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HTML化した人:lain.
水前寺「新たなJ・Dだと?」
1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/03/22(月) 23:57:24.92 ID:4NH4cUDO
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関連スレ

水前寺「SOS団……か」
http://orz.2ch.io/p/-/ex14.vip2ch.com/news4gep/1267270571/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1267270571/
2 :NH4cUDO[sage]:2010/03/23(火) 00:17:14.38 ID:btZ1QkDO
学園都市へ引っ越してからの初日早々
水前寺は常盤台のレールガンと出会った
それが既定事項だったのは解らない。しかしこれにより彼は大きな味方、―――いや仲間を手に入れた。これから飛び込む事件の解決への切り札となって欲しい。中坊に頼るなぞどうかしていると思っているが、彼女ならどうにかしてくれる
根拠はないがそう思えた
そして彼女を取り巻く仲間との出会いもまた、事件の解決への糸口を掴んでくれた

「確かに、退屈はせんな」

水前寺はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、初夏の空を見上げた
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/03/25(木) 06:13:24.08 ID:ia5g2gAO
(´;ω;`)アゥー

このスレはもっと評価されても良いと思うんだが…
少なくとも私のスレよりはずっと手間暇かかってるのに…

>>1さん、応援してますよ。頑張って下さい!
4 :ELZqmoDO[sage]:2010/03/25(木) 12:51:10.53 ID:k/pguwDO
目の前で飛んでいく白いセダン。

水前寺は「ホームラン」と暢気に呟きながらその軌道を目で追った。強盗が出た場所に偶然居合わせていただけで、なかなか面白いものが見れた
噂に聞いていた常盤台のレールガンとの出会い
「確か、御坂美琴って言ってたな」
凛とした表示で彼女は髪を払い上げる。余裕と言う二文字かよく似合いそうだ
水前寺は近くに居たジャッジメントに拳銃を渡して、ニヤリと笑う
「学園都市……か」
これから彼の初めての任務が始まる
5 :NH4cUDO[sage]:2010/03/25(木) 12:53:37.07 ID:k/pguwDO
話しは数分前に戻る

引っ越しの荷物が届くのが夕方と知った水前寺は特にする事も無いので、街をブラブラしていた。そこでふと財布が少し寂しいのに気付き、銀行へ行った
ATMの前には長蛇の列があり、面倒クサイなぁと思いつつ、やっとこさ自分の番になったその時

「金を出せ!!」

窓口で強盗が叫んだ
「噂通り、治安の悪さに脱帽だ」
そんな事を思いながらATMの操作をする
「てめぇ、大人しくしろ!!」
強盗Aが水前寺に拳銃を突き付ける
「大人しく金を引き出しているのだ……が」
突然ATMが操作できなくなった
「おい!何故に!!何故だ!!」
「知るか!!」
「ったく、他を当たるか」
そう言って水前寺は回れ右をした
「動くなって言ってんだろーが!」
強盗の攻撃が速いか水前寺の対応が速いか。それは後者の動きが圧倒的だった。彼に拳銃を奪われ、投げ飛ばされた強盗を、回りで動けず見るしかない住民は「おお」と歓声を上げた
それと同時に防犯シャッターが閉まる。おそらく彼の行動で固まっていた店員が防犯ボタンの類いを操作したのだろう
「……ったく、人命よか金か」
そんな悪態を吐きながらコンバットナイフとは思えない趣味の悪いナイフを懷から取り出し、拳銃と共に構える
6 :NH4cUDO[sage]:2010/03/25(木) 12:54:25.94 ID:k/pguwDO
身構える強盗BとC
「まさかここで朝倉君からのお土産が役に立つとはな」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた
「なんだ、映画の物真似か?」
嘲笑う強盗C
「近接戦闘では拳銃よりナイフが効果的な時がある」
律儀に答える水前寺に
「近寄らせねーよ!!」
強盗Bが焔の波を繰り出した。水前寺はそれを華麗にと言ったところか、掻い潜り焔使いの懷に突っ込み、
「……はっ」
綺麗に投げ飛ばした
「柔道で全て対処できると思うなよ!」
今度は強盗Cが水前寺に突っ込む。しかし水前寺は当然の事の様に、
「その様な片寄りは無い」
今度は投げ飛ばさず、華麗にその場に頭を強打させる方法で体勢を崩させた
「嘗めんなーーーー!」
復活した強盗Aが飛び掛かる
「これ返す」
水前寺の投げた拳銃がデコにヒットした強盗Aは「あがっ」とマヌケな声を出して痛みに悶えた
「にっ、逃げるぞ!!」
フラフラと立ち上がった強盗Bがシャッターに向かって焔を繰り出し、それを破壊した
「ちっ」
流石に爆風は耐えるしかない
煙が晴れた頃には3人の姿はなかった。その代わり、拳銃が落ちていたので水前寺はそれを拾い
「危ね。腕持っていかれとこだった」
デザートイーグルと言う、ハンドガンでは最強の物だった。下手が虚栄心を張るには持って来いだが、リコイルが半端無い。従って
「素人が手を出す銃じゃねえぞ、普通」
流石の水前寺でも扱うのが怖い
7 :NH4cUDO[sage]:2010/03/25(木) 12:55:30.68 ID:k/pguwDO
水前寺は外に出た
「まだ一悶着してるのか」
水前寺が見た光景は強盗AとCが中学生位の女の子を突き飛ばして、用意していたと思われる白いセダンを乗るところだった
他には突き飛ばされた女の子と同じ制服を着た娘が焔使いの身動きを封じていた
「実家は焼き鳥屋か?」
彼女が持っている串を見て思った

そして

突き飛ばされて服にクレープが浸いた女の子が焼き鳥屋の娘に何かを言って、コインを取り出した
彼女はそれを高々に上げて、自分の回りに電気を発生された。右腕を伸ばし、コインがそこに落ちてきたところで
「ふんっ!!」
親指で電撃をコインに乗せて放った

ドガッッ

「ホームラン」
水前寺は白いセダンが綺麗に弧を描いて飛んでいくのを見届けた
8 :NH4cUDO[sage]:2010/03/25(木) 20:47:57.20 ID:k/pguwDO
それからしばらくしてアンチスキルが到着した
「通報から出動までの遅さに定評があるな」
警察より遅ぇぞ
「ご協力感謝しますの」
いつの間にか焼き鳥屋の娘が水前寺の目の前に居た
「とは言え、貴方にも事情聴衆がありますのでご同行お願いしますの」
事態の終結後、彼は眼鏡を掛けたジャッジメントに軽い聴衆をされたので、それがもう知れ渡ったのだろう。いくら正当防衛とはいえ、お咎めがあるのは覚悟していた。あれだけ暴れまわっておいて何も言われないのは漫画やアニメの世界だけである
「覚悟の上だ。ところで、彼らの罪状は今のところ何かね?」
「器物破損と強盗未遂ですの。最も、今後の捜査では増える可能性もありますの」
「……多発していたのかね?このような事件が」
「まぁ、そう言ったところですの」
焼き鳥屋の娘は少しバツが悪そうに言った。そんな彼女に疑問を抱きつつ、水前寺は変わり果てた大通りを見て
「常盤台のレールガン……だっけな?彼女」
「はい。学園都市に7人しか居ないレベル5の第3位、御坂美琴お姉様ですの」
律儀な説明ありがとう
「成る程。引っ越し早々面白いものが見られたものだ」
水前寺はニヤリと笑いながら言った
9 :NH4cUDO[sage]:2010/03/25(木) 20:49:02.87 ID:k/pguwDO
焼き鳥屋の娘はその表情に若干引きながら
「引っ越し?また中途半端な時期に来らましたですの」
「手続きミスで、な。―――で、だ俺はどうやって同行して行けば良いんだ?まさかあのズッコケ3人共と同乗かね?」
下手な詮索をされるのを避けるため、水前寺は自然な感じで話を逸らした
「それでしたらご安心を。アンチスキルの方が乗ってこられた車両で案内されますの」
「承知した。では、ご苦労」
水前寺はそう言ってビシッと手を上げて別れの挨拶をした。近くにオドオドして頼り無さそうな女性のアンチスキルが居たので歩み寄り、早速質問した
「あれに乗れば良いのかね?」
「はい!?あ、えっと……」
「ん?」
「そのぉ……」
オドオドが増した彼女に変わり、特徴的な語尾を使う女性のアンチスキルが来た
「現場検証するから立ち会って欲しいじゃん」
「承知した」
水前寺は短く答え、黒焦げの銀行の店内へ入った。そして担当のアンチスキルに大まかに説明した。詳しい事は覚えていない。身体が反応するがままに投げ飛ばしたからである


アンチスキルの施設で行われた事情聴衆等が終る頃には日が傾いていた
「そろそろ荷物が届く時間帯だな」
夕空を見て呟く。そこで
「急いでいるんだったら手伝ってあげるわよ?」
どこかで聞いた事のあるような声がした。水前寺はそちらに振り向いた
「君は確か常盤台のレールガンでないか」
10 :NH4cUDO[sage]:2010/03/25(木) 22:05:15.50 ID:k/pguwDO
―――1週間前

ある県立高校で水前寺は異世界に閉じ込められたり、野球したり、タイムスリップしたり、人命救助をしたりと激動の1学期を過していた
夏休みを殆んど目前に控え、一区切りがつくと思いつつ、夏の計画を立てていたが水前寺だがその激動はある男達によって終焉を迎えさせられた

SOS団の活動が終わり、いつも通りカブで下宿先に帰ると自分の部屋の前に、
「お迎えが来ています」
黒スーツにグラサン、イシツブテの様なおっさん2人がそこに居た
「ベタな展開だな」
そんな感想を言いつつ回れ右をして男達に付いていった
「こちらへ」
案内された先には黒いBMWのM7が停まっていた
「良いを趣味してるな」
水前寺はニヤリと笑いなから乗り込んだ
「直接的には初めまして、になるかな邦博君」
「なっ、あんたは!?」
車内には初老の男が居た
「まさかキャンベル大佐か!?」
水前寺は動揺を隠しきれなかった
「大佐と言うのは随分と古い話だ。今は国連で平和に関する事案に携わっている。皮肉な事にな」
ロイ・キャンベル。かつてのフォックスハウンドの司令官がそこに居た
11 :NH4cUDO[sage]:2010/03/25(木) 22:05:41.93 ID:k/pguwDO
クルマが走り出した。行き先を知りたかったが、後にしておこう
「先日の件では君には大変世話になった」
「いえ、たまたま居合わせた人間が協力したまでです」
「しかし我々は君の未来を危うく奪ってしまうところだった。本当に感謝しきれない程感謝をしておる」
「そんな大袈裟な」
「ありがとう。とても助かった」
社交辞令のような会話を交わした後、水前寺は本題を訊く事にした
「それはさておき、本題を訊きたいのだが」
「ああ。それなんだが、これから話す事は飽くまでもお願いだ。強制的にどうこうはしない。それでも聴いてくれるかね?」
「……勿論だ」
水前寺は強く頷いた
「君は東京の郊外に位置する学園都市と言うのを知っているかね?」
「いや、知らないな」
「そこでは超能力に関して能力開発を目的とする研究が行われているのだ。資料を渡そう。目を通してくれたまえ」
超能力なんかねぇよ。そうとは言えなかった。超能力を開発ってのもおかしな話だ。水前寺はそんな事を思いながら渡された資料を読んだ
「にわか信じがたい話だが本当だ。君は超能力は存在しないと思っているかもしれない。しかしこれには嘘、偽りはない。科学的根拠も証明されている」
何てこったパンナコッタ
「ここから本題なのだが、良いかね?」
「……ああ」
固唾を飲み込む
「学園都市に存在する新たなJ・Dと恐るべき子供達計画について調べてきてほしい。可能であればそれを阻止無力化」
「新たなJ・Dだと?」
「ああ。ツリーダイヤグラムと言うらしい」
ふむ、と水前寺はしばらく考え込んだ
「飽くまでもお願いだ。今の生活が良いならそれで構わん。唯、我々は頼めるのが君しか居ないのは確かだ」
「我々?」
「フィランソロピーだ」
12 :NH4cUDO[sage]:2010/03/25(木) 22:10:59.73 ID:k/pguwDO
フィランソロピーとは反メタルギア財団の事である
再び考え込む水前寺
「それに君はフィランソロピーの構成員ではない。嫌ならそれで構わない」
キャンベルは俯き、少し申し訳なさそうに言った。それを見た水前寺は
「1つ尋ねるが、まさか愛国者達の独り歩きでないだろうな?」
「ゼロとは言えない。出来ればあって欲しくないがな」
「こちらもだ。あれは軍部の暴走だったが、流石にまたメタルギアと対峙はしたくない」
クルマがどこかのホテルの駐車場に入った
「返事はいつでも良い。最悪の事態になった場合は雷電を送り込む予定だ」
「水際の対策って奴か」
学園都市には興味があるが、任務の事を思うと話に乗り辛い
「さて、この話しは終わりだ。これからは今日のメインイベントといこう」
キャンベルがクルマから降りたのを習い、水前寺は彼の後を追った


その後、水前寺は数ヵ月前に戦場を共にした雷電とその家族、初対面となるオールド・スネーク、オタコン事ハル・エメリッヒ博士達とと食事をした。この日はそれで終わり、何事もなかったかのように帰宅した




数日後。水前寺は意を決してキャンベルに一本の電話を入る事にした
「大佐、例の件だが引き受けよう。俺も少し気になった事が出来た」
13 :NH4cUDO[sage]:2010/03/25(木) 22:13:24.22 ID:k/pguwDO
直ぐ近くに御坂美琴が立っていた
「聞いたわよ。お手柄だったらしいわね」
御坂の隣には焼き鳥屋の娘も居た
「厳密に言いますと、未遂って面のみですの」
「あんたはまたそうやって素直にならないんだから」
「お姉様程ではございませんの」
そんな2人のやり取りをみながら水前寺は、
「何の用かね?手短に頼みたい」
引っ越しの荷物が気になって仕方がないので早く帰宅したかった
「貴方、ジャッジメントに入る気はありませんの?」
焼き鳥屋の娘がそう言った
「生憎、そう言うのは性にあわんのだ」
「そうですか。残念ですの」
たいして残念そうには見えないが、勧誘してきたからには理由がある筈だ
「引っ越し早々の人間に訊くって事はそんなに人手不足なのかね、ジャッジメントは」
「いえ、引っ越して来たばかりと聞いたのでその友人作りと、貴方の長けた武術で学園都市の平和維持を兼ねて貰えないかと思いましたの」
「……成る程。前者は喜んで引き受けるがな。正直、突然知らん街に放り出されて右往左往している最中で困っているのだ」
水前寺はヤレヤレと言った感じで話した
「ではこの街で解らない事があれば私の居る17支部に来て下さいですの。これも何かの縁でしょう。話しは通しておきますの」
「お、そうか。それはありがたい。―――そう言えば俺は君の名を聞いていないのだが」
いつまで焼き鳥屋の娘って表記をする訳にもいかない
「白井黒子ですの。以後お見知り置きを。まさかこのような形で殿方と顔見知りになるとは思いませんでしたの」
白井がそう言うと御坂が
「ホント、素直じゃないんだから」
苦笑しながら言った
「勘違いなさらないで下さいまし、お姉様!黒子はお姉様一筋で―――」
「うっさい!」
御坂に飛び付こうとした白井は御坂の電撃で捩じ伏せられた
14 :NH4cUDO[sage]:2010/03/26(金) 00:53:15.33 ID:CKRWNQDO
2人との別れ際に水前寺は白井に実家は焼き鳥屋かどうか尋ねた。当然の事ながら否定された。何故そんな発想をしたか訊かれた彼は
「串と言えば焼き鳥屋さんだろ」
「その様な連想をされたのは初めてですの」


