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【わが身世にふる】能力者スレ【ながめせしまに】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/20(日) 18:58:59.33 ID:qtz7cofr0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。

無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。

【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 

【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。

この世界は「多様性のある世界」です。
完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
コテハン「推奨」です!
基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
スレチなネタは程々に。
スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。

国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。

能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1541203437/】
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 :?????? ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2019/01/21(月) 18:35:09.78 ID:yD0InGwf0
>>1

前スレ>996

【浮世離れしている二人―――という、訳でもない。いや、正確には"片方"のみ、相当世間に疎い娘がいたが。】
【しかしてもう一人、老紳士の方は決して世俗から遠い存在ではなく。ある程度現状の"UT"について情報は得ていた。勿論だが、】
【その内部店舗である"たんぽぽ"についても―――だからこそ、会えるか会えないかはちょっと心配ではあった、のだが。どうやら杞憂だった様。】


 ん……今夜はツキが良いらしいね、スタン君。どうやら、お目当ての人に会えそうだよ。
 「おっ、てコトは……あっ! やっぱり居やがったなァ、"りんね"!! ひっさしぶりじゃねェかよォ! 元気してたか、おい!!」


【取り込み中ではあった様だが、問題なくそこに彼女はいた。鈴音、UNITED TRIGGERの給仕兼、たんぽぽの主催者。】
【店自体は現在閉店中、という事らしいが、紳士と恐竜女はそれぞれ鈴音に会うことを目的にして来ている。であれば、何の問題もなく。】
【鈴音の姿を見れば、スタンはブンブンと手を振って挨拶―――世の中が今たんぽぽの事であれこれ騒いでいるなど、知る由もない能天気さがさく裂した。】


―――ああ、こんにちは。取り込み中の所突然訪ねてしまって、申し訳なかったね。
いやはや、"此処"に来るのは6年ぶり、かな。―――最後に来たのはオープンの直前、だったと思うよ。

「なんだよなんだよ、りんねってばあんまし元気ねーじゃねえか! お店、やっちゃだめ?? なんのこったよ、おい!
誰かに嫌がらせでもされてんのか!?!? ひょっとして!! おっしそういうコトならあたしにお任せだ、ソイツ今すぐ喰い殺してやっから、な!!」

まあまあ、落ち着きなさいスタン君……今は色々あるのだよ、色々ね。倒すべき敵が一人なら兎も角……。
このお店が抱えている事情は、ちょっと複雑だ。そうだったね? ―――"鈴音"君。初めまして、私はセリーナ・ザ・"キッド"の知人で―――


【紳士は礼儀正しく頭を下げ、鈴音へとあいさつするだろう。スタンは鈴音と面識があるが、この紳士は―――】


"アルバート・ウィンチェスター" と申します。

このお店―――UNITED TRIGGERを創設するのに関わった、"ウィンチェスター 財団"の――――代表だ。
以後、お見知りおきを。


【その正体を名乗るだろう。曰く―――UT創設者たるセリーナ・ザ・"キッド"の知人にして、その関係者である、という。】
【それよりもその名前、そして所属先が重要だ。"ウィンチェスター財団"と言えば、地の国ではそれなりに名が知れた大きな財団法人であり】
【そのトップである代表がこうして来ているという事は―――単に食事をとりに来た、という訳ではない様で。UT創設に関わっている人間が、なぜこのタイミングで―――。】


「おい、りんね! にく!! にく食わせてくれよ、にく!! も〜あたしお腹ペコペコペコペコなんだよ!! あれつくってくれ、ほら、"はんぶーぐ"!!とかいうやつ!! あれ!!」


【隣で大騒ぎしているスタンとの関係も未だ不明。ともあれ、老紳士の方は腹を空かせて駄々を捏ねるスタンに困ったように肩をすくめて。】
【「とりあえず、何か食べるものを貰えたりすると―――大変有難い。」だなんて、鈴音にそう告げたりしたのだった。どうも、一財団の頂点に立つような人物には―――あまり、見えない。】
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/21(月) 19:42:16.41 ID:3Ru75ohJO
//>>1乙です
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/21(月) 20:44:55.21 ID:3Ru75ohJO
>>1000

【その問いかけは、最も恐れていたものだった。あるいは、目を逸らし続けた結果が言葉となって現れたのか】
【何度も、何度も連絡を試みた。通話。メール。SNSに伝言板。けれど返ってくるメッセージは全てが】
【彼の不在を示すものばかり。何か──何かを決定しなくてはいけない。何かしらの行動をしなくてはならない】
【それが出来る立場とチカラを持っていた。なら、後は実行するだけ。……そうしなかったのは】
【どこかに希望を持っていたからだ。もしかしたら次の瞬間、電話が鳴るかもしれない】
【ひょっとしたら明日にでも、扉が開いて懐かしい声が響くかもしれない。その希望を淡く燃やしながら】
【気付けば夏が終わり、秋が過ぎ、冬になった。──苦しげな表情だった。そう】
【答えられないのだ。答えたくない。行方不明が意味する事実は、そう多いものじゃないのだから】


…………随分、調べあげているじゃねぇか。流石は議員様ってぇわけだ
で────、一体どこに連れて来やがった
優雅なティータイムのお誘いにしちゃあ、仰々しい車と敷物だぜ


【沈黙が答えだった。苦虫を噛み潰した表情もまた、同様に答えだった】
【政治ゲームは得意じゃない。何手も先を読み合い相手の出方を探り合うなんてことは特に苦手とする部類】
【僅かな後悔が脳裏を掠める。けれどそれと同時に……これで良かったのかもという思いもあった】
【円卓などというシステムのひとつ。政治や心理戦に疎い自分が、たったひとりでどうこうするには流石に荷が重い】
【──車から降りる時、イスラフィールの手は取らなかった。せめてもの矜恃か。単に彼女のことが気に入らないというのもあったが】
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/21(月) 20:48:58.33 ID:sTKIpQFg0
>>1乙です!

>>2

【だけれど、やはりニュースも多い新世界のことだ。刹那に世間を賑わした食中毒事件は流行り病のように蔓延って、そうして消えて、けれど、消し得ぬ後遺症を遺していった】
【そのいくらか後にUT店舗ないで謎の粘液に塗れ気絶する子供たちが発見されたというのも、トップニュースというほどでもないが、ネットニュース程度は騒がせ】
【――或いはその時に給仕たる少女もまた目撃されていた。ならば何か知っているのに違いなかった。だとしても、彼女は、説明する義務を放棄したままそこに居た、なら?】

わ、あ――っ、あっ。えっと。元気……、――、げんき、だよ、――元気。

【炸裂する能天気――とはいえ、決して悪いものではない――に、少女は一瞬たじろぐのだろう。ミリ単位でうしろに引っ込みかけたのをすんでのところで堪えれば、】
【ごく曖昧な笑みで以って元気なのだと相手の言葉を肯定する。――すべてが嘘というほどではなさそうだった。けれども何かしらの真意を含んだまま隠している気配があった】
【グーともパーとももちろんチョキとも取れぬ曖昧な手の形は――ぶんぶん振り回すような手の挨拶への返答であるらしい】
【――いくらお日様の明るい時間とはいえ。どうにもそのテンションに押し負けてしまいそうなのは性質でもあるのだから、しょうがないといえば、しょうがないのだけれど――】

あ、えと……。――その、お料理、――していただけだから。……大丈夫、です、……お料理してると、落ち着くの、楽しくて――それで――。……オープンの、直前。
じゃあ、――、セリーナの、――え。あ、えっと、嫌がらせ、――じゃ、なくて、でも、あの、――、――――嫌がらせなんかじゃ、なくて、

【そうしてやはり見知らぬ彼へ目を向けるのなら、いくらも気弱げな笑みにて彼女は応対するのだろう。どうにも料理していただけであるのだと、――楽しいからしていたのだと、】
【――そう話す顔が微かな驚きのあとにかすかに淀むのに時間は必要ではなかった。オープンの直前というのなら何らかの関係者らしいと気づいて、ならば、思い浮かぶのは】
【――――長いこと行方知れずの彼女のこと。彼女が今より"拡がった"存在だったころに探したこともあった。――見つけられなかった。それだけが真実であるなら】

【嫌がらせ"なんか"じゃないなんて言葉は、彼へ答えようとしながらスタンの言葉に返してしまったがゆえに不意に出てしまった一言なのだと、】
【一瞬顰められた眉根が伝えていた。――だけれども取り繕おうとした刹那に伝えられる名乗り。びくり、と、強張る肩の温度、色違いの眼差しが刹那泳いで行った、――帰ってきて】

――――――、白神鈴音、です、えと、アルバート、――さん。――、――――、わたし、――ふえっ、あッ、

【意を決したような呼吸が一つ。後ろ手に曖昧な一つ結びを解いたなら、さらりと雪崩落ちる毛先の黒色、――何か激情を隠した表情が言葉を発しかけた、爪先の角度が相手を見据え】
【顰めるより涙を堪えるような角度の眉が慄くように力む。ふわり長い睫毛すら強張ったように戦慄いてしまえば、――、】

【――何かを言いかけたしょっぱなをスタンにへし折られる形になるのだろうか。真剣みが空回りしてしまえばかえって無惨な有様、惑ってしまえば、視線は二人の間を往復し】
【やがて紳士――アルバート――の方から、まずは何か食事を、と言われるまで、どうすべきかを見失って縮こまってしまうのだろう。言われカウンターに逃げ帰る背中の華奢さは】
【どうにも見た目以上にか細く見えるのかもしれなかった。――長いこと留守にしていた少女が出戻っていること、ただそれだけで事情があると推察するには十分すぎたし、】
【それが"この店"やひいては"セリーナ・ザ・"キッド""の事情までも含むのなら。――やはりお腹の空いたままでする話ではないように、思われて】

/たいへんおまたせしました……!
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/21(月) 21:06:26.61 ID:wHHn0GHoO
>>4

【イスラフィールは柔らかな笑みを向ける、聖堂に描かれた宗教画を思わせよう、いまこの瞬間においては】


ふふ、そう焦ってはいけませんわ、貴方様も薄々感じていたのではありませんか?
〈円卓〉の王は消失致しました、ならば、〈円卓〉というシステムが向かう矛先は何処へ?
それが自沈してしまう泥舟であるならば、長い間この世界の裏に君臨する事は不可能であったでしょう

試みは十重二十重で、一つのプランが潰えたならまた別のプランを、〈円卓〉とはその様な枠組みで存在しています
お分かりでしょう? 王の消失は終わりではなく始まりを意味します、また新たな世界を構築する
そしてそれは、─── 今までにない強固さを持って



【彼女が先導して絨毯を進む、廊下に置かれた調度品もまた、それぞれが超高級品であったから】
【やがて立ち止まる、仰々しい程大きな扉の前へ】


故に〈円卓〉の最高意志決定機関である "キャメロット" は判断を下しました、王妃である "ミラ・クラァケ" の処遇も含め
秘密裏に葬る、だなんて計画もあったみたいですよ、存外ジルベール様は恨まれていた様で
ですが、キャメロットの面々も愚かではありません、貴方様を害するのではなく、利用する方向で決定致しました


【扉を開いた、─── 広い室内には豪華絢爛を体現する数多の調度品と、そして】
【中央に佇むのは巨大な円卓、─── そして十三の席】


消失したジルベールを〈王〉"アルトリウス" に
残されたミラを〈王妃〉 "グィネヴィア" に
そして私は〈湖の乙女〉 "ヴィヴィアン" として新たな役割をさずけられましたわ

加えて、私達を守護する一騎当千の騎士達 〈円卓の騎士/Knights of Rounds〉

お分かりいただけましたかミラ様、貴方様が新たな〈円卓〉を率いるのです


【〈円卓〉は示した、消失した王に変わる新たな統治者を、そしてミラはその対象に選ばれたと彼女は言う】
【数多の疑念を飲み込んで、彼女は微笑んだ】
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/21(月) 21:38:01.11 ID:wHHn0GHoO
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8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/21(月) 21:38:39.38 ID:wHHn0GHoO
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9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/21(月) 21:39:29.06 ID:wHHn0GHoO
【 "教会" が力を失って早数年、多くの離反者と追放者により、その内部から大きく瓦解していた】
【識者曰く ──── 信仰を頼りにした運営が、そもそも破綻している、と】
【実際その通りであった、一握りの信者を除いた多くの人間は、教会という泥舟から降りて行く】

【だが、水面下で状況は大きく変わりつつあった、──── "宗教改革" である】

【単なる信者の集団であった "教会" に、ある一つの理念が生まれる、即ち利益追求、と】
【本来、信仰と経済とは相容れない関係性にあった、金儲けとは世俗的な試みであり、本来ならば唾棄されるべき行いであるのだから】
【けれども、"彼" が打ち出した一つの "考え方" は、その全てを根本から覆した】


「神によって救済される人間は予め決まってんだ、どうのこうの働きかけて救われようだなんて虫が良すぎんだろ?」
「寄付やら布施やらで神の意志を左右するとか冒涜もいいとこでしょ、バカバカしくて仕方ねぇ」
「ちったぁクソ足りねぇ脳みそ使って考えろよ、救われる人間なら神の思う善行とやらをするに違いない」

「だとすればそれは "信仰" と "労働" だ、金を払って救われるなんてクソくだらないこと言ってる間に黙々と働きやがれ」
「ん? それは金儲けだと? 世俗的だと? おい、誰だよこれ書きやがったクソ野郎、脳みその代わりにメロンパンでも詰まってんじゃねぇのか?」
「俺の言いたいことが微塵も伝わってねぇな、いいか、大変優しい俺様がお前らを啓蒙してやるよ」

「俺達は金儲けをする為に働いてるんじゃない、救われる人間が、救われるべき人間として、当然の労働をしてるだけだ」
「利益なんっつーもんはその結果でしかねぇよ、俺達が利益を得れば得るほど、それは善行を成してんだ」
「そうして得た利益は、更に多くの利益を産むために費やされる、ほら、合理的だろ?」


【旧来の概念であった、教会に対しては信仰心を示す為に寄付をしなければならない、という観念の破壊】
【加えて、彼は利益追求である金儲けを推進した、"教会" が利益を得る事を肯定したのである】
【その結果 "教会" は旧来の意味合いである "統治機構" を越え、一つの企業として動き出した】
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/21(月) 21:40:02.66 ID:wHHn0GHoO
【更に彼は "能力者" に対しても、革命的な理論を推し進めた】


「 "能力" ってのは単なる才能の一つだ、神に愛されたとかそんなんじゃねぇ、足が速えとかそういう理屈だろ」
「だとすりゃ活かせばいい、腕が四本ありゃ作業効率は二倍だ、人より多く利益を産むことが出来る」
「はは、そういう意味で言えば神に愛されてるかもな、いいか二度は言わねぇから良く聞けよ」

「 "異能主義/Meritocracy" ──── 天才の俺様がそう名付けてやった、要するに能力がある奴はその能力をフルに使えってこった」
「能力者なら能力を使って利益を上げろ、その才能はその為に使われるんだ、無駄遣いすんな」
「別に才能ある奴に得意分野やらせてるだけだ、嫉妬すんじゃねぇぞ」


【瞬く間に彼が打ち出した理論は旧来の信仰に取って変り、新生 "教会" 勢力とも言える支持者を生み出した】
【 "教会" は復権しつつあった、一人の宗教改革者の手によって、──── "金の国" を中心に彼は改革を進めた】
【彼の名は マクスウェルマーリン<Eェーバー、宗教部 "枢機卿" が一人】



【件のマクスウェルはある異端狩りの少女を呼び出していた、金の国に存在する "聖堂" へ】
【 "教会" 内部における異端児たる彼を快く思わない人間は多かった、特に旧来の信仰を第一にする人間達にとっては特に】
【それ故に彼は討論の場を持った、特に貴重な "高い資質を持つ" 人間に対しては】

【そんな理由で彼は貴女を呼び出した、扉を開けたなら一際大きな机にふんぞり返る男が一人】

【黒い短髪を派手に撫で付け、胸部を大きく露出した耽美的な黒のドレスシャツ】
【黒の司祭服を袖を通さずに羽織り、首元には申し訳程度のロザリオを垂らして】
【真紅の瞳が印象的な長身の男性であった、彼は貴女を一瞥したなら】


銀≠ネんて厳つい二つ名してっから、どんな大女が来ると思ってたら
可愛い子猫ちゃんとは神も粋な計らいしやがる、信仰のひとつやふたつ持っておくべきだな
ようこそ初めまして、─── 仲良くしようぜ
11 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/21(月) 21:50:10.73 ID:/NagNkjRo
前スレ>>997

【そう述べるのであれば彼女もまた曖昧な表情で頷くだけだった。「古い男。」茶化すような笑いにて白磁を晒す。質の悪い冗談の類だった】
【彼女が袖裏に忍ばせているのはポリマーフレームのオートだった。撃鉄もなければグリップも短い、寸詰まったような見為のコンシールド。】
【挙句に切り欠かれたスライドから見える金色のバレルが目に眩しく、それでいて鉛玉はきっちり吐き出すコップ・キラーであるのだから狡っからい代物だった。そうして彼女はそれを隠して、露わにする事はなく】
【伸ばした掌と袖口の隙間に、辛うじて直黒のスライドが垣間見えるものだろうか。 ─── 柔らかな筈の掌も、彼の頬に劣らず冷たかった。人を殺す人間の掌だった。吹き込む夜風は寂しげに高鳴って室温を殺していた】

【「でも、仕方ないんだ ─── 好きになったんだから。」身を翻せば雪膚の感触は幻想と等しく消えた。悪びれない声音だった。潤む眦は慕情の質感に等しかった】
【飲み干されたグラスをシンクへと連れ去る。水周りの所作も手馴れていた。何食わぬ顔でグラスを磨きながら、その屈折に甘い微笑みを映し込む。折り重なる独白めいた言葉に、首肯かずして肯いていた】



「 ……… つまりはアナタ、狼少年になる手伝いをしてほしい訳か。」「都合がいい。ボクの知り合いにも狼がいるんだ。」
「飛び切り高潔で、誇り高くて、慈悲のない狼さ。」「一ツ遠吠えをしてやれば、アナタの訃報なんて搔き消してしまうような。」


【そうして一通り彼が言葉の選択肢を無くした所で、 ─── 彼女が答えとしたのは要約だった。とはいえ矢張り揺れる濡羽色は艶やかであったから】
【要約として成立しているかどうかは論も別れるというものだろう。拠ん所のない指先が、思索に水滴をなぞる。いつしかカウンターに張り付いた水滴】
【渇いてしまうほどそれを引き伸ばした後で、彼女は改めて唇を開いた。やはり茶化すように小首を傾げていた。彼女の癖であるらしかった】



        「良いよ。 ─── 悪くない話だ。」「だが、そいつは手附金で貰うぜ。 ……… 全て首尾よく終わったら、そうだね。」



【「今度はボクに、一杯おごってくれ。」 ─── 勝手に飲ませたカクテルの御代が、つまりは後金であるようだった。幾分も勝手な女だった。それでも儚いほど愛らしい眦の角度に、きっと今まで全てを赦されてきた】
12 :アルバート・ウィンチェスター ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2019/01/21(月) 22:10:14.93 ID:yD0InGwf0
>>5

【鈴音という娘はとても内気である―――内気ではあるが、芯が強く、そしてとても優しい。】
【それがセリーナから聞いていた彼女の特徴だった。アルバートは目の前の少女を、成程その通りだ、と観察し。】
【しかしとはいえ、単に内気というには顔見知りのスタンが居てもどこか浮かない様子が見え隠れするのは気のせいでもないらしく。】


……うん。元気なら、それは良かったよ。状況が……状況だからね。
今更ノコノコ出てきて何を、と思うのであれば……それについては謝罪したい。

そうか……しかし本当に、セリーナ君の言う通りなんだね。君は何かあると、料理を始めると。
楽しげにそう言っていたよ。彼女は随分と悪戯が好きだからね……君もだいぶ"からかわれたり"しただろう?

「あぁん!? いやがらせじゃない!? んだよじゃあなんでそんなに落ち込んでんだよー! スタン様がじきじ……じき、……"じじきき"に、あそびに来たんだぞ!! もっと喜べ!!」

それを言うなら、"直々(じきじき)に"、だよ。まあ、ともかく……いや、すまないね。来て早々に、ご飯を所望してしまって。
でもスタン君が聞かなくてね、君のハンバーグを食べないと私を喰うぞと脅してくるんだよ……はは。


【物腰柔らかに、鈴音の所作を見据える。一瞬だけ変わった表情、動いた眉、慄くような素振り―――】
【スタンの阿呆さが幸いして、それが全容を現すことはなかったが。アルバートはじっと、鈴音の動きと、表情を見つめていた。】
【やがて「失礼」と一言つぶやき、スタンとともにカウンターの席へ座り―――彼女の料理を見つめながら、重々しくはなく、むしろ軽快に、次の言葉を発する。】


―――――――いやあ。……見つからないねえ。セリーナ君は。
君の方は、最近。此処には来ていないようだったね。


【―――核心。であり、隠さない意図。紳士は困ったような笑顔で、鈴音を試すように言葉を紡いだ。】
13 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/21(月) 22:26:54.33 ID:wJU4YItj0
>>9-10


【大きな扉を開けて入ってくるは小さな影。】
【白い外套を頭まですっぽりと被り、そこからミントグリーンのおさげが垂れている少女であった。】
【白い外套の少女は言葉を発さず、つかつかと前へと進み出ればそのまま相手の前で跪いた】
【そして頭を垂れる。】



―――遅くなり申し訳ございません、マクスウェル卿。
異端者を追って水の国の深部まで潜入しておりました故、召還に気づくのが遅れました。

ご存じだとは思いますが、異端狩り¥椛ョアンゼリカ≠ニ申します。



【アンゼリカと名乗る少女はふんぞり返る男に対して律義に挨拶した。】
【無論、この男がどのような方針を推進しているかは知っているしそれに対して思う所も多分にある】
【だが現実問題衰退し、多くの信者たちを路頭に迷わせていた教会≠立て直したのは目の前の男であるし】
【何より気に入らぬからといって自分より上の位の人間にすぐさま噛みつくほど狂犬でもなかった。】

【子猫≠ニいう表現にフードの中をピクリと反応させてから、視線を上げる。】



して、信徒の為前線で戦うしか能のない私にどのような御用でしょうか。



【フードは取らない。それが無礼であると知りながら】
【それはアンゼリカの中の一つのプライドでもあったしコンプレックスでもある。】
14 : ◆UYdM4POjBM [!nasu_res]:2019/01/21(月) 22:30:20.57 ID:ihtgx/27o
【???】

【障害物と呼べる障害物がほとんど見かけられないほどに真っ平な土地がそこにはあった】
【地平線の向こうまで平面なのではないかと思うほどに広い場所だった―――ゆえに、唯一そこにある『巨大なモノ』だけはいやでも目に付く】
【先端を空へと伸ばし今にも飛んで行ってしまいそうなそれを眺めながら、携帯電話で会話をする者がいた】


―――そっスかぁ。イル=ナイトウィッシュは正義に燃える物好き集団に無残にぶち殺されて
グランギニョル神話はひとまずの完結を迎えましたとさ、って訳だ―――ハハッそりゃ良かったじゃないッスか
アタシの懐がまるで痛まずに済んだあたりが本当に素晴らしいッスね

じゃあ後は……嵯峨野 鳴海の遺品を荒探ししてお目当てのモノを『回収』……って流れな訳ッスか


【その女は、茶色の長い髪を左右でお団子状に丸め、もみあげを鎖骨の辺りまで伸ばした形の髪型をしていた】
【濁った鳶色の瞳にレンズがやや大きい丸型の眼鏡をかけ、首の所には赤に黒のチェック柄のマフラーを巻き】
【ぶかぶかの宵闇色のコートを羽織り、下は黒いスカートに、白地に黒の菱形のマークが縦に並んだソックスに茶色のローファーの小柄な女だった】

【"不機嫌そうな"顔のまま今にも歌いだしそうなほど楽しそうな声色で小柄な女は電話に向かって話し続ける】


不安そうにすんなブレン。奴らは<harmony/plan>を扱ってた。その時点で収穫ゼロはありえない
"あの"技術のたった一つの出所がわかりきってる以上はな……『だからこそ』お前にとっては最大の脅威だったッスけど
……ま、ライバルが一人減ってよかったじゃないッスか


【小柄な女はしばらく巨大なそれを見上げながら電話の相手と話を続けていたが―――やがてそれに背を向けて歩き出す】
【向かう先は100m先のヘリコプター。それに乗って"別荘"へ帰宅する】


まあでも例によって当分はそっちに戻れない。しばらくはお前とレオに任せるッス
"シャトル"の建造も今が一番大切な時期なんスよ。こいつは"アタシ"と"おまえ"、二人で目指したものを手に入れるために大事なモノだって事はわかるだろ?
後、普通にお前らアタシより荒事向いてるし?

んじゃ、"計画実行"の際に落ち合おうか。―――お土産楽しみにしてるッスよ、"相棒"


【その女の背後にそびえるのは―――全長56mほどもある巨大な乗り物だった】
【白いボディにフロントやウイングに黒い縁取りを塗った特大の―――有人宇宙船。スペースシャトル】
【二つの打ち上げ用ロケットや赤色の使い捨て燃料タンクなども含めて、非常に一般的な形状のシャトル】

【しばらく歩いた女はヘリコプターに乗るとそのまま飛び去って行くだろう―――最後に搭乗席から"シャトル"を眺めると――"笑った"】
【もっとも、この女の場合表情として浮かび上がる感情は信用が置けないものだが】

/こちら、絡み不要です
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/21(月) 22:39:16.65 ID:sTKIpQFg0
>>12

【――――例えばちょっとだけ"失礼"なお客さんが来た時。例えば、"たんぽぽ"の子供たちに酷いことを言われた時。ほかにも、たくさん、それとも、理由はなくても】
【彼女はよく誰がこんなに食べるのかしらと思うようなくらいの量の料理を作ることがあった。――どうにもそれが彼女のストレス発散法の一つであるらしかった、ただし】
【それがそうだという自覚はあまりないらしかった。ただひたすらにたくさんの料理をこさえて、食べてくれそうな人を付き合わせて、なんとか全部なくならせるのがパターンになって】

――――――、セリーナ、が?

【――だからもちろんセリーナが"被害者"になったことも、多いだろう。カウンターの中に逃げ込んだ少女が小さく呟いて、だけれど顔色までは、伺えない】
【それまでの言葉に彼女は反応を見せなかったから、――彼のことを責める気など毛頭ないのだろう。そして久方ぶりに会うスタンについても、もちろん、そんな気はあるはずなく】
【ならば少女は件の女性に対して何らかの執着を抱いているらしかった。――だいぶからかわれたかという言葉には曖昧な沈黙が返る、今度は、遠巻きな肯定であるのだろうから】

――――落ち込んで、ないよ、……。だいじょうぶ。……。――その、えっと、……。――――、考えなきゃならないこと、たくさん、あって、
夕月ちゃんはお休みしろって言ってくれた、けど――。――そんな場合じゃ、たぶん、なくって。――でも、何をどうしたら、いいか、…………。

……今は、スタン様に、美味しいごはん、作るの、頑張るね。

【何度目かの曖昧な表情だった。落ち込んでふさぎ込むというよりか、頭の後ろっかわにたくさんの重りがくっついて、つい視線が下向いてしまうような、顔をしている気がした】
【スタンに話しながらもアルバートを何度か横目で確かめていた。あるいは、アルバートを見ながら、スタンに話しているのかもしれなかった。――警戒とは少し違う/少し似る薄皮一枚】
【先ほど置いたお芋を取り上げながら、――これは明確にスタンに目と声音を向けて。たった今この瞬間は二人においしいものを振る舞うのを目標にするから、と、宣言したなら、】

………………――――――、ごめんなさい、どうしても、用事が、たくさんあって。

【カウンター越しの細めた眼差しは、――きっと嘘を吐いていた/だけど嘘ではなかった。求められるなら答えねばならぬを理解していた、そのうえで、】
【どうしたって食事しながら出来る話ではないのを伝えていた。もっと言うのなら、――きっと"そんな"話をするなら、二人きりが良かった】
【スタンの鮮やかな感情は時として救いであるけれど、また別の場面では毒たりうるのだと。――少なくとも少女は言葉を捲し立てられると少し躊躇う仕草を時折見せたから】

"食中毒"も……。……ごめんなさい。わたしがきちんと居たなら、――、カニバディールも、――スクラップズも、手を出さなかったかも、しれない。

【――そうしてまた一つ明確に嘘を吐いていた。眉根を寄せた表情は沈痛さを帯びていたけれど、それはどこまでも隠さねばならぬ関係性、違う悪事を彼に擦り付ける気分の悪さ、】
【件の"食中毒"は、その後、スクラップズ――カニバディールの犯行であるとされていた。何より彼ら自身の行動によって。おそらくは庇ってくれたのだと思われた、そうだとしても】
【どちらにせよ少女が長く不在であったことは変わらず。そしてまた何か事情を知っているのも正しく。そうして握ったじゃがいもが無意味にまた置かれる、音、】

…………スタン様が来てくれたんじゃ、ハンバーグがいいね。アルバートさんも……大丈夫、ですか?

【作る気であった何かを諦めた――というよりは、予定を変えたのだろう。ならばハンバーグを作ろうということになって。それでよいと言うことになれば、きっと、作るから】
16 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/21(月) 22:42:12.39 ID:ihtgx/27o
【聖都 中央商店街】

【日もすっかり暮れ、店の殆どが閉店時間のためシャッターを下ろす時間帯】
【白い街灯に照らされ人通りがほとんどないその道を―――楽しそうに歩く者がいた】
【携帯電話で会話しながら機嫌よさそうに彼女は歩く】


うん、それじゃあしばらくは私にまかせてほしいし!じゃあね!コマチ!


【肩のあたりまで伸びた長い金髪の髪の上に、"10"と書かれた缶バッチと、逆五芒星の缶バッチの着いた丸い布の帽子】
【ぱっちりと開いた目からはエメラルドのような翠色の瞳が覗き込み、まるで西洋人形を思わせるような顔立ち】
【赤いダッフルコートを上から羽織り、首元に赤いリボンを結んだ紺のブレザー、赤と黒の縞模様のスカートに黒色で厚手のタイツで足を包んだ年若い少女だ】

【ピッ、とボタンを押して通話を切ると少女は意気揚々と帰路に就く】


この世界もすっかり物騒になっちゃったわね〜、無論私にとっては慣れた所な訳だけど
そーゆー治安の悪い所はさ!……ま、わかりやすくていいと思うし!さぁーて、後は私の望む展開に引っ張っていけるかなぁ〜って

……うぅ〜、それにしてもここ、さっむぅ……!!早く帰ってじいやにあったかい紅茶でも淹れてもらおうっと!


【体を抱きふるふる震えながら、突如吹いた北風に少女は早々に駆けだそうとする】
【この場には彼女一人だけ、目につくのも彼女だけなので声が上がれば反応するだろう】
17 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 22:42:28.88 ID:8bTA1Budo
>>13

【彼は椅子から降りて少女へと歩み寄る、悠然と見下ろす姿は聖職者と言うよりかはハリウッドスターに近く】
【大仰な動きで屈んだなら、跪いたアンゼリカへ手を伸ばし、ゆったりと顎を押し上げようとするだろう】
【そのまま持ち上げる形で、強引に自分の方向を向かせようとして】


そう畏るなよ、知ってるんだぜ、アンタが俺の事を気に入らない事ぐらい
というよりこの組織の中で俺を気に入ってる人間の方が珍しいもんな、罵詈雑言で新約聖書が作れるだろうな
はは、でも一体現実はどうだい? どいつもこいつも俺の顔色伺って生きてる

──── 脆い脆い、信仰なんてこんなもんさ、神相手に良い顔するか、俺相手に良い顔するかの違いだ

なぁ子猫ちゃん、子猫ちゃん扱いは嫌いかい? そうだもんな、一人のレディに対して失礼だ
申し遅れました、私マクスウェルマーリン<Eェーバーと申す者、どうかお気軽にマーリンとお呼びください
ほうら、信仰心のお試しだ、──── 心から傅くから、跪くっていうんだぜ?


【凡そ傲慢を絵に描いた口振りであった、上から下へ、紡ぐ言葉は何処までも】


そう、信徒の為に戦うしか能が無いお嬢さんを、信徒の為以外にも戦わせる為にお呼びだてした訳さ
古人曰く啓蒙と、長いものには巻かれよ、信じる者は救われる、教義の基本だろ、お偉いさんの話は聞け、と
意外にも “旧教” の連中には子猫ちゃんは人気なんだ、可愛らしいルックス、健気な行動、そしてなによりもその強さ

それを戦いにだけ消費するのはバカのする事だろう、もっと多角的に多面的に物事は捉えなきゃいけない

なぁ子猫ちゃん、“聖女” になる気はないかい?


【 “旧教” ──── 彼の教義に従えず敢えて命令を受け入れない人間達を、侮蔑を込めて彼らはそう呼んだ】

18 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/21(月) 23:01:07.29 ID:wJU4YItj0
>>17


【顎を押し上げられ、相手に目線を合わせられる。】
【この男のような目は知っている。教会≠ノ入る以前、まだ愛玩獣人奴隷として売られていた時によく見た】
【自分を慰み者に、食い物にしようと下を舐めずる者の眼だ。】

【不意に記憶が蘇る―――その檻から私を出したのは。】


【―――バチンッ。】
【静電気と呼ぶには些か強すぎる銀色の電流が一瞬だがアンゼリカの身体を駆け巡る。】
【あくまで一瞬だ、仮に喰らってしまっても大した事はないだろう。】
【アンゼリカは顎に手を当てられたまま眼を伏せ「失礼」と小さく呟いた。】



私は貴方に何も感じていません=Bマーリン卿。―――敵意≠熈好意≠
しかしあまりお戯れが過ぎますと前回≠ニ同じ失態を起こしてしまうのではないでしょうか。



【アンゼリカは今一度マーリンを見る。無関心な瞳で。】
【勿論腹の底は違う訳だが、このような男にはまず相手の土俵に上がったら負けだと思っている。】
【少し皮肉めいた言葉を放ちながらじっと相手を見つめた。】


お戯れを―――ご覧の通り私は愛想など持ち合わせていませんので、広告塔には適さないかと
それに………聖女≠ニ呼ぶには様々な面で汚れすぎておりますから。
19 :アルバート・ウィンチェスター ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2019/01/21(月) 23:01:41.27 ID:yD0InGwf0
>>15

【何も言わずとも、誰に頼まれずとも、作ろうとしていた―――用意しようとしていた。】
【という事は、やはり現状は鈴音にとってストレスフル―――ないし、困っている状況にある、という事。】
【だが、それもその筈だ。責任者は行方不明、後を継ぐはずのインチキ半魔も消え去っている、となれば。"何かしら"溜まる。】


――――ああ。勿論、セリーナ君が、ね。

「アイツよぉ、あたしもあんまりたくさんは会ったコトねーけどさぁ、だいたい"りんね"の話してたぜ!
ごはん作りすぎてー、とか、けんかしてー、とかぁ。ごはんなんて、作ったら喰えばいいだけなのにな! あっはははは!」


【しかしどうしても、まだ打ち解けられない。それは旧知の仲である筈のスタンであっても。】
【鈴音の背負い込んで居るもの―――その身に沢山、縛り付けているものの多さは、もはや測れない。】
【アルバートはチラ、とスタンをみやり。この分なら、ハンバーグさえ食べさせておけば―――静かにはしてくれる筈だ、と。】


……ああ。それじゃあ、ハンバーグをお願いしようかな。
君のは世界一だと、スタン君もセリーナ君も口を揃えてそういっていたから、ね。


……ところで。私も探したんだ。君ほどではないけれど、これで時間は掛けてみたんだが……。
見つからなかったよ。不思議なものだ、セリーナ君は決して"軽い存在"ではないだろう。

もし悪い組織につかまっているのなら―――そうたとえば、カノッサにつかまっているのなら。
カノッサが何らかのアクションを起こしてきてもいい。テロリストなら、セリーナ君の開放を条件に政府へ交渉を持ちかけるだろう。

そういった物が一切なく―――それでいて行方不明。
まっこと、不思議な話だね。まるで……セリーナ君自身の意思で。


――――消えたというより、"居なくなった"、というような。


【スタンはまだ横にいる。鈴音がこの"問いかけ"を嫌がるのかどうかを、彼は見ているだろう。】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/21(月) 23:07:08.00 ID:dUP3uuP5O
>>6

【調度品を眺める余裕なんてなかった。イスラフィールの話を飲み込み切るだけの余裕も】
【ならばゴツゴツとした靴音を絨毯に染み込ませ──考えようとした。これからのことを】
【だが考えるといっても何を考えればいいのか。円卓なんて組織に与することになったのも】
【そもそもジルベールがいたからだ。そしてその先の夢があったから。ジルベールの夢】
【それが面白そうに見えたから一緒に追いかけようとして──そう。約束をした。一緒に世界の天辺を見ると】
【ぐ、と唇を噛む。(絶対に帰ってこいなんて言っておいて。なんでてめぇがいなくなってんだよ)】
【拳を握った。振り上げることも、振り下ろすこともしない。青い血も滲まず──】
【ただその心の中で。幼い頃に交わした無邪気な約束にも似た言葉が、ずっと響いていた】


 【 そして開かれる扉 】 【 十三の席 】 【 ──円卓 】


    …………、……………………っ、……………………は、


【見開かれる金色の目。混乱と困惑と。唇は震え、視線はさ迷う。分かりやすく動揺していた】
【だがいくら視線を四方に向けたところで、この場にいるのは自分とイスラフィールの2人のみ】
【──王座は空だった。空っぽの王座。不在。取り返しのつかない欠落。言葉にもならない言葉が】
【広すぎる室内に溶けて消える。(何を…………、なん、────なんて、言ったんだ。この、女は)】

【有名な御伽噺にキャストを擬えたのは分かる。そんなに詳しくは知らないから、そのキャスティングに秘められた意味なんて】
【推察のしようがないが。そんなことよりも重要な言葉があった。分からないなりに分かるのは、ただ一つだけ】
【深く呼吸をする。(そうだ……クールになれ。頭を冷やせ。そうだろう────“ROSSO”)】


…………言いてぇことは山ほどある。全部、てめぇらへの文句だ

そんでもって────そのキャメロットとやらの決定にあたしの意思が関与する余地はねぇんだろ?
クソが…………その口ぶりから察するまでもねぇよ
あたしがこの話を断わりゃ、こんな豪華な部屋が即座に処刑場に変わる。ただそんだけの話だ

だとするなら…………今は首を縦に振っといてやるよ
こんなところで殺されるのはまっぴらごめんだ。暗殺なんて尚更なぁ


【声を押し殺す。湧き出てくる感情を潰して回る。髪が燃えるように騒つくのがはっきりと分かる】
【それでも今、感情を爆発させるわけにはいかなかった。怒りも悲しみも不条理も】
【それをこんな場所でブチまけてやるわけにはいかない。もっとふさわしい場所がある。だから】

【(────ジル。あんたを…………“死なせ”はしねぇよ…………!)】


だがなイスラフィール。ヤられっぱなしってぇのはあたしの性分じゃあねぇ
乗られてばっかってぇのはどうにもこうにも腹が立つ…………!
だから…………一つだけあたしの要求を呑めイスラフィール──いいや、円卓…………っ!!


<王位>は空白にしない…………!ただ名前だけの存在じゃあねぇ…………!
“そこにいる”────それを示す!<円卓>の王にジルベールありと…………!

しかもあいつは強欲の六罪王…………カノッサ機関とのこの上ねぇパイプを、よぉ
てめぇらだって……ぎゃ、は────手放したくは、ねぇだろぉ?

/2つに分けます!
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/21(月) 23:07:20.14 ID:dUP3uuP5O
>>6

【──姿が、変わる。知っているか、彼女の<ミミック/擬態>を】
【完璧な模倣。身長も体格も、顔も当然。声すら同一。心までは模倣できないこの力の弱点は】
【親しく近しい人間と話せば、その不自然さがどうしても隠しきれないこと。なのであれば】
【自分こそが最も相応しい──この、異能の行使は。あの掌の大きさも、仕事に対する厳しさも全て知っている】
【どこか素直に笑うことだってあるのも、敵には非情なことも、存外マナーはいいってことだって全て】

【身長は180を越す。体格の良い身体を紫色のスーツに包み、“その男”は不遜な笑みを浮かべていた】
【コツ……と室内を歩き回る。ゆったりと、自分の居場所を確かめるように】
【背から溢れるのは自信。ポケットに手を入れてしばし室内を見渡した後】
【男はゆっくりと振り返る。黒い眼が、然りとイスラフィールを捉えて】


『これで…………何か問題があるか?』

『<妃>の座はミラに。<王>の座は引き続き俺に──く、はは。結局今までと変わらないが』
『お前たちにとってはそれが一番いいんじゃないか?手間は取らせたがな』
『無駄な会議になっただろうが……まぁ、別にいいだろう』

『今後は基本的な応対はミラがする。俺が肝心な時に表に出る』
『以前よりも俺が何かをするってことは減るわけだが…………』
『そんな些細な事より、お前たちは自分たちの財布を気にするタチだろ?』


【<妃>の我儘と捉えるべきか。あるいは<王>の帰還だと考えるべきか。その判断はイスラフィールに委ねられる】
【どちらにせよ、ミラが円卓を率いていくという事実には代わりないのだから】
22 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 23:10:21.66 ID:8bTA1Budo
>>18

【静電気を浴びた、しかし、彼の指先に乱れはない、頰を伝う様にしてそのフードへと伸びて】
【彼はめくり上げようとする、─── 叶うのなら、その全てを白日の下に晒そうと】


く、くく……はは、ひゃははははは!! 失態か、失態と来たか!! そいつは結構な物言いだ子猫ちゃん!!
良いねぇ、失態だとは良く言ってくれる、その通り失態だよ、完膚なきまでの俺の敗北さ
でもそれは一面的な結果に過ぎない、次はうまくやろう、だなんて誰もが思うだろう?

俺たちの神は存分に慈悲深い、その為なら俺は何だってするし、何だってできる

恥も外聞もそれは副次的なもんさ、良い子にしてたら神は救ってくれるのかい? だとすれば神に対する冒涜極まりない
良い子にした程度で救ってもらえるなら、それは神をバカにしてる、そうだろ?


【それを皮肉と呼ぶのであれば、手習いよりも未熟な皮肉であっただろう、ことこの男に大しては】


だから、いつまで “旧教” の価値を引きずってんだよ、宗教だけじゃなく頭ん中も改革しなきゃなんねぇのか? あん?
子猫ちゃんの何処が汚れてるんだ、くりっとした可愛い目にぷりっぷりの肌、髪もいい香りだしおまけに鼻もキュート、確かに背はちんまいけど、そっちの方があってるだろ?
ベイビィフェイスにナイスバディくっつけるなんてバカにしすぎだろ、ロリはロリで完結させとけよ

ひょっとして嬲り者とか慰み者にされた程度で汚れたとか言ってんの? だとしたら豚も羊も牛も鳥も馬も汚れてるよな、それ食ってる俺たちも況や
ちょうど良いんだよ、子猫ちゃんが、──── その姿のアンタが、ぴったりだ






23 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 23:21:23.08 ID:8bTA1Budo
>>20>>21

【全ては予定調和、──── ジルベールが妃にミラを選んだのも、彼が王になったのも、そして、彼が消失してしまった事も】
【〈円卓〉の座は開かれた、空白に堕ちた二つ分の席を一人が埋める、それはつまり、誰よりも権力を持つ卓上の支配者】
【イスラフィールは微笑んだ、単なる権力の “器” であった〈円卓〉に、確かな意志が宿ったのだから】


流石 “王様” 話が早いですわ、私達の様な下々の者に手間を取らせず、物事を進ませる
とは言え、私達も “キャメロット” も貴方様を縛り付けておく趣味はありませんので
さて、一つ指針を、─── いえ、天啓を授けると致しましょう ─── ランスロット


【円卓の座から一人の青年が歩んでくる、悠然とした歩み、細い体躯がその足取りを静かに形容し】
【金色の長髪を後方で一纏めに結い、白を基調としたロングコートに身を包む】
【腰には一本の剣、騎士という言葉の体現者に相応しい好青年であった】


「ミズキランスロット<買@レンタインです、〈円卓の騎士〉が一員として、王と王妃の刃となりましょう」
「遠慮せずに私をお使いください、あらゆる任務において、貴方の望む結果を私は提示致します」


【そう言って彼は柔和な微笑みを向ける、─── 済んだなら数歩下がって】


〈円卓〉は新たな矛を手にしましたわ、それはつまり、〈黒幕〉とも対等に戦えるという事です
そして何より、貴方様達が描く世界には、────── 力が必要でしょう?


【イスラフィールは意味深に笑った、その眼鏡の奥を歪ませて】


24 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/21(月) 23:24:04.40 ID:2x2WPn57o
>>1乙です

>>16
【聖都。読んで字のごとく、本来なら下賤の輩が入り込んで良い場所ではない】
【走っていくもまた闇に属してはいるが、本来なら高貴な身分】
【今、この場にどこからか忍び込んできた溝鼠とは雲泥の差である。溝鼠は、ざらついた重い声音を彼女へと発した】

――――ブレンヒルト様

【聞き覚えのある声であろう。路地裏の闇から微かに、しかし確かに彼女の下へと送り出された声】
【そちらへ目を向ければ、2メートルを軽く超える巨体をすっぽりと黒い外套で覆い、黒いゴム長靴を着用した】
【一匹の小悪党が、その場に佇んでいた】

ご無沙汰をいたしておりました。ここ最近は、何かと頻発する異常事態に振り回されていたとはいえ
連絡も途絶えていたこと、深くお詫び申し上げます

……コマチ様も、ご息災で?

【フードの下から三つの目玉を覗かせて。カニバディールはそう語り掛けた】

/まだ大丈夫でしたら!
25 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/21(月) 23:34:04.45 ID:wJU4YItj0
>>22


【フードが暴かれる、その先にはあるのは犬のような動物の耳。即ち獣人。】
【一昔前までは差別の対象ともなっていたマイノリティ、そのほとんどが奴隷として売買されていたという。】
【彼女もその一人であった、だが】

【マーリンは知っている筈だ、彼女の身体に眠る秘密≠ヘこれだけではない。】
【アンゼリカは睨みつけるようにしてマーリンを見上げる】



―――ち。



【一つ返す舌打ちは即ち敗北の白旗。】
【であればもはや取り繕う必要もないとマーリンの手を思い切り振り払おうとするだろう。】



貴様のような下賤な者が枢機卿とは反吐が出る。
本当に前回と同じ道筋を教会≠ェ辿らないかと胸が痛むぞ。マーリン。

―――何が望みだ、言ってみろ。私の方も条件がある。



【立ち上がり、相手を見上げながら詰め寄ると冷たい瞳でそう言い放つ。】
【アンゼリカが出す条件、しかしてその目的はただ一つの仇≠ナあることはマーリンは既に掌握しているのだろうか】
26 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/21(月) 23:41:56.94 ID:ihtgx/27o
>>24

【真っ当な人間にとっては怖気すら走るような声だったのだろう】
【しかし、彼女はその声を聴くなり可愛らしい目を大きく見開くと、声の方向した方へと振り向くと―――】
【明らかに危険な見た目であるにもかからわず―――にっこりと眩い笑みを向けてきた】


あっ、カニバディールじゃない!お久しぶりね!
無論忙しかったってのは風の噂で前から聞いてたし!"虚神"の一件ようやく解決したんですってね!
お疲れ様って訳よ!


【ぶんぶん手を振って、足どり軽くその場でたんたん、と小躍りするように靴音を鳴らしながら】
【幼い子供のように旧知の間柄の"仲間"との再会を喜ぶだろう】
【コマチの事を聞かれると、にっこり笑いながらカニバディールに近づき意気揚々と答えてくれるだろう】


コマチはついさっきまでお話してた訳よ、無論元気そうだったし!
まああいつのおかげで私たち成金セレブな訳だしね!――……今はね、私たちの"秘密基地"の一つで次の次ぐらいの計画にかかりきりなの
高い金はたいてまで用意したとっておきを、いつ披露しようかなーってずっと待ってた所なんだけど

無論、その前にカニバディールも近頃の近況を私に教えて欲しいし!
一番近くの隠れ家でじいやも"紅茶"を用意して待っててくれてるだろうから貴方の分も振舞ってあげる!
さ、おいでおいで!歩きながらいろいろ聞かせてほしいし!


【少女は無論、カニバディールという小悪党が何者であるかは知っている―――どれほど恐ろしく残忍な男かも】
【それを知っていてなお、相も変わらず全ての存在に分け隔てなく振舞うその天真爛漫さは健在のようだ】
【話を聞きながら―――ナンバーズ≪No,10≫ブレンヒルト・フェイタルベルンはカニバディールの話に耳を傾けつつ、手招きして先導してくるだろう】
27 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 23:44:01.77 ID:8bTA1Budo
>>25

【振りほどかれ彼は立ち上がる、──── 高笑い、顔を抑えながらする様子は、苛烈な声色を潜ませて】


ハハハハハ、下賤! 下賤と来たか! 頭ん中必死に振り絞って出た言葉が下賤かよ!
良いぜそのファンシーな耳かっぽじってよく聞けよ、秒で億稼ぐ男がアンタの為に時間使って啓蒙してやるからさ
俺はアンタに利用価値があると言ってるのさ、アンタの身体を嬲ってくだらない性欲満たす様な真似じゃなくてよ

それの何処が下賤なんだ? 言ってみろよ、感情で行動するなよ、善行で救われるって未だ信じてんだろ? カビ臭い教義をさ
神はアンタの何を救ってくれたんだ? 神はアンタの何を肯定してくれるんだ? アンタは自分で言ったよな、私の身は汚れていますって

その価値観を与えたのは神だろ? 神の与えたくだらねぇ価値観がアンタ自身を辱めてるんだ


【真っ向から見据えた、大きく見下ろす形で、愉悦に頰を歪ませながら】


俺は “異能主義/Meritocracy” っていうイデオロギーを作り上げた、要するに、能力は一つの個性だから尊重しろよってこった
アンタはその一つの典型例だ、見た目も能力も、申し分ないだろ? 俺の標榜するぴったりの聖女だ
“教会” 所属の聖女 ─── 銀のアンゼリカ アンタという存在は莫大な信仰の源になり得る

ということはそこに付随して金が生まれる、金が生まれたなら教会はもっと潤う
そうしたならよりたくさんの人間を救える、何か異論は?
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/21(月) 23:44:20.89 ID:sTKIpQFg0
>>19

【――そうしてまた状況は何一つ好転してやいないのだから、当然なのかもしれなかった。――――――――。――ああ、でも、一つだけ、一つだけ、"良い事"は、あったんだ】
【何より望んでいたことだった。いつだってどんなときだって願ってやまないことだった。自分で自分という存在を認識するたびに冥く過ぎる絶望に、もう二度と遭うことはないのなら】
【"それ"は"良い事"なのだろう――そしてまたそう呼ぶべきなのだろう。たとえ伴侶と誓い合った病魔/神様が居なくなってしまったのだとしても、自分の願いは叶ったのだから?】

【――――だとしても、すべてのことが急に変わってしまっていた。それらのことについて惑っているのかもしれなかった。そしてまた、投げ出し続けた現実はそこにあるまま】
【とはいえ、まだ言わぬことだった。――。であれば、彼女は、彼の言葉にわずかに停止する。続くスタンの言葉には眉を顰めていた。とはいえカウンター越しの、前髪越しの仕草】
【少なくとも確かであるのは、"心底嫌な人間の話を聞いて不愉快だ"とかそういう顔ではなかった。――。どうしようも何かを放っておいたままの不確かさからくる表情なのだと】

――――――――――――――――――そっか。

【がばり、と、開けられた冷蔵庫が。少女の顔色と声色を隠した。いくつかの物が取り出されて、閉ざされるまでにたくさんの時間は、必要なくて】
【――居心地の悪さを噛み殺すように、さっき解いてしまった髪を再び結い直す。艶やな黒髪は暖色の明かりに照らされるなら、神様から授かるような天使の輪を抱き、】
【――――救いがあるのだとすれば、そうして身なりを整える程度の余裕は未だ残っているらしかった。そうして人目に付く場所に出るだけの元気、まだあるのだと伝えたなら】

【それでもきゅうと唇を噛む表情までは隠し切れなくて。袖を捲り上げたなら、手首のその上までを丁寧に洗うのだろう。まあるく切りそろえられた爪の、その中まで】
【壁掛けのペーパータオルを数枚むしり取って拭ったら棄てる。――それでいろいろな調理、初めていくのだろう。であれば口数が少なくなるのも当然なのかもしれなかったし】
【或いは、そうやって黙り込んでしまえるから――それできっといろんなこと考えるのを少しの間辞められるから――彼女はお料理をするのが好きなのかもしれなくって】

…………。

【沈黙。わざとらしい無視とよく似ていた、】

…………――。

【沈黙。もっというなら拙くわざとらしい無視とよく似ていた、】

…………――――。

【沈黙、――、もはや言うまでもない、】

――――やめてよッ! ――ッ、今は、やめてよ、――――――――――いま、しなくて、いいじゃない、……。――。これから、ご飯、食べるのに、……。

【であれば、鈴の音の声がいくらか荒らげられるのは時間の問題なのだと、誰にだって思い浮かべられた。震えた声音は酒瓶の硝子を撫ぜて無為な色、なにせ彼女が一番酷い顔をしている】
【ならば噛み締める自責は苦虫よりよほど不味いのだろう。幽かに震えて逃げ出す視線の先は調理現場であり、逃げ出す先であり、現実なんて関係ない場所、なら】
【その真っ白い掌がすでに肉の脂に塗れてさえいなければ――そのまま頭を抱えてしまいそうな顔をしていた。かろうじてとどめて、けれど、懇願する声だけ誤魔化せないなら】
29 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/21(月) 23:45:52.37 ID:mQy87HJ10
前スレ>>995

これは私の個人的な妄想なのですが。

科学の祖を錬金術というのならば、元より科学は魔法だった。
かつて袂を分かちあった魔学と科学は別方向で発展し再び相容れようとしている
そういった魔法と科学のいいとこ取りをしようとする研究は論文でも幾つか見られます。
しかし、現在までその成功例はほとんど――いえ、私は見たことがありません。
理由は2つあります。1つは魔力を持たない人間には魔術を扱うのは困難極まりないから
もう一つは、魔力を持つ人間はわざわざ科学を活用する必要なんてないから。

もし成功例があるとするならばそれは魔力を有する側の方々でしょう。
普遍的なエネルギーを用いる科学はその普遍性が特性でもあります。
元より魔術から分派した科学を扱うのは造作もない。しかしその逆は難しい。

魔導炉のようなものを研究開発し運用しようなんて云うのは現状、酔狂なのです。
かつて蒸気機関がそうであったように、巨大で複雑であるにもかかわらずエネルギー変換効率は低い。
けれども国土防衛という名目がある国家レベルならそんな酔狂な研究も可能でしょう。

………見えてきたかもしれません。

【ゾーイはここで初めて笑顔を見せた。ほんの微笑ではあったが】

別々に進化を遂げた科学と魔術。もはや科学でも魔術と同等…いえそれ以上の力を持つでしょう。
いくら高名な魔術師だとしてもネットに繋がったスマートフォンはもっていることでしょう。
ですが…


それでも人は魔法に憧れるものなのでしょうか。


//スレ建て乙です!!!
30 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 23:53:23.06 ID:8bTA1Budo
>>29

【ゾーイの言葉は流麗にして可憐、白鷺の憩う流れよりも遥かに洗練された輝きを宿していた】
【それ故に文月もまた、彼女の言わんとしている内容をはっきりと知覚できた】
【はっと、気づいた様に顔をあげた、eureka、その瞬間はまるで雷に打たれた様に】

【そう、酔狂な研究であった、通常の知的好奇心であるのならば、そこまでの境地に至ろうとはしない】
【1を100にする試みと、100を101にする試みの労力が同じであるならば、誰もが前者を選ぶだろう】
【 ────── しかし、ごく稀に存在するのだ、前者の百倍の労力をかけて、100を200にしようとする連中が】


……っ ─── まさか、オーウェル社と魔導海軍は、ほんとに繋がってはる
せやったら、こうのんびりはしてられません……っ!! 魔導海軍の持つ戦力はかなりのもの
それが何とか使われずに済んでるんは、本土から制限付きで持ってきてるからどす

魔導海軍が水の国に停留している以上、補給の様子があらへんかったら、これ以上の戦力補給はあらへん
せやけど、オーウェル社のバックアップがあったなら、その補給問題も解決しはります
……こないなところで待ってるわけには、いかへんのに……!!


【文月は徐に立ち上がり、外へ出ようとする、─── しかし、腕が痛むのか、顔を苦悶に歪め、足取りをふらつかせた】
31 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/21(月) 23:58:12.88 ID:wJU4YItj0
>>27


【ギリと奥歯を噛みしめるような音が聞こえる、聞こえるほどに噛みしめたのか】
【苛立ちと敗北感が同時に押し寄せ方向性を見失った感情は自身を傷つける、それは幼さとも言った。】
【マーリンの言葉も脳に反響しているようで通り過ぎていく。】
【おおよそ神の使徒としてあるべきではない様相でただ相手を睨みつける事しかできなかった。】

【虐げられたものはかくして虐げられる。】


―――良くも………ぬけぬけと………。
貴様は、貴様は異端≠ニ何ら変わらない。あるべき姿ではない………!


何故そこまで言いながら教会≠ノ残った………!



【だがアンゼリカも分かっていた。正論で飯は食えない≠ニ。】
【それは痛いほど身に染みていたからこそこの場を打開できない自身の力不足を憎んだ。】
【聖なる痕≠もってしても結局は変わらないのか―――?】


【―――そう虐めてやるなよ―――】

【それは空耳のようだが、マーリンにだけ聞こえるように響いてすぐに消えた音だった。】



………好きにしろ、それて信徒達に少しでも豊かさを与えられるのであれば。



【アンゼリカは何も気が付く様子はなく打って変わって殊勝にそう答えた。】


//今日はまだまだお付き合いできますので良きところまでよろしゅうお願いしやす

32 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 00:08:57.43 ID:k5zpOq+Vo
>>31

【両手を開いた、彫りの深い眼光が野獣の様にアンゼリカを見つめる、口元に描いた笑いは何処までも激しく】


簡単さ、俺もまた神の信徒だよ、────── 正しく理解しちまった、な
そして優しい優しい俺様は、その教義を深く広く広めてやる行いをしてるのさ
それはアンタと変わらない行為さ、子猫ちゃん、異端を駆逐する、という点に於いてはな

信仰という名の欺瞞で金をせびる枢機卿に教会、寄進すれば寄付すれば救われると言いながら、二足三束の免罪符を出す
あれの作り方知ってるか? そこらへんの見習い坊主が写経の練習に使った塵紙だぜ? 全く、素晴らしい御利益だこって
いいか、俺もお前も同罪なんだ、教会が腐敗したのは誰かの責任じゃない、俺達全員の責任なんだ

異端を狩るって言うが、異端とは何か考えた事はあるか? 神については? 聖書については? 教えについてアンタはどれくらい理解してる?
じゃあ救いってなんだ? 救済は誰が与える? 善行の判断基準ってなんだ? 他人の金盗んで教会に寄付する事が善行か?

良いか、盲目的な信仰は罪だ、自分に与えられた脳味噌を使わず、ただ思い込みに縋り付いてるだけだ、それが一番の罪なんだよ


【 ────── 彼ははっきりと言い放った、少しばかり真剣な眼差しで】


悪いな、久しぶりに可愛い女の子と話せたもんでハッスルしちまった、いけねぇいけねぇ、危うく達してしまうとこだったわ
そうかい、快い返事を受けて俺は嬉しいよ、神に祈りの一つや二つ捧げてみるもんだね
じゃあアンタに役割を与えてやるよ、─── 代わりにその、なんだ、俺で良ければ願いを聞いてやるからさ


【話してみろよ、と彼は言った、存外に優しい口調で】


/はーい! 了解です!







33 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/22(火) 00:16:59.64 ID:xYCvze/ko
>>26
【彼女の笑顔を見て、この男には珍しくその口元は自然と緩んだ】
【カニバディールにとっては、彼女らフェイタルベルン・ファミリーは数少ない味方といえる相手だ】
【複雑な縁で結んだ敵はいても、商売上の取引相手はいても、利害の一致で呉越同舟となった相手はいても、同盟を結び共に戦ったような】
【そんな相手は、もはや彼女らと参謀ソーン一派くらいのものだろう】

はい、先日ようやく虚神に纏わる事態は収束しました
お気遣い、痛み入ります。実際の所、私が直接関わった機会はそう多くありませんでしたが
流石に、事が事でしたからな。今は手下ともども、しばし休息していたところです

【無駄のない動きで一礼しつつ、軽やかにこちらへと近寄る彼女に笑いかける】
【自分を相手にこのような反応を示す相手など、一心同体の手下たち以外では彼女以外に何人いることだろうか】


それは何よりです。景気の方も好調なご様子で。流石はコマチ様だ
ほう、もうそこまで先の計画に着手しておられるとは……お披露目の際には、是非私も同席したいものです

ええ、もちろんですよ。とはいえ、本当にいろいろとありましてね。なるべく短くするように努力はしますが
ありがとうございます、お言葉に甘えてご一緒させていただきます。テイラー様にもご挨拶出来るなら、嬉しい限りです

そうですな、どこから話したものか……そう、私がカノッサ機関の『長老派』なる一派の使者から訪問を受けた時からがいいでしょうか――――

【そうして、カニバディールは彼女の手招きに従って歩を進めつつ、語り出す。現在、権力の裏側に巣食い、魔制法なる法律を敷いて世界を平坦に均そうとする『黒幕』と】
【それに反目する経済屋の集団『円卓』との一連の攻防。UTの鈴音との奇縁から、対黒幕を主目的とした呉越同舟のチームMに加わったこと】

【ギア・ボックスによる黒幕の制定した特区への潜入調査記録や、『黒幕』による血の処断事件】
【元UTソニアのナンバーズ入り。その背後にあった虚神≠フ影。UTメンバーラベンダァイスの変貌とその保護者アーディンとの出会い】

【『黒幕』、『円卓』双方が狙うタイムマシンの存在や、それにまつわる未来からの使者のこと。その戦いの中でかのチンザノ・ロッソが死亡したこと】


【さらには、もう一つの勢力虚神≠フ出現。病魔イル=ナイトウィッシュに鈴音が篭絡されたこと】
【サーペント・カルトの台頭と滅亡。彼らとの戦い、そして虚神たちとの戦いの記録。レッド・ヘリング。シャーデンフロイデ。ジャ=ロ。ロールシャッハ】
【そして、先日の虚神との最終決戦。滅びたイルと消えた鈴音・ソニア。彼女らの行方について、カニバディールが思いをわずかに馳せた頃には】
【もうとっくに、隠れ家に到着している頃だろうか】
34 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/22(火) 00:23:40.49 ID:R1KbtrCu0
>>32


【ちなみにアンゼリカは犬系の獣人であるが、まぁそれはいいきっとマーリンはわざとやっている。】
【アンゼリカは変わらず、これが最後の防波堤とばかりに睨み続ける。】

【―――だが。】



――――――――ッ。



【饒舌に語るマーリンとは対照的に何も言い返すことは出来なかった。】
【それは心の奥底でマーリンの言葉に説得力を感じた事に他ならない、言葉は悪けれど】
【それが何か教会に害を為したかと言えばNoであるし、むしろ何度も述べられたように立て直したのは彼だ。】

【であればやはり頭を垂れて従う他なかった。それは当然の終着点であった。】



………私の願いは引き続き異端狩り≠フ活動を続けさせてほしいだけだ。
特に、水の国での活動はまだ続けたい。―――あの裏切り者≠烽の地にいると私の聖痕≠ェ疼いている。

それ以外は好きにするといい。今更喚くつもりはない、好きに扱え。



【半ば諦めの入ったようなような口調で、急転し優しく振舞うマーリンを訝し気に見つめてそういった。】
【たった数十分でひどく疲れた様子だった。】


//あっ、「こっちは眠くないからまだ付き合え」って意味ではないので
//お互い私生活に支障がない程度に続けましょう(すみません)
35 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 00:32:40.60 ID:k5zpOq+Vo
>>34

【腕を組んで彼はその言葉を静かに噛み締めた、饒舌な言葉が止まり沈黙が広がったなら、それは威圧を伴って】


引き続き “異端狩り” ね、──── わかるかい子猫ちゃん、それがどれだけ無謀なお願いか、なんて
例え話を一つしようか、最も効率良く利益を上げる手段を考えた時、適した部署に適した人材を配置する事がベストだ
はっきり言って、俺の受け持つ “教会” に異端狩りに割り振るリソースは存在しない

何故ならその感覚そのものが “旧教” の考え方そのものと俺は考えている、古臭い同化政策と一緒さ
違う考え方の持ち主をぶん殴ってこっち側にするより、真っ白な相手を染め上げる方がどれだけ楽か
アンタがそれでも尚、───── “異端狩り” を続けたいというのなら


【一音節言葉を置いた、自分の発言をしっとりと染み込ませる様に】


──── “水の国” に別の動きがある、“魔制法” 聞いたことあるだろ?
あの法律に関して、探って欲しい、──── まぁ探偵の真似事だな
異端狩りの仕事上、裏社会との関わりが深くなることは想像に難くない、なら

その道中に暗躍してる奴らと会うこともあるだろう、その情報集めをして欲しい

それをしてくれるのなら、まぁ、週三の呼び出しで許してやるよ

/大丈夫ですよ! 了解です!

36 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 00:41:06.39 ID:k5zpOq+Vo


【ヨシビ商会本社、その内部の一室、会議室にて】

【二人の男が椅子に座っていた、手持ち無沙汰にしながらも、表情には緊張が見える】
【一人は若い男であった、セミロングの黒髪に整った顔たち、スーツ姿の中肉中背はやや優男の雰囲気を残し】
【もう一人の男は腕を組んだまま微かに意識を向ける、黒い修道服を着た大柄の男であった】
【赤い長髪に顎髭、長い髪から覗く右目には無造作に包帯が巻かれており、──── 一見して唯ならぬ雰囲気を見せる】


……ふぅ、漸く本土から内地に帰ってこれたな、今回の出張は長いったらありゃしねぇ
ほんっと、本社は人使い荒いよな、帰ってきていきなり呼び出しだもんな、───── なぁ

「……知らん、それが仕事だ、俺に聞くな」


【二人は長く水の国での任務についていた、密輸した妖怪達の運搬、港から依頼主の元まで送り届ける】
【本来ならもっと下の立場の人間が担当する仕事であったが、彼らの役割は接待も兼ねる】
【つまり、上客、─── 定期的に高級な妖怪を購入する客に向けての世話係も兼ねていた】

【最も、その大部分の仕事はスーツの男、黒鉄シモンが段取りを行なっていた、もう一人の男バスカヴィルは、どちらかといえば護衛の任務についていた】

【久しぶりに内地に帰ってきた二人が、本社から呼び出しを受けた場面から、物語は始まる】

37 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/22(火) 00:41:19.00 ID:R1KbtrCu0
>>35


【アンゼリカは一度納得したように頷く。】
【それはマーリンの言葉に対してなのか、それとも自身の中で別の合点がいったのかは分からない。】


確かにな、貴様の道理に従うのであれば確かにそうだろう。
分かった。今更蒸し返して同じ事を繰り返すつもりはない、その方法でやらせてもらう。

―――魔制法=B貴様にとっては眼の上のタンコブも良いところな法律だな。


【案外にもアンゼリカはあっさりと提案に乗った。】
【それは背景としてアンゼリカ自身が異端狩りの中でもそれなりに穏健派、対話ベースのスタンスだからだ】
【故にマーリンの言葉もすんなりと飲み込めたのだろう。】


ところで、だ。
聖女≠ニやらは具体的にどんな事をすればいい?心構えぐらいはさせて貰おうか。


【大分落ち着いてきた様子で、アンゼリカは問いかけた。】
38 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 00:47:46.32 ID:k5zpOq+Vo
>>37

【彼は少々意外そうに片眉を上げた、存外に聞き分けがいい、なんて内心思いながら】


いいね、賢い子猫ちゃんは好みだ、目の上のたんこぶどころか、重要な器官に巣食う癌そのものだよ、全く
だが、存外に水の国以外での動きは鈍い、──── 風の国あたりで “導人会” っつう糞集団がなんか言ってるが
きな臭いと言えばきな臭いよな、本当に能力者を排斥したけりゃ場所が違うだろ場所が

俺が宗教改革を始める際、この国から始めた、ネル・ナハトとかいうキチガイ集団のおかげでボロボロだったからな
疲弊した国に一番必要なのは実利だ、お陰様でとんとん拍子に話が進んだが
逆に一番厄介だったのが水とか風の大都市だった、理由は言わなくてもわかるよな

だからこそ、水から崩し始める奴の思考が不気味だ、────── 注意しろよ、アンゼリカ


【真剣な眼差しであった、────── この男、黙っていれば相当整った顔立ちをしていて】


あん? そんなのアイドル活動に決まってるだろ? 写真集、CD販売、ライブ、自伝も書くぞ、俺がゴーストライターするがな
DVDも出す、第一弾は「恋の宗教改革」─── こいつは売れるな、間違いなしだ


【満足げに頷く、────── 】
39 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/22(火) 00:50:41.75 ID:Y8Ht82dl0
>>30

まあ、そう焦らずとも。
先程も申し上げたとおり、オーウェル社は所詮IT企業。
魔力を扱うには時間を有するでしょう。得意分野のみ技術協力
していたとしても、魔導海軍が水の国と積極的な関わりを持ったのは
つい先日のこと。それにオーウェルも遅滞気味の特区の新設や
新楼市の情勢不安に手を焼いているはずです。

【ゾーイは立ち上がる。相も変わらずの無表情で】

タカハシのヌードルスタンドで、腹ごしらえをするぐらいの時間はあるはずです。

――今のは、小粋なジョークというものです。

【――――余談ではあるが、タカハシは世界中に展開するヌードルチェーンだ】
【ロボットによる無人営業と櫻の国伝統の立ち食いスタイルで、駅前から郊外】
【洞窟の中から魔女の住む沼地から紛争地域まで展開。24時間365日営業中だ】
【キャッチコピーは「人類が滅びてもタカハシのヌードルは滅びません!」】

今この争いは――この街に収束しつつあると言っても過言ではないでしょう。
いえ、そうでなくては困るのです。

【それでも往くというのならゾーイは止めない。澄んだ目を向けるだけだ】
40 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 00:55:20.39 ID:k5zpOq+Vo
>>39

【温度差に歯噛みする、─── だが、ゾーイの言う言葉も最もであった】
【文月が幾ら手練れであっても多勢に無勢、既に状況は最悪を通り越して手遅れに近い】
【深く息を吐いた、そして、────── 】


……わかりました、せやったら、うちの役割はどうしはりましょう
役割があらへんのでしたら、好きに振る舞います、こちらにもそれなりの縁があらはるし
それに、重要な情報も手に入れはりました、─── もっと賢い人なら、打開できるはずどす

この街に争いが収束しはらへんと、困る……?
うちにはあんまり、─── 先が見えはりませんけど、どういう事でしょう?
41 :ブレンヒルト・フェイタルベルン ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/22(火) 00:58:51.04 ID:0TKD+zneo
>>33

【たっ、たっ、たっ、と―――意気揚々と走っていくブレンヒルトに招かれたなら】
【二人はいつしか聖都の外れにある木造の一軒家にたどり着いている事だろう―――妙に手入れの行き届いた家だ】
【悪人が住まうのはあまりに見栄えも住み心地が良すぎるのではと思うほどに……】


でもここぞって時の危険な鉄火場に足を踏み入れて結局生き延びたんでしょ?
無論それくらい知ってるんだから謙遜しないでもいいし!

ふむ、ふーん……コマチが外部から仕入れてきた情報より……鮮明な内容が掴みとれそうじゃない
虚神≠ェ全滅したって所は私も調べたし!―――ちょっとその『長老派』とか消滅した嵯峨野 鳴海の身元関係を調べてた時にね
UTはボスのセリーナって奴も行方不明って聞いてるし今まさにお尻に火が付いてるって所かなぁ?ま、敵が困ってるのは利益的だけど!

後は『黒幕』が敷いた魔制法の下りとか、そいつらと『円卓』たちが狙ってるタイムマシン……って言うのは、私もちょっと詳しく聞いておきたいし
他にはぁ……あ、ただいまーじいや!今日はカニバディールも来てるの!紅茶用意してあげて!


「おかえりなさいませブレンヒルトお嬢様……おやおやこれはこれは、珍しい御来客でございますな
夜分遅くにご足労いただきありがとうございますカニバディール様。お噂はかねがね……先の戦いでまた一つ武勲をあげ
現在はつかの間の療養中だとか……我々の隠れ家でよろしければ今夜はゆっくりしていってくださいませ」


【中で待っていた黒い燕尾服に左腕に≪44≫と文字が縫い合わさったトーションをかけた白髪混じりの初老の男性】
【ブレンヒルトお抱えの執事、アルバート・テイラーだった。どうやら一つ繰り上がりブレンヒルトの前のナンバーを所有しているらしい】
【応接間まで二人を案内するや否や、深々と頭を下げ「ごゆっくりお寛ぎください」と残し、足早に姿を消す】

【テーブルをはさんで向かい合うソファー、自分から見て左側の方に座るとブレンヒルトは向かいのソファーに手招きしながら話に戻った】


お金も結構溜まって来たし、コマチが取り掛かってる今後必要になるモノももうすぐ出来上がるし
少しづつ進めてた計画も近々一気に進めたいなぁって思っているからいろいろカニバディールにも相談したいんだけど

えっと、確か私たちの目的が最終的に自分たちの国を作るために世界から豊かな国土を切り取りたいと思ってる事と、
そのために"神器"っていう古代遺物類≪アーティファクト≫が必要だから探してるって所までは話したっけ?その辺に纏わる補足情報と
私たち自身に纏わるお話を打ち明けておきたかったんだけど、その前に一つだけ大事なことがあるからそれだけ確認させてほしいし


―――……最近誰か"記憶"を読み取る能力者が接触してこなかった?てゆーかもうすでに読まれたりしてない?


【前情報として確認しておきたかった事、というのはどうやら―――"記憶"に纏わる能力者の存在のようだ】
【フェイタルベルン・ファミリーのブレーンであるコマチもそういえば情報に纏わる警戒は強めていた……やはり、情報が洩れる事をかなり恐れているらしい】
【当のブレンヒルトは「あっ、現時点までは大丈夫だから!怒らないから正直に言ってくれていいし!」などとずいぶん呑気な事をいっているが……】

/では、続きは明日のお仕事が終わってからお返ししたします……本日はお疲れさまでした
42 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/22(火) 01:00:41.15 ID:R1KbtrCu0
>>38

【ある日のある少女、サーペントカルトと呼ばれる集団の残党との出会いからアンゼリカの思考に変化は生まれていた】
【それが良き変化なのか、破滅への階段なのかは現段階では分からないが。】

【そもそもあれこれと選べる状況でも立場でもなかった。それは理解している。】


ああ確かに、私が動いている間もそれほど大規模な弾圧は伺えなかった。
むしろ神≠セとか異形の盗賊団≠セとかの異常な存在が我が物顔で暴れまわっているようだ。

―――ああ、精々用心させてもらうとする。


【マーリンの言葉に意外そうに眼を細める。】
【脳の血管の勢いは良いようだが、頭は回りそれなりに思慮もあるのだと―――そう思ったのだが】



…………………ギリ



【再び奥歯を噛みしめる音が室内に響き渡った。】
43 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 01:07:59.44 ID:k5zpOq+Vo
>>42

【アンゼリカの言葉にマーリンは興味深い色合いを見せる、ふむ、ふむと何度か頷いて】
【考え込む様に腕を組んだなら、一つ二つと逡巡】


だとすれば……費用対効果がおかしすぎる、その行動そのものに意味はないのか……?
魔制法による弾圧が目的ではなく、魔制法を構築する事が目的だとすれば
────── もしかするとこれは、盛大な下準備なのかもしれんな

俺様の活動によって現在 “教会” の運営は軌道に乗ってる、少しぐらいの我儘なら聞いてやれる
だが忘れるな、お前が活動している間にも、奉仕する事で俺達に利益を齎してくれる信者がいる
ならば俺は奴らに答えなければならん、難儀な仕事だ


【─── 腐っても彼は枢機卿であった、こと “教会” に関しては】


ふむ、じゃあもう帰っていいぞ、言いたいことは伝えたし、言質も取った、後はこっちの仕事だ
水着、メイド服、ナース服、まぁ聖職者だからな、修道服も巫女服もちゃんと用意してやろう、東洋も西洋も俺は差別はしない
初回限定盤にはやや際どいカットも入れるが、同意してくれるな?
44 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/22(火) 01:14:20.42 ID:Y8Ht82dl0
>>40

はい、それで構いません。

【ゾーイは相も変わらずケロッとしていて、さらりとそんな言葉を吐いた】

好き勝手、振る舞ってください。
目的や理念や眼差しさえ共有しているなら後は手段も役割も
ときにはまともに協力さえしなくていい。まるで“Mirage/蜃気楼"のような――


―――チーム。

そういうやり方しか私は知りません。
きっと貴女も、それが良いと私は思います。

それだけ、私はこの戦いに賭けているということです。
先が見えないのは私も同じことです。誰も、未来は見えません。

所詮我々は人間ですから。


…まあ、私はロボットなんですけどね。


45 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/22(火) 01:14:28.85 ID:QrtgMRQW0

>>36

【布の張られた木製の椅子に使い込まれた仕様のテーブル】
【壁際で時を刻む柱時計に、室内に明かりを投げかける硝子の窓】
【社長か、はたまたその秘書か──定かではないものの西洋の設えで統一された会議室】
【その彫刻の施された扉が音をたてて】

……うん、時間通りですね、感心感心
【──花丸あげちゃいますねー】
【時計の音と男達の声だけが響いていた空間に響き渡ったのは、まだ成人すらしていないような若い女の声と】
【かつりと響いたブーツの音】

【真っ直ぐに切り揃えられた黒いロングヘア、紫と黒を基調とした和風ゴシックのワンピース】
【黒糸の束を思わせる髪にぎらりと輝くのは目の四方に菱形をあしらった商会の社章を模した髪飾りで】

お久し振りですね、黒鉄さん、バスカヴィルさん
まずは長らくのお務め、ご苦労様です
そちらの首尾は如何です?その後"例の連中"との接触はありませんでしたか?
【柔らかな笑顔に咲き誇る花のような甘やかな声色】
【その様はまるでその場にそぐわないただの乱入者のようであって】
【しかしながら彼らは知っているだろう】
【彼女こそがヨシビ商会の社長秘書・馬酔木善弥その人であると】


46 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/22(火) 01:16:32.95 ID:R1KbtrCu0
>>43


さてな、意味はないどころか全てが反転している可能性だってある。
とにかく数か月あの国で行動していたが、かなり歪な空気が覆っているのは確かだ。

言われるまでもない。貴様はそうしてふんぞり返って勘定だけしていればいい。



【淡々と答えると、アンゼリカは身を翻し出口へと向かっていく。】
【第一印象としては最悪もいいところだが、どうやらある程度相手の事を認めたようであった】
【「やり残したものもある、一度水の国へと帰るぞ」と一応の報告をしながら歩いていくが】

【ピタリ】


【マーリンの言葉に足を止めて少し顔を傾ける。】



―――勝手にしろ。



【最早すべてに達観した様子で扉を開けて立ち去る。それはまさに悟りの境地とも感じさせた。】

【ガコンという音と共に再び大聖堂は静寂に包まれるだろう。】
47 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 01:18:44.69 ID:k5zpOq+Vo
>>44

【文月はしばし言葉を探した、ゾーイの紡ぐ曖昧な言葉、けれども不思議とすべき手段が見つかったかの如く】
【たとえ方法が違ったとしても、同じ方向を向いていれば必ず重なる、とそう言っているようで】


……分かりました、それならうちは、うちの信じる正義を貫きます
幸いにもまだうちは “魔導海軍” の内部に居ます、せやったら手段もいくつかあるあります
タイミングさえあったら、ゾーイはんと協力する事もできるでしょう

うちの端末の番号渡しておきます、─── 必要やったら、これ


【羽織の袂から取り出すはメモ、文月の端末を示す番号】


……世話になりました、この恩は、必ず


【ゾーイから何もなければ文月はその場を後にするだろう、幾許もの思いを残して】
48 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 01:26:24.50 ID:k5zpOq+Vo
>>45

【黒鉄は今まさに咥えようとした煙草をぽとりと落とした、慌ててポケットに押し込み、曖昧に笑う】
【ちらりと相方へ向ける視線、聞いてねぇって顔をしていた、本社の人間が来ることは予想通りだ、だが】


【 ────── よりにもよって社長秘書、この会社で最も、恐ろしい女】


あはは……いえ社長秘書殿も、ご機嫌麗しゅう、暫く見ないうちにまた綺麗になっちゃって
やっぱり櫻の人は綺麗ですね、長く水の国の厚化粧ばっか見てたら胸焼けしちゃって
────── そんなね、良いのに、態々秘書殿が出向かなくたって


【完全なる本音であった、思わず立ち上がって直立不動、悲しいサラリーマンの習性】
【横で踏ん反り返るバスカヴィルが羨ましかった、ちらりと向いた視線にありったけの殺意を込めて】


契約の方は滞りなく、相変わらず金払いの良いお客様で、変わらず商売が続けられそうです
新規の顧客に関してもちらほら、例の法案の影響で幾らか危惧してるお客様もいましたが、少し話をしたら安心してくれました
────── 接触の方は何も、つまりは、いつも通り、というやつです


【黒鉄はまとめた報告書を手渡すと軽く説明をする、なれた手つきであった】


報告するまでもない事かもしれませんが、例の計画もうまく進んではいます
ただ、これだけの人員を水の国に配置する必要ほんとにあるんですか、それに配備した装備の量も
────── 簡単な街ぐらいなら容易に占拠できますよ、これだけの装備と “闇狗” の力なら

49 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 01:27:45.39 ID:k5zpOq+Vo
>>46

【マーリンは不思議そうにアンゼリカの去っていく様子を眺めた、やがて空っぽになった部屋で一言】


なんだ苛々して、獣人にも生理があるのか?


【不思議そうに一人でつぶやいた、のであった】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
50 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/22(火) 01:34:35.68 ID:R1KbtrCu0
>>49

//お疲れ様でした!
51 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/22(火) 02:01:09.72 ID:R1KbtrCu0
【―――ここはどこ?】
【暗い暗い完全な闇と言える空間を手探りで進んでいる。】
【気が付けばそこは闇より暗い恒星や惑星が犇めきあう人智を超えた深淵の中だった。】

【そこは―――《窮極の闇=tであり《混沌/ケイオスの星間=t】


【そこで永劫の時を蠢き続けるのは―――万物の地平、すなわち………。】




ッハァ―――!ッハァ………ッハッハ………クッハァ…ハァ

クッハハハ、滑稽だ………私が悪夢≠見るなんて―――ハハ、ハ




【銀髪の女は汗だくで起き上がった。】
【白いシャツはびっしょりと汗で濡れ、髪は頬に張り付いている。喉がカラカラと乾いてやまない。】
【ふと痛みを感じて左腕を見る―――そこにはあるべきものはなくヒラヒラと袖が風に揺れている。】
【そして胴体も包帯が所狭しと巻かれていた。うなされたのはこの痛みのせいなのだろうか―――ふと横を見る。】

【紫苑混じりのプラチナブロンドが美しく輝いている。】
【ああそうだった、あれから時たまこうして寝床を一緒にしていたのだった。】
【色々と不都合はあるからベットはしきり≠ナキッチリ二等分にはなっているが。】


【水分不足か頭痛が酷い。】
【なるべく音を立てずにベットから出るとほとんど未使用のキッチンへ向かい、グラスに水を注ぐ。】
【ここに住まわせてもらって数か月、ロクに帰らぬ日もあったがどうやら隣人≠ナあり家主≠フ彼女は知っているようだった】


【食器棚に反射して映る自分はどこかやつれているようにも見えるが、それはきっと気のせいな筈だった。】




【――――――寝室の窓≠フ鍵は空いている。】


//院長先生、軽くお付き合いお願いします。
//一緒にいるのは看病のためとご容赦ください(震え声)
52 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/22(火) 03:05:53.04 ID:xYCvze/ko
>>41
【三つの目玉で、その家を見上げる。これが、六罪王とナンバーズをそのうちに抱える組織のアジトだなどとは】
【到底、想像することすら出来まい。確かに、悪党の住処にしては奇妙だ】

【だが、おそらくはブレンヒルトは本来ならば闇で生きるはずのなかった少女であるはず】
【自分が根っからの悪漢であるゆえに、そう感じ取っていた。この家こそが、本来の彼女の姿なのではと】
【そんな思いを抱えながら、異形は外套を取り払って家に足を踏み入れた】

ありがたいお言葉です。しぶとさが最大の取り柄なので、そこを褒めていただけると嬉しいものですな

少しでもお役に立てたなら幸いです
ビルの前でお会いした時は驚きましたよ……しかし虚神≠フ壊滅まですでに掴んでおられたとは。流石ですな

ええ、セリーナの行方も知れなくなって久しく、メンバーで残っているのは生物兵器のラベンダァイスという女と
生き人形のギア・ボックス……後は、故ウルバヌス博士の下にいた裏切り者のブラックハートくらいでしょう
虚神≠ニの戦いで、ソニア=エカチェリーナ=ドラグノフや鈴音は生死不明、その他メンバーも姿を消した今
UTはもはや半壊状態と言ってもいいかと。……まさに、こちらとしては大笑いです

【最後の一言には、複雑な感情が込められていたが。概ねは、自分やブレンヒルトらにとっては不利な動きではないだろう】


『黒幕』と『円卓』に関しては、未だ継続中の問題ですからな。共有はしておきたいところです

ご無沙汰しておりました、テイラー様
とんでもありません、私のような者が招いていただけたというだけで身に余る光栄です
テイラー様もすでにご存じでしたか……お気遣い、痛み入ります。今宵は、お言葉に甘えさせていただきます

【アルバートとも、慇懃に挨拶を交わす。視線が一度、繰り上がったナンバーに向くには下賤な盗賊の性か】
【案内を終えればすぐにその場を離れる彼に、異形はすでに感じ取る。この場で今から行われるはずの密談、その深淵を】

いよいよ、というわけですか。当然、協力は惜しみません
はい。領地を求めておられることと、"神器"を手にするために活動しておられるところまでは把握しております

……さらに奥へと踏み込んだお話のようですな
確認、とは――――!?

【ヒタリと、心臓に氷が当てられたような錯覚。ブレンヒルトに対しての恐怖ではない。それこそ、記憶≠フ中の、彼女に対してのそれだ】


――――謗りを受ける覚悟はしておりました。まさしく、おっしゃる通りです
すでに、そのような力を持つ能力者と接触し、記憶を覗かれたことがあります

あれは、今我々が居を構えている『ニューロンシティ』でのことです――――

【カニバディールは、その時のことについて詳細を語った。相手の名は、イスラフィール。水の国最高議会の議員であり】
【『黒幕』の支配下にある野党と敵対する権力者側、すなわち『円卓』に関わる存在と思われる】

【かつて存在した正義組織、"Justice"に所属していたというシオン・エルミオール・オルテンシアと、容姿・雰囲気・能力共に酷似した女】
【『黒幕』と虚神≠ノ対抗すべく、一時的に協力関係を結んだ相手。その契約の際、確かにカニバディールは脳の中身をさらわれた】

【逃げ足の速い自分が、懐に入り込まれて全く動けなかったと自嘲気味に語りながら】
【彼女との会話の一部始終を話し終えた時には、巨体は冷や汗で濡れていた】
53 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/22(火) 03:09:18.61 ID:QrtgMRQW0
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54 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/22(火) 03:12:47.20 ID:QrtgMRQW0
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55 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/22(火) 03:29:22.63 ID:QrtgMRQW0

>>48

【顔を見せた途端に煙草を取り落とし慌ててポケットに仕舞い込む黒鉄】
【立ち上がって直立不動になって世辞を述べて】
【──嗚呼、これこれ、こういう反応!と善弥は内心安堵する】
【思えば近頃は社長の付き添いだとはいえ櫻国魁首の奥方様だ魔導海軍長官だと外で会う御方には縮こまるばかりで】
【身内でも上を上とも思わぬ態度の輩がいたりだとかなんというか威厳のようなものがなくなりかけている気がしたのである】
【そんな中でのこの黒鉄の反応は彼女の気を良くするのには十分であって】

ふふふ、黒鉄さんってば本当に御上手ですねぇ、やっぱり"外"にいるとそういう文句も上手くなるんでしょうか?
まあ私が可愛いのは元々ですしー?水の国のマダム達とは違ってヨシヤちゃんってばピッチピチの十代の花も恥じらう乙女ですからー?誉めたくなるのもとーーぜんっ!ですけどぉー?
……それはそれとして車の件は帳消しにはなってませんからねっ?
【気を大きくしたのか調子に乗ってきゃんきゃんとはしゃぐ善弥】
【やはり何処にでもいるようなかしましい小娘にしか見えなくて】


/続きます
56 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/22(火) 03:30:36.87 ID:QrtgMRQW0
>>48

……まあ私が出向いたのはそういう問題じゃないんですけどね?
気になっちゃうんですよねー、外の事
最近物騒じゃないですかー、戦艦は沈むし、うちの顧客の一人は食中毒事件巻き起こすし、下手したら氷の国の外務官まで動いちゃうかもしれない案件が発生しますし
【社長秘書としてそこら辺きっちり押さえておきたいんですよぉ、と善弥は深くため息を吐いて】
【そうして黒鉄の説明へと耳を傾ける】

契約の方は大丈夫そう……ですか
うちは元々口コミで広がっていくタイプの商業ですからね、リピーターは大切です
そういう所を大切にしていくのが第一、です

接触の方は……そうですか
此方でも適宜調査はしていますがあの連中の実態は掴めていませんね
以前善知鳥さんや英群さんが遭遇した少女との関連性も気になりますし……
【報告書に軽く目を通しながらも説明に相槌を打つ善弥】
【そうして話が件の計画の事へと及ぶと緑青色の瞳を細めて】


/またも続きます!
57 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/22(火) 03:31:34.28 ID:QrtgMRQW0
>>48

……ですよねぇ
【深いため息と共に椅子を引いて座って】

……いやね?私も最初に人員見た時にやり過ぎじゃないかなーって思ったんですよ?
幾ら水の国が厄介な連中抱えてるっていってもですよ?あれはちょーっと大袈裟じゃないかなーって……
【ついつい提言、しちゃったんですけどぉ、と彼女は両腕で頬杖を突いてじとぉっと黒鉄達を見て】

社長がどうにも火ィついちゃったみたいなんですよねー……

「──あの人員では足りぬ」
「闇狗の力も過信してはおれぬ」
「"彼等"と並び立つには何もかも足りぬのだ」

……って──

────え゙?

【不意に響いた嗄れ声】
【気付けば閉じていた筈の扉は大きく開け放たれており】
【赤い天鵞絨のひかれた廊下に立つは三つの影】
【左右に立つは黒塗りの笠に黒衣、笠の前に朱墨で目の四方に菱形をあしらった印が描かれた墨染めの紙を貼り付けた異様な出で立ちの人影】
【そしてその中央に立つのは一人の老翁と思わしき人物】
【黒い山高帽に黒い面頬、地味な色合いの着物と袴に羽織を纏って】
【杖をついた、腰の曲がった老翁】

【しかしその姿を目にした途端善弥は椅子から立ち上がり、何故か狼狽していて】

58 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 09:41:59.25 ID:k5zpOq+Vo
>>55->>57

【黒鉄は緊張を携えたまま曖昧に笑う、彼は何処までも一介のサラリーマンである以上、上司には逆らえない、骨の髄まで染み付いている】
【しかし、と ─── 視線が泳ぐ、目の前の少女はどこからどう見ても、可憐な子供にしか見えない】
【それが、かの“ヨシビ商会”に於けるキーマン、─── もとい屋台骨であるとはそうそう思えないだろう】



いえいえまさか、僕は本心でしか物事を言いませんよ、噂の秘書殿に直接お目にかかる事が出来て幸運で一杯だなぁ
……はい、その件は誠に申し訳ございません、始末書の方も持参致しましたので拝見していただきたく……


【平謝り、自分のものではない車一つでここまで腰を低くする必要があるのかというぐらい、徹頭徹尾】


─── そうですね、よくもまぁこれぐらい、って思うほど水の国に集中してますよね、事件
まぁ安全神話なんてここ数年のテロリズムで誰も信じちゃいない、信用という点じゃうちも変わらんでしょう


【その瞬間、黒鉄は手持ち無沙汰で足の辺りを何度か叩いていた、─── 故に】
【大きく目を見開いた、煙草を咥えていなくて本当によかった、間違いなく落としていたから】
【ヨシビ商会のトップ、──── 自分とこの社長が目の前にいるのだから】


あっは、は、はいい!? わわわ、ははは、──── しゃ、しゃ、社長じゃないですか……
うぇっへぇ、……一体全体わざわざ、どうしてこんな所へ?
いや、っていうか、秘書殿だけでも十分なんですけど……


【最後の方はかなり小声、胃がキリキリと痛むようで苦しげな表情】
59 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/22(火) 09:53:49.56 ID:k5zpOq+Vo
>>51

【天井から滴り落ちた水滴が首筋に落ちた様に、冷たい感触が頬を拭った、─── 否、正確には胸元からぞくりと込み上げる】
【ぴたり、と ─── それは吸い付く様に、凛と張った水面に、徒伸ばす指先が、つんと広げる波紋の如く】
【艶かしい指先の暗示、視界に映るのは、細くしなやか、微睡みに似た白雪】


────── 寝られないのかしら、夜更かしはお肌に悪いですわ


【耳元にそっと、声が落ちる、耳孔に落ちた雫が、瞬く間に三半規管を蹂躙し、鼓膜を蕩かす、脳さえ溶けてしまいそうな甘露】
【聞いているだけで達っしてしまう程の艶やかさであった、糖衣に包んだ言葉を大量のシロップに漬け込んで、ふやけるまで口内で弄んだ様に】
【事実、直ぐそばまで唇があった、リップノイズ、舌先転がす音色は魔性の響き、粘膜の果てまで抱きしめて欲しくなるぐらいに】

【紫苑混じりのプラチナブロンド、纏めぬその長さは背中程に、今は肩に一房かかって、白粉の上に落とした頬紅の様な感触を見せる】
【彼女は絹一つ纏わぬ裸体であった、薄手のシーツを申し訳がわりに体に巻いて、それ以外は全くの無垢白】
【貴方の背中に寄り添っていた、顔は肩口に於いて、耳元、ほんの少し伸ばしたら貴方の耳を食べてしまいそうなぐらい、近く】

【右の手は胸元に伸びていた、貴方の豊満な谷間に埋める様に、左手は腰の辺りを寄り添って、秘部へと少しずつ這っていく】

【何処までも耽美な光景であった、彼女の描く恍惚のボディライン、一流の彫刻家が生涯を掛けて描く曲線美を、彼女は瞬きごとに更新して】
【眠たげな目元は流麗に尽きた、潤いをいっぱいに携えた瞳は大海原より澄んでいて、それでいて幻よりも儚く】
【半透明蕩ける瞼の風情、────── 未だ夢見心地、白昼夢の真ん中に】
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/22(火) 13:26:48.84 ID:vOg7Wdp2O
>>11
【『あんたは人を口説くのが上手いな。ここでも、きっと戦場でも』あの手で何人の男を抱いて】
【何人の人間を殺したのか。想像なんてしない。カウントなんて不可能だ。けれど血の海でポルカを踊る彼女は】
【目を背けたくなるほど美しいんだろう。何の話だったか。そう、生き死にの話だった】


『それじゃ契約成立だ。全部が全部終わったら、ぬるいスタウトで乾杯しよう』
『お仲間は狼でもなんでも……どうにも俺は未来の世界じゃ重要人物らしい』
『今も未来は変わり続けているんだろうな。バタフライエフェクト。何が起こるかは行って確かめるしかない』


【乾杯の時はお互い、素顔のままでいたいものだ。全部終わったら、未来がどうなっているのかなんて】
【誰にも分からない。それを知っていそうな俺はもう死んだ。なら、分からないままに走り続けるしかない】

【テレビの中じゃ通販番組も終わって、ミッドナイトの音楽番組が10分だけやっていた】
【この1曲だけ聴いて今日はもう帰ろう。デヴィッド・ボウイの「世界を売った男」】


『……俺はニルヴァーナのカヴァーも好きだな。声の感じとかさ』
『そっちも流してくれないかな。テレビのリクエストじゃ、今から電話しても間に合わないか』


【MCの前口上が終わって、イントロが流れ出す。灰皿にあるタバコの本数もいつのまにか随分増えていた】
【キリもいいし、今吸っているタバコで今夜は終わりにしよう。曲が終わる頃には吸い終わるさ】
【自分勝手なそいつは、灰皿の片付けもしない。曲が終わればふらりと立ち上がって扉に向かう】
【罪悪感なんてない。いつだってそういう生き方をしてきた男だった】
61 :アルバート・ウィンチェスター ◆/iCzTYjx0Y :2019/01/22(火) 16:49:56.29 ID:AkltzNA50
>>28

【邪神教団<サーペント・カルト>、そして"へびさま"の事。アルバートはその全てを知っている訳では、無い。】
【鈴音の中に"とてもつもない存在"が混在している事は確かにセリーナから聞き及んでいた。しかし、その詳細と、結末までは。】
【耳にしていない―――故に、好転"したと言えるかもしれない"事象については、情報が無く。その表情と感情の機微には、気が付けなかった。】

【ただ、セリーナについてのあれこれで、ほんの少し眉を顰めた事については、見ていて。】
【スタンは恐らく気が付いていないだろうが、老紳士の方は何かを感じ取る。―――其処に在るのは、或いは。】
【後悔とか―――怒りとか。どうしようもない何かへの憤りめいた物かもしれない。そして悲しみも。アルバートは口を開こうと、したが。】


「う、オわっ!? なっ……、なんだよぉ、りんねぇ〜! いきなしビックリさせんなよなァ〜……!
……おい、アルバート! りんねが嫌がってんだろ!! "せりーな"のヤツの話はすんなっての!! んなコトもわかんねェのか!?」


――――いや、失敬。すまなかったね、鈴音君。―――"今は"。
辞めておいた方が良さそうだ。君を苛めたくて言ったんじゃあないんだ。すまなかったね。


【その前に鈴音の言葉が。珍しく声を荒げた彼女が、遮った。アルバートはその叱責を、受け止めて。】
【"申し訳ない"と一礼すると、大人しく席についたまま、まだ息を荒げているスタンを宥めて。しかし―――どうにも。】
【今の鈴音への言葉は、何かを見定めるような雰囲気すらあった。鈴音からすれば、失礼な話だが……アルバートには、必要なプロセス。】


では、―――少し話題を変えて。
鈴音君は……"勉強"に興味はあるかな? いやね、これで私も"教師"の端くれで……

……事情が事情なので、あんまり大きい声では言えないんだが、小さな学校を経営していてね。
そこで、校長をさせて貰っている。スタン君はウチで一番の問題児―――ふふ、"個性の強い子"だ。

「あん? なんだよ、"もんだいじ"って! どーゆー意味なんだァ? それェ!
 ったくよ〜、べつにキョーミもねーのに"がっこー"とかゆーのに入れさせられてよぉ……」

こらこら。学びたくても学べない人だって大勢いるんだよ。……残念なことにね。
ともあれ、そういう訳で生徒と教師、と言う関係なんだ。幸運にも、二人揃って"UT"と繋がりがあったので―――、
私も歳だ、一人で出歩くには危ないとスタン君が言い出してくれたのだよ。それで、一緒に来てくれる事になったんだ。すまなかったね、アポも無しに突然で。

【そうして、話題を変えるように話し出したのは自身の現状と、その仕事についてだ。】
【曰く、"大きな声では言えないが教師である"―――らしく。鈴音にも、勉強に興味はないか、なんて振ってみて。】
【鈴音の激昂にも柔和な笑みで答える辺り、矢張り年齢を重ねているだけの事はある様で。スタンとの関係についても、簡易に説明するだろう。】

【ハンバーグが出来上がるまでの、とりとめのない会話―――その中に、二人の関係性の説明を交えて話す。】
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/22(火) 17:01:20.87 ID:vOg7Wdp2O
>>23

【何もかもを見透かすような態度。徹底して嫌いなタイプだと腹の底では思っていたが】
【“ジルベール”はそれを微塵にも表に出さない。逆ににやりと笑ってのけ、視線をミズキに向けた】
【値踏みする視線だった。自分にとって有益か害となるか。どれほどの価値があるか】
【脚の先から頭の天辺まで遠慮なく見る。その仕草は調度品の品定めにも似て】


『ならば遠慮なく使わせてもらうぜ、ミズキ。いい働きには金を出す。そうでなけりゃ出さない』
『円卓の爺共からも貰ってるかもしれねぇが……それとは別に、俺のポケットマネーからだ』
『ボーナスとでも思っておけ。まぁ、俺から期待されていると思っても構わないが』


【そしてイスラフィールの言葉には頷いてみせる。愉快そうな笑みだった】
【問いかけの答えが返ってくるまでに少し間が空いた。それでも、先程のように答えが返ってこないなんてことはなく】

【(────そうだ。力が必要だ。必要だった。そして……あたしは今、それを目の前に示されている)】
【(どうするか、…………試されてんのかな。けっ、マジで気に入らねぇな、このアマ)】

【(さぁて……しっかし重要なのは今はソコじゃあねぇ。ジルなら──あいつならこの状況、どう考える)】
【(世界を買う。大事なのは金勘定──今黒幕に喧嘩をふっかけたところで、間違いなく利益は中途半端にしかならねぇ!)】
【(ならどうする……?黒幕共を牽制しつつ、こっちはヤられずそれでも金を稼げる方法…………)】
【(…………、…………最終的に、円卓をぶっ潰す<最良>。…………、………………っ、)】

【(そう…………そう、か。…………もしかしたら、そういうこと、なのか────?)】
【(円卓……黒幕…………、それに、…………未来。もし、…………っ、…………)】
【(…………もしも、“そういうこと”……、な、…………ら────あぁ、クッソ)】
【(でも…………しょうが、ねぇ…………思いついちまった…………!だった、ら…………)】
【(だったら……!もう…………やるしか、ねぇ…………それ以外が、思いつかないってぇんなら────!)】


『…………あぁ。矛は丁度欲しかったところだ。何もこんな磨き上げられたものじゃなくてもよかったが』

『だが────この矛はまだ使わない。重要なのはタイミングだ。そしてそいつは今じゃねぇ』

『分かるか、イスラフィール。黒幕共は今、たかが水の国のほんの僅かな行政区を手中にしている』
『どうにも櫻にもちょっかいをかけているみたいだが……あぁ、それと風の国も最近少し騒がしいな』

『俺たちにとっては連中は目の上のタンコブだが、考えようによっちゃ利用できる』
『そのためには、政治家であるあんたの力をどうしても借りる必要があるが、な──イスラフィール』


【言葉に躊躇いはなく、視線に迷いはない。黒い目線がイスラフィールを捉える】
【獰猛な目だった。或いは全てを欲する者の目。強欲に形を与えれば、こうなるのだろうと思わせる程に】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2019/01/22(火) 21:11:19.11 ID:Kzq6lWLX0
>>62
【ミズキは端正な微笑みを崩さない、気に入る気に入らないは兎も角使える手足の一つである事は変わりない】


ええ、分かっていただけたならお話が早い、勿論私は政治家として貴方様を存分にサポート致しましょう
何故なら貴方様は王でありながら王妃であり、王妃でありながら王であるのですから
〈円卓の騎士〉という実行勢力を得たのです、その有用性は貴方様なら十分わかるでしょう

さらに言えばそれは貴方様にとって自由に使える手足である、と再びお伝えしますわ
言ってしまえば見返りでもあるのです、〈円卓〉の王である貴方様に対して
キャメロットが差し出す大きな大きな見返りの一つである、と


【イスラフィールは続けた、ゆっくりとジルベールの側へと向かいながら】


状況を整理致しましょう、今現在貴方様が〈王〉であると〈円卓〉内部で知っているのは
最高意思決定機関〈キャメロット〉を除けば、私と〈円卓の騎士〉のみですわ
つまり、その他の〈円卓〉メンバーの大部分は〈王〉の失踪を知りません、勘づいてはいるでしょうが

故に貴方様が〈王〉として振る舞うことに意味がありますわ、〈円卓〉内部にも、そして、─── 外部にも
〈円卓〉は単なる集金システムから、一つの大きな意志のもとに動く組織となるのです
さて、ここで〈王〉に問い掛けましょう、何故〈キャメロット〉は〈王〉を立てる必要があったのか

本来ならば、〈円卓〉に〈王〉はいませんでした、ジルベールが失踪したのなら代役を立てる必要は無い
しかし、此度は違いますわ、─── どうお考えになられますか?


【それは一種の力試しの様であった、貴女の知力を図る、あるいは】



【────── 石に刺さった剣を抜けるか試すように】
64 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/22(火) 21:43:40.91 ID:QrtgMRQW0
>>58

……もー!そんなに私って怖いですかね?
そこまで平伏しなくても滅多な事はしませんよ
貴方の事は高く評価しているんですから

車の事だって本来悪いのはあの連中なんです
ってゆーか何なんですかほんと、狙撃って
報告書読んでも訳分かんなかったんですけど何ですかあの状況
【そういうの含めてホント水の国魔境じゃないですか!?と善弥は頭を抱えて】

……ほーんと、水の国何かの呪いでもかかってるんですかね?
ま、物騒であればある程私達が混乱に乗じやすくなってその分やり易くなるかもしれませんけど
【あくまで雑談のような調子で返す善弥】

【けれども"その人物"が現れた瞬間その表情には緊張が走って】

【老翁は緊張を走らせる二人を見回し、ふむ、と声を発して】

「儂が何者であるのか知られておるとはな……善弥よ、箝口令が緩くなっているのではないのか?」

──え、えぇ!?そ、そんな事は……
【ぎろり、と自分を睨む老翁に彼女は狼狽して】

「……して、其処の男よ」
「何故儂が此処にいると問うか──」

「此処は商会の本社。儂が己が城に座するのが其程までに不可思議か?」

そ、そういう問題では無いのでは!?
第一、社長直々にこの場に現れるというのは──

「……ほう、それは失礼した」
「じゃが儂の目の届かぬ場で主が"またしても"自分の愉悦を優先するような事があっても堪らぬからのぉ」

【黒鉄をフォローしようとしたのか老翁へと言葉を掛ける善弥】
【しかし老翁に睨まれ、うぐ、と言葉に詰まってしまって】



65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/22(火) 22:15:47.63 ID:1SZyaH4E0
>>61

【――、だけれど、彼女を悩ますのは"それら"ではなかった。サーペント・カルトのことを彼女はほとんど知らない。微睡んで眠っているようなものだったし、】
【後から知ってはいたが、特別それに何か悩んだりはしていないようだった。――或いは"そういう"ことにしたのかもしれなかった。考えないでいるのを選んだ、なんて?】
【そうして"へびさま"についても、何か悩むほどではなかった。――この身体が人間に戻った日からとんと静かでしゅんと小さくなっている、ちいさな神様のことは】
【きっとそのうち仲直り――という言葉もおそらくは不適切なのだけれど――出来るだろうと思っていた。――そうでなければあまりに無惨だった。唯一の肉親であるのに(だから)】

…………ごめんなさい。

【瞠り震える視線を逸らしたなら、喉の奥が張り付いたような声が出た。――謝罪はおそらく驚いてしまったというスタンに向けてでありながら、】
【同時に強い声を出してしまったことへの二人への謝罪でもあるのだろう。そうしてもっと言うのなら、――、当然にアルバートへも向けていた。そうだとしても、】
【"いま"する必要はないでしょうと責めるような色は、未だその片隅に残していて。――かえって謝られるのには、ふらり首を揺らす仕草だけが返事をして】

【――、だから、今はもう話したくないみたいだった。そうしてまた、"そんな"話を振られるのなら、そのまま怒って帰ってしまいそうな背中をしていた、けれど、違うなら】
【勉強に興味はないか、なんて彼の言葉。――教師なのだと続けば、その指先が刹那に停止するのだろう。長い睫毛が蝶々よりちっぽけな影響を起こすように、空気を揺らして】
【「おべんきょう、」……小さな声が呟くのなら、まったく興味がないという人間の態度ではなかった。むしろ、いつか何かしらの理由で諦めたふりして、憧れたままの、――?】

………………――、そう、なん、――ですね、がっこう、……。……わたしは、行ったこと、ないから。――お勉強を教えてもらっていたけど、それも、――途中で。
だから、ちっとも、分からなくって。……。他の誰かに教えてもらっても良かったのかもしれないけど、……機会も、なかったから。――、そのまま。

【大きな声で言えぬ教師、という立場にいくらか不可解さを覚えないでは、なかったけど。――どうやら少女は素直に相手の言葉を受け入れたようで、あるなら】
【信用にはあんまりに拙い一歩に似ているのかもしれなくて、――なれば彼女は勉学に触れられぬまま大人になってしまったようだった。自分一人では穴埋めすら、出来ないほどの】
【まったく基礎すら持ち合わせないなら、普段の生活はおおよそ経験則で賄ってきたのだろう。足し算も引き算も掛け算も必要なら電卓がやってくれるのだから、良い時代】
【それ以外のことも――櫻の血を引くには漢字もほとんど書けないが、読めるし、自分の名前も書けるし。そういった意味ではあまり"困らない"生活は、してきたらしい】

……いいの。

【――アポなしで困りはしなかったのだし。むしろ誰も居なかった場合困るのは"そちら"なわけで、それなら、取った方が良かったのではないか、と、思わぬではないけれども】
【きっとスタンがその前に走り出してしまったんじゃないかなんて思っていた。――少しだけ表情が緩んだように見えたのは、相手の立場が故か、それとも、情景が思い浮かんだからか】

スタン様は、――やさしいね。偉い子には、ハンバーグおっきくしてあげる。

【――――少しだけ冗談めかした声。であれば表情はきっと仄かに笑んでいた。容赦なくスタンを子供扱いしていた。――そうだとしても、どうあれ、何か少し楽しげだった】
【そうしていくらかの間のあとに、じゅうとフライパンがお肉と触れ合う瞬間の歓喜の音がして。そうして手を洗って、――、それから、】

……遅くなってごめんなさい、お茶――で、よかった、ですか?

【今更ながらにコップに入れた茶を出すのだろう。――烏龍茶。彼女はジュースだなんて飲まないものだから、これしか、なくって】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2019/01/22(火) 22:23:12.30 ID:Kzq6lWLX0
>>64

【当たり前だろ、と黒鉄は内心毒づいた、権力者は椅子にふんぞり返ってるのがお似合いだ】
【不信があるのならキチンと管理していればいい、やっている事は単なるパワハラと変わらねぇだろ、と】
【そんな事微塵も表情に出さず、黒鉄は緊張の面持ちで答える】


─── ご、ご無礼をお許しくださいませ……あまりにも想定外の事でしたので、つい
私の様な末端の者にまで目を配ってくださる社長の配慮を踏み躙る言葉を、どうか御容赦を
改めて報告させていただきます、先程秘書殿に話した通りではありますが


【そういって再び報告書を取り出し彼に渡そうとするだろう、心無しか手が震えていた】


─── 加えて一社員として上奏させていただきたく、よろしいですか?


【抜け目ない男であった、この機会に乗じて、何か述べるつもりだ】
67 :ブレンヒルト・フェイタルベルン ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/22(火) 22:31:15.84 ID:0TKD+zneo
>>52

【ソファーの手すりに頬杖をついてしばらくブレンヒルトはカニバディールを観察しつつその言葉に耳を傾けていたが】
【やがて少し前のめりになりクスクス笑うと、少々声を抑えながら―――やや人に聞かれるのはやましい事を口にした】


―――……カニバディール、もしかしてUTの今の体たらく面白くないんじゃない?
あいつら私たちにとっては敵だけど……まあそれはそれとして所属している『人』は結構骨があって見どころ満載な人となりをしてたと思うし
無論『あれほどの連中がなんてザマだ』って気持ちもわかる訳よ……けどま、奴らは"敵"だし……肩入れしすぎには注意だし?

……まあ私情うんぬんは私も人の事言えない訳だけど。『黒幕』と『円卓』の争いに関してはウチらもあなたを通じて正義組織共にもある程度協力する旨は
あのビルで話した通りで、一度あのジンジャーと顔合わせて話すらした訳だけど……この行動は、『公』と『私』をかなり混同した行動の自覚もあるし


【補足というのはおそらくあの時ジンジャーと共に現れた行動に関する補足も含まれているのだろうが、ここでブレンヒルトに変化が起きた】
【いつも天真爛漫でつねにお茶目な笑顔ばかりを浮かべてたブレンヒルトが、―――初めて、苦虫を噛みつぶしたかのような嫌悪感溢れる表情に変わる】


……反吐が出るほど嫌いなのあの『魔制法』って奴。能力者とか魔術師が常人から外れた力を持っている事を誰かの都合で
悪い事って事にして、それを責め立て殴りつける事がいい事って事にして……誰かを傷つける"悪事"を正当化して自分はいい事をしてるんだとか
平気な顔してられるクソ穢らわしい生ゴミ連中を蔓延らせる様なシステムが

無論逆でも同じことよ?いつぞやの"GIFT"のような能力者だけが優れてて無能力者は劣ってるからすべからく優れた者達に従うべきだと
蛮行にお膳立てするような……悪党のくせに善人面する偽善者連中はどっちも等しく大嫌い


【―――本来ならば闇で生きるはずのなかった少女という印象が、もしもカニバディールの直感が正しいとして】
【では彼女を闇に落としたのは―――そうした者を奪い取った者が存在するからなのではないか?】
【彼女から『光』を奪い取ったのはまさに―――そうした穢れた盲心的正義なのだろうか】

【……嫌悪に満ちた感情を吐き出したのち、ブレンヒルトは再び眩いばかりの笑顔をカニバディールに向ける】


……その点カニバディールは悪党であることを自覚し隠さないから潔くて好感が持てるし!悪は悪!奪い、犯し、殺し!ってのは好きにすればいいし!
みっともなく正当化するくらいなら悪らしく望むがままに悪として生きる。その結果憎まれ張られる外道のレッテルと
命を狙われる危険な日常は甘んじて受け入れるべきで、悪党として望んだ末路はたいていロクでもない死に様を晒すか―――最後までしぶとく栄えて大笑いの大勝利の二択だし!

「しかし当然前者になるわけにいかないからこそ、我々は"神器"を求めている訳なのでございます……
お嬢様、お茶の用意が出来ました―――しかし由緒正しきフェイタルベルン家の当主が"クソ穢らわしい生ゴミ連中"という言葉使いはいかがなものかと」


―――あっ、じいや!!いっけない聞かれてたし……あ、ありがとうねお茶、いただくし


【いつの間にか傍まで来ていた執事にドキッ!と体を震わせながら両手で口を押えつつバツが悪そうにすると】
【手慣れた様子で二つ分のティーカップに紅茶が注がれ、両者に配られる事だろう】
【前回の『フレッシュ・フランメ』がアールグレイ系の配合なら今回は―――ダージリン系の組み合わせだろうか】

/続きます
68 :ブレンヒルト・フェイタルベルン ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/22(火) 22:33:03.52 ID:0TKD+zneo
>>67続き

【湯気と共にほのかに香る甘美の芳香。ブレンヒルトは香りと湯気をゆっくりと、胸いっぱいに吸い込み―――ゆっくり、ゆっくり息を吐くと】
【口元に紅茶を持っていき、ゆっくりと注ぎ――喉を鳴らして少しずつ飲み始めるだろう】


前回の『フレッシュ・フランメ』が私の一番のオキニなら、二番目はこの『ディア・マイ・クリスティーン』がオススメだし
ダージリン系の亜種で貴重な逸品だし!―――体が疲れてるのならこちらが一番!お疲れのカニバディールへささやかなご褒美って訳よ


【だからそんなに固くならないで、とブレンヒルトはなだめるだろう―――そう、イスラフィールに読み込まれた一件で恐怖を浮かべるカニバディールを気遣っているらしい】
【彼の情報を耳にし、ふんふん、と頷きながら情報を噛み砕くと、全く気にする様子もなく彼女は続けるだろう】


水の国の最高議員イスラフィール、ねー……その正体は"Justice"に所属していたという
シオン・エルミオール・オルテンシアなのではないか?と……へぇ、私justiceに関しては結構疎いのよね……
コマチだったら当時からの時勢よくわかってるかもしれないけど……


なるほどね、じゃあそいつには私たちの同盟関係と"神器"に関することはまず間違いなく漏れている訳ね
オッケー、無論本当に心配しないで、"そっち"ならまだ手の打ちようはいくらでもある―――いいえ、むしろ"今読まれたのは望むところ"なくらいな訳よ


【望むところ―――だと?】
【コマチが恐れてたように情報を強制的に読み取る力は驚異のはずだ、それをどうして"望むところ"とすら言い切れる?】
【まるで―――読まれる所までが戦略だったとでもいわんばかりではないか】


記憶を読む能力……珍しくってとびきり貴重な能力よね?それがあるだけで情報戦ではほぼ無敵に近い存在だし!
コマチみたいな秘密主義者なんかは一番恐れてる能力な訳よ。け、ど!無敵というのは本当は正しくないわけよ
ちゃーんと世の中には世界でもさらに貴重な、記憶系の能力に対する"天敵"も存在してるんだなぁ〜!それはだーれだ!はーい可愛いブレンちゃんでーす!!


【ここで両手の人差し指を持ってきてぶりっこするように可愛げアピールしてくるブレンヒルト】
【だが、これであまり怒ってなかった理由もはっきりした、ブレンは世界でも貴重なそういう記憶を読む能力に対する"天敵"でもあるというのか?】
【コマチが重宝する理由もわからなくはない―――否、本当はおそらく『それだけ』ではないのだろうが】
69 : ◆ImMLMROyPk [sage saga]:2019/01/22(火) 22:42:29.62 ID:eIfp2WIs0
【昏い、昏い森の中を一人行く。夜に昏われてしまわぬように、闇に喰らわれてしまわぬようにその身を確かめながら】
【夜露に濡れた柔らかな土を踏みしめ、樹々の合間を縫って進む。少年の姿は凡そ旅人と呼べるものでは無く、むしろストリートに屯する若者のよう】
【それでも迷いなく、されどあてどなく歩む姿は、正しく旅人のそれだった】


おかしい


【先程も通ったような道を眺め、少年は森の中でポツリと呟く。夜風に銀の髪が揺れ、真紅の双眸が辺りをくまなく見回す】
【そこは、何をどう考えても先程通った場所だった。何故なら自分の足痕が其処にあるから】


迷ってしまった、と考えるのが妥当だ。迷ってしまったか……


【あっけらかんとした口調で現状を極めて正確に認識する。慌てず、騒がず、ゆっくりとなんて言葉もある】
【だが、少年のそれは一般的な冷静さとは乖離したものだった。どちらかと言えば、慌てると言う選択肢が無いが故の冷静さだ】
【腕を組み、考え込むようにその場に立ち尽くす。この森から抜ける方法をどうにか編み出さなければならない】


迷った時は、人に聞く。それが正しい方法だ
誰も……いないな。どうしようか


【助けを求める相手もいない。人気の無い森の中で一人、何者かとの邂逅を待っている少年に出くわす運の悪い奴はいるだろうか】
70 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/22(火) 22:46:54.68 ID:QrtgMRQW0

>>66

【緊張の面持ちを見せる黒鉄。その様を一瞥し、老翁は鼻を鳴らして】

「……否、儂も些か戯れが過ぎた」
「儂も姿を隠しておる身。あまり衆目に老体を曝すべきではないとは承知、だがのお……」
「憂いでもあるのだよ、この善弥が……放っておけば何をしでかすか分かったものではないのでな……」
【きゃつの戯れで大事な計画に綻びが生じるやもしれぬ故な、と老翁は深くため息を吐いて秘書を一瞥し】
【一方の善弥はといえば至極不服そうな面持ちで闇狗の方向へと目を向けており】

「……うむ、先程も少しばかり聴こえてはきたが」
【老翁はそんな秘書の様子も黒鉄の震える手元も気になどしていないという風に報告書を受け取り】
【加えて黒鉄が何事か述べようとすれば再び目に鋭い光を宿らせ】
【……内容によるがの、とだけ返す】


71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/22(火) 22:47:18.34 ID:4VjWzAyvO
>>63

【ジルベールもまた言葉を続けた。自身の思考の整理も兼ねてだろう】
【その間その場から動くことはなく、目線もイスラフィールに固定したままで】


『…………円卓は国に根付いた集金システムだ。誰かが率いるまでもなく、自動的に金を吸い上げてくる仕組みだ』
『それが主人を必要とした。本来ならば不要な主人を……そして』
『仕組みを考えるのであれば、その主人も誰でもよかったはずだ』
『極論を言えばその辺のホームレスでも玉座に据えることは出来る』
『ただの操り人形が欲しいのであればむしろそちらの方が都合がいい』
『言うに事欠いてミラなんざ……普通は選ばない。調べているんだろ?性格の一つや二つくらいよ』
『あんなどこに飛んでいくかも分からない鉄砲玉なんざ、お飾りとしちゃ向いていないにも程がある』

『────が、キャメロットとやらはそうしなかった』
『俺が一度いなくなった後、その首を挿げ替えるなんてことをせず……俺とあのタコ頭をもう一度選定した』
『つまりキャメロットが必要としているのは傀儡じゃねぇ…………明確な目的を持った奴が必要だったんだ』

『円卓なんてものは、基本的には金稼ぎにしか興味がない連中の集まり』
『長いものには巻かれるような、根本的には愚鈍な奴らだ。金が稼げればそれでいい──そんな亡者のなり損ない』
『だがその亡者共も、より金が稼げるようなヘッドが金のために号令をかければ、本能にしたがってそちらに歩き出す』
『単独では何もできない亡者共のことだ。円卓とやらで革新的な意見とやらを出してもどうせ他の亡者共に黙殺されるし』
『何より────危険な賭けなんざしないさ、あいつらは。それよりは既得権益を守るのに腐心する連中だからな』

『だからこそ…………号令をかける奴が必要だった。円卓の意思に沿った号令が出せるだけの奴が必要だった』
『そして──既存の利益以上の利益が出せて、尚且つ亡者共が“危険”だと判断して尻込みしてしまうような強力な号令の内容……』
『これにプラスして俺とタコ頭が考えそうなものとなると────もう、一つしかない』


   『 <円卓>が裏で主導権を握る、戦争だ 』


【そう言ってのける。彼はそれを実行してしまうのだろう。その意思だけははっきりとしていた】
【それだけの財と力はあった。必要な根回しも、政治家という強い駒がある。そして】
【今は戦争を起こすだけの状況が整いすぎていた。水の国に端を発した反能力者運動。それは今や櫻を巻き込み】
【風の国にまで飛び火しようとしている。能力者と反能力者主義者。決して相容れない人種が有れば】
【戦争なんて簡単に起こせる────そして、一度戦火が起きてしまえばそう易々とは鎮められない。鎮ませない】
72 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/22(火) 23:27:31.88 ID:xYCvze/ko
>>67-68
――――かないませんな、貴女には。仰る通りです

UT事務所に乗り込んで、大げさな宣戦布告までやった私が、こんな思いを抱くのは何とも滑稽ですが
リーダーのセリーナを始めとして、あそこの連中とは……敵としてとはいえ、それなりに長い付き合いだとも言えたのです

……肝に銘じておきます。私も、敵に感情移入して足元を疎かにするほど、間抜けなことはしたくありません

【ブレンヒルトの観察眼には舌を巻く。まさにその通り、カニバディールは面白くなかった。己の宿敵と定めたUTが、このような末路を辿ったことが】
【本来ならば敵を同じくするとすら言えるだろう『外務八課』に対して、並々ならぬ憎悪と嫌悪を抱いているのも】
【彼らがUTと入れ違うように表舞台で活躍し始めた、という点も大きかった】
【それほど、感情を揺り動かされていたことを、改めて自覚させられる。ブレンヒルトに、また借りが増えてしまった格好だ】

……それだけ、『黒幕』のやっていることが常軌を逸した悪の中でも最底辺の悪だということでしょう
あのジンジャーとて、こんな状況でなければ我々と一時的にでも協力しようなどとは思わなかったはずです

ジンジャーとは、私も虚神との戦いで同じ戦場に立ちましたが……ふ、ふ。私がその戦いで
『暗幕の宝玉』を使ってやった時の反応は、見ものでしたよ

【公私混同。確かにそうだ。公を優先するならば、曲がりなりにも機関と協力体制を取ろうとした】
【『黒幕』や『円卓』を優先し、正義組織を討つべきだったのかもしれない】
【だが、ブレンヒルトにすらこのような顔をさせる、『黒幕』の所業はあまりにも許しがたいものであった】

……すべてに置いて、同感です。『魔制法』をもてはやす連中の吐き出す戯言を聞くたびに、耳も腐る思いでした
自分たちこそが『正義』だと言わんばかりに拳を振りかざす。やっていることは我々と同じ……いや、それ以下の所業だというのに

"GIFT"も確かに、似たような要素を孕んだ連中でしたな。醜悪な本性を選民思想で飾り立てて……思い出すのも腹立たしいですよ

【まさに、カニバディールの抱く感情はブレンヒルトのそれと大いに気が合うものであった】
【だからこそ、その根底にあるものが何なのか。疑問が意識の端に引っかかった。汚泥の中から湧いて出た自分と違って】
【彼女には、もっと明確な理由が。時に大罪足り得る正義に、何か取り返しのつかないものを奪われたことがあるのだろうか】

【疑問は、押し流す。今、自分は彼女と同志としてここにいる。それで十分だ】

光栄の極みです、ブレンヒルト様。私も、貴女と考えを同じくしています
悪を成すなら、それを認める。たったそれだけのことだと言うのに、外面だけは飾りたがる輩が多くていけません
悪とは、疎まれ蔑まれ憎まれ、それを全身に浴びながらなおも、その身に自ら望んで罪を重ねていく。そうしたものであるべきです

/続きます
73 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/22(火) 23:28:01.89 ID:xYCvze/ko
>>67-68
おっと……ありがとうございます、テイラー様
ふ、ふ。当然ですな。最後まで世に憚ってこそ、悪の本懐というものです

【カニバディールもまた、驚きかけたが二度目ともなればどうにか抑える。この執事の神出鬼没ぶりは相変わらずだ】
【注がれる紅茶を、カニバディールも普段とは違って、まずは目と鼻で堪能した】
【ブレンヒルトほど優雅にはとてもいかないが、香りを吸い込み、暖かさを感じ取り、それを己に沁み込ませていく】
【――――この似合わない行動がゆえに、ブレンヒルトの師匠に一度は匂いを嗅ぎつけられたことには、未だに気付いていなかったが】

以前のアールグレイ系に対して、ダージリンですか……なるほど。確かに、疲労が抜けていくような心地です
……お気を遣わせましたな。ありがとうございます

【このような少女に気を遣ってもらうなど、悪党以前にいろいろと問題になりそうではあるが】
【それでも、やはり疲弊していたのだろう。今は、その言葉に甘えるよりほかに術を知らなかった】


……正体に関しては、憶測ですがね。イスラフィールは、まったく底の見えない女です
能力までも同じである以上、無関係とは信じがたいですが……これに関しては、今論じても答えの出ない話でしょうな
一度、コマチ様のご意見も賜りたくはありますが

――――接触はほんの一瞬でしたが、相当量の記憶を覗かれた感覚がありました
我々の情報も、そこに含まれていると考えるべきかと……

……? 望むところ、と……?

【流石のカニバディールも困惑を表に出した。本来ならば、秘匿して然るべき情報であるはず】
【それをこうまで言い切るとは、まるで自分も含めて彼女の指す盤面の上のような――――】

全くその通りです。拷問も説得も必要なく、触れるだけで何もかも知り尽くされるなど……脅威としか言えますまい
天敵……ブレンヒルト様が、ですか? 確かに、ブレンヒルト様ご本人のお力については、詳しく知りませんでしたが……
これほど強力な能力に対抗しうる力とは、いったい……?

【可愛さのアピールにも余念がない隙の無さに、反応出来る余裕もなく】
【自分が見聞きしたことのない力。未知への興味が沸き上がるのをカニバディールは抑えきれずにいた】

/遅くなりました……
74 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/22(火) 23:44:14.35 ID:R1KbtrCu0
>>59

【耳元に囁かれる蜂蜜のような甘い声に思わず全身に鳥肌が走る。】
【そして食器棚のガラス越しに相手の顔を見る。姿を見る。―――何故相手が裸体なのか思考を巡らす】
【………答えはなかったそういうこと≠セったか?それとも単にそういう習慣なのだろうか】
【だがこういう場合心当たりがない事を口にする事ほど失礼な事はない。ただ黙して視線だけを柔肌に這わせる】

【昼と夜とではまるで別人のようだな―――否、毎秒表情が変わる。】
【本当の君は何を思っているのかと、そこまで考察する事は今の脳の状態では叶わない。】

【『んっ』と身体を這う指にらしくもない声を漏らす。】

【だが、次の瞬間には―――】



―――そんなに触って大丈夫なのかい?情報が逆流するよ。
起こしてしまったのならごめん。生憎と肌のケアには無頓着でね。



【反転し、体に残った右腕を壁に突き立てて相手の逃げ場を無くそうとする。】
【乱れた銀髪を垂らしながら緋色の瞳がゆったりと相手を見つめて、淡々と言葉を口にする。】
【そして鼻と鼻が触れそうな距離のまま暫く沈黙の時が流れる。】

【暫くして『―――汗がびちゃびちゃだ、シャワー浴びてこよう』と唐突に言うと、そのままバスルームへ向かっていく。】
【暗い室内では直ぐに姿は見えなくなる。】



【―――】
【――――――】
【――――――見える?】



【窓≠ヘいつしか空いており、カーテンが風でゆらゆら】

【そこにいるのは―――影=H】

【そこには影≠ェいた、もしくは空間についた黒い染み=A世界のノイズ=z

【人型とも言い切れない形をしたソレは時折古びたビデオテープを再生するように歪み、捻じ曲がる。】

【正面にいる貴女を見ているのか、それとも背を向けているのか分からないがそれは窓≠フ前に立っていた。】
75 :ブレンヒルト・フェイタルベルン ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/23(水) 00:18:39.90 ID:Wyc/8lfso
>>72

ジンジャー・ユースロット……会って話してみたら本当に……ユニークっていうのかしら
アイツはわりと私ら寄りだと思うのよね。たまたま奴の感性が正義の味方たちを好んだから私たちの敵サイドにいるだけみたいね
法よりも情を、秩序より混沌を良しとするアライメントの持ち主は正直でさっぱりしてるけど……うん、敵側の奴だと厄介よね

相当昔から正義陣営に技術者として肩入れしてるだけあって奴は戦いのベテランなのよ
そいつに不覚を取らせるだけでなく追い打ちで二度悔しがらせるなんて……やっるじゃないカニバディール!


【先の飛行船潜入作戦では―――結果を見れば間違いなくカニバディールの勝利だったと言えよう】
【珍しく不覚を取り悔しそうにした過去の落ち度を掘り返され、二度苦虫をかみつぶすような思いをしたジンジャーにとってカニバディールとは面白くない存在なのかもしれない】
【もっとも、それでも必要とあらば柔軟に自分たちとの取引を選ぶあたり―――奴も決して『魔制法』を気に入ってないらしい。奴にはあまり効果のない法だったはずだが】

【「ま、利用できるものは利用しましょう!」と手をパン、パン、と鳴らすと執事の後ろから妙にガラの悪い男連中がトランクを持って現れる】
【―――その割には、お嬢様のために恥ずかしくないよう身なりが整っているが―――その男たちは執事アルバートにトランクを渡してすぐに部屋の外に退出する】
【執事はその場で膝を折ると、ブレンヒルトに向けてそのトランクの中身を見せる事だろう】


……そうね、貴方の話を聞く限りそいつ結構な切れ者でやばそーかもだし。どんな悪だくみ打ってくることか……
そいつの危険な頭脳、打ってくる策自体は引き続き警戒を続けてほしいし。け、ど、イスラフィールなのかシオンなのかはこれから暴ける時に暴ければってのを狙うとして
少なくともそいつの"記憶を読む能力"そのものに関してはつけ入る隙がある訳よ!この天ッ才魔術師のブレンちゃんにかかればね!

まあ説明するよりは実演の方が早いし!まずはこちらを……手に取って見て
そして今からする説明を、"これ"の蓋をスイッチを押し続けるみたいに押しながら聞いてほしいし


【執事の開けたトランクからブレンヒルトが取り出したのは―――青の宝石が中央に刻印された、銀の"小瓶"のようなアイテムだった】
【小瓶の口には赤色の小さな宝石が蓋としてしまっているが、言われた通りに上から押すとカチッ、と音が鳴るだろう、これを押し続けていればいいのだろうか】
76 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/23(水) 00:46:45.04 ID:tWIJOlSZo
>>75
実に遊び心に満ちた男ではあります。確かに、近しい物を感じましたよ
彼奴のセンスがあと少し違っていたら、肩を並べていた可能性すらあったことでしょう

とはいえ、そのセンスこそが行動原理だからこそ、こちらよりだと言う男に、真逆のことを期待しても詮方なきことですな


ふ、ふ。有難う存じます。近しい相手だからこそ、やってやった喜びも大きいものですよ
こちらも、以前から幾度も煮え湯を飲まされてきましたからな。意趣返しというやつです

【ジンジャーとの間接的な因縁は、もう何年も昔の列車襲撃事件以来となるか】
【彼ほどの男からすれば、その長い戦いの歴史の一ページに過ぎないのだろうが。カニバディールにとっては】
【ジャンクちゃんに側近たちがほぼ一方的に叩きのめされたことを始めとして、大いに疎んでいた相手だ】
【それに一杯も二杯も食わせてやったことは、ここ最近では数少ない痛快事であった】

【ともあれ、そんなジンジャーすら自分たちと手を組まねばならない相手。事態の異常さをまたしても再確認させられる】


【手を叩く姿も様になっている、などと場違いな思考がよぎる。黒服の男たちの淀みない動作は、それに見合ったものだろう】
【そして、執事の手で開け放たれるトランクの中身。カニバディールからは未だ見えない】

全く、油断ならないという言葉を形にしたようですよ……こうしている間も、何を企んでいるやら
ええ、今度は決して不覚は取りません。こちらが利用してやりますよ

能力、というより魔術師としての技術ということですか……
ふむ? これを押し続けながら拝聴する、だけでよろしいのですね?

【言われるがままに、その小瓶を手に取る。己の大きな手には簡単に収まるほどの小瓶】
【宝石の刻印といい、銀色といい、何とも美しく怪しい代物だ。カニバディールはブレンヒルトの言葉のままに】
【口に嵌まった赤い宝石を太い指でカチリと押し込み、そのままブレンヒルトの次なる言葉に集中しようとするだろう】
77 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/23(水) 01:29:01.14 ID:Wyc/8lfso
>>76

【にぃっ、と満面の笑みを浮かべながら、やや得意げにブレンヒルトは続けるだろう】


―――その魔術礼装の名は"守人の小瓶"

それの蓋を押しながら手にした"記憶"は全てその小瓶の中に"だけ"ストックされるのよ
そしてそのまま所有している限りいついかなる時でもその瓶の中の記憶を確認することが出来るの
つまりこれからはその瓶が貴方の二つ目の記憶野になってくれる訳よ

そして一度ストックした記憶は何があろうと絶対に中から消える事はない。仮に貴方の頭が記憶喪失になったとしても
それを所有している限りその中に入れた記憶だけは必ず引き出せる。絶対忘れたくない事もそれに入れておくといいし
脳をパソコンのHDと例えるならそれはUSBメモリって所かしら?

さて、今その瓶の蓋を押しながら話を聞いてるから、貴方の耳で聞いた情報は脳に記録されることなくその瓶にストックされてるけど……
今はまだカニバディールは多分今実感が沸いてないと思うし。だって、今聞いた情報は普通に全部記憶できてる
なんなら今この場で要点も参照できちゃうでしょ?今貴方はその瓶を"所有"しているんだからね―――でも


【カニバディールが、自分は今これまでと同様普通に記憶できている事を確認したならば】
【突如、ブレンヒルトはカニバディールの手からすっ、と小瓶をひったくるだろう―――そして】



―――今の一通りの説明、"思い出せ"る?カニバディール



【瓶を奪い取ったブレンヒルトが、もう一度自分の記憶をカニバディールに確認させようとしたならば―――自分の異変を知るはずだ】


【カニバディールの現状の行動の中で―――瓶の蓋を推したところから、何を聞いていたのかブレンヒルトから促されても全く"思い出せない"】
【彼にしてみれば真面目に話を聞いていただろうに―――ブレンヒルトが一体何の話をしていたのか全く頭から引き出すことが出来ない"異変"を理解することになる―――】

78 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/23(水) 02:02:46.78 ID:tWIJOlSZo
>>77
"守人の小瓶"……この中に記憶が――――この中にだけ=c…?
ふむ……今こうしている記憶が、この小瓶の中にストックされているわけですか

二つ目の記憶野……なるほど。記憶を全て失ったとしても、この中にある記憶だけは守られる、と
USBメモリと言っていただけると、わかりやすいですな

魔術の分野には疎いのですが、通常このような……人の記憶をストックするなどと聞いたことがありません
相当な高等の魔術のお見受けします。流石はブレンヒルト様
これに奪われたくない記憶を入れておけば、誰に頭を覗かれようと何の問題もないというわけですか……

……今この瞬間も、この瓶の方に記憶がいっている……そうですね、実感はわきません
実際に、今思い返せているわけですから……これがすでに、瓶の記憶を参照しているのですか? 私が頭で思い出しているわけではなく――――!?

【四度目である。イスラフィールに。アリス=ファンタジアに。フライヤ・フライクーゲル=イェルネフェルトに】
【今、眼前のブレンヒルト・フェイタルベルンに。この短期間で、懐に潜られること四たび、全員女性】
【この場合は相手が相手だけに不可抗力だが、仏にも見捨てられる回数だ――――いや、そもそも己に仏が手を差し伸べるはずもないか】
【そんなくだらない思考が、最後だった。瓶をひったくられる感触と共に。何かが抜け落ちた】


――――? それは、もちろん……説、明?
なん、だこの感覚は……? ブレンヒルト様、今私は確かに、ここに座って貴女から記憶操作への対抗術の説明を……
小瓶を受け取って、赤い宝石を押し込んで、それから――――それから……!?

【異様な感覚であった。少しでも情報を記憶に留めようと絶えず気を張っているこの男にすれば、生涯初の経験だ】
【たった今、今の今まで聞いていたことが。何も思い出せない。ブレンヒルトの言葉に、しっかりと傾聴していたはずなのに】

ブレンヒルト、様……いったい、これは……?

【何が起きたのかまるでわからず。何とも滑稽な困惑顔を、カニバディールは晒した】
79 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/23(水) 02:32:16.38 ID:Wyc/8lfso
>>78

【困惑するカニバディールの様子を一通り楽しんだブレンヒルトは、いひひっ!と口を押えながら悪戯っぽく笑い出すと】
【すぐにカニバディールの手に小瓶を戻し、指を蓋の上に動かす事だろう】
【今度はちゃんと思い出せる―――まるで頭で記憶しているかのように、だ】


すごいでしょ!こんなとっておきの魔術礼装はきっと世界で私にしか作れないし!もはや大魔術師だった
私の"お師匠"ですら造れないでしょうね!私の戦闘力はレオはもちろんの事おそらくは貴方にだって及ばないわカニバディール
……でもね、出来のいい魔術礼装を発明することに関しては……数十年に一度の才能を誇ってるわけよ、私はね

本当はミカロー対策で発明した代物だったんだけど……きっと今回の相手にも有効に働くと思うし!
これ錬金するのめっちゃ難しかったのよ!あと作成に必要なレアメタルを集めるのもすごく手間がかかったし!


【それとそれと!とまるで子供が自分の作ったとっておきの宝物を自慢するような無邪気さで】
【小瓶の作成にかかった苦労を一通り打ち明け終えたブレンヒルトは、そのまま説明を続け、瓶に記憶させ続けるだろう】

【これが、ブレンヒルト・フェイタルベルンの"魔術"の技能】
【まさに魔法にかけられたかのような奇妙な感覚をカニバディールに味合わせる事で、彼女の力量をある程度測り知ることが出来るだろう】
【……だが、彼女はその魔術を一体誰に教わったのだろうか?"お師匠"とは?秘匿の術を持った今、それを打ち明けてくれるのだろうか】


今体感してもらった通り、貴方自身の頭は今私の話を全く記憶してない訳よ!
それじゃあ……イスラフィールが次貴方に触れたとしても、そりゃもちろん私に纏わる情報なんか読み取れる訳ないわよね?
これでもう私から何を聞いてもイスラフィールは私の秘密を能力によって暴露する事は不可能になったわけよ!



――――あ―――ッと!でもたった今一つマズい事が起きたし?今の小瓶の説明は貴方の頭に入ってないけど
この小瓶を受け取る瞬間は間違いなく貴方の頭に記憶されたわね?それに今私が引ったくって、瓶の中に入れた記憶が
自分の頭の中に入ってなかったことを体感させて困惑した記憶だってもちろん貴方の頭の方に記憶されちゃったし!

奴はほんの一瞬触れただけで相当数の記憶を覗けるんでしょう?となれば次貴方に触れたらイスラフィールは
貴方の頭の中に記憶されていない事と、その現象が"小瓶"を受け取ってから起きていることにきっと気が付いてしまうじゃない!
じゃあきっとその悪魔的な頭脳をもってすれば、きっと"小瓶"の方に触れてしまえばその中身を覗ける事に気が付いてしまうしー!



【……あまりにも、オーバーでわざとらしく慌てているかのような素振りをカニバディールに向けて一通り行うだろう】
【実際それは少し考えればすぐに連想できそうな考え―――だが、一通り言い終わったブレンヒルトはさもウソ泣きを終えたかのようにゆっくりと手で隠した顔を向けると】



―――なぁーんて、そう気付かせて触らせる事自体が"罠"なんだけ・ど・ね♪


【ニタァ、とあくどいすまし顔でカニバディールに笑いかける事だろう】
80 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/23(水) 03:11:17.90 ID:tWIJOlSZo
>>79
【まったくもって不可解であった。年相応の子供のように笑うブレンヒルトを唖然と眺めることしばし】
【その手に、小瓶が戻されて。指が赤い宝石に触れた】
【時間にして、ほんの数分。その欠落が戻ってきた。最初に思ったのは、瓶を渡されたことで五度目、というどうでもいい感想だった】

――――感服します、ブレンヒルト様。まさに、天才という以外に表現の仕方が見当たらないことでしょう
……門外漢の私ですが、数十年に一度では済まないような気さえしますよ……
戦闘力が高い者なら、探せば結構な数がいるのがこの世界ですが……貴女のそれは、より希少な宝石というべきものでしょう

ミカロー、とは初めて聞く名ですが、記憶に纏わる能力を持った者は他にもいるわけですか……世界はまだまだ広いようですな
ええ、間違いなく大いに助けになることでしょう
ブレンヒルト様のお力をもって、それほどの苦労が……ああなるほど、材料の問題は魔術の分野にもついて回るのですね

【相槌を打ち、頷きながらブレンヒルトの話を熱心に聞いていく。子供さながらに展開する苦労話も、のめり込むように】
【全てを貪欲に求めるカニバディールの習性ゆえだが、同時に親しみがあるからこそでもある】
【こうしている間にも、記憶は瓶の中へ。何とも奇妙な感覚だ】

【これほどの力。天才魔術師の名は伊達ではない。十分なほど理解できた】
【当然、その言葉にも意識は向く。お師匠。彼女の秘めた原石を磨き上げた存在】
【気にならない、と言えばうそになる、秘匿の魔術があれば、知らずして知ることも出来るかもしれない】

【だが、しなかった。あの飛行船の一件の後、奪った品と共に、あの名を。あの犬の名を出した時の、ブレンヒルトの動揺振り】
【あれを思えば、軽々しく踏み込もうとは思わなかった。未だ師匠と呼び慕う相手が、敵方にいるという重い事実には】
【たとえ、全てがこの瓶の中に閉じ込められるのだとしても】


イスラフィールの能力は強力ですが、ないものまでは引きずり出せないでしょうな
これほど堅牢な防御は他にはありますまい

……それは気になってはいました。小瓶を手にし、手放した前後の記憶はHDDの方にしまい込まれた物
そう、たった一度触れるだけです。あの時は、一瞬というにはもう少し長い時間ではありましたが

――――イスラフィールは、頭の切れる女です。その断片さえあれば、すぐにたどり着くはず
……それだけでは終わらない。そうなのでしょう?

【そのオーバーリアクションを眺めながら、カニバディールの口元も歪む。ブレンヒルトの強みはここにもある】
【己の力の死角を自覚した上で、それすらも利用する強かさだ】

――――魔術のみならず、策略という面でも貴女の頭脳は類稀なもののようですな

【彼女の悪党らしくかつかわいらしい笑顔に、異形は醜悪な笑顔で応えた】
【これだから、悪党はやめられない】
81 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 11:28:58.33 ID:MR5t0DrEo
>>70

【 ─── 曖昧に笑う仕種さえできなかった、気を抜いたら一瞬、ほんの一瞬で自分の呼吸が途絶える】
【針の筵に居る様な威圧感、宇宙空間でさえこれ程までに息苦しくはない、だからこそ思う】
【無呼吸状態のシンドローム、脳のエンジンがフル稼働し、呼気までもが熱くなるのを感じる】


私には理解ができません、“ヨシビ商会” と言えば、優良な顧客と豊富な供給ラインで成長を続ける大手企業の筈です
言ってしまえば多少の不況にはビクともしない、そういう意味で真の大企業である、と私は認識していました

しかし、……しかしですよ、今社長や秘書殿がやっておられる行為は明らかに “おかしい”

これだけの費用と手間をかけて “闇狗部隊” を『水の国』に配置する事も、一国すら傾けるだけの装備を彼らに手渡す事も!
……っ、本来ならば “闇狗” 自体も一企業が持つにしては戦力として過多に過ぎます、小国の軍隊と同等以上の戦力ですからね

私は愛国心や、良識といったそういう陳腐な理念ではなく、一社会人として、社長の行為に対して疑問をぶつけます


【舌が渇く、不自由な逃避行に似ていた、縺れた足取りで何とか走り抜ける様に】
【黒鉄は企業としてヨシビが今展開している行いに反対する、そこに生まれぬ利益を指して】
【暫し躊躇っていたが意を決して、─── 彼は更に踏み込む】


……分かっています、ええ、“魔導海軍” と “現将軍奥方公” でしょう
経理の者に見せてもらいました、ヨシビの金がどの様に動いているのか、明らかにおかしい出入りが二つ
勿論その相手は明示されていません、けれども、今 “櫻” に於いてこれだけ莫大な金が動く理由

それは櫻の誇る最新鋭の軍隊、“魔導海軍” と、────── “女狐”

私がお聞きしたいのは、彼らに手を貸す事の意義です、ヨシビ商会という一企業が、軍隊と王権に何故手を貸す必要があるのか
答えてください社長、社長はこの契約で何を失い、何を得るのか、と
────── そこにヨシビとしてのメリットが見出さなければ、私はついて行きたくない


82 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 11:48:10.91 ID:MR5t0DrEo
>>71

【静謐が帳に響く、リハーサル前のコンサートホール、爪弾く音だけが鮮やかに、反響音だけを永劫に感じて】
【イスラフィールは貞淑に微笑む、写し描くは魔性の美、誑かす為の媚態に狂わす為の愛嬌を加えて、それを清楚に混ぜ合わせる】
【無限に続く様な静寂であった、あたかも世界中に、私と貴女しか、いない様な気がして】


貴方様はこう仰るのですね<円卓>が戦争を起こす、と、────── お分かりですか、私は政治家ですわ
ええ、民の平穏と安寧を守る為の徒、その存在が、率先して戦争を起こすのだ、と
いえ、或いは、全て戦争は政治家が起こしている、とも言えましょう、────── 貴方達が知性を持ったその原初から

ふふ、謀りはやめましょう、あまり試し過ぎるのも良くありませんわ、貴方と私は同じ仲間ですもの

<湖の乙女>は<王>に選定の剣を渡し、<王>はその“聖剣”を持ってして<王>に見初められました
────── ならばその<聖剣/政権>は何処へ? なんて、問答にもならないでしょう


【貴方の推察は正しい、あまりにも正しく理論を描き過ぎていた、言ってしまえば、その身を焼きかねない程に】


さて、隠し立てをするのはやめましょう、確かに<円卓>は戦争を起こす準備をしております
その為に貴方様が必要なのは言うまでもありません、明確な頭が無ければそれは戦争ではなく児戯に等しい
ですが、そこには目的がなければなりませんわ、目的のない戦争とはただの破壊活動に過ぎませんもの

────── 一つ謝罪しなければいけませんわ、貴方様が<王>でなければならない理由を、私は貴方様に伝えて無かったのです

<王>ジルベール・デュポンは<湖の乙女>から“聖剣”を託されました、しかし、“聖剣”を持ったまま消失したのです
もう一つ、情報を差し上げますわ、<円卓>内部に於いて<王>と<王妃>のダブルミーニングを知っているのは“キャメロット”と“円卓の騎士”のみ
その他大勢の<円卓>のメンバーは、まだ、<王>が<王>であり、”聖剣”を保持していると楽観視しております

────── そう、“聖剣” 、私達が “黒幕” を葬る為の切り札が一つ

<円卓>という単なる集金システムがその形を保持する為には、勝算が無くてはならない、それが貴方を招集した理由ですわ

まだ本題には至ってませんわ、これは単なる条件節に過ぎません、戦争を起こす為の大義名分にもなりはしません
過ぎ去った“聖剣”を悔やんでもしかたありませんわ、私達が求めるものは “二つ”

“聖杯” と “方舟” ────── “聖剣” と “聖杯” を持ち “方舟” に乗り込む



──────────── 作戦名 “完璧な庭” その為の犠牲に、貴方様は選ばれたのです


【情報を意図的に隠蔽していた、足りない説明は即ち、言外の意図を汲み取れというイスラフィールからの挑戦状】
【加えてミラは察するだろう、ミラをジルベールに仕立て上げる事はつまり、<円卓>に於ける頭を明示するという事】
【<円卓>に於ける頭領とはつまり、誰よりも苛烈に命を狙われるという事の証明である、と】
83 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 11:55:54.83 ID:MR5t0DrEo
>>74

【貴方は彼女を見下ろす、シーツの端を握って、彼女は胸元に当てがっていた】
【水彩で描いた瞳、何億層も重ねた色彩を、指先でつぅと滲ませたなら、彼女の目元の流麗さを僅かばかりでも理解できるだろうか】
【視線にぴとりと張り付く肌の質感、女性的な柔らかさを張り詰めた様相は、瑞々しい果実を思わせて】

【牙を立て貪る欲求を駆り立てる、薄皮を剥いだその下にある激情を心行くまで我が物にしたいという、願望】
【そしてそれすらも許してしまう圧倒的な慈悲、地球に抱かれるその感触を、その甘美を、その甘露を、彼女なら与えられる、と】
【マリアベルがバスルームへ向かうのも無理は無かった、言ってしまえば彼女は皆既日蝕中の太陽の如く】

【────── 直視したならばその身を滅ぼす、魔性であったから】


────── そこにいるのね


【雑音を見た、否、正確には聞いた、────── 彼女の視線はずっと、貴方の残照を見ている】
84 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/23(水) 14:58:33.05 ID:Wyc/8lfso
>>80

ミカローの件については……小瓶を渡したことだし順を追って話すことになると思うし
別に私たちの案件に関わってくるとは思えないけど……『黒幕』たちが暗躍して明らかに治安が悪化した
今のご時世だからこそ……なんだか胸騒ぎがする訳だし。あの"外道野郎"の考えてる事は流石の私でも読み切れないし

まずはイスラフィールに関する件と、その次に"神器"に纏わる補足事項を伝えておかなきゃだし


【途中で口を突いて出した名前に関しては一度後回しにして、"小瓶"に纏わる話を続ける】
【イスラフィールの記憶の能力に対抗できる"小瓶"だが、彼女の頭脳なら確実に"小瓶"が能力を阻害していることに気が付き】
【小瓶から記憶を入手すればいい事に即座に気が付くことだろう……ではどうするのか】


私、いろはにほへとの先も言えないし地図なんてまともに読めないの、下手すりゃ割り算すら時々怪しいけど……魔術と、人を見る目には長けてるつもりだし
イスラフィールはかなり頭がいいわ、だから自分の得意分野と苦手分野だってハッキリわかってる
苦手分野はハッキリ受け止め味方にカバーしてもらう方法を会得してくるでしょうけど……得意分野には誰よりも自信を持つはずだし

結構ないい年まで無能力者だったミカローと違って、イスラフィールは若くして自前でその能力を発現している辺り
彼女は生まれついて―――人一倍情報を得ることに関しては自分の右に出る者はいない、という自負を必ず持っているし
そこで初めて"触れても"読めない相手に出会えば、必ず悪感情をじんわりと心に抱く訳よ


でも、持ち前の頭脳があればもちろん手に入れた記憶を体の外にため込んでいる事に必ず突き止め―――
その場でなら慢心を抱くわ、"私に手に入れられない記憶はない"とね!


【しかしここでソファーに座ったまま足を延ばし、両手の平を上に肩の所まで持っていきながら得意げに言う】


―――けど残念、最初にその"蓋"を押して記憶を入れた時点でもうその"瓶"の持ち主は貴方で決まってしまっている
そして"瓶"は持ち主以外が記憶を引き出す事を許可しない。それをもし記憶を読み取る能力とかで持ち主以外が"瓶"から引き出そうとすると……


単純明快な"逆流"の呪いが盗人めがけて流れ込み―――逆に記憶を読む能力が跳ね返るのよ!イスラフィールには自分の頭の中しか見えない!
そして"瓶"の中身に触れた状態で自分のHDDの中身を見てしまったらどうなると思う?―――自分で見た自分のHDDの中身が
そっくりそのまま―――"瓶"に記録されるの!読み取る能力が強力であればある程くっきりたっぷりとね!―――つまり"ダビング"よ!

……後は"持ち主"の貴方がそこからイスラフィールの記憶を読めばいい。これで……イスラフィールの正体と、"真の目的"も暴けるって訳よ!!


【イスラフィールの、全てを読み取る能力を逆手に取った悪魔めいた一手】
【―――まさに"天敵"。己の懐に潜り込ませてしまった以上カニバディールならば容易く接近できる】
【次、彼女がカニバディールに能力を使った時が勝負だ―――謎のベールに包まれた妖艶な女の正体を暴く一手を、今悪党の手に握らせたのだ】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/23(水) 15:53:56.11 ID:VQi7+g2KO
>>82

【(聖剣────?“リスト”とはまた別の…………?)】
【(いや、違う…………“リスト”は円卓の致命的な弱点だった。掴めばこっちは安全圏まで抜け出せる代物だったが……)】
【(“聖剣”ってぇのはそうじゃねぇ。今までディフェンスだったこっちがオフェンスに回れちまうような──)】
【(そんな飛びっきりなモン、ジルが持ってたってぇのか…………でも、そいつがなくなっちまった)】

【(こいつの口ぶりから察するに…………その聖剣とやらの代わりが“聖杯”と“方舟”ってぇこと、か──?)】
【(おおかた、何かの隠語なんだろうが……。…………けっ、その中身まで察することは無理だな)】
【(しっかし────っ、は。犠牲、犠牲ねぇ…………。随分とはっきり言ってくれやがる)】
【(王位を突っぱねれば処刑、……かといって、ただ王座をあっためてりゃいいってワケでもねぇ…………)】
【(“聖杯”と“方舟”を探し出し…………“生き残る”────!)】

【(は、は…………ぎゃっは────随分とハードじゃあねぇか…………!ミッション・インポッシブルの方がなんぼかマシだ、クソが!)】
【(でもいいぜ……やってやる…………!やってやろうじゃあねぇか…………っ!!)】
【(ギャグだと思いてぇ状況でしかねぇが……そうじゃねぇってのはここ1年でよぉっく分かっちまったんだ!)】
【(ならもういっそ────腹ァ括るしかねぇ!足りねぇ頭をフル回転させろ。クールに…………だが、心の芯だけは熱く──!!)】


『…………消えた“俺”が持っていたはずの聖剣とやらは失われたと思ってもいいだろう』
『だがそれを他の円卓構成員に知られるわけにはいかない──まだ保持しているかのように振る舞い』
『その間に戦争の準備を進め……聖杯と方舟とやらを探し出し、且つ』


『“今度こそ”生き続けて円卓を方舟へと導く────二度目の失敗は許されない』


『黒幕共を打倒し…………方舟とやらが真に方舟なのであれば』
『大方、戦争で荒廃した世界をどうにか乗り越えて次に進むとかその手のシナリオがあるんだろう』
『<完璧な庭>とはよく言ったものだ。選ばれし連中のみを乗せて進んだ方舟がたどり着くのは……』
『円卓の意思に沿った人間。あるいは都合のいい人種。そんな連中が蔓延る<庭>ってわけか』

『これまた正義を謳う連中には反発されそうなものだが…………あの手の個人主義の集合体にはシステムを壊すだけの力はない』
『故に狙ってくるのは俺やあんただろう。アタマを潰せば円卓はただのシステムに戻っちまうからな』
『だからこその<騎士>か。ただの矛として使い潰すつもりはなかったが……まぁいいさ』
『誰かが命を狙ってきたんなら、そいつを喰い殺せばいい。ただそれだけのことだ。それが誰であろうと、な』


【どのような事情があれ、最早後には引けない。そうなっていた。そういう仕組みが出来上がっていた】
【ならばせめて、例えそれが予定調和であろうとも自らの意思で前に進むのが彼であった】
【緩やかな自殺など忌避する男だ。自分の命を手離すなど、この強欲は決してしない】
86 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 16:03:42.31 ID:MR5t0DrEo
【金の国、“教会” 本部】

【 “教会” の勢力自体は各国に広がっている、宗教という一本の芯に貫かれた連関はそれ相応に深い】
【しかしその一方で、地域ごとの特色が出るのもまた事実であった、特に “例の男” が宗教改革を大々的に打ち出してからは】
【 “新教” と “旧教” の溝は深く、国ごとに信奉する形態が違うというのも茶飯事となっていた】

【特にこの金の国に関して言えば “国全体” が “新教” に染まっていると言っても過言では無かった、生活の隅々から経済に至るまで】
【 “新教” が与えた影響は大きく、それ故に国と “教会” とが密接に関わっていると言っても過言では無かった】
【故に、“旧教徒” 達にとってはまさに親の仇、──── 異教徒よりもタチが悪い身内、とも言えた】

【 “貴女” に召集がかかったのもそんな理屈か、噂によると “例の男” は次々と旧教徒達を改宗させてると言う】
【上り調子と下り調子、勝ち馬に乗るのが人間の習性と言うのであれば、彼はまた、人心掌握術に長けているのだから】
【 ─── 兎に角貴女は本部へと呼び出され、枢機卿の居る室内の前に佇んでいる事だろう】

【 ……扉の奥からは、何やら物音と、嬌声が漏れ出ている事を除けば】


来てるんだろ、入れよ、遠慮する事はない、────── なぁ、兄弟


【扉を開いたなら、黒い短髪を派手に撫で付け、胸部を大きく露出した耽美的な黒のドレスシャツ】
【黒の司祭服を袖を通さずに羽織り、首元には申し訳程度のロザリオを垂らして】
【真紅の瞳が印象的な長身の男性が椅子に踏ん反り返っていた、そして】

【一人、二人ではない、両手で数えないと足りないほどの “修道女” がいた】
【その誰もがはだけた服装で、地面に息も絶え絶え、寝そべっていた、頰は紅潮、浮かべて曰く恍惚】
【焦点の合わない瞳が、朧げに貴女を見つめるだろう】
87 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/23(水) 16:15:40.37 ID:tWIJOlSZo
>>84
……この混乱に乗じて動く者もいるのは、当然というべきなのでしょうな
わかりました、ミカローとやらについては後にしましょう。考えても分からないものに気を回す余裕は今はありません

【この世界に爆弾が尽きることはない。そんな世界をこそ、カニバディールは気に入ってもいるのだ】
【ならば、そんな世界で生きよう。そのためには、優先順位をつける判断力が不可欠だ】

そちらの方は、コマチ様が担ってくださるのでしょう。理想的な適材適所ではないですか
イスラフィールも、おそらくはそうなのでしょうな……彼を知り己を知れば百戦危うからず、と申します
自分に出来ることと出来ないこと、そして敵を知ること。イスラフィールならば実践していることでしょう

そして、己に可能なことを深め、その力を振るう……まさしく強者というにふさわしい相手です
――――なるほど。だからこそ、自身の力に対して誇りを抱く。人間である以上、抗いがたい感情ですな

そのプライドのこもった力が通じない相手……あの女なら、むしろ興味を深めてより面倒なことにもなり得そうですが
どちらにせよ、躍起になって読めない記憶を手に入れようとする可能性は高そうです
その上で、それを手に出来るとわかれば……手を伸ばしてくる。理にかなっています

【深く頷きながらブレンヒルトの言葉を瓶の中へと詰めていく。人を見る目は時に、人を見透かす恐るべき目ともなるのだ】

……守人、とはよく言ったものですな。持ち主と定めた者以外から、その記憶を守り抜く。それこそがこのアイテムの本質ですか
私自身が盗人なので、少々ゾッとする話ですが、味方となればこれほど頼もしい力もありません
やろうとしたことをやり返され、自分の頭を小瓶に明け渡すことになる……それも、自分の能力によって

ふ、ふ、私も長いこと盗賊をやっていますが、記憶を盗もうとは初めての試みです
これが成功すれば……あの油断ならぬ女に優位に立てる

【三つの目で小瓶を見つめる。イスラフィールはとんでもない策士だ。そこまで上手く持っていくのは簡単ではあるまい】
【だが、これを見事に成し遂げれば。彼女の裏側を見通せる。深淵の底を覗けるのだ】
【――――たとえ、それが深淵に覗き返されるとしても。手をこまねいているわけにはいかない】
【カニバディール自身すら囮に使う、狡猾なブレンヒルトの策に乗って、異形の盗賊は賭けをするのだ。記憶をテーブルの上に乗せたゲームを】
88 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 16:17:18.26 ID:MR5t0DrEo
>>85

【十重二十重では足りない、何億通りもの筋書きを考え、その中で最善策だけを積み重ねた計画と言えた】
【有無を言わさぬ割り振りで、ミラを<王>に添える、その結果として、多大なる責任と危機を、たった一人の女性に重ねる事となる】
【キャメロット達は安全圏で、<湖の乙女>もまた、表に出る事はなく物語を動かし続ける】

【 ─── 仕組まれた脚本であった、ただ一点、ミラという可能性を除いて】


<円卓>の正義は有象無象の個人が謳う正義ではありませんわ、選ばれし者達による、選ばれし者達への正義

────── <異能主義/Meritocracy> 昨今の反異能者ムーブメントに対抗してマーリン≠ェ体系づけたイデオロギー

一般的には “能力を持つ者は、正しく能力の活かせる場所へ” と解釈される事が多いですわ、能力を排斥するのではなく一つの個性として捉える

しかし、その本質は違います、能力の活かせる場所とはつまり、<円卓>の様な真に支配できるだけの力量を持つ者達の場所
我々は能力者を救済いたしますわ、イデオロギーの下での活動はより包括的な理論をも取り込める、正当化には打って付けですもの

ジルベール様、貴女様が “ミラ様” を王妃に持つ事もまた、異能主義者として十分な旗印となるでしょう


【丁寧に軸となる思想システムまで構築している、識者を利用し、大衆を扇動するにはこれ以上ない合理性を持って】


あら、いけませんわ、私とした事が鞭ばかり与えすぎて、飴を与えるのを忘れていましたわ
貴方様にはこれから沢山頑張っていただかないといけませんもの、責任と負担、ばかりでは歯車は回りません
ですので一滴ばかりの油を、貴方様に差してさしあげましょう

────── “聖杯” とは願望機ですわ、それは間違いありません、願った事が真に叶う願望機です

もちろん<円卓>の長たる貴方様には好きに使う権利がありますわ、ええ、お分かりでしょう?



────── 大切なあの方を、呼び戻す事、だって
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/23(水) 19:08:10.59 ID:VQi7+g2KO
>>88

【(異能主義…………。ハ、徹底的に黒幕の真逆を行って、その上語る主義主張は黒幕同様のクソってぇワケか)】
【(能力者の救済とか、結構なモン振りかざすつもりだろうけどよぉ…………それだってお飾りなのはミエミエだっつぅの!)】
【(だが流石は政治家サマだぜ……あたしがさっきパパッと思いついたことと内容はだいたい同じだが──)】
【(それより遥かに練られてやがる……!よりスマートに……より、一般人共が食い付きやすいようにっ……!!)】
【(おまけに、あたしとジルっつぅ組み合わせを憎たらしいくれぇ的確に……効果的に使うキャスティングの巧さ…………)】
【(一筋縄じゃあいかねぇってことか────このキレっぷりは……曽根上とどっちがムカつくかは正直迷うとこ、だな……)】


『…………成る程、既にそこまで用意していたのか。流石は最高議会議員だな』
『はっきりとして思想があれば民衆は煽動しやすい。その民衆が自らを表現する技法を持たないのなら尚更だ』
『自分は異能主義者だと言ってしまえばそれがそいつのアイデンティティになる』
『その与えられた“自分”というものに…………殆どの民衆は満足してしまうだろうからな。騙しやすいことこの上ない』
『気に入らない点といえば、黒幕が使った手法と似ているといった箇所くらいか』

『それにしても…………は、まさか“聖杯”とやらが真に存在するとは、な』
『俺は自分の欲しいものは自分で手に入れる主義だが……そうだな』
『そんなものがあるということくらいは頭に入れておく。隠し球は最後の最後まで取っておくものだからな』


『さて。…………ここまで随分と長く話し込んだが、王座に再び座るための面接試験はこれくらいか?』
『もしそうなら、今度は俺からいくつか質問がある。まずは聖杯やら方舟とやらの詳細と所在』
『後は────お前自身についてだ。俺は欲のねぇ奴は信用しないようにしているんでね』

『なぁ、イスラフィール。水の国最高議会議員さんよ』
『その若さで議員という地位につき、円卓の重要ポストにまで潜り込む実力を持つあんたは…………一体何がしたいんだ?』
『勿論、能力者共の救済なんて綺麗事はなしだ』
『あんたがそんな処女臭い女じゃないことくらい、今までの話で十分すぎるほど分かっているさ』

『聞かせろよ。お前個人の願望を────仮に聖杯を持てば、何を願うのかを』
90 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 19:27:33.67 ID:MR5t0DrEo
>>89

【クスリ、と彼女は微笑む、──── 硝子細工の彩りが透かす瞳の色、万物を見通す観察者の視線】
【言外に伝える様であった、黒幕が使った手法とはつまり、これ以上なく効率的な手段である、恥も外聞も捨てて】
【その手法をそっくりそのまま真似る事で、より目的に近づけるのだ、と】

【手段を選ばないとはマキャベリズムの基本ではあったが、いとも容易くそれを行ってしまおう】


ええ、<王>の仰せのままに、────── 湖の乙女が託宣を貴方様に授けるとしましょう

“聖杯” とは願望機です、この世界に存在する数多の神話体系、特に創世記に分類される原初の神話達
それらに重なる共通項として、願いを成就させる物質の存在が示唆されておりました。─── いえ、正確には物質ですら無い場合も御座います。

幾らか咀嚼して説明致しましょう。私達が今居るこの世界の創世に於いて、確かな事実というものは存在致しません。
ですが、伝承という形で残っている記述は御座います、その多くはグランギニョル、ええ、荒唐無稽なものでしたが
それらの神話に共通するエピソードとして、願望機の存在がありました。

時にそれは物質であったり、生物であったりするのですが、願えば叶う魔法の物体
が存在しない神話体系はなかったのです。

逆説的に考えましょう、全ての物事には必ず因果がございます、原因があって結果がある、私たちはその枠組みから決して出ることはできません。

つまり、願望機である “聖杯” は必ず存在します、何処の国にあるのか、どの様な形をしているのか、私達には何一つ手がかりはありません。
それ故に方策として用いましょう、────── “戦争” という方策を


【 ────── そう、正しく、目的の為に手段を選ばないのだから】


“方舟” に関しては些か説明しづらいですね、今の所は “タイムマシン” であると思っていてください。
そして、それは未来に於いて必ず完成する “タイムマシン” でございます。
故に、私達はその “方舟” を作る “ノア” ────── これは単なる符号ですわ
天才、“初瀬 麻季音” を手に入れなければなりません

これでお分りいただけるでしょうか、────── そして、私に関する事、ですか。

私が何を願うかだなんて、────── 私の名前を見れば、分かるでしょう?


【イスラフィールは貴方に近づく、その高い体躯へ、寄り添う様に】


────── “世界の終わり” ですわ
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/23(水) 20:01:19.80 ID:VQi7+g2KO
>>90

『くは、は…………成る程な。つまりは戦争を餌にして聖杯を炙り出そうというわけだ』
『神なんて慈悲深く胡散臭い存在だが、戦争となればその祭りに浮かれた何かしらの神とやらの奇跡が起こる』
『それを辿っていけば聖杯そのものやそのヒントを探ることくらいはできるし…………』
『そして戦争は聖杯が見つかるまで続ける──それが不可能な円卓ではないと、そういうことか』

『随分と宗教じみてはいるが…………何があってもこの世界は不思議じゃあない』
『オカルトじみた事象が平気で表通りを歩いているんだ。なら、聖杯なんてものも存在するんだろうな』


【目的のために手段を選ばないのはこの男もまた同じ】
【ならば円卓やイスラフィールの行いを咎めもせず、笑い飛ばしてのけるのもまた道理で】


『そして“ここ”でその名前が出てくるか────初瀬、麻季音。……くく、因果なものだな』
『居場所は当然分かっているんだろう?なら、聖杯が見つかるまでは麻季音の監視と保護が目的になる、か』


【タイムマシンには深く言及はせず、かといってその存在を疑うようなことはしなかった】
【まずは聖杯に近付くためにすることがあった。麻季音の確保は今でなくとも良いと判断し】
【寄り添ってきたイスラフィールの蠱惑的な肉体に、彼は手を寄せた。体格通りの大きな掌で、ゆるりと女の肚を撫でて】


『なら…………くくっ。“ここ”を割いてしまえば、まずは聖杯にひとつ近付けるか?』
『戦争は神の怒りを買う行為だ。ならば──その使者の臓腑を引き摺り出すのも…………なんて、な』


…………さ。もーこの辺で十分だろ?ったく…………!
ジルになってるとちょーっとは頭冴えてくんのは悪くねぇんだけどよぉ
それでもマジで難しい話振ってくんのはやめろっつぅんだ……あぁ、頭痛ぇったらありゃしねぇ
あたしにそーいう話振んなって最初にいわなかったっけ?こンのクソアマがよぉ…………


【ずるりと変化が溶ける。栗色の髪は赤く染まり、紫のスーツもまた同様。体躯も背丈も女のものとなり】
【ジルベール・デュボンは消え失せた。ならばそこに立っているのはミラ・クラァケで間違いなく】
【不機嫌そうな表情を浮かべ、既に目線は出口へと向けられていた】
92 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 20:24:29.08 ID:MR5t0DrEo
>>91

【一つ、イスラフィールは嘆息した、────── 端的な情報しか示していない、にもかかわらず】
【 “聖杯” に対してその方策も含め正しい理解を示したのは、少なくとも “貴方” ただ一人であったから】
【ええ、と満足げに頷いたなら、その知性を静かに賞賛したのだろう】

【初瀬 麻季音の件についても肯定の意を示した、望むならば直ぐにでも、アクセスができると、そして、─── 】


どうぞ、貴方様にその覚悟があるのでしたら如何様にも、お忘れなく、私は “湖の乙女”
“聖杯” をめぐる全ての英雄譚に於いて、私の死は確定的です、貴方様に殺されたとして、それは遅いか早いかの違い
けれども、全て物語は、貴方様が私に導かれ、“アヴァロン” へ向かう事によって完結するのですわ

────── 巡る巡る因果の果てで、再び出会えるのならば
現世での別れなど、露一匙ほども私を揺らしません、こと


【イスラフィールはその手を取った、吸い付く様な滑らかな質感、するりと水が滴り落ちるが如く、彼女の指が貴方の手を降りて】
【更に下へ下へ、導いていくのだろう、肚を下り、腰を過ぎ、やがて、その秘所へ、と ────── 堕としていくみたいに、】


あら、まぁ、────── もう少しだったんですけどね、これ以上は夜の謀りですわ
お気に召していただけましたか、貴女様に託された力と、その使命について
私からは以上です、これからもどうぞよろしく、お願いしますわ


【ミラへと戻るその様相、一旦瞼をぱちくり、─── その変化の見事さに、わずかばかりの興味を示して】
【寸刻の間を於いて、素の貴婦人へと戻ったなら、先導する様に歩き出すだろう、扉に向けて】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/23(水) 21:00:55.89 ID:VQi7+g2KO
>>92

【言外に自身の死を通告されても、王は何も答えず黙すのみ。流石の強欲と言えど、矢張り不快であったか──】
【────否。イスラフィールは、変化の間際に見るのだろう。彼の口元に浮かんだ確かな笑みを】
【死をも欲して己が物としてみせようという、不遜な王の笑みを】


ったくよぉ…………いくらなんでもあんた、見境なさすぎじゃあねぇのか?
別にあたしの<擬態/ミミック>は憑依とかそーいうんじゃねぇんだ
どんだけイカした男に見えよーが、中で喋ってんのは結局あたしなんだから、よぉ…………
女に色仕掛けしてどぉしようってんだよ…………気持ち悪ぃな


【一方で、ミラに外見を整えてしまえば出てくるのは愚痴と罵倒のオンパレード】
【この性格から他者をあそこまで演じきれるというのは、確かに興味を抱いても不思議ではないが】
【本人からすれば大した問題でもないらしい。どちらかと言えば、擬態の疲労よりも頭脳労働の方が余程負担だったようだ】


んで…………使命、使命ねぇ。…………はっ、色々と御託をつけて押し付けたくせに何言ってやがる
てめぇらが面倒くさがるからあたしがやってやろーってんだ
きっちり旗振り役は演じ切ってやるからよぉ…………サポートとか小難しい政治とか。そっち方面はきっちり頼んだぜ、クソアマ

にしてもあれか?ジルがたまに書類と睨めっことかしてたけどよぉ
そーいったのも、円卓のお仕事のうちに入るわけか?いや別に……やれってぇんならやるけどよぉ

あ、そうそう。それと帰りな、駅からちょっと離れたとこに車止めてくれよな
大丈夫大丈夫、ちゃんと案内はするって。いやぁ、頭すっげぇ使ったから疲れちまってよぉ
ゲロ甘な飲み物でも飲んでおかねぇと正直しんどいっつぅかさぁ…………


【────そんな下らない話をしながらも、それでも言葉の端々で<王/妃>になったことへの自覚を覗かせていた】
【少なくとも今は、彼女は円卓の枠組みの中に収まるつもりらしい。そう見えるように演じているのかどうかはさて置いて】



     ( 重要なのは、タイミングだ )

     ( いつ戦争が始まるか、そして )




     ( いつ、あたしを殺すか )




【────歯車は回り出す】


/この辺りでしょうか、お疲れ様でした!
94 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 21:12:18.21 ID:MR5t0DrEo
>>93

【イスラフィールは再び微笑んだ、女狐の顔と言うよりは休憩時間に談笑するOLの様な雰囲気で】


あら、言ってませんでしたっけ、私、男も女も両方ともいけるクチですわ
貴女様ならどちらの役割もできるのでしょう? でしたら私にとっては好都合です
こう見えても私、自分のスタイルと美貌には自信がありますが故に、何処までも補佐致しますわ

書類仕事などはお任せくださいまし、日々の雑務に於いて私達が貴方様に求める事はございません
貴方様は何処に赴かれても、何をされても良いのです、きっと、貴方様の日常と<円卓>とは重なり合う次元にはないのですから
必要な事項があればこちらから連絡を致します、それ以外の場面で必要でしたら、私に連絡を

────── <円卓の騎士> も、好きに扱ってくださいませ、貴方様の手足となって働きますわ

美形を揃えておきましたから、寂しい夜のお相手にも、ぴったりですわ


【冗談半分に笑って、────── ミラは再び、日常へと戻っていくだろう】



【そこに大きな変化はない、僅かばかりの不自由もなく、微かばかりの息苦しさもなく、日々を過ごすことができるだろう】
【しかし、世界を動かす大きな歯車に、間違い無く組み込まれた事は、たしかだから】


/はい! 長時間ありがとうございました!
95 :テレサ  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/23(水) 21:25:44.03 ID:Wyc/8lfso
>>86

【―――呼び出しのコールを受けたのは、3時間前の事だった】

【今まさに仕事の真っ最中だった。人間であることを捨てた"異端"の鬼種の五体を砕き】
【心臓を右腕で"握り潰し"―――愛用のヘッドギアもろとも現在進行形で帰り血で全身真っ赤に染まっている所に】
【班の後輩が気の抜けた様子で自分に召集がかかった知らせを自分に届けてきた】

【移動中の車内でシャワーを浴び、新しい服に着替える。ヘッドギアは後で手入れするとしてこの場では置いていく】
【そうこう身支度しているうちに、その女性は数年ぶりの"金の国"にたどり着いたのだった】


……私が仕事に没頭しているうちに、"教会"もずいぶん変わったのは一応耳にしてましたが
よもや宗教改革の仕掛け人自らの呼び出しを受けるとは、いったいどういう事なのでしょうかね


【その女性は、銀色のセミショートヘアの上からすっぽりと黒いフードで覆い、二房の長い前髪だけをはみ出させてた】
【荒事に備え動きやすいようスカート丈を短くした修道服に、黒の二ーソックスにガーターベルトの足をさらに薄手の黒いタイツで覆っている】
【そして、腰のベルトにはぎっしりと弾薬を備えており、左腰にはなにか丸い物を入れたホルスターを入れていた】

【ただ、それ以上に特徴的なのは首から複数色のホイッスルと―――右腕をすっぽりと覆い隠したその機械】
【なによりも彼女の服の襟や袖から妙に深そうな傷跡がいくつも見え隠れしている点だろうか】

【ともあれ、数年ぶり、というほどに久方ぶりの"教会"本部に足を運び、指定された部屋の扉を叩こうとしたのだが―――】

【女の嬌声が耳に入って来たとたん、彼女は真顔になって固まる。入るのをためらおうとしたが部屋の奥の人物に呼び出されたので……入室し挨拶を始めた】


……"マーリン"枢機卿、失礼します。異端狩り部隊"第二班"班長、対怪物戦闘専門異端審問官……洗礼名『テレサ』
召集を受けただいま参上いたしまし……


【入ってくるなり声をかけてきたのだろう司祭服の、いやに尊大な印象の男に向けて挨拶をしていたが】
【目線を低くすると、自ずと彼女の目に、―――確実に直前まで”行為に及んでいた”としか思えない修道女たちの姿が目に入ると】
【最後まで言い終わらないうちに両手で―――生身の左手と機械の右手両方で枢機卿の目前にも関わらず頭を抱えてしまった】


……"これ"系かぁ……


いえ、失礼しました……部屋に入るなりなんだか急な既視感に頭を襲われ猛烈な頭痛がしてしまいまして
前にもこの部屋と同じ構図を見たことがあったような気がしたというか……なんというか……

どうしてこう私は……"こういうタイプ"の人間に縁があるのか……


【すさまじく正直な発言を一通り言い終わると、彼女は頭を振り、体勢を立て直すだろう】
【最も、服装の乱れが気になったのかまず自分の一番近くの足元にいた修道女の服装を諫める言葉と共に直し始めているが】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/23(水) 21:32:31.25 ID:VQi7+g2KO
【魔制法が水の国を騒がせ、何処かの陰謀が櫻を陰らせる】
【風の国に吹く薫風にも、やがては争いの香りが混じり始めるのだろう】

【そんな中────<円卓>は暫しの沈黙を保っていた】
【<王>のジルベールは不在。その目論見も不明】
【ならば<円卓>は頭を無くし、またシステムへと戻ったのか】

【<円卓>に深く関わった者達ほど、そのような疑念は抱くのだろう】


【その思いに答えるように】



【短いメッセージが届いた】





   『会って話したいことがある』





【To:カニバディール】



【From:ミラ・クラァケ】



/お久しぶりなメールレスです
97 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/23(水) 22:00:01.39 ID:Wyc/8lfso
>>87


ん!私のとっておきのマジックアイテムの称賛を聞くのは実にいい気分だし!
無論この"小瓶"の存在はイスラフィールに対する鬼札になる事は間違いなし!一つ目の作戦―――『デルタタワー作戦』の前準備として
カニバディールにお願いしたいのはまさにこれ!貴方が恐れるそのイスラフィールの正体、及び真意を突き留めてほしいって訳よ!


【ただ、そこまで得意げに話し続けていたブレンヒルトだが―――急に冷静になったように腕を組み、首を傾けながら呟く】


―――ただ、そうねぇ……貴方が「面倒なことになりかねないほどに厄介な相手」とまで称するほどの敵……
それほどの敵が相手となると……確かにまだもうちょっと安心度は足りないかもしれないし
うーん、これを補強する一手も追加できないか無論後はコマチとも相談してみるし。決行の時は傍で私もバックアップに回ってあげる。頑張りましょうか


【"天敵"たりうる存在を生み出す一手、それ以上の切札を生み出しては見たが、そこでもまだ慢心はしないのは】
【そこはやはり彼女とともに行動するコマチの、やり過ぎというほどに徹底した警戒力の賜物なのかもしれない】
【しかもそのためにブレンヒルト自らバックアップに回るという。思いのほか面倒見がいいのかもしれない】



さて、この"小瓶"を持った事で、もう記憶を読む能力者とかの存在を恐れることなく貴方に"私たちの秘密"を託すことが出来るわね
そしてこれにより、作戦のもう一つの前準備としてやって起きたいことがあともう一つだけある事も打ち明けられる


"ロールシャッハ"の依り代、嵯峨野 鳴海。彼が一体どのタイミングで―――どのルートから
あの<harmony/plan>のノウハウを手に入れたのか。その裏を取るため彼の遺品を荒探ししたいし

……"あれ"は、今現在の人間では知ることもできないはずだった技術のはずな訳よ。正体が只者でなかった事は間違いない
それの裏を最後に取った後で―――有益そうなものは奪っていくつもりだし


【ここで関わって来たのは……なぜか、嵯峨野 鳴海だった】
【あの忌まわしき"虚神"たち―――その根幹となった<harmony/plan>。あれは結局何だったのか】
【確かに気になる事は気になるが―――なぜそれをブレンヒルト達が調べなければならないのだ?】
98 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/23(水) 22:11:15.18 ID:If12QV+00

>>81

【黒鉄は述べる。ヨシビ商会は真の大企業であると。しかし、だからこそ社長の──馬酔木悠玄の行いはおかしい、と】
【老翁は静かに黒鉄の言葉へと耳を傾ける】
【そうして、再び長く深いため息を吐くと黒鉄と善弥を鋭い眼をもって見回して】

「……お主はちぃとばかり"ヨシビ"を買い被っておるのう
今時分の栄光も全ては偶然の賜物よ」
「この商売を考えた者が偶然儂の他に居らんかった、偶然妖を欲する変わり者が外ツ国に居った、偶然妖の取り扱いに関する穴を見つけた──
何かしらが違っておったのならばヨシビの栄光は存在などしなかった」
「そうしてその栄光は──正式な手段で得られたものではない
よもやお主は自分が"まともな"会社員だとでも思うておるのではあるまいな?」

「──ヨシビ商会の一員となった以上は太陽の下で堂々とは生きられぬ、斯様な事など承知であろう?」


「そうして、闇狗部隊の事じゃが──先程も言ったがあやつらの力はそう過信出来ぬのじゃよ」
「あやつらは物も言わぬ。何事にも怖じ気付く事は無く正確に任務を全うする
それでいて指揮無くしてあの統率力を誇る
──何故か解るか?」


「──元来、あやつらは"一人"だからじゃ」

【その言葉と共に悠玄は傍らの闇狗の顔を覆う紙を破り捨てる】


【その下には──顔が、存在していなかった】

【目も鼻も口も髪も、それにあたる凹凸すら存在していなくて】
【そうして、その肌は墨の様に黒くて】

/続きます!
99 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/23(水) 22:12:21.97 ID:If12QV+00
>>81

「故に"あれ"だけでは到底足りぬ──"れっきとした精鋭"が……」


──"お爺様"ッ!!

【不意に、善弥が叫ぶ。それ以上は言うなとばかりに】
【それだけで察する事が出来るだろう】

【闇狗部隊は、『誰』であり、『何』なのか──】

【そうして話が隠された提携先へと及ぶと悠玄は少しばかり身じろぎをし】

「……そこまで分かっておるとはな
なかなかに聡明な男とみえる」
「……じゃが、その聡明さをして何故死に急ぐ事を口にするのか」

「何故彼等に手を貸すか、ときたか」

「恐らくはお主が納得のいかぬ答えじゃろうなあ……」


「じゃが、言わして貰おう」

「一言で答えるのならば──単純な興味じゃよ」

「……妖を退治する筈の家系として、それも高名なる陰陽家の生まれながら怪異の力を利用しようと目論むあの男が」
「人ならざる姿として生まれながらも同様に人ならざるものを虐げる法を思い付くあの雌狐が」
「如何様にして物事を為すのか」
「そうしてまた、儂の商会が何を為せるのか」

「それを考えると──たぎるのじゃよ、この老い先短き血がの」

「──それに、どうせなら愉しく生きていきたいものじゃろう?」

【老翁は、ぎらりと目を細めて】

100 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/23(水) 22:20:31.87 ID:OLYY4gcwO
>>60

【「どうも。」嬉しそうに笑っていた。弾むような呼吸を漏らす笑い。やはり乙女の笑いだった。】
【本心からの笑いであるのかもしれなかった。今が冬であると雖も、ろくに肌を晒さない迂遠な着衣の女だった。】
【彼女もまた人らしい生き死にが判然としなかった。 ─── 徐にフリルの懐から取り出すのはベープだった。電子煙草のエキゾチックな甘ったるさが紫煙に帯びる】


「そいつは良い話だね。」「きっとボクよりも懐があったかそうだ。」
「一杯と言わず、二杯三杯と奢ってもらいたいや。 ─── アナタも紳士の端くれでしょう?」


【「音楽はよく解んないけど、 ─── リクエストだけはしておこうか。」吹き上げた白い指先が、安っぽい装飾のスマートフォンを弄ぶ。】
【フリック入力の小気味いい速度。どこかの入力欄を弾いているらしい。きっと再開の時には同じメロディを聞けないのだとしても】
【あまつさえ最後のシガレットが燃え落ちたとしても、彼女に引き止める理由はなかった。ただ残される言葉は、閨所で戯ける情婦のように】



      「 ──── 次もきちんと、」「脚はくッ付けといてね。」



【闇の中で何処かの短針が揺らいだ。灰皿とグラスがどうなったのか、誰も知らない。】


/大変おくれて申し訳ありません…このあたりで!おつかれさまでした!
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/23(水) 22:41:19.53 ID:VQi7+g2KO
>>100
/乙です、ありがとうございました!
102 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 22:46:33.38 ID:MR5t0DrEo
>>95

【彼は上から下までテレサを睨め付ける、──── 品定めをする様にも、その意図を読み通る様にも見えた】


時は金なり、という言葉がある、──── はい、じゃあ質問だ、人間がこの言葉を本質的に理解したのはいつだろうか
貨幣経済の始まりは古い、暦の制定を時間の始まりとしたなら此方の制定は貨幣経済より更に早い
単体であるのならば、人間はそれぞれを理解できていた、本質的にもね

────── じゃあそれらを結びつけたのは何時だ、時という概念と金という概念と何時結びついたと思う?

