VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 16:53:18.02 ID:qwS7KqE0<>  レ ッ ド さ ん が
         _,-─ ,                              | ̄|
       , ´  _  /                               |  | ,.-.、
     /   /. .|. .|        iヽ、                     |  | 、__ノ
    /   /    |. .|┌┐┐  | └┐, - ‐‐ 、「 ̄ ̄丶  , ‐ ¬、 . |  |┌  ,>., ., - ‐‐ 、
   / .   /.──┘ |│ .ァ┘  |. .┌‐/ ノ`ヽ.ヽ.|  l ヽ. ヽ/ /> _ゝ.|  |..|  |/ ァ─'./ ノ`ヽ.ヽ
.   l    l____ . |││    |. .i、_.i ヽ__ノ .i.|  | |  |i ヽ`_´, ヘ|  |..|  |i ヽ_ i ヽ__ノ .i
   |   |     .|_|││    ヽ、_|.ヽ、__ ノ...|_| |_|ヽ、___,/ |_|..|_|.ヽ、_.| ヽ、__ ノ
   |     i.    ┬┐ ̄     l l        ト、_       ,之_      l l       ‐┐
.   l    ヽ.   ┘´       '.└'       ′        ′         ┘        ‐┘
   、    `ヽ 、 の 世 界 に 迷 い 込 み ま し た in 製 作 速 報
    ヽ      /
     \    /
       ヽ、 /



・【ポケットモンスター】と【アルトネリコ】のクロスオーバーSSスレです
・原作ゲームのネタバレが多量に含まれるため、未プレイの方はご注意ください


【過去スレ】
レッド「アルトネリコ?」 (ニュー速VIP)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1272285174/l50
レッドさんがアルトネリコの世界に迷い込みました(ニュー速VIP)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1272291850/l50<>レッドさんがアルトネリコの世界に迷い込みましたin製作速報 VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 16:53:58.67 ID:qwS7KqE0<>●これまでのあらすじ●

 レッドは気が付くと見知らぬ地に迷い込んでいた。
 そこは、人間とレーヴァテイルと呼ばれる種族が、巨大な塔と、その周囲に浮かぶ浮翌遊大陸に寄り添うそうに生活しているという異世界であった。
 レッドは偶然出会ったその世界の教会『エル・エレミア教会』の助けもあり、元の世界に帰るための手がかりを探し始める。
 だが、レッドのいる浮翌遊大陸『ホルスの翼』は『エル・エレミア』教会のほかに『天覇』という巨大企業が勢力を伸ばし、教会と度々争いを起こしていた。
 そんな中、塔の上階層『プラティナ』から来たという少年・ライナーが、『天覇』の兵士に連れ去られてしまう。
 彼を救出するため、レッドは『天覇』本社があるという『ほたる横丁』へ向かうことにするのだが……
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 16:55:03.84 ID:qwS7KqE0<>●PHASE1 第4話

 翌朝、レッドは準備を整えると、早速『エル・エレミア教会』へと足を運んだ。

ラードルフ「おやレッド、こんな朝早くからどうしたんだ?」

レッド「すいません、ファルス司祭と……オリカさんはいますか?」

ラードルフ「司祭様とオリカ? 確かに今は2人ともいるが……」

レッド「それなら是非、2人に今お会いしたいのですが、よろしいですか?」

ラードルフ「……今、教会は昨日話したミッションの準備で忙しいから、あまり時間は取れないぞ?」

レッド「構いません」



ファルス「どうしたのですか、レッド殿? 突然お会いしたいなど……。もしやまた『天覇』の手のものが……!?」

レッド「『天覇』関連の話という点では半分正解です」

ファルス「……では、どのようなご用件で?」

レッド「俺はこれからライナーを救出するために『ほたる横丁』へ向かおうと思います」

ファルス「『ほたる横丁』へ? 確かに『天覇』の本社があるのはあそこですが……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 16:56:27.48 ID:qwS7KqE0<>レッド「しかし、俺はまだこの世界のこと――特に地理面を詳しく知らないのも事実です」

ファルス「…………」

レッド「そこでなのですが……是非オリカさんの力を貸していただきたいんです!」

オリカ「!?」

ファルス「オリカの力を……ですか?」

レッド「はい。ラードルフさんから聞いた話では教会の神官やレーヴァテイルは本日から大規模なミッションに出ると聞きました」

オリカ「…………」

レッド「そして、レーヴァテイルがミッションに参加するにはペアとなるパートナーが存在しなければならないということも」

オリカ「……!」

ファルス「…………」

レッド「だから考えたんです。ファルス司祭に俺を一時的でも教会の所属として加えていただいて、オリカさんのパートナーに任命していただきたいんです」

オリカ「…………」

ファルス「……申し訳ありませんが、レッド殿を我が教会の一員として加えるわけには参りません」

レッド「……そうですか……」

ファルス「昨日も申し上げましたが、我々も今は教会の名の下に表立って『天覇』と争いを起こすわけにはいかないのです」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 16:57:33.02 ID:qwS7KqE0<>ファルス「……ですが、オリカをレッド殿のパートナーとして同行させることに関しては私にも異論はございません」

オリカ「えっ!?」

レッド「本当ですか!?」

ファルス「私もオリカには無限の素質を感じておりました。オリカにパートナーができるということは私としても大変喜ばしいことです」

オリカ「司祭様……」

ファルス「オリカや、よいかな? レーヴァテイルの要は心、あとはオリカの意思と気持ち次第です」

オリカ「…………」

レッド「…………」

オリカ「……はい、あたしでよければ、やらせていただきます……!」

レッド「オリカさん……!」

オリカ「その……不束者ですが、よろしくお願いします……」

レッド「お、オリカさん、多分その発言いろいろと誤解を招きかねないよ?」

ファルス「決まりですな。ではオリカや、早速『ほたる横丁』へ向かう準備をいたしなさい」

オリカ「はい……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 16:58:09.95 ID:qwS7KqE0<>ファルス「……レッド殿」

レッド「はい?」

ファルス「オリカは過去に不憫な境遇を背負い生きてきた子です。それ故に心を閉ざしてしまっている……」

レッド「…………」

ファルス「歌魔法を紡ぐレーヴァテイルにとって心はとても重要。どうか、あの子の心を癒してあげてください」

レッド「……はい! 微力ですが俺なんかでよければ……!」

ファルス「レッド殿に『エレミア三謳神』のご加護があらんことを……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 16:59:30.50 ID:qwS7KqE0<>とりあえず一旦ここで投稿終了
続きはまた1時間後くらいに<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 18:04:31.84 ID:qwS7KqE0<>続きいきます<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 18:05:09.13 ID:qwS7KqE0<>〜空中都市ネモ〜

レッド「さて、まずは『ほたる横丁』へ行くための飛空挺に乗るために港に行かないとな。オリカさん、港まで案内してもらえる?」

オリカ「……こっち」

 十数分後……

レッド「ここか……あれ? まだ朝なのにやけに混んでないか?」

オリカ「もともと、1日に出る便の数が少ないですから……。でも、確かにこれは異常です。ちょっと聞いて来ます……」

レッド「…………」

オリカ「……原因が分かりました。塔のガーディアンが飛んでいて、襲い掛かってくるせいで全便欠航状態だそうです……」

レッド「なんだって!? あのガーディアンとかいうロボット、また暴れているのか!」

オリカ「……どうします?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 18:06:22.55 ID:qwS7KqE0<>レッド「う〜ん……オリカさん」

オリカ「……はい?」

レッド「ちょっと無茶な真似をすることになるけど、大丈夫?」

オリカ「無茶……?」

レッド「あぁ、結構怖い思いもすることになるかもしれないけど……」

オリカ「…………」

レッド「…………」

オリカ「……大丈夫です。あたしは、レッドさんのパートナーになると決めた以上、それくらい……覚悟の上です……!」

レッド「よし! それなら早速……リザードン、エーフィ!」

 レッドは2匹をモンスターボールから呼び出すと、続いてカバンの中から何やらディスク条のものを取り出す。

レッド「そして、エーフィにはこれを……」

オリカ「……なに、それ?」

レッド「『わざマシン』っていう俺の世界のアイテムだよ。これを使えば、ポケモンに技を覚えさせることができるんだ」

 使い捨てだけどな、と付け加えると、レッドはそれを起動してエーフィに使用した。

レッド「これで、よし。それじゃあ出発しようか……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 18:07:13.67 ID:qwS7KqE0<>オリカ「凄い……あたし、飛龍に乗って空を飛ぶなんてはじめて……!」

レッド「そう? あ……あまり下は見ないほうがいいと思うよ」

オリカ「ううん……大丈夫……」

 現在レッドたちはリザードンの背に乗り、『ほたる横丁』へ向かって飛び立っていた。
 ちなみに、乗っている順番は、前からレッド、エーフィ、オリカという順番である。
 オリカがレッドの腰に手を回して掴まっていることもあり、ちょうどエーフィの顔がオリカの胸の谷間に収まるような形になってしまっているが、そこはポケモン故の役得である。
 ――当のエーフィがそんなことを思っているかは別だが。

レッド(オリカさん、結構興奮しているな。さっきと口調が全然違う)

オリカ「……あ!」

レッド「来たな……!」

 オリカが指差した方向から、何やら幾つかの影が凄いスピードで接近してくるのが見えた。
 先ほどの話で出た、ガーディアンに間違いなさそうだ。

レッド「エーフィ!」

 早速、レッドはエーフィに指示を出す。
 指示を受けたエーフィが、レッドとオリカの間からひょっこりと顔を出した。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 18:08:11.92 ID:qwS7KqE0<>レッド「……『トリックルーム』!」

 瞬間、レッドたちを中心に、周辺の空間に異変が起きる。
 ――歪んでいるのだ。

レッド「よし、これで大丈夫だろう」

オリカ「え!? でも、ガーディアンはこっちに来るよ?」

レッド「大丈夫だよ。確かに、あいつらは“こっちに向かっては来るだろうけど、俺たちには絶対に追いつけない”」

オリカ「? ? ?」

レッド「心配いらないってことさ。それじゃあ、俺たちは“このままゆっくり”『ほたる横丁』へと向かおうか」

オリカ「……ますます意味が分からない……」

 だが、レッドの言うとおり、その後ガーディアンがレッドたちに追いつくことはなかった。
 むしろ、どんどん距離が離れていき、次第には見えなくなってしまった。
 ……リザードンは逆にスピードを落として飛行しているというのに――<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 18:09:12.06 ID:qwS7KqE0<> それから数十分近く飛行を続けた末に、レッドたちは目的の『ほたる横丁』へと到着した。

レッド「凄いな。本当に島ごと街が宙に浮いているぞ」

オリカ「……元々は『死の雲海』を調査するために作られた人工の島だって聞いたことがあります」

レッド「こうしてみると、この世界の技術は俺の世界の技術よりも何倍も凄いじゃないか……」

 かがくのちからってすげー、などと思わす口に出しながら、レッドは人目につかなそうな場所を探す。

レッド「『天覇』の本拠地がある街っていうからには入るときもなるべく目立たないようにしないとな。さて、どこから入ろうか……」

オリカ「……あそこ」

 オリカが指差したのは、島と塔が繋がっているパイプラインだった。

レッド「確かに、あそこなら人目につかないな」

 そう言うとレッドはリザードンにパイプラインへ向かうように指示を出す。
 ――こうして、レッドたちは特に予想外の危険に晒されることなく、『ほたる横丁』へと足を踏み入れることができたのだった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/28(水) 18:12:33.50 ID:qwS7KqE0<>一旦ここで終了
続きはまた1時間後に<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/28(水) 23:04:23.22 ID:XerjLeAo<>Was yea ra rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 01:31:29.15 ID:SB0GXr.o<>Nn nyasri ga na akata...<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:17:12.90 ID:y/1ig9Q0<>遅くなって申し訳ありません
もう少ししたら4話の残りをまとめて投下するので、もうしばらくお待ちください<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 02:40:49.24 ID:SB0GXr.o<>らっせー らっせー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:44:52.75 ID:y/1ig9Q0<>大変お待たせしました
4話いきます!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:45:22.02 ID:y/1ig9Q0<>〜ほたる横丁〜

レッド「へぇ……。ネモより小さいけど、活気ならこっちも負けてはいないな。さて、まずは『天覇』本社がどこにあるか調べないと……」

オリカ「……『天覇』の本社なら、先ほど通りましたよ?」

レッド「え、マジ? どこ!?」

オリカ「通ったというより……あたしたち、さっきパイプラインから島の動力部に入りましたよね?」

レッド「あぁ、誰かに見つかるとヤバそうだから、さっさと通り過ぎちゃったけど……」

オリカ「『天覇』の本社はその近くにあったんですよ?」

レッド「なにぃ!? 地下にあったのか!? てっきり、でっかいビルとかがあって、それが本社かと……」

オリカ「確かに、そういった建物も保有していると聞いてはいますけど、言ってしまえば、この『ほたる横丁』という島自体が『天覇』という企業なんです」

レッド「な、なんだってーーー!?」

オリカ「厳密には、島や街の建物を構成している部品全てがメイドイン『天覇』ということですけど……」

レッド「……ファルス司祭が表立って『天覇』との全面抗争を避けたがっていた気持ちが分かった気がするよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:47:38.53 ID:y/1ig9Q0<>〜ほたる一番街〜

レッド「……あれから1時間くらい歩き回ってみたけど、全然手がかりはなしか」

オリカ「ネモより小さいとはいえ、これだけの街ですから……」

レッド「はぁ……。ライナーは一体何処にいるんだ?」

???「ライナーって、ライナー・バルセルトのこと?」

オリカ「?」

レッド「ん?」

???「あら、違った? さっき私のお店のメンバー登録していった男の子と同じ名前だったから声をかけてみたんだけど……」

レッド「ライナーと会ったんですか!?」

???「えぇ、ほんの30分ほど前にね」

レッド「俺たち、ライナーを探しているんだ。どこに向かったか分からないか?」

???「あらあら、困ったわねぇ……。彼、なんか追われているみたいだったし……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:48:35.86 ID:y/1ig9Q0<>レッド「俺たちは『天覇』の人間じゃない」

???「……証拠は?」

レッド「……これで、信じてもらえないか?」

 レッドが上着の胸元のポケットから取り出したのは1枚のカード。
 それは、レッドの世界でポケモンリーグ公認のトレーナーであることを証明する『トレーナーカード』という身分証名称である。

???「……なるほどね。あなたが先日ネモで噂になっていた『赤い服の魔物使いの少年』だったのね」

レッド「!?」

???「そして、そちらのお嬢さんは、その魔物使いの少年たちと一緒にガーディアンを倒したっていうレーヴァテイルかしら?」

オリカ「!?」

???「自己紹介がまだだったわね。私はスピカ。普段は『ほたる横丁』名物・猫飴売りだけど、裏の顔は情報やレアなグラスノ結晶を扱うバイヤーなの」

レッド「な、なるほど、それなら俺たちのことを知っていてもおかしくないな……」

オリカ「凄い情報網……」

スピカ「そりゃあ『エレミアの使徒』と一緒にネモを護った存在なんて面白い話、そんな簡単に見逃すはずないでしょ?」

レッド(この話し振りからしてライナーの正体も多分気づいてるな……)

オリカ(あたしたち、とんでもない人と知り合っちゃったかも……)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:49:58.81 ID:y/1ig9Q0<>スピカ「それで、ライナーだけど、彼ならミシャと一緒にネモに行くってことでパイプラインに向かったわ」

レッド「ミシャ?」

スピカ「私の知り合いのレーヴァテイルよ。多分ライナーと一緒に『天覇』から脱走したんじゃないかしら?」

オリカ「……パイプラインに向かったってことは……」

レッド「行き違いになっちゃった可能性が高いな。すぐに追いかけよう」

スピカ「それがいいわね。きっと『天覇』の人たちも2人を必死になって探しているだろうし……」

レッド「教えてくれて、ありがとう。俺たちもう行くよ」

スピカ「はいはーい、今後ともご贔屓に〜」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 02:50:53.06 ID:SB0GXr.o<>わす いぇあ ら らっせー!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:51:06.53 ID:y/1ig9Q0<>〜ほたる横丁〜

レッド「さて、パイプラインに向かうとなると、また動力部を通ることになるわけだが……」

オリカ「……あれ?」

レッド「? オリカさん、どうかした?」

オリカ「あそこ……」

レッド「ん?」

 オリカが指を差した先、そこにはある建物の前で少々困惑した顔をしている――

レッド「ライナー!?」

ライナー「いっ!? れ、レッド!? お前、なんで……!?」

レッド「お前が『天覇』の連中に捕まったっていうから、助けに来たんじゃないか。パイプラインに向かったって聞いたのに、こんな所で何やってんだ?」

オリカ「あれ? 確か、ここって……」

???「そう、ダイブ屋よ!」

オリカ「?」

レッド「ん?」

 声のした方へ目を向けると、そこにはレッドたちよりも小さな1人の女の子がいた。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:52:18.12 ID:y/1ig9Q0<>???「あなたたち、どうやらライナーの仲間みたいね。私はミシャ。彌紗・アルトセルク・リューンっていうの、よろしくね!」

レッド「…………」

オリカ「…………」

ミシャ「? なに? 私の顔に何か付いてる?」

レッド「ライナー……」

ライナー「な、なんだよ?」

レッド「いや……。俺は別に他人の趣向にどうこう言う気はないけど……」

オリカ「……さすがに、こんな小さな子は……」

ライナー「ご、誤解だ! 俺はそういうつもりで彼女と一緒にいる訳じゃ……!」

ミシャ「そうよ! それに、私はこう見えても18歳なんだから!」

レッド「……マジで?」

ライナー「そうらしいよ? あと、俺とも過去に面識があるみたいで……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:54:28.39 ID:y/1ig9Q0<>ミシャ「もぅ……。私もプラティナの出身なのに、ライナーったら、私のことち〜っとも覚えていてくれてないのよ!」

オリカ「……それは酷いと思う」

レッド「あぁ、少しくらいは覚えていても良いだろうに……」

ミシャ「でしょ!? 分かってくれる!? この複雑な乙女の心境!」

ライナー「だ、だから、それは俺も悪いと思っているって言っているじゃないか……!」

レッド「……ところで、ダイブ屋ってなんだ?」

ミシャ「えっ!? あなた、ダイブ屋も知らないの!?」

レッド「あ、あぁ。いろいろと訳があって……」

オリカ「……ダイブ屋というのは、その名の通りレーヴァテイルにダイブをするための施設です」

レッド「ダイブ?」

ミシャ「ダイブも知らないのね……ダイブって言うのは……。いや、ここは実際中で説明してもらった方が早いわね」

ライナー「ミシャ、まさか……」

ミシャ「えぇ、そのまさかよ。あなたたちも一緒に来なさい!」

オリカ「え!?」

レッド「? よく分からないが、いいのか?」

ミシャ「ダイブがどういうものなのか、知りたいんでしょ?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 02:55:07.30 ID:SB0GXr.o<>Mさんきたあああああああああああああああああ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:55:53.16 ID:y/1ig9Q0<>〜ほたるダイブ屋〜

ミシャ「おじさん、ダイブしたいの。お願い」

ダイブ屋「うわぁ、大胆なレーヴァテイルたん!」

 ミシャの勢いにそのまま流される形でダイブ屋に入ったレッドたちの目に飛び込んだのは見たこともないマシンだった。

レッド「あのマシンは何だ?」

ライナー「あれがダイブマシンっていうダイブをするための機械だ」

 俺も利用するのははじめてだけど、と付け加えるとライナーは苦笑いを浮かべた。

レッド(どことなく、マサキの家にあったポケモン転送システムのマシンに似てるな……)

オリカ「あの……レッドさん……」

レッド「ん?」

オリカ「その……レッドさんも興味あるんですか……ダイブ……?」

レッド「え!? う〜ん……まぁ、気にはなるけど、とりあえず、まずは説明を聞いてみないと分からないな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 02:57:15.98 ID:y/1ig9Q0<>ダイブ屋「そんじゃ、説明するよ。ダイブというのは、レーヴァテイルたんの心の中で詩魔法を作り出す作業のことだ」

レッド「心の中?」

ダイブ屋「正確にはレーヴァテイルの心は『コスモスフィア』っていうんだ。その中にある想いを詩に変換する行為――これがダイブだ」

レッド「ふ〜ん……」

オリカ「…………」

ダイブ屋「コスモスフィアには、レーヴァテイルたんが今まで経験してきたことや妄想なんかがいっぱいある。その中から1つをピックアップして詩魔法にするのがパートナーの仕事だ」

ミシャ「私たちレーヴァテイルは、頭の中にある空想や記憶を詩魔法にして具現化させることができる種族なの」

レッド「あぁ、それは知っている」

ミシャ「そう。でもね、その『具現化させる』って作業が1人でやるのは凄く大変なのよ」

オリカ「……ですが、ダイブは自分の心をダイレクトに見せる行為でもあるので、誰でもいいというわけじゃあないんです……」

レッド「なるほど、だから信頼できるパートナーが必要っていうわけなのか……」

ダイブ屋「そういうこと。あとね、レーヴァテイルたんは心を許せば許すほど心の奥底まで見せてくれるよ」

ライナー「そして、心の奥ほど思念は強いから強い詩魔法を紡ぎやすい。そういう意味でもレーヴァテイルとパートナーの絆は大切なんだ」

レッド「…………」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 02:59:28.99 ID:SB0GXr.o<>しっかし過疎るにもほどがあるね
オレと>>1の二人だけとかwwwwwwwwwwww
志方ないね<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 03:00:27.51 ID:y/1ig9Q0<>ミシャ「さて、説明も終わったことだし、私たちは早速始めましょ。ライナー、私はじめてだからよろしくね」

ライナー「あ、あぁ……。こちらこそ……」

レッド(なんか会話だけだと、とてもいやらしい内容に聞こえるな……)

 レッドたちの前で、少しずつ準備を始めるライナーとミシャ。
 やがて、起動するダイブマシン。ダイブが始まったようだ。

レッド「…………」

オリカ「…………」

ダイブ屋「ところで、君たちはやらないの?」

レッド「あ、いや、その……俺たちはただの付き添いですので……」

ダイブ屋「そう? まぁ、マシンはまだ空いているから、もしダイブしたくなったら声掛けてね」

レッド「は、はい……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 03:01:08.78 ID:y/1ig9Q0<>オリカ「…………」

レッド「…………」

レッド(き、気まずい……!)

オリカ「……あの、レッドさん……」

レッド「は、はぃい!?」

オリカ「レッドさんも……説明聞いたら、その……やっぱり、やってみたいと、思いました?」

レッド「え!? え!? え!?」
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 03:01:57.07 ID:SB0GXr.o<>デュフフwwwwwwwwオ、オリカたんはwwwwwwwwダ、ダイブしないのかな?wwwwwwwwwwフヒヒwwwwwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 03:02:14.06 ID:y/1ig9Q0<>レッド「い、いや、確かに流されるままにここまで来ちゃったけど、俺はオリカさんの意思を尊重するよ!」

オリカ「…………」

レッド「なんかいろいろな意味で紛らわしい言い方かもしれないけど、こういうのは、お互いの合意の上でやるものだと思うんだ」

オリカ「…………」

レッド「それに、俺とオリカさんはまだ出会って間もないし、お互いパートナーになってまだ1日も経ってない……」

オリカ「…………」

レッド「だから、オリカさんは嫌なら嫌と正直に言ってくれればいいよ。そうしてくれたほうが俺も安心するし……」

オリカ「……正直……」

レッド「ん?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 03:02:49.32 ID:SB0GXr.o<>ほひひwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 03:04:21.44 ID:y/1ig9Q0<>オリカ「正直、あたしも今ここでレッドさんとダイブすることには、抵抗があります……」

レッド「…………」

オリカ「でも、レッドさんは、クラスDのあたしでも凄いと言ってくれました……!」

レッド「…………」

オリカ「それに、何よりも、はじめて出来たパートナーなんです……!」

レッド「……お、オリカさん、まさか……」

オリカ「はい! レッドさん、あたしとダイブしてください! お願いします!」

レッド「ちょwwwwwwオリカさん、声大きいwwwwwwwwww」

ダイブ屋「うわぉ! こっちのレーヴァテイルたんも大胆!」

レッド「……わ、わかったよ。オリカさんがそこまで決意して俺を選んでくれたんだ。それなら、俺も喜んでオリカさんにダイブさせてもらうよ」

オリカ「はい。よろしくお願いします……」

ダイブ屋「それなら、準備はいい? 早速はじめるよ?」

 こうして、レッドとオリカの人生初ダイブが始まった――<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 03:05:37.59 ID:y/1ig9Q0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「ボンジュール、みんな! グリーンだ」

グリーン「今回は『コスモスフィア』のことを説明しようと思ったけど、本編でダイブ屋やミシャがほとんど説明しちまったぜ、チクショー!」

グリーン「だから、今回は代わりに、レッドのエーフィが劇中使ったワザ・『トリックルーム』について説明しようと思う」
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 03:06:30.70 ID:y/1ig9Q0<>グリーン「『トリックルーム』は、NDSソフト『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』から登場したエスパータイプの補助ワザだ」

グリーン「原作ゲームでは、このワザを使うと5ターンの間、行動順がすばやさの低いポケモンからになる。PPは5。範囲はバトルフィールド全体だ」

グリーン「ただし、『でんこうせっか』などの優先技は普通に適応されるので、その点は注意だ」

グリーン「対戦でもよく使用されるワザで、主にヤドランやゲンガーといったすばやさの低いポケモンに覚えさせるプレイヤーが多い」

グリーン「特にゲンガーの場合、トリックルーム→だいばくはつというとんでもないコンボを叩き込んでくるプレイヤーが多いから注意が必要だ」
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 03:07:16.57 ID:SB0GXr.o<>アルトネリコもポケモンもやりこんだ俺にはなんの死角もなかったwwwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 03:08:00.42 ID:y/1ig9Q0<>グリーン「ちなみに、このワザが収録されている『わざマシン』は『わざマシン92』だ」

グリーン「実はこれ、ゲーム本編中では1つしか手に入らない大変貴重な『わざマシン』だったりする」

グリーン「特に『ハートゴールド・ソウルシルバー』ではジムリーダーである俺に勝ってようやく手に入るからな! それだけ貴重かつ手に入れにくいんだぜ!?」



グリーン「それじゃあ、今回はこの辺で。ところで、仮にこのSS『2』編以降も始まったらレッド以外のポケモンキャラも出るのかね?」

(今のところ『2』編以降もいけたなら出す予定です)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 03:11:06.22 ID:y/1ig9Q0<>というわけで第4話投下完了です
第5話の投下開始は昼くらいになりそうです


>ID:SB0GXr.o
VIPの頃から支援・保守どうもです
アルトネリコは本スレや関連スレ以外でも話題になってもいいのにね……
まぁ、志方ないねww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 03:21:50.95 ID:SB0GXr.o<>>>42
待ってるぜb

制作に来てくれてうれしいぜ
なんでこんなに話題にあがらないのか不思議なんだぜwwwwwwww
まあ・・・アクエリオンなみに会話が…ねwwwwwwwwww志方ないなwwwwwwww

ヒュムノス語はやっぱできるの?
最初のスレ発見して>>33を見てあわててヒュムノサーバー開いて簡単な文書いたんだけどwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 03:25:14.40 ID:SB0GXr.o<>最初のじゃねぇやwwwwww2個目の>>33だったwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 07:52:51.46 ID:XuNbshAo<>しえんー

ココナのちっぱいちゅっちゅ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 14:29:29.37 ID:WpWgqUDO<>アルトネリコはわからないがポケモン大好きな俺には関係なかった

ポケモン無双期待<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 15:33:37.86 ID:SB0GXr.o<>人が来た!!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 16:04:30.88 ID:SB0GXr.o<>昼はもう過ぎた…
夜か・・・<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 16:16:29.28 ID:y/1ig9Q0<>続きいきます<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 16:20:38.83 ID:y/1ig9Q0<>●PHASE1 第5話

 LEVEL 1
 COSMO SPHERE

 Ma num ra chs pic wasara mea,
 en fwal syec mea.
 Was yea ra chs mea yor en fwal.
 en chs hymme.
 ■■■■■■■■



 ………………

 …………

 ……



〜ストーンヘンジ〜

レッド「…………」

レッド「……」

レッド「……って、おぉ!? 何処だ、ここ!?」

レッド「……あぁ、そうだ。俺、オリカさんにダイブしたんだっけ」

レッド「ここが、コスモスフィア――レーヴァテイルの心の中か……。夢と違って感覚は正直、現実と変わらないな……」

 キョロキョロとあたりを見回してみる、レッド。
 すると、目に飛び込んできたのは――

レッド「…………なんだ、コレ?」

 視界いっぱいに埋め尽くされた大量の茨だった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 16:21:47.66 ID:y/1ig9Q0<>(ボガッ!)

レッド「いてっ!?」

 突然、後頭部に痛みがはしる。
 どうやら、何かに殴られたらしい。

レッド「な、なんだぁ?」

 思わず振り返ってみる。
 すると、そこにいたのは――なんだかよく分からない存在だった。

???「貴様ぁ! オリカさんの世界に無断で立ち入るとは不届き千万! 何奴だ!? 名を名乗れ!」

レッド(……な、なんだ、こいつ? 新種のポケモン?)

 いや、本当に、説明するのが簡単なように見えて難しいくらい、なんだかよく分からない存在だった。
 試しにその外見的特長を捉えて説明してみるならば……
 頭に鍋を被り、背中には赤いマント、腰には刀を提げた(『挿している』んじゃなくて本当に『提げている』)、熊の様にも獅子の様にも見える生き物(?)。
 ――うん。本当によく分からない。どことなく愛くるしさは感じるけど……

レッド(なんだろう。どことなく声はジャックに似ているような……)

レッド「お、俺はレッド。一応オリカさんからは、ダイブの了承を得たからここに来たんだけど……」

???「拙者はどんすけ。オリカさんの心のナイトだ」

 レッドは、その名前は『ドンくさそう』だから『どんすけ』なのか? それとも、何かの首領(ドン)っぽいから『どんすけ』なのか非常に気になったが、あえて口には出さないことにした。
 言ったら、きっとまた殴られると予感がしたからだ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 16:23:09.07 ID:y/1ig9Q0<>レッド「心のナイト?」

どんすけ「なんだぁ? お前、『心の護』も知らないのか?」

レッド「あ、あぁ。実は俺、ダイブははじめてで……」

どんすけ「まったく……しょうがない奴だ。それなら一から説明してやる」

レッド「お願いするよ」

どんすけ「『心の護』というのは、レーヴァテイルの心の中に入り込んだものが勝手な真似をしないように監視する存在のことだ」

レッド「要するに、ボディーガードやSPみたいなものか?」

どんすけ「そういうことだ。つまり、拙者の目が黒いうちはお前の好き勝手にはさせんからな! ここでは拙者が常にお前に付き添って行動するから覚悟しておけ!?」

レッド(別に俺は悪いことするつもりはないんだけどなぁ……。まぁ、用心に越したことはないってことか……)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 16:23:40.24 ID:y/1ig9Q0<>レッド「……それで、ダイブは詩を紡ぐ作業だと聞いたんだけど、具体的に俺は何をすればいいんだ?」

どんすけ「それ自体は難しいことじゃない。この世界でオリカさんを見つけて、一緒にこの世界を回っていけばいい」

レッド「ふぇ? コスモスフィアにもオリカさんはいるのか?」

どんすけ「当たり前だ。ここはオリカさんの世界なんだからな」

レッド「えぇと……。どこにいるかまでは教えてくれないの?」

どんすけ「それぐらい自分で探せ! ……もっとも、見つけられたとしても、お前のような輩のためにオリカさんが詩を紡ぐとは思えんが……」

レッド「で、ですよねー……現にこんな茨がびっしり生い茂っちゃっているし……これ、明らかに俺に『入ってこないでください』って言っているようなものだよね?」

どんすけ「オリカさんは訳あって、そう易々と他人を受け入れるような人ではないからな。普段のオリカさんはこの茨に護られて平穏に暮らしているのだ!」

レッド「う〜ん……。でもせっかくダイブしたんだ、とりあえずこの世界を歩いてみよう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 16:25:40.89 ID:y/1ig9Q0<>短いですが、一度ここで投下終了
後半部はまた後ほど<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 21:44:55.23 ID:y/1ig9Q0<>続きいきます<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 21:45:51.79 ID:y/1ig9Q0<>〜コスモスフィア内〜

レッド「ほ、本当にあちこち茨だらけだな……。なぁ、さっきの所以外でこの茨が生えていない場所はないのか?」

どんすけ「さぁな、拙者には分からん。自分で確かめろ」

レッド「ソウデスカ……」

 数十分後……

レッド「ん? 何か見えてきたぞ?」



〜いのちの塔〜

レッド「……なんだ、コレ? こんな所に塔が……」

どんすけ「これは『いのちの塔』。全てのレーヴァテイルの心に存在するものだ」

レッド「全てのレーヴァテイルに? ……もしかして、現実世界のあの巨大な塔とも関係しているのか?」

どんすけ「ほぅ、お前、なかなか察しが良いな。そうとも、ここは現実世界の塔とコスモスフィアの精神的接合面だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 21:48:09.27 ID:y/1ig9Q0<>レッド「……どういうこっちゃ?」

どんすけ「詩魔法は、現実世界の塔から力を貰って『想い』を具現化させるものだ。つまり、詩魔法を紡ぐ時はここから力を貰っているというわけだ」

レッド「なるほど、だからコスモスフィアでも変わらずに塔として存在するわけか」

 じっと『いのちの塔』を観察するレッド。
 するとここで、あることに気が付いた。

レッド「……なぁ、なんかこの塔の周りだけ、やけに茨の密度が濃くないか?」

どんすけ「あぁ、言われてみればそんな気がするな」

 ふと、レッドはここで自分が知る限りの現実世界でのオリカのことを思い出してみる。

レッド(……これって、オリカさんが自分自身に自信が持てていない表れってことなのかな?)

レッド「……おっと、さすがに何時までもここにいる訳にはいかないな。オリカさんを探さないと」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 21:53:06.04 ID:y/1ig9Q0<>〜井戸〜

レッド「……ん? こんな所に井戸があるぞ?」

どんすけ「あぁ、危ないからそこには近づかない方がいいぞ」

レッド「え? 見るからにただの井戸じゃないか?」

どんすけ「覗いてみれば分かる」

 言われたとおりに井戸の中を覗いてみる。
 すると――

レッド「うわっ!? 深過ぎて、底が見えないぞ! どうなっているんだ!?」

どんすけ「分からん。この井戸は、この世界が“生まれる以前から存在している”のだ。何故このようなものがあるのかは、おそらくオリカさん自身も分からないだろう」

レッド「ふぅん……」

 ざっと井戸の様子を観察してみる。
 ……何やら、文字のような模様が刻まれているが、それ以外は特に何の変哲もない、典型的な井戸であった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:01:24.94 ID:y/1ig9Q0<>レッド「それにしても、変わった模様だな……」

どんすけ「それは『ヒュムノス文字』だ」

レッド「『ヒュムノス文字』?」

どんすけ「お前、現実世界でオリカさんの詩魔法の詠唱を聞かなかったのか?」

レッド「いや、2回ほど聞いてるけど……」

どんすけ「その詠唱の時に読まれている言葉が『ヒュムノス文字』だ」

レッド「あぁ、あれが……。なぁ、これ何て書いてあるのか、読める?」

どんすけ「まぁ、読めなくはないが、そこに刻まれている言葉の意味をお前に教えるわけにはいかんな」

レッド「どうして?」

どんすけ「その言葉はオリカさんにとって『とても大切なもの』だからだ」

レッド「あぁ、そういうことなら……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:03:37.81 ID:y/1ig9Q0<>〜コスモスフィア内〜

レッド「う〜ん……。かなり奥まで歩いてきたけど、一向にオリカさんが見つからないぞ……」

どんすけ「当たり前だ。コスモスフィアはレーヴァテイルの繊細な心の表れ。散歩やピクニック感覚で歩き回られてもこっちが困る!」

レッド「べ、別にそんなつもりは……」

どんすけ「まぁ、お前が本当にオリカさんを求めているなら、もっと気合を入れて探すことだな!」

レッド「わ、分かったよ……ん!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:06:59.08 ID:y/1ig9Q0<>〜岩戸の小屋〜

レッド「こんな所に小屋が……もしかして、ここにオリカさんはいるのか!?」

どんすけ「さぁな、自分で確かめてみることだ」

レッド「よ、よし!」

 大急ぎで小屋に近づくレッド。
 だが――

レッド「……って、なんだぁ!? 扉とか窓とか煙突とか、中に入れそうな所には一面茨が茂っているぞ!?」

どんすけ「おー、これは凄いな」

レッド「関心している場合か!? これじゃ中に誰かいるかどうかも確認できないじゃないか!?」

どんすけ「……じゃあ、どうするんだ?」

レッド「ど、どうするって……」

どんすけ「諦めるのは簡単だ。だが、ここで諦めるようじゃあ、お前がこの世界でオリカさんと出会うことなんて一生無理というものだ」

レッド「…………」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:08:42.69 ID:y/1ig9Q0<>レッド「……そうだな。オリカさんだって、勇気を出して俺をダイブさせてくれたんだ。だったら、俺もそれにちゃんと答えないとな」

どんすけ「…………」

レッド「よぉし……!」

 小屋から少し離れる。
 そして――

レッド「うおおおおおおおお!! いくぜえええええええ!!」

 大量の茨が生い茂る小屋の扉に向かって、レッドは一気に駆け出した。

(バァン!)