新たな下宿先の寮に到着したのと同時に宅配便のおっさんと合流した。大物だけ位置を指定し、後の1人で運べる物はその辺に投げといた
「さて挨拶回りにでもいくかね」
両隣と上下の住民に軽く挨拶をし、やっと落ち着けるようになった
「なんだか、1日が長かったな」
晩飯のはコンビニ弁当を食べながら呟いた
「ん?」
そこで何かが鳴る音がした
「ああ、無線か」
内耳に直接的響くタイプのそれがコールする音だった
「こちら邦博改め、部長。初日は難なく終ったぞ」
「難なくじゃないよ。アンチスキルに目を付けられたじゃないか」
相手はオタコンだった。セリフの割には怒っているようにはなかった
「仕方無いだろ、殴り掛かってくるんだから」
「まぁ良いや。予めリスクには入っていたし」
「で、例のツリーダイヤグラムってのは調べがついたのかね?」
「ああ。君の見立て通り、どうやらJ・Dとは全く異なる種の衛星らしい。どちらかと言うとスパコンだ」
水前寺は予めオタコンにツリーダイヤグラムの素性について調べるように頼んでおいた水前寺が調べた記録ではツリーダイヤグラムは、一般的にはおりひめ1号として上がっている。もしJ・Dクラスの衛星を打ち上げるなら情報統制をする筈である。そしてアメリカも少し必ず関わっている筈なのでオタコン達が解らない訳が無い。水前寺はそこに着眼してツリーダイヤグラムの危険性を上げるのを疑問に思った
15 :NH4cUDO[sage]:2010/03/26(金) 00:56:02.09 ID:CKRWNQDO
「承知した。しかし今更だが何ゆえ、こいつを無力化せねばならんのだ?」
「……多分こいつはいつでもJ・Dに成り代わると思うんだ。ハード面でも下手をすればJ・D以上だ。と言っても―――」
オタコンは少し間をおいて呆れたかのように話した
「―――さっきも言った通り、ツリーダイヤグラムはJ・Dとは全く異なる衛星だ。こいつ、マシンパワーに物言わせてあらゆる分野で計算をするだけのスパコンなんだ。ある意味、君の見立て通りだね」
「そうか。なら今のところ、優先順位は落としても良さそうだな」
ツリーダイヤグラムは後回しで妥結した。従って水前寺は恐るべき子供達計画について調べ上げるのに移項した
「やっぱりこちからから調べるのには限界がある。やっと発見したかと思えば、『後は学園都市の研究機関に任せる』の文字ばかりだ」
「逆を言えば学園都市で何かある……?」
「そう言う事だ」
「承知した。後は任せろ」
「頼んだよ、部長」
ツリーダイヤグラムに比べあっさりと終ったが、情報が無いなら仕方がない。無線を切り、食事に戻った。すっかり覚めてしまったが、それでも味が落ちないのは流石と言えよう。さっさとそれを平らげた

食べ終わったら直ぐにシャワーを浴びて、ベッドに寝転んだ
「明日から学校か……」
キャンベルの手配で水前寺はかなり高レベルの学校へ編入する事になった。確かに偏差値80を常に越えているのは認めるが、そちらにばかり気をとられていたらこの街に来た理由が本末転倒である
「面倒クセ」
唯でさえ情報が乏し過ぎる中で来たのにこれで大丈夫なのかと思いつつ、水前寺は証明を落として就寝に入った
16 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 02:07:04.09 ID:Oaw4UsDO
感想
「堅苦しい……」
流石上流階級のお坊っちゃん、お嬢様学校であった。水前寺は空気についていけない。
「自己紹介しただけだがよぉぉぉく解った。ったく、大佐は何故北高と同じ位のレベルにしてくれなかったのかね、オタコン」
「大佐なりの配慮なんじゃないかな」
現在水前寺は昼休み中である。屋上で朝買ったおむすびとムサシノ牛乳を両手に食していた
「まぁ、そう言うことにしておこう。しっかし、まぁ。ケータイ電話禁止ってのは驚いたぞ」
水前寺が使用しているのは飽くまでも無線であり、ぱっと見た目では仕組んでいる事すら解らないので問題は無い
「それに生徒のレベル0は極希。やれやれ、4と3がひしめき合う世界じゃ肩身が狭いぜ、全く」
任務が終る頃には北高レベルの学校へ転校しようと思った
「それじゃ午後も頑張ってね」
「ああ」
無線を切り、牛乳を一気に飲み干した
「ぷはっ。…………季節的にアタリそうだな」
生温くなったそれを思いながら言った




放課後は直ぐに帰路へ就いた
幾人か話し相手は出来たが、やはり人間として住む階層が違う気がしてならなかった
「そう言えば今日は軽トラとカブが届くっけな」
ふと気になり、キャンベルに無線を送信した
「大佐、俺の愛車2機はもう届いたのかね?」
「ああ、昼頃には指定した所へ置いてくれたようだ」
「承知した」
「ところで、話が変わるが良いかね?」
「ああ。まさか追加注文か?」
「そう言う事になるな。嫌なら―――」
「続けてくれたまえ」
「解った。部長、スキルアウトと呼ばれる人間に銃器を流している組織を調べてくれ。それと学園都市で行われるも揉み消されたとされる人体実験についても調べてあげてくれ」
17 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 02:07:33.10 ID:Oaw4UsDO
段々山積みになりそうである。それでも
「任せたまえ」
引き受けた
「詳しい資料はメールで送っておいた。目を通してくれ」
水前寺は「ああ」と短く返事をして無線を切った
「やれやれ……、―――ん?あれは……」
前を見ると遠くで御坂美琴の姿を確認した。どうやらツンツン頭の男をおいかけている様である。追い掛けるのも不粋と思い今回は見なかった事にした。しかし

ドォォンーー

響き渡る重い音
「なっ、なんだ!?」
レールガンを放ったような音がした
見なかった事は無しだ。急いでそちらへ水前寺は走っていった
「……っと、あ、済みません」
先程のツンツン頭の男が出てきた
「君、大丈夫なのかね?」
「え?何がでしょうか?」
「いや、先程レールガンが放たれた様な音がしてな」
「ああ。大丈夫っすよ」
「……ふむ」
「それでは上条さんはこれで―――」
「待ちたまえ」
水前寺は上条の肩を掴み、引き留めた
「なんでせうか?」
「上条と言ったな。ジャッジメントの17支部ってのはどこにあるのかね?」
「はぁ、……ええっと―――」
大まかに上条は道を説明した
「承知した。礼を言おう」
「いえいえ、これ位当然ですよ」
2人は別れて各々の道を歩んだ
「御坂君に訊いてみるかね」
上条と名乗った男から不思議な感覚がした。恐らく、只者ではないと
18 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 02:08:15.30 ID:Oaw4UsDO
「黒井君は居るかね?」
「はい???」
ジャッジメントの17支部に到着した水前寺の一番開口は人の名を間違えた物だった
「話しは通っていると訊いたが……」
「あ、ああ。もしかして例の―――」
出てきたのは昨日水前寺に軽い事情聴衆をした眼鏡を掛けた人だった
「水前寺さんですか?初めまして固法美偉って言います。お話は聞いてます」
そう言って固法は笑顔で答えた
「時たま世話になる。ところで、黒井君は居ないのかね?」
「黒井……?もしかして白井さんの事ですか?」
「そう、白井君だ」
微妙な空気が流れたが、水前寺はもろともせず
「少し尋ねたい事があってな。居ないなら別に構わない。大した事でもないのでね」
「あ、はい……。解りました」
固法は水前寺のペースに若干付いていけなかった。聴衆時でも結構特徴的だとは思っていたが、まさかここまでとは思わなかった
「では失礼した」
水前寺はそう言って17支部を後にした

彼は白井に御坂が追い掛けている男について訊こうと思っていたが、空振りの様であった
「ま、本題が先だ」

パンっ!

突然、水前寺の背後でクラッカーが鳴ったような音がした
「なっ!?」
身構えるが、パッと見た目ではそこには何もなかった。他の通行人もやや驚いていた
「……む?」
隈無く見渡すと街路樹の一部が焦げて煙を上げているのが目に入った
「悪戯にしてはおかしい……」
しかし水前寺は昨日の今日と言うのもあり、これ以上は関わりたくなかった。従って、いそいそとその場を去った
19 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 02:08:51.83 ID:Oaw4UsDO
連続グラビトン事件、等と言う物が流行り、街は少しピリッとした空気に包まれていた。負傷者が既に多数出ているらしい。出来れば巻き込まれたくなと思いつつ、水前寺は授業がやっと終わり解放感の中で下校していた
「お、あれは……」
固法と御坂がコンビを組んでジャッジメントの仕事をしていた
「はて、何故に御坂君はあの様な事を……」
御坂の腕にはジャッジメントの腕章。確か御坂君はジャッジメントではない筈……。少し気になったが、とても声を掛けられる程暇そうには見えなかったので、水前寺はまた見なかった事にした。何か知らんが頑張れお嬢様
「さっさと帰るか。―――っておっと」
すれ違い様に見るからにネクラな男とぶつかりそうになった。前を見ていなかったのか、避ける意思がなかったのか。水前寺は少し不審に思いながら
「……音漏れするまでして何を聞いているのかね」
彼のウォークマンから流れていた奇怪な音に疑問符を浮かべる
「…………。ふむ、色んな人間が居るな」
今更ながらそんな感想を呟く
20 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 02:11:28.43 ID:Oaw4UsDO
帰宅してからはずっとパソコンとにらめっこだった。キャンベルに頼まれた事柄を調べる為にずっと緻密な作業をしていた。粗方の関係している施設の調べはついたが、数は未だ膨大である。終いにはしらみ潰しになるかもしれない
「くそ、似通った施設があり過ぎたっての」
疲れた水前寺は身体を伸ばし、一休みをした
「ん?」
グッドタイミングで無線に着信音が入った
「こちら部長。作業は困難だ」
「お疲れ様、部長。大変みたいだね」
「お陰さまでな」
皮肉たっぷりで言い返した
「僕の方でも大分調べたけど、仕分けるのが大変だ」
「今日はもう辞めだ。目が疲れた」
「悪いけどもう一頑張りして欲しいんだ。メールを送った。詳しい事はそちらで後で見といてくれ」
「……あいよ。で、何かあったのかね?」
オタコンの口調が真剣な物になった
「例のグラビトン事件ってのを調べたら色々と出てきてね。少しまとめてみたんだ」
「ん?……犯人逮捕でもすれば良いのかね?」
「そうじゃない。グラビトン事件ってのは飽くまでも切っ掛けにしか過ぎないんだ。そこから別の方面で気になってね」
「では何かね?」
「レベルアッパーって言葉が気になったんだ」
風の噂で聞いたことが水前寺にはあった。何も、使っただけで能力が上がるとかなんとか
「僕自身もちょっとかじっただけだから情報は不確定だけど、少なくとも都市伝説では終らないと思う」
「……解った。調べておこう」
無線を切り、送られたメールを開く。中身は殆んどがURLばかりだったが、リンク先もまたレベルアッパーについての物ばかりだった
「やれやれ、皆物好きだねぇ……」
結局、寝られたのは草木も眠るナンとやらな時間だった
21 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 16:07:42.09 ID:Oaw4UsDO
レベルアッパーねぇ……

水前寺は電気屋に来ていた。目的はMP3系のウォークマンの購入である
「一番安いのは……と。これか」
あれから数日に渡りネットで調べた結果、レベルアッパーと言う曲を手に入れる事が出来た。噂を信じるならこれで間違いない
「折角だ。検証が終ったら普通に使おう」
彼でもよく知らないメーカーの代物を購入。少し痛手だが、後でキャンベルに請求しようと考えている

