VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/05/02(日) 11:00:18.26 ID:pChv2wE0<>容量オーバー危惧の書き込みがあった為、焦ってスレを立てました。
後100スレはあるんだけどね……(スレ立て日当時)
まぁ、漸くこのスレもGEP進出という事で。宜しく!
というか、何ヶ月掛かってんだよ。

前スレ
#1) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1265212802/
<>女「ここが……異世界?」 #2 VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/05/02(日) 11:06:49.97 ID:2XcbMdYo<>>>1乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/02(日) 11:15:13.51 ID:e7sXCxko<>>>1乙
早くこのスレ使われることを期待してるよ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/05/02(日) 13:34:32.73 ID:pWTviGso<>乙乙!
連休楽しみ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sagesaga[1 of 1]<>2010/06/05(土) 18:41:33.04 ID:LoHECkgo<>                   -―――- 、
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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sagesaga<>2010/06/05(土) 18:46:41.01 ID:GOEovOco<>                   -―――- 、
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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sagesaga<>2010/06/05(土) 18:47:48.41 ID:GOEovOco<>                   -―――- 、
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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sagesaga<>2010/06/05(土) 18:50:04.08 ID:1KcrXAYo<>                   -―――- 、
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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/16(水) 18:35:46.89 ID:ntYDgy.o<>                   -―――- 、
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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/25(金) 17:08:09.16 ID:RkxZGAk0<>あれ、書いてる途中で埋められた。
まぁ良いか。漸くこっちのスレを使える。
本当カメですみません。

さてさて、とりあえずキリの良いところまで今日は書き終えたいな。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/25(金) 17:08:45.49 ID:RkxZGAk0<>女「私達は……」

勇者「……」

女「いえ、その前に勇者さん達の意見も聞いておきたいです」

勇者「俺達の意見?」

女「はい。本当に私達と一緒に行っていいのかどうか、です」

女「私達を選んだのは、あなた達の意志ですか? それともただ命令だからですか?」

勇者「……もし、ただ命令だから一緒に行動する事を選んだ、と言ったなら?」

女「私達は辞退し、ここでひたすら研究する事を選びます」

女「その方が勇者さん達の為でもありますから。剣士さんと二人で旅するのは辛いでしょうが」

勇者「そういえば、女さん達は魔法師と一緒に白の街に来たんだよね。魔法師の居場所は聞いている?」

女「いえ。それで、勇者さん、あなたの答えはどちらなんですか?」

勇者「命令だからだ。でも、俺はその命令を喜んで引き受ける事が出来る。これは俺達の意志でもあるから」

女「私達が戦力にならなくてもですか?」

勇者「守るくらいの力はある自信がある」

女「そうですか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/25(金) 17:18:09.68 ID:RkxZGAk0<>女「では、私達の出した答えを伝えます」

勇者「ああ、頼む」

女「私達は勇者さんからの旅に誘われた時、最初は困惑しました。これは確かです」

女「私達には研究という目的があります」

勇者「その件に関しては少し戸惑ったよ」

女「……」

女「ですが、魔の国へ行くと言う事は、魔法の研究になるという事に気付きました」

女「そこで私達が出した答えは、承諾する、です」

勇者「……本当か?」

女「はい」

勇者「良かった。じゃあ、これからよろ――」

女「しかし一つ、私が最終的に出した答えは違うんですよ」

勇者「――え?」

女「……“氷槍”」

ドスッ

魔剣〔勇者!〕

勇者「ぐはっ……な、何を……」

女「これが私の答えです。勇者さんには、消えてもらいます」

女「さようなら」

勇者「待……っ、女さ……」

ドサッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/25(金) 17:21:33.93 ID:RkxZGAk0<>というわけで今日は終わり。
スレ移れてモチベーションが上がった! ……ら良いなぁ←

後、少し仕様の変更をしました。魔法詠唱の所を。
前スレでは短縮名称を言っただけになってましたが、今スレから“”が付きました!
少し見分けが付きやすくなった!

さてさて、とりあえず移転出来たところで一応……
製速の皆さん、遅れながらこんにちは。
そして宜しく。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/25(金) 18:22:17.08 ID:7YWAstUo<>http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/onnna_kokoga_isekai.html
いらんかも試練が一応どぞ

こっそりやりたいならこっそりまとめて、もっと見てもらいたいならまとめに貼るよ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/26(土) 14:18:52.86 ID:RdqBx1Yo<>憑依系の魔族にでも乗り移られてるのか?
または、遠隔操作か…
囚われた辺りかな?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/27(日) 01:46:01.34 ID:YfEV7Tc0<>おはようございます。
後、一、二時間程度で寝ますが、書きましょう。

>>14
ここまでまとめて下さるとは……設定とか見直す時に助かります!
まとめに貼るかどうかは需要に任せます。

>>15
可能性の殆どを挙げてどうする。
中にネタバレがあるじゃないか。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/27(日) 02:06:38.75 ID:YfEV7Tc0<>剣士「勇者様、明日の予定だが――」

女「!?」

勇者「……」ドクドク…

剣士「……何をしている」

女「……」

剣士「女さん……だよな? 勇者様に何をした?」

女「何をした? 見て分からないのか?」

剣士「これは、あなたのした事なのか?」

女「私以外に誰がいると言うのだ?」

剣士「……そうか」

女「……」

剣士「私の知っている女さんはそのような事をするようには見えなかったのだが……」

剣士「一応、理由を訊いておこう。何故勇者様を刺した?」チャキッ

女「答える義理はない」

剣士「貴様――っ!」

女「――と逃げる事も出来るが、答えようと私の不利にはならないからな」

女「魔王様の命令だからだ。勇者はもはや生かしてはおけぬ程力を持ち始めた」

女「放置しておくはずがなかろう」

剣士「……まさか、あなたが魔族の手先とはな。ずっと私達を欺いていたわけか」

剣士「答えてくれた律儀さだけは、貴様に感謝する」

女「感謝している場合なのか?」

剣士「何?」

女「こうして問答をしている間にも、勇者の死は近付いているのは分かるだろう?」

勇者「……」ドクドク…

剣士「!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/27(日) 02:19:16.84 ID:YfEV7Tc0<>女「どうやら、目の前の事にしか頭が回らないようだな」

女「それが剣だけに生きた者の弱点だ」

剣士「貴様ぁっ!」タンッ

シュッ ヒュンッ

女「私に敵意を向けたくなるのはよく分かる」サッ

女「だが、お主に相手をする価値はない」

女「私は早々に退散させてもらおう。“転移”」…ヒュンッ

剣士「待――! くそっ!」

勇者「……ぐっ……ふぅっ……!」

剣士「勇者様! まだ意識があったのだな?」

勇者「今すこ……し、取り戻しただけ……なんだけ、どね。……ぐっ」

剣士「安静にしろ! すぐに医者を呼んでくる。それと敵討ちも――」

勇者「……んじゃない」

剣士「何だ?」

勇者「女さんじゃ……ないんだ……、あんなのは……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/27(日) 02:36:22.99 ID:YfEV7Tc0<>剣士「何を言っている? あれは女さん以外の何者でもなかったぞ!」

勇者「変身魔法……か何かで、あれは……女さんじゃな、い」

勇者「だって俺の知って、る女さ……んは……あんな事しな、い」

剣士「私もそう思う。だがこれは現実なんだ」

剣士「勇者様が彼女に執心なのは知っている。だが、現実を受け止めるべきだ!」

勇者「どうして……んなさんを信じない……?」

剣士「勇者様……」

魔剣〔確かにあの魔力はあまりにも不純過ぎた。何かによって妨害されていたとも考えられるな〕

魔剣〔我にはそれをキミの想い人の無罪を証明出来るかもしれない術を知っている〕

勇者〔本当か……? 教え……〕

魔剣〔だが、それをやるには、キミはあまりにも傷ついている〕

魔剣〔キミの身体を我に貸せ。我は亡霊故、痛みはない。故にその身体でも動く事は出来る〕

勇者「……」

魔剣〔迷う必要などない〕

魔剣〔我は既にキミの剣だ。主人との約束は必ず守ろう〕

魔剣〔キミの身体を借りるだけだ。ただ、彼女の無罪を証明せんが為に〕

勇者「……」

勇者「……頼む」

剣士「何が……?」

魔剣〔承った……!〕<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/27(日) 02:46:28.74 ID:YfEV7Tc0<>勇者「……」スクッ

剣士「勇者様!? そんな怪我で立っては――」

勇者「……痛いな」ズリュッ

パリーン

勇者「運が良い。氷の槍は心の臓から遠いところを貫いておったぞ」

剣士「……」ポカーン

勇者「おっと、すまんな、剣士よ。我は今、英雄王だ。暫く勇者の身体を借りる事にした」

剣士「……こんな時に乗っ取って何をするつもりだ」

勇者「人聞きの悪い事を言うでない。早くしなければ、先の奴の魔力が追えなくなるぞ」

剣士「何?」

勇者「女、とか言ったか? あやつはこの近辺に転移したのだ」

剣士「何故だ? 転移魔法ならば、もっと遠くへ行けるはずだ」

勇者「何か訳があるのだろう。まぁ、それは本人にしか分からぬがな」

勇者「さて、後を追うぞ。勇者の身体が持っている間に」

剣士「何をするつもりだ?」

勇者「主人の頼みを遂行するだけだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/27(日) 03:11:08.93 ID:YfEV7Tc0<>女「“転移”!」ヒュンッ

女「……」

女「おかしい。何度やっても同じ所にしか出てこないとは……」

女「間違っては……いないはずだ……」

女「月の影響か? 今日は新月……あり得ない話ではない」

女「いや、そんな迷信が原因なはずはない」

女「どうしたものか……」

剣士「見つけたぞ!」

女「何!?」

勇者「こんな所でのんびりしてくれているとは思わなかったな」

女「そんな馬鹿な……。何故お主が平然と立っていられる……?」

女「その傷……今もしっかりとあるにも関わらず!」

勇者「この剣がある限り――」ス…

勇者「勇者は不死身なのだよ」

女「不死身など……あるはずがない! 次こそは確実に殺してくれるわ!」

勇者「剣士、頼んだ」

剣士「やってみよう」チャキッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/27(日) 03:14:10.81 ID:YfEV7Tc0<>このペースでいくとまだまだ亀ですね。
比較となる兎がいなければ、亀はただ遅いだけ。
いつになればたどり着くのか。

さて、今回はここまでにして、寝る事にしよう。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/27(日) 03:27:29.24 ID:UTRuxlEo<>乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>age<>2010/06/27(日) 19:43:22.04 ID:L7D7Ypko<>支援<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/28(月) 05:23:31.42 ID:tGURaSo0<>色々整理してて寝れてない。
朝早くから用事もある。
うあぁぁ……。うあぁぁぁぁああああ……!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/28(月) 05:36:49.18 ID:tGURaSo0<>勇者「“真灯法”!」ガッ

女「何をするつもりか知らんが……“炎壁”!」ゴオォ

剣士「邪魔はさせない」ヒュンッ フォンフォンッ

剣士「炎の壁を消す程度の風を剣に纏うくらい造作もない!」

女「くそ……っ」

勇者「“……、……。……”」ブツブツ ガリガリ

女「詩編詠唱をしながら陣詠唱とは、効率の悪い魔法を使おうとしているようだな」

剣士「悠長に観察している場合か?」ザッ ヒュヒュンッ

女「“土壌壁”! “雷撃”!」

剣士「っ!」バチバチバチッ

勇者「“……。……、……、……”」ブツブツ ガリガリ

剣士「魔法使い相手はやはり厳しい……か」

女「魔法は自由自在。元よりその事は明確だろう……」

女「“風刃”!」

剣士「〜っ!」キキキンッ

剣士「まだ終わらないのか!」

勇者「“……、……。……、……”」ブツブツ ガリガリ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/28(月) 05:48:12.07 ID:tGURaSo0<>盗賊「……ったく誰だよ、こんな夜中に」

男「他の人らはうるさくないのか? こんなんじゃ寝てられない……って――」

男「――女さん?」

女「!?」

剣士「おや、気付いてなかったのか?」

剣士「ここはお前達の下宿の前のはずなのだが」

男「剣士さん……勇者さん? これはどういう……」

盗賊「お、おい! 勇者、てめぇ怪我してるじゃねぇか! いや、怪我ってもんじゃねぇぞ!?」

勇者「“……”」ブツブツ ガリガリ

剣士「話は後だ。ただ、勇者の傷は私の目の前の奴がやったとだけ言っておこう」

男「女さんが? まさかそんなはずは……」

女「……ふ」

女「……ふははははははっ、その通りだ! 私が勇者を殺そうとした!」

女「仕方ない。知られたからには生かしては――」

勇者「“――となれ。我の目に映る虚像、その実態を現さん事を願う”」ブツブツ ガリ…

勇者「“ここに真実を照らす灯火あれ”!」カッ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/28(月) 06:00:49.74 ID:tGURaSo0<>勇者「……」

女「……不発か?」

勇者「いや、成功だ」

男「……!」
剣士「……!」

女「何を驚いたように見ている?」

勇者「魔法を掛けられたものには見えないのだ」

勇者「なぜなら、今キミの身体の両側に二つの像が見える」

勇者「元々の実像の虚像だ」

勇者「一人は身体と同じ容姿。名前は女、だったかな?」

勇者「そしてもう一人……」

盗賊「てめぇ、そんな所にいやがったのか……影将軍!」

女「!!」

勇者「二重の像が示す事……憑依。剣士、憑依魔法など知っておるか?」

剣士「いや……私は聞いたことがないな」

勇者「ふむ、私も知らない」

勇者「となると、影将軍とやら、キミは亡霊か何かだろうな」

勇者「取り憑いた亡霊を消す事など、方法を知っていれば造作もない」

勇者「除霊法!」ガッ

女「……そう簡単に私は殺す事は出来まい」

勇者「やってみれば分かる事だ。……、……」ブツブツ…

女「〜っ! “転移”!」ヒュンッ

剣士「出来てないようだが?」ニヤリ

女「くっ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/28(月) 06:12:43.79 ID:tGURaSo0<>女「ならば……やられる前にやれば良い! “雹撃”!」

剣士「させるか!」カカンッ キンッ キンッ

女「邪魔を……」

剣士「するに決まっているだろう」

勇者「……、……、……」ブツブツ ガリガリ

盗賊「勇者、その魔法、女は無事なんだろうな?」

勇者「……」ブツブツ コクッ

盗賊「……よし、分かった」

盗賊「俺のナイフじゃ女の身体も傷つくからな。勇者を援護させてもらうぜ」

女「また私の邪魔をするというのか……っ」

盗賊「憶えてくれてたのか。嬉しいな」

盗賊「さぁ、魔法でも拳でも打ってこい! 全部受け止めてやらぁ!」

剣士「私もその覚悟だ。今、剣をもって最強の盾となろう!」

女「小癪な……ならばその盾もろとも貫いてやろう」

勇者「……」ブツブツ ガリガリ

盗賊「……」
剣士「……」グッ
男「……」アゼーン

女「“土石”――!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/28(月) 06:30:14.83 ID:tGURaSo0<>「その喧嘩、我が預からせて貰う!」

剣士「!」
盗賊「誰だ!」

女「その声……まさか、魔王様!?」

魔王「久しいな、影将軍」

剣士「貴様が、魔王……!」

魔王「お前が剣士で、お前が勇者……ではないな」

勇者「……」ブツブツ ガリガリ

女「魔王様、何をしに……っ!?」

魔王「我が部下の迎えに来たのだ」

女「魔王様の手を煩わせなくとも……っ!」

魔王「そういう訳だ。我が部下を連れて帰らせて貰う」

魔王「“転移”」ヒュンッ

剣士「……逃がしたか」

盗賊「くそっ」

勇者「……」

剣士「残念だったな。後どのくらいで詠唱が終了したんだ?」

勇者「ただのハッタリだ。元々我に彼女を助け出せる魔法などない」

剣士「……何?」
盗賊「……は?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/06/28(月) 06:31:07.86 ID:tGURaSo0<>まぁ、この辺りで一旦止め。
つーか、うああああああああああああ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/28(月) 13:02:35.26 ID:On5LSa6o<>?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/28(月) 19:09:58.90 ID:AcvQ61oo<>どうしたこの野郎<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/06/28(月) 20:50:19.25 ID:0zvYuESO<>こっちがうわぁぁぁ!!!だよ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/29(火) 03:22:08.56 ID:TnY8TsSO<>
七罰さんありがとう!

追いついた>>1GJえぇぇぇぇぇ?!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/30(水) 01:16:26.10 ID:yFX4aJk0<>つまり…どうゆう事だってばよ?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/30(水) 01:21:00.84 ID:RPwMZ6AO<>睡魔「みーつけた」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/30(水) 17:27:44.40 ID:HfObL2Yo<>ななばつから
やっと見つけたと思ったら急展開
まぁまったり待ってます<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/06/30(水) 20:05:06.70 ID:SvMcE7so<>女そういうことだったのか・・・
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/01(木) 06:18:09.67 ID:xwe/TYE0<>おはよ〜♪
少し日にちが開いちゃったけど、そろそろ書かなきゃだね。
まとめに乗ったら人がこんなに……まだ夢でも見ているのかなぁ。

今は書ける時間少ないけど、キャラが動く限り書くよー!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/01(木) 06:24:30.48 ID:sYNrDZMo<>早く書きなさい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/01(木) 06:29:33.75 ID:xwe/TYE0<>盗賊「お、おい! 女を助けられなかったってのか!?」

勇者「そうだ。我にはそのような事は出来ない」

勇者「いや、我だけでなく、他のいかなる人だろうと不可能だろう」

盗賊「てめぇ……騙したのか……!」

勇者「騙してなどいない。女は無事なのは確かだ」

勇者「それに仮に騙していたとしても仕方のない事。あの場は見掛けでも均衡状態に持って行かなければ、こちらがやられていたのでな」

剣士「では私達はなぜ彼女を追ったんだ!」

勇者「忘れるのが早いな。証明する為。それだけだ」

剣士「あ……」

勇者「むしろ逃げてくれたのはこちらとして好都合。勇者の身体はもう長くは持ちそうもない」

勇者「そこの男!」

男「は、はい?」ハッ

勇者「医者を呼んできてくれないか。勇者のこの傷を治療出来そうな医者を」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/01(木) 06:48:17.90 ID:xwe/TYE0<>――魔の国、???

魔王「影将軍、なぜ勇者を殺そうとした?」

女「はっ。それは魔王様の命令を……は? 殺そうとしたか、ですか?」

魔王「そうだ。我はそのような命令など出しておらん」

女「しかし黒騎士が魔王様の命令だと……」

魔王「何?」

女「……確かめもせず、軽率でした」

魔王「いいや、結局殺せていないのだ。咎めはしない」

魔王「しかし……成る程、黒騎士か……」ブツブツ

魔王「あやつは遊びが過ぎるな。後でしめておくとするか」

女「ですが魔王様」

魔王「何だ?」

女「どうして勇者を殺してはならないのですか? 私からしても危険因子にしか思えません」

魔王「ふむ……その事なのだがな」

魔王「特に何も言えん。だが一つだけ言っておくとだな、我に考えがあっての事だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/01(木) 07:02:16.93 ID:xwe/TYE0<>魔王「しかし影将軍よ、殺そうとしていた割には心臓をはずすとは良心的だったな」

女「そ、それは……しっかりと突いたはずなのですが……」

魔王「はずれていた、と?」

女「……っ」

魔王「転移魔法も出来ていなかったではないか」

女「それはきっと新月だからでして……」

魔王「我が出来たのにか?」

女「……」

魔王「そう落ち込むな。我は攻めているのではない」

魔王「ただ、お前は宿主を甘く見過ぎているのではないか? そう言いたいだけなのだ」

女「それはどういう……」

魔王「その女に聞けば分かるだろう」

女「……」

魔王「予定は早まったが、我らの仲間となるやつだ」

女「しかしこやつは勇者側の人間です」

魔王「問題ない。後で我自身から仲間に誘う」

魔王「お前もまだその身体にいなければならないだろう。仲良くやっていくのだぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/01(木) 07:03:42.58 ID:sYNrDZMo<>ワッフルワッフル<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/01(木) 07:12:22.72 ID:k8F1YYSO<>きてるな
支援<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/01(木) 07:37:56.97 ID:xwe/TYE0<>女(そろそろ七時頃……目が覚めても良いはず)

女(いえ、こうやって何かを考えられているという事は目が覚めているという事かな?)

女(じゃあ何時間も前に朝を迎えて……)

影将軍(まだ朝ではない)

女(!? ……漸く話をする気になってくれましたか)

影将軍(気付いていたのか?)

女(記憶にない事を何度も起これば、ましてや言及もされれば気付きますよ)

女(それであなたは誰なんですか? この世界は真っ暗で何も見えません)

女(まぁ、精神だけの世界に目なんてないですから、当然と言えば当然ですが)

影将軍(我が名は影将軍。魔王様の臣下の一人だ)

女(影将軍……ああ、鍛冶の街で会いましたね)

影将軍(憶えていたのか)

女(当たり前です。あの時は殺されるかと思いましたよ)

影将軍(殺すつもりだったのだがな)

女(私にどうして憑いているのか知りませんが、用が済めば殺す気ですか?)

影将軍(今はそのつもりはない。任務ではないからな)

女(……案外外道じゃないんですね)
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/01(木) 07:45:55.19 ID:xwe/TYE0<>女(……私にいつまで憑いているつもりなんですか?)

影将軍(私の身体が治るまでだ)

女(鍛冶の街からずっと憑いてるんですよね?)

影将軍(その通りだが)

女(……治るの遅くないですか?)

影将軍(あの時の傷は見た目以上に致命傷だった)

影将軍(それに予想外だったのは、憑依したお主に魔力がなかった事だ)

女(関係があるんですか?)

影将軍(憑依した人間の魔力を吸収し、私自身の体を治癒させる)

影将軍(それが私の“憑依法”の使い方の一つなのだ)

影将軍(普通、誰であろうと魔力を溜める器というものは存在するのだが……)

女(私にはそれがないと?)

影将軍(そうだ)

女(今、もの凄く簡単に夢を奪われた気がします……)

影将軍(?)

女(つまり、私に取り憑いてしまったばかりに治癒できないと?)

影将軍(治癒はさせている。が、恐ろしく遅いのだ)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/01(木) 08:17:40.49 ID:135t9kAO<>睡魔「おはよー」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/01(木) 21:46:08.56 ID:TZi7soAO<>まだかよ…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 00:01:37.44 ID:GE6w9os0<>女(それにしても……)

影将軍(何だ?)

女(以前は……いえ、今も敵同士なのに、どうして私にそこまで教えるのですか?)

影将軍(敵? いいや、これからは私達の仲間だ)

女(生憎、私はマッドサイエンティストとかそういうのになるつもりはありませんよ)

影将軍(マッド……なんだと?)

女(つまり、悪の手先にはならないと言う事です)

女(それともずっと私の身体を乗っ取って、偽りにでも私を引き込むつもりですか?)

影将軍(それを決めるのは魔王様。最も、魔王様自身はお主の意志でなってもらいたいようだがな)

女(魔王、ですか……。言っておきますが、私に拷問をして屈服させる方法は効きませんよ、多分)

影将軍(魔王様がそのような事するとは思えないが……)

影将軍(万が一拒否した場合、お主の案をどう使うか考えておくのも良いかもしれん)

女(まぁ、私の身体を乗っ取ったって無駄ですけどね)

影将軍(何?)

女(身体とは精神、もしくは魂の器でしかありません。つまりあなたが憑依している今であっても、私自身を侵食している訳ではないんですよ)

影将軍(いかにもそうだが)

女(さらに私の身体はやはり私自身との繋がりが最も強い)

女(さっき――いえ、今現在そちらが主導権を握っている状態で、魔法が上手く使えない事があったでしょう)

影将軍(……何?)

女(図星のようですね。これで私の実験は一応成功と言うことになりました)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 00:10:32.37 ID:GE6w9os0<>影将軍(お主、何をやった……?)

女(まずこの実験を行うにおいて、私が“起きている事”が大切だったんです)

女(最初の方は恐らく私が寝ている間だけでしょうが、暫くすると私の意識を奪って表へ出るようになりました)

女(まぁ、それが私が知るきっかけにもなったんですけど)

影将軍(……っ)

女(そう言えば、どうして最初からそうしなかったんですか?)

影将軍(普通、私のこの“憑依法”は相手に取り憑いて治癒を待つだけのものだ)

影将軍(そしてある程度私の魔力が回復し、宿主の魔力がそれを下回った時、相手が意識を鎮めた時のみに表に出る事が出来る)

女(つまり私の場合、あなたが負傷していてもすぐに表に出られた訳ですか)

影将軍(いかにも。そして私の魔力が遙かに上回った時、宿主の身体を自由に制御できる……はずだったのだが)

女(成る程。それで簡単に私はあなたに身体を渡してしまったわけですね)

女(ですが、魔力と魔法は別物である事は知っての……知っていますよね?)

影将軍(無論)

女(では話が早いですね)

影将軍(?)

女(あなたの魔法、いえ、あなたの行動を制限したのは、私の力でもあります)

女(この意味、分かります?)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 00:19:02.69 ID:GE6w9os0<>影将軍(いや……)

女(憑依、という形を推測してから、まず考えたのはその相手が私にどう“接続”するかです)

女(これは、このシステムが一種のコンピュータと考えると、推測する事ができました)

影将軍(コンピュータとは――?)

女(今は分からなくても良いです。とある装置、とだけ分かっておいて下さい)

影将軍(……ああ)

女(私と私の身体は常に接続されています。しかし部外者であるあなたはそれだけでは孤立しています)

女(私の身体と接続するために、ポートを開放させる事が必要になります。勿論、私の身体で魔法を使うために、魔力を開放させる意味も持ちます)

女(この時、私の身体というサーバーが二つの精神から接続されている状態になりました)

女(但し、優先順位はあなたに委託された状態で)

女(以上が私の仮定です)

影将軍(所々分からない言葉があったが、言いたい事は理解できた)

影将軍(それで、どのようにして私の行動を制限させた?)

女(ここからは言うつもりはありません。敵同士ですから)

影将軍(なっ……!)

女(と言いたい所ですが、あなたからも色々聞かせてもらったので、言わないわけにはいきませんね)

女(私はそんなに悪い性格をしていませんから)

影将軍(……)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/02(金) 00:22:38.82 ID:hBIHOAAO<>見ている<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 00:28:39.35 ID:GE6w9os0<>女(研究を進めていく内に、魔法を使うには大きく分けて、少なくとも二種類の力を要する事が分かりました)

影将軍(ふむ)

女(一つが魔力)

影将軍(魔力は魔法の源だな)

女(そしてもう一つは――こんな事を言えば教授に馬鹿にされるでしょうが、思う力、仮に思念力としておきましょう)

影将軍(……)

女(魔力がなければ魔法は発動しない。と同時に、何も考えずに魔法は発動出来ない)

女(魔法とは魔力があり、かつ行いたい事象を“思う”事で発動されるものと思うんです)

女(その“思い”を明確にする動作が詠唱に当たります)

影将軍(成る程。だがそれだと無詠唱も可能となるのではないか?)

女(無詠唱、可能と思いますよ)

影将軍(……何?)

女(実際、無詠唱の思念力は微少で魔法には不適切でしょう)

女(ですがその微少な思念力だけでも、魔石から魔力を他のエネルギーへ変換するくらいなら可能と推測しています)

女(この証明は、恐らく教授がやってくれるでしょう)

影将軍(何を根拠にそんな事が言える?)

女(黒の国での異変で拾ったカプセル。あれを元に推論をたてました)

影将軍(黒騎士のあれか……)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 00:37:45.91 ID:GE6w9os0<>女(そして本題です)

女(私はこの仮定の実証をしようと思いました)

女(私の意識が遠退く時、それが勝負となりましたね)

影将軍(……)

女(眠りに入るのか、それともあなたに乗っ取られるのか)

女(どちらかは分かりませんが、ある二つの事を強く念じて意識を薄れさせました)

影将軍(二つの事だと?)

女(一つは、殺しはしない事。私の意志に背いて私が殺人を犯すのは嫌ですからね)

影将軍(……だから心臓をはずしたのか)

女(もう一つは、転移魔法発動時、必ず私の下宿前へ戻る事)

女(私の今の我が家はあそこです)

影将軍(……私の方が、その“思う力”が強いとは考えなかったのか?)

女(魔法を使い慣れた人にとって、思念力は念頭に置かないものと考えても過言ではありません)

女(どの書物にもそのような事は書かれてませんでしたからね。集中力、とは書いてありましたが)

女(魔法使いの慢心です)

影将軍(……そうか。よく分かった)

女(かと言って、私の身体を好きにさせるつもりはありませんよ)

影将軍(いや、分かったのは……魔王様がお主を欲しがった理由だ)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 00:48:23.75 ID:GE6w9os0<>女「……」

女「……ここは?」

魔王「目が覚めたか。ここは魔の国の南端の街、砦の街だ」

女「魔の国ですか。随分と遠い所に連れてこられましたね。あなたは?」

魔王「魔王だ」

女「そうですか」

魔王「……驚かないのだな」

女「私の実験が成功していたのなら、今も下宿にいるはずですから」

女「あなたがここまで連れてきたんですね?」

魔王「そうだ」

女「ただ、魔王がこのような姿というのに驚きましたが」

魔王「どういう意味だ?」

女「こんな……何というか、ただ人種の違う普通の人間、という事でしょうか」

女「もっと大きな体で、威圧的なオーラと眼力があるものかと」

魔王「お前の魔王のイメージはどういうものだったのだ……」

魔王「……影将軍とは話したか?」

女「はい。どうやら私を仲間に引き込むつもりらしいですね」

魔王「そうだ」

女「残念ですね。拒否します」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/02(金) 00:53:34.51 ID:GYStYAAO<>wktk<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 00:57:20.15 ID:GE6w9os0<>魔王「それは何故だ?」

女「白の国にまだ教授達を残してきています」

魔王「それならば彼らも呼べば良い。どのみち呼ぶ気だったのだ。予定がまた早まるだけだ」

女「確かにそれは良いかもしれませんね。魔の国は魔法が発展しているみたいですから」

女「私達は魔法を研究するためにいるんですよ」

魔王「それは好都合――」

女「ですが、断らせてもらいます。私達は私達の方法で研究します」

女「決して悪には染まりませんし、教授にもそうさせないようにします」

魔王「……悪、か。どうして我らが悪と言える?」

女「大陸の人達を苦しめています。魔物、そして武力を使って。それは一目瞭然でしょう」

魔王「成る程」

魔王「では、ここにお前の求めるものがあっても、か?」

女「それならば、それも私達の方法で見つけるまでです」

魔王「成る程」

魔王「では女よ。我の話を聞け。そのくらいは良いだろう?」

女「構いませんが……しっかり帰してくれますか?」

魔王「良いだろう。……最も、帰る手間はなくなるだろうがな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 01:21:41.22 ID:GE6w9os0<>――白の国、白の街、下宿屋

勇者「……ん……うぐ……っ」パチッ

勇者「……生きてる」

勇者「ここは……どこだ?」

魔剣〔男とかいう学者の下宿だそうだ〕

勇者「……英雄王か」

魔剣〔我じゃ悪いか?〕

勇者「男さんや剣士はどうした?」

魔剣〔キミが寝ている間に買い物に行くと――〕

勇者「そうだ! 女さんはどうした!?」

魔剣〔……〕

勇者「……どうしたんだよ、一体?」

魔剣〔すまない。彼女の疑惑は晴れたが、身体ごと逃げられてしまった〕

勇者「そうか……。身体ごと、というのは?」

魔剣〔亡霊か何に憑依されていたのだ。それだけは分かった〕

勇者「そうか。やっぱり女さんじゃなかったんだな」

魔剣〔分かったのはそれだけだ〕

勇者「いや、良くやってくれた。……ありがとう」

魔剣〔!? 今何と言った!?〕

勇者「いや、良くやってくれた。ありがとう。だけど」

魔剣〔は、初めてだな。勇者に礼を言われるのは〕テレテレ

勇者「……?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 01:30:55.25 ID:GE6w9os0<>盗賊「ふぅー、やれやれ。重ぇな」

男「仕方ないだろ。人数も一人増えてるんだから」

剣士「勇者様には元気もつけてもらわないとな」

ガチャッ

勇者「……あ」

剣士「……勇者様、目が覚めていたのか」

勇者「ああ、おはよう。心配掛けたな」

剣士「いえ、無事でいて下さっただけでも嬉しいです」

男「調子はどうですか、勇者さん」

勇者「まだ少し痛むけど、大した物じゃないですよ」

男「凄いですね……。まだ時間的に傷が塞がりきってないはずですよ」

勇者「勇者たる者、治癒能力高くあれ。なんて冗談にもあるように、俺は人より治りが早いのです」

男「勇者は常人では務まらない、ですか」

勇者「ここはあなた達の下宿でしょう? お邪魔しています」

男「こんなものではまだ鍛冶の街までの借りは返せませんけどね。ゆっくりしていって下さい」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/02(金) 01:36:28.56 ID:GE6w9os0<>今日はそろそろ眠い。
このスレに入ってから睡魔がちらほらと見掛けるようになりました。
睡魔を部屋から追い出すために、八つの角に退魔札でも貼っておくとしましょう。
では中途半端ですが、今日はこの辺りで終了。

おやすみ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/02(金) 01:40:49.69 ID:u6hYBqEo<>おやすみ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/02(金) 08:24:24.86 ID:hBIHOAAO<>睡魔「おつかれ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/03(土) 02:58:53.01 ID:lFF7L820<>おはよう。
僅かな活動時間に淡々と書くよー。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/03(土) 03:21:59.83 ID:lFF7L820<>盗賊「まぁ、今はこんなもんしか出せねぇが、しっかり食っとけ」

勇者「パンにスープ……いや、十分です。ありがとう」

盗賊「これから共に旅する仲間じゃねぇか。このくらい当然だ」

勇者「……仲間?」

剣士「ああ。男さん達は一緒に来る事を承諾してくれたぞ」

男「元々王様の命令には従うつもりだったんですけどね」

男「魔の国の結界を解くには勇者さんと旅するのが近道でしょう。女さんが魔族に捕らわれた以上、俺は無理をしてでも行かなければならなくなりました」

男「魔法の研究が目的ですが、最終的に二人無事に帰らないと意味ないですからね」

剣士「自分だけの手柄にはしないのだな」

男「むしろ女さんがいないと研究も捗りませんし、そもそも俺はそんな外道に教育されてません」

勇者「とにかく、一緒に来てくれると心強いです」

勇者「これから仲間と言う事で、とりあえずは敬語ははずしませんか? その方が親しく感じます」

男「成る程。それは名案だ。ではそうさせてもらうとしよう」

勇者「切り替えが早い……」

勇者「それで、お前も来るのか?」

盗賊「当たり前だ。影将軍は俺の仲間の仇だしな。特にあいつには借りがあんだよ」

勇者「そうか。じゃあこれから暫くの間、宜しく頼む。盗賊、だったな?」

盗賊「ああ。で、今のお前は正真正銘の勇者で良いんだな?」

勇者「勿論」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/03(土) 03:24:53.91 ID:XV4Iacso<>女は魔族側で研究でもするのかなぁ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/03(土) 03:42:12.56 ID:lFF7L820<>勇者「英雄王から大体の話は聞いているよ」

勇者「女さんが魔族の手先に憑依されているなんて……」

盗賊「いや、あいつは魔族そのものだ」

剣士「まさか! 霊体以外で憑依なんて出来ないはずだ」

勇者「ああ。今ある魔法でそんな方法はない。英雄王も昔からなかったと言ってる」

男「となると……亜法か?」

勇者「亜法?」

盗賊「とにかく、やつは幽霊でも何でもねぇはずだ。確かに深手は負わせたが、致命傷のはずがねぇ」

盗賊「くそっ、鍛冶の街で気付いてりゃ……!」

男「そう自分を責めるな。柊の町でようやく疑いを持っただけの俺にも責任がある」

男「そしてそれよりも早く疑問を抱き、ずっと黙っていた女さんにも」

勇者「……どういう事だ?」

剣士「黙っていた……と言う事は魔の国へ行ったのは彼女の意志でもあると?」

男「そうじゃない。でなければ、女さんは自分のコンピュータを残して行くはずがないからね」

男「悪いとは思ったけど、何か手掛かりでもないかと開いてみたんだ。すると随分前に更新されている俺と盗賊に宛てた文書ファイルと」

男「勇者さんと剣士さん宛ての――多分これは昨日の晩に更新したんだろうな――文書ファイルが見つかった」

男「俺らに宛てたファイルの更新日は、多分俺らが水の街か沼の街にいた頃だ。最後の最後まで心配させないようにしたんだろうな……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/03(土) 03:59:29.58 ID:lFF7L820<>剣士「文書ファイルというのは……」

男「つまり、手紙です」

盗賊「何て書いてあったんだ?」

男「そうだな……。とりあえず先に勇者さん達宛のを読もうかな」カチッ カチッ

男「どのみち俺に読ませる気だったんだろうな。日本語で保存してやがる」

『勇者さん 剣士さん

お久しぶりです。

しかしこの文面を聞いているというあなた達が聞いていると言うことは、私はあなた達と会う事が出来なかったのかもしれません。

鍛冶の街での恩は今も忘れていません。あの時は本当にありがとうございました。

そしてまたあなた達と一緒にいられると聞いたときは嬉しく思いました。

ですが、私は一緒に行けないのではという懸念が頭に残ります。

そういう訳で、念の為にこの文面でお別れも言っておきます。

会ってもいないのに、さようなら、とは言えませんが。

そして私が懸念する最悪の状況では、これが私の最後になるでしょう。

そこで最後に実験を行います。

もし勇者さんの前に“私”が現れ、その“私”が魔法を使ったとしましょう。

その魔法が正確に使えなかった場合は、私の実験が成功しています。

この結果を、教授に教えておいて下さい。

では、この辺りで。

            ――女』

剣士「……覚悟をしていたようだな」

勇者「女さん、必ず救い出して見せる……っ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/03(土) 04:11:33.45 ID:lFF7L820<>勇者「それにしても、この女さんの実験ってなんだ?」

男「それは俺ら宛の文書に追記で書いてあったよ。律儀に別ファイルにしてね」

男「女さんがした実験と言うのは、思う力と魔法の関係というものだ。あまりにも非科学的なのだが……」

男「とりあえず、人を殺さない事と転移魔法を使うと同じ所に飛ぶ事を強く念じていたらしい」

剣士「……なんだと?」

勇者「どうかしたのか?」

剣士「勇者様が生きているのも女さんのお陰かもしれないというわけか……」

勇者「……! そうか!」

剣士「勇者は刺されたとき、確かに心臓を外されていた」

剣士「そして確かに、やつは転移魔法をしてもこの下宿の前に戻って来ていた」

男「成る程。大体は成功、ってところか」

男「でも立証するには情報が少なすぎる。難題を置いていったな……」

勇者「とにかく、女さんの最後の実験は成功で良かったな」

剣士「最後じゃありません」

勇者「当たり前だ。今のは引用しただけだよ」

勇者「最後になんかさせない」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/03(土) 04:14:25.96 ID:r3a4dSg0<>ktkr<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/03(土) 04:20:27.37 ID:lFF7L820<>男「で、次は俺ら宛のだが……」カチッ カチカチッ

盗賊「……」

『教授 盗賊さん

もしこれを読まれているという事は、恐らくこのコンピュータは教授の手に渡った事を意味しているのでしょう。

そして恐らく、その場に私はいないと思います。

私はその時どこにいるのかですか? 私には未来を予知出来ません。

ただ、最近私が私でない事がある気がします。

私の意志に反して、私の身体が動かされているような。そんな感じがします。

気のせいならば良いのですが、念のために、ここに書いておきます。

もし私が本当に私でなくなった時……

その時は、教授、一人でも私達の世界へ帰っても構いません。私の事は心配しないでください。

盗賊さん、あなたは真面目に働くのも良いでしょう。盗賊から足を洗って、真人間としてでも必ず生活出来ます。

どのような生き方をするのか、私が決めることではありませんが……

ただ、あなた達の好きに生きてくれる事が私の願いです。

            ――女』

盗賊「……女」

男「まぁ、好きにはさせて貰うけどね」

盗賊「ああ。まずは女を助けて、影将軍の野郎をぶっ殺す」

男「一緒に来た二人で、また一緒に帰るんだ」

男「……さて、追記文書は……」カチカチッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/03(土) 04:28:07.45 ID:r3a4dSg0<>盗賊はもう真人間な気ががががが<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/03(土) 04:36:47.63 ID:lFF7L820<>『P.S. 教授

さて、特に教授。しっかりと読んでください。

私は今から実験をしようと思います。それは先日議論にもなった、思念力についてです。

教授はそんな不確かな力はあるわけがない、と言いましたね?

そうか、そうでないか。今から強い思いを保ち続けます。私の中の誰かに指揮権が委譲される中ででも。

私の思う事は次の通りで、(1)人を殺さない(2)転移魔法を使えば下宿の前へ必ず戻る。

結果はこれらを確認した人から聞いてください。

その時には私がいる保証はありませんから。

さて、この実験が何を意味するかを言いましょう。

魔石からエネルギーを取り出して作動する発電システムが実現できる事です。

実は、前の研究中に密かにプロトタイプですが図面を書いていました。

私は技術者なので、実物が作ることが出来るなら、理論をとやかく追求する必要はなくなるのです。という理屈なわけです。

しっかりした基盤がないのは私も不安です。しかし、急ぐ必要があったんです。

私がいつまで私でいられるか。そう考えるといつも焦りを感じていました。今もそうです。

図面は同じディレクトリに入っているはずです。

念の為に書いたこの図面を使って、今後の研究を捗らせてください。

この文面を見られているという事は、私はそこにはいないはずです。ただ、その事だけが残念です。

さらにP.S. 勝手に他のファイルをあけないようにお願いします。

     ――女』

男「……と、まぁ、そう言うわけだ」

盗賊「他のってのは?」

男「見るなって言われてるだろ?」

盗賊「そうだけどよ……大事なのがあったら困るじゃねぇか」

男「安心しろ。日記とか研究データとかくらいだったよ」

勇者「……見たんだ」
剣士「見たんだな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/03(土) 04:47:58.91 ID:r3a4dSg0<>まぁ見るわな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/03(土) 04:50:46.35 ID:lFF7L820<>男「まぁ、そう言うわけだ」

男「勇者さんも完治というわけでもなさそうだし、それまでの間女さんが残してくれた図面の物を完成させるよ」

勇者「何を作るつもりなんだ?」

男「発電機。このコンピュータの動力にもなっているものだよ」

男「これがなければ俺らは研究できないといっても過言ではない」

男「幸いこの街には何でも揃っているし、俺らにはそれなりの金もある」

男「幸い……かどうかは別として、女さんの工具も置かれっぱなしだ」

男「後は作る時間を貰えるかどうかだけど……」

勇者「俺は構わないよ。それがないと男さんの旅の準備が不完全なんだろ?」

剣士「それならばしっかり準備して貰わないと、むしろ困るな」

男「ありがとう」

盗賊「なら俺は結界の解除に行き当たりそうな情報を集めておくか」

勇者「俺らも準備だな」

剣士「とりあえず買い出しだろうな」

勇者「そうだな」

剣士「魔法師や僧侶とは勝手が違いそうだ。準備も大変になるかもな」

勇者「仕方ない。でもその変化に合わすのも仲間ってものだろう?」

剣士「そうだな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/03(土) 04:54:14.84 ID:lFF7L820<>さて、そろそろ眠くなってきました。
続きはまた次回。To be 何とか!

では、おやすみ。

>>73
イメージとしては人相の悪さ以外真人間であって然るべき人間ですからねー。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/03(土) 05:17:43.85 ID:VOJNN8Y0<>1おつ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/03(土) 08:21:21.68 ID:aVnwc.SO<>ひっそり更新してんな

乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/05(月) 15:24:47.23 ID:P0s0NkAO<>睡魔たまには休め<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/05(月) 22:37:02.98 ID:ARouzVQ0<>スイマー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 00:36:41.02 ID:GYs7tes0<>おはようございます。
そしておやすみなさい。……の前に少しは書きたい。
眠いし明日は早いから早く寝たい。でも書きたい。
どうすればいい。

どうすればいい。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/06(火) 00:44:02.55 ID:xYeW9QSO<>ねろ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 00:46:59.96 ID:GYs7tes0<>(数日後)

男「……」
勇者「……」
盗賊「……」
剣士「……」

男「……成功だ。しっかり充電されてる」

勇者「おお、良かったな!」

剣士「これで出発する準備も整った」

男「待っててもらって申し訳ないな」

勇者「いや、今の俺達は仲間なんだ。どんどん迷惑を掛けてくれ」

剣士「そうだぞ。私達も食事をごちそうになっているからな」

男「食事のことなら盗賊に感謝すべきだろうな」

盗賊「そのくらい何て事ねぇ」

盗賊「まぁ、女に比べりゃまずい飯だがな。……あ」

勇者「……」

男「……」

剣士「全く、言葉を選んで喋れ」ボソッ

盗賊「す、すまねぇ……」ボソボソ

盗賊「まぁ、とりあえずどこに向かうか決めようじゃねぇか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 01:01:12.06 ID:GYs7tes0<>盗賊「俺はこの数日、この街の情報屋に聞いて回ったが、なかなか良い情報がねぇ」

剣士「だろうな」

勇者「簡単に手に入っていたのなら、俺らも無駄な旅をしなくて済んだはずだ」

盗賊「だがその中で有力なのが、竜の国と魔の国の同盟説だ」

男「大陸連盟無加盟国の一つだっけ?」

盗賊「そうだ。しかも唯一連盟に武力抵抗をし続ける国だ」

勇者「竜の国の後ろに魔の国がついているのではないか、と言う噂があるのは知っている」

剣士「いくらなんでも、一国のみかつ劣勢なのに降伏の兆しもないのはおかしいからな」

勇者「だが、それはあくまで噂のはずだ。連盟側にも非があるからな」

勇者「連盟は竜の国を大陸の一員として考え、現段階でも圧力を掛けようとしないんだ」

勇者「こちらが多国という事で食糧や財も切羽詰まってない。安心と傲慢の所為でいつまでも戦争が終わらないんだ」

剣士「向こうも連盟が本気ではない事を知っている。それ故に抵抗の余地がある。そう考えているに違いない」

男「戦争をそのような理由で長引かせるべきじゃないはずだ……」

勇者「俺もそれは思う。だが、俺にその権限はないんだ」

盗賊「だが実際権限があったとしても、意味はねぇかもしれねぇ」

勇者「どういう事だ?」

盗賊「事実魔の国と繋がってる可能性が高ぇって事だ」

盗賊「竜の国にはどうやら魔物が出ないらしい」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 01:13:57.04 ID:GYs7tes0<>剣士「どういう事だ?」

勇者「竜の国が魔物対策を万全にしているのではなく?」

盗賊「そのままの意味だ。魔物は出ねぇ」

盗賊「噂が本当だって言う証拠になるんじゃねぇか?」

男「だが、それは確かな筋のものか?」

盗賊「まぁ、俺も聞いただけだ。実際行ってみねぇとわからねぇ」

男「じゃあとりあえずそこに向かいますか?」

剣士「それも良いが……困ったな」

盗賊「どうした?」

男「もしかして政治的な理由で行けないとか?」

剣士「いや、そうではないのだが……」

勇者「先日白国王に呼ばれたんだ。そこで一つ提案を受けた」

剣士「王の提案というものはそれだけで重いのだがな。あくまで提案という形だ」

盗賊「何だ?」

勇者「死霊の砂漠へ行き、遺跡を見つけてくる事だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/06(火) 01:20:26.99 ID:/.zhagAO<>きてた!!

支援<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 01:25:10.60 ID:GYs7tes0<>盗賊「死霊の砂漠って……おい、まさか……」

勇者「そうだ」

盗賊「俺の勘違いじゃなけりゃ、三日月山脈に囲まれた……」

勇者「そうだ」

盗賊「まじかよ……」

男「その死霊の砂漠というのはそんなにやばい所なのか?」

盗賊「やべぇも何も、あそこは処刑場だ」

剣士「一度入り込めば二度と戻る事が出来ない。それがあそこだ」

勇者「本当は戻れるんだろうけど、砂漠だからな。生き続けるのは厳しいはずだ」

男「だろうな。だけど何でそんな所に?」

勇者「発端はこの魔剣を見つけた事らしい」

魔剣〔……〕

勇者「これは砂の国にあった英雄王の墓の遺跡で見つけたものなんだが」

勇者「それを白国王様に報告したその時から遺跡に調査隊を派遣していたらしい」

勇者「魔法の罠も全て解除されていたそうで、調査も捗ったらしいね」

魔剣〔そう簡単になくなる魔法じゃなかったはずなのだがな……〕ブツブツ

剣士「そこで英雄王自身は魔剣を亡者の砂漠――今の死霊の砂漠で見つけた遺跡で授かったと壁に書いてあった。これは私も見ている」

勇者「それで俺達に何か使える物があるかもしれない、と言う事で向かわせるつもりだろう」

男「結界解除の役には立たなくても国の利益になるのは必至ですね」

勇者「そうかもな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 01:35:11.36 ID:GYs7tes0<>盗賊「まぁ、死霊の砂漠の入り口なら白の国の南西だ。行くならこっちの方が近ぇな」

勇者「確かにそうではある」

男「危険性を考えれば竜の国の方が安全……いや、こっちも戦場だったな」

剣士「だが死霊の砂漠は処刑台にもされるくらいだ。死は覚悟しなければならないだろう」

盗賊「そういや、その魔剣に英雄王ってのが宿ってるんだったな?」

勇者「ん? ああ」

盗賊「そいつに案内して貰えば楽なんじゃねぇか?」

魔剣〔我が行った時は意識が朦朧としていたからな。それだけでなくても砂漠を案内する事は難しい〕

勇者「無理だそうだ」

盗賊「使えねぇな」

魔剣〔あやつ、後で殺す〕ゴゴゴゴゴ…

男「何か殺気を感じるんだが……」

勇者「気のせいだろ」

剣士「英雄王が喋れない事に同情するな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 01:41:42.44 ID:GYs7tes0<>男「だけどどうしたものか……」

勇者「じゃあもう俺が決めるぞ」

盗賊「それで良いと思うぜ。てめぇが今は頭だからな」

勇者「リーダーとかそういうのはなしで行きたいんだけどな……」

勇者「そうだな。竜の国は戦場さえ抜ければ安全かもしれなし……」

勇者「だが死霊の砂漠の方が距離的に先の方が……」

勇者「良し、じゃあ――」

ピー--! ピー--! ピー--! ピー--!

勇者「な、何だ!?」

盗賊「何事だ!」

剣士「何だこの音は!」

男「……ごめん、俺の通信機だ。ちょっと時間を取らせてくれ。これは重要な話のはずだからな」

勇者「あ、ああ」

ピーーー! ピーーー! ピーーー!

男「えっと……どこに仕舞ったかな」ゴソゴソ

男「あった、あった」

ピーーー! ピーー…

男「はい、こちら男」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/06(火) 01:48:19.95 ID:/.zhagAO<>wktk<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 01:51:34.81 ID:GYs7tes0<>管理局長『こちら時空管理局の管理局長。お久しぶりですね』

男「はい。久しぶりですね。調子はどうですか?」

管理局長『中々忙しいですよ。時間に制限がある上で部下を動かすのは――』

男「あなたではなく船の方です」

管理局長『はは、は、そっちでしたか。そうですね。まだ時間は掛かりそうですが、順調ですよ』

男「それは何よりです。それで、あなたからわざわざ連絡してきた訳は何ですか?」

管理局長『実はお願いしたい事がありまして』

男「何でしょう」

管理局長『調査をお願いしたいのです。私達はあまり動く事は出来ないので、活発に活動するあなた達違法者くらいしか頼める人がいなくって』

男「俺は違法者になった覚えはありませんよ」

男「それで、調査の内容は何でしょう」

管理局長『えっとですね……この世界の地図を持っていますか?』

男「ああ、はい」

男「盗賊、地図」ボソッ

盗賊「あー、はいはい」ガサゴソソ

管理局長『その地図、縮尺は分かりますか?』

男「ちょっと待って下さい」

盗賊「あったぜ」

男「ここに広げて」ボソッ

盗賊「あー、はいはい」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 02:07:56.50 ID:GYs7tes0<>男「あー、はい。縮尺、ありますね。正確かどうかは分かりませんが」

管理局長『では大凡で構いません』

男「盗賊、紙とペン」ボソッ

盗賊「は?」

男「早く!」ボソッ!

盗賊「……」ガサゴソ

盗賊「ほらよ」

男「それで、調査の内容は?」

管理局長『しっかり憶えて下さいよ』

管理局長『今私達がいる所は分かりますか? あなた達の船が墜落した所です』

男「俺らの船の所……ここが鍛冶の街だから……この辺りか? ああ、はい。大体は」

管理局長『そこから北北西に……あなた達の単位では約八十六キロメートルの距離の場所です』

男「八十六キロ……この世界の単位に直すと、大体四十八へールくらいか」

男「はい、それで?」

管理局長『その地域で空間歪曲反応を私達のセンサーが感知しました』

管理局長『この世界には魔法があると言うので、それが魔法の所為か否かを調査して下さい』

男「ああ、はい。分かりました」

管理局長『私達はこの時間帯には大抵この世界にいます。調査が終われば報告して下さい』

管理局長『但し、結果によっては強制的に帰って貰う事になるでしょう』

男「……」

管理局長『しっかり伝えましたよ。女さんにもよろしく伝えておいて下さい。それとも一緒に聞いているでしょうか』

男「……」

管理局長『では、良い報告を待ってますよ』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 02:21:30.19 ID:GYs7tes0<>男「というわけで、行き先が決定した」

男「石の国、炭坑山だ」

盗賊「ちょっと待て!」

剣士「そうだ。私達はあなたの私用で動く事は出来ないのだぞ」

勇者「……まぁ、理由は聞いておこうか」

男「さっきの話は聞いていたか?」

勇者「ああ」
剣士「当然だ」
盗賊「勿論」

男「俺の知人が炭坑山付近で空間歪曲の反応があると察知したらしい。だからそれを調べに行く」

勇者「ちょっと待った。その空間歪? 何かがあるとまずいのか?」

男「別にまずいって訳じゃないけど、さっきの知人はある懸念をしてるんだ」

男「つまり、世界の不均衡の発生」

剣士「その不均衡とやらが起こるとどうなる?」

男「一気に宇宙のバランスが崩れる」

男「ここで魔の国との決着が、どのような形にしろついたとしよう」

男「だが不均衡によりエネルギーバランスが崩れると、その結果によって平和になったか否かに限らず、必ず世界は滅びる」

男「それがビッグバースト――この世界が永遠の灼熱となるのか――」

男「ビッグフリーズ――この世界が永遠に凍結されるのかは分からないけどな」

男「どの道生き物なんて生きていられない状態になるのは確かだ」

勇者「つまり……魔の国が勝利した時よりも強大な災厄が降りかかる可能性がある、ということか?」

男「その災厄というのがどの程度かは知らないけど、最悪な災厄となる事は間違いない」

男「まぁ、単なる可能性の話だが」

男「ちなみにこれは俺らの所為でもあるからな。俺はいかなければならない」

勇者「……よし、俺も――俺達もついていこう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/06(火) 02:23:19.71 ID:GYs7tes0<>予定してたよりも書いてしまった。
こりゃ寝坊するな。HAHAHA!