旧来の “教会” の連中はどうだったと思う? 言葉だけを知っていたか、その本質まで知っていたか
兄弟、お前は俺を三時間待たせた、俺の異名は知ってるな、秒で億稼ぐ男だ、────── だとすれば
俺が待っている時間、それだけ “教会” は損失をしたんだ、そう、お前が自己満足の異端狩りに精を出してる間にな


【煙草を取り出して火をつける、深く吐いた息が煙と共に充満して】
【彼は椅子から降りない、全ての会話を座ったまま終わろうとする】


啓蒙してやろう、────── 俺は異端狩り部署を潰そうと思ってる
理由は単純、採算が合わないからな、使っている費用に対し、返ってくる利益が少なすぎる、“教会” の財政にかかる負担は明らかだ
故に俺は異端狩りに反対し、その部署を潰すことを考えた、何か異論は?
103 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/23(水) 22:56:23.73 ID:MR5t0DrEo
>>98

【前半の話は半信半疑であった、如何にもま一代で財を成した成り上がり社長の物語であったから】
【大なり小なり成功する人間が偶然に味方されたのは理解できる、経営学の基本だ、愚者は経験から学び賢者は歴史から学ぶ】
【ほんの僅かに緊張の面持ちの中、忌々しい表情が混じった、日の下では生きられない、────── その通りだ】

【何故、俺は日の下で生きられないのか、黒鉄ははっきりと、自分に問いただしたかった】


っ、────── 出過ぎた物言いをお許しください……っ、失礼しました


【 “闇狗” の素顔を見て彼はたじろいだ、横で踏ん反り返っていたバスカヴィルもまた、興味深そうに声をあげて】
【続いて述べるのは謝罪、明らかなる異形の姿に、常識人である黒鉄が二の足を踏むのは無理もなかった】
【言葉は単純だった、“興味がある” それだけの、あまりにも簡素な響き】

【黒鉄は反論をしようとした、一流大学から大手企業への就職、そこでもまた出世街道を進んでいた、ヨシビに転職してからも変わらない】
【彼は自身の知能を自負している、計算能力と処理能力、蓄積した知識の量も質も、同年代の人間には優っていた】
【だが、言葉がでない、社長の興味だという非論理的理由で経営を歪める意思を、非難する事が出来ない】

【古人曰く、有無を言わさぬ迫力、と────── 正しく形容されるものであった、から】

【ぽろり、とポケットからライターが落ちた、場違いな金属音が響き、黒鉄は漸く正気を取り戻す】
104 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/23(水) 22:56:35.43 ID:tWIJOlSZo
>>97
『デルタタワー作戦』……そのためには、イスラフィールは野放しにしておける存在ではないわけですか
わかりました。このカニバディール、全力を尽くしてあの女の記憶を盗み出してみせます

【とはいったものの、やはり相手が相手。余程心してかからねば、とそんな考えを見透かされたように、言葉が続いた】

……情けない話ですが、不安は拭えないと思っていたところでした
備えて備えすぎることはありません。能力以上に、あの女はそれそのものが恐ろしい……
コマチ様のご意見や、ブレンヒルト様のご協力があるなら、これに勝る援軍はありません

【コマチ譲りの用心深さにおいても、カニバディールとブレンヒルトは一致を見るのだろう。カニバディールもまた、石橋を叩きまくるタイプだ】
【慢心はない。それでも、絶対はないのだ。ブレンヒルトの面倒見の良さは、本当にありがたいものだった】

ありがとうございます。今から伺うことも、この小瓶が代わりに覚えておいてくれる、ということですね

嵯峨野 鳴海――――<harmony/plan>? あの虚神どもに纏わる技術を……?
……失礼ですが、ブレンヒルト様。まるで、あの技術のことを以前からご存知だったかのようなお言葉ですが……

現在の人間では知ることもできない。出どころが、わかっておられるのですか?
そのために、嵯峨野 鳴海の残骸まで回収なされる、と……

【カニバディールはまたも困惑していた。人間を作り替えるなどというまさに悪夢の技術】
【その存在を知った時は、流石に戦慄したものだ。何より、その大元はわからないまま、虚神の事件は終わった】

【ブレンヒルトには、ここに来てからの近況報告でビル潜入の詳細や、イスラフィールの指示の下で行った旧市街ストックホルムへの潜入】
【そこで発見した、向こうの世界の財団のデータ。そこから導き出した<harmony/plan>への推測についても話したはずだ】

【それを今、彼女たちが欲するという。その上、まるでもっと前からその存在を知っていたような――――】
105 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/23(水) 23:34:08.41 ID:If12QV+00

>>103

【晒された闇狗の素顔。たじろぐ黒鉄と興味深そうに声をあげるバスカヴィル】
【その様子に善弥は目を伏せて】

【黒鉄が述べた謝罪の言葉。分かってくれたのなら良い、とだけ悠玄は返して】

「──配備する闇狗にも少しずつではあるが"本当の精鋭"を加えてきてはいる」
「それらの為により強固な武装も必要となってくる」
「引き続き件の計画は頼んだぞ」

「……お主の手腕は儂も善弥も買ってはいるのだからな」

【黙りこくったままの黒鉄。それを一瞥しつつも老翁は声を掛けて】

「これ以上に言い残した事がないのであれば此度はこれで終いとなるが……」

【辺りを見回す悠玄】
【目を反らし、自らの身体を抱くようにして震える善弥】

【場違いな金属音だけが時計の音だけの洋間に響いて】

106 :テレサ  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/23(水) 23:52:13.80 ID:Wyc/8lfso
>>102

【彼女は無表情―――いや、そもそも表情が表に出にくいタイプのようだが】
【表情が固まったまま腕を組み少し考えてから、言葉を続ける】


……『結びつけた瞬間』となると、やはりどこぞの建国者が格言として残し
広めた瞬間なのではないか、という答えが頭に浮かびました。流石に少々素直すぎる回答かもしれませんが

しかしそれはまた運がなかったとしか。こちらの作戦開始前か開始直後だったら
あと3千6百億くらいは無駄になりませんでしたね、なにせ異端の撲滅と私及び班の皆さんそれぞれのためだけの70万が
かかってましたもので―――念のため言っておくと一番効率的に仕留めて大急ぎで身支度+移動はしたのですが……

いや実に残念でした、そこの"彼女"たちにとってはツイてたのかもしれませんが―――誰が得をし損をするかはこの世の何者にもわかりませんね


【淡々と思った事だけ口にする―――テレサは基本的にいつもこうだった】
【このセメント過ぎる性格ゆえあるものには慕われ、ある物には煙たがられたモノだが―――テレサは老若男女全ての人間に対してこうだった】
【自己満足の異端狩り、と言われても―――どこ吹く風で平然と返してくる】

【しかし、その後"異端狩り"の部署を潰そうと考えてると告げられるとテレサは―――言葉を詰まらせまた腕を組み始めた】
【そっぽを向くように明後日の方向を向きながら考え込む後―――告げたのはこんな言葉だった】


―――……非常にマズい


……ええ、かなりマズい話で異論がいくつかあります。justiceやUTといった正義組織も活動が停止した今、人の理を逸脱し
世を乱す"異端"共を駆逐するシステムまで無くしたら本当に世の乱れをどうにかする人間がいなくなってしまうのではないかという危惧があります
特に対魔、対霊に関する分野はノウハウを伝授できる人間も限られてて……世を正す術がいよいよ枯渇してしまう

と言っても、それをわかったうえで採算の話をするあたり……貴方は以前より財政の負担のかからないシステムを隠し持ってるのかもしれない

だからそっちの話を期待したうえで後残りのまずい事があるとすると……やはり今異端狩り部署にいる皆の人事でしょうか
ウチの子たちの適性を再度見直してそれぞれの部署に引き継ぐための手間もかけないといけなくなりますし、私の仕事がかなり増えるかと
にもかかわらず私個人にうまみがあるかと言えば―――私だけはないです。"班"の中で私にだけは他の適性はない……事実上のクビです


なにぶん私には―――荒事以外の、"異端"をより素早くより確実に仕留める術以外にろくな取り柄がない物で……転職考えないといけなくなります


【帰って来た異論はかなり世知辛い内容だった】
【異端狩り部署亡き後"何"が異端を葬ってくれるのか……その後異端狩り部署の皆の人事はどうなるのか】
【そして、自分個人は本当に他の取り柄に心当たりがないのでまず間違いなく食い扶持に困る事を正直に告白してきた】

【よくそんなことを正直に白状できたものだが……当の彼女は「どうにか撤回とかはできませんか?」と答えを促してくる】
107 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/24(木) 00:10:19.20 ID:0rUDGELLo
>>105

【 ─── 踏み込んではいけない、と察した、同時に自分の限界を察したとも言えよう】
【反り立つ程に高い壁であった、否、─── 次元が違いすぎた、住んでいる全てがちがうのだから】


……いえ、ありません、これからもヨシビ商会の為、────── 尽力させていただきます


【どうにか振り絞った声であった、何とかして落ちてきたのは絹が解れて舞った芥の如く】
【僅かばかりの反発心もなく、黒鉄は飲み込む、自分の立ち位置と力を、思い知らされた様に】
108 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/24(木) 00:11:57.11 ID:0yKaq0sT0
>>83

【深淵を覗くものは深淵からも覗かれている―――。】
【あまりにも有名であまりにもありふれた、けれどそれ故に説得力のある言葉だった。】
【どちらにせよ貴女の前にそれはある=z

【それは彼女≠フ影≠ナあり、また彼女≠ヘそれの影≠ナもあった。】
【それは物体と言うよりは現象であり、不確かなものだった。】


【―――すう、と】
【それ≠ヘ貴女の方へと伸びてくる、まるで地を這う蛇のようにゆっくりと蛇行しながら。】

【そしてそれ≠フ先端は粘土のように形状を変形させ、いつしか立体となった。】
【一人の少女が立っていた。長い銀髪に朱い瞳をした幼子が悲しそうな表情で貴女の前に立っていた。】
【銀髪の少女は今にも泣きそうな顔をしながらぐっとワンピースの裾を握り絞めている。】



「お母さん、お空にいっちゃった。」
「お父さんが呼んでるって言って、そのままお空にいっちゃった。」

「白いお部屋≠フ人たちはみんな私が恐いみたい、分かるんだ。」


「―――私もお空にいったらお父さんとお母さんに会えるかなぁ。」



【まるで録画された映像を再生するように、少女は言葉を綴る。】
【事実それは誰か≠フ過去の投射であった。影≠ノ意図はないただ投射機として機能するだけ。】

【少女は暫く俯いてから再び影≠ヨと溶け込んだ。】

【風がふく】

【影はゆらゆらと揺れ動く。】

【時折その姿は先程の銀髪の少女の姿へと変わる、サブリミナルのように。】


【そしていつしか消えていた。影はどこへ行ったのか。それとも初めから存在などしていなかったのか】
【ぽつ、ぽつ、ぽつと何故か遠くに見える街の明かりが順番に消えていってはまた着いているのが見える。】




あーさっぱりした。ってまだそこいたのかい。
風邪を引いたら大変だ、早く寝室に戻ろう―――ところで




【バスルームから下着姿のマリアベルが出てくる。】
【濡れた銀髪からはぽつぽつと雫が床へと落ちていっている。】
【少し唖然とした表情でイスラフィールに声をかけながら寝室へと戻ろうとして、振り返る】
【そして間を置いてからこういった。】


片手だとさ、髪乾かしにくいんだ。
―――………手伝ってくれない?
109 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/24(木) 00:26:50.18 ID:I0FgXD92o
>>104

私は無論の事コマチがね……ほら、病的な秘密主義者のアイツとしては
ほんのちょっとでも自分の情報を奪い取って先に狙いの獲物を取っていかれて利益を失うってのをひどく嫌うし
なんとか強力を仰いでみるし


【そして話は<harmony/plan>の話題に移るだろう―――あの困難に満ちた≪虚神≫に纏わる事件の根幹となったシステム】
【ブレンヒルト達にとってはほぼ遠巻きに感じられるような事件であったはずだ―――当の嵯峨野も"ロールシャッハ"に飲み込まれた今、掘り返す事に意味を見いだせないかもしれない】
【だが、それでも彼女は掘り返そうとたくらんでいるようだ―――おそらくは嵯峨野の関わっていた土地、<harmony/group>社の建物を】


ええ知ってるわ―――私の部下達の"怪人"化、"クレムリン"のシステムをうちは有してるけど
そもそもアレが使えるよう人体改造を施す工程に使われてるモノだって―――<harmony/plan>そのものなのよ?
無論、ウチが有している方は長い時間の中で"虚神"たちの『それ』とはあまりに違う方向に派生しちゃってるみたいだけどね……


【知っているどころか―――ブレンヒルトはすでに<harmony/plan>を使用していたと告白する】
【人間を根本から造り変える遺伝子改造技術―――そうだ、彼女が有する、異形の姿へ変異するシステムだって】
【たしかにアレも根本から人体を造り変えないととても作り上げられる物とは思えない、説得力もなくはない話だが―――】


そして私たちが使う事も何もおかしくない――――なぜなら、<harmony/plan>はね?元々カノッサ機関で生まれた技術なのよ?



ただし『今』のカノッサ機関には現存してない―――今の"ここ"には残ってないロストテクノロジーだけどね
これを使っていたのはもっともっと昔―――カノッサ機関が"議員"制度から"六罪王"制度へと切り替わるよりも前の……それどころか
ナンバーズという制度そのものすらまだ生まれてなかったかもしれないほどはるか昔の……


……第一期。はるかはるかうんと昔、創設したてだった"黎明期"のカノッサ機関
その頃にいた『カノッサ機関創設時メンバー』が作り上げた後それを利用するも―――なんらかの理由でそれ以降の世代に
受け継がれることなく失伝した幻の技術な訳よ

今の人間……ましてや外部の人間が知っていてはいけない技術だし……
"そのころ"のカノッサ機関に縁のある人間でない限りは……当時の本人から技術そのものか、"アレ"を受け継いで情報を手に入れない限りは……


【……<harmony/plan>は、元はカノッサ機関で生まれた技術だった?】
【だがそれは今の機関には現存していない―――創設時のカノッサ機関に縁がない限りは手に入れる術が存在しない技術】


【だが嵯峨野は―――そして目の前のブレンヒルトは、世界で現状この二人だけが、手に入れられるはずのない物を手に入れている―――!】
【これなのか。これが『知られてはいけない秘密』に纏わる話、その片鱗か】
110 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/24(木) 00:45:59.12 ID:FvHjPboM0

>>107

【どうにかして声を振り絞る黒鉄】
【その声に善弥は勢いよく黒鉄を見て】
【そうして身体を悠玄の方へと戻す】

…………っ!
私は……私はあります!大有りですっ!
私には愉しみの為だけに下手な事をするなと言っておいて自分だって勝手に部下の前に姿を晒したり……"闇狗"の事だって!

「──それは、今後自分が社長となった際に不利に働くから、か?」
【ぎろり、と秘書を睨む悠玄。その視線と言葉に善弥は躊躇し】

「……心配せずとも儂はまだ座を譲る気はない
──寧ろ、まだまだ現役でいたいくらいじゃわい」
【ふん、と鼻を鳴らし悠玄は踵を返して】

…………そういう意図じゃ、ないのに……
【何処から重大な事が漏れるか分からないから、なのに……と善弥はぽつりと呟く】
【けれどもその言葉は老翁には届いていないようで】

「では今後も頼んだぞ
──くれぐれも善弥にはこの計画を任さぬようにな
下手に乱されては事じゃからの」
【そう言い残して老翁は去ろうとして】
【何もなければ善弥も続くように会議室を去ろうとするのだろうが】

111 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/24(木) 01:04:38.55 ID:JNIuWRb60
>>104
私も、コマチ様とご縁があるまでは、ほとんどお会いしたこともありませんでしたからな……慎重さにおいては、今の機関でも随一でしょう
ですが、誰であろうと恐れる事態かと存じます。悪党が上前をはねられるなど、許せるはずがありません
どうか、よろしくお伝えください


【カニバディールにとっては、良く思わない技術である。その力がためにカチューシャという強敵が生まれ、未だその影響を残しているのだから】
【過ぎ去ったことであろうと、そこに未来のために利用出来る物があれば、調べ上げる。掘り返すこと自体は、カニバディールも望むところだ】
【何より、あの件には未知なる部分が多すぎた。今こうしてブレンヒルトが槍玉に挙げたことで、その未知はさらに広がっている】
【今一度、訪れることになりそうだ。あの闇を湛えた<harmony/group>社を】

何と……クレムリンの方々の変身は、確かに今思い返せば<harmony/plan>に近いものが……
つまりブレンヒルト様たちは、とっくに<harmony/plan>を使っていたというのですか……

派生……枝分かれするほど長い時間を経た技術……?

【予想だにしないことであった。ストックホルム潜入や調査活動から、カニバディールはあの技術を虚神の世界から来たものだと推測していた】
【ロールシャッハへの対抗手段として、大いに有用に思えたが故であったが。まさか、それが遥か昔からこの世界にあったというのか】

機関が……!? 最高議会よりもさらに前……第1期、創設の時期……
その創設者の一人が開発……申し訳ありません、小瓶に頼っていながら少々整理が必要そうです

何故それが失伝されたのかは知りませんが、それならば<harmony/plan>を手に出来る人間が機関以外にいるはずもない……
確かに、これを嵯峨野が手にした経緯には、爆弾の臭いがしますよ……

ですが、それならば黎明期の機関員が今現在も生きているということになりますな。しかも、その技術を今になって流出させた……

まるで、わからない……いったい、何がどうなってそのような事態に……

【思わず、顔を手で覆う。恐れとは未知だ。そして、この未知は巨大だ。しかも、それがもう過ぎ去った事件に纏わっているという】
【黎明期の機関の話もあって、まるで亡霊に出くわした気分だった。カニバディールは、もはや固唾を飲んでブレンヒルトの次なる言葉を待つより他にない】
112 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/24(木) 01:46:11.35 ID:JNIuWRb6o
/すみません、>>111>>109への間違いです
113 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/24(木) 03:02:38.87 ID:I0FgXD92o
>>111

【―――いつのまにか、紅茶は空になっていた】
【ふぅ、と一息ついたブレンヒルトはすくと立ち上がり、カニバディールに背を向け】
【気品ある振る舞いのままゆったりとした足取りで何の気もなく説明を続けるだろう】


……"カノッサ機関創設時メンバー"は現時点で『最低でも一人』、どこの誰が生きているのが確定してるのはもうわかっているし
ではその他に疑わしいのは誰だし?……やっぱりなんといっても『長老』かしらね。なにせ長老だし……一番最初から所属してそうな雰囲気はあるし
後はやっぱり現カノッサ機関首領、罪神"スペルビオ"?一番最初から貢献してるから今、頂点の座を任されているのかもしれないし

カノッサ機関は私たちが生まれた頃にはもうあった。いったいいつ出来たのかは完全に把握はできてないけど
無論少なくとも百年よりも前って事はないし。今も生きている人がいるくらいなんですものね?とにかく数十年前、何十人かの優れた力を持った者達が
生まれの垣根も超えて設立させたのがカノッサ機関。―――他に生きていた過去の所属者がいて、嵯峨野はその人物から手に入れた事だけは間違いない

その当時の人物が流出させたのか?―――あるいは、嵯峨野の方にその当時の技術を
受け継ぐ『資格』があったのかもしれないし……この私と『同じ』ように


【"資格"?資格だと?当時の人物が伝えるよりも他に―――受け取る側がそれを聞き出す正当な資格を持つ存在である】
【その可能性なんてものが存在するのか?そんなものがあるとするならば―――それはいったい何者だ?】

【この疑問を、今一度ぶつける必要があるのかも知れない。ごく一般的なナンバーズの身で六罪王と対等な立場を築いている少女】
【―――ブレンヒルト・フェイタルベルンとは、一体何者だ!?】



―――私にはその資格があるし。あるから私はこの技術を受け継ぐことが出来たし今、コマチの"切札"になっているし
コマチが私を切札として抱えているのは、自分自身が持っていない人を見る目を持っているからでもなければ、世界有数の
魔術礼装を作成する神がかった才能を有しているからでもない


私がコマチの"切札"たりうるのは、私がカノッサ機関の全ての技術を受け継ぐ正当な資格を持つ存在だからだし


【―――いつの間にか、執事アルバート・テイラーが、そして先ほどのガラの悪い男たちを始めとした複数の男たちが跪いていた】
【いつもコマチの事は"コマチ様"と呼び、ブレンヒルトの事は"お嬢様"と呼んでいた男たちがそろって―――彼女に臣下の礼を取っていた】


―――私はブレンヒルト・フェイタルベルン。カノッサ機関創設者≠フ血を引く者の一人
そして同時にカノッサ機関次期首領候補=Bその正当な資格保持者の一人。もし見事その座に君臨する偉業を成したならば……
"議員"も、"六罪王"も、"ナンバーズ"も。機関に纏わる者全てを統べる事を任じられる地位。それを手に入れてもいい存在という訳よ



【「……こんな事、イスラフィールに知られる訳にはいかないわよね?」などと少し冗談めかして当の本人は告げた】

【……これが、これがコマチが"小瓶"をブレンヒルトに造らせてまで隠し通したかった唯一無二の"優位性"。その正体か】
【これこそが……ブレンヒルト・フェイタルベルンの正体だったのか。そしてもしかすると、今は亡き嵯峨野 鳴海もその"競争相手"だったのかもしれない】

【実情を知らなければ、もちろん妄言であると笑い飛ばされるような―――トップシークレット】
【だがカニバディールはそれを今、自分の手の中に握った"小瓶"で、掬い取ってしまったのだ!!】
114 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/24(木) 15:16:55.68 ID:0rUDGELLo
>>106

【深くため息を付いた、────── とんとん、と軽く椅子の手摺を叩いて】


はいじゃあ想像してみろ、誰かお偉いさんとやらが「時は金なり」と言ったとして、お前はその本質を理解できるのか?
自分の活動がどれだけの利益を産むか理解し、どれだけの時間というリソースを割くべきか判断できるか?
人間が物事を理解するプロセスには絶対的な理論が必要だ、誰かがそう言ったから、なんていうのは果てよりも遠いぜ

少なくともお前はそれを理解していない、だからこそ俺は啓蒙しなければならない、難儀なこった
たしかにツイてたかもな、そこの子猫ちゃん達に聞いてみな? 気持ちよかったか? って


【問うまでも無い事実であった、少なくともこの場に倒れている修道女達は、皆満足気だろう】



まず一つ目、“異端狩り” についてだが、世の乱れをどうのこうの出来るほど優れた機関か? お前ら?
お前らの存在そのものが世界の秩序維持に不可欠であり、異端狩り部署の廃止が即世界の危機に繋がるのか?
答えは否だ、────── だが及第点でもある、異端狩りを潰すつもりではあるが、異端狩りをしない訳ではない、その通り

だが二つ目、こっちの方は落第だな、どんな脳味噌してんだ、頭かち割って中身見てやろうか?
お前は “異端狩り” 以外能が無いんだろう? だとすれば、門外漢のお前に人事の割り振りとかいう意味不明な仕事任せるのはナンセンスだ
そんなもんはとっくに決めてあるに決まってんだろ、行き当たりばったりで人事考えてるとでも思ったか?

じゃあ転職しろよ、この“金の国”に於いては、お前の様な連中の働き場は山ほどある


【そう言ってマーリンは笑う、深い眼窩に野生的な色を備えた逞しい笑い】


俺が “宗教改革” するに当たって何を考えたと思う? “教会” が利益を上げるシステムをどう構築したか、その方策に付いて考えた
何分 “教会” って奴は効率性0勤労性0能率性0奉仕性100の糞くだらねぇ機関だった、そんな連中百人、間引こうが百億人、間引こうがマイナスが小さくなるだけだ
だとすれば少しでもいいからプラスになる様に配置するのが、革命家の使命だ

“教会” に奉仕する木偶どもは他の機関に比べて、ほんの少し味噌っかす程度の魔力を持っていた、だとすればそれを活用しない手はない

丁度 “金の国” があった、荒廃しきった抜け殻の様な街、導入するのは他国を真似ればいい、水とか風、そこら辺の経済基盤
違うのは方法論だ、奴らが “科学” で成す工業や農業を、俺達は “魔術” で行った

“魔術立国” ──────いまや “金の国” はそう呼ばれてるぜ、どんな木偶でも働ける場所だ
115 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/24(木) 15:40:26.20 ID:0rUDGELLo
>>110

【善弥と社長とが去った後の室内にて、黒鉄は大きく息を吐いた、──── ずっと我慢していたタバコを口にくわえて】
【ちらりと、最初から最後まで沈黙を保っていたバスカヴィルに対し、少しばかり視線を向けて】
【やがて、いっぱいになったコップから水が溢れる様に言葉を紡ぐ】


────── で、お前、アレをどう思う?

「俺に人の心を解せ、というのが無茶な話だが、まぁ、軋轢、だろうな」

ワンマン社長にありがちなんだ、老いたとしても尚自分の能力を過信し、後継者探しをしない
一代で積み上げれば積み上げるほどその傾向は顕著になる、社長は知ってるんだ
自分が追い抜いてきた者達、少しでも隙を見せたらやられる世界で、勝ち残っていく事の意味を

だから親族経営なんて上手くいくわけないんだよな、秘書の嬢ちゃんが有能なのが救いな訳で
大体、あの年で社長っていうのがおかしいんだ、本来なら会長職に退いて一線に出るべきじゃない
となると考えられる可能性は三つ

「─── ほう、三つもあるのか」

一つ目は正当な後継者がいない。この場合は “息子” だな、或いは “懐刀” とも言える。
大なり小なりこれぐらいの規模の会社なら居てもいいんだが、今のところその気配がない、故に、社長は未だに社長職に在る

二つ目は秘書の嬢ちゃんに期待している。期待している分、自分の持つノウハウを全て伝えてから後継者にしたい、と考えているのかな。
そう考えた場合嬢ちゃんの年齢がネックになる、能力の有無じゃねぇ、年齢や性別だけで足元見られるのがこの業界だ



────── そして三つ目、これが一番……恐ろしい話なんだが



社長はまだ “愉しんでる” 場合、────── 妖怪を捉え、他国へと輸出するこのシステムに対して、愉悦を感じているのなら
そりゃ退くはずがねぇよ、仕事を生き甲斐にするだなんて、能率性の頂点にある訳だもんな
だが、考えてみろよ、それはもう、正気の沙汰じゃねぇだろ?

「異議はない、俺はそのやり方が気にいたから、この会社にいる」

────── そうだろうよ、俺もお前も、社長も……嬢ちゃんも、同じ穴の狢さ


【言葉が落ちる、帳の先に、僅かばかりの音を残して】


/お疲れ様でしたー!
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/24(木) 15:59:12.08 ID:UQ7YzUXsO
>>108

【意味を持たない散文詩、取り留めのない言葉の奔流に、指を浸して適度に掬う、そうすれば心の在処を探れる】
【影は"彼女"を揺らさない、乱すには少し、虚構が過ぎた、形として捉えるにはまだ温く】
【けれども、表層の下にある深層の中へ、搾った果実の如く滴り落ちてゆくのなら】

【───行いに於ける無為さとは、途端に萌芽する春芽に似て】


ええ、貴女様が仰るのなら何でも、────── 私は貴女様の手なんですから


【歩み寄る、束の間は戯れ、重なり合う点と線、水面に映った朧な月よ、誰がそなたを謀りと示して】
【認めるは言葉、安らぎ憎しみ素直とばかり、宜感情を情と書くのであれば】
【兎角、紡いだ一音節の行く末に、暗澹とした未来をとぞ思う】
117 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/24(木) 20:10:05.53 ID:JNIuWRb60
>>113
【ごくり、と生唾を飲み込む。臆病者は気配に敏感だ】
【いかにもお嬢様然のしたブレンヒルトの後ろ姿が、何やら大きく見えるのは気のせいか】

最低でも一人……その一人は、突き止めておられるわけですか
長老派……確かに、彼奴等なら創設時から存在し、表向きは公安にいた嵯峨野に技術を提供するだけの理由はありそうです

スペルビオ総帥……私も、一度たりとてお姿を見たことはありませんが、機関の頂点に立つには相応の理由が必要ではあるでしょう

さて、神も化け物も実際に現れるこの世界です。あるいは、数百年でも生きるような者もいるかもしれませんが……この場では論ずるに値しませんな
黎明期の機関員から嵯峨野に技術が伝えられた、という事実こそ、重要なことです

資格……? 受け継ぐにたる資格……ブレンヒルト様と同じく……!?
申し訳ありませんブレンヒルト様、少々私には理解しかねるのですが……

黎明期よりの秘匿技術を、継承する資格ということはつまり……『血統』、ですか……!?
ブレンヒルト、様……貴女は、いったい……

【元より、恩義は感じていても良く知っているわけではない。大恩あるからこそ、線は引いていたのだから】
【今まで、自分にも機関にも伏せられていた秘密。これはつまり、フェイタルベルン・ファミリーの中でのみ共有されてきた事柄だということだ】

コマチ様が、貴女を側に置く理由がそれだと……? 切り札たりうるほど、大きな……類まれな才能以上の……

全ての技術の、継承者!? 創設者の血族……首領候補……機関という巨大組織における、『王族』……!!?

【カニバディールという男は、権威や権力に対しては刃向かい続けてきた男だ。それも当然、この男は名実共に『賊』である】
【そのカニバディールが、今この場に集う者たちと同様に膝をついたのは、単なる権威とは違う『血脈』の力の成せる技か】

……これは、私の脳髄には余ります。この小瓶を賜ったことに、改めて感謝を

【小瓶を媒介にしたとは言え、カニバディールは今この機密を握らされた。もはや、後戻りは叶わない】
【たかが盗賊が、随分な立場に立ったものだ。この世界に君臨するカノッサ機関。その頂点の血、すなわち世界を統べる血にもなり得る】

【安寧の地を手に入れる。コマチは自分たちの目的をそう語った】
【その時、領地として組み込まれる地は、この世界に収まりきるのか。それすらも、わからなくなった】
【嵯峨野もその血族なのか? 他にも存在するのか? 機関のトップの座を巡る争いが始まるとでもいうのか?】

【面を上げることすら出来ず。異形は矮小な巨躯を震わせた】
118 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/24(木) 23:12:29.25 ID:FvHjPboM0

>>115

【黒鉄の推測──それがあっているのか否かは社長・馬酔木悠玄のみが知る事なのだろう】
【しかしながらあの老翁についてはもう一つだけ不可解な事が存在していて】

【それはヨシビ商会という会社その物が"たった二年前に発足した"という事】
【あの老翁が社長であるのならば二年前に会社を起こした人間としては些か年を取り過ぎているという点が見受けられて】

【社章に込められているらしき加護の件からも推察されるにあの男は元々妖怪に関わる仕事をしていたのだろう】
【だとしたらこの年になるまでこのシステムを考案する事もなくのうのうと生きてきただけだったのだろうか?】

【恐らく謎は深まるばかりなのだろう】


【そうして、黒鉄達が意見を交わしている最中】
【微かにかさり、という音が聞こえたかと思えば室内に一羽の黒い小鳥が入り込んでいて】
【一枚の紙を二人の前に落とすと塵となって霧散する】

【その紙には丸っこい少女らしき文字で】

【今日見聞きした事は他言無用でお願いします】
【さもないとどうなるか分かるでしょう?】

【とだけ記されていて】



/長時間の絡みお疲れさまでした!
119 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/24(木) 23:34:19.27 ID:tDL3QzI9o
>>118

【謎は深まるばかりであった、黒鉄は髪を掻き毟る、────── 本来なら自分が気にするような事ではない】
【だが、知らずにはいられなかった、彼もまた、リスクジャンキー、ヌルい仕事を嫌がり、態々この道へと選んだ側面もある】
【小鳥が落とした紙切れを、彼は見た、────── そして、火の付けたタバコを押し付ける】


────── いいぜ、惚れ惚れする様な殺し文句だ、使い古されて手垢が付いてるけどな
お前も俺も、アンタもアイツも全員悪人だ、だがな、悪人には悪人のやり方がある
言っておくが俺は、────── こんな所で終わるつもりは無い

精々利用させてもらうぜ、ヨシビ商会──────


【歯車は動き出す、来たるべき時に向けて、その合間に僅かばかりの可能性を秘めて】


/お疲れ様でした!
120 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/25(金) 00:10:29.64 ID:p8X59czU0
>>116


【半ば冗談だったのだが、君は結局何でもしてくれるのだ。】
【そこにどんな意図があるのか知る由もなし、私も君をどうしたいのか自身が見えない】
【けれども―――何かが胸の奥に満たされていくような感覚はした。】

【髪が一通り乾かされれば首を回すようにして視線を合わせる。それは一見すれば女児のようにも見えた】



―――ありがとう、イスラフィール。君に会えて良かった。



【薄暗い寝室でゆっくりとそう言った。】




【き-ら-き-ら-ひ-か-る-お-そ-ら-の-ほ-し-よ-】


【―――】
【――――――】
【―――――――――】


【翌日から、水の国の中心部で行方不明者が増加した。】
【ただ正直な話水の国ではよくあることであったし、今の時世を考えれば別段驚く事でもなかった。】
【故にそれは大した注目もされる事なく、ゆっくりと進行していった。】



【星杯/ほしのさかずき≠満たして新しい世界を作ろう。】
【もうひとりぼっちじゃない世界を――――――――きっと。】


//お付き合い頂きありがとうございました!
121 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/25(金) 00:20:45.71 ID:1Ckc4/Huo
>>120
/お疲れ様でした!
122 :テレサ  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/25(金) 01:08:21.06 ID:Rkwzj3Mvo
>>114

(そもそも"新教"って姦淫はいいんですかね……
こうも堂々とするくらいだからやましい事ですらないのかもしれませんが)

……――いい機会ですので。拝聴させていただけると幸いです


【こういう物言いにも覚えがあった―――堂々と女を侍らせる構図がどっかの天才的頭脳を持った馬鹿を彷彿とさせるなら】
【今のは孤児院で過ごしてた幼い時期、延々と"義妹"から聞かされていた経験がある】
【理論を聞いたとして、それを実践できるかは正直自信がない所だが】


いえ不可欠とまではいきませんね。あくまで正義組織に頼むより有効な相手用の専門的な部門というだけで
どっちかというと正義組織に余計な負担をかけないよう請け負うサブユニット的な扱いが主だったと思います
それでも"正義組織が停止してる今"だからなくなってはマズイという意味合いの方が強く、より効率のいい手段があるならオススメしていただきたいくらいです

そして、引継ぎは私がやる必要がない……それは、非常に助かりますね
―――今言ったように向かない仕事でしたので。となると……ええ、今の話を総合した結果……少し安心しました


【事実、胸を撫ぜ下ろすように安堵の表情を見せるテレサ】
【今の物言いのどこに安堵する要素があったか?答えは―――マーリンは思った以上に合理的でより良い活用を重んじる故】
【今あるモノを削減して一時しのぎのマイナス減らしをするのではなく十全に有効活用できるよう配分しよりプラスへ持ち込むタイプの男であることをだ】


まず何に安心したかというと……貴方が相当に無駄を嫌うタイプの人間であることはわかりましたので
となると……私の仕事が今日からなくなるのでクビになるとかそういう話ではまずないらしいですから
それだったら三時間待つことなく私に『You're fired』とでも書かれた辞令をファックスで送ってそれで終わりにするはず

そして異端狩りの仕事そのものがなくなるわけでもなく、なおかつこの"金の国"には私のような猪武者も同然の人材でも
できるような仕事が溢れんばかりに存在している。そんな場所にわざわざ3時間かけ(かかった時間は不本意のようですが)本日中に私を呼びつけたとなると



―――つまり本日の『要件』は……今日からの私の仕事は全て"金の国"にて行ってもらうのですぐ来て始めてくれ、という理解でいいみたいですので



【……ようするに、これからのテレサは異端狩りの仕事も、"魔術"を用いた産業も纏めて"金の国"にて行えという"辞令"】
【それが今回呼び出された事の本題であることは理解できた、と返した】
【しかもかかった時間を勿体ないと嘆くくらいだ、下手をすれば本日すぐにその仕事を覚えてもらい、明日からもう始めてもらう、とまで言われるくらいは想定していた】
123 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/25(金) 01:53:20.70 ID:p8X59czU0
【水の国・首都フルーソ・大通り】


【今日も人々は雑踏の中を生きる、サラリーマン、若者、外国人、老人、妊婦。ながらスマホは危険だからやめよう】
【そんな人々が特に集中する中心街にあるスクランブル交差点。人々を見下ろすように超大型街頭モニターが設置されている。】
【流れているのはウェザーニュースだったり、通販番組だったり、今週のヒットチャートだったり。】

【そんな街頭モニターの映像がある瞬間、全て一つの映像へと切り替わった。】
【力強い大理石で出来た聖堂のような場所、そして画面の真ん中には一人の人物が立っている。】

【綺麗に編み込まれたミントグリーンのおさげ髪、そしてその上に犬の耳が生えている小柄な少女だった。】
【服は修道着であったが、不自然なまでにスカートの丈は短くところどころスリットのようなものが入っている】
【そしてそんな服装とは対照的に犬耳の少女は無表情で画面を見つめている。】


―――オイ、これは………えっもう始まっている………!?

ゴ、ゴホン。皆様ごきげんいかがだろうか、この映像は全世界に一斉配信されている。
私は教会≠フいたん………ではなく教会≠フシスター銀のアンゼリカ≠セ。

今日はある告知をするためにこの場を借りている。



【犬耳の少女は明らかにカメラの奥にあるカンペをガン見しながら淡々と言葉を口にする。】
【―――瞬きをするたびにぴこぴこと頭部の犬耳も連動して動く。】

【画面下にはテロップで】

【《聖女アンゼリカ<tァーストDVD恋の宗教改革=EファーストシングルTOKI☆MEKIテスタメント%ッ時発売!》と流れている。】



既に存じ上げている方もいるかもしれないが教会≠ヘ今、改革を進めている。
今までの在り方ではない、人々に真の救済を与えるための改革だ。『異能主義/Meritocracy』―――そのための人材を募集している。

我々は個性≠尊重する。異能者=E魔術師=E獣人=Eサイボーグ≠セろうと関係はない。
その個性≠活かした職務を提供し、貴方が最も輝ける場所への道案内をさせて頂く。

共に世界の為、隣人のために働こう=I 良き商品、良きサービス、それらを提供する事によって得られる利益は
救済≠フ証明であり貴方の個性≠ェ齎した隣人愛≠ノ他ならない。


―――自身の能力≠恐れるな、能力を押し殺す事に意味などない。何度でも言うが私たちは貴方の個性を尊重する。

良く働く者は救われる。否、神に選ばれた者こそ良く働くのだ。立ち止まっている時間はない。


…無料相談も受付中だ、進路に困った者、何か悩みがある者は下記の番号に連絡をするといい。
週2回は私も相談会で対応させてもらう。


【そういうと画面の下にはフリーダイアルとメールアドレスが表示され、アンゼリカはぎこちなく両手で下を指差す】

【そして《ファーストDVD恋の宗教改革=EファーストシングルTOKI☆MEKIテスタメント%ッ時発売!》と再びテロップが切り替わる】
【内容はふざけているし、この水の国≠ノおいて能力≠フ歓迎を表明するのはあまりにも逆行していた】
【逆に言えば、この内容がそのまま放送されている事実。そのバックには大きな存在がある事に気が付く者もいるかもしれない。】


お会いできる日を楽しみにしている―――――――それでは。

                                                       
                                                       ―――オイもうカメラ止まったか?


//ソロールです
124 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/25(金) 02:05:20.36 ID:Rkwzj3Mvo
>>117

【面を下げるカニバディールに柔らかく微笑みながら、「いいから楽にして」と一声かける】
【そうして顔を上げたならばブレンヒルトの微笑みには暖かながら―――どこか悲し気な眼差しが混ざっていた】


こうしてみるとコマチと私。六罪王とナンバーズでありながら"対等"になるよう取り決めているのが何故かもちょっとわかるかもね
無論それはこの後私が総帥になって、その下にいる"六罪王"の内、私の側近がコマチになるでしょうけど……その際も引き続き"対等"に意見できるようにするためよ
そして私の身を全力で守る事を引き換えに―――総帥になった私を後ろ盾にして、カノッサ機関の全権を利用し私腹を肥やす規模を拡大するでしょうね


そうよ。これがコマチの真の狙い。カノッサ機関の軍事、資材、研究。その全権の――――完全な総取り

そして機関の全てを支配下に置いたうえで―――カノッサ機関そのものを己の”国”とする。切り取った『国土』も"私の"カノッサ機関のモノ
カノッサ機関に今ある"研究"も全てカノッサという国のためのモノ。そして国土を守り―――時には国を豊かにすべく世界中の資源を
毟りとっていく"軍事力"も……"我が物にした"カノッサ機関によって行われる。……まあ、事実上"機関"を含む全世界の乗っ取りね


【……かつて、貧困にあえいでいたブレンヒルトを助けたのはコマチだったと言っていた】
【それも全てはこのためだったのか。機関の頂点に立ったブレンヒルトの腹心を名乗り、その"虎の威"を借りて各派閥に分かれた機関を統一させる】
【そうして動かした全権を使って―――"国"を作る。自分がこの世の誰よりも『豊か』に生きていける国を】

【本当の意味で恒久的な豊かで平和である国になるには、世界で最も強い国でなくてはならない。だから……なりふり構わず力を付ける"機関"を我が物にして】
【"機関"を己の国にすれば……あらゆる敵を寄せ付けず、永遠に幸せに過ごせる支配者になれる、とコマチは狙っているわけだ】


……でも、さ。無論そんな事正義組織の連中はもちろんの事……機関の他の六罪王及びナンバーズの、私たちを快く思ってない連中は
邪魔してくるでしょうね。内にも外にも敵を作る行いですもの。だからそれら全てを統べるために……結局私たちが機関で一番強くならなければいけないのよ


そうした奴ら全てとの対立は避けられない……だから"神器"が必要なの
この世に存在する三種の神器のうち……この世の力ある者全てを『無力』にする力を秘めた神器がね
これがあれば他の連中を傷つけたり邪魔をすることなく―――私たちの"敵"もいなくなるから



【リリア、コーネリアス、レギン、エインセル、ダグラス、アイン、殺狩、ジルベール、ロジェクト―――そして、ベクター】
【今思い返しただけでもこれまで多くの"六罪王"がいた。その前には幾人ものカノッサ機関議員もいた】
【カノッサ機関の全権を総取りするという事は―――そうした連中を動かす力を持っている者でなければならないという事】

【それを可能にするのが"神器"。もしこれの所有者となったならば……その者は世界の支配者となる】
【そうなれば『黒幕』も『円卓』も、UTもjusticeも、正義も悪も、全てを統べる"国"そのものとなれる―――それがブレンヒルトとコマチの、"夢"なのか】
125 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/25(金) 14:46:16.60 ID:BUHwIAmoO
>>122

【詳しくはマックス・ウェーバー著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』にて!】
【しばしの間マーリンは、時は金なりのメカニズムについて語るだろう、要するに働いて利益を得る事の正当化であった】
【加えて、短い時間で多くの利益を上げる事を肯定する、働くことのみならず、働いた結果までもを重視するのであった】

【テレサの言葉に射抜く様な視線を向けていた、心なしか興味深そうな色合いをみせるのは少なくとも彼にとって好ましい発言であったのだろう】


────── 及第点だ、こっちに来い


【マーリンは徐に椅子から降りると大股で扉を開ける、廊下を闊歩し外へと向かうだろう、体格差を考えていない、かなりの早足であった】


大体正義組織ってなんだ、警察やら軍隊やらの治安維持部隊があるにも関わらず、何故そんなものが存在している?
大体“教会”なんてのは信者の集まりだろう、異教徒を排除するなら兎も角、武器持って“異端”と戦う理由すら分からねぇ、しかもそれが妙に効果的なのも気に入らん
明らかに非効率で非能率だ、けれどもそれを受け入れなければ、この世界を合理的に解釈できん

────── だから“異端狩り”部門は解体する、糞の役にもたたねぇ頭でっかちの宗教家集めてドンパチなんざ愚の骨頂だ
何とかのアンゼリカっていただろ? あんな“一騎当千”だけ集めて小規模運営した方が百万倍良い、少ない穀物で良く働くあたり、さすが家畜とのハーフだな
んで、問題のお前を何処に配置するか、だ、お前の部下やら何やらは適当にこっちで配分する、それなりに使い途は考えてある

だがお前は例外だ、自分で言うように、お前はきっちりきっかり猪武者なんだから


【“教会”から離れ外へ出る、典型的な工業国の様相であった、工房や鉄工所が立ち並び、活気に溢れた街並みが描かれている】
【本来ならば燃料を用いて稼働しているシステムを、この国は“魔力”にて運用していた、だからこその“魔術立国”】
【加えて郊外には大規模な農場がある、天候管理に温度調整、害虫駆除といった様々な要素に魔術は使われているのだろう】

【そして、マーリンは立ち止まる、────── 一際大きな施設が、目の前にあった】


“国立魔術学院” ────── 国内最高峰の魔術師の為の学校、諸外国と比べても類を見ない規模だ
お前此処で働く気はないか?
126 :アルバート・ウィンチェスター ◆/iCzTYjx0Y :2019/01/25(金) 15:21:35.29 ID:IdSPKHBN0
>>65

【一瞬だけ、ちょっと微妙な空気が流れる―――こういう表現は好きではないのだが、そんな気配が三人を包む、のだが。】
【どうも一人だけ場違いにも場違い、どこかの荒野で"ヒーローを辞めるか辞めないか"の選択肢を迫られて一人泣いている女にも言い聞かせたい程の】
【スーパー・ハイパー・ウルトラおバカが居るので、すぅっとその影は姿を消す。ごめんなさい、という鈴音の言葉にも「ああ、こっちが悪かったって! めしまだ!?」と。】

【そんな風に返してしまう程の存在―――スタンが場を和ませている、のかもしれない。鈴音が大人の対応を見せたのも、大きいが。】
【しかしアルバートの話題変更は、また新たな緩和剤になったかもしれない。勿論、これだけのことで信頼を得られるとは、到底に思えないのだが。】
【ともあれ鈴音も、勉学に無頓着で興味なしという訳ではないらしく、困ってこそいない物の、或いはそこに一種の憧れめいた感情があるのを、少しだけ感じ取って。】


―――そう、お勉強だよ。まあ、私も苦手な科目が多くてね……数を数えるのは頭が痛くなるくらい、不得手なのだが。
この世界の歴史や、他の世界との関り、それに国語―――、ああ、文字やお話を扱う科目だ―――なんかは、これで人に教えられる程度には、得意なんだ。

そうか……鈴音君は、途中で勉強が止まってしまって居る、のだね。いやね、実のところ私も、……ふふ。
"学校"という学校は、出ていなかったりするんだ。教師としては恥ずかしい話だがね、幼い頃は―――

「ん!? オイ、どういうこったよそれ! おいアルバート、てめー人には"べんきょー"させて、じぶんはなんにもしてなかったのか!? おい!」

いや……あははは。そうなんだよ、ずるい大人だろう。でも、君は必要だから勉強しなくちゃあ、ダメだよ。スタン君。
それでね……まあ、これは私の独善的で、酷く個人的な思想だが……何も勉強というのは、机に座って人に教わらなくては出来ないモノ、ではないと思うんだ。

セリーナ君は会社を興して今は随分とリッチに過ごしていたようだが……彼女も学校には通っていない。
けど、大切な事はたくさん知っているし、"教わってきた"。生活に必要なこと、他人を労わること、―――隣人を愛する事。

学校は、それらを分かりやすく教えてあげる為の、補助をする機関だ。絶対に必要、という訳では、ないとも思う。
生きるという事は全てが学ぶこと、常に人間は学習しながら生きているから。―――でも、運が悪いと。例えば、廻りに悪い大人が、いたりすると。

"そんな大人しかいない空間に生まれてしまったり"すると、……その子も恐ろしい姿に、育ってしまう事がある。
そういう、"仲間外れ"の子供たちを生まないようにする為に……学校は今の世界に、ブレーキとして必要だとも、思うんだ。

……ふふ。自分が学校に通っていない事の、言い訳みたいになってしまったがね。兎も角、……君も沢山、学んで生きているんだね。
料理がとっても上手なのも、学校で学ぶだけじゃそう上手くはならないのが、何よりの証明だから、ね。ただ、それはそれとして……

"教えてあげたい"気持ちが、私には在った。そういう訳だから、まあ。なんていうのか、―――国家公認ではないけれど。
教育機関を設けていたりするんだ、独自の場所で、独自の財産で。そこには……"学校に行けなかった"子供や、"普通に暮らせない子"が、集まっている。

―――今も色々と言われているが。例えば……"能力者"という理由で。"亜人"という理由で。捨てられてしまった様な、子供がね。


【そうして、ぽつりぽつりと語り出すのは自身の経歴と、運営する学園の正体。そこは、恐らく私的な機関だろう。】
【お金がある、知恵がある、場所もある―――ならば。と目の前の現実にアンサーを出した、この男もセリーナと、似た部分がありそうだ。】
【困っている人をどうにかしてあげたい、という根底の気持ちは、きっと通じているはず。―――非合法だけど。スタンはなんのことやら、涎を垂らしてハンバーグを待って。】

「えっ!? おっきくしてくれるのか!? それってどんくらいだ!? パキケファロサウルスの頭くらいか!? それとも―――」

【お茶が置かれたことも気づかないくらいの興奮度合。世界がどれだけ変わっても、彼女だけは"相変わらず"、らしい。】
【アルバートはウーロン茶を「有難う。」と笑顔で受け取り、静かに飲み始めるだろう。スタンの御腹が、ぐーっ、と鳴った。】
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 16:20:44.37 ID:PnhRCwlbO
【レヴォルツィオーン社、本社ビル】

【 ────── 奇妙な来客であった、当然の様にアポイントメントは無く、郵便配達員が間違って紛れ込んだ様な】
【それでいて、受付の者は容易く通してしまう、一流企業のフロントとは思えない程に、あっさりと】
【故に貴方は直面する、貴方だけの部屋、─── その王城へ歩み寄る毒牙に】


あらん、水の国きっての大企業だっていうのに、意外と質素な部屋ねん、機能性重視ってとこかしら
うふん、そういうとこ好きよん、ええ、とっても、とーっても、ブランルちゃんらしさがふんだんに出ててぇ
でもね、寂しい部屋よ、なんてゆうかぁ、物足りない? 何か欠けちゃった? そうねぇ

────── 愛しい愛しい誰かさんが、足りない様な部屋ねん


【少女の様な女であった、ピンク色の長髪を後方で纏め、胸元が大きく開いたチャイナドレスに身を包む】
【スリットから淫らに零れた脚線美と、蠱惑的なマリンブルーの瞳が貴方を見つめて】
【誘う様な腰付きでゆっくりと、その歩みを進めるのだから】
128 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/25(金) 16:22:17.74 ID:WpPRfZah0
>>47

【ゾーイはただ真っ直ぐな瞳で見送った】
【番号は「記憶しましたので」といってメモは必要としなかった】

【ただ何処かほんの目に見えない程度の微量の逡巡のような】
【複雑ななにかいいたげな顔をしていたのだがそれがわかるのは】
【親しい友人ぐらいなものだろう。】


――何故でしょう。多くの人と運命が絡み合うほどに空は深青の色を帯びて
悲しみにに近づいていく。現在という時空の自重で崩落してしまう。そう感じます。

【誰も居なくなったその場所で、ひとり思った。】


私は何処に居るのでしょう。



/返信遅くなりましてごめんなさい!
/これで締めという感じでお願い致します。長々とありがとうございました!!
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/25(金) 16:28:56.13 ID:4kyAOWtDo
>>127

【自身が住まう部屋に闖入者が現れた。それだけでは大して驚きもしなかった】
【簡素な机、その手前の椅子に座った黒衣の男は、やってきた女を見るなり目を細めた】


おやおや、随分と魅力的な娘がきたな?
我が元へようこそ、お嬢さん。このブランルに何か────


【いつもの余裕を携えた態度でどこか嘲笑を感じさせる声音が出迎える】
【誰に対しても変わらないこの男の標準的な応対の仕方だ。しかし────】

【『愛しい愛しい誰かさんが、足りない様な部屋ねん』】

【────その一言に、この男が一瞬だけでも不機嫌になったことは意外だろうか】


──何か、用かな?


【雄弁さが影を潜めてただ一言だけ問うた】
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 16:34:04.31 ID:PnhRCwlbO
>>129

【彼女は目を細める、愛らしい大きな瞳が擽ったそうに瞬いて】


ふふ、うふふ、"何か用" ねん、ふふふ、用があるのはどちらかしら、ブランルちゃん
妾はね、くんくんくんくん、とーっても鼻がきくの、可愛いお鼻がひくひくしちゃうわん
困ってるヒトを見かけたらん、ええ、─── 放っておけないのよ

だからねん、妾は用は無いわ、貴方が用を作るのよ、分かるかしらブランルちゃん
貴方の力じゃ足りない道理を、妾は持っているのだから

─── 遠き輪廻の果てから、心半ばを取り戻すぐらい
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/25(金) 16:45:51.62 ID:4kyAOWtDo
>>130

【細められた黒絹の瞳が眼前の女を冷徹さでもって捉える。相手はもはや風貌どおりの少女ではない】
【男から表情が消える。驚愕した、というわけではなかった。この手の“妄言”はむしろ語りかける側だった】
【ただ、それでも──表情を取り繕わない。あるいは、取り繕えない】


ふん……死人を蘇らせる、とでも?
そういった甘言は私もよく舌で紡いだよ。どれだけ振り払おうとしても、この“毒”はよく回る
だからそれが大抵のやつには出来ないことは、魔術師としてもそうでないものとしてもよく知っている


【死人は蘇らない。様々な物理法則を覆す魔術や異能を以ってしても、未だに変更されないこの世界の基本原理だ】
【ブランルは魔術師であり技術者だ。技術の限界をよく知っている。死が不可逆変化であることも】
【────その上で】


……で、それで話は終わりじゃないんだろう?
その“道理”とやら、どうやって示す?


【ブランルは続きを促した。平時にはあり得ない熱の込もった声音で】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 16:54:08.80 ID:PnhRCwlbO
>>131

【小首を傾げる、んー、っとつれない声色で、とろんと溶けた目尻が唄う、けらけらと心の底から】


あらん、良くわかってるじゃない、ブランルちゃん程のニンゲンが出来ないコトを、妾が出来るとでも?
ブランルちゃんは超一流よ、魔術師としても、技術者としても、類まれなる才能に、飽くなき探究心が積み重なった
────── 指して曰く、慮外の化け物だなんて、道理を追い続けて道理から離れるなんて、お笑い種ねん

んふふ、聞きたいの? 聞きたいのかしらん、ブランルちゃんより遥か劣る女の子に、それを尋ねるのん?
ブランルちゃんはそういうコだった? 貴方の探求は、もっと矜恃に満ちたものじゃなくて?
そーれーとーもっ、惚れた女の為なら何でもするのかしら?


【彼女はすぐ側にまで近付く、鼻腔を擽る甘ったるい芳香】


示してくださらない? ブランルちゃんが妾に何が出来るかを
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/25(金) 17:03:33.80 ID:4kyAOWtDo
>>132

【甘ったるい匂いが刺激してくる。いつもならば笑みの一つでも浮かぶだろう】
【普段ならば甘言にも軽口にもいくらでも付き合い、そのどれについても愉しんでみせるだろう】
【どうにも今日ばかりは、そうする気が起きなかった】


何者か分からないお前に、さて何を語ったものかな
私のできることは数多くあるが、しかし……


【何が出来るのか。一体、何を“差し出せるのか”】
【言葉は浮かばず、舌が回らない。調子が悪いなんてものじゃなかった】
【舌打ちを一つ。こんな動作一つさえほとんどしたことがなかったというのに】


……そうだな
見てのとおりの企業の勤め人だ。それなりの金と地位がある
私の技術を必要する人間が大勢いるおかげで、影響力もあると答えられるだろう
加えて魔術師だ、戦力にさえなる

……で、どれがお望みだ?


【苛立ちと共に自らの能力を列挙してみせる】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 17:13:33.06 ID:PnhRCwlbO
>>133

【腕を首筋に回した、華奢な両腕、指先で容易く解ける絹糸よりも、哀れに可憐に鮮やかに】
【恋人の様に瞳を向ける、残照、残留、追憶、憧憬、────── 蘇らせるは名残】


あはは! ほんとに言ってるのかしら、本気で言ってるのかしら! ねーぇ、ブランルちゃん、貴方の愛はそんなものなの?
だとしたら見込み違いだったわん、どうぞ御機嫌よう、貴方は妾の思うよりずっとずっと、マトモだったもの
考えてごらんなさい、思い出してくださらない? 貴方を貴方たらしめるのはいったいなぁに?

お金? 地位? 力? ────── 貴方の価値は、そんなもので置き換えられるものなのん?
それは大きな間違いよ、唾棄すべき心違いよ、貴方は原初の原初から、貴方というものを勘違いしてるわん
そんな、"仕方ないコ" に、妾は手を差し伸べないのだから


【首筋に回した手を抱き締めたなら、その口許は貴方の耳へ、言の葉を滴らせて】


想像力よん、妾が欲しいのは、そんな凡庸な価値観を超越した想像力を妾にくださらない?
貴方は知ってるのでしょう、魔術の果てを、技術の果てを、それなら、それを超越するものをも描ける筈だから
ニンゲンの一番偉大な武器は想像力に他ならないの、妾はそれを啜り、貪り、満たされよーぞっ

────── 妾の身体を好きにしていいって言われたら、貴方はどうするの?
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/25(金) 17:28:55.29 ID:4kyAOWtDo
>>134

【視線が落ちる。焦点の合わない瞳がここではないどこかを見つめる】
【それを呼水として感情が湧き上がってくる。汚泥のように混ざり合った衝動が】
【脳裏に絶え間なく響き続ける声の中に──あるはずのない女の声が混じった気がした】


ああ……全く
面倒な客が、来たものだ……


【心底から冷え切った声。深淵の如き双眸には激情の火。渦巻く感情に随伴する氷点下の思考】
【確かにそのとおりだ。“これ”はブランルではない。これでは、そう呼ばれる資格がない】
【あの女が役目を果たしたというのであれば、自分もそうする他ないだろう────】

【右手が挙がり、少女の頭を掴まえる。口端にあがるのは歪んだ笑み】


まずはその、面白おかしい言葉選びの分析のために、お前の脳を私に繋げる、とかかな?
脳を兵器に繋ぐ科学者でさえ異端呼ばわりだ。脳に脳を繋ぐというのも中々愉快だと思わないか?


【苛立った気配は霧散し、代わりに凄絶な思考による言葉が繋がる】
【右手には魔翌力の燐光。次の瞬間にも“それ”を実行しそうな気配さえ漂わせていた】
【そう、これでいつもどおりだ。こうでなくてはおかしい────】
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 17:37:08.11 ID:PnhRCwlbO
>>135

【彼女は笑う、生殺与奪権を貴方に握られて、その意思の思うがままに蹂躙されるのを悦ぶのだから】
【救われない程に背徳的で、救い様がない程に冒涜的で、然るに何処までも官能的であった】


────── そうねん、良い感じよん、貴方らしくなってきたじゃない、ブランルちゃん
貴方は妾に差し出すの、その脳が描く全てを、貴方が感じ取る全てを、赤子みたいにまっさらに
幼子が親に聞いて聞いて、とおねだりするみたいに、妾に全部かけて欲しいわ

そう、それが対価よ、ブランルちゃん、貴方の望みを叶えて差し上げる対価


【掌の下で彼女は綴る、命も全て、度外視した理屈を】


思考も温まってきたかしらん、少しだけお話して差し上げるわ
ねぇ、ブランルちゃん、貴方は、愛しいあの子が何か、知ってらした?
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/25(金) 17:43:22.69 ID:4kyAOWtDo
>>136

【魔翌力の燐光は徐々に強まっていき──そして消える】
【右手が離れていき、入れ替わりに嘲笑めいた声音が囁かれる】


いいだろう。今はお前の指し示すとおりに踊ってやろう
お前が何を要求し、その結果、私が何を作り出すのかは愉しみだ、が……

退屈させればその命、単に消えるだけで済むとは思うなよ?


【脅しではなかった。その声には怒りや憎悪といった雑念は一切含まれていない】
【ただ必要な経費を請求するかのような、冷徹な悪魔じみた宣告だった】


何か……?
いや、知ってなどはいなかったな
面白そうな話じゃないか、なぁ?


【好奇が瞳に映り込み、笑みがより一層深くなる】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 17:52:17.77 ID:PnhRCwlbO
>>137

【紛うことなきブランルの音律であった、彼女は耳を傾けて、暫し憩いに思いを馳せる】


いやーん、怖ーい! どうされちゃうのかしら、妾はどう壊されちゃうのかしら
それも聞きたいわ、ええ、とても、とーっても、ねぇん、語ってくださらない? 貴方はどう、妾を壊すのか
古今東西ありとあらゆる歴史書に刻まれた、数多の拷問よりも酷く、妾を壊してくださるの?

だとすれば嬉しいわ、妾は望みと誇りを持って、貴方にこの身を捧げましょう、見果てぬ痛みを試みて
でもダメよん、だーめ、デザートは最期まで取っておくタイプなの、妾は
それとも貴方は摘み食いをするタイプかしら、思い付いたら何時でも何処でも


【映し鏡、貴方の笑いを彼女は掬って】


あの子は形だったの、そう、欲望の相似形、流線形はヒトを[ピーーー]わ、願いであればより一層
"人身御供" ってご存知? 命があればなんでも出来る、なんでも叶うという、おまじない
あの子はその化身、"INFオブジェクト" なんて大層な名前もついてたけど

────── 要するに、"生贄" の産物だったの、ここまでは理解出来るかしらん?
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/25(金) 17:55:14.98 ID:4kyAOWtDo
>>138


生贄、ねぇ……?


【生贄。思えば彼女の使う力はどこかその気配があった】
【それを思い出しながら、ブランルは続きを促した】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 18:05:48.81 ID:PnhRCwlbO
>>139

【満足げに何度か頷きながら、彼女は言葉を結ぶ】


でも、今の時代 "人身御供" だなんてふっるーい、黴臭い信仰、誰も持ってないでしょう?
生贄を捧げたら雨が降るだなんてお笑い種よ、科学が信仰を駆逐してしまったの
だったら簡単よねん、────── 信仰を蘇らせちゃいましょう


【両手を伸ばす、掌でむぎゅーっと、貴方のほっぺたを挟もうとして】


ブランルちゃんの力を見せて欲しいわん、どうしましょう、どうして蘇らせるの?
今のヒト達に信じさせるのよん、生贄を捧げたら、自分達は救われるって
発想のスケールを大きくして、脳のギアを一つ上げて、思考を澄み渡らせて

んふ、大ヒントあげちゃうわん、今この国は二つに分かれてるでしょん?
能力者と無能力者と、─── ねーぇ、無能力者にとって、能力者は邪魔で邪魔で仕方ないでしょう?

────── 何を供物にするかなんて、明らかじゃない
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/25(金) 18:14:09.16 ID:4kyAOWtDo
>>140

【科学が信仰を払拭した。科学者たるブランルからすれば分かりやすい価値観だ】
【だがこの男は同時に魔術師でもある。信仰心を元に儀式を行うというのも、これもまた馴染む価値観だ】


ふむ……それは結構なことだ
供物を捧げて儀式を行う。そのために人々の意識を集中させる
なるほど、理にかなっている。この国の現状もまたそれを行うのには有利だろう


【思考など一瞬で終わる。頬を挟まれたままに、ブランルは強引に首を傾げた】


それで、そうすればあの女が蘇ると、そう言いたいのか?
私がそういった儀式を仮に行ったとして、お前は何を得る?
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 18:20:39.35 ID:PnhRCwlbO
>>141

【長い髪が導く様に、滴り落ちるがままに肯定を頷く】


あの子はそういう道理に導かれてるもの、愛した相手の為なら何でもできるでしょん?
なんて感動的な物語なんでしょぅ、妾は好きよん、そんな素敵に満ちたラブロマンス!
奇跡は起こるわ、起こしましょう、願ってるだけじゃ叶わないから、少しばかりのおまじないを混ぜて

─── 夢は必ず叶うわ、妾も応援しちゃうから


【例えそこに信用が無くとも、願う事に意味があるのだと、彼女は伝える】


あら、妾の事に気を回してくださるのん? ブランルちゃんには関係ないのじゃなくて?
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/25(金) 18:30:42.98 ID:4kyAOWtDo
>>142


……ふ、ここ最近は純粋な者が多いな
愛があれば、などという価値観を持てるほど私も若くないんだがな


【苦笑が浮かび上がる。愛した相手を蘇らせる奇跡など、信じられるものではない】
【だがこの際、それはいい。この国を巨大な儀式場とする。それもいい】
【────それだけでは足りないのだ】


あるとも。大いにある
このブランルをお前は焚きつけたのだ。“たかだか一人”を蘇らせるためなど退屈極まる
その先。この国そのものを儀式場とし、あるいは無能力者どもに能力者どもを生贄にさせる
そうしてお前は一体、どうする? その先にどんな景色があるというんだ?

私を本当に舞台に上がらせたいのであれば、それぐらいの説得材料は必要だと思うが?


【魔翌力が迸る。手に、全身に。退屈させれば容赦はしないという言葉を体現するように】
【それだけでは足りない。ブランルには、狂気と正気を綯い交ぜにしたこの男には人間を】
【あるいはそうではない誰かを蘇らせるだけでは、少しばかり刺激に欠ける】
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 18:41:25.71 ID:PnhRCwlbO
>>143

【頬に寄せていた手を引いて、首筋を伝い胸元へと落としていく、舐める様な仕草で】


あらん、たかだか一人蘇らせるなんて言わないで、愛するヒトでしょう? 愛したヒトじゃないんだから
ええ、そうよ、だからブランルちゃんは、こーんな小娘の口車に乗ってるんでしょう?
愛したヒトの為なら有象無象なんて、何人殺したって足りやしないんでしょう

その目的がたかだか一人だなんて、とっても素敵よ、少なくとも妾にとってはねん

でも、────── そうね、知らないばかりじゃ不公平ですもん


【そっと視線を上げる、上目遣い、媚びた音色】


妾の名前は妲己、櫻の国は "将軍" の正室よん
櫻でいっちばん偉い殿方の良妻賢母って訳、──────


賢いブランルちゃんなら、言いたいこと、分かるでしょん?
145 : ◆r0cnuegjy. :2019/01/25(金) 18:53:25.76 ID:3vK4nvNyo
>>144

【その名を聞き、ついにブランルの瞳に理解の色が灯る】
【にたり、と最も深く悍ましいまでの凄絶な笑みを浮かべてみせた】


いいだろう
それならば、お前"たち"の甘言に乗ってやろう
卑しい女よ、せいぜい上手く男を使えよ?


【それは侮辱と敬意が等分配された言葉だった】
【その舞台に、戦場に、計略に、乗せようとするのであれば】
【せいぜい上手く使ってみせろ、と。それが出来ると知った上で】
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/25(金) 19:08:40.27 ID:PnhRCwlbO
>>145

【クスリと微笑んだ、揺らぐ笑みの向こう側に、僅かばかりの愛を垂らして】


任せて欲しいわん、ブランルちゃんもよろしくねん、貴方にとってもとっても期待しちゃう
上手く出来たらいい子いい子してあげるから

────── 期待外れでも、いい子いい子しちゃうけどねん


【くるり、と踵を返す、ゆらりゆらり、陽炎の如く揺らめいて】


じゃあね、ブランルちゃん、─── 貴方の謀り期待してるから


【妲己は去っていく、一筋ばかりの悪意を残して】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/25(金) 19:31:33.15 ID:4kyAOWtDo
>>146


期待、か。いいだろう
お前たちが私に期待し、私を呼ぶ声を挙げるならば私はその声に応えよう


【最後の言葉にブランルは答えを返してその姿を見送った】
【女がいなくなった後。ブランルはその目を細めて嘆息を一つついた】
【脳裏には無数の絶叫が響く。彼の異能。その波濤の如き意思どもが絶え間なく続ける叫び】


どうやらこの世界はどうしても私に表舞台にあがってほしいようだ
であれば、私としても応じざるを得ないな。呼ばれてしまっては仕方がない


【独白は誰もいない空間に虚しく響く。だがブランルは静寂の中に響くものに耳を傾けていた】


ああ────そうだな
“何を呼び寄せてしまったのか”、奴らには理解してもらわねばな
何よりも────


────あの女を使って私を釣り上げたことは許せん。必ず代償を支払わせる


【昏い双眸には瞋恚の炎。思考の端には彼女の声の幻聴が差し込んでいた】


//乙です!
148 : ◆h97CRfGlsw [sage]:2019/01/25(金) 20:45:26.99 ID:E9ompxWo0
//てすと!
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2019/01/25(金) 20:46:40.46 ID:E9ompxWo0
【―――ライラ=フェルンストレームという男がいた】
【彼はカノッサ機関が引き起こした事件に巻き込まれたのを切っ掛けに『カノッサ機関ハンター』を名乗り】
【持ち前の正義感と独自の異能――「魔法」を武器に、新世界の戦乱へと身を投じていった】
【時に同じく正義の心を持つ仲間と共に数多の悪と戦い、そして生き延びてきた】

【だが彼の消息は、数年前を境にプッツリと途絶えてしまった】
【カノッサの宿敵と戦い死んだ、不慮の事故に巻き込まれた、戦いに疲れ自ら―――】
【当時こそ少しだけ騒がれたが、戦火の日々を巡るこの新世界でそんなことは所詮小さな出来事で】
【数ヶ月もすれば、皆忘れてしまった】


――――――……。


【あてもなく歩いてきた気がする】
【誰かに導かれて此処まで来た気がする】
【あぁ、やはり自分はこの世界の住人なのか。……ならば、歩き続けるしか無いだろう】
【終わりの見えない闘争へと身を預け、自らの信念だけを胸に抱いて戦っていくしか無いのだろう】

【なら、「俺」は―――】


――――――……あでっ!?


【水の国中心部、とある交番】
【窓ガラスが割れるかと思わせる音と共にドアが勢いよく開き、そこから一人の男が飛び出してきた】
【……いや、「飛び出す」というのは語弊があるか。まるで押し出されるかのように後ろ向きに建物から身を出した彼は】
【万有引力に従いそのまま地面へと衝突。思い切り頭を打ち付けしばし悶え苦しむのだった】


……おいコラポリ公!!!!
テメェら警察の癖に人の扱いが酷すぎんだろ!!


【やがて頭の激痛から脱した男は、先程突き飛ばされた警官の居る交番に向かい声を荒げつつ次々と悪口を飛ばしていく】

【男はそこらにいる――まるで珍しい生き物を見るように男を見ている―― 一般人とほぼ変わりない服装であった】
【地面に衝突して砂塗れとなったロングコートと、その下に来ているパーカにTシャツ。それとジーパン。何ら変わりない】
【しかしその首まで伸びた銀髪と青い瞳、そしてその瞳の片方を覆い隠す包帯―――入念に右目に巻き付いている―――。】
【今飛び交っている罵詈雑言がなくとも、十分に人目を引くような姿であった】


寄りにもよって"俺"に、だ!!
幾度となく世界を救った"英雄(ヒーロー)"の俺だぞ!!


【そんな事も言いつつ。しかし嘘を言っていないのがまたタチが悪いのだ】

/おおよそ4年ぶりのロールですが誰でもどーぞ!
150 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/25(金) 21:57:08.78 ID:ol+EoOTb0
>>149
【最初は、誰だかわからなかった。彼のトレードマークは、お伽話から抜け出してきたような魔法使いの服と杖だったから】
【突然、目の前に落ちてきて、それから悪口雑言の限りを尽くし始める彼の横顔を、呆然と眺めていて】
【ようやく、その顔に思い当たった】

ライラ、さん……?

【恐る恐る声をかけるその姿、こちらの方は貴方の記憶の中の姿そのままのはずだ。何せ、もうだいぶ前に人間はやめている】
【ひとりでに動く人形だった。白いシャツに青いジャケット、深緑のカーゴパンツに黒いスニーカー。そして四肢の球体関節】

【少し長めの茶髪も青い瞳もどこか無機質で、それでいて確かな魂の息吹がそこにあった】
【生き人形、ギア・ボックス。変わりゆく世界の中で、時を止められた男が彼の前にいた】
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/25(金) 22:19:13.49 ID:E9ompxWo0
>>150

……!
はは、やーっと俺の名前を呼んでくれる奴が来やがったな!


【その声にピタリと暴言を止め、如何にもと言った表情で彼へと視線を向けるこの男】
【しかし彼の姿を認めた瞬間、その表情は自らに助けを求める一般市民に向けるそれではなく、まさに戦友へと向ける表情となった】

【3年か、4年か。その月日は、ことこの世界に於いて長過ぎるものであった】
【例えば潰えた組織を皆が忘れるように、死んだ英雄を忘れゆくように、とても長い月日】
【そんな長い年月会っていないとなると、この男、ライラが彼に向ける感情もひとしおであった】


【―――本来ならば、ではあるが】


……おう、ギアじゃねーか!
聞いてくれよ、あのポリ公俺の名前を聞いて交番からつまみ出すんだぜ!
信じられねーよ全く……―――


【戦友との再会、ではあった。だが、何かがおかしいと彼は感じるだろう】
【「久しぶり」の一言も無い。まるで先日会ったかのようだが、無論彼にそんな記憶はないだろう】
【ライラの姿も、なにか違和感があるだろうか。ギアのように生き人形ならともかく、ライラは普通の人間だ】
【なのに、全く年を取っていない?】

【……記憶が無いのはむしろ―――】
152 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/25(金) 22:44:46.06 ID:ol+EoOTbo
>>151
【おかしい。違和感がぬぐえない。ギアの感想は、それであった】
【本来なら、再会を喜ぶべきなのだろう。自身の現状を思えば、『懐かしい』戦友との再会は、喜ばしいことのはずだ】

【だが、これはなんだ? 彼が音信不通となっていた時期は年単位。その間に、世界はあまりに大きく動いた】
【自身が所属するUTの状況も鑑みれば。この反応は、おかしい】
【まるで、これは。間の時間を、その空白を、吹き飛ばしてしまったかのような】

名前を、聞いてつまみ出した……それは確かにひどいですけど、その……
ライラさん? あの、何かおかしいというか……というか、見た目も全然変わってない……

【飲み込む生唾もない、汗も流せない生き人形の身では、動揺を表に出すのも難しかった】
【どうする。どうすれば、いい。ギアは、おずおずと切り出した】

――――ライラさん。おかしなことを聞きます。今が何年か、言ってみてくれませんか?
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/25(金) 23:01:03.08 ID:E9ompxWo0
>>152
全くだよな! なんだっけ、あー……。
マセイホウ? ……がなんだのって言ってたか? よく分かんねぇ事言うなとは思ったけどよ。


……あん? 今が何年か?
何言ってんだよギア。今は"2015年"だろ?


【ムクリと起き上がり、首をコキコキと鳴らしつつ尋ねられたその質問に事も無げにそう答えた】
【全く疑問を浮かばせていないかのように。当然であると、常識であると言わんばかりに】

【見た目も全然変わってない。強いて言えばその右目を覆う包帯くらいだろうか】
【長く戦ってきたライラのことだ、戦いで付いた傷なのだろうとそう判断するのは簡単だろう】
【だが少なくとも、ギアが最後に見たライラは右目を負傷していなかったはずだ】

【ギアの仮説が正しいのなら、ライラという男は―――】


【変わっていないようで、変わってしまったのだろうか?】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/25(金) 23:17:16.24 ID:7KZPfsCJ0
>>65

【しんとした空気がミストカーテンみたいに降りて来たなら、じっとりと髪の毛の先まで湿ってしまうような錯覚、しかしてそれを吹き飛ばすスタンの声があるのなら】
【かろうじて決定的な何かは回避するのだろう。――例えばさっき以上に声を荒らげ罵倒するとか、そういった、"致命的"な衝突、みたいなものは】
【彼女の気質を考慮してなお、それでもスタンが何かを護っているのにきっと間違いはなかったから。――「まだだよ」スタンに投げかける声、お肉はまだ生焼け色】

――――――――――――――――、

【――そうして、黙ったままで彼の言葉を聞いているのは、彼女なりの反省の仕草なのかもしれなかった。それともごく真剣に聞いているのかもしれなかった】
【けれどカウンター越しであるのなら確かめる術もなく。分かるのは彼女が沈黙していること、――それから、お肉がじゅうじゅうと音を立てて、脂が溶け出す匂いがすること】
【或いは誰か彼女の顔を覗き込むのなら、――色違いの眼差しはまあるく見開かれていた。彼の言葉のひとかけらすらも聞き逃したくないみたいに、その視線の先はただじっと】
【フライパンを見ながら、きっと、見ていない。――考えのフィルターを通す前に言葉が出てしまいそうになって黙りこくるしかない、というのが、きっと彼女の沈黙の正体であり】
【ならば淀んだ眼すらわずかに煌めくのすら当然であるのかもしれなかった、――。――けれど、今は、それより先に気にすることがあるのだと、】

――――――――――――ッあ、!

【そうして黙りこくっては話に耳を傾けていたのは、どれだけの時間だろうか。よほど長くはないと思われた。――緊張感に塗れてあげられる、刹那の声】
【慌てて何か――おそらくは焼いているのをひっくり返している――をしたなら、さっきよりも曖昧にぼやける声音、吐息混じりの嘆息、――、「えっと、」なんて声、】

――ごめんなさい、ちょっとだけ、焦げちゃった……。――――――、ほんの、……ほんの、ちょっと、…………。

【――ごくばつの悪い人間の声をしていたから。ならば言葉通りであるのだろう、話ばっかり聞いていて、すっかり、目の前のことを忘却していたのだと】
【あんまりに素直に白状した、お金マークにしては親指と人差し指が離れた仕草、――"ほんのちょっと"のハンドサイン。申し訳なさげに小さく俯くなら、前髪が表情を隠して】

その……えっと……ごめんなさい……。――め、目玉焼きとか、乗っけるから、――チーズ、は、インはできないけど、オンなら、……。

【焦がしてしまった詫びにトッピングも付けるのだと言うなら――まあそれほど悪い交渉ではないのかもしれないけれど、どちらにせよ、"具合"次第であろうか】
【本当にまっくろくろのお客様に出したなら目玉をほじくられるようなまっくろくろすけであったなら、きっと彼女もこうは言わない。――と思いたかった】
【いくらも気まずい沈黙を流して、――けれどさっきの気まずさとは質は違っていたから。今度は、もっと朗らかな、というでもないけど――、とにかく】
【焦がした詫びが目玉焼きやチーズや或いはそれ以外のトッピングのオマケで許されるというなら、――それから先は彼女だってちゃんと見ているから、滞りなく進む、はずで】
155 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/25(金) 23:18:47.34 ID:ol+EoOTbo
>>153
……ええ。今は、『魔制法』のために、能力者や魔術師はどんどん追いやられていて……
ご存知、ないんですか……

――――!!!

【決定的な答えであった。、ギアは硬直した。そのあまりに逡巡のない答え。違和感すら、抱いていない。気がついていないのだ】
【そこで、ようやく右目に目がいく。彼もまた、多くの戦いに身を投じた男。傷の一つや二つはおかしいことではない】

【だが、彼の見た目が変わっていないこと、今の時間をわかっていないことを踏まえれば、これはまた別の異変だ】
【何故、彼の右目だけは何らかの時を経ているのか。この傷が、彼の現状に関係あるのか】

【ともあれ。ギアは、自身の携帯端末を取り出した】

――――ライラさん。無理だとは思いますが、それでもお願いします。落ち着いて、聞いてください
今は……2019年≠ナす

【翳された端末の日付表示を。次いで、背後の交番の日付表示を指した】
【2019年1月25日。そこには、そう示されていた】
156 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/25(金) 23:26:47.56 ID:ol+EoOTbo
>>124
【面を挙げたカニバディールは、彼女の瞳に確かに悲哀の色を見た。だが、異形は彼女の歴史を知らない。その奥の真実までは、わからない】

……旧知の仲であるから、程度に思っていましたが甘かったようですな
後々の支配体制を睨んでのことだったとは……確かに、コマチ様の先々まで見通した采配だとすれば、様々なことに辻褄が合います

ブレンヒルト様の血統をもって、機関の全てを牛耳る……領土とはすなわち、機関であり機関に今後侵略される世界そのもの
ふ、ふ……コマチ様は、面白おかしく暮らしたいだけとおっしゃられていた覚えがありますが。規模が違い過ぎますよ……

古くからの、正統派の悪の企み。世界征服=Aということではありませんか
コマチ様がブレンヒルト様を見出したのも、初めからこの血筋を知ってのことだったと……

【そうだとすれば、コマチの計画は遥か過去からの遠大なものだ。時に潜伏し、時に表に踏み出し、それでいて自分の尻尾は誰にも見せずに】
【摂関政治さながらに、機関の、世界の実権を握る。全ては、豊かな暮らしのために】
【全てを力でねじ伏せる、世界最強の国家樹立のために。異形の悪漢ですら、慄くほどの大陰謀。これはもはや、狂気だ】


……当然ですな。反発する者は、あまりに多いでしょう。形は違えど、方向性で言えば世界全てを捻じ曲げようとする『黒幕』どもと
同じくらいの敵を作る羽目になります。それを生き抜くためには、結局は力。暴力で回るこの世界では、むしろオーソドックスなやり方と言えましょうが……

神器。ここで登場するわけですか。……失礼ですが、そんなものが本当に……?
敵の全てを無力化する神器など、これまで散っていった数多の勢力が手を出さなかったはずがないように思えますが……

誰にも、知られていなかったということですか? そのような神器の存在など、誰も……

【そう、思い返しただけでそれだけ多くの"六罪王"がいた。最高議員たちがいた。ナンバーズたちがいた】
【それら全てを相手取って、なお勝利を収められる力。それが神器。そんなものがあるならば、当の機関の強者たちや】
【かつて存在したあらゆる悪の勢力が求めなかったはずはない。ならば、それは秘匿されていた事実】

【世界全てを意のままに出来る力。ブレンヒルトの血統。伏せられていたあらゆる巨大な事実】
【深淵の底はまだ見えない】
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/25(金) 23:41:32.93 ID:E9ompxWo0
>>155

【彼の言葉に、一瞬体が、表情が固まる。しかし、完全な硬直とは至らない】
【当然だ、今までの常識が非常識で有ると告げられた瞬間。人間は往々にしてそう反応する】
【そして次のライラの反応もまた予想通り、ある意味テンプレートめいたものであった】

―――……は?


何言ってんだよギア。だって今は――――――。


【眼の前に示される決定的な証拠は、今度こそライラの表情を凍りつかせた】
【頭の中が真っ白になる。そうして真っ白になった脳内は、逆にライラの思考回路を加速させる】

【2015年、そう、2015年だ。自分の戦いの記録、"カノッサ機関ハンター"としての記憶は2015年で終わっている】
【そして、これからも続くはずなのだ】

【なのに、なぜギアが示している携帯端末は4年先を示している?】
【なぜ交番のカレンダーは2019年を示している?】

【というより。自分は今"何をしていた"?】
【交番で"マセイホウ"という単語を聞いたのは覚えている。だが、それ以外は?】
【まるで当たり前のように警察と一悶着を起こしていたが、なぜ俺は交番に入ったんだ?】
【一体何時この街に来た? 何の道を通って? 何処から?】





【何が、起こった?】





な、にも……―――ッ、思い、出せない……!
……何、も……―――。


【4年間の記憶の消失(?)という強烈な体験は、やがてライラの身体的負担を増大させる。呼吸が上手く出来ない。言葉が紡げない】
【所謂過呼吸という物で、一度起こした体は再びグラリと傾き、そのまま地面へと倒れようとする】
158 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/25(金) 23:54:36.56 ID:ol+EoOTbo
>>157
――――!!

【予期すべきことではあった。それが必要な行動だったとしても】
【人にとって、真実とは時に劇薬だ。足元を根こそぎ崩すことにもなり得る】

【あまりにも簡単に示してしまった真実。それは、彼の空白をここに自覚させた】
【彼が、その直前の記憶すらないという事実にたどり着いた時。その表情が、はた目にもわかるくらいに変わっていった】
【深い困惑と、混乱のそれへと】

ライラさん!!

【ギアは飛び出し、彼の身体を支えた。そして、辺りを見回す】
【交番は当然頼れない。どこに、『黒幕』の手が回っているとも限らない】

【ならば。ギアは逡巡の末に、端末にメッセージを送信した】

【ライラが、そのままアクションを起こさなければ。少しの間をおいて、一台の車両が駆けつけてくるだろう】
【黒塗りの、大型車両。その後ろの扉が、ゆっくりと開く】

【抵抗がなければギアは、ライラを中に運び込むべく、その身体を抱えようとするだろう】
159 :File:ZERO(2.0) [!nasu_res saga]:2019/01/26(土) 00:01:16.88 ID:+o1Det6Co
【        】
【            】


【         】
【           】
【            】


【                】



【      】
【      】


【             】



【          】
【             】


【               】

【       】


/Previous
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160 :File:ZERO(2.0) [!nasu_res saga]:2019/01/26(土) 00:02:18.12 ID:+o1Det6Co


【何も干渉できない】

【何も感覚できない】

【鮮やかな白紙が計劃者を打った】




  何をした。









  …………何をした!




              【激昂に応えるのは静謐な声】




 ――何をそんなに怒ってるの。


 あなたが望むことをしてあげたんじゃない。




 ――私たちは“ともだち”、

 ずっとここで、二人きり。

 思う存分見つめ合えるでしょ。



 誰にも、何も、邪魔されず。

 時間にも、因果にも、虚無にも。





 【両者の因果はそこで永遠に中断し続けていた】

 【始まりも終わりもなく共にただ一切を映すだけの】

 【高次的に無限の檻へ隔絶された〈観測者〉として】

161 :File:ZERO(2.0) [!red_res saga]:2019/01/26(土) 00:03:37.64 ID:+o1Det6Co

 ……ふざけるな。

 僕をこんなところに閉じ込めたからと言って

 何も変わらない。



 全ては完全なるシステムなんだ。

 僕がいなくても完璧に機能する。


 全ては0に還る約束だ。




               【公安捜査官は応えて言う】



 ――そう。


 じゃあ聞くけど、

 そのシステムとかいうのを作ったのは誰? どんな存在?

 殺した相手に捕まっちゃった、一体どこのどんなお間抜けさん?




               【計劃者は強く奥歯を噛む】




 ……人間は一度完成されたシステムには抗えない。


 僕のシステムは無限を定義し
 虚数の円環として完結している。


 全ては自動的に終焉する。
 初めから全てそう運命づけられているんだ。



 7200億分の一程度の蓋然値では何も変わらない。

 そんなものはゼロに等しい。


 何も生まないんだ。

 何も。




              【公安捜査官はせせら笑う】
162 :File:ZERO(2.0) [!美鳥_res saga]:2019/01/26(土) 00:04:49.90 ID:+o1Det6Co

 ――あなたって意外と馬鹿なのね。

 前はもっと賢そうに見えたのに。


 こんな子供だったなんて。

 なんていうんだっけ、あなたみたいな人のこと……



 ええっと、ああ、そう、“厨二病”?



              【沈黙が圧縮されて重力を帯びる】

              【相対する声響は凜然と宙に佇む】



 楽しかった? 〈黒幕〉ごっこ。

 仲間はずれにされて悲しかったね。



 あなただけ見てて欲しいならそうしてあげる。

 私の感覚の中にいる限り

 あなたはどの時間にも存在しない。


 ――まだ気付かないの?


 あなたという因果値は完全にゼロよ。



              【赫怒と平静が無音で衝突する】



 ……――私は、小さな一を残してきた。

 何千何億分の一の、

 観測上は在って無い可能性かもしれないけど



(    ――厳島さん)

                 (ディミーアさん   )

      (  ……シヲリ )





     ( ………… ―― “ きみ ” )
163 :File:ZERO(2.0) [!蒼_res saga]:2019/01/26(土) 00:05:47.71 ID:+o1Det6Co


 まだ繋がってる。

 ゼロじゃない。


 変わるのよ、これから。全て。


              【震動が哄笑へと変換される】


 ――ふ、は、は、は、ハ、あ、あア……そうか


 ここで因果のゼロサムゲームをやろうって言うんだな。

 この無限の〈計劃者〉の僕を相手に?

 異能も生命も全て無くなった空っぽのお前が?


 くだらない矛盾め、終わらせてやる、
 お前の安いテーゼなんてとっくに破綻してるんだ ――――



      【双つの慟哭と意志の弁証】


 
          【 命題 】


      ―― 既に『Ω』は実在する

              Null
      故に僕は必ず『 Φ 』を観測する



          【 反証 】


     ――『α』が存在しない証明にはならない

               All
     だから私は必ず『 ∀ 』を観測する ――
       


 【観念的鼓動の対偶が逆説として叫び】


 【永劫に終焉し開闢を描き続ける盤上】

 【否定と肯定を絶え間なく重ね合わせ】

 【虚構と実体の狭間で線を奏で続ける】



 【 反響する理は真か、あるいは 】
164 :File:ZERO(2.0) [saga]:2019/01/26(土) 00:06:24.48 ID:+o1Det6Co






 【 NRS 10th Anniversary 】

   【 『 Project Ω 』 】




 【 『File:ZERO』―― 2.0 】


 【  〈 Re:harmoney 〉  】
















( Re:Boot up? )

【 _    】
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/26(土) 00:19:38.35 ID:frI1Vg4X0
>>158

【倒れた後、ライラは正常な呼吸を取り戻したがそれは意識を飛ばした故のものだった】
【当然ギアの行動にも抗う術はない。されるがまま抱えられ、その車へと運ばれていくだろう】

【混濁する意識の中。ライラに「誰か」が話しかける】


―――どうだ? 4年間の時間旅行(タイム・トリップ)は?
―――しかも無意識にそれをやってるってんだから、笑えるよなぁ?


……誰だよ、お前。お前、なにか知ってるのか!?
俺はどうなった!? 何が起こってるんだ!?


―――おいおい、そんなはしゃぐなって! 玩具を買って貰えずに泣きじゃくる子供じゃあるまいしよ?
―――なあに、いずれ分かるさ。あの人形のガキだって、お前の仲間だろ? 助け合えよ、正義の味方なら。
―――現実を受け入れて、お前の物語はまた始まるんだよ。"カノッサ機関ハンター"。


【暫くした後、ライラは目を開ける。まだ意識はハッキリしていないようで、痛む頭を抑えながら周りをキョロキョロと見渡すだろう】
166 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/26(土) 00:27:47.65 ID:4HHkrR4mo
>>165
【苦し気な顔だった。人形とは思えない表情の変化】
【だが、戦友を見捨てることなど出来ない。そして、今の自分の立場を想えば】
【なりふり構ってはいられないのだ。たとえ――――誰の手を借りようとも】

【ライラが聞いた声は、恐らく他の誰にも聞こえていない。ギアは、ただ倒れたライラを運んだという自覚のみがある】


【彼が目を覚ませば、そこは広い荷台の中。時折ガタガタと揺れている。走行中の車内だとわかるだろうか】
【見回せば、心配そうに彼を覗き込むギアと。そして、もう一つ。異様に大きな影】

ライラさん! 気がつきましたか!
……その、さぞかし混乱されていると思いますが――――

「まずは、現状を理解するところから始めるべきだろう」

【聞き覚えのある声だろうか。だが、この場にあってはならないはずの声だ】
【振り返って油断なく睨むギアの肩越しに、その男は三つの目玉で彼を見つめた】

「久しぶりだな、ライラ」
「今の私に戦意はないから、あまり怒ってくれるなよ? 少なくとも、今は」

【かつての、いや今も続くと言うべきか。宿敵の顔。人喰い肉屋、カニバディールがそこにいた】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/26(土) 00:48:16.03 ID:frI1Vg4X0
>>166


―――……!!


【瞬間。その声を聞いた瞬間。ライラの行動は単純―――指を軽く鳴らすのみだった】
【この場に不釣り合いなその行動の刹那、車内の空間がライラを中心に一瞬歪むか割れるか(と、二人には認識できるだろう)した後】

【そこに居たのは"カノッサ機関ハンター"であった】

【紫の帽子に、ローブ。数年前刀を仕込んだ木製の杖。おとぎ話から出てきたかのような"魔法使い"】
【一瞬のうちにライラはそれらを装着していた。爆発的に高まる魔翌力、そして怒気】

【……そう、"魔法使いセット"も数年前は最初から着けているか、普通に被っていた】
【それが一層、ライラの異常さを彼らに見せつける事となっている】



カニバ、ディール……―――!!



【そして杖―――もとい鞘から刀を抜き、カニバディールの首を刎ねようとする。もちろん彼の話など聞いていない】
【数年前と変わらない太刀筋は素人ながらも、流石と言うべきか、一直線に彼のもとへと向かう】
【だが、途中でその行動は中断される。まだ精神的なダメージが残っているのか、頭の激痛に思わず刀を取り落とした】


……っ、ぐ……ッ、クソ……ぉ!


【見知った者達、だが知らない世界に来てしまったかのよう】
【頭を抑えつつ、カニバディールへ、そしてギアへと厳しい視線を向けるのだった】
168 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/26(土) 01:01:08.64 ID:4HHkrR4m0
>>167
【ギアもカニバディールも、流石に目を見張った。いつぶかに目にした、彼の魔法。その見事さは、変わりない】
【空間そのものが動いたかのような感覚。一瞬にして膨れ上がる殺気と魔翌力】
【そう、彼こそはライラ=フェルンストレーム。カノッサ機関ハンターだ】

【だが、やはり。そこには変化もある。彼はいつも、この格好で歩き回っていたはずだ】


【いつか見た、仕込み杖の刃が伸びてきた。カニバディールは微動だにしない。もとより反応出来るほど身軽ではないが】
【だが、それは届くことなく落ちる。彼の負ったダメージの証左というべきか】

ライラ、さん……

「腕は鈍っていないな、ライラ」
「私はともかく、ギアは睨んでやるな。今やこの世界で、お前の数少ない味方足りうる男だぞ?」

「少なくとも、こいつは裏切ったわけじゃあない。私とも敵対したままだ。むしろ、足掻き続けていた。健気なものだな」
「……お前に何が起きたのかは、気になるところだが。お前自身にも分かっていないようだな」

「だから、こちらが答えてやろう。尋問≠オろ、カノッサ機関ハンター。機関員から、情報を引き摺り出せ」
「今なら、特別サービスだ。痛めつけられなくとも、答えてやる。知りたいことを私に吐かせてみろ」

【彼が未だハンターたる戦意を失っていないことを、二人は悟った。ギアは、厳しい視線の前にたじろいでしまったが】
【カニバディールは慣れている。そして、彼をハンターとしての立場を保ったまま、行動するよう促した。縋るのではなく、求めるのではなく】
【奪い取って見せろ、と。かつて、幾度となく刃を交えた時のように】
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/26(土) 01:26:39.82 ID:frI1Vg4X0
>>168


……んだと……!?


【カニバディールの存在。それはライラを"ハンター"たらしめる物】
【ソレが目の前にいる。あともう一歩、そしてあともう一手でコイツを地獄に送ることが出来るのに】
【何故か体はそれを許してくれない。どころか、敵は自分に情報を吐かせてみろ、とまで言ってくる】

【それが情けにも聞こえて、だがそれを良しとしないライラのプライドはコイツを殺せと叫んでいる】
【だが体が動かない。悔しい。もどかしい】

【様々な感情が混ざり合い、複雑な心境をまた混沌とさせてくる】
【ライラにもそれは分かっていて。だからそれを鎮めるのに、また一定の時間を要した】


……4年。


【やがて幾分落ち着いたのか深く呼吸を落とすと、ポツリと言葉をこぼし始めた】
【その厳しい視線は変わらない。肉屋の彼に向けるものなのだから当然だ】
【それがギアにも向けられていると、無意識にそうしていたことに気づいて、つい、と視線をずらした】


……俺にはどうやら2015年から今までの記憶がない。時間旅行(タイム・トリップ)か何かしちまった気分だ。
俺のことは良いさ。どうせお前も知らないんだろ。
"この世界で何が起こったのか"洗いざらい吐けよ。当然、お前とギアの事もな。


【その時点でライラは意外にも落ち着きを取り戻し、そう"尋問"した】
【言わなければ、そう。それはまさに"尋問"へと変わるぞ、と。カニバディールに注がれる視線がそう釘を差している】
170 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/26(土) 02:25:01.55 ID:4HHkrR4m0
>>169
【カニバディールは彼を眺め続ける。自分が思う様悪であった数年前、それを象徴するような男だ】
【自分にとっても、最初の宿敵。心中では、敵意もある。だが今、事態はそれを許さない】

【自分と情報交換をするほど、割り切れる男ではないこともわかっていた。だが、彼はそれでも抑えなければならない状況にいるはずだ】
【肉屋の推測はどうやら当たりだ。敵意の眼差しを見つめ返す】
【ライラの視線から外れたギアは、僅かな逡巡の後、ライラとカニバディールの中間から少し離れたところに陣取った】
【場合によっては、ライラを助けてカニバディールに立ち向かう構えだ】

「4年……大きな空白だな。言われてみれば、歳をとった様子もないじゃあないか。過去からそのままやってきたと言われても、信じる気になりそうだ」
「残念ながらな。お前の状況を知る者など、存在するのかもわからないが」

「いいだろう、ハンター。吐き出そうじゃあないか。かなり長く、かつショッキングな話になるがな」
「お前の最後の記憶で大きな事件は、ウルバヌス……グラトン博士が死んだ時か? それとも、ベクターの手からセリーナを取り戻した頃かね」

「ならば、その直後辺りから振り返ってみるとしよう――――」

【カニバディールは、語り出した。ライラの交友関係は知らないがゆえ、覚えのない名も出てくるかもしれないが】
【淡々とした語り口で紡がれる言葉には、絶望が多く含まれていた。横にいるギアが、唇を噛みしめる】

【2015年。機関の古参たるグラトンの死や、新たな六罪王ベクターが出現した年。大きな事件は、散発的に起きていた】
【アインによる風の国や水の国への襲撃。首狩 殺鬼によるグラトンの遺産発掘。六罪王たちが起こした事件は、いずれも激戦のうちに終わってきた】

【さらには、能力者至上主義組織GIFTの蠕動。戦神を名乗る男ガルマの暴虐。悪魔、邪禍の起こす派手な事件。対するはUTやスカーレットと言った正義組織。そして志高き能力者たち】
【ライラにも馴染みある話だろう。いつだって、正義と悪は全身全霊をもってぶつかり合ってきた。だか】

「……2016年から2017年までの約1年。停滞の時期があった。正義も悪も、組織も個人も、あらゆる動きが停止したんだ」
「平和だが、冷たい時間だったよ。今にして思えば、あれは嵐の前の静けさというやつだったのかもしれないな」

「……この期間に、いくつもの組織や個人が消息を絶った。大司教アーグは死んだ。六罪王アインは消えた。スカーレットの面々は噂を聞かなくなり、GIFTも同様に活動を停止した」
「事が動いたのは、2018年……。『黒幕』と『円卓』と呼ばれる二勢力が生まれてからだ」

/続きます
171 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/26(土) 02:27:27.15 ID:4HHkrR4m0
>>169
【そこからは、怒涛であった。この二勢力はそれぞれがカノッサ機関と組んで世界を捻じ曲げようとした。『黒幕』は政界や水の国の公安に入り込み、先にライラが聞いた魔制法なる法律を打ち出し】
【あらゆる能力者を法の下に弾圧。市民を保護の名目で抑制し、絶対的管理社会の構築を目指して水の国を中心に活動しているのだという】

【対して『円卓』は既存の権力を拡大しようとする政財界の大物たち。世界を金の力で牛耳ろうとする亡者たちだ】
【この二勢力が互いに争い、その過程でカノッサ機関も幾重にも派閥割れした。UTら正義組織もここに介入した】
【『黒幕』側の企業オーウェル社や、更なる謎の勢力レヴォルツィオーン社の台頭も発生。レヴォルツィオーン社などは、都市一つを壊滅に追いやったらしい】

「ひどいものだろう? 2018年はまさにカオスだ。そこに、更なる爆弾が投下された。9ヶ月前。セリーナが消えた」
「私も行方は知らない。消える少し前には、セリーナと鈴音を相手に派手に決戦をやらかしたのだがな。ああ、結果は私の惨敗だった」

「その後、何があったのかセリーナは消えた。9ヶ月。現在まで見つかっていない」
「さらに追い討ちだ。鈴音も消えた。こちらの犯人はわかっている。病魔イル=ナイトウィッシュ。そいつが率いる異世界からの侵略勢力、『虚神』の登場だ」
「もう一つ加えよう。ソニアも消えた。次に現れた時、ソニアは別人になって『黒幕』や『虚神』に協力し始めた」

【話は、更なる混沌へと潜る。『虚神』たちは、まさに神と呼ぶにふさわしい出鱈目な力でいくつもの事件を起こした】
【邪教団サーペント・カルトを操っての生贄集め。関係者の間ではインシデントと呼ばれる複数の事件】

【ソニアは、その虚神の一人によって遺伝子単位に分解・再構築され、カチューシャという別人に生まれ変わってしまったのだという】
【さらに鈴音はイルに籠絡され、自分自身が虚神の一柱となった。彼女が運営していた孤児支援施設も、もはやない】
【鈴音に関しては、遠い過去からの深い事情があったようだが、カニバディールはここに関しては多く語ろうとしなかった】

【そこからは、激戦に次ぐ激戦。虚神たちに挑むは、新世代の正義や中立の能力者たち。水の国の特務機関、外務八課。対虚神勢力、サクリレイジ】
【戦いの末に、ソニア改めカチューシャは生死不明の行方不明。最後の決戦で鈴音も同じくどうなったかもわからなくなった】

「……イル=ナイトウィッシュの死をもって、虚神は壊滅した。その戦いの過程で、かなり消えたがね」
「鈴音とソニアのみならず、UTの連中とも知り合いだったというアルク=ワードナールとレグルス=バーナルドという魔術師たちが死んだ」
「……『黒幕』との戦いでは、ロッソのやつが死んだ。お前は知っていたかね? チンザノ=ロッソだ」

「一連の事態で、ソニアや鈴音が悪に走った挙句消え、セリーナも消えた今、UTは半ば壊滅状態だ。ギアは数少ない生き残りだよ」
「今では、『黒幕』と『円卓』の対立構造に戻っている。元気なのは奴らくらいだな。カノッサ機関ですら、かなりの数の機関員が行方知れず、活動は下火だ」

「……これが、2019年の新世界の有様だよ。ライラ」

【長い話を語り終える頃には。車は停車していた】

/遅くなりました……
172 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/26(土) 02:50:32.91 ID:4HHkrR4m0
>>169
「ああ、そうだ。私とギアのことだったな。我々は今、一時的な同盟関係にある」
「鈴音とロッソの二人が、『黒幕』に対抗するために各方面に声をかけたのさ。今は手を組んで、巨大な脅威に立ち向かおうと」

「結成されたのが、チームM。暗号通信やその場その場での連携で『黒幕』に対抗するための繋がりだ」
「……それも、過去形だがな。ロッソが死に、鈴音も消えた今、繋がりのほとんどは絶たれた」

「向こうも向こうで、混乱しているようだがな。何せ『黒幕』のやり方には反発する者が多すぎる」
「ギアのやつが、『黒幕』の支配下にある都市に潜入した記録もある。吐き気がすること請け合いだぞ」

【言いながら、カニバディールは記録媒体を投げ渡す。『特区潜入記録』。人が番号で管理され、能力を使えば即捕らえられ、地下病院には何人もの人々が隔離されている。そんな記録】

「『円卓』の方も、一時期は六罪王に名を連ねたジルベール・リュボンという指導者がいたのだがな。この男も失踪してしまってね」
「頭を失った『円卓』がどう動くか。今のところはわからないな」

「『黒幕』側にも、指導者としてロジェクトという六罪王もいたのだが。こちらも、しばらく動きがないな。何を企んでいるのやら」
「最近では、櫻の国でも動乱の気配があると聞く。どこに潜んでいるやら、わかったものではない」

「……わかるかね? もうこの世界はすでに随分と傷ついた。それでも、まだ止まらない」
「『虚神』とその手駒だったサーペント・カルトは壊滅したが、彼奴等の爪痕は残っていても、この世界という混沌は揺らぎもしない」

「こんな嵐の海を漂うような状況で、ギアと私は唯一、完全に敵対していて今は一時的に手を組んでいるだけ、という」
「実にはっきりとした関係性があるんだ。誰が敵で味方かわからん中では、微かな灯。敵であろうと、手放すわけにはいかない」

「だから、こうして時折つるんでいる。今回も、お前の安全を確保するために、ギアが私を呼びつけたわけだ」
「UTで残っているのは、ギアと生物兵器のラベンダァイスのみ。そのラベンダァイスも、一連の戦いで精神の均衡を失ったというからな」
「気の毒に、ギアは実質その身一つというわけだよ。今のお前と同じように」

【ギアは、静かに俯いたままだ。それが伝えるだろうか。カニバディールの話は全てが事実であるのだと】
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/26(土) 03:18:15.40 ID:frI1Vg4X0
>>170-172

【肉屋の長台詞を、ライラは黙って聞いていた】
【掻い摘んで話してくれては居るらしいが、4年間という時間だ。話せてないものも有るだろう】
【心の何処かでまだ夢の中なんじゃないかと疑う自分もいる。だが彼の話の詳細さにはこれが現実だという説得力があった】
【ならばせめてこの話だけは記憶に留めておこうという、そういったライラの意思であった】

【知っている名前があった、知らない名前があった】
【4年間のピースをパズルの枠にはめようとしても、ピタリと収まる所がない。完全に初めて聞いたこと】
【此処でライラは、自らが記憶喪失などではないことを改めて認識した】


―――、……はぁー……。


【この数十分、数時間で色々な事が起こりすぎた。ソレに対して大きく、わざとらしくため息を付いて】
【けれどもそれは、4年の月日を彷徨っていたライラが現実を知らされてから初めて見せた、4年前のライラらしい行動でも有った】
【この男はちっとも変わっちゃいない。少しは現実を理解し、受け入れたように二人には映るだろうか】


【ライラの考えとして、今の世界は混沌としすぎている、という物が有った】
【数年前こそわかりやすかった。自分も、このカニバディールでさえも、正義と悪に別れて戦っていた】
【ソレがどうだ。今や一時的とはいえこの悪党とギアは手を結んでいる。そうしなければいけない状況なのだ】
【もはやギアを見なくとも分かる。これは現実であり、戦乱はまだ収まっていないのだと―――】

そうか、UTも―――。……ありがとな、ギア。助かったぜ。今度は俺が助けられちまったな。
……ま、こんなおまけがついてくるとは思わなかったけどよ。

【俯く彼―――いつか自らが大勢の仲間と共に救出した彼の頭をぽんぽんと撫でようと手を伸ばす】
【いつの間にか頭痛は無くなって、幾分か楽に話を聞けているようであった】

……なら、2つ目の質問だぜ。カニバディール。

この車は何処に向かって―――いや、何処に着いた?

【大分走ったようでは有った。だが何分土地勘がない――正義のクセに当時旗印だったUTに行ったことがないというのもアレではあるが――】
【口調こそ軽くはなったが、勿論心を許したつもりはない。スキのない動きでそう問うのだった】
174 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/26(土) 03:45:25.47 ID:4HHkrR4m0
>>173
【途中で遮られるかとも思っていたが、それは杞憂だった。ライラは、最後まで沈黙を持って長い話を吸収していった】
【これでもかなり省略していたが、もとより口数の多い肉屋のこと。相当な長話となっていた。それでも、情報の全てを出せたわけではない】

【ライラは。それらの情報をただ受け止め、己の中にしまい込んだ。肉屋は内心、舌を巻く。やはりこいつは、大した玉だと】
【ギアもまた、似たような思いを抱えつつ、先ほどのライラの反応と合わせて悟っていた。記憶喪失とか行方不明とか、そういう次元ではない】
【彼は本当に、4年の時をすっ飛ばしてここに降り立ったのだと】


……今のは、ライラさんっぽかったですよ

【ギアが、少しだけ笑ってそう言った。ギアとて元は小市民。不安と混乱の只中でこの一年を歩いてきた】
【だから、ライラがあの4年前の彼と変わらない、確かな存在なのだとわかって安堵した。同時に、この再会を嬉しく思えた】
【彼からしたら、受け入れる努力はしていても、辛い状況にあるだろうから、表立っては言えなかったけれど】


【そう、まさに混沌だ。ある意味では、カノッサ機関か目指したもの。当の機関もその中に巻き込まれているのだが 】
【かつての二項対立などではなく、かつ戦乱は未だ続いている。ライラの理解は、端的に重要な事実を読み取っていた】

そんな……僕なんて、何度も貴方に助けられて……
はは……そりゃ予想もできませんよね

【ライラの手が人形の頭を撫でる。もう神経は通っていないが、魂が直にその感触を受けて】
【ギアはいつぶりかの安心感を得た。仲間がいてくれることの有り難さを、今になって噛みしめるように】


「百聞は一見に如かず、だ」

【二つ目の質問を受けて、カニバディールは車のドアを開けた】
【どこかの工場跡のようだった。朽ちた窓から、街並みが見える。その中に、半ば傾いた看板が見えるだろう】

「私は、世界各地に張り巡らされた悪党用の地下トンネルを使って活動している。これを使えば、見咎められずに国境も超えられる」
「近道にもなるぞ。入り組んではいるが、慣れればどこにでもいける」

「……ギアの要望だ。お前は、来たことはあったのかね? あの店に」
「人は消えても、セリーナが金をかけた施設は健在だ。安全性でいえば、うってつけだろう」

【車両は国境を超えてその先。風の国へと入り込んでいた】
【カニバディールの手下(ライラに気付かれたくなくて静かに運転していたスカーベッジ)は、慣れた運転でトンネルを飛ばし】
【この街へと入り込んだ。肉屋の太い指が指すのは。今や人の出入りもほとんど失せた建物】

【まさにライラが訪れることのなかった場所、UTの事務所兼酒場であった】
175 :遏・繧狗罰繧ゅ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 09:05:13.10 ID:dQOhHG4E0

【路地裏】

【明け方。息も白くなるほど寒い。】

【白髪交じりの頭髪はもはや白髪のほうが多くて】
【伸ばしっぱなしのあごひげも白。肌は薄黒く汚れるばかり】
【シワは何処にでも出来て、サングラスで隠した目は曇るばかり】

【ムダに長い脚はアルコールにもつれるだけで何の意味もない】
【冬の風が吹く、路地裏。湿った空気。居つからか着ているライダースは寒い】

【もつれた脚は、自分で自分を蹴飛ばして、ついた手は降りたシャッターを殴る】

【ガシャン。落書きだらけのそれ。寒い空気吐く息も白く。ゴミだらけの路地裏に】
【俺は寝転ぶ。倒れる。短く吐く息。潰れた煙草。這うヤモリが俺を嗤う】
176 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/26(土) 11:45:22.70 ID:/i6et2D00
>>175

【ズルズルと、這う影は蛇のように貴方へと近づいていく。】
【まるでそれは次の得物を定めたかのように、もしくは新たな仲間を見つけたかのように。】
【いつしかその人物は倒れた貴方の前に立っていた。】


やぁ、大変そうだね。手を貸すかい?―――一本しかないけれど。



【ストライプの入った赤いスーツに同じ柄のソフト帽、銀色の長髪に赤い瞳といった目立つ風貌の女性】
【その左腕があるべきばしょには何もなく、袖だけがひらひらと揺れ動いている。】
【「しっかし冷えるね、さむいさむい」と女は薄く笑いながら、残った右手をあなたへと差し出した】
177 :遏・繧狗罰繧ゅ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 12:33:48.90 ID:dQOhHG4E0

>>176

【俺は目を開いた。影、幻、妄想。なんでもいい】
【かすれて元々良く見えない目だ。】


……・物好きも居たもんだな。


【俺は素直に差し伸べられた手を掴む。なんとかしようとシャッターを】
【もう片方の手で握ろうとする。だが、右足と左足をどっちを動かせばいいか】
【酒によったアタマでは思いつかない。視界もぐらつく。……だめだなこりゃ】

【足を滑らせて、またシャッターに頭を打ち付ける】

【なんてざまだ。だが、いつものことだ】

……すまねぇな。こんなザマだ。
178 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/26(土) 12:46:11.49 ID:/i6et2D00
>>177


【足を滑らせてシャッターに頭をぶつける相手を見て、なんともいえない苦笑を浮かべながら屈みこむ。】
【右腕をわきの下に滑り込ませて一気に起き上がらせようという事だろうか。】
【近寄れば分かるアルコールの匂いに若干顔を顰めるが、すぐに気を取り直して持ち上げようとするだろう。】
【貴方とは対照的にこの女はどこか甘い香りがしている。】


しかし良く飲んだみたいだね、何か嫌な事でもあったのかい?
それともいつもこんな感じなのかな?―――この辺りは最近人がいなくなる≠ンたいだから気を付けて


私はマリアベル=Bキミの名前は?



【何が可笑しいのかクスクスと笑いながら女は相手を見つめる。】
【緋色の瞳がじっと、血の深淵を思わせるような瞳がじっと貴方を見つめる。】
179 :遏・繧狗罰繧ゅ ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 13:15:26.11 ID:dQOhHG4E0
>>178

【みっともない。だが、これが歳を取るってことだ】
【俺は俺を嘲笑うことぐらいしか出来ないでいた】

【この眼の前の若い女の慈悲にも同情にも素直に受け取れない】
【ひん曲がって凝り固まった感性。それが老いだ】


飲むぐらいしか…な。嫌なことだらけさ。
俺なんて、居ねぇのと一緒だ。まぁ、こんな老いぼれ
攫うやつも居ない。心配はいらない。

【なんとか立ち上がっても、俺はそんな拗ねたガキのような言葉しか吐けない】

【その手は少し汚れていた。洗っているようだが爪の間に黒い汚れが残っている】
【機械オイルとかグリス後はガンパウダーの混ざった汚れだった】


ありがとうな。俺は………


【そこで俺はまた短く、「ハハッ」と自分を嘲笑う】

酔っぱらいの妄想と思うかもしれないが、俺には名前はないんだ
なんにもねえ。何も覚えちゃいねえ。酔っぱらいの老いぼれの記憶喪失だ。

周りのやつは好き勝手呼ぶ。勝手に呼んでくれ。

【目は合わせない。恐ろしかった。その真っ直ぐな眼差しが。】
【俺の目はサングラスで隠した。きっと呪われているから】
180 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/26(土) 13:35:50.55 ID:/i6et2D00
>>179


ふうん、まぁ人生長く生きれば色々あるって感じかな?
分からないよ?キミのような人をわざわざ好んで浚う人もいるかもしれないし

―――ともあれ早く終わるといいね、この世界=Bそれとも自分からいなくなる&がいいかな?


【酔っ払いの自虐的な言葉に肩を竦めて答えてから、ふいにとても不穏な言葉を口にする。】
【その二択はいずれにせよ恐ろしい事であった。だがもしかすれば目の前の彼にとっては救いなのだろうか】
【路地裏の電灯がチカチカと所在なさげに点灯している。】

【男の手の汚れに気が付けば、じっとそれを見つめた。】


じゃあサマートン・マン≠チて呼ぼうかな。
ところで君はどんなお仕事をしているんだい?手にいろんな汚れがついているよ


【路地裏を表通りへと向かって歩きながらマリアベルは問いかける。】
【サマートン・マン=B身元不明の男。】
181 :サマートン・マン ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 13:56:16.00 ID:dQOhHG4E0
>>180

さぁな、見た目からすりゃ50年かそこらは生きてきたんだろう
だが、言ったように覚えちゃいねえ。…思い出そうともな。

【俺はポケットの中を探って煙草を見つける。吸いたいとかそういう】
【能動的な気持ちではなくて、ただなんとなく。そうなんとなく】


…“世界”?……政治家みたいな夢物語を言うね。毎日起きて、働いて
二束三文握りしめて、請求書とレシートの山に頭抱えて、酒のんで時間つぶして

それの繰り返し。それの繰り返しだ。世界なんて他所様の話だ。俺みたいな
小市民にはどうなろうが、どうしようもない。そんなこと考える意味もない
明日も明後日も、同じ。それが人生ってもんだ。


【それが当たり前なはずだ。この女がどんな仕事をしているのか知りもしないが】
【SF的妄想に取り憑かれたのかまあ…若いやつってのはそんなもんだ】
【人生は繰り返し。生き死にも偶然。俺はただ繰り返していればいい。】


回りくどい名前だな。…まあ、なんだっていい
……仕事は…自動車かなんかの整備だ。表向きは。
メインは銃の整備。ジャンク品をレストアしたりして安く捌く
このあたりは需要がある。だから俺みたいな老いぼれでも食っていけるんだ

【紙巻きたばこに火をつけて、ただじっと前を見て歩いた。】
182 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/26(土) 14:10:33.56 ID:/i6et2D00
>>181



それは難儀な話だけれどまぁいいんじゃないの、過去≠ェなくてもさ
何か重要な使命≠ェあってそれを忘れているって事だったら大変かもしれないけどさ

―――それがキミの物語≠ニいうわけか、まぁそれもいいのかもしれないね。
私はね、世界≠造りたいんだよ、新しい真世界≠ね。


【「何を言ってるんだこいつみたいな顔しないでよ!」と若干不服そうな顔をしながらそういう】
【サマートン・マンの言う通り彼女はどこか夢見心地のような雰囲気で、もしかすればドラッカーかもしれなかった】
【貴方にとっては暑苦しい、鬱陶しく感じる可能性もある。】


へぇ〜私は銃とか使わないからよく分からないケド、それなりに必要とされてるんだ
―――ところで、このまま表通りを目指していて大丈夫かな?


【紙巻たばこから漏れる煙の行く先を眺めながら、相手の言葉に耳を傾け】
【そして思い出したように目的地を聞いた、どこに向かいたいのだろうかと―――】

183 :サマートン・マン ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 14:55:21.81 ID:dQOhHG4E0
>>182

……どうだかな。

【俺ははぐらかす。ずっとなにかを忘れている。何処かへ行って、何かしなきゃいけない】
【そんな焦燥感に追われいる。有りもしない使命。そんなものに】
【だがこんな老いぼれに何が出来るっていうんだ。俺は、そんな俺に目をそらし続けている】


退屈な日常を、物語とは言わない。あんたとは違う。


【煙草の煙を吐き出す。路地裏は薄汚れていて、表通りよりも居心地がいい】
【惨めな表通りよりずっとマシだった。目をつぶり続ければいい――】


ろくでもない街だからな。それに、名前もないやつに仕事をくれてやるほど世の中は
お人好しじゃないからな。

……いいや、俺はウチに帰る。気にするな。この路地の先だ。だからアンタは―――


<―――銃声。>


「おい、外してんじゃねえよ。弾だって安かねえんだから」

「うるせぇ。この中古品のヤスモンの不良品のリボルバーがわりぃんだよ」

「またどうせよくわかんねえ闇市で買ったんだろ?見てろって」


【路地の先から放たれた銃弾は足元のアスファルトを穿って、跳ねて飛んでいった】
【路地の先には3人の若者。地元のギャングスタ共だ。銃口はこちらに向いている】


<また銃声が今度は二発続けて>


――隠れろッ!!…言ったろ。ここはそういう街だって。
184 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/26(土) 15:11:13.00 ID:/i6et2D00
>>183


―――………


【サマートン・マンの言葉に視線のみを送って、何も応えない。】
【何かを察したからなのかそれとも呆れたからなのかそれは分からないが、微笑みだけがたたえられる】
【「それもまた、物語さ」と続く言葉に返して路地裏から星を見上げる、ここは井戸の底のように思える】


ああ、この辺りに住んでるんだ。それならお節介だったかな?

まぁ折角だしもう少しお喋りでも―――――――――――――――。



【そう言った矢先に訪れる銃声。】
【先に見えるのは三人のギャングスタ、力なきものを虐げる者たち。】
【マリアベルは無感情な瞳で三人を見る。サマートン・マンの忠告は聞こえていないようで】
【ただじっと三人のギャングスタを見て、そして薄く笑った。】



いや、その必要はないよ。だってこのために来たんだから―――。
だから―――お食べ=B



【続く二発の銃弾のうち一つが頬を切り裂き、血が流れるがそれでもマリアベルは笑う】
【このためにきた≠ニは。】


【―――マリアベルの周囲の影が歪み、まるでノイズが走ったようびブルブルと震える。】
【そして、三人のギャングスタ達へと伸びていきまるで生き物か何かのように身体に巻き付こうとするだろう。】




185 :サマートン・マン ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 15:34:29.36 ID:dQOhHG4E0
>>184

アンタみたいな奴が出歩いていい場所じゃない。
なんのようか知らないが……

【壁を這う、ヤモリが嘲笑っている。鬱屈した俺の視界】
【それを世界というのならなんとも無様だ。】


――――ッッ!!クソッ!!

【俺はいつの間にか懐の拳銃を抜いていた。この街なら誰でももっている】
【オレが捌いている銃よりだいぶマシな短身のリボルバー。チーフスペシャル】

【影がギャングスタに迫る。あのバカどもは何が起きてるかさっぱりわかっていないようだ】
【謎の影に向かってアホズラ、撃ちまくっている】


――――やめろっッ!!


【俺はいつ以来…多分、覚えている範囲では出したことのないぐらいの声で叫んだ】
【それはこの女に向けて叫んでいた。咄嗟に、何故そうしたかもわからずに】

【でもそうしなくちゃならなかった】

【サングラスを投げ捨てる。見えねえ。見たくもないものを見るために。】
【何故俺はこんな目をしている?白くあるべきところが真っ赤でなのに瞳は真っ黒で】

【俺は女の手を引いて別の路地へ逃げ込もうとした。】
【ギャングスタに牽制を何発かうちながら】
186 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/26(土) 15:44:40.45 ID:/i6et2D00
>>185


【サマートン・マンに手を引かれ、別の路地へと入り込む。】
【マリアベルは少し驚いたように眼を細めたが、そのあとどうにも可笑しそうに笑った。】
【生ごみを漁っていた鼠達が何かを恐れたようにキーキーと逃げていく。】

【―――マリアベルの影はただの影へと戻っていた。】


おやおや、急に情熱的になったね何かあったのかい?
まぁ記憶の奥の深淵を覗くのは刺激が一番だという事だね、ウフフハハ。


―――しかし、良い銃だね。実は潜入捜査官だったりするのかい?



【相手が使う銃を見て、そう言う。】
【よく刑事モノ映画でみる銃だった気がする―――。】
187 :サマートン・マン ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 16:00:56.86 ID:dQOhHG4E0
>>186

【俺は走った。だが酔っ払ってこの歳で走れる距離もたかが知れていた】
【だが、あのアホどもを撒くのならそれで十分だ。今頃尻尾巻いて文句でもたれているところだろう】

……ハァ…ハァ…クソッ…酔っぱらいに走らせるなよ。
…ったく、うるせぇ。ただ……血が見たくなかっただけだ。

顔切れてんぞ。さっさとどうにかしとけ。

【俺は息を整えるので精一杯だった。つい勢いでまっすぐ女の目を見て俺はすぐに目をそらす】
【何もこっ恥ずかしい、初なわけじゃない。その目に映る俺から目を背けたかった】

何をこんなときに……護身用に長物はいらねぇ。オートマティックなんて御大層なものも必要ない。
取り回しが楽で、メンテの手間がかからなくて。たまたまマシな状態のが安く手に入った
あとは…ボギーが持ってた。映画でな。…そんだけだ。

潜入捜査員か…かもな。だったらいろいろと辻褄があう。…まあ、今となっちゃ関係ない話だ

それより、アンタはなにもんだ。マリアベルとか言ったな?
188 :アルバート・ウィンチェスター ◆/iCzTYjx0Y :2019/01/26(土) 16:03:27.25 ID:2Bw9V3PH0
>>154

【スタンは普段、もっと我儘で気分屋で粗暴で、そして口が悪い。非常に。】
【しかし、鈴音と居る時だけはまた少し違った面を覗かせる。女の子らしい、とまでは言わずとも】
【人間の子供の様な、駄々をこねる程度の言動に終始する―――アルバートの教えが効いている、と言うだけではあるまい。】

【おバカでご飯の事しか考えていないけれど、逆らってはいけない人が誰なのかはちゃんと理解している―――そんな感覚。】
【こういうとペットの様だが、実際空気を緩和する能力を持ち合わせている辺り、ペット呼ばわりも致し方ない―――のかも。しれない。】
【こんなに大きなペット、飼う事も餌付けも相当に難しいだろうけれど。鈴音はそれを見事に制し、手懐けていると言えよう。鈴音自身の人徳によって。】


……ん、おやおや。すまないね、私が自分の身の上話を延々聞かせてしまったばかりに。ははは。

「あー! オッサンの話がなげーからだぞ!! なぁ大丈夫だって鈴音! 焦げてたって問題ねえよ!! だって鈴音のハンバーグだろ!?
どんなのでもウマいって!! だからよぉ、頼むからはやく! はやく!! めだまやき??? もちーず?? とかも、全部のっけてさ!! な!!」

鈴音君、君が拘るタイプなのは知っているが、焼き加減についてはそこまでシビアにならずとも平気だよ。
私はもとより、肉はウェルダンで食べる質でね。よく執事やコックに呆れられたものだよ、レアの方が美味しいとか、なんとか。

けど、よくよく考えれば"私がおいしく感じる"のを、"彼等"が決めるのもおかしな話だ。そういう訳で、ちょっと焼けてるくらいが好きなのだよ。
だからそう、―――チーズまで乗っけてしまうと、年寄りには重そうだ。ふふ、スタン君のだけてんこ盛りにして貰えると、助かるよ。


【鈴音にしては珍しい―――というのは、セリーナでないと分からない事であったが。それでも、"あんまりない"事態なのだろうと。】
【なんとなくアルバートはそれを察して。微笑ましくなると同時に、少しだけ喜びを感じていた。そうか、"話を聞いていてくれた"のだな、と。】
【好意的に捉えてくれたかどうかは、まだ分からない。けれど、興味が無ければ聞き入ったりは、しない筈。アルバートは再び、口を開いて言葉を続ける】


いやしかし……此処も相当に様変わりしたんだね。私が来た6年前は、まだ本当に普通の酒場、と言う印象だった。
勿論、"地下の施設"については私が投資したものだから、此処の全容が"基地"である事はよくよく知っているのだけれど。

店内に関して―――落ち着いたダイナー、という様な趣も強くなってきた。実に居心地がいい場所だ。
私も自分の学園に食堂を用意しているが、ここまで洒落込んではいない。この辺りは―――君の趣味も大きい、のかな。鈴音君。

見ているとこう、私も色々と寄贈しなくては、と言う気分になってくるのだよ。
鈴音君、何か調理器具以外で、欲しい物なんかはあるかい? そうだな、例えば―――ソファとか、食器とか。

……ふふ。ぬいぐるみやクッションを置くのも良いかもしれないね。
―――と。ちょっと失礼、お手洗いを借りるよ。歳をとると厠が近くなって困った、困った……。


【そう言って、取り留めもない話の後に、一瞬だけ席を外すアルバート。トイレの場所も知っている辺り、流石は出資者、という所。】
【残ったのはハンバーグを調理中のスタンと鈴音、のみ。そう長い時間ではないだろうが―――二人きりだ。スタンはむず痒そうな表情。】


「……な、なぁ……鈴音。あの、よー……、なんか、あんまし、あたしはよく知らないんだけど……、その〜……」

「……来ちゃったら、……メーワク、だったか?」


【―――あんまりこの女から聞こえる言葉らしくもない。何処か迷っている様な、怒られてしゅんとしている様な。そんな、声色でそう尋ねた。】
189 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/26(土) 16:14:12.17 ID:/i6et2D00
>>187


お優しいねぇ、血なんて残さないで完食するのにさ。
ああこれは失礼………もしかして血が苦手なのかな?だったらこのままにしようかな


【マリアベルはケラケラと挑発的に笑ってから「冗談」と言って頬をハンカチで拭う】
【「良い眼をしているね、まだ奥に輝きは残っているのかな」と緋色の瞳を細めて続ける。】
【興味が湧いたようにまじまじと相手を見つめるだろう。】


成程ねぇ、利便性も兼ね備えたものってワケだ。
―――映画は好きかい?私も大好きさ、特に惑星を旅するものがね。


私は別になんでもないさ、ただの根無し草………外の血≠ェ混じったね。
虚ろなる神=\――そしてこれから水≠ニ櫻≠ナ起こる舞台に踊りにきたんだ。


【そう言うと、星を見上げる。】
【薄暗い路地裏に煌めく星々は痛いほどに突き刺さっている。】

190 :サマートン・マン ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 16:35:28.84 ID:dQOhHG4E0
>>189

ああ、血は嫌いだ。そんなものを見るために俺は……

『此処に来た訳じゃない。』

【何故かそんな言葉を続けようとした。が俺は押し黙った】
【一体、何の話だ?俺の記憶が蠢いている。何処に来たんだ?】

…気味悪がられるし、面倒も引き寄せる。この目で得したことはない。

【余計なものを見えるしな。――多分俺も能力者の端くれみたいなもんなんだろう】
【だが、それだからってどうしようという気にもなれない。若いやつと張り合えるような年でもない】

ああ、映画は好きだ。…そうだな、SFならどっちかっていうとキューブリックだとかタルコフスキー…

【また何かが引っかかる。おいおい、宇宙の旅になにが関係するって居るんだ。クソッタレ】


アンタの言う、世界がどうたらって言う話か。…勝手にしろ。俺はこの街でよろしくやるだけだ。
戦争が起きたって、俺には関係ない。どうせ何もできやしないんだからな。
…俺は帰る。世話になった。それは感謝するよ。気いつけて、精々長生きしろ。

【これ以上、巻き込まれたくもない。この女は厄介だ。腹の底が見えない。そんな感じがする】
【能力者なら別に世話してやらなくてもいいだろう(世話になっていたのは俺の方だが)】
【俺は女に背を向けて家に向かって歩きだす。ゴミだらけの路地裏を歩いてカビ臭いアパートへ】
191 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/26(土) 16:49:21.48 ID:/i6et2D00
>>190


―――………。
私は綺麗だと思うけどね、まぁそれならそれで良いんじゃないかな。


【マリアベルもまた、相手の出方を伺うように妙な間を空けて接する。】
【だが眼に関して綺麗だというのはどうにも本気のようだった、嘘偽りなく。】
【むしろそう言う事で自分自身に言い聞かせているようにも感じた。】


フフ、ああ成程君は白い部屋≠ノたどり着いたというわけかな?


【そう言ってクスクスと笑う。冗談半分であるが―――白い部屋≠ノ浮かぶ黒い石板≠ェサブリミナル】


ああ気を付けて帰ってね、君に免じて私もこのまま帰るとするよ。
ただ一つだけ―――。


―――――運命は君を逃がさない、君がどう願おうと、どう生きようと



【「かならずね」と言い残してマリアベルは男と別の方向へと歩み出す。】
【最後の言葉に意味があるのかは分からない、だがマリアベルは男の中に何かをみたようだった。】

【辛気臭い夜は終わらない―――アルコールが抜けるまでは。】

//ありがとうございました、お疲れ様でした!
192 :サマートン・マン ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 17:11:20.50 ID:dQOhHG4E0
>>191

アンタは何でも“物語”にするのが得意なようだな。

…言ってろ。

【俺はそう吐き捨てるように言葉を残して歩き出した】
【途中タバコに火をつけようとして立ち止まったとき、振り返った】

【一体どういう意味だ。俺は思い出さないようにしていた、記憶を探さないように】
【それでいい、それでいいはずなんだ。なのに…何故だ】

俺は…誰なんだ。

【ポケットを探る。そこにあるのは】
【1枚の写真。俺と過去をつなぐ唯一のものだ。集合写真には知らねえやつと俺が写っている】
【裏には日付だけが入っている。2Q36年――――――】

何故俺は戻ってきた?


//お疲れ様でした!!お付き合い、ありがとうございました!!
193 :‖: XYZ :‖ :2019/01/26(土) 19:06:40.90 ID:613DBfFLO


【 ────ジジ 】



 …………て



 【 ツー────ツー── 】



 ねぇ…………だれか




 【 j────、 ザザ 】



 誰か…………、ねえ



 【 ────、──── 】



 理解…………して、くださいよ…………



/↓
194 :‖: XYZ :‖ :2019/01/26(土) 19:06:58.67 ID:613DBfFLO


【その子は一人で彷徨っていた】



【紫色のレインコートに真っ赤な雨靴】



【路地裏の汚泥が跳ねる】



【その子は未熟な性だった】
【少女、とも女、とも呼べるような存在】



【ふらふらと流離う】



【薄暗い路地の中】



【何かに引き寄せられるように】





【 チク タク チク タク 】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/26(土) 20:41:19.91 ID:nvE4EORu0
>>174

【ギアがそう言って笑うものだから、ライラもそれに釣られてふっと笑みを零す】
【現実を知る事にはもう飽きた。これからは現実を踏みしめて生きるのだ、と。幸い仲間なら居ないわけではなかった】

―――そりゃそうだろ。
なんたって大魔法使い、ライラ=フェルンストレームだぜ?

【ギアにも、カニバディールにも久しぶりに叩く軽口も中々悪くなかった】
【こんな混迷の世の中も、元から戦いの中で生きてきたライラにとっては当たり前のこと。自分は、自分の正義を貫くだけ】
【そう思うと、先行きの見えない心の中に、光が灯ったような気がした。まるでギアとカニバディールの関係のように】


よくこんなデケェ道作ったもんだ……。

……! ここは……。


【悪党用、の言葉に多少複雑な感情は拭えず悪態をつく。とはいえ此処も今となっては重要な移動路ということはライラにも分かっていた】
【そして、そう、つい先ほど思ったばかりのその場所。4年前までは終ぞ行く事の無かった正義陣営の旗印】
【自らが一番活動していた時期には訪れず、復活したその日に行くことになるとは何たる神の思し召しか。―――だが】

(……セリーナも、また居なくなっちまったんだっけか)

【UTだけではない。悪に立ち向かうものの先頭を切って走っていた彼女も、また姿を消した】

【このような状況下であれば、UT基地に身をおくのも悪くないのかもしれない。ゆっくりと風の国へ、UTへと足を踏み入れた】

//遅くなってしまい申し訳ありません。本日もよろしくお願いします。
196 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 21:24:53.58 ID:dQOhHG4E0
【水の国・街中――レストラン】


『ニューロンシティにおける動乱は依然沈静化する様子は見られず』
『現地治安維持部隊が対応していますが現在も多くの死傷者を出しており―――』

【ここは街中のレストラン。店主が凝り性のちょっとした有名店だ。】
【人の入りも落ち着いてきた時間。ゆったりとした休日の夕食の時間だ】
【壁にかけられた薄型テレビからニュースはその様子を映していた】
【同じ国の出来事でも、此処では所詮テレビで見る映像。背景と同じだった】

【カランと、ドアベルがなったとき。店内の空気は少し変わった】
【やってきたのがそのテレビの中のハズの奴が居たからだ】

【真っ黒な戦闘服にそれらしい黒のコート、目の部分の赤いガスマスク、黒のヘルメット】
【SMGを携えた。総合警備保障企業、テクノドッグス社の兵士がやってきたからだ】


―――申し訳ない。ただ食事をしたいだけだ。


【その声はその兵士ではなく、その後に続いて入ってきた男だった】
【分けた金髪に青い目で端正な顔立ちだが病的に白い肌と不健康そうな目の隈】
【そして何処か狡猾な笑みが不気味さを付け加えていた】
【その男はヘルメットとガスマスクはなかったものの似たような戦闘服を来ていた】
【腰のベルトには拳銃や大ぶりのナイフなども見えた】

――ALPHAは表で護衛しろ、BETA、裏を見ておけ。

【連れの2名の兵士を警備につかせ、金髪の男は適当な席についた】
197 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/26(土) 21:49:29.05 ID:4HHkrR4m0
>>195
【ライラという男は、強い。彼の立場に自分が置かれて、それでも前を向けるだろうか】
【そんな彼が、また仲間としてこの世界に戻ってきてくれるなら。これほど心強いことはない】

……ええ! その通りですよ!

【そう、彼は大魔法使い。今も昔も、そう在り続ける。ギアは力強く彼の言葉を肯定する】
【カニバディールも、密かに口元にわずかな笑みを浮かべる。宿敵たちの多くが自らが知らぬところで消え、苦々しく思っていたがゆえに、彼の帰還はこの異形にとっても悪いものではなかった】

【この混沌の世界に、一人の男が帰ってきた。偉大なる魔法使いが。折れぬ信念を灯火にして】


「私だけが作ったわけじゃあない。長年にわたってあらゆる悪党たちが開拓してきたものだ」

……ライラさんは、来たことがなかったですよね
今じゃ、寂しくなりましたけど……設備はまだ生きてます

【ドブネズミの如く地下を這いずる、大魔法使いには合わない移動の仕方だが、今は事態が事態だ】
【ギアは知らないが、消えたはずの鈴音は幾度か戻ってきている。しかしニアミスなのか、彼女が避けているのか、会ったことはなく】
【この日も、中には誰もいない。兵どもが夢の跡】


【そう、あの正義の旗印そのものであった女性も、最早いない。戻ることは、あるのだろうか】

「私は、今も変わらず指名手配の犯罪者だ。表立っては歩けない。私はここまでだな」
「まだしばらくは、下で待機している。後で足が必要になったら、貸してやろう。……ライラ。私も、黒幕や円卓との決着がつくまでは、不必要な悪事は行えない状況にある」
「お前と私の決着も、しばらくは持ち越しだ……いいな?」

【ギアとライラが降車すれば、カニバディールは運転席のスカーベッジを促し、ひとまず地下通路へと戻ろうとする】
【ライラの方に言ってやりたいことがあれば、まだ留まるだろうが】


【ともあれ、二人はUT事務所に入り込む。閑散とした酒場。ライラが望めば、ギアは酒でも食事でも用意するだろう】
【とりあえずは、一心地つける。後は……今後どうしていくか、という話になるだろうか】
198 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/26(土) 22:04:24.25 ID:CaJMTQnm0
>>196

【どういう巡り合わせなのだろうか。普段、白日の下に晒される事のない墓場の王の姿】
【それが水の国の街中に堂々と姿を現したのだ。罪の王冠/ギルティクラウンとも呼ばれる男】

【その名は、ギンツブルク。社会的死人で構成される公安五課/特別対策室の長にして死者を統べる人物】
【まず最初に目を引くのは、鼻から上を覆い隠すハーフマスクとくすんだ金色の髪】
【それでいて上質なスーツを身に纏い、落ち着いた雰囲気を出しているのがやけに不釣り合いで、それでいて調和が取れていた】


――――、ふむ。偶には外を散策してみるものだ。
やはりこの世界は"不釣り合い"だ。調和の一つも取れないと再認識させられる。

何処までも争う事を止めぬ愚かな生き物が犇めいている。
それを他人事の様に眺めて見過ごす愚か者達が時間と命を浪費している。
――――………不協和音で満ちている。怨嗟と憎悪と、後は悪意か。


【その男は詩を諳んじるかのように己が内から出でる言葉を口にした】
【淀みなく、抑揚も無く。ただ事実を淡々と告げるように―――無表情に】

「わが主。僭越ながら申し上げます。世界はそのような悪い子が星の数ほどいるのです。
 故、我らが立ち上がった。主の望む調和のとれた世界。悪い子のいないやさしい世界を構築するために」


【彼の傍には一人の女性。沙羅と呼ばれる凛とした佇まいの女性が付き人の様に付き従うなら】
【諦観にも似た無機質の言葉を諫めるような言葉を返すのだった。これもまた定型的であった】
【そんな二人の男女は何の因果か、テクノドッグスの兵士の後を追うように店に入ろうとする】
【もし入店を妨げられるのなら、ギンツブルクの従者にして人型の"魔導書"である沙羅が立ち塞がるだろう】
199 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/26(土) 22:07:42.88 ID:4HHkrR4m0
>>96
【その返事がすぐに返らなかったのは、送り先の方にもその精神を揺らがせる事態が起きていたからだ】

【ブレンヒルトとの密談。かつての宿敵ライラの帰還。そして、ジルベールの失踪。外務八課への憎悪】
【そんな中で、ただ一文のメール。果たして、どう取るべきか】

【地下通路の車両の中で、異形は返事を送り出した】





   『了解した。こちらが出向こう』





【To:ミラ・クラァケ】



【From:カニバディール】



/反応が遅れましてごめんなさい……
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/26(土) 22:14:14.84 ID:TgpVYUmLo
>>196>>198

【そのレストランの客たちの中には、一人だけ異質な気配を持つ男がいた】
【風貌は若くもあり、しかし老獪さも感じさせる。黒髪に黒絹の双眸、全身を覆う黒衣と影から這い出たような男】
【彼は周囲の客同様、入ってきたテクノドックスの兵士を引き連れた男やその後に現れた男を見て唖然とした表情だった】


(……今日は、普通に食事をしにきただけだったのだがな
 妙なやつが二人もきてしまったな……どうしたものか)


【恐らく客たちは急いで会計を済ませたり怯えて動けない者など色々だろう】
【黒衣の男もまたそれらに混じるように──少なくともそのフリをしてその場を動かないでいた】


(とりあえず様子見でもしておくか……)


【止めていた食事の手を再開する。空中で止めていたフォークの先に刺さった肉の一欠片を口に入れる】
【何食わぬ顔でそうしながら、現れた集団の様子を伺っていた】
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/26(土) 22:18:53.81 ID:nvE4EORu0
>>197


……あぁ、その黒幕とか円卓とかいう奴らも機関に負けず劣らずらしいしな。
此処でぶっ潰せねぇのが非ッ常ぉーーに悔しいが! ……そういうことにしといてやるよ。


―――乗ったぜ、この戦い。


【指をビシッと突きつけつつ大げさなアクションでカニバディールにそう言い放つ】
【そしてニヤリと口角を上げれば、次いで出てくるのは再び世界の悪に立ち向かう、そういった宣言】
【初めてカノッサ機関と戦った時も、カノッサ機関ハンターを名乗った時もそうであった。小さな炎が、また燃え上がった瞬間であった】


【UT内に入り、ライラがまずギアに言ったことは生活環境の要望であった。端的に言えば「一部屋貸してくれ!」と】
【どうやら「魔制法」は厄介な物らしい。今までは賞金稼ぎのようなこともしてきたが、今ではそれで金を儲けてホテルに泊まることも無理なのかもしれない】
【それに、この状況では孤立こそ一番の危険―――そう判断した上での言葉であった】

【ソレが許可されてもされなくとも次に食事を所望する。……いろんな事起こりすぎて腹が限界だ、とは彼の言である】

なぁ、ギア。カニバディールは「黒幕や円卓の決着がつくまでは……」だの言ってたけどよ。
具体的にそいつらをぶっ倒す算段っつーのはねーのか?

【その途中でライラはそう質問する。聞いた所、カノッサに負けず劣らず……どころか、全体で見ればそれ以上の難敵のようで】
202 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 22:30:47.76 ID:dQOhHG4E0
>>198

【先に入ったテクノドッグス社の男は席に付き、サラダに塩を一つまみふりかけたもの】
【子鹿の肉の煮込みといったような見た目には似合わない健康的な食事を頼んでいた】

【“コチラ側”であるならばこの音がテクノドッグス社 警備保障部部長件 部隊長 ラース・マグヌセンである】
【ということは知り得るだろう。どちらかといえばこの勢力でオーウェル社は、その名はよく表に出てくる割には】
【コンタクトをとる術はないといった矛盾した組織だ。ただ、特区やニューロンシティの警備だけでなく】
【要人の警護などを行うテクノドッグス社はオーウェルの中で唯一コンタクトを取りやすい相手だ】
【特にこのラースという男は警護であったり現場指揮であったり、会議の代理人であったりと顔は中でも売れて居る方だった】

【対して公安五課はその性質上、ラースも存在は把握しているものの人員の顔までは知り得ていなかった】


>>200

【例えば、新楼市の動乱についての記事であったり、そういった"あちら側”の一件をよく調査していれば】
【テクノドッグス社はもちろん知っているだろうし、この男がよく、記者会見やら会議やらなんやらで】
【警備に紛れて映っていることは知り得ることが出来る。もう少し突っ込めばテクノドッグス社の公式サイト見れば】
【肩書と名前と顔写真ぐらいは見つけることができる】



――なに、此処は我々の職務の範囲外だ。ただ、私は嫌われものでね。こうしていないと良からぬ輩に襲われてしまう
ああ、いや。もう少し治安の悪いところならですよ。店主。我々は、市民を守るのが職務ですから。
なんなら、今、最も、安全な、レストランは――ここかもしれません。


【彼は談笑している。だが、店主も周りの客もアタマに銃口を突きつけられたかのような窮屈さが其処には有った】
203 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/26(土) 22:54:21.00 ID:4HHkrR4m0
>>201
「ふ、ふ。ここで潰せないことが口惜しいのはこちらも同じだ」
「お前の新しい伝説に期待するとしよう」

【記憶の中のライラそのままの、不敵な宣言にカニバディールも笑う。彼はやはり、正義の味方だ】
【彼はまた、悪との戦いに身を投じるだろう。いずれは、自分とも。カニバディールは、何故かその時を心待ちにしていた】
【世界に、また一つの日が火が灯った】


【……切実な願いであった。考えてみればライラは四年もの空白を経ている。その上、魔制法の影響で今能力者への風当たりは強い】
【セリーナに許しを得ることも出来ない今、自分が判断する他ない。ギアは、「わかりました」と頷いた 】

【施設の地下はまだ生きている。今やほとんどが空室となっているここなら、ライラのための部屋も見繕えるだろう。ここが、大魔法使いの新たな拠点となる】
【食事を求められれば、ギアが簡単な料理を作って振る舞う。レシピ通りの無難な味も、ライラの空腹がスパイスとなるだろうか】

……正直なところ、厳しいです
どっちの勢力も、社会の闇に潜んでいる。その実態すら、なかなか見えてきません

ただ……一人、事態に近い人物を知っています
ライラさんは、富獄会という極道の組織を知っていますか? 黒幕との戦いで死んだロッソさんは、その組織の実質的トップと懇意でした

霧崎さん、という女性なのですが。彼女が教えてくれました。ライラさんにとっては、他人事ではないがしれませんね
黒幕と円卓は、狙っているらしいです。タイムマシンを
204 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/26(土) 23:03:06.86 ID:CaJMTQnm0
>>202 >>200

【店内に入った時、感じたのは抑圧された様な調和。平静を装えと脅された人質みたいな不自然】
【それを心地良いと思った。――――形はどうであれ、殆どの人間の意志は一つの色に染められていたから】


ふむ、確かに。その通りかも知れないな。
―――――見回してみれば此処にはある種の調和が生まれている。
そう思うのは君と私くらいかもしれないが、な。


【表情を崩すことなくラースの言葉に同調する様な言葉を贈ったのは、社交辞令でも世辞でもない】
【嘘偽りのない言葉であった――――だが、同時に心からの本心でもなかった。まるで類似品を眺めている様だった】
【同伴するパンツスーツ姿の女性・沙羅もギンツブルクの背後に付いて回り、貞淑な振る舞いを崩さない】


――――、どうやら席が空いてないらしい。かと言って待ちぼうけるのも時間の無駄というもの。
もし宜しければ相席を願いたいものだが宜しいか、オーウェル社の警備部隊隊長、ラース・マグヌセン。
君ほどの有名人との相席であるならば、私も安心して食事が取れるというものだ。


【言外に漂わすのは―――拒否権などないという無言の傲慢。慇懃に振舞えど、無礼。
 墓場の王と称されるだけあって、腐っても王様なのだろう。紳士然に申し出ても滲み出るのは最早必然か】
【故に、彼はもう一人の男を歯牙にもかけない。歯向かうまでは単なる路傍の石でしかないから】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/26(土) 23:19:02.20 ID:+ndk3ZES0
>>188

【ならばきっと彼女の様子は、投げてもらったボールを見つけられずに帰る犬のようであるのかもしれなかった。――期待されたものを完璧に仕上げられなかったのだと、】
【焦がしてしまったハンバーグでは物悲しいのだと伝えているのに等しい仕草。――だけれども、彼らの言葉を受けるなら、いくらも、伺うような上目遣いの気配があり】
【――まあるく瞠った目が少しだけ緩んだのなら、その唇も、きっと。噛み締めていたのだろう下向きの弧が、微かに上向いて。――、】

――――、でも、……豚肉、だから、えっと、ウェルダンじゃないと。――――お腹壊して、しまうから……。レアじゃ、――やってないの。
そういうのは……もっと格好いいお店の人がやったらよくって、――。わたしは、そんなふうなご飯、作るのは、できないから――。……。

――もちょっとだけ、待っててね、――、――――――――、ありがとう、

【ごく気弱そうな声は、けれど何かそのお終いにかすかに嬉しげな気配を纏っていたから、彼女なりの冗談なのかもしれなかった。――牛ではないから生は駄目だと、】
【そういうほとんど生で自分で焼いてねみたいな奴は、もっと違うお店がやればいいのだと。――"お店"みたいな料理なんてイカしたレシピとにらめっこでようやく叶うなら】
【彼女が作れるのはいたって家の料理でしかない。気合を入れて何かやったって、特別な日に気合を入れてお母さんが作りましたみたいな感じになってしまうんだから。――、】
【――ならばスタンの分のハンバーグ、誕生日の子供に出してあげるみたいに特別バージョンになるのかもしれなかった。なんだって乗せちゃうの。――お店じゃ出来ないような、くらい】

…………わたしは、あんまり、何か置いたり、してなくて……。

【地下のこと。――。彼が触れるのなら、彼女もちいちゃく反応を見せるのだろうか。とはいえ彼女は給仕であるから、あまり、頻繁に出入りはしていないのだけれど】
【せいぜい地下の食堂のでっかい冷蔵庫に何かを取りに行くとか、そういうのばかりで。――店の内装についてもほとんど触れてないとは言うけれど、小物、なんかは、ないでもない】
【レジのところに置いてあるちっちゃい陶器の猫は招き猫と言い張るにはアンティーク風を気取って、それでも片手をにゃんと上げたもの、櫻の国ではお店はこういうのを置くだなんて】
【"彼女"に説明したのも数年前の出来事であろう。"そういう"ちょっとした小物に限っては、彼女が持ち込んだものも多かった。クリスマスになると机ごとに小さなツリーを置いたり】
【――ただ、やはり長く留守にしていたのなら、片付けられたものもあるのだろうし、掃除は何度かしたけれど、それでも、何か、どこか、物寂しげであり】

寄贈…………、……――、――――――、まくら? 仮眠室の、……。ぺったんこ、だから……。

【――――――――、ぬいぐるみでもクッションでもなかった。ましてやお店の物でもなかった。ぱちりと瞬き、どうにも思いつかなかったのかもしれなくて、】
【ただし冗談と言い切るにはいくらか真面目さを帯びていた。――枕はもっといいのがいいってこっそり愚痴るみたいな声音を含んでいないといえば、ちょっぴりだけ、嘘であり】
【そうしてそんな風な言葉が出てくるのであれば、――当初に比べ、ずいぶんと打ち解けた、というか、気を許したというか、――少なくとも、敵認定はしていないのだろうな、と、】
【――事実彼が席を立つのを彼女は何か言って止めたりはしなかった。火を離れたくないというのはあるだろうけれど、それでも、信用していなければ、きっと、嫌がるから】

【(勝手に長く空けたのは自分だのに、ずいぶんと我儘なのだけれど)】

――――、――、そんなこと、ないよ、……。……。――、あの、ね、……ごめんね。ごめんなさい、……お客様が来たら、もっと、――"しなきゃ"いけないの、分かってて、
でも…………、――、ごめん、ね、――、考えること、――考えなきゃいけないこと、いっぱい、ありすぎて、……、

【彼が居なくなったなら、――店内には、じゅうと、肉の焼ける音ばかり。けれど沈黙は不干渉を願うものではなく、それより、幾らも期の引けたような気配】
【事実スタンが話す――ましてやしょぼくれたように――なら、答えるのだろう。――、迷惑ではない。それでも、何にもなかったみたいに笑えないんだって、言ってしまうなら】
【――だけれど少なくともあなたたちのせいではないの。そうやって伝えたい声は、けれど、不器用すぎて】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/26(土) 23:19:53.63 ID:nvE4EORu0
>>203

【厳しいとの言葉に、だろうな、と返す。もとより前向きな言葉は期待していなかった】
【そもそも簡単に立ち向かえるような相手なら、ギアもあのカニバディールと休戦協定など初めから結んでいない】
【そして、カニバディールも】


機関は機関で厄介だったが、今度の相手は国や政治経済っつー訳か。
規模がデカすぎて正直俺も全然わからねぇし。暫くは情報収集に取り組むべきか。

……フガクカイ? ……あー、なんか聞いたこと有るな。4年前にニュースでチラッと、だけどよ。


―――タ、タイムマシン!?


【政治など能力者以外の社会情勢には疎いライラでも、流石にその名前は耳にしていたようで】

【チームMにも居たという戦死したチンザノ・ロッソ。そして富嶽会の霧崎。ロッソが情報を奪い、その霧崎に渡したのか。推測は尽きないが】
【次いで出てくる"タイムマシン"という単語に、それがあまりにも意外すぎる単語であったためか、オーバーなほどにリアクションを返した】


……はは、俺がタイムトリップしてきてみたら、今の悪党どもが狙ってるのがタイムマシンってか。
はぁ―――、笑えねぇ。偶然すぎるにも程があるってんだよ。

俺に起きた出来事については……今は置いとこうぜ。実際タイムトリップしてきたのかもわかんねぇしな。


正直そんなモンが存在するとは思えねぇが……大真面目に狙ってるってんなら、本当に有ったりするのか?
……あー、分かんねぇ! 分かんねぇが……それはちまちま探してくとするか!
207 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/26(土) 23:24:36.49 ID:dQOhHG4E0
>>204

【ラースは一瞬、ピタリとフォークを動かす手を止めたが】
【そのまま顔もあげぬまままたフォークを器用に動かして食事を続けた】

それは―――貴方の御眼鏡に適う席がないということですかな?
随分な言い草だ。ええ?店主。私にはどの席も1等の其れに思えるがね。

【ラースは薄ら笑いを浮かべて、嫌味を店主に向けることで間接的に言い放った】
【ラースもまた、一筋縄では行かないタイプだ。どんな相手にも屈することも媚びることもない】

この席はこの店主の物であるが、今は私が一時借り受けているものだ。
私とて飯を食うとき名も知らない男を眺めながら食す程の悪食ではない。…美しいお嬢さんを除いて。

ここほどではないでしょうが、待たずに入れる飯屋なら、この街にいくらでもありましょう。

【その傲慢に鍔迫り合う程の傲慢を彼も持ち合わせていたが、違いは彼は企業の人間というところだ】
【所謂、損得には鼻が利く。だが、ビジネスに於いての主導権を握らせるような真似はしない】

だが私は犬だ。文字通り…鼻が利く。…どうぞ。

【彼は面を上げ、ニヤリとした笑みを浮かべると、持っていたフォークを置いて、さらりと席へと促した】

//雑談にもありますが>>200さんは落ちられるとのことです!一応ご連絡です!
208 :テレサ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/26(土) 23:40:00.56 ID:HYcKAAJoo
>>125

(……わかってはいましたが一度では全ては理解できない、彼に勧められた本は後日買い求めるとして……
これが宗教改革の仕掛け人、マーリン枢機卿……まあ、薄々は感じていましたが……清貧を謳い奉仕を重んじる"教会"のような組織を
回していっているのは、こういう人材も所属しているから、という事ですかね

非常に貴重な人材ですね……物言いが気に入らないところに目をつぶれば)


【信仰心の方はわずかながらでも残っているのだろうか?流石にゼロでは問題だが】
【などと考えながら、一通り自分の中でのマーリン評を整理した後、その当の本人に呼ばれるままついていく】
【早足は特に問題なかった、自分の身体能力ならば余裕で追いつける】


シスター・アンゼリカですか。彼女とは班が違うので話したことはありませんが……顔はよく知ってます

……ですので一昨日久々にテレビを見てたら彼女がCMに出演してたのがすぐわかったのですけど……何があったんですか彼女に
ええ、まさか人里を離れてる間に"教会"の人間が堂々とふぁーすとしんぐるなるものを出してテレビCMやったりする方針にいつの間にかなっていたとは……
というかもしかして彼女にあの仕事割り振ったの貴方ですかマーリン卿


【建物が変わり、工業地帯に足を運びながらテレサは、話したことはなかった"異端狩り"の初めて見せる姿にド肝を抜いた一件を思い返す】
【又聞きではあるが"異端狩り"向きの獰猛なタイプの人物と認識していたので、アイドルデビューなんて事態になるとは思いもしなかった】
【その時の一件を思い出したテレサは―――歩く途中で気が付いた。"この調子でマーリンの人事を受けると、自分も予想だにしない職務を命じられるのでは?"という案件に】

【マーリンに連れられて前にしたその大施設の前にたどり着き、悪い予感が当たった瞬間テレサは―――】
【それまでの眉一つ動かない、愛想ない表情をここで初めて崩し―――呆然とした】



……………………………………………………は?


……失礼、今"国立魔術学院"と聞こえたのですが聞き違いでしょうか……
いや違いますね、聞き違いじゃない……確かに看板にそう書いてある……どうやらここは間違いなく"国立魔術学院"で
間違いないようですね……ですが、ちょっと待ってください。"ここ"の仕事ですか?

マーリン卿、私の知る限りこういう"学校"にて行われる職務とは基本的に教鞭をとり生徒たちに知識を教える職務を
主としている、と認識しているのですが……貴方は今、次の職場に"ここ"を推していると考えていいのですか?


【表情が固まったまま、明らかに信じられないモノを見ているような様子で言葉の方には明確に動揺が見られる】
【まさかとは思うがマーリンは、自分に教鞭を取れなどと言っているのではないだろうか、と言う風に聞こえたのだ―――"猪武者"の自分に】


【……無論、教職と考えるのは早とちりか、何かの間違いかもしれない】
【しかしマーリンは無駄を嫌う男、ジョークで連れてくるとも思えないので彼の真意を聞いておかなければ混乱は解けそうにないと判断した】
209 :マーリン ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/26(土) 23:51:23.62 ID:isDzublyo
>>208

【単体で言えばマーリンという男は非常に異質と言えた、今まで“教会”に居たどんな信者よりも、宗教家らしくない】
【けれども、言葉を用い他者を動かす手段にかけては、やはり宗教家であった、紡ぐ言葉の一つ一つに確かな理論が内包されている】


もしかしても何も、俺以外の人間があの子猫ちゃんにあんな役割割り振れると思ってんのか?
良いだろ、獣人の娘が“異端狩り”をする、それぐらい皮肉が利いてた方が大衆の注目を集める、人が集まる所に金が集まるのも道理だ
まぁCDとかそういう糞端金には興味ねぇけどな、大事なのは広告塔だ、あの見るからに“異能者”である彼奴が目立つ事に意味がある

────── それも水の国で、だ、全部は言わねぇぞ、想像力を失った人間はバカだ、俺の部下にバカはいらん
俺が示す方針は徹底的に二役も三役も重ねている、最小限の努力で最大限の結果が付いて来る様にと
要するに飴と鞭だ、あの子猫ちゃんのしたい事と天秤にかけて、多少の無茶はできるだろう


【マーリンはその反応に、深く息を吐いた、聞いてる此方が驚きそうな程に大きなため息を】


ほんっとにお前猪武者なんだな、宗教に胡座かいてカスみたいな信仰に縋ってるからこうなっちまうんだ、少しは考えろよ
自分の武器はなんだ? 猪武者なんだろ、勉強だとか理論だとか、そんな大層な理屈をお前は伝えられるのか?
だとすればできることはなんだ、お前にしかできないことを考えろ、考えるのをやめる奴はただの死人と変わらん

実践担当だとか、実務教官だとか、─── 座学だけが教育じゃないだろ、こんな当たり前の事まで俺に言わせるなよ
異端狩りみたいな局所的な知識じゃなく、もっと包括的な退魔技術を、実践経験も交えて教育できる
それだけでそれなりに、お前の価値があるだろ?
210 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/27(日) 00:02:28.99 ID:QKiLcz/J0
>>207

君の言葉も一理ある。相席などという異物を受け入れる行為に嫌悪はつきものだ。
そして腹を満たすなら態々待つ必要のある店に並ぶ必要もない。
だが、しかして。君の言う合理性を無視してでも安心を取りたいのも人間の心理だ。


【見下ろした景色。ラースはギンツブルクを見上げる事無く食事を続けるものだった】
【彼もまたある種の傲慢を持った男と見えたから、特段腹を立てる道理は無く】
【――――遠回しな嫌味、静かな主導権争いの前哨戦を経て座る許可を得た】


では遠慮無く。……ああ、そうだ。沙羅、お前も同席しろ。
警備隊長殿は美女同伴がお望みの様だ――――食事に華を添えろと、な。

「ええ、仰せのままに。わが主。
 失礼いたします、警備隊長殿。公安五課/特別対策室室長補佐、沙羅=ブラッドベリ。
 以後お見知りおきを。……では、ご相伴にあずからせていただきます。」

彼女が言うように私たちは公安だ。形は違えど君たちと同じ景色を見据える組織である。
―――――と、自己紹介が遅れたな。私は五課の室長・ギンツブルクだ。墓場の王とも罪の王冠とも字される。

【座るように促されるギンツブルク。併せて沙羅も同席させるなら、二人の所属を明かす
 公安五課というのは表向き存在しない組織であるが、知る人間は知っているから
【敢えて自分達の所属を明かすことでどのような反応を見せるのか。それを以てその先を占う
 どの様に転んでも彼はラースに問う―――お勧めの一品は何かね?と。あくまで敵対する意図はないと無言で告げるように】
211 :@mail ◆KP.vGoiAyM [!蒼_res saga]:2019/01/27(日) 00:09:27.52 ID:tKkyfs7T0

【To: チームM】

【From: 霧崎】

【TITLE:霧崎と初瀬女史の現在と今後の動向について】

お久しぶりです。霧崎です。

ヒライさんの死亡以降、バタついていましたが状況も変化し
また皆さんのご協力を頂きたいため、まずは情報を共有したいと思います。
長文かつ乱文ですがご容赦ください。

我々の目的は"黒幕の打倒”。それは変更はありません。
初瀬麻季音は【黒幕が勝利した未来】からの異邦者と出会いタイムマシン理論のヒントをもらいました。

チンザノロッソはほぼ同時期に、今度は【円卓が勝利した未来】からの異邦者と出会い
そしてその人物を庇うために死亡しました。(その未来人は今私が保護しています。)

少なくとも【円卓が勝利した未来】では【チンザノ・ロッソは死んでいない】ことになっていました。
もし彼が死んだことが未来にどんな影響があるかわかりません。現状、良い影響とは考えにくいです。
ですから、私は(意味があるかわかりませんが)世界を欺くため、一部の皆さんに
彼が死んでいないことを偽装してもらうことを依頼しました。

そして【タイムマシンを黒幕より先に開発する】。これが我々の当面の目標としています。
さしあたって、その技術には水国核技術研究開発機構(WORN)の設備とデータが必要でした。
しかし、当該施設は各国共同かつオーウェルを含めた企業が関わっており、いくら高名な初瀬女史であっても
自由に研究ができる場所ではありません。かつ、タイムマシンというものであるために秘密裏に研究する必要があったのです。

そこで私は新楼市を内乱状態にし、その混乱に乗じて施設を確保するという作戦を思いつきました。
あの街の動乱の口火を切ったのは私です。市長の汚職の暴露や武器の輸出、活動屋などヤクザの権力と資金を使って。
たとえ街1つが焦土と化してもやらなければいけなかったのです。

そして水の国外務8課という組織に協力を依頼しています。少なくとも施設を確保するには国家という看板がどうしても必要だったからです。

今後の動向として8課には研究所の確保を依頼しています。我々は新楼市で黒幕の番犬である
テクノドッグスに攻勢を仕掛けたいと考えています。既にゾーイが新楼市に潜って居ます。

タイムマシン開発が成功したからと言って未来が変わるわけではありません。ですが少なくとも
チンザノロッソを生き返らせることが出来るかもしれないと初瀬女史は仰っています。

このメールを見た方は御自身の置かれている状況を報告していただきたいと考えています。
特に、櫻の国魔導海軍の一件についてはさらなる情報を欲しています。

そして、ミラさんと、カニバディール氏には私が知り得た未来を知って頂きたく思います。
何処かでお時間を設けていただけないでしょうか。

頼れる人が居ないのです。どうか、正義のために。

以上
212 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/27(日) 00:13:16.67 ID:G70/kfkg0
>>206
そういうことです。機関は巨大でしたがある意味ではわかりやすい悪でした
でも今の相手は国家であり社会であり、正義組織
が守ってきたはずの人々そのものでもあります

それがいいと思います…… ただでさえ手探りな以上は、情報を集めるしか……

そう、そのフガクカイです。そこの幹部の人とは僕も一戦交えた縁がありまして。それで、いろいろと話を……

すみません、やはり混乱しますよね……情報過多も困りものですし、あまり一度に話すのはやめましょうか
僕も、完全に理解しているとは言い難い話で……

【霧崎から聞いた話は、あまりに遠大。黒幕の勝利した未来と円卓の勝利した未来、それぞれからの使者が伝えた事に関するエピソード】
【ギアにしても、聞いた時は頭がクラクラしたものだ。人形なので、魂の見せる錯覚だが】

本当に、何の因果なんですかね……
ライラさんのことは、そうですね。すぐに追求できるものでもありません

……ややこしいことですが、タイムマシンは今はまだ出来ていないらしいです
というのも、未来から来た人物から警告があったらしいんです。黒幕の勝利した未来と、円卓の勝利した未来、それぞれから
その人たちが、これから完成するタイムマシンを渡すな、と……こんがらがりそうですよね

ともあれ、僕が知ってる情報はそれくらいです
後は……そうですね、これをお渡しします

【ギアが懐から取り出したのは、指輪だった。魔法使いのライラならわかるだろう。暗号化の魔術がかけられている】

タイムマシンを発明する、はずの天才少女、初瀬麻季音という女の子が作った、通信を暗号にする指輪です
黒幕は通信傍受も出来るらしくて、チームMはこれで連絡を取り合っていました
今までに全体に向けてやり取りされたメールも確認できますよ

【ライラが受け取ってくれれば、二人の間に通信手段が確立する。数少ない、仲間の証となるだろうか】

/すみません、離席しており遅くなりました……
213 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/27(日) 00:17:29.05 ID:G70/kfkg0
>>206
>>211
>>212
【ライラにそう言った直後。まさにその霧崎からのメールが指輪に届いた】
【ギアがあっと驚きの声をあげ、ライラにメールの確認を促す。ギアが拙く説明しようとしていたことが、端的にそこにあった】

【一方、地下のカニバディールもそのメールを確認した。険しい顔で文面を読んでいたが】
【外務八課。その名を見た途端、音を立ててその歯が食い縛られた】

【その後、霧崎にはカニバディールからの返信が行くことだろう】
214 :@mail ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/27(日) 00:25:15.40 ID:G70/kfkg0
>>211
【To:霧崎】
【From:カニバディール】

お目にかかったことはなかったはずだが、お噂はかねがね伺っている。はじめまして、霧崎さん
情報の提供に感謝する。ロッソのことは残念だった

ギア・ボックスからタイムマシン絡みのことはある程度聞かされていたが、事態は深刻だな
タイムマシンの開発と防衛を同時にやらねばならないとは

新楼市の件については、驚かされた
私も黒幕派と目していたテクノドッグスに対抗するために、街の目と鼻の先にアジトを構えたりしたのだが、余計なことをしたかね

黒幕の打倒、テクノドッグスへの攻勢などに異論はない。未来について伺う時間も作ろう

だが、一つ問題がある。外務八課と私は、黒幕とは関わりのないところで深刻な敵対状態にあるということだ
その辺りも含めて、一度直接話したく思う
215 : ◆Rinne/R.E. [sage saga]:2019/01/27(日) 00:26:00.26 ID:N/ACofg/0
>>221

【ぽつりと一つ灯った通知があった、いくらかの躊躇いを孕んで、けれど、読んでしまった文字列を理解する前に携帯電話を投げ捨て損なった、温度感を満たして】
【何もかもが短い返答は説明すべき何かを何もかも置き去りにして、たったの十六文字。改行を文字に含めるのなら十七になるのだろうか。歳の数だけの文字すら刻めず】

「生きてます
ごめんなさい」

【――白神鈴音】
216 :@mail ◆KP.vGoiAyM [!蒼_res saga]:2019/01/27(日) 00:27:54.32 ID:tKkyfs7T0
>>210

【ラースは薄い唇で薄い笑みをずっと湛えていた】
【しかしその不健康な眼光は、まさに番犬の名に相応しく】
【全身を分析するかのようなサーチライトのような存在感を放っていた】

私の安全は幾分か脅かされたがね。

【しかし、相手の肩書をきくなり、わざとらしく眉を動かし、目を見開いた】
【そしてまた別の薄ら笑い――だが何処か今回は楽しげな笑みを浮かべた】

これはこれは、公安殿でしたか。それも五課とは。…いやはや、なんとも。
私の不勉強申し訳ない。改めて、テクノドッグス社警備部門のラース・マグヌセンです。

【言葉は改めたが態度はそう変わらなかった。自分の立場を変えず相手の立場を】
【少しだけ自分の高さまで引き上げたような、そんな態度だった】

さすればつまらない口論もやめましょう。文字通り、犬も食わない。というやつです。

そうですな。ブイヤベースなんか如何でしょう。
今夜も冷える。体を温めるのにちょうどいいかと。

私も気になっていたんですよ。そちらさん方は一体今、何をしているのかと…ね。
217 :ラース ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/27(日) 00:30:01.73 ID:tKkyfs7T0
//ミスりました!!>>216の青いのは名残で意味ないです!!
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/27(日) 00:56:15.15 ID:K/a2he7y0
>>211
>>212

……守ってきたはずの人々、か。だよな、正しく死ぬ思いして戦ってきたってのに。これじゃ何のために魔法使いしてんだって話にもなるぜ。
つっても、何となく分かるのは。相手が国家であろうと社会であろうと、直接俺たちが戦うのは結局異能者なんだろうな。
話し合いでなんとかなる問題じゃねぇ。デカイ思想を持った奴らが暗躍してんだろうぜ。


【商売上がったりだ、なんてまたため息を吐いて。ライラはこれまでの情報からそう推測した】
【結局の所、国に入り込んだ黒幕とかいうのも異能者の集まり。「魔制法」だの出てこようと、この世は異能者が蠢く世界に変わりはないのだ】
【思想といっても大方世界を消し去るだとか、新世界の創造とか、そんな所か? なんて子供じみた予想を立ててみれば、自嘲気味に鼻で笑った】


ま、俺の事についても自分で調べてみることにするぜ。この目の包帯も気になるしな。

……さっき気付いたんだがこれ、外そうとすると……ッ! ……こんな風に弾かれちまうんだ。
外す意思に反応する封印の魔術っぽいが……俺にはさっぱり分かんねぇ。


【復活後のライラで異様に目立つ、その片目を覆い隠す頭を4,5周する包帯。ライラの手がそれに触れようとした瞬間、バチンッ! と手は思い切り弾かれてしまう】
【と思えば、今度は普通に触ることが出来た。これがライラの言う「外す意思に反応する」ということらしい】
【知識こそ有れ、自分に出来るのはあの5色の魔法のみ。力なく首を横に振った】


あー―――……、未来人。未来人ねぇ……。タイムマシンが出来ればそれもありそうだけどな……。
ハハ、もうなんつーか……。荒唐無稽過ぎて逆にリアリティを感じるようになってきたぜ。

……指輪? 

【状況としては自分がタイプトリップしたという事に気付いた時に近い。余りに非常識なことを、現実だと次々に叩きつけられている】
【それが二回目だったからか、自分に直接関わることでは無いからか―――、流石に過呼吸で倒れることはなかったが】
【その代りとして、笑みを浮かばせ始めた。その目に浮かぶのは―――挑戦。打倒。不条理なものへ剣を向ける覚悟だ】

【指輪を渡され、「時代は進んでんな……」と勿論それを受け取った。魔術と科学のハイブリッド。自分には到底できそうもない】
【と、例の霧崎からメールが届いたのはその時で。まるでスマートフォンを渡された老人が如く拙い操作でメールを開けば】
【淡々とメールを読み進める。今更ギアの言葉に偽りがないことは言うまでもないが、メールの中身がほぼ同じ内容ならば信憑性も増すというものだ】


テクノドッグス。黒幕の番犬。……どうやら、倒すべき相手は決まってるみてぇだな。


……ギア。本当にありがとうな。んで……これからもよろしく頼むぜ。


【メールの最後に書かれていたソレを反芻した。倒すべき相手が決まっているのならやりやすい。魔法をブッ放すだけだ、と】
【片方の拳をもう片方の手に打ち付け、気合を入れて―――そしてギアに向き合ったライラは】
【改めてそう感謝の言葉と、4年ぶりの共闘を申し入れるのだった】
219 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/27(日) 00:59:09.23 ID:QKiLcz/J0
>>216

それは失礼。だが新楼市の現状よりかは君の安全を脅かしてはいないだろう。

私達は表向き存在しないのだから知らぬのも無理はない。
故に自分を卑下する必要もない。知りようもないものを知らぬのは恥では無い。

【表情は崩れない。声色は依然として冷淡に、そして無機質に】
【だからか。不遜な言動にも目くじらを立てることはなくて、楽し気な笑みに頬を緩める事もない】


ではそれを頼むとしようか。沙羅、お前もそれで良いな
「ええ、警備隊長殿きっての勧めですから。それを断る道理はございません」


………君たちと大差はない。"今"は"警備"と"治安維持"でも言っておこうか。
そして、その先に見据えている"調和ある世界"、それの下準備をしているとも言っておこう。

警備隊長、君は今の世界を、不協和音に軋みきった世界をどう思う?
少なくとも是としてはいないだろう。新楼市での動乱、それに拠る出血。
それらを迎合する者が居る。それらを望む者も居る――ネズミが騒がしい事この上ない。


          君はそのネズミに心当たりがあるだろうか―――?


【その口ぶりには含みがあって。"私達はそのネズミに心当たりがある"と言っているようなモノ】
【現状この騒乱を望んではいないといいたげに。見据える先が違ったとしても今は同じものを見てるとも】
220 :ラース ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/27(日) 01:24:02.78 ID:tKkyfs7T0
>>219

あの街は得るものがある。スクラップ・アンド・ビルド、だ。
既存のものは破壊しつくされつつある。あとは再構成/リストラクチャ。
我々が望む世界に作り上げることが出来る。…なかなかに面白い。

【ラースは笑みを浮かべながら自分の指先で顎を撫でた。どうやら自信があるときに】
【する癖のようだった。彼は墓場の王とは違い幾分わかりやすい男であった】

無論、秩序が必要です。其処には1つの理想、1つの思想、1つの人類。真に持たざるものと
持つべきものが分け隔てなく、秩序をもってして、自由を謳歌できるというもの。

魔制法が成立し、人類が平等へと近づく第一歩を踏み出した。だが、新秩序というものを
理解しないパトロンは『いつまで沈黙しているつもりかと』吠えている。

我々はそれなりに答えているつもりですよ。新楼市の一件も逆を突いた。これを利用し
反秩序的な因子を取り除いていく。我々の影響力は既に市内全域へと広がりつつあります。
"本社”は技術開発で十分かと。

【ラースは食事を終え、食後のデザートであるタルトのようなものに手を付けていた】

ネズミは数が多くてかなわん。ネズミ取りは我々のような犬ではなく
貴方方のようなネコかキツネにお願いしたいものですな。

【薄笑いを浮かべ、ちらりと墓場の王の目を見た。そしてまた薄笑いをして】

聞かせてください。本職の鼻がどれほど効くか、気になるもんです。
221 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/27(日) 01:34:04.54 ID:G70/kfkg0
>>218
正直、僕もそう思いますよ。そりゃあ、僕が戦ってきたのは僕自身の意思で、自分のためにでしたけど……
こんな風に弾圧されることになるなんて、あんまりです

……!! そう、ですよね。どんなに大きく見えても、正体がわからなくても。敵は存在する。闇に潜んで全てを操っている奴らがいるんです
どこまでいっても、異能者同士のぶつかり合い……そうですよ

ええ、どんなに理解し難くとも向こうからしたら譲れない理想なんでしょう。だから、僕らは全力で抵抗するしかありません

【敵のあまりの巨大さに萎縮気味であったギアは、ライラの言葉に迷妄を開かれた気分であった】
【それは、空白を経て未だ色眼鏡をかけていないライラだからこそ言えた言葉なのだろう。敵は見えない怪物ではない。存在する。ならば、倒せる】
【そんな子供じみた予想が案外外れていないようなこの世界で、ライラのような前を向ける男がどれだけ貴重なことだろう】

!! その包帯、以前は付けていなかったと思ってましたが、やはり……
ライラさんでも正体のわからない、封印魔術……。僕は素人ですが、かなりの高等魔術のように思えます

期待は出来ないと思いますが、僕の方でもそんな魔術に心当たりのある人がいれば聞いてみますよ

【そう、ライラ自身の謎もある。外そうとする意思を拒絶する魔術。門外漢のギアだが、それでもその異様さは察せた】
【ライラは、ただ5色の魔法のみを武器に、これなら混沌の荒波へと挑むのだ】

ハハッ……笑いすら出てきますよ。何でもあり、にしてもやり過ぎです、この世界は

ええ。混沌の中で抗う人たちの、繋がりの証です
必ずしも、持っている人が仲間とは言えませんけど。カニバディールだって持っていますしね

【この指輪に関しては、初瀬という天才の頭脳あってこそであろうが。ともあれ、一つの縁が繋がれる】
【そのタイミングで、やってくるメール。まるで運命の導きのように】

はい。見えてきましたよ、明確な敵が

……!! とんでもないです! 僕の方こほ、よろしくお願いします!!

【孤独の中にあったギアにとって、これほど頼もしい言葉があろうか。人形の顔に、確かな前へ進む意思を宿して。ギアも挑むように笑い、喜んで共闘を望んだ】
【こうして世界に新たな息吹が吹き込まれる。大魔法使いの帰還によって】

【ギアとカニバディールが、>>215のメールに気付いてひっくり返るのは、もう少し後の話】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/27(日) 01:51:42.47 ID:K/a2he7y0
>>221
//なんかキリ良さげなので此処で締めましょうか!
//二日間のロールお疲れ様でした!
223 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/27(日) 01:53:01.80 ID:G70/kfkg0
>>222
/了解です! 二日間のお付き合い、ありがとうございました! そしてお帰りなさい! またよろしくお願いします!
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 06:03:56.54 ID:817bjd3JO
『地球』買いませんかあー?
ほらぁ、今ならお得な手のひらサイズでたった1500ですよお?

あぁー、なんなら『月』も付けちゃいます?
こっちは700でえ、やっぱりお手頃価格なんですけどねえ?
セットで買うなら2000ですけどお……あい?買わない?はあ、そうですかぁー

【昼間、どこかの街中、目抜き通り。間の抜けた声で商売をする女が居た】
【ボサボサの金髪を適当にツインテールにし、服は青いツナギ姿】
【止めネジが緩んでいそうな黒縁メガネ、その向こうには呑気そうな緑の瞳】
【軍手をはめて両手に抱えた籠には、いくつもの球体がゴロゴロと犇めいていた】

【『地球 1500』『月 700』『土星(環付き) 2800』『太陽(取り扱いチューイ) 10000』『太陽系は相談デス』】
【籠の前にセロハンテープで貼り付けられた値札の一部であるが】
【その商品はといえば、手のひらサイズの水晶に色をつけたようなものであり】
【言ってしまえば売れる訳のないガラクタ。精々安っぽいインテリアがいいところであった】

……あぁー、そこの『貴方』。どうですかあ、『太陽』なんて。
ちょっと熱いですけどお、水掛けなければだーいじょうぶですからあー。
……ははあー、その反応は値引き希望ですかあ。仕方ありませんねえ、言い値を聞かせてもらえますう?

【店から出てきた、入ろうとした。細い路地から姿を見せた、路上駐車の車から降りてきた】
【どのような形であれその場に通りかかった貴方はと、女は語りかけるだろう】
【『太陽』を買わないかと。それもやる気がなさそうでありながら、熱意ある粘りを以って】

【揺れた籠の中でかちゃかちゃと音を立てる光る水晶。よく見れば、出来そのものは悪くない】
【むしろ核融合による太陽表面のもやもや具合はよく表現されている】


……ねえー?要りますよねえ、『太陽』が。
それとも、やっばり、『月』ですかねえ?

【その風態、その言動、その熱意。いずれも的外れの感を持つ女は、じいっと貴方を見つめていた】

/お昼頃まで見てますね
225 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 08:36:01.15 ID:PGzdE24Bo
>>224

【吐く息も見せるは真白、霞む目尻の微睡に、幾許かの気怠さを感じるも、肌に触れる冷気が目覚めの潤いとなって】
【歩む足取り徒らに、響くは声、興味を惹くには十分で、然れど興味だけで相手するには些か危険な様にも思えた】
【彼女は数歩迷って一つ二つ、淡い雪の様な歩みで貴女の元へと近づくだろう】

【 ────── そうして、太陽はいらないか、と声を掛けられて】


いいえ、『太陽』は足りていますわ、どちらかと言えば『月』の不足が今は問題かもしれません
……ですが、予備に一つ持っておく事も考えられます、私どもの『太陽』は些か眩しすぎますもの
ええ、これぐらいの大きさの方が可愛らしくて手頃でしょう、ふふ、持ち運びもできたらしますの?

でしたら、とても愛らしい表情を見せてくれるでしょう、なんて ──────


【紫苑混じりのプラチナブロンドの長髪を、シニヨンでセミロングの長さにまで纏めて】
【胸元の膨らんだ、袖の無い白のハピットシャツの上から、素肌を透けさせる黒のレースのカーディガンを羽織る】
【シャツのフリルの上には黒いリボンタイを垂らして、ミニ丈のフレアスカートから黒いストッキングを覗かせる】

【紫苑色の双眸に理知的な眼鏡を掛けた姿は、瀟洒な貴婦人を思わせるだろうか】
【両手を包む白い手袋、袖口から覗く素肌の白と溶け合う様に、微笑む様子に神々しさが塗れて】
【彼女は貴女の言葉にそう返しながら、大きな瞳を何度か貴女に注いで】


────── ひょっとして此方、本物だったりするのかしら?
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 09:42:50.30 ID:817bjd3JO
もーちろん、持ち運びだって出来ますよおー。
籠に入れてよし、手提げ袋に入れてよし、なんならポケットにだって入っちゃいますからあ
まあー、でも、『太陽』はちょっと火傷しちゃうかもですがあー……

【おや、話を聞いてくれるらしい。そんな具合の反応を女は見せた】
【『月』でも『太陽』でも、お好きなのをどうぞおー】
【そんな調子で色とりどりの水晶玉の中から、赤と銀灰色の二種類を手前に転がす】
【白い軍手は、赤い水晶に触るとチリチリと焦げたような音と独特の匂いを発して】

……おやあ、お客さんはお目が高いですねえ。
ひょっとして高名な魔術師様か学者様ですかねえ?

そうですよお、これ全部『本物』です。
重力も熱量も密度も地質も植生も、何十億分の1ですけどお
……よく出来てるデショ?『月』の裏側の秘密基地まで精巧に再現してますからあ

【にや、と女が笑う。注がれる視線に好感を得たとばかり、ではあったが】
【その歯列は所謂ギザ歯であった。獣人、というにはその特性が他に見えないから】
【生まれついて、歯列が傾いているのか、それともその形状に歯が削れてしまったか】

【女が『月』を手にする。持っていた見ますう?と、変わらず間の抜けた声で水晶を差し出して】
【受け取るならば、じっくりと銀灰の球体を眺めることができるだろう】

【薄いガラスの向こう。微細なクレーター群、単なるガラス玉とは思えない重み、その陰影】
【球体の半分は濃い黒に覆われていた。その一部に、キラリと光る人工的な輝きも見えた】

/気付くのが遅れてしまいましてえ……よろしくお願いしますねえ
227 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 09:55:55.25 ID:PGzdE24Bo
>>226

【彼女は興味深そうに目を細めた、窓際で読書をする令嬢に似た気品、高貴な雰囲気の中に確かな好奇心を映して】
【手袋に包まれた指先が差し出された『月』を手繰り、彼女は掌で転がしつ、その表面を見ていた】
【精巧に出来ている、────── 否、精巧に出来すぎている、とさえ言えた 】


いえ、私はただの議員ですわ、魔術や学術には縁の無い浅学非才の身ですこと
それにしても見事な一品です、『水の国』でも中々お目にかかれません、一流の職人が昼夜を問わず磨き上げて、描き出せる境地
だとすればあまりにも値段が安過ぎるとも思いますわ、これはどちらで?

────── ええ、よく出来ています、驚くぐらいに緻密に


【くすり、と笑みが溢れた、軽く胸元で手を組んで、片方の手が頬に触れる、少しだけ困った様な色合いなのは色彩の妙】
【同時に幾許かの妖しげな雲行きすらも感じさせるだろうか、少なくとも通常の技術とは考えられず】
【─── この世界に生きるのであれば、続く可能性は限られている】


“再現してます” ────── だなんて、まるで貴方様が作ったかの様に仰るのね


【眼鏡の奥、蕩ける目尻に艶を浮かべて、彼女は手慰みの如く『月』を転がす】
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 10:14:19.66 ID:817bjd3JO
>>227

おやあ、議員様でしたかあ。
予測は大外れですねえ、見る目があるのは間違いないですがあ……

……どちらで?私の家ですよお、議員様。
ガレージとも言いますねえ……どっちにしろ、私が作りましたからあ
よおく出来てるでしょお?しっかり『観察』して『再現』してますからねえ

【議員と聞いても物怖じすることなく商売を進める】
【製造場は自宅。製作者は自分。天球を観察して再現している】
【質問や疑念の答えには、一応なっている。しかし、その精巧さの答えにはならず】

趣味ですからあ……お金なんてもらわなくてもいいんですよお?
ですがあ、食べるにはお金が要りますからねえ……あ、税金下げてくださいねえ議員様あ。

そういうわけでお安くなってますう。
まあそれにい、アレですねえー。これは失敗しちゃってる方ですんでー

【転がされた月は、光の当たり具合によって様々な表情を見せる】
【クレーターばかりの冷たい岩の塊。鏡面のように日光を反射する側面】
【真円であり、楕円であり、距離感の掴めない空に浮かぶそれよりよほど『月』らしく】

【どうですかあ、買いますかあ?と、女は問うのだった】
229 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 10:28:17.21 ID:PGzdE24Bo
>>228

【彼女は暫し逡巡する、望外の拾い物であった、この女の持つ能力か技術かは、あまりに果てしない】
【指先が口元に伸びた、形の良い唇、肉感的な膨らみの中に可憐さを溶かして、淡く塗ったルージュが艶やかに解ける】
【潤んだラインに淫らと媚態を醸して、加えて結うのは拐かしの噂】


────── その通りですわ、貴女様はとても『見る目』があります
ここまで精巧に作られているんですもの、どれほどの観察眼があれば再現できるのか、と
例えば此方の『月』─── 見事ですわ、私、月の裏側に秘密基地があるなんて知りませんでしたもの

何方が作ったんでしょうね、─── いえ、今はまだそれが問題になることはありませんわ
私はこの様に眼鏡をかけていますから、あまり視力が良くありませんの
貴女様程に目がよければ、月の裏側までくっきりと見えるのでしょうか?


【一つ、水面に石を投げかける、広がる波紋、─── 果たして貴方の瞳は何を見ているのか、と】


あら、これでも職人に対しては減税の方針ですわ、報道を見ていただければ分かるでしょう
正式な届出さえ出していただければ、此方から支援することもできますし
その上で更に、というのでしたら……まぁ、考えない事もないですね

────── ねぇ、これって、生きているんですか?


【彼女が一番気になっているのがその点であった、─── 植生と女は言った、ならば考えられる可能性は二つ】
【この月や地球が、実際のそれをそのまま再現している可能性と、一種の模倣作として成立している可能性と】
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 10:55:24.34 ID:817bjd3JO
>>229
誰でしょうねえ、世の中にはとんでもないことを考える人がたくさんですからあ。
でもお、街や国を越えて『月』なんて、スケールおーきいですよねえ。

……私もお、あんまり目がよくないんですよお
ですけどですねえ、見えるところまで行けば見えますからあ。
ほらあ、看板の文字だって近付いたら読めるでしょお?

【それと一緒ですよお、議員様あ。女は当然のようにそう返答をした】
【ひぃ、え、へへ。そんな声で小さく笑いながらだ】
【月の裏側。地球からは決して見えない位置の話、そのはずだった】

おやあ、そうでしたかあ。それは良いことを聞きましたあ
帰りはお役所に寄らないと行けませんねえ。
それ以上の支援なんて結構ですよお、大それたものじゃありませんからあ

……おやあ。はあ、そうですねえ……惑星や恒星は岩石とガスで出来ていますからあ
有機物的な意味で言うなら生きているとは言えません。があ、ですねえ
核融合やマントルの対流を活動と捉えるなら、大体は生きてますかねえ。

うん?あらあ、答え違いますう?もっと『顕微鏡レベル』の話ですかねえ

……生きてますよお。どれくらい居るかは知りませんがあ、営みはありますからあ。
暗いところで見るとお、地球なんてキラキラして綺麗ですからあ。
まあ、そおですねえ……『これ』は出来立てですからあ、一番きれいに光るでしょうねえ

【天体が生きているのか、それともさらにミクロの世界観の話なのか】
【女はいずれにも答えを出した。それはさながら神が星を見下ろすような話であり】

【少なくとも、女が新たに差し出した『地球』をどれだけ覗き込んでも】
【生物の営みなどは見えないだろう。だから、裸眼では言葉の真偽は問うことが出来ない】
【けれどもし受け取って、例えば両手で包むように暗くして。それを覗き込んだなら】
【川沿い、平地、島。いくつかの箇所が、キラキラと光っているのが見えるはずだった】
231 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 11:05:47.99 ID:PGzdE24Bo
>>230

【抽象的な問いかけに対して躊躇いなく答える、それはつまり女がある程度“想定していた”と考えるのが自然だろう】
【故に彼女は捉える、今目の前で提示されているそれは、─── あまりにも危険すぎる代物であった】
【月と交換に差し出された地球を受け取る、手で包み込み注視したなら、少しばかりの煌めきを感じ取れた】


素晴らしい出来栄えですわ、優れた目と、卓越した技術との融合でしょう
確かに近くに行けば、という条件節の上では成り立ちます、その道理は理解できますわ
ですが、方法論の問題です、─── 私は一度も、月の近くに行ったことがないので分かりませんが

貴女様の言を信じるのであれば、貴女様は行った事があるのではなくて?
でしたら是非聞きたいですわ、ええ、月にはほんとに兎さんがいるのかしら、なんて


【こう見えても可愛いもの好きなんです、なんて曖昧に微笑んで】


────── でしたらもう一つ、私は持った疑問を解消せずにいられない性質なんです
好奇心は猫をも殺す、ならば探究心は何を殺してしまうのでしょう?