任務以外では特にする事は無いので、少しブラブラしようと思い店の外へ出た。しばらくはそうして歩いていたが、飽きたので愛車を停めてある駐車場へ戻る事にした。その途中
「治安悪いな、ホント」
路地でカツアゲを喰らっている男が居た。それも見覚えのある人物だった。いつぞやのぶつかりかけた学生である
「んあ゛?!」
不良の1人が水前寺に気付いた
「文句あんのかよ、テメェ」
見た目と性格が同じで安心したぞ。そんな事を思いながら不良達の人数を数える。見えている分では3人であった。未だ隠れているかもしれないと身構えつつ、
「いいやぁ。治安の悪さに定評のある街だなと思ってな」
やれやれのポーズをする水前寺はネクラな少年を見た。こいつも見た目通りの奴だと思った
「何が言いたいんだ、っよ?!」
なんつー沸点の低さだ
水前寺は掴み掛かってきた不良Aを簡単に交わした。所詮は凡人の速度である。先日の強盗の方が動きは良かった気がした
「舐めんな!!」
今度は不良Bが殴り掛かって来た。しかしそれも交わす
「っんんなろ!!」
次々と不良達は殴り掛かってくるが、水前寺は殆んどそれを交わしている。たまに相手を掴むが投げ飛ばさず、そのまま力を流してあげる。その途中でネクラ少年を見るが彼はボーッとして彼等の動きを見ていた
22 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 16:09:06.13 ID:Oaw4UsDO
逃げる気力も無くなったのか?
「くそっ、くそっ!」
3人は拳や蹴りが全く当たらないので怒り係数がMAXになった。しかも交わされた先で同士打ちを何度か味わい、今となっては敵も味方も関係無しである
「ちょこまか逃げんな!!」
「誰がまともに喰らうかね?」
「ぜぇぜぇ」
思ってたよりモヤシだった
「おらぁぁぁあああ!!」
どこからともなく、不良Cが鉄棒を振り降ろしてきた
「よっと」
勿論あっさり交わされ、
ガン゛ッ
「ぎぃやゃぁぁぁあああ!!??」
鈍い音と共に上がる悲鳴
「……わっ悪りぃ!?」
「ぉぉぉぉぉ!??!」
脳天に鉄棒が直撃した不良Aはその場で悶えた
「っちぃ、ズラかるぞ」
不良Bがそう言って不良AをCと共に肩を貸して去っていった
「弱いもん虐めてるから自身もトロくなるんだよ」
ボソリと呟き、未だにボーッとしているネクラ少年の姿を見た水前寺は呆れて溜め息を吐いた
「逃げなかったんだな」
そう話し掛けると
「ちっ、誰も助けて欲しいなんか―――」
「助けた??おいおい、勘違いはよしこさんだ」
「…………」
古いぞ、水前寺よ
「あのズッコケ3人共が勝手に標的を俺に変えたて、俺はそれを退けただけだ。助けてなどいない」
「……ふんっ」
ネクラ少年は何故か嘲笑い立ち去ろうとする
「とは言え、形としては礼を言うのが義理でないのかね?」
「…………うるさい」
人の事はあまり言えないが、あえて言おう
何この厨二病
「ジャッジメントでも何でもないお前が口出しするな」
「ジャッジメントねぇ……」
ふと考え込む。ジャッジメントとか言う治安部隊が居るのに何故にこの治安の悪さ。矛盾してないか?「仕事しろよジャッジメント」と小さく呟くいた
23 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 16:10:42.53 ID:Oaw4UsDO
「……あいつらはいつも終わってからなんだ!!遅いんだよ!!」
水前寺の呟きが聞こえたのか、ネクラ少年は叫んだ。
「……ふむ」
言わんとしている事は大体解った。確かに、ジャッジメントよりたまたま通りがかった水前寺が結果的にネクラ少年を助けた事になった。しかしそれは誰のせいなのだろうか?
「しかし、君は自身で自己防衛ってのはしているのかね?」
「出来たらとっくにしている」
「ま、そりゃそうか」
黙ってやられるなぞ、Mのする事である
「力のある奴はいつもそうだ。力で捩じ伏せて、あらゆる事を強いたげる」
薄情な話だが、水前寺は面倒事に首を突っ込んでしまったと後悔した。イジメ問題は扱えないし、扱おうにも扱い辛い
「お前だってそうだ。どうせ全部交わせたのもお前の能力か何かだろ」
「……生憎、俺はレベル0なんだが」
それ以前に水前寺は能力開発を受けていない。しかしそれだと後がややこしくなるので、キャンベルの手配によりレベル0の結果を捏造された。従ってそれを隠す為にも魔術は使えない。試しに魔術で受けようかとキャンベルに問い合わせたが、能力は1人1属性と言うのに引っ掛かる為、複数の属性を扱うのが可能な魔術では色々不都合らしい。ならば一層レベル0の方が良いとなった
ネクラ少年は「嘘だろ」と驚いた様である。「嘘ついても仕方ないだろ」「……ちっ」また舌打ちをするネクラ
少年は回れ右をしフラフラと立ち去って行った
「……やれやれ」
その姿が見えなくなるまで水前寺はその場に立ち尽くした
「さて、帰るかね」
雲1つ無い青空を見上げて思う
―――逆怨みをしなければ良いのだが
24 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 16:16:14.07 ID:Oaw4UsDO
帰宅してからはレベルアッパーをウォークマンに入れる作業をした。実際聞くのは少し躊躇いがあるが、どう言った原理でレベルを上げるのかが気になった。取り込み作業が終了し、イヤホンを装着
「再生っと」
………………
何だこれ?
「何の雑音だこれは?」
少しイラっと来る耳障りな音が「騙された……」と水前寺の直感をそう思わせた。「削除だ削除」水前寺は再生を辞めてプレイヤーをパソコンと再接続してフォーマットをかけた。大元のデータは残しておく事にしたが、とんでもない物を聴かされた
「……ん?待てよ?」
ふとネクラ少年が音漏れさせていた音を思い出す
「似ている……?」
いや、同じ物か……?
「もしこれがレベルアッパーなら、あいつもこれと同じ物を聞いている……」
これが本当にレベルアッパーかの真偽は他に置いておく。もしネクラ少年が聞いていた物が本物のレベルアッパーならば、何かしらの能力を持っている筈である
「……成る程。さっぱり解らん」
何が何だか頭の整理がつかなくなった
「少し、問い合わせてみるか」
そう言って水前寺はカブを飛ばしてジャッジメントの17支部へ向かった
本当なら余計な事には突っ込みたくはない。しかし今水前寺の中では色々な情報が絡み合っているので放っておけない
「グラビトン事件。レベルアッパー。AIM拡散力場に虚数学区……」
この街には何かが渦巻いている
25 :NH4cUDO[sage]:2010/03/27(土) 16:17:21.86 ID:Oaw4UsDO
「黒井君は居るかね?」
またこの人は名前間違えてると思いつつ、固法は「白井さんならあそこに」と案内した
「あら、こんにちはですの」
「よう。今忙しいかね?」
「いいえ。今のところ特にはございませんの」
「……これからあるって事かね?」
「可能性は」
グラビトン事件でジャッジメントはどこもこんな調子らしい
「1つ尋ねたいのだが、今回この事件を起こしそうな能力を持った奴には張り込みをしているのかね?」
白井の答えはNOだった
「と言いますのも、該当者全員ににアリバイがございますの」
一番可能性があった人物も入院がどうのとかでシロらしい
「ふむ……」
水前寺が考えていると白井の隣に居る、頭に花畑を搭載している少女が口を開いた
「もしかして何か解ったのですか?」
「―――ん?君は……」
「あ、初めまして。初春飾利って言います。柵川中学に通ってます」
「自己紹介は……まぁ不要か」と水前寺はニヤリと笑い「宜しく」と言った
「初春特派員、君はもしかしてパソコンが得意なのかね?」
白井の様に『君』ではなく『特派員』と敬称を付けたので初春は少し不思議に思う
「あ、はい。それなりに……」
「……むぅ。中々手の込んだ物だな」
感心して初春を見つめる水前寺
「あ、あのぉ……」
「少し良いかね?」
照れる初春を他所にキーボードを高速で叩く水前寺。それは2、3分程で終わり、ダウンロードの画面が出てきたと思ったら
「お、出てきた」
白井の使っていたパソコンと同じ画面が出てきた
「一体何を……?」
疑問符を大量に浮かべる初春
「ん?ちょっとな」
「???」
実は水前寺、グラビトン事件についてのデータを自分のパソコンに転送したのである。気付かれないように、白井の使っているパソコンをハッキングしてカモフラージュにした
「まさか、私のパソコンにハッキングしたのではございませんの?」
「お、よく解ったな」
「先程からこちらの操作を受け付けませんの」
白井がそう言うと初春が
「ちょっと、水前寺さん何してるんですか!?」
「いや、軽い挨拶代わりにね」
「もう挨拶でも何でもないですよ!」と初春は素振りこそは怒っていたが内心では感心していた。この人は本物だ、と
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/04/02(金) 02:06:34.46 ID:.9r9QD2o
小説の基本、句点はつけような
稚拙な地の文いれるんなら台本形式にしろ
27 :NH4cUDO[sage]:2010/04/02(金) 12:43:28.68 ID:kflNYUDO
さて、本題に戻ろう
「恐らく、犯人はレベルアッパーとやらを使っている筈だ。そうとしか考えられん」
「そんな、まさか……」
と白井は食い付きが悪かった
「今回の能力による暴力事件はデータベースに該当する能力者が居ない。となれば能力が登録されていない者による犯行となる。本来であれば能力診断の登録を避ける事は不可能。となれば、極最近になって能力が使えるようになった者に限られる」
「―――それらを踏まえるとレベルアッパーの使用者が該当する、とでもおっしゃるのですか?」
「その通りだ。先に言わないでくれたまえ。補足事項として、レベルアッパーの使用者は疚しい気があれば能力の登録を避ける筈だ」
白井は溜め息を吐いた
「……確かに筋は通ってますの。でもレベルアッパーなんてものが―――」
「そいつがあるんだな」
更に水前寺は不敵な笑みを深めた
「俺の調査が正しければ、俺は今レベルアッパーを持っている。そして使った」
なっ!?
白井と初春、固法は水前寺のセリフに目を丸くする
「どう言う事ですの!?」
「レベルアッパーってどんな形をしてましたか!?」
「ちょっと詳しく話して貰おうかしら」
三者三様のリアクションが帰ってきた
「レベルアッパーってのは音楽プレイヤにその音を入れて、聴く事により効果を発揮させるものらしい。俺もそのMP3ファイルを落として聞いたんだ」
「……どんな曲だったのですか?」
固唾を飲み込んで尋ねる初春
「曲と言うか、音だ。但し、俺にとってはとても不快な音でしかなかったから、直ぐに辞めた。データはパソコンに残してはいるが、プレイヤからは削除した」
そう言ってウォークマンを見せる水前寺
28 :NH4cUDO[sage]:2010/04/02(金) 12:56:11.84 ID:kflNYUDO
しかし白井は未だ信じてはいなかった。もう一押ししたいが、水前寺の説得力はここで欠ける事となる
「で、貴方は何か能力が使える様になりましたの?」
「いや、全然」
「って、はぁ??!」
ズッコケる白井
「恐らく、先程も言ったが最後迄聴いてないから、効果が発揮されなかったと思われる。いくら何をしてもウンともスンとも能力が出てこん」
一間置いて水前寺は続ける
「と言う訳で確証理由は俺自身の覚醒ではい。他になる。音漏れ全開で聴いていた少年と出会ってな。それが不快な音と同じだったんだ。考えてみても、偶然にも訳の解らん音を聴いている同じ人物と出会うなんて早々無い。これはアタリだな、と」
水前寺が一通りの説明を終えると支部は静かになった
「……んー。確かにそうですが……。何かこう……足りませんの」
釈然としない白井は、完全には水前寺の見立てには同意できなかった。しかし彼はそれで十分である
「ま、素人の俺はこれが今のところの精一杯だ」
そう言って水前寺が諦めのポーズをとる
「解りましたの。一応、頭の片隅に入れときますの」
「それはどうも。と言う訳で、以上だ。邪魔しちゃ悪いし、俺はこれにて退散だ」
そう言って水前寺はそそくさと17支部を後にした
「あ、……行っちゃった」
そんな彼を見て初春は残念がった
「幾つか、質問したかったのに」
「あの殿方に質問しても進展はしませんわよ」
「んー、でも後何か聞けば先に進めるような気が……」
「もう良いですの」
29 :NH4cUDO[sage]:2010/04/04(日) 00:18:59.20 ID:Fuj.K2DO
翌日の昼休憩
前日に入手したグラビトン事件に関するジャッジメントの資料を徹夜で漁っていた。お陰で水前寺は眠気と戦いながらカレーパン片手に昼食を摂っていた。ちなみに飲料はムサシノ牛乳に代わりBOSSの贅沢微糖を飲む
「…………暑いな」
太陽光線の激しい青空を見上げて呟いた。もう屋上で物を食べる季節でないと思った
「明日から教室だな」
教室の冷房は効き過ぎな位だが、炎天下の中で過ごすよりは増しである
「戻るか」
夏は始まったばかりである
30 :NH4cUDO[sage]:2010/04/04(日) 00:20:29.81 ID:Fuj.K2DO
放課後になると水前寺はカブでブンスミストへ向かった。ヨレた下着を見たクラスメイトの勧めだが、コンビニと言わない分、流石上流階層である
「ん?あれは……」
カブを駐輪場へ置き入り口へ向かう途中で見覚えのあるツンツン頭と、彼に引き連れられている小学生低学年位の女の子を見付けた
「よう。この前は助かった」
水前寺はよっ、と手を上げて彼に声を掛けた
「あ、どうも。買い物ですか?」
「ああ。そちらのお嬢ちゃんは妹か何かか?」
「いえいえ。案内しているだけです」
「そうか。ついでに俺も案内してくれないかね?間に合わせの下着ごときで道に迷うのも、些か恥ずかしいもんでね」
「ははは。了解。お安い御用ですよ、―――あ、えっと……」
「水前寺邦博」
水前寺はニヤリと笑い、通っている校名と学年を告げて軽く自己紹介をした
「上条当麻です。って、タメだったんだな」
上条も彼に習って自己紹介をした。女の子も上条に続いて自己紹介をする
「頭良いんだな。あそこに通っているって事は」
3人は目的の階層に向けて歩み始めた
「そこまで凄くはない。むしろ手違いで入ったようなもんだ」
「手違い?」
「レベル0の人間が入るような所じゃなかったって事だ」
「え!?」
上条はとても驚いていた
「いや、俺てっきり大能力者かとおもってさ。どんな能力使うのかなぁって」
「生憎、0だ。そう言えば君の能力は……」
「右に同じく、上条さんも0ですよ」
「マヂかね……?」
「マヂ、です」
31 :NH4cUDO[sage]:2010/04/04(日) 00:21:28.31 ID:Fuj.K2DO
ふと初めて出会った時の事を思い出す。御坂と何かやっていた訳ではない?
「お兄ちゃん、あれ見てくるね」
女の子はそう言って目的の地へ走っていった。上条は短く返事をして女の子の行き先を見届けた
「先日御坂君と―――」
水前寺が上条に声をかけようとそちらを見たが
「何やってんだ?ビリビリ」
御坂が居た。少女ちっくなパジャマを鏡の前で持っていた
「なっ!?なんであんたがここに居るのよ!!」
「居ちゃ悪いか?」
不服そうな上条
「よう、御坂君。奇遇だな」
「え?水前寺??あんた達知り合いなの?」
「ま、そう言った所だ」
ふ〜んと御坂は驚いていた
「お兄ちゃん、次行こ!」
女の子が帰ってきた
「はあ!?この娘あんたの妹?」
水前寺と同じリアクションをする御坂に上条は、水前寺と同じ説明を御坂にした
「と言う訳でじゃあな、御坂」
上条はそう言って水前寺と女の子と共に次の場所へ向かった
「御坂君とはどの様な関係かね?」
「え?ああ、うん。……喧嘩売られてると言うか電撃を喰らわされてると言うか……」
歯切れの悪い上条
「電撃?」
「ええ、善良なる上条さんをビリビリ中学生は容赦無しに攻撃してくるのせうよ」
「攻撃とはまた平和的ではないな。でもよく無事でいられるのだな」
「それについても何と言うか……」
32 :NH4cUDO[sage]:2010/04/04(日) 00:22:21.82 ID:Fuj.K2DO
再び女の子が目ぼしい物を見付けて、その地へ走っていった
「俺には効かないんだ」
「効かないだと?」
「ああ。とは言え、右手限定だけどな」
「……ふむ」
考え込む水前寺。そう言えばこんな都市伝説があった
どんな能力も効かない能力
「……ふむ」
打ち消しと言ったところか。何かしらのキャンセル能力があるのかもしれない。しかしそれなのにレベル0なのか
「そうなんだよなぁ。俺もよく解らん」
「もしかすると、右手自体がシステムの邪魔してたりしてな」
水前寺の言葉に上条は苦笑いで答えた

ピンポンパンポーン
「本日はセブンスミストにお越しいただき誠にありがとうございます。申し訳ございませんが、電気機器の不具合により誠に勝ってながら本日の営業を終了させて頂きます。皆様のご理解ご協力をお願い致します」

「なん……だと!?」
未だ買い物を済ませていない水前寺は唖然とした。何しに来たんだろう、と
「水前寺、あの娘知らないか?」
「ん?先程まであそこに居なかったのかね?」
「それが居ないんだよ!!」
焦る上条。「迷子センター……と言っても機能していないかもしれないな」と水前寺は一間置き
「……解った。俺はあっちを見てくる」
あくまでも冷静に言い、そちらへ駆け出した。上条は「俺は一旦外に行ってみる」と言って階段を降りていった
「別の階層ではない筈だ」
やれやれ、世話が焼ける
水前寺はがらんどうとしたフロアを隈無く探した
「どこだーー!」
女の子の名前を叫びながら歩く
「……もう外に出たのか?」
33 :NH4cUDO[sage]:2010/04/04(日) 00:24:48.21 ID:Fuj.K2DO
水前寺は回れ右をして階段を探した
「一旦外に出て上条君と合流するか……。―――ん、初春特派員?」
と、そこで初春と御坂を発見した
「水前寺さん!?何でここに!」
「済まんが御坂君、あの女の子は知らんかね?」
「はぁ!?あんたも探してたの?」
「ああ。上条君と2手に分かれてな」
ここで妙に緊迫した表情をしている2人を水前寺は不思議に思った
「ところで何故君達はそんなに焦っているのかね?」
「実はグラビトン事件―――」
「お姉ちゃーん!」
初春が全てを言う前に、ぬいぐるみを抱えた女の子がこちらへ駆けてきたのに3人は気付いた
「お、居た居た。って―――」
そこで水前寺の脳裏でジャッジメントの資料の文字が過る

『―――ぬいぐるみが突然爆発―――』

「……まさかな」
こいつは不味い
初春と御坂も気付いている様な表情だった
女の子が初春に向かってぬいぐるみを差し出そうとする
「ジャッジメントの人に渡してって言われ―――」
女の子が言い切るより、初春がそれを受けとるより。水前寺は先にぬいぐるみを取り上げた
「投げ捨てごめん!!」
思いっきり投げ飛ばしたがあまり遠くには行かなかった
「ちっ、無理か」
水前寺はちらっと2人を見た。初春はぬいぐるみを背に向けて女の子を覆う。御坂はレールガンのタネであるコインを落とす。もう拾っている暇はない
「こうなれば!!」
恐らく、自分があのぬいぐるみをどうにかしないと、ここにいる人物は助からないだろう。助かるためには形振り構ってはいられない。魔術だろうと何でも使ってやる
ほんの僅な時間でそう思った水前寺は、結界系の魔術を展開させる計算を始めた

しかし

それより先に、ある人物が水前寺の前に背を向けて立った
34 :NH4cUDO[sage]:2010/04/04(日) 00:25:37.52 ID:Fuj.K2DO
「名乗り出たらヒーローだぞ、上条君」
「んー?」
反応の悪い上条
「誰かが助けたとかじゃなくて、誰かが助かったんだから、それで良いんじゃねぇか?」
水前寺は上条の言葉を聞いて理解した瞬間盛大に笑った
「はっはっはっ。中々カッコイイ事を言うではないか、上条君」
「辞めてくれ、なんか恥ずかしいから」
バシバシと背中を叩かれる上条は
「はぁ……。不幸だ」
肩を落として溜め息を吐いた
「さてと。これにて去らばだ。ではまた会おう上条君」
「……ああ。じゃあな」
水前寺はカブを止めている駐車場へ歩いていった
「いい加減、任務に力入れないとな」
どうも最近、余計な事に首を突っ込む習性が出来てしまったのか、任務を放ったらかしである。特に今日は下手をすれば命を落としかなねか事態だった
「とは言え、相変わらず情報に乏しいがね」
一番の悩みの種は未だ溶けそうにないが




