痕跡があった。新しい傷も――こうして病院で処置されたなら】
【けれど、なかなか、目覚めなかった。その理由もすでにはっきりしているだろう、過度の能力使用によって脳に負荷がかかりすぎていた。最悪目覚めない、一生このままだ、と】
【アリアは言われていたのだろう。もし目覚めたとしても何らかの後遺症が残る可能性の方が大きい。全くそのままで目覚めることは、きっと、ない――と】

――ッ、か、ふっ、……――ァ、っ、――つ、

【それでも容体だけは安定していた。だからこそ個室に移ることも出来たんだろう、――アリアがずうと泊まり込みで看ていたことを、まだ知る由もないけど】
【――だけど、そんなの、今はきっとどうでもいいんだろう。気になることはいくつもあるはずだった。――そうやって目覚める少女が、本当に、少女のままなのか分からないなら】
【――――――でも、きっと、やがてかすかに開けられる眼は。同じ色合いをしていた。鮮やかなマゼンタの色、――――まぶしい、と、微かに訴えて、目を細める】

【色素の薄い目は明るいのを苦手とする。アリアの影に沈められながら、けれど、ずいぶん久しぶりに目を開けたのなら、――そうやって、むずがるんだろう、わがままに】
【――まだ周りを認識していないようだった。それが"まだ"なのか"もう"なのかは分からないのだけれど。わずかに身じろぎする、――短くされた髪がこすれて、鳴いた】
940 :アリア ◆1miRGmvwjU [ saga]:2018/06/24(日) 16:31:12.70 ID:mOJQb/nw0
>>939


【半ば諦めた呼びかけだった。 ── 能力の行使による、脳の損傷。非破壊検査で分かる限りのことは調べたが、それでも異能は異能であり、判然としないことも多く】
【肉体的な損傷は相当な無理をしていたけれど、時間をかければ十分に復帰しうるものだった。けれど、こと精神的なものが受けた傷については】
【神経の活動こそ止まってはいなかったが、ケースとしては始めての患者に等しかった。 ── 全ての病状が不明。最悪の場合、一生このままかもしれない、と。】
【そう信じたくはないから、ずっと手を握っていた。けれど思い出したように動くことさえ無くて、それが無性に悲しくって、枯れたはずの涙が出てしまいそうで】
【どんな彼女に変わっていたってよかった。初めから其の覚悟はできていた。だから彼女をこうして助けた。そこには言いようのない責任が存在していた。】



【 ── けれど、何気なく零した名前に、幽かに眉根がひそめられ、喉筋が呻きを漏らすのであれば】
【物憂げなアリアの表情は、 ── 明るくなる、というほど、無邪気ではないけれど。驚いたように、もしかしたら、という期待を以って】
【そうして其の願いは叶えられる。瞼が静かに開いて、虚ろな紅色の瞳、しかし確かに見開かれ、仄かな光を宿すのなら】



「 ──── っ、」「かえで、 ……… !!」



【 ── やさしく、包むように抱き締める。慈母のように。ほとんど反射だった。そうしなければならないような気がした。好き、の言葉も出てこなかった。】
【青い瞳が潤むように思えるのは、 ── 涙のせい、だろうか。華奢な身体を片腕で抱き締めて、もう片手は手を握ったままで。絡めた指先を離したくなくて】



「私のこと、 ── 解る?」「いえ、 ── 私のこと、感じる?」
「あったかい?」「声、聞こえる?」「苦しくない?」
「私の、瞳。見えてる、かしら ── ?」



【深いマリンブルーの隻眼が、じいっとかえでを見つめるだろう。視線を絡めるみたいに。矢継ぎ早に質問する。そんな聞き方が礼を失すると知っていても】
【片時たりとも、離したくなくて。柔らかいアリアのからだは、清潔なベッドよりは上等で。鼓動が2つ重なり合って、確かにそこにあるって、感じられて】
【 ── けれど、かえでにとっては、もはや忌まわしい絶望の記憶なのかもしれない。】
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 16:44:41.70 ID:cT0FUKl60
>>940

【――――――それでも、確かにその瞬間、吐息がこぼれた。ただ安定しているだけの平坦なものじゃなくて、何かを、示したなら】
【呆とした目がどこかを見ている。けれど名前を呼ばれてもそれ以上の反応がない。抱きしめられたなら、それでやっと、目線が動いてくる】
【でも抱きしめていたらそれも見えないんだろうか。ひどく拙い感情だけを宿した眼が追いかけて、――だから、きっとそのうちに目が合う。青色と、赤色がぶつかったなら】

――――――――――――――――――――――――――――――――――なんで?

【――だけどそれはきっと絶望の声をしていた。喜んでなんていないって、一瞬で理解させて、秒速で抉り取るような、声をしていた。吐息が混ざって、不明瞭ながらも】
【それでも目はきっと相手を向いていただろう。なら声も聞こえているんだろう。感覚もあるんだろう。それらを分かりながら、それでも、彼女は、きっと相手を責めるんだろう】

【――――言うまでもないほどに、少女はアリアを責めていた。なんで助けたのか、って、一番最初の言葉は、それだった】


【――――――――テレビの音がする。かすかに聞こえて来た単語に反応したか、少女は目線を動かすんだろう、でも、もしかしたら、良くなかった】
【――話題はさっきとあんまり変わっていない。サーペント・カルトという集団がいかに非人道的で極悪でというのをありふれたコメンテーターが消費している場面】
【その中ではもちろん顛末さえも語られる。むしろ"こんなに悪いものがなくなって世界はちょっと良くなった"くらいのこと、言っている。なら――――】
942 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/24(日) 17:02:30.52 ID:mOJQb/nw0
>>941

【 ── 自分もきっと、こんな顔をしていたんだろうな、と思った。赤い瞳に宿った昏い闇色が、何故に自分は生きているのか、詰問のように訊ねていた。】
【だから続く声音には何も驚くことはなかった。昔の自分が同じことをされたら、きっと同じ問いを投げかけていただろう。なんで助けたの、って】
【生きていても仕方がないのに、自分が生きてるとも思えないのに、余計なことをしてくれるな、って。 ── 今なら、あの人の気持ちも、少しは解るかもしれない。】




        「 ──── "死んで助かろう"なんて」
        「あんまりに卑怯で、悲しいでしょう?」



【くす、と息を漏らして笑う。其れは本音だった。アリアが、かえでにかけた呪い。貴女だけ抜け駆けするのは許さない、って。けれど、其れだけが理由にはなり得なかった。】
【一先ずは五体も五感も満足であることに安堵していた。これで眼が見えなくなっていたり、耳が聞こえなくなっていたり ── 特に、あの砲音は酷いものだった ── 】
【そういうことがあったのなら、"支障をきたす"。色々、と。だから、まずは嬉しかった。かえでの心なんて知らんぷりして、けれど其の実なんだって知っている。母親みたいに。】


【部屋の片隅に据え置かれたテレビからは、淡々として/その内心、滅多にない飯の種を逃すまいと、どの局に回しても蛇教のニュースが流れていた。】
【お堅い国営放送から民放の下らないワイドショーまで、専門家を自称する偉そうな大人が訳知り顔で「狂った連中」の心理を解説して、】
【スタジオのキャスターや一席ぶった芸能人は、ああ矢張りカルトに嵌るような人間は社会悪なのだと断じて、稼いだ視聴率にヘラヘラ笑っていた。 ── 何も知らないくせに】
943 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/06/24(日) 17:04:12.67 ID:w9JpMp7V0
>>938
人の心に満ち溢れているから、人間モドキの相手は気持ち悪くて仕方ねェんです。
宗教ってなァ、マトモなのでもそうでないのも、死後の救済って奴が必須なのさ。
現実じゃアやってられねェから、死んだ後に、責任を丸投げってのが、宗教を流行らせる理由だろ。

【身も蓋もないことを口にする。死さえ恐れないなんてのはつまりそういうこと】
【その先に、神との一体化と言う目的地が待っているからこその、殉教】
【あの戦場で、彼らがそれを成し得たのかどうかは――くだらないジョークだが】

正に"神のみぞ知る"ってところじゃアないかね。


だって、オマエ連れてったら滅茶苦茶やるじゃねェか。
こっちゃ暗殺と諜報がメインなんだからよォ。

……オイ、オマエちゃんと留守番してたんだろうな?
掃除とまでは言わねェから、最低限ゴミくらいは出せって言ったはずだが


【ギョロリ、と男の小さな眼で睨んでやる。そう言えば片方目が無くなってる】
【帰った後の惨憺たる有様を考えると頭痛がして来る】
【実際、それなりの高給を取りながらも10畳1間の小さなアパートで暮らしている理由は……】

【こいつに、広い部屋なんて任せられない、と言う理由が大きいのだった】


チッ、まぁどっちにしろ挨拶しときたい奴もいる。
流石に今日はホテル泊まりだろうが。


戻るぞ――"サクリレイジ"へ。


【いずれ再び出会うであろう、虚ろな神に備えてか、男は女を伴ったまま、一度戦いの場より姿を消すのだった】
944 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/06/24(日) 17:22:51.68 ID:w9JpMp7V0
>>943

…………そうねえ。あればいいわね、「死後の世界」。

【――元シスターであったとは思えないような言葉だった】
【天国、楽園、救済を、ありとあらゆる「死んだその先」を信じてない、この女は】
【それもあって破門になった。もともと、異端狩りになったのも――暴れたいから】
【そのくらいの軽い気持ちであったのかもしれない。……わからないけど】

失礼ね、きちんと事前に言ってくれてればお上品にできるわ。
今だってそうよ、あなたの半歩後ろを歩いてあげてるじゃない――いい妻でしょう? わたし。

――――る、すばん、は、……してたわよ。してたけど、……、
……あ、その眼帯、イカしてるわ。似合ってる。とても。格好いいじゃない、それでえっと、

………………、……お、おこらないで、ぇ……。

【いろいろと誤魔化そうとしたけれど――最終的には肩を竦めて縮こまるのだ】
【直接説教をすると滅法弱いのだった。いつだって、怒られれば最終的に泣いてしまう】
【でかい幼女。そんな感じ、10年経っても変わらなくて。……すん、と啜る音すら聞こえてくる】


【戻るぞ、と言われれば――――はぁいと返事して。それで、一緒に行く、何処へだって】
【恋をしなくても愛がなくても、契りを交わした妻であるなら。この女は男について行くのだ――何処までも】
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 17:30:33.04 ID:UtpX5T63o
>>935
/まだいらっしゃいますか?
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 17:31:47.68 ID:cT0FUKl60
>>942

【――――呆とした目は、きっと、傷ついた身体のせいじゃなかった。目覚めたばかりで揺らいでいる自意識のせいじゃなかった。深い深い絶望に、浸された色】
【生きていたくなかった。もし生きているとしたなら、ここではない場所で目覚めたかった。――そう、そして、そしたら、顔の潰れた看護師が居て、居るはずで、】
【そしたら――目の前にいる相手は、居るはずがなかった。だから。だから、察してしまう。いろんなこと。察してしまうのだ、ひとまず、少なくとも、自分は、拿捕されていること】

――――――――――――、

【だから少女は絶望する。掛けられた呪いから逃げられなかったことに気づいて。死ぬことすら許されなかったんだと分かって。呼吸が続いていることを理解してしまって】
【――ならばあんまりに当たり前に死のうとした。その瞬間に少女は間違いなく死のうとした。けど、――能力が使えないのも理解した。封じられている、(あるいは?)】
【――――このまま血流も呼吸もなんでもいいから消してしまいたかった。なら――喉から漏れる吐息はきっとひどく悲痛なもの、掠れる声が、ただ、何かを願いかけ】

――――っ、っ、ひ、っ、――、ぁ。――――あ、ぁ。ああ、あ――、

【その前に、聞いてしまった。あるいは見てしまった。――そしてきっとこれも相手にはバレてしまうんだろう、"普段"の彼女なら、こんなの、気にしないんだって】
【それでもなお全く気にせず笑ってしまえるんだって。水たまりでもがく羽虫を見るみたいな目をできる子だって。――"でも"、それが、今の彼女には、出来ないことだと】
【ひどくひきつった吐息だった。過呼吸を起こしてしまいそうなくらいに乱れて、それからやがて漏れて来る声は、――ううん、ただ、音みたいな、音階が】
【――起こせないままの身体がひどく強張る。起きたばかりの頭には理解しきれなかった、なんだろう、まだ、夢だと思った、これは、夢だと、全部】

【起きたらきっと"いつも"がそこにあるって。――――――ああでも、その"いつも"が"どこ"にあるのかは、きっと、もう、分からないなら】

――ッ、うそだっ、嘘だ、うそだよっ――、うそだ……、――ウヌクアルハイ様は? ――儀式、は、?

【物分かり顔の芸人が何かを気持ちよさそうに語っている。毒舌という自称は単なる無礼の言い換えだった。だからアンチもたくさん居て、その分、信者も多い】

【――こんな気違い集団(カルト)は壊滅して正解だった。能力者も多かったと言う。やはり魔制法を水の国全土に広げた方がいい。こんな犠牲を二度と出してはいけない】
【――蛇というのもまた趣味が悪い。神話に於いて蛇は人間を苦しめる。神話の通りじゃないか。こいつらは人間を苦しめた悪魔だ。滅ぼすだけでも足りない】
【――行方不明の幹部というのも、早々に探し出して処刑するべきだ。残党を集めてまだ悪事を働くかもしれない。残党狩りも早急に行われるべき――】

――――――――――――っっ、ッ、ぁ、ああああぁあぁあぁあぁぁあぁっ!

【捕まれていた手、少女はきっとその瞬間に振り払うのだろう。そうしたなら何でもいい、本当になんでもいいんだけど、手に届く範囲のもの、ぎゅうと掴んで】
【きっとテレビに投げつけようとするはずだった。そんなもの壊れてしまえと願うように。――いや、その向こう側で、生放送で、話しているそいつを、殺そうとするように】
【喉が張り裂けてしまいそうに掠れた声は悲鳴で違いなかった。そうでもないと多分砕けてしまいそうになって、――――悲鳴に悲鳴を重ねたなら、ただ一つ分かるとすれば】

【――――目も耳も問題ない。テレビの音声を聞き取り理解して激昂することが出来て、過去と記憶の連続性もあるのなら、脳の動きもほとんど問題ない、だろう。おそらくは】
【潰れたような右手や右足はともかく、左手とそれをするために身体を動かせた。――――きっと、身体には何の問題もなかった。危惧された後遺症は、今は見えずに】

【――ただ、放っておいたなら、そのまま砕けてしまう。そういう声を出していた、壊れそうな機械が軋むみたいな、そういう、絶望的な音】
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/06/24(日) 17:47:09.18 ID:iJ1KIfyU0
>>945
/まだ居りますよっ
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 18:02:49.16 ID:UtpX5T63o
>>935

【── 踏み込む足音は静謐に似て、僅かばかりの雑音を投げ掛けることも無く、唯ひたすらに無音】
【それでも確かなのは、鼻腔を擽る花の芳香。──­­ 甘ったるい色合いは桜色の様に】
【視線が重なるその先に、一つの細い人影がゆっくりと伝っていた】


沈黙の中に一つの雑音が混じってしまえば、それは最早美しい凪ではなく、不協和の雅楽になってしまう
僕はそれを聞き、何時も心に深い哀しみを持ってしまう、──囀りなんて以ての外だから
あの鷹は君の鷹かな? 羽ばたきの勢いも良い、きっと、丁寧に育ててるんだろうね

──とは言え、そんな物騒な御守りをぶら下げていられると、僕としては静謐を無辜に賛美できなくなる
其れが正しいとも思わないけれども、僕らの飼い主達は悪辣が気に入らないらしい
鬼の面は君の趣味かい? それとも、見られたくない理由があるのかしら


【黒い襦袢の襟を覗かせ白衣を纏い、その上からローブの様に千早を羽織る】
【黒袴と白い足袋、草履を履いた出で立ちは完全に巫女装束であり】
【長い純白の髪と濡羽烏色の双眸、女性的な顔立ちであったが、何処か鋭利な印象が目立つ】

【瞑目、鷹の羽ばたきが過ぎて、静けさが再び、波のように押し寄せてきた】
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/06/24(日) 18:29:04.28 ID:iJ1KIfyU0
>>948
【鼻の香が嗅覚を刺激するのとほぼ同時、しゃらん――と袂から零れるのは細い鎖だ】
【相手の言葉は確かに耳を通っている筈。それでも、言葉が途切れて数秒以上返答は無い】
【ちゃらり、ちゃらり。鎖が揺れ、金属の擦れる音が微かに聞こえるのみ】
【くり抜かれた面の瞳の奥では、恐らくジイッと一挙一動……風に揺れる髪の一本すらも観察しているのだろう】

悪辣、とは。それは貴方達から見た一面の事でしょうか
昔から咎人は首を切り落とされ、晒し首として暫くの間人々の目に置かれますが
その首が自然に落ちて自ら晒し台の上に乗る、とでも?
もしそうであるならば、私の仕事も少なくて良いものですが――……ねぇ?