 そして、そのまま扉に全身全霊を込めて体当たり。
 勢いそのまま、レッドは扉をぶち破り、小屋の中に飛び込む形となった。
 茨と扉に激突した際の衝撃と、小屋に飛び込んだ際の衝撃で、三重の苦痛を弔うことになったが――

レッド「わ、我ながら、なかなか無茶苦茶な真似をしたもんだ……」

 よっこらせ、と身を起こすレッド。
 小屋の中は――暗かった。

レッド「……あれ? ……もしかして、誰もいないのか?」

どんすけ「バカ。よく見てみろ」

レッド「よく見る? ……あ!」

 小屋の奥をよく見ると、うっすらと光が点っていた。
 近づいてみると、そこにいたのは――<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:12:00.10 ID:y/1ig9Q0<>レッド「オリカさん!」

 そこにはオリカがいた。
 そして、明かりの正体は彼女の近くを浮いていた小さな火の玉だった。

火の玉「おやおや、こんな所にお客さんなんて珍しい」

レッド「え!? こ、コイツ喋ったぞ!?」

火の玉「喋った方がカワイイだろ?」

レッド「あ、あぁ、そう言われてみると……」

オリカ「…………」

レッド「あ。オリカさん……その……」

オリカ「……まさか、あたしなんかのために、こんな所まで探しに来てくれるなんて思ってなかった……」

レッド「え?」

オリカ「……だから、あたしもあなたのことをもう少し信じてもいいと思う……!」

 オリカのその言葉と同時に、コスモスフィアに異変が起こった。
 小屋の外から突然、眩い光が照らし出したのだ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:13:34.32 ID:y/1ig9Q0<>どんすけ「これは、まさか……『パラダイムシフト』!?」

レッド「『パラダイムシフト』?」

どんすけ「説明している暇はない! この光が消える前に、早くオリカさんとストーンヘンジへ……この世界で最初にお前がいた場所へ向かえ!」

レッド「わ、わかった! ええと……オリカさん、それじゃあ行こうか?」

オリカ「……(こくり)」

 緑魔法【火炎弾】を紡ぎ出した!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:15:31.89 ID:y/1ig9Q0<>〜ストーンヘンジ〜

レッド「これは……」

 レッドたちがストーンヘンジへ戻ると、そこでは不思議なことが起こっていた。
 ストーンヘンジの中心から光が溢れているのだ。

レッド「これが『パラダイムシフト』ってやつなのか?」

どんすけ「そうだ。『パラダイムシフト』とはレーヴァテイルにおける精神の成長を意味する。この光にオリカさんが入れば、この世界――『レベル1』は完了だ」

レッド「要するに、この世界のクリア条件を満たしたってことか?」

どんすけ「まぁ、そんなところだ」

レッド「……オリカさん」

オリカ「……うん」

 頷いたオリカが光の中へと足を踏み入れる。
 それと同時に、レッドの視界も光に包まれた――<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:16:27.91 ID:y/1ig9Q0<> LEVEL 1
 COSMO SPHERE

 Ma num ra chs pic wasara mea,
 en fwal syec mea.
 Was yea ra chs mea yor en fwal.
 en chs hymme.
 ■■■■■■■■

 C L E A R E D .

 オリカのコスモスフィアLv1を完了しました。



 ………………

 …………

 ……



どんすけ「まさか、お前がオリカさんに『パラダイムシフト』を起こさせるとは思わなかった」

レッド「え? もしかして、俺が起こしちゃったら何かマズかったのか?」

どんすけ「いや、オリカさんが一歩成長するできたことは拙者としても喜ばしいことだ。礼は言っておく」

レッド「ど、どういたしまして……」

どんすけ「では、さらばだ。オリカさんがお前をレベル2に入れてくれるようなら、また会うことになるだろう」

レッド「あ、あぁ。またね」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:18:25.05 ID:y/1ig9Q0<>〜ダイブ屋〜

レッド「…………ん?」

ダイブ屋「お疲れ様。どこも異常はないかな?」

レッド「え、えぇ……。そうか、現実世界に戻ってきたのか……」

ミシャ「あ、起きた? おはよう」

ライナー「お。レッドたちも終わったみたいだな」

レッド「あ、あぁ……」

ミシャ「どうだった、はじめてダイブしてみた観想は?」

レッド「どうって言われても……あ、オリカさん」

オリカ「…………」

レッド「……お、オリカさん?」

オリカ「……オリカ」

レッド「え?」

オリカ「これからは、呼ぶときは『オリカ』でいいです」

レッド「…………」

オリカ「…………」

レッド「わ、わかったよ。オリカさ……オリカ」

オリカ「はい……!」

ミシャ「…………」

ライナー「……? ミシャ、どうしたんだ?」

ミシャ「別に……ちょっとあの子が羨ましいなって思っただけよ」

ライナー「オリカを? 何で?」

ミシャ「はぁ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:19:50.24 ID:y/1ig9Q0<>〜ほたる横丁〜

ミシャ「それで、お2人さん、ダイブしてみてどうだった?」

ライナー「どうだったと言われても……。コスモスフィアでの出来事は基本的にダイブした相手も含んで他人には言ってはいけないから、何と言えばいいか……」

レッド「……あれ? その言い分だと、ミシャちゃんやオリカはダイブのことを覚えていないのか?」

ミシャ「自分のコスモスフィアのことは覚えてないよ。私たちにとってダイブ中は寝ているのと対して変わらないし……」

オリカ「はい。だから、あたしたち自身、コスモスフィアで何か変なことが起きたんじゃないかと不安になったりもします……」

レッド「……最後に『パラダイムシフト』とかいう現象が起きたけど、そのことも記憶にないか?」

ミシャ「えっ!? 『パラダイムシフト』起きたの!?」

レッド「あ、あぁ……」

オリカ「そうですか、だから……」

レッド「?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:26:53.39 ID:y/1ig9Q0<>オリカ「実は……あたし、ダイブする直前まで、本当にレッドさんとダイブしてよかったのかなって不安だったんです」

レッド(あぁ、だから……)

オリカ「でも、今は不思議とダイブしてよかったと思っています」

レッド「そうか、それはよかった……」

ミシャ「む……。ライナー、私のコスモスフィアでは『パラダイムシフト』は起きなかったの!?」

レッド「え!? も、もちろん起きたよ。ミシャは何か変わったところはないのか!?」

ミシャ「そうよね、ライナーが私のコスモスフィアに入ったんだもの、『パラダイムシフト』のひとつやふたつ起きて当然よ。ダイブが終わってから頭の中がスッキリしてるし……」

レッド「オリカもそんな感じなのか?」

オリカ「はい……」

ミシャ「『パラダイムシフト』っていうのはね、厳密にはレーヴァテイルの心のわだかまり――要はモヤモヤを解消するってことなのよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:29:27.20 ID:y/1ig9Q0<>ミシャ「私も、本当はライナーに自分自身を見てもらうことがちょっと不安だったの……。でも、今は逆にもっと私を見て欲しいって思えるようになったわ!」

レッド「つまり、オリカもミシャちゃんも一段階成長したってことか」

ミシャ「そういうこと! ……あ、私のことも『ミシャ』でいいわよ? 同年代なんだし」

レッド「あ、あぁ。わかった」

レッド(……どう見ても18歳には見えないけどなぁ。まぁ、本人がそう言っているなら、そういうことにしておこう……)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:32:24.96 ID:y/1ig9Q0<>ミシャ「さぁ、コスモスフィアで新しい緑魔法も紡げたし、これでこの街から脱出できるわ!」

レッド「あぁ、ダイブ屋に立ち寄っていたのはそのためだったのか。でも、何で新しい魔法を紡ぐ必要があったんだ?」

ライナー「あぁ、実は『カラコラ通り』を向かってすぐの所に外壁のもろい部分があって、そこを壊せば塔に通じるパイプラインに出られるんだよ」

ミシャ「でも、そこが思っていたよりも頑丈でね、爆破しようにも、そんなことしたらすぐに『天覇』の連中が飛んできちゃうでしょ?」

レッド(ば、爆破って……)

ミシャ「だから、雷の詩魔法で焼ききることにしたのよ」

オリカ「……『雷』で?」

ミシャ「そう、雷で! ……? どうかしたの?」

レッド「…………」

オリカ「…………」

ライナー「…………あっ!?」

ミシャ「? ライナーまでどうしたのよ?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:35:27.66 ID:y/1ig9Q0<>オリカ「……すごく、言いにくいんだけど……」

ライナー「その……な……」

レッド「……俺、詩魔法じゃないけど、雷を起こす手段を持っているんだ……」

 そう言ってレッドは、モンスターボールをひとつ手に取ると、その中にいるポケモンをミシャの前に呼び出した。

ピカチュウ「ピッカッチュ〜ウ♪」

 呼び出された張本人は、重くなっている周りの空気も気にせず、軽く伸びをすると両頬の電気袋をバチバチと弾けさせた。

ミシャ「…………」

ライナー「…………」

オリカ「…………」

レッド「…………」

ミシャ「……ええぇーーーーーっ!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:36:20.44 ID:y/1ig9Q0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「よう、みんな。グリーンだ。レッドの野郎、異世界に迷い込んだどさくさに紛れて女の子と仲良くしやがって、なんて羨ましい……じゃなくて!」

グリーン「今回は本編中に登場した単語・『緑魔法』について簡単に説明する」

グリーン「緑魔法とは、『アルトネリコ』原作中においてフィールド上でのみ使うことが出来る詩魔法の総称だ」

グリーン「『アルトネリコ』のフィールド上には、この緑魔法で破壊できる箇所がいたる所に存在する。そこに、この緑魔法をぶつけて破壊するんだ」

グリーン「要はポケモンで言うところの『いあいぎり』や『いわくだき』に該当する詩魔法だ」

グリーン「ただし、『アルトネリコ』の破壊可能な箇所はポケモンの木や岩のように、一撃で破壊することは出来ない。耐久値が0になるまで何度も緑魔法を当てる必要がある」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:36:49.06 ID:y/1ig9Q0<>グリーン「また、ぶっ壊すだけがこの緑魔法の役割じゃない。他にも燭台に火を点したり、電子機器を起動・解除したりなど場所によっては様々な使用方法がある」

グリーン「このあたりは、どことなく『ゼ●ダの伝説』とかを彷彿させるような気もするが……何、気にすることはない」


グリーン「それじゃあ、今回はこの辺で。次回はいよいよ『ほたる横丁』脱出だ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/29(木) 22:39:49.17 ID:y/1ig9Q0<>というわけで第5話投下完了です
せっかくのクロスオーバーなんで、コスモスフィアの内容は原作とは少し違うものにしてみました
なんか、どんすけ少しキャラちげぇかも?ww

第6話前半部の投下開始は明日の午前中を予定しています<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/29(木) 23:40:40.90 ID:T5D7j8Eo<>追いついた、アルトネリコは知らないけど興味でてきたわ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/30(金) 00:15:23.40 ID:5mGuemso<>緑魔法なついwwwwww
>>76のためにネタばれしないようにするっさ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/30(金) 11:59:00.73 ID:5mGuemso<>どっこい定食くってくる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 12:45:30.43 ID:zOr6jxI0<>お待たせしました
少し遅れましたが、第6話前半部投下します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 12:45:59.64 ID:zOr6jxI0<>●PHASE1 第6話

 あの後、いろいろとあった(主にポケモンとレッドのことについてミシャに説明)が、何はともあれ、4人は動力部の壁を破壊し、パイプラインへとやって来ていた。

 ちなみに、その壁を破壊したのはミシャの緑魔法『雷弾』である。
 「せっかく紡いだのだから、使わずにいるのは」という満場一致による決定であった。

 ……決して、ミシャに申し訳がなかったなかったレッド(と彼のポケモンたち)が、自分から壁を壊す役目をミシャに譲ったわけではない、決して。



〜パイプライン〜

レッド「うわっ、このパイプライン、俺たちが通ってきた方よりも幅が狭いぞ!?」

ライナー「そういえば、レッドたちはどうやって『ほたる横丁』まで来たんだ? 港の便はガーディアンのせいで全便欠航していたはずだけど……」

レッド「あぁ、だからオリカと2人でリザードンに乗って飛んできたんだ」

 ちょっと無茶な真似だったかもしれないけど、と付け加えて苦笑いをしてみせるレッド。

ライナー「お、お前の連れているポケモンっていうのが改めて凄いと思ったよ……」

ミシャ「……ね、ねぇ、ライナー?」

ライナー「ん?」

 声のした方へ目を向けると、そこにはパイプラインの手前で座り込んでしまっているミシャの姿があった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 12:47:36.90 ID:zOr6jxI0<>ライナー「!? ミシャ、どうしたんだ!? まさか、具合でも悪いのか!?」

ミシャ「ち、違うの! そ、その……」

レッド「?」

ミシャ「私、高いところ駄目なのよ……!」

ライナー「あぁ……」

レッド(高所恐怖症か……)

オリカ「……今までこの島に住んでいたのに、苦手ってのも変な話じゃない?」

レッド(ちょwwwwwwオリカさんwwwwwwwwww)

ライナー(ず、随分とキツイ突っ込みを……!)

ミシャ「だ、駄目なものは駄目なのよ!」

レッド「確かに、言われてみたら、こんな高い所誰でも少しくらいは怖いと感じるよなぁ……」

 レッドはそう言いながら、足元から見える『死の雲海』を軽く見渡してみた。

ミシャ「ね、ねぇ、ライナー……手繋いでいてくれる?」

ライナー「……それで、大丈夫なのか?」

ミシャ「なんとか……。で、でも、絶対に放さないでよ!? 放したりしたら、しがみつくからね!?」

ライナー「大丈夫だって、そんなことしないよ」

 そう言って、差し出されたミシャの手を取り、握るライナー。
 それを確認すると、ミシャもゆっくりと立ち上がった。
 まだ若干震えてはいるが、これなら問題なさそうだ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 12:49:46.69 ID:zOr6jxI0<>オリカ「……でも、『放すな』と言われると、逆に放したくなったりするよね?」

レッド「オリカーーーーー!?」

ライナー(お、オリカ、君ってそんなキャラだったか?)

レッド(も、もしかして、これがコスモスフィアで『パラダイムシフト』を起こした影響……!?)

ライナー「それにしても、ミシャに意外な弱点があったんだな」

ミシャ「……嫌いになった?」

ライナー「いや、むしろ安心したって感じかな? ほら、誰だってひとつやふたつは苦手なものってあるだろ?」

レッド「ライナーの言うとおりだ。それに、これくらいなら逆に可愛げがあるくらいだと俺は思うぞ?」

ミシャ「うー……また子供扱いして……!」

レッド「そんなつもりで言ったんじゃないんだけどな……。それじゃあ、行こうか」

ライナー「あぁ」


 それから1時間ほどパイプラインを歩き続けた一向は、ついに塔の壁面部に到着し、ひとまず『ほたる横丁』から脱出することには成功したのであった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 12:52:22.17 ID:zOr6jxI0<>〜塔壁面〜

レッド「……ついに塔まで付いたな」

ミシャ「正確には塔の壁面だけどね」

ライナー「しかし、凄いな。こんな所にも植物が生い茂っているなんて」

オリカ「……そんなに珍しいことでもないと思うよ?」

ライナー「いや、プラティナじゃあ植物なんてほとんどないからさ……」

ミシャ「あぁ、言われてみればそうだったかも……」

オリカ「……そうなの?」

ライナー「まぁ、普段の俺はこうして自然に身近に触れる機会がほとんどない仕事をしているから、そう思ったってのもあるかもしれないけどな」

レッド「確か『エレミアの騎士』だったか? なぁ、ネモに戻ったらその話も含んで、プラティナのこととか詳しく聞かせてくれないか?」

ライナー「あぁ、いいぜ」

ミシャ「私たちはむしろ、あなたのことをもっと詳しく教えてほしいところだけどね」

オリカ「はい……」

レッド「俺の?」

ミシャ「当たり前でしょ。違う世界の人間なんて本来空想の中でしかありえないようなことに興味を示さないほうがおかしいってものよ」

レッド(そういえば、こっちの世界に来て数日経つけど、元の世界の手がかりになりそうなものはひとつも見つかっていないな……)

ライナー「まぁ、その件は今は置いといて、そろそろ先に進もう」

ミシャ「えぇ。……あら?」

レッド「? 今度はどうした?」

ミシャ「あんなところに、人がいるわよ?」

オリカ「え?」

ライナー「……本当だ。誰か寝てるぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 12:53:10.90 ID:zOr6jxI0<>???「…………」

レッド「な、なんでコイツ、こんな所で寝ているんだ?」

オリカ「行き倒れ?」

ライナー「あれ? この子確か……」

レッド「知っているのか?」

ミシャ「え、えぇ、私たちが『天覇』の本社から脱走する途中で、島の動力部で一度会ったことがあるの」

ライナー「その後すぐに『天覇』の奴らが現れたから、お互い逃げる形で別れちゃったんだけど……」

オリカ「……ということは『天覇』の人じゃない?」

レッド「それなら失礼して……。お〜い、起きろ〜」

???「ん……。誰? ……もしかして、ルーク?」

レッド「ルーク? 俺は『スターウォーズ』の主人公でも『生まれた意味を知るRPG』の主人公でもないぞ?」

ミシャ「なんの話よ、それ……」

オリカ「すっごく気になります……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 12:56:49.94 ID:zOr6jxI0<>???「……ルークじゃないか。そりゃあ、そうだよね……」

ライナー「なぁ、君さっき島の動力部で会ったよな?」

???「君たちは……あぁ、あの時の」

ライナー「そう言えばお互い名前教えていなかったな。俺はライナー。こっちはミシャ。あと、この2人が……」

レッド「レッドだ」

オリカ「……オリカ」

???「……ボクはクルシェ」

ライナー「クルシェか。さっきの様子からして『天覇』の人間じゃなさそうだけど、なんであんな所にいたんだ?」

クルシェ「『関係者以外立ち入り禁止』の場所にちょっとお邪魔いていただけだよ。……飛空挺のパーツをいただきに……」

オリカ「……ドロボー?」

クルシェ「違うよ。……それに、そんなこと言ったら、あの時ボクと同じ場所にいたライナーたちだって何者なのさ?」

ライナー「あ、いやぁ、俺たちもちょっと訳あって『天覇』から追われている身でな……」

レッド「ところで、クルシェはなんでこんな所で寝ていたんだ?」

クルシェ「『滞空岸壁』に『どうしても取りに行かなきゃいけないもの』があるんだ。でも、港は全便欠航状態でおまけに何時復旧するかも分からなかったから、歩いて取りにいくことにしたんだ」

ミシャ「『滞空岸壁』に!? それって、つまりは塔の外壁を登るってことでしょ!? 何かの冗談でしょ!?」

クルシェ「でも、それ以外に方法はないでしょ? 現にここまでは無事に来れたんだから、問題ないと思うけど?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 12:59:56.54 ID:zOr6jxI0<>ライナー「……ん? パイプラインのルートは全部塞がれていたはずだけど、どうやって……」

クルシェ「途中、ブロックの山に塞がれているルートがあったでしょ? そこをよじ登って通ってきた」

ライナー「あ、あれを自力でよじ登ってきたのか? お前、意外と凄いな……」

クルシェ「……そのせいで、パイプラインを超えたところで疲れちゃったけどね……」

レッド「あぁ、だから寝てたのか」

オリカ「……あれ? でも、まだ空にはガーディアンがいるはずだから、仮に『滞空岸壁』に行けたとしても危ないんじゃ……」

クルシェ「それでもボクはどうしても行かなきゃならない」

ライナー「……何かいろいろと事情があるみたいだな。もしよかったら、俺たちと一緒に行かないか?」

クルシェ「君たちと?」

ライナー「あぁ」

レッド「……その『滞空岸壁』っていう場所は、ネモに向かう途中にあるのか?」

ミシャ「え、えぇ。確かに方角は一緒だけど……」

ライナー「いいじゃないか。人数は多い方が万が一の時でも安全性は増すだろ?」

ミシャ「そ、それは、そうだけど……」

レッド「俺はライナーの意見に賛成だな。正直、この先は何かあるか分からないし」

オリカ「あたしも、そう思う……」

ライナー「決まりだな。よろしくな、クルシェ」

クルシェ「……うん。よろしく」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 13:01:24.73 ID:zOr6jxI0<>前半部投下終了です
後半部の投下は本日の夜を予定しています

そろそろ鳥付けたほうがいいかな?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/30(金) 15:32:54.76 ID:5mGuemso<>酉は好きにするといいんじゃないか?俺は気にしない。残念な事にほとんど人いないしなwwwwww
クルシェかわいいよクルシェ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/30(金) 17:44:16.18 ID:ecdAkfwo<>シエンヌ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/30(金) 18:03:06.64 ID:WHfWtQDO<>俺も居るゼ

ポケモンもっと出してー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/04/30(金) 22:17:21.55 ID:GzSaBmo0<>レッドの手持ちはなんなの?
今のところ出てるのは、ピカ、エーフィ、リザ、カビだよね?

順当ならフシギバナとカメックスか<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:06:28.67 ID:zOr6jxI0<>続きいきます<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:08:08.65 ID:zOr6jxI0<>〜段々畑〜

レッド「……しかし、ここまで順調に進んできているのはいいけど」

ライナー「ん? どうした?」

レッド「いや、大したことじゃないんだけど……ここって一応、浮翌遊大陸じゃなくて塔の側面なんだろ?」

ミシャ「そうね。正確にはここは植物の蔓の上よ」

レッド「そんな所でも、家を建てて生活している人もいるんだなぁと思って……」

オリカ「……そういえば、さっきも『みりん干し』作ろうとしている人がいましたね……」

クルシェ「ボクが聞いた話では、辺境好きな変わり者とかはこういう場所に自分から住み着くらしいよ」

レッド「……そういえば、俺の世界にもどんな場所でも常に海パン一丁な奴とかいたなぁ……」

クルシェ「え? 俺の世界? 海パン?」

レッド「あぁ、そういえば、クルシェにはまだ説明していなかったんだよな……」

ライナー「ん? これは……」

 ふと、ライナーが足を止める。
 彼の視線の先にはひとつの大きな扉があった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:09:50.45 ID:zOr6jxI0<>レッド「やけに大きな扉だな」

クルシェ「確かこれ、『塔の中に入れる』って言われている扉だよ」

レッド「塔の中に?」

クルシェ「うん。ほたる横丁ができるよりも前からあるらしいんだけど、今まで開くことができた人は誰1人いないって話を聞いたことがある」

オリカ「開かずの扉ってこと?」

クルシェ「そう。以前『天覇』の人間やレーヴァテイルが力ずくで開けようとしたこともあるらしいけど、結局開くことはおろか破壊することも出来なかったとか……」

ミシャ「……そうね。確かに“下界の人間じゃ”どうすることも出来ないわね……」

ライナー「…………」

レッド「ライナー、どうした?」

ライナー「俺の記憶が正しければ、この扉は……」

 そう言いながら、ライナーは扉にある程度の距離まで近づくと、再び足を止める。
 そして、左手をゆっくりと扉の方へを伸ばした。
 すると――

???『ここはB1隔壁ゲートNo3です。認証者は一歩前へ進み出てください』

クルシェ「!?」

レッド「な、なんだ!?」

オリカ「え? え? え?」

ミシャ「…………」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:12:32.86 ID:zOr6jxI0<> 突然、ライナーの前に少女の姿をした立体映像(ホログラム)が映し出された。
 立体映像の少女は、言われたとおり一歩前へ進み出たライナーに対して再び口を開く。

???『FFTスペクトラム認証。ライナー・バルセルト、指示をどうぞ』

 ライナーは左手を下ろし、今度は右手を前に出す。
 するとライナーと少女の間に、四角いウィンドウが表示された。

ライナー「B1隔壁ゲートNo3を開放する」

 その宣言の後、ライナーはどこかで聞き覚えのあるフレーズを口にした。

ライナー「Ma paks ga exec bansh B1III ar noes」

レッド(あれ? 今のって……)

???『コード認証しました。隔壁開放まで2秒。状況、通行許可、入りました』

 その言葉と同時に、少女とウィンドウは消え、扉が音を立ててゆっくりと開き始めた。

ライナー「よかった。機能が生きてて……」

ミシャ「やったね! 塔の中を通ったほうが楽だし、安全よね」

クルシェ「扉が……開いた……」

レッド「なるほど、今まで一度も開かなかったのは上階層の技術によるものだったからか」

ミシャ「そういうこと」

クルシェ「ライナー……君は一体……?」

ミシャ「ライナーは『エレミアの使徒』なのよ。今はいろいろと訳があってこの下界へと降りてきているの」

ライナー「おいおい、勝手にバラすなよ!」

クルシェ「『エレミアの使徒』……まさか、塔の上から来たっていうの!?」

ライナー「……まぁ、歩きながらでもおいおい説明するよ。とりあえず中に入ろう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:17:41.18 ID:zOr6jxI0<>〜塔内部〜

クルシェ「……見たことともない建築構造だ。それに、使われている材質も……こんな素材今まで触ったこともないよ」

ミシャ「ユーテリア素材ね。建物の材質によく使われるの」

クルシェ「……興味あるな。ちょっとだけ削り取って拝借していこうかな?」

ライナー「おいおい、俺だって何が起こるか分からないから、そういうのは止めてくれよ」

クルシェ「冗談だよ。興味があるのは本当だけど……。それよりも、さっきの扉のことも含んで、説明してほしいな」

ライナー「あ、あぁ……」


 少年、説明中……


ライナー「……というわけで、俺は下界に降りてきたんだ」

クルシェ「大体のことは把握したよ。さっきの扉のこともあるし、嘘じゃなさそうだし……」

オリカ「あたしたちは聞くのは2回目だけど、実を言うと、あたしもさっきの扉が開くまでは半信半疑だった……」

レッド「俺は信じてたけどな」

ミシャ「そりゃあ、あなたは自分自身という私たちから見たらもっと半信半疑な存在がいるからね……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:19:58.10 ID:zOr6jxI0<>クルシェ「ところでライナー、ひとつだけ聞いていい?」

ライナー「なんだ?」

クルシェ「そのプラティナに出現した『ウイルス』っていうのは何なの?」

ライナー「え?」

オリカ「そういえば、あたしも気になってました」

レッド「言われてみれば……話からして病原菌とはなんか違うみたいだけど……」

ミシャ「あー……そりゃあ、下界の人やレッドは『ウイルス』のこと知らなくて当然よね」

ライナー「な、なんで?」

ミシャ「だって、『ウイルス』はプラティナの近くにある『使徒の祭壇』から発生して、その場で『エレミアの騎士』に駆除されちゃうんだもの」

レッド「まぁ、その場で倒されてしまうなら下界である『ホルスの翼』の人たちが知らなくて当然だな」

ミシャ「そうね。ちなみに、『ウイルス』というのは、この塔に巣食っている“実体化する悪性プログラム郡”のことよ」

クルシェ「実体化するプログラム? なんか信じられないな」

レッド「要するに、ポリゴンやその進化形みたいなものか?」

オリカ「ポリゴン?」

レッド「俺の世界にいるポケモンの一種だよ。人工的に作られたポケモンで……」

ミシャ「だーーーっ! 話がややこしくなるからレッドは今は黙ってなさい!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:24:02.22 ID:zOr6jxI0<>クルシェ「……ポケモンって?」

レッド「あぁ、俺の方の話はとりあえずライナーたちの話が終わってからにするよ……」

ライナー「『ウイルス』っていうのは、要は“この塔に巣食っている悪い奴ら”と思ってくれていい」

ミシャ「少なくともクルシェは『ほたる横丁』の動力部で『ウイルス』を見てたじゃない。あの黒い奴」

クルシェ「あぁ、あの暴走した作業用機械の近くにいた……。すぐ消えちゃったけど……」

ライナー「あれが、今回プラティナに出現した新種の『ウイルス』だ。おそらく塔のガーディアンが人を襲っているのも、あいつが原因だろう」

クルシェ「なるほど。じゃあ次は……」

 じっとレッドの方へと目を向けるクルシェ。
 それに続く、ライナーたち。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:25:50.47 ID:zOr6jxI0<>レッド「……俺か」

ミシャ「あなた以外に誰がいるのよ?」

クルシェ「さっきの話からして、君もライナー同様下界の人間じゃないみたいだけど……?」

ライナー「俺やミシャはレッド自身のことについては軽く聞いたけど、詳しくは聞いてないしな」

レッド「う、う〜ん……。どこから話そうか……」


 トレーナー、説明中……(脳内でポケモンセンターの回復音を再生してください)


レッド「……そういうわけだから、俺は自分の世界に帰る方法を探している」

クルシェ「ふぅん……。この『ポケモンずかん』っていうのもいろいろと興味あるけど、こっちの『バトルサーチャー』っていうのはどうやって使うの?」

レッド「使い方は簡単だけど、多分この世界では作動しないんじゃないかな? それ、俺の世界で再戦したいポケモントレーナー同士がお互いを呼び合う道具だから……」

クルシェ「そっか……。それにしても、ポケモンっていっぱいいるんだね。ボク一度全部生で見てみたいな……」

オリカ「あたしも……」

ミシャ「そうね。さっき見せてもらったピカチュウっていうのも可愛かったけど、これを見る限り、他にも可愛いポケモンっていっぱいいるみたいね」

レッド「まぁ、いるな。実際、俺やオーキド博士たちも世界にはどれ程のポケモンがいるのかどうかは完全には把握出来ていない」

ライナー「それだけ奥が深いってことか」

ミシャ「……ねぇ、そろそろ出発してもいいんじゃない?」

クルシェ「そうだね。十分休憩もできたし……。はいレッド、ありがとう、もしまた機会があったら詳しく調べさせてよ」

レッド「あぁ」

ライナー「よし、それじゃあ先に進むぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:26:50.12 ID:zOr6jxI0<>〜滞空岸壁〜

ライナー「いやぁ、途中でシャトルゴンドラに乗れて助かったな!」

レッド「あぁ、文明の利器の素晴らしさを改めて理解したよ」

クルシェ「まさか、こんなに早く来れるなんて思わなかった……」

オリカ「……!?」

レッド「? オリカ、どうした?」

オリカ「あれ……!」

ミシャ「……!? あれって、飛空挺!?」

 オリカの指差す先には、確かに飛空挺と思える大きな船が猛スピードで飛んでいた。

ライナー「えぇ!? もう運行再開したのか!? 待っていたほうが早かった!?」

クルシェ「いや……あれは民間機じゃない……」

ミシャ「そうね。民間機ならあんなスピードで運行しないもの……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:27:56.92 ID:zOr6jxI0<>レッド「……な、なぁ、あれ、だんだんこっちに近づいて来てないか?」

クルシェ「えっ?」

ミシャ「い、言われてみると……」

ライナー「…………」

オリカ「…………」

レッド「…………」

クルシェ「…………」

ミシャ「……離れてーーーーー!」

 ミシャのその一言と同時に、一向は自身の背後に向かって思いっきり駆け出していた。
 それから1分もしないうちに、飛空挺が滞空岸壁に強制接壁した。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:28:38.96 ID:zOr6jxI0<>ライナー「み、みんな、大丈夫か!?」

レッド「な、なんとか……」

ミシャ「もう、何なのよー!?」

オリカ「こ、この飛空挺って確か……」

クルシェ「知っているの?」

オリカ「うん……。確か教会の飛空挺だったと思う……」

レッド「なんだって!? ということは……!」

 レッドが口にしようとした言葉が全て言い終わる前に、飛空挺から大勢の神官やレーヴァテイルが降りてきた。
 様子からしてかなり慌てているようだ。

クルシェ「本当に教会の飛空挺だったみたいだね」

ライナー「あぁ……ん? あそこにいるのは……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:29:52.35 ID:zOr6jxI0<>ラードルフ「早く塔の方に避難するんだ! 迅速に動け!」

ライナー「ラードルフ!」

ラードルフ「!? ライナーじゃないか! 何故こんなところに!?」

ライナー「いや、それはこっちが聞きたいよ!? 何があったんだ!?」

ラードルフ「教会のミッションで行動中だったんだが、飛空挺がガーディアンに襲われたんだ!」

ライナー「ガーディアンに!? ……だったら俺がまた倒してやる!」

ラードルフ「無茶だ! この前の奴とは違って、今回の相手は空を高速で飛んでいるんだぞ!」

レッド「高速で空を飛んでいる? それなら俺のポケモンで何とかなるぞ?」

ラードルフ「なっ!? レッド、君までいたのか!? なんか、いつも俺を驚かせてばかりいるな君は……!?」

レッド「話は後。それに、いるのは俺だけじゃないですよ?」

ラードルフ「え?」

オリカ「総司……!」

ラードルフ「お、オリカ!? 何故君まで……!? ……まぁ、説明は後だ! レッド、何とかなると言っていたが、本当なのか!?」

レッド「はい。丁度朝に同じようなことがありましたから」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:32:32.26 ID:zOr6jxI0<>ミシャ「なんか面白そうね。私も手伝うわ」

クルシェ「ボクも。レッドが言っていたポケモンバトルっていうのにちょっと興味あるし……」

ラードルフ「……分かった。俺も微力ながら助太刀しよう」

レッド「それなら、ひとつだけお願いがあります」

ラードルフ「なんだ?」

レッド「俺が指示を出したら、皆さん“わざと”ゆっくり動いてほしいんです。何があっても決して早く動いたりしないでください」

ライナー「な、なんだそりゃ?」

ラードルフ「バカな!? そんなことすれば一方的にこちらがやられてしまうぞ!?」

オリカ「大丈夫ですよ、総司」

ラードルフ「オリカ?」

オリカ「レッドさんの言うことを信じてあげてください」

ラードルフ「は、はぁ……?」

レッド「時間がありませんので、早速始めちゃいましょう。それと、オリカやミシャも詩魔法を使う場合は詠唱はゆっくりでお願いしていいかい?」

ミシャ「分かった。よく分からないけど、ゆっくり詠唱すればいいのね?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:37:08.49 ID:zOr6jxI0<> 戦闘は――あっさり、本当にあっさりと終わってしまった。
 その内容を手短に説明するならば、レッドとオリカが『ほたる横丁』へ向かった時とほぼ同じである。
 あらかじめエーフィを呼び出していたレッドが、ガーディアンを発見するやいなや『トリックルーム』を発動。
 その後、レッドの指示のもと、“本当にわざとらしくゆっくり動いている”ライナー、ラードルフ、クルシェの3名がガーディアンをフルボッコ。
 そして、トドメに後方でこれまたゆっくり詩魔法を詠唱していたオリカとミシャの2人による赤魔法2連発で決着した。