【そう言って、指先から雫が滴り落ちる様に、彼女は両手で持った “地球” を地面へと、“落とす” ────── まるで気紛れに任せる女神の如く】
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 11:27:28.29 ID:817bjd3JO
>>231
おやあ……そうでしたあ。行けませんよねえ、ヒトは。
綺麗で寂しいところですよお、あそこはあ……ウサギは居ませんでしたあ。
それどころか、そおですねえ……あんまり可愛いものは無かったですねえ。

【曖昧な微笑みに答えるように、牙ようなあの歯列を覗かせて笑う】
【月の裏側にいって見てきた。そういう答えを返しながら】
【もっとも裏付ける証拠もない。そんな技術や力は、ただの小市民は持っていないはずだから。なら、妄言か】

【言葉が切れる合間に『地球』が議員である彼女の手から転がり落ちた】
【それは路面にぶつかるとがしゃりと音を立てて砕けてしまい、内容物が溢れだした】

【たっぷりの水、熱くたぎった地殻、そして核。無論、その全てを見て理解できるほどの大きさではなく】
【水晶玉はガラス片と、それに埋もれる土くれとなって淡い青色を喪失していった】

あらあ……1500になりまあす。お支払は現金でお願いしますねえ?

【踏みつけたのが蟻ならば、その死を知覚するのも容易であろうが】
【裸眼で見えない微生物以下の存在というのは、そもそも認識すら出来ないもの】
【アルコールを吹き掛けると細菌が死滅するとか言っても、そんなのは誰も目で見て確認しているわけではない】

【例えるならばそんな話。女は残念そうに屈み込んで残骸を拾い上げる。ボサボサの髪が地面を擦る】
【拾われた残骸。そこに何億かの遺骸が転がっているかもしれないとは、ついぞ口にしなかった】
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/27(日) 11:38:12.09 ID:PGzdE24B0
>>232

【残骸を拾おうとする貴方の手をそっと制した、彼女もまた屈みこんで残骸に手を伸ばす】
【昼下がり、お気に入りの本を片手にコーヒーブレイク、そんな優雅な横顔を静かに示して】
【彼女の指先が残骸に触れるだろう、そして ────── 】


────── "Lost Memory Wonderland"


【淡い光が残骸を包み、次の瞬間には元の形に戻っているだろう、彼女は再び掌の上に置いて】
【胸元から取り出すは財布、代金を取り出したなら、貴女へと差し出すのだろう】
【元の形に戻った地球は、貴女が作り上げたそれと違わぬ物である、と認識できる筈だ】


あら、いけませんわ、すいません、少しぼーっとしていたものですから、ええ
私の能力で無ければ危ない所でしたわ、こんな綺麗な品物を壊してしまうだなんて神様に怒られてしまいます
頂きますわ、とても気に入りましたもの、お部屋に飾ってしまいましょう


【代金を差し出す、その手から貴女がお金を取ろうとしたなら、反対に彼女は貴女の手を取ろうとし、そして】
【 ────── 強引に自分の元へと、引き寄せようとする、王子が姫を伽へ誘う様に】


ねぇ、貴女様は紛い物の『地球』を作って、満足かしら?
────── 本物の『地球』が欲しいだなんて、思わない?

234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 12:02:42.83 ID:817bjd3JO
>>233
……おやあ。

【屈み込むのを制されれば、どうしたことかとレンズの奥の緑が揺れる】
【それから先。目の前で『地球』が復元されていく様子をぼうっと眺める】
【はっと気を持ち直すのは、代金が差し出されてからである】

いえいえー、何個もあるものですからあ。
それにしても便利ですねえ、何度失敗してもやり直せそうで羨ましいですう
見ての通り、私ってどじなものですからあ…………あー、れえ……。

【お金を受け取ろうとする。やや焦げた軍手でそれを握ると】
【気付けばふらふらと引き寄せられて、抱えた籠の中身がじゃらりと鳴り】

【問いかけられると、にへらと笑って眠たげな瞳をぱちぱちさせ】

……『地球』だけですかあ?まあ、満足ですけどお。

議員さんにしては、随分とスケールが大きいんですねえ?
さっき言ったじゃないですかあ、街や国を越えて『地球』だなんてー、って。
まるでカノッサ機関の悪者さんみたいで、カッコいいですけどねえ。

……お名前え、聞いてもいいですかあ?

【明確な答えはなかった。煙に巻くような、でもまんざらでもないという反応】
【距離はそのまま。わずかに油と石粉の匂いをさせる女は、議員の名を尋ねた】
235 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 12:15:57.84 ID:PGzdE24Bo
>>234

【『素敵な作品ですわ』なんて言葉を重ねた、叶うならばもっと側へ、甘い芳香、五感全てが彼女を肯定させる様に、彼女は振る舞う】
【落ち着いた口調で刻まれるソプラノ、母親よりも慈愛に満ちて、恋人よりも甘ったるい、曲輪よりも艶やかで、少女よりも可憐】
【暫し問いかけに沈黙を保った、静謐が雄弁に語り尽くす、─── 瞳が貴女を見初める】


どうして貴女様は “何個も” 作っているのかしら、貴女様はそれを趣味と言いましたわ
ですが、趣味ならば同じ物を多く作るより、多様な物を作る方が自然な成り行きでしょう
とすれば、貴女様は、─── 何度も『地球』を作る様な理由を持っている筈ですわ

それは、“願望” 或いは “切望” ────── もしかすると “所望” だったりするのかしら

何れにせよ貴女様は求めている、と私は考えました、貴女様が求める何かを胸に秘めて
作るのはその結果に過ぎないのですわ、心に描いた “渇望” を少しでも慰める手段として
でも、いつまで紛い物で満足できるのかしら、─── 貴女様の心は、そこまでお安くて?


【彼女のロジック、天体というスケールの大きな物を作る欲求、十把一絡げに抱えられた生命の星、─── 矛盾と理屈とかが交差する分水嶺】
【彼女はそこに触れる、微笑む横顔は女神に似て、とびっきり残酷な色を残して】


────── 私の名は “イスラフィール” ─── どうぞお見知り置きを
返歌がわりに貴女様のお名前を、その眼と腕に敬意を評して、私は深く覚えておくことにしましょう
いえ、誤魔化しは無しに致しましょう、私は貴女様の “パトロン” になっても良い、そう思ってるのです

貴女様の作品を、誰よりも評価し、支援できる、そう言ってるのです
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 12:16:42.87 ID:817bjd3JO
/すみませえん、次のお返事ちょっと遅れますねえ……
237 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 12:18:34.01 ID:PGzdE24Bo
>>236
/あらんま了解です〜ごゆるりと!
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 13:27:04.16 ID:817bjd3JO
『それ』しか作れないからですかねえ。……「遠い」んですよお、「この先」はあ。
だからずうっと作ってマス、『太陽系』。綺麗ですしねえ。
……でもまあ、渇望……してますよお?もおっと遠おいところで、深あいモノを見たいなあって。

それにい、そおですねえ。『本物』、欲しいですねえ。

【その本物とは一体なんのことで、どこを目指しているのかは言わなかった】
【しかしながら。イスラフィール、と名乗った女性に対する回答は明確で】

【願望し、切望し、所望し、そして渇望するものである。そう告げる】

いやあ、パトロンだなんて仰々しいですねえ。
でもこれでご飯にも困りませんしい、お役所にも寄らなくて良いですしねえ。

……私い、『ウニ』って言いマス。
『ウニ・ヴェルゼル』ってえ、まあペンネームですけどお。
美味しそうな名前でしょお?食べたらお腹壊しますからねえ、気を付けて。

それにしても私、なあんにもできませんよお?
好き勝手作ってるだけですからあ、ジンルイの進歩とか、そういうの関係ないですしねえ。
……週一回くらい、『太陽系』の出来損ないでも送ったらいいですかねえ。

【偉大なる芸術家でもなければ科学者でもない。なにかに貢献することはない、それでいいのか】
【何を求めるのか。パトロンと言う話はすでに快諾したような口ぶりで】
【しかし求めるところはなんなのかと、野暮ったい髪を寒風に揺らしてまた、尋ねた】

/戻りましたあ、すみませえん、待たせちゃいましたねえ……
239 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 13:38:59.09 ID:PGzdE24Bo
>>238

【五弦楽器の描く終末、高らかに描かれた感慨のシンフォニー、手繰り捲るは束の間に、創世記の記述すらも曖昧に】
【ウニと名乗った相手の言葉、澄んだ水面に見えながらも、その奥は深い、─── 迂闊に踏み入れれば飲まれてしまう程に】
【否、違う、─── 深いのではなく、寧ろ、粘性の泥濘みの様でさえ思えた】


芸術家は皆満たされておりませんわ、貴女様の中にも確かな欲求があるのでしょう
ええ、これからは可愛い服を買う事も、美容院に行って髪型を整えるのも出来ますわ
創作に注ぐのも宜しいですが、自らを粧しこむのも芸術家にとって必要ですから

ウニ様ですね、─── 心得ました、お望みであればアトリエの一つや二つ作って差し上げますが
最初の所はそれで大丈夫ですわ、作品ごとに報酬もお出ししましょう、勿論定期的な支援とは別に


【破格の内容とも言えた、少なくとも無名の芸術家に対する支援としては】


ウニ様がわかる範囲でしたら、こういう“品物”は、然るべき機関相手ですと高く売れますわ
貴女様が仰った様に研究機関や、天文学者、物好きな富豪等、私のコネクションには多種多様な人物がいますし
安く仕入れて高く売るのは商売の基本でしょう? 此方も望むのでしたら、仲介に降りても良いですが

────── ああ、あと、ウニ様は太陽系以外も作れたり、するんですか?

そうですね、例えば……建物や土地、或いは海や川、森といった自然物、など
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 14:05:38.09 ID:817bjd3JO
>>239
いやあ、おめかしは昔から苦手なんですよねえ。
服は着られればいいですしい、髪はあ……あー、そろそろ切りますかねえ

アトリエは要りませんよお。使い慣れた場所が一番ですからあ
ですが報酬は魅力的ですねえ、頑張ってたくさん作っちゃいますねえ?
これからは美味しいご飯がたくさん食べられそうで、嬉しいですねえ……♪

【金銭、というよりは食事に重きを置いていることが先ほどからの会話でわかるだろう】
【かといって太っているわけではない。ツナギという衣服の上からでも、平均的な体型であることがわかる】
【衣服や容姿にも無頓着。そういった点は芸術家肌、そう言えなくもない】

【しかしへらへらと笑うと覗く牙。歯の並びだけは、獰猛で】

売るのはお任せですう。私い、商売は下手ですからあ。
今日もですねえ、イスラフィールさんくらいですよお……お話い、聞いてくれたの。

……そうですねえ、出来ますよお。まあ、地形ならジオラマになりますかねえ
範囲と精巧さと生態系の再現度によって掛かる時間はまちまちい……
建物なら大きさにもよりますけどお、都市一つ分くらいは3日くらいでえー…あー……

……注文があれば、聞いちゃいましょうかあ?

【ポケットからグシャグシャの紙切れを取りだし、腕の小さなジッパーを開けて鉛筆を取り出す】
【単なる模型か。生かした方がいいのか、生態系まで構築すべきなのか】
【微に入り細に入り尋ねるだろう。もちろん、その注文というのがあればだが】
241 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 14:15:51.87 ID:PGzdE24Bo
>>240

【 ────── 、信仰はサブリミナル、ショーウィンドウ、並ぶは謀り、されど衆目も名ばかり、溜めた幾許かの轍は誤り】
【その一瞬節に、靡かない表情を翳した、存在の変拍子、─── だとすれば、ここで紡がれた全てが偽り】
【彼女はずっと、それが聞きたかった、─── 原初の価値観、ウニの力に価値を見出した一番の点を】


まあ、心強いお返事ですわ、大変助かります、芸術家肌の方は中々注文聞いてくださいませんから
そうですね、折角ですから、生態系を再現して、“生かしたまま”の地形だと助かりますわ
なるべく早くウニ様の作品を見たいので、急いでいただけたなら報酬も弾みますの

先程は売る、だなんて言いましたけど、何より気に入ったのも本音ですから
でも、私悪い子ですから、ちょっと試す為に落としちゃったりもしたんですけどね


【そう言って微笑む、─── 紙を取り出されたなら、いくつかの地名をあげるだろう】
【外国の地名が多かった、必要ならば旅費も、なんて付け加えるだろう、とことん金に糸目はつけない】
【 ────── もし、ウニが世界情勢に詳しいのであれば、察する事ができる】

【イスラフィールがあげた地名は、何処もその国の“主幹都市”であった、経済や産業、政治の中心地ばかりで】
【────── そこを指摘されたなら、観光地としても有名ですからね、なんて返した】
242 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/27(日) 14:24:52.31 ID:tKkyfs7T0
【街中】


【繁華街のメインストリート沿いに停車された一際目を引く赤い自動車】
【何故ならば其れは誰もが知る跳ね馬のエンブレムの高級車であり】
【つい先日出たばかりの新モデルかつ限定5台の特別仕様車であり】
【しかもそれをカスタムしているのだから一際異彩を放っていた】

【降りてきたのは女性だった。長い黒髪は一切の手入れを怠ってはおらず】
【切れ長の目にはシンプルな銀縁のメガネがかけられていた】
【スタンドカラーのコートを着ており、それも名前だけは誰もが聞いたことのある】
【店のものだ。ちなみに全身、そのブランドで統一されている。】

【その女性が向かった先は高級ブランドの店ではなく、会員制のレストランでもなく】
【ふつーの移動販売車のサンドイッチ店であり、ふつーのチキンサンドとコーヒーを頼み】
【店先のテラス席に座るのだった】

はぁーー…どうしよ。気が重いなぁ…

【彼女は何かを悩んでいた。一台の携帯電話を眺めながら】
243 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 14:32:43.31 ID:PGzdE24Bo
>>242

【もしもし、と声が聞こえた、貴女の後方、声の形は女性、否、どちらかと言えば少女という表現が近い】
【貴女はきっと振り返るだろう、いや多分、振り返るに違いない、そうじゃなくとも振り返るとしましょう】
【そうしたならば、目の前視界一杯覆うは大量の赤い “薔薇” 】


んま、気が重いですって? いけませんなー、うら若き乙女は日々をもっと健やかに生きるべきですし
この世界に於いて、この瞬間に於いて、若い女子程恵まれたステータスを持った存在はいませんよ?
残念な事にこの呪いの装備は時が経つと共にバッドステータスになるんですけど、─── 一部のクールビューティを除いて

しかししかししかーし、ふつーの女の子だって救われたい、救済されたいだなんて思いません?
そんな貴女にぴったりの、祝福の儀式もといバッドステータス解除の魔法があるんです
──────────── “ケッコン” しませんか?


【長いピンクの髪と、ぴょこんと大きな白いリボン、まるで狐耳のように髪の毛を彩る】
【ウエディングドレスを基調とした服装は、上半身はピタリと張り付いて、豊満な胸元を露わにする】
【パニエで膨らませた下半身のロングスカート、機能性の為の前開きから白いサイハイソックスを覗かせて】

【白いパンプスと手に持つのは薔薇でできたブーケ、檸檬色の瞳をした少女であった】
【かなり珍妙な格好をしているが、問題点はそこじゃない、貴女に差し出すのもそれであるが】
【────── 何より彼女の申し出が、突拍子も無い】
244 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/27(日) 14:40:22.93 ID:tKkyfs7T0
>>243

【彼女は「はい」と丁寧に、すぐにビジネスで鍛えた適度な人当たりのよい表情に切り替えて振り返る】
【ただ、視界に入った瞬間にコンマ2秒程度で眉間にシワを寄せて、目を細めて】

(あーあ、厄介なのが来たなぁ)

【とは口には出さないものの顔にゴシック体で書いてあるような評定をした】


あ、結構です。


【即答。居合斬りは得意中の得意である。】
【霧崎は前を向き直って、気を取り直してサンドイッチでも食べようとする】

(結構と、ケッコン…ちょっと韻が近いなあ)

【とか余計なことを考えながら】
245 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 14:48:18.75 ID:PGzdE24Bo
>>244

【ならばコッチはガーンと顔に書いてあった、黒塗りのポップ体、フォントサイズはマックスで】
【少女は崩れ落ち、地面に伏した、しくしくと涙を流しながら、薄手の長い手袋が顔を覆う】


ひどい、────── ひどいです!! 私との関係は遊びだったんですね!!
あんなに、あんなに私は尽くしたのに!! お姉様の望む事はなんでもしました!!
恥ずかしかったけど、それがお姉様の愛だと思って……でも、でも ─── !!

それなのにこんな仕打ちだなんて!! 私は今日の日を、どれほど心待ちにしたことか!!
下ろし立てのウェディングドレス、純白は穢れなき乙女の証、あゝでも、それは今は昔の事、私にこの服を着る権利はもうありません
淡い、淡い夢でした、────── 微睡みの様な、淡く、儚い


【何が困るって、結構な大声で言っているもんだから、店内の注意も惹くわ、店外の注意も惹くわの大盤振る舞い】
【放っておいたら此奴、ずっとこの調子だろうと、想像がついた】
【 ────── 社会的地位を考えた上での醜聞、策士か】
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/27(日) 14:55:43.81 ID:817bjd3JO
>>241
【ガリガリと、筆圧も強く告げられる都市名を書き殴っていく】
【政権中枢都市、観光名所、産業の中心地、幹線道路の大動脈となる都市、諸々】
【すべて書き終わる頃には、鉛筆の先は削れきって大分丸くなっていて】

旅費まで頂けるんですかあ、それはまた豪勢ですねえ
私も政治家さんになりたかったですよお……えへ、へえ……。

……そうですねえ。生態系まで必要ですしい
一都市一週間なんて所ですかねえ。全部終わるには割とかかっちゃいますけどお……
まあ、その分精度はあげますねえ。鉄筋は鉄筋で、木造は木目まで、住人は……あはあ、今度は虫眼鏡くらいで見えますからねえ。

ちゃあんと精魂込めて作りますから、楽しみにしててくださいねえ?

……あぁそうだあ、これ私の住んでるトコですう。
工房っていうかガレージって言うかあ、車の手入れもしてますからあ
よければ車のメンテナンスも含めていつでもどうぞお。……ちょおっと、汚いところですけどねえ?

【都市名を書き綴った紙片を破って、住所と連絡先を読める程度に書きなぐる】
【字を習いたての子供が書くような乱雑な文字。路地裏に程近い、スラムと呼べるエリアの一角だった】

……それじゃあ早速、行きますねえ。あー、この籠の中身い……要りますう?
サービスですからあ、よければ後で取りに来てくださいよお。
家の前、置いておきますからあ。……じゃあ、行ってきますねえ。

【そう言って、出てきた時と同じようにくしゃっと紙をポケットにねじ込むと】
【へらあ、と笑って踵を返し、がしゃがしゃと籠の中身を揺らしながら歩いていく】
【呼び止めたなら、振り替えるくらいはするだろうが。頭はすでに国外に飛んでいるような反応だった】

【それから、当日なり後日なり、本人か部下かが示された場所へ向かったなら】
【日の当たらない二階建ての家屋の前に、籠の中身もそのままに「ご自由にい」と書かれたメモが置かれていて】
【一階はまさに整備工場のようなガレージ、二階は居住スペースになっているらしいことがわかるだろう】

【周囲の環境はよろしくなく、犯罪の発生率も決して低くはないような土地】
【インフラも整っていないのか一帯には下水のような不快な生臭さが立ち込めて】
【そして、静かであった。家の回りだけ、というと何か違うかもしれないが】
【治安が悪いというわりに極端に人通りが少なく、スラムらしからぬうすら寒さがあった】


【さらにまた後日。8日ほど経ったある日に、イスラフィールの元へと最初の作品が届くこととなる】
【地球というケーキから町をまるごとカッティングして取り出したかのようなそれは】
【15m×18mという巨大なジオラマであり、建物の材質から寸尺、痛み具合を始め】
【確かに葉脈が通った生きた植生、現実には存在し得ない米粒以下の大きさのカラス】
【そして車や、住人に至るまで再現していた。その街では確かにヒトの営みが築かれていた】

【『週に4日くらいは日の当たるところに出してやってください』】
【『お天気は放っておいても大丈夫ですねえ。「雲」も再現してありますからあ』】
【『向こうからはこっちは見えませんけどお、こっちは向こうに干渉できちゃいますからあ』】
【『生かすも[ピーーー]も持ち主さん次第なのでえ……繁殖も食事もしますからねえ』】
【『箱庭、中から外には出れません。けどお、入っちゃったら言ってくださいねえ?』】

【極めて高度な科学、あるいは魔術。すさまじく緻密な結界タイプの箱庭】
【それが一作目であった。そして次々届くそれもまた同様であり】
【要望があれば、連絡には出るだろう。『はあい』と、いつも変わらぬ間の抜けた声で】

/ちょおっと用事できちゃったので無理矢理ですけどまとめちゃいますねえ
/要望とか分からないところあったらお答えしますからあ
/ひとまずはここまででえ……朝からありがとうございましたあ。
247 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/27(日) 14:58:12.05 ID:tKkyfs7T0
>>245

【背後でシクシク泣かれるもんだからほっとくわけにも行かず】
【はぁ〜〜〜〜〜っとめちゃめちゃなため息を吐いてから振り返る】

いや、遊ぶも何も今この場所が初対面なわけで…
ええ〜……こんな『変なの』とったって若い衆言ってたっけ…

【この女は曲がりなりにも国際マフィア組織の会長。組員は何千人単位だ】
【下の方の構成員になると知らないメンツが居てもおかしくはないし、奇抜な奴も】
【多い。しかし、こんなアクの強い奴が居たなら記憶の片隅ぐらいに居てもおかしくない】

【では何処かの会合かパーティか。仕事柄そういうのにもよく出ては挨拶して帰る】
【そこで一回ぐらい顔を合わせていたならば多少理解は出来る】

あのぉー…ひとまず、何処かでお会いしましたたっけ?
とにかくまあ、話ぐらいは聞きますから…ねっ、ねっ?

【クソ、コレなら単身で抗争相手の事務所乗り込むほうがラクだ。】
【とりあえず此処はなだめて、笑顔で乗り切るしかない】
248 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 15:00:56.95 ID:PGzdE24Bo
>>246
/了解です! ありがとうございました!
/また何かあれば舞台裏でお声かけしますね!
249 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 15:06:05.91 ID:PGzdE24Bo
>>247

【貴女が下手に出たなら彼女はすこん、と飛び上がって、対面の席に座るだろう】
【そそくさと胸元から手鏡を取り出す、設置式、ていうか今豊満な部位から取り出した】
【髪の乱れを慣れた様子で手櫛で直して、右目と左目、化粧のノリを交互にチェック】


え、初対面に決まってるじゃないですか、私こう見えても一回会った人に直ぐ覚えてもらえますし
お姉様みたいなデキる女の人が、私を忘れる訳ないでしょう? だから、初対面です、間違いなく
ふっふー言質は取っちゃいました、話、聞いてくれるんですよね! ね!

あっ、店員さーん、私サンドイッチとケーキと、あっまあまで胸焼けする様なココアおねがいしまーすっ、はちみつましましで!
会計は勿論お姉様につけといてくださいね、女の甲斐性の見せ所ですよ?


【ね、と言ってウィンク、口元にぴんと人差し指を当てて】
250 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/27(日) 15:17:25.18 ID:tKkyfs7T0
>>249

【この変わりようは居合より速い。私が置いていかれるなんて】
【ついていけないというか行きたくないと言うか】
【ついつい、またため息が出てしまう。】

はぁ〜〜〜〜そりゃ、そうでしょうよ。
こんなめんd………めんどくさいの来たら

【流石に初対面にめんどくせえやつというのは失礼かと思ったが】
【一寸悩んで言い切ることにした。こういうやつは大太刀でもない限り傷つかないメンタルだ】

――あ、すいません。会計別で。ホントに知らないヒトなんで。

【ね、じゃない。】

【店員がこっちを向いたときに間髪入れずに返す刀を抜いた。】
【大騒動巻き散らかして、店員も常識的なヒトであるならば】
【どっちの発言にウェイトがあるかは簡単に判断してくれることだろう】

それで…何の御用ですか。

【一応自分は、ヤクザの親玉で、そこそこ有名な企業の経営陣で】
【あとはいわゆる能力者界隈でも有名人とつるんでいる。何処かで顔が売れてるかわかったものでもない】
251 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 15:29:17.25 ID:PGzdE24Bo
>>250

【店員は少しキョトンとしたが、そこはプロフェッショナル、すぐ様かしこまりました、と言って会計別に】
【少女の方はと言えば、一瞬ごねるか迷ったが、効果がないと判断、渋々その発言を通すだろう】
【飲み物が直ぐに運ばれてくる、甘味の暴力とも言えるそれを彼女はぐいーっと飲んで】


何の御用と言われてもですね、用事がないとケッコンを申し込んじゃいけないんですか?
お姉様ったらデキる女の人っぽいのに頭固いですねっ、時代はグローバル化ですよ、グローバル
国際結婚が声高々に叫ばれる時勢に於いて、ケッコンはお付き合い後だなんて遅い遅いぷーちゃんです

まぁでも、昔はお見合いとか使ったスピードケッコン、産めや増やせやワンナイトラブの時代だったりしたんですかね、よく知らないですけど


【少々どころか遥かに度を超えた失礼でぶん殴ってくる、むーっとした視線は会計別に対する抗議か、──────】


────── まぁ、国の垣根が希薄になってきてますしぃ、お姉様もケッコンに関してはもっと柔軟にいきましょ
丁度この「水の国」にもあるじゃないですか、水の国と星の国と、後は少しの桜で出来た合いの子が


【ですよね、なんて小首を傾げる、言外に仄めかすのは、新楼市、────── 件の街であった】
252 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/27(日) 15:49:26.20 ID:tKkyfs7T0
>>251

【店員にはニコリと笑顔、目の前の少女には真顔をぶつけて】

結婚のタイミングについてはまあ、好き好きですから文句はないですけど。

単純に、好みじゃない。

【こちらも負けじとコーヒーをすする。こんな小娘に手玉に取られるようじゃヤクザの親分がつとまるものか】
【しかし、話が変わればこちらの視線も態度も変わる】

…あれはどちらかと言うとキメラの類に近いと思いますけどね。
グローバリズムの弊害とも言えるわ
253 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/27(日) 16:06:43.36 ID:PGzdE24Bo
>>252

【古風ーだなんて言って茶化す、─── 向こうは海千山千のだろう、効果がないのを自認してか、大きく息を吐く】


まあいいですよ、あとでケッコンしたいって言っても遅いですからねっ


【などと意味深な事を言いつつ、話をスライドさせて】


あ、詳しいんですね、私なんかよりずっとずっと、詳しそうです
でしたら、浅学非才な可愛い小娘に、けーもーしてくださいよ、けーもー
なんでキメラだと思うんですか? 水と星とが手を組んで、うまくやってきましょーってとこでしょ?
254 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/27(日) 16:31:02.95 ID:tKkyfs7T0
>>253

【訝しげなジト目を向け、一体どこの誰か―――ああそうだ】

いやいや、何処の誰かも知らない相手なんですから
それが普通ってものじゃないの?はぁ〜〜〜もう。

お名前伺っていいかしら?話すも話せないじゃない。

【頭が痛くなりそうだ。とりあえずはサンドイッチを食べる】
【というかそもそも話を聞くのはこちら側だったはずなのにもう逆転している】
【何をうまく手玉に取られてしまっているようで少し癪だ】

…元々あの街は水の国でありながら櫻人の入植が盛んだったの。
ただ水の国政府がその街を街と認めたのは経済的に発展して、認可したほうが
税収が増えるからっていう下心があってのことで、時の政府は重い税金を課していた。

そういう背景もあって、当時から市民運動とかが盛んだったわけ。

それから時が進んで、星の国。星の国は高い工業力を持ちながらも国土の
環境汚染やら資源の枯渇、増加した人口問題など多く抱えていた。

そこで一部工場や人口を他国に移住させ、国家の飛び地を作ろうという計画が生まれた
――『コスモポリタン計画』っていうやつね。

水の国政府は星の国の技術と経済力欲しさに快諾し、今の新楼市を特別行政区に仕立て上げた。
新楼市は湾港が整備されていて輸出入にはもってこいだったし、そういう『厄介事』を押し付けるには
ちょうどいい場所だった。

かくして、星の国が入植し出来上がった街をニュースタイル地区、それまでの街をオールドスクール地区になったわけ。

考え方も文化も違う人が政府の命令で急に仲良くやれっていわれても難しいものよ。
経済格差なんかもあって、あんなギスギスしたカオスが生まれたわけ。

255 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 19:23:09.73 ID:HYpEIwhX0
【水の国―ミールシュタイン―中央道路】


《ザ―――ザ―――現在中央道路を暴走車両が北上中。》
《捜査官一名が追跡中―――ザザ―――逃走中なのは氷の国国籍の男性―――ザザ》


【近代都市の中心部に存在する巨大な4車線道路の上に存在する陸橋型の高速道路】
【常に多くの車両がハイスピードで行き来するこの場所で、今特に凄まじいスピードで駆けるセダン車が一台】
【さらにそれを追う黒い大型バイク、バイクの前部にはパトランプが取り付けられている。】
【立体高速を走る他の走行車の合間を縫うようにして高速で移動する二台は止まる事をしらない。】
【スピードは上がる一方であった。】



クッソ、このままだと市街地に降りられる―――ッ!
あんなのが人口密集してるこの地域に降りたら大惨事になってしまう
タイミングだ、タイミングを見てやるしかない。


【黒い大型バイクを運転する人物は歯噛みした。】
【全身を新品の黒いスーツで包んで、黒い長髪は後ろで結んだ碧い瞳の身長170cm程の中性的な容姿の若い女性であった(頭はフルフェイスヘルメット)】

【そんな彼女の感情を他所に、セダン暴走車両は高速道路の出口へと入り料金所のバーを破壊して市街地へと降りる】
【その先にあるのは不幸にも交差点のある大通り、信号は赤だが勿論暴走車両に止まる道理はなかった。】

【大型バイクを駆る女性は意を決して右手を前方に構える―――だが暴走車両も交差点へ突っ込もうとしていた。】
【彼女の異能行使が間に合うのか、それとも第三者が介入するのか―――それとも最悪の事態か?】



256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/27(日) 19:40:14.39 ID:ViCDQrN9o
>>255

【暴走車両は交差点へと直進。前方には一台の黒色の乗用車が交差点を通過しかけているところだった】
【そのまま暴走車両が乗用車に真横から激突。両方が慣性を引きずったままに道路を斜めに移動して歩道に乗り上げる】
【黒色の乗用車が電柱に激突して二つの車両が強制的に停止。電柱と暴走車両に挟まれて黒色の乗用車は前方部分がほとんど潰れていた】

【道路を歩いていた人々が悲鳴をあげながら逃げ惑う。そんな中で奇妙な轟音が響いた】
【低音の衝撃音。それと共に黒い乗用車の扉が激突している暴走車両ごと吹き飛ぶ】
【暴走車両は数メートル後退する程度だが、扉は数十メートルも吹っ飛んだ後で歩道に落下。重い金属音をあげる】


……『Highway Star』をかけながら運転すると事故を起こすというのは
あながち迷信でもなかったかもしれないな。車が酷い有様だ


【愚痴を零しながら潰れた車から出てきたのは無傷の男だった】
【暗闇のように黒い髪に漆黒の瞳、影のような黒衣を身にまとったどこか異質な気配のする男だった】
【男は車から降りるなら周囲の状況を見ると、肩をすくめる】


車どころじゃないな、これは
全く……なんなんだ、こいつは?


【苦笑しながら暴走車両の方へと歩いていく】
257 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 20:00:49.27 ID:HYpEIwhX0
>>256


―――なッ!?



【 !? 】

【大型バイクに乗った女性が異能を行使するより先に、暴走車両は黒塗りの車に激突してしまう。】
【だけに留まらず、激突してしまった車両のドアが吹き飛び中から無傷の男性が出てくる。】
【大型バイクを運転してた若い女性は事態を飲み込めないまま路肩にバイクを停車させ、出てきた男性へと駆け寄る。】
【ヘルメットを外して黒曜石のような髪の毛をたなびかせながら心配そうな表情をしている。】


あ、あの大丈夫ですかッ!?すみません俺の判断が遅れたばっかりに…
どこかお怪我は?あ、あと車もこんなになってしまって―――あっちょっと危ないですよ!



【青ざめた顔で大破した車と無傷の男性を交互に見て】
【そして暴走車両へと近づこうとする男性を焦った様子で静止しようと声をかけるだろう。】



【―――暴走車両も無残な有様であり、運転席ではエアバックにもたれて一人の男が気絶しているのが伺える。】

258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/27(日) 20:06:35.64 ID:ViCDQrN9o
>>257

【男が声に気がついてそちらを見やる。無事であることを示すように軽く手を振る】


あぁ、平気だよ。“このぐらい”ならね
ただそうだなぁ、巻き込まれたお詫びを考えてくれるんなら、この後に食事でもいかがかな?
美しい髪を持つ女性は好みなんだ。良ければだけどね


【軽口にも思えるような言葉を返しながら運転席の中を伺う。運転手は気絶】
【単に犯罪者が逃走していたというのなら、これで事件は終わり。だが、車両だというならもうひとつ疑う部分がある】
【男はあまりにも当然だと言わん自然さで車両の後部へと向かう。まずはそのトランクへと】
259 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 20:19:18.63 ID:HYpEIwhX0
>>258


―――えっすみません、本日は夜勤で朝まででして………後日でしたら構いませんが
しかしあの勢いでぶつかってご無事とは強運をお持ちと言うか、もしかして何か異能をお持ちで?


【若い女はあまりにも正直に答えた後、無傷の男性の姿をまじまじと見つめてから問いかける。】

【暴走車両の運転手をよく見れば、首の裏に何かに刺された痕≠フようなものが見受けられる。】
【そしてトランクは、何故か高度な認証ロックが掛かっており開けようとしても開かないだろう。】
【尤も、普通のやり方で開けようとした場合だが。】


あ、あの困ります………こちら我々水の国警察の管轄なもので―――あの


【暴走車両を見回る男性の後を追って、やはり慌てた様子で説得を試みる。】

【―――そして、数台の車両がこちらに接近してくる。まるで暴走車両を取り囲むように】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/27(日) 20:31:20.79 ID:ViCDQrN9o
>>259


それじゃあ後日にでも食事にいこう
どんな料理がお好みかな? 店を選んでおこうじゃないか


【会話を続けながら視線が運転手から車両、トランクへと移る。奇妙な刺し傷も頭に留めておく】
【トランクを開けようとしても開かない。「ふむ」と一言漏らして後ろの女に振り返る】


まぁ、そう言うな。こんな世界じゃいわゆる“正義組織”が闊歩してるんだ
Justiceに対機関連合、最近じゃUNITED TRIGGERなんてのもいたかな?
そいつらだって好き勝手に首突っ込んでるんだ、私のような善良な市民が手伝ったっていいだろう?


【トランクにかけている男の右手に魔翌力が集まる。空気が“振動”するような奇妙な音が生じて、徐々に高音域へと移っていく】
【魔翌力により紡がれる独自の法則を導く魔術が、トランクを構成する金属間の電磁相互作用を強引に消す】
【その結果、トランクの一部がバラバラに分解される──認証ロック以外の防御策があればその限りではないが】
261 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 20:48:08.59 ID:HYpEIwhX0
>>260


は、はぁ………特に料理にこだわりはありませんがなんでも食べれます
―――というか今になって思いましたけどあんまり女子をホイホイ食事に誘うのはどうかと思いますよ


【ついつい男の冷静な雰囲気に飲まれて話に応えてしまったが気を取り直す】
【若干ジト目になりながら腕を組んで相手に注意するような言動になる】
【どうにもこうにも、堅物のようであった。】


ま、あ、そう言われるとそう………ですね。
一応俺も警察内の特殊な部署、異能犯罪対策係に所属しているのですが(インターンだけど)

あっ申し遅れました、俺は真諦院 正義/しんたいいん せいぎ≠チて言います。
宜しくお願い―――ッてああ!?


【礼儀正しく自己紹介しようとした矢先、男の魔術によってトランクの一部がバラバラに分解される。】
【流石にやり過ぎではという表情をする真諦院だが、もはやどうにもならない。】

【トランクの中には真ん中に銀色のハードケースが置かれているのみであった。】
【そしてハードケースの中には、ただ一つUSBメモリーが入っている。】


262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/27(日) 21:01:11.02 ID:ViCDQrN9o
>>261


おいおい、どういう問題があるっていうんだ?
それに事件に巻き込まれた詫び代わりに、って言ったじゃないか
それぐらいの幸運を私にくれたって、いいと思うんだけどね……


【会話を続けながらも視線はトランクの中に注がれる。出てきたのはたった一つのUSBメモリー】
【小さな笑みが溢れる。大層な偽物であるか、やはりこのUSBメモリーが重要な情報を保存しているかのどちらかだ】
【そしてもしも後者であるならば、それなりには“面白そう”だ】


正義……正義? まさよし、じゃなく?
いや、そもそもそれじゃ男の名前だな……トランスジェンダーなのか?


【事件とは全く関係ない質問をしながら男はハードケースの上に指を置く。再び魔翌力の青白い燐光が灯る】
【魔翌力が擬似神経の役割を担いUSBメモリに接続。起動に必要なエネルギーさえ供給】


さて……中身は何かな


【さらに内部の情報を人間が理解可能な形式に変換して男の脳に映像として展開させる】
【魔術としてはあまりにも高度であるが、電子機器がある今となってはただ無駄に手間なだけの魔術】
【それを息をするように行使していた。が、プロテクトの類があると読み取れないだろう】
263 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 21:23:51.86 ID:HYpEIwhX0
>>262


いや、何と言いますか
今のご時世直ぐセクハラだのなんだのってなるじゃないですか
別に俺がどうのこうの言うつもりはないんですけど、お気をつけた方が良いかと


【「俺と食事しても幸運は訪れないと思いますけど」と続けて苦笑する。】
【どちらかと言うと男性の方を心配しての言葉だったようだが、やはり堅物である。】
【そして続く男性の言葉に腕をぶんぶんと振って反論する。】


よく間違われますけどせいぎ≠ナすせ・い・ぎ=I
それと身も心も女です!その発言も今のご時世危険すぎるんで止めた方がいいかと!

―――というか貴方のお名前は教えて下さらないんですね!


【本気で怒った様子で腕を組んで男性から視線を外す。どうにも見かけ以上に幼稚なところがあるようだ】


【―――】
【――――――】
【――――――――――――】



【《国境都市ベロボーグ≠ノて黒幕≠フ動きあり》】
【《異能犯罪者収容施設シーリン地下=t《テルミドール大佐》《オブライエン大尉》】

【USB内の表層には断片的な情報しか入っておらず、他は厳重なプロテクトがかせられている。】
【国境都市ベロボーグ≠ニは、水の国と氷の国の国境線上にある地方都市であるが―――】
【他の単語も男性にとって引っかかるものはあるだろうか】



「―――オイ、あんたら」



【不意に二人の背後から声がかかる、若い女の声だった―――】
264 :ギンツブルク ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/27(日) 21:31:21.34 ID:QKiLcz/J0
>>220

創造の前には破壊が伴う、か。この街に広がる戦火と騒乱は君たちにとっては決して都合の悪いものではない。
ともすれば世界の再構築に着手するには良い契機、しかして何かを描くキャンパスが破壊に飲まれては意味のない話だ。

【であれば、子供の描く夢物語、夢想家の描く現実味のない戯言と同じ】
【絵に描いた餅は食べれない、絵の中に描かれた大火は現実に作用しないなどという話では済まされない】
【そもそも描くべき紙と描くための絵の具が無くなったのなら――――何かを描く行為すら許されないから】

君たちとパトロンとの間にある認識には相違があるようだ。
あまりに口喧しく耳元で喚くというなら―――君達の意のままに出来る術を提供する事も吝かでは無い。

人間という生き物は存外に面倒なものだ、特に自分の意にそぐわぬ存在は殊更に。
描く景色、その終着。人は同じ方向を向いていたとしても同じ景色を見ているとは限らない。
君たちテクノドッグスと"本社"とやらとの関係もそれを如実に物語っているだろう。


――――、話が脱線してしまった。ああ、"ネズミ"の話であったな。
ははは、我々を猫呼ばわりか。猫などと言う愛玩動物であるならどれほど可愛げがあるだろうか。

まず一つ。"円卓"と呼ばれる集団。魔制法に異を唱える者ども。
もう一つ。……恐らく此方の方が深く関与しているだろう。

―――――マイ・キリサキ。先日始末した者どもの一人がその名を口にしていたよ。
マイ・キリサキの真意までは測りかねるが、この街の騒乱、その図面を引いているのは彼女だ。


【捕らえた?否、霧崎舞衣の息のかかった人物を殺して、墓場の王の能力でそれを魔導書に仕立て上げ】
【強制的に蘇らせた後、知る限りの全てを吐かせたのだ―――創造主と被造物の力関係を以てして】

//後半の"ネズミ"の下りで不都合等がありましたら仰ってください。その時は差し替えますので
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/27(日) 21:42:49.77 ID:ViCDQrN9o
>>263


お気遣いどうも。その名前と一人称では私の勘違いも仕方ないと思わないか?
それと、私の名前はブランルだ。家名もミドルネームも“要らない”、ただのブランルだ


【返事をしつつ魔術を実行し続ける。過程が多いために情報の変換には必要以上の時間がかかった】
【だが何とか表層部分の情報を抜き出すことに成功。聞き覚えのある単語はたった一つだったが】


流石にこれ以上の情報を取るのは魔術だと“手間”だな。セオドアにやらせれば可能なのだろうが
ベロボーグで黒幕の動きあり、シーリン地下にテルミドールとオブライエン、か
メルツェルの自動人形が足りない気がするがな……ふふ、まぁいい

残りは家に帰ってじっくり解析するか
もしくは、手柄代わりに君に譲ってもいいな、真諦院正義


【あっさりと読み込んだ情報を喋りまくる。声が聞こえたときには微笑を浮かべていた】


おっと、来るならもっと早く言っておいてくれ
後ろから撃ち殺されて喋れなかった……という展開の方が良かったかな?
それだったら悪かった、私は空気が読めないとよく言われる方でね……


【大仰な口ぶりで、まるで台詞を諳んじる役者のように言いながら背後を振り返る】
266 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 21:57:32.17 ID:HYpEIwhX0
>>265

【振り返ればそこには数台のセダン車、それも暴走車両と同じ車種が止まっている。】
【そして二人に声をかけたのは右側の髪だけ少し長いアイスブルーのアシンメトリーに同じくアイスブルーの瞳の少女】
【よく手入れのされた藍色のPコートにジーンズ、丸いレンズのサングラスという出で立ちで不機嫌そうに立っている。】
【―――特にブランルの方へとじっとりとした視線を向けたあと歩み寄る。】


「氷の国外務省三等書記官のオブライエンだ。この度はウチの国の者が迷惑をかけたな
 車の代金から医療費、示談金は外務省窓口まで請求してくれ。」

「既に当局との話はついている、その車と男―――それとアンタの手に持ってるUSBを貰い受ける」


っははい!こちらは水の国警察刑事局異能犯罪対策係≠フ真諦院 正義と申します!
ブランルさんそれを………。


【オブライエンと名乗った少女はどうやら役人のようであった。】
【手際よく書類を真諦院に押し付けると背後に控えていた黒服に指示を出して車両を撤去しようとする。】
【気絶した運転手には鎮静剤が注射され、そのまま運び出される。】

【―――オブライエン=Bだが役職は真逆と言ってもいい。ただ姓が同じだけなのだろうか。】


【早く渡せと言わんばかりにオブライエンはブランルに右手を差し出す】
【サングラスの奥のアイスブルーの瞳は相手を冷たく見つめている。】
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/27(日) 22:17:29.94 ID:ViCDQrN9o
>>266


……ふむ


【どうやら追手ではないらしい──少なくとも見た目上は】
【ブランルは敵ではない、などとは考えていなかった。根拠があるわけではない】
【この状況、現れたのが本当に名乗ったとおりの立場の人間の可能性もある。だが敵の可能性もある】


ああ、渡してやってもいい
だがそうだな、“確認”を取ってもいいかな?
書類だけじゃなく、外務省や水の国の警察にだ……そっちにも連絡が行ってるんだろ?


【ハードケースからUSBメモリを取り出して、反対の手で携帯端末を取り出す】
【電話連絡で確認を取りたいということだった────が、それ自体はどっちでも良かった。時間稼ぎのようなものだ】
【小さな魔翌力の反応。発動したのは人の脳内から情報を抜き取る精神魔術だ】

【それがオブライエンという少女と黒服たちに同時に向けられていた】
【ただこの魔術はかなり繊細なため妨害も容易だし抜き取れる情報には限りがある】
268 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 22:35:51.81 ID:HYpEIwhX0
>>267


「ッチ―――好きにしろよ、どうせ同じことだけどな。」

あっブランルさん、俺は警察の方に問い合わせてみますねッ!


【オブライエン書記官はあからさまな不快感を表情に出しながら舌打ちすると肩を竦める】
【ブランルの脇にいた真諦院も同調するようにバイクまで走っていき、状況を確認し始める。】

【―――結果はやはり同じだった、しかるべき手続きを以て身柄の引き渡しが認められている。】
【『ブランルさーん!問題ありませんよ!』と真諦院の大声が響く。】

【だがそれを目くらましに発動したブランルの魔術は到達する。】
【黒服たちから得られる情報それは「国境都市の調査に向かった国家保安委員会の工作員保護という任務」】
【そして目の前にいるオブライエンという少女が「外務省三等書記官という肩書に加えて軍の特務大尉という肩書もある事」】
【であった。】


【そしてそのオブライエンと言う少女に向けられた魔術は弾かれる=z
【精神や脳に特殊な防壁を展開しているのか、バチンッという音と共に魔術は弾かれ同時にオブライエンがよろける。】
【サングラスは滑り落ち、コンクリートへと転がる。そしてこめかみを抑えながらオブライエンはブランルを睨みつけた。】


「―――ッ手前ぇ………一緒に来てもらおうか?」



【オブライエンの反応を見て、黒服たちが一斉に腰へと手を回す―――銃≠セ。】
【だがこの異国の交差点でいきなり発砲するような愚行は犯さないだろう、故に連行する。】
【オブライエンはゆっくりとした足取りでブランルへと接近をしていく】
269 :ラース・マグヌセン ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/27(日) 22:48:13.59 ID:tKkyfs7T0
>>264

ほう…我々のやり方は『調和的』ではないとでも?
流石は公安殿だ。冴えたやり方をお持ちのようで。

我々は所詮、野良犬。能力者を街頭に吊るす術以外不得意なものでして

【ラースはわざとらしく言い放った。この眼の前に居る人間が】
【能力者だとわかっていての言動だ。黒幕派は反能力を掲げているが】
【公安など多くの人員には能力者も多い。しかし、テクノドッグス社に能力は必要ない】
【ラースもまた無能力者であり、急進的反能力主義者でもあったがこれは知られては居ない話】
【ただ立場上、そうであることは想定できそうなことだ】

言ってしまえば―――我々は本社の命令を遂行するまでです。貴方方の理想に
添えられるかどうかは…本社次第。ということです。

所詮、私も貴方方も上の命令を実行するだけ。犬と、猫ならちょうどよいではないですか。
それとも――貴方方は高貴な虎かライオンとでも?

【これだから能力者はとラースは心の中で思う。奴らが個人主義的であるから世界は統一されないのだと】

ええ、ええ。櫻の国のマフィアでしょう。市長やその周りを揺すって、ブン屋にいろいろ書かせたのは知っている。
まあ、そのへんは流石ヤクザというところでしょうな。しっぽを見せず、上手いこと引っ掻き回してくれた。

そのヤクザ共の雇い主が円卓派だと思っていましたがね。所詮、小悪党。円卓の金にでもつられたかと。
だから、青写真はその円卓の老人共がかいているのでは?


/問題ナッシングトゥーマッチです!
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/27(日) 22:51:20.71 ID:ViCDQrN9o
>>268


では失礼して


【宣言した通りに電話連絡を行なって身元の確認を取る】
【電話越しの相手と会話をしながら同時に魔術を発動。口を動かしながら脳が情報を処理する】
【別の動作と同時に高度な魔術を行使するという離れ業だが、この男にとっては慣れたものだった】


確かに身元の確認はできた。お前は外務省所属らしいな、オブライエン
そして同時に氷の国国軍の特務大尉だとか。そこの男は国家保安委員会の工作員か
おい、真諦院正義。こいつらかなり怪しいぞ。陰謀の匂いがする


【どこか楽しげな表情で入手した情報を正義にも伝える】
【黒服たちが銃を構えるとおどけたような顔をしながら両手を挙げる】


一緒に来てもらおうか? 一体どういう理由でだ?
ここは水の国でお前たちに許されているのは一定の行動だけだ
私を捕まえたければ水の国の警察に改めて許可を取ってはいかがかな?


【異国でいきなり発砲は立場的に難しい。同様に連行も難しいだろうという部分を利用】
【そう言いながらハードケースを持ったまま歩き回る。銃を向けられているというのに恐怖は微塵もない】
【向かう先は正義の元だった。近づいたところで何もしない──まだ】
271 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 23:04:07.71 ID:HYpEIwhX0
>>270


「―――ッ何!?」


えっ?国家保安委員会?一体どういうことですブランルさん?


【自身の素性、その裏まで看破されたことに眼を見開いたオブライエンは背後の黒服たちへと視線を向ける。】
【「なるほどな、クソ野郎」と状況を素早く認識したオブライエンとは苛立ちを一層強めてブランルを睨みつける。】
【一方で未熟も未熟な真諦院は状況を飲み込めていないが、顔には緊張感が張り詰める。】

【事故による騒ぎは収束気味だが、逆にその後の一連の状況に注目が集まってきている。】



ブランルさん、下がっていてください………ここは俺が


【近づいてくるブランルとすれ違うように真諦院は氷の国の一団の前に立ちふさがるが】
【その瞬間にオブライエンが軽く右足を振るような動作をする、すると】

【オブライエンの右足から空気の弾丸のようなものが発射される、狙いはブランルの持つハードケースだ】
【それを正確に打ち抜いて吹き飛ばそうとする。不可視の一撃―――だが風を切る音などで接近は感知できるだろう】
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/27(日) 23:25:28.69 ID:ViCDQrN9o
>>271

【空気を固めたような不可視の弾丸を、ブランルはただハードケースを持ち上げるだけで回避した】


申し訳ないが私は“目”が良くてね
その手の可視光と相互作用しない程度の効力は発揮しないと考えてくれ


【実際のところ回避の理由は目ではなく耳だった。音は空気の振動──であれば、聞き逃すことなどあり得ない】
【周囲に集まった野次馬とオブライエン、前に出てしまった正義を順に黒絹の瞳が眺めていく】


(……さて、実際どうするかな
 国内での立場を危うくしてやってもいいし、この場で叩きのめしてもいいが)

……ここは、こうするかな


【前に出ていった正義の隣にブランルが並ぶ。バレないようにこっそりとその腰元に腕を回して】


一旦、退かせてもらおうか
鬼ごっこ、あるいはかくれんぼだ。もちろん、鬼はそちらだ


【そう言って正義の腰を抱えて空高く跳躍しようとする】
【妨害がなく、かつ正義が振り払わなければまずは手近な建築物の屋上に着地】
【さらに数回の跳躍を繰り返してこの地区からの離脱を試みるだろう】
273 :ギンツブルク ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/27(日) 23:37:18.81 ID:QKiLcz/J0
>>269

さぁどうだろうか。ただ気を悪くしたのであればそれは失敬。
決してね、私は君たちテクノドッグスと敵対する気は無いのだ。
寧ろその逆。手を取り合って互いの望む調和に邁進したいとさえ考えている。

ふはは、その通りだ。犬と猫。それで事足りる。
だがね私達を高貴な虎やライオン等と呼ぶには不適格だ。

私達、公安五課は"死者"だ。それ以上でも以下でもない。
死にながらにして生き永らえる社会的死人、戸籍も国籍もはく奪された空白に漂うロストマン。
良くも悪くも人であるのだ――――それ以外の形容を持たない。

マフィア達の雇い主は円卓の老人たちではないようだ。彼らの"供述"の中に老人たちを匂わせる言葉は無かった。
推測でモノを語るのは愚かしい話だが、一小悪党で片づけるには聊か規模が大きすぎる。
円卓の手先として利潤を求める以外の何かがあるのだろう―――そのためにはマイ・キリサキを捕らえる必要がある。
それは君たちテクノドッグスとて同じだろう。故、交友の証としても君たちに提供したいものがある。


【ギンツブルクは隣に座る沙羅にタブレットを出すように促したなら、二、三操作をしたのち】
【ラースの前にある資料が表示された画面が差し出される――――曰く、精神安定剤/トランキライザー】

これは円卓の老人たちが作り上げた精神安定剤。別名抑圧兵器とも呼ばれる。
理由があって私達公安五課はトランキライザーを手に入れ、数を増やすことに成功したのでな。
これを使うといい。街を荒らすネズミにも、意にそぐわぬ相手にも。

【提供する精神安定剤/トランキライザーもまたギンツブルクの支配下にある魔導書】
【だからそれを用いて牙を向くなどと考えたとしても彼には想定の範囲内である】
【そして精神安定剤を提供するという事は―――今以上の鎮圧と抑圧がこの街に降りかかるという事だ】
274 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 23:39:58.27 ID:HYpEIwhX0
>>272


「ッ待ちやがれ―――ッ!!追うぞッ!!」


えっうわッ!?ブランルさんッ!?


【空気の弾丸を回避され、さらに逃亡を許したオブライエンは焦燥に駆られた表情で指示を出す。】
【最早この場に残る意味はない氷の国の一団は一瞬にして姿を消し、ブランルの追跡をするだろう】
【残されるのは真諦院のバイクと、大破したブランルの車のみだ。】

【追跡はしてきているようだが、撒く事は容易だろう。きっとブランルの方がこのあたりの地理には詳しい。】


【「どこに行くんですか!?」とブランルの隣の正義が悲鳴にもにた声を上げている。】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/27(日) 23:47:06.65 ID:ViCDQrN9o
>>274


そんなに慌てるな。ちょっと早いがデートといこうじゃないか
舌を噛むから黙っておけよ────!


【後方確認もしつつ建築物の一つに着地。かなりの高さから落下したにも関わらず、あまり正義に衝撃はなかった】
【その後も跳躍を連続。一瞬で数十メートルほど上昇してすぐに重力に引かれて落下】
【それを何度も繰り返して短い時間でかなりの距離を稼ぐ】

【十数回ほどそうしてから屋上に着地して移動を一旦停止】
【一応は後方を確認するが、ほとんど意味のない行動だろう】


これぐらい撒けば、まぁいいだろう
私もただの警官に命を預けるほど暢気じゃなくてね

さて、これからどうする?
このメモリの解析をしてもいいし、混乱してるなら一旦整理するか?


【そう言って今後の方針をひとまず確認する。右手に持ったハードケースを掲げて示しながら】
【未だに腰も抱えたままだ。こっちは無意味かつわざとだろうが】
276 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/27(日) 23:57:42.97 ID:HYpEIwhX0
>>275


【ビルの屋上へと着地し、ゼェゼェと何故か息を切らしながらスーツを整える。】
【そしてブランルの提案に顎に手を当てて少し考えるような仕草をしてから顔を上げる。】
【先程とは打って変わって警察官(インターン)としてのそれなりの覚悟のある瞳だった。】


―――助けて頂いて感謝します。ですがそのハードケースはこちらで預からせてください。
さっきの人たちが追ってくるとも限らない。これ以上貴方を危険にさらすような事はできません。

尤も、俺より全然ブランルさんの方が凄腕な感じがしますが………ここは警官としてのプライドを守らせてください。


ITにもそれなりに自信があります、解析も任せてください!
約束した今度の食事の時に結果を報告しますよ!


【あまり頼りにならなそうな雰囲気でそう言って、サムズアップ。】
【それに対しブランルがどうするかは自由だ、正義も恐らくは割とすんなり従うだろう】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/28(月) 00:11:18.23 ID:joJm2t0eo
>>276


うん? ……うーん
そうだねぇ……どうしようか


【今日の夕食を考えるような気軽さで、ブランルも首を傾げつつ考える】
【危険に晒すことはできないなどと言われても、今となってはむしろ新鮮な台詞にさえ思えてしまう】
【この自分に対してそんなことを言ってくるというあたりが面白くて、苦笑が溢れた】


私としては女性である君を危険に晒すのも少しプライドに反するのだが
だがまぁ、いいだろう。警官としてのプライドを守らせてやろう
ここは一つ、若い君が成長するための試練として、これを預ける

ただし、一つ条件がある


【ブランルは結局ハードケースを差し出した。彼女の要望したとおりにそのプライドを守らせるために】
【そして何よりも正義感が強そうな彼女の成長の一助のために。正義を見る瞳は少し、楽しげであった】
【だがその表情も微かに真剣さを帯びたものへと変化する】


生き残ることを必ず優先したまえ
このハードケースを失ってでも中の情報を失ってでも
生き残って必ず私に報告をすること。それが条件だ


【正義が危険に晒されるであろうことは分かりきっていた。彼女が成長するために差し出すのであれば】
【生きてそれを確認できねば意味がない。そのための条件だった】
278 :ラース・マグヌセン ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/28(月) 00:15:56.38 ID:bb+QLKu90
>>273

手を取り合う気はあるが、足並みは揃っていない。
…まぁいい、その程度のことはどうとでもなる。

私も似たようなものだ。

マフィアなんぞ過去の遺物だ。既得権益を護るために円卓につくのも考えうる。
現実として――それ以外に何がある?仁義などという独善的行動やもしれんが

…いくらマフィアといえど会長直々に出てくるとは考えられん
我々は法律に基づいて行動している。正義である以上、根拠なしに排除は出来ない。

【ラースは差し出されたタブレットの画面を覗き込んだ。目を細め】
【美術品でも鑑定するかのように】

ほう…精神安定剤/トランキライザーか。…詳細な説明をいただきたいですね。

『特区』でも再教育用に用いられている<NTD>は本社が開発し我々も反政府的な
対象者を捕獲後、再教育に利用している。それに能力者相手なら
注射式能力吸収型ナノマシンや能力抑制装置は開発済みだ。

確かに、此処のところ我々を狙った襲撃が増えています。
必要なのは現場での対応において即効性のある兵器。特に能力者相手に…
279 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/28(月) 00:23:49.86 ID:BV/NpGE00
>>277


―――ッはい!


【ブランルの言葉に強い信念を秘めた瞳で答えながら大きく頷く。】
【そしてハードケースを受け取り大事そうに抱えるだろう。やはりまだ幼さはある。】
【だが意志の強さと正義感だけはあるようだった。そしてブランルにも強い信頼感を感じている。】
【そして何かを思い出したようにポケットに手を入れてペンと紙を取り出し何かを書き綴る】


ブランルさん、貴方は強くて優しい人ですね。
今日は勉強になりました。本当にありがとうございます。


必ず食事と報告させてもらいます。だからこれ―――俺の連絡先です。


【そう言うと自分の連絡先が書かれた紙を渡し、その後握手を求めようとするだろう。】
【それはどこまでも純粋な思いであった。】
280 :ギンツブルク ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/28(月) 00:38:45.10 ID:/Eaw/txp0
>>278

だからこそ、この時のための死者であろう。君たちは法律に基づいて行動し、我ら死者は法律を超えて行動できる。
今の法律には死者を縛り、裁く法などありはしない。お望みとあらば、独り言でも言えばよい。我々は死者だから好きに動ける。

【死者である最大の利点。それは法に縛られない事。死者を裁く法など古今東西見渡しても存在しない】
【故に権力者たちは都合の悪い人間や出来事に対して公安五課の死人を投入して事態の収拾を図るのだ】

トランキライザー。円卓の老人たちが作り上げた人型の対能力者用抑圧兵器だ。

抑圧したい相手に向けて能力を発動させて肉体的にも精神的にも抑圧し鎮圧出来る。
殺傷能力こそ無いが生け捕りや現場での鎮圧にはもってこいの代物といえるだろう。
能力の範囲も広い。ただ今現在保有している精神安定剤は質より量で作られている故に協同が前提となる。


【ラースがタブレットの画面を下にスライドさせていけば、トランキライザーの詳細が記されたページに行き着くだろう】
【白い水と黒い水を操り、相手を抑圧する能力。そんな人工能力者が数十体も生産されて実際の現場に投入されている、と】
【ただ最高傑作たるノインには一言も触れていない。あれは失踪してアルターリの地下に潜伏している】


この兵器の最大の特徴は人の形をしているという事と指揮者/コマンダーの思うが儘に動かせるという事。
故にテクノドッグスの一員であると偽装することもマイ・キリサキの息の掛かった人間たちに紛れ込ませる事も出来る。
専用のデバイスを用いれば遠隔操作とて可能だ。事が起きる前に、燻る種火を消すこともたやすい。

皮肉なものだ。能力者を恐れる権力者が作った兵器が自分たちに牙を向くのだから。
しかしてそれが我らに利をもたらすのならば用いない手は無い。ちょうど君たちのニーズに合っていると思うがね。

どうだろうか、調和を乱すものを嫌う者同士。―――お近づきの印である。
281 :ラース・マグヌセン ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/28(月) 01:17:35.04 ID:bb+QLKu90
>>280

ほう、アンドロイドか。
素晴らしい、実に……素晴らしい

【ラースは笑っていた。とても楽しそうに】

我々もアンドロイドの研究をしていた。<NTD>などはその副産物だ。
ハードは簡単だった。しかし、あと一歩のところで頓挫した。
開発主任であるフォルケンという男が裏切ったのだ。彼は、我々の思想を
受け入れてはくれなかった。内部を公表するとさえ言ったのだ。…だから、『処理した』

しかし、彼は自身の研究の最も重要な技術を隠してしまった。それは――意識だ。
あえて言うならば、『心』だ。アンドロイドが人足りえぬ理由それは自我がないからだ。

――『ソラリス』。

我々はその技術をそう呼ぶ。そしてソレは、彼が唯一完成させたアンドロイド。
行方不明のアンドロイドが持っているのだ。――どうやら新楼に居るようだがね。
ネットワークに度々アクセスしハッキングしてきている。――本社はそれを欲している。

そしてもう一つの『ソラリス』それは『初瀬麻季音』だ。単なる賢いガキにしか見えないが
……本社はご執心だ。手厚く保護するよう命令はくだされている。理由は――秘匿だ。
風の国、UNITEDTRIGGERでの目撃情報は確認されているが…他国ということもある。
それに高名な、カノッサ機関ですら落とせぬ難攻不落の城だ。

そして新楼には目の上の瘤じゃないが…厄介な奴が居る。カノッサ機関、ナンバーズ『カニバディール』と
その一味だ。…円卓派の差金かはわからないが居着いて居てな。策を練っているところだ。

マイ・キリサキの捕獲、逃走したアンドロイドの確保、そしてカニバディールの排除。事態の沈静化。
どれも新楼で片付くことだ……我々も全面的に協力する。

…頼めますかな?
282 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/28(月) 01:33:45.18 ID:bb+QLKu9o
>>280
//すみません、頭痛くなってきたので今宵は失礼させていただきます。
//明日の夜お返ししますのでよろしくお願いいたします。
283 :ギンツブルク ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/28(月) 01:56:40.69 ID:/Eaw/txp0
>>281


心とは実に曖昧なものだ。それを完成させるとは驚愕を禁じ得ないな。
ふむ、現代の科学に於いて最早心はブラックボックスでは無くなったとは。

ふっ、ははははは――――興味深い。心を作る技術があると言うのか。
(そんなモノは不要だよ、ラース・マグヌセン。心こそが調和にとって一番の障害なのだから)

【初めて口元が歪んだ。それも愉快気に。この男にも感情というものがあると知らしめる】

【この場で初めて見せる墓場の王の感情表現。決して作り物ではない本物の感情】
【心や意識こそが不要であると考える墓場の王にとって、それらを必要とする彼らとは見据える先が違う】

【それでも分岐点に至るまでの道のりは同じだから――この場は手を組む】

なるほど。この街には不思議な引力があるようだ。その中身は人によって形を変えれど、な。

マイ・キリサキ及び逃亡したアンドロイドの捕獲、カニバディールの排除。
確かに了解した―――公安五課/特別対策室室長・ギンツブルクが約束しよう。
そして並行して初瀬麻季音の捜索にも協力する。(――事、厄介なのはこの女であろうか)

君たちテクノドッグスは表側から、そして私達公安五課は裏側から。
ネズミを叩くとしようか。ネズミは放置すれば厄介ごとを運ぶ故にな。
それは古今東西変わらない、歴史が証明している――だからこそ、一掃するならば今だ。


――――"精神安定剤"の用法・容量は如何しようか。
ネズミ全てを鎮圧するほどの過剰摂取/オーバードーズをお望みであろうと叶えられる。
間違っても薬の売人が薬を服用するなどという事態に陥らない事を願うよ。


【最期の言葉。それ即ち、状況如何ではテクノドッグスもトランキライザーの餌食になるという事】
【表向き彼らを案じるかの言葉の裏にはそんな意図が隠れていた――墓場の王の真意を知れば敵対関係になるやもしれないから】
【そして真に優先すべきは心を作れる技術、ソラリスを持つアンドロイドと初瀬麻季音である。それ以外も蔑ろに出来ないが】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2019/01/28(月) 13:11:43.29 ID:VJlERVhc0
>>254

【にゃふふーんとほくそ笑む、どうやら興味を持ってもらう事には成功した様だ】
【自分というキャラクターにとって一番辛いのはスルーされること、と内心そう思っていたから】


────── ティナ、ティナ蜜月<買@レンタイン

どうぞ親しくティナたんとかぁ、ティナっちとかぁ、ハニーとか呼んでくださいましっ
お姉様にだったら……私、なんて呼ばれてもいいです、し


【うるんと潤んだ瞳で流し目一つ、媚びのバーゲンセール、大売出し】
【とは言いつつも、貴女が語る新楼市の話を相槌を打ちながら聞くあたり、それなりに理解はあるようだ】


なるほどですね、お偉いさんの意向でぎゅうぎゅう詰めにされちゃったら、たまったもんじゃないですしぃ
水も星も利害で考えすぎなんですよね、だからこんな風に歪みが出るんですから

でもでも、水の国の人にとっちゃ目の上のたんこぶですよね、自分達の土地に他所の人がいるんです
しかもそれはお偉いさんが勝手に決めたと来る、当時の国会、さぞ荒れたんじゃないですかぁ?
当時の技術力とか経済力とかちんぷんかんぷんですけど、今の水の国にとってはそこまで大きくないですし

案外次の "市長選" で、ガラリと様相変わってくるかもしれませんねっ、水の国も大分情勢が不安ですしぃ
外国人排斥運動なんかも、全然可能性としてあるでしょ?


【そう言って届いた軽食をもりもり頬張る、よくもまあこんな細い身体に入るもんだと思わずにはいられない、ほど】
285 :@mail [saga]:2019/01/28(月) 13:40:26.88 ID:m6XO+NnhO
>>211

【To:霧崎】
【From:ミラ・クラァケ】


『前回のメール以来だな、霧崎。一度会っておこうと思っちゃいたが結局合わずじまいで悪ぃな』

『こっちは今“ロッソ”のフリしてるぜ。こないだはUTの酒場で一杯やらせてもらったっけ』
『ロッソのフリは十分意味があると思ってるぜ。ちょいとオカルトな考えだがよぉ』
『神様だってこの世界にはいるんだ。だったらきっと、世界の意思とかそんなのもあって』
『意思があるんなら、嘘は突き通せる。ロッソの存在が重要なら、あたしはいくらだってロッソを演じるぜ』

『それと、櫻に関してはこっちもさっぱりだ。黒幕が噛んでやがるってことくらいしかな』
『新楼やらテクノドッグスは……ぶっ壊すってんなら協力する。』

『とりあえずそのうちそっち行くわ。未来のこととか、タイムマシンとか、なんか聞きたいこといっぱいあるしよ』


【送信。それと同時に、ミラは大きくため息をつく】
【円卓の勝利した未来とロッソの生存。タイムマシン。それらの言葉から連想される<未来>】
【「悪い予感っつぅのは当たるもんなのかもな」ぽつりと呟かれた言葉は、虚ろに消える】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/28(月) 18:25:26.71 ID:m6XO+NnhO
>>199

【──追加のメールの往復があり、そこでミラはカニバディールに場所を提示した】
【荒野。周囲に建造物もなければ巨木や巨岩もない、荒れ果てた地】
【郊外に出ればよく見かける光景の一端を、彼女は敢えて指定してきた】

【カニバディールがその場所に訪れれば、まず目にするのは黒のメガクルーザーだ】
【防弾のガラスに軍用のタイヤ。生半可なカーチェイスでは大破しなさそうな】
【生存に特化したカスタム済み車輌。彼には見覚えがある、のだろうか】

【そしてその傍に立つのは、栗色の髪を刈り上げた黒目の男だ】
【ダウンジャケットにジーンズを合わせた些かラフな格好ではあったが】
【その容姿は、現在行方知れずのあの男そのもので】


『よお、随分と久しぶりだなカニバディール。長い間留守にしていて悪かったな』
『少しばかり手間取る用事を片付けていた最中だったからな……』
『ミラがお前に会う用事があるって聞いたんで、挨拶やら今後の方針をついでに話しておこうと思ってね』
『あぁ、あいつは今車の中だ。疲れてるみたいでな、後で起こしてやれ』

『それにしても、この間もまたあいつを助けてくれたんだって?お前にはいつも世話になってばかりだな』
『全く、あのタコも一度や二度死にかけたくらいじゃ反省しないな』
『心配するこっちの身にもなってほしいぜ…………金は車に積んである』
『謝礼金だ。好きなだけ持っていくといい。まさか受け取らないなんて言わないよな?』


【カニバディールが来たことを察すると、男は不遜な笑みを浮かべて出迎える】
【メガクルーザーの助手席を見れば、赤いコートに赤い長髪の女が見えるはずだ】
【ヘッドレストに思い切り頭をもたれさせ、目はアイマスクで覆っている】
【その上大口を開けてヨダレすら垂らしているあたり、それなりに疲れているのだろうか】
【無理もない。なにせ今のミラは夜な夜な“ロッソ”として動いているのだから】
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/28(月) 18:28:56.37 ID:QGKmGbvOo
>>279

【何とも純粋な人間だな、と心中で思う。自分にもこんな時期はあっただろうか】
【意味のないことを考えてまた苦笑を浮かべる。自分の昔話などに興味のある人間がいるとは思えない】
【だから自分の過去などどうでもいいことだろう】


おや。美しい女性の連絡先が手に入ったのなら、私も車が潰れた甲斐があったというものだ
では、こちらからも連絡先の一つぐらいは渡しておこうかな……


【紙片を受け取り、同様に黒衣から一枚の紙を取り出して正義のスーツ(もしくはシャツ)の胸ポケットに入れる】
【差し出された手には一瞬、虚を衝かれたような表情。続いて苦笑】


全く、青春漫画じゃないんだぞ
君がこれから戦うのは劇的な冒険などではなく地味で血生臭い殺戮だ
……ま、今日は付き合ってやるが


【説教じみた文句を言いながらもブランルはその手を取り、握手を交わした】
288 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/28(月) 20:07:40.77 ID:FtPi91rF0
>>286
【その場を訪れた異形の肉屋にとって、密会場所としてはオーソドックスなくらいの光景であった】
【何もない、ありふれた場所。故に目立ちにくい。自分でも、こうした所を好んで利用する】

【それでも、臆病な小悪党は用心深く巨体を物陰に隠しながら現れたカニバディールは、見覚えのある車体を発見する】
【豊富な金をふんだんに注ぎ込んだ、生き延びることのみを目指した車輌。自分と同じかそれ以上の慎重さ】
【金の使いどころを間違えない、王たる所以というべきか】

【だが、異形の視線が釘付けになったのは、その傍らの存在である。見まごうはずもない】
【驚きを隠せない辺り、この男も王の失踪は知っていたのだろう】
【服装と共に口調をもしょっちゅう変える彼のつかみ所のない性格故に、ラフな格好にも違和感はなかった。だが、何か僅かな……】

(何だ……?)
……ご無沙汰だな。まるで音沙汰がなかったから、崩御されたのかとすら思ったよ。ジルベール陛下
貴方がここまでの長期間、手こずらされるとは余程の面倒ごとだったと見える

……王妃殿下の方も、随分とお忙しいようだな。彼女とも、虚神との件以外ではしばらく会う機会がなかったが
ご就寝ならば、休ませて差し上げるべきだろう。睡眠は大事だ

何、あの時は虚神どもを相手に、その場の全員で対処せざるを得なかったのでね。成り行きというやつだ
それに、貴方や彼女は私にとっては数少ない、味方寄りの存在だ。肩を並べた戦場で、助力するなど当然のことだろう

ふ、ふ。こちらとしては、彼女の勇猛ぶりは頼もしい限りだがね。貴方からすれば、やきもきするだろうな
…………。一度、受け取ったんだ。二度目に否やはないとも。私の条件は、以前と変わらない。優先するのは、参謀閣下とコマチ様。その次に貴方がた二人だ
(……クラァケさんがいるなら、気のせいか)

さて。今後の方針ということは、何か円卓にも動きが?

【以前の会合と同じく、カニバディールの立場は同じ。優先する二人はいるが、それに次いで王に傅く】
【ごく僅かな違和感は、彼女を見てすぐに消えた。少しでも違和感を抱いたこと自体が、この肉屋の他人の肉体に関する観察眼の鋭さを示すといえるだろうか】
【今は、気付かない。ロッソとしての彼女の活動は知らなかったが、その疲労にも不自然なところなどなかった】
【そう。何もおかしくはない】

/すみません、とても遅くなりました……
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/28(月) 20:34:04.40 ID:m6XO+NnhO
>>288

『円卓の豚共の管理やら、黒幕連中の監視やら……政権の方にも多少手回しが必要な問題があってな』
『文字通り忙殺されていたというわけだ。そういえば“M”には実際に死んだ奴がいたとか』
『ミラがそうならなかったことは、俺としては……いや、いい。これ以上は愚痴になるな』

『それは今話すべき事柄じゃあない。話は短い方がいいだろうからな』
『単刀直入に聞こうか、カニバディール。今後の話について』


【カニバディールから目線を逸らさず、男はすっと表情から笑みを消した】
【深刻な何かが進行している──そのような気配が既に漂っていた】


『仮に……仮にだ。もし俺がまた居なくなるようなことがあったとして』
『その時お前はどうする。俺を介して円卓と繋がっている仲だ』
『当然、お前が円卓に忠義を尽くすなんざ思っちゃいない』
『俺にないものをお前に求めるなんざ、お笑い種だ』

『…………俺が気にしているのはだから、あいつのことになる』
『今は大口開けておねんねしちゃいるが、帰ってきたときには随分と怒鳴られたぜ』
『心配かけたというのもあるが……あいつの立場も立場だ。暗殺の危険だってあっただろうし』
『何より──俺以外に、あいつは円卓内に頼れる奴がいない』
『“M”だっていずれ敵になると分かっている以上、あいつは連中を完全には頼らないことだって分かっている』

『正直、どうだカニバディール。俺がいなくなることがあったとして、だ』
『勿論お前にミラを構う理由がなくなるってことも分かる』
『これは……本来は俺が首を突っ込む事情じゃないってことも分かっているんだけどな』
『別に俺がいなくなりゃミラも円卓も関係ねぇって考えているんなら、それは別にお前の自由だ』
『その辺りの本音ってやつを…………聞かせちゃくれないか』


【自身が不在時のミラの処遇。男は徹底してそれを気にしていた】
【だがそれもある種当然か。かつて追い求めていた“リスト”が円卓の泣き所であるならば】
【ミラは彼個人の泣き所と言ってもいい。配偶者の死に心を動かされない程、彼も非情ではあるまい】
【故に聞いていた。カニバディールにとって、ミラがどのような立ち位置なのかを】
290 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/28(月) 21:22:02.89 ID:FtPi91rFo
>>289
現政権の方にも……政治というのも難儀なものだ。賊の私には、申し訳ないがその苦労は共有しかねるな
――――ああ。恐らくはクラァケさんも知っているだろうが、ロッソと言う男がな。Mにとっても大きな痛手だった
王に愚痴は似合わない。それがいいだろう

……? 話が短くまとまるのは、私としてもありがたいことだが……
円卓の動きではないことで、今後についてとは……?

【底冷えのする思い、といえば臆病者のこの男にとってはいつものことだ】
【一瞬にして表情も気配も変わる、このジルベールという男にとっては当然のことだ】
【そのはずだ。だが、やはり背筋を覆う悪寒は消えない】

――――……。ゾッとする仮定だな。まず表明するなら、貴方の言う通り
円卓に対して忠義などない。貴方との繋がりがあったから、そして黒幕の方とより強く敵対しているから
円卓に利する行動をしてきたまでのこと。その貴方が、もし消えたとしたら。もはや円卓に与する理由はない
私が散々獲物にしてきた金持ちたちなど、むしろ敵だと言えるだろう

……なるほど。伴侶の心配か。思っていたより、真っ当な理由じゃあないか
それはそうだろう。長いこと、彼女とも連絡を取っていなかったのだろうからな。心配しているのは、彼女も同じということだ。私が語るのも妙な話だが……

当然だな。貴方だからはっきりと言うが、円卓の中には貴方を快く思わない者も多いと聞く
彼女自身の能力のこともある。これが知られているなら、殺られる前に殺ろうという輩も出るだろう
円卓は無論のこと、貴方の運命を共にする以上Mの面々もいずれは敵。それは前から彼女自身が宣言していたことだ


そこで――――私に白羽の矢が立ったというわけかね
確かに、私の立場はクラァケさんと大差ない。動かせる手駒の数は違うだろうがね
裏を返せば私にも、貴方という繋がりがなければ彼女との繋がりも保つ理由がない……
そこまでは、貴方もわかっておられるというわけだな

ならば……腹を割って話させていただこうか
私は、ご存知の通り敵だらけの賊だ。殺して奪って、散々暴れまわってきた
彼女は。クラァケさんは、その中で本当に数少ない、私が助けて、そして助けられた相手の一人だ

もし。仮に貴方が、彼女の下から消えてしまうことがあったとしても。私個人として、保っておきたい繋がりだ
同じ異形同志というシンパシーもあることだしな

貴方が、この場で私に宣言してくれれば。もしもの時には彼女を頼むと、貴方の口から言ってくれれば
私は、クラァケさんをすなわち貴方だと思って、振る舞おう。貴方と結んだ契約を、そっくり彼女と継続しよう
円卓ではなく、彼女自身とだ。私には、その意志がある

【カニバディールは、真っ直ぐにジルベールを見つめ返して。そう宣言した】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/28(月) 21:56:06.49 ID:m6XO+NnhO
>>290

『…………そうだ。これは敵が多いお前にしか頼めないことでもある』
『分かるだろう。頼れる奴がいない心細さや不安を……お前なら、分かってやれるはずだ』
『お前には随分と盗賊団としての仲間が多いらしいが、あいつにはそれすらない』
『周囲は敵に囲まれ味方がゼロ。そんな状態になっても……でも、あいつなら何かをしようとまた無茶するんだろうな』
『そんな奴だから俺の伴侶に選んだんだ。だが──お前なら分かるだろう』
『ミラの能力ははっきり言って戦闘向きじゃない。足掻いたところで高が知れているさ』

『だから────頼んだ。俺にもしもの事があった時は』
『ミラの味方になってやってくれ。…………頼んだぜ』


【男もまた、カニバディールを見つめ返す。本心で話してくれた彼への、最大限の礼儀であった】
【嘘偽りはない言葉。そしてカニバディールには分かるだろう。彼がこの“仮定”を口にしたという事は】
【それが実現してしまう可能性がゼロではなく、むしろ大きいことを示している、と】


『…………しかし、こんな事裏でこっそり話してたってバレたらまたあいつに怒鳴られちまうな』
『今度こそタコ殴りにされてもおかしくねぇ』
『ま、俺からお前に対する個人的な話はこれで終わりだ』

『後は円卓の動きだが──これはミラにも聞かせといた方がいいからな』
『悪いが呼んできちゃくれないか。おっと、だが気をつけろよ?』
『寝起きが悪い方じゃあないはずだが、ちょっと機嫌が悪いと触腕が飛んできやがるからな』


【空気の緊張を解くように、ジルベールは愉快げに笑った】
【車の鍵は開いている。敢えてカニバディールを迎えに行かせたのは、単純に触腕の攻撃を受けたくなかったからだろうか】

【────指示通り、彼が助手席側のドアを開けて赤髪の女を起こそうとするのなら】
【最初にカニバディールが覚えた違和感が、はっきりと分かるはずだ】


   【 頸。触腕で絞め殺したような痕。コートの襟で隠れていた 】

   【 そもそも息をしていない。薄い死臭。殺したての匂い 】

   【 分からなかった。車内に撒き散らされた芳香剤が邪魔だった 】

   【 アイマスク。取ってしまえば、散大しきった瞳孔と目が合う 】

   【 茶色の瞳。別人。これは“彼女”ではない。ならば、“彼”は 】



   ────ぎゃ、は。随分とカッコいいこと言ってくれちまって、よぉ

   感動しちまったぜ。いや、もしかしたらあたしが“言わせ”ちまったのかぁ?

   なぁカール。…………信じちまって、いいんだな。あんたの言葉を、よぉ



【『もし俺がまた居なくなるようなことがあったとして』】
【────“もし”、ではない。喪失は、今も尚】

【ジルベールがいたはずの場所に立つのは、今や彼ではない】
【彼女、だった。最初から最後まで、“彼”の存在など、この場には────】
292 :ラース・マグヌセン ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/28(月) 23:50:26.94 ID:bb+QLKu90
>>283

我思う故に我在り、だよ。只々、美しい箱庭を作るだけでは意味がない。
どれだけ美しい花瓶の花も、切り取られてしまっていては枯れるばかりだ。
人類は自らの意志で、さらなる段階へ進歩と調和へ進まなければならない。

人類が作り出したもので唯一不滅なものは―――――

<pi pi pi ... pi pi pi...>

【ラースの持つ、携帯端末からのピープ音。彼は慌てること無くそれを取り出して】
【画面を一瞥すると】

…テクノロジーは好きですが、電話は好まない。なぜなら、こう、折角の時間を無下にする
ナンセンスな技術だからです。…どうやら、呼び出しだ。行かなくては。


【ラースはテーブルの上のグラスに入った水に少し口をつけてから立ち上がった】
【病的な微笑を浮かべつつ彼は話す】

動きがあったらご連絡差し上げます。最近、街も騒がしい。近々何かあるやもしれません。
やるならば徹底的に。多少の傷みは伴ったとしても。

…そちらこそ、窮鼠猫を噛むという言葉もありますからな。

hahahaha…

【彼は名刺と、不愉快な笑い声を残してレストランを後にすることだろう】
【後にテクノドッグスの兵士が続く。そちらの方を見ることもなく、一切の生気はなく】
【噂によると、不死身の軍隊と言う話だ。生きても死んでも居ない。奴らは何者か】


【ソラリスは遠く、陽は落ちていく】


/てなところで締めといたしてもよろしいでしょうか?!
/お付き合いありがとうございました!!お疲れ様でした!!
293 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/29(火) 00:18:49.01 ID:thzyhVDA0
>>284

(…相手のペースに乗せられちゃ駄目!)

【心の中で戦闘態勢を立て直し、顔は平静を装う】
【十分にこのノリについていけてないのでわざわざ装う必要もないのだが】

へぇ、流石、賢しいだけあって鋭いわね。

【コーヒーを啜りながら素直に感心すると】

さあ?当時のことは知らないけど、「コスモポリタン計画」はそれ以上実施されなかった
コストも時間もかかりすぎるし、そもそも、受け入れてくれる国なんてそうそうなかったから。

まあ、今、魔制法なんてものが制定されている状況を見るにそのへんの一派が手でも引いて
ポリティカルな事いろいろとあったんじゃない?

排斥運動は既にもう起きてるし…新楼市の動乱はそのへんの歪みによるものだって言われてるから
…市長が変わったところでどうこうなるとは思えないけど。

【「だって降ろしたの私だし」なんて言えず。ただ自分もサンドイッチを食べる。】
294 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/29(火) 01:10:51.84 ID:NQFaYWtw0
>>287


い、いやいや美女だなんてそんな………学校ではゴリラ呼ばわりでしたよ。
ありがとうございます、必ず近いうちにご連絡をします。


―――分かってます、だからまた力を貸してくださいブランルさん。


【それだけ言うと真諦院は手を離し子供っぽい笑顔を浮かべてから小走りにビルを降りていく。】
【ブランルの危惧は正しい、彼女は未だ実戦らしい実戦。つまり命の取り合いの経験がないのだから。】
【そうした局面に直面した時、一体どうなるかは………分からない。】


【だが、二人は約束通り近いうちに再開するかもしれない―――。】


//遅くなり申し訳ありません!ありがとうございました!
295 : ◆r0cnuegjy. :2019/01/29(火) 14:24:36.82 ID:Wpkum0N6o
>>294
//こちらこそありがとうございました。ではまた
296 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/29(火) 15:58:20.17 ID:TajL8WyiO
>>291
……ああ、よくわかるとも。荒野をただ一人で進むような心持ちは
まして私は望んでその道を選んだが、彼女はそうではあるまい。黒幕どもの弾圧に始まり、現在に至るまで彼女の意思の外で起きた多くの事態が影響している

その上で、貴方さえ居なくなったとして。それでも、彼女は進み続ける、か。眩しいね
分かるとも。暗殺においては比類なき力だろうが、周り全てを敵に回せば……残念だが、勝ち目は薄い

……承った。ジルベール陛下。もしそのような事が起きたならば、私はミラ・クラァケ殿下に助力する
チームMともカノッサ機関とも関係なく、私個人としてだ

【そう、この場で嘘はつかない。こと、彼女のことに関しては。あのジルベールが、彼が唯一愛する伴侶を託すというのだ 】
【カニバディールは悪党だ。故に、悪党として生きる上で生まれた繋がりや恩義には、可能な限り報いる。この男なりのやり方で】
【同時に、今このようなことを彼が口にする意味。ジルベールほどの男が、己の消失を意識しているということを恐れる。裏では何が起きているのか】

ふ、ふ。違いないな。世界を獲ろうというのに、その前に消えてしまうことを考える、などと。私も、大目玉を食らいそうだ
タコ殴りにされる時は、私も連座しよう

わかった。安眠を妨げるのは申し訳ないが、いつまでもここに留まるのは良くないからな
……それは恐ろしい。不機嫌な時の彼女の一撃を受けたら、骨の一、二本ではすまなさそうだ。充分に用心しよう
(……まあ、私はやられ慣れているからな。王の身体に青あざを作るわけにもいくまい。貧乏くじだが)


【カニバディールは苦笑しながら、彼の言葉の通りに車へと歩いていく。物騒だが乗り心地の良い車だ。良く眠っていることだろう】
【助手席側に回り込んで、触腕に備えるように少し身を引きながら。その手を彼女の肩へと伸ばしかけて。その動きが停止した】


────!?
死ん……いや、この目は……

【ようやく死臭を鼻が捉えた。常人よりは鋭敏なカニバディールの嗅覚も、芳香剤に誤魔化された】
【思わず、アイマスクをむしり取る。見慣れた死者の目。開いた瞳孔。目の色が違う。彼女の、あの鮮烈な赤ではない】
【首をを見る。絞殺。残る痕跡は太く、そうまるで、彼女の手口】

【一歩、二歩。後ずさる。顔を上げて、『彼』を見る】
【かつて、己が完璧の傍らと称したその力は、些かも衰えてはいなかった。悲しいほどに】

…………。そう、か
もしものことがあれば、ではなく。もう、起きた後だった。そういうことか

【カニバディールは悟った。そして、彼女を見た。先程までと何ら変わらず、真っ直ぐに。目玉が3つある醜悪な異形の形相で】

────いいや、私が言ったんだ。私の意思で
自分で言うのもなんだが、私はこれで義理堅い方でね。優先順位はあれど、な

私と、私の命の恩人たちの利害に、動かし難いほど触れることのない限りは
約束しよう。我々『スクラップズ』はジルベール陛下との契約に基づき、貴女個人に味方する
297 :アルバート・ウィンチェスター ◆/iCzTYjx0Y :2019/01/29(火) 16:53:55.91 ID:eYWO7O5c0
>>205

【スタンの表情は、ほんの少しだけ明るくなるだろう。この鈴音にだけは(胃袋を掴まれて)忠実な恐竜は、】
【流石に恐竜、とだけあってバカまっしぐらではあるのだが、その分感覚が鋭く、匂いに敏感で、そして表情の変化に強い。】
【鈴音の顔が入店時より、幾分か"それらしさ"を取り戻している事が嬉しかったのだろう。良かった、なんとなく―――いつもの、鈴音だ、と。】

【「あぁ……そういえば。これはステーキではなくて、ハンバーグだったね。ははは!―――と。】
【アルバートは鈴音に一本取られたようで、きょとんとしてから笑った。そうか、冗談染みた事も、言ってくれるのか、と。】
【初対面ではあるが、ハンバーグと言う優しい味を挟んで、ようやく両者の間には"知人"としての関係性が生まれようとしていて、それにホっとしたのだ。】

【もりもりと上にあれこれ追加されて、ハッピーで元気なハンバーグとなっていくスタンの豚肉。】
【子供が見たら大喜び、勿論スタンも大喜び。きっとそう、こういうハプニングなんかは起きないお店では―――味わえない。】
【ちょっぴり派手で、どこか優しい。暖かなハンバーグ、みんな一緒の、ではなくて、スタンの為に作られている事が良くわかる―――そんな一品になりそうで。】


【だからそう、そんな喜びと、二人きりの空間がスタンに勇気を与えてくれた。鈴音には、きちんと聞いておこう、と。】


「……、な、なあ。"おきゃくさん"ってのが―――なんなのか、イマイチさあ、よく分かんねえんだけどさ、あたしには。
けどよぉ、……あたしはっ、"スタンさま"、だろ? りんねのさ、……"ともだち"だろっ?? だから……、だからっ!!」

「―――困ってるときに居なくって、こんな時になって言っても、りんねは怒るかもしれねえけどよ!
……な、なんかあったら!! ―――頼れよな!! なんたってあたしは―――"むてきのティラノサウルス"なんだからよ!!」


【もう、このまま住み込んで一緒に居るからとまで―――言い出しそうな雰囲気で。言葉の選べない彼女は、ストレートに感情を表す。】
【だが、時に言葉が選べない事も良好な関係の為に必要になる事はあり―――今がその時かどうかは、まだわからないが。それでも、鈴音にそう呼びかけ。】
【多分本当に、頼まずともUTに居付いてきそうなくらい、親身な表情。この女の良い所があるとすれば、人に比べれば間抜けかもしれないが、"ウソ"をつかない、ところだ。】

【―――奥の方では。そんな言葉を聞いて、戻るタイミングを微妙に図っているアルバートが居たり、するのだが。】
【さておき、ハンバーグもそろそろ焼けるころ、だろうか。格好悪い事に、そんな言葉を発したスタンのおなかから、またぎゅるるる、と音が鳴った。】
298 :ギンツブルク ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/29(火) 18:16:23.46 ID:GELWBKBj0
>>292

―――了解した。ただ、我々が介入して多少の出血で済めば良いがな。
窮鼠猫を嚙む。くくっ、果たしてその一噛みで我らを殺せるのかね、興味深い。

一つだけ持論を述べさせてもらう。人類が自らの意志で進歩しようが調和に進もうが
人が人である限り、人が原罪を持つ限り―――必ずほころびが生じる。
それだけは決して変わらない。不変の真理だ。人が原罪を捨て去らぬ限りは。

【恐らく、いいや両者では見据える景色が異なる】
【意思を尊重する調和、意思を不要と断じる調和―――しかし、同じ向きであるなら】

【やはり、今のところは手を組むのだろう。少なくとも墓場の王はそう判断している】

食事は終わりだ。警備隊長殿の進めた料理は確かに美味であった。
………行くぞ、沙羅。ランチタイムは終わりだ。

――――、大がかりな掃除となる。最悪この街をゴーストタウンにしても構わん。
"蜘蛛"に"蟷螂"、"葵"や"鳳仙"。後は―――円卓に忍ばせている"棕櫚"に通達しておけ。
公安五課本来の仕事に取り掛かる、と。姿を晦ました"エーリカ"の後処理も併せてな。

「仰せのままに、わが主。――――遂に我らの本懐を成し遂げる時が来たのですね。
 ………最後まで御供致します。たとえ最後の一人となったとしても」


【後日ラースの下に"特別対策室"と名乗ったギンツブルクからメールが送られる】
【精神安定剤/トランキライザーを投入した掃討作戦を行う旨、およびそれをテクノドッグスに貸し与える旨】
【――――新楼市で交錯する思惑に噛むのは死者の理、墓場の王の理屈】

//お疲れさまでしたっ!精神安定剤くんはそちらでもお好きに使ってくださいまし
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/29(火) 19:22:23.31 ID:kYjokjRTO
>>296

【その時の彼女は、酷く脆い笑みを浮かべていた。不安に潰されそうになりながらも、唯一残った希望に縋り】
【それすら消え去ったのであれば、──一人でも進んで行きかねない、孤独な笑み】

【“ジルベール”が語ったのは、紛れもなく彼女自身の状況であり、同時に本心でもあるのだろう】
【だが思うはずだ。彼女もまたカニバディール同様、自分の利益と感情を優先して動く人種】
【そんな彼女が、何故こんな小細工までして彼の本心を計ったのか。彼女にそうさせた元凶は、何か】


ぎゃっは、いつもなら大笑いしているところだぜ…………
悪ぃな、カール。こんな騙すような真似しちまってな

でも────恩にきるぜ。ほんと…………助かる
っ、は…………。あんたには、マジでいっつも助けてもらってばっかだぜ

あぁ、金の話な。あれは嘘じゃあねぇ。ジルなら多分そうすると思って…………
…………、いや、これはちょっとした博打だったんだよ
こうでもしねぇと、あんたの本心引き出せねぇんじゃないかって──不安で、さ
だから適当な女の死体をこさえて、それっぽく見せかけて
ぎゃは、古典的なトリックっつぅやつ?自分の勘より、見えてるもんを普通は信じたくなるってコンビニの本に書いてあったんだよ
それにあんたは…………多分、勘よりも現実を信じるタイプだと思って、よぉ……、


なぁ、…………カール…………、…………。ありがと、なぁ


【不安と罪悪感の為か。言葉は普段よりも更に多い。それでも最後にははっきりとカニバディールを見据え】
【────深く深く、頭を下げた】


【何十秒か。その時間は長かった。それでも最後にはまた頭をあげ】
【カニバディールに向き直るのだろう。まだ話は、終わっていない】


いや、それにしても契約…………ねぇ。契約、契約…………
クッソ……なぁんかその言葉、背中がむず痒くなっちまうぜ
あたし、そーいうかたっ苦しいの得意じゃねぇんだよなぁ
そんな時はよぉ、ダチだからとか…………ほら。そんなんで、良いと思わねぇか。なぁ?


…………ま、ホントはこのまましんみりしたところで飯にでも──ってぇ行きてぇとこだけど、よぉ
めんどくせぇことに、そぉいうワケにはいかねぇんだよな
オマケに残念なことに、今からする話はシンプルかつ短くまとめるっつぅのもちょいと厳しくて、よ

とりあえず、円卓が大きく動き始めてるってぇのはまず伝えておくぜ
頑張ってうまい感じにギュッと要点だけ話すよう心がけるけど、よぉ…………分かんねぇとこあったら、勘弁な
んで。話の発端はこないだ、あたしが受け取った手紙から…………


その手紙の差出人は────水の国最高議会議員 イスラフィール
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/29(火) 22:23:10.96 ID:/8llbGO/0
>>297

――――――お客さんって、言うのはね。"楽しい"とか"嬉しい"とか――、"おいしい"とか、"落ち着く"とか、……。
"そういう何か"、――求めて来てくれる、ひとだと、――思うの。――セリーナは、違っていたかも、しれないけど――。ううん。

セリーナとは、違ってたと思う。――わたしは、お金のこととか、よく分からなくて。難しいことだって、分からなくって……できなくて……。
もっとお勉強、してたら、よかった……。いっぱい時間はあったのに――、

【酒瓶越しの眼差しが揺らいで見えるのは硝子越しであるからだという保証はないのだろう、睫毛を下向かせる角度にて眼差しを隠してしまうなら、悟るには声だけが証拠になって】
【ごく静かな声をしていた。――けっきょく何にも出来ない子なのだときっと自分で一番分かっていた。難しいことは分からないからって任せてしまって、それでおしまい】
【慣れ切った調理場は目を閉じたってお料理できそうなのに、――この場所を維持するためのこと、何も、なにも、出来ないし、知らないし、(或いはやろうともしなかった?)】
【――――じゅうって肉の焼き上がりゆく音に混じりこむノイズ。震える吐息の残滓。――涙を堪えるような一瞬に、一つ、間が空いて】

【火が落とされる。それから、じゅうと音も止んで。――もう一度火がつけられる。もう一度開けた冷蔵庫からいくつかのもの取り出して、いくらかの音がして】
【いろんな音がしていた。そうしてきっと伝えてもいた。じゅうっと沸き立つ音はさっきより水っぽくて、それから、それから、肉ではない香り、ソースを作っているのだと】
【煮立てる少しの間のうちに指先がぐうっと高くに伸びた。流しの上の棚を少しだけ弄ってから、何か取り出して。軽く洗う、出来上がったソースを焼きあがったハンバーグにかけて】
【フライパンもざっくり洗ったなら、――――ごつごつと硬いもの同士がぶつかり合う音。かしゅり。割れる音。――それから、じゅう、と。ぱちぱちと。音ががらり変わって】

――――――――――――――怒らないよ。怒るはずないよ。

【――やがて、カウンターの酒瓶を片側に寄せたなら、カウンター越しに供されるのは。お店みたいな格好いい鉄板なんてメじゃないくらい"普通"のお皿】
【乗っているのはきゅうっと軽い握り拳くらいのハンバーグがいちにいさんこ、上にとろけるチーズを乗っけて、それからたっぷりソースをかけて。――ぽてん、と被る、目玉焼きのお布団は】
【型を使ったのだろう、黄身がちょうど蕊を模したような、真っ白いお花の形。――それから、続けて、ご飯と、――"今日は"さすがに、スプーンとかフォークを添えて】
【一番最後に、ずうっとことこと煮ていたスープ――あった野菜をただ切り刻んでコンソメで煮ました仕立て――を出して、お終い。気取ったところなんて何にもない、食事】

【カウンター越し、ようやくまともに見せた顔はきっと泣いてしまいそうに笑っていた。――「ありがとう」ってささめく鈴の音の声が震えて聞こえるのは、気のせいじゃないから】

【続けてアルバートの分も彼女はカウンターに並べるのだろう。こちらはやはりスタンの分より"大人しめ"の様相】
【――とはいえ、スタンに出したハンバーグより少し大きな一個を作って、半分にしたような二個にやはりたっぷりソースと、ご飯と、スープと】
【いろいろ乗っけるのは焦がしてしまった"詫び"らしいのだから、こちらが彼女の作るいわゆるニュートラルなハンバーグなのだろう。何の変哲もない、ごくごくありふれたような】

【――――それらをカウンターに並べ終える頃には、アルバートも戻ってくるだろうか。ふわふわり立ち昇る真っ白い湯気が、お客様を待ち望んでいた】

【(ところで件の焦げた面はちゃっかり下側にして置かれているようだった。気にしてこっそりひっくり返すのだとして、見えるのは、確かに少し焦げた、けれど、そうでもない色)】
【(見ようによってはそれすら家で出されるご飯みたいで、――、――まあ、三ツ星のレストランで"これ"が出てきたら、大金持ちのお客様は、きっとうんと、怒るけど)】
301 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/30(水) 01:07:09.63 ID:Xvxg0ADio
>>156

無論コマチにそれを教えたのは単に小さい頃に私が口を滑らせただけなんだけどね
……初めてスラム街で出会った時からコマチはボロは着てたけど金の稼ぎ方がしっかりした性根から商売人根性が染み付いてた奴だったのよ
腹を空かせて野垂れ死にそうになってた時ごはんを奪い合ってたのが最初の出会いだった訳よ

で、一時期行動を共にして別れて、1年後再会したらカノッサ機関の『出納係』になってて……
"豊かな暮らしを約束する代わりにアタシの企みに乗れ"って誘われて本格的に組むようになった訳よ。


【ブレンヒルトの生い立ちが少しずつ話された一方、コマチの過去についても少しだけ触れる】
【前回話を聞いた時は"教会"の異端狩りシスター・テレサことエリー・ボーヒーズと同じ孤児院に暮らしていたという話だったが】
【ブレンヒルトと出会った時には一人でスラム暮らしを始めていたのだろうか?まだ完全には彼女たちの過去は明らかになっていない】


無論、実在が確かだと知られてたらもちろん恐れられたし求められたでしょうね……これまでの議員・六罪王や
あらゆる悪の勢力の頂点にいる規格外の戦闘力持ち……ジンジャーはこれらを『首領級』戦力って呼んでたけど
力による支配を企めるほどに強い存在であればあるほど……全てを無力にする力なんて、一番敵に回したくないはずだし

誰も求めてないのはこれまで誰にも知られてなかったし、実在している事など誰も信じていなかった
ていうか知名度自体極めて低かったのよ、"神器"の話は元々私の"お師匠"の一族に伝わってた言い伝え、民間伝承の域を超えない物として
その一族の大半の人物にすらおとぎ話と言われてたくらいなの。信じてたのは"お師匠"一人だけだった


【―――"お師匠"、とは】
【そう―――あの飛行船でのジンジャーとの戦いを終え、帰還したカニバディールが報告した"男"の名前を聞いて、動揺した人物】
【"その人物"の事を彼女は間違いなく、"お師匠"と呼んだ―――だが、"その男"がなぜ話題に上がる?】


―――……でも"お師匠"には、その言い伝えが本物だと確信する何かがあったのかもしれない
それを初代の総帥だった『創設者』に直に伝え……"お師匠"の一派はそれを探してたの。我らがカノッサ機関の……"利"となる話でしょうからね
そうして"お師匠"の知識、思い当たる心当たりを―――当時、世界最高峰の人材、物資、技術が集まっていたカノッサ機関の力を持って掘り起こした結果……

……結果"お師匠"は、『食堂の男』などの有力な同志の力も借りながらついに自分の一族の『遺産』が記録された古代の遺跡を見事掘り起こしたの。
そこはまさに宝の宝庫のような場所だったみたいだし。いくつもの宝玉、聖・旧遺物と行ったあらゆる古代遺物類に分類される、現人類は今なおたどり着いてないほどの
究極のロストテクノロジーの多くが……眠っていたみたい


【ああ、それに関してはは今の人類にもその存在は知らされている―――カニバディールもその一部を所有しているのだから】
【今なおその力を持って多くの脅威が暴れたこの世界。それを生み出したルーツとされる一族がおり、"お師匠"はそれにたどり着いたのか】

【―――たどり着いたと言ったか?カノッサ機関の力を持って?】
/続きます
302 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/30(水) 01:08:05.36 ID:Xvxg0ADio
>>301続き


―――現在の文明を生きる人類の大半、それらが哺乳類から猿人を経てヒトに進化する歴史よりさらにはるか昔。現人類よりもはるかに早く人類への進化を遂げ
現人類以上に発達した『超高度先史文明』を築き上げ、その文明の支配者になるも、ごく一部を除いてなんらかの理由で滅んだ先史人類……

……それは、誰もが"赤い瞳"を生まれついて受け継いでおり、人間でありながら己の肉体を鍛え上げる事で鬼へと変貌する体質を持った者たち
そして清らかで、"強い力"を持つ歌声を持った一人の姫君を自分たちの"主"と称え、彼女によって導かれる事で繁栄した文化があった事から―――"歌姫の一族"と呼ばれていた
そして自分がその『先史人類』の血を引く生き残りであり……『遺跡』にあった記述から、自分たちの祖先が間違いなく"神器"を作り、起動させたことがある事実をみごと暴いたの


【……待て、ブレンヒルトは今……なんと言った?】
【"お師匠"が……カノッサ機関の力を持って"神器"の実在を示す『遺跡』を掘り起こすことに成功したと言ったか?】
【だが待て、それではその人物が……カノッサ機関の人間として働き、その権限と才覚を持って発掘を行ったという事になってしまうではないか】



……"神器"を作った先史人類の『遺産』から"神器"の実在の証明まで行きついた当時の発掘チームの責任者。
後にカノッサ機関を脱退するも……『創設者』の最後の命令を受け、自分の血を受け継ぐ後継者の育成を引き受け、私の師となった『魔術師』。その名は……




       ―――"元"カノッサ機関第一期議員にして『カノッサ機関創設メンバー』の一人……"大江山 骸(おおえやまの むくろ)"。




【「……今は、魔術協会の大山 無玖と名乗って……日本からやって来た青年、剛田 剛太郎の面倒を見ているみたいね」】
【ブレンヒルトは苦笑するように、複雑な感情のこもった面持ちと共にそう締めくくった。】

【……かつて、セリーナ達に倒された六罪王であるリリアが、服役後特別措置で彼女たちの味方として現れた事があったが】
【もしも、それに似た措置を施された人物が一人だけではなかったならば―――?カノッサ機関の大きなポストについていた人材が正義組織に加担する『前例』が存在してたとしたら?】


【―――そして、そいつが犬を通してしか外界に触れたがらないだけではなく……『そもそも犬を通してしか外界に触れる事を許されてない立場』だったとしたなら?】
【『喋る犬』というあからさまにおかしい存在、その真相にたどり着くきっかけとなるのではないのか―――?】
303 :テレサ  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/30(水) 01:15:43.59 ID:Xvxg0ADio
>>209


……"異能者"が、『今』の水の国で……ですか
それはまたずいぶんと性格が悪くて―――最高に効率がいい一手ですね
さぞ喜ばれますよ……今の水の国で肩身の狭い思いをしている隠れ異能者とかは特にね


【『魔制法』の影響で今まさに反能力者の時勢が高まりつつある『水の国』で、金の国の陣営がこういう行動を行うという事】
【それを支持する者達へ堂々と喧嘩を売るに等しい行いともいえる一方―――その流れの被害を今まさに受けている現地の『異能者』にとっては】
【金の国の代表として堂々と活動するアンゼリカの存在は……救いとなりうる存在にすら見えるかもしれない】

【宣戦布告と味方の増員。さらに集まる金をガッポリ儲ける機会にも恵まれる】
【獣人の異端狩りであるアンゼリカを目立たせるという一手は……それだけ多様な付加価値があるわけだ】


【さて、肝心の"魔術学院"への転職に関してだが、テレサは唇をかみしめ、両手で頭を抑えながら苦い顔で考えを巡らせるが】


……む、む……確かに、今ので大分現実的に務められるビジョンも見えなくは……ないですね
私の手持ちの技術を確認しますか……礼装作成は少し厳しいですが……『洗礼魔術』、『波紋法』、『黄金長方形の回転』、『乗馬』、『各武装取り扱い訓練』
『対人及び対霊・対怪物用体術』……実践でお見せできるのはこれぐらいでしょうか


……後の問題は、私は少々やり過ぎてしまうきらいがあるので……安全性が、保証できるかが微妙な所ですか
今の内から手加減の仕方くらい練習しておいた方がいいですかね……


【「心配だなぁ……」と、珍しく不安を表に出しながらテレサは一応今からどうすれば務まる仕事かを真面目に考えているようだ】
【不可能でないならば、前向きに実行することを考えるあたり、基本的には職務に忠実な真面目な女であるらしい】
【いや、むしろ真面目過ぎるくらいだが……】
304 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/30(水) 01:52:22.66 ID:0pUPZi8xo
>>299
【もし、この異形の悪漢が彼女にとっての唯一の希望だとするなら、なんと奇怪な巡り合わせか】
【人にして人を捨てた邪悪なる異形が、誰かの希望足り得るなどと】

【あのミラ・クラァケが。人の如き人ならざる身で、人でありながら人道を超越した男と結ばれた、そんな彼女が】
【全てを失ったとしても、進み続ける意志すら持った彼女が。こうして、カニバディールの心を確かめに来た】

【状況は、彼女にそこまでさせる。自分と同じく、利己的で感情的で、感傷的で強かな彼女が】
【いったい、何が起きているのか。円卓で。そして、この世界で】

構わないとも。貴女の置かれた状況を思えば、無理からぬことだ
周り全てが信用しきれない、私にも経験があるのでね

……これも縁というやつだ。私とて、貴女との繋がりには助けられた。お互い様だよ

ふ、ふ。確かに、彼ならばきっとああするだろうな。彼のアジトの一つで話した時も、そうだった
――――最近のコンビニは、侮れないラインナップを揃えているようだ。完全に言い当てられてしまったよ
私のような臆病者は特にな。曖昧なものより、目の前のものに飛びつきやすい。古典的だが、効果的だ
あの見事な演技力を持っているだけはある。内面を見る力は流石だな

――――気にすることはない

【こちらの口数が多いのはいつものことだが、今回は少しでも彼女の罪悪感や不安を和らげるためか】
【心からの感謝と共に頭を下げられる。そんな経験には慣れてはいなかった】
【その時間は、どうにも長く思えた。しかし、必要な時間だっただろう】


そうだな……ジルベール陛下相手なら、契約といった方が収まりが良かっただろうが
貴女からすれば、あまり似合いではないか

ふ、ふ。ダチ、か。私にそんな存在が出来たのは、いつ以来だったかね……
そうだな。きっと、それで良い


それはつくづく残念だ。事態が事態、ということか
ふむ……やはり円卓内部のことか。彼奴等も、変質し始めたといったところかね
問題ない。多少分からなくとも、こちらで噛み砕くさ

――――!! 発端からして大きな話だな……。あのイスラフィールか……
あの女とは、私も接触した。その時は、円卓のことは話題に上げなかったが……

いや、すまない。先にそちらの話を全て聞こう。その手紙で、イスラフィールは何を伝えて来たんだ?
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/30(水) 15:33:35.00 ID:S1vSXO8lO
>>304

…………ちっ、“あの”イスラフィールときたか
なら、もしかするとあたしは既に後手に回っちまってるかもしれねぇが──
まぁいい。あのクソアマがあんたになんて言ってきやがったかは後で聞く

んで────そのクソご丁寧な手紙はあたしを呼び出す手紙だったんだが、よぉ
この時点で既にキレそうだぜ。なんせ、議員サマが呼び出しときた
明らかに怪しすぎるし、用があるならそっちから来いってぇ話だよなぁ!?

…………あー、そうそう。んで、何を話したか……だっけか


【──斯くして彼女は語り始めた。イスラフィールとの対談の内容を】

【(議員に呼び出され、向かった先は何処ぞの屋敷。無駄に豪勢でイラつきポイント+50)】
【(そこで言われたのが、円卓の新たな<王>になれという半ば強制的な命令。イラつきポイント+1000)】
【(何がムカつくって、しれっと「ジルベールが不在になったから、事情を知っているミラを暗殺するという意見もあった」と)】
【(そんな脅しめいたことを言われたことだ)────等、愚痴と事実を交互におり混じえて彼女は続けた】


【円卓の最高意思決定機関<キャメロット>なるものがあること。そのキャメロットが、ミラの現状を決定したこと】
【ジルベールの不在は円卓の全員が知るところではなく、<キャメロット>とイスラフィール、そして<円卓の騎士>なる】
【円卓における実力行使部隊の一部が知り得るのみであるということ】
【今後は時折、ミラがジルベールを演じて円卓の指揮を取っていくであろうこと──(結局、あのクソアマの操り人形ってこった)苦々しくミラは吐き捨てる】

【話はまだ続く。円卓は今後、黒幕の排除のために動き出すということ。そのために、能力者や魔術師たちの存在を利用し】
【魔制法で虐げられた人々の救済を謳い、火種を撒いて戦争へと発展させるつもりだということ】
【(教会ってあるだろ、あそこが今ほざいている<異能主義>だかってやつだよ。あれがキーワードだ)】
【異端狩りを行う組織もまた、恐らくは円卓の配下であろうことをミラは告げる。(クソアマが言ってた思想でね。能力を持つものは適した位置に、とかそんなのだ)】
【(話がまたズレたな。まぁいっか──)戦争の火種は現在、各国にある。櫻や水は言わずもがな】
【風の国も今や怪しい気配がある。(その三国だけじゃすまねぇし、あたしだって済ますつもりはねぇ)】


【(────あのクソアマはどうか知らねぇが、よ。あたしは全世界を巻き込んで戦争をおっぱじめちまうつもりでいるぜ)】


【そう語るミラの表情に、愉悦が戻ってくる。気に入らないのは、イスラフィールが背後にいることと味方がほぼいない状況そのもの】
【戦争を引き起こす────そのこと自体に、彼女は抵抗がないようだった(だって、よぉ。黒幕ぶっ潰せるんだぜ?いいじゃあねぇか)】


【もう少しだけ、話は続いた。戦争を起こす理由として、円卓は<聖杯>と<方舟>を求めているということ】
【本来黒幕を打倒する切り札として<聖剣>なるものがあったらしいが、それはジルベールと共に行方知れずになったこと】
【<方舟>は初瀬麻季音が開発するであろう<タイムマシン>を指し──そして<聖杯>は】
【御伽噺や神話で頻出する、<願いを叶える願望機>を指すのだという。(オカルトなマユツバだろ。でも、神様っつぅもんを見たあたしらはそれを否定できやしねぇ)】
【(戦争が起こりゃ、何かしらの神様がフラッと出てくるだろうし……そうでなくとも、ほら。「これが奇跡か」みてぇなこと、あんだろ)】
【(そう言った奇跡っつぅもん、きっとその一部はマジモンの神様が起こしたやつでさぁ。その奇跡をめっちゃ観測すれば)】
【(そのうち<聖杯>のヒントなりが掴めるだろうし、運がよけりゃ<聖杯>そのものにたどり着けるっつぅ理論なワケ)】
【(ちなみに現状、<聖杯>についてはノーヒント。手がかりなしって感じだ)──俄かには信じがたい話だが】
【確かにこの世界には、神は実在する。それも、一柱のみならず。白神鈴音が良い例であった】

【(ま、戦争の本当の目的ってぇやつ?能力者が死のうがパンピーが殺されようが<キャメロット>やクソアマには関係ねぇ)】
【(むしろバンバン死んで、奇跡もどんどん観測させてくれっつぅのが本音だろうな)そして目論見が成功し】
【無事<聖杯>と<方舟>を手に入れた暁には──円卓はそれらを使用し、選ばれしものを乗せて発つ】
【作戦名<完璧な庭>。この作戦により、円卓は円卓の望んだ正義と世界を得る。そういうシナリオだった】

/続きます
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/30(水) 15:36:37.01 ID:S1vSXO8lO
>>304


…………と、ざぁっとこんな感じだったか


で、も────だ
あたしはそこまで都合よく、あのクソアマや<キャメロット>とかほざく連中の思い通りに踊ってやりはしねぇよ
そういう頭ごなしになんか言われるの、あたしは大っ嫌いなんでね

オマケにあのクソアマときたら…………あたしのやる気を出させるために…………っ!
わざわざ<聖杯>のこれ見よがしな例を出して来やがった…………!!
“大切なあの方を呼び戻すことだって”────カァアアアッ!!むぅうううっかつくったらありゃしねぇ!
今思い出してもマジで虫酸が走るってぇだ!!クソムカつく議員サマが、よぉおおおっっ!!!
そんなん、そこらで頭ノーテンキなお花畑にさせてイチャイチャねちゃねちゃしてるバカップル共にでも言ってろっつぅんだ、なぁ!!
あたしは欲しいもんは自力で手に入れるタチだし、そんな聖杯だかなんかでジルが帰って来てもちぃいいーーーっとも嬉しかねぇよ!!
あんたなら分かるだろ、カニバディール!そんな「大好きな人を蘇らせますぅ」なんてくっだらねぇ事情で使えるモンじゃねぇっつうの!


そういう大事な大事なアイテムっつぅのは────やっぱ、ここぞってぇ時に使ってやらなきゃ…………なぁ?

それもとびっきりのタイミングだ。円卓の間抜け共が自分たちの<勝ち>を確信した瞬間…………!

余裕綽々、もう自分たちを邪魔するもんはなぁんにもねぇって信じきっている表情を、絶望のどん底に叩き落としてやる…………

…………そういう瞬間を見て、豚どもを嘲笑ってやるっつぅ使い方が──

──何よりも、ぜってぇ面白ぇに決まってるよなぁ…………ッッ!!


そのために──あたしは円卓を勝利に導く。黒幕をぶっ潰して、円卓の連中の間抜け面を拝むためになぁ!
けどなぁ。黒幕や円卓連中と今後やり合うには、もう一齣足りねぇ
さっき言ったが、円卓には<騎士>っつぅ実力行使部隊がいるからよぉ
黒幕が倒れちまった後に円卓をスムーズにぶっ壊すのは、ちょいと苦労がいるってぇわけだ


そのために…………チーム“M”を再編する。対黒幕だけじゃあねぇ
対円卓として────世界のシステムに対する、レジスタンスとして…………!!
黒幕も円卓も……全部ぶっ潰してやる。曽根上ミチカやイスラフィール諸共、なぁ!

ま、これが全部うまくいけば……なんせ戦争後の世界だ。きっとめちゃくちゃになっちまってんだろうが、よぉ
それでも────ムカつく連中は綺麗さっぱりいなくなってるはずだ
後の世界をどうするかなんて…………そんなのは、その時生き残った連中が決めればそれでいい
そーいうのは、生きている奴の特権っつぅか…………なぁ?


【────漸く、彼女は語り終える。それは或いは】
【たった一人、唯一の味方に向けた所信表明演説だった】
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/30(水) 22:01:28.41 ID:4OXNG4Z60
【風の国――――UT店舗内】
【閉店の札がかかったままの店内に、けれど、ぽつりと明かりが灯っていた。ならば、誰ぞ居るのを証明してみせ】
【それともあるいは消し得ぬ灯であるとの証みたいに、――それにしては窓より漏れ出る明かりは最小限で、しかし閉店の札を垂らしたドアノブは意外と軽く回るから】

――――、

【――そうして誰か踏み込むのなら、真っ先に観測するのは人影一つなのだろう。薄暗い店内のテーブル席の一つ、ぽつと腰かけ何かを読みふけるシルエット】
【よく目を凝らすまでもなく少女であり、そうして知りさえするのなら、酒場としてのUTの給仕なのだとも分かるだろう。――暖色の明かりに照らされなお白い肌は沈痛げに】
【視線を落とし読んでいるのは書物というよりか、ごくありふれたキャンパスノートであるらしかった。遠目でなお、その紙面は文字と、それからいくらかの絵があるのが分かり】
【しかし楽しくないことばかり書いてあるのかもしれなかった、――だって表情は無に等しくて、それどころか、そのまなざしは何か冥さを沁み込ませていたのなら】

【腰まで届く黒髪は曖昧に結わえた一つ結び、頬杖ついて俯くのならば、少し長い前髪は十分に表情を隠して、十全に覗かす口元は、やはり笑み一つない真顔の色合い】
【それでもちらりと覗く顔はあどけなさを多分に残したものであるのだろう、左右で色の違う眼差し、黒色と赤色はやはり睫毛と前髪の影に沈んで、冥さを孕んでいたけれど】
【黒色のシャツはいくらかのフリルやレースを飾ったシンプル過ぎないもの――きゅうと絞られた袖口から覗く指先はごく白く細く、頁を手繰る以外に動きやしなくて、】
【そのくせに椅子に腰かける足元に纏わるのは深い赤色のスカート、膝丈を少し通り越す長さでありながら、たくさんのパニエで以って膨らませた、冬の雀のような赤色と】
【投げ出すうんと華奢な足先の爪先まで覆う黒色がよく目立ったなら、椅子の足元、ごくお行儀のいい場所に、お行儀のいい角度のまま脱がれた赤色のパンプス、寂し気であり】
【――十六ほどの少女だった。机の上には同じようなノートをいくつもぶちまけていた。いろいろな色どり。開いたままの頁。たくさんの文字列。挿絵。楽しそうな光景に】

――、――――――――、――あ。

【――――楽しいことなんて何ひとつだって知りやしない童話の女の子みたいに重たげな表情は、けれど誰か来るのであれば、いくらか変わりもするのだろう】
【お客様用の扉が動くのなら古びたベルで、――或いは、関係者用の扉が動くなら、その軋む音で。少女は"だれか"に気づいて目を上げる、――、】
308 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/31(木) 02:46:16.86 ID:2TZJ+qy1o
>>301
>>302
そう聞くと、コマチ様の方もまた違った形で異例ですな。スラムにいながらにして、それほどの強かさをすでに持っておられたとは
しかも、そこからわずか一年でカノッサ機関の出納係に……ブレンヒルト様とはまた違った才があったということでしょうか
以前お話を伺った時は確か、今は何かときな臭い教会≠フ、異端狩りが運営する孤児院におられたと聞いた覚えがありますが

【人に歴史ありとはいうが、時に歴史とは闇を抱えるものである。ならば、この眼前の闇はどこまで深く人がっているのか】

『首領級』戦力とは言い得て妙ですな
そう、それほどの者たちであればこそ、欲しがると同時に自分たちにとっての脅威でもあるはず
そうした面々は数多くの敵を作るものです。敵の誰かがそんな力を手にしたら、と危機感を抱くのは当然のはず

やはり、秘匿されていてかつあまりに荒唐無稽だったから、ですか……
ある一族の、しかもたった一人にしか信じられていなかった……無理からぬこととは思いますが
――――お師匠=Bそのたった一人が……

【よく覚えている。あの情報をもたらしたのは自分なのだから】


――――ブレンヒルト様。今、自分の耳を疑っているのですが……貴女の師が、機関の初代総帥にそれを伝えた? 機関のために?
自らの一派と共に機関の力をもって遺跡を発見した? 『食堂の男』といえば、それこそ機関黎明期の……それが同志?

そこに眠っていたロストテクノロジーが、宝玉や遺物……遺産ということは、その一族は先史文明の生き残りと?
情報量が多すぎて、小瓶の力に縋っても後々頭がパンクしてしまいそうですよ……

【洪水であった。歴史と情報の洪水の只中に、カニバディールはいた】
【ブレンヒルトの言葉は激流の如く。赤い瞳。鬼。歌姫。生き残った一族が彼女の師匠で、その神器を使ったことさえある】
【そして、その師匠こそが。今や敵として立ちはだかるあの犬の向こうにいる男こそが、創設メンバーの生き残り】

……整理させてください。つまり、今や我々の敵の側に立っているあの大山ムクは、元々はカノッサ機関の創設にかかわった最高幹部の一人で
その上、彼自身があるとんでもない一族の末裔だった

その一族は、鍛えるだけで鬼になったり、歌声だけで超高度文明を導く力を持った歌姫を輩出したり、神器を生み出したり
あまつさえ、一度はその神器で世界中の敵を無力化したことすらある。彼は機関のために祖先の遺産を発掘、実在を証明することに成功した……

その後で何らかの理由で脱退し、それでも創設者の命に従って後継者として貴女を育て上げた
それが今や、魔術協会に所属してジンジャーらとつるんでいる……と


【ひとまずそこまで言い終えて、カニバディールは息をついた。しばしの間を置いて、顔を上げる】

――――大山が、カノッサの創設メンバーだったという前提を置けば、一連の流れには筋が通ります
機関のメンバーだったからこそ、創設者の血を継ぐ貴女を弟子にとることになった
件の神器をまさに作った一族だったからこそ、その秘密も貴女に伝えられた

私が言うまでもないことなのでしょうが。彼が喋る犬などという姿を取っているのも、ここに理由があるのですね?
恐らくは、彼は機関創設メンバーとして捕らえられ、獄に繋がれている。幽閉場所から魔術を用いて意識のみを外に出しているような状況なのでしょう
私も服役経験がありますので、そうした超法規的措置の存在は理解できます。それほどの人物ならば、正義組織も放ってはおかないのも当然です

――――問題は現在、ブレンヒルト様ご自身も驚愕しておられた通り。その大山が今や敵の側にいること
カノッサの黎明期と神器の秘密全てを握った男が、向こう側についていることです
捕らえられたままとはいえ、彼がそのような行動に出た理由は、ここにいる誰もがわからないことなのでしょうが……

件の神器に直接に関わった、渦中も渦中の人物。その大山が正義組織に協力しているなら
ブレンヒルト様。貴女が今、私に語って下さった事実の全てが、ジンジャーらに流れていると考えるべきであるはず
このような大事を、連中が放置するはずがありません。貴女とコマチ様の野望にとって、最大の障壁となることは必定

というより、遺跡を一度は発掘したというのなら。神器は今、彼らの手に……?

【そう、問題は常に現在と未来。驚愕すべき事実の数々を、大山が全て握っているなら、それは今の彼の仲間に筒抜けだということだ】
【とっくに動いていておかしくないはず。すでに確保されていることすらあり得る。異形はそう考えた】
309 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/31(木) 03:34:09.49 ID:2TZJ+qy1o
>>305
>>306
ああ、こちらからも出せる情報はいくつかある。後で全て話そう

……礼儀正しそうに見えて尻尾を掴ませない、あの女らしい手口だな
全くその通りだ、手紙など使って呼びつけるなどと、議員というには礼儀が欠けている
それでも、貴女は寛大にも応じたわけだ――――

【そこからは、彼女の長い話に相槌を打ちながら耳を傾けた】
【イスラフィールは彼女の怒りを煽ることにかけて天才的らしい。屋敷の構えもさることながら】
【初手から爆弾を投げ込んだのだから。「ジルベール陛下の後釜に座れ。嫌なら[ピーーー]。生きていられるだけ感謝しろ。翻訳すればこんなところか」】
【カニバディールもまた、アウトローゆえにそうした上に立つものの傲慢さは好かない。吐き捨てるような言葉であった】

【さらに、話は彼女を踏みにじる方向へと加速していく。<キャメロット>。元々がお偉いさんの集団である円卓の、さらに頂点】
【「人を見下し過ぎて首を痛めていそうな連中だな」、語る異形の目は笑っていなかった】
【円卓の下位の者たち――――それでも社会としては上層なのだろうが――――にすらジルベールの消失は伏せて】
【消えたジルベールの存在までも搾り取るかのように、ミラに代わりをさせて、そのまま傀儡とする――――】

……どうやらこの社会の上に立つお歴々は、悪党の道でも私などより上に立っておられるようだ
えげつなさでは、機関にも全く負けていないじゃあないかね

そうやって貴女を担ぎ上げた上で、自分たちの敵を排除しようというわけか
弾圧には弾圧、暴力には暴力、分かりやすい対処法ではあるな。魔制法に泣かされて、恨みと力をため込んでいる奴らがどれだけいることか
その連中をかき集めて利用すれば、確かに戦争の一つや二つ起こせるだけの流れを生み出せるだろう

教会=c…。彼奴等の性急な革命とやらも気にはなっていたが、なるほどあれも<キャメロット>の差し金か
〈異能主義〉を掲げているのは、確かマクスウェルマーリン<Eェーバーとかいう枢機卿だったはず。この男が、円卓の幹部級なのだろうな

持つ者は適した位置に……まるで企業の考え方だ。金の亡者たる円卓らしいといえばらしいな
その上、異端狩りまでも。異端狩りの一人とは、実は私は交戦したことがある。今まさに、〈異能主義〉の広告塔になっている銀のアンゼリカとかいう獣人の女だ
あの女は、そう言った俗な考えには反発しそうな、いかにも狂信者的な存在に思えたが……すまない、今は無関係だな

風の国に魔制法指示の動きがあることは私も小耳に挟んだ。櫻は知っての通りの有様だな
それらだけに留まらず――――ふ、ふ。全世界か。王≠スる者のスケールとしては、むしろ妥当じゃあないか

ああ、黒幕どもを潰せるなら手段など選んではいられない。何より……私に言わせれば、戦争はとっくに始まっている
そもそも、黒幕や円卓が吹っ掛けて来た戦争がだ。少し気付きにくいというだけで、当の昔に開戦している
私や貴女がやろうとしている世界規模の戦争は、それに対する応戦だよ。抵抗など覚えていては、こちらがやられる

【カニバディールもそれは同じ。そもそもが、自分の本心を試すためだけにミラが人一人殺したことに対して】
【何の抵抗も恐怖も抱かないような男だ。数々のテロを引き起こし、1000に届こうかという人命を奪った男だ】
【だから、笑う。異形もまた、彼女と共に】

/続きます
310 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/31(木) 03:34:35.23 ID:2TZJ+qy1o
>>305
>>306
【そこからも、さらに怒涛のように話は続く。<聖杯>と<方舟>。奇しくも、カニバディールも箱舟と称して】
【拉致による強引な世界の保全を図っていたのだが。それとはまるで比べ物にならない話だった】

……消えた<聖剣>に代わって、次に求めるのが<聖杯>と<方舟>か
まさに円卓、アーサー王伝説といったところかね……。タイムマシンについては、私もMの繋がりで概要は聞いている
だが、願望機……? 確かに、この世界は何が起きてもおかしくないふざけたところだが、それでも願望機とはな

ああ、否定はできない。その神と殺し合いまでやったのだから。他に何柱の神がいても不思議ではない。なんだって起きるだろう。この新世界では
だが、その方法が奇跡の観測? 神様が起こした奇跡を見つけ出して、そこから<聖杯>を手繰り寄せようと?
気が遠くなるような話だな……まるでヒントもなしに、奇跡を追い求めるなど。本来なら、起きないから奇跡というのだろうに

それで、これから起こす戦争すらもその奇跡観測の手段に過ぎないわけか。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとはいうが、やりすぎだ……
そんな雲をつかむような話の為に、貴女を利用して世界中を踏み荒らして、挙句の果てに<完璧な庭>?
噴飯ものだな……金勘定をしすぎると、世界と箱庭の区別もつかなくなるのか

【カニバディールにとっても、不愉快な話。言葉は全て吐き捨てるようだった】

ふ、ふ……!! 円卓の連中は、貴女のそうした性質を理解しきれていないのだろうな
誰をも都合よく動かせると思っている、救いがたい傲慢だ

<聖杯>の使用例を……?
――――なるほど。この上なくふざけているな……!! 馬の前にニンジンをぶら下げた、くらいのつもりなのだろうが
よくもまあ、それほど的確に地雷を踏みつけられるものだ
ああわかる、わかるとも。貴女や私のような人種が、目先の作られた希望に飛びつくと思っているなら舐められたものだ
そもそも、聖杯が幾度も願いを叶えられる代物かどうかもわかりはしないだろうに……

――――くっふふふ……!! 愉悦というものは、時にどんな食い物よりも美味なものだと、貴女はよくわかっている……!!
そうだ、何事も重要なのはタイミングだよ。自分たちが求めた物のために、最後の最期で自分たちが足をすくわれる
それが自分たちの上でふんぞり返っている奴らだとすれば、なお格別だ!

黒幕を下し、円卓を引きずり落とす。シンプルだ。実に良い
ふむ……そうしていく上で、最後に出てくるのは今まで通りに個人の戦力、能力者たちの戦いというわけだ
円卓の騎士どもが、黒幕との戦いで減ってくれるなら言うことはないが、そこまで期待するのは贅沢というものだな

――――戻ってきたわけだな。虚神の件以来、随分と引っ掻き回されてきたMの繋がりに……
世界中を巻き込んだ大戦争に挑む勢力として……!!

なあに、洗い流した後の世界がそうなるのは当然だ。黒幕や円卓の掲げる理想に比べれば、遥かに居心地のいい世界だろうさ
……よく言ってくれた。そうだ、生きていることこそが特権だ。生き残ったものこそが勝者だ
最後には、我々が、生き残る。そうだろう――――ミラさん

【ただ一人の仲間として、カニバディールは彼女の名前の方を呼んだ。世界中を巻き込んだ、一世一代の大博打に】
【彼女と共にベットする。そのための、短いが必要な儀式として】

【長い話が終われば、次はカニバディールの手番だろうか。この男の方も、抱えている。彼女の問題に比べれば、ちっぽけなものだろうけれど】
【今後、Mを再編するにあたってすべきことについては――――あの恐ろしい極道の女との接触がまず第一になるのだろうか】
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/31(木) 16:50:00.39 ID:kWLEF0BIO
>>293

【ちょっとした貴女の褒め言葉に過剰な反応を示す、ぴこーんと狐耳みたいなリボンをふりふり】
【でへへー、と締まりの悪い表情で照れた様に笑ったなら、ふふーん、と自慢げに胸を張って】
【豊満な胸をぷるんぷるん、扇情的な胸元のアピールは欠かさずに】


あらら、そうなんですね、だとすれば『新楼市』は単なる夢の名残ってことです
或いは星の国にとっては "不良債権" だったりするんでしょーか、前にも後ろにも進めず飛び地にお金ばっかかかるんですから
多少リスキーでも計画を撤回して、少しでも補填にあてるのが国民感情だと思うんですけど

─── もしくわぁ、いっその事 "新楼市" を橋頭堡に水の国自体に宣戦布告しちゃう、とかですかね?


【くすくすと笑いながら星の国の立場にたって言葉を示す、可能性ですよ、と付け足して】


んー、そうとも限りませんよ? 水の国本国にとっては悩みの種じゃないですか、放っておいて百害あって一利なしなんですから
漸く重い腰を上げて抜本的解決に臨む、だなんて陳腐な物語ですけどねん
次の市長選出るらしいですよ、与党の隠し球、─── 生粋の国粋主義者だって噂です

だとすれば、外国人排斥に合わせて、一気に星勢力を海外に! ……まぁ水国民としては嬉しい限りなんですけど
小耳に挟んじゃったんですが、何やら星の国も何やら画策してるみたいで、────── ふふ、熾烈な政治的駆け引き!
これはいっぱいお金が動きますよ! たまりませんね!


【意外とこの娘政治に詳しい、それっぽいことをふわふわ伝える】
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/31(木) 19:23:37.36 ID:ZH0Qiv8M0
【街はずれ――空き地】
【いつか誰かに忘れ去られた場所だった、きっと元は何かしらの建設予定地で、けれど今はただのごみの不法投棄場に成り果てる】
【細い三日月の光すら遮るもののない場所であるなら一面の夜空を観測するのに不都合はなかった、――今にも雨が降り出しそうに灰色の雲さえ見透かすことができたなら】
【うんと冷たい風が吹き抜けるのなら、巨人が戯れたとしか思えぬブラウン管モニターのタワーが軋んで揺らぐ、無理やりに積み上げられた家電の墓場は、】
【とっくに鍵の壊されたフェンスでのみ囲われていて実質的には誰でも踏み入れるような状態であった、地元のヤンキーすら好んで近づかぬような場所ではあったけれど】

――――、ねえ、へびさま、前みたいにわたしの中に居ていいよ。……、だって、へびさま、うんと小さな神様なんだから、――そのほうがいいよ、
――ねえ、だから、前みたいに、お話してよ、――っ、ひとりぼっちにしないで。――おへんじして。へびさま……おねがい……。

【――故に時として珍妙なものが紛れ込むのかもしれなかった。積み上げられたごみは雑多に自転車も冷蔵庫も立派な箪笥もあったけれど、人間、は見える限り一ツであって】
【ましてや泣きじゃくるように漏れ聞こえてくる声の高さと瑞々しさは間違いなく少女の物であるのなら、余計に。そうして誰か覗き込むのなら、見出すのはやはりそうであるから】
【物と物の隙間に収まるように膝を抱えた人影一つ。長い黒髪を垂らすなら刹那に人に見えずとも、微かな明かりに艶めく彩りは生きた人間の持つものに相違なく】
【黒色のワンピースに黒色のタイツ、足先までも黒色のパンプスで隠したなら、まっしろな指先が抱え抱くもの、やはり黒い鞘に納められた刀の一振りであるらしい】

【ならばどうにも彼女はその一振りに話しかけているのだと伝えるには十分すぎる幕間、すすり泣く声音はよく鈴の音に似ていたから、見えずとも細い三日月の夜によく映えて、目立つ色】
【そうしたなら――ほんとうに時折ではあるけれど神様の気まぐれに因るみたいにぽつり落ち始めた雫は、あといくらかの時間でざあざあ降りしきるものになるのだとも、予感させ】
【だからこそ風もぴゅうぴゅう冷たくなっていくばかりであった。――――ぐすりとしゃくりあげ前髪の隙間から覗く眼が黒色と赤色をしているのが、やけに色鮮やかで】
313 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/31(木) 23:06:41.23 ID:nCKjYaOfo





【深く、深く、─── 私は貴方に尋ねなければなりません、その試みに敬意を示して】




【貴方が深く持つ衝動を、貴方を動かす能動を、貴方が描く激動を、私は知らなければならないのです】





【 ────── 貴方の衝動は何処から? ────── 】




【 "先天的" か、"後天的" か 】




【 "内発的" か、"外発的" か 】




【 "感性的" か、"理性的" か 】




【 "運命的" か、"計劃的" か 】



314 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/01/31(木) 23:08:33.77 ID:+YeRDYFp0
>>311

【テーブルトップで行われるのは食事とカードゲームに限られる訳じゃない】
【むしろ世の多くのことはテーブルで行われる。――それもゲームと呼ばれるが】
【恋も駆け引きというのなら――恋愛至上主義というのは大変な謀略家であり】
【ポエニ戦争に及ばないぐらいの大戦を生き抜いた熟練の戦術家とも思える】
【単なるロマン主義者ともフェネチルアミンの過剰分泌によるジャンキーとも違うわけだ】

私は妥協の産物と思っていたわけだけど。
さぁ、どうかしら。あの辺りに工場を抱える企業がいくらでも利益を捻出していますし。
私は、思いつきもしなかったわ。

だけれど貴女はそうだと言いたいのかしら。
水の国の政情不安は星の国の工作によるものだって。

【まどろっこしいのは苦手だ。だから、ストレートに剣を抜くことにする】

あらぁ、随分詳しいのね。WCNの制作部長も何処のブンヤも、前の市長も
そんな話は聞いたことがないわ。一体どこからでた噂かしら。今度、政策委員か
上院の議員にでもお会いしたときにきいてみようかしら。

教えてもらおうかしら。貴女の都市構想

貴女は、今の状況でそんな事が起きたら、世界大戦になるってご存知?
きっと、これが最後の世界大戦になるでしょう。ねぇ?


【霧崎は、ヤッパを抜いた。マジモンの話じゃなくて心の話だが】
【ヤクザは気が短い。特に仁義がかかってるとなれば】
315 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/31(木) 23:09:13.62 ID:nCKjYaOfo



















聖杯戦争〈幕間〉"悲しみの子" トリスタン















316 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/31(木) 23:10:51.60 ID:nCKjYaOfo


【貴方は過去を思い出す。過ぎ去った日々の憧憬は、鮮やかな色合いに満ちて、時に色褪せた感傷を齎した。】
【けれども、感じた情念は消え去りはしない。心に残った染みが、何時までも感情を貪る様に。】
【深遠に巣食う獣が、猛々しい牙を己が首筋に突き立て、我が身が亡びる瞬間を待ち焦がれる。】



【ルドレートリスタン#゙にはついぞ姓名が無かった。あるのはその名と、"悲しみの子" という異名だけ。】
【彼は裕福な家庭に産まれた。優しく偉大な父と、美しく貞淑な母の下で、何不自由無く暮らす運命を、私は見て、】
【 ─── 歯車は鮮烈に狂う。間隙に交合う謀りの如く、一筋ばかりの吐息が、思い出を塗りつぶす。】
【物心付くか付かないかの頃に父親が蒸発した。他に女が出来たのだと母親は忌々しげに吐き捨てる。鞭で貴方を折檻しながら。】

【母親は貴族の娘であった。けれども、父親が蒸発してからは働きに出ねばならない。慣れぬ仕事と貧困とが彼女の精神を蝕んだ。】
【ひもじく惨めな日々、玩具等も買い与えられず、日常の多くは母親の仕事を手伝う事に費やされる。】
【幼い子供の精神にとって、それはどれ程に辛いことであったのだろうか。当たり前に与えられる筈の権利を、当たり前に与えられない。】

【貴方には衝動があった。暴力的な衝動、近所の子供や小動物に、それは振るわれた。】
【未発達の子供には良くあることであろう。感情を処理できない未発達な精神が、暴力へと転換される。】
【 ────── そして、その都度、ヒステリックな母親の折檻が貴方を襲った。】


『アンタって子は!! どうして私の顔に泥を塗る様な真似をするの!!』
『忌み子よ!! あの男の血を引いた忌々しいガキなんだ!!』
『ほら謝罪しなさい!! アンタの全身全霊をかけて、私に謝罪するの!!』


【母親は貴方の手を縛り床に転がして蹴りつけた。鞭による折檻を彼女は好んだ。振り下ろすその瞬間、その表情は愉悦に似て、】
【貴方の暴力的衝動は収まるどころか益々悪化した。行動はより激しくなり、残酷且つ残忍にその衝動を尖らせていく。】
【成長と共に家庭内の支配権はシフトした。母親の手では最早、貴方を御しきれない。】




【 ────── やがて、母親は逃げる様にして貴方の元を去っていく。かつて、父親がそうした様に。】
317 :ティナ ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/31(木) 23:22:54.40 ID:nCKjYaOfo
>>314

【思ったより早く剣を抜いてきた、ティナの瞳に僅かばかりの歓喜と好機が見える】


あら、違うんですかね? 少なくとも水の国の視点から見ればそれがふっつーじゃないんですか?
この前のジャーナルにも大きく取り上げられてましたしね、新年に入ってそうそう、何やら不安いっぱいみたいですしぃ
星の国の技術を手に入れるって言っても、こうばかすか好き勝手やられちゃ、堪ったもんじゃないでしょう?

あはは、良いですね! 政治に関係のない娘っ子にベラベラと喋るようだと商売上がったりですし、“今まで通り” 上手いことはぐらかされるんじゃないですか?


【捉えどころのない雲の様であった、彼女の情報源もまた秘匿にされている、それは何処までも暗澹として】


んー私の都市構想ですか? イケメンパラダイスですかね! イケメンとイケメンとイケメンによる楽園です、その他の方々は労働階級って事でっ
いっちょ私の夢をかけて出馬してみるのも手ですねっ、その時は清き一票を! なんちゃって!

はて、存じ上げませんが、水の国と星の国のいざこざに、それ見たことかと飛び込む国々が?
だとすれば、それはよっぽどの考え無しですよー、何処の国だって、好きで戦争には行きたくないでしょ?


【ティナの言葉はシンプルだった、少なくとも、彼女自身が出馬する訳ではない、と】
【だとすれば、─── 何故この情報を今、この人物に流すのか、という点】
318 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/31(木) 23:49:08.02 ID:2TZJ+qy1o
>>313
>>315
【最初は当然、疑問に思った。いったい何が起きているのだろうと】
【すぐにそんな思考は捨てた。俺は騎士だ。主命に従い、行動する。そのために何をするかを考えればいい】
【それは絶対の指標であり、己の人生の核であった。その裏側に隠されたものが、どんなにドス黒くても】

【だから、俺は些末な疑問に捕われたりはしない。知ろうというなら、俺も歩み寄ろう。そうしなければ多分、騎士の仕事に戻れないんだろう?】
【深く潜り込むというのだったら、ちょっと見苦しい物をお見せすることになってしまうかもしれないけど。それは承知しておいてくれよ?】


>>316
(――――懐かしいな。もうどれくらい前だったかな?)

【懐かしい、と思う感性くらいはある。むしろ、人格は普通の人間と同じようなものだ】
【ただその裏に、ちょっとこびりついているだけ。それだけ。いや、それは今はいい。この情念が染み付いた時の話だ】

【悲しみの子。今となっては、誇らしいコードネームだが、当時は忌々しい名だった。本来はきちんと父方の姓を持っていたはずなんだが、すぐに取って代わられた】
【きっかけとなった父は、もう顔も覚えていない。最初のうちは優しかったのかもしれない。少なくとも、後々を思えば偉大ではなかったんじゃないかな】
【母も、最初は慈愛に満ちた理想的は母親、だったのかもな。せっかくの美人が台無しになるような、ひどい形相ばかり印象に残ってる】

【記憶が鮮明になるころには、痛みが友達だった。鞭で打たれた傷は、今も体中に残っている】
【最初のうちは、この傷をごまかすためにと積極的に戦場に臨んでは傷を負っていたもの】
【あんた、暴力と出会ったのはいつのことだ? 学校で同級生と喧嘩した時か、兄弟喧嘩でもした時か】
【俺の場合は、最初っからだった】


【父の蒸発。高潔な貴族の身分からの凋落。笑えるくらいよくある話だ。悲劇というにも微妙だな、これじゃ】
【手をボロボロにしながら、洗い物したり掃除したり、靴磨いたり届け物して回ったりしてたっけか】

【そのうち、俺が暴力を覚えるようになった。最初にやったのは、俺を見て吠えて来た犬を蹴っ飛ばした時だったかな】
【本当、よくある話だ。こんな環境じゃ当然だよな。でも、環境によって培われたのか、そもそも持って生まれたのか】
【これじゃよくわからないんじゃないか? 何せこの状況じゃ、どっちであってもおかしくないだろ】

『ごめんなさいお母様、ごめんなさい、ごめんなさい――――』
『ごめんなさい、許してください、痛い痛いごめんなさいごめんなさいごめんなさい――――』

【ガキの全身全霊なんて滑稽なもんだよな。手を縛り上げられて蹴られて鞭打たれる経験ってのは、子供心に鮮烈だった】
【先天的か後天的か、どっちだったとしてもこの経験が『衝動』を研ぎ澄ませていったのは確かだろうな】
【自分が情けなくて、母親に申し訳なくて、それでもまるで収まらなかった。俺の中の黒いものは】

【俺の血みたいに赤い眼と、ボサボサに伸びた薄汚い銀色の髪に、母親が怯えた目を見せるようになったのはいつだったか】
【いまいち覚えてないんだ、これが。ただ、母親の身体にめり込ませた拳の感触だけははっきり覚えてる。ひどく柔らかくて脆かった。俺を鞭打ってたのは、こんな細腕だったのか】

【母親が逃げ出して、どう思ったかって? まず、これから誰を殴ればいいんだってこと。それから、そんな自分がたまらなく嫌だってこと】
【あの時は立ち往生したね。これからどうすればいいんだって。暴力性の面でも、未来の面でもだ】
【さて、それから――――まず、どうしたんだったかな?】
319 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/31(木) 23:52:05.51 ID:nCKjYaOfo
>>318

【頁は捲られる、第一幕が過ぎて、第二幕へと、────── 幕間の物語は、その内部に幾つもの幕間を内包して】

【幾年も月日が過ぎ、貴方は傭兵として数々の武勲を挙げ、その土地に根付いていた。己が暴力性を正当化する手段を得たのである。】
【貴方の噂は領地内に広がり、その地域一帯を支配する領主にも伝わった。すぐ様領主は傭兵団長として貴方を招集する。】
【一人の青年として成熟した貴方は、その他で運命的な出会いを果たす。】

『まぁ、貴方が噂の傭兵ね。領主様も感心してらっしゃったわ、貴方一人で百人力と。』
『ふふ、私も護ってくださる? 貴方になら、命だって預けちゃう』
『私? 私はイゾルデよ。────── ねぇ、貴方の名前は?』

【彼女は貴族の娘であった。領主に仕える重鎮の一人娘。鮮やかな金髪が情熱的な彼女の性格を伝える様に。】
【血の紅と屈辱の黒、凡そ色を喪っていた貴方の人生を、彼女は華やかに飾り立てた。滴り落ちた雫が、世界に波紋を広げて。】
【瞬く間に貴方は虜となった。生涯結ばれるべき運命を、心から信じてしまう。御伽噺に夢うつつ、それを誰が否定できようか。】
【しかし、時は徒らに、時に悪戯に、遍く運命を書き換えるのだから】

『 ────── 君にとっても悪い話じゃないだろう、私は君に、我が娘、イゾルデをやろうと言うのだから』
『亡き妻が残した忘れ形見だ、喜びたまえ、────── 君は貴族の一員となるのだ』

【領主は貴方へ、一つの縁談を持ってきた。彼の一人娘を、貴方の妻とする提案である。貴方の功労を認め、自分の出来うる最高の褒賞を与えたのであった。】
【娘は美しかった。可憐と清楚と、持ちうる全ての言葉を使っても足りないほどに。そして何よりその柔肌は、絹糸よりも儚い白皙。】
【 ────── 彼女の名はイゾルデ。それは何処までも、貴方の心に染み渡る。】

/↓
320 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/31(木) 23:52:47.02 ID:nCKjYaOfo



『私は貴方に恋い焦がれておりました。誰よりも勇敢で、誰よりも果敢な貴方の力に、見惚れてしまったのです。』
『貴方には足りない妻かもしれません。けれども、貴方を思い慕う気持ちだけは、誰にも負けません。』
『どうか、貴方の側でずっと、────── 貴方の横顔を、見ていたいのです。』



【貴方は彼女をどう扱ったのだろうか。────── 白い手のイゾルデ。私はそれを描写する事は出来ない。それは貴方に委ねられた過去。】
【一握ばかりの記憶を掬い、それを広げたなら、僅かばかりは語る余地が残るのだろうか。けれども、彼女は良き妻であった、そう育てられていたから。】
【しかしながら、私は紡がねばならない、もう一人のイゾルデの行く末を。】


【燃え上がる金髪のイゾルデ、彼女は領主の後妻に迎え入れられた。有無を言わせぬ遣り口。結局の所、権力者はより強い権力者に飲み込まれる。】
【貴方はしがらみの中に居た。妻と義母、二人のイゾルデが縛るは、二重細工の契約であるのだから。】
【婚姻という契約と、親子という契約と。それは刹那よりも近く、那由多よりも遠い距離にあった。】


【私は貴方の感情を知らない。私は貴方の心情を知らない。私は貴方の激情を知らない。故に私が描く事は出来ない。】
【返歌は貴方に委ねられる。変化は貴方に描かれる。貴方は天が記した采配に幾許の思いを載せるのだろうか】
【貴方は彼女を愛したのか。貴方は彼女を愛せなかったのか。欲望のままに抱いたのか、欲望がままに抱けぬのか。】



【ただ真実は一つ、────── 貴方のみが知る。】



321 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/31(木) 23:57:21.61 ID:a+x3ZwOe0
>>312

【不意に泣きじゃくる声が聞こえた―――それは不法投棄場という場所を考えればある意味似つかわしい】
【まるで捨てられた/棄てられたものたちが「己はここにいる」とすがるように主張してたから】
【―――――独りの女の耳に留まって、ついつい好奇心が鎌首を擡げるのだった】



【靴底を鳴らす音は一つ。その主は記憶屋――――都市伝説でそう呼ばれ、名を連ねる怪人】
【忘れたい記憶を抜き去ってくれるやさしい怪人。逆鱗に触れれば人物そのものの全てを奪う驚異の怪人】
【今宵の彼女は果たして何方なのか、何方でも無いのか。それは風のみぞ知る】


……はぁい、こんな場所で一人で泣くなんて随分趣味の悪い事。
危ないから降りて来なさいな――――泣きたいことがあるならお姉さんが聞いてあげるわ。

【白の強い、月毛色に近い長髪と常に微笑みを湛えた目が特徴的な女性】
【物腰の穏かそうな女性で、近づく人々に警戒心を与えにくい雰囲気を漂わせている】
【服装は主に白のワイシャツにコートを羽織り、黒色のスラックス。地味ながらも上手に着こなして】

【そんな彼女の名はキャロライン=ファルシア。気まぐれた野良猫の如き言葉を贈るのだった】
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/01(金) 00:19:58.53 ID:ic1oecRT0
>>321

【小さく掠れ震える声は。まるで迷子になった幼子のようであるのだろうか。ならば数多に積みあがるごみの数々、ショッピングモールの人込みと何が違うのだろう】
【冷蔵庫から漏れる錆びた水が箪笥の腐り落ちる臭いがこの場には満ち満ちていた、――或いは生き物の腐敗臭すらする刹那は、吹き抜ける風の気分次第で】
【どちらにせよ風は揶揄うみたいにぴゅうと囀っては何かを軋ませぎしりぎしりと鳴かせて、それから迷子の子の髪の毛をざあっと揺らして逃げていく、だからきっと悲しさは止まなくて】

――――――。

【最初に"だれか"の気配がしたとき、少女が返したのは沈黙だった。どうせ暗い夜だと分かっている、物陰に身体を小さくちぢ込め隠して"なにか"をやり過ごすことを彼女は知っていて】
【なれば本来であれば、出てくるつもりなどないのかもしれなかった。いっそう身体を小さくまとめ上げて膝を抱えるしまうなら、ごちゃごちゃした物の群れの中では迷彩模様】
【そのままうまくやり過ごすことも十全に出来そうな沈黙の中で大粒の雨がぼつりと落ちてくる、――まだもう少しだけ時間には余裕があった、風はなんにもしらんぷりでも】

【――あるいは"それ"そのものが何かを証明するのかもしれなかった。出てくる気のなかった少女に目線を上げさせたのは、きっと間違いなく、相手の雰囲気であったなら】
【躊躇うような身動ぎが、それでもちいちゃなお尻をさらに小さく淀んだ隙間に押しやろうとした刹那、――或いは初めて風が彼女に味方するみたいな、一刹那】

だれ……?

【ざあっと吹き抜けた風が少女の顔と身体とを覆い隠す黒髪を散らす、ならば、あどけない顔も、色違いの眼差しも、それから涙と寒さに赤くなった頬っぺたも、観測させるから】
【そうして諦めたというにはいくらも両手を上げて見せるような絶望はかすかであった。それよりかは、餓えた子猫がコンビニ袋の音にひょこり鼻先を茂みから覗かす仕草に似て、】
【――――ごみ山の影から顔を覗かすのだろう、お世辞にもご機嫌のいい顔はしていなかった。ひどく悲しくて仕方のないような目、――その胸元に刀の鞘を抱きしめているまま】

――、――、いいことなんて何にもないから、ここに居るの、……。……放っておいて。

【であれば、ある種では威嚇であるのかもしれなかった。"なにか"するというなら間違いなくその前に殺してやると言う意思表示に似て、けれど抱き留める指先は寒さに震えているなら?】
【見知らぬ人間だと認識すれば彼女はふいと顔を引っ込めてしまうのだろうか、それでも鈴の音した声は、相手の耳元まで言葉の意味合い、散らさずに届けてくれるから】
【場所を確認したなら近づくこともできるだろう。――幸いにも、というよりか、彼女も生き埋めにはなりたくないらしい。お尻を落ち着けたその場所は、物陰というだけであり】
【近づいたところで何かが崩れてきて――ということは、あまりなさそうだった。そうしてまた彼女自身、近づかれることには特別の拒絶を示さないのなら】

【――――或いは、彼女がとんと名を聞かなくなって久しいUTの給仕であると、知るものはきっと少なくはなかった。けれど今更、多くない気もする】
【すすり泣く弱音は相手が来てから止んでいた。かといってその心中までも解決したはずはなかった。――(まるで本当は近くまで来てほしいような沈黙、ばかばかしい)】
323 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/01(金) 00:45:16.94 ID:lwlib++6o
>>319
>>320
【そうだ、これは幕間の話だ。本筋はあくまで我らが『円卓』。俺はあくまでその末席。端折れるところは端折らないとな】
【母親が出てったもんだから、俺も生家に用はなくなった。袋一つに収まる荷物を背負って出てったよ】

【それから日雇いの仕事を転々としながら、二年か三年か。あちこちで喧嘩しちゃあ相手に大けが負わせてたよ】
【それでも殺したことはなかったんだ。天職ってやつに出会うまでは】

【いつの世でも戦争はやってる。人間は争う生き物だ。傭兵募集の看板を見た時は、雷に打たれたみたいだった】
【「これだ!」ってね。叫びそうになったよ。恥ずかしい話さ】

【傭兵ってのは、雇い主の命令にただ従うもんだ。それでいいし、そうあるべきだ。それが、俺の『中身』に行き場を与えてくれた】
【呪文みたいに唱えたよ。『これは仕事だ。仕事だから仕方ない』って。そう、仕方ないんだ。俺は傭兵なんだから】
【殺さないと殺されちまうんだから。だから、やむなく人を斬ったんだ。初めての時は、戦場の真っただ中で昇天しそうになったね】

【ただ任務を忠実に。それを繰り返していただけなんだけど、ありがたいことに周りは見ていてくれたらしい】
【平の傭兵から十人長、百人長、千人長とトントン拍子さ。団長になった頃には、領主様からのお声がかかった】
【涙が出たね。これで、もっともっと『仕事』が出来る。感謝してもし足りないと】

【そこで、『彼女』と出会ったのは、さていいことだったのか悪いことだったのか】

『身に余る光栄です。戦場働きしか知らぬ私めに、そこまでお目をかけていただけて』
『――――麗しき乙女の願いとあらば、是非もありません。喜んで』
『……貴女様の名を知る栄誉を賜りながら、名乗りを忘れるとは不覚。ルドレー・トリスタン≠ニ申します。イゾルデ様』

【さっきも言ったろ、感性はこれでも普通の人間がベースなんだって。そりゃあ見惚れたよ。あんな鮮やかな金髪】
【俺のくすんだ銀の髪とは真逆の、綺麗な色だった。傭兵稼業は天職だったけど、色鮮やかとは程遠かったからな】
【そりゃ舞い上がったさ。若い男なんてバカなもんだ。今も変わらないって? ハハ、それは言わないでくれよ】

【短かったけど、あの時は鮮烈だったな。楽しかったよ。このまま、人殺しよりも彼女のために生きられるんじゃないかとすら思った】

/続きます
324 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/01(金) 00:45:43.62 ID:lwlib++6o
>>319
>>320
『――――……身に余る、光栄にございます。謹んでお受けいたします』
『お家の恥にならぬよう、これからも励みとう存じます』

【そりゃあ、そう言うしかなかったよ。何せ、領主様のおかげで俺はたくさんの戦場で暴れられたんだし】
【義理は果たさなきゃならないだろ? それに、領主様からすりゃこれ以上ないって褒章だ。これをはね付けるなんて、騎士失格だろ?】
【その娘がまた――――何の冗談かと思ったね。同じ名前で、甲乙つけがたい美貌ときた。ただ、妻の方が色は白かったな。透き通るくらいに】

『……私めは、剣の道より他に生き方を知らぬ男です。ただこの力より他に頼りを知らぬ男です』
『それでも、そうおっしゃって下さるのなら。私の隣にいてくださるというのなら。私は、それに応えます』

【慣れないことはするもんじゃないね。歯の浮くような台詞、のつもりでどうにもうまくいかない。育ちが悪いからかなあ】
【二人の女に、似たようなことを囁いたわけだ。顔も知らないが、俺は父親を恨んでないよ。だって、きっと俺にそっくりで、この時の俺と同じようなことをしたに違いないんだ】

【そう、白い手のイゾルデ。俺は、彼女を愛したよ。良い女房だったさ。俺には勿体ない女だった】
【言ってるだろ、俺は自分が好きじゃなかったんだよ。だからわざわざ、戦場なんて環境を求めたんだ】
【そんな嫌いな自分を表に出さないように、必死だった。だから家庭ではこれ以上ないくらい良き夫、貴族社会じゃ傭兵上がりの婿養子にしては礼儀正しい男、って具合に演じた】

【――――金髪のイゾルデの話だったな。そう、彼女は領主様の後妻になった。貴族社会邪よくある話さ。第一幕から、よくある話ばっかりだな】
【これでも苦しんだよ。普通の人間みたいに。金髪のイゾルデとはしょっちゅう顔を合わせるんだから】
【こうなったら、演技にも限界は出てくるよな。二人のイゾルデ。あの広いお屋敷の中で、常にひとつ屋根の下さ。さっさと逃げ出した父親は賢かったよなあ】

【そう、ここからだったな。真実。アーサー王伝説を見たなら、あれとそう変わらないよ。いや、あれはいくつもパターンがあるんだっけ?】
【なら、俺の話は俺で語らなきゃダメかな? わかった。限界が来るのは、早かったよ。俺は、抱いた。どっちもだ。欲望のままにな】
【あんなに激しく感情に身を委ねたのは、人斬り以外じゃあの時だけさ。言葉にすれば、妻がいながら義母に手を出したってひどい話になるだけなんだがな】
【でもあの時に戻れたとしても、俺は同じ行動をとるだろうね。それくらい、抗いがたい激情だったんだ】

【円卓の騎士の仲間たちには言わないでくれよ? 軽蔑されちゃうからさ】
【当然、領主様との関係もギクシャクしてくるよな。悪いことをしたと思ってるよ。恩を仇で返して】

【それからどうなったかって? 俺がこうして今、円卓の末席を汚してるって事実が、そのまま答えってところかな】
325 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/01(金) 00:50:08.04 ID:41JxwNgno
>>323->>324

【日々は過ぎ行く、時は経ちぬ。貴方の元へと、一人の使者が来る。】

【奇妙な男であった。語る言葉は淡々と、修辞法や弁証に特筆すべきものはない。けれども妙に耳へと流れ込む言の葉の担い手。】
【彼は言った。────── “領主を裏切れ” と。領主や臣下を殺し、自分達の領地へ来るように、と】
【手渡されたターゲットのリスト、妻であるイゾルデだけがそのリストに入っていなかった。】


『 ────── “皆殺し” が、契約です。』


【貴方は苦悶する。男が提示した額は途方も無い金額であった。彼が半生を掛けて手に入れてきた金額では利息にも満たない程に。】
【領主には恩があった。だが、仇もあった。────── 貴方の幸せは、本当に幸せであったのか、と、問いかける声は今は虚し。】
【貴方は一つの選択肢を選んだ。契約同士が重なったなら、より良い契約を選ぶ。傭兵の基本であった。】

【ただ一つ、そう、たった一つだけ、貴方の心に残った蟠りだけを響かせて。】

【貴方は白い手のイゾルデに伝える。金髪のイゾルデへ、伝えて欲しい事柄があると。苦悶、葛藤、執念、その声はきっと震えていた。】
【白い手のイゾルデは何時もの様に頷く。彼女は従順で、貴方の言葉に反論する事はなかった。貴方の言葉を信じていた。】
【 ────── 貴方は告げる、その託す伝言を。】


『もし身に危険が迫ったなら、白い馬の馬車に乗って逃げろ』


【児戯と呼ぶべきだった。貴方にとって領主や臣下等頭数にも入らない。ただ雑務をこなす様に、殺戮を続ける。】
【怨嗟の声も愉悦へと変わる。自己陶酔の昂りが興奮を伝え、感覚を麻痺させる。血に濡れた両手を貴方は快楽と呼ぶのだから。】
【正当化。内心に轟く衝動が、続く憐れな獲物をその眼前に捉えた。】

【 ────── それは、“黒い馬の馬車” であった。】

/↓
326 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/01(金) 00:51:51.42 ID:41JxwNgno






【 ────── 】









【 ──────────── 】









【 ────────────────── 】








【雨が降っていた。肌に当たる水滴が興奮を冷まし、幾分か冷静な思考を蘇らせる。】
【トリップの作用に似ている。微睡みの中で見る幻覚よりも危うく、自我というものを容易く失う。】
【噎せ返る様な血の匂い。身体に心地よい開放感があった。胸の中に沈殿していた鬱憤を思い切り吐き出したかの如く】








【饐えた匂いが鼻腔を擽った。嗅ぎ慣れた香りでもあった。傭兵にとっては、これもまた日常茶飯事。役得といっても差し支えない。】
【仕事を終えた。職務は果たした。やや面倒な任務であったが契約なのだから仕方ない。報酬さえ貰えれば、それでいい。】
【貴方は立ち上がる。鎧を身につけながら、ふと、その手首に絡みつく切れ端を眺めた。】








【 ────── 燃え上がる様な金色、情熱の残照、髪の毛一つ】








/↓
327 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/01(金) 00:52:50.21 ID:41JxwNgno




【お前か。お前だ。お前のせいだ。やったのは俺だ。させたのはお前だ。なら何方がより罪深い? 何方がより救われない?】
【俺はどう思った。お前はどう思わせた。俺の胸に疼く感情は、俺の胸が抱く激情は、────── この深き衝動は、誰の罪だ。】
【これから誰を殴ればいいんだって? そんなもの何よりもハッキリしていた。】




【慟哭が止まない、張り裂けそうな胸の痛み。鼓動が耳元で怒鳴っている様に、拍動が今にも千切れそうな程に響き渡る。】
【眼前が見えない。一寸先さえも。この血に濡れた両手が何を掴むというのか。何を掴めるというのか。ただ、ただ、誰も何も知らず】
【朽ち果てて逝けば良かった。腐り果てて逝けば良かった。母親の手で惨めに死んでいれば、こんな感情も持つ事は無かったのに。】




【だが、生き残ってしまった。己の内側にある衝動が生きろと言った。それにただ従った。その結果がこれなのだから】
【救われない、救ってはいけない。自分が自分を否定し、自分が自分を縊り殺す。生きる度に過去が自分を鞭打つのだから。】
【転がっていた。彼女はあの頃のまま。────── ただ白百合の如く、白い肌を血に浸して。俺の犯した、最期の罪。】




【正気では無かった。かと言って狂気では無かった。狂うにはとっくの昔に正しさはなく、正しくいるには端から狂っていたのだから。】
【あゝ、だから言った。俺は言った。貴方は言った。貴方はそう伝えた。だから俺はそう伝えよう。貴方の言葉をありのままに。】
【悪夢の様な一夜が明けた。俺は一人で向かう。貴方は一人で向かった。復讐などではない。八つ当たりですらない。ただ貴方は、報酬を貰いに行っただけだから。】







『 “皆殺し” が契約なんだろ?』







328 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/01(金) 01:29:11.56 ID:lwlib++6o
>>325-327
【そう、本当に淡々としてたよな、あいつは。メッセンジャーとしてはこれ以上ない適役だった】
【あっさり言ってくれたよ。裏切れって。仮にも貴族に、ストレートすぎないか? 傭兵上がりってところが知られてたせいかもしれないけどさ】

【リストには当然目を通したよ。白い手のイゾルデをその中に入れなかった意図は、結局わからず仕舞いだったなあ】

『……わかった』

【これを文章に起こしたとしたら、拍子抜けするくらいあっさりとした肯定の返事に見えるだろうな】
【でもさ、俺は相当に自問自答を繰り返したんだぜ? 何度も言うけど、俺の感性はこれでも一般的なんだ】
【領主様には、何とも複雑な心境だったよ。あんなに目をかけてもらって。でも、よりによってイゾルデだもんな。他の女だったら、どんなに良かったか】

【結局、俺は傭兵に戻った。いや、傭兵のままだったのかもな。で、この上まだ俺は身勝手を貫こうとしたわけだ】
【だから、妻に。よりにもよって妻にだぜ、頼んだわけだ。真っ黒な感情を満載した震え声で】
【妻は良い女だった。美しく貞淑で――――俺の一言で全部悟れるくらいに頭もよかったし、そして嫉妬深かったみたいだ。なんか母親に似てるかもな】
【そもそも、妻の実父を殺そうってんだから、そっちの恨みのが大きかったのかな? そこまではわからない。俺は彼女じゃないからね】

【とにかく、その頃はそんなこと考える余裕なんてなかった。仕事の間は仕事のことだけ考えるもんだろ? 難しいかもしれないけど】
【いつもの通りだ。今までの仕事の中じゃ簡単なくらいだった。せめて一瞬も苦しまないようにやったよ】

【首を斬り、心臓を突き、上から下まで全員即死だ。だから浴びた怨嗟の声は、そうする直前に言われたものだったんだろうな】
【よく聞いてなかった。だって、肉を斬って臓器を突いて、その感触を想う様味わってたんだぜ? 聞いてる余裕なんてなかった】
【……悪いことしたと思ってるよ。本当さ。ただ、それよりも優先するものがあっただけで】

【――――その時も、寸前までそう思ってた。あの黒馬。今の俺の鎧にそっくりの色だった】


【相手の顔は見ないで斬った。一撃だ。何の苦しみもない。慰めにもなりゃしないけどな】
【顔なんて見なくてもわかったよ。あの金髪。他にないほど鮮やかだったから】

【自分の原始的な衝動に思う様浸った後にこれだぜ。あれほど求めた傭兵って免罪符が、一瞬でも憎たらしく思えたのは】
【後にも先にも、この時っきりだ。雨が降っていて助かったよ。泣きわめく資格なんてない俺の涙を、完璧にごまかしてくれた】

【その瞬間のことは、覚えているけどよく覚えてない。いや、覚えているんだよ。だけど、頭の中がぐっちゃぐちゃだったもんでな】
【それまでも手探りだった道がもう本当に何も見えなくなった。絶望とはあの事だ】
【本当に、母親の言う通りだった。忌み子だよ、俺は。でもそれなら、何で殺しといてくれなかったんだ】

【――――言ってもしょうがない。過去は変わらないんだ。俺がどれほど衝動的で感情的だったのか、今更あげつらうまでもない】
【そして俺は、もう一人のイゾルデまで血の海に沈めたわけだ。もちろん、一撃さ】
【綺麗だったな。二人とも。死に顔まで】

【そう、これが最後の罪だ。これ以降の俺のやることは、全てが全て契約か主命によるものだ。それは罪じゃない。任務だ。仕事だ。だから、仕方ない】
【いくら後ろ暗い依頼だったからって、あの適当なリスト一つで文書も何もないってのは良くなかったな】
【あれじゃいくらでも拡大解釈できちまう。それでも、雇い主まで殺した傭兵だ。事実は変わらないけどさ】

【そう、契約だ。契約だから仕方ない。皆殺しが契約だ。きれいさっぱり、遂行しなくっちゃな】
【契約だ。これは契約。つまり仕事だ。仕事だから仕方ない。仕方ないんだ。仕事だから】

『ア……仕事……これは仕事だから仕方ない……仕事だから……』
『あぁ〜良い……たまらなァい……!!』

【『全部』殺した後で出た台詞がこれだ。嫌になっちまうけどさ、仕方ないよな。仕事なんだからさ】
【――――つくづく、よく俺を迎えてくれたよな。ここ≠ヘさ】
329 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/01(金) 01:33:57.64 ID:41JxwNgno
>>328

【頁はここで途切れていた。幕間の物語は此処で終幕。降りた帳にアンコールはなく、ただ三文芝居が三文芝居で潰えただけの話。】


【だから捲るべきではない。此処から先の物語は、貴方さえ知らぬパンドラの匣。開いてはならない、開かれるべきではない、物語の終着点】
【けれども、“貴方” は捲るのだろう。その類稀なる勇気に喝采を。そして、同情を。凡夫であったならば悲しみを知覚しなかった。況やそれがどれほど幸福であったか。】
【然して物語は捲られる。誰も知らない、幕間の裏側を。】


【白い手のイゾルデは愛していた、貴方を。決して大輪の薔薇ではなかった。けれども、心の片隅に咲く一輪の花を、彼女は愛した。】
【だからこそ、分かってしまう。本当に好いているからこそ、本当に心から貴方の事を思っているからこそ、貴方の目に、誰が映っているのかを、彼女は分かってしまった。】
【それがどれ程酷な事であったか。何処までもその視線は遠く、何処までもその距離は遠く、こんなに近くにいるのに、貴方は私を見ていない。】

【でも、それでも、例えそれが仮初めであったとしても、────── 彼女は真に、貴方を愛していた。】

【真の愛とは何か。変わる事のない愛情の源泉は何処にある。彼女は、彼女は、貴方の幸せだけを願っていた。それこそが真の愛であろう。】
【例え自分を愛してもらえずとも。例え自分が愛されなくとも。愛した相手が幸せになれるのなら、彼女はそれを選ぶ人間であった。】
【彼女は伝えた。はっきりと。金髪のイゾルデへ、“白い馬の馬車” に乗る様に、と】

【しかし、運命は流転する。定められた結末は変わらない。悲劇に彩られた物語は、どの様な道筋を選んでも、悲劇なのだから】

【金髪のイゾルデもまた愛していた、貴方を。心に咲き誇る満開の感情。それを遍く愛として、彼女は貴方へと向けていた。】
【けれども、貴方は奪われた。奪われてしまった。同じ名を持つ憎き相手に。血を分けぬ娘に、生涯の愛を誓った貴方を奪い去られたのだから。】
【憎い、憎い、憎い。当てつけの様に父親を当てがい、自分は妻の座を手に入れた娘が、心の底から────── 憎かった。】

【その衝動は間違いなく心の底から来たものであった。誰にも止められない、憎悪の一心。】

【イゾルデは黒い馬の馬車を選んだ。────── ただそれだけの事。言葉にすればそれだけの事実。結論は何も語らないのだから。】
【数多の悲劇を私は語ろう。無数の情念を私は綴ろう。けれどもそれは、無限に広がる事実を描いたに過ぎない】
【故に私は語れない。二人のイゾルデが持った心の在り処を。悲しみの子が背負った運命の重さを。】






【 ────── 故にもう一度だけ、お尋ねしましょう】




330 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/01(金) 01:34:50.70 ID:41JxwNgno




【 ────── 貴方の衝動は何処から? ────── 】





【 "生まれ持った資質" か、"環境が歪めた資質" か 】





【 "貴方が愛した女" か、"貴方を愛した女" か 】






【 "感情" か、"契約" か 】










【 "貴方がトリスタンを選んだ" か、"私がトリスタンを選ばせた" か 】








聖杯戦争〈幕間〉"悲しみの子" トリスタン








──────〈終幕〉──────








331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/01(金) 19:14:20.83 ID:bF/2NiwxO
……すみませえん、この辺りで『観察』が出来そうな場所、知りませんかあ?

【某国大都市、人出の多い通りを歩く『貴方』に声をかける女が居た】
【『貴方』は車から降りた所かもしれないし、荷物を持って歩いていたところかも知れないが】
【どんな風体であれ、その女は声を掛ける。長めの金髪をツインテールにした、若い女だ】

【白いセーターに黒のガウン、丈の余ったジーンズ、ややフレームがガタついた黒縁のメガネ】
【レンズの向こうには眠たげな緑の瞳。髪は癖毛なのか、ぼさぼさと見栄えがいい方ではなく】

…いえいえー、鳥や虫じゃなくてですねえ…
こう、『都市全体の生態系』が『観察』出来る場所でしてえ……
高あくて自由に入れるビルとか、知りませんかあ?

【愛想でも見せようというのか、にへら、と笑うと獣のような『ギザ歯』が覗く】
【間延びした声といい、どこか抜けた印象の強い女だったが、その質問は奇異であり】
【何かぎぎっしりと詰まったビニール袋の持ち手を手首に食い込ませながら、しばし反応を待ち】

んー、ぁー……お礼もしますよお?
こう見えても私い、イスラフィールさんにパトロンについて貰ってましてえ……
知ってますかあ、イスラフィールさん。水の国の議員様でしてえ……

【金銭もチラつかせて尋ねる。その雰囲気に嘘偽りは全くないように思え】
【『知らないならあ、一緒に探してもらえませんかねえ?』】
【図々しくもそんな二の手まで打ちながら、じいっと『貴方』を見つめるのだった】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/01(金) 20:43:13.97 ID:zd/9NN1+O
/>>331の募集、10時頃まで見てますねえ
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/01(金) 20:45:09.55 ID:rEuwA/QD0
>>331

――――――――――、

【少しだけ驚いたような顔で、脚を止める。背の低い女だった。キャメル色のダッフルコートを着て】
【首の中程まで伸びた黒髪の毛先が、ぐるぐる巻きにしたマフラーに乗っかってふわふわしていた】
【そうして立ち止まる。声をかけられて、細い銀縁眼鏡、レンズの向こうで目を丸くするならば】
【暗赤色の虹彩にあなたが映り込むのがよく見えるのだろう。しばしの時間を置いて】

……………………こんな真冬に?

【マフラーで隠されているから口元は見えなかった。けれど吐息が白く息づいているから、】
【きちんと発音はしているのだろう。メゾ・アルトの声だった。音量は決して大きすぎることはなく】
【けれどどうしたって訝し気な感情は、隠せていなかった。立ち止まった状態から、少し動いて】

ふうんそう、鳥とか虫とかじゃなくて――都市全体の? よくわかんないな。
観察して何がしたいの? スケッチ? 写真でも撮る?
……芸術家、っていう風には見えない見た目だけど。

【高い数値のデニールのタイツを纏った、棒切れみたいな細い脚の爪先。ブーティを履いたそれを】
【しっかりあなたに向け直した。すれば、上体も完全にあなたのほうを見る。だというのなら】
【きっときちんと話をしようという姿勢になった、と見ていいはずだった。現にこの女は、】


生憎高いところのアテはないけど――――「地下」のほうなら、それなりに知ってるよ。


【穏やかに笑っているのだから。ひどく蒼白い肌をしていたが、鼻先が赤くなっているから――たぶん、生きてる】


//まだいらっしゃれば!
334 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/01(金) 20:50:34.49 ID:TVjVVNY/o
>>331

ビル?
まあ、それなら一つおすすめはあるがね……

【女が声をかけたのはスーツ姿の男だった】
【黒髪に黒い瞳。あとはよくある鞄を持ってるだけの特徴のない男だ】

しかし、一体どうして?

【男は首を傾げて尋ねる。目的が分からない】
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/02/01(金) 21:01:34.30 ID:yg29t6vu0
>>333

観察してえ、この街のジオラマを作るんですよお。
私い、お絵かきや写真は苦手なのでえ……見るだけ、ですけどお……

えへぇ……格好いいでしょお?
イスラフィールさんに、オメカシするのも必要って言われちゃってですねえ
オシャレ、したことなかったのでえ……ぇ?あ、本当ですかあ?

【対面する女性が棒切だとしたら、話しかけた女はウドの大木というところか】
【それなりの身長、適正な体格、しかし中身は大分抜けている】

【しかし『えへぇ』という笑い方は何処か人懐こくもあり】
【時折話に出てくる、イスラフィールという女性に感謝している様子が伝わっても来る】
【ともあれ、女性から「地下」という言葉を聞けば】
【意外そうに眼鏡の奥の瞳をぱちりとさせるものの、歯を覗かせてにやぁと笑い】

あのぉ……そのぉ、今ってお暇ですかあ……?
私い、そんな場所から『監察』したことなかったのでえ……連れて行ってもらえますう?

【分かった、と言って歩き出せば付いていく。それくらいの軽さである】
【大した持ち物もない。手にしたビニール袋だけは重そうだったが】
【へらへらと笑って、手入れの『て』の字も知らなさそうな髪を揺らすのだった】

/居ましたあ、よろしくおねがいしますねえ

>>334
/そしてすみませえん、三人同時だと終わらなくなってしまうのでえ……
/またの機会にこちらからお邪魔しちゃいますねえ?
336 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/01(金) 21:02:53.29 ID:TVjVVNY/o
>>335
//仕方なし。待ってますぜ、旦那
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/01(金) 21:15:11.98 ID:rEuwA/QD0
>>335

ジオラマ、ジオラマかあ……じゃあ芸術家というより職人さんかな。
でもこんな、他の人が今までいくらでも作ったことありそうな街、作って楽しい?
もっとこう……穴場的なスポット探してレアモノ作ったほうが……どうだろ。

【この女が持つ、ジオラマ制作に対する意識はそんなものだった】
【おおかた何処かの博物館だか高層タワーだかに飾られる、芸術品と資料、どちらでもない】
【それでいてどちらでもあるよくわからないもの。多分それくらいの見識。首を傾げて】

イスラフィールってのが何なのかはまあ、よくわかんないけど、
そりゃあまあお洒落するのは悪いことじゃないとは思うけど――人にナメられなくなるし。
ていうか僕なにか、あなたの見た目のこと褒めたっけ? ……んーああ、芸術家に見えないってところか。

まあいいや。うん、「こんなところ」うろついていられる程度には、暇――――
…………面白いかどうかは保証しないけど。いいよ、連れてってあげる。

ただ、着いてから「こんなの期待外れだった」とか言ってキレるのはナシね。
そう思ったとしても心の中に留めといてね。傷ついちゃうから……。

【笑まれるのであれば似たような表情を返す。多分敵意も、害意もないから】
【袋を持っていないほうの手をなんの了承もなく握って。両手で持っているなら腕に組み付いて】
【「こっちこっち」 ――限りなく光の少なくなっていく、人気のなさそうな路地へ連れ込もうとするのだろう】
【もう一度言うけど、多分敵意も害意もないから。何か嫌な予感がするなら、振りほどいたっていいけれど】

//オッケ!よろしくおねがいします!


>>334
//な阪関! すみませんが今回はもらっていきます。。。
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/02/01(金) 21:27:28.42 ID:yg29t6vu0
>>337

楽しいですよお?今までは『地球』とかあ、『太陽』ばっかりでしたからあ
イスラフィールさんのですねえ、依頼でしてえ……。

【或いは。知的に問題のある人間が施設を飛び出してきたのかもしれない】
【そう思えるような言葉が時折飛び出すのは、気の所為ではない】
【ともあれこの女は、案内してくれるという女性を気に入ったらしく】

怒りませんよお、お願いしてるのは私ですからあ……
その時はですねえ、また違う人に声をかけてみたりですねえ
あとはあ、道案内が得意な人がいるというのも聞きましてえ――

【手を握ろうとする。手が握られる。むしろやんわりと握り返す】
【そして引っ張られるように歩き出せば踵を擦って付いていく】

【道中、ぺらぺらと話すのは自分を引き連れる彼女と出会うまでのこと】
【要は随分と多くの相手から面倒臭がられたという内容であり】
【道を教えてくれる人、すなわち警察に行けというのも煙たがられたという意味らしいのだが】

【そうとは分からない程に垢抜けているらしい。――それか、類まれなお人好しか】

……暗い所はいいですねえ。私い、こういう所好きですよお?

【路地へは、驚くほどあっさりと着くだろう。それくらいにこの女は素直だった】
【むしろ周りの光景が新鮮で堪らない、面白くて仕方がない】
【そんな調子で、先天性か後天性かは分からないが、歯列の捻れた歯を覗かせて笑う】
【行くならば何処までも。それこそ下水道にだった、ビニール袋をぶらつかせて付いていくだろう】
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/01(金) 21:56:35.89 ID:rEuwA/QD0
>>338

…………? それジオラマって言う? 地球儀とかそんなんじゃない?

【やっぱりよくわかってない。そんな感じで無遠慮に歩みを進めていくのなら】
【街灯の数はどんどん少なくなっていく。人の数も。反比例して埃っぽさと湿り気と】
【幾許かの腥さが、空気の中に増えていく。素知らぬ顔して女は、進んでいくけど】

【「そっかあ」「いろんな人がいるんだねえ」 ――生乾きの返事ばっかり適当に返しつつ】
【入り込むのは、完全に路地裏。どこかの廃ビル。中に入り込んだら当たり前のように瓦礫の山だが】
【そのうちの一塊に――女の細腕でも動かせる、不自然な――けれど見た目ばっかり本物に忠実な】
【大きめの礫があるから、それをどかす。マンホールがあって、その蓋を開ける。腥いのが強まって】

【そこで初めて女は手をほどく。自分で降りていけと言う――自身はさっさと降りて行ってしまって】
【不安がって声をかけても、もう戻ってこなさそうな雰囲気だった。小さなつむじがどんどん下へ】
【暗いほうへ落ちていく、小さくなっていく。あまりにもあんまりな道のりを、ついて来いだなんて言う】

【それでも、】

……………………そういえば名前聞いてなかったな。あなた、なんて名前?
いつまでもあなた、って呼んでたら、ナビしにくいし――あ、別に本名じゃなくていいよ。

【「僕のことは――ミアとでも呼んで」。一番下で、灯りを手にして待っていてやるくらいの】
【なけなしの心遣いは持ち合わせて――いるのかいないのか、よくわからなかった。だってこんなに鉄錆臭い】


//微妙に遅くなっちゃいました、すみません
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/02/01(金) 22:04:29.49 ID:yg29t6vu0
>>339

【生乾きの返事でも会話が止まらないのはある種の才能だろうか】
【それとも極端に鈍感なだけか。どちらにせよ、一人で勝手に幸せそうな女ではある】

【薄暗い、埃っぽい、そして腥い。明らかに怪しく、女性の近づく雰囲気から遠ざかる】
【それでも呑気についていって、マンホールへとなればしばし梯子を『観察』し】
【んうぅ、と吐息の混じった笑みを浮かべてからカン、カン、と降りていく】

【途中で、手元のビニール袋からいくつかの小包が零れ落ちて下に居た女性に降りかかる】
【といってもなんのことはない。落ち着いて見てみれば、それはハンバーガーの包みであり】
【三個ほどバラバラと落ちてもなお重たげな袋を見れば】
【余程ハンバーガーが好きなのか、それとも何か別な理由でもあるのか】
【少なくとも、落ちた包みが女性の服を汚したか、と聞く気遣いはないらしく】

……へ、ぇ?あー、私い、ウニ・ヴェルゼルって名前でえ……
へぇ、は…ぁ……あんまり呼ばれたことないので、好きに呼んで下さいねえ。
…ぁー、ハンバーガー……、……食べますう?えーっとぉ……ミア、さあん?

【落ちた包みを拾い上げ、真っ暗な中で「ミア」の持つ灯りに顔を照らされ】
【獣のような歯を見せつつ、食べるかとハンバーガーの包みを差し出す】
【流石に落としたものではなく、元より袋に収まっていたものだったが】

【まあ、受け取るかどうかは些細な事だ。どちらにせよ、ウニだかヴェルゼルだかいう女は】
【自らの足で下水道に降り立って、なおもついて行こうという具合らしかった】

/いえいえ〜、全然問題ありませんよお〜
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/02/01(金) 22:15:44.47 ID:6eu3rSrYO
>>309-310


そう────生き残る

生きてなきゃ…………楽しいことなんて、なぁんにも分かんなくなっちまうから、な


【最後に浮かべたのは、穏やかな笑みだった。そうだ、生きなきゃいけない】
【死んで面白いことなんてない。何より、うまい飯は生きていなきゃ食べられない】
【命を捨てるつもりなんてさらさらなかった。だが、今後どこかで命を賭ける事態になるだろうということは理解していた】
【──静かに、決意を固める。より強く、より確かに。カニバディールが授けた信頼に応えるためにも】
【命を賭けて、その上で生き残らなくては────と】


ぎゃは、…………にしても、あんたに褒められるとちょっと照れちまうな
それに────へへ。あんたには、お妃だとかクラァケさんって言われるより、ミラってぇ呼ばれた方がしっくりくるぜ
ありがと、よ。…………えぇ、と。…………これからも、よろしくっつぅ、か…………?

…………、…………んー、…………あー、…………、
そ、…………そうそう!そーいえばカールの方からも色々聞かなきゃいけねぇんだよな!
“M”の再編とか、奇跡だとか戦争の拡げ方だとか────そういうのも、考えていかなきゃだけど、よぉ
やっぱ、あのクソアマが他に何をしやがっているかも知っておかねぇと、な


【そして口角がまた緩く上がる。まるで新学期に新しい友人が出来た──そんな表情に】
【だがその笑みもすぐに消えるのだ。どこかの未来では、いつまでだってそう笑えたかもしれないが】
【少なくとも今はそうじゃない。この世界は、彼女が平凡であることを赦してはくれなかった】


…………。……あいつはよぉ、なんつぅか────マジでムカつくクソアマだとは思うけど、よぉ
それでも…………あの若さで議員なんてやってるだけの手腕はきっちりあるぜ…………!
頭はキレるし、それに…………その頭で考えた悪どいことを実行するだけの立場だの肩書きだの──
────そういったモンをしっかり持ってやがる。いずれぶっ殺す敵ながら、ほんと尊敬するぜ
あの政治家サマは、そこら辺でブヒブヒ言ってる豚野郎とはちっとばかし…………、違ぇ感じがしやがる

あいつのやり方は正直言ってすげぇ……学ぶべきところはあると思ってる。ムカつくことに、な……
そしてあたしらはそれを超えなきゃいけねぇ…………!
センスを氷点下のツララよりもキンキンに尖らせて、なぁ…………!
あいつのやっていること、やろうとしていること──予測して、先回りして、対策を立てて…………
小狡いマネしたり、ダチの屍を踏み荒らしながら進んで…………、きっとようやく勝てるかどうかだって感じがする

だから、よぉ────きっちり、あいつが何をしようとしてんのか
あんたの目からも、教えてくれ…………


あのクソアマ、言ったんだ。…………聖杯に、あんたは何を願うのかって聞いたときに、よぉ
…………あいつ、<世界の終わり>だって…………、答えやがった
それが本心かは……正直分からねぇ。…………少しでも、あのアマの考え方が知りてぇ
あいつの根源、欲求、未練、────なんだっていい。その手がかりを…………今は集めたい
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/01(金) 22:21:34.74 ID:rEuwA/QD0
>>340

ウニ? 海の栗みたいなヤツと同じ音? それが名前?
へー、面白ーい。どこの国の人なの? 櫻――でそんな名前つけられるんなら
よっぽど、よっぽどなお家なんだろうねえ…………に゛ゃっ!?