【面の向こうから聞こえる声は低く、男か女かも判別が付かない】
【腰に提げられた首。恐らくは中年期の男女。少なからず顔に切り傷があったり、なんて事は無いのだから腕も其れなりには良いのだろう】
【切断すれば激しく血が吹き出る、にも関わらず身体には一滴の染みすら残らず】

見られたくない、と言えば半分は当たりです
プライベートでも悪人だ善人だと追われていれば休む時間もありませんから
時に、巫女殿がこの様な場所に何のご用でしょうか?
悪霊らしきモノはこの場所には居らず、かといって祈祷を求める様な人物ならばもっと日の当たる場所にでも居る様なものですが
――嗚呼、それとも。“そう言った仕事”でしょうか。男性の神主ならば腐る程に居るとは言え、巫女の出で立ちをした……となれば――

【笑いを零さずに淡々と返す言葉は冗談かどうかも分からない】
【敵意が見られない内はその手から下がる得物が振るわれる事も無いのだろう】
【低い、けれどもこの場ならば良く通る声。半歩、其方へと近付いて】
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 18:31:13.51 ID:cT0FUKl60
>>942>>946
/舞台裏にも書いたのですが、一応こちらにもっ
/ご飯食べて来るので次のお返事遅れます!ごめんなさいっ
951 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage]:2018/06/24(日) 18:32:19.35 ID:mOJQb/nw0
>>946



【 ── かえでが目覚めてもなお死を選ぼうとしたのなら、アリアは其れさえ許しはしなかっただろう。奇跡的に傷一つなかった左腕を、躊躇いなく骨ごと圧し折っただろう。】
【左手に限った話ではない。逃げる為の脚も、舌を噛む為の歯も、必要とあれば全て奪う心積もりであった。そうするしかないって、アリアは知っていた。】
【そうして震える呼吸を聞いた。震える喉を聞いた。きっと"ムリフェン"は、こんなことをしないって、分かっていた。不都合な言葉は上っ面だけ聞き流して、言葉の通じない狂信の理屈で返すと】
【 ── そうして最早、今のかえでは、誰かの言葉を聞き流せないくらいに、自分の心を剥き出しているのだろう。ならば、アリアにとって。】


【液晶の語る不愉快な社会正義はアリアにとっても疎ましかった。だから、左手を振り払わせる。手近に在るのは、コップか何かだったろうか】
【まだ中身の入った其れは思い切り液晶に叩きつけられ、画面ごと粉々になった。途端、不気味な虹色の歪みが壊れた画面に浮かび上がって、びしょ濡れになったスピーカーは短絡を起こした。】


【暫しの間、病室という世界に沈黙が降り積もった。憂いを帯びた、つくりものみたいに真白い顔が、かえでの耳元に唇を寄せる。 湿った唇。】
【 ── 今度はどうにもならないよう、優しくも残酷な力で、其の左手首を押さえながら。】




「 ──── 馬鹿ね。」「自分でも分かってたんじゃない。」「ずっとずっと、昔から。」




【 ── 唇が、愛を囁くみたいに、けれど冷酷な言葉を紡いでいく。舌が跳ねる音、唾液のささめく音、喉奥の蠢く音、甘い呼吸の音、ぜんぶ、】
【ぜんぶ、かえでを責めるみたいに。壊れかけた其の心を、躊躇いなく砕いてしまうみたいに。 ── 子供じみた反論があったとして、冷厳に大人びたアリアの声は、それを上塗りするみたいに、続いていく】




「言ったでしょう? 貴女の神さまは、貴女に微笑んではくれなかった。」「サーペント・カルトは壊滅 ── 幹部も死んだわ。3人ほど。」
「受肉の儀式は失敗に終わり、解放された生贄たちは元の生活に戻っていった。」「 ── 誰も、助けてはくれなかったのよ。」
「知った風な口を利くなって?」「この期に及んで、まだ信仰が足りなかったとでも言うつもり? 愚かしいわね。」
「あっさり貴女に恐ろしい異能を授けてくれた神が、貴女の直接の窮地には何もしてくれないなんて、随分と滑稽な喜劇じゃない。」



【ひどく切れ味のいいナイフで、何度も、何度も刺して、その度に滅茶苦茶に柄をひねり、傷口をぐちゃぐちゃに抉ってしまうような、】
【そんな言葉の数々だった。耳を塞ぐことさえ許さない。腕ごと包むやさしい抱擁は、腕さえ動かせない死の抱擁でもあったから。くすくす耳元で嗤って】
【貴女の信仰は間違っていたと。貴女の言葉は届かなかったと。もしも貴女がそう思ったのならば、其れは単なる偶然の一致に過ぎなかったと。】
【事実が全て証明していると。来るはずのない救いを、いつまで待ち続けるつもりだ、と。 ──── 本当は、"待つこと"が"救われること"より、大切なのだろうけど】




        「まあ ──── そう言いたくなるのも、無理はないわ。」
           「だって、かえでは最初から」「神様なんて、見ようとしていないもの。」




【 ──── けれど、どうしてかえでが「待ち続ける」のか、アリアは良く知っていた。知っているのに問いかけていた。彼女は穢れた大人だったから。】
【ぼろぼろになったかえでの心を、アリアは容赦なく踏み躙ろうとしていた。ぜんぶ砕けてしまえと。デッサンの狂いに気付いた完成間近の絵を、そのまま破り捨ててしまうみたいに】
【けれど描き損なった絵は、必ず描き直したくなるものだから。 ── 終わり際、その声には本当に微かに、仄かに、けれど確かに、】
【どうしようもなく深い優しさが垣間見えた。縋れと命じているみたいに。其処に助けを求めたのなら、ぜんぶ救ってくれるような。いやきっと、彼女は命じていた。】
【 ──── あの死闘の終わり、意識さえ朧なかえでの唇が、譫言のように呟いた言葉。それを、アリアは深く、なによりも深く、汲んでいたから。】
952 :アリア ◆1miRGmvwjU [sage]:2018/06/24(日) 18:32:59.39 ID:mOJQb/nw0
>>950
/承知しました!なんか普通にガッツリ遅くなってしまってごめんなさい、、、。
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/24(日) 18:40:54.77 ID:YzI2IbgY0
>>929

//まだいらっしゃいますか?
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 18:49:26.08 ID:UtpX5T63o
>>949

【貴方の調べに耳を傾ける。悪くない旋律であった、中性的な響きは耳に心地よい周波数で】
【時折触れる鎖の音色だけは度し難いけれども、態々そこに青筋を立てる必要もなく】
【──、彼は悠然と前髪をかきあげ、艶やかな白鴎の隙間から双眸を溶かす】


僕の様な一般市民からすれば、断罪者も犯罪者も同じ括りになるよ、まして──、そんな恐ろしい面を携えて
その状態で悪辣と形容されるのは仕方ないでしょう? 其れが嫌ならば白日の元に晒せばいい
顔を隠すのも顔を伏せるのも、同じくふしだらであるけど──、伏せる仕草には一抹の雅があるものさ

──神様の天蚕糸に誘われてなんて言えば、少しばかり聞こえがいいかな
君が暗がりを好む様に、僕も静謐を好むから、街の喧騒から離れて、しとりと静穏に抱かれたくなって
或いはきっと、乱暴な水面を離れて、湖畔に腰掛ける様な心持ちかしら


【それは一流の賭博師同士の駆け引きに似ていた、虚実を織り交ぜながら交わす言葉の音は巧みに】
【そうして彼は目を細める。切れ長の目元は仄かなアイシャドウをまぶして、僅かな赤みを見せて】
【宛ら貴方の推察に似て花魁がする、抱かれる為の化粧の如く、白粉色の頬に感情を載せる】


それならはぐれ者同士仲良くなれるかもね、君が悪人で無いと言うのなら僕に憤る調べも無くて
──、男娼に間違われるのは心外だよ、美しく飾り立てるのは何も女性だけの特権じゃないでしょう?
まぁ、そう言われても仕方の無い状態だって言うのも、理解できるよ、口酸っぱく言われてる事だし

ついぞそこで番の小鳥に逃げられた、と言ったら分かるかな? 折角のお出かけの日に、おめかしをしたのだけれど
哀れ根無し草はお天道様の下を離れ、一人寂しく彷徨いていたなら
失くした鳥の名残を見せる、そんな羽ばたきが聞こえたものだから


【近付く貴方に僅かな視線を傾けて、彼はそう付け加えた】
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 19:06:37.19 ID:cT0FUKl60
>>953
/ごめんなさいっ、居るには居るんですが、別のロール中でして、ちょっと同時進行が難しそうですっ
/ほんとにすみませんが、またの機会にお願いします……
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/24(日) 19:18:27.56 ID:YzI2IbgY0
>>955

//ハーイ分かりました、今のロールが終わったらお願いします。
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/06/24(日) 19:19:22.25 ID:iJ1KIfyU0
>>954
【対して色気も無い。或いは人であると言った気配すらも微かなもの】
【匂いだって、精々滴る其れだけだ。鉄臭くて、生臭さも混ざった。忍からは体臭も、呼吸からも何も得られない】
【喋っては居る。それでも、あるべき気配らしき気配が無い。其れはまるで――】

誰が見ようと、事情を知らずに見れば結局は“同じ括り”になるのでは
――その度に悠長に時間を費やしてまで弁明するのもまた無駄な事。特に、理解する気の無い相手に話した所で浪費の他になりません
なら、ば。顔を隠してその場限り、刹那の出会いで終えてしまうのが何より手っ取り早く確実です
きっと貴方もそうでしょう? 明日になれば私の存在も白昼夢だったかの様になり、数日経てば最早存在が無くなる

……しかし、私が知らない内に一般市民とやらも随分変わったものですね
静けさを求めるならば森にでも相応の店にでも……家にでも。探せば何処にでもありそうなものです
其れだというのに態々こんな場所を選ぶとは――まるで“歩き慣れている”かの様ですが
それとも、その飼い主とやらは危険な場所で散歩をしてスリルを得たがる……とでも

【路地裏、とれば危険を避ける力が無ければ自ら選んで入る者も少なそうな場所】
【――何より、自ら声を掛けて来るとなれば常人と異なる事は大凡の想像が出来る】
【だからと言って訳も無く憤怒に駆られて襲いかかる様な相手でも無い、ならば。ちゃらり、鎖の音が止まって】

生憎ですが……私は他者と仲宜しくする気は無いので
それに、はぐれ者同士が仲良くなれば、それははぐれ者とは異なる存在になりそうですから

逃げられた、と言いますと。――まぁ、その方は賢明だったとも思いますが
静けさと寂しさを埋める為にふらりふらりとこの様な場所に歩みを向ける様な方と付き合っていれば命が一つでは到底足りないでしょう
……人肌の温もりをお求めならば半回転して別な方角へと足を向けてしまう方が手っ取り早いですよ?
飾り立てた貴方ならば、相応の新しい番いとやらも見つかるでしょうし――
それとも、選り好みをする様な質でしょうか。飼い主様から餌を貰うかのように待たなければいけない……なんて事は無いとは思いますが

【敵では無さそうだ。だが、味方でも無いだろう。――そも、味方なんてものは居ないのだが】
【それが忍の出した結論。言葉の所々に棘があるのも無自覚、か】
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 19:32:46.08 ID:UtpX5T63o
>>957

【薄くクリーム色の口紅を塗った唇。女性的な肉感さを排除する事が神秘的な意味合いを翳し】
【耳に流れる横髪が、技巧を凝らした額縁の如く絵画然とした横顔を讃える】
【頬に浮かぶ綻びの笑み、僅かな皺も刻まず描かれる微笑みは、神様にだって届いてみせる】


── 成程、その装束からも分かる様に、そう在りたいと言うんだね、陽炎みたいに曖昧な
君が名も無き存在である限り、僕にとっても、取り付く島もないのだけれど
ふふ、それは買い被り過ぎだよ。何処まで行っても、僕という存在は君と違って一般市民の延長線上を出ないから

それでも、敢えて言うのなら歩き慣れている事を否定はしない。僕にとって暗澹は割と側に在るのだから
でもね、君にも僕にも言える事だけど、── 往々にしてこの世界に居ながら、日陰を選ぶ事は
そう、大きな変容とも言えないんじゃないかな──


【無自覚な棘に目くじらを立てるほど矮小な人間では無いけれども、些か気にかかる相手であった】
【馴れ合うつもりは無いらしい、それはある種寂しさの遠縁にはなってしまう】
【拒絶の言葉を掲げる貴方に対して、表情を緩める。人懐っこい表情は甘い芳香を添えて】


──、手厳しい言葉だね、でも、相応のスリルを、得てして小鳥達は求めるものだから
籠の中に飼われていたら、甘い大空の誘惑には適わない、そこが危険だと分かっていても、どれだけ飛べるかなんて
太陽に灼かれて墜ちる鳥は幸運だよ。生きたまま毟られる童が、幾ら居たことか

ふふ、仲良くする気は無いなんて言いながら、案外君はいい人なんだね
話す言葉も多いし、僕の事を気に入ってくれたのかな? だったら僕はとても嬉しいよ
籠の外には誘惑と、それ相応の危険と、それ以上の出会いが待っているんだから


【それは絡まった糸を解く様に、力を抜いて微笑む様子、── 水面に映る満月の様に】
【手の届く距離で起きた奇跡、触れる事の出来る神々しさ、その体現を示して】
【親しい友にする様に、互いの距離を詰めるだろう、手を伸ばせば触れられる距離へ】
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 19:37:25.48 ID:cT0FUKl60
>>951