レッド「上手くいきましたね」

ラードルフ「し、信じられん……。本当に何とかなってしまうとは……」

ミシャ「あれ、確か要塞クラスのガーディアンよ……?」

クルシェ「それなのに、向こうは何も出来なかった……」

オリカ「レッドさん、『ほたる横丁』へ向かうときも思ったんですが、一体何を……?」

レッド「エーフィに覚えさせた『トリックルーム』というワザを使ったんだ。このワザを使うと、バトルフィールドの速さの概念が、しばらくの間ひっくり返るんだ」

クルシェ「速さの概念をひっくり返す!? そんなことが……!」

レッド「だから『トリックルーム』が展開されている間は、その中では本来『速い奴が遅くなって』『遅い奴が速くなる』んです」

ラードルフ「なるほど……。我々にゆっくり動くようにと言っていたのはそのためか……」

レッド「実際、俺の世界のポケモンバトルじゃ使うタイミングが結構重要になるワザなんですけどね……。今回は相手がロボットだったから上手くいきましたけど……」

ミシャ「要は人間のように相手が意思を持った相手だったら分からなかったってわけね?」

レッド「そういうこと」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:40:11.20 ID:zOr6jxI0<>ライナー「なぁ、レッド……」

レッド「ん?」

ライナー「確かに、今回の作戦は正直上手くいったと思うよ? だけど……次からは出来れば止めてくれないか?」

レッド「え? 何かマズかった?」

ライナー「い、いや……。別に大したことじゃないんだけどさ……その……」

レッド「?」

ライナー「わざとゆっくり動いて戦うって言うのは……その……非常に恥ずかしい……////」

クルシェ「た、確かに……もしさっきの戦いが誰かに見られていたらと思うと……////」

ラードルフ「う、うむ……////」

ミシャ「それに、わざとゆっくり動くせいで逆に体力使っちゃうしね……」

オリカ「はい……。それに総司やライナーはただでさえ鎧を身にまとっているので余計に……」

レッド「そ、そうか。ごめん、次からはこの作戦は止めにするよ……」

ライナー「そうしてくれ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:42:22.42 ID:zOr6jxI0<>ラードルフ「――まぁ、何はともあれ、おかげで助かったよ。しかし、何故ライナーたちがこんな所に……?」

ライナー「それは……」

ラードルフ「あぁ、ライナーが『天覇』の連中に連れ去られたことはレッドから聞いているよ」

ライナー「……そうなのか?」

レッド「あぁ」

ラードルフ「いやぁ、朝早くからレッドが教会に駆け込んできた時は本当に何があったのかと……。だが、ここにいるということは『天覇』の手から脱出できたということか?」

ライナー「ミシャのおかげでね」

ミシャ「ふふっ。ライナー、私に感謝しなさいよ?」

ライナー「もちろん感謝してるさ。だけど、港がガーディアンのせいで全便欠航状態だったから、やむを得ず歩いてここまで来たんだ」

ラードルフ「なるほど……。それで、レッドとオリカの方はどうしてここに?」

レッド「実はファルス司祭にお願いして、俺がオリカさんのパートナーとなったんです」

ラードルフ「なに? オリカ、それは本当かい?」

オリカ「はい」

ラードルフ「そうか、オリカにもついにパートナーが……それは、おめでとう!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:44:29.75 ID:zOr6jxI0<>レッド「司祭からも許可もいただいたので、早速俺たちはリザードンで『ほたる横丁』まで飛んで、ライナーの救出に向かったんです」

ラードルフ「そして、無事にライナーたちと合流することができて、現在に至ると」

レッド「そうなります」

ラードルフ「……いやぁ、先ほどと同じことを言わせてもらうが、本当にレッドとポケモンたちには驚かされてばかりだな」

ライナー「本当だよ。俺も『ほたる横丁』でレッドとオリカに出会った時は、夢か何かかと……」

ラードルフ「しかしみんな無事で何よりだ。せっかくだから一緒に教会の飛空挺に乗っていかないか?」

レッド「いいんですか?」

ラードルフ「あぁ。ネモに向かうなら、このまま塔を歩いて登るより早いだろう? それに、この前はかなわなかったが、ライナーには是非ファルス司祭に会ってもらいたいしな」

ミシャ「乗せてもらえるなら、お言葉に甘させてもらいましょ。時間の短縮にもなるしね」

ライナー「……そうだな。お願いするよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:47:21.33 ID:zOr6jxI0<>クルシェ「……それじゃあ、ボクはここで失礼させてもらおうかな?」

レッド「あぁそうか、ここにある荷物を取りに来たんだっけ?」

クルシェ「うん。それにボクは自分の飛空挺もあるしね」

ライナー「自分の飛空挺!?」

クルシェ「言ってなかったけど、実はボク、飛空挺エンジニアなんだ」

オリカ「そう言えば、飛空挺のパーツがとか言ってたね」

ライナー「……なぁクルシェ、俺の飛空挺、お前なら直せないかな?」

クルシェ「さっき話していた墜落した飛空挺のこと? う〜ん、使われている技術にもよるかも……」

ミシャ「飛空挺の技術ってそんなに違うもの?」

クルシェ「扉の例とかもあるでしょ? 下界で使われていないロスト・テクノロジーでも搭載されていようものならボクにはさっぱりだよ。興味はあるけど……」

ライナー「そうか……。まぁ、無事にネモに戻れたら一度見てくれよ」

クルシェ「分かった。それじゃあ、また後で」



ラードルフ「そちらの話はまとまったみたいだな。それじゃあ、こちらは出発しよう」

ライナー「あぁ。これでやっと『パージャ』の探索を始められそうだ……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:48:07.57 ID:zOr6jxI0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「ようみんな、グリーンだ。今回は前回までと比べるとやけに長かった気がするぜ。やはり登場するキャラが多かったせいか?」

グリーン「今回は本編中でライナーが扉を開けるときに使った『ヒュムノス語』について簡単に解説しようと思う」

グリーン「……が、正直俺も『ヒュムノス語』についてはさっぱりだから、今回は以前第3話のおまけで登場したSさん(仮名)に解説をお願いすることにした。Sさん(仮名)、よろしくお願いします」

Sさん(仮名)「はい、わかりました。それでは解説させていただきますね」(本人のプライバシー保護のため音声は加工させていただいております)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:48:50.06 ID:zOr6jxI0<>Sさん(仮名)「今回ライナーが使った『ヒュムノス語』は『Ma paks ga exec bansh B1III ar noes』。これは直訳すると、その前に言っていた『B1隔壁ゲートNo3を開放する』という意味になります」

Sさん(仮名)「さて、本編中のレッドさんのように気づかれた方も多いと思いますが、『ヒュムノス語』はレーヴァテイルの詩魔法にも使われています」

Sさん(仮名)「ですが、『詩魔法はレーヴァテイルにしか使うことができないもの』です。そこを十分気をつけたうえで、ここから先の解説は聞いてくださいね?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:49:48.66 ID:zOr6jxI0<>Sさん(仮名)「『アルトネリコ』の世界において『ヒュムノス語』とは大きく分けると3種類存在します」

Sさん(仮名)「ひとつめは『ヒュムノスエクストラト』。『アルトネリコ』の劇中やファンの皆さんの間で単に『ヒュムノス』と呼ばれるものはこれにあたります」

Sさん(仮名)「これは『塔を直接コントロールするための詩』です。これはレーヴァテイルの中でも『ある特別な方』しか使うことができません」

Sさん(仮名)「ライナーが探している『パージャ』や教会が探している『リンカ』はこれにあたります」

Sさん(仮名)「……アルトネリコシリーズ原作未見の方には『アルトネリコシリーズの挿入歌のこと』と言った方が最も分かり易いでしょうか?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:51:48.63 ID:zOr6jxI0<>Sさん(仮名)「次に『ヒュムノスワード』。これが劇中、オリカさんやミシャが謳ったり紡いだりしている詩魔法のことです」

Sさん(仮名)「これは『塔の力を借りて想いを具現化させるもの』です。レーヴァテイルなら誰でも使うことができます」

Sさん(仮名)「ただし、新しい詩魔法を修得するためには早くて2年〜3年の歳月が必要となります。それを短縮するのがパートナーとのダイブです」

Sさん(仮名)「……あ。でも『感情が揺さぶられると現実世界でも瞬時に新しい詩魔法を紡ぐ時がある』そうです」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/04/30(金) 23:54:02.05 ID:zOr6jxI0<>Sさん(仮名)「最後が『ヒュムノススペル』です。今回ライナーが使ったものがこれにあたります」

Sさん(仮名)「これは一言で言ってしまうと『パスワードや合言葉のようなもの』です。塔にあらかじめ登録されている呪文を言えばその効果が出力されます」

Sさん(仮名)「『塔を操作する』という点では『ヒュムノスエクストラト』と同じですが、新しいものを産み出したりはできません。そのかわり、呪文さえ知っていれば人間でも使用できます」

Sさん(仮名)「『アルトネリコ』の世界では今回のように扉の開閉操作などに用いられます」



Sさん(仮名)「……とまぁ、こんな感じです。本編のストーリーが進めばまた何か解説することがあるかもしれません」

グリーン「Sさん(仮名)、本当にありがとう! それじゃあ、今回はこの辺で。次回は今回よりは短くなる……かなぁ?」

グリーン&Sさん(仮名)「「バイビー☆」」





Sさん(仮名)「あぁ、本当に本編で私の出番が来るのは一体何時になるんでしょう……?」

グリーン「……少なくとも本編に登場することが確定している分、俺よりはマシじゃないですか?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 00:01:39.67 ID:359R12s0<>というわけで第6話終了です
しかし、SS投下してる自分で言うのも何だけど、ポケモンってアルトネリコ作品のキャラから見たら本当にチートな存在・技が多い気がww

第7話は土曜日の午前中から投下開始予定です<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/01(土) 02:14:44.34 ID:Ry.9VnEo<>地震とか使ったらホルス崩れそうwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/01(土) 02:53:32.93 ID:Ry.9VnEo<>ミュートがかわいくて生きるのがつらい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/01(土) 13:55:15.61 ID:Qc3inkDO<>ピカチュウが可愛いすぎて生きているのが辛い<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/01(土) 15:44:59.91 ID:Ry.9VnEo<>Was yea ra biron yor ar akata<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 15:59:58.09 ID:359R12s0<>第8話投下します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:01:49.18 ID:359R12s0<>●PHASE1 第7話

〜教会飛空挺〜

レッド「飛空挺か……。まさか旅を続けているうちにこんな乗り物にまで乗れる時が来るなんて思わなかったな……」

ラードルフ「なんだ? レッドの世界では飛空挺は珍しいのか?」

レッド「あ、ラードルフさん。いえ、俺の世界じゃ飛空挺なんて乗り物は現実には存在していませんでしたから……」

ラードルフ「そうなのか。それは元の世界に帰る際のいい土産話ができたじゃないか」

レッド「ははは……ところで、教会のミッションの方はどうでした? 例の『リンカ』とかいうヒュムネクリスタルを探すっていう……」

ラードルフ「残念ながら、今回も手がかり無しだ。まぁ、そう簡単に見つかるのなら、こっちだって苦労はせんがね」

レッド「そうですね……」

ラードルフ「ところで、レッドはオリカのパートナーとなってくれたそうだが、それは元の世界に帰るまでの間は我々教会の一員として活動してくれるということか?」

レッド「……最初はそのつもりでファルス司祭の元に赴いたんですけど、教会の名で『天覇』と表立った争いはできないということでメンバーには加えてもらえませんでした」

ラードルフ「そうか」

レッド「ですが、ライナーも戻ってきた訳ですし、ネモに戻ったら改めてファルス司祭に相談してみようと思います」

ラードルフ「そうだな、俺としてもレッドとレッドのポケモンたちが教会の一員として正式に加わってくれると助かるよ」

レッド「……ところで、オリカ見かけませんでした?」

ラードルフ「オリカなら、さっきデッキの方に向かっているのを見かけたぞ」

レッド「ありがとうございます。早速行ってみますね」

ラードルフ「あぁ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:02:41.00 ID:359R12s0<>レッド「えぇと、オリカは……あ。いたいた」

オリカ「…………」

レッド「オリカ、何やっているんだ?」

オリカ「!?」

(ドゴォ!)

 オリカ の ばくれつパンチ !

レッド「ま、またか……」

オリカ「……はっ! れ、レッドさん!? すみません、あたし……!」

レッド「あ、いや、俺の方こそ驚かせて悪かったな。ところで、何をしていたんだ?」

オリカ「あれを……」

レッド「ん?」

 オリカが指を差す方へ目を向けると、そこにはライナーとミシャの姿があった。

レッド「……あの2人がどうかしたのか?」

オリカ「……あの2人、一体どういう関係なんでしょう?」

レッド「……は?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:03:20.89 ID:359R12s0<>オリカ「ミシャちゃんが言うには、あの2人は幼馴染だそうですけど、あたしにはそれ以上の関係にも見えます……!」

レッド「そ、そうかな? 俺的にはどっちかというと仲の良い兄妹のような感じに見えなくも……」

オリカ「……いいですか、レッドさん。こういうのは早いうちにハッキリさせてしまった方が、後々のためでもあるんです……!」

レッド「そういうものなの?」

オリカ「そういうものです……! ですからここで様子を見て2人の本当の関係を調べてしまいましょう……!」

レッド(な、なんだろう……。『ほたる横丁』でダイブしてから妙に行動的になったような……)



 さて、一方のライナーたちはというと、レッドたちには全く気づくことなく会話を続けていた。


ミシャ「ねぇ、ライナー。少しは私のこと思い出した?」

ライナー「……いや、全然。ごめん……」

ミシャ「いいよ、もう全然期待してないから。随分昔のことだしね」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:04:25.07 ID:359R12s0<>ライナー「……そういえば、ミシャもプラティナに住んでたって言っていたな?」

ミシャ「うん。ライナーがまだ小さかった頃に、私はプラティナから別の場所に移り住んだの」

ライナー「よく考えてみたら、プラティナの外に移り住むなんて珍しいよな」

ミシャ「そうね。私は特殊だから……あまり良い意味じゃないけど……」

ライナー「……どういうこと?」



オリカ「……なかなか話が進展していないようですね……」

レッド「な、なぁ、オリカ、君は一体あの2人に何を期待しているんだ……?」



ミシャ「私、生まれた時からある使命を持っていて……そのためにプラティナを出る必要があったのよ……」

ライナー「……使命?」



オリカ「……! レッドさん、何やら話が面白い方向に入ってきたみたいですよ……!?」

レッド「いや、俺に振られても……」



ミシャ「ライナー……私……」



(ドォン!)



オリカ「きゃっ!?」

レッド「おおっと!?」

ミシャ「え!? 何!?」

ライナー「……! あれは……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:05:24.85 ID:359R12s0<> 突如、飛空挺が轟音とともに大きく揺れた。
 ライナーが頭上を見上げると、そこには一隻の飛空挺がライナーたちの乗る飛空挺の真上に止まろうとしていた。



ライナー「なんだ……あの飛空挺?」

ミシャ「……!? ライナー、あれ『天覇』の特殊飛空挺よ!」

ライナー「なんだって!?」



レッド「いたた……。オリカ、怪我はないか?」

オリカ「は、はい……」

レッド「それにしても、今の揺れは一体何だったんだ?」

 レッドがデッキに出ると、そこには教会の飛空挺の真上に止まる別の飛空挺と、そこから数人の武装した男たちがロープ伝いに降りてくる様子が見えた。
 そして、その男たちの中には、レッドも知っている顔があった。

レッド「あれは……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:08:23.31 ID:359R12s0<>ライナー「――ボルド!」

 ライナーは突然自分たちの目の前に現れた男の名を叫んだ。

ボルド「小僧、まさか塔の中に逃げ込むとはやってくれたじゃねーか……。おかげで飛空挺を出す破目になっちまったぜ……!」

ミシャ「ボルド、あんたいい加減しつこいわよ! 何を言おうと、ライナーも私もあんたの言いなりになんかならないんだから!」

ボルド「そんなことはもうどうでもいい! これだけ煮え湯を飲まされちまったんだ、その気も失せるってもんだぜ……!」

ライナー「それなら何の用だ!?」

ボルド「決まってんだろ! 当初の命令どおり、貴様にはここで死んでもらう!」

ライナー「お断りだ!」

 ボルドの剣とライナーの剣が火花を散らして交差する。
 だが、ボルドは最初からこれを狙っていたのか、一緒に教会の飛空挺へ乗り込んできていた部下たちに指示を出す。

ボルド「野郎共、今のうちにミシャをひっ捕らえろ!」

ミシャ「!?」

ライナー「しまった……!」

???「フシギバナ、『つるのムチ』!」

ライナー「!?」

ボルド「何だと!?」

 突然、ボルドの背後から植物の蔓が2本、もの凄いスピードで延びてきた。
 そのうち1本はボルドの剣を持つ右腕に巻きつき、もう1本はミシャに近づこうとしたボルドの部下たちを弾き飛ばした。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:10:24.58 ID:359R12s0<>レッド「ボルド、またお前か! 男の尻を追いかけるなんて、あまり良い趣味じゃないないな!」

 そう言いながらボルドたちの目の前に現れたのはレッドとオリカ、そしてボルドの腕に巻きついている蔓の本体であるポケモン・フシギバナであった。

ボルド「ちっ! テメーもいたのかレッド! 生憎、今回はテメーの相手をしに来たんじゃねーんだよ……!」

 その言葉と同時に、ボルドは剣を持つ手を瞬時に右手から左手に替え、右手に巻きついていた『つるのムチ』を剣で断ち切った。

レッド「――ッ! フシギバナ、『ヘドロばくだん』!」

ボルド「遅ぉい!」

レッド「!?」

 叫び声と同時に、再び剣を右手に持ち替えたボルドが、デッキに剣を勢いよく叩きつける。
 すると、デッキに亀裂が入り、次の瞬間にはレッドたちの足元が音を立てて崩れ落ちた。

レッド「うわわわわっ!?」

オリカ「きゃ!?」

 咄嗟に飛び退き難を逃れるが、レッドとオリカの間には人間の手によるものとは思えない巨大な穴が出来上がった。

レッド(なんて、力だ……。人間とは思えない……!)

 冷静に状況を分析するレッドであったが、ここであることに気が付く。

レッド「……!? しまった!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:13:25.63 ID:359R12s0<> レッドがそのことに気が付いた時には既に遅かった。
 オリカが――ボルドの目の前にいるのだ!
 先ほどデッキの一部が崩落した際、レッドは後ろに、オリカは前へと飛んだ。
 それが原因で、2人は分散されただけでなく、よりによってボルドにとって圧倒的優位な状況となってしまっているのであった。

ボルド「おやぁ? こいつはひょっとすると、俺にとっては好都合なんじゃねーか?」

オリカ「いや……」

ライナー「やめろ、ボルド!」

ボルド「やめろと言われて、素直にやめる奴が何処にいるんだよ!?」

 その叫び声と同時に、ボルドは左手でオリカの首を力強く引っ掴んだ。
 どうやら、ボルドは相当な力を出しているようで、デッキに着いていたオリカの両足が徐々に浮かび上がる。

オリカ「……っ!」

レッド「ボルド……!」

ボルド「おぉっと、下手に動かない方がいいぜ? 少しでも妙な真似すると、このお嬢ちゃんがどうなるか分からないからな……ん?」

ラードルフ「何事だ!? ……! ボルド!?」

ボルド「よぅ、ラードルフ。ちょいとばかしお邪魔してるぜ」

ラードルフ「貴様……オリカを放せ!」

ボルド「悪いが、そいつは出来ねえな。このお嬢ちゃんには少し手伝ってもらわなきゃならねえ……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:16:05.27 ID:359R12s0<>オリカ「…………!」

ライナー「やめろ、ボルド! オリカは関係ないだろ!」

ボルド「うるせぇ! テメーも少し黙ってろ! ミシャ、今用があるのは貴様だ!」

ミシャ「!?」

ボルド「この女の命が惜しかったら、お前1人でここまで来い! 他の奴らは動くんじゃねぇぞ? 動いたらこの女を雲の下に落とす!」

 そう言うと、ボルドはオリカを先ほど自身の剣により出来た穴へと持っていく。
 こうなってしまうと、場の支配権は完全にボルドのものであった。
 ボルドの手はオリカの首を掴んでいる。それもオリカの身体が持ち上げられてしまうほどの凄い力でだ。無理に時間を掛けてしまったらオリカが持たない。
 おまけに、現在のオリカの下には雲――『死の雲海』以外何もない。ボルドが手を離した瞬間、彼女は『死の雲海』へと落ちていくだろう。

レッド「ぐっ……!」

 レッドは内心焦っていた。
 彼もかつては『ロケット団』というカントーを裏で牛耳る犯罪組織を相手にしたことがあった。
 だが、あの時のレッドは自身とポケモンたちだけで悪人たちと戦っていた。
 そのため、このようなケースは全くといっていいほど経験したことがないのである。

レッド(どうする……フシギバナはまだボールの外にいる。『つるのムチ』を使えばオリカの体に巻きつけることで助けることは可能だ……だけど……!)

 主人が焦っていることを直感的に感じ取ったのか、フシギバナはレッドに対して心配そうな表情を見せる。
 レッドもそれに気づいたのか、大丈夫だと目で答えてみせた。
 だが、それでも内心焦っていることに代わりはなかった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:17:47.35 ID:359R12s0<>ミシャ「わ、分かったわ……!」

ライナー「ミシャ!?」

レッド「!」

 場の空気が変わったのはミシャのその一言だった。
 ボルドの目が一瞬だけミシャの方へと向く。
 ――レッドはその一瞬の隙を見逃さなかった。

ボルド「よぉし、それならさっさとこっちに……」

レッド「『つるのムチ』!」

ボルド「!?」

 それは本当に一瞬だった。
 再びフシギバナから放たれた2本の『つるのムチ』は、両方ともオリカの身体に巻きついた。
 そして、それを確認すると、フシギバナは蔓を一気に引き戻し、オリカをボルドの手から救い出したのだった。

レッド「オリカ!」

 咄嗟にオリカの身体を抱きとめるレッド。
 オリカの首にはボルドの手の跡が、赤くはっきりと残っていたが、オリカ自身はまだ無事だった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:19:22.72 ID:359R12s0<>レッド「よかっ――」

ボルド「野郎!」

レッド「!?」

 安心したのも束の間、気が付くとボルドが再びレッドの方へ向けて剣を振り下ろしていた。
 そして、剣が再びデッキに突き刺さると、またしてもレッドたちの足場に亀裂がはしり、瞬時に崩落する。
 オリカを助け出せたことに安心しきっていた油断から、レッドとフシギバナ、そしてオリカは今度こそ崩落に巻き込まれてしまった。

レッド「うわああああああああああっ!?」

ライナー「レッド!?」

ラードルフ「オリカ!?」

ミシャ「嘘……レッド、オリカーーーーー!?」

ボルド「ちっ……。興醒めだ。今日のところはこれで引き上げさせてもらうぜ……!」

ラードルフ「……!? 待て!」

 ライナーたちは、すぐさま追いかけようとしたが、ボルドはその超人的な身体能力でデッキから退散すると、『天覇』の飛空挺から部下が下ろしてきたのであろう梯子に手を掛けた。

ボルド「小僧、よぉく覚えとけ、次は貴様が死ぬ番だ! そしてミシャは返してもらう!」

ライナー「ボルド……!」

ボルド「せいぜい俺が直々にブッ殺してやるまで死なないでいることだな!」

 そんなボルドの叫び声を残して、『天覇』の飛空挺は教会の飛空挺から離れていき、やがて見えなくなった。

ボルド「畜生……ボルド……!」

ミシャ「ライナー……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:21:09.47 ID:359R12s0<>???「レ……ん……」

レッド「…………」

???「レ……さん!」

レッド「ん……?」

オリカ「レッドさん!」

レッド「うわっ!? ……お、オリカ!?」

 レッドが目を開くと、そこには心配そうに自分を見つめるオリカとフシギバナの姿があった。

レッド「……あれ? 確か俺たち、ボルドの攻撃で飛空挺から落ちたはずじゃ……」

???「気がついたみたいだね」

レッド「え?」

 不意に声がしたので振り返ってみる。
 そこにいたのは――

レッド「――クルシェ!?」

 コックピットに座り込み操縦桿を握るクルシェだった。

クルシェ「この借りはドッコイ定職1ヶ月分でいいよ」

レッド「ドッコイ定職? ……ところで、ここはもしかして……」

クルシェ「そう、これがボクの飛空挺。まさかいきなり落っこちてくるなんて思わなかったからビックリしたよ」

レッド「いやぁ、悪い悪い……。でも、おかげで助かったよ」

クルシェ「『天覇』の特殊飛空挺が見えて、嫌な予感がしたからコッソリ付いて来てたんだ。そしたらこんなミラクルなことをするとは思わなかったけど……」

レッド「そうだなぁ、ドキュメンタリー番組の取材スタッフが喜んで食いつきそうなミラクルだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:22:55.66 ID:359R12s0<>オリカ「あの……レッドさん……」

レッド「あ、オリカ……。その……ゴメンな。怖い思いをさせちまって……」

オリカ「いえ、そのことはもういいんです……。むしろ、あたしのせいでレッドさんたちに無茶な真似をさせてしまったし……」

レッド「…………」

オリカ「…………」

レッド「……それじゃあ、ここは『おあいこ』ってことで……」

オリカ「……はい……!」

クルシェ「やれやれ……」

(ビー! ビー! ビー!)

クルシェ「ん……?」

 突然、クルシェの目の前にひとつのウィンドウが表示された。

クルシェ「…………」

 そこに述べられていた文章を読み進めていくうちに、彼女の顔はどんどん青ざめていく。

レッド「……? クルシェ、どうしたんだ?」

 そんな彼女の異変に気が付いたレッドが、フシギバナをボールに戻しながら尋ねた。

クルシェ「……ねぇ、レッド。君、『飛空挺に乗ったら必ず落ちる』呪いとかかかってない?」

レッド「は? そんなどこぞの2代目ジョースターじゃあるまいし……」

オリカ「……何かあったの?」

クルシェ「……操縦がきかなくなった」

レッド「…………」

オリカ「…………」

クルシェ「……次の空港は天国かも……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:23:26.69 ID:359R12s0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「よう、みんな。グリーンだ。今回は前回と比べてちょっと短かったが、ストーリーの都合上、ここで切らざるを得なかったんだ、許してくれ」

グリーン「さて、今回は本編中に特に気になるような新規用語も出てこなかったから、ライナーや教会が探している『ヒュムネクリスタル』について簡単に説明させてもらおうと思う」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:24:18.63 ID:359R12s0<>グリーン「『ヒュムネクリスタル』とは、『アルトネリコ』の世界において二度目の大惨事の際に、聖女が使ったと言われている伝説のアイテムだ」

グリーン「この『ヒュムネクリスタル』は『詩の想いが込められた結晶』であり、前回のおまけで解説された『ヒュムノスエクストラト』がこの中に記録されている」

グリーン「いわば、ポケモンで言うところの『わざマシン』にあたる物だな。『使うとなくなってしまう』という点も似ている」

グリーン「しかし、この『ヒュムネクリスタル』には、あくまでも『クリスタルを作った者の想いがこめられているだけ』なので、クリスタルを使ったレーヴァテイルによって覚えた詩の歌詞や曲調が全然違うんだ」

グリーン「ポケモンで分かりやすく例えるなら、『たいあたり』のわざマシンをAとBのポケモンに使ったら、Aは『とっしん』、Bは『すてみタックル』を修得したような感じだな。あくまでも例えだが」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:25:10.72 ID:359R12s0<>グリーン「ただし、歌詞・曲調こそ同じだが『詩に込められた想いは同じ』なので、詩が与える通常効果は同じだ」

グリーン「……まれに『本来の詩と若干効果が違う詩を紡ぐ現象』が発生してしまうこともあるらしい。まぁ、このことについてはいずれ説明する時が来るだろう」



グリーン「それじゃあ、今回はこの辺で。次回もひょっとしたら短めになるかもな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/01(土) 16:26:54.25 ID:359R12s0<>そんなわけで、第7話投下完了です
第8話前半部は今夜中には投下できるかな?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/01(土) 18:13:13.52 ID:Ry.9VnEo<>昨晩滞っていた3をすすめたよ
ヒュムノス流れるたびに俺涙目wwwwww
S様の出番が待ち遠しいぜ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 00:18:58.36 ID:IeUcUfI0<>第8話前半部投下します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 00:19:55.73 ID:IeUcUfI0<>●PHASE1 第8話

〜たかのつめあと〜

クルシェ「…………」

レッド「…………」

オリカ「…………」

 現在レッドたちの前方では『クルシェの飛空挺だったモノ』が黒い煙を上げていた。
 あの後、墜落ギリギリのところでレッドがリザードンを呼び出したおかげで3人とも無事だったが、飛空挺自体はこの有様であった。

レッド「その……ごめん……」

クルシェ「気にすることはないよ。助かっただけでも儲けものだし」

オリカ「そうですよ。別に、レッドさんが悪いわけじゃありません」

レッド「……そうだな。それよりも、ここは一体……?」

クルシェ「多分、『たかのつめあと』じゃないかな?」

レッド「『たかのつめあと』?」

クルシェ「『滞空岸壁』のあたりを漂ってる小さな浮き島郡のことだよ。おそらく、そのひとつじゃないかな?」

レッド「要するに、離れ小島か」

クルシェ「そういうことになるね」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 00:20:44.48 ID:IeUcUfI0<>オリカ「……! ねぇ、あれ!」

レッド「ん?」

クルシェ「どうしたの? ……あ!」

 何かを見つけたらしい、オリカの元へ行ってみると、そこには遺跡と思える古い構造物があった。

レッド「これは……遺跡か?」

クルシェ「そうみたいだね。……ねぇ、せっかくだから調べてみない?」

レッド「俺は別に構わないけど……オリカはどうする?」

オリカ「……あたしも、興味あるかも……」

クルシェ「それじゃあ決まりだね。早速調べてみよう」

レッド「クルシェ、なんか楽しそうだな」

クルシェ「こういう遺跡には、太古のロスト・テクノロジーが眠っていたりするからね。技術屋としては見逃せないよ」

レッド「……じゃあ、俺が元の世界に帰るための手がかりとかも見つかったりするかな?」

クルシェ「そこまでは分からないけど、可能性はゼロではないと思うよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 00:23:02.69 ID:IeUcUfI0<>〜遺跡内〜

レッド「ピカチュウ、『10まんボルト』!」

 薄暗い遺跡の中で激しい電光がほとばしる。
 ピカチュウの後方で指示を出すレッドの近くでは、クルシェがチェーンソーを構え、さらにその後方ではオリカが赤魔法を詠唱していた。

レッド「遺跡に入ってそろそろ1時間ぐらい経つけど、やたら飛龍やら見たこともない鳥やらが襲ってくるな……」

クルシェ「島が浮いているからね。空を飛べる生き物にとって巣とするには絶好の場所なんだと思うよ」

レッド「う〜ん……。そう考えると、俺たちがあいつらの巣を荒らしまわっているってわけだから罪悪感沸いちゃうな……ん?」

 会話をしながら先へ進んでいると、何やら広い空間に出る。
 そこは広いだけではなく、巨大な像が置かれていた。

レッド「でっかい石像だな。一体何の像だ?」

クルシェ「ちょっと気になるな……調べてみるよ」

レッド「頼む」

オリカ「……これって……」

レッド「ん? オリカ、この像知っているか?」

オリカ「……これ、ティリア神の像です」

レッド「ティリア神? ……あぁ、確か教会が信仰している『エレミア三謳神』とかいうやつの……」

オリカ「はい」

レッド「そうか、これが……」

クルシェ「? レッド、君こういうものに興味あるの?」

レッド「いや、別にそういうわけじゃないけど……。ところで、何か見つかった?」

クルシェ「駄目。何もなかった。どうやら、ここが最奥みたいだから外に出よう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 00:23:35.45 ID:IeUcUfI0<>〜たかのつめあと〜

レッド「……さて、遺跡を出るのはすんなりといったけど、これから先はどうしようか?」

クルシェ「……ねぇ、さっきのポケモンでネモまで飛んでいくってことは出来ないかな?」

レッド「リザードンか? さすがに人間を3人も乗せてここからネモまでの距離を飛んでいくっていうのは無理だな……」

オリカ「『ほたる横丁』に行く時も、あたしたち2人でギリギリって感じでしたからね……」

クルシェ「そうか……。それじゃあ何か別の手を……」

???「………ー!」

レッド「……? 2人とも、今何か言ったか?」

クルシェ「え? 何も言ってないけど?」

オリカ「?」

レッド「……ごめん。2人とも、ちょっと静かにしていてくれないか?」

???「レ……ー!」

オリカ「……! 人の声!」

クルシェ「行ってみよう!」

レッド「あぁ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 00:24:12.03 ID:IeUcUfI0<>ライナー「おーい、レッドー!」

ミシャ「オリカー!」

レッド「ライナー! ミシャ!」

ライナー「! レッド! それにオリカとクルシェも!」

ミシャ「よかった! みんな無事だったのね!」

レッド「いやぁ、おかげさまで……。でも、クルシェの飛空挺が来てくれていなかったら、今頃俺とオリカは『死の雲海』の下だったよ」

クルシェ「ところで、ライナーたちがここにいるってことは……」

ライナー「あぁ、ラードルフたちもいるぜ」

ミシャ「あの後、小型の飛空挺がこの島に墜落していくのを見かけたから、もしかしたらと思って探していたの」

オリカ「……そう、だったんだ……」

クルシェ「これで、とりあえずは一安心かな?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 00:26:51.11 ID:IeUcUfI0<>〜教会飛空挺〜

レッド「すいませんラードルフさん、とんだご心配をおかけしちゃったみたいで……」

ラードルフ「何を言っているんだレッド、謝らなきゃならないのは俺たちの方だ」

ライナー「あぁ……。あの時、俺たちはボルドに対して何もすることが出来なかった……。もとはと言えば俺がまいた種なのに……」

オリカ「…………」

クルシェ「オリカ? どうしたの?」

オリカ「……やっぱり、あたしが悪いんだ。あたしがあの時、みんなの足を引っ張っちゃったから……」

ラードルフ「オリカ……」

レッド「……オリカ、過去の自分の行いや失敗を責めたくなるって気持ちは俺にも分かるよ。でもね、一番の問題は、そのことをいつまでも気にしたり悔やみ続けて、先に生かそうといないことだ」

オリカ「…………」

ラードルフ「レッドの言うとおりだ。オリカ、生きていれば過去の失敗なんていつでも取り返すことは出来る。だから気にすることなんてないんだよ?」

ライナー「そうそう。そんなこと言ったら、俺なんかみんなにもっと迷惑掛けっぱなしだし……」

クルシェ「……ライナーも一応そういう自覚はあったんだね」

レッド「それに、さっきも『おあいこ』だって言ったろ? 誰一人が悪いってわけじゃないんだ、一人でそんな抱え込む必要もないよ」

オリカ「……そう……ですね」

レッド「そうそう。オリカはもう少し前向きになっても良いと俺は思うよ?」

オリカ「……はい。可能な限り頑張ってみます……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 00:27:22.14 ID:IeUcUfI0<>クルシェ「……それで、ネモに戻ったらどうするんだい? ライナーの飛空挺の件だけど、ボクは何時でも構わないけど……」