【何か――柔らかすぎず固すぎもせず、ほんのり温かいものに頭を叩かれるなら】
【さすがの女もぎょっとして上を見上げる。のだが、その正体を知るなりさらに顔を顰めて】
【律儀に拾い上げて、それでも3つ持つのは難しいから抱きかかえるように。……して、】
【いいにおいがするのが逆にイヤ、みたいな顔をしていた。周囲のニオイとのギャップが、ひどいから】

……いらなあい。さっきご飯食べてきちゃったの。それとこんなトコで食べるシュミないの。
それにしたってなんでこんなにバーガー買ってんの、好きなの? どうせならポテトもつけなよ……

【だからウニが追い付いてきたなら、突っ返すのだろう。拾ったものごと全部】
【どこかズレているコメントを添えつつ、「さて――」と呟きながら、灯りの向きを変えて】
【「もうちょっと歩くよ」。そしてまた歩き出す、地下道ではヒールの足音がイヤってほどによく響いていた】

【――――そして。数分歩いたあたりで、女は急に壁に手を添えて。最初はコンコンとノックする】
【少しだけ眉間に皺を寄せて、今度は違うところをコンコン。それでも眉間の皺が消えないなら、違うところをコンコン】
【それを何回か繰り返して、微妙に音が違うところを探しているようだった。そしてようやくそれを探し出せたら、】

やあ、「今回も」またヘンな所に作ったモンだな――でも、着いたよ。
さあおいでよウニ、こっちこっち――「闇市」へようこそ。あなたが気に入るかどうかはわからないけど、

【「きっと多分、バーガーよりいいもの買えるかもしれないよ」 ――壁を押す。ぎい、と扉の開くような音がして】
【実際壁が開いた。その向こうの空間に作られていたのは、怪しげな露店の群れだった】
【顔色の悪そうな人たちが、こぞってよくわからないものを売り買いしている場所、らしい】
【女は平気な顔してその敷居をまたぐ、そして中へ中へと進んでいったら――振り返って、ちょいちょい】
【キツネみたいに目を細めて悪戯っぽく笑いながら、手招きしていた。……ジオラマの題材にするには、少しばかり色彩の少なすぎる世界へと】
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/02/01(金) 22:41:03.42 ID:yg29t6vu0
>>342

海の栗、ですかあ?……んぁー、そうですねえ。
どこの国ですかねえ……星、でしょうかあ?

【自分の事だろうに、他人事なコメントというのがまたズレている】
【或いは職人気質というのは元来そういうものであって】
【案外、作品の出来となると素晴らしい物がある――の、かも知れないが】

【「バーガー好きなの?」と聞かれれば、今までで一番の笑みを見せる】
【人工調味料だかが盛りだくさんのお世辞にも身体にいいとは言えないジャンクフード】
【買い込むくらいだから余程なのだろう。例の歯列なら、食べるのも早そうで】
【突っ返された小包も改めて袋に収めれば、改めて踵を擦って後を行く】

んぅ……?なにぃ、してるんですかあ……ぁ?

【壁をノック。違う、そんな反応を見せてまたノック】
【何度か繰り返す彼女の姿を見ながら、歯車を合わせるように歯列を噛み合わせ】
【もごもごと音も立たないほどの歯軋りをしながら、その背を見つめ】

【やがて開いた扉の先。ついさっきまでただの暗闇を歩いていただけの世界】
【その先に異様な空間が広がっているのを見れば、小さく首を傾げる】
【眼の前の光景、それはなんだろうかとつぶさに「観察」するかのように】

「闇市」ぃ……。……ハンバーガーよりいいもの、ですかあ?
……ふぅ、ふふ…!面白そうですねえ、それえ……♪

【その反応からすると、当初の目的はすっかり抜け落ちている様子だったが】
【少なからず気に入ったか、或いは興奮したのだろう】
【悪戯な誘いに乗るように闇市へ歩み入ると、周囲を見回しながらミアの手招きに導かれ】
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/01(金) 23:01:03.42 ID:rEuwA/QD0
>>343

星? ………………じゃあこの星にはどうやって来たの。
ロケット? それか隕石にでも乗ってきた? やっぱり変なの、ふふ……。

【それを妄言だと判断しない――あるいは冗談に乗ってやっているつもりなのか】
【意外にも乗り気の返答をして、周囲の人に挨拶しつつ――市を進んでいく】
【どうやらこの女はここら一帯の「常連客」であるらしかった。店の人々から帰される言葉に、棘はなく】
【「そっちの姉さんはどなたですかい」「さっき知り合った人」「おいおい、そんなの連れてきていいのかい」】
【かるーくそんな会話をして、今度は極力ゆっくり歩いているようだった。きっと何らかへの配慮】

【――それは、ウニが店に並ぶ品々をじっくり見て回れるように。そういうたぐいのものらしく】
【彼女自身もときどき品に目を通して、見定めているようだった。――生物のパーツ群、あるいは丸ごと一体分】
【小袋に分けて売られる白い粉とか、錠剤とか、乾いた葉っぱ。何かの液に満たされた瓶】
【公には禁止されているはずの銃器類。よくわからない黒い塊――理解できるなら、それが爆発物だとわかる】
【それ以外にも、USBだの記憶媒体。果てには、檻に入れられ震えて泣いている少年だって】
【ありとあらゆる禁忌が並べて、押し売りされている。そんな中でふと、女はひとつ手を伸ばして】

そういえば。僕、ジオラマ政策にはとんと疎いから全然わからないんだけど、
あれってどうやって作るものなの? たとえば材料って何使うのかな、……プラスチック?

【そう訊くけれど手に取っているものは間違いなくプラスチックなんかじゃなかった。大きめのジャム瓶くらいの容器】
【その中に、光っている小さな何かが浮いていた。訊くのなら「妖精さんなんだって」と返して、】
【中身が生物であることを知っているのに、おもちゃみたいにかるーく振って笑っていた】
【そのうちに商品を粗末に扱うなと店主から文句が入るだろうが――ウニが一緒に見始めるなら、それもしぶしぶ止みそうで】
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/02/01(金) 23:24:54.06 ID:yg29t6vu0
>>344

ロケットだなんてえ、そんな凄いものは持ってませんよお。
隕石に乗ってきたら溶けちゃいますしい……
……ミアさんはあ、鳥にどうやって空を飛ぶのか……聞きますかあ?

【へらあ、という笑いは収まること無く、冗談に応えるように口角が緩んだ】
【何処か後ろ暗い雰囲気を持つことも、冗談に真実を織り交ぜる事もない】
【例えば、強者が敢えて弱いふりをしていて、強さをチラつかせるだとか】
【そういう嫌らしさがまったく無いものだから――判断には、困ることだろう】

【しかし確かなのは、ミアの遅めの足取りでも足りない程に】
【この女の興味の対象は様々で、深く、じっくりと見て回っていることだった】

【特に興味をひかれるのは生物、らしい。というか、生物(せいぶつ)ではなく】
【生物(なまもの)ではないだろうかと思える程度に、じいっと眺めており】
【その一方で違法薬物に類するものは、ひと目見て飽きてしまうらしく】
【銃器、或いは武器に相当するのだろう物質を見れば】
【その構造を――例えば銃口を覗き込むようにしたりしながらも】
【最後に目を留めたのは、檻に入れられて「売り物」にされた少年である】

【別に、何らかの欲を刺激されたわけでもないのだろう】
【舌舐めずりするわけでもなく、憐れむような視線を向けるでもなく】
【噛み合わせた歯列を僅かに覗かせながら、ぼうっと眺めていた】
【ごく小さなつぶやきは「ヒトはヒトを売るんですねえ」という、そんなもの】

買って何に使うんですかねえ……ぁえ?……あー、それはですねえ
他の人がどうやっているのかは知らないんですけどお……

【眼の前で小瓶を振られれば、またじーっと眺めてしまう。興味の対象はすぐに変わるらしい】
【緑色の瞳は何事にも興味津々に輝いて、ふとミアの手からその小瓶を掴み取ると】

……えっとですねえ。こうやってしっかり見てえ、触ってですよお?
「それ」がどうやって出来ているのかを観察するとお……
……少ない素材で出来ている物なら、こうやって、ですかねえ。

【手の中で転がし、じっと眺めて、眼鏡のレンズに触れるほど近くで瓶の中身を見つめる】
【そうしてしばらく「観察」を続けると、ふと気付いた時には】
【まるでマジックのように――その手には、全く同じように見える小瓶が「2つ」握られていて】

【一つを元の位置に、もう一つをミアへと差し出すと「どうですかねえ?」と答えを返した】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/01(金) 23:40:09.54 ID:rEuwA/QD0
>>345

僕、そんなこと訊きがちな人間だからな……。魚って寝るときどうしてるんだろうとか、よく気になったりするよ。
だって気になるんだもん、ウニはそうじゃない? 「ヒトはどうしてヒトなのか」とか、気にならない?

【怒られそうな雰囲気を察して、手の中にあるものを揺らすのはやめる。そうして、】
【彼女は笑って言っていた。「使い方なんて、それこそ人の数だけあるけれど」】
【機械だろうがヒトだろうが、使いようなんていくらでもある。ただし、彼女自身は「どう使う」のか】
【それは教えてくれなさそうな雰囲気だった。だって顔に張り付けたみたいに、誤魔化すように笑っているから】

他の人、っていうと、どこかの星ではジオラマ作りが流行ったりしてるわけ?
職人の星なのかなあ。ふしぎだねえ、…………、……何してるの?
観察すると、どう…………うわっ!? あれ、えっ……増えた? 中身も……?

【けれどそれもすぐに剥がれる。ウニが「作った」ものをまじまじと見つめ、それから視線を移して】
【店主のほう。「これ、今増やしてもらったほうだから――品物じゃないから開けていいよね?」】
【一応の確認を取ってから(でも返答は聞かないまま)蓋を開ける。中に入っていた「妖精さん」まで増えたのか、と】

【――――。……ふと気が付くのなら。ウニの背後に、大量の視線が注がれているのだろう】
【それはここに居る商売人たちの、薄汚れた欲望のまなざしだった。だって彼らは見てしまった】
【ウニが、まったく同じようなものを無から作り出して――それもノーコスト(に見える)で。だから】

【(おい見たかよ)(ああ。増やしやがった、手品か?)(いやでも、あの“冒涜者”が連れてきたヤツだ)】
【(妙な能力を持ってるに違いねえ)(なら利用価値があるぞ、同じものをいくらでも増やせるなら――)】

【……そんな感じの、不穏な話がごく潜められた音量で交わされているのにも気づくだろうか】
【ウニの「作る」異能。それをこの、穢れた商売に活かすための算段が、浅ましくも構築されつつある】
【ただ――女が確認した「中身」が本物ではないのなら。それも破談になりそうではあるが】
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/02/01(金) 23:58:49.52 ID:yg29t6vu0
>>346

……いーえー?「ほかの」は見たことないのでえ
あくまで「ほかのヒトの」というお話ですねえ――。

【どんな言葉も間延びしていて、感情らしい感情】
【つまりは全てを受容するような好感情以外を見せないウニだが】
【最初の言葉だけは珍しく、どこか物寂しそうでもあった】

【――さて。作り出した小瓶自体は紛れもなく同じ物質であった】
【大きさもぴったり、なんなら開ける時の抵抗まで同じであり】
【そこからふわりと飛び出してくる「妖精さん」もまた】
【飛ぶ、ということは『本物』なのであろうことが伺えた】

【ソレが過発光する蛍の亜種でも、本物の妖精でも、或いはモンスターでも】
【間違いなく同質の存在で。もう一方、売り物の小瓶に近づくと】
【同じ存在に引き寄せられるようにしてガラス越しの対面を果たし】

それくらいの大きさならあ、きちんと『観察』出来れば、ですねえ。
あまり大きなものだと『味見』をしないとですがあ……

……ところでえ、私になにかごようでしょうかあ。
あー……それともお、ミアさんにご用事ですかねえ
私い、誰かから話しかけてもらった事が無いものでえ……。

【耳は、それなりに良いのだろう。冷え始めたハンバーガーを一つ取り出し】
【がぶっ、とノコギリの歯のような歯列で噛みちぎり、咀嚼しながら】
【振り向いて、首を傾げて。どうにもその姿は、一般的な『能力者』にしては、無防備に過ぎた】
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/02(土) 00:20:46.96 ID:MmE4xtAR0
>>347

…………ないの? そう、……それは寂しいね。ウニの星には、ウニひとりしかいなかったの?
じゃあ、いろんな人がいっぱい居るこの星はどう? 楽しいかな、……楽しいといいけど。

【瓶の中から零れる光をぼうと顔に浴びながら、女は目を細めてそう言った】
【どうやら「そういうの」にはそれなりに敏感であるらしい。誰がどんなことを、思っているか】
【感情の移り変わりには聡かった、かといって必要以上に慰めるような優しさも、ないのだけど】

【そうしてから瓶の中に視線を落とす。「わあ」と声を上げて、中に指を突っ込むのなら】
【光のはしっこのあたりを摘まんで(?)持ち上げて、目の近くに持って行ってまじまじと観察する】
【「本物だ……」 ふと指から離れていった「妖精さん」も、自分がどうして「ふたつ」になったか理解できず】
【中空でさ迷うように、困惑の軌道を描く飛行を繰り返した。……であるなら、商人たちの目も、ぎらつく】

「なああんた、見ていたよ、それ」「味見? ってえのがよくわからねえがよ」
「これよりもっと大きなモノも増やせるってことか?」「だったら、なあ、ウチの商品も増やしてくれよ」
「金ならいくらでも出すさ。言い値でいいからよう」「よければウチに」「いいやウチに」「ウチに――」

【砂糖の山に群がる蟻んこめいて、確実にウニに詰め寄ろうとするのだろう】
【流石に「ちょっと、」と口を尖らせて遮ろうとする女なんて、ほとんど無視して――いや】
【「さすがだなあ“冒涜者”、使えるモンを連れてきやがった!」 下卑た声で褒められるのだから】
【彼女はあからさまに不機嫌そうな顔をした。そして、ウニを中心にすっかり人が集ってもみくちゃになる一角にて】
【今までよりずっと大きな声で、ウニに呼びかける。そしたら後ろに追いやられる。それでも声を止めないで、】

おおい、ウニ! こいつらの言うことなんかまともに聞いちゃダメだよお、
どうせろくでもない額の給料と、家畜と同じ待遇でコキ使われるのが関の山なんだから!
ウニー、ウニ、聞こえる!? 今日はもう帰っちゃおう、この状況はさすがに想定外だよう!

【すっかり人の輪の外へ投げ出された女はずっとウニを見ようとしていた。背が低いから、ほとんど見えてないだろうけど――】
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/02/02(土) 00:42:06.13 ID:O24AJ+oK0
>>348

【一気に人集りが増えていき、二人の間が離れていく】
【互いに女性。ましてやミア――「冒涜者」と呼ばれる彼女の背も低く】
【平均的な背丈のウニ・ヴェルゼルの事もすぐに見えなくなってしまうのだろう】

【で、あるならば。「ソレ」を見るのは取り巻きの商人たちばかりになる】


……あのですねえ。私はあ、お金には興味がないんですよお
イスラフィールさんのお陰で、今は困ってもいませんしねえ。
美味しいものも此処にありますしい……あなたがたはあ、他に何をくれますかあ?

「妖精さん」ですかねえ、「あの少年」ですかねえ?
それは、私が見てきたものより魅力的ですかねえ?

それともお……私を『太陽系の向こう側』まで、連れて行ってくれますかあ?


【彼らはおぞましいものを見ることになるだろう。いうなれば、そう】
【何の気なしに踏みつけた木の葉が、片足を吹き飛ばす地雷のスイッチだった、とでもいおうか】
【或いは、普段の散歩道で猛獣に出会すような、本能的な恐怖を味わうことになる】

【その真相はミアには見えない。ただ、急に商人たちが黙りこくり】
【間延びした声がシンとした闇市に響く、そういう「意外」な展開であり】

【ざわ、と群衆が揺れる。気付けば人波を掻き分けて、ビニール袋を揺らしながら】
【深夜の雑貨店から出てくるような気楽さで、ミアの視覚イメージそのままのウニ・ヴェルゼルが歩いてくる】
【落とせば壊れてしまいそうな眼鏡も、底抜けな明るい緑色の瞳も――そのままだ。なにも、変わらない】

……そうですねえ、帰りましょうかあ。
あんまり美味しそうなものもありませんしねえ……
此処の『生態系』も理解りましたからあ……帰り道い、どっちでしたっけえ?

【へらぁ、と笑いながら。手にしたバーガーを一口でぞぶりと喰らい尽くすと】
【来たときのように、今度はこちらからミアの手を握ってしまうのだった】
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/02(土) 00:59:18.44 ID:MmE4xtAR0
>>349

【急激に静まり返る風景。女はそれを少し遠いところから見守ることしかできないから】
【何が起こったのか当然わからなくて。眉を顰めて、爪先立ちしてウニを探そうとするも】
【そうする前に彼女は人混みを掻き分けて、此方にやってきてくれたのだから】
【……繋がれる手を、ぽかんとした手で見つめる。そうして数秒の空白、はっと我に返ってから】

…………え、ああ、うん。いや、悪かったねえ……
あまり面白そうなもの、なかったみたいで。僕はちょくちょく買い物するけど、
ウニにとってはあんまり……だったみたい。そうだねえ、……こっち、

【少しばかりぎこちない動作で、帰路につくのだろう。どこかの壁に仕込まれた隠しドアから】
【もう一度世界の境界線をくぐるのなら、また地下道に逆戻り。暗い道をまた、二人手をつないで歩いて】
【やっぱり足音はばかみたいに大きく響いていた。時折水の滴る音。……ふと、女は口を開いて】

………………今回のこれ、ジオラマにする? しないかな、あんまり楽しくなかったでしょう。
まあべつに、作ったところで、ここで「闇市」をすることは二度となくなるんだけど――。
やっぱり「ああいう」ものばかり売ってるからさ、同じ場所ばかりでは開けないの。「足が付く」から。
だからもう一度ここに来ても何もなくなってるし、次にどこで開かれるかも、わかる人にしかわからないし――

…………だから今日のことは別にこれから先、覚えておいてもらわなくてもいいよ。

【そういうことを言うのだから。つまるところ、わたしとあなたの縁もきっと今日限りになるよ、ってことを】
【きっと言いたいのだろう。伝わるかどうかは知らないけれど――だからこそ、】
【中途半端な偽名しか名乗らなかったわけだし。そうこうしているうちにマンホールの蓋へ続く梯子に着いて】
【そこで手を放してしまうのだろう。「やっぱり僕、もう少し買い物してから帰ることにするから――」】
【穏やかに笑うお別れの表情。どこかちょっとだけ、寂しそうにしているのはきっと、薄暗さが見せる錯覚だった】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/02/02(土) 01:30:05.81 ID:O24AJ+oK0
>>350

【かつーんというミアの足音と、ざりざりという躾の悪いウニの足音】
【反響しやすい下水道を歩く間、来たときとは正反対に】
【聞こえる音はソレばかり。だが、ふとミアが口を開けばソレに応え】

そーですねえ、ジオラマにはしないですかねえ。
地下ですしい……あんまり、観察出来ませんでしたからねえ

……でもお、面白かったですよお?
あんなふうに色んなモノが売っててえ……ヒトがヒトを、ですねえ。
それに、たくさんのヒトたちとお話するのも初めてでしたからあ……
また行って、ゆっくり全部見て歩きたいくらいですよお?

【嘘で言葉を飾ったりすることは出来ないタイプの存在、だとすれば】
【決して楽しくない、というわけではなかったのだろう】
【薄暗い中、隣を向けば見える顔は程よく緩んで笑っている】

……けどお、多分ですねえ、嫌われちゃいましたからあ。
ヒトに好きになってもらうのって、難しいですねえ。

【会話というよりは独り言。手が離れれば、代わりに地上への梯子に指を掛けるが】
【ぐるりとミアへ振り返れば、ツインテールにした髪がぶらりと揺れて】
【脱力した腕の先、バーガーでいっぱいの袋を振り子のようにしながらミアを見つめ】


いいえ、覚えておきますよお。面白かったですからあ。

石を眺めるだけの日々よりも、砂を噛むだけの食事よりも
ただ漂うだけの夜よりも、とおっても楽しかったですからあ。


……また会いましょうねえ、ミアさん?


【にへぁ、と何とも言えない笑みを見せると、二束の金髪を揺らして梯子を登り】
【やがてマンホールの蓋を押し上げて、光の中に上がり、蓋を締めて、消えた】
【残るのは静寂。後はわずかに、握っていた手の熱だけが存在を思わせる】

【――「闇市」で、あの時ウニを囲っていた者たちに話を聞く機会があるかもしれない】
【「何を見たのか」と聞けば、しばしその者は言葉を選ぶように口をパクパクとさせてから】
【『化物を連れ込むのも程々にしてくれ』と、言葉少なに――口を揃えて、話すはずだった】

/夜も遅いのでえ、この辺りで失礼しますねえ
/お付き合い頂けてありがとうございましたあ。そしてえ、おやすみなさあい……♪
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/02/02(土) 01:47:53.58 ID:MmE4xtAR0
>>351

【マフラーを巻いたままの顔。口から上だけを露出するようなかたちであれば】
【見た目以上に感情表現のゆたかな瞳がぱちくり、瞬きをするのはよく見える】
【少しだけ驚いているようだった。それで、……弧を描く唇が見えずとも】
【ふ、と息が漏れたのだからその表情もよくわかろうものだった。安堵。ウニの機嫌を損ねなくて、よかったって】

…………そお。ならよかった。
そりゃあねえ、石を眺めて砂を噛んで漂うだけ――よりは、世の中面白いことだらけだろうし、

どうせならもう少し楽しいところで逢いたいね、また――連れてきた僕が言うのもなんだけど。

【見送りの言葉はそれだけで十分だった。約束、というよりは願望。また会えたら、それはきっと幸運であり】
【それ以上でも以下でもないのだということを暗に語っていた。ウニが昇っていくのを見届けたなら】
【踵を返して、本来やりたかったこと――買い物に戻る。すれば、市に入るなり非難の嵐に追いやられるのだ】

えっ、ええっ? 連れてきちゃダメだなんて、どうして、僕のツレなのに……。
化物? 化物売り買いしてんのはどこのどいつらだよ、今更ビビりやがってえ。
……は!? 出禁!? ヤだよそんな、一回ちょっと変な子連れてきただけでそんなことされんの……
どうせここも今日限りでしょ!? もう来ないよきっとあの子、だからさあ――――

【やいのやいの言いつつも。結局この女はこの日、それなりの量の買い物をして帰る】
【ウニと見た妖精さんや少年は、一瞥くれてみたけど――買ったりはしなかった、なんとなく】
【単純にほしいと思ってないし、ほしくなるほどの品でもなかったからそうしたにすぎないけれど――なんとなく、なんとなく。】


//はあい!遅くまでお付き合いいただきありがとうございました、おやすみなさいまし!
353 :マーリン ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/02(土) 13:52:09.20 ID:YhfmGOgwo
>>303

【ふん、と鼻を鳴らす、────── 短い邂逅であるが、それが彼にとって満足気な様子である事は分かるはずだ】
【天上天下唯我独尊、不遜を絵に描いた様な男であったが、正しき理屈には敬意を払う】


相手がされて一番嫌な事を考える、兵法の基本さ、ビジネスの根底とも言える、丁度良いから啓蒙してやろうか
何を考えて『水の国』の連中は “魔制法” だなんてトチ狂った法案を通してしまったのか、についてだ

例えばある国が、身体に欠損を持つ者は皆殺しにする、なんて法案を出したとするだろ? 全くもって正気の沙汰とは思えない筈だ、百害あって一利もない
だとすればそんなものを出す意図は一つになる、────── 只々、その国に対して害を与えたいんだ

どうやら、彼の国には内部にとんだ、裏切り者がいるみてぇだが、──────


【ふんふん、と腕を組んでテレサのスキルについて吟味する、予想以上の収穫だ、と内心思った】


良いだろう、今日中に書類仕事は済ませておく、午後に一枠 “特待生クラス” の授業に枠を空けてあるからそこで指導しろ
此処の生徒には入学時から評価術式を教え込んでる、毎回の授業の後、“講師” の評価がデータベースに蓄積されていく
勿論評価がよければ報酬も上げる、逆もまた然りだ、謹んで励む様に

────── “異端狩り” の再建も任せておけ、仔猫ちゃんと一緒に、幾らでも働ける場所を用意してやろう
他に質問は? 無けりゃとっとと新しい仕事に向かって欲しいが
354 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/02(土) 16:09:30.92 ID:Z0ZduGOLO
>>341
(……楽しいこと、か)

【カニバディールもミラも、身を置く場所は闇だ。それでも、ただ生き残り続けること自体に妄執し、それを目的とするカニバディールと】
【最愛の伴侶を失ってなお、生きることで楽しさを求めようとするミラ】
【カニバディールは自嘲する。悪党にも格というものがあるのだと。表には決して出さず】

【そして、自らも決意する。ミラを死なせるわけにはいかない。いつぶりかに出来た友を、殺させはしないと】

ふ、ふ……私も慣れないことをして、少し気恥ずかしく思っていたところだ
そうだな、私としてもこの方が合っていそうだ。こちらこそ、よろしく頼むよミラさん


そうだな……課題は山積みだが、まずは足元だ
黒幕も当然油断ならないが、イスラフィールはその中でも特に腹の底が見えず、その上すぐ側に立つ相手……情報が必要だ

【異形の表情も、冷徹な悪党としてのそれに変わる。相手は強大だ。恐らくは自分たちよりも、ずっと】
【表の立場や組織力もさることながら、イスラフィールは彼女自身がその頭脳や能力において大きな脅威】
【それに対抗するには、相応の準備がいる】

私が会ったのは一度、そう長い時間ではなかったが……それでも、その恐ろしさは感じ取れたよ
頭の冴えは当然だが、ミラさんの言う通り表の立場を最大限に利用できる点は実に厄介だ
あの女が指を振りかざせば、唇を上下すれば、それだけでどれだけの人間が動くか……

ミラさんがそこまで言うほどだ。私の想像以上ということだろう……そんな相手から吸収できるものは吸収して、その上で踏み越える
容易くはないが、出来なければ負ける。当然、手段は選んでいられない

〈世界の終わり〉……言っていることは虚神と似ているが、どうも性質は違う気がするな。本心かはわからなくとも、何か無意味な嘘ではないように思う


……私も、正直なところ多くを知るわけではない。ただ、引っかかっていることがある
イスラフィールにそっくりで、使う能力も同じ女を私は知っているんだ……

【今度はカニバディールが語る番だった。カニバディールが新楼市にてイスラフィールと出会った時の話】
【道を聞きたいと声をかけてきた。そこから、すでに術中に嵌っていたのかもしれない】

【"Justice"。かつて存在した正義組織。そのメンバーであったという少女、シオン=エルミオール=オルテンシア。カニバディールは以前彼女と交戦したことがある】
【そのシオンと不気味なほど似ていた。姿形のみならず、能力までも】

【人や物、場所の記憶を読み取り、再現する能力。シオンはこれで、かつてその道を走ったトラックの記憶を現出させるなどしていたと言う】
【これを持ってカニバディールの記憶を触れることで読み取り、カニバディールの立場を知った上で】

【持ちかけていたのだ。自分の立ち上げる新たな"Justice"への協力を】
【その当時は未だ猛威を振るっていた虚神への対処のために協力を約束した。だが今は】

今は円卓の中枢……。彼奴の行動はあまりに読めない。シオンと彼奴が同一人物なのか、それすらわからない
だが、彼奴の根源には関わっているはずだ。"Justice"のシオン。あの女が
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/02/02(土) 21:41:00.75 ID:aL52JymBO
>>354

【カニバディールが語り出せば、その間は言葉を控える。時折相槌を打ち、赤い髪が感情に合わせて蠢く程度】
【Justiceのシオン────生憎とその名を聞くのも存在を知るのも初めてではあったが】
【そのシオンとイスラフィールの奇妙な合致。それだけであまり良い予感はしなかったが】
【矢張り危惧すべきものとして、彼女の能力の方に意識が向いてしまう。記憶の読み取り。──姿を変えられるミラにとっては】
【精神や記憶といった内面に干渉にしてくる能力というものは、殊更忌避すべきものに感じてしまうのだ】


…………なるほど、新たな正義組織ときたか
かつて栄えたJusticeにUT────それに変わる、正義としての旗振り役…………

どう考えたって、Justiceの再興っつぅのはマトモな理由があるようには感じねぇな…………
だが…………、今はその“シオン”ってぇやつのことを調べるのが、カールの言う通り重要そうに思えるぜ
ただのクローンだとか、それこそ神様のイタズラでガチモンなそっくりさんだったってぇならそれで良し
そうじゃねぇってんなら…………その過去からヒントが得られるかもしれねぇ

未来のことを考えながら、過去のことに探りを入れる……
……ったく、その間にカーチェイスとか銃撃戦とかが挟まれねぇことを祈るしかないってこった


それに────気になるのはシオンってぇ嬢ちゃんとあのクソアマが激似ってぇことだけじゃあねぇ
Justice…………わざわざその名前を使って、正義組織をおっ立てようってぇのが引っかかる…………
恐らくは適当な名前でメンバーを集めるよりかは、一度有った組織の名前を使った方が目的やらが分かりやすいってぇこったろうが…………

…………円卓の行く先を考えりゃ、その手の組織は邪魔になっちまう
あるいは────異能主義の華々しいミコシ代わりにするつもり、なのか…………
もしそうじゃあねぇ場合…………、…………。……………………、<世界の終わり>────、


ん、…………っ、…………あぁああああ!!…………クッソ!さぁっすがに今あれこれ考えるのは情報が少なすぎるぜ!
だが1個だけ分かることがある!そりゃ、あのクソアマが胡散臭ぇ感じプンプンってぇことだ!

他にはなんかあいつの情報とかねぇのか?
どんな些細なことでもいいんだ…………、いや、ムカつくっつぅ情報は十分すぎてもういらねぇけど、よぉ
356 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/02(土) 22:37:21.51 ID:gqu3FLkl0
>>317

【よくまアぬけぬけと、“上手いこと”やるもんだ】
【アンド。ようやく“のって来た”な】
【だけどまあ、なんというか。小娘には変わりないわね。】

【人受けの良さそうなルックスと表情でペラペラ喋って】
【最初はこっちの器量ってもんを測りに下手に出て、上下がはっきりしたらこれだ】
【しっぽが見えてんぞ、“狸”。何処に飼われた狸か野良の狐か知らないが、優と秀の太鼓判を】
【履歴書にたっぷりもらってるか知らないが、こちとら高卒、ヤクザの出よ。】

【見えてるか?世界の隅々、人の心理の奥の奥まで。見えてんでしょうね。】
【貴女には私がどう見えるのかしら。ヤクザもんか、任侠か、チームMかそれとも小娘か】
【さあ、知略家、謀略家。情報収集偏僻者。一流か二流か――お手前みせてもらおうじゃないの】

【精々、愉しませてもらおうじゃない。】
【抜く“剣”?あいにくこちとら持ち合わせは白鞘の刀/ヤッパなもんで】

―――あら、私より詳しいようね。自分の"シマ”の事ぐらい、知っているつもりで居たけれど。
今後の身の振り方の参考にするわ。お礼にさっきの奢りにしてもいいぐらい。

面倒くさいから、単刀直入に聞くけれど。
私がヤクザの霧崎と知っていて?
貴女は何者で、何しに来て、何を目的にしているのか。

【シリアス。アンド、苛立ちをひと味。全体を覆うビジネス的な笑みでコーディング】
【人差し指はテーブルをリズミカルに叩く、椅子の背もたれに背を預け、脚を組む】

【占いはきらいじゃないわ。ただの一度も当たったことがないから。】
357 :ティナ ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/02(土) 22:52:42.75 ID:YhfmGOgwo
>>356

【男社会でのし上がるのはどれだけ大変な事なのかしら、私はとんと疎いけど】
【貴方が産湯に浸かる前から、私は女を武器にして、振りまく愛を可憐に溶かす】
【役者の出来が違うだなんて、言うまでもない事でしょう?】


にゃふふーん、まっさかぁ、そんなに安い女だなんて思ってもらっちゃ困りますぅ
櫻の女は高いって十分ご存知でしょう? 曲輪落とすにゃ泣き言要らず、ただ黙って札束お積みなし
あれよあれよとあんあと啼いて、お姉様の飼い狐になってさしあげますわーん

それはもう十分存じ上げてますよん、ひょっとして私が誰彼構わず求婚する発情狐だなんて思って?
あらん、もう悲しいですぅ、およよと泣いてぴょんと尻尾がたっちゃいます、あたふた隠して後の祭りよん
あはーんいいですね、お姉様らしいですっ、前情報通りクールビューティ一直線

────── まぁでもぅ、私は殿方に抱かれて蕩けてるお姉様の表情も好きでしたよぅ?


【一枚二枚と手札を切っていく、尽きぬ山札の数、かける言の葉に潤いを乗せて】


何々聞いて教えてもらえるだなんてヤクザの生活って意外と楽なんですねん
少しは考えたらいかがかしらん、“市長選” って話題も、出したんですしぃ


【そう、市長選、────── 唐突な話題であった、そこが彼女のキモといえた】
358 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/02(土) 23:32:35.40 ID:gqu3FLkl0
>>357

【だが貴女は聡明すぎる。合理的すぎる。計画的すぎる】
【考えすぎている、出来上がりすぎている。究極、見通しすぎている】

【でも私もわかっているわ。貴女が望んでいるのは貴女のプランニングに進むこと】
【貴女の手の上で意図したとおりのオペラか、シネマか、インテルメディオか知らないが】
【事が進むことを望んでいることぐらい。――でも、本当に望んでいるのは】

【ディストラクション】

【でしょう?】


――あら。何処で何を聴いたのかしら。
ヤクザを脅そうとでも云うの?

そんなにみたいかしら、私の―――素顔

【自らのコートに手をかける。ボタンを外す、ひとつずつ】
【雰囲気を改める優しげな、なかなか表に出さないその笑顔を】
【見透かしているかしら、コートの下、白い素肌、柔肌、背中の彫り物―――】
【情報状況インテリジェンス心理真理精神分析学夢診断。心の奥に潜む、闇、弱みそして――】

【――――右手に握ったワルサーPPK】


もういいわ、消えなさい。


【白昼、休日、都心のカフェテリア。冷めかけたコーヒー、食べかけのサンドイッチ。】
【遊底を目一杯引き、撃鉄を起こす。良く狙って。引き金を引く。】

【響き渡る、銃声。乾いた音】

【貴女ならそれぐらい避けきれるでしょ?眼の前に出してあげたのだから。】

【新楼?市長選?政治?いざこざ?―――だから何?】
【さあ、これからよ。みたかったもの見せてあげるわ。たまらなく、笑いがこみ上げてくる】
359 :ティナ ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/03(日) 09:13:18.92 ID:FyVLKkFao
>>358

【銃声が響いた、ざわつく周囲、────── 貴女がひと睨みすれば蜘蛛の子を散らした様に去っていく】
【乾いた音が聞こえる、弾かれた音。寸分違わぬ狙いで放った銃弾は、寸分違えず命を奪わぬ】
【一冊の本であった、丁寧な荘重のされた冊子、彼女の胸元に出現し銃弾を阻む】


脅し脅されがヤクザの世界なら、騙し騙されが “コッチ” の世界ですよぅ
前情報で多少突拍子も無い事をする、だなんて聞いてましたけど
────── まさかここまで変拍子とは思ってなかったです

一体どんな拍でビートを刻んでるんですか? じーっと見てなきゃついてけないですし
仕方ないです、お姉様の出すグルーヴに付き従ってあげますから
精々先に踏み外さない事を、祈ってるんですねっ


【ティナはぴょん、と椅子から飛び降りて臨戦態勢を見せる、察する事ができるはずだ】
【口の上ではやいのやいの言ってるがその実、戦闘に関してはあまり慣れていないのだ、と】
【強引な一手でイニシアティブは貴女が握った、だとすればその行先もまた、闇】
360 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/03(日) 14:28:28.29 ID:8XaHuQO00
>>359

【極道として、舐められちゃならない。見栄だなんだと気質は騒ぐが】
【実際、下に見られて得するようなことはない。上の力量だからこそ】
【下手に出るということは意味がある。下手に出るのと、媚びへつらうのは】
【違う技術だ】


あら、そうなの。なんにせよ――私は、騙されるのは嫌いよ。
詐欺師やホラ吹きや裏切り者のようなクズはこっちの世界にも散々居るわ。
そういう時――私は素直にする方法を心得ている。

【霧崎は銃口を向けたまま、それよりも鋭い目で睨みを効かせた】
【それよりもはっきりとした、それまでと違う空気を放ちながら】
【まるで幾千の刀の切っ先が自分を向いているかのような】
【さながらそれは、戦場。】

おい、"チンピラ”。極道なめたらどうなるかはちゃんとお勉強してきたのかしら?

拍子?ビート?んなもんあるわけないでしょ。眼の前の気に入らんもん、斬り伏せるには
一呼吸で事足りるのよ。知っているかしら。知らないでしょう。

グルーヴ?…笑えるわ。匂わないのよ、貴女からは。"武人の匂いが”
代わりにするのはその腹ン中で腐った臓物の臭い。

刀の錆にするのも惜しい。そんなアンタと何を共鳴しろって言うのかしら。

………なぁ、おい。チンピラ。答えてみぃよ。
"一悶着”起こした、ヤクザ者程度、抱き込めると踏んで来たんでしょう。
どっかの間抜けが歌ったのでしょうね。まあ、何処の差金かは見当はつくわ。


――テメェ、"机の上”でしかモノ知らん奴らに何がわかるってんだ!!チンピラァァ!!


【恫喝の一声があたりに響いた。銃声とも引けを取らないその声】
【霧崎は今だ立ち上がらない。睨みを効かせ、銃口を向けていた】

【きっとそれぐらいのことをしてくるとは織り込み済みのことだろう。脅し、虚仮威し】
【大声で威圧して心理的効果を狙う作戦。ヤクザの常套句。しかし、それだけ。それだけの奴ら】
【暴力を振りかざすだけの集団。落ち目の能無し共―――】
361 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/03(日) 19:32:11.48 ID:yRCxTIDs0

「……連れて行け、中々に貴重なサンプルになりそうだ」

【風国、トリカゴ本部付近の森林地帯】
【クラッシックなコート、スーツに高山帽と幾分にも時代を錯誤したかの様な男女の集団が、群れを成している】
【群れの中心には、少年と少女】
【少年はかなり幼い、まだ10歳そこそこに見え、少女は16か17くらいに見える】
【少女の格好もまた、奇妙なもので、兜のない赤い和甲冑に白の陣羽織、周囲には小太刀と和盾が浮翌遊して手には薙刀を持つ】
【少年は、手にしたヴァイオリン以外はさして特徴は無い】

「アカシア、お姉ちゃんが隙を作る、だからアカシア1人でも本部に逃げて」
「嫌です、雉、僕も一緒に戦う、雉を1人には出来ない」
「……お姉ちゃんって、呼んで」

【奇怪な男女の集団が、只ならぬ様子で迫る】
【緊迫の表情を浮かべる中、2人は空いている手を絡ませる様に握り合って】

【この場に、果たして介入者は現れるのだろうか?】


//本日中ゆったりと待ちます!
362 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2019/02/03(日) 19:57:31.90 ID:HoqVr57w0
>>361

【――――羽搏きの音すら残さずにその小鳥は降りてきた。けれど】
【一流のバレリーナはどんなに大きなステップをしても足音を立てぬと言うらしい。ならば】
【こいつはほんの少し、それに届かないでいるらしい。こ、と僅かな僅かな着地音を立てて】

アーくんキーちゃん、へーき? コマはぜんぜんヘーキだよ、超元気。
それで何? あのヘンなカッコした人たち……追っかけられてるの?
だったらコマがやったげる、だから二人とも、早く逃げな。
本部はもうすぐそこでしょ、さすがにそんだけだったらコマだってジカンカセギ、できるし……

【真っ白くて太い毛糸をたっぷり使って編んだニットワンピース。リブタイツで包んだ足先には】
【舞台上で履くべきトウシューズ。それで爪先立ちして――茂みの向こうに見える不届き者を見やる】
【青空色のぱっちりした瞳と、雲色のツインテールを持った少女だった。二人とは面識もあるだろうか】
【「駒鳥」。やたらめったらパートナーとの仲を周囲に自慢して回る、ちょっとうるさいおバカな子だけど】

それにコマには、ネムがいるもんね。ダイジョブダイジョブ、いざとなったら逃げられるし。

【「だから二人は早く逃げな」。……こんなところでバカ騒ぎするほど、おろかではなかったらしい】
363 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/03(日) 20:26:09.85 ID:yRCxTIDs0
>>362

「……駒子?」
「駒子さん!?」

【そのバレリーナは、音も無く舞い降りて、そして僅かに一音のみを立てて君臨した】
【然し乍ら、森林にバレリーナとは、些か不可思議にも、或いは絵画的にも見える】
【ふわふわとした、街中にならば、何処にでも居そうな少女の服装もそのアンバランスさをより際立たせ】
【兎にも角にも、介入者は現れた、それも2人の良く知る少女が】

「こいつら、本部を探ってた、だからアカシアと2人で追い掛けたけど……」
「すみません、この人達こんなに居て、あっという間に囲まれて」

【迂闊にも、少女と少年は待ち伏せに遭い、この状況と言う】


「仲間か?呼んだのか……まあいい、連れて行くサンプルが増えただけだ」

【新たに出現した2人の仲間と思しき少女に、高山帽の男女の集団は警戒の色を強めて】
【目深に被った高山帽により、目元は見えないが、鋭い視線が集中している】

「適度に痛めつけろ、[ピーーー]な」
「了解です、上曹」

【高山帽の男女は一斉に古めかしいデザインのコートを脱ぎ捨てた】
【そこには、先程までのクラッシックなスーツの集団では無く、カーキ色の水兵服に身を包んだ集団が居る】
【肩口には階級を示すラインの他、彼らの所属を示す櫻に錨の意匠】

【集団は一斉に手にした、ボルトアクションライフルを構えて3人に狙いをつける】

「駒子さんも、雉……お姉ちゃんも、放っておけない、僕も戦います!」
「この人数、駒子でも多分キツい……私も戦える、1人には……しない!」


『状況開始……全員、撃て!!』



【次の瞬間には、3人の脚部目掛けて、一斉に引き金が引かれるだろう】
364 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/03(日) 20:55:20.60 ID:HoqVr57w0
>>363

えっ、本部を!? ヤバいじゃんそれーっ、スッパイ? じゃん!
ダメだよーっそーいうのは最初に飼主様に言わなきゃ!
けどなーっこんなにいっぱいいるんならなーっ……なんだろ、ブタイ?

【首元を覆っていた、チョコレート色のマフラーを握りしめる。それ越しに白い息を吐いて】
【やや間の抜けていた丸い瞳をきっと尖らせる。なるべく二人に寄り添うように、近づいたら】
【衣擦れの音。相手がコートを脱ぎ捨てたのと同時、こちらもマフラーを首から、ほどいて】

ブタイってゆーか……あれ、グンタイ!? グンってヤツだ!
コマ知ってるよ、グンプク!? ってお洋服だよね、あれれっでも……グンって……
ふつーヘイワのために戦う人たちじゃないの!? なんで、コマたち何も悪いことしてないのにっ!

――――――怒ったんだから! コマたちみたいな子供に、寄ってたかって銃なんか撃ってっ!

【癇癪を起こしたみたいに目の前で振り回す。しかしそれは、駒鳥に与えられた能力の発動キー】
【手でも、脚でも、着用した衣服の裾でも。振り回したものの軌道に「斬」の特性の「線」を描く】
【それが駒子の能力だった。マフラーが踊り狂い、たなびいた軌跡に沿って描かれる何本もの線は】
【空色に輝いて、放たれた銃弾を防ぐ壁――とまではいかないが、格子。それくらいにはなるだろう】
【飛来する銃弾がそれに当たれば、切り裂いて威力を殺す。それだけの一度きり、役目を終えれば線は消えて】

アーちゃんは絶対前に出ないで、キーちゃんを守れるのはキミだけなんだからね!
行こ、キーちゃん! コマとふたりで全員やっつけちゃおう!

【そうして彼女は羽搏くのだろう。鬱蒼と生い茂る木々の間を抜けるようにして、同行に指名するのは少女であり】
【だってそれがトリカゴのシステムだった。小鳥が空に舞い踊って戦い、止木はその帰りを待ち、傷を癒す】
【それが当たり前のこととして刷り込まれていた。だから駒鳥は踊ることになんの躊躇も持たない、が――】
365 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/03(日) 21:34:57.76 ID:yRCxTIDs0
>>364

「駒子、スパイだよ!」
「何でしょう、でも、何かの組織だとは思います……何処の部隊かは判りませんが……」

【駒子が手にしたのは、チョコレートの色をしたマフラー】
【其れを手に、2人の近くへと来れば】
【その瞬間に、両陣は戦闘の態勢を整えることになる】

「うん!軍隊の服だ、でも、アレって海軍の服装?」
「何処の国の海軍かは解りません、でも……来ます!駒子さん雉お姉ちゃん!」

【号令と共に一斉に放たれる弾丸、その直前、マフラーを振り回した駒子】
【能力は、マフラーの軌跡に合わせて展開される、斬の線達】
【空色のそれは、其処にぶつかる全ての弾丸を切断し、その威力を消して行く】

「流石、駒子……強い」
「ぼ、僕が、雉お姉ちゃんを、う、うん!解りました駒子さん!」

「能力か……予測通りだ、全兵能力使用許可」



【その切り払いを合図に、前線に踏み出す少女2人】
【其はまさに、勇ましくも華麗なるトリカゴの戦い方】
【少女達の、守る戦いの在り方】
【軈て、勇ましき鳥達の前に、合わせる様に海兵が進み立ち塞がる】

「貴様の相手は俺だ、奇妙な剣士、面白い技を使う様だが、まあ直ぐに捕まえてやるよ」

【駒子の正面に躍り出たのは、ヒョロリとした細身の海兵】
【腰には8振りにも及ぶ軍刀を下げて居て】

「手数の多さじゃ、負けはない」

【腕捲りをするや否や、ニュルリと彼の腕が伸びて幾本にも分裂した様に見えただろう】
【海兵の腕は左右4本ずつ、計8本、タコの脚の様な形状と見た目となり、その一本一本に軍刀が握られている】

「此れが、8刀流だ、小娘程度では敵うまい!」

【8本一斉の突きが放たれる】
【一方では】

「駒子!アカシア!」

【和甲冑の少女、雉は既に1人の海兵と戦闘を開始している】
【かたり大柄のでっぷりとした海兵、彼の一撃の度に人間離れな程大きく肥大する腕の筋肉と掌による、所謂連続張り手を、和盾と薙刀で防御しながら】

「駒子さん!雉お姉ちゃん!」

【後方の少年は、手にしたヴァイオリンを奏で始める】
【ーー駆け行く者への遁走曲ーー】
【その場の仲間、この場合は駒子、雉の身体的素早さを、一時的に底上げする効果の曲】
366 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/03(日) 21:47:26.33 ID:HoqVr57w0
>>365

カイグン……ますますわかんない、海の兵隊さんってことでしょ?
それがなんで、風の国の……ここらへん海ないよ!?
もおーっ、考えたってわかんない! ぜんぶやっつけて飼主様に訊こう!

【かつかつと、ヒールではなくトウシューズの爪先を甲高く打ち鳴らしながら】
【怯むことなく前に進んでいく、そうして相対する男をきっと睨みつけて】

なに? 海の兵隊さんだからタコってワケ!? もーっ気持ち悪ぅい!

【両手を高く掲げて――交差させた指先を、ほどきながら真下に振り下ろす】
【舞踏で言うところの、お辞儀のような動作。戦闘の開幕に合わせるにはふさわしいそれを】
【風切り音とともに放つのならば、Xの形に空間に描かれる線。その重なる部分が突きを受け止め】
【しかしそれで砕け散る。ぱきん、と軽い音が鳴って――次の動作にはなんの支障も与えないだろう】
【けれどそれは駒鳥のほうにも言えることであった。一礼は済ませた、ならば続いて舞踏が始まるのも道理であり】
【ぎゅい、とシューズが地面を踏み締める音が鳴った。何かしらの動作の前準備の音――】

――――――――お!? アーくんナイスっ、イイ感じに踊れそうな曲!

【――そして後ろに振り向きつつ、に、と笑った。追い風を捕まえたような気分。大丈夫、やれる――】
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/04(月) 15:19:14.60 ID:PeRUZVf10
【街中――大通り】
【ごく風の強い日だった、誰かがうっかりと手放してしまったチラシが道路を右往左往して、そのたびに車に轢かれてボロボロになっていく】
【ならば通りを行き交う人も、身に着けた何かを飛ばされぬようにと身体をちぢこめ、脚早に歩いてゆくばかりの光景、吹き溜まりにたまった落ち葉すら残骸でしかない時期であるなら】
【――それでも春一番には少し早すぎてうんと冷たい風だから、やっぱり、みんな早足にどこかへ向かってゆく、ばっかりで】

――、やあっ、もう、寒いよぉ。風が無かったら、絶対これ暖かいですよね――。――早く春、ならないかなあ……。
――――――――、はあ。もう、早く戻って、アリアさんにあっためてもらおう……。

【通りに面した喫茶店のドアに括られたくすんだベルの音、通りに姿を見せるのは人影一つ、なのだけれど。外に出た瞬間にひときわ立派な強風に煽られて、】
【ぱたぱた蹈鞴を踏む足取り、長い髪先を指で押さえて身体を縮めるのは通りを行く人々と同じ格好、むうとどこか拗ねた目で虚空を見ようとも、風を見ることは出来ないんだから】
【すっかりと諦めて――というほど恨みがましくもないけれど、歩き出すなら、ごくありふれた光景。ならば一つ違うとするのなら】

……。…………。確か、この道、あの辺に……。……いや、でも、――、うーん、うーーん、――、んん……、でも……。寒いし……。

【やがて人込みから緩く逸れて立ち止まる足先の仕草、のぞき込むのは裏路地一つ、――行こうと思えばさらにその奥、治安のより悪くなるエリアまで容易く行けるような、】
【いわゆる路地裏にほど近い道、ごく一般の人はあまり近づこうとは思わない通り。――――曰く、"サーペント・カルト"の活動が活発だったころは、人攫いも多く出た、なんて?】

…………――、いっ、かな、道分かるし。寒いし。風凄いし。……。……――近道。

【どうにも数秒ほど悩んでいた風情の少女はそこままそちらに足先を向ける、ごく気まぐれな散歩みたいな顔して、――ならば、そのまま、踏み込んでいく】
【白銀の色した腰までの毛先が風に煽られ翻るなら、その向こう側の肌色の白さを余計に引き立てて。水平線みたいに青いまなざしを、赤淵の眼鏡が彩ったなら、瞬くのも白の睫毛】
【きちんとボタンを閉めてなお身体つきの女らしさを強調している厚手のピーコートは黒色のもの、ショート丈のコートからふわり溢れて揺らぐのは赤色のロングスカートで】
【ちらり覗く足元は黒色のタイツと、それから踵の高いショートブーツ。――。まだあどけなさを残すような年頃の少女であった、数えるのなら十六か十七か、間違えても二十歳はあり得なくて】

【白いドレスグローブに包んだ指先を寒そうに擦り合わせているのがいやに普遍染みた仕草であった、――きっと車に踏みつぶされたストロング系の酒の空き缶を踏んで、足音一つ】

/お返事夕方すぎごろからになってしまうのですが、のんびりおまちしておりますっ
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/02/04(月) 17:26:21.72 ID:9PKSUl+yO
>>360

【 "マズい" ─── と思った、報告以上にこの相手は "頭がキレる" 】

【表面的に見れば、武力と恫喝を用いた脅迫でしかない、ヤクザのやり口として短絡的な真似と笑う事もできよう】
【しかし、その実は計算された対応であった。現実は瞬く間に不可逆、論理的なテーブルに戻す事はほぼ不可能となる】
【更に言えば、此処で再び "話し合い" に戻すという事、それそのものが "下手にでる" 事に他ならない】


(……ちょーっとつつき過ぎましたかね、いやいや、そうじゃないです、ここぞというタイミングで暴発させた)
(前情報以上じゃないですかん、うちのセンセったらほーんと、女狐なんですからぁ)
(はてさて、どうしましょうか、──── リスクは最小限に、リターンを最大限に)


【虚仮脅しのブラフとティナは看破する。だが、それは織り込み済みであろう。ティナの方からアプローチをかける】
【それはつまり、交渉の必要性は此方が持っている事の証左に他ならない、────── それを見抜かれている】
【ブラフにはブラフを、見せた手札の大小に揺れ動くはチップの多少、それならば】




【 ────── 風が吹いた、ティナの持つ本から、僅かな光が零れて】



【テーブルの上に落ちる軽い音、左手の小指がカランと転がる】



/続きます
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/02/04(月) 17:26:50.68 ID:9PKSUl+yO
────── 申し訳ございません、ええ、私とした事がやり方を間違えていました
貴方様はそれを指摘して下さったんでしょう? 奸計をするなら相手を選べ、と
でしたら私も誠心誠意をお見せして、私共の使命を果たさんとします

これは私の "ケジメ" です、幾つかの無礼をお許しください、改めて自己紹介を
"水の国最高議会議員" イスラフィール "秘書"
ティナ蜜月<買@レンタイン、と申します

────── 私どもの依頼はひとつです。

来る "市長選" にて、私達の推す "与党派" を当選させて頂きたいのです


【血が滴り落ちる、投げられた賽は左右に揺れて、残す血痕が煩いの様に】
【仕切り直しだ、切った貼ったでは埒が明かない。故にティナは一度話をリブートさせる】
【計られるのは仁義、果たした忠に答えられぬ程、利で任侠をやっている人間ではないはず、と】
370 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/04(月) 21:57:08.79 ID:IToJU5h70
>>367


【路地裏に入った少女。まるでそれを待ち望んだかのように】
【背後に気配、そして背中に刃物を突き付けられる感覚がするだろう。あまりにも唐突。】
【だが、確かにこの場所ならあり得そうな話ではあった―――。】


―――動くな、少し話に付き合ってもらおうか。



【視界の端から見えるのは白い外套、そして聞き覚えがあるかもしれない少女の声。】
【無機質に、だが不思議と殺意や強い敵意は感じさせない声色であった。】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/04(月) 22:09:08.94 ID:PeRUZVf10
>>370

【――――そうして少女の足取りは緩慢に止まった、ひどく驚いた風でこそなかったが、かといって、純然たる平穏な気持ちのままでないというのは、気配が証明する】
【曖昧な位置にて立ち止まった少女は、投げかけられる声より先に静止しているのだろう、ぴたりと立ち止まったまま、けれど、長い毛先とスカートの裾とが、ひらひら揺らぎ】
【白銀の毛先に水平線の眼差しは、――"相手"にとって知らぬ色合いであるはずだった。だけれども隠し通せぬのは甘やかに涼やかなスズラン色した少女の声音、そして背格好】
【靴の高さという差異はあれども、よほどなにか違ったということもない。――強いて言えば、身に纏うシャンプーやボディソープの香りは変わっていたが、些細であり】

――――――、ヤですよお、って言ったら、殺されちゃいます? それも、ヤなんですけどお――。

【未だ振り返らぬのならば、肩越しの言葉のやり取り、変わらずに動かずにいて"あげている"風が拭いきれないのは、彼女が能力者であるときっと貴女は知っているのだから】
【ましてや、――いわゆる得物を振り回すだとか、そういう方の"能力者"ではないのだから。本人は動かずとも誰かを殺せる力の持ち主だった、それもまたきっと変わらぬなら、】
【細い道をごおっと吹き抜けた風が彼女の毛先を掬い上げるようにして流す、――距離感によってはその鼻先すら擽りそうなほど、そうすれば、甘やかなシャンプーの香りすら、伝えて】
372 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/04(月) 22:22:51.90 ID:IToJU5h70
>>372

やはり蜜姫 かえで≠ゥ?人違いであればと思ったが、その声色はそうだな。
殺すつもりなどない、尤もお前の出方次第ではあるがな―――。


【無機質さは変わらないが、以前より若干感情が受け取れる声は続く。】
【警戒は怠らない。握った儀礼剣の柄を今一度握り直す。いつでも突き刺せるようにと。】
【だがそれは相手も同じこと、いつでもやれる≠フはお互い様なのだ。】
【であればこの突き立てた刃にそれほどの意味はなく。】


随分と軽い足取りだがどこへ向かう途中だ?
普通の女は避けて通るような場所だが―――まぁお前に言っても仕方ないだろうがな。


―――ところで、最近は何か変わったか?


【不器用な言い方だった。】
【それは白い外套の願いも込められた問いだった、願わくばあの日の再現は―――】
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/04(月) 22:43:39.19 ID:PeRUZVf10
>>372

――、やだなあ、"違いますよ"。私、蜜姫かえでじゃないです――、死んだって、テレビでやってましたよ? 銃殺だとか?
…………私を殺すと、ワンちゃんより、もーっと大きくって、こわぁい、――狼さんが、怒っちゃいますよ。マウンティングで首根っこ噛んで、そのまま引きちぎっちゃうような――。

【初めての仕草は、肩越しに向ける視線であるのだろう。空と海の狭間に引かれる線みたいに深い青色の眼差し、赤淵の眼鏡――度の入っていないレンズ越しの瞬き】
【白くたっぷり長い睫毛には、――なるほど確かに注視さえするなら、薄藤の毛先が混じりこんでいた。ならばやはり言い逃れできぬ刹那、けれど、違うと言い張るのなら?】
【くすりと曖昧に携える笑みの色合いの意味合いを説明する気はないらしい。――少なくとも、"いま"は。こうして身形を言葉を偽るのならば、なにか、理由があるはずで】

【――単に極悪人がどうしようもなく隠れ暮らしていると呼ぶには、いくらも、そう、気まま過ぎるようだった。ならばやはり理由があるのだと、――そうでなければならぬはず】
【だって彼女は殺しすぎた。それこそ異端の信仰に爪先から毛先までをとっぷりと沈めて、本来であれば生きていていいはずはなかった。――なのに生きているんだから】

どこへ……って、巣穴です、狼さんの? 首輪をつけてもらって、今日も元気に芸のお稽古なの、お座りと、お手と、お代わりと――――。
――この辺の地形は、頭に入っているので。近道かなあって思ったんですけど、やっぱりだめですね。――人気のないところは通っちゃ駄目だって、言われてて。

【巣穴。狼の。首輪を付けられて。芸のお稽古。――ごく遠回りな口ぶりであった、しかして"狼"がどのような者であるのかは分からなかった。ただ、彼女が死ねば、怒るのだと、】
【きっと彼女は心底疑うはずもなく信じている声をしていたことだろう。――そうしてまた彼女は"蜜姫かえで"などではなく、薄藤も紅紫もうかがえないのなら】

変わったかも何も、"私たち"、初対面じゃないですか。――初めましてのご挨拶だって、まだ、していなくって?
――――――、そういうそちらは、なんか、アイドルにでもなられたようで? びーっくりしちゃいましたよお、テレビ見てたの。お昼休憩の時間で――。

【やはり別人なのだと主張してやまぬ、様子をうかがってふらり振り返る仕草は、難しいようならしないけれど。もしもそのまま見つめ合えるなら――、】
【――表情の手繰り方の一つすら"彼女"と一致していた。甘やかな声すら変わるはずはなかった。――幽かに香るバラの香水は誰かの残り香、たっぷり抱きしめられた証拠】

待雪かえで――、私の名前ですよ。お仕事はー、……公務員? 

【――――――――あどけなさの際立つにんまり笑顔。見せつけるようほころばすのは、やはり、振り向くことが出来て、それから、うんと"ヤバい"雰囲気になっていなければ、の話】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/04(月) 22:44:47.77 ID:PeRUZVf10
>>373
/わーんごめんなさい!最後のところだけ「公務員」→「警備会社」に脳内で訂正お願いします!申し訳ないです!
375 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/04(月) 23:03:09.58 ID:IToJU5h70
>>373

理解していて言っているのだと思うが、水の国ではその程度の偽造は毎日行われているだろう?
水の国で活動して間もない私がそう感じるのだから異常にも程があるがな。

―――フ、狼か。成程確かにそれは怖いな。


【淡々と、本当にそう感じているのかどうかも分からない返答。】
【だがその言葉の節々には望むところといった戦いに生きてきた者の意思も感じられた。】
【その後、少し考えるような間があってから刃が突きつけられる気配は消えるだろう。】
【振り向けばやはりそこにいたのは白い外套をすっぽりと被ったミントグリーンのおさげの少女。】
【なぜか今日は丸いレンズの眼鏡もしている。】


随分と飼いならされているようだな、よく分かったよ。
ああそうだ、例え身なりを変えたとしても習慣からこのように炙り出される可能性もある。
精々気を付ける事だな。


【丸いレンズの奥からじっと相手の頭からつま先までを見つめながら、そう答える。】
【こちらはどうあっても別人とは認めるつもりはないらしい。】


なッ―――!お前、まさかあれを見たのか?いや全国に生配信したのだから当たり前か…
お前に変化があったように私にもいろいろあるんだよ…!色々なぁ…!


【しかし次の相手の言葉で一転、狼狽し頬を赤く染めて身もだえる。】
【今までの無機質さがウソのように感情的に震えている。きっと眼鏡もそれのせい=z

【一通りぶつぶつ呟くと、気を取り直したように咳ばらいを一つ。】


そうか待雪………まさかお前が警備会社とはな。
だがそれならばちょうどいい、いくつか聞きたい事がある

376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/04(月) 23:29:39.44 ID:PeRUZVf10
>>375

みたいですね――? 私もビックリです。"蜜姫かえで"はどうだったか知らないですけど、私――待雪かえで――は、ごく普通の、女の子なので――。
――まあ、よくわからないですよ。偉い人の考えていることとか、やりたいこととかは。分かったところで――、私はワンちゃんですから、ここ掘れワンワンーって。

…………、……そうだ。気が変わりました。お花でも、買いに行きますか? なんかお花とか買ってどこぞの空き地かなんかに不法投棄したいような――欲求が――。

【「そうですよ、怖いです」とか言って彼女は指をがおーってさせるのだろう。そうしてそれが"怖さ"のアピールであったらしい、終えれば、両手をすんと落とし】
【蜜姫かえでという"別人"が何を知っていたのかは知らないけれど。待雪かえでという人間が見るには、――なるほど確かにそうであるらしい。とはいえ】
【そう思ったところで何かできるような人物でもない。表向きには所詮十七歳の小娘であるから、――本当のこと言うなら、彼女の命は、きっともはや彼女のものではないから】
【――ふむと小さく呟いた、そうして提案するのは不審としか言えぬ欲求の発露、唐突に花を求め棄てたいなどと、おそらくは何か悪いクスリをキメているか、そうでなければ、】
【頭の中のどこかの何かが失調しているかもしれなかった。――。口元に添えた指先は肌の白さを透かさぬままで同じくらいの白色、悪戯ぽく笑んだ唇、曖昧に覗かせ】

……う、いつも同じことするなとも、言われましたけどお、この道通るの、久しぶりですよ――。どこから付いてきてたんですか、ダメだな――。

【――――けれどぐむと表情が変わってしまう。身形をどうにかしたところで"誰か"と間違えられたこと、確かにあったなら】
【まして最悪で命すら落としかけたのだ。人気のないところは往くな。毎日同じ道を通るな。そんな風に怒られてはいたけれど、人間、どうしたって楽しがちなら】
【ただ、反省しているようではあった。今日はきっと運が良かった――かはともかく、相当かなり幸運であっただろう、相手が背後に居るのには、気づけなかったんだから】
【相手によってはそのまま殺されていたかもしれないのだと、――きっと心中思い知らされている。確かにこの道を通るのは久しぶりだが、人気があるとは、言い難い】

まーさーかー、CDとか出すとか思わなかったですよ。私だって出さなかったのに……。あ――いや、普通の女の子は普通出さないですけど。
眼鏡で変装とかアイドルっぽいです! あとは、髪の色、ちょっと目立つから、ウィッグとかして――。カラコンもいいですよ、印象が変わるから――最近はいいのがあって――。

【狼狽する仕草に、――にやと笑った。見間違いじゃなかった。そもそもCDをほとんどの人は出さないことはさておいて、】
【眼鏡で変装。髪の色が目立つからウィッグして。カラコンも印象が変わるからオススメらしい。――――さて、誰の話をしているのだったか】
【こほんと咳払いをするのを悪戯っぽく見ていた。ほんの綻びから漏れる欠片ですら拾い上げてもみくちゃに揶揄ってやろうという態度が滲み出ていた、――それでも、】

私ワンちゃんだから、なんにも知らないと思いますよ? "かわいい"の特訓付けてほしいとかなら、まあ、頑張りますけど――。

【――ならば彼女もまた、"いつか"の続きをやりたいわけでは、ないのだろう。いくらも静けさを取り戻す表情、わずかに細めた目は、冗談めかしながらも、けれど、笑わずに】
377 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/04(月) 23:49:49.20 ID:IToJU5h70
>>376

―――いちいち癇に障る言い方をする女だが、今日は止めると言ったのでな。
空き地にはもう行ったよ。………その帰りに何のめぐりあわせかは知らないがお前を見つけた。そういう因果だ。



【―――】
【――――――】
【――――――――――――】

【そのどこかの空き地】
【数か月前に掘られ、埋められた土とそこに刺さった墓標。】
【その前には色とりどりの花が包まれた花束がそっと、誰にも知られる事なく添えられていた。】
【風に揺られてゆらゆらと、心地よい日差しがかかりながら】

【――――――――――――】
【――――――】
【―――】




だから、色々あるんだよッ………事情がな。
―――お前、自分で自分の手の内を晒しているの気が付いているのか?それともまたとぼけるのか?

かわいいなら間に合っている、これでもそれなりにCDと写真集の売り上げはいいのでな?


【マウントが取れるのであれば、プライドすら捨てて自慢げに相手を見上げる。】
【確かに、CD売り上げチャートではそれなりにいい順位にはいたようだが―――】
【そして、彼女の所属する教会≠フ入信者もそれなりに増えているようだった。】
【とはいえそれは彼女の人気でという訳ではなく、水の国で虐げられている異能者達が救いを求めてだが】


水の国で起きている魔制法≠竄サれに関連する思惑に関して知っていればと思ったが
どうやらその様子では知っていないし知る必要もなさそうだな
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/05(火) 00:32:28.01 ID:QSa7Z47O0
>>377

――――――あれ、そうなんですか? なら――仕方ないですね、今日のところは勘弁してやります、花ばっかり不法投棄されても、困るでしょうから――。
一週間くらい間を空けて不法投棄してやりますよっ、地主は怪奇現象に頭を抱えますね、なんか知らんけどめっちゃ花棄てられる――って。

【――ならば、きっと、相手も見たのだろう。もはや残骸であって元の色など分からぬけれど、どこぞの空き地の片隅に残った、不自然に枯れた花の末路】
【雑草と呼ぶにはあまりに丁寧に切られた茎の長さをしていたし、――そこらへんに生えているような花ではなかった。枯れてしまった花びらの形だけでは不明瞭だとしても】
【誰か通りがかって知らぬままに花の意味を悟って何か追想するのであれば、――そうでなければ、ただ、静かであるのならいいなと思った、見上げる空は綺麗な青色をしていたから】

――んん? 私なんか言いましたっ、け、――、あ。あー! 私、視力、あんまりよくないんですよ。まあ裸眼でもイケるんですけど、外出る時とかはやっぱり――。
髪はこれ地毛です! ほら、睫毛も白いじゃないですか。……眉はちょっとー。今日カットしてきてないのでー。ちゃんとやってないのでー。目? 生まれつきですよお。

えー……、……パンツとか出したんですか? パンツ? ほとんどヒモみたいな……。お尻が99パーセント出てるような……。
売り上げのためならなんでもするんですね! 失望しました、ファンやめますっ。そんな破廉恥な子だなんて……私……。

【ぱちくり瞬き。沈黙は一瞬にすら満ちぬ、言葉の途中で彼女は何かに気づいたらしい。それから、指先が眼鏡のつるを捕まえて、どうやら目があまりよくないらしい】
【続けて毛先をつまみ上げる。――地毛らしい。それからぐうっと顔を近づけて、見せつける睫毛は確かに白いが、薄藤が混じっているし、何より下睫毛、当たり前に薄藤色をして】
【それからぱっと身を翻すのなら、その時に手は前髪を抑えている。――それから眼鏡をくいっとやって、瞬く眼の青は元からだと告げる。ふわり香る甘い香り、置き去りに】
【――ならば"うっかり"であるらしい、とぼけて見せるというにはあまりにも「ぱちくり」瞬いた一瞬の目の丸さ、嘘とは思えないものだから(或いはそれすら? ――なんて?)】

【――――――口元を噤ませて発した言葉がどうしようもなく仕返しの色を孕んでいたから、たぶん、やっぱり、本当に"やらかした"のだと、思われた】
【"よよよ"なんて顔を両手で覆った、――その指の隙間から青色がちらり、】

――――、それは、ホントに知らないですね? 本当ですよ。

【――知らぬものはやはり説明などできぬのだ、"彼女ら"はそのどちらもが、まったく、その出来事にはかかわってこなかったから】
【たとえ彼女が信奉"していた"神様が"関係者"なのだとしても、――彼女らの元にあったデータは事細かではあったが、"神様"を中心に構成されたデータであり】
【その周りの出来事にはあまり触れていなかった。ゆえに、やはり"知らない"。――――――、漏れ出る吐息は、けれど、それだけでは悪いとでも思ったのか、】

――まあ、私たちのところの、偉い人とかなら、何か知ってるかもですけど――。

【それは本当に警備会社なのかしら? ――どうあれ、まかり間違っても大人ではない少女を雇っている時点でわりにまともではないように思われた、ましてや彼女は誰かに似すぎる】
【そもそも"かえで"という名前すら一致していた。苗字だけの差異なんて誰だって結婚すればあり得るものだった。――ならば"何かしら"があると伝えるにはきっと十分すぎて】

――――――ところで、教会って、そんな財政難なんですか? 凛々しくって優しい女の子が――ヒモみたいなパンツで……写真集出すくらい……資金に困ってて?
CDいっぱい買うと握手会どころかお尻タッチできる券が当たったりして……。写真集には一万分の一くらいの確率で手形ならぬ尻形とサインが最初のなんにも書いてないところに……!

【とりあえず確実なのは彼女は相手のCDと写真集を買っていないことだった。妄想甚だしい反面、今までお話してきたのは、あの日の分の、猶予なのだと】
【いいところで終わっちゃう試し読みのマンガみたいに。――初対面とは思えぬほどに話が合うのはロマンティックなのだとして、結局二人の関係、こちらは相手の名すら知らぬ】
【或いは何か取次などを期待できるのかもしれないとして、それをやってくれるかどうかは、――、いや、その前に口の一つ二つくらい縫い付けるべきなのかも、しれないけど】
379 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/05(火) 00:53:06.05 ID:uFvhvCwZ0
>>378

―――あの辺りも人気は少ない、精々気を付ける事だな。
何度も言っているが、習慣化された行動は読まれやすいからな。


【少し微笑んだような仕草をしてから、まさかまさかの相手を気遣うような発言。】
【むしろ白い外套の少女の方が別人になっているんじゃないかという話であるが、それはそれ】
【同じ思いを持っての行動なのだから。】


ああそう………(何でこの女とコントをしなければならんのだ)
―――いやパンツってなんだ!着たのはちゃんと繋がってる水着≠セぞ!
そういう誤解を招く発言はやめろ、これ以上キャラが迷子になると困るんだよ!


いや、今の教会はそれほど資金には困っていない。
マーリン≠ニいういけすかない男が上手くやっているのでな。
私の例の件も奴の差し金だ、まぁ今頃は金の国の聖堂で札束を数えているだろうさ。


【やたらと激しく身振り手振りで抗議した後、忌々し気に吐き捨てる。】
【どうやらその男の事が本当に嫌いなようだが、逆らえないようであった。】
【そしてCDや写真集やらと………やはり芸能界の闇は深かった。】

【そうして少し項垂れたあと、踵を返して表通りの方を向く。】


―――まぁ何も知らないならそれでいい、特にお前はな
そのまま日の当たる場所で気ままに暮らしていろ、たまに空き地に散歩に行ってな。


私はアンゼリカ。何か困ったことがあれば教会を訪ねてこい。
間違ってもマーリン≠ノ訪ねるのは止めろ、大惨事になる―――。


【それだけ不愛想に言うと、アンゼリカは表通りの方へと姿を消していく。】
【次に会うときはお互いにどのような変化があるだろう、それとももう出会わないのか】
【―――街角で握手会をやっている姿を見るかもしれないが。】


//夜が更けてきたのでこのあたりで!ありがとうございました!
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/05(火) 01:33:55.93 ID:QSa7Z47O0
>>379

………………。

【ぱちりと青色が瞬いた、さっきまで冗談めかしてやれお尻がどうとか言っていたことさえ忘れちゃったみたいに、――それこそ別人みたいに】
【手袋にくるまれた指先がすとんと落ちていって、それから、身体の前で曖昧に組まれる。コート越しとはいえ豊かな胸元をたっぷり強調して、けれど本筋ではないから】

――そう、ですね、まあ、地主の人も? 何にも建ってない空き地がいきなり事故物件になったら、困るでしょうから――。
そしたら可哀想ですよね。まあ? ずっと空き地にしてるのが悪いと言えば、そうですけど――。――そうですね、――まあ、せいぜい、気を付けますけど――。

――――――、まあ、たまに、空き地に不法投棄してやりますよ。ラッピングペーパーとかは残るから、そうですね、むき出しの花でもぽーんって、投げてやって……。

【さんざっぱら揶揄った後に気遣われると、どうにも気まずくなるらしい。逸らした頬が微かに行き場のない羞恥に赤らんでいた、それでも噛んだ唇の瑞々しいこと】
【腕組む仕草と逸らしたままの視線で、――いくらか連ねる言葉は、どうにも素直ではない。そもそも、――件の空き地なんてものは、眼前の貴女と、それから、】
【この場に居ないはずの少女しか知らぬのだから。――ならばごく適当なことを言っているだけに違いなかった。揶揄いの延長戦なのかもしれなかった。――横目に伺う刹那】

……繋がってない水着って、端切れってことですか? それはさすがにヤバいのでは、発禁なりますよお。モザイクかけなきゃいけなくなっちゃう……。
――――――――――――あっ、"営業用"と"普段用"はきっちりと分けておいた方がいいですよ。でないと、"もっと"困りますから――。

ふうん……、そうなんですねえ。貴女がアイドルになって……。みんなを養って……。凄いじゃないですか、一人でグループアイドルに敵うのでは?
ドームまで行ったら呼んでくださいね。関係者席に入るの、夢だったんです――それか最前列で地蔵! 憧れます! 指先でリズム取って、意味深にニコリと笑いかける――。
――――――――ふうん。聖職者のイメージ駄々崩れですね。ちょっとショック――。

【発想の飛躍が著しいのはどうにも生来のものらしかった。それとも若さが何かを暴走させるのかもしれなかった。――しれっと付け加えられる言葉、変に重みが重い】
【別に誰の話をしているわけでもないはずなのに。――それからまたふざけるような声が続いて。だとしてもあまり気にしなくていいのだともはや理解してくるころだろうか】
【この少女のどうでもいい話に付き合っている限り、回し車から逃げそこなったハムスターみたいにぐるんぐるん廻されかねない、なんて。CDも写真集も買ってないくせに】
【――そもそも彼女の聖職者のイメージというものを問いただす必要性すらある気がした。思い浮かべた誰かの優しい父親みたいな声に、いくらか、遠い目をして、】

――――むう。なんだか馬鹿にされた気がします。除け者にされた気がします。……――アンゼリカさんだって、困ったら、狼さんを探してくださいね?
見たら分かると思います。とにかくでーっかくて強そうな、狼さんなので! ――私の名前を出したら、きっと助けてくれます、まあ、教会に行くかは、分からないですけど――。

――――――――だって、私、あんまり神様って信じてないんです。私を助けてくれたのは、狼みたいに狂暴な、夜の女王様だから。

【――――ならば、ただのんびりと暮らすのは性に合わぬのかもしれなかった。それでいて本当は安らぎを求めていて、だけれども、生きている限りありえないに違いない】
【仕返しめかして伝えるのは、――何度か言及していた狼と同一で間違いないのだろう。とにかく大きくて強そうで見たら分かるのだと言って、伝わらぬなら自らの名を伝えれば良い】
【それで全部が通じてきっと護ってくれると言い切るほどに信頼している人物であるらしかった。――――――、連なる言葉は"設定"であるのか、それとも?】
【転瞬浮かべるのはごく複雑な笑みであるのだろう。――悲しみも喜びも安堵も苦しみも後悔も嘆きも憧れも煌めきも恋慕も愛情も、――なにもかも詰め込んだ、感情の宝箱】

/ちょっとだけ溢れちゃったので……
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/05(火) 01:34:16.79 ID:QSa7Z47O0
>>379>>380

(枕営業とか強要されたらヤバいから逃げた方がいいですよ)

【(だからせめて照れ隠しに最後の一瞬に耳打ちをした、)】

――あー! 私も表通り戻ります! 一緒に行きましょうよお、初対面の仲じゃないですか――。大人しく遠回りしますよ。急がば回れって、言いますしっ。
三回ちゃんと遠回りしたらワンって言うから、そしたら、アンゼリカさん、ご褒美くださいよお――三回回ってワンって言うじゃないですかぁ――私ワンちゃんだから……。

【――そうして終わるかと思いきや、後ろからパタパタって付いてくるのだ。そうしてなんかいろいろ言っているけど、聞いても意味なんてほとんどなくって】
【付いてくるのを許してもらえたとして、元の通りに戻れば、彼女は「あっちですから!」なんて言って、どうあれアンゼリカとは違った方向へ行くのだろう、未来を暗示する、かは分からないけど】

【――――――もしそんな現場見かけたら、きっと彼女はCDでも写真集でも買うんだろう。しれっと当たり前に列に並んで、それからサプライズ。面白そうだからというだけの理由】
【わりに素面でそういうことをやらかす性質であった。普通に当たり前に握手してもらって、ばいばーいって手を振って。そういう未来、無いよりある方が、きっと、楽しい?】

/おつかれさまでした!
382 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/05(火) 12:21:33.99 ID:qcQMgP+CO
>>355
【感情とともに動く赤髪、何とも不思議な光景だという場違いな思考はわきにのけて】
【少なくとも、彼女の能力、"Lost Memory Wonderland" と彼女が呼んでいたそれに対する危惧については、一致を見るようだ。何せ、この能力は人の頭の中をさらうもの】
【ミラの恐るべき変身能力ですら、この力をもってすればその正体を看破されてしまうこととなる】
【シオンは、儚げながらも確かな正義を胸に秘めた少女だった。だからこそ、その力の使い道も正義のためだった。ならば、イスラフィールは?】

あの女の内面など読めないが、世間一般でいうところの正義組織とは、その内実はかけ離れているだろうな
<世界の終わり>を目的に掲げるような者の立ち上げるJustice、円卓での立場も加味すれば嫌な予感しかしない

その通りだ、まずマトモな理由ではないだろう クローン技術は、実際にあるのを私も見たことがある
これについては、イスラフィールとはまた別件なので、後で説明するが……まったく、この世界には脅威が多すぎるな

同じ能力の持ち主というのも、あり得ない話ではない。だが、ああまで姿や雰囲気まで似ているとなるとな……偶然とは考えにくい
ふ、ふ。どこのSF映画なのやらな。タイムマシンまで作られようとしている中で、過去を探りながら未来に進まねばならんとは

イスラフィールの過去については、私の機関内部での後ろ盾の一つ、カノッサの会計係の一派と計らって どうにか調べられるよう対策を講じてはいる

……貴女だから話すが、自分の記憶を中に封じ込められるマジックアイテムを渡されてね
イスラフィールが私の記憶を取り出そうと、そのアイテムに能力を使えば、逆にイスラフィールの記憶を吸い出せるらしい
詳細については、このアイテムの力で私の頭からも抜いてあるから、話せないが……。次に私がイスラフィールと接触することがあれば、チャンスだ
……そのために、カーチェイスも銃撃戦もやらねばならんかもしれないがね

【カニバディールにとっては、ミラは友人だ。しかし、それ以上に優先する他者の一角が会計係コマチ一派だ】
【ゆえに話すことには迷いもあったが、少なくとも、この対イスラフィール用の手段については、ミラの協力も必要となるだろう】

【ここまでは明かす。どちらにせよ、アイテムを受け取った時の重要な会話は、カニバディール自身すらも覚えていないのだが……】

うむ……今になって、かのJusticeの名を使おうというのは、目的がわからないな
今なお、影響力のある名前ではあるだろうが……あるいは、ジルベール陛下がいなくなったことで、当初と目的を変えたのかもな。別のことに利用できる、と

イスラフィールと会ってこの話を聞いたのは、半年近く前だ。陛下の消失が決定的となるより前、円卓が調子に乗り出すよりも前だったはすだからな
異能主義のシンボルにする……なるほど。しかし、それならわざわざJusticeでなくとも……

まったくだ。うさん臭さだけは折り紙付きだな
他には、か……会ったのはその一度だけ、私も本当に情報が少ないんだ。その時の会話といえば、虚神との闘いの舞台となった旧市街――――正式名称はストックホルムというらしいが

そこについて、さらには虚神の元居た世界について詳しかったことと
例の大会に、私か私の手下を送り込むよう、指示してきたくらいだが……ミラさんも鈴音の姿で実況していたらしいな?
あの時、私がウィーヴァーを送り込んだのは、イスラフィールの差し金だ。これについては、異能主義の布石だったのだろうがな

……イスラフィール自身がダメなら、その周りはどうだ? ミラさん、あの女の傍に側近はいなかったか? 円卓の中でも、とりわけ彼奴の近くにいるような――――
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/02/05(火) 21:18:46.36 ID:cFqml45LO
>>382

【カノッサ機関、会計派の一派。その言葉に、思わずミラは呻き声をあげる】
【ジルベールとつるんでいただけあって、ミラもまたカノッサとは無関係ではない──今もなお、拠点はカノッサの裏カジノにあるくらいだ】
【だが肝心なのはそこではない。カノッサの一派閥が動いていると言う部分だ】
【元より円卓も黒幕も内包している機関。“会計派”とやらがどちらに付いているのか、あるいは無関係なのかは定かではないが】
【はっきりと分かるのは、世界が蠢き始めているということだ。“イスラフィール”という、一人の存在のために】


…………機関の一派まで動いてやがるとなると、確実にただ事じゃあねぇって感じだな
だがその“マジックアイテム”とやらの存在はかぁなり重要だぜ、カール
これまた使い所は見極めなきゃいけねぇところ、だがなぁ…………
記憶の読み取りと再現、なんて出来る能力なんだ
あんたのその隠し球────二度通用するとはあんま思えねぇ
どうハメたもんかは…………、……………………

…………、……………………いや、記憶の読み取りなんてしやがるんだ
今それを考えたとこで、その記憶を読まれちまえばおしまいだ
なら…………それに関しちゃ、アドリブでやっちまうしか手はねぇな
サポートが必要だったらなんか言ってくれ。…………やれる範囲で、なんとかすっから、よぉ


【一度言葉を切る。イスラフィールは記憶を読むのであって、心を読むわけではない…………恐らくは、だが】
【ならば、“過去にイスラフィールに何かをしようとした”という記憶すら、仇となる恐れはあった】
【故のアドリブ────カニバディールにかかる負担やプレッシャーは大きいだろうが、今は彼に任せることしか出来なかった】


ま、Justiceの名前を引っ張り出してきた理由についても…………記憶が取ってこれりゃ分かるかもしれねぇ、な

にしても…………虚神、か。…………、…………旧、市街


…………。……………………案外、神さま連中のゴタゴタっつぅのは、終わってねぇのかもしれねぇな。カール


────<聖杯>を引っ張り出すのだって、神だの神話だのっつぅオカルトを使うんだ
“イスラフィール”────ネットで調べたぜ。あんま詳しいことは分からなかったが…………
最後の審判とやら……つまり、世界が終わっちまう時にラッパを吹いて回る天使のことらしい
そんな名前をわざわざ名乗るくらいだ。…………神様と関係あります、って言ってるようなもん、だろ
おまけにその、虚神共の元いた世界とやら?に詳しかったっつぅのは…………、…………

イルと鈴音だって、確か始まりは旧市街だったろ────で、今回も“旧市街”の名前が出た
胡散臭いどころの騒ぎじゃあなくなってきた。…………あたしは、そう思うぜ


【ふう、と大きく息を吐く。やっていることは連想ゲームにも近かった。だが、強ち間違いだとも思えない】
【もしかすると偶然符号が一致しているにすぎないかもしれない。けれど──偶然、で済ませるには】
【あまりにも、不可解。出来すぎている。これは<奇跡>では済まない。そう、言うならば】
【────予定調和にも似た、何か】

/続きます
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/02/05(火) 21:19:17.74 ID:cFqml45LO
>>382

とりあえずは…………あぁ、そういや。大会の会場にもイスラフィール、いたな
ちょっとだけ鈴音になってた時に喋ったけど、よぉ…………なんか、これといった印象はなかったぜ
にしてもよぉ!あん時ぁマジでビビったぜ!
ちょっくら鈴音の姿借りて、あわよくば鈴音のこと世間に知ってもらおっかな〜って思ったらウィーバーだぜぇ?
一瞬で<擬態/ミミック>がバレるかとひっやひやしちまったぜ!
しかし…………それもあの女の差し金、か────何考えていやがるのか、さっぱりだぜ


…………だがまぁ、今出来る事といやぁ……警察犬よろしくクンクンあたりを嗅ぎまわる事くれぇだ!
問題が表に出てからじゃあ手遅れっつぅこともあるが、表に出なきゃ手ぇ出せねぇことが多すぎる
一先ずは…………側近。側近、……………………か


────<円卓の騎士>…………狙い目はきっとそこだ
イスラフィールの側にいて、あたしとあのアマの話を聞いていたやつが1人いる
確か名前は…………ミズキ・“ランスロット”…………あー、なんちゃら……、かんちゃら…………

────『これでお役に立てたでしょうか、カニバディール様』


【ざわりとミラの髪が蠢く。何度も目にしているはずだ。彼女の<擬態/ミミック>】
【模すのは青年の姿。長い金髪を後ろで一本に纏めた、細身の体躯。白いロングコートに】
【腰元には一振りの剣。口元に柔和な笑みを湛え、“ミズキ”は言葉を続ける】


『あの時私は王妃と湖の乙女の傍におりました。────どのような任務であろうとも』
『王妃の刃になるようにと、乙女からは仰せつかっております』

『それと…………側近でありましたら、マーリン卿も候補に入れてはいかがでしょうか』
『彼は“教会”における枢機卿。奇しくも私と同じく、伝説上の騎士の名を冠しております』
『カニバディール様がお望みの情報としては、十分なものかと────』


…………とまぁ、こんなヤツだ。綺麗な綺麗な騎士様ってぇとこだぜ
つっても、ちょろっとしか話してねぇからマジで喋り方の半分くらいはあたしの想像なんだけど、よぉ

【そう言って“ミズキ”はミラの姿へと戻る。その表情は、苦笑いだ】
【彼女の性格を考えれば、間違いなくミズキはミラのタイプでないことくらいは分かるだろう】
385 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/02/05(火) 21:48:11.68 ID:VlIb/AQj0

【晴れ渡った冷たい、冷たい夜だった】
【澄んだ空気は星々をいつもより多く見せていて、まるで星が降るようで】
【そんな冬の夜空の下。何処かの路地裏】
【周辺の建物の粗大ごみだとかの置き場にでもなっているのだろう。やれ横倒しの洗濯機だ、中身が空っぽで開けっぱなしになった冷蔵庫だ、古臭いフォントで古臭い文言が書かれた塗装が剥げたベニヤ板だ、割れた路地用の看板だと様々な物が放置されて積まれていて】
【そんな中に一つ転がるのは女の姿を模した精巧なマネキンのようで】

【ベリーショートにした黒い髪。廃棄されたマネキンならば当然のように何も纏ってはいなくて、豊かな胸元もほっそりとした四肢も地面に投げ出していて】
【ただ、マネキンにしては妙な所があるとするならば、所々についた傷が生々しい色合いをしている所と、その目が閉じられている所、ではあったが】


──くちっ……!
【誰もいない筈の路地裏。ふと小さな声が響いたかと思えば】
【地面に伏していたマネキンがもそり、と動く】
【気だるげに開かれた橙色の瞳。どうやら精巧なマネキンではなく本物の人間の、それも十代後半程の少女のようで】
【ゆっくりと頭をもたげ、辺りを見回す】


386 :??????? ◆/iCzTYjx0Y [!nasu_res]:2019/02/07(木) 17:39:06.11 ID:+l4bkGmA0

<SIDE:アズテリオス>




【バタバタバタ、と。テレビ局が所有する空撮用ヘリコプターが飛翔し、眼下に見える"廃墟と化したかつての首都"上空を、旋回する。】
【内部の報道カメラの前には若手のアナウンサー、その手にはマイクが握られて、今まさに映像に映し出された悲惨な眼下の光景について、放し始めた。】
【時刻は夕方五時を回ったあたり、まだ夕陽は微かに大地の彼方に見えていて―――"山々"の間ではなく、地平線の向こうに太陽が沈みゆく、この国の"大地"を象徴していた】



「ここ、地の国首都ニュー・ドレファスを襲った"人為的直下型大地震"、通称"ベクター・ショック"から、来月で四年の月日が流れようとしています。」

「カノッサ機関が六罪王、自らを絶滅した筈の古来の凶悪な種族、"クリムゾン"であると語るベクター・ザ・"フォビドゥン"の襲撃により、」

「首都直下を"素手"により破壊した彼は、人為的に局所的大地震を引き起こします。警戒に集った有志の英雄たちを尻目に"ベクター"は暴れまわり、」

「地の国国軍は強硬策として自国の首都めがけ"戦略的爆撃"を実行。ご覧の通り皆さんが愛し、親しんだ交易都市である首都ニュー・ドレファスは崩壊。」

「ですがベクターは軍の最新兵器すら無効化し生存、その後UNITED TRIGGERの"セリーナ・ザ・キッド"を人質に取り公開処刑を宣言しますが―――」

「集った英雄たちの活躍により処刑は無事阻止が出来ました。しかし、"セリーナ・ザ・キッド"は所有する武器によって暴走状態に陥るという危険がある事も発覚、」

「更にはベクター其の物も倒すことが出来ずと、絶望的な状況は現在も続いています。首都、ニュー・ドレファスはその周辺地域を含めて現在軍により完全閉鎖、」

「依然として六罪王による"占領"状態が続いているのです。有効な打開策が見ないまま、事態は膠着状態に陥り、そして今日に至ります。」

「大規模な反抗作戦を計画していた軍と、地の国を代表する世界的兵器会社"マクスウェル・ファイヤー・アームズ"社は作戦内容を秘匿したまま、現在も睨み合いが続いており、」

「一説によれば作戦には"セリーナ・ザ・キッド"も協力していたようで、UTが崩壊状態にある現状作戦に変更があったのではという噂も軍事評論家の間では――――――――」




387 :??????? ◆/iCzTYjx0Y [!nasu_res]:2019/02/07(木) 17:39:23.96 ID:+l4bkGmA0



【ぷつん、と音が鳴り、テレビが消される。会議室内は暗く、そして静まり返っていた。】
【地の国 首都"アズテリオス"―――ニュー・ドレファスの放棄後、政府機能の大半を移設された海沿いの大都市、その中央。】
【高く聳え立った無機質な建物の最上階、重役しか入ることの出来ない特別会議室に集うのは三人の男たち―――此処は"マクスウェルファイヤーアームズ"の本社ビル。】


「……だ、そうだ。幸いな事に、議員を含めた国外への"情報規制"は功を成している。―――今のところは、な。」

『しかし、それとて何時まで保つかは分かりません。三年半の間、沈黙を守ってきた諸外国、特に"水の国"は今や―――』

「業を煮やして強硬策に出る、か。まあ、確かに"あの地下"に在る物を知っているのは……三年半前のあの日、"首都地下へ潜ったメンバー"だけでは、ないからな。」

―――御陰で地の国政府と言う"顧客"を得られた。感謝しているよ、今となってはね。自分の目で見れたのだ、"あんな物"を……しっかりと……残さず、な。

『……トレンチ・ミリオン・マクスウェル。"顧客"とはまた妙な事を言うね……君の場合、商売ではなく"強請り"だろう?』

……。失礼な話だ……この国の、あろう事か繁栄と栄光の象徴である首都の地下に、人道的と言う言葉を泥靴で踏み躙り倒した施設を持っている"皆さん"の為に、
格安で口を閉ざし尚且つあの忌々しい"糞人外"を倒すために一つも協力を惜しんで居ないというのに―――まったく、失礼な話だ。そう思わないか?

「……首相である私と、ニュー・ドレファス知事を前にして、そんな口を叩けるのは君だけだろうな、マクスウェル。」

んん? ソイツは今やドレファスの知事でもあるまい。いるとすればそれはベクターだ。アズテリオスの知事ならまだしも、それももう別にいるしな。

『貴様……ッ! "奪還作戦"も儘ならないくせに!!』

ああ、儘ならないさ。国民や首都奪還より、奪還した後であんな物があると公表されたら大変な連中が多いんだからな……その為の、待機期間だ。

「……幸いな事に。連中がこの三年半静かにしていてくれた御陰で、"言い訳"が出来るようになった。―――これだけの期間があれば、"アレ"だけの施設も連中に製造可能だ。」

だが"ベクター・ショック"から三ヵ月しか経っていなかった"あの時点"では……あの施設が国内外に見つかったら言い逃れが出来ない。元から在った物だ、とバレる。
流石にこれでもう十分だろう、三年以上の猶予は与えた―――問題は。連中まで静かにしているという事だ。連中の目的は―――……なんだ?
"アレ"の存在を暴いて国民を動揺させるのなら。我々が潜入作戦で彼等の施設に勘づいたあの場で、それを"公表"すればいい。なのに……だんまりを続けている。

『……知った事か。黙らせればそれでいい。―――UTの小娘は?』

作戦には足並みを揃えて……と思っていたが。もう連絡も取れん、恐らくは死んでいるだろう。どこかで、な。
UTは所詮素人集団だ、セリーナもインチキ武器を使っていただけの成金に過ぎん。―――決行する、という事でいいな?

「……トレンチ。――――倒せるのだな?」

殺しきれずとも。確実に追い出せる。首都の奪還は容易だ、―――私の兵器に敵う者は居ない。
後はどうとでもすればいい。"奴隷確保の為のクローン人間生産工場"については、貴方達の判断に任せるよ。

「……奪還後。速やかに破壊する。―――――――核でな。」

……ふふ。国の発展の為に倫理を踏み躙った設備を揃え。人命を弄び続け、救世主となった筈の"施設"を最後は核で消し飛ばす。
良い物だな、国とは。益々政治に興味がわいてきたよ。早い所アズテリオスの知事に引退してもらえないか、任期満了を早められないのか?

『……黙って作戦に集中し給え。成功すれば何でも……くれてやる。』


【地の国仮設首都、アズテリオス。国土に抱えたかつての"闇"と、現在の"影"に怯える彼等は、遂に重い鎖を持ち上げ始めた。】
388 :??????? ◆/iCzTYjx0Y [!nasu_res]:2019/02/07(木) 17:39:52.36 ID:+l4bkGmA0


<SIDE:ニュー・ドレファス>


「……ねえ。次は何をするの、シック・ボーイ。ここ三年間、動きなしってのも可笑しな話だけど―――ソーンは何も言ってくれないわ。」

『Hmm……ソウ、デス、ネ。……イロイロと難しいのデスよ、No.7。"獣人"達の陽動が意外に上手く行かない、上に―――』

「此処に来て"特区"だのなんだので、……能力者と非能力者の対立も高まってきた。追い風じゃない? 私達の……"私"の最終目的は、彼等と同じよ。」

『確かに―――確かに。デスが、本域で能力者を排除するには矢張り―――"アレ"が必要なのです。我々の探し求めている―――"アレ"が。』

「……魔海に眠るっていう、あの"兵器"の事でしょう? それにしたって……地の国を崩壊させることから始めないといけないなんて、まどろっこし過ぎるわ。
それに三年も動かないで……ねえ、本当にソーンは、アンタは世の中から"能力者"を消すことが出来るの? やるつもりがあるの……!? 私、もう―――!」

―――我慢が出来ない、か。


【こつ、こつ、こつ。靴の音が響く。地の国 首都ニュー・ドレファス、地下数十階の其処に、カノッサ機関のナンバーズが三人、居合わせていた。】
【No.7<復讐の戦姫>Nemesis、No.4<真死の紳士>シック・ボーイ、そしてNo.1<参謀>ソーン。先に話し込んでいたNo.7、No.4の下へ、No.1が後からやってくる、形で。】


「……ソーン……ねえ、いつまで待たせるのよ!? 何時になったら能力者のいない世界は作れるの!? 私はッ、アンタがそれを可能に出来るって、そう言うから―――!!」

―――カノッサに反旗を翻す結果になろうと、協力している。そうだったな、Nemesis? だが……魔海の連中を動かせなければ、全ては水泡に帰す。
ベクター・インパクトも。この首都占領も―――無駄足になる。我々の作戦には綿密さが必要だ……地の国が極秘に作り上げていたこの"施設"、奪えたまではいい。
だがそれを"我々の意図する目的"の為に稼働させるには―――時間が必要だったのだ。中途半端な"人工物"では、直ぐにお里が知れる。バレれば、計画はそこで終わり、だ。

【若さゆえに突っかかるNemesisを、宥めるような口調で老戦士はそう語った。時間はどうしても必要だ、と。】
【そして見渡す限りに広がった人工物―――彼らが首都を占拠する事で手に入れた巨大な"クローン人間製造装置"を、見つめ。】

……だがもう、機は熟した。我々の目的はこれを暴いて地の国を貶める事、などではない。
あるものは利用させてもらう、それだけだ。良いかNemesis……目的は、"魔海"だ。そして、其処に住まう―――"人ではない彼等"だ。

「なら……本当に"準備"は終わったのね?」

……嗚呼。そうとも、揃った……これで我々の"軍隊"は完成する。
明日より量産体制に移り、順次ロール・アウトさせていく……手始めに、"アズテリオス"だ。
あの生意気な兵器会社のある港町で、事件を起こす。我々の軍隊がそこで"被害者"となり―――そうして、時代は動き出す。

『フフッフ。Ah〜、楽しみ、デスね〜? ―――ソウそう、ベクターは?』

凍結仮眠から目覚めさせる。連中の動きは把握済みだ、この施設を国民、諸外国に怪しまれない様、この三年間"敢えて"放置してきたことも、な。
そして近々、反撃作戦を強行するだろう。ベクターの弱点を突く兵器を開発した様だからな……まあ、それはいい。ベクターはあくまで、"神輿"だ。
我々の作戦を絶対に"邪魔させない為"の―――最強のボディー・ガード。守護者であっても、主犯ではない。忘れるな、Nemesis―――シック・ボーイ。


我々が真に求めるものは―――"ティオレス・ヌブラル"である事をな。
そして、"ヌブラル"を手にした暁には……もはやベクターすら我々には必要なくなる、という事もだ。


【"参謀"が眼前の"培養カプセル"を見つめる。そこに居るのは人であって、"人"ではない"何か"―――】
【毛の生えた新たな生命体。どこか―――そう、どこかそれは―――"ケモノ"の匂いを感じさせる者達であり――――――。】
389 :??????? ◆/iCzTYjx0Y [!nasu_res]:2019/02/07(木) 17:41:24.02 ID:+l4bkGmA0

/投下、ではありません。
なんとなーく、「あ、動き出した奴らがいるな」と―――理解いただければ、幸いです。
390 :ブレンヒルト・フェイタルベルン ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/07(木) 21:55:58.76 ID:7KTl6gOQo
>>308

そうそう、幼かった頃のコマチは身寄りがなかったところを"教会"のシスターさんが
受け持っていた孤児院で育ったわけよ、育てたシスターさんの名前は洗礼名シスター・"アンリエッタ"。
本名パメラ・"音無"・ボーヒーズ……彼女の本名のうち元の名前も顔立ちも櫻出身だと思われるコマチには音無の姓が与えられて"音無 小町"って名前になったんだって

……でもその孤児院はもうないし。十年以上前に"異能絶対主義"のタカ派のイカレた連中が集まる組織に焼かれてね

唯一の異能戦力だったシスター・アンリエッタは子供たちを守るべく戦いに赴き結局は死んだ、と教えてくれたし
詳しくはコマチ本人か……ジンジャーだったら具体的な内容を知っているし。シスターの知り合いだったって言うあいつの"父"、レスカ・ユースロットってのも
その一件で共闘した末に死んだとかなんとか教えられたし……


……無論コマチの話を聞いた時ますます思ったし……能力があるとかないとか……誰かとんでもない人の子孫だとか
逆にむしろ誰の子孫とも言えないみなし子だからとか……どうしてそんな理由で奪われるのかしらね?
私たち、決して何も悪い事なんてしてなかったのに……コマチも……私も……


【コマチの育ての親は行き過ぎた無能力者差別の過激派によって殺害された……?】
【ブレンヒルトは先ほど「異能者であることを理由に暴力を振りかざすだけの暴漢」をひどく嫌う様子を見せた一方、その逆をも嫌っていた】
【……おそらく最も共感しているのは……『奪われた事に対する怒り』なのだろう。それが二人に手を組ませるきっかけの一つとなっているのに違いない】

【俯きながら肩を抱き、忌まわしい記憶に悲しみから顔を歪め始めるブレンヒルト】
【カノッサ機関の正統後継者の資格を持つブレンヒルト・フェイタルベルン。裕福な生まれでありながら一度はスラムで生ごみあさりするほどに零落れたのはおそらく……】
【現状誰も知らない事を鑑みると正当後継者であることは伝わってなかったとしても、「カノッサ機関の人間と縁があった」から……それを悪と見なされ、『奪われた』】
【そうである事は察するに余りある……ブレンヒルトは幼き日に全てを奪われた。それが全ての始まりなのだろう】


【そして、大江山 骸改め―――ムクに関する話に戻ると、彼女は己の顔をはたき仕切り直すようにして】


"お師匠"は犬が好きだったから。使い魔にも犬を選ぶのは自然だと思うし。だから犬を通して外界を見てたようね

でも無論どこのなんて所に閉じこもっているかはわからないし……カンだけど従来の留置場じゃないと思う。
"魔術協会"を調べてみたら労役代わりに魔術礼装の作成などを受け持ってるあたり間違いなく自分の"工房"を持っているだろうし
そもそも"看守"とかがいる場所なのかすら怪しいし

それと……"お師匠"はね、自首したのよ。私に免許皆伝を告げた直後にね
……まるでけじめを付けるかのように。私を一人前に育てるという最後の命令だけはきちんとこなしてたけど
私の印象では……"他人"にそうとう嫌気がさしていたように見えたし……多分、望んで軟禁されたのだと思う訳よ


【曰く、大山 無玖は元々人付き合いを好まない気難しい性格の魔術師だったらしい】
【その後自首し自分自身の身柄を引き合わせた後も、そのすさまじい魔術の技能を買われて彼専用の『労役』として魔術礼装の作成を行う仕事をしているらしい】
【"魔術協会"をはじめ多くの人物の依頼を受けており、ジンジャーも技術者の一人として彼とビジネスをしている間柄のようだ】
/続きます
391 :ブレンヒルト・フェイタルベルン ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/07(木) 21:57:31.37 ID:7KTl6gOQo
>>390続き

カニバディールも無論一番危惧すべきはそこだと思うわよね、『遺跡を発掘した時点』でもう神器を手に入れている可能性
……でもそれは私はもちろんカニバディールが産まれるよりもずっと前の出来事な事を考えると……なんでカノッサ機関はまだ世界の支配者になってないのか、という疑問が残るし
それだけ強力な力を秘めている古代遺物類≪アーティファクト≫なのよ?手に入れたならバンバン使いまくってると思うし……でも"使えてない"

そもそも"お師匠"はなんで機関を脱退したのかしらね?もしも機関と反りが合わなくなってやめたのだとしたら……
そこを抜けた後も『創設者』の残したたった一つの命令だけは遂行したのはなぜだったのかしら……当然ながら私は
当時の"お師匠"と『創設者』の関係をちゃんとは知らない……上司と部下という関係だったのかそれとも私とコマチのように……役割を超えて協調した同志だったのか

そして今ここでもう一つ伝えておくべきは……今実際に"神器"を探している事が確定している連中の顔と名前。


【テーブルに戻り、ブレンヒルトは3枚の写真を置いてカニバディールの前に差し出すだろう】
【一人は、細く艶やかな直毛の茶の短髪、真っ赤な瞳の整った顔立ちの美丈夫―――良く知る『剛田 剛太郎』】
【一人は、癖の強い黒い短髪に真っ白な鉢巻き、不敵・不遜な態度を隠そうともしない表情をした、童顔の若者――彼は本名を公表してないが『ドラ』と呼ぶらしい】
【一人は、ツンツンに尖らせた茶髪の上から黒のフェルトハットを被った、左目に黒い眼帯を巻いた幸の薄い顔立ちの若者―――その名はノビタこと……『野比 信太』】


ジンジャーは友人として多少手伝ってはいるものの……本当に"神器"を必死こいて探してたのは実際はこの『三人』だった
この剛田 剛太郎たちの共通点は同じ故郷で生まれ育った『日本人』であるという事……こいつらこの世界の出身じゃない事は間違いないみたいだし
ノビタと剛太郎は役所に『漂流者申請』出して異世界人です、って正式に名乗る戸籍を手に入れてるし。ドラはやってないから本名わかんないけど

で、私たちは5年前、justiceを解散した直後からノビタが妙に私たちと同じところばかりを探ってる事がわかって一度かち合ってね
やっぱり私たちと同じように"神器"を狙ってたのがわかったの……だからレオにノビタを倒させて情報を吐かせてから始末しようって事になったんだけど
でもその時レオと戦いながらノビタは私たちから探りを入れようとこう言ったのよ。―――『カノッサ機関が日本なんかに何の用だ?』ってね


【日本?どうしてノビタはブレンヒルト達が日本に用があると思ったのか?明らかに見当違いの言葉を口にしていたのはなぜだ?】
【だが、そこは"三種の神器"である事を念頭に置けば、答えは自ずとわかるかもしれない】


おかげでその時にわかったの。あいつらと私たちは前提から違ってた
まあjusticeやってた奴が支配のために"神器"を追ってたとは考えにくかったけど……あいつらと私たちは違う"神器"を追ってた事がね
"神器"は3つある。ノビタ達が狙っていた"神器"はおそらく……『世界移動』が行える力が備わってるのよ。あいつらその力で故郷に帰ろうとしてたわけよ


そして……そんな言葉で探りを入れてきたくらいだもの、おそらく"お師匠"はジンジャーや日本人たちに『世界移動を行う力』だとしか伝えてない可能性があるし
無論それをまだ『手に入れてない』……手に入れてたとしたらレオが爪で腹を串刺しにした後激流の川に落として始末したノビタはともかく
消息が分かってるドラと剛太郎が今も妙な調査を続けている事の説明も付くしね


【"神器"を狙う最大の障害はジンジャー以上に―――彼が肩入れしている『日本人』たちだと告げるブレンヒルト】
【ドラ、剛太郎―――そして、未だ姿を現していなかったノビタ。なぜ姿を現してなかったのかと思えば……なんと当時の≪No.1≫だったレオに始末されていたのか】
【否、確実に息の根を止めていた訳ではなさそうだ―――以前のドクターアマギの一件をタレ込んだのは生き延びてたノビタの可能性があると前に話していた】

【……ブレンヒルトの最大の敵は『日本人』。そして今も殺したはずのノビタが生きていて動きをマークされている可能性が先の事件で発覚していたのだ】
392 :テレサ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/08(金) 02:11:17.05 ID:KkvsHkJwo
>>353

【"魔制法"という『重大な欠陥』が存在する悪しき法案―――テレサも気が付いていたくらいだ、当然マーリンがわかってないわけがない】


"魔能制限法"……冷静に考えればこれほど馬鹿げたモノもありませんよね
『魔術・能力を制限しそれを超えた者を罪に問う』ための機構な訳ですが……ちょっと考えればわかるじゃないですか
機関や犯罪組織の連中がいまさら犯す罪が一つ増えたくらいで『それを逸脱しないよう気を付けよう』だなんて絶対やりませんよ

現に三週間前にもコマチ……いえ、あるカノッサ機関所属者の部下にあたる異端認定存在を3体仕留めて参りましたが
アイツら律儀に法律を守ろうなんて全くしてませんでしたよ、そりゃそうです……そういう法律全部まとめて守る気もない行動を起こすから『犯罪者』あるいは"異端"な訳ですから


一方、ただ異能や魔術を所有しているだけで清く正しく生きようとしている人たちの貴重な戦力は
『それを使用しただけで罪に問われる』など……正義陣営の足を引っ張る要素にしかなっていない
明らかに一方的に悪が栄えるための穢らわしい悪法……そんなのを成立など実際国に害を与える以外にやる理由が存在しない


【となると……水の国で"魔能制限法"などという物を成立させた"裏切り者"とは一体何者なのだろうか】
【マーリンもそれが何者なのかを探しているのだろうか?もしも自分の利益すらも阻害するような相手だったならば排除するしかないと考えそうなものだが】
【ひとまずは考えても仕方がない、目の前の新たな"仕事"に関する話をしよう】

【早くも本日の午後、“特待生クラス” の授業があるなどと言い出し始めた物の、先ほどに比べてテレサは動揺しなかった】
【ただ、生身の手で額に手を当てながら、やや呆れたため息はついてしまったが】


……ふぅ、時間を相当惜しんでいた様子を見てからそう来るんじゃないかとは思ってましたが……
やっぱり今日に仕事が入ってましたか……まあいいです、わかりました

ここまでのやり取りでひとまず分かった事は……貴方は無駄な事は決してしない。ゆえに私にできないような
不向きな仕事は用意しないという事は信頼できるようになりました。そして私の方は……まあ今複数の分類はあげましたが
とどのつまり、私に教えられるようなことなど初めから一つだけ―――"戦う事"しか教えられることはない


……いいでしょう。猛暑の季節が来るまでには暴漢の一人や二人は返り討ちにできるくらいの技能は叩き込んで差し上げます


【シスター・テレサ、あまりにも意外な新天地での"仕事"に一呼吸分の怯みは見せた物の】
【どうやらやる事は一つ、何をすればいいかがわかったことで覚悟は決まったらしい】


今後の"異端狩り"のシステムに関しても楽しみにしております。……さて、そうと決まればまずは
その午後の授業が始まる前にすでに所属している教師の方々に挨拶から始めたほうがいいでしょうか……


【まずは、これからやっていく人々、"生徒"たちと同僚の"教師"への顔合わせと挨拶から始めたほうがいいだろう】
【そう思ってテレサはその辺に案内板か何かを探して、職員室への道筋を探し出すことだろう】
393 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/08(金) 14:31:35.24 ID:fd0I9R3Do
>>392

【 ──── 珍しく口を挟まなかった、やや不満げな形相は、その答えに不足があったからか】
【否、不足が無かったから不機嫌なのである、合法的に他者を罵倒できない結果に、些かの不満を覚えて】
【なんとなく彼が教育者に向かない理由も、分かるかもしれない】


国家の三要素は領域、人民、権力に集約される、俺はその全てを有していると言っても過言では無い
だが、この権力という部分に於いては足りないと考えている、──── ああ、原義の権力じゃ無いぜ
それは対外的な実力、という意味の権力だ、早い話が武力だな

金の国には武力が足りない、ネル・ナハトの一件以来復興にリソースを注いでいたのが理由だ
だからこそ、"迅速に"戦力を増強する必要があった ──── "戦う事" しか教えられない?

十分だ、──── 才能に溢れちゃいるが、温室育ちの坊ちゃん達に、相手をぶっ倒す方法を教えてやってくれ


【直ぐに案内板は見つかるはずだ、生徒や教師も、予めマーリンが言い聞かせていたのかすんなりと受け入れる】
【飲み込みの早い生徒ばかりであった、テレサの言うことを聞き、自分達で反復し身につけていくだろう】
【些か戦闘に不慣れな生徒達ではあるが、意外と戦闘に関する意識自体は高かった】

【 ──── マーリンは去って行く、だが、テレサには僅かな疑問が生じるかもしれない】

【つまりは、マーリンの目的であった、"国立魔術学院" なるものを設立して尚、金の国の富国強兵に勤しむ】
【それはまるで、金の国というものを自身のモノとして扱う行為にも似ていた、──── だとすれば】
【 "教会" の再建も含めて、彼は新たな秩序を作ろうとしているのであろうか】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
394 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/08(金) 18:37:27.94 ID:tR0JasEjO
/明日のイベントに付随しての連絡です。
/「PL」と「PC」に向けて以下の情報を開示します。
/以下の情報は「PL」と「PC」の両方が知っていて大丈夫です。
/
/『水国新聞 20XX/02/09』
/https://www.evernote.com/shard/s266/sh/c01bbad6-dcf3-41e2-ba42-5db856497523/e8183d8ecd859ddd7c78d74b4cc65c35
/
/『月刊『Mercurius』2月号』
/https://www.evernote.com/shard/s266/sh/00a49755-a487-43e0-9642-9e26d87a0df5/0c9b3fcbf91078c04d4b537e3603ae43
395 :らすらどーら ◆ZUNa78GuQc :2019/02/08(金) 23:28:19.09 ID:6ZvsUk5d0
土の国X道】
【都市部から離れた荒野の一本道】
【周囲の荒野には動物の影どころか樹木の姿もなく】
【背丈の短い得体のしれない植物が点々と生えるだけ】
【道路の他に人工物といえば寄り添うように作られた一本のレール】
【他には何もない、照らすものを欠いた風景を】
【無意味に月光が照らす】

うん、いい月だ。
【そこに一つの影が現れた】
【背が高くもない低くもない男の影】
【低くもなく、高くもない声が響く】

君もそうは思わないか?
【男の足元には鈍い銀色の繭のような袋が転がっている】
【長さは1m半以下、幅は3、40センチ程度だろうか?】

お星様もきれいだよ。
【一瞬、丸い帽子のつばに隠れていた顔が照らされる】
【栗色の髪は長くも短くもなく】
【栗色の瞳は細くも大きくもない】
【鼻も口も高くも低くも大きくも小さくもない】
【全てのパーツは本棚にきれいに並べられた図書のように整っている】
【しかしその図書には題名がなく装飾もなく統一された色しか持たない】
【厚手のコートに身を包んだ男には】
【彼が立っている道路のごとくなんの特徴もなかった】

ああ、そうかこれじゃ見えないよね?
【不意に袋が激しく振動する】
【すると袋を校正していた繊維――銀の鋼線が中心に集まり】
【月光を反射する銀色の百合の花になる】
【男はかがむとその内の一輪に触れる】
【すると触れられた花は見る見る】
【黄色いクリーム色の真珠の様な色を帯びていく。】
【そして百合の根本――袋の消えた後には】
【少女の遺体が裸身を字面に横たえている】
【男は黙々と作業を続ける。】
【少女の腹に咲いた百合の花の色をすべて変えると】
【今度は絶望に凍りついた少女の表情を】
【ゆっくりと皮手袋を嵌めた手で穏やかにしていく】

【月光は静かに二つの影を照らしていた】
396 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/09(土) 04:44:13.96 ID:1XM9MnXH0
/本日のイベントに付随しての連絡です。
/「PL」に向けて以下の情報を開示します。
/以下の情報は「PL」のみの理解に留めていてください。
/
/『T's Report vol.374』
/https://www.evernote.com/shard/s266/sh/59dfbafb-32b2-4ff9-9ab9-0bbec1ef2fe0/c7d1b2e3d32ee6de83721c6c8030d258
/
/『無題』
/https://www.evernote.com/shard/s266/sh/0084cc89-6b8d-4c24-afdf-6127be84cad4/d503fdf611a952df9c9ef6f9e3ae83a1
397 :霧崎 ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 12:17:20.99 ID:FFNdco6G0
>>368-369

【ピクリと霧崎の片眉があがったのを見逃しはしないだろう】

――カタギが極道の真似事ですか。

…しかし、スジ、通されたら極道として話聞かないわけにはいかない。

話を戻しましょう。
議会の人間がヤクザに手ぇ借りて、身内のもん勝たせようってのは
今に始まったことじゃないから話す必要もない。

一度市長を追いやった実績を買われたと思えばいいかしら。
私らはね、"特区”みたいな外道なもんからシマ護らなきゃいけないんですよ。

【途端に話はスムーズに進んでいく。もはや話は感情ではなく勘定】


/お返事遅れまして申し訳ありません。
/取り急ぎお返しさせていただきます。
398 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 14:22:55.77 ID:uAySPBA0o



【 “一つの少女の死” が全ての始まりであった。能力者であった少女の死が】







【 ──────────── 】







【誰かが言った。────── これは崩壊の序章であると、】




【確かに少女は能力者であったかもしれない。けれどもそれは虐殺の弁明になり得ない。可能性が人を殺し、可能性が人を赦した。過ちは刻み込まれてしまった。】

【我らが愛すべき隣人は、我らが憎むべき罪人であった。否定されない可能性は肯定を示す、明日は我が身ではないと誰が言えよう。】

【魔女狩りの様相を示し始めた。憎い相手、気に入らない相手、自分の敵を社会の敵に堕落させるには、ただ一言漏らせばいい、】






【 ────── 奴は "能力者" だ。】




【貴方は泣き寝入りするのだろうか。無辜である貴方は暴力に曝され、怯懦に震える。正当性などそこにはなく、唯の不条理でしかない。】

【歪んだのは世界か倫理観か。僻んだのは私か貴方か。答えは何処にもない。現実こそが曖昧で、最早曖昧こそが現実なのだから。】

【論理は進む、弁証は続けられなければならない。一つの根拠を示したなら、次の根拠を示そう。】

399 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 14:25:15.71 ID:uAySPBA0o





【 ────── その日は快晴であった、と後に記される。歴史は言う、"水の国のいちばん長い日" と】



【首都フルーソ、市街地で起きた爆発が全ての始まりとなった。突発テロ。国民達には慣れたものであった。直ぐに誰かが鎮圧してくれる、と。】

【しかし、その誰かは現れなかった。今までは直ぐに善意の誰かが現れ、悪を駆逐してくれた。正義は何をしている。人々は焦燥感に駆られた。】

【彼は見た。彼女は見た。貴方は見た。私は見た。今まさに逃げようとしている市民に向け、暴徒の一人が手を向けた。】


【 ────── 放たれる光弾が上半身を吹き飛ばす。残った下半身から伸びた背骨が、冗談の様に揺れていた。】

【私達はやっと把握する。正義は来ない。自分達が正義と信奉していたものが、今私達に牙を向けているのだから。】

【それは当然の報いであった。私達は彼らに何をしたか。彼らに何をしでかしたか。戦争では彼らは英雄であった。ならば平時の今は?】


【彼らは守ろうとした。けれども私達は彼らを否定した。弾圧した。それならば、否定され弾圧される事を受け入れなければならない。】




【 ────── それが自然の摂理なのだから。】



400 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 14:25:42.89 ID:uAySPBA0o

【水の国議会は緊急の動員をかける。同国議会にとっては異例の事態であった。それだけ事態を重く見たと言っても過言ではない。】
【集まった議員の面々は苦々しい顔をしていた。誰もが "責任" の所在を考える。結論から言えば双方にあろう。国体の危機を迎えたのは彼ら全員の責任であるのだから。】
【全員出席の歴史的快挙であった。議長が早口で冒頭の挨拶を述べる。事態は早急な解決を必要としていた。】


「 ────── 被害状況の確認から。フルーソ市街、中央通りの大交差点より勃発したテロは被害を拡大中です。」
「フルーソ駅、総合病院を初めとした公共施設にもテロリストの出現を確認しております。死傷者は推定ですが100名を超えるかと」
「現状目的は『能力者の人権回復』並びに『魔制法の撤廃』と、─── 各種マスメディアに既に声明が出されています。」

〈人権、ね。回復しようとしてこんなテロ起こしてちゃ本末転倒でしょ〉
〈しかし、存外に奴等の動きが素早いです。統率も取れてるし装備も充実している、一筋縄ではいかないのでは?〉
〈被害が想定出来ない分、警察も公安も軍隊も及び腰になってんな。ここまで大規模なのは何年ぶりだ〉


【手元のタブレットに映し出されるはSNSに投稿された動画。黒いローブを着込んだ仮面の集団が、手から光弾を発射し市民を吹き飛ばしている】
【出来の良いSFX、現実を侵食するAR、だが当たれば死ぬのだけがリアリティを持っていた。悪夢の様な光景を目にしながら、寧ろ冷ややかに笑う】


〈で、奴等の要求を飲むのか? 人権回復なんざ適当な法律でもでっち上げれば良いが、後者はそうもいかないでしょう?〉
〈んなもん飲んだら議会政治の終わりだよ。どっかの馬鹿がまたテロを起こしやがる。武力に屈するなら法律はいらねぇ〉
〈じゃあ治安維持部隊がおっとり刀で到着するのを待つとでも? その前に俺達全員の首が切り落とされなきゃいいがな〉


【〈異能主義〉を推し出していた与党は能力者が起こしたテロという事実に。“魔制法” を成立させた野党はテロのお題目に。それぞれが泣き所を持っていた。】
【テロリストという共通の敵の出現は、時に奇妙な共闘を齎す。利害の一致は党の垣根を超え、相反する二つの平行線に位相的な交わりを生み出すのだから。】


〈蛇の道は蛇、飼い犬の不始末は番犬に。────── たまには民間に手柄を譲るのも良いだろう。組織なんぞで縛るよりよっぽど良い〉
〈しかし活動規模もだいぶ縮小してますからねぇ。“UNITED TRIGGER”やら“Justice”やら、後は本当に個人に頼るしかないかと。〉
〈外務省管轄でなんかいただろ? 予算委員会の時にだけデカい顔されてちゃ始末が悪いしな。〉

「 ────── では、超法規的措置を。賛成の方は拍手をお願いします」


【満開の拍手が告げる。それは法治国家の敗北とも言えた。国家に於ける危機を、国が鎮圧するのではなく、民間に委託するという点で。】
【直ぐに決議が出された。民間並びに官営の正義組織と能力者に対して、今回起きた “能力者テロ” の鎮圧が命じられる。】
【報酬は国から支払われ、各々の組織や構成員、フリーの能力者達には一時的な緊急権が付与される。場合によっては殺人も許可される、伝家の宝刀。】


【議会は告げる、────── 揺れ動く暗雲が、この国の行く末を左右する、と】


401 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 14:26:00.37 ID:uAySPBA0o
【フルーソ中央通り、大交差点】

【十字路は混乱の坩堝であった、炎上する乗用車、打ち捨てられた車が周囲に点在し】
【既に道ばたには物言わぬ骸と化した市民の数々 ──── 先進国の光景とは思えない】
【地球の裏側に存在する紛争地域の景色が如く、阿鼻叫喚の声が周囲から響いた】



【 ──── そして貴方は見る、その混乱を引き起こしている連中を ──── 】



【黒いローブに身を包み、皆が仮面を付けていた、──── "ガイ・フォークス・マスク"】
【異様な光景、完全にコピーアンドペーストしたかの如く同じ連中が、破壊活動を続けていた】


【仮面の一人が掌を建物に翳す】
                    【集約する光】【 ──── 破裂音】
【放たれた光弾が建物を焼いた】         【崩れ落ちる文明】
                                          【蹂躙と呼ぶに相応しい】



【 ──── 人々は思い出す、"彼ら" が能力者と呼ばれる由縁を】



《我らに力を!!》《我らに権利を!!》《我らに自由を!!》《我らに平穏を!!》

               《Power To The People!!!》



【破壊活動を行う集団だけではなかった、マスクの一部はプラカードを掲げ、拡声器で主張を伝える】
【弾圧された能力者達に権利を、抑圧された能力者達に自由を、行き着く先は打倒 "魔制法" 】
【言葉は正しいのかもしれない、主張は受け入れて然るべきだ、だが、その方法論としては】

【貴方はどう判断するだろうか、仮面の集団を、──── そして】


      つまらんのう、一方的な殺戮じゃこれは


【黒い短髪、朱を基調とした簡易な甲冑は、手首や太ももといった要所にのみ防具が付随し】
【それ以外は黒の襦袢であった、機能性を重視した和装は、形式だけでない本当の剣客を思わせ】
【腰には長刀と短刀を一本ずつ差していた、武士と呼ぶのが相応しい男が、腕を組み後方に立ち尽くしていた】

【 ──── 彼は破壊活動に加担しない、ただ情勢を見つめて】


/ディミーアさんの方は此方にお願いします!
402 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 14:26:16.18 ID:uAySPBA0o

【フルーソ駅、既に駅はマスクを付けた黒衣の集団に占拠されていた】
【破壊された路線、横転した列車、──── 轟々と燃えているのは、さながら儀式の如く】
【何人かのマスク姿の人々が手から光弾を放ち】【列車を燃やし続け、そして】


【怨嗟の声が、断末魔が響き続けていた、──── 生きながらにして、焼かれ続ける人々の群れ】



──── "救い" など望みません、私も彼らも、等しく報われないのですから



【後ろで編み込まれた鮮やかなゴールデンブロンドを赤いリボンでとめる、映し出す光沢は最上の絹にも似て】
【純白のワンピースにロングブーツ、重ねるは紺のジャケットにリボンタイ、と奥ゆかしい淑女であった】
【マリンブルーの瞳が、──── 何処か憂う様にその景色を見ていて】

【大凡露出の少ない格好であったが、唯一、──── 剥き出しになった両手だけが、鮮やかに】

【彫刻を思わせる指先、均整に切りそろえられた爪先は仄かに赤みがかかって、水彩画の様な趣を残して】
【それでいて伸びた五指のしなやかさ、美麗な筆致で描かれた芸術作品を思わせた、一葉一葉、動きの度に世界が再構築され】
【彼女の胸元を静かに撫でた、その行為すらも、溶ける前の名残に思える】


/ラベンダァイス&ヴァルター=アルメクスさんの方は此方へ!
403 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 14:26:26.56 ID:uAySPBA0o


【水の国・高層ビル、──── フルーソに於いて、一際高い建物であった】
【眼下には破壊された光景が広がっている、どこもかしこも混乱状態に陥って】


【 ──── 出動の命令が下った際、貴女はこう考えるはずだ、このムーブメントの主導者ならば、と】
【そう判断できる程に、統一された動きであった、或いは、その "頭脳" がそう判断を下したのかもしれない】



【 "ブレーンがいるねぇ" なんて、粘っこい言葉の響きが、耳元で聞こえてきそうな程に】



【斯くして貴女は此処へ来る、──── 故も知らぬ、不死を殺すかの如く】




        ひどい味わいだろう、キミもそう思わないかい?




【白銀の長髪に真紅の瞳、豊満な膨らみが窮屈そうな白いジレの上に黒いジュストコールを羽織り】
【胸元を艶やかに飾るはクラヴァット、上にレースのリボンを重ねて】
【太股までしかない非常に丈の短いスカートに、膝まである白い編み上げブーツを履きこなした女性がそこにはいた】

【端正な口元に僅かばかりの微笑みを携えて、必要以上の媚びを見せずに頬を綻ばせる】
【それは貴婦人の行いであり、同時に騎士の風情であり、さながら王の振るまいであった】


【真紅の瞳が見据えた、──── 招かれざる客人へと】


/アリアさんの方は此方へー!
404 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 14:26:35.79 ID:uAySPBA0o

【フルーソ総合病院前、駐車場と化していたスペースは完全に占領されていた】
【入り口を取り囲む様に黒衣とマスクの集団が並ぶ、破壊活動は一段落といった所か】

【 ──── 病院は占拠されている、と言っても良い状態であった、要求が受け入れられなければ】
【入院患者達がどうなるかなど、火を見るよりも明らかで、──── そして】



嗅ぎ慣れた香りだが、──── 悪くない、質よりも量の側面があるしな



【奇妙な風体の男が、駐車場の中央に立ち尽くしていた、──── まるで、待ち受ける様に】

【形容するのであれば、黒い修道服を着た大柄の男であった】
【赤い長髪に顎髭、長い髪から覗く右目には無造作に包帯が巻かれており、残った左目が来訪者を見据えるだろう】


/匿名希望(舞衣さん)の方は此方へー!
405 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 14:36:04.07 ID:orWtOf/Ho
>>401
【すでに戦場と化した市内で、戦闘音に負けじと指揮官の指示が飛ぶ】

三班と五班はスクルータとクリストファーが率いろ、担当地区は分かってるな!
一班二班はアルベルトに続け、塵どもを一匹たりとも逃すな!
四班は救助活動をしつつ、各班の援護に回れ!

【指揮官の指示に応じて各員が手早く移動を開始する】
【総勢数十名にも及ぶ『ヴィセリツァ』の人員が大通りを疾駆しビルの壁面を跳躍し上空を滑空する】
【自警団の中で“対能力者”を掲げた異色の特務部隊。それがテロリストを殲滅するために部隊を展開させていた】

【散開した各部隊はテロリストと接敵すればそれを優先的に撃滅する】
【あるいはプラカードを掲げているデモ集団さえも敵とみなして制圧にかかることさえある】
【それほどまでに『ヴィセリツァ』の行動は徹底して能力者の排斥に動いていた】

さぁて……風向きが良くなってきたぜ、ディミーアさんよ

【背の大剣──『導くフィデリウス』を引き抜き、重合金製の刃が地面に引きずられて不愉快な金属音を鳴らす】
【酷薄な戦闘部隊の指揮官はその視線の先に単なるテロリストではない者の姿を捉えていた】

──お前が、指揮官か何かか?

【緊張感のない声で、ディミーアは男に声をかける】
406 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 14:40:46.86 ID:2etGakr4o
>>403

【 ──── 鋳溶かした鉛を広げた空を、1機の輸送機が横断した。そうして、何かを"投下"した】
【グレイスケールの薄曇りに霞む影であった。それは重力加速度に従った。漸増的に影は拡大されていく。人の形を取っていた。】
【それは影では有り得なかった。黒衣の外套と黒衣の正装に身を包んだ、 ─── 新雪よりも冷徹な白銀の髪を降下速度に煌めかせ、】
【高層建造物の屋上へ、尋常ならざる衝撃と震動をもって降り立った。鉄筋コンクリートが落着の円形を形作って砕け散り、しかれども】


      「 ─── 遺言は、」「それだけかしら?」


【緩やかに膝立ちより躯体を擡げるその女には傷一つなかった。 ─── ひどく高い背丈の女は、対手を果たして見下ろすものであろう】
【残酷な光輝を宿す青い左眼が相違なく対手を見据えていた。眼光と呼ぶにも悍ましい。ならば右眼を覆う白銀の前髪は、せめて獣性を抑えるがために】
【 ──── その立ち姿はいっそ耽美でさえあった。幽かに隻眼が眇められた。忌々しげな表情を、既視感と呼ぶ事もできたろうか】
【何れにせよ獣に多くの言葉は選べなかった。転瞬、外套の裡より引き抜かれるは、馬鹿げて長大な銀色の拳銃。 ─── その勢威を殺さずに投擲される、鎖で繋がれた真紅の投刃。】
407 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 14:42:53.64 ID:QF0PnyaV0
――桃桜、鷺乃浦鎮守府――

【この日より遡る事数日前であった】
【この日、桃桜の所謂、都とは少々離れた港】
【魔導海軍桃桜、鷺乃浦鎮守府】
【魔導海軍四鎮守府が内の一つである】
【この日早朝は、弱く雪の降る寒い朝であった】

「中村の旦那!今日もご苦労さんでさぁ」
「親父、オメェも相変わらずだぜ」

【鎮守府、泊地といった軍港には、毎朝納豆売りと称される行商が立ち入り海軍軍人達相手に商いをする】
【文字通り、朝食の付け合せである、納豆の販売が主であるが】
【他にも、海苔、鶏卵、梅干、瓶詰めの佃煮等様々な白米のお供を販売し、懐具合にちょっとした余裕の出てきた士官、古参兵らはこぞって列を作った】

「おう、今日はこの蛤の時雨煮を貰おうかい」
「旦那、桑名の殿様もいいですがねえ、早いとこ嫁さんの一人でも見つけねえと」
「おめえ、こんな歳で上曹兵、しかも内地勤務の基地警備隊と来らあ、昼行灯のとこに来る嫁さんなんざいねえよ」
「まったく、中村の旦那は……そう言や、今日は随分賑やかですねえ、なんかあるんですかい?」
「ああ、何でも水の国方面へ航海演習の艦隊が来てんだ、司令長官も乗ってるってんだからてーへんなもんよ」
「蘆屋海軍大将殿が!?ひゃあ、そりゃ事ですねえ」
「俺ら鎮守府警邏隊も、大忙しよ」
「で、旦那は?暢気に蛤の佃煮ですかい?」
「このハゲ親父は、煩くてかなわねえぜ……」

【この日、総旗艦を山城、随伴艦に新造された雷装戦艦、尾張、肥後、駿河の三隻を加えた特別演習艦隊が寄航】
【水国に向けて抜錨した】
【この先の顛末を知る者は……まだ居ない】





――さあ、始めようか、戦争を――


408 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 14:43:08.95 ID:QF0PnyaV0

【水の国・フルーソ】

【惨劇は、突然にして、しかし予兆は幾らでも存在した】
【ただ誰も、深く目を向けようとしなかった】
【そうして、誰の目にも留まらぬままに、事象は最悪の形へと発展したのだった】

「ひ、け、警察は!!??」
「誰か!!誰か!!」
「人が!人が、能力者にいいいい!!!!」
「お、おお、お助けを、わ、私は何も、何もしておりませんから!!」

【逃げ惑う人々】
【追うは、無慈悲なる怒りの化身】
【全てはそう、一人の無垢なる少女の死が招いた悲劇】
【何とも、何とも、無常で無情なる事だろうか】
【君はこの悲劇に何を思う?】

「こ、こっちにも居たぞ!!」
「し、死んでる!?」
「すみません!!息子を私の息子を見ませんでしたか!?」

【はたまた、それは狂騒劇の様で】

「軍は!?水国軍は何をしているんだ!?」
「自警団!!UTは何を!?」
「こいつら、例のスクラップズとか言う奴等じゃ……」

【放たれる光の弾が、一人、また一人と市民たちを屠って行く】
【だが、本当に善良な罪なき民なのだろうか?】

「誰かああああああ!!誰でも、誰でもいい助けを!!」
「能力者が!!能力者共の反乱だあああああ!!!!」

【この場に駆けつけるのは、果たして……】
409 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 14:44:36.67 ID:uAySPBA0o
>>405

【特殊部隊の効果は覿面であった、能力者の集団は、それぞれが強力な異能を持っている訳では無い】
【四大元素の光弾を放ち応戦するものの、訓練された部隊の前には赤子も同然であろう】
【しかし、数が多かった、多勢に無勢、──── 事態は直ぐに膠着に陥るはずだ】

【彼はそれを見ていた、口元に浮かべるはかすかな笑み】


よか動きじゃ、おいの所の若い衆にも教えたか、──── して、おまんが大将首か
ええ面構えしとるのう、道理で部下の動きが俊敏な訳じゃ、げにあっぱれと

悪いがその問いかけには否と答えようか、おいは指揮なんぞ高尚なものはできん


──── 骨の髄まで兵士じゃ、戦場こそが生き場所ぞ




【長剣を抜く】   【右の手に握る姿は悠然と】       【──── 自然体に開いた両脚が揺らめく】
【既に彼は見ていた】         【己が戦う意思を、】  
               【その場面を】




──── 精々血に塗れて殺し合おうぞ




【地面を蹴る、疾走の動作】【瞬く間に間合いを詰めたならば】   【振りかぶるは抜き身】



【放つ一閃が轟音を響かせる】    【撒き散らす砂煙】    【粉塵が周囲を飛び交う】
【長剣サイズに集約された爆発に近い】    【近づくことさえ身の危険を示し】
                                          【剰え、それが特段の凶器】



【乱暴に腹部を狙い撃つ】   【ただ徒な軌道で】   
【それでいて破滅的な破壊力を秘めて】



【呼吸の筋が見えた、──── 歪む光悦、表情は妙】
410 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 14:45:24.16 ID:IHRaMccc0
>>402

【――――混乱に見舞われる駅舎。血と悲鳴が全てを塗りつぶす世界に――――『苦い正義』が駆け抜ける】

――――愚か者どもめ!
自分たちで自分たちの危険性を、喧伝して回って、楽しいものか……貴様らはただのテロリスト、畜生にも劣る逆賊だ!!
こんな、最悪な形の復讐など……認める訳にはいかない。この過ちの代償、貴様らの血で払ってもらうぞ!!

「――――『UNITED TRIGGER』が命じます。即座に狼藉を停止し、我々の指示に従う事
 さもなくば――――貴様ら全員、綺麗に死ね。死んで、綺麗になれ――――」

【突然の電光が、車列を蹂躙する能力者たちへ。これまでの逆転かの如く、苛烈に放たれ、一同を襲う】
【黄金色と、黒の電撃は、まさしく紫電一閃の勢いのままに、テロ行為に参加していた人員を、無慈悲に焼き殺していく――――】

【目元の黄色いバイザー以外の全てを、黒のパーツで構成されているヘッドギアを被り】
【胴体部に砲口、そして両腕にも多数の武器と思しきパーツを備えた、青を基調としたカラーのメカニカルな全身スーツを装備した】
【胸部装甲に、青い文字で『H.E.X.A.』と塗装されている、一見すると何かのロボットと見紛う様な、ヒーロー然とした男】

【一本の角を持った、ラベンダー色のたてがみをした白馬に跨り、その場へと飛び込んできたのである】

【白馬の足元には、黒い瘴気が充満しており、さながら伝説のナイトメアの如く】
【『H.E.X.A.』の男が左腕から、白馬がその一角から、黄金と黒の電撃を放ち、周囲を鎮圧していく】
【黄金の電撃に撃たれたものは、激しくスタンして動けなくなり、黒の電撃に撃たれたものは――――どうやら、その場で死に絶えたようだ】
【不思議な事に、白馬もまた、少女のような言葉で、周囲を牽制している――――『UNITED TRIGGER』を名乗る以上、どうやら能力者の変じた姿の様だが――――】

――――我々は、水の国の緊急令でやってきた者だ!
逃げ遅れたものは、我々に任せて今こそ逃げ延びてくれ!! この馬鹿連中は、我々が始末をつける!!
「降伏の意志、示すだけの時間はくれてやります。もし下がらない様なら――――後悔しますよ、あの世の果てまで――――!」

【生き残りの確保と、場の鎮圧を重視して、2人の能力者――――片方は、むしろ装備に身を包んでいる一般人の様だが――――は声を張り上げる】
【状況は、自分たちへとヘイトを集中させ、逃げ遅れた連中の逃げる時間を稼ごうというのだろう】

(っくそ、ついにこうなっちまった――――これじゃ、ここから先は内戦まっしぐらだぞ……どっちもどっち、分かってねぇ奴らばっかりだ、クソが……)
「(――――必要のない戦いでしかありませんが、混乱はとりあえず収束しなければ。そして――――それが分からない人間など、生かしておいても仕方がありません)」

【何せ、状況が状況である――――場に不釣り合いな、不気味な女性の姿には、どうやら即座に気づく事が出来なかった様だ――――】

/では、よろしくお願いしますー!
411 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 14:49:22.51 ID:QF0PnyaV0
【フルーソ市街・繁華街付近】

【普段の休日であるならば、その自由を謳歌する人々が】
【あるいは平日であるならば、行き交うビジネスマンが通りを占拠の如く往来している】
【だが、この日この場所には誰も居なかった】
【正確にはある一団を除いては……】

「全く、愚かしい、愚かしいねえ……」

【黒衣の一団であった】
【一様にマスクを被った、さながらのテロリストか】
【あるいは邪教の信者のような……】

「ほうら、見給え見給え」

【緊急駐車されたのであろう、数台のタクシーが乗用車が】
【次々と爆発炎上してゆく】
【その中央の車道を、まるで宝塚スターの様に、黒衣の一団が行く】
【先頭の一人が両手を広げ、役者のように】


//ミレーユさんは、此方へ返信をお願いします
412 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 14:52:54.19 ID:uAySPBA0o
>>406

【彼女は貴女を見た、──── いっそ好ましいとさえ思うほどに、揺らめく灯火の風情を残して】
【寸刻ばかりの瞑目、微かに委ねた思いは彩に、優雅な旋律にその調べを託した】
【美しい女性であればこそ、この演目の主役に相応しいと彼女は感じるのだから】


まさか、幕開けにすらならないよ、劇作家の言葉を一々真に受けていては演目は退屈だ
言葉を遺すんじゃない、言葉が遺されるんだ、況んやその意思とは、──── なんて、散文詩には丁度良いだろう?

際の際まで味わいつくそう、美しい貴女へ、──── その美しさに称賛と、少しばかりの追憶を


私は "クイーン" ──── クイーン=ボナパルト、どうぞ長く貴女の心に残らんことを




【姿勢を低くする】   【白銀の髪を一條散らして】   【──── 投刃が虚空を撫でた】
【口元に浮かべるは艶】   【媚態を少しばかり滲ませて】       

                                【後は轍に説き伏せよう】



【彼女は指先を口元へ】   【包まれた瀟洒な手袋を噛んだなら】     【甘えた音色の接吻を落として】



──── "Liquid Tension Experiment"



【右手に握られるのは一本の刀剣であった】  【──── 疾走、その視線に捉える首筋】  【一刀の元に振り抜く】
413 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 14:55:48.98 ID:QF0PnyaV0
【フルーソ、住宅街近辺】

【フルーソのこのエリアに居住できるものは、ごく選ばれた資産家、著名人が多い】
【幾多もの高級住宅とマンション、高級飲食店に各種販売店がひっそりと】
【普段ならば、閑静を絵に描いたかのような街並みで】

「うーん、困りましたねー」

【今は、セレブ達の気配は成りを潜め】
【代わりにその場を席巻するのは、黒衣の集団で】

「誰も居ませんねー、さすが自分の事しか頭にないお金持ち、身のこなしも早い早いー」

【間延びした口調で話すのは、その場の中心的な黒衣の男で】
【彼に従うように、黒衣にマスクの集団が付き従っている】

「とりあえず、この辺り全部燃やしちゃいましょうかー」

//ディミーアさんの部下さんは、此方へお返事をお願いします
414 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 14:57:41.70 ID:orWtOf/Ho
>>408

【その場に数名の軍服姿の武装した集団が現れる】
【各々が能力者たちに対して手慣れた様子で、かつ無慈悲に、制圧行動を開始する】

……おーおー、お祭りだなぁ、こりゃ
血の匂いに街が壊れる音……最高じゃあねえか、能力者どもよぉ

【部隊を率いていたのは下卑た笑みを浮かべた見てくれの悪い男】
【片手には魔導書を持ち、その周囲には黄土色の生物の顎口を模した不気味な飛行生物が飛び回る】
【傍らには漆黒色の触手の塊が蠢く。体長は人間の身長を優に超えていた】

各班は散開しろ。スクルータやクリストファーに巻き込まれるんじゃねえぞ
もちろん、俺にもな……あとは好き勝手やれるぜ、能力者どもを血祭りにあげろ!!

【檄を飛ばされた一班と二班がそれぞれ別の方角へと散っていく】

じゃ、始めるか……好きに食っていいぜ、<ファムマ・ティ>

【男の周辺を飛行していた黄土色の生物が号令を理解したかのように身体を震わせ】
【高速で飛び回っては能力者の腕や足、喉などを狙って噛み付き、血肉を引きちぎる】
415 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 15:00:48.23 ID:uAySPBA0o
>>410


【 ──── "不意に" ラベンダーの動きが止まるはずだ、その位置から僅かばかりも動けなくなる】


【感触を覚える】  【額の一本角へ】   【まるで強大な力で掴まれ】  【そして、──── 】
【更なる負荷がかかった】【力を以て、強引に押し倒そうという】  【そんな意図を持った負荷が】


【違和感、──── 直ぐに辿るだろう、そして】



【佇む静寂、静謐の主は、そこにいた】



──── "Knockin' on Heaven's Door"



【柔肌がふわりと宙に翳して】【揺らめく一葉、朧の如く】【風前霞むは宵の作用】
【瞬く蝶の様に、】【振る舞う戯れじみて】    【──── しかれども、道理は遠く】


【悪寒が迫った】 


                【──── "逃げろ" と】  
                                  【直感がそう伝えた】



    【ヒーロー姿の男が、その場から移動しなければ】    


            【鉄塊ぐらいなら容易に叩き潰す衝撃が左右から襲いかかる】


【それはさながら、見えない巨大な手が握りつぶすかのように】
416 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 15:03:04.77 ID:2etGakr4o
>>411



  「 ─── こちらデルタ6、敵の攻撃が激しい!」「班員4名がダウン、民間人に死傷者多数!」「至急応援を求む! 繰り返す! 至急応援を求む!」
  「QRFの到着予定時刻は!?」「現在3号三叉路で足止めを喰らってる ─── ジャベリンを寄越せ!」「航空支援はまだ来ないのか!」
  「現在アトラヴェル飛行場よりAC-130ガンシップが急行中 ─── 間も無く異能者の班員1名が到着する。各員、防衛線を死守せよ」


【街道の路傍にて交戦を試みているのは機動隊員らしきアサルトスーツの一個小隊であった。 ─── 相当数の隊員が黒衣の上からでも解る傷を負っていた】
【しかして顔を隠す直黒い仮面が異質だった。肩口に留められた警察組織のそれではないワッペンも異質だった。そうして彼らは小銃を構えていた】
【残骸で作られたバリケード越しに銃だけを持ち上げ、制圧射撃のブラインド・ショットを続けていた。 ─── 戦況は芳しくなかった。だが】


   「 ─── ずいぶん派手にやってくれるじゃないか。」「なあ?」


【ビルの屋上より一つの影が降り立つ。 ─── 甘い芳香のゴシックロリータを纏い、濡羽色の髪を腰にまで伸ばした、若い女】
【バリケードの前に降り立った彼女は、ひどく陰惨な青い双眸をもって喜悦を浮かべる戦列を見詰めた。その両腕に拳銃を携えていた。それで全ては足りた】
417 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 15:04:49.66 ID:orWtOf/Ho
>>409

【膠着する状況を見てディミーアは苛立ったように舌打ちをする】

人員不足ってやつか
まぁいいさ。俺や他の連中の手が空けば雑魚どもを消すなんて十分もかからねえ
となると、当面の問題はお前ってことか

【疾駆。一瞬にして距離を詰められる。爆発的な速力を乗せた剣戟が迫る】
【それを逆さにした大剣が防ぎ──激突音。超威力の斬撃を受け止めきる】
【まるで超重量の建造物に打撃したかのように、その身体は一切のブレがなかった】

わかりやすくて結構。指揮官じゃないってのもいいだろう
だったら──とっとと殺して終わりだ

【刃が翻り、大剣の重量を無視したかのような高速の一撃が肩部に振るわれる】
【その軽々とした動きに反して命中したときの衝撃はむしろ見た目以上に重いものとなる】
418 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 15:14:13.00 ID:QF0PnyaV0
>>414

「――ッ!?」
「……」
「ッ!!??」

【たった一つの号令により忠実に、『食事』を開始する黄土色の生物】
【食い千切られた黒衣の集団は、声も上げず血飛沫のみをその場に撒き散らせ】
【絶命してゆく】

「へえ、いいペットもってるじゃん、いいなー欲しいなー」

【中央の男が、やたら親しげに声をかける】
【全身からは、奇妙なほどに何も感じる事は出来ずに】
【殺気も、あるいは闘志すらも……】

「僕にも使えるかなー?名前はなんて言うのさ?ペットと……」

【瞬間、周囲に迸る電撃】
【四方八方に散らばり、そしてその一筋は、その男にも向かって】

「それから君の、[ピーーー]相手の名前くらい聞いてあげるよー」

【男は黒衣とマスクを脱ぎ捨てた、青い長い髪を後ろで結んだ、所謂中華風に見える赤い服の若い男】
419 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 15:15:31.61 ID:uAySPBA0o
>>417

【 ──── 衝突する切っ先、鍔迫り合いの距離に視線が交錯し、にぃと笑う男の顔】
【響く金属音は通常のそれとは程遠く、寧ろ騒音に近かった、飛び散る火花も芥が如く】
【男は寸刻驚いた表情を見せたが】【直ぐにまた愉悦を見せる】   【 ──── そうこなくては、と】


かか!! せっかちな男じゃ、おまんも男なら戦いを愉しむが良い!!


己の力と、己の能力と、己の命を試す行いを、どうして愉しまん?
生き急ぐ事はなか、──── ただ死に急ぐんじゃ


【翻る刃の軌跡】   【咄嗟に身を捻る】    【────否、"早い"】
【思考を研ぎ澄ませても尚遠く】    【視界を澄ませても、まだ昏く】


【 ──── 舌打ち一つ、先に切る札は初手の鬼札】



──── "One Step Closer" ────!!



【男の操る異能を行使、この空間を彼の支配領域に置く、その効能は "単純化" 】



【大凡人間の反応速度を超える動きで】    【男は身体を捻る】  【一回転、地滑り】  
【弧を描く動きで右回り】  【──── ディミーアの側面へと移動する】



【つまりは、持てる能力全てを "回避" に一元化した】   【情報面で一歩の遅れ】
【右手に刀を握り、真っ直ぐに睨む】




      【あの大剣は "マズい" ──── と】 
420 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 15:15:35.68 ID:2etGakr4o
>>412



「お褒めに預かり光栄ね。 ─── 懐かしい挙措を見せてくれるじゃない。」
「では私も貴女を想いましょう。」「人狼を狂わせられるのは、きっと鮮血と月光だけなのだから」



【新雪を融かすように女は笑った。サテン地の下に隠された胸許の豊潤さが、悩ましげな嘆息を一ツだけ零した】
【 ─── 対手が躱した投刃は、その背後にて"起爆"した。透明な刃に充たされた濃血が、爆轟と共に飛散する砕けた硝子に染まり】
【明白な殺意を以って対手の穢れないせなへと迫る。 ─── 白く嫋やかな両の手に握られた、二挺の拳銃の銃口が向く先は】



     「遅いわ」



【他ならぬ剣閃の軌跡でしかない。 ─── 機械仕掛けの動体視力が、細い刃の横腹を捉えて/囚えて】
【引かれる銃爪。躍る撃鉄。爆ぜる炸薬。刃の真横より衝突する、63口径のスラッグ弾】
【それは対手の剣戟を紙一重で吹き飛ばそうとする迎撃であった。 ─── すればそうして生じた隙を、決して女は見逃さぬのだから】
421 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 15:17:05.09 ID:IHRaMccc0
>>415

「っく――――!?」
っ……お、おいどうした!?

【周囲を睥睨し、なおも反抗の意志を示すテロリストを見定めていた白馬――――ラベンダーの口から、不意に呻き声が漏れ出る】
【その様子のおかしさを、騎乗している男の方も気づいたのだろう。思わず視線を下げて】

「(――――直接攻撃だけじゃない、なにか――――とんでもない能力を、行使してる誰かが――――!?)」
「――――念動力の様なものに、捕まってしまいました――――降りてください、飛んでッ!!」
なっ――――!!

【自分の身に何が起こったのか――――ラベンダーは瞬時に思索を飛ばして、そして気づいた】
【何者かに、恣意的に能力を行使されているのだと。分かりやすい破壊と恐怖を振りまく『テロ』という行為の中に、こんな搦め手を用いてくる存在を、想定していなかった】
【それがミスだと気づかされた時には、もう遅い。咄嗟に怒号を上げて、端的な意思疎通で窮地を脱する以外に、方法がなかったのである】

【咄嗟に男はその場から飛び去り、大地に降り立つ。そしてラベンダーは、角や首が折れてしまわないように、力に従ってその場に転倒した】

「(――――ッッ、アレが――――間違いない!)」

【ドカッと引き倒される刹那、ラベンダーはその『下手人』らしき女性を目撃する。有蹄類を模した姿では、一度引き倒されると起き上がるのが困難だが】
【そこは、自分1人ではない以上、割り切るしかないのだろう】

ッ!! ――――おいおい、随分とヤバい力を行使する手合いが、潜んでいたらしいな……

【飛び退く刹那、自らに向けられた不可視の力を察知して、男は思わず息を飲む】
【ラベンダーの言葉に従って飛び退いていなければ、今頃はスクラップの如く叩き潰されていただろう――――その事実に、背筋に寒気が走る】

――――アレか……せっかくだから教えてやろう、この狼藉を許さない、男の名を――――

――――――――ある時は正義の代行者ッ!!
――――――――ある時は彷徨の便利屋ッ!!
――――――――叫べ、その名は――――『ナート・サンダー』!!
――――――――我が前に、敵は無しッ!!

【そして、彼もまた、状況に不協和な女性の姿を認め、そして彼女こそこの事態の仕掛け人なのだと、確信に至った様だった】
【すっと腰を落とし、名乗り口上を上げる男――――『ナート・サンダー』。その視線は真っ直ぐに、女性を見据えていた】

……そこらの馬鹿と違って、お前はどうやら『首魁』に繋がってるんじゃないか?
――――ただで済むと思うなよ……『バーニングブーメラン』!!

【左手をかざし、そこに緑色のエネルギーが収束する。そして、大きく振るわれたその手から、エネルギーで構成された、ブーメランの刃が飛び出した】
【大きく弧を描きながら、そのブーメランは女性を切り裂かんと飛来する。まずは、反撃でペースを取り戻そうというのだろう】
422 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 15:21:20.77 ID:orWtOf/Ho
>>418

【放射される電撃を飛行生物たちはどこで感知しているのか、器用に回避する】
【一体に電撃が命中。一瞬で表皮らしき箇所が炭化して落下。青白い魔翌力の燐光に分解されていった】
【アルベルトに向かった電撃は傍らの触手が伸長して盾となって防ぐ。表面を紫電が流れて消える】

悪ぃが俺はお前に興味がねえよ
だが、俺のペットどもはお前に興味があるらしいんでな
遊んでやってくれや

【返事と共に触手の塊──<ネア・セリニ>の触手が男へと向かっていく】
【大小様々な大きさの漆黒が高速で直進。到達すれば鞭のようにしなり叩きつけてくる】
【触手は見た目からは想像できないような強烈な打撃翌力がある】
423 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 15:25:12.78 ID:uAySPBA0o
>>420


【剥がれ落ちる】   【椿の如く】  
                    【からんと落ちる】      【壱つの華】
                         
                             【内包するは、数多の花弁】



        礼儀がなってないね、相手の得物には敬意を払わなければ
        差し出された品目は尊く結ばれた帰結、そこには数多の熱意が内包されている


        ──── 差し返すのは、赤子のやることよ



【刃が "霧散" した】【蜃気楼を指で掻き消す作用】【鍔から先が溶けてしまったかの様に消えて】  【弾丸は虚空へと】
【彼女は刃の無い剣を振るう】    【突き刺す貴女の豊満な胸元へ】   【鋒のない剣は何を切ろう】



    時に貞淑に、時に傲慢に、時に荘厳に、時に淫蕩に

                     ──── 味わい尽くすのが、従者の定めよ



             "女王陛下"の接吻は如何かしら?




【刃が "集約" する】【突き刺した鍔に元通りになるように】【霧散した刃が集結してくる】
【逃れなければ "貫かれる" 】    【標本、貼り付けた蝶の如く】    【淡く可憐に、淫靡に押し並べて】  


【或いはそれこそ、女王らしい戯れなのかもしれず】    【人知れず愛欲に耽る様相に似て】


【彼女は口元に笑みを浮かべる、──── 肉感的な唇が、潤んだ吐息を舐らせた】
424 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 15:25:54.55 ID:QF0PnyaV0
>>416

『ミレーユさん、こちらライガ!!』
『何が、どうなって、そちらの状況を教え……うわあああああああッー!!』
『――――』

【現場に急行した課員の一人、ライガからの通信だった】
【この様に、水の国首都各所は、かなり大規模な襲撃を受けていると予想される】
【少なくとも、ライガからの通信はそこで途絶えて】

「ううーん、可愛いねえ」
「とってもおキュートだよお」

【降り立ったミレーユ、この黒衣の男は先ず一声目がそれであった】

「おじさん、君みたいな娘を見ると……」
「こうしちゃいたいなあ」

【男は足元に落ちる、拳大のアスファルトの欠片を拾う】
【そしてそれを、ミレーユの直ぐ後ろのビルに向けて投げつける】
【すると、まるで手投げ弾のような、いや爆発力はそれよりもやや大きい】
【そんな爆発が発生するだろう】

「本当、かわいいねえ……」
「そうさ、ショウタイムは派手にねえ!」

【瞬間、その中央の男は、黒衣とマスクを脱ぎ捨てた】
【黄色い色の派手目なスーツに、パンチがかったパーマの中年男性】

「派手に、行こうかあ!」

【アスファルトの礫を三個、ミレーユに向かって投げつける】
【命中すれば、どうなるか、先ほどの爆発を見れば一目瞭然だろう】
425 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 15:30:42.85 ID:orWtOf/Ho
>>419

【回避された刃が空を切る。僅かに遅れて剣士の双眸が超速で躱した男の動きを追った】

……速いな
で、次の演目はなんだ?
死ぬ前なんだ、どうせなら全部披露しておけ

【退屈げにディミーアは言い、大剣を肩に担ぐ。おおよそ構えとは程遠い】
【刹那、剣士が接近する。それもまた重量のある大剣を持った状態からは】
【考えられないような急加速。常識から外れた動きで彼我の距離を縮める】

──俺がお前を[ピーーー]までに、な

【肩に担いだ大剣を両手で握り込む。斬撃──それにしては速度が弱まらない】
【通常、接近の動作を取ろうとも武具で攻撃するにはどうしても立ち止まる必要がある】
【重量のある大剣を肩に担いだ状態から振り下ろそうとすれば尚更だ。少なくとも減速するのが物理法則上、必須】

【だが、この魔術剣士はそういった法則の全てを無視して一切速度を落とさずに大剣を持ち上げ】
【超速を保ったままにそれを振り下ろす。もはや斬撃というよりは突進に近い動作だ】
426 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 15:36:34.13 ID:uAySPBA0o
>>421


【手慰みに似ていた】   【或いは虚空に線を引く様に】   【──── 見る者全てを魅了する】
【喩えて曰く、演舞に近い】   【けれども、そこに物語は無い】   【唯々情念を模した】
【いっそ戯れなのだろう】   【それでも、明確な意思があるように思えた】    【ならば、それは】



     【指先だけで示す散文詩】    【幽玄の世界を、彼女は掌だけで表現する】



──── 騒々しい方々ですね、私は静寂を好みます、──── 言葉は、世界を乱すだけ



貴方がたはみんなそう、視るモノに悦び、聴くモノに塞ぐ、本質を辿ろうともせずに



辿り着く先は何処へ  ──── "ヘヴン" ──── それが、私の名です




【ブーメランはまたもや虚空に "握りつぶされた" 塵のような残滓だけが残り、かき消えたなら】
【やや伏せ気味であったマリンブルーが、僅かばかり交錯するのだろう、憂いを帯びた瞳】
【流麗な目元は儚げに、それでいて、何処か冷酷さを内包して、怜悧と表現しても差し支えなく】


【翳される手元、日差しに照らされるその輪郭は、一輪の花を思わせる程凛としていて】
【緩やかに流れた、風の強さに身を任せて、ただひらひらと舞い散る桜然と】
【夕焼けに焦がれる風情を僅かに滴らせたなら、──── 状況が変わる】


【彼女の手元に "バーニングブーメラン" が出現する、ナート・サンダーが放った攻撃そのままに】


【投擲、速度もそのままに意趣返しの様に、男へと向かうだろう】   【否、──── 貴方は見る】



【ただの刃ではない】【帯電していた】【"黄金"と ──── "黒" 】
【それは眼前に見えて】【近づくにつれてはっきりと】     【 ──── 驚愕を持って受け入れられよう】



【ブーメランに電撃を重ねた、──── 轟々と刃が迫る】
427 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 15:37:33.61 ID:QF0PnyaV0
>>422

「やるねー、そう来なくっちゃ!」

【アルベルトへの電撃は防がれ、或いは黄土色の生物も器用に回避行動に出る】
【それでも僅かに命中すれば、難なく炭化して】

「いいよ!でも君とも遊びたいなー」

【次には高速で接近する、大小の黒い触手達】
【鞭のようなしなりと、棍棒以上の大威力をもって迫る】
【男は、それを器用で俊敏な、まるで軽業のような身のこなしで回避して】

「さあ、君も踊ってよー」

【回避、回避、地面に手をつく度】
【その回数は5回】
【その都度、アルベルトに向けて放射状の電撃を放つ】
428 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 15:38:35.76 ID:2etGakr4o
>>423



       「 ─── く、ふッッ」


【瞬刻に女は片膝を下げた。 ─── 胸許を射抜こうとした刃が掠めたのは、黒衣の肩口であった】
【白刃と白膚を鮮やかな紅色が染め上げる。血に湿った苦しげな喘ぎが苦悶として零れる】
【穢れない顔貌の半面までも飛び散って、白と赤の境界は截然としていた。それでも、頑なに結ばれた唇が、舐めずりの予兆に似て緩むなら】



    「 ……… 生憎と」「この唇には、先約が居るものですから。」
      「女王は一人で十分なの。」「 ─── 貴女の勅命には従わないわ。」


【気だるげな煙草と、仄甘い薔薇の香水。血よりも紅い舌先が、唇を潤す己れの血を拭い取る】
【 ─── 曲げられた膝へと急速に膂力が蓄積される。呻く人造の筋肉。軋む合金の骨格。片膝を屈めた姿勢より】
【繰り出される蹴撃は慄くほどに風を切り震わせた。 ─── 爪先は対手へ、下腹と肺臓の境目】
【そうして飛び退くことさえも見越しているのか対手の背後にて仄暗い光が煌めいていた。投刃から生じた澱んだ血溜まりより、顕現するのは果たして】
429 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 15:44:40.28 ID:orWtOf/Ho
>>427

【躱された触手が街路を粉砕し街灯をへし折り屋台を叩き潰す】
【乱舞する触手は次々に街を破壊していくがアルベルトにそれを気にする様子などない】

あぁ、うぜえな。軽業師かよ
こいつには相性悪ぃかな……<ファムマ・ティ>!

【五つの電撃を順次、触手が打ち落とす。軽い攻撃ならば殆ど通らないらしい】
【術者の号令に応えて飛行生物の群れが一斉に男へと飛来する】
【動きはかなり高速であり、噛みつかれればそれなりのダメージとなる。だが、一体一体は貧弱で打ち落とすのも容易だろう】
430 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 15:47:56.60 ID:uAySPBA0o
>>425


【 ──── 寸刻の間も無かった、間髪入れずとはこの事か、男は一人笑う】


【さながら激流の様に、その上で舞う木の葉を想起させる動き、卓越した武人が故か】
【いいや違う、と、──── それは何処までも理外の動きだ、彼が先程したように】
【ならば笑おう快活に、戦う事それそのものに意味を見出しても尚、勝つことを切望する】



──── 折角じゃ、どうせだから"全部"披露しようか



【ディミーアの接近】【刃の致死圏内に捉える】【流麗な動きで刃を振り下ろす】


【当然の作用なのだろう】【月が傾く様に】【水が流れ落ちる様に】【全ては摂理】
【何千か】【何万か】【──── 或いは何億か】【繰り返された行為であろう】




      "One Step Closer" ──── 現実はそこまで、"単純" じゃなか!!



【否、違った、──── 今回ばかりは、】【ディミーアの攻撃の手が "遅れる" 】   
【 ──── 攻撃へ、"切り替えられない" 】【接近の動作から、攻撃へと、一手遅れる】



【迎え撃つ刀、──── 剣線が揺らめく】【接近と攻撃は両立するから厄介である】  
【 ──── 逆説的に言えば、】     【接近だけならば、カモでしかない】



おまんがおいを殺す前に、おいがおまんを殺してしまうかもしれんのう!!



【迎撃の袈裟切り】【切り裂くという理念を極限まで練り上げた】【それは最早事象であろう】
【皮膚を裂き肉を切り骨を断つ】  【──── その一片すらも揺るがぬ "意思" 】
【練り上げた呼吸が揺らめく】

                                  【視線が赤き、残照を零して】


431 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 15:48:26.07 ID:2etGakr4o
>>424

【途切れる通信に、酷く彼女/彼/ミレーユは忌々しげな表情を浮かべた。 ─── どこか、なにかを案ずるような】
【 ─── 背後にいる課員たちに向けて、彼は軽く右腕を翳した。フリルの袖先より生じる冷気が、透徹する氷壁を造り上げる。】
【指向性のある冷たさが彼等の傷口もまた止血する。そうして己れの対する男と向き合うならば、】


        「舐めてんじゃねえぞ。」


【投擲される瓦礫を刹那のうちに黒い炎が焼き払うのだろう。 ─── 彼の左手から生じた炎だった。夜影に灯した薄明のような、重く揺らぐ炎だった】


     「 ……… 落とし前は付けさせて貰おうか。」


【澄み渡る甘い声音を奏で得る喉より紡がれた言葉は明白に酷薄な殺意を帯びていた。 ─── 彼は駆けた。ひどく速い】
【両手に構えた拳銃を乱れ撃つ。赤いレーザーサイトが極彩色の装いをトラッキングしていた。計8発の尖形弾丸が男の眼前へ迫るならば】
【彼もまた同様に距離を詰めようとしていた。拳銃の銃身下部に備えられた刺突銃剣が、濡羽色の暗さを映しこんでいた】
432 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 15:56:02.69 ID:QF0PnyaV0
>>429

「ひゅー、ウザイってのは僕の台詞なんだけどなー」
「ねえー!さっきから黄色いのとか黒いのばっかり使って君は戦わないのー?魔術師なんでしょ?」

【触手は周囲の建物も道路も、お構いなしと言わんばかりに破壊行動を繰り広げる】
【それを横目で見ながら、時折、青年は感心したかのように目を丸くして】

「次は強いの、っておっとっと……」

【今度は群】
【アルベルトの周囲の飛行生物が、一気に迫る】
【両手を広げ、弱めの電撃を周囲に拡散させるように、一斉に放つ】
【一網打尽、そう言わんばかりに、一気に撃墜を試みるのだ】

「じゃあ、今度はこっちからね、強いの行くよー!」

【右手は握り拳を作り、左手は弓を構えるような動作をして】
【集約、そして蓄電させた、大容量の電撃の一筋を】

「これで、おさらばだねー!!」

【パンチを撃ち出すような、そんな動作で、アルベルトに向けて撃ち出した】
433 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 15:57:49.40 ID:IHRaMccc0
>>426

(っ、いけね……今はヒーローやってるんだった……なんせ『見られてる』訳だしな……)
――――言葉よりもなお、世界を乱す貴様らに、言えた言葉か……!

【少し、言動に『素』が混じっている事に、『ナート・サンダー』は慌てたのかもしれない】
【それは、彼の『カッコつけ』の意図があるものではあるが、同時に『正体を隠す』という、実利的な意味もある】
【その中で、普段の様に振舞っていては、色々と問題だと内省したのだろう――――『正体を隠す』のも『ヒーロー趣味』なのではないかと、人からは言われそうだが――――】

【ともあれ、眼前の女性は、明確に敵である事は間違いない。なおも周囲の騒乱に視線は飛ばすも、主にその瞳は彼女を見据えて】

ヘヴン、ね――――覚えたよ、その名前……残念だな。そんな良い名前を、こんな無意味な殺しをやる様な人間が、名乗っているなんてな……!
――――本質だとかなんだとか、そういう事を口にしていい人間でもないだろう
真に本質を極めた人間は、己の内へと籠っていくものだ――――こんな真似をしている時点で、貴様らの本質など、まやかしだと断言しなければならない――――ッ!
仕掛け人なのだという、俺の憶測が間違っていないのなら、貴様――――件の女の死さえも、どうでも良い事なのだろう!?

【どこか飾った口調ながらも、その言葉は『ナート・サンダー』の本心だ。女性――――ヘヴンに、真っ直ぐに相対して】
【どんな言葉で飾ろうと、この狼藉に大義はない。事の発端となった、闇に葬り去られた虐殺事件もまた、彼女にとっては空虚なのだろうと】
【何某かの思想らしきものを謳いながら、その実はただの策略しかないものだと、己の良心に従って、ヘヴンを糾弾したのだ】

(っ、なるほど――――ただじゃ済まない異能って訳だな……なら、良いだろうさ。もっと強烈な一撃を叩き込んでやろう
 果たして、そこまでをそんな涼しい顔で――――ッ、!?)

【バーニングブーメランを片手で往なして見せたその姿に、『ナート・サンダー』は認識を改める】
【余裕らしい振る舞いは、どうやら伊達ではないらしい。そして、ただの搦め手遣いと言う訳でも無い、相応の実力者であると】
【ならば、どう攻撃するべきか。その先を思考しているところに――――掻き消えたはずのブーメランが、再び出現。今度は此方へと向かって撃ち出される】

っ、なに……!?

【思わず、半身を引くように反応してしまう。このような形での異能の行使は、流石に驚きを禁じ得ないものだったのだ】
【しかも、なぜか――――先ほど自分たちが放った電撃までもが付加されている。どういう事なのか――――思考が、追いつかない】

「――――『ナート・サンダー』!! っぐ――――! この、死の力は――――あなたが受けたら、死んでしまう――――ッ」
お、おいラベンダー……!

【その中で、咄嗟に動き出したものがいた――――引き倒されて、変身を解除していたもう1人の戦士】

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のまるで死人の様な冷たいオッドアイを持ち、体表に紋様の様な、仄かな光を放つ金色のラインが走っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、尋常ならざる量の魔力を身に秘めている、10歳くらいの少女】

【咄嗟に、黒い瘴気を纏った左腕で、投擲されたブーメランを受けたのである。黒い電撃は、その瘴気の下に吸い取られて行き――――】
【そして、緑のエネルギーと、黄金色の電撃に、腕を切り裂かれる。ばっくりと左腕を切り裂かれながら、致命的な要素を、自らが緩和したのだろう】

「っく――――ッ。その芸当、どこまで出来るかな――――『局所的無情爆弾』!!」

【苦々しく前方を向き直ると、『ナート・サンダー』はヘヴンに向けて、腰から抜き放った爆弾を投げつけた】
【爆発のエネルギーベクトルが、一定周囲で反転し、特定の範囲内の身を徹底的に破壊する特殊な爆弾――――この攻撃も、先ほどの様に無力化するのか、と――――】
434 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 15:59:17.41 ID:uAySPBA0o
>>428


【 ──── 表情が歪む、"浅い" 内心に笑う、どんな反射神経なのかしら、と】
【少女の様な綻びを見せた、白鮮やかに染めるは紅、指先で合わす纐纈の模様、滲む術を今は知らない】


【再び消える刀身】【翻すは手首】【蹴りを阻む形で刀身が出現】   
【 ──── 然れど衝撃は依然】        【攻撃を受けて、後方へと弾き飛ばされる】   【苦悶の声も一條】



    ふふ、だとすれば "奪い合う" 他ないね、並び立つ事が無いのなら


二つ分の墓標はいらない           最初から用意されたのは一つだけだもの



                 安らかに眠るのはどちらか

                                     願わくば貴女に魂の救済を




    そして私が、──── 謳歌しましょう   "Liquid Tension Experiment"



【リップノイズ、舌なめずりとも形容できた、高貴な彼女が醸し出すのは背徳】
【愛欲に耽る行為に近い、良識と常識の狭間で揺れるソドミー、脈絡無く描写される閨事模様】
【情事とは萌芽に過ぎず、夜伽は帰結、目眩く睦み合いに、愛を感じるのだから】




【再び刀身が消える】【柄だけになった刀剣を差し出した】   【花束を持って求婚するかの如く】



【寸刻、アリアを取り囲む様に】【 "柄" だけが大量に出現する】   【殺到するのは女神の様に】



【察したときには既に遅い】  【逆説的な刃が、その身を突き刺さんと出現する】    【罪人を穿つ針は筵】
【人間の反応速度を超えていた】    【 ──── そう、人間の】   



                                    【人では越えられぬ、道理なのだろうか】
435 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 16:07:03.99 ID:uAySPBA0o
>>433


【微かに目を逸らした、──── それは罪の意識か、寧ろより本能的な忌避に近い】
【恫喝するかの如き男の声色、僅かに見せた怯えの色合いは、何を示そうか】


──── この世に "自分" 以外に頼りになるものはありましょうか
                 誰もが弱者を狙い、強者であろうとします、──── ならば


私の辿る道もまた、然り、──── でもそれじゃ、悲しすぎるでしょう


                せめて無為にしないこと、それもまた、一つの行いです



【指先の変遷】【書道家の筆先を思わせた】    【 ──── 静寂の中に刻まれる、一本の線】
【爆弾は途中で叩き潰される】【再び見えない何かに阻まれた様に】    【ヘヴンに傷は無い】


【彼女は憂いを帯びた表情で、次の行動を待っているのだろう】


【気付くはずだ、ヘヴンへの外傷が無いことから、彼女の異能は彼女自身の肉体を扱っている訳では無い、と】
【加えて、爆弾の性質には "気付いていない" ──── それがどんな性質を宿していたかまでは、知らないのだろう】


【そして恣意的に翳される手の動き、──── 滑らかな吐息を耳元で感じるぐらいには、艶やかに】
436 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 16:13:15.93 ID:QF0PnyaV0
>>431

【ミレーユの背後に居た課員達は、幸運だっただろう】
【何故ならば、この男の能力は間違いなく爆発に関わるそれ】
【この場の市民、課員問わず広範囲に危険が及ぶことは間違いが無いだろうから……】
【ともかくも、彼らは、氷の壁と止血で身を守られた】

「舐めてないさあ、でも」
「舐めるなら……」
「君の■■■■がいいねえ、おじさん」

【ミレーユの冷たい激昂を受けて尚、この中年男性は口元をペロリと舐めて】
【厭らしい笑みを持って、そう答えて】
【礫は黒い炎が焼き払う、無論その都度に小規模な爆発を発生させるが、別段に被害は無いだろう】

「怖いねえ」
「可愛いんだからあ、もっと明るく笑わないと」

【刹那、駆け出すミレーユ、放たれる8発の弾丸】
【小さな建材の破片を両手に一つづつ手にする】
【弾丸と、そして刺突が迫る】
【建材の破片を、男は地面に叩き付けて】
【爆発させる、極小規模な爆発】
【その爆風を利用して、男はその場から高速での回避行動に出る】

「ほうら、そんな物騒なもの捨てて捨ててえ」
「おじさんと、イイコトしようかあ?」

【そして、男は付近のビルのガラスを蹴る】
【日の光を反射して、キラキラと輝き、ミレーユに迫る細かいガラス片は】
【その一つ一つが、極極小の爆発物となって】
437 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 16:14:18.05 ID:orWtOf/Ho
>>430

【敵を間合いに捉えて大剣を振るう。そんな単純な動作に思考など要らない】
【卓越した剣士であれば尚更。だが、その動きの中に奇妙な違和感が入り込んだ】
【手が動かずに一瞬の間が開く。何かの異能の気配を瞬時に感じ取った】

【しかし、その一瞬は接近戦では完全に命取りだ】
【その僅かな間隙を袈裟切りが襲う。攻撃の瞬間はどれほどの武人であれ無防備だ】
【防ぐ術はない。刃が肩から脇腹までを切り裂き、血が街路に吹き出す】

【遅れてディミーアの動作が入る。後方への跳躍。状況への違和感が剣士の足を退かせていた】
【『導くフィデリウス』を肩に担いだまま、荒々しく息を吐く。表情は重々しく、傷は深かった】

(……このクソ野郎の能力か何か、か。正体を探ってやってもいいが、さてどうやって試すかな……)

【ほとんど致命傷に近いような傷だったが、剣士の双眸からは闘志は消えていなかった】
【よろけることもなくまだ立っている。魔術か何かが戦闘を継続させることを可能にしているらしい】

…………まあ、何でもいいか
どういう能力だろうが関係ない。殺せば終わりだ

【意味のない独白と共に、獰猛な笑みが浮かびあがる】
【大剣の切っ先が男へと向けられる。魔翌力の燐光、魔術発動の予兆だ】
【二人の間──やや男の側寄りの箇所で空間が“歪む”。次の瞬間にはそこで業火を伴う爆発が生じる】
438 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 16:15:34.83 ID:2etGakr4o
>>434




   「そうね。」「 ─── 私が奪ってみせましょう」
    「せめて美しく殺してあげるわ。」「この牙の取り柄は、そのくらいのものですから」


【ごく長い片脚を振り抜いた勢威のまま、 ──── 女はその躯体を反転させる。翻る黒衣。揺らぐ呼吸。舞い散る鮮血が閃く白銀を紅く彩る】
【そのまま逆さに世界を睥睨した。狼に曲芸を仕込めるものか。ならば其れは生来たる狩りの所作。放り上げられる白銀の長銃】
【 ─── 銃把より解放された片手が地に着いた。肘を曲げた。檻のように長躯を取り囲む刃が、その身体を磔刑とする前に】


     「 ──── 狼の狩りを知りなさい。」


【片腕だけで彼女は、その体躯よりも高く跳躍する。灰色の空に広がる長い白銀の長髪は、己れの血を受けて尚も気高く、残雪を縒り合わせた絹に喩えよう】
【 ─── 飛翔の頂点に達する。伸ばした足先が孤月を描く。縦に世界が回るようで、愉しげな笑みは狂人にふさわしく】
【否けして彼女は人ではなかった。人狼であった。夜の女王であった。機械仕掛けの自動人形であった。自由落下にしなやかな肢体を任せながら】
【対手の足元、 ─── 血溜まりより顕れる無数の"跳躍地雷"PROM-1。心拍センサーが信管を鳴らせば】
【黒い円柱の対人地雷が一斉に対手の周囲へ跳び上がり炸裂し、殺傷力に裏付けされた鉄球は雲霞のように迫り来る。綺麗に殺してやるなどと白々しい嘘だった。彼女は狼でしかないのだから】
439 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 16:24:53.94 ID:orWtOf/Ho
>>432

持ってる魔導書が目に見えねえのかよ、アホが
って、能力者なんてのはアホばっかか。言ってもしょうがねえな

【拡散する電撃は次々に飛行生物を打ち落としていき、やがてその全てが魔翌力へと戻されていった】
【一方のアルベルトは魔導書に魔翌力を注入。表面に浮かび上がる魔法陣が強く発光を始める】
【そこに電撃が直進する──が、<ネア・セリニ>の触手がアルベルトを持ち上げて上空へと放り投げて躱す】

<ファムマ・ティ>──餌だぞ

【街路に魔法陣が展開。そこから異形の怪物の二体目が現れた】
【表皮は黄土色。内臓を裏返したかのような不気味な滑らかさのある巨大な四足獣】
【頭部には刃物の如き鋭利な牙が並ぶ。しかし鼻より上は何もない。瞳も頭蓋も何もかも】

【さらに胴体部には複数の穴。その一つ一つにさきほどまで飛び回っていた飛行生物が格納されていた】
【顎口に似た形状の飛行生物は各々が口を開いて遠吠えをする。その口腔内には眼球が一つずつ】
【細かな遠吠えに呼応するかのように、四足獣が巨大な咆哮をあげる】

【空中に投げ出されたアルベルトを<ネア・セリニ>の触手が再び掴まえて足場となる】
【瞳孔さえ持たない<ファムマ・ティ>が男の位置を正確に捉えて高速で距離を詰める】
【電撃のことを理解しているのか、直進から跳躍、さらに空中でさえ跳躍を繰り返して細かく軌道を変更】

【そうして彼我の距離を詰めにかかる。接近したならば腕を振り上げて爪でその肉体を切り裂こうとする】
440 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 16:25:04.15 ID:uAySPBA0o
>>437




    【 ──── 男の姿が揺らめく】




         【混迷する託宣に似ていた】
         【その場に居るにも関わらず、存在性が稀薄に感じる】
         【 ──── 微塵でも意識を抜いたなら、見過ごしてしまう程に】




【男が突進してきた、と気付くのは次の瞬間であった】
                                 【貴方は "察する" 】



         【存在するというリソースすらも、突進に費やしたのだと】




【業火による爆発、巻き上がる噴煙、男は "自ら" その爆発へと突進していく】    【 ──── 心なしか、煙の量が多い】
              【寸刻、煙が晴れた、幕を引き裂く様に男の姿が眼前に映る】
【視界一杯に広がって】



よか表情じゃ!! おまんも中々、楽しんできとるのう!!



【身体に付いた火傷の痕】【そこまで大きくない】   【 ──── 本来の威力が、軽減された?】
【思考は行き着くだろうか】【或いはただ踏み潰すか】
                                【問いかけへの答えは無い】


【飛びつく様に男はその勢いを緩めない】
【自身を弾丸として射出するかの如く】
【男の狙いはそのまま押し倒そうという魂胆か】  【右手には刀を握ったまま】
441 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 16:25:57.37 ID:2etGakr4o
>>436




     「キミの変態趣味に、」「 ──── 付き合ってやる暇はねえんだよ。」


【四半ほどを撃った右手のポリマーフレーム・ピストルをミレーユは懐へと納めた。甘く広がるスカートの裏より】
【パニエの代わりとして引き出されたのは奇妙な銃器である。 ─── シングルショットのレースガンにも似るそれの銃爪を、照準を虚空に向けて絞る】
【撃発するショットシェルに装填されているのはサーモバリックの炸裂弾頭。驟雨に似て飛来する硝子の雨をエアバーストが呑み込む】
【連続した異能の行使は困難であるのだろうか。然るに彼は笑っていた。可憐な白皙を軽蔑の情念に歪めた、冷酷な笑いだった。】



      「逃げてばかりかい?」「ボクを犯してみせたいなら、せめて肌くらい重ねてみようよ。」



【飛び退いた男にはそう述べて笑い続けていた。しなをつくるような声音と仕種であった。 ─── 構えられた二挺の銃器と硝煙の香りだけが余りに不似合いだった】
442 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 16:26:48.66 ID:IHRaMccc0
>>435

――――分かってるじゃないか。それがどうしてこんな選択なのか……!
貴様にとっての『無為にしない』とは、関係ない誰かさんの血を流して、命を踏みにじっていく事か!?
結局、世界には――――何十億という『孤独』があるだけだ。その『個』を、『孤』を……侵すような真似をするものは、本質的に世界の在り方に沿えはしない……!
お前は『個』ですら在れはしないんだッ!!

【ヘヴンの言わんとしている事は、『ナート・サンダー』にだって分かる。結局、自分の命を生きれるのは『自分』だけ】
【その事はもう、散々に思い知らされた。こんな馬鹿をやっている自分が、『他』に居るはずもない】
【しかし、だからこそ――――この行いに加担しているヘヴンは矛盾していると、彼は再び糾弾した】
【本質を謳いながら、結局『己』すら見えていないではないか、と――――】

(――――指先! あの手……あそこに何か、ある訳だな……!
 だが、これだけじゃ結局、分かりはしねぇ――――――――やってない事は、まだある、かよ……!)

【今回、ようやくその『不可視の力』の正体に至るヒントらしきものが見えた。頭部以外で、ほぼ唯一素肌を晒している指先。その動作が、異能実行のキーなのだろう】
【だが、これでは彼女に反応できる限りは、遠くからの攻撃は無力化されるという事になる】
【ここから先、どう攻撃したものかと思案して――――安直だが、これしかないだろうと心を固めた】

――――ラベンダー、落ち着いたら俺に合わせろ!!
それと、……その『死』の力はもう仕舞え。ここからは、ザコ狩りじゃ済まなくなりそうだからな……!
「っく――――分かりました。気を付けて――――ッ」

【左腕の傷を庇うラベンダーに、『ナート・サンダー』は短く告げる】
【先ほどの様な真似を繰り返して、彼女がズタズタになったのでは世話はない。そして、浅くはない傷を負ってしまった以上、ここは自分が出るしかないと】

――――っ、ぉぉぉおおおッ!! 『ソニックカッター』!!

【『ナート・サンダー』が仕掛けたのは接近戦。ヘヴンに飛び掛かる様にステップしつつ、右腕を手刀として払う】
【残像が、青い斬撃として焼き付くほどの一撃。距離を詰めた戦いに、彼女はどう反応するか、それを確かめようというのだろう――――】
443 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 16:33:32.37 ID:orWtOf/Ho
>>440

【爆炎の中に男が突っ込む姿が見えた。剣士ならば必ずそうするだろうと驚きはしなかった】
【煙の中を突っ切った男の姿を捉える。明らかにダメージが少ない。何故か、行き当たる理由はまだなかった】
【──そう、“まだ”なかった。だが突っ込んできたのならば、剣士が取るべき手など一つしかない】

さて、謎解きは楽しくねえがなぁっ!!

【ディミーアは退くこともせずに真正面から迎撃を選択。重合金の刃が持ち上げられ、まっすぐに振り下ろされる】
【超速度の突進に対する迎撃としては明らかにおかしい。どう考えても衝撃を殺し切れるはずのない戦術】
【しかし、初撃同様に両者が激突しようとも魔術剣士は倒れるどころか微動だにしない。剣戟の重さも押し返すほどだ】
444 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 16:37:35.08 ID:uAySPBA0o
>>438


【刃は虚空を突き刺した、──── 前衛的な芸術作品があった、そこに貴女がいればよりいっとう】
【寸暇を惜しむよりも虚しく、彼女は頬に僅かばかりの不満を浮かべて、白百合は可憐の象徴であるか否か】
【自由落下するスペード、追い立てるはハートかダイヤか、何れにせよ "クイーン" の名は譲らない】



           酷い話だね、──── 用いる手段としては、利が過ぎているとも言えるけど
           乙女は美しく殺されるのが悲劇の常さ、無残な死体は現実で十分

                        悪いがこの脚本は、リテイクを命じよう、──── 来世でまた、見てあげる



【徐に手を伸ばした、運命を受け入れる様に】   【 ──── 右の手を貫く鉄球、滴り落ちる鮮血が、無残に濡れて】
【けれども、追憶は無数に、無限に、──── ただ血飛沫に抱かれる運命にあった、けれども】



     "味わう"のよ、全身で、──── 味覚が舌先だけなんて、痩せた考えだ、全てを研ぎ澄まし、私は味わおう
     そして自らに "取り入れる" 咀嚼し、一体となる、──── 全ては、我が支配の下に


     ──────── "Liquid Tension Experiment"



【続く鉄球の動きが止まった】【ピタリ、とその場に縫い付けられたかの様に】【奇妙な幾何学模様を描きながら静止して】



【彼女はしなやかに微笑む、目元に浮かべるのは微睡みの作用、少しばかりの安らぎを携えたなら】



【鉄球が一斉に動き出す】【点では無く面での攻撃】【制圧射撃に似た一斉掃射がアリアを襲う】
445 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 16:45:15.15 ID:QF0PnyaV0
>>439

「自分だって能力者じゃんー」
「あれ?魔術師だっけ、まあ細かいことはいっかー」

【再び魔翌力が注ぎ込まれ、そして展開する魔方陣】
【迫る強力な電撃には、アルベルトは触手により自身の体を上空へと持ち上げ、それを回避する】

「自分だってぴょんぴょん飛んで、人の事言えないじゃんー」

【やがて、街路に展開した魔方陣から二体目の生物が出現する】

「うっわーきっもー、これはキモいなー」

【何とも形容しがたい、不気味な概観の生物】
【黄土色に、異様に滑らかな身体】
【まさに怪物、それ以外の呼び方の無いであろう生物】

「まるで空母だねー、面白いー」

【咆哮とともに、複雑な起動を描きながら此方へと迫る】
【迫るのは、刃の如き強靭な爪】
【その相手から逃げる、のではなく、青年はむしろ向かって行った】

「当たらないんなら、当てに行けばいいじゃないってねー」

【牙が到達するよりも早く、その身体に触れ】
【直接電撃を叩き込もうという魂胆】
【爪の到達よりも早く早く早く――】
【この行動は、賭けに近い】
446 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 16:47:20.91 ID:uAySPBA0o
>>442

【 ──── その言葉に彼女は顔を上げた、前髪が額を撫でて、緩やかな香りを醸し出す】
【困ったように目尻を下げる、マリンブルーの色合いが、涙の色に滲む様な】
【頬に手を向けた、淑女の見せる、──── 風情の試み】


     

       ──────── それは貴方も、されている事でしょう?