では、この辺りで。おやszzz...<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/06(火) 02:58:26.25 ID:037YvO.o<>睡魔めぇ…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/07(水) 21:15:16.87 ID:yF5uIISO<>ひっそり支援<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 02:44:43.11 ID:rAWEkoAO<>最近少し忙しくて起きてる時間内に書く機会が中々ありません。
楽しみにして下さってる方がいれば先に、または遅れながら謝っておきます。
でも、この書けない時間は俺にとっても貴重なもので、その内にキャラの軌道修正を脳内でしています。
今回は前回と違って移動可能範囲が広いので、キャラ達に任せてると大変な事になりますからね。うっかりすると──、
男「魔法とかなかった。早く帰りたい」
管理局長「すみません。何かの間違いで船を大破させてしまいました」
勇者「魔王と結婚する」
魔王「愛の前では種族、ましてや性別など関係なかろう」
盗賊「パン屋を開く事になった」
剣士「動くのだるい」
女「……あれ、みんな私忘れてませんか?」
という事になりかねません。事実です。

まぁ、とりあえず顔だけ出して戯れ事を言いましたし、今日はこれにて寝ます←
出来るだけ早く続きが書けたら良いねっ。努力は……、します。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 02:46:16.21 ID:mfkMTwgo<>何そのカオス<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 06:27:52.12 ID:Sj2ttwSO<>それ読みたい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 06:27:53.16 ID:Sj2ttwSO<>それ読みたい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 08:16:38.89 ID:dpfk2Bc0<>それも読みたい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 15:17:16.90 ID:uwHY1v2o<>そっちのほうも面白そうwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 15:50:27.12 ID:CpBN1wAO<>睡魔が見せた夢オチ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/08(木) 16:16:16.09 ID:Ji19UwSO<>そんな幻想ry<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/09(金) 00:15:49.06 ID:P9Obh620<>>>100-102
だが断ry。
>>105
幻想とはぶち壊すものではありません。愛で見るものです。
もし>>98の展開を望むのならば見る事が出来ます。
――ただし、お前らの想像力によってだがな!
少なくとも俺が書きたいのはそんな彼らじゃありません。

と言うわけで、寝る前に2,3書いておきたくなった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/09(金) 00:20:40.63 ID:361RF2AO<>睡魔「早く書いて早く寝ようよー」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/09(金) 00:28:22.43 ID:P9Obh620<>――石の国、炭坑の町

男「いやぁ、案外早く着いたな」

盗賊「……たりめぇだ。転移魔法を使って……来たんだからな……」グラグラ

剣士「しかし慣れん……」クラクラ

男「あれ、二人ともどうしたの?」

勇者「普通はこうなるみたいなんだけどね。男さんは何ともないのか?」

男「何ともって、何が?」

勇者「へぇ、珍しい」

男「?」

勇者「普通転移魔法は術者か修得者しか移動出来ないとされているんだよ」

男「でも俺らは……」

勇者「まぁ、言うなれば無理矢理連れてきた、と言った感じだな」

勇者「だから普通、あの二人みたいに転移酔いを起こす」

盗賊「……吐きそう」オエ…

剣士「吐くな。汚い……からな……」フラフラ

男「そう言えば俺、時差酔いもしたことなかったっけ」ボソッ

勇者「何?」

男「いや、何でもない」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/09(金) 00:41:15.57 ID:P9Obh620<>男「それで、俺らの正面に見えるのが炭坑山だな?」

勇者「そう」

勇者「でも随分と昔から、この町の伝承で、あの山に入る事は禁忌とされているんだよ」

盗賊「俺も聞い、た事……あるぜ……」

男「お前は無理に喋るな。かなり辛そうに見える」

盗賊「……」コクリ

勇者「まぁ禁忌を犯したからって町の人がどうこう言うわけじゃなんだけどね」

勇者「この町だけじゃなく、石の国では特に有名な話なんだ」

勇者「『炭坑山に入ったら最後。戻ってくる事は出来ない』ってな」

男「『戻ってくる事は出来ない』か。確かに高いけど、遭難するほど大きくは見えないんだけどな」

男「もしかして強大な魔物が住み着いていたりか?」

勇者「いや、それは誰も分からないみたいなんだ」

勇者「実際――」

男「あー、ちょっと話は後にした方が良いかもしれない。二人がかなり苦しそうだ」

剣士「……」

盗賊「……っ」

男「盗賊に至っては本気で吐きそうだ」

勇者「剣士、いつにも増して重症だな」

勇者「じゃあ先に宿を探すか。どのみち二人がこの状態なら、今日中に行くのは難しそうだ」

勇者「男さんはそれでも良いか?」

男「まぁ、一日の遅れくらいなら大丈夫だろうし」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/09(金) 00:50:31.18 ID:P9Obh620<>――宿屋

盗賊「……」グッタリ

剣士「……」クター

勇者「さっきの話の続きだけど」

勇者「あの山に入った人は、生死問わず再び姿を見せなかったらしい」

勇者「実際に何人もの人があの山に入って消えているという記録もあるんだ」

男「……ほう」

勇者「もし魔物の仕業だとすれば、そいつは史上最強の魔物と言って良いかもしれない」

男「山の中に入った獲物は決して逃さず、骨まで残さず食う……か」

勇者「その通り。そして何の痕跡もなし」

勇者「何度か調査団も派遣されたらしいんだ」

男「その続きは読めるぞ。毎度、誰一人帰ってこなかったんだろ」

勇者「その通り」

男「それはいつ頃からの事だ?」

勇者「大昔、としか知らない」

男「そうか……。もしかして俺らはとんでもない所に行こうとしてるのか?」

勇者「危険度で言えば、死霊の砂漠と同等だね」

男「面倒な事を押しつけられたもんだ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/09(金) 01:01:32.86 ID:P9Obh620<>男「それにしても良く知ってるんだな」

勇者「以前ここを訪れた時に色々聞いたんだよ」

勇者「まぁその時は、町の人もそれ程困ってはいなかったみたいだったから、過ぎた危険は避けるべきと考えて放置してたんだけど」

男「もし魔の国と関係があるとすれば行ってた?」

勇者「恐らくは」

勇者「だけどその時は魔物の所為とも考えなかったし、第一この事は魔の国に結界が張られるより前からの話だったそうだし」

男「成る程」

勇者「さて、そろそろ日も傾いて来てますし、夕飯にしようか」

男「俺は構わないが……」

盗賊「俺は……いらねぇ……」グター

剣士「私も……いい……」クッター

勇者「……じゃあ、留守番頼んだ」

剣士「任せ……ておけ……」

勇者「一応後で食えそうな物持って帰っておくよ」

剣士「……」

勇者「……本当、重症だな」

男「では行くか」

勇者「分かった」

男「盗賊、ベッドの上で吐くなよ」

盗賊「……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/09(金) 01:11:01.13 ID:P9Obh620<>(深夜)

男「……」

男「……」

盗賊「……まだ起きてるのか?」

男「それはこっちの台詞だ」

盗賊「お互い様だ」

男「もう具合は良いのか?」

盗賊「少し寝たらすっきりしたぜ」

男「お前、俺らが持ち帰ったパンとチーズを粗方食ってたからな」

男「剣士さんが回復してたら困った事になってただろうな」

盗賊「飯は食える時に食える量だけ食う」

盗賊「で、てめぇはこんな時間に何やってんだ?」

男「天体観測」

盗賊「星見か。そんな楽しいもんか?」

男「ああ。中々面白いものを見つけたと思う」

盗賊「何だ?」

男「さあな」

男「二人ともぐっすり寝てるな。さて、俺もそろそろ寝ようか」

男「お前もすぐに寝ろよ」

盗賊「てめぇが言うんじゃねぇ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/09(金) 01:12:50.07 ID:P9Obh620<>>>107
くそっ、悪魔の囁きが聞こえる……!
だが俺を侮ると痛い目にqあせdrftgyふじこlp;@:「」

くそ眠い。今回はこのくらいで寝る。
おやすみー♪<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/09(金) 06:43:06.90 ID:cCyM6EEo<>こちら戦士、睡魔の撃退にせいこ・・・な、なにぃ!?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/09(金) 14:43:46.79 ID:Hly3PkSO<>>>113
あっさり負けすぎワロタww
乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/09(金) 20:08:19.10 ID:361RF2AO<>魔王って睡魔じゃね?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 03:33:57.67 ID:uncf7JM0<>ヒ・ソリー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 03:40:48.80 ID:uncf7JM0<>(翌朝)

男「よし、じゃあそろそろ行こうか」

勇者「みんな、準備は良いか?」

剣士「万全だ。転移酔いも完治した」

盗賊「男、持って行く道具はこれだけで良いのか?」

男「まあな。必要なのはそのくらいだと思う」

盗賊「そうか。それと、これは俺が言う事じゃねぇかもしれねぇが……」

盗賊「この女のやつ、持って行っても良いのか?」

男「コンピュータの事か?」

盗賊「ああ、それ」

男「まぁ勝手に使うのは俺も気が引けるんだがな」

男「データ解析にはそれが一番使い勝手が良いんだ。俺の手元にある以上、使わせて貰う」

盗賊「……後で怒らねぇか?」

男「……その時は理由を全て言った上で逆鱗を受けようじゃないか」

勇者「女さんってそんな怖いのか?」

盗賊「ああ……あいつが睨むと空気が凍る」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/10(土) 03:47:09.80 ID:olrJBwDO<>キター<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 03:58:12.18 ID:uncf7JM0<>――炭坑山

勇者「さて、麓まで着いたわけだけど……」

剣士「まだ何も変化はないようだな。当たり前だが」

男「いや、ここから気を付けた方が良いかもしれない」

勇者「どういう事だ?」

男「恐らく一連の消失事件は空間歪曲によるものと考えられる」

男「それは昨日、宿屋の部屋から望遠鏡で少し山の方を見ていて推測出来た」

男「山の周辺で、時々向こうの星の光が歪曲しているのを見た。これは山の周辺ではランダムに空間歪曲が起きていると推測出来る」

勇者「その……星の光が曲がっているとどうしてその……空間が曲がっているってわかるんだ?」

男「空間と平面は座標軸の取り方以外そんなに変わりはないんだよ」

男「紙に星を描いて、曲げたりくしゃくしゃにしたりした、と考えれば分かる」

勇者「ああ、成る程」

男「それと、いつかは知らないけど、誰かは人が消えた瞬間を見たと思う」

剣士「なんでそう思うんだ?」

男「だいぶ過ぎてしまったけど、少し戻ればロープが地面に張ってあった。砂に隠れてたけど」

男「ロープを伝っていくと看板も所々立ててあった。『危険。立ち入り禁止』とでも書いてあるんだと思うよ」

勇者「そういう重大そうな事は先に言おうよ」

剣士「全くだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 04:07:42.14 ID:uncf7JM0<>『これより炭坑山の領地。近付くべからず』

勇者「……本当だ」

剣士「と言う事は、ここから先はいつ危険に襲われてもおかしくないという事か」

男「襲われる、というより、消える、だけどね」

勇者「だけど、本当に消えてしまうのか?」

男「多分、どこかに移動すると思うんだけど……ほら、転移魔法みたいに」

男「普通空間歪曲の性質は、ある一点と一点を結びつけるワームホールの役割をしているはずなんだ」

剣士「なんだ。なら安心じゃないか。別に死ぬわけじゃないのだろ?」

勇者「そうだな。死霊の砂漠より危険性は減ったみたいだ」

男「ただ、その移動先がどうかなんだよな。地中かもしれないし、空中かもしれない。それこそ宇宙だってありえる」

男「それにランダムに出現する事から、例え運良く三人とも地上に移動できても、場所まで同じとは――三人?」

勇者「そう言えば、盗賊さんがいないな」

剣士「……消えたか」

男「俺の調査器具を持って行きやがった……」

勇者「いや、盗賊さんの安否を心配しなきゃ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 04:18:12.93 ID:uncf7JM0<>男「ま、まぁ、とにかく、これで俺の仮説がほぼ正しいと証明されたわけだ!」

勇者「盗賊さんはどうなったんだろうか」

剣士「無事でいるだろうか」

男「考えた所で盗賊は戻ってこない」

剣士「その言い方はあまりではないか?」

男「科学の世界では“〜だったらいいのに”何て言う願い事は存在しない」

男「今まで例外がなかったように、盗賊は戻ってこないはずだ」

勇者「……」
剣士「……」

男「そして俺の仕事はこの空間歪曲の調査。借りを受けた人から引き受けたものだから、やり遂げないわけにはいかない」

男「勇者さんと剣士さんは、消えたくなければ宿で休んでいても、死霊の砂漠へ行っても良いよ」

男「結局は、俺の仕事なんだから」

勇者「いや、ついて行かせてもらうよ」

剣士「そうだ。仲間を見捨てるわけにはいかない」

勇者「盗賊さんも取り戻す」

男「そうか。だがもし消えたらその時は――」

男「その時は、もしかしたらすぐに盗賊と会えるかもしれないな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 04:31:52.97 ID:uncf7JM0<>(数十分後)

勇者「……」テクテク

剣士「……」カチャカチャ

男「……」ノソノソ

勇者「随分歩いたが、何もないな」

剣士「そうだな。むしろ何もないのがおかしい」

勇者「確かに。ここまで動物の一匹も見なかった」

剣士「虫すら見ないぞ。いや、そろそろ冬の到来だから、冬眠に入っているのかもしれないが」

男「……本当に何にもありませんか?」

勇者「え?」

剣士「どういう事だ?」

男「えっと……例えば……」キョロキョロ

男「あの辺りを見て下さい」

勇者「どこだ?」

…スゥ…

剣士「……!? ……?」ゴシゴシ

男「次は……あそこです」

グニャァ… スゥ…

男「次はあそことあそこかな」

グニャア… スゥ…
   グニャー… スゥ…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 04:40:10.63 ID:uncf7JM0<>勇者「俺の目がおかしいのか? なんだか木……いや森がへこんだ感じが……いや、膨らんだのか……?」

男「勇者さんの目はおかしくない。俺にもそう見えるよ」

勇者「あれは何なんだ?」

男「あれこそが空間歪曲」

男「厳密に言うなら、空間歪曲を視覚的に察知した形、と言うべきかな」

勇者「あれが男さんの言う“空間の歪み”か……」

男「その通り」

勇者「あれはいつから?」

男「俺はこの山に入った所で気付いてたよ」

男「空間歪曲はこの山ではあちこちで起こっているようなんだ」

勇者「木は消えないんだな」

男「良いところに目をつけたな。そうなんだよ。なぜ木は……それだけじゃなく土も消えないのか」

男「それは恐らく重要なキーワードのはずだ」

勇者「だけどこうたくさん起こっていると、本当にいつ消えてもおかしくないな」

男「確かに」

勇者「剣士も気を付けるんだぞ。……ってあれ?」

勇者「……剣士?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 04:46:17.10 ID:uncf7JM0<>男「もしかして、剣士さんも消えたのかな?」

勇者「かもしれない……」

男「犠牲者が二人……。こうなってくると流石に心配になってくるな」

勇者「盗賊さんは心配じゃないのか?」

男「いや、確率的な問題で。このままでは俺も消えるのは必至だろう」

勇者「まだ分からないよ」

男「いや、そう考えても良いと思う。勇者さんもだよ?」

勇者「……」

男「そこで心配になってくるのが、自分が消えた後の安否だ」

勇者「自分の心配か……。だけどまだ消えてない今は剣士と盗賊さんの心配くらいしても良いんじゃないか?」

男「この場合の自分への心配は、二人の心配にも繋がる。そうは思わないか?」

勇者「……まぁ良い。その話は今は止めておこう」

男「賢明な判断だ」

勇者「とにかく山頂まで登ってみないか? 何かあるかもしれない」

男「頂上に何かあるはずというお約束の展開だな」

勇者「お約束?」

男「いや、こっちの話だ。だが困ったな……」

男「恐らくここが頂上だぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 04:54:14.88 ID:uncf7JM0<>勇者「何!?」

男「この先は下りしかないし、望遠鏡で木々の間を覗いても……」

男「これ以上上の地点がないみたいなんだ」

勇者「嘘だろ」

男「嘘を言ってどうする」

勇者「どうすれば……剣士も盗賊さんもこのままじゃ……」

男「俺個人としてもこのままじゃ困る」

男「俺にはあのランダムに開く空間歪曲を調べる手立てが思いつかないんだよ……」

勇者「こんな時でも仕事の事か!?」

男「そう声を荒げないで欲しいな」

男「空間歪曲の原因解明こそが、剣士さんと盗賊を助ける手立てにもなるんだから」

勇者「……そうか」

男「このままでは何とかしてそこら辺の空間歪曲を調べる手立てを考えつかなくてはならないな」

男「だけど、まだこの山全部は調べ終わってない、だろ?」

勇者「その通りだ」

勇者「今度は別の場所を行って下って行ってみよう」

男「分かった」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/10(土) 04:55:21.14 ID:uncf7JM0<>ネムイ・オヤスミ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/10(土) 08:40:16.13 ID:HUsiG.AO<>睡魔「おつかれさまー」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/10(土) 14:25:50.57 ID:hkb/AsSO<>乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/10(土) 14:28:53.68 ID:sbC0AZ20<>ttp://paint.s13.dxbeat.com/up/src/paint_25211.jpg
ttp://www.rbbtoday.com/article/2010/06/23/68620.html
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/12(月) 12:37:48.81 ID:PGK2gYAO<>なんかもうずっと寝ていたい
現実の二次も三次もいやだ
みんななくなればいいのに

でもこんな一時の感情でスレストとかあとで後悔するのはまるわかりだからやめておく
つづきはもうすこし待ってくれるとありがたい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/12(月) 12:54:29.86 ID:X95exUSO<>気持ちは分かる
wktkしながら支援しとくわ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/12(月) 21:19:13.68 ID:ripQAcAO<>誰かTさん呼んで睡魔退散させ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/16(金) 14:01:55.13 ID:xzUdaUSO<>
いらなくても保寿
(´・ω・`)ノ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/16(金) 15:04:57.07 ID:kMQqVYAO<>待ってる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/18(日) 19:32:21.61 ID:Skjm7wAO<>睡魔「ずっと一緒だよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/19(月) 14:16:25.63 ID:3pW6ABM0<>>>1

無理しないで。
途中で辞めてもいいんだよ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/20(火) 01:39:14.99 ID:..Da4s.0<>>>1が睡魔に打ち勝ってくれることを祈ってる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/23(金) 10:08:13.12 ID:.28vp6SO<>頑張れ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/25(日) 07:12:10.23 ID:88xW1/o0<><覚醒ゲージ>
(t=0)min□□□□□□□□□□max
(t=1)min■□□□□□□□□□max
(t=5)min■■■■□□□□□□max
(now)min■■■■■■□□□□max

漸く書けるくらい目が覚めてきました。
昨日まで晩飯と風呂以外の時は起きてられなかった……。
暫く書けてなくてすみません。これからまた書けるとは言えないけど←

>>136
冗談に聞こえない……w

>>137
どうしていつも中断の催促してくるのかな?
俺が続けたいって言ってるんだよ?

>>138
すみません。勝てる気がしません。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/25(日) 07:19:58.84 ID:88xW1/o0<>勇者「でもどうしてこんな事になっているんだろうな……」

男「だから俺はそれを調査しに来たんだろ」

勇者「まぁそうなんだけど」

男「この山にだけ空間歪曲が発生しているのはおかしい」

男「この炭坑山にしかない何らかの原因があるはずなんだ」

勇者「……そう言えば、その歪みがさっきから少しずつ、さらに良く見掛けるようになった気がするんだけど」

男「勇者さんにもそう見える?」

勇者「ああ」

男「俺も思ってたんだ。今は大体山の中腹くらいかな?」

勇者「そのくらいまで下りてきたと思うんだけど」

男「何の見当も付かないな、まだ……」

勇者「まぁ、そんなに上手くいくような事じゃなさそうだね。……ん?」

男「ん?」

勇者「男さん、あれは怪しい部類に入るかな?」

男「それはどうか分からないが……何にせよ、調べるしかないだろう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/25(日) 07:33:38.88 ID:88xW1/o0<>男「そう言えば、山に入ってから初めての洞窟だ」

勇者「どの山にもあるって事はないよ」

男「まぁ、そうだが……」

男「勇者さんはこの奥に何があると思う?」

勇者「冬眠に備えている熊……じゃなさそうだね」

男「そうだな。そういった動物は悉く歪みに飲み込まれているだろうし」

勇者「俺は空間をねじ曲げる魔法なんて聞いた事がない」

勇者「だから可能性があるとすれば、魔族か亡霊の魔法使いかな」

男「成る程。俺はそれ以外であってほしいね。その二つはかなり危険そうだ」

男「まぁ何にせよ、この洞窟が正解の可能性が高いようだ」

勇者「……だね。洞窟の入り口辺りから頻繁にねじ曲がってる」

男「この先何があるにせよ、あの歪みをどう切り抜けるかどうかが問」

……

勇者「……」

勇者「行った先から巻き込まれてしまったみたいだな……」

勇者「さて、もう俺も無関係じゃないからな」

勇者「剣士も盗賊さんも男さんも心配だ……」

勇者「……行くか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/25(日) 07:40:49.48 ID:88xW1/o0<>――???

男「題……だ……?」

男「……あれ?」

男「ああ、俺も“消えて”しまったのか」

男「勇者さん、どうしてるだろうか……」

男「……一応呼吸は出来るな。身体にも異常は見られない」

男「しかし薄暗いな」

男「一見……ただの個室のようだが」

男「広さにして四畳半くらいか?」

男「剣士さんも盗賊もここに飛ばされたのだろうか」

男「いや、もしそうなら、どうしてここにいないんだ?」

男「……動かない事には分からない、か」

男「とりあえず自分の現状を確かめる必要がある」

男「この部屋に扉は一つしかないようだし……選択の余地はないな」

男「この部屋の外はどうなっているのか――」

ガチャッ

男「――これは……っ!!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/25(日) 08:01:15.40 ID:gBnkoASO<>帰ってくると信じてた<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/25(日) 08:09:58.46 ID:88xW1/o0<>さて、書き始めたばかりなんだけど、今回はここまで。
今日はこれから一日用事があるんだ。
久々に外を歩くからかなり辛そうだ……。さっき最寄りのコンビニまで行ったら何もないところで十回は転んだからな。

まぁ、色々なお詫びとして、大陸の地図でも載せておく事にする。
国同士の位置関係とかわかりやすくなるだろうし。
未だ、またはこれからも出てこない国とかも書いてあるけど気にするな。
いらない人は見なくて良し! 地図の書き方云々も気にしちゃ駄目!
ttp://sssssssssssssss.web.fc2.com/img/img_a001.jpg<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/25(日) 08:15:48.21 ID:gBnkoASO<>スゲェww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/25(日) 13:25:48.81 ID:zXyg0EAO<>おかえりそしておつかれ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/25(日) 16:38:48.30 ID:92IV.sDO<>おっ、おひさ〜
無理すんなよ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/27(火) 06:23:13.32 ID:Sv87tPs0<>睡魔「>>136」
俺「え……いや……」
睡魔「ずっと寝ていたら幸せだよ」
俺「――……ウン、ソウダネ」
睡魔「ずっと一緒に寝ていようよ」
俺「ズット……一緒ニ……イイネ」
睡魔「いつかはもっと良い寝具に住めるといいね」
俺「良イ……寝具?」
睡魔「低反発マット、羽毛布団、そば殻の入った枕。その中で幸せに笑い合う二人!」
睡魔「理想的でしょ?」
俺「アア、確カニ」
睡魔「でも、今も幸せだよ? ずっと一緒にいられるもん」
俺「アア、俺モトテモ幸セダヨ……」
俺(あれ……俺何してるんだ……?)←今ココ

さて、二、三書こうかな。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/27(火) 06:33:34.27 ID:Sv87tPs0<>勇者「俺はどうやら運が良いらしいな」

勇者「入り口からここまで歪みに巻き込まれる事がなかったとは」

勇者「だけど……ここで終わりか」

勇者「おーい! 誰かいないかー!?」

勇者「……っているわけないよな。行き止まりだし」

勇者「これからどうしよう。俺も歪みに入るのを待つしか――」

?『……久しぶりですね』

勇者「!? 誰だ!」

神『私は神。あなたは勇者ですね?』

勇者「どうして俺の名前を……」

神『名前だけではありません。生まれ、交友関係なども知っています』

神『私はこの大陸に長くいます。故に大陸の事は殆ど知っています』

勇者「本当に何者なんだ……」

神『しかし本当に久しぶりです。あなたがいるその場所に人が到達する事は』

神『この大陸に来て、初めてと言っても良いでしょう』

勇者「『この大陸に来て』?」

神『私は昔、他の所にいました。この場所にやってきたのは、ある意味偶然とも言えるでしょう』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/27(火) 06:43:37.84 ID:Sv87tPs0<>勇者「一体あなたはどれ程前から……」

神『すみません。今はあまり長く話している時間はありません』

神『あなたを取り巻く空間の歪みは見えますか?』

勇者「ああ」

神『その歪みに取り込まれる前に、私があなたを“中”へ入れます』

勇者「“中”?」

神『ええ。あなた達が炭坑山と呼ぶ、私の世界の中へです』

神『あなたがいるその場所は、元々私が“中”へ招き入れる為の入り口でした』

勇者「じゃあこの歪みは……?」

神『私がこの地へ降り立ったとき、入り口の機能が暴走してしまいました』

神『欠陥が出来てしまったのです』

勇者「では歪みもこの入り口という事だな? 歪みに入っても中に入れるのじゃないのか?」

神『暴走した歪みにも欠陥はあります。確率的に違う所へ飛ばされてしまうのです』

神『だから安全に、私があなたを招き入れます。準備は良いですか?』

勇者「そういう事か。よく分からないけど分かった」

勇者「良し、覚悟は出来た。入れてくれ」

神『では、後で私を訪ねてください。中に住む人に聞けば、場所が分かるはずです――』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/27(火) 06:54:04.18 ID:Sv87tPs0<>――???

勇者「――転移魔法の一種か?」

勇者「でも転移酔いを起こしそうな気がなかった」

勇者「さっきの所に魔法陣でも描かれていたんだろうか……」

勇者「まぁ、あの声が言ってる事が正しければ、ここが炭坑山の中だな」

勇者「しかし狭いな。安宿よりは広いと思うけど」

勇者「……いや、扉があった。あれで外に出るんだな?」

勇者「という事は実際はもっと広いのか」

勇者「この部屋の外に、剣士も男さんも盗賊さんも……」

勇者「そう言えばたまに他の所へ行くとか言ってたな」

勇者「みんなここに来てれば良いけど」

ガチャッ

勇者「……」

勇者「……え?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/27(火) 07:01:56.92 ID:Sv87tPs0<>では今回はこの辺りでー。

おやすみっ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/27(火) 12:24:18.74 ID:zZK8IMSO<>おいおい
気になるところで<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/27(火) 12:25:57.02 ID:p15wcsSO<>おつかれす<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/27(火) 23:06:57.68 ID:Tqa.HEAO<>睡魔は俺が預かるから続きを<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/29(木) 19:15:21.82 ID:y7vtqbc0<>忙しい時間→睡眠期間→忙しい時間→睡眠期間→……
まじこのループ何とかして欲しい。
と言うか動けるくらい目が覚めたら必ず忙しいって何だよ。
もう……ニートになろうかな……。そしたら起きてるときに好きなだけ書ける。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/29(木) 19:29:08.09 ID:y7vtqbc0<>勇者「どう……なってるんだ、ここ?」

ワイワイ ガヤガヤ
 ハハハ キャーキャー

勇者「あの山の中ってこんなに広いのか……?」

勇者「いや待て。ここが炭坑山の中だと? じゃあ俺の頭上に見えてる空は何だ?」

勇者「もしかしてあの声が嘘を言ってて、実はただ別の場所に……」ブツブツ

通りすがりの娘「あれー? もしかして新しい人?」

勇者「ん?」

通りすがりの父親「今日はもう三人来てるって話みたいだな」

通りすがりの娘「多いねー」

勇者「ちょっと、その三人ってどんな格好でしたか!?」

通りすがりの父親「僕は直接見てないんだけどね」

通りすがりの父親「話によると、軽甲冑の剣士のねーちゃんと柄の悪そうな男、それと胡散臭い格好をしたオジサンだとか。あっ、僕がオジサンなんて言えないな。はははっ」

勇者「そ、その人達は今どこか分かりますか?」

通りすがりの父親「やっぱり知り合いだったのか。大方興味本位で山に入って歪みに巻き込まれたんだろ。駄目だよ、危ない事をしちゃ」

通りすがりの娘「ダメよー」

勇者「その三人は確かに歪みに巻き込まれましたが、俺は……って、本当にここは炭坑山の中なんですか!?」

通りすがりの父親「あれ、まだそこまで話してないんだけど……まぁ、そうだね」

通りすがりの父親「と言っても、僕も娘も外を見た事がないんだけど」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/29(木) 19:40:30.93 ID:y7vtqbc0<>勇者「でも本当にここが山の中だなんて……」

通りすがりの娘「不思議だよねー。お山の中にお山がいくつもあるんだよ」

勇者「えっ、山が!?」

通りすがりの父親「山だけじゃないよ。見た通り空も、川や海だってあるんだ」

通りすがりの父親「街だってここだけじゃない。ここは一つの国なんだよ」

勇者「どうしてそんな事が可能に?」

通りすがりの娘「神様のお陰だよ!」

通りすがりの父親「そう。どうやってるか僕達には分からないけど、神様が僕達の住みやすいように広い場所をくれたんだ」

通りすがりの父親「そう言えば君は歪みに巻き込まれて来たんじゃないような口ぶりだったけど、どうやって来たんだい?」

通りすがりの父親「ここが山の中だって事も知ってたみたいだし」

勇者「んー、信じて貰えるでしょうか?」

通りすがりの父親「ここが山の中って事も外の人は信じられないはずだ。話してみて」

勇者「山に洞窟があって、そこを入ったら行き止まりに行き着いたのです」

通りすがりの父親「ふむ」

勇者「そこで声がして、その声が俺をこの中に入れて……あっ!」

通りすがりの父親「どうした?」

勇者「そう言えばその声、自分の事を神だと名乗ってました」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/29(木) 19:55:34.60 ID:y7vtqbc0<>通りすがりの父親「それは本当か!?」

勇者「はい」

通りすがりの娘「神様に招待されるなんて、すごーい!」

勇者「まぁ、たまたまだと思うけどね」

勇者「それで、その神って人は何者なんですか?」

通りすがりの父親「この山の中の世界の創造主で、統治者だよ。ずっと昔からね」

通りすがりの娘「むかーしむかしの大昔から」

通りすがりの父親「神様は“神様”だから不死身だって聞いてるし、それを疑った事はないよ」

通りすがりの父親「それと、外の世界ではこう呼ばれているらしいね」

通りすがりの父親「太陽神サナン」

勇者「!! その名前なら聞いた事があります」

勇者「大陸の三大神の一人、魔法を伝承したサナン……まさか実在したなんて……」

通りすがりの父親「さて、大体分かってくれたかな? ここに来る人に説明するのは、ここの人間の義務みたいなものでね」

勇者「そうなんですか? 貴重な時間を……」

通りすがりの父親「ここの時間はとても自由だから気にしなくて良いよ」

通りすがりの父親「さて、僕は娘とこれから遊ぶ約束をしててね。この辺りで」

勇者「ありがとうございました」

通りすがりの父親「君の知り合い二人は老婆さんの所にいるって聞いてるよ。街の端にある大きな屋敷だ」

通りすがりの娘「パパはやくー」

通りすがりの父親「分かった分かった。……ああ、そうだ!」

勇者「?」

通りすがりの父親「君に平和な日々が訪れん事を。サナンの楽園へようこそ」

通りすがりの娘「ようこそー!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/29(木) 20:13:47.07 ID:y7vtqbc0<>勇者「……んー、街の端とは聞いたけど」

勇者「どこの端かまでは聞いてなかった」ズーン…

勇者「しかし広いな。まだ山の中とは思えない」

勇者「……まぁ、そのうち見つかるだろう」


通りすがりの父親「あっ、彼に老婆さんの所の方向教えるの忘れてた!」

通りすがりの娘「パパのうっかり者ー」

通りすがりの父親「ははは、うっかりしたなぁ」


勇者「一応人に聞きながら進んではいるけど……」

勇者「この街は広いな。水の街くらいはあるんじゃないか?」

勇者「しかし炭坑山での失踪者はこんな所に来てたのか」

勇者「街の人柄も良いし、治安も良さそうだ。まさに楽園だな」

勇者「魔物もいない。俺らの世界よりもよっぽど良いところだ」

盗賊「だがてめぇは帰らなくちゃならねぇ。それは分かるな」

勇者「!? ……って盗賊さんか」

盗賊「なんだよその反応は……」

勇者「いや、自分でもびっくりな反応だった」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/29(木) 20:24:45.23 ID:y7vtqbc0<>盗賊「てめぇも来てるって事は男も来てるのか?」

勇者「みたいだね。でも男さんの方が早く来てるはずだよ。知らないのか?」

盗賊「知らねぇな。もしかして迷子になってんじゃねぇか?」

勇者「まさか。……とすると剣士はお前と一緒にいるのか」

盗賊「ああ。老婆って婆さんの所に厄介になるつもりだ」

勇者「厄介って……暫くいるつもりなのか?」

盗賊「元の世界に戻る方法が分かるまでだ。無理矢理出れたとしても、また歪みにぶち当たる可能性があるからな」

勇者「成る程……。で」

盗賊「ん?」

勇者「お前のその手に持った食材はお使いでもしている最中だったか?」

盗賊「ああ、いや。これは厄介になるから一つ礼にと思ってな」

盗賊「あれだ、牛肉のパイでも作ろうかと思って」

勇者「え、料理するのか?」

盗賊「何だよ。俺が料理しちゃいけねぇか?」

勇者「いや、そうじゃないけど。そういう柄には見えないと思って」

盗賊「何いってんだ。牛肉のパイは我が盗賊団の名物だったんだぜ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/29(木) 21:42:24.63 ID:y7vtqbc0<>――古屋敷

盗賊「ここが婆さんの屋敷だ」

勇者「いかにも古そうな建物だな」

盗賊「そりゃそうだ。それこそ何百年と建ってるらしいからな」

勇者「そんなにか?」

盗賊「改築とかはしたと思うんだがな。遠い先祖からの遺産だって聞いてるぜ」

勇者「という事は老婆さんは外の世界を知らないのか」

盗賊「知識だけはあるみてぇだがな」

勇者「中の事を説明するには外の事を知ってた方が楽だろうしな。……ん」

勇者「おーい! 剣士ー!」

剣士「?」

剣士「ああ、勇者様じゃないか。随分と遅かったんだな」

勇者「ここでもまた感動の再会シーンはなしか」

剣士「当たり前だ。一日も経ってないんだぞ」

盗賊「さて、俺はキッチンでも借りてくるか」

剣士「ついでにもう一人仲間が来たと伝えておいてくれないか?」

盗賊「わかった」

剣士「それにしても本当に遅かったな。この街で迷ってたとかか?」

勇者「それもあるけど、俺は最後の最後まで粘って外に残ってたからな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/29(木) 21:51:21.82 ID:y7vtqbc0<>剣士「それで、男さんは?」

勇者「途中ではぐれてしまってな。まだ再会出来てないんだ」

剣士「そうか」

剣士「この街の治安は良いらしいから、厄介事に巻き込まれてないだろうが……」

勇者「厄介事を引き起こしてたら話は別だな」

剣士「もしかしてあまり信用してなかったりするか?」

勇者「そういうわけじゃないさ。だけど……」

剣士「まぁ、分からなくもない」

剣士「男さんの専門分野は未だに理解できてない所が多い」

勇者「そういう事だ。向こうの世界の常識も俺達とは違ってくるはずだし」

剣士「それも問題か……」

勇者「……」
剣士「……」

勇者「……まぁ、今まで特に何の問題もなく過ごしてたみたいだから問題ないだろう」

勇者「厄介事を持ち込むのは俺達の方が慣れてるはずだ」

剣士「そうだな」

剣士「さて、では勇者様、老婆さんの所へ挨拶に行こうじゃないか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/29(木) 21:52:04.49 ID:y7vtqbc0<>やべぇ眠い。
よい子は寝る時間ですね! おやすみ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/29(木) 21:54:09.94 ID:IIK3uioo<>おやすみー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/29(木) 22:44:29.17 ID:jiC9VgAO<>乙やすみ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/31(土) 00:00:48.87 ID:OcSqa8g0<>さて今日も眠いぜ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/31(土) 00:16:10.74 ID:OcSqa8g0<>老婆「初めまして。わたくしが家主の老婆です」

勇者「初めまして。勇者と言います」

剣士「私の仲間で、魔王討伐隊のリーダーだ」

老婆「こんなに強そうな人が相手でも勝てないなんて、魔王という人は相当強いんですねえ」

勇者「とは言え、まだ一度も戦ったことがないのですが」

老婆「あら、そうなんですか?」

剣士「先程も話しましたが、結界があってだな……」

老婆「あらあら、そうでしたねえ」

老婆「でもこの神様の楽園に来られたのですから、暫くは休んで行かれると良いでしょう」

老婆「話を聞いていると、とても苦労なさっているようですから」

勇者「そうでもありませんよ」

勇者「ちなみに外へ出る方法は知っていますか?」

老婆「さあねえ……何せここに来た人はみんなここに住むようになりますから」

老婆「ここが名前の通り、楽園のような所だから、と言うのもあるでしょうが……」

老婆「もしかしたら外に出られないから仕方なく、と言う人もいるかもしれませんねえ」

勇者「そうですか……」

老婆「そうそう。神様に聞けば分かるかもしれませんねえ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/31(土) 00:28:59.20 ID:OcSqa8g0<>剣士「神様……」

勇者「本当ですか?」

老婆「知っているとしたら神様くらいでしょうし……」

老婆「でも神様は気まぐれで、ここに住む私達にすらあまり姿を見せないお人ですから」

勇者「どこにいるかは分かりますか? その神という人に招待されているのですが」

老婆「本当ですか?」

勇者「はい。『私を訪ねろ』と俺に」

老婆「なら、きっと会ってくれるでしょうねえ」

老婆「神様は浄化の街にある宮殿にお住まいです」

剣士「浄化の街?」

老婆「はい。ここ集合の街から六十へールは離れた場所にあります」

勇者「そんなにあるのか……」

老婆「ホホホ……問題ありませんよ。楽園の街通しは転移門で繋がれています。それこそすぐに行くことが出来ます」

勇者「転移門? 転移法陣とは違うんですか?」

老婆「転移法陣がどのようなものなのか見たことはありませんが、多分違います」

老婆「転移門はそれぞれの街の中央にあります。行きたい街の名前が書かれている門を通るのです。それだけでそこへ行けます」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/31(土) 00:56:14.89 ID:OcSqa8g0<>剣士「便利なものがあるものだな」

勇者「全くだ。これならすぐにでも出発できそうだ」

老婆「お急ぎですか?」

勇者「まぁ――」

剣士「少々急ぎではありますが、もう日も暮れてきている」

剣士「今日は泊めさせてもらってもいいのではないか、勇者様?」

勇者「俺は構わないが……良いのですか?」

老婆「大歓迎です。この屋敷はわたくし一人ですから、部屋はたくさん余っていますし」

勇者「そう言えばとても広いお屋敷ですよね」

老婆「曾祖父の代までは親兄弟が多くいたらしいのですが」

老婆「今では三日に一度掃除をしに来てくれる近所の娘さんが来る程度で」

老婆「他には屋敷に出入りするのは、殆ど私だけです」

勇者「そうだったのですか。俺にここの事を教えてくれた人の話からして、もっと人との繋がりが盛んなお人だと」

老婆「街の人達はみんな親切ですからねえ」

老婆「わたくしが街に繰り出す度に気遣ってくれているのですよ。ほら、もうこんな老いぼれの体でしょう? ホホホ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/31(土) 02:11:16.04 ID:OcSqa8g0<>老婆「……では、そろそろ食器を並べましょうか」

勇者「?」

老婆「キッチンから良い匂いがしてきました。そろそろ御馳走が出来る頃合いでしょう」

老婆「楽しみです」ニカッ

勇者「そう言えば盗賊さんが何か作ってましたね」

老婆「ではわたくしは食器を持ってきますので、おくつろぎ下さい」

剣士「手伝おう」

老婆「これはこれは、ありがとうございます」

老婆「そうそう、勇者さん」

勇者「何です?」

老婆「食後にお部屋に案内します」

剣士「私も盗賊ももう借りる場所は決まっているぞ」

老婆「まだまだ良い部屋が残ってますよ」

老婆「わたくしの大叔父が使っていた部屋なんか当時の装飾もそのままなんですが、それはもう豪華でして」

勇者「お気遣いありがとうございます」

勇者「そうだ、剣士。後で男さんを探しに行かないか?」

剣士「ん……彼の事なら大丈夫だろう」

剣士「私達も知っての通り、ここの人達は親切だ。どこかで泊めて貰っているだろう」

勇者「……それもそうだな。でも明日、神様に会う前に合流はしておきたいな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/31(土) 02:11:48.49 ID:OcSqa8g0<>今回も少ないですがこの辺りでー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/31(土) 09:37:45.40 ID:fUhpr2DO<>乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/31(土) 13:50:16.96 ID:t0Pqg.AO<>おつかれそしておやすみ
次も楽しみにしてる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 10:32:03.75 ID:NUfBvp20<>このスレ見てくれてる人ってどのくらいいるんだろうか。

ふと気になっただけです。気にしないでください。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 10:46:23.11 ID:NUfBvp20<>(翌朝)

勇者「ではそろそろ行こうか」

老婆「もう行くのですか?」

勇者「はい。もう一人の仲間が心配でもありますし、向こうも心配しているでしょう」

勇者「それに俺達はまだまだ外でやらなくてはならない事がたくさんあります」

盗賊「色んな事に方が付いたらここに住んでも良さそうだな」

剣士「そうだな。物価はないし、何より平和だ」

老婆「ここではみんな好きな事を出来ますからね。例え住むみんなが堕落しても、神様のお陰で生活出来るでしょう」

勇者「それでもここの人達は働いてる、ってのは凄いですね」

老婆「ホホホ、それは神様にいらない仕事をさせない為です。その為の努力でしょう」

老婆「神様がここの世界を動かして、住む人達がここの社会を動かす。それが神様へ出来る最善の恩返しだとここの人達は考えています」

剣士「同じサナン信仰でも、陽翔教会の教義とは違うのだな」

勇者「では、そろそろ行く事にします。一日の宿をありがとうございました」

老婆「いえいえ。こちらもありがとうございます」

老婆「剣士さんには色々と手伝ってもらいましたし、盗賊さんにはおいしいパイを御馳走になりましたから」

剣士「あのくらい当然だ」

盗賊「良かったらまた作ってやるぜ」

老婆「また来てくださいね。困った事があってもなくても、気軽に」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 11:04:57.18 ID:NUfBvp20<>勇者「さて、とりあえず男さんを探す事にするか」

剣士「この街で、情報はかなり早く広まるみたいだからな。何人か聞いて歩けば分かるだろう」

盗賊「なら市場に行った方がいいな。男が街の端にいたらまた長い道を歩かなければならないが、あそこは広場にも近いし人も多く集まるぜ」

勇者「じゃあそうしようか。男さんが街の中心部の近くにいる事を祈って」


――市場

「昨日ここに来た人? 君達じゃないのか?」


「ああ、もう一人のオジサンの事だね。んー……あそこの肉屋の主人なんか知ってると思うよ。情報通だからね」


「胡散臭そうな男だろ? 昨日街中を練り歩いてたって聞いてるな。何度か俺の前も通ってたよ。あの調子なら広場で何度も見られてるはずだ」

盗賊「あの野郎、ふらつきやがって……!」

勇者「広場か……」


――広場

「オジチャンを捜してるの? 昨日見たよ! あのねあのねっ、演奏さんと長い事お話してたんだよ!」

勇者「演奏さん?」

「ほら、あそこのおにーちゃんの事。いつもあの楽器を鳴らして歌ってるんだ〜」

勇者「ありがとう。じゃあ次はあの人に聞いてみるか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 11:18:45.00 ID:NUfBvp20<>演奏「〜♪」チャチャーン

勇者「こんにちは」

演奏「?」チャ…

演奏「何か用かな?」

勇者「人を探してるのですが」

演奏「どんな人かな? 僕は色んな人を毎日見てるからね」

勇者「男という名前の、昨日ここに来たばかりの人です」

剣士「常人ならざる胡散臭さを醸し出す男でな」

盗賊「たまによく分からん言葉を吐く奴だ」

勇者「……散々な言い様だな」

演奏「男……男か……」

勇者「昨日長い事話してたらしいのですが」

演奏「……ああ、あの人か! 自分もこいつを弾かせて欲しいって言ったあいつだな」

勇者「男さんが演奏を……?」

演奏「ヘイジューッ、ドンメイキッバー♪」ジャンジャンジャン

盗賊「確かに男がたまに口ずさんでた歌だな。なんかおかしいが」

演奏「昨日一回聞いただけなんだから、むしろ上手いと思わないかな?」

盗賊「だけどメロディはそんな風になってたんだな」

演奏「でも何か違うんだよね。こうだったかな……いや、こうだったか……」ジャンジャン……ジャン…

勇者「……話を戻して良いかな?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 11:31:30.91 ID:NUfBvp20<>演奏「ああ、そうそう。あの人の事だったね」

演奏「それで、君達はあの人とどういう関係?」

勇者「まぁ、一緒に旅する仲間かな」

演奏「って事は昨日ここに来た他の三人ってのは君達の事だね」

演奏「全く、駄目だよ。ここが楽園だったから良かったものの、危険な事をしちゃ」

盗賊「元はと言えば男の仕事のせいなんだがな」

剣士「結果的に面白い所に来れた。良しとしようじゃないか」

演奏「あの人の仕事って?」

盗賊「何だっけか……空間がどうたらこうたら……」

勇者「ここに強制的に連れてこられる歪みについてだよ。空間歪曲だったっけ」

演奏「ああ。あの所為で何人も不必要に連れてこられるんだよな。魔物もたまに紛れ込んでくるらしいんだよ」

勇者「魔物まで!?」

演奏「そうそう。でも神様がすぐにやっつけてくれるから安心なんだけどね」

演奏「でも外の歪みについては諦めた方が良い。神様でも解決出来ない事だからね。そう彼にも伝えておいた方が良いよ」

演奏「無駄な努力程無意味なものはないからね」

勇者「無駄かどうかはやってみなければ分からないと思います」

勇者「それで、男さんはどこへ言ったか分かりますか?」

演奏「ああ、そうだった。あの人なら街をうろうろした後に、あの転移門をくぐっていったよ」

勇者「あの転移門って……」

盗賊「成る程。先に浄化の街へ行きやがったか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/01(日) 11:39:15.34 ID:n0a7moDO<>見てるよーノシ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 11:42:51.67 ID:NUfBvp20<>――浄化の街

剣士「不思議だ……転移酔いしないとは」

盗賊「こんな便利なものが世の中にあったなんてな」

勇者「ここに来る時もそうだっただろう? 歪みに巻き込まれた時」

剣士「そう言えばそうだったな」

勇者「だから転移魔法とは違う何かで転移してるんじゃないかな」

剣士「私達の知らない方法か……」

盗賊「……おい」

勇者「何だ?」

盗賊「俺達避けられてねぇか?」

ヒソヒソ… ヒソヒソ…
  ヒソヒソ… ヒソヒソ…

勇者「確かに俺達の周りには人が寄ってないね」

剣士「だが、私達の所為ではない事は確かだな」

勇者「ああ。ほら、そこ」

盗賊「ん? ……ああ、成る程な」

盗賊「つまりあいつの所為であいつ周辺に人が寄ろうとしないのか」

勇者「そういう事」

盗賊「で、何であいつはこんな広場の地べたで寝てるんだ?」

勇者「さあ?」

男「……ぐぅ……」スヤスヤ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/01(日) 11:46:39.37 ID:54WJUyQ0<>俺もいるぜ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/01(日) 11:52:09.65 ID:.clzOD6o<>寝る場所がなかったんだな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 11:53:15.32 ID:NUfBvp20<>剣士「どうしようか。起こすべきか?」

盗賊「あまり知り合いとは思われたくねぇな……」

勇者「その言い方はあんまりじゃないか? 確かに近寄りがたいオーラを出してるが……」

剣士「何でも良い。起こさなければ先に進めないだろう?」

剣士「それとも放って行くか?」

勇者「それは駄目だろ。ここに用があるのは男さんなんだし」

盗賊「仕方ねぇ、起こすか」

男「……むむ……駄目だって……」グッスリ

盗賊「寝言言ってやがる……」

勇者「やれやれ、どんな夢を見てるんだか」

男「あー……駄目だってば……女さん……」スヤスヤ

勇者「女さん……?」ピクッ

男「そこは……っ、……待て……俺達はこんな事しちゃ……いけない……」スヤスヤ ブツブツ

剣士「では起こすぞ。お――」

勇者「待て。俺が起こす」イライラ

剣士「ん? 別に構わないが……」

盗賊「どういう風の吹き回しだ?」

男「だから……何でそんな事しようと……はははっ……」スヤスヤ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 12:00:54.73 ID:NUfBvp20<>男「痛い! 痛いから!」

勇者「目が覚めたか? しっかり目を覚まして欲しいんだが」ゲシゲシ

男「起こすだけで人を蹴るのはどうかと思うぞ!?」

勇者「この方が効果的だと思っただけだけど」ゲシゲシ

男「だから止めてくれ! 痛いから!」

勇者「でも悪い事したな。良い夢見てる途中に」ゲシゲシ

男「関係ないだろ!?」

剣士「男の嫉妬って怖いな……」

盗賊「くそ醜い……」

盗賊「で、本当に心地よさそうに寝てたが、どんな夢見てたんだ?」

男「あ、あんまり憶えてないが、確か研究所で平和に研究してた頃の夢だったはず」

勇者「……」ゲシ…

男「漸く終わったか……」

勇者「……ちょっとやりすぎた。すまない」

男「美女のモーニングコールとまでは言わないけど、今度から気を付けてくれると助かる……」

剣士「それでどうしてこんな所で寝ていたんだ?」

男「とりあえずこの街に統治者がいる事までは分かったんだが、宿屋が見つからなくてな」

盗賊「誰かに頼めば家に泊めて貰えるんだぞ。みんな外の人より遙かに親切だぜ」

男「……そうだったのか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 12:15:53.07 ID:NUfBvp20<>盗賊「で、何で俺達より先にここに来てんだよ」

男「ああ、それはだな、俺が集合の街を探索してたら会えると思ったんだが、一人も会えなかったから」

男「もしかしたらもう統治者の所に来てるかもしれないと思ってな」

勇者「何か分かった事は?」

男「住民から聞いた話くらいだ。この空間はもの凄く広い」

男「空も果てが分からない。土も街の郊外でいくらか掘ってみたが、すぐ下が床ではなさそうだった」

男「このような空間……もっと小規模かもしれないが、似たようなのを知っている」

剣士「本当か!?」

男「空間歪曲装置というものを持ってる人らがいるんだが、その人達は小さな小屋の中に大きな城程の空間を凝集している」

男「もしかしたらその規模を大きくしたものかもしれない」

勇者「いや……それが不思議で仕方がないんだけど」

盗賊「あまり深く知ろうとするな。話が長くなりそうだ」

男「他に簡単な土壌検査もしてみたんだが、外の土とはまた別の成分が混入しているようだった」

男「それが何かまでは分からなかったが、とにかくそれがここの作物を成長する手助けをしているに違いない」

勇者「結構調べられているようだな」

剣士「私達にはある程度の流れしか分からない」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 12:24:04.13 ID:NUfBvp20<>男「まぁ、何であろうと統治者の神という人に聞けば分かる事だろうけどな」

男「神はこの楽園の創造主でもあるみたいだし。話が本当だったら、だけど」

勇者「じゃあその神様に会いに行こうか。宮殿ならもう見えてるし」

剣士「空まで伸びてるあの塔だな?」

勇者「そのようだな」

盗賊「宮殿ってイメージがしねぇな……」

男「だが問題があるのは分かるか?」

勇者「何が?」

男「話によると、その神様はあまり人に会わないらしい」

男「俺らが会える確証はゼロに近いんだよ」

勇者「大丈夫だ」

男「え?」

勇者「俺はその神様に会いに来いと言われている。俺が出向いた以上顔を出さないわけにはいかない」

男「は?」

剣士「創造主、統治者として、約束を破るのは印象が悪いはずだな」

盗賊「まぁ、何とかなるって事だ」

男「はい?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 12:32:12.88 ID:NUfBvp20<>――神の宮殿

勇者「宮殿って言うからには警備がたくさんいると思ったんだが……」

盗賊「一人もいねぇな」

剣士「誰も神様に逆らおうとしないのだろう。平和な証拠だ」

勇者「そうも言えるかな?」

男「不満を抱かない人が一人もいない世界があるのか?」

剣士「どうだろうな。だが警備がいないのは確かな事だ」

勇者「だけど困ったな……警備がいないとなると、俺達の事を中に伝える人がいないという事だ」

盗賊「って事は、勝手に入っても良いって事だ」

勇者「お、おい! いくら何でも勝手に入るのは――」

ギーッ…

盗賊「……あれ」

勇者「開けてしまったか……全く」

盗賊「いや、俺はまだ何も触れてねぇ」

剣士「という事は……」

男「入ってこいという事だな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 12:45:31.20 ID:NUfBvp20<>勇者「……案外質素な作りだな」

盗賊「そうか? 十分豪華と思うぜ?」

勇者「質素と言っても、外の国々の王宮と比べてだ」

剣士「確かに原の国でももう少し装飾品が飾られているな」

男「映画とかでは勝手に開いた扉をくぐると」

盗賊「何一人で言ってんだ?」

ギーッ… バタン!

勇者「!」
剣士「!?」

男「勝手に閉まるんだよな……。はぁ」

盗賊「……何がどうなっていやがる。こうなる事が分かってたのか?」

男「予想してたけど、まさか本当になるとは思わなかった」

神『ようこそ、私の宮殿へ。勇者とその仲間達、歓迎します』

勇者「この声……神!」

剣士「そうなのか!?」

神『その通りです』

男「悪い予感しかしない」

盗賊「今日のてめぇは勘が良さそうだな……」

勇者「言われた通り、訪ねてきたぞ!」

神『呼び掛けに応じていただいてありがとうございます』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/01(日) 12:48:48.56 ID:UozW0GcP<>見てるよー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 12:56:35.19 ID:NUfBvp20<>勇者「さぁ、俺達はこれからどうすれば良い?」

神『私はあなた達の知りたい事は殆ど知っているつもりです』

剣士「……」

神『あなた達の質問に出来る限り答えましょう』

勇者「では――」

神『まだ話は終わっていませんよ?』

勇者「……」

神『あなた達は外へ帰りたいと思います。その願いも叶えて差し上げます』

神『但し――』

盗賊「はっ、条件付きか」

神『私の所へたどり着くことが出来れば、ですが』

男「展開としては最上階にいると思ってるんだけど、どうなんだ?」

神『確かに私は塔の最上階にいます』

剣士「そこまで上れと言うのか……なかなか辛いな」

神『その通りと思います。なのであなた達は三十階まで上ってきて下さい。そこで最上階へ転移させましょう』

盗賊「なら最初からそうしてくれねぇか?」

神『それだと意味がありませんよ。なぜなら、この宮殿の各階には無数の罠が仕掛けてありますから』

勇者「なっ……!」

剣士「警備がいなくとも罠で十分という事だったのか……っ」

男「悪い予感的中か……」

盗賊「やれやれだ……」

神『それらの罠をかいくぐって来れれば、あなた達に“褒美”を差し上げましょう』

神『では、道中で死なないように願っております』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 12:58:06.43 ID:NUfBvp20<>腹減ったけど長いこと買い物に行ってなかったから食材がなかった……。

ちょっと買い物行ってくる事にする。というか眠い。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/01(日) 17:51:02.84 ID:SHOOgoSO<>みてる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/01(日) 20:01:14.83 ID:0vMSZAYo<>みてるよー
他の人も巡回ペースを落としてるから投下にすぐ反応出来ないだけで
ちゃんと見てるでしょう<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/01(日) 20:14:11.44 ID:RHN6CwAO<>見てますぜ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/01(日) 21:26:04.32 ID:qXT80kAO<>睡魔「一緒におかいものー」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 23:43:27.89 ID:NUfBvp20<>おおっと、どうやら買い物から帰ったら強烈な眠気に襲われてしまったようだ。
そして今、常時の眠気がにじり寄っているのが分かる……!
そりゃそうだよ。もう夜なんだから。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/01(日) 23:54:45.12 ID:NUfBvp20<>勇者「死なないようにって……おい、どういう事だ!」

……

剣士「返事はなし、か」

盗賊「嵌められたんじゃねぇか?」

剣士「まさか。ここの住人はみんな神様に感謝している。それ程悪質は人ではないと思うが……」

勇者「何にせよ。先に進むしかない」

盗賊「三十階までだったな? 少しばかり長ぇが、どうって事ねぇ」

男「まぁそう慌てない方が良いと思うよ」カチャカチャ

男「俺の国の諺でもある。急いては事をし損じる」ガチャガチャ

盗賊「で、てめぇは何してんだ?」

男「ここはとりあえず神様の言った事を鵜呑みにした方が良いと思っただけだよ」

男「みんなも万全の状態で臨んだ方が良い。何せ生死が掛かっているんだから」

勇者「確かに……」

剣士「慎重に進まなければな」

盗賊「所詮罠だ。何とかなるんじゃねぇか?」

男「俺の世界には――都市伝説かもしれないが、入れば死ぬと言われてる罠だらけの館がある」

盗賊「……ま、まぁ、慎重に行くに越した事はねぇな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 00:06:32.95 ID:IcB9bqw0<>勇者「それで男さんは何をしてるんだ?」

男「見て分からないか? 装備を調えてるんだよ」

男「これは役に立たないかもしれないが、暗視スコープ。赤外線も見る事が出来る機能付きだ」

男「そしてこれは――いつも装備してるけど、フォースランス。レーザー銃弾と高圧電流を放出出来て、かつ接近戦も何とか可能」

男「これは小型電磁パルス爆弾。範囲は小さいが、一時的に電子機器を麻痺させる事が出来る。これも役に立たないかもしれないな」

男「そしてこれだが……これが一番役に立つかもしれない」

剣士「何だ?」

男「盗賊は知ってるだろう。魔力流検知器。魔力の流れを調べるものだ」

盗賊「そう言えば黒の国での異変で女が使ってたな」

男「ここでの罠の多くは魔法によるものだと言って良いだろう」

勇者「原始的な罠じゃなければそうなるな」

盗賊「確かに落とし穴とかは魔力とか関係ねぇな」

男「本来この装置は各所の流れを測定し、平均の流れを取らなければならないが……」

男「ここは罠が多そうだし、局所的に予測出来れば良いと思ってる」

男「現に俺らの目の前に大きな罠が仕掛けられてる可能性が大きい」

勇者「……まじか」

剣士「危なかったな……」

盗賊「いきなりとかありか……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 00:15:55.99 ID:IcB9bqw0<>勇者「まぁ、本当かどうかは試してみれば分かる。水は反応するかな?」

男「それも試してみれば分かるんじゃないかな」

勇者「成る程。“水弾”!」バシュッ

ビチャッ

勇者「ここじゃないか……“水弾”」バシュッ

ビチャッ

勇者「“水弾”“水弾”“水弾”!」バババッ

ビチャチャッ……

  ……カッ!

勇者「……」
剣士「……」
男「……」
盗賊「……」

男「……驚いたな」

剣士「今……何が見えた?」

勇者「俺には天上から極太の白い閃光が走ったように思えたけど……」

盗賊「やべぇ……本気で死ぬぞ」

勇者「相手は本気というわけか……だがこうしていても始まらない。進むぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 00:38:57.31 ID:IcB9bqw0<>――神の宮殿、二階

男「とりあえず俺の後をついて来てくれれば、多分魔法の罠は掛からないと思う」

盗賊「信用できるのか?」

男「と言いつつ、ついて来てるのは誰だ?」

盗賊「うるせぇ」


――神の宮殿、三階

勇者「男さん! 前、前!」

男「え?」

勇者「絨毯の下から明らかに魔法陣がはみ出てる。廊下の真ん中を通った方が良いんじゃないのか?」

男「でも検知器はその真ん中が怪しいと言ってるんだけど……」

男「さっきの水の砲弾を当ててみれば分かるんじゃないか?」

勇者「じゃあ左端から右端までやってみようか。“水弾”“水弾”“水弾”」バババッ

ビチャッ シャキーン ビチャッ

剣士「真ん中を通っていれば串刺しだったな」

盗賊「魔法陣はカモフラージュか」

勇者「……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 00:48:10.98 ID:IcB9bqw0<>――神の宮殿、七階

男「どう考えても行き止まりなんだが」

剣士「どういう事だ? 私には壁なんて見えないが」

男「壁はなくても罠の壁があるんだよ。どのルートを行っても引っ掛かる可能性が高い」

勇者「どうすれば……ん?」

男「どうした?」

勇者「天上に不自然なものがある」

男「魔法陣……か」

剣士「もしかしたら解除の鍵かもしれないぞ」

勇者「そうか。“水弾”!」バシュッ

ゴオォォォォ!

勇者「うわわっ!?」サッ

剣士「罠だったか」

男「となるとどうするか……あれ、盗賊は?」

盗賊「何してやがる。さっさと次に行くぞ」

男「お前……どうやって……」

盗賊「てめぇが危険だって言った辺りよりこっち側にナイフ刺してみたら無事だったみてぇだし」

盗賊「飛び越えた」

男「……」
剣士「……」
勇者「……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 01:02:52.88 ID:IcB9bqw0<>――神の宮殿、十一階

男「ま、待ってくれ。疲れた……」

勇者「まだ十一階だぞ?」

剣士「このくらいで何を言っている」

男「鍛え方が違う人らが言っても説得力ない」


――神の宮殿、十三階

盗賊「だが案外楽に進むな。まだ怪我一つしてねぇとは」

勇者「これも男さんが便利なものを持ってるお陰だな」

男「流石魔法の世界か。魔法に依存してもらってある意味助かった」

剣士「私達は男さんがいる方が――」カチッ

勇者「え?」
盗賊「は?」
男「ん?」

剣士「……カチ?」

ドドドドドドドドドド…

盗賊「お、おい男! 罠があったじゃねぇか!」

男「魔法の罠じゃなかったんだ、きっと。しかしまずいな」

男「このままだと水に押されて今までの罠にかかることにもなる」

盗賊「なんだと!?」

剣士「くそっ、すまない」

勇者「謝ってる暇はない。みんな集まってくれ! “氷壁”!」カキーン

ドドドドドズドガボドドドカカカカドドドド…

勇者「……過ぎたか?」パリーン

盗賊「助かったぜ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 01:16:41.00 ID:IcB9bqw0<>――神の宮殿、十七階

勇者「一旦この辺りで休憩するか」

盗賊「正気か? 周りは罠だらけなんだぞ?」

男「俺は賛成だ」

剣士「勇者様に任せる」

勇者「頑張り過ぎも身体に悪い。いくらここが危険と言っても、身体は休ませた方が良い」

盗賊「……仕方ねぇ」

勇者「まぁ俺も少しは疲れってものがあるからな。男さん程じゃないにしても――」カチッ

勇者「――!」

剣士「次は何だ!?」

男「……っ」

盗賊「言わんこっちゃ――」

ガンッ

勇者「痛っ」

剣士「……鍋か?」

男「鍋だ」

盗賊「鍋だな」

勇者「……また可愛い罠もあったものだな。なんだろう、この安堵感は」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 01:28:15.37 ID:IcB9bqw0<>――神の宮殿、十九階

男「一応魔法の罠は避けられてるけど、気を付けた方が良いな」

勇者「うん。その穴を埋めるように普通の罠が仕掛けられてる。ここ数階」

男「誰が地雷を踏んだっておかしく――」カチッ

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ

勇者「あぶ――!」

カンカカカンカカンカンッ

剣士「……」ザッ

男「凄い……矢を斬り落とすなんて初めて見た……」

剣士「弓矢は戦場で汎用的な遠距離攻撃だからな。対応出来るようにはしてあるんだ」

剣士「男さん、怪我はなかったか?」

男「ああ。ありがとう」

剣士「それは何よりだ」

ヒュッ ドスッ

剣士「っ!?」

男「剣士さん!」
勇者「剣士!?」

剣士「……油断した。まさか時間差で一本残してるとは……」

剣士「大丈夫だ。多少痛むが、命はおろか動きにも支障は出ない傷だ。……ぐぅっ!」

勇者「そうだとしても手当は必要だ。傷口を見せてみろ」

剣士「……すまない」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 01:45:04.94 ID:IcB9bqw0<>――神の宮殿、二十三階

盗賊「くそっ、罠も手強くなってきやがった……」

男「困ったな……検知器でも計りづらい程密度が高くなってきた」

勇者「本番ってわけか……うっ」ズキッ

剣士「無茶はするなよ。勇者様はさっきの階で怪我してるのだから。……くっ」ズキキッ

勇者「それはお互い様だろ。怪我の回数で言うとお前の方が多い」

剣士「何を言う。怪我の数で言うと勇者様の方が多い」

男「無傷は少し……」

盗賊「肩身狭ぇな。何となく」


――神の宮殿、二十九階

勇者「はぁっ……はぁっ……」

剣士「ここを突破すれば……三十階か……っ」

盗賊「くそっ……結局俺も傷だらけじゃねぇか……!」

盗賊「なのにどうしててめぇは無傷なんだよ、おい!」

男「俺は人を庇えないけど、毎回庇って貰ってるずるい立場にいるからだな」

盗賊「……くそっ、こいつを庇うんじゃなかった」

勇者「まだ気を緩ませるな。三十階に着いたわけじゃないんだ」

勇者「例えばここで落とし穴で一階まで戻されたらどうする?」

剣士「……考えたくないな」

盗賊「……悪夢だ」

男「……ここは今まで以上に慎重にいこうか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 01:58:04.34 ID:IcB9bqw0<>――神の宮殿、三十階

盗賊「はあっ……はぁっ……!」

剣士「はっ……はっ……」

勇者「……着いたか」

男「酷く疲れた……。みんなもご苦労様」

勇者「ああ。とにかくみんな無事につけて良かったよ」

剣士「今朝までの平和が嘘のようだな……」

盗賊「全くだ」

神『まさか本当に到着してしまうとは思いませんでした』

勇者「この声は……」

盗賊「漸く神様のご登場ってわけか?」

神『私はあなた達の勇姿の一部始終を見守っていました。それぞれの能力の高さを思い知らされました』

神『さて、三十階は他の階と違う構造をしていますね?』

剣士「そう言えばここだけ開けた部屋になっているな。広さもかなりのものだ」

神『では最後の課題です』

ズシン…  ズシン…

神『私の宮殿の番人を倒して下さい』

勇者「何だと?」

ズシン… ズシン…
   ズシン…! ズシン…ッ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 02:00:27.01 ID:IcB9bqw0<>いやー、今日は結構書いたな。
前作ではこのくらいのペースが当たり前だった気がするけど……

さて今回はこのくらいにします。
追い出した睡魔がドアを叩く音がうるさい。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/02(月) 02:02:57.53 ID:nGWmkg2o<>ズシン… ズシン…
   ズシン…! ズシン…ッ!