ライナー「そうだな……。飛空挺はカルル村の先のヴィオラ森にあるから、ネモに戻ったらまずは教会に行こう」

レッド「『パージャ』とやらの手がかりが見つかるといいな」

ライナー「あぁ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 00:30:14.55 ID:IeUcUfI0<>前半部投下完了です
後半部は今日の昼過ぎ頃を予定しております<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/02(日) 01:10:26.65 ID:vPkzU3ko<>                           ,ヘ
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      ,ヘ! |   i |、 |ヘ  ! i Yヘ j、i   i ,ヘヽ `/
      `ヘ、 i  'yィrッh、 i ヽァfツメ   fゥ ヽ、/y、ハ
        |`l .ハゝ't,フ `  `‐イ  iイ、   ///i l
      r=-、!ヘ  iヘ     、    j  |`>、`ニノフヌィノ
      l |`, レヘ、 !i ,ゝ、   ‐‐ ,.イ   | レ' ,ヘ`' !t\
      !_ y,iゝ|ン l y トリミ=-イ ,x|   iヘヽイ `-ヘ`\\
      //.{ / ヘ i ! λノ,ヘ`yヘ  j  ly!ヘi    ハ Y \,ゝ
       / j lY " ^l.i.|/。iヘ'>G }X`y| ! ヽ、l、     ヘ`>
      `^ i,'    Y ! //ヘ_,ヘ ヽ'j /o / !/へ、   lヘ }
    ハ   レ'^x Vi,ヘ{、,ヘ  ,、 ハ }/\ y/    Y i/^i
    {`\ / ヘ/へ、 ンi l/ヘ`' ノハ Y >リ     i //^i|
    ヘ `ゝリ / / `',ヘ_,イ ヘ'`^ヘ Vj イヽ、 //  l| /i
    ヽ、 >ヘ' , '   /  /  /  i ハ Yヘ l.iヽ、, '  ,、 y '/
     ゝヽ{ i   /  ,'  i   l   i  Wヘl ヘ  / `、/
     l  ヘ 、  l   i  、   /  Λ l ヽl `、i  / <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/02(日) 02:47:50.08 ID:vPkzU3ko<>俺、お前のスレを見つけたおかげでヒュムノス語が読めるようになっちまった・・・<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:28:04.08 ID:VhXKMf60<>大幅に遅れてしまい申し訳ない
早速後半部を投下します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:29:52.25 ID:VhXKMf60<>〜エル・エレミア教会〜

ライナー「ここに来るのは二度目だな」

ミシャ「……あれ? ねぇ、ライナー」

ライナー「ん? どうした?」

ミシャ「あそこにある像……プラティナにあるのと同じじゃない?」

ライナー「え? そうかな?」

ラードルフ「ライナー、待たせたな。ファルス司祭がお会いになってくださるそうだ」

ライナー「あぁ、今行く」

ミシャ「あっ! ちょっと、ライナー! ……もう」



ラードルフ「司祭様、ライナー・バルセルト殿をお連れいたしました」

ファルス「おぉ……! あなたがライナー殿ですか……?」

ライナー「はい!」

ファルス「ようこそ、エル・エレミア教会へ。私が司祭を勤めるファルスというものです」



ミシャ「……ねぇ、レッド。あの人が本当にファルス司祭って人なの?」

レッド「? そうだけど……それが、どうかしたのか?」

ミシャ「……私、昔あの人にそっくりな人を見たことがある気がするのよ……」

クルシェ「気のせいじゃない? あんな立派な顎鬚を生やしたお爺さんなんて、探せばいくらでもいると思うよ?」

ミシャ「……そうだといいんだけど……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:31:41.56 ID:VhXKMf60<>ファルス「しかし、ラードルフたちから貴殿の話を聞いた時は、耳を疑いましたよ。『エレミアの使徒』がこの『ホルスの翼』に降りてこられることなど、今までなかったことです」

ライナー「そうなんですか?」

レッド(まさに『雲の上の存在』って奴だな)

ファルス「はい。これこそ、『エレミア三謳神』のお導きというものです。……それで、ライナー殿は、どのような用件で下界に……?」

ライナー「……実は、ヒュムネクリスタルを探しているんです」

ファルス「なんと……! ヒュムネクリスタルを!? よろしければ、詳しくお話をお聞かせいただけませんかな?」

ライナー「はい。事の発端となったのは、数日前、プラティナに一体の『ウイルス』が出現したことです」

ファルス「『ウイルス』!? それはもしや、太古の伝説において聖女がヒュムネクリスタルを用いて封印したという、あの『招かれざるいのち』と呼ばれし存在のことですかな!?」

ライナー「おそらく……。その『ウイルス』は、残念ながらプラティナに現存する攻撃手段では倒すことができなかったんです」

ファルス「なんと……!」

ライナー「おまけに、『ウイルス』の影響で、プラティナの都市機能は完全に麻痺状態となってしまい、『ウイルス』への抵抗も完全に不可能な状態です……」

ファルス「……まさかプラティナが、そのようなことになっていたとは……。なるほど、つまり、その『ウイルス』を倒すためにヒュムネクリスタルを探していると?」

ライナー「はい。俺が探しているヒュムネクリスタルは、『パージャ』というものです。……このような形なのですが……」

 そう言うとライナーは胸元からブローチ状のアイテムを取り出すと、すぐさまそれを起動する。
 すると、そのアイテムからクリスタルのホログラムが瞬時に浮かび上がった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:34:37.15 ID:VhXKMf60<>ファルス「これは……!」

ライナー「プラティナを発つ際に、ある方より授かった『パージャ』の立体図です。俺は、すぐにでもこれを探し出し、持ち帰らなければなりません。……すでに、『ウイルス』のせいで塔のガーディアンまで人を襲うようになってしまった……」

ファルス「ガーディアンの件は我々も把握しております……。ならば、協力しないわけにはまいりません。……実は、その『パージャ』というクリスタルにも心当たりがないわけではありません」

ライナー「!? 本当ですか!?」

ファルス「一昔ほど前のことですが、『謳う丘』と呼ばれる遺跡に封印されているという伝承を、教会が保有している文献で見たことがあります」

ライナー「『謳う丘』……そこに『パージャ』が……!」

ファルス「この件に関しましては1日だけお時間を頂けませんかな? こちらで調べておきましょう。……オリカや。ライナー殿たちに宿を手配してさしあげなさい」

オリカ「はい」

ファルス「明朝、また教会へとお越しください。それまでには調べておきますので、今日はゆっくりと体を休めてください。『エレミア三謳神』のご加護があらんことを……」

ライナー「ありがとうございます……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:35:10.82 ID:VhXKMf60<>〜空中都市ネモ〜

レッド「ライナーの方は光明が見えてきたな」

ライナー「あぁ! 後は飛空挺だけだ!」

オリカ「……そういえば、レッドさん」

レッド「ん?」

オリカ「司祭様に、今後のことを相談するんじゃなかったんですか?」

レッド「あ……。しまった、すっかり忘れていた……」

クルシェ「まぁ、明日の朝また教会に行くんだから、その時に相談すればいいじゃない」

レッド「そうだな。今更教会に戻っても悪いし……」

ミシャ「ところでオリカ、宿はどこにあるの?」

オリカ「宿屋は……」

ライナー「この前、案内してもらった所だろ? 分かるよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:35:55.18 ID:VhXKMf60<>〜宿・宵の奏月〜

ミシャ「あら? なんだか騒がしくない?」

レッド「あれは……」

 レッドたちが宿へやって来ると、何やら一悶着起きているようであった。
 見ると、酒場で見知らぬ男が一人、クレアに対して半端者がどうだのと言いかかっていた。
 ……が、逆に言いくるめられたのか、しばらくするとばつの悪そうな顔をして男は宿から去っていった。

ライナー「……何だったんだ、アレ?」

クルシェ「少なくとも良い客ではないね」

レッド(へぇ、この世界にも悪質なクレーマーっているんだな)

ミシャ「あなた、大丈夫? ずいぶん揉めてたみたいだったけど?」

クレア「えぇ、あれくらいはいつものことだし……あら? ライナー君、じゃない! 無事だったの!?」

ライナー「えぇ、おかげ様で」

レッド「……あれ? クレアさん、ジャックの奴はいないんですか?」

クレア「数日前まではいたんだけど……2人が帰ってこないなら仕方ないとか言ってどこかに行ってしまったわ」

ライナー「う〜ん、ジャックらしいというか、肝心な時に何でいないんだというか……」

ミシャ「ジャックって?」

レッド「ライナーがはじめてこの街に来る時に同行していた仲間だよ。ガンナーだとか何とか言ってたけど……」

クルシェ「……もしかして、そいつ左腕が機械で、マントと帽子を身に着けてなかった?」

レッド「あぁ、そんな格好だったけど……お知り合い?」

クルシェ「まぁね……。……あいつ、今度会ったら絶対に払ってもらわないと……」

ライナー「?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:37:04.60 ID:VhXKMf60<>オリカ「……ねぇ、クレアお姉ちゃん……さっきの人、放っておいていいの? どう見ても営業妨害だよ……」

レッド「ん? オリカ、その様子だとクレアさんとは親しい間柄なのか?」

オリカ「……えぇ、まぁ……」

クレア「私とオリカは小さい頃に同じ村に住んでたのよ。再会したのは、つい最近だけど……」

ライナー「なるほど、つまりは幼馴染か」

ミシャ「こっちの幼馴染は、再会しても相手のことをすっかり忘れてたけどね……」

ライナー「う……」

クレア「村が焼けちゃっていろいろと大変だったけど……まさか、こんな所で再会できるなんて思ってもいなかったわ」

クルシェ「村が焼けた?」

オリカ「……ずいぶん昔だけど、あたしたちの村は戦争で焼けちゃったの……」

レッド「……本当にいろいろと大変だったんだな……」

オリカ「……はい……」

クレア「……そうだ。せっかくだから夕食でも一緒にどう? このまま立ち話も何でしょ?」

ミシャ「そうね。せっかくだからお言葉に甘えようかしら?」

クレア「あら? お代はしっかり頂くわよ? こっちだって商売なんだから」

ミシャ「えー!?」

レッド「そりゃ、そうだろう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:39:29.07 ID:VhXKMf60<>〜エル・エレミア教会〜

 翌朝、起床したライナーたち一行は、準備を整えると早速教会へと向かった。

ファルス「おはようございます。夕べはよくお休みになれましたかな?」

ライナー「はい」

ファルス「それは何より。……早速本題に入らせていただきますが、昨日文献を調べなおしたところ、やはり『パージャ』というクリスタルは『謳う丘』にあるとみて間違いないようです」

ライナー「そうですか……。それなら、早速行って探してみます!」

ファルス「それがよろしいでしょう。……ですが、『謳う丘』は広大な遺跡だと聞きます。『エレミアの騎士』であるライナー殿でも、レーヴァテイル無しの遺跡探索は辛いものかと思われます。よろしければ、我が教会のレーヴァテイルを1人、同行させますが?」

ライナー「いえ、お気遣いはありがたいですが、すでにこちらにはレーヴァテイルが同行していますので、問題ありません」

 その言葉を聞いたミシャが影ながらふふんと胸を反らす。

ファルス「そうですか……ではラードルフ、あなたが護衛としてライナー殿をお手伝いして差し上げなさい」

ラードルフ「仰せのままに」

レッド「……あの、ファルス司祭」

ファルス「おぉ、これはレッド殿。いかがいたしましたかな?」

レッド「よろしければ、俺とオリカもライナーに同行させていただいてよろしいでしょうか?」

オリカ「…………」

ファルス「えぇ、もちろんですとも。レッド殿とレッド殿が連れているポケモンたち、そしてオリカの力は必ずやライナー殿の心強い味方となるでしょう」

レッド「ありがとうございます」

ファルス「オリカや。引き続きレッド殿とライナー殿たちの力となってあげなさい。あなたならきっと出来るはずです」

オリカ「……はい!」

ライナー「本当に何から何までありがとうございます! それじゃあ、行ってきます!」

ファルス「『エレミア三謳神』のご加護があらんことを……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:42:11.55 ID:VhXKMf60<>〜空中都市ネモ〜

ライナー「よぉし、早速『謳う丘』に向けて出発しようぜ!」

ラードルフ「ライナー、気持ちは分かるが落ち着け。『謳う丘』はカルル村の先にある森を抜けて、そのさらに奥にあるんだぞ?」

ライナー「え? そうなのか? それじゃあ、行きだけでも結構な長旅になりそうだな……」

レッド「俺とあと1人くらいならリザードンで半日もかからずに飛んでいけるだろうけど、さすがに2人で広大な遺跡に乗り込むっていうのは無謀だよな……」

オリカ「そうですね。今回は出発前に念入りに準備を済ませたほうがいいかもしれません」

ラードルフ「そういえば、ライナーとレッドはネモのダイブ屋の場所は知らないだろ?」

レッド「へ……?」

ライナー「だ、ダイブ屋!?」

ミシャ「そうね。これから先のことも考えて、今のうちに場所は知っておいた方がいいかもいれないわね」

ライナー「み、ミシャ!?」

クルシェ「……それならさ、場所を覚えるついでに、ライナーたちはダイブしてきたらどうだい?」

オリカ「えっ……!?」

レッド「なぬ!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:42:42.01 ID:VhXKMf60<>ラードルフ「確かに、今回の遺跡探索は何が起こるか分からないからな。オリカたちに新しい詩魔法を紡がせておいても越したことはないだろう」

クルシェ「アイテムとかの調達はボクたちで済ませておくからさ。4人はダイブ屋に行ってきなよ」

レッド「ちょ、ちょっと待ってください! 俺たち、この前『ほたる横丁』のダイブ屋でダイブしたばっかりなんですよ!?」

ラードルフ「ん? なんだ? もうレッドたちはダイブを経験していたのか?」

オリカ「は、はい……」

ライナー「そ、そうだよ。そんな間も空けていないのに、もう二度目だなんて……」

ミシャ「あら? 私はライナーだったらどんどんダイブしてくれても構わないわよ?」

ライナー「えぇーーーーー!?」

ラードルフ「……まぁ、ダイブするかしないかは今は置いておいて、とりあえず案内するよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:43:44.43 ID:VhXKMf60<>〜ダイブ屋・クーライ〜

ライナー「結局来てしまった……」

ミシャ「いいじゃない♪ せっかくだし、ダイブしていきましょうよ?」

ライナー「あ、あぁ……」

レッド「…………」

オリカ「…………」

レッド「お、俺たちはどうする……?」

オリカ「な、流れ的にしないと駄目なんでしょうか……?」

レッド「ま、前も言ったけど、俺は無理強いはしないよ? オリカさんの判断に任せるよ」

オリカ「……あたしも、もっとレッドさんたちのお役に立ちたいです……」

レッド「つ、つまり……」

オリカ「はい……。ダイブ……やります」

レッド(……マジで?)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:45:31.19 ID:VhXKMf60<>ラードルフ「話はまとまったか?」

ライナー「あ、あぁ」

レッド「さっきの予定どおり、ラードルフさんたちはアイテムとかの準備をお願いします」

ラードルフ「分かった。任せてくれ」

クルシェ「それじゃあ、また後で合流しよう」



オリカ「そ、その……。もし変な世界とかだったら途中で止めても構いませんから……!」

レッド「わ、わかった……!」

ミシャ「さぁ、ライナー! また新しい、すっごい魔法を紡ぐわよ!?」

ライナー「ミシャ、気合入ってるな……」

 ――こうして、レッドたちの人生二度目のダイブは幕を開けたのであった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:46:10.16 ID:VhXKMf60<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「よぅ、みんな。グリーンだ。世間はGWムード一色だが、>>1は相変わらず家で暇そうにしているらしい。ほぼニート状態だな」

グリーン「さて、今回は本編中でもファルス司祭の口から僅かに語られた『ウイルス封印伝説』について簡単に話をしよう!」



グリーン「『アルトネリコ』の本編開始より400年ほど昔、『アルトネリコ』の舞台である世界『ソル・シエール』では人間と『人間によって生み出された命』による戦争が起きていた」

グリーン「そして、この戦争により生まれてしまったのが『ウイルス生命体』と呼ばれる存在だ」

グリーン「こいつらは普段は塔の中で情報データとして潜んでいるんだが、現実世界に実体化する能力を持ち、実体化すると人間を襲うんだ」

グリーン「この戦争により『ソル・シエール』は総人口を7割を失ったと言われており、残されたおよそ3割の人々も最早これまでかと生存を諦めかけた……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:46:42.30 ID:VhXKMf60<>グリーン「しかし、奇跡は起こった! レーヴァテイルと呼ばれる聖女が『ヒュムネクリスタル』と呼ばれるアイテムと共に現れ、その力でウイルスの親玉を封じ込めた!」

グリーン「ウイルスの親玉が封印されたことにより束の間の平和を取り戻した人間たちは、聖女と共に再びウイルスの脅威が世界を脅かさないようにと塔の上階層に街を作った。これが、ライナーの故郷であるプラティナだ」

グリーン「この話は『アルトネリコ』の原作開始時点では既に『歴史』から『伝説』へと昇華してしまっており、下界の人間ではこの事実を知っている者はほとんどいない」

グリーン「特に『ウイルス』の存在は、その伝説において『招かれざるいのち』等と呼ばれてるため、下界の人々からは余計に知られていない状態だ」

グリーン「プラティナの方では歴史として未だに記録されていたようだが、『ヒュムネクリスタル』のみ『伝説上のアイテム』という扱いになっている」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:50:03.37 ID:VhXKMf60<>グリーン「『アルトネリコ』本編は、この伝説の時代からおよそ400年が経過し、再びウイルスの脅威が世界に満たされようとしているという状況から始まる」

グリーン「その後の展開は大体SS本編のとおりだ。ただし、このSSはクロスオーバーの影響により、原作とは若干異なるストーリー展開を迎えている。現時点でミシャがライナーたちのパーティに残っているとかな」

グリーン「それじゃあ、実際のストーリーはどのような展開を迎えているんだ、と気になった原作未プレイの方は、是非原作を買ってプレイしてみてくれ。原作と二次創作の違いを見比べてみるというのも、作品の楽しみ方のひとつだからな」

グリーン「それじゃあ、今回はこの辺で。次回は、またオリカのコスモスフィアのお話だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:54:46.00 ID:VhXKMf60<>というわけで、第8話でした
第9話は本日中に投下予定です
多分、午後……夕方以降になるかな?


しかし、自分で言うのも何ですが、アルトネリコは主人公が複数存在するだけでも随分展開が変わってくるなぁww
中盤以降マジでどうなるんだろう? 特にコスモスフィアww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/03(月) 07:01:57.05 ID:xFwnagEo<>コスモスフィアはぜひアトリエまで進んで欲しいなwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/03(月) 07:21:19.59 ID:xFwnagEo<>            _r'"゙!ミ゙'''-..、
   .,.. --、、 .ノー、  `‐;;;;`'-、
  ./ ,,,iiii,, l′!i!i.|     \i!i!\
  .! lllllllllll {ヽ‐ '       /`''-i⊥
  .\_゙゙゙゙゙゛  ヽ\     _./!i!i:!i:!i:: /
    ./‐⊃   .`-\, _,゙ノ'゙'、:i!:i!:i! i|,
    .!⊃   ● ._,二il;;人,,,i'''ー ―ゝ
  .,,、-(.⊃    /   ◆.`.l゙'゙!.l冖''"
  ../  \   .l_.,,__,⊥、__丿_i′
  ''ー'ァ,...`'''-.i,,,,,'';‐--一";;/;;;y''|二-、
   ,l少" . ;;.   ̄. ̄ ̄.! ヽ !
  ,F ゙'ョrイ゛{ ,ノ.l...┴-ソ''ミ久 〔ミ''ー、
 i″  l''‐ヽ ″ ‖ ‖  L j!彡" `''i.
..l′  l""''゙'-;,.__..i-ー'''''^゙゙'ト''゙.lッ  _ノ゛
/    .!\  __  ゙'ー-.-'',゙,,,ii‐\,/
. ヽr<  .l .{゙|l, `゙"'"{ ゙゙̄lゞ゙ .l
   ゙''-..ゝ .l.lヽ. ⊂二ヽ / .,./
      ._,,八 `'、.  ⊂l''"゛
      .l゙  `. .`'--′
      .!〈,i , .,iト
       `´!┘ <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:02:52.29 ID:/KEvFq.0<>今回もだいぶ遅れてしまいましたが、第9話投下します
『ダイブ』の話なだけに『だいぶ』遅れる……インフェルが好みそうだ……<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:03:34.95 ID:/KEvFq.0<>●PHASE1 第9話



 Rrha ki ra tie yor ini en nha



 LEVEL 2
 COSMO SPHERE

 Ma num ra chs pic wasara mea,
 en fwal syec mea.
 Was yea ra chs mea yor en fwal.
 en chs hymme.
 ■■■■■■■■



 ………………

 …………

 ……



〜ストーンヘンジ〜

レッド「…………」

レッド「……ん? 着いたのか?」

レッド「さて……。前回から間もなく二度目のダイブとなっちゃったけど、どうなるかな?」

 軽く周囲を見回してみる。
 ――前回同様、あちこちに茨は生い茂ってはいるが、前回のような茨の森状態ではなかった。
 そして、なによりもレッドの目に真っ先に止まったのは、“集落の存在”であった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:04:32.68 ID:/KEvFq.0<>レッド「おぉ! 村があるじゃないか!」

どんすけ「あぁ、そうだな。要するに、オリカさんが少し心を開いたということだ」

レッド「あ、どんすけ。……ん? ちょっと待ってくれ。『村があること』と『心を開いたこと』がどうして繋がるんだ?」

どんすけ「簡単な話だ。集落があるということは、人がいるということ。つまりは、オリカさんの心が、自分以外の者を受け入れてみようと思うようになったのだ」

レッド「なるほど……。そうか、オリカが……」

どんすけ「む……!?」

(ボガッ!)

レッド「あいたっ!?」

どんすけ「貴様ぁ! オリカさんを呼び捨てにするとは! 馴れ馴れしいにもほどがあるぞ!」

レッド「ま、待て! これは現実世界のオリカが、これからは呼び捨てでいいって言ってくれたから……!」

どんすけ「何!? そうなのか!?」

レッド「そうなんだよ」

どんすけ「そうか……。オリカさんが許したのならばしょがない……」

レッド「なんなんだよ、もう……。まぁ、何時までもここにいたってしょうがないから、早速オリカを探すか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:11:07.47 ID:/KEvFq.0<>〜黄昏の村〜

レッド「――というわけで、せっかくだから一番に村へとやって来たわけだが……」

どんすけ「ん? どうした? 何か言いたげな顔だな」

レッド「いやぁ、全然人がいないなぁと思って……」

(ゴゴゴゴゴ……)

レッド「な、なんだ!?」

 突然地鳴りが発生したと思った次の瞬間、村は一躍火の海と化した。

レッド「ちょwwwwwwなんでさwwwwwwwwwwww」

 意味も分からず、思わずそう突っ込んでしまう。
 よく見ると、いつの間にか村のあちこちに武装した男たちが姿を現していた。


      ,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
       ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
        ゙、';|i,!  'i i"i,       、__人_从_人__/し、_人_入
         `、||i |i i l|,      、_)
          ',||i }i | ;,〃,,     _) 汚物は消毒だ〜っ!!
          .}.|||| | ! l-'~、ミ    `)
         ,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ   '´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒
        .{/゙'、}|||//  .i| };;;ミ
        Y,;-   ー、  .i|,];;彡
        iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
        {  く;ァソ  '';;,;'' ゙};;彡ミ
         ゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ   _,,__
          ゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
 ;;;;;;;;''''/_  / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
'''''  ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/


レッド「工エエェェ(´д`)ェェエエ工工」

 どうやら、あの男たちが村を焼いているらしい。
 が、何故にこのようなことになっているのかはレッドにはさっぱり分からなかった。

レッド「なんなんだ、この展開……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:13:53.08 ID:/KEvFq.0<>ラードルフ「そこのお主、ここは危険だ! 早くこちらへ!」

レッド「!? ラードルフさん!?」

 突然、覚えがある声がしたのでそちらに目を向けると、そこにはレッドに対して大慌てで手招きをしているラードルフの姿があった。
 状況が把握しきれていないこともあり、言われるがまま大急ぎで彼の方へと駆け出すレッド。

レッド「ら、ラードルフさん、これは一体何なんですか!?」

ラードルフ「『失意の山』の魔王の軍勢がまた攻めてきたのだ! とにかく、今は一刻も早く村の外へ避難するのだ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:16:29.85 ID:/KEvFq.0<>〜村の外〜

レッド「……で、言われるがままに村の外まで来ちゃったけど……。本当に何がどうなっているんですか? 説明してください」

ラードルフ「先も申したが、我々の村は日々『失意の山』にいる魔王の軍勢の脅威に脅かされている」

レッド「…………」

ラードルフ「ぬ? いかがした?」

レッド「あ、いや、その……ラードルフさんってそんな喋り方でしたっけ?」

ラードルフ「初めて会う者に、そのようなことを言われる筋合いはない。誠心誠意、誠実を心がけ誠意を持って相手と接するのは当然のことである」

レッド「は、はぁ……。と、ところで、『我々』ってことは、他にも村人の方はいるんですね?」

ラードルフ「うむ。だが、今村にいるのは俺とレディと村長、そして村長の家に居候している『役立たずの勇者』の4人しかいない。他の者は皆、魔王の軍勢に怯え、村を離れてしまった」

レッド「『役立たずの勇者』?」

ラードルフ「本来なら彼女が魔王の軍勢からこの村を護らねばならぬというのに、本人に戦おうという意志がないからいつも村は火の海となるのだ」

レッド「そ、そうなんですか……」

ラードルフ「さよう。……では、俺は村の被害を確認してくるため、これにて失礼する」

レッド「…………」

どんすけ「どうした? 今度は随分と困惑した顔をしているが?」

レッド「どんすけ、さっきのアレは何だ? あと、あの違和感ありまくりな口調のラードルフさんは?」

どんすけ「お前、ここがオリカさんのコスモスフィアであることを忘れていないか?」

レッド「いや、忘れてはいないけど……」

 と、ここで何かを思い出したレッドは、一度はっとした顔をした後に再び口を開く。

レッド「……もしかして、さっきの魔王の軍勢やラードルフさんの口調が変なのは、現実世界のオリカが見たものが『オリカから見たソレ』という形で再現されているのか?」

どんすけ「察しがいいな、つまりはそういうことだ」

レッド(う〜ん、普段オリカはラードルフさんのことをああいう人ってイメージで見ていたのか……。俺はどう見ても気さくそうなイメージしか浮かばないけどなぁ……)

どんすけ「ところで、オリカさんを探さなくていいのか?」

レッド「あ。そうだった。……さっきのラードルフさんの話からして、多分『役立たずの勇者』っていうのが、この世界のオリカだと思うけど……。俺も一度村に戻ってみるか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:20:29.52 ID:/KEvFq.0<>〜黄昏の村〜

ラードルフ「ん? お主、また来たのか?」

レッド「えぇ、まぁ……。あの、ラードルフさん、村長さんの家って何処にあるかご存知ですか?」

ラードルフ「村の外れの丘の上にある家がそうだが……行ってどうするのだ?」

レッド「その……せっかく来たんだから、一応ご挨拶くらいはしていこうかなぁと思いまして……」

ラードルフ「止めておけ。村長はともかく、その娘は関わるだけで損というものだ」

レッド「ら、ラードルフさん結構酷いこと言いますね?」

ラードルフ「そこまで言わずしてどこまで言うというのだ? 先輩経験者の言うことはよく聞くものだぞ?」

レッド「はぁ……。でも、ラードルフさんがこの村に残っているということは、少なくともその人のために何かしてあげたいと思っているからですよね?」

ラードルフ「何を世迷いごとを。俺がここにいるのは司祭様よりあの『お荷物』を任されていたからに過ぎん」

レッド「ぶっ!?」

ラードルフ「そうでもなければ、こんな危なっかしい村に何時までもとどまっているわけなかろう?」

レッド(き、キツい……! このラードルフさんは『オリカから見たラードルフさん』なのに、いろいろとキツい……! というか、オリカは心の中ではまだ自分のことをこう思っていたのか?)



〜村の外〜

レッド「まさかオリカがラードルフさんのことをあんな風に思っていたなんてなぁ……」

どんすけ「一応言っておくが、コスモスフィアの人物と現実世界の人物は、同一でも考え方がまったく違うことなんてしょっちゅうだからな。そこは覚悟しておいたほうがいい」

レッド「あ、あぁ。肝に銘じておくよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:22:44.09 ID:/KEvFq.0<>〜村長の家〜

レッド「ここか。さすが村長というだけあって結構大きめな家だな……ん?」

 ふと、目を向けると、そこには以前も目にしたことがある井戸があった。

レッド「あれ? この井戸、この世界にもあるのか?」

どんすけ「うむ……。拙者もよく分からないが、どうやらこれはオリカさんにとっては『なくてはならないもの』なようだな」

レッド「……まぁ、いいや。早速中に入ってみよう」

 ドアノブを手に取り、ゆっくりと扉を開くレッド。
 すると、中にいたのは――

???「あら、いらっしゃい。旅の方なんて久しぶりだわ」

レッド「!?!?!?」


 ――全身素っ裸で、手入れもしていない黒い髪を地面に着くほど伸ばした少女が1人いた。
 心なしか、肌の色も白く、健康的な体ではないようにも見える。


???「はじめまして、私がこの村の村長よ」

レッド「おい、絶対おかしいだろ、この村!? なんで村長が白昼堂々と家の中で全裸でいるんだよ!?」

村長「別に問題ないじゃない。見られて恥ずかしい体していないもの」

レッド「見る側からしたら問題大有りだ!!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:25:00.48 ID:/KEvFq.0<>村長「……まぁ、いいわ。それよりも今回は家に何の用かしら?」

レッド「スルーされた……。え、えぇと、実はこの家にオリカがいると聞きまして……」

村長「オリカ? 確かに、あの子なら家にいるけど……会っても無駄だと思うわよ?」

レッド「え? どうして?」

村長「あの子は『勇者』なんて言われているけど、本当は自分が何も出来ない弱い存在であることを知っている。それ故に、あなたが彼女に会ったところで何も変わりはしないわ」

レッド「そんなことないですよ。それに、ここはオリカの世界なんですから、オリカ自身が変わらなきゃ何も始まらないんです」

村長「…………」

レッド「とにかく、オリカに会わせてください」

村長「……しょがないわね……。オリカなら2階にいるわ。彼女と会ってその後どうするかはあなた次第よ?」

レッド「はい」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:27:05.97 ID:/KEvFq.0<>レッド「オリカ、入るぞ?」

オリカ「誰? ……レッド?」

レッド「あぁ。そうだ。……って、あれ? その服……」

 レッドはオリカの姿を見て一瞬動きを止めてしまった。
 なぜなら、今目の前にいるオリカの服装は、普段着ているそれではなく、レッドも見たことがない緑色を中心としたどこかの民族衣装のような装いであったからだ。

レッド(……あぁ、そうか。この世界でのオリカは一応『勇者』って設定なんだっけ? それなら、普段と服装が違うのも納得だ)

オリカ「……何しに来たの?」

レッド「何をって……オリカに会いに来たんじゃないか。詩魔法を紡ぐために」

オリカ「詩!? ……無理よ。そんなことしたって、あたしの力じゃ魔王の軍勢は倒せないわ……」

レッド「俺は別にそこまでは言っていないんだけどな……。でも、始める前からそんなこと言ってちゃ何の解決にもならないと思うぞ?」

オリカ「……でも、この村はいつか焼け野原になる宿命にあるのよ? 仮にあたしの力で阻止することが出来たとしても、それが早くなるか遅くなるかの違いだけ……」

レッド「宿命って……。過去のことはともかく、未来のことなんて誰にも分からないじゃないか?」

オリカ「それは、レッドがそう思っているからでしょう?」

レッド「……じゃあさ、オリカはラードルフさんや村長さんが未来はどうなると思っているか分かるか?」

オリカ「……!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:28:29.83 ID:/KEvFq.0<>レッド「俺は、俺がそうだと思っていることなら分かるよ。だけど、俺はオリカが今思っていることなんて分かるわけないよ。それこそエスパーでもなけりゃ」

オリカ「…………」

レッド「オリカだってそうだろ? ……例えばさ、この前現実世界で俺たちが教会の飛空挺から落ちた時、オリカは俺や自分が助かると思ったか?」

オリカ「ううん……」

レッド「でも実際は、その後クルシェに助けられて、その後もいろいろあったけど、こうして生きているんだ。……な? 未来なんて結局自分自身でも分かるようなものじゃないだろ?」

オリカ「…………」

レッド「まぁ、今は無理に結論付けることはないよ。後で時間をかけて、じっくりと考えてみればいいさ。とりあえず詩魔法を……」

村長「オリカ、大変よ! また魔王の軍勢が村に押し寄せて来たわ!」

レッド「ちょwwwwwwタイミング悪すぎだろwwwwwwwwww あと村長さん、服着てください!」

オリカ「……いや……」

レッド「オリカ、とりあえず村に行ってみようぜ?」

オリカ「いや! 無理よ! いくら新しい詩魔法を紡いだって、あたしには何も出来ない!」

レッド「オリカ、村長さんや俺は別に魔王の軍勢を倒してくれと言っているわけじゃないんだ。だからさ……」

オリカ「いや! あたしに村を護ることなんて出来やしないわよ!」

レッド「……それじゃあ、今は俺を護るだけっていうのは駄目かな?」

オリカ「……え?」

レッド「確かにオリカ1人で村を護るというのは酷な話だよ。でも、俺1人ならオリカにだって護ることはできるだろ?」

オリカ「…………」

レッド「それで実際にやってみて、それでも駄目だったら諦めよう」

オリカ「……わかった。あたし、やれるだけやってみる……」

レッド「そうそう。何事も経験だよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:31:48.12 ID:/KEvFq.0<>〜黄昏の村〜

 レッドとオリカが村へ足を運んでみると、既に村は先ほどと同様、武装した男たちによって火の海と化していた。


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レッド「出たな! よし、オリカ! まずは俺をあいつらの炎から護ってくれ!」

オリカ「う、うん……!」

 レッドに言われるがままに、オリカはレッドを炎から護るための詩魔法を強くイメージする。
 そして、発動する。

オリカ「えいっ!」

 すると、レッドの目の前に何やら『わけの分からないモノ』が姿を現した。

レッド「……お、オリカ、これは……その……なんだ?」

 一見すると、それは一つ目(おまけに瞬きしている)と4枚の羽根が付いたツボに見える。
 ――が、本当にこれが何なのかレッドには分からなかった。

オリカ「なんとなく、風で炎とか消し飛ばせるかなぁ……って思って、創ってみた……」

レッド「なんとなくって……。と、とにかく、こいつでどうやって炎を防ぐかをイメージしてくれ! ここはオリカの世界なんだ! そうすればオリカの思いどおりのことが起こるはずだ!」

オリカ「う、うん……。やってみる……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:33:22.63 ID:/KEvFq.0<>レッド「頼むぞ、オリカ! 俺の命をお前に預けるぜ!」

オリカ「わ、分かった……! ……なんだろう。今までそんな言葉言われたことなかったから、少し元気が出てきたよ……」


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オリカ「来た! ……『ファイアーガード』……お願い! レッドを……みんなを護って!」

 オリカの想いが通じたのか、次の瞬間、『ファイアーガード』と呼ばれたソレは、もの凄いスピードで回転を始める。
 すると、次第に『ファイアーガード』を中心に強大な風――いや、竜巻が発生し、まわりの炎を次々と吹き消し、そして吹き飛ばしていく。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:35:23.47 ID:/KEvFq.0<>レッド「す、凄い……!」


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          ',||i }i | ;,〃,,     _) ぎゃーーーーーっ!!
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レッド「あ……;」

 見ると、吹き飛ばされた炎が、火の元の原因である男たちに跳ね返され、彼らは次々と火達磨になっていた。

オリカ「ちょっと、やり過ぎちゃった……?」

レッド「い、いや……。オリカのおかげで俺は助かったし、結果的に村も救われたみたいだから、いいんじゃないかな?」

 そう言いながら2人で辺りを見回してみると、先ほどまで火の海であった村はずが、それ以前の姿に戻っていた。

オリカ「あたしが村を救った……!? 信じられない……!」

レッド「オリカの『想い』がみんなを救ったんだよ」

???「お前たち……」

レッド「ん?」

オリカ「?」

 声がしたので振り返ってみると、そこには先ほど火達磨になっていた男の1人が立っていた。
 ……というか、男はまだ火達磨であった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:39:24.23 ID:/KEvFq.0<>レッド「!? お前、まだいたのか……って、大丈夫なのか、アンタ!?」

火達磨男「問題ない。それに、ワシはもうお前たちやこの世界を燃やしたりはしない」

 そう言葉と同時に、男の全身が一気に真っ赤な炎に包まれたかと思うと、次の瞬間には巨大な炎の姿となりその場に浮かび上がった。

火達磨男改めフレイメア「ワシはこの地を護るために存在することにした」

レッド「えっ?」

オリカ「……レッド、あたしね、気づいたんだ。もしかしたら、あたしでもこの世界を変えることが出来るかもしれないんじゃないかって……!」

レッド(!? ……そうか、オリカの心に変化が現れたのか!)