ここまでが水前寺の無駄な日常
これからが水前寺の必要な日常
プロローグは終わり任務が始まる

そして

偶然なる数々の出会いで、水前寺は学園都市の真実を開かしていく事となる―――
35 :NH4cUDO[sage]:2010/04/11(日) 14:36:33.90 ID:AXz1rMDO
日本の諺にはこんな物がある
「急がば回れ……か」
特にこの学園都市では、いくら近道とは言え、路地を抜けようとすると逆に面倒事―――むしろ面倒な奴等とのエンカウントが高い
「兄ちゃん、俺達少しばかり金に困ってんだ」
この街に来てからそれらは心得ていたが、今日ばかしはそうも言っていられない用事があった
「少し貸してくれないか?ちゃんと返すからさ」
「だが断る」
現在、水前寺はそんな単純且つ、明解な不良達と遭遇してしまっていた
「少しで良いからさ」
「おとといきやがれ」
そう言って不良Aの脇をスルリと抜けた。しかし
「話しはまだ終わってねえんだよ」
これまた解りやすい反応である。不良Bが通せんぼをした
「君達とこれ以上絡む理由はどこにもない」
「お前には無くても俺達にはあるんだよ!!」
もう嫌だ。こんな治安の悪い街
「交渉決裂だ。他を当たってくれたまえ」
「それはこっちのセリフだゴラっ。折角俺達が良心をもって、少し貸して貰おうと言ったのによ。それを踏みにじるってかよ。あぁ?!」













良心ある人間は、全く知らない赤の他人から金を巻き上げんだろ
「交渉決裂だ。有り金全部置いてけ」
ネクラ少年がジャッジメントを逆怨みする気持ちが解る気がした。黒井君や初春君達には悪いが、あんな連中は居ても居なくても、この街は変わらん
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/04/11(日) 22:01:25.29 ID:M5XP7Oo0
週一ペースなのかな
C
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/04/18(日) 13:05:47.67 ID:RBxVIcDO
この街に来てからつくづく思う。相手がド素人とは限らないが、何かしらの格闘技で自己防衛をしないと、長生き出来ないなぞ、どこのスラム街だよ
「痛くない思いをしたくないなら、大人しくするんだな」
不良Aが飛び出しナイフを懐から取り出した。それを構えて気持ち悪い笑みを浮かべる
「やれやれ」
勿論、水前寺は大人しく奴等の指示に従う訳がない。持っている学生鞄を置き、いつでも攻撃されても大丈夫な様に構える
「やろうって言うのかよ」
不良Bも飛び出しナイフを懐から取り出した
「嘗められたっ、もんだな!!」
不良Aが水前寺の方向へ一直線に走った
「はっ」
それに対して水前寺は、紙一重でナイフを交わした。そして間髪入れず不良Aの懐に潜りるのと同時にナイフを持っている右腕を掴む
「なっ!?」
あとは素直に身体に染み付いた動きで相手を投げ飛ばした
「背中ががら空きだぜ!!」
んなこた解ってる。むしろ指摘をありがとう
「ほっ」
後ろを振り向くと不良Bが小さくナイフを構えて突っ込んできた。このタイプは対応しやすい。ナイフを持っている手を掴み、
「あげっ!?」
たまには投げ飛ばさず、腕をあらぬ方向へ曲げてあげる
「いでででででで」
間抜けな声を出す不良B
「ギブギブっ!!」
「だが断る」
「こっ、断らないで!!」
そこで不良Aが立ち上がり、再びナイフを構えた
「おっと。それ以上うごくなよ」
38 :NH4cUDO[sage]:2010/04/18(日) 13:13:03.35 ID:RBxVIcDO
水前寺は不良Bを盾にした
「卑怯だぞ!!」
形勢逆転と言ったところだろうか。どっちが悪役か解らない状況に一転した
「少なくとも、金を巻き上げるような人間に言われたくないな」
「うるせえ!!」
不良Aはジリジリと水前寺の方へ進む
「それ以上動くならこいつの腕をへし折る」
「近付くなよ!!ぜってぇ近付くなよ!!」
不良Bは水前寺がこれ以上力を入れると、腕の骨が折れると本能的に感じていた
「お前、例の能力使って逃げ出せよ!!」
例の能力?
「無理言うな!!演算なんか出来る暇がねぇ!!」
勿論、痛みのせいである
「……どう言う事かね」
普通であれば最初っから能力を使ってくる筈だ。どうして今頃になってその話をする?
「能ある鷹はなんとやらだ。いてててててて」
確かにそうだが、現在の状況的には、秘密兵器が秘密のまま終るほど切ない物はないと思うがな。そんな事を思いながら
「能力使われちゃ敵わんからへし折っとくか」
「ギブギブ!!降参です!!」
普通であればそんな事を信じられないが、水前寺は少し考え
「不良その1、こいつが停戦協定を結びたがっているが、どうするのかね?」
不良Aは舌打ちをし、構えの体勢を解いた
「……解った」
「ナイフを仕舞って貰おう」
渋々と飛び出しナイフを仕舞うの確認し、水前寺は不良Bを思いっきり投げ飛ばした。彼は顔面から地面に叩き付けられた際に、「ぐべ」っと間抜けな声を出した
「だっ、大丈夫か!?」
駆け寄る不良A
「……何とか」
しかし地面に顔を埋めたままである
「ったく、折角手に入れたレベルアッパーが泣くぞ」
「レベルアッパー!?」
「ん?なんだ、知らないのか?」
「いや、知っているが」
不良Aは不良Bを起こし、肩を貸した
「……一体どんな能力を宿しているのかね?」
「水を放つだけだ」
不良Bが掠れた声で答えた
39 :NH4cUDO[sage]:2010/04/18(日) 13:13:43.78 ID:RBxVIcDO
どうやら高水圧の水鉄砲を放つ事が出来るらしい。但し、空気中の水分を一定量集めてないといけない。従って連発出来ないのと、湿度が低い日はチャージに時間が掛かると言う制約がある
「使い始めの頃はチャージに時間は掛かるわ、軌道は滅茶苦茶だの大変だったがな」
練習している内にある程度制御出来るようになったらしい
「で、威力はどんなものなのかね?」
「いやぁ、それが……」
濁す2人
「まさか、玩具屋で売ってる高圧仕様の水鉄砲とか言うのかね?」
「まぁ。そんなところだ」
不良Bは偉そうに腕を組んで答えた
「……よくカツアゲしようと思ったな、それで」
「まぁな」「褒めてないぞ」「うっせ」
水前寺は学生鞄を拾い、ヒョイッと肩から背中の辺りに持ち上げた
「一度見せてくれないかね?」
不良A、Bは早く退却したいところだが、断ったらまた痛い目を見そうなので
「……一度だけだぞ」
と言って素直に従った
不良Bはパーにした手を前に突きだし、そのまま静かに息を吐いた。しばらくすると段々と水の塊がウヨウヨとしながら現れた。ピン球位の大きさになったところで
「はっ」
それを潰さず、包むように手を握り締め、ピッチャー宜しく投げた
投げた先の壁がピシャッと言って濡れた。ちなみに、壁は本当に濡れただけで、凹み等はなかった
「水圧カッターが使えるようになればレベル5だな」
「俺もそうおもった」
不良Aはそう答えた、投てきした人物の方を向いた。はやく引き上げようと思い、声をかけた
「おい、引き上―――」
しかし
「……おいおい」
ドサリと突然不良Bが倒れた
「な!?」
慌てて駆け寄る不良A
「大丈夫か!?」
起こし上げるが、返事は無かった
「……今救急車呼んでやる。あまり動かすなよ」
水前寺はそう言って消防局へダイヤルをした。また面倒事に関わったかもしれない、と内心でため息を吐きながら
40 :NH4cUDO[sage]:2010/04/18(日) 14:07:29.22 ID:RBxVIcDO
病院のロビーで水前寺は不良Aとかれこれ2時間は待ち惚けを喰らっていた
「俺、帰ろうかな……」
あれから救急車が直ぐに来て、不良Aと共に乗り込んだ。救急隊員に『知人』として軽く事情を説明し、病院へ来たのは良いが、医者からの説明は今のところ無い
とは言え、元々は無関係者だ。ここで別れたって後腐れは無い
「んじゃ、後は任せた」
そう言えば水前寺は立ち上がった
「……ああ」
不良Aは短く答え、彼を一瞥した
と、そこへ
「ん?あれは……」
水前寺もここへ来る時に通った、救急患者用の搬入口から見覚えのある顔の男が搬送されてきた
「ネクラ少年……!」
救急隊員の後ろにアンチスキルも2人居た
「ちょっと良いかね?」
ポニーテールで胸のデカイ方のアンチスキルを引き止めた
「ん?今忙しいから後にして欲しいじゃん」
「……ああ」
そう言われて彼女達を見届けた

何かが起きている
何かが……
何が、だ?
41 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 16:28:55.53 ID:37t16.DO
「どうしたんだ?帰らねぇのか?」
不良Aの問いに
「事情が変わった」
腕を組んで考え込む
「君が2時間程前に運ばれた患者の知人か?」
突然、背後から疲れたような女性の声がした。水前寺はそちらへ振り向きいた
「ん?まぁ、そうだ」
生返事に近い答だが、特に気にされる様子はなかった
よく見ると女医の目の下には隈、髪はボサボサで見るからに不健康そうな顔をしてる。その側に若い男性医が居た
「こちらは木山春生先生。脳科学のエキスパートです。普段はAIM拡散力場の研究をしておられます」
「はぁ……」
わざわざ紹介ありがとう。そんな事を思いつつ
「彼はそんなに深刻なのかね?」
木山に尋ねた
「いいや、目立った異常は無い。原因不明だ」
「そうか……。つかぬ事を訊くが、最近“流行っている”のかね?原因不明の昏睡が」
「そうとは未だ言い切れないが、確かに私の所に運ばれる患者数は増えている」
それが疲れの原因だろうか?水前寺は更に質問を続ける
「で、いつ目覚めるのかね?」
「解らない。他の患者もそうだが、原因が解らない上に治療法が無い。何せ、寝ている事以外健康なんでね」
「……そうか」
「安心しろ、その内必ず目覚める」
これがフラグだったのだろうか?後日、彼は確かに目覚めたがそれは未だ先の話である
42 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 16:29:23.27 ID:37t16.DO
病院を出ようとすると、御坂と白井のコンビにばったり出会った
「あ、あんた―――」
「奇遇だな御坂君。黒井君が拾い食いでもして腹を下したのかね?」
「し・ら・い、ですの!!あと拾い食いはしておりませんの!!」
いい加減名前憶えろ、マジで
「冗談だ。しかしこんな所に来る理由が解らんな。見たところ、健康そうだが」
「ああ、それなんだけどさ」
どうやら御坂と白井はネクラ少年が事情聴衆中に倒れたと聞いて駆け付けたらしい。と言うのも、御坂は彼の頭を思いっきり殴って、それが原因でかもしれない、と思い念のため来たとの事だ。ネクラ少年の名を聞いた水前寺だが、覚えられなかった。引き続きネクラ少年と称する
「で、あんたは?」
「俺も似たようなもんだ。元々はカツアゲされたのを撃退しただけだがな。何やカンやしてたら倒れた」
御坂の質問に水前寺はダルそうに答えた
「ふ〜ん。よくは解らないけど、大変ね」
「まぁな。んじゃ、俺はそう言う事で」
「って、待ちなさいよ」
水前寺の腕を掴み引き留める御坂
「で、そいつは治ったの?」
「いいや、昏睡中だ」
「何で?」
「原因不明らしい。俺も詳しくは話を聞いてない。先程も言ったが、元々はカツアゲされた相手だ。これ以上は関わりたくない」
「そう……」
似ていると思ったけど、あいつとはヤッパ違うわね、と御坂が小さく呟いたが水前寺は無視をした
「ではっ」
短く別れの挨拶をし、帰路に就いた

元々、ここには任務のために来た。最近忘れがちだが、情報収集はしている。しかし余りにも乏しい。調べ上げるのはほとんどネットワーク上である。オタコンと手分けをしているが、あまり有力な物は入らない
今更だが見切り発車だったと思う
43 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 16:29:54.64 ID:37t16.DO
ネットワーク上で情報やその元を割り出し難いと言う事は、逆を言えばそれだけ情報統制や機密保持の為に管理が徹底されていると言う事だ
「流石と言うべきだな」
現在水前寺は帰宅して直ぐにパソコンを立ち上げ、オタコンと無線で通信をしている
「僕でも苦労する。下手すればホワイトハウス以上だよ」
「それでも侵入するんだから、君の腕は大したもんだ」
「ははは。持ち上げすぎだよ」
「で、だ。本題に入ろう」
水前寺は手帳を取りだし、読み上げた
「先ず、脳科学とAIM拡散力場と医者の関係性について調べてくれ。関連性が解らん」
「了解。昼間に会った医者の事で、かい?」
「木山春生だ。彼女についてはこちらで調べ上げる。学術系は時間的に無理だ」
「解った。他にはない?」
「特に無いが、1つ質問がある。恐るべき子供達計画が行われている事が何故解った?」
「ああ、それについてなんだけどね……」
オタコンは少しばつが悪そうに言う
「大佐がES細胞技術とクローン技術で何か行われているってのを、極秘裏に入手してね。杞憂だと思うけど調べて貰おうって話なんだ」
「もしかすると、全く違う可能性も?」
「ああ。人ではなく、家畜ってオチもあり得る」
「そうであって欲しいな」
「僕もだよ。もう、スネークの様な影を産み出してはいけない」
少し重い沈黙が流れた
「……任務に戻る」
「うん。お疲れさん」
無線を切った
「さて、木山春生について調べるか」
出口はまだ見えない
44 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 16:30:51.96 ID:37t16.DO
「特にこれと言って何も無いな……」
昼休みの屋上
水前寺は木山について入手した個人情報をノートパソコンで視ていた
「過去に研究員から教師、そして研究員へと経歴を持つ位か」
シロだな
「また振り出しか……」
仰向けに転がり、直射日光に目を細める
「ん?」
無線が鳴った
「こちら部長。何か解ったのか、オタコン?」
「ああ。解ったと言うか、不自然な点が見付かってね」
オタコンが見付けたデータによると、数年前に人体実験の様な事が行われた報告書があったらしい。解析していくと木山の名があったと言う事である
「結果は恙無く行われたってあるけど、内容自体が不自然なんだ」
水前寺は少し考え込み
「……例のキャンベルが言う人体実験か?」
「可能性は高い」
もしビンゴなら物凄い確率だ。偶然と言う名のご都合主義に等しい
「……解った。一度木山とコンタクトを取ってみる」
「後でメールにデータゆ添付して送る」
「承知した」
短く返事をし、無線を切った。いい加減顔と背中が暑くなったので起き上がり、教室へ退却した