神『>>1の睡魔を倒して下さい』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/02(月) 20:10:19.69 ID:lNDPPwAO<>前作同様焦らしプレイがお好きで 乙
>>210
なにその裏ボス<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 21:11:08.08 ID:IcB9bqw0<>これからコンビニに行ってくるが、帰り次第書きます。
眠くなったらしらないけどな←

>>210
難易度:Impossible<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/02(月) 21:22:17.75 ID:pEZWuYSO<>帰ってくると期待<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 22:45:31.81 ID:IcB9bqw0<>ズシン…ッ! ズシン…ッ!

?「……」

勇者「何だ……あれ……!」

剣士「巨人か? にしてはやけに堅そうだな……」

盗賊「でけぇ……」

男「ゴーレム……!」

神『宮殿の番人、鋼鉄巨兵です』

鋼鉄巨兵「……」

神『これと戦って勝てれば、私はあなた達と会いましょう』

神『最も、戦わないという選択肢はないと思いますが』

勇者「確かに……。戻っても罠だらけだな」

盗賊「運良く戻れた所でどのみち出れねぇ」

剣士「勝つか負けるか……見た目が劣勢なだけに嫌な選択肢だ」

男「外殻の材質は何らかの金属。傷つけるのは厳しそうだ……。かと言って関節から回路のようなものが見えている様子もない。やはり魔力で……」ブツブツ

神『それではあなた達の最後の勇姿を見させてもらうとしましょう』

神『気をつけて下さいね。それの攻撃は今までの罠同様、人を十分に殺せる能力を持っていますから』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 22:52:51.05 ID:IcB9bqw0<>盗賊「おい待て! こんなのとどうやって戦えってんだ!」

勇者「止めておけ。どのみち答えてくれないさ」

勇者「俺達でどうやって勝つかを考えるしかない」

剣士「さて、私の剣がどこまで通用するだろうか」チャキ…

男「ああでもないこうでもない……」ブツブツ

鋼鉄巨兵「……」ズシン… ズシン…

勇者「……来るぞ!」

鋼鉄巨兵「……」ドシンドシンドシンドシンッ

勇者「……」ササッ
盗賊「っ」タタタタッ
剣士「……」サササッ
男「うわわっ……!」ドタドタ

勇者「ひとまずこっちに引きつけるぞ! “水砲”!」バシュンッ

バシャッ

鋼鉄巨兵「……」グルリ

勇者「……予想はしてたが、全く効いてないな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/02(月) 22:57:36.66 ID:5ROuP3Yo<>剣の人は空気だな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/02(月) 23:10:44.07 ID:pEZWuYSO<>くそ…待ってるこっちがわに睡魔が…

睡魔は俺が預かる。今のうちに続きを…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 23:12:41.75 ID:IcB9bqw0<>鋼鉄巨兵「……」ドスンドスンドスンドスンッ

鋼鉄巨兵「……」ブォンッ!

勇者「っ!」サッ

ドガーンッ!!!

盗賊「おいおい……凄ぇ音だぞ」

剣士「あれに当たれば確実にただでは済まないな。勇者様大丈夫か!?」

勇者「ああ。男さんは危ないから下がっていてくれ!」

男「でも――」

盗賊「無茶はするな。激しく動くのは苦手だろうが」

勇者「この巨体からは想像できない程速い……それは見ても分かるだろ?」

鋼鉄巨兵「……」ゴゴゴゴ…

男「……すまん」

剣士「勇者様、また来るぞ!」

勇者「ああ」

鋼鉄巨兵「……」ドスンドスンドスンドスンッ

勇者「“火炎壁”!」ゴオォォォッ

鋼鉄巨兵「……」ブォンッ!!

勇者「!」サッ

ガゴーンッ!!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 23:25:48.54 ID:IcB9bqw0<>勇者「危なかった……」

鋼鉄巨兵「……」ゴゴゴゴゴ…

盗賊「はぁっ!」ヒュッ

カンッ…

鋼鉄巨兵「……」

盗賊「傷すら付かねぇだと……!?」

勇者「炎も水も駄目か……」

盗賊「俺が奴を引きつける。その間いくつか魔法を試せ!」

剣士「私の剣も効きそうもないな。私も陽動をしよう。一人はきついだろう?」

盗賊「助かる」

鋼鉄巨兵「……」ズドンズドンズドンズドンッ

剣士「来るぞ」

盗賊「分かってる」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/02(月) 23:49:45.90 ID:IcB9bqw0<>勇者「“雷撃”! “氷槍”! “鎌鼬”!」ババッ ヒュッヒュッ!

剣士「はぁあああっ!」カカカカカカカッ

盗賊「ちぃっ!」カンッ キンッ

鋼鉄巨兵「……」ドスンドスンドスンドスンッ

勇者「駄目だ……どれも効いてない」

剣士「土属性の魔法はやらないのか!?」

勇者「あれはここでは出来ないんだ。地上から三十階も離れた場所だし、何よりこの床は土壌じゃない」

勇者「こんな事初めてだ」

盗賊「じゃあどうす――」

鋼鉄巨兵「……」ヴォンッ

ドガーンッ!!!

盗賊「――どうすんだよ!」

勇者「今考えてるから!」

勇者〔英雄王、何か良い方法はあるか?〕

魔剣〔思い当たる節はある。だがキミの力と攻撃速度では無理だ〕

勇者〔結局ないんじゃないか?〕

魔剣〔いや。確かに力は足りないだろうが、攻撃速度は十分にある者がいるではないか〕

勇者〔……剣士か!〕

魔剣〔そうだ。あやつならばもしかしたら――〕<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/03(火) 00:47:43.74 ID:kJO6OsAO<>睡魔「wkwk」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/03(火) 20:26:38.35 ID:LWQVoISO<> <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/05(木) 02:12:28.32 ID:lylWGwAO<>いつのまにか ねていたようだ
いつまでも ねむいようだ

>>221
言ってる事とやってる事が少し矛盾してる気がするのは俺だけかな?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/05(木) 02:26:20.54 ID:lylWGwAO<>勇者「剣士、こっちに来てくれ!」

剣士「しかし巨兵が……!」

鋼鉄巨兵「……」ズドンズドンズドンズドンッ

鋼鉄巨兵「……」ブオンッ ドガーンッ!!

盗賊「く……っ」ササッ

剣士「っ!」サッ

勇者「頼む! 一つ妙案があるんだ!」

勇者「盗賊さん、暫く一人で巨兵の気を逸らしてくれないか?」

盗賊「任せろ! このくれぇ余裕だ!」

剣士「……すまないな」

盗賊「ただその妙案とやらをしくじったらただじゃおかねぇぞ」

勇者「俺に責任はあまりないぞ!」

剣士「それで、案と言うのは?」

勇者「……我がこれからキミに魔法を掛ける」

勇者「五分……それだけしか効かない魔法だ。その五分間に勇者の殆どの魔翌力をキミに注ぐ」

剣士「勇者様……ではないな。英雄王か?」

勇者「ああ。また少しの間、勇者の身体を借りておる」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/05(木) 02:38:06.74 ID:lylWGwAO<>剣士「成る程。妙案と言うのはお前のものか」

勇者「いかにも」

剣士「それで、私に魔法を掛けると言ったな? 付加魔法をも扱えると言うのか?」

勇者「確かにキミ達の言う付加魔法は出来ん。あのようなものは、大魔法使いかその道の者でなければ使えぬからな」

勇者「だがそれは道具等へ永きに残る魔法を付加する場合のみなのだ」

勇者「我がやるのはただ五分間の付加──強化魔法。良く言う付加魔法より魔翌力消費も少なく、詠唱も単純」

勇者「だが唱えれば、勇者の魔翌力は殆ど使い切るであろう。暫くは満足に動けぬはずだ」

勇者「ましてや──何度も言うが、五分間だけだ。その短い時間にあやつを倒せ」

勇者「理解出来たか?」

剣士「私が倒せる自信はあるのか?」

勇者「我の魔法を信じよ」

剣士「……分かった。やってくれ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/05(木) 02:49:56.12 ID:lylWGwAO<>勇者「ではまず、魔法を掛けやすい体勢をとってくれ」

剣士「?」

勇者「キミは二刀流だろう。二つの剣が離れていては掛け辛い」

勇者「平行に揃えてはくれないか」

剣士「ああ。……これで良いか?」

勇者「良し。ではそのまま動くな」

剣士「分かった」

勇者「  」ブツブツブツブツ

勇者「  」ブツブツブツブツ

勇者「  」ブツブツブツブツ

剣士「……」

勇者「  」ブツブツブツブツ

勇者「“脚力強化”、“腕力強化”、“速度付加”、“材質硬化”!!」

剣士「……終わりか?」

勇者「ああ。動けば実感もすぐに湧くだろう」

勇者「さぁ、じ──」フラッ

剣士「大丈夫か!?」

勇者「ああ……魔力を一気に消費しただけだ」

勇者「それより時間がない。早く行け」

剣士「……ああ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/05(木) 08:33:47.63 ID:F5DD/uko<>
羊「睡魔がやられたようだな…」
五円玉「フフフ…奴は四天王の中でも最弱…」
枕「人間ごときに負けるとは魔族の面汚しよ…」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/06(金) 01:17:44.32 ID:Y7hg0sAO<>>>227
睡魔「主人の悪口とは良い度胸だね。キミらは私の道具でしょうが」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/06(金) 01:36:28.80 ID:Y7hg0sAO<>剣士「……!」

勇者「どうした? 早く行かんか」

剣士「一歩、歩いた時でも違和感が……」

勇者「どうだ?」

剣士「……悪くない」

剣士「盗賊! 準備は整った。退け!」

盗賊「何をやるかしらねぇが、この巨体、どうして倒すつもりだ?」

剣士「……足元から削り取る!」シュンッ

盗賊「!」サッ

鋼鉄巨兵「……」ズド─

剣士「ハアァァァァッ!」カカカカカカカカカカカカカカカカカ─ッ

盗賊「は、速ぇ……!」

勇者「速度も魔法で強化されたみたいだしな」

勇者「しかしそれでもこれ程とは……盗賊さんにも見えるか?」

盗賊「ああ。明らかに、風が剣に纏わり付いてやがる」

勇者「『原国の竜巻』、真の竜巻になる。だな」

盗賊「なんだそりゃ」

勇者「知らないのか? 剣士は結構有名でな。異名が付く程の剣捌きをするんだ」

勇者「剣士の二刀流は怒涛の竜巻の如し。誰かがそんな風に言ったのだろうな」

盗賊「成る程な。だがこれを見てると合点がいく」

勇者「ああ」

剣士「ァァァァアッ!」ガガガガガガガガガガガガガ─ッ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/06(金) 01:57:11.85 ID:Y7hg0sAO<>鋼鉄巨兵「……」ズ… ズズ…

盗賊「あの巨体が……押されてやがる……」

勇者「やつの足も目に見えて削れてきているぞ。だが──」

鋼鉄巨兵「……」ヴォンッ

剣士「っ!」チュィィィインッ

鋼鉄巨兵「……」ヌォン

勇者「肉体強化もされてるから、今の剣士の攻撃速度ならやつの攻撃も跳ね返せてる」

勇者「だけど……時間が足りない」

盗賊「どういう事だ?」

勇者「英雄王──俺の魔剣に宿ったやつが掛けた付加魔法は五分しか持たないんだ」

盗賊「なんだと!?」

勇者「なのにまだ片方の足を半分も削れてない」

盗賊「それだけじゃねぇ。やつの弱点もわかってねぇんだぞ」

勇者「頭を潰せば大体は止まるさ。あの巨兵も動物だろ?」

盗賊「……」

勇者「ただそうするにしても、頭は高すぎるんだ」

鋼鉄巨兵「……」ズドン…ズドン…!

盗賊「良し、片足がなくなってバランスを崩しやがった!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/06(金) 02:12:40.11 ID:Y7hg0sAO<>勇者「いや……腕で持ちこたえたな」

鋼鉄巨兵「……」

剣士「くそっ……」

盗賊「だがこれてやつの攻撃を受けねぇんじゃねぇか?」

勇者「いや、まだ片腕──」

鋼鉄巨兵「……」キランッ

剣士「!?」

鋼鉄巨兵「……」チュイーーン

勇者「──以外にもあったな。まさか」

盗賊「やつの一つ目は飾りじゃねぇって事か……」

剣士「おい! 何なんだ、あの光線は! 触れただけで私の鎧が焼き切れたぞ!?」

勇者「そんな事より、よそ見するな! また来るぞ!」

鋼鉄巨兵「……」キランッ チュイーーン

剣士「くっ……脚力強化していても辛いな……」サササッ

勇者「早くしないと時間がないぞ!」

剣士「分かっている。だが近づけないんだ!」タタタッ

鋼鉄巨兵「……」キランッ チュイーーン

鋼鉄巨兵「……」キランッ チュイーーン

剣士「他に何か策はないのか!」

勇者「……っ」

鋼鉄巨兵「……」キランッ チュイ─ボンッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/06(金) 02:15:48.29 ID:.7epGloo<>おとこえもーん

男「しょうがないなぁ剣士くんは」

てけてけん

男「超振動破砕ソードー!これは鋼鉄だろうがなんだろうがバターみたいに切れちゃうんだよ」


センスないな…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/06(金) 02:29:37.89 ID:Y7hg0sAO<>勇者「!?」
剣士「!!」
盗賊「!?」

鋼鉄巨兵「……」シュゥ…

男「おお、漸く当たったな」

剣士「男さん!?」

勇者「一体どうやって……!」

男「あの目にレーザーを撃っただけだよ」

男「ゴーレムがレーザーを照射する為に、照射口までガチガチに固めるのは効率が悪いと思うんだ」

男「目だけ違う材質なのがその証拠だ。多分あれは魔石──確証はないが、リーツかエレックスだと思う」

男「で、女さん特製フォースランスのレーザー銃なら、魔石を壊せる事は実証済みなんだ」

勇者「とりあえず……良くやってくれた!」

盗賊「剣士、ボーッとしてねぇで早くしやがれ!」

剣士「言われなくても──!」タタッ

男「あっ、ちょっと待って!」ポイッ

剣士「──何──」

鋼鉄巨兵「……」ピク…ピク…

鋼鉄巨兵「……」ガラガラガラッ ドスン…ドスン…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/06(金) 02:41:13.51 ID:Y7hg0sAO<>鋼鉄巨兵「……」シーン…

勇者「……」
盗賊「……」
剣士「……」

男「もう良いよ。早くさっき見たいに削り斬ってくれ」

剣士「ちょっと待て! 何が起こったのか──」

男「早くしないとまた動くだろうから」

剣士「──っ」

剣士「分かった。頭を潰せば良いんだな?」

勇者「そうと思うが」

男「いや、体だな」

盗賊「てめぇはどうしてそう思うんだ?」

男「俺がロボットを作るなら、マザーボードは体に入れるからだな」

盗賊「……は?」

男「……不安なら両方擦り潰してくれたら良い」

男「正直、それが得策だと思う」

勇者「何にせよ、早くすると言うのは同意見だな」

剣士「そうか……どの道時間は……」

剣士「男さん、お前を信じよう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/06(金) 03:02:35.23 ID:Y7hg0sAO<>剣士「はぁ……はぁ……」

盗賊「……」

勇者「……終わった、のか?」

剣士「頭は……壊せなかったが……」

男「これで良いと思う」

男「体に大きな魔石が埋め込まれてただろ? 恐らくそれが核だ」

男「なぜ分かるかと言うと、黒の国へ行った時も似たような事を考えさせられたからなんだ」

盗賊「あん時か……って事は体にあった魔石は……」

男「恐らく、あのカプセルと同じ役割だな」

勇者「さて、聞きたい事は山程あるけど……」

勇者「とりあえず、あいつの身体をどうやって崩したか教えてくれないか?」

剣士「私も聞きたい」

男「ああ、それは……これだよ」ヒョイッ

勇者「……巨兵の残骸?」

剣士「……ではなさそうだな」

男「これは俺が放った、小型電磁パルス爆弾だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/06(金) 03:10:56.01 ID:Y7hg0sAO<>男「この爆弾は爆発はしないが、妨害電波を周囲に発生させるものなんだ」

男「ゴーレムの間接は何かで連結されているようには見えなかった」

剣士「そういえば……」

男「そこで考えたのが、何で連結されているかだ」

男「魔力。そう考えるのは簡単だが、俺は魔力とは何らかの媒介的な働きを持つと考えている」

男「したがって、魔力が何からの力となってそこにあるのだと考えた」

男「そして剣士さんが猛攻をし始めた時、耳に入ったのが金属音で──」

盗賊「要点だけ纏めてくれねぇか」

男「分かりやすく説明しようとしただけなんだが」

盗賊「誰も分かっちゃいねぇから」

勇者「そ、そんな事はないよ」

剣士「あ、ああ」

男「……」

男「まぁ、説明を続けようか」コホンッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/06(金) 03:23:37.62 ID:Y7hg0sAO<>男「つまり、ゴーレムを囲むように放った三つの電磁パルス爆弾によって」

男「それぞれの部位を連結する力──電磁力の流れを乱した」

男「それだけの事なんだ」

神『成る程。そのような方法を持っているとは思いもよりませんでした』

勇者「神、俺達はお前の番人に勝ったぞ!」

神『そのようですね。最も番人はそれだけではありませんが』

盗賊「まさか全員倒せなんて言わねぇだろうな……」

神『私はそこまで意地が悪くありませんよ』

剣士「これ以上何も要求して来ないだろうな?」

神『あれ、もしかして私の信用はないのですか?』

勇者「当たり前だ」
剣士「当たり前だな」
盗賊「当たり前だろ」
男「まぁ、そうだな」

神『……約束くらい守りますよ』

神『では、これからあなた達を私の所に招待します』

神『部屋の中央に集まってくれますか?』

勇者「罠じゃ……いや、疑ってばかりだと進まないな」

男「中央はこの辺りか?」

神『では、あなた達を転移させます』

神『準備は良いですか?』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/06(金) 03:26:43.57 ID:Y7hg0sAO<>ではそろそろ寝ようか。

折角起きたんだが、もしかしたら明日(と言うより今日)から暫く書けないかもしれない。
またリアルが忙しくなるらしい。そうなると暇があれば寝たいしね←<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/06(金) 03:27:45.22 ID:.7epGloo<>乙
睡魔との戯れに飽きたら書いてねwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/06(金) 08:34:02.72 ID:sFvvB6DO<>のんびり待ってるぜ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/06(金) 10:17:58.84 ID:gpA7.cAO<>俺も寝るから>>1来たら起こして<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/09(月) 02:28:49.82 ID:epNSvB.0<>リアルの用事は済んだぜ……。
またぐっすり寝れる!(隙を見ては居眠りしていたのは秘密

さて、寝る前に少し書くとしよう。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/09(月) 02:42:59.42 ID:epNSvB.0<>――神の宮殿、最上階

勇者「ここが最上階、か……」

盗賊「外とも下とも、他の階とも全然違ぇな……」

剣士「案外と殺風景だな」

男「俺ら以外に誰もいないようだが……あるとしたら椅子が一つくらいか」

剣士「成る程。あれが玉座とすれば、どうやらここは謁見の間のようだ」

神「その通りです。その椅子は玉座で、ここは王が住民の訴えを聞く所です」

盗賊「女だったのか!?」

男「いや、声からしてそうだっただろ。だがこうも美人とは……」

神「その言葉、ありがたく受け取っておきます」ニコッ

勇者「今までどこにいた? お前はその椅子に座って俺達を迎えるべき立場だろ」

神「その椅子は私の席ではありません」

勇者「じゃあ誰が……」

神「これからもずっと座ることのない王の席です」

神「……今のここの様子を見てきたでしょう。ここに王は必要ないのですよ」

男「民主主義……とは違うな」

神「はい。文字通り、自由奔放な世界ですから」

神「――さて、あなた達を招くにあたり、あなた達に話があります」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/09(月) 02:50:10.09 ID:epNSvB.0<>勇者「招かれたのは俺だけじゃなかったんだな」

神「はい。あの場で喋る事が出来たのはあなただけでしたから」

神「ですが、あなたを招けば他のお仲間も来るはずと考えていました」

盗賊「で、俺達を殺しに掛かったわけか」

神「その事ですが……本当にすみませんでした。心から謝罪します」

神「ですが、これは必要な事だったんです。その為に、力試しという形でこのような方法をとらせていただきました」

勇者「……どういう事だ?」

神「勇者。勇者父と勇者母の息子」

勇者「……」

神「そして同じ志を持つ仲間」

剣士「……」

盗賊「いや、俺は違ぇけど」

男「同じく」

神「……こほん。言い換えましょう。共に行動する仲間。よくこの場所を訪れてくれました」

神「あなた達にお願いがあります」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/09(月) 03:06:15.85 ID:epNSvB.0<>勇者「……それは何だ?」

勇者「太陽神であるお前から願いを、俺が受ける事が出来るのか?」

神「非常に難しい事かもしれません。ですが、受ける受けないに限らず、もうあなたは受けているのです」

勇者「どういう事だ」

神「私の願いは、あなたの志と同じ……いえ、その延長にあるかもしれません」

神「私の願い、それは魔の国を滅ぼす事です」

剣士「確かに勇者様が受けた命と同じだな」

勇者「俺が受けた命は魔王を倒す事だけどな」

盗賊「……確かに魔族は癪だ。だが三神のてめぇが魔族を敵視する理由はなんだ?」

男「盗賊にしてはまともな質問だな」

盗賊「うるせぇ。だがな……魔族の中にもただ平和に過ごしている奴もいるかもしれねぇし、そう思ってるやつもいると思うんだ」

盗賊「そういう連中を考えねぇで滅ぼすってのはどうかと思ってな」

勇者「元盗人にしては正義的な考えだ……」
剣士「さっきの戦闘で頭でも打ったか?」
男「盗賊ってこんなやつだったっけ?」

盗賊「うるせぇ! そこらの戦争狂と一緒にするんじゃねぇ!」

神「盗賊。名もなき盗賊団の頭。あなたのその質問は妥当なものです。答えましょう」

神「私が魔の国を滅ぼして欲しいと言っているのは、大陸人を贔屓しているからではありません」

神「他に二つの理由があっての事です」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/09(月) 03:24:24.26 ID:epNSvB.0<>神「理由の一つは、私の目が正しければ、彼らは“殺戮の民”の末裔です」

勇者「“殺戮の民”……?」

神「殺戮の民とは、昔、私のいた地で戦争を代理で行った民族です」

神「つまり、当事者で争いもせず、その地の民族によって争いもせず――」

神「――殺戮の民という奴隷を仕立て上げ戦わせていました」

神「つまり殺戮の民は戦闘能力に特化した人達の事を指します」

剣士「神々も惨いことをするな……」

男「だがそれが効率的ではある。神の国というのはさぞ経済も発展していただろうしな」

神「どうしてそれがここにいるのか……言わずとも分かるでしょう」

神「私達が連れてきたのです。語弊がないよう言っておきますが、戦争のためではなく、護衛のために」

勇者「……『達』?」

神「あなた達が作った神話にもあるでしょう。『月の神様』という童話にもなっているはずです」

神「最も、他の二人の行方はおろか、安否すらも知れませんが……」

神「とにかく、殺戮の民の血は非常に危険です」

神「何世代にも渡って殺戮の民として存在していたのですから、殺戮の民としての本能がある可能性があります」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/09(月) 03:34:28.11 ID:epNSvB.0<>盗賊「で、もう一つの理由ってのは?」

神「彼らが扱う技術、あなた達が亜法と呼ぶものの事です」

盗賊「……ここでも亜法か」

男「最近よく聞くな」

剣士「……亜法とは?」

神「亜法とは、元々私達の技術でした」

神「無論、それは使う者によって大変危険なものになります」

男「どのくらい危険なんだ?」

神「ものによって異なりますが……」

神「効率的に使えば、この星くらいなら簡単に滅ぼせるでしょう」

勇者「何だと!?」
剣士「馬鹿な!」
盗賊「まじか」

神「さて、それらを持っているのが殺戮の民の末裔と考えると、それこそ危険に思えませんか?」

勇者「聞いてる限りはそうだな」

盗賊「てめぇらの技術ってことは、ここにも使われてんだよな?」

神「はい。外見を山に見せているのも、中を広くしているのもそうですし」

神「先程戦っていただいた鋼鉄巨兵もそうです」

男「やっぱりそうだったか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/09(月) 03:46:29.77 ID:epNSvB.0<>剣士「だがそれなら疑問が残る」

神「はい、何でしょう」

剣士「同じ技術を持っているのならば、なぜお前が滅ぼさない?」

神「私は防衛には長けていますが、攻撃には長けていません」

神「この“楽園”の人達を守り抜く事は出来るでしょうが、今の私では魔の国の結界を破壊する事さえ出来ません」

勇者「そうだ! 一番問題なのはそこだ!」

勇者「魔王を倒すにしろ、魔の国を滅ぼすにしろ、あの結界をどうやって乗り切れば良いんだ?」

神「方法だけならば、知っています」

勇者「本当か!?」

神「ですが、それには様々な要素が不足しています」

勇者「それは俺には……無理って事か?」

神「そうです」

勇者「……っ」

剣士「勇者様……」

神「……ですが勇者、あなたならば努力次第でそれを満たすことが出来ます」

神「私の願いを聞き入れてくれるならば、私は助言を惜しまないつもりです」

勇者「聞き入れるも何も、そのうち達成させるだろ?」

神「……では、教えましょう」

神「あの結界も亜法なので、仕組みは把握しています。内部で制御しているので、外部からは壊すしかありません」

神「そのために、あなたがまず不足しているものは道具です」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/09(月) 03:48:08.36 ID:epNSvB.0<>くそ……流石に眠いぜ……っ

限界だ。
肩が重い。身体が重い。頭が重い。瞼が……重い……。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/09(月) 04:15:53.97 ID:mMXqlASO<>おつかれさま〜<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/09(月) 12:10:05.80 ID:DU3CWoDO<>おつおつ〜<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/09(月) 12:55:33.45 ID:Ng56ZMAO<>>>1
っ眠々打破<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 00:04:53.16 ID:JHoONDY0<>では今回も少しだけのろのろ書くといたしましょうか
眠いし←

>>252
眠眠打破は甘いからあまり好きじゃない。
ちなみに無水カフェイン150ml(総計)摂取すれば睡魔は押さえつけられる事は証明している。
つまりはリポビタン3本分。
リポビタンはおいしい←結論<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 00:22:32.26 ID:JHoONDY0<>神「亜法には亜法で対抗するしかありません」

神「亜法具――亜法を使う時に必要な道具には、魔石が必要とされます」

神「魔の国の結界に使われている魔石は九種類です。これを同時に扱う事が出来るのも亜法の特徴です」

盗賊「って事は、まず九種類の魔石を持ってくればいいんだな?」

神「いえ、これはあくまで亜法の話です。私は亜法具を作る事が出来ません」

神「ですから、あなた達が準備すべき魔石は“賢者の石”と呼ばれるものです」

勇者「“賢者の石”?」

剣士「聞いたことがある。だがそれはあくまで架空の話ではなかったか?」

男「ちょっと待て。賢者の石って何だ?」

神「賢者の石とは、魔石の元来あるべき姿です」

神「九つのエレメント、つまり土、火、水、雷、風、光、闇、無機物、有機物……」

神「現在九つの魔石の形となっているものは、元々一つの魔石としてあったという考えです」

勇者「そこから生まれたのが、賢者の石というわけか」

男「成る程。一種の統一理論だな」

剣士「しかしそれを実際に見た者はいない。だから架空の話なんだ」

神「ですが最近になって、私がいた地の亜法技術者にすら成し得なかった事を、この大陸の人は成し遂げようとしています」

剣士「それは本当か!?」

神「ええ。天賦の才、神に恵まれた頭脳……いえ、悪魔の発想とも言えるでしょう」

神「とにかく、その賢者の石を作り上げようとする者がこの大陸に現れたのです」

神「そしてそれは、あと少しで完成しようとしています」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 00:55:30.45 ID:JHoONDY0<>勇者「ではその人に会いに行って賢者の石を譲ってくれるように頼めば良いんだな」

盗賊「簡単に言うな。そいつにとって努力の結晶だぜ?」

勇者「そこを何とかするのも俺の仕事だろ。それで、その人は誰で、どこにいるんだ?」

神「彼がいるのは氷の国、大陸大山脈より北側の林の中に住んでいます」

剣士「そんな寒い所にいるのか。そもそも氷の国で街があるのは南側のはず……」

神「彼の名前はあまりにも有名です。今でも皆、彼をその呼称で呼びます」

神「“大魔法使い”。そう彼は呼ばれて、敬われてきました」

勇者「大魔法使いだと!? という事は……」

神「しかし彼はもはや魔法使いではありません」

神「連合にその名は残っていますが、連合の都合で残っているのです」

神「大魔法使いを除名することは惜しいという理由で」

神「彼は魔法を極めた者です。故にさらなる境地を目指したかったのでしょう」

神「そして今に至り、職と名を改めました」

神「今の彼は、錬金術師の錬金師」

神「この大陸で最も知れた大魔法使いは、そう名乗っています」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/10(火) 00:59:59.70 ID:g66VqgDO<>ファイトー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 01:05:46.82 ID:JHoONDY0<>剣士「大魔法使いの活躍を久しく聞かないと思っていたら、そういう事だったのか」

盗賊「そのくれぇの奴なら賢者の石ってのを作るって話も嘘に聞こえねぇな」

神「ですが彼でも、今のままでは永久に賢者の石を作れないでしょう」

勇者「どういう事だ?」

神「何かが足りないのです」

神「そしてその何かを彼は知っています。そして、私も知っています」

神「そしてその何かがある場所を、勇者、あなたは知っているはずです」

勇者「俺が?」

神「はい。その剣を持っているという事は、その場所に行ったはずですから」

勇者「この剣……」

魔剣〔我の墓だな〕

勇者「そうだな。英雄王の墓だ」

神「……英雄王の墓、ですか?」ピクッ

勇者「そこなんだろ?」

神「……いえ、違います。どうやら先客がいたようですね」

神「という事は、その剣には既に魂が入っているのではないですか?」

勇者「ああ。英雄王って奴が入ってる」

魔剣〔この剣は元々我が見つけたものだからな〕

勇者「元々英雄王が見つけたものらしい」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 01:06:48.69 ID:JHoONDY0<>>>256
イッパァァァァアアツッ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 01:22:07.93 ID:JHoONDY0<>神「そうですか……ではその英雄王が知っているはずです」

勇者〔この剣はどこで見つけた?〕

魔剣〔亡者の砂漠だ〕

勇者〔亡者の砂漠? ……ああ、死霊の砂漠の事か〕

魔剣〔あれは我がまだ若い頃でな――〕

勇者〔その辺省いてくれ〕

魔剣〔つれないな……〕

魔剣〔亡者の砂漠に遠征に行ったときにたどり着いた遺跡にあったのだ〕

勇者「死霊の砂漠の遺跡か……」

神「では恐らくそこにあるでしょう」

剣士「死霊の砂漠に遺跡だと?」

勇者「英雄王はそう言ってるけどな」

神「有り得ない話ではありません。死霊の砂漠、三日月山脈の地域は元々広く高い山でした」

神「ですが私達が来たときに、死霊の砂漠と三日月山脈になったのです」

神「ですから、そうですね……その遺跡をモーネの遺跡と呼べば分かりますか?」

勇者「つまりこの剣も大魔法使いが欲しいものもモーネの持ってきたものだと言うことか?」

神「はい」

剣士「大陸の北と南……位置も間違ってはいないな」

男「それにしてはあまりにも中央に寄ってる気がするけどな」

剣士「神話の多くは大げさにされているからな。そのくらいはあっても問題はない」

勇者「つまり大魔法使いの所へ行く前に、そのモーネの遺跡へ寄ってそれを取ってこいという事か」

神「はい。それで賢者の石は完成すると思います」

勇者「それで、俺に他に足りないものは?」

神「ああ、もうそれは大丈夫です」

勇者「え?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 01:34:29.46 ID:JHoONDY0<>神「もう一つ不足しているもの。それはその剣に宿す人の魂……」

神「と言おうとしたのですが、それは既に持ってたようです」

勇者「そういう事か」

神「しかし、強いて言うならば、あなたとその魂のシンクロを高める事でしょう」

勇者「シンクロ?」

神「その剣に宿る魂は魔力の高い者に限ります。恐らく英雄王という方も大きな魔力を持っているのでしょう」

神「そしてその剣は、元々とある魔法剣士の為に作られた亜法具です」

神「自分の死後、弟子と共に戦い、弟子の力になってやりたい。そういう願いから作られました」

神「しかし作っている途上で、その弟子が亡くなり使われることはありませんでしたが」

神「その剣はそのような理由で作られた事から分かるように、宿した魂と持ち主が協力することによって、個人では出し得ない大きな力を発揮することが出来るのです」

神「最も、これはあなた達次第ですが」

勇者「そんな能力があったのか……」

勇者〔お前とはあまり協力したくないな〕

魔剣〔どうして我をそう邪険に扱う!?〕

神「魔の国の結界は完璧です。ですが完璧さのあまり、わずかなヒビも許されないのです」

神「賢者の石とその剣の力を合わせれば、結界にヒビを入れる事が出来るでしょう」

神「ヒビさえ入れば、結界は連鎖的に崩壊するはずです」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 01:45:32.90 ID:JHoONDY0<>神「ところで一つこちらから聞きたいのですが……」

神「英雄王、聞こえていますか?」

魔剣〔聞こえていると伝えてくれ〕

勇者「聞こえてるらしい」

神「それは良かったです」

神「モーネの遺跡へ行ったとき、そこにモーネはいましたか?」

魔剣〔それはだな……。ちょっと勇者、身体を借りるぞ。キミを介するのは面倒でならん〕

勇者「おいちょっとま――」

神「?」

勇者「モーネ様はやはりあなた様のように聡明な方でしたか?」

神「聡明かどうかは分かりませんが、あなたが来たならば何らかのお持てなしをしたはずです」

勇者「それはあなた様が勇者らにしたような事ですか?」

神「あれはただ力試しをしただけです。何事もなければ、すぐにここへ通したでしょう」

勇者「ではわたくしめはモーネ様に会ってはいないと思います」

神「モーネに会ってはいない、という事は誰かには会ったのですね?」

勇者「単なる気の狂った番人一人と会い、会話ともならぬ会話をしたのみです」

神「……そうですか。英雄王、ありがとうございました」

勇者「いえ、このくらいで良ければ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 01:58:52.54 ID:JHoONDY0<>神「さて、私の願いも話しましたし、あなた達の聞きたい事も話したと思います」

勇者〔何だよさっきの口調は〕

魔剣〔相手は神なのだぞ? 神に対してタメをはるなんぞ冒涜にあたる〕

勇者〔俺に対してはどうなんだ?〕

魔剣〔キミは我より遙かに目下だからな〕

勇者〔なんか腹が立つ……〕

神「他に何か聞きたいことはないですか?」

勇者「俺はないな」

剣士「同じだ」

盗賊「元々ねぇしな」

男「じゃあ俺から良いかな?」

神「はい。何でしょう」

男「ここの外――炭坑山付近で起こっている空間歪曲現象は何か」

神「あれはこの楽園への入り口です。厳密には、入り口が故障し暴走した結果のものです」

男「つまりはここ最近に起こったものではない、と」

神「私がここに来てからずっとなっています」

男「ふむ……。まぁそれはそれとして、どうして直さないんだ?」

神「直せないからですよ。……いえ、直せなかった、と言っても良いでしょう」

神「修理するために必要なものがなかったのです」

神「ですが、もし良ければ、モーネの遺跡からそれを回収してきてはもらえませんか?」

男「それで空間歪曲は収まるんだな?」

神「はい」

男「どのみち死霊の砂漠には行かないといけないし……良いよな、勇者さん?」

勇者「良くない理由がないね」

神「ありがとうございます」

神「では、あなた達が回収するもののイメージを持ってきましょう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 02:15:52.52 ID:JHoONDY0<>勇者「……これを探せば良いんだな?」

神「はい。恐らくとても多くのものの中から探さなくてはならないと思いますが」

勇者「問題ない」

男「修理に必要なのはこの部品一つでいいのか?」

神「はい。後は魔力が必要なだけですから」

神「イメージと一緒に記した手順で探せば、それは見つかるはずです」

男「勇者さんのものと比べれば簡単そうだな」

勇者「羨ましい限りだよ」

神「見つけたら、それを空間歪曲の起こる範囲に置いていただくだけで構いません」

勇者「それだとたまに別の所にいくんじゃ……」

神「本当に稀なことです。その時は運が悪かったとしか言い様がありませんよ」

神「では、私に聞きたいことはこのくらいですか?」

男「だな」
勇者「うん」

神「では、今からあなた達を外に帰しますが、問題はありませんか?」

勇者「ない……よな?」

剣士「ああ」
盗賊「当たり前だ」

神「では、私の力が及ぶ範囲ではまだ空間歪曲が起こる所までです」

神「しかしこの場では転移魔法は制限されています」

神「ですから、外に出たらすぐに転移魔法を行って下さい」

勇者「分かった」

神「では、あなた達に無事な旅路がありますよう――」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 02:24:35.03 ID:JHoONDY0<>――石の国、炭坑の町

剣士「……うぅ」

盗賊「……」

勇者「また転移酔いか?」

剣士「やはり慣れない……」

男「本当に苦しそうだな」

盗賊「なんでてめぇは……大丈夫、なんだ……っ」

男「さぁ?」

勇者「とにかく、次の目的地は死霊の砂漠で良いよな?」

男「俺は用事が済んだからそれで良いが」

勇者「死霊の砂漠に行くに当たってまず白の街へ戻りたいんだけど……」

勇者「荷物を回収してすぐに転移出来るか?」

剣士「今日はもう……休ませてくれない、か……?」

盗賊「明日、にしようぜ……。すぐにまたやられ、ちゃ死ぬ……」

勇者「ははは……」

男「……はぁ、仕方ないな」

勇者「明日また転移することにしようか」

男「白の街から離れるのもまたその翌日になりそうだけどな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/10(火) 02:29:40.93 ID:JHoONDY0<>今回はここまで! なんかもの凄くキリが悪い……(主観的に
つーか何だよ亜法って。今更だけど。
当初はただ科学と剣と魔法の世界の勇者魔王ものが書きたかっただけなのに!
誰か暴走するこの設定を止めてください……。

そして他のSSを読んでると次々と別のアイデアが湧いて来るという苦しみ←<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/10(火) 08:00:31.39 ID:Z9H9VI.o<>使えないアイデアは続編や過去の時代の話に<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/10(火) 10:09:41.46 ID:iZQIQKwo<>ところで亜法ってアホうって読んじゃってるけどおk?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/10(火) 12:49:29.84 ID:cJRBPQAO<>「あほう」でOK。
名称だけ『異世界の聖機師物語』からパクってきた。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/10(火) 13:24:58.41 ID:QcXsjYSO<>しゃべる剣ってテイルズのあれみたいだな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/10(火) 13:35:28.03 ID:7iFxFEAO<>阿呆がッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/10(火) 20:28:00.22 ID:cJRBPQAO<>今日は頭痛が酷く、又明日は早くから友人との約束があるので、寝させていただきます。
明日も又、帰りが遅くなるのでもしかしたら書けないかもしれません。

>>269
ゲームのハードを持ってないから何の事かさっぱりです←
俺もテイルズやりたい……。

>>270
あ、阿呆って言う奴が阿呆なんだぞっ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/10(火) 23:57:39.99 ID:QcXsjYSO<>テイルズ オブ デスティニーにソーディアンっていう知能を持つ剣が沢山出てくる
昔は人だったらしい
それを装備すると魔法が使えるようになる

しゃべる剣だとフジリュー版封神演技にも出てくるな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/15(日) 00:35:18.25 ID:2bZ4sEAO<>何だか暫く書けないかもしれないので現状報告。

PCオーバーヒート→PCから書けない→気力減少→眠気増大→睡眠期突入←眠気が押し寄せる←緊張が解ける←諸用が済む


>>272
本当に似ていますね。
まるで俺がそこから設定をパクったかのようだ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/15(日) 01:02:22.84 ID:A0SEuwAO<>睡魔「>>1を眠らせて私も寝る……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/15(日) 02:36:39.33 ID:mKAiQ..o<>まぁパブリック設定だしね
そりゃかぶるでしょ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/15(日) 19:43:04.63 ID:yMuf8LQo<>小説でストームブリンガーより前に意思を持つ剣って何かある?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/17(火) 01:00:40.35 ID:en.fxRQo<>ho<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 02:20:38.46 ID:PMol5.o0<>書かなきゃ俺の頭がオーバーヒートしそうで困る。
PCが安全に起動したから少し書きますよー!

>>275
良くあることですね。
所詮私は田舎者の川頭君という事です。

>>276
知らなかったのでググってみたら読みたくなった。
……絶版とかしてないよね? デュマレストサーガみたいに。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 02:34:02.05 ID:PMol5.o0<>――???、大陸連盟議会場

白国王「……」
水国王「……」
野国王「……」
氷国王「……」
原国公「……」
石国王「……」
砂国王「……」
雪国王「……」
星国王「……」
帆国王「……」
月国王「……」
黒国王「……」
潮国王「……」
芽国首脳「……」
青国王「……」
風国王「……」
煙国王「……」
波国王「……」
丘国王「……」
火国首脳「……」
葉国王「……」
馬国王「……」
土国王「……」
粒国王「……」
日国王「……」
針国王「……」

白国王「……みんな揃ったな」

白国王「これより、連盟会議を始める!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/18(水) 02:38:13.67 ID:tSEu/Tgo<>縦読みはどこですか?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/18(水) 02:53:54.80 ID:Hxy889.o<>えっ来てるの?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 02:54:10.05 ID:PMol5.o0<>白国王「ここ最近、我が国では魔物による被害報告が多発――いや、以前と比べて格段に多くなっている」

白国王「我が国でさえ、それらの処理をやっとの事で済ましている程だ」

白国王「他の国々にも意見を聞きたい。これは我が国だけではないだろうと推測している」

白国王「これと同じ、また類似する事態が起こっている国があれば、その場にて挙手を願いたい」

サッ…

白国王「ふむ……どうやら他の所も同じようだな」

白国王「念の為に聞いておく。我が国と違う事態にて不祥事に陥った所はないか?」

ス…

白国王「……何だ? 言ってみろ、針国王」

針国王「これよりする発言は我が国の事だけでなく、日の国、粒の国、そして土の国においての事であり、私はこれら四つの国の代表として発言する」

白国王「承知した」

針国王「先程挙手したように、これら四国もまた魔物の被害が増大している」

針国王「それに加え、我らは竜の国との戦線を任されている者達だ」

針国王「長年の戦いにも関わらず、未だにその勝敗はつかない」

針国王「これは大陸経済の為というのは重々承知。しかし――」

月国王「事実、物資と金融の循環は当初の計画通り……いや、それ以上じゃないか」

丘国王「お主達は大陸を支える重要な役割を担っているのだ。その名誉の何が不満というのだ」

針国王「何が不満か……だと……?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 03:05:27.81 ID:PMol5.o0<>針国王「不満も何も全てが不満だ!」

日国王「針国王!」

針国王「何が名誉だ! それ程名誉ならばお主の国が担えば良い!!」

粒国王「落ち着くんだ! 公の場だぞ!」

土国王「……」キッ

針国王「……っ!」

針国王「私は……我が国は、こんな事の為に連盟に入ったのではない……!」ギリッ

針国王「我が国民も、日の国民も、粒の国民も、土の国民も……限界なのだ……」

針国王「竜の国から、魔の国から、魔物から攻められ、既に瀕死の状態なのだ……」

白国王「……お主らの役割は、非常に名誉な事だ」

針国王「白国王、お主らは――!」

白国王「その名誉はお主らの忍耐にこそあるもの。非常に辛い事は承知の上だ」

白国王「わしはずっと悩んでおった。お主ら四国を酷使させすぎているのではないかと」

針国王「……」

白国王「せめて、竜の国からの痛みくらいは取り除いてやりたい。そう思っておった」

白国王「そして転機はやって来た。今日集まって貰ったのはそれを話したかったが為だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 03:26:17.91 ID:PMol5.o0<>ザワ… ザワ…
  ザワ… ザワ…

白国王「わしの部下に国内の調査をさせたところ、魔物による被害の増加の原因は魔物そのものの増加にあったようだ」

白国王「奴らは倒しても倒しても湧き出てくる。その理由は知っての通りだ」

雪国王「……魔の国だな」

白国王「その通りだ。奴らは目立った攻撃はしてこない。しかし、魔物を大陸に放つ事でじわりじわりと大陸を蝕むつもりだ」

白国王「そして大陸で行動しているのは魔物だけではない。これは小耳に挟んだ者もいるだろう」

黒国王「……」

白国王「先日、黒の国で異変が起こった。その所為で街が数カ所消えた」

白国王「我が国の調査隊によると、その異変を起こしたのは魔族という」

白国王「彼らもまた、大陸内部から攻め込むつもりだ」

石国王「表だったものだけではない。ひっそりと大陸の人間を魔の国の方へ取り込むようにもしているようだ」

水国王「それは真か!?」

石国王「うむ。これは我が国の名誉に傷が付くだろうと思い、あまり言いたくはないのだが……もはや躊躇している場合ではないかもしれん」

石国王「我が国のある街を中心とする領地を保有する領主が魔族に惑わされたという報せを以前耳にしたのだ」

ザワ… ザワ…
  ザワ… ザワ…

石国王「無論、その者は刑罰に処したがな」

水国王「ではもしかしたらこの中にも……」

星国王「……可能性はあるな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 03:42:07.75 ID:PMol5.o0<>ザワザワ… ザワザワ…
  ザワザワ… ザワザワ…

白国王「静かに!!」

…シーン

白国王「この場で裏切り者の話は聞きたくはない。何かを疑えば全てが怪しく思える」

白国王「そうなれば我々は互いに信用する事が出来ず、分離する」

白国王「それこそ魔の国の王、魔王の思う壺ではないか?」

白国王「……ここでは全てを信じようではないか」

野国王「……そうだな」

芽国首脳「白国王の言う通りだ。疑心に駆られてはいけない」

白国王「では本題に移るが良いかな? 異議ある者は挙手をせよ」

……

白国王「良し。では本題に入る」

白国王「どの国も知っての通り、今や魔物と潜伏する魔族とを対処するのに精一杯だ」

白国王「それこそ、今や竜の国なしでも経済は動くと思わないかな?」

針国王「そ、それでは……!」

白国王「土の国、日の国、粒の国、並びに針の国に、竜の国との戦争を終戦させる事を許可する事を提案する。賛成の国は挙手を」スッ

針国王「無論賛成だ」スッ
日国王「うむ」スッ
粒国王「我らに反対する理由はない」スッ
土国王「……」スッ

原国公「白国王がそう言うならば」スッ

石国王「対魔の国に集中すべきだな」スッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 03:55:02.15 ID:PMol5.o0<>白国王「……決議の結果、賛成十五カ国、反対十一カ国」

白国王「賛成が七割未満の為――」

針国王「待て! 待ってくれ!」

白国王「針国王。わしも残念だがこれは決議の際に決まったことなのだ」

針国王「せめて何が不満なのか聞かせてくれないか!」

針国王「それが解決する手立てがあるかもしれないではないか!」

白国王「……ふむ、一理あるな。反対とした理由を聞いてみれば、形勢も変わるだろう」

白国王「では月国王、何が不満であった?」

月国王「……お主達は忘れてはいないか? 勇者の存在を」

月国王「もう我らの命を受け、彼は長い時を旅している。魔の国の結界が解ける時も近いはずだ」

月国王「魔物を相手して物資の流通を良くさせる。その方法に不満はない」

月国王「だがすぐにそれは出来なくなるのだ。魔の国が滅びれば、魔物もまた滅びるのだからな。魔族も然り」

月国王「今竜の国を倒し、そしてその後に魔の国を倒すならば、次に何と対峙すれば良いのだ?」

月国王「何と対峙し、どのように何を消費すれば良いのだ?」

針国王「そ、それは……っ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 04:03:50.97 ID:PMol5.o0<>白国王「それはそれ程に急いで結論を出すべき事かな?」

月国王「何!?」

針国王「白国王!」

白国王「勇者は漸く結界を解除する為の鍵を掴んだところだ。解除までにまだ時間は掛かる」

白国王「解除してからも魔の国制圧までに時間は掛かる」

白国王「制圧後も魔物が消えるまで時間は掛かる」

白国王「全てが終わるまでには考えられないだろうか」

白国王「今度は戦争をしないで済む方法を。誰も堪え忍ばなくても良い方法を」

月国王「……」

針国王「……」

白国王「これで納得してくれたかな? ……ではわしの案に新たに事項を付け加える必要があるな」

白国王「その前に聞いておこう。再決議をするが、異論のある者は挙手せよ」

……

白国王「良し。では――」

白国王「土の国、日の国、粒の国、並びに針の国に、竜の国との戦争を終戦させる事を許可する事。そしてこれが可決された際には、各国が、万国万民平和であるような経済を築く為の議案を考え出す事を課題とする」

白国王「これに賛成の者は挙手を」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 04:16:19.42 ID:PMol5.o0<>白国王「――決議の結果、賛成二十四カ国、反対二カ国」

白国王「よって過七割より、この議案は可決された」

白国王「一応反対意見を聞いておこうか。月国王」

月国王「……ふんっ」

白国王「はは……話す気はなさそうだな。では風国王はどうしてだ?」

風国王「考える、と言うのが少々不安なだけだ。実際の所異論はない」

白国王「成る程」

白国王「では他から議案の提唱はないか? あるならば挙手を願いたい」

……

白国王「他にないようなので、本日の連盟会議はこれにて解散とする」


粒国王「ありがとう。恩に着るよ、白国王」

白国王「いいや、わしも今まで何も出来なかったからな。結局はお主らを苦しめていただけだ」

日国王「だが、それでも我ら四カ国を戦争から解放してくれるんだ」

土国王「……」

日国王「土国王も内心かなり喜んでるんだ。口では言わないがな」

白国王「ほう。いつの間にそれ程の仲になったのだ?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 04:27:45.73 ID:PMol5.o0<>針国王「まぁ、戦争をしていて唯一の長所だな」

針国王「戦友と仲が良くなる」

白国王「針国王、先程は素晴らしい怒声だったぞ」

針国王「あれは……はは……」

粒国王「針の国にも感謝してる。今回もそうだが、戦場でも最前線に行ってもらってるからな」

白国王「ほう」

針国王「国自体は竜の国から一番離れた最も安全な地域だ。そのくらいはしなければ我が国は卑怯者だ」

針国王「勿論今回の勝ち戦でも最前線を行かせてもらう」

日国王「針国王は一度言えばあまり変えないからな……無理させて国民を泣かすでないぞ」

針国王「分かった分かった」

白国王「わしの国からも兵を出そうか? 少ないだろうがいくらかは出せるぞ」

針国王「ありがとう。危険になった時はそうさせてもらうよ」

白国王「分かった。……ふむ」

粒国王「どうした、白国王?」

白国王「漸く世界が平和に向かい始めたと思ってな……。そうは思わないか?」

日国王「さぁ。我々にはそのような事を考える暇はなかったからな」

白国王「そうか……。まぁ、後は勇者次第と言ったところだろう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/18(水) 04:28:39.65 ID:PMol5.o0<>では今回はこの辺りで布団に潜ります。
おやすー。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/18(水) 04:31:18.64 ID:bD.zGYAO<>乙ー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/18(水) 07:54:05.94 ID:vO3bLkSO<>そういえばこの世界の情勢忘れてた<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/18(水) 22:06:03.56 ID:T6lBbAAO<>魔法使いのこと忘れかけてた<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 00:12:31.10 ID:1IKw3bM0<>>>292-293
いくら遅筆だからとは言え、忘れるの早いよ!?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 00:35:17.39 ID:1IKw3bM0<>――死霊の砂漠

男「月影の町を出てどのくらい経ったっけ?」

盗賊「まだ三日程度だろうが」

剣士「何だ、もう音を上げたのか?」

男「そうは言ってもな、歩いても歩いても同じ景色だ。流石に飽きる」

勇者「砂漠なのだから仕方ないだろ」

男「それにこんなにも大量の水と食糧を持って歩くって言うのはかなり辛い」

盗賊「だがなければ俺達は死ぬぞ? それでも良いってのか?」

男「せめて俺に持たせないでくれないか……。ただでさえ様々な道具があって重いんだ」

盗賊「じゃあ持ってくんなよ……」

剣士「そう言うな。彼の鞄に入っている珍妙な道具の数々は彼の商売道具なんだ」

剣士「私にとっての剣、お前にとっての短剣」

男「そう言う事だ」

剣士「しかしそう言う事ならば平等に持つべきだろう?」ニコリ

男「う……」

勇者「まぁ、辛くなったらいつでも言ってくれれば良い」

勇者「先に進むのが無理なようならそこで休むから。どのみちこの先長いんだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/19(木) 00:48:04.97 ID:BVxfQcSO<>考えてみたら女の存在も薄くなってた
まだ他にも忘れてそうな設定がありそうだな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 00:50:32.43 ID:1IKw3bM0<>〜三日前〜
――白の国、月影の町、宿屋

盗賊「今戻ったぞー……って何だ、これは!?」

剣士「水だ」

盗賊「それは分かってる。だがこの量はどういう事だ?」

勇者「砂漠では水の消費が凄いんだ。普段通りに取っていたら死ぬよ」

盗賊「そうなのか? しかしこんだけの容器、良く手に入ったな」

剣士「死霊の砂漠には面白半分で入る奴もいるらしいからな」

剣士「この容器一ついくらしたと思う? 銀三枚だぞ?」

盗賊「高ぇ……。店の奴、足下を見てやがるな」

勇者「この砂漠は処刑場であるだけでなく、観光地にもなっているからな」

盗賊「それは知ってるぜ。俺も盗賊の端くれだからな」

盗賊「未踏の砂漠に散らばる宝物だろ? 命を捨ててまで行く気にはなれねぇな」

勇者「あまりにも危険な観光地だ。死ぬ気がなければ早い所で折り返してこい、って水の容器を買った店の人にも言われた」

勇者「まぁ、俺達はかなり深い所まで行きそうだけどな」

剣士「ああ。英雄王が生死を彷徨う程の距離を歩かなくてはいけない」

盗賊「あまり行きたい所じゃねぇな……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 01:01:49.22 ID:1IKw3bM0<>勇者「そうだな。あまり行きたくはないな」

勇者「……お前は別に来なくても良いんじゃないか? これと言って目的もないだろ?」

盗賊「何言ってんだ。俺には男の保護者という役割がある」

剣士「あいつに保護者は必要に思えないが……」

盗賊「他人の心配しちゃいけねぇ道理はねぇだろ?」

剣士「……ふっ、そうだな」

盗賊「そう言えば男はどこ行った?」

勇者「外を見て回ってくるって出て行ったぞ」

勇者「それよりそっちの首尾はどうだ?」

盗賊「ああ、ばっちりだ。まさか生きてる間にこれ程の干し肉を買うとは思わなかったぜ」

勇者「良し。後は男さんを待って簡単な作戦を立てようか」

盗賊「作戦?」

剣士「がむしゃらに進んだ所で野垂れ死ぬだけだ。進路を事前に決めるのが得策と思う」

勇者「そういう所は男さんの意見も貴重だからな。男さんは変わった視点を持ってるから」

盗賊「その事には同意だな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 01:12:03.02 ID:1IKw3bM0<>ガチャッ

男「ただいま。おお、盗賊も帰ってたか」

盗賊「てめぇがふらついている間にな。……ん?」

盗賊「てめぇの鞄、いつもより膨らんでねぇか?」

男「ああ、ちょっと良い布地を売ってたからな」

勇者「布地?」

男「そう。これから砂漠に行くから役に立つと思ったんだ」バサッ

男「表は白、裏は黒の大きな布地。この下で寝るのが良いんじゃないかな?」

剣士「それで寝るとは……それを布団にでもするつもりか?」

男「いや、寝る時は穴を掘って、その穴をこれで蓋をするんだ」

男「片方は黒いからしっかりと影になって、片方は白いから日光もある程度は反射してくれるはずだ」

勇者「ちょっと待った。寝る時は夜だろ?」

男「いや、昼だろ」

勇者「え?」

男「砂漠を徒歩で進む時は昼に寝て夜に動く。時間が掛かっても良いなら、屋根付きのもっと速い足を作るが」

勇者「時間が掛かるってどのくらいだ?」

男「少なくとも一ヶ月は必要だ。材料を集めるのを考えると二ヶ月くらいか?」

勇者「却下だな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 01:24:13.25 ID:1IKw3bM0<>剣士「だが夜に行動するのは良い案だ。昼は暑いからな」

盗賊「その布で昼の暑さをいくらか凌ぐってわけだな」

男「その通り」

勇者「成る程。じゃあ男さんの方法で行くことにしよう」

勇者「それで、進む方法は決まったが方向はまだ決まってない」

勇者「誰か何か良い案はないか?」

盗賊「そういや、英雄王ってのに聞いたら場所が分かるんじゃねぇか?」

勇者「それが分からないらしいんだ」

剣士「無理もない。そもそも砂漠には道標などないのだからな」

勇者「だが一応限定はされたぞ。道標がないという事は、山の裾が見えない場所にある。つまりは中心部だ」

盗賊「つっても全く解決出来てねぇがな……」

男「んー……」

勇者「どうした、男さん? 何か考えがあるのか?」

男「一応だが……。確か三日月山脈って三日月みたいな形をしてたよな」

盗賊「だから三日月山脈ってんだよ」

勇者「その通りだけど、それが?」

男「……ちょっと地図あるかな?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/19(木) 01:32:11.01 ID:kKII5QMo<>ファイツ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 01:49:57.47 ID:1IKw3bM0<>男「そもそも山というのは普通、三日月山脈のように綺麗な三日月型を作る事はないんだ」ガサゴソ

勇者「そうなのか?」

男「山脈は通常、プレート――地面の動きによって作られる」

男「確かに広い目で見れば三日月型になる事もあるだろうが、三日月山脈のように惑星的に狭い範囲で作られる事はまずない」

勇者「……そうなのか?」

剣士「いや、私に聞かれても……。三日月山脈はあって当然と思っていたからな」

盗賊「俺もそうだ」

男「しかし三日月山脈という不自然なものは実際に存在している。そこで俺が考えたのは……」トンッ グルリ

男「今、円規(コンパス)で描いた円の範囲内全てが大きな山だったという考えだ」

盗賊「ちょっと待て。だがてめぇが描いた所は三日月山脈と死霊の砂漠だぜ?」

盗賊「仮に大きな山だったとしても、どういう理由で三日月型だけ残ったってんだ?」

男「“何の目的で砂漠が作られたか”は知らないが、恐らく何らかの力が働いていると考える」

勇者「何らかの力……?」

男「そしてそれは砂漠がほぼ円形に広がっている裏付けにもなるはずだ」

男「つまりその何らかの力が遺跡によるものだとしたら――」

剣士「――砂漠の中心だな。そこにモーネの遺跡はある」

男「その通り。そしてこの町との位置関係を方位磁石(コンパス)で計ってみると、進むべき方向はここから……」トンッ

男「……西南西だ」

〜   〜<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 02:04:30.91 ID:1IKw3bM0<>勇者「それで男さん、俺達はしっかり目的の方向に歩いてるか?」

男「ああ、それは問題ない。ただ……な」

勇者「何か問題があるのか?」

男「西南西というのはかなり曖昧な方向だし、そもそも地図だって正確さに欠けるからな」

勇者「な……」

剣士「おい。そう言うのはもっと早く言ってくれないか?」

勇者「……だがどのみちこれしか進路は決められなかっただろうしな。俺も悩んでいたんだ」

勇者「道が曖昧だからと言って文句は言えないんだよ」

剣士「それもそうだな。うむ、仕方ないか」

盗賊「いざとなりゃ勇者の転移魔法で戻れば良いじゃねぇか。気分は悪くなるが命には変えられねぇ」

男「ああ、そうか。これで死ぬ危険性はなくなったな」

勇者「その通りだ。安心して遺跡を目指せば良いんだよ。何度でもやり直しはきくからな」

魔剣〔安心している所悪いが、ここでは転移魔法が使えぬぞ〕

勇者「な……!?」

剣士「ん、どうした?」

勇者「……ここでは転移魔法が使えないらしい。英雄王がそう言った」

盗賊「何ぃ!?」
男「……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 02:08:40.78 ID:1IKw3bM0<>では今回はこの辺りで切り上げる。
To be continued...and good night!