【――――――中身の入ったままのコップが投げつけられる。中身を撒き散らしたなら、それはきっと子供の癇癪に似ていた、感情を喚き散らすのにだけ似て】
【ひどく荒い息をしていた、多分壊れたテレビの末路を見届けても落ち着くはずなかった。だって彼女が本当に排除したいのは画面の向こう側の人間であったから】
【子供ぽくはない。けれど大人ではない。少女にのみ許されるほんの一瞬の奇跡の瞬間の顔をひどくちぐはぐな感情に満たしたなら、頽れそうになるのに】

――――――――触らないでよッ! ――っ、っ、ひ、っ――おまえ、のっ――、お前のせいだっ、おまえの――!
――違うっ! 違う、違うっ……、そんなはずないッ! そんなはず――、ないよ! そんなはずない! 嘘だっ――、違う、ちが、っ、――嘘吐き!
嘘だッ――、そんなはずっ、ない、――嘘吐き! ――信じないっ、そんなの、信じな……! ――"みんな"、生きてるっ、そんなはず……、

――――――死ぬはずないッ! ないよ! だってっ、だって……そんな――、――――――。

【それをアリアは許してくれないのだろう、であれば、彼女にへ逃げ出すすべなんてなくて。きっとそれも思い浮かべたままだろう、たとえば舌を噛み切って死ぬような】

【"そんな勇気は彼女にないから"】

【――抱きしめられて、それでも暴れるくらいの勇気はある。再び振り払おうとした腕がびくともしなくて、泣き叫ぶような声が相手に擦り付けた、何かを、何か】
【けれどそこから先は本当に子供とどこが違うのだろう。――悲鳴を上げる、あげて、ただひたすらに相手を非難する。嘘吐きだと、そんなのでたらめだと、泣いて喚くなら】
【ぐちゃぐちゃのナイフで身体の中じゅうをかき混ぜられるみたいだった。それは初体験の夜よりも痛んでしまう、ふわふわの粘膜よりやらかい心を抉り取られていく】
【であればすぐにへし折れてしまうのはきっと仕方がなかった、たっぷり水を含んだスポンジを何度も踏みつけたみたいに、感情が、ぶしゃ、ぶしゃと、あふれ出して】

【抱きしめられたままで声が小さく掠れる。信じたくないこと、信じたくない現実を直視してしまった、突き付けられて、それを認識せざるを得なくなったとき】
【縋れるものなんてもうなんにもないような子だった。――あのファイルには少女が蛇に縋ったいきさつまで書いてあった。家が火事になった。家族は全部死んでしまって――】
【――――"また"死んでしまったの?、と、言葉にはならないけど、打ちひしがれていた。居場所だと思った場所が二度も砕け散る、みんな死んでしまった、その現実に】

ちがう……、違う、そんなことない、――そんなことないっ、――――、ウヌクアルハイ様は居る、いるの、だって――――、
いるん、だよ、――、――なんで、そんなこと、いうの――? そんなはずない、そんな、はず、――、

【――そのうえで、だけど、それでも、相手の言葉を受け入れることが出来ないと言って少女は呻くのだろう、どちらも素ではあるけれど、違った口調、違った口ぶりは】
【思春期の女の子が学校の友達に話すのと家族に話すのでしゃべり方が違うみたいな温度感でしかなかった。だからもう少しのところまできっと来ていた、でも、倒れられなくて】
【信じていたからこそ信じられない。虚像だなんてありえない。みんないたんだから。――小さく小さく漏れる声は言葉の形に成らない気持ちだけを、ただ、漏らしていたなら】

【――――相手が自分を傷つけるために贋物のテレビを用意した? ――多分、ないと、おもう、わからない、多分、でも、どうしたらいいのか、分からなくって】
【抱き留められたままで小さく震えている。雨の中放置された段ボールの中の子猫みたいだった、冷え切って、冷え切って、どうしようもないのに、雨は止まないし、誰も拾わない】
【ただぎりぎり歯を噛む音だけがして――それでもまだ縋ろうとしないのは、多分。彼女自身が覚えていないんだろう、死んでしまいそうな間際、自分自身が、誰に縋りたかったのか】

/おまたせしましたっ
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 19:41:14.45 ID:cT0FUKl60
>>956
/えーと、ほんとにごめんなさい! 今しているロールがキャラにとってすごく大事なものですので、
/いつ終わるかとか分からないですし、お待たせしているからとか気になって焦ったりしたくないので、今回はほんとに、本当に、申し訳ないです
/今のロールに集中させていただけますと幸いです。申し訳ないですが投下は取り下げます、またの機会にお願いします。
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2018/06/24(日) 19:43:07.39 ID:YzI2IbgY0
>>960

//分かりましたではまたの機会に(´・ω・`)
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 19:49:55.57 ID:cT0FUKl60
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1529837308/
/次スレですっ
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/06/24(日) 20:02:22.49 ID:iJ1KIfyU0
>958
【面の奥に隠された瞳は、相手を測るかの様に細められる】
【番い無く一人で歩く。その事に対しての疑問。そも、何故態々この様な場所を歩くのか】
【先程の言葉が全て嘘、とも思えないが。……何と無く、真実であるとも思いがたい】

――飼われていた所為で飛び方すらも知らない子供の泣き言にも聞こえますね
生きたまま毟られるのも、殺される寸前まで嬲られまた治されるのも“外”では必然な事ではありませんか
そんな当たり前の事さえ、籠の中の安全な場所が通常だと認識していれば分からないでしょうが

……まるで水槽にでも飼われてる魚のように温い言葉ですね。普通は明日まで命が繋がっているかどうかも分からない事なんて、この場を歩き慣れているならば分かる事でしょう
飛べなければ地を走れば良く、それが出来ないならば残れた猶予を楽しむ程度の気概を持つ事を勧めますよ
尤も、貴方が飼われている事を良しとするならば知りませんが

【嗚呼、そうか。“笑み”とは大体が友に向けるもの……そうで無ければ、相手の警戒を解く為の事】
【それ故に、信用が出来ない。詰めた距離だけ、同じ距離が開かれる】
【音も無く距離を保つ仕草は、まるで磁石が反発するかのよう。若しくは一種の錯覚を覚えさせるだろうか?】

貴方にとっての悪い人が黙って襲いかかる様な人物ならば――そうですね。善人にあたる、かと
私が貴方についてどの様に思っているか、貴方の中で考えて答えを出すのは勝手です
……然れど、それは実際の答えとは異なりますけれど

【触れられるであった筈の距離が、変わらず】
【所々が気に掛かる。妙な違和感、と表しても差し支えは無いか】
【人懐っこく、慈愛に溢れているならば先程話していた番いとやらも一人残して逃げる事は無いだろう。……ああ、これか。ならば】

――――……そうそう。先程の貴方が言う番いの方、ですが
何故振られてしまったのでしょうか。番と表現しながら一人残して何処かに行くのも何ともまた……

【声も変わらず、肩も揺れず。それでも、隠された顔は初めて楽しそうに唇の端を歪めて】
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 20:15:45.89 ID:UtpX5T63o
>>963

【彩る純白雪、季節外れに積もる雪を、同系色の指先で梳かしたなら、そこに煌めくのは茫漠の模様】
【写し鏡の様に均等な彩りが崩れ、グラデーションの様に宵月が髪の色を染めていく】
【火点し頃に語り出す、ささやかな夜半の嘘に似た、あどけない悪戯心を隠して】


そうだね、だからこそ世間知らずな僕らは旅に出てしまう、いつまでも暖かな陽だまりには入れないから
眩しい木漏れ日を背に、暗がりへと歩みを向ける。それは何処か矛盾してるんだろうけど
でもね、でも──、空を見に行くなんて、女の子の誘い文句には十分すぎるわ

だから僕はこんな路地裏も、臆することなく進む。ありのままの世界は、煩わしいぐらいに喧しいの
その喧騒を時には心地よく感じていたいと、人間として生まれたなら思うんじゃないかな
それにこんな興味深い人にも会えた、── 出来ればその、仮面の下の素顔を拝見したいんだけど


【ダメかな? なんて首を傾げる仕草は小動物じみて、長い睫毛が栞の様に瞬きに挟み込まれる】
【詰まらない互いの距離、無理に詰めることはしないけど、少し手持ち無沙汰】
【生きている事を忘れそうな程、白い喉が、喋る度に揺れて見せた】


──、その含みは、僕が何か粗相でも仕出かした、なんて伝えるつもりかな?
だとすれば、それは違うなんて言ってみおうかしら、だって僕としては普段通り接しただけだよ
ただ、目の前にあの子より可愛い子が居たから、声を掛けただけなのに

当然の心理だと思うんだけど、そう思わない? 車だって携帯だって、皆新しい機種に変える
それなら、一番側に居る番は、より良いモノにしていきたいと思うんだけど
──、どれだけ探しても、小夜に敵う相手は、なかなか居ないんだけどね


【──、そんな事を悪びれずに言うあたり、始末が悪い】
965 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/24(日) 20:17:46.51 ID:mOJQb/nw0
>>959

【シルクを引き裂くみたいな悲鳴と罵倒と絶叫を、甘んじてアリアは受け入れた。言い返すことはしなかった。其れは無価値なことだと知っていた。】
【どんな言葉で罵られたってアリアは構わなかった。それこそ彼女にとって意味を成さなかったから。ただ、哀しげながらも慈愛に満ちた横顔に、無言のまま】
【かえでの言葉を聞き遂げて ── そうして、もう、行き場を失って渦巻く感情が、呪う言葉の形さえも掻き消してしまうのなら。】
【 ──── アリアの柔らかい掌が、そっとかえでの背中を撫でる。泣き噦るくしゃくしゃの顔を、甘い胸元に抱きとめて。吐き出す嗚咽が、皆んな無くなってしまうまで。】



【そうして、最後のかえでの言葉だけには、 ── 至極甘い、甘い、蜜のような囁きをもって答える。離さないと言わんばかりに、片の腕(かいな)に力を込めて】



「だって ─── 。」「貴女は、誰かに赦しを乞いたいだけ、でしょう?」「愚かで、無力で、そんな自分が許せなくて、誰かに罰して欲しいだけ。」
「けれど自分のことが愛しいから、自分で自分を傷つける事なんて出来なくて」「だから他人に理由を求めてきた。呪いとか、儀式とか、原罪とか、 ── そんな言葉を使って」
「そうして痛めつけられて、酷いことをされて、それが自分には相応しいし、そうでなくては生きていけないって。」
「神様がいるかどうかなんて関係なかったのよ。自分を誰かが罰してくれたのなら。それだけで貴女は、生きていて良いと、赦された気持ちになれたから。」



【自分で抉った傷口に、その最奥から引きずり出した、かえで自身もきっと目を背けていた核心に、 ── 甘い蜜を、流し込んでいく。とめどなく、溢れるくらいに。】
【其れがかえでの本心であるとアリアは信じていた。どこか似通った境遇の中にあって、きっと自分ならこう思うかもしれないって。例え、見当違いなことを言っていたとしても。】



「 ──── 貴女は、居場所が欲しかっただけ。」「それでいて、愚かな自分がのうのうと生きている事は、どうしたって許せなくって」
「自分の居場所でありながら、自分を罰してくれる世界を望んだ。それが神様への祈りだった。」「 ── 馬鹿ね。本当に、馬鹿な子よ。かえで。」




【くす、 ──── と甘く笑う。瑞々しい紅色の唇が、そっとかえでの耳朶に触れて、拒まぬのであれば、其処に口付けるだろう、か。】




「何も悪くないのよ、かえでは。縋ることに、対価なんて要らない。最初から、かえでのせいじゃないの。なにひとつ。」
「ただ、かえでは他の人より、少しだけ優しすぎただけ。背負わなくていい罪まで、感じずにはいられなかっただけ。」



        「わたしは死なないわ。かえでのためなら、永遠に。 ── だから、」
        「何もしなくたって ──── ここにいて、いいのよ。かえで。」





【 ────── 抱きしめる。腕が。肢体が。囁きが。柔らかさが。それこそ、思い切り甘ったるい蜜に、ぼろぼろの蜂を漬け込んで、永遠にそのまま沈めてしまうみたいに】
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 20:35:45.44 ID:cT0FUKl60
>>965

【――――あんまりに昂った感情は涙ですら引き攣らせた、肩をめいっぱいに震わして、背中もびくびく慄いて、それでも、止まらなくって】
【息を吸いすぎてしまったようになってわなわな強張ったなら、ひどく乱暴に息を吐く。そういう仕草を繰り返していた、何も聞きたくないと思った、ただ消えたい】
【甘さの前兆みたいなものを感じていた。そしてそれを聞いたならきっと駄目になると予感した。――それでもぐちゃぐちゃに引き攣れた一番ひどい傷は右足でも右腕でもないなら】

【もしもその傷が目に見えたなら。目に映すことが出来る傷だったなら。それはきっと誰もがそうやって言うんだろう、――これは火傷の傷だ、と、ケロイドに似てる、と】
【火が彼女の全部を奪って歪めていったなら。本当に燃やされる必要なんてどこにもなかった。絶対見ることの出来ない場所にいっとうひどい火傷の傷跡、残していったに違いなくて】
【だからアリアの持つ火傷の痕をきれいだと思ってしまったのかもしれなかった、それでもなお気高いアリアに見蕩れたのかもしれなかった、真似なんてできないから】

【だからぎゅうっと抱きしめられた時に、ちいさな吐息の音。そのしぐさで絞り出されてしまったみたいに、ひどく震えるのを、吐き出して――】

――――――――――――――――――――――――、

【――耳のところにキスされたなら。きっと相手の耳元もまた少女の口元に近いのだろう、なら、震える吐息。きっと聞こえていた、それが、ふと、止まってしまったのは】
【呼吸さえ忘れてしまいそうな言葉であったという証明に他ならないのだろう、抱きしめられた身体はさっきまでのが嘘のように脱力しきって、疲れ果ててしまったみたいに】
【だったなら、きっと彼女はすっかり全部抱きしめられている。試しに今アリアがぱっと離れたなら、少女のそのまま倒れるだろう。その時こそ、多分、本当に自分で死ぬんだろう】

【――――けれど、そうでないなら】

…………――――、ひどいよ、

【ひどく甘かった。甘すぎるくらいだった。まだ気づいてないとっておきに初期の虫歯に気づかされるみたいに心のどこかが痛んだ、ひび割れたところにしみ込むように】
【だから間違っていないんだと自分ですら他人事のように思った、――そうとしか言えなかった。彼女自身がその気持ちを言葉に出来ていたなら、今、もう少し、違ったはずだから】
【ゆえにこそ少女は自分さえ知らなかった心を暴かれて"ひどい"と生娘ぶって抗議する、――というより。きっとまったくそんな気持ちだったのだろう、あんまりに、素直なまま】
【――分からないなら、どうとも答えられなかった。でもその甘さはどうしようもなく甘美に誘って、誘われたなら、もう二度と離れられないほどに粘こい、禁忌に似ていて】

【――――――唆されて林檎を食べてしまったイヴはきっとこんな気持ちだったのかな、なんて、ふっと、思ってしまいそうなくらいに、】
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/06/24(日) 20:40:37.70 ID:iJ1KIfyU0
>>964
【懐かない、よりも。元より馴れ合う気が無い野犬の様な】
【職が職で仕事が仕事だ。基本的に仲間を作らない、と言うのは常に同じスタンスか】

空なんて家の窓からでも見れますよ。――木々のざわめきを肌で感じ、一刻一刻で変わる空気を肺に入れたいのならば別ですが
結局の所、理由を探す為に理由を作り出している様にしか聞こえません
その作り出した理由すら、自分の中では忘れていそうな程度には
……まあ、実際の所。会ったばかりの私には分からない事。推測、程度ですけれども

【面の下を見たい、との言葉。特に返答は無く。無視された、と取られても仕方ないだろう】
【左手で顔を覆うようにして、ゆっくりと面を額へと移動させたのはそれから少し時間が経った頃】
【切れ長の女の顔が露わになって。対して抑揚も無い話し方で有りながら、凛と透き通った声質】
【――顔を見せた所で問題無い相手だと取ったのだろう。元より、自分が何者であるかも分からなければ特定のしようも無いから、と】

私は一番馴染みの良いモノを常に扱いたいので貴方とは意見が合いそうにありませんね
何故一緒に居たのか。どの様に声を掛けたのかは知りませんが――当然の結果……かと
特に人をモノとして例えるような方ならば、その番の方とやらも“乗り換え”を検討したのでは?