              【ナート・サンダーの動きが "止まる" 】




【もしステップをしつづけていたなら】【ヘヴンの眼前に踏み込んだ瞬間に】   【 "射止められる" だろう】


【まるでそれは、固定されてしまったかの如く】
【目に見えない穴に、すっぽりと填まったかの様に】


【時間にすれば数秒、その後に再び動くことが出来るだろうが】【戦いの最中には致命傷に過ぎる】




【緩やかに指先が奏でる、誘い描くは天女の調べ、脳裏に描くのは追想の場面】
【ナート・サンダーの背後へと、出現するのは先程の "爆弾" 】【 ──── 回避できる道理を、限りなく狭めた】



【一対一であったなら致命傷とも言えた】


                         【彼女の能力は、底が知れない】  
447 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 16:54:48.10 ID:QF0PnyaV0
>>441

「酷いねえーおじさんを変態なんてえ」
「いいよお、凄おくいいよお君い!」

【妖艶さを保ちながらも、冷たい殺意も併せ持ち】
【さながら、夜叉の如く】
【そして取り出されたのは、奇妙な形状の火器】

「ほお、すうごいねえ!」

【そして、炸裂弾が放たれ、迫る無数の破片をその爆風が吹き飛ばし】
【ガラス片は何も無い虚空で、連鎖爆発し、その場には誇りが舞うのみだった】
【粉塵が晴れれば、そこには夜叉の、そう冷たい笑みを浮かべ】
【上品に佇む姿があった】
【硝煙の匂いだけが、状況を冷静に語り】

「誘っているのおかい?」
「おじさん……」

【再び、男は極小のアスファルト片を手に取り】
【地面に叩きつけ、極小の爆発を起こし】
【その爆風を受けて、加速加速加速――ミレーユに高速の動きを持って迫る】
【近接が適えば、そのまま掴み技に入り地面に押し付けようとするだろう】
448 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/09(土) 16:55:05.01 ID:orWtOf/Ho
>>445

【<ファムマ・ティ>の強靭な爪が到達するより先に、男の手が触れる方が早かった】
【大電流がその巨体に流れ込み、表皮が紫電を纏う。胴体部に格納された無数の顎口が獣特有の絶叫をあげる】
【耳を劈くような大音響が生じて術者のアルベルトさえも両耳を塞いだ】

【大電流を叩き込まれた<ファムマ・ティ>は魔翌力の燐光に置換されて魔導書へと戻っていく】
【触手の足場に佇む術者には苛立った表情が浮かんでいた】

くそ、めんどくせえな
お前一人にかかずらってる暇はねえってのによ。もっと大勢を殺さなきゃならねえ

【機転で迎撃されてしまったがために、攻め手を考え直すはめになっていた】
【再び触手が男へと向かっていく。攻撃というよりは時間稼ぎの側面が強かった】
449 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 16:55:27.74 ID:uAySPBA0o
>>443



【肉体に奔る衝撃、──── 男の表情に刻まれるは苦悶】
                                    【此方にも何かのからくりがある】


【けれども突進には理由があった、先程付けた傷、肩から脇腹に至るまで刻まれている】
【衝撃を殺しているのか、消しているのかは分からない】【 ──── だが、試してみる価値はあった】



【引き絞り放った突進、──── それは言い得て曰く、鉄砲玉と】



かか!! 謎を解く必要がどこにあるかのう、おいもおまんも命の取り合いをしとるだけじゃ
なら感じればよか、どうすれば殺しうるか、どうすれば届きうるか、そう感じる、と


──── 推理は無粋、無限に切り刻み、切り刻まれ、試していくしかなか



【戦いの最中に彼はそう言った】【微塵の迷いも無く、そう言い切った】【放つ言葉ははっきりと】



おいは "単純" じゃからのう、──── これしか知らんし、分からん!!
じゃったら、より一層、ぶつかりあうのがええと、おいの本心がそう告げるんじゃ



【弧を描く様な移動、右へ右へ、と回り込み】【ディミーアの防御が薄い部分を探す】
【大剣でありながら、その取り扱いは軽い】【 ──── だからこそ、死角を求めた】
450 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 16:56:18.34 ID:2etGakr4o
>>444


【虚空へと委ねていた長銃を改めて片手が掴み取る。元の通りの二挺拳銃。狼の牙としては余りに絢爛であろう】
【 ─── されど炸裂が十全に対手を傷付ける事はなかった。翻された反旗のように揺らぐ、火薬に黒ずむ鉛色の波濤】
【全てそれらはアリアへと向かった。 ─── 隻眼が幽かに見開かれた。鉄の暴風が儚くも熟れた躯体を吹き抜ける。回避の方策はなかった】


     「 ────── ッッ、 ……… !!」


【眼前にて腕を交差させる。だとしても数百発にも及ぶ対人地雷のProjectileが、隠し切れぬ頬や掌を惨たらしく喰らう。噴き出る紅い命が白い肌を染める】
【そのまま彼女は体勢を崩した。膝を伸ばし立つことも儘ならなかった。崩折れた体躯の上へ、食い千切られた銀髪の残滓が、霙雪のように降り積もる。 ─── だが】


    「 ……… お生憎様。鉛玉なら、とうに喰らい飽きているの」
     「貴女も女王を僭称するなら、賓客の好む味わいくらい」「 ─── よおく、自覚なさい。」


【それでもアリアは立ち上がった。 ─── 赤黒い躯体が薄暮の影に似て、揺らぎながら立ち上がった。青い隻眼の眦を、愉しげに決しながら立ち上がった】
【あれほどの弾雨を喰らいながら、布地に秘めた肌を抉るほどの傷は多くなかった。立ち上がりながらもその装束の間隙より、着弾に歪んだ鉛が溢れた】
【クラスIII防弾仕様のタクティカル・スーツ。 ─── 黒衣の正体とはそれであった。拳銃弾程度の直撃であれば、貫徹による致命傷は避けられる】
【血溜まりは更に拡がる。対手の脚元がまたも仄暗く光る。 ─── 処女を散らすように突き上げられる、無数の"刺剣"/エスパダ・ロペラ。騎士の剣戟よりも速く】
451 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 17:01:48.92 ID:IHRaMccc0
>>446

――――棚上げをするな、貴様は――――ッ!?

【飛び込みつつ、手刀の一撃を見舞おうとしていた、その動きが『止められる』】
【何事かと、ヘッドギアの奥でその瞳を見開いて、我武者羅に体に力を籠める。だが、動けない――――】

ば、馬……鹿な……!?

【更に、背後に向けて何らかの操作を行うヘヴン――――見なくても、もうおおよその事態は分かる】
【先ほど掻き消した『局所的無情爆弾』を、召喚しているのだ。自分のすぐ後ろに――――事態は、最悪の咆哮へと動き出していた】
【如何に『H.E.X.A.』に身を包んでいようとも、あの爆弾が直撃すれば、無事で済むはずがない】
【しかし、この能力の行使を止めなければ、防御も回避も捗が行かない――――進退を、極められた】

「――――抑えて『ギガンテス』! 撃って『サキュバス』!!」

【そう、1人ならばどうしようもなく重篤な一撃を貰ってしまっていただろう――――だが、幸いにして彼は1人ではない】
【腕の傷を抑えつつ、ラベンダーが『力の幻影』を展開したのだ。咄嗟に、爆弾の上に覆い被さる『石像』と、光弾をヘヴンへと放つ『悪魔少女』】
【この一撃とて、抑えられてしまうだろが、そもそも『ナート・サンダー』を解放させなければどうしようもない。咄嗟にラベンダーは、そう判断していた】

ぐ、ぅッ!! ……っく、助かったよラベンダー、畜生……!

【案の定、石像は爆弾の一撃でバラバラに瓦解。その破片が『ナート・サンダー』の背中を強かに打ち付ける】
【身体を仰け反らせて、痛みに呻く『ナート・サンダー』。爆発の直撃よりはマシとは言え、その呻き声からして、相応のダメージとなったのは間違いないらしい】
【傷を抑えながら、ラベンダーは一向に近寄る。『ナート・サンダー』の様に抑えられる事を警戒してか、つかず離れずの距離感を保つように――――】
452 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 17:03:16.09 ID:QF0PnyaV0
【水国ダイニングバー『Crystal Labyrinth』】

「おいちゃ……」

【少女は、固く閉ざされた窓から憂いの瞳を外に向ける】
【フルーソでのテロの緊急ニュースの後、この場に居た人物は直ぐに飛び出して行って】
【少女はこの建物から、外に出ることを禁じられて】
【それは、胸の張り裂けるような思いだった】
【危険な戦場に向かった、『父親』の一人】
【今も、今にも、無事な姿で帰って来ることを願って……窓際からは動かずに】

「おいちゃ、かえって、きて」
「おいちゃ、あぶ、ない……」

【悪意の室で必死に戦う、二人の無垢なる英雄に】
【その小さな祈りは届くのだろうか……】



//ちょっとした周辺描写です、悪しからず……
453 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 17:08:11.33 ID:uAySPBA0o
>>450

【鮮やかなルージュの彩り、艶やかに蜜るは舌先の調べ、徐に曝け出したなら何処か奇妙に】
【有り体に言えば子どもっぽい仕草であった、──── あっかんべえ、と】
【手は付けない、舌だけの動作が、シノワズリよりも曖昧なニュアンスを指し示す】


【空気を飲み込んで、とくん、と喉が震えた】
【白い首筋は水仙が如く、──── 或いは白磁の陶器をしのぐ滑らかさで】
【滴り落ちた風の味わいを、痺れる様に味わって見せた】



    食べ慣れた味とも言えるね、故郷の味は憧憬に塗れて、ノスタルジックな思いを響かせる
    鉛の味、鉄の味、血の味、──── そうね、じゃあ後は


                               ──── 地に這い蹲って舐めてもらおう



【地面を蹴った、後方へと飛び退く、──── アリアほどの動きのキレは無い】  【だが、常人よりは早い】
【紙一重で眼前を突き貫いて】【表情に浮かべるのは笑みと】   【ほんの僅か、落ちた汗】



                    【刹那、状況が一変する】



【アリアの上部から、強い衝撃がかかる】


        【"圧力"】


【強引に地面へと押しつける様な力が働く】



【どうやら空間に作用している、──── と】【飛び退いたなら支配下から逃れられる】【、が ──── 】



【奇妙な点で言えば能力の多様性であった】
                           【体系的なまとまりを見せていない】



                                                 【或いは、──── 】
454 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 17:09:20.93 ID:2etGakr4o
>>447

【 ─── 肉薄する男の機動をミレーユは捉えなかった。躱すこともなく立ち尽くしていた。ただ組み伏せられようとする一瞬に】
【彼は自らその身体を後方へと斃れさせた。濡羽色の長髪が揺らいだ。清潔なシャンプーとヘアオイルの香り。幽かに入り混じる柑橘の香り。】
【男が彼に触れる事は叶わないのだろう。 ──── 彼の右手より生じた冷気は、彼の両腕を凍結させようとする。凝集した極低温の大気から成る、不可視の手錠】


     「 ──── だぁめ、全然。」「女の子は、もっと優しく扱わなきゃあ、 ─── ねッ!!!」


【丸い目尻を嘲笑うように潤ませて、 ──── 掠れるような囁きは、甘く鼓膜を擽ぐるように。されど】
【策を講じなければ男の両腕はその骨髄まで凍り付く。反応速度が遅きに失すれば、深い凍傷は免れない】
【 ─── そうして同時に蹴り上げられる右脚の爪先は、明白に男の金的を狙っていた。大気を凍らせて成形された鋭利な刃を足先に宿し】
【真っ当に喰らえば潰されるなどと呑気な台詞も吐けない蹴撃である。氷柱よりも先鋭たる氷に形作られたその暗器は、真っ当な肉体など貫徹する】
455 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 17:12:12.66 ID:QF0PnyaV0
>>448

「ふう、危ない危ない、今のは間一髪だったー」
「凄いもの使役出来るねー、サモナー(召喚師)?」

【大音量での断末魔】
【まさに、最期の咆哮は耳を劈く様で】
【魔翌力に変換され、魔導書に還って行けば、そこには再び青年が変わらぬ笑顔で立っていて】

「随分物騒なこと言うねー、これじゃ君も僕達と同じだねー」
「いっその事、仲間になる?これはこれで楽しいよー」

【迫る触手には、再び空中四方に放電し、迎撃を行い】

「じゃあ、そろそろ終わらせようか?」
「いっくよー!」

【だっと駆け出す、一直線に一目散に】
【右手は日切り拳を作り、蓄電してゆく】
【先ほどの巨大な怪物に放った一撃、今度は拳をもってアルベルトに放とうと】
456 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 17:14:53.50 ID:orWtOf/Ho
>>449

【突進の衝撃も打ち消して一度両者は距離を開ける】
【謎解きなど退屈でしたいものではなかった。しかしそれでもせざるを得ない状況だった】

(接近、攻撃、回避、接近、移動……
 …………全力を出せる動作は一つってところか
 かつ、こちらの動作も同様に制限してるらしいな)

【数回の打ち合いからその能力の正体に考えを巡らせる。正体が分からなければやりようもない】
【周囲から回り込むように移動する男に対してディミーアは動かなかった。代わりに嘆息をつく】

……言うほど正々堂々ってわけじゃないな。これだから能力者は
なら俺ももう少し適当にやるとしよう

【膝を軽く撓めての跳躍。だがそれにしてはあまりに上昇の速度が速く、高度も高い】
【──いや、異常はそんな程度ではなかった。空中でディミーアは滑らかな曲線を描くように軌道が変わり】
【街路に隣接していたビルの壁面に“着地”した。その場で魔術剣士は男を見上げる】

真正面からぶつかり合いたいというのなら応じてやってもいいがな
そのクソみたいな能力があるんじゃあな。こっちのやりやすいようにやらせてもらう

【この男は確かに剣士であったが、しかしそれが信条というわけでもない】
【敵を殺すこと。それだけが目的だ。であれば、どういった手段でも取る】
【再び大剣の切っ先が向けられて、男の前方で魔術による爆発が生じる。問題は、以前よりディミーアの距離が遠いことだった】
457 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 17:17:43.24 ID:uAySPBA0o
>>451


【   ──── 小首を傾げた、それは平常時の動きの様に、】
                                      【見惚れる程に愛嬌に満ちた仕草であった】



    【靡く髪の角度すら考慮したかの如く、曲線が生み出す柔和な美が神々しさすらいっそ示して】
    【淑女然としてヘヴンの出で立ちと相まって、──── それは最早、天上から舞い降りた天使の様に】



              もしかして、勘違いをされてますか? 私は事実を述べたまでです
              貴方も下々の命を踏みにじっています、──── 違いますか

              そうでしょう、貴方の糧となる、肉や野菜もまた、命なんです



                         【一つの思い違いがあった、──── その道理を辿る、以前から】


     【ふと我に返った様な表情を見せる、光弾が頬を掠めて、滴り落ちる血の色は同じ赤】
     【けれども、違和感は拭えない、──── その思考体系から、能力に至るまで、ずっと】



              ──── 貴方達はただ、天国の扉を前に、立ち続けているだけです



【ヘヴンが祈りを込める様に両手を重ねた、修道女を彷彿とさせる光景、──── 日差しが降り注いで】
【ラベンダーの周囲に出現する "爆弾" ──── 数が "増えていた" その数は五つ、周辺を取り囲む様に出現し】


【 ──── 嘆く様なマリンブルーだけが、確かな真実を告げていた】
458 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 17:20:12.30 ID:orWtOf/Ho
>>455

冗談抜かせ。てめえらみたいな化け物の仲間になるぐらいなら死んだ方がマシだ
それこそこいつらを使役している方がマシだね

【心底から厭うような返事だった】
【触手は放電により迎撃されるが、動きがしばらく止まる程度で破壊には至らない】
【それらをかいくぐって直進する男に、アルベルトは魔導書を開いて向ける】

こういう使い方はもう一匹の方なんだが、たまにはいいだろ
撃て、<ダウ・ア・シャムス>

【魔法陣が燐光を放ち、その中央が強く輝く】
【そのまま輝きは溢れ出るようにして魔法陣から放たれる。男へと一直線に】
【光を束ねた攻撃──光線が魔導書からは発射されていた。熱による非物質的な攻撃は防ぎにくいが直線故に回避は難しくない】
459 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 17:25:49.15 ID:2etGakr4o
>>453

【立ち上がった黒い躯体が再び影のように揺らぐ。薄暮が過ぎて夜に至れば、影の居場所はいずこにも無い】
【 ──── それでもアリアは全うな肉体をしていなかった。数瞬前に全身を打撲した痛撃を白磁の歯嚙みに殺し】
【後方ではなく眼前へ、飛びかかるように迫る肉迫。 ─── 妨げる刺刃の剣山を血溜まりに溶かして】
【同時に産み出して片手の長銃と持ち変えるのは"山刀"/大振りのマチェーテ。血染めの指先は躍るように柄を握る。純粋な膂力なら己れが上回る事を、隻眼は見切る】



      「 ───………… 口に合わないと言っているのよ。」「それを無理押しに喰らわせようとする、なんて」
       「矢張り貴女は女王の器ではないわ。」「 ─── 跪かせれば、脚でも舐めるとお思いかしら?」「笑わせる。」


    「貴女の柔い御脚の方が」「 ─── よほど甘美に牙を立てられるわ。」


【再び妨げられる事がなければ、彼女は対手の眼前に迫るのだろう。左手のハンドキャノンから至近より散弾を連射しながら】
【振り下ろしたマチェーテは首筋を狙う。 ──── 恋慕にも似て蠱惑を帯びる囁きは、然してサディズムの愉悦に吊り上がる唇より】
【鼓膜に絡み付いて嘲笑う。舞い踊る白銀からは矢張り甘い薔薇の香がした。それは鮮血の腥さを伴って、なおも銀狼に凄艶を与える】
460 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 17:26:42.39 ID:QF0PnyaV0
>>454

「――ッ!?」

【近接、そしてまさに掴み掛かるその瞬間】
【甘やかなシャンプーと、香水の芳香が鼻を擽るのも束の間】

「こ、おりい!?」

【カチカチと氷結し出す両手】
【大気の凍結、不可視の手錠】
【振り払うように、少しでもその効果範囲から脱するようにと、素早く反応し】
【とっさに身を引くと――】

「ッ!!??」
「やあ、るねえ!!」

【股間をめがけて迫る、同じく凍りの刃付きの爪先だった】
【腰を引いて、身を捻るも……】

「ぐうううううううううッ!!ああああああああ!!」
「い、痛あい!!痛いねえ!!」

【太ももをざっくりと斬り、抉られ】
【流血とともに、その場に膝を着いてしまう】

「こうなったらあ、おじさん……こわあいよお!」

【自身の地を指に絡め】
【先ほど氷結されかかった腕や手の動きは鈍いが、動きは単純だ】
【その手を震い、ミレーユに向け血飛沫を飛ばす】
【その一滴一滴、あるいはその一纏まりが、爆弾となってミレーユに迫るだろう】
【動きを封じられた、近距離からの反撃と言える】
461 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 17:27:41.02 ID:uAySPBA0o
>>456


【 ──── 視線が揺らめく、一瞬見失い、やがて追いつく、思わず声が漏れた】


【不思議な男じゃ、と ──── 壁面への着地も含め、実にバランス良く纏まっている】
【魔術の道理を解したならば分かるのだろうか、けれども男にはその素養が欠けていた】


【だからこそ、自分の手の中で戦う必要性があった、──── 例え不利であったとしても】



  ……生憎とおいに空を飛ぶ手段は無いからのう、賢しい手を使いよる ────!!



【後方へと飛び退く、──── 遠距離からの攻撃を回避することは出来る】
【けれども、攻撃へと転じる事が出来なければ、ジリ貧であるのもまた真実であろう】



【 ──── 見下ろされる男の表情、危機的状況に於いても】
                                     【男はにぃ、とふてぶてしくも笑った】



面白い、そうだからこそ、おいも戦う価値があるという訳じゃ、単なる勝利などいらん
戦いに於いて全力をださん事こそが失礼じゃろう? ──── おまんとて、その一人じゃ


──── "One Step Closer" ──── !!


【勢いよく駆け出す、──── "虚空" を走って】【男とディミーアの直線距離】【空間を最短距離で結んで走る】
【大凡道理から離れた疾走】【けれども、それもまた激しい道理であった】【疾走は止まらず】


                      【──── そのまま肉薄するまでに、距離を詰めようとする】
462 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 17:35:54.67 ID:orWtOf/Ho
>>461

【ディミーアに扱う魔術の正体。それは重力操作だった】
【重量のある大剣も重量を少なくすれば扱いやすくなる。斬撃の瞬間に増やせば衝撃は容易に増える】
【それを自身の肉体に施せば移動は驚異的なものとなり、逆に突進に対しては強固な防御を可能とする】

【壁面に立っていられるのも同様の魔術によるものだ。向きを変えてやるだけでいい】
【跳躍が人体ではあり得ないほどのものとなったのも、限定的に重力を変えれば可能となる】
【それだけのある種、単純な魔術。しかしこれを扱う魔術師は実際にはほとんどいなかった】

(……そういうこともできるのか、これは意外だな
 じゃあ、ちょっと試してみるか)

【ポケットの中から小さな石片を取り出し、それを男めがけて指で弾く】
【当然、通常であれば軌道は放物線を描くはずだが、石片は小さな弾丸のように直進した】
【この攻撃に対する行動で、また能力への推察を進めるつもりだった】
463 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 17:37:13.07 ID:2etGakr4o
>>460

【大腿と鼠蹊部には主要な血管が集中する。 ─── 職業殺人者としてのミレーユの知識であった】
【筋を斬り裂いたのであれば機動性の低下も望めるが敵の移動方法からすれば余り期待はできなかった。故に、決して追撃の手は殺意に満たして緩めない】


     「きっ、」「 ……… たねえな、 ……… !!」


【 ─── それでも振り撒かれる血液に対して、彼は意表を突かれるように悪態を吐いた。左腕より生じさせた黒炎が一部を焼き払うも】
【至近にて起爆した赤黒い炸裂が、右上腕と左大腿を爆轟に焼く。焦げた傷跡より血が溢れる。 ─── 憤怒を宿した青い双瞳】


    「 ────………… ボクのカラダを傷付ける方が、」「余程に怖い目に遭うぜ。」


【静かに告げる声音に蠱惑の彩色は有り得なかった。 ─── 対手が体勢を立て直そうとするならば】
【それより早く致命打を与えようとするのが彼という殺人者の遣り口だった。両腕の二挺を等しく構えて】
【 ─── 撃ち放たれるのは対人散弾と高速徹甲弾の暴風である。異能を使う事はなかった。忌々しげな歯軋りの音は、閉ざされた口内より】
464 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 17:37:48.28 ID:FFNdco6G0
>>404

【コツ―――コツ―――コツ―――】


【アスファルトを叩く靴底の音】


【コツ――コツ――コツ―――】


【真っ黒なスーツ。黒のネクタイ。羽織のトレンチコート】


【コツ―――コツ―――コツ―――】


【腰に吊るした、朱色の鞘、赤い柄の刀が一振り】

【長い黒髪、白狐の面―――】


【コツ―――――――キィン。――シュボッ。】


【止まる足音。オイルライター。ピースの甘い香り。】


―――推して参る。


/遅くなりました。匿名希望です。よろしくお願いいたします。
465 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 17:41:04.19 ID:uAySPBA0o
>>459



    【頬白に琥珀を撫でつけて、静寂を紛れた嗜みの中へと内包しよう、それは苛烈につき】
    【肉薄されるその距離をも問題にしなかった、透かした網膜映す世界に、色取り取りの思いを込めて】



         やはり私達は交わり "得ない" と、──── そういう返答かな、なら致し方ない
         道理と道理をぶつけ合って、勝つのは更に強い道理である、と、──── 理解してる筈よ

         女王は二人も並び立たない、ごめんなさい、言葉が不足していたわ
                                                    宮殿は "土足厳禁" だから



【アリアが放った散弾が "止まる" 】【──── そして制御される】【振り下ろされるマチェーテを弾く軌道へ】


【散弾は一粒残らず彼女の支配下にあり】
【統御された動きに矛盾は生じず】
【彼女の意思に付き従う兵士と化した】




        私はもう味わい尽くした、──── 此処は私の "支配領域" ────
                                                    “御機嫌よう名も無き "女王様"”



        驚く事は無いわ、せめて思う存分、全身で堪能してくださらない?



【薔薇の香りが周囲へと散った】【風の動きを制御している】【ならば、先程の圧力の正体は "コレ" か】
【不可視の一撃であった】【前方から弾き飛ばす様な衝撃】【常人ならば骨の一本や二本では済まない】


【──── 奇しくも香りが予備動作となった】【風による殴打】
                                      【否、それだけでは終わらない】



     【追撃の刃、縦横無尽】【アリアが回避したなら追尾するように】【柄だけの "刀剣" が虚空から出現する】



【一歩でも足を止めたなら】   


                 【そこから縫い付けられて】



         【残るは無残な血塗りの人形、と】              【────、直感が伝える】
466 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 17:41:10.63 ID:QF0PnyaV0
>>458

「酷いなー、君だって十分バケモノの素質あるよー、僕はそう思うなー」

【青年の答えは、常に軽薄で、そして常に笑顔が張り付いて】
【アルベルトの嫌気も、また一押しと言うものだろうか】
【やがて、迫る触手群】
【放電により、幾分か動きを止めることには成功するが、それでも破壊には至らない】
【だが、青年にはその一瞬の隙さえあれば十分と言わんばかりに】

「――ッ!?」

【近接、そして繰り出される大電流のストレート……とは行かなかった】
【迎撃とばかりに、アルベルトが繰り出した魔術】
【魔翌力の光線は一直線に迫り】
【とっさに、その拳を突き出して、迎撃に入る】

「ぐううッ!!」

【二つの強力な力の衝突、それはその場に爆発を巻き起こし】
【青年を後方へと吹き飛ばし、後ろの建造物の壁に叩きつけた】

「へ、へえ、凄いじゃん魔術師さん……」
「こりゃ、全力で挑んでも、難しいかもねー……ははは」

【光線を真正面から迎撃した右手はボロボロに火傷し、怪我を負い、普通に考えれば使い物にならないだろう】
【叩きつけられたダメージは、全身に及び】
【それでも尚、青年は笑顔を絶やさずに】
【全身に帯電を開始しする】
467 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 17:41:50.60 ID:IHRaMccc0
>>457

っく……!

【ヘヴンの被弾もあって、ようやく『ナート・サンダー』は戒めから脱する事が出来た】
【咄嗟に身を退いて、ヘヴンから距離をとる。この状況で、『ソニックカッター』を強行するのは、流石にあまりに危険が過ぎると判断したのだろう】

……そんなもの、ただの『摂理』じゃないか……!
――――お前らが、こうやって、人を殺す事は『摂理』なのかと、そう聞いているんだぞ!!
――――犬や畜生じゃないって言うなら答えて見せろッ!!

【内臓に、ダメージが行ってしまったらしい――――背面に打撃を食らいながらも、腹部を抑える格好で、『ナート・サンダー』は吼える】
【その姿は「如何にも悪人らしい『詭弁』だな」と、揶揄する様な色を孕んで。しかして同時に、揶揄では済まされない激情を湛えて】
【ヘヴンの姿を、今にも叩き割る事を望む様に、腹部を抑える腕に力が籠もる。それは、彼の中の怒りの炎、その激しさが漏れ出たものだ】

「やはり――――流石に同時行使にも限界はあるようです。単体で攻めては、ダメ――――」
……数を同時に見舞うか、勢いで押しきるかって事だな――――ラベンダー、今度こそ、合わせろよ……力合わせなきゃ、アレは倒せない……!
「分かっています――――天国の扉とやらは、私たちの前には無いと、教えてあげましょう――――どうせ全員、地獄行きです――――!」
ハッ……全くごもっとも……!

【なんて事のない光弾が、ヘヴンの顔に傷をつけた。その事実から、彼らは能力の同時行使には限界があるのだと考えた】
【つまりは――――嵐の如き連撃を見舞い、一気呵成に攻め立てる。それが最大の攻略法だと、そう結論付けて】
【本質的に、1人ではどうしようもない敵だったのだろう。自分たちがペアを組んでいた事実に、この時ばかりは感謝する】

「ッ!?」
っ、なにぃッ!? ……ラベンダー、今はやっぱり良い、とにかく凌げ!!

【だが――――さしもの2人も、取り込んだ『局所的無情爆弾』の増殖には、更なる驚愕を抑える事は出来なかった】
【そこにないはずのものが、本質を越えて現れたというべきだろうか――――そこに思索を重ねている場合ではない】
【範囲が狭く、威力の高い爆弾に囲まれる。これは致命的な事態だ。しかし、虚空から呼び出したそれ相手に、どう回避してよいか分からない】

「っく――――『タートル・フォース』――――ッ」

【ならば、防御で凌ぎ切るしかないだろう。堅牢な姿を想起し、そこへと変身するラベンダー】

【成人した人間が一人座れる程度の大きさの亀】
【その甲羅は、ラベンダー色の鱗に覆われ、堅牢な様子を演出している】

【咄嗟に光のバリアを放ち、爆弾の爆発を受ける――――凄まじい爆炎の中に、その姿は沈んでしまった。安否は確認できず】

えぇぃ……くそッ、『リフレクトプリズム』!! 受けてみろよ……『ギャラクティックレーザー』のバリエーション……!

【取り残された『ナート・サンダー』は、それでも攻勢を引くわけにはいかなかった。咄嗟に左腕から、透明なミラーボールのような球体を頭上に飛ばすと】
【空中で浮遊するその球体に向けて、胴体中央部の砲口をから、眩い光線を発射した】
【球体が、その光を吸収、しばしの静止の後に――――強烈な破壊の嵐が、眼下に――――ヘヴンを中心として、その周囲、『ナート・サンダー』達にも降り注ぐ】

『地獄特急エンジェルフォール』だ!! ……っと、ヤベっ……!

【乱反射する光の地獄の中。当の『ナート・サンダー』も逃げ惑う。元よりバリアを展開しているラベンダーの事は、もう考慮に入れている場合ではないのだろう――――】
468 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 17:45:57.47 ID:uAySPBA0o
>>462

【石を回避はしない、左手につけた甲冑が申し分程度の防御を見せる、元々】
【そう、元々防御など考えてはいないのだろう、──── だとすれば、】

【その狙いとは単純に、相手を如何して倒すかだけであった】




        ──────── !!




【息を吐く、至近距離からの叩き付け、うねる闘気の道筋すら見えるほどに】
【振う刃の重さをも伝えようか、莫大な破壊力をそこに内包して】
【接近からの攻撃、──── そこに揺らぎは無かった、ならば】

【その狙いとは簡素に、シンプルに、】
                       【己が敵を倒す、という狙い】



【風を裂き虚空が唸った】【その行方に、幾許かの隔たりを遺して】
469 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 17:50:12.98 ID:uAySPBA0o
>>464

【 ──── 彼は見据えた、奇妙に鼻をひくつかせて、少しばかりの興味を見せる】


そんな匂いを携えて何処に行く? 狐面で顔を隠しても


染みついた血と硝煙、──── 彼奴らよりよっぽど、俺たちに近い
拭いきれない匂いは過去と一緒だ、アンタを根本から証明してくれる




──────── 此奴は、俺の獲物だとな




【男が一歩踏み出したなら、その顔に大きな変化が浮かぶ、──── 艶やかな毛並みを携えて】
【変化するは人狼、獰猛な牙と爪を持ち、巨大な体躯でありながら、人の要素を残す】


【疾走、瞬く間に距離を詰めたなら】【大ぶりで一閃、右手の爪で攻撃を放つ】
470 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 17:59:17.00 ID:uAySPBA0o
>>467


  【ナート・サンダーの激情とは裏腹に、ヘヴンはどこか嫋やかな表情を緩めない】
  【神話に描かれた天からの使い、彼女達が見せる憂いの色に見えた、高みから見下ろす仕草と】
  【そして嘆きと、──── それが一種の神性を携えている事すら、奇妙に思えるほどに】



       ええ、摂理です、──── 私達は "上位者" なんですから
              貴方達も、動物からみたら "上位者" でしょう、ですから "摂理" と言い放てるのです


       私が司さどるは "触覚" ──── 触れる事、それが私に与えられた "上位者" の証明


                  貴方達の命さえ、私が握っているのですから



【掌を天に向けた、水を掬う様な気軽さで、差し出すような献身さで】【────、そうして】




【次の瞬間、ナート・サンダーの飛ばしたミラーボールが "潰れる" 】【光を吸収した静止の最中】
【先程から見せた破壊や攻撃の正体はこれか】【位置座標ごと潰したと考えたなら】   【──── 辻褄が合う】 【だが──── 】



【ナート・サンダー達が放った攻撃をも扱えるのはどういう理屈か、──── それを紐解かなければ】
471 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 18:01:00.44 ID:2etGakr4o
>>465


【射撃が有効打になる対手でないと既にアリアは認識していた。 ──── ならば銃撃は糖蜜香るブラフに過ぎず】
【だがマチェーテを手離したのは咄嗟の理解であった。無残な着弾音と共に焼き入れられた白刃は砕けた。それでも振り下ろす手の威勢は殺されはせず】


     「亡国の王宮に踏み入る赦しなど、」「 ─── 誰に取ろうという物かしら ……… ッ!!」



【そうしてアリアは理解する。 ─── 弾指のうちに対手へ伸ばされた赤白い掌は、眩くも貫手の形を取っていた】
【乙女の穢れない首筋を、貪るようにアリアの掌指は掴もうとするだろう。予兆に似て迫る剛風が、銀色に隠された半面をかき上げた】
【秘していたのは醜い火傷の傷痕であった。そうして左眼の収まるべき場所には、片眼だけを覆う仮面にも似た、機械仕掛けの異形の瞳】
【詰まるところ彼女は矢張り人間ではなくLoboでありRobotに他ならなかった。それでも誰かを殺す事に、三原則など意味はない】


    「 ──── ならば是非なく、忌憚なく」「浴びるように、貴女の血を望みましょう。」


【嫋やかに首筋を掴む事が能うならば、 ─── アリアは突風を躱すように身体を捩りつ、対手を引き倒そうとするのだろう。】
【顕現した剣柄が鋒を生じようものならば、掴む己れごと対手が貫かれるように仕向けていた。その為に必要な角度とポジショニングを怜悧な電脳は理解していた】
【それでも突風はアリアの身体を掠めていた。踏み止まる事は出来たとしても、投げ業の体勢に骨格は揺らいでいた。ならば】
472 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 18:04:16.54 ID:QF0PnyaV0
>>463

「汚あい?」
「違あうねえー、血は綺麗さあ、おじさんにも君にも流れているねえ」

【予想以上の出血であった】
【だが、それ故に多くの血液をミレーユに吹き掛けられたとも言える】
【文字通り、この部分は怪我の功名か】

「しいぶといねえ……」

【血液の爆弾、これによる攻撃は、ミレーユに手傷を負わせるも】
【先ほど同様に、黒い炎に遮られ】

「じゃあ、もっと」
「傷つけちゃおうかねえ」

【放たれるのは、散弾と高速徹甲弾の二段構え】
【先ず、周辺に舞う粉塵を微細な爆弾と変えて】
【それを起爆、爆炎と爆風のカーテンとすることで散弾を防いで】

「ぐうッ!ぐあッ!!がッ……」
「あ、あぐ……お、おじさん、こういうプレイもお、嫌いじゃないねえ」

【高速徹甲弾は、防ぎきれずに、その身で受けてしまう事となる】
【左脚を、右肩を、左肩を、其々抉るように貫通し、深いダメージを与え、もはや自由に動かすのは難しいかもしれない】
【だが、しゃがんだままの男も、このままでは無かった】

「食らうとお、いい……」

【男は、足元を覆う周辺のアスファルトを、その手を触れ爆弾へと変えてゆく】
【ミレーユにとっては、足元周囲に広がる爆弾のカーペット】
【同時に爆風による、この近接位置からの離脱も試みようとして】
【一斉に起爆を開始する】
473 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 18:07:32.36 ID:FFNdco6G0
>>469


―――『何処へ往く』?――フッ。


【面の下で笑う。】


――此処に来た。自らの意志で。


【二、三口吸った煙草を捨てる。】


【すぅと、利き足を半歩下げる。鞘を握り、鯉口を切る。柄にはまだ添えるだけ】
【私は、臨戦態勢を隠そうとしない】


―――過去は変えられないかもしれない。ただ、未来は変えられる。
ただ目前を、『切り拓く』だけよ。


【人以外を斬るのは久しい。人狼。疾い。しかし―――まだ、見える】
【ギリギリまで私は待つ。範囲に入るまで、相手の攻撃の動作の本の一瞬まで】
【それがフェイントかどうかも見極め無くてはならないだからじっと、辛抱強く―――!!】

【ほんの一寸の近距離で小足を伸ばし、半身を切って相手の右手側へ逃げ、攻撃を避ける】
【そしてすかさず、順手、逆袈裟に切り上げた】

【しかし、技量と名刀をもってしても相手が相手だ。どうしても切り上げは浅くなってしまう】
474 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 18:09:09.60 ID:uAySPBA0o
>>471

【 ──── 引き倒されるクイーン、やはり近接戦に於いて、アリアに適う力は無い】



【首筋に力が加わった】【叩き付けられる背中】【 ──── 漏れた呼吸が微かに震えて】



【それでも尚、と、眼下に笑った、】
【造花を敷き詰めても、花葬には程遠く】
【ただ、色鮮やかに飾り立てるだけだから】



    っ……、無駄さ、──── 言っただろう、いいえ、言ったでしょう、私の支配領域だと
    幾ら飛んだり跳ねたりした所で、掌の上から出ることは適わない

            筺の中の失楽、──── カナリアは囀る事さえ忘れてしまう



【アリアの周囲から柄が鋒を伸ばす、その身体を貫こうと、そして ──── 】


【彼女へとその鋒は刺さらなかった、】【その刃すらも支配下にあると、言外に伝えた】
475 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 18:14:58.93 ID:uAySPBA0o
>>473




ッ──── !! ──── そうかい、見えるのかっ……!!




【常人とは程遠い技量であった】【後方に宙返り】【一回、二回、──── 地面へと着地】
【薄皮一枚切り裂く残滓】【僅かばかりの鮮血を垂らして】
                                   【そう、唸り声に似た声を漏らす】




【臆する事無く地面を蹴った】【着地から間髪入れずの接近】
                                     【低く、息を吸って】




       【眼前で "吠えた" 】【雄叫びと呼ぶに相応しい】【猛獣の放つ本能的な忌避】



【狙うは動揺、──── よもや、小賢しいとは言うまい】     【生き汚さこそ、貴女に相応しい】



            【甚大な筋力を持って、そのまま右手の一撃】  【握った拳を顔面へ】
476 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 18:20:42.26 ID:uAySPBA0o
【水の国、フルーソ、──── "聖教会" 】

【既にそこは殺戮の後であった、修道女や神父の亡骸が周囲に転がっており、生きている存在は一つもいない】
【そしてそのどれもが "食い破られた" 跡があった、喉や首筋、えぐり取られるかの様に】

【 ──── その中には、頭蓋を食い破られ、脳髄を零した死体もあって】



  足らへんなぁ、こないな味わいやと、全然わっちの渇きを満たすには足らへんさかいに


  主はんもどうかわっちと、一夜の重なりは如何どすか?



【長い茶色の髪を後ろ括りで結い、鮮やかな簪で一つに纏める、それでも前髪が額を濡らすほどの髪の量】
【肩を露出するほどに大きくずり下げた色打掛、赤を基調としたそのデザインは、服の上で花が咲いた様に】
【前に組むのは艶やかな俎板帯、一片の隙も見せない、鮮やかに溶ける花魁の様相】

【紅色に染まる両眼が印象的な女性、重ねた和装の上でも分るほどに肉感的な体つきをしていて】

【着物の袂から取り出すは "扇" ──── 淑女の様に口元を隠したなら、雅に微笑む】
【秋波な目元、眉目秀麗な姿は扇情的でいて、何処か愛らしい童女の如く ──── 】

/ドラさんの方は此方へー!
477 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 18:23:32.27 ID:orWtOf/Ho
>>466

……よくやるぜ

【迎撃は成功した。致命傷でなくともかなりのダメージを与えたことは見ればわかる】
【それにも関わらず、未だに戦う意志を見せる男にアルベルトは僅かな畏怖を覚えた】
【これだから能力者は嫌いなんだ。俺たち普通の人間とは違いすぎる】

もうそろそろ死にそうに見えるけどよぉ
なぁ、なんだってそんな頑張るんだ?
どうせ死ぬなら楽に死んだ方が良くないか?

【まるで挑発のような言葉だ。だがアルベルトは心底からこう考えていた】
【努力をしたって無駄なものは無駄だ。人間にはやれることとやれないことがある】
【世間の流れなんか止められるわけがない。だったら、努力なんかしない方が楽なはずだ、と】
478 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 18:34:25.98 ID:orWtOf/Ho
>>468

(避けない、か……)

【回避がそもそも可能かどうか。そこが最も重要な部分だった】
【しかし思惑は外れそれについての情報は得られなかった。避けないのか避けられないのか】
【そのどちらなのかこれでは分からない。思ったよりも長引きそうな予感にディミーアは舌打ちをする】

【距離を詰めての攻撃。ただひたすらに純粋な一振り。狙いなどいちいち考える必要さえない一撃】
【迎撃するのも不可能ではなかったが、こちらのダメージが大きすぎる。力押しも流石に難しい】
【ディミーアは再び跳躍。今度は通りを挟んだ反対側の建造物の壁に着地する】

(いくら速く動けるといってもたかが知れてる。最悪、離脱もできるな
 あるいはじっくりと魔術で遠くから嬲ってもいいが……こっちも時間がないな)

【魔術で出血を強制的に止めてはいたが、常人ならばとっくに死んでいる。時間をかければ最悪、死ぬこともありうる】
【そしてそれ以上に問題なのが戦況だ。膠着状態に陥っている各戦場を早期に打破して敵対集団を撃滅しなくてはならない】
【状況として後がないのは、どちらかといえばディミーアの方だった】

…………倒すんなら、意表でも突かないとダメか

【魔力の燐光が刃先で迸り、またしても男の前方で爆発が生じる】
【さらに小石も一つそこに射出。爆発と弾丸の二つの遠距離攻撃が迫る】
479 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 18:35:50.34 ID:FFNdco6G0
>>475

【現代において戦闘では――刀や槍を相手にするより】
【拳銃やライフルのほうが出番は多い。そもそも刀の頃より】
【矢のほうがどれだけ疾かったことか】

【避けた。つまりは、斬れる。となれば――もはや言い訳はできない】
【刀の刃の立たないような鋼鉄を相手にするのは自殺行為だ。しかしそうでないなら】

【血振り、納刀。元の体勢に戻る。居合の基本姿勢。強みは抜刀よりも動きを読まれにくい事】
【弱点は威力だ。どうしても片手での攻撃になる為――技量で補填する必要がある】

【今度は―――正面。フェイントはない。理由?直感。前蹴りを避けるために半身だけ横に逃げよう】
【これは普段の鍛錬、型の動作だ。流派によるが剣術は様々な状況を想定した型で覚える】
【正面からの攻撃を想定した場合の型は26。それを刹那で1つ選ぶのは普段の鍛錬と直感だ】

【選んだ、型は『沢下/さわくだり』】

【瞬時、片足を前に出し、しゃがむ。腰を思い切り引いて、回しながら抜刀。半身のまま出来る限り体を伸ばし】
【相手の脚を狙う。横一閃。】

【急激な渓流の流れのようなその動きに名付けられた名前だった】


【まだ行けるなら――そのままのしゃがんだ姿勢で両手で剣を握り、振り上げて斬りつける】
【懐に潜り込んで、背を反らしながら切り上げるそれは『月影』。】

【しかしこの姿勢は相手の足元に入り込んでいる為逃げるのが非常に難しくなる手であった】
480 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 18:38:25.22 ID:QF0PnyaV0
>>477

「へっへへへ……」
「魔術師さん、君、最近女を抱いたことはある?」

【今わの際、と言うわけではないが、死地に立つ現状での問答】
【それにしては、えらく俗っぽい話だ】

「僕らは能力者」
「女どころか、誰にも見向きもされない、そう、誰にもさー」
「そんなの、つまんないじゃん」
「見向きもされないどころかさー、何かあれば直ぐに皆僕たちのせい」
「悪いことは全部全部、僕らのせい」
「それってさー、つまんないよね、本当」
「そもそもー、僕たちは、生きてるのかな?死んでるのかな?」

【アルベルトの問いに】
【最後は、軽薄さが幾分か薄れて】
【それでも、次の瞬間には、笑顔が戻って】

「さあ、続きだ、僕なんか君の事嫌いじゃないんだよねー正直」

【全身に強力な電気を帯びて、立ち上がる】
【フラフラとした足取りから一変し】

「電化完了……」
「電光石火、そう言うでしょ?」

【駆け出した】
【アルベルトに向けて、ジグザグの軌道を描きながら、迫る】
【その速度はまさに、高速、超速の域で】

481 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 18:39:08.31 ID:2etGakr4o
>>472

【 ──── 男が地面へと手を付く所作の意味合いをミレーユは理解した。決してそれは服従ではあり得ない】
【後方の課員たちは既に撤退を終わらせていた。ならば飛び退く事に何を躊躇する事もなかった】
【水面に降り立つよりもなよやかに戯けたローファーが瓦礫を蹴った。だのに彼はひどく高く跳んだ。 ─── 灰色の太陽をその背に浴びて】


   「 ………─── そんな大技が、」「決まると思うかなァ、 ……… ッ!!」


【アシェン・ルシアン。灰降る凍土。 ─── それが彼の異能。男が離脱を試みようとする一刹那より早く】
【彼の両腕はひどく"重く"なるのだろう。真っ当な膂力では持ち上げられぬ程の重圧であった。ミレーユが先の攻防に凍らせた部位であった】
【全てを凍らせる能力。それが彼の異能。凍らせた物の重量を操る能力。それが彼の異能。 ─── ならば雪よりも身軽な身のこなしも道理であった】
【どうあれ彼は宙空より急速に落下しながら、再び男へと肉薄しようと試みるのであろう。ならば成し得るのは苛烈な格闘戦に他ならない】
482 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 18:42:03.45 ID:FFNdco6G0
>>475 >>479

【咆哮に怯える様子はなかった。眼の前ならいざしらず】
【そんな遠くで吠えられたとて、犬と変わらなかった】

【動きを見ればわかる。死は恐れていないことを】
【死を他人のものと思っている狂人とは違う。死を覚悟した顔だった】


/触れていなかったのでちょっと追記です。
483 :キャットV ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/09(土) 18:42:28.72 ID:+7XQnRZRo
>>476

【国の外の街道をバイクのエンジン音を高らかに鳴らしながら時速100キロまで飛ばして水の国の方向まで向かう者がいる】
【"彼"はぎゃーぎゃー不満げな声を張り上げながら大急ぎで水の国へ向かっていた】


―――せっかくイルちゃんとやり合った傷も癒えて退院して、櫻の国の石屋さんに要件済ませに行こうと思ったのに……
なーんだってこんな日に事件が起きるのかなぁ!?くそーッ!!とんぼがえりじゃないの!!

もういいッ!!戦闘準備だ!!


【ヘルメットからはみ出した黒髪にバイクゴーグル、黒と白の太極図がプリントされた白いシャツ、その上から赤色のベスト】
【手元に銀の腕時計、青いダメージジーンズにウエスタンブーツの、どこか幼い顔立ちの若者だった】

【だが、その服装には―――もしこの場にカノッサ機関員がいたならすぐに何であるかを理解し、『それが付いている状況に目を疑う』物がくっついている事がわかる】
【ベストの左腰には≪No.78≫と書かれたプレートが付いており、シャツの腕には≪No,91≫と刻印された金具と左肩には≪No,34≫と書かれたバッジ】
【そして、ジーンズには引きちぎられたような布が縫い付けられ、そこには≪No.59≫と書かれていた……そして、その全てに血痕が付着している】

【だが即座に彼は懐から機械製のバックルを取り出すと自分の下腹部に当てる、と『Get Set』という電子音とともにベルトが彼の腰全体に巻かれる事だろう】
【左腕を引き、右手をゆっくりと自分の目の前で弧を描く動きを見せながらベルトの中央の鈴を鳴らすとリィン、リィンと待機音が鳴り始める。そして】


―――変身ッ!!


【脇に引いた左手をベルトに運び赤いトリガーを引っ張る、するとトリガーが元の位置に戻ろうとする途中で音声が流れる】


『―――Set up!Rider!CAT-V!!』


【空間をなごやかな雰囲気に塗り替えていきそうな軽快なチャイム音と共にバイクを駆るドラの体の前に四角く青い光の壁が発射される】
【三発、四発、とその残りの4連射はこのレリーフに完全に防がれ―――その奥からドラが走り近づいて通り過ぎるだろう】

【通り過ぎた頃には姿は変わっていた―――胸や肩、膝などが青い装甲に覆われた白いボディ】
【猫科の獣をモチーフにした頭部に橙色の大きな複眼を搭載したデザイン―――変身完了、『シンクロライダー・"キャットV"』!】
【変身と同時、彼はさらにバイクのギアを一つ上げ、大急ぎで「ようこそ水の国へ」の看板を潜り抜けダイナミックに入国した】

【どこもかしこも阿鼻叫喚の声が上がっていた―――どこに行っても戦いになりそうだと確信するもドラは己の五感を頼り始める】
【最も命を奪い取る音が響いてくる方向、最も血の匂いが濃い方向へとバイクを走ると自ずと聖教会にたどり着くだろう】
【そのままバイクの前輪で扉を破り―――その惨劇を目の当たりにする】


……こりゃあ、ひどいや……シスターさんも神父さんもこれちゃんと神のもとに召せてるのかな……
ひっでぇ事するじゃないの……下手人はきみかな?ぼくと遊ぼうってのか?そこの華やかな和服きたエッチなお嬢さ……ん?

あれ?きみたしか……大会の一回戦の日に剛太郎の腕噛みつぶした……"花魁"の……?


【その姿に見覚えがある事に仮面の戦士は気が付いた―――間違いない、1回戦でミレーユを下した後見せてもらった映像で】
【彼が戦っていた同時刻に一緒に参加した剛太郎に殺傷禁止ルール度外視で襲い掛かって来たおっかない女がいた事を確認していた】

【彼曰く……"悪食"の花魁―――実際自分の肉すらちょびっとだけ食されてしまった苦い思い出を彼から聞いたことがあった】
【そしてその女が……感ではなく本当に危険すぎる女である証拠を今目の当たりにしてしまった!!】

/ではシンクロライダーキャットVことドラです、よろしくおねがいしますー
484 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 18:50:04.96 ID:QF0PnyaV0
【フルーソ・大企業の工場】

「ぐうっ!!」

【人の姿が無い】
【否、そこら中に転がるこの工場の勤務者達】
【彼らの無残な姿はそこにあった】
【ある者は、全身を切り刻まれ】
【ある者は、身体中を無残に焼かれ】
【ある者は、内臓を潰されて】
【フルーソでも随一の規模の工場】
【だが、その現場は凄惨の一言に尽きて】

【その場、大仰な機械の前に一人の男が投げ出された】
【銀色のボディーに同じく銀色の頭部全体を覆うマスク、緑の大きな複眼】
【腰の中央のベルト部分には、スマートフォンが装着され】

「あはは、お兄さん、もう終わりなの?」

【その相対する場所には、一冊の本を抱えた、白いふわふわしたパーカーに赤いスカートの15か16位の少女と】
【その後ろに控える、黒衣にマスクの集団が居た】

「アリアさん……ミレーユ、さん……」

【半分割れたマスクから覗く顔は、苦悶に満ちて】
【頭部からの流血もある】

「つまんなーい!ねえもっと遊んでよー!」

【少女は執拗に、男性に蹴りを入れながら】
【もはや、彼ら以外居ないこの工場に、足を踏み入れるものは居るのだろうか?】



//エーリカ中さん、こちらへお返事をお願いします
485 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 18:52:27.30 ID:2etGakr4o
>>474

【そうしてアリアは対手の刃の在り方を解した。 ─── 仄かに隻眼を細めるのは口惜しさ故か。されど見下ろす構図にて、影の薄絹を降ろす表情は、幽娟に笑み】
【或いは対手のうつくしさを愛でていたのかもしれない。鮮血に彩られた女王の饗宴。掴む片手より垂れた血が、黒と白の装束を背中まで染める】
【 ─── 淡い肉体を叩き墜としたまま、首筋の布地を締めるように掴んだ片掌を勢威に任せ、再び対手の身体を投擲する。屋上に何かしらの障害物があれば、そこへ定めて叩き付けるように】



   「 ──── カナリア、結構。」「であれば私は、 ……… 貴女を蝕む毒の大気となりましょう。」



【再びアリアは後方へと跳ぶ。 ─── 戦闘距離を拡げる行動。迫り来る刃群の間隙を縫い】
【だが全てを躱す事は能わず、外套越しに深手は増える。右脚の太腿を深く抉られ、左腕の手首を半ばほどまで裂かれる】
【すれば至近に於ける攻防は痛み分けに終わるのであろうか、 ──── なにかを見定めるように、銀狼は残心のまま立ち尽くす】
486 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 18:54:19.96 ID:orWtOf/Ho
>>480

最近? そりゃあ、あるが……

【男の答えをアルベルトは黙って聞いていた】
【そしてその最後には、どこか似たような軽薄な笑みを浮かべていた】

はっ、そりゃー、つまんねえだろうな
俺もこんな見た目のクソ野郎だからな
誰にも見向きなんかされねえよ、ケケケ

【喉を鳴らすような不愉快さを催す笑い方。この男の癖だった】

あーあー、俺もお前のことが嫌いになれなくなってきたぜ
でもよぉ……お前は能力者で俺は違う。そこが大事なんだぜ

……それで全部だ

【不潔さのある見た目、人を馬鹿にする態度、相手に敬意を持てない価値観】
【どこをとってもこの男は自業自得で、そして能力者たちとはその部分が決定的に違っていた】
【彼らは生まれが不運だった。だが上手くやれば重用される──だから、違うのだ】

【神速に至るほどの速力。そんなもの、大した力も持ってないアルベルトには見切れなかった】
【だから、見るのを止めた。やることも考えることも同じだ。当たらないのなら当てにいけばいい】
【ただ一つ違うのは──この男は先に攻撃を受けたというところだ】

ぐっ、うぅうううううううううっ!!

【拳は手で受け止める。しかし大電流など防げるわけがない】
【全身が焼け焦げて皮膚が炭化。痙攣する腕を強引に動かして、アルベルトは開いた魔導書を男に押し付けた】
【アルベルトの口が言葉を紡ぐ。声はない。だがそれでも十分に召喚物は操作できた】

【魔法陣から放たれるのは熱光線。至近距離から男の腹部を焼き切るほどの大光量が放たれる】
487 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 18:59:17.89 ID:uAySPBA0o
>>478

【 ──── "男" は落下していく、自由落下の速度で、爆発と小石をそこで回避するが】
【軽やかな身のこなしで着地し、周囲を見渡す、──── そして】
【何を思ったのか、通りを走り、──── 近くの建物の中へと消えていく】

【ディミーアは選択に迫られるだろう、建物の中へと男を追っていくか、或いは】

【未だ混戦にあるであろう、自警団とテロリスト達の戦闘に介入するかであった】
【周囲を見渡してみれば、ディミーアの周辺には戦場は無かった、散発的な戦闘は場所を変えたのだろうか】

【一番近いのは西か、大通りを西に進めば、開けた広場があることを、ディミーアは知っていた】
488 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 19:01:16.03 ID:QF0PnyaV0
>>481

「そんなあ!?」

【驚愕、ただただ、驚愕であった】
【異能の発動のために、手を突いたその腕が全く持ち上がらなくなり】
【次いで、目標であるその人物は、はるか上空へと舞い上がり】
【腕は?そもそも持ち上がらず、脚はそもそも負傷している、満足には使えない】
【近接戦闘となれば、勝ち目は薄い】

「こうなったらあ、おじさんを舐めえるなあ!」

【ミレーユの落下に合わせ、頭を振る】
【ヘッドバッド?否、彼は自分の歯を一本、口内でへし折り、それを勢い良く落下してくるミレーユに向けて飛ばした】
【無論、それは犬歯という名の一つの爆発物である】
489 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 19:06:20.32 ID:uAySPBA0o
>>475


──── ッ!! 鋭い太刀筋だ、だが……!!


【跳躍、閉じたたまれた両脚が刃を回避する】
【居合いの挙動は読めずとも、しゃがみの予備動作を見れば良い】

【動体視力は人間を超越していた】【──── 逆説的に言えば、】  【それでなければ避けられない】



【だが、────】



くっ……まだくるか────っ!!



【追撃の"月影"】【空中で体勢は変化できない】【二段構えの技とは】   【──── 笑みが零れる】
【鋒を爪で弾く】【縦からではない、横から弾く形で】【金属音に似た衝撃】    【 "そうこなくては" 】


【右足を伸ばして着地したなら、──── 地滑りの様に疾走】


                        【その猛々しい牙を持って】    【首筋を噛み千切らんと】
490 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 19:08:01.10 ID:IHRaMccc0
>>470

――――っは、『上位者』だと……?
どこかで聞いたな、そんな言葉――――なるほど、貴様ら『GIFT』の手勢か……まさか、あのバケモノどもの生き残りって訳でもあるまいに……!
よくもまぁ、そこまでハッキリと言い切れたもんだな――――ッ!!

【ブローを浴びてしまったボクサーは、こんな感じの痛みを抱えているのか――――そんな場違いな感慨を押しのけて、『ナート・サンダー』は鼻白む】
【こうも当然の様に、殺戮の正当性を謳われるとは思ってもみなかった。しかも、反論の仕様がない極致の言葉を用いて、である】

【そんな思想を掲げる連中と言えば――――2つの可能性が頭に浮かんでいた】
【ここの所、目立った活動をしていないが、能力者至上主義を掲げる反社会集団である『GIFT』】
【或いは、既に収束したはずの、異世界からの侵略者であるところの『虚神』】
【その真偽はともかく、それに匹敵するだけの厄介な相手なのは間違いないだろうと、奥歯を噛み締めた】

「――――事実かどうか、なんて――――すぐに分かるじゃないですか――――」
っ、ラベンダー……ッ?

【そうして、爆炎に沈んだ淵の中から声が響く――――粉砕された粉塵が晴れる】
【その中で、ラベンダーはウミガメの姿になったまま、健在であった。流石に、甲羅のあちこちから血を流しつつ、言葉を苦しげに震わせつつも】
【その赤青のオッドアイは、まだ何も諦めていない。凶悪な爆炎を凌ぎ切った彼女は、『次』に至る事しか、考えていない】

「この戦いの結果が――――教えてくれます、っ――――この連中が、本当に我々を凌駕する存在なのか――――それを――――ッ」
――――なるほど、その通りだな、ラベンダー……精々吠え面、かかせてやろうじゃないか……ッ!

【結局、こんな言説ではもうどうしようもない。後は勝敗が是非を裁いてくれる。それに期待するしかないだろう――――と】

っ、ち……炸裂寸前の『リフレクトプリズム』を、抑えられてしまった……!
「数撃ちで、済まさないつもりですね――――良い度胸をしてるじゃないですか、この『兵器』を前にして――――ッ、ネオ――――『アンブレラ・フォース』!!」

【ヘヴンが自ら明かした能力の片鱗。それが、秘策の1つをあっけなく瓦解させる。思わず『ナート・サンダー』はヒーローらしからぬ舌打ちを零す】
【これを再び、こちらを狙う形で撃ち返されたら、面倒な事極まりない。だが、それで済ませるつもりはラベンダーには存在しなかった。再度の変身で、片をつける心算で】

【ラベンダー色の体毛に覆われた、大型肉食獣ほどの体格を誇る蜘蛛】
【背中には、まるで椰子の木の様な、巨大な角とも腕ともつかないものが屹立しており】
【8つの目と8本の脚、そして2本の腕が、不吉な気配を振りまいている】

「――――いくらでも手玉に取るつもりなら、いくらでも撃ち込んでやる――――小器用に、すまし顔で、いられると思うな――――ッ」

【その8本の足を伸縮させ、ラベンダーはジャンプした――――体躯に似合わない挙動】
【そして――――背中に突き出る突起から、小さな瘤のような隆起がいくつも盛り上がり――――炸裂する】
【10条の、破壊光線――――空をうねりながら、ヘヴン目がけて照射される。どこまで凌いで見せるのか、それを見せてみろ、と――――空を舞いながら】

(――――空間を、置き換えるってか? ……いや、それじゃさっきの『増殖』の説明がつかねぇ……
 しかも、まやかしなんかじゃなく、全部が全部『本物』だった……あの『不可視の力』……触覚を司るとか言ってやがったな……どういう事だ……ッ)

【一方で、『ナート・サンダー』は『見』に回る。ヘヴンの能力の正体を見極めなければ、対処は不可能だと悟ったのだ】
【ラベンダーの放つ一撃への対応、そして先ほどの所作の不可思議な点を、ひたすらに脳内で反芻させる――――『虚神』との戦闘経験がもたらす行動だった】

/ただいま戻りましたー
491 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 19:10:32.00 ID:orWtOf/Ho
>>487

(逃げた……いや、違うか
 あの手のやつが逃げるってことは滅多にないだろう
 となるとこっちを倒すための何かなんだろうが……)

【付近を見渡し戦闘音から戦況を推察する。あまり状況は変化していないようだ】
【一人を殺すのに手間取るよりは、他を援護してより多くの能力者を殺す方が上出来だ】
【判断にあまり時間はかけられなかった】

(戦った感じ、集団戦に向く能力じゃなさそうだ
 最悪、スクルータやクリストファーに任せるとして、俺は転戦した方がいいな)

【身体の痛みを押し込んでディミーアは壁面から跳躍。隣接する家屋の屋根に着地】
【そのまま跳躍を繰り返して西の広場を目指した】
492 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/09(土) 19:11:11.65 ID:4yJYEQXVO
>>484
  
         おい、そこのお前。こんな言葉を知っているか?

      ―――――命を弄ぶ者にはそれ相応の報いがあるという事を。


【その声は何処までも澄んでいて、そして何処までも仄暗かった】
【突如として現れた異分子。それは少女と男の間に悠然と立っていて】
【少女と黒衣の集団に向けて矛盾を孕んだ声色を放つなら―――それは、都市伝説の怪人】
【都市伝説の名は"会わせ/逢わせ屋"、またの名をファウスト。やさしい悪魔の代理人】

【男用の神父服の上に葬列の際の付き人用のコートという異様な着合わせ】
【装飾過多と形容するに相応しい程のアクセサリーに両耳のピアス達、こげ茶色の長髪と妖しい眼光が特徴的な女】


【凍てついた瞳を少女に向けるなら、彼女はお決まりの定型句を口にする】



         ――――生きる為、汝自身を用意せよ――――


【鍵句を口にした瞬間、彼女の眼前に現れる鏡。そこから少女と寸分変わらぬ容姿の少女が現れ】
【すぐさまその形が変容する――――ヒトの形から、不吉と災禍を匂わす黒塗りの大鎌へと。】
【死神の様な出で立ち。異様な着合わせの黒の衣服に黒の大鎌、まさしく凶つ事の兆しであった】


――――……、久しぶりに気分が悪い。お前は命を玩具としか見ていないのだろうな。
羨ましいよ、壊す方は、奪う方は気楽で―――奪われた側の事など考えもしないのだろう?

なら、私もそうしようか。――――お前達みたいな輩が相手でよかったよ。命を奪う事を躊躇せずに済む。
493 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 19:12:00.87 ID:uAySPBA0o
>>483

【扇で隠すは口元、──── しずりと微笑む目元は愛媚、けれども状況は激しく】
【ドラの言葉に彼女は嬉しそうに目を細めた、──── 瞬きの元に、鼓動が溶ける】


わっちの事を知ってはって、それはあんじょう嬉しいどすなぁ、使命してくれはってもええんよ
主はんに仰山可愛がってもらえるんやったら、わっちも淫らに舞う事せんでも


   ──── ああ、あきまへん、そないな事言うてはったら
 

                     主はんの肉を噛みとうて、噛みとうて、堪らへんさかいに



【ぞくり、とドラを悪寒が襲った】    【──── "知っている" 】    
                                        【不可視の "口撃"】


         【ドラが動かなければ、その腕を容易く噛み千切るだろう】   【防御が幾ら堅くてもお構いなしであった】


  【少しだけの回避ならば、肉を抉る】     【直撃したなら、骨をも喰らう】


                                      【言い得て曰く、──── その通り、"悪食" なのだ】
 
494 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 19:12:56.54 ID:uAySPBA0o
>>489
/こちら>>479へのレスになってます!
495 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 19:14:11.39 ID:2etGakr4o
>>488


【 ─── 男が遠間への攻撃手段を有する事を、ミレーユは理解していた。だが自身の異能により】
【十全に反撃を封じられたものであると、 ─── そう判断していた。故に応射は一呼吸が遅れた】
【大気の凍結も既に十分な防壁を築けるほどではなかった。血に汚れた象牙色が頭部を直截に撃ち抜く事を、辛うじて庇う片腕で防ぐも】


   「 ──── てめえ、ッ」


【深々と右腕に突き刺さった鈍い刃は彼の腕中にて炸裂した。 ─── 至近弾よりも遥かに程度を逸した深手】
【透き通るような碧眼は今や絶望的なまでの憎悪を揺らがせていた。しかし被弾により彼は着地を失した】
【いざなうように躯体が揺らめき、屈しかける膝を振る首先にて堪える。深い嘆息を吐き出すまでに、それは明白な隙であった】
496 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 19:17:41.86 ID:QF0PnyaV0
>>486

「そっか、じゃあ……君とは解りあえないなー魔術師さん」
「せっかく仲良くなれると思ったんだけどなー、残念」

【まるでせせら笑うかのような、万人的には不快な笑みだ】
【考え方がまるで違う、境遇もまるで違う】
【だが、ほんの僅かに、どこかで通じるものがあったのか】
【あくまで、男はアルベルトには笑顔を向けて】
【だが、口調は、ほんの少し、本当に寂しそうで】
【そして、文字通り死力を尽くした激突が始まった】

「さあ、これで!」

【超速の接近と一撃】
【これは、アルベルトの戦術だろうか】
【すんなりと懐へと入り込み、そして一撃を叩き込んだ】
【アルベルトの身を焦がし、身体中の自由を奪う電撃】
【だが、ここで彼も死力の一撃を放つ】

「――ッ!!??」
「ぐうッ……やっぱ、魔術師さん、強いや……」

「ぐはあッ!!」

【大光量の熱光線】
【膨大な熱を帯びた、その一撃は回避も防御も許されること無く】
【青年の腹部を消し炭とした】

「……魔術師、さん」
「名前、は?」

【焼き尽くされ、分断された上半身のみで、地面に伏す青年】
【今わの際の言葉であった】
497 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 19:19:11.25 ID:uAySPBA0o
>>485

【屋上には貯水槽があった、──── 彼女の身体はアリアによって投擲され】
【ここでもまた空気が味方をする、著しく減速し、地面へと着地】


                       【 "支配領域" という言葉は伊達では無かった】



    一つ啓蒙しましょう、私と長く相対する事はおすすめできない、と
    "味わう" 事で私は支配領域を増していく、──── 重々理解したでしょう?

    それは何も、空間だけではなく、戦っている貴女自身の事も、私は味わっている



          少しずつ意思は宿主を抜け去り、──── より気高き主の元へ



    【言葉の正否は分からない、けれども、可能性としては重々捉えられた】
    【長く戦えば戦うほど彼女は力を増す、空間のみならず、物質も支配するのだ、と】


            【圧倒的不利な状態であったと言えよう、傷の量も明らかだ、──── 】




                          【 ──── それはこのまま、勝負が決することを示すのだろうか】
498 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 19:25:21.32 ID:orWtOf/Ho
>>496

【男が倒れるのと同時にアルベルトも倒れ伏す。致命傷を与えたが、こちらも同じことだった】
【最後の最後にわざわざ名前を聞いてくる。激痛を無視して口元が笑みを形作った】

へ……へへ……おかし……な……やろ……だ
……アル……ベルト…………
…………地獄で……会っ、たら……呼んで……くれ……

【息も絶え絶えになりながらもアルベルトはその質問に答えた】
【どうしてだか理由は分からない。もしかすると何か、通じるものでも感じたのかもしれない】
【それが何なのかアルベルトは考えたりはしなかった】

【街路を集団が駆ける音が聞こえる。自警団が近づいてきていた】
499 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 19:28:30.55 ID:uAySPBA0o
>>490

【 ──── 悲しげな表情であった、それは何処までも、追憶に近い嘆き】
【理解されない悲しみか、理解され得ない事への苦しみか、或いはその他に、もっと】
【啄む一筋の砂糖を嗜む事ができたなら、少しばかりは分かったのだろうか】



    貴方が用いた言葉でしょう、摂理、とは、──── 私はだから、はっきりと示しただけです
    私の触れうる全てが、私の描く全てなんですから




                     "Knockin' on Heaven's Door"




【空をうねる十條の光線】【降り注ぐは光の処罰に似ていた】【寸刻、彼女の身体は光へと包まれる】
【煙が立ちこめた】【 ──── 暗澹とした影の中に】【やがて一筋ばかりの風が吹いて】





               【 "甲羅" が見えた、亀の甲羅が、そして、──── 】



  【それは何層にも敷き詰められていた】    【彼女を守る楯になるように】    
                                                 【単純な "増殖" では説明が付かない】


               【それは、ラベンダァイスの能力そのものであるのだから】  



  【空を舞うラベンダーの目の前に、"ミラーボール" が出現する、まだ予備動作の段階ではあったが、──── 】
500 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 19:32:08.08 ID:2etGakr4o
>>497

【ひどく傷だらけの肢体を縋るようにアリアは奮い立たせていた。 ─── 負傷と痛覚に融通の利く全身義体であれ】
【これだけ肉体の缺損を経れば全うに戦い続ける事は困難だった。強化チタニウムの骨格まで切り裂かれた右太腿は揺らぐように時折震えた】
【まして得物の相性は絶望的であった。対手には射撃が通用しない。格闘戦に於いても、異能によって造られた変幻自在の刃と、強靭であれど数打ちでしかない凡庸の刃では】
【打ち合おうとすれば如何なる結果を招くかは既に実証されていた。 ─── それでもアリアは立ち尽くしていた。頤を上げ、焦げ付くような青い隻眼は炯々と】
【深く裂けた頬を緩め、止めどない血に濡れる唇を吊り上げながら、毅然に/そのような形容は適切ではなかった。どこまでも凄絶に女王は笑っていた】



    「 ──── 今から泣いて命を乞えば、」「私を見逃してくれるとでも?」



【血に汚れて尚も透き通るソプラノは、嘲笑うように吐き捨てた。 ─── 再びその両手に白銀の二挺を握る】
【もはや紅く濡れた銃把は十全なグリッピングさえままならなかった。それでも彼女は緩やかに腕を擡げ】
【その銃口を真っ直ぐにクイーンへと向けた。起動されたグリップのレーザーサイトが、紅い光を灯す。ならば】
501 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 19:32:15.82 ID:uAySPBA0o
>>491

【西の広場、──── ディミーアははっきりと見るだろう、そこに積み重なった死体の山を】
【多くは一般人であった、──── だが、そこには紛れ込んでいた】


【救助活動を続けていた "四班" そのメンバーの内何人かが、物言わぬ骸と化して】


【そして、その山を作ったであろう、黒衣の能力者、──── 合計十人程はいようか】
【彼らは各々にマスクを付け、ディミーアを視認した】
                                【掌を一斉に向ける】


【放たれるのは光弾、寸分乱れぬ動きで、十発の光弾が向かう】



                    【──── 流れ込む煙草の芳香、苛立たせる香りであった】
502 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 19:34:32.83 ID:QF0PnyaV0
>>492

「何それ知らなーい!」
「お姉さん、新しいお客さん?」

【突如そこに現れた人物】
【出現したという見方が正しいのだろうか?】
【或いは……】
【日の光の遮断された工場内において、男から見ればその姿は逆光に照らされ】
【過多と思える装飾、不自然な服の組み合わせ】
【どれもこれもが、余りにも怪しく】

「あ、あんた……一体?」

【息も絶え絶えに、足元の男が聞いた】
【そして出現する鏡】
【その一句が発動キーとなっているのだろうか?少女の姿から、死神のそれに変貌する何か】

「何言ってるのかさっぱりわかんないや、あ、でも……」


――あなたが、遊んでくれるの?――

「逃げて!こいつは、危険です!!」

【少女の笑みは、天真爛漫なそれから、悪意を孕んだ目つきへと変わり】
【男性は、声の限りに、そう叫んで】

「出でよ、忠実なるお友達!」

【少女の魔道書が、淡い青い光を放つ】
【すると足元に、広く水面が展開される】
【次には、そこから水で出来た身体を持つ鮫が出現】
【水面を飛び跳ね、ファウストへと襲い掛かる】
【同じく水で出来た、無数の鋭い牙の並ぶ口を開けて、彼女を食らわんと迫るだろう】

「命?おもちゃ?」
「弱いのが悪いんだよー弱いから死んじゃうんだよ、だから私が遊んであげるの!」
503 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 19:39:20.18 ID:uAySPBA0o
>>500

【 ──── 彼女はまた雅やかに笑った、口元を微かに綻ばせて笑う、気品を保ったまま】
【それが返答であった、そして、それをしないことも知っていた、矜持と生にどんな関連性があるのだろう】


【恥を背負ったまま生きるのか、恥を忍んで死ぬのか、──── 貴女はどちらであろうか】



      構わないわ、──── それができるものなら、貴女にそれができて?

  這い蹲って命乞いをしましょう
                      衣服は全て脱いで、服従の所作を
                                             地べたを舐める事を忘れずに
        自尊心を一つずつ葬り、
                       矜持を一つずつ屠り、
                                     ──── 端正な飼い犬に堕しましょう


                そうすれば可愛がってあげるわ、首輪を付けて




  【レーザーサイトが "かき消える" ────、最早空気の屈折すらも思うが侭に】
                                 【口調もまた、女王に相応しい様相を見せた】
                                                    【何処までも苛烈な、女性然として】 


     【満たすのは優越感、満たされるのは嗜虐心、──── では、満たされぬのは?】



                               【味わい続ける試みを、誰が許そうか、──── 】               
504 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 19:39:30.65 ID:FFNdco6G0
>>489


【流石は獣というべきか。人非ざる反射神経とそれを可能にする肉体的構造】
【正攻法では勝ちきれない。体力的に持久戦になればキツイ】

なら――――

【納刀し、再抜刀するには時間が足りない。この体勢からだと技も限られる―――】

【右手に刀を握り直す、そして左手に――もう一振】

【能力で生み出したそれを、直線。思い切り迫る相手に向かって投げつける】
【だがそれはブラフ。能力故に手を離れたら単なる幻影。触れることは出来ない】
【だが、咆哮よりもずっとその恐怖は具体的だ】


【間髪入れずに跳躍。時間を稼げたなら間に合うだろう。狙うは上からの】
【抜刀術。振り上げ、下ろす。骨から断つ、一撃。】


―――その首、貰い受ける。


【『龍頭/たつがしら』】
505 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 19:39:35.37 ID:QF0PnyaV0
>>495

「よけられなかったあねえ」
「可愛いそうにい、これからあおじさんとお……」

【着地したミレーユ】
【攻撃の成功に、気を良くしたのか】
【痛みに顔をしかめながらも、ニンマリと気持ちの悪い笑みを浮かべ】

「■■■■タイムだあ!」

【続いて前歯、二本を同じように口内でへし折り】
【此方を睨む青い双眸に向けて、噴出した】
506 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 19:42:41.02 ID:orWtOf/Ho
>>501

【視界に入る死骸の山にディミーアは顔色一つ変えなかった。いちいち気にしていては戦場で指揮官などやってられない】
【しかしその中に部下たちの姿を見つける。小さくない怒りが心の底から湧き上がる】
【だが同時に違和感もあった。精鋭だと言って憚らない程度には手練れを揃えていた】

【それがたかだかテロリスト如きに負けるとは考えにくい。答えはすぐに見つかった】

……なるほどな、そっちもそっちで部隊を持っていたってわけか
どうやらただの暴動でなければ単なるテロでもないらしいな

【一斉に向かってくる十発の光弾を『導くフィデリウス』が正確に迎撃して打ち落とす】
【高速の弾丸を大剣で弾くという離れ業もディミーアにとっては容易に行える】
【十人の能力者を見る灰色の双眸には瞋恚の炎】

…………生かして帰さない、なんて当たり前なことは言わん
部下どもの仇だ。苦しめた上で殺してやる

【魔力の燐光が弾ける。部隊の中央で瞬間的に爆発が発生。爆炎と衝撃波が街路を吹き飛ばす】
【同時に剣士が疾駆。先頭にいる能力者に対して距離を一瞬に詰めて大剣を振り下ろす】
507 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 19:49:05.97 ID:QF0PnyaV0
>>498

「アル……ベル……ト……」

【名前を聞くと、何処か満足げに青年は呟き】
【そして、二度とその口を開くことは無かった】
【自警団が近づく】
【彼らが見るのは、上半身だけで息絶えた青年と】
【その近くで、ぐったりとしているアルベルトだろうか】
【兎にも角にも、周辺には未だテロリストが跳梁跋扈としている筈だ】
【自警団員からもたらさえるのは、そういった周辺テロリストとの交戦報告だろうか?】
508 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/09(土) 19:51:07.85 ID:4yJYEQXVO
>>502


なるほど、獣だ。言葉は通じても話は通じないのだからな。
    
     ならば―――、その理屈、お前自身に跳ね返してやろう。


【"弱いのが悪いのだろう?――ならば、その言葉通りに踏み躙ってやろうか"】


【半ば呆れたような、半ば解りきったような、諦観にも似た形容しにくい表情】
【迫る水鮫の顎。それを一瞥したなら、ファウストと鮫の間を割って出てくる新たな鏡】
【それを以て鮫の一噛みを防ぐ。それだけでなく、鏡は両者の視界を遮るから】


――――、餓鬼の遊びに付き合ってやれるような童心なんぞ持ち合わせては居ない。

これはただの殺戮だ。慈悲も無ければ、愉悦も無い。
命を奪う事に愉しみを見出せるなら、――――お前はもう"人間"ではない。


【遮った鏡の右側からファウストは飛び出して、彼我の距離を詰めながら少女に向けて鎌を振るう】
【袈裟懸けに似た軌道を描くそれは鋭く、そして最短距離で命を奪いにかかっていた】
【彼女の表情は酷い嫌悪を覗かせて。死神のような出で立ちに似つかわしくない表情だった】
509 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 19:52:53.31 ID:IHRaMccc0
>>499

……よくも言えたもんだな……――――本当に『摂理』だって言うなら、本物の『上位者』だって言うなら……ッ!
今すぐにでも、この俺の心臓を、捻り潰して見せてるはずだろう……!
その力に、必ず限界はある――――そんなものを振りかざしている限り、いい気になってるそこらのチンピラと、何も変わらないってんだよッ!!

【空間ごとを確保して、叩き潰す能力――――だが、その行使には何らかの制限があるはず。それが2人の前提認識だった】
【でなければ――――敵対者など、全て体内破壊で無尽蔵に殺戮して、終わりのはずなのだから】
【それが出来なければ、ヘヴンの言う『上位者』は、決して『絶対的優位』を意味しない。意味しないのならば――――それは『摂理』とは言わないのだ】

「ッ!?」
――――おいおい、これはたまげたな……ラベンダー、奴に『幻影』でもくれてやったのか……?
「そんな訳ないでしょう! これは一体――――!?」
……悪い、今のは言って良い冗談じゃなかった……とはいえ――――なんなんだコイツ、でたらめが過ぎるぞ……ッ!

【そうして、思いの丈をぶつけ合っていた中にあっても――――どうやら、先ほどから驚かされっぱなしになっているのは、もう仕方ない事なのだろう】
【ここに来て、確保されていたはずのない、『タートル・フォースの甲羅』を用いた防御が飛び出してきた】
【着地したラベンダー、そして『見』に回っていた『ナート・サンダー』は、共に絶句する】
【何らかのメカニズムがそこにあるはずなのに、まるで法則性が見いだせないまま、重要な戦力が抑えられていく】

(――――流石に、嘘だよな……まさか、勝てねぇのか、俺たち……)

【事ここに至っては、想起せずにはいられなかった――――かつて戦った『虚神』たちの影を】
【この不合理の恐怖は、正にあの連中に通じるものがある。そしてその中で――――劣勢になっているのを、確かに感じていた】
【敗北が、現実となって襲い掛かってくる――――そんな錯覚と無力感に、囚われ始めていた】

ッッ……ラベンダー、お前は考えろ、考え抜け!!
間違っても余計な手出ししようとか思うんじゃねぇぞ……不正解を叩きつけてる以上、こいつに戦力をでたらめにプレゼントしているだけになる……ッ!
「――――『ナート・サンダー』!?」

【更に、先ほど確保された『リフレクトプリズム』と思しき個体が放たれる。不味いと、警鐘が『ナート・サンダー』の中に響き渡った】
【思考という、重要な道をかなぐり捨ててでも、その対処をしなければならなかった。でなければ、自分たちは死ぬ】
【それでも、その先にあるのは――――自転車操業の果ての破綻、結局は同じ道だけだ】
【だからこそ、『ナート・サンダー』はラベンダーに思考を託す。この不条理に対する、対策の熟成を――――そして、彼は走りだした】

「(――――おかしい。どう考えてもおかしい。『触覚』の支配と言うのなら、触れてもいない私の装甲を、コピーする理屈なんてあり得ないはず――――ッ
  大体にして、触れる事がなんで『空間座標の操作』に繋がるんだ――――そして『増殖』ッ!? ――――なんなんだこれはッ!!)」

【思考を丸投げされたラベンダーは、静止しつつ考える。ヘヴンの能力の正体、そして対策を】
【だが――――無駄だった。考えれば考えるだけ、その思考は不条理に墜ちていく。そしてその先に待つのは――――『対策不可能』という現実だけ】

「(――――じゃあ――――なんなんだ、アレは――――触れてもいない『ソーンスパーク』と『死の瘴気』の操作、それにあの念動力みたいな力――――!?
  ――――どこで私たちの電撃を確保した、なんであんな直接的な力で押しつぶそうとした――――ッ、落ち着け、落ち着くんだ――――)」

【唯一と言っていい手掛かりは、最初の接敵の時のヘヴンの動作――――そこにヒントは無いかと、ラベンダーは思索する】
【八方手詰まりな現状、最後のアテとなる思考の取っ掛かりである。そこにラベンダーは神経を集中させる。対策を、『ナート・サンダー』が満たしてくれると信じて】
510 :キャットV ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/09(土) 19:53:39.69 ID:+7XQnRZRo
>>493

テレサちゃーん、生きてるー?っているわけないか、昨日、「この間金の国に異動になった」ってメール来てたもんな
テレサちゃんが先生ねぇ……ぼくの時みたいにうっかり心臓止めちゃって大急ぎで波紋入り心臓マッサージとかまたやってなけりゃいいけど


【ひとまず"教会"という事でかつて指導を請うた姉弟子の安否を確認しようとして、もう杞憂だったのを思い出すと】
【キャットVは"花魁"と向かい合う―――正直生唾飲み込むほどいい女だったのでたじろいだ】
【しかしカチューシャやイルの時もそうだったが胸をことさらに強調されなければ彼はとりあえずどんな状況でも冷静に戦える、現にまた軽口を言い出した】


正直"興味"がないと言うのは嘘になるけどさあ……?おっぱいも和服の上からわかる程ボリュームあるし
お相手してもらいたいかたくないかで言えば前者だけどさぁ、知ってんだぞきみの悪評は……きみとヤッたその日が命日
歯型を残して鉄錆の匂いがするきたない骸を晒す展開とかぼくは絶対にごめ―――うおぁ!!


【―――いろんな意味で、剛太郎に感謝した】

【彼が戦った事で前評判として攻撃手段がわかっていたのと、彼女の危険性を剛太郎が暴いていた事が彼の危機感の欠如を防いでいた】
【ゆえに、長年鍛え上げられた六感全てが中のドラに伝えてきた、"死"の前触れを】
【だが、いざ戦ってみると―――なるほど、本当に"見えない"!相手が攻撃してくる空気を感じ取るしか今のを避ける事しかできなかった】


マジか……!?

(全くわからなかった―――いつの間にか、二の腕の表面がさっくりイッてる!?)


【左の二の腕部分から血を滴り落としながら、ドラは必死に思考を回転させる】
【現状ドラにはムクや剛太郎のように嗅覚で魔翌力の匂いをたどるなどの不可視の牙を捉える術はない、本当にやられる前にやるくらいしか思いつきそうになかったが】
【ドラは思い当たった―――そういえばここは"教会"だ、『アレ』があるんじゃないのか?と】


(お願いだからこの場に"あって"くれよ……!)

ドやばい攻撃してくれるじゃないの……!けどね和服美人さん、あまり余裕こかないでよね
ぼく、剛太郎より強いよ?せっかくだからアイツの腕の分の借りをここで帰させてもらおうじゃないの!


【ふらぁ、と倒れ込むかのようにキャットVの体が低姿勢になった】
【すると同時に仮面の戦士はふっ、と身軽に跳び上がり、礼拝の長椅子をひょいひょい飛び越えながら超スピードで縦横無尽に接近してくる!】
【そんな彼の右手に握られているのは―――奇しくも花魁と同じ形、ただし無骨な鉄で固められた"扇"だ!――キャットV専用装備『三味扇』!】


扇の面を伝われ波紋!!メタルシルバーオーバードライブ!!


【振り抜く直前に閉じた扇をバッと開き―――互いの間合いに近づいた時左斜め袈裟に振り抜く!】
【右顎、首、右肩―――そのあたりに打ち込めればそれでいい!なにせ無防備のむき出しなのだ】
【そこめがけて打ち込み波紋を流すことで右上半身か顔の右半分を麻痺させることが出来ればコイツは自分に狙いを定めにくくなるのだから―――!】
511 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 19:56:21.20 ID:orWtOf/Ho
>>507

…………てめえの、名前……も言え、っての
これだから能力者ってのは……気に入ら、ねえんだ……
ま……こう、やって……クソ同……士……殺し合うのが……お似合い、だな……
…………へ……へへ……

【駆けつけた自警団──『ヴィセリツァ』の部隊員たちは急いでアルベルトの治療に取り掛かった】
【応急処置が終わればアルベルトはすぐに起き上がり、<ネア・セリニ>に身体を預ける】

塵どもはまだ生きてんだろ……とっとと制圧に行くぞ
いいか、一匹たりとも逃すな……そのための俺たちで、そのための『ヴィセリツァ』だ

【応急処置をしたところで重傷であることに変わりはない。しかしそれでもアルベルトは指揮を執る】
【全ては能力者を殲滅するために。それだけが彼らの目的であるからだ】

//こちらはここで終わりですかね?
//お疲れ様でした!
512 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 20:01:55.77 ID:QF0PnyaV0
>>508

「やだなー、私は人間だよ?」
「お姉さんこそ、まるで悪魔さんみたいだねー」

【少女はこう言うが、その殺気、尋常でない剥き出しの闘志はまさに獣のそれに近く】
【水で出来た鮫の攻撃は、出現した鏡により防がれる】
【防がれた鮫は再び水となり、足元の水面へと戻る】

「へえーお姉さんやるねー、もっともっと楽しませてよ!」
「こんな弱っちいのじゃなくてさ!」

【少女は、足元の哀れな死体の内の一つを蹴りつけ】
【やがて、ファウストの、その命を刈り取る刃が迫るも】

「ざんねーん!そう簡単にやられないよー!」

【その刃は、途中何かに引っかかるように】
【あるいは弾かれる様に、止まるだろう】
【水で出来たカニの爪、それも巨大なそれが水面から出現し刃を止めていて】

「じゃあ、お姉さん、お返しー!」

【さも楽しい遊びのように】
【少女は言い放つと、もう一方から別の爪が現れ】
【ファウストの身体を挟み、分断しようと迫る】
513 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 20:06:05.89 ID:2etGakr4o
>>503




     「 ─── そう。」「貴女の調教と寵愛を受けるのも、きっと堪らない喜悦なのでしょうね」
       「 …………… けれど、それならも少し早く、教えてほしかったものね。」


【くつくつと喉を鳴らしてアリアは笑った。嘲笑であった。 ─── 構える光学照準が搔き消える事も意に介さず】
【アリアは駆ける。バランサーすら機能不全に陥ったままの損傷を押して、構えた二挺の白銀を乱れ撃ち、スライドは出鱈目に往復し、弾幕と呼ぶべき量の射撃を以って】
【それが全て無駄な足掻きであることをきっとアリアは理解していた。馬鹿げたマズルフラッシュが眩い事に、その銃弾への対処に意識が奪われる事に、全てを賭けていた】



     「不貞と屈辱を味合わせられるならば、私は喜んで死を選びましょう。」



【果たして対手は、何処まで理解していただろうか。女/アリアの異能。Hangman's Blood/処刑人の血潮と名付けられた其れ】
【自身の"血液"を触媒とし、凡ゆる"武器"を召喚する異能。斗いの続く限り、流す血の大いなる限り、彼女はその空間を銃声と硝煙の行き交う戦場へ変える】
【クイーンの異能と酷く似通うとも言えた。戦場の支配。だが彼女はここを王宮と呼んだ。なれば女の嘲笑う理由も、察し取れるというものだろうか】

【 ──── 女王の装束は背中まで紅く染まっていた。その血は決して彼女のものではない。アリアが彼女を引き倒した際に染み渡ったものだった。】
【その背に宿る仄暗い輝きを、彼女は理解するだろうか。 ─── 本能の警句か、武人の直感か。何れにせよ絶対の勝利と嗜虐を確信するなら、してしまうなら】
【クイーンの"背中"より喚び出されるのは"空対地爆弾"/ペイブウェイIV。 ─── 本来であれば爆撃機に搭載される弾体の半ば程まで露出した時点で、爆ぜる信管は】
【歩兵用榴弾とは桁違いの炸薬量と破砕片と極音速爆轟を以って零距離起爆し、確実に生身の人間を再起不能に至らしめるだけの致命的な打撃を"味合わせる"のだろう】
514 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 20:06:19.76 ID:uAySPBA0o
>>504


──── 得物を投擲するとはな……!!


【効果は覿面であった、人狼は思わず飛び退く、──── そして防御の態勢】
【自身の身体をかばうように両腕を交差させるが、触れるは幻影】


なっ……!! ブラフ、だと……!!


【かき消える幻影に気を取られる、──── 振り下ろしの刃が迫る、虚を突いた一撃】




【だが、狼と呼ばれる由縁は、──── ここからが本領であった】



【足の筋力だけで後方に飛ぶ、予備動作抜きでの跳躍】
【左足に深く刃が切りこまれ、鮮血が飛び散った】
515 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 20:09:36.62 ID:uAySPBA0o
>>506

【ディミーアの推察は正しい、少なくない犠牲と引き換えに、暗部へと踏み入れる】
【裏で糸を引いている何かがある、と──── ディミーアであれば気づけるだろう】


『────────』


【爆発の予兆を感じ取って能力者達が散開する、素早い動きであった、練度も高い】
【煙がもくもくと周囲を包む、──── 様々な匂いが混じり合って】


【接近された能力者、刃に切り裂かれるが、──── 相打ちだ、とばかりに光弾をディミーアへ放つ】
【自分の命を省みない行動であった、それほどまでに、覚悟をしているのか】
516 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 20:16:18.65 ID:uAySPBA0o
>>509

   【眉を顰める、──── 強い日差しに視線を逸らす令嬢の様に、或いはそれは言い当てられて、か】
   【否、──── そうではない、寧ろ、──── その瞳には、憐憫が混じっていた】



           もしかして、出来ないとでも思っているんですか?



【指先が空に伸びる、殿方へと差し出す戯れに似ていた、緩やかに曲線を描いて】
【輪郭だけを描いて、モチーフを伝える、】
                          【はっきりと、"心臓" を象って】
                                             【そして、────】



  【ナート・サンダーに明確な "悪寒" が奔った、今すぐその場を離れなければならない、と】
                                              【文字通り、素手で "心臓" を掴まれている様な、感覚】



              【リフレクトプリズムは力を溜めている、】   【ナート・サンダーはどうするのだろうか】

        


【一か八か、立ち止まって受けてみる?】
517 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 20:16:49.84 ID:2etGakr4o
>>505



     「 ──── 同じ遣り口が、」「ボクに二度と通じるとでも?」


【袖口より滑り出る大容量マガジン。空になった弾倉を抛り捨てて、グロックのグリップに差し込まれる弾薬】
【 ─── スライドを噛んで弾くのならば、吐き出された2発の歯撃を、ミレーユは射撃によって破砕する】
【確かに右腕は使えなくなった。だが彼が人を殺すのに片腕では役者不足であった。ならば片腕さえも使わずに、屠る一撃は十分だった】


    「 ……… この距離なら、外さねえよ。」
    「こんな"弱火"になるまで、」「 ─── 使わせたのは、キミだからな?」


【 ──── 擡げられた彼の左腕より、陰る黒炎が放たれる。瞬きにさえ燃え尽きてしまいそうな一条が描くのは】
【然るに、 ─── 男の"眼球"へ目掛けた一閃であった。彼の頭部が存在する座標への精密な加熱】
【頭を傾げれば回避は容易であるかもしれない。だが、彼の目論むの頃に男が気付かなければ ─── 爆ぜる、のは】
518 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 20:21:06.85 ID:orWtOf/Ho
>>515

【重合金の刃は能力者を黒衣ごと容易に切り裂き、一撃で仕留める】
【だがその瞬間に放たれた光弾が胴体に命中。剣士の表情に驚愕が走る】

(……どういうことだ。命と引き換えにしてでも敵を殲滅する?
 動きもかなり洗練されている……となると、マズイな。良くない状況に巻き込まれてるわけだ)

【喉から血がせり上がって異物感。口から血を地面に吐き出して、ディミーアは『導くフィデリウス』を構え直す】
【一体一体ならばほとんど歯牙にも掛けないような相手だろうが、集団の力を剣士は甘く見ていなかった】
【加えてこちらはかなり負傷もしている。手早く仕留めなければ命に関わる】

【再び魔術を発動。爆煙が広場を覆い隠し周囲の障害物や能力者に爆轟が襲いかかる】
【爆煙の中を、能力者めがけて何かが飛来する。それは先ほど殺された別の能力者だった】
【その影に反応すれば、別の方向からディミーアが突進。胴体へ超高速の斬撃が向かう】
519 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 20:21:18.11 ID:uAySPBA0o
>>510


   主はんはあかん人どす、いきなり乱暴しはったら、わっちらも辛いんやさかい
   愛を持って接してくれはらへんと、それやったらな、お互い気持ちようならはる

   ──── わっちも誠心誠意、気持ちよう、主はんに奉仕しはるのに



【口元から扇が離れた、──── ドラの扇が迫る、そして】
【虚空に "口" が出現する、肉感的な潤んだ唇、エキゾチックな魅力を宿した】


【鈍い音を立てて、口が扇を阻むだろう、噛む力はかなりのものであった】




           ──── そない大きなもん、飲み込めへんどす
520 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/09(土) 20:23:45.70 ID:4yJYEQXVO
>>512

悪魔、か。その通り、ご名答。さて悪魔である事は保証された。
―――だが、私はお前が人間であるという保証をしない。


【皮肉げに片眉をつり上げて、卑しい笑みを浮かべる】
【悪魔と言われて喜ぶのはこの女だけ。人であるなら殺しに躊躇いを抱いてしまうから】
【だからこそ、ファウストから見た少女は人間では無かった――死体を蹴る事もそれを強固なものにして】


――――……っ!?
(あの水、………厄介だな。変幻自在に生き物を模して操れる。
 加えて残虐な性質と来た。―――、泣き言は言えんな)


【防がれる刃、挟撃の形で迫る蟹の爪、それは爪と呼ぶより爪牙と呼ぶ方が良いだろう】
【鏡を出すには少々のラグがあって、大鎌の刃は少女に届かないなら――避けるほかない】

【柄を持ち上げ、刃先が地面に突き刺さるように大きく振りかぶるなら刃先は地面に刺さり】
【棒の部分に飛び乗り、それを足蹴に少女に体当たりを仕掛ける――酷く原始的な手段】
【そうすることによって挟撃を避けるだけではなく攻撃に転じる事が出来るのだから】
521 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 20:29:54.95 ID:FFNdco6G0
>>514

【血振り、納刀。此処まで一瞬。時間にすればその程度】
【白狐の仮面の下で深く呼吸を整える。力が入りすぎていた】
【力を込めずとも刀は斬れる。無駄な力は持久力を削ぐ、わかっている】


――――逆徒。何故、今、動いた。何故、死を急いた。担がれたか。

本当に、国を変えたきゃ、退け。人狼。
522 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 20:30:43.12 ID:QF0PnyaV0
>>498

【幾ら悪態をついても、もう青年がそれに答えることは無いだろう】
【命を懸けた、まさに決闘は、アルベルトの勝利で終わり、そしてまた彼の部隊も彼自身も、目的を果たしたのだから】

「アルベルト殿!」
「至急治療を、早く!」

【隊員達の手により、応急処置が施される】
【少々苦痛を伴う処置であるが、それ程彼の消耗は激しかったと言えるだろう】

「アルベルト殿、現在フルーソ全域にて大規模な戦闘、続行中であります」
「ディミーア殿を始め、各所に部隊が展開、テロリストとの戦闘は硬直状態に」
「指揮をお願いします!アルベルト殿!」

【部下からの報告が上がる】
【状況は、決して快い物ではないようだが】

【ふと、部下達の遥か後ろ】

「……」

【黒い櫻国の衣服、着物を身に着けた少女が無表情のままアルベルトを見つめ】
【そして、奥の路地へと去って行くのが見えただろうか?】
【少なくとも、この場に民間人は居ない、居ない筈なのだが……】
523 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 20:31:27.30 ID:uAySPBA0o
>>513

【 ──── 意外な事に彼女は、僅かばかり表情を曇らせた、高潔の中に純潔ならざるものが混じる】
【軽やかな足取りで右へ右へ、アリアが万全で無いのが功を奏した、彼女でも回避ができるレベルであろう】
【口調とは裏腹に、或いは、口調通りに、──── 彼女はまだ、勝利を確信してはいない】



    そう宣うと思っていたわ、貴女の目付きはそういう目付きですものね


支配されるのでは無く、支配する側で、
              被虐で無く、嗜虐を選ぶのでしょう、──── 本当に

                              骨の髄まで舐ってしまいたいぐらいね



【背中から出現した "空対地爆弾" が "消える"】   【正確には "血に戻る"】
【彼女はアリアを深く味わった】【ならば最早、異能すらも支配の内か】    【そうして曰く】



         【彼女は女王の様に君臨する事を、──── そう佇む】



【微笑む様に右の手を口元に当てた、貴婦人が如く澄ました表情で】
        
                               【御馳走様、と──── 小さく述べた】
524 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 20:34:50.28 ID:uAySPBA0o
>>518

【能力者達は、飛んでくる死体を視認したなら、死体へと光弾を向ける】
【ディミーアの狙い通りであった、そこに生じるのは確実な隙】

【一刀両断、容易く二人目の能力者を葬る事が出来るだろう】


『────── そっちだ』


【しかし、残りの能力者は狡猾であった、二人目の能力者の死と同時に、その方向へ一斉射撃を行う】
【およそ命というものに執着を持たない行為、──── 厄介であることは言うまでも無い】
525 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 20:36:31.42 ID:orWtOf/Ho
>>522

【治療中に痛かったりすると「いてえよ!」とか「もっと優しくしろ!」とか平気で文句を言うがそれはさておき】
【部下たちに指令を出す前に周辺に耳をすませる。その最中に路地へと消える人影を見つけた】

……竜の咆哮は聞こえねえな
お前らはクリストファーと合流して膠着状態を何とかしろ
どこでもいいから突破すれば、あとは押し潰せる。急げよ

【この指示で部下たちは必要な転戦先は理解できるはずだ】
【アルベルトは触手から降りて<ネア・セリニ>を引き連れながら路地裏へと向かう】
526 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 20:37:29.52 ID:QF0PnyaV0
>>517

「ぬあにい!?」

【ふごふごと、若干不自由になった口振りで、驚愕の声を発してみせる】
【飛ばしたのはあくまで歯、それを射撃だけで落としたのであれば】
【何たる射撃技術、何たるセンスだ】

「ッ!!??」

【だが、ここで男は一つ判断の過ちをする】
【ミレーユの攻撃が、もはや銃器のそれだけに留まるという判断】
【そして何より、先ほどの射撃、これに目を奪われたことが判断を遅らせ鈍らせた根源だった】

「――ッ!!」

【文字通り目前まで、黒炎が迫る】
【回避も、もはや傷を負いすぎた身体では、間に合わない】

「ぐあああああああああああああああああッ!!!!」

【断末魔の悲鳴とともに】
【目を射抜かれ、そして頭部を破砕、焼かれる男】
【べちゃり、とその場に高等部の消し飛んだ男の死体が崩れ落ちる】


【ミレーユにとって、目下の脅威は去ったと言えるだろう】
 
527 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 20:39:59.33 ID:uAySPBA0o
>>521


──── 何、それなりの "考え" があるんだろうよ……俺には関係ない
俺の役割は "狩人" ──── そこに、何の意思も持つ必要はない

ただ、狩りを遂行する、……それだけだ


【低い声で伝えた、理念も何も無い、──── ただの駒であることを、彼は伝えて】
【そうして、また奇妙にその鼻を何度も動かして】


──── ああ漸くだ、漸く匂いがした、こういう道理か


   "Smells Like a Teen Spirits"


【人狼が虚空に手を翳す、出現するは刀、一本ではない、五本 ──── 一度に出現する】
【間髪入れずに彼はそれを放った、地面と平行に、横に広がる攻撃であった】


【──── 同時に追走するように接近を図る、愚直だが効果的とも言えよう】
528 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 20:41:54.27 ID:IHRaMccc0
>>516

――――ッ

【返答は、予想外そのものの言葉だった。思わずその場に立ち止まる】
【ヘヴンは、明確に「やろうと思えばできる」と示したのだ。そんなバカな――――かなぐり捨てたはずの思考は、『ナート・サンダー』の足を見事に捉える】
【できるなら、しない道理は無いのだ。それが大前提だった。ましてや、今までのヘヴンの言動から考えて、相手を舐めて手を抜くようなタイプには見えない】
【ならば、何を今さら――――そう言ってしまって、構わないはずだったのに。その内容の重要性が、そう容易く切り捨てる事を許してくれない】

「っ、『ナート・サンダー』!!」
動くな!! さっきも言った通りだ……こいつに下手に干渉して、全部根こそぎ持って行かせるつもりか……!?
良いからお前は打開策を探れ!! それしか……それしか他に方法は無いんだよ!!

【たまらずラベンダーは再び射撃体勢に入る。仲間の危機を前に、何もしないなど論外だ】
【それを、『ナート・サンダー』は裂帛の叫びで阻止した。そうした果てに待つのは、結局は敗北――――それは、間違いないのだと、分かっているのだから】
【その場凌ぎを続けて、何とかなる相手ではない。ならば、何があっても正道を貫かなければならないのだ】

――――っぐぅッ!?

【そして――――ハッキリと感知した。今が正に、絶体絶命の危機にある事を】
【心胆寒からしめる、というのは、正にこれなのだろう。そう言いたくなるほどの、絶望的な悪寒が、身体に走った】
【今、自分はロックオンされている――――ヘヴンの能力行使は正にそれだと、そう理解した。だが――――】

「やはりダメです、『ナート・サンダー』!! あまりに危険が過ぎる!!」
――――悪いな、もう遅いんだ……仮に、この一撃を回避したとしても、次にはあのプリズムが発動する……
その時、俺が逃げ回って転がってるようじゃ、プリズムの無力化はできない――――アレが発動すれば、俺たちは結局、戦いを決するだけの大ダメージを避けられない……

――――『詰み』だ、ラベンダー…………すまないな、どうやら余計な事言って、寝た子を起こしてしまったらしい……

【――――動けないのだ。『ナート・サンダー』は思わず右手で頭を抱えた】
【どちらにしても、『死』なしに事態を収拾する事は、もう叶わない。そんな次元に至ってしまったらしい】
【リフレクトプリズムの対処をしなければ、自分たちは恐らく、戦闘続行を不可能にしてしまうほどのダメージを受ける事になる】
【それをさせないがために、『ナート・サンダー』が先行したのだが、その中で――――致命的に体内を抉るだろう一撃の標的として、選ばれてしまった】
【左手をぐっと握りしめ、腰に溜めながら。『ナート・サンダー』は、右手で抱えた頭が俯くのを、止められなかった】

【――――久々に味わう、これが『絶望』の味なのだ――――『ナート・サンダー』の声に、諦めの色がハッキリと漂っていた】

(――――せめて、ラベンダーだけは生かしめないと……あのプリズムの発動、溜まったエネルギーの解放だけは……)

【左手の力は解かない。そして、もう動かない。2人揃って負けるよりも、先に繋ぐべきではないか――――微かに右手が恐怖で震える中、『ナート・サンダー』は決断する】
【自分の失策で、この窮地を作ったのなら――――せめて、責任は取らなくてはならないな、と――――】
529 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 20:41:58.95 ID:orWtOf/Ho
>>524

【二人目を仕留めてから敵の動きが早かった。爆煙の中を複数の光弾が直進する】
【舌打ちしながら死体となった能力者を光弾の方向へと蹴り飛ばす】
【重合金の刃が光弾を打ち落としていくが、打ち漏らした光弾が強化服を貫いて血の尾を引く】

(判断が思った以上に早いな……こいつらが他の地区にもいると厄介だぞ)

【爆煙の中をディミーアが駆ける。煙の中に姿を隠しつつ射線から逃れる】
【同時に移動中に魔術を発動。周囲に飛び散っていた瓦礫が重力に引かれたように水平移動】
【煙の中を突っ切って能力者たちへと瓦礫が“落下”してくる】
530 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 20:45:27.83 ID:2etGakr4o
>>523

【 ──── 透き通る碧眼が瞠目した。そうして、嘆息のように色を失った。弾幕を撃ち放つ事を止めた】
【これ以上にアリアの打てる手は無かった。 ─── 立ち止まり、立ち尽くした。万事は休し、勝負は決していた】
【構えた銃口を下げ、外套の中に隠したホルスターへと納める。完敗であろう。長い睫毛の揺らぐ隻眼を、悔しげに細めて呟く言葉は】




   「 ───………… 。」「 ─── それで。」
     「喰らうだけ喰らって、どうする積りかしら。」「随分と飽き足らぬようだけれど?」



【せめて負け惜しみであるのかもしれない。 ─── 否、違った。より複雑な感情の遣る瀬であった。何れにせよ】
【女がここで戦い続ける理由は無くなった。この場は撤退を試みるのが為すべき選択であった。事実として、当て所ないように躙り進む両脚は】
【逃走経路に成り得る屋上の縁に身を進めようとしていた。それで尚も言葉を交わそうとするのは、 ─── 久しく喫する事のなかった敗北に】
【己れの全てを味合われ呑み込まれたという屈辱に、なにか見出すものがなければ、保つべきものを保てなかった。ならば、絞り出すような言葉は、愁嘆に満ちて】
531 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 20:52:07.15 ID:2etGakr4o
>>526


      「 …………─── せいぜい、懺悔しな。」


【 ──── 撃ち放った炎がミレーユの操る異能の限界となった。これ以上は眦を引き絞るだけの精神を保てず】
【脳直の補助電脳より他の課員についての状況を確認する。 ─── 2名とも生命反応は残っていたが、勝利を収められている訳ではない】


    「 ……… アイツら、苦戦してやがるのか。」


【己れの手にかけた男を顧みる事なく、 ─── 当て所なくミレーユは歩き出すのだろう。これだけの惨事であれば漫然とする事もできない】
【葬送として残したのは熱い薬莢と甘い芳香だった。未だ軽さだけは保たれる体躯を跳ねさせて、ビルの谷間に彼は消えていく】

/このあたりで!おつかれさまでした&ありがとうございました!
532 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 20:57:10.58 ID:uAySPBA0o
>>528

【正しく哀れに思う気持ちであった、"上位者" と彼女は述べた、──── それは紛れもない事実であったから】
【掌は蕾の形を示す、鮮やかな心の臓が空目してしまえる程に、それ程までに指先の動きは子細に】
【その表情に愉悦や喜悦はなかった、ただ儚げな沈痛を、胸に秘めている様子で】


  
    貴方は私に問いました、──── 何故そうしなかったのか、と、お答えしましょう
    
    それは、天国へと導くためです、ただ一方的に与えられる死は、救いでも何もありません
    感傷も感情も無く、ただ無為に死ぬ、────……それだけの事ですから


    でも、今の貴方は違います、貴方は死を覚悟致しました、それがどれ程素晴らしい事か



          ──── 今はっきりと貴方は、天国の扉を開いたのです



                          【ふわり、と表情が綻んだ、ほんの僅かな揺れ、──── それを微笑と呼ぶには、あまりにも微少】
                                                     【けれども、確かに小さな笑みである事に違いは無かった】



                        "Knockin' on Heaven's Door"




           【彼女は掌を握りしめる、──── その場を最期まで動かなければ、心臓もまた同じ様に潰されるだろう】



  【その時、ラベンダァイスははっきりと知覚する筈だ、ヘヴンの能力は "空間座標" に作用している、と】
  【物質的な隔たりや距離は彼女にとって何の意味も為さない、願えば彼女は、何にでも触れる事が出来る】


     【だが、それだけでは無い、──── それだけでは、相手の技を使う点に説明がつかない】
533 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 21:01:28.58 ID:FFNdco6G0
>>527

―――はっ。

【彼女は吐き捨てるように笑う】

カッコつけても世界は変わらんぞ。
誇り高い狼が、飼われたもんよ


【――模倣。いやそれ以上か。刀には見覚えがある】
【この人狼は身体能力だけでなくそれ以外も持ち合わせているようだ】

【しかし、私のモノが幻影とわかっているなら今更、何故それを繰り返す?】

【臭う】

【私は順手、逆袈裟で刀を切り上げ、飛翔する眼の前の刀を払った】
【手応えがないはずであった―――】
534 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:04:02.01 ID:uAySPBA0o
>>530

【クイーンは満足げな笑みを浮かべた、愉悦を最早隠しもしていない、満ち足りた表情と言えよう】
【真紅の瞳がアリアを見つめる、屋上の縁へと進む足取りを、止めようともせず】



  ふふ、まさか ──── 満ち足りた気持ちで暫くは過ごすでしょう、でも満腹は一時だけ


          良き物を食べれば食べるほど、更に良い物を求めてしまうのが性よ、それは人間も"上位者"も変わらないわ


     また満ち足りる様にと、飽くなき探究を続けるの、──── だから貴女も生かしてあげるのよ



                   次もまた、至高の一品を食らえる様に、とね




【それが彼女の言う全てであった、恍惚の表情がまま、アリアの行く末を見つめていた】
535 :キャットV ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/09(土) 21:10:47.53 ID:+7XQnRZRo
>>519

うふふ、ぼくだってこんな死屍累々な場所じゃなかったら気分ノせてもっと熱く撫でまわしてるって
伊達にガキの頃から女の子の体のイイ所探りまくってないよ、愛撫"だけ"は達人なんだからな
まあ―――残念でした!時と場所とムードと行動を選ぶんだったね!


【どうでもいい事を小粋に返しながら繰り出す一撃―――だが、打ち込む前に防がれた】
【目の前に"口"が出現し、扇の面に噛みついている!徹頭徹尾食すための口で戦う能力者なのを理解する】
【ぐ、ぐ、と引っ張っても扇が戻せない―――『三味扇』が奪われた!】

【だが、キャットVの仮面の下でドラはにたぁ、と笑っていた】


おう、おう、激しいなあ……貪欲過ぎてゾクッとしちゃうねぇ!
吸いついて離れてくれないじゃないの……謙遜するこたないでしょ、このままゴクンと飲み込まれちゃいそうだ
いいさ、そんなにねだらなくても、欲しけりゃ満足するまでくれてやる

そのまま物欲しそうに咥えてな!―――ぼくがコイツを手に入れるまで!


【その扇子を片手で振り抜いた一方―――もう片方の手を伸ばした先端から赤い"鞭"が伸びていた】
【夥しい数の死体、そのうちの一人の傍にあった『保管庫』へと"キティACT1"の鞭を伸ばして―――1本の瓶を入手した】


(明日は日曜、ミサに備えてぶどう酒の一つくらい用意してるかと思って期待した甲斐があったな―――"コイツ"があれば探れる!)

突き入れるぞ!受けとめられるかい!?――仙道ウェイブキック!!


【ぱ、と扇子から手を放して至近距離から"花魁"の腹部めがけて鋭い波紋入りの蹴りを放つ!】
【これは空振りになっても構わない、その場合は後ろの長椅子を蹴り飛ばしその反動で後ろへと飛びのくだろう】
【相手は恐ろしい攻撃翌力を持つのだ、慎重にいくべき―――だが自分の機動力と"キティ"の能力さえあれば攻略できる。そうキャットVは確信していた】
536 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:11:35.40 ID:uAySPBA0o
>>529

【ディミーアは推察する、その方向性は正しさと過ちを内包していた】
【ここまで統制の取れた集団が存在しうるか否か、──── 自分自身を省みてみれば良い】
【自身が主として活動する "自警団" に於いて、人間を訓練する苦労は十分理解している筈だ】

【だとすれば、ここまではっきりと人間の意思を棄てさせた統制は、些か奇妙に映る】


『────────』


【以外にも、瓦礫の落下に二人の能力者が巻き込まれた、突拍子も無い動きに翻弄されたか】
【煙の中に居る限り攻撃の手はかなり緩まる、──── 筈であった】



【光弾の乱射であった、──── "敵味方構わず" 光弾が煙の中で乱射されている】
537 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 21:12:35.07 ID:2etGakr4o
>>534



        「 ……… そう。」「随分と高尚な趣味である事、ね。」


【血に塗れた端整な白皙がひどく忌々しげに歪んだ。 ─── 自責か、悔悟か、絶望か、何れにせよ】
【己れを弄ばれた事は彼女にとって許し難い行為であった。狼は屈辱を忘れない。女王は屈辱を忘れない。溺れさせられた甘美な辛酸を忘れない】



      「アリア。」「アリア・ケーニギン=デァナハト。」
      「 ……… 覚えておきなさい。」「私は、貴女を忘れない。」


【夜の女王の独唱。 ──── ただそうとだけ言い残して、女/アリアは摩天楼の縁より飛び降りるのであろう】
【彼女の戦うべき戦場は最早ここでは有り得ないのだから。助くべき同志がいた。救うべき衆生がいた。生きて戻るべき伴侶がいた。】
【誇りと驕りを擲って、血塗れの白銀は消えて行くのだろう。 ─── 残したのは、夥しい血溜まりと、薔薇の香】


/このあたりでシメでいかがでしょうか……!
538 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:14:59.58 ID:uAySPBA0o
>>533


【きん、と金属音、鍔鳴るは高貴、──── あやすまでも無い極上の響き】


【実体を持っていた、確かに彼は貴女の能力を "模倣" した、──── だが】
【 "それ以上" であった、数も質も、貴女を上回るものを、彼は行使する】


──── 嗅いで喰らったなら、もう明白だ、どんな組み立て方かはな


【人狼は明確にそう言った、──── 存外フェア精神を持ち合わせてでもいるのだろうか】


いいさ、俺もお前も、皆、運命の奴隷に過ぎない
539 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 21:20:04.39 ID:orWtOf/Ho
>>536

【音や気配──もっと言えばそれ以外の感覚から爆煙の中であっても二人に瓦礫が直撃したことが分かった】
【残りは六人前後。この状況下でどういう手を打ってくるのか】
【その考えが間違いであったことをディミーアはすぐに思い知ることになった】

(なに──っ!)

【光弾が四方八方に向かって飛んでいる。狙いをつけずに乱射していることはすぐに分かった】
【味方に命中することも厭わずにこんな無意味な行動をとるのはあまりにもまともではない】
【訓練された人間の動きでさえない。まるで機械的な動作だ】

(となると……くそ、一秒ごとに状況が面倒な方向に判明していきやがる……!)

【乱射される光弾の一発がディミーアへと偶然向かい、辛うじてそれを迎撃する】
【光弾が向かってきた方角へと『導くフィデリウス』を投擲。超重量の刃が真っ直ぐにその先へと向かう】
【そのままディミーアは爆煙の中を疾走。別の位置にいる能力者を正確に捉えて、胴体に打撃を放つ。重量の乗った一撃だ】
540 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:22:52.47 ID:uAySPBA0o
>>535


抱きたいのなら他を当たってくださいまし、わっちは安い女ではござりんせん
徒に伽がれるのも、戯れに睦まれるのも、主はんにはちいとばかし早うあらはって
まずは茶飲み友達から、──── 始めはっては如何?


【彼女の身体能力自体はそこまで高くない、近接戦闘に於いてはドラに圧倒的アドバンテージがある】
【──── だからこそ、であった】


もう、主はんは乱暴やさかいに、少しばっかり、飲み下すんは、苦労しはるなぁ


【ぱっくり、と帯が割れた、──── 否、そこにまたもや出現する、口】
【扇から零れた口元がくつくつ、と笑って、蹴りをそのまま放ったなら、容易に噛み付かれるだろう】
541 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:24:41.01 ID:uAySPBA0o
>>537

【 ──── アリアが去ったのを見計らって、クイーンは一つ、小さく息を吐いた】


/大丈夫です! 少し場面転換しても宜しいでしょうか?
542 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 21:25:18.58 ID:2etGakr4o
>>541
/かしこまりました!是非によろしくお願いします。。。
543 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 21:26:25.40 ID:QF0PnyaV0
>>520

「もう、何ー?」
「感じ悪いなー、私の事嫌いなの?」

【悪魔であると言われ、それをすんなりと肯定してしまう辺り、やはりまともではない】
【否、本当に人ではない存在であるための、達観に近いのかもしれない】
【やがて、攻撃は防がれ、そして回避行動に移ることとなった】

「きゃッ!?何何なの!?」
「くうう、こんな動きが出来るなんて……」

【巨大な水のカニの鋏、これを大鎌を利用した反動と、そして体当たりのカウンターにより回避して】
【その意表をついた攻撃は、少女の身体を容赦なく弾き】
【少女はその水面の上を跳ねるように、そしてファウストと縺れる様に、転倒して】

「悪魔さん、こんな攻撃するのー?悪魔なのに?」
544 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:28:08.76 ID:uAySPBA0o
>>539

【大剣が能力者を貫いた、──── 間髪入れずにディミーアの打撃が図体を穿つ】
【倒れ伏した能力者へ、どこからか光弾がぶつかる、炎上、どうやら炎の性質が宿されている】
【徐々に煙が晴れてくる、影は三つ、──── 残り三人といったところか】


【だがディミーアにとっては渡りに舟であった、能力者単体の力はそこまで強くない】
【数の利を失った、──── ならば、後はただ屠るのみ】


【抵抗とばかりに光弾を放つ、荒い狙いだ】
545 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 21:29:18.71 ID:IHRaMccc0
>>532

――――はっ、屁理屈が上手いんだな……天使気取りの人殺しめ――――
要するに、散々甚振って殺すってだけじゃないか……この有様の、どこが『天国の扉』だよ……言ってみろ、聞いてやるから――――言ってみろってんだよぉッ!!

【諦めた声色で、しかしヘヴンの言葉には、怒りと共に否定の言葉をぶつける】
【死を覚悟したからなんだというのか――――それは、この決定的な力を行使された結果に過ぎない】
【ならば、どちらにせよ――――初めからこの力を使わない理由にならないではないか。その瞬間、ハッキリと自分は『そう』と――――心臓を捉えられたと、認識できたのだ】
【それが順序を逆転させて、そんな主張をするのなら――――結局は欺瞞、矛盾に満ちた正当化に過ぎない】

【更に言えば――――周囲の、テロ被害の光景を、ヘヴンに突きつけて見せた。この中の何人が『死を覚悟して死んだ』とでもいうのだろうか】
【ただ、恐怖と「死にたくない」という無念の中で、死んでいったに違いない死体が、そこら辺に転がっているのが、今の駅舎の有様だ】
【こんな奴に、自分たちは負けたのか――――そう思えば、なおも一層、無念と怒りが『ナート・サンダー』の中に湧き上がってくる】



【そして――――結局、最後まで彼はその場を引こうとしない。それは、彼の『意地』から来るものだった】
【結局、そんな態度をこそ、ヘヴンは喜んで殺していく――――そんな事はもう十全に分かった】
【だが、ここで退いたら、自分たちは結局ヘヴンの殺しを、認めたことになってしまう。それだけは絶対に御免だと、そう思ったのだ】
【そして――――心臓を砕かれてからの、ほんの数秒であっても。リフレクトプリズムへの対処を捨てる訳にも、いかなかった。仲間であるラベンダーの為に――――】
























「――――やはり、ダメです」
ぐあ――――ッ!?

【空間は捉えられる。だが、その心臓は空振りに終わった――――ラベンダーが、咄嗟に背後から『ナート・サンダー』の方を、光線で撃ったのだ】
【前のめりにつんのめって打ち倒される『ナート・サンダー』――――その心臓は外す事は出来たが】

な、何を……!?
「下がっていてください。今だけは、あなたが『邪魔』だ――――この場はもう、『死』に満ちている――――」

【前に出るラベンダーの左腕に、再び黒い瘴気が湧き上がっていた――――それだけでなく、周囲から、とめどなく吸い上げられていく】
【この『死』に満ちた光景そのものを、ヘヴンに叩きつけなければ気が済まないと思ったのだ。たとえ、プリズムの発動をされようとも――――】
546 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:30:01.95 ID:uAySPBA0o
>>ALL

【 ──── 貴方は見るかもしれない、破壊活動を続けていた黒衣の男が "射殺" された様子を】


【戦闘服姿の男達が小銃を片手に、次々と戦場へと流れ込んでくる、勢いよく放水された流れを思わせて】
【男達は手慣れた様子で能力者を射殺し、拡声器を用いて言葉を向けた】


『安心してください!! 私達は櫻の国の魔導海軍です!! 友好国である水の国の危機にやってきました!!』
『テロリスト達は私達が制圧します!! 皆さん落ち着いて!! 今から助けに行きます!!』


【平易な言葉遣いであった、寧ろ其方の方がらしいとも言えたが、──── 】
【事実、男達は次々に能力者達を無力化し、占拠されていた施設を解放していく筈だ】
【市民達の安堵の表情、口々に助かった、と──── 言葉を述べて】


【そして、彼らはまた、──── 貴方達の戦場へもやってくる筈だ】


【数人でグループを組んでいた、魔導海軍の部隊として、訓練された動きに無駄は無い】
【だが、些か躊躇がなさ過ぎる様にも思えた、──── プロフェッショナルと言えばそれまでだが】
【能力者とはいえ相手は人間である、もう少し葛藤しても良さそうなものであった】


『ありがとうございました、貴方達の協力のお陰で、テロを鎮圧する事ができました』
『正直言って市内は無事とは言いがたいですが……それでも、助かった人々も多いです』
『復旧活動は私達に任せてください、協力してくださった皆様には、水の国から報酬も出るそうです』


【そうして彼らは貴方達に撤退する様に促す、フルーソの中心部に戻ったなら、既に仮設テントが出来ていた】
【魔導海軍の衛生兵が治療を行っている姿が見えた、スーツ姿の人々は水の国議会の人間達か】
【仮設テントへと向かえば、テロ鎮圧に協力した能力者として報酬が貰えるだろう、組織単位の報酬は後日になるが】


【 ──── いずれにせよ、呆気ない幕閉じであった、このまま終わるのであれば】
【そこに居る面々に委ねられた、現れた彼らに、どう対応するのか】


/既に戦闘を終えられた参加者の方は、鎮圧にやってきた魔導海軍にコンタクトを取ることができます!
/戦闘中の方は介入が遅れてる、って形で戦闘を続行していてください!
547 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 21:30:36.70 ID:FFNdco6G0
>>538

【――臭ったとおりだ。――分が悪い。能力の質的に】
【だが、魔術師や能力主体のそれらとは違い、決定的ではない】
【私の術を模倣できるのなら、してみるがいい。】

【能力で作られた鈍らなど技術と名刀をもってすれば刃こぼれ1つ必要ない】


尚の事、飼い犬には勿体無い。
せめて、もっとマシな主に従事すれば良かったものを。


【仮面の下で歯噛みする。惜しい。しかし、そのために私は潜っている】
【単なる浪人のフリをして、この謀反の意を知るために此処に来たのだ】


誰かが言った。『この世界は運命と意志の相互作用で出来ている』と。
私は違う。少なくとも、私の意志は奴隷ではない。
そして、そうではない人々を知っている。

人狼よ、何故此処に居る。気高き者だと聴いていた。
548 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 21:34:03.81 ID:QF0PnyaV0
>>525

「はッ!」
「アルベルト殿、お一人でよろしいのですか?」

【部下達はやや心配げに、一人になるアルベルトを残しつつ】
【一方のアルベルトは、共となる召喚生物を連れて】
【危険多く、薄ら暗い路地裏へと向かう事となった】

「……」
「……」

【路地裏に、足を踏み入れれば】
【そこには、未だ手に掛かっていない黒衣と黒いマスクのテロリストたちが物陰に潜み】
【そしてアルベルトの姿を見るや否や、手にしたライフルを構え、或いは光弾を放って攻撃を仕掛けてくる】
【先ずは前方に二人、光弾とライフルでの攻撃が飛んでくるだろう】

「……貴方は……」

【そしてさらに前方に、少女は佇み】
【表情無く、アルベルトの姿をじいっと見ている】
549 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/09(土) 21:34:48.69 ID:UYd7PjmC0
【夜の公園。ベンチの上。そして今は二月であって、真冬のど真ん中】
【肌なんて曝け出そうものなら突き刺されるような勢いで冷たい空気にヤられる、はずであり】
【座って一休みするにも躊躇するような季節であったはず。であるなら、】
【横になって眠る人なんて極度の酔っ払いか、自殺志願者の二択に絞られようものだった。が】

…………………………すぴい、……ずび。ズーッ、…………んん、

【こいつはいた。パジャマ代わりにボロいコート。毛布代わりに新聞紙。羽毛布団代わりに段ボール】
【その三枚だけを纏って眠っているようなヤツだった。黒髪の女。全体的に肩よりちょっと上の長さ】
【だけどもみあげだけがやたら長くて、街灯に照らされる銀色。そういう、ちょっとファンキーな見た目の】

………………………………んーにゃ。むむ……ズビーッ、…………。ン゛……

【年頃はきっと十代後半、上のほうに見積もってもハタチくらい。少女を卒業したくらいのそいつが】
【時折ずびずび鼻を鳴らしつつも、――寝ていたのだ。もしかしなくても浮浪者だった】
【だってこんな空気の中で眠るのに慣れているようだった。見よ、この寝顔の自然さ、あどけなさ――】

………………………………………………いやダメだわ。眠れね。寒ィもん。

【――――意外とそうでもなかったらしい。何度目かの詰まる呼吸音のあと、おもむろに起きだして】
【被っていた紙類をごちゃごちゃ丸めて、ごみ箱にシュートする。そしたらうろうろ徘徊して】
【ふらふらと光に引き寄せられるちっちゃい蛾めいて、自販機に近寄ったら。屈みこむ、まっさらな裸足にて】
【そして――――その下のほうを探っていた。たぶん小銭めっちゃ探してる。その姿、あまりにも、みじめ――】
550 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/09(土) 21:35:01.30 ID:4yJYEQXVO
>>543

――――……語るに及ばず、だ。


【憮然とした顔を向けて、言葉短めに突き放す】
【本当に容赦なんてしないと知らしめる雰囲気】
【悪魔からすれば、少女の方がよっぽど悪魔だ。無邪気で邪悪な悪魔】
【縺れるように倒れたなら、馬乗りの要領でマウントを取り】


………さて、お前とお話する時間も終わりだ。
遺言は聞いてやらん。豚のような悲鳴を遺言代わりにするんだな。


【右手で拳を作り、振りかぶって、少女の喉元に向けて思いっきり振り下ろす】
【喉に攻撃を向けるのは、それ即ち、完全に殺しに来ているという事】
【人体の急所の一つである喉への打撃。容赦のない無慈悲なひとふり】
551 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 21:41:16.24 ID:orWtOf/Ho
>>544

(…………よし)

【ディミーアは即座に反転。精緻さの欠けた射撃を跳躍で回避】
【空中で重力魔術を発動。放物線を描くはずの軌道が急激に変更され全く別の位置にいた能力者に強襲をかける】
【脚が閃き首元を狙った強烈な蹴りが放たれる。重量が増した上に重力さえ加算された一撃は人を屠るには十分過ぎる】

【さらに死体に突き刺さった大剣が独りでに浮かび上がり、放物線のような軌道を水平に描いて】
【別の能力者へと、まるでギロチンのような勢いで襲い掛かる】

【それらの攻撃が成功したならば】
【ディミーアは着地。『導くフィデリウス』が落下するように剣士の元へと戻される】
【大剣を構えた剣士は残る一人の元へと直線で突撃。重合金の刃がその胴体を一閃する】
552 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:42:44.85 ID:uAySPBA0o
>>545

【 ──── 雫が一つ表情の水面に落ちて、少しばかり驚いた色を見せた】
【完全に屈した、と思っていた、──── 或いは、捉えた、とその感覚に間違いは無い、だが】

【予定調和を崩したのはもう一人の相方、ただならぬ精神を持つ片割れ】



    全てを救えないからこそ、私は "手の届く範囲" の人々を救っているのですが
          ──── なるほど、ですが……そろそろ時間ですね



【この戦場にも>>546で示された "魔導海軍" が姿を見せ始めた、周囲の惨状を見て、生存者がいないかを確認して】
【それを一瞥したなら、ヘヴンはくるり、と踵を返す、この場から去ろうとしているのであった】
553 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 21:43:52.67 ID:QF0PnyaV0
>>531

【懺悔も後悔も】
【はたまた、それを伝える甘い芳香のような声も】
【何もかも、物言わぬ骸と化した男には届かない】

【やがて、この場の課員の安否を確認するための通信であるが】
【まだ、二人は生存している】
【しかし、戦勝の報告は無い】
【意味する事は……即ち】

【この場を一先ず後にするミレーユ、その行く手にも新たな魔の手は迫るのだろう……】

//お疲れ様でした
//戦闘終了の方用に、院長先生が場面転換を考えております様で、少々お待ち下さい
554 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 21:47:06.81 ID:orWtOf/Ho
>>548

【路地裏に足を踏み入れたアルベルトは、次の瞬間には接敵していた】
【驚く暇もなく銃撃が敢行される。それらを<ネア・セリニ>の触手が盾となって防ぐ】

くそ、まだこんなにも残ってんのかよ
だが路地裏だっていうんなら好都合だ

<ダウ・ア・シャムス>!

【開いた魔導書から複数の光線が放たれる。数本は真っ直ぐに、数本は空間を曲がりながら進む】
【直射とそれに屈折を繰り返す光線を混ぜることで回避を困難にしていた】
【広い場所ならば上でも横でも動けるが、路地裏のような直進する通路しかない場所では厄介だ】

んだよ、ガキンチョ
どうせ能力者だろ?
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/09(土) 21:47:33.58 ID:5ncxcNdF0
>>549

【ぱちりと眼差しが一つ瞬いた、公園に植えられた木――時期になると花が臭いと大不評のドングリの木――のガサガサした葉っぱの奥の奥から】
【けれどよほどでなければ見つけることは難しいだろう。まるで森の狩人が潜むみたいに吐息すら殺していた、まして気配など、漏れ出るはずもないのなら】
【――音もたてずに"そいつ"は首を傾げた、何してるんだろうって考えた。――そうして一つ納得した、だから姿を現すのだ。――がさり、がさり、――すたん、小さな着地音】

アー……、んん、……冬は寒いから、ムシ、居ない! ユーイ知ってる、オマエ、知らナイ? 
冬はムシ、隠れて寝てる! 冬は木の実食べる、――――――、ユーイ偉いから、オマエに、あげる!

【――――なにか呆れるような声が一つした。問題はその声が、ごく、ごく、幼い子供のものであるということだろうか。それとも、一足す一を乳飲み子に語るような声であることか】
【振り返るのならは人影が一つ、――なぜだか掌にドングリをいくつも転がして、それを差し出しているシルエット。見れば顔はにんまり笑顔。――まだ五つか六つほどの、女の子】

【真っ白い毛先は好き勝手に跳ね回る癖ッ毛、まして古くボロボロになった落ち葉やらなんやらをくっつけているから、まごうことなき野生児であり】
【オレンジに少しだけ近い黄色い眼がキラキラって光って無邪気だった。――餌の取り方も知らぬ野良に"教えてあげよう"という気概が充ち満ちていた、言葉からも】
【くしゃっとたくさんのフリルをあしらったハーフボンネットと、くるぶしまで届く丈のロングのワンピース。こちらもまたたくさんのフリルをあしらって、靴もまたお上品】
【――ひどく真っ白な服装であるのに、やはり、至る所に落ち葉がくっついて。今まさにドングリの木から飛び降りてきたのだから、当然と言えば当然でありながら、】

ネテタ? 巣ナイ? ナゼ?

【――――どうにも、彼女の行為、お腹を空かせてごはんを探しているのだと思われた。らしい。だからドングリをくれているらしい。優しさは純粋無垢でも煽によく似て】
【幼子にはそんなつもり、まったく、まったく、ないのだけど――ごく不思議そうに幼子は相手のすぐ傍らにしゃがみ込むのだろう。真っ白な服、地面に引きずっても、気にしない】
556 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 21:48:33.40 ID:QF0PnyaV0
>>550


「さっきから、難しいことばっかり言って……」
「でも、お馬鹿さんだねお姉さん」
「これでおしまい、楽しませてくれると思ったんだけどなー、新しい玩具」

【短く突き放して】
【そしてそのまま、マウントポジションのまま少女に喉を目掛け、止めを刺そうとするファウスト】
【だが、この場はあくまで少女の作り出した水面の上】
【件の、殺気に満ちたおぞましい瞳でファウストを見る少女】
【背後からは、巨大な水で出来た烏賊の足が水面から伸びてファウストを捕らえ、締め上げんと迫る】
【迫る足は、4本】
557 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:49:07.31 ID:uAySPBA0o
>>547

【彼もまた興味深そうに眉をつり上げる、──── 能力を見せつけても尚、戦意が消えない】


単純な摂理さ、俺は俺より強い存在を目にしてしまった、だからそれに従う
役割を従事する事に意味合いを見つけた、首輪を付けられても、狼は狼だ


──── それはまだ大海を知らぬだけだ、蛙であることを、誰も最初は理解できていまい


【体勢を低くする、疾走、──── 再び彼はまた、貴女の刃が届く範囲へと】


俺は命を選んだ、俺が生き続けることを選んだ!! それが理由だ!!
矜持を棄てても尚生きる俺を笑いたければ笑うがいい!! ──── だが、俺はそれを選んだ!!


──── 誰がそれを、否定できようか!!



【爪を用いた一撃、単純明快だ、──── 筋力を持って刃を振う】


【迎撃されるだろう、防ぐのは異能だ、剣を出現させて攻撃を阻もうと試みる】
【一本なら容易に断ち切られる、ならば二本、ならば三本、──── 今出せる最大数を、そこに出現させよう】


【それは意思であった、──── 命を選んだ飼い犬の、僅かばかりの意思を】
558 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 21:51:47.34 ID:2etGakr4o
>>546>>553


【然るべき集合地点にてアリアとミレーユは合流を果たした。 ─── ならば周囲にて救援を自称する、異国の軍団を悪し様に見るのも道理だった】


「 ──── 我が物顔だね。 ……… まるきり内政干渉だ。しかも、このタイミング。早すぎるし、ちょうど良すぎる」
「いつからそんなにあの国とウチは仲良くなった?」「 ……… まァ、邪推なら幾らでも出来る。なら、理由だって同じだ」


【茫洋なままの勝利にミレーユは眦を細めていた。 ─── 袖の裏に隠したハンドガンの薬室には弾が篭ったままであった】
【アリアもまたそれは同じだった。決して彼らを味方とは考えていない。まして彼女らにとって、彼らは排除すべき集団ならば】


「 ……… いざとなれば、いつでも撃てるようにしておきなさい。」「言われなくても。」


【アリアが囁く。ミレーユが答える。仮に彼らが奇妙な動きをすれば即座に銃を抜く算段であった。少なくとも市民が殺されるより先に、鉛弾を喰らわせてやれるだけの隙はあった】
559 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:52:06.30 ID:uAySPBA0o
>>551

【映画のワンシーンの様であった、瞬く間に次から次へと、呼吸するのも忘れるほどの演舞】
【連撃に微塵も躊躇は無かった、それはディミーアの深い怒りを伝えてくる様で】


【──── 終幕、惨状、後に残るのは三つばかしの仮面を付けた能力者の死体、と】


【一般人と、何人かの自警団員の死体であった、──── 無造作に放置するのだろうか】
560 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 21:56:12.56 ID:QF0PnyaV0
>>554

「――ッ!?」
「……」

【光弾とライフルの弾丸は、其々触手により阻まれた】
【そして、素早く反撃に転ずる】
【この判断と、そして行動の素早さ、センスこそアルベルトが一級の戦士である事の証拠で】

「……ッ!!」
「……ッ!?」

【彼の放った光線は、物陰に隠れて退避を試みたテロリストも逃す事無く貫き焼き払った】
【屈折する光は、遮蔽物に身を隠した彼らとて、回避は艱難であった】

「……青蛾(せいが)」
「餓鬼じゃない、貴方は、この国の能力者?」

【少女はアルベルトに、そう問いかけてきた】
【相変わらず、表情は動かず、口調も淡々としている】
561 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 21:56:31.15 ID:uAySPBA0o
>>558

【疑わしく見れば見るほど疑わしさはあった、だが、同時に白と思えば白に思い込めるほどには無辜にも見えた】
【それは市民の安全確保や誘導に於いては、恙なく行われている事が証明であっただろう、些かマニュアル通り過ぎたが】
【地図を塗りつぶす様に、現れた魔導海軍は整列し制圧を行っている様であった】


『あ、すいません、──── 市民の方ですか? 怪我などは……』


【戦闘服を着た若い女性兵士であった、二人へと声をかけて、──── 寸刻驚いた様に言葉を止める】
【少なくとも特務機関の二人である、──── 顔が割れているとは考えにくいが】
562 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 21:59:39.08 ID:IHRaMccc0
>>552

っぐ……この、ただの蹂躙を、黙って見ていただけの貴様に、言えた言葉かそれがッ!!
貴様……結局、驕り昂って、好き勝手に殺してるだけだろうがッ、えぇ!? 何人がそうやって死んだ!? そして何人見殺しにした!?
言えっ、言いやがれよ!! 言えぇぇぇッッ!!

【肩を撃たれ、頽れた姿勢のまま、『ナート・サンダー』は、見栄も外聞もなく叫び続ける。もう、その様はヒーローではない。1人の人間の、怒りに満ち満ちた姿だ】
【――――何がどうあろうと、その『殺しの信条』は、このテロリズムと矛盾し、正当化できるものではない】
【そんなものの為に、世情の事態は悪化してしまった。そして、自分たちはそれを止められない――――無念が、更にその叫びを後押しして】

「――――逃げる気か、ヘヴン――――、ッ――――!?
 ――――『ナート・サンダー』、アレを――――」
ッ――――櫻の、『魔導海軍』――――、――――この機を、待ってやがったのか、畜生めが……

【去ろうとするヘヴンの背中に、力を叩きつけようとしたラベンダーだが――――その『要因』を理解して、彼女の去るのを見送らざるを得なかった】
【――――もう1つ。本当ならこちらと戦わなければならない、『真実の敵』――――それが、味方の皮を被ってこの場に姿を現したのだ――――】



>>546

【――――本来なら、滞りなく場の制圧を引き渡して、この場を去るのが道理だろう】
【だが、そんな道理で済むような状況ではなかった。彼らは、『魔導海軍』とは、明確に敵対している身である】

――――どうする、ラベンダー……?

【立ち上がり、小声でラベンダーに問う『ナート・サンダー』。一応、あの時の諍いでの戦闘で、海軍側の目撃者は、全て消したはずだが――――ハッキリとは言えない】
【増して、この状況、非常に不味いのを理解している――――『黒幕』と連なる魔導海軍に、漁夫の利を奪われかねないのだ――――】

「残念ですが、準備が整っていません――――向こうが、私たちを「絹張一行」の殺害の実行者で、厳島 命と繋がっている事を殊更に指摘してこなければ――――
 ――――残念ですけど、その場合は、向こうの調子に合わせるしかありませんね――――」

【彼らの取るべき行動は、魔導海軍側のリアクションに掛かっていると言えた】
【連なる証拠は、全て処分したはずだが、何らかの形で厳島中尉と――――明確に敵対者である事を知られていたのなら】
【――――或いは、ここに派遣された制圧部隊全てと、戦う事になるかもしれない】

【――――状況は、海軍たちの接触に一任される。『ナート・サンダー』と、『アンブレラ・フォース』の姿をとるラベンダーは、黙って彼らの到着を待った――――】
563 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/09(土) 22:03:12.63 ID:UYd7PjmC0
>>555

【ならばこいつは、よほど耳がよかったらしい。葉の擦れる音がすればすぐそちらを見て】
【うすぼんやりした灯りに照らされるすみれ色の瞳が、じいと暗闇を覗いていた】
【覗くときには覗かれる。そんなマナーだかルールだかあった気がしたが、素知らぬ顔で】
【ただほんの少しだけ、驚いてはいるようだった。獣ではなくて、ギリギリ人間であることの証】

…………………………しらなあい。さすがに蟲食べたことはねェもん。

【しかしそれの正体が、とりあえず無邪気そうなモノであるとわかれば。安心したようににへら笑って】
【「アリガトォ、えらいネエ」 器のかたちに両手を揃えて、ドングリを注いでもらうのを待つのだろう】
【自販機を漁る浮浪者に特有の倫理のなさが見え隠れしていた。ダメよ子供が、こんな時間に】
【そんなことは言いだしそうにもなかったんだから。して、つやつやのドングリをじいっと見つめていた】
【「ドングリも、食べたことはないなあ……」 ぼうっと呟いていた。そして、やっぱりぼうっとした目で見返して】

寝れなかったあ。そーね、巣がないの……なぜってそうよ、おカネがないからよ。
知ってた? 人間はねえ、おカネがないと巣作りできないのよお、……キミも巣無し?
それにしちゃーやったら綺麗なお洋服着てっけどお。なあに、どっかから逃げてきたあ?

【へくち。くしゃみひとつ、それからまた探る手つきを再開させて――「ないなあ」】
【獲物はなんにもなかったらしい。なにもせずに立ち上がる。そしたら子供を見下ろして、ふ、と息を吐く】
【じっと手の中のドングリを見て、ちょっとだけ考えて――ぱき。指の力で割ってみる】
【とりあえず喰ってみるつもりらしい。その程度には口寂しさに耐えられなかったらしい。こりり、ナマの音がした】
564 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:05:05.72 ID:uAySPBA0o
>>562

【 ──── 少なくともこの蹂躙は、一つの真実を明らかにした、天国の使いに天使は存在しないのだと】
【ヘヴンは歩き去る、一つの危機が去ったとしても、本質的な状況に変化は無いのだから】


【鎮圧にやって来た魔導海軍は、主に二つの部隊に分かれていた】
【一つは銃火器を所持した制圧部隊、もう一つは医療器具を手にした衛生兵達】

【彼らは二人の姿を確認すると、一目散にやってきた】


『──── けが人の方ですか? うわ……ひどい、直ぐに応急処置を!』


【医療器具を持った一人の衛生兵、彼はそう言って二人の傷を確認しようとするだろう】
【意外にも敵対している様子はなさそうだが、────】
565 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/09(土) 22:05:32.22 ID:4yJYEQXVO
>>556

【背後から風を切る音が聞こえた】
【捕らえられれば最期、文字通り玩具となってしまうから】
【身を横に転がして迫る足を避ける――そのついでに大鎌を取ろうとして】
【余計な動きを入れてしまったなら、結局迫る足の一つがその身を捉える】


―――――……がはっ、ッ!


【大鎌の柄を握った直後、身体を締め付けられれば漏れ出る苦痛の吐息】
【ぎりぎりと〆られる胴体に、お決まりの苦し紛れの表情、正しく少女の望む玩具】
【後は壊れるのを眺めるだけなのだろう―――そんな事、認めないなら】


(―――――――、………見縊られたものだな、それを後悔させてやる)


【ぎりっと歯を食いしばって、比較的自由の利く手と腕、それらを用いて】
【力任せに少女に大鎌を投げつけるんだった――クルクルと回る大鎌は少女の身体目掛けて】
566 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 22:06:14.65 ID:orWtOf/Ho
>>559

…………一旦、終わったか

【長く息を吐く。如何にディミーアといえど怪我を押して戦闘を続けるのは消耗が激しかった】
【だが戦いはまだ終わる気配がない。ならば止まっている暇などない】
【部下たちの遺体が目に映る。哀惜に歯噛みをした。死なせたい者など誰一人いなかったというのに】

(……それにしても)

【部下たち以上に気がかりなのは交戦した能力者だった】
【あまりにも人間らしからぬ行動。何か理由があるとしか考えられなかった】
【ディミーアは残った能力者の死体を調べることにした。そのうちの一つに近づき、装備から調べる】
567 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 22:07:03.23 ID:2etGakr4o
>>561

【 ─── わずかにアリアは、驚く対手に表情を歪めた。だがそれも須臾の事、機微の事でしかなく】
【少なくともアリアの顔貌と体躯は、魔導海軍の最上層部とヨシビ商会の人間には割れていた。だが】
【この分では要らぬ狼狽を見せるべきではないようだった。そう振る舞う術を彼女たちは心得ていた。一ツアリアは呼吸を置いて】


「市井の能力者団体よ。」「 ─── テロの鎮圧に出動していたの」
「身分証が必要ならば提示するよ。 ……… 今の状況は、どうなってるかな。市民の避難先は?」


【淡々と彼女らはそう答えた。 ─── 周囲を伺うように、アリアは通りの"匂い"を嗅いでいた。ミレーユは当惑しきりの人波を淡々と眺めていた】
568 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 22:09:26.63 ID:orWtOf/Ho
>>560

【接敵した集団の殲滅を確認したアルベルトは、未だ警戒を解いていない様子で少女と相対する】

だーかーらー、そんな化け物どもと一緒にすんなっての、ガキンチョ
お前は? …………いや、いい

【質問をした直後にアルベルトは魔導書を向ける】
【魔法陣から黄土色の飛行生物が何匹か現れて少女の周囲を滑空】
【<ネア・セリニ>の触手も少女を取り囲むように蠢く】

あいつらはお前を殺さなかった
ってことは、あいつらの仲間で俺の敵だな

【そう言いながらアルベルトは攻撃しなかった。様子を伺っているのだ】
569 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:09:31.82 ID:uAySPBA0o
>>566

【能力者の死体は黒いローブと仮面によって構成されていた、既製品であり、変わった所は無い】
【更に装備をチェックしたなら、各々が猟銃を所持している事も分かるだろう、殆ど使われてはいなかったが】
【各死体は損傷が激しく、──── 本当ならばあまり直視したいものではないだろうが】
570 :キャットV  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/09(土) 22:10:53.01 ID:+7XQnRZRo
>>540

【先にしかけてきたのそっちじゃん!と言おうとしたが、言葉の最後に出てきた内容のほうについ食らいついた】


お茶かぁ、ぼくこの間飲んだ玉露のお茶スッゲー気に入ったなあ、お茶の苦みが口に広がるその前に
まずスープでも飲んだような甘味を感じるんだよ、それが新鮮だったな……
茶菓子は最中の気分かな、つぶあん派だけど最中だけはこしあんが好きだなぁ、うぐいす餡もありだけど


【和菓子洋菓子を問わず、お菓子が大好きなドラは茶と聞くとお菓子を連想するようだ】

【すかさず攻撃を仕掛けようとしても、カウンターで凶器じみた罠を張ってくる】
【攻撃翌力もすさまじく、一撃でもモロに食らえば剛太郎のように再起不能一歩手前まで追い込まれる―――非常にやり辛い相手だったと
【実際に戦った彼も流石に戦いの記憶を語る際には青ざめていたことをキャットVは思い出した】


―――うっわ、マジでやり辛いな!! "キティ ACT1"!


【攻撃してはいけない、瞬時に切り替えるキャットVは背後の障害物に"鞭"を伸ばしてすんでのところで回避した】
【危なかった、あのまま蹴りを叩き込んでいたら足が泣き別れしていたところだ、まだ北風がバイキングを作るのは早すぎる】
【慎重な攻防に対し余裕を見せ続ける花魁をいかに叩きのめすか、キャットVは至高を巡らせていた】

【着地後コォォォ、と呼吸を整える―――すると左手に持った酒瓶の水面が波打ち始める】
【『波紋』だ―――剛太郎達が嗅覚で魔翌力を捉えていたように、ドラは攻撃エネルギーが発する波紋を自分の波紋とぶつけ探知しようとしている】
【これで不可視の攻撃でも一瞬早く動くことが出来る―――】

【ベルトの横ホルスターから、クナイのシルエットが刻印された小型のディスクを抜き取ると、ベルトの鈴部分を横にスライド】
【斜め上からぐ、と押し込んで鈴部分をかちゃりと戻し、鈴を鳴らすと―――電子音声が響くだろう】


チリリーン♪『Lynx kunai-gun Active!』


【するとベルトの中央から光の玉が飛び出し、しばらくキャットVの周りをぐるぐる回ると、彼はその中身の柄をキャッチする】
【出てきたのは柄に山猫の意匠が象られた―――忍者の持つ短刀のような武器だ。ただし、なぜか拳銃のような引き金が付いているが】
【名を『リンクスクナイガン』。引き金に指をかけクナイをガンモードに切り替えると】


うふふ、そういえばきみは銃に対してはどういう反応するのかは知らないなぁ
弾数はたっぷり蓄えてるから打ち尽くすまでたらふく喰らうといいよ、ほらぁ!!


【遠距離攻撃への対応はどう来るのかを図る時。キャットVは躊躇わず銃口を女めがけて定めると】
【4発、腹、左肩、左腿、左わき腹の順で射撃を行う、剛太郎と違い遠距離攻撃の装備も用意しているようだ―――】
571 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 22:11:21.62 ID:QF0PnyaV0
>>546>>ALL

【その部隊は『たまたま』水国軍港へと停泊していた、櫻国魔道海軍演習艦隊の物だった】
【昨今の友好と、そして数ヶ月前の『市街混戦事件』の対応を考えれば、この流れも自然なものかもしれない】
【総旗艦:戦艦『山城』】
【随伴戦艦:雷装戦艦『尾張』『肥後』『駿河』】
【空母:『翔鶴』『瑞鶴』】
【重巡洋艦:対空巡洋艦『蔵王』『磐梯』ら5隻】
【軽巡洋艦:『阿武隈』ら5隻】
【駆逐艦:『夕立』『時雨』ら10隻】
【この編成での艦隊より、派遣、編成された海兵達が、フルーソ市街へと雪崩れ込む】
【実に鮮やか、いや、余りにも鮮やかでスムーズすぎる展開により次々と駆逐されて行く】
【戦いを終えた、或いは生き延びた者であるならば、接触が可能だろう】
【治療と、そして肝心となるであろう報酬もまた】
572 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 22:12:09.61 ID:orWtOf/Ho
>>569

(装備は何の変哲もない……それどころかあまりに簡素だ
 となると、何かあるとすれば体内か。見て分かるものかどうか……)

【ディミーアは大剣を持ち直して死体の胴体部を切り開く】
【もっとも、彼に解剖学の細かな知識はない。素人でも見て分かるような違いがない限りは】
【それに気がつくことはできないだろう】

【いずれにせよ、彼は部下に連絡を取ってここにある仲間たちの遺体と】
【能力者の死体の両方の回収を試みるだろう。何かの証拠には使えるかもしれない】
573 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:13:40.51 ID:uAySPBA0o
>>567

【女性兵士は少しばつが悪そうに視線を逸らして、──── 曖昧な返事をした】
【ちらちら、と二人の顔を見ては暫し放心するような雰囲気で、──── 無理も無い】
【アリアもミレーユもモデル顔負けの美人であった(一人は美男)、一般の女性兵士には刺激が強い】


『あ、そうでしたか……!! それはご苦労様です、出動が遅れて申し訳ございません』
『いえ、身分証は大丈夫です、──── 市民の避難先へ来られますか?』


【緩やかな川の流れに似ていた、困惑しつつも、少しずつ、元の流れを取り戻している】
574 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 22:16:07.81 ID:IHRaMccc0
>>564

……殺してやらなきゃならないな、必ず……あのヘヴンの奴を……!
「――――道理です。あんなのに、のさばられていては――――『兵器』の名折れですから――――」

【名残惜しそうに、背後を振り返る2人。ここで決着とならなかった事は、幸運だった。そうなれば、自分たちの死が確定していたのだから】
【だが、それを喜ぶ気になれない――――アレは間違いなく『悪』であり、自分たちは敗れたのだという現実があるのだから】
【――――再戦を、固く心に誓う。このまま生かしておいてはダメだと――――萎れかけたヒーローと、人の道を失った兵器は、言葉を揃えていた――――】



「――――――――ッ」

【海軍部隊の到着に、ラベンダーは元の人間の姿に戻る。そこでようやく、どれくらいの負傷だったのかを理解した】
【着ているワンピースのあちこちに、裏側から血が滲んでいる。どうも、体中にひどい裂傷を負っているようだ】
【無論、肩を撃たれた『ナート・サンダー』の傷も安くはない。彼らはそれぞれに、激戦を経てきたのだと一目で分かるのだが】

――――俺たちは最後で構わない。それよりも、まだ息のある人達……それに、傷を負って逃げ延びた人たちを優先してくれ……!

【『ナート・サンダー』の姿のまま、彼はぞんざいに周りを指さす。まだ、生存者はそれなりに居るかもしれないし、そうであっても重症を負っているのは間違いない有様だ】
【戦士である自分たちは、傷など慣れたものだが、一般人にはそうもいかないだろう。そんな言葉を、ヒーローらしく口にして見せて】

(……ラベンダー、言うまでも無いが、油断するなよ……?)
「(そちらこそ――――)」

【ぴったりと身体を寄せ合い、小声で意思疎通をする――――時間を稼いだのは、彼らのリアクションを見極める為】
【そして――――何らかの作意がある場合に、それを見抜くためだった】
575 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:19:19.47 ID:uAySPBA0o
>>570

【 ──── 遠距離武器である "クナイガン" を目視して、彼女の顔色が変わった、些か不機嫌そうに】


こない可憐な乙女捕まえはって、銃で打たはるんはどうでしょ、──── あんまりええとこやござりんせん
せやさかいに、──── っ……!!


【扇で口元を隠す、腹部等に出現していた口が消える、──── だが、攻撃の範囲が広い】
【左半身への攻撃を避けきれず、体勢を崩す、滴る血液が幾許か】


【──── だが、不可視の "口撃" も同時に行える、狙うは "クナイガン" 本体】
【殺気は感じる、しかし、本人への殺気では無い分、気付くのが遅れるかもしれない】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/09(土) 22:19:37.74 ID:5ncxcNdF0
>>563

【すたりっ。――馬鹿正直に飛び降りたなら、下手すれば足首を痛めておかしくないような高さから降りた"彼女"は、そのまま、薄っぺらく衝撃を殺して】
【すみれ色とオレンジがかった黄色とが見つめ合うのなら、互いに敵意が無いと通じたのだろうか。ごく野性味あふれる幼子は、悪いものだと判断したら、きっと逃げていたから】

ンン――? ノラニンゲン、バッタ、食べナイ? ユーイ、バッタ、食べる。……ァ、イスラ、フィールの前じゃ、食べナイ。
オヤツ、買ってくれる! いすらふぃーる、ユーイに、オヤツくれる。バッタよりオイシイ。

【ずいぶんとひどい呼称であった、他者を指しノラニンゲンだなんて。――それでも、両手のお皿が用意されるなら、五つのドングリ、きちんと、全部そちらへ移し】
【バッタとかは食べないのかとごく真面目な声が聞いていた、――幼子(おそらくユーイという名前なのだろうけれど)はバッタを食べるらしい。そうして多分、ある程度は好きだけど】
【"イスラフィール"。その人物と一緒であれば、オヤツを買ってもらえるから、バッタを食べる必要はないらしい。――。ならばきっと趣味のドングリ、だって全部あげちゃうくらい】
【食料に困窮している様子は見えなかった、――なんて?】

あー。あと。ジャム! ユーイ、ジャム好き。アカイ色、パンつけて食べル、――オカネ? ユーイ、お金なくても、巣、作れる!
――ユーイ、イスラフィール、の、家、巣にした! エンと、オモチと、アンコも居る。ユーイ、群れのボス、セキニンある!

【――それからジャムも好きらしい。赤いジャムをパンにつけて食べるらしい。にんまり笑顔はごく無邪気な色合い、頬っぺたの泥汚れもアクセントにして】
【やがて不思議そうに表情が陰るなら、自分はお金などなくても巣を作れると――断言するんだろう。そして聞かれれば、ごく真面目な色彩にて、そう答えるのだから】
【おそらくイスラフィールという人物がこの幼子を拾ってやった人の名前であるのだろう。どうにも覚束なく呼ぶなら、どうしたって言葉が堪能でないのを証明しながらも】
【エンやらオモチやらアンコやらはさておいて、――人の家を自分の巣と勝手に定めているらしいのは間違いなさそうだった。群れのボス(自称)。胸を張ってみせたら】

ウマイ?

【つやつやした外皮には薄っすらと縦筋が入っていた。それを爪先で割ってみるのなら、中身はきれいな木の実色。おそらくは、木の上、どこかに積もっていたものらしいなら】
【齧れば、――――、やっぱり生なんだけど、いわゆるドングリのような渋みは薄いだろう。そういう種類であるらしい。ただ――、人間の食事としては、いささか、文明から遠い】
【せめて軽く炒るでもすればもっとおいしく頂けるのだろうなあという味わい。――それでも幼子は得意げに笑んでいた、ボスたるものの風格を兼ね備えて(――はいないけど)】
577 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:21:17.17 ID:uAySPBA0o
>>572

【──── それは一目見て分かる違いであった】


【切り開かれた胴体部、否、切り開く前にその皮膚の色を見て察するだろう】
【 "黒い" 皮膚をしていた、──── まるで、そう、通常の人間では無いような】
578 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 22:22:02.77 ID:2etGakr4o
>>573

【幾らか当惑するような対手の表情に、何かアリアは納得したようだった。 ─── 煙草の香りがしないのならば、それでよかった】
【間違いなく櫻国の動機は善意ではないだろうが、2人が今相対する彼女らはそうでなかった。電脳通信による秘匿無線会話で、声を出す事なく2人は言葉を交わす。】

( …………… ダメだ。てんで連中の狙いが解らない。マッチポンプって線じゃ浅すぎるかな?)
( ─── 一応、市内にいる戦闘可能な課員を、中心部に集めておきましょう。秘匿回線で通信を。)
(了解。 ─── ヤバくなったら急いで逃げろって命令しておくよ。)

  「 ……… そうね。奇襲が無いとも限らない。」「行くだけ行ってみよう。この分じゃ、出る幕もなさそうだけど」


【表向きはそうとだけ告げて、2人もまた誘導に従うのだろう。 ─── 今に適切な行動を取る必要があるのだと、内心の焦燥だけは2人とも変わらない】
579 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:24:18.27 ID:uAySPBA0o
>>574

【衛生兵はやや躊躇していた、優先度的に、二人の怪我はあまりにも大きい】
【だが、ナート・サンダーの口にした "ヒーローらしい" 言葉に、少なからず感銘を受けたようだ】
【もつれ気味の舌で、はい、と言って、──── 市民のいそうな場所へと駆けていった】

【迅速な対応であった、その手際にはあまり怪しい所はなさそうであったが】
【ある種スムーズすぎるとも言えた、けが人の対応も淀みない】
580 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 22:24:51.49 ID:QF0PnyaV0
>>565

「よし!さすがクラーケン!はい、お人形さんの出来上がりー!」
「さあって、どうやって遊ぼうかな?」

【ギリギリと、強靭な力を持って締め上げる】
【苦しみもがく様子を、きゃっきゃと喜んで見る少女】
【足をばたつかせ、なんとか足を解こうともがけばもがくほど、少女の顔には残虐な笑顔が満ち満ちて】

「さあ、クラーケン、先ず骨を一本づつ圧し折って……きゃあッ!」

【そして、まさに苦し紛れの一撃だったのだろう】
【大鎌が少女に向けて飛来する】
【それは、少女を傷つけることは無かったが】
【少女の手にした、魔導書を貫いて、そして工場の床に縫い付けて】

「あ、ああ……ほ、本が、私の本がああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

【さすれば、足元の水面も、そしてファウストを締め上げていた水の烏賊も消え去って】

「あ、ああ、ああ……」
「きゃあッ!」

【本を拾おうとした少女だが、悪魔の大鎌は深く深く、床に突き刺さり少女の力では抜けずに】
581 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 22:25:51.69 ID:FFNdco6G0
>>557

―――なら、私が勝てば、従うか。人狼。

【仮面の下、伝わることのない笑みを浮かべる】
【久しく、武人と手を合わせていなかった。ようやく、武を感じ取った】

生きることを誰が責めようか。何事も、死んだら仕舞い。

しかし、貴様の選択は選んだと言い難い。『立ち止まっただけだ』


【彼女は居合の構えを崩さない。片手で軽く回し、脚を一歩退く。】
【剣術は力ではない。柔よく剛を制すを体現する。合理化の極地にある】
【自身に力がないのなら、借り受ければいい。刀の重み、人体の構造、遠心力、重力ときには相手の力すら】


―――ようやく吠えたなッッ!!


【爪の一撃を、鞘ごと彼女は抜き、棟で受けようとした。木製のそれは打ち砕け、握った左手に刃が食い込んだ。】
【木片と、血飛沫が舞う】

【しかし、まともにそれを受ける無策でない。体のバランスをわざと大きく崩し、体を回し、それを受け流そうとする】
【刀の反りに合わせて相手の攻撃を滑らせる。そしてそのエネルギーを反撃に利用する】
【まるでフィギュアスケートのスピンのように無茶な体勢から無理やり回り切る。さながら、舞だ。】

【低く飛ぶ燕のように、『飛燕』】

【反撃は力ずくだ。遠心力で刃を叩き込む。一本――――二本――――三本――――】


―――反旗の旗手はこの私よ。腐ったドアを蹴飛ばして、世界を変えるのは。
どうせ死ぬなら正義に殉死してやる。

【――――折りきれなかった。片腕では威力は足りず、この技は未完成であった】
【一撃必死の敵の攻撃を回避することを優先し、今一歩、攻撃しきれずに体力は消耗していた】
【チキチキ――と刀を持つ手が震え、息を荒げていた】
582 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 22:28:19.37 ID:orWtOf/Ho
>>577

……何だ……これは?

【黒い皮膚。黒系の人種ではなく、黒化した皮膚が目に飛び込む】
【思わず眉根を寄せる。予想していたことではあったが、やはり普通の人間ではなかった】
【であれば一体何なのか。重要なのは“どこの誰がこんなことを始めたのか”ということだった】

【驚愕に固まるディミーアの元に『ヴィセリツァ』の部隊員たちがやってくる】
【ディミーアは仲間の遺体の回収と、黒い皮膚を持った能力者の死体の回収を命じる】

(ただのテロ活動だと思っていたが、どうやら想像以上に厄介らしいな)

【事後処理は部下に任せ、『導くフィデリウス』を背中に格納してディミーアは移動を始める】
583 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:29:13.78 ID:uAySPBA0o
>>578

【少なくとも、あの煙ったい男の雰囲気は無かった、──── そしてアリアの推察は正しい】
【上がどんな思惑を持っていたとしても、現場で働く者はそれに従っているだけなのだから】
【女性兵士は少し上気した頬で、先導するだろう、だが ──── 】


『待ちなさい、──── そっちの二人は、此方へ来て貰えないか』


【女性兵士を呼び止めたのは一人の男であった、高級そうなスーツを着た中年の男性】
【軍隊の人間とは違っていた、寧ろどことなく、権力の匂いを漂わせて】

【 ──── 水の国の議会の人間である、とデータベースにアクセスしたなら直ぐに分かるだろう】
584 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/09(土) 22:33:07.00 ID:UYd7PjmC0
>>576

バッタ食べなーい、なんだっけ、食べられる蟲……イナゴ?
あれは食べられるのかもしんないけどお。……そお、ふーん。
オヤツ買ってくれる人がいるのになんで外出てんの? 寒いじゃん。

【そういう口ぶりであるのなら、こいつには「買ってくれる」人がいないということ、らしく】
【ついでに巣のなかまもいないよう。兎は寂しいと死ぬというのは真っ赤なウソであるらしかった】
【こりこりドングリを噛みながら、ふんふんとこれまた生っぽい返事を返す。したら、味が鼻から抜けるから】

…………ジャムよりは絶対おいしくないねえ。思ってたほどまずくはないけど……
そ。ユーイって言うの? じゃああたしはギンコ。ギンちゃん。って言うんだけどお、まあいいや。
責任あるボスが巣をほったらかして遊んでていいのお? そのいすら? ナントカって人がさあ、
ボスがいなくなって困ったりしてるんじゃないかナア……知らないけどお。

【味としてはアリよりのナシらしい。とりあえず吐き出したりはしない。飲み込むのにも躊躇しない】
【胃腸はそれなりに強いみたい。というか弱かったら浮浪者やってらんない。いろいろ事情はあったけど】
【それをこの子に話してもどうしようもなさそうだから――だから巣の事情を訊いてみる】
【長がいなくてもやっていける群れって、そんなのアリなの? みたいな聞き方。ドングリの殻を捨てて】

はー。ンにしても最近ツイてないや、ぜんっぜん稼げないし……ユーイはいいねえ。
オヤツくれる人がいる巣にいるんでしょ? いいなあ、ギンちゃんもいっちょ終の棲家探しの旅に出るかなあ。

【靴もなんにも履いてないまっさらな素足でそれを踏みにじったりしていた。やること、あんまりないらしい】
585 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 22:34:03.06 ID:IHRaMccc0
>>579

(……どうだ、なんか変な兆候は見えたか……?)
「(――――今のところ、特には――――)」
(そっちもそうか……一応プロの俺からしてもそうだよ……
 ――――もしかして、現場は何も知らされてないって奴かね……?)

【案外素直に言葉に従う衛生兵。そして周辺の様子を見るに、不審なものは感じられない】
【それだけに、気持ち悪いものを感じていた――――魔導海軍である以上、そこに作意がないはずがないのだ】
【だが、そうしたものを漏れ出ないようにするために、現場は何も知らないという可能性がある――――思えば、絹張一行も、小規模チームで動いていたのだ】

(……仕方ない。中央の救護所とやらに、顔を出してみるか……)
「(――――いざという時、『ビジョン』ならすぐに使えます。逃げ延びる程度は、問題ないはずですので――――)」
(……頼りにしてるぜ、ラベンダー)

――――本隊みたいなのがあるんだろう? 俺たちはそこに行く事にするよ……移動くらいは、まだ出来るからな……
「――――ここの事、頼みます――――」

【胸中で覚悟を決めて、2人は中央の仮設テントを目指して移動を開始する】
【――――基本的に、裏に回れば敵である以上、どこで正体を掴まれているか分からない。警戒だけは、厳に――――】
586 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 22:34:20.90 ID:QF0PnyaV0
>>568

「餓鬼じゃない、と言っても聞かないのでしょうね」

【半ば諦めた様な口調で、少女は答えて】
【そして、次には飛行生物と触手がぐるぐると少女を囲んで】

「……状況が変わった」
「直に、貴方にも解る時が来るでしょう」
「その時に、また会いましょう、魔術使いさん」

【ここで少女はクスリ、と僅かに、始めて表情を動かして微笑んで見せて】
【次の瞬間には、霧と青い蛾が数匹その場に舞うだけであった】


「大丈夫ですか?」

【唐突に背後から声が掛けられる】

「ご無事ですか?テロリストの殲滅を依頼されていた民間の方ですか?」
「水国政府の要請に従い出動しました、櫻国魔導海軍です、怪我の手当てと報酬をお渡しします、こちらへどうぞ」

【見れば、カーキ色の水兵服の一隊がそこに居て】
【肩口の意匠は、櫻に錨、櫻国魔導海軍のそれに間違いは無く】
587 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 22:36:20.07 ID:2etGakr4o
>>583

【権力に嗄れたような声を2人は耳にした。 ─── あからさまに白皙と血染めの顔貌を曇らせて】
【先導をする彼女には、申し訳分の立たぬ横顔で背を向ける。そうして】


「 ……… ゴメンね、ちょっと失礼する。」「場所だけ教えて貰えるなら、後で向かうわ。」


【アリアはそう告げ添えて、 ─── 避難所の位置だけは聞き出しておくのだろうか。そうでなくとも】
【いずれにせよ2人は改めて、政治家と思しき男と相対するのだろう。権力に気圧される挙措ではなかった、】


「 ─── 何の御用かしら。」「ここもまだ安全とは限らない。アナタを守る面倒はしたくないんだけど。」


【「急ぎの話じゃないなら、落ち着いてからしてもらいたいな。」 ─── 訝るようにミレーユは告げた。ごく不遜ではあったが、互いに合理的な選択でもあった】
588 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:37:39.56 ID:uAySPBA0o
>>581

【爪が皮膚を捉える、肉を抉る、──── 誇りを棄てても尚、生を選んだ刃は重い】
【人狼は刮目した、その女を、木片と血飛沫に濡れた、狐面の先を、見果てようとした】


ふん、良いだろう!! だが、俺の爪すら止められない貴様に勝てる道理などあるのか!!
生き続ける事に意味がある!! ──── 少なくとも、俺が生きていれば、可能性は絶えない

だからこそ、俺は生きる選択肢をした、それを貴様に否定できるのか!!


【爪の一撃に愉悦が滲む、──── すかさず体重をかけたのが仇となった、前のめりに体勢を崩す】
【身体能力で勝っていても技量に大きな差があった、舌打ち一つ、思い切り身を捻り】
【返す刀、──── 羽ばたく燕の尾に、確かな敗北を、寸刻感じてしまった】



【だが、折れぬ】    【──── 舌打ち一つ、ついたのは相手か、自分か】



──── 青臭いガキの発想だな!! この俺一つ倒せないで、何が世界をかえるだ!!
正義に殉死するだと? 笑わせる、理想を抱いたまま、死んでいけ────!!



【再び地を強く踏みしめる、当てさえすれば良い、女の刀と一緒だ、彼は身体そのものが研ぎ澄まされた刀剣とも言える】
【振り絞る、顔面を握りしめる様に、再び右の手が女を襲う】
589 :キャットV ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/09(土) 22:39:07.22 ID:+7XQnRZRo
>>575

【―――当然、仮面の下でニタァ、と最低の笑みを浮かべていた】
【相手の嫌がる事をしてこそ兵法である……ドラはそれをよく存じていたため、突破口を見つけた時ドラはスカッと爽やかな幸福感を感じずにはいられなかった】
【剛太郎は武闘家、銃の腕はポンコツ―――そういう相手には彼女はまぎれもなく"天敵"だったのだろうが】


へぇ……?へーぇ?どうしたのかなぁ?
カウンターが得意なのは剛太郎から聞いてたけど、もしかして飛び道具は苦手だったりするぅ?
これはアイツにいい報告ができそうだねぇ!まだ出したりないし、満足するまでブッ放し―――いたぁ!!


【突如、酒瓶の水面に現れた相手の波紋、だが間合いが妙だなと感じた瞬間反射的に動いたものの】
【―――反応の遅れのツケとでも言わんばかりに手のひらに痛みが生じる、手放したクナイガンは空中で粉々に噛み砕かれた―――!】
【また飛び道具を奪われた―――はずなのに、彼の動きにまだ動揺が見られない―――?】

【――突如、キャットVの仮面がパカッ、と上向きに開きドラの幼さが見える顔が露わになった―――この装備仮面開いて顔を露わにできたのか!?】


おおっと、変幻自在で百戦錬磨なぼくの攻め手は一つだけじゃあないんだな!
クナイガンを壊したからって調子に乗るなよ!実は―――こっちの手に握った"瓶"も飛び道具扱いなんだよね


こんなふうに飛ばすのさ!―――『波紋カッター』!!!


【顔を見せるなり―――彼は酒瓶の口を咥え中の酒を口に含んで―――】
【波紋を込め強化した顎の力で歯と歯の間の酒に圧力を込めながらパパウ パウ パウ!と三発の丸ノコ型水カッターを発射した!】
【メスよりよう切れる!狙いは彼女の右肩、右腿、―――プラス左頬をかすめて顔に傷をつけるいやがらせ付きだ!】
590 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:39:45.18 ID:uAySPBA0o
>>582

【ディミーアが移動した先は元の大通りであった、──── 見慣れぬ人間達が多数いた】
【魔導海軍の者である、と拡声器を通して伝えられる放送が伝える、──── テロの鎮圧に来た、と】

【彼の元へと若い兵士がやってきた、その怪我の具合を尋ねるように】
591 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 22:41:17.52 ID:orWtOf/Ho
>>586

【少女が何かの動作を見せた瞬間、滞空していた飛行生物と触手とが一斉に襲い掛かる】
【しかしそのときに少女はすでに姿を消していた。空ぶった触手が路地を破壊して砂塵を舞い上げるだけ】
【アルベルトが舌打ち。飛行生物たちは路地裏を飛び回って次の獲物を探し始めていた】

櫻国魔導海軍だぁ?

【現れた救援──少なくとも表面上は──に対してアルベルトは怪訝な表情を浮かべる】
【政府の要請に従う別の国の軍隊というのは、どうにもきな臭い。ディミーアからも少し話を聞かされていた】
【一瞬の静寂。アルベルトは思考を瞬時に終えて、下卑た笑みを浮かべた】

おーおーおー、遅いじゃねえかお前らよぉ
お前らがとっとと来てくれねえから俺は死にかけるし市民も死にまくっただろぉが
こりゃ報酬はたんまり貰わねえとな。ついでに俺たち『ヴィセリツァ』の功績もちゃんと広めてくれよぉ?
部隊単位で動いてたのは俺たちだけなんだからよぉ、分かってんのかぁ?

【怒涛の勢いで文句をまくし立てながら、指示に従う素ぶりは見せる】
【治療しようとするならばそれも拒みはしないだろう】
【ただし、<ネア・セリニ>と<ファムマ・ティ>の召喚は継続されたままだった】
592 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:41:52.71 ID:uAySPBA0o
>>585

【中央へ移動しても状況は殆ど変わらない、──── 彼らに対して訝しむ視線を向ける存在は居なかった】
【だが、中央の仮設テントには何人か見たことのある顔がいるだろう、スーツ姿の男達】
【二人がニュースなどで国会中継を見ていれば、水の国の議員である事が分かるはずだ】
593 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/09(土) 22:42:28.87 ID:4yJYEQXVO
>>580

――――――――づ、ぅぁ………
(マズい、脳に酸素が回らん。………下手を、打った、…か)


【みしみしと身体全体がきしむ音、ファウストの身体を蹂躙する烏賊の足】
【不穏な音に歓喜の声を上げる少女を射殺す様な目で睨めど、それは届いたって意味のないもの】

【苦し紛れの投てきだって、意味のない―――否、意味はあった。意味が生まれた】
【魔導書を貫いたから。悪魔の揮う大鎌はさながら聖人を殺した聖槍のように】
【魔力の源を断てば、水たまりも烏賊の足も消えて、息を吹き返す―――悪魔、降臨】


がはっ、がはっ、―――……ごほっ。
よくもまあ嬲ってくれたものだ、遊び道具を取り上げられた程度で…狼狽えるな。
だから子供だというのだ、言ったろう―――死を弄ぶ者には相応の末路が待っている、とな!


【歩くような速さ、その足音は死者への手向けに似て。生きるものを殺す為の一里塚】
【酷く血腥い黄泉平坂―――やがて、ファウストは少女に肉薄して、少女の頭をがしっと掴んだなら】
【大鎌の刃、その内側に顔を押しやる。力任せで品性に欠ける死刑執行――この構図は断頭台に似ていた】


      ――――無明の淵でよく識るといい。お前の罪の在り方を、なッ!!


【死刑宣告に等しい言葉。激情の中に潜むのは少女と同じ、いやそれ以上に悍ましい残虐な笑み
594 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:44:52.59 ID:uAySPBA0o
>>587

【口頭で女性兵士は避難所の場所については伝えた、──── 迷うこと無く着けるだろう】
【不遜な物言いに政治家は些か不満げであった、不機嫌そうに咳払いをし】


『ふん、何処の所属かは知らんが好き勝手言いよって……まあいい』
『一体どうなってるんだこの国は、いきなり能力者による大規模なテロが起きる始末だ』

『あんたらに声を掛けたのも他でもない』  『強いんだろう?』


『ボディガードにならんか? ──── 報酬ははずむぞ?』
595 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 22:44:59.54 ID:orWtOf/Ho
>>590

……魔導海軍?

【救援と鎮圧にきた彼らを見たディミーアは表面上は不思議そうな顔をしてみせた】
【当然、それらは彼にとって味方などではない。水の国の政府に与するのであれば尚更だ】

……具合は見てのとおり、そんなに良くねえな
どれぐらい人員を連れてきたんだ? それなりに敵の数は減らしておいたが
それと指揮官はどこにいる? 臨時の発令所は?

【やってきた若い兵士に矢継ぎ早に質問を投げつつ、大通りを進んでいく】
【とはいえ、聞き出した情報が役立つかはかなり怪しい状況だった】
【いくら『ヴィセリツァ』が特務部隊で精鋭だったとしても、一国の海軍相手にここで戦闘が行えるほどではない】
596 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:50:22.23 ID:uAySPBA0o
>>589

【ドラの推察は効果的に当たっていた、少なくともこの少女にとって、遠距離は天敵とも言える】
【身を犠牲にしクナイガンを破壊できたが、変幻自在の闘法に困惑したのも事実であった】
【右肩、右腿、──── そして頬、付いた傷跡は中々に深い】


っ……はぁ……んぅ──── あぁ、痛い、痛いわ、じくじく、と痛まはって
わっちの身体を傷つけて、主はんは悦ばはって、それはなんと、趣味の悪う事


──── こない肉体なぞ、脱ぎ捨てとう、ならはるなぁ


【 "咀嚼音" ──── 骨を砕き、血を啜る様な、歪な音色が響いたなら】
【彼女の身体が、見る見るうちに消滅していく、──── まるで、巨大な獣に、食い散らかされたかの如く】


【そうして、瞬く間に、彼女の身体が消えてしまって ──── 】



【再びの "殺気" ──── その場から飛び退かなければ、右肩を "食いちぎられる" 】
597 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 22:51:13.91 ID:IHRaMccc0
>>592

(っち……大物か……誰が『黒幕』派で、誰が『円卓』派なのか、これだけじゃ分かり様も無いからな……)

【臨時本部といった趣の仮設テントにたどり着くと、目を引く数人の男たち】
【それを横目に、『ナート・サンダー』はバイザーの奥で眉を顰めていた。この状況、水の国の人間であっても、誰が敵で誰が味方なのか、分からないのだ】

――――この子の応急処置を頼むよ。『UT』の人間だ……
「――――『ナート・サンダー』、あなたは――――?」
俺は、肩の傷と内臓打撲ぐらいだろ……こんなの、そう気にする事じゃない。それよりも、君の全身の裂傷の方が先だ
(……安心しろ。もしもの為に、俺は待ってるんだ――――)
「――――じゃあ、すみませんが応急手当だけ、お願いします――――『UT』に戻れば、本格的な治療は手前で受けられますから――――」

【そして、敢えてラベンダーだけを治療させる。当然――――2人同時に手が塞がるをのを防ぐためだ】
【公的な身分を明らかにしたラベンダーなら、まず邪険にされる事はないだろう。その間に、『ナート・サンダー』は自分が警戒を受け持つ考えだった】

【とは言え――――『UT』の少女に付きそう、あからさまなヒーロースーツの男は、相応に目立つだろう】
【彼自身も、あくまで物珍しさでキョロキョロする、程度にカモフラージュした動作しか、出来なかった】

(――――本丸って奴がいるなら、ここに間違いない……これでめぼしい情報が取れなきゃ、今回は諦めた方が良いのかもな……)
598 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 22:52:07.63 ID:2etGakr4o
>>594


      「 ─── 否定はしないわ。」


【鷹揚にアリアは頷いた。 ──── だが徐に語られる男の提案には、隠す事もなく2人とも、極めて訝しげな表情を隠しもしなかった】


「この状況で?」「 ─── 訳の分からない事を言うね、アナタ。悪いことは言わないから、とっとと国防総省のシェルターにでも引きこもんな。」
「それに悪いけどお金には困ってないんだ。ウチは金払いが良くって。」「 ……… どこの誰だか知らないけれど、身を守りたいなら然るべき場所に行くのが筋だよ」


【並べ立てるだけ並べ立てて、ミレーユは言葉を待った。対手が何者であるのかを見極めようとしていた。「 ……… 安全な場所に案内するくらいなら、無償でしてやるよ」】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/09(土) 22:52:10.24 ID:5ncxcNdF0
>>584

ユーイナワバリ見に来た! エサのある場所も見る。――イナゴ、イスラフィールが、買ってくれた、――――ツクダニ?
サクラの国から来た、でも、ユーイ、アレ、キライ! しょっぱい。べえ――。入ってたヤツ、オモチが取った。ユーイが欲しかった!

【寒い中に出歩く理由は単純明快、ナワバリの確認らしい。――野良猫と行動原理がきっと一緒だった。だからといって、寒い夜に出歩くことなどなかろうに】
【けれどあんまり気にしていないらしいから、寒さはあまり苦でないタイプなのかもしれなかった――なんて。正解は分からぬけれど、とりあえず本人は気にしていなさそう】
【――そうして、イナゴの佃煮はどうにも苦手らしかった。櫻よりわざわざ取り寄せておきながら、しょっぱいから嫌い。佃煮とはそういうものだとも、きっと知らないから】
【べぇっと出したべろの赤色、夜に真っ白い息を吐きだしたら。入っていた奴――きっと多分ダンボール――は取られてしまったらしい。むくれた色でほっぺたを膨らませたら、】

ン。ギンコ。ユーイは、ユーイ。アー……、リザルトリクスのユーイ。偉い! エンも、オモチも、アンコも、ニンゲンの言葉、喋れない、ユーイは、喋れる!
ユーイお勉強した。だからユーイ偉い! ……ア? イスラフィール、オシゴト? 忙しい! ユーイ、だから、ナワバリ、見に来た。
巣だけじゃダメ。ギンコはナワバリ、ない? 

【こくんと一つ頷く。やはり幼子の名前はユーイで間違いなく、――、続けて得意げに名乗る単語の意味は分からずとも、なにか、偉いものであると主張するなら】
【人間の言葉を勉強して覚えたから偉いのだとも表明する。――。ボンネットの中に詰め込まれたフリルが不自然にくしゃっと動いた気がした、気のせい、かもしれないけど】
【そうしたら伝える理由はなるほど理解できるものだった、だからといってナワバリの点検に勝手に出てくるのもどうかと思われるけど、きっと、彼女、野生児だから】
【――ごく心配するようなまなざしが見つめた、ナワバリがないなんて暮らしを想像できないみたいに、なら?】

んんぅ――ユーイ、ギンコの巣、作るスル? ユーイ、巣作るの、ウマイ! 

【ふむと真剣に考える一瞬の沈黙が横たわった。――ならば提案するのはそんなこと、一緒に巣作りしませんか、なんて、幼子に言われるにはあまりに奇特なお誘い、】
【――――幼子でなくとも、そんな風なお誘い、きっとめったにされること、ないのだけど。どちらにせよ彼女はきっと真面目であったなら】
600 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:52:45.33 ID:uAySPBA0o
>>595

【当惑した顔で兵士は答えるだろう、──── それを貴方に伝える権限はない、と】
【やってきた若い兵士は現場の人間だ、それならば人員の数は分かるまい、指揮官の場所も秘匿されて当然であった】
【一応中心地に仮設テントが出来ている、という旨の発言はできたが】


【──── それよりも、と彼は言った、治療しなくて大丈夫か、と】
601 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 22:55:56.51 ID:QF0PnyaV0
>>591

「さあ、早くこちらへ……」
「解っております、しかし何分自国領ではない為……政府の要請が下るまでに時間を費やしました」
「ご協力、感謝いたします」

【緊急の要請であった、しかしそれにしては、余りにも速やかに過ぎる】
【だが、銃器を所持した海兵と、そして医療用品を持った医官は本物らしく】
【アルベルトを誘導してゆく】
【召喚した生物達に、少々嫌な顔をしながらも】
【案内にいついて行けば>>582>>590の大通りでディミーアとも合流が可能だろう】
602 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:55:56.64 ID:uAySPBA0o
>>597

【男達は彼らを一瞥すると、何やら話し込んでいる様子であった、──── 興味を引くのも無理は無い】
【ラベンダーへの治療は滞りなく行われる、若い衛生兵は、"UT"の言葉の響きに目をキラキラとさせて】
【──── 少なくとも、彼単体に言えば、あまり怪しい雰囲気は無かったが】


『……あー、すまない、少しいいかな……キミは、テロリスト鎮圧に協力してくれた?』


【ナート・サンダーへスーツ姿の男が声をかけてきた、政治家の一人であろうか】
603 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 22:59:21.38 ID:uAySPBA0o
>>598

【にべもない返答であった、見る見るうちに男は顔を真っ赤にし、何やら喚こうとする】
【そこをぐっと堪えて飲み込んだ、ぱんぱんに膨らんだ風船を思わせて】
【──── 少しの間があった、何とか落ち着いた、と言外にそう伝えた】

【とりつく島もない、と感じたのだろう、──── その政治家はその場を後にするはずだ】

【残された二人は静寂、──── 幾許かの落ち着きを手に入れる】
604 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 23:04:18.52 ID:IHRaMccc0
>>602

「『UT』と言っても――――私は、ただの兵隊です。英雄なんかじゃ、ありませんよ――――」

【あくまで温和を心掛けるつもりなのだろう。虚ろな瞳に似合わない、作り物の笑顔で衛生兵の憧憬の視線に応えていた】
【今はただ、されるがままの治療を受けている身であり、その背中を、軽傷の『ナート・サンダー』が守る形になっているのだが――――】

ん……?
――――えぇ、ただのヒーロー、『ナート・サンダー』ですよ……あぁ、正体は明かせませんから、そこは悪しからず……活動が出来なくなりますんでね……
何か、今回の騒動にギャランティみたいなのがあるとは聞いてますけど、それも結構です。正体不明の人間に、金は出せないでしょう……?
――――まぁ、『UT』の中に知り合いがいましたのでね。今回はそこと組んでやってきた訳です――――

【声を掛けられ、『ナート・サンダー』は逆に朗々と話し込み始めた】
【ラベンダーの治療が終わるまでの時間稼ぎとして、自分を怪しませないための言葉が必要だったのだ】
【ヒーローとしての姿、そのままに――――正体は明かさず、報酬も受け取らないと先手を打つ】
【後は、――――精々、わずかな時間稼ぎと言ったところだろうか】

(さて、ね……何なんだか……)

【無論、胸中ではアラートが鳴り響いている。場にいる、ある程度の政治的立場を持った人間は、みんなグレーなのだから――――】
605 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/09(土) 23:04:39.07 ID:orWtOf/Ho
>>600

(……ということは、一兵卒では把握できないぐらいの人員で
 かつ、指揮系統がそれなりに細分化されてるってことか。大仰なことだな)

【答えられないということからでも、いくつか推察できる情報はある】
【だがどっちにしろ状況は殆ど終着点に近づいている。この状況ではやれることはないに等しい】

治療か……やってもらいたいところだが

【そう言う間にアルベルト(>>591>>601)の姿が見えた。副官は部隊長に力なく手を振っていた】

>>601

「全くよぉ、困ったもんだぜ
 つってもな、こっちもまだ終わってねえんだ、部隊を率いなきゃならねえ
 のんびり退却とはいかねえぜ」

【部隊長であるディミーアに手を振りつつ、アルベルトは海兵に答えていた】
606 :キャットV  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/09(土) 23:06:03.24 ID:+7XQnRZRo
>>596

【くすくす笑いながら軽口は続く、コイツにとっては言葉を紡ぐことも戦略だ】


女の子を痛めつける趣味はないんだけど、それはそれとして今のきみを見てると
じつにエッチな感情がこみあげてくるね!……まあそれは余裕がある時までお預けにしとこうか
……観念しな、まずは殺したシスターさんたちとかの報いを味合わせてやる、その次に剛太郎の分だ

覚悟して―――はぁ?