オリカ「今まであたしは何の力もないし、あったとしても何も出来るわけがないと思ってた……。でもレッドがそれを違うって教えてくれたから……!」

レッド「そうか……。それならきっと、この世界も平和に……」

フレイメア「いや、まだだ」

レッド「えっ!?」

フレイメア「『失意の山』にいる魔王を倒さぬ限り、この世界は平和になったとは言えん」

レッド「あ……。言われてみれば、前回起きた『パラダイムシフト』っていうのが起きていないな……」

オリカ「……レッド、『失意の山』に行こう……!」

レッド「オリカ?」

オリカ「あたしでもこの世界を変えられるなら……きっとあたしたちでも魔王を倒せるはずよ!」

レッド「……そうだな。よし! 行ってみますか!」

 青魔法【ファイアーガード】を紡ぎ出した!
 赤魔法【フレイメア】を紡ぎ出した!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:42:03.37 ID:/KEvFq.0<>〜村の外〜

レッド「でも、オリカが突然積極的になるなんて思わなかったよ」

オリカ「……レッド、あたしね。ついさっきまで『世の中思い通りになるわけがない』って思ってたんだ」

レッド「ん?」

オリカ「あたしの村が昔、戦争で焼けちゃった話は聞いたでしょ?」

レッド「あぁ、現実世界でつい先日」

オリカ「『スクワート村』っていうんだけどね。ある日突然、敵襲に遭って壊滅したの……」

レッド「…………」

オリカ「あたし、レーヴァテイルだけど、力もなかったから何も出来なかった……。もっと力があればお父さんやお母さんや村だって……」

レッド「…………」

オリカ「……でもね、現実世界でレッドは言ったでしょ? 『過去の失敗を悔やみ続ける気持ちは分かるけど、一番の問題は、それをいつまでも悔やみ続けて、先に生かそうといないこと』だって」

レッド「あぁ、確かに言ったね」

オリカ「だから、せめて今だけでも過去のことを引きずらずに頑張ってみようって思ったの。今までは駄目でも、これからは思い通りになるかもしれないもの……!」

レッド「そうか。それはいいことだよ」

オリカ「決心が付いたのは本当にさっきだったんだけどね……あ」

レッド「おっ。ここだな……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:42:55.76 ID:/KEvFq.0<>〜失意の山〜

オリカ「ここが『失意の山』……!」

レッド「ここに魔王とやらがいるのか……一体どんな奴なんだ?」

???「あぁん? お前ら、こんな所で何してやがるんだ?」

オリカ「!?」

レッド「……この声は……」

 不意に聞き覚えのある声がした。
 というより、この声は忘れるはずもない。
 この声の主とは、現実世界でつい先日会ったばかりなのだから――

レッド「――ボルド!」

ボルド「よう、ご両人! まさかこんな所で出会うとは思わなかったぜ!」

レッド「何故お前がここに……!」

オリカ「レッド、そいつが魔王よ!」

レッド「……え?」

ボルド改め魔王「そのとおり! 俺が魔王だ!」

レッド(あぁ、そうか。現実世界であんな怖い目にあったんだもんな。恐怖の象徴である『魔王』として具現しても不思議じゃないか……)

魔王「勇者オリカよ! こんな所にノコノコと現れるとは、愚かな奴だ! あの時のお前の家のように、爆風で吹き飛ばしてやるぜ!」

 そう叫ぶやいなや、ボルドは突然光に包まれたかと思うと、次の瞬間には赤い巨大なドラゴンへとその姿を変えた。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:45:00.86 ID:/KEvFq.0<>レッド「えぇーーーーーっ!? この世界って『ド●ゴンク●スト』だっけ!?」

オリカ「……っ!」

魔王改めドラゴン「さぁ、吹き飛んでしまえ! お前の家族のように! お前の村のように!」

レッド「うわっ!?」

オリカ「……! させない!」

 ボルド改め魔王改めドラゴンの翼から爆炎をまとった風が放たれる!
 しかし、それと同時にオリカは両手を前にかざすと、先ほど出した『ファイアーガード』にそっくりな『何か』をその場に具現化させた。

レッド「!?」

ドラゴン「なん……だと……!?」

 ドラゴンがどこぞの某週間少年漫画のキャラクターのような驚きの声を上げる。
 それも、そのはずだ。本来なら吹き飛ばされるはずのオリカとレッドが、爆風をものともせずにその場に立ち続けているのだから。

オリカ「今のあたしは過去に囚われたりなんかしない! この『ウインドガード』があれば、そんな爆風なんてへっちゃらなんだから!」

ドラゴン「お、おのれ……! それならもっと強い爆風を起こせばいいだけだ!」

オリカ「もっと強い爆風……!? それって……それだけしか芸がないってことじゃない!!」

レッド(た、確かに正しいが、それを言っちゃ駄目だろ……)

オリカ「あの時は家族を護れなかったけど……今は護れるようになったもの……! えぇい!」

 オリカが勢いよく腕を振るうと、『ウイングガード』が先ほどの『ファイアーガード』同様、回転を始める。
 そして、その回転に吸い寄せられた爆風が収束してひとつの炎の塊へと姿を変え、やがてドラゴンに向けて跳ね返った!

ドラゴン「うがああああぁ! そ、そんなバカなあああぁ!?」

 お決まりなやられ文句を叫びながらドラゴンは炎の塊に直撃し、そして爆散した。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:46:38.60 ID:/KEvFq.0<>オリカ「……やった?」

レッド「あぁ。オリカがボルド……じゃなくて、魔王でもなくて……ドラゴンをやっつけたんだ」

オリカ「やった……! あたし、この世界を救えたんだ……!」

レッド「……なんか終わってみたら、俺がいる必要なかったんじゃないか?」

オリカ「そんなことないよ! こうしてドラゴンをやっつけられたのはレッドのおかげなんだよ!?」

レッド「そ、そうなのか?」

オリカ「そうだよ。……レッド、ありがとう。あたし、なんだかとても気が楽になったよ……!」

 ――その時、レッドたちの背後から光がさし込んだ。
 振り返ってみると、そこには……

レッド「あれは……『パラダイムシフト』!?」

オリカ「レッド、行こう!」

レッド「あぁ!」

 青魔法【ウインドガード】を紡ぎ出した!
 赤魔法【ドラゴンフェルノ】を紡ぎ出した!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:49:58.93 ID:/KEvFq.0<>〜ストーンヘンジ〜

レッド「よし、間に合ったな。さぁ、オリカ……ん? オリカ、どうした?」

オリカ「レッド……あそこ……光の中に、誰かいる」

レッド「えっ!?」

 オリカに言われたとおり、『パラダイムシフト』の光の中をよく見てみると、確かにそこには1人の人影があった。
 もう少し近づいて見てみると、その人影の正体は――

レッド「オリカ!?」

オリカ「うそ……。あたしがもう1人……!?」

 そう、その人影の正体は間違いなくオリカだった。
 ただし、目の前の光の中にいるオリカは隣にいるオリカとはまた別の格好であった。
 その格好はというと、天使をイメージしたかのような鎧姿だった。

天使オリカ「……『パラダイムシフト』を起こしたのは、あなた?」

レッド「あ、あぁ……。君は……オリカなのか?」

天使オリカ「そう、あたしはオリカ。でも、あたしはまだあなたが知らないオリカ」

レッド「……つまり、この世界とはまた違う、別の世界のオリカってことか?」

天使オリカ「えぇ。……さぁ、オリカ。この光の中へ飛び込んで。そうすれば、『あなた』は一歩成長した『貴方』になれる」

オリカ「うん……!」

レッド「……なぁ、ひとつ聞いていいか?」

天使オリカ「なに?」

レッド「なんで、違う世界のオリカである君がこの世界に現れたんだ? 前回は現れなかったのに……?」

天使オリカ「……それは、現実世界のオリカが、もっとあなたにあたしのことを知って欲しいと思ったから……」

レッド「オリカが……俺に……?」

オリカ「レッド」

レッド「ん? おぉ、なんだ?」

オリカ「今回は本当にどうもありがとう。……また遇えるかな?」

レッド「……あぁ、もちろんだ!」

オリカ「そう言ってもらえて嬉しいな……。じゃあ、行くね……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:53:26.05 ID:/KEvFq.0<> LEVEL 2
 COSMO SPHERE

 Ma num ra chs pic wasara mea,
 en fwal syec mea.
 Was yea ra chs mea yor en fwal.
 en chs hymme.
 ■■■■■■■■

 C L E A R E D .

 オリカのコスモスフィアLv2を完了しました。
 コスチューム【スクワート】を手に入れました。



 ………………

 …………

 ……



レッド(――コスチューム?)

どんすけ「まさかオリカさんが、こんなにも早く自分の過去を克服するなんて……」

レッド「おぉ、どんすけじゃないか。途中から姿が見えなかったけど、どこに行ってたんだ?」

どんすけ「別にどこにも行っていない。ちゃんとお前の気づかぬところから様子は見させてもらっていた」

レッド「あぁ、そうなの……」

どんすけ「しかし、お前……一体どんな魔法を使ったんだ?」

レッド「魔法って……俺はレーヴァテイルじゃないんだから、そんなことはできないよ」

どんすけ「いや、このようなことは滅多にありえるようなことではない……!」

レッド「そうなのか?」

どんすけ「あぁ。一度のダイブでオリカさんにいくつもの詩魔法を紡がせ、あのドラゴンをオリカさん自身の手で倒させた。しかも、詩魔法を紡いだ理由の半分はお前のためだ。オリカさんが自身のために紡いだ前回の時とは違う」

レッド「……ん? なぁ、どんすけ。今回オリカが詩魔法をいくつも紡いだことは、俺自身も凄いと思うけど、オリカがドラゴンを倒したことは何で凄いんだ? それに過去を克服って……」

どんすけ「……そうだな。お前になら特別に説明してやってもいいかもしれん」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:58:12.77 ID:/KEvFq.0<>どんすけ「――お前は、何故ボルドという男が今回のオリカさんの世界で現れたか分かるか?」

レッド「それは、この前現実世界でボルドに殺されそうになったからだろ?」

どんすけ「それもある。だがな、それ以前に、あの男はオリカさんが過去に囚われるようになってしまった原因を生み出した存在なのだ」

レッド「……え?」

どんすけ「お前も今回の世界のオリカさんから聞いただろう? スクワート村のことを……」

レッド「……! まさか……!」

どんすけ「そうだ。オリカさんの村が襲われた原因がボルドなのだ」

レッド「え!? 原因!? 村を襲ったのがボルドってわけじゃないのか!?」

どんすけ「あぁ。……お前はこの世界に存在する『テル族』という、人間ともレーヴァテイルともまた違う種族のことを知っているか?」

レッド「いや。そんな奴らの存在は知らなかったし、名前も今はじめて聞いた……」

どんすけ「『テル族』は自らを掟で縛り付けている。それ故に、本来なら人間の村を襲うようなことは真似はしない。……だが、ボルドは『テル族』が結果的に村を襲わざるを得ない『理由』を作ったんだ」

レッド「……その『理由』って?」

どんすけ「『テル族』が護り続けていたある“宝”をボルドが盗み出したためだ。その帰りに奴はスクワート村に立ち寄ったのだが、そこへボルドを追っていた『テル族』と鉢合わせになり村は戦場となった」

レッド「…………」

どんすけ「ボルドは村人と村の警護のために駐屯していた『天覇』の兵士たちを盾にして自分だけ“宝”を持って逃げたんだ」

レッド「!? なんだよ、それ……?」

どんすけ「オリカさんのご両親も、ボルドに駆り出されてな……『テル族』の放った爆風に吹き飛ばされて死んだのだ……」

レッド「……ごめん。聞かないほうがよかったかもいれないな……」

どんすけ「いや……拙者もお前には今知っておいてもらったほうがいいと思ったから教えたのだ。認めたくはないが……」

レッド「…………」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:58:38.94 ID:/KEvFq.0<>どんすけ「何時までも辛気臭い顔をするな。オリカさんがこうしてまた一歩成長できたのだ。お前ももっと喜べ」

レッド「そ、そうだな。……でもさ、前回に続いて『パラダイムシフト』が起こったけど、本当にこれで問題ないのか? 上手く行き過ぎているような気もして怖いんだが……」

どんすけ「……確かに、そう思うのも不思議ではないな」

レッド「や、やっぱり?」

どんすけ「これだけは覚えておけ。“コスモスフィアのレベルが上がればオリカさんは成長していくが、お前自身は辛くなっていく”。」

レッド「……俺が辛く?」

どんすけ「そうだ。『パラダイムシフト』が起きてオリカさんのコスモスフィアのレベルが上がっていくということは、それだけ深層心理に近づいていくということだ。……深層心理をなめていると痛い目を見るぞ?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 03:59:24.10 ID:/KEvFq.0<>〜ダイブ屋・クーライ〜


レッド「……深層心理?」

ラードルフ「おぉ、お疲れさん。そっちはずいぶんと長かったじゃないか」

レッド「あれ? ラードルフさん?」

ミシャ「こっちはもうダイブも準備も終わっちゃったわよ」

レッド「……ということは、俺とオリカが最後ってことか」

ライナー「どうだ? オリカの方はなんか新しい詩魔法は紡げたか?」

オリカ「……えぇと……レッドさん……?」

レッド「あぁ、紡げたよ。ざっと4つほど」

ミシャ「よ、4つ!? 一度のダイブ、それも2回目で!?」

レッド「オリカが頑張ったからね。『パラダイムシフト』も起きたよ」

オリカ「また『パラダイムシフト』が……!?」

クルシェ「……レッド、君もともとレーヴァテイルのパートナーに向いていたんじゃない?」

ラードルフ「確かに、オリカは良いパートナーに出会えたのかもしれないな。これは司祭様の目にも狂いはなかったということだろう」

ミシャ「……なんか悔しいわね。ライナー、もう一度ダイブするわよ!」

ライナー「えぇ!?」

クルシェ「はいはい、無茶言わない。時間もないし、ダイブするのだってタダじゃないんだから」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 04:00:39.75 ID:/KEvFq.0<>レッド「……あ。そういえば、最後にコスチューム取得が云々って表示が出ていたけど、あれは何だったんだろう?」

ミシャ「え!? オリカ『パラダイムシフト』を起こしただけじゃなくて『コスチューム』も手に入れたの!?」

オリカ「う、うん……。そうみたい……」

ミシャ「もう、なによー! こっちは今回、やっとの思いで1つ紡げた程度だったのにー!!」

ライナー「み、ミシャだって『パラダイムシフト』起きたからよかったじゃないか……!」

レッド「……なぁ、今更だけど、『パラダイムシフト』が起きたこととかを他人に洩らすのはいいのかな?」

オリカ「さ、さぁ……?」

ラードルフ「ところでみんな、そろそろ出発した方がいいんじゃないか?」

ライナー「あ、いけね……。よぉし、それじゃあ『謳う丘』に向けて出発だぜ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 04:01:48.87 ID:/KEvFq.0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「よぅ、みんな。グリーンだ。予約した『アルトネリコ3設定資料集』はもう手元に届いたか?」

グリーン「さて今回は、本編の最後に登場した『コスチューム』について簡単に説明しよう!」

グリーン「――実はこの『コスチューム』についての説明は『コスモスフィア』の時と同様、最初は本編中でミシャとダイブ屋にさせるつもりだったらしい」

グリーン「だが、そうするとこのコーナーでの俺の出番がまたなくなってしまうということで、あえて本編中に説明することは取り止めたらしい。>>1マジGJ!!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 04:03:30.24 ID:/KEvFq.0<>グリーン「『コスチューム』とは、『レーヴァテイルが変身できる衣装』のことだ。着替えるんじゃなくて『変身』な。コレ重要」

グリーン「みんなも小学生の頃、赤白帽を『ウ●トラマン被り』した時、思わず『ス●シウム光線』のポーズをとりたくなったことが一度はあるだろ?」

グリーン「大体それと一緒で、レーヴァテイルは服装を変えることで気分を高め、詩魔法の効果を上げるんだ。詩魔法は『想い』――心や感情が大事だからな」



グリーン「――ん? 誰だ、『変身ヒロイン』と言った奴は? レーヴァテイルは魔法を使うから、どっとかと言うと『魔法少女』だろう?」

グリーン「実際>>1が萌えヲタの友人に『アルトネリコ』を薦めた際、その友人から『戦闘ある毎に服変えるなんて、このゲームのヒロインってカー●キャ●ターさ●らみてーだな』と言われていたからな!」

グリーン「おっと、話が反れてしまったな。では、今回はこの辺で失礼することにしよう。それじゃあ、また次回!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/04(火) 04:11:03.02 ID:/KEvFq.0<>というわけで第9話でした
第10話は本日中に投稿予定です
多分夜になると思います

まさかの『あの人』が先に本編登場で、Sさん(仮名)涙目ww
この調子だとマジでSさん(仮名)が登場するのは何話目になるんだ……?ww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/04(火) 07:13:35.42 ID:8s3G2wDO<>>>1乙
しかしどうなるかと思ったら一回で四つか。レッドさんスゲェ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/04(火) 07:53:39.13 ID:CyMs8EIo<>やっぱり全裸なのか・・・<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:15:26.69 ID:2vZoZGA0<>第10話投下します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:19:03.52 ID:2vZoZGA0<>●PHASE1 第10話

〜謳う丘〜

ラードルフ「着いたぞ。ここだ」

ライナー「ここが『謳う丘』か……」

ミシャ「ここにライナーが探している『パージャ』があるかもしれないのね」

ライナー「あぁ……。待っていてください、シュレリア様!」

クルシェ「……シュレリア様?」

ライナー「以前話していた俺の上司だよ。この塔の管理者で、俺の憧れの人なんだ」

レッド「塔の管理者? この世界にはそんな人までいるのか?」

ミシャ「そりゃあ、この塔自体もともと人の手で作られたものだもの。人の手によって管理しなきゃおかしいでしょ?」

ラードルフ「言われてみればそうだな。しかし、そんな人がいたのか……。俺たちもはじめて聞いたぞ」

オリカ「はい」

クルシェ「ボクも」

ライナー「シュレリア様は、この世界に住む人々の幸せのために一所懸命でさ、俺も尊敬しているんだ」

レッド「……そのシュレリアって、名前からして女性みたいだけど、どんな人なんだ?」

ライナー「ん? なんだレッド、興味あるのか?」

オリカ「!?」

レッド「まぁ、俺も一応男だからな……って、そうじゃなくて! その人がこの塔の管理者なら、俺が元の世界に帰るための方法も何か知っているんじゃないかと思っただけだ」

ライナー「あぁ、そういうことか。う〜ん……。実を言うと、俺もシュレリア様のことはあまりよく知らないんだ」

クルシェ「自分の上司のことなのに?」

ライナー「あぁ。普段はプラティナよりもさらに高い所に住んでいて、『ウイルス』が現れたり、塔に何か問題が発生した時くらいしか基本的にプラティナへ来ないんだ」

ミシャ「おまけに、人前に姿を見せる時は全身に装甲をまとっているから素顔も分からないのよね」

レッド「そうか……。それじゃあ仮にプラティナに行けたとしても、会うことは難しそうだな……」

ライナー「……さて、話はこれぐらいにして……早速中に入るぞ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:19:41.66 ID:2vZoZGA0<>〜『謳う丘』内部〜

クルシェ「あれ? 早速何かあるよ?」

ミシャ「これって確か……」

ライナー「ワープゲートだな」

レッド「あぁ、上に乗ると別のフロアにワープできる装置か」

オリカ「? レッドさん、ご存知なんですか?」

レッド「あぁ。俺の世界にもこれと似たようなものが使われている施設があるんだよ。『シルフカンパニー』っていう巨大企業の本社ビルとかね」

ライナー「……あれ? おかしいな、乗っても作動しないぞ?」

ラードルフ「壊れているのか?」

ミシャ「ううん。見たところ故障しているような形跡はないから、多分どこかに作動させるための仕掛けがあるのよ」

クルシェ「それじゃあ、まずはそれを探してみようか」

ライナー「そうだな……!? 気をつけろ、何か来るぞ!」

レッド「!?」

 レッドたちが薄暗い遺跡の奥へと目を向けると、闇の中から人形のロボットが姿を現した。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:20:15.40 ID:2vZoZGA0<>二八式『…………』

ラードルフ「この遺跡のガーディアンか!?」

クルシェ「見た感じ、そうみたいだね」

ライナー「ミシャ、頼む!」

ミシャ「任せて! Was ki ga exec sosar lir...」

 ライナーの指示を受け、早速ミシャが赤魔法の詠唱を開始する。

レッド「よしオリカ、こっちも詩魔法だ!」

オリカ「はい! ……あ、レッドさん」

レッド「ん? なんだ?」

オリカ「せっかくですから、先日コスモスフィアで手に入れたっていう『コスチューム』を試してみませんか?」

レッド「……そうだな。それならお願いできるか?」

オリカ「やってみます……! えいっ!」

 オリカが自身の両手を胸元にやり、強くイメージを思い浮かべると、彼女の服装が瞬時に違うものへと変化した。
 それは、先日レッドがコスモスフィアで出会ったオリカが着ていたあの緑色の服であった。

レッド「おぉ、本当に服装が変わるんだな!」

オリカ「あ、あたしも本当に変わるなんて思わなかった……!」

クルシェ「レッド! オリカ! ぼーっとしてないで、2人も早く戦って!」

レッド「おっと……。よしオリカ、いこうか?」

オリカ「はい……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:22:07.97 ID:2vZoZGA0<> ……それから、かれこれ一時間後。

ライナー「くっそ……! この遺跡、広いだけじゃなくてやたら敵が多いな……!」

ラードルフ「あぁ。おまけに、敵の一体一体が妙に固い」

クルシェ「これはもしかしたら、予想以上に時間が掛かりそうだね」

レッド「……また来たぞ」

 一行が休む間もなく、遺跡のガーディアンが次々と姿を現す。

ライナー「またこいつらか! いい加減しつこいな!」

ラードルフ「しかし、これだけガーディアンの警備が厳重ということは、やはりこの遺跡には何かがあるということだ」

レッド「それなら、一気に突破するまでだな。カビゴン、『ギガインパクト』!」

 モンスターボールから呼び出されると同時に、カビゴンの巨体から強力な一撃が繰り出される。
 その攻撃を受けたガーディアンは、容易くバラバラに砕け散った。

クルシェ「本当にトンでもない力だね、ポケモンって……」

レッド「こういう場合、出し惜しみはしないほうがいいと思って……」

ミシャ「……あら? 何かしら、これ?」

ライナー「どうした? 何かあったのか?」

ミシャ「うん。これを見て……」

 ミシャが遺跡の壁の一点を指差す。
 そこには雷を表したマークが付いたスイッチらしきものがあった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:23:48.01 ID:2vZoZGA0<>ラードルフ「もしや、先ほどのワープゲートの起動スイッチじゃないか?」

クルシェ「確かに、その可能性は高そうだね」

レッド「……雷のマークが付いているってことは……」

オリカ「ミシャちゃんの出番だね」

ミシャ「えぇ。じゃあ、早速試してみるわね?」

ライナー「頼む」

 ミシャが緑魔法『雷弾』を発動させ、それをスイッチに当てると、どこからか『何か』が動き出したかのような音が聞こえてきた。

ライナー「……さっき通ってきた方からだ」

クルシェ「当たりかな?」

ラードルフ「よし、ガーディアンが来る前に早速ワープゲートがあった場所まで戻ってみよう」

 言われるがままワープゲートのあったフロアまで戻ってみると、ワープゲートが何やら光を発していた。

レッド「お。これならいけるんじゃないか?」

ライナー「よし、じゃあ早速……」

 そう言いながら、まずはライナーがワープゲートの上に足を乗せる。
 すると、ライナーの姿がレッドたちの前から一瞬で消えた。

オリカ「あ。消えた」

ミシャ「やっぱり、さっきのが起動スイッチだったみたいね」

クルシェ「それじゃあ、ボクたちも続こうか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:26:28.11 ID:2vZoZGA0<> ワープゲートを抜けると――目の前には空があった。

オリカ「あれ? あたしたち地下にいたはずじゃ……」

ラードルフ「一応遺跡の中のようだが……。どうやら、遺跡自体が『ホルスの翼』の地盤から突き抜けてしまっているようだな」

クルシェ「……ねぇ、このフロア、なんかやたら足場が脆そうじゃない?」

ライナー「い、言われてみれば……。というより、このフロア自体いたるところボロボロ……」

レッド「おまけに、先日の『ほたる横丁』のパイプラインよりも幅が狭いし高いときた」

ミシャ「う、うぅ〜……!」

 見ると、ミシャが既にライナーの服の端をギュッと掴んで引っ付いていた。

ライナー「み、ミシャ、大丈夫だよ。慎重に進んでいけば心配ないさ」

レッド「万が一に備えてリザードンとフシギバナをあらかじめ出しておくか?」

クルシェ「いや、今出すのはやめておいたほうがいいんじゃないかな? こうも脆そうな足場だと、ポケモン2匹分の重みが追加されただけで崩れるかも……」

ラードルフ「あぁ。だが、念には念を入れて、何時でも呼び出せるようにしておいた方がよさそうだな」

レッド「分かった……ん? おいライナー、あれを見ろ!」

ライナー「え? ……あ! あれは……!」

 レッドが指差したフロアの最奥――そこに、何やら日の光を反射し、輝きを放つものがあった。
 よく見ると、それは何かの水晶か結晶のようであった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:27:58.08 ID:2vZoZGA0<>ライナー「もしかして……ヒュムネクリスタル!?」

ラードルフ「そうだといいのだが……ここからでははっきりとした形が分からん。もう少し近づいてみないことには……」

ライナー「よ、よし……。みんな、慎重に進んでいこう……!」

 一歩一歩慎重に、ヒュムネクリスタルと思えし『それ』へと近づいていく一行。
 そして、ついに『それ』の全貌がはっきりと視覚できる距離まで近づいた。

ライナー「間違いない……! ヒュムネクリスタルだ!」

レッド「『パージャ』か!?」

オリカ「教会で見た立体図と見た感じの外見は一緒です。おそらくは……!」

クルシェ「じゃあ、急いで回収しよう!」

ライナー「あぁ……! シュレリア様、ついに見つけましたよ……!」

ミシャ「ライナー、気をつけてね……?」

 急ぎ足でヒュムネクリスタルへと駆け寄るライナー。
 そして、彼の両手がしっかりと目的のクリスタルを掴んだ。

ライナー「や、やった……!」

ラードルフ「よ、よし! それなら急いでこのフロアから離れよう!」

ライナー「あ、あぁ……! 戻る時も慎重に……!」

(バァン!)

ライナー「なにっ!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:29:01.89 ID:2vZoZGA0<> ――それは突然やって来た。
 遺跡の壁を付き破り、ライナーとレッドたちの間に割り込むような形で、いきなり姿を現したのである。

レッド「こいつは……塔のガーディアン!?」

クルシェ「こんな時に……!」

ミシャ「ライナー!」

ライナー「ぐっ……! 邪魔だ、どけぇ!」

 左手でクリスタルをしっかり抱え、右手に剣を構えたライナーが勢いよくガーディアンに斬りかかる。
 しかし、ガーディアンのボディは剣による斬撃程度ではビクともしなかった。

ライナー「うわっ!?」

 すぐさま、弾き飛ばされる。
 ライナーのその身体は、遺跡の外――虚空へと投げ出された。

ラードルフ「ライナー!?」

ミシャ「いやぁ!」

ライナー「ま……まだだ!」

 咄嗟に剣を捨て、右手で足場に掴まるライナー。
 だが、結果的に彼の身体は遺跡にぶら下がる形になる。
 ガーディアンはそんな無防備になったライナーに対して、すぐさま標準を合わせるが――

レッド「カメックス、『ハイドロカノン』!」

 それよりも早く、レッドによって呼び出されたポケモン・カメックスの二門のロケット砲から勢いよく水が放たれた。
 最大射程50メートルにも達し、なおかつ鉄板すら貫通すると言われるカメックスの放水を至近距離から受け、ガーディアンも遺跡の外へと投げ出される。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:30:04.26 ID:2vZoZGA0<>レッド「今のうちにライナーを!」

ラードルフ「わかった!」

 急ぎライナーの元に駆け寄り、彼の救出を開始するラードルフたち。
 だが、人間とは違い、飛行可能なガーディアンは、すぐさま空中で体制を立て直すと、レッドたちに向けて内蔵されていたキャノン砲を放つ。

レッド「うおっ!?」

 放たれた弾丸は間一髪レッドたちには命中しなかったものの、フロアの壁面に命中し、そこに巨大な穴を開ける。
 また、それによりフロア中が大きく揺れた。

ラードルフ「まずい……! このままではこのフロア全体が崩れるぞ!」

オリカ「ライナー、早く!」

ライナー「もう少し……よし!」

 仲間の力を借りたライナーが、再びフロアへと足を着ける。
 彼の無事を確認すると、一行は急いでワープホールの元まで駆け出した。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:30:34.47 ID:2vZoZGA0<>ミシャ「あいつ、まだ追いかけてくる!」

レッド「『きあいだま』だ、カメックス!」

 レッドは、目の前のガーディアンをポケモンの属性でいえば『はがね』タイプと想定し、今度は『かくとう』タイプのワザで攻撃するようにカメックスに指示を出す。
 すぐさま、カメックスのロケット砲からエネルギーの弾丸が放たれ、再びガーディアンを弾き飛ばした。
 だが、ガーディアンはなおも追撃の手を緩めない。

ライナー「あいつ、なんて頑丈なやつだ!」

ラードルフ「もう少しの辛抱だ! 今はひたすら走れ……っ!?」

 ラードルフが前を見ると、ワープホールから何かが姿を現そうとしていた。
 人か!? それとも新手のガーディアンか――!? もしも、後者ならば最悪の展開である。
 ――しかし、目の前から現れたものは、登場するやいなやラードルフたちに向かいこう叫んだ。

???「お前ら! 耳塞いで頭下げてろ!」

オリカ「えっ!?」

レッド「なっ!?」

 言われるままに本能的に頭を下げ耳を塞ぐ一同。
 すると、それと同時に、『彼』の左手に備えられていた機関銃が火を噴いた。

 ――機関銃から放たれた無数の弾丸は、全てガーディアンに命中する。
 しかし、それでもガーディアンを倒すには至らない。
 だが、この攻撃によりガーディアンのボディに金属疲労が発生した。

レッド「カメックス、もう一度『きあいだま』!」

 レッドはそれを瞬時に理解し、カメックスに指示を出す。
 再びカメックスのロケット砲から放たれた『きあいだま』はガーディアンに直撃し、ついにガーディアンはバラバラに砕け散った。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:31:11.66 ID:2vZoZGA0<>???「……危ないところだったな」

 レッドたちの前に姿を見せた『彼』は、そう言うと被っていた帽子のつばを上げて顔をのぞかせる。

ライナー「じゃ、ジャック!? ……どうしてここに!?」

ジャック「宿でクレアからお前らのことを聞いてな。待っているのも何だから追いかけてきたんだよ」

ラードルフ「そうだったのか……。おかげで助かった」

ジャック「いやぁ、そんな大したことしたわけじゃありますがね……」

クルシェ「――やぁ、ジャック。元気そうで何よりだよ」

ジャック「ぶっ!?」

ライナー「? 知り合いなのか?」

クルシェ「さて、早速だけど、この間のメンテ代のツケを全部まとめて払ってもらおうか?」

オリカ「……ツケ?」

クルシェ「彼の腕の銃のメンテナンス、ボクがやってるんだよ。殆どお金払ってもらったことないけどね!」

レッド「あぁ……。だからあの時……」

ジャック「す、すまん! 今は急いで来たもんだから持ち合わせがないんだわ! 勘弁してくれよ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:31:42.23 ID:2vZoZGA0<>ミシャ「……アル兄?」

ジャック「え……?」

ライナー「は?」

クルシェ「へ?」

ミシャ「アル兄! やっぱりアル兄よね!?」

ジャック「ミシャ……!? お前、ミシャなのか!?」

レッド「な、なんだぁ? ミシャもジャックと知り合いなのか?」

オリカ「……どうなってるの?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:32:11.37 ID:2vZoZGA0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「よぅ、みんな。グリーンだ。今回は特に新規用語とかもないからこのコーナーも特に機能しない。ぶっちゃけ暇だ」

グリーン「……まぁ、こんな時があってもたまにはいいかな?」

グリーン「そんなわけで、今回はこの辺で。また次回!」



Sさん(仮名)「よりによって、彼女にまで先に登場されるなんて……!」

Hちゃん(仮名)「あなたはまだいいのよ! 私なんて下手したら本編に一度も登場できない可能性が濃厚なのよ! ライナーは現状ミシャルート一直線状態なのに……酷いのよ!」

グリーン「……なんか増えてる……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/05(水) 03:36:52.17 ID:2vZoZGA0<>というわけで、第10話投下完了です
第11話は今夜中に投下できるといいなぁ……

蛇足ですが、家に新しいテレビが来ました
5.1ch対応だからアルトネリコシリーズのBGMもすっげえ迫力で聞こえますww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/05(水) 19:44:48.99 ID:KllS5wMo<>rasse rasse

俺も5.1chを買ったけど、端子が合わなくて途方にくれてるんだorz<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/07(金) 00:03:14.97 ID:7gL4btwo<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 00:34:07.36 ID:drTTXV.0<>第11話投下します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 00:36:10.75 ID:drTTXV.0<>●PHASE1 第11話

〜謳う丘〜

ラードルフ「やれやれ。なんとか生きて出られたな」

クルシェ「今回は過剰にエキサイティングだったかもね」

レッド「……さて、というわけで、説明してもらえないか、ジャック?」

ライナー「ミシャもだ。何で2人はお互いのことを知っているんだ?」

オリカ「それに『アル兄』って……」

ミシャ「あ、アル兄……」

ジャック「……いいんだ、ミシャ。俺がライナーと行動を共にすると決めた以上、いずれこうなるのは分かっていたことだ。せっかくだから今のうちに話しちまってもいいだろう……」

ミシャ「…………」

ジャック「まず最初に、俺とミシャの関係だが……。ミシャと俺は、ミシャが6年前『天覇』に拉致されるまで同じ郷で暮らしていた」

ラードルフ「それはつまり……ジャックも『ホルスの翼』の人間ではないということか?」

ジャック「まぁ、そういうことになる」

クルシェ「……まさか、ジャックも『エレミアの使徒』だっていうんじゃないだろうね?」

ミシャ「ううん。それは違うわ。確かに私もプラティナ出身だけど、私はライナーがまだ小さい頃にプラティナから別の場所に移り住んだの」

オリカ「あぁ、そういえば飛空挺でライナーにそんな話を……むぐぅ!?」

レッド「ば、バカ! 盗み聞きしていたことがバレるだろ!」

ライナー「……もうバレてるんだけど……」

レッド「う……」

オリカ「……ごめんなさい……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 00:39:28.87 ID:drTTXV.0<>ラードルフ「しかし、『ホルスの翼』でもプラティナの人間でもないということは……。まさかジャックは……」

ジャック「さすがは教会の総司だな。多分その予想で正解だと思うぜ?」

ライナー「?」

オリカ「……『テル族』?」

レッド(!?)