>>296
よし、今すぐ読み直して来なさい!
いや、まぁそこまでしなくても良いけど、女の事は忘れないであげて下さい。
確かにここ最近出してないけど、“主要”登場人物なので。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/19(木) 02:11:39.74 ID:1IKw3bM0<>そして地図の置き逃げ

つ ttp://sssssssssssssss.web.fc2.com/img/img_a002.jpg<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/19(木) 07:38:47.35 ID:3oogkoYo<>ヌノヲ2枚張ると、空気の対流が出来て涼しいらしいね
実際の現場で2枚上手く張れる気がしないけど

地図見て妄想しながら待つよ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/19(木) 09:36:09.59 ID:BVxfQcSO<>いつも思うんだが、1はどんな頭してんだ?無駄に色んな知識持ってるし<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/19(木) 13:24:27.46 ID:NovtkQAO<>物語に活かしてるなら無駄じゃないだろ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 00:52:26.06 ID:7EdQDHA0<>>>306
それなら、事前に空気が流れるように設計したセットを作っておくと便利(?)。
二枚の布地、適量の糸、伸縮自在の棒を四本、それと必要なら少量の金具で作れると思う。
棒は地面に深く刺すためのものだけど、砂地の砂漠なら気休めにしかならないかもしれない。

>>307-308
実際に見直してくれれば分かると思うけど、大した量じゃないはず。
それに学校で習う教養やテレビに満載してるものが多くだし、殆どは誤った認識で書いてるかもしれません。
まぁ俺は寝る事と物語の事しか考えてない盆暗だから、物語に使えそうと思ったもの以外は一切憶えてないんだけどね!
それでもたまに俺の知らない知識をキャラクターが知ってたりするから助かったりもします。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 01:03:08.89 ID:7EdQDHA0<>剣士「……どういう事だ?」

勇者「いや、俺に聞かれても……」

剣士「では英雄王に聞いてくれ。どういう事だ?」

勇者〔そうだ。どういう事だ?〕

魔剣〔転移魔法が使えたのなら、我が遠征に出た時にどうして死にかける理由がある?〕

勇者〔それは……その時はまだ転移魔法を知らなかったからじゃないのか?〕

魔剣〔確かに我の時代のものと今の時代のものは勝手が違うようだ〕

魔剣〔だが我は今の時代で言うキミだ。転移魔法くらい憶えておった〕

魔剣〔万が一の時のために、帰還先に魔法陣を置いてあった。それなのに、ここで我は一度死にかけたのだ〕

勇者〔遠征中に消されていた、というのはどうだ?〕

魔剣〔そんなオチでこのような話をするか、阿呆が。帰還した時に、しっかり残っておったわ〕

勇者「……英雄王自身、試したと言っている」

盗賊「おいおい……」

男「これは困ったな……」

剣士「成る程」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 01:42:36.45 ID:7EdQDHA0<>勇者「やけに落ち着いているな。何か他に良い帰り方があるのか?」

剣士「ないな」

盗賊「じゃあ何でそんなに落ち着いてられんだ。暑さで頭でもやられたか?」

剣士「そうじゃないんだ」

剣士「英雄王がいた時代はとこの時代の転移魔法は大きく違うんだ」

勇者「それは知ってる。だがそれがどうしたんだ?」

剣士「だから“違う”のだ。現代の転移魔法ならば帰れる可能性もあると言う事だ」

勇者「ああ、そうか!」

盗賊「そんな簡単な事まで頭が回らねぇってのは、こっちの頭がいかれてたみてぇだな」

男「だがそう上手くはいくのか?」

剣士「……どういう事だ?」

男「方法は改善されより便利になったとしても、その原理は同じのはずだ。“転移をする”という事象に変わりはないんだからな」

盗賊「あー……くそ。てめぇは何でそう嫌な考えを言うんだよ……」

男「嫌なら、あくまで俺のみの考えだと思ってくれて良い」

剣士「ふむ。だがそれも一理あるな……」

剣士「しかし今は遺跡に向かう途中だ。今から帰る事を考えてもすぐには帰れまい」

勇者「そうだな。すぐに帰れる可能性があるだけでも十分心の支えになるはずだ」

男「それもそうか」

勇者「じゃあ今まで通り西南西に進路を取って進もう」

男「あっ、待ってくれ!」

勇者「?」

男「少しずれてる。そっちは南西だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 02:16:46.69 ID:7EdQDHA0<>(三日後)

剣士「ん……けほっけほっ……」

剣士「……」キョロキョロ

勇者「……」
男「ぐ……う……」
盗賊「うぅ……」

剣士「……起きろ。夜だ」ペシペシペシ

勇者「う……、もうそんな時間か……」

男「寝起きが非常に悪い……」

盗賊「くそっ……こんなので歩けってのか」

勇者「仕方ないだろ。結局転移魔法は使えなかったんだ」

男「……ほら、飯だ。このくらいは腹に入れてから進もう」

剣士「すまない……私は食欲がなくてな……」

勇者「……俺もだ」

盗賊「俺もいらねぇ……」

勇者「少しくらいは待つからその間に食べると良い」

男「だが、それでも少しは食わないとそれこそ途中で倒れ――」

剣士「食えるはずないだろ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 02:25:42.00 ID:7EdQDHA0<>勇者「剣士、怒鳴るな。余計に喉が渇くぞ……」

剣士「あ、ああ……」

盗賊「だがあんなにあった水がここまで早くなくなるとは……」

勇者「……あれでも長く持った方だ。ただ今砂漠のどの辺りか……」

盗賊「運がよけりゃ反対側の山裾にぶち当たるが……」

勇者「そんな可能性はない。考えるだけ無駄だ」

盗賊「うるせぇ! この前は可能性が心のゆとりを作るとか言ってたくせによ!」

勇者「あの時はあの時だ! 今は本当に可能性がないから言ってるんだ!」

盗賊「はぁ!? じゃあ可能性のある事を言って安心させやがれ、勇者様よぉ!」

勇者「運が良ければ今日にでも遺跡に着く! それまで辛抱しろ、この賊風情が!!」

男「全く……喉が渇くんじゃなかったのか? 飯食うと腹立ちも収まるぞ」

剣士「お前はそれしか言えないのか?」

男「まぁ、今はそれが重要と思ってるからな」

盗賊「じゃあお前だけさっさと食いやがれ! くそっ、何で干し肉だけまだまだ残ってんだ!」

勇者「ああ。食うだけでも喉が渇くのに、乾物だとさらに喉が渇く」

男「……はぁ。要は水があれば良いんだな?」

剣士「あるのか!?」

男「ちょっと待っててくれ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 02:51:02.66 ID:7EdQDHA0<>男「……ほら、水だ」

勇者「お、おい……それはどこから……」

盗賊「あるんなら早く出しやがれ……この野郎……」

剣士「それにしてもどうして外へ……水が湧いてる所でもあったのか?」

男「いや、湧いてはいなかったが、これは今汲んできた水だ」

男「……いや、今まで溜めてきた水かな。緊急用にだが」

男「量は少ないが……うん、上手く分ければ三人分くらいはあるだろう」

勇者「え……男さんは飲まないのか?」

男「俺はいい。何とかなる」

盗賊「すまねぇ! よし、まず俺からだ!」

剣士「待て、そこは私からだろう。お前が先だと一人でなくなりそうだ」

盗賊「心配すんなって。二人分丁度残しておいてやるから」

勇者「本当にすまないな……」

男「これで飯を食う気になってくれたか?」

勇者「……ああ、分かったよ」

盗賊「また乾かすのは嫌だが……仕方ねぇな」

男「良し」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 03:00:21.49 ID:7EdQDHA0<>勇者「ふー……生き返った気分だ。何度でも礼を言うよ、男さん」

男「いや、別に良いんだ。俺には奥の手があるから」

勇者「奥の手?」

男「あまり言いたくはないから詮索しないで欲しいんだが」

勇者「……分かった」

勇者「魔法さえ使えれば水くらい楽に確保出来たのに……」

盗賊「ここじゃ転移魔法だけじゃなく魔法自体制限されてるってのは不思議な話だぜ」

男「明らかにこの砂漠には何かある……それを主張するかのようだな」

剣士「なぁ、男」

男「?」

剣士「水を汲む場所があるんだったら今の内に汲んだ方が良いのではないか?」

男「あー……でも今日はこれ以上汲めないしな」

盗賊「どういう事だ? 砂漠に水たまりでもあるのか?」

男「いや、そういう事じゃなくてさ」

男「寝床を掘る時に一緒にもう一つ穴を掘っただろ?」

盗賊「ああ。便所を用意しろだなんて言うからびっくりしたぜ。てめぇも几帳面なところ――ちょっと待て。それとこれとどう関係が……」

男「あの水、元は俺らの小便なんだよ」

勇者「!?」
剣士「!?」
盗賊「!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 03:12:20.66 ID:7EdQDHA0<>勇者「な、なんてものを飲ませるんだ……!」

剣士「けほっ、けほっ! し、信じられん! けほっ」

盗賊「急に腹が痛くなってきた気が……」

男「大袈裟じゃないか?」

剣士「お、大袈裟なものか! 貴様、女性に何を飲ませたと思っている!」

勇者「そこは女性に限った事じゃないけどな」

男「俺の知っている事例の中で、小便で命を繋いだものがいくつもある」

盗賊「そんなのはどうでも良いんだ! 汚ねぇだろーが!」

男「尿自体は実際全くの無菌状態なんだ。まぁ出てくる際に多少の菌は付くけどな。心配ない」

剣士「何をどう取れば心配ないと入れるんだろうな……!」

男「まぁ、もう少しはその手を剣からどけて聞いてくれないかな。それだけじゃないから」

男「三人が飲んだのは昼間の日光で熱せられて出てきた尿内の水分を抽出したものなんだ」

男「だから小便の要素は殆どないほぼ純粋な水と言える。安心しろ」

剣士「うるさい! お前の所為で……お前の所為で……うぅっ……!」ポロポロ

男「ちょっと待て。何で泣くんだ!? 喉は少し潤っただろ?」

剣士「う、うるさい! うぅ……」グスン<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/20(金) 03:14:04.84 ID:AT.suTAo<>小便を濾過ですね!分かりたくありません<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 03:20:23.17 ID:7EdQDHA0<>勇者「ま、まぁ、剣士には悪いが、飲んでしまったのだから仕方ないという事にしよう」

勇者「いくら嘆いたって時間は戻らないからな」

剣士「そ、そうだが……っ」

盗賊「あまり良い気分ではないが、勇者は正しいと思うぜ」

盗賊「今日はあの砂丘を越えなけりゃならんからな。ここで立ち往生ってのもいけねぇ」

剣士「わ……分かった。進もう」

勇者「但し次から便所は掘らないからな」

盗賊「賛成だ」

剣士「……うむ」

男「おい、少し冷静になって考えてみろ。命とプライド、どっちが大事だ?」

勇者「両方大事だ」

盗賊「人間を捨てちゃいけねぇな」

剣士「……うむ」

男「仕方ない。次からは俺だけで掘るから」

勇者「全力で止める。また隙を狙って飲まされるかもしれない」

盗賊「その腕を切ってでも止めてやる」

剣士「……うむ」

男「……分かった。もう俺は知らんぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/20(金) 03:23:01.92 ID:7EdQDHA0<>>>317
俺は単に蒸発(蒸留?)で考えてた。

では今回はこの辺りで。
今日もまた良い夢を!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/20(金) 08:17:02.83 ID:WXSedADO<>>>319
ギャラリーフェイクって漫画でも小便飲んでいたな
てか、勇者達が砂漠をなめすぎだな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/20(金) 09:51:05.90 ID:7C0Y5YDO<>マスターキートンで同じようなことやってるな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/20(金) 13:55:59.88 ID:l2Ew.QEo<>背広で砂漠を歩くヤツですね<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/21(土) 00:44:02.53 ID:BZqKNFk0<>>>320
勇者は魔法で水を生成出来るから、砂漠は暑いだけで生死が掛かる程の驚異じゃなかった。
剣士もその勇者と一緒に行動してたから同じ。
盗賊はそもそも砂漠は初めて。

>>321
なぜ今回のソースがばれたし
キートン先生の言葉はかなり参考になります。

えー……多分これから数日程書けなくなります。
リアルで締め切りが迫ってきたので、そっちを完成させないと……。
本当、あれも書きたいこれも書きたい。それでも頭の処理能力と文字の打ち込みスピードが全然間に合わなくて困る。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/21(土) 01:02:06.62 ID:.SkEokAO<>睡魔「先ずは彼を眠らせるのが第一だと思いました」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/22(日) 03:20:35.36 ID:bSbA8cAO<>>>324
そこまで睡魔を喋らせたければ、いっその事睡魔のSS書けば良いんじゃないかな。とふと思った。

俺? 俺は書かないよ。
俺の人生の半分以上を強制的に削っていく奴は嫌いだからな!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/24(火) 20:19:42.62 ID:Gmcquio0<>まだ終わらない……でも締め切りが……!

ちょ、ちょっとくらい息抜きしても良いよね?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/24(火) 20:33:29.50 ID:Gmcquio0<>(翌日、夜明け頃)

勇者「ぜぇ……ぜぇ……」

剣士「……」

盗賊「ひゅー……ひゅー……」

男「苦しそうに寝てるな……」

男「それもそうか。今日は水の一滴も飲んでないんだからな」

男「良く生きてる……感心すべき生命力だな」

男「魔物どころか生き物が一匹もいない事は幸いか。こんな状況でもし襲われでもしたら、それこそ危ない」

男「……」ゴクゴク

男「……魔法があれば苦ではない、か。便利になると万が一の時に身を滅ぼす要因となる。それは科学技術と全く変わらないみたいだな」

男「……」ゴクゴク

男「……ふぅ、やはりまずいな」

男「こいつらにも飲ませないと、いい加減本当に死ぬぞ。自分で飲んでくれそうにないからな」

男「今飲ませるしかないか……。喉を通ってくれれば一番なんだが」

剣士「……」スースー

男「……俺だって本当はこんな事したくない。それは分かってくれよ」

ザッ… ザッ…

男「おい……待ってくれよ。ここに来て動物がか?」

男「頼むからたまたま通りすがった善良な人間であって欲しいもんだ……」

ザッ… ザッ…
  ザッ… ザッ…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/24(火) 20:52:14.19 ID:Gmcquio0<>(昼頃)

ポタ… ポタタ…ッ

剣士「……ん」

ポタタタッ…

剣士「水……か……? にしては生暖か――」

剣士「って、おい男、貴様! まさか――!」ガバッ

男「あー、安心してくれ。ただの水だから。小便から抽出したものでもないから」

剣士「ほ、本当か? というかここは?」

男「砂漠の中にある崩れた建造物。他になければ、ここがモーネの遺跡だな」

剣士「良く見つけられたな。お前がここに運んできてくれたのか?」

男「まぁ、剣士さんだけだが」

剣士「私だけ? 勇者様はどうした? 盗賊は?」

男「二人ともここにいるよ。運んだのは俺じゃないが」

剣士「無事なのか!? 二人はどこにいる!」

男「無事……とは言えないけど、二人の場所なら知ってる。二人の口にも水を入れたからな」

男「しかしツイてるな。小便飲まなくても生き延びられたぞ」

剣士「うるさい! 早く二人の元に案内しろ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/24(火) 21:02:14.07 ID:Gmcquio0<>ポタ… ポタ…
   ポタ…  ポタ…

剣士「成る程。さっきの水はこの水滴か」

男「この管の中の空気と外の空気の温度差から発生するものだろう」

男「三人分集めるの苦労したんだ。感謝して欲しいな」

剣士「ああ、感謝している」

男「えっと……この辺りだった気がするが……。ああ、いたいた」

勇者「……」スースー
盗賊「ぐぅ……」スヤスヤ

男「まだ寝ているとは、すっかり夜型になってしまったな」

剣士「そんな事より、どうしてこうも傷だらけなのだ? まさか魔物が――!」

男「いや、それはない事は分かるだろ。もしいたなら今までで一回は目にしているはずだ」

剣士「では砂漠の動物でもいたのか?」

男「単に運ばれた時に引きずられて来ただけだ。結構長い距離だったからな」

剣士「助けてくれた事には恩を着るが、乱暴だな」

男「剣士さんは無傷だろ?」

剣士「勇者様は傷だらけだ」

男「盗賊は無視なんだな」

剣士「盗賊も……傷だらけだろ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/24(火) 21:16:20.60 ID:Gmcquio0<>剣士「それで、この二人を傷だらけにして運んできた奴はどこにいるんだ?」

男「分からない。二人をここに運んできた後にどこかへ行ってしまった」

剣士「そいつは何者だ?」

男「決まっている。英雄王という奴も言ってただろ?」

剣士「……番人か」

男「……まぁ、“番人”と言うには小さくて可愛らしいように思えたが」

剣士「は?」

男「そのうち分かると思う」

勇者「確かに番人と言うには幼い風貌だったな」

剣士「勇者さ……いや、英雄王か?」

勇者「いかにも。こやつがなかなか目を覚まさないのでな」

勇者「しかし……ここは何も変わらないな。いや、多少は風化しているようだな」

男「英雄王さんはここに一度来ているんでしたよね。どこに何があるかとかは知っているんじゃないですか?」

勇者「よせ。我に敬語は使わなくて良い。所詮剣にまで堕ちた愚王なのだからな」

男「ではそうさせていただくか」

勇者「とは言え切り替えが早いな……」

勇者「ふむ……ではそうだな。良い所へ案内してやろう」

剣士「盗賊はどうするんだ?」

勇者「我が担いで行くから案ずるでない」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/24(火) 21:39:50.62 ID:Gmcquio0<>盗賊「……あれ、ここはどこだ?」

勇者「目が覚めたか?」

盗賊「なんでてめぇが……痛ぅっ」

勇者「ここはモーネの遺跡だ。番人に運ばれて来た」

男「お前と勇者さんは、だけどな。引きずられたから傷だらけだろう」

盗賊「通りで痛ぇと思った……。勇者、てめぇは大丈夫なのか?」

勇者「今の我は英雄王でな。我にこの程度の痛みはないに等しい」

盗賊「まじかよ……」

勇者「一度は死んでおるからな」

盗賊「それで、勇者はどうなんだ?」

勇者「もう起きておる。だが案内をするにおいて、我に身体を貸してくれているのだ」

剣士「起きたのなら私達にも言ってくれ。砂漠の旅路が酷く辛かったからもしやと心配していたのだぞ」

勇者「おっと、それはすまなかったな」

盗賊「で、今はどこに向かってんだ?」

勇者「ん、もう着いたぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/24(火) 22:43:36.36 ID:Gmcquio0<>盗賊「ここが……どうしたってんだ?」

剣士「ただの部屋じゃないか」

男「いや、元々部屋だった所、と言った方が適切だな」

剣士「細かいな。原型は大体分かるのだから良いだろう」

男「まぁ、そうか」

勇者「では、そうだな……少しこの水袋を持っててくれないか?」

勇者「それと盗賊、起きているのだからそろそろ下りろ」

盗賊「おっと、すまねぇ。あまりにも楽だったからつい、な」

勇者「全く……」

剣士「それで、この水袋はどうすれば良いのだ?」

勇者「口を上に向けてくれないか?」

剣士「……こうか?」

勇者「ああ、そうだ。では――」

勇者「――“生成・水”」

チョロロロロロ…

剣士「!」

男「おお! これで水滴を集めなくても済む!」

勇者「どういうわけか、この部屋では魔法が使えるのだ。帰りもここから転移すればいいだろう」

盗賊「そりゃ良かった! さ、こんな危ねぇ所とっととずらかろうぜ!」

勇者「キミには聞こえてなかったのか? もうここは安全な場所なのだぞ」

勇者「それに我々にはやるべき事があったのではないかな?」

剣士「そうだ。ここにあるはずの亜法具を持ち帰らなければ意味はなくなる」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/24(火) 23:03:07.56 ID:Gmcquio0<>男「だがどういう事だ? ここだけ魔法が使えるとは……」

勇者「簡単なことだ。この砂漠には二重に結界が張られているのだろう」

男「砂漠全体に魔法無力化、この部屋にその結界を無力化、というようにか?」

勇者「そうだ」

剣士「そのような魔法は知らないが」

勇者「我だって神の技術なんて知らないからな。だがそうとしか考えようがないだろう?」

男「そうだろうか……」キョロキョロ

勇者「とにかく我が以前来たときにも調べたが、魔法陣らしきものはなかった。恐らく亜法というものだろう」

勇者「まぁ、ここは来る時は大変だが、なかなか面白い所だ。水は確保出来る事だし、食糧の続く限り調べれば良いだろう」

勇者「我も回り切れていない所があるから楽しみで仕方がない」

盗賊「楽しみって……おい。ここは砂漠のど真ん中だぜ?」

剣士「良いじゃないか。ここには金銀財宝が山程あるかもしれないぞ?」

盗賊「今の俺は賊じゃねぇよ……」

男「だが亜法具は多くあるはずだ。目的のもの以外も色々と貰っていくのも良いかもしれないな」

勇者「キミ達、まるで泥棒のようだぞ……ん?」

剣士「どうした?」

スタ… スタ…

盗賊「敵か!?」

勇者「敵ではない。言ったはずだ。ここには番人しかいない、と」

剣士「番人か……サナンの楽園での巨兵を思い出すな」

男「多分安全と思うんだが」

スタ…スタ… スタ…スタ…

?「……」スタ…スタ…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/24(火) 23:03:41.31 ID:Gmcquio0<>……ふぅ。

少しすっきりした。
では今回はこの辺りでー。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/24(火) 23:17:02.92 ID:sQOEDcSO<>乙かれ
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/25(水) 03:24:11.52 ID:DJ.yogSO<>乙!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/25(水) 13:36:25.61 ID:ZRLsP6AO<>いっぱいでたね!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/01(水) 01:15:26.38 ID:KD1s7Pco<>      _,,../⌒i
     /   {_ソ'_ヲ,
    /   `'(_t_,__〕  >>グッジョブ!!ナノレス!
   /     {_i_,__〕
  /    ノ  {_i__〉
/      _,..-'"
      /<> 18<>saga<>2010/09/05(日) 00:34:55.34 ID:7PD0Qfo0<>もう、あれだね。
本当遅筆というのにはうんざりするね。
速読術みたいに“速筆術(速記ではない)”なんてものがあれば教えてくれ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/05(日) 00:41:52.40 ID:7PD0Qfo0<>スタ… スタ…
  スタ… スタ…

剣士「……」ゴクリ
盗賊「……」

スタ…

遺跡番人「うあー?」

剣士「……何?」

盗賊「……は?」

男「こいつ、本当に英雄王さんがいた時代からいるんだよな?」

勇者「嘘は言わん」

遺跡番人「よーこそー。ようそー? よこそー!」ヘラヘラ

男「俺に娘がいれば、あのくらいだろうか」

勇者「おや、子供持ちであったのか?」

男「いや、仮にいれば、という話だ」

盗賊「つーか、本当に番人なんだろうな……」

剣士「……」ポカーン

勇者「? ああ、そのはずだ」

盗賊「どう見たって子供だろうが! 幼女だろうが!」

遺跡番人「うひへへ〜」ヘラヘラ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/05(日) 00:52:16.79 ID:7PD0Qfo0<>剣士「う、うむ。私もあまり信じられない。あのような子供が番人などと……」

遺跡番人「みずー! おみずずへーっ!」

男「確かにサナンの神殿のゴーレムを見た後ではな……」

盗賊「そもそも番人なのかどうか怪しいぜ」

勇者「物事の本質は見た目ではないのだ。現に彼女は我と同じ……いや、それ以上の年月を生きておるのだ」

遺跡番人「へー……ふへー?」

遺跡番人「おまえただへー?」

勇者「やあ、番人。キミは変わりないかな? 姿違えど、我は英雄王。憶えておるか?」

遺跡番人「えー……おー……。みぎとひだりどっちー!」ヘラヘラ

勇者「そうかそうか。元気だったか」

遺跡番人「きゃはーっ、ふへへは〜!」ヘラヘラ

勇者「はは、そうかそうか」ニコニコ

男「会話成り立っていないようだが」

勇者「だが、癒されはしないか?」

盗賊「いや、どこがだよ」

剣士「さっぱり分からん」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/05(日) 01:03:07.80 ID:7PD0Qfo0<>剣士「だがお前はどうして番人だと思うのだ? ただの気の触れた小娘にしか見えないが」

勇者「それはな、こやつは魔法を使えるからだ」

盗賊「魔法か……じゃあそいつは気の触れたふりをしてるって事か?」

剣士「確かに、そう思えるな。魔法の制御は緻密だと聞く」

勇者「こやつはいつも使えるわけではない。だから我はこのように“狂う以前”の彼女は番人だった、と思っておる」

勇者「我はたまたま見たから知っておるだけだ。確かにこやつは魔法を使った」

遺跡番人「あっちのにー、あっちのねーっ、へへへっへ〜」ヘラヘラ

勇者「それは短縮詠唱をたまたま口ずさんだだけかもしれない」

勇者「だがこやつは、砂漠の中で魔法を使って見せたのだ」

男「……ほう」

盗賊「魔法を、か。そう考えりゃ、こうなる前はしっかり番人をしてたのかもな。番人なら長生きなのも納得できる」

剣士「盗賊、お前はこの子の凄さを分かっているのか……?」

盗賊「だから魔法をだろ?」

剣士「違う。魔法を使えないこの砂漠で、彼女は魔法を使っているのだ」

剣士「そういう事だろ、英雄王?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/05(日) 01:14:01.14 ID:7PD0Qfo0<>勇者「いかにも」

盗賊「ああ……そうだったな。そういや死霊の砂漠は魔法が使えねぇんだ」

剣士「お前が言うのは、この部屋の事ではないのだな?」

勇者「ああ」

男「狂気に沈んだ今でも主人の場所を守り続ける番人か。ロマンだな」

盗賊「はぁ」

遺跡番人「みーあーるーるるーっ」ヘラヘラ

遺跡番人「“ほーのー”からふぇ〜」ボボッ

剣士「!?」
盗賊「おい、勝手に燃え始めたぞ!」
男「……」

勇者「“生成・水”」

ザババァーッ
   …シュゥ

遺跡番人「……」

勇者「全く、手が焼けるな……」

剣士「おい、そんな事より大丈夫な――」

遺跡番人「ふへへ〜」ヘラヘラ

剣士「!?」ビクッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/05(日) 01:25:54.37 ID:7PD0Qfo0<>遺跡番人「あつー、ああああっつうううううう〜。へへへへ〜」ヘラヘラ

盗賊「お、おい、こいつ笑ってやがる……」

勇者「この部屋じゃなかったら暫く燃え続けていただろうな……」

盗賊「いや、そういう事じゃなくだ!」

男「慌てる必要はない」

剣士「いいや、普通は慌てるだろう!? どうしてお前達はそう冷静にいられるのだ?」

男「何年もの間一人でいたんだから、そのくらいの事故は何度も起こっているはずだ」

男「それでも生きていると言う事は、結局は無事でいられるという事だ。だろ?」

勇者「キミは頭の回転が少し勇者達より速いようだな」

勇者「ちなみに勇者も焦っておったぞ」

遺跡番人「ゆー! ひゃっきゅー!」ヘラヘラ

勇者「『ひゃっきゅー』じゃなくて勇者だぞ」ニコ

遺跡番人「はっくー!」ヘラヘラ

勇者「さて、では我はそろそろ剣に収まるとしようか」

盗賊「どうしてだ?」

勇者「そろそろ捜し物を始めろ、という事だ。我は捜し物は苦手でな」

男「俺も苦手だな。面倒だから」

男「まぁ、俺の探すべきものの場所は神さんに教えて貰ってるから、勇者さん達には盗賊を貸そう」

剣士「ありがたい」

盗賊「勝手に決めるんじゃねぇ。別に良いけどよ」

遺跡番人「りゅっきゅぅっ!」ヘラヘラ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/05(日) 01:27:20.65 ID:7PD0Qfo0<>さて、ウォームアップという事でこのくらいで今回は勘弁していただきたい!

番人ちゃんをしっかり登場させる事が出来て、満足です。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/05(日) 08:11:20.69 ID:MyjSRoSO<>乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/05(日) 21:53:34.54 ID:mb64cEAO<>キチガイ幼女……<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/06(月) 00:46:48.17 ID:VoCSXx.0<>番人を登場させたら早く次の場面へ移りたくなった。
早く書かねば!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/06(月) 00:57:29.09 ID:VoCSXx.0<>――モーネの遺跡、残骸の山

勇者「神から渡された地図によると、大体この辺りだな」

盗賊「地図ったって、遺跡自体壊れてっから合ってるかどうかわかんねぇぞ」

勇者「仕方ないだろ。神が知っているのはモーネがいた頃、つまりこの遺跡が壊れていない時なんだ」

勇者「大体分かれば良いんだよ」

剣士「大体でも大収穫とは思えないのか?」

盗賊「俺はきっちりと目標を定める正確なんだ」

勇者「盗賊って通りがかりの人の荷物や家屋の中を漁る奴らと思ってたけど」

盗賊「そういうのは三流のする事だ」

盗賊「俺達はそんなせこい盗人紛いの事はしなかったぜ」

剣士「そんな事はどうでも良い。早く探すぞ」

盗賊「良し。勇者、探す物の絵をちょい見せてくれねぇか」

勇者「ああ」バサバサ

盗賊「……良し、大体憶えたぜ」

勇者「じゃあ俺はこっちを探す。剣士はあっち、盗賊はあっちを探してくれ」

剣士「了解した」
盗賊「任せろ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/06(月) 01:10:04.20 ID:VoCSXx.0<>――モーネの遺跡、窪みの部屋

男「……おかしいな。地図ではここなんだが」

男「んー……」キョロキョロ

男「困った。ネジの一本も見あたらない」

男「でもここだよな……うん、ここのはずだ」

男「どこから解体するか……」

遺跡番人「うー?」

男「ん? 何だ。付いてきたのか」

遺跡番人「びょーんて、びょおーんてっ」ピョンピョン

男「見てると不憫になるな。何年も生きてるのは知ってるが……ん、生きてるって言うのか、この場合?」

男「まぁでも、格好はどう見ても子供だしな」

遺跡番人「きゃははははは」ピョンピョン

男「跳ねるのがそんな楽しいのか? それはなによりだ」

男「でも気を付けた方が良いぞ。お前が跳んでる所、かなり大きい穴あいてるからな」

男「……そうか、穴か」

遺跡番人「あーた! ええー」ピョンピョン ヘラヘラ

男「ありがとうな。故意じゃないだろうが、助かりそうだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/06(月) 01:23:05.35 ID:VoCSXx.0<>男「……やはり穴が開いていると中身も剥き出しになっているな」

男「その点、ここが壊れてくれてて助かった、って事か」

男「問題は回収部品そのものが壊れていないかどうか……」

遺跡番人「〜♪」

男「あの子も落ち着いたみたいだし」

男「……床に絵でも描いているつもりなんだろうな」

遺跡番人「へへ〜。〜♪」ヘラヘラ

男「さて、と。どれどれ……」

男「うわ……これは相当高いな。落ちたら打撲じゃ済みそうもないな」

男「だが作業はここからしかなさそうだしな……」

男「ふむ、ここをマイナスで引っかけて……」

男「これはラジペン……いや、ピンセットの方が良いか?」

男「その奥のあれは……」

遺跡番人「〜♪」ヘラヘラ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/06(月) 01:55:47.47 ID:VoCSXx.0<>男「……」カチャカチャ

男「……」…グイッ

男「……」プツン

男「……」カチャカチャ

男「……あれか?」

男「……」

男「あれだな。間違いはなさそうだ」

男「どうやら無事みたいだな。しかしどうやって取り外そうか……」

男「……」

男「……」

男「……成る程。これをこうして……」カチャカチャ

男「……」ソーッ…

カチンッ

男「……良し。後は穴で落ちないように戻っていって……」ソロソロ

遺跡番人「……ぼーんっ」キャッキャッ

男「どうやらお絵かきには飽きたようだな。やれやれ」ソロソロ

遺跡番人「ぼーんっ、ぼーんっ!」キャッキャッ

遺跡番人「ぼ〜んっ!!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/06(月) 02:06:22.99 ID:VoCSXx.0<>ボーンッ!!!

勇者「!?」

ガラガラガラガラッ!

盗賊「くそっ、何だ!?」

剣士「爆発音……何が……!」

勇者「退避しろ! 積まれてた物が崩れてるぞ!」

盗賊「ああ、くそっ!」

ガラガラガラガラ
   ガガガガガガ…

勇者「……」
剣士「……」
盗賊「……」

勇者「収まったようだな。二人とも……無事みたいだな」

剣士「さっきの爆発……一体何が……」

盗賊「またあの子供が魔法でも使ったんじゃねぇか?」

剣士「確か男さんに付いていったような気がするんだが」

勇者「何!?」

剣士「無事だと良いが……」

盗賊「……ん? おい」

勇者「何だ、こんな時に」

盗賊「あれじゃねぇのか? 俺達が探してる物ってのは」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/06(月) 02:13:23.49 ID:VoCSXx.0<>やべぇ眠い。今回はこの辺りにして寝よう。

>>348で言った強い意志は儚くも敗れ去った<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/06(月) 08:40:04.07 ID:7WXWB6SO<>はええよww

乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/06(月) 18:17:25.94 ID:OK6J8sAO<>また次も楽しみに待ってる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 02:44:06.72 ID:hv6AKj20<>勇者「どれだ?」

盗賊「ほら、あれだよ。てめぇがさっきいたとこらへんだ」

勇者「……あれか? どれどれ……」

勇者「うん。遠目で見た感じは間違いなさそうだ。取りに行くぞ」

剣士「男さんはどうするのだ?」

勇者「大丈夫だよ。そもそも確証だってないのに、嫌な方向に考えるのがいけないんだ」

勇者「あの番人は男さんとたまたま同じ方向へ向かったけど、その後別の所へ行ったかもしれない」

勇者「本当について行っていても、男さんが狙われたわけではないと思う」

勇者「そう考えた方が妥当だろ?」

盗賊「まぁ、あいつに狙う程の考えがあるようにもみえねぇし、事故に巻き込まれるくれぇ男がドジなわけでもねぇしな」

剣士「そうか……それもそうだな」

盗賊「だが最悪の状況も考えて、手早に済ませようぜ」

勇者「ああ。……ん? それは最悪を考えてると言って良いのか?」

盗賊「最優先は自分の仕事。これが俺の盗賊団の常識だったぜ」

剣士「私達は盗賊じゃないのだがな。だがお前の意見には賛成だ」

勇者「そうと決まれば、さっさと掘り出すぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 02:54:29.03 ID:hv6AKj20<>(数分後)
――モーネの遺跡、魔法が使える部屋

盗賊「くそ……重ぇ……」

剣士「一人でも持てそうな大きさなんだが……不思議だな」

勇者「見た目じゃないって事かな。……おっ」

男「ん? ああ、やっと戻ってきたのか。探すのに手間取ったのか?」

勇者「まぁね。そっちはもう見つけたのか?」

男「ああ」

遺跡番人「すぅ……すぅ……」スヤスヤ

盗賊「ったく、寝てりゃただの子供だな」

剣士「番人も寝るんだな……。そうだ、男さん」

男「?」

剣士「何か爆発があったようだが、大丈夫だったか?」

男「ああ、こいつが爆発魔法を使ったみたいでな。びっくりしたよ」

男「だがこうやって平気でいるって事は、無事なんだろうな」

剣士「それは何よりだ」

勇者「こっちは爆発のお陰で埋もれてたこれが見つかったんだ」

男「それは何よりだな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 03:01:28.64 ID:hv6AKj20<>男「さて、そろそろ町に戻ろうか」

盗賊「珍しいな。てめぇここに興味あるんじゃねぇのか?」

男「ある」

盗賊「調べなくても良いのか?」

男「調べたいが、俺一人じゃないからな」

男「勇者さん達は先を急いでいるわけだし」

勇者「……すまないな。だが必要ならば待つぞ」

男「いや、私用で留まる必要はないよ。知りたければまた神さんにでも会いに行けばいいからな」

男「それに、女さんだって無事かどうか……」

勇者「ああ……そうだったな」

勇者「じゃあ、月影の町へ戻ろう。みんな、こっちに集まっててくれ」

遺跡番人「……んむ〜?」パチッ

剣士「……お前、かなり汗をかいていないか?」

男「ははは、砂漠の真ん中という事を忘れたのか、剣士さん?」

勇者「忘れ物はないな? ――なさそうだな」

勇者「“転移”!」シュンッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 03:11:00.39 ID:hv6AKj20<>――月影の町

勇者「……」
剣士「……」
盗賊「……」
男「……」

勇者「……英雄王の言った事に嘘はなかったみたいだな」

剣士「どうでも良いから早……っ」ウプッ

勇者「あー……宿だな。分かった分かった」

遺跡番人「わあったぁ〜! きひひひっ」ヘラヘラ

盗賊「てめっ、なん……」フラフラ

盗賊「くそ……転移酔いが酷ぇ……」

遺跡番人「クヒヒーッ」ヘラヘラ

勇者「うっかり一緒に連れてきてしまったんだな」

勇者「困ったな……。魔法が使えるあの場所なら転移も出来るはず……」ブツブツ

勇者「仕方ない。この子は俺が送り届けるから、男さんは酔ってる二人を――」

男「……」ドサッ

勇者「!? 男さん!?」

盗賊「男……てめ、どうした……っ!」

剣士「どうなって……うぅっ……」

遺跡番人「どーしたどしたー♪」ヘラヘラ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 03:16:25.84 ID:hv6AKj20<>勇者「男さん! 男さん!?」ユサユサ

男「……」

勇者「……駄目だ、意識がない」

勇者「剣士、盗賊、二人で宿まで行けるか?」

剣士「任せろ……」フラフラ

盗賊「役に立たなくてすまねぇ……」フラフラ

勇者「ありがとう。で……どうしようか」

勇者「男さん、一人で病院にいけるか?」

男「……」

勇者「って行けるわけないだろ!」

勇者「えっと……俺は番人を戻さなきゃならないだろ……男さんを病院に……」ブツブツ

魔剣〔悩んでいるキミに救いの手を差し伸べてやろう〕

勇者「何だよ!」

魔剣〔遺跡へは転移できない〕

勇者「……は?」

魔剣〔遺跡へは転移――〕

勇者「何ぃぃぃいいい!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 03:25:11.53 ID:hv6AKj20<>魔剣〔これで選択肢は一つになったではないか〕

魔剣〔男を病院へ運ぶだけだ〕

勇者「何で転移できないんだ?」

魔剣〔我が知るはずもない。それよりも早く行動する事だな〕

勇者「分かってる。でも……」

遺跡番人「なはー」ヘラヘラ

魔剣〔連れて行けば問題なかろう?〕

勇者「本気で言ってるのか?」

魔剣〔無論だ。子供には保護者がいなければなるまい?〕

魔剣〔保護者がしっかり見ていれば、悪い事はしないはずだ〕

魔剣〔元より、キミには他の選択肢はないがな〕

勇者「……」

勇者〔それもそうか〕

勇者「ほら、お前。離れるな」

遺跡番人「きひひー! きゃはははーっ!」

勇者「言ってるそばから逆方向に歩き出すな!」

遺跡番人「くへへへーへぶっ!?」ドテッ

遺跡番人「……きゃははははっ」ヘラヘラ

勇者「……大丈夫か」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 04:58:55.99 ID:hv6AKj20<>――病院

医者「左腕部の骨折。それと背中の打撲。どこかから落ちたのかな?」

男「……」

医者「ああ、意識がなくなってるのは痛みを我慢しすぎたからと思うから、安心して良いよ」

勇者「……」

医者「彼は左利きかい?」

勇者「確か右利きだったはずです」

医者「そうか。なら生活するのに問題はないな」

勇者「完全に治せないんですか?」

医者「すまないね……光夜魔法協会の治療師の中には、魔導連合や白羽魔法協会のように質の高い人はいないんだ。私も含めてね」

医者「打撲や骨折による内出血は治療できたが、骨を戻すには私の魔力が足りないんだ」

医者「暫くは固定して過ごして貰うようになってしまうはずだ」

勇者「そうですか……」

勇者「分かりました。目を覚ましたら伝えておきます」

医者「頼んだよ。それとこの子なんだが……」

遺跡番人「あたいさいっきょーっ!」ヘラヘラ

医者「精神異常者はどうにもならないんだ……。収容施設でも紹介しようか?」

勇者「いえ、別に良いです……分かってましたから」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 05:06:41.02 ID:hv6AKj20<>――宿屋

勇者「いや、無事に宿を取れたようで安心したよ。ただあの目印は不用心じゃないかな?」

剣士「……」グデー
盗賊「……」グデー

勇者「どうした?」

剣士「……」グデー
盗賊「……」グデー

勇者「おい、どうしたか聞いているんだが――」

遺跡番人「ぬっは〜!」ノシッ

剣士「ぐふっ!?」オエッ

勇者「お、おい、大丈夫か?」

剣士「……大丈夫だ。まだ吐いてはいない」

剣士「男さんはどうだった?」

勇者「命に別状はないよ。腕を暫く固定しなきゃいけないらしいが」

剣士「精度の高い治療魔法を持たない医者だったのか」

勇者「魔法を持たない医者よりもマシだよ」

勇者「それよりもどうしたんだ?」

剣士「ああ……気分が悪いのに宿屋の主人ともめてな」

勇者「?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 05:15:24.07 ID:hv6AKj20<>剣士「遺跡から持ってきた遺物があっただろ?」

勇者「ああ、宿屋の前に置いてあったな。もう俺も来たから持って入ろうか」

剣士「いや、入れられないんだ」

勇者「?」

剣士「揉めた事というのがそれなんだ」

剣士「私達がせっかく、やっとの思いで運んだのだが、あれはこの宿の床には合わないのだよ」

勇者「ああ……受付前にあったへこみって……」

剣士「私達が遺物を置いた跡だ」

剣士「底は抜けなかったが、主人もあれには参ってしまってな……」

剣士「無論私も食い下がったのだが」

勇者「まぁ……それなら仕方ないか」

勇者「じゃあ、あんな重い物を盗むやつはいないと思うが、俺が見張っておく事にするよ」

剣士「ちょっと待て! 勇者様、この子は――」

勇者「飯時になったら呼んでくれよ」サササッ

剣士「……」

遺跡番人「どったー?」ヘラー?

剣士「……」

遺跡番人「むへへへへ」ヘラヘラ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 07:16:36.10 ID:ZNKcDWEo<>まさかのレギュラー化?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/08(水) 07:54:32.28 ID:RaJr8kSO<>乙

一瞬チルノがでた気が…ww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 12:32:08.25 ID:N743RYAo<>神さんのところにつれていけば直してくれてパーティーの戦力うpみたいな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/09(木) 06:23:24.47 ID:qWDt9k.0<>(翌朝)

男「昨日は苦労を掛けたみたいだな。すまんかった」

勇者「あのくらいどうって事ないよ」

盗賊「てめぇも爆発に巻き込まれるたぁ、案外どんくせぇな」ニヤニヤ

男「突然なんだから仕方ないだろ。絵を描いてると思ったんだよ」

男「まさか魔法陣とは思わなくてな……」

盗賊「で、本題なんだが、勇者」

勇者「何だ?」

盗賊「朝起きたらあいつがいたんだが、何でだ?」

遺跡番人「ねねねー、めめくろくろー?」ケラケラ

剣士「……」ゲッソリ

勇者「……大丈夫か?」

剣士「ああ……何とかな……。お陰で酔い続けてる暇などなかったし……」

遺跡番人「けっしー! ねねけっしー!」ヘラヘラ

剣士「どうやら名前も覚えて貰ったみたいだしな……」ユラユラ…

男「ほう。それは凄い。正気じゃなくても記憶は出来るのか」

勇者「では今度は俺の名前でも教え込んでみようか」

盗賊「おい、俺の質問はどうした」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/09(木) 06:37:20.05 ID:qWDt9k.0<>勇者「実はな、この子は遺跡に返せないんだ」

盗賊「……どういう事だ?」

勇者「英雄王が言うには一度遺跡へ行っても、再びそこへ行くために転移は使えないらしい」

勇者「英雄王自身も試して言っている事だから間違いないだろう」

勇者「……とは思ったが、実際俺も試してみた。でもやっぱり駄目だった」

男「勇者さん、英雄王さんをとことん信じてないな」

勇者「当たり前だ」

魔剣〔少しは優しくしてくれぬと……本当に泣きそうだ……〕

勇者「まぁ、そういうわけで番人は遺跡に戻せなくなった」

盗賊「おいおい、じゃあどうするってんだよ」

勇者「方法としては、どこかに預けるか俺達で連れて行くかだな」

盗賊「預けるとすれば、収容所だな。それ以外に引き取ってくれる場所なんてねぇ」

勇者「その場合は特別収容所になるだろうね」

勇者「いや待て……特別収容所は十数年前に廃止になったんだっけ……」

盗賊「それってあれか? 精神を病んじまった魔法使いとかが入るあれか?」

勇者「そう、それ。元々需要が限りなく低かったし、何十年も収容者がいなかったからなくなったあれだよ」

盗賊「じゃあ一般の精神異常者が入る収容所か……。そこだとこいつは危険だな」

遺跡番人「けへへへへっ」ヘラヘラ

剣士「……」フラフラユラユラ

盗賊「ここは無理を通して入れて貰うしか……」

男「一つ提案があるんだが」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/09(木) 06:53:48.21 ID:qWDt9k.0<>男「サナンの楽園に行って神さんに直して貰えば良いんじゃないかな」

勇者「!」
盗賊「!」

男「どのみち炭坑町には行くんだし、番人の事も知ってたから“修理”して貰えるかもしれない」

勇者「それだ!」
盗賊「それだ!」

剣士「……待て」ユラリ

勇者「どうした?」

盗賊「何だよ、折角まとまりそうだったのによ」

剣士「奴は私達が楽園から出る前に言ったはずだ。回収した部品のみを置いて行け、と」フラフラ

剣士「それは私達が入ると他の――もしかしたら非常に危険な場所に飛ばされる危険性があるからに他ならない」ユラユラ

勇者「だが非常に稀な確率だとも言ってたぞ」

男「ふむ。確かに剣士さんの言う事にも一理あるな」

男「番人を中に入れる場合、仮に一つの物体が他の場所に飛ばされる確率が千分の一とすれば――」

男「単純に考えて、部品、番人、そして用件を伝えるための付き添いの誰か――これは後々炭坑山から脱出しやすい勇者さんが適しているだろう――が一つでも他の場所に飛ばされる確率は千分の三」

男「俺らの中で誰もが行かずに、俺らみんなリスクを負わないというのも手だが」

盗賊「それで良いんじゃねぇか? 送れたら番人を押しつけられて、送れなかったら残念。ああ、それが一番良い気が――」

剣士「駄目だッ!!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/09(木) 07:07:07.43 ID:qWDt9k.0<>盗賊「!?」ビクッ

剣士「もし楽園につかなかったら……この子が可哀想じゃないか」

剣士「絶対死ぬ、という事はないだろう。だがその先にあるのは孤独かもしれない」

剣士「そうでなくとも、今までずっと孤独だったのだぞ。砂漠のど真ん中で……」

剣士「楽園に入れてもそうだ。神は必ずこの子を治すとは限らない」

剣士「この子がモーネならともかく、番人なんだ。歓迎するとも、限らない」

勇者「……剣士」

盗賊「何だ? 一晩一緒にいただけで愛着でも沸いたってのか?」

剣士「ばっ、そんなわけっ……//」

盗賊「まぁ良いけどよ。だが、ならどうすんだよ、そいつ」

剣士「い、一緒に旅をすれば良いんじゃないか……?」

盗賊「……本気か?」

剣士「……」

男「俺は別に構わない。そもそも、剣士さんの意見なら勇者さんが正否を決める事だからな」

盗賊「はぁ……って事は、俺もとやかく言う権利はねぇかな」

剣士「……」

勇者「……この先は甘くはないぞ。もし俺達が結界解除に近付いていると魔族連中に悟られれば、必死になって止めてくるかもしれない」

剣士「分かってる」

勇者「……そうか。ちなみに俺は子供は苦手だ。それに加え狂っているのならば、予期しない行動も多くなるはずだ。守っている暇なんて作れない」

剣士「分かってる。その時は私が守り抜いてやる」

勇者「……そうか」ニコッ

遺跡番人「にはーっ!」ヘラヘラ

剣士「……勇者様、感謝する」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/09(木) 07:12:43.55 ID:qWDt9k.0<>ああ……眠いな。
これからお出掛けだ。朝早くから辛いね。
社会人の皆々様、このような朝早くからご苦労様です← 私には真似出来ないや。

昨日と今日、始める前に何も書き込みしなかったなー、なんて思ってる人いるかな?
書くことがないんですよね。
かといって、ただ「投下します」「これから続き書きます」だけじゃつまらないし←
と言うわけで、『異世界の大陸Q&A』でも始めようかな! ネタバレに触れない限り答えます!
……いや、半分冗談ですよ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 07:15:41.52 ID:MHqmc.DO<>>>373
ご苦労は上の者が下の者に対して使う言葉なので気をつけろ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 09:12:09.81 ID:wSs4yQAO<>>>374
おお、そうだったのか。それは俺が無知でした。
そういえば昔そんな事を読んだ覚えも……記憶になきゃ知らないのと一緒だけど。
下から上に言う時はどう言えば良いんでしょうか。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 10:16:35.99 ID:0ELZ/36o<>普通におつかれさまです じゃないのか?
適当にいってみる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 10:26:58.44 ID:gtpMjEAO<>剣士かわいいよ剣士

そういや僧侶なんていましたね<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 13:18:10.75 ID:wSs4yQAO<>>>376
一応自分でも調べてみたら普通にそうだった。
大半引きこもってると語彙力も落ちるのかな……。それとも元々こうだったのか?
凄く自信がなくなってきた。もうお外に出れない。

>>377
僧侶……ああ、そういえばいましたね、そんなキャラ←<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 13:42:32.96 ID:LirlTASO<>魔法使いだっけ?
あの子はいまなにしてるの?
あの子がいればすべて解決してる
あの子以外いらないお<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 16:59:16.70 ID:Rmfnlx6o<>女さんって部長娘なんだっけ?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/10(金) 01:09:09.13 ID:oMvOAsSO<>あぁ……
繋がってるのかこれ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/10(金) 02:22:22.45 ID:Cbc.HFgo<>部長娘も立派になって…
あの男と女のその後も知りたいかもwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/10(金) 06:02:13.66 ID:V3u6oLQ0<>さて、今日も用事の前に少し書こうかな。

>>379
魔法師の事ですね。
彼女はまだ出番の余地があるので、今どこで何をしているかは答えかねる所。
でも治療魔法全般は使えない設定。

>>>380-382
女=部長娘は正しい。が、その辺りはそちらの想像にお任せします。
これ書いている間にも色々話の構成は考えていますよ。
前作の男と女のその後についてはその中にはないけど、先輩Bなら(ry<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/10(金) 06:11:23.95 ID:V3u6oLQ0<>勇者「さて、番人の処遇も決まった事だし、俺は炭坑町に行ってこようか」

勇者「男さん、部品」

男「俺も行こう。これは俺の仕事だからな」

勇者「……そうか。男さんは転移酔いしないから、俺だけ代わりにする理由もないな」

男「そういう事だ」

盗賊「俺達はどうすりゃ良いんだ?」

勇者「決まっているじゃないか」

男「留守番だ」

盗賊「……ありがたいやら、悲しいやら」

遺跡番人「がおー! がおぉ〜♪」ピョンピョン

剣士「ではこの子は私達に任せろ」

盗賊「“達”だぁ!?」

剣士「気を付けて行ってくるのだぞ」

勇者「行って置いてくるだけだ。そう簡単に危険に巻き込まれては困るな。ははっ」

男「では行ってくるぞ。ああ、そうだ、盗賊」

盗賊「あ?」

男「良い子にするんだぞ……」クククッ

盗賊「てめっ、冗談になってねぇぜ!? キチガイと一緒にされる気分をだな――」

バタンッ

盗賊「……無視かよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/10(金) 06:21:41.36 ID:V3u6oLQ0<>盗賊「さぁ、どうするか……」

剣士「私は少し寝るぞ……あまり寝れていないのだ」フラフラ

盗賊「くそっ、どいつもこいつも押し付けやがって」

遺跡番人「“――”」ブツブツ

盗賊「てめぇ、何唱えてやがる!」バッ

遺跡番人「もがもがっ!」

剣士「……あ」

盗賊「今度はてめぇか。何だ?」

剣士「その子の名前、何にしようか」

盗賊「……は?」

剣士「だから、もう遺跡を守ってもいないのだからずっと“番人”というのも変だろう?」

盗賊「まぁ……確かにそうだな」

剣士「何か良いのは……」ブツブツ

盗賊「こいつにぴったりのがあるぜ」

剣士「おお、何だ?」

盗賊「“狂人”だ」

剣士「お前、そんな名前可哀そ……いや待て、“狂人(クレジア)”か。意味は悪いが響きは良いな」

盗賊「おい……まじかよ」

剣士「これからお前の名前は“狂人”で良いか?」

狂人「きゃは〜!」ヘラヘラ

剣士「決定だな」

剣士「さて……」…スヤスヤ

盗賊「おい、まじかよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/10(金) 06:32:35.10 ID:V3u6oLQ0<>――竜の国、土竜山麓

騎士「……」

傭兵長「……」

騎士「いよいよだな」

傭兵長「ああ、そうだな」

騎士「竜の国の対抗との決別。これは大陸からして、歴史的な瞬間だ」

騎士「我々はその場に立ち会っているのだ」

傭兵長「『歴史的な瞬間』、か」

騎士「……何だ?」

傭兵長「いや、それにしては呆気なく終わりそうだと思ってな」

傭兵長「元々竜国兵なんて俺ら針の国の傭兵と国兵だけで十分だってのに」

傭兵長「この最前線にあんたら白の国の白蛇騎士隊までいるんだからな」

騎士「念には念を、だ。私達の後ろには土の国の兵が控えている。その後ろには日の国の兵がいる。そしてその後ろには――」

傭兵長「安心して戦えって事だな。だが手柄は後ろの連中に渡さないぞ」

騎士「ふふ、その意気だ。だが気は弛めるな」

騎士「ここはあくまで戦場なのだ」

傭兵長「分かってるさ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/10(金) 06:43:41.42 ID:V3u6oLQ0<>ザッザッザッザッ
   ザッザッザッザッ

騎士「……聞こえるか? まだ見えてもいない敵勢の足音が」

傭兵長「ああ。平和な一時もこれまでか」

傭兵長「あんたみたいな綺麗なねえちゃんと戦場に立ってるってのは新鮮で良いな」

騎士「何を馬鹿の事を言っているんだ」

傭兵長「……しかし、遅いな」

騎士「ああ」

傭兵長「偵察兵は何をしているんだ。敵の位置くらいすぐに伝えられるだろう」

騎士「……ん? 噂をすれば――!?」

タッタッタッタッタッ…

偵察兵「ぐっ……かはっ……」ゼェゼェ

傭兵長「おい、どうした!」

偵察兵「た、大変です。竜の国が、ま、魔物を兵に起用し……っ!」

騎士「何だと? 魔の国との繋がりはただの噂ではなかったのか……。だが魔物を入れた程度では――」

偵察兵「い、いえ、魔物でも今まで、に、見たことがな、い種類でっ……!」

偵察兵「ここは……一旦退却すべ……」ガクッ

傭兵長「偵察兵! おい、しっかりしろ!」

偵察兵「……(返事がなry)」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/10(金) 06:54:08.35 ID:V3u6oLQ0<>騎士「……どうなっている」

傭兵長「分からん。だが、今までの竜の国と言うわけではなさそうだ」

ザッザッザッザッ

傭兵長「だが、ここで引き下がるわけにはいかない。だろ?」

騎士「当たり前だ。大陸のため、大陸の人のため。白国王様の決定に間違いはない」

傭兵長「さて、敵の軍勢のお出ましかな」

ザザザザザザザザザザザッ

騎士「……何だあれは」

傭兵長「おいおい……聞いてないぞ」

機兵達「……」ザザザザザザザザザザザザザザッ!