【ドラは再びキャットVの仮面を下ろし、今起きた現象がなんであるかを推測する】
【自分の目には、"花魁"が自分で自分に能力を撃って、骨肉を砕いたようにも見えた―――というか、この女――自分で自分を食べてしまったのか!?】
【どういう意味だ、相手が何をしたのかを予測しろ―――今あいつは何といった? 『こない肉体なぞ、脱ぎ捨てとうならはる』……だと?】


(まさか……こいつ、いや、あの"花魁"の姿は本当は―――!)


【追い詰めた末に姿を消した"花魁"を探知しようとする、―――その直後だった、彼の六感全てがレッドアラートを鳴らし始める】
【その同時には動き始めたおかげで骨には達することはなかった―――だが、あまりにも不意打ちが過ぎた、肩の肉を深々と切り裂かれる!!】


―――……がっ、あ、うわああッ!!!いっ、つ、ぐわぁぁぁぁぁ!!!

(こいつ……めちゃくちゃおかしい!!何というか『普通』じゃない!!
"透明な牙"とか、それ以前に―――こいつそもそも『能力者』っていうか、まず『人間』なのか!?)


【疑うべきはその段階からかもしれないという事を再確認したキャットVは、血が迸り始める己の右肩を抑えながら】
【必死に波紋呼吸で痛みを和らげ頭をすっきりさせると、警戒態勢をとる―――次はどこから来るのかを先に知らなければ突破口は見いだせない!】
607 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 23:06:09.82 ID:2etGakr4o
>>603



「 ………─── ボク、言いすぎた?」「 ──── 言い過ぎたわね。」


【 ─── ややミレーユは当惑しながら、幾らか円い両目を瞬たたかせた。やや冷徹な流眄を、アリアは向けた】
【彼さえ立ち去って仕舞えばひどい静寂だった。殺戮が行われた視えない闘争の残滓だけが、消せない傷のように虚空へ刻まれていた】
【何れにせよ行く宛が無くなったのも事実であった。他国の軍隊に犠牲者が出たとしても重要ではなかった。ならば2人は指定された避難場所へ向かうのだろう】
【相手が誰であれ何らかの戦争犯罪的スキャンダルを起こすならば目的は十分に達成されてしまっていた。ならば残された民草を守る事だけが、彼女らに能う選択だった】
608 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/09(土) 23:07:24.81 ID:UYd7PjmC0
>>599

そっかーナワバリの視察かあー、なら仕方ないナー。
喰ったことあるんかーい、しょっぱいのは嫌いなのお……でもドングリはいいんだ?

【佃煮がダメでドングリがOKな理屈がよくわからなかった。爪先で殻の残骸を地面に埋めて】
【そもそもオモチってなんやねんってところから始まるんだから次の話は半分以下、で聞いていた】
【訊いたところでそう面白そうでもなかったし。ただ、続く言葉に対しては】

リザルト……? ……なんだそれ。つまり人間ではないってことかあ。
そんならえらいナア、なんで人間の言葉勉強しようと思ったワケ? 留学?

そおだねえ、ナワバリは……ないかも。ギンちゃんか弱いウサギチャンだからあ、
すーぐ色んなトコから追い出されちゃうんだよネ。厳しい時代だよお、

【少しばかり疑問に思う。だけど納得したような顔もする。人間はバッタを捕まえると罰をうけるので】
【平気な顔して食べられる理由もなんとなくわかった。だからといってお腹は、膨れるわけじゃないから】
【心配されるように見つめられるならそれなりに嬉しそうに笑った。あわよくば、の気持ちではあったが】
【イスラフィールとやらの巣に一晩だけでも入れてもらえるならラッキー、とか、思ったりしたけど】

……………………ン? 作ンの、…………たとえばどこに?

【イチから作られるとはさすがに思ってなかったらしい。多少間の抜けた声で、マジレス】
【したところで実のある返答の返ってくる相手ではないとわかっていながら、無意識に、やっちゃった】
609 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 23:08:25.07 ID:QF0PnyaV0
>>593

【さながら、ロンギヌスの槍の如く】
【深々と地面に突き立てられ、魔導書を縫い付けたそれは、少女の力ではそう易々と抜けることは無く】
【それが、まさに力の源だろうか、少女は顔を真っ青にし】
【先程までの殺気など、何処へ行ったかと言わんばかりに狼狽し】

――悪魔はここに再臨した――

「ひ、あ、ああ、ゆ、許して……」
「み、見逃して下さい、私は、私はもう、何も出来ない!」

【涙すら流しながら、必死に弁解し地面に頭を擦り付けんばかりに】
【だが、そんな安い謝罪、命乞いで悪魔が納得するだろうか?】
【否、断じて否】

「ひ、い、いやああああああああああッ!!」

【頭を捕まれ、力任せに鎌へと押し付けられる】
【程なく、そして抵抗空しく】
【少女の首は血飛沫を上げて、落ちるだろう】
【最初にファウストが宣告した通り、まさにその通りの結末となったのだ】

「す、すみません……何方かは解りませんが、助かりました……」

【パワードスーツの男性が、ここで声をかける】
【ともすれば、この男性の命もまた、危なかったのだから】
610 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 23:09:58.97 ID:uAySPBA0o
>>604

【政治家の一人は面を喰らった様に目を白黒とさせて、いつの間にか聞き役になっていた】
【ナート・サンダーのコミュニケーション能力が持つものか、とはいえ数分ほど話して彼は去って行くだろう】
【待っていれば治療が受けられる筈だ、──── その辺りも、しっかりしていた】


/この辺りで一旦〆に致しますね!
611 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 23:12:23.66 ID:uAySPBA0o
>>605

【兵士達は傷ついた自警団員も含めて治療を行うだろう、──── 特に異変は無い】

【だが、後日ディミーアは報告を聞く、──── 自警団が確保した、能力者達の死体】
【それらが痕跡を残さず消滅してしまったと、その様な報告であった】


【──── 恐らく、それを目にしたのはディミーアだけであった、そして】
                  【それを証明できる証拠は、──── 消えてしまった】


/此方も一旦〆にしますね!
612 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 23:14:01.14 ID:uAySPBA0o
>>607

【幸運な事に心配は杞憂で終わるはずだ、これ以上の襲撃も無かった】


【──── 付け加えるとすれば、避難民の子どもの内一人が、ミレーユの事をおかまと言っていたとか、いないとか】


/此方も一旦〆にしますね!
613 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 23:14:35.51 ID:IHRaMccc0
>>610

(……結局、本題を切り出せなかったって顔だな……なんなんだ、一体……?)

【何らかの意図をもって近づいてきたのでは、と警戒していたが――――大した事は何も言えないままに、そのスーツの男は去っていく】
【これは、確実に『白』だろうと、彼も結論付けざるを得なかった。何らかの作意があるなら、この程度で下がるはずがない】

【とは言え、結局は『ナート・サンダー』も治療は受ける事は出来た。考える事は山積みだが、生還できただけ、善しとするべきだろうか――――】

/了解です。ひとまずお疲れさまでしたー!
614 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 23:15:17.61 ID:FFNdco6G0
>>588

【―――滾る。これほどの戦いは久しぶりだ】
【武を持つ者同士の戦い。追い求める戦いとはこういうものだ】

【しかし、時間は限り有る。どうしても終わらせ無くてはならない】
【実に惜しい。――実に欲しい。】
【武人としての欲と、極道の欲が悪魔のように私に笑いかける】

【悪魔のように細心に、天使のように大胆に。】


死人と刀を交わらすことなど出来やしない。
私は命をさらけ出して、この一振りに賛辞を重ねるだけよ。


生きたいのならッッ!!何故此処に居る―ッッ!!何故、駒で居るッッ!!
矛盾しているぞ、人狼。答えてみろっっ!!人狼!!

【誇りを捨ててでも生きることを選んだ無我の刃の重さは計り知れない】
【だが、誇りとともに生きる刃もまた、どれほどの重さであろうか】


【もはや鞘はなく、居合は出来ない。両手で握りしめる抜刀。血で柄を握りしめる左手が滑る】
【――――閃いた】


――カビ臭い嘲笑なんぞ吠えるな。


【妖刀、夢現。まだこの刀の真価を発揮していない。能力の本当の在り処はここだ】
【しかし、必要なかろう。コレを使うのは惜しい。コレほどまでの正面切った戦いに】

【もはや居合による読みの回避は不可能。構えは袈裟の切り上げ。太刀筋はわかるだろう】
【後はタイミングだ。生半可な接近では人間離れした運動神経で避けられる】

【チキンレースだった。相手の腕と刀の間合い、どちらも生きることを選んだ側から負ける】
【だが、分としては霧崎が悪い。こちらの刀が一撃で仕留められるととは限らない】
【だからこそ、勝ちに行く。】


【ぶつかりあう瞬間、いや…その一歩前に。彼女は刀を斬り上げる。狙いは伸ばした腕だ。】
【振り上げた瞬間に、刀を少し、手の中で浮かす。遠心力ですっぽ抜ける前に握り直すのだ】
【要は柄の握る位置を後方にずらし、刀を『伸ばした』。精々、一寸だけ。】

【何度も切り合い、間合いはバレている。その認識の誤差、だまし討のたぐいだ】
【一寸先は闇、闇の中での戯れ。】

【『影踏』】
615 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/09(土) 23:16:53.03 ID:2etGakr4o
>>612


「 ……… なあ。やっぱボクの女装、下手になってるかな?」「 ──── 私に訊かないで頂戴。」


【であれば恙無く動乱は収束するのであろう。 ─── 幽かな、しかし確かな猜疑を、彼らの内心に置き去りとしたまま】


/かしこまりました!おつかれさまでしたっ
616 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 23:18:13.17 ID:uAySPBA0o
>>606

【 ──── だが、追撃は無かった、──── 気配はかき消え、周囲には静寂が戻る】
【今の一撃は何だったのであろうか、逃げる際の悪あがきか、いずれにせよ答えは見つからない】
【ただ後に残る漠然とした感覚だけが、静かに染み渡る】

【ドラの抱いた "不安" ──── 能力者と呼ぶにも、人間と呼ぶにもあまりにその能力は異形に過ぎた】
【後か知るだろうか、一連の動きは、能力者による組織的なテロである、と報道される】



【けれども、ドラだけは知っている、──── あの女は間違いなく、ただの能力者などでは無い、と】
【裏に潜む陰謀、その一端を、貴方は目にしたのだから】


/このあたりで一旦〆にしますね!
617 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/09(土) 23:19:51.85 ID:4yJYEQXVO
>>609

【首を断つ感触、振るう時と似た感触で。何時まで経っても心地の良いものじゃなかった】
【かといって命乞いを聞いてやるほど甘い悪魔でも無かったから】

―――祈りは届かん、やって願いも叶わん。
それだけの事をしたのだ。ならば命を以て償い、購うしかないだろう。

【それは何れこの女にも跳ね返る理屈。でも今じゃないなら、命を奪った事に対する感情を宿さず】

……これは何の騒ぎだ?事情を知るならば聞かせろ。
半ばきまくまれだが私はお前の窮地を救った。
今度はお前の番また。この国で何が起きて畏怖しいる、そして背後の集団は何だ?
618 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 23:27:21.93 ID:uAySPBA0o
>>614

【胸の底から熱い感情がこみ上げる、──── これは怒りだと、自分に言い聞かせる、生意気な小娘への】
【だが、それだけでは説明が付かなかった、色合いと呼ぶには、あまりにも渾沌として、形に出来ない】

【 ──── それが昂ぶる心であると、彼が知るのは少し後の話であった】



……っ!! 黙れ、黙れ黙れ黙れ!! 貴様に、────ッ!! 貴様に何が分かる!!
自分の存在すらも不安になり!! 種族と呼べるものは他に無く!! ただ幾千光年の孤独を思う!!



────────ッ 人間なぞには、分かるまい!!




【舐めるな、心が叫んだ、──── それしきの小細工など、俺に見えない筈が無い】
【間合いの誤魔化しを看破する、くっきりと彼の視力は見抜いた、──── 終わりだ】
【適切に間合いを把握したなら、避けられぬ道理など無い、俺の勝ちだ】

【右の手に力を込める、その最後の瞬間までも、蹂躙するかの如く】



【──── "どうせ死ぬなら正義に殉死してやる。" ────】



【 ────"ッ"────!!】



【 クソ──── 】         




           【            何が、"上位者"だ】




【──── 血飛沫が爆ぜた、切り裂かれた人狼が地に伏せる、傷口は深い、だが致命傷では無いだろう】



【男は眠っていた、──── 意識を手放して、ただ、静かに】
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/09(土) 23:28:59.97 ID:5ncxcNdF0
>>608

おいしくナイ!

【しょっぱいのは嫌いなの、なんて言われたら、幼子は目をバッテン模様、べーって出すべろの赤色、ヤダをめいっぱいに表明していた、あれはおいしくないって】
【コトコト煮詰めてくれた櫻のおばあさん――かは知らないけど――が悲しくなってしまうかもしれなかったけど、ここの会話を聞き取るほどの地獄耳じゃないだろうから】

ン! ユーイ、お洋服、イヤ! でも、リンネが、着ろって言った。ユーイ、これキライ! イスラフィール、も、服、ユーイに買った。
"コレ"見えると、ニンゲン、怒る? ユーイ、悪いコト、してない! リュウガク? ユーイの家、アブナイから、来た? ソレ、リュウガク?
ニンゲンいっぱい来た。ユーイは、捕まらなかった! ユーイスゴイ。スゴイ?

【頷き一つであまりにあっさりと幼子は相手の言葉を肯定した、――お洋服などというものはごく窮屈で嫌いなのだという。それでも誰かに着ろって強いられたのだと、言って】
【もぞりと伸ばしたおてての両手がボンネットをずらしたら、見えるだろうか。ぴょこりと立ち上がる人間以外の耳。――とはいえ、ありがちな犬猫のモノとは少し違った、もの】
【ようく見るならば、細かな鱗がぴっちりと生えそろっているようだった。――――戻せなくなって困っていた、むきいとうめき声一つ、けれど知らぬ単語にどうでもよくなり】
【――それは留学と呼ぶには少しだけ険しすぎる背景、それでも尋ねて傾げる首の角度、――――――何か少しだけ悲しさ、漂わせて、けれど、】

ァー……、ギンコの、好きなトコ? ユーイ、作れる! ギンコ、どこスキ? 

【ふむんと悩ましい吐息。マジレスのマジさには気付かぬなら、きっと彼女だって真面目な仕草、どこでも作れるのだけど、と、かえって疑問がるような目が向いたなら】
【どこだっていいですよなんて勝ち誇るよな笑みが伝える、――言うが早いか、仕舞い切れてない耳をピョコピョコ、お尻を振り振り、(スカートの中で何か揺れてる、気がする)】
【"それっぽい"場所を探して彼女は公園の中、うろつき始めるのだろう。――――ただ見ているだけだと、いくらか歩いて、振り返って、「ギンコ!」なんて、呼んでくる】
【ましてや、これはギンコの巣なのだという風のお説教などし始めるのだから、ひどい話だった。――子供の振る舞いと言えばそうなんだけれど、そうではあるんだけれど、】
620 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 23:29:38.99 ID:QF0PnyaV0
>>617

【無情なる優しき悪魔】
【ファウストを呼称するならば、そうなるだろうか……】
【兎にも角にも、悪魔の如き少女は命を絶たれた、本物の悪魔の手によって】

「解りません、ただ能力者の集団が魔能制限法撤廃を求めて、テロを起こしたって」
「僕は、水国特務機関、外務八課の者です」
「緊急出動要請が発令されて、それで現場に駆けつけたんですが……」

【テロリストの集団に返り討ちに合い、この様だと言う】
【後はファウストの知る通り、なのだろう】

「すみません、大丈夫ですか?」

【二人に声をかける者たちが居た】
【カーキ色の水兵服の集団】
【肩口には、櫻に錨の意匠】

「テロリストの殲滅、民間人及び協力者の方への医療行為の為政府要請を受けて派遣されました、櫻国魔道海軍です」
「協力者の方ですか?お怪我はございますか?」
621 :キャットV ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/09(土) 23:38:14.67 ID:+7XQnRZRo
>>616

【呼吸を整え、痛みを和らげ次の一撃に備えるが―――ここで突如完全に瓶の中の波紋に全く反応がなくなる】
【息を潜めているのではない……また"花魁"、否―――"綵"と記録されていた『なにか』は剛太郎戦の時と同じように姿を消す】


いな、い……?

(まただ、剛太郎の時と同じだ……アイツ突然姿を消しやがった
……いや、"違う"?まさかぼくのこの考え方から違うのか?……そもそもぼくが戦っていたのは"花魁"ですらなかった?
もっと言うなら……奴は『前』も、『今』も……『一度も姿なんか現してない』ってのが、正解なんじゃあないのか……?)


【恐ろしい感覚が全身を駆け巡る―――剛太郎に続き自分も今……ギリギリで『死』を回避していたと確信する】
【それ以上にドラは確信した、自分が戦ったのは―――これまでの、"虚神"とも違う―――もっと人の領域を逸脱した存在の可能性がある】

【ベルトを外すと、四角い光が彼の体を通り抜け変身解除、元のドラの姿へと戻っていく】
【剛太郎の時のようにまたずいぶんと深手を負わされてしまった―――また病院に逆戻りされてナースさんにあきれ顔されそうだと自嘲する】

【誰かに知らせなければならない、と彼はバイクを手で押しながら歩き出す】
【その間、ラジオからの報道を耳にする―――今回の事件は魔能制限法に異議を唱える能力者のテロリスト集団の犯行であったと】
【それを聞いてドラは―――誰に聞こえるようにでもなく呟いた】


……違う。違ったじゃないの……誰か味方に伝えに行かなきゃ……
今回のぼく達の敵は……『能力者』じゃない……!いや、ていうかぶっちゃけた話……


(――――……『人間』じゃ、ない)


【人々の憶測を遥かに凌駕していた現実、それに触れたことによる確かな確信を持ちながら】
【ドラは歩く、この抜き差しならぬ陰謀にあまりにも深く関わりすぎてしまった事を実感しながら……】

【←To be continued…】

/私も一度〆た方がよさそうですね、お疲れ様でしたー!
622 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/09(土) 23:45:41.77 ID:4yJYEQXVO
>>620

【声をかけた者の身形、それは見覚えの無いもの】
【服装を上から下へとスクロールするみたいに見渡せば】
【なるほど、櫻の国に属する人間か―――櫻?何故だ?】


――――知らん、私は別に協力したわけでもない。
ただ気まぐれてここに立っていただけ、身に振る火の粉を払っただけだ。

だから私はもう立ち去る。医療行為も要らん。
あとは好き勝手振舞っていればいい。―――さらばだ。


【そうして悪魔は差し伸べられる手を振り払って、この場を去る】
【入れ替わりで現れるのは――同じ外務八課の課員・エーリカ】


「ねぇねぇ、そこのお人、大丈夫?どうやら無事みたいで何より。
 私はエーリカ。君と同じ八課の仲間だよ。――立てる?」
623 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/09(土) 23:46:59.11 ID:UYd7PjmC0
>>619

【「そお……」。彼女の味覚についてはそう興味がないらしい】
【佃煮職人へ思いをはせるほどの思慮深さもないのだから、その二文字で終わってしまって】
【耳をほとんどちくわにしてざらざら流していたわけだけど。続く事情にはへえ、と零す】

嫌いなの? ギンちゃんもキュークツなのはそんなに好きじゃないケド……。
……人間、ユーイを捕まえにきたんだあ。そっかあ、ふーん、スゴイスゴイ……。
留学……ではないかナア。でもそうね、……捕まらなかったんならよかったよ。

【鱗。そういうのがある生物、真っ先に思い浮かぶのは人魚。でも二本足きちんとついてるし】
【違うんならもっとほかの――爬虫類? そこらへんは詳しくなかった。だから興味を持つのは】
【そこではなく。捕まえにきた人間がいたというところ。どうもそこに思うところを見つけたらしい――】
【――しかしそれもそう長くはない間だった。もともと感傷に浸るのはシュミではない。へら、と笑って】

好きなトコ、……そおだナア、屋根のあるとこがイイなあ。
風も防げるならそれに越したコタないな……この公園にはそーいう遊具ないみたいだケド。

【たとえば下に空間のあるすべり台とかあるんだったらよかったけど。なかったからベンチに寝てたわけだし】
【ならば――それっぽく巣作りできそうな遊具ったら、ジャングルジムとかそんくらいしかなさそうだった】
【へいへーい、と返事をしつつ、のろい動きでぺたぺたついていく。うんざりしたりは、わりとしてないみたい】
【何せヒマだったわけだし……日が出て少しばかりあったかくなるまでの時間潰しとしては、悪くないと判断した、ぽい】
624 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/09(土) 23:47:26.54 ID:FFNdco6G0
>>618

【―――生暖かい血が舞い上がって、自らの白狐の面にも降り掛かった】
【刀を引き抜く。やはり思いつきの其れだと完成度が甘かった】
【手を抜いたつもりはない。だが、狩りきれなかった。それだけだ】

【納刀しようにも鞘はなく、手は震えていた。アドレナリンが落ちつてきた証拠だ】
【はばきがガチガチと音を鳴らす。血振りして、上着のポケットから取り出した】
【布切れで血を拭い、素面を装う。何度も何度も深呼吸して呼吸を整えようとした】

【だがまだ落ち着かない。刀を投げ出し(それぐらいじゃ傷つかないのは知っていた)】
【タバコに火をつけた。左手が濡れている。ああそうか。そうだった。滴る。鮮血】

【どうやら事態は収束に向かっているようだった。任務は完了だが目的は果たしきれなかった】
【電話で迎えを頼むとしよう。余計な奴らに勘ぐられるのは面倒だ】

【まあ、なかなか気分は良い。】


/とまあ、このへんで一回締めな形がよろしいでしょうか?
625 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/09(土) 23:54:46.43 ID:uAySPBA0o
>>624

【結局の所、どちらの思いが上を言ったのか、どちらの信念が勝ったのか迄は分からない】

【──── 後日、狐面の女に良く似た背丈の女と、彼女に付き従う奇妙な風体の男が確認された事だけは】




【──── 特筆する価値が、あるかもしれない】



/そうですね! ありがとうございました!
626 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 23:58:07.76 ID:QF0PnyaV0
>>622

【全く以って、この疑問は正しい】
【ここは水国、櫻の軍隊が、ましてや海軍が動ける道理は、本来ならば無い】
【この点に関しては、ファウストの疑問は的を射ていた】

「あ、その、ありがとうございました!」

【立ち去るファウストに、男は深々と頭を下げて】
【再度の礼を述べる】
【最も、海兵達はきょとんとしていたが……】
【やがて】

「え、あ、どうも初めまして……」
「ええっと、エーリカさんですよね?白桜さんとフェイさんのお友達の……」

【痛がりながらも、その人物、エーリカが現れれば何とか立ち上がり】
【変身を解除して、こう挨拶し】

「兎に角、治療を受けたいですね、本部にも戻らないと……ミレーユさんとアリアさんは、無事ですかね?」

【海軍の治療を受け、その拠点に移動し話を聞くも良く】
【また、本部に直接戻るのも良いだろう】
627 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/09(土) 23:58:27.11 ID:QF0PnyaV0

【フルーソ・中央広場】

【その日の戦闘で多くの市民が犠牲となり】
【そして、多くの能力者が動員され】
【多くの世間を震撼させたテロ】
【その戦いの中心となった、民間の能力者達】
【彼らと、そして生き延びた市民達が治療を受け、或いは報酬を受け取る中央の広場】
【複数の天幕が張られ、海軍海兵が常駐するここに急遽講演壇が設営され、そして一人の男が登壇した】
【白い詰襟の海軍制服、煌びやかなモールも勲章も、そして階級章も、彼がある人物であることを示している】
【櫻国魔導海軍、連合艦隊司令長官蘆屋道賢である】



「この度の大規模テロ、市民の方々には何と言葉をかけて良いか解りません」
「お怪我を負われた方、命を落とされた方、我々は皆様の隣人として、そして友人として、とても心を痛めております」
「そして、この度の鎮圧に勇気を持って乗り出して下さった協力者の方々、貴方方はこの国が誇るべき真の勇者でありましょう」
「そして、よくやった、若き海兵達、君達こそ我等魔導海軍の真の誉れだ」
「今回は偶然にも、我々魔導海軍が停泊中の事であったが為に出動が叶いました」
「しかし、我々が居なかったらと思うと……とても恐ろしく口には出せない事となっていたでしょう」
「未だ危険な能力者達のテロの脅威に晒される優しき友人達、我々は貴方方に何が出来るだろうか、私は考えました」
「あなた方の生命と財産を守る、水と櫻の永久の平和と友好の為、何が出来るだろう、と」
「この度、我々は決断しました」
「魔導海軍『水国特別陸戦隊』を編成、常時数隻の艦隊と共に、ここ水国に常駐させ皆様の生命と尊厳、財産を防衛しようと!」
「水国の不安定な治安の維持に、少しでも貢献しようと!」
「それこそが、我々隣人から、皆様優しき友人達へ送る精一杯の贈り物となるであろうと」
「水国の未来に栄光あれ!水国と櫻国の友好と永遠であれ!!」




【まるで、役者のように大仰な動作と表情で訴えかける演説】
【終了の後には、各所より盛大な拍手と歓声が巻き起こった】
628 :『ナート・サンダー』&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/09(土) 23:59:27.90 ID:IHRaMccc0
>>610

(……結局、本題を切り出せなかったって顔だな……なんなんだ、一体……?)

【何らかの意図をもって近づいてきたのでは、と警戒していたが――――大した事は何も言えないままに、そのスーツの男は去っていく】
【これは、確実に『白』だろうと、彼も結論付けざるを得なかった。何らかの作意があるなら、この程度で下がるはずがない】

【とは言え、結局は『ナート・サンダー』も治療は受ける事は出来た。考える事は山積みだが、生還できただけ、善しとするべきだろうか――――】

/了解です。ひとまずお疲れさまでしたー!
629 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/10(日) 00:02:58.17 ID:MJPTkm80o

【幾つかの思惑を残したまま、魔導海軍の介入によって事態は収束に向かう、組織的な動きが功を奏した】
【それと同時に、水の国の首都であるフルーソが、経済的にも政治的にも大きな影響を受けたのも事実であった】
【破壊された鉄道や大通り、復興するのにかかる資金も莫大な金額になるだろう】


【また、能力者によるテロである事も大きく関わってくる】


【ただでさえ国内の反能力者感情が高い情勢に於いて、ここまで大規模なテロが起きてしまった】
【能力者の助けもあり鎮圧したのも事実である、けれども一般大衆にとって、どちらを信用するかと迫る事もできない】
【必然、能力者に対する悪感情はより一層深くなる、──── 】

【加えて、水の国が持っている警察や軍隊の評判も芳しくない、初動の遅れ、というバッシングを浴びたが】
【彼らからすれば、能力者に対して既存兵器で挑むこと自体が無謀と言えた、最早無能力者で対応できる範囲を超えている、と】
【一方で自警団は精鋭集団である"ヴィセリツァ"の活躍もあり評価を伸ばしていたのだが】


【それ故に魔導海軍が大きく賞賛されたのも頷ける話であった、迅速な鎮圧と対応に市民も信頼を寄せる】
【疲弊しきった市民にとって、新たな力の象徴とも言えた、──── 精鋭部隊と、魔力を用いた近代兵器】
【状況は下へ下へと変化していく、坂道を転がり落ちていく様に、────】


【魔導海軍司令長官 "蘆屋道賢" の宣言を "水の国" が受け入れたのも、その世相に依るものであった】
【そして幾つかの話し合いを通じて以下のことが決まった】


・水の国首都フルーソの復興を支援するために、一時的に魔導海軍が中心となってフルーソの一部を駐屯地とする
・範囲は主にフルーソ中央通りから港に至るまでの区間であり、此処は今回のテロで被害が大きかった部分でもある。
・『水国特別陸戦隊』を此方に配備し、復興と治安維持を行う。


【結果として、フルーソ内に "魔導海軍駐屯地" ──── 通称 "櫻州" が設立される事となった】
【表面上に大きな変化は無い、"櫻州" への出入りは禁止されておらず、国民ならば自由に出入りできる】

【けれども、"本国との密な連携" を理由に、フルーソ市内にあった港は "魔導海軍" によって占有された】
【国体の危機を未然に防ぐ、という理由から港を通じた "輸出入" も厳しくチェックされる事となった】
【そして反対に、──── 水の国に停留している魔導海軍の船を、誰も捜査する事が出来なくなった】

【それが変化であった、──── 水の国史上最悪の死傷者を出した能力者テロの顛末】


              【後世の歴史学者はこの事件をこう呼んだ】





                   【   "櫻國事変"と   】






/これにてイベント "櫻國事変" ──── "序曲"を終了致します! 皆様ありがとうございました!
630 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/10(日) 00:03:32.29 ID:MJPTkm80o






       「はいはーい、もしもしぃ、あらん、繋がっちゃったわん、もう寝ちゃってた思ってたのにぃ」


       「うふふ、ごめんなさい、でも報告したいじゃない、ほーこく、ええ、そうよ、上手くいった報告ねん」
       「"予定通り" 水の国内に櫻の橋頭堡が出来たわん、櫻としたら侵略の良い足がかりになるでしょん」


       「え? 上手くいくかって? そうねぇん、道賢ちゃんがどれだけ頑張るかだけどん、今のとこわかんないわん」


       「でもねん、これで〈円卓〉からすれば、動く理由ができたでしょん、戦争を起こす口実がどっさりと」
       「遅かれ早かれ動くんじゃないかしらん、どっちの味方をするのか、どっちの味方もしないのかは、まだ知らないけどん」


       「ふふ、あらそうね、無責任な言い方だわん、でもん、仕方ないでしょん、妾が全部動かしたら、面白くないもの」
       「でも〈黒幕〉ちゃんも助かるんじゃない? だって貴方も、待ってるだけでしょん? 動いてくれた方が掴みやすいしぃ」




       「これは始まりよん、崩壊の序曲、──── 世界が終わりに向けて、進んでいくのよ」




       「〈円卓〉は自分達の為に戦争を起こして、沢山の人が傷つくの」


       「貴方はそれに乗じて好きな事するんでしょう? もっと沢山の人を、傷つけて」


       「あはは、そうよん、だから妾は〈黒幕〉ちゃんに協力してるのよん、それが妾の願い」


       「一杯悲しみが生まれるわん、悲劇は喜劇よ、何処までも過不足なくねん」


       「そしたら〈黒幕〉ちゃん、貴方は抱きしめてくれるかしらん、妾を大切にしてくださる?」


       「やーん、そんな素敵な事言っちゃやーよ、うんうん、妾も愛してるわ、だから」



       「ええ、そんな名前じゃやーよ、妲己じゃ無くて、ちゃんと呼んでくださいな」




 
631 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/10(日) 00:04:03.20 ID:MJPTkm80o











      「 "イスラフィール" って」








      「大好きよん、〈黒幕〉ちゃん」











632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/10(日) 00:06:40.12 ID:6slCQbQ30
>>623

ユーイ、森の中住んでた! ユーイの、オカアサン? オトウサン? も居た! ンー……、でも、ニンゲン来た?
だからユーイ出て来た、そしたらリンネ来た! でも居なくなった。そしたら、イスラフィール、来た!

【――ならば彼女は幼いから何かを理解していないのかもしれなかった。森の中で暮らしている何かヒトではないもの。人間が来たことにより、森を追われて】
【今だってそのお母さん(?)やお父さん(?)――なぜだか疑問形で告げる彼らと一緒に居るようなら、それでいいのだった。だのに彼女はそんな風には過ごしていないから】
【よく分からぬ謎の三匹(?)の生物(?)とイスラフィールという人物の家で厄介になっているということ以外は分からないとはいえ、――その前には誰かに保護されていたようだけれど】
【それもまたどうにかなったから、彼女は巣を移転したのだろう。そういう意味では生きる力に満ち満ちていた、それこそちっちゃな子供の生命力を体現するよう】

ヤネ……? カゼ……? ユーイ、木、スキ! 木のトコロがいい――。むうぅ。ギンコはヤネ好き? 風キライ? ンー……。ユーイ、ユウグ、要らない?

【――――――それにしても、不安にさせるかもしれなかった。お尻フリフリ歩いていく先々がどうにも野生染みていた。生垣に顔を突っ込んだり、デカい石をひっくり返したり】
【とはいえペタペタついてきてくれるならだいぶ機嫌がいいのも確かである。屋根が好きというよりか、普通は、屋根があるものなのだけれど。――やがて辿りつくのは】
【最初に彼女自身が飛び降りて来た木だった。――公園のいいところに植え付けられたマテバシイの木。時期に鳴るとたくさんのドングリを落として子供たちを喜ばせる木】

ユーイの木、ギンコに、アゲル! ユーイ、ここスキ。ユーイの好きなの、ギンコにあげる。

【ぺたんと木の幹に触れた指先はちっちゃな紅葉のおてて。真っ白な色合いはアルビノを思わせて、けれどきっとそうではないから】
【得意げな声が宣言する、この木を貴女にあげる、なんて、――きっとおそらく間違いなくこの木の所有権はこの幼子ではないのだけれど、そうだとしても】
【宣言したなら幼子はひょいと慣れた様子で木登りを開始するんだろうか、惜しげもなくスカートの中を見せつけて。細やかな鱗の生えそろった尾っぽが見えている。あれ?】
【――――スカートの中に隠されていたのは尾っぽであった。そうしてやはり犬猫とは違う尾。どちらかと言えばとかげ、へび、ドラゴン。そういう感じの、――?】

ギンコ、待ってて! 

【もすんと緑色の葉っぱの中に顔が身体が足が消えていく、待っていてという言葉を信じて待つのなら、――いくらかの間のあとに、ぼおっと、葉の隙間より漏れる、光り】
【幼子のまなこと同じ色の明るさが漏れてくるのだろう。夜であるならよく目立つ、――多分夜でなくても、目立つ。その沈黙が終わるなら、――、がさり、がさ、】

出来た! ギンコの巣! 

【蝙蝠みたいに枝にぶら下がって急に出てくるんだから身軽なもの、――長い髪の毛を全部ひっくり返して、にまと笑うなら、急かすみたいに、早くこっちにこい、だなんて――】
【――――木登りの作法が分からないなら、それなりに苦労するかもしれない。あまり登るのが難しくない枝ぶりはしていた、けれど?】
633 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/10(日) 00:13:38.04 ID:nScD721Zo
>>627

【設営されたテントのうちの一つに、アルベルトとディミーアは座り込んでいた】
【演説を聞き終えた二人の表情は決して明るくない。傍目から見えば戦闘の疲労のせいだろう】
【しかし、実際のところは違っていた】

「どう思う?」

……まぁ、侵攻だな
とっくにこの国は国として終わっているから、今更な話だが

【アルベルトの問いかけにディミーアが見解を答える】
【負傷した二人の傍には全身を包帯で巻いた若い女と、棺桶を背負った男が佇んでいた】

「それで、僕たちは?」

変わらねえよ。能力者どもを殲滅する
世論が支持しようがしなかろうが関係ない
だが、今の状況は好都合だ。出来るだけ利用させてもらう

【『ヴィセリツァ』の指揮官の視線は壇上の男へと向けられていた】
【蘆屋道賢。『ヴィセリツァ』の目的を考えればむしろ協力さえ可能に思える相手だったが】
【いくつかの約束がディミーアにそれをさせなかった。個人的な立場で言えば敵以外の何物でもないのだ】

…………とはいえ、どうするかな

【誰につき、何を成すか。それが問題だった】

//ちょっとしたエピローグです
//ご両人お疲れ様でした
634 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/10(日) 00:19:56.63 ID:GAkoHGX30
>>632

【「そお」。紡がれるのはやっぱり二音、ならばそうそう興味もないのだろう】
【ただ、張り付けたような笑みばっかりが薄っぺらくて――その内側になにか隠れているのは】
【見る人が見ればすぐわかる光景だったろう。だけど相手がこんなに純真なこどもであるなら】
【きっとなんでもない話として流れていくばっかりなのだろう――堰き止める気を起こすほど、この女は優しくなかった】

木かあー、木で一晩過ごしたことはたしかにないかもお。
……そ? くれるの、そお。ユーイは、……やさしンだねえ。好きなモノ人にあげられるなんて。

【待っててって言われれば素直に待った。それから、あたたかな色合いにそっと目を細めるのなら】
【こいつはこいつなりに何かを照らし出しているのかもしれなかった。どこか暗いところに置き去りにしていたもの】
【すべてを引っ張り出すには足りなくても。輪郭くらいは見えて、思い出せたのかもしれない】
【そういう顔をしていた。思い出にふれる人間の顔――きっとユーイは、知らないのかもしれないけど】

オッできた? じゃー見せてもらおうじゃんネ、おっけーよしよし。
よ、……なんだけっこー優しい配置してくれてんじゃんこの木、さっすがユーイのお気に入りい、――っと。

【――やっぱりそれも、ユーイがぱっと出てきた瞬間に消え失せるけど。呼ばれたら、コートの腕をまくって】
【わりかしひょいひょいと簡単に登っていく。身体能力はやたら高いみたいだった、加えて】
【どうやら足を動かすのが得意であるらしい。脚じゃなくて足、指とか、ぐいぐい動かせる類の人種っぽい】
【だから枝を足指で掴んでぐいぐい登るのは苦でもなかった。順調なペースで、到達するのだろう】
635 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/10(日) 00:20:13.32 ID:vhPwDfdpO
>>626>>627>>629

「ふぇっ!?―――エト姉ぇとシロを知ってるんだね。
 あの二人が迷惑かけてなきゃいいんだけど、まあ二人から私の事聞いてるなら話は早いや
 ―――アリアさんや、ミレーユ……さんも無事だよ。」

「そっか、とりあえず治療の為に本部に戻ろっか。えっと名前は――ライガくんだっけか。
 あまり無事とは言えないようだからさ、肩、貸すよ。―――って」

【解れた笑みを宿してライガに手を差し伸べる瞬間】
【耳を振るわせるのはこの国の人間ではない者の演説】
【最初に思った事―――我が物顔で踏み入る無作法者が何デカい顔してんだよ、と】


「ねぇ、この国はこの先どうなっちゃうのかな。
 黒幕に円卓、外務八課に公安五課、それに氷の国に桜の国の思惑。
 全部、全部入り混じってこの国に集中してる――でも、死ぬわけにはいかないよね。
 全ての悪意に食われるわけにはいかないから、さ。お互い生き延びようね」

【あまり賢くないエーリカでも察しの付く出来事と行く末】
【解る事は多くない。けれど、この国を中心に新たな災いが産声を上げてしまったという事】
【そしてどんな状況でも悪意に食われて殺されるわけにはいかないという事】
636 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/10(日) 00:25:06.07 ID:0ah8VFVc0

――お父さんとお母さんがね、起きなさいって、それとね、正義の能力者が僕の事がんばれって、応援してくれたんだ、本当に居るんだよ正義の能力者って――


 

『戦わなければいけない、もう一度……力を貸してくれ』


                              『アーディンさん、逃げて下さい!』

『この世界という檻に囚われた、君達には籠の中の鳥で居てもらわねば困るのだよ』

               
                        『今は僕達二人で、ダブルライダー、ですからね!』

『世界は、戦争を欲しています』


『男達は全員掘るわよ!さっさと行った行った!』
                                        『外務八課、ようやく出動ですね!』

                                     『つがるちゃん、君の手を掴んだのは間違いじゃなかった……絶対に』


『ジャ○プ買いに来ましたー!ほら、さっさと出せこら』


                          『アカシアも駒子も合歓も、全部私が守るから』

           『青蛾よ!これが我々の求めていた答えだ!!人類の原罪だ!!』

『私、汚いですから……触らない方がいいですよ』
                                    『師匠!!一生ついて行きます!!』

『全く、馬鹿なんだから……』

                  







              ――おにいちゃ、おいちゃ……ありがとう――






【能力者スレ、櫻国動乱編改め『櫻国事変』本始動開始】
637 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/10(日) 00:37:14.44 ID:0ah8VFVc0
>>635

「良かった、連絡が無いから心配してたんですよ」

【同じく現場に突入した二人の同僚、アリアとミレーユは無事であることが確認できた】
【安堵を前面に出しつつも】

「ええ、ちょっと前に知り合いまして、あの二人もエーリカさんのこと気にかけてましたから」
「あ、すみません、ありがとうございます」

【エーリカの手を取ろうとら、身体を起こす】
【やはり女性である為か、少々ドキりとしながらも】
【やがて、その演説を耳にして】

「……大変な事になる筈です」
「でも、そうですね、死ぬわけにはいかないですから、僕も皆も……」

【これから先におこる事象に、不安の色は隠せずとも】
【固くそう誓って、本部へと帰還する】


//お疲れ様でした!本日はご参加、ありがとうございました!
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/10(日) 00:40:34.70 ID:6slCQbQ30
>>634

【それほど高くない木だった。ましてや公園の木であるなら、いろんな子供たちが挑戦したりもしたのだろう。特に下の方は樹皮がつるつると艶を孕んでいたから】
【――とはいえ、そう小さくはない木だ。並大抵の子供たちには難しすぎる、いつかやってやろうって思いながら、受験勉強とか、恋愛とかで、忘れ去られていくような】
【――――そうして大人になったら「登ろうとしたっけ」なんて思ったりしながら、決してやろうとは思わないような、思い出のひとかけら。それが、きっと、この木であった】

【そうしてギンコが登り始めるのなら、幼子はまたヒョイと葉っぱの中に戻っていくのだろう。それから幹側に戻ってきて、こっちだのなんだの、喚きたて】
【もうなんだか楽しくって仕方がないみたいだった、――あるところから、急に、雰囲気。変わるのに気づくだろうか? 雰囲気というか、気配というか、何か違うって】
【だから"なにか"違う。――確かに木の内部であるのだけれど、不快な夜風の冷たさが入り込んではこないのだ、今の今まで寒くて仕方なかったのに、それすら遮られたみたい】

ユーイ、ヤネ作った! 雨コナイ。カベも作った。風コナイ! ギンコの巣! 

【木であるままに室内に作り替えられちゃったみたいに、――なんだか不思議な光景だった。指先を伸ばしても壁には触れられない、変わらぬ枝葉があるまま、なのに】
【とはいえ寝っ転がったり気ままに過ごすには、狭さが目立つけど。所詮は木の上でありながら、言葉通りであるなら屋根も壁もある貴女のための場所なのだと言って、】
【ひょいと身軽に一つ大振りな枝に腰かけたなら――よいしょって伸ばした手が、一つ枝を捕まえて、それから、容易く折ってしまう。可哀想、だなんて、言う間もない刹那に】
【――そうしたら幼子の指先を伝って、ふわりと枝の一振りがさっき漏れ出たのと同じ光に包まれる、それを、よいしょって自分の身体にかけてみせたなら】

ベッドも作った!

【股の間に太い枝を挟んで、垂らした両足をばたばたして何かを表明する、――にんまり笑った口角が全部を代弁してみせていた。ただし、ベッドと呼ぶには粗暴すぎて】
【たぶん昔の類人猿とかこういう暮らしをしていたと思う、――見せつけたなら幼子はぴょいとその枝から退くだろう、それでスパンスパン叩いて、貴女にここへ座れって】
【――言うがままに(叩くがままに?)座るなら、やたらめったらもっちりしていた。木の感覚ではなかった。それから渡す枝の一振りも、葉っぱが、やたらふわふわとしているなら】
【八時間睡眠だってお尻が痛くは、たぶん、ならない。ふわふわのお布団(どう見ても葉っぱのついた枝)――も、デカめの鳥を一羽抱きしめるような、手触りであって】

これでイイ? ギンコ、気に入った? ユーイの木! 

【それに、よくよく見たなら、外から見た時よりも内部が広いようだった。現に幼子は両足でぴしり立っていられたし、――ギンコすら、立てば、立てる】
【ならば幼子は能力者なのかもしれない、なんて、――今更過ぎるのかもしれないけれど。とかく、この空間を全部提供するんだって言って、彼女はご機嫌に、笑ってみせて】

【"さっき"から"こう"ではなかった、はずだった。であれば、漏れ出る光の意味は分からなくなってしまうから】
639 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/10(日) 00:52:52.14 ID:GAkoHGX30
>>638

………………、

【ちいさくちいさく息をのんだ。なるほど確かに巣作りがお上手、というか】
【あーなるほどそーいう? みたいな、遅すぎる納得が脳裏をよぎっているらしかった】
【簡単に考えれば、亜人の子。異能を持ってたってなんらおかしくないから――にしたって】
【ここまですごいものを作ってもらえるとは思ってなかったらしい。つぶらな瞳をもうひと段階円くして】

【裸の爪先で「床」にそうっと触れてみる。本当にふしぎだった、それで、ゆっくり踏み出してみるから】
【そのままに勧められるなら、ベッド――少なくともベンチなんかよりはよっぽどベッド。素直に座って】
【柔らかさに、うわ、とか言ってびっくりしてみせるのだろう。そうして。きゅうと布団(?)を抱きしめたら】

……………………うん。すっごい、イイ――ありがとお。

【「シケたラブホなんかよりよっぽど上等」 ――なんて下品なことは、たとえユーイが意味を理解できずとも】
【そうそう言えはしなかった。だから返答はごく素直に、――細める目も、漏らす吐息も全部】
【血の通った人間の温度で魅せるのだから、きっと本心から喜んでいる。そうに違いなかった】

あは、…………めっちゃイイや。んー、こんなヤワいベッドで寝るの、いつぶり?
…………もしかしたら生まれて初めてかもお。あはは。ユーイはすごいネエ、んふふ。

【そのままごろりと横になってみる。そしたら満足げに寝返りを打つから、空調とか冷蔵庫の有無だとか】
【そんなものを気にするわけがないのだ。そのまま、少しずつうとうとすらし始めるのだろう】
【「……ユーイは、巣に、かえる?」 そんなことを訊く声はだいぶむにゃっとしていた、安心したら一気に眠くなったみたい】
640 : ◆Kh0dBGYsiPBw [!桜_res]:2019/02/10(日) 00:56:54.53 ID:0W3nhgzb0

【櫻の国・天ノ原】
【ヨシビ商会本社の社長室──】

【外国の内装と調度品に囲まれたその一室。テーブルに置かれた木製のラジオががなる】

【曰く、水の国の首都であるフルーソに魔導海軍駐屯地が設立される事となった、と】
【その為にフルーソの港は魔導海軍が占有する事となった、と】
【港を通じた輸出入は厳しい監査を受ける。だが逆に水の国に停留する魔導海軍の船は誰も捜査は出来なくなった、と】

……つまりは、"そういう事"か

【柱時計の時を刻む音とラジオの雑音が交差する洋間。老翁はひとりごちる】

【水の国の港に入る物は厳しく精査される。だがその精査が出来るのは魔導海軍のみ。其処には他の何者の介入も受けない】
【そして魔導海軍の協力"社"には──】

……あやつらもまた面白い悪巧みを考えたものよの……
【彼奴の今宵の苦労も無駄では無かったようじゃ、と老翁はくつくつと嗤う】

──ククッ……クククククク……


「よーやっと終了、みたいですねぇー……ヨシヤちゃんはもうヘトヘトですー」
「そんな訳ですのでー、一週間程闇狗部隊と私に御休みをですねー……」

「……お祖父様?」
【がちゃり、と開いた扉。目に隈を作りげっそりとした様子で洋間に入ってきた少女は、さも愉快そうな上司の様子に目を瞬かせ声をかける】

……クックックックックッ

──ファファファファファファ!

【だが、老翁──馬酔木悠玄は気付かない】
【雑音と時を刻む音が鳴り響く洋間。老翁の愉しそうな笑い声がそれに加わる】

【櫻州の発足──それは恐らく彼らの暗躍の手立てともなるのだろうか】

【騒乱は、始まったばかりで】




/絡み不要のソロールとなります!
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/10(日) 01:10:54.19 ID:6slCQbQ30
>>639

【つぶらな目が丸くなるのを幼子はキラキラした目にて覗き込むのだろうか。――言葉の拙さはともかくとして、その顔は言葉よりもよほど上手に感情を伝えていたから】
【やがて感謝を伝えられるなら、もっともっと嬉しくなってしまってぴょんこぴょんこ跳ねるんだろう。――足を踏み外しかけて「ギャア!」って叫んだのは、余談でも】
【びっくりした猫みたいに尻尾がビャアって立っていた。もはや隠すつもりもないらしい。――というよりかは、"それ"を隠したいのは、きっと、彼女自身ではないのだろう】

【なら、】

アー、んん……、ユーイ、頑張った! オトナになると、もっと、ジョウズにできる! ――ヒトになれる! ユーイ、まだ、できナイ。
ム。うー……。――むー! ゥー。ウ! ンー!

【にんまり笑顔はご機嫌の証。頑張ったのだと言う、――それから付け加えるのは、"能力"についてだろうか。半分取れかけのボンネットの隙間から生える耳に触れたなら、】
【ぐうっと力を込めて息すら詰まらして顔を真っ赤にさせて、――なんかめちゃくちゃ抑え込むのだ。その指先にぶわあっと黄オレンジ色があふれ出して、ならば転瞬】
【指先を離すその一瞬、――細かな鱗の生えた耳は銀髪の中にぱっと消えているのだろう。――――――――吐息三つ分くらい。ぼんっ、って出て来て、しまうけど】

リザルトリクスのオトナ、ヒトのカッコウして、オカイモノする! コドモは待ってる。

【ならばやはり種族名なのかもしれなかった、――そうして或いはみんなおんなじ異能を持つのかもしれなかった。大人になればもっと力の扱い方、うまくなるらしいなら】
【自分の姿すら欺けるのだと言う。――何かに作用する力であるというのは分かれども、どうにも、説明をさせるのに、この子では少し幼すぎるから】
【――うむ。と、何か自信満々な頷き一つ。「ユーイも出来るようにナル!」得意げに宣言するけれど――、相手がごろんと寝転ぶの、見たら】

ア。ギンコ、落ちナイ? 落ちたらイタイ! ……。……ンゥ、ユーイ、床作る? 作る! ギンコ寝ててイイ。ユーイやる!
ユーイは帰る! ユーイ居ないとエン悪いコトする、エンは人間の言葉、覚えない。ヤルキない! 

【ぱちり瞬き。心配するのは墜落防止はしていないらしい――というよりは今更気づいたらしかった。さっき自分だって落ちかけた、となれば、】
【ギンコが眠っている間に床を作って――それから彼女は帰っていくのだと言う。でないとエンとやらが悪さをする。そろそろ見えてきた、多分、エンとやらは、犬とかネコとか――】
【そういう、"いきもの"なのだろう。ならば人間の言葉なんて覚えるはずがなかった。よほどインコに教えた方が有意義だと思う。――「オヤスミ?」投げかける声、ひとつ】
642 :テレサ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/10(日) 01:22:31.26 ID:LAhoSYLao
>>393

国力の強化のために、国民を強くする……手始めに国のこれからを担う若者たちの指導を、という訳ですか
ネル・ナハトの一件は私にとっても根深い事件でした……いや私以上に弟弟子が、もっと言うならその"相棒"にとってもね
あの時よりいい国にしたいと必死に頑張ろうとしているならば……そうですね、私も微力ながら助太刀したいとは思ってました

ひとまずは、これよりお世話になりますマーリン枢機卿。では私はこれにて失礼します


【マーリンと別れ、その日よりテレサの金の国"国立魔術学院"の実務教官としての仕事は始まった】
【教師たちと挨拶を交わし、生徒たちに自己紹介を終えると若者たちは皆勤勉にテレサの教えを乞うようになった】
【元より真面目な気質のテレサだ、モチベーションの高い生徒たちの真面目さを目前とすれば彼女も一層真剣みが増していく】

【ただ、ひとつひっかかっているとするならば―――】


己の呼吸を変えるという事は己の肉体を変えるに等しい。戦いに強い肉体を作り上げていくためにも
まずは正しい呼吸のリズムを学びましょう、少しずつこのリズムを早めたり、逆に遅らせたりしていくようにしましょう
最終的には呼吸を早めると一分間に10回の呼吸ができるようになり、遅らせると10分息を吸い続けた後に10分息を吐き続けるような呼吸もできるようになります……


(皆、強くなりたいと心から願う若者たち、今後の国の未来を背負うべく一生懸命なのが伝わってくる
……ですがやはり腑に落ちない事がある、いや彼の物言いが気に入らないとかそれだけではなく。なぜ『彼』はああも金の国の富国強兵に
あんなにも懸命に挑み続ける?……彼は一介の"枢機卿"、金の国きっての賢者ではあっても金の国を統べる者ではない

……なのになぜ彼は懸命に動く?……自分がこの国の"王"を務める訳でもないのに?)


【……"王"、というワードを頭に浮かべた瞬間、テレサはある人物を自ずと連想していた】
【この"国立魔術学院"、金の国の威光が多く降り注ぐこの空間ゆえに、当然のように"彼女"の存在を考えていた】
【……彼女はマーリンのこの行動をどこまで把握しているのだろう?】



(……幸い、この異動によって久方ぶりに私は金の国に来ることになった、当面はこの国での仕事が続くでしょう
ならばいい機会、今の金の国に関して一体何を思っているか……後で王宮に謁見の許可を申請してみましょうか



――――金の国"現"王位継承者……現在のこの国を統べる立場にある……我らが『女王陛下』に)



【かつて、ドラは金の国の王位継承記念式典の現場で公然わいせつ罪及び不敬罪で『アルカトラズ刑務所』に服役することとなった】
【今この時も、その時の『被害者』であり、ドラを牢屋にぶちこんだ"張本人"―――と、表向き名乗ってもらっている人物の顔を、テレサは連想していた】

/ではこちらも〆させていただきます、お疲れ様でしたー!
643 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/10(日) 01:27:28.60 ID:GAkoHGX30
>>641

【横になったままぼうっとした目で、ユーイが頑張るさまを眺めているのだろう】
【ずーっとつまんなさそうな顔して見てたくせして、今になってようやく相手に興味がわき始めたのか】
【その理由はまどろみに溶けてしまうからよくわからないけど――ふあ、とあくびの端っこに】

…………そお。じゃあ、ちゃあんとオトナになって、
人の格好上手く出来るようになったら――ギンちゃんと一緒にどっか行く?

バッタより、ドングリより、ジャムよりおいしいもの、……食べに行こうよ。ねえ。

【そういう言葉を投げかけることができるようになる、くらいには。こいつは眼前の子を気に入ったらしい】
【(少なくとも首を刎ねて「お相手」に仕立て上げようなんて気はまっさら起きないらしい。まあこんな子供だし、当然だけど)】
【……とにかく、最初のころよりずっと柔らかく笑むようになったから。もうひとつあくびをして】

そーお、じゃ、…………かえっちゃうの、ネ。そんじゃあ、
…………オヤスミ。おやすみねえ、そんなの言うの、いつぶりだっけ? …………、

――――――――――――――、

【くちびるをムニャムニャさせてから、ことんと糸切れるように瞼を落とす】
【それを切欠に立て始める寝息は、ベンチに寝転がってするものよりよほど安らかであるから、――、】

【――――けれど、次の夜。その次の夜も、その次も、こいつはこの巣に戻ってこない】
【飽き性なのかもしれなかった。他に巣を見つけたのかもしれなかった。けれどひとつだけ確かなのは】
【ユーイはいつか、ここにも見回りに来てくれるだろうか。その時のために苺のジャムが一瓶だけ】
【ベッドに置かれているのを見つけるだろう。それだけのこと、けれどこいつはきっと、ジャムなんて今まで一度も買ったことなかったから】


//ここらへんでしょうか、ありがとうございました!
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/10(日) 01:37:30.67 ID:6slCQbQ30
>>643

【「ん!」と頷きが一つあった。ならば大人になりたいなんて思うのは人間もそうじゃないモノも同じなのかもしれない、蛇の子だって、大人になりたがる世界で】
【バッタよりドングリよりジャムよりおいしいもの、――きっともはや今となってはいろいろ思い浮かべられるのだろう彼女は、それでも、そうだとしても、目を輝かせ】
【「タコヤキ?」とかいろいろ言うんだった。思いつく限りの食べ物の名前いろいろ尋ねて、――うるさいって怒られちゃいそうなくらい、けれどやがて思い浮かばなくなったら】

ン! オヤスミ!

【おやすみなさいの声掛けにしてはいくらも元気すぎる声、投げかけて。――それからいくらか"巣"の中を動き回るような気配があって、やがて、静寂】
【――そうして次の朝。ギンコが目を覚ますなら、たぶん、ないはずのもの、見つけるだろう。それ即ち、――めちゃくちゃなポージングで眠こける、幼子一人】
【寝相が悪いにしてもちょっと芸術だった。それでも"落っこちて"いないのだから、機能はバッチリという証明に等しい。――相手が起きても、起きないくらい、よく寝ていて】
【起こせば起きるのかもしれないけれど、――物理的に寝ている子を起こす必要もないだろう。――――そのくせに、ギンコが一度居なくなった間に、彼女も居なくなる】

【だから、多分、疲れて眠ってしまっただけだったのだろう。帰る気でいたのだから。――だから目覚めたら当たり前に"巣"に帰って、それで、】

――――――――ギンコ?

【"見回り"はそこから数日後の話だった。上手な木登りのあと、ぴょこん、と、空間に顔を出した、彼女は】
【緑と茶色の空間に赤色を一つ見つけ出して、――ならば、やっぱり、その後を誰かが観測するなら、ごく秘密基地めいた空間だけが、取り残されて】
【時々見回りこそすれど、彼女はそれ以上には干渉しないのだろう。だから――、その場所は、きっとずうっと、いつまでも、ギンコのための場所のまま】

/おつかれさまでした!
645 :ティナ ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 15:06:48.38 ID:I6mtD2nCo
>>397

【はぁい、と満面の笑みを浮かべる、夫の帰りを今か今かとと待ち焦がれた妻の様に、合わせた両手の小指が足りぬ】
【内心の感情までは伺えない、けれども状況は流転する、一手損の角交換、──── 相手は劇薬、されど良薬】
【 “筋” ね、なんて内心で独言つ、理解からは遠い感覚であったが、なんとなく分かった様な気もして】


そりゃもう過分にありますね、蛇の道は蛇、餅は餅屋、神輿のおろし方を知ってる人は神輿の担ぎ方も知ってるでしょう?
その辺りの感覚は私達も重々理解してるつもりですし、まぁ口約束しか出来ませんが、信用してくださいな、とだけ
とは言え、────── 勝ち確と言えば勝ち確の選挙ではあるんですが


【そう言ってティナは口頭で、ある政治家の名を挙げた、そこまで有名な名前ではない、だがそれなりに貴女が政治に詳しければ】
【何となく噂や顔を思い浮かべる事はできるはずだ、────── 水の国出身、そこまで冴えた人物ではない】
【ティナは見透かした様に微笑む、ぱちくり開いた瞳に少女の企みを含んで】


“特区” への牽制もあります、あの辺りのムーブメントは “野党” の根回しですしっ
ただでさえ混沌としてる “新楼市” まで取られちゃったら破綻ですよ、破綻、なんでもう少しまともな人を用意したかったんですけど

─── んまぁ、分かりますよね、まともな人なら新楼市の市長になんて立候補しませんしぃ

ですから、私達としても ────── 保証が欲しいんです、貴方達という、保証が
646 :院長中身 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 17:02:46.61 ID:I6mtD2nCo


【貴方は “キャメロット” の鎮座する宮殿に居た。長い廊下を一人で歩く。赤い絨毯は鮮血に似て、足音すらも飲み込まれる無音。】
【等間隔に吊るされたシャンデリア。華美にすぎる豪勢さは些か下品であったが、貴方にとっては心地良さの象徴であった。】
【無辜屹立、歩幅は歪みなく正しい。同じ半径に歩幅を描いたなら、そこに刻まれるのは黄金比よりも美しい軌跡。】


【光を貴方は愛していた。輝きを貴方は好いていた。煌めきに貴方は満ちていた。それは望月が如く、欠けたる事も今は当に昔。】
【歩みを続ける。公転の周期が変わらぬ様に、世界は今日も同じ形の螺旋を描き、同じ形の永劫を包む、────── そう、信じ切っている様に】
【鼻歌の一つでも歌おうか、と、────── 貴方はすっかり、油断していた。】

【らか、】

【 る】


【立ち止まる。廊下に配置された彫像、その一部がシャンデリアの光を浴びて、僅かばかりの影を作っていた。】
【貴方はそれを視認する。表情が強張った。端正な顔達に浮かべるは苦悶。頰を伝う一陣の汗に、生温い質感を覚えて。】
【一つ、また一つと後ずさりをする。猛獣と出会い、刺激せずに逃げ去る試みに似ていた。高貴な騎士にとっては見せてはならぬ背中】


【けれども、そんな表層をかなぐり捨てて、貴方は今にも背中を見せて逃げ去りたかった。そうしないのはただ一つ。“奴等” に背中を見せてしまう事の方が、恐ろしい】


【視線が集まる。焦点が結ぶ、ちらちらと影の輪郭が蠢いた。陽炎の如くぼやけた闇の中から、ひたり、と何かの脚が這い出て来た。】
【節足動物の脚に似ている。石の裏にびっしりとこびりついた蟲の死骸、それらから溢れ出た脚が、闇から飛び出して、】
【それでいて粘性の煌めきを宿していた。テカテカと鈍く輝く光沢が、影からゆっくりと踏み出す。】



【無数の節足を持った大型の昆虫に見えた。全身には粘ついた液を纏い、まるでオールの様に脚を漕ぎ出でて、貴方の方へと、迫る。】
647 :院長中身 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 17:03:43.61 ID:I6mtD2nCo








────── 「太陽の騎士は百万の軍勢を恐れないが、一握りの闇を恐れる。」──────








聖杯戦争〈幕間〉"太陽の騎士" ガウェイン



648 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 17:05:20.04 ID:I6mtD2nCo


【最初に神童と呼ばれたのは何時の事であっただろうか。アルスター・グループが秘匿にしていた錬金術を、十歳にして理解してしまった時か。】
【祖父の唱えた高次魔術式の構造的欠陥を、一見しただけで指摘した時か。それとも、初めて握った木刀で師範代だった父を倒してしまった時か。】
【幼い頃から不思議であった。何故世の人々はこんなにも無駄が多いのだろう、と。貴方には理解が出来なかった。この世に存在する理は、単純でしかなかったから。】


【貴方に理解出来ぬ学問はなかった。魔術体系も児戯が如く。波動関数の応用に、少しばかり魔力の量を調整するだけでしかない。だからこそ、また、理解が出来ない。】
【 ────── どうして貴方の周りの人間は、貴方という存在を縛り付けるのだろう、と。】


【貴方には兄がいた。愚鈍な兄であった。知能も武術も魔術も錬金術も、全てに於いて貴方に劣っていた。けれども、ただ少しばかり早く生まれただけであった。】
【その結果、兄はアルスター・グループの跡取りとなった。巨万の富を右から左へと動かす、巨大な金融機関の長。火の国の国民が、兄の一挙手一投足を固唾を呑んで見守る。】
【兄のやり方は無駄が多かった。側から見ていても愚者としか思えないミスをいくつもした。自分ならばもっと上手くできる。心の中に感情が沈殿していく。】

【貴方は本社から隔離された。“異端児” ついた二つ名は瞬く間に下々の者に知れ渡った。悪魔的頭脳と破滅的能力の持ち主として。貴方という存在を人々は忌避した。】
【貴方にはそれが理解出来なかった。何故貴方という存在を、自分という才能を此処まで遠ざけるのだろうか。兄の持つ権限のほんの僅かでも自分が渡されたなら、世界はより良い方向に進む筈だ。】


【 ────── 思考は一瞬であった。貴方にとって悩む時間など存在しないに等しい。全ての問い掛けは、問いと同時に答えが存在するのだから。】


【つまるところ自分以外の人間は不完全なのだ。それぞれがそれぞれに於いて能力が不足している。欠けたピースを持つ不完全な円。それ故に、完璧な人間を忌避する。】
【貴方は自嘲気味に笑う。自分が異端と呼ばれるのも無理は無かった。完璧な人間。完璧な存在。生まれながらにして、その様に宿命づけられてしまった。世界に於ける自分の役割を知った。】
【だとすれば、自分がこの様に疎まれるのも無理は無かった。ゲームの序盤、主人公を迫害する村人達の様に。最終盤に於いて世界を救った自分を、手のひら返しで讃えるのだから。】


【 ────── 言わばその為の序章なのだ。貴方は完璧を求めた。何故ならそれは、真理の象徴であったから。描かれた真円にこそ正しさがあり、そこには全ての善が存在していた。】


【人々が真円を求めないのは、自分達自身がそもそも完璧ではないからだ。故に、優れた者の足を引っ張り、弱者同士で慰め合う、────── そんな無為な存在でしかない。】
【故に貴方が太陽に焦がれたのも無理は無かった。真円、貴方が求める完璧の象徴。貴方の錬金術が “太陽” を作り上げた時、貴方の居場所はもう、グループの何処にも無かった。】
649 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 17:05:57.31 ID:I6mtD2nCo















【 る、────── らか】

【 るる】 【から、る 】




















650 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/10(日) 17:40:13.54 ID:A3Uf+vunO
>>646-649

【―――僕は丘≠ヨ辿りつく事は叶わない。―――】

【あの錬成式にたどり着いた時から度々見るようになった夢だった。】

【夢の中の僕は驚くほど感情的に何かに激昂している、鬼神のような目つきで剣を構える。】
【そして自分の血か誰かの血か、真っ赤に染まった身体で丘を登ろうとするが叶わない。そこで力尽きる。】
【周囲には幾千の屍と業火、そして地面へと突き立てられた武具の数々。】

【空には―――】

【空には――――】


【くろいたいよう=z


【―――】
【――――――】
【―――――――――】


【僕はその悪夢から逃れるように世界を回り、あらゆる欲望を満たした。】
【金はアルスターから望む限り支給される。まるで僕が恐くて怖くて仕方がないかのように。】
【ああ勿論、僕自身で稼ごうと思えばそれは出来るけどね―――】

【友人と呼ばれるものもできたし、彼女≠熨山できた。】
【常に笑顔が絶えない生活―――けれども実際は違う。僕の中の僕≠ヘ加速度的に冷めていった。】
【だって皆の顔が白く塗りたくった仮面にしか見えなかったから。】


【その歪み≠フ影響か、危険な火遊びも始めた。】


【某国の暗部を白日の下に晒したり、カノッサの下部組織の過激派ゲリラを壊滅させたり。そんな火遊び/ゲーム。】
【けれども僕を満たしてくれるものは―――】


【僕こそが絶対真理であると、その時はきっと思っていたのだ。】



【ひたひた】


【ひたひたと―――――】


651 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 17:45:29.91 ID:I6mtD2nCo
>>650

【その声が聞こえ始めたのも丁度その頃であった。異端として距離を置かれた頃。耳の裏側から声がした。嘶きに似て、掠れた鳴き声の様でもあった。金属同士が触れ合う、独特の響き】

【最初はただの音であった。けれども、定期的に響く音は、一種の意味合いを持っている様で、乾いた耳腔に落とされたなら、優に数時間は掻き乱される事もあった。】るるらか
【貴方は自覚する。兄と接した後、兄と話した後、やがて、兄の事を考えただけでも、声が聞こえる。地の底から這い出てくる様な、悍ましい合唱となって】
らか、る る、らか
【やがて、それは深く侵食する。最早貴方には兄の言葉は聞こえなかった。同時通訳される様に脳内へ冒涜的な声が響き渡る。不協和音の賛美歌が、墓場を掘り起こす様な熱意を持って歌われる】かる、る ら か

【丁度良かった。貴方の居場所はもうグループ内部にはない。ならば放蕩という皮を被って離れよう。忌々しい兄の元から。全ての元凶。最初に壊れた歯車が、何時迄も錆びついて離れない。】 るらか かる、らかるらら
【最早考えることすら億劫であった。“奴” の事を考えると狂いそうなノイズが奔る。人前で叫び出さなかったのはせめてもの矜持と言えた。思考を止めたい、けれども、思考を止められない。】
【貴方は聡明であった。聡明に過ぎた。万物に対する答えを瞬時に出せた。それ故に脳は、常に退屈していた。思考は渇望を辞めず、それが貴方の身を削り続ける。】かるら るからる らかる

【思考を止められない。立ち止まったなら “奴” に注意が向く。かるら、声が叫ぶ、顳顬を掻き毟り血が出ても尚、その疼きは止まず、らか、病む景色の変遷が、崩れ落ちる自我を飲み込まんと】らかるる かるら
【だから考え続けた。放蕩は続き、放浪は荒ぶ、断ち切れる寸前の意識を僅かな義務感だけが支えていた。行く当てなど何処にもない。ただ、何処にも行けぬから行くのである。】
652 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 17:47:08.83 ID:I6mtD2nCo
【生と死の境目に精神はあった。脳は休まず思考を続ける。思考を続ける事だけが救いであった。何もかもを考え続ける事で、何者かを考えずに済むのだから】
【貴方は万物の悉くを理解していく。鋭過ぎる思考が物事を正しく捉える。宗教、哲学、倫理、ありとあらゆる命題は貴方によって解き明かされ、無明は晴れていく】
【けれどもそれは、貴方にとっての喜びになり得ない。いっそのこと、永劫に悩み続ける問いかけが欲しかった。解き明かされない闇こそを、いつしか心が求める様に。】

【生という定義を動物的に捉えるのであれば、貴方は誰よりもはっきりと生きていた。研ぎ澄まされた知性が万物を深く激しく照らして】
【しかし、精神的に捉えた場合、貴方は間違いなく死んでいた。その生はただ生き延びるためにあり、無限の痛苦を永遠に感じ続けるだけだったのだから。】
【この耳を切り落としたなら、この雑音は止むのだろうか。この鼓膜を抉り抜いたなら、この雑音は死ぬのだろうか。】

【衝動的に指が伸びる。耳孔の粘膜を爪を立てて掻き毟る。皮膚炎が剥がれ落ちる様に、むず痒い感触が奥から迸る。】
【快感が一瞬脳を浸して、然れどそれは直ぐに消えて、一時の快楽は地獄を助長する。】
【耐え切れずにまた表層を剥ぐ。今度はより深く。爪先が柔らかな粘膜を抉って、肉片が爪の間に染み込んだ。慌てて指を引き抜く。】

【見開かれた目、不眠の為に充血した眼球が爪に残った肉片を見つめる。】
【赤黒く濁った血液の中に押し詰められた羽虫が蠢いていた。爪と指の間にびっしりと、所狭しとざわめきながら。】
【衝動的に貴方は叫ぶ。岩に爪を突き立てて、何度も何度も掻き毟った。爪が剥がれ、皮膚だけになっても。まるで指を摩り下ろしてしまうかの如く】


【此処だ、此処にいる、と。震える指先で針を掴む。耳の穴へと、突き立てる針の勢いは止まらない。】
【先端が鼓膜へと向かう。柔らかな膜を針先が叩いた。】
【刺せば楽になる。】
【鼓動が高鳴る。】
【針が鼓膜へと】
【鼓膜へと】
【鼓膜へ】
【鼓膜】
【針が】
【針が、】
【針が、】
【針】
【針】
【針】
【針】
【針】
【針】
【針】
【針】
【針】




一思いに突き刺す躊躇はなかった握りしめた手で勢いよく殺そう全て全て絶え間なく殺してしまえ跡形もなく崩してしまえ熱を帯びた熱を感じた鼓膜を抜けてその先の器官をぐちゃぐちゃに刺し潰した針を押し入れる耳の先には脳があった脳髄も大脳も脳幹も一纏めに潰す念入りに潰す熱い脳が根底から火を噴く業火が焼き尽くすプチプチと脳内から蟲が死に絶える音が聞こえるもっともっともっともっともっと殺そう殺そう殺せ








653 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 17:48:28.14 ID:I6mtD2nCo




















『あぁ、よく生きてるな、お前、────── そんなグチャグチャな精神しながら』










654 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 17:49:37.81 ID:I6mtD2nCo


【〈王〉ジルベール=デュボン、彼は一目で貴方の精神を見透かした。絶え間なく続く思考の苦痛が、はっきりと和らいだ瞬間であった。鎮痛剤の作用に似ていた。】


【暗中をただ彷徨うだけだった貴方の人生に光明が見えた。降り注ぐ陽射しの中に、生きてきた意味を見つける様に。貴方は見つけた、ついぞ昇る太陽を、その男に見た。】
【そこには完璧な人間がいた。求め続けた真円を、その男は描いていた。欠ける事のない形の中に、自分を救って欲しいと、心から願った】
【 ────── 貴方は知らず知らずの内に泣いていた。跪き、忠誠を誓いながらその存在を信奉する。ただ貴方は、理解者が欲しかったのだと、今更の様に気がついた。】


『そりゃ精神上の問題だ、お前の心に巣食っていた歪みが幻聴って形になったんだろう』


【ジルベールは貴方の症状をそう診断した。歪みという表現に対して貴方は不思議そうな表情を見せる。それを全くもって自覚していなかったのだから。ジルベールは嘲る様に笑う。】
【 “劣等感” だとジルベールは言った。貴方は疑問を返した。全くもって見当のつかない表現であったから。“異端児” である自分が、誰にそんな感情を持つのか、と。】
【彼は真っ直ぐ貴方を見据えた。仄暗い水の底を思わせる瞳であった。一度引き摺り込まれたなら、二度と浮上できない様な、そんな、────── 】

【告げる言葉は存外に冷ややかであった。“俺の見立てを疑うのか” ─── 冷たい音律に貴方の心は固まる。〈王〉の言葉を疑う騎士など居ない、それは重々承知していた。】
【だがその瞬間に本能的な理解が宿った。疑う騎士がいないのではない。疑った騎士は皆いなくなるだけなのだ、と。】
【彼は続けた。────── 貴方が持っていた、兄に対する “劣等感” それが幻聴を生んでいたのだと】

【先に生まれたという理由だけで、自分が手に入れるはずだった全てを手に入れた兄。その兄に対する劣等感が、精神の歪みを生んだのだと言う。】
【納得はできなかった。心の底から納得するには、あまりにも深く貴方は病み過ぎた。精神を抉った傷跡は、直視するも悍ましい程に悲惨であった。】
【けれども、ジルベールと出会ってから幻聴が起きないのも事実。それはつまり、劣等感を抱かなくなったからか、と貴方は尋ねた。】




【彼は冷笑を返す。────── 自分より完璧な存在を見つけてしまったんだろう、と。】




655 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/10(日) 18:15:37.34 ID:A3Uf+vunO
>>651-654



【僕は笑った、心の底から】
【最早<王>への忠誠は崇拝へと、まるで縋りつくかのような絶対的な信仰を誓った。】


【―――嗚呼、なんて気持ちがいいんだ=z


【今なら兄や他のニンゲンの気持ちが少しは分かる気がする。】
【誰かに導かれる人生は悪くない、誰かのために剣を振るう事はとても気持ちが良い事なのだと。】


【それからの僕は自由だった。】
【ただ<王>に従い<王>の望むままに剣を振るい、時に太陽/ガラティーン≠以て跡形もなく焼き払う。】
【王は私≠ノ道を示し、私≠ヘ王の進む道の露払いをする。一度壊れたガラス細工が綺麗に修復されたようだった。】



【幸福と輝きに満ちた日々。】


【私≠ヘ王が一度姿を消してからも変わらず闘い続けた】
【疑いはなかった、故に王が帰還した際もさも当然のように成果を差し出した。】




【けれどもガラスは再び前触れもなく砕け散る。】



【聞こえるんだ】              【あれが】




【何故】




【<王>はそこにいるはずなのに】
656 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/10(日) 18:19:59.20 ID:daC4YWZf0
>>645

―――私を市長にするっていうのはどう?

【彼女は急にそんな口火を切る】


この業界も長くない。マフィアというものの存在は
もっと別物に取って代わられたわ。

我々もシノギを変える頃合いなのよ。
地元の地権者、商工会。まとめで抱き込める。

他所とは違い、ヤクも捌いていないしカタギには手を出してこなかった。
選挙対策も問題ない。……適役じゃない?


ポストがある以上、私達はあなた達を切れない。保証なら其処で得られる。
どうやら言うことの聞く傀儡なら誰だっていいご様子ですし。

返事は今すぐでなくていいわ。断っても、そっちの提案には乗る。

対価で欲しいのは――新楼市。それも、考えておくことね。
657 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 18:20:35.05 ID:I6mtD2nCo
>>655


【貴方には今、聞こえている ───────── その理由を、知らなければならない】
【故に追想は続く、その病を鎮めるために】


【村の生活は数週間続いた。それを幸福と呼ぶには、あまりにも満たされ過ぎた生活。貴方は初めて、心より生きている事を実感した。】
【ただ平穏に生きる事。静かに日々を過ごす事。ただそれだけの毎日が、掛け替えのない程美しく、比べようもない程に尊かった。】
【やがてジルベールはその村を出発する旨を告げた。貴方にも付いてくるか、と声をかけて。断る理由が無かった。〈王〉に仕える言葉に、僅かばかりの謀りもなく】

【村を発つ日、貴方は一人の少女から首飾りを受け取る。────── 見ればその少女の首元にも同じ物があった。他愛もないおまじない。かつての貴方ならそう一笑に付しただろう。】
【しかし、貴方は深く頭を下げた。その少女は完璧ではない。けれども、完璧でない事を、貴方は最早下に見てはいなかった。描き続けた真円を、貴方はもう執着しない。】
【高潔なる精神を手に入れた騎士は、〈王〉の忠実な右腕として。────── 二人、向かう先は〈円卓〉へ】


【貴方は〈王〉と共に在った。下す使命を常にこなし、誰もが羨む騎士として。それは正しく天職であると言えよう。その輝きを側で受け続ける定めが如く。】
【また〈円卓〉は貴方にとっても心地の良い場所であった。一騎当千の強者達が集う〈円卓の騎士〉その一つにある事が貴方の精神に平穏を齎す。】
【そこには誇りと共に安堵がある。貴方の求める完璧さが〈円卓〉には存在した。一片の曇りも欠けもない真円が、貴方の誇りとなって。】


【月日が経った。貴方は〈王〉に呼ばれた。玉座に鎮座しながら、かつて出会った時の様に深い視線を注ぎながら】



『闇が光に求める一番のものとはなんだ』



【唐突に彼は聞いた。貴方は僅かに逡巡する。此れは〈王〉の問いかけであった。謎めいた響きの中に必ず答えが示されている。】
【掛詞である、と貴方は直ぐ様察する。彼の提示した闇とは、本来の意味の他にも、貴方が精神に負っていた “病み” をも意味すると。】
【ならば、光とは、────── 貴方は思い出す。放浪の日々を、放蕩の日々を。行く当ても救われる当ても無かった自分を、救ってくれた、光を。】

【 ────── 答えは単純だ。“光が消える事” ならば私は、その光を絶やしてはいけない、と。希望の光を胸に抱き、従うだけだ。】
【貴方の答えに満足したのだろうか。〈王〉は一つの使命を貴方に下した。〈円卓の騎士〉の中で、貴方にだけ託された使命を】
【村が襲われている、と〈王〉は言った。貴方達が出会った村に、異形の物が住み着いている、と】


【貴方に断る意思など元からない。直ぐ様、その村へと向かった。】


658 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 18:21:47.45 ID:I6mtD2nCo


【馬を走らせ駆け付けた時には、周囲は既に真っ暗であった。異形の者達が呼吸している音さえ鮮明に聞こえる程に。静寂を貴方は好んだ。】
【ひっそりとした村の佇まいは変わっていない。ただ、活気というものが消え失せ、深海の様な静けさが村をすっぽりと覆い隠す様に。】
【貴方は悠然と歩みを進めた。小枝を踏み潰す音だけが散発的に聞こえ、やがてその眼前に異形を捉える。】


【悍ましい姿であった。大きさは人と同じ程。だが、無数の節足がデッサンの狂った害虫を想起させた。黒を基調としながらも醜悪な粘液を撒き散らして】
【甲殻虫の様な口元にはみっしりと歯が生えていて、そこから聞き覚えのある呻き声を漏らす。地の底から響く憎悪に似た嘶き。】
【貴方は理解した。────── 貴方を苛めていた声とは、此奴達の仕業であったのだと。】


【口元には不思議と笑みが浮かぶ。それは歓喜に似ていた。憎き仇敵を見つけた復讐者でさえも、こんな表情はしない。】
【お前か、と声が漏れた。泣き笑いの様なジレンマを抱えた声が、鬱屈を抱えた心がその底から激しく叫んだ。】
【貴方が失った全てを。貴方に失わせた全ては。この異形の仕業であると理解出来た。】


【一閃。切り裂く感触は存外に軽かった。一振り刃を振るう度に、心へとこびり付いた鬱憤が削ぎ落とされていく。剥がれ落ちるのは心の浄化に似て】
【深く溺れる様な快楽であった。恍惚と愉悦が全身に満ち渡り、尽きぬ絶頂を常に感じ続ける様な錯覚に陥る。】
【異形を斬り伏せたならビクビクと足元で痙攣していた。その死骸を踏み潰し貴方は見渡した。何処からか不快な叫び声が聞こえる。】

【家屋の陰から異形が顔を覗かせた。貴方は舌舐めずりをする。駆逐しなければならない。世界の為に、王の為に、そして何より自分の為に。】
【扉を乱暴に開き室内へと踏み込む。異形が二匹固まって、その奥に小型の異形を匿っていた。耳障りな雑音を、ひっきりなしに響かせて。】
【貴方は剣を抜いた。怒りと呼ぶに笑いに近く、笑いと呼ぶにはあまりにも苛烈な表情で。】


659 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 18:22:53.14 ID:I6mtD2nCo


【──────】


【────────────】


【──────────────────】



【朝焼けを抱く頃、殺戮は終了した。数だけは多かった。流石の貴方も疲労を覚え村外れの岩に座り込む。】
【清々しい気分であった。精神に蔓延る鬱憤を洗い流した様に、重い荷物を下ろした様に、深い満足が貴方の胸に広がって。】
【だが、このまま帰る訳には行かない。既に村は異形に支配されていた。ならば生存者を探さなければいけない、と。】

【貴方は村へと脚を向けた。────── 朝日に照らされた街は、幻想の様に鮮やかな光景で】
【思わず息を飲んだ。煌々と輝く太陽の光は、微睡みに霞む視界を澄み渡らせて、優れた筆致で世界を描き出す】


【 ────── 否、この鮮やかさは陽射しだけではない。寧ろ、貴方は記憶の片隅にあった、この光景は、景色は、────── 】



【 ──────────── 殺し尽くした戦場の跡 】



【血溜まりが朝焼けに照らされて、チューブからひり出したばかりの原色を思わせる。染立ての着物ですら、ここまで発色しない】
【景色のフィルターに赤と橙とを混ぜたかの様に、眼前に広がる世界は何処までも血と臓腑に満ちていた。そして、────── 】
【足元に転がる "人間" の死体。見慣れた顔だった。見慣れぬ表情をしていた。恐怖、怯懦、驚愕、この世にあってはならない絶命の表情、】




【 ────── 村を発ったあの日、渡された首飾りが血に塗れて転がっていた。】




【絶叫。慟哭。鮮烈な太陽の光が、己の罪を照らし尽くした。直視したくない現実を、否が応でも見せつけて。】
【殺した数多の屍が貴方を睨めつける。血溜まりに転がった眼球が、ギロリと裏返って貴方を見つめた。】
【閉じた瞼の裏側に在りし日の現実が蘇る。怯えた音で金切り声をあげて、艶やかな髪を指先が掻き毟ったなら ────── 】
660 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/02/10(日) 18:23:40.09 ID:I6mtD2nCo










らかるるらかるらかるららかるる
るるるからるるからかるる
るるらからるるるからかるる
かるからる
るるからるるら
るるかるら
らかかるるらかか
るから
ららかるるるかららるるかるる

るからるかるらるる
るるるからる

るるるらからるるかるるからるるらる
るららる
るからるるからるるからる
かるるからるるから

らかるるるるらかるるるかるからるるるからる
るから

らかるるるるるからるるかるら
るかららかるるらかる
るからるるるかるるるる
かるるるらるるるかるるる
るるらかるるるるるるらかるるる
るるかるるるるる
るる
るるるるるる
るる
るるるるるるるる
るる

るるるるるるるるるるる










661 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 18:24:56.81 ID:I6mtD2nCo


【貴方が〈王〉の元に戻ってから数日後、〈王〉の使者が村へと向かった。使者が見たのは変わり果てた村の姿。】
【太陽でも落下したかの如く、全てが焼け焦げていた。炭化した数多の死体が転がり、脂肪が焼ける臭気がこびり付いており、使者はすぐさま嘔吐した。】
【使者の報告によると、残った死体は全て人間のものであった。明らかな化け物の痕跡や死体は、一切発見されなかった。】


【貴方は〈円卓の騎士〉の一員として活動を続ける。武芸と知略を兼ね備えた優秀な騎士であった。鮮やかに太陽の下で剣技を魅せる貴方を、人は "太陽の騎士" と呼んだ。】


【しかし、不思議と貴方は夜になると滅多に人前へ出なくなった。出たとしても短時間で済ますか、謎の薬を常に携帯していた。】

【〈王〉に対する執着も人並外れたものであった。幽鬼の如くふらついた貴方が〈王〉の私室へ向かう姿を何人かは目撃していた。】



【貴方は百万の軍勢を恐れない。だが、一握りの闇を恐れる。夜の間、全ての人間が異形に見える様になってしまったから。闇に蠢く異形が、見えてしまう様になったから。】



【光の下では恐れるものは何も無い。けれども闇の下では、最早精神安定剤無しでは外を出歩く事すらままならない。】



【〈王〉が居た時はまだ良かった。彼は精神に巣食う "異形" を吸収してくれる。彼と謁見した時は至上の幸福を貴方は得ていた。でも今は、────── もう〈王〉はいない】




662 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 18:25:40.12 ID:I6mtD2nCo










聖杯戦争〈幕間〉"太陽の騎士" ガウェイン










──────〈終幕〉──────











663 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/10(日) 18:28:34.90 ID:I6mtD2nCo















『闇が光に求める一番のものとはなんだ』
『単純だ。光が輝き続ける事。眩い光は、より深く闇を照らす』
『彼奴は勘違いしていた訳だ、俺はそれを利用させてもらった』

『 ────── 使える手足は一本でも、多い方がいいだろう?』








【ジルベール・デュボンは周囲に漂う人間の負の感情を吸い上げる。精神に深い闇を負った貴方の感情もまた、ジルベールにとっての餌に過ぎない。】
【貴方の精神に起きた変調は本当に劣等感であったのだろうか。今では私は語る術を持たない。】
【ただ一つ言えるのは、ジルベールが負の感情を吸い上げ、操作できるという事実である。】



【加えて、ジルベールに長期継続的な接触を行った存在は、精神に著しい影響が生じる。】
【貴方の破綻は偶然か、それとも必然か。幾重もの可能性は存在する。けれども、それは可能性に過ぎない。】









【 ────── 我々は我々自身のことをほんの少しも知らないのだから。】










【今、思い描く精神は、本当にあなたのもの?】





664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2019/02/10(日) 19:23:11.63 ID:I6mtD2nC0
>>656

【ぽかん、と口を開いた、────── 乙女にあるまじき作法であったが、ぶんぶこ頭を振って】
【たいーむ! と伝えたならうんうん考え込む様に、両手の指がぐりぐりこめかみを撫でて】
【やがてぴこーん! と閃いたようにおめめをぱちくり】


いんやー! 何ですかそれ! 最高の申し出じゃないですかっ、もう大大大大賛成です!
いやー実はね、うちのセンセも悩んでたんですよね、与党の顔を立てるにしてもあんなんでええんか、って
私としてもね、もっと有能な人間の方が良いって思ったんですけどぉ

────── ね、貴女がやってくれるなら渡りに船です、私も良い報告ができるってもんですから!

ご褒美においなりさんだって、油揚げだって食べちゃいますよ、ひゃっほい!
傀儡なんてしませんよーやだなー! ひっとぎきの悪いのは嫌いだゾ!


【にこにこ笑顔、十中八九今決めたに決まってる、良いのかそれで、────── もしくは】
【それを踏まえた上でのコンタクトなのか、疑いだしてはキリがないが】


でもぅ、────── そこまでして、新楼市が欲しいのって、なんでです?
665 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/10(日) 20:26:55.15 ID:daC4YWZf0
>>664

【乗ってきたと笑うのはどちらのほうだろう】
【突飛な話は何故かトントン拍子に疑問もなく進んでいった】


一つは経済。あの街がいくら荒れ放題だろうと経済力が無視できないのは
今に始まったことではない。今後の復興事業で金も大きく動く
最大限値下がりした今、安く買い叩く

櫻の国とも深いかかわりのあるこの街はそもそも私達の縄張りだった
行政区だの何だので殆ど失われてしまったからそれを取り戻したい。

貴方方がバックにつくというのならこの事態の収束は既に織り込み済み。
お飾りとはいえ、その時の市長は世間一般からは評価される
となれば次の選挙はもっと大きな都市なり、中央議会なり

【まあ、言ってしまえば儲ける算段が有るからというところだろう】
【至極シンプルである】

貴方方からすればその後のことなんてどうでもいいはず。
余計な口、叩くもんじゃないわ。お互いにね。
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/10(日) 21:16:05.27 ID:VtX31r0VO
【街中、今にも雪が降り出しそうな薄暗い空の下】
【金の髪をツインテールにした女が「観察に適した場所は無いか」と】
【通りを歩く人々に何度も声を掛け、そして断られているのだった】

【身なりは良い。高そうなコート、シックな色合いで合わせたセーター】
【新調したばかりのフレームレスの眼鏡に、髪もよくよく梳かしてある】
【標準的な体型、標準的な顔立ち。総合的に見れば中の上】


【ひとり、問いかけに応じる男がいた。粗野な出で立ち、若者、貧乏な身なり】
【明らかに下心が見えるような人物なのだが、女の方はそうと気付かない】

【そのまま背を抱かれ、路地裏へと消えていく】
【一部の心ある人々は哀れみの視線を向けたが、止める者は誰もなく】




        『――――うわぁぁあああああぁああああああ……!!!』




【3分と12秒後。カップラーメン一つが完成するのに十分な時間が経った頃に悲鳴が響く】

【断続的な嗚咽、刃物が落ちるような音。それが響く路地裏の入り口は、ぽっかりと口を開けていた】
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 08:18:34.01 ID:1lEE8NVnO
/>>666で10時頃まで待機してますねえ
668 :イスラ ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/11(月) 08:35:18.97 ID:7L2bpUip0
>>667
/おはようございます! この前ロールさせてもらったイスラフィールの中身なんですが
/送ってもらっているジオラマについて幾つか質問があって
/あれってもしかしたら中に入れたりしちゃう感じですか?
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 08:41:29.78 ID:1lEE8NVnO
>>668
/おやあ、おはようございますう。そうですねえ、入れますよお
/『入る』のと『出る』のは私の立会が必要ですがあ……
/一度入ってから転移用の魔法陣なんかを用意すれば、それも解決ですねえ。
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2019/02/11(月) 08:46:28.76 ID:7L2bpUip0
>>669
/詳細なお返事ありがとうございます、了解しました!
/ちょっとした時とかに実はウニちゃん立ち会ってるーって感じでロールしても大丈夫でしょうか?
/あと、ジオラマ内部にいる際に内部世界を破壊したらどうなるか、とかもお聞きしたいです
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 09:03:23.40 ID:1lEE8NVnO
>>670
/あー、それは全然問題ありませんよお。是非立ち合わせちゃって下さあい

/ジオラマ自体は『純度99%の複製物』、『隔離された極めて現実に近しい異空間』ですからあ……
/内部の人が暴れれば、草は燃えますしビルは現実世界と同じく砕けますよお
/外側からゴミ収集車にでも掛ければ、その世界は『おしまい』ですねえ。

/つまり、破壊すれば現実と同じ結果に。中に人がいる状態でその世界を破壊したなら
/中にいる人は、死んじゃうでしょうねえ。……質問の答え、足りてますかあ?
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2019/02/11(月) 09:10:25.08 ID:7L2bpUip0
>>671
/全然大丈夫です、ありがとうございます!
/妄想が捗りました、素晴らしいです!

/最後に一つだけ、ジオラマはウニちゃんが観測した時点での模倣品って認識で大丈夫でしょうか?
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 09:25:01.95 ID:1lEE8NVnO
>>672
/いえいえ〜、参考になったなら嬉しいですう。
/最後の所ですがあ、基本的にはその通りですねえ

/もっとも、ジオラマにも『生態系』がありますからあ
/『観測した時点』を開始点として、若干の変化がある可能性もありますねえ。
/下地を『2019年2月初頭』とした別の世界線、というところでしょうかあ
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2019/02/11(月) 09:44:13.32 ID:7L2bpUip0
>>673
/とても分かりやすいです、ありがとうございます!
/ほんとに、好き勝手使わせていただきますね!
675 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/11(月) 10:01:30.16 ID:3pA5MClFo

>>666
//まだ大丈夫ですかね?
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 10:08:12.80 ID:1lEE8NVnO
>>674
/どういたしまして〜、ぜひ使ってあげて下さいねえ?
/横から覗いて、楽しみにしてますからあ……♪

>>675
/ちょうど取り下げようかと思ってましたがあ……大丈夫ですよお。
677 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 10:15:38.44 ID:3pA5MClFo
>>666

【通りを歩く人々の大半はきっと叫び声が聞こえても我関せずといった様子だろう】
【しかし一人だけその叫び声に関心を向けた者がいた】

ん、何だろう……?

【軍服姿の若い女だった。見ようによっては少女にさえ見える年頃で】
【紫色の少し長い髪が、片目を隠しているのが特徴的だった】
【危機感や正義感というよりかは、好奇心で彼女は路地裏に足を踏み入れて騒動のある場所まで駆け寄る】

>>676
//よし、じゃあぶちこんでやるぜ!(挨拶)
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 10:30:16.09 ID:1lEE8NVnO
>>677

【貴女が足を踏み入れた路地裏では、先程女性を連れ込んだ男が座り込んでいた】
【正確には、腰を抜かして起き上がることも出来ないままに】
【身体を引きずり、通りへと『逃げ出そう』としている真っ最中、だった】


『あっ……が、ぁあ……あんたっ……!
 助けてっ……!軍っ……軍人、なら、早く……!』

『……"ここ"から、早く連れ出してくれよ……ッ!』


【他に路地裏に散らばっている物は、灯油のポリタンクとライター、サバイバルナイフ】
【路面がわずかながら燃えている。灯油をぶちまけ、火をつけて】
【そしてナイフ――強引に推測するなら『女性から追い剥ぎをしようとした』のだろう】

【しかしその下手人であろう男は慌てふためき、助けてくれと幼く見える女性にしがみつこうとする】

【その一方、『女性』が居ない。衣服の断片、頭髪、持っていた小さな荷物、など】
【何らの痕跡も見受けられない。少なくとも、路上から見渡せる範囲には居なかった】
【――通りは、少し道を戻ればたどり着ける。この場の主導権は、今は軍服の彼女が握っていた】

/はあい、よろしくお願いしまあああああああああす、ねえ?
679 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 10:36:58.05 ID:3pA5MClFo
>>678

【その場所にたどり着いた女は状況に少しばかり困惑した表情を見せる】

(おかしいな……二人向かっていかなかったっけ)

【確かに二人だったはずなのに、この場には男しかいなかった】
【その上、当の男も下手人のくせに何やら混乱した状態。どうすべきか、僅かに逡巡した】

(この男はあまり良くない人間のようだけど、とりあえず……)

分かったから少し落ち着いて
向こうまで連れて行ってあげるから

【しがみつく男の手を引っ張って女は強引に立たせる。見た目以上に力があった】
【男を立たせたら、手を取ってやって一旦は表通りまで引いて歩くだろう】
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 10:48:33.13 ID:1lEE8NVnO
>>679


『頼む……頼むよ、早く連れ出してくれっ!
 死にたくないんだ、"あんな"……ぁ、ああ……。』


【外見以上のその力に、男はある種の勇気付けをされたのか】
【幼子のように取り乱していたのが少しは落ち着き、立ち上がり】
【手を引かれるまま、表の通りまでふらふらと歩き出していく】

【――もっとも、それが本当に正解の選択肢だったのかは分からないが】



         " どこへ行くんですかあああああああ? "




【通りには何十人もの人々が居た。興味本位で残っていた者もいるのか】
【軍服の女性が出てくるのを見て連れ合いと何事か話しているような者もいる】
【流行りのコーヒーを手にしながら寒そうに歩くもの、子連れ、サラリーマン】

【そんな在り来りな光景に、地の底から届いたような声が響き渡る】
【一瞬にして全ての人々の足が止まる。そして次の瞬間には、路地裏から『なにか』が飛び出し】
【約七名の通行人を磨り潰すように着地して――軍服の女性と、男の前に立ちはだかる】

【黒い蔦のようなものが何十にも絡み合って作り上げられた、約5mほどの両腕】
【生物の粘膜のような、独特の色合いを持った二枚の皮膜――翼にも見える、肉厚の器官】
【そして腕と同じように構成された、複数の鰭が付いた尻尾】
【規格外の大きさの中央には、ぶら下がるように辛うじて人間に思える肉袋が在って】

【そして燃えていた。掛けられた灯油が原因だろうか――高そうな眼鏡の耳掛けが溶けて、地面に落ちる】
【凍りついた日常の中で、存在しない瞳がじっと貴女を見つめていた。その価値を、『観察』するかのように】
681 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 10:56:57.77 ID:3pA5MClFo
>>680

あんな……?
一体、何を見たんだい?

【男の手を引いて歩きながら、その言葉が気にかかって少女は質問を投げる】
【しかしその問いの答えはすぐに訪れることとなった】

【表通りにたどり着き、もう大丈夫だと言おうとした瞬間】
【その巨体は姿を現した。突然の出来事に、少女は髪と同色の目を丸くしていた】

……えーっと、こっちじゃこういうのはよくあることなのかい?

【どこか場違いな声と引き攣ったような顔で、手を引いている男に聞きだす始末だった】
【次の瞬間には我に返ったのか、男の手を離して両手を構える。一瞬の輝きの後に両手に現れたのは】
【少女の身長ほどもある大剣だった。切っ先を警戒するように巨体へと向ける】
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 11:05:18.82 ID:1lEE8NVnO
>>681


『あるわけっ……ある、わけがないだろ……ッ!
 こんな化物っ、なんで人間のフリして歩いてんだよ…ッ!!』


【――怪物の背後、二枚の皮膜が小刻みに震える。それは金色の光を放ち】
【ふと周囲に目を向ければ、四方100メートル程を基準として『壁』が構成されていた】
【その壁の96%は暗黒。残る4%は、さながら夜空のごとく綺羅星を描いていた】
【まるで空間そのものが『宇宙』に包まれ、『隔離』されたかのように】


『ぁ……なあ、アンタ……俺を、見捨てたりしないよなぁ……?』


【怪物が動く。燃える中で獣のようにギラついた歯列をのぞかせ、笑いながら】
【巨大な腕の右方が、切っ先を突きつけた女性に縋り付く男の方へと伸びていく】

【理性のない獣、ではない。あくまで男に絞った、狙うような腕の動き】
【放っておけば女性には危害も加えず、巨腕は男だけを掴み取ることだろう】
【――周囲ではパニックが起きていた。怪物の出現、先程まではただの大通りだったはずが】
【気付けば『宇宙』が世界を包んでいる。必然的な集団ヒステリが巻き起こっていたが】

【反面、怪物は静かなものだった。パチパチという、燃える音がよく響くほどに】
683 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 11:11:27.11 ID:3pA5MClFo
>>682

結界、か……?
まずいなぁ。これは何だかとてもまずいような気がするな

えーっと、まぁ、見捨てないよ、多分
というか、これ何とかしないと僕も危なそうだし

【どこか頼りない返事だったが、少なくとも今のところは少女は男を背に庇ってはいた】
【腕が男に迫る。少女は大剣を握りしめて腕めがけて真っ直ぐに振り下ろす】
【少女の風貌からは想像し難い素早い動きに、強烈な力による迎撃だった】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 11:21:00.91 ID:1lEE8NVnO
>>683

【男はろくに返事も出来なかった。5mもある腕、当然その手も巨大であり】
【それが迫る男からすれば、殺されるという純粋な恐怖に感じられたのだろう】

【――ザクリ、と大剣が腕を斬る。その感触は凄まじく固く】
【繊維が高密度に詰まった植生を強引に切り裂いたような反応であり】
【そして出血がなかった。黒い、蔦の集合体のような腕には傷がついたが】
【痛みという概念も薄いのか、蚊に刺された場所を見るように一度手を引き】


     "―――横暴ですねえ"


【傷ついたその腕を振り上げると、一挙に女性を叩き潰そうと振り下ろす】
【密度が高いだけに重みもある。先程たやすく人間をすりつぶしただけのパワーがある】
【距離も近い。単純であるが故に強力な、躊躇いのない攻撃だった】

【――風体の悪い男は、顔を真っ青にして女性の軍服にしがみついていた】
【それは動きを阻害するだろう。もっとも、外見以上の膂力があれば話は別だったが】
685 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 11:30:23.80 ID:3pA5MClFo
>>684

(何だこれ、硬いな……!)

【切断するつもりで放った斬撃だったが、刃は中途半端な位置で止まってしまった】
【即座に大剣を引き戻して構え直す。そこに巨大な腕が振り下ろされる】
【躱すには男が邪魔だった。大剣を跳ね上げて迎撃。刃が高密度の繊維を受け止め、超衝撃に少女の足元が摺鉢状に沈む】

ぐ、っううぅうううううっ!!
どれ……だけ重いん、だっ……!

は、早く退いて、くれな、いか……いつまでも保たない……!!

【少女の両腕が重みに震える。異形の巨腕の重量に膂力で拮抗させてはいたが、徐々に押され始めていた】
【しがみつく男に早く離れるように指示する。そうでなければ逃れることさえできなかった】
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 11:41:59.39 ID:1lEE8NVnO
>>685

【跳ね上げた剣の刃は深々と手に食い込むものの】
【やはり痛みに伴う反応もなく、強大な力で少女ごと押し潰そうとし】


『ひぃぃぃいいいいいいぃぃ!いっ、あ…が……はぁっ、はーっ……!
 こんなっ……こんな、やつ…、勝てるわけない……!』


【一般人である男からすれはそれは当然で、至極真っ当な言葉だった】
【このまま一緒に居たら潰される。女性の言葉にしたがって、というよりは】
【純粋に保身のため。少女の足元、窪んた地面から逃げ出すように這って彼女のもとを離れていく】

【――その男の事を逃がすことなく、怪物の尻尾が鞭のように薙いだかと思えば】
【這いつくばっていた男の体は上半分がミンチと化して、あっさりと命を散らし】


【更には少女の見えない位置で更に左方の拳が振り上げられて】
【彼女を押しつぶそうとする右手へと、思い切りその拳が打ち下ろされる】
【杭を打つように。一挙に相手を潰そうと、凄まじい『力』が振り下ろされた】
687 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 11:50:11.82 ID:3pA5MClFo
>>686


…………あぁ、もう
折角助けに来たっていうのに、無駄になっちゃったじゃないか……!


【逃げ出した男が一瞬で下半身のみとなる。義憤とも苛立ちともとれない言葉を少女が吐き捨てた】
【だがこれである意味、邪魔者はいなくなった。柄を握る両手に力が込もる。膂力が一瞬だけ増大し】
【ほんの僅かだけ、巨腕を押し返す。その瞬間に大剣が消失。その場を飛び出して地面を転がる】

【少女がいた場所には拳が打ち付けられて砂塵を舞い上げていた。間に合わなければ即死だっただろう】
【少女の額には冷や汗が流れた。もう一度立ち上がって、怪物に相対する】


危なかったな、全く……
じゃあ、仕切り直しといこうか


【今度は少女から駆け出す。怪物の左側から接近して跳躍。両手で何かを持つような構え】
【出現したのは巨大な両刃斧だった。頑強なのであれば重量でもって対抗する】
【空中で重量のある両刃斧を全力で振り下ろす。狙いは胴体左側。それこそこちらも相手が人間ならば一撃で真っ二つにできる威力だ】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 12:13:38.82 ID:1lEE8NVnO
>>687

【先程まで少女が居た路面は、巨大な掌の形に圧壊する】
【その手を引き剥がし、瓦礫以外が付着していないのを確認するような動作】
【それから改めて少女の方へと怪物が向き直る。火は、俄に勢いを弱め】


     "……しつこいですねえ。お邪魔、ですよお?"


【巨大な両刃斧が振るわれれば、それを左腕で受け止める】
【痛がる素振りはない。腕の中程までを断ち切るが、まるで丸太に刃を立てるように】
【ぎっちりと詰まった繊維質へ食い込んだ斧は、安々とは抜けず】

【攻撃を受けきった左腕が、そのまま少女を振り払うように振るわれる】
【手だけでなく腕もまた太く巨大。ただ薙ぎ払うだけでも凄まじい攻撃になるが――】
【その分、振るった後はがら空き。腕や尻尾からぶら下がった、燃える人体があらわになって】
689 :ティナ ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/11(月) 12:20:54.53 ID:7L2bpUipo
>>665

【存外に丁寧な答えだと思った、理知的でもある、────── 最近のヤクザは親切ですねぇ、なんて内心密か】
【ふんふん、と大きく頷いて聞いてみせる、きちんと納得した様に】


やーん、そこまでビジネスの視点があったんですね、ティナちゃんびっくり
でも、そんな人に任せちゃったら、全然心配いりませんね、頼りにしてますしぃ

────── 沢山の理由から、新楼市は取られちゃいけない場所、なんです

その一方て危険すぎる、っていうのもわかるんですよね、そりゃ政治家さん方もお金欲しい、いっぱい! なんですけど
命あっての物種ですからねぇ、ここまでハイリスクハイリターンだと、乗ってこないわけです

ですしぃ、貴女はぴったりぴったりの人材なんですね! いやー約束できて嬉しいです!


私はぴょんぴょん拍子にセンセへ報告しに行きますけど、何か聴きたいこととか、ありますか?
690 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 12:26:57.59 ID:3pA5MClFo
>>688


(これでもだめか……!)


【両刃斧で攻撃しても半ばまで断つのが限界。ここで少女に僅かな違和感が走る】
【腕に対する攻撃の反応があまりにも鈍すぎる。形状もまるで模造品のようだ】
【生物的な器官には見えない。となれば、腕への攻撃は無駄。尻尾も同様だろうと予測】


(ならあの中央のそれらしい部分を狙うしか……)

ぐっ……!!


【腕が薙ぎ払われて少女は軽々と吹っ飛ばされる。だが空中で身を捻って四脚獣の姿勢で着地】
【両手両足が床を削り取りながら減速して停止。髪に隠れた片目が僅かに赤く光り輝く】
【次の瞬間、少女の足元が爆発したように破裂。瞬間的に急激な加速をして低空を直進。一気に距離を詰める】

【手元で突撃槍を生成。槍の先端をガラ空きとなった人体へと向けて、超速を保ったまま激突しようとする】
691 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/11(月) 12:45:15.00 ID:7L2bpUipo
【櫻の國、天ノ原、────── 天守閣】

【殿様の住む城にて、貴方達は召集された、畳を敷き詰めた広い一室】
【意外にも質素な室内であった、華美なものはなく、ただ静謐に過ぎて】
【彼女は一段高い舞台上に寝そべっていた、肘置きにもたれかかるように、たらんと蕩けて】

【長い櫻色の髪、同系色の狐耳と、背中に広がる大きな九つの狐の尻尾】
【胸元を大きく露出した赤い派手な着物、大きくスリットを入れてまるでミニスカートの様に纏う】
【さらけ出した素足に申し訳程度の足袋を履いた、青い瞳の少女】


ねぇん、それで “上手く” いったのかしらん、例の侵攻作戦わ
随分と妾の手駒も苦戦したみたいだけど、道賢ちゃんが上手く立ち回ってくれたなら、まあいいわん

────── 反省は大事よん、妾は賢いからちゃんと、ちゃぁんと見直しするの

それでその次の遊びを決めましょん、ねぇ、道賢ちゃん


────── 出来たことと、これからを、一遍に話してちょうだいな
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 12:47:06.91 ID:1lEE8NVnO
>>690

【怪物は決して鈍重というわけではない。むしろその巨体に見合わず敏捷である】
【しかし少女の急激な接近に対応しきれなかったのは】
【偏に彼女の、純粋な能力とは別な『それ』が予想の外を行くものだったからだろう】


     "げっ…、が……ぁ……あ、あ、あ、あ、あああああああ………ぁ、ッ!"


【先程までとは全く違った感触が、突撃槍を介して少女に伝わる】
【柔らかな肉を穿ち、深々と人類の内蔵を傷付けるという生々しい感触】

【呻く声、歯列が並んだ口と思しき穴から悍ましさが上回る音声が発せられ】
【直後に両腕が地面を叩き、跳ね上げるようにして後方へと飛び退る】
【その折の回転で尻尾が振るわれる。男の体をミンチにした、攻撃的な器官】
【狙うのは少女の身体を縦に両断する事。そして同時に、回避も含めた跳ね上がりだった】

【――観測できるかは分からないが、怪物の背後で二枚の皮膜が震えていた】
【周囲に『壁』を展開したときのように。黄金色の煌めきが放たれていた】
693 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/11(月) 13:02:27.88 ID:Yn8Q8hv90
>>691

【櫻国、首都『天ノ原』】

「奥方公に置かれましては、ご機嫌麗しゅうございます」

【先ずは、通り一遍の挨拶を、幾分か役者じみた動きに拍車がかかっているのは、他でも無くこの男の機嫌によるものか】
【魔導海軍連合艦隊司令長官、蘆屋道賢海軍大将】
【先の水の国の作戦にの報告に、ここ将軍家居城へと呼ばれたのである】

「策は成りました、奥方公」
「水の国は我らの常時駐屯を認め、港を明け渡し、そして陸戦隊の駐留を認めました」
「よりにもよって……その首都に……」

【妲己の問いに、恭しくも跪き、こう答えた】
【何とも、意外な程に簡素な部屋であるが、雑念が入らぬ部屋は却って好都合】
【口元には、相変わらずの笑みを貼り付けて】

「なるほど、やはり奥方公の手勢が紛れ込んで居りましたか、海兵らの報告にて、もしやと思って居りました」
「これらの作戦も、成功も、全ては奥方公のお力添えあってのこと、誠に恐悦至極に存じます」
「しかし、やはり気になるのは、かの国の能力者の事……スムーズなる作戦の侵攻が、より妨げられましたご様子に……」

【最後にちらりと、妲己の顔を見つつ、こう言って】
694 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 13:02:35.72 ID:3pA5MClFo
>>692


(よし、これならいけるな)


【手に伝わる感触が有効打であることを知らせる。手応えはあった】
【だが相手の反撃も早かった。跳ね上がると同時に巨大な尾が迫り来る】


ぐぁっ……!


【咄嗟に突撃槍を横に構えて盾とするが、全く衝撃を受けきれずに吹き飛ばされる】
【今度は空中で体勢も変えられずそのまま通りに面した商店の壁に激突。全身を強打】
【普通の人間なら即死していそうな状態だったが、少女は凹んだ壁に手をかけてふらふらと立ち上がった】


……やって、くれるな……
全く……こっちじゃこんな化け物が徘徊してるのか……
なんて、運のない……


【両手に何かを握り込み、両腕を交差させて投擲。怪物へと向かうのは複数の光点】
【それらは空中で短剣と化して真っ直ぐに飛来する。狙いは胴体と背後の皮膜だった】
【とはいえ所詮は短剣。速度はそれなりだが打ちはらうのは難しくない】
695 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/11(月) 13:08:49.23 ID:7L2bpUipo
>>693

【物憂げな表情を瞳に透かして、けれども頰に浮かべるのは愉悦、────── 相反するその境目にのみ、幽玄の思い】
【琥珀色の瞬き、蠱惑的な潤い、ただ染み入るは清流が如く、ちろちろとばかり袂を分かつ】


上出来よん、地続きでないのが妾の物足りないとこだったから、少しばかり近くなったわん
妾は綺麗なものがすきよ、ええ、とっても、だから水の国は全てがすきなの
そうでしょう? あれだけ、混沌、とした場所も、そうはないでしょうから

ほんの戯れよ、戯れ、────── 凶々しき四つも、上位の者達も、たまには身体を動かして

そうねん、すんなりと行くとは思ってなかったけどん、予想よりも激しかったわ


────── さあどうしましょう道賢ちゃん、貴方は一つの陣地を手に入れて満足かしらん
一つのおもちゃで徹底的に遊ぶのも愉悦よん、でも、それは赤子の考え


賢しき大人は、どうやって振る舞うのかしら?
696 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/11(月) 13:28:55.78 ID:Yn8Q8hv90
>>695

【妲己が浮かべたるは、深々とした混沌に愉悦の瞳】
【何とも華美で、何とも扇情的な】
【男ならば、堪らず飛びつきたくなる程の表情で】
【やがて、憂の後に浮かべるのは、果てなき恍惚を秘した優位者の瞳】

「素晴らしきご趣味です妲己様」
「ええ、あの国は素晴らしい物です、あの国全てを囲む情勢も内情も、そう、全てが……」

【口元だけの笑みはそのままに、まるで誘蛾灯に惹かれる虫のように、妲己に近付き、そして傍に世界の地図を広げて見せ】

「無論、知れた事で御座います……」
「全てを手中に収めましょう、世界を戦火で覆いましょう、何全てが終わった後に、君臨しているのは我らのみです」
「つきましては……」

【そう言うと、道賢は、装飾の短剣を引き抜き】
【地図上の一国を突き刺した】

「次は、此方が宜しいかと……」

【突き立てた短剣は、氷の国の首都を貫いて】
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/11(月) 13:36:02.79 ID:1lEE8NVnO
>>694

【跳躍した怪物はその巨体に見合わず通りの反対側】
【その建物の屋根に飛び降り、ぼたぼたとドス黒い血液めいた汚濁を落とす】
【底に飛来する短剣、腕を大きく振るって弾き落とすものの】
【一部が更に胴へと突き刺さり、巨体が揺らめいた、かと思えば――】


     "がっ、ェ……!う…ぁ…ああぁ……忘れ、ませんよお……!"


【黄金の瞬きが一瞬強くなり、周囲一体を眩く包み込んでゆく】
【そして何かが爆ぜるような音。体に感じる『ゆらぎ』のようなものが少女を襲い】

【――新たに彼女が目を開いたときには、怪物はそもそも存在しなかったかのように姿を消し】
【周囲を覆う星空のような『壁』も、すり潰された七体の遺骸も、ミンチになった男の成れの果ても】
【存在しない。というより、そのいずれもが生き返ったかのように其処に立っていて】

【そのものたちは平然と、何事もなかったかのように町並みを歩いていく】
【少女にすがりつき、助けを求めた男は今も悪巧みをするように群衆を眺め、退屈そうにしていて】
【怪物が圧壊させた路面も、垂れ流した血液も、全てが『普通の町並み』に戻っていた】


【中には少女のようにキョトンとして、周囲を見回す者も存在したが】
【白昼夢でも見たのかと、やがて歩き出す。そうしてあまりにもあっけなく、日常は戻ってくる】
【流れる人波。その群衆の中に、金髪のツインテールが垣間見えた気もしたが】
【すぐに、見えなくなった。雑踏と、珍しいものを見るような目線だけが軍服の少女を包み込んでいた】

/ぼちぼち出かけないといけないので、この辺りで失礼しますねえ
/お付き合い頂けて嬉しかったですよお、ありがとうございましたあ。
698 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/11(月) 13:36:23.38 ID:7L2bpUipo
>>696









【しとり、────── と、瞬きが止んだ、幾許かの沈黙をもうけて】








【指先が彩る、頬杖、白妙玲瓏、────── 流麗なるはその所作、甘美なるはその結え、豈に謀りとは剰え】



【彼女は見つめる、見据えた先にある、────── 貴方の瞳を見透かして】





ねぇ、道賢ちゃん、妾は貴方を評価してるつもりよん、そうじゃなきゃここまでしてあげないんだから
でもね、妾はとても気まぐれなの、それぐらい、わかってるつもりだと思ってたけど

────── どうしてかしらん、どうして貴方は “此処” を選ぶの?


そこに明確なる意思と、明朗なる意志とを示してくださらない? そうじゃなきゃ


────── 妾は満足しないわ、思いつきで動く駒なんて、いらないもの



【ただ無音に過ぎた、無明に在った、─── 彼女は問いかける、なぜ氷の国なのか、と】
【それは一種の試しに似ていた、戯れか、─── けれども、戯れで死ぬのもまた、道理】

699 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 13:47:35.33 ID:3pA5MClFo
>>697


………………あれ?


【ふと気が付いた時、街はすでに元どおりの状態に戻っていた】
【怪訝な表情を浮かべて少女は周囲を見渡す。何もおかしい部分は見つからない。それがおかしかった】
【佇む彼女に奇異の目が向けられる。変に目立つことは彼女にとって良くないことだった。なので歩きだす】


……何だったんだ?


【死んだはずの者さえ蘇っている。さっきまで幻覚を見ていたのか、それとも今が幻覚なのか】
【奇妙な感覚を抱えたまましばらく警戒していたが、何も起こらない】
【一体、何に巻き込まれたのか。否、“何と遭遇してしまったのか”。分からないままに、少女も雑踏に戻るしかなかった】

//はーい、ありがとうございました!
700 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/11(月) 13:52:35.44 ID:Yn8Q8hv90
>>698

【妲己は常に、ゆったりと構えている】
【ゆったり構えながら、坦々と出方を見る】
【傾国の美女、稀代の佳人は、暫しの沈黙の後、そう問いを投げかけた】
【曰く、何故、と……】

「奥方公よ、よくぞ聞いてくださいました」

【くつくつ、と漏れ出る笑いを抑えもせずに】

「昨今、氷の国軍が各所にて動きを見せているとの噂はご存知ですか?」
「曰く、円卓に通じている、と」
「曰く、諜報活動に力を注ぎ、水の国内にて協力者を模索している、と」
「これらはあくまで未確認の情報ですが、しかし信憑性は高いでしょう」

【再び役者の様なモーションとなりながら】

「加えて、我らが堕としたのは水の国、地理的にも程良く、そして何より、この国の産出物」
「石油資源、そして、レアメタル……」
「これを抑えれば、新たな火種を各国に撒き散らせる」
「そして、円卓に傾倒するのであれば、何より仕掛けやすいでしょう?」

【行灯の明かりに浮かび上がる、そのぼうっとした怪しげな笑みで、こう答えた】
701 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/11(月) 13:57:57.40 ID:7L2bpUipo
>>700




【暫し、言葉を止めた、────── まるで、そう思案でもするように】




ふぅん、────── そうね、あんな寒いだけの国、興味はなかったんだけど
道賢ちゃんがそう言うなら、食べてみる価値はあるわねん

〈円卓〉ですって、小さな小鼠を、何時迄も気にしてるのね

分かったわん、次の狙いを氷の国にするのはいいのだけど


────── 大切なのはその方策よん、どう攻めるの?


虎の子の魔導イージス艦は、動かないんでしょう?


【彼女はそう伝えた、“みらい” はすでに、敵の手の中にあるのではないか、と】


/この続きは置きレスでよろしくお願いします!
702 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/11(月) 14:16:26.57 ID:Yn8Q8hv90
//>>701
//置きスレ>>2にお返ししました、ありがとうございました!
703 : ◆r0cnuegjy. [saga !nasu_res]:2019/02/11(月) 14:35:17.96 ID:3pA5MClFo
//てすと
704 : ◆r0cnuegjy. [saga !nasu_res]:2019/02/11(月) 14:51:29.54 ID:3pA5MClFo
【水の国・アルターリ】


【突如として起こった異常現象により一夜にして廃墟と化した都市アルターリ】
【都市の異界化こそ収まり、今は国軍とレヴォルツィオーン社が協働して復興にあたっている】
【都市の崩壊は著しく、また多数の死骸の回収のためにその復興作業は遅々として進んでいない】

【一方で、旧レヴォルツィオーン支部の上空に出現した謎の空間の歪みの調査も】
【レヴォルツィオーン社と軍の一部が内部に入って以来、世間的には何ら公表された情報もなく】
【依然としてアルターリでの異変は何一つとして原因が分かっていない状態であった】


【────それが、表向きの話だった】


【アルターリ市内は厳重に封鎖中。内部に入れるのは軍人かレヴォルツィオーンの社員の一部だけ】
【警備には不自然な穴がいくつかあり潜入しようと思えば出来る状況ではあったが】
【そんな酔狂な者も殆どいない。墓標のように高層ビル群が屹立した都市はまさしく死んだように静かだった】

【静寂が包むアルターリの路地裏を一人の男が歩む。黒衣に黒髪の魔術師然とした風貌】
【この都市を崩壊させた男──ブランルだった。調査進捗の視察などという名目で都市に入っていた】
【何かに導かれるようにして黒衣の男は歩き続け、そして止まった。彼の目の前には裸の女の死体が一つ】


…………何だ、これは?


【疑問の言葉が吐き出される。その死体は奇妙なことに真新しかった。明らかにここ最近殺されたばかりのものだった】
【一瞬の思考の後に、双眸に理解の色が映る】


やれやれ……向こうもそう、簡単にはいかないか
忙しいな、この国は


【ブランルが見上げた先。いくつもの建造物の向こう側には、音もなく蠢く空間の歪み】
【『魔界』と呼ばれる異世界へのゲートが、悠然と深淵への道を開き続けていた】


//絡み不要のソロールです
//なんか起こってそうな感じです
705 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/11(月) 15:09:50.56 ID:1JHrG/af0
>>689

【――思いがけずに霧崎は手に入れた。計画はこれで進めることが出来る】
【しかも効率よく。降って湧いたそれを逃すわけには行かなかった】

新楼の反企業グループが近々、オーウェル社を襲撃するらしいわ
私はそれを支援する予定。―――露払いよ。

余計な邪魔はせず、黙ってみていなさい。

【彼女は席を立つ。右手の拳銃を握ったまま隠しもせず】

次、エンコ詰めるなら、ノミとハンマー、貸してあげるわ。

【彼女はそれだけ言い残して立ち去っていった。】


思ったとおり、因果が集まってきたようね。
…さあ、始めましょう。再構築よ。


/ここで締めます!!長々とお付き合い頂きありがとうございました!
706 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/11(月) 18:49:44.45 ID:3pA5MClFo
【路地裏】

【路地裏なんて場所は大体において環境が悪い。整備されていないことが殆どだ】
【ゴミの腐臭やら何やら。妙な臭いがしてるのが普通。酷いときは血の匂いや死臭まで漂う】
【だが今日の路地裏はそれらとも違う異質な臭いがしていた。鼻を劈く刺激臭。腐敗臭ともまた違う】


────全く、どこで油売ってんのかしら


【異臭を辿っていけば、薄暗い路地裏で溜息をつく一人の女を見つけることができる】
【青く透き通った色の背まで届く長い髪に端正な顔立ち。丈を切り詰めた服装で、寒い時期にも関わらず脚が露出している】
【靴も所謂サンダルだ。下半身の軽装に対して上半身にはコートを着込んでいた】


それにしても、ここは酷い臭いね。鼻が曲がりそう
よくこんなところに住んでいられるわね、こいつら


【青い双眸が苛立たしげに足元の何かを見やる。そこには黄褐色の液体が広がっていた】
【周囲の異臭の原因はこれだった。だというのに女はその場から動く気配がない。まるで臭いに釣られて誰かがくるのを待っているように】
【液体の中には小さな人の指のようなものが浸かり少しずつ小さくなっていた────】
707 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/12(火) 11:15:50.81 ID:tof/Y/Qo0
>>705


【去りゆく背中を眺めて、一人ティナは思案する、つまりは、失ったものと得たものについて】


【一面的に言えば交渉は成功であった、"富嶽会" の協力は大きく、選挙戦に於ける勝利をほぼ手中に収めた】
【しかし、その頭領が自ら名乗りを上げた、──── 傀儡にするには有能すぎる人物、〈与党〉にとっても危険すぎる代物】


【だが、当初立てていた候補者を推薦するのは目に見えた失策でもあるのだろう、いくら支援があったとしても】
【深淵に立ち竦む事しかできない人間に、混沌の防人をさせるのは、あまりにも無謀であったから】


【 "カニンガムの法則" によると、正しい情報を得る最良の方法は、誤った情報を誇示する事だと言う】


【 ──── 真意は定かではない、けれども、多面的に見れば双方に利益があるのも事実】



────…… 指、センセに治してもらわなきゃね



【賽は投げられ、新たな日々をつづる、その行方は、いまだ無明────────】


/お疲れさまでした!
708 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/12(火) 22:52:29.47 ID:DvAfaGQDo
>>382
/すみません、数日前に舞台裏でも少し書きましたが、マジックアイテムについての文に訂正を入れます
/マジックアイテムが記憶を奪おうとすると逆に相手の記憶を読み取る、という事実は、カニバディールの記憶から抜かれていました……すみません

/イスラフィールが私の記憶を取り出そうと、そのアイテムに能力を使えば、逆にイスラフィールの記憶を吸い出せるらしい
/→記憶が頭になければ、取り出すことも出来ないというわけだ。重要な記憶はこれに封じ込めておけばいい

/詳細については、このアイテムの力で私の頭からも抜いてあるから、話せないが……。次に私がイスラフィールと接触することがあれば、チャンスだ
/……そのために、カーチェイスも銃撃戦もやらねばならんかもしれないがね
/→このアイテムについての詳細な説明は、すでに私の頭からも抜いてあるが、ミラさんも可能な限り彼奴に記憶を読まれないようにして欲しい

/ミラさんのセリフからも、接触による記憶逆読みに関する下りはなかった形にしていただけないかと思います……本当に申し訳ありません


>>383-384
【そう、かのジルベールもまた金には滅法うるさい男だった。カジノを手中にしていたことも、会計係との共通点だ】
【そんな会計係コマチだから、少なくとも黒幕にも円卓にも与しないだろう】
【しかし、それがミラにとって利益となり得るのか。その時、自分はどう行動するのか。一抹の不安をカニバディールは抑えきれなかった】

【ともあれ、今は眼前のイスラフィールへの対策だ。訪れていない未来に気を取られていて、対抗できるほど甘い相手ではない】
【まさに世界を揺り動かしているような存在が相手なのだから】

……そうだ、対抗策を講じてもその記憶すら読み取られることになる。それが何より厄介だ
私の方でも、引き続き調査は進める。サポートが必要な時は、要請させてもらおう

【結局は、アドリブで対処するほかない。この点だけ見ても、あまりにも強大な相手だ】


――――然りだ。イスラフィールの存在そのものが、虚神の影響が未だ色濃く残っているという証左かもしれない
そうだな、考えてみれば〈聖杯〉などという代物自体が、神話のレベルだ……
それに、名前についても……なるほどな。最後の審判における破滅のラッパ。まさに『世界の終わり』をもたらす存在の名か
まさに、世界を滅ぼそうと動いていた虚神どもと同様のものと言えるだろう

ああ、その通りだ。あの二人の出会いも旧市街……ストックホルムにおいてだった
虚神に纏わるインシデントの全てが、あの場所を中心に起こっていた。ならばそれはまだ終わっていない……

憶測ではあるが、<奇跡>というにはあまりにも出来過ぎた一致であることは確かだ。まるで、全て仕組まれた筋書き通りであるかのような

【考えても考えても、結論の出る話ではあるまい。全ては行動でしか得られない答えだ】
【だが、それでも。行動によって答えを勝ち取るためには、考えておく必要があるだろう】
【この恐るべき深淵が、どれほど巨大な闇であるのかを】

/続きます
709 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/12(火) 22:52:46.43 ID:DvAfaGQDo
>>383-384
本人も、実況として参加すると言っていた。議員としての立場を考えれば、何ら不自然ではないが……
ふむ……貴女の目から見ても、見事に化けの皮を着ていたというわけか
その時、触れられはしなかったかね? 彼奴が記憶を奪うためには、恐らく接触することが条件だ

なるほど、あの実況への参加は鈴音のためだったか……驚かせたのは済まなかった
私としても、まさかミラさんがあのような形でいるとは思わなくてね……

ウィーヴァーはあれで演技派だ。顔が割れていないのはあいつだけだったから、どのみち選択肢はなかったが
あの人選で正解だったな。他の連中だったら、ボロを出して擬態に影響が出ていたかもしれん

全くだ。腹の底の読めない相手には幾人も会ってきたが、あの女は飛び切りだな……


……その通りだ。こちらのやり方で、闇に潜りながら探り出す。そうする他あるまい
表に出なければ手が出せない、まさに彼奴の最も得意とする手段だな……表の立場が、イスラフィールの闇を完全に覆い隠している

<円卓の騎士>――――円卓の武力、というわけか。そのような名を与えられている以上、彼奴等の中でも特に重要なメンツのようだな
ミズキ・"ランスロット"……ミドルネームは、アーサー王伝説になぞらえた暗号名といったところかね

!!! ……ああ、もちろんだ。大いに手がかりになる

【そう、何度も目にした光景だ。しかし、それでもカニバディールの三つ目には称賛の色があった】
【何度見ても、あまりにも見事すぎる変質。これこそが、ミラ・クラァケの真骨頂】
【暗殺のみならず、このような情報共有にも大いに力を発揮する。写真などなくても、極めて正確に目標の姿を伝えられるのだから】

……まさに騎士そのもの、といった風貌だな。線は細いが、円卓の武力に名を連ねているなら腕は立つのだろう
王妃の刃……ふん、イスラフィールの命令一つで、当の王妃の喉元に向きそうな刃に思えるがね

マーリン……金の国で大規模な改革≠やっているという枢機卿か
噂には聞いていたが、あれも円卓の一味だったのだな……こちらは、騎士というには金勘定の方が得意そうなイメージだが

ありがとう、ミラさん。確かにその姿、覚えた。マーリンの件も含めて、私の方でも調査を進めよう
教会で今マスコットのようなことをやっている『銀のアンゼリカ』とは、私は一度敵対している。教会を調べるのは、間接的な手段になるだろうが……

まあ、やれるだけやってやるさ。蛇の道は蛇、というやつだ
ミラさんが、明らかに好みの正反対だろう相手を『刃』として押し付けられるような苦労を追っている以上、私もそれなりの苦労をせねばな

【カニバディールもまた、にやりと笑って見せる。どこか、友人を気遣うような色合いの笑みだった】
710 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/13(水) 03:18:57.41 ID:1l0MrCY+o
>>390-391
なるほど、そこでシスターからもらった名が音無=c…と

"異能絶対主義"……以前存在していた、『GIFT』を同じような思想の連中ですか
原理主義で動く連中は、話が通じませんからな……しかし、相手は能力者たちだったはず。それを単独で迎え撃って
少なくとも、コマチ様という生存者を残したとは。余程の女傑だったのでしょうな

ご本人に聞くのは少々憚られますが……あのジンジャー博士の父親もその戦いで? 何とも、奇妙な巡り合わせだ……

――――相手を選ばずとはいえ、奪う側として生きて来た私には、到底答えを持ち合わせることは叶いません
ですが、貴女やコマチ様が今も行動し続けておられるのは、そうして理不尽に奪い取られた物を奪い返すことが目的の一つなのではありませんか?
罪があろうとなかろうと、平然と踏みにじられるようなこの世界から、貴女方は奪い返すだけの力と――――権利をお持ちだ。私はそう思います

【暗い過去、理不尽な悲劇。カニバディールにとっては、幾度も聞いてきた――――そして、自らの手で起こしてきた話だ】
【自分たちよりも強大な力も前に、ただ奪い取られ、蹂躙され、そんなことがいくらでもまかり通るこの世界】
【彼女たちは、生き延びた。そして、自らの足で立ち、進み続け、今なお壮大な野望と共にここにいる】
【ならば、やり遂げるべきだ。自分はそれに協力する。彼女たちが奪われてきたものを、自分が盗み出して献上する】

【当然、矛盾に満ちた考えだ。まさに自分が奪う側。カニバディールの都合で奪い尽くされた命がいくつあるだろう】
【自分に比べれば、何の落ち度もなかったはずの彼女たちは、それと同じくらいに理不尽に奪い取られたのだ】
【ならば、自分が彼女らの恩に報いるためには、今度はその「カノッサ機関の人間との縁」が、彼女たちのためになるように動くことだ】


【ブレンヒルトが自らの顔を張る音を合図に、カニバディールも再び居住まいを正す】

使い魔、と言っていただけると飲み込みやすいですな
留置場ではない……"工房"? 確かに、剛田が使っていた物などは、相応の設備無くして出来そうにないものでしたが……
看守もいるか怪しい? ブレンヒルト様、それでは捕われの身というのは随分と自由の効いた――――

自首、ですと……!? ブレンヒルト様を育て上げた直後に……義理だけを果たしたら、最初からそうするつもりであったと……
彼が何を想っていたかなどわかりませんが、機関時代に凄絶な経験を経てきたのか……

【確かに、犬越しとはいえあの大山という人物はいかにも職人気質な人物に思えた】
【機関創設メンバーとしての歩みの中で、そういった性格になったのかもしれないが】
【少なくとも、己の身を差し出したのも、ジンジャーに協力しているのも、全ては彼自らの意志であることは確かなのだろう】

/続きます
711 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/13(水) 03:19:18.59 ID:1l0MrCY+o
>>390-391
ええ……発掘に成功したのならば、それを入手していないはずは……
それは、その通りです。実際に神器が使われていれば、この世界の趨勢はとうに決していたはず
使わないのではなく、使えない……ということですか

脱退の理由は、ブレンヒルト様もご存知ではないのですね……義理、というには確かに疑問は残ります
機関創設に関わっていながら、自らの意志で抜けて、それでいて最後の命令だけは自首の前にやりおおせた
……今、考えられるのはそのくらいでしょうな。機関には反目しても、創設者に対しては複雑な思いがあった、としか……

探している……つまり、ジンジャー側の人間ということですか……
この剛田とは以前やり合いましたが、他の二人は会ったことがありませんな
ドラと言う男の方は、ナンバーズ狩りとして名前を聞いたことはありますが……

【三人の写真を覗き込む。それぞれに特徴的で小瓶の中に封じられるとはいえ、実際に会えばすぐにわかるだろう相手だ】

日本人……以前、コマチ様からも聞きました。こことは限りなく近いだろう別世界、そこのある国から来た連中だと
実際に、漂流者としての身分が申請出来るほどに、異世界からの迷い人は多いようですし

……ふむ。神器を探す者同士かち合うのは当然ですが、目的は食い違っていたと
向こうは、ブレンヒルト様たちの目的が自分たちと同じだと勘違いしていた……

違う神器……三つ。大山の思惑がますますわかりませんな。そこで協力者にまで情報を限定するとは
恐らくは、強大な神器の情報が広まる可能性を少しでも潰すためなのでしょうが
ともあれ、神器に関してはこの三人やジンジャーが探す物とブレンヒルト様が探す物は別であり
彼奴等は未だ手に入れておらず、神器は眠り続けている……そういうことですね

しかし、先のアマギ博士の一件ではノビタと言う男のタレ込みがあったという話だったはず
となると、この男はレオ様を相手に生き延びたということですか……聞いた話では、日本という国は
向こうの世界でも比較的平和で、鉄火場はおろかテロは起きることも稀だと
こちらに来てからの時間が長いのだろうとはいえ、只者ではなさそうです。普通なら、混乱のうちにあっという間に落命していてもおかしくないところを……

神器に関して、最大の障壁はこの三人の『日本人』……故郷に帰るため、死に物狂いでこちらに敵対してくる
……この連中の今までの行動からして、神器を探すうえでなくともぶつかる可能性も十分にあり得ますな
今の円卓や黒幕との戦いとて、座して見ているとは思えません

――――交戦の機会は、おのずと訪れることになるでしょうな……

【再び写真に目を落とす。恐怖と殺意が入り混じった、重苦しい声と共に】
712 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/13(水) 10:30:22.96 ID:A6+phBH2o
>>706
//これでまた21時まで募集します。
713 :『We interrupt this program』 ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/13(水) 17:31:56.97 ID:ZHzVl0g/o



「 ─── 本日17時40分頃、櫻国魔導海軍の停泊地となっているフルーソ港5番ポートにて、大規模な爆発が確認されました。死傷者や被害状況など詳しい情報はまだ入っておりません。」


                「SNSに投稿された爆破予告により、同停泊地は厳戒態勢が敷かれていました。」

 「 ……… 警察では投稿者の特定を急ぐ一方、事故と事件の両面より捜査を進めながら、一連のテロ事件との関係を ……… 。」
                             「爆発の状況を ──── 」       「 ──── 専門家によれば、先日の異能者による首都襲撃事件、櫻国駆逐艦爆破事件に連なった、大規模なテロとの見方が ……… 」


             「 ……… 事故当時、櫻州境界線の検問にて、不審な異能者の集団が目撃 ─── 。」

  「 ……… 一連のテロに乗じた、反異能及び櫻国軍の駐留に対する反動勢力の報復という見解も ─── 。」

 「 ──── 大規模なテロとの見方が強まる一方、同時刻にフルーソ港周辺にて"ジェット機の飛行音"を耳にしたという複数の証言も寄せられており、警察当局はその裏付けを ……… 」



             「 ──── が入手した映像をレイリスフィール大学理化学研究所が分析した結果、撮影された機影は水国製のF-22制空戦闘機を基礎として ……… 」
         「 ─── 対地攻撃能力を持たせ、昨年に実戦配備された水国軍の戦闘爆撃機・F-22Cであるという見方が有力と ……… 。」




  「 ……… 同機はアトラヴェルの第2航空軍団7個飛行隊を筆頭に、全国で320機が配備され、国外基地に駐機している機体を含めれば ─── 。」
   「 ……… 事件当時の厳重な警戒網を突破する事は、同機の保持するような高い低空ステルス性がなければ不可能に近いと ─── 。」
     「水国空軍は事件当時 ……… 全機体の所在の確認を ……… 」



     「 ─── 櫻州軍港爆破事件と、水国軍機の関連について、国防総省は水国軍内に該当機は存在しないという声明を ……… 。」
   「櫻州軍港爆撃事件に際する種々の憶測が飛び交う中、 ──── 水国軍による何らかの関与があったか否かに論議が集中して ……… 。」
 「水国空軍は ──── 水国海軍も同じく ……… 一切の不関与を主張しています。」


                                 「 ……… 先日の首都襲撃にて初動対応の遅さが批判され ─── 。」「 ……… 内部の情報筋によれば、急進勢力が漸減する指揮権の挽回を図っているという指摘が ……… 」
                     「軍上層部が過激派の異能者集団と癒着しているという推測も ─── 。」「国防総省は ──── 関与を繰り返し強く否定しています。」





「 ………… 水国政府は上院・下院共に全会一致で特別調査委員会を設置し、真相の解明に全力を尽くすと ……… 。」





                「 ──── この時間は、予定を変更して報道特番をお送りしております。繰り返します。この時間は ……… 。」











≫ ………… MASTER ARM ACTIVATED
714 :『We interrupt this program』 ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/13(水) 17:33:31.35 ID:ZHzVl0g/o

/Q:なにこれ
/A:どうやら水の国で放送されている報道特別番組のようです。全体向けとなります

/Q.なにがおきたの?
/A."櫻州"に駐留している櫻国艦隊の一部が、何者かにより爆破されたようです。先日の事件と同じ異能者によるテロとの見方もある一方、事件当時の証言より「水国軍の攻撃機」による爆撃であるとの見解も強まっています。

/Q.なにがヤバい?
/A.同盟関係にある国の軍隊を攻撃したのは言うまでもなくヤバい事です。他所の国に軍隊を駐留させて憚ることのない魔導海軍の姿勢を敵視する論調も無かった訳ではありません。
 加えて先日の事件にて対応の遅れと異能者に対する脆弱性を批判された水国軍には、事件を起こす為の動機があるとも言えます。なお付言すれば、彼らは頑なに本件への関与を否定してもいます。

/Q.これからどうなる?
/A.わかりませんが、水国軍・魔導海軍の双方に、お互いの体制へ対する不信感が産まれる可能性があります。流れに身を委ねるしかないとも言います
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/13(水) 18:33:57.68 ID:oiCUhy7u0
【街中――大通り】
【バレンタインを翌日に控えた通りは何か浮足立っている色がした、あちらこちらから微かにチョコレートの香りがしてくるような気すらして、そしてきっと事実多分そうだった】
【パン屋がせっかくだからとチョコレートを練り込んだ新製品を焼いている。クレープの屋台もこれでもかとチョコレートを使ったクレープを売りさばいている、そんな、今日】
【夜がじりじりと降りてくるような時刻、空の端っこには夕方がこびり付いていたのだけれど、街中からでは、それももはや見えぬなら】

――――――――――――――。

【ごった返す人の波の中に立てば、いろいろな言葉が聞こえてくるのだろう。明日彼氏とデートに行くんだ。本命にチョコレートを渡す方法、どうしよう。なんて】
【そういう楽し気な話題の中に、けれど近頃の情勢について雑談の語調で話す声もまた聞こえてくるんだろう。――けれどそんな香りも声も何もかも、きゅうと遠くなってしまえば】
【――――――人通りの傍ら。店の壁。背中をぴったりと付けて佇んでいる人影が一つあった。けれども誰か見やるなら、或いは気づくのかもしれなかった、】

【多分そこから動けなくなってしまっているんだって、】

【――真っ黒い髪をしていた、腰まで届く長さを素のままにおろして。長めの前髪に目元を隠した顔は透き通るような白磁、――、から、さらにいくらか血の気を抜き取った色をして】
【ときどきちらと覗く目は何か怯えたように瞬いているのだろう。左右で色の違うオッドアイ。左が黒色で右が赤色の艶めきは、ようく見れば、微かに潤んでいるようですらあり】
【白いニットと黒色のロングスカート、の服装を、その上からコートでぴったりと隠しこんでいた。足元は編み上げのショートブーツ、ぴたりと揃えられた足先、借りて来た猫みたい】
【およそ十六ほどの少女であるのだろうか。――わずかに俯いた表情、蒼褪めて見える顔の、その唇はきゅうと噛まれたままで硬直して。胸元に寄せた指先が、コートのボタンをただ弄り】

――――――、

【きゅううと唇から漏れる声は救難信号のようでありながらごく微かな音でしかない。それでも立ち昇る息の白さ、遭難したときに上げる狼煙のように、】
【――そうしてきっとどこまでもその意味合いであるのに違いなかった。強張ったような指先が微かに震えているのを、きっと、寒さだけでは説明しきれないのなら?】

ぉかあさん……――――。

【涙を堪えるように発せられる声はやはりごく小さなもの、それでもよく目立って聞こえたのは、きっとその声音が鈴の音と似通う特異なものであったから】
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2019/02/13(水) 19:46:29.51 ID:7tuMY/h/o
【水の国の街中、病院付近の自然公園・広場】
【先の能力者によるテロ―――"という事になっている"事件の影響で大勢の人間が死に、人々は大打撃を受けていた】

【死なずには済んだ者の深い傷を負い、病院での治療を必要とするも入院患者がパンクし、野戦病院のごとく、地べたで治療を受けざるを得ない人々が大勢いた】
【あるいは軽傷や無傷で済んだものの、ある者は大事な人を失い深い悲しみに陥り、俯く者達も多くいた】

【そんな彼らの間をかつ、かつ、と固い靴音を鳴らしながら今もあくせくと医師の治療を受ける人々達の元へ歩く者達がいる】
【赤い布のマントについたフードを深々と被り、顔を少し隠している物の、その合間から細く柔らかい金髪が覗き込んでいるのが見えた】
【赤いマントの人物は、懐から金の鎖に繋がれたクリスタルの楕円球のような宝物を取り出すと、それに魔翌力を込める―――】

【直後、周囲10mほどの人々の傷が次々と癒えていく―――苦しみにうめいていた患者たちの声も少し落ち着き始めた】
【突然の事に医師たちは驚きながら赤いマントの人物に顔を向ける―――その反応を予測していたように"彼女"はどこか幼く甘ったるい声で答えた】


―――……これは"聖遺物"と呼ばれるものだ
見ての通り"治癒"の力が備わっておる。魔翌力を持っていれば誰でも使えるぞ


「"聖遺物"ですか……!?う、患者の方々の治療を手助けしてくださったのはうれしいですが、しかしこの国では……」


オヌシたちの国の"魔能制限法"とやらは知っておるとも
しかし、今は使える手段は少しでも多く使った方がよいだろう?これは貸してやる。誰ぞ優れた魔翌力を持つ者はおるか?
能力者だの無能力者だの、神秘を操れるだの操れぬだのとと別れいがみ合っておる場合ではない


己と違うモノを頑なに認めぬ今の流れを肯定した結果がこの事態を招いたことくらいはわかっておろう
まずは、オヌシたちが忌避してきたモノが決してオヌシたちを傷つける物ばかりではないと理解してはくれぬか?
こんな苦しみに陥れられた不運もわかるが……この窮地に新しい考え方を取り入れる。こういう一歩目から考え方は変わっていくと思うのだがの?


【フードの下から覗き込む―――エメラルドのごとき輝かしい碧眼が医師を射貫くように見つめると、その"聖遺物"を渡そうとする】
【そして、傷の度合が比較的浅い者達の中から高い魔翌力を持つ者がいないかを探り始めるだろう、そして"聖遺物"の治療を受けるための列を誘導しようとしているようだ】
717 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/13(水) 21:01:03.39 ID:A6+phBH2o
>>716


────魔力だったら、それなりにあると思う


【若い女の声だった。手を挙げていたのは軍服姿の少女。紫色の長い髪が特徴的だった】
【少女に目立った外傷はない。負傷者ではなく、彼らを助けるためのボランティアの側のようだ】


それを持って魔力を込めればいいのかい?


【赤マントの人物の元へと歩くと少女は聖遺物と呼ばれた物体を指差して尋ねる】
【どこか中性的な口調だった。見た目も確かにそれに近いものがあった】
718 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/13(水) 21:17:21.09 ID:7tuMY/h/o
>>717

【女性の挙手した方向に赤マントの人物は振り向くと―――フードの下の顔をぱぁ、と輝かせる】
【すぐに手招きしながら今"聖遺物"を渡した医師に目くばせしつつ言うだろう】


ウヌ!やってくれるか!……その通り、魔翌力さえあれば
この聖遺物―――"Shine Lady Shine"に備わった治癒の力が働き、周囲の人間の
傷の綺麗に塞いでくれるのだぞ、優れモノだろう!

我こそはと引き受けてくれる事心より感謝する!余は……あ、ちょっと待って、今のはまずいな……


【素直な言葉をかけていく中で、赤マントの若い女性はぎょっとして口走った言葉を遮る】
【その場でしゃがみ両手の人差し指をこめかみに当てながらうーん、うーんと何か考え込む】
【考え込む事30秒、彼女はぽん、と右の握り拳を左の手のひらに当てる、出来る限り「自分の地位がわからない」一人称を考えた末に彼女は】


……ウヌ!引き受けてくれて"拙者"は実に嬉しいぞ!勇気ある者には心からの敬意を払うのだ!
そうと決まればさっそくやってくれるか?……そこな医師よ、渡してやるがよい!


「は、はぁ……では、よろしくお願いします」


【医師は「絶対普通の身分の人じゃないじゃん!!」という顔をして赤マントの女性を見ていた】
【普通の女の人は絶対一人称は"拙者"じゃないだろう、髪も金色でマントも洋風だし櫻の国の出では絶対ない】
【とはいえ、気を切り替えすぐに手渡された"Shine Lady Shine"を持って軍服の女性に近づき手渡しするだろう】

【後は赤マントの女性に指揮されるまま、二人で聖遺物を起動させる軍服の女性に患者を近づけ一エリアずつ治して回っていく事になる……】
719 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/13(水) 21:28:08.06 ID:A6+phBH2o
>>718


そんなに大げさに言わなくても……僕も手助けのためにきてるしね


【テンションにちょっと差があった。そのあたりは気質の問題なのだろう】
【ともかく聖遺物を受け取って治療へと移る。一人称については一旦、置いておいた】
【せっせと魔力を込めては治療を続ける。当人の申告どおり魔力が枯渇する様子はなかった】

【──しばらくしてから】


ところで貴女は誰?
このあたりの軍人にも見えないけど……?


【聖遺物に魔力を流しながら、少女は赤マントの女性に質問をする】
【話ながらも魔力の取り扱いには一切の淀みはなかった。どうやら得意らしい】
720 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/13(水) 22:11:09.30 ID:7tuMY/h/o
>>719

【「ありがとうございます!」「すっかり楽になったよ」「ずっと嫌ってたが……魔術だなんだにすっかり借りができちまったなぁ…」など】
【各々、今は安らかに体を休める患者たちに寄り添う人々が感謝の言葉を寄せていた】
【鼻も高々に佇んでいたが、途中で当然の質問を受け、ぎょっとした顔をフードの下からのぞかせるだろう】


う、そ、そうであるな……えっと、拙者はその、通りすがりの……旅の者である……
"金の国"から来たのだ……知っておるかの?何年か前にキルベルク・シルバーソードの反乱があった時にも
この辺にも名は上がっておったと思うが……近頃はかなり復興が進んで国に余裕が出てきておるのだぞ


【……あきらかな嘘を言っているわけでないようだが、見るからに目が泳いでいる】
【人を騙すとか明らかに苦手そうだ……もっとも金の国から来たというのはおそらく本当の話だろう】

【彼女の羽織る赤いマント、その下からのぞかせる足元の金色のブーツ、そしてマントの上から腰に帯刀する洋式の剣の柄や鞘】
【金の国で多く見られる服装の文化が取り入れられていた―――ただ、服やブーツはともかく腰に下げた剣の見栄えだけ明らかに豪華すぎるが】
【……身なりが合っていない。喋り方と言い明らかに平民とかではなさそうだ】


……拙者の国では、今"異能主義"が広まっているのだが、それに対してこの国は異能を取り締まろうと
反異能主義が広まり、魔能制限法とかが広まるようになっただろう?それで……どちらに合わせるのが正しいのか、と
各国は今どちらの考え方が世を平和にするのかと揺らいでいる……というのはどの国の者達も聞いておるかもしれないな

で、拙者も……能力をみだりに振るってしまうような事をせぬように使い方を取り締まり正しい使い方に
誘導していく、というくらいならわからなくもないのだが……うちの国には無駄を嫌って正しい技能を持つ者に
正しい使い道を示すやり方を重んじる、口うるさくてめっちゃムカつく奴とかもいるしの


【ぶすっとした顔を一瞬だけ見せたが、赤マントの若い女性は―――本当に若い、軍服の女性とほぼ変わらないのではないか?】
【ここに来た目的を語る場面においては、極めて大真面目な顔つきで重々しく話を進めるだろう】
【凛とした力強い眼差しで、今武力に屈しうめく人々を見ながら彼女は言葉を続ける】


ではこの国のように正義・悪を問わず異能を取り締まる法案を出す国にはどういう事情があるのか?というのをこの目で見ておきたかったのだ
……最もこの国のやり方はどう見ても間違っておったようだがの。あまりに極端すぎてまるで参考にならぬのだ
結果、拙者がこの国を訪れるちょっと前に事件が起き、我々が着いた頃にはこんな事になっておった……

で、今苦しんでる者達はここに集まっておると聞いてな?ちょっと"連れ"の目を欺いて様子を見に来たのだ
その"聖遺物"もある事だしな?困ったときは助け合いとも言うではないか……だからここにおる


【えへへ、と少し頭をかきながら赤マントの年若い女は少し照れたように笑いかけて言い終わるだろう】
【……連れの目まで盗んで駆け寄るとはずいぶんなお人よしだ……困ってる人は放っておけないタイプか】
721 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/13(水) 22:23:49.29 ID:A6+phBH2o
>>720


…………キルベルク・シルヴァー・ソート?

(誰かな……知ったか振りしておいた方がいいのかな……)


【その名前を聞いたときの少女の反応は、明らかにそれが誰なのかを知らないものだった】
【それどころか名前の切り方さえ間違えている──もっと言えば、発音を少し間違えている】
【どれほどの田舎出身であれ、あの『ネル・ナハト』を知らないというのはおかしい。年齢のせいと言えばそうかもしれないが】

【その後の女性の話はときおり相槌を打ちながら聞いていた。ただ、そのときの様子もおかしい】
【初めて聞いた話を、そうでないように取り繕うような反応なのだ。要は必死こいて知ったかぶりしている】
【「あー、うん、そうだよね、うんうん」なんてわざとらしいにも程がある相槌が合間合間に入る】

【話が終わってしまえば、さらに少女は困ったような表情を浮かべる】
【奇妙な沈黙が流れた。返事を頑張って考えている。そんな気配さえ漂う】


………………………………
…………………………

………………………………ごめん。話の一割も分からなかった


【ほんの少しだけ申し訳なさそうに少女は言うのだった】

【それからいくつかの質問が返される。「金の国ってなに?どこ?」「キルなんとかって誰?」】
【「異能って?」「魔能制限法とかいうのも知らないな」────等々】
【この国にいれば誰もが知っていることから、この世界に住んでいれば誰もが知っていることまで少女は知らないことだらけだった】
722 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/13(水) 22:38:13.02 ID:7tuMY/h/o
>>721

【名前の発音すら間違えているため、マントの若い女性は少しぎょっとした顔を見せる】


お、オヌシ知らぬのか……余、じゃない……拙者とそう年は変わらないように見えるが……
当時は幼かっただろうから、まあ名前をわからないくらいは仕方のない事かもしれんが

いや、ちょっと待て……何か様子がおかしいの


【先ほどから世界の情勢を全く知らない様子を……異常に知らない事が見て取れる】
【自分の話が全く分かってないのがよくわかった、キルベルクの事がわからないのはまあ良しとしよう】
【金の国、魔能制限法などの普遍的な用語も全くわからない様子を見せたところで……赤マントの女性は思い当たる】


……オヌシさてはこの世界の人間ではないな?その様子何度か見覚えがあるぞ
どこの生まれだ?『日本』か?『ロシア』か?『イタリア』か?……こういう呼称の国が他の世界にある事は
すでに"主任"に聞き及んでおるぞ?他にも『中国』とか『イギリス』とかがあるのだろう?

――……抜き差しならぬ事情を抱えているとみた、苦しゅうない、次はオヌシの話を聞かせてくれぬか?


【……なんと、軍服の少女の様子を見るや否や赤マントの若い女性は「この世界の出身ではない」と確信をもって告げてきたではないか】
【それもこの世界に存在しないはずの国の名前をすらすらと言ってのけるほどだ……思った以上に異世界の知識があるらしい】
【彼女はそんな様子で今言った国の名前に心当たりがないかを探り始めるだろう】
723 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/13(水) 22:47:01.86 ID:A6+phBH2o
>>722

【今度はこちらがぎょっとする番だった。とはいえ、その表情はすぐに平坦なものに戻る】
【これだけ物を知らないことを露呈してしまったのだ。まともな人間でないと思われるのは仕方がない】
【この世界の人間ではない────そう言われて少女は観念したように息を吐いた】


……ふぅ。そこまで見破られちゃ仕方ないね
そのとおり、僕は────

…………え、いや、待って。何それ
ごめん、どこだって? 今言ったものが何なのかさえ僕は分からないんだけど


【女性が告げた名前に対して、少女はきょとんとしたような困惑したような表情を浮かべて】
【また首を傾げていた。その上、その全てについて国であることさえ分かってはいないようだった】
【つまりは彼女はそういった異世界の住民でさえないということだ。ならば一体何が残っているというのか】


えーっと…………その質問に答える前に、僕の質問に答えてほしい
貴女は『アルターリ』と呼ばれる都市を、知っている?
そこで何が起きているのかを


【少女は周囲の様子を気にしながら答えた】
【アルターリ──数ヶ月前に突如、都市全体を異常現象が包み込み一日で壊滅した水の国の都市だ】
【今はレヴォルツィオーン社と水の国政府が合同で復興作業に当たっている────というのが】
【表向きの情報だった。少なくとも国内では常識だと捉えて差し支えはないだろう】

【無論、表があれば裏がある。実際にはレヴォルツィオーン社の技術主任であるブランルという男が】
【起こした事件である、と知っているのは極一部の人間だけ。そこまで知っているかどうかは女性次第だった】
724 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/13(水) 23:05:41.33 ID:7tuMY/h/o
>>723

なにぃ?今あげた国の中にもないのか……
しかし異世界出身なのはアタリの用だの。そうか……拙者もぜんぜん知らない世界の出身かぁ
まあ良いから話してみるとよい、何か力になれるかもしれぬ


【回るうちに、ひとまず重篤な患者も少なくなってきたのがわかった】
【休憩がてら、広い一角に腰を下ろして赤マントの若い女性は軍服の少女の話に耳を傾け始めるだろう】
【ひとまず聞き耳をたてている人間はいない、気にするなと合図したら、聞きに回るだろう】


『アルターリ』か、報告は聞いているな
数か月前に異常気象に飲み込まれて壊滅した都市だったの、というかこの国の都市だったであろう?
あれから復興に勤しんでいるとは聞いておるが……どこの国も傷ついた後に治すのに苦労してるのう、それがわからぬのは決まって壊す側よな

……その近辺に世界をまたぐ"穴"をあけた犯人はブランル・レヴォルツィオーン
かつて我が国に復興支援をしていた男の元にわざわざそう言いに来たと言っておったの。あやつの顔はもう半年ほど見ておらぬが……
ここに来る前にUTという正義組織の酒場を訪ねたのだがもぬけの空だったのう……『ここの主を見つけ次第戻る』とか張り紙が張っておった

ここの要件が済んだら後に連れと合流して見に行こうかと思ってはいたが……オヌシはそれの関係者か?


【……そのブランルにやったのは自分という真相を直接受け取っている人間こそ本当に限られるとは思うが】
【ともあれ、その男が留守にする前に彼女にそういう事があったという報告は受けているという事がわかった】
【だが軍服の少女はそのブランルと何の関係があるというのだ……?】
725 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/13(水) 23:16:11.73 ID:A6+phBH2o
>>724

【女性に従い一旦は魔力の操作を取りやめて休憩に入る。といっても別段、疲れた様子もない】
【それほどの魔力量を持つのもまた特殊な部類に入るか────それはさておき】


…………異常気象?


【今度もまた少女は首を傾げることになった。表情にはどこか真剣味と緊張感があった】


………………何というか、“こっち”が知ってることと違う気配がするな
う〜〜〜〜〜ん………………

…………………………
……………………

…………………………もういいか、まだるっこしいやり方はやめにしよう
これからかなり奇妙なことを尋ねるかもしれないけど、奇妙ならそう言ってくれていい


【しばらくの間、顎に手を当てて考える仕草をしてから。少女はそれ自体が奇妙な前置きをした】
【赤マントの女性が十分に周囲に気を配ったにも関わらず、改めて辺りに聞き耳を立てている人物がいないかどうか】
【視線を走らせて確かめる。それほどまでに少女の次の言葉は彼女にとって安易に聞かれてはならないものだった】

【慎重に安全を確かめてから。少女は緊張した面持ちで息を吐き、そして口を開く】



────アルターリは、君たち“人間”の前線基地ではないんだね?



【“人間”と】
【彼女ははっきりと、それを異質なもののように区別して発音した】
726 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/13(水) 23:29:12.08 ID:7tuMY/h/o
>>725

……む、違うのか?
ブランルが下手人であるとは聞いておったのだが……まだその場所に行ってないからのう
拙者も当事者ではない故、完全な情報は届いておらぬのだ……オヌシは知っているのか?


【何か、様子がおかしい】
【手持ちの情報と思った以上にかみ合わない―――先ほどの話を聞く限りおそらくは彼女はこの世界と彼女の世界の事情を探っているようだが】
【異世界の人間がどこまで知っているかの前提も向こうもズレを感じて困っているようだ】

【だが、"人間"と口にするほど明確に違う存在を呼称する存在であるとは想定もしてなかったが】


……アルターリはごく普通の都市だ、にぎわった都市ではあったがの
豊かな土地であったが……ある日を境に壊滅した。そこの人間たちも多くが死んだと聞くな

だが、豊かな土地ではあったしある程度の警察機構などもいたであろうが前線基地では断じてない
それはこの国で少し文献を読み漁ればすぐにわかる事……

しかし、それはそれとしてオヌシ"人間"ですらないとは予想だにしなかったの……
そういえば先ほど言葉にした人物は過去に旅していたものの行き来する手段は限られていた『魔界』が存在するとも言っていたが
なんでも時空がつなげられた?とか言うておった覚えもある

……オヌシはそこの出身か?まさか『悪魔』だったりするのか


【人間ではないのなら、そして別の世界の十人なら―――『魔界』出身の悪魔ではないのか?】
【無論彼女に気を使って声色は少し抑えてくれたが、彼女はまったく含みなくそう質問を返してくることだろう】
727 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/13(水) 23:42:43.96 ID:A6+phBH2o
>>726

【質問への返答に少女は緊張した面持ちの中に納得した色合いを含んだ】


そういうことだったのか……どうりでこの国の様子がおかしいと思ったよ
戦時下だというのに全く違う事柄を問題にしていたからね
よほど戦力に自信があるせいで“こっち”に攻め込んだことなんてどうでもいいのかと思ってたけど、
そもそも“そちら”が攻め込んできていたわけではなかったんだね


【“こっち”に“そちら”────少女は明確にこの世界と別の世界を区別して語る】
【その言葉から分かるであろう事柄は、少女のいる世界はこの世界、すなわち人間たちが】
【自分たちの世界を侵略していると思っていた、ということだった】


…………そのとおりだよ。僕は『悪魔』、正確には魔族と呼ばれる存在だ
さっき貴女が言ったとおり、『魔界』からこちらの世界を偵察するために潜入した
ブランルという人間が恐ろしい軍勢と人間の戦力を率いて『魔界』に攻め込んできたからね

こちらの世界の状況を調べるのが僕の任務だった
けど、僕たちが思っているよりこっちの世界の状況は複雑なようだね
でも、これは厄介なことになったなぁ…………


【少女の瞳が伏せられる。人間たちが侵略しにきたわけではない、というのは彼女にとっては吉報のはずだろう】
【しかしそれでも侵略行為を受けていることそのものは変わらない。楽観視できる状況ではないというのは】
【彼女の表情の重々しさから察することができるだろう。世間の誰もが知らないうちに、裏ではそのようなことが起こっていたのだ】

//すいません、凍結お願いします!
//置きに移行するかはそちらにお任せします。今日はここで失礼いたします!
728 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/13(水) 23:44:12.92 ID:7tuMY/h/o
>>727
/了解しました
/この調子ならば明日で案外ケリが付きそうなので続きは明日にしても大丈夫でしょうか?
729 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/13(水) 23:44:59.58 ID:A6+phBH2o
>>728
//あ、それで大丈夫です!
//ではまた明日に
730 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/13(水) 23:46:19.36 ID:7tuMY/h/o
>>728
/了解しました、明日の7時半ごろあたりからまたやれればいいかなと思います
/ではありがとうございましたー
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/14(木) 00:21:59.04 ID:HRnmUuCh0
【夜更けすぎ――冬空の下】
【住宅地からあまり遠く離れていないエリアであった、けれどもあまり近いとも言い難い。とかく確かであるのは、人通りのあまりない場所、ない時間】
【気を付けるようにと何度も言いつけられてはいた、――それでもふっと横道に逸れたくなる気まぐれ気質、生来であるなら、どうしようもないだなんて言い訳一つ】

【――つい先日にすら、それを改めるべき事柄はあったはずなのに、なんて、いつだって気づくのは遅くなってからなら、空が落ちてくるかどうかなんて、気にすべきではない】

………………。

【足音はいくらか前より止んでいた。誰ぞが覗き見るのなら、彼女は一人、立ち止まっているらしかった。――ごみ捨て場でもない場所へ不法投棄された古新聞と古雑誌の山の前】
【その山の一つは乱雑に縛られた紐すら引きちぎられていた。半ば崩壊しているのを、かろうじて持ちこたえていた。――なら、その傍らにある人影の手に、あるのは】
【雨に曝された後であるのか、幾らもぱりぱりと海苔みたいな風合いになった新聞紙であるのだろう。目は紙面に縫い付けられていた。漏らす吐息だけが、ただ白く】

【そうして激昂に艶めく白銀の毛先も同じほどに白いのだろうか。――――真っ白な肌は、けれど、季節柄だろうか、露出を抑え込まれ】
【赤いふちの眼鏡越しの眼は澄んだ青色だけれど、そう上手には見透かせない。紙面を捕らえている指先は白いドレスグローブに覆われて、これもまた素肌を隠し】
【ショート丈のピーコートはキャメルの色合い、その裾よりふわりと溢れる布地は深い赤色をしていた、――暖かさを演じるリブタイツごと足を包むのは編み上げのブーツ】
【――十七ほどの少女であるなら、かえって半端な善人は迷いがちに見逃す年齢であった。であれば、】

【――――――そんな彼女に声を掛ける者、吹っ切った善人か、そうでなければ、悪人なのだと相場が決まっていた】
732 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/14(木) 00:33:36.96 ID:J98T+meEo
>>731
【寒い夜であった。緩く吹き抜ける風は冷たかった】
【住宅地からあまり離れておらず、されど人気は少ない場所。そういえば、今から少し前に】
【こんなところで、人攫いを繰り返していた一団が、いたとか】

【ボロクスのようになった新聞やら雑誌が散らばる地面を見つめる彼女は、何を想うのか】
【そう、そんな少女にわざわざ関わろうという人種は、だいたい固定されている】


【足音が一つ。二つ。三つ。振り返れば、ローブを着た人影が三つ】
【彼女にとっては、見覚えがあるだろう服。その下から見える肌には。蛇の刺青】

――――生贄

【一人が、呟いた。いかにもわざとらしく、嘲笑うような声音で】
【貴女ならわかるだろう。まがい物だ。しかし、その刺青は紛れもなく本物。すなわち、これは】
【かつての、彼女の同志から奪われた一部】

「生贄」『……生贄』

【他の二人も呟くと、人影たちはゆっくりと彼女に歩み寄ろうとするだろう】
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/14(木) 00:53:33.87 ID:HRnmUuCh0
>>732

【――――無遠慮な夜風が吹き抜けた。ならば彼女の髪先も、スカートも、無遠慮に煽られる。ならば、その手元にある物が煽られぬ道理などなく、】
【事実拡げられていた新聞紙は髪先よりスカートよりも容易く風を受けて――、凧の要領、そのままばちりと甲高い音一つ、あんまりにあっさりと、吹き飛ばされて】
【近くの電信柱に張り付くのだろう。――――、一面に記されているのは、"サーペント・カルト"のことであった。梅雨も明けようかというころの、あの頃の】

【ぐちゃぐちゃになった紙面が、――もう一度の風で吹き飛んでいく。なれば今度は積み上げられた山からも何枚が飛んでいくのだろうか、それもまた、同じ頃の新聞であったなら】
【一面に踊る蛇の文字――、蛇蛇蛇蛇。蛇。"あの頃"のホットな話題なんてそればかりだったらしい。今になって思えば、もう少し何かあったのでは、と思えてしまいそうだけれど】

――――――――っ、?

【――ならば、彼女はひどく紙面に意識を向けてしまっていたらしい。ずいぶんと無防備とみるか、――それとも、それほどに無視できぬのだとみるかは、相手へ委ねられ】
【もう少し山を漁れば、ほかにもいろいろなことが記されているのに違いなかった。ずいぶんと不精な人間が一年分の雑誌と新聞を思い立って棄てたような、有様だったから】
【だのにここがごみ捨て場かどうかすら確認しないんだ。――、振り向いた眼鏡越しの眼が見開かれていた、刹那に理解できぬものを見たように睫毛すら震えた、吐息が一つ、】

――、生き残りかとも、一瞬思いましたけど……。違いますね? 誰にモノ言ってるのか、分かっておいでですか? 
――……、ああ、今、私、"違う子"でした。――――――ですけど、ムカついたので、いいですよね? ――私、今、機嫌悪くって。

生き残りでしたら名乗りなさい、でなければ――、――そんな風に程度の低い紛い物、不愉快でしかなくって。

【瞠られた眼差しが、微かに震えていた。その瞬間までは。――声が連ねる単語の意味合いを理解したなら、いくらか馬鹿にするような色合いで以って細められる、刹那】
【声音が変わるのだろう。誰にも触れさせぬ高嶺で咲き誇るスズランの一輪の花。朝露を抱えて今咲き誇る一瞬だけを切り取ったように、涼やかで、甘やかで、伸びやかな声は】
【明確に"彼女"の声であった。誰より気高くあれと祈り続けた少女のものだった。――腰元に手を添えた威圧のポーズ、"知っている"なら、それだけですべて通じて然るべきもの】

【――知らぬならそれだけで紛い物だと断じて問題がないと知っていた。その場合は、――真作だって贋作だって、不敬者であると、分かるのなら】

【――――――――ばしり、と、夜風が新聞紙を煽り立てた。捲りあがる紙面。蛇教幹部生き残りが警察により射殺されたという記事。殺されたと言う幹部の名、記すまでもない】
734 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/14(木) 01:25:51.70 ID:J98T+meEo
>>733
【そう、もうそれだけの時間が経ったのだ。月日の流れは無慈悲にも止まることなく、あらゆる事象を過去に押し流す】
【それが、当人たちにとってどれだけ重いことであったとしても】

【何枚も何枚も、飛んでいく紙の束を埋め尽くすはたったの一文字。あの頃、もっともホットな話題だった】
【行方不明。誘拐。目をそむけたくなるような残虐な殺人。不穏なニュースのすべてに蛇の一文字が付随する。そんな時期だった】


……懐かしいかあぁ? 今でも思い出したりすんのか、ええ? てめぇ一人のうのうと生き延びてやがるくせに
誰にモノ言ってるかだあぁ? この上なくわかってるてんだよ
ムカついた? 今機嫌が悪い? こっちはもっと前から、とっくにブチ切れてんだよおぉ……

【言いながら男はぺッ、と何かを吐き出した。唾、ではない。ゴトリ、と音を立てて地面に落ちた】
【吐き出されたそれは、食いちぎられた蛇の頭だった。野生の、何の変哲もない蛇の】
【今や、新たな恐れの前に塗りつぶされ、一時期の人々からの忌避は薄れて来た生物。その生首が、地面に転がる】


程度の低いとは言うじゃねえか、てめぇらが『ご活躍なさってた』時期に、こいつは重宝したんだぜえぇ?
何せ、生きたままのサーヴァント≠ヌもから、てめぇらの教義に可能な限り則って、脱皮よろしく引っぺがした皮で作ったんだからなあぁ

この『蛇教徒なりきりセット』を着て素材集め≠してりゃあ、罪は全部てめぇらがひっ被ってくれたもんだ
その点だけは、てめぇら便利だったなあぁ……後々の損害を思えば、まるで割りに合わねえがよおぉ

【言いながら、三人はそれ≠脱ぎ捨てた。引き剥がされた人間の皮と、蛇教徒のローブで作られた、おぞましい服を】

【言葉を発していたのは、カーキ色のジャケットの上に黒いベストを着用し、迷彩柄ズボンと黒い軍用ブーツを身に着けた彫りの深い顔立ちの男だった】
【オールバックの髪も、瞳も、両耳と口元、舌の外周をびっしり埋めるピアス、全てが鉛色だった】

【彼女が、蛇教を去ってから一度でも指名手配書を覗いていたのなら、それでこの男たちが何者かわかるかもしれない】
【その男は、ある盗賊団の幹部格として指名手配されている人間であり。その盗賊団の首領は、かつて彼女から奪っていった男であるから】


【残る二人のうち、片方は地味なスーツに細いフレームの茶色の眼鏡をかけた若い男だった】
【いつも気味の悪い笑みを浮かべているその顔は、今は冷たい無表情。鉛色の瞳で、彼女を睨む。首筋には無数の注射痕。麻薬ではなく、毒物の摂取によるもの】

【もう片方は、カジノのディーラーの恰好をした男だった。刈り込んだ金髪に顎髭、白いワイシャツの上にベスト、黒い蝶ネクタイと黒ズボン】
【やはり鉛色の瞳で、少女を見ている。威圧にも屈することなく、祈り続けた聖女の前に醜悪なままで立っていた】

【捲れ上がり、舞い上がった新聞をピアス男がキャッチする。ある女性が射殺されたという記事。ヒラヒラと振った】
【この悪漢どもには珍しいくらいに、冷たい怒りと侮蔑と嫌悪と憎悪に満ちた視線で、彼女の未だ色あせぬ気高さに相対する】

……新聞記事だってのに、嘘が書いてある。――――間違い≠セ
お宅の神様も、間違いでああなったってなあぁ? 間違いは……正さなくちゃぁなあぁ……

ラッキー・ストラッカー。撃て

『オーライ』

【ディーラー服の男が、懐から拳銃を取り出した。暗闇の中で浮かび上がるような、黄金のリボルバー銃だった】
【ディーラー男は、弾倉を軽く回転させて、撃った。銃弾ではなく、金色に輝く魔翌力の弾が発射された】
【闇を切り裂く発光。宵闇の中を歩いていたなら、目がくらむだろう光量。これによって目くらましと攻撃を両立させるものだ】

【まずは様子見の一発といったところか。命中しても、衝撃は受けるが致命傷にはなり得ない】
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/14(木) 02:04:28.55 ID:HRnmUuCh0
>>734

――――ふん、そういう類の煽り文句は聞き飽きました。皆々様の語彙力の足りなさが心配になってしまいます、誰もかれも一つ覚えみたいに、――そうですね。
だったらさっさと脳の血管でもヤってしまわれたらよろしい。――きっちりきっかりトドメを刺して差し上げますから。

【蒼穹の青がひどく汚らわしいものを見るように細められた、なれば前髪に隠された眉もそうであるのだろう。――聞き飽きたと言いながらも、気に障る風であるなら】
【ざわり夜風が新聞紙を怒らせて喚かせる、――やはり気に障る"風"だった。刹那に蛇の首を捕らえた眼差しは、けれど長くは囚われない、から】

そのような模造品で騙された民草の方々が可哀想です、――せめて正しく"私たち"であったなら、神様の御許に送って差し上げたのに、――。
――――、通りで。さっきの記事、やってないこと、書いてあったんで。大方、手柄が欲しいばっかりの三文記者が嘘八百並べ立ててらっしゃられるのだと、思ったのですが――。

………………薄汚い盗賊風情が。お空の下になぞ出てこないで地面の中を這いずっていたらよろしいですよ。蛇も食べないようなドブネズミが道を歩いていたら迷惑で。
――まして、ドブネズミごときが狼に立てつこうと言うなら、お天道様どころかお月様だって笑い死んでしまうの。――。

それで。首領はお元気ですか? ――今日は下っ端さんなんですねえ。やっぱり、女子高生の病室に夜這いをしたら遁走することになったの、恥ずかしくってお外も出られないですか?

【――ならば一つ違和感と呼ぶには微かな違和感があった。かつてみたいに振る舞い言葉を並べようとも、そこに、いつかのような信心が宿らぬなら、大根役者の演技みたいに】
【信仰のすべてを圧し折られた聖女の末路なのだとして滑稽であるのだろう、――思い出の中から言葉を並べたてようとも、その瞳は蒼穹で、その毛先は、白銀をして】
【全くカラーコードまでも一致する装いであった、――――、それほどまでに今となっては狼に傾倒しているのだと。もうそれなしでは生きられないのだと。ならば】
【やはり彼女は"蜜姫かえで"ではありえなかった。彼女は死んだのだから、こんな場所に居るはずはなかった。――だからやっぱり酷い違和感、見るに堪えない、下手な演技】

【――――――それでも知らぬはずの出来事を述べる彼女の名前、調べ上げるなら分かるものなのだろうか、そうでなくても/そうなのだとして、意味合い、あまり変わらぬのなら】

【晒される存在と、偽られたままの存在と。どちらにせよ双方"理解"、しているのだもの】

ですけど、面白いですよね? 人間って、自分がやってなくても、――やったことにされて、それが手柄だったりすると、受け入れちゃうものなんですね。
それともちょっと勢い付きすぎてたかな、――――――その人、蹴ったら後頭部から倒れて行ったので。結構無様でした――。泡とか吹いてましたもん、――ただ、まあ、

――あることないこと、分かんなくなっちゃうくらいかは、分かんないですけど。

【――ざわと夜風が靡いた、ならば風に揺れるように立ち昇るもの、色鮮やかなマゼンタ色が何より彼女を証明していた、そうして、甘やかに照らし出していた】
【すらりと音なく編み上げられるのは幾条ものリボン状、――細めた目の仕草は言外に眩しさを訴えていた、翳した指先に溢れるマゼンタが、その光弾を受け止める、刹那に】
【横殴りの雨と喩えるには暴力的過ぎた、鋭く先端を尖らせて艶めくリボン群の仕草は餓えた蛇の群れの襲い掛かるよう、向かうのだろうか、その全身を切り刻むべく】
【なにより"阻害"そのものを編み上げたリボンであるのなら薄ぺらさ以上に鋭い切っ先、――けれどその量、一対一であれば往なし切れぬほどであっても、彼らは、"彼ら"であるなら?】
736 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/14(木) 02:39:08.67 ID:J98T+meEo
>>735
事実だから、誰もかれも同じことを言うんだろうがよ
とうの昔に脳みそのネジ弾け飛んでるてめぇが言うことか

【普段なら、彼女が汚らわしいものを見るような視線を浴びせれば、それが当然だと気にも留めないだろう。この盗賊どもはそういう輩どもだ】
【だが、彼女に対してはあまりに事情が違っていた。首領と一心同体、全員が記憶や感情の共有すら可能とする彼奴等にとって】
【彼女は、気に障るどころの存在ではなかった。生存していること自体が、我慢ならない相手だった】

何が模造品だ、元が腐ってやがるくせによおぉ……神の御許だと、まだほざくか。てめぇらの神こそ紛い物の、虚ろな存在だったろうが
やったもやってないも同じようなもんだろおぉ? 存在自体が罪悪だったてめぇらに、えん罪もクソもあるか

――――狼だ?

【嘲笑いすらしなかった。盗賊どもの顔は、ますます侮蔑の形に歪んだ】

てめぇ以上の死にぞこないの屑鉄サイボーグに拾われて、お慰みを受けりゃてめぇ自身が狼気取りか?
冗談にすらなってねえ。聞かされた耳が端から腐るぜ。てめぇは今も昔も、中身のねえ蛇の残骸だろうがよ

どの口が迷惑だとほざきやがる。散々暴れまわって、教えに殉じるでもなく、身分を変えて色に溺れてご満悦か
そのふざけた髪色は、あの屑鉄の真似か? 聖女ぶったセリフも全部、中身のねえ演技にしか聞こえねえぞ
都合よく崇拝対象を乗り替えたってか。つくづく、救いようがねえな。親兄弟も生贄も手下も、全部踏みにじって挙句がそれか

ふてぶてしい態度だな、おい。どこぞの魔女にいたぶられてた時は、聞くに堪えねえ声で泣き叫んでた
あの情けねえゴミと同じとは思えねえな。アリアさ〜ん、アリアさ〜んってよおぉ。思い出すだけで吐きそうだ


ボスは、ろくに情報も引き出せないとわかったゴミに、これ以上関わってられるほど暇じゃねえんだよ
そもそも、ボスは関係ねえ。屑鉄とクズ肉のカップルが同じ世界で息してるってだけで、俺ら全員が我慢ならねえってだけだ

【彼女と、彼女が崇拝する狼。そしてその巣。全てに対して向けられた嫌悪】
【いかなる挑発も、盗賊どもは身動ぎもせず。ただ冷たく、重く、殺意を滾らせていくばかり】

てめぇの暴力自慢なんざ知るか

【ただ一言吐き捨てる。そして、吹きすさぶマゼンタの色。やはり、彼女は彼女なのだ】
【ああまさに、蛇の如く。光弾は阻害≠ウれ、リボンの群れが空間を這うように向かってくる】
【ディーラー男は、成すすべなくそれに呑まれ、肉が切り刻まれる。しかし、命を使い捨てるのは彼奴等のやり方】

――――『外務八課を殺せ』

【合言葉。ただ一言。ピアス男がそういうと、さらに気配が増える。増える。増える】

『外務八課』を殺せ∞∞∞∞

【声が返る。大勢の、そう大勢の。いつの間にか、気配がいくつも増えていた】
【そして、それらが襲い掛かった。両目を縫い閉じられた拘束服に金髪縦ロールの少女が、まずボウガンの引き金を引いた】
【矢が飛んでいく。それを追いかけるように、眼鏡男が赤い刀身の蛮刀で少女に切りかかる】

【それらを囮に、本命は足元。風が吹き抜ける。見れば、三つの小さな影、尻尾に大きな鎌のついたイタチの三兄弟】
【一頭が彼女を転ばせようとし。一頭が彼女を斬りつけようとし。最後の一頭が目潰しの薬を彼女の顔面に叩きつけようとする】

【その間にも、数は増える増える増える。ドブネズミは鼠算式に増えていく】
【そのすべてが、彼女に憎悪を向ける。嫌悪を向ける。蛇の死にぞこない。クズ肉。狼気取りのゴミ。存在が罪】

【あらゆる罵詈雑言は、最後には一つの意志に、言葉に集約していく。『外務八課』を殺せ】
【もはや、異形どもの醜悪なる憎悪は、彼女一人の身に収まるものではなくなっていた】
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/14(木) 03:14:41.80 ID:HRnmUuCh0
>>736

【たっぷりと長い睫毛が伏し目に"彼ら"を見据えた、その向こう側の碧眼、ぞうっとするほどに冷え切るのは、やはり、我慢ならぬ言葉であるのだろうか】
【結局のところ、彼女は都合よく情報を整理して生きているに過ぎなかった。――考えるべきことを、考えなければいけないことを無視して、統合性すら置き去りにして、】
【ならば病人と変わらないのかもしれない、――否、きっと、変わらないんだった。でないと彼女なんていう人間は生きていけない、――だって、そんなに、強くない】

【全部の過去と向き合うことなど出来ないままで、――何か理由を(見)付けて、生きているに過ぎない。そうしてきっとその理由は"狼"であるのなら/それでしかないのなら】

――――――――――――――――――――――――――――なるほど?

【――微かに傾げた首の仕草で長い毛先が雪崩れた、ぞろりと晒される首筋の白さ、月光に映えるなら、より白く。なれば何かを理解していた、何かを納得していた、だから】
【きっと彼女は一つ関係性を気取ったのだろう。――それもまた忘れたいような過去ではあった、やっぱり"こういう"道を歩くのはやめよう。どこかでこっそり思った、なんて、余談?】

なら、全員死ねば、よろしいのでは? 

【ごく簡単な問題を読み上げるみたいな声をしていた、――何もかも馬鹿にされていた、今も過去も、――脱ぎ捨てられた"彼ら"の名前、彼女は知らなかったけれど】
【少なくとも"こんな風"にされるために神様を信じていたのではないと思う。――そうして、ぐちゃぐちゃに堕落してゆく私よりも貫けたのなら、それこそ尊いと思えた】
【狼に噛みつかれて浮き上がれない深みまで引きずり込まれたなら死体すら上がらない。その前に狼が全部を食べてしまったの。――(蛇のために死にたかった、はずなのに)】

――――――、ッ、う、わっ、一匹見たら三十匹って、ネズミもなんですね、――ッ、

【――――、だから、彼らのために、なんて、少し偉そうすぎるのかもしれない。どこまで行けども、彼女は結局、一ツ信心を貫けなかった半端者でしかないなら、】
【救われたいという願いを満たされればどこでだって咲いてしまう軽薄な花であったなら、――、それでもだからこそ咲き誇る、麗しい狼の涙と蜜に浸された根、世界におろして】
【生きているし生きていたいと思えた、――死にたくないし死ねなかった。だって私と愛する人はどこまでもイコールだったから。生かすために生きる、死なせないために、死なない】

残念ですけど、――私が死ぬのって、アリアさんが死ぬときだけで。どこの誰と"お友達"になったのか、知りませんけど――。

【首を傾げた、さっきまで頭のあったところをボウガンの矢が貫いてゆく。溢れた魔力の奔流、もはや塊のまま、幼子の身体をねじ伏せようとする、容赦なく地面に叩きつける形で】
【花舞うより軽やかに振り返るのなら、幼子へ向いけられた魔力の塊がぞるり伸びあがり横から眼鏡の男の腹を打ち据えようとする刹那、微かに漏れる声、足取りの揺らぐのは】
【向けた視線が鋭く煌めくのなら、転瞬/転ぶ瞬間、蛇が宿るのだろう。一匹目はもはやどうしようもなく、二匹目は仮死の眼差しが射貫かんと、そうして、三匹目】
【引き摺り戻された魔力の奔流/本流より枝分かれたものがリボンへ変貌る、――夜を引き裂く音すら幻視させて殺到する、けれど、すでにその足取りは絡んでいる、なら】

【――どちらにせよそのタイミングで彼女は転んでしまう、ならば致命的な隙を見せた、誰か一人でもタイミングと結果を過っていたなら、取り逃したなら、"取られる"距離感、にて】
738 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/02/14(木) 03:41:45.38 ID:J98T+meEo
>>737
【互いに冷たく怒りを研ぎ澄ませていく。お互いがお互いに、相手を許さない。その命を許さない】
【汚泥の中に浸かった悪漢どもに比べれば、整合性なんてなくとも、都合よく情報を整理してるだけでも】
【ただ一つの理由の為に生きている彼女の方が、どんなにか上等なことだろう】

【だが、異形どもはそれを許さない。彼女の過去を、現在を、未来を。それこそが、彼らの崇拝する神の】
【狂った肉屋の望みであるのだから】

【しかして、彼女もまた、怒りをもって白を晒す。月明かりの下に、ぞっとするほど美しい白と、切り刻まれた盗賊の赤】


ほざいてろ

【尊厳を踏みにじる時、盗賊どもは嘲り笑う。幼稚ないじめっ子のように、相手を挑発して怒りを引き出す】
【だが、彼女に対しては、彼女の属する群れに対しては、そうではなかった。ただ憎悪のままに侮蔑する】

【盗賊どもに踏み荒らされていく蛇教徒たちの残骸、目のあった場所に空いた穴が、彼女に向いていた】


――――三十匹で済むと思うか?

【そう、彼女は今混沌のこの世界で、なお咲いている。その根は強固に、もはや狼と離れられないほど深く絡みついて】
【だから、引き抜くなら。自分たちと同じく、一心同体だというのなら。狼もろともに】

〈あぐっ!!〉

【ボウガンの矢をかわされた目を縫われた少女は、魔力の奔流にいともたやすく抑え込まれる。叩きつけられる小さな身体、うめき声は短く】

〈ガハッ!!〉

【眼鏡男が得物の切っ先を届かせることもなく、横に吹っ飛ぶ。地面に倒れ転がる】

【そして、獣の鳴き声が苦し気に響いた。仮死の力、蛇の力。その奇跡は未だ健在】
【二匹目のカマイタチの身体から力が抜け、勢い余って地面に転がる。三匹目へとまたも殺到する魔力が、小さな身体を肉片に変える】

【そして、転倒したなら。その先に、叩きつけられた幼子の姿】


[なら、屑鉄さんと一緒に死んじゃえばいいのよ]

【幼子もまた、表情一つ浮かべずに。その目を縫い閉じていた糸が、瞼に吸い込まれて消えた】
【閉じられていた目が、見開かれる。その奥に渦巻くは、彼女と同じ魔力の奔流】
【しかし、性質は違う。彼女が阻害なら。幼子は、渦巻く重力】

【目が開かれたのはほんの一瞬、それ以上は本人にも制御できなくなる。文字通り、瞬きほどの時間】
【それだけで、溢れた黒い魔力が、少女の身体を弾き飛ばそうとするだろう。魔力の流れ、その軌道は単純なれど】
【食らえば、数メートルは吹っ飛ばされるのは必定。当然、吹き飛ばされる先にも、ドブネズミどもが群がろうとすでに走り出している】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/14(木) 04:06:21.39 ID:HRnmUuCh0
>>738

【そうして冷たく硬い地面に落ちるお尻、こんな場にあってはならぬものみたいに形のいい柔らかさは、やはりすでに手形の付きすぎたもの――、投げ出される足先、】
【詰まる吐息一瞬、瞠られた眼差しが、幼子の眼差しと交わるのだろうか。――その向こう側に魔力の奔流を見るのだとして、詰まった肺の中身を吐き出す瞬間すら与えられぬなら】
【須臾より短い時間は普段であれば決して意識することない、意識する必要すらない幕間、――だけれども、そう言ってその瞬間を無視する人間は、こういう時、真っ先に死ぬ】
【"そう"決まっているのなら、――びしりと凍てつく音律、凍り付いた夜は鮮やかな紅紫色。すべての条理を無視してしまうなら、現るのは、二人の境目、障壁の形にて】

――――、うぁ、――っ!

【――急ごしらえに過ぎる防御だった。なれば編み込むにも不十分、徒に魔力を消費してなお、その全部の衝撃を殺し切ること、できなかったなら】
【びしりと割れ砕けるマゼンタの向こう側でやはり容易く少女の身体は弾き飛ばされる、トラックよりよほど殺意ある重力に轢かれるのなら、お人形を放るみたいに】
【けれどお人形さんではありえないのなら、――その身体が虚空のうちにがくりっ、と、停止するだろう。――その身体にマゼンタがぐるり巻き付くのなら、意味合い伝えて】

【空中より現れたリボンが彼女を空中にて捉えていた、衝撃に白銀の毛先が迷子になる、ぶわりと翻った瞬間に掛けていた眼鏡が地面に落ちるのだろう、碧眼がぎらつく】

え゛ほっ――、いたぁ……。夜這いの次は強姦ですかぁ――? 