クルシェ「……? 『テル族』って?」

ミシャ「この世界に住んでいる、人間ともレーヴァテイルとも違うまた別の種族……。私は、6年前までその『テル族』の郷『イム・フェーナ』に住んでいたの」

ライナー「『イム・フェーナ』? 聞いたことないな……」

ジャック「『ホルスの翼』とプラティナの間――塔の中腹辺りに位置する郷だからな。おまけに『テル族』は基本的に郷から出ることはねえし、人間との交流も絶ってるから知っている奴が少ないのも無理はねえよ」

レッド「なるほど。じゃあ、ミシャがジャックのことを『アル兄』と呼んでいるのも……」

ジャック「あぁ。アルモニカ……それが俺の本当の名だ」

ライナー「えっ!? ジャックって偽名だったのか!?」

ジャック「お前なぁ……。話の流れ的に読めるだろ、それぐらい?」

クルシェ「でもさ、何故そんな『テル族』であるジャックが『ホルスの翼』にいるんだい?」

ジャック「……『天覇』にさらわれたミシャを探し出すためだ。そのために、俺は郷を出て『ホルスの翼』中を旅していた」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 00:41:20.19 ID:drTTXV.0<>レッド「そうか。俺が『ほたる横丁』へライナーを助けに行こうとした時、ジャックが行かないと言ったのは、『天覇』に正体がバレる可能せいがあったからか……」

ジャック「そういうこった。……ん? 俺は本当の名を教えたのに、お前ら未だに俺のこと『ジャック』って呼ぶんだな?」

ライナー「まぁ、こっちのほうが呼び慣れてるし……」

ラードルフ「今更呼び方を変えても、いろいろとややこしいだろうしな」

ジャック「そうかい? まぁ、俺としてもそうしてくれたほうがありがたいのは確かだけどな。……ところでライナー」

ライナー「ん?」

ジャック「探し物は見つかったのかい?」

ライナー「あぁ! このとおりだ!」

 そう言いながらライナーは持っていたヒュムネクリスタルをジャックに見せた。

ジャック「そうか。それなら、後はプラティナに戻るだけだな」

ライナー「あぁ! これでプラティナを救うことができる……!」

クルシェ「……あ。『プラティナに戻る』といえば……ライナー、飛空挺!」

ライナー「あっ! いけねぇ……!」

オリカ「確か、ヴィオラ森にまだあるんだよね?」

ミシャ「それなら、ちょうどいいじゃない。ネモに戻るついでに、一度立ち寄って見てもらったら?」

ラードルフ「そうだな。それに、もう日も暮れてきたし、今日はカルル村の宿に泊まっていこう」

ミシャ「賛成。気疲れも含んでいろいろと疲れたわ……」

クルシェ「誰かさんがいろいろと無茶な真似したからね」

ライナー「? 誰のことだ?」

レッド「お前……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 00:44:31.77 ID:drTTXV.0<>〜ヴィオラ森〜

クルシェ「……これがライナーの飛空挺?」

ライナー「あぁ。どうだ?」

クルシェ「う〜ん……。少し時間をかけて詳しく調べてみないと分からないな。だから先に村の宿に行っていてよ。ボクも後から行くからさ」

ジャック「1人で大丈夫か? 夜になったらこの辺りだって物騒だと思うんだが?」

クルシェ「心配ご無用。ボクだってそこまでヤワじゃないからね」

ミシャ「そりゃあ、1人で『天覇』の本社に忍び込んでドロボーしていたくらいだものねぇ……」

クルシェ「……何か言った?」

ミシャ「別に〜?」

レッド「……あの2人……仲が良いのか、悪いのか……」

オリカ「どことなく似たもの同士だから、気が合うんじゃないですか?」



〜カルル村宿屋・塔の下亭〜

レッド「しかし『塔の下亭』って……。かなり安直すぎるネーミングじゃないか?」

ライナー「確かに……。そういえば、ネモを出発してからここまでの間にアイテムが結構手に入ったな。『グラスメルク』でもするか」

ラードルフ「なんだ? ライナーは『グラスメルク』が出来るのか?」

レッド「『グラスメルク』?」

ラードルフ「『グラスメルク』というのは、分かり易く言ってしまえば『複数のアイテムをひとつに合成して、別のアイテムを作る作業』のことだ」

レッド「へぇ……。この世界にはそんな技術まであるのか……」

オリカ「そういえば、あたしたち、ライナーが『グラスメルク』する所を見るのはじめてかも……」

ミシャ「そうね。ここまで色々とゴタゴタしていたから『グラスメルク』する余裕もなかったものね」

ジャック「俺とライナーが出会って間もない頃に、青い魔物を退治した時以来じゃないか?」

ライナー「そうだな。……よし、できたぜ!」

レッド「……なんか材料の面影が全然見えないんだが……」

オリカ「レッドさん、細かいことは気にしちゃ駄目です」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 00:47:17.12 ID:drTTXV.0<>クルシェ「あ、いたいた。お待たせ」

ジャック「おう、ご苦労さん」

ライナー「どうだった? 何か分かったか?」

クルシェ「うん。やっぱりあの飛空挺、相当高度な技術が使われているね。一技術者として大変参考になったよ」

ライナー「それで……直せそうか?」

クルシェ「直せるか、直せないかの二者択一だったら、多分前者だと思うよ」

ライナー「本当か!?」

クルシェ「うん……。でも、直すにはおよそ1832万6991リーフは必要だと思う」

ライナー「せ、せん……!?」

ジャック「はっぴゃくまん……!?」

レッド「とても個人が用意したり払えるような金額じゃないな」

クルシェ「まだ全てを詳しく調べたわけじゃないから、もっと額は上がるよ? プラティナではどうなのかは知らないけど、ここでは飛空挺というのは本当にお金が掛かるからね」

ミシャ「そんなに酷いんだ……」

クルシェ「さっきも言ったけど、理屈的には“修理は出来る”と思う。でも、破損箇所が色々と問題なんだ」

ラードルフ「何か高度な技術が使われていたのか?」

クルシェ「うん。フリッパーにシェアリングコアに導力電池……。それと、外部の損傷を直すためのエアメタルが大量に必要だと思う」

オリカ「到底あたしたちだけで用意できるようなものじゃないね……」

クルシェ「あと人員が少なすぎることも問題だね。あれだけの高度技術の塊を直すとなると、優秀なエンジニアや研究者が組織単位で必要だよ。それこそ『天覇』クラスのね」

ジャック「おいおい。金銭面の問題ってのもあるが、それを差し引いても絶望的じゃねーか……」

レッド「さすがにこればかりは、ちょっとやそっとの無茶でどうにかなるものではないな」

ライナー「そうか……」

ラードルフ「……まぁ、『修理は不可能じゃない』ということが分かっただけでも今は十分じゃないか。これ以上話しているのも何だし、今日はゆっくり休んで、明日からまた対策を考えよう」

オリカ「そうですね。報告のため教会に戻る必要もありますし……」

ライナー「…………」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 00:56:09.07 ID:drTTXV.0<>〜空中都市ネモ〜

レッド「……で、あれから特に対策も話し合うことなくネモまで戻って来ちゃったわけだが……」

ミシャ「ライナー、本当にどうするの?」

ライナー「……あれからいろいろと考えてみたけど、やっぱり塔の中を歩いて登っていくしかないと思う」

オリカ「塔の中を歩いて!?」

ライナー「あぁ」

ジャック「……ライナー、俺は以前も言ったと思うが、『テル族』は……」

ライナー「下界から来る人間を塔に登らせてはくれないって言うんだろ? 分かってるけど……飛空挺が現状では直せない以上、それしか方法はない」

クルシェ「確かに、急を要しているんだからなおさらだね」

ラードルフ「とりあえず、まずは教会に行かないか? 司祭様に帰還報告をしなければならないしな」

ライナー「そうだな。ファルス司祭にも相談してみたほうが良いかもしれないし……」

ジャック「それなら、俺はしばらくの間抜けさせてもらっていいか? ちょっとクレアに用があるんでな。宿に行かなきゃならねぇ」

クルシェ「……ジャック、君どさくさに紛れてボクから逃げようとしてない?」

ジャック「な……!? そ、そんなワケないだろ……!?」

クルシェ「怪しいな……。なら、ボクも宿に行っているよ」

ライナー「そうか。じゃあ、俺たちも教会に報告が終わったら宿に行くから、そこで合流しよう」

オリカ「……あれ? レッドさんたちも教会へ行くんですか?」

ミシャ「私はライナーのパートナーよ!? 確かにアル兄のこともそれなりに心配ではあるけど、ライナーに付いてなくてどうするのよ!?」

ライナー「そ、それなりにって……」

レッド「そして、俺はオリカのパートナーなんだ。オリカが教会のレーヴァテイルである以上、そのパートナーである俺も行かなきゃ話にならないだろう?」

オリカ「そ、そうですね……。それなら一緒に行きましょうか……!」

ミシャ「む……!? ライナー、せっかくだから私たちは手を繋いで行きましょう!」

ライナー「え!? ちょ、ちょっと、ミシャ!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 00:57:45.71 ID:drTTXV.0<>〜エル・エレミア教会〜

ライナー「ファルス司祭!」

ファルス「おぉ、ライナー殿。目的の物は見つかりましたかな?」

ライナー「はい、おかげさまでこのとおり!」

ファルス「おぉ……! 見せていただいた立体図と寸分変わりない……。まさしくヒュムネクリスタル……!」

ライナー「これもファルス司祭や教会の方々の協力のおかげです」

ファルス「とんでもない。むしろ『エレミアの使徒』であるライナー殿のお力になれただけでも、我々としては大変光栄なことです。……それで、これから先はどうなさるのですかな?」

ライナー「もちろん、急いでプラティナへ帰ります。……でも、飛空挺を直す明確な手段は未だに見つかっていません。だから歩いて塔を登っていこうかと……」

ファルス「塔を!? しかし、塔には『テル族』が住み着いております。彼らは塔を『不可侵なるもの』と考えており、人間の行く手を阻むと聞いておりますが?」

ライナー「『テル族』のことは俺も聞いています。でも、今はそれしか方法がないんです。それに、今はプラティナの――言ってしまえばこの世界そのものの危機なんです。彼らだって塔を大事にしているのなら、話し合えば分かってくれるはずですよ」

ファルス「……そうですな。確かに急を要する以上、他の手段を探すよりは建設的でしょう。……ならば、我々もさらなる協力をせざるを得ませんな」

ライナー「えっ?」

ファルス「ラードルフ」

ラードルフ「はい」

ファルス「引き続きライナー殿に同行し、彼の力となってあげてください。プラティナ……いや、この塔に住む全ての人々のために全力でライナー殿をサポートするように」

ラードルフ「承りました」

ライナー「ら、ラードルフ!? いいのか!?」

ラードルフ「何を言うんだライナー。我々教会は元々太平を願い、民を救うために存在するものだ。それなのに、ここでお前に協力せずしてどうする?」

ライナー「ラードルフ……ありがとう!」

ミシャ「わ、私だってライナーについていくからね!?」

ライナー「分かってるよ。ミシャも頼りにしてるからな?」

ミシャ「と、当然よ! 私はライナーのパートナーなんですから!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:01:05.38 ID:drTTXV.0<>ファルス「……さて、お次はレッド殿たちのことですが……」

レッド「はい」

ファルス「あれから我々もレッド殿が元の世界へ帰るための手がかりをいろいろと調べてみたのですが……。残念ながら、有力な情報は得られませんでした」

レッド「そうですか……」

ファルス「……これは私自身の予想に過ぎないのですが、もしかしたら、レッド殿もプラティナへ行けば何か手がかりが見つかるかもしれません」

レッド「本当ですか!?」

ファルス「確信があるわけではありませんが……。このまま『ホルスの翼』にとどまり続けて手がかりを探すよりは、よほど建設的かと私は思います」

レッド「……分かりました。なら、俺もライナーに同行してプラティナを目指します」

オリカ「レッドさん……」

ファルス「それがよろしいでしょう。……ではオリカ、あなたもレッド殿たちに同行し、彼らをサポートして差し上げなさい」

オリカ「!? 司祭様……でも、あたしは……」

ファルス「何をおっしゃるのです。貴方は教会のレーヴァテイルである以前に、今やレッド殿のパートナーなのですよ? 本来ならば、私から言わずとも彼に同行していくのが筋というものです」

ラードルフ「そうだぞオリカ。遠慮することはないんだ」

オリカ「……レッドさん、本当にあたしなんかがついていってもいいんですか?」

レッド「もちろん。オリカがいてくれたほうが助かるし、何よりも楽しいしね」

オリカ「……! わかりました。元の世界に帰るのがレッドさんのミッションなら、あたしはそれを全力でサポートします……!」

レッド「あぁ。改めてよろしくな、オリカ」

オリカ「はい……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:01:57.16 ID:drTTXV.0<>〜宿・宵の奏月〜

 レッドたちが宿屋に戻ると、宿屋は以前にも増して人で賑わっていた。

ライナー「な、なんだ? 今日はやけに人が多いな?」

レッド「あぁ。どうやら酒場の方みたいだが……」

ジャック「おぉ、お前ら。こっちだ、こっち」

ミシャ「? アル兄?」

ライナー「ジャック、この賑わいは何だ?」

クルシェ「すぐに分かるよ」

ラードルフ「すぐに? ……おや、彼女は……」

オリカ「……クレアお姉ちゃん?」

クレア「あら、オリカ。それにみんなも……」

 人だかりの中心にやって来たのは酒場の主であるクレア。
 そして彼女の手には、リュートがあった。

レッド「そうか、ジャックがクレアさんに用があるって言っていたのはこのことだったのか」

クルシェ「そう。ジャックの奴、ボクたちを追いかけてくる前に、どうやらクレアさんが今日歌を披露してくれるっていうのを聞いていたらしいんだ。ホント、綺麗な女の人に関することだけはちゃんと覚えているんだから……」

ジャック「やかましい!」

クレア「ふふ……。久々に弾くけど、上手に弾けるかしら?」

オリカ「クレアお姉ちゃんなら大丈夫だよ」

クレア「ありがとう。それじゃあ、早速……」

 そう言うと、クレアはリュートの弦に触れ、そして演奏を始めた。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:02:35.71 ID:drTTXV.0<>


 頬を撫でる亜麻色の風よ
         何を見たのかそっと話して

 閉じた空の遥か彼方から
         寄せて返す草の波に耳を澄ます

 いつも答えは手のひら
         握りしめている

 どの時代どの場所に
         生まれても変わらぬ夢

 遠い遠い貴方に伝えて
         世界は広いと

 羽ばたく鳥と一緒に
         幾度も背中見送ろう

 永い闇は溶けて川になる
         眠る大地揺り起こして春を告げる



 ――聴き終えると同時に、誰かが手を叩いた。
 それに釣られるように、宿にいた人々がクレアに次々と拍手を送る。
 レッドがふと後ろを見ると、宿の外にまで人だかりができていた。

ライナー「凄い……」

クルシェ「真面目に感動した……」

ジャック「ちょっとした名人級じゃないか?」

 思わずそう漏らしたライナーたちの言葉にレッドも頷く。
 レッドは歌の上手い下手は分からないが、それでも心に大きく響くものを感じたのは確かだった。
 周囲に目を向けると、宿にいた人々は皆「久々にクレアさんの詩を聴いたな〜」等と言いながら笑顔を浮かべている。
 たとえ違う世界であっても、人々を癒したり、幸福に導くものは変わらないことを、ここにきてレッドは知ったのであった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:06:37.90 ID:drTTXV.0<>〜大唄石公園〜

 その日の夜、レッドとライナー、そしてミシャの3人はなんとなく夜の街に散歩に出ていた。
 レッドとライナーにとって、夜のネモの街はあまり良い思い出がない場所ではあったが、もしかしたらこの街にいるのも今日で最後かもしれないということから、ライナーがレッドを誘ったのだった。
 では、何故ミシャまでいるのかというと、2人が外へ出ようとしたところでと彼女とばったり遭遇したからである。

レッド「それにしても……凄かったな、クレアさんの詩」

ライナー「あぁ、プラティナに帰る前に本当にいいものが聴けた気がするよ」

ミシャ「そうね……。それに、レーヴァテイルなのに詩魔法じゃくて、普通の詩を謳い続けようっていう生き方――なんか憧れちゃうな……」

ライナー「……そういえば、ミシャの探し物のほうは全然見つからないな……」

レッド「ん? ミシャも何か探しているものがあるのか?」

ミシャ「うん……。あたしが『天覇』にさらわれちゃった時にね、一緒に『あるもの』も奴らに奪われちゃったんだ。私はそれを探しているの……」

レッド「え? だったら、俺たちに付いてこないほうがいいんじゃないのか?」

ミシャ「ううん、いいの。『ほたる横丁』や『天覇』の関連施設は、調べられるところは全部調べたけど、結局見つからなかったし……」

レッド「……そうか」

ミシャ「それに、どうせ見つからないんだったら、ライナーに付いていったほうが、私は……」

ライナー「ミシャ……」


???「五月雨の藍海、唯流るる声は……」


レッド「? なぁ、何か聞こえないか?」

ライナー「え? ……あ。確かに聞こえる……」

ミシャ「これは……詩?」


???「移ろひ、逆凪ぎ朧気な故郷の音〜」


レッド「……向こうからだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:08:08.59 ID:drTTXV.0<> 詩が聞こえる方へ3人が足を運ぶと、そこには――

レッド「あれ? オリカ?」

オリカ「奏で鳴り吹く、凱亜〜。空に響き、逢い成せば〜……」

 オリカが1人、謳っていた。

ライナー「綺麗な歌声だね」

オリカ「!? ライナー!? それに……!」

ミシャ「こんばんは」

レッド「ごめんね。練習の邪魔しちゃったみたいで」

オリカ「ミシャちゃん……レッドさんまで……」

ミシャ「オリカ、いつもここで謳っているの?」

オリカ「うん……。あたし、謳うのヘタクソだから、練習しないと……」

レッド「そうかな? 俺は全然上手いと思ったけど?」

ライナー「あぁ。今の詩、上手だった」

オリカ「そんなことないよ。だって、あたしの詩はクレアお姉ちゃんみたいに、誰かに必要とされたりはしないもの……」

レッド「……無理に比べようとしたりする必要はないんじゃないかな?」

オリカ「……え?」

レッド「確かに、俺もクレアさんの詩を聴いた時、凄いと思った。だけど、だからと言ってオリカの詩は必要ないなんてこれっぽっちも思わなかったよ?」

ライナー「そうだな。誰かが優れているから、誰かを必要としないなんて考えている奴は、それこそ大バカだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:10:41.45 ID:drTTXV.0<>レッド「クレアさんは詩が上手い。だけど、オリカだって詩は上手い。それでいいじゃないか」

オリカ「そんな……! 全然よくないよ!? だって、クレアお姉ちゃんは、あたしと違って何でもできる人なんだよ!?」

ミシャ「はいはい。そう言うの禁止。というかオリカ、あなた何で自分を下だとか上だとか決め付ける必要があるのよ?」

レッド「ミシャの言うとおりだ。それに、オリカだってクレアさんが出来ないことを出来たりするだろ?」

ライナー「そうだな。例えば、俺がレッドとオリカに出会ったあの時、あの場にいたのがオリカじゃなかったら、俺は今頃怪我で寝込んでたかもしれないからな」

オリカ「……そうかな?」

ライナー「そうだよ」

レッド「まぁ、要するに、周りのことなんかいちいち気にすることはないんだよ。オリカはオリカ、クレアさんはクレアさん。違って当たり前なんだ」

ミシャ「そうよ。それに、もしオリカのことを悪く言う奴がいたとしても言わせておけばいいのよ。後でドーンと見返してやればいいんだから!」

ライナー「あぁ。まぁ、少なくとも、俺たちは誰もオリカのことを必要ないなんて思っていないからな?」

オリカ「みんな……。……うん、そうだね。ありがとう……」

ミシャ「やれやれ……。ここがオリカのコスモスフィアだったら、今頃『パラダイムシフト』が起きているわね」

オリカ「そ、そんな! ミシャちゃん酷い……!」

ミシャ「あら? 私は事実を言ったまでよ?」

ライナー「こらこら。ミシャ、あまりオリカをからかうな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:13:39.90 ID:drTTXV.0<>レッド「……そうだ、オリカ」

オリカ「はい?」

レッド「前から言おうと思ってたんだけど……。これからは俺と話す時も、ライナーたちと話している時みたいに話してくれないか? どうも目上の人っぽく話されるのは恥ずかしくてさ……」

オリカ「ライナーたちと話している時みたいに……?」

レッド「あぁ。それに合わせて、俺のことも『さん付け』じゃなくて普通に『レッド』って呼び捨てにしてくれて構わない。いや……むしろそう呼んでほしい……かな?」

オリカ「…………」

レッド「……駄目かな?」

オリカ「う、ううん……! 全然そんなことないよ、レッド!」

レッド「そうか。じゃあ、昼間も言ったけど……オリカ、改めてよろしくな」

オリカ「うん……!」

ミシャ「むー……! ライナー、あの2人は放っておいて、どこか別の場所に行きましょ!?」

ライナー「え!? え!? 昼間もそうだったけど、一体どうしたんだ、ミシャ!?」


(ドオォォン!)


ミシャ「きゃっ!?」

ライナー「うわっ!?」

オリカ「な、なに……!?」

レッド「地震!?」

 突然、『ホルスの翼』が轟音と共に大きく揺れた。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:16:10.75 ID:drTTXV.0<>ミシャ「な、なんか『ほたる横丁』の動力部で作業用ロボットが暴れていた時のことを思い出すんだけど……!」

ライナー「ま、まさか、あの『ウイルス』が今度は『ホルスの翼』を落とそうとしているのか!?」

オリカ「えっ!?」

レッド「みんな落ち着け。こういう時、パニックに陥って人災が発生でもしたら、それこそ大惨事だろ?」

ライナー「そ、そうだな……。レッドの言うとおりだ」

ミシャ「というか、あなた今の揺れでよく平気でいられるわね?」

レッド「ん? あぁ、俺の世界では大地が揺れることなんて、ポケモンのせいで頻繁に起こっているからな。それこそ日常茶飯事ってくらい」

オリカ「そ、それはそれである意味問題なんじゃ……」

ライナー「お、お前の世界って別の意味で恐ろしいところなんだな……」

レッド「う〜ん……。言われてみれば、確かにそうかも。それより、一度宿に戻った方がいいんじゃないか?」

ライナー「あ、あぁ、そうだな。みんなも心配するだろうし……」

ミシャ「急いで戻りましょ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:18:10.82 ID:drTTXV.0<>〜宿・宵の奏月〜

 レッドたちが宿に戻るまでの間、やはり街では動揺が広がっていた。
 元々『ホルスの翼』自体が“揺れる”ということ自体まずありえないことであるため、仕方のないことではある。
 唯一の救いは、すっかり夜であったため、火の手などが上がっている様子はなかったということだろう。

レッド「みんな!」

クルシェ「レッド! それにみんな、どこ行ってたのさ!?」

ミシャ「もう、そんなことは今はどうでもいいでしょ!?」

オリカ「……ラードルフ総司は!?」

ジャック「街の状況とかを確認するために一度教会へ行った。すぐに帰ってくると思うが……」

ライナー「そうか」

クルシェ「それにしても、さっきの揺れは何だったんだい? ボク、『ほたる横丁』を思い出しちゃったんだけど」

ライナー「原因はまだ俺たちにも分からない……。だけど、凄く嫌な予感はする……!」

ラードルフ「す、すまない……。遅くなってしまったか……!?」

オリカ「総司!」

 宿に息を切らせたラードルフが駆け込んでくる。
 どうやら全力疾走で戻ってきたようだ。

ラードルフ「み、みんな……。大変なことが分かった……! どうやら塔の一部が『ホルスの翼』に落下したらしい……!」

レッド「なんだって!?」

ラードルフ「しかも、落下した所に丁度『天覇』の研究施設があったらしくてな……。どうやら、そこに直撃したらしい……」

ミシャ「『天覇』の研究施設!?」

ジャック「ミシャ?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:21:25.26 ID:drTTXV.0<>ミシャ「ねぇ、ラードルフ! その研究施設って一体どこにあるか分かる!?」

ラードルフ「? この街からなら北西の方角だと聞いたが……」

ミシャ「ライナー、行きましょう! そこにいけば私の探しているものがあるかもしれない!」

ジャック「なっ!? 正気か、ミシャ!? お前が『天覇』の施設に行くなんて、また奴らに捕まりに行くようなものだぞ!?」

ミシャ「ごめん、アル兄……。でも、私はどうしてもアレを探さなきゃいけないから……!」

クルシェ「アレ?」

ライナー「……分かった、ミシャ。行こう」

クルシェ「本気? ライナーだって急いでいるんでしょ?」

ライナー「分かってる。でも、俺は今までミシャに色々と助けてもらったんだ。だったら俺もミシャを助けてやらないとな」

ミシャ「ライナー……!」

レッド「急いでいるなら、俺とオリカがリザードンで先に現場まで行こう。まだ暗いから少人数で行動したほうが『天覇』の連中にも見つからないだろうし、万が一のことがあっても、オリカの詩魔法やポケモンたちで切り抜けられる」

ライナー「そうだな……。それじゃあ、頼めるか?」

レッド「任せてくれ。オリカ、行こう……!」

オリカ「うん……!」

 レッドとオリカは宿を出ると、すぐさまリザードンを呼び出す。
 そして、『ほたる横丁』へ向かった時と同様、その背に乗ると、漆黒の夜空へと一気に飛び立たせた。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:25:44.65 ID:drTTXV.0<>ラードルフ「ライナー、俺からもすまないが、現場に向かうのならば先に行ってくれないか? 俺は他の神官たちと街の騒動の鎮圧や救助隊の編成をしなければならん」

ライナー「救助隊?」

ラードルフ「研究施設で被害に遭っているであろう『天覇』の者たちを助けるための部隊だ。たとえ教会と友好的な関係ではなくとも、『天覇』の人間だって人の子だ。助けを求めているのならば、我々が救うべき者であることに代わりはないからな」

クルシェ「先日『天覇』の人たちにえらい目に遭わされたばかりなのに……。見事なまでの博愛精神だね」

ジャック「はぁ……。しょうがねえなぁ……。この流れじゃあ、俺も付いて行かなきゃ話にならねえじゃねーか……」

ライナー「ジャック……!」

ミシャ「アル兄……!」

ジャック「ば、バカ! 勘違いすんな! 俺は『天覇』の連中とは正直関わりたくはねーが、ミシャが心配だから付いていくだけだ!」

クルシェ「はいはい。それじゃあ、ボクらも行こうか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:26:10.36 ID:drTTXV.0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「よう、みんな。グリーンだ。GWが終わったこともあり、投下ペースが予定より大幅に遅くなって申し訳ない」

グリーン「今回は本編中にちょろっとだけ登場した『グラスメルク』について簡単に説明させてもらおうと思う」

グリーン「『グラスメルク』とは劇中ラードルフが説明していたように、簡単に言ってしまえば『アイテム合成』だ」

グリーン「前も説明したが、このゲームは『アトリエシリーズ』で知られるガストがメイン開発を担当している。その『アトリエシリーズ』の『錬金術』を持ってきたものと思ってくれればいい」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:26:48.85 ID:drTTXV.0<>グリーン「『グラスメルク』はゲーム中さまざまな方法で手に入る『レシピ』を基に、その『レシピ』に載っている必要なアイテムを合成して新たなアイテムを作るというものだ」

グリーン「例えば、以下のような感じだ」


   例:青い石 + グラスノ結晶 = カイフクンC(回復アイテム)


グリーン「『グラスメルク』は宿屋か道中やダンジョンにある『セーブスポット』で行える。戦闘などで不要なアイテムが大量に手に入った時などに行うと便利だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:29:21.71 ID:drTTXV.0<>グリーン「ちなみに、たま〜にというか“結構”元になる材料と出来上がるアイテムがどう見ても噛み合わないことがあったり、ツッコミどころ満載なアイテムが出来上がったりする。例えば以下のような感じ」


   例:青い石 + にょ?ギモ(とあるモンスターの肝) + グラスノ結晶 = トランキライザー(状態異常回復アイテム。『白い』粉)


   例:やきにく + ねろねろソーダ + グラスノ結晶 = 焼肉ソーダ(もう見たまんま。炭酸飲料に焼肉が入っている)


グリーン「……ま、まぁ、ガスト作品を知っている人からすれば『さすがガスト』って感じだろうな。ゲームを進めていくと、上の例に負けないくらいカオスな組み合わせやアイテムが次々と出てくるぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:32:33.26 ID:drTTXV.0<>グリーン「それと、『グラスメルク』を行うとパーティ入りしているヒロイン(レーヴァテイル)が完成したアイテムに様々なコメントを寄せてくれたり、完成したアイテムによってはヒロインが自分特有の名前を命名したりする」

グリーン「このコメントや名前も『アルトネリコ』のヒロインのキャラ付けやキャラ萌えに大きく貢献している要素といえるな」

グリーン「それじゃあ、今回はこの辺で。また次回!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/07(金) 01:36:50.86 ID:drTTXV.0<>第11話投下完了です
PHASE1はストーリー的にも次回から中盤ってところでしょうか?

第12話は土曜日の夜までには投下できるよう頑張りますw<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/07(金) 04:19:08.25 ID:vk0r.YDO<>レッド"さん"とか書いてあるからうっかり
溝ノ口発の真っ赤なひもかと思って開いたら違ったwwwwww

でも面白そうなんで最初から読んでくるわ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/07(金) 06:44:51.92 ID:dcKVjiU0<>>>239
それはそれで読みたいwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/07(金) 15:43:43.84 ID:7gL4btwo<>rasse rasse
http://www.youtube.com/watch?v=fYyFVyB_L3Q&feature=related<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/08(土) 01:50:39.58 ID:zyl7FKEo<>rasse rasse

3の一週目終わったーーーー!!!!初っ端から縛りプレイ(ハードモード初期装備)でラスボス手こずったwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:04:18.05 ID:8/GxLjQ0<>第12話投下します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:08:54.41 ID:8/GxLjQ0<>●PHASE1 第12話

〜六角板〜

レッド「これは酷いな……」

 レッドとオリカが現場と思われし場所に到着した時、そこは惨状と化していた。
 ラードルフが言っていた研究施設と思われる建物は、瓦礫の山と成り果て、そこ彼処で『天覇』の社員と思われる者たちが怪我人を外へと運び出している。

オリカ「……あれが落ちてきたのかな?」

 2人の目に止まったのは、とてつもない大きさの板のような物体。
 それが建物の丁度真ん中の辺りに突き刺さるように存在していた。

レッド「おそらくね。……しかし、周りは森なのに建物にピンポイント……。運が悪いにも程があるな……」

オリカ「日頃の行いが悪いからじゃない?」

レッド「そう言われると妙に納得できちゃうのもな……。ところで、あそこから建物の中に入れるかな?」

 レッドが指差した先には、人間1人くらいなら通り抜けれそうな隙間ができていた。

オリカ「あたしたちくらいなら大丈夫そうだね」

レッド「よし。それなら、『天覇』の奴らに見つからないようにこっそりと行こうか?」

オリカ「うん」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:09:21.55 ID:8/GxLjQ0<>〜研究施設内部〜

 施設の中に侵入した2人が最初に目にしたのは、外と変わらぬ瓦礫の山だった。
 レッドは誰かに見つかる危険性も考えたが、自分たちの身の安全も考え、ピカチュウをボールから呼び出す。

レッド「ピカチュウ、悪いけどしばらくの間明かりになってもらえるか?」

 レッドのその問いに、ピカチュウは「お安い御用だ」とばかりに一度頷くと、軽く放電を始める。
 すると、ピカチュウを中心に周囲が僅かばかりではあるが照らされた。

レッド「本当は『フラッシュ』を使って周辺一体を全部照らしたいところなんだけど、それだと見つかっちゃう可能性もあるからね」

オリカ「……ねぇ、レッド」

レッド「ん?」

オリカ「その……この子、後で触らせてもらってもいい?」

レッド「ピカチュウを? あぁ、いいよ」

オリカ「ありがとう。この間、『ほたる横丁』で見た時から気になってたんだ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:10:31.80 ID:8/GxLjQ0<>レッド「……奥の方はあまり被害を受けていないみたいだな」

オリカ「そうだね。中ももう少しメチャクチャになっているかと思ったけど……」

レッド「ん? この部屋は……」

 レッドたちがたどり着いたのは、何かの実験区画と思われるフロアだった。
 部屋のあちこちで見たこともない装置や機械が並べられ、デスクの上には分厚い本や書類と思われる紙の束が散乱していた。

オリカ「ここって……」

レッド「……なんか嫌な予感がするな……」

 レッドは、足元に落ちていた書類のひとつを手に取ると、そこに書かれていた文字に軽く目を通した。

オリカ「……レッド、読めるの?」

レッド「あぁ。この世界に来てすぐに気づいたんだけど、この世界って使われている文字や言葉はヒュムノス文字以外は俺の世界で使われているものと同じなんだよ」

オリカ「そうなの?」

レッド「あぁ。現に、俺とオリカは違う世界の人間なのに違和感もなく会話やコミュニケーションが取れているだろ?」

オリカ「言われてみれば……」

レッド「あくまで憶測に過ぎないけど、俺がこの世界に迷い込んでしまったのは明確な理由があるのかもしれないな」

 そう言うと再び書類の方に目を向けるレッド。
 書類に書かれている内容は、ポケモントレーナーであることを除けばただの一少年に過ぎないレッドにはほとんどちんぷんかんぷんな代物であった。
 ――しかし、内容ある一文を目にした瞬間、思わず動きがピタリと止まってしまった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:12:09.58 ID:8/GxLjQ0<>レッド「……レーヴァテイルの能力強化実験……!?」

オリカ「えっ!?」

レッド「これ……間違いなく非公式だぞ……!?」

 レッドはある一点を指差しながら、オリカに書類を見せた。
 オリカもそこに目を通すと、すぐさま顔色を悪くする。

オリカ「やだ……これってどう見ても……」

レッド「……人体実験ってやつだな」

オリカ「いや……!」

 オリカは自身の肩を抱いてその場に膝を着いてしまう。
 自身もレーヴァテイルであるが故に、ここで起きていたと思われる恐ろしい光景を想像してしまったのだろう。

レッド「……ごめん。俺としたことが、また怖い思いをさせちゃったみたいだ。……今はとりあえず外に出よう」

オリカ「…………」

 オリカ黙って頷く。
 それを確認したレッドは、彼女の手を取ると、ゆっくりと立ち上がらせ、自分たちが歩いてきた道をゆっくりと戻り始めた。
 ――オリカの手を握っていない、もう片方の手には、先ほど読んでいた書類を持って。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:14:23.93 ID:8/GxLjQ0<>〜六角板〜

 レッドたちが外に出ると、既にライナー一行やラードルフら教会の者たちも現場に到着していた。

ライナー「レッド!」

 レッドたちに気が付いたライナーとミシャがすぐさま駆け寄ってくる。

ライナー「どうだった? 施設の中の様子は?」

レッド「奥はそれほど被害を受けてはいなかったな。……それよりも、大変なことが分かったぞ……」

ライナー「大変なこと?」

ミシャ「!? オリカ、あなた顔色が悪いけど、大丈夫!?」

オリカ「う、うん……。大丈夫……」

レッド「……ミシャ、悪いけど、しばらくの間オリカを見ていてやってくれないか?」

ミシャ「……何かあったの?」

レッド「…………」

 ミシャのその問いに、レッドはただ黙っていることしか出来なかった。首を縦にも横にも振らなかった。
 その様子を見て何かを悟ったのか、ミシャは黙って頷くと、オリカを近くの木の下へと連れて行った。

ライナー「……もしかして、レーヴァテイルに関することか?」

レッド「あぁ。この話はラードルフさんたち教会の人にも話すべきだと思う」

ライナー「そうか。それなら、ラードルフの元に行こう……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:16:45.91 ID:8/GxLjQ0<>ライナー「ラードルフ!」