傭兵長「あれが、魔物だと? 馬鹿言うな」

傭兵長「あんな魔物見たことがない……まるで動く鉄の塊じゃないか」

騎士「……怯んでいる暇はないぞ。あれは間違いなく魔物だ」

騎士「君は戦場に入り浸りで知らないかもしれないが、最近になって新種の魔物が増えてきている」

騎士「その大半は、鋼鉄などを纏ったものだ」

傭兵長「って事は、本当にあいつらは魔物なんだな」

騎士「ああ」

ザザザザザザザザザザピタッ

騎士「さぁ――」

傭兵長「――開戦、だな。行くぞお前らあぁぁぁぁああっ!!」

ウオォォォォオオオオッ!! ダダダダダダダダッ

…ザザザザザザザザザザザザザザザザッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/10(金) 06:56:14.05 ID:V3u6oLQ0<>ではこの辺りで切り上げて用事行ってくるねー。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/10(金) 09:40:59.28 ID:faa5WUSO<>乙
亜法か<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/10(金) 13:05:55.39 ID:Cbc.HFgo<>アホウか

たよりすぎるとだめにんげんになっちゃうな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/10(金) 16:29:20.25 ID:Yl2vdYAO<>最近よく更新してくれる
そんなあなたが大好きです 乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/11(土) 13:46:37.96 ID:.gs3xuMo<>最近よく勃起してくれる
そんなあそこが大好きです 乙
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/11(土) 14:18:07.36 ID:LvLIkLI0<>>>391
なにごともじしゅせいがたいせつですね

>>392
ハハッ、そんなに煽てても何も出ないぜ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/11(土) 14:18:58.32 ID:LvLIkLI0<>『月影の町を発って 当日

現在は錬金師と名乗っている大魔法使いを訪れる為、月影の町から氷の国へ向かう。

これからの足として、勇者様が馬車を用意してくれた。

本当は一刻も無駄には出来ず、転移魔法を使うべきなのだが、氷の国は一度も訪れた事がない。

その隣国日の国、月の国、帆の国もそうだ。

目的地は氷の国、凍結村。最も大陸大山脈に近付いた所。

月の国を経由し行く。馬だと大凡十五日だろう。

あまりにもゆったりとした旅になるが、実の所ほっとしている。

転移酔いはあまりしたくはない。その点、男さんが羨ましい。

思えば今回転移をしないのは、勇者様の配慮かもしれない。

前回転移したのは昨日の今日。私も盗賊も連日の転移は流石に瀕死の状態になりかねない。

勇者様もそう思ったのだろうか。そうでなければ白の街までは転移していたようにも思う。

勇者様に感謝しなければならない。

現在位置は三日月山脈の山裾。明日は白大湖付近まで行ければ十分だろう。

それにしても狂人が眠る気配がない』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/11(土) 14:39:39.06 ID:LvLIkLI0<>『月影の町を発って 三日目

遠くに白の街が見えた。それを横目に先へ進む。

移動の間は話題がなく、とても暇だ。

勇者様は今日も馬を操るのに忙しい。

男さんはよく狂人と遊んでくれている。

いつも楽しそうだが、狂人は遊んでいると増して楽しそうにする。

盗賊はいつにも増して人相が悪い。そのせいか、彼の周りの空気も一段と悪い。

私はと言えば、周囲に気を配るだけだ。

注意すべきは魔物だけではない。追い剥ぎも気を付けなければならない。

丁度昨日、襲われたばかりだ。

以前は魔王討伐隊の威厳があってか、そのような事はなかったのだが、今は男さんや狂人がいるために単なる旅行者と護衛程度にしか見られていないのかもしれない。

有り難い事に両者とも私達に敵う相手はいない。

それに群れてくるから、対処も楽で良い。

今日は何事もなく平和なままで日が暮れた。

いや、そう言えば一つある。

狂人が男さんの名前を呼ぶようになった。

「オットー」と別の名前にも聞こえる発音は、なかなかに可愛かった』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/11(土) 14:59:11.79 ID:LvLIkLI0<>『月影の町を発って 六日目

漸く月の国に入った。

関所を通る際に、遺物の所為で半時半程引き留められてしまった。

勇者の証を提示しても頑なに遺物の説明を要求する番人に、勇者様も困った様子だった。

その時に気付いたのだが、馬車の荷台が少しへこんでいた。

恐らく遺物の重さに耐えられなかったのだろう。

放っておくと底が抜けそうな気がしたので、一日に一度は場所をずらす事にした。


暫く野宿が続いている。

こうしていると、盗賊が思いの外便利だという事に気付かせられてしまう。

彼は人相こそ悪いが、料理の腕は良い。

楽園で彼が作った牛肉のパイも美味だったのを思い出す。

野営中に出来立ての手料理を食べられるのは、なかなか暖かいものだ。

先はまだ長い。ここで少しどこかの町で滞在をしようと勇者様が提案した。

明日、日が落ち始めてから最初に見えた町で宿を取る事になった。

多分、月光街になるだろう。

地図の位置から見て、着くのは恐らく、日が暮れ始めた頃だ』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/11(土) 15:11:06.16 ID:LvLIkLI0<>『月光街滞在 一日目

無事日が沈む前に街に到着した。

私達はどこでも寝られるのだが、やはり柔らかい布団は恋しい。

安宿のベッドなのでふかふかとは言えないが、道端の地面よりは幾分もマシだ。

これまで取れなかった疲れも取れるだろう。

今日ばかりは、狂人もおとなしく寝ていて欲しい』

剣士「……ふう」パタンッ

盗賊「……ほう」

剣士「!?」ビクッ

剣士「き、貴様! いつからそこにいた!?」

盗賊「結構前からいたぜ」

剣士「何でこんな所にいる!」

盗賊「ん? そりゃこそこそと部屋を出て行きゃ、気になるだろ」

盗賊「勇者も男も寝てたが、俺は起きてんだよ。ったく、起きてる狂人を置いて何してるんだか……」

剣士「み……見たのか……?」

盗賊「あ? ああ、しっかりと覗かせて貰ったぜ」

剣士「〜っ!///」カァーッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/11(土) 15:23:27.22 ID:LvLIkLI0<>盗賊「日記か? いや、日にちが飛んでたからただの旅の記録ってとこか?」

剣士「あ……ああ」

剣士「わ、笑いたければ笑え!」

盗賊「?」

剣士「ど、どうせ私には似合わない事だろ?」

盗賊「あー、まぁそういやそうだな」

剣士「……はっきりと言うか、お前は」

盗賊「てめぇのような剣を振り回すような女からは想像できねぇな」

剣士「そうだな……ん? そこは真顔で言う台詞ではないと思うのだが」

盗賊「まぁ、その……何だ。趣味の世界に他人が口出しは出来ねぇんだよ、結局は」

盗賊「他人が好きでやってる事を下手に笑う事はしねぇ」

剣士「……そうか」

盗賊「まぁ、笑える内容でもなかったしな」

剣士「当たり前だ。冗談で書いているわけではない」

盗賊「はははっ、それこそ冗談だろ」

剣士「なっ! 貴様、結局は笑ったじゃないか!」

盗賊「当たり前だ。人を勝手に悪人面にしやがって!」

剣士「見たままを書いただけだ」

盗賊「俺はそんなに人相悪くねぇ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/11(土) 15:34:08.79 ID:LvLIkLI0<>盗賊「……さて、真相も掴んだ事だ。戻って寝るか」

剣士「そうだな」

盗賊「ん、もう書かなくて良いのか?」

剣士「うるさい」

剣士「……そういえば」

盗賊「?」

剣士「狂人はどうしてきたんだ?」

盗賊「てめぇがそれを言うか……。寝かしつけたに決まってるだろ」

剣士「ほう。案外早く寝てくれたのだな。一晩中寝ない時だってあるのに」

盗賊「まぁな」

ガチャ

勇者「……」スヤスヤ
男「……」スヤスヤ
狂人「……」グッタリ

剣士「お前何をした!?」

盗賊「安心しろ。気絶してるだけだ」

『私とした事が、盗賊にこれを見られてしまった。

勇者様にも見られた事ないのに。

だが、最初に見られたのが盗賊で良かったのかもしれない。

最初に見られた時に、この趣味を馬鹿にされたならば、この趣味がすぐに嫌いになりそうだから。

一つ、自分から失われるかもしれなかったから。

彼を見ていると不思議に思う。

かつて盗みを働いた犯罪者が、どうして常識人のようなのだと。

それとも、このような常識人がどうして盗賊などをやっていたのだろうと』<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/11(土) 21:17:56.22 ID:An1juwSO<>今日は終わりか
乙乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/12(日) 02:58:00.76 ID:02MfCYAO<>剣士、飲尿以来大分女らしくなって来たなぁ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/13(月) 18:19:02.56 ID:Z.zcsgE0<>昨日はうっかり寝てしまって、途中で終わってしまったようだ。
もう少し書くつもりだったのに。

>>402
なんかその表現、エロいな。
剣士は以前から隠れて乙女だったんだよ、きっと。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 06:34:56.53 ID:RcVUqrs0<>(翌朝)
――月光街、宿屋

男「寝かすために気絶させるとは……なかなら強引なやり方だな」

盗賊「仕方ねぇだろ。こいつは俺達みてぇに夜に寝るとは限らなねぇからな」

狂人「ぺやー、ぺやー!」ヘラヘラ

勇者「まぁ、本人は気にしてないみたいだし」

剣士「ここで気にしていたのなら、私は彼女が正気だと思うよ」

勇者「あー……それもそうか」

剣士「仕方のないときは良いとしても、今後は注意すべきなのではないか?」

男「むしろ推奨するべきかもしれないぞ」

剣士「……どういう事だ?」

男「ショック療法ってやつだ。衝撃を与えれば、ふとした拍子に正気に戻るかもしれない」

勇者「本音はどうなんだ?」

男「手っ取り早く静かになってくれるからだな」

剣士「害がなければ特に言わないが……」

勇者「まぁ、そろそろ出発するか。早く目的地を目指そう」

ドタドタドタドタッ

盗賊「なんか騒がしくねぇか?」

狂人「ぺやー!」ケラケラ

男「ああ、狂人はずっとうるさいな」

盗賊「そういう事じゃなくてだな……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 06:42:01.57 ID:RcVUqrs0<>ドタドタ…

男「盗賊、冗談くらい察するものだぞ」

盗賊「分かってたけどよ……」

剣士「勇者様、気付いてるか?」

勇者「ああ、この部屋の前で足音が止まったな」

狂人「ぺやー?」

…コンコン

勇者「来客か……。誰か約束でもしてるのか?」

剣士「いや」

盗賊「してるわけねぇだろ」

男「昨日着いたばかりだぞ」

勇者「じゃあ誰だ……」

コンコンッ

勇者「ああ、少し待って下さい!」

剣士「出るのか?」

勇者「誰かは知らないけど、居留守は失礼だろ」

ガチャ

勇者「どなたですか」

館長「私、月光博物館を管理させていただいています館長と申します」

館長「勇者様がお泊まりの部屋はこちらであっていましたよね?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 06:54:39.65 ID:RcVUqrs0<>男「この街に博物館なんてあったのか」

剣士「ああ。世界有数の王立博物館だな」

盗賊「俺も噂だけなら聞いてるぜ。月の雫ってのが目玉なんだろ」

剣士「ほう。流石賊は目敏いな」

盗賊「その他にも何を展示してるのか知ってるぜ」

盗賊「初代月国王の聖剣、二代目月国王の聖杖、混沌期の銀器――」

男「これはまた値打ちの高そうなものばかりだな」

盗賊「当たり前だ。価値のねぇ物を博物館に置くわけねぇよ」

男「それもそうだが」

勇者「確かに俺が勇者ですが……」

館長「旅の最中引き留めて失礼を承知していますが」

勇者「博物館の館長が、どうして俺らに?」

館長「実は……明日の朝まで護衛の仕事をしていただきたいのです」

勇者「護衛、ですか?」

館長「はい。月の雫をこれから明日の朝まで守っていただきたいのです」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 07:06:41.84 ID:RcVUqrs0<>勇者「月の雫というと、あなたの博物館の展示物である魔石の事ですよね」

館長「はい。お急ぎでなければ、で宜しいのですが」

勇者「……ふむ。とりあえず詳しく話していただけませんか?」

館長「分かりました」

館長「月の雫は特別な魔石だと言うことをご存じですよね?」

勇者「はい。九つのどの属性にも当てはまらないとか」

館長「その通りです。それを調べたいと、かの大魔法使い――今は錬金師と名乗っておられるのですが、彼がそう言ってきたのです」

館長「私どもとしても断る理由もなく、喜んで引き渡したいのですが……」

勇者「何か問題があるんですね」

館長「錬金師様は以前にもう一つ特殊な魔石を調べようとした事があるようなんです」

館長「それは氷の国の首都氷の街にある博物館に保管された、氷の結晶という魔石です」

館長「しかし引き渡しの時になると、前日にはあったはずのそれがなくなっていたというのです」

勇者「その時、たまたま泥棒に入られた、と」

館長「向こうの警備は結界魔法なども張られて万全の状態だったはずなのですが……」

勇者「ふむ……」

館長「勿論、今回もそのような事にはなるとは限りません。ですが、十分に警戒すべきと考えております」

館長「そこで昨晩、勇者様がこの街にいらっしゃったと噂で聞きまして、助力をお借り出来ないかと思った次第で」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 07:18:58.49 ID:RcVUqrs0<>勇者「……という事らしいのだけど」

剣士「明日の朝までで良いんだな?」

館長「はい。明日の朝に錬金師様のお弟子様が引き取りに来る予定になっています」

男「引き受けても良いとは思うな。そのまま弟子の人に錬金師さんの所まで案内してもらえば楽だ」

勇者「俺もそう思っていたよ」

勇者「館長さん、その仕事、快く引き受けさせていただきます」

館長「ありがとうございます」

館長「そうと決まれば、すぐに準備をして下さい。私は部屋の前で待っておりますので」

勇者「分かりました」

バタン

勇者「さて、出発は延期だ」

盗賊「俺が盗人から宝を守るとは……洒落になんねぇぜ」

男「別に盗まれると決まったわけじゃないんだ。一日博物館に住む感覚だ」

男「怪盗みたいに予告状でも出してくれたら分かりやすいんだがな」

剣士「怪盗とは何だ?」

男「ああ、俺の世界のフィクション上の人物だよ」

狂人「くるのー?」ヘナッ

剣士「とにかく、何もなければ良いのだが」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/15(水) 10:00:45.58 ID:9/HK1QSO<>とりあえず乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/17(金) 18:05:35.39 ID:DCAW7.AO<>中途半端な所で止まってしまってすみませんが、今は少し書き進める事気分になれなれません。
気が乗るまでの間、暫くお待ち下さい。
遅延はあっても途中で投げだすつもりはないので。
更新遅延の理由(言い訳)としては──
・他の作品で行き詰まり、どうしてもそちらに気が行ってしまう。
・話の粗方の全構想が見えて来た事により、そのあまりの長さに圧倒されている。
・狂人の行動が予測不可能すぎる。
の三点ですね。

極力早急に問題点の解決をしますので、それまで暫く眠ります。
起きるまでゆっくりお待ち下さい。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/17(金) 21:42:45.31 ID:G8jq46SO<>他作品kwwsk
見に行く<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/17(金) 22:49:48.95 ID:YfYNq82o<>
 now suiming<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/17(金) 23:49:48.90 ID:hhHEYcAO<>これ書きながら他作品とか
寝る子は育つ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/18(土) 01:34:39.98 ID:J0w.zcDO<>夢の世界で書いてるのかー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/20(月) 12:10:11.19 ID:Q9n593Mo<> <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/23(木) 12:27:28.81 ID:99qTsJoo<>夢の中へ夢の中へ行ってみたいと思いませんか<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/27(月) 20:17:42.77 ID:MuM5hig0<>おはよーございます!
久々に起きると足の筋肉が弱化していて歩くのが幾分か辛いです。
これから飯を食うので、一時間かそこら強の後に書き始めますね。

>>411
一応他の所で公開してるけど、教えませんよー。
理由? 個人情報保護法により(ry

>>413
ちなみに今は、コレ+α+β+γ+δ(+ε+ζ)程の数。
前作の時は、前作+α+β(+γ)くらいだったのに比べて、処理能力は育ってますね、うん。
勿論それぞれで蔑ろになってる部分はありますよ、かなり。

>>414
マジレスすると、夢の世界で見てきた事を書いているんだぜ。
だから人に「こうでこうなこう言う話を書いて」って言われても視野の範囲外だから書けないのは必至。

>>416
では先に行っておくから、お前がみんなを案内してきてくれ!
うふっふ〜♪<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/27(月) 20:23:52.58 ID:gbnELkSO<>>>417そこをなんとか教えてくれよ
なあ頼むよ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/27(月) 21:36:21.25 ID:MuM5hig0<>――月光博物館

盗賊「ほう。なかなか大きいじゃねぇか」
男「ほう。予想よりも小さいな」

盗賊「あ?」
男「え?」

盗賊「俺もいくつか展示館は忍び込んだ事はあるが、『博物館』なだけあってでけぇぞ?」

男「この世界ではそうなのか……。俺の世界のルーヴルと比べても半分の大きさもないんだがな」

勇者「へぇ、そんなに大きい博物館があるの?」

男「いや、あれは美術館だがな」

剣士「男さんの価値がどうかは知らないが、やはりここはなかなかの大きさだ」

館長「ええ。これでも月の国の自慢でございますから」

館長「ですが、男様のおっしゃるルブールと言う所も機会があれば見に行きたいですね」

館長「私ども月光博物館の参考にもなれば、きっとこの博物館にも各国から人が見物に来るでしょうから」

勇者「仕事熱心なのですね」

館長「それだけが取り柄ですから」

館長「さぁさぁ、お入り下さい。まだ開館までに時間がありますので、ご案内致します」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/27(月) 21:54:48.68 ID:MuM5hig0<>館長「博物館内は大きく西と東、そして南とコーナーが分かれております」

館長「入り口を入り、ホールを抜けてすぐの所は南のコーナーでございます」

館長「正規の順路としては、そこから西、東と行くのですが、時間がない方のために短縮ルートも設定しております」

館長「ですから、南のコーナーからすぐに西や東へ行ったりも出来るのです」

男「内装がかなり豪華にされていますね」

盗賊「展示館って言うと、客層は貴族だからな」

館長「いえ、当館では一般での公開もしていますので、入館料は安くしております」

館長「内装はサービスの一つでございまして、清掃も十分にしております」

剣士「それは凄いな。ここまで持てなす所は初めてだ」

勇者「そうだな。白の国にある博物館はそもそも貴族しか入れないからな」

勇者「しかも展示されてるのは高級品ばかりだったよ。その間にちらほらと見てくれの良い発掘物があるくらいだ」

盗賊「なんだ、てめぇも入った事あるんじゃねぇか」

勇者「父上に連れられてね」

男「ちなみに、ここではどのようなものを展示しているんですか? やはり……」

館長「いえ。ここでは主に民芸品や稀少品を展示しております」

勇者「それで、月の雫はどこに展示しているのですか?」

館長「東のコーナーにあります」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/27(月) 22:09:19.16 ID:MuM5hig0<>――東のコーナー

館長「こちらが月の雫でございます」

男「これが特殊な魔石、というわけか……」

勇者「初めて見るけど、本当にどの魔石とも違うんだな。見ただけで分かる」

盗賊「本当に魔石なのか?」

館長「間違いはありません」

剣士「ああ。但し、一説ではリーツとダーレク両方の性質を持っているらしい」

館長「ほう、お詳しいのですね」

剣士「囓った程度のものだがな」

館長「剣士様のおっしゃる通り、月の雫には二種以上の属性が存在している説があります」

館長「他に、第十の属性や、魔力以外の力と言った説もございます」

男「それは興味深いですね。俺も調べて見たいもんです」

勇者「そう言えば男さんは魔法を調べているんだったな」

館長「学者様でしたか。それならば月の雫に興味を持たれるのも分かります」

館長「現にいつも引っ張りだこでございまして、今も学者の方がお調べになっております」

盗賊「おい。じゃあこれは何なんだ!?」

館長「偽物のガラス細工でございます」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/27(月) 22:27:46.25 ID:gbnELkSO<>狂人はどこいった?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/27(月) 22:51:48.99 ID:cvHapwIP<>勇者wwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/27(月) 23:00:44.19 ID:MuM5hig0<>剣士「……偽物だと?」

盗賊「騙された気分だぜ……」

男「いや、騙されたんだよ……」

勇者「……それでは今はどこに?」

館長「当館には研究室も備えておりまして、今はそこでお調べになっております」

勇者「では、俺達はそこの警備をすれば良いんですね?」

館長「その通りです。これからそちらにご案内致しますが、もう少し館内をご覧になられますか?」

勇者「いえ。一応仕事で来ていますので」

館長「そうですか……。では――」

盗賊「ちょっと待て!」

館長「……どうかしましたか?」

盗賊「おい……なんか静かじゃねぇか?」

勇者「静か、って……ああ!」

勇者「剣士、狂人はどこにいった!?」

剣士「どこって、男さんが見ていたのでは……っ!?」

男「俺!? いや、俺は知らないが……剣士さんが見てたと思ってたし」

剣士「何を言う。宿を出た時は、お前と歩いていたではないか!」

男「いや、あれは勝手についてきていただけだ。俺はてっきり剣士さんがしっかりと見ていると……」

剣士「なっ……それは無責任ではないか!?」

男「そもそも俺はあの子を世話するつもりはなかったからな。責任は剣士さんにあると考える」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/27(月) 23:08:35.89 ID:MuM5hig0<>剣士「何だと!」

勇者「お、おい。今は言い争ってる場合じゃないだろ!」

剣士「あ、ああ、そうだな」

男「……やれやれ」

剣士「っ!」キッ

館長「狂人様と言いますと、一緒におられたお嬢様の事ですか?」

勇者「はい」

館長「では手分けして探しましょう。開館まで時間はあります」

勇者「いえ、出来る限り早く見つけ出さなければ……」

館長「?」

勇者「あの子は――察して下さっているかもしれませんが、精神的に正常じゃないのです」

盗賊「ああ……そうだな。このままじゃまずい事になりかねねぇ」

盗賊「あいつは魔法を使いやがるからな……」

勇者「そう。あの子はその上魔法を使うので、放っておくと博物館が壊されかねないのです」

館長「はははっ、それは大袈裟でしょう」

館長「いくら魔法を使えるからと言っても、相手は子供じゃないですか」

盗賊「大袈裟じゃねぇんだがな……」

館長「私も協力致します。早く探してあげましょう」

勇者「分かってますよ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/27(月) 23:21:02.87 ID:MuM5hig0<>?「……あれ、まだ開いてないの?」

?「すみません! ここの開館時間っていつ頃でしょうか?」

「ああ、後三十分くらいだね」

?「ありがとうございます」

「いえいえ。わしも昔入ったことはあるけど、かなり面白かったよ。お嬢ちゃんは初めてかい?」

?「はい」

「そうか、そうか。じゃあしっかり楽しんでいきな」

?「分かりました!」

?「……さて、と。どうやら早すぎたみたいだけど……」

?「まぁ、待つしかないよね。……あれ?」

狂人「だいどころーのなべのなかにもあぶらむしーっ」テクテク

?「博物館の敷地内に子供……? 職員の子供かな?」

狂人「あぶらむしーのはらのーなかにもあぶらむし〜」テクテク ピタッ

狂人「ふふふのふー」ブチッ ブチッ

?「芝生を毟ってる……。保護者の人は何をして――」

狂人「“……”」ブツブツ ブチッブチッ

?「詩篇!? こ、こらーっ!」ダッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/27(月) 23:33:28.01 ID:MuM5hig0<>ドゴーンッ!!

館長「な、何ですか!? もしや強盗!?」

勇者「安心してください! 恐らく泥棒ではないでしょう! だが――」

盗賊「ああ、遅かったな……」

剣士「入り口の方からだ! 行くぞ!」


ザザッー…

?「……ふー。何とか博物館自体に燃え広がる前に沈下出来て良かった」

?「それよりも……」

狂人「かまどむしー」キョロキョロ

?「そこのあなた、ダメでしょ、こんな事しちゃ!」

狂人「あうー?」ヘラヘラ

?「……は、反省してないみたいで――」

剣士「おい、無事か、狂人!」

狂人「うへへへへっ、むしむし〜」ヘラヘラ

盗賊「あれ、あまり酷くなってねぇようだが、てめぇ――」

勇者「あ、れ……? なんでこんな所に……」

男「……女さん、か?」

?「……兄さん?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/27(月) 23:37:00.16 ID:MuM5hig0<>ちょちょいと訂正
?「……ふー。何とか博物館自体に燃え広がる前に沈下出来て良かった」

?「……ふー。何とか博物館自体に燃え広がる前に鎮火出来て良かった」

>>418
教えても面白いものは載せてないんだけれど……。
まぁ、分別という事で、我慢してください。

>>422
わ、忘れてたわけじゃないんだからねっ!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/28(火) 00:00:00.49 ID:KNQsmeo0<>男「『兄さん』?」
?「『女さん』?」

男「……人違い、か?」
?「……人違いでしょうか?」

盗賊「何がどうなっていやがる」

館長「それはこっちの台詞ですよ! ああ、綺麗に整えた芝生がっ!!」

狂人「あうう〜!」ジタバタ

剣士「全く……また厄介事を起こして――おや、女さんじゃないか? どうしてこんな所に」

?「いえ、私はあなた達がどなたと間違っているのかは知りませんが……」

錬金弟子「私の名前は錬金弟子と言いまして、錬金師の弟子をさせてもらっています」

錬金弟子「その間にも『女』という名前は一度もついた事がありません」

錬金弟子「そ、それで……あなたは……その……、兄さん、じゃ……ないですよね?」

男「俺を『兄さん』と呼ぶ人はいないと思うが……」

錬金弟子「そ、そうですか……」

男「俺の名前は男。一応、学者って事で通してる。正確に言っても伝わりにくいのは、嫌って程わかってるからな」

錬金弟子「……初めまして」

男「あ、ああ。初めまして」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/28(火) 00:13:58.78 ID:KNQsmeo0<>館長「芝生が……開館前だというのにシバフがっ……」

盗賊「いい加減立ち直ったらどうだ? 咄嗟に鎮火してもらってなきゃ、今頃博物館も炎上してるぜ」

館長「シバフ……!」

錬金弟子「それよりも、この子の保護者はあなたですか?」

剣士「え? あ、ああ。まぁな」

狂人「んうー?」

錬金弟子「子供から目を離しちゃダメじゃないですか」

錬金弟子「それに危険な魔法を教えたり……反省する事すら知らないみたいじゃないですか!」

錬金弟子「母親の教育がダメだから、こういう子になってしまうんですよ。甘やかしすぎじゃないですか?」

剣士「目を離したのは、悪いと思っている」

錬金弟子「他は悪くないと言いたげですね」

勇者「それが、本当に悪くはないんだな」

錬金弟子「……あなたは?」

勇者「俺は勇者。名前くらいは聞いたことはあると思うんだけど」

錬金弟子「勇者って、あの?」

勇者「多分、そう。そしてこっちが仲間の剣士、向こうが盗賊。で、さっきの男さん。それで、この子が狂人」

錬金弟子「こ、これは勇者様のお仲間にとんだご無礼をっ!!」

剣士「いや、良いんだ。お前の言う事は正しい」

勇者「それにそこまで畏まられるような人らじゃないしな。特にあいつは本物の泥棒だ」

盗賊「ただの泥棒じゃねぇぜ。プライドの高ぇ盗賊団だった」

勇者「まぁ、普通に接してくれて構わないよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/28(火) 00:25:01.40 ID:4recokQo<>狂人教育フラグ?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/28(火) 00:33:06.61 ID:KNQsmeo0<>錬金弟子「ですが、先程の『悪くない』とはどういう意味ですか?」

錬金弟子「剣士さんとの子供で、単なる親バカって事はありませんよね?」ジトー

盗賊「お、おい。あの睨みまでそっくりじゃねぇか?」ヒソヒソ

男「……だな」ヒソヒソ

剣士「いや、元々この子は拾い子だ」

狂人「うぃはははー!」ジタバタ ヘラヘラ

錬金弟子「拾い子、ですか?」

剣士「ああ。その時にはもうこのように精神異常者のようだった」

勇者「だから反省どころか、まともに会話すら出来ないんだよ。魔法も拾った時には憶えていた」

錬金弟子「そうだったんですか……。ですが魔法を知っている子供なんて、どこの子だったんでしょう」

勇者「はは、本当だな……」

館長「勇者様、そろそろ開館の時間になります」ピシッ

剣士「すまなかったな。私が目を離したせいで……」

館長「いえ、芝生なんてまた生やせば良いのです」

勇者「ああ、館長。こちらが――」

館長「話は聞いておりました。錬金師様のお弟子様ですね」

錬金弟子「初めまして。錬金弟子です」

館長「当博物館の管理を任されております、館長と申します」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/28(火) 00:43:00.58 ID:KNQsmeo0<>館長「確か、約束では明日のはずでしたが……」

錬金弟子「はい。そうですね」

館長「早く取りに来られても、今日一杯まで他の方にお貸しするつもりですので……」

錬金弟子「いえ。引き取りは予定通り明日の朝ですよ」

錬金弟子「ですが、氷の結晶の件での過ちをしないように、前日に本物があるかどうかを確認します」

錬金弟子「そして、私自身が月の雫の警備も行う。それで構いません」

館長「そうでしたか。それは頼もしい限りです」

館長「実は今朝方、警備の増員としてこちらの勇者様方にもお願いした所なのです」

勇者「宜しく」

盗賊「……」

剣士「よろしくな」

狂人「うっうー!」ヘラー

錬金弟子「それは……頼もしいですね」チラッ

男「?」

錬金弟子「っ」アセアセ

錬金弟子「そ、それで、月の雫が展示されている場所はどこですか?」

館長「案内致します」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/28(火) 00:56:07.50 ID:KNQsmeo0<>勇者「――という事で、明日の朝に一緒に錬金師さんの所に向かわせてくれませんか?」

錬金弟子「ええ、良いですよ。案内します」

剣士「こら、そっちではないぞ」グイッ

狂人「あわわわー」ヘラヘラ

館長「さて、錬金弟子様。こちらが月の雫でございます」

勇者「館長、また偽物を紹介してるな」ヒソヒソ

盗賊「なかなか人が悪ぃじゃねぇか……」ヒソヒソ

男「彼なりのユーモアだと思うけどな」ヒソヒソ

錬金弟子「これが月の雫ですか?」

館長「はい」

錬金弟子「へぇ。綺麗ですね。私、実物は見たことがないんですよ」

館長「気に入って貰えて何よりです」

錬金弟子「この偽物を作った人は凄腕ですね。こんな綺麗なの見たことありません」

館長「もう亡くなっておられますが、月の国を代表するガラス細工職人でした」

勇者「これが偽物だって分かるのか!?」

錬金弟子「これでも大魔法使いと呼ばれてた人の弟子ですよ」

錬金弟子「これから魔力が感じられない事くらい分かりますよ」

盗賊「すげぇな」

男「やはり外部からでも感じ取れるのか……」

錬金弟子「それで、本物はどこですか?」

館長「案内致します」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/28(火) 00:57:44.55 ID:KNQsmeo0<>今日はそろそろ寝させてもらいますぜ!
おやすみー。よいゆめをー。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/28(火) 01:12:32.59 ID:VO8fNsAO<>よいお年を!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/28(火) 09:07:42.88 ID:CVcxDQSO<>気になるが仕方ない
諦めようorz<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/28(火) 09:19:14.90 ID:etZRHYAO<>乙です<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 02:56:14.82 ID:uW3l/tQ0<>>>436
そんな事を言うから、うっかり来年まで寝るところだった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 03:13:29.25 ID:uW3l/tQ0<>――研究室

コンコン

シーン

館長「……おや?」

館長「学者様! 館長でございます!」コンコンッ

館長「おられるのでしょう、学者様!」コンコンッ

男「盗賊。学者って……まさか」

盗賊「名前が同じなだけだろ?」

盗賊「あいつは実践魔法学者と言っていたぜ。そういう奴が魔石の研究なんてしねぇよ」

…ガチャ

学者「何だ、騒がしい。僕は今――ん、あなた達は……」

盗賊「……“まさか”だった」

学者「久しぶりだな! まさかこんな所で会うとは!」

学者「あなたは変わりなく胡散臭そうで何よりだ」

男「そちらも相変わらず口が悪くて何よりだ」

学者「僕は本音を――」

男「――言っただけだ。だろ?」

学者「……くっ。で、あなたも相変わらず悪党面しているな」

盗賊「うるせぇ、クソッタレ」

学者「それで……あれ?」

錬金弟子「?」

学者「以前の珍妙なオーラはどこへ隠した? まるでただの娘っ子みたいだ」

錬金弟子「は、はあ……」

男「いや、その人は女さんじゃないんだ。もの凄く似てはいるけど」

学者「そうなのか? だが、実にそっくりだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 03:24:46.07 ID:uW3l/tQ0<>学者「では改めて、初めまして。僕の名は学者だ」

錬金弟子「初めまして。錬金弟子と言います。錬金師の弟子をしております」

学者「錬金師? 聞いたことがないな」

錬金弟子「改名されていますから」

学者「そうなのか。それで……」

勇者「?」
剣士「?」
狂人「……」クンクン

学者「そこの子連れ夫婦は誰だ?」

勇者「夫婦!?」

剣士「それはからかっているつもりか?」

学者「いや、本音だが」

剣士「……タチが悪いな」

勇者「俺の名前は勇者。館長に護衛を任されて来た」

剣士「同じく、剣士だ。そして、この子は狂人だ」

狂人「うい〜」

学者「勇者という名なら聞いたことはある。王命の遂行中に子を産むなど――」

勇者「だ、だから勘違いだと――!」

剣士「この子が勇者様に似てると思うか?」

学者「……ふむ、似てないな」

勇者「いや、言うべき所はそこでは……」

剣士「拾い子でな。少しばかり精神状態に難はあるが、可愛いだろう」

学者「納得だ」

勇者「いや、納得するのか……」

学者「だがそのような手の掛かりまくる輩は、僕は好きではないな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 03:29:41.73 ID:uW3l/tQ0<>……だめだ、やっぱりちょっとねる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/30(木) 08:08:12.51 ID:gpCgPw2o<>>>1は若干天邪鬼気質か?
多分しばらく来ない
と言っておけばすぐ来るかも<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/30(木) 09:33:10.69 ID:POhJA6SO<>学者ってどこで出たっけ?
ゾンビのとき?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 13:45:23.93 ID:uW3l/tQ0<>>>443
一瞬、天邪鬼が邪気眼に見えた←
単なる気分屋なだけだと思うんだけどなぁ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/30(木) 13:51:08.20 ID:POhJA6SO<>前SEって言ってなかったか?
SEってヤバい忙しいんだろ?
あれ?勘違い?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/30(木) 14:11:33.23 ID:5D7Bp5Eo<>時期にもよるし、社内SEかどうかとか
SEと言っても色々で一概には言えない<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 14:30:36.13 ID:uW3l/tQ0<>学者「で、何の用だ?」

館長「この方達に月の雫をお見せしたいと思いまして」

学者「まぁ良いが……。館長さんがそうしろと言うのならば、一般客ではなさそうだな」

学者「見た目からして一般客ではなさそうだが」

館長「勇者様達は、先程言われたように護衛の増員として来ています」

学者「男さん達もか?」

男「ああ、まぁそうだな。今は勇者さん達と旅をしているんだ」

学者「女さんはどうした?」

男「まぁ、色々あってね……」

館長「錬金弟子様は、明日から契約されている方です」

館長「念のために護衛もしてくれるそうです」

学者「という事は、錬金師というのが、あの大魔法使いか」

錬金弟子「はい」

学者「弟子ってのも大変だな。だが今日一杯までは僕が契約しているからな」

錬金弟子「分かっています」

学者「まぁ……休憩がてらに良いかもしれないな。入ってくれ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 14:48:57.51 ID:uW3l/tQ0<>男「研究室とは言っても小さいものだな」

館長「ここを使う方達は考古学者が殆どですから。それにそれほど大規模に調べる事はございませんよ」

狂人「きゃはー!」ヘラヘラ

学者「あまりそいつに触らせるなよ。散らかると困るんだ」

剣士「元から散らかっているように見えるが?」

学者「僕は何がどの場所にあるか全て把握しているから、整理はされていると言える」

盗賊「てめぇ、確か実践魔法だったよな?」

学者「その通りだが」

盗賊「詩篇をいじくり回して唱えるだけの奴が、どういう風の吹き回しだ?」

学者「何も唱えるだけではないんだがな……」

学者「魔石を調べようと思ったのは、先の事件がきっかけだ」

男「ああ、あれか」

勇者「あれ、って?」

男「黒の国で死者が徘徊したってやつだ」

勇者「成る程。その時に知り合ったのか」

学者「何というか……あの時に、魔法を知ろうと思うには、その根本を調べなくてはならないと思うようになったんだ」

学者「異変の結果からではなく、あなた達からの影響だな」

盗賊「これはまた変わった奴がいたもんだ」
男「これは光栄だな」

学者「それで、魔法の根本……とまでは行かないが、重要視されるものは魔石だという所に辿り着いた」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 15:23:34.28 ID:uW3l/tQ0<>学者「魔石は単なる道具にすぎない」

学者「しかし魔石がなければ、どれ程有能な魔法使いであろうと単なる人だ」

学者「つまり、魔石には魔法を操作する、決定的な要素があるとしか思えない」

男「その要素を調べているのか」

学者「そうだ」

盗賊「学者ってのは面倒なものが好きだよな」

剣士「そういう人種みたいだからな」

勇者「好きな事に対しては何でも出来る、と言うことじゃないかな?」

男「そういう事だ」

館長「それで……月の雫はどこに?」

学者「ああ、それなら今は使わないから、少しの間引き出しに入れていた」ガラッ

学者「ほら」

狂人「……」ピクッ

剣士「?」

勇者「これが“本物の”月の雫か。実物を見ても、さっきのガラス細工の完成度の高さが分かるな」

錬金弟子「確かに本物のようですね。魔力がしっかりと感じられます」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 16:26:01.66 ID:uW3l/tQ0<>学者「男さんは何かこれについて思い当たる事はないか?」

男「いや、情報が全然ないから、何とも言えないな」

学者「そうか。だが、仕方ないな」

剣士「ここに月の雫があるとなると、護衛の配置はどうするか」

勇者「とりあえずは、この部屋の扉の前で見張ってた方が良いだろう」

盗賊「そこの窓はどうすんだ? 俺ならそこを割って強奪して行くぜ」

学者「ここは三階だぞ」

盗賊「関係ねぇな」

館長「では、私はこれで失礼していただきましょうか」

男「いや、ちょっと待ってくれませんか」

館長「はい。何でしょうか」

男「出来ればもう一つ部屋を用意して欲しいのですが」

館長「空き室はありますが……どうしてですか?」

男「この子を護衛チームに入れるのは、流石にきついだろ」

狂人「うー、うー」

盗賊「そういやそうだな」

勇者「だが、一人にさせるのも危険じゃないか?」

剣士「ならば私が――」

男「大丈夫だ。俺が面倒を見ておく」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/30(木) 16:35:26.15 ID:5D7Bp5Eo<>まさか
狂人で実験するつもりだな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 18:32:57.38 ID:uW3l/tQ0<>盗賊「なんだ。てめぇも愛着が沸いたのか?」

男「いや、戦力的にこの方が良いと思っただけだ」

男「泥棒が来るとは限らないが、来ないとも限らない」

男「つまりどのような状況になっても対処できる戦力を置いておいた方が良いわけだ」

男「で、この中で一番戦力がないのは俺しかいないだろう。頭だけなら自信があるんだがな」

学者「では、こういう事だな」

学者「博物館の正規警備員は館内を巡回」

学者「あなた達四人で、この部屋の扉、窓の外の警備」

学者「室内で僕が警備」

錬金弟子「いえ、室内には私も――」

学者「僕は警備しているだけではない。優先すべきは研究なんだ」

学者「他人が入ってきては邪魔になるだけだ」

錬金弟子「……そうですか。しかし、万が一進入された場合はどうするんです?」

盗賊「そいつはかなり凄腕の魔法使いだ。心配ねぇよ」

学者「それに万が一に万が一が合わさった確率だ。問題ない」

錬金弟子「分かりました」

男「では、部屋の方に案内してくれませんか?」

館長「はい。こちらでございます」

男「ほら、いくぞ」グイッ

狂人「おうう〜」ヨタタッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/30(木) 18:37:29.87 ID:uW3l/tQ0<>そろそろ飯(+睡眠)休憩に入ります。

>>446
あれ、そんな事言ったっけ?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/30(木) 19:46:46.50 ID:POhJA6SO<>>>454あ、やっぱり勘違いかスマン<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/30(木) 20:04:34.74 ID:gpCgPw2o<>SLEEPER AGENT

何の問題も無い<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/30(木) 20:05:49.76 ID:gpCgPw2o<>SLEEPER ENGINEER
と書こうと思ってたのに何故か間違えた<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/01(金) 00:44:45.45 ID:IKkb1Rs0<>バタンッ

勇者「さて、では配置を決めて、すぐにでも仕事に入ろうか」

錬金弟子「……」ボーッ

剣士「……どうかしたのか?」

錬金弟子「い、いえ。何でも……」

盗賊「俺は屋根の上から見張っておく。その方が見晴らしも良いしな」

勇者「屋根の上? 危ないし、暗くなると見えないんじゃないか?」

盗賊「慣れてるから問題ねぇ。それと、俺の目だと、暗闇でもこっから地面くらいまで余裕で見えるぜ」

学者「何かと煙は高い所が好きって聞くな」

盗賊「……言いてぇ事があるなら、もっとはっきり言ったらどうだ」

勇者「一応博物館の巡回も必要だな。窓の下は重点的に」

剣士「正規警備員の腕を疑っているわけではないが、そちらは二人いても良いのではないか?」

勇者「いや、ここはこの部屋を重点的に守った方が――」

学者「扉の前を守るなら、一人にしてくれた方が嬉しい。僕の気が散るからな」

勇者「……じゃあ、部屋の前を一人にしよう。ここは剣――」

剣士「勇者様が適任だな」

勇者「……」

剣士「……」ジトー

錬金弟子「……?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/01(金) 00:57:49.34 ID:IKkb1Rs0<>館長「こちらが客間でございます」

男「これまた綺麗な部屋ですね。研究室とは大違いだ」

館長「客間ですから」

男「ありがとうございました。仕事に戻られても構いませんよ」

館長「ははは、これもまた仕事ですよ」

狂人「あううー」

館長「狂人様も『ありがとう』と言っておられるのですね。いえいえ、どういたしまして」

男「偶然唸っただけですよ。こいつにそこまでの知能は持っていません」

館長「そうでしょうか。彼女もきっと、賢い方ですよ。それが言葉に出せないだけで」

館長「私にも息子がおりましてね。一年前までは言葉も喋れなかったのに、今では文字を読むことまで出来るんですよ」

館長「隣人の娘だって――」

男「子供に賢いなんて似合わない」

館長「……子供が好きではないようですね」

男「大嫌いです。本当、ストレスが溜まるだけです」

館長「それなのに子守の役をかってでたのですか?」

男「自分の役割と器量は理解しているつもりですから」

館長「そうですか……では」

男「ああ、そうだ。勇者さん達にも、この場所を教えておいて下さい」

館長「分かりました」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/01(金) 01:10:15.77 ID:IKkb1Rs0<>盗賊「……」

盗賊「やはり思った通り、見晴らしが良いな」

盗賊「地面までの高さは……、十分飛び降りられるか」

盗賊「こういう場所に良くあるのが、木だな」

盗賊「南に四つ、東に三つ、西に四つ、来たに五つ……」

盗賊「結構多いじゃねぇか」

盗賊「まぁ、部屋の上を見張っておけば、大丈夫だろうがな」

盗賊「一応、屋根裏とかに降りれる穴がないか調べとくか……」

「ねーねー、ママー。博物館の上にだれかいるよー!」

盗賊「やべぇ!」ササッ

「あれは石像よ、坊や」

「違うよー。とってもあやしいオジサンだったんだよ!」

「どこにいるの?」

「ほら、あそ――あれぇ?」

「きっと見間違いよ。ほら、入るわよ」

盗賊「……人に見つからねぇようにしねぇとな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/01(金) 01:23:15.92 ID:IKkb1Rs0<>錬金弟子「見回るなら、手分けした方が良くないですか?」

剣士「そうか?」

剣士「だが月の雫の場所は分かってるのだから、主に窓下を見ておくだけだが」

錬金弟子「後手に出ては盗まれる可能性を高くしてしまいます」

剣士「ほう。では、どう先手を打つ?」

錬金弟子「盗みに来るとすれば、犯人は一度は観客に紛れて来るはずです」

錬金弟子「そこで警備状況、目標の位置などを正確に掴むためです」

剣士「成る程。それで策は?」

錬金弟子「私が客に紛れて、怪しい人物はいないか観察をします」

錬金弟子「私の方が、相手に怪しまれない格好でしょう?」

剣士「成る程」

剣士「……ふむ。そうした方が正規警備とは違った視点で見る事が出来るかもしれないな」

剣士「では、頼んで良いか?」

錬金弟子「任せて下さい」

剣士「だが、無茶はしないように」

錬金弟子「いざとなったら、魔法で倒しますから」

剣士「……無関係の人まで巻き込まないように」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/01(金) 01:31:55.93 ID:IKkb1Rs0<>魔剣〔やれやれ。剣士にまで悟られとるようでは、下心剥き出しだったという事だ〕

勇者「し、下心って何だよ」

魔剣〔キミは確か、以前魔王に連れ去られた女という娘にk〕

勇者「あー! あー! あー!! 聞こえない!!」

魔剣〔その娘にあの錬金弟子という娘がうり二つだかr〕

勇者「黙れー! 黙れー!!」

魔剣〔……〕

勇者「……はぁ。あのな、そんなわけないだろ」

魔剣〔我に隠し事が出来るとでも思うておるのか?〕

勇者「剣はおとなしく鞘に収まってたら良いと思うぞ」

魔剣〔……何にせよ、いくら似ている女でも、同じ者として見るのは、男としてどうかと思う〕

勇者「……あのな、だからもう黙っていようよ」

勇者「喋るくらいならお前も周囲に気を配って、俺の仕事を手伝ってくれ」

魔剣〔やれやれ、つれないな〕


ブツブツ…
  ブツブツ…

学者「……何一人で喋っているんだ、あいつは」

学者「これでは研究に集中出来ないではないか。非常にうるさい」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/01(金) 01:33:03.03 ID:IKkb1Rs0<>さて、そろそろ引き続き眠りに入るとしますか。
次回からまた忙しくなりそうだ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/01(金) 16:09:17.70 ID:DDKDvQAO<>乙
おじさんが子守歌を歌ってあげよう<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/06(水) 23:19:11.66 ID:ksWLyrI0<>(夜)

男「……」カタカタ…カタタッ

男「……」カタ…

男「……もう外は暗いんだな」

狂人「んむー……」ムクリ

男「……やれやれ」

バチッ バチバチッ

狂人「あうぅっ!?」ビクビクッ

狂人「ふぇへへぇ〜……」ヘラヘラァ…

狂人「……」クッタリ

男「……良し。もう少し、そうやって大人しく寝ていろ」

男「にしても、もう部屋も暗いな。明かりでもつけるか」

男「とは言っても、電気じゃないから、それ程明るくはないんだけどな。もう慣れたが」

男「さて、燭台は……」

ボボッ

錬金弟子「……」

男「ありがとう。わざわざ立たなくて済んだよ」

錬金弟子「どういたしまして」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/06(水) 23:30:54.75 ID:ksWLyrI0<>錬金弟子「何をしているんですか?」

男「別に、何もしてないが」

錬金弟子「では、あなたの前にあるそれは何ですか?」

男「ああ。少し過去の資料を見て再検討をしていたんだよ」

錬金弟子「それは、女という方との研究のですか?」

男「そうだな。このコンピュータも、女さんのものなんだ」

錬金弟子「その女さんは、今どこにいるんです?」

男「魔王に連れ去られた」

錬金弟子「……淡泊に話すんですね」

男「科学者たる者、常に冷静でなければならない」

錬金弟子「……科学者、ですか?」

男「そう。科学者だ」

男「あなたは休憩しにここへ?」

錬金弟子「まぁ、そうですね」

男「そうか」

錬金弟子「はい。そうです」

男「……」

錬金弟子「……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/06(水) 23:38:16.66 ID:ksWLyrI0<>錬金弟子「科学者というものは――」

男「?」

錬金弟子「科学者は、魔法使いですか? 学者さんのように」

男「魔法使い? いや、違うな。俺に魔法は使えない」

錬金弟子「では、さっきのは何だったんですか?」

男「……さっきの?」

錬金弟子「雷属性の魔法を使ったじゃないですか」

男「ああ、あれは――」

錬金弟子「見たところ、その子はまだ息をしています」

男「――スタンガンというもので――」

錬金弟子「それ程の精度を持つ魔法は、偶然でしょうか。それとも意図的にでしょうか」

男「――決して魔法ではないんだ」

錬金弟子「……本当に、兄さんじゃないんですか?」

男「俺の話も聞いて欲しいな」

錬金弟子「今ここには私達しかいません。――いえ、正確にはもう一人は気絶していますけど」

錬金弟子「答えてください、兄さん……!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/06(水) 23:44:23.01 ID:ksWLyrI0<>男「……」

錬金弟子「……」

男「……何で、俺がその“兄さん”と思うんだ?」

錬金弟子「どう見ても兄さんだからです」

男「……」

男「残念だが、俺はあなたの兄さんじゃないよ。これは事実だ」

錬金弟子「で、でも……」

男「あなたが女さんでないのと同様に、紛れもない事実なんだよ」

錬金弟子「……」

錬金弟子「……! そ、そうですよね!」

錬金弟子「すみません。あまりに似ていたものですから、もしかしたら、なんて思ってしまいまして」

男「まぁ、気持ちは分かるよ。初めて見たとき、錬金弟子さんが女さんだと思ったのは俺も同じだ」

男「だが、やはり女さんじゃないのは事実なんだよ」

錬金弟子「そしてあなたが兄さんでない事も事実、ですよね」

男「その通りだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/06(水) 23:55:22.43 ID:ksWLyrI0<>錬金弟子「本当に変な事を聞いてすみませんでした」

男「ここに来たのは、それが聞きたかったから?」

錬金弟子「……はい」

男「そうか。勇者さん達はどうしてるか分かるか?」

錬金弟子「それぞれの持ち場でずっと頑張ってるんじゃないでしょうか」

男「頑張るのは良いけど……飯はどうしてるんだ?」

錬金弟子「私は、昼食も夕食も館長さんにいただきました」

錬金弟子「他の方も一緒じゃないでしょうか」

男「成る程……俺の所にも持ってきてくれたな」

錬金弟子「では、私はこれから剣士さんと合流してきます」

男「分かった。気は抜けないだろうが、無理はしないようにな」

錬金弟子「ありがとうございます。そちらもコンピュータ?、頑張ってください」

男「ああ、これはもう終わろうと思ってたんだ」

錬金弟子「どうしてですか?」

男「充電が切れそうでね」

錬金弟子「?」

男「まぁ……魔力が切れた、と考えてもらうと理解しやすいかな。魔力じゃないが」

錬金弟子「??」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/07(木) 00:11:49.78 ID:XBKmciI0<>勇者〔閉館してからどのくらい経つ?〕

魔剣〔我が知るはずなかろう。元より、正確な時間など、時計を見なければ分からぬのだ〕

勇者〔……仕事だが、暇だよな〕

魔剣〔キミがそんな事を言ってどうする。暇をしている場合があるならば、しっかりと見張らないか〕

勇者〔暇だが、気は抜かない。勇者が警備の仕事すら出来ないなんて、笑い話にしかならないな〕

魔剣〔気は抜かない、か。では周囲百歩以内に人は何人いる?〕

勇者〔一人……いや、二人……。三人目が百歩以内に入ったな〕

魔剣〔それは誰だ?〕

勇者〔まずは学者さん。次に、配置的に剣士だな。それで今一階を歩いてるのが錬金弟子さんだと思う〕

魔剣〔階下の足音まで聞こえているのか?〕

勇者〔まぁな。方向的に、剣士と合流する気かな?〕

魔剣〔……ふむ。確かに気が抜けてはいないようだ〕

魔剣〔だが、そこまでの耳を持つキミに悟られないとは……なかなかやるな〕

勇者〔……誰の事だ?〕

魔剣〔盗賊だ。我らの真上を歩いて行ったぞ〕

勇者〔本当か? ……全く気付かなかった〕<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/07(木) 00:18:42.07 ID:XBKmciI0<>勇者「……」

勇者〔……こういう時は、お前がいると助かるな〕

魔剣〔な、何だ、急に!? そう言われると嬉しいが、気持ち悪いぞ!?〕

勇者〔一人で暇な時は、お前がいると随分と良い暇つぶしになる〕

魔剣〔……全く嬉しくないぞ〕

勇者〔喜ぶ所だろ。お前を拾った事の、唯一の良い所だ〕

魔剣〔……なあ、勇者〕

勇者〔何だ?〕

魔剣〔我はそこまで嫌われておるのか?〕

勇者〔……今は、そうでもない〕

魔剣〔ほ、本当か? そう言ってもらえると――〕

勇者〔静かに!〕

魔剣〔どうした?〕

勇者〔今気付いたが、誰か近付いて来ている〕

魔剣〔まさか! そのような事は……気配など……〕

勇者〔俺の目線の先、分かるな?〕

?「……」フラァ…フラァ…

魔剣〔ああ……確かにおるな〕<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/07(木) 00:32:46.44 ID:XBKmciI0<>?「……」フラァ…フラァ…

魔剣〔だが、どうしてだ? 気配が掴めん〕

勇者〔俺にも気配が感じられない。完全に消しているのか?〕

魔剣〔かもしれんな〕

?「……」フラァ…フラァ…

魔剣〔こっちに来るぞ〕

勇者〔分かってる〕チャキッ

?「……」フラァ…フラァ…

勇者〔くそっ、外套が邪魔で顔が見えないぞ〕

魔剣〔どういう事だ……? これ程まで完璧に気配を消せる者がいようとは……〕ブツブツ

?「……」フラァ…フラァ…

勇者「お前は何者だ! 足を止め、顔を見せ、名を名乗れ!」

?「……」フラァ…

勇者「止まって名を――」

?「……」フラァ…

勇者「名乗……れ……? あれ、通り過ぎた?」

?「……」フラァ…フラァ…

勇者〔どういう事だ? ただの不審者か?〕

魔剣〔ただの不審者なら通しても良かったのか?〕

勇者〔そういうのは俺の管轄外と思ったからな〕

バタンッ

学者「おい、どういう事だ! 何が起こった!!」

勇者「ああ、少し勘違いしてたみたいで。ただの不審者――」

学者「月の雫が、消えた!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/07(木) 00:42:46.59 ID:XBKmciI0<>さて、今回はこの辺りで。

ちょっと間開けてた言い訳、言わせて貰います。
正体不明の蕁麻疹に冒されてたんだ。もの凄く痒かった。
多分、黴の生えた鍋で料理したからなんだろうな。
病院には行ってないけど、今は治まってる。

まぁ、また毎日書けると良いな。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/07(木) 00:52:39.20 ID:39hUo2DO<>あれまあ大変だったね
お疲れ様です<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/07(木) 02:47:44.95 ID:K3uzHcAO<>多分俺の子守歌のせい
楽しみにしてる乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/07(木) 05:50:50.38 ID:ADAc6Xco<>病院にあまり行かないならスラジンって薬を常備しておくといいよ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/07(木) 15:08:23.87 ID:L5SCz.SO<>乙

引き続き楽しみにしてる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/08(金) 01:32:12.05 ID:0ibSXAA0<>>>474
大変だった>< 主に寝るのが。

>>475
お前か。
非常に寝づらかったぜ。どうしてくれる(

>>476
俺が副作用を起こす人なら、それこそきっと服用当日寝っぱなしのはずだな。

もう本当みんな優しすぎて涙が出そうだよ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/08(金) 01:41:20.39 ID:0ibSXAA0<>勇者「……消えた? 良く探しましたか?」

学者「なくしたのではない。消えたのだ!」

学者「確かに目の前にあったはずなのに……!」

〜  〜

学者「この様子だと主流の説がやはり正しいか……」

学者「だが、確証までは得難いな。もう少し、何かが……」

勇者「お前は何者だ! 足を止め、顔を見せ、名を名乗れ!」

学者「!?」

学者「まさか、本当に来たのか? まだ僕が借りている時間なんだがな……」

学者「まぁ、盗られては元も子もないか」

学者「ふっ、流石に持っていれば、僕自身がやられない限り盗まれないだろう」

学者「……ん、何だ?」

スゥー…

学者「ど、どうなっている! これは、実態がなくなっているのか……!?」

学者「何とかしなければ……!」

フッ…

学者「あ、あぁ……! 消え、た……のか……?」

〜  〜<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/08(金) 01:49:49.10 ID:0ibSXAA0<>勇者「……どういう事だ?」

学者「だから、消えたのだよ! この手の上から!」

勇者〔何が起こったのか分かるか?〕

魔剣〔我に分かるはずもない。だが、恐らくは……〕

勇者「まさかっ、さっきの奴か!?」ダッ

学者「待て! さっきのとは何だ?」ダダッ

勇者「俺が呼び止めようとした奴だ」

勇者「ふらふらと歩いているだけだったから、ただの不審者と思ったんだけど……」

学者「ただの不審者ならば、無視して良いのか?」

学者「……いや、今はそれどころではないな」

学者「それで、どうしてそう思える?」

勇者「そいつしか部屋の前を通っていないからだ」

学者「成る程な。そいつがどっちへ行ったかは分かるんだな?」

勇者「分からない」

勇者「が、あの速さだ。進んでいった方を行けば追いつくはずだ」

勇者〔相変わらず、気配はしないか?〕

魔剣〔ああ、全くだ〕

魔剣〔あやつが盗んだのならば、ただ者ではないのは確かであろうな……〕<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/08(金) 02:23:02.78 ID:0ibSXAA0<>盗賊「……やけに下が騒がしいな。何かあったのか?」

盗賊「不審な気配は感じねぇがな」

盗賊「……」

盗賊「心配だから、見に戻ってみるか――」

カカカカカッ

盗賊「!?」パシッ

盗賊「……矢、か? 何者だ!」

カカカカカカカカッ

盗賊「出てくるつもりはねぇようだな……」タタッ

盗賊「一、二……あの木の上からも来てるな。最低六人ってとこか」

盗賊「なら、一方向ずつ確実に仕留めるか。一!」ヒュッ

盗賊「二!」ヒュッ

盗賊「三、四!」ヒュッ ヒュッ

盗賊「六!」ヒュヒュッ

盗賊「……」

シーン…

盗賊「……この状態だと他の所にも来てるかもしれねぇな」

盗賊「さっさとナイフを回収して、合流した方が――」

カカカカカカカカカカカッ

盗賊「〜っ! くそっ、まだ生きてやがるのか!」ササッ

盗賊「避け続けられる気がしねぇ……。くそっ」ダッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/08(金) 02:30:19.24 ID:0ibSXAA0<>ザッ

剣士「!!」
錬金弟子「!?」

盗賊「あー、流石に痛ぇな……って、いたのか」

剣士「私達はずっとここにいたが?」

剣士「それよりも、どうしてお前が降ってきたのか不思議なのだが」

錬金弟子「大丈夫ですか? 確か屋上にいたはずでは……」

盗賊「ああ。だが上にいると弓に狙われんだよ」

盗賊「あんな所にいると……おい」

剣士「何だ?」

盗賊「この状況は、何だ?」

?「……」クネクネ
??「……」クネクネ
???「……」クネクネ
????「……」クネクネ
?????「……」クネクネ
(ry

剣士「ん。人らしきものに取り囲まれている状況だな」

錬金弟子「私達が何もしなければ、向こうも何もしないはずです」

盗賊「その根拠は何だ?」

錬金弟子「……そう信じたいです」

剣士「だが、まだ何もされていないのは確かだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/08(金) 02:38:56.04 ID:0ibSXAA0<>?「……」クネクネ
??「……」クネクネ
???「……」クネクネ
????「……」クネクネ
?????「……」クネクネ
(ry

盗賊「何もしてこねぇようだが……」

錬金弟子「でしょう?」

盗賊「だが、このままじゃいけねぇな」

剣士「その通りだ。盗賊が弓で狙われ、私達はこの状況だ」

剣士「勇者様や学者さん、男さんや狂人にも何かが……」

盗賊「さっき研究室辺りが騒がしかったから、既に何かあったのかもしれねぇがな」

錬金弟子「なら、選択肢は一つですね」

剣士「ああ」

盗賊「遠距離相手じゃなけりゃ、何とかなるぜ」

?「……」クネクネ
??「……」クネクネ
???「……」クネクネ
(ry

剣士「お前らのふざけたその行動を、後悔させてやる」チャキッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/08(金) 08:31:14.36 ID:v5SoOYSO<>俺「……」クネクネ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/08(金) 09:42:27.48 ID:KntclYAO<>僧侶(なんで盗賊風情が聖職者の俺より大活躍してるん?)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/09(土) 01:01:33.55 ID:BEiPrus0<>>>484
「ママー、あの人――」
「しっ、見ちゃいけません!」

>>485
盗賊「その質問には俺が答えてやるよ」
盗賊「てめぇら坊主は万人の信者から隔てのねぇ寄付で食ってるが、俺達の盗賊団は悪徳の金持ち連中からしか金目の物は盗ってねぇからだ」

まぁ実際そんなのは関係なく、話の流れでですけどね←<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/09(土) 01:10:14.58 ID:BEiPrus0<>学者「本当にこっちで合っているのだろうな?」

勇者「窓から逃げてなければな」

学者「ここは三階だぞ? 並大抵の者は飛び降りられないだろう」

勇者「だったらこっちしかない。ずっと一本道だろう?」

学者「そうだが……、既にかなりの距離を進んだように思えるが」

勇者「確かにあの速さでまだ追いつけないのはおかしい……」

学者「どのくらいの速さだ?」

勇者「ふらふらーっと歩いていたな。普通に歩いているよりも遅かった」

学者「と、なると……確かに変だ」

勇者「……そうだ! あなたなら確か魔石から漏れ出る魔力を感じる事が出来たはずだ!」

学者「ある程度近くなければ不可能だ」

勇者「……そうか」

学者「それに、魔石が消えた時点で、魔力の気配も消えた」

勇者「とにかく、それをやった犯人を捕まえないと……」

学者「勇者さん、廊下が分かれているぞ」

勇者「……厄介だな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/09(土) 01:17:19.68 ID:BEiPrus0<>学者「右か? 左か!?」

勇者「奴はどっちに曲がったんだ……!」

?「……」フラァ…フラァ…

勇者「いた!」
学者「いた!」

勇者「左だ!」
学者「右だ!」

勇者「何!?」
学者「何だと!?」

?「……」フラァ…フラァ…
?「……」フラァ…フラァ…

勇者「どうして二人に……なってるんだ……?」

学者「どういう事だ……!」

勇者「と、とにかく追い掛けて捕らえないと」

学者「僕は右を追おう」

勇者「俺は左だな――あれ、いないぞ」

学者「よく見ろ!」

?「……」フラァ…
?「……」  フラァ…

勇者「いつの間にあんなに遠くまで……」

学者「もたもたしていると、また見失いかねない。追うぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/09(土) 01:30:26.78 ID:BEiPrus0<>剣士「ハァァッ!」ザシュシュッ

盗賊「ッ!」シュッシュッ

錬金弟子「“土壌針”!」ドゴゴーッン

?「……」クネクネ
??「……」クネクネ
???「……」クネクネ
????「……」クネクネ
?????「……」クネクネ
(ry

剣士「斬っても斬っても再生してくる……こいつら、化け物か!?」

盗賊「外套だけ斬っても再生しやがるぜ」

錬金弟子「人間じゃありませんね……」

盗賊「魔物ってのも絶対ねぇな。反撃してくる様子もねぇ」

錬金弟子「じゃ、じゃあ何なんですか!」

剣士「考えられるとすれば、亡霊か」

盗賊「博物館に襲撃って事は、盗賊団の亡霊か?」

剣士「お前と同類だ」

盗賊「一緒にするんじゃねぇよ。反吐がでちまう」

剣士「そう言ってやるな。同類じゃないか」

盗賊「ふざけるとは、余裕じゃねぇか」

剣士「反論するとは、余裕だな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/09(土) 01:35:52.18 ID:BEiPrus0<>錬金弟子「それで、どうするんですか、この状況」

剣士「決まっているだろう」

盗賊「だな」

錬金弟子「?」

剣士「向こうが何もして来ないのならば――」ダッ

盗賊「――突っ切るしかねぇ」ダダッ

錬金弟子「え!? そんな事して大丈――」

?「……」クネクネ
??「……」クネクネ
剣士「うぉああああああ!」ズカズカ
???「……」クネクネ
????「……」クネクネ
盗賊「退きやがれぇぇえええ!」ズカズカ
?????「……」クネクネ
(ry

錬金弟子「――夫、そうですね……」

錬金弟子「……」

錬金弟子「……」グッ

錬金弟子「ま、待って下さい!」ダダダッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/09(土) 01:47:07.19 ID:BEiPrus0<>――研究室

盗賊「勇者がいねぇぞ!」

剣士「やはり何かあったのか?」

盗賊「サボってるだけなら良いんだがな」

剣士「勇者様に限ってそんな事はないだろう」

剣士「学者さん、いるか?」コンコン

シーン…

ガチャッ

剣士「やはり、いるわけないだろ?」

盗賊「ああ。勇者達の方にもあのクネクネした連中が来たのか?」

剣士「それはないな。窓の外を見ろ」

?「……」クネクネ
??「……」クネクネ
???「……」クネクネ
????「……」クネクネ
?????「……」クネクネ
(ry

盗賊「……あいつら、ずっとあそこにいるのか?」

剣士「みたいだな。よく見ると、博物館を囲むようにいるな」

剣士「外壁のつもりか? だが自らの意志はなさそうだ」

盗賊「って事は、何だ? 俺達はまんまと時間を稼がれたってわけか」

剣士「かもしれないな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/09(土) 01:58:08.02 ID:BEiPrus0<>錬金弟子「や、やっと追いつきました……」

錬金弟子「二人とも早すぎますよ……って、あれ?」

錬金弟子「勇者さんと学者さんはどこへ?」

剣士「どうやら先手を取られたようだ」

錬金弟子「……あぁっ! 月の雫は!?」

盗賊「あるわけねぇだろ」

盗賊「勇者と学者が、もしかしたら取り戻そうとしているのかもしれねぇな」

剣士「私達が来た道順では誰一人すれ違わなかったし、足音も聞こえなかった」

剣士「……勇者様達は、恐らく向こうへ向かったな」

盗賊「俺達も急ぐぜ」ダッ

剣士「言われずともそうしている」ダダッ

錬金弟子「ま、待って下さい! 私まだ走れな……っ」

錬金弟子「……」ポツーン

錬金弟子「そんなに急いで……しっかりと位置が分からないのにどうするんですか……」

錬金弟子「はぁ……」

錬金弟子「……さて、と。私も急がないと」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/09(土) 02:27:17.58 ID:BEiPrus0<>勇者「……」ポカーン

勇者〔なあ〕

魔剣〔何だ?〕

勇者〔この状況は何だ?〕
?「……」クネクネ
??「……」クネクネ
???「……」クネクネ
????「……」クネクネ
?????「……」クネクネ
(ry

魔剣〔私が知ると思うか?〕

勇者〔フラフラを追っかけていたらクネクネだらけじゃないか! どうなっている!〕

魔剣〔だから、私が知ると思っているのか?〕

勇者〔だが、外に出るまで、奴は確かにこの目に入っていた〕

勇者〔この中に紛れ込んだのか……?〕

魔剣〔そう考えるのが妥当だろう。だが……こやつらは何者だ……〕

勇者〔ただクネクネしてるだけに、妙に怖い〕

魔剣〔奇遇だな。我もそう思っていた所だ〕

勇者〔じゃあ……〕チャキッ

勇者「薙ぎ払って行くぞ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/09(土) 02:31:00.24 ID:BEiPrus0<>?「……」クネクネ
??「……」クネクネ
???「……」クネクネ
????「……」クネクネ
?????「……」クネクネ
(ry

学者「……何なんだ、こいつらは」

学者「だが、奴はこの中に逃げ込んだはずだ」

学者「という事は、こいつらは奴の仲間か?」

学者「これだけいると、邪魔で通れないな」

学者「どうするか……」

学者「……」

学者「……」

学者「……!」

学者「“火炎壁”!!」ゴォォオオオッ!!