放課後は軽トラ飛ばして病院行き決定である
45 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 16:31:18.75 ID:37t16.DO
病院で木山について尋ねると、別の場所を指示された。どうやらここに常駐している訳では無いらしい
「AIM拡散研究所……」
こじんまりとした建物の前に水前寺は軽トラを停めた。駐禁ではない。看板が無ければ、目の前にはガヤルド が堂々と置いてある
「荷物を運べる俺は勝ち組」
一体何の勝負だ?
46 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 16:31:48.29 ID:37t16.DO
病院を出る折りにアポをとっておいた。お陰で入口に居た研究員と思われる人物に尋ねると直ぐに案内をしてくれた
「失礼する」
ノックが早いか扉が開くのが早いか、水前寺は勢いよく入室した
「やぁ。昨日振りだね」
「世話になる。今は忙しくないのかね?」
「ああ。元より、君から連絡があった地点で開けた」
「恐縮だ」
木山は水前寺にソファーへ座るように促し、珈琲を持ってきた
「で、頼みと質問と言うのは何だい?君の知人についてか?」
恐らく、木山が言っているのは不良Bの事だろう
「いや、レベルアッパーについてだ」
水前寺は珈琲に砂糖を入れた
「何だ、君もジャッジメントなのか」
「いや、一般人Aだ」
「……成る程」
軽いジョークを交された。無駄話をする気も無いので、本題に入る
「知人もそうだが、他の知人も倒れた。よくよく調べると、どちらもレベルアッパーの使用者なんだ」
「……ほぅ」と木山は珈琲に口をつけながら言った
「偶然かと思ったが、これ位しか昏睡原因の関連性が無い」
「で、私にどうして欲しい?」
「よくぞ、訊いてくれた」
木山はどことなく、こいつとは絡みにくい、と感じた
「昏睡状態の患者の脳波と、それによるAIM拡散力場の作用を調べて欲しい」
「……ふむ」
「それから……と」
水前寺はポケットからMP3再生機を取り出した
「この中にレベルアッパーが入っている。参考にしてくれ」
「……何?」
木山が少し驚いた顔をした
「かなり不快な音だった。俺は途中で聞くのを辞めた」
「これがレベルアッパー……」
再生機を手にして木山はそれを眺めた
「これは俺の見立てだが、こいつの音を聞く事で、何かしら脳に影響を与えていると思う」
「……根拠は?」
「超能力ってのは脳ミソ弄くって演算して発動させる物だ。従って、それを聞く事によって脳が弄くられて演算能力が上がる。それがレベルアッパー」
47 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 16:32:56.39 ID:37t16.DO
水前寺は更に続ける
「そうなると、AIM拡散力場も少し必ず影響してくる筈だ。念のためをそっちも調べて欲しい」
「……成る程。仮説的には良い材料かもしれない。少々疑問に残る点もあるが、そちらは私がなんとかしよう」
「恩に着る」
水前寺は冷めた珈琲に口をつけた。少し薄い……
「もう聞きたい事は無いか?」
「本題は以上だが、1つだけふと思った事がある」
珈琲を飲み干し、少し間を開ける
水前寺にとっては、むしろここからが本題である。当たり障りの無い事を聞いてもあしらわれるだろう。なので、最初から少し深い所をつついてみる
「木原幻生の人体実験の犠牲となった奴はどうしてるかなぁ、って」
ガタッ
「……!?」
木山は勢いよく立ち上がった。顔が強張っている。予想より解りやすい反応をしてくれた
「……ん?」
飽くまでも落ち着いている水前寺。これで、木山は例の人体実験の関係者、と判明したと言って良いだろう
「……どう言う事だ?」
木山は震える声で尋ねた
「どう言う事とは?」
「……どこまで知っている!?何故知っている!?」
「個人情報を調べていたら行き着いた」
「あり得ん。どうやって行き着いた!!一体何のつもりで―――」
「世話になった。調査の方は宜しく頼む」
水前寺はゆっくりと立ち上がり、頭を軽く下げた。そして回れ右をして扉へ向かう
「待て!!話しは―――」
「俺が追っているのは木原幻生だ」
扉を開けて、振り返る
「また来る。その時はちゃんと話をする」
扉を閉めて、水前寺は急いで階段の踊場へ走った
48 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 16:34:26.10 ID:37t16.DO
木山が『どうして知っている!?』、と叫んだ辺りから無線が鳴っていた
「何だ?」
「部長、1つ思い付いたんだけど、良い?」
毎度お馴染みオタコンだった
「ん?」
「レベルアッパーを自分で使って、それを木山春生に―――」
「……手遅れだ」
え!?、とオタコンから短い驚きと疑問の混じったリアクションが返ってきた
「既に木原幻生についてカマをかけてきた。それに、俺の任務はレベルアッパーをとやかくする事ではない。とは言え、俺自身も人の事をとやかくは言えないがな」
溜め息を吐く
「……そうだったね。僕もだ。ついうっかりしていたよ」
「頼むぞ、オタコン。今回は今までに無い位、情報が0の状態で潜入していとは聞いた。君しか頼れない。しっかり俺を正してくれ」
「ああ。しっかりサポーターとして全うする」
オタコンは力強く答えた
「一度任務をお復習しておくか」
「そうだね」
「とりあえず、今日はもう帰る。また夜にでもメールで報告する」
「理解。お疲れさん」
水前寺は無線を切って下に降りようとすると
「WA!?」
目の前に木山が居た。顔が近い。隈の色がよく見える。目が死んでいる
「木山、どうしてここに!?」
「いや……、ここ私の研究所だし」
そう言えばそうだった
「ちなみに、いつから……?」
「んー……。手遅れの辺り」
殆んど最初っからじゃねーか
「だけど、会話の内容からして少し安心したよ」
「……なにゆえ?」
「私とその回りの経歴について詳しい理由が解った」
「……そうか」
「君も色々と隠しながら生きてるみたいだな」
「まぁな。どっちが先に暴かれるかな」
「……私には未だやらないといけない事が残っている。今ここで立ち止まる訳にはいかない」
49 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 22:46:07.46 ID:37t16.DO
未だやらないといけない事が残っている

「木山は何かを企んでいる。これは間違いない」
オタコンへのメールを送信ボタンを押しながら呟いた。しかし、レベルアッパーに関する事は任務外だ。自分には関係ない。行き先がどうなるかの方で興味はあるが
「……どうすっかなぁ」
次の段階へは木山に事情聴取する事位しかない。肝心の木原幻生は行方不明。また実験対象となった人物も消息不明。他の研究員を当たってみるも黙り。実に興味が無さそうな面をしていた。木山位しか良いリアクションをしてくれなかった。逆を言えば、彼女は木原と実験対象となった人物を追いかけている可能性はある
「ん?電話……」
マナーモードのままにしていたケータイが震えた。知らない番号
「現在、この番号は使われておりません」
「あ、水前寺さん。わたくしですの」
スルーされたし。なんか詐欺っぽいし
「声からして黒井君かね?」
「し・ら・いですの!!!!」
「冗談だ。で、どうしたのかね?」
笑えない冗談である
「今お時間よろしくて?」
「ああ」
「申し訳ありませんが、レベルアッパーをウォークマンに入れてジャッジメントの―――」
「あ、悪いが、生憎ウォークマンは貸出し中だ。フラッシュメモリに入れて持っていこうかね?」
少し向こうで話し合う声が聞こえた
「ええ。それで構いませんわ。なるべく急いいらしい下さい」
「承知した」
ケータイを切り、早速作業に取り掛かった。息つく暇もないな、こりゃぁ
50 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 22:46:41.72 ID:37t16.DO
支部に着くと白井と初春が出迎えてくれた
「ほい。約束の品だ」
「ありがとうございます」
受け取った初春は早速パソコンに繋げた
「正直なところ、この再生機に落としたのですが、確証が持てなくて」
「そうか」
水前寺はそれを手に取り、眺めた。見たところ、アップル社製の所謂―――
「聴いても良いかね?」
「だっ!!ダメですよ!?」と言われつつも、水前寺はイヤホンを装着して再生ボタンを押した
「……うへっ」
不快な音が流れた
「初春特派員、ビンゴだ。レベルアッパーで間違いない」
停止ボタンを押してイヤホンを外した
「貴方、大丈夫ですの?」
白井が不信そうな目で見る
「……別に変わった事は無い」
「何か演算してみて下さい」
初春も不信そうな目をする
「…………」
何も起きない
「全部聴かないと意味が無いのだろう」
「……だと良いのですが」
「それじゃ俺はこれにて。USBは適当に返してくれて構わん」
そう言って支部を後にした
51 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 22:47:03.69 ID:37t16.DO
しばらくは膠着状態が続いた
木山と話す日程が合わないのである。従って水前寺は比較的穏やかな日々を過ごしていた
「んー……」
公園のベンチでボーッとする彼の片手には餡パン。小腹が空いたのでコンビニで買ったのは良いが、餡の少なさが異常だった。激萎えである
「ん?あれは……」
公園に入ってくる4人の中学生
「佐天とか言ってたな……」
一度だけ、ジャッジメントの支部で会った事のある人物が居た
「あ、水前寺さん。こんにちは」
「よっ」
他の3人は『誰?』と顔をしている。そんな彼女達に佐天は
「えっと……知り合い?」
「何故疑問系なんだ?」
「だって、あまり会った事無いですし……」
「確かにな。どちらかと言うと初春特派員と黒井君、それに御坂君との繋がりだしな」
とりあえず、顔見知りで落ち着いた
「で、揃いも揃ってどちらへ行くのかね?」
「あ、それはですね―――」
佐天が言い終わる前に、彼女の友人が空缶やら掃除ロボやらを浮かしていた
「飛んで飛んで回して回すのかね?」
「どこの歌詞ですか、それ?」
苦笑いする佐天
「練習です。私達最近能力者になったので……」
「レベルアッパーかね?」
「……はい」
「…………」
「水前寺さん?」
考え込む彼に佐天は少し怖いと感じた
この人、何かを知っている
そんな感じがした
52 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 22:47:27.19 ID:37t16.DO
しばらく流れた沈黙は水前寺が破った
「プレイヤー、貸してくれないかね?」
「え?あ、はい」
彼はそれを受け取り、聞く準備をする
「……」
再生ボタンを押すとお馴染みの音が流れた
「……うへ」
直ぐに停止させて、イヤホンを外した。もう聞きたくない音ベスト3だ
「ビンゴだ、佐天君」
「え?」
「俺も途中までしか聞いた事が無いが、そいつはレベルアッパーだ」
複雑そうな表情を浮かべる佐天はウォークマンを受け取った
「君はどんな能力を宿したのかね?」
「風を少し起こせます」
「風……か」
少し涼しくしてくれ、とは言えない。彼女は果たして副作用を知っているのだろうか。いや、聞いていたら使っていない筈だ。初春特派員が許す訳が無い
「君は、こいつを使った者の多くが送った結末を知っているのかね?」
「え?」
知らないなら教えないといけない。万が一、事故に巻き込まれてはこっちがいたたまれない
「俺の知人が2名程倒れた。どちらも、レベルアッパーの使用経歴があった」
「う……そ……」
「……残念なお知らせだが、事実だ。初春特派員にでも―――」
水前寺が言い終わる前に、彼女の友人1人が突然倒れた。予想通りの展開である
「やれやれ。とりあえず、救急車っと」
消防局へのダイヤルを回し、司令塔の者と会話を終える頃には既に佐天の姿は無かった
53 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 22:47:50.11 ID:37t16.DO
よく知らない人の為に救急車に乗るのは2度目である。しかも以前乗った時の隊員と面々が一緒である。何でまた君か、と言う顔をさせないとならん。理解に苦しむ
「はぁー。やれやれ」
そんなこんなで現在病院でまた待ち惚けを喰らっている。少し前にゲコ太顔の医者が「任せなさい」と言って治療室に入ってから音沙汰は無し。デジャヴだデジャヴだ
「帰ろう……」
そう言って立ち上がるのと同時に、救急患者用の搬入口から見知った人物が担ぎ込まれて行った
「……おかしいな。今日の日付はっと……」
うん、合ってる合ってる。気のせいだ
彼は再び座り、天を仰いだ。天井しかみえないが
「水前寺さん!」
御坂と白井のコンビが駆け寄ってきた。「んー?」と彼はそちらに首だけを向けた
「佐天君ならさっき担ぎ込まれたぞ」
それだけを言って再び天を仰いだ
「思ったより早く着いたわね」
御坂は少し息を切らしながら喋った。白井は短く肯定し、水前寺の後の長椅子に座った
「ところで、あんたはなんでここに居るの?」
今更な質問だな
「カクカクしかじか、四角い何とか」
水前寺は佐天と会った辺りから軽く経緯を話した。ついでにデジャヴを感じる事も言ったが、知らんがなと一蹴りされた
54 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 22:48:19.58 ID:37t16.DO
「ところで初春特派員は?」
佐天の親友その1が居ないのに気付いた
「木山先生の所へ行ったわ」
「そうか……」
「あ、でも佐天が倒れたのを通報したのは初春さんよ」
何故か慌てて説明する御坂をちらりと水前寺は見て
「……仲、良いんだな」
ふとそんな事を呟く
「友人の為に先ずは動いてみる。良い話でないか」
「はあ……?」
この人は突然取っ掛かりもない事を言うから、思回路が全く解らない。そんな事を御坂は思いつつ、ボーッとしてたが、外の空気が吸いたくなり、白井と屋上に上がる事にした
水前寺は「何か解ったら直ぐに教えてくれ」と言い残して一旦自宅へ帰った
軽トラに乗って木山の研究所へ行く為である
55 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 22:48:43.79 ID:37t16.DO
様子がおかしい
水前寺が研究所に到着する50m手前。彼はそこで止まり、木山と初春が、ガヤルドに乗り込み所を目撃した
「あれは手錠か?」
初春の手についてた物を見て彼はそう呟いた
エンジン始動と同時にそのクルマは走り出した
「……緊急事態だ」
水前寺は軽トラを急発進させ、後を追った
「ケータイをヘッドセットに付けておくするべきだった」
仕方が無いのでオタコンに無線を飛ばした
「オタコン、頼みたい事がある」
「何だい?そんなに慌てて」
「学園都市の監視カメラで木山のガヤルドを追って欲しい。流石に軽トラじゃ張り合えん。見失ったらまたセンドする」
「了解。任せてよ」
無線を切った
オタコンと話している内に、ケータイをヘッドセットに繋ぎ、ハンズフリー化した
「白井君に連絡だ」
しかし、水前寺がダイヤルする前に白井から電話が掛かってきた
「もしもし、わたくしですの」
「白井君か。丁度良い、初春特派員が木山に拉致られた。今軽トラで追い掛けている」
電話の向こうが少し騒がしくなったが白井は落ち着いた声で答えた
「解りました。こちらもそれを予測して既に手を回しましたの。後はアンチスキルにお任せください」
「……アンチスキルねぇ」
「一般人の貴方がどうこうする必要性はございません」
「しかしだな―――」
「それ以上の追跡は辞めて下さい、と言ってますの」
水前寺は溜め息を吐き少し心を落ち着かせた。そして彼はこう言った
「俺は俺の用事で木山を追い掛けているだけだ。初春特派員連れ去り事件は知らん」
「…………」
「唯、知人が手錠をつけられて拉致られてるのが見過ごせなかった。だから君へ連絡をした。それだけだ」
56 :NH4cUDO[sage]:2010/04/19(月) 22:49:15.55 ID:37t16.DO
電話越しに白井の納得がいかない空気が伝わってきた。しかし連れ去りとは関係が無いと言っている以上、後は屁理屈の水掛論しか広がらない。なので彼女はこれ以上引き留めるのを諦めた
「で、俺に電話した本題は何だ?」
少し間があったが
「……レベルアッパーについてですの」
白井は今までの事をかいつばんで話した
レベルアッパー使用者の脳波が木山と同じ波形を描いている事。それにより、AIM拡散力場を使用して、人間の脳をネットワーク化させて1つする事が出来る。その中心に居るのが木山
「まるでナノマシンみたいだな」
異なる点は多いが
「ナノマシン……?」
「気になるなら、初春特派員にでも頼んで調べて貰え」
「はぁ……、解りましたの」
「では、切るぞ」
そう言って水前寺は終了ボタンを押した
ガヤルドを追っているといつの間にか高速道路の上だった。流石に追い掛けるのは難しい。アクセル全開でもどんどん引き離されていく
「万事休すか」
57 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 01:52:14.54 ID:T2DSt2DO
木山は後方から追ってくる軽トラの存在に気付いていた
「よく付いてこれるもんだ」
その呟きが聞こえた初春は後ろを振り向いた。しかし見えるのはボンネットだけである。その辺りは流石スーパーカーと言えよう
「恐らく、あの男だろう。しかし何故高校生がクルマになんか乗っているんだ?」
ちなみに彼は中坊の頃から乗り回している


追い付けない
シフトはオーバートップ、アクセルは全開。道は直線
「一体奴は何km/h出してるんだ?」
ちなみに軽トラのメーターは120km/h前後で揺れている
スピードが出ない理由は明白
「行けオンボロ、お前の底力を見せろ!!」
既に年式が10年を越えているからである。加えて距離やも嵩んでいる。エンジンが回りきれていないのだ。いくら整備を重ねていても経年劣化は否めない
しかし
「……アンチスキル!」
コーナーを出るとアンチスキルが待ち構えていた
これで木山を引っ捕らえる事が出来る
だが、水前寺はその前に止まらないといけない
「やっべ」
思いっきりブレーキを踏むも、ABSの無い愛車はタイヤがロックされるとコントロールが効かなくなる。かと言ってあまり弱いと止まれない
ガヤルドは何とか止まったが、スーパーカーのブレーキと軽トラのブレーキを比べてはいけない
「止まれっ!」
後輪が滑った
「あ、……」
58 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 01:52:52.47 ID:T2DSt2DO
ハンドルを切りながら強いブレーキをかければ、そりゃ下手すると滑る
トラクションを失った軽トラはあっという間にスピンを始めた