【そうして降り立つ地面は彼らの見据えた落下地点とは大きく違えるのだろう、けれど位置として幼子と彼らに挟まれる形であった、――ならば、】
【顔にかかる白銀をかき上げる、――その指先にぞろりあふれ出す魔力の色合い、瞬くのなら、翳す指先、"彼ら"へ向けたら、ごわり、決壊するの、見せつけて】
【――それこそ阻害の魔力そのものであった。触れれば触れた部位に麻酔を施すように冷たく鈍らせる魔力。乱雑に打ち出されたものが、中途から張り裂けて、果てるなら】
【――――再びの殺到であった、横殴りの雨。けれど今度は切り裂くよりも絡めとるようなもの、――そうして髄の深くまで、ひたり、冷たく満たしてしまおうと、】

――――――、悪い子ですね。私、子供って、結構好きなんですけど――、

【けれど彼女はその結果まで見据えなかった。左手の指先、――真っ白いドレスグローブを噛み咥えた振り返り。言葉と裏腹に冷たいまなざしをしているなら、】
【次の刹那に曝すのは赤と黒の蛇――ヤマカガシ――であるのだろう。指先までそろえて翳すのなら命すら錯覚するほどの精巧な刺青、ざわめく、瞬間に】
【"剥がれる"。そうして襲い掛かろうとするのだ、――もしもそのまま蛇に噛まれてしまえば、脳髄まで焼き切るほどの"激痛"、彼女の知りうる限りの全部、躊躇いなく流し込もうとする、】

 【けれど、】

【――やはりどうしても彼女が不利であった、数にて負けているなら、ほんの刹那でも目を離せないのに、やはり数で負けているなら、どうしても目を逸らしてしまうから】
【今だって、――結果までも確かめなかった魔力の雨より誰か脱していたら。そうでなくとも、まだ増援がありうるのなら。――彼女の不意を打つこと、きっと、容易く】
740 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/02/14(木) 04:31:41.71 ID:J98T+meEo
>>739
【刹那、見切る。彼女のまた、若くして修羅場を潜ってきた戦士。瞬き一つの間があれば】
【即席であろうと、防壁を張ることも出来る。たとえその臀部が手垢に塗れていたとしても、関係はない】

【幼子の身体も衝撃で後ろへ、されど今度は苦鳴は堪えた。自らに課した代償であったから】
【対して、少女は空中で止まる。リボンは意志もつ手足の如く、彼女を支えて】
【地面に落ちた眼鏡が、蛇教徒の残骸の横に転がるだろうか】

[クズ肉さんに好かれくないから、それでいいよ]

【純粋なはずの幼子も、肉屋の感情に蝕まれているかのように。年には不相応に冷たい声で吐き捨てた】
【しかし、そんな冷たさも彼女は飲み込む。全てを飲み下す蛇の如くに】

【その指は、蛇であった証。その入れ墨は、未だ蛇を忘れぬことの証】
【魔力の決壊を眼前に示された時は、流石の盗賊どもも怒りとは別の感情をわずかに宿した】

――――!!!!!∞∞∞∞

【彼女の歴史そのもの、と言える苦痛の奔流。乱雑でありながら強力な、麻酔の如き魔力が、その露払いとなり】
【動きを封じられたドブネズミどもを、蛇の身体のような魔力が絡みついて捕らえる】
【蛇のもっとも恐るべきは、その長い身体を用いた締め付けである、とは死んだあの司祭の言葉であったか】

【赤黒の蛇、ヤマカガシ。彼女の指より出でて、それはかぶりつく】
【連携のために幼子との感覚の共有を行っていた、盗賊ども全員にそれは訪れた。極限の苦痛。彼女の経て来た修業≠フ成果か】

【だが、それでも。麻痺の雨からは逃れたその男は。極限の苦痛の中でも動いた。たかが悪漢の群れと言えど、その中でまとめ役を引き受けるだけはあるというべきか】


が、ぐっ……!! 強姦だあぁ……? ゴミを犯す趣味は、ねえんだよおぉおおおぉぉ!!!

【握られた拳、その表面には複数の錆びたナットが浮き出て、ピアス男の拳そのものをブラスナックルに変えていた】
【鉄の硬度のパンチを、少女の顔面に容赦なく見舞おうとするだろう】

【その成否に関わらず、ドブネズミどもは退きの姿勢を見せ始める】
【能力が彼女に戻っている、まだ蛇の残滓も使えるとわかった以上、これより先は数をかけても勝てるとは限らない】
【何せ、一人ではないのはこちらだけではない。彼女を愛する狼とその仲間たちが、事態を知ればすぐにも駆けつけるだろうから】

【だが、それでも。自分たちの憎悪を少しでも叩きつけんとするのは、悪漢なりの意地か】
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/14(木) 05:17:11.35 ID:HRnmUuCh0
>>740

【――ふうっ、と、微かに息が漏れた。身体の中にたまっていた酸素を吐き出すのなら、ふわり立ち昇る白さの、なんと無神経なことか】
【多対一の状況に対する疲れが微かに覗いた、――或いは、彼女が疑いようなく一人であったなら、もういくらかの時間を振り回すだけで、殺せるに違いなかった】
【冬だというのにじとりかいた汗には冷や汗も混じっているのだろう、――ふううっともう一度吐いた息は、今度は明確に、深呼吸の色合いをして】
【大きく持ち上がった肩が落ちるより、――彼の方が、早かった。なれば真っ青の眼差しが見開かれていた、瞬きすら間に合わないなら、瞳の青、どこまでも青いまま】

――――――――あ、ッ、

【――――ぴしり、と、本当に微かな凍てつき。薄っぺらい紅紫は紙石鹸より幽かな色合い。ならば衝撃をすべて殺すには不足が過ぎた、児戯と呼ぶにも、拙すぎるなら】
【瞬間閉ざした眼は諦めに似て、――――けれども、ざわりとした音、道理が引っ込む音であるのかもしれない。硬質の物同士がこすれ合う音、――、刹那に】
【彼は見るのだろうか。ぎゅうと眼を閉ざした少女の顔に瞬間生えそろうもの、――蛇の鱗。そうして見るなら、いつかサーバントを狩った時のこと、思い出すのだろうか】
【蛇術。――とは言え、急ごしらえであった。阻害の力と、蛇の力と。どちらも使ってなお殺し切れなかった衝撃、少女を地面に叩きこむのに十分すぎるほど、有り余るほどであり】

【倒れこむ瞬間の一コマに差し込まれる紅紫も、やはりその衝撃は殺し切れず。なればさっきの言葉をなぞるようだった、後頭部から叩きつけられる、なら】
【刹那に吐息すら途切れる、――そのころにはぞろぞろ生えた鱗は消えていた。故に痛みと衝撃とに呻く少女の表情を観測するのに不足はないだろう、仕返しと呼ぶには物足りずとも】

――、あ、ぅ、ぐううっ、――っ、クソ! 痛いなあっ……、

【――――――常人であれば、すぐに動ける状態ではない、はずだった。運が悪ければ死んでもおかしくない状況であった、けれど、身体を起こすなら、悍ましいのだろうか】
【頭に添えた指先にて自身に阻害を施すのなら、――まだ動けると彼女は知っていた。自分がどこまで動いていられるかも理解していた。だから、まだ、"動ける"】
【立ち昇る魔力は音を引き連れないはずだのに、ずろり、と、艶めかしく鳴いた気がした。頭を抱えた指先は右手、ならば虚空へふらつく指先は、蛇が獲物を探す、みたいに?】

【――湧き上がるリボンは、――けれど、今までよりずうと少なくか弱くまた鈍いものなのだろう。それでも、――、それでも、】
742 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/02/14(木) 05:32:10.44 ID:J98T+meEo
>>741
【そう、殺せる。殺すことも出来る。だが、それをすることは、自分たちがお友達≠敵に回すことになりかねない】
【屑鉄とクズ肉は、生かして捕らえよ。首領からの命令は、極めて困難なものであった】

【もういくらかの時間があれば、帰りを心配した狼がやってくるだろう。何せ、以前すでに彼女はさらわれている】
【二度目を容易く赦すほど、甘くはあるまい】

【されど、それはこちらとて。そう主張するかのように。青いまなざしに、鉛色の視線が一瞬重なった】


硬えぇ!? チッ……例の蛇術か……

【手に伝わる感触に、忌々し気に吐き捨てる。サーヴァントたちとの戦いは、大いに苦戦を強いられた】
【特に彼らが使う蛇術には。急造であろうと、そこには確かに蛇の命脈が息づいていた】

【苦しむ顔を、一瞬のうちに阻害を差し込む強かを、見下ろすピアス男に歓喜の色などない】
【異形の盗賊どもにとって、彼女は、彼女らは、どこまでも憎んでやまない敵であったから】
【道理を無理で引っ込める、狂信者の手腕は未だ健在であったのだ】

――――クズ肉。気軽にほっつき歩いてられる身分じゃねえことは、その粗末な頭でもわかったろうが
過去は、てめぇを収穫しに来る――――必ず

【捨て台詞ではあった。しかし、この上なく執念深くもあった。まさに、蛇の如く】
【盗賊どもは止まるまい。『外務八課』を殺し尽くすまで】

【ともあれ、この場はもはやお開き。今の一撃で動きを封じられなかった。となれば、生け捕りは困難】
【抵抗の意志を失わなかった、少女が引き寄せた勝利といえよう。いや、抵抗というには正確ではないか】
【まだ獲物を探して蠢く蛇は、どこまでも狩る者の色だったのだから】

【ピアス男が一歩下がる。その頃には、のたうち回っていたはずのドブネズミどもは、溶けるように消えていた】
【ピアス男は、踵を返して走り去った。路地裏の闇に消え、すぐに気配が遠ざかる】

【月はもはや傾き、朝日が昇ろうかという時間帯。まるで光から逃れるように、異形どもは去った】
【これで終わりではないことは、明確であるのだろうが。それでも、今は少女が狼の下へ帰れる。それでいいのだろう】

/こんなところでよろしいでしょうか? 長時間のお付き合い、ありがとうございました!!
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/14(木) 05:49:53.00 ID:HRnmUuCh0
>>742

【――――――視界がちかちかと瞬いていた、阻害のせいと呼ぶには少し楽観的過ぎた、――やはり強かであった、ならば彼女が起き上がること、無理が台頭するのにほかならず】
【なんせ道理などという"いい子"はお家で寝ているようなお時間だから、――上がった息がただただ白く繰り返される、起き上がれようと立ち上がれない足元、ずりと引き摺るなら】
【それこそ蛇の這いずるような音がした。――指先越しに睥睨する眼はまさに手負いの獣であるのなら、今すぐにだってその首筋を引き裂いてやりたいと焦がれるように】

――――――――――――――――――、あは、はっ、あはははっ、はは、――っ、――、そん、なの、――――――私が一番、分かってて、

【――だのに次の刹那には酷く破滅的に笑っているのだから、――どこぞをおかしくしたのかもしれなかった。そうしておかしくない音がしていたのは確かであり、】
【故にきっと自分でも分かっていた。過去を都合よく並び替えて生き延びていること。考えないようにして誤魔化し続けていること。もしも向き合ったら死ぬしかないこと】
【たとえそうなのだとしても、――もはや死ぬだなんて許されないのも、知っていたから、だから醜悪だって生きていくしかなかった、神様にごめんなさいをすることも諦めて】

【――――――――――だって彼女も神殺しの一端を担ったのだから。今更神様は赦してくれるはずないのだから。ならば、どこまでも、どこまでも、狼を信じるだけ、なんて、】

――、でも、私を殺すのは、アリアさん、だけ、だから………………。

【もはや命すら自分のものではないなら。そういう罰を受けているから。世界で一番幸せな罰。だからきっと本当はそんな資格なんてないこと、――知っているから、余計に】
【――彼が踵を返し、やがてその気配も消えるのならば、頭を垂らすようにリボンが下向き地面に降り積もるのだろう、なれば、術師たる少女の崩れ落ちるのも、必然か】
【――――鈍い息を吐きだした、視界が滲んでいた。なんとか携帯電話を引き摺り出す、震える指先で一つの数字を呼び出して、――、】

/おつかれさまでした!
744 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/14(木) 12:27:22.78 ID:tgAgP3Guo
【水の国、Crystal Labyrinthにて、一つの来訪者があった】

【紫苑混じりのプラチナブロンドの長髪を、シニヨンでセミロングの長さにまで纏めて】
【胸元の膨らんだ、袖の無い白のハピットシャツの上から、素肌を透けさせる黒のレースのカーディガンを羽織る】
【シャツのフリルの上には黒いリボンタイを垂らして、ミニ丈のフレアスカートから黒いストッキングを覗かせる】

【紫苑色の双眸に理知的な眼鏡を掛けた姿は、瀟洒な貴婦人を思わせるだろうか】
【両手を包む白い手袋、袖口から覗く素肌の白と溶け合う様に、微笑む様子に神々しさが塗れて】
【 ────── 水の国最高議会議員イスラフィール、この国に於いて彼女を知らぬ人間を探す方が難しかった】


急な来訪をお許し下さいまし、────── 多忙な身の上ですので、どうしても急になってしまいますわ

前々からずっと来たいと思っていたのですが、噂に違わぬ素敵なお店ですね
調度品、装飾、照明の一つをとっても洗練されたデザイン、各種レビューサイトで高評価常連な理由が分かりますわ


────── ふふ、いけません、私としたことが、つい話しすぎてしまって


【そう言って彼女は静かに微笑む、一拍ばかりの呼吸を置いて】


今回訪問した理由は他でもありません、貴方様がたが保護されているホムンクルス


────── みらいを受け取りにきました、これからは私達の手で保護致します
745 :サリード=ヴァルマンウェ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 12:58:11.92 ID:7DU0pktv0
>>744

「……議員さんが、何の御用でしょう? 今は、開店時間ではありませんが……」

【応対に出たのは、バーのマスター――――普段の、ブラウス、フォーマルベスト、蝶ネクタイのいで立ちではなく、セーターにジーンズの、すっきりした印象の女だった】
【何か、特別な事情でもあって、家に戻っていないのだろう。半ば寝ぼけなまこで顔を出した彼女も、その姿を見ると、驚いた表情を見せる】

【普段のスタッフも、当然に客もおらず、閑散とした店内に、2人の女性が居合わせた形となる】
【来客――――イスラフィールの姿に、先ほどまで眠っていたマスターも、困惑の色を隠せなかった】

――――マスター、その人……アーディンさんの方の『仕事』に絡んだ人だと思いますよ……

【そんな中で、店の奥から、1人の人影がゆっくりと歩み出てくる。ゴトゴトと、重い足音を床に響かせながら】

【燃えるような赤い短髪に黄金色の瞳を持ち、首には緑色のスカーフを巻いた】
【長旅用の生地の厚い服の上から、胸部を覆うブレストアーマーとショルダーパッド、焦げ茶のマントを羽織り】
【腰に歩兵用の両手剣を佩き、左手に青い石の指輪を嵌めた、身長170cm前後の青年】

【――――イスラフィールならば、恐らくはその姿に覚えがあるだろう。『第四回天下一武道会』の出場者の1人であった剣士。冒険家、サリード=ヴァルマンウェである】

――――イスラフィールさん、教えてください……あなた、どうしてみらいの事を知っているのですか?
それに……彼女が『ホムンクルス』と呼ばれる存在である事も……

【マスターに代わり、イスラフィールと対面する形で場に顔を出したサリードは、訝しげに切り出した】
【この事は、完全な『裏事情』であったはずだ。サリードとて、その事を聞かされたのはつい最近の事である】
【――――とある企みのキーとして扱われている。厳重に保護しろ――――そう聞かされていたサリードも、その態度は慎重だ】

――――彼女を今『保護』している、責任者……って言うのかな、ともかく、その人を、今呼びに行ってる所です
……ご多忙な身である事は承知してますが、少々、時間を下さい……そうした話は、その人とつけて貰わなきゃいけませんから……

【表情をこわばらせながら、サリードはそうしてイスラフィールに待つ様要請する】
【誰が敵で、誰が味方か――――みらいを巡る陰謀では、その判断は容易ではないのだ】
【だからこそ、仲間内で最もその辺の判断に強く、同時にみらいの直接の保護者でもある人物に、対応を委ねようというのだろう――――】
746 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/14(木) 13:14:03.39 ID:hYoYXnWhO
>>745

【サリードを見つけて恭しく礼をする、一つの動作にも溢れんばかりの気品を携えて】


──── そうですね、そこの説明をするには私の“能力”を説明しなければなりませんが
端的に言えば、私の能力は“記憶”の読み取り、────── 内緒ですよ? 水の国の国体にも関わりますから
その記憶は人のみならず、物品、場所、私が触れたなら、その記憶は私のものです

────── 生き人形でしたか、些かばかり派手な催しでしたね、私の耳にも届くくらいに


【言外に示していた、記憶を読む彼女であったなら、生き人形と化した“件の男”からも情報を得る事も可能な筈だ】
【秘密裏に処理されたとは言え、少なからず公共の場に晒された時間さえあれば、彼女にとって情報源となり得る、と】
【更に厄介な事に、─── 今この場に於いても、彼女は記憶と称し、数多の過去を手中に収めているのだから】


私がこの若さで議員と呼ばれる所以も、少しは伝わったでしょうか?
747 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 13:25:21.90 ID:lCeA7Rrr0
>>745>>746

【突然の来訪者であった】
【そして、昼日中のこの場には、余りにも縁遠い……】
【色香と気品とを兼ね備えた、その議員女史は、唐突に、そして単刀直入に要件を述べた】

「おにいちゃ……」

【そして、タイミングが良いのか悪いのか】
【少女は顔を覗かせてしまったのだ】
【マスターとサリード、そしてイスラフィールのその3人が居るその場に】

「だ、れ?おね、いちゃ?」

【何処か弱々しく、不安げで、辿々しい言葉でイスラフィールを覗き込み尋ねた】
【普段着なのか、少女は白い簡素なワンピースに誰のものかブカブカのコートを羽織り】


//よろしくお願いします
748 :サリード=ヴァルマンウェ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 13:34:29.06 ID:7DU0pktv0
>>746

……マスター、休んでいていいですよ。今日も日の出直前まで仕事で、本当は眠いんでしょう?
「……悪いわね、サリード君。じゃあ、私は失礼するわ……責任者も、どうやらこの場合、私じゃないみたいだし……」

【最初に応対に出たマスターは、店の奥へと消えていく。本来が、夜の仕事をしている人間なのだ。本来だったら、もう少し寝ているところなのだろう】

っ……サイコメトラー……そんな能力を、あなたが……?

【イスラフィールの言葉に、サリードは少なからず動揺した。彼女の語る能力は、一般にサイコメトリーと呼ばれるカテゴリーだ】
【しかも、その口ぶりが本当ならば――――その能力の規模・性質は、結構な強力さを誇るものだ】
【確かに、これが本当ならば、彼女が諸々の事情に詳しいのも、納得できるだろう――――だが問題は、そこではない】

…………ッ!

【問題は、そうして彼女が無尽蔵に情報を収集していく事の方にあるのだ】
【かの『見せしめ』も、ここがその根源である事を知っている。つまり、今『読み取った』のだろう。となれば、話は早い】
【――――みらいに携わる、陰謀、情勢、そして顛末――――全てを、彼女は承知の上で、この場所へと訪れたのだ】

……つまり、あなたは知っているんですね。今のこの国が、なんでこんな事になってしまったのか、その原因の、知られていない部分を……ッ

【サリードの表情が、ハッキリと渋面を表す。現在の世相に見る、水の国の情勢――――その裏に、企みが蠢いている事】
【それを全て承知の上で、イスラフィールはみらいと『Crystal lLabyrinth』にたどり着いたのだろう】
【それは即ち――――みらいの価値も、魔導海軍の企みも、全てを知っているという事になる】

しかし、それなら……どうでしょう。アーディンさん……もうあなたも知ってるんでしょう、その『保護者』が何と言うか……
彼は、容易にあなたを信用しないかもしれません。何より……あなたの保護に委ねれば、それだけみらいは『向こう側』に距離が近くなってしまう……
……問題は、そこをどう考えるかですよ……

【現状、イスラフィール個人が敵か味方かは分からない――――どうやらサリードは、ラベンダーとの情報共有が、さほどに成されていないのだろう】
【アーディンも、ラベンダーに対しては、みらいの存在を詳らかに説明しようとしなかった。こうした調整が、アーディンを、小規模ながら『フィクサー』として成立させている】
【今回は、意図した形ではなかったが――――それが、予防的な警戒を想起するという結果になっていた】
【――――100%の信用を置けなければ、容易に触れさせて良いものではないのだから】

「――――信じるに足るものを示せ……って言うのは、酷かもしれないけどねぇ? でも、こういう時にそれって、大事なんじゃない?」
っ、レミー……

【そうしたやり取りの中、店の奥からもう1人の人物が足を踏み入れてきた】

【白いストレートの長髪に赤く緩やかな光を纏った瞳をしている】
【白いタンクトップの上から白いジャケットを羽織り、白いハンドグローブに白いスカートを履いた】
【肌の色白さも相まって、眩いほどに白さが際立っている、身長160cm前後の少女】

「アーディンの旦那ならもう来るってさ。もうチョイだけ待っててよ」

【冒険家、サリードの相棒である少女、レミー――――当然というべきか、彼女もこの場に繋がりをもっていた】
749 :サリード=ヴァルマンウェ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 13:38:28.43 ID:7DU0pktv0
>>747

っ、みらい……!

【そうして言葉を交わす中で、当のみらいが顔を出す。サリードの表情が、焦りを孕んだ驚きに満ちた】
【自分たちにとって、彼女の存在はある種の泣き所である。敵か味方かも分からない相手と交渉する中、備えが不十分なうちに姿を現すのは不味い】
【さりとて、ここで下がっていろという事も出来ない。潜在的に、あるいは味方かもしれないイスラフィールを前に、そうした態度は取れないだろう】
【タイトな交渉を請け負う形となったサリードの頬に、一筋の汗が流れ落ちた――――】

/よろしくお願いしますー!
750 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/14(木) 13:48:21.03 ID:hYoYXnWhO
>>747>>748

【イスラフィールは視線を向ける、─── 自身の目的となる存在、"みらい"へと】
【丁寧に頭を下げて挨拶する、つられて此方も頭を下げたくなるような見事な礼で】
【サリードへと向き直る、一つ二つと思案して】


議員と伝えても、この子に伝わるか分かりませんから、はて何と自分を呼べば良いのでしょう
─── ふふ、貴方の味方、という表現が一番確かなんですが

ええ勿論ですわ、必要とあらばお話する事も可能です
ですが、─── 機密情報も多くなる分、おいそれと全てを話す事の出来る内容ではありませんが


【やや歯切れの悪い内容であった、逆に言えばそれほど慎重であるとも言えるのだが】
751 :サリード=ヴァルマンウェ ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 13:52:18.87 ID:7DU0pktv0
>>747

っ、みらい……!

【そうして言葉を交わす中で、当のみらいが顔を出す。サリードの表情が、焦りを孕んだ驚きに満ちた】
【自分たちにとって、彼女の存在はある種の泣き所である。敵か味方かも分からない相手と交渉する中、備えが不十分なうちに姿を現すのは不味い】
【さりとて、ここで下がっていろという事も出来ない。潜在的に、あるいは味方かもしれないイスラフィールを前に、そうした態度は取れないだろう】
【タイトな交渉を請け負う形となったサリードの頬に、一筋の汗が流れ落ちた――――】

/よろしくお願いしますー!
752 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 14:00:29.07 ID:lCeA7Rrr0
>>749>>750

「……」

【非常に丁寧な、非の打ち所がない所作の礼、思わずみらいも頭を下げて、しかし意味は通じて居ないのか、少しキョトンとして】

「み、かた?おねえちゃ、みかた?わ、たし?」

【優しげに、味方である、と言われれば、初めに抱いて居た警戒も不安も、その色を幾分か薄めて】

「おにいちゃ、おねえちゃ、は、なに、を、しに?」

【サリードのズボンの端をギュッと掴みながら】
【何をしに来たのか、と間接的に聞いて】
【サリードとイスラフィールを、交互に眺めながら】

「き、みつ?」

【不思議そうに首を傾げては】
753 :クーデリア ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/14(木) 14:16:46.01 ID:NTMa3nW8o
>>727

【フードの下で金髪の若い女性は両手を口に当て、しばらく言葉を挟めずにいた】
【よもや"影武者"をしばらく身代わりに置いてまでやって来たお忍びの視察でこんなモノに出くわすとは想定もしてなかったのだ】

【"魔族"という存在に全く出くわしたことがないわけではない―――なにせその"影武者"も自分に化けられる魔族だ】
【しかし、彼女にとっては"影武者"以外に別世界の出身な"魔族"と出くわすことになろうとは普通想定もできまい……】


なるほどの、オヌシは自分の世界を守るために、この世界の情勢を知るためにやってきたのか
少なくとも『拙者』の……ああいや、この世界の者でないなら……わざわざ偽る必要もないの
せっかくだ、名前だけは名乗っておくか……『余』の名前は"クーデリア"と申す

覚えておくとよい……訳あってこちらも"お忍び"だ、お互い他言無用という事でいいかの……?


【フードを少しだけ開けて、顔の部分を軍服の少女に向けてのみ露わにする】
【―――見目麗しい美少女だった、大きな碧眼をパチンと瞬きするしぐさ一つにも愛らしさが籠る少女だ】
【金の長髪も一本一本に手入れが行き届いているかのようになだらかであり、その立ち振る舞いの全てに気品が満ちている】

【だが、他言無用という所でしーっ、と指を一本立てて片目でウインクするしぐさにはまだ幼さが残っている……】


言っておくがの、少なくとも余の来た『金の国』ではオヌシたちの住む異世界へ進攻しようなどと
そんな話は全く上がっていない。水の国でも見ての通り自分たちの問題でせいいっぱい過ぎて他の世界に
気を配る様子がないのは見ての通りだ……オヌシたちの世界を脅かすのはこの世界の総意ではない事はわかってほしい

ブランル……奴の企みは正直言って余にはまるでわからぬのだ
かつて余に"影武者"を紹介してくれたり復興支援をしてくれたジンジャーという男は半年前ほどから連絡しておらぬし
どこの者たちも……この世界を脅かす"悪意"を退けるのに精一杯なのだ


【困ったのう……といった様子でクーデリアは膝を抱え体育座りの体勢で目を伏せる】
【年若い身でずいぶんと世界の平和のためにいろいろ動いているようだが、何者なのかは名乗る気配がない……】
754 :サリード=ヴァルマンウェ&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 14:17:30.62 ID:7DU0pktv0
>>750>>752

「さー、みらいちゃん……おいで。そう、サリードお兄ちゃんと、あっちのお姉ちゃんは、大事な話をしてるの……ちょっと待っててねー?」

【そっとみらいを抱き上げながら、レミーは2人の対面を見守る。現在、彼女に出る幕は無いのだろう】

……機密は、まぁ仕方がないですね。あなた方には、大きなものが背負われている……
でも、納得のいくところまでは、説明してもらいますよ……あなただって、これが簡単な話じゃない事は、理解しているはずです……

【改めて、サリードは頭を悩ませながらイスラフィールと向かい合う】
【どうすれば、彼女の信を判別できるのか。我が身だけなら問題はないが、人の、そして集団の未来が掛かっているというのは、難しいものだ】
【交渉事と言うのは、自分には合わないものだと、サリードは逃げ出したい気持ちになっていた】

<――――どういう形で保護をするのか、櫻の海軍の危険性を、どれだけ重要視しているのか、そして、俺たちはどこまで関われるのか
 まずは、そこに応えてもらおうか……>
ッ!!

【そうして、ともすればバツの悪い間を作りかねなかった、おぼつかないサリードの言葉を引き継いで、更に1人の人物が、割り込んでくる】

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人】

【この店『Crystal Labyrinth』の用心棒頭であり、周囲で『仕置きの猫又』の二つ名で通る、獣人にして小規模ギャングのボス――――アーディンである】
【彼もまた、家で眠っていたところを、この事態を受けて駆け付けたのだろう。小柄ながら、隻眼の威圧感のある面容が、ハッキリとイスラフィールに向けられた】

<――――途中からだが、聞かせてもらった。どうやら、色々と知っているようだし、知ろうと思えばこの場の出来事はすべて知れる、との事だな……
 なら、まずはそちらの要望、始まりは非常に厳しいものだという事は、理解してもらえるだろう……
 ――――ラベンダァイスと面識があるとは聞いていたが、それなら、我々の保護だけでは信用しきれんか?>

【流麗に言葉を紡ぎながら、アーディンはイスラフィールと対面する】
【本来なら、並び立つ事が不思議なくらいに、一方はリーガルな、一方はイリーガルな存在だったが、既に世相の裏では、そうした秩序など崩壊しているも同然】
【彼らはただ、それぞれの『責任者』として、その場に臨んでいた――――】
755 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/14(木) 14:28:08.05 ID:hYoYXnWhO
>>752>>753

【微睡みに似た微笑みが印象的な女性であった、少女の様な可憐さと、淑女の様な包容力を兼ね備えた】
【曰く慈愛という言葉の体現者とも言えよう、幼子にどれ程まで魅力的に映るだろうか】


味方ですわ、難しい言葉ですが良く知っていますね、誰かに教えていただいたのかしら
保護されてると聞いて真っ先に心配したのが、きちんと人間らしい生活が送れているのかどうか、という点でした
衣食住は勿論の事、教育を初めとした適切な社会保障を受ける権利を、貴方様は有しているのです

─── 貴方様がたを疑う訳ではありませんが、幼子にとって生きづらい世の中である事は間違いありませんから


【僅かばかり目を伏せる、絵画の一枚、深窓に思いを馳せる令嬢の横顔、便りに乗せて今にも消えそうな儚げ】
【息を呑む様な一瞬であった、一つ一つの仕種が長い年月を掛けて研ぎ澄まされたかの様な鋭利さを含んでいて】
【それでいて、対峙する者に緊張を与えない柔らかさを内包していた、艶やかな目元に好色を一葉】


『水の国』にある私の自宅、─── 最高級の警備を誇るマンションです
その一室に於いて保護致しましょう、安全面は此処を遥かに凌ぎますわ
私の能力を使えば、情報収集に遅れをとることもありませんし、与党お抱えの能力者、私の秘書なんかも能力者だったりしますから

櫻の海軍に関してですが ─── 議会の判断待ち、と言っておきましょう、先日起きた爆破事件を、櫻側がどう判断するのか、それにより対応が変わります
ですが、私が危険視しているという何よりの証明が、この来訪でしょう?


【そして、────── と彼女は言葉を置いた】


必要とあれば、毎日リアルタイムのビデオ通話等で連絡する事も可能ですわ
安全上の理由から、すぐ会わせろという申し出は難しいですが、日を調整すれば面会も可能です


────── ええ、不安ですわ、ラベンダー様の名前が出たなら知っているかもしれませんが



────── "上位者"という言葉に聞き覚えは?
756 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 14:51:15.05 ID:lCeA7Rrr0
>>754>>755

「き、れい……」

【優美さとあどけなさが同居したイスラフィールの姿、微笑みは、少女の目にも魅力的に映ったらしい】
【暫し、見惚れる様子を見せて】


「ん、おねえ、ちゃ?」

【だが、そこで身体が持ち上げられる】
【気を遣ったレミーの配慮だった、そのまま抱き上げられて】

「ん、や、なんの、はな、し?おにいちゃ、おねえちゃ、わ、たし、のはなし?」

【やはり、様子がおかしい事には過敏なのか、多少レミーの腕の中嫌がる様子を見せながら、成り行きを見守り、そしてレミーに聞いて】

「おいちゃ!おいちゃ!」

【その場に駆けつけた人物、アーディンを見るや、再び騒がしく】
【張り詰めた、尋常でない話し合いは、やはり誤魔化す事は難しいかも知れない】
【絵画のような美女イスラフィールに、慣れ親しんだアーディンやサリードの姿】
【やがて、何かを悟ったかのように】

「わ、たし、おいちゃ、おにいちゃ、おねえちゃ、と、はなれ、ば、なれ?」
「おねえちゃ、が、つれ、て、いく?」

【全員の顔をそれぞれ見渡しながら、こう尋ねて】
【瞳には悲しげな色を滲ませて】
757 :サリード=ヴァルマンウェ&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 15:04:51.36 ID:7DU0pktv0
>>755

<――――そんな事、俺が許さんさ……子供は未来の宝だ。それを踏みにじる様な輩を、許した覚えはない……>

【幼子が生きづらい世の中――――イスラフィールの言葉が、何を念頭に置いたものか、察したのだろう。アーディンは、静かに、しかし力強く否定する】
【正に彼自身、そうした概念をこそ強く憎んでいる人間である。みらいの保護に、心を砕いている事については、疑われたくなかったのだろう】
【勿論、如何わしい行いに手を染めている事を、今更否定するではないし、イスラフィールみたいな世界の人間には、理解を得られなくても無理はないと、分かってはいたが】

「……マンション……」
<……隔離保護、と言う形になるな。確かに、身の安全を図るためには、それが1番なのだろうが……>

【まず、最初の問いへの返答であるマンションについては、サリードとアーディン、2人ともに考え込む仕草を見せる】
【ここは、人の出入りの多い場所であり、その分危険だろうというイスラフィールの考えも分かる】
【それに比較すれば、能力者の手になる庇護も用意してあるというのは、確かに備えとしては頼もしい】

<――――では、パブリックな諸々を差し置いて、あなた個人に問おう……『奴ら』と事を構える、その覚悟と備えはあるか……?>

【2つ目の返答についても、正にその通りと言うべき正当性を持っている。半ばお忍びでこんな所に足を踏み入れるのは、そこに相応の意味を見出している証しだ】
【しかし――――どうせならば更にその真意に迫ろうと、アーディンは問いを重ねる】
【『議会の判断待ち』と言うのは、あくまでパブリックな返答としてだろう。だが、こうしてこの場に来たイスラフィールに対して聞きたいのは、そんな答えではない】
【また、『個人としての答え』を用意しないままに、この場にやってくる人物でもあるまい――――アーディンは、いわば『腹を割って話す』事を求めたのだ】

【――――敢えて、明確な固有名詞は口にしていないが、その程度はイスラフィールなら分かるだろう】
【また、それが分からない様なら話にならない、と言う――――程度の低いものではあるが、一応のリトマス試験紙を用いていた】

「……アーディンさん」
<……それでは少々、不安だな。こうした保護の場合、情報的やり取りと、直接接触の間には、大きな差がある……
 無論、頻繁に接触などしていては、情報が洩れる危険が高いと、そこを心配しているのだろうが……
 ……安全上の云々など、気にせず接触とはいかんか? 目に見える空間など、意味はない――――この意味も分かるだろう?>

【3つ目の答えに――――彼らは揃って渋る態度を見せた。みらいとの直接接触を、不完全とは言え断たれるのは、まだイスラフィールを全面信用していない中では厳しい】
【理屈としては分かるが、アーディンは『周囲に漏れない接触なら構わないのでは』と言う代替案を提示し、足元を軽く爪先で叩く】
【――――空間の記憶を読み取るというイスラフィールなら、その意味が分かるだろう。そして、それを『接触』と繋げて考える事も】

<――――上位者。先の、『魔能制限法』反対派の仕掛けたテロの中に紛れてた、実質的な仕掛け人らしき連中の自称だったな……
 ラベンダァイスの話によると、随分と荒唐無稽な力を使う連中だったようだが……奴らとみらいとの間に、何かあるのか……?>

【何を懸念しているのかは知らないが、その情報自体には、アーディンも触れていた。恐ろしい力を振るう、少数の能力者】
【ふと『虚神』を想起させるが、アレとは出自が違うのかもしれないし、『虚神』の存在まではイスラフィールと言えども知らないだろうと、その言葉を待つ――――】



>>756

「あん、もう……少しじっとしてちょうだい
 ――――あっちのお姉ちゃんが、みらいを「もっと安全で良い所に連れていきたい」って言ってて、それをアーディンおじちゃんがどうするかって考えてるの
 今はまだ、決まった訳じゃないから、大丈夫だよ……それに、決まるにしても流石に今日すぐって訳でもないっしょ……?」

【文字通り『お姉ちゃん』の様に抱きかかえながら、レミーは眼前の光景を、みらいに分かりやすく伝える】
【みらいの懸念は一部当たってはいるが、まだ話がどうなるかはわからない、と――――】
758 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/14(木) 15:20:19.02 ID:hYoYXnWhO
>>756>>757

【少しばかりバツの悪い表情であった、どう足掻いても幼子に別れを経験させる選択肢に変わりはない】
【それでも、と ─── 真っ直ぐにアーディンを見つめる瞳には迷いはない】


─── 私はこの国を愛しております、古来より政治家の役割とはそれしかありません
愛国者である事、それが唯一にして無二の政治家に求められる条件ですわ

国を愛するという事は国民を愛する事、─── だとすれば、私の行いは全て国民に繋がるのです

この国は歪んでしまいましたわ、狡猾で巧妙な者達の手によって、─── だからこそ
私達の "みらい" を、奪われる訳にはいかないのですわ


────── 政治家とは概して臆病なものです、十重二十重に予防線を張ってもまだ足りませんわ
敵方に私の様な能力者がいないとも限りません


【絶対に漏れない場所などない、と彼女は重々承知していた、こうしてコンタクトをとったことからも分かるだろう】
【もう少し別の代替案はないか、と返す言葉】


─── いえ、直接的な関係はございません
ですが敵方にはその様な荒唐無稽な連中がいると示唆したかったまでです
759 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 15:32:47.72 ID:lCeA7Rrr0
>>757>>758

「ん、や、あ、やあ!」

【レミーに、正に幼子が姉にされる様に抱き抱えられて】
【そして、漸く大人しくなって】
【レミーから、噛み砕いて要約された話を聞けば】

「あん、ぜん?いい、とこ、ろ?」
「おねえちゃ、わた、し、は、じゃま?」
「おいちゃ、たち、めいわ、く?」

【キョトンとして、それでいて悲しげに聞いて】

「おねえちゃ、わたし、は、ここに、いちゃ、だめ?」
「おいちゃ、たち、のじゃま?」

【今にも泣き出しそうな表情で、今度はイスラフィールに聞いて】

「じゃま、なら、わたし、いく、よ」
「おねえちゃ、のとこ、に」
「おいちゃも、おにいちゃ、も、おねえちゃ、も、だい、すき……だ、から」

【真剣な、そして清い眼差しでアーディンと向き合う女性議員は、ややバツの悪そうな顔を見せる】
【だが、その話の中、みらいは双方に向け、こう言って】
760 :サリード=ヴァルマンウェ&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 15:53:12.50 ID:7DU0pktv0
>>758

<立派なものだな、確かにその通りだ……国を侵そうとしている連中は、あなたにとっても敵と言う訳だ……
 だからこそ、みらいを奪われる訳にはいかない――――その思いは、俺たちも同じだよ……
 まぁ、国を見ているあなたほどに、スケールの大きい話をしている訳ではないがな……>

【イスラフィールが、今の防護を不安に思う気持ちも、その言葉を聞けばわかる。十全を期さなければならないというのは、確かにその通りだ】
【真偽のほどをさておけば、イスラフィールの下にある事が安全なのは、間違いない】

――――アーディンさんは、だからこそ自分たちを、より主体的に噛ませてくれ、と言っているんですよ……?
<……懸念するところは分かった。だがその先には、あとは純粋な戦力差が大きいのではないか?
 その時、我々がすぐに協力できない体制と言うのは、な…………
 ――――我々は、今の事態に噛み、そして深く関わった。ここで、荷を下ろして終い、と言う事にすれば、無念が残るのだ……>

【備えはいくらでも万全にしたい、と言うのはサリード達も同じだった。だからこそ、こうしてイスラフィールと話を詰めているのだ】
【事の重大さを理解して、そこに対して深く関われないのは、歯がゆいものがある。まして、力に自負を持っているのなら――――】
【敵の情報収集を煙に巻く手段はあるし、それを上回るほどの相手なら、正面からの力押しになるだろう。いずれにせよ、自分たちは邪魔にはならないはずだと主張して】

<――――敵方?
 あの『上位者』とやらは、『黒幕』一派の手先なのか? それとも……『黒幕』共に、アレに匹敵するだけの、知られざる戦力でもあるのか……?>

【ふと、アーディンは眉を吊り上げる。イスラフィールの言葉に、疑問がわき上がった】
【その場を見ていた訳ではないし、直接接触した訳ではないから何とも言えないのだが――――『上位者』を『向こう側』としたイスラフィールの言葉に、意識が向く】
【ただ「自分たちの戦力でも、対応しきれない敵と言うものは存在するのだ」と言う、引き合いの意味であるなら構わないが】
【もし、正しく認識を新たにする必要があるなら、それを知らなければならない。アーディンは、真っ直ぐにイスラフィールを見据える】

<――――これは、もう一方の当事者にも、話を通しておいた方が良いかもしれないな……少し、待っていてくれ>

【話が、どうやら本格的に重要な事態になりそうだと理解したアーディンは、携帯端末を取り出し、どこかへと連絡を入れる】
【通話先は――――櫻の国陸軍の、杉原兵長】

<……俺だ。今良いか? みらいの事で、身柄を預かりたいと申し出があったんだが……話せる状況か?>

【その連絡先を、具体的に口にする事はしない。一応の警戒は、今も残しているというべきか――――】

>>759

「え、ちょ……みらいちゃん……?」

【話を受け取ったらしいみらいの、そのリアクションに、レミーは戸惑う】
【大筋は掴んだようだが――――どうも、受け取り方を間違っている様に感じたのだ】

<――――みらい。誰が迷惑とか邪魔とか、言ったんだ……?
 お前がここに居たいというなら、それだけでいつまでもここに居て良いんだぞ? 今は、どうしたら良いかを考えているだけだ
 今まで……俺たちがそうやって、うるさそうに思ってたか……?>

【苦笑しつつ、アーディンは軽い感じでみらいを宥めに掛かる。何か、テレビドラマの影響でも受けたか――――と、そんな風に解釈したのだろう】
【また逆に、深刻にそれを否定しようとすれば、却って「本当なんだ」と思うのが子供の真理と言うものだ】
【大した事は無いと言って、落ち着かせてやるのが、この場での正解だろう】
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/02/14(木) 16:08:03.22 ID:grhCCxmbO
>>759>>760

【 ────── 暫し沈黙があった、やがて根負けした様に息を吐いて】


分かりました、私の端末の連絡先をお伝え致しますわ、─── 何かあれば連絡しますし、貴方様がたの連絡もお受けします

……私では知る事の出来ない彼女の部分も、貴方様は知っているのでしょう?


【みらいへと視線を向ける、幼い表情に向けるのは慈しみの色合い】


私の住所もお伝えしましょう、─── 流石にアポは頂きたいですが、それさえあれば何時でも面会は出来ますわ

─── こんな所でしょうか


"上位者" は ─── そうですね、私も直接見たわけではないので確実には言えませんが
魔導海軍の勢力としては、些か能力が逸脱している様にも思えましたわ
黒幕か、その周辺の手合いのものと見て間違いないでしょう


【続けられる通信については肯定を返した、返事を待つ】
762 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 16:26:58.58 ID:lCeA7Rrr0
>>760>>761

「おねえちゃ、おにいちゃ、おいちゃ……」

【それぞれの顔を見渡して】
【やがて、アーディンより、軽く諌める様な、そんな言葉が返って来れば】
【首を横に振り、それを否定して】
【少なくとも、アーディンもシャッテンもヴァルターも、そんな事は一言も言っていない】

「ほん、と?」
「わた、しは、ここ、に、いたい……」
「ここ、じゃ、だめ?」
「おねえちゃ、の、とこ、じゃ、ない、と、だめ?」

【今度はイスラフィールに向けて、こう言って】
【其処には、少女の意思も希望も、しっかりと込められていて】

【やがて、その最中、アーディンはある人物に電話を掛けた】

ーーrrrrrr


「……はい、アーディンさん、杉原です」

【数コールの下、電話が繋がった】

「何ですって!?問題ありません、詳しく聞かせて下さい!」
『す、杉原ー!突然どうしたんだ?』
「あああ、もう!軍曹、ちょっと静かに!緊急事態です!」

【何やら外に居るのか、雑音が少々煩いが、声はよく聞こえる】

「して、何者ですか?其奴は……」

【緊迫した声が電話越しから聞こえる】
763 :サリード=ヴァルマンウェ&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 16:41:23.11 ID:7DU0pktv0
>>761

<――――分かった。それを受けるのが、其方にとっての譲歩、という事だな……>

【落としどころとしては、確かにこの辺が妥当かもしれない――――アーディンは、まだ躊躇いながらも、小さく頷いてみせた】
【――――ただ要求を繰り返すだけでは、交渉とは言わない。どこかで、両者が妥協をしなければならないのだ。端末の連絡先を、互いに交換して】

<……ただ、仮に身柄を移すにしても、準備の期間ぐらいは用意してもらいたい
 それに……そちらの環境を、一度この目で見ておきたい。勿論、其方の迷惑にならぬ様に、きちんと名実装って、お邪魔する事になるだろうが……>
{――――…………}

【ここからは、自分たちは「みらいと言う軸」を共にする協力関係になる。なら、互いにその手の内を見ておきたいとアーディンは言った】
【――――記憶の能力を持つイスラフィールは、既に床に展開したフィールドに潜んでいるシャッテンの事など、見抜いているだろう】
【逆に、落ち着く設備や防護のための、イスラフィール側の能力者などを、アーディンは知らない。それを知りたいのだろう】

<――――けど、最後に重要な問題がある、な……>
「……みらい自身の、感情ですね。最後に優先されるのは、みらいの選択じゃなきゃいけない……」

【話は、具体的に纏まりかかっている。後は、みらいがどうするか、その選択だろう】
【自然と、アーディンとサリードはみらいを見る。彼女が、どうしたいと思うのか。それが全ての鍵だ】



>>762

<――――そうか。では、手短に話そう……
 申し出は、イスラフィール……君も知っているだろう、水の国、最高議会議員の、与党派の人間だ
 ……先の、能力者テロで、情勢が悪化するのを不安に思ったようでな。魔導海軍の手に渡らぬように、保護したいと申し出てきた……
 ……少々、軽々口にはできないが……ここに我々がみらいを保護している事を、掴んで……わざわざ、やってきたらしい>

【問題ないという杉原の発言を受けて、アーディンは詳細を語り始める】
【申し出の人間は、水の国の情勢に関心を寄せていれば、誰でもが知っていると言っていい人物から。意外なものではあるだろうが――――】
【能力に関して軽々に明かせないという、イスラフィールの意を汲んでか、接触のきっかけは言葉を濁して】

<一応、信用に足るかどうか、俺が自分の目で見てみたいと言っているところだが……そちらはどうだ、彼女を信用する気はあるか?>

【――――文面では当たり障りがなく、同時に応えようもない問いだが。その真意は、恐らく杉原には伝わっているだろう】
【一応――――与党派であるイスラフィールは、君たちの掴んでいる情報の限りで、問題はないだろうか――――と】

「――――ダメという事はないんだよーみらい。でも、あの『海の怖いおじさん』とかが、ここだとすぐに来ちゃうんじゃないかって、あっちのお姉ちゃんは言ってるの
 みらいは、それだって嫌でしょ? ……アーディンおじちゃんと、お別れしちゃうのと、どっちが嫌か……って事になるのかな?」

【みらいをあやす係となったレミーは、同時に彼らの言葉の『通訳』も、自然に担当する】
【親しい人たちと離れる事が嫌か、それとも、再び襲撃される危険を受け入れる事が嫌か――――義務感ではなく、みらい自身の感情が大事だ、と】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/02/14(木) 16:47:25.83 ID:grhCCxmbO
>>762>>763

【みらいの言葉に対して、イスラフィールは直ぐに返答する事が出来なかった、相応しい言葉が見つからなかったから】
【来たるべき旅立ちの日を、至るべき巣立ちの時を、私達は止める事が出来ない】
【 ─── それは時として唐突に、やってくるものかもしれないから】


貴女が本当にここに居たいと願うのでしたら、私はその願いを奪う事はできませんわ
─── ですが、私が国を思う気持ちも、貴女と同じ様に大きいのです
"国" だなんて言うと大袈裟かもしれませんね、ひょっとしたら、貴女にはまだ良く分からないかもしれません

家族、は分かりますか、────── 私達は大きな意味で家族です、貴女も貴女の周りの方も皆、一つの家族です

私は家族を、─── そしてその家を守りたい、その気持ちしかないのです


【言葉を一つずつ彼女は選んだ、幼子でも分かるように平易な表現を使って、少しでも理解を求めた】
【足並みを揃え、視線を合わせる、────── それこそが、政治家のあるべき姿と伝えるみたいに】


両方とも構いませんわ、流石に一ヶ月等でしたら長すぎるでしょうから……そうですね
一週間、時間を開けた後、私達が保護する運びでどうでしょうか?
765 :@mail ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/14(木) 16:50:39.42 ID:LRjWWXfWO
【To:アーディン・プラゴール】
【From:カニバディール】

件名:警告

水の国議員、イスラフィールという女が最近活発に活動している
この女は、「円卓」の中枢に居座っている存在だという情報を得た。〈世界の終わり〉を目的として、〈聖杯〉なるものを求めているらしい

現在、「円卓」の中枢に囲い込まれた、Mの繋がりにいる一人からの、確度の高い情報だ
彼奴に気をつけろ。触れた相手から記憶を吸い出す能力すらも有している。腹の底の知れない女だ

彼奴を安易に信じるな

【あるいは、このメールは今まさに会談中のアーディンの元へ滑り込む、のかもしれない】
766 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 17:16:46.69 ID:lCeA7Rrr0
>>764>>763

「……なるほど、状況は解りました」

【アーディンの電話から少し考えるような声色で、杉原が答えた】

「正直、なんとも言えないのが現状です」
「ですが、どうにも引っかかる点があります」

【杉原は、少々悩む様な、そんな答え方で話を始める】

「水国議会イスラフィール議員、名前は勿論存じて居ます」
「掴んでいる情報の上では、限りなく白です」
「ですが……何故『今』なのでしょうか?事情を知るならば、何より真っ先に貴方の所に向かわねばならない筈」
「何故、『今更』このタイミングで、私にはその方が全てを知りながら機会を伺って居た様に思えてなりません、出来過ぎたタイミングです」

【訝しい、それが杉原の見解であった】
【やがて、みらいとそして取り巻く大人達の話は纏まりに入り始めて】

「わた、し、は、おねえちゃ、おいちゃ、おにいちゃ、といっしょに……」
「でも、こ、こにいた、ら、また、わる、い、うみの、おいちゃ、が……」
「かぞ、く?」
「……」
「…………」

【レミーの説明に、イスラフィールの慈愛に満ちた話】
【やがて、肩を震わせ、大粒に涙を零しながら】

「わかっ、た……わ、た、し、いく」
「おねえちゃ、と、いく……」

【短くも、そう告げた】
【後はただ、肩を震わせ、泣きながら】

767 :@mail ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/02/14(木) 17:42:50.91 ID:LRjWWXfWO
>>765
/すみません、円卓中枢の通称としてキャメロットの名と、イスラフィールさんのそこでの湖の乙女という呼び名と
/円卓の保持する戦力として、円卓の騎士とミズキ・ランスロットさんの名も追加という形でお願いします……
768 :サリード=ヴァルマンウェ&アーディン=プラゴール ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 17:49:04.01 ID:7DU0pktv0
>>764>>766

<……それが一番なのだろうな。もし上手く行くなら、1週間後、我々も同行する形で、送り届けるというのが……
 よし、その時間がもらえたのはありがたい。それなら、俺からは言う事はないよ……
 後は、あなた方と上手く連携して、奴らからみらいを守るだけだ……>

【イスラフィールの再度の譲歩を受けて、アーディンは決断する。落としどころとしては、ここがベストだろうと】
【仮に、イスラフィールが『向こう側』であるのなら、その時に絶対に見抜いて見せると、意気込みつつも】
【自分たちだけでは、少々辛いだろうというのも事実ではあった。これなら、丸く収まる結論となりそうだ】

「……そ、っか……みらい。あんた少し、大人になったんだね……」

【みらいの、重々しい選択を受けて、レミーは名残惜しそうに、みらいの身体を地面に降ろす】
【辛くとも、その選択をしなければならないと、そう判断したのだろう――――それは、大人の選択だった】

<……なるほどな。確かにそれは言えている。先のテロが、引き金になったのだろうというのは、間違いないだろうが……>

【杉原の指摘を受けて、アーディンは考え込んでしまう。どのタイミングでイスラフィールが『知った』のかにもよるが、確かに気になる点だ】
【これは、本人に再度問いかけるべきか。ふとアーディンは考え込んでしまう】

<……イスラフィール。あなた、何時ここの事を知ったのだ? 盟約の人間が、それを知りたいと言っている……
 どうやって知った、は……流石に明かせないだろうと、濁してはいたがな……>

【少々首をかしげながら、アーディンは杉原の疑念を、少し形を変えてイスラフィールに問いかける】
【何らかの意図があったというのならば――――確かに気にはなる。それを、『間』と言う形で確かめようというのだろう】



>>765

【――――そのメールを受信したのは、正にその瞬間だった】

ん……? なんだ、こんな時に――――――――――――――――ッッ!!

【内容を確認し――――アーディンは思わず絶句する。何か、ショックを受けた様な表情で】

(……!!)

【どうする。どう対応する――――半ば思考が空転する中で、アーディンはパニックの海に沈まぬように、懸命に思考を保とうとする】
【ここは、いきなり灰色に沈んだイスラフィールを、表立って糾弾するべきなのか。それともこの場のみをやり過ごすべきなのか――――】

<――――迂闊だったな、忘れていた…………ッ! 敵は、何も『黒幕』だけではないという事を――――ッ!!>

【半ば無意識に、その言葉は呻きとなって溢れていた。その言葉だけでは、周囲は何事か、計りかねるだろう】
【だが、形相を変えたアーディンの様子はただ事ではなく――――その言葉に『心当たりのある人間』は、確実に反応するはずだ――――】
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/02/14(木) 18:00:21.19 ID:grhCCxmbO
>>766>>768

【 ────── 聖杯に滴り落ちる雫を見ていた、表面張力を越えて、今にも零れる寸前】
【それでも彼女は手を出さない、彼女は知っている、─── 何処までが自身に制御できるかを】
【最大限を見極めて、一匙掬う ─── それだけの試みであったのだが】


【一陣風が吹き抜く、大きく水面が揺れた気がして】


そうですね、"生き人形" が話題になった数日後には把握していましたわ、その時点では楽観視していました
────── 貴方様達は有名ですからね、水の国に於ける有力者、保護されているのでしたら問題もありません

ですが、先の出来事により事態は変わりました、─── 明確に櫻は力を求めております


【矛盾は無い、─── 少なくともその理論に破綻はないだろう】


────── どうか致しましたか、些か様子が変ですが
急を要するメールだったりするのでしょうか


【現在は膨大な過去の積み重ねである、だとすれば、彼女の読み取る記憶とは現在の相似形】
【彼女が空間の記憶すらも読み取れるとしたら、空間の把握に於いては他の追随を許さない】
【 ─── 然るに、アーディンが目を通したメールの文面すらも、読み取った可能性がある】

【それでもなお、と彼女の表情は伝える、─── 柔和な色合いを崩さず】
770 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 18:12:01.32 ID:lCeA7Rrr0
>>769>>768

「お、ねえ、ちゃ……」

【しゃくり上げ、未だ止まらぬ両の眼の雫】
【床に下されて、それでも未だ、惜別の様に】

「おいちゃ、おにいちゃ……」

【イスラフィールの、身元正しき、慈愛溢れる議員の手にこのまま委ねられるかと、そう思いきや】

「おいちゃ?おいちゃ?」

【アーディンの尋常ならざる様子】
【それに反し、不自然な程に、その笑みを崩さないイスラフィール】
【恐怖、底が知れない恐怖があり、それはみらいもヒシヒシと肌で感じて】

「お、おねえちゃ、おいちゃ、が……」

【レミーの足元に縋り付くように】
771 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/14(木) 18:16:06.90 ID:QzZIM34Co
>>753


…………うん、よろしくねクーデリア
僕はシャリーア・エル・ディアディリス。ディアディリスは長いからシャリーアでいいよ
こっちの事情はあまり知らないけれど、君が困るっていうんなら黙っておくよ


【名乗り終えて話が進む。表情の暗さは変わることがなかった】


まいったな、人間たちが攻めてきてないってのは嬉しいことなんだけど
でもこの様子だと、じゃあこっちに協力してくれってのも難しそうだね


【両腕を組んでうーんと唸るシャリーア】
【ふと何かを思い出したように視線をクーデリアへと向ける】


そういえば、話からするとこっちの住民たちは僕たちの世界のことは知らないんだよね?
前線の兵士たちの話によると、“奇妙な化け物”以外にも軍服を着た人間の姿も見たっていう話なんだけど


【奇妙な化け物────魔族から見てもそう言えるような何かが存在している】
【これもまた新たな情報だったが、シャリーアがいうには魔界には軍人も侵攻しているらしい】
【アルターリの復興作業並びに異界調査はレヴォルツィオーン社と政府が合同で行なっていた。となれば】

【魔界侵攻は、ブランルが単独で行なっているとも言えないかもしれない】

//うちに戻ってきたのでお返しいたしまする
772 :サリード=ヴァルマンウェ&アーディン=プラゴール&シャッテン=シュティンゲル ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 19:02:59.49 ID:7DU0pktv0
>>769

……ギャングとして、なんだけどね……。でも、それだけ認められているって事、なのかな……
「割とその辺、あたしたちじゃ分からないくらいのもの、あるみたいだし……?」

【事態は、大体アーディン達が考えていた通りの顛末なのだろう。サリードとレミーは、苦笑しつつも頷いていた】
【国会議員が、接点のないギャングを信頼するというのも変だが――――アーディン達の一派は、自分たちが思うよりも、他者から評価されている傾向がある】
【今回も、その一例なのだろうと考えれば、無理はなかった。思惑の元、黙認の形で共同謀議する事は、政治の世界でも珍しくはないのだろうから――――】

<――――――――ッッ
 ……悪いのだが、今回の話は無かった事とさせてもらいたい。少なくとも……1週間という期限、その間に事は済ませられない、そういう運びとなりそうだ……ッ>

【いささか言葉に詰まりながら、意を決したように端末から視線を上げて、アーディンは唸る様に言葉を返す】
【正に急を要する文面だった。眼前に居る相手が、実は盲点と化していた敵なのかもしれないのだから――――】

<別方向から……あぁ、全くの別方向から、だ……詰めねばならない話が出てきた……!
 俺自身、足を使って調べねばならない話だ、これは…………ッ!
 ――――『円卓』の手の者もまた、みらいに急接近している、とな……ッ!!>
ぇ……ッ
「…………!?」
{――――――――――――――}

【アーディンは端的にそう口にする。言葉の上では、もったいぶった言い回しだが――――その場の面々には、ニュアンスで伝わるだろう】
【――――イスラフィールに、『円卓』一派の疑いが持ち上がった。先のメール着信が、それを知らせる第一報】
【――――アーディン、そしてその協力者たちの心中に、一様に緊張感が走った】

>>770

「――――おいで、みらい……今、フラフラしてると危ないよ……?
 大変な、事になったみたい。この手を、放さないでね……?」

【しゃがみ込み、ぐっとみらいの背中に手を回して抱き寄せながら、レミーもまた、少しばかり「こわいかお」で答える】
【――――両勢力が、みらいを中軸に綱引きをしている。この状況に、レミーはどう対応するべきか、迷いながらも『姉』である事を貫こうと――――】
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/02/14(木) 19:18:12.67 ID:grhCCxmbO
>>770>>772

【 ────── 急な判断であった、けれども彼女にとっては急になり得ぬ、想定していた判断の内一つ】


一面的な情報を盲信するのは "賢人" の行いとは言えませんわ、アーディン=プラゴール
私が本当に〈円卓〉の手腕を使っていたなら、もっと直接的な手段を使いますわ
─── 合法的にこの店を潰す事さえ、本来ならば可能なのですから


【カードを一枚切る、身を切る選択肢であったが、"背に腹は変えられない" 】


カニバディール様は聡明ですが、少々臆病に過ぎますわ、─── その肉体に見合う心臓があればまた違うのでしょうが

確かに私は〈円卓〉の中枢に居ますわ、─── ですが、国会議員という私の肩書きを考えれば当然でしょう


【身分を明かすのも躊躇わない、─── 更に札を切って】


────── 〈黒幕〉の手が迫っていますわ、理由はそれ以外に必要かしら?
774 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 19:28:57.01 ID:lCeA7Rrr0
>>772>>773

「お、おねえちゃ……」
「こ、こわ、い……」

【次の瞬間レミーが見せたのは、真剣な表情】
【幼子が見れば、こわいかお、で】
【だが、その実は、何かを守ると決めた、戦う者の顔】
【レミーに抱き寄せられ、またみらい自身も、手を回しぎゅっと力を入れて】

【アーディンが宣言した、交渉決裂】
【それでも尚、まるで開き直ったかの様に、手札を切り続け、素性を明かして行くイスラフィール】
【さも、何か問題でも?と言わんばかりに……】

ーーrrrrrr rrrrrr rrrrrr

【ここで、アーディンの端末に着信がある】
【相手は、杉原重義】
775 :サリード=ヴァルマンウェ&アーディン=プラゴール&シャッテン=シュティンゲル ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 19:58:54.63 ID:7DU0pktv0
>>773

<……やはり、そういう事か……認めるのだな、それを……ッ>

【肝心かなめな部分は、伏していたはずだが。その意味するところを――――送り主さえも――――言い当てるイスラフィール】
【記憶を読み取る能力――――それを行使した上でだろう。アーディンは、イスラフィールの肯定的な発言に、重々しく頷いた】

<――――あぁ、君の言う通りだ……それで一方的に打ち切るというのであれば、それは場当たり的なその場しのぎに過ぎまい……ッ!
 だからこそ……「この手、この目で確かめねばならない」と言ったんだ……!
 ここで共同謀議と言うのも悪くはないが……そこに見合うだけのリターン、そしてリスク……それを、真に図らねば、容易に答えは出せんよ……!>

【その辺は、正にイスラフィールの言う通りだろう。これで決定する様な、腰の定まらない真似をしていたのでは、早晩みらいを守り切る事などできない】
【しかし――――決定するには、確かな元手が必要だ。イスラフィールが、その素性を隠していたのは事実で】
【改めて、知るべきところを知ってから、判断をしなければならないと、アーディンは宣言する】

【――――尤も、その性質は色合いを変えた。「イスラフィールを信用するか否か」から「『黒幕』と『円卓』、どちらに利する行動をするのがマシか」と】
【今のアーディンには、まだ『円卓』の齎す災禍の大きさを、計り切れずにいたのだ】

――――今は、一時の敵とだって、一時的に手を組まなきゃいけない状況だ……だけど、その先を間違えてはいけないんだよ……!

【サリードも、それに頷く。今まで通りで、みらいを守り切れる保証はないが、『円卓』の手にみらいを渡して、何が起こらないとも限らない】
【それを、見極めるのは――――『今の保護者』として、必要な責任なのだ、と】

>>774

「大丈夫……お姉ちゃん、とっても強いんだって、知らないの?
 ――――何とかしてあげるわよ、いざとなっちゃったら……」

【本性は、魔海の魔獣であるレミーは、そっとみらいの耳に囁く】
【最悪の場合、未来を連れて逃げることぐらいは出来るだろう。勿論、事態がそこに至るかは、まだ分からない、揺蕩っているものではあるが――――】

「(――――人間って奴は、どうしてどいつもこいつも、こう……!)」

【その内心では――――先の『虚神』事件の時も重なった、『人間』と言う種、そのものへの怒りが、埋火の様に熱を帯びていたが――――】

<!?
 ……イスラフィール、少し待ってもらおう……――――俺だ、どうした……!?>

【そうした、、一触即発な空気の中で、アーディンは杉原からの着信を受け取る】
【何事かと通話に応じるが、当然の事、その視線はイスラフィールから外さなかった】
776 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 20:15:34.73 ID:lCeA7Rrr0
>>775

「おねえちゃ、つよ、い?」

【イマイチ実感が湧かない事であった】
【だが、レミーは紛れもなく、アーディンと出自を同じくする者】
【魔海の出身者、優しき魔獣】
【ただ、みらいはその強く温かい頼もしい身体に、身を委ね】
【一方のアーディンは、再び虚神の時同様の怒りに燃えて】

【その状況の中、一本の電話が鳴った】

「アーディンさん、杉原です」
「今軍曹と急いで其方へ向かって居ますが、イスラフィールさんはどうして『其処』に辿り着いたのでしょうか?」

【余程慌てているのか、息を切らせながら】

「イスラフィールさんに、このまま電話を切らないで質問して下さい」
「何故、ここへ、辿り着けたのか、何故みらいが其処に居る事を知っていたのか、と」

【此処に至るまでに、散々イスラフィールは答えたであろう質問の内容】
【それをもう一度、杉原は自分に聞こえる様に、答えて見せろ、と】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/02/14(木) 20:35:21.90 ID:grhCCxmbO
>>775

【アーディン達は辿れるだろうか、イスラフィールは確かに"素性"を隠していた、ならばその理由について】
【単純に〈円卓〉である事を隠していたかったのなら、その素性が明かされた時点で積みであろう】
【 ────── 故に、彼女にとって〈円卓〉という所属を隠すのは手段の一つであると考えられる】

【今現在がそうである様に、〈円卓〉であるという疑念が事態を混迷に導いている、それを避けたと考えたなら】
【そこに一定の理由を見出すのも、難しい事ではないとも言える】
【響くのは杉原の詰問、─── 如何して此処に辿り着けたのか、と】


─── 簡単な事ですわ、"聞いた" のです、彼から ─── 何が起きて、誰が起こしたのか、を

"軍港" に現れた生き人形、─── 確かに私が情報を手に入れた時は既に処理されていた様ですが
そんなもの私にとっては、特に意味を持たないのですわ

────── "Lost Memory Wonderland"


【彼女が緩やかに手を翳した、────── ほんの一瞬だけ、その場には出現するだろう】
【彼らの手で傷つけられた "生き人形" ─── みらいへの影響を考えて一瞬だけの出現に留めたが】
【記憶の読み取り、そして "再生" 底知れぬその力の片鱗を確かに示した】


敢えてロジックを辿る事は致しません、私の能力を使えば幾らでも後追いが出来ますもの
そして、私が〈円卓〉でも重宝される理由が、お分かりいただけたでしょう?


【イスラフィールは一点、敢えて沈黙を保った、─── 内々に処理された筈の生き人形を何故知っているかについて】
【それはつまり、一つの可能性を示した、─── 無数にある内の一つだが】



【 "魔導海軍" 内部に存在する、内通者の可能性】
778 :サリード=ヴァルマンウェ&アーディン=プラゴール&シャッテン=シュティンゲル ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/02/14(木) 20:50:29.61 ID:7DU0pktv0
>>776

「そう、強いよぉ……あたしだって『人間じゃない』もん……だから、ね……分かるでしょ、みらい?」

【緊張の糸を保ちながらも、レミーはみらいへと微笑んで見せる】
【アーディンと同じように、レミーもまた、人間ではない。ホムンクルスであるみらいとはまた違った意味で、人間と存在を異にする者だ】
【そして、その力を、存分に振るう余地を持っている。それは、アーディンと同じく、普通の人間にない力で、能力者とも趣の異なるものなのだろう】
【――――みらいの周りに、こうして人外の、有効的な存在が多数いたのは、正に幸運だったのかもしれない】

<……どうした、それを聞いてどうしようと……?
 ――――まぁ、良い……お前の懸念するところは分からないが、ともあれそれを知りたい訳だな……!>

【再び質問を重ねようとする杉原に、アーディンは訝しみながらも頷いてみせた】
【先のやり取りを受けて、急行していると言うのも気にはなるが、其れよりも――――何故、その点を深く懸念するのか】
【ともあれ、共同責任者ともいうべき杉原と風野の問いは、伝えなければならない】

>>777

(――――アーディンさん……)
<(伝わるか、サリード……俺たちが懸念するところは……そうだろう……!?)>

【アイコンタクトを取る、サリードとアーディン。ただ、この時の彼らに、確固たる繋がりなどはない。その思いまでを共有する事は、出来なかった】

<(『円卓』が、ただ『黒幕』の弱体化を考えて、みらいを確保しようとした……それなら、まだマシなのだ……最悪の事態ではない
  状況次第で……まぁ、選択肢として無い事も無い。みらいを、人道的に扱うのならな……!
  そのまま始末する可能性も含めて、油断はならないというのが事実だが……!

  ――――不味いのは、『円卓』内部にも、みらいに何らかの戦略的な価値を見出している可能性だ……!
  魔導イージス艦の起動キーではなく、別の形でその魔力を利用されたりしたら――――虎か狼、どちらに食い殺されるか選べと、言われているに過ぎなくなる……!)>

【アーディンが、最大限に懸念しているところはそこだった。なにも、『黒幕』だけがみらいを『道具』と見做している訳ではない】
【『円卓』が、みらいを何らかの形で利用しようとしているのならば――――それは『円卓』の躍進に繋がる。それは、決して良策ではないのだ】

なっ――――!!
「お、おぉ……!」
<ッ……!!>

【そして、眼前に再現される、絹張の『生き死体』。その光景に、さしもの3人も絶句する】
【こうした形で『記憶』を扱うのなら――――その規模は、もはやサイコメトリーに留まらない。そして、絹張の影から、記憶を読み取れば】
【確かに、アーディン達の身に起きた事を、全て把握する事が出来るだろう】

<……おい、そういう事だとの言葉だ……! 彼女、確かに俺たちの眼前に、あの男を再現して見せた……!
 そこから、記憶を読み取ったのなら……確かに、知る事は出来よう。経緯はともかく、時間軸については……そこに嘘はないらしいな……!>

【電話口に、アーディンは杉原にそれを伝える。どうも、彼女の『記憶』は、強力な力を持っているらしい、と】

<――――確かに、言いたい事は分かった。だが……金貸しなんかが言うところの『依頼人調査』は、いずれにしろ必要だ……それは、理解してもらおう……
 ……素性を偽られた事は、流石にマイナスポイントと考えない訳にはいかんからな……!>

【そこも含めて――――アーディンはイスラフィールの言葉に伸るか反るか、この場での返答は出来ないと返した】
【後は、杉原達の言葉を待つばかりだろう。こうなった以上仕方は無いと――――杉原たちの事も、イスラフィールには見えているのだろう――――スピーカーモードにして】
779 :クーデリア ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/14(木) 20:55:00.26 ID:NTMa3nW8o
>>771

ウヌ、シャリーアと申すのか
ま、人であろうとなかろうと誰もが秘密にしておきたい事情を一つは抱えておるものだ!
では、今日は非公式の……秘密の出会いという事にしておくのだ!


【おっと、と声を少し小さく調整し直しながらクーデリアは改めてシャリーアに挨拶を交わす】
【軽く会釈をした後、何の気もなく右手を差し出し握手を求めてくるだろう、友好を示すために】


うーん、余も困ってる者の力になれればなってやりたい所なのだが……どのあたりまでなら
力を貸せるかは話を聞いてみない事にはどうしようもないのう……ひとまずオヌシの話を聞かせてもらってからだな

いかにも『魔界』の事はあまりポピュラーではない、余とてジンジャーめが謁見して来なければ存在も知ることはなかった
奴は限られた行き方も知っていて、最後に連絡があった時にはしばらくの間オヌシたちの世界を旅していたと言っておったぞ

だが……奇妙な化け物に軍服の人間だと?……オヌシ達から見た奇妙な化け物となるとこの世界を由来とする怪魔の類であろうか……
この世界にもこの世界由来の神秘があるからの……そういったモノと"人間"が組んでいるとなると……なるほど
確かに余も知らぬ所でどこぞの悪党めが、オヌシ達の世界を脅かしておるかもしれんな

……そうだとすれば、人間の一人として謝らねばならん、嫌な思いをさせたな


【ごめんな、とシャリーアに向けて軽く頭を下げるクーデリア】
【決して、他者が傷つく姿を喜ぶような気質ではないのだろう、しかし今日初めて会った人ですらないモノにまで共感してしまうとは】
【なかなかにお人好しな女の子のようだ、育ちも一般的な人間とも違うようだし変わり者ではあるが、素直な子だ】
780 : ◆zlCN2ONzFo :2019/02/14(木) 21:03:07.53 ID:lCeA7Rrr0
>>777>>778

「おねえちゃ、も、ひと、じゃ、ない?」

【レミーが言っている事、それは微笑みと共に確かに伝えられて】
【アーディンら同様の存在】
【そして、自分と同じ、人ではない者】
【この環境はまさに、みらいにとっては幸運とも呼べる環境で】
【そして、勇気を与える環境で】

「おねえちゃ、しんじ、る、おいちゃ、も、おにいちゃ、も」

【ぎゅっと抱擁に近い、安心と信頼を乗せて】

【ーーそして】

「そうですか、なるほど……解りました」
「よく解りました、よ」

【再現される姿、紛れもなく、生きた手紙とされた絹張の姿で】
【イスラフィールの能力が、明らかになり】


「アーディンさん、逃げて下さい!」


【電話口ながら、真剣な声で杉原はそう言って】
【やがて、イスラフィールにも聞こえるのだろうか?こう告げた】

「何故、一介の水国議員である筈のイスラフィール氏が、その日の内に海軍内で内々に処理された絹張軍曹の事をご存知何ですか?」
「本当は何処から情報を得ていたんですか?イスラフィール氏の話は大きな矛盾があります」
781 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/14(木) 21:20:02.07 ID:QzZIM34Co
>>779

【差し出された右手をシャリーアは躊躇いなく握り返す】
【この風習はどうやら世界共通──それどころか異世界でも共通だったようだ】


話、か。困ったな。そんなにこれ以上の話があるわけでもないんだ
はっきりと言えるのは、魔界が攻められていることぐらいだからね……
なんとかやつらを魔界から追い出すことができればいいんだけど…………


【シャリーアとしても正確な状況を今日知ったばかりだった。その状態では打開する方法も思いつかない】
【目標は口にできても、それを実行する具体案を口にすることはできなかった】


いや、いいんだ。クーデリアが謝るようなことじゃないさ。多分ね
そのジンジャーって人と、何とか会えないかな
会えたなら、色々と協力してくれそうなんだけど……


【そう言ってクーデリアの様子を伺う】
782 :クーデリア  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/14(木) 21:46:22.56 ID:NTMa3nW8o
>>781

【ふむ、ふむ、と腕を組んで話を聞き終わるクーデリアは納得したように】


なるほど、オヌシが欲しいのは我らの世界と魔界が適切な距離感で過ごせるように
侵略を行う不届き者を成敗するために必要な人材という訳だの?いいだろう
余の国の者達を余の独断で動かすのは難しいが、何か機会が合ったら援軍をよこせればいいのだ……

となると、今オヌシにしてやれるのは、これくらいだろうか
ジンジャーの連絡先も用意しておくが、あやつ『虚神』の事件を解決させた直後からずっと姿をくらましていてな
一か月前に我が国に来たお供のジャンクちゃんにも休暇を与えて別行動させてるとか知らされたし……奴らだけでは足りんな


【そう言いながらクーデリアは、鷲の羽ペンとインク、羊皮紙を取り出すと、まずジンジャーの『財団W』に繋がる番号を書き始める】
【続いて書き綴るのは……『ジャンクちゃん』『剛田 剛太郎』『ドラ(クソ野郎、最低の不届き者、極力関わるな)』『涼宮 善太郎』と書いた後にそれぞれの連絡先を記すだろう】
【最後に四角い封筒にそれを収めると、蝋を取り出しパチン、と指を鳴らすと少し溶けた蝋で封をするだろう―――冷めるまで待て、と合図すると】


ジンジャーか、あるいはこの者たちの中の誰かに接触できれば自ずとジンジャーにも届くとは思う
少し冷めるまで待つのだ……で、これを持ち帰ってオヌシが接触するとよい。余にできるのはこれくらいだの……後は

「―――見つけた!!」


【声が響いた瞬間、ぎょっ!とした顔でクーデリアは声の主の方を向くだろう】

【声の主は白いブラウスの上に赤いネクタイをのぞかせた黒いスーツに身を包み、腰に銃のホルスターが付いたベルトを付けた男だった】
【少々白髪混じりの黒髪を長く伸ばしており、左目がサングラスで右目が透明なレンズの眼鏡を付けた口髭の男性】
【見た目の印象は30ほど、あるいはそれより上だろうか?老けた見た目の割に若い声の男はクーデリアに駆け寄るとハーハー息を切らし、呆れたように言うだろう】


「まったく貴女という人は……!!探しましたよ!やはりここにいらっしゃったのですね!
私の目を撒いてまでくる以上絶対ここだと思ってましたよ!……おや、失礼、お話し中でございましたか?」

う、ウヌ……すまなかったのう"主任"よ
シャリーア、こやつが余と共にお忍びでこの国に共をさせていた"警備主任"である
気弱そうな割に口うるさいがいい奴だぞ、オヌシが聞かせた話、この者とも相談してみようと思うのだ

「………?なんの、話でしょうか……?」


【話題についてきてなかった"主任"は訳が分からぬまま首をかしげてクーデリアとシャリーアの顔をきょろきょろと見比べていた】
【クーデリアの方はいつも通りと言わんばかりに"主任"を振り回したまま平然とした様子でシャリーアを見ると】
【任せておくとよい、と口パクでシャリーアに伝えてくるだろう】
783 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/14(木) 21:51:23.57 ID:QzZIM34Co
>>782

【「ありがとう」と礼を言って封筒を受け取る】


ありがとう、頑張って探してはみるよ
後はそもそも、この情報を魔界に持ち帰らないとね
向こうじゃ人間が攻めてきたってことで、むしろ逆に征服した方がって意見が……ん?


【何か重要なことをシャリーアが言いそうになったところで会話に割って入られてしまった】


あ、あー、どうもはじめまして
じゃあ、えっと、どうぞ


【結構な勢いのあった“主任”にシャリーアは少し気圧されたような様子で挨拶を返し】
【任せろというクーデリアにひとまず話を促すことにした】
784 :クーデリア ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/14(木) 22:13:53.88 ID:NTMa3nW8o
>>783

【最悪の場合侵攻してくるかもしれない、そう聞かされたクーデリアはあわわ、と少しうろたえながら】


なっ、それはいかん!それはいかんな!
必ず人間の総意ではないという事を伝えよ!余の方も必ず国の者達にオヌシからもらった言葉を伝えると誓おう!
"主任"よ、こうしてはおられぬ、一度国に帰るぞ!『魔界』の方もこちらの世界の人間の蛮行に迷惑しているとな!詳しくは移動しながら話す!

「りょ、了解いたしました!すぐにご用意いたします」


【そもそもここに行けと言ったのは貴女なのに……とばかりにしぶしぶ付き従う"主任"に対してクーデリアは】
【最後にシャリーアに向かい合い、彼女の手を取り力強く握りしめるだろう】
【まっすぐ彼女の目を見て、どこか安心感すら感じるほどに力強い言葉で彼女を元気付ける】


お互い、自分の暮らす世界を良いモノにできるといいの
シャリーアの世界も問題が解決すればきっと平和になる!余も余にできる事を成してオヌシの力になれるようがんばるからな!
余の推薦した者達は余やこの"主任"が認めた戦士たちである。特にジャンクちゃんなどは頼りになるのではないかのう?

そういう訳なので余はこのまま我が"金の国"に帰る!オヌシも気を付けて戻るのだぞ!それでは……達者でな!!

「あ、あの……張り切ってるのはわかりましたからあまり余、余、と自称するのはお控えになってほしいのですが……!」


【おろおろしている"主任"を付き従えながら、最後に預けた"聖遺物"を返してもらった後に】
【クーデリアと"主任"は広場を去っていく事であろう、姿が見えなくなるまでシャリーアにぶんぶんと手を振り続けながら】
785 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/14(木) 22:20:04.53 ID:QzZIM34Co
>>784

【手を取られて一瞬呆気に取られるが、すぐに意図を理解して小さな微笑みを向ける】


……うん。お互いに、やれることをやろう
また会えることを願ってるよ、クーデリア
今度はできたら、“君の”国に遊びに行きたいね


【そうはっきりと答え、彼女は二人の姿を見送った】
【一人に残った少女は「ふぅ」と小さくない溜息をつく。色々と分かったがやらねばならないことがある】


まずは魔界に戻って陛下にご報告をしないとな……
強硬派がいきり立っていたし、間に合えばいいんだけど


【懸念を胸に抱いて少女は大急ぎで広場を後にした】

//ではこのあたりで。ありがとうございました!
786 :クーデリア・ゴルディック  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/14(木) 23:12:41.77 ID:NTMa3nW8o
>>785

【水の国を、黒塗りの長い自動車が飛び出していく】
【ドアには装甲板を内蔵し防弾仕様になっており、ガラスも防弾シールド仕様、それも黒いスモークにより中が見え辛い状態になっている】
【『VIP専用』の自動車を、"主任"が運転し、目的地である母国―――金の国へと帰路についていた】


「それはそれは……とんでもないお話を聞かされてしまいましたね
まさか貴女様直々にそのような情報を拾って来てしまうとは……これどうやって世間に広めましょう」

うーむ、表向きはオヌシが聞いたという事にしてくれるかのう"主任"よ、当然だが余がここに来ていた事を
あまり公にしてはならぬし……マーリンめに知られたら絶対いい顔されぬからのう

「そりゃそうでしょう……貴女は金の国の現"王位継承者"なのですよ?自国を歩き回るだけでも大騒ぎです」

他にいくらでも適任おると思うのだがのう……決して継承権は高くなかっただろう余は
まあ、この地位が回って来たのは驚いたが……だからこそ余にできる事を余が務めているうちに行っておきたいと思って行動しておったのだが

「いいえ。権利はあっても―――適任な人物はそう多くなかったのですよ
キルベルク・シルバーソードのクーデターを受けた先々代などは、まあ誰も声色高くは口にしなかったもののまぎれもなく愚鈍で無能な王だったとは言われております
少なくとも、貴女はその先々代よりはずっとマシだからここまで務まっていますよ、ちとお転婆すぎるとは思いますが。あまり私めを振り回さないでくださいませ……」


【ふーむ、と後ろの席に腰掛けながら両手で頬杖を突いて退屈そうに"主任"の顔が映るミラーなどをながめたりしながら】
【クーデリアは手元のオレンジジュースなどを飲み外の景色を眺める。先ほど車窓から見えた苦しむ人々の顔を思い出していた】
【そして、先ほどのシャリーアの話を思い出す。国どころか世界を超えてまで国の平和を保つのにこんなに苦労している者達と相まみえることになるとは思ってもみなかった】

【不安もある、だがやらなければならないことも理解している。二つの気持ちを胸にクーデリアは"主任"に向けて呟く】


……"主任"よ、余は……余に己の国の平和を保ち続ける事はできると思うか?

「"そうしたい"と思っている者達は貴女だけではありませんからね
味方は多くいます。そして、そういった者達を率いる地位を持っているのが貴女です。
だから……あまり気負わないでくださいませ―――クーデリア・ゴルディック『女王陛下』


【……キルベルク・シルバーソード、ルーミア・ゴールドウィン……かつて二度に及ぶクーデターの末に近年に二度も空席となった『王座』】
【幾度も揺らいだこの国の暗黒期、そんな時期の王にはだれもなりたがらず点々と王座が流れてきた事態がかつて起きていた】
【そこに5年前……王位継承権の極めて低かった、当時齢14歳の第十王女にまでその話が流れてきたとき、我こそはと勇猛果敢に名乗りを上げ就任した女王がいた】

【それが彼女―――クーデリア・ゴルディック】
【現在19歳……任期五年目の未だやんちゃさが拭えない破天荒な気質の若き女王である】
【←To be continued…】

/はい、2日間ありがとうございましたー!!
787 :File:ZERO(2.0) : HAL [saga !蒼_res]:2019/02/14(木) 23:55:51.62 ID:w6fYPKjVo

  
 『 “ウィルス”と“クラッカー”のいない世界を―― 』

 【月刊IT情報誌[iTech New World]X月号より】


【――――――――――】


 :――本当にそうしたことが可能なんでしょうか?

「――はい。原理上は決して不可能ではありません。
 ディフェンスが先手を打ってはいけない、というルールはありませんからね ――」


【インタビュー記事:】
【Heathen,EO ハル・アシュクロフト 】

【『星の国』の“新星”、】
【自宅ガレージから始めたITベンチャーをX年でメガコーポへ】
【愛国の理念に燃える若きIT実業家の素顔とストラテジーに迫る――】


「――テクノロジーの発展によって、皮肉なことに、
 僕たちはますます『論理を超えた世界』に向かうと思います」


 :――『論理を超えた世界』ですか?


「はい。
 国家から個人まで、誰もが『完全な情報セキュリティ』によって
 『本当の安心』を手に入れることで、僕たちは初めてインタラクティブな関係になれる。
 今までの社会や歴史で常識とされてきた利害関係から解き放たれて、
 本当の人間らしい、『新しい文明』を始めることができると思っています」


 :――『新世界 2.0』ということですね。


「あははは(笑)
 良い表現ですね、使わせてもらいます」


【無垢な少年然とすらした、屈託の無い笑顔】
【柔らかみのある豊かな黒髪に、やや線の細い輪郭】
【純真な中にも精悍さのある眼差しを、その紙面は捉えている】


 :――今後は国際市場での展開も視野に入れていると。


「そうです。
 世界の誰もが安心して“未来”を向けるように――」


「だから僕たちのソリューションとは、つまり、
 “人と人との本当のつながり” なんです ―――― 」


/↓
788 :File:ZERO(2.0) : HAL [saga !nasu_res]:2019/02/14(木) 23:57:01.70 ID:w6fYPKjVo

【――――――――――】


【調査報告書】

【20XQ年:Heathen設立】

【20XX年:α社 株式買収 経営権取得】
【20XY年:β社 株式買収 経営権取得】

【20XZ年:γ社 株式買収 経営権取得】

【・   】
【・  】
【・ 】


【――――――――――】


/▼
789 :File:ZERO(2.0) : HAL [saga !nasu_res]:2019/02/15(金) 00:01:56.95 ID:wPlI7scoo

【 ぎい……、 】


【 ばたん 】


【扉を閉めれば】
【全てのノイズは隔絶される】

【無縁の墓碑のごとく郊外の外れに佇む古びた一軒家は】
【帰館した主を迎え入れてなお、如何なる光も灯さない】

【ハル・アシュクロフトは暫時その場に佇立する】

【電気は点けない】

【点けないことが習慣】

【暗闇が日常】

【深い暗黒と虚無を】
【その五感に染み込ませ】
【体感覚の一切が静謐と同化した頃、】

【ハル・アシュクロフトは脱皮を始める】

【ジャケットのボタンに手を掛け】
【ベルトのバックルを外し、ジッパーを下げ】
【外界の低俗なノイズが染みついた外皮を剥ぐ】

【一枚、一枚、儀式めいた所作で】
【靴、装身具、下着に至るまで】
【一切をその痩身から引き剥がす】

【やがて、】
【衣擦れの音が途絶えた頃】

「――――――――――…………」

【低く湿った吐息が、虚空に染み出す】

【一ルクスの光量も無い屋内】
【冷たい素足が、ひた、ひた、と躊躇無く歩む】

【数歩を踏めば、廊下の床板の一部が自動的にスライドし】
【秘匿された地下への入り口、一層深い闇を湛えた口を開いた】

【さながら母胎へ回帰するように】
【剥き出しの痩躯は音も無く、地の底へ下っていく】

【ひっそりと、人一人を深奥へ飲み込めば】
【やがて床板は自ずから元の定位置へ戻り】
【初めから何も存在していなかったように、その家は再び長い留守を演じる】



【 ―― ぴちゃり 】

【蛇口から一滴、雫が滴る】


/つづきはこちらに↓
/〈黒幕〉『ハル・アシュクロフト』
/ttps://www.evernote.com/l/AknMPZb1DA1EwoFlzpipjTZfbk7JIeoR94U
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/02/15(金) 18:16:42.60 ID:Xs9wtqO2O
……ハァイ、ざんねーん。今回の賭けもウルちゃんの勝ちだねぇー
君たち勝つ気あるぅ?なんなら、もっと、マジになれるようなの……ヤってみる?

【路地裏。ひんやりとした空気を、排気ダクトの生臭い温風がかき混ぜる場所】
【その場に一層強く、甘い香りが漂っていた。糖蜜の匂い、それも相当に濃密な】

【そこに居たのはゴロツキ数人と、それから明らかにこの場を「支配」している少女一名】
【ボブカットの銀髪、赤い瞳、膝まである着丈の長いスカジャンに】
【ハイカットのスニーカーに視線が届くまでの、ほっそりした生足が露出していた】

【顔色、足。見える肌はいずれも白粉でも塗りたくったように真っ白だったが】
【楽しそうに動く瞳を見れば、死人ではないが異質なものとすぐに分かり】

……で、どうするの?次は『蜂蜜一気飲み』?
それとも『スピリタスボンボンの大食い勝負』?
もうちょっと「負け目」のあるのがいいんだけどさぁ……ねえ?

「んなこと、言ってもよお……お前の体質だかなんだか……いくらなんでもデタラメだぜ」

『さっきあんだけ食って飲んで、吐き気ひとつしねえってのは、なあ……』

「勝ったら1億、なんて言われてもな……どうするよ、おい?」


……ちぇー、しけてんなぁお前ら。
このウルちゃんがノーリスク同然の賭けするなんて珍しいんだよ?
せめてあとひと勝負……ぁ〜、そうだ。ねぇ、そこの人に決めてもらおうか?


【『ウルちゃん』なる少女はニヤリと笑う。その視線の先は、幸か不幸か】
【今まさに路地裏を通りかかった貴方へ向いて。『ちょっとこっちおいでよー』と、呑気に声がかかるのだった】

/8時くらいまで見てまーす
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2019/02/15(金) 19:27:07.47 ID:wPlI7scoo
>>790


  はい?


【一人の『コック』が振り向いた】
【大きな丸眼鏡の奥、真円の無機な瞳を瞬いて】

【若い女の体格には少々重荷な、】
【大きな黒いゴミ袋を両手で提げたまま】
【あれは何ぞと、微笑みとも真顔とも付かぬ面をじっと向けた】


【そのまましばし直立不動だったが】
【「こっちへおいで」と誘われると】


【両手に提げたゴミ袋へ一度視線を落とし、】

【路地奥のゴミ捨て場の方向へ顔を向けて、】

【それから少女たちのいる場を向いて、】

【再び、ゴミ捨て場の方を見て】


  はあい。


【それで結局、】
【ゴミ袋を引きずりながら、少女達の方へ歩んだ】


【破けた袋から生臭い内容物の軌跡を地面に曳きながら】
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/02/15(金) 19:47:36.80 ID:Xs9wtqO2O
「なっ……おい、ちょっ……、……なあ……!」
『……あぁ、そうだな。悪いが、俺たちは下りるぜ。
……下りるの禁止、なんてルールなかったよな?』

【声をかけた相手に対する嗅覚がこの場で最も優れていたのは、彼らだろう】
【物的証拠なんてない。ただ、直感が『こいつは危ない奴だ』とでも叫んだのか】
【路地裏を根城にする鼠らしく、その無機の瞳を見てすぐさま尻尾を巻き始める】

……ありがとー、コックさん。あのさー、今ウルちゃん達は『賭け』してんだよねえ

ウルちゃんが勝ったらもっかい賭けに付き合うのね。
んでウルちゃんが負けたら一億あげるよって『賭け』。
ただし、勝負の内容はアタシが決めるってのがルール……あ、イカサマなしね?

でさー、次の勝負なんにしようかってお話なんだけどねー。
こいつら「賭けを下りる」とかいうもんだから、どーしよっかなーって。決まんなくてさー。

【剣呑に、少女はコックへと語る。次の賭け事の内容を何か決めてもらえないか、と】
【条件は甘いものに関すること。お菓子の一気食い、ケーキの食べ比べ、などなど】
【明日のように座るアタッシュケースを踵で蹴りながら、「どおー?」と問いかける】

それとも、おねーさんがアタシと賭ける?
一億いらないってんなら、別なの賭けてもいーよ。
ただし命に関わるのはダメ〜、遊べなくなっちゃうしさー

【ね、どう?この角砂糖を投げて、砕けるか砕けないかでもいいよ】
【そう話しながら、気付けば少女の白い指先には角砂糖が一つ掴まれていた】

【もはや男達は逃げ出すこともできず、かといって文句を言えるほどの力が無いという自覚もあるらしく】
【怖いものを見るような、なんとも言えない四つの瞳で『コック』へと視線を向けた】
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/02/15(金) 19:54:38.51 ID:Xs9wtqO2O
>>792
/途中の「明日のように座る〜」は「椅子のように」のタイプミスでーす
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2019/02/15(金) 20:06:28.74 ID:wPlI7scoo
>>792


 あー。


【『賭け』】
【少女の話を聞いて、事情を掴んだのかそうでないのか】
【どちらとも付かぬ生返事がひとつ、宙にぷかりと浮かんで】

【「どう――?」】

【そう訊かれて、】
【それでようやく女はひとつ瞬きをした】


 あ〜、

 『理解』しました。

 〈白〉か〈黒〉か、ってお話ですね。


【唇の端を数ミリ上に吊って、緩やかな弧】
【零れ出す言葉は曖昧だったが、合点は言ったらしくひとつ頷き】

 いいですよ。
 あなたの『ルール』で、わたしがサイコロを振ればいいんですね。

【女の態度は、受容。了承】
【少女・ウルの決めた勝負内容で賭けに乗る、と】
【】

 『甘いもの』ですかあ。

 じゃあ――

【言いながら、女の視線が指先の角砂糖に移る】


 それ、
 “高く”積んだ方の勝ちにしましょう。


【「いいですか?」】
【女の直線の眼差しが少女の赤い双眸を刺して】
【ひた、と。ひとつ、緩慢に睫毛を伏せ、それから起こした】

【勝負内容は提案した】
【しかし、賭ける対象についての言葉は無く】



 あ。

【今頃袋の破れに気付いて、視線を落とした】
【それから何ゆえか眼が男達へ映って】
【(なにするんですか)と無言の圧】
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/02/15(金) 20:26:32.50 ID:Xs9wtqO2O
>>794
そーそー、おねーさん話早いねえ。
『勝つ』か『負ける』かってだけのコト。んじゃやろうか、ハイこれ。

【「ウルちゃん」を名乗る少女は、女の態度が大層気に入ったらしく】
【にぃ、と笑うと真っ白な歯が覗いて。立ち上がり、椅子がわりのケースを路面に横向きで置くと】
【しっかりと水平を取り、掌からバラバラと多量の角砂糖をばら撒いて、準備完了】

【そしてそれまでの間で、男達は実にあっさりと逃げ出していた】
【付き合いきれないと感じたのだろう。ここに居ていいことはない、と】
【視線以上のものを向けられる前に、二人は足早にその姿を辻へと消した】

……勝ち負けってさー、失うもののスリルがあってこそだと思うんだよねー。
おねーさん、どう?割と『なんも失うものはない』てクチ?
それとも意外と大事なモノ、持ってたりしてね。

じゃっ、やろうか。角砂糖は一辺一センチ、素材は均一、…まあたまに欠けてるかな。
順番に積んでいって、先に崩した方が負けって事でいいよね?

【先手は貰う。といっても、平らなアタッシュケースのど真ん中に角砂糖を一つ置くだけ】

……負けたらさ。勝った方の言う事一個聞くのってどう?
そのゴミ、代わりに捨てるとかでもいいよ。もうホント、なんでもさー。

【しゃがみこみ、勝負に集中するように砂糖の山を眺めつつ】
【赤い瞳は時折キョロキョロと、楽しそうに女の方を向いていた】

【次は、貴方の番だ】
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2019/02/15(金) 20:50:10.28 ID:wPlI7scoo
>>795


 いいですよお。
 何でも言うこと聞きます。

 約束ですからね。


【紙面に書かれた字面をなぞるような声で】
【言いながら、女はウルの前に相対し】

【破れたゴミ袋はその場に放ったまま】


 わたしたちは
 初めから終わりまで
 何も持ってないですから。
 

【ふと、隙間に差し込むような声】

【女は手で角砂糖をつまみ上げた】
【それも一つではない。三つ】

【相手と同じ数を積んでいったのではやはり『スリル』に欠ける、とでも示すように】


【まず一つ、ケースの上に置いて】

【もうひとつを、その上に積み】

【そしてもうひとつ】
【三つめの角砂糖を、乗せた】

【ただし、】
【三つめだけがそれまでと積み方を異なり】


【『面』に対して、『点』で接していた】


【正方形の直角部分を下に】
【横から見れば菱形を描くように】

【通常であればそうした乗せ方など、そもそも常人では成立しないはずだが】
【しかし物理法則上において完全に不可能とは言い切れない】

【両端のバランスと重心さえ条件に合致すれば、理論上は成立する】

【その、まさしく机上の空論に過ぎない現象を】
【女は如何なる異能を使った形跡さえなく、平然と行った】







 約束、
 してくださいね。

 言うこと聞くの。


【風は吹かない】
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/15(金) 21:02:08.59 ID:JAzyCHdBO
>>796
【ひとつ、ふたつ、そしてみっつ。積み上がる角砂糖を視線が追う】
【3つ目。よほど極まった手先の感覚か、砂糖を積むという天性の才能か、あるいは能力か】
【いずれかを持たねば成し得ないようなその積み方は、少女を強く刺激した】



      いいよ。ウルちゃん嘘吐かないから。



【自分の番。2つ目、3つ目、4つ目、5つ目。其処まできれいに積み上げていく】
【高さは未だにわずか5センチ。其処から更に5個を積み重ねれば】

【角砂糖の合計は10個。表通りを走るトラックの揺らぎが、俄に苦しくなってくる】
【しかしオベリスクのように一分のズレもなく積まれた角砂糖の小塔は未だ倒れず】
【慎重に10個目を積んだところで、少女は乗り出すようにしていた上半身を引いた】

【相手の数は3つ。それもその頂点に立つ角砂糖の接地面積は極めて少なく】
【そしてそのバランスは奇跡的。しかして、奇跡は二度続くものだろうか】

【少女は楽しそうに見つめていた。ズルも仕込みもイカサマもせず】
【お好きにどうぞ。そういうように、実に興味深そうに微笑んで、女を見つめていた】
798 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/15(金) 21:19:33.74 ID:17IUs+e80
【治安のよろしくない通り。夜に賑わう露店の並ぶ道】
【ビニールのカーテンで囲われた、串刺し肉と酒を振る舞う屋台。やつはそこにいた】
【裸足で丸椅子の上に胡坐をかいている。だけどそれを下品だと咎める人種は、ここにはいないから】

ぷあーーーーーーーーっ、オシゴトの後のおサケとおニクはおいしいナアーーーーっ!!

【黒髪ボブ、だけどもみあげだけが銀色でやたら長いのが印象的な、うるさい女だった】
【まん丸い目のすみれ色はすでに軽く酩酊の色合いに融けていた。ぱっかり半月の形に開いた口】
【はしっこから覗く八重歯が、彼女を未成年に見せていたけど――やっぱりそれを咎めるような人も】
【ここには、いないから。ぶつっと切られた大きな肉と厚い輪切りのタマネギを焼いて、タレをかけたやつ】
【それを大きなお口で頬張りながら、ジョッキを傾けていた。黄金色のハイボール。レモンは既に絞られて】

ねーッねーッアナタもそう思うでしょお!? 思わない!? やだもおーっ!!
何しにココ来たのおーっ!? 無職うーっ!!? よくないぜえーっそんなのおーっ
ちゃんとシャカイのハグルマを回しなあーっ!? このギンちゃんですら回してンだからよおーっ!!!

【――――そうして、隣に座っているのだろう「あなた」にダル絡みを始めるのだ】
【品のない屋台だ。酔っ払いに絡まれることもまああるだろう――とは思うかもしれないが】
【さすがにここまでうるさいのはそうそう居ないとも思うだろうか。もしあなたがうんざりして、振り払うなら】

えっだってヒトリで飲んでんのサビシーじゃん。遊んで遊んで、ギンちゃんと遊んでよおーっ
…………あっ、ギンコ! あたしギンコって言うの、だからギンちゃんねえ! アナタのお名前はあ!?

【などという勝手な動機で、勝手に名乗って勝手に名を訊き始める始末なのだ、こいつは】
【よほどのハズレ店でハズレ席に座ってしまったと思うだろうか。少なくとも、店主はそう思っているようだった】
【とんだハズレ客を引いてしまったなあ――みたいな顔して。でも追い出さないし、あなたも助けない。そういう場所だから】
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2019/02/15(金) 21:25:00.31 ID:wPlI7scoo
>>797


 嘘をつかない人は、“ともだち”です。


【白の立方体が積まれていく様を】
【同じく白い衣をした女は端然と瞳に映した】

【構築される小塔】
【ウルの手が角砂糖から離れるのに重ね】
【女もその双眸を緩慢にひとつ、瞬いた】

【女もまた角砂糖をつまみ上げる】
【片手の指の間にそれぞれ二つずつ、計八個】

【器用にそれらを挟み込んだまま】
【何かのまじないを施すかのように、】
【自身の積んだ角砂糖の上へゆっくりと翳し】

【が、そこで】

【もう一台、トラックのエンジン音】
【遠方より、微細な重低の震動が次第に近寄り】

【ケースの端が、僅かに震えようか、】
【という刹那――】




【       】




【瞬間、】
【無音が訪れた】

【それまでの騒擾が、夢幻であったかのごとく】
【大気を蠢いていた騒音の一切が霧消した】


【もし、視界の隅に視線を遣ったならば】

【鴉が宙に浮いている】
【両翼を広げた羽ばたきの姿で】

【あるいはまた、大通りの方では】

【人間が完全に静止している】
【片足を前へ浮かせた、歩行途中で】
【携帯端末を耳に当て、何かを言いかけたまま】



【そして女は賽を積む】

【ひとつ、ふたつ、みっつ――】
【積み上げること、八。そのどれもが、『点』での接地という狂気】
【積んだ数では劣るが、しかし“高さ”ではウルと同等を維持していた】

【最初の時点で既に常軌を逸していたが、ここまで来ると流石に限界も近いのか】

【女の最後の角砂糖から指を放す動作は極めて緩慢で、ついに言葉さえ無くなった】
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2019/02/15(金) 21:26:57.88 ID:wPlI7scoo
/あ、持った数と積んだ数一緒になっちゃいましたね。
/積んだ数が八でお願いします。(計算上高さが同じになるのかはわからないです、さんすうにがてなので)
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2019/02/15(金) 21:28:15.17 ID:wPlI7scoo
/ああ、積んだ『合計』が八ってことです、本当にさんすうできない
802 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/15(金) 21:41:21.50 ID:6IUddV7go
>>798


…………うるっせえなーこの女はよぉおおおおお!!
絡むにしたって限度ってもんがあるだろぉがどんだけ絡んでんだよっ!!


【絡まれている隣の男は堪忍袋の尾が切れたとばかりに絶叫。あまりのうざさに涙目にさえなっていた】
【そんなことを言ったところで誰も助けてはくれない。店主だってそうだろう。言うだけ無駄だ】


無職じゃねーってさっきっから言ってんだろ何度言わせんだよお前は!!
俺の格好が見えねえのかこのとんちき! どう見たって軍人だろ!!
…………あ、いや、嘘だわ。軍人じゃねえ自警団だ。とにかく無職じゃねえ!!


【男も顔が赤い程度には酔っていたが、残念なことにツッコミ役に回っていた】
【男の格好は薄汚れた軍服姿。確かに見た目としては軍人に見えるが、当人が言ったとおり自警団所属だった】
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/02/15(金) 21:44:10.55 ID:JAzyCHdBO
>>799
【『その』瞬間、動いていたのは自分と眼の前の女だけだった】
【そして自分はただ瞳を、そして彼女はただ手先を動かして、角砂糖を積んだ】

【高さは同じ。しかしながらその積み重ね方は、まさしく砂上の楼閣に似る】
【この一時のために全世界中の奇跡をかき集めたような】
【そんな、歪でありながらも完璧な8つの角砂糖は静止を保ち】

【対抗するように少女も角砂糖を一つ掴んだ。そしてそれを、相手と同じように】
【面ではなく点での接地を持って、一段だけ高く。11個目を積み上げようとした】

【そして、それは100億人居れば99億と9999万と9990人は予想するだろう結果のままに――失敗した】


……はい、ウルちゃんの負けー。
おねーさんやるねえ、それ何?手品?魔術?それとも能力?
“ともだち”のよしみでさあ、聞かせてよ。


【一つが崩れ落ちれば、所詮砂糖の塊。がらがらと小さな音を立ててアタッシュケースが粉粒に塗れ】
【嗚呼残念。はぁ、とため息をつきながらも地面に膝をついて】
【眼の前に建立された白糖の楼閣をしげしげと眺めつつ】


それとも、"約束"のが先?


【ぎょろり、と女に目を向けて。しかし楽しそうに口角は吊り上がったまま、尋ねかけた】
804 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/15(金) 21:53:20.38 ID:17IUs+e80
>>802

ハイ駄目ーーーーーーっ!!! 答えてないからダメでーーーーーーーす!!!
なまえちゃんと教えてってばあ、教えて、教えて、教えて教えて教えてえーっ!!!

【ついにはギャハギャハ笑いながら、男の肩を引っ掴んでめちゃくちゃに揺らすのだろう】
【そんなことしたらアルコールがよく回るぜ。哀れむような店主の視線もどこか遠く】
【女のキンキンした声がやたらめったら響き渡っていた。うるさい。あまりにうるさくて】

ジケーダンならもっときちんとしたお店で飲みなよおお、ギンちゃんと違ってさあーっ、
アンテーしたシューニューがあるんでしょおーっ!? もっとこうさあーっ表通りのさあーっ
お刺身とかからあげとか出してくれるよーなトコ行けばいいでしょおーっ!?
なんだってこんなクサい露店なんかに来てんのさあーーーーーっ!!!

【そのままの勢いでがたんと仰け反ってジョッキをあおる。喉を炭酸でバチバチ言わせたあとに】
【数舜我に返ってから――またでかい口を開けて笑い始めるのだろう。唇の端っこ、尖った八重歯】
【次の瞬間には思い出したようにそれで肉を削るみたいにかぶりついている。何をしていても忙しないヤツだった】

ええーっ本当おー? これホンモノの制服うー?
オークションかフリマで買ったコスプレ衣装じゃなくってえー? うっそおー!!

【終いに、というかおまけみたいに、男の格好をディスり始めたりもするのだから】
【そろそろジョッキを取り上げたってよかった。したらまたしばらくは暴れるだろうが】
805 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/15(金) 22:02:27.59 ID:6IUddV7go
>>804


うるせえ誰がお前みたいなやかましい女に名前をやめろ離せ目が回るだろっ!!
おい親父お前見てねえでちょっとは助けろ俺は客だぞコラァ!!


【引っ掴まれてがたがた揺らされる。文句は店主にも飛ぶ。クレーマーみたいな言い方だったが】


ぜぇ……ぜぇ……
てめーみてえな女がいるって分かってたらそりゃあ来てねえぜ全く……
俺ぁ美味いもんを出すまともな店は嫌いなんだよ! こういうクソ野郎が集まりそうなところが好きでね!


【息切れしたように肩で息をして、自棄っぱちになりながら一応返事をする】
【こちらも負けじと(?)ジョッキを煽る。だん!と豪快な音を立ててジョッキを机に叩きつけ】
【出てくるのは笑いではなく溜息だった。なんだってこんなことになってんだよ、おい】


何でコスプレなんかしなきゃなんねえんだよ、俺ぁアホか!
昔は軍属だったからその名残りで着てるってだけだ、本物だよ、本物!
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2019/02/15(金) 22:03:23.21 ID:wPlI7scoo
>>803
/レスが消滅しました、ちょっぱやで書き直すのでしばしお待ちををを!
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/15(金) 22:08:00.17 ID:pDjIJuHsO
>>806
/ゆっくりしておりますのでえ、急がなくて大丈夫ですよー
808 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/15(金) 22:16:29.61 ID:17IUs+e80
>>805

【「そのうち潰れンでしょ」 ――店主は思いのほか事なかれ主義であるらしい】
【目を逸らして新聞を読みながらラジオの音声を聞いていた。一面に踊るテロの文字】
【あるいは国の名前、水だの櫻だの。そういうのから隔絶されたみたいに、女の笑い声はよく響いていた】

教えてくれるまで離さなあーい!!! あっは、あっははは、
…………なんか疲れてきたな。おじさん重くない? 中年太り?
こんなトコで安酒飲んでッから太るんだよ、ちゃんとダイエットしなよお……

【それから数回、がくがく揺らしてから――ようやく疲れたらしい。静かに手を放して】
【タマネギを外側から一枚ずつ剥がしていくように食べていた。行儀が悪い】
【椅子に座り直したらふうんと鼻を鳴らして、気が付いていたら空になっていたジョッキを段の上に】

クソヤローが集まる店が好きなのにギンちゃんみたいなクソアマは好きじゃないのお?
まあいっけどお。ふーん。昔は軍属……なんだったら今は現役じゃないってことじゃん!
現役でもないのにそーいうの着てんの、やっぱコスプレじゃんねえ、あっははは!

【そうして澱みない声色で「もう一杯、おんなじヤツね」 ――まだ飲むつもりでいるらしい】
【店主も止める気を起こしていないようだった。飲み放題なんてこまっしゃくれたプランなどないから】
【飲めば飲むほど彼の懐は温かくなるし、止める理由もないから。どん、とジョッキの置かれる音】

//ちょっとだけ離席するかもしないかもです、すみません!
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2019/02/15(金) 22:22:18.49 ID:wPlI7scoo
>>803


【がららら――……と】


【神域へ挑もうとした塔は無惨に崩れ】
【女の異質な塔も巻き添えを食って崩落した】


【と同時に、】

【誰かが止めていた息を吐き出したように】
【世界の流れが再び動き出し、雑踏の騒音が蘇った】

【鴉も飛んだ。黒い羽を一枚、その場に落として】


 ――あ〜

 惜しかったですねえ。


【全く惜しそうでない無機の声が言い】
【崩れた角砂糖の山を見つめてから、少女へ視線を移した】


 わたしはただ、普通に積んだだけですよ。
 ズルも嘘も無しって、あなたが言いましたから。


【ウルの瞳に瞳孔の中心を据えたまま、】
【表情を一ミリも変動させず、平然と言った】


【実際、意識的無意識的を問わず何らかの異能が働いていたのか】
【それとも、本当に天文学的領域のバランスをその手で成したのか】

【真実は分からない】
【少なくとも女の口からは】



 約束……


【尋ねられ、言葉を反芻する】
【初めは自分で念押しした言葉であったはずなのに】
【たった今しがた初めて耳にした響きであるかのように】







 あー

 じゃあ、こうしましょう、


【女は言った】


/▼
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2019/02/15(金) 22:24:22.62 ID:wPlI7scoo
>>809





 わたしと約束をしたこと、
 忘れないと、約束してください。





    【 ( ぷつっ ) 】





【そしてそれは失せた】
【初めから一切が夢幻であったかのように】


【白の甘い瓦礫だけを、跡地にして】


/てな感じで、短いですが私からはこれで!
/お付き合いありがとうございましたたた! 
811 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/15(金) 22:28:19.98 ID:6IUddV7go
>>808


完全に余計なお世話だからほっとけ!
だいたいな、こんなクソみてえな世の中で自警団なんてやってんだ
安酒でも呑んでねえとやってられねえっての……


【ジョッキの中身を飲み干して小皿の中のものを乱雑に口に放り込む】
【味わうとかいう概念を完全に無視した食い方だ。腹にアルコールと一緒に入ればそれでいい】
【焼き鳥を咀嚼しながら手で店主に同じものを出すように示す】


クソヤローが集まるところが好きだからってクソヤローが好きなわけじゃねえよ!
……まぁ、てめーみてえな頭空っぽの女は嫌いじゃねえが。それにしたって絡み方がうざすぎる!
格好もほっとけ! 自警団つってもうちの部隊はほぼ軍隊だからいいんだよ!


【何だかんだ言っているが席を立たないあたり、少なくとも逃げ出すほどうざがってはいないようだ】
【腰のベルトには回転式拳銃の入ったホルスターに、鎖と錠前の巻きついた分厚い魔導書】
【自警団といえば街のお巡りさん的なものだが、それにしてはえらく重武装ではあった】


//はいはーい
812 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/15(金) 22:53:22.47 ID:17IUs+e80
>>811

ええーっじゃあなんでクソヤローの集まるトコなんて好きなのお、
ぜってーこーやって絡まれっしょ? ぜってーこんなされんの初めてじゃないっしょ?
へんなおじさんだなあーっ、ふふふふふ…………

【相変わらず空気は寒々しい。のにはしゃぐから、むしろ暑いくらい、らしくて】
【冷えた酒を飲みほす喉は美味しそうに鳴っていた。そうして飲まれるならアルコールも本望だろう】
【ただ、こういう形で発散されるのは――幸せかどうかは知らないが。けらけら笑って】

ふーん。ジケーダンってそーいう組織なんだあ? よく知らなかったかもお。
だってほらさあー、ホンモノの軍の人とか、公安の人とかのが目立つじゃーん。
わりとどーいうことしてる人たちなのかって、知らないんだよなあーっ!

………………思ってたよりクラシックな装備してんのネ? えい。

【興味を引いたのは魔導書であるらしい。そういうの読んでる姿が上手く思い描けないらしく】
【「ナカに何書いてあんの? 実はエロ本だったりする?」 訊きながら、そうっと手を伸ばして】
【――鋭利に尖った爪先で錠前の鍵穴部分をつついてみようとしたりするのだろう。悪気ゼロの顔で】


//戻りました!鍋をつついてました
813 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/15(金) 23:06:41.90 ID:6IUddV7go
>>812


あぁ? まぁなぁ…………そりゃあ二度や三度じゃねえよ
けどよぉ、俺みてえなクソヤローは同じようなクソヤローに絡まれて
そんでうざがったり殴り合ったり殺し合ってるのがお似合いだろぉ?
うぜえけど、悪い気はしねえもんだぜこれがな……ケケケ


【喉を鳴らすようなどこか不快感ある笑い方。クズヤローと自称するあたり変な男に見えるかもしれない】
【追加したビールのジョッキを傾けて喉に流し込む。ここの酒なんてのは安くって酷い味だ】
【それを不思議とこの男は美味そうに飲んでいた。美味いと思っているわけでもないのに】


自警団つっても色々なんだよ。うちはうちでよそはよそ。他は知らねえな
まぁ正直いやぁ地味っつうか、殆ど働いてねえんだよなぁ
俺のいる部隊は元々『Scarlet』ってところから分岐してて…………って、おい
何してやがる。触ったって何にも出てこねえし、ロクなもん入ってねえぞ!


【鍵穴部分を突ついたところで勝手に開いたりはしない】
【しかし突つく前から錠前は独りでに動いていた。時折、魔導書に絡んだ鎖がこすれる音を立てる】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/15(金) 23:13:13.63 ID:pDjIJuHsO
>>809>>810
【テレビのチャンネルを切るように、それはくるりと虚無へ消える】
【しばらく、赤い瞳は宙を見つめていた】
【無機質な瞳孔が己を見つめていた、その眼球があった位置を】

いーいーよー。

……でもそれさあ、「行けたら行く」くらいの響きだよー?
貸し一つなんて、ニンゲンすぐに忘れちゃうからー。

まあ、ウルちゃんは約束守るけどねー。
それにしても忙しないなー、この辺りのコックさんは。

【砂糖の山をバラバラと路面に払い落とし、アタッシュケースを開く】
【その中にぎっしりと詰まっているのは
黄金色に輝くプレーンなミルフィーユ】
【そいつを一切れ掴み取ると、足元にボロボロと生地や糖衣を零しながら】
【甘ったるい『山吹色のお菓子』を味わい、そして半分ほどでゴミ箱に放り捨て】

……つぎ、どーしよっかなー。

【アタッシュケースと、それから女が置き去りにしたゴミ袋を気紛れに掴むと】
【片腕で、造作もなくゴミ箱へと投げ入れる。3連続スリーポイント、ナイッシュー】
【そんなくだらない独り言にけたけた笑いながら、白肌の少女は闇に消えた】

/ゆっくりしすぎ……いえ、ちょっと機動しておりまして遅れましたが、案外ちょうどよく……
/程よい時間で大変結構かと。ありがとーございました〜
815 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/15(金) 23:18:39.66 ID:17IUs+e80
>>813

ふーん。じゃあギンちゃんのことはどして殴らないの?
女の子だからあ? 意外と紳士的なんだネエ、ふふふ……

【安酒を美味しそうに飲むのはこいつも同じことだった。見た目からして安っぽそうな女だから】
【味覚もきっと上等なものではないのだろう。ジョッキを傾ける角度が、少しだけ緩くなった】
【安い女といえどそろそろきつくなってきたらしい。誤魔化すように、肉を齧って】

働いてないのお? やっぱ無職って言ってもカゴンじゃないじゃーん、んふふ。
すかーれっと……なんか聞いたことあるよーなないよーなだなあ、ふうん……

……あれえ? なんか勝手に動いてるよお、なにこれ……ネクロノなんちゃらとかそういう系!?
やだもおーっ触っちゃった! 呪われたりするう!? やだやだ、おっちゃん塩ちょうだい塩!

【――伸ばした指先が錠前に触れる直前。かちかち、という金属音を聞くなり怪訝そうな顔をして】
【それが独りでに動いているから鳴る音なのだと理解したら、途端に気味の悪そうな仕草をする】
【ぱっと指を放して店主に塩を求めて、当たり前のように無視されるから。わーわー喚いて手を振って】

碌なモン入ってないモノなんか持ち歩かないでよね、はーやだやだ!
ジケーダンって変な装備持ってる人ばっかなのカナ? おっそろし……

【触ってきたのはコイツなのに。いっちょ前な被害者面で、しかめっ面したり、ひどい】
816 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/15(金) 23:30:17.91 ID:6IUddV7go
>>815


そんなもんなぁ、殴って楽しい女と楽しくねえ女がいるんだよ
偉そうにしたりお高くとまってる女はぶん殴って泣かしてやるといい気分になれる
けどなぁ……てめえみてえに笑い上戸のやつ殴って泣かせたってなぁ……面白くねえだろ?


【紳士的と言われたことを信じたわけじゃなかったが。それでも男は上機嫌そうに】
【こいつなりの理由を話す。とても褒められた理由じゃなく、それどころか自警団失格な理由だ】
【悪びれずにそんな理由を語る程度にはこいつもクソヤローのようだった】


こんなもん持ってんのは俺ぐらいだっての
それにしたってお前びびりすぎだろぉ、ひひゃはははは!
これでうざ絡みの溜飲が下がったってやつだぜぇ、どうせなら中身も出してやろうか、ええ?


【下卑た笑い声をあげて魔導書をホルスターから取り出す】
【男が持ち上げただけで魔導書の鎖は余計にがちゃがちゃと騒々しい音を鳴らし始めていた】
【それこそ、肉食獣が檻の鉄格子を叩きつけるように。中に何かがいるかのように】


にしたってよぉ、さっきっから人のこと無職無職って言いやがって
そういうてめえはどういう仕事してんだよ〜? 俺に偉そうに言えるような仕事かぁ?
817 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/15(金) 23:40:14.84 ID:17IUs+e80
>>816

…………それさー、そーいうヒトがジケーダンやってていいワケ?
ジケーダンって、自分たちで、警護する、団体って書いて自警団でしょ?
ンなゴロツキみてーなこと言ってていいのかなあ……。怒られないの?

【さすがの女もそういうところには引っ掛かりを覚えたらしい。じと、と瞼を伏せて】
【訝しむような表情。そのままくぴくぴと、先程とは打って変わって可愛らしいペースで飲んでいく】
【どうやらこれで終わりにするらしい。肌の紅潮も、限界値まで達しているようだったし】

そりゃビビるでしょおー、呪われたソービだなんて持ってたくないもん!
いらないいらなーい、ロクなモン入ってないんでしょお!? ここで出したらおっちゃんが怒るよお!
ったくもおーっ、調子乗ったらヤなおじさんなんだからあ……

【ぶつくさ。自分のことは棚に上げまくって――じいっと本を見つめるだけ、見ていた】
【今更ながらに店主がどうこう言い始めたのは、男の言通りにビビっているからに他ならず】
【「やだねえもう。獲物なんて使いやすくてわかりやすいヤツに限るよお」 ――これはごく小さい独り言】

【――――やがてジョッキの中身がもう少しで尽きるかどうかといったタイミング。質問が飛んできて、】

ギンちゃん? ギンちゃんはねえー、「ひとつめは」娼婦! わっかりやすくていいでしょお?
うふふー、残念っ! こんなに酔っぱらってなかったらおじさんにも商談持ちかけたのにナア!

【けたけた。笑いながら、暗にふたつ職があると言いたげな言葉、――最後の一口を飲み干してしまって】
818 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/15(金) 23:49:47.57 ID:6IUddV7go
>>817


いいんだよ、俺らが何をどう考えてようが、“どうせ”誰も興味ねえんだからな
自分たちを守るっつう職務を俺らがやってる間は、誰だって文句言わねえだろ?
要は仕事してりゃーいいんだよ。そうすりゃ裏で何やってたって勝手だ


【酔いまくってる女以外に店主だっているのだが、男はそんなことお構いなしにやばそうな話をしていた】
【絡まれる側ではあったが意外と飲むペースが落ちてるわけでもなく、追加注文したジョッキは既に半分】
【かなり酔いは回ってるはずだが呂律が回らなくなるとかもなかった。酒には強いらしい】


娼婦だぁ!? お前がぁ!?
しんっっっっっっっっっじらんねえなおい! てめえがどうやって客取るっつうんだよぉ!
俺みてえなバカしか客になんねえだろこれじゃ!


【仕事が娼婦だと聞かされると驚きながら思いっきりバカにする】
【そうは言いながらも商談を持ちかけられたら応じるつもりだったらしい。見境がない】
【店主にも嫌な顔されそうだったので魔導書は引っ込める。それから】


で、もう一つってのは?
819 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/02/16(土) 00:07:05.41 ID:5ivFZRuf0
>>818

――――――あは。悪ういヒトだ、そーいうのキライじゃないよ!

【とん、と空のグラスが机上に置かれる。いつの間にか皿も空になっていて】
【薄汚れたコートのポケットからくしゃくしゃの紙幣を何枚か置いていく。「おつりはイイよ、騒いだ分とっといて」】
【そんなこと言える程度には今日の稼ぎは上々だったらしい。椅子を鳴らして、立ち上がる】

【信じらんない。そう言われると何故かにやりと笑んでいた。――店主から見えない角度にて】
【コートのボタンを外す。ファスナーを下ろす。裾を掴む手がその中身をチラ見せする】
【もう片方の手は人差し指を立てて、唇に当てて――――中はほとんど裸だった】
【薄い薄い布地の下着。コートの下はそれだけだった。これだけのパフォーマンスであるのなら】
【娼婦というよりは痴女。無駄に肉付きのよい健康体を晒して、――――、】


                 さっつ、じん、き♪


【――――その内側に隠しきれない無機質な白銀をも持ち合わせていた。隠し持った刃の類だろうか、】
【その種明かしをする前に。――口にした言葉が冗談なのか、そうじゃないのか言う前に】
【女はさっさとその場から逃げ去っていくのだろう。脱兎のごとく、――どこか陰る声色をその場に残して】


//ここらへんで、、、絡みありがとうございました!
820 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/16(土) 00:27:11.40 ID:m8A9njM1o
>>819

【女の突然の行動に男は呆気にとられた表情を浮かべていたが、理由はすぐに分かった】
【「あぁ?」なんて気の抜けた声をあげる。確かにこれなら娼婦と言えなくもないがそれにしても】
【そこまで考えてもう一つの職業とやらが告げられる。彼女は確かに殺人鬼と、そう言ったか】


────…………ひゃはは、ありゃあ面白いじゃねえか
これだからクソヤローの集まるところに来るのはやめらんねえな
なぁ、クソアマさんよぉ…………


【くつくつと笑い声をあげる。絡まれるわ痴女じみてるわ、どこを取っても酷い女だった】
【おまけに殺人鬼なのだとすれば。これ以上ないぐらいの“クソアマ”だ】
【だが──そんな相手と遭遇した自称クソヤローは随分と上機嫌そうにしているのだった】


//はーい、ありがとうございました!
821 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/16(土) 15:17:06.32 ID:m8A9njM1o
【路地裏】

【新世界の路地裏という場所は騒々しいか静謐かのどちらかだ】
【騒々しいときは誰かと誰かが殺し合っているとき。静謐なときは殺し合いが終わって誰かが死んだとき】
【大抵はそのどちらかで、今日はといえば前者だった】


「能力者だ、逃すな殺せ!!」
「向こうに逃げたぞ、追え!!」


【魔制法の成立以降、能力者を表立って弾圧する人間たちも増えていた。先日のテロでさらにそれは倍増】
【今となっては物騒なことを言っては能力者を追い回す連中さえ出る始末】
【厄介なことにその物騒な叫び声を聞いても誰も助けようとはしない。巻き込まれるのが嫌か、あるいは賛同しているのか】

【何人かの男たちが路地裏を走り抜ける。彼らの向かう先の物陰には一人の少女が隠れていた】
【水の国の軍服姿に紫色の長い髪。前髪が片目を隠しているのが特徴的な中性的な顔立ちの少女だった】
【物陰から通路を覗き見ては溜息をつく。表情に焦りはなく、どちらかといえば呆れ顔だった】


…………全く、この国の連中は暇なのか?
もうすこしクーデリアから常識的なところを教えてもらった方が良かったな……


【追い回されるのに疲れた少女は、愚痴を言うように独り言をつぶやいていた】
【あるいはそれは独り言ではなく、隣にいる誰かに言っていたのかもしれない。誰かがそこにいてもいいだろう】
【もしくは追手の中に誰かが紛れていてもいいだろう。ここに通りがかるのもいい。それは自由だ】

//21時ごろまで置いておきます
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/16(土) 16:42:22.02 ID:e8WWKcZL0
【街中――道沿いのカフェ】
【道に面した壁とそれから天井とを大胆に硝子張りに拵えた店内は薄曇りでも暖かな日差しを店内に十分なほど導いていた、ならば観葉植物の葉はピカピカに磨き上げられて】
【羽振りのいいウンベラータに斑入りパキラに。壁に枝垂れるグリーンネックレス。雑誌ラックの傍らに置かれたドラセナと。店主含めて太陽光が好きなのだと思われた】

――――、……はあ。

【――ならば、店内の片隅。大通りを眺めることもできなければ、天窓からの光もあまり差し込まない席。あんまり人気のない席でもあったけれど、一つ溜息が漏れ出るのだろう】
【やたらめったら洒落たデザインの椅子に容赦なく体重を掛けるならぎしっと軋む音すらしていた、それでも太陽に向かって伸びる新芽みたいにぴこり立てた爪先、お行儀悪くも投げ出し】
【十分に姿勢悪くお行儀悪くなったところでもう一つ溜息が漏れる、――地中奥深くで眠るミイラみたいに絡めた指先をお腹に添えたなら、その膨らんで萎むところまでを観測させて】

【――――――数十分ほど前から居座っている客であった、机の上にはきっともう冷めているんだろうホットのカフェオレと、カスクートの載った皿が仲良く並んで】
【さらにその横に添えられているのは近くにある大型書店の紙袋、文庫本が一冊入っているだけのぴったりしたサイズ、けれど、やはり未開封であるから】
【入店直後に置かれたのだろうお冷のコップはもう結露も行き過ぎて机の上を小さな水たまりにしてしまっていた、――はあ、と、もひとつ溜息。迷惑な客】

【腰まで届くような毛先は透き通る白銀色をしていた、椅子の背もたれより後ろに全部流したなら、ざらりと枝垂れるさま、凍り付いた滝にも似て】
【たっぷり長い白の睫毛と銀ふちの眼鏡で隠すような伏し目は透き通る青色、ただただ、自分と食べ物たちの間の机の余白、見つめているばっかり。瞬きを一つ二つ、重ねたら】
【白色のブラウスにたっぷりと布地の多い黄みがかりの深緑色したロングスカート、素肌を透かす程度の黒いストッキングに、お行儀いいデザインのパンプスは、けれど、お行儀悪いから】
【薄手のコートは椅子に座って脱いだまま垂らしてあるならやっぱりお行儀は悪かった、――十七歳ほどの少女であるのだろう、待ち合わせをすっぽかされた、みたいな顔をした】

…………お散歩するのも命がけとか、冗談じゃないんですけどぉ――……どうしてこんな……。

【――ぽつり小さく漏れた独り言はごく小さいがゆえに、誰かに届くことはきっとないのだけれど。ずるとずり落ちていくお尻、よいしょって正しく椅子に座り直したら】
【休日の夕方。どこぞでいろいろと買い物をしてきたような客が店内には増えつつあった、緩く店内を見渡す碧眼の瞬き重ねるなら、――空席も随分と減りつつあると今更に気づき】
【けだるげな溜息をもひとつ増やしてから少女はようやく冷め切ったカフェオレに手を伸ばしていた、火傷の心配もないなら、一息、半分くらいまで飲んでしまって】

――――――――っ、にがぁ……。

【令嬢みたいな顔してカップを皿に戻す、沈黙三秒、――顔を両手で覆って漏れる声。さっきより少し大きな独り言。――ずうっとダンゴムシみたいに黙っていたのに、急にこれ、なら】
【もとより変な人みたいな感じで見られていた少女であった、ずうっと何か沈黙して考え事をしている風ではあった。あどけない顔を顰めて、またおっきな溜息、ひとつ】
【今更溶けるはずないし溶けきるはずもない角砂糖を三つも入れてティースプーンで混ぜる音、じゃりじゃり、じゃりじゃり、――夕暮れがどんどん近づく店内に、そっと添えて】
823 : ◆RqRnviRidE [sage]:2019/02/16(土) 20:12:12.41 ID:QKuQIFe9O
>>821

【── 路地裏の埃っぽい臭いの中に、ふわりと仄かに芳香が混じる。 殺気の滾るその場所にそぐわぬ甘い香り】
【そうして追っ手どもの進行方向にふらっと現れたのは、一人の女だった】


──── ねーぇ、おにーさんたち能力者……追ってるのかしらん?


【青紫の長髪の毛先だけをリボンで纏めた、黄色の双眸を持つ長身の女】
【丈の短い華美なドレスが、メリハリのあるグラマーな身体を包み込み】
【胸元と脚を大胆に晒け出し、気だるげな顔して路地裏の壁に背を預ける】

能力者ならねぇ、それっぽい人、あっちに逃げてったの見たわぁ怖いわねぇ?
おにーさんたち、早く捕まえて、うんとこっぴどくとっちめちゃってよ♪

【そう言って左手で向こうの方をふらふら指差すだろう──少女が潜む物陰とは全くの反対方向へ】
【女はどこか悪戯っぽい笑みを湛えて、男どもを唆すみたいにあっちあっち、早く早くと急かしてみせる】
【立ち居振舞いはまるで虚言のようであったが、男たちが芳香を深く吸い込んでいるなら“あながち嘘でないと感じるかもしれない”】

【女は右の後ろ手に何か──長物を携えているようだ。 長身の背に隠すようにぴったりと壁にくっつけている】
【少女の方向からは窺えるだろうか。 長物の先端からはピンクの靄が少しずつ漏れ出し、路地裏の底を這うように下の方へ溜まっている光景を】
【そしてそれが、不可解な芳香の正体である──ということも】

/よろしければ、お願いします
824 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 20:13:12.32 ID:gCnuxwsAo
>>821


────── そういう訳じゃないよ、ただ皆怯えてるだけなんだ、漠然とした不安に


【声が不意に響いた、緩やかな音色、─── あどけない少年の色合いを半分残した中性的な味わい】
【視線を向けてみれば路地裏の奥から、一人の少年がこちらに向けて歩いてきていた】

【ダークグリーンで癖のある短髪を、左右は空いて後ろへと流すように生やしている】
【薄手の黒シャツに、ジッパーを締めずに開いたままの白いジャケットを重ね着にして、首元に銀色の無機質なペンダントをぶら下げた】
【すすけた感じの印象を漂わせる、がっしりとした重厚な体格の、身長170p前後の少年】

【彼は “こっちへ” だなんて軽く手招きをして、奥の方へと貴女を誘うだろう】


しかし意外だね、軍の人間はどちらかというと “体制側” だなんて思っていたけど
こういう風に追われている姿を見る限り、一概にそうとは言えないのかな


【ちらりと少女の姿を一瞥しながら、言葉を重ねた】
825 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 20:14:21.32 ID:gCnuxwsAo
/きゃー! 被っちゃいましたね!!
/もしお二人が良ければ同時にしませんか! 同時に!
826 : ◆RqRnviRidE [sage]:2019/02/16(土) 20:15:34.69 ID:QKuQIFe9O
/こちらこそ、よろしければぜひお願いいたします!
827 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/16(土) 20:17:16.22 ID:m8A9njM1o
>>825>>826
//二人同時でもいいよこいよ!
//レス書きますよ〜、書く書くのでちょっと待っててくださいねー
828 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/16(土) 20:26:58.17 ID:m8A9njM1o
>>823>>824

【追手であった男たちはその女を見るなり「おぉ……」なんて間の抜けた声をあげていた】
【視線が胸元や脚を這い、顔がだらしなく緩まっていた。そのせいで返事が遅れる】


「あ、あぁ。ありがとよ、姉ちゃん」


【追手たちは女の言葉をあっさりと信じ込み、指の向いた方向へと走り去っていく】
【次第に足音は遠ざかっていく────ひとまずは彼らを遠ざけることに成功したようだ】
【その様子を少女は物陰から見ていた。女が持っている得物に気がつき注視する】


(あれは……毒か。あまりいいものじゃなさそうだな
 彼女が味方っていう保証もないし、悪いけどこのまま退散させてもらおう)


【そう考えて音を立てないように慎重にその場を離れようとしたとき】
【現れた少年に声をかけられて思わず少女は身構えた。動きの速さから鍛錬の具合が窺えるだろう】


(……また、よく分からない人間が出てきちゃったな
 とはいえ敵対行動を取るには早いし、ひとまずついていくかな……?)


……えーっと、まぁ軍にも色々あってね
派閥とか何とか、そういうの。結構、複雑なんだよ、うん


【どこか歯切れの悪い返事をして少女は少年の後に続こうとする】
【返事は小声で足音にも気をつけてはいたが、その両方を完全に消すのは不可能だろう】
【この場に二人いて、かつその双方が立ち去ろうとしていることは女(>>823)にも分かるはずだ】
829 : ◆RqRnviRidE [sage]:2019/02/16(土) 20:53:09.00 ID:q0E0r0Rlo
>>824>>828

あはっ、やだぁ私じゃなくて迷子の子犬ちゃんしっかり見てなくちゃぁ
じゃあねばいばーい、頑張って捕まえてねぇ

【女はけらけら愉快げに笑いながら、追っ手の姿が見えなくなるまで手を振るだろう】
【「ま、そっちにはいないでしょーけど」なんて戯言ひとつ溢したなら、物陰に隠れる少女へ向かって歩みを進めてくる】
【どうやら少女の存在に気付いた上で男どもを誘導していたようだ。 その歩みに迷いはなく、真っ直ぐに】

── あら、あら、あららん……うふふ、可愛いコが増えてるわあ
こーんにちは、お二人とも、似たよな服着てるけどお仲間さんかしら?

追われる立場ってぇ、スリルがあって刺激的だけどこんなトコじゃロマンチックじゃないわよねぇ
ませーほう? とかゆーのも、なんだか窮屈だしぃ……

【女は緊張感のない間延びした口調で、隠れていた少女と、やって来た少年とに話し掛ける】
【片手に携えていたのは、柄が螺旋状に捻れた身の丈ほどもある一振りのハルバード──どうも堅気では無さそうだ】

【ピンクの靄は引き摺るように女についてくる。 やがて露出していたその脚を覆うように包み隠してしまう】
【芳香はどちらかと言えばアロマのような嫌味のないもので、気分の高翌揚を抑えそうなものではあったが──まあまだ信用に足るには早いだろう】
830 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 20:58:13.41 ID:gCnuxwsAo
>>828>>829

【僅かばかり歯切れの悪い返事に訝しむ様な表情を見せた、けれどもストロボの瞬きは直ぐに次の表情を映し出して】


……まあ、部外者に機密事項をぺらぺらと喋る訳にはいかないもんね
でも、何か教えてくれたら、力になれるかもしれない ─── ……ごめんね、いきなり変な事言うけど

─── 実は俺 “薬師” でさ、この前のテロから水の国の復興支援を手伝ってて
この近くに馴染みの避難所があるんだ、そこなら安全だし


【悪い人間ではなさそうだ、やや早口で述べる言葉は心配と気遣いとを念頭に置いた響きで】
【そうやって路地裏の奥側へと向かおうとした、が】


────── !!


【声をかけてきた女を見て絶句する、─── 驚愕か、否、頬に響く赤がその裏意味を伝えた】


い、医療の心得をあるものからしても、その格好は看過できない……!
いや、まあ、ファッションは個人の自由だが、それはあまりにも!!

─── 破廉恥とか、そういうのではなく……機能性として大丈夫なのか!?


【とまあこんな具合で、些かばかり滑稽な言葉を返していたが、視線はあらぬ方向を向いていて】
【時折誘惑にかられて、胸元へと流れ様とする視線を必死に押しとどめた】


────── あいにく、俺達も初対面……でも、協力してくれた感じかな
だったら君も、付いてくるかい? ……この先に避難所があって
831 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/16(土) 20:59:12.06 ID:glZerSnn0
>>822


―――ダージリンを。


【ふと、少女の近くに新しい客が腰掛ける。】
【少女にとっては聞き覚えのある声かもしれないし、はじめて聴く声かもしれなかった。】

【声の主は―――。】
【ストライプの入った赤いスーツに同じ柄のソフト帽、銀色の長髪に赤い瞳といった目立つ風貌の女性だ。】
【女性の左腕があるべき場所には何もなく、ひらひらとからっぽの袖だけが揺れている。】


【ふと、少女と目があえば―――眼を細めて一瞬笑った。】

//まだ大丈夫でございますか
832 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/16(土) 21:07:40.01 ID:m8A9njM1o
>>829>>830


えーっと…………そうだね…………うーん…………

(どうしようかな……悪い人間じゃなさそうなんだけど、まだ分からないしな……)


【続けてまた歯切れの悪い返事。それどころか答えにもなっていなかったが】
【反対側から女が出てくると、また素早く身構える。視線が女と少年の双方を見やる】


(あー、これはまた面倒なことになったな…………
 一対一でも大変なのに一対一対一はもう収拾がつかないな……)

……あの法律のせいで何だか大変なことになってるみたいだね
もっとも、僕は軍人だからそのあたりのことには従わなきゃならないんだけど


【二人の様子も窺いながら慎重に言葉を選ぶ。ひとまず会話は成立している】
【赤くなっている少年につられて女の格好を見るが】


(これで破廉恥だったら僕の元の格好は何になるんだろ……逆に気になるな)


【全く関係のないことを考えていた】
833 :テルミドール ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/16(土) 21:38:25.15 ID:glZerSnn0
【水-氷国間直通列車・クーラオリエント急行・VIPルーム=z


【先日開通したばかりの水の国と氷の国を結ぶ長期距離列車。】
【一般車両もあるにはあるが、どちらかと言えば富裕層や要人が使用することを前提として造られたものだ。】
【列車内部はいくつものVIPラウンジと豪華絢爛な客室が設けられている。】

【その中の一つ、列車の中で最もグレードの高いVIPルームを本日は氷の国の要人が使用していた。】
【装飾された室内にあるソファーにアンティークのテーブルの上にはブランデーのボトルが置かれている。】
【ソファーに腰かけるのは一人の人物。】

【鉛色の腰まである長髪に銀色の瞳をした20代後半、身長180cm程の男だ】
【全身は飾緒や勲章が幾つも装飾されたネイビーのコート型軍服で包まれており、傍らには一本の騎士剣が立てかけられている。】

【男はブランデーのグラスを口へと運びながら、窓の外を高速で流れる景色に視線を向ける。】
【氷の国の国土へと近づき、次第に雪景色へと変わろうとしていた。】



―――どうぞ、入ってこられるといい。



【男はドアへは視線を向けずにそう言う、まるで独り言のようであった。】
【ゴォォォォォ、と列車はトンネル内に入り一瞬であるが室内は暗闇に包まれた―――。】

//院長先生お願いします!
834 : ◆RqRnviRidE [sage]:2019/02/16(土) 21:38:36.83 ID:q0E0r0Rlo
>>830>>832

【頬を染める少年を横目に見れば、にまりと不適な笑みを口許に浮かべる。 細めた瞳には悪戯心が垣間見えた】
【何となく渋った様子の少女を窺いながら、二人の近くまで歩み寄る。 少年と同じくらいの身の丈だ、近くで見ても色々と結構大きい】
【立ち位置としては少女がやや逃げづらい位置になるだろうか、少年と並べばさながら壁のように思えるかもしれない】

……まっ! やーね、破廉恥だなんてそんなことないよん!
すっごくかわいいし機能性だってじゅーぶんだし、ほらほら見てみてっ
何より“人間”の服なんて、動きづらくってしょーがないんだから

【少年の言葉に苦言を申し立てるよう、わざとらしく腰に手を当て、胸を張ってみせる。 と、同時に脚にかかった靄が風に吹き浚われる】
【そうしてドレスの裾からすらりと伸びるのはヒトでなくーーウマの両脚だった。 なるほど女は亜人の類らしい】
【「魔制法がなんだか窮屈」──と溢したのもそこに起因するのだろう、当の本人は何だかふわふわしているけれど】

……んぅ、軍人ちゃんと少年くんって、ふたりとも初対面なの? そーなんだ!
それにしたって変なのー、軍人ちゃんっておにーさんたちに追っかけられてなかったぁ? 勘違いかしら?

ね、よくわかんないけどー、アブナイんだったら少年くんに着いてっちゃお?
たぶん少年くんもそのほうがいーわよね?

【少女が男達に追いかけられていたように見えた様子について、女なりに疑問に思っているらしい】
【それで危険だというんなら、少年の言う避難所に行ってみてはどうかという提案をしながら、】
【親しい友達にするみたいに、少女の手を握ろうとするだろう。 ……あくまで逃がさないつもりか】
835 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 21:43:14.44 ID:gCnuxwsAo
>>832>>834

【少年の視線の配分は少女へのものが多目である、必然良く視線が合うことになるのだが】
【迷いの無い強い意思を秘めた視線であった、真っ直ぐに自分の信じた道を進む強さを持った穢れ無き】
【少なくとも嘘や卑劣を胸に秘めた、そんな人間では無い事が伝わるだろう】


……俺も君も他人事じゃない、って事さ ─── だから、少しでも身を寄せ合っていた方が良い
如何に大きな鳥であっても、羽ばたき続けて海を渡れない、止まり木は多くあるべきだ

────── なんて、少しカッコつけ過ぎたかな


【曖昧に笑ってみせた、少女の気乗りしない返事を少しでも軟化させようという思惑であろうか】


いやいや!! たしかに!! 可愛いし、似合ってるし……その、素敵、だとは……思う、けど
でも、────── いや、強力すぎる……んだよ、─── ちょっと、直視できない、し……

って……へ……─── …… ああ、な、なるほどね


【慌てふためく少年の姿、視線を逸らしてもその肉体に釘付けなのは悲しき性】
【きょとん、としてその脚を見つめた、 ─── 亜人、なるほど、窮屈と言う言葉の意味を理解した】
836 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 21:46:59.16 ID:gCnuxwsAo
>>833

【声に導かれる様にして、一筋の雫が落ちた、─── 広がるは波紋、悠然たる輝きを僅かばかりも損なわずに】

【紫苑混じりのプラチナブロンドの長髪を、シニヨンでセミロングの長さにまで纏めて】
【胸元の膨らんだ、袖の無い白のハピットシャツの上から、素肌を透けさせる黒のレースのカーディガンを羽織る】
【シャツのフリルの上には黒いリボンタイを垂らして、ミニ丈のフレアスカートから黒いストッキングを覗かせる】

【紫苑色の双眸に理知的な眼鏡を掛けた姿は、瀟洒な貴婦人を思わせるだろうか】
【両手を包む白い手袋、袖口から覗く素肌の白と溶け合う様に、微笑む様子に神々しさが塗れて】


────── 水の国最高議会が議員、イスラフィールですわ


御多忙にも関わらず、この様な席を設けていただいた事に、心より感謝を


【そう言って彼女は微笑んだ、まだ席にはつかない、─── 恋文の如く艶やかに立ち尽くしたまま】


────── 此度のテロで大きく打撃を受けた我が国に “支援” をしていただくという提案に参りました


【端的に内容を述べた、書面では会談をしたい、という簡素な内容であったが、その実を肉付けして】
837 :テルミドール ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/16(土) 22:01:16.33 ID:glZerSnn0
>>836


とんでもありません、貴女のような美しい女性と一時をご一緒できるのであれば是非
氷の国軍特務大佐・ミヒャエル・テルミドールと申します、どうぞ宜しくイスラフィール最高議員。


【男は立ち上がると微笑んでから手袋を外して握手を求めるように差し出す。】
【それが応じられる、応じられないの是非に関わらず相手にソファーに座るように促して自分も再び腰掛ける。】
【「飲まれますかな?」とテーブルの傍らのブランデーのボトルを叩きながら問いかける。】
【テーブルの上には既にグラスが用意はしてあった。】


………この度の一件に関してはお悔やみを申し上げます。我々としても誠に遺憾です。
勿論、喜んでご支援させて頂きましょう。物資や医療関係者、必要があれば軍を駐在させる事も可能です。

―――いや、軍≠ヘまずいでしょうか。どうやら既に先客がいるようだ。


【「そういえばその停泊地でも先日爆破事件があったとか」と付け加えながら返答する。】
【少しの思案も感じさせない言葉だった、まるで最初から用意された台本かのように。】

【落ち着いた様子でトンネル内での列車の揺れに身を任せている。】
838 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/16(土) 22:01:30.50 ID:m8A9njM1o
>>834>>835


(うーん……逃げ出そうと思えば逃げ出せるけど
 でも、味方がほしいのも事実だしな……クーデリアみたいに悪い存在ばかりじゃないみたいだし)


【話の流れが避難所とやらに移動するのが自然なものとなってきていた】
【僅かに逡巡する素振りを少女は見せていた。信用できるできないはさておいて、二人の言い分は正しい】
【そして彼女特有の事情もある。決心するのにあまり時間は必要なかった】


まぁなんというか、軍人ってのも嫌われ気味みたいでね
ああいう手合いが最近多くて、本当に困ってるんだよ


【手を握られてきょとんとした表情を浮かべる。別段、気にした様子はなかった】
【そのまま少年へと向き直り】


……じゃあ、お言葉に甘えて君の言う場所に行ってみようか
折角、そうやってカッコつけてくれたし、ね


【そう言って少女は片目を瞑ってみせた。そんなに悪い気はしていないようだ】
839 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 22:11:21.44 ID:gCnuxwsAo
>>837

【静かに目を伏せる、長い睫毛が揺れて、貞淑な趣をふんだんに遇らう】
【彼女もまた手袋を外し握手に応じるだろう、降り積もったばかりの新雪を思わせた】
【手のひらの体温で容易に溶けてしまいそうなぐらい、その肌は柔らかく儚い】


ふふ、嗜む程度にしておきますわ、アルコールはそこまで得意ではありませんもの
あまりはしたない姿を見せる訳にはいきませんし、─── 芳醇な香りを味わうのを第一にしましょう

“氷の国” では国民の多くがお酒を好むとお聞きしました、過酷な寒い環境に於いて、内部から暖かくなるという考え方だとか
とても合理的で、それでいて素晴らしい風習ですね、─── 是非とも観光でお邪魔したい程ですわ


【ソファーに座り、小さく息を吐いた、─── 話が本題へと進む】


……有難い申し出です、─── お恥ずかしい話ですが、中々他の国との交渉が難航しておりまして
知己にしている金の国も復興の最中ですしね、氷の国の御厚意に深く礼を申し上げますわ
物資と医療に関するものは、幾らあっても足りませんから、────── そして


【軍、と彼女は口元で反復した、その硬質な響きはあまり好きじゃない】


ええ、いつのまにか土足で踏み込み占領する不届者が一つ、外面が良いのが余計にタチの悪い事です


────── ほんとうに悩みの種であることは、間違いありませんわ


【目配せ、目尻に浮かぶ流麗な潤いが、微かな音色を奏でて】
840 : ◆RqRnviRidE [sage]:2019/02/16(土) 22:29:47.22 ID:q0E0r0Rlo
>>835>>838

へぇー……そうなんだあ、なんてゆーかあ……
ふたりともなんだかフクザツで大変なのねえ

【少年少女両名の話を聞いて女は神妙な面持ちでふんふんと頷く、理解はさほど深そうではなかったが、】
【とかくここに留まるのは最適ではないという判断は満場一致のようだ、女は少年の顔を覗き込むようにして】

……でもま、とりあえず身を寄せあったほうが良いってゆーのはわたしも賛成!
さあさ行きましょ少年くん、わたしたちを避難所へ連れてってちょーだいな

【ふとハルバードから手を離し、拒まれなければ少年にも腕組みをしようとしてくる】
【得物は不思議と落下することなく、女の後ろを浮翌遊して追従してくることだろう】

【──ともあれ女はパーソナルスペースの距離感がほぼゼロであった、助けたのも避難所に着いてくるのも、単なる好奇心に違いなさそうで】
【避難所へと誘導される途中に自然と繋いだ手も離されることだろう、とにかくその場の雰囲気に身を任せる質のようだった】
841 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 22:33:26.68 ID:gCnuxwsAo
>>838>>840

【向けられたウィンク、少年は甘酸っぱい感触を舌先に感じた、照れた様に視線を逸らしたなら、思いの外ぶっきらぼうに映ってしまう】
【これでもかというぐらいに耽美な亜人の女性と、対照的に中性的な少女、─── けれども時折見せる表情は一輪の花が如く可憐で】
【両手に花という言葉では足りなかった、─── だからこそ、つい態度が硬化してしまう】

【 ────── 彼の人生に於いて、此処まで彩に溢れた景色は、そう無かったから】


あ、えっと……そういや名前、まだだったよね

────── 俺はベルガー、ベルガー=クラシット、よろしくね
職業は旅人、時々 “薬師” ─── まあ薬の事ならそれなりに頼ってもらえたら


【歩きながら二人にそう伝える、君たちは? なんて声をかけながら】


わ、わわ!! ちょ、ちょっと……!! そ、そういうのは普通、恋人同士がするもんだろう!?
……っ君みたいに綺麗な人だったら、彼氏とかもいるんだし、そういうの良くないと思うけど


【彼はそう言って、慌てた様子で組まれた手を離すだろう、─── 少しばかり名残惜しそうな表情をしていたのは、見逃さない筈だ】
【とはいえしばし、歩み続けていく、────── 微かに焦げるような香りがした】
842 :テルミドール ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/16(土) 22:33:32.22 ID:glZerSnn0
>>840


そうですか、それでは無理強いは致しません。
他にソフトドリンクなども手配できますのでご希望があれば何なりと。

―――フフ、あくまでそれは外国の方から見た一面に過ぎませんよ。
実際は昼間から酔った男が街角をうろついたりしていて面倒です、治安も悪化致しますし。

嗚呼、治安と言えば貴国は中々面白い治安政策を施行されていますね。


【「魔制法=\――貴方は推進派とは別派閥でしたか」と言葉を切る】
【どうやらイスラフィールが与党側の重要人物という事は既に理解しているようだった。】
【実際に最高議会内部でどれだけ温度差があるかも含めて見るための話題だろう。】


貴国程ではないとはいえどの国も常にテロの脅威にさらされておりますからね。
我が国は気候も安定していないため中々そういった対象になりませんが
水の国は兄弟も同然、お望みの支援をお約束致しましょう。


【他国が水の国との連携に足踏みをしているのは恐らく別の理由がある。】
【それはまことしやかに噂される水の国内部での闇=B】
【だがテルミドールはそこに対して言及はしない、あくまで表の政治のみで話を進める。】


前回のテロの際もそうでしたが、まるで王道的な劇を見ているかのようですね
お膳立て≠ウれたショー、というのは些か考えすぎかもしれませんがね。


―――それでは、その悩みの種である魔導海軍≠ノついても我々の協力が必要ですか?


【イスラフィールにそこまでの意図はなかったかもしれないが、テルミドールは一気に踏み込んでくる。】
【それは氷の国にとっても魔導海軍は眼の上のタンコブであるとも取れた。】
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2019/02/16(土) 22:37:13.68 ID:Sp2lEMqs0
【風が心地良く吹き抜ける喉かな高原――で、あった場所】
【今となっては誰かしらの千切れた四肢が散乱していたり、身体の断面から様々なモノが除く者達が地に伏しているのだから】
【渇いた茶色の土と枯れた茶色の草も今宵ばかりは紅く濡れて輝いていて】
【ならば其処は呻きや悲鳴、命乞いで溢れる地獄なのかと言えば――否】

――罪、とは我々が勝手に定めたモノ。……いえ、我々とは正しく在りませんね
昔の方々が定めた事。其れに何故今現在まで縛り付けられているのか……と問うたのです
堕落であろうと姦淫であろうと、人を憎もうと殺めようと
それは昔に生きた方々が悪いことで有ると勝手に決めた事――そうでしょう?

【ほぼ全ての者達が瀕死の重傷であるにも関わらず、その全ての人物が恍惚の表情を浮かべて居るのだ】
【痛みを感じていない所か、身体の欠損すら気にしていない……或いは気付いていないかの様な】
【確実に死が近付いているにも関わらず、今までに味わった事の無い幸福に包まれているかのよう】
【――若しくは、別な者が見れば其れは重度の薬物中毒者が漸く望みの物を手に入れた姿にも見えるか】
【何であれ、全ての人物がその状況。だからこそ異様であって】

……大丈夫です。貴方方を縛り付ける鎖は私が全て溶かして差し上げました
だから……そう、ですね
皆さんの全て。私に下さいませんか?
――私が皆さんを在るべき姿へと導いて差し上げます

【その中心地に居るのは古びた修道着を着た女。全身が血に塗れ、側に置かれた長剣もまた同じ状態である事からこの人物が元凶である事は間違い無いであろう】
【装備から見れば壊滅した一団は能力者も混ざり其れなりに戦闘に長けている事は確か】
【更に不自然なのはその表情には憎しみと言った感情は一切見られず、それ所か真逆の慈しみすら感じられる所であるが】
【膝に頭を乗せさせていた人物の一人が幸福のままに事切れた姿を見届けると、その額に口付けを行って】

【――もし、誰かがこの場を訪れたのならば】
【女は驚きもせずに微笑みを浮かべて其方を見遣るのだ。「良い夜ですね」そんな事を呟きながら】
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/16(土) 22:40:09.33 ID:xH1RXPic0
>>831

【――――混ぜれば混ぜるほどおいしくなるわけでもない指先が動きを止めるまでに、いくらかの時間を要した。指先からティースプーン越しに伝わる感覚は、】
【やはりどう大らかに考えたところで砂糖の存在感を伝えてきていた。伝えすぎていた。なればそれは諦めるまでの時間、なあに粒入りジュースだって世の中にはあるのだと】
【口に含んでまた令嬢みたいな顔をする。――薄幸の令嬢みたいな顔。あの葉が落ちたら私も死ぬのだと喘ぐような声で伝えて相応しいような顔。しかして眼前の観葉植物は健康そのもの】
【丸みを帯びたハートによく似た葉のウンベラータもそんな風に云われたら困るのだろう。だからどうしようもないざらつく甘さを喉の奥に押しやるのに、カスクートに手を伸ばし】

【(こちらもまた冷めて硬くなっているのだけれども、それごともう嚥下するみたいに)かじりついた、そのとき、】

――――――。――あっ。

【硬いパンがちぎれるぶちりとした音。もごと口の中に頬張られたパン生地を咀嚼するのにいくらかの時間を要していた、ハムとかチーズとか挟んである、うんとおいしい奴】
【なのにきっと彼女はあんまり味わわずに呑み込んで、――、幾らも人懐こい笑みを浮かべた、いつかの日のこと、ちゃんとしっかり覚えているのなら、】
【きっとふわふわの子犬ちゃんだったなら尻尾をぶんぶか振っちゃうような顔にて、――少女はそちらへ行っても良いかと目で尋ねるのだろうか】
【――よほど近い席なのだとしても、隣同士でもない限り、席越しに話すのはちょっとお行儀が悪いなら。――それに、冷たいカフェラテが悲しくってしょうがないから】

【ちょうどもう一回暖かい飲み物を頼もうとしていたところ、――ならば、なんて】

/大変お待たせしました……!!
845 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/16(土) 22:41:25.91 ID:m8A9njM1o
>>840>>841


(んー…………思いの外、嫌な感じはしないな
 この二人なら話しても……いや、むしろ逆で話さない方がいいか)


【妙に明るい女性に正義感の強さが見え隠れする少年。そのどちらに対しても印象が良くなっていく】
【そしてその分、あまり厄介ごとに巻き込みたくはないという思いも芽生えてくる。自分が抱えているものはそう軽くはない】
【平和に生きている人々を巻き込もうとするほど、この少女は冷酷にはなりきれなかった】


よろしく、ベルガー。僕はシャリーア。好きなように呼んで
…………あ、いいね。僕もそれやろう


【名乗り返しながら、亜人種の女性がベルガーの腕を組んでいるのを見てシャリーアも真似をする】
【一瞬ぐらいは物理的に両手に花になれたかもしれない。そこはベルガー次第だったが】
【相手を疑ったりしているよりかは、こうしている方がシャリーアにとっては気分が良かった】
846 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 22:43:06.00 ID:gCnuxwsAo
>>842

【困った様に表情を崩す、物憂げな色合いは恋煩いに似て、─── 幾許かの嗜みをそこに内包していた】


面白いだなんてものではありませんわ、愚法にも程がありますの、それが議会を通過してしまった事が我々の罪です
けれども、通過してしまった法案を撤廃するのも中々大変ですから……追々、となってしまうのが些か心苦しいですわ

─── 加えて、その間は他の国々に弱みを見せる事になりますから

ご冗談を、氷の国には“レアメタル”と“燃料”といった、二つの大きな価値が埋蔵されてるではありませんか
六罪王の襲撃を受けた地の国とも違い、安定した供給ルートを持つのは貴国の大きな価値であり

────── そして、今尚テロの脅威を防いでいるのは、貴国の圧倒的な軍事力に依るものですわ


【謙遜をなさらぬ様に、と付け加えた、─── 少なくとも、今はそれが真実】


……お噂通り、─── 隙を見せれば一気に喉元まで、“餓狼”と呼ばれる所以も少しばかりわかった気がしますわ

御察しの通りです、────── 我が国に土足で踏み入る彼らを、排除して欲しいのです
847 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/16(土) 23:01:06.21 ID:glZerSnn0
>>844

【相手の視線に応えるようにウィンクを返すと、右手で自分の向かいの席を指す。】
【それに相手が促されれば悪戯っぽく笑いながら迎え入れるだろう。丁度注文したダージリンも運ばれた。】
【くすくすと、どこか愉快気に笑いながら相手を見つめる。】


もしかして―――はじめまして、かな?


【そう言いながら自分の銀髪を右手の指でくるくると弄る。】
【自分が知る相手は自分と同じ銀髪ではない筈だったからである―――。】
【左腕の袖はヒラヒラと力なく揺れながら椅子に垂れている。】


//おかえりなさいでーす!
848 : ◆RqRnviRidE [sage]:2019/02/16(土) 23:04:35.50 ID:q0E0r0Rlo
>>841>>845

……ベルガーちゃんにぃ、シャリーアちゃんねぇ!
わたしはねぇ、霊香! 霊香・アステリスクって言うの
ふたりとも良い名前ね、霊香ちゃんのもいい名前でしょぉ気に入ってるんだぁ

【黄色い瞳が興味深げにベルガーとシャリーアを交互に見遣る、顔と名前をその眼に焼き付けるように反復をして】
【シャリーアの憂慮にきっと気付かないまま、年頃の娘のように純真な様子でころころと笑むだろう】
【羞恥からベルガーに腕を咄嗟に離されれば、いかにもわざとらしく両頬を膨らませて】

えーベルガーちゃんのケチぃ、せっかくかわいい女の子が揃い踏みだってゆーのに勿体ないじゃない
いいもん、わたしは世界中のみーんなが恋人みたいなものだしー

【とっても面倒な拗ね方をする、けれど、焦げたような香りが漂ってくれば霊香は僅かに鼻を鳴らすだろう】

………………、…………なぁんかヤな臭いがするわね
焼け尽くしたみたいな感じ、かも

【短い邂逅の中でひとつ確かに分かるのは彼女がひどく素直だということ、不快感に眉をひそめた】
849 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 23:07:41.18 ID:gCnuxwsAo
>>845>>848

【ベルガーの反応は、それは大層予想通りのものであった、シャリーアの手つきに目を真ん丸とさせて】
【柔らかい、いい香りがする、────── いや、そんな場合じゃなくて】


っ……!? な、なにをするんだシャリーア!! 君までそんな真似をしたら……っ
だ、だいたい君はそうじゃなくて! 止める方の立場だろう!! ……も、もう

…………頼むから離してください、このままだと……うまく歩けない

れ、霊香も……ね、博愛主義者なのはわかるけど、……君は魅力的過ぎるんだよ
君にとっては普通でも、俺にとっては、その……ねぇ……


【顔を真っ赤にして悲痛そうな響き、どうやら可憐すぎる二つの花は彼にとって刺激が強すぎた、様で】


【 ────── 歩みを進める度に、鼻腔を擽る焼け焦げた匂い、流石のベルガーも些か不安げに】
【足取りが少なからず早くなっていく、楽章が捲られテンポが増していく、アンダンテも今は昔】

【走り去る様な速度で、彼は路地裏を抜けた、そしてそこには ────── 】



…………っ!!! ────── な、なんだよ……これ……!!



【轟々と燃える家屋、二階建ての広い建物は随分と長く燃えていたのか、所々柱が見えていて】
【さらには、脂肪の燃える嫌な匂いが広がっていた、────── なにが起きたのか】
【語る者は居なかった、けれども、それは一瞬で理解できるほどの無慈悲さを含んでいた】

【────── 膝から崩れ落ちる、糸の切れた傀儡の如く】
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/16(土) 23:12:06.35 ID:xH1RXPic0
>>847

【ぱぁと表情があんまりに分かりやすく綻んだ、――なんせさっきまでの彼女はどうにもなんかコケの腐ったようなにおいのする泥沼、みたいな顔をしていたから】
【とかく何かしらよろしくない機嫌なのは確かだった。苛立ちにも似ているけれどそれよりなにか冥いような感じだった。けれど今となっては、雲間に陽が差すみたいに】
【実際のところ天窓から差し込む光もいくらか増えていた。ちょうど太陽が顔を出したらしい。――きらきらと光を輝かせて止まぬモビールがゆらゆら揺れて、プリズムを散らす】

【――そうして数分もしない間に彼女は向かいの席へ移って来るのだろう。店員を捕まえて席を移動したいって言って。いいよってことになったら、お引越し】
【カフェラテとか運んでくれようとするお店の人と一瞬やるやらないで揉めたらしかった。だけれども、結局、自分の上着とか抱えたら彼女の両腕はいっぱいだったから】
【お店の人にお皿を運んでもらって。よいしょって移動してくる様、なんだか、ハムスターが檻の外に別荘をこさえた時みたい、にこにこって笑った顔が、】

――――――ふぇ、

【――――――――晴れ間に雲が差し込むみたいに陰ったから、分かりやすかった。そりゃもう分かりやすかった。仔犬だったならふわふわの尻尾だってしゅーんてなっちゃうくらい】
【ピンと立ててやまぬ三角お耳も紙の剥き方を失敗しちゃったクレープみたいにぺそっと枝垂れるのが見えたなら(見えない)――、ぱちと瞬き、視線はその指先を見て、】

あ、あー。あー……。わ、私ですよお、私、――、ほら、私……。事故っちゃって……。その……。ちょっと孕ませちゃって……。

【納得。――どうにもころころと表情が変わるものだった、ならばそういうおもちゃみたい、見ていたら楽しいかもしれない、――なんて、言ったら怒るのかもしれないけれど】
【私だって言い出し始める自己紹介はどうにも不明瞭であるから本人だって途中から詐欺でしかないと気づいたらしい。冗談めかすというよりは、何か探しているみたい】
【――言えぬ言葉を言わないままで自分が誰かと伝える方策を考えているのに違いなかった。スズランみたいに甘い涼し気な声、うーんと悩ませたら、】

一緒に寝た仲じゃないですかあ……。

【※寝てない】
851 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 23:14:02.61 ID:gCnuxwsAo
>>843

【足音が響いた、歩み寄るその足取りに、僅かばかりの躊躇も見えず】
【彼は周囲を見渡しながら、幾許か面倒そうな溜息を零して】


善悪の価値は時代によって変化すると、まあ及第点だな、ありきたりだが筋は通る
普遍的な価値として善悪を定めてしまうのは、人間としての壊死に近い
誰も彼も、死んだ様に生きたい訳じゃないからな

────── まぁ尤も、俺にとっては子供の言い訳にしか聞こえないけどな


【黒い短髪を派手に撫で付け、胸部を大きく露出した耽美的な黒のドレスシャツ】
【黒の司祭服を袖を通さずに羽織り、首元には申し訳程度のロザリオを垂らして】
【真紅の瞳が印象的な長身の男性であった、修道着の女とはある意味での同業者か】


はん、良い夜な訳あるか、理論と精神が倒錯した無秩序な殺人がしたけりゃその面倒な格好捨てて他所でやれ、他所で
あんたみたいなファッションシスターがいるから、こちとら余計な風評被害を受ける羽目になるんだ
わかったらとっととこの場を掃除して去るんだな、今なら見過ごしてやる


【口元加える煙草、────── 煙がふわりと夜に揺れた】
852 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/16(土) 23:17:08.99 ID:glZerSnn0
>>846


ええ、私も同感です。
各国と協調して行ったならまだしもいきなり自国のみで展開するとは
国の要職に異能者や魔術師を置いている国は少なくなりません、そうした国の反発は必至
―――一方で反異能≠ノ同調する活動も増えてきてはいるようですが。

完璧に殺菌された環境で生きる人間はある意味どんな病人よりも弱くなる。


【ブランデーを自分のグラスへと注ぎ、カランと一度揺らしてから口につける。】
【「政治家というのは大変ですね」とどこか無感情で相手を労う言葉を口にする。】


ええ、まぁ………そういった資源は我が国の重要な資産です。
元ある環境に少しばかり手をつけただけですよ、まだ何も見せてはいない=B


承りました。それでは我々が貴国に土足で踏み込む極東の蛮族を退けましょう。


【そう言うと、今一度不敵に微笑む―――。】


その為のまず一手、先日のフルーソ港5番ポート爆破事件ですが
あちらを我が国の工作員が行ったという情報を流布して頂きたい。
公的ではなく、あくまでもインターネットやメディアを通した噂としてです

情報操作はお手の物―――でしょう?


【唐突な申し出。それも自ら渦中に飛び込むようなやり方だった。】
853 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/16(土) 23:19:48.98 ID:m8A9njM1o
>>848>>849

【異質な臭いが鼻腔を刺激する。表情の変化が少ないシャリーアも違和感に眉根を寄せる】
【ベルガーが走り出したのと同時にシャリーアも駆け出した。一応は彼の後を追う程度の速度で】
【路地裏を抜けた先に見えたのは焼け落ちる家屋。何が起きたのかは分からなかった、が】


────…………二人はそこで待ってて


【たった一言だけ残して、シャリーアは駆け出した。爆発的な速度で家屋まで向かい、そのまま内部に突入する】
【行動に殆ど躊躇いはなかった。臭いと状況からして生存者がいる可能性はゼロに等しい。それでもだ】
【“特殊な肉体”を持つ彼女は炎の中でも活動が可能だった。探すのは生存者と、あるいは遺体だ】
854 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/16(土) 23:25:53.16 ID:glZerSnn0
>>850


――――――ぷ。


ぷっはっはっはは!あはははははははは!そんな捨てられた子犬みたいな顔しないでよ!
アハハハハハ!あー面白い!ごめんごめん、なんとなくからかってみただけさ。

そんなバレバレな変身°Cが付かないわけないじゃないかあ。


【一瞬の間があった後、店内に響き渡る大きな笑い声。】
【泣きそうになりながら笑い、マリアベルは右腕で腹を抱えて身体を丸める。】
【店内の他のお客が怪訝な視線を向けるがお構いなし、一通り笑えば満足したように座りなおす。】


久しぶりだね、元気にしていたかい?
何か色々事情がありそうだけれど―――なんてお呼びすればいいかなお嬢さん?

あと、あまり女の子が誤解を招く言い方をしてはいけないよ?



【そう言いながらウィンクして相手を見つめて、そっと髪の毛に触れようとするだろう。】
【それなりに空気は読めるようだった、相手に自己紹介を促す。】
855 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 23:26:53.51 ID:gCnuxwsAo
>>852

【 ────── 病葉がその身を揺らす様に、彼女は小さく頷いてみせた】


……こうなることも定めだったのかもしれませんわ、元来人間が持つ感情とは羨望に他なりませんから
能力の有無、そして技術や魔術によってその差異を埋められる、となれば望むことも必然、と

─── ですが、先んじて動かれてしまうと……どんな理想も現実の前では脆いのですわ


【事実我が国は、なんて言葉を切った、それ以上は言うまでもない】


────── ええ構いませんが、昨今のインターネットの影響力は侮れませんわ
その様な工作をしてしまえば、爆破事件の首謀者として “貴国” の名が確定してしまいます

櫻も “公式発表” で ─── 水の国の仕業ではない、と言ってますから
国内の櫻へのヘイト感情が、貴国へと転換するのも考えられますわ


【彼女はそう尋ねた、本心から思っているかはわからないが】
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/16(土) 23:37:02.43 ID:xH1RXPic0
>>854

【――ぱちり、と、瞬きが一つあった。たっぷりとした睫毛は青い眼を飾り立てるには過剰なほど、それでいてようく見るなら、微かに薄藤をのぞかせるから】
【笑われるとは思ってなかったのだろう、唇を噤むように黙りこくっていた、目だけがまあるくまあるくなって、時々思い出したみたいに瞬いて、――、】

――――――――えっ、ええ? えぇ――、う、うそだあ、バレバレって、――っ、そりゃ、まあ、こんなに可愛い子、めったに、いないかもですけど――。
ぜんぜっ――、全然違うじゃないですかあっ、そんなあ……。

【お腹を抱えるほどの大爆笑を提供した覚えはやはりないらしかった、いくらもひどく驚いたように黙りこくってから、漏らす声、ひどく困惑に彩られ】
【どうにも本人はバレバレとは思っていないらしい、真っ白い髪と、真っ青の瞳と、――確かに印象はいくらも変わっているのだけれど、ジャンルとして、同じ方向性である気がした】
【それになにより黙りこくっていれば令嬢みたいな顔していたって、しゃべると途端に"これ"なのだから。悪意も悪気もないような一言は泣きそうな口元から漏れ出て】
【――笑われたことと、それから、周りからの目と。驚愕も抜ければ恥ずかしくなったのか、きゅうと背中を小さくする、そうやって、じゃりじゃりのカフェラテを一口、】

……元気じゃないですー、今のでショック受けました、私本気だったのに……。私のことは遊びだったんですね。失望しました、ファンやめます……。
かえでちゃんでいーですよ。かえでちゃんですから。――、――待雪かえで。それで、"はじめまして"のおねーさんはなんてお呼びすればいいですかね――。

あー子供扱いされてる! 子供扱いしてます、もお……。

【やっぱりおいしくなくて顔を顰めるのだから、女の子テストじゃ減点を食らうに違いなかった。というより、こんなに慌てふためく時点でレディとは程遠いのだけれど】
【ぶちぶちと恨みがましく呻いていた、手袋に包んだ指先をつんつんしていた、――呼ぶならば名前でいいらしい。ならばやっぱり"バレバレ"なんだろうか、そうなのだと思う】
【――髪の毛に触れられるなら、なんだか、急に大人ぶりたくなったのか。みーみー喚いているけど、多分あんまり気にしなくてよかった。――だから、元気、ということでいいのだろう】
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2019/02/16(土) 23:41:34.90 ID:Sp2lEMqs0
>>851
【――誹謗と取るか諭す言葉と取るか、面倒な輩を追い出す其れと取るか。男性の言葉の受け取り方はそれぞれだろうけれど】
【この女性からすれば、ただの音以外の何物でも無いのだろう】
【膝に乗せていたその人物を労るように、丁重に丁重に地面へと移動させてやれば】
【手元に転がしていた長剣を拾う事も無く立ち上がって】

無秩序な殺人……確かに、この場を見ればそうなのかもしれませんね
だけれど、それを決めるのはこの場を訪れたばかりの貴方にはまだ難しい事だとは思いませんか?
一度見て、そう感じ取ったらそれが答えだと決めてしまう――嗚呼、それとも“現代らしい”考え方なのでしょうか……
人々が命を落としていて、私だけが生きていて……それならば、此処に居る私が――……と
善も悪も元々は存在すらしなかった概念。それを浮かべてしまう事こそ、まだ鎖に縛られている事だと思いますよ

【くすり。一度楽しそうに笑って見せれば警戒する事も無く其方へと歩み寄るのだ】
【細いながらも女性らしい身体付き。男性が殺めようとするならば、素手で簡単に破壊できると思わせる程度には】
【司祭服の相手が拒絶の反応を見せなければ、寒空の下で互いの体温が感じ取れる程の距離にまでゆっくりと歩んで詰めるのだ】
【――害意は無い。気配を察知する事に長けているならば、慈愛を向けて居る事にも気付けるか】

他所で、とは言いますが……今宵先にこの場に居たのは私。後に通ったのが貴方――
「俺の通らない場所でしてくれ」なんて意地悪を込めた言葉なら、私はどの様に応えれば良いのでしょう?
流石に貴方の位置を逐一調べる訳にも行きませんし――……ねぇ
何処でヤれば良いのでしょう?こうして人々を鎖の呪縛から救済すると言った事は

【男性を見上げた瞳は何処までも透き通った白。純白、とも表せるか】
【全てが斑に朱色へ染まった姿に反して、その色だけは一切汚れを見せず】
【――歳にすれば17、8程度の娘。顔色を窺いながら小首を傾げて見せる姿もこの様な場所で無ければ相応であったか】
858 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/16(土) 23:51:34.73 ID:glZerSnn0
>>855


勿論、承知の上です。
今までのお話から推察すれば魔導海軍≠招致の手配をしたのはあなた方与党≠ナはなく
野党≠烽オくは別の公的機関であるでしょう。一方我々は与党≠ゥら復興支援の招致を受けた存在になる。

そしてその招致された氷の国軍が実は魔導海軍≠ヨの破壊工作を行っていた………
陰謀論者が大喜びしそうな構造ですね、だが構造はシンプルな方がいい
あとはフィクサー≠引っ張り出し魔導海軍≠ニもども。


【テルミドールの提案は中を覗けば与党≠ノも多少なりともダメージの及ぶものだった。】
【敵にこちら側の構造を可視化させ、その上で動いてくる状況に合わせて一網打尽にする、と。】
【だがそれはイレギュラー達からの注目も集める事になる。】
【世論全体の動きはこれからにかかってはいるが、与党にとっては大きな選挙を目前にしてリスクは小さくはない。】
【とはいえ最終的にすべてを氷の国に被せる事も可能な状況ではあった。】


―――とはいえ、恐らく燃えるのは貴国の大地です。


【付け足すようにテルミドールは淡々と口にした。】
859 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 23:53:10.22 ID:gCnuxwsAo
>>857

【ほう、と興味深そうな反応を示した、予想外にこの女、独特の観念を持っている】


俺たちは言葉を用いて意思をやり取りする、それは鎖に縛られながらも意味を問えるという事の証明だろう
少なくとも俺が生きる観念世界に於いてはそれが道理だ、言い訳がしたいのなら誤解される様な行動はするべきじゃないしな
それっぽい理屈を述べてるだけの空虚な言葉で、煙に巻けるのは大人だけだぜ嬢ちゃん


【ふぅ、と少女の顔にタバコの煙を吹きかけるだろう、幻想を打破するのは何時だって現実の作用なのだから】


それが本心から必要な行動だと思うのであれば、こんな場所でするんじゃなくもっと人通りの多いとこですべきだな
少なくとも現代にいきてるのなら、マジョリティこそが正義だ、そっちの方が多くの人間を呪縛から救われるんじゃないか?
────── そうしないってのなら、アンタも結局頭ん中で損得勘定を弾いてる事になるが

俺は嬢ちゃんがそんな格好で好き勝手やられるのが勘弁ってだけさ、─── 教会 に関わりすらないんだろ?

さっきも言ったがこの社会ではマジョリティこそ正義なんだ、余計な疑いがこっちに来るのが一番困る
860 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/16(土) 23:58:12.65 ID:gCnuxwsAo
>>858

【少しばかり思案を選んだ、────── なるほど、氷の国の狼は何処までも “飢えている” と】
【リスクとリターンを天秤にかける、自分たちが野に下る可能性も視野に入れるべきか】
【 ────── だが、議席で事が済むのなら、安いものだ】


……気軽に言ってくれますわ、─── ですが、それしか選ぶ道がないのも事実です
私どもの状況で、貴国ほどの戦力をお借りできるのであれば、それは願っても無い申し出ですから

────── 燃えた大地はやがて生き返ります、けれどもそれは、そこに人がいなければいけませんわ

だからこそ、正しく理を結ぶ事ができる者達が、残っていなければいけません


【イスラフィールの返答は是であった、最早戦いは、国内だけでは終わらない】


────── 勝算はあるのでしょうか、魔導海軍は “魔導イージス艦” なる新型艦隊を用意している様ですが
861 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 00:01:43.72 ID:AePwOM1u0
>>856

いやあそうそう、こんな美少女あんまり知らないからさーウチの同居人ぐらいかな?
ああかえで≠ナ良いんだならそのままかえで≠チて呼ぶよ。

ごめんごめんて、私はマリアベル≠チて言うんだどうぞよろしくねぇ〜。


【ニコニコと笑いながら相手の髪をひとしきり撫でてから手を離してダージリンを口にする。】
【以前部屋に来た時に人の気配はなかっただろうが、どうやら同居人がいるような口ぶりだが………】
【眼を細めて相手を見つめながらくすくすと笑い続けている。】


まぁ元気そうで安心したよ、今は路地裏で泣いてはいないみたいだね?
私の方は………ご覧の通り腕がもげてしまったけどねぇ、いやぁ痛かった痛かった。


【そんな事を言いながら空っぽの左袖を右手でつまんでひらひらと動かした。】
862 : ◆RqRnviRidE [sage saga]:2019/02/17(日) 00:02:27.46 ID:JMqmwsTNo
>>845>>853

【地を蹴る蹄の音が二人の後に続く、そうして目の当たりにしたのは焦土と化した凄惨な光景】
【膝から頽れる少年、炎の中へ飛び込む少女、対して女は呆然とその場に立ち尽くしていた】
【何が起きたのかは分からない、しかし何かがあったことは理解ができる。 きっと何かに誰かの居場所を奪われたのだ】

──── ひっどおい……、なんなの、こんなに跡形も無くさなくたって良くない?

シャリーアちゃん気を付けてねえ、火傷しないでよお!
ベルガーちゃんは待ってて、いま霊香ちゃんが“視て”みるからぁ……よい、しょっ!

【シャリーアとベルガーにそう声を掛け、霊香はハルバードの柄を両手でしっかりと握り締める】
【刃に纏うのは先程も起こっていた“ピンクの靄”──大きく振りかぶって横凪ぎに一閃すれば、靄は三日月型の形を成して辺り空中に拡がるだろう】
【そうして数秒も経たぬ内、そこに留まる靄がスクリーン代わりとなり、そこに何か映像を写し出す】

【──── それは“ここ”で“何”が起きたかを映写するものだった、いま再生されるのは視覚情報のみではあるものの】
【しばしば現れるピンクの靄 ── 即ち霊香の“魔力”を介し、記憶の読取と再生を行うのが彼女の能力であった】
【出会ったときの人間の脚の見せかけもそういったからくりだったのだ、──そうしてここで何があったのかを暴かんとする】
863 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 00:07:03.29 ID:7GjfKkb6o
>>853>>862

【ベルガーはその速度に付いて行けなかった、疾走するシャリーアを視界の隅に捉えて】
【危険だ! 止めろ! と声をあげた、─── 燃え盛る家屋の中へ、今にも突撃しそうな勢いで】
【事実、飛び込もうとする、─── 彼にはただの肉体であった、焼ける炎が身を焼いて、理性を取り戻させた】


【室内は地獄の様な惨状であった、血の匂いと、破壊の痕跡、─── 間違いない、内部は破壊され尽くした後に火をつけられた】
【足元に転がるのは炭化した遺体の数々、─── 輪郭だけしかわからない、けれども、もがれた四肢が先か後かなんて、子供でもわかる】
【そこには徹底的な悪意が残っていた、────── どうしてか、どうして同じ筈の人間を此処まで無残に殺す事ができるのか、と】


【シャリーアは室内を進むのだろう、────── そして最後の部屋、今にも崩れかけた扉を開いたなら】
【 “罰” ────── と書かれていた、壁に刻まれた血の文字は、煌々と燃える炎に照らされて】
【それが全てであった、─── 貴女が得ることのできる、全て】


【ベルガーは霊香の言葉を信じた、─── 描き出される惨劇の光景】

【暴徒が室内に押し入り、破壊の限りを尽くしていた、殺戮のみならず人間性の破綻した行動まで、弄ばれる死体の光景に、ベルガーは吐き気を催して】
【けれども、映像に映ったのは最後まで暴徒でしかなかった、彼らの内一人がメモを見ながら壁に血で文字を書き、火を放つ】
【声なども再生されていれば、もう少し情報を得ることができたのだが、──────】
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 00:15:23.02 ID:zW0aaxma0
>>861

【――にこにこ笑って少女の頭を撫ぜるマリアベルと真逆に、彼女は頬を膨らますのだろうか。いかにも私カワイイですって言うようなのとは少し違う、ほんとに拗ねちゃったような】
【あんまりに素直にむくれていた。じとりと伏せた眼差しはきっと責める色をしていた。とはいえ長い睫毛と眼鏡のレンズ越しであるなら、かわいらしさを添付された睥睨になり】
【それにそこまで本気では怒っていないのだから、つまるところポーズなのだろう。子供扱いされて怒っていますって言うだけの。十七歳にとって死活問題なのだから】

知らないですー。美少女と同居だなんて羨ましいです。……でーもー、私だって、めちゃ可愛い女の子と暮らしてますからっ。えへん。
それに私の方は可愛くって恰好いいので一粒で二度おいしくって。えへへへ――――。

【ぷいと顔ごと目を逸らした。拗ねたままの頬っぺたじゃ喋れないから息を吐きだしたなら、つんけんした声、けれど長続きはしないのだろう】
【すぐに声がふわあってほどけるのだから分かりやすい、待ちわびた春風を浴びたたんぽぽの綿毛みたい、ぷわあって綻ぶ声音と頬っぺたと、笑ってみせたら】
【少しだけふわり赤らむ頬っぺたを指先が抑え込む、――放っておいたらそのままいつまでも惚気始めそうな顔と声をしていた、それでも、】

――だって、路地裏、危ないじゃないですかぁ。ちょっと人気のないところ行っただけで命の危機です。……。
――――――そんなに軽く言うことじゃなくないですか!?

【ぶーともう一度拗ねた声が戻ってくる、――路地裏だなんて危ないの、なんて、分かり切ったことではあるけれど、彼女はきっとそれを気にしない子だったのに】
【ならば何かあったのかもしれなかった。見た目を偽って名前を偽った時点で"なにか"あったのは明白でもあった。――ふうと気の重たいようなため息一つ、漏らした、刹那】
【目が丸くなる、――処理落ちしたパソコンみたいな沈黙一瞬、がたんっって音は、彼女の両手が机をひっぱたいた音、思わず立ち上がってしまったときの椅子の音、なら】

わっ――あっ……、

【――心配するの半分、せめてもうちょっと深刻そうにしてほしかった気持ち半分、我儘なんだけれど、こう、なんとなく、腑に落ちない】
【とかく彼女は思いっきり店内の視線を集めてしまうのだろうか、――――――すとんと座り直した咳払い一つ、じゃりじゃりのカフェラテを令嬢の作法で飲み干して、】

――――あの、えっと、――、アールグレイをください、ホットで。

【――――男子校の高校生なら十回くらい殺して尚おつりがくるような笑顔で、最寄の店員に注文をするのだ。しとり淑やかに顰めた声音、――、店員が居なくなったなら、】
【よし誤魔化した!って感じの顔をしているんだからダメダメだった。――もっかい笑われてしまっても仕方ないような、そんな不出来、見せつけて】
865 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 00:17:53.30 ID:AePwOM1u0
>>860


然り、気が合いそうですね我々は。
結局のところ国を維持するために必要なのは権力でも法でもない。
故に民の血は出来る限り″ナ小限に抑えなければならない、そのためには戦地≠こちらでコントロールする必要がある。
イニシアチブを取ることは最優先事項です、先ほどの強硬策を提案したのはそれが理由です。
大きく、目につく形で相手より先に動かなければならない。

二つ、希望を出すとすれば

1.水の国内の氷の国国民の一時的な安全確保、こちらはあくまでそう見せる≠セけでも構いません。
2.工作を行ったのは我々特務機関イヴァン≠ノよる可能性が高いという情報の追加。

になります。


【やはりテルミドールは軍人だ、そこはイスラフィールとは根本的に違う。】
【どこまでの戦場≠ナ物事を解決しようとしている、さらにどうやら自己犠牲精神もあるらしい。】



言ったでしょうまだ何も見せていない≠ニ。
魔導海軍は率先的に市民とも交流し、その象徴的な艦隊を以て信頼を得ている。

我々もそれに正面から挑むとしましょう、徹底的な市民へと支援と象徴的な力≠ナね。


【膝の上で手を組んで、テルミドールは笑う。だがそれもどこか芝居がかった様子のように見えた。】
866 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 00:21:02.83 ID:E6ifN2nXo
>>862>>863

【燃え盛る家屋の中に突入したシャリーアは手早く周囲の状況を確認した】
【足元に転がる多数の遺体。思わず溜息をつきたくなったが、腕で口元を覆っている以上、その余裕はない】


(これは……思ったよりも酷いな。かなり念入りにやられてる
 悪漢なのか組織的なものなのか、こっちの世界に疎い僕じゃ分からないな)


【業火を前に躊躇うことなく奥へと突き進む。踊る炎が舐めるように少女の肌を焦がそうとするが】
【魔力の淡い輝きがそれを拒絶する。物理現象を遮断するほどの強烈な魔力だった】
【深奥にたどり着いたシャリーアを待っていたのはたった一つの文字だった】


(罰……? 何に対する?
 いや、考えるのは後にしよう。今はそれよりも先に…………)


【他にめぼしいものがないかを確認した後で、シャリーアは炭化してしまった遺体を担ぎ上げる】
【少女の膂力ではとても抱えきれないそれらをシャリーアは難なく持ち上げていた】
【しかし炭化するほどの赤熱された遺体は少女の身体を容赦無く熱する。苦痛に歯噛みして耐える】

【時間にしてどれぐらいか。出てきたときと同じような勢いでシャリーアは家屋の中から飛び出してきた】
【抱えられるだけの遺体を抱えて。証拠というよりはすこしでもマシな状態で留めるために】
【遺体を床に置いてから、急いで上着を脱ぎ捨てる。薄手のシャツだけになった少女の肌は至る所が焼け焦げていた】

//すいません、凍結お願いします
//置きに移るかはお二人にお任せします……!
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2019/02/17(日) 00:22:21.27 ID:yE99XIsx0
>>859
だけれど、言葉でその意思を隠す事も誤魔化してしまう事も出来てしまいます
だって、言葉自体が意味を持っている強い鎖なのですから
貴方の言葉……それは本心から考えての物ですか?それとも、今思いついた事を言って居るだけでしょうか……ただ面倒だから適当に言って居るだけ?
――ふふ♪ 誤解していると思っているのは貴方だけかもしれませんよ?
そう言えば何処かの救世主サマも当時の情勢で悪と決められて張り付けに……っけほ。

もぅ……煙草。身体に悪いからダメ、です

【今では救世主扱いされている伝説上の人物だって当時は処刑の対象となる様な者だった。――悪戯っぽく笑いながらそう言おうとしたけれど】
【遠慮無しに顔に吹き付けられるその紫煙に忽ち目が赤く充血して、言葉を続ける事も叶わず少しの間咳き込み】
【やがては怒った様に少し頬を膨らまして煙草へと手を伸ばすのだろう】
【もし手が届いたならば。親指と人差し指で摘み、そのまま口から引き抜いてしまって】

――それも当然考えたのですが、ダメなんです
人間は同じ考えの人々で群れれば、其処に一石投じた所で波紋も広げられずに終わってしまう
鎖の呪縛から解く事も出来ず、ただ殺めるだけ……それは私の理想ではありませんから
恐らくは悲鳴、罵倒、恐怖。それだけで終わってしまう事でしょう
だから、こうしてお話をちゃんと聞いて下さる方で無いと
……貴方だって、売り子でも無い街中の人の言葉に真剣に耳を傾ける事は少ないでしょう?