……おや。こうして表すと、貴方とその番……双方の意見が一致して円満に別れた様にも見えますが
その小夜、とやらもまた乗り変えで?

【――聞いたのは戯れ。ただ、そんな乗り換えばかりしてそうな相手が認めているような人物】
【少しだけ、興味が惹かれて】
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 20:54:12.69 ID:UtpX5T63o
>>967

【鋭い女性だと思う、鋭い舌鋒が彼に向けられて、子気味よく切り刻んでいくのだろう】
【尤もその言葉の一つ一つに目くじらを立てる程でも無いのだが】
【白露の様に一度瞬きをして、目の前の貴方へと少しばかり悩む様な色を見せる】


さあどうだろうね、僕にとっては外に出る事、歩き回る事に大きく理由付けしなくていいって事だから
それなら僕は好きに歩む道を探す事にしようか、どんな風に生きたって良いでしょ
中々僕の審美眼も捨てたものじゃ無いらしい、今日会った中で飛び切り美しい女の子が出てきたもの

その顔を隠すのは目立つからかな? それとも僕みたいに惹かれる相手を鬱陶しがって
煩いはお肌の大敵だよ、美しいものに惹かれるのは人の運命だから、須らく僕らは美を探求する
それこそ、そこから逆算すれば真の美が見つかるから、なんて──通ぶったりもして


【くすり、と笑って言葉を重ねる】


……ふぅん、成程ね──、良くあることだし、そこまで気にしてないけど
あ、でも、お陰様で君みたいな人とも出会えたから、悪いことばっかりじゃないみたいだね
そう言えば僕ら、まだ互いの名前も知らないわけだ、それぐらいは良いんじゃないかな?

君の名前を聞いて、あれこれ詮索するわけじゃないし、いつまでも君というのも、味気ないし
──、小夜もね、そう乗り換えられちゃった。一足早くもっと自由な世界を見たいって
僕はまだ、彼女を追えるほど、この世界に満足してないから


【一音節、呼吸が混じった。辿られない程取り繕ったつもりでも】
969 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/24(日) 21:12:57.62 ID:mOJQb/nw0
>>966

【 ── 自分の言葉が、どろどろの劇毒に他ならないって、アリアは知りながら口にしていた。かえでを壊してしまいたかったから。かえでを蘇らせてしまいたかったから。】
【触れなば瞬く間に神経の一番奥深くまで蝕まれて穢されて犯されてしまう類の言葉だと、そう知りながらも触れずにはいられないと、 ── そう、アリアは仕向けていて】
【だから聖母みたいに優しい微笑みのまま、悪魔みたいな台詞を吐くのだ。さあ御舐めなさい、さすれば全て救われん。残酷なハニーフレーバーの免罪符。】




「大人は皆んな、非道い生き物よ。」「私だって非道いの。」「 ── ごめんなさい、かえで。」



【 ── もう"知っていた"から、抱きしめる両腕も指先も、決して乱暴なものでない。寧ろかえでの身体を、弄ぶように探るのだから】
【品定めでもするように病衣の上から背筋首筋をなぞり、なにかの暗喩みたいに腰骨を撫ぜて、ぐるりと柔らかなボディラインを周り、 ── そのまま、お腹の上あたり、】
【消せない消し得ない傷痕に触れて、掌で包んで、 ── どんな過ちも、醜さも、罪も、丸ごと愛してあげる、って。】
【およそ詫びるつもりなんてない囁きと共に、いっとう近くで顔を合わせて、鼻先が重なりそうな距離、藤と銀のヴェール、絡み合って。】

【しっとりと、どこまでも湿っぽく、やわらかな唇が囁くのだろう。愉しげに笑い、或いは優しく追い詰めるみたいに。】



「でも、 ── ふふ。」「ね。」「かえで。」
       「もう一度、 ── 好きって、言ってくれる?」



【慈母のように目尻まるめた青い微笑み。きっと其処は唇の重なる距離。震える呼吸さえ交わして、あと少しだけ首を傾げれば、互いのなにかを確かめられる圏域。】
【その非道な提言を、もしも受け入れる形で答えたのなら、 ── もう、どこにも戻れない。戻る必要もない。絡め取られて、刹那に溺れて、どこまでだって沈んでいく。】
【けれど非道な嘘ばかりの中、優しさだけは本物だったから。仮にかえでが躊躇うとしても、ほんの少しだけ寂しそうな顔をするのみなのだろう。】
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/06/24(日) 21:19:56.31 ID:iJ1KIfyU0
>>968
追っ手に顔が割れれば面倒毎が増えるから。それ以上の理由は特にはありませんよ
……惹かれて、と言うのは強ち外れても居ない気はしますが
貴方が美を追究するのは勝手ですが、歳を重ねた時の事もしっかりと考えた上でしっかりとどうぞ
誰でも化粧直しが必要なように、何時までもそのままで時間が止まっている人――なんて方は稀でしょうから

【皮肉か。其れとも真面目な言葉か。――ただ何も考えずに放つ言葉か】
【お世辞も無い上に合わせる事も無い。元の性格のせい、と言えばそれまでではあるが】

出会えて嫌がるような顔をする方は多くとも、笑う様な方は余り居ませんでしたが……貴方もやはり変わり者ですね
名、ですか。……夜鷹。――取り敢えずは、この名で
私の名だけを教える、と言うのも癪です。貴方の名は何でしょう?

――追うならば、早めにしなければもう残り香すら掴めなくなりますよ
世界は一生を掛けて歩いたところで全てを巡る事は出来ないのですから。探し人、となれば尚の事
砂場で無くしたガラス玉でも探すかのようなものですが……手が触れる場所に居るならば、まだ良いですか

【相手のそれは嘘か真実か。そんな事は分からない】
【ただ生きているか死んでいるか……良く喋る相手の唇が僅かに止まる。その一瞬ばかりの間ばかりが耳に残って】
971 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/24(日) 21:24:34.11 ID:hV2IGyv20
【路地裏】

【蒸し暑い空気が、曇天を連れてきて、ゲリラ豪雨が降りしきった】
【傘を差すのも諦めるぐらいにざんざと降り、諦めたように濡れる人々】
【だけど、何処か楽しそうなのは日曜の夕暮れだったからだろうか】

【男は濡れていた。全身ずぶ濡れで、右手に握ったワインボトルにも入り込む】
【真っ黒なスーツもシャツも濡れて、黒の髪の毛から水が滴り落ちる】
【うつむきながら、足を引きずるように歩いていた】

………煙草、濡れちまったな

【そんな事を気にするのはもっと大きなことから、逃げるためだ。実際そんなものはどうでもいい】

【あれから、ずっと歩いて。何処かの飲み屋で飲んで。いつまでたっても酔えない。いや、酔っているかどうかも】
【わからなくなっているのかもしれない。それぐらい、酔っ払った】

【ちょうど、雨の当たらない、元はなにかの店だったシャッターの降りた場所に、男は体を滑り込ませた】
【其処に背中をもたれさせながら座り込む。店先についた安っぽいテントに雨があたって大きな音をたてていた】
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 21:32:42.91 ID:UtpX5T63o
>>970

【手痛い言葉を気にする風でもなく、悠然と微笑む──、柔らかそうな髪がふわりと靡いて】
【或いは言葉を精査して、優しい音色だけを選り好みしている様にも見えた】
【形作る彩りは豊かに、それでいて見せる感情も芳醇に、詩人の風情は何処までも軽く】


願わくばその稀に入れてもらえる事を、願う事なら誰だって出来るから
僕は案外ロマンチストだから、幸せに思う日々が永遠に続く事だって信じてしまう
祈りをバカにするのは簡単だけども、願わなければ叶う夢も生まれないでしょう?

変わり者だなんて人聞きの悪い、僕は何処までも気ままな詩人で居たいから
榧──、そうだね、僕の名前も覚えていてくれると嬉しいな、
夜鷹であっても、誰も休みなく飛び続ける事なんて出来なくて、やがて、その羽を休める止まり木が必要でしょう?


【──、僕はそんな止まり木でありたいから、なんて重ねて見せて】
【添え木の様に差し出す笑み、小首を傾げて、彩った姿はとびきりの寄木細工の様に】
【重ねる言葉の風情と合わせて、魅力的を演出して見せた】


何れ会える相手だから、あんまり慌てて羽ばたく姿を見せたくないとしておこうかな
時に格好を付けるのも僕みたいな人種の特権だよ、少し擽ったく映ったとしても
それは僕の気ままに任せたらいいから、呆れた様に笑って欲しいな

──、たとえ嘲笑であっても、夜鷹の笑顔が見れたなら、僕の冥利に尽きることは無いよ
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 21:33:45.74 ID:cT0FUKl60
>>969

【――――――分からなかった。何にも。何にも。自分の居場所だと思っていた場所が、さっきまであったはずのものが、なくなってしまったのだと聞いて】
【ほんの数日前に話したはずの人が、――死んでしまったかもしれないと聞いて。ひどくざわざわした、おなかの真ん中のあたりが、空っぽのはずなのに何か吐き出そうとして】
【その悲しさはどうしようもない。蛇が居ないなんて信じられない。信じてない。今すぐに祈りたかった、救われたかった、――せめてこの気持ちを落ちつけたくて】
【だけどそれはきっと許されないのだろう。――何より目の前に居るアリアが許さないと思った。自分をさておいて神に祈ること、許してくれないと、思ってしまったのは】

【なんでだったのだろう、きっと、もう、それも、分からないんだけれど――】

【――ひどい。ひどい。ひどい、ひどい、――ひどい。いろんな言葉の温度感を脳内で確かめるように繰り返す、怒られながら、心中では反発するのにきっと似たなら】
【誰が死んでしまったの。聞きたいのに聞きたくなかった。みんな死んでしまったはずなかった、残ったみんなはどうしているの。――戻らないと、いけないのでは、ないか】
【"行方不明"が自分だとして。三人も減ってしまったなら困っているはず。"誰"にも因るんだけど、業務に差し支える。自分の仕事でなくとも、多少であれば遂行できる】
【帰らないといけない――こんな場所に居てはいけない。こんな場所でこんな人に抱きしめられてその温かさと甘さに埋もれていてはいけない、と、思えば思うほど】
【それはきっと罠に似ていた。蜜壺に堕ちこんでしまったミツバチの末路、もがけばもがくほど羽根に足に甘い蜜が絡みついて、そのうち、蜜漬けにされてしまう】

【――――――それなら多分とっくに足先は浸してしまっていたんだろう。あるいはもっと深くまで。出会ったことから、あるいは、失敗だったかもしれない】

――――――――――そんなのいつ言いましたっけ。

【うんと近くまで顔を寄せられて、少女はきっと逃げるように目を逸らすんだろう。マリンブルーは近くで見たならいろんなものが凍ってしまいそうだった】
【それは時として凍ってほしいモノかもしれないし凍ったら困るモノかもしれないし、それとも凍ることで別の物に変質してしまうモノかもしれなくて、それを判別できないなら】
【一生懸命に目を逸らして、ねだらないし奪いにも行かない。ただ呟く声は――多分覚えていてはぐらかしていた。ていうかちょっと黒歴史、みたいな、顔して】
【それもまた"ひどい"って言いたげな態度をしていることだろう、なら――好きって言ってはくれない、むしろ唇を頑なに結ぶ、反抗期のふりをするから】

【――それに、今、それを振り切って"帰る"勇気、やっぱり少女には、きっとない。ひどく柔らかくって暖かかった、小さいころに抱きしめてくれた、母親みたいに】
【だからわざと少女は反発するみたいにいつもの口調に戻す。――さっきまでみたいな狂乱はなかった。だからって傷が消えてしまったんじゃなくて、ならそれは】
【蜜の中に閉じ込められてしまっただけ――なんだろうけど。透明なアクリルの板が、水の中に沈めたなら見えなくなってしまうみたいに。ほんの一時、隠れただけ、なんだけど】

【――――――それでも少し待ってみたなら、少女は、"好き"でも"口付け"でもないけれど、こつん、と。互いの額、絶対に痛くない力で、合わせようとするはずで――】
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/06/24(日) 22:01:56.16 ID:iJ1KIfyU0
>>972
願うことは誰でも出来るけど、願うだけじゃ叶わない。祈っていた事が偶然叶えば、それを祈りが通じた何て言うのだから面白いとは思いますが
……貴方は本当にただ願うだけの人間でしょうか?腹が減れば誰かが餌を置いてくれるのを待つような、自ら飢えを満たす事が無い様な
確かに祈れば叶う事はあります。でも、それは“叶えた”訳では無いのですから

――飛び方を覚えれば、存外休む事も無く飛び続けられるものですよ
それに、私が羽休めに止まる木は悉くかぎ爪で折れてしまうでしょうし。こう見えても中々鋭いもので――……困り物です

【孤独を演じているのか、それとも孤独でありたいのか。この忍にとっての羽休めの木は、きっと、まだ】
【気付けば頭上に先程の鷹。口笛を吹いてやれば空から忍目掛け滑空し、やがては頭上へと上げた腕に止まるのだろう】
【女の細腕に掴まるには余りにも強靱で、力強くて。それでも、皮膚所か衣類を傷付けない程度に優しくて】

何であれ、確かに私には榧の生き方に口出しをしたり否定する権利はありません
そして……笑って欲しい、と言われて笑えるほどに私も感情を面には出せません
中々に笑ったり泣いたりと言うのは難しいものですね?感情が無い、と言う訳では無いのですが――

【まるで耳打ちするかの如く大鷹が鋭い嘴を耳元に近寄らせ、カチカチと打ち鳴らす】
【――何かの言伝なのだろう。それを聞き終えれば、再度面を被り直し】

……そういう訳です、榧
すみませんが、貴方が無事に表通りに出られるまでの見送りをする時間もありません
また会う事があれば……その時に

【トン、と一度の跳躍。たった其れだけで、路地裏の更に奥へと消えていくのだろう】
【追えない者が見れば、所謂瞬間移動の様。最後まで足音まで聞こえないとなれば、やはりまるで幽鬼……か】

/すみません、お風呂だご飯だでそろそろ落ちなければならず……!
/お相手頂き有り難う御座いましたっ
975 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/24(日) 22:04:51.61 ID:mOJQb/nw0
>>973