ラードルフ「おぉ、2人とも丁度よかった。実は、救助した『天覇』の社員からある情報が聞き出せたぞ」

レッド「ある情報?」

ラードルフ「あぁ。どうやらこの研究施設はボルドが管轄していたらしい」

ライナー「ボルドが!?」

レッド「!」

ラードルフ「それと、怪我人や現場にいた社員の身元を調べてみたら、全員本社から派遣された警備担当の者だったんだ」

ライナー「えっ? ちょっと待ってくれよ。ここって研究施設なんだろ? それなのに、研究員が1人もいないっておかしくないか?」

レッド「……もしかして……」

???「当然だ。ここでの研究はひと段落付いたからなぁ」

ライナー「!?」

ラードルフ「ボルド!」

ボルド「チッ……。誰かと思ったらまた貴様らか……! ここは『天覇』の研究施設だぞ!? なのに何故貴様らがこんな所にいる!?」

ラードルフ「災害救助に『天覇』も教会もないだろう。助けを求める者がいるのならば、助けようと行動するのが人として当然だと思うが?」

ボルド「ラードルフ……前々から思っていたが、テメエのその偽善者っぷりには反吐が出るぜ……!」

ライナー「それよりも、『研究がひと段落付いた』ってどういうことだ!? お前たちはここで一体何をしていたんだ!?」

ボルド「知りたいか? それなら今回は特別に教えてやるぜ。ここで行っていたのはな……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:17:41.16 ID:8/GxLjQ0<>レッド「レーヴァテイルの能力を強化する実験……」

ライナー「な、なんだって!?」

ボルド「な……!? レッド、テメエどこでそれを……!?」

レッド「悪いな。さっきこっそり中に入って調べさせてもらった。証拠はここにある」

 そう言って先ほど入手した書類をボルドに見せるレッド。
 珍しくボルドの顔にも焦りの色が見える。

ボルド「て、テメエ……! 余計なことを……!」

ラードルフ「ボルド……貴様またレーヴァテイルを人とも思わぬ扱いを……!」

ボルド「うるせぇ! レーヴァテイルは強くあってこそ、その存在価値が上がるものだろうが!? 言っちまえば、ここでの研究はあいつらのためでもあるんだぜ!?」

ライナー「……本気の発言か、それは……!?」

 気が付くとライナーの手には真新しい剣が握られていた。
 先日、『謳う丘』でガーディアンと戦った際、それまで使っていたものは紛失してしまったため、ネモの街で新調したのだ。

ラードルフ「レーヴァテイルに対する非道な行いの数々……許せない! 今ここで決着を付けてやる!」

ボルド「おもしれぇ……! なら、ここにテメエらの墓標を立ててやる!」

 ラードルフも槍を、ボルドも自身の剣を構える。
 まさに一触即発。
 周囲にいた教会の神官や『天覇』の社員たちにも徐々に動揺が広がっていく。

???「双方、控えい!」

 ――が、そこへ聞き覚えのない声が割って入った。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:18:28.11 ID:8/GxLjQ0<>ライナー「!?」

レッド「誰だ?」

 ライナーたちが声のした方へ目を向けると、そこには大勢の『天覇』の兵士を引き連れた、正直際どい服装をした女性がいた。

ボルド「しゃ、社長!?」

レッド「な、なんだって!?」

ライナー「あいつが……!?」

クルシェ「そう。あの人が『天覇』の女社長」

レッド「クルシェ……。それにジャックも……」

ライナー「お前ら……そういえばさっきまで姿が見えなかったけど、どこにいたんだ?」

ジャック「いや……。その、ちょっとな……」

クルシェ「ジャックがどさくさに紛れて、施設から金目物を奪い去ろうとしていたからボクがそれを止めていたんだよ」

ジャック「お、おま……! あっさりとバラすんじゃねえよ!」

ライナー「お前なぁ……。まぁ、ジャックらしいというか何と言うか……」

レッド「……あれ? そう言うクルシェだって、以前『天覇』の本社で盗みを働いていたんじゃなかったっけ?」

クルシェ「ジャックと一緒にしないでよ。ボクが拝借いていたのは飛空挺のパーツだけだもの」

ライナー「それって結局窃盗であることには変わらないような……」

レッド「……ところで、クルシェ、本当にあの人が『天覇』の社長で間違いないのか?」

 レッドが先ほど向いていた方へ目を戻すと、そこでは『天覇』の社長と呼ばれた女性がボルドと話をしていた。

ボルド「社長、ですが奴らはこの施設の内部情報を……」

???「今回の件は人災ではない。故に加害者など存在せんのだ。社員の犠牲が出ることに比べれば、施設の情報のひとつふたつ漏洩しても問題なかろう」

クルシェ「うん。ボクも直接会ったことはないけど、間違いないよ。あの人が……」

 クルシェが言い終わる前に、女性がボルドを下がらせレッドたちの前に出た。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:19:54.43 ID:8/GxLjQ0<>???「部下が手荒な出迎えをして済まなかった。私は総合企業集合体『天覇』の社長、亜耶乃・ライザー・エルデュークだ」

ライナー「あ……。始めまして……」

レッド「……どうも……」

 思わず頭を下げるライナーと、それを見て自身も頭を下げるレッド。
 ライナーはどうなのかは分からないが、レッドは目の前にいる女性に対して警戒心を緩めてはいなかった。
 なぜなら、この女性が自分たちを抹[ピーーー]るようにボルドに命令を下した人物である可能性が高いからだ。
 よく見ると、ラードルフや一部の教会の神官たちもアヤノの動きを警戒しているようだった。

アヤノ「此度は社員たちの天災救助、かたじけない。しかし、今日だけは手柔らかに頼めぬか?」

ラードルフ「……そうだな。ここはお互いのためにも食い下がる理由はない」

アヤノ「理解が早くて痛み入る。既に我が『天覇』の人員も揃えて来ている故、後の始末は我々に任せてもらえないだろうか?」

レッド(要するに機密保持か……)

ライナー「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

アヤノ「ん?」

ジャック「ライナー!?」

 皆がその場から引き下がろうとする中、ライナーがアヤノの前に躍り出た。

ライナー「お前たちは何でレーヴァテイルに酷いことをする!?」

ジャック「馬鹿野郎! ライナー、お前喧嘩を売るなら相手と場所を考えろ! 相手は『天覇』の社長で、おまけに人員を揃えて来ているんだぞ!」

ライナー「放してくれ、ジャック! 俺は、どうしても今ここで確かめたいんだ!」

アヤノ「……酷いこととは何だ?」

ライナー「とぼけるな! お前たちがこの施設でレーヴァテイルに対して非道な実験をしていたことはボルドの口から聞かせてもらった! それ以外の証拠だってある!」

クルシェ「あー、これはボクたちただでは帰らせてもらえそうにないかも……」

レッド「……そうだな」

 レッドは腰のベルトから数個のモンスターボールを手に取る。
 そして、万が一の時には何時でも呼び出せるよう体制をとった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:21:48.05 ID:8/GxLjQ0<>アヤノ「…………」

ライナー「黙ってないで答えろ! 何故だ!」

アヤノ「何故だと?」

 ライナーの声に対して徐々にアヤノの目が鋭くなっていくのがレッドたちにも分かった。

アヤノ「私にも分からん」

ライナー「……はぁ!?」

 ――が、次の瞬間アヤノから返ってきた答えは、ライナーはおろか周りにいるラードルフや教会の者たちですら想像していなかったものであった。

アヤノ「すまないが、その話、一から聞かせてもらえないか?」

ライナー「え!? いや、その……」

レッド「それなら、その話は俺からさせてください」

ラードルフ「レッド!?」

アヤノ「……君は?」

レッド「いきなり話に割り込んですいません。俺はそこの彼――ライナーの仲間でレッドという者です」

 名を名乗り再度軽く頭を下げるレッド。

レッド「……ですが、お話をさせていただく前に、俺からもアヤノ社長にひとつお尋ねしたいことがあります」

アヤノ「聞こう」

レッド「ありがとうございます。……では、単刀直入にお聞きします。数日前、ボルドに俺とライナーを[ピーーー]ように命令を下したのはあなたですか?」

ライナー「!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:25:33.85 ID:8/GxLjQ0<>ラードルフ「何だと!? ではボルドは、本当はライナーを連れ去るのではなく、ライナーたちを抹殺しようとしていたのか!?」

レッド「はい。そうです」

ラードルフ「……返答次第では先ほどの回答を取り消さねばならぬ……!」

 再び槍を構えるラードルフ。その矛先はアヤノに向いている。
 が、当のアヤノは臆するどころか表情ひとつ変えることなく口を開いた。

アヤノ「収められよ、ラードルフ殿。先も申したが、我らはここでお主らと事を起こす気はない」

ラードルフ「そう言われたとしても……このような事実を知ってしまった以上、やすやすと信用することはできん!」

アヤノ「確かに。そう言われてしまっても仕方のないことだ。だが、今は信じてくれまいか?」

ラードルフ「……っ!」

 しばらく槍を構えていたラードルフであったが、徐々に構えを解き、やがて槍を下ろした。

アヤノ「……かたじけない。――レッド殿といったか?」

レッド「はい」

アヤノ「先の問いだが、答えは否だ。余は今ここでお主らに出会うまで、2人のことはおろか名前すら知らなかった」

ライナー「な、なんだって!?」

クルシェ「それって、つまり……」

ラードルフ「ライナーが『エレミアの使徒』であることや、レッドが違う世界の人間であることも知らなかった……ということか?」

アヤノ「そうか、数日前にヴィオラ森に未知の飛空挺が落ちたという話は聞いていたが、あれはお主のものであったのか?」

ライナー「あ、あぁ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:26:36.01 ID:8/GxLjQ0<>アヤノ「……では、今度はこちらから聞かせてもらおう。先にライナー殿が言っていた『証拠』の品とやらを見せてもらいたい」

レッド「……これです」

 書類を手渡すレッド。
 受け取ったアヤノは早速そこに書き綴られている文章に目を通していく。
 ――そして、ある程度読み進めたところで、再び彼女の目が鋭くなった。

アヤノ「……これをどこで?」

レッド「この研究施設の中で見つけました。それと、施設の中にはそれに書かれている実験で使用されていたと思われる機材や装置なども大量に……」

アヤノ「――ボルド!」

 アヤノが振り返りながら、背後にいるであろう部下の名を叫んだ。
 ――だが、そこにボルドの姿はなかった。

レッド「ボルドがいない……!?」

ライナー「なんだって!?」

ラードルフ「そんなバカな!? 先ほどまでそこにいたはずだ!?」

ボルド「俺様ならここにいるぜ?」

レッド「!?」

 その場にいた全員が声のした方へと目を向ける。
 ボルドは研究施設のまだそれほど崩壊していない部分の上に堂々と立っていた。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:28:36.60 ID:8/GxLjQ0<>アヤノ「ボルド! 貴様、禁忌を犯したな!」

ボルド「アヤノさんよ。あんたには冒険者時代から随分と世話になったな」

ジャック「……この状況で、よくそんな余裕こいていられるもんだな?」

 ジャックの言うとおり、ボルドの立っている建物の周囲は既に教会の神官や『天覇』の兵士たちが完全に取り囲んでいた。

ボルド「はっ!? この程度でもう俺に勝った気でいるのか? つくづく甘い奴らだぜ……!」

 ボルドはくっくっく、と下種な笑みを漏らすと、再び口を開く。

ボルド「『天覇』に在籍してから、俺は遺跡探索中にスゲーモノを知っちまったんだよ……! 『天覇』だの教会だの、金だの権力だのそんなメンドクせえものを軽く超越する力をよ……!」

ラードルフ「貴様、何を言っている!?」

ボルド「既に刻は周り始めている。これからは、俺様の時代だ!」

アヤノ「奴を取り押さえろ!」

ボルド「遅い! まずは手始めに……証拠隠滅ッ!」

レッド「! まずい! みんな、建物から離れろ!!」

 レッドがそう叫ぶと同時に、ボルドは右手に持っていた剣を勢いよく振り下ろした。
 ボルドの剣が突き刺さると、建物は他の崩壊部と同様、瓦礫と化し、周囲一体に盛大な砂煙を巻き起こす。

アヤノ「おのれ……貴様……!」

ボルド「復活の時は近いぜ……! ミュールさんのよ!」

ライナー「“ミュール”……!?」

 砂煙が消えると、そこにはボルドの姿は完全に無く、あるのは無残な瓦礫の山だけだった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:30:25.29 ID:8/GxLjQ0<>アヤノ「……逃がしたか……!」

レッド「み、みんな、大丈夫か?」

ラードルフ「あ、あぁ……」

ジャック「しかし、あの野郎……最後の最後で余計なことをしてくれたぜ……!」

クルシェ「これじゃあ、当分施設の中を調べることはできそうにないね」

 一同は完全に瓦礫の山と化した研究施設を再び見つめる。

ライナー「くそっ……! もしかしたら、ミシャの探しているものが、ここにあったかもしれないのに……!」

レッド「待ってくれ、ライナー。カビゴンとカメックスとリザードンの力なら、これくらい瓦礫の山はどうにかなるかも……」

アヤノ「ライナー殿、それにレッド殿」

ライナー「ん?」

レッド「はい?」

アヤノ「……済まなかった。知らなかったとはいえ、我が部下が仕出かした非道の数々。許してほしい」

ライナー「いや、そんな。過ぎたことですし……」

レッド「えぇ。それに、俺たちも『天覇』という企業を色々と誤解していたようです」

アヤノ「そう言ってもらえると助かる。それと、罪滅ぼしとは言わないだろうが、この施設とボルドの件は我々に任せてもらえないだろうか……?」

レッド「俺は構いませんが……」

ライナー「…………」

ジャック「ライナー……」

ライナー「いや、心配は無用だジャック。アヤノさん、俺からもお願いします」

アヤノ「承知した。では、いずれまた会うことがあれば、今回の件のことは真っ先に報告しよう」

ライナー「ありがとうございます」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:31:05.34 ID:8/GxLjQ0<>ジャック「……そういえば、ミシャたちはどうした?」

ラードルフ「!? 言われてみると、先ほどからオリカの姿も見えん……!?」

クルシェ「まさか、ボルドに……!?」

ライナー「え? ……あぁ、ミシャたちのことなら心配いらないよ」

レッド「あぁ。あの2人なら、ちゃんとあそこにいる」

 レッドが指差したその先には――

オリカ「Zz...」

ミシャ「Zz...」

ピカチュウ「…………」

 木にもたれ掛かり、ピカチュウを抱きながら眠る2人のレーヴァテイルの少女の姿があった。
 2人に抱きつかれているピカチュウはやけに息苦しそうだが……

クルシェ「やれやれ、さっきまであんな騒ぎがあったのに、2人共よく眠れるね……?」

レッド「まぁ、よく考えたら、俺たちまだ一睡もしていなかったからな」

ジャック「そうだな。そんじゃあ、一度ネモの宿に戻って休むとしますか」

ラードルフ「あぁ。すっかり朝になってしまったが……」

ライナー「…………」

レッド「? どうした、ライナー?」

ライナー「……“ミュール”。ボルドが去り際に言っていたあの言葉、妙に気になる……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:31:45.89 ID:8/GxLjQ0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「よう、みんな。グリーンだ。今回からPHASE1は中盤に突入、順調に本編のストーリーも進んできたぜ」

グリーン「だが、残念ながら今回も特に解説すべき新規用語はなしだ。まぁ、これもある意味でストーリーも進んできているって証拠だな」

グリーン「そんなわけで、今回はこの辺で。また次回!」



Sさん(仮名)「そういえば、次回はついに●●●●●●●が登場するそうですね? ということは、私の登場も近い!?」

Hちゃん(仮名)「確かに登場するのは近いだろうけど、あなたの真の姿がお披露目されるのはさらに先なのよ」

Sさん(仮名)「ですよねー……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/09(日) 01:35:37.55 ID:8/GxLjQ0<>第12話投下完了です
次回は月曜日に投稿予定です

しかし、このSS書くために『アルトネリコ』プレイしなおしているけど、1は本当に戦闘がヌルいw<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/09(日) 21:23:57.96 ID:B61wwbAo<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/10(月) 12:55:37.42 ID:eFuO0pUo<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/11(火) 03:12:45.54 ID:9svD4i2o<>Was jeyl ga yorr na cexm en mea rasse
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:35:26.11 ID:Ba1qiFQ0<>お待たせしました
13話投下します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:37:30.48 ID:Ba1qiFQ0<>●PHASE1 第13話

〜宿・宵の奏月〜

ライナー「みんな、ちょっといいかな?」

 一行が宿に戻り休息をとっていると、突然ライナーが口を開いた。

レッド「ん?」

ジャック「どうした、ライナー?」

ライナー「さっき行った、『天覇』の研究施設のことなんだけど……」

ラードルフ「なんだ? 何か気になることでもあったのか?」

ライナー「あぁ。あそこに落ちた『塔の一部』のことなんだ」

レッド「あの巨大な板みたいなもののことか。……あれが、どうかしたのか?」

ライナー「あれは間違いなく『六角板』だ」

オリカ「六角板?」

ミシャ「塔の中腹に浮いている、その名のとおり六角形の板のことよ。確か全部で7枚存在したはずだけど……」

クルシェ「その『六角板』が何か問題でも?」

ライナー「……前に、この塔の管理者であるシュレリア様のことは話したよな?」

レッド「あぁ。『謳う丘』で」

ライナー「シュレリア様は塔の管理者――だから、塔の設備は常に全て把握しているんだ」

オリカ「あの塔の設備を1人で全て!? それも『常に』って……」

クルシェ「なるほど。そりゃあ『管理者』ってことだけはあるね」

ライナー「……それなのに、塔の一部である『六角板』が落ちた……。多分これも『ウイルス』の仕業によるものだと思うけど……」

ジャック「それを許してしまうくらい、そのシュレリア様って人もプラティナも切羽詰っているってことか……」

ライナー「あぁ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:38:42.99 ID:Ba1qiFQ0<>ラードルフ「俺たちが気づかぬうちに、この世界は深刻な状況だったというわけか……」

ライナー「……だから、もう一刻の猶予もない状態なんだと思う。俺は、すぐにでもプラティナに戻る!」

クルシェ「それは今すぐってことかい?」

ライナー「……あぁ!」

ミシャ「ちょっと待ってよ、ライナー! 私たちまだ出発の準備もろくに済ませていないのよ!?」

オリカ「ミシャちゃんの言うとおりだよ! 無理に急ぎすぎてもかえって危険なんじゃ……!?」

レッド「あぁ。急いては事を仕損じるぞ」

ライナー「それも分かってる。だけど……」

ジャック「みんな。悪いが、俺もライナーの意見に賛成だ」

ラードルフ「ジャック?」

ミシャ「アル兄?」

クルシェ「ジャック、訳を聞かせてくれない?」

ジャック「……塔を歩いて登っていくのなら、必然的に『フェーナ門』へ向かうことになる」

レッド「『フェーナ門』?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:39:25.74 ID:Ba1qiFQ0<>ジャック「『テル族』が守護している、塔の上層と下層を隔てている巨大な門だ。それがあるから、本来はプラティナの人間が下界に降りることも、下界の人間がプラティナに行くこともできない」

オリカ「そういえば、ミシャちゃんはプラティナから『テル族』の里に移り住んだんだよね?」

ミシャ「えぇ……。でも、私はそんなものが存在していたなんて知らなかったわ」

ラードルフ「おそらく、その時は門が開いていたのだろうな」

ジャック「……話を戻すぞ? 『テル族』の郷、『イム・フェーナ』はその『フェーナ門』の近くにある。おまけに、この街から『イム・フェーナ』は、それほど遠い道のりじゃない……」

クルシェ「つまり……」

レッド「補給はその『イム・フェーナ』で済ませられるから、今すぐ出発しても問題ないってことか?」

ジャック「そういうこった。それに、『フェーナ門』を開けてもらえなかったら、そこで行き止まりかUターンだからな」

ラードルフ「なるほど……。ここから『イム・フェーナ』までの道を知っているジャックがそう言うなら、それほど心配はないかもしれないな」

ライナー「じゃあ……」

レッド「あぁ。早速出発しよう」

クルシェ「『善は急げ』とも言うしね」

ライナー「みんな……ありがとう!」

ミシャ「…………」

オリカ「? どうしたの、ミシャちゃん?」

ミシャ「いや……『イム・フェーナ』に行くってことは、今の私の姿を『テル族』の人たちに見られるってことよね?」

ライナー「え? それが何か問題でもあるのか?」

ミシャ「いや……特に問題があるわけじゃないんだけど……」

ジャック「……やっぱりか。ミシャ、お前……6年前から姿が変わっていないだろ?」

ミシャ「……うん……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:39:58.61 ID:Ba1qiFQ0<>〜シルヴァプレート〜

レッド「さて、塔の外壁付近まで無事にたどり着けたのはいいんだけど……」

クルシェ「なんか、やたら魔物が多くない?」

ミシャ「ね、ねぇ……。少し休んでいかない……?」

ラードルフ「そうだな。少し休憩しよう」

オリカ「塔を登りながら戦うっていうのは本当に大変だね……」

クルシェ「……でもさ、こんな登り降りもキツそうで、なおかつ魔物が出る場所なのに、よく人が住んでいられるよね」

レッド「あぁ、そうだな。以前、段々畑の時も感じたが、本当にこんな所に住んでいる人は物好きというか、肝が据わっているというか……」

オリカ「建っている家も一件や二件ならまだしも、二桁は軽くあるもんね」

ミシャ「……そういえば、さっき私たちが魔物と戦っている横で平気でバーベキュー楽しんでる人たちいたわね……」

クルシェ「……なんなんだろう、あの人たち……」

ジャック「ま。こんな場所でも『住めば都』なんだろうさ」

レッド「そんなもんなのか? ところでジャック、『イム・フェーナ』まではあとどれくらい掛かりそうなんだ?」

ジャック「早くてもあと半日は掛かるだろうな。だから今日中につくのは無理だと思ったほうがいい」

ライナー「そうか……」

ラードルフ「これはキャンプの準備を早めにしておいたほうがいいかもしれないな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:40:27.94 ID:Ba1qiFQ0<>〜キャンプ〜

ライナー「結局、今日中に『イム・フェーナ』に着くことはできなかったか……」

ジャック「そんな、しょげた面すんなよ。ここまで来れば、明日の昼前には『イム・フェーナ』に着ける」

ライナー「……そういえば、ジャック」

ジャック「ん?」

ライナー「ミシャの姿が6年前から変わっていないって話は本当なのか?」

ジャック「……あぁ。一体何が原因なのかは俺にも分からねえが、ミシャはの歳は今年で18のはずだ。いくらなんでも、外見にまったく変化が見られないってのは……」

ライナー「やっぱり、『天覇』――ボルドにさらわれたことが原因なのか?」

ジャック「……少なくとも、ボルドの奴が『天覇』の社長さんや俺たちにまだ何か隠しているのは確かだな」

ライナー「そうだな……」

ジャック「まぁ、このことはいずれミシャ本人が俺たちに話してくれるまで待つしかないだろう」

ライナー「あぁ。今は『フェーナ門』を抜けてプラティナへ戻ることが大事だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:41:17.33 ID:Ba1qiFQ0<>〜フェーナ門〜

ジャック「着いたぜ。ここが『フェーナ門』だ」

クルシェ「話は聞いていたけど……」

レッド「あぁ。こいつは本当にデカいな」

ライナー「……とにかく、ここを開けてもらうためにもまずは『イム・フェーナ』に行こう」

ラードルフ「そうだな。この門を管理している『テル族』の者が誰なのか、俺たちには分からんからな」

ミシャ「……その心配はないかも」

オリカ「えっ?」

 ミシャが目を向けた方へ全員が目を向けると、そこには見たこともない装いをした者たちが立っていた。

レッド「もしかして、彼らが……?」

ミシャ「そう。『テル族』……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:42:37.21 ID:Ba1qiFQ0<>テル族の戦士「人間、ここに何の用があって来た?」

ライナー「……あなたたちが『テル族』か?」

テル族の戦士「そうだ」

ライナー「俺たちは、プラティナに火急の用があって塔を登っているんだ。すまないが、この門を開けてはもらえないか?」

テル族の戦士「プラティナだと!? 我々『テル族』は人間をこれ以上先へ通さぬためにこの地に住んでいるのだ。できる相談ではない!」

ジャック「……やれやれ、相変わらずだな。お前らは……」

 そう言いながらジャックがライナーの前に出る。
 テル族の男はジャックの顔に見覚えがあるのか、その顔を見た瞬間、驚きの表情を浮かべた。

テル族の戦士「!? ……アルモニカ!? お前、アルモニカなのか!?」

ジャック「あぁ、そうだ。お前らの知るアルモニカ・デ・パメリその人だよ。……まぁ、戻ってきた理由とか今ゆっくり話している暇はねーから、とりあえずフラウトに会わせてくれ。まだ長はあいつなんだろう?」

テル族の戦士「……わ、わかった。長のいる大本願まで案内しよう。ついて来い」

ジャック「やれやれ。ライナー、とりあえず、話だけは聞いてもらえそうだぜ?」

ラードルフ「……なんだかよく分からんが、ジャックがいてくれて助かったな」

ライナー「あ、あぁ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:43:55.84 ID:Ba1qiFQ0<>〜イム・フェーナ〜

ラードルフ「ここがイム・フェーナか……」

レッド「ネモと比べると、凄い景観だな」

オリカ「うん。建物も何かとカラフルで、材質も宝石みたいな石が使われていて……」

ミシャ「そりゃあ、住んでいる民族が違ければ文化も違うんだから当たり前よ」

ジャック「俺は逆に『ホルスの翼』に降りたばかりの頃は、ネモの風景とかに違和感を感じたな」

クルシェ「いわゆるカルチャーショックってやつだね」

テル族の戦士「……待たせたな。長がお前たちにお会いになるそうだ。入ってくれ」

ライナー「あぁ、ありがとう」



〜大本願〜

???「プラティナに向かうために門を開放してほしいというのはお前たちか?」

ライナー「はい!」

???「私はテル族の長、フラウト・ロス・ロリアだ。同時に、このイム・フェーナの長でもある」

オリカ「……あの人がテル族の一番偉い人?」

レッド「そうみたいだね。顔は分からないけど、声からしてまだ若そうだ」

クルシェ「ボク、『長』っていうくらいだから、もっと老人みたいな人かと思った……」

フラウト「しかし、門を護っていた戦士たちが慌てた様子でやって来たかと思えば……お前か、アルモニカ。今更何故戻ってきた?」

ジャック「……フン!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:49:42.66 ID:Ba1qiFQ0<>ラードルフ「? 何だ、やけに険悪そうな雰囲気だが……?」

ライナー「ジャック、あの人と仲悪いのか?」

ジャック「い、いや……。そういうわけじゃないんだが……」

フラウト「アルモニカはテル族であることを止めた身。いわば、一族を追放されたと同義なのだ」

クルシェ「またまた……。一体何をやらかしたんだい?」

ジャック「う、うるせぇな! いちいち人の過去を詮索しようとすんな!」

フラウト「アルモニカは6年前、掟を破り自らテル族であることを止め、この郷を去った。我々テル族は、掟を破ることは断じて許されぬ故……」

ミシャ「アル兄、そんなことがあったの!?」

ジャック「だーっ! もう! だから俺の話は今はどうでもいいだろ!? それに、その話はそっちでもう結論は付いているハズだ!」

レッド「なるほど。ジャックがテル族であることを隠していた理由が大体分かったよ」

ジャック「それに、俺はあの時の選択を後悔しちゃいねえ……。結果的にだが、こうしてさらわれたミシャを取り戻すことができたしな」

フラウト「ミシャ!? まさか……『星詠』がここにいるのか!?」

ラードルフ「『星詠』?」

クルシェ「なんか、また分からない言葉が出てきたね……」

ミシャ「……お久しぶりです。『星詠』・ミシャ、只今帰りました……」

フラウト「……ミシャ!? 本当にミシャなのか!? その姿は一体……いや、何はともあれ詩を、『クロニクルキー』を謳ってくれ! 世界は『星詠』の詩を待っているのだ!」

オリカ「『クロニクルキー』?」

レッド「う〜ん……なんか、今回はさすがの俺たちでもついていけそうにないな……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:51:40.23 ID:Ba1qiFQ0<>ミシャ「……ごめんなさい。今の私に『クロニクルキー』を謳うことは出来ないんです……」

フラウト「な、なんだと!? それは一体どういうことだ!?」

ジャック「フラウト、問い詰めたい理由も分かるが、今はこっちの話も聞いてくれないか?」

フラウト「む……?」

ジャック「ライナー」

ライナー「あぁ……。はじめまして。エレミアの騎士、ライナー・バルセルトと申します」

フラウト「エレミアの騎士……だと!? プラティナにいるはずのエレミアの騎士が、何故下界からここまで登ってきたのだ!?」

ライナー「それは……」



フラウト「……なるほど、大体の事情は把握した。だが、君の言っていることをそう易々と信じる訳にはいかない」

レッド「だよなぁ……」

クルシェ「なんかもう、お決まりの展開だよね」

ライナー「しかし、こうしている間にもプラティナは大変なことになっているかもしれないんです! それなら、せめてこの『パージャ』のクリスタルだけでもプラティナへ届けさせてもらえませんか!?」

???「それなら『試練』を受けてもらおうかしら?」

ライナー「試練?」

ラードルフ「待て。今の声は一体……!?」

ジャック「この声は……」

フラウト「オババ様!」

 突然、その場にライナーたちには聞き覚えのない声が響いたかと思うと、次の瞬間、フラウトとライナーたちの間に1人の少女が光と共に姿を現した。

???「……客人のいる前で『オババ様』って言うのはやめて」

レッド「……『オババ様』?」

オリカ「どう見ても、あたしたちと同じくらいの子に見えるけど……」

クルイェ「でも、『様』付けで呼ばれているくらいだから、偉い人には違いないんじゃないかな?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 17:57:55.81 ID:Ba1qiFQ0<>ライナー「え、えっと……。君は、一体……?」

???「ライナーといったかしら? 私はタスティエーラ。テル族のもう1人の長のようなものだと思ってくれていいわ」

ライナー「もう1人の長?」

レッド「ご意見番みたいなものか?」

タスティエーラ「そうね。そんなところかしら」

ジャック「オババ様、試練って何でそんなもんが必要なんだ?」

タスティエーラ「オババはやめて、アルモニカ。試練が必要なのは、ライナーたちが人間だからよ」

ライナー「俺たちが人間だから?」

タスティエーラ「えぇ。人間は狡猾でずる賢いもの。騙されている可能性も捨てきれない」

ラードルフ「ううむ……。完全に間違ってはいないとはいえ、酷い言われようだ……」

タスティエーラ「それに、ここまでアルモニカやミシャはライナーたちとそれなりの時間を共有して今に至っていると思うけど、私たちは彼らとはまだ初対面だもの」

ライナー「……つまり、俺たちがテル族の人たちの信頼に足る存在であることを証明すればいいんだな?」

タスティエーラ「そう。フェーナ門を開放することはテル族の使命そのものに関わることだもの」

レッド「その『試練』っていうのは、どれだけの時間が必要なんだ?」

タスティエーラ「試練自体はそう難しいものじゃないし、時間も掛からないわ。ライナーが本当に私たちの知る『エレミアの騎士』ならばの話だけど……」

ライナー「……分かった。その試練を受ける。ルールを教えてくれ」

ジャック「ったく……。どいつもこいつも使命だの掟だの……」

ミシャ「アル兄、受けなきゃ駄目みたいだから、ここはやるしかないでしょ?」

レッド「あぁ。ぐちぐち言っていたって何も始まらないしな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 18:00:56.81 ID:Ba1qiFQ0<>フラウト「それでは、早速試練を受けてもらうが……。そちらにいる娘、君はレーヴァテイルか?」

オリカ「あたし? ……は、はい。そうですけど……」

フラウト「では、君とライナーの2人は私について来い。代表として君たちに試練を受けてもらう」

オリカ「えぇ!?」

ライナー「オリカも? 代表なら俺1人だけでいいんじゃ……?」

タスティエーラ「いいえ、試練は人間とレーヴァテイルがそれぞれ1人ずつ必要なの。ましてや、『エレミアの騎士』なら尚更ね」

ミシャ「タスティエーラ! それなら私が……!」

タスティエーラ「ミシャは駄目よ。あなたはここに残って何故『クロニクルキー』が謳えないのかを説明してもらわなくちゃいけないもの」

ミシャ「う……」

ラードルフ「それなら仕方がない。我々はここでおとなしく待っているとしよう」

クルシェ「郷に入ったら……って言うもんね」

オリカ「レッド、ごめん……。あたし、レッドのパートナーなのに……」

レッド「気にすることはないよオリカ。俺がいなくても、オリカは今までどおり振舞えばいい」

ライナー「あぁ。よろしく頼むぜ、オリカ」

オリカ「う、うん……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 18:02:05.30 ID:Ba1qiFQ0<>タスティエーラ「……さて。ミシャ、説明してもらえるかしら? 何故『クロニクルキー』を謳えないのか。そして、何故そんな可愛らしい姿になってしまっているのか」

ミシャ「う、うん……」

ジャック「オババ様、俺たちは席を外した方がいいんじゃないか?」

クルシェ「うん。ボクたちまで聞く必要はないと思うんだけど」

タスティエーラ「いいえ、このことはあなたたちも今のうちに聞いておいたいいと思うわ。それとオババはやめて」

レッド「……さっきから言っている、その『クロニクルキー』っていうのは、それだけ俺たちにも関わりがあるものなのか?」

タスティエーラ「えぇ。むしろ、この世界に生きているもの全てに関わりがあるものよ」

ミシャ「そ、それじゃあ、説明するね……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 18:02:34.88 ID:Ba1qiFQ0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「よう、みんな。グリーンだ。またまた投下が予定より遅れて申し訳ない。だけど、>>1はこのSSの投下を打ち切るつもりは全くないから、そこは安心してくれ」

グリーン「さて、今回は以前から度々本編中にも名前が登場していた『テル族』について簡単に説明させてもらうぜ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 18:03:11.39 ID:Ba1qiFQ0<>グリーン「『テル族』は、本編中でも説明されていたとおり『アルトネリコ』の世界に登場する、人間やレーヴァテイルとはまた違う別の種族だ」

グリーン「彼らの共通の特徴は『麻色の肌』『角や尻尾がある』『寿命が長く200年くらい生きられる』とう点だ」

グリーン「『テル族』は人間とは違った知識や技術も豊富に持っており、『アルトネリコ』の舞台である塔の建設にも彼らの貢献があったから可能だったとも言われている」

グリーン「……だけど、今は一族の郷である『イム・フェーナ』にひっそりと暮らしていたり、掟で自らを縛っていたりと、人間に対してあまり積極的な交流活動はしていない。まぁ、これらの理由は本編が進めばそのうち明らかになるだろう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 18:04:13.53 ID:Ba1qiFQ0<>グリーン「ちなみに、原作『アルトネリコ』ではジャックことアルモニカが『イム・フェーナ』を去ったのは、ミシャが『天覇』にさらわれるよりも前なんだが、本作はミシャがさらわれた後ということになっている」

グリーン「いわゆる原作改変だが、『アルトネリコ』ファンの方々は、こういった点は“クロスオーバーSSだから”と割り切ってくれるとありがたい」

グリーン「ちなみに、テル族関係は本作では結構改変される予定なので、次回以降も本作を読んでくれる方はあらかじめ注意してほしい」

グリーン「それでは、今回はこの辺で。また次回」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/11(火) 18:19:31.62 ID:Ba1qiFQ0<>というわけで第13話でした
14話は金曜日までに投下予定です

なお、次回からクロスオーバー故のオリジナル設定がちょこっと出てきたりします
そういうのが苦手な方はご注意ください<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/12(水) 00:26:20.45 ID:hBMHJWAo<>おいつた!!
面白い!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/13(木) 01:34:31.48 ID:jhSEPb2o<>むしろ今までオリジナルがほとんどないのがすげぇwwwwww
それにしてもレッドさん歳のわりにかっこいいなwwwwww

わす いえぁ ら めれなす >>1<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_saga<>2010/05/13(木) 02:42:24.74 ID:zTRxuYUo<>VIPで見て以来だったけど続いていたのか
気になっていただけに有り難い

あと、目欄に半角小文字で「sage」と入れた方が良い

そうすれば浮力とか殺すとかドラえもんに修正がかからないから
sageたいときはこのレスの目欄のようにすればいい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/13(木) 02:43:12.65 ID:zTRxuYUo<>ごめん間違えた
sageじゃなくて「saga」だ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/13(木) 20:36:32.39 ID:LNV1xnw0<>第14話投下します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/13(木) 20:38:20.55 ID:LNV1xnw0<>●PHASE1 第14話

〜大本願〜

ミシャ「……レッド、この前ネモで、私はあるものを探しているって言ったよね?」

レッド「あぁ。言ってたな」

クルシェ「もしかして、その『探し物』がさっきから言われている『クロニクルキー』ってものなの?」

ミシャ「そう……。6年前、『天覇』――ボルドによってさらわれた私は、その時『クロニクルキー』という詩もあいつに奪われたの」

ラードルフ「詩を奪う? そんことが可能なのか?」

ミシャ「うん……。『星詠』である私にとって『クロニクルキー』は必要不可欠なもの……。それを奪われてしまったから、私の身体は6年前から全く成長していないの……」

ジャック「そうか。ミシャの姿が6年前から変わっていなかったのは、そういうことだったのか」

タスティエーラ「……なるほど。確かに、『クロニクルキー』が奪われてしまっては『星詠』として謳うことはできないわね」

ミシャ「この6年間、『天覇』関係の施設で探せるところは全部探したわ。でも結局見つからなかった……」

レッド「となると、未だにボルド自身が保有していて、どこかに隠しているか……」

ラードルフ「ボルドと繋がりを持つ別の者の手に渡ったかのどちらかだな」

タスティエーラ「……しかしミシャ、いくら『クロニクルキー』が見つからなかったとはいえ、一度イム・フェーナに戻ってくるという選択肢はその時浮かばなかったの?」

ミシャ「う……。そ、そりゃあ、それももちろん考えてはいたわよ……。でも……」

クルシェ「でも?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/13(木) 20:39:21.45 ID:LNV1xnw0<>ミシャ「……私がさらわれた時、ボルドを追っていたテルの人たちと、偶然そこにいた『天覇』の連中との間で争いが起きて、村がひとつ壊滅したのよ」

レッド「!?」

ジャック「……スクワート村か」

ラードルフ「な、なんだと!? スクワート村といえば、オリカの故郷じゃないか!?」

クルシェ「えっ!? ……そういえば、確かにあの時、クレアさんも村が焼けたって言ってたけど……」

レッド「……意外なところで、オリカとミシャはすれ違っていたんだな」

ミシャ「だから……怖かったのよ! 私のせいでまたテルや『天覇』と無関係な人たちを巻き込んじゃうんじゃないかって……!」

ジャック「ミシャ……」

タスティエーラ「……安心しなさい、ミシャ。いくら『星詠』を護ることを使命としているテル族も、そこまで向こう見ずではないわ」

レッド(そうか……。この前、オリカのコスモスフィアでどんすけが言っていた『テル族の宝』というのは、ミシャのことだったのか……)

タスティエーラ「何にしても、ミシャが無事に戻ってきてくれてよかったわ。それに、ミシャから『クロニクルキー』を奪った者の名が分かったこともテル族にとって大きな収穫よ」

ラードルフ「そして、そのボルドは今や隠れ蓑であった『天覇』からも追われる身だ」

クルシェ「『クロニクルキー』を取り戻すのは、そう遠くないかもしれないね」

ジャック「……本当にそうなるのか?」

クルシェ「えっ?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/13(木) 20:40:18.87 ID:LNV1xnw0<>ミシャ「アル兄? ……なんでそう思うの?」

ジャック「ボルドのことで、どうしてもひとつ引っかかるものがある」

タスティエーラ「それは?」

レッド「……俺とライナーを抹[ピーーー]るようにとボルドに命じた者が誰か、だな?」

ジャック「あぁ」

クルシェ「! そうか! 確かに、ボルドにその命令を出したのはアヤノ社長じゃなかったもんね」

ラードルフ「おまけに、彼女は先日俺たちと出会うまでレッドとライナーのことを知らなかったようだしな」

レッド「そうなると、俺とライナーのことを知っていて、かつボルドに命令を出せるほどの発言力がある者でかなり的が絞れてくるな」

ジャック「そうなると、一番最初に白羽の矢が立ちそうなのは……」

ラードルフ「……ジャック、まさかとは思うが……」

ライナー「おーい、みんなー!」

ジャック「おっ。戻ってきたか」

ミシャ「ライナー!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_sage<>2010/05/13(木) 20:43:56.36 ID:LNV1xnw0<>クルシェ「おかえり。それで、結果はどうだった?」

フラウト「君たちを認めよう。彼は間違いなく、本物の『エレミアの騎士』だ」

ジャック「そら、見たことか」

ライナー「タスティエーラ、これで『フェーナ門』を開けてくれるか?」

タスティエーラ「えぇ、『フェーナ門』は開放するわ。だけど……門を開放しただけではプラティナにはたどり着けないわよ」

オリカ「えぇっ!?」

レッド「なんだ? もしかして、まだ何かあるのか?」

タスティエーラ「このイム・フェーナから数百ストン上に『氷の瞳』と呼ばれる場所があるの」

レッド(ストン……確かこの世界の高さの単位で、1ストンは大体3メートルくらいだったかな?)