【その言葉から知れるのは無意味な殺戮では無いと言う事か】
【男性の指摘通り、人通りの多い所で殺める事だって出来た筈だが――少女曰く、それでは恐怖のみで事切れてしまう】
【それだとダメなのだ、と】

――――何故、教会に関わりが無いと思いましたか
公に知られる教会は神様を信仰するから?人々を導くから?現代で定められている善行を積むから?
確かに今の価値観からすれば私はそう見えないかもしれませんが……私も教会≠フ人間ですよ
貴方の言って居るであろう教会であったのは尤も少し前まで、ですが

【男性の目の奥を見透かそうとでもするかの様に未だ僅かに充血した目を細くして】
【一番最初、男性は「見逃す」なんて言葉を口にしていた――ならば。其処から考えるのは見逃さなかった時の未来だ】
【その言葉を用いる事からして男性がただ祈り聖書を読むだけの司祭で無い事は容易に分かる。或いはその服装からも厳格な人物とは異なるだろう、と】
868 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 00:25:13.49 ID:7GjfKkb6o
>>865

【政治の分野と軍事の分野と、相容れぬ平行線の交わりに二つは存在していた、それと同時に、厄介さを兼ね備えて】
【このテルミドール、聡明であると同時に狡猾である、とイスラフィールは内心評した、論理に隙がなく、そして】
【 ────── それは同時に、謀りの深さをも示していた、どこまで考えているのか、と】


国民が居てこその国である事に異論はありませんわ、流石世界でも有数の人口を抱える貴国ですわ
─── 発言に確かな説得力があります故に、私も心から信頼できるというものです

加えて、追加の条件も了承致しました、私の手筈通りに進めば問題なく進行するでしょう


【 ────── 確かな自信の現れであった、それをそのまま受け取るべきか、否か】


お忘れなきよう、何も見せていない≠ニいう事は、裏返せば 何も証明できていない≠ニいう事ですわ
私は貴方様を信用しています、けれども、それを全幅と呼ぶには私達はまだ浅いのです

────── 出会ったばかりの二人が、全てをさらけ出すだなんて、興ざめでしょう?
869 : ◆RqRnviRidE [sage saga]:2019/02/17(日) 00:28:23.14 ID:JMqmwsTNo
>>863>>866
/凍結かしこまりました!一旦本スレにそのまま返信させていただきます
870 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 00:29:22.68 ID:AePwOM1u0
>>864

いやぁ、別に同居ってわけではないね。まぁいい子だよ、議員活動が大分忙しいみたいだけど。
―――この前、ロールシャッハ卿の空間で一緒にいた人かな?

なんだか私に似て綺麗な銀髪の人だったね、あーまさかそういう事かい?悲しいなぁ。


【そう言うとわざとらしくマリアベルは肩を落とす、ちらりと相手を見つめながら。】
【相手の惚気をさらりと躱しつつ攻撃を加えようと言うのだ、割と厄介かもしれない。】
【まぁあくまで冗談の範囲内なのだが。】


ふふ、そうだね………これからは特に近づかない方がいい。
いやまぁなってしまったものは仕方ないよね、櫻の国≠フ人は恐ろしいよ全く。


心配してくれるなら家にきて色々手伝ってほしいなぁ、お風呂とか大変でさ。


【片目を伏せながら、再び意地悪くそう言うのだった。】
871 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 00:34:04.68 ID:7GjfKkb6o
>>867

【煙草を引き抜かれ彼は笑った、案外可愛い所あるな、なんて色合いを見せて】


さあな、人間の心なんて常に一点にあるわけじゃない、流転していると考えるのが自然だ
俺の発言は俺の観念に由来するが、その観念が常に同じ位置に保っているとは考えづらい
だとすれば、俺の本心だなんてもんは、存外 ────── 俺自身もわからないのかもしれないな

況や他人である嬢ちゃんにも分からないさ、俺も嬢ちゃんが煙草嫌いだなんて思ってなかったしな
意外だな、健康志向か? それともそのよく実った身体つきを穢されたくないだなんて、旧来の価値観でも持ってるのか?
くく、いいじゃねぇか、そっちの方が、可愛げがあるぜ


【ふぅん、と手持ち無沙汰に続く発言を聞いていた、─── 少なくとも、彼を納得させる程の理論ではないのだろう、あるいは】
【元より、納得するつもりなどないのかもしれないが】


────── 対話だなんて手段が前時代的だと思うがな、まあいい、本質はそこじゃない

そうだ、俺はその場合を危惧していた、アンタみたいな人間が教会≠フ人間であった場合だ
何故教会≠ノ関わりがないと思ったかって? 当たり前だろ、そうあって欲しくないと願ってたんだ、俺は
クソったれな旧教の連中にありがちだよな、自分の理論に酔って好き勝手して、────── 全く

俺の名はマクスウェルマーリン<Eェーバー、教会≠フ枢機卿だ

まあマーリンと呼べ、で、お前が未だに教会≠フ人間だと言うのであれば



────── 俺の言うことに従え、そうすれば、お前の願いを叶えてやる
872 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 00:34:55.28 ID:7GjfKkb6o
>>866>>869
/凍結了解ですー私も本スレにお返事するので
/その後ミー君の返事を置きの方にお願いします!
/といってもそろそろ終わりそうですが!
873 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 00:42:34.37 ID:AePwOM1u0
>>868


いやはや作物が足らず、国民全員を食わせるのも一苦労ですがね。
故に国土も近く豊富な資源と自然を持つ貴国との関係は続けていきたいものです。

―――そのためなら、私は喜んで泥を被り闘いましょう。


【大した献身ぶりだが、これは戦後の関係性までを見据えての事だろうか。】
【水の国、その中枢への借りを作る。そのためならば自身すらもBETする事を厭わない。】
【シンプルでいて、危険な思考の男であった。】


フ、ハハそうでしたな。いやはや失敬一人よがりをお許しください。

では一度つついてみますか?魔導海軍≠。
貴国の領海内で人払い≠ニジャミングをして頂きそこで強襲をかけたりなど。
とはいえ向こうの艦隊に映像記録を残せない筈もありませんので、さらに世論はこちらの逆風になりますが。


【いつでも力を見せる準備は出来ている、そういう意味も込めての提案だった。】
【やはりこの狼は血に飢えすぎている。鎖はしっかりと握らねば飼い主すら噛みかねない】
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 00:42:44.57 ID:zW0aaxma0
>>870

議員……。議員て、あの議員ですか? ふーん……。高給取りですね。――――――――、うあっ!? そ、う、です、けどー。
……――だけど、私、違いますよ? 髪の色で好みとか、ないですしっ。それに、私、女の人が好きだったわけじゃなくって……。その……。

【議員。――はたりとした瞬きが繰り返された、ふーんて声は、何か思い浮かんでいるのかもしれない、けれど同一人物かなんて保証はないから、黙りこくり】
【――それが、尋ねられたことへの思案への沈黙へすり替わっていたのは見たらすぐに分かるんだろう。そういえば貴女とあの人はその時に見ていたかもしれない、なんて】
【――――冗談めかした攻撃には、ふふんと少しだけ勝ち誇ったような顔。髪の色でどうと決めるわけではないし、ましてや、もともとは女の人にドキドキすることもなかったから】

【(少しだけ気まずそうに逸らす目は。つまりは"躾けられて"しまったのだと言外に訴えていた、から?)】

――――――そうします。ていうか、そうなると、大通り歩くのも、ちょっと怖くて、――、もっと強くならなくちゃ、ならなくて……。
……櫻ってアレですよね、切腹? 私も、母方が櫻系なんですけど、だいぶ薄れてるので、ちょっと、その辺よく分かんないですけど。……。

それは、同居してる美少女にやってもらってくださいよぉ、――髪の毛もお胸も太ももだって、その人に洗ってもらったら、良くってー。

【ぶうと拗ねる吐息。もっといろいろな場所を好きに勝手に自由にうろついて生きていきたいのに、なんて、猫みたいなことを考えているのに違いなかった、けど】
【――何かに狙われているのかもしれなかった。それでも生きている程度の力は持ち合わせているんだろう。だけれども、これ以上先も安心していられるかといえば、きっと、違うなら】
【もっと強くなりたいだなんて呟く少女の元へホットのアールグレイが届く、――故に一瞬だけ言葉を区切る、店員が離れていったなら、そんな風に、仕返しの言葉、一つ投げかけ】

まあ、その、お風呂とかじゃなかったら、いいですけど――。

【――――ただ、もうちょっと軽微なお手伝いならいくらでもするんだって。いつかに優しくしてもらった恩、今だって、きちんと覚えているのだから】
875 : ◆RqRnviRidE [sage saga]:2019/02/17(日) 00:47:08.26 ID:JMqmwsTNo
>>863>>866

【映し出されたのは文字通り暴虐の限りであった、焼け落ちる家屋をスクリーンの背景に、霊香はただただぼうっとそれを眺めていた】
【映像が終わるとハルバードを振り抜いた状態のままで霊香はハッと我に返る、そこに肌が焼け焦げた少女と苦痛に蹲る少年の姿を目にしたから】
【普段再生できる情報は一度につき一種類だけ──それが霊香の能力の欠点だった、故に記録媒体のように映像と音は同時に再生ができない】

── シャリーアちゃん! ちょっと大丈夫なの、ひっどい傷……それにこんなに死んじゃって……
もぉほんとワケわかんない、中に何かあった? 血の……なんだろ、文字、みたいなやつ……?

── ねぇ! ベルガーちゃんもしっかり聞いててっ、もしかしたら、たぶん、何か聞こえるかもだから

【そうして飛び出してきたシャリーアに霊香は駆け寄って尋ねるだろう、ピンクの靄の中を真っ直ぐに突っ切っていく】
【靄はたちまち霧散するが、その直後に“音”を拾ってくる。 暴虐の最中の音声である、雑音が激しいだろうが三人の耳にはきっと真実が届くはずだ】
【片耳は火の粉の爆ぜる音を聴きながら、もう片方の耳をそばだてて記憶の痕跡を聞き取らんとする】
876 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 00:53:44.23 ID:7GjfKkb6o
>>873

【先の先まで見据えた男だと、彼女は感じていた、ここで水の国に恩義を売ることの重要性を理解している】
【大国である事は変わりない、だとすれば、今の内に恩を売ると言う考えは非常に合理的であると言える】
【その一方で、────── 彼女もまた、思惑を含んでいる事は、言うまでもない】


食料自給率を保ったまま最先端の技術を有している、─── 我が国の誇りは同時に強みにもなりますわ、“新楼市”という犠牲はあったにせよ
ふふ、寧ろそう言い切ってもらえた方が私としてはやりやすいですわ、利害の一致程信頼できる関係はありませんから
議会の方にも働きかける事に致しましょう、────── ええ、渡りに船とはこの事です


【 ────── 沈黙、“危険人物” である、とは知っていた、けれども、ここまでとは】
【 “餓狼” と誰かが評していた、しかし、と彼女は内心付け加えた、それでは全くもって言葉が足りない】
【 “マナガルム” ────── 神話世界での狼こそが、ふさわしいと】


一流の軍人は冗談もお上手ですのね、もし万が一それが成功したとしても我が国は公にする事が出来ませんわ
もっとよい力の振るい所があるはずですわ、そう、例えば ──────


【イスラフィールはタブレットを取り出す、再生される動画は櫻の国が出した声明、─── 魔導イージス艦のセレモニーの話であった】
【国際社会に向けて大々的にアピールされる瞬間、────── 狙い目である、と彼女は暗に伝えた】
877 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 00:55:57.34 ID:AePwOM1u0
>>874

ああそうだよ、イスラフィール。やっぱり有名人なのかな?
今日は氷の国方面に出張とかなんとか言ってたから私はこうして暇なわけさ。
まぁ別にいつも一緒にいるわけではないけども、片腕がないと色々不便でねぇ。

―――ああ、そういうやつね。


【やはり愉し気に笑いながら、かえでの肩を指先でつんつんと突こうとするだろう。】
【「好きになった人がたまたまそうでしたって奴でしょ?」とよく分からない理屈を口にする。】
【どうにも今日のマリアベルは怪我に反して陽気だった。】


まぁあんまり無理して強くならなくていいんじゃないかな。
へぇ―――あの国も結構色々あるみたいだよ、私は俗世に興味がないけど

いやいや、あの子にお願いしたらそれこそ全て洗いざらいされて何もなくなっちゃうよ。


冗談だよ、君は身近な人の助けになってあげるといい。


【眼を細めて優し気に笑うと、そう言った。どこか瞳の奥には深い孤独を感じさせた。】
878 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 01:00:31.53 ID:7GjfKkb6o
>>866>>875

【シャリーアが戻ってくる、その両手に抱えられるだけの遺体を抱えて】
【すぐにベルガーは我に返った、────── 火傷したシャリーアへ向けて】
【胸元から取り出すのは塗り薬、大丈夫、と小さくうなずいて】


……人間が本来持ってる免疫力を高める薬なんだ、これぐらいの火傷なら、すぐに治るよ


【言葉は短かった、可能なら、直ぐに傷跡に処置を施そうとするだろう】
【視界に入る、遺体の惨状に時折目を背けながら、────── それでも】


っ……わかった、ありがとう霊香、────── 研ぎ澄ます、よ


【耳を傾ける、────── 背けたくなる様な、数多の音を聞きながら】


「ひゃはは!! この避難所は能力者を匿ってやがったからなぁ!!」
「しかも、医者や協力者にも能力者がいるって噂だ!!」
「合法的に人を殺せて、しかも楽しめる!! 全く、情報をくれたやつに感謝だぜ!」


「しっかし、なんでまたこんな文字をかけって? 意味がわからんな」
「いいから黙ってかけ、そこまでが依頼だ、それが終わったら火付けて逃げるぞ」


【どうやらこの破壊は計画的なものであった様だ、ベルガーの口元が強く結ばれる】
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2019/02/17(日) 01:03:11.57 ID:yE99XIsx0
>>871

そうなんです。常に一点にある訳では無いのに、何故皆さんが言う善も悪もその概念だけは昔から変わらないのでしょう
時代は変わる〜なんて言いながら根本的な物は何も変えようとすらしない
元々そう言う物だ、と産まれた時から教え込まれているからそもそも疑問に思う人が居ないのでしょうけれど

――……もう。そんないやらしー例え方するとほっぺた抓っちゃいますよ?
別に私だけの身体ならば煙草もお酒も気にしませんが、そういう訳では無くなってしまっているので
……でも、別な回答の方が満足して頂けるならば乙女なりに美容には気を配っている……と言う事にしておきましょうか……

【殺戮者でも無い。だが一介の少女でも無い】
【手にしていた煙草を地面に落とし、踵で何度か踏んで火を消してしまえばゴミと化した其れを懐にしまう、が】
【その最中に聞こえた言葉。特に「願いを叶えてやる」なんて其れには強く反応したのだろう】
【――其れは決して前向きな物では無かった。小馬鹿にするとも異なった……何とも表し難いものではあるけれど】


自分の理論に酔って好き勝手。……本来はそれだって、人それぞれの捉え方です
所でマーリン。私が欲しい物。私の願いが何か知っている上で其の言葉を言ったのでしょうか

【僅かに少女の気配が変わる。敵意では無い――が、友好的とも取れない】
【そしてこの少女自体から漂うのは“人間”とは異なるソレだ】
【もしもマーリンと名乗った男が天使だ悪魔だといった存在と相対した事が在るのならば、正しくソレに近く】


ねぇ、マーリン。私が……ユダが欲しているモノを当てる事が出来たなら、一生貴方に従います
尽くして、尽くして、尽くし尽くして……私の存在それ自体を貴方に差し上げます
そうですね……きっと私の信徒達も全て貴方に従う事でしょう
貴方がその事を望まなかったとしても、私の全てを捧げます

【ユダ。本名か偽名かは分からずとも、歴史として語られる中で裏切りの信徒である事は確か】
【楽しそうに笑って見せて、まだ僅かに幼さの残る手が男性の頬へと伸ばされる事だろう】
【まるで親が子に行うかのような問い掛け。頬を撫で、急かす事も無く】

だから――マーリン。私は一体何を望んでいるのでしょう?

【聖書に記された聖人が弟子に問うたかのように】
【答えるのも答えないのも男性の自由。或いは、何も答えずに此処で関わりを断ってしまうのが最善の手である可能性だって否めない】
880 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 01:07:58.61 ID:AePwOM1u0
>>876


犠牲≠ナすか、まだ住民が息づいているにも関わらず中々過激な表現ですね。
ええそうですね特にあなた方政治家はそうでしょう。我々軍人は少し価値観は異なりますが
国≠ニ国≠フ向き合いとなればこれが一番シンプルだ。


【テルミドールという男はどうやらシンプルなものが好きなようだった。】
【であればイスラフィール側とこうして結びついているのは必然であるとも言えた】
【表面的な話では、だが。】


おや、むしろ公にならない場で潰していくべきだと思いましたが
魔導海軍≠ェ貴国の中枢とどれほど絡み合っているかが分からぬ状況ですから。

ですがより派手な舞台を整えてくださるの出れば願ってもない。
―――しかしあれだけのテロがあってよくセレモニーなど開催できるものだ。


【テルミドールはタブレットへと視線を落としながら顎に手を当ててくつくつと笑う。】


招致致しました、タイミングはお任せ致しましょう。
ですがこちらもこちらで水面下では動かせて頂きます、大規模な戦闘はしないとお約束した上で。
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 01:12:09.25 ID:zW0aaxma0
>>877

まあ、私も、ナンパされましたけど――。――大変ですねえ、気が多い人と一緒だと。私はー、アリアさん一筋ですから――。
――ちが……うぐ……ちがくな……うぐぐ。なんていうか――、そのお、……。そりゃ、まあ、うわーめっちゃ美人だなーって、初対面の時、思いましたkえど……。
"あんなふう"にされたら誰だって好きになっちゃいますよ、……そーゆーやつ、です。……。…………。

【にまと笑った顔がいやにあどけないのだろうか。誇るように張った胸元はやっぱり男子校の高校生を十五回くらい殺して余りあるほどの威力、見せつけて】
【"そういうやつ"って言った理屈を素直に受け入れられないのは素直じゃないのか照れているのかそれとももっと複雑なのか、――、とかく確かであるのは、】
【割合に一目ぼれに近しいらしい。それから、引き摺りこまれたのだろう。ちょっとの綻びを引き裂かれるように愛されて、ぜんぶ、ぜんぶ、零れ出ちゃったのだと言外に伝え】
【肩口を突かれるのにはあまり文句を言わなかった、――あんなふうにされたら誰だって好きになる。そういうやつ。はてさてどういう奴なのだか。――なんて、?】

……嫌です。アリアさんの泣いちゃうとこ、あんまり、見たくないから……。――みたい、ですね? 私も、よくは、知らないですけど。……。
あの人、結構、押しが強そうですよね。嫋やかな顔して結構我が強いっていうか。ワンちゃんの着ぐるみ被った、狼っていうかあ――。

【嫌だと言って小さく首を揺らした、――その仕草がごく悲痛さに満ちているなら、何か伝わるのだろうか。護られるお姫様であることに文句も不満もないけれど】
【自分の弱さゆえに愛しい人を泣かせてしまうのは嫌なのだと、――護られる姫君であっても、いつだって自分を護れなくちゃならないのだと。そのうえで、命を委ねたいのだと】
【小さくため息が漏れた、――溜息ばっかりの一日であるらしかった。ただ、強くなりたいのなら、方法など分かり切っているのだから、過度に悩まなくて済むのは、まだよかった】
【――――件の人物に関しては言いたい放題だったけれど、悪気はないらしかった。確かに一緒にお風呂とか入ったら全部持っていかれそうだなんて、そんな風な軽口が、】

――――――むー。そういう風に言われたら、放っておくの、ひどい人みたいじゃないですか。……。簡単なことなら、いいですよ。
あんまり遅く帰ったら怒られちゃうから。――夜とかになっちゃうのは、駄目です! お泊りとかはしなくって。それでいいなら、やりますよ?

【「この前優しくしてもらいましたから」】
【――なればわりに甘い性質であるのかもしれない、優しいと言うのなら、確かにそうなのだろう。人の助けになれるのは好きだった、だって、長子で姉の宿命だから】
【ただし遅くまでかかるようなことは手伝えない。曰くやはり例の想い人に心配をさせてしまうから。朝帰りも駄目。かつて一度それで結構大変なことに、なったから】
882 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 01:20:50.21 ID:7GjfKkb6o
>>879

【哲学的だな、なんて相槌を打つ、────── 善悪の観点に於いては、些かばかり彼にとって興味深かった】


もう少し視野を広げてみるといい、善悪の概念はより根源的な部分を言えば “道徳” に根付いている
そして、その道徳自体も二つの見立てがあるが、────── まあこの辺りは脱線してしまうな
一つだけ反論するのであれば、嬢ちゃんが持ったそんな疑問を考えた人間は以前にも居る、と伝えておこう

────── 古人曰く、善悪の彼岸に立てとよ、そしたら少しは優しくなれるんじゃねぇか?

はは! 嬢ちゃんみたいな可愛い娘にほっぺた抓られるなら、男冥利に尽きるね、どうぞ気の行くままに、お気に召すまま、好きなだけ俺を貪れよ
お、って事は乙女じゃないのか、─── ふぅん、そいつは少しばかり残念だ、まぁそんあ信仰はねぇけどな
お堅い娘をこじ開けるのもまた、神に仕える者の使命だろ? 産めよ増やせよが神の願いさ


【雰囲気が変わる、────── 真紅の瞳を細めて、紡がれるのは “ユダ” だなんて物騒な名前だ、誰が付けた】
【頬を撫でる柔らかな感触、陳腐だ、とさえ思った、────── 表層だけを嗜好委ねる行いは、産業的に捨てられる文化と違いない】
【それは問いかけだろうか、あるいは呪いであろうか、誘いと呼ぶには些か胡乱】


知る訳ないだろ? たかが人間に何を望んでんだ、壮大な名前の割に案外せこいんだな、超越者ぶるのも良いが、今必要な場か、それ?
アンタの全てなんて別に欲しいとも思わんけどな、─── だが、俺の手駒になる連中は一人でも多けりゃいい、単純な理屈だ
だから俺は嬢ちゃんが何を望んでるかなんて知らんし、分からん、だから答えられない、どうしても答えが欲しけりゃ俺の熱い接吻と答えておこうか

────── 違うか? それは残念、教会のシスター百万人が啼いて求める接吻を、今なら大安売りしてやるんだがな


【そう言ってニヒルに笑う、────── 一片の曇りもなく、言葉を紡ぎ】


だが、どんな願いでも叶えてやれる、─── 願いの内容を知ってるか否かは重要じゃない、そうは思わないか?
883 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 01:25:22.82 ID:AePwOM1u0
>>881

あはは、そうかいナンパされたかい。まぁ悪いようにはしないであげてよ。
あと私はイスラフィールとそういうのではないから、色々とお世話になってるから力になりたいだけ。
向こうは私のやりたいことを見たいようだけどね。

あーはいはい、あんまり甘くなりすぎると糖尿病になっちゃうからまた今度ね。


【マリアベルはあまりにも無慈悲だった、ヒラヒラと手を振って話を切ろうとする。】
【「けど残念だね、アリアさんて人がいなければ」とぽつりと相手に聞こえない程度に呟く。】
【どこか陰のある言い方だった。】


そうかい、じゃあ何か力になろうか?私のは特殊過ぎて教えられないケド。
まぁ誰しも仮面を被って生きているわけだよ、特にこの世界ではね………だから


【だから…の後は言葉は続かず、カップに残ったダージリンを一気に飲み干した。】


う〜ん、そういわれるとあまり浮かばないなぁ………ああそうだ


―――ここの会計任せていいかな?


【―――やはり意地悪であった。】
884 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 01:29:00.74 ID:7GjfKkb6o
>>880

【いいえ、と彼女は首を振る、────── 彼女が犠牲、と表現したのはあくまでも、市の話である、と】
【国と人とを分けて考える、それが彼女の基本であるのだ、と暗に伝えるだろう】


今国際社会の目は我が国に注がれていますわ、下手に暗躍するよりかは、大きく動いた方がいっその事良いのです
派手なテロが起きたからこそ、我が国を “守る” という名目の櫻は力を示さねばならないのですわ
救われた民は彼らを支持しているでしょう、ですが、未だ混沌としているのも事実です

故に、櫻は水の支持を得続けなければいけないのです、そうしなければ彼らはただの侵略者に堕落してしまうのですから
────── 逆説的に言えば、このセレモニーの場こそ、チャンスであるとも言えましょう

氷だけではありませんわ、─── その他の国と合わせ、“櫻州解放”を名目に連合艦隊を結成し、攻め込む
魔導イージスという櫻の“誇り”を破壊する事で士気の低下を、そして水の民を正しく先導できますわ

────── 国際社会の根回しはお任せあれ、必ず氷を “正義” へと昇華いたしますわ


【氷が勝利したならば、水の国への爆破事件も、櫻の非道に対する伏線であると解釈されるだろう、────── 全てが思惑通りに進む】
【その一方で、それは、勝利が大前提となる作戦でもあった、勝算は、と彼女は聞く】
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 01:42:37.25 ID:zW0aaxma0
>>883

――――――――えッ? 違うんですか? 今までのノリだとそこはこう……違わないのでは……?

【――ガーン、て感じの顔をするのだろうか。今までのノリとはつまりまあそういうノリなのだけど。自分だけ変に惚気ただけなのでは、って気づいてしまったなら】
【真っ白な頬が朱を帯びるのも致し方なし、ということにしてもらえるときっと彼女は喜ぶんだった、――無慈悲に話を切る仕草には、握られた蛙みたいな声を出していたけど】
【相手が何か呟いたのに気づけば、尋ね返すのだろう。なんですかって、――答えてもらえないならいくらか食い下がってから、諦めるのだろうか】

なってほしいです。特殊でも何でもよくって、――――、私、あんまり、そういうの聞ける人居なくて、……居ないですから、……。
お友達居ないってわけじゃないんですけど、その――お友達がいないわけじゃ、ないんですけど……。ないんですけど――。

【なれば、即答にも等しい言葉の温度、よほど真面目なのだと伝えていた。特殊でも何でもよかった、強さに繋がるものであれば、なんだって食べてしまいたかった】
【そんな風に思うのはきっと人生で初めてなのだろう、――神様を信じていた頃も、結局は、自分が救われたいだけだった。全部の理由は自分に収束するのだから、だけれど、今は】
【大好きな人を泣かせたくないって気持ちで動くのならば、ひとりぼっちではなくて、だから、強くないといけない。――お友達は居ますけど、なんて、やたら強調を重ねたら】
【かえって怪しいのだけれど、怪しくないつもりらしい。――わりに迂闊なところがあるのかもしれなかった、それか少し抜けているのかもしれなかった、】

え。

【「ヤですけど」って顔に書いてあった。「大人は自分で払ってください」とも書いてあった。「それは腕とは関係がないのでは?」とも書いてあった】
【もっと言うなら、「もっとこう瓶のふたを開けるとかじゃないんですか」とか「ポテチの袋開けるのに苦労するとか」とか「裂けるタイプのチーズが裂けないとか」とか】
【そういう感じの言葉が目から発せられてもいた、とかく沈黙の中であっても彼女は饒舌であった、だのに結局現実としてはどこまでも沈黙であるのなら、】

…………………………今回だけですよ。

【――だけれど最後に結局押し負けるのは、どう考えてもタクシー代の方がお金かかってるからだった】
886 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 01:42:48.59 ID:AePwOM1u0
>>884


【「なるほど」とテルミドールは短く答える。】
【どこか納得がいったという口調であり、同時にイスラフィールへの認識をされに深めるものとなった。】


言われてみれば仰る通りですね、これは物理的にしか物事を考えない私にはなかった。
一件圧倒的な光を以って支持を集めている魔導海軍≠ヘ逆に光を放ち続けなければならないと。

しかし各国との協調は間に合いますか?先程難航していると仰っていましたが
それともそれは表≠フ話であって、裏≠ナは異なるという事でしょうか。


ですが承知致しました、勝者が歴史を作る=\――とてもシンプルな理屈です。
勝算はあります、ちなみにイスラフィールさんはプレゼントの中身は先に知っておきたいタイプですか?


【そういうと立ち上がって、部屋の中にあるデスクへと向かいながら視線を肩越しに向ける。】
887 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 01:50:33.18 ID:7GjfKkb6o
>>886

【テルミドールの疑念も最もであろう、─── だが彼女はいたずらごころを秘めて微笑む】


順序が違いますわ、貴国との協力関係を取り付けたならば、後はもう詰め将棋と一緒です
最初の一歩が重要なのはどこでも変わりません、一つ例示が生まれたなら後はどこまでも続いていくのです

それに、私は “女” ですから、─── 最終的には、如何様にもなりますわ


【続く言葉に彼女は興味を持った、レトリックに秘められたその意味を】


────── ええもちろん、気になって眠れないタイプでもありますわ
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2019/02/17(日) 01:51:47.16 ID:yE99XIsx0
>>882
――いいえ。知っているか知らないか、それは重要なことです
知らなければ“叶える”なんて言えません。仮に叶ったとしても、其処に貴方が居た必要があるかも分からない
そう言えばマーリン。何時の日だったか、こんな言葉を聞きました――「それっぽい理屈を述べてるだけの空虚な言葉で、煙に巻けるのは大人だけだ」……なんて
ふふ……私はまだ“嬢ちゃん”ですので
貴方の接吻だって、生娘の私には刺激が強すぎる毒ですよ?

【撫でていた手を離せば、出会った頃に居た場所へと戻るのだろう】
【転がっていた長剣を拾い上げて腰に提げ、その姿は僅かな光に包まれ始め】
【何処ぞの陳腐な映画で天使が降臨する際に淡い光に包まれていたりするが、その姿に近いと表すのが最も的確だろうか】
【禍禍しい。そう例える者だって居るだろうが】


私は善悪の彼岸に立つ事はしません。そもそも、善悪の概念その物を崩していきます
――あまり喜ばしくない例え方をするならば世界の概念を壊してしまいましょうか。……そんな大それた事はしませんけれど

【そしてこの場に更に変化が起き始める。死していた者達が立ち上がり、以前と同じ様な姿を成しているのだ】
【千切れた四肢はそのまま地面に転がっているにも関わらず、新たな四肢を手に入れた完全な姿として】
【――死者を蘇らせる奇跡、そんな話が聖書にあっただろうか。当然全ての人物を蘇生できる訳では無いであろう。寧ろ、ネクロマンサーの秘術に近いのだろうが】
【起き上がった者達は言葉を話し、意思を持っている様に思える。……生前とは大きく異なった意思である、と知る者は少ないだろうが】


……そうだ。マーリン、私達と一緒に来ませんか?
――――と言った所で、答えは分かっているので聞けないのが残念ですが
……貴方の想像していた様なお掃除では無いですが、これならば少しは綺麗になりましたよね
だから、そう――今夜は貴方は私を見逃す。それで終わりにしませんか?

【名案とばかりにパン、と手を叩いてマーリンもこの一団へ――何処へ行くかも分からぬ旅へ誘おうとするけれど】
【数瞬後にそれは無駄な誘いと気付いたのか撤回して。代わりに、手を出さずにこの場から去るのを見送る様に願うのだろう】
【もし、拒絶するならば。次の瞬間に少女から呟かれる――「少しの間、暗闇に迷いなさい」との言葉】
【それを聞いたとするならば、理解しようとしてはいけない。考えてはいけない。もし、そうすれば―― 一時的にまるで世界が闇に包まれたかのように視界が失せる可能性があるのだから】
【とは言え、強力な催眠の様なもの。絶対的な力は無い故に全ての人類がその“言葉”に影響を受ける訳では無い】
【――見逃す事を受け入れるならば、有り難う御座います……なんて嬉しそうに笑って見せて】
889 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 01:52:10.24 ID:AePwOM1u0
>>885

いや、うん違うよ………少なくとも向こうは。


【かえでのあまりの落胆ぶりに若干身体を引きながらそう答える。】
【若者はやっぱりそういう話好きなんだな、私もまだ20代だけどとマリアベルは感じた。】
【続くかえでの言葉には少し興味を示したように眼を細めて一歩近づく。】


―――いいよ、それなら教えてあげるよ。
星の果ての深淵に繋がる力をね………ちょっと失礼。


【そう言うとマリアベルは右手の人差し指でかえでの額に触れようとするだろう。】
【それを拒まなければナニカ≠ェかえでの頭へと流れ込む―――きっと今まで感じた事のない、否】
【まるで虚ろなる神々が纏う雰囲気に近いような何かが………。】


アハハ、ありがと〜代わりに教えてあげるよ深淵≠フ一端をね。


【指を離すとマリアベルは再びけらけらと笑った。】
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 02:05:34.85 ID:zW0aaxma0
>>889

【――というよりは、自分だけ恥ずかしい話をさせられたような気がしていた、とはいえ最初ッから彼女の勘違いみたいなものでも、あったのだけれど】
【そうだとしても十七歳だなんて恋バナの旬であるのだろう。春夏秋冬どんな時期であろうとも十七歳の少女がそこに存在した瞬間から旬が発生するのだろうから、】
【引かれてしまうならショックにぷるぷる震えすらするのだろうか、――別に放っておけばよかった。自分で勝手に話しただけなのだから。恨めしそうな目も、無視していいから】

――――――、ふぇっ、

【――――だから、一瞬、遅れた。相手に対して警戒していなかったからというのもあるだろう。なんせ見知った顔でありいつか優しくしてもらった人であるならば必要もなく】
【ひたり触れるなら彼女の平熱はごく平均的なもの、相手の指はそれよりも暖かいのだろうか。それとも冷たいのだろうか。どちらでもよくて、――どちらでもいいけれど】
【ぱちりと瞬いた。そうして青色の眼差しが瞠られた。――ほんの一コマだけを挟んで発露するものがあるのだろう、びしりと冷たげに凍てつくような音、響かせて】

【――マゼンタ色が煌めいていた、少女を、というより、彼女の頭を中心に、魔力色がぎらめく。――「う、あッ、?」なんて混乱しきった声、遅れて漏れるのならば】
【ごく無意識の、反射的な行動なのだと彼女の仕草が伝えていた。――そういう癖があった、ふと過ぎる腹痛とかちょっとした体調不良だとかを、彼女は能力で阻害してしまう】
【なればおかしなものを流し込まれてその癖が出るのも仕方ないのかもしれない、――。――ただし、そんな風に云ってやるには、この場には、他者の目がありすぎた】

【(ましてこの席の二人はさっきからいやに喧しいから。ちょっとだけ目を惹いているところがあった、だから、多分、余計に?)】

なにっ、――、何しました? いまっ? 

【どちらにせよ、彼女の反応は最速でありながら、遅かったのだろう。触れられた指先から流し込まれるものを彼女はすでに受け入れてしまっていた、そうだとしても】
【よほど"悪い"ものなら、そのまま脳内にて異能により処理されてしまうのかもしれないけれど。すっかりと混乱した少女がわあわあ言っていた、その光景の、すぐ隣の席から】

【――――――――――「能力者だ」と、声が聞こえた、街中に脱走したライオンを見つけてしまった第一発見者みたいな声、なれば、また、別の席からも】
【なれば猶予など一瞬であるのかもしれなかった、――過冷却水に石ころを投げ込むが如く、全部が全部瞬きの間に始まってしまう予感がした、少女はまだ、混乱の中であるなら】

/ごめんなさい、凍結をお願いします……置きへ移行でも大丈夫ですっ
891 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 02:05:57.72 ID:7GjfKkb6o
>>888

【返される言葉、たしかにそれは一種の禅問答に近かったのだろう、正しく捉えられるには些か言葉が足りない】
【けれどもそれは意味合いの欠如を示してはいない、────── 彼は微塵も嘘をついていないのだから】


ふん、よく言うな、─── 嬢ちゃんならそういう時は背伸びをして大人のフレーバーを求めるもんさ
その時点で尻尾が見えてるぜ、どう捉えてるかは知らんが、──────

俺は一度たりとも間違った事を言ったつもりはない、どんな願いだって、叶えられると信じてるさ


【変容する情景、────── 神々しさすらいっそ感じる光景であったが、彼の表情には微塵の恐れもない】
【それは一種の不敬に映るのだろうか、だが、矮小である事に揺らぎはないのだから】


くく、────── ははははは!! 良く言うぜ、世界の概念を壊すだなんて、今時カルト教団でも唱えないお題目さ
何を望んでんだかは知らねぇが、その程度で叶えられる望みなんて、陳腐以外にありはしねぇだろ
俺たちは決められた制限の中で生きている、だからこそ面白いのに、それを破り捨てるだなんて興ざめだ

別に元からどうこうしようだなんて思ってねぇよ、どうこうする力が俺にはないしな
優越に浸って帰るのならご自由に、結局アンタのしてることは自分の手がとどくはんいで喚いてるだけの暴君に過ぎない

────── だからこそ俺は、アンタを啓蒙し、正しく導こうとしてるんだがな


【それは拒絶か肯定か、判断に迷うところであった、─── 委ねられる】
892 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 02:07:56.85 ID:AePwOM1u0
>>887


ふむ、それならば私は貴女のお手並みを見させて頂くしかありませんね。
末恐ろしい方だ―――故に私も貴女とは友好な関係を築いていきたいと願います。


【眼を細めてイスラフィールを見つめてから、再びデスクへと向き直る。】
【そして自身のタブレットを取り出すと、イスラフィールの物とならべてテーブルへと置く。】


【そこには、数年前に記録された画像がいくつかのウィンドウで表示されていた。】
【映像に映るのは白、赤、青などのカラーリングが施され様々な形状をした巨人=z

【かつて六罪王やGIFTの首領が使用した超常兵器―――名を】


原初の11機/オリジナルイレブン=B
我が国ではこの神々が残した星戦兵器の復元と量産が行われています。既に実戦配備は可能な段階です。
魔導イージス艦との闘い、まさに神話の再現となるでしょう。


―――後は、お楽しみです。


【どこか含みのある言い方をしながら、テルミドールは再び着席する。】
【確かに、未だ未知数の魔導イージス艦との戦いにおいて大きな戦力となるのは確実だった。】
【だが、その二つがぶつかる事によって及ぼす被害は容易に想像できた。】
893 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 02:25:47.13 ID:7GjfKkb6o
>>892

【 ────── 眼鏡の奥に残された理知的な視線が揺れる、僅かばかりの動揺を、貴方は見逃さないだろう】
【少しばかり逡巡する、予想以上の兵器が投げかけられた事に関する困惑も含んでいたのだろうか】
【一つ、言葉を置いた、────── 踏み込む歩みを止めぬ、その意思で】


────── 成る程、これが氷の国の “切り札” たる力なのですね


【存在を知っていたかは定かではない、けれども、こうして提示されると考えなければならない】
【それは最早戦争という枠組みを超えた、────── 黙示録となりゆく可能性を秘めて】
【そして同時に、危うさも残っている、─── それだけの力を、果たして個人が持つ事が可能なのか、と】


ですが、神話世界の兵器とは、────── 些か不安が残る代物ですわ
現代では最早神話など、その存在そのものが否定されたと言っても過言ではありません

────── オリジナルイレブンを過小評価している訳ではなく、魔導イージスが未知数であるのが真実です

もう一つばかり、託宣をさしあげましょう


【 ────── 彼女は一枚の羊皮紙を取り出す、封のされたそれは、一種のスクロールと言っても過言ではない】


王立国教魔術>氛氛氛氛氛 対抗魔術

魔を打ち払う魔である、と彼は言ってましたわ、念には念を、という事です


【つまりは、魔術を制限する術式である、と彼女は伝えた】
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2019/02/17(日) 02:44:40.38 ID:yE99XIsx0
>>891
信じている、だけでは私にとっては無意味なのです
神様を信じている。だからこの境遇だって絶対に生きて帰る事が叶う――信仰熱心な方々がこれまでにどの程度亡くなった事でしょう
自分を信じる。何かを信じる。――シンジル事は力では無く、目に見えず力も持たないただの祈りです。少なくとも、私には
もし、違うと言うのなら――私を貴方の言う正しい場所へ導く事が一つの願いならば。叶えられると信じてみて下さい
貴方の神様が願いを叶えてくれるかもしれませんよ?――神サマが居れば、ですが

【修道女でありながら神の存在を否定するかのような】
【――いいや、現に否定しているのだろう。殺戮、死者の起き上がり。冒涜で無ければ何と呼ぶべきか】


私は制限の中で……籠の中で飛ぶ鳥にはそろそろ飽きてきた所です
外は広いのに、ずっと同じ景色で同じ場所。――グルグル回って、籠の中で死んでしまって
籠の外を知っているのに、目の前に在るのに。一度だって自由に飛べずに――……そんなの、私は面白くありません
マーリンが私を暴君と評価しようと悪人と評価しようと、それこそ狂人と考えようと関係在りません
――でも。

【男性に向き直って、一歩】
【一歩――の筈だが。気付けば目の前に居る事になるだろうか】
【退いたりといった行動が無ければそのまま肩に手を伸ばして、爪先で立って体重を預けて】
【ゆるりと押しつけられる身体。恐らくは精一杯の背伸びをして漸く男性の頬に口が届く程度の身長差】
【時間にして僅か数秒。濃い血の臭いと、少女の香りと、頬の柔らかな感触。――数秒間だけ、其れ等を感じ取れるか】


色々とお話を聞けて楽しかったので、そのお礼として――です
流石に貴方とのキスは恥ずかしいので嫌ですが……
――……さて、思ったよりも長いをしてしまいましたね

【もし、頬への口付けが出来たならばはにかんでから距離を取るのだろう】
【倒れ伏していた者達全てが起き上がったのを確認するとその一団を纏めていた人物へと言葉を掛けて】


――――では、マーリン。先を急がせて頂くので、私はこれで
また何時か会うことがあれば……その時に私が“ただの町娘として”扮していたなら
お茶の一杯でも宜しくお願いしますね?

【からかう様な表情。軽く手を振れば、それを別れの挨拶として】
【男性の横を過ぎていく“元死者達”も色々と楽しそうに話しながら過ぎて行くのだから死者も生者もこの場のみに於いては分かりかねるか】

【――数日後、もしも新聞なりを見る事があったなら。ユダと名乗った少女の去った先に存在する村についての奇妙な噂を耳にするだろうか】
【曰く、住民全ての性格が変わった。曰く、一夜にして人々が入れ替わった。曰く、傭兵達が虐殺を行った。曰く、神の生まれ変わりが来た。曰く、一人の少女によって村が消えた――――……】
【噂は大きく改編されて広まるもの。事実の確認のしようなんて、無いけれど】

/時間も良い感じなのでこの辺りで失礼します……!
/お相手有り難う御座いました―!
895 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 02:46:35.36 ID:AePwOM1u0
>>893

【テルミドールは矛盾した感情を抱え込んでいた。】
【一方で統制された完全に整備された戦争を行う事によって自国の経済を潤し危険な他国を退ける。】
【一方で圧倒的な兵器同士による混沌の終末戦争、それを勝ち残る事によって氷の国を神の国とすること。】
【そして原初の11機/オリジナルイレブン≠ニいうカードを早々に切ったのはイスラフィールへの牽制も意味していた。】
【それがどれほどに有効なのか、むしろ余計な警戒を招いている可能性もあるがこの男のやり方はシンプルだった。】


ふ、ふははははは!素晴らしい、まるで私の思考を読んだかのような手配ですね。
仰る通りいかに神話級の兵器であろうと数千年前の遺物の残影であることに変わりはない、近代の叡智はそれを凌駕している可能性がある。
特に魔導イージス艦を始めとする魔導戦艦は圧倒的魔導科学の結晶、その力は我々の認識を超えてくるでしょう。

であれば魔導そのものの出力を制限してしまえばいい、こちらの原初の11機/オリジナルイレブン≠燒ワ論制限下には入りますが
こうなれば囮に使っていただいた方がシンプルでいい。

我々が気を引き、術式の発動の時間を稼がせて頂きましょう。


【テルミドールは上機嫌になる、やはり魔導イージス艦の力には一定以上の脅威を感じていた。】
【このまま叩けば結果は五分だっただろう。だがそれすらも囮に使えば一気に優勢は取れるとみていい。】
【自身の虎の子の兵器すら囮に進呈した。】


―――しかし王立国教魔術≠ニは、そう言う事ですか
教会=c……見ましたよCMも、なぜ貴国であのような広告がと思いましたが


【テルミドールは納得したように頷くと、再びブランデーをグラスに注ぐ。】
【「―――では残る懸念についてもお話ししますか」とチラリと視線を向けた。】



896 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 02:55:13.13 ID:7GjfKkb6o
>>894

【冒涜的な所作であった、けれども彼にとっては、────── 少し物悲しげな鳴き声にも聞こえる様に】


嗚呼信じてるよ、だからアンタはこうして必死に否定しようとしてる訳だ
少なくとも俺の信仰心が無意味なら、そこらの茫漠と一緒に、亡骸になってるだろうしな
信じるだけで救われるなんざとっくの昔に俺が否定してるんだが、残念ながら嬢ちゃんにはちいとばかし難しかった様だ

暴君だよ、間違いなくな、自分が飛べているだなんて思い込んでるだけの
籠の中の鳥は籠の外にしか憧れない、それが檻の中だなんて気付かずにな

────── 全く、どいつもこいつもそこまでして人間のふりをしたいのかね


だが、キスの作法は悪くない、少しは俺が来た価値もあったかな


【彼の信念は変わらず、彼の試みは変わらず、それは噂を目にしても尚、興味と呼ぶには曖昧なもので】

/お疲れ様でしたー!
897 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 03:02:29.30 ID:7GjfKkb6o
>>895

【上機嫌になるテルミドールとは裏腹に、イスラフィールの表情は冷静であった】
【氷の国が持つ戦力は “想像以上” であった、オリジナルイレブンを “囮” に出来る】
【その判断を早々に下せるのならば、その裏付けとなる生産力を意味している】

【先の先の先まで考える、────── そうした場合、何処が最終的な勝利者となるか】


( ────── 私は政治家で、貴方は軍人です、その違いを証明致しましょう)


【彼女に軍を動かし得る力もなければ、軍の内情をしることもできない、彼女は議員であり、軍人ではないから】
【だからこそ戦力差に於いて、氷の戦力を見誤る訳にはいかなかった、─── 櫻と氷がぶつかれば、水で太刀打ちできるのか】
【答えは否、と内心で理解していた、────── スタンドアロンなあの組織以外なら】



最初の場面こそオリジナルイレブンを有効的に使えるでしょう、情報のアドバンテージは此方にありますから

────── これだけで理解していただけるとは、氷の軍人は実に聡明ですわ
マーリン≠ヘ合理主義者ですから、あれが一番利益が出る、と判断したのでしょう


【示すのはつながり、彼女もまた教会≠フ有力者であるマーリンとのつながりを伝えて】
898 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 03:17:33.25 ID:AePwOM1u0
>>897


(つまりは水の国、というより彼女/イスラフィールは教会≠ニの繋がりも深い)
(―――教会=A一時は衰退したとはいえ世界有数の宗教組織だその力の底は知れない)

(さらに昨今は彼女の言うマーリン≠ネる人物が実権を握って事実上金の国をおさえようとしている。)
(異能主義=\――か。)
(ただ戦火に飲まれるだけという事はないだようだ、楽しみですよ。)

成程、貴女は噂に違わぬ手腕をお持ちのようだ。
重ねての信頼とそして協力を誓いましょう、氷の国軍特務機関イヴァンを代表して。


【そう言うと自分のみグラスを掲げてから、ブランデーを口へと運ぶ。】
【一筋縄ではいかない、この戦いは自身の力を過信し相手の力量を誤った者が死ぬ。】

【―――であれば】


イレギュラー≠ヨの対処は如何しますか?
恐らく戦場には大小さまざまな能力者組織や個人の能力者も現れると予想されます。
それらすべてをコントロールすることは難しい、であればその対抗魔術 で封じ込めるのですか。
899 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 03:25:11.27 ID:7GjfKkb6o
>>898

【だとすれば水の国を取り囲む線の中に、金の国が伸びている事が理解できる】
【教会$ィ力を中心とした繋がりは、異能主義≠ニ呼ばれるイデオロギーで結びつく】
【即ち、金銭を超えた、イデオロギーという形での繋がりを想起させるだろう】

【水の国で行われた、一見コミカルなコマーシャルもまた、一種のプロパガンダとも言えた】


────── まさか、彼らには彼らなりの役割/ロールがありますわ

軍隊に喩えましょうか、歩兵には歩兵の、指揮官には指揮官の役割があるでしょう?
能力者達を艦隊戦に用いて、態々危険にさらすのは愚の骨頂ですわ

貴国のとるべき役割は、魔導イージス艦に対するもの、それ以上でもそれ以下でもありません


親切心から、そう申し上げるのです


【つまりは、彼女なりの計画を、そこに潜ませているのだと────── そう伝えた】


────── ほかに何か? 話が纏まったのでしたら、私の方はこれで


【些か早足の口調であった、まるで、─── 何かすべきことでもあるかの様に】
900 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 03:37:28.53 ID:AePwOM1u0
>>900

【思考は巡るが、答えは出ない。あまりにも情報が足りなくそして理解も足りなかった。】
【まだ追及すべき事はあるが、現段階であまり出過ぎるのも良くはない。】
【個人間のコミュニケーションも、国家間のコミュニケーションも根底は同じことだ。】
【テルミドールはブランデーを飲み干すと、一度頷く。】


―――ええ、本日のところはこれで良いでしょう。
長時間ありがとうございました、支援の方は本日にでも動けるよう手配しております。

もう少しすれば国境線の都市ベロボーグに到着します、そこで降りられれば首都へと戻りやすいかと。


またお会いできるのを楽しみにしております、イスラフィール最高議員。


【立ち上がり、紳士的に手を差し出して相手の手助けをしようとしながら頭を下げる。】
【ひとまずはこれにて―――】
901 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 03:43:21.52 ID:7GjfKkb6o
>>900

【 ────── 貞淑な礼と共にイスラフィールはその場を去っていく】

【戦いの密約と、交わされる思惑と、内に秘めたる感情は幾許かの急を告げて】


(……氷は予想外に力をつけていましたわ、国際社会を支配しかねない力を)
( “キャメロット” はこの情報をどう判断するでしょうね、シラを切るのが一番考えられますが)


(────── 兎に角布石は打ちました、向こうにも、そして、“私” にも)


【イスラフィールは瞑目する、読み取った内容を暫し内に止める様に】


/こんなところでしょうか! お疲れ様でした!
902 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 03:49:51.05 ID:AePwOM1u0
>>901

【列車が高速で過ぎ去る雪原、その中にある小高い丘の上から列車を見下ろす人物。】
【計劃など知る由もないはずであるが、その人物は憂いを帯びた息を吐き出して列車を見送っていく。】


―――始まりの鐘がなるならば、わたくし達も動かなければなりませんね。
罪の王を背負うのであれば。


//ありがとうございました!
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/02/17(日) 10:00:29.51 ID:5rkxo9k0O
>>708-709

【あぁ、と言葉少なにミラは頷いた。記憶を読む相手、一人でなんとかなるとは思えないし】
【一人でなんとかしようと思うほど無謀でもなかった。使えるものは使う。それはカニバディールとて同じだろう】

【虚神に関しても、また頷くばかり。今はイスラフィールと虚神の繋がりの“可能性”を頭に入れておけば】
【それでいい。いずれ何かのヒントになれば僥倖──何もなければ、気にしすぎだったと酒の肴になるだけだ】

【実況中に触られた記憶はないし、特に印象にも残っていない。だが、とミラは苦々しげに続けた】
【「呼び出された時、車に乗ったんだよなぁ。そん時に触られてたっておかしかねぇ」】
【触る、という行為はごく当たり前の仕草だ。印象に残っていなくとも仕方ないし、──「あ、」】
【触られた、と吐き捨てる。屋敷で喋っている際に、会話の流れでそうなったと】
【特に何かされた記憶はないが、次からは気をつけるとミラは話を締める】
【ありがとな、と礼を言うことは忘れない。もちろん、イスラフィールに対する罵詈雑言も添えて】


…………けっ、まったくカールの言う通りだぜ!なぁーにが王妃の刃だってんだ!
あいつそっこーで裏切ってイスラフィールに尻尾振りそうな見た目してるくせに、よぉ!

ま、…………他の騎士共に関してもなんか分かり次第教えるわ
確かに鬱陶しい坊ちゃんを押し付けられはしたが、そんなもんちょいと我慢するだけですむ
あんたにゃこれから色々と…………、んー…………、…………違ぇ、な
言うべきはそんな、言い訳じみたことじゃねぇっつぅか……あぁ、そう、そうだ


   ────頼んだぜ、カール……!


【その一言で済む話だった。相手の苦労を汲み取り、労い、信頼して何かを任せる。それに相応しい言葉を】
【これ以外に彼女は知らなかった。最後に力強く、カニバディールの肩を叩く。気持ちを伝えるのなら、これ以上のモノはない】

【「さて」──、一度場を区切るようにミラは言葉を発した】
【もう話したいことは話し終えたのだろう。メガクルーザーの運転席側に回り込む】


乗んな、カール。このままドライブと洒落こもうじゃあねぇか
その女の死体は…………あー、ここにポイじゃマズいか……
ちょいと面倒だが、後ろの方にでも積み直しといてくれ
あんたが欲しいってんなら、そのままプレゼントしてやるけど、よぉ


【行き先は、と聞かれれば「まだ分かんねぇ。ヤクザんとこ?」と愉快そうに答えるのだろう】
【女の死体をどうするかはカニバディールに委ねられたが、もしも後部座席に女を投げ込むならば】
【席の足元あたりに、黒いビニールに包まれた箱状のものを見ることだろう。そういえば、話の冒頭で礼金がどうとか言っていたか】

【一方ミラはといえば──既に運転席に座り込み、携帯端末を弄っていた】
【カニバディールが車に乗れば、携帯いじりもやめて緩やかに車を発進させるはずだ】


>>211

『今からカニバディールと2人でそっち向かうわ。どこ行きゃいい?』
『あ、今水の国にいるんだけどよ。返事待ってる。急で悪いな』


【霧崎にはそんなメールが届く。アポイントなんて存在すら知らなさそうな文面】
【けれど最小限の礼儀くらいはあるのだろう──ヤクザの令嬢のお眼鏡に叶うかどうかは、わからないが】
904 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/17(日) 10:59:27.65 ID:Xi8eFJPL0

ーー櫻国天之原港、特務艦『橋立』ーー

【橋立(はしだて)とは直接戦闘に参加しない艦である、武装は無く、船体は白色で彩られ、通信用のアンテナ送受信アンテナのみが艦橋からせり出して目立つ】
【この船の任務は、迎賓、内外の主要な人物を持て成し外交の場を提供する事】
【故に、まるで海上のホテル、豪華客船の様な内外の見た目と装飾であり、また会談の他、演説や声明の発表等も此処から発信される事が多い】
【無論、専門の教育を受けた接待、給仕役の士官や海兵が乗り合わせ、一級の懐石料理人、一流シェフ、ソムリエ、特級厨司、更にはパティシエから菓子職人までもを民間より引き抜き軍属として乗艦させている】
【そんな海上のホテルに、将軍家居城にて、ある重要な会談を終えたばかりの男が乗り込んで来た】
【魔導海軍連合艦隊司令長官、蘆屋道賢である】
【世界各国の報道機関に向けた、船内の大ホールに設えた特設のスペースにて、ある放送を開始した】
905 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/17(日) 11:27:13.61 ID:Xi8eFJPL0
undefined
906 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/17(日) 11:38:49.16 ID:Xi8eFJPL0

「水国の皆様、櫻国の皆様、突然のお知らせをお詫び申し上げます」
「櫻国魔導海軍、連合艦隊司令長官、蘆屋道賢です」
「この度発生致しました、水国櫻州港爆破事件に関する、我々海軍の見解について、この場を借りて公式に発表したいと思います」
「先ずそれより前に、不安な夜をお過ごしと思われます水国の隣人の皆様には、誠に心を痛めて居ります」
「その気持ちを思えば、深い悲しみと、そして犯人への怒りが湧き上がります」
「そして、現場では海軍将兵が一丸となり、被害を最小限へと留めたと聞きます、彼らこそ真の櫻国の兵と呼ぶに相応しい存在でしょう」


「そして、我々海軍は本件を、第三国の軍隊、組織によるものであると断定、調査を開始します」



907 : ◆zlCN2ONzFo [!美鳥_res]:2019/02/17(日) 11:54:11.55 ID:Xi8eFJPL0

「水国、櫻国の友好と平和は両国民の不断の努力により成し得られ、永きに渡り続けられてた物です」
「そして同盟軍とは、血を分けた兄弟も同然の仲間です」
「この世界の何処に、兄弟を疑う者が居りましょうか?」
「また、我々水国と櫻国との友好を快く思わない、破落戸国家も確かに存在すると言えます」
「よって、本件は水国との友好を信じ、我々は水国軍に偽装した第三国と断定致します」
「そして、我々はこうも言いましょう、破落戸国家よ、本国はこれを戦線布告と解釈する、其方が国家条約、協定を破棄するのならば、我々は絶対的な専守防衛を行使するのみであると!」
「加えて、発表致します」
「我々が研究、開発中である新鋭艦『魔導イージス艦』が完成間近であると」
「従来のイージスシステムや、レーダーシステムとは全く異なる、新たな防衛システム、あえて申し上げましょう、本艦の完成が間に合っていれば、本件の様な卑劣な暴力は決して発生しなかったと!」
「正に神の盾の名を冠するに真に相応しい、完全なる防衛システムです、これぞ正に、水国、櫻国の国民の生命と財産、そして尊厳を守る存在となるでしょう!」
「つきましては、本艦の完成セレモニーを、■■月■■日■■時より、水国櫻州港にて執り行いたいと思います」
「皆様お誘い合わせの上、お越し下さい」
「我々魔導海軍は、優しく正しき友人達の来訪をお待ちしております」

【各国主要メディア、議会に向けた声明文は、一礼を持って終了した】
【直接発信された、本声名発表は、その日の内にはニュースとして一般の者の目に入るだろう】
908 :@mail ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/02/17(日) 12:22:25.44 ID:8RV0SFoX0
>>214 >>285 >>903

【From:霧崎】

【To:カニバディール、ミラ・クラァケ】

【Re:】

ありがとうございます。

詳細は、直接お会いしたときにお話したいと思います。

水の国なら私も都合がいいです。以下の街までどれぐらいかかりますか?
生憎、スケジュールがなかなか取りづらい状況でして。申し訳ありません。
宿等、手配しますのでご足労願います。

【添付された住所は水の国の郊外。ちょうど首都と新楼市の間に位置する街だ】
【適当に返事をすれば直ぐに返信は帰ってくる】

【到着した翌日、夜11時に迎えに行くのでホテルで待っていてほしいとのことだった】
【それまで"ホテルは建物ごと貸し切ってあるし、話も通してあるのでくつろいでいてくれ”とのことだった】
909 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 13:10:08.93 ID:AePwOM1u0
>>890

―――おっと、驚かせてしまったかな
しかしまずいねえ、一旦ここを離れるとしようか?


【それはかえでに対してか、周囲に対してか】
【マリアベルは肩を竦めて辺りを見回すと一度ため息をついてからかえでの手を取ろうとするだろう。】
【まずは一旦この場から離れた方が良いという判断だろう、従うならば結局会計は自分のカードで済ませて店を出る。】

【そして、少し離れた公園へと向かってベンチに腰を下ろすだろう。】

【流し込まれたものは悪≠ナはないが異質≠ナはあった。全身を熱っぽさがしばし駆け巡るだろう。】
【あるいはそれは予防接種にも似ていた、とすれば暫くすれば慣れてくるのだろうか。】
910 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 17:20:22.48 ID:AePwOM1u0
【国境都市ベロボーグ---氷の国軍駐屯基地】


【水と氷の国境線上に存在する地方都市。だが両国が競い合うように公的機関を建設しているため】
【規模は首都近郊なみの大きさとなっている。その一角にある氷の国軍の駐屯基地。】
【厳重な警備で守られた建物の屋上、ヘリポートで立った今水の国首都から到着したヘリを迎える人物がいる。】
【身長160cm程で右側の髪だけ少し長いアイスブルーのアシンメトリーに同じくアイスブルーの瞳 】
【よく手入れのされた藍色のPコートにジーンズ、丸いレンズのサングラスといった風貌の十代後半の少女】
【ヘリの起こす風でバタバタと髪の毛を揺らしながら、腕を組む】


―――よぉ、まさかアンタが外務八課≠ゥらは派遣されてくるとはな。
まぁこの前バーで酒奢ったし、そんときの借りを返してもらうって事でいいかな。


とりあえず中へ入ろう。


【そう言うと労いもせずに室内へ入るように促して先導する。】
【暫く歩けば、複数のモニターが連なっている薄暗い部屋へと通されるだろう。】

//エーリカさんの方、お願い致します
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 17:50:51.80 ID:n4iI70HX0
>>909

【それこそ凍りつくよな店内に少女の声だけがむうむう響くのだろうか、彼女の中の最先端は“自分が何をされたか”であるなら】
【触れられたおでこを両手で押さえてやはりむーむー唸っているのだから気ままなものだった、――ぞおっとするような目を向けられているのにも気付かず】
【たったの一人でも、ほんの少しでも、大きな声を上げたなら全部が“始まる”場面にて、】
【――けれどそうならずに済んだのは、それより先にマリアベルが彼女を連れ出したからであるのだろう。手を取られれば、彼女もそれに従って、】
【まだ混乱の最中であるなら、お茶が残ってるとか食べ物が残ってるとか言っていたのだけれど、――引かれる腕越しに、悍ましいものを見る目で見られていることに気づけば、途端に黙り込む】
【そこから先は、――大人しく付いていくのだろう。ついでに一緒に奢ってくれないかな、なんて、狡賢い色を見せるほどは強かではないのなら、自分の分はきちんのと自分で支払って、――】

――――もうっ、ひどいですよね? うっかりじゃないですか、たまたま出ちゃっただけなのに、――それに、マリアベルさんも、急にするから……。
…………なんか熱っぽいんですけど、これ、ほんとになんですかぁ、――これでお熱まで出したら、アリアさんに怒られちゃうのに……もぉ……。

【――やがて公園にたどり着くのなら、彼女もベンチに座るのだろう。ごく責めるような声をしていたが、別に怒っているふうではなくて】
【ただしストレートに許容するほどでもないらしい。せめて説明をしてほしいの、だなんて、伝えたなら】
【気にして触れていたおでこはピンポイントで赤くなっていた、けれど、やはりだいぶ慣れてきたらしい】

もうあのお店行けない……初めてだったけど……。

【だからやはり拗ねる色が、けれど、どこまでも冗談めかして、】
【言葉を区切るなら、そうまでしたのだから理由だって教えてもらえるはずだと、――待ちわびる、一瞬】
912 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/17(日) 17:52:34.75 ID:FKTmPsmeO
>>910

ううっ、さっむうッ、………あれっ?あの女、見た事ある気がする。

【――――事の起こりは唐突だった】
【氷の国の外交官から外務八課に持ち込まれた秘密依頼】
【本来ならば隊長であるアリア辺りが処理する筈の仕事】

【だったのだが、何の因果か彼女は不在。急遽代役として白羽の矢が立った】
【代役の名はエーリカ=ファーレンハイト。前髪の一部を黒染めした金髪に赤銅の瞳】
【灰色を基調としたパンツスーツの上に羽織る防寒着とトランプ柄のピアスが特徴的な人物】

【寒さに口を尖らせながらヘリを降りる。その先に居たのは半年前にバーで出会った少女】
【オブライエン三等書記官―――だったか。恐らくそんな名前だった気がする】
【良い意味で歳に見合わぬ役職に就き、探りを入れてきた役人。少なくともエーリカの何倍も頭の回る人物であろう】


………その節はどーもごちそーさまでした。
血税で飲んだお酒は大変美味しゅうございましたっと。

その"お返し"を要求されたなら、首を横に振れないね。
まぁあの時は"公安五課"として奢ってもらったけど、今は"外務八課"に転職したから。
酒の恩を引っ張らなくても依頼には成果で応えるだけだよ。


【社交辞令。そこに混じるのは今と昔では所属が異なるという意味合い】
【そこに労いの言葉は無かった。コニーの先導に付いていき、軈て足が止まる】
【モニターだけが光を放つ薄暗い部屋。無機質な光に顔を顰めながらコニーの言葉を待つ】
913 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 18:07:02.05 ID:AePwOM1u0
>>912

やはりあの時は公安≠セったわけね、しかも今は外務八課≠チて………
てか血税で酒飲んだとか言うなよ!角が立つだろ〜全く。

まあ改めて…コニー・オブライエン外務省三等書記官兼%チ務大尉だ、よろしく。

(まぁ元公安≠ェ来るとなれば好都合か―――。)


【軽口で返答しながらも頭の中では思考を巡らす、状況をどう利用するかと】
【腕を組みながらモニターの映像を見る、どうやら録画映像のようであったが】
【「止めろ」と唐突にコニーは口にする、モニターの前で作業していた軍人は指示通り手を止める。】


―――外務八課≠ニいう事は円卓♀りって事で良いんだよな?

依頼はこの都市の中にある公安≠フ施設異能犯罪者収容施設シーリン≠フ調査。
恐らく黒幕≠フ何らかの施設だ、その証拠に………ここを拡大しろ。


【映し出されているのは真っ白な円形の施設、一見すれば医療施設のようにも見えるが】
【周囲は高いフェンスで囲まれており銃を持った警備員が常に周囲を警戒しているのが分かる。】

【そして拡大されるのは施設に入る一人の人物、キッチリと七三分けされた栗色の髪にグレーの瞳の青年。】


公安≠フ鈴木≠チて奴だ、それも黒幕<Tイドのな
914 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 18:13:15.55 ID:AePwOM1u0
>>911

ごめんごめんて、今度もう少しグレードの高いお店に連れてってあげるからさ。
熱っぽさも一晩ぐらい寝れば治る筈さ、体の異物感はしばらく続くかもだけど………。

【右手でかえでの頭をぽんぽんと叩こうとしながら軽い調子で謝罪をする。】
【「逆に前の格好でいけば店入れるんじゃない?」と少しズレた回答をしながら慰める。】
【そして眼を細めてじっと相手を見つめながら耳元に口を近づける。】

言ったでしょ?私の術は特殊≠ネんだ、使用する魔力のまた特殊
外の理≠フ力―――それとのパスを繋げただけなんだよ。


―――ところでかえでは魔術とかは得意なのかな?


【微笑みながらそう、問いかけた―――。】
915 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/17(日) 18:31:11.30 ID:FKTmPsmeO
>>913

ははっ、これは失礼。生憎私は弁の立つ方じゃないからねぇ。
符牒じみた言い回しは出来ないのさ。ほら、私はアンタと違って現場の人間だし?

【"権謀術数なんて向いてないし、言葉アソビが出来るほどウィットに富んでいないのさ"】
【人の悪い笑みを目尻に浮かべて、コニーを見遣る。改めて名乗られた肩書には聞き覚えのないモノもあって】
【視線に訝しむ色が滲むなら、―――それに茶々を入れようとして、結局言い出せない】


【何故なら】


そうだよ、"外務八課"は"円卓"寄り。現時点ではアンタたちとお手手を繋げる関係。
じゃなきゃ此処に私はいないだろ?少なくともそこを信じて貰わなきゃお話になんない。

―――、この施設。見覚えがある。前の職場のえらいヤツが出入りしてた。
公安五課/特別対策室の室長であるギンツブルクもね。―――、でこの鈴木ってやつは見た事無いね。

で、黒幕の駒である鈴木ってやつがアンタたちの悩みの種なのかい?
施設の調査だけじゃなくてコイツも排除してほしいってか。


【本題に進んでしまったから。モニターに映し出される施設は見覚えがある】
【嘗て、任務の一環でギンツブルクと同伴して建物内に立ち入ったことがあるから】
【けれど鈴木という男に見覚えは無かった――だがこうしてクローズアップされるという事は】
【コニーはこの男について何らかの情報があるという事である】
916 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 19:10:16.94 ID:mrehxfnn0
>>915


まぁ、私も現場と言えば現場だよ
特務大尉≠チて肩書は聞き覚えなかっただろ?つまりは使い分けてんのよ

【言い出せない相手の心情を察してか否か、自分の特殊な立ち位置についても搔い摘んで説明する。】
【経緯はともあれ一緒に行動する関係だ、不要な疑心を招いて面倒事は引き寄せたくない。】
【そのあたりは円滑に職務を全うしようとするスタンスはあった。】


ああ、勿論信じてはいるよ。今後もおてて繋げるかどうかは微妙だけどな
―――へぇ、つまりアンタは前は黒幕<Tイドってか大胆な転職ですな全く。

いや、あくまで目的は施設の調査だ。国境線上にこんなもんを作られたらやりにくいったらない。
表向きは水国内の異能犯罪者≠収容・管理するための施設らしいが、実際はどうかな

この前派遣してた工作員も暴走≠ウせられてな、掴んでた情報も水の国の警察官とよく分からん一般人に奪われた。
恐らくその暴走≠ノこの鈴木≠チて奴は関わっている、一度戦った事はあるが二対一でも痛手を負わされた
だからアンタら腕利きの外務八課≠ノお願いしたってわけさ。


【「ともかく手筈は整えてある、行くとするか」とエーリカの肩を叩くとモニタールームを出る】
【そして基地の駐車場に停車してある軍用SUVに乗り込んで件の施設へと向かおうとするだろう。】
917 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/17(日) 19:31:41.64 ID:FKTmPsmeO
>>916

【――――ふぅん、特務大尉、か】
【官僚も面倒な生き物だな、と内心思う。けどおくびには出さない】
【公私で服を変えるように、肩書も変わるんだな、という感想を抱くに留まる】


そうさ、"黒幕"側の狗だったわけだよ。だから今回の調査にはお誂えだと思うケド?
大胆な転職のお陰で幾らか"黒幕"側の内情も持ってるわけだしね。


【そこんとこ、知りたきゃ再び血税で酒を奢ってくれよ、と軽口で〆て】
【本題に入る。異能犯罪者の収容管理の施設の全貌を暴く事。ひいては異常の原因である】


ただ、その施設に関しては建造された最初期にしか関わってないから今はどうかは解らない。
多分アンタの思う通りに建前だけじゃない筈。そして"暴走"ってのがどんな状態なのか解んないけど。


【――――鈴木という人物の排除。腕利きの外務八課などと評されたなら】


で、暴走させられた工作員はどうなったんだい?無事じゃないってのは察せられるけど。
まぁ、あれだよ。アンタはその心配をしなくても良い。なにせ腕利きのファーレンハイトちゃんが居るからねッ!


【ビッグマウスを叩くのだった。得意げに、有頂天に。どんっ、と薄い胸を叩いて、にこやかな笑みを向ける】
【そして部屋から出るように促されれば、それ即ち、本格的な仕事の合図】
918 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 19:58:00.34 ID:AePwOM1u0
>>918

【SUVの後部座席にエーリカと並ぶように座ると、窓に肘をかけて外の景色を眺める。】


―――ん?ああ、工作員は酷い有様だよ。単純に廃人って感じ。
保護する前も薬物中毒者みたいにミールシュタインのハイウェイを爆走して事故ったしな。
ただ首元には何かを撃ち込まれた痕があった、つまりはそう言う事さ。

可愛いコニーちゃんの期待に応えてよね、ファーレンハイトちゃん。


【どこか小馬鹿にしたような顔でそう言うと手元のタブレットをエーリカへと渡す。】
【そこには痩せこけた男性が医療用のベットにベルトで固定されている。】
【周囲には何故か焼け焦げた跡≠フようなものがある、どうやらこの男性は―――】


発火能力者/パイロキネシスト=c……ではなかった≠だけどな、そいつは。


―――さて、やり方は単純だ。
私が視察の名目で表から入る、アンタはその間に施設の裏口から侵入して中を捜索してもらう。
警備の穴を掻い潜る入り口まではすでにピックアップしてある、ただ内部構造は先程の構成員の残したデータの中
つまりは今はないって事だ、頑張ってマップ埋めていってね♪


【まるでゲーム感覚でコニーは言ってくる。】
【ともかく施設の裏口侵入経路はエーリカの端末に送られるだろう。そこからは腕の見せ所だ】

【そうこうしているうちにSUVは施設へと近づく、映像で見るより巨大な施設だ。】
919 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/17(日) 20:14:25.42 ID:FKTmPsmeO
>>918

【小馬鹿にしたような顔を向けられるなら、むむっ、と微かな苛立ちを見せる】
【けれどタブレットをスライドしていく内に行き着いた工作員の画像とその説明に耳を傾けるなら】
【年相応の振る舞いも消え失せて、即座に仕事の顔に変貌する。鋭い眼光、刃物のような白銀の煌めき】


―――……ふぅん。黒幕って能力を封じ込めるオクスリだけじゃなくて
能力を発現させるオクスリまで作ってたのかよ。……半ば必然かもしんないけど。

管理側が異能を持つ分には何のお咎めも無い。だから自分たちだけ能力者を確保しようってのか。
でも、安定して人工的な能力者を作れずにいる。或いは意図して暴走させてるか。

まぁ、何はともあれ期待には成果で応えるさ。そんなの"社会人"にとっちゃ当然だろ?


【ふと思う、能力持ちの自分が画像の男みたいに薬を打ち込まれたなら―――?】
【仮定の話。暴れまわるのか、それともそれ以上の惨劇が待っているのか、と】


……潜入するのも捜索するのも構わないんだけどさ、変装用の服とか無線的なのは無いの?
無いなら無いで良いんだけどさ。そういう準備があるならありがたいって話。

――――ったく、他所の国の人間をこき使うなんてたまげるよ、ホント。
コニー三等書記官殿は可愛いから許されるってか、くくっ人の悪い。


【二人の間で交わされる遣り取り。それが終わりに近づくなら、タブレットを仕舞う。
 その直後に施設にたどり着き――任務開始、エーリカは手はず通りに裏口から侵入するのだった】
920 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 20:34:41.11 ID:AePwOM1u0
>>919

いや、どうだろうね。
工作員は発火能力者/パイロキネシスト≠ナはないが微量の電磁波を操る異能は持っていた
それ故工作員に任命されたっていう経緯もあるんだが………つまりはあるとしたら異能の変質≠セね。

―――兎にも角にも調査だ。
ああ、悪いちゃんと準備はしてあるよ施設警備員の制服と、偽造ID、小型インカム。

むしろアンタらの国の連中に好き勝手やられてんだ、トントンだろ〜


【ぶつくさと軽口を叩きあいながら、用意した装備を後部座席から取り出して渡す。】
【準備自体は十分なようであった。男用なのか大分サイズは大きいが白い警備員制服を着ればそう怪しまれまい。】
【エーリカをポイント地点で降ろすと車は正面ゲートへと向かう。】
【施設の周囲は雪が降り積もっており、とても肌寒いだろう。】


《いつもお世話になっております、氷の国外務省三等書記官のオブライエンです、視察で伺いました。》


【インカム越しにコニーのビジネス的な口調が聞こえてくる。】
【合図は出された、まずは裏口より内部に侵入すべきだろう、裏口を入ればまず見えるのは真っ白な長い廊下だ】
【案内板には「エレベーターホール」「管理センター」と書かれている、どちらに行くべきか。】

921 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 20:39:42.13 ID:E6ifN2nXo
【路地裏】


魔制法、ねえ…………ニンゲンたちも身内争いするなんて暇ね
ま、その点については私たちも言える状況じゃないんだけど…………


【路地裏の暗がりの中で新聞に目を落とす女がいた】
【整った細長の目元に美しい鼻梁。輝くように透き通った長い青髪が背まで続く】
【美人と評して差し支えない風貌だった。寒空の下だというのに、脚を外気に晒していた】


…………これはあんまり嬉しくない報せね。そう言ってしまえば全てがそうなんだけれど
対処するだけじゃ終わらなさそう。あいつらがまた古臭いことを言い出しかねないわね


【誰に向けたものでもない独り言が流れていく】
【女の足元には黄褐色の液体と、それに浸る衣服。さらには鼻腔を刺激する異臭が漂っていた】
922 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 20:47:55.51 ID:7GjfKkb6o
>>921

【足音一つ、踏み込む音色に来訪を告げたなら、視線が緩やかに身体を伝うのを理解するだろう】
【扇情的な格好をした美人、優雅な青い髪が何処かエキセントリックに、それでいて住むのは暗がり】
【 ──── 加えて刺激臭も漏れているのだから、それは正しく異国情緒と呼ぶべき風情】


ニンゲン達ね、まるで自分がニンゲンじゃないって言ってる風に聞こえるぜ、嬢ちゃん


【黒い短髪を派手に撫で付け、胸部を大きく露出した耽美的な黒のドレスシャツ】
【黒の司祭服を袖を通さずに羽織り、首元には申し訳程度のロザリオを垂らして】
【真紅の瞳が印象的な長身の男性であった、口元に煙草を咥えて、ゆっくりと歩いてくる】


後学の為に教えといてやろう、ニンゲンの歴史は争いの歴史とも言える、身内だろうがお構いなしにな
ある種闘争こそが本質とは言わんばかりに、──── だからこそ国家の重要性を訴えた学者も居たが
国家同士の争いに変わっているだけだもんな、些かばかり業が深い

──── よう、こんな所で粗相の後始末かい? ずいぶんと淫らなこった


【吐き出す煙、心なしか顔をしかめるのはその異臭が故か、普段より多めに煙を吸い込む】
923 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 21:05:20.01 ID:E6ifN2nXo
>>922

【足音に声。どちらが聞こえても女は視線を動かさなかった】
【まるで気がついていないように止まったまま。あるいは単に新聞の文字でも追っているのか】
【瞬きの間。その姿が消えて、新聞が地面に落下する】



──────生憎と、お喋りな男は嫌いなの。ニンゲンなら特にね



【声は背後から聞こえた】

【言葉の次に向けられるのは敵意。胴体めがけて高速の中段蹴りが放たれていた】
【さらに脚の表面が隆起。黒々とした鱗のような棘が現れて突き刺そうとする】
【棘の表面には微小な黄褐色の液体。触れれば皮膚を灼け爛れさせる危険な毒だ。突き刺さり体内に入ればより恐ろしいことになる】
924 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 21:13:49.88 ID:7GjfKkb6o
>>923

【 ──── 気配は背後、前のめりに倒れるようにして回避 】
【右手を軸に前方へ、くるりと向き直ったなら溜息一つ】【──── ずいぶんとまあ、好戦的で】


だったらこれ見よがしに呟くもんじゃないぜ、おしゃべりな男に捕まっちまうからな
大体そんなにニンゲン嫌いなら、ニンゲン様が跳梁跋扈する世界に来るもんじゃないだろ?
自意識過剰な女は嫌われるぜ? ニンゲン、ニンゲンじゃない関係なしにな


【立ち上がり言葉を紡ぐ、──── 早い動きだった、彼では目で追うのがやっとだ】
【どうやら俺は人外に好かれるらしい、昨日の嬢ちゃんの顔を思い浮かべて】
【左手を其方へと向ける、掌をはっきりと示して】


──── 別に嬢ちゃんの事情は知らんが、無作為に戦いをふっかけるのがお好みか?
そりゃ何の生産性も無い行為だろ、身内争いなんて暇って言ってる割には、嬢ちゃんも暇な行為に精を出すんだな

まあ何か抱えてる事があるなら言ってみろよ、聖職者の役割を果たすぐらいには俺は敬虔だぜ?


【──── しかしまあ人外は美人揃いなら、なんて内心思いながら】
925 :File:ZERO (2.0) [saga]:2019/02/17(日) 21:21:45.23 ID:nrqSjDASo



 【その0秒は永続する】



 【計劃者は虚数を述べ続け】
 【公安捜査官は実数で反駁する】



 【運命的に反する二者は】
 【因果の積層を観測し続ける】



 【干渉し得ない一刻を、無限に】



/:『 Φ / ∀ 』 ()
/↓
926 :File:ZERO (2.0) [saga !nasu_res]:2019/02/17(日) 21:22:45.39 ID:nrqSjDASo
───────────


  ――無駄だ。


 〈騎士〉では〈律法〉には勝てない。


 〈王〉には〈預言者〉が在り、

 〈福音〉には〈詩篇〉が対応する。


───────────


 ……『アーキタイプ』だけで盤面は決まらないわ。


───────────


 『敗者』は遍くそう言った。

  原子の総数を数えるより退屈するくらい。


───────────


 ………………………………


───────────


  言っただろう。
  僕が〈計劃者〉だ。


  僕が〈アーキテクト〉だ。


───────────


  …… 《 反証 》


 〈アーキテクト〉は〈アーキテクチャ〉に含まれない。
           
                
/↓
927 :File:ZERO (2.0) [saga !nasu_res]:2019/02/17(日) 21:23:18.72 ID:nrqSjDASo
───────────


 ………………………………


───────────


 …… もう『嘘』をつくのはやめたら?

 偽の命題をいくら並べても無駄よ。

 

 ―― “真実”を答えて。
 
 あなたの後ろには誰が ―― ……いや、



     ―― 『 何 』がいたの?
                             


───────────



 ………………………………











            ――……何も無いさ。何も。


───────────


───────


───


/(続)
928 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/17(日) 21:31:31.95 ID:FKTmPsmeO
>>920

―――変質、か。それはそれで厄介な話だよ。
だとしたら異能持ちの私も捕まるわけにはいかない訳だね。

オーケー、"調査"だね。了解した。施設の実態を暴く"調査"。
"前職"でもやってたけど手抜かりは無い様にするよ。


【そう、前職でも潜入捜査は経験していて、不慣れでは無いのだ】
【もし捕まってしまったとしても誰も助けには来ない――その教えも未だ根付いて】
【でも後ろ向きな事は考えない。何事もポジティブシンキングである】


【"うっさい、うっさい。アンタと私の間にトントンなんてあるわけないじゃんか"】
【なんて軽口を叩いていたら、潜入用の諸々を受け取り即座に装備するのだった】
【やや持て余す制服に偽造ID、小型のインカム。――装いは十分】

【潜入する間際、コニーの事務的な声が聞こえた―――すなわち合図だ】
【それを皮切りに彼女は裏口から内部に侵入して、真っ白な長い廊下を我が物顔で歩く】
【挙動不審が一番怪しまれるから堂々と。それでいて慎ましく。やがて案内板に行き着けば】


………先ずは全体を見渡したいから管理センターから行くとしようか
929 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 21:38:57.06 ID:E6ifN2nXo
>>924

【蹴りの勢いのままに一回転した後に後方宙返りで距離をとる】
【熟練した淀みのない動きだった────もっと言えば、十分な訓練の気配を感じさせるものだ】


聞こえなかったのかしら、お喋りは嫌いなの。おまけに説教くさいんじゃ最低ね
あなたで役に立てることなんて、精々私に溶かされて栄養になることぐらいよ

大体、私だって好き好んでこんなところになんか…………


【女が舌打ちをする。余計なことを喋ったと言わんばかりに苦々しい表情を浮かべて】
【即座に後転。振り上がる脚から多数の棘が男へと直進する。その一つ一つに黄褐色の液体が塗布されていた】
【個々の威力は大したものではないが、酸が付着しているという部分が厄介ではあった】
930 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 21:46:32.22 ID:7GjfKkb6o
>>929

【 ──── 強かに笑った、だが、表情の下はあまり浮かない、訓練を受けた人間ではないから】
【先刻の動きも "種も仕掛けもあった" ──── しかし、ネタがあっても尚、この程度】
【止めてくれよ、なんて言えない、矜持だけは一人前が彼のやり方に近い】


だったら聞かなきゃいいだろ? 説教臭いと思うぐらいには響いてる訳だ
生憎と説法と啓蒙が仕事なもんで、喋る口を止めたら路頭に迷う人間が数万じゃ足りない
嫌なら耳閉じて赤子みたいに喚き散らすか、──── それなりに語ってみせろよ


【羽織っている司祭服を脱ぎ、楯の様に振う、棘を絡め取るには十分か】
【酸が服を溶かしていく】  【舌打ち一つ地面へと投げ捨てる】  【ドレスシャツ一枚は中々寒い】


へぇ、好きじゃない場所に来て、好きじゃ無いニンゲンに見つかって、じゃあ殺戮ぐらいは好きかい?
そうじゃないならより疑問だ、頭のネジが外れたイカレポンチじゃなけりゃ戦う意味なんて存在しないだろう?

──── アンタが何かの傀儡じゃないというのなら、少しは自分の意思で歩いてみな

嫌い嫌いで殺してちゃ、何一つ自由になんかならないしな
931 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 21:48:09.33 ID:AePwOM1u0
>>928

【「管理センター」は施設の丁度真ん中に存在していた。】
【ドーナッツ型の建物は中心が管理センター、その周囲を取り囲むように収容された異能犯罪者の独房が存在していた】
【現在収容されているのは約500名、そのすべてが異能者だと考えればかなりの数字であった。】

【管理センターへと到着する、そこは大きく開けた場所であり】
【大勢のオペレーターがモニターの前に座って、各収容者の管理を行っているのが分かる。】
【―――オペレーターや警備員はどこか無機質な表情とまなざしをしていた。】

【エーリカが入ってきた事にも大した関心はなく、IDチェックが済めば注目されることもない。】
【近くの端末へと行けば、施設の全体MAPを見る事が出来るだろう。】


【施設は下へ延びる4層構造となっていた。】
【現在エーリカがいるのが最上層部、そして地下2層、3層と収容スペースが続いている。】
【地下4層目は―――資材置き場と表記されているが。】


《おい、そっちの調子はどうだ―――?》


【囁くような声で、コニーが通信をしてくる。】
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 21:49:34.26 ID:o8iYbGD50
>>914

わあ、――満漢全席ですか?

【ぱぁと目が輝いた。両掌をぺたんと合わせて頬に添えるなら、やったあーなんて無邪気な笑みが漏れ出る、けれど限りなく作為的で言うのは言うまでもなく】
【もう少し、の幅がどうにも大きすぎるみたいだった。ホップステップの次がいきなり大気圏突破くらいの勢い、そのくせ無邪気な笑みは気の弱い人なら押し切れる色合い】
【けれどそれっぽちじゃ誤魔化されてくれない人だって分かっているから、きっと、するんだった。――彼女だって真に受けてしまう人相手には、そんなこと、たぶん、しないから】

ああなるほどー。っていうわけなくないですか? ダメですよお、それこそ怒られちゃう……。怒られちゃうし襲われちゃいますっ。
――ねぇマリアベルさん、私の変装、ほんとにそんなにバレバレですか? うぐう……みんなにバレちゃう……。

【ぽすぽす頭をたたかれるなら、やっぱり子供扱いされている気になってしまう。ただし今回はさっきみたいに抗議しなくて、代わりに、ノリツッコミ、みたいな、温度】
【そんなことをしたらお店には入れるかもしれないけど、多分一緒に刑務所とかに入ってしまうから。――またむーむー言うから、変な鳴き声の小動物みたいになってしまって】
【――おもむろに尋ねるのだろうか、至極まじめくさった顔をしていた。――カラーリングが違うのも相まって受ける印象は確かに違ってはいた、違っては、いるのだけれど】
【――――なんとなーく同じジャンルの色合いをしているみたいだった、つまり色素薄め。黙っていれば薄幸の令嬢みたいな顔。なれば、所属するジャンルはやっぱり変わんないから】
【――――――それに立ち振る舞いが全く同じであった。声音も当然一緒だった。即ち、もとよりの蜜姫かえで、を知っている人間であれば、――というより名前も一緒なんだから】

【本当に変装しているつもりなのなんて言われても仕方がない、だのに彼女はきっとどこまでも真面目であって、】

異物感ヤですよお――――魔術は使えないです。からきしですよ、教わったりも、してなくって――。
魔力とかは、――まあ、出来ますけど。精密操作も、だいぶ……? 

【ただし、強くなりたいのは自分なのだから。――だから心折れるようなテンションにて受け入れたらしかった、そうして寄せられる耳元に吐息がかかるなら、わずかに肩が跳ね】
【――微笑みには少しだけ拗ねたみたいな目が返る。魔術についてはとんと駄目であるらしかった、そもそもやったことがないというのがきっと正解であるのだろう】
【その代わりと言うでもないけれど、――魔力扱いについては、いくらかの自信があるらしい。細やかな仕草も出来るのだと胸張るなら、得意げな顔、至極子供っぽいから】
933 : ◆ImMLMROyPk [sage saga]:2019/02/17(日) 22:00:38.62 ID:hy8iS3dG0
【現在地点──────風の国──────】
【朝靄が街を覆い隠す。山稜の淵が赤らみ始め、幾千もの光芒が朝の訪れを知らせにやって来る】
【朱銀に輝く日輪が、こんなにも恐ろしく感じるとは。痛む体を労わりながら、大きく白い息を吐く】


(……ぼぅっとする……何時間経った……?)


【女の姿をした怪物との戦闘から夜が明けるまでひたすらに飛び続け、今や彼は風の国・国境付近の街まで流れ着いていた】
【既に能力を使う余力も無く、今にも砕け散ってしまいそうな体と心をどうにか現世に繋ぎ止めている】
【夜明け時。彼が地べたに座り込み、小さなアンティークショップの外壁にもたれ掛かっていても、人影は見えてこない】

【銀髪に紫色の瞳をした十代後半の少年。左腕の二の腕辺りは火傷のような傷があり、服には幾つもの傷が見られる】
【誰がどう見ても負傷者と思えるその様相。事実、彼の身体の中、特に左脇腹付近の骨折、打撲は無惨なものだった】


(このまま死ぬか……それはそれで……クソッタレだな……)


【放っておけば死に至るのは必然。恐らく、次に出会う者が彼の運命を決めるだろう】

/絡み待ちです
934 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 22:04:23.80 ID:AePwOM1u0
>>932

ハハハハハハ、いいよ〜高級ホテルでお泊りディナーだねぇ
う〜ん、変装は別にそんなに悪くはないと思うよ?私はかえでの事良く見てたからねぇ。
まぁ、暫くすれば昔の事なんてみんな忘れるよ………きっとね

【わざとらしく手ぶりを加えながらそう応える。】
【どうにも意地の悪い言い方であったが、マリアベルとしても相手が真に受けないと思っているからだろうか】
【最後の一言はどこか含みを持たせてはいるが―――。】

へぇ、それなら色んな意味で丁度いいかもね。
通常魔術を使い込んでるとむしろ癖がついちゃってるかもしれないからさ。

―――とにかく、暫くはその外の魔力≠体に馴染ませる事だね。

あとは、使用できる属性を知らなくちゃいけないね
こればっかりは自分でやってみないと分からないから魔力に慣れたら試してみるといい。

どの属性の魔術が一番かえでに合っているかをね。


【「まずはそこから」とマリアベルは言葉を切った。】
【つまりはまず魔力の扱い(特殊な魔力のようだが)に慣れた後に、自身の扱う属性を知れと。】
【一気にレベルアップとはいかなそうであった。】
935 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 22:07:48.83 ID:E6ifN2nXo
>>930


────神経逆撫でするのがお上手ね
そこまで言うならいいわ、それこそ“聞かなくて済む”ようにするわ


【ぶちっと。ただでさえ脆い堪忍袋の尾が切れる音がした】

【その場で回転蹴り。先ほどと同じように多数の棘が向かう。既に女の姿が消えていた】
【壁の破砕音。瞬間的な跳躍で上空に舞い上がっていた。壁を蹴り上がってさらに跳躍】
【空中で脚を振るって上空からも棘が降り注ぐ。その後に壁を足場として脚を撓めて反動で跳ねる】

【棘に続いて本体が突撃。急接近して直接、蹴りを打ち込もうとする】
【やはり脚には鱗に似た棘のようなものが生えていた。これで突き刺すのが狙いか】
936 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 22:14:10.97 ID:7GjfKkb6o
>>935

【 ──── 嗚呼くそ、と内心思った、こいつは "勝てない" と】

【右へ蹴って最初の棘を、次に後ろへ飛んで上の棘を、──── けれどもそこで千日手】
【呆気なく蹴りが右肩へと入る】  【背中側から倒れて息を吐く】  【──── 深く突き刺さる棘】


っ……げほっ、ごほっ……たく、容赦ない嬢ちゃんだ……っ
立派なのは身体だけで情緒の方は丸っきりかい、──── 子どもの方がもう少し聞き分け良いぜ

少しはその性格直さなきゃ、良い人生は送れないと思うがな……


【何度か呼吸をする、絡んだ喉元に痛みが増した】
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 22:23:16.91 ID:o8iYbGD50
>>934

……えー。お泊りは、駄目ですよお、お泊らないディナーはないんですかあ、――ご宿泊じゃない方がいーいーでーすー!
そんな、――急に言われても困りますよ、えっ……私ってそんなにカワイイですか? まあ、そんじょそこらにはうろついてないダイヤの原石かなって思いますけど――。
…………あ、なんか辛くなってきたんですけど、どうしよう……。やめてくださいよお――――。

【ぴょんと立った仔犬の耳がぺたんって倒れて、表情も同じであった。お泊りとなるとやっぱり敷居が高くなってしまうのは、どうしても好きな人が居るからか】
【わりに躾けられているのなら余計に二の足を踏むらしかった、――とは言え、お友達と、お泊りのお出かけって言っておけば、きっと、大丈夫なのだと思うのだけれど】
【――続く言葉は一瞬の躊躇いから、えへんと胸を張って、――――――急になんだか気恥ずかしくなったらしい。お顔を両手ですっかりと隠してしまったら、沈黙横たえ、】

【指先からちらと青色があなたを覗き見たなら】

馴染ませるも何も……、どうしたらいいのか――。歓迎会とか開いた方がいいですか? 〜歓迎!外の魔力様御一行〜みたいな感じで……。
というより、外って――この感じ、ぁう、……、むううう……。

【どうにも前向きに考えているらしいのだけれど、外れたことばかり言うのなら、やはり魔術などとは無縁の暮らしをしてきたのだろう、――――とはいえ、】
【蛇術を魔術と捉えるのなら、そういう意味では、十全に扱えはするのだけれど。それでもごく限られたジャンルの話であった、――ましてその形態は未来に由来するものであるなら】
【――熱っぽさと異物感に呻く声を断続的に漏らしていた、この感じに覚えがあると言外に訴えていた、――――何せそのつもりなくとも虚神を信奉していたのが、彼女であり】

属性って言われても――――冷たいことしか、分からなくて……。これ"何"ですか?

【――――なればやはり意識すらしたことがなかったのだろう。魔力などというのは能力の媒体でしかないと。――ちらり指先に輝かすのは、マゼンタの眩い色彩】
【さっきの仕返しみたいに、指先でマリアベルの身体のどこか、触れようとするのだろう。――受け入れるのなら、その部位にひやり冷たさと、微かな痺れ、麻酔を施すような】
【彼女の魔力は即ち"阻害"そのものであった、――人間に作用させると、麻酔薬のように作用して、その結果に冷たさとけだるさと、――あまり楽しくない鎮静効果、齎すのなら】
938 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/17(日) 22:25:04.43 ID:FKTmPsmeO
>>931

【難なく侵入出来たのは何処か不気味だったが】
【それでも戦闘に発展せずにやり過ごせそうなら僥倖という他ない】

【ドーナツの輪の中にいる自分、囲むように収容される罪人達】
【管理センターに居るオペレーターも含めて】
【全部一つの部品みたいに思えて気分が悪くなりそうだった】

(――――、ここは最上層部か。んでもって地下に行くにつれて
 収容スペースが……んんっ?四階が資材置き場?………きな臭い)


【思考を巡らしていれば、コニーからの通信が耳に入る】
【威風堂々と人気のない場所まで足を進めて、答える】


『とりあえず支障は無いよ。今現在管理センターに潜入しててね、
 この施設の全体MAPでここの構造を大まかに把握できた所』
『施設は地下四階まで存在してて、今私たちが居る場所が最上層部
 二階、三階は収容スペース、四階は……資材置き場ってなってる』

『コニー、とりあえず今はまだ最上層部にいるけれど順を追って下に潜っていこうと思う。
 この潜入はアンタの依頼だ。どういう風に進めるかはアンタのオーダー次第、要望があれば言ってくれ』

【同じく囁く声で通信を行うエーリカ。現状は施設のMAPを把握したという事だけである】
939 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 22:27:42.13 ID:7GjfKkb6o
>>933

【ぴきーん、と彼女のレーダーがおっきな信号を発見、迷うこと無くそっちの方向へ】
【様子を見たなら怪我が一杯であった、医療には詳しくないが痛そうなのは分かる】
【んーどうしましょうかねぇ、なんて思いながら】


──── まぁ、取り敢えず、ケッコン≠オちゃいますかっ♪


【長いピンクの髪と、ぴょこんと大きな白いリボン、まるで狐耳のように髪の毛を彩る】
【ウエディングドレスを基調とした服装は、上半身はピタリと張り付いて、豊満な胸元を露わにする】
【パニエで膨らませた下半身のロングスカート、機能性の為の前開きから白いサイハイソックスを覗かせて】

【白いパンプスと手に持つのは薔薇でできたブーケ、檸檬色の瞳をした少女であった】

【あろうことか彼女は座り込んだ少年の口元へと、キスをしようとしたのである】
940 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 22:28:10.64 ID:E6ifN2nXo
>>936

【倒れこむ男の前に女は立ち、絶対零度の瞳で見下ろす】


あなたこそ、死なないとその減らず口はなくなりそうにないわね
全く、ニンゲンってのはどうしてこう弱いくせに吠えてばかりなのかしら
理解に苦しむわね…………ま、理解する気もありませんけど


【とどめを刺しにいかないのは油断か傲慢か。少なくともこの女は確実に仕留められると思っているらしい】
【はぁ、と呆れたように溜息をつくと一歩引き下がった。幾ばくか敵意が収まっていく】


殺す前に、いくつか質問をしておきます
一体この国はどうなっているのかしら。どこでもお祭りみたいに騒がしいし
歩いていたって全っ然、状況が分からないわ。何か知ってる?


【どうやら水の国の近況が知りたいようだった。答えなければ殺すと言わんばかりに】
【両腕を組んだまま睨みつけて見下ろしていた】
941 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 22:34:01.93 ID:7GjfKkb6o
>>940

【お、と内心思う、──── 意外にも話が通じる相手なのかもしれない】
【 "ニンゲン" という表現から人外であるのは確定、嫌々この世界に来た、という口調】
【だとすれば別世界の存在である事は間違いないだろう、天使にしては愛想が悪い】


きちんと論理立てて話してるつもりなんだけどな、どうやら理解する気がないと減らず口にしか聞こえんらしい
俺は別に嬢ちゃんが頭の悪い奴だとは思わないが、──── もう少し考えてみりゃいいのに

俺もアンタも知的生物である以上、コミュニケーションという一つの画期的な方法論で通じ合える
にも関わらず理解を根本から否定するのなら、──── そりゃもう用兵のミスだな
アンタが悪いんじゃないぜ、アンタを此処に派遣した奴が無能なだけさ


【大の字で地面へと寝転がっている、起き上がれる様な体力も能力も無い】


何か知ってる? と言われてもねぇ、そりゃ何かは知ってるが何から話せば良いのやら
"お祭り" って表現は面白いな、嬢ちゃんのいる世界の祭りはこんな風に殺気立ってるのか?

──── それに、そんな態度じゃ歩いていようが走っていようが、状況は微塵も分からねぇだろうよ
942 : ◆ImMLMROyPk [sage saga]:2019/02/17(日) 22:40:48.44 ID:hy8iS3dG0
>>939
【視界に入る人影。それは何とも奇天烈な物で、純白のウェディングドレスを着た花嫁のようにしか見えなかった】
【否、純白のウェディングドレスを着た花嫁その物だ。頭蓋に響き渡るケッコンの言葉がそれを裏付けていた】
【体は動かない。渇いた唇から漏れる音は微かな呼吸音だけ。霞がかった意識で感じ取るのは、恐らく目の前の少女の接吻】

【状況の進行に理解が追いつかない。生気を失っていく声を振り絞り、彼は少女に問いかける】


お……お、前……誰……だ……


【簡素な定型句。それを吐き出すのにも、彼の体力は明確に消費されていた】
【相手が何を目的として此方に近づいて来たのか。そもそも敵愾心を持っているのか、そうでないのか】
【彼にとって幸運なのは目の前の少女が救いの聖女であることだが、急激に状況が好転することを期待しては後が恐ろしい】

【紫水晶の如き瞳を少女に向け、静寂の中で返答を待つ】
943 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 22:43:06.79 ID:AePwOM1u0
>>937

いやまぁ、冗談だよ冗談。アハハ
うんとても可愛いし何よりその雰囲気がいいよね、とてもそそられるよ。

―――そうだねぇ、まずは受け入れる事が大切かな。
きっと色々あるのだろうけどその存在をしっかりと観測して受け入れれば悪いようにはならないかもよ。


【眼を細めながらかえでの横顔を見ながらそう言う。】
【「ただ、もし無理なようなら吐き出した方がいいかもね」と少しの労りを口にする。】

【そんな事をしているうちに頬にかえでの指先が触れる、そして訪れる痺れと冷たさ。】
【一瞬マリアベルは身体をのけ反らせて驚くがすぐに性質を理解し苦笑気味に指先を眺める。】

びっくりしたぁ………けど中々面白い性質だね、かえでの魔力は。
拒絶≠ニいうか阻害=cかな、これはある種外の魔力≠ニも相性が良い。

―――次に会うときまでに良い術式を考えておくよ。
大丈夫?今日は家まで送っていこうかい?


【そう言うとマリアベルは立ち上がる、どうやら今日できる事はここまでのようだった】
【もし身体がつらいのであればマリアベルは家まで送るだろうし、最悪先程言ったように魔力を吐き出す≠フもありだ】

944 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 22:47:46.52 ID:7GjfKkb6o
>>942

【大きな瞳をぱちくり、あら、生きてたんですね、残念残念、と小さく述べて】


あらま、人に名前を尋ねる時は自分からですよん、おとーさんやおかーさんに習いませんでした?
まぁ私も習ってないんですけどね、今のなしなし、両親の話はNGです、まともなのじゃなかったですし
仕方ないのでけーもーしてあげます、どっかの気障で口の悪い嫌味神父の真似ですけど

私はティナです、ティナ蜜月<買@レンタイン、ティナちゃんとかティナたんとてぃーたんとか呼んでくださいまし

とまぁ延々つらつら滔々と喋り続けておりますけど、ダーリンってばとってもとっても一大事ですよね
こいつはつまり危機的状況というやつでわ? 意外とその辺り詳しいんですよね、私

ですからぁ、白衣の天使としては純白の服に誓いを立てて助けてあげたいんですけども

私ってばかわいさ全フリで力の方はとんとダメダメなもんでして、傷ついたダーリンを運ぶのは無理ですね
寧ろ途中で落っことしてそのままご臨終が関の山です、と言うわけで


──── ケッコンしましょう、そしたら、私の能力でどうとでもなります


【説明は終わった、後は為すだけだとばかりに、口元へ唇を近づける】
【淡いルージュの感触、仄かな肉感的な煌めき、ぷくりと潤いを含んだ桃色の響き、果実の様に瑞々しくて】
【鼻腔を擽るのは鮮やかな芳香、満開の花園を思わせた、天上の調べが空耳で聞こえるぐらい、はっきりと】

【──── 抵抗がなかったら思いっきり口にキスをする、舌を入れないのが武士の情け】
945 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 22:50:32.16 ID:E6ifN2nXo
>>941

【再び溜息が漏れる。足を振り上げて落とす。地面を破砕する硬質な音が響いた】


聞かれたことだけ慎重に答えなさい。今すぐくびり殺してもいいのよ
大体、こうやって命を握られているっていうのに挑発的な言動を続けることの方が私には理解できないわ
そうやって相手の批判めいたこと言って悦に入るのが論理的な話し合いだと思ってるのなら、本当に哀れね

…………まぁいいわ。どうせ後で殺すし


【動けないことが分かったのか、手近なところに置いてあった箱に腰を下ろす】
【あまり離れたわけではない。自身の出せる速度に対する自信故の油断だろう】


で、あなたたち……っていうか、この国は一体何をやっているの?
内乱、とまでは言わないけれど、それに近い雰囲気は感じるわ
…………ニンゲンたちの気配だから、今ひとつ自信はないけれど


【どこかまだ不機嫌そうな様子で質問を続ける。ちらりと男を見る視線はやはり脅迫めいていた】
946 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 22:54:33.36 ID:AePwOM1u0
>>938

《オーケイ、オーケイ流石に順調だな》
《こっちはあまりにも普通≠セ、囚人も元気に騒いで煩い位で暴走≠オてるようには見えない》

《―――とりあえず適当に回っているがあまり時間がなさそうだ、急いでクレヨン。》


【そう軽い調子で答えるとコニーは通信を切断する。】
【管理センターから外へと出れば周囲を取り囲む独房、叫び声や罵詈雑言が飛び交っている】
【コニーの言う通りいかにも元から悪人だったような風貌のものばかりだ、むしろ健全に見える。】
【囚人たちは一様に首にチョーカーのようなモノをつけられている】
【資料によれば、異能や魔術を行使しようとすると電流が流れて気絶させられるらしい。】


【エレベーターホールは正面入り口の方だ、大きなガラス張りのエレベーターが地下へと伸びている。】
【まず地下二階へ向かうのであればそのままIDを認証させて降りればいいだけだ。】

【―――だが、地下二階へ降りても風景は変わらないだろう。】
【最上層と同じ構造内で強面の囚人たちが眼を血走らせてここから出せとばかり叫んでいる、それだけだ。】
947 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 22:58:44.81 ID:7GjfKkb6o
>>945

【真紅の双眸は微塵も揺るがなかった、地面に倒れたまま相手を見据えて】


縊り殺そうと思えないからこんな問答を続けてるんだろ? 本当に興味が無いのならさっさとすれば良い
俺にとっての最善を言えばこのまま見逃して欲しいけどな、そうすれば俺もアンタも丸く収まるだろうに
力で蹂躙して全て解決だなんて思ってる方が俺には理解できない、ニンゲンの強さは意外とこんな所にあるんだぜ?

──── あら、批判に聞こえたか、そいつは失敬、俺としては思った事を伝えてるだけなんだが
そいつが批判に聞こえるって事は、存外、同じように思ってくれてるのかもしれないな


【いやだからアンタが殺す殺すって言う理由って何よ、とでも言い出しそうな勢いで】


成程、良い見立てだ、やっぱり嬢ちゃんは相応に鋭い、聡明だと言っても差し支えない
自分と異なる種族の気配を感じ取ってそこまで分かるのなら、賞賛に値する程じゃないか?
俺は猿の考えも犬の考えも分からんしな、腹減ってるとかそれぐらいだ、いや、それも時々危ないな

──── 逆に聞くが、嬢ちゃんの地元じゃ内乱はしないのかい?
内乱って言葉がある以上、それに準ずる諍いはあるみたいだが
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 22:59:47.14 ID:o8iYbGD50
>>943

――いっぱい口説くじゃないですか。駄目ですよ、私、アリアさんのこと、好きだから――。でも、マリアベルさんのことも、だぁいすき、ですよ?
でーもー、揶揄ってくるのは駄目です。私が誰かを揶揄うのはいいですけど、私のこと揶揄うのは駄目ですー。あたふたしちゃいますよ、だからあ――。

…………、むう。じゃあ、そうしてみます――。――ヤだったら、そうですね、能力使って、ペッてしちゃいます。私これでも、結構丈夫な方ですから!

【目を細める表情に、――気づくなら、彼女は振り返るのだろう。故に観測するのは横顔ではなくなって、真っ青な瞳、真っ直ぐに見つめてくるのなら】
【たとえ口説かれようとも靡いてはくれないらしかった。なんせ好きな人が居るから。――だけれども、貴女のことも大好きですよ、だなんて、伝えるのはひどく狡い作法】
【大好きの意味合いが違うのは明白だった、あどけない頬っぺたの無邪気さは友人としての好きを伝えていた、そこにおっきな断層があると彼女自身伝えてしまうのに】
【――そのくせに揶揄うのまで駄目であるらしい。なぜって揶揄われてしまうから。――――――だからもっと揶揄ってしまっていいんだった、だって、こんなに、ひどい子だから】

【それでも、――もう少し様子を見るつもりであるらしい。観測して受け入れる。そのやり方はよく分からないけれど、――自分の異能に対して、信頼と信用、ちゃんと抱きしめ】
【故に、本当に不味くなるまでは様子を見ると宣言していた、――駄目と判断したら容赦なく吐き出してしまうのだろう、なんせ彼女の異能は、その方面に特化していて】

――――ぅふふ。いろいろ出来るんですよ、痛みとか、苦しいとか、そういうもの――"阻害"したり。硬いものだって壊せるの。何かを考える、邪魔をしたり……。
――わぁ、本当ですか? うれし……、嬉しい――かなぁ、――うーんと、嬉しいです! ――、まあ、仲の悪い感じの奴が、こう、アレするより、いいですよね――。

んん……、そしたら……、――うーん、……。

【くすりと笑い声一つ、なれば彼女は見上げる星空よりも冷たく笑んでいた。その頬に添えた指先、つう、と、揶揄うような愛撫の仕草で、首筋まで運んで】
【その終点までを阻害の魔力が撫ぜるなら、――ごく微かなものであるから、数秒もすればすぐに消えるのだけれど。歯医者の光景でも思い出すのだろうか、なんて?】
【――ずいぶんと便利な力であるようだった。なればどこまでも概念的な異能であるのだとも思わせた。――素直に喜びかけた表情が、一瞬、躊躇いがい戸惑った、数秒後】
【結局は良いことだと判断したらしい、――――――それから、相手の申し出に、小さな唸り声。うーーーんなんてしばし悩むのだろうか、その瞬間も夜風は冷たくて、】

じゃあ……えっと……、途中で襲われたら、困るので――。

【――――お願いします、なんて、小さな呟き。元気に喋ってはいても、たしかに、その頬っぺたは病気に似て、林檎色に赤らんでいるのだから】
949 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 23:07:24.31 ID:E6ifN2nXo
>>947


……ふぅん。じゃあそんなに間違ってはいないのね
それと質問はなしよ。聞かれたことにだけ答えなさいって、さっきも言わなかったかしら?
それともニンゲンの理解力に期待しすぎだったのかしら……なら、私の落ち度ね


【男の質問に女は答えないままに、しばし何かを悩む仕草をしていた】
【何かしらの目的を背負ってこの場にいるようではあったが、それをまだ明かしていなかった】


で、具体的には何が起こっているの?
次におかしな答え方してこっちの事情を探ろうとしたら、今度こそその身体に風穴を開けるからそのつもりで


【見下ろす氷点下の瞳には脅迫ではない意志が宿っていた】
【一旦はこの女の流れに乗るのが、何かを引き出すにせよやりやすそうではあったが────】
950 : ◆ImMLMROyPk [sage saga]:2019/02/17(日) 23:08:54.15 ID:hy8iS3dG0
>>944
【いやに饒舌で、それでいて何処か鼻につく感覚を覚えさせられる語り口】
【今はそんなことを気にしている場合ではない。自身の命を繋げる為には、どうしてもこの少女に頼る他方法が無い】


ヴァレンタイン……
わかった……そのケッコンとか言うので、これがどうにかなるのなら……頼む……


【背に腹は変えられない。傷を癒す為に、恐らくは少女の能力を発動する条件≠ナある接吻を受け入れる】
【相手の見た目も、含まれる要素も、全てが男を魅了する為の物だろう。事実、正常な状態であれば彼もそれなりの対応をした……かもしれない】
【だが、今はそんな事をしている余裕はない。内出血は着実に進行し、体内は刻一刻と崩壊し始めていた】


ジュピター……俺は……ジュピター……
これで……これでどうなるって言うんだ……?教えてくれよ……


【少女を見つめ、再び問いかける。彼が死ぬのが先か、能力が発動するのが先か】
951 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/17(日) 23:12:08.88 ID:FKTmPsmeO
>>946

『急いでクレヨンとかおふざけは大概にしてもらおうか。
 ――――……時間が無いってのは同意だけどさ』


【平生の気の抜けた言葉にやや呆れた顔のエーリカ】
【でも緊張しすぎるのも良い結果を生まないなら、この軽口も意味を持つ】
【管理センターから出て独房へと歩みを進める――ステレオタイプの反応が待ってた】
【囚人たちは聞くに堪えない叫びと罵詈雑言に振り回されてる様に映って、嫌悪を示す】


……うっざ。黙れよ。野郎の喚き声なんて気持ち悪いんだからさ。
どうせなら可愛い美少女でも……勘弁。喚き散らす姿に可愛さも美しさも
  ―――――愛もあったもんじゃない。


【独り言、酷く底冷えするような声色―――心の底から嫌悪していた】
【意識を切り替えて家畜を見るような目で囚人たちを睥睨すれば、幾分か冷静さを取り戻す】
【そしたらエレベーターホールに足を運んで、地下二階へと向かう――同じ景色のリテイク】


『コニー、聞こえるかい。二階も最上層部とおんなじ景色。見るに堪えない屠殺場さ
 だから三階―――いやすっとばして、四階の"資材置き場"に潜る。何かあったらまた連絡する』
952 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 23:12:56.61 ID:7GjfKkb6o
>>949

【ふむ、と彼は内心考える、──── 質問に答えないのは別に構わない、水滴を落とすだけだ】


物事は全て包括的に考えるべきだ、端的に物事を表現できる程、俺は修行を積んだつもりもないしな
掻い摘まんでくれるなら話は早い、結構良い訓練になるんだ、時々説法する時にも使ってる
──── じゃあ俺の話を纏めてみろってな、信者はどいつもこいつもしどろもどろになるが

……具体的には、ねぇ、さっき読んでた新聞に書いてある通りだよ
俺の持っている知識も、そこに付随して新しい情報を与える様なものでもないしな


【そんな具合であった、彼は一旦そこで言葉を切って】


953 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 23:13:18.06 ID:AePwOM1u0
>>948

そりゃあどうも、これからも仲良くしてね?
分かったよ揶揄は止めますよ揶揄は―――それじゃあ

【「行こうか」というと立ち上がって片手を差し出してエスコートしようとする。】
【しばらく歩けば「やっぱり寒いからタクシーに乗ろうと」言ってさっさとタクシーを拾って家まで送り届ける。】
【しばらく熱っぽさと異物感は続くだろうが、寝て起きて翌朝になっていればそれは解消されているだろう。】

【完全にかえでの体内の物として外の魔力≠ヘ消化されているだろうが、それをどうするかはかえで次第だ。】
【きっかけは与えた、だがそれをどうするかは個人に委ねられるのだから。】


【―――聞こえますか、窓を叩く音が。】


//こんな感じでお疲れ様でした!
954 : ◆ImMLMROyPk [sage saga]:2019/02/17(日) 23:16:43.34 ID:hy8iS3dG0
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1550412867/
/次スレを立てました
955 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 23:17:36.79 ID:7GjfKkb6o
>>950

【ふわり、と全身に温かい感触が奔る、──── 丁度良い温度のお風呂に入った様に】
【全身の傷の進行が止まった感覚があるだろう、体内の治癒能力も上がっている】


Lover's Requiem ──── まぁケッコンすることは、本来どうなるって訳でもないんですけどね!
だってそうじゃないですか、ケッコンするから愛するんですか? 違いますよね! 愛してるからケッコンするんです!

言わばケッコンとはただの証明に過ぎないのです、私達は、愛し合っている、という事の他ならぬ証明に!
だとすれば何も恐れるものはありませんよ、ダーリン、二人の愛はこれぐらいの傷はちょちょいのちょいです

え、全然これぐらいじゃないですか? 大丈夫です誤差ですよ、誤差、死ななきゃ一緒です一緒

まぁ単純な魔力の共有ですね、変態糞神父に教えて貰った術式で、簡単な治癒を試みてます
私そういう魔術とかちんぷんかんぷんなんでー、私の魔力自体をそういうのにして送り込んでる感じです


──── ああとくんとくん、って今にも私の魔力がダーリンに流れ込んでますぅ


【ほっぺたに両手を当てていやーんと腰をくねくね、照れたように目を伏せて】
956 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/17(日) 23:21:36.96 ID:AePwOM1u0
>>951


《了解、構わないけれどあまり深追いする必要はないぞ》
《まずは施設の全容がわかればいい―――無茶はすんなよエーリカ先生。》


【一呼吸おいてコニーからの返答が入る、心なしかその身を案じているようではあるが】
【それとも単にエーリカが捉えられることによって情報が漏れるのを避けたいのだろうか、分からない。】

【エレベーターに戻り地下4階を入力すれば―――《エラー》と表示され、階層ボタンが押せない】
【何度押しても同じだ、ブーというアラートが響く。】

【何らかの認証コードかIDが必要なのは間違いなかった、であれば他に下に行く手段があるとすれば】

【非常階段、各層の両端に設置してある非常階段であれば下へ迎えるだろう。】


【そして―――2層と3層の非常階段の扉は、何故か施錠がされていなかった。】
【びゅうと冷たい風が地下から吹き抜けてくる。ここで引き返すのもまた選択肢であった。】
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/17(日) 23:23:42.98 ID:o8iYbGD50
>>953

【そうして片手を差し出されるのなら、少女はぎゅうっと掴むのだろう。エスコートされるお姫様というには少し足元がふらついていた、まるで酒に酔ってしまったみたい】
【けれど実質としては、――やはり無意識に差し向けていた異能を、思考の裏側で意識的に取り除いていたのだった、故にいくらかの影響も増すと言うもの、とはいえ】
【彼女自身の体感として、"よほどひどい"ものでないのなら、吐き出してしまうこともないまま。その程度にはマリアベルのことを信頼していた、知らぬ人間であればこうはいかぬなら】

【――タクシーの道中はいくらか肩を借りて頭を委ねる瞬間もあるのだろうか。そうだとしても、――家から少しだけ遠い場所で彼女は降りてしまう、ここで大丈夫だからと言って】
【少しふらつく足取りで帰っていくのがいじらしかった、手負いの獣が巣に帰る後ろ姿を思わせて、けれど、その閨のありかまで伝えることはないまま、やがて見えなくなり】
【慣れ切った家に帰りつくまでに倍の時間を要した、――ぽんやりした頭のまんま過ごす、より夜が深まるのなら、――――――、そうしてやがて朝を迎えるのなら、】

――――――――――――、

【昨日の夜が何かの間違いみたいにいつも通りの軽やかな朝だった、欠伸を漏らして身体を伸ばす。その指先がぴくり一度揺れたなら、少しだけおろされる腕の角度、】
【――――マゼンタ色の瞳がカーテン越しに窓辺を眺めた、とはいえ、やはり変わらぬいつも通りの朝であったから】

/おつかれさまでした!
958 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 23:26:27.87 ID:E6ifN2nXo
>>952


────ふぅん。他に知らないって言うのね?
じゃあいいわ、いよいよあなたを生かしておく理由はなくなったってわけかしら
自分から生き残る理由を捨てるなんて殊勝なコトね。潔いのは感心するわ


【箱から立ち上がって死刑宣告を告げると共に、その全身から魔力が膨れ上がる】
【普通の人間では到底、持ち得ないほどの膨大さ。両目が呼応して青く光り輝く】
【一歩ずつゆっくりと近づいていき、膨れ上がった魔力が爆発する域にまで到達しかけたとき────】


【────怖気が立つような異様な気配がその場に充満した】


────…………っ!!
なんで、あいつがこんなところに…………!!


【女は表情を焦燥で一変させる。噴出しかけていた魔力が一瞬で鳴りを潜めて】
【地面を強く蹴って女が跳躍。一瞬で姿が建造物の向こう側へと消えていった】
【入れ替わるようにその場に現れたのは、黒髪に黒衣の男だった。気の抜けたような顔をして、女が飛び去った先を見ていた】


おや……何か変わった魔力を感じた気がしたが、気のせいだったかな
それとも正体はお前かな? 司祭が路地裏でひっくり返っているとは珍しい


【黒衣の男は司祭に気がつくと歩み寄り、手を差し出す。「起きれるか?」と声をかけながら】
959 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 23:31:49.77 ID:7GjfKkb6o
>>958

【 ──── 現れた黒衣の男、ぷはぁと大きく口を開けて、そして、】

【くるりと背を向けて思いっきり "吐いた" ──── それこそ胃袋の中身を全部ひっくり返したみたいに】
【数回ほど嘔吐いた後、漸く男へと向き直るだろう、顔色は最高に悪い】


まさか、あんな馬鹿みたいな量の魔力頼まれたって持つ気なんてねぇよ
しっかしまぁ、恐ろしいこった、見た目も頭も悪くないのに、使い方がなってないな
本当に何処の何奴だよ、──── 派遣するなら適任者にすべきだろ、ふつー

……才能に溢れてるのは良いことだけどな、教育も啓蒙も疎かにしてちゃああなる訳だ
お陰で助かったよ、話が通じない相手ほど俺が苦手な奴も無いしな


【新たな煙草を探すが司祭服は既にボロボロだ、舌打ち一つ、口元が寂しい】


で、お知り合いか何かか? 痴話喧嘩の途中だったり?
960 : ◆ImMLMROyPk [sage saga]:2019/02/17(日) 23:35:04.66 ID:hy8iS3dG0
>>955
【死を迎える前に、彼の肉体に超常的な変化が訪れる。生命、鼓動、死を遠ざける正の力】
【痛みが引いていくにはまだ時間がかかる。だが、着実に傷は治癒されている。既に、火傷の部分は肌が新しく形成されている】
【彼自身、この効力には驚嘆していた。世界には様々な能力者がいるらしいが、治癒系の能力者もやはり存在したのか、と】


証明……?ひとまず、傷は治っていってる……ありがとう。助けてくれたこと、感謝する
けど、その愛し合ってると言うのは何かの比喩か?それとも、これ≠フ代償行為?
魔力を……何だかわからないけど、つまり貴方の命を俺に分け与えている、ってことなのか?


【治療を施されているからか、次第に冷静さと思考力を取り戻していく。口調も切羽詰まったものから、日常的なものへと変化する】
【少女の説明を自己解釈する限り、治癒と言うより復元に近いのかもしれない。欠けた部分を、エネルギーの形で補填する】
【魔力の共有。即ちお互いの体をリンクさせ、構成要素を受け渡している】


それで……俺は貴方に何をすれば良いんだ?
無料(タダ)で治してくれる、なんて甘い話は無いだろう?

961 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 23:41:03.44 ID:7GjfKkb6o
>>960

【むーっと心なしか不満げ、膨らんだほっぺたは怒りを表すシルエット】


だーめーでーす!! 死の淵に居たんでしょ!? 今にも死にそうだったんでしょ!?
その返答が感謝するなんてクールな言葉ですか!? もっと命を大事にしなきゃ!!
人生一度きりです、ほんとにほんと、危ない時に助けてくれる人が来るなんて……基本ないですよ、ふつー

そーれーなーのーにっ、そんなドライで乾ききったおばちゃんの肌みたいな態度、ティナは悲しいです、およよ
んですからぁ、リテイクお願いします、もっと心の底から感謝の気持ちを伝えなきゃ許さないです
シェイクスピアもビックリな歯の浮く様な台詞をどうぞ私に、浴びせてくださいまし


【ぎゅっと自身の身体を抱いて流し目一つ、絶対態度が違う】


そーんな立派なもんじゃないですよ、まぁ私の能力の一部だと思ってください
ケッコンしたからには全部が夫婦の共有財産です、ダーリンの身も、私の身も、重なり合って一つになるの
やーん! でも恥ずかしいですぅ! 閨事に左右はされない! 私達プラトニックでいましょ!

え、そんな、死にそうな人を助けるのに理由なんていりませんよね? ダーリンってば、冗談上手なんですからぁ


【このこの〜と肘でつっつく、ぷるんぷるん】
962 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/17(日) 23:42:05.40 ID:E6ifN2nXo
>>959


…………派遣?
………………ふむ


【派遣、という一言を聞いて男は何かを思うように視線を落とす】
【しばらくはそうしていたが、「まぁいいか」なんて言葉を漏らして顔を上げた】


さて、な。知り合いかもしれないし、そうでないかもしれない
もしも知り合いならばいずれ出会う相手だから、今のところはどうでもいいな……うん

何にせよ、手助けとなったのなら望外の喜びだ
最近はどこもかしこも物騒だからな、神の下僕でも道中は気をつけるといい
不信心者が多い…………恐ろしいことにな


【黒衣の男はそう言うと背を向けて歩き出し、その場を立ち去ってしまった】


//そろそろ時間なのでこのあたりで! ありがとうございました!
963 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/17(日) 23:44:59.41 ID:7GjfKkb6o
>>962

【嵐の様な男であった、──── さも当然の様に彼は接していたが】
【男の姿が見えなくなって、どさり、と路地裏の壁にもたれる】


──── やばいな、最初の女とは比べものにならん
くそ……理解しちまったもんなぁ、最近会う奴会う奴ヤバイ奴等ばっかだな


──── 真剣に御祓いでも受けるか?


【誰も居なくなってからもう一度、嘔吐した】


/お疲れ様でした!
964 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/17(日) 23:49:23.05 ID:FKTmPsmeO
>>956

『―――心配してくれてるのかい。……ありがと。
 でも心配無用だよ。……もう少し情報が欲しい。だから四階に――』


【地下四階に足を運ぼうとしてエレベーターの操作をしたが】
【エラーが表示される。アラートが響く。まるで何か不都合があるみたいに】
【用意されたIDが使えないなら――周囲を見回す。】


(……非常階段、か。施錠してないとは酷く不用心だな。
 ―――――いいや、違う。多分、罠。餌を垂らして食いつくのを待ってる山師か)


【逡巡。不自然に開いている非常階段、施錠を忘れたとは考えにくく】
【探りを入れたネズミを捕える為の罠と考えるのが妥当か――しかし、この施設の核心は】
【四階の資材置き場、そこに隠されていると直感しているからこその逡巡】

【現時点で偽造IDが使えたとして、次に使えるとは限らない。また次があるかどうかすら定かではない】
【ならば死線を潜り抜ける必要もある――その先に掴める情報があるなら】


『………コニー。今から四階に降りる。もし私が捕まったら見捨てて逃げてくれ。
 その後は知らぬ存ぜぬを通してもらいたい。………無論、捕まるようなヘマはしない心算だけど』


【―――非常階段を降りる。痛い風が肌を撫ぜる。けれど足は止めないから軈て四階に辿りつくのだろう】
965 : ◆ImMLMROyPk [sage saga]:2019/02/18(月) 00:01:45.53 ID:jIvlpNOm0
>>961
【あからさまにふざけているとしか思えないその態度に、彼はより一層疑いの念を強くした】
【死にかけの体を治療してくれたことは素直にありがたい。だが、それ以外の部分で余りにも異常極まっている】


(何を考えてるんだ……本気でそんなことを要求する人がいるとは思えない)
(だとすれば、此方に要求することがこの人を有利にする何かしらの条件か……?それなら、繰り返し感謝するのはかえって危険だ)
(そうだな……)


いや、心配してくれるのは本当にありがたいんだけど……こっちも貴方の素性がわからない
だから、どうしても貴方のことを疑ってしまう。疑わない訳にはいかないんだ。勿論、傷の治療は本気で感謝している
これだけの十分な治療を、突然に施してくれる。普通はそんな人いない


【本音と嘘を織り交ぜながら、受け流しつつ問いかける。行動自体は素晴らしいものだ。ノーベル平和賞でも取れるかもしれない】
【しかし、だからこそ怖い。無料、無償程恐ろしいものはこの世に無い。見返りを求めないと言うことは、責任が存在しないと言うことだ】
【つまり、少女が施しの後で手の平を返すことも此方を追い詰めることも自由自在と言う訳だ。何せ、此方から少女に代償を受け渡していないのだから】


安全が欲しい。貴方が今は$M用に値する人だと言う安全が欲しい
どうして俺を助けたのか、本気で教えてくれないか?それと、俺に何かを要求するならそれも


【この治療に見合う要求は無数にある。双方が天秤の上で釣り合う様に調整出来るなら、彼は自身の身を使うことも厭わない】
966 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/18(月) 00:07:06.25 ID:lQ0pB2mQo
>>965

【とてん、とずっこけそうになる、それぐらい返答に温度差があった】
【えー、と気のない返事、本心なんだろう、──── けれども、二人の価値観が天と地程に離れている、から】


……それはですね、昔、助けられなかった人がいるからですよ

──── あんな体験は、まっぴらごめんです


【少しばかり風が吹いた、それが全て、切り替えるようにはちゃめちゃに明るい笑顔を見せて】


んまぁそんなかたっくるしいのは放っておいて、喋れる様になりました?
元気ですか? 不調は? お熱とかないですか? ──── おーしっ
大丈夫そうなら質問タイムにいきますね! 返答はイエスかはいでお願いします!


──── こんな傷何処で付いたんですか? 転んじゃいました? おドジですね、
967 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/18(月) 00:25:34.28 ID:bwN6GnVM0
>>964


《バッカ、心配じゃねーよ私は氷のようにつめたい女コニーちゃんだぞ!》
《―――死ぬより辛い事だってあるんだ、気を付けろよ。》


【最後に不穏な言葉を残して通信は切れた。】
【地下4階へと降りていけばもはやこちらからの通信を行う事すらできなくなるだろう。】
【暗い、冷たい回廊を降りていけば―――そこに到達する。】

【そこの明かりは全て落ちていた、本当に資材置き場なのか?微かに薬品の匂いが立ち込める。】
【うっすらと目が慣れてくればそこが長く広い廊下だという事が分かるだろう。】



―――やぁ、ようこそお嬢さん。私の資材置き場へ
私はここの主任を務めさせて貰っている石井≠ニいうものだ。



【パン、とまるでスポットライトのように廊下の先の電灯が1つ着く】
【そこには一台のスピーカーがあり、そこから男の声が響き渡ってくる。】
【無機質な、まるで機械のような声だった。】


君は異能がどこから来るか考えた事はあるかい?その様子だとあまりなさそうだ…


―――例えば発火能力者/パイロキネシスト


【パン、と廊下の左側にある部屋の明かりが灯る】
【まるで手術室のようなガラス張りの部屋、そこには】
【手術台に括り付けられた焼け焦げた人間が括り付けられていた。】
【まだ息があるのか、ないのか、それは分からないが時折身体から「じゅう」という音と共に煙が上がる】


―――例えば自己治癒能力を活性化させる能力者/ヒーリングファクター


【パン、と廊下の右側にある同じ構造の部屋の明かりが灯る】
【そこにはもぞもぞと何かが這っている―――】

【それは人だった、四肢を切断され眼を潰され、耳を貫かれた人】
【よく見れば各切断面、傷口はうねうねと動き徐々に再生しているようにも見える。】


不思議だねぇ、何故様々な能力が発現するのか。
それならば同じ系統の能力者に何か共通点はあるのか、それとも全く無作為なのか


―――気にならないかい?



【無機質な声は問いかけた。】


【そう、ここは確かに】


【資材置き場、異能を研究解析するためにおいての】
【エーリカの元上司がここを良く訪れていたのはきっと彼にとっても死材置き場≠セったから】
968 : ◆ImMLMROyPk [sage saga]:2019/02/18(月) 00:45:16.73 ID:jIvlpNOm0
>>966
【彼は確信していた。少なくともこの世界の常識に、いきなり馴れ馴れしく振る舞ってあまつさえ結婚を求める輩は含まれていない】
【少しでも、少しでも彼自身の安全の為に相手の腹を探っておきたい。だが、必要以上に踏み込む訳にもいかない】


そうか……それは悪いことを聞いた

(本当にそれだけか?いつ、どこで、どんな状況で助けられなかったんだ?これ以上聞くと怪しまれるか……)

喋ることは……問題無く出来る。体を動かすのは、もう少しかかりそう
痛みは確実に引いてきている。貴方の治療が偽物じゃないことの証明だ

(確実に相手が安全とは言い切れない、が……仕方ない。今は合わせるべきだ)


【質問。ここは真実で答えるべきだろう。仮に此方の嘘がバレたとして、その時無事でいられる保証はない】


襲撃された。正確には、襲撃される場所に行ってしまった
多分、能力者だと思う。そいつが縄張りにしている場所と知らずに近づいて、結果襲われた。これはその時の傷だ


【彼は心身の疲労によって相手に誘き出されたと言っても間違いではない。そう言う手法で人を狩る存在と見ていた】

/申し訳ないのですが、ここで凍結か置きに移行していただけると幸いです
969 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/18(月) 00:46:24.52 ID:lQ0pB2mQo
>>968
/了解です! ではまた置きに返しておきますね!
970 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/18(月) 00:54:21.63 ID:P/tPG0D/O
>>967

(死ぬより辛い、か―――そんなのもう味わってるよ)

【いたわるような言葉、不穏さを含んで】
【エーリカの人生の中で死ぬより辛いと感じた事は何度かあった】
【それでもそんな目に逢うのはまっぴらごめんで】


【―――やがて、たどり着く。否、たどり着いてしまった】
【暗がりの部屋、薬品の匂いが鼻を突く。酷く不快で、顔を顰める】
【目が慣れたところで薄らと周囲を把握し始めたところで――不意に光が灯る】


        ぐうッ……!まぶしっ……い!

【眩しさに目を閉じる――そして、光の先から声が聞こえる】
【資材置き場の責任者たる"石井"という人物の声――嘲りの色込みの声】


―――、知ったこっちゃないね。異能なんて面倒なくくりでモノを考えるなんて面倒。
………、で今から啓蒙でも――――ッッ!!?


【左側の部屋:パイロキネシストの部屋。今にも焼死しそうな程焼け焦げた人間の収められた箱】
【右側の部屋:ヒーリングファクターの部屋。実験的に人の必要な個所を壊され牛歩の如し速度で再生する人間が収められる箱】


―――――――………、悪趣味な下衆野郎が。
人を実験動物みたいに扱いやがって。――――くだらない実験を繰り返してまで知りたいのかッ!


【その通り、ここは死材置き場。ギンツブルクの魔導書を生み出すにうってつけの生産地】
【出来損ないであったなら魔制法を促進させるプロパガンダ要因の為に使い捨てて】
【上手く出来たものならば、公安五課に配属させて黒幕のための捨て駒として扱う為に】
【故に、石井はギンツブルクと面識があっても不思議ではないし、エーリカの顔をよく見れば思い出すかも知れない】
【今ここに紛れ込んだ女はギンツブルクの部下であった筈の女だと――つまり裏切りが露見する可能性があった】
971 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/18(月) 00:56:09.13 ID:3gARLDLSo
>>710>>711


……まあ、別にいいし。カニバディールから何かを奪われた覚えはないから……
無論貴方に怒るのは筋違いという訳よ。ていうか貴方とて……奪った事も奪われた事も
等しく経験している事くらいわかってるし。私たちだって奪わずには生きられない類の人間だし

―――……正しいか間違ってるかを論じたいんじゃないの
"奪われたままが嫌だから戦う"。そう感じた心に従って生きると決めただけだし


【善でもない。悪でもない―――ただ幸せに生きるために戦う】
【それがずいぶんと"悪の親玉"らしくない少女の行動理念。齢18ほどにして固めたブレンヒルトのルーツだった】
【だから、悪党にしては悪感情を抱き辛いのかもしれない。彼女の理念はどんな人間も多かれ少なかれ持っているモノから来ているのだから】


"お師匠"はアレで超一流の魔術師だったし。あの人と同格の魔術師なんてそれこそ……
今は消息不明の"六罪王"、アインくらいじゃないかしら?逆に言えばお師匠と同格の魔術師で
なおかつ高翌齢の"お師匠"と違って若く機敏に動ける体力があったからこそ、アインは"六罪王"になれたとも言えるし

元は妖刀専門の刀鍛冶の生まれで、より高みを目指すべく魔術の道を志したから、魔術に関する工作は本当に達人級だったし
"お師匠"が長年独学で培ったノウハウのおかげで私はお師匠を超えられた……無論、私自身が天才中の天才だったってのもある訳だけど!
だから多分周りのほうが"お師匠"を放っておかない。なんとか"お師匠"に魔術の品を作ってもらうべく、作成に必要な環境だけは与えられてるのだと思うし


【六罪王と互角の魔術師―――事実、ここでは語られない事だがかつて剛太郎、そして同行し戦った能力者たちがアインとダグラスの二人の六罪王と交戦した時】
【追い詰められた彼らの隙を作るべく、ムクはかつて一度きりしか使えない大技を用いて―――二人の技を同時に完全無効化したことがあったのだ】
【あれも今思えば……彼ら一人一人と互角であったがゆえに、一撃に全てを注げば彼らの力を防ぎきる事くらいは難しくない力量の持ち主だったからなのだろう】


ジンジャーも少なくともビジネス関係は"お師匠"とうまくやれてるはず、畑は違えど同じライダーシステム制作者同士だしね
でも……"お師匠"の気難しさ故に全く話さないか、信頼してありのまま全て話すとかならわかるけど限定した情報しか渡さなかった意図は全くわからないし……なんで?


……ジンジャーの方が口を挟んだのかしら?"必要な情報のみ限定して渡してくれ"って
アイツはミカローという記憶の能力者をずっと警戒している。仮に捕まったとしても知らなければ"無力化"の神器の情報は洩れようがないし

/続きます
972 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/18(月) 00:58:07.87 ID:3gARLDLSo
>>971続き
【カニバディールはジンジャーや剛太郎とは面識はあってもノビタとドラはない、無理もないだろう】
【この二人が、そして彼らが所属していた組織が活躍していたのはカニバディールが機関に籍を置く前の時期の話だ】


そうね、ノビタとドラは"お師匠"御贔屓の剛田 剛太郎よりもさらに何年も前の時期にこちらに転移してきた日本人な訳よ
同時に元justiceのメンバー。≪ネル・ナハト≫壊滅前から貴宝院織守の元で戦っていたバリバリの武闘派だし
無論、転移当初は来て間もなく出会ったジンジャー達のサポートを受けていたとはいえ……踏んだ場数の多さはかなり日本人離れしてるコンビだし

……そういえば、シオンってのもjusticeじゃない。無論アイツらは過去のシオンを知っているし見分ける手がかりは持ってるんじゃない?
片や生死不明で片や長期間服役で長い事本人には会ってないようだから『明確に見分けられる!』と保証してくれるかは微妙だけど……


【考えてもみれば正義の徒であり自由に動けていたのなら、とうの昔に接敵し戦った事で面識もあったはずだろう】
【それこそUTに鞍替えしていてもおかしくはなかった、だがそうではないのはこれまで戦場に復帰することができなかった事情があったからだろう】
【ノビタの写真をひっこめ、ドラの写真を前に出しながらブレンヒルトは話を続ける】


……ノビタの消息は途絶えてるけどドラの方は今もわかってるし。当時の主だった戦いが終わって織守の休養が決まったと同時にjustice解散後
ノビタや剛太郎と共に元の世界に纏わる調査をしていたけど……5年前突然金の国"現"王位継承者、クーデリア・ゴルディックの王位継承記念セレモニーに突如現れ
かなり過激なハレンチ行為に打って出た結果現行犯で逮捕。公然わいせつ罪及び不敬罪の罪で1年近く前まで『アルカトラズ刑務所』で服役してたし

誰もが『ドラならこういう事くらいやる』と思って、不自然だとも感じなかったみたいだけど私たちは疑ってた
この逮捕劇、先のノビタとの一戦があってまもなくに起きた事な訳よ。これまでは王族とか本当に手を出してはマズイ規模の相手には
一度も手を出さなかったのにある日突然よ?グラマーな為政者なんて前にもいたでしょうにね?妙だと思ってアルカトラズの地理を調べてみたら……大当たりだった


【続いてブレンヒルトがテーブルの上に広げたのは―――地図だ】
【各国がひしめく大陸から離れ海上にある人工の孤島。脱出不可能の要塞留置場『アルカトラズ刑務所』。その場所を指し示す地点には赤い丸が囲われている】
【その地図の横に―――複数の古いモノクロ写真がプリントアウトされた書類のコピーを広げる】

【写真に写っていたのは一人の男性だった。モノクロでもわかる程に明るい髪色の短髪をした、胸に逆五芒星の紋章を縫い付けた暗色スーツの男性】
【縁の太い四角眼鏡をかけたその目からはひと睨みだけで体が固まりそうな力強い目が覗く。一緒に移る一般構成員と比べて背も高く、背筋も伸びており佇まい一つとっても強靭さを感じさせる男だ】
【写真の時点では40ほどに見える。そしてそれぞれの写真には一人の人名が添えられていた―――――『手塚 恭介』と】
/続きます
973 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/18(月) 00:59:03.84 ID:3gARLDLSo
>>972続き

……手塚 恭介。カノッサ機関創設メンバーの一人にして最も"創設者"からその力量を買われていた男
"お師匠"たち最初のカノッサ機関議員たちの長を務めその才覚を買われそれぞれの作戦に助言を求められていた敏腕の機関員
誰もが声高に口にせずとも自ずと認めていた事実上のナンバー2……通称"食堂の男"

そして彼が主に活動していたカノッサ機関海上研究所、かつての戦いで壊滅し沈んだ地点が……
アルカトラズを建設した地域のすぐ近くにあったことが発覚したし。おそらくドラは初めからわざと投獄されるつもりで事件を起こした訳よ
アルカトラズは脱獄だけじゃなく進入も困難だから……一度ここの囚人になってしまえばノビタのように私たちに命を狙われる心配もなくサルベージに挑める

……事実私たちはドラにずっと手出しできなかった……多分刑務官も女王もグルと見たし
そして最終的な刑期もいつまでだったのかもうやむやなまま奴は出所した……確実に何かをサルベージしたのよ、"食堂の男"に纏わる何かをね
"食堂の男"は"お師匠"の受け持っていた任務を知っていた、多分"神器"を手に入れるために必要でなおかつ"お師匠"に頼んでも用意できない何かを手に入れたのよ!

だから……どこかでそれを奪うか、あるいは奴の行動を『利用』しなければならない。一体何をしようとしているか探りを入れなくては……


【……神器を巡る戦いを始める中で自分たちが現状一番警戒しなければいけないのは―――ドラの動向なのかもしれない】
【彼は直接"食堂の男"の手がかりを掘り出しに行った。ムクが渡した以上の情報、あるいは自分たちだけが独占していた情報などを手に入れた可能性すらあるのだ】

【……そしてドラがjusticeのメンバーなら……かつての仲間シオンに似たイスラフィールの事を気にかける可能性も高い】
【彼女と接触し両者がそれぞれなにか行動を起こしてしまう可能性すら考えられる―――!】
/まだ続きます
974 :ブレンヒルト・フェイタルベルン  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/02/18(月) 00:59:44.05 ID:3gARLDLSo
>>973
【ふぅ、と延々としゃべり終わったところでブレンヒルトは一息入れると、また執事が入れ直した紅茶を一口含む】
【警戒すべきは今も直接は出てこれないムクと、一番積極的に表立って行動しているドラ。ひとまず考えは一通り話したと確認すると】


……貴方と共有しておくべき情報は一通り出そろったかな?
では最後にそろそろ目前に取り掛かる第一作戦の『デルタタワー作戦』について話しておくし

―――これからこの世界にまず"3つ"。私の魔術を用いて三色の『バベル』を建てる儀式をまず行わなくてはならないし
無論、出来る限りこの大陸で特に強いマナが流れてる所……星の地脈のど真ん中とかが望ましいし
そこならば流れるマナを補給する事で永続的に塔を維持できる……術者である私の≪略唱媒石≫(ショートスペル)を破壊されない限りはね


【そう言いながらブレンヒルトは右手にいつも嵌めている手袋、その手の甲に嵌められている赤い宝石を左の指で指す】
【よく見るとその表面には複数の……一般的な人間はあまり見る事のない文字が光で浮かび上がっており、常時チカチカと表面で小さく点滅しているのがわかる】
【ブレンが『哲学者の卵』を使って疑似聖遺物を瞬間錬金する時に力強く発光していた文字だ―――】


これには私の使用する魔術式が全部刻印されてるわけよ。最初の一詠唱一文字分だけ唱えて魔翌力を注げば
後は私が思い浮かべた術式を発動してくれるって訳よ。無論、永続的な効果の魔術は必要分な魔翌力を供給し続けてさえいれば
後はこれがある限り自動的に発動し続ける優れモノ!無論、私の発・明・品!

材料はもうコマチが用意してるから後はその場所を私たちが確保し、バベルの瞬間錬金儀式を起動!
するとみるみるうちに巨大な塔が組みあがり―――バベルの出来上がりという訳よ!一度組みあがりさえすれば私たちの勝ちよ!
維持術式が起動している限りこの世のあらゆる力をもってしても破壊する事は不可能!後は手の宝石を守り切れば良し!

そして後はこの3つのバベルを建てるのに一番望ましい場所がどこであるか、だけど―――


【ブレンヒルトは再び立ち上がり、パチンと指を鳴らすと―――お供のゴロツキたちが待ち構えていたように大きな地図を広げる】
【ワールドマップ―――全国の地理が記録された地図だ、そしてその地図には三カ所―――赤、青、黄の丸が囲われている場所がある】



1つめ、≪レッドバベル≫は――――――櫻の国、『仙狸坂』。
坂って言っても坂道というより山に近いし。いつも寒くて変わった森林が生い茂る地帯で、豊富なマナが眠っている土地な訳よ
因みに仙狸ってのはタヌキじゃなくて山猫の事よ。あそこにはたるひ猫って言う猫の妖魔が生息してて一番マナが豊富な土地を陣取ってるとかそんな言い伝えがあったわね……


2つめ、≪ブルーバベル≫は――――――水の国、『国立自然保護区域』。
フル―ソから東の方にある、貴重な森林や動物たちを外から人間の手で守っている場所ね
ちょうどカミス・シティって所をこの区域で横切る形になっている場所だし


3つめ、≪イエローバベル≫は―――――金の国、『剣の丘』。
過去のクーデターとかで死亡した騎士団員たちの墓地として有名な場所だし。あそこは数々の事件で血が流れて
かなりの数の人間が眠ってるからちょっと罪悪感あるけど……あそことびきり大規模術式起動するのに適した場所だし


―――……この3つの土地を抑え―――私たちの塔をデカデカと建ててやるの。3つ全て建てたら準備完了。
第一作戦は成功し―――3つの塔で囲われた土地の中央に『空より降り注ぐ光』を受け止める"受け皿"を作ることが出来るし


【パン、と地図を手の甲でなんの気もなくはたくと、彼女はカニバディールの前へと移動し、ばん、と両の手のひらでテーブルを打ちながら】



―――私たちの覇道の第一歩目となる塔作りよ。≪黒幕≫や≪円卓≫と言った今世を揺るがす不届きな連中めがけての宣戦布告代わりに―――デカデカと建ててやりましょう!


【目前で、ブレンヒルトは力強く、不敵に―――悪戯っ子そのものと言わんばかりの可愛らしい笑顔を向けるのだった】
975 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/18(月) 01:25:37.79 ID:bwN6GnVM0
>>970

人はモルモットや羊での実験には大した関心を持たないが
チンパンジーでの実験には大きく反対するだろう。それは何故。

―――絵がかけるから?表現と言うのは即ち心≠ニいうものを想起させるからだろうか。

心=c……かつてカノッサ機関が開発した哲学者の卵≠ヘ人の心の闇から異能を発芽させた。
では心≠ニは、単なる脳≠フ電気信号ではないのか?


【ノイズの混じったスピーカーからの音声は続く、冷たい空間に反響する。】


勿論知りたいさ、知りたくないと思う方が可笑しくはないかい?
いわば能力者とはブラックボックス≠ネんだよ、存在自体がね。
そんなものが服を着て街中をわらわらと歩いているんだ、マトモな研究者なら発狂モノだよ。

私達は正しく異能を理解し、そして管理しなければならない。


そうしなければ世界の歪み≠ヘ収まらない―――。必ず崩壊≠ヘ訪れる。


異能はどこからくるのか、心≠ゥ脳≠ゥそれとも―――。
私はそのプログラムの出どころを知りたい。


【つまりは全ては異能の研究の為であったのか?】
【そのために何らかの方法で異能者を暴走させ、捕らえ、収容し、解剖する。】
【さらに魔制法への世論の推進も同時に行える―――あまりに危険な存在。】

【そもそも魔制法や特区などが本当に確立されればこの石井≠ノとってはまさしく巨大な実験室だ。】


【エーリカの素性を知っているのか、いないのか。】
【ギンツブルクとの繋がりは―――それすらも知らせず、ただ無機質な音声は響く。】



さて、今度は君の異能≠解析させてくれるかい?



【ゾルゾルゾルと何かが這う音が周囲に響き渡る。】
【そしてその音の正体は天井の排気口から現れる、それは蛇=H】


【違う、それは機械で出来た大小さまざまな大きさ、最大2m程の長さのワームだった】

【機械のワームは排気口から飛び出すとエーリカへと一斉に飛び掛かり身体に巻き付こうとしてくるだろう。】

//それでは本日はこちらで!

976 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/18(月) 01:32:48.33 ID:bwN6GnVM0
>>152

「―――で、奴らに何をさせるつもりだ?」


彼らにはまずアレ≠フ運び屋を手伝って貰おう、トラロックも随分と苦労しているようだ。
その為に―――彼らの既知である土地………昼の国≠ナショーを行ってもらうとしよう。


【全てが過ぎ去った後、テルミドールはクツクツと笑いながらそう言った。】
【助け出された人々はシェルター内で何も知らず何も聞こえずだったためただ氷の国の軍人達に感謝した。】

【後日イスラフィールとの会合で結ばれる復興支援、その前段階としての足掛かりはここで完了していたのだった。】


//お疲れ様でした!
977 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/18(月) 19:46:22.07 ID:LZ01iDlpO
>>975

【知りたいという言動、好奇心という名の原動力】
【欲を満たす手段が限られるのなら、内から湧き出る欲望を満たせるのが】
【非人道的手段しか残されていないなら――石井は自然な生き物なのだろう】
【知識欲を満たす為に手段を問わない。正しく狂研究者の鑑だ】


その理屈を用いるならアンタはまともじゃない研究者だって事だな。
つまるところマッドサイエンティストか――質の悪い好奇心なこった。

管理って、――――ギンツブルクと似たような事を口走りやがって。
人が人を管理するなんてのは烏滸がましいんだよ。

     だから――アンタの要望なんて願い下げだッ!


【否定の言葉は威勢よく。石井の語る思想も知識欲を満たす要望も全部バッサリ切り伏せる】
【すると返答代わりに現れるのは蛇の様に伸びるワーム。天井から姿を現したそれは地獄に垂らされる蜘蛛の糸か】
【―――――否、地獄に叩き落す糸/意図。糸を装った蛇の胴体に他ならない】


【ここまで情報を得られれば十分。故に退路は自分で切り開く必要があるから―――】


        【活路を拓け―――】Hell Edge Road/Lord!


【地獄の淵を綱渡る――彼の言う異能が発現した瞬間だった】
【右手にはマチェット。左手の指の間に挟まれるのは三本の投げナイフ】
【それぞれを保持した状態で軽やかにジャンプしてワームを回避、その動作の最後は落下だったから】
【それを利用して右手のマチェットの斬撃の威力を上乗せ。ワームを切りつけたなら、着地して身構えるだろう】
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/18(月) 22:27:48.21 ID:GnAtLx5M0
【街中――表通り】
【お月様も元気な夜更けの時刻だった、そろそろ春の先っぽも見えてくるような時期であるなら、横たわる夜はいくらも寒さを弱めて】

あー…………――――――ねむう。――でも、昨日の気怠いの取れて、良かったあ、……。良かった、です、けどお……。
やっぱり、今日は大人しくしてればよかったかな……。――――うーん、でも、明日やろうは馬鹿野郎って言うし。

頑張って偉いです! うん、良し、じゃあお家帰ろ――――。

【からり響くは鈴の音、なれば通りに面した道よりふらり出てくる人影一つ、暖かな店内からであるなら、わりに温い夜であっても、きゅうとコートの前を寄せ】
【それからもすりと纏ったスヌードの毛先を整えて、髪の毛も整えて、肩に掛けた鞄の中身を確かめる、最後にコートのポケットを軽くたたいて、忘れ物ゼロを確認したなら】
【――ふやぁっと身体を思い切り伸ばした、そうしたらあどけなさのわりにうんと豊かな身体付き、コートの上でも見せつけるのだろうか。固まった身体を解す、ほんの数秒間】
【終えればおっきな欠伸までするのだから、どうにも店の中で勉強でもしていたのかもしれなかった、――そうして事実そうであった、なんて、余談なのだけれど】
【ご機嫌な独り言を漏らしているのが少しだけ目立っていたのだけど、――とかくもうどこにも用事がないのであれば、ふらりと歩きだすのだろう。ヒールの足取り軽やかに】

――――――――?

【――――けれど、ふと立ち止まる。うんと細い裏道はもはや路地裏と等しい暗さをしていた、まず一般人であれば立ち入ろうとは思わぬような場所、のぞき込む刹那に】

朝から幻聴がする……。

【疲れてるのかな、なんて、呟いて。ひょいと少女は目線を逸らして歩き出すのだろうか、こつりこつりと足音、ご機嫌よく、お行儀よく】

【――白銀の毛先を腰ほどで揺らしていた、甘く垂れた真っ青な眼を銀ふちの眼鏡で隠して、その口元は、やたらにふわふわしたフェイクファーの中に埋め】
【薄手のコートが翻るなら、中に纏っているのは灰色のリブセーターのワンピース、膝上丈から覗く足元は厚手のタイツに包んでしまって、足元はヒールの高いショートブーツ】
【肩にかけて抱えた鞄は何か変わった風でもないけれど、強いて言うならばいくらか重そうに見えた。――十七歳ほどの少女であるなら、少しだけ、夜更かしの温度、身に纏い】
【けれど帰路についたところであるらしいなら、特段気にすることでもないのかもしれなかった。或いはもう一点気にすることがあると、するなら】

【ご機嫌そうな足取りではあった。――だけれども、時折、何か警戒するみたいに、周囲に目を巡らせたり、しているようだったから】
【誰か気にして見るなら余計にそうであるのだろう。――――なれば、人気の多い方へ多い方へと向かう足取り、少しだけ、早足な気もした】
979 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/19(火) 00:24:14.68 ID:XYIFpC9p0
>>977

【斬撃により機械製のワームは容易く切断され、床へと落ちる。】
【切断面からはさらに細かなワームが無数に這い出て来てエーリカの足元に迫るが、踏みつぶせるレベルだ。】
【ゾルゾルゾルという何かが這う音は絶えず天井から聞こえてくるが襲ってくる様子はない。】
【「ふぅむ」とスピーカーからは関心ともため息ともとれる声が聞こえてくる。】


―――ギンツブルク氏を知っているのか、彼はとてもとても素晴らしい人材だ。
魔導と言うアプローチから深淵に迫ろうとしている、私も微力ながら手を貸させて貰っているよ。


人が人を管理するのが罪というのならば、私は人とは違う存在になろう。


なぁ―――鈴木≠ュん。


『はい、主任。』



【突如背後に気配、そして何者かはエーリカの右腕を掴みながら床に押し倒そうとするだろう。】
【かなり近接格闘慣れしている動きだ―――だが数々の死線を潜り抜けたエーリカであれば回避は出来るはず。】
980 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/19(火) 01:05:34.64 ID:XYIFpC9p0
【氷の国-首都ヴィエラ=z

【//最高級ホテル『ホテル・二ヴルヘルム』最上階//】


【極寒の地、氷の国の首都ヴィエラ。まるで氷の彫刻のような建物が立ち並び常に厳しい寒さが吹き付ける】
【窓の外を覗けば国軍の兵士がいたるところに立っており不審な人物等がいないか常に眼を光らせている。】

【―――赤い星はここに輝く。】

【ここはそんな首都の中心部にある最高級ホテル、その最上階。】
【本来であればこの最上階を含む上層階は外国からの要人の迎賓などに用いられるが、この最上階のみ一度も使われる事はない。】

【―――何故なら、このホテルのオーナーも務めているある人物の一派が根城としているからである。】

【執務室の役割も兼ねている部屋の中には煌びやかに様々な勲章や宝物が輝いており、この部屋の主の財を感じさせた。】
【だが、彼にとってはそれはどうでもよい事であったサイコフェンリル≠ニ呼ばれる彼にとっては。】


こうして客人が絶えないという事は喜ぶべき事だね、だが同時に危険を敷く事にも繋がる。
―――これでいい、これから始まるのはグレートゲーム≠ネのだから。



【部屋の窓から外を眺めているのは鉛色の腰まである長髪に銀色の瞳をした20代後半、身長180cm程の男だ】
【全身は飾緒や勲章が幾つも装飾されたネイビーのコート型軍服で包まれており、部屋の角には一本の騎士剣が立てかけられている。】

【―――そして、壮観な部屋の片隅にあるソファーにはもう一人の人物がいた。】
【鮮やかなトリアドールレッドのツインテールに同じくトリアドールレッドの瞳をした10歳ほどの少女。】
【恰好はニッカポッカのようなダボついたズボンに黒のタンクトップで、骨付きチキンをガリガリと食べている。】

【娘と言うには歳が近すぎるし、妹というには歳が遠すぎるようなそんな年齢差だった。】


【男は扉の前に立つ衛兵に客人を中に通すように促した。】

//院長先生お願いします
981 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/02/19(火) 01:27:06.76 ID:kTPRTOsxo
>>980

【 ──── 貴方達は錯覚する、暖房によって隅々まで暖められた室内に冷気が紛れ込んだ、と】
【それは宛ら外気、生ける者全てを静止させる極寒の権化が、目の前へと現れた様な感覚で】
【茫然とする衛兵 ──── 招き入れた相手が、どれ程の存在か、はっきり認識してしまったから】


星の国=wHeathen』CEO ハル・アシュクロフトの使いで来ました
秘書をしています、レイ・クロノスタシスと申します

この度は謁見の機会を設けていただきありがとうございます


【長い黒髪は闇夜を思わせた、星々に照らされる艶やかな空の色、深くしなやかに】
【瞬く星空よりも淡い瞳の色、僅かな檸檬の色彩が、水彩画の如く描かれて】
【スラリとしたプロポーション、豊満な胸元を強調する様にはだけたスーツ姿】

【短いタイトスカートからストッキングを履きこなし、同系色のハイヒールで爪先まで描き切る】
【少女と女性の混ざり合う年頃の女、照らされる煌めきの多寡によって、容易にその姿を変えて】
【それでいて表情は絵画に描かれた様に、静謐を保っていた】


──── 早速ですが本題を、私共のネットワークが昼の国≠フ情勢に貴方達が介入するという情報を捉えました
現在昼の国≠ヘ "D.R.U.G.S." 残党が持ち込んだ麻薬により、経済政治共に深刻な状況に陥っています
故に、氷の国の介入はほぼ間違いなく成功するでしょう、──── それを見逃すわけにはいきません

櫻の国が水の国内部に櫻州≠建設した様に、氷の国が傀儡都市を樹立させる事は世界の情勢を大きく狂わせます
だからこそ、我が社のハル≠ヘそれを看過しなかった、──── 彼曰く


──── 僕達も混ぜなよ、独り占めは破滅をもたらすから


【彼女の言葉は雪原を思わせた、見渡す限りの銀世界、微塵の熱もそこには見えずに】
【示すのは星≠フ意思、氷の思惑を察知し、いち早くその行動にまったをかけたのだと言う】
【しかし、それは国際的な正義感などではなく、──── 言葉を借りるなら、そこに自分達の利益をも要求する】

【単身氷の国に乗り込み、その行動に先手を打つ、正気の沙汰とは思えなかった】
982 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/19(火) 02:12:53.36 ID:XYIFpC9p0
>>982

【不意に、部屋の角に立てかけた騎士剣に視線を向けてしまう。】
【トリアドールレッドの少女はソファーに体育座りをしながら変わらずチキンの骨をしゃぶる。】
【一つ間を置いてテルミドールは衛兵に下がるように促す。一礼をして衛兵は強張った表情のまま部屋を後にする。】
【テルミドールは冷気を纏う相手へと踏み込む、そうすることを是としてきた男であるから。】

【近づけば慣れた様子で手袋を外し、右手を差し出す。】



はじめまして。遠路遥々良くいらっしゃいました。
氷の国軍特務機関イヴァン≠フ責任者を任されています、ミヒャエル・テルミドールと申します。

謁見などと、私はあくまで一軍人に過ぎません。こちらこそお会いできて光栄ですクロノスタシスさん。



【握手が応じられるか否かに関わらず部屋の中心にある椅子へ腰掛ける事を促す。】
【相手が着席すれば自らも席に着く、まるでプログラムされた行動のように一切の無駄はない。】


ほう。いきなり本題ですか―――。
ええ昼の国≠ヘ既に腐り落ちかけている果実です。国家権力とカルテルの癒着は深刻化し
政治家が麻薬根絶を掲げようものなら翌日には家族全員がLIVE配信の解体ショーの餌食となる。
プロパイダーすらカルテルの息がかかっておりバナー広告にはカルテルのリクルートページがリンクされる。
疑心は疑心を生み、もはや隣人すら信用できない。誰もがカルテルを見て見ぬふり。

―――それだけではない、安定した基盤を手に入れたカルテルは国外への麻薬の輸出を始めている。
これは見過ごすわけにはいきません。仰る通り我々は昼の国≠フ情勢への介入を考えている。


【相手の言葉に対してはぐらかす事なく、頷いて昼の国の情勢を語る。】
【だが相手の続く言葉には眼を細めて一度呼吸を置き、思考を巡らす―――。】


買い被り過ぎですよ、我々はあくまで自国の安寧を脅かしかねない存在を排除したいだけです。
国際的圧力は多い方が良い、私は歓迎です。
しかし………新楼市≠セけでは食い足りませんか―――?


【そう、氷の国は表向きには大きな干渉をするつもりはなかった。】
【代役≠立ててカルテルの掃討と以後の裏社会の統治を行うつもりであった、氷の国自体は人道、復興支援に力を注ぐ】
【故に言う、混ざりたければどうぞと、元より混迷の地だ買い手が増える事に対して反発する方がリスクである。】

【一方で星≠ヘ得体が知れないという感覚も男にはある、既に水の国の一都市は手に落ちたようなものなのだから】
983 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/19(火) 08:13:56.23 ID:fCrIihPbO
>>982

【骨をしゃぶる少女を一瞥、流麗な目元に浮かべるのは虚無、僅かばかりの侮蔑すらも含まない】
【然して、それは心地の良いものでは決してない、見下す様な面もちと思えるかもしれず、ただ ──── 】
【感情に随する何もかもを宿してはいなかった、虚空が如く、風が吹き抜ける】


申し訳ありませんが肉体的な接触は避けましょう、私にとっても貴方にとってもそれが賢明です
接触を切っ掛けに能力を発動する能力者は一定量確認されています、無用なリスクは回避すべきでしょう
軍人としては危機管理がなってませんね、些かばかり心配です


【寒空の下に零した吐息の白、儚く溶ける残照とは裏腹に、響く温度はあまりにも冷たい】
【ただはっきりと思った事を口にしたまでか、伏し目がちの目線は冷たくも、何処か憂いを帯びていた】


──── 詭弁ですね、大陸の穀物庫≠スる昼の国を手中に収める事が本来の目的でしょう


【レイは一蹴する、膝の上小さく重なった指先、──── 切りそろえられた爪の淡さ】


農業国である昼の国に於いて麻薬が流行したのは半ば必然です、農業以外の手っ取り早い娯楽であったから
土壌が出来ていたと言い換えても問題ありません、潜在的な可能性が彼国にはあったのです

一方氷の国の厳しい気候は農業には不向きです、有史以来貴国は高い規律意識を規範として発展を続けてきました
そういった点で昼の国の麻薬は貴方達を "脅かす事は無い" ────── 違いますか?

元来正当性の無い内政干渉なのですから、下手に策を弄するより直接攻め入った方が良いと思いますが、

────── まさか、コスモポリタン計劃は旧体制の遺物です、我々は "もっと上手くやります"

ミヒャエル様、貴方はスマートフォンをお待ちですか?


【小さく首を傾げる、靡く髪が頬を撫でて】
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/02/19(火) 13:52:24.25 ID:c82XTHpd0
>>978
/こちらのんびり再掲しておりますっ
985 : ◆r0cnuegjy. [saga]:2019/02/19(火) 20:44:56.15 ID:JG9Ueuyro
【街中】

【夜の繁華街は多くの人で賑わっていた。ここ最近は不穏な空気が流れているとはいえ】
【人々の生活にまで影響を与えるには至っていない。時折、路地裏が騒がしくなることもあるが】
【そんなことはいつものことで誰にとっても慣れたものだ。テロが起きない限りは平和だと彼らは思える】

【そう、路地裏や遠方がどうであれここが平和ならばそれで良し────つまり、そうでないのは困る】
【街中で突如、異変が起こった。商店のガラス張りが全て破砕されて通りへと飛散。ガラス破片の中に女が横たわっていた】
【通りを歩いていた人々が一瞬で動きを止めてその女を見つめる。そして次の瞬間には絶叫と共に逃げ出していた】


…………あぁ、もう、痛いわね…………よりにもよって、こんなところに叩き落としてくれるだなんて


【商店のガラスに激突したであろう女が起き上がる。長く美しい青髪からガラス破片がいくつか振り落とされる】
【上はコートを羽織り、下は脚が露出した格好。それにも関わらず、怪我らしい怪我はしていなかった】
【周囲からは既に人気がある程度、去っていた。この世界では異変が起きたらまず逃げ出すものだ】


それにしたって…………迂闊ね、ほんと
“あんなもの”に見つかるだなんて最低よ…………ニンゲンたちにも見られたし、どうしたものかしら


【女が立ち上がり、前方にあった建造物の屋上を睨みつける】
【そこには月明かりを背負った人影らしきものが立ったまま、女を見下ろしていた】
【人々の叫び声は十分に響き渡っただろう。それなりの騒ぎにはなっているが────】
986 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/19(火) 22:27:14.32 ID:newf+69rO
>>979

【手応えは在った。切り口からボトリと落ちる"切れ端"はそれを証明して】
【切断面から這い出る無数に寒々しさを覚えながらも、靴底でグリグリと踏み潰し、磨り潰す】
【―――きっ、と鋭く睨む先はワームの出所、無機質な天井。依然として気は緩めない】


ちっ、……神様気取りときたか。性質が悪い。
しかも"墓場の王"を褒めちぎるとは同類かよ、アンタは―――っ。

人は人に管理されなくたって生きていける。
アンタたちの管理下なんて真っ平ご免だ、そこに愛なんて――

    
             【"無いじゃないか"】


【紡ぎきる前に、言葉は遮られる。無機質な声は、機械音に似ていた】
【その音は――急襲を告げる。幽玄と背後に現れた人物を"鈴木"だと理解するのに少々の時間を要した】

【腕を掴まれ、押し倒されそうになる。そうなればその先に待ち構える結末を想像するのは容易で】
【だから、右足を軸に大きくターン。そして鈴木の直線上から離れ、左手の指に挟んだナイフを投げつける】
【先ずは仕切り直し、あわよくば手傷を負わせる意図で放つ3本のナイフ。捕まる訳にはいかないとばかりの一手】
987 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/20(水) 00:50:28.92 ID:H2KiYaRO0
>>983

―――ふ、貴女は随分と聡明なようだ。
それとも誇るべきは貴女方が有しているネットワークの方ですか?

ええ、先程のは建前。実情は違う
麻薬ビジネスが我が国を脅かす可能性が全くない、という事はありえませんが
我が国の国家保安委員会はある意味でカルテルより恐ろしい方法を用いてそれを遮断する。


【握手の応じられなかった手に汗が滲む。思考が遅れる。緊張しているのか。】
【相手の力量を誤り踏み込み過ぎたのだと―――だが】
【その状況下において尚、より一層踏み込みたいという衝動に駆られるのがこの男だった。】
【自然と、口角が上がる。】


もうご存知ではないですか?我々には表立って内政干渉を出来ない理由がある。
これ以上国際社会の眼を集めるのは些か以上にリスクがある。―――ですが


それも面白い
良いでしょう、貴女方の提案に乗って共にダンスを踊るとしましょうか。


―――教えてください、貴女方の流儀≠。


【そう、既に貴女方も掌握しているだろうが】
【氷≠ヘ水の与党≠ニ密約を結び、櫻≠叩く準備を進めていた。】
【その上で昼≠ノ対しても物理的な圧力を加えるのは様々なリスクを孕んでいた。】
【戦力の分散、国際社会からの視線―――だがそれでも男は喰らいつこうとする、それは一種の破滅願望】
【相反する思考の相克、狂った狼の思考に他ならなかった。】

【テルミドールは軍用にカスタムされたスマートフォンをテーブルの上にBETした。】

988 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/20(水) 01:06:35.28 ID:H2KiYaRO0
>>986

【腕を掴んだが振りほどかれバランスを崩した矢先に飛び込んでくる3本のナイフ。】
【だが鈴木と呼ばれる茶髪の男は身体をまるで蛇のようにくねらせてそれを回避する。】
【回避しきれなかった一本が頬を切り裂き、血が流れるが男の顔には笑顔が張り付いていた。】
【ずるり、と鈴木の袖口から何かが現れる。】


『痛いですねぇ、痛い痛い。何故痛い?それは拒絶されたからでしょうか?』
『なぜ拒絶されてしまったんですかねぇ、主任。』

さあてね、君は人の感情を知らなすぎるのではないかな。
人と繋がりたいのであれば人を見ているだけではいけない、人が何を見ているかを考えねば。
―――興味がなければわざわざ解析したり攻撃したりはしないんだ、きっと好きだからそうしてるんだよ。


『ああ、そうなんですか―――良かった。』




【それは血のように赤いカテーテルのようなものだった、先端は二又に分かれている。】
【石井の無機質な回答に鈴木は満足げに笑い、両腕の袖からその赤いカテーテルをエーリカへと伸ばす】
【エーリカの首筋にその鋭い先端を刺そうと、迫る】

【―――直感で感じるだろう、それを受けてはいけないと。】

【そして同時に両腕を突き出している鈴木の両サイドはがら空きだった、非常階段までも走り抜けられる可能性がある。】


愛≠ヘあるさ、だって好きだから知りたいのだから。
989 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/20(水) 05:12:41.50 ID:KJmvZhPVO
>>987

【世辞には答えない、見据える瞳は極夜よりも深く、白夜よりも隙が無い】
【只管感情らしきものを感じさせない女性であった、申し訳程度の瞬きが人間である証明】

【氷≠ェ水の与党≠ニ組んだ密約によって、一時的に国際社会から非難を受ける立場になる】
【故に昼の国≠ヨの介入はかなりのリスクを背負う、表舞台に立ちたくないという思考も分かった】


貴方達には正義≠掲げてもらいます、昼の国≠フ麻薬カルテル壊滅の為に
国際社会はこれを後押しせざるを得ません、賞賛こそされど非難される事は無いでしょう
既に各国へ麻薬が流通しつつあります、どの国にとっても麻薬カルテルの存在は厄介ですから


【失礼します、とテーブルの上に置かれたスマホに手を伸ばす、横髪を描き上げてもう片方の手で操作する】
【しなやかな指先が砂上に恋文を記す様に、白妙が描くのは束の間に消える幻】
【何時の間にか新しいアプリがインストールされているだろう、海外サーバーからのダウンロード】


弊社 ────── Heathen≠ナ開発した新型ゲームアプリWonderwall
まだ審査を通しておりませんので限定的なダウンロードしかできませんが
貴方達にはWonderwall≠使って、昼の国≠フ麻薬撲滅を行っていただきます

麻薬中毒者に対する厚生プログラムの一環として、このアプリの拡散をし、中毒者達にプレイさせます
Wonderwall℃ゥ体はシンプルなパズルゲームですが、高い中毒性を持ちます、持つ様に作っていますから
麻薬による中毒を、ゲームによる中毒へ、────── 身体を壊さないだけ随分マシでしょう


【武力介入ではなく、スマートフォンのアプリケーションを用いて麻薬中毒者を治療するという手段】
【麻薬撲滅≠ニいうお題目、アプリケーションの拡散というリスクの少ない方法、共に氷の国≠ノとっては魅力的であった】

【問題があるとすれば、────── その信憑性か】


ゲームが心配でしたら、一度プレイしてみては如何ですか?
やり過ぎを防ぐ為にスタミナ限界までプレイしても、精々五分ぐらいですから


【指さす画面、────── 悪魔の手招きにも似た威圧感をそこに示して】
【もしプレイしたなら、彼女の言う中毒性を身をもって体験するだろう】

【魅力的なキャラクター、効果的な演出、絶妙なゲームバランス、そしてクリアした際の達成感】
【脳内を快楽物質が駆け巡る感触、永遠に続く絶頂にも似た快感が波の様に襲ってきて】



【我に帰るのは五分後、スタミナ切れのアナウンスが届いて始めて、貴方は正気に戻る筈だ】
990 : ◆r0cnuegjy. :2019/02/20(水) 17:52:03.46 ID:jqe4IMq9o
//>>985で再募集します
991 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/02/20(水) 22:28:19.88 ID:EoFSGyjtO
>>988

【緊迫した状況に似つかわしくない鈴木の笑み】
【人の形でありながら、作り物の感情にしか映らなくて気味が悪くて】
【―――鈴木の袖口から姿を現した不吉なカテーテルは不吉だった】


反吐が出るね、あんたのような狂研究者の「好き」と世間一般の「好き」は違うだろうに。
姿を見せない臆病者の好きはただ好奇心を満たしたいだけの一方的でしかないんだ。

一方的な感情に"愛"が宿るもんか!能力者を管理しようと企む奴の宣う"愛"なんて私が否定してやる!

それにさ―――おい、鈴木って言ったか、アンタ。
暴漢宜しくいきなり腕を掴んでおいて拒絶されないとでも思ってんのかよ?

何で攻撃されたか啓蒙してやる―――アンタが生理的に気持ち悪いからに決まってんだろうが!


【エーリカから見た鈴木。感情を理解できない、人を真似るロボット】
【だからこそ拒絶する。石井の語る言葉も一緒に纏めて、バッサリ切り捨てる】
【愛という言葉さえ黒く染められ穢された気がして露にする激情――咆哮せり】

【一通り吼えたところで、次は首筋に迫る赤いカテーテルを避けるべく動き出す】
【潜入前に見せられた画像――あれが脳裏を過り、本能的に回避しろと警笛を鳴らすなら】
【攻めの姿勢を見せながらの退却を決意――情報は十分に集まったから】


         Hell Edge Road/Lord Rapid Stream――――ッ!


【腰を低く落として、迫るカテーテルを回避して、床を勢いよく踏み抜いての疾走。非常階段へ歩みを進める】
【それに付随するのは刃物の奔流。身体の後ろに流れる魔力は幾多ものナイフに形を変えて、ひとりでに暴れだす】
992 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/02/21(木) 02:08:58.87 ID:iKkmhj360
>>989

【―――であれば、理論は反転する。】
【国際社会に対する貢献はすなわちテルミドール達が行う行為に正当性を付加させる。】
【世論、というのはそういうものだ。それがいかに悪逆的な側面を持っていようとも正当性が凌駕する。】

【テルミドールは愉しげだ、自己の目指す未来が企てが綱渡りの上で成立している事を忘れる程に。】


―――確かに、他国に代わって掃除を行うという訳ですからね。
悪徳の町≠始めとして昼の国の治安悪化は国際社会にとって頭痛の種ですから。

しかしゲームアプリ≠ナすか………。


【テルミドールは訝し気にスマートフォンを自身の手に戻す。】
【元よりゲームやアプリといったモノにはあまり縁がない生活を歩んできたのだろう。】
【だが、軍人として高い能力、集中力を持つこの男は始めればゲームへと没入する。ある種のトランス状態。】

【――――――】

【スタミナが切れるのと同時、まるで脳内物質が切れたかのようにテルミドールの瞳に光が戻る。】
【ゆっくりと息を吐きながらスマートフォンをテーブルへと置く】


これは、中々。中々に呑まれる。
まるである種の洗脳装置のようだ、結局のところ昼の国の民が見るのは白昼夢という訳ですか。
Wonderwall=\――これは麻薬に代わる新たな心のOASIS≠ノなる。

ですが、我々がそうであるように貴女方≠烽アの更生アプリを普及させるために私に話を持ち掛けたわけではないでしょう。
何をご所望なのですか?それに対して我々が協力できれば良い関係が築けるとは思いますが。


【実際に体験したことでテルミドールはこのWonderwall の有用性を十分に理解した。】
【まずカルテルの収益構造を破壊しておけばスクラップズ≠ノ依頼するその後の掃除もよりスマートに行える。】

【だが忘れてはいけない、目の前の星の使徒£Bもまた思惑があって来訪したのだと。】
993 :レイ ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/21(木) 09:06:26.72 ID:FFSDZ0Dwo
>>992

【余計な言葉を付け加えなくていい、テルミドールの優秀さはレイにとってもプラスであった】


此方のアプリは5分でスタミナが切れます、回復するには一時間のクールタイムが必要です
当然です、厚生アプリですので、──── 被験者が廃人になるのを防ぐ為の処置になっています

ですが、何もかもを制限していると、逆に心身へと負荷がかかり本末転倒と言ってもいい影響がでます

故に私共の方では一種の救済処置を用意致しました、──── 課金システム≠ナす

リアルマネーを支払う事により一時的にスタミナを回復する事ができます、本来ならば実装すべきではないのですが

昼の国の皆様が一日でも早く社会復帰できる様に、余計なストレスは排除しなければいけません


【レイは淡々と言い放つ、──── 結局の所、麻薬中毒者≠ゲーム中毒者≠ヨと変えてしまい】
【麻薬へと流れる金がゲームへと流れるだけで根本は変わらない、──── 寧ろ】
【余程此方の方が質の悪さを内包していた、麻薬と違いゲームアプリに関する法整備は遅々として進んでいない】

【麻薬カルテルによる支配構造を合法的にシフトせしめる、星の糸≠ェ紡いでいく】
【となれば星の意図も見えてくるだろう、アプリによる莫大な収益、それが目的であると】


最初は厚生プログラムの一環として此方から端末を昼の国の民に支給致します
アプリが浸透したのを見計らい回収しますが、その際希望者に対しては有料の端末販売を実施してもらいます

加えて、アプリに付随して氷の国では新型スマートフォンの開発と販売、尚且つ通信回線の整備と販売をしてもらいます
アプリの需要が増加したなら端末の需要も増加します、氷の国の端末でしか動作しないのであれば

────── 必然、どの様な価格設定であろうとも売れます、寡占どころか独占に近い形態ですから

我々はアプリケーションとゲーム内課金という無≠売ります、貴方達は端末という有≠売れば良い
幸い氷の国はレアメタルが豊富です、単純な資源的にもIT産業の良いパートナーとなるでしょう


【戦争の火種を武器商人が付ける理論と一緒であった、新世紀の戦争とはこの事だと、彼女は示す】
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/02/21(木) 12:05:42.93 ID:Tn4XLVkN0
【街中――広場】
【ごく天気のいい昼間であった、暖かな気温に引き寄せられたように集まる軽食のワゴン車の群れ、昼時であるなら、人手も多く】
【きゃあと湧き上がるあどけない黄色い声に目を向けるなら、どこかの店が新装開店したのだと言って着ぐるみが風船を持って出歩いていた、周りに子供を鈴なりに実らせ】
【大人が見るに控えめに言ってあんまり可愛くない奴だった、二足歩行して猫背にしたナマケモノをデフォルメしたような生物、それでも大人気だから】

――――――――ふしゃーっ!

【そんなごく平和な光景だからこそ、――差し込まれるのは鋭い威嚇音、怒り狂った猫でも紛れ込んだかと思う瞬間に見やる光景、手足を地面にくっつけた幼子であるのだろう】
【まだまだ小さな子であった、おそらくは五つか六つほどの年齢で。――着ぐるみが怖いと言って泣きじゃくる子は割に居るとは言え、そんな、動物みたいに威嚇する子だなんていないなら】
【可愛くないし毛皮の剥がれたところをボンドを留めた痕の生々しい着ぐるみだって困ってしまうのだ、――にっこり笑顔を張り付けたまま、困惑交じり、風船を差し出してみるのだけれど】

ふしゃー!

【四つん這いの幼子に思い切り威嚇されて手が引っ込む、――――いくらかの困惑ののち、着ぐるみはくるり方向転換、たくさんの子供を実らせたまま、そおっと移動して】
【そうしたら幼子はそれはそれでいいらしかった、――たっぷり様子をうかがってから立ち上がる、おててのどろんこをぱたんぱたんお洋服ではたいて落としたのなら、】

ユーイ、"敵"追っ払った!

【――にんまりと笑みが漏れる、誰かがどこかで聞いているラジオから十二時の時報が響いた、そんな光景】

【真っ白い毛先はぴょんすか跳ねる癖ッ毛、腰を通り過ぎるほどまで自由にさせて、眼は赤みがかった黄色の色合い、透き通るように白い肌は、ほんのりばら色をして】
【くしゃりたくさんのフリルをあしらったハーフボンネットに、同じくたくさんのフリルをあしらった地面すれすれまで長い裾のワンピース。どちらも色のない真っ白な色合いと】
【それでも胸元のリボン飾りとおしゃまなパンプスだけが青みの赤色をしていた、――やはり五つか六つごろの子であるなら、どこぞに母親でもいそうなものなのだけれど】

【――――着ぐるみとバトルを繰り広げる辺り、どうにも、居ないか、見ていないらしいから。気になると言えば気になる、そうでなければそうでもない、――】
【――或いは誰ぞ不思議なことでもしていれば幼子の方から近づいてくるのかもしれなかった、着ぐるみを敵と判断するくらいだから、きっと、大人の世界には興味津々に違いなくって】
995 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/21(木) 12:54:30.62 ID:GMRYbnzSo

【水国首都、某日某所。 ─── 中心業務地区に程近い、幾分も古風な喫茶店。とあるPMCsのビルを斜向かいに臨む、窓際のとある席】
【同日の会合場所はそことして指定されていた。ニスの淡い光沢を宿す、木造りのテーブルと椅子2脚】
【1人の男が片方の席に座り込んでいた。壮年の男だった。白髪混じりの黒髪をオールバックに撫で付けて】
【上物の白いスーツと楡の杖が矢鱈に似合っていなかった。 ─── 薄笑いだけが似合っていた】


    「 ……… や、お待ちしておりました。」「本日は、どういったご用件でしょうかな?」


【焦茶色の瞳が貴方の姿を捉えるなら、徐に彼は慇懃な挨拶を寄越すのだろう。 ─── 問いかけるまでもなく答えを知っているに違いない表情をしていた】



/よやくです。。。
996 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/21(木) 13:58:57.65 ID:FFSDZ0Dwo
>>995

【相変わらず不遜な態度で彼は入ってきた、大股の闊歩、早足、────── 咥え煙草が環境に悪い】


依頼だよ、過不足なくな、────── 使える組織を遊ばせておく程俺は暇じゃない
オーウェルんとこと同時進行で頼む、場末の工場よりはレーンに融通は効くだろ?

────── 生憎トップシークレットでな、


【黒い短髪を派手に撫で付け、胸部を大きく露出した耽美的な黒のドレスシャツ】
【黒の司祭服を袖を通さずに羽織り、首元には申し訳程度のロザリオを垂らして】
【真紅の瞳が印象的な長身の男性、マーリンは席に着くなりそう言った、些か表情が硬い】


─── 例の "軍港" の事件、もう情報は入ってるよな
SNSは見たか? 少しばかり派手な事になってやがる


【マーリンは投げつけるようにテーブルの上に自身の端末を滑らせる、画面を覗き見たなら】
【とあるSNSの画面であった、スクリーンショットされている、そこには】


【 "水国軍港爆破事件の真実!!" ────── 裏にいたのは 氷の国=z


【既にネット上は大騒ぎになっている様子であった、彼の表情がそう伝える】
997 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/21(木) 14:06:10.86 ID:GMRYbnzSo
>>996



「そいつぁ渡りに船だ。 ─── おれたちもその件については、ちょうど報告を図ろうとしていた所です」
「水国軍と櫻国軍の両方からアプローチがありましたよ。 ……… 生憎そっちは部下たちが応対してる所です」


【烟草の煙っぽさを後藤は凡そ気にかけていないようだった。 ─── 彼自身が何より喫煙者であった】
【手薬煉を引いて待っていたような対応だった。液晶に映るニュースサイトの速報を一瞥もしなかった】
【そうして顎の無精髭に指先を添えながら、考え込むような素振りを見せた。1秒にも満たぬ沈黙の後】



     「 ─── おれが聞いた所によると、くだんの主犯は櫻国の国防軍だという話ですが。」「 ……… 体よく焚き付けられた形でしょうかな。」



【ふうむ、と一ツ彼は唸る。 ─── この案件に関わる黒い意志が、恐らく単一では有り得ないと、後藤は理解していた】
【「事態の解決と真相の究明ならば我々も試みている所です。 ……… それでは、情報交換と行きますか?」やはり慇懃な問いかけはもはや無礼でさえあった】
998 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/21(木) 14:14:07.81 ID:FFSDZ0Dwo
>>997

【 ────── 霞んだ舌打ち一つ、知ってやがったとは思っていたが】


水≠ニ櫻≠ヒ、────── そのバカふたつが足引っ張り合うだけならいいが
氷≠ェ関わって来たなら質が悪い、────── 最悪世界中に火種が飛び散る

────── 良いだろう、まず≠ヘそこからだ


【彼はそう言って荒々しく後藤を見据えた、何時にも増して気性が荒い】


整理から始めよう、件の事件が発生した際、最初に疑われたのは水の国≠セ
例のテロがあってから、特に水の国の国軍は腸煮えくり返ってたからな、────── だが

よりにもよって被害のあった魔導海軍≠ェ水の国を疑わないと言い出した、あのエリート然した司令長官は後で[ピーーー]

で、────── この騒ぎだ、主犯は氷≠ルんでもって裏にいるのは特務機関イヴァン≠セとよ


【最初に手札を公開する、彼の持っている情報】
999 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/02/21(木) 14:27:13.02 ID:GMRYbnzSo
>>998


「 ……… イヴァン。成る程、あそこですか。」「前々から思っていたが全く大層な名前だ。雷帝と呼ぶにも幾らかタチが悪い」
「 ─── 確かに我々も、くだんの事件を起こした爆撃機らしき機影が、氷国方面で防空レーダーに確認されたという話は、聞き及んでいます。」
「あの辺りには数十年前の核惨事によって、現在は使用されていない軍事基地もありますしね。 ─── 一応、筋は通らなくもない」


【一頻り把握した後で後藤は言葉を止めた。 ─── なにかを思い出すような表情だった。悠揚の迫らぬ返答は、幾らか嗄れた声にて】


「 ……… 水国の陸軍諜報部には、なにかと縁がありましてね。」「それを踏まえて解らないのは連中の動機だ。」
「魔導海軍の大将が此方のお偉方と繋がっていたのは、あそこほど真っ当な情報機関なら気付いていた筈だ」
「爆撃の一ツで仲違いさせられるものと踏むでしょうかな。 ─── 少なくともおれならば、そうは思わない。」


【焦茶色の眼光がなにか消せない輝きを宿していた。 ─── テーブルに置かれた指先が所在なく木目を叩いていた】
【水でも、櫻でも、氷でもない。俎上に上がった特務機関は、何らかの政治的策謀を携えて、仕掛人を騙っているのではないかと述べていた】
1000 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/02/21(木) 14:38:30.76 ID:g9mNCSsFO
>>999

【後藤の表情の変遷、─── 昼行灯も点滅してみれば、その調子ぐらいは伺える】


同族嫌悪とでも言ってやろうか? まあ、俺個人の感情もアンタの感傷も知ったこっちゃないが
狼の狩り方は狼に聞いた方が早い、と ────── そんなところか


【続く後藤の洞察、────── なるほどな、と思考を深める】


繋がり方による、と──── 俺は思うがな、敵を評価するのは癪だが、過小で瞑目するよりよっぽどいい

火のないところに煙は立たない、寧ろ、火種になりそうなら何だってするぐらいの野心は持ってるだろ
古来より世界を巻き込む戦乱の火種は、根本を辿れば一発の十弾だったり、と ──────

爆撃の一つで仲違いもさせちまう、そう考えた方がアンタらしいと思うがな


【やや煽る様な口振りであった、水の国の特務機関と氷の国の特務機関と、────── その関係性は一言では語れまい】


まあいい、────── 俺個人で言えば、その意見に賛成だ
氷≠フ手口にしては杜撰すぎる、奴らはやるならもっと徹底的にするだろう?
────── まあうちの身内にもそんな組織、あったような気がしたが


【後藤を見て鼻で笑う、同時に問いかけるのはその先であった】


【────── ならばこの騒動の下手人とは?】
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