「 ──── それも、そうね。」



【其の答えを聞いたのならアリアは至極優しく笑った。少しだけ困ったように、あるいはわがままを言う我が子を、宥めあぐねる母親のように。】
【逃げる視線を追ったりはしない。真っ直ぐに見つめ合うには、青い瞳の鏡写しになった自分の瞳と向き合うには、まだまだ時間が必要だと、伝えてくれたから】
【ただ、言葉少なに恥じらう貴女が、どうしようもなく愛しくって。「好き」って自分から伝えたくなるのを、アリアは必死にこらえていた。】
【 ─── 非道の信徒として行ってきた、あるいは行われる彼女の罪行は、然るべき手法にて裁かれるべきでもある。だが其れについたって、彼女の能力は「我が部隊」の求めるところだったし】
【また其の罪は単純な報復によって償われるべきではないとも考えていた。それと引き換えに、己れが配下にて振るうべき力があると。】



【だから、額と額を重ね合わせる。すこしだけ冷たくて、けれど温かくて、2人の体温が混ざり合うからで、目を瞑るのなら、境目なんて何処かに溶けて消えてしまいそうで。】
【ひしり、 ── 離れたくないと言うように、両腕にて深く深く、アリアはかえでを抱きしめるのだろう。ふたりの鼓動の温度まで混ぜ合わせてしまうみたいに】



【 ── やがて夕陽が、すっかり地平線の彼方に沈むなら。月魄を纏う銀のヴェールの奥で、こんな言葉だって、ささめくのだろう。】


「いつだって待っているわ。」「 ── 変わると言って変われないのも、また、人間だから」「貴女に、寄り添います。」「私のために。貴女のために。」
「けれど、もう許さないから。」「負わなくてもいい罪を背負って、苦しんで、死んでしまいたいって思ったりしたら。」「 ── 約束、よ。」


【其れは新しく、アリアがかけた呪いだった。誓った言葉を守ってほしいと、 ── 守りなさい、と。母親からの約束みたいに。だから、指切りだってするのだろう。】
【そうして或いは、こんな問いかけも投げかける。もう一つ、其れも呪いと呼べるかも知れぬけれど、きっとかかるかどうかは、かえでに委ねられていて。】



「"行く宛"は、ある?」「もしも、ないのなら ──── 独り身も、寂しくなってきた頃なの。」




【迂遠な言葉。最後に、不思議なところで恥ずかしがるみたいに。けれどそれは恥じらいなんかじゃなくて、敬意と礼節だったのだろう。】
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 22:08:52.40 ID:UtpX5T63o
>>974

【──、鷹を纏い去っていく姿を見送れば、そこに残るのは確かな慕情】
【冷たい言葉の裏にひた隠しにされた感情が見えた気がした、次会う時にはまた違うのだろうか】
【探す感情の行方は知れずとも、そんな風に感じて見せた】


大丈夫、僕ならきっと受け止めてみせるよ、多分きっと、絶対恐らく──
さて、僕は帰ろうか──、また次の小鳥を見つけないと


【さりゆく背中に掛ける声は静かに、何処へ向かうのだろうか】


/了解です! お疲れ様でした!
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 22:20:15.72 ID:UtpX5T63o
>>971

【── 夜風が鼻先を吹き抜けるみたいに、冷たい心が目の前を横切ったなら】
【彼女はいた、貴方の傍に。まるで、寄り添う子猫の様な恋慕を見せながら】
【此処に居ない誰かを思わせる、そこに居たい、誰かを思わせる、そんな所作で】


濡れるのは女の定め、濡らすのは男の嗜み──、それならば雨に濡れるのは二心を抱いた戒めなのかしら
滴る蜜が月夜みたいに、とろりと蕩ける瞬間はもう、忘れてしまって
御機嫌よう、こんな篠突く雨に、素敵な殿方は店仕舞いなの?

──、まさか、こんな濡れた背筋を見せるのなら、貴方はきっとそのまま果ててしまう
温もりが必要なの、殿方だって、いついかなる時も強くなんて、いられないから
重ねた肌の温もりに勝る、温かな瞬間なんてきっと、存在しないの


【プラチナブロンドの長い髪、朱が差したマリンブルーの瞳、白銀のロザリオを首筋に垂らして】
【零れ落ちそうな豊満な胸を、大きくはだけさせた黒いスーツと短いタイトスカート】
【スラリと伸びた両脚をストッキングで包む】
【白いコートを袖を通さず羽織り、高いピンヒールを履いた、どこか儚げな横顔が印象的な少女が、肩口から貴方を見上げる】

【細長い貴方の体躯には適わない、肩に寄せた頭のてっぺん、見下ろす姿は何処までも華奢で】
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 22:20:51.94 ID:cT0FUKl60
>>975

………………――――そうです。

【――こつんと額同士を合わせたなら、目を閉じて。吐息も、睫毛も、絡んでしまいそうな距離。だけどそれ以外のどこもきっと触れなくて、触れないからこその優しさも、多分ある】
【通常であれば母親と口付けしないように、この日の少女はそれを拒んだ。どこか母みたいな暖かさをする相手に、今日は、ただ、ただ、どこまでも甘えていたくなって】
【であれば本来裁かれるべき人間でありながら――まだ信仰を捨てきれないなら、それを償うという意識にもなれるはずもない、ただただ、狡いことをしてしまう】
【抱きしめたなら、余計に、その狡さに浸りたくなる。何にも考えたくなかった。ひとまず今日は。今日くらいは。このままでいいかな、と、思ってしまったなら】

【――――――だけどそれはきっと初めて彼女が死んでしまった人たちから逃れられた瞬間なのかもしれなかった、それが、赦されないことだとしても】
【いつか死んでしまった人も。自分が殺してきた人も。自分の知らぬうちに死んでしまった同胞たちからさえも。――その腕の中で、ようやく、少しだけ、楽になれた気がして】
【そんなの気のせいだと。赦されないことだと。――きっと世界中が言うのだろう、でも、多分、――アリアだけは言わないでいてくれるから】

…………分かんないです、……分かんないよ、

【(それでも――"負わなくていい罪"とは何であるのか、聞くことは、出来なくて)】
【であれば。それを教えてくれるべきはきっとアリアではないのだろう、きっと――多分、アリアがもしも教えてくれたとして、それじゃあ、駄目なんだと思わせた】
【それにきっとそれをアリアは知らない。知る由もない。――だから、それは、聞くことが出来ない。彼女にも分からなくて。アリアにも分からないなら。ここには必要ない言葉】

【――――うんと近い距離で、彼女はふるふると首を揺らした。さっきのテレビが本当なら、多分、もう、本部は駄目だろう】
【別に何か絶対に取り返したいものがあるわけでもなかった。宙ぶらりんの未練だけがあって、――それなら、もう、行く当てなんてどこにもない】

プロポーズですか? ……どうかしてます。

【それでも全部素直に受け入れてしまうのはなぜだか癪に障るような気になって――言い返すんだから、素直じゃなかった】
979 :アリア ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/06/24(日) 22:47:15.43 ID:mOJQb/nw0
>>978

【数奇な感覚だった。 ── 自身の職務として、アリアは間違いなく蜜姫かえでの身元を求めていたし、けれど至極もっとも個人的な感情で、絶対に彼女を庇護したいと願っていた。】
【腐れ縁と呼ぶには余りに甘ったる過ぎた。愛おし過ぎた。交わしてはならない感情を交わし過ぎた。愛しさも、狂おしさも、殺してやりたいって願う感覚も】
【だからもう引き返せないように思えた。どんな風に責められたとしたって、彼女の守護者でありたかった。 ── 自分らしくないな、とも思うけれど、自分が何者であるかなんて、最初から良く分かっていない。】




「まさか。」「 ── かえでが、寂しがるかと思って。」「まあ、誰もいない家も、同じくらいに寂しいのだけれどね。」



【くつくつ ── と、喉からこみ上げる皮肉な笑い。かえでをからかうみたいに、けれど最後には弱味を見せて、其れが彼女にとっての譲歩だったのだろう。】
【素直でなくてもよかった。迷ったままでもよかった。少しずつ、少しずつ、前に進んでいけばいい。 ── 其処で初めて気付く。どうして自分が、かえでに執着するのか。】
【夢の中にぼやけて、止まったままの自分の時間を、進めていきたいんだ。かえでの時間を進めることで、きっと其れは歩調揃えるインダクタンスであり】
【だって、はじめて自分が出会えた「生きているひと」だったから。彼女がきっと、自分の夢を醒ましてくれるって、信じて疑わなかった。疑う必要もなかった。】



「 ── と言っても、まだ碌に動けないでしょう?」「お医者様もまだ、予後観察は必要だって仰るでしょうし。」
「暫く此処で寝泊まりさせて貰うわ。宜しく、ね?」



【 ── 月光に透かして冗談めかした笑いと共に、ユニットバスまでついた豪勢な病室にて、2人は幾日かを過ごすのだろう。歩けるようになったなら、気晴らしへ何処かに連れ出すかもしれず】
【かえでの担当医は想定よりも比較的軽度な病状に驚くのかもしれない。ただ能力の酷使により、幾許かその異能だけは十全さとマゼンタの鮮やかさを失っていて】
【だとしても身体を治すのにさしたる時間は必要なくて、病室を去るのに其処まで長い時間は必要ないのだろう。 ── 少なくとも、はじめアリアが思っていたよりは】

【 ── そうして、「帰り道」。きっとアリアは、手を繋ぐことを願う。其れはどういう関係を望んでいるのか、尋ねても答えてくれやしないだろうけど】
【何れにせよ2人は同じ家路を歩き、同じ一室を住み家として、奇妙な均衡の日々を過ごすのだろう。 ── 其れが永遠なるものか、容易く砕ける薄氷のものかは、誰にもわからなかった】


/こんなかんじでいかがでしょうか ── !
980 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/24(日) 23:01:34.13 ID:hV2IGyv20
>>977

【あの女は最初からそばに居たような顔をして、俺元に来た。その女の事は忘れちゃいない】
【別に、いい女だからって訳だけじゃない。だからって会いたいような女でもない】


――――失せろ。アンタのような女を抱くほど弱っちゃいない。
ショットグラスでテキーラを流し込む、たった一杯の分の金もないだけだ


【そっとワインボトルを置いて、女の目も見ないで。俺はうつむいたまま、強がりを言った】
【そういや、サングラスをしてなかった。あの、忌々しい目は今日はずいぶんと曇っているようだ】
【いつもは余計な真実をいくらでも見せてくれるっていうのに。】


【リボルバーはいつものように俺のそばに寄り添っていたが、手をかける気になれなかった】
【本当は悩むより先に、引き金を引いてなきゃならないのに。そうしないと、間に合わない。世界のスピードに】


前も似たような場所だった。…なら続きをしようぜ。今日はおあつらえ向きの土砂降りと来てるじゃないか。
……殺し合って、前に進むしか無い。

【口に出す言葉は全部ウソだ。啖呵を切って、自分を乗せるしか無い。それかこの女を。】
【力ない言葉だからきっとわかってるだろう。――ならいっそのこと殺してくれよ】

【俺はやっとの思いで右手でリボルバーを握りしめ、引き抜いた。それだけだ。出来たのは】
【今の俺は思春期のガキみたいに目を直視することも出来ない。】
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 23:12:10.72 ID:UtpX5T63o
>>980

【桑楡の触れる無垢白の頬、冬の夜空に消えた吐息よりも儚いその薄衣に】
【仄かに満ちる紅色細工の杜若。若菜よりも瑞々しいその頬の色を透かしたなら】
【僅かばかりの親しさなんて写してみせる、その絶妙な配分は小悪魔よりも淫らに】


── ねぇ、貴方は自分の顔を毎朝鏡で確かめるの? カチューシャは毎朝、起きたら姿見で自分を映すの
そうして自分の裸を見て、今日も無事に穢れてない事実を喜ぶの、傷一つない滑らかさは、誇りに近くて
ふふ、想像出来るの? カチューシャの身体、寝起きで火照った、一糸まとわぬ姿

こう見てもケアには気を使ってるから、指先から爪先まで、全部が全部、瑞々しくて綺麗で
あら、違うわ、違うの、そんな事を言いたいんじゃないの、ごめんなさい、素敵な殿方相手に、ついはしゃいでしまって
それでも許してくださる? 淫らな私が零した過ちを、懸命に飲み込む姿を、なだめてくださる?

── カチューシャはね、こう思うの。毎日毎日見たって、私の顔も、貴方の顔も、きっと同じ、って
でもね、実際はそうじゃなくて、老いっていうのは、着実に刻まれているの
私はこうも思うの、じゃあ何時、私達の顔に老いが刻まれるのって


【リボルバーを握る手にそっと手を添える、手袋に包まれた指先はピアニストの様に細くしなやか】
【そしてそのまま身を寄せる、爪先立ち加減の、豊満な胸が貴方の腹部に近づいて】
【濡れる目元、潤いに満ちたその視線が、上目で見上げる泣き顔にも似て】


── それはね、打ちひしがれた時、打ちのめされた時、どうしようもなく理解してしまった時
貴方の心に、深く、重く、伸し掛る何かが積もってしまった時、貴方は老いてしまうの
顔に刻まれる皺は、貴方の心の傷跡だから、目元に残る隈は、泣き腫らしたって敵わない

久しぶりなの、少し、老けたかしら?