学者「簡単な事だ」

学者「奴がこの中に逃げ込み、これが全員奴の仲間ならば」

学者「皆焼けば済む話だ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/09(土) 12:48:13.05 ID:Zvr5y3Ao<>クトゥルフの空鬼をイメージしたけど
もっと人間っぽいのだろうか<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/09(土) 14:43:34.11 ID:Sak2TMSO<>俺はクネクネはムーミンのニョロニョロかと<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/09(土) 15:57:21.97 ID:8kNviXMo<>俺もニョロニョロかとオモタ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/09(土) 18:03:27.70 ID:qrjMurYo<>くねくねがなんだか理解したら頭がおかしくなっちゃう<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/09(土) 20:15:04.86 ID:fVFtiXgo<>寺生まれのTさんが必要だな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/10(日) 03:29:49.71 ID:nbl.Tlo0<>本を読んでいたら眠くなって今日は書けない……です。

>>495-497
ニョロニョロな空鬼と思ってもらえれば分かりやすい(?)と思うよ。
まぁ、それぞれがしっくりくる想像でおっけー。
但しこれだけは譲れない。クネクネもフラフラもみんな外套を目深に被っているんだ!

>>498
どのように理解したのかkwsk

>>499
流石寺生まれ。異世界だろうと軽々と来てしまうんだな。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/10(日) 03:47:36.54 ID:u1bgS8Uo<>夢の中にも<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/10(日) 14:42:56.13 ID:vOoac0Eo<>>>500
くねくねは有名な都市伝説だよ
ググればわかるけど、正体を確認したり理解した人間は精神に異常をきたすっていう怪談が多い<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/10(日) 23:59:16.65 ID:nbl.Tlo0<>>>502
そんな話があったんだな。
俺も一度で良いから見てみたいぜ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 00:13:00.49 ID:Zz6rTDg0<>盗賊「……焦げ臭ぇ」クンクン

剣士「どうした?」

盗賊「なんか、焦げ臭くねぇか?」

剣士「……そう言われてみれば」クンクン

剣士「それにさっきから何だか外が明るく――!?」

盗賊「ど、どうなっていやがる!?」

剣士「分からん。ただ……」

?「……」クネクネ ゴォォオオ…
??「……」クネクネ ゴォォオオ…
???「……」クネクネ ゴォォオオ…
????「……」クネクネ ゴォォオオ…
?????「……」クネクネ ゴォォオオ…
(ry

剣士「……奴らが燃えているのは確かだ」

盗賊「おい! 門の所にいるのは勇者じゃねぇか?」

剣士「本当だな。という事は、この火事は勇者様が……?」

錬金弟子「ゆ、悠長な事を……言っている場合、ですか……?」ゼェゼェ

盗賊「てめぇ、どうして息が上がってんだ?」

錬金弟子「そんな事よりもっ!!」ゼェゼェ

錬金弟子「早く、消火しないと……博物館自体にも、火が」ゼェゼェ

剣士「そうだな。とにかく勇者様の元へ行くぞ」ダッ

盗賊「やれやれ。俺に出来る事なんてねぇんだがな」ダダッ

錬金弟子「何でそん、なに落ち着いていられるんですか……」ダダダッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 00:42:36.02 ID:Zz6rTDg0<>勇者「あつつつつっ!?」

勇者「な、何だ? いきなり燃えやがって……」

魔剣〔恐らく、学者という奴の仕業だろう〕

魔剣〔あやつもキミと同じ状況になったのならば、成る程これは大胆な策ではないか〕

勇者〔逃げ込んだ奴も燃える、という事か〕

勇者〔もう少しクールに物事を片付ける感じだったんだけどな……〕

魔剣〔確かに良い策かもしれない。が、このままでは建物にも燃え広がるぞ〕

勇者「ああ、早めに消火しないとな。“水砲”!」ドゴォォオオ!

魔剣〔……そんなのでやっていくつもりか?〕

勇者〔仕方ないだろ。こんな広範囲を一気に鎮火出来る奴で、俺が知っているのは魔法師くらいしか……!〕

館長「ど、どうなっている! 私の……私の博物館が……!」

勇者〔それともお前がやるか、英雄王?〕

魔剣〔残念ながら、広域の水属性魔法を我も知らないのだ〕

勇者〔なら、少しずつやるしかないな〕

勇者「“水砲”!」ドゴォォオオ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 01:17:46.68 ID:Zz6rTDg0<>剣士「勇者様、右だ!」

勇者「!?」

ゴォォォォォオオッ!

魔剣〔まずい! 芝生を伝って建物に……!〕

勇者「す、“水砲”!」ドゴォォオオ!

盗賊「おいおい、全然間に合ってねぇじゃねぇか」

館長「博物館が……博物館が……!」

剣士「館長さん」

館長「け、剣士様に盗賊様! 早く火を何とか……!」

剣士「分かっている。井戸はどこにある?」

館長「井戸、ですか? せ、正門を出て右に曲がったところに……」

盗賊「水を確保するにも火の壁を抜けていくしかねぇって事か……」

剣士「これでは私達の出来る事はないではないか」

盗賊「燃えてる連中を外に押し出すってのはどうだ?」

剣士「それだと市街地にまで火が回りかねん。もっとマシな案を出せ」

盗賊「じゃあ何だよ。てめぇにはもっと良い案があるってぇのか?」

剣士「い、今考えているのだが……」

錬金弟子「わ、私に良い案があり、ます」ゼェゼェ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 01:24:41.68 ID:Zz6rTDg0<>盗賊「遅ぇぞ! どこで道草食ってやがった」

錬金弟子「な、何ですかその言い方は! あなた達が速いんですよ!」

剣士「まぁ、怒ってやるな。確かに苛立ちはするが、こいつなりの冗談でな」

錬金弟子「冗談を言っている状況ではないでしょう!?」

盗賊「そういう状況になったんじゃねぇのか? 良い案があるんだろ?」

錬金弟子「え……? は、はい」

盗賊「その案に俺達は必要か?」

錬金弟子「いえ、私一人でやります。魔法を使いますので」

盗賊「そうか」

剣士「では、頼んで良いか?」

錬金弟子「勿論です」

錬金弟子「勇者さん!」

勇者「何だ?」

錬金弟子「もう良いですよ。後は私が何とかします」

勇者「……余程の自信があるようだな」

勇者「じゃあ、大魔法使いの弟子の力を見させてもらおうかな」

錬金弟子「そんな大層なものではありませんよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 01:31:59.24 ID:Zz6rTDg0<>剣士「良く耐えてくれた、勇者様」

勇者「いや、何だか追い出されてしまったみたいだ。はははっ」

館長「勇者様、どうしてそんなに落ち着いていられるのですか!」

館長「こうしている間にも火が大きく……!」

勇者「大丈夫ですよ、きっと」

勇者「あの人には、それをこの状況を解決できるくらいの自信がある」

錬金弟子「……」

ゴォォオオオッ!

錬金弟子「……」スゥー

錬金弟子「……」ハァー

盗賊「……早くしやがれ。何を悠長に構えてやがる」

剣士「見ているお前が焦ってどうする……!」

盗賊「それはてめぇも同じだろ?」

錬金弟子「……」キッ

錬金弟子「“火炎壁”っ!!」ゴォォォオオオオオオッ!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/11(月) 01:33:50.28 ID:zitqWuYo<>自分の魔法の制御下に置いて鎮火するってことか…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/12(火) 01:40:16.61 ID:Do97lwMo<>錬金弟子「間違えたっ!!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/12(火) 07:13:23.72 ID:Yjp0lu60<>ゴォォォオオオオオオオッ!!!

館長「な、何をしているのですか!? それでは火が……!」

勇者「いえ、大丈夫ですよ。館長さん」

館長「え……えぇ?」

盗賊「どういう事だ、勇者?」

勇者「多分、これが大魔法使いの弟子の力だと思う」

勇者「剣士。俺達が魔王討伐の命を受ける前の事を憶えているかな?」

剣士「かなり昔だな。だがその頃はと言うと……」

剣士「まさか、あの時魔法師がやった、あれか?」

勇者「だと思う」

盗賊「あれって何だ?」

勇者「魔王討伐隊の仲間には、俺を含めて、剣士、僧侶、魔法師がいる。今ここに、その中の二人はいないけどな」

勇者「思い出話をしている時間はないから飛ばすが、魔法師は歳に似合わず魔法の才能に満ちていたんだ」

勇者「ある時、仕事で赴いた街の近くの川が先日の暴雨で荒れて氾濫を起こしたんだが……」

勇者「その時に魔法師は、水の魔法で一瞬だけ氾濫を促進させて、すぐに治めたんだ」

勇者「彼女はその方法を、“同調”と言ってた。つまりは自然現象も魔法により制御するらしい」

勇者「並の魔法使いには出来ない、繊細さを必要とする方法だよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/12(火) 07:22:05.00 ID:Yjp0lu60<>剣士「今彼女は、それをやろうとしているのだろう」

盗賊「魔法でそんな使い方もあったんだな」

盗賊「だがな、一向に火が収まる気配がねえんだが」

ゴォォォオオオオオオオオオオオッ!!!!

盗賊「……むしろ悪化してねぇか?」

勇者「同調の為に魔法で火力を上乗せするから、火が強くなるのはわかるが」

勇者「……確かに遅い」

錬金弟子「どうして……なんで収まらないのっ……?」ブツブツ

錬金弟子「おかしい。いつもならとっくに同調出来て……」ブツブツ

錬金弟子「何がおかしいの? 集中しなきゃ」

錬金弟子「集中……集中……」

ゴォォォオオオオオッ!!

錬金弟子「集中……何が……集中して……」

ゴォォォオオオオオオッ!!!

錬金弟子「……!! これは!?」

錬金弟子「……ちょっと厄介だね」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/12(火) 07:31:15.50 ID:Yjp0lu60<>勇者「錬金弟子さん、大丈夫ですか!?」

錬金弟子「……」ブツブツ

勇者「錬金弟子さん!」

錬金弟子「あ、ああ。はい。大丈夫です」

錬金弟子「すみません、時間をお掛けして。でももう原因も分かりましたから」

勇者「……分かった。ちなみに計画の変更は?」

錬金弟子「なしです」

勇者「分かった」

錬金弟子「……さて」

錬金弟子「博物館を取り囲む炎に入った不要な力……残留魔力。これをどうしようかな」ブツブツ

錬金弟子「濃度から言って、ここが魔法の発生源じゃなさそうだね。という事は、学者さんがこれをしたのかな」ブツブツ

錬金弟子「結構粗い魔法を使うみたい……じゃなくて」ブツブツ

盗賊「……本当に大丈夫か?」

勇者「信じるしかないよ。きっと、何とかしてくれる」

勇者「あの真剣な顔が見えないのか?」

錬金弟子「火炎壁で主導権を握るのは、このままでは辛いから……やっぱりこっちも力で押し切るしか……」ブツブツ

錬金弟子「となると……よし!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/12(火) 07:47:20.00 ID:Yjp0lu60<>錬金弟子「“……」ブツブツ

ゴゴ…ゴゴゴッ…ゴゴォォオオオオッ!!

剣士「炎の動きが変わったな」

館長「な、何が……!?」

錬金弟子「……」ブツブツ

錬金弟子「……、火竜飛翔法”!」

ゴゴッ…ゴゴォォオッ…
  ゴrrrrrrrォォォォオオオオオオオッ!!

剣士「これは……圧巻だな」

勇者「火の竜巻……。こんな魔法は……初めて見るぞ」

盗賊「と言うか、俺達危なくねぇか? くそ暑いんだが」

勇者「だ、ダイジョウブだ」

館長「博物館がぁあああっ!!?」

勇者「だ、ダイジョウブですよ」

錬金弟子「……」

錬金弟子「……よし」

ゴォォォオオオオオオッ!!
     ゴォォォオオオオ
        ゴオォォオオ…

ゴォ…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/12(火) 07:58:22.41 ID:Yjp0lu60<>館長「収まっ……たのか?」

錬金弟子「……皆さん」

錬金弟子「火は全て収まりました。もう大丈夫ですよ」

館長「よ、良かった……」

剣士「風が涼しいな」

盗賊「……ああ」

勇者「……」

錬金弟子「どうしたんですか、勇者様? 浮かない顔をして」

勇者「さっきの魔法、もしかしてあの一瞬で灰化するくらいの火力はある?」

錬金弟子「……どういう事ですか?」

勇者「いくら火力のある火でも、骨くらいは残ると思うんだ」

錬金弟子「一概にそうは言えませんが、先程のは骨くらいは残ると思います」

錬金弟子「でも、それがどうしたんです……あっ!」

勇者「あいつらはどこに行った? 確かにそこで燃えていたはずなのに……」

剣士「あのくねくねした連中の事か?」

剣士「まさか逃げたのではないだろう。あれ程の大勢、見逃すはずなどない」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/12(火) 10:12:13.26 ID:R0/TCoAO<>最近女さんが恋しい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/21(木) 04:59:10.18 ID:hXM9B4Ao<>鯖落ちも休眠で乗り切ったか<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 00:41:08.80 ID:spXkVEQ0<>やぁ久しぶり。昨日漸く繋がったみたいだね。
実は鯖落ち中はもの凄く忙しかったから、睡眠時間がいつもの1/5〜1/6程になってた。
ちなみに今週の土日は旅行なので書けないと思う。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 00:49:18.25 ID:spXkVEQ0<>盗賊「だが、連中の姿は見あたらねぇってのは、逃げたとしか考えられねぇな」

錬金弟子「極論ではありますが、逃げられる可能性もありますよ」

勇者「本当に?」

錬金弟子「はい。あれ程の人数を移動させるには比率的にかなりの数になりますが」

錬金弟子「転移魔法を使う事が出来るなら、逃げる事も可能でしょう」

剣士「無理はあるが……だが、そう考えれば、突然奴らが現れたのも肯ける」

錬金弟子「まぁ、結果としては、盗まれてしまったんでしょうね……」

勇者「……すみません」

錬金弟子「いえ。勇者さんは頑張ってくれていました」

錬金弟子「勿論、剣士さんや盗賊さんもです。そして強引ですが、学者さんもですね」

学者「勇者さん、どうやらこっちは逃げられたみたいなんだが、そっちは……」

錬金弟子「師匠に代わって、礼を言います。ありがとうございました」

勇者「……」
剣士「……」
盗賊「……」

学者「……そっちも駄目だったようだな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 01:00:05.24 ID:spXkVEQ0<>錬金弟子「え、えっと……過ぎてしまったんですから仕方ありませんよ!」

勇者「でも……」

錬金弟子「え、えっと……」

錬金弟子「あっ、そう言えば放火したのは学者さんですよね!?」

学者「ん……あ、ああ、そうだが」

錬金弟子「気を付けないと駄目じゃないですか。博物館も燃やすつもりだったんですか?」

学者「ふむ。それは軽薄だったな」

錬金弟子「全くです。本当に大変だったんですから。ね、勇者さん?」

勇者「……」

錬金弟子「え、えっと……」

盗賊「落ち込むのは分かるが、すげぇ落ち込みようだな」

剣士「仕方ないだろう。ここまで何も出来なかった仕事は今までになかったのだ」

盗賊「へっ。依頼は完璧にこなしてきたってか?」

剣士「いや……完璧とまではいかないが、少なくともある程度は達成していた」

剣士「だが、今回のはどうだ? 守るべきものを盗まれ、敵を見失い、残った情報は何もない」

剣士「完全な負けだ」

勇者「……」

錬金弟子「そ、うですね……。とりあえず、男さんのいる客室に行きませんか?」

学者「その方が良い。こうしていても気が滅入るだけだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 01:13:06.79 ID:spXkVEQ0<>男「すぅ……すぅ……」スヤスヤ

盗賊「こいつは俺達が忙しくしている時に……」

剣士「まぁ良いじゃないか。狂人もしっかり寝付いている事だからな」

狂人「……」グッタリ

剣士「……だが、これは気絶しているように見えるのは私だけか?」

学者「僕にも気絶しているように見えるな」

盗賊「俺もそう思うぜ」

錬金弟子「そう言えば、さっきここに寄ったんですが」

錬金弟子「その子に電気魔法を使っていたみたいですよ」

剣士「成る程。状況は飲み込めた」

剣士「おい、男! 今すぐ起きて説明しろ!」

錬金弟子「ダメですよ! 折角寝ているんですから」

剣士「知るか、そんなもの!」

男「……うるさいぞ。寝起きくらい優しく起こしてもらいたいんだけどな」

錬金弟子「あー……起きてしまいましたか、男さん」

男「どういう風の吹き回しだ? 女さんがそんな風に呼ぶなんて懐かしいな」

錬金弟子「……私は錬金弟子です」

男「……ああ、そうだった」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 01:23:13.91 ID:spXkVEQ0<>剣士「それよりも、だ」

男「?」

剣士「これはどういう事か説明してもらおうか」

狂人「……」グッタリ

男「ぐっすり寝ているな」

剣士「錬金弟子さんから聞いたぞ。電気魔法を使ったんだってな」

男「俺が魔法を使えないのは知っているだろ」

剣士「私がそれを知らずに言っていると思っているのか? お前には科学とやらがあったはずだ」

男「……はぁ」

錬金弟子「もしかして……言ったらまずかったですか?」

男「いや、別にいいんだ」

学者「電気魔法というのは、死者を一掃したあれの事だな」

剣士「何!? そんな危険なものを……!」

男「あれは最大出力。狂人に使ったのは最小出力」

男「適当に人体に当てるだけなら痛いだけの電気だ」

剣士「それで気絶させたのか?」

男「寝ていれば厄介事も絶対に起きないからな」

剣士「わざわざ気絶させなくとも、見ていれば良いだろう!?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/22(金) 01:37:39.50 ID:jXkjC82o<>きてますわ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 01:39:40.37 ID:spXkVEQ0<>男「それで、まだ朝じゃないみたいだし」

勇者「……」

男「様子を見ている限りでは、盗まれたのか」

盗賊「本当、やられたぜ。相手が予想外だった」

男「数は?」

剣士「十や二十ではなかった。百や二百……いや、それ以上いたはずだ」

学者「実際の数は分からないな。僕と勇者さんが追っていた者は、いつの間にか一人から二人に増えていた始末だ」

男「とにかく、かなりの集団だったみたいだな」

盗賊「だな」

男「まぁでも、失敗してしまったのなら仕方ないだろう。錬金弟子さんには悪いけど」

錬金弟子「いえ、私もそれ程気にはしていませんので」

男「見たところ、一番気にしているのは勇者さんだな」

剣士「任務が全く遂行出来なかったに等しいからな」

男「結構……デリケートなんだな」

勇者「……」

剣士「だが、大丈夫だ。これまでの旅で何度か落ち込むことはあったが、翌朝には必ず元通りだからな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 01:48:44.45 ID:spXkVEQ0<>男「そうか。なら、朝まで待つのが最善だな」

盗賊「仕事も終わっちまったし、宿に戻るか?」

男「いや、一晩ここを借りさせて貰おう。ここのカーペットは宿の布団より気持ちいい」

盗賊「てめぇはそんな所で……寝てたな」

剣士「だが、確かに良いカーペットを使っているな」

男「そう言えば、館長さんは?」

剣士「そう言われれば……」

錬金弟子「私が最後に見たときは、焼けた芝生の前で真っ白になっていました」

男「……焼けた?」

学者「ああ、僕が泥棒を焼こうとしたら芝生まで焼けてしまったのだ」

男「なかなか強引な手だな」

男「さて、朝まであとどのくらいじかんがあるかは知らないが」

男「寝よう」

盗賊「てめぇはさっきも寝てただろ」

男「人間というものは、基本八時間は寝れるようになっているんだよ」

錬金弟子「八時間……?」

男「えっと……つまり、一時半だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 01:58:29.53 ID:spXkVEQ0<>勇者「……」

魔剣〔キミはいつまで落ち込んでいるつもりだ?〕

勇者〔必要ならば、いつまでもだ〕

魔剣〔……キミは、なぜ落ち込んでいるのか分かってて落ち込んでいるのか?〕

勇者〔当たり前だ。でなければ、申し訳ないとは思わない〕

勇者〔今回の失敗で、どのような事態になると思う?〕

魔剣〔……〕

勇者〔錬金弟子さんは月の雫を届ける事が出来ない。だから大魔法使いも研究は出来ない〕

勇者〔そして博物館は月の雫を失って、学者の人達も今までのように研究出来ない〕

勇者〔……全部、俺の所為〕

魔剣〔成る程。そう思っておるのか〕

勇者〔……〕

魔剣〔確かに事実はそうかもしれん。だがキミは、表面だけを見て気負いすぎてはおらんか?〕

勇者〔どういう事だ?〕

魔剣〔発想の転換、というものだ〕

魔剣〔事実から真実は何かを見るのだ〕<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 02:07:52.09 ID:spXkVEQ0<>魔剣〔考えてみれば、月の雫失った事で出る支障など、些細な事だ〕

魔剣〔大魔法使い、錬金師は確かに月の雫が手に入れられなくなった〕

魔剣〔だが、これは氷の結晶の時と同じ。すでに滞っている研究の延長といった所であろう〕

魔剣〔そしてそれは恐らく、賢者の石の研究〕

勇者〔どうしてそんな事が分かる?〕

魔剣〔月の雫、氷の結晶などの特殊な魔石は、複数の属性を宿しているとも言われているのであろう?〕

魔剣〔ならば、全属性を有する賢者の石の研究に繋がるのは、あながち間違いではあるまい〕

魔剣〔そして勇者、キミは賢者の石の研究の大きな鍵を遺跡から持ち出し、届けようとしている〕

魔剣〔神とやらはそれだけを指摘した。即ち、元より月の雫は不要だったのだ〕

勇者〔……〕

魔剣〔博物館も確かに月の雫を失った。が、展示には模造品を使っている故に、元より必要はない〕

魔剣〔学者達も確かに月の雫を失った。しかし、元より研究は低迷しておるようだ〕

魔剣〔故に元より不要。さらに言えば、研究対象がなくなった事で、他の意義ある研究に回す時間が出来た。そう考えれば彼らにとって得となろう〕<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/22(金) 02:17:17.75 ID:spXkVEQ0<>魔剣〔魔石の方も心配しなくていいだろう〕

魔剣〔魔石は、鉄などとは違って研磨以外に加工方法はない〕

魔剣〔奴らが盗んだとしても、使い道は金以外にないのだ〕

魔剣〔月の雫そのものが残る故に、この場所へ戻ってくる可能性は十分にあり得るのではないか?〕

勇者〔……〕

魔剣〔要は、無駄な気負いなどするなと言う事だ〕

勇者〔でも……〕

魔剣〔いくら優秀な兵だろうと、戦場で死ぬ事はある〕

魔剣〔失敗は責められないものなのだ。どうしようもない〕

魔剣〔だから、キミがこの仕事を失敗したからと言って誰も責めたりはしておらんだろ?〕

勇者〔……〕

魔剣〔……とにかく、無駄な気負いはしない方が良い〕

魔剣〔皆はそろそろ寝るようだ。キミも寝たらどうだ?〕

魔剣〔気も落ち着くだろう〕

勇者〔……そうだな。ああ、そうする〕

魔剣〔……勇者に一時の静かな休息があらん事を〕<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/22(金) 02:23:02.58 ID:BpndvYDO<>夢旅行ですか
行ってらっしゃい
お気を付けて<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/22(金) 06:34:21.86 ID:YXKuE5Io<>いつもの5〜6倍寝るって事か<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/22(金) 10:47:48.16 ID:yTS9L.SO<>時間の設定を見事に忘れてたわ

乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/26(火) 13:14:20.21 ID:wnLrv/Yo<>やっと、追いついたがかなり期待!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/26(火) 20:10:01.57 ID:PNmTidc0<>ただいま!
漸く書ける程度に眠気が覚めた。

えっと、どこまで書いたっけ←<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/26(火) 20:38:39.11 ID:PNmTidc0<>(翌朝)

男「ん……んん……?」

錬金弟子「起きましたか、男さん?」

男「朝か……。あれ、他のは?」

錬金弟子「宿に荷物を取りに戻るって言ってましたよ」

男「荷物を? と言う事は、あれか。出発だな……ん?」

狂人「あうぅー……。あうぅ?」フラフラ

男「……狂人はいるのか。と言うか何をしているんだ?」

錬金弟子「遊んでいるようには見えませんか?」

男「いや、そうじゃなくてだな……、その浮いている燭台は」

錬金弟子「私の魔法ですよ?」クイクイ

狂人「ふぁえ〜」チョイチョイ

錬金弟子「魔法というものは、いくら使えても制御出来なければ危険なんですよ」

錬金弟子「魔法を制御するには魔法によく触れる事が大切です」

錬金弟子「だから才能に恵まれた子供には、魔法を使った遊びでさらに才能を引き延ばすんですよ」

錬金弟子「遊び方を間違えなければ、道徳観も身につけられますから」

男「まぁ、その……理屈は分かった」

錬金弟子「理屈は、と言うと他に分からない事が?」

男「……まぁ良いか。世話してくれるんだったら」

錬金弟子「?」

男「にしても、そんなに急ぐ必要あるのか?」

錬金弟子「え、ああ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/26(火) 21:00:57.10 ID:PNmTidc0<>錬金弟子「それは私の都合だと思いますよ」

男「?」

錬金弟子「男さん達は師匠――錬金師に用があるんですよね?」

男「正確には勇者さんだけどな。俺はあまり用がない」

錬金弟子「そうなんですか?」

男「まぁ、今は一緒に行動してるから、やはり一緒に行くんだけどな」

錬金弟子「みたいですね」

錬金弟子「で、私今日帰る予定なんですよ」

男「もう帰るのか」

錬金弟子「ええ。師匠の手伝いもしなければなりませんし」

錬金弟子「元々用事だけ済ませてすぐに帰る予定だったんですよね」

男「ああ……弟子は忙しいからな」

錬金弟子「分かってくれますか!」

男「そりゃ勉強しようと思えば、誰だって弟子になった時分はある」

錬金弟子「ですよねー。特に師匠は偏屈で大変なんですよ」

男「俺の師匠もかなりの偏屈者だったな……」

錬金弟子「あなたも苦労したんですね……」

男「でもその苦労が報われる時もあるだろう」

錬金弟子「私もそう思って……あっ、話が脱線してしまいましたね」

男「ああ、だな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/26(火) 21:24:17.17 ID:PNmTidc0<>錬金弟子「それで、私は今日師匠の研究小屋帰ります」

錬金弟子「そして、勇者さん達が師匠を訪ねるなら、私と来た方が良いと思います」

錬金弟子「そうすればもの凄く時間の短縮も出来るはずですから」

男「確かに案内がいれば早く着くはずだが……誤差は二、三日程度じゃないのか?」

錬金弟子「普通に行っても、一週間は誤差が出るでしょうね。研究小屋はかなり辺鄙な所にありますから」

男「普通に行っても、って事は……ああ、そうか。錬金弟子さんは魔法使いだったな」

錬金弟子「その通りです! でも転移魔法は知らないんですよ」

男「え、どうして!?」

錬金弟子「師匠が『そんな役に立たないものは憶えなくて良い』って」

男「便利だと思うんだけどな……」

錬金弟子「その代わりに、師匠が作った魔法道具があるんですよ」

錬金弟子「勇者さん達にも話しましたが、“転移粉”と言うもので、粉に場所を記憶させる事で転移魔法と同じような役割を果たしてくれるんです」

錬金弟子「決まったところにしか行けないのは不便ですが、慣れない人でも転移酔いしないのが利点です」

男「ほう。それは剣士さんと盗賊が喜びそうな話だ」

錬金弟子「喜んでいた、というよりは、ほっとしていたようですけどね」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/26(火) 21:55:39.28 ID:PNmTidc0<>ヒヒーン

男「どうやら勇者さん達が戻って来たようだな」

錬金弟子「馬車、ですか?」

男「ああ。旅にはあった方が良いだろうし」

錬金弟子「でも、せめて馬は置いていった方が良いかもしれませんね」

男「どういう事だ?」

錬金弟子「馬にとって氷の国は辛いですよ」

錬金弟子「氷の国というだけでも辛いのに、研究小屋は無人領土の大陸大山脈より北側です」

錬金弟子「私達人間でも、師匠の研究小屋じゃなかったら凍死しそうですよ」

男「そんなに寒い所なのか」

錬金弟子「はい」

男「なら勇者さんにも言わなきゃならないな」

錬金弟子「そうですね」

コトン

錬金弟子「では遊びは終わって行きましょうか」

狂人「なううー!」ヘラヘラ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/26(火) 21:57:46.92 ID:PNmTidc0<>また久しぶりだから調子が上がらないな……今日はこの辺りにして寝ます。
やっぱりゲームしながらはだめだな。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/26(火) 22:03:40.87 ID:CkGDWsSO<>転移粉はハリポタのあれを連想した<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/26(火) 22:18:16.09 ID:wnLrv/Yo<>リアルタイムで支援
筆が遅くても完成させればいい。最後の一人になっても見てるからラストを見せてくれ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 02:27:34.90 ID:05OudMYo<>>>540だけに良いカッコはさせられないな。
待つことは慣れてるからしっかりと完結させてもらいたいな。
ここはVIPと違って変な奴が沸くことも無いから、ゆっくり書いてほしいね。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 07:33:12.99 ID:LENVMKoo<>俺も居るぜコーホーコーホー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 07:45:24.21 ID:2yEjel2o<>>>540
だけの>>1じゃないんだからね!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 10:54:04.92 ID:qzWoqUDO<>俺も見てるし!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 11:25:39.76 ID:Ar5nRUAO<>俺も俺も!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 11:33:20.09 ID:ST9PR2AO<>睡魔「わたしもー」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 16:12:40.17 ID:Ar5nRUAO<>>>546
ゲラウトヒア<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/28(木) 00:07:47.39 ID:umq5hv60<>>>539
ハリポタのってどんなのだっけ?
随分と前の気がするから全く憶えがない。

>>540-546
お前らの優しさに泣いた
まぁこっちにスレを立てたのは確かに、すぐに終わりそうにないのと、どのみち遅筆になりそうだからって理由なんだけどね。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/28(木) 00:20:58.39 ID:umq5hv60<>(数十分後)
――月光博物館、裏庭

勇者「馬を預けてきたよ」

剣士「売ったのではないのか?」

勇者「なんていうのか……。わざわざ買ったのだから、売るのももったいないような気がして」

盗賊「旅暮らしってのは金にあまり余裕がねぇからな、普通」

錬金弟子「勇者さん達の荷物はこれで全部ですか?」

勇者「そのはずだ」

男「うん。俺の荷物も揃っている」

学者「これか。大魔法使いに渡すっていう荷物は。何なんだ、これは?」

勇者「俺には分からない。だけど、必要としているらしいんだ」

学者「何故そのような事が分かる?」

勇者「まぁ、色々あったんだよ」

館長「なかなかの骨董品のようにも見えますが、これはどこで?」

剣士「死霊の砂漠で、だ」

館長「あのような所に!? いやはやそれは素晴らしい。是非私共の博物館でも飾って――」

館長「いえ、失言でございました」

剣士「いや、その気持ちはよく分かる。だが、やはりこれは大魔法使いに渡さねばならんものなのだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/28(木) 00:30:56.22 ID:umq5hv60<>錬金弟子「では、そろそろ転移しましょう」

勇者「うん」
剣士「承知した」
盗賊「ああ」
男「うむ」

狂人「こっちこっちいー!」タタタッ

剣士「おい、狂人、こっちに来い!」

狂人「こっちにひーっ!」タタタッ

錬金弟子「荷物はなるべく詰めて置いて下さい。転移の際に使う面積を減らして使用する粉の量を減らすためです」

錬金弟子「だから荷物だけじゃなく、自分達も詰めて集まっていて下さい」

勇者「こんな感じか?」

剣士「おい、盗賊! 今私の尻を触っただろ!」

盗賊「なっ! よく見やがれ。そいつは狂人だ!」

狂人「うぎゅぅ〜……」

錬金弟子「え、えっと……そんなに詰めなくても大丈夫ですよ。粉を節約するようには言われてますが、十分な量は持ってきていますので」

男「全く、何をやっているんだか」

錬金弟子「あ、男さんはもう少し寄って下さいね。間が開きすぎです」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/28(木) 00:42:02.68 ID:umq5hv60<>錬金弟子「……はい。そのくらいで良いでしょう」

学者「それで、その転移粉というものは、どのようなものなんだ?」

錬金弟子「えっとですね……」

錬金弟子「転移魔法を凝縮した粉、と言った感じでしょうか。どちらかと言うと、古典魔法に由来したものですね」

錬金弟子「だから転移の際には、こうやって……」サラサラ サラサラ…

錬金弟子「転移させたいものの周りを囲むように、転移粉で線を描くんですよ。これが一種の魔法陣となります」サラサラ サラサラ…

錬金弟子「理解していただけましたか?」

学者「ふむ。成る程」

錬金弟子「では、準備は整いました」

館長「錬金弟子様、私達の警備が不甲斐ないばかりに……本当にすみませんでした」

錬金弟子「いえ。以前もあった事ですし、師匠も咎めはしないでしょう」

学者「男さん、またどこかで会おう。その時にはどれ程の魔法の知識を得たか聞かせてもらおうか」

男「これはすぐに再会は出来ないな……。ああ、また」

学者「勇者さん、剣士さん、盗賊さんも、またな」

勇者「学者さんも、お元気で」

剣士「館長さん、学者さん、世話になったな」

盗賊「おう、またな」

錬金弟子「それでは、行きますよ――“転移”!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/28(木) 07:35:42.91 ID:nMIInCoo<>ウホッ!!キテターーー
おつおつCC<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/28(木) 10:02:48.95 ID:Ssxas1so<>

――“石の中にいる!”――<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/28(木) 11:05:33.37 ID:TNryacAO<>>>553
どんだけSなんだよ…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/31(日) 00:50:10.58 ID:8NVvZDA0<>――氷の国、凍結の森

ビュオォォォォォ…

男「これは……思った以上の寒さだな」

勇者「ななななんでそんなに冷静なんだよ!?」

剣士「お、おい! 一体ここの気温は何度なんだ!」

錬金弟子「そうですね……大体マイナス六十度だと思いますよ」

男「という事は、セルシウス温度で大体マイナス三十度……かなり厳しいな」

盗賊「それよりもこのままじゃ凍え死んじまう!」

盗賊「と言うか、勇者! てめぇは防寒具とか用意して来なかったのか!?」

勇者「それはお互い様だろ! それに大魔法使いなら結界で寒さを凌いでいるのだと思ったんだ!」

剣士「勇者様……その考えは甘すぎるぞ……」

狂人「ゆきーやひょっひょ、ゆきゆきひょっひょっ!」キャッキャッ

剣士「狂人、そんなに素手で雪なんて触っていると霜焼けになるぞ」

勇者「と言うか、寒そうには見えないな……」

盗賊「その前に、その錬金師って野郎の研究小屋ってのはどこだ! いい加減死にそうだぜ」

錬金弟子「え、さっきから目の前にありますよ?」

盗賊「は?」

ヒュオォォォォォ…

剣士「……あれだな。吹雪でこんなにも近くすら見えなかったのか」

勇者「大きいな。小屋と言うよりは屋敷みたいだ」

男「見た感じ、これは鉄で出来てるのか?」

錬金弟子「さぁ、入りましょう。私ももう寒くて死んでしまいそうです」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/31(日) 01:05:22.57 ID:8NVvZDA0<>――錬金師の研究小屋

錬金弟子「ふう……。どうですか? 中は暖かいでしょう?」

勇者「ああ。生き返る気分だよ」

剣士「それは大袈裟だろう。それ程長い時間外にいたわけでもないのだぞ」

剣士「しかし、私達は別として、どうして錬金弟子さんまで防寒をしていなかったのだ?」

錬金弟子「転移後、入り口が近い事は知っていますから、いらないと思いまして」

剣士「成る程。確かにすぐに入れば、多少寒い思いをするくらいで済むな」

盗賊「多少だと? 寒さが肌に刺さったみてぇに痛かったぜ!?」

剣士「ここは極寒の地だ。仕方ない」

男「ここは中々面白い建物だな。誰が作ったんだ?」

錬金弟子「師匠ですよ」

男「ほう。一体どうやって造ったんだ……」

男「防寒の為の二重扉、厚い壁……いや、それよりもこの鉄で造られた研究所」

男「リベットで止めた所もなければ、ボルトで締めた所もない。かといって溶接の跡もない」

男「変わったところだな」

錬金弟子「そうなんですか? 長い間ここにいるので、そうは思いもしなかったんですけど」

男「少なくとも俺の目からすれば、凄い所だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/31(日) 01:46:27.20 ID:8NVvZDA0<>「ほう。ここの奇怪さを理解できるのか」

男「?」

錬金師「おう、錬金弟子。帰っていたのか」

錬金弟子「はい。今帰ってきたところです」

錬金師「それで、客人がいるようだが……君の友人というわけではなさそうだな」

錬金弟子「はい。師匠に用があるようでして。勇者一行、と言えば分かりますか?」

錬金師「ああ、成る程。だが俺の知る人員ではなさそうだな」

勇者「あなたがかの有名な大魔法使い、錬金師さんですね。初めまして」

勇者「俺が勇者。そしてこちらが剣士です」

勇者「今は少し色々とありまして――」

錬金師「色々、か。その経緯は話してくれないのか?」

勇者「……はい。それを話すとなると、少し長くなりそうなので」

錬金師「まぁ、良い。“色々と”あって、現在の人員になっているんだな」

勇者「はい」

錬金師「そうか。それは知らなかったな」

錬金師「何分、ここは全く人気のないところだから、巷の情報が入りにくいんだ」

錬金弟子「そういうわりには、たまに誰も知らないような事を先に知っていたりするんですよね」

錬金師「たまたまだ、たまたま」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/31(日) 02:44:43.69 ID:8NVvZDA0<>錬金師「それで、後三人いるようだが」

錬金弟子「まずこちらは盗賊さんです。以前は盗賊をやっていたようですが」

盗賊「どうも」

錬金師「これはまた柄の悪そうな出で立ちをした男だな」

錬金師「頼むから何かを盗もうとは思わないでくれよ」

盗賊「そんな事はしねぇよ。今は盗賊稼業は休業中でね」

錬金師「気にしないでくれ。単なる冗談だ」

盗賊「てめぇ……」

錬金弟子「で、この子が狂人さん。心の病、って言うんでしょうか。精神を酷く煩っているようです」

錬金師「ほう。確かにへらへらと気味の悪い笑顔をしているな」

狂人「きゃはは〜」ヘラヘラ

錬金師「……こいつ、魔法の才能がありそうだな。魔力がここまで漏れだしている」

剣士「狂人は魔法を使えるが、適当に使うのだ。よく見ていないと危険でな」

剣士「だが私が責任を持って見ておくから安心してくれ」

錬金弟子「月光博物館では目を離していましたが」

剣士「うっ……」

錬金師「成る程、君がこの子の保護者か。では、まぁ、頼むぞ」

剣士「うむ」

錬金師「それで、後一人だが……」

男「……」

錬金師「錬金兄弟子……ではなさそうだな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/31(日) 08:24:33.28 ID:7TSyHESO<>落ちたか<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 00:21:34.64 ID:tmAeOew0<>眠くなると何もかもを放って寝るの余裕です<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 00:39:13.28 ID:tmAeOew0<>勇者「錬金……兄弟子?」

錬金弟子「……その人は、兄さんではありません。男さんという名前の人です」

錬金師「ふむ。オトコ・サンだな」

男「いえ、“男”です」

錬金師「そう気にするな。単なる――」

男「冗談ですよね。分かっています」

錬金師「そうだ。分かっているなら良いんだ」

錬金師「ところで錬金弟子、月の雫はどうした?」

錬金弟子「それが……」

錬金師「……またやられたか」

錬金弟子「申し訳ありません……」

錬金師「仕方ない。君を出し抜く程の奴だ。手強いに違いない」

盗賊「……やけに冷静じゃねぇか。大切な研究材料じゃなかったのか?」

錬金師「そうだな。だが俺の研究は一つや二つではない」

錬金師「確かに一つ滞るのは惜しいが、俺もまだまだ先があるのでな」

盗賊「なかなか年を取ってるみてぇのに、後どのくらい生きるつもりなんだ、ジジィ?」

錬金弟子「し、師匠に向かってジジイですか!?」

盗賊「ジジィだろ?」

錬金師「ああ、確かにジジィではある」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 00:54:55.02 ID:tmAeOew0<>錬金師「だがこの身体がまだまだ動く事は、まだまだ研究を止める時ではない。そう言う事だ」

勇者「でも、早く終わらせるに越した事はないのではないですか?」

錬金師「成果が上がるならば、確かにそうだ」

勇者「賢者の石の研究でしたよね」

錬金師「!? ……どこでその話を聞いた? 俺は不完全な研究について一切の内容を外に漏らさない質なのだがな」

錬金師「まさか錬金弟子、君が喋ったのではないか?」

錬金弟子「い、いえ、そんな事はっ!」

勇者「え、これって他に知っている人はいないんですか?」

錬金師「無論だ。俺は成果の出たもの以外公表しない」

勇者「そうでしたか。だったらどうして……」

剣士「彼女がサナンだと言うのは、化身としてではなく本物だと言う事だろうか」

勇者「そうとしか考えられないな。神の力があれば、人が知り得ない事だって……」

錬金師「君達は……その、サナン――太陽神サナンにあったと言うのか? 俺の研究を、もしやサナンに聞いたと言うのか?」

勇者「実は、その通りなのです」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 01:18:10.19 ID:tmAeOew0<>錬金師「まさか。太陽神などというものは神話や童話ではなかったのか?」

勇者「俺が会った者が本物だったのならば、実話になります」

錬金弟子「では、もう二人の神様、モーネとルナンも実在すると言うんですか!?」

勇者「そうなるんじゃないかな」

勇者「実際、俺達はそのサナン――彼女自身は神と名乗っていましたが、彼女に言われて死霊の砂漠にあるモーネの遺跡に行ってきました」

錬金師「モーネの遺跡というのは、そのサナンが言った事か?」

勇者「はい。そしてそこにあったこれを、あなたに届けるように言われたのです」

勇者「彼女が言うには、これが賢者の石の研究に欠けていた要素を補うものだとか」

錬金師「何だと?」

勇者「俺には、そこまでしか分かりませんが、これで賢者の石が完成すると言っていました」

錬金師「ふむ……。少しこれを調べてみても良いだろうか」

勇者「少しじゃなくても。元々、あなたへ届ける為に持ってきたのです」

錬金師「そうか。では……」

錬金師「しかし、どうしてサナンはそんなものを俺に寄越したのだ?」

勇者「俺が相談したからです。『質問に答える』と言われたので――」

錬金師「大方、魔の国の結界を破るには賢者の石が必要だと言われたのだろう」

勇者「どうしてそれを!?」

錬金師「勇者と賢者の石。それらを結ぶものは魔の国の結界しか思いつかなかったのでな」

錬金師「だが、そのサナンという奴を、本当に信用して良いのか?」

勇者「……どういう事ですか?」

錬金師「君が持ってきたこれは、俗に亜法具と言うもので、亜法には欠かせないものだ」

錬金師「そして、亜法とは、魔族の中でも高等魔族――即ち奴らの貴族のみが使う、一種の魔法だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/01(月) 01:31:47.88 ID:bo3nboSO<>リアルタイム?
おっつーおやすみなさいです<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 01:36:48.26 ID:tmAeOew0<>錬金師「そのようなものを俺に寄越すそのサナンを、本当に信用出来るのか?」

勇者「今の話は、初めて聞きました」

剣士「亜法は知っていたのだが、高等魔族のみが使うものだとは……」

勇者「俺達がサナンから聞いてきた話は、少し違っています」

勇者「亜法は元々彼女たちの技術で、それらは彼女たちが神話の通りに地上に落ちた時に、亜法もまた落ちた」

勇者「そして落ちてきたのはそれらだけでなく、彼女たちの戦闘用奴隷もまた地上に落ちて、それらの末裔が魔族である」

錬金師「……その話は初耳だな」

勇者「今の俺には、多少信憑性のない神の話より、あなたの話に驚いています」

勇者「あなたはなぜ亜法を知っているのですか? それに、なぜ使うのは高等魔族だけだと知っているのですか?」

剣士「私達の知る限りでは、亜法を知る人は少ない」

剣士「いや、例え知ってはいても、それは“魔族独特の魔法か何か”と言う捉え方で、“亜法”という厳密な名前は知らないはずだ」

男「神の言う事が嘘ならば、あなたも“亜法”と言う名称を使う事がない。また、神の言う事が本当ならば、なぜあなたが亜法を知っているのか疑問だ」

男「最も、俺と盗賊は確かに魔族から亜法という名を聞いているから、本当だと言う事は知っている」

勇者「いくら大魔法使いとは言え、あなたはなぜ、亜法をご存じなんですか? 魔の国はあなたが生まれる以前から結界が張られていると言うのに」

錬金師「……」

勇者「どうなのですか?」

錬金師「……魔王から教えてもらったのだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 02:01:42.24 ID:tmAeOew0<>盗賊「魔王から……だと……?」

勇者「……まさか、魔王と繋がりが……」

錬金弟子「そんな……師匠……。そのような事は初めて聞きましたよ……」

錬金師「確かに魔王と繋がりがないわけではない」

錬金師「魔王と言っても、先代魔王だな。あれはもう、何十年前の話になるだろうか」

勇者「……」

錬金師「俺は大魔法使いとして名を馳せ、活躍していた」

錬金師「だが、それと同時に魔法に限界を感じ始めていた。先代魔王が接触してきたのは、そんな折りだ」

錬金師「『新たな境地を見たくはないか』と言って、亜法を見せてきたのだ」

錬金師「無論、亜法の研究をしたいのならば、彼らにつかなくてはならないのだがな」

錬金弟子「そ、それで師匠はどうしたんですか?」

錬金師「現状を見れば分かるだろう。断ったに決まっている」

錬金師「だが、先代魔王には感謝している。そのお陰で、俺の感じていた限界が幻だと知ったのだからな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 02:15:34.56 ID:tmAeOew0<>男「限界が幻?」

錬金師「そうだ。まさに、幻だったのだ」

錬金師「正確には、進歩していると思っていた魔法は、ある所では退歩していたと言っても良い」

錬金師「例えば……勇者さんは転移魔法を使えるか?」

勇者「え? ああ、はい」

錬金師「転移魔法は改良に改良を重ね、現段階に至る」

錬金師「現代の転移魔法は、魔法使いにとって非常に使いやすい」

錬金師「が、それ以外には負担が掛かっているのだ。転移酔いがその一例だ」

錬金師「それに、これはあまり知られていない事なのだが、転移の際に微少な負担が掛かっている。これは転移する距離が長い程、大きくなる」

錬金師「他に、実は移動距離に制限が掛かっている。実際あまり知られていないのだが、雪の国北端から潮の国南端までの距離は一度に転移できないのだ」

勇者「転移酔いだけが短所かと思っていた……」

錬金師「俺の見る限り、先代魔王の見せた亜法は確かに魅力的だった」

錬金師「聞くには、それは遙か古の時から存在すると言う」

錬金師「そこで思い至ったのは、古い魔法であるほど純度が高いと言う事だ。転移魔法もまた然り。複雑だが、それ以外の短所はない」

錬金師「先代魔王の誘いを断って以来、魔法の起源を調べるようになった。現に、それにより様々な事が見えてきたのだ」

錬金師「故にある意味では、彼に感謝している」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/01(月) 07:32:54.92 ID:g5zlVU6o<>うーむ、唸るほど面白いC
登場人物を溺愛し過ぎない前作も今作も、お約束でない展開にいつもwktk<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/01(月) 07:38:41.64 ID:rGqmJS2o<>で、琴緒はいつでてくんの?wwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 07:42:14.65 ID:tmAeOew0<>錬金師「俺は彼に感謝をしている」

錬金師「だが、だからと言って、俺の故郷を売るまねは出来ないのだ。その事は、先代魔王にも言っている」

勇者「では、確かに誘いを断って、魔の国には加勢していないのですね」

錬金師「その通りだ。しかし、俺は大陸連盟にも協力するつもりはない」

勇者「……そうですか。それならば、賢者の石を作る事が出来ても、もらえそうにないですね」

錬金師「……いや」

錬金師「確かに連盟には協力しない。だが、君には協力しよう」

勇者「本当ですか?」

錬金師「勿論だ。亜法の力を借りるのは癪だが、君達は急いでいるのだろう?」

錬金師「研究に欠けているものだという事が確かならば、これで賢者の石が作れるはずだ」

勇者「ありがとうございます!」

盗賊「待て。連盟に協力しねぇのに、勇者に協力するってのはどういう了見だ? 勇者は、悪く言えば連盟の犬だろうが」

錬金師「確かにその通りではある」

錬金師「だが、俺にも多少の思惑があっても良いのではないか?」

盗賊「思惑、ねぇ」

錬金師「おっと。あまり深くは聞かないで欲しいのだがな。言ってしまえば、俺の思惑にならない」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 07:54:22.03 ID:tmAeOew0<>剣士「とにかく、賢者の石を作ってもらえるのだから良かったのではないか?」

狂人「あうあう!」コクコク

剣士「狂人もうなずいているのだ。お前も素直に喜べ」

盗賊「狂人がうなずいたから何だってんだよ……。たまたまだろうが」

盗賊「でもまぁ、ありがたい事には違いねぇな」

錬金師「ではこの亜法具は預からせてもらおう。賢者の石精製までに少なからず時間が掛かるだろうが、良いかな?」

勇者「無理にでも早くは出来ないでしょう」

錬金師「そこを分かってもらえてると最もありがたい。大魔法使いであった頃は、気ままに研究など出来なかったからな」

錬金師「勇者さんは転移魔法を使えるのだったな。ではもうここへは来れるだろう」

勇者「そうですね」

錬金師「では錬金弟子、彼らを氷の街まで送って、良い宿を紹介しておけ」

錬金弟子「分かりました」

錬金師「本当はここに泊めるのが筋なのだろうが、生憎殆どの部屋が物置になっててな」

錬金師「それにここでは娯楽など皆無だ。すまないな」

勇者「いえ。それでも十分な気遣いをしてもらっていますから」

錬金師「まぁ、定期的に覗きに来てくれればいい」

勇者「ありがとうございます。では」

錬金師「おおっと、そうだ」

錬金師「男さん、だったな。君は少し残ってくれ。話がある」

男「はい?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 08:07:09.17 ID:tmAeOew0<>勇者「……先に行っても良いんだろうか」

錬金弟子「大丈夫ですよ。すぐに男さんも送りますから」

錬金弟子「あっ、それと氷の街に行く前に、これを飲んでおいて下さい」

剣士「……これは?」

錬金弟子「“暖房薬”と言われるものです。北方の国々では重宝するんですよ」

錬金弟子「飲めば半日身体が温かくなります」

盗賊「ほう。まぁ、防寒具がねぇと、こういうのがなけりゃやってられねぇな」

錬金弟子「防寒具も氷の街で探しますか? 良い服屋知ってますよ」

剣士「それはありがたいな。是非案内してくれ」

勇者「氷の街に行くって言うけど、もしかして歩きだったりするのか?」

錬金弟子「いえ。しっかり氷の街行きの転移粉も作ってありますよ。でないと買い出しも大変ですから」

勇者「そうか。それは安心した」

狂人「なうぅ〜! しゅっぱつなうぅー!」ゴクゴク

盗賊「狂人には飲ませなくて良いじゃねぇか。寒さとか感じてなさそうだったぜ?」

剣士「それでも寒いはずだろう。飲ませた方が良いに決まっている」

錬金弟子「皆さん、しっかり温かくなりましたか?」

勇者「ああ。準備も良いよ」

錬金弟子「それでは氷の街へ、“転移”!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/01(月) 08:10:38.14 ID:tmAeOew0<>さて、これから用事で出掛けてくるぜ。
本当に気まぐれ更新ですまないな!(反省してない