ガガガッ

嫌な音と共に軽トラは止まった
ガードレールと車体が擦れる摩擦で止まれた様である
「どこの湾岸だよ」
水前寺はそんな悪態を吐きながら軽トラから降りた。そして急いで初春の居るガヤルドに駆け寄った
「よう、初春特派員」
「水前寺さん!」
木山はアンチスキルの指示通り両手を上げている。このまま何事もなければ良いが……
パンっ
「んな!?」
突然、前衛のアンチスキルの1人が隣に居るアンチスキルに向かって発砲した
「麻酔弾でもあの距離は痛いぞ」
そんな暢気な事を考えていたら今度は爆発と強風が吹いた
「くっ!!」
ガヤルドの影に隠れて難とかやり過ごした
粉塵が晴れる前に水前寺は、今まで隠していたMK2と朝倉から貰ったナイフを取り出した
粉塵が晴れたら、MK2と言う麻酔銃とナイフを構えて飛び出た
「木山春生、1つ尋ねたい」
水前寺の大声を聞いた木山はゆっくりと彼の方を向いた
「今回のこの騒動、例の実験と関係があるのかね?」
「ああ。先日も言ったが、私にはやらないといけない事がある」
「それは何の関係も無い一般人を巻き込んででも、やる価値があるのかね?」
「そうだ。だが安心しろ。全て終れば元通り、何も無かった事になる」
その言葉に水前寺は鼻で笑いった
「全然元に戻りそうも無い状況で―――」
そこで彼の言葉が遮られた
「―――ふざけんじゃないわよ!!」
御坂美琴
その人物が水前寺の後ろで叫んでいた
59 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 01:53:35.33 ID:T2DSt2DO
「御坂君いつの間に……」
予想外の人物の登場に水前寺は驚いた
「人の弱味に漬け込んでおいて、そのセリフは許さない!!」
勢いの良い彼女に木山は面倒臭そうに、
「邪魔をするならこちらも手加減はしない」
しかしニヤリと水前寺に負けない位の不敵な笑みを浮かべた
「水前寺さん、下がっておいて。生半可な相手じゃないわ」
御坂が言い終わるのと同時に、衝撃波が木山から放たれた
「おっと」
水前寺は急いでガヤルドの所まで走り、その屋根に登った
「なっ!?」
驚く木山
「降りろ!!」
流石に愛車は攻撃出来ない。云わばものじち
「だが断る!!」
「ならば……!!」
木山は突き出した右手を水前寺に向けて構えた
それに対抗して水前寺は銃を構えた
「…………何!?」
木山は更に驚いた
「能力が効かない」
先程のアンチスキルに行った同系統の能力を使ったが、彼の脳に干渉できなかった
「よく解らんが、ほれ」
ゴゥン
発砲した
「くそっ」
しかし跳ね返された
「おいおい。そんなのありかよ」
「所詮は近接戦闘が得意な軍人被れだ。私に敵う筈がない」
こもっともである
唯一使える魔術も跳ね返されて終りだろう
「水前寺さん。ここは私がどうにかする!初春さんを連れて逃げて!!」
「…………」
無力と感じたのは何度目だろうか。自分はそれが嫌で色んな人物から、教えて貰った。しかしそれでも足りない
「早く!!」
木山と御坂の戦闘が始まった。水前寺には考えもつかない能力者同士の闘い
「……解った」
ガヤルドの運転席に乗り込み、エンジンを掛けた
ある坊主曰く
「雑巾には雑巾の仕事がある」
ギアをドライブに入れてブレーキを放す
「行くぞ猛牛!!」
アクセルを踏もうとした
しかし
「勝手に持っていくな!!」
目の前にアンチスキル装甲車が降ってきた
流石にこれ以上、愛車を水前寺にどうこうされるのは勘弁願いたかった
60 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 01:54:29.97 ID:T2DSt2DO
ガヤルドの後ろにも装甲車が落とされた。お陰でガヤルドは身動きが取れなくなった
「作戦失敗だ、御坂君。お手上げでだ」
水前寺はクルマから降りて、わざわざ両手を上げて言葉通りのポーズをとった
「さて、これで心置き無く戦える」
再びバトルに入る御坂と木山
愛車、大切ですもんね
「……折角だしボンネット開けてエンジンをと」
性懲りもなく彼はガヤルドを弄る。解除用のレバーを引くと、ボコッと音がしてボンネットが浮いた
「触るなーーーー!!」
御坂を交わし、水前寺の方へ文字通り飛んでくる木山
「おっと」
再び運転席に座りドアを閉める。ついでに施錠もする
「降りろ!!」
「だが断る」
その間に御坂は電撃を放つ
「隙あり!」
しかし交わされた
「絶対私のクルマに当てるな。いいな!?」
「え?ああ、はい」
何と無く理不尽な怒られ方をした御坂は、複雑な気持ちで闘いを再三に渡り再開した
「暇だなぁ」
ここに居れば安全なのは確かだ
「あ、落ちた」
目の前で高架の一部が壊され、2人が落ちていってもだ
「……待ってなんかいられるかっての」
61 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 01:55:08.53 ID:T2DSt2DO
近くの非常階段を使い、水前寺は走って降りていた
その間に打開策を考える
木山には恐らく物理攻撃は効かない。零距離に持っていこうにも先ず無理。余程の隙を見せはしないだろう
ならば能力を抑えるのはどうだ?
基本的にはAIM拡散力場を使ったネットワークに寄るものだ。それを断ち切れば奴は只の人間に戻る
しかしどうやって切るかだ。ナノマシンを使った物であればそれの活動抑える薬はある。しかしナノマシン技術は既に廃れている。この場では関係は無い
「ん?待てよ……」
ネットワークが届かなければ良い。ネットワークと言えども、物理的には繋がってはいない。云わば電波。

ならば電波妨害が出来ないか?

「物は試しだ」
下に降りた彼は急いで2人の元へ走った
出来る限りの事はする。何もせずに終わりはしたくない
戦場に着くと2人は未だ物を投げ合う闘いをしていた
「木山春生!!」
スプレーの様な缶をどこからともなく取り出す
「水前寺さん!?」
驚きの表示をする御坂
「これでも喰らえ!!」
投げたのはチャフグレネードである。一定時間、電波障害を起こす為の道具だ
「今だっ!御坂君!!」
チャフグレネードの破裂と同時に水前寺は叫ぶ
「奴にしがみついて電撃をお見舞いしてやれ!!」
「小癪な!!」
能力を発動させようと木山は演算を始めたが、何も起きなかった。それ以前に演算が行えなかった
「なっ!?」
「ビンゴっ」
かのナノマシン通信でさえ障害を起こすものだ。例外なぞあってたまるか
御坂は水前寺の指示通り、木山に抱き着き、零距離から電撃を喰らわせた
62 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 01:55:39.53 ID:T2DSt2DO
崩れる木山を御坂は支えて呟く
「ったく、手加減はしたわよ。一応ね」
一件落着と言ったところであろう
水前寺は御坂に歩み寄り、労いの言葉を送った
「ご苦労である。流石御坂君だな」
反応かがなかった。むしろ何かに驚いて硬直している様に見えた
「おーい、大丈夫かね?」
彼女の肩を掴んだ
その刹那
電撃と同時に脳裏に声を感じた

せんせい

「……!?」

せんせい

脳裏に響く幼い子供の声


『きやませんせい』


映像も浮かんだ
小学生低学年の子供が数名

「木山春生の記憶……、なのか……!?」

膨大な情報量が水前寺を支配した
63 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 01:56:08.00 ID:T2DSt2DO
木原の指示でチャイルドエラーの子供達の担任も持つ木山

児童に悪戯をされる木山

脱ぎ出す木山。グッジョブだ

好き嫌いを指摘される木山

ずぶ濡れの女の子をお風呂に入れる木山

児童に悪戯をされる木山

不器用ながらも、児童と上手く付き合っていく木山

好き嫌いを指摘される木山


そして


教え子が人体実験により、昏睡状態にされる木山




そこで映像が途切れた
64 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 17:55:50.21 ID:T2DSt2DO
御坂が木山を離した事により、木山との回線が切れた
「くっ、見られたか」
苦しそうな声を出して木山は立ち上がった
「どうして……!」
御坂は驚きのあまり後退りをした
「……今のが木原の人体実験か?表向きの説明とは全く違う……」
チャフグレネードを水前寺は構えて
「……そうだ。君が追い求めている木原幻生の私利私欲を尽くした実験だ」
その言葉に御坂は尋ねる
「アンチスキルは!?それだけの事があったらアンチスキルに言えば―――」
「23回だ」
何かの回数を言う木山
「子供達の目を覚ますための検証データを演算するために、ツリーダイヤグラムに打診した回数だ」
頭痛で割れそうな頭を抑えながら更に彼女は続ける
「だけど全て却下された!!23回もだ!!」
「まさか木原が裏で……」
「グルなんだよ!統括理事会が裏で手引きをしているんだ!!」
「成る程。でないといくら学園都市と言えども、報告書の捏造は難しい。しかし御上が仕切っていたら話は別だ。逆を言えば誰も疑わない」
最も、全てが解ったのは後らしい
「私は子供達を救いたい。もう一度太陽の下で、元気に駆け回る彼等の姿を、笑顔を見たいんだ!!」
木山は叫んだ
最初は嫌で仕方がなかった。しかし日が流れる内に情が移り、いつしか守っていきたいと思い始めていた
その矢先であの実験
「子供達を救うなら手段は選ばない。学園都市を敵に回しても私は絶対に諦めない!!」
65 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 17:56:15.26 ID:T2DSt2DO
木山がある程度落ち着いてから、水前寺は訊きたかった幾つかの質問を始めた
「木山春生、尋ねたい事がある」
「……なんだ?」
「“らりるれろ”と言う言葉に聞き覚えはあるかね?」
こんな時に何を訊いているんだ、と御坂は呆れ返ったが、木山が考え込んだのを見て更に謎が深まった
「合言葉か何かか?」
「ああ」
「ふむ…………。何年か前に木原幻生が電話口で何度も言っていた記憶がある」
今度は水前寺が驚きの表情に変わった
「会話内容は流石に解らないか?」
「ああ。私が未だ学生の頃の話だ。唯、不自然な会話である印象が強くて偶然覚えていただけだ」
水前寺は少し考え込み、次の質問をする
「教授は何か注射をしていなかったか?問えばインスリンの投与をする様な奴を」
「…………。現場は見た事は無いが、使用済みの物がゴミ箱にあるのを見た事がある」
「……そうか」
御坂にとっては、ここまでちんぷんかんぷんな会話内容であった。ら行の発音から注射による薬物の投与
段々、水前寺が只者でない気がしてならなかった
「以上だ。協力に感謝する」
「あ、ああ。今ので良かったのか?」
「後はこちらに任せろ。木原幻生は必ず捕まえる」
「捕まえる?行方不明なのは君も知っているだろう。一体どうする―――いや、君は一体何者なんだ?」
御坂も息を飲んで聞く
「ジャーナリストだ」
「日本のジャーナリストは麻酔銃や、そんなグレネード弾は持っていないと思うが」
「太陽系電波新聞を宜しく」
66 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 17:56:54.94 ID:T2DSt2DO
これ以上水前寺に訊いても、彼は自分をはぐれさせるだけだろう
木山は諦めて自分のやるべき事を再開した
「さて、そろそろそこを退いて貰おう」
右手を突き出す
「させるか」
再びチャフグレネードを投げようとピンを水前寺は抜いた

しかし

突然木山が膝から崩れていった。立ち上がるにも息苦しく、意識を保つのも精一杯である
「なっ、何だ?」
「ネットワーク能力の暴走だ。制御がっ……、出来ない!かはっ!!」
そこで彼女の意識は無くなった
その代わりと言って良いのだろうか。木山の頭部から謎の半透明の物体が飛び出てきた
「なっ、何だこりゃ!?」
それはやがて形を成していき、終には胎児の様な姿で落ち着いた
「おいおい御坂君。こいつは何かね?」
「しっ、知らないわよ!!」

キョエーーーーー!!

胎児の叫びと共に爆風が襲う
水前寺は御坂が即席で作った瓦礫に盾に隠れた
「ほれっ」
爆風が止んでから彼はチャフグレネードを投げた。それが破裂してから御坂は胎児に電撃を浴びせた
「ちょっと!!」
効いていなかった。むしろ、電撃を喰らった患部から色んな物が生えてきた
「……奴は新手のスライムかね?」
また悪い夢でも見ている様だった
今度は氷の塊が降ってきた
67 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 17:57:32.97 ID:T2DSt2DO
氷の塊は御坂が撃墜し、難とか2人は逃げ切れた
近くの橋桁へ逃げ込んだ水前寺は、MK2とナイフを構えた。胎児からは影になるが、先程の様な攻撃には耐えられないだろう
少し離れた所の橋桁に居た初春の方へ御坂は駆け寄った
「アンチスキルの攻撃?」
アサルトライフルの連続した射出音が複数響いた
「……効いてねぇし」
効果はやはり逆の様だった
再び御坂と初春の方を向いた。すると2人はいつの間にか目を覚ました木山と何やら話込んでいた
「木山春生、あのスライムはどこのクエストから持ってきたのかね?」
「……恐らく、AIM拡散力場の集合体だろう。ここでは仮にAIMバーストと呼んでおこうか」
木山の見立てによるとあの胎児は次の様な物らしい
「レベアッパーのネットワークによって束ねられた、1万人のAIM拡散力場。それらが触媒となって産まれた意識の怪物。言い換えればあれは1万人の子供達の思念の塊だ」
思念の実体化
「まるで霊能力だな」
水前寺はこれといって陰陽道詳しい訳ではないが、通ずるものがある気がした
「君は相変わらず的はずれなのか、鋭いのか解らないな」
「なに、大した事ではない」
誉めてない誉めてない
「で、とうやったらあのビーストを消滅させられるのかね?」
「それを私に聞くのかい?今の私が何を言っても―――」
木山の言葉を遮る初春。手を伸ばし、こう言った
「私の手錠、木山先生が外したのでしょう?」
「……え?」
御坂は水前寺を見た
「俺は知らんぞ。ガヤルドに乗り込んで、逃げようとしていた地点では外れていた。木山春生だろう」
「……只の気紛れだ。そんな事で信用するなど―――」
「お人好しってか?」
「水前寺さん!」
少し怒った口調で初春は言った。しかしそれを待ったと水前寺は手を上げて、彼女を抑えた
「だが、これ以上の事態の拡張をしても木山春生に何の利益はない。むしろ不都合だ」
「……どうしてそう言い切れる?」
「それは自分がよく解っているのでないかね?」
水前寺はお馴染みの不敵な笑みを浮かべてこう言った
68 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 18:01:28.16 ID:T2DSt2DO
「『私の目標は子供達を目覚めさせる事。こんな怪物を産み出すなんてなんたる誤算』」
「…………」
「『とりあえず、次の作戦考えよう』―――違うかね、木山春生?今君が考えている事だろう」
「……君は人の心が読めるのか?なら褒めてやろう。全然違う」
論破って難しいな
「えっと、つまりだな。初春特派員は信じているんだよ、君を。子供達を助けようとする人が、他の子供を苦しめる筈がないってな。そうだろ、初春特派員?」
突然振られた初春は「え?あ、はい。そうです」と慌てて言った
「ガツンと言ってやれ」
「水前寺さんに言いたい事言われちゃいましたが、私信じてますから。木山先生の事」
「……!!」
それが決め手となったのだろうか。木山の目の色が変わった。水前寺としては複雑な気分だが
「AIMバーストはレベアッパーのネットワークの産み出した怪物だ。ネットワークを破壊すれば止められるかもしれん」
「ん?ちょっと待った。さっき水前寺さんがした、電波障害は通じなかったのはどうして?」
御坂がそんな疑問を本人にぶつける
「あー、それはだな。チャフグレネードってのは屋外だと大して効果を発揮できないんだ。木山との闘いの時に通じたのは、偶然にも橋桁が屋内のような空間の役割をしてくれたからだ」
つまり、閉鎖的な所だと威力は抜群
「と言う訳で、他の方法を探すしかない。それに元々チャフグレネードはさっきので使い果たした」
69 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 18:02:05.23 ID:T2DSt2DO
ふと思い出したかの様に、初春がポケットからチップを取り出した
「ん?それは……」
「レベアッパーをアンインストールするプログラムです」
「……成る程、それを使って元を断ち切るってか」
初春は力強く頷いた
「なら、あそこに居るアンチスキルに頼んで連れていって貰えるな」
未だに発砲を続けるアンチスキルを見ながら水前寺が言った
「なら、こっちはあいつを―――」
「水前寺さんも初春さんと行って!」
御坂が叫んだ
「……いや、俺はここに残る」
「行って。足手まといになるだけよ」
「……断る。どっちにしろ、俺は役に立たん」
「だったら―――」
「あいつ……、AIMバーストの末路ってのを見てみたいんだ」
「…………。解った。でも邪魔はしないでよ」
「勿論だ」
水前寺はソーコムを構えてAIMバーストの方へ走っていった
70 :NH4cUDO[sage]:2010/04/20(火) 18:02:57.71 ID:T2DSt2DO
開始から5分
水前寺は弾薬の少なさに泣いた
「ったく、切りがないぞ」
出来るだけ弾を節約をして戦う相手には分が悪い
AIMバーストはこちらから攻撃をしなければ、向こうも何もして来ない。しかしそのまま放っておくと、核実験施設に向かってしまう
御坂が「どこの怪獣映画だ!!」と嘆くのもよく解る
「マガジンはあと2つ……」
間に合ってくれ、初春特派員!!
AIMバーストがうねうねとと伸ばしてくる触手を避けて、撃つ。ずっとそれの繰り返し
未だに足元をすくわれないのが奇跡に近い状況である
「……あ」
そんなこんなを考えていると足元をすくわれた
「くそっ」
逆さ吊りにされた
「水前寺さん!!」
御坂の砂鉄剣が触手を切ってくれた
「よっと」
着地は成功
「もう下がってて。危なっかしいわ」
「…………」
魔術を使えば御坂程ではないが、切り落とす事を連続的に出来る。しかし、この街では自分はレベル0。使う訳にはいかない
「無力だな……」
もう一度ソーコムを構える。試しにあの母体らしき胎児をヘッドショットするか
「危なっ―――」
猛烈な勢いで大量の触手が水前寺に向かって伸びた
「んにゃろう!!」
発砲をするも2、3発で弾が尽きた。リロードをしている暇はない
「交わせるかっ!?」
ローリングで避けようと横に跳んだ
それでも間に合わない
誰もがそう思った
71 :NH4cUDO[sage]:2010/04/22(木) 08:29:00.31 ID:YL6xpIDO
水前寺に触手が届く前にそれは全て切り落とされた
「……!!」
それを行ったは御坂でなく、他の人物だった
「危なっかしいぞ、部長」
聞き覚えのある声に見覚えのある後ろ姿。そして刀
「雷電……!!」
かつて、一度だけ任務に協力した相手がいた
「詳しい話は後だ。俺も足止めにさんかする」
刀を構えて雷電は言った
「……誰?」と、突然の登場に御坂は疑問符しか出てこなかった。「戦友だ」と水前寺は短く答えると「あんたホント何者よ……」
「来るぞ、雷電、御坂君!!」
リロード完了。ソーコムを構えて狙いを触手に合わす
72 :NH4cUDO[sage]:2010/04/22(木) 08:29:39.36 ID:YL6xpIDO
「この音は……!!」
あれからしばらく3人は呼吸を合わせてAIMバーストの足止めをしていた。そろそろ体力の限界か来はじめたその矢先、謎の音が響いた
「……レベアッパーの削除用プログラムだ」
いつの間にか近くまで来ていた木山がそう言った
「間に合ったか」
AIMバーストの再生能力が止まった
「やったか」
「いや、未だだ!!」
雷電が刀振る。AIMバーストの行動は再び開始された
「木山、止まらんぞ!!」
AIMバーストが触手を伸ばして、攻撃をする
「ネットワークは切っても、1万人の思念の集合体だ。簡単には崩せない!!」
「聞いてないわよ!!」
御坂は叫んだ。てっきりネットワークを切ったら消滅すると思っていた
「だが、奴を留めている核となる部分がある筈だ。それを壊せば消滅する!!」
木山が言い終わると水前寺は雷電と顔を合わせた
「もうひと仕事だな、雷電」
「ああ」
ニヤリと笑う水前寺は御坂に向かって大声で作戦を伝えた
「御坂君っ!俺と雷電で君の盾となる。その間にレールガンを放つ準備をしろ!!」
「言われなくたって―――」
そう言って充電に入る御坂
「部長、弾薬だ」
雷電は弾薬の入った、ソーコムのマガジンを渡した
「サンキュウ。―――行くぞ雷電!!」
「ああ」
2人は延びてくる触手を蹴散らしながら進んだ