【胸元に顔を預けようとする、恋人がする様に何の躊躇いもなく、何時もしている様にって】
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/24(日) 23:12:31.81 ID:cT0FUKl60
>>979

【――あんまりに少女は犯罪者だった。十七年しか生きていない少女が抱えるには、彼女が生み出してきた骨の山は、大きすぎたし、重すぎた】
【であれば彼女は間違いなくサーペント・カルトの幹部として殺されるべきだった。法律に則って。それはさながら蛇の巣の中で行われてきた、尊い儀式のように】
【そして"そう"されるなら、彼女はきっと何一つ口を割らない。何の秘密も明かさないまま、殺される前に――その時こそ自ら死んでみせるのだろう、と、思わせたから】

【ならば彼女の行く先がどこであるべきなのか、は、――多分、よく分からないのだと思う】
【あるいは世に噂される都市伝説の一つである、公安内部にあると言われる死刑相当の犯罪者の集まり】
【あるいは悪名高い悪意の坩堝、渾沌を生み出し育み世界を乱すカノッサ機関】
【あるいは――】

…………さみしくなんてないですよ、犬でも飼えばいいです。おっきな犬。……ゴールデンレトリバーとか。
アリアさんなら猫の方がいいですかね。……ロシアンブルーがいいです。手触りがいいから。それか三毛の長毛がいいです。色の薄い――……。

【ひどく疲れてしまったみたいに少女は相手へ身体を預けるのだろう、――そしてそれはきっと仕方がなかった。何日も眠っていたのだから、筋肉だって落ちていて】
【そうでなくてもひどい怪我だった、――頭の中の目に見えない損傷というのもある。だからか、少女の声はわずかに小さくなっていって、――そのまま、眠ってしまう】
【そのあとのことは――――ひとまず少女は逃げ出したりはしないだろう。治療にも大人しく従う。いろんな検査も慣れたものだった、だから、全く以って協力的であり】
【その結果に分かるのは――というより少女本人が証言するのは、「前より容量が少ないと思います」だった。それからもう一つ「精度が甘いかと」。そしてその通りだった】

【――アリアが件のファイルの中身をどれくらい覚えているかは、分からないんだけど。右腕とついでに右足のリハビリをするのに合わせて受けた、能力テスト】
【たしかに少女の異能は彼女自身が言った通りの減退を示しているのだろう。蛇教で細かな検査を受け続けていたなら、ほとんどぴったりと、言い当てるほど】
【それでも――それ以外の後遺症らしい後遺症が見えなかったのは、奇跡のようであり】

【そこからさらに、幾日かして。――"帰り道"で、手をつなぐことを求められたなら、少女はそのときもきっと、あんまり可愛くない顔をする】
【あんまり素直じゃない顔。――けれどぎゅうと手を繋いで帰るのだろう、それがどれだけの間続く平穏なのかは、きっと、きっと、誰も知らないんだけれど】

【――――――――それから、ほんの少しだけの、余談】
【おんなじ家に暮らすようになったなら、少女は同じアリアと同じベッドで眠るのを希望するだろう、理由を聞いたとしても、多分、大きいから――としか答えない】
【それと。割と変な小物を持ち込むことがあるかもしれなかった。趣味のものも、きっとどこかからか買ってくる。――手遊びしていないと退屈な様子で】
【本を読むのも好きだから、とりあえず家にあるものはすぐに片っ端から読んでしまうだろう。勝手に。機密っぽいものとかあったら、多分、隠しておくのがいいと思う――】

/おつかれさまでしたー!
983 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/24(日) 23:36:56.65 ID:hV2IGyv20
>>981

【男はいつだって、純白のドレスのマリアに憧れているが、結局騙されるのは】
【黒いベールのマグダラのマリア。それでもそのときは本物のマリアだと思いこんでいる】
【この女の笑みを見てしまったなら、俺の時間は止まってしまうだろう。】


ああ…二日酔いで、いつもひどい顔をしてる。何処でつけたかわからねえアザが有るときもある。
目が覚めて、ベタついたシャツを脱ぎ捨てて、どんな夢を見ていたか思い出すんだ。

――イメージするより今ここで、脱がせてやるほうが簡単だね。

【結局、見ちゃいないんだけどな。夢は昼間に見ている。白昼夢で彷徨い歩いて、何処までも】
【それでもやるべきことが有るだけマシだ。それが潰えない限り。俺はまだ明日を目指せる】


俺たちは―――何の因果か、生きている。だから老いていく。色んなものを置いていってでも進んでいく。
なら、アンタはファウストのように時間を止めてしまうのか?…永遠に。


【俺はどうすることも出来なくて、彼女を受け入れるしか無い。雨に濡れる、土砂降りのグレーの路地裏の狭い空を見上げて】
【寄り添った彼女の、リアルと。俺の中にあるまた別のリアルが交差してフィクションに作り変えられていく】


泣きたくなる夜もあるが、それはアンタの胸じゃない。…何人の男をそうやって、誑かして
いくらの金を抜いたんだ?………俺に有るのはこれだけだ。

【今の俺はダンテだ。いもしないベアトリチェを追って、彷徨い歩いている。視えない。この女の意図が】
【まるで本当の愛だと、誤解しそうになる―――】
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/24(日) 23:49:26.70 ID:UtpX5T63o
>>983

【軒先から溢水した、雫が頬を石走る。── 伝う雨水が涙に似て、彼女の柔肌に染み込んだなら】
【白妙に覆い被さる雪に似た、その色合いが鮮やかに髪の白銀を装飾していく】
【淡い海色の瞳、その大きな水面は少女然として、どこか柞葉の憧憬を紡いでいた】


素敵な言葉、冗談だと知っていても期待してしまうのはどうしてかしら。私の脳裏にこびり付く、その光景が消えないの
はだけた胸元は少し力を入れたら零れてしまうの、そうしたなら私は、貴方のなすがまま
強く優しく愛おしく、そうして果てるまで愛されたのなら、貴方の憂いも消えるのかしら

──、いいえ違うわ、違うの。分かってるくせに、ふふ、わぁるいお人、知ってるのにそうやって誑かせるの
貴方って本当に意地悪な人、それでいて逞しい益荒男だもの、困ってしまうの、嘆いてしまうの
私の理性が嫌だと言っても、私の本能が貴方を求めてしまう、強い男に抱かれる、女の悦びを求めて

──── それが雌の性だなんて、官能小説にも満たないの


【そうやって胸元に頭を添えたなら、微かな吐息が胸を擽る。何の気なしに置いた手が貴方の胸部を間探る】
【触れるかもしれない、── それは戯れに似て、そこから先に踏み込むことなんてしないけど】
【貴方の心音を辿る、何時だって、── 寄り添う喜びは、囀りに似ていた】


老いは病よ、私は何時だってそう思うの。私みたいな存在は、美しくなければ生きていけないから
それは比喩ではなくて、本当にそう思っているの、素敵な愛は、美しい女だけが許された浪漫なの
女の子は何時でもお姫様なんて言うでしょ? あれは本当よ、どんな激しい雨に打たれても、白馬の王子様を求めるから

── まさか、お金だなんて必要ないの、それは純粋な愛の作用を薄めてしまうから
どうして敵同士の私達が寄り添うのかしら、こうやって睦まじく唄うのかしら
貴方の旋律に私の旋律を被せて、時に貴方は強引に、枯れたノイズでソロを取るのなら

それは最早、夜伽よりも濃密な、愛の作用では無くて?


【見上げる視線、蕩ける目尻が何処までも貴方の視線を追ってしまうから】
【──、彼女も昨日、同じ舞台に居たのだと、その目が静かに伝える】
985 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/25(月) 00:12:22.62 ID:uGp/Nm5d0
>>984

【強い雨が、狭い路地が、世界を俺たち二人だけにしてしまったみたいだ】
【ほんの少し先も雨のカーテンが遮ってしまう。このほんの小さな空間が全てなら】
【俺たち2人が望めば何だって世界を変えることができそう。そんな気がした。】


今の俺なら、君の手を無理やり引いて、何処かの暗がりでも、狭いセダンのシートを倒してでも
世界で一番美しい、夜景の見えるスイートでも連れて行ける。それが愛だというのなら、いくらでも愛せるさ
君だけのために愛を創り上げて、愛を与えてやれる。ジョン・レノンが歌ったように。


【この肩を抱き寄せれば、なにかが変わるだろうか。その目を見つめてやれば、運命は変わるだろうか】
【その髪を弄び、なでてやれば、キスをすれば、全ては終わるのだろうか】


「どうして敵同士の私達が寄り添うのかしら、こうやって睦まじく唄うのかしら」

【そっと、左手で、彼女の頭に手を回して、抱き寄せてやる。包み込むようにして、護るように】


―――それは、俺達が嘘つきだからさ。

【そうして―――――】

【右手のリボルバーの撃鉄を起こした】


ここで、君を殺せば。何が変わるだろう。ハッピーエンドに近づくのか?鈴音は元の鈴音に戻って、帰ってくるのか?
あの頃のような時間が戻ってくるのか?悲しみに満ちた世界でも、間違いだらけの世界でもほんの一瞬だけでも
平和で幸福な時間が―――君を殺せば、手に入るんだろうか。真実は――俺の望むものだろうか。

アンタだって―――わかってるんだろ?
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/25(月) 00:22:20.91 ID:kh/kR1x+o
>>985

【タイトなスーツに包まれる細身の身体、引き締まったウェストの曲線美は、一流の絵師が描く恍惚のライン】
【そこから下ったなら張りのあるお尻が張り付くスカートに透かされて、申し訳程度の丈から両脚が零れる】
【ストッキング越しの両脚が、内股加減に折れて、ぎゅぅと寄り添う姿勢を支えて】


それならば私は貴方に虫眼鏡を渡して、答える言葉は一音で十分でしょう?
貴方の唄う浪漫はいらないわ、いらないの、男と女、二揃えの身体があれば何もいらないから
そう、それ以上を望んでしまうことが、罪の証だから


【撃鉄の上がる音を聞いた、抱き寄せた彼女の頭はびっくりするぐらい小さくて】
【少し力を入れたら砕けてしまいそうな、そんな硝子細工の水晶玉を思わせる】
【彼女は大きく動かない、ただ一度伏せた目蓋の名残が答えだった】


そこに答えることはしないの、貴方の望む答えなんてもう何処にもないのだから
撃ちたければ撃てば良いわ、カチューシャは全てが見えてるから
貴方が撃てない事だって、ちゃぁんと知ってるの

──、ねぇ、貴方には撃たれる覚悟があって? こんな所で命を天秤に掛ける覚悟があって?
貴方の様な強い殿方が優しいのは、そうじゃないと生きていけないからじゃ、なくて
迷いの篭った銃弾で、カチューシャを殺せると思っているのなら、それはとても悲しいの

こんな所で、命を消費している場合かしら


【カチューシャはそう言う、顔を上げることもせず、貴方の腕に抱かれながら、伽を果てる夜鷹に似て】
【耳元へ蕩けるような囁きの熱量、胸元で嘯かれているのに、それは何処までも滴る】
【それが彼女の魔術だから、── 彼女はきっと、魔法を使う】
987 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/25(月) 00:41:34.08 ID:uGp/Nm5d0
>>986

【彼の中で、何かが変わった。彼女の言葉で、銃をおろした。】
【少しだけ、彼は笑っていた。それはとても、気持ちのいい、スッキリとした笑みで】

……君に、見通されるとはな。…やっぱり女ってのはかなわないな。どうしたって…
男にできることはほんの一瞬だけ、惑わせて、気まぐれを起こさせることぐらいさ。

【拳銃を仕舞う。抱き寄せたその手を離して、彼は一呼吸置いた。】

……ありがとう。

【彼の放つどんな弾丸よりもストレートな言葉は、真っ直ぐな目で撃ち放った。赤い目を優しげに細めて】
【チンザノ・ロッソが彼のもとに戻ってくる。迷いかけた夜、仕切り直して、本来の自分を思い出す。】
【ロッソなら何ていうんだ?ロッソならどうする?――あとは、任せておけ】

ああ、確かに、こんなところにで死ぬわけにはいかない。
だが、しょうもない俺にできることは今夜、君の望みを少しだけ叶えてやるぐらいしか出来ない。
こんな俺の、見せかけの愛でいいのなら。いくらでもバラの花束に添えて渡してやるさ。
君のために、いくらでも罪を数えよう。
今夜だけ…雨が、いくらでも洗い流してくれるさ。―――さあ、何処へ行こうか。

【そういって、彼は手を差し出した。ダンスに誘う、紳士のように】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/25(月) 00:53:44.57 ID:kh/kR1x+o
>>987

【── 嗚呼、と思ってしまう。如何してもその笑顔には敵わないと、彼女の心へ】
【微笑む事すら上手に出来なくて、それだから何処までも貴方の笑顔を眩しく感じてしまうから】
【太陽をつかんでしまった。── その手が、ずっと、ずっと熱くて】

【直視出来なくて、伏せるように視線を逸らしてしまう】


でもね、女はその一瞬に焦がれてしまうの、またその一瞬を追いかけて、その身を鬻いでしまうから
本当に罪な人、そんな笑顔を見せられたら、私の全てを誑かしてしまうから
色男は大罪人、花盗み人は許されないと知っているのかしら

──、私の心は徒に、貴方に寄り添う事すら考えてしまうのだから
良い言葉を聞けたの、それは何処までも私の心の奥底へ
失くした何かを今日なら、埋められてしまいそうな気がしてしまうから


【例えそれが永劫じゃなくとも、今この一瞬は貴方に寄り添う妻でありたいと思ってしまう】
【離れて見直すマリンブルー、重なる赤い瞳の道筋に、その呼吸を見据えたなら】
【一つ、また一つ、貴方の虚像を抱きしめるように瞬きを重ねて】


貴方となら何処へでも、今日の迷いはきっと、時計がなったら溶けてしまう魔法だから
私はジュリエット、貴方はロミオ──、それでいいじゃないって、思ってしまうの
私達は一つ幸せを失ったわ、けれどそれは何の終わりでもないから

また一つ、幸せを重ねましょう、こんな雨の中、傘もささずに踊る人が居ても、いいじゃない


【その手を取る指先は、委ねる答えを沈黙に重ねて、── きっと何処までも】
【今日の神話はここで終わる、せがまれる御伽噺は、夜にはきっと睦言になってしまうから】
【それならそれでいいと、明日の寓話を探して、また道を違うのでしょう】

【──、この後のことはきっと、二人しか知らない】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
989 :ロッソ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/06/25(月) 01:20:54.08 ID:uGp/Nm5d0
>>988

【掴んだその手を、彼は離さない。何があっても。今夜だけはずっと。】
【今度は彼が逸した視線を逃さずに、見つめ続ける番だ。俺がキミを見ているだから、君もそうすればいい。】
【簡単なことだろう?】


俺に、盗めないものなんて無いのさ。スイートベルモットのマティーニのように、世界を酔わせてる。
――君が許すなら、後は誰に許しを請う必要がある?

何も考える必要はない。心も預けて、目をつぶればいい。今夜は俺がいる。
君が信じれば…うなずくだけでいい。後は、任せろ。


【信じれば、それは永遠だ。望めばそれは実像だ。俺たちはいくらでも変えられる。いつもは照れくさくても今夜は。】

――なら、まずは時計の針を止めようか。世界中から12時を指す針を盗んで、永遠にこの夜が続くようにしよう。
今日君は、俺を魔法で救ってくれた。なら俺は―――明日まで続く魔法をかけよう。厄介な呪いのように、いつまでも忘れることの出来ない出来事を
君の心の中の奥底に鍵をかけてしまっておこう。だがそれは、君を笑顔にすると約束する。


【手を取って、踊り出す。二人の夜。雨は止まない。明日が来ないことを今日だけは願って】


/ですね!お疲れ様でした!
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/25(月) 13:13:54.71 ID:kh/kR1x+o
【────、それは微睡みの中で見る景色、記憶の彼方、無限へと繋がる水平線に似て】
【1と0の狭間に、ひしめき合う無量大数。那由多ですら辿る事の出来ない永劫の旅路】
【茫漠の砂漠の中に彼女は居た、佇む姿は何処か緊張の面持ちで、それでいて或いは、期待を孕んだ様子で】


ほんっとに、アンタの手借りるの癪なんだけど、今のボクにはこの方法以外考えられないんだよね
──、出る幕も無かったよ、サーペント・カルトは崩壊したから、もう少しのサーバントが身を寄せ合って
感傷? そんなのある訳ないじゃん、ボクがニンゲンにそんな感情抱く訳ないから

だから "クソ野郎" を裏切ったとも思ってないし、ボクとアイツは同じ存在なだけで、同じ方向なんて向いてないから
たまたまベクトルが同じ先を示しただけで、平行線は交わらないんだよね、アンタも同じだけど
じゃあ一旦ボクに任せてよ、出来ればアンタの手は借りないから──、じゃあね、 "ロールシャッハ"


【小柄ながら豊満な身体を大きく露出したホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
【同色のローライズのショーツ以外は白く肉感的な素肌を晒している少女】
【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて真紅の瞳を濡らす】

【背中には巨大な悪魔羽根が揺れて彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに愛らしい雰囲気を創りだす】