>>568
実は登場人物全員分け隔てなく、凄まじく溺愛しているんだ。
と言ってみるtest

>>569
ネタバレ:今回、琴緒は出てこない。

     琴緒は出てこない。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/01(月) 10:38:47.77 ID:sH/uFEAO<>>>573
大事なことなので(ry<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/01(月) 18:38:49.92 ID:g5zlVU6o<>>>573
愛が平均化されているわけかwww
明確な主人公をもたないのも>>1の魅力だな
今後の作品も読みたいから酉つけてほし<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/01(月) 19:37:56.36 ID:rGqmJS2o<>そ、そんな…「琴緒は出てこない。」だって…







ですよねwwwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/02(火) 01:38:05.57 ID:3l1iZm60<>――氷の街近郊

錬金弟子「さぁ、着きましたよ。ここが氷の街です」

盗賊「街の入り口から結構賑わってるんだな。みんな寒くないのか?」

錬金弟子「この辺りでは暖房薬が普及していますからね。それに防寒具も着ていれば、十分外で動き回る事が出来るんですよ」

狂人「きゃはは〜」タタッ

剣士「お、おい! どこに行くんだ、狂人!」

勇者「剣士!」

剣士「すまない勇者様、先に宿へ行っててくれ。私は後から宿へ向かう」

錬金弟子「フローズンヒル街道沿いの宿屋ですから、そこへ向かって下さいね」

剣士「承知した!」

勇者「……狂人が増えて大変になったな」

盗賊「まぁ良いんじゃねぇか? 剣士の奴も楽しそうだし」

勇者「そうだけどなあ」

盗賊「あいつのせいで命がどうこうなるようなら、元々一緒に旅をする事なんて許さねぇ。そうだろ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/02(火) 01:52:43.40 ID:3l1iZm60<>勇者「ところで、さっきの転移粉なんだけど」

錬金弟子「?」

勇者「確か粉に場所を記憶させるって言ってたよな」

錬金弟子「はい」

勇者「それはやっぱり、記憶させてない転移粉に何か魔法を掛けるって事?」

錬金弟子「いえ、違いますよ」

錬金弟子「場所を記憶させる、とは言いましたが、転移粉には対となる礎石がありまして、その礎石を転移先に置く事を“記憶させる”と言っているんです」

盗賊「と言う事は、あれか? この辺りにもその礎石があるって事か?」

錬金弟子「はい。私達の足下に埋まっていますよ」

錬金弟子「しかし礎石が埋まっているからと言って、そのすぐ上に出てしまうと足も埋まってしまうので、礎石から上へ少しの誤差なら修正出来るように複雑な魔法が掛かっています」

勇者「ちなみに、その礎石を地下深くに埋めた場合は――」

錬金弟子「誤差の範囲から逸脱するので、確実に埋まります」

盗賊「まじかよ……」

勇者「罠としても使えそうだな」

錬金弟子「転移粉は戦いのために作られたものではありませんよ。あくまで移動手段なんですから」

錬金弟子「さて、ではそろそろ私達も街の中に入りましょう」

錬金弟子「剣士さんが早く宿に着いても良いように、まず宿屋に行って部屋を取っておいたほうが良いですね」

勇者「だな。じゃあ、案内頼んだよ」

錬金弟子「任せてください」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/02(火) 01:59:46.55 ID:3l1iZm60<>――錬金師の研究小屋

ゴトッ…

男「……ふぅ」

錬金師「ありがとう、男さん。わざわざ運ぶのを手伝ってもらって」

男「いえ、良いんですよ。どのみち一人では運べないでしょう」

錬金師「はははっ、君はどうやら魔法の存在を忘れているようだ」

男「あ……」

錬金師「しかし魔法が使えるからと言って、魔法に頼っては駄目なのだよ。重い荷物もわざわざ自力で運搬する」

錬金師「人というものは、多少不便であった方が良いんだ」

男「……それで、俺に話というのは?」

錬金師「ああ、そうだったな。その事なんだが」

錬金師「まず聞いておく。君は本当に錬金兄弟子ではないのだな?」

男「その質問は、錬金弟子さんにも聞かれましたね」

錬金師「それもそうだ。君と錬金弟子の兄弟子、錬金兄弟子は似ているのだからな」

錬金師「それこそ、瓜二つだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/02(火) 02:12:46.26 ID:3l1iZm60<>男「これは錬金弟子にも言った事なんですが」

男「俺がその錬金兄弟子さんに似ているように、錬金弟子さんも俺の知人に似ているんですよ」

錬金師「……ほう」

男「そしてその時点で予想はしていたんですが、あなたもまた似ているんです」

男「俺とその知人の師匠に当たる人に」

錬金師「それは本当か?」

男「はい」

錬金師「それは興味深い……。偶然にしては出来すぎてはいないか?」

男「俺は特に驚きはしません。それは、錬金弟子さんを見たときは驚きましたが、それを確認すれば受け入れるのも容易です」

錬金師「どうやら君にはどういう事が分かっているようだな」

男「……」

錬金師「この建物の異常性を見抜いた辺りから、ただ者ではないと思ったが」

錬金師「君は、何者だ?」

男「俺はこの世界の人間ではありません」

錬金師「……どういう事だ? つまり、大陸の人間ではないという事か?」

男「そうではなく、全く別の世界――異世界から来た人間だと言う事です」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/02(火) 02:23:11.73 ID:3l1iZm60<>錬金師「異世界だと?」

男「俺は、さっき言った知人と一緒にこの世界に魔法を学びに来ています」

錬金師「君達の世界には魔法はないのか?」

男「ありません。魔力があったとしても、非常に微少なもので魔法を使うに至らないんです」

錬金師「この世界に、君達の望む魔法はあったか?」

男「ありました。まさに、想像する通りの魔法です」

錬金師「そうか……つまり君は、魔法のない世界から魔法を学びに来た学者、という事か」

錬金師「勇者達の中で一際浮いた存在のはずだ」

男「元々、余所者ですからね」

錬金師「さて、ではなぜ君が錬金兄弟子とそこまで酷似しているのか、君の意見をきかせてもらおうか」

錬金師「いや、俺達と君達がどうして酷似しているのか、だな」

男「俺が異世界の人間という事をまず疑わないのですか?」

錬金師「いや、疑ってはいる。だが、疑心と否定は別ではないかな?」

男「……そうですか。では、俺の考えはこうです」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/02(火) 02:43:52.36 ID:3l1iZm60<>男「俺らの世界ではしばしば、平行世界には自分に非常に似た人物が存在すると言われています」

男「それは時には、容姿だけでなく、性格や人物関係まで酷似するものもあります」

錬金師「平行世界とは、君の言う異世界の事だな」

男「はい。そしてその平行世界――異世界が存在すると言う理論は多世界解釈と呼ばれています」

錬金師「多世界解釈か……。世界が複数個ある考えだな」

男「それには大きく分けて、時間的な多世界解釈と空間的な多世界解釈がありますが、酷似した存在のものは時間分岐による多世界解釈の理論で発生しやすいものです」

錬金師「時間分岐……。成る程。と言う事は、俺達のこの世界と君達の世界は元々同じ時間を共有していた同じ世界だったという事か?」

男「いえ、そうも考えられますが、俺はそうではないと考えています」

錬金師「空間的なものだな」

男「空間的な分岐でも、ある程度の宇宙構造が似ていれば酷似した存在が発生する可能性は皆無ではありません」

錬金師「だがそれが必ずしも空間的な多世界解釈によるものと、君はどうして分かるのだ?」

男「俺らがこの世界へ来る為に乗ってきた船が、その理論に合わせて設計されたものだからですよ」

男「って、あれ? もしかして理解してくれているんですか?」

錬金師「しっかり理解出来ているかは疑問も残るが、興味深い話だ」

男「……世界は広いものですね」

錬金師「?」

男「魔法の世界にも、科学に興味を持ってくれる人がいたとは。しかもそれが、かつて大魔法使いと言われた人だとは」

男「女さんがいれば、どんな反応をしただろうか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/02(火) 03:05:40.92 ID:3l1iZm60<>錬金師「女さんとは?」

男「ああ、さっき話した錬金弟子さんに似た俺の知人です」

男「今は魔王に捕まってまして、一緒ではないのですが……」

錬金師「だから君は勇者達と一緒にいたのだな」

男「そうですね。そうでなければ、今頃女さんと白の街で魔法研究をしていたでしょう」

錬金師「別の世界から遥々とやってきたにも関わらず、厄介な事に巻き込まれたようだな」

錬金師「まぁ、君が確かに錬金兄弟子ではない事は理解出来た」

男「所で、その錬金兄弟子さんは……?」

錬金師「ああ、死んでいるよ。三年程前にな」

錬金師「錬金弟子の奴は行方不明と信じているようだが、あれは死んでいるはずだ」

男「そうだったんですか。道理でそれらしい人を見ないわけですね」

錬金師「ふむ。君はそのような反応をするのだな」

男「約束通りの反応が良かったですか?」

錬金師「いや。確かに惜しい弟子を亡くしたとは思っているが、俺に同情されても困るからな」

男「きっとそうと思いましたよ。生きている者を同情するのは筋違いだ」

錬金師「君の師もそう言った人なのか?」

男「まぁ、そうですね。そんな人でした」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/02(火) 03:10:52.62 ID:3l1iZm60<>さて、今回はそろそろ切り上げて寝るとしますか。
何だかSF(Science and Fantasy)からかけ離れてる気がして頭が痛い。

>>575
何だか俺が凄く過大評価されてる気がする……。
でも一人でもそうやって楽しく読んでくれてるって事は、とても嬉しいね。

ちなみに酉をつける予定はなし。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/02(火) 09:20:06.61 ID:l7360IIo<>>>1おつ
酉無しポリシー理解、甘えてすんますん
他の旧作も未来の次回作も自力で探します<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/02(火) 10:35:03.86 ID:niO6tkAO<>錬金師が独り身ってことは技師も独り身だったのか<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/02(火) 15:08:42.44 ID:16aR7YDO<>俺としてはキャラそれぞれの特徴が薄い?気がする、なんていうか分からんが端的に言うなら気持ちが悪い<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/02(火) 23:38:59.41 ID:3l1iZm60<>今日はなぜか酷く眠いので、更新するとすれば早くても明日の夜になりそうです。

>>585
一応無駄な労力を使わないように言っておくが、これが二作目ですぜ旦那

>>586
1スレ目411参照。
全く同じというわけではない、という設定でございます。

>>587
気持ちが悪いか……。つまりそれは、キャラに特徴が薄い→みんな同じようなキャラに感じる、みたいな感じか?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 01:36:00.20 ID:dYmtvAoo<>人間味が薄いからかな
男、女とその他研究者系の人たちは言わずもがな
勇者も剣士も使命優先で己を殺してるし
唯一人情持ってる盗賊も尽くしすぎちゃうタイプっぽい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 13:40:01.00 ID:tYi2oo6o<>それは良くないことなのか?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 15:03:11.21 ID:E.BnjFEo<>>>590にハゲ同
この作風を楽しむ585,590,私などがいて製速なんだから好きに書け嫌なら読むなでよくね?
つまり批評乙www
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/03(水) 16:00:00.35 ID:mfEgm6DO<>いつなにが役に立つか分かんないんだから直すべきところは直しといた方がいいだろ

こういうのは作風って言わねぇんだよ、ただ出来てないってだけ
信者との傷のなめ合いよりも直して次に繋げるべきだ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 16:48:52.18 ID:FnrRoEAO<>確かにちょっと人間臭さは欲しいか?
でもまあ無理にとは言えないからな

とりあえず>>1は不謹慎だが人が亡くなった時の周りの描写の腕を上げてくれと
それだけでだいぶ違うと思う<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 19:35:07.21 ID:E.BnjFEo<>>>592
できていないってんならできた作品をお前書いてくれ 私が言いたいのはそれだけだ
あと信者とかうけるwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/03(水) 20:40:10.51 ID:mfEgm6DO<>>>594擁護してると思ったらただの煽りかよ

言うことと書くことは別なんだよ、そんなことも分かんないのか
それに言われるってことはつまり期待されているということで言われなくなったらおしまいだよ
まあ、煽るもしくは持ち上げるだけの奴には分かんないかもしれないが<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 22:10:34.29 ID:E.BnjFEo<>煽った私が悪かった、みんなすまん
もうやめよう、私はただ読みたいだけだからな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 22:18:51.48 ID:OWR0WFQ0<>いつになく盛り上がってるな。良くも悪くも。

>>589
単にそれらが“人間味が薄い”って言うなら、私としてはその意見を否定したいな。
>>589が人間性をどう見てるかは別として、私は好奇心に固執する研究者や使命に正義を貫く勇者達もまた人間らしい一面だと思っているからね。
でも>>593の指摘した所を言われると、完全否定は出来ないけど。確かに私自身、人の死に対する感情はかなり鈍感だから。
感情描写が苦手という点では、否める立場でないかもしれない。

>>591
俺としては、適切な形でならどんどん批評してもらっても良いんだけどな。別に悪評=読むのが嫌というわけではないだろうし……と思いたい。
感情任せや面白半分の中傷でなければ、酷評だって良い勉強になるはず。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 23:00:23.74 ID:HEA7sIDO<>何だか香ばしいな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:01:17.81 ID:OWR0WFQ0<>錬金師「……」

男「……もう、ありませんか?」

錬金師「そうだな。聞きたい事については理解できた」

錬金師「だが、驚いたな。初めて君を見た時は、錬金兄弟子が化けて出たものかとおもったくらいだ」

男「どうやらこの世界には、亡霊というものが確かに存在しているみたいですからね」

錬金師「そうであれば良いと一瞬は思ったが、現実はそうあまくはなかったようだ」

錬金師「では、男さん。質問に答えてくれてありがとう。これから俺達一押しの宿屋に送ろう」

男「その前に」

錬金師「?」

男「俺も少しだけ聞きたい事があります」

錬金師「内容にもよるが、答えられる事なら答えよう」

男「その点は多分、大丈夫だと思います」

男「この建物についての事ですから」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:24:21.49 ID:OWR0WFQ0<>錬金師「この小屋についてか。それならば答えられそうだ。言ってみなさい」

男「ここは見たところ鉄で出来ているようですが」

錬金師「うむ」

男「外は氷点下六十度の極寒にも関わらず、この中はそう思わせないくらいの暖かさですよね」

男「金属は基本的に熱が伝わりやすい物質のはずですので、壁が分厚いだけじゃ説明し難いと思ったんですが」

錬金師「簡単な話だ。中で常に暖房を焚いているのだよ。そのくらいの事は分かると思ったのだが」

男「それだけじゃないと思ったから聞いているんが」

男「俺もあなたがそんな効率の悪いシステムを取るとは思っていません」

錬金師「過大評価されたものだな。いくら似ているとは言え、俺は君の師匠ではないのだぞ」

男「……」

錬金師「……全く。君も食えない男だ」

錬金師「その確信に満ちた目だと、予測くらいついているだろうに」

男「あくまで予測ですからね」

錬金師「では、まず君の意見から聞こうか」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 23:32:52.89 ID:P95.qEDO<>まあとにかく楽しみにしてます<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:53:14.46 ID:OWR0WFQ0<>男「そうですね……分かりました」

男「あくまで予測ですが、それが正しければこのシステムは俺の世界でも使われているものです」

錬金師「……」

男「断熱材を使わずに、熱伝導を遮る役割を果たす――」スッ…

カアァァァァ…ァァアン…

男「魔法瓶構造。即ち、間に真空空間を挟んだ構造だと思います」

錬金師「……」

男「……」

錬金師「うむ、正解だ」

錬金師「君の世界では魔法瓶構造と言うのか。成る程、魔法瓶構造とは良く言ったものだ」

錬金師「間の空気を抜くには、それこそ魔法は不可欠だったからな」

男「この世界に来て魔法瓶は初めて見ますが、まさかこれ程大きなものとは思いませんでしたよ」

錬金師「君に言うと優越感に欠けるが、初めて見るのは無理もない。この構造は俺がこの地で暮らす際に考案したものだからな」

男「そこまでして、どうしてこんなに寒い所に?」

錬金師「理由は三つある」

錬金師「一つは、邪魔されにくい環境のため、個人としての研究がやりやすい」

錬金師「それに付随して、何をやっても文句を言ってくる人がいない事」

錬金師「もう一つは、そう言った数ある場所の中からここを選んだ理由だが、氷の国のチーズが美味いんだ」

男「チーズ、ですか」

錬金師「ああ、チーズだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/04(木) 00:16:10.90 ID:H3oAJik0<>錬金師「俺がいくら研究が好きとはいえ、疲れる時には疲れる」

錬金師「気分転換として、好物が食べやすい所なら良いと思ってな」

男「まぁ……分からなくもないです」

錬金師「ちなみに君の師匠もチーズが好きだったのか?」

男「いえ、そう言った話は聞いたことがありませんね」

錬金師「そうか。好物まで一緒というわけではないのだな」

錬金師「……だが、君の頭の良さは錬金兄弟子のそれと少し被った」

男「そうなんですか?」

錬金師「ああ。錬金兄弟子も、君のように壁を叩いて見せて『この中は真空じゃないかな』と言った事は、つい最近のように憶えている」

男「そうだったんですか。でも、俺は魔法瓶を元々知っていた分、あなたの弟子の方が賢いはずです」

男「会ってみたくなりますね」

錬金師「是非、会わせたいものだ」

男「……」

錬金師「……」

男「何だか、結局は気分の上がる話題にはなりませんでしたね」

錬金師「気にする必要はない。それで、君からの質問は終わりかな?」

男「とりあえずは」

錬金師「そうか。では、宿に案内しよう」

錬金師「とりあえずこれを飲むと良い。暖房薬というものだ。氷点下気温でも温かくなるぞ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/04(木) 01:30:56.95 ID:H3oAJik0<>――氷の街

剣士「待て! 待たないか、狂人!」

狂人「はうぅ〜」タタタッ

剣士「狂人がこうも素早いとは……」

剣士「言うことを聞いて止まれー!」

狂人「きゃははははっ」ドンッ

「ああっ! 売り物の魚が!」

狂人「うひひゃひゃひゃひゃっ」ドンッ

「うわーんっ! 痛いよう!」

「大丈夫? 怪我はない? 全く、何だいあの子は。人にぶつかって謝りもしないなんて」

剣士「す、すまない!」

剣士「こら、狂人! 止まるんだ!」

狂人「“……”」ブツブツ

剣士「まさか魔法詠唱を……まずい!」

剣士「誰でも良い! 早くその子を捕まえて口を塞いでくれ!」

「捕まえろって言ったって……なんて速さだ。追いつけるわけないぜ……」

狂人「“……もがっ!」ブツブッ

「危ないですね。街中で急に魔法なんて使わないで下さいよ」

剣士「助かった……。迷惑を掛けてすまなかったな。感謝す――ん、お前は確か……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/04(木) 02:15:19.74 ID:3piNZgAO<>睡魔「私だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/04(木) 03:43:35.16 ID:gJvw56Yo<>サキュバス「お前だったのか…>>1の添い寝はお前が先か…しょうがない、また来る」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/04(木) 09:33:54.75 ID:iKkUdEEo<>羊「メェ〜メェェ〜」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/06(土) 21:29:10.16 ID:yt8PYoAO<>枕「まったく、涎垂らすなよ」<> 18<>saga<>2010/11/07(日) 13:07:55.13 ID:GbseP4w0<>俺「なんだよ……人が寝ているってのにうるさいなぁ……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/07(日) 13:24:05.74 ID:GbseP4w0<>商人「おや? あなたは勇者様とおられた方ですね。名前は確か、剣士様でしたか?」

剣士「どうして私の名を?」

商人「勇者様一行の方々の名前くらいは、今や常識ですよ。それぞれ職業も違いますから、見れば誰か分かります」

商人「そう言えば、お互いに名乗ってはいませんでしたね。そちらは有名ですから良いとしても」

商人「私は商人と言いまして、旅商人をしています」

剣士「礎商会の者だったな。あの時は助かった」

商人「いえいえ。しかし、驚きましたな」

剣士「?」

商人「あなたにこのような子供がおられるとは。それに幼いにも関わらず、魔法の才能に恵まれておられる」

商人「もしや、勇者様とのお子さんですか?」

狂人「もがもがっ」ジタバタ

剣士「なっ!? そ、そんな事はないぞ!」

商人「ははは、冗談のつもりでしたが、どうやら困惑させてしまったようですね」

剣士「はは、冗談か。そうだと思ったぞ。商人という連中は口が良く回って困る」

商人「いやはや、すみません」

剣士「後、もう手を離しても構わないぞ」

商人「そうでしたか。大丈夫ですか? 息苦しくありませんでしたか?」

狂人「くあぁぁぁ〜……」フラフラ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/07(日) 13:40:44.91 ID:GbseP4w0<>商人「ああ、そうだ。あれからどうですか?」

剣士「どう、とは?」

商人「そうですね……では、まずは彼ら異世界の人達に会えましたか?」

剣士「ああ。沼の街では会えなかったが、その後、白の街でな」

商人「そうですか。彼らはどうでした? 元気にしていましたか?」

剣士「元気……か。その辺りは何とも言えない所だな」

商人「?」

剣士「訳あって、男さんと盗賊と今一緒にいるのだが……」

商人「ほう。そうなんですか? と言う事は彼らもこの街に?」

剣士「そうだな。男さんは用事あって少し遅れてくるはずだが」

商人「ですが、妙ですね。女さんはどうしたのです?」

剣士「ああ……それはだな……」

商人「もしかして、白の街に残って研究をしておられるのですか?」

剣士「いや、そうではないんだ。男さんが私達と旅をしている訳というのは、そこにあるのだが」

商人「?」

剣士「魔王に連れて行かれたんだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/07(日) 14:05:44.35 ID:GbseP4w0<>商人「……本当ですか?」

剣士「ああ。魔王の部下に憑依されてしまったみたいでな」

商人「憑依……という事は亡霊ですか? 魔王に亡霊の部下がいたとは……にわかに信じられませんね」

商人「とにかく、それで男さん達はあなた達と……成る程。そこは納得がいきました。彼もじっと研究をしている訳にはいきませんね」

剣士「見ている分には、やりたい事をやっているようにも見えるがな」

商人「問題は、魔王が彼女の特異な知識に気付くかどうかですね。向こうに異世界の知識が漏れれば、今の沈黙が破られる可能性だって……あっ!」

剣士「どうかしたか?」

商人「……悪い予感ですが、もしかしたら、と」

剣士「?」

商人「現在、竜の国と連盟が“決着戦争”をしているのは知っていますか?」

剣士「いや。ここ最近人の少ないところばかりいたからな」

剣士「だが竜の国との戦争は、常に連盟が手加減していたのではなかったか? 漸く勝敗をつけるにしても、決着とは大袈裟な」

商人「それがそうでもないんですよ」

剣士「何だと?」

商人「噂によると、竜の国はやはり魔の国と繋がりを持っていて、戦力として魔物の軍隊を預かっているらしいのです」

商人「そしてその魔物達が、従来のものとは違い、鋼鉄で出来た体と言います。連盟軍は、それに翻弄され、未だ決着がつかない状態だと聞いています」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/07(日) 14:16:40.47 ID:GbseP4w0<>剣士「つまり……何が言いたい」

商人「分かっているでしょう。鋼鉄で出来た体の魔物など前代未聞です」

商人「とすると、そこに女さんが関わっていても不思議じゃありませんし、それで納得もいきますよ」

剣士「つまり、お前は彼女が魔王に協力していると言いたいのか?」

商人「そうではありません。ですが、彼女の知識を利用されている可能性は高くはないでしょうか」

商人「魔王の部下に憑依されていたのでしょう? それだけでも、脅しの種はいくらでも作れると思いますよ」

剣士「そうか……では私達もおちおちしていられないな」

剣士「だが、安心した」

商人「安心? どうしてですか。今も彼女は無理矢理働かされているかもしれないんですよ?」

剣士「だが、殺されてはいない。魔王にとって、女さんの知識は利用に値すると言う事だ」

剣士「死んでいなければ、助けられる。そうだろう?」

商人「前向きな考えですね。ええ、そう考えた方が良い」

商人「ですが、結界が……」

剣士「その事なら、もうすぐで解決できそうなのだ」

商人「本当ですか?」

剣士「ああ、本当だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/08(月) 01:25:05.23 ID:3Bze25.0<>商人「そうですか。それは良いことを聞きました」

商人「女さんが助け出されるだけでなく、私が生きているうちに魔物がいなくなるのですか……」

剣士「その通りだ。だが現時点で打開されたのは結界のみと言う事も忘れないで欲しい」

商人「現実的ですね。確かに現魔王は先代以上に強い力を持っていると噂がありますね」

商人「でも噂は噂。実際に魔王の力をはかる機会があったのは、四代は前の話でしょう」

剣士「だからと言って、その噂は無視できないものと言うのも事実だろう?」

剣士「強力な部下を統率している事実から見れば、強敵に違いはない」

商人「それもそうですね」

商人「それで、結界を解く方法とは?」

剣士「その事は……私に聞かないでもらえないか?」

商人「どうしてですか? ……まさか、機密とか」

剣士「いや、そうではないんだ。ただ私には分かりかねるだけの話だ」

剣士「とにかく今は、結界を破るのに必要な道具を、大魔法使いに頼んで作ってもらっている所だ」

剣士「それがいつ出来るのか、どのように使うのかは私は知らないのだ」

商人「……大魔法使いですって? この街にそんな大物がいるのですか!?」

剣士「この街には住んでいないようだな」

剣士「詳しい場所までは知らないが、凍結の森に住んでおられる」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/08(月) 01:34:03.58 ID:3Bze25.0<>商人「そうだったのですか……。ん、と言う事は、あなた達も凍結の森へ行かれるのですか?」

剣士「それはそうだ」

商人「……ふむ」

剣士「どうした?」

商人「いや、大魔法使い様も変わっておられると思いましてな」

剣士「確かに変わった人物だったが……」

商人「剣士様は、氷の街へ今まで来た事は?」

剣士「今回が初めてだ」

商人「そうですか。それは知らないのも無理はないですね」

剣士「?」

商人「この辺りの民間伝承なのですが、これは中々恐ろしいものでしてね」

剣士「凍結の森に関する話か?」

商人「ええ。特に遠い昔の話でもないと思うのですが、少なくとも私が生まれた頃にはあった話と聞いています」

商人「知っていますか? と言っても、実際に見たと言う人がいるとは聞いていないので信憑性はないのですが」

商人「凍結の森の北端には、幻の祠と呼ばれる所があるそうです」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/08(月) 01:49:47.09 ID:3Bze25.0<>剣士「幻の祠?」

商人「ええ。そう言われる所以についての説もいくつかありまして」

商人「本当はないものだから“幻”だったり、伝説的な逸話を持つから“幻”だったり」

商人「とにかく、凍結の森の北には幻の祠があると言われています」

剣士「その祠に、何かあるのか?」

商人「伝承の話に戻りますが、昔、この国の兵士数人が、凍結の森を踏破しその森の姿を把握してこい、と王から命を受けました」

商人「その時の王は、自分の領土を全て把握できていない現状に耐えられなかったのでしょうね」

商人「そうして兵士達は、ある男を筆頭として旅立ちました」

商人「男は、剣の腕も良く、温厚で、悪い評判など一つもないような人でした」

商人「その男の指示により、彼らは寒さに耐えながらも、皆無事に北の端に出て、広がる海を見たと言います」

商人「しかし、彼らが見たのはそれだけではありませんでした」

剣士「幻の祠、だな:

商人「そうです」

商人「話では、その祠はそれ程大きいものでもなく、またそれ程小さいものでもない、と言われています」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/08(月) 02:15:14.80 ID:3Bze25.0<>商人「幻の祠を見た彼らは、白羽式に拝みました」

商人「さて、拝み終えた所で、兵士達は大陸大山脈の方向へ戻ろうとしました」

商人「しかし、筆頭に旅をしてきた男の様子がおかしい事に気がついたのです」

商人「兵士の内の一人が、彼に声を掛けました。どうかしたのか? と」

商人「そして、それがその兵士の最後の言葉でした」

剣士「……何が起こったんだ?」

商人「男が兵士を殺したのです。急に殺意を剥き出しにして、向かってきたと言います」

商人「男に次々と仲間を殺される中、一人の兵士だけが必死に逃げて、大山脈を越え、最も近い村まで生き延びる事が出来ました」

商人「村に着くと彼は、早くここから逃げろ、と言うなり意識を失いました。それ程疲弊しきっていたのです」

商人「しかし彼は二度と目が覚めることがありませんでした。目を覚ます前に、男がその村を滅ぼしたからです」

商人「それから男は、さらに二つの村を滅ぼしましたが、次の街でとうとう討たれて死にました」

商人「なぜそのような事になったのかは分かりませんが、温厚だった男を残虐な殺戮者に変えたのは、その幻の祠だと言われています」

剣士「……そんな伝承があるのか」

商人「幻の祠に関するものなら、他にもたくさんありますが、どれも良いものではありません」

商人「王の暗殺未遂、大量殺人、強盗……共通するものは、その話に出てくる人は必ず幻の祠を見たという事です」

商人「それだからか、今では幻の祠のある凍結の森に入ってはいけないと言われています」

商人「入れば必ず犯罪者になるから、と」

剣士「犯罪者か……。だが大魔法使いはそうは見えなかったぞ」

商人「祠があるのは北端ですからね。恐らくそこまで北にはないのでしょう」

剣士「ふむ。そうかもしれないな」

商人「おっと、私はそろそろ急がなければなりませんね。取引があるのです」

剣士「何か引き留めたようで悪いな」

商人「いえいえ。良い話が聞けましたから。では、剣士様、また。くれぐれも幻の祠には気をつけて下さいね」

剣士「ああ。忠告、感謝する」

商人「あなたもしっかり剣士様の言う事を聞くのですよ」

狂人「ううー、ばいばい!」ヘラヘラ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/08(月) 07:23:17.25 ID:.RK/5uQo<>昼から夜までおつかれさんまー
剣士かわいいよ剣士<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/08(月) 21:53:51.68 ID:DCGt1IAO<>おつなんだからねっ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/10(水) 18:57:41.86 ID:fphbUYAO<>夢魔「はむはむ、いい夢みなよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/12(金) 21:54:56.23 ID:PUhtS2oo<>乙

まとめから来ました。独特のふいんき(←なぜか変換できない)に惹かれます<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/12(金) 22:02:58.01 ID:X.6jpks0<>忙しい期間と、続いての重度鬱病的な引き籠もり期間からの復帰!
け、決して「次の場面への繋ぎが難しいから……」とかじゃないんだよ!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/12(金) 22:08:09.09 ID:PUhtS2oo<>kkkktkrrrr
しえんた<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/12(金) 22:24:37.90 ID:X.6jpks0<>剣士「街の人が言うには、フローズンヒル街道の宿屋は一つと言うが……」

剣士「狂人はどの辺りか分かるか?」

狂人「〜♪」ヘラヘラ

剣士「と聞いても無駄か」

剣士「ん? もしや、あそこか?」

狂人「!」ピクッ

剣士「喜べ、狂人。無事宿が見つかっ――」

狂人「おっとー! おっとー!」タタッ

剣士「あっ、こら……」

狂人「おっとー!」ピョンピョン

男「ああ、もう。何でこんな所にいるんだ」

錬金師「この子は確か君達と一緒にいた子供だな。妙に好かれているようだな」

男「……冗談じゃない」ボソッ

剣士「おや、男さんは今着いたところか?」

男「そういう剣士さんは勇者さんと一緒に行ったはずじゃ……」

剣士「そのつもりだったのだが、街に入った途端狂人が勝手に走り出してな」

男「ああ……やれやれ」

剣士「あなたは男さんの案内のために?」

錬金師「ああ。錬金弟子はこの宿をしっかり案内したか?」

剣士「うむ。フローズンヒル街道の宿屋というのが、ここであれば」

錬金師「ああ、ここであっている」

錬金師「では、入ろうか。ここは俺達が街に長期滞在する時によく使う所なんだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/12(金) 22:41:07.77 ID:X.6jpks0<>剣士「流石一般客用の宿だ。旅人向けの安宿より造りがしっかりしているな」

錬金師「この辺りの安宿は、下手をすると寝ている間に凍え死ぬ。多少高くてもこのくらいのランクにした方が無難なんだ」

錬金師「金の方は心配しなくて良い。俺が立て替えておこう」

剣士「本当か!?」

錬金師「世間の魔法使いは苦労しているが」

錬金師「魔法は使いようによって、金がどんどん湧いてくるものなんだ」

男「ところで剣士さん」

剣士「なんだ?」

男「俺の服の裾を引っ張ってくる奴をどうにかしてもらえないか? 保護者として」

狂人「きゃは〜」グイグイ

剣士「別に良いじゃないか。破れる事はないだろう?」

男「伸びるだろ」

剣士「やれやれ、そのくらい許してやってくれても良いだろうに」

剣士「狂人、おっとーが嫌がっているからやめてやってくれ」ヒョイ

狂人「ううー」ヘラヘラ

錬金師「まるで親子……いや、家族の会話だな」

錬金師「さて、宿主の話では、この部屋だったな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/12(金) 22:55:16.67 ID:zlUxjKMo<>狂人がだんだんまともになってきてる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/12(金) 23:08:55.64 ID:X.6jpks0<>ガチャッ

勇者「遅かったな、剣士」

錬金弟子「あれ、男さんに師匠まで。もう話は終わったんですか?」

錬金師「とりあえずは、な」

剣士「それよりずっと部屋にいたのか?」

勇者「お前を待ってたんだよ。自分のくらい選びたいだろ?」

剣士「どれも一緒だろう。無理に待ってくれなくても良かったのだがな」

勇者「まぁ、大きさの問題もあるだろ。狂人のもどれくらい小さければ良いのか分からないからな」

狂人「あううー」ヘラヘラ

男「そう言えば盗賊がいないようだが」

錬金弟子「盗賊さんなら一人で出て行きましたよ?」


男「そうなのか?」

錬金弟子「はい。『暫くここにいるなら、働き口を探した方が良いな』って」

勇者「ああ。『防寒具なら適当に選んでおいてくれ』ってな。幸い大きさは俺と同じくらいだから良かったけど」

錬金師「宿代はこっちが持つって言ってなかったのか?」

錬金弟子「言うより早く出て行きまして……」

男「いや、あいつはどのみち仕事を探しに行ったと思うよ」

男「俺はこの中では一番付き合いが長いからな。盗賊はそういう奴だ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/12(金) 23:40:13.94 ID:X.6jpks0<>勇者「じゃあ俺達は買い物に行こうか」

剣士「本当にすまなかったな、待たせたようで」

勇者「いや、良いんだ」

勇者「錬金弟子さん達は研究で忙しいだろうから、この辺りでもう大丈夫だよ」

錬金弟子「えっ、でも案内した方が……」

勇者「さっき道順を教えてもらったから、俺達だけでも行けると思う」

錬金弟子「だそうですが、どうします、師匠?」

錬金師「確かに研究は忙しいが、俺もついでに買い物を済ませようと思っていたんだ」

錬金師「衣類屋以外にも街には良い店が多くある。ついでにその辺りも案内しよう」

錬金師「暫くここにいるのなら、知っておいて損はないはずだが」

剣士「ふむ、それもそうだな。折角の厚意だ。甘えさせてもらおうではないか」

勇者「錬金師さんが良いのでしたら」

錬金師「良し。では行こうか」

狂人「あうああー」クイクイ

錬金弟子「?」

狂人「けゃじあぇ〜?」ジ…

錬金弟子「な、なん……」

剣士「狂人、何をしている早く来い」

男「錬金弟子さん、狂人なんかに構ってると置いて行かれるよ」

狂人「きゃははーっ」トタタッ

錬金弟子「ま、待って下さい!」

剣士「全く、迷惑をかけては駄目だろう?」

狂人「へひゃひゃひゃ」ケラケラ

錬金弟子「……け、けやんじ?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/12(金) 23:59:34.83 ID:X.6jpks0<>――針の国、針の街、王城

針国王「何、攻撃を受けているだと!?」

針国大臣「はっ。先程受けた報告によりますと、現在表の城門にて交戦中でございます」

針国王「何という事だ……。今は竜の国との戦線で以前に増して人員を割いているというのに」

針国王「相手は誰だ! 魔物か? もしや魔族か?」

針国大臣「いえ、それが……」

針国大臣「報告によると、恐らく大陸の人間かと」

針国王「何だと!?」

針国王「今は大陸の人間同士争っている場合ではないというのに……」

針国王「……これが竜の国の奇襲作戦という可能性は?」

針国大臣「その事に関しては……その……」

針国王「何とも言えない、か」

針国大臣「ただ言える事は、相手はただの民ではなさそうです」

針国大臣「応戦している兵士達が……その……苦戦、しているようでして」

針国王「どうなっているのだ……!」

針国王「向こうの要求は分かっているのか?」

針国大臣「分かりかねる、ところです」

針国王「そうか……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/13(土) 00:15:42.21 ID:EIHqiNg0<>針国王子「父上!」

針国王「針国王子……すまないが、今は構ってやれる暇は――」

針国王子「承知しております。この状態はどういう事ですか!」

針国王「……どうやら、今この城が攻撃を受けているようなのだ」

針国王子「成る程、そう言う事でしたか。どうりで城内が騒がしいわけだ」

針国王子「いや、そうではなく……なぜ攻撃を?」

針国王「私にも分からん……分からんのだ」

針国王子「……やはり」

針国王「何か心当たりがあるのか!?」

針国王子「父上が甘すぎたのではありませんか?」

針国王「どういう事だ?」

針国王子「私はそのような民に優しい父上を誇りに思っております。しかし、国民全てがそうとは限りません」

針国王子「優しくするとつけ上がる民もいるはずです。厳しくすべき所も甘く見るから、このように反乱が起きるのです!」

針国王「まだ反乱と決まったわけでは……!」

針国王子「では何ですか? 魔物ですか? 敵襲ですか?」

針国王子「例えそうだとしても、結論は変わりません。父上が甘いからです!」

針国王子「他国を甘やかして戦線により多くの兵を送ったりするから、城の守りが手薄に――」

針国大臣「針国王! 新たな報せが!」

針国大臣「城門での防衛線が、突破されました……!」

針国王「何!?」

針国大臣「ただ今、城内に残る兵士と交戦しながら、こちらに向かっているとの事です……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/13(土) 00:38:58.34 ID:EIHqiNg0<>針国王子「ここに来るのも時間の問題か……」

針国大臣「親衛隊! 死んでも王を守るのだ!」

針国兵A〜J「はっ!」

針国王「……針国王子、針国王妃は今どこにいるか分かるか?」

針国王子「母上なら自室に」

針国王「そうか……」

針国王「良いか。良く聞け、針国王子」

針国王子「はい」

針国王「お主は針国王妃を連れ、この城を抜け出し、逃げるのだ」

針国王子「……父上はどうするつもりですか」

針国王「私はこの国の現王として、この事態を最後まで見届けるつもりだ」

針国王「ここで私が死ぬのであれば、時代は私を必要としなくなっただけの事。その時、次代の王はお主だ、針国王子」

針国王「お主はもう、私の後を継げる程には成長したはずだ」

針国王子「父上……!」

針国王「無事ならすぐに呼び戻す。さぁ、針国王妃を連れて、行け! 抜け道は知っておるだろう」

針国王子「……それは、出来ません」

針国王「何!?」

針国王子「王である父上を見捨てるようでは、私は王子とは言えません!」

針国王「お主……!」

「うぐぁぁああああっ」
「ここから先は通さぬぁぁああ!?」
「くそっ、何て強さだ……!」
「がはぁっ!!」
「通すな! 絶対王座の間には通すなげばぁぁああっ」

針国王子「どのみち、遅かったみたいですしね」

針国大臣「なんと……もうこんな所まで……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/13(土) 00:53:00.89 ID:EIHqiNg0<>「ぐふぁぁああっ」

…ドサッ

針国王「……」
針国大臣「……」
針国王子「……」

ザッ…ザッ…

針国兵A「来るぞ! 陣形を取れ!」

針国兵B〜J「はっ」ザザッ

ザッ…ザッ…

針国王「……今の内に逃げるのだ、針国王子」

針国大臣「そうして下さい。暫くの間でも、親衛隊が足止めしてくれます」

針国王子「それは出来ません。私も戦います」

針国大臣「王子!」

針国王子「この危機に立ち向かわなくて、何が王子ですか」

針国王「危機だからこそ、逃げて欲しいのだ。ここにいればお主も死ぬかもしれん」

針国王子「……そうかもしれません」

針国王「分かってくれたのならば、すぐに逃げ――」

針国王子「しかし、私が死ぬのであれば、時代は私を必要としていないのでしょう」

針国王子「それだけの話です、父上」

針国王「針国王子……」

ザッ…ザッ…ザザッ

針国兵A「止まれ!」

針国兵B「これ以上、王に近づけはせん!」

?「……あんたが、針国王ね?」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/13(土) 02:46:09.70 ID:EIHqiNg0<>針国王「……」

針国大臣「……」

針国王子「……子供の、女? にしても、どうしてこれ程の軍勢を……」

?「もう一度聞く。あんたが針国王ね?」

針国王「……いかにも、私が針国王だが」

針国王「一小隊を引き連れて、お主は私に何用か?」

?「あんたが針国王で、間違いないんだね」

?「父さんの仇、ここで取る! みんな、かかれっ!」

「うおぉぉぉおおおおっ!」

針国兵D「あ、相手が多すぎる……」

針国兵B「弱音を吐くな! 死んでも針国王をお守りするんだ!」

針国兵A「そうだ。弱気になれば必ず負けるぞ! 意思を強く持て!」

針国兵G「かはっ……」バタッ

針国兵E「針国兵G! くそっ」

戦士「……」ブォン

針国兵E「ぐはぁっ!?」ドサッ

?「良いぞ、戦士! この調子でまず親衛隊を蹴散らせ!」

「うおぉぉぉおおおおっ!!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/13(土) 03:06:49.63 ID:EIHqiNg0<>針国兵F「……」
針国兵C「……」
針国兵J「……」
針国兵B「……」

針国兵A「まだ、だ……決して王には、触れさせ……うあぁぁあああ!」

カンッ カンッ キンッ

針国兵A「うぐぁぁっ」ドスッ

戦士「……」

?「……終わったみたいだね」

針国大臣「そんな馬鹿な……いくら数で負けていたとはいえ、親衛隊がこうもあっさりと……」

?「じゃあ最後に、針国王、あんたの番よ」トツ…トツ…

針国王「……目的は何だ?」

?「言ったはずよね。父さんの仇だ、って」

針国王「話が、見えないのだが――」

針国王子「待て!」

?「……何」

針国王子「仇を取る、と言っていたな」

?「そうだけど?」

針国王子「槍を武装している割に、お前は戦わないのだな」

?「……」

針国王子「何の仇かは知らないが、仇とは自分の力で取るものだ」

針国王子「このまま父上を殺しても、それは他人が殺した事になるぞ?」

?「何が言いたいの?」

針国王子「父上を殺す前に――」

針国王子「――お前の手で私を倒してみろ!」チャキッ<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/13(土) 03:17:37.88 ID:EIHqiNg0<>針国王「針国王子、お主……!」

針国王子「止めないでください、父上。これは王子としての役割だと考えております故」

針国王「しかし……!」

針国王子「私に決意を崩せと言うのですか!」

?「……」

針国王子「何だ? やっぱり無理なんだろう?」

ザッ…

?「待って」サッ

?「……」チラッ

戦士「……」コク

?「……良いよ。相手してあげる」

針国王子「言っておくが、手加減はなしだ」

?「当たり前ね」

針国王子「お前がどれ程の腕前であろうと、手練れの兵の相手と同じように行くつもりだ」

?「それこそ、当たり前ね」

針国王子「槍のリーチは長いが、素人が扱えばそれも無意味になる事は知っているか? 止めるなら今の内だ」

?「止める理由なんて、どこにもないでしょ?」

針国王子「忠告はしたぞ」

?「さっさとかかってきたら? みんな、もしあたしが負けそうになっても手を出さないでよ」

針国王子「行くぞ――!」

?「っ――!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/13(土) 03:38:43.86 ID:EIHqiNg0<>?「……」

針国王子「な……に……!?」ドサッ

針国大臣「王子!!」

?「大口を叩く割に、あまり強くないんだね」

針国王「針国王子!」

?「安心して、針国王。殺しちゃいないから」

?「父さんの仇は、あんただからね」スッ

針国王「ぐっ……」

針国大臣「針国王! 刃を王から退けろ、小娘。無礼であるぞ!」

?「ここまで無理矢理乗り込んできたあたしに、今更“無礼”? あははっ、なにそれ笑える」

?「さて、後は殺すだけなんだけど……最後に弁明だけでも聞いておこっか。何かある?」

針国王「お主の父の名は何だ。それが分からなければ、弁明も出来ん」

?「あれ? あたし、よく『父さんに似てる』って言われるのに、分からないの?」

針国王「分かれば、苦労しない」

?「まぁ、いいや。名前を言えばすぐに分かってくれるだろうし、恨まれて当然だって事も分かるはずよ」

?「父さんはそこら辺の下っ端傭兵じゃなかったし、あんたに重宝されてたはずだしね」

針国王「傭兵……私が重宝していた……? まさかお主!?」

傭兵長の娘「父さんの名前は、傭兵長。忘れたとは言わせないよ。決着戦争で戦死した傭兵長よ!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/13(土) 12:25:30.23 ID:AEcGa8Io<>女じゃなかったのか…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/13(土) 14:49:45.69 ID:Xml6ULko<>キタキタキタキターーーーーーー! ! !
復帰&書きため投下おつおつC<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/13(土) 21:35:17.25 ID:b/.4PwAO<>ンモー、またいい所で止めるー。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/14(日) 01:05:30.53 ID:KZmKDvA0<>>>638
投下間隔をみてもらったら分かるけど、書きためじゃないんだ。
俺は「書きためるなら最後まで書いて投下した方が良いだろ」っていう意見の人だから。

>>639
眠気には、勝てません<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/14(日) 01:22:37.30 ID:KZmKDvA0<>針国王「やはり、傭兵長の娘だったか……」

針国王「お主の事は、話では良く聞いていたぞ。あやつ自慢の一人娘だとな」

傭兵長の娘「父さんの話、本当は一杯聞かせて欲しいんだけど、今話して欲しいのはそれじゃないんだ」

傭兵長の娘「父さんの死について、何か弁明はないの?」

針国大臣「何を言っておるのだ……。弁明も何も、戦士は王の所為ではな――」

傭兵長の娘「違う! 針国王の所為だよっ!」

針国大臣「気付かないのか? それはただ、現実逃避をしているだけなのだ」

針国大臣「父の死を受け入れられない子供が、王に責任転嫁しようとしているだけなのだ」

傭兵長の娘「違う! 違う違う違うっ!」

針国王「……」

傭兵長の娘「あたしは、知っているんだ。あんなに強かった父さんが、どうして死んだのか」

傭兵長の娘「竜の国では、新しい兵士が使われてるんだよね? 鉄の体の魔物、って聞いてるよ」

傭兵長の娘「それが無尽蔵に襲いかかってくるから、父さんは……!」

針国大臣「それはたまたまだったのだ。戦場では何が起こるかわからん」

針国大臣「傭兵である傭兵長は、戦場で死ぬ事を覚悟していたはず――」

針国王「もう、よせ」

針国大臣「……はい? しかし」

針国王「よせ、と言っておるのだ」

針国大臣「……分かりました」

針国王「……」

傭兵長の娘「……」

針国王「お主の目的は、私を殺す事であったな」

傭兵長の娘「……」

針国王「傭兵長とは親しく話した事もあった。だがその娘が、私の命を取りに来ようとは……」

針国王「人生、何が起こるか分からんものだな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/14(日) 01:41:58.87 ID:KZmKDvA0<>針国王「お主がなぜ私を恨むか、私には分かる」

針国王「巷で決着戦争と呼ばれておる竜の国との戦争。そこで向こうが起用した魔物の兵は強靱かつ多数と聞き及んでいる」

針国王「傭兵長に限らず、多くの命が決着戦争の戦場で消えていった。いや、今まさに消え続いておるのかもしれん」

針国王「このような事態になったのは、この決着戦争を始める時期が遅かったからに他ならない」

針国王「もう少しでも早く終戦に向かわせていたのならば、このような事態もなく、むしろ死者も少なく円滑に、連盟の勝利として終戦を迎えていたであろう」

傭兵長の娘「……」

針国王「これは、そういった決断の過ちへの報復、と受け取っても良いのだろうな」

傭兵長の娘「なんだ。よく分かってるじゃない」

傭兵長の娘「その所為で、父さん……ううん、本当はそれだけじゃない。父さんと傭兵の仲間達が無駄死にしていった」

傭兵長の娘「その事も、分かってるよね?」

針国王「……」

傭兵長の娘「何か、弁明はない?」

針国王「……そのようなものは、一切ない」

針国大臣「針国王!」

針国王「その罪を、私は甘んじて受け入れよう!」

傭兵長の娘「潔いんだね」

針国王「否定したくはない。元々、私自身悩んでおった事なのだ」

針国王「苦しみの度合いは問わん。好きなようにしてくれ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/14(日) 01:55:02.75 ID:KZmKDvA0<>針国大臣「針国王、な、何をおっしゃっているのですか……」

針国大臣「王がいなくなれば、この国は一体どうすれば良いのですか!」

針国王「王位は針国王子に継がせよう。資格の有無については、私が保証する」

針国王「……おっと、一つ聞いておきたいのだが」

傭兵長の娘「何?」

針国王「妻と息子――針国王妃と針国王子、それとそこの針国大臣の命はとらないで欲しいのだが」

傭兵長の娘「さっきも言ったけど、欲しいのはあんたの命だけだよ」

傭兵長の娘「ここに来るまでの間だって、一人も殺しちゃいない」

針国王「それは本当か!? それは、良かった……」

針国大臣「本当にそのような小娘に命を渡すおつもりですか! 考え直して下さい、針国王!」

針国王「もう良いのだ、針国大臣」

針国王「この命一つでこの大きな罪を償えるのならば、それ程安いものはない」

針国大臣「針国王……」

傭兵長の娘「……」

針国王「針国大臣。今まで仕えてくれた事を感謝する」

針国王「良ければ、針国王子にもしっかり仕えてやってくれ」

針国王「……待たせたな。さぁ、やってくれ」

傭兵長の娘「覚悟は、良い?」

針国王「とうに覚悟は出来ておる」

傭兵長の娘「……」スッ

針国王「……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/14(日) 02:12:09.28 ID:KZmKDvA0<>針国王「……」

針国王「……」

針国王「……?」

傭兵長の娘「よし、じゃあみんな引き上げよっか」

「おー!」

針国大臣「……は?」

針国王「ど、どういう事だ? 殺さない、のか?」

傭兵長の娘「必要がなくなったのよ」

針国王「どういう――」

傭兵長の娘「あたしは、あんたに満足した。それだけの話だよ」

傭兵長の娘「父さんがあんたをお得意様にしてた理由がよく分かったよ」

傭兵長の娘「あんたはこれからも、王として生きていく価値がある。だから、あたしは満足したの」

針国王「……」

傭兵長の娘「戦士、早く次に行くよ」

戦士「うむ……。すぐにでも……出発出来る……」

傭兵長の娘「じゃあすぐに出発するよ。あっ、でもその前に――」

針国王「……何、だったのだ?」

針国大臣「さ、さぁ……? しかし、良かったです。王が無事で」

針国大臣「娘が言ったように、王子も親衛隊も十分な息があります」

針国王「そうか。それは何よりだ」

針国王「そう言えば、次にとか言っておったな」

針国王「もしや、このような騒動を他でも起こすつもりでは……」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/14(日) 02:35:34.10 ID:KZmKDvA0<>――氷の国、氷の街、軽食店

盗賊「チーズと雪大根のパスタ二つ、お待たせしました」ゴトッ

剣士「ぷっ、くくっ……」クスクス

盗賊「ったく、昼食の度にやってきて毎度毎度笑いやがって。嫌がらせなら追い出すぞ」

剣士「い、いや、すまないと思っているのだが、お前の敬語はどうも新鮮でな」

盗賊「そうやって笑われると、どうもこいつにまで馬鹿にされてる気がするぜ」

狂人「にゃははははっ」ヘラヘラ

盗賊「ああ、くそっ。そんな食い方するとテーブルが汚れるだろ」

剣士「まぁ、多めに見てやってくれ」

盗賊「常識人のマナーを求めるのは諦めてるけどよ」

盗賊「にしても、お前も暇なら働け。今後の旅の資金にもなるぜ」

剣士「すまないな。私には狂人という酷く手の掛かる娘がいるのだ」

狂人「んぐんぐ」ベチャベチャ

盗賊「パスタを素手で掴んで食う奴がいるか、おい」

盗賊「いつもの事なんだがな……」

剣士「この子を放って仕事をしろと言うのか?」

盗賊「あー……」

剣士「まぁ、狂人がいなくとも、私向けの仕事はなかなか見つからないのだがな」

盗賊「ところで、あいつらはまたか?」

剣士「ああ。錬金師の研究小屋へ行っている」

剣士「勇者様の用事は賢者の石くらいだから、専ら付き添いだろうな」

「おいこらバイト! サボってないで働け!」

盗賊「おう、すまねぇ! ご注文はなんでしょうかぁっ!!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/14(日) 02:54:24.92 ID:KZmKDvA0<>――凍結の森、錬金師の研究小屋

錬金師「良いか。今から話す事は、君のためにもなる事だ、勇者さん」

勇者「俺のためにも?」

錬金師「そうだ。これから教える事は、魔石の特性理解についてだ」

男「魔石の特性って、九つ全て、別にですよね?」

錬金弟子「それぞれ、土、火、水、風、雷、光、闇、有、無の属性ですが」

錬金弟子「魔法の属性と魔石の属性が合う程精度の良い魔法を使う事が出来ます」

錬金弟子「その相性、と言うか属性の説明を、特性と呼んでいるんです」

男「成る程」

勇者「でもそのくらいは魔法を勉強する人は誰だって知ってるはずですよ」

勇者「理論魔法学の基本じゃないですか」

錬金師「はたして、そうかな?」

勇者「え?」

錬金師「フィーレは火の特性を持つから火の属性。ウォルターは水の特性を持つから水の属性」

錬金師「このような一般の認識が誤りだったら、どうだろうか」

錬金師「いや、実際にその事実は真実が歪んだものに相違ない」

錬金師「男さんは、今後の研究に役立てるために」

男「……」

錬金師「勇者さんは、正しい理解によって魔法を強化するために」

勇者「……」

錬金師「錬金弟子は……聞かなくても良いのだが、復習として聞いてくれても良い」

錬金弟子「はい」

錬金師「これから実践を交えて話す事は、俺の、ここでの研究の成果なのだが」

錬金師「魔法学界にとっては革新的な話をしようと思う」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/14(日) 20:57:46.12 ID:8AF0DWAo<>キテターーーーーーー
書き溜めでなくても復帰おめ!
いつも読んでる<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/15(月) 18:55:01.19 ID:ZC0R6IAO<>睡魔「今回もいいとこで止めてあげたよ!」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/15(月) 19:02:19.75 ID:hwh4w32o<>サキュバス「またあなたなの…わたしの仕事ができないじゃない」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/16(火) 00:47:06.42 ID:bkYS.5so<>羊「メェー、メェェーー!!」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/19(金) 00:42:05.14 ID:3C075F.o<>まだかー<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/21(日) 00:47:01.93 ID:VIVIDeM0<>まーだーだよー<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/22(月) 07:29:50.37 ID:AdH9oj2o<>もーいーかい<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/23(火) 00:37:19.87 ID:PRf07O2o<>狂人の「おっとー!」が市原悦子で再生されてやばいww<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/23(火) 00:57:20.01 ID:dVw0g6AO<>もしもし
再生厨もニコ房もゆとりももっと自重しようよ
俺ももしもしだから自重するから
がちゃっ<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/23(火) 21:49:47.61 ID:e7MrNIDO<>そんなに変な流れになってるか?<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/23(火) 23:15:06.16 ID:WIZvxdIo<>同意
変な流れではないぞな<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/24(水) 00:34:22.81 ID:MewaqQAO<>>>656
>>657<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/27(土) 01:25:46.22 ID:GWhPMbw0<>>>653
もーいーよー!