タスティエーラ「この『アルトネリコ』という塔は、実はその『氷の瞳』で上下に分断されているのよ」

オリカ「上下に分断……!? それって、塔は途中で切れていて、上は浮いているってこと!?」

タスティエーラ「そう。ライナーの住むプラテイナ方面――つまり上層は、下層とは物理的に繋がってはいないの」

ライナー「そ、そうだったのか……」

クルシェ「それ、調べられるなら一度調べてみたいな。どういう技術を使っているのか技術屋としてすごく気になるし……」

ラードルフ「なるほど、だから『歩いて上に登る』ということは事実上不可能なのか」

オリカ「ちょ、ちょっと待って! じゃあ、『フェーナ門』は何のためにあるの!?」

レッド「……ブラフ?」

フラウト「違う。門の奥には『氷の瞳』以外にも塔の重要な施設がある。それ故に、おいそれと人間を通すわけにはいかないのだ」

ミシャ「……そうね。確かにあそこは重要な施設ではあるわね……」

ライナー「ミシャ?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>age<>2010/05/13(木) 20:45:26.47 ID:LNV1xnw0<>タスティエーラ「そういえば、下層に降りる時は飛空挺を使ったそうね?」

ライナー「あぁ。だけど、墜落して壊れてしまって……。おまけに、修理するための手段も見つからなかったんだ……」

タスティエーラ「無理もないでしょうね……。『ホルスの翼』に存在する飛空挺技術では、仮に直せたとしても、プラティナはおろか『氷の瞳』まで飛ぶことはできなかったでしょうし……」

クルシェ「……そうなんだ……」

ジャック「ん? どうした?」

クルシェ「いや……。なんでもない……」

レッド「ワープゲートみたいなものはないのか?」

タスティエーラ「塔の中心部に相互行き来できるものがあるわ。だけど、『エレミア誓約書』に基づきシュレリアが停止している」

レッド「なんだ、その『エレミア誓約書』って?」

フラウト「かつてテル族と現在の『エレミアの使徒』たちとの間で交わされた掟だ」

レッド「あぁ、テル族の掟ってそれのことだったのか」

ライナー「……じゃあ、どうやってプラティナに帰ればいいんだ?」

オリカ「ねぇ、レッド。リザードンで飛んでいけないかな?」

レッド「……絶対無理だろうな。飛空挺を使っても飛んでいけない距離なんだし……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_sage<>2010/05/13(木) 20:46:35.12 ID:LNV1xnw0<>タスティエーラ「……一応、ひとつだけ『氷の瞳』を超えて上層へ行く方法はあるわ」

フラウト「!? オババ様、まさかあの儀式を……!?」

タスティエーラ「オババはやめて、フラウト。……そう。『サーキュラの洗礼』、あの儀式を行えば……」

ライナー「それ、やろう!」

ジャック「早っ!」

レッド「レッド、どんなものなのか説明も聞いていないのに即決というのは……」

ラードルフ「あぁ。それに、『儀式』というからには相当大掛かりなものなのかもしれんぞ?」

ライナー「でも、他にプラティナに帰るための手段はないんだろ? だったら、どんな内容だってやってみないと始まらないじゃないか?」

オリカ「それで、その『サーキュラの洗礼』って一体……?」

タスティエーラ「『サーキュラの洗礼』とは、己を魂と化し塔と同化する儀式よ。それにより、一時的にだけどライナーたちは『この世界の存在ではなくなる』わ」

クルシェ「それって……」

フラウト「あぁ。一時的とはいえ、『この世から消えて無くなる』……。それは即ち、『死』と同じだ」

オリカ「ら、ライナー!?」

レッド「いや。やってみる価値はありそうだ」

ミシャ「ちょ、ちょっと! レッドまで何言ってるのよ!」

ラードルフ「命は投げ捨てるものではないぞ?」

レッド「別に俺は死にたいわけじゃない。ただ、やろうとしていることが偶然『死』に近いだけだ」

ライナー「レッドの言うとおりだ。それに、俺たちを信じてくれたテルの人たちのご意見番が提案した方法なんだし、きっと大丈夫さ」

ジャック「……お前、人をあっさりと信じ込んじまうその性格、やめないといずれ損すると思うぞ?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_sage<>2010/05/13(木) 20:47:14.59 ID:LNV1xnw0<>タスティエーラ「心配しないで。『死』というのは、あくまでもものの例え。儀式自体はそれほど危険なものではないわ」

オリカ「そ、そうなの?」

タスティエーラ「えぇ。ただ、儀式を行うにはちょっとした準備がいるの。あなたたちも協力してくれないかしら?」

ライナー「何をすればいいんだ?」

タスティエーラ「『相転換サーキュラ』と呼ばれる祭器が必要なの。これは1回の儀式ごとに必ず1つ作らないといけない」

クルシェ「使い捨てなんだ」

タスティエーラ「えぇ。それを作ってもらえないかしら? 作り方(レシピ)はこちらで教えるから」

ライナー「『グラスメルク』か……。わかった、任せてくれ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_sage<>2010/05/13(木) 20:48:17.36 ID:LNV1xnw0<>〜イム・フェーナ〜

レッド「それで、レシピをもらったはいいが、材料は何を用意すればいいんだ?」

クルシェ「うん。『相転換サーキュラ』なんてアイテム、聞いたこともないし」

ライナー「え〜っと……『ユーラストリノ』と『インバートフック』だそうだ」

ミシャ「……知ってる?」

ライナー「いや、全然」

ミシャ「もう……。安請け合いし過ぎよ。ちゃんと調べてから受けてよね」

ライナー「す、すまん……。一度戻って聞いてくるか?」

ジャック「待て。『インバートフック』っていうのは知らねーが、『ユーラストリノ』ってヤツなら俺に心当たりがある」

ライナー「本当か?」

ジャック「あぁ。俺がまだイム・フェーナにいた頃、寺院にあったのを見たことがある。まだあるかは分からねーが、後で寺院に行って確認してみよう」

レッド「それじゃあ、まずは『インバートフック』っていうのを……」

クルシェ「あ。それならボクがレシピカード持ってるよ」

ライナー「本当か!? サンキュー、クルシェ! じゃあ、まずはそいつから作ろうぜ!」

ラードルフ「その前に、まずは今日の宿を確保しなければな」

オリカ「すっかり日も暮れてきたもんね」

ジャック「それなら、通りに『レストア』っていう宿屋がある。そこにしよう」

ラードルフ「……ところで、ジャック」

ジャック「ん?」

ラードルフ「先ほどの話なのだが、お前……まさかファルス司祭を疑っているのか?」

ジャック「……別に俺はそういうわけで言おうとしたんじゃない。ただ、ライナーとレッドのことを知っていて、かつ発言力のある奴なんてあの司祭様以外俺には考えられなかっただけだ」

ラードルフ「……教会の者として、俺はそんなこと信じたくはないが……」

ジャック「俺だってこんな疑心暗鬼を招くようなことは言いたくはねーよ。……だが、俺たちの身近なところでボルドと繋がりを持った奴がいたということだけは事実だ」

ラードルフ「…………」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_sage<>2010/05/13(木) 20:49:37.75 ID:LNV1xnw0<>〜宿・レストア〜

レッド「ここか」

オリカ「うわぁ。建物の中もカラフルだね〜」

ミシャ「イム・フェーナの郷の建物はみんな『石木』って石が成長してできたものなのよ」

ライナー「石が成長? そんなものがあるのか?」

ジャック「あぁ。だが、普通の成長速度は激しく遅い。だから成長剤を使って成長させるんだ。そうすりゃ瞬時に成長する」

レッド「成長する石か……イシツブテを思い出すな」

ジャック「まぁ、そんな話は置いておいて、さっさと部屋を……」

???「アル兄〜!」

ジャック「ん? ……げっ!?」

ラードルフ「なんだ?」

オリカ「……女の子?」

???「アル兄〜! どこへ行っていたのだ!? 寂しかったのだー!」

ジャック「り、リルラ……!」

クルシェ「……ふ〜ん……」

ジャック「なっ!? クルシェ、何だその顔は!?」

クルシェ「いや……。ジャックってそういう趣味だったんだなぁって……」

ラードルフ「……人は見かけによらんものだな」

レッド「まぁ……なんだ、以前ライナーにも言ったが、俺は他人の趣向にどうこうと口出しする気はないが……」

ライナー「れ、レッド、だからあれは……!」

オリカ「……ロリコンメカミドリ」

ジャック「ま、待て、おまえら! 誤解だ! ミシャ、お前からも何とか言ってくれ!」

ミシャ「アル兄、弁護が必要ならドッコイ定職3日分で手を打つけど?」

ジャック「おいぃぃぃぃぃ!?」

リルラ「アル兄〜♪」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_sage<>2010/05/13(木) 20:50:38.28 ID:LNV1xnw0<>ジャック「こいつはリルラ。アイテムの調達を仕事にしているんだ」

リルラ「リルラなのだ!」

オリカ「へぇ〜。まだ小さいのにお仕事しているんだ。偉いね〜」

リルラ「当然なのだ! アル兄との結婚資金のためなのだ!」

ジャック「ぶっ!?」

クルシェ「やっぱり……」

ジャック「だから違うっつーの!」

レッド「な、なんて出来た子なんだ……!」

オリカ「もう大人になった時のことも考えているなんて……!」

ミシャ「アル兄にはもったいな過ぎるわ……!」

ラードルフ「あぁ。ジャックにはもったいないくらいよく出来た子だ……!」

ジャック「お前らも感心してんなー!」

リルラ「いや〜それほどでもないのだ。これも未来の妻の務めなのだ」

ジャック「リルラも、いちいち誤解を招くような発言をすんなー!」

レッド「ん? ……っ!?」

オリカ「? レッド、どうしたの?」

ミシャ「何か見つけたの?」

レッド「……これ……」

ラードルフ「? その絵画がどうかしたのか?」

クルシェ「ボク、絵のことはよく分からないけど、どこか古臭い感じの絵柄だね」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_sage<>2010/05/13(木) 20:51:22.64 ID:LNV1xnw0<>リルラ「あぁ、それは『始祖様』の絵なのだ〜」

オリカ「始祖様?」

ジャック「あぁ。なんでも、伝承に登場するテル族の始祖の姿を描いたものらしい」

レッド「……!」

ラードルフ「!? おいレッド、どこに行くんだ!?」

レッド「みんな、ゴメン! 俺、一度大本願に戻る!」

ミシャ「ちょっと!? 一体どうしたの!?」

レッド「どうしても確かめたいことがあるんだ! その絵に描かれている奴のことで!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_sage<>2010/05/13(木) 20:52:36.48 ID:LNV1xnw0<>〜大本願〜

フラウト「……む。どうしたのだ? そんなに慌てて戻ってくるとは……?」

レッド「悪い……! タスティエーラは!? タスティエーラはいるか!?」

タスティエーラ「私ならここにいるわ」

レッド「すまない! どうしても今すぐに聞きたいことがあるんだ!」

タスティエーラ「何かしら?」

レッド「何故……。何故この世界に幻のポケモンの……ミュウの絵があるんだ!? そして、それを始祖と崇めるお前たちテル族は一体何者なんだ!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage_sage<>2010/05/13(木) 20:53:45.87 ID:LNV1xnw0<>◆おまけ◆
グリーンの楽屋裏

グリーン「おっす。グリーンだ。PHASE1もいよいよ終盤に入ってきたな」

グリーン「今回も残念ながら特に説明するべき新規用語はないんだ。前回から登場している『星詠』とかは今説明するとネタバレになっちゃうからな」

グリーン「さて、PHASE1――つまり第1章だが、これはあと2話――つまり、ライナー一行がプラティナに向かうまでを予定している」

グリーン「『アルトネリコ』原作ではプラティナに行ってとあるボスを倒すまでがPHASE1なんだが、SSでこれを再現するとストーリーの進行が中途半端なものになってしまう。それ故の改変だ」

グリーン「そんなわけで、今回はこの辺で。また次回!」


Sさん(仮名)「私の登場はPHASE2までお預けだなんて……! タスティエーラや●●●●は私よりも先に登場してインパクト残してるし……! あぁ、妬ましい……! パルパルパルパル……」

Hちゃん(仮名)「パルパルって……。それは別のゲームのキャラなのよ! おまけに二次創作ネタなのよ!」

グリーン「いろんな意味で重症だ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/13(木) 20:58:33.50 ID:AvIHqago<>うへー気になる幕引きだな。
次回も楽しみにしてる。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/13(木) 20:59:33.90 ID:LNV1xnw0<>第14話投下完了です
次回は月曜日までには投下できると思います

それと、一応次回でレッドが『アルトネリコ』世界にやって来てしまった理由が少しだけ判明します
本当に少しですがww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/14(金) 00:04:59.40 ID:.9tqY/Yo<>乙乙
続きがきになる

あと説明が下手ですまなかった
sage_sageじゃなくてsage_sagaだ

さげさげじゃなくてさげさ「が」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/17(月) 00:19:49.98 ID:c0kqISEo<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/17(月) 21:02:57.21 ID:c0kqISEo<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/17(月) 21:04:29.88 ID:c0kqISEo<>セレビィとかミュウの能力ってなんだっけ?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/17(月) 22:55:25.36 ID:pEg8UB2P<>セレビィは時間を移動するときわたり

ミュウは全技&秘伝マシンが使えるほかは
特別な能力はなかった気がする<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/18(火) 00:06:31.51 ID:XBYDGBA0<>そういえばテル族ってテレポートとか使えたような<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/19(水) 19:10:26.47 ID:ZDR21FEo<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/22(土) 21:25:10.83 ID:NFUphqM0<>ども、>>1です
1週間以上音沙汰なくてすいませんでした

SSですが、最近リアルの方がいろいろと忙しくて、本編の方も全然手が付けられない状況です
一応5月中には15話は投下できるようにしたいですが……
続きを期待してくれている住人の方々には申し訳ありませんが、もうしばらくお待ちください<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/22(土) 22:45:42.14 ID:QF34o6co<>was yea ra rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/23(日) 02:26:18.53 ID:ulppdLwP<>おk
wwktkしつつ待ちます<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/23(日) 16:59:58.16 ID:miGOua60<>…まとめスレとか無い?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/23(日) 23:33:04.93 ID:d4gGO4co<>>>312
まとめスレってなに?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/23(日) 23:33:37.99 ID:d4gGO4co<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/24(月) 01:09:20.05 ID:kz7LcJY0<>>>313
話を全部まとめたサイトは無いものか…って意味で言った<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/24(月) 11:01:10.96 ID:8WYhlPko<>rasse rasse

>>315
過去ログ読んでくればいいだろ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/25(火) 04:43:24.29 ID:GUKoFMYo<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/27(木) 12:18:18.59 ID:7Fdp0GEo<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/31(月) 21:31:49.80 ID:tp5f2dgo<>まだかなまだかなrasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/01(火) 22:44:23.66 ID:1TZzYhQo<>らっせーらっせー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/07(月) 11:23:28.72 ID:1irPQj.o<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/11(金) 03:09:58.00 ID:ZuDO9jYo<>ミュウなら後付けで何を追加されても驚かない
時わたりとかぽんぽんしちゃいそうだ
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/12(土) 15:17:41.05 ID:xDABgkDO<>中々こない<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/13(日) 00:17:40.29 ID:jdp/nwoo<>rasse rasse

久々に俺以外の書き込みがあるから>>1かと思ったけどちがかった、でもちょっとうれしい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/13(日) 00:25:17.58 ID:/pjKMkDO<>このスレは巡回スレに入ってるんだが>>1じゃなくて悪い

人が居ることが分かって嬉しい>>1早く来てくれー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/15(火) 06:53:32.08 ID:w75ilwMP<>なかなか忙しいんだろうな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/06/15(火) 23:44:43.45 ID:rClPq3E0<>そういえば、アルトネリコとポケモンって発売する年が被ってるな
今年はポケモンの新作も秋に出るらしいし<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/16(水) 17:41:23.14 ID:BRrRDADO<>rasse rasse

いつもここは過疎だな
>>1と俺以外のレスがまだ30ないんだぜwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/06/16(水) 18:51:27.40 ID:MfZLwJE0<>基本Romってるだけなんだぜ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/16(水) 19:29:21.35 ID:agTsAcDO<>僕も<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/16(水) 19:29:26.88 ID:agTsAcDO<>僕もだってばよ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/16(水) 20:44:17.87 ID:agTsAcDO<>なぜかミスってるってばよ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/06/21(月) 01:22:48.48 ID:ZvxwU4o0<>ところで、このスレの住人でポケモン廃人、もしくは廃人一歩手前な奴ってどのくらいいる?
俺は現在3V以上のひかえめラッキーを孵化させるためにコガネシティを絶賛爆走中ww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/21(月) 06:58:09.37 ID:AKJAChAo<>>>333
俺はアルトネならwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/21(月) 06:58:57.82 ID:AKJAChAo<>うをおおおおおおお
書き込めたああああああああ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/21(月) 23:23:59.40 ID:AKJAChAo<>rasse rasse

この末尾なんだ?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/22(火) 19:17:26.56 ID:e72ll.DO<>らっせいらーwwwwwwwwwwらっせいらーwwwwwwwwww

無駄レスすまん<> 1 ◆f0dM7Brqw.<>sage_saga<>2010/06/25(金) 01:34:01.12 ID:q52SeSg0<>どうも、>>1です
あれから1ヶ月以上音沙汰もなくてすいませんでした

リアルの方(就職が決まって仕事に慣れるまでいろいろと大変でした)がある程度落ち着いてきたので、本編再開します

ただ、まだリアルの方で急がしいことに変わりはないので、以前のように一話まとめてドーンと投下するのは難しいと思います
それでもチョコチョコと投下していく予定でおりますので、よろしければ再びお付き合いのほどをよろしくお願いします

それでは、少しですが本編投下します<> 1
◆f0dM7Brqw.<><>2010/06/25(金) 01:35:22.55 ID:q52SeSg0<>●PHASE1 第15話

〜宿・レストア〜

ライナー「で、出来たぜ、インバートフック!」

ミシャ「本当!?」

クルシェ「え? 出来たの?」

ライナー「おう! このとおりだ!」

クルシェ「凄いじゃん。ちょっと見直した」

ミシャ「う〜ん……」

オリカ「? ミシャちゃん、どうしたの?」

ミシャ「いや……このインバートフックって元々はレーヴァテイルの謳の詠唱を早口にするアイテムなのよ」

ライナー「これが?」

ミシャ「そう。でもね、早すぎてそのうち舌噛み切っちゃうんじゃないかってことで、いつの間にか『舌切りフック』なんて呼ばれるようになったの」

オリカ「……つまり、人気なかったってことだね」

クルシェ「その話はボクもルークから聞いたことあるよ。懐かしいなぁ……」

ライナー「……そういえばさ、塔の側面で会った時も言ってたけど、その『ルーク』って誰なんだ?」

クルシェ「あぁ。そのインバートフックのレシピカードをボクにくれた人だよ。ボクの元彼」

ミシャ「ふ〜ん……って、え!?」

オリカ「元彼!?」

クルシェ「……君たち、今ボクに恋愛沙汰なんてありえないと思ったでしょ?」

ライナー「い、いや。そんなことは……」<> 1
◆f0dM7Brqw.<>sage_saga<>2010/06/25(金) 01:37:33.89 ID:q52SeSg0<>クルシェ「まぁ、いいけど……。ルークはね、一緒に飛空挺を開発した仲間なんだよ。仲間の中では一番の腕利きのエンジニアで、いつか飛空挺でブラストラインを超えて塔の頂上にいくのが夢だったんだ」

オリカ「……『だった』?」

クルシェ「そう、もう過去の話……。飛空挺を完成させたルークは、早速それで頂上を目指して出発したんだけど、それ以来帰って来ない……」

ライナー「……悪い。聞かないほうがよかったか?」

クルシェ「別にいいよ。ボクが勝手に喋ったことなんだし。それに、ルークは飛空挺ごと行方知らずなんだ。もしかしたら、ブラストラインの上で普通に生きているかもしれないし……」

ミシャ「……もしかして、クルシェが飛空挺を作っているのって、そのルークの安否を確かめたいから?」

クルシェ「確かにそれもあるけど、ボク自身も飛空挺でブラストラインを超えるっていうのは夢だよ」

レッド「夢か……。夢があるっていうのはいいことだよな」

クルシェ「!?」

オリカ「れ、レッド!?」

ミシャ「も、戻ってきてたの?」

ライナー「というか、いつからいたんだ?」

レッド「? 『ルークは一緒に飛空挺を開発した仲間〜』あたりからだけど?」

ミシャ「い、いるならいるって言いなさいよ!」<> 1
◆f0dM7Brqw.<><>2010/06/25(金) 01:38:08.61 ID:q52SeSg0<>オリカ「……ところで、さっきは本当にどうしたの? 突然宿を飛び出していくなんて……」

レッド「あぁ、そのことなんだけどさ……。もしかしたら、俺が元の世界に帰るための方法が分かるかもしれないんだ」

クルシェ「えっ!?」

ライナー「本当か!?」

レッド「あぁ。詳しくは明日タスティエーラが説明してくれる。だからみんな、悪いけど明日は俺と一緒にイム・フェーナの寺院まで来てくれないか?」

ライナー「別に構わないけど……」

クルシェ「うん。インバートフックはさっき完成したしね」

ミシャ「アル兄が言っていたユーラストリノを取りに行かなきゃいけないし」

レッド「そうか。ありがとう」

オリカ「…………」<> 1
◆f0dM7Brqw.<><>2010/06/25(金) 01:41:48.48 ID:q52SeSg0<>〜イム・フェーナ寺院〜

フラウト「……来たか、レッド」

レッド「あぁ。タスティエーラは?」

タスティエーラ「私ならここにいるわ。……それにしても、1人で来るかと思ったら、随分と大人数で来たわね」

ジャック「俺たちも別件でここに用があったからな」

ライナー「タスティエーラ、レッドが元の世界に帰るための方法が分かるかもしれないっていうのは、本当なのか?」

タスティエーラ「えぇ。ただ、彼がこの世界に迷い込んでしまった理由が分かるかもしれないと言ったほうが正しいかもしれないわ」

フラウト「しかし、『別の世界の人間』の人間など普通ならば信じられん……。だが、彼の所持品には明らかにこの世界のものとは違う技術系統で生み出された品ばかりであった以上、信じるしかあるまい」

ラードルフ「……ところで、俺たちが宿で見たテル族の始祖の絵とレッドには一体どんな関係があるんだ?」

ミシャ「そういえば、まだ私たちそのことについて聞いてなかったわね」

レッド「……あの絵に描かれていたのは、俺の世界ではミュウと呼ばれているポケモンだ」

ライナー「ぽ、ポケモン!?」

クルシェ「ちょ、ちょっと待ってよ! じゃあ、テル族の正体はポケモンだっていうのかい!?」

タスティエーラ「……そのことについては詳しくは中で話すわ。レッドには是非知ってもらいたいものがあるからね」

フラウト「うむ。『創造主の像』……。そして、我らテルに伝わる『世界創世の伝承』をな……」

レッド「世界……」

オリカ「創世……?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/06/25(金) 01:42:13.36 ID:gA4CGASO<>待ってた
ポケモンしか知らないけど面白いよ<> 1
◆f0dM7Brqw.<><>2010/06/25(金) 01:47:05.26 ID:q52SeSg0<> レッドたちが案内されたのは、寺院の最奥地と思われる薄暗い部屋だった。

ライナー「随分と暗い部屋だな」

ジャック「俺も寺院のこんなところまで足を踏み入れたことはなかった」

フラウト「当然だ。この部屋は本来ならばオババ様とテル族の長しか入ることを許されていない場所なのだからな」

タスティエーラ「オババはやめて、フラウト。そう、普段この部屋は私とフラウトによって硬く閉ざされているもの。イム・フェーナの人たちでも知っている者は多くないでしょうね」

クルシェ「いいのかな、そんなところにボクたちが入っちゃって?」

レッド「……それで、見せたいものというのは?」

フラウト「これだ」

 フラウトが手にしていた明かりを若干上へ掲げると、レッドたちの前に3体の像が姿を現した。

ライナー「な、なんだこれは!?」

ミシャ「何かの生き物の像みたいだけど……」

ジャック「こりゃまた、随分とデカいな」

クルシェ「ボクらが『たかのつめあと』の遺跡で見たティリア神の像と比べたらまだ小さいほうだけどね」

オリカ「これって……『エオリア三謳神』?」

ラードルフ「いや、『エオリア三謳神』ならば人の形をしているはずだ。この像の生き物は3体とも四足だし、人間らしい部分は見られない」

タウティエーラ「これは、私たちテル族に伝わる『世界創世の伝承』に登場する『創造主』とその分身である『2体の神』の像よ」

ライナー「なぁ、さっきも言っていたけど、一体なんなんだ? その『世界創世の伝承』というのは?」

フラウト「先も説明したが、『世界創世の伝承』とは、我らテルの間に伝わる、この世界がまだ『死の雲海』とブラストラインに覆われるよりも遙かに昔――まだ塔も存在せず、かつ人間もレーヴァテイルもテルも生まれていなかった頃の出来事の描いたという物語だ」

タスティエーラ「まぁ、御伽噺程度のものだと思ってくれて構わないわ」

レッド「……その内容を詳しく聞かせてもらえないか?」

タスティエーラ「えぇ、もちろん」

 そう言うと、タスティエーラは一呼吸おいた後、ゆっくりとその伝承を語り始めた。<> 1
◆f0dM7Brqw.<><>2010/06/25(金) 01:48:56.31 ID:q52SeSg0<>




 ――かつて、この世界は混沌がうねるだけの空しい場所であった。

 しかしある時、混沌が混ざり合い、ひとつの渦ができた。

 やがて、渦の中心から『さいしょのモノ』が生まれ出でた。



 『さいしょのモノ』は、ふたつの分身を作った。

 ふたつの分身は、それぞれ『時間』と『空間』というモノを生み出した。

 時間が廻り、空間が広がっていくうちに、また新たなうねりができあがった。

 うねりは二重の螺旋となり、そこから『世界』が生まれた。



 次に、ふたつの分身は、ものというものを『世界』に産み出した。

 やがて、それらは明確な形を持つようになり、『いのち』と呼ばれるようになった。

 こうして、この世界は作り出され、『さいしょのモノ』は眠りにつき、残されたふたつ分身は龍へと姿を変え、今も尚、この世界を見守り続けているという――





タスティエーラ「……以上が、この像のモデルとなった『創造主』と『2体の神』の話よ」

ラードルフ「なるほど。内容はよくある神話とたいして変わらないな」

レッド「…………」

ライナー「? レッド、どうした?」<> 1
◆f0dM7Brqw.<><>2010/06/25(金) 01:51:46.82 ID:q52SeSg0<>レッド「……似てる」

ミシャ「えっ?」

レッド「俺の世界に存在する神話の内容と、今タスティエーラが言った伝承の内容が似ているんだ」

ジャック「なんだって!?」

レッド「いや、似ているってレベルじゃない。俺の世界のシンオウ地方ってところに伝わる神話とほぼそのまんまだ。シンオウ地方関係の話は、オーキド博士から聞いた程度の知識だけど……」

ラードルフ「だがレッド、先も言ったが、こういう神話には類似点が多く存在するものだ。単なる偶然じゃないのか?」

レッド「確かに、話の内容だけだったら俺もそう思っていたかもしれない……。だけど……」

オリカ「……! もしかして……!」

レッド「あぁ。そのとおりだよ、オリカ。この像のモデル――『創造主』と『2体の神』も、そのシンオウ地方の神話に登場するポケモンにそっくりなんだ」

ミシャ「うそ!?」

レッド「俺もそのポケモンがどんな奴なのかは詳しくは知らないけど、名前とかは聞いたことがある。確かディアルガとパルキア、そしてアルセウスだ」

タスティエーラ「Arceus(アルセウス)……」

ライナー「どことなく、ヒュムノス語っぽい名前だな」

フラウト「うむ。さすがに偶然の一致とは考えにくい」

レッド「タスティエーラ、さっきの伝承の続きを聞かせてくれないか? もしかしたらまだ何か共通点があるかもしれない」

タスティエーラ「わかったわ。それじゃあ、今度はテル族の『始祖』の話をしましょうか……」<> 1
◆f0dM7Brqw.<><>2010/06/25(金) 02:00:11.55 ID:q52SeSg0<>今回はここまでです
続きはまた明日以降になると思います



ポケモンの新作がマジで楽しみ過ぎる
というかレシラムとゼクロムってタイプ的にかなり強いような……
特性もプレッシャーじゃないのは、やはり伝説で現時点事実上一強状態のカイオーガ対策?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/06/25(金) 02:05:21.68 ID:gA4CGASO<>乙
なんだか途切れさせたみたいでごめんね
書き込み時間見てなくてまさか今現在の投下だと思わんかった<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/26(土) 14:25:45.25 ID:nJ8sGGsP<>おー作者来てた
続き待ってるから頑張ってくれ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/06(火) 09:28:38.28 ID:dys2wsAO<>今全部読んだ。
アルトネリコって知らなかったけど面白いな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/06(火) 23:41:06.60 ID:ItDHHowo<>続ききた!!
話の絡ませ方がすげー上手くて
楽しみにしてるので無理の無いように
続きをお願いします!!

<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/17(土) 09:39:49.99 ID:/Wk4TsSO<>支援<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/25(日) 05:29:17.50 ID:26NI/Iwo<>rasse rasse<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/25(日) 21:19:05.55 ID:4WKaD.DO<>一ヶ月か……<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/03(火) 00:51:23.62 ID:XdpLjgSO<>かぷいんぱい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/22(日) 22:54:56.55 ID:uzUvOwSO<>二ヶ月立つよー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/02(木) 12:26:00.33 ID:hMpamzgo<>俺は rasse してるぜ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/02(木) 17:55:14.95 ID:KM/3IMDO<>また懐かしいものにレスが……<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/04(土) 13:07:25.82 ID:WvwJvlEo<>書き手のレスがないまま”2ヶ月”以上が経過したのでHTML化のご案内です

続ける意思がなくなった場合は以下のスレでHTML化依頼をお願いします
■ HTML化依頼スレ Part1
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1190564438/

続ける意思がある場合は2週間に1度ぐらいでいいので生存報告をよろしくお願いします
住み良い製作速報を作るため放置スレの削減にご協力お願いします

<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/12(日) 00:46:14.67 ID:3uCBuAEo<>1週間の間に書き込みが全くなかったので、放置スレと判断してHTML依頼してきます
おつかれさまでした<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/14(火) 07:40:32.59 ID:OWLCUgQ0<>なかなか楽しみにしていたから残念だ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/23(土) 02:57:55.35 ID:imQ.BYDO<>このスレに定期的に迷い込むけど毎回何の収穫もなく帰還するんだが<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/22(月) 22:48:03.11 ID:U3hm9QUo<>このSS読んでアルトネリコ買ってきた<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/11(土) 18:10:34.95 ID:LQt5SvAo<>もうこないのかな・・・<>