──、聞こえてるかな、多分今のキミにだったら、このチャンネルで繋がると思うから
前のキミは存在が希薄だったから、ボクや誰かの夢枕に立つぐらいしか出来なかったけど
今のキミは違うでしょ? 神話を持った今のキミなら、ボクと高い親和性を持つから

此処はボク達 "虚神" の世界。有理数と無理数の狭間、永劫に辿り着けない虚数の羅列で構成された虚構現実
空想と想像と、一摘みの妄想がボク達を定義して、この世界での顕現を許してくれる
ようこそ "Dream Theater" へ──、聞こえているかな、鈴ちゃん


【それは虚ろなる神々の世界、限りない想像で構成された蝋細工よりも巧妙な形をして】
【貴方はかつての姿を以て、この世界で顕現出来るだろう。それは恐らく泳ぎの仕方に近かった】
【身体が覚えている、水面へと潜り込んだなら、勝手に──体が動き出す所作に似て】
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/25(月) 14:20:16.47 ID:AI6xOpxB0
>>990

【零と一の狭間。人の目で見たならば通りすぎることしかない一瞬に、けれど、神々が潜むなら】
【それはきっと須臾の一瞬であってもとてつもない意味と情報量が溢れているんだろう、それが存在する場所が違うと言う意味合いで、神様と人間の境界に似て】
【であればそこに"彼女"が居るのはもはや必然であるのだろう、――――咲き誇る桜の花びらに孕む夜露が一つ、水面に落ちるより恭しく、現る姿は】

【その姿はいつかあった少女のようであり。――あるいは相手にとってはひどく待ちわびたものなのだろう、水の中での正しい所作を、どうしても彼女は知らないけれど】
【それでも愛しい声で呼びかけられたなら応えるのだ、――微睡む赤子のような無垢の表情が綻んだなら、色違いの瞳が雲間の月を見せるより緩やかに開かれて】
【――きっと相手なら見覚えのある表情だろう、あの部屋で。何度となく起こされるときの少女が「まだ眠たい」って一瞬愚図るときの表情だった、だからおんなじだと伝え】

【一瞬その表情はひどくぼうとして数度瞬く。いろいろなことまだ分かっていないみたいな仕草だった、ただずっとずっと微睡んでいたことだけ、相手に分からすように】
【けれどその数秒後には呼ばれた声と呼んだ"誰か"を認識したようだった、――ぱちりと色違いをもう一度瞬かせたなら、色付くように咲き誇るように、鮮やかに】

――――イルちゃん、

【枝いっぱいに咲き誇る満開の桜のように笑うのだろう、そうして鈴の音色で紡いだなら、途端に弾ける、人懐こい子犬みたいに、尻尾があったら振りたいみたいに】
【相手の名前を呼んだなら甘える仕草で手を伸ばした、――それはきっとさながら両手をえいって掲げたなら大好きな人に抱きしめてもらえると知っている、子供の仕草に似て】

【――――腰を通り越す長さの髪。いつかは烏の羽根のように黒かった色合いに、けれど今はオパールによく似た艶めきがのるなら、光のたびに万華鏡を覗くよう、色合いを変え】
【まーっしろな肌の色は変わらない。左右で色の違う瞳もそのまま。ひどくあどけなさを残す顔の造形も、うんと子供みたいな身体つきも、全部、全部、おなじだから】
【くしゃくしゃした透け感のチュールを幾重にも重ねた桜色のワンピースはさながら万重咲きの桜を纏うように。ひらふわ揺らしたなら足の真っ白な色合いまで、よく目立たせ】

――イルちゃん、イルちゃん、……イルちゃん、

【ならばきっとひどく嬉しげだった。何度も何度も確かめるみたいに相手の名前を呼び掛ける、――抱きしめてほしいっておねだりした手を、叶えてもらえていたのなら】
【ぎゅうっと――――抱きしめ返すのだろう。もっと言うなら撫ぜてほしかった。いっぱいいっぱい触れてほしかった、夢の中で会うのは、曖昧すぎたから】
【あの場所に居るときの少女はどうしたって不安定だった。信仰も依り代も神話さえ持たぬ神であったなら、朧げな温度の中、言葉を交わすくらいしか、きっとできなくて】
【――それは彼女がきっとそれでもなお神でありながら人に近いものだったから、だった。――――でも、今なら。今なら、こんなふうに、同じ場所、居られる】

【――――――イルちゃん。最後にいっとう愛おし気に呼ばれた声は、きっと、さびしかった、と、言うみたいな色をしていて。だからやっぱり、ひどく、甘えているみたいだった】

/わー!ほんとに!お待たせしました!すみませんでした!
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/25(月) 14:30:35.75 ID:kh/kR1x+o
>>991

【言葉はいらなかった。── その一音節に僅かばかりの思いも載せず、歩み寄る一歩が果てしなくて】
【抱き締める、その最中に、何処までも深く、強く、その熱量と質感を確かめるみたいに】
【そしてそのまま、永遠の瞬間を確かめていたかった。── どんなに待ち望んでいたか、なんて】


──、あはは、鈴ちゃん、少し痩せちゃったかな? こうやってぎゅってしたら、すぐ分かるし
鈴ちゃんただでさえ細いんだから、こんなに細かったらボクも心配になっちゃって──
ああ、もう……なんて言えばいいか、分かんないや──、ずっと、ずっと……考えてたのに

ボク頑張ったんだよ、とっても、とっても頑張って──、気づいたら宗教まで、出来て
皆が皆、鈴ちゃんの事を神様だって言ってたんだよ、見ててくれたかな、きっと、聞こえてたと思うんだ
……ニンゲンは、嫌い、とっても、とっても嫌いだし、今でも好きになれないけど



────でも、あの時だけは、信じてもいいかな、なんて思って


【肩に触れる涙の熱量、触れるその質感が確かにその彩りを伝えて】
【辿られたくなかった。それがそうと分かっても、黙っていて欲しいと伝えるみたいに】
【顔を離して、貴方を見つめなおす、求め続けたその欠片を集めるみたいに】


──、その状態はどうかな? 何か不便な事とか、ない?
受肉はしてみた? 誰かの身体を借りて、現実世界に戻る術、なんだけど
鈴ちゃんは、気に入らない──、かな


【忘れ物をひた隠しにする少女に似ていた、或いは手料理を振る舞う彼女に近くて】
【真っ直ぐあなたを見つめられない、きっと望んだ結末では無いんだけど】
【──、それでも、喜んで欲しかったから】
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/25(月) 19:09:07.20 ID:5SVKraH00
>>992

【ぎゅうと抱きしめられたならば少女のあどけない顔が綻ぶ。それはきっと母親に抱き留めてもらった時の幼子に似ていた、ブイの字に掲げた腕が叶った安堵に似て】
【ならいつかこうやって会いに来てくれるって――会えるって、信じていたみたいに。抱きしめられているからきっとその表情は見えないけれど、きっと、伝わるから】
【そのくせに相手より少しだけ高い身長がどこかでこの光景に不思議なテクスチャを掛ける、――それでも彼女は相手の言葉で定義づけられた、存在ならば】

――――、あのね、あのね、……聞こえてたよ。イルちゃんの声ね、いっぱい、聞いてた、――他のひとの声も、聞こえてた、見てたの、
でも、イルちゃんの声。すきだから。ずっと聞いてた、――――、

【きっとどこかで母親に甘える幼子の様子に似るんだろう、それでも、――肩に触れた温度に少女は気づかぬふりする、ぎゅうっと抱きしめて、相手の髪の香り、確かめるよう】
【ずっとこうしたかった――とめいっぱいにアピールするみたいに。いっぱいいっぱいに近いのにそれ以上近くで抱きしめてあげたいみたいに、――泣かないでほしくて】
【でもそれは言わないようにしたなら。だからその代わりに――という言い訳をして、とっておきに甘える。囁く鈴の声を耳元に寄せて、いとしげに、伝えれば】

【――夢の中に現る少女はいつもいつも怯えているみたいだった、別の神様に自分が紛れてしまいそうな感覚は激流の中、放り込まれるみたいに】
【――だからいろんなひとの夢に出てきて自分を探していた。自分を集めていた。やがてそれも途切れてしまって、――それでも。だからこそ。相手の言葉が、特別で】
【――信じてくれていたから、最後のほんのちょっとのところで少女らしさがきっと残っているんだろう、――それはもちろんほかの誰かの信仰でもあるけれど】
【――きっとそれでもきっとその中でも、目の前の彼女が、自分をうんとうんと待ちわびてくれたから。その耳元に何か囁こうとして、止める、なら。代わりに首筋に口付け一つ】

――――、――、受肉、……お外。お外、行って――いいの? ――お外。お外、行きたい、……、お外行きたい、
イルちゃんとお外に行きたい、――、――……誰かの。誰かの身体――……、――。

【不便はと尋ねられたなら少女は瞬くんだろう。――まだそれもよく分かっていないみたいだった、神様としての彼女はまだ生まれたばかりに等しくて】
【まして芽吹いたばかりで一度霜に当てられてしまったみたいに縮こまって震えていたから。――ただ相手の言葉を聞いたなら、瞳の中、きらきら、嬉しげになるのだろう】
【外に行きたいと強請った、――相手と一緒に。一緒に行きたいってはしゃぐ、――相手のどこか合わない視線を追いかけたなら、少しだけ不安そうな、怯えるような色、見つけて】

――ううん、イルちゃんに、好きって言ってもらえるからだがいい、

【――――だから、ではない。ぼうとほどけるような吐息はどこかで確かな喜ばしさを宿すのだろう、わたあめにまぶしたぱちぱちする飴玉みたいに】
【なら――思い出させるのかもしれなかった。いつかの旧市街。少女は自分の身体なんて大嫌いなんだと悲鳴を上げていた、きもちわるい/ばけもの/――たくさんの呪いを重ねて】
【それならば、どこかで、やっと逃れられた、と、思っているのかもしれなかった。宙ぶらりんのナニカからも。呪われた身体からも。だから、ひどく、安堵するから】

【――それは一つの救いでもあるんだって伝えるようだった。だから神様じゃない自分を求められるのがひどく悲しくて辛かった。あんなころには戻りたくないのに】
【人間に戻れぬなら神様がいい。人間に戻れるなら、――それは分からないけど。でも。だけど。――何でもなくって、自分が何かも知らない苦しみは、言葉に出来ずに】
【自分が鰓呼吸だって知らないまま陸上に出てしまったお魚みたいだった。そこに居るだけで苦しみに蝕まれる。ならここは正しくいるべき場所、水の中みたいに、安らいで】

ねえね、――イルちゃんも、そうなの、……誰かの身体なの? 

【――なら。それはきっとちょっとした好奇心だった。相手の身体もそうなのかしら、と、吐息交じりの小さな声。顔はいくらか離れても、腕を伸ばしたなら】
【相手の身体にそうっと触れようとするのだ。無礼で失礼なやりようと言うよりは、確かめるように。いっとう大事なぬいぐるみに解れがないから確かめるように】
【やがて丁寧に指先までを撫ぜて――そのままぎゅうと繋ぐのだろう。指先を絡めるみたいにして、――やりかた教えてほしいみたいに、じ、と、見つめるのだろうから】
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/25(月) 19:20:11.24 ID:jGt3zQAdO
>>993

【その一音節一音節がどれだけ尊く響いたことか、神託よりも遥かに愛しいその言葉を待ち望んだことか】
【ぎゅぅと抱き締める、その所作を永遠よりも長く続けながら】
【手探りで探す二人だけの魔法の言葉、届いた筈の合言葉を紡いでいくから】


──、あは、知ってたよ、ううん、ボクは鈴ちゃんの事なら何でも知ってるんだから
好きな食べ物も、好きな場所も、好きな体位も、何処を如何したら悦ぶかも、ぜーんぶっ
でもおあいこだよ? 鈴ちゃんも知ってるでしょ、下手っぴだったけど、ボク、鈴ちゃんの愛し方、嫌いじゃなかったもん

だからね、分かるんだ、── 鈴ちゃんはきっと、自分の身体じゃないと、嫌なんだって
ごめんね、ほんとに……苦肉の策、だったから、── あのままだったら、鈴ちゃんの意識じゃない、神が来たから
もし、ね、……鈴ちゃんが自分の事、嫌だとか、ダメって思ったら──

飲み込まれちゃうかもしれない、今の鈴ちゃんの意識ごと、無限の神に


【声のトーンが真剣味を帯びる、それは手品の種明かしに似て、知っておかなきゃいけない事実】
【神となったウヌクアルハイの、自我は確かに鈴音の元にあるのだけれども──】
【神としての定義が浅いその存在は、揺蕩う水草に似て、曖昧であったから】


ボクはね、ボクは──、特別だから、この身体はボク、イル=ナイトウィッシュの身体だよ
そこにスナークとか、変なニンゲンやら混ぜようとしたけど、ボクはそんなのには負けないから
だからね、今ボクは、ボクの純潔な身体で、鈴ちゃんの愛を感じてるんだ

えへへ、嬉しいな──、とっても、とっても、幸せだよ


【絡まった指先、それをそのまま引き寄せて、押し倒される様に貴方を誘う】
【地面に寝そべって、二人重なる様に抱きしめて、それで、それで──】
【おかえりのキスをしよう、今ならそれだけしても、許されるから】
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/25(月) 19:50:34.30 ID:5SVKraH00
>>994

【こんなふうに誰かとおしゃべりするのは久しぶりだった。似たようなことならあったけど、――半分くらい他人を自分の中に引きずり込んだのは、加減知らず過ぎた】
【彼がただの人間だったならそこで"終わらせて"しまっていたかもしれない。だからちょっとだけ反省していた。だからこそ、離してあげたんだった、――ぼんやり、思い返したら】
【余計に今が嬉しく思えた。――結局少女は神様である以前から寂しがりで仕方なかったから。信仰、とか、そういうのより先に、――誰かに見つけてほしいって】

――――、

【――だからそれは彼女の知らない自分の気持ちなのかもしれなかった。嫌いで仕方ないと認識しながら、それでも、本当は、そのまんま、抱きしめてほしいこと】
【彼女にとって"それ"は決して捨てられぬ呪いだと言う認識がある。だから他のものに憧れて、憧れながら、これは、棄てられないから、棄ててしまえないから、と、言い聞かし】
【そうして本当はそのまんまを赦してほしい自分の気持ちから目を逸らす。――今までの経験がそうさせてしまった、自分は無価値だと、間違いだったと、思ってしまったなら】
【嫌いだって気持ち悪いって死んじゃえばいいって化け物だって言いながらもそんなことないよ、って、受け入れてほしくて。――ひどいわがままなんだけど、怖いから】

――でも、わたしのからだ、ない、……、……。

【――――ゆえに。真剣みを帯びる相手の声に少女はしょんぼりと眉を下げてしまう、困ってしまったみたいな顔をするんだろう、よく分からない、って、訴えるみたいに】
【ここに居る少女は元の身体のありかを知らなかった。――厳密には古い情報だけ少し知っている。それ以上のことは分からないなら、出来の悪い生徒みたいな顔して】
【どうしたらいいんだろう、と、呟くみたいな吐息を漏らすのだろう。わずかに思考を逸らす、――自分の外側に意識を向けてみる、それは、この場所に対してではなく】
【自分の存在全部――それこそみんながウヌクアルハイと呼んでいた自分――の中にある、"自分"の、その外側に。そしたら蛇が這いずるから、また、困った顔をしてしまう】