御坂がレールガンを放つと、見事なまでに核が破壊された。流石、レベル5と言ったところである
73 :NH4cUDO[sage]:2010/04/22(木) 08:30:16.18 ID:YL6xpIDO
全てが終ると水前寺は木山と共に手錠をかけられた
「……へ?」
「銃刀法違反じゃん」
「…………」
……………………。…………へ?


車内で水前寺と木山は気不味いオーラを出していた。何かこう……いたたまれない。そんな感じがした
「ところで少年」
ポニーテールのアンチスキルが声を掛けた
「んー?」
「あの銀髪の男は誰じゃんよ?」
雷電の事である
「あーっとな」
どう言うべきか
「CIAにでも聞いてくれ」
あながち、嘘ではない
「はあ?ふざけるんじゃないよ」
「いや……、通りすがりのソードダンサー」
「……もういい。後で詳しく聴くじゃん」
後でオタコンに頼んで、どうにしして貰おう


ちなみに雷電は届けたいものがあったらしい。当初の予定は手渡しだったらしいが、事情が事情なので下宿先に置いていったらしい
74 :NH4cUDO[sage]:2010/04/22(木) 08:30:41.01 ID:YL6xpIDO
アンチスキルの施設に来るのは2度目である。まさか今度は拘置される側になるとは思いもしなかったが
「やれやれ」
独房へ入れられる前に所持品を全部持っていかれたが、幸いにも無線には気付かれなかった。正に不幸中の幸い
看守が遠くに離れた隙を図ってオタコンに無線を飛ばした
「こちら部長。済まない。拘束された」
「ああ。雷電から聞いた。大変だったね」
「…………っ」
「部長……?どうしたんだい?」
何か言いたそうな水前寺にオタコンは尋ねた
「済まないオタコン。余計な事に首を突っ込んだ上に、こんな事になった。任務は失敗だ」
木原幻生の件は事実上、一区切りだが、キャンベルに報告を未だしていない
「気にする事はないさ、部長。君は任務の為に木山を追ったんだろ?そして木山が捕まる前に話をする事が出来た」
「だが余計な事に首を突っ込んだのは事実だ」
遅くともAIMバーストが暴走する前に逃げ出しておくべきであった。人体実験の話が終了したあの地点
それだけで十分だった
「……部長、君は何の為に銃握ったの?」
「…………。俺の未来の為だ」
「ならそれで良いんじゃないかな?」
「…………」
「悔やむなら、後で悔やむんだ。今はそこから脱出する方法を考えるんだ。こちらも何とか手配してみる。しっかりね」
オタコンはそう言って無線を切った
75 :NH4cUDO[sage]:2010/04/22(木) 08:31:06.88 ID:YL6xpIDO
牢屋の鍵は残念ながら、シンプルな施錠式。特定の周波数を飛ばして開ける代物ではなかった
「どうすっかなぁ……」
外が見える小さな窓は既に暗い。時計すら無いこの部屋でどうやって時間を知れば良いのだろうか?
「あ、ラジオでも聞くか」
無線のチャンネルを変えてラジオを受信出来るようにした
「8時か……」
某国営放送のカウントとニュースで解った
今夜、唯一の暇潰しになるだろう




草木も眠るナンとやら
爆睡していた水前寺は一本の無線によってそれを妨げられた
「……んー?こちら部長」
声にならない声で応答した
「夜分遅くに済まない」
声質からして「……大佐かね?」と尋ねたら
「ああ。色々あって連絡がこの時間になってしまった」
「……気にしなくて良い。俺の不手際で走らせたんだろうし」
恐らく一番迷惑をかけた相手である
「その件なんだが、明日にも君は釈放される目処が立った」
「……本当か?」
「君は日本政府が送り込んだ人間と言う事を伝えた」
「はい?」
いや、いくらなんでも無茶でしょう?
「……実は現在、学園都市と日本政府は不仲らしい。そこを漬け込んだ」
「待った待った。俺、元々は何かしらの訓練もクソも受けた事の無いタダのガキだぞ?」
「部長、細かい事は気にしてはいけない。それに、我々の力を甘く見ないで欲しい」
76 :NH4cUDO[sage]:2010/04/22(木) 08:31:35.35 ID:YL6xpIDO
「……そう言う事にしておく」
何かこれ以上突っ込んだらいけない気がしてきた
「では、また報告書の方を頼む」
「承知した。唯、木原幻生についてはもうお手上げに等しい。木山の記憶で色々知ったが、後は口を割らない連中をどうにかしないといけないからな」
溜め息をついて寝返りを打つ
「内容にも依るが、人体実験については木原幻生の国際指名手配が出来れば十分だ」
「なっ!?国際?!」
「詳しい話はまたメールで送る」
「あ、ああ。承知した……」
無線を切った

…………指名手配

もの凄い事を任されているなど思いもしなかった
これ以上の失敗は許されない
そう思うと身震いしてきた
恐怖の為である
77 :NH4cUDO[sage]:2010/04/22(木) 08:34:18.65 ID:YL6xpIDO
翌日の早朝
水前寺はポニーテールをしているアンチスキルの案内により釈放された。名を黄泉川と言うらしい
終始気まずそうな顔と、緊張した喋りをするの彼女を見て、笑ってしまった
「また世話になるかもしれん」
「いや、マジで勘弁じゃん」
引き笑いをする人間を初めて見た気がする
「では、お勤めご苦労である」
自分はこれからもお勤めだが


下宿先へ戻ると駐車場に、見るも無惨な側面をした愛車があった
学校から帰ったら板金屋行きである
そんな事予定を考えながら部屋に上がり、パソコンの電源を入れた
立ち上がるまでに部屋を見回し、届いている筈の荷物を探した
「……無い?」
いや、まさか
ベランダの窓を開けたらでっかい何かが梱包されていた
後にしよう
「メールは……あったあった」
夜、キャンベルが話していた例のメールの内容をコピーしてフラッシュメモリに入れた。学校でノートパソコンを開いてみる為である
ついでに報告書の原本となるデータも入れておいた
今日は帰宅が遅くなりそうだからである
78 :NH4cUDO[sage]:2010/04/22(木) 08:35:13.90 ID:YL6xpIDO
昼休み
行き掛けのコンビニで買った、メロンパンとムサシノ牛乳を教室で食べた
そして直ぐにパソコンを抱えて屋上ではなく、図書室へ行った

喧騒とは無縁な場所でパソコンを開き、先ずはメールを開く
「…………ふむ」
少し面倒な文面だった。しかしキャンベルが任務として水前寺に頼んだ理由がよく解った
「確かに、こいつは取り締まらないとな」
溜め息を吐き、木原の過去に呆れる水前寺は次のように解釈した

捏造された実験結果の全てが、許可されていない人体や、法律的に禁止されている物を隠匿する為の物であった

何とも酷い話である
発覚した切っ掛けは内部告発だったらしい。それまで消極的だった警察は重い腰を上げてアンチスキルを通さず任意の聴衆を受けさせようとした
しかし木原はその前に海外へ逃亡。その逃亡先でも非合法的に実験を繰返し行っているらしい
彼を公正に裁く為にも、指名手配が必要である
公安はそう決断を下し、捜索本部を設置した
79 :NH4cUDO[sage]:2010/04/22(木) 08:37:47.22 ID:YL6xpIDO
木原の側近であった研究員は数名逮捕されており、国内の指名手配は比較的早かったらしい
次なる目標の国際指名手配は、ある程度の物証は揃った。しかし、イマイチ足りないとインターポールに言われた

国際指名手配が出来るレベルの情報が欲しい

これが回りに回って、キャンベルの耳にたまたま入った
そして水前寺が架け橋となり、新たな事実と―――これは後付けになるが―――消えた筈の愛国者達が裏で絡んでいた事が判明した
キャンベル曰く、表彰ものだそうである




後日
木原幻生の行方不明は愛国者達によるものだと発表があった
これにより木原幻生は晴れて国際指名手配となった
生きている間に捕まって欲しいが


これにより水前寺の任務は1つ完了した
残りは3つ
まだ道のりは遠い
80 :NH4cUDO[sage]:2010/04/23(金) 17:45:34.60 ID:oXhcowDO
学校から帰ると、1枚の葉書が郵便受けに入っていた
どうやら特別講習の案内の様だ。日時は1週間後の休日
「やれやれ」
折角届いた物の試し撃ちをしようと思ったのに
ところでこれの名目は何なんだろうか


雷電から届けられた物は、かつてスネークが拾ったレールガンだった
何に対抗意識を燃やしているのかは知らないし、知りたくはないが、持運びにはとても不向き
「軽トラの屋根にでも付けようか?」
軽トラREXの出来上がりである。ちなみに軽トラは現在入院中。従って現在の足はカブである

コンビニへ行くと一種の缶コーヒーを買い占めている人物と出会した。籠にギッシリ入っている
銀髪に充血した目。そしてもやし
「…………、アクセルレーダ?」
この街へ来た折りに、目を通しておいた資料の人物と一致した。残念ながら、また名を間違えているが
「アァ?」
目が合った
「って、俺の缶コーヒー!?」
よく見たら、買おうとしていた缶コーヒーが全部持っていかれた
「こいつは俺んだァ。文句あっかァ?」
「しゃーない、諦めるか」
そう言って水前寺はその隣の銘柄を籠いっぱいに詰めた
「…………」
自分以外で自分と同じ事をする人物なぞ、居るとは思わなかった
そんな顔を一方通行はしていた
81 :NH4cUDO[sage]:2010/04/23(金) 17:46:46.54 ID:oXhcowDO
召集の日
直った軽トラで水前寺は会場となる学校に来ていた
教員用の駐車場に止めてクルマを降りると、暑さだけで気が滅入りそうになった
入口が解らないのでしばらく敷地をうろうろしていると、見覚えのある顔ぶれと遭遇した
「あ、水前寺さん!?」
先に佐天が気付いた
「おはよう、佐天君。もしや君達も講習かね?」
彼女の友人を見ながら言った
「はい、そうなんです。えっと、水前寺も……」
「お呼ばれだ」
葉書を取り出した
と、ここで
「あ、あの……」
「ん?」
佐天の友人が何かを言いたそうに寄ってきた
「あの時はありがとうございました!」
そう言って深く頭を下げた
あの時?
「公園で倒れた私をわざわざ―――」
「ああ、あれか。気にするな。目の前で人が倒れた時の手順を践んだまでだ」
「で、でも……」
「それより、早いところ入口を探そうでないか。暑くて叶わん」
汗をしっかり吸ったYシャツを掴んでパタパタと扇いだ
感謝されるのに慣れていない彼にとっては、こう言うのは照れ臭いのである
82 :NH4cUDO[sage]:2010/04/23(金) 17:47:35.63 ID:oXhcowDO
案内の紙を見付け、5人はぞろぞろとその方向へ進んだ。蒸し暑い廊下を
「せてめ窓位開けてくれたまえ、教員よ」
教室に着くと数人が疎らに座っていた。席の指定は特に無さそうなので、窓際後方2番目と言う中々のポジションへ座る事にした。本当は最後尾が良かったが、そこには団子状に髪を結わえた女の子が既に居た。一瞬見えなかった気がしたが、勘違いだろう。そう言う事にしておきたい
しばらくすると、とても解りやすいヤンキーな集団が来た。姉御に舎弟が少々。あー、君達。面倒なのは誰だって同じだ。わざわざ声を出さないでくれ、低脳舎弟。嫌なら寝とれ。俺は寝る

午前中は座学。担当教師の名前は月詠小萌と言う。どこぞの魔法教師宜しくな見た目である。あれより低いか?
内容は主に『パーソナルリアリティ』『自分だけの現実』云々を初心に帰って考える事。ここに来た折りに、キャンベルから貰った資料である程度は知っている。こうして教鞭を受けるのは初めてなので、最初は真面目に聞いていた
聞いている内に『固有結界』が思い付き、それを考え始めると脳が睡眠を欲し、いつの間にか寝ていた
よく注意をされなかったものである
83 :NH4cUDO[sage]:2010/04/23(金) 17:48:52.58 ID:oXhcowDO
昼飯はコンビニお握りとヒジキの煮物。そしていつぞやの缶コーヒー
「……暑い」
現在、水前寺は中庭でぼーっとしながらそれらを食していた。回りにも何人か居るが、皆へばっている姿が見受けられる
「……クルマの中で寝とくか」
そんな事を考えていると、後方から楽しそうな声がした。振り向くと、佐天が団子状に髪を結わえている女の子と歩いていた
「……座るか?」
水前寺が座っているベンチは丁度木の陰になっており、比較的涼しい。どうせあとお握りに1個と少量の缶コーヒーなので譲る事にした
「あ、お気遣い無く」
「とは言え、暑いだろ」
立ち上がり、どうぞのジェスチャーをする
「ホント、良いですよ」
しかし立ったからには後には退けない
「それに、見たところ昼食を忘れたようだな」
そう言って、今度はお握りを袋から取り出した
「暑さで食欲が無くてな。丁度良い、食べてくれたまえ」
ちなみに中身は鮭。定番中の定番なので拒否はされない筈
「ええっと、じゃぁ……。戴きます」
苦笑いをしながら佐天は受け取った。その際、ちらりと彼女の隣の女の子に目を向けたら少しムッとした表情をしていた。少し慌てて目線を外したが、それに佐天が気付いたのか
「あ、こちらは重福さんです」
「初めまして」
重福は軽く会釈をした
「水前寺だ」
これ以上関わりは無いとは思うが、社交礼治である。それに百合臭がしばし。とっとと退散しよう
「ではごゆっくり」
84 :NH4cUDO[sage]:2010/04/23(金) 17:51:38.58 ID:oXhcowDO
それにしてもかなり個性的な髪型である。「丸で、月の変わりにお仕置きされそうだ」それに左目が不自然な切り方をした前髪で完全に隠れている
「見えているのかね?」
彼女達から大分離れて、聞こえない位置に来てから呟いた
まぁ、人の嗜好はそれぞれなので気にしないでおこう。あれはあれで可愛い
「……寝るか」
日陰を見付けて水前寺は座り込み、ケータイのアラームをセットした。眼鏡は外して胸ポケットに入れた。鼻パッドの部分が蒸れるのが嫌だからである


流石に爆睡とはいかないが、それなりに仮眠はとれた。寝起きからしばらくの間は身体が重いのも、数分あれば回復する筈である
「……着替えるか」
午後からの講習は体力トレーニング。従って体操服に着替えて集合しおかなければならない
さて、何をやらされるのやら

下に降りると幾人か既に集合していた
「水前寺さん、それ……」
佐天は彼の体操服を見て絶句した
「ん?」
「……滅茶苦茶頭良いんですね」
彼の体操服に貼られたワッペンが証拠である
「そうでもない。俺は低空飛行組だ」
他の連中も、「何故居る!?」と思っていた。悪い意味でなく「余程の事があったのだろう」と言う同情の目であった。それもそれで大きなお世話だが
皆が皆真面目な訳もない。水前寺の様な異端も居るのだから
85 :NH4cUDO[sage]:2010/04/23(金) 17:52:58.39 ID:oXhcowDO
あ、眼鏡掛けるの忘れてた

午後の担当は黄泉川だった。また引きつった顔をされてしまったでないか
グラウンドのトラックに白線を引き終えた黄泉川は、集まった生徒にこう言った
「それじゃあこれから持久走を行うじゃん」
えー、との生徒のブーイング
「つべこべ言わない!」
ビクッ、との生徒の黙り
「自分の限界にチャレンジするじゃん」
にやっと黄泉川は笑った

持久走など水前寺にとっては朝飯前。「今は昼飯後だがな」
但し、上限が無い為、いつまでも走らされるのは面倒である。コンスタントに走って出来るだけ体力を使わずに終らせたい
「水前寺ー、ペース上げろー!」
…………むぅ
よく見ているな。流石教師だ

しばらくノコノコと走っていると、ヤンキーの姉御が黄泉川に向かって叫んでいる姿が見えた
「これは罰なんだろ!?」と食って掛かっていたが、黄泉川は飽くまでも冷静だった
丁度、その台詞を聞いた時に水前寺は彼女達の目の前だったので、止まって様子を見る事にした
黄泉川は違うと言うが、ヤンキーは勿論、退こうとはしない
「1つ良いかね?」
尋ねるには良いタイミングだろう。小さくビシッと挙手をして
「俺はレベルアッパーを使ってどうこうなった身ではないのだが」
「…………」
白ける空気
今それを言うのか?ってか、一体それはどう言う事だ?
「知らないよ、私に聞かないで欲しいじゃん
予想していた答えが返ってきた
「それより走れ」
また予想承知した答えが返ってきた
これ以上論議しても仕方が無いのでトラックに戻り、またノコノコと走った
黄泉川に殴り掛かろうとしたヤンキーが投げ飛ばされるのを尻目に
86 :NH4cUDO[sage]:2010/04/24(土) 10:49:27.88 ID:P7IgusDO
その後、直ぐと言って良い程雨が降ってきた。これによりトレーニングは終了。着替えから残りは再び座学に費やされる

更衣室
「やっぱ罰なんだろうよ、レベルアッパー使用者を対象とした」
例の舎弟Aがそんな愚痴を漏らす
「だろうよ。ったく、罰なら罰と言えば良いのに」
舎弟Bも同意する
相変わらず文句だけはいっちょまえである。逆を言えば、思考が非常に解りやすい連中なので、次の行動は予測しやすい
そんな連中に水前寺が居る理由を尋ねても答えなど帰ってこない。それは彼自身よく知っている。なのに
「ところで俺は何故呼ばれたのだろう」
返ってきた答えは
「知るか。ってか、ホンマなんか?」
「ああ。レベルアッパーは使ってない。パソコンに落としはしたが」
「じゃあ何で居るんだよ?」
以外と食い付きの舎弟Aである

「だからそれが謎だ」
「あのちっこい先生に聞けば?」
これは舎弟C
「終った後にでも問い出したら聞けるかもな」
やってみる価値はある
タイミングを図って尋ねよう
「そうしてみる」
こうして不良達との会話は終わった。
以外と会話の対応の良さには驚いた。口調は変わらないが、いちいち突っ掛かってこない。そうなると逆に違和感を感じる
何かがありそうだ
87 :NH4cUDO[sage]:2010/04/24(土) 10:50:30.11 ID:P7IgusDO
残りの講習は真面目に話を聞き、最後に能力開発のテストを行った。やった事がないのでかなり戸惑った。そのせいか、結果は全て0。逆を言えばそうであって欲しかった
「お前、少し良いか?」
解散となり、水前寺はさっさと校舎を出て駐車場へ足を運んだ。その途中で現在例の姉御に絡まれたら訳だが
「何かね?」
「あいつ等―――ウチの仲間は更衣室で大人しくしていたか?」
舎弟ABCの事か
「ああ。一番落ち着いていたな。逆に気持ち悪かった位だ」
皮肉の意を込めて言う
「そうか。なら逆にいつも通りにしといた方が良かったか」
ニヤリと姉御は笑った
「そうなれば俺は彼等の腕をへし折っている」
負けじと水前寺も不敵な笑みを浮かべる
「……だからだ」
少し間を開けて彼女は呟いた
88 :NH4cUDO[sage]:2010/04/24(土) 10:51:08.66 ID:P7IgusDO
「あいつ等に大人しくするよう支持したのはあたしだ」
どことなく、そうとだろうと水前寺は感じていた。あの違和感はそう言う事か
「それに暴れればとうなるかも、あいつ等は知っている筈だ。お前に必ず返り討ちにされるってな」
「まるで俺を知っているみたいだな」
「お前は知らないかもしれないが、あたし等みたいなスキルアウトの間では有名だ。銀行強盗を素手で撃退。カツアゲをすれば返り討ちに合うし、その後は必ずと言って良いほどアンチスキルに連行される。更にお前は正当防衛でお咎め無し。恨みを買うには十分だ」
成る程。その辺りの情報網は流石と言えよう。ダダ漏れだ
「……つまり俺を狙っている奴等が山程居ると?」
「ああ。―――でも安心しろ。お前の顔はそれ程知られていない。狙っている連中はたまたま会えばラッキーって程度だ。中には遭遇したくない奴も居る」
「……しかしそんな時はどうすんだ?やたら強いから俺、とは限らんぞ」
「ああ、それはな―――」
この後、彼女から予想遥かに越えたとんでもない言葉が発せられた
今思うと、全ての伏線が解き放たれた瞬間なのかもしれない
しかし謎は深まるばかり。動き始めた歯車は大きく回転する訳でもなく、他の歯車と噛み合う兆しも見えない
全貌を明かすの未だはしばらく先のようである
89 :NH4cUDO[sage]:2010/04/24(土) 11:01:32.31 ID:P7IgusDO
ここで一区切りです
超過疎ですが、見てた人はよく駄文に付き合って頂けました

今後の予定としては、ハルヒスレに戻ります
そして引き続き伏線回収と伏線立てを交えながらまた綴っていきます
ぼちぼち原作に捕らわれず、オリジナルストーリーによる日常も演出していこうとも思ってます

それではまた後程
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/04/27(火) 22:38:21.29 ID:ILgClWg0
乙です
91 :NH4cUDO[sage]:2010/05/11(火) 16:57:40.04 ID:WRI/j.DO
あまり放置し過ぎると、運営から苦情が来るので、生存報告

現在>>1はハルヒの方で色々と悩んでます

それだけ
92 :NH4cUDO[sage]:2010/05/25(火) 16:56:09.97 ID:MOA9mUDO
勝手にHTML化されるのを防ぐために、生存報告
ハルヒの方の方針が決まりました
それだけ
93 :NH4cUDO[sage]:2010/06/10(木) 07:11:43.37 ID:LLXYykDO
定期生存報告

ハルヒの方を投下再開
相変わらず遅筆で稚拙な文章を綴ってます

それだけ
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 00:10:43.50 ID:p49hm8Q0
水前寺ってイリヤ?
それなら読む
95 :NH4cUDO[sage]:2010/06/24(木) 21:46:27.67 ID:ZJgIH.DO
今日は全世界的にUFOの日です
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 23:48:56.17 ID:YgcYvHc0
おっくれってるぅーーーーーーーーーー!
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[age]:2010/06/27(日) 20:16:57.62 ID:L7D7Ypko
支援
98 :NH4cUDO[sage]:2010/07/03(土) 09:36:53.08 ID:daWyQUDO
生存報告

今仕事が辛いので(人間関係的な意味で)ハルヒのスレが止まってます
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/07/06(火) 00:28:39.37 ID:hIZT63so
人間関係とは乙だ
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/06(火) 00:49:53.93 ID:dJnzAJg0
大丈夫、そんな>>1を俺はCする。
101 :NH4cUDO[sage]:2010/07/07(水) 08:12:32.52 ID:.PKPywDO
さーさーのはーらーぷそてぃー





わたしはここにいる
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/07(水) 20:01:35.65 ID:QNUa5lIo
はやく投下してや
103 :NH4cUDO[sage]:2010/07/18(日) 08:21:18.71 ID:JIhoGsDO
生存報告

山籠りしてUFOを探す季節となりました
それはさておき

ハルヒスレの書き溜め再開しました
話が一段落してから、こちらを再開しようと計画しています
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 22:54:25.40 ID:9jsV/MAO
最後の投下から三ヶ月以上経ち、更にほぼ誰も見てないのに、まだ創作意欲が尽きていないとは…ww

ぜひ最近の立て逃げ厨房共に見習って欲しいな
105 :NH4cUDO[sage]:2010/08/01(日) 08:21:54.87 ID:j.cMHYDO
生存報告

ハルヒのスレのプロットデータが消えたのでてんやわんやしてます

>>104
ハルヒスレが終わったら必ず来る
とっちかと言うとこっちがメイン
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/05(木) 17:24:05.61 ID:wH0Eql60
>>105
まってるぜ
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/08(日) 22:27:52.11 ID:fxhcKTAo
まだなの
108 :NH4cUDO[sage]:2010/08/17(火) 12:01:44.72 ID:8zb3kQDO
生存報告

ハルヒスレのプロットを再構成したので、書き溜め開始します
109 :NH4cUDO[sage]:2010/08/31(火) 08:20:49.85 ID:0VVUJYDO
生存報告

夏休み最後なので、夜に学校のプールで泳ぎます
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 19:31:16.29 ID:ZR1LYeMo
出来上がったぶんだけでも投下できないのか?
111 :NH4cUDO[sage]:2010/09/05(日) 10:10:35.74 ID:RVwPaIDO
生存報告

また病んでハルヒスレの書き溜めが滞っています
>>110
ハルヒに専念しているので書き溜めは零です
112 :NH4cUDO[sage]:2010/09/19(日) 00:59:50.27 ID:61CHN2DO
次回予告


深入りをすればする程広がる謎
オタコン「まさか、ここでその名を聞くとは思わなかったよ」

魔術サイドとの遭遇
水前寺「生憎、あんなのに対抗なんか出来ん。まぁ、せめて共に生きて逃げようぜ」

全ての異能を打ち消すヒーロー
上条「良いぜ。先ずはそのふざけた幻想を―――」

完全記憶能力を持つ異国人
インデックス「地獄の底まで付いてきてくれる?」
水前寺「遠慮しとく」


束の間の休息と任務と関係無い事に盛大に巻き込まれた水前寺
交錯する情報と、新たな影を迎え、抗いそして戦い抜ける
解決の糸をだぐる先に見えるのは何か




上条「不幸だーーー!!」
オタコン「変なフラグ立てないでくれ」
インデックス「お腹空いた……」
リキッド「スネェェェェェェク!!」
神裂「上手い事を言ったつもりですか?」
小萌「すけすけみるみるですよー」
雷電「斬鉄剣欲しい」
御坂「あんたまでビリビリ言うな!」
スネーク「無限バンダナだ」
土御門「ややこしい奴だにゃー」
ステイル「ちっ、大した体術だ。ジュードーの一種か?」
大佐「全て君に任せる。君の好きにしてくれ」


水前寺「俺、もうゴールしてええよな?」


第二部、『とある部長と禁書目録(ハラペコシスター)』
113 :NH4cUDO[sage]:2010/10/11(月) 17:46:59.48 ID:zArmZ.DO
生存報告
痛車作るのに忙しい
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/20(水) 19:26:17.28 ID:iKx9orco
はやくかけよ
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/11/06(土) 01:00:38.96 ID:Ki.6ZYDO
乗っ取りの任が解かれたので書き溜め開始
116 :NH4cUDO[sage]:2010/12/04(土) 09:09:34.09 ID:SBj7dgDO
生存報告

ハルヒスレにぼちぼち投下中
117 :NH4cUDO[sage]:2010/12/23(木) 08:41:53.73 ID:J3BU/MDO
生存報告

消失の見てたら消失の話綴りたくなって綴り始めました
118 :NH4cUDO[sage]:2011/01/07(金) 08:26:48.99 ID:ZGIHNoDO
生存報告

あけますておめでとござます
119 :NH4cUDO[sage]:2011/02/12(土) 08:07:51.79 ID:G7jhQKzDO
生存報告

痛車じゃぱん行ってきます
120 :lain.[sage]:2011/04/05(火) 03:15:42.29 ID:???
以前SS速報板へのスレッド移転依頼をして頂きましたが、管理人が移転作業を放棄してしまったため、
作者の方ご自身でSS速報板にスレッドを立て直して頂きたく思います。
お手数をおかけしますが、どうかよろしくお願いいたします。

また今月中に返答が頂けない場合は、こちらのスレッドをHTML化の対象とさせて頂きます。
121 :NH4cUDO[sage]:2011/04/12(火) 23:47:58.04 ID:yTNc3s5DO
何のこっちゃさっぱり……?
何かあったのか?
122 :lain.[sage]:2011/04/13(水) 21:47:23.12 ID:???
>以前SS速報板へのスレッド移転依頼をして頂きましたが→http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4gep/kako/1294924033/355
>管理人が移転作業を放棄してしまったため→http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4gep/1279375638/733
>作者の方ご自身でSS速報板→http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
>にスレッドを立て直して頂きたく思います。

ということです。
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします(岡山県)2011/04/18(月) 00:37:03.53 ID:8I055Ahh0
つまり新天地で新しく1から書けと?
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2011/04/18(月) 03:06:30.47 ID:L+iU6XyDO
今までの分はコピペするなり
このスレのリンク貼るなりでだいじょぶなのでないかな
125 :lain.[sage]:2011/05/16(月) 01:45:23.14 ID:???
移転のための期間をこれ以上伸ばすわけにもいきませんので、今月末にはこちらのスレッドをHTML化処理します。
反論は認めません。



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