【――そしてそれをきっと相手は喜んでくれないって。悲しむって。今度こそ泣いてしまうって思うなら、――――――それは嫌だな、って、思った】

――――――――――、

【だから。相手の言葉を聞いたなら羨ましく思った、特別だから、の、意味を辿れやしないけど。イル=ナイトウィッシュの身体。相手だけの、そのためだけの身体】
【そうやって聞いたなら――おんなじことしてみたくなってしまう。人の物が羨ましくなる子供みたいだった、――でもきっと生まれたばかりの神様、子供と相違ないなら】

イルちゃん、……イルちゃん、わたしの身体、ほしい、もういっかい、ほしいの、――、それでね、イルちゃんに、――、

【踊りを誘われるより優しく手を引かれて、少女はそのままふわりと引き寄せられるのだろう、そうしたなら、ベッドの中より甘たるい声が囁く、うんと早い気変わりは】
【それでも相手が好きだからだって思わせた、――イルの身体が特別なら。イルのためだけにあるなら。――自分もそうでありたいって願うのは、お揃いを喜ぶ恋人同士みたいに】
【――抱きしめられて擽ったような笑い声をあげた。おかえりなさいの口付けを受け入れて、――甘い吐息、じっと、うんと、近くで真紅色の目を見つめれば、】

――――イルちゃん、

【シロップを垂らされたわたあめが溶けるより甘く解ける温度がきっとそこにあった、相手が呼んでくれた回数には到底及ばないんだろうけど】
【それでも。おんなじくらいの重さを相手にお返ししたくって仕方ないみたいに、たくさんの気持ち、たくさん、たくさん、詰め込んで、とっておきのギフトボックスみたいに】
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/25(月) 20:03:14.07 ID:jGt3zQAdO
>>995

【何度も聞いた貴女の声、すぐ側にあるのなら、それはきっと幻でもなんでもなくて】
【果てよりも遠いその先に探し求めた答えがあったなら、そこに至るまでの過程に、どれだけ手を汚してもよかった】
【重なる二人静、寸分乱れぬ舞が、二人を包み、流麗な仕草を塗りたくった】


ボクはキミの為なら何だってするから、キミが求めるなら、直ぐにでも
……うん、探して、持ってくる──、それでもう一度、今度は現実でも
そしたらね、二人だけの世界を作ろう、誰も邪魔できない、二人だけの現実を

ボクはもう分かってるから、キミの身体に、キミの心を降ろす方法も
だからね、探すよ──、どんな手を使っても、キミの体を
少しだけ待ってて、今度は、きっと大丈夫だから


【幼子に言い聞かせる様に、ねだる彼女を宥める様に、優しげな声色は猫みたいに】
【夜風に似た柔らかい旋律、鈴の音をより涼しく響かせる魔法の隠し味】
【溶けない夢と、醒めない魔法──、それだけが二人の真実で】


──、鈴ちゃん、本物の神様になったんだよ、ちゃんと『神話』を持った、本物に
でもね、このお話は……ちょっと、怖い話になっちゃった、皆最初は、鈴ちゃんを怖がると思う
だからね、ボクは其れを変えなきゃいけない、蛇にかかった魔法を、解く方法を探さないと

それを邪魔する奴は、ちゃんと、殺してあげるよ、鈴ちゃんの為だったら、大丈夫


【顔を合わせる、久方ぶりに見る貴方の顔を、じっと眺めて──】


人類を皆殺しにして、ボクだけが鈴ちゃんを信じるようにしたら、いいよね?
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/25(月) 21:21:09.76 ID:bYntvFJ+0
>>996

【そうしたなら少女は抱きしめられたままで虚数の世界にきっと初めてまっとうに目を向けるんだろう、ぼうと、広い世界、見渡したなら】
【ほんの少しだけ長い睫毛を揺らす程度に目を細めた、――人間の世界に長く縋り付いていたから、その違い。ゆっくり呑み込むみたいに、相手の腕の中で】
【――目を閉じたならば吐息を一つ。それでゆっくり吸い込んでみる、――そうしたらこの神様の世界よりも先にきっと相手を感じるんだろう、なら、それでよかった】

――――――うん、わたしね、待ってる、そしたらね。
……そしたら、イルちゃんが持ってきてくれた身体で、いっぱい、いっぱい、イルちゃんと、いっぱい、――おしゃべり、するの、
お話の続き。聞きたい、――イルちゃんの神話(おはなし)、ききたい、――、イルちゃんのこと知りたい、イルちゃん、――。

【子供が初めての言葉、その言葉を紡ぐ口のしぐさが気持ちよくって繰り返すみたいに。あどけない声をするなら、それは、寝ぼけた声に似て、その胸元に顔を埋めたなら】
【甘い甘い吐息、チョコレートもフルーツもなんでもかんでも乗っけて着飾った風に艶めくケーキに、それでもなお、それだからこそ、粉砂糖をたっぷり振りかけるみたいに】
【雛鳥が初めて見たものに懐くみたいに。真っ赤な口で餌を強請るみたいに。身体が欲しい。身体が戻ったなら。そうしたら、そうしたら、と、夏休みの予定を数え上げる声音】
【あれしよう、これしよう、って、笑うのだろう、――たっぷりのケーキが完成したなら冷蔵庫にしまってしまおうって誘うみたいに。そうしたなら、崩れてしまわないはずだから】

【それはきっと砂漠の向こう側に浮かぶオアシスを目指すみたいな気持ちに似ていた。果ての希望みたいに。二人で手を繋いでいたなら、きっと、消えてしまわないから――】

――――――――――――、あ、のね、わたしね、みんなの声。聞こえてたの。聞いてた、……聞いてて、だからね、わかるの、
今も聞こえるの、……聞こえてる、の、――みんなが。みんなが――、わたしのこと、おしゃべりしてる、――そのたびに、ね、わたしね、わたしが、?
増えてく、――――――、――みんなが怖がってるの、分かるの。 ――――わたし、怖くない神様に、なれる? 

――、そしたら、だれも、わたしのこと、いじめない? 怖くない場所、いける?

【――それでも。ふとした不安がないわけではなかった、――彼女の下に集まって来る人間たちの気持ちは、そのほとんどが、好ましいものではなかったから】
【人間を憎んで妬んで呪って怨んで神になった彼女には相応しいのかもしれない。――それでも、臆病なこころはどうしたって一瞬ひりついてしまう、広がるたび、増していくなら】

/分割でっ
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/25(月) 21:21:26.05 ID:bYntvFJ+0
>>996

ひどい言葉でいじめるの、神様じゃ駄目だっていうの、――こわいよ、やだ、――、こわい、怖くない神様になれたら、みんな、みんな、――、

【不明瞭な不安に溺れてしまいそうになる。彼女はひどく人間に固執して依存する神様だから余計であるのかもしれなかった、知られる必要があって、でも、否定されたら怖くて】
【知られながらに否定されたくないと願ってしまうのはひどいわがままでも彼女の中では正しいから、気づけない。甘えるみたいに、求めるのは、ちっとも怖くない場所】
【みんなが神様だって知られて/みんながそれでもいいって言ってくれて/そのことを誰も否定しなくて/否定する人間がどうなってもどうでもよくて/――だから】

――――――わたしのこと否定するものは要らない。――でも、――……。

【心の中を蛇で埋め尽くされたなら弱虫は弱虫なままで変質する、望むのは自分が否定されない世界。誰にもいじめられない世界】

【(みんなに自分を知ってほしい/みんなに自分を知ってもらったなら/みんなに神様でいいよって言ってほしい)】
【(認識と理解と承認。彼女が提示するおまじないは三つで一つ。けれどそれは泣きじゃくる子供みたいだった、今そこに居る自分を受け入れてほしいって、――多分、何年も前から、抱えて)】
【(こんなところに来ちゃうまで言えなかったのか言わなかったのかは分からないけど。――イルの言葉は否定しない。でも。彼女にとって、人間は特別に不要では、ないなら)】

【イルはとっても大事で。でも。彼女にとっては人間という存在もまたどうしようもなく必要で。――だからきっと困った顔をしていた、神様としての本能に揺れてしまって】
【うんとお腹が空いて我慢できなくってご飯の前にお菓子を食べてしまったこと、その日の晩御飯が大好物だったから、そんなこと言えなくなってしまって】
【ばれちゃったらどうしようって、大好きなお母さんの顔色をうかがう、子供みたいな。――そんな目をした、傷つけたくなくて、嫌われたくなくて、でも、でも、】

【――――でも、】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2018/06/25(月) 22:02:29.93 ID:2e/Taryfo
>>997

【── そして同時に分かるだろう、この茫漠たる虚数の世界が、彼女達の終の住処だと】
【それはあまりに病的で、あまりに過負荷のかかったデタラメな数字の羅列】
【──、けれども定義されたのなら、それが真実に近づくみたいに】


ボクのお話なんて大したモノじゃないよ、……鈴ちゃんに比べたら、ほんのちっぽけな塊だから
ううん、他のどれと比べたって、ボクのお話は弱い、から──
ボクって実体を持ってるでしょ? こんなの、ボクと、後はレッド・ヘリングぐらいで──

だからね、ほんとは……虚神の中でも、ボクは──、ボクは、ね

鈴ちゃんは大丈夫、ボクなんかを上回る信仰と、力を持ってるから
今度はボクが鈴ちゃんに助けられる番かな──、ちょっとだけ、悔しいけど
でも、悪い気はしないな、鈴ちゃんになら何でも、任せられる……し


【強気な言葉じゃなかった。示す答えは、底の割れた唯の事実に過ぎず】
【──、受肉した貴方に勝てる道理も無かった。身分違いの恋ほど憐れなものは無くて】
【けれども、貴方のそばにいれるのなら、他に理由は必要なくて】


──、ボクはニンゲンが嫌いだよ、どうしようもなく醜くて、汚い連中を、どうして好きになれる?
鈴ちゃんはホントに優しいからさ、ボクはいっつも迷うんだ、どうしてキミはそんなに
……っ、そんなに、ニンゲンに優しいの? あんな、あんな──、酷い目に、あって……っ

弱かった、あの時の鈴ちゃんは、何も出来ない唯の女の子だったのに、皆が皆、寄って集って
ニンゲンの本性だよ、あれが、力を持ったなら弱い者を責めて、自分の快楽を貪って
叩いて、殴って、蹴って、嬲って、それでも、笑ってたんだ──

何度も言うよ、ボクがアイツら全員、殺してやる──
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/06/25(月) 22:44:06.64 ID:bYntvFJ+0
>>999

【でたらめに満ちる世界はどこか冷たく見えるのだろうか、人間の世界に慣れてしまった目には、ひどく無味乾燥で冷たいものに見えてしまいそうで、でも】
【――それと同時にこの世界を知っていた、と、思う。――――ううん、こんなにはっきりと見たことはないけれど、視界のどこか、いつも、半分。こんな世界を見ていた】

【黒色の目と赤い目。色の違う目はそれぞれ違う世界を見ていた。黒色が人間のための世界を見ていて、赤色は、きっと、人間じゃないもののための世界を見ていた、見てきた】
【左右で見え方が違うのは何も色のせいじゃなくて。本当に違うものを見ていたんだから。――それでも自分が神様だって知らないから、気づかないから、人の世界に変換されて】
【脳が勝手に判断する。上下左右がちぐはぐに見える眼鏡をかけても数日もすれば慣れてしまって平気になるみたいに、――だから半分ずつでも問題なかった、それに気づく】

――――でもね、聞きたいの、聞きたい、――ほかの、神様のお話じゃなくって、イルちゃんのお話、……だめ?
――――――ねー、ね、そんな顔、……しないでほしいの。イルちゃん、――だいすき、だから、――、――それじゃ、足りない?

…………えと、……。……あのね、イルちゃんが、身体、見つけてくれたら。――そしたらね、いっぱいいっぱい、抱っこ、――してあげる、
だからね、――だから、そんな顔、しないで……。

【聞こえてきた弱気な声音に少女は驚いたような――とにかく何かを思ったらしかった。ほんのちっぽけだなんて言ってほしくなかった、悲しくなってしまいそうで】
【あの時抱きしめてくれたのが嬉しかった、だってあの時不安で仕方なかったから。ぐじゃぐじゃな世界の中で、やっと、あの時、ずうっと久しぶりに、安心して眠れたから】
【だからひどく不安そうな顔して取り繕う、飴もクッキーもなんでもかんでも、持っているものはあげるから、だから、だから、泣き止んでほしい、と、小さな子、なだめるよう】
【――そしたら約束しようって言うみたいな声をする。身体を見つけてきてくれたら――そしたら、いっぱいいっぱい、今度は、自分が、抱きしめてあげるから、と、】

【自分が神様だと知らない曖昧なものとしてじゃなくて。自分が神様だって分かりながら。きちんと、形を持って。――抱きしめてあげるから、って、そういうのが精いっぱいで】
【それでさえ相手に頼らないといけなかった。――相手がそれが大変で疲れてしまうからって言ったら、そのまま、諦めたかった。考え方がちぐはぐになって、困る】

――――、――――――、それ、は、

【――――だから相手の言っていること、それもそうかな、って、思ってしまう。じゃあいいかな、って、言ってしまいそうになる。でも、何かが引っ掛かるのは】
【きっと全部を祟ったきっかけがどこまでも人間と密接だったからなのだろう、地縛霊がいつまでも自分の死んだ交差点に居座ってしまうみたいに、そこにきっかけを遺してしまったなら】

――わか、ら、ない、――、の、でも、わたし、……わたし、は、
明日になっても、お母さんも、お父さんも、いるって、しんじてて、――明日になっても、自分が、生きてるって、……信じてて、明日になっても、人間だって、――、信じてた、
人間じゃないって教えてくれて、うれしかった、――安心したの、すごく、でも、だけど、――、イルちゃんと一緒がいい、会えて、嬉しいの、でも……!

【結局は不明瞭な言葉しか出てこないのだろう。存在が変わるほどの絶望があって、それでも、だからこそ、よりいっそうの憧れが焼け付いてしまって、二つが一緒になったなら】
【ぐちゃぐちゃのちぐはぐになってしまうのは何も混ざってしまった神々のせいじゃなくて。彼女自身がすでに癒着しあった傷口みたいになって、――まだどこかで、憧れている】
【人間は嫌いだけど好きだけど大嫌いで、それで、大好きで。そこだけはどうしたって譲れないみたいな顔をするなら、それが余計に悲しげに睫毛を震わせて】

イルちゃん、――――、

【やめて、とも、やって、とも、言えなくなってしまうんだろう、ひどく混乱したみたいなら、ただ、小さな子供みたいにいやいやして、どうしようもできなくて】
【いじめられるのは嫌だった。否定されるのも嫌で。だけど。好きだって言ってほしかった。承認してほしかった。神様でありながら人間の世界に縁を作りすぎてしまったなら】
【どうしたらいいのか分からない目をするに違いない、――ちぎれてしまいそうだった、泣きたくて、でも、自分のために頑張ってくれた子の前で、泣きたくはなくて】
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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君という光 @ 2018/06/25(月) 21:19:22.27 ID:wWirb9mUo
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電脳恢恢AA雑談避難所 11網目 @ 2018/06/25(月) 21:04:43.85 ID:kZ5JtHE3o
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遺書 @ 2018/06/25(月) 20:40:43.39 ID:m/VMZFZN0
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