と言いたい所だけど、非常に忙しい時期に入ってしまっていた事に気付いた。
空いてる時間は睡眠優先にすると思うから、これから更新頻度が少なくなりそうです。

>>656-658
きっと>>655は間違い電話をしてしまったんだと思われ。<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/27(土) 01:51:54.10 ID:GWhPMbw0<>錬金師「その話をするために、これを使う」

錬金弟子「それは……」

勇者「台座に置かれてるのは、九属性全ての魔石ですよね」

錬金弟子「左からエールス、ウォルター、ウィンデ。そしてフィーレ、エレックス。リーツ、ダーレク。最後にオーガン、イノーグ……」

男「意味深な分類ですね」

錬金師「俺は結果を知っているからな」

勇者「台座の下の容器と後ろのガラス管には何が?」

錬金師「これは、少し細工をした液体が入ってあってな」

錬金師「液体の材料について説明しても良いが、今の話はそれではなので、止めておこう」

錬金師「この装置はかなり昔に俺が考案したもので、これによって魔石の影響度合いが分かる」

錬金師「その仕組みについて、簡単に言うとこうだ」

錬金師「魔法を使う時、身につけている魔石は微少な振動を起こしている」

錬金師「そこで、この装置の左上にある出っ張りの部分に触れ、これら全ての魔石を身につけている状態にし、魔力を流す」

錬金師「すると、魔石が振動を起こし、台座にそれが伝わる」

錬金師「台座を挟み、下の容器の液体に振動が伝わると、この液体は膨張する」

錬金師「そして後ろにあるガラス管では液体の水位が高くなる」

錬金師「この液体の膨張は、魔力の影響が高い振動である程、大きくなるようになっている」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/27(土) 02:14:36.68 ID:GWhPMbw0<>勇者「そんな事が、可能なのですか?」

錬金師「この特殊な液体や装置の構造は、魔法学界にとって全く信憑性のないものだ」

錬金師「それよりも伝統的な“繋がり”を探す方が感覚的に分かりやすい」

錬金師「実際、俺もこの方法を魔法学的に証明出来る自信がまだない。故に、この装置も、これによる研究成果も発表していない」

勇者「では――」

錬金師「だが、俺はこれが正確である自信はある」

錬金弟子「師匠自慢の装置ですからね」

男「だが、魔石が振動を持っているのは俺らはこの目で見たことがあります」

男「正確には、内部のみの振動ですが」

錬金師「それは本当か?」

男「はい。だけど、魔法を使うときに振動が外部に漏れるとは思いませんでした」

錬金師「……ふむ」

錬金弟子「師匠。話を進めましょう」

錬金師「ああ、そうだったな。勇者さんはまだ疑わしそうな顔をしているな」

勇者「……まぁ」

錬金師「では、まず見てもらうのが一番だ」

錬金師「今からやる事は、魔石との相性を測る時の手法、純粋に魔力のみを魔石に流し込むものだ」

錬金師「まず俺がやってみよう」スッ

錬金師「……」

勇者「管の中の水が、上っていく……!?」

錬金師「先程も言ったように、膨張しているだけだ」

錬金弟子「止まりましたね」

男「この結果からするに、錬金師さんと相性の良い魔石は全部という事になりますが……。しかも、かなり高い」

錬金師「その通りだ。まぁしかし、エレックスとダーレクが少し水位が低いだろう」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/27(土) 02:26:55.72 ID:GWhPMbw0<>錬金師「次は錬金弟子、やってみろ」

錬金弟子「またですか?」

錬金師「最初の人が二人いるんだ」

錬金弟子「それくらい分かっています。では、やりますよ」スッ

錬金弟子「……」

男「おお、錬金弟子さんも全部上がっていくな」

錬金師「そういう風に特訓しているんだ。小さい頃からしていれば、多少は修正出来る事もこれで証明されている」

男「実験体ですか……」

勇者「ウィンデの部分とフィーレの部分がやや高くなっていますね」

錬金弟子「はい。なので、炎属性の魔法と風属性の魔法が得意なんですよ」

錬金弟子「師匠の理論で言うと、相性も良いですしね」

勇者「理論?」

錬金師「……それは後で少し話す。この装置で得られた区分のものだ」

錬金師「錬金弟子、もう良いぞ」

錬金弟子「あっ、はい」サッ

錬金師「次は勇者さんの番だ」

勇者「え、俺もやるんですか?」

錬金師「俺達だけだと、イカサマをしてるかもしれないだろ?」

勇者「まぁ、脳裏を掠めたくらいには思いましたが」

錬金師「それにこの装置はここでしかない。やってみると良い」

錬金師「それと、魔石の填ったその手袋は測定時に邪魔になるから、外しておきなさい」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/27(土) 02:47:01.03 ID:GWhPMbw0<>勇者「えっと……ここですよね?」

錬金弟子「そうですよ。そこで魔石と繋げるんです」

錬金師「手袋についてるこれは、フィーレとエレックスだな」

勇者「はい」

男「と言う事は、その二つが高い水位になると推測できますね」

錬金師「そうだ」

勇者「では……」スッ

勇者「……」

錬金弟子「推測通りですね」

錬金師「予想外なのは、その水位だ。フィーレとエレックスのみは俺を凌いでいるぞ」

男「さっきと違って、水位差が激しいみたいですが……」

錬金師「普通ならば、このようなものなんだ」

勇者「まぁ、信頼出来る装置である事は分かりました」

錬金師「だろう? だがこれで賢者の石の必要性にも納得がいった」

勇者「……どういう事ですか?」

錬金師「正直なところ、魔石を均等に操れる俺なら、賢者の石なしでも魔の国の結界を破る事が可能だ」

錬金師「だが、勇者さんは九つの魔石を使うとフィーレとエレックスの属性が極めて秀でてしまい、結界を破る力にはならないんだ」

錬金師「だが賢者の石は、自動的に魔法属性を均等化する働きを持つ。理論上の話ではあるがな」

勇者「錬金師さんが一緒に戦っていただけないのが、残念ですね」

錬金師「戦わないが、その代わりとして賢者の石を作っているんだろう」

錬金師「そもそも勇者さんの手柄を俺が取るのも可哀想だ」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/27(土) 02:58:16.84 ID:GWhPMbw0<>錬金師「では次、男さんいってみようか」

男「え?」

錬金弟子「あっ、私も気になります!」

男「え?」

男「でも俺、魔導連合で才能を測ってもらいましたが、全くなしと言われているんですが」

錬金師「あの測定は大きなムラがある。これで測れば、水位が少し上がる所くらいは見れるだろう」

男「しかし……」

錬金弟子「まぁ、やってみて下さいよ。魔力の流し方、分かりますか?」

男「いえ」

錬金弟子「こう、手のひらの方に意識を集中させるんですよ」

男「はあ。まぁ……やってみます」スッ

男「……」

錬金師「……」
勇者「……」

錬金弟子「えっと、おとk――」

錬金師「錬金弟子、もう良い」

錬金師「えっと……そうだな。うむ、何というか……すまないな」

男「……いえ」

男「別に、魔法の才能ゼロだからと言って、俺には、科学が、ありますから」

錬金師「そ、そうか。それなら良いんだ」

勇者「全く水が動かなかったなんて……」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 12:59:44.28 ID:lEUMMPko<>乙だ
リアル大事に
だが書くの楽しみにしてやってんだから忘れんなww<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 13:01:32.42 ID:lEUMMPko<>乙だ
リアルだいじに
だが読むの楽しみにしてやってるんだから忘れんなww<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 13:02:24.88 ID:lEUMMPko<>投下ミスすまん
割腹してくるわ<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/28(日) 21:43:29.79 ID:UaJO1oDO<>来てたのかー
乙<> 18<>saga<>2010/11/29(月) 22:45:33.84 ID:EPy0jrI0<>錬金師「しかし、どういう事だ。魔力の放出方法さえ教える事が出来るのならば、赤ん坊でさえ少しは液体が膨張するはずだと言うのに」

錬金弟子「そう言えば、そうですよね」

男「俺は赤ん坊にも劣るという事なのか……」ズーン

錬金弟子「い、いえっ、そういう事ではなく……!」アセアセ

勇者「そう言えば俺も聞いたことがあるな」

勇者「魔法が使えない人はその才能がないだけであって、魔力を持たないわけではない。って」

錬金師「うむ。魔法は技術だが、魔力は潜在力であるからな」

錬金師「普通ならば、少しだけでも魔力を所持しているはずなのだ」

勇者「じゃあこの実験は失敗という事ですか」

錬金弟子「では男さんがもう一度やれば――」

錬金師「いや、これで良いのだ……と考えている」

勇者「え、でも」

錬金師「考えてみろ。そもそも俺達と男さんは違うんだ」

男「どういう……ああ、成る程」

錬金師「分かってくれたか? 恐らくその考察をしていけば、何らかの答えが得られると考えている」

勇者「違いって、異世界人かどうかですか?」

錬金弟子「でしょうね。でも、どうしてそれが……」

錬金師「さて、気を取り直して実験に戻ろうか」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 23:08:27.80 ID:EPy0jrI0<>錬金師「まぁ、前の実験で理解してくれたように、この装置は魔石の影響度を測るものだ」

錬金師「ここでまず『魔石の影響度』と言うものの、俺なりの考察を述べていく」

錬金弟子「この辺りもまだ確証を得てないらしいんですよ」ボソボソ

勇者「そうなの?」ボソボソ

錬金弟子「はい」ボソ…

男「俺らからすれば、魔法学は殆どいい加減だったんだけどな……」ボソッ

錬金師「九つそれぞれの属性を持つ魔石だが、そのどの魔石を持ったとしても、実質全ての属性を扱うことが出来る」

錬金師「それは実際魔石は構成要素として全ての属性を持っているからに他ならない」

勇者「ちょ、ちょっと待って下さい」

錬金師「ん?」

勇者「それではどの魔石でも実際は賢者の石だと言ってるみたいじゃないですか?」

錬金師「根本は、そうだ」

錬金師「だが、その構成要素の違いで俺達が持つ魔力が魔石中でする振動が変化する」

錬金師「その振動が、森羅万象の一部に働きかけ、魔法が使用できるようになるのだ」

錬金師「それぞれの魔石は、それぞれに最適な振動を持っている」

錬金師「そして、その差は微量なものだ。だが、その差は大きい」

錬金師「その差こそ、魔力の影響度だ」

錬金師「故に、この装置で魔法を使うと、全ての水位が上昇するが」

錬金師「それぞれの差ははっきりと現れるので問題はない」

錬金師「では、漸く実際に簡単な魔法を使って測定していくから、しっかり結果を見ておくように」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 23:25:02.72 ID:EPy0jrI0<>錬金師「まず火の生成魔法から行う」

錬金師「えー……そうだな。これにしよう」ガサガサ

錬金師「この紙に火を点ける、火の生成の中でも下級のものだ」

錬金弟子「火の生成魔法は、名前の通り火属性の魔法ですよね」

勇者「そりゃそうだ」

錬金弟子「……」ニヤニヤ

勇者「?」

錬金師「“――”」ブツブツ

ボッ

勇者「……やっぱりフィーレの所が一番高い水位まで上がったな」

男「成る程。フィーレに良く反応しているが、エールスとオーガンにも反応が見られますね」

錬金弟子「流石、男さんですね」

勇者「でも、フィーレに比べたらあまり高くなってないような……」

錬金師「それもそうなのだが、その他の魔石は同程度の反応しかしていない」

錬金師「つまりエールスとオーガンの反応も、この火の生成という魔法の特性なんだ」

勇者「でもエールスって土属性だし、オーガンは有属性では……」

錬金師「それは、追々説明していく事にしよう」

錬金師「だが男さんにはもしかしたら推測くらい出来ているのではないか?」

男「それは過剰評価というものです。流石にある程度のデータくらい揃わないと……」

錬金弟子「異世界人も人間ですね」

男「その通り」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 23:44:54.11 ID:EPy0jrI0<>錬金師「次に、火の中級魔法である空中での火の生成をやってみる」

錬金師「“――”」ブツブツ…

ボッ

勇者「同じ火の生成だから、結果も……ってあれ?」

男「エールスの反応がなくなりましたね」

勇者「その代わりに、ウィンデが反応している、のか?」

錬金師「そうだ。なぜ同じ火の生成なのに難易度に差があるのかはこの特性の違いにある」

錬金弟子「よく見ると、ウィンデの水位はさっきのエールスの水位よりも高くないですか?」

勇者「そう言われれば……」

男「……そうだな」

錬金師「その理由も追々分かるようにする」

錬金師「次は、水の生成魔法をしてみようか」

錬金師「“――”」ブツブツ

男「……今度は、ウォルター、ウィンデ、オーガンか」

勇者「ウォルターは分かるけど、なんでウィンデとオーガンが……」

錬金弟子「それが水の生成の特性なんですよ」

錬金師「錬金弟子、お前が得意そうに言う事でもないだろう」

錬金弟子「あはは、そうですね」

錬金師「やれやれ。では、次に土の生成……は出来ないから――」ゴソゴソ

錬金弟子「室内で土壌を動かすと床が抜けたり割れたりで危ないんですよ」

錬金師「――代わりにこれを使う」

勇者「鉄、ですか?」
男「鉄、ですね」

錬金師「そう。ただの鉄塊だ。これから少し面白い魔法を使うから、見ておくといい」

勇者「どういう魔法ですか?」

錬金師「魔法の起源を探った後に得られた魔法でね」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 00:15:12.62 ID:e.n95DAo<>きてたのかー<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 00:17:26.30 ID:x54CtAso<>やはりイイ
面白いよまったく
三倍乙<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 01:14:20.54 ID:C.D5IBco<>魔法瓶って誰が最初に考えたんだろうはね

乙<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 06:40:40.71 ID:J936BbQo<>逆に得意な魔法の特性だけが低い魔石を装備すれば<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 14:35:16.62 ID:.UHCN/Qo<>同じ属性の魔法でも強さや運用方法によって固有振動数が異なるってことは…

普通じゃね?wwwwww
属性の数しか振動パターンが無かったら怖いよねwwwwww
血液型占いみたいwwwwww

ってことは振動に逆相違振動をぶつけて相殺や共振による別現象とか色々できるな
魔法がある世界いいなぁいきてぇwwwwww<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/30(火) 21:40:18.36 ID:/zzT8aM0<>>>675
ヴァインホルトさんに限らず、最初に発案出来る人は凄いと思うよね。

>>676
魔法を発動するだけなら問題はないけど、得意な魔法を効率良く使えないと思われる。
かと言って魔石に合った魔法を使えば、その魔法の効率が上がるわけでもない。自分の魔力特性に合ってないから、例え効率が向上したとしても実感できない程度。

>>677
話に出てこないから裏設定になるけど……
逆位相振動による相殺などは理論上可能。但し、実現困難。<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/30(火) 21:59:33.68 ID:/zzT8aM0<>錬金師「よく見てくれ。これからこの鉄塊は、あり得ない動きをする」

勇者「あり得ない……」

男「動きか……」

錬金弟子「……」

錬金師「では、“――”」ブツブツブツ…

グニャッ グニャー

勇者「鉄が形を変えた!?」

男「魔法ではこんな事も出来るのか……!」

錬金師「“――”」ブツブツブツ…

グニャグニャッ グニニ…

錬金弟子「鉄に見とれるのも良いですが、今回の目的はそれだけじゃないですよ」

勇者「そ、そうだった」

男「エールスが一番高いな。次に、イノーグか」

男「……あれ、今まで三つ上がってたのに、今回は二つですね」

錬金弟子「それだけ、エールスを使用する特性が強いと言う事ですよ」

錬金師「“――”」ブツブツ

グニャッ グニャッ…

勇者「錬金師さん、もう良いですよ……ん、それは?」

錬金師「氷の街に来て数日立つのに、まだ知らなかったのか?」

男「俺は見たことあります。雑貨屋や土産屋に置いてあるやつですね」

錬金師「そう。ブリジニア像と言う」

錬金弟子「氷の街周辺の伝統工芸品ですよ。普通は木彫りなんですけどね」

勇者「それにしても、精巧な造りですね。俺も魔法でこんな事が出来るなんて思いませんでした」

錬金師「この研究小屋もこの魔法で作ったんだ。自分の意思のみで作り変えるのだから、どのような形であっても自在だ」

錬金師「無論、鉄の量が及ぶ範囲で、だがな」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/30(火) 22:09:32.36 ID:/zzT8aM0<>錬金師「用途や素材によって特性が変わっていくのは分かっただろう」

錬金師「次に、このブリジニア像一つを使って、魔法を変化させていく」

錬金師「ブリジニア像がどうなっているか。そしてその時、装置の水位はどうなるか」

錬金師「それを見てみて欲しい」

錬金師「錬金弟子、詠唱中の説明を頼む」

錬金弟子「はい」

錬金師「“――”」ブツブツ

錬金弟子「今、ブリジニア像は宙に浮かしましたね」

男「ウィンデの水位が上がったな」

勇者「ブリジニア像を作ってた時よりも、エールスは反応してないみたいだが」

男「それは、鉄を浮かせるだけだから、それ程必要ないのだと思う」

錬金師「“――”」ブツブツ

錬金弟子「次の段階にいきましたよ」

勇者「鉄が赤くなってる……燃やしてるのか?」

男「だろうな。フィーレの所が高くなってる」

錬金弟子「その通り、鉄を熱している所です。師匠の力なら、溶けるまで出来ますよ」

勇者「確かにフィーレの所が段々高くなって――」

男「ちょっと待て。……これは、どういう事だ?」

勇者「どういう事って?」

男「エールスの所の水位が、下がっていると思うんだが」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/30(火) 22:40:26.63 ID:/zzT8aM0<>勇者「本当だ」

錬金弟子「隣の管を見てください。水位が上がってませんか?」

勇者「鉄を熱していったらエールスが下がってウォルターが上がった……?」

男「……成る程、そういう事か!」

勇者「成る程って、何か分かったのか?」

男「いや、推測なんだが……」

錬金弟子「エールスの水位が下がりきりました。鉄が全部溶けたみたいですね」

錬金師「“――”」ブツブツ…

勇者「え!? ちょっと待――!」

勇者「……って、あれ?」

錬金師「何を驚いている、勇者さん?」

勇者「いや……溶けた鉄を床に垂らそうとしたので……」

錬金弟子「でもしっかりと固まったでしょう? 大きな針みたいに」

勇者「ま、まぁ……」

錬金弟子「私も最初にこれをやられた時、びっくりしましたよ」

錬金師「仮に床に垂れたとしても、何の問題もないんだがな。その程度で燃える素材は使っていない」

錬金師「それよりも、最後の所はしっかり見ていたか?」

勇者「……あ」

錬金師「だろうな。だが、男さんは見てくれていたようだ」

男「……ふむ」

勇者「どうなっていたんだ?」

男「溶鉄を垂らした時、ウィンデの水位が下がっていった」

男「かと思えば、フィーレが一瞬一番下まで下がってまた上がり、ウォルターが一瞬で下がって同時にエールスが上がっていった」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 22:41:34.76 ID:/VmMfEDO<>(“――”)ガンバレ<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/30(火) 23:14:40.80 ID:/zzT8aM0<>勇者「な、なんだそれ……」

男「錬金師さん。かなり、無理したんじゃないんですか?」

錬金師「いや。俺には容易い事だな」

錬金弟子「私には出来ないことを軽々とやってのける辺り、流石師匠です」

錬金師「さて、ここで少し二人の理解度を測ってみようか」

勇者「俺は……全然分かりませんでした」

勇者「いや、今言われてる属性に一番影響を強く示してたけど、それ以外の魔石にも影響が及んでいる事、くらいか……」

錬金師「そんなものか。やはりこの世界の住人は、魔法に対して頭が固すぎる」

錬金師「では、この世界以外の住人の意見を聞いてみようか」

男「その前に、まだデータが不揃いなんですが……」

錬金師「エレックスとリーツ、ダーレクの事だな?」

男「はい」

錬金師「それについてはまた後で実験していくつもりだ」

錬金師「他の六つについては、今までの実験で考察可能である。とだけ答えておこう」

男「そうですか。では、そうですね……」

男「まずはフィーレから言っていきましょうか」

錬金師「うむ」

男「従来フィーレは火属性と言われてますが、どうやらそうではないようでした」

勇者「でもフィーレが高い時はしっかりと燃えてただろ」

男「鉄は燃えていないけどね」

勇者「鉄は燃えないから仕方ないだろ」

男「いや、燃やそうと思えば燃やせるはずだ。鉄の周りには空気があったからな」

男「それに、鉄が固まる時も水位が上がった。ここから考えられる事は」

男「フィーレの属性は、火ではなく熱」

男「……で、あってますか?」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 23:21:57.44 ID:RkmF6rUo<>科学の時間なのだなw<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/30(火) 23:48:00.66 ID:/zzT8aM0<>錬金師「うむ」

男「ただ、一つ疑問に思うことがあります」

錬金師「言ってみろ」

男「フィーレが影響する温度というものは決まってるんですか?」

錬金師「昔に実験して、結論も出ている」

錬金師「常温――フィーレが影響していない時の温度から高低する時に、フィーレは反応する」

男「と言う事は、千度の液体から始めると、千一度または九百九十九度に魔法で変化させるときに、フィーレは反応するするという事ですか」

錬金師「そうなるな」

勇者「じゃあ……氷魔法もフィーレを使うものだと言うのか?」

男「そうなるな」

錬金師「確かに元来の魔法学では、氷魔法は水属性魔法に含まれていた」

錬金師「俺の理論で言うと、これは大きな誤りなんだ」

錬金師「実際に氷の生成魔法をやってみると分かるが……錬金弟子、説明を頼む。“――”」ブツブツ

錬金弟子「単純な手順として、まず水の生成魔法から始まります」

錬金弟子「この状態ではウォルター、ウィンデ、オーガンが反応していますね。ちなみに水の生成を止めると、ウィンデの水位は下がります」

錬金弟子「次に氷にする段階で、生成した水の温度を下げていきます。この時点でフィーレは反応します」

錬金弟子「水が凍り始めると、ウォルターの水位が下がり、エールスの水位が上がってきます」

錬金弟子「この事から厳密には、氷魔法がウォルターだけではなく、他の特性も多く持っている事は分かりますね」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/01(水) 00:22:23.71 ID:Ltq1chk0<>勇者「でもそれは、水を生成してから氷を作る場合じゃないか?」

勇者「それに氷が土の属性を持っているのはおかしいと思うんだが」

錬金師「確かに今俺は、水の生成魔法を行ってから、氷を生成した」

錬金師「だが、それは目に見えやすくしたに過ぎない。氷の生成魔法とは、これを瞬時に行っているだけなんだ」

錬金弟子「勇者さんも氷の生成魔法は、水属性の中級生成魔法として習ったんじゃないですか?」

勇者「あ、ああ……」

男「それに、俺の推測に間違いなければ、エールス、ウォルター、ウィンデは、土、水、風の属性じゃない」

勇者「ど、どういう事だ?」

錬金師「……ほう」

男「それぞれの反応した状態を見てれば分かるが、エールスが反応したときは固体、ウォルターが反応したときは液体だった」

男「ウィンデが気体に反応するとは断定できないが、錬金師さんがその装置に置かれた魔石の並びに意味がないとも考えられない」

男「つまり、ウィンデが気体と推測できる」

男「水の生成魔法の時にウィンデが反応したのは、空気中の水蒸気を集めたからじゃないですか?」

錬金師「見事、正解だ」

錬金師「エールス、ウォルター、ウィンデは物体の状態に影響している」

錬金師「故にエールスを反応させる事で、鉄を固体のままで滑らかに変形出来る」

錬金師「ウォルターで水に流れを作れるし、ウィンデで空気の流れを作り風を生成できる」

勇者「それが、この三つの魔石の真の特性だと?」

錬金師「ああ、そうだ」

勇者「でも魔法学では……」

男「確かに魔法学の本でこういったことは一切見たことがないな」

男「だから、魔法学界にとって革新的という事なんじゃないか?」

男「それに、俺としてもこっちの方がしっくり来る」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/01(水) 11:02:29.92 ID:V/uJiYAO<>今はおねむりなさい<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/01(水) 12:50:54.98 ID:QxDj9r6o<>インキュバス「>>1なら俺の横で寝てるぜ」<> 魔王(仮)<><>2010/12/01(水) 23:25:40.12 ID:bw6xicAO<>魔王「最近出番がないのう」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/02(木) 10:20:42.18 ID:nUH3r5ko<>サキュバス「ちょっと!なんであんたが私より先に>>1と寝てんのよ!あんた男でしょうが!」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 12:46:23.20 ID:hPMnuOwo<>いつも
ちょう面白いっす
お世辞ではなく
つくえ<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 15:00:33.48 ID:am1fTVco<>羊「メェー、メェェーー!!」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 23:00:23.73 ID:t/V09xwo<>有魔法世界のエントロピーはどうなってるんだろう<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/11(土) 21:55:06.95 ID:AKwiZcDO<>女はどうなった<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/13(月) 04:25:03.00 ID:4jt09to0<>なんだかんだで二週間程あけてしまったみたいだな。
こんな調子が暫く続いてしまうのは、身勝手に書いているだけとはいえ公開している分心が痛むな。
まぁ、これからも気長に待っていただけるとありがたい。

>>693
以下は恐らく裏設定。
魔力がある分エントロピーの値は大きくなっていると考えられる。
しかし無魔法世界との変化が見られないので、可能性として次の三つが挙げられる。
1)宇宙と言うマクロな視点で見れば誤差の範囲内
2)魔力がある分、他のエントロピーを左右させうるエネルギー値が減少
3)エントロピーを下げる現象(反エントロピー値、ネゲントロピー値)がある

他にも考えがあるようなら、それぞれ考えてみるのも楽しいかもしれないよー。<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/13(月) 04:39:14.32 ID:4jt09to0<>勇者「しっくりくる?」

錬金弟子「それはどういう意味ですか?」

男「勇者さん、俺らが初めて出会って、泊めて貰った宿で話した事を憶えてるかな?」

勇者「え? あ、あぁ……えっと……」

勇者「男さんが科学者で、女さんが技術者……じゃないな……」

勇者「そうだ。スプーンがテーブルに落ちると言ってたような」

男「そう。それだ」

勇者「でもなんで今更そんな当たり前の事を」

男「さっきの水の生成魔法では、水が宙に浮いていたのは?」

勇者「当たり前だろ」

男「ここで重要なのが、魔法を使わなければ水もスプーンも下へ落ちるという事だ」

男「この下へ落ちる力を、俺らは重力と呼んでいるんだけど、宙に浮かすためにはこれに反する力をかけなきゃならない」

男「そこで反重力というものがあるんだが、これは重力と全く逆の向きを持つ力で、いくら魔法でもこれを使うのはあまりにも魔力消費が高いだろうと考えたわけだ」

男「そこで――」

錬金師「空気の流れによってその反重力ではなく、単純な上向きの力を加えた、と」

錬金師「そう考えた訳だな」

男「実際は鉛直上向き方向だけではなく、例えば水なら形状を保つために様々な方向へかかってると思いますが」

錬金師「いや、そのくらい考えて答えを出したのなら、十分だろう」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/13(月) 05:48:00.69 ID:4jt09to0<>男「では次に、オーガンとイノーグですね」

勇者「一気に説明するのか?」

男「その方が楽だと思うからな」

錬金師「……ほう」

男「オーガンは有機物、イノーグは無機物に反応する」

男「ただ、この有機物無機物は、俺の知るものとは少し違うようです」

錬金師「例えば、どんな所だ?」

男「空気や水を有機物とは言い難いところでしょうか」

男「魔石が何をもって有機物か否かを判断しているのかは分かりませんが」

男「恐らく、ある程度は同じ種類の物質が区分されると思っています」

錬金師「男さんの言う“有機物”“無機物”が何かは完全に理解は出来ないが……」

錬金師「俺はイノーグは主に金属に反応すると捉え、オーガンはそれ以外としている」

男「かなり大雑把ですが、分かりやすいですね。確かに金属なら、殆どが無機物ですし」

男「そういえば、この区分なら転移魔法の時オーガンが反応するはずですよね」

勇者「いや、イノーグと俺は習ってるが」

錬金弟子「確かに今の魔法学ではそうなってますね」

錬金師「だが、それは二つの過去の話によって生まれた誤解だ」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/13(月) 05:58:06.59 ID:4jt09to0<>男「過去の話……」

勇者「誤解……?」

錬金師「説明するのには長くない。ほんの一言だけの話だ」

錬金師「一つは、転移魔法が最初に短縮詠唱化されたときだ」

錬金師「この画期的な発案を成した魔法使いの魔石特性がイノーグであった事」

錬金師「もう一つは、転移魔法の特性区分を測るときだ」

錬金師「測定に乱れが出ると危惧されたため、人ではなく銅の塊を転移させてのものだった事」

錬金師「これら二つの出来事より、転移魔法はイノーグの特性を持つと誤解されているんだ」

男「確かに、過程がずれていますね」

勇者「でも、そんな事は魔法学を習ったときには……」

錬金師「勇者さんは、専属の魔法使いから習ったのか?」

勇者「はい」

錬金師「まぁ……例え学校でも、このような事は教わらないだろうな」

錬金師「発案者、達成者、年代……そういった基本的なことしか魔法学の歴史では教わることはない」

錬金師「どこのかは忘れたが……国立図書館に行けば、俺の言った事の裏付けがとれる本があるはずだ」

錬金師「原の国か、渦の国……確かその辺りだったな」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 07:34:15.53 ID:TGiwSZMo<>寝転んで夢想してると
たくさんイメージできる作品だからな
かならず完結させてくれよ<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 10:49:01.82 ID:Eww/u16o<>睡魔「前回はインキュバスに負けちゃったけど今回は譲らないんだから!……インキュバスって男じゃなかったっけ?」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/16(木) 20:44:38.16 ID:tiYheYDO<>いまいち理解しきれてないけど楽しんでるお<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/17(金) 10:14:09.13 ID:Tt0TTjMo<>考えろよwwwwww
それもここの楽しみじゃんwwwwwwww<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/20(月) 11:53:30.88 ID:xrtYw9Io<>羊「メェー………メェェーー!?メェー!?」<> クリスマス終了のお知らせ<>sage<>2010/12/26(日) 03:49:20.83 ID:5.svTkko<>まだかなー<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/27(月) 09:50:44.31 ID:sc.77cAO<>本当にすまん。
最近忙しくて、睡眠以外の時間がないんだ。
まぁ、一日一回はレスくらい見てるから、全く放置はしてないんだよ。

頭の中でストーリーは進んでるのに……
あーもう、早く書きたい<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/12/27(月) 10:39:39.82 ID:VjQGz5so<>まってるからねー<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/27(月) 13:43:29.04 ID:ExE5tuso<>書きたいなら幾らでも待てるぞ
リアル大事に、健康大事に<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/27(月) 23:48:12.92 ID:ny9HawAO<>睡魔「よいお年をー」<> 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/29(水) 18:55:17.93 ID:0s081ADO<>眠いよね<> あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/01(正月) 01:33:37.31 ID:jwrJHQ2o<>おっとり刀であけておめでたす
今年もしっかり願いますwww<> あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/02(日) 22:24:24.41 ID:dr6zg2AO<>睡魔「ねしょうがつー」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/14(金) 00:30:55.64 ID:Q1FSE7Noo<>待機
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/14(金) 10:20:18.65 ID:y/XJAQkIO<>作者様による移転申請はここで↓
■ 【必読】 SS・ノベル・やる夫板は移転しました 【案内処】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1294924033/

SS・小説スレは移転しました
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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 20:52:05.90 ID:zlilnwXDO<>てす
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2011/01/16(日) 03:28:58.65 ID:Caw3Tgl60<>あけましておめでとうございます!(言うの遅い
忙しさも取れない時分ですが、どうやら板が移転したようですね。
スレ移転も考えようかなと思いましたが、ここまで来たらもう1000行ってから移動したいな
なんてこちらの我が儘を通したい所。
なのでここは少し頑張ってせめて1000までは終わらせたいな、と。
こちらのスレは以降sageて更新します。我が儘の中での、せめての配慮(?)

知ってるか? このスレ、もうすぐで一周年なんだぜ。
のんびりしすぎだろ。
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/01/16(日) 03:47:34.31 ID:Caw3Tgl60<>錬金師「さて、残るはエレックス、リーツ、ダーレクだが……」

勇者「どうかしたのですか?」

錬金師「うむ。まず説明するエレックスの事なんだが」

錬金師「結論から言うと、これは電気である事にかわりはないんだ」

男「では実験はしなくても良いという事ですか?」

錬金師「いや、違う形でしようと思う。特性が電気である事を念頭にしてな」

勇者「電気である事を……念頭に……?」

錬金師「まぁ、見てろ」

錬金師「“――”」ブツブツ…

勇者「? ただの水の生成魔法?」

男「反応もウォルター、ウィンデ、オーガン……」

錬金弟子「……ここからですよ」

勇者「え?」
男「……」

錬金師「“……”」ブツブツ

勇者「あ、あれ? エレックスが反応しだしたと思ったら、生成した水がなくなって……」

男「蒸発? いや、電気により熱を発生させて……」

男「いや、そんな事ならわざわざ見せないはずだ。と言う事は……電気分解か!」

錬金師「そっちではそう言うのか」

男「はい」

錬金師「俺はこれをエレクス配合と呼んでいる。と言っても、呼んでいるのは俺だけなんだがな」

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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/01/16(日) 04:22:06.87 ID:Caw3Tgl60<>錬金師「電気の力は驚くべき所に潜んでいるものだ」

錬金師「前のように、物を分解する事も出来る」

錬金師「かと思えば、強化魔法にもエレックスが作用する事も少なくはない」

勇者「強化魔法って……例えば?」

錬金師「硬化、軽量化、鋭化……何にだって潜んでいる。ただ、それを実感する事はそうないだろう」

錬金師「エレックス特性を持つ魔法は両極端だからな」

勇者「一方は派手な電気魔法、もう一方は」

男「強化魔法を支える役割、か」

錬金師「エレックスに限った事ではないが、これは特に多くの謎を残した特性だ」

錬金師「実のところ、俺もまだ全てを知ってはいない」

錬金師「そして、最後に話す事になったリーツ、ダーレクは俺でもまだ分からない事の方が大きいと自覚してるものだ」

錬金師「それを理解した上で、頭に入れておいて欲しい」

勇者「はい」

男「分かりました」

錬金師「よし。では次の実験だ」

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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/16(日) 08:30:25.11 ID:iF7+/erSO<>1000まで行くのは概ね賛成だが、それまでもつなら
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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/16(日) 08:42:02.18 ID:0SDjPBuIO<>荒巻氏は1ヶ月でhtml化だと…
そのペースで投下なら嬉しいず
ちなみに、移転依頼を出すとスレごと飛ばされますので手間がかかるのは読者だけですから、日を予告して移転もありでは?
SS・小説スレは移転しました
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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/17(月) 17:43:41.89 ID:KkMXXdi1o<>ここで続けると告知がずっと付きまとうぞww
SS・小説スレは移転しました
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<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/01/18(火) 02:10:53.96 ID:rJtt4EnK0<>>>720
それは嫌だなw
てっきり付きまとうのは2,3日程度と思ってたよ……くっ、甘かった……!

>>719
じゃあ1/22くらいに移転しようかな。1/22だぞ!?
まぁ、正直なところ今までがあれだから一気に1000へのペースは現状つらかったw
そろそろリアル落ち着け……。

あと、どうでもいいことだけど、
かなりブランクもあったから少なからずモチベーションも落ちてるってのもペース低下の一因。
というわけで1/22までの期間はモチベ回復期間としても使おうかなと思うんだ。
この話を別の所で文章化(地文での語り進め)して訂正・復習しようと思(ry
まぁさらに忙しくしてどうするんだって話ですけどね。モチベは回復すると思うんだ(上手くいけば←<> あれ、告知消えてるんじゃないか?<>sage saga<>2011/01/18(火) 02:31:19.69 ID:rJtt4EnK0<>錬金師「リーツ、ダーレクの反応を見るために使うのは、これだ」

男「これは……ネズミ、ですね」

錬金師「そうだ。ブリズラットと言って、氷の国などの寒い地域に住むネズミだ」

錬金師「まぁ、それはどうでも良いのだが」

勇者「これを使って、何を?」

錬金弟子「リーツ、ダーレクの魔法。そして生き物」

錬金弟子「そこまで来たら、勇者さんなら分かりますよね?」

勇者「まさか……崩壊と再生……?」

男「崩壊と再生……ああ、読んだ事があるな」

男「崩壊は、魔法によって崩壊させる事、だったか。外からの攻撃に見えないやり方だな」

男「病や毒に関する魔法もその一つとされていた」

男「再生は、魔法によって再生させる事。治癒魔法などがそうだったな」

錬金師「そうだ。よく調べられているな」

男「だがそんな魔法があるのに、あまり目立たないのは不思議なんだがな。法律とかでもあるのか?」

勇者「魔法そのものを縛る法律は基本的にないんだけど」

勇者「要は相性の問題なんだ。そう言った魔法は普通多量の魔力を消耗する」

勇者「だけど時々魔力がそれほど大きくない人でも使える時もある。プリーシアス(僧侶)達が良い例だよ」

錬金弟子「そうですね。彼らは宗教的な信仰によって詩篇との相性を高めていますから」

男「詩篇との相性? それは初耳だな」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/01/18(火) 02:43:22.90 ID:rJtt4EnK0<>錬金師「魔法を扱う上で前提となるのが魔石との相性」

錬金師「そして使う上で必要となるのが詩篇との相性だ」

錬金師「魔法を使うためには、まずその使いたい魔法の詩篇を理解しなければならない」

錬金師「理解をしなければ唱えても魔法は発動しないし、中途半端な理解であれば魔法も中途半端になる」

男「そうだったのか……」

男「……『思念力』、か。成る程な」ボソッ

勇者「そう言えば魔石の特性は今までの魔法学と違う意見でしたが……」

錬金師「ああ。詩篇理解については今までの理論に賛成している」

錬金師「俺もそれで大魔法使いなんて二つ名をもらった一人だからな。信じないわけにもいかないだろう。さて――」

錬金師「リーツとダーレクの実験だが……まぁ恐らく結果は目に見えて分かるはずだ」

錬金師「わざわざ一度ネズミを傷つけなくても良いだろう」

錬金弟子「ちなみに?」

勇者「?」
男「?」

錬金師「ああ、そうだったな」

錬金師「ちなみに、男さんも勇者さんも気付いていたか?」

勇者「何をですか?」
男「見当がつきません」

錬金師「今までの実験の中にも、わずかながらリーツ、ダーレクは反応していたんだ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/01/18(火) 02:55:29.86 ID:rJtt4EnK0<>男「な……なんだってー!!」

勇者「!?」ビクッ
錬金弟子「!?」ビクッ

錬金師「……やけに驚くな。逆に俺が驚かされた」

男「いえ……不謹慎でした」

錬金師「? まぁ、いい。それで、二人とも気付かなかったんだな?」

勇者「全く」

男「俺も、気付きませんでした」

錬金師「無理もない。反応を示していた所の水位の上がり方が派手だっただけに、分かりづらいんだ」

錬金師「よく見ても表面がわずかに波打ってる程度にしか見れないからな」

勇者「それは……反応してると言っても良いんですか?」

錬金師「ああ、してるんだよ。そしてそこに、リーツ、ダーレクの特性の謎が隠されていると考えている」

錬金師「現段階では生命エネルギーの増減ではないかと推測している。リーツが増で、ダーレクが減だ」

勇者「成る程……」

錬金師「あくまで現段階の推測でしかない。鵜呑みにして覚えようとするな」

錬金師「以上で実験は終わるが、質問はないか?」

男「……」

勇者「一つ、良いですか?」

錬金師「よし。言ってくれ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/18(火) 07:23:35.43 ID:lxYcZkTIO<>支援してるぞ
理系魔法学はおもしろす<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 23:33:37.87 ID:HuG7McdAO<>睡魔「布団が暖かくて暖かくて」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/21(金) 10:52:43.88 ID:reRIuMoSO<>マターリ更新乙
ちょっと魔石の名前忘れた確認する<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2011/02/04(金) 20:09:04.68 ID:z7VZeo6AO<> 布団「フッフッフ…離さないぞ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/02/05(土) 10:04:03.94 ID:3K4xs/dIO<> ( ̄(工) ̄) <> 外の人<><>2011/02/13(日) 23:52:51.61 ID:RmgKE5IAO<> 夢魔「すかぴー…」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/02/14(月) 20:10:48.11 ID:XmTtz3C4o<> エールスとフィーレの魔石をテーブルの天板下に設置して
布団を被せ熱魔法を低出力で維持 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2011/02/19(土) 07:35:33.13 ID:IBnGsXiAO<> >>1は永眠したか……。 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2011/02/19(土) 10:46:20.54 ID:ugN0XeXE0<>  ……おかしい。そう思ったのは、つい先刻の事だ。
 多忙な日々を終えた後に、良し漸くあの世界に戻れるぞと意気込んでいたところだが、そう言えばと今更のように忘れていた移転の件を思い出して申請の書き込みをしたのが先日の事だ。後は移転をし終えるのを待つだけで、それが終われば書き始めよう。
 そのように考え、瞬きをしたのも束の間。いつの間にか十数時間ばかり時が過ぎているではないか。私が瞬きをしたその一瞬で、この世界に何があったのだろう。驚きを隠せないまま、またもや眼をぱちくりと瞬きさせる程に、時間が数時間過ぎていく。
 だが、それが私の思う「おかしい」ではない。確かにそれはそれでおかしいのだが、実のところ私にとってそれは日常的に起こる超常現象でしかない。おかしいのは、その幾度となく数時間を経た今、このスレッドが移転されていないという事実である。まさかこれ程までに時間が掛かるものとは、思いもよらなかった。
 もう良い、面倒だ。ならば移転の経過など関係なく書き込んでやる。私は、あの忙しなく暇な現実世界ばかりの日々から、苦痛と恥辱に塗れたこの楽しいSS世界へ帰るのだ。

さて、長々と帰還の挨拶失礼しました。お久しぶりです。>>1です。
長い間の離席、読んでいただいている皆様には本当に申し訳ありませんでした。
今からしばらくしてから書き始めようかと思います。 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/02/19(土) 21:44:36.21 ID:WkiamWjSO<> さあこい <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/02/20(日) 12:46:49.79 ID:iL46rNCs0<> おはよう。
うっかり熟睡してしまった……申し訳ない。 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/02/20(日) 12:47:29.57 ID:iL46rNCs0<> 勇者「なぜ、こんなことを教えてくれるのですか?」

錬金師「……不満か?」

勇者「いえ……そういうわけではありませんが……」

男「確かに何も頼んでないわけですからね。こちらとしては助かりますが」

錬金師「ふむ。男さんに情報を提供する、と言った良心的な気持ち」

錬金師「などと言う理由だけではない事くらいは理解しているようだな。」

勇者「……」
男「……」

錬金師「連盟が下した勇者達に対する命令は、魔王の討伐だったな」

錬金師「正確には、魔の国にかけられた結界の破壊。その後は、連盟各国の軍隊も介入してくるだろうからな」

錬金師「さて、ここでだ。魔の国の結界を破るために私の研究している賢者の石を使えば可能という事だったが、無論それだけでは不可能だ」

錬金師「しかし、賢者の石を使用する魔法詠唱者自身の精度を上げる事で、それは可能となる」

錬金師「魔法の精度を上げるだけで、詠唱する魔法の強さも跳ね上がるのだからな」

勇者「なるほど……それで、ですか」

錬金師「後は剣にありったけの強化魔法を与え、結界を斬りつければ良いだけのはずだ」

錬金師「あの結界は、実はとてつもなく脆い。わずかな亀裂がはいるだけで崩壊するのだ」

勇者「結界がヒビを入れるだけで良いというのはサナンからも聞いています」

勇者「しかし賢者の石と精度の高い魔法だけで良いなんて事は一言も……」

錬金師「だが賢者の石だけでは不可能なのは確かだ。太陽神ならばそれを知らないわけではないだろう」

勇者「確かにそれは言ってましたが……」

錬金師「ならば、確実な手を助言したのかもしれないな。俺の言ったやり方は、わずかな失敗でさえ許されないやりかただ」

錬金師「不安であるならば、そちらの方が良いだろう」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/02/20(日) 12:49:23.11 ID:iL46rNCs0<> 男「そういえば」

錬金師「ん、何だ?」

男「賢者の石はどうなっていますか? あれから」

錬金師「ああ。あの亜法具については案外早く正体が分かってな」

錬金師「賢者の石が出来るのは、三から五日後程度と考えている」

勇者「そうですか! なかなか順調に運んでますね」

錬金師「確かに。ここ数日だけで俺の何年にも運ぶ研究が一気に進むとは」

錬金師「実に、怖いくらいだ」

男「ちなみにあの亜法具ですが、どのようなものでしたか?」

錬金師「簡単に言えば、加圧器だな」

勇者「加圧器?」

錬金師「そうだ。人力では到底不可能な圧力を加えるものだ」

錬金師「そしてあれは……そうだな、高魔力圧炉とでも言うべきものか」

錬金師「簡単に言うならば、人工で魔石を作れる装置だ」

勇者「人工魔石……ですか? それは不可能なはずでは……」

男「俺が今まで読んだ書物にも、魔石は自然石の形でのみ存在すると……」

錬金師「そうだ。本来、魔石は自然の状態でのみ存在する」

錬金師「それに多少なりとも手を加えれば魔石ではなくなるのだ」

男「しかし魔石研磨師と言う職業もあったはずでは……」

錬金師「確かにいるが、研磨という作業は加工の中では単純なものだ」

錬金師「表面を削る程度ならば、魔石としての特性を保ったままでいられる」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/02/20(日) 12:50:51.66 ID:iL46rNCs0<> 錬金師「しかし極端に言えば、鉄のように焼いたり溶かしたりすれば、瞬時に魔石の特性はなくなるのだ」

錬金師「つまりそれは、魔石には魔石独特の――例えば鉄ならば鉄と言った材質レベルの性質があるわけではない」

錬金師「そこまでは考えられるか?」

勇者「曖昧ですが、何とか」

男「つまり、その材質レベルの性質というのはそこらの石と変わりはないという事ですか?」

錬金師「極論的にそうなる。しかし魔石と普通の石は明らかに違いがある」

錬金師「それこそが魔力なのだよ」

男「魔力が……?」

錬金師「俺は賢者の石の研究を進めていく段階で、魔力を三つに分類した」

錬金師「生体魔力、媒体魔力、環境魔力だ」

錬金師「生体魔力は、個人の持つ魔力の事だ。これにより魔法の才能が変わってくる」

錬金師「無論、そこには魔力容量があり、魔法詠唱と共に減りかつ一定量自然回復される」

錬金師「媒体魔力は、魔石の持つ魔力の事だ。これにより魔石の特性が変わってくる」

錬金師「俺の仮定からは、魔石の持つ魔力は長い間魔力に晒された鉱物などに含まれる」

勇者「それで魔石は加工不能なんですね……。溶かしたりすれば、魔力を閉じ込めていたものがなくなってしまうから」

錬金師「その通りだ」

錬金師「最後の環境魔力は、環境を流れる魔力の事だ」

錬金師「これがなければ魔法は使えないし、魔石も作られる事もない」

錬金師「即ち魔法にならなくてはならない存在だ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/02/20(日) 12:52:05.43 ID:iL46rNCs0<> 錬金師「それらが呼応しあい魔法が成されるのだが……」

錬金師「今は亜法具の話だったな」

錬金師「もう一度言うが、あの亜法具は人工魔石を作る装置だ。名付けるならば、高魔力圧炉」

錬金師「装置の中の環境魔力を一時的に著しく高くして、その中で各魔石を溶解、統合させる事で賢者の石が出来るのだ」

錬金師「……理論上はな」

男「理論上、と言う事はあまり大きな期待は出来ないということですね」

錬金師「そうなる。三日後くらいにまた来てくれとは言ったが、それが最初の仕上がりだ」

錬金師「言わば、試作品。物を製作する時、必ず一回では完成しないと相場は決まっているのだがな……」

錬金師「とりえあず経過も見ると言う意味で、また三日後程に来てもらえたら良いと思う」

錬金師「それで良いな?」

勇者「はい」
男「そうですね」

錬金師「正確な時間はわからない以上、無駄に来させるのも悪いからな……」

錬金師「完成の時間が見えたら、錬金弟子をよこそう」

勇者「ありがとうございます」

錬金師「錬金弟子が呼びに行く前にも来てくれても構わないぞ」

錬金師「特に凝ったもてなしは出来ないが、研究小屋にも書物は多くあるからな」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/02/20(日) 21:28:40.66 ID:IyqL4BaSO<> 乙 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/02/21(月) 00:39:53.27 ID:z4CO1HbAO<> 睡魔「ゆっくり寝ていってね!」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/02/22(火) 13:28:06.64 ID:34GeDZQYo<> 今までの話からも薄々分かっていたけど
男は人に教えるのは苦手というかそれ以前の問題っぽいね
錬金師と知識の交換をすれば、お互いにもっと研究が進みそうなのに勿体無い <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/02/28(月) 16:15:50.64 ID:czpAEoAd0<> また間をあけてしまった……。
おはよう、皆さん。

>>742
それは……あれだ。
男が問題なのではなく、書いてる俺が問題なんだ。
そうに違いない。 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/02/28(月) 16:56:53.93 ID:czpAEoAd0<> ――氷の街、宿屋

剣士「ほう。成る程」

剣士「思ったより早く氷の国を出られそうだな」

勇者「ついでに言うと、思ったより早く魔の国まで行けるって事だな」

剣士「だが、良いのか? 男さんはしばらくこっちにいたいのでは?」

男「正直なところそうなんだけど……正直なところそうでもない」

剣士「どっちなんだ……」

男「俺達は二人でこの世界に来た」

男「だから女さんと今すぐにでも帰れる状態で研究に打ち込みたいんだ」

男「帰る時も、二人が良い」

勇者「それもそうだ。この世界で男さん達の世界から来たのは、男さんと女さんの二人だけなんだからな」

勇者「俺達とは全く違う、唯一無二の仲間なんだろうな」

男「そういうわけじゃないが……ははは」

勇者「俺も女さんに会いたい……」

剣士「またそんな事を……いい加減気持ち悪いぞ」

男「俺は何も言わないが、強いて言うとすれば『やめとけ』だな」

勇者「あのな……俺は純粋に心配してるだけなんだが」

男「そう言えば、あいつはどうした?」

剣士「盗賊の事か? 仕事に決まってるだろう」

男「働き者だな。いつもの事だが」

勇者「あいつがなぜ盗賊になったのか、いつも不思議に思うんだが」

剣士「心配するな。私もだ」

男「大丈夫だ。俺もだ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/02/28(月) 17:31:11.89 ID:czpAEoAd0<> 勇者「にしても……」

狂人「……」モクモク…

狂人「……」ジー

狂人「……」サワサワ

勇者「……気持ち悪いくらい狂人が大人しいんだけど」

男「それは何だ? オモチャか?」

剣士「まぁ、そんな所だ」

剣士「店主が言うには、水を入れるとハゲが治る薬になる容器だそうだ」

男「魔法具か。そんな事も出来るんだな」

勇者「いや、そんな事出来るわけないだろ。水は水だよ」

剣士「まぁ、胡散臭い商店だったからな。私も間に受けてはいない」

剣士「だが狂人があまりにも欲しそうだったものでな」

男「あまり無駄遣いはしない方が良いんじゃないか? 旅費だって限りがあるだろう」

勇者「王命で動いているから、ある程度無限に使えるんだけど……」

勇者「私事の出費はまずいんじゃないか、剣士?」

剣士「心配ない。幸い今の私達には働き者がいるだろう?」

勇者「……おい、まさか」

剣士「盗賊が稼いだ“生活費”から拝借した」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/03/01(火) 00:05:02.17 ID:6Qc2PhLEo<> ちょっと異世界行って道具屋巡りして来る <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/03/01(火) 10:18:18.29 ID:SiNZCNGZ0<> 男「……後で盗賊に謝っておけ」

剣士「言っておくつもりだ。何も言わずに拝借したままにする程私は酷い人間ではない」

勇者「何も言わずに使うのは酷くないのか」

剣士「あれは……狂人が突然欲しいと言うからで」

勇者「言ったのか?」

狂人「あうぅ〜っ」ブンブン

剣士「……言ったように見えたからだ」

男「さて、俺は借りている本を早く読み終えなけりゃな」

男「上手くいけば三日後くらいに出るんだからな」

勇者「だが上手くいくかは……」

男「大丈夫。上手くいくはずだ」

男「錬金師さんの口ぶりだと、今までにも何回も試験している。実際の所、今回が初めてじゃない」

男「仮に、あの亜法具を使うのが初めてだとしてもな」

剣士「では私は狂人を寝かしつけておくとするか」

勇者「そう言えば、剣士は日中何をしてるんだ?」

剣士「街の見回りだが……」

男「剣士さんも盗賊みたいに働いたら良いのに。ウェイトレスとかどうだ?」

剣士「狂人を放って働けと言うのか? では狂人は男さんに任せて良いな?」

男「……すみません。子守お疲れ様です」

剣士「分かれば良いのだ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/03/01(火) 10:28:31.16 ID:SiNZCNGZ0<> 勇者「俺は……ちょっと出てくるよ」

剣士「ここ最近よく出掛けるようだが、どうした?」

男「女か? 彼女が出来たら俺に紹介しろ」

勇者「そういうのは本当の父上に言うよ……」

勇者「あれだ。剣の鍛錬」

勇者「ちょっと休憩してたら道中の魔物にやられた、なんて笑い話にもならないだろ?」

剣士「そういう事は早朝にやっているようだったが……」

勇者「剣士もしっかりやっておかないと、剣の腕が鈍るぞ」

剣士「私も朝にやっている。勇者様とは違う所でだがな」

勇者「そうか。なら良いんだ」

勇者「じゃあ、行ってくる」

ガチャッ バタン

勇者〔英雄王、お前確か強化魔法使えたよな〕

魔剣〔無論だ〕

勇者〔今から教えてくれないか〕 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/03/01(火) 23:49:59.65 ID:mzMpJL+SO<> 狂人はどうしたと言おうと思ってた

乙 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/03/02(水) 12:19:21.21 ID:YGV/7nlDO<> たまには魔法使いも(r <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/03/03(木) 00:25:40.40 ID:nS5kqLiSO<> 魔法使いは犠牲になったのだ…… <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/03/07(月) 16:39:00.11 ID:CeP/YniY0<> ――酒場

盗賊「お待ちどうさん」ドンッ

商人「ありがとうございます」

商人「……」ゴクゴク

商人「ふーっ。ここの安酒は最高級に匹敵しますね」

盗賊「褒めてんのか貶してんのか……。後者なら金払って出てってもらうぜ」

商人「いえいえ。仕事上がりの一杯はいかな高級酒には務まりません」

商人「こういった庶民に慣れ親しみのある味でこそ、心和らぐものがあるのです」

盗賊「そういうもんか? まぁここしばらく贔屓にしてもらってっから良いけどよ」

商人「知っている顔が働いていれば、顔も出したくなるものです」

商人「私はおしゃべりが好きですからね」

盗賊「なら一人で来るんじゃねぇよ」

商人「日がな一日喋っているのです。たまには大きく違う知人と話すのも悪くないかと」

商人「私の友達は、みんな商売人ですから」

盗賊「全く、俺は忙しいのくらいわからねぇのか?」

商人「という割には、いつも時間を見つけて返事してくれますね」

商人「怖い顔をして優しい方です」

盗賊「最初の一言、余計だ」

商人「……ところで」

盗賊「?」

商人「少し相談があるのですが」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/03/07(月) 17:21:16.24 ID:CeP/YniY0<> 盗賊「相談だと?」

商人「えぇ。これは商売の見通しがついたので久々にとある友人に――」

盗賊「待て。まさかその話長くならねぇか?」

商人「多少は」

盗賊「巻いて、要点だけ纏めて言ってくれ」

商人「せっかちですね。少しは話させてください」

盗賊「はぁ……。で、何だ?」

商人「これは、商売の見通しがついたのでとある友人に今朝会いに行ったときに聞いた話です」

商人「その友人というのは同じ商会の仲間で、数年前に旅商人をやめてこの近辺に店を持つようになりまして」

商人「彼は今、宝石商をしているのです」

商人「ダイヤモンド、エメラルド、この国では極めて入手の難しい真珠まで置いてある店です」

盗賊「……ほう」

商人「四年程前に私もいくつか宝石を入れたので、彼に売りつけに行ったことがありました」

商人「なかなか繁盛しているようで、高く買い取ってもらった上に、潮の国から輸入した酒とこの国のチーズを御馳走にまでなりましてね。はははっ」

商人「それで今日行くと、やはり繁盛しているようでして、お茶まで御馳走になってきましたよ」

商人「それがなんと赤の国で取れた最高級の――」

盗賊「ちょっと待て! 話が全然見えてこねぇんだが……」

商人「失礼。少し脱線してしまったようです」コホン

盗賊「ったく」

商人「繁盛しているのは良いのですが、何か店の様子がおかしかったのです」

盗賊「おかしい?」

商人「そうです。そして、その違和感はすぐにわかりました」

商人「魔石が一つも置かれてなかったのですよ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/03/09(水) 12:41:27.60 ID:GTLAZ/+u0<> 盗賊「魔石がないだと?」

盗賊「だが、あれじゃねぇか? 魔石を置いてない宝石商なんてごまんとあるぜ?」

商人「私はですね、彼の店は元々魔石を入れた店でしたから言っているのです」

商人「それに、気付きませんでしたか?」

盗賊「?」

商人「ここ氷の街のどの店も、今は魔石を扱っていないのです」

盗賊「何だと!?」

商人「彼が言うには、これが始まったのは三年程前から」

商人「その辺りから、街中の魔石が盗まれる事件が発生しましたらしいのです」

盗賊「そう言えば……その話なら昔、風の噂で耳に挟んだおぼえがあるな」

盗賊「俺達の拠点からも遠い話だったし、『派手な奴がいるな』ってくらいにしか思ってなかったけどな」

商人「ええ。私も彼の話を聞いて思い出したくらいで……」

商人「今では氷の街及びその近隣の町村に魔石は売っていません。また盗まれては、利益が上がりませんからね」

商人「魔石を店に置かない事を公に、ここ一体の商業組合が決定したのはおよそ二年と半年前」

商人「それ以来、“基本的に”店に魔石を置かないようにしているらしいです」

盗賊「成る程な……。その“基本的に”って事は」

商人「今でもたまに、店頭に魔石を置く商人が出てきます。もう大丈夫だろうって思ってですね」

盗賊「だがすぐに盗まれる、って所か」

商人「その通り。魔石泥棒はまだ健在なのです」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/03/09(水) 13:08:15.12 ID:GTLAZ/+u0<> 盗賊「そこで、俺の出番ってわけか」

商人「その通りです」

商人「盗賊……いえ、元盗賊の頭であるあなたならば、もしかしたら何か知っているのはないか、と」

盗賊「もう“元”が付いちまうのか。心はまだ盗賊精神で溢れてんだけどな」

商人「朝は配達、昼は食堂、夜は酒場で懸命に働く人から盗賊精神が溢れてるとは思えませんけどね」

盗賊「俺の働き場を把握してるのか、てめぇは……」

商人「小耳に挟んだだけです」ニコリ

盗賊「しかしだな……その件に関しては役に立てねぇな」

商人「そうですか。心当たりはありませんか……」

盗賊「それどころか俺達もやられたくらいだ」

盗賊「ここに来る前は月の国の月光街という所にいたんだが」

商人「月光街と言えば、最近月光博物館の稀少魔石“月の雫”が盗まれたと……まさか!」

盗賊「あの時、月の雫を護衛してたのは俺達だ」

盗賊「月の雫盗難の話は、この街でも耳に入っているが、そこに勇者の名前は出てなかったからな」

盗賊「どうせあの人の良さそうな館長が黙秘してたんだろ。大陸の運命を担う勇者様の悪い噂は流したくないってな」

商人「それで、あなたはその時の犯人とここ近辺の魔石泥棒が同一人物だと?」

盗賊「さぁな。俺はただ魔石泥棒繋がりで思い出したってだけだ」

盗賊「だが、もし同一人物なら……」

商人「……」

盗賊「……太刀打ちできる自信がねぇな」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2011/03/09(水) 13:17:15.89 ID:GTLAZ/+u0<> 商人「……」

盗賊「……」

商人「……そうですか」

盗賊「すまねぇな。何の力になれねぇで」

商人「良いのですよ。彼の店は魔石がなくとも繁盛していますから」

商人「これはただの、私の興味本位ですからね」

盗賊「まぁ何かの縁だ。ここにいる間調べておくぜ?」

盗賊「何か分かれば、報せてやるよ」

商人「いえ、その必要はありません。予定では二日後に出て行きますから」

盗賊「そうか」

商人「そうなのですよ」

商人「結末を見れないというのは、旅商人としての運命ですね。残念です」

盗賊「残念そうに見えねぇがな」

商人「現場ほど危ないところはない。そのくらい知っていますからね」

商人「ああ、そうそう」

盗賊「何だ?」

商人「お酒、もう一杯いただけますか?」 <> 通行人A<><>2011/03/11(金) 07:56:11.48 ID:WYh7G8AAO<> おぉ〜来てるじゃないか
待ってたぜ〜

盗賊働き過ぎだろ <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/03/12(土) 11:36:48.07 ID:+62P4RiSO<> おい、生きてるか? <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/03/12(土) 15:40:45.96 ID:3MUY4XKDO<> ぃゃ僧侶はずっと前に亡くなった <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/03/12(土) 18:02:51.93 ID:+62P4RiSO<> 僧侶の話じゃねぇよwwwwww <> 名無しGEPPER<><>2011/03/12(土) 19:28:02.77 ID:N6I+j9SAO<> 何を言うか!魔法使いちゃんは生きてるに決まってるだろ!! <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/03/12(土) 22:41:48.63 ID:+62P4RiSO<> ある意味通常運転で安心したwwwwww <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします(関東・甲信越)<><>2011/03/16(水) 00:19:29.24 ID:p1iDxOoAO<> 1は逝ったか… <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/03/16(水) 02:58:40.55 ID:C2mX3i7wo<> 私もいっちゃった/// <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします(新潟・東北)<>sage<>2011/03/16(水) 23:59:50.14 ID:iIGYn1EAO<> やっぱ更新はキツいか
それとも寝てるだけか <> 通行人<>sage<>2011/03/17(木) 00:28:35.15 ID:+5l4IZnAO<> 寝ているに一票 <> 名無しGEPPER<><>2011/03/20(日) 11:07:24.24 ID:oXV1fwJAO<> 来ないなぁ
大丈夫かな <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(関西地方)<>sage saga<>2011/03/22(火) 02:42:13.30 ID:0fpIz9k30<> 大丈夫だ、問題ない。

しかしまた長い間が空きそうです。諸事情により一週間程度。
とりあえずはそれだけ伝えて、その他みんなの安眠祈願。おやすみ。 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/03/22(火) 14:58:27.63 ID:DW9+IUcSO<> 生きていればなにより <> 名無しGEPPER<><>2011/03/22(火) 15:13:57.25 ID:IbfrNT5AO<> サキュバス「待ってるわよ〜ん」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/03/22(火) 23:38:08.14 ID:TAAmATi7o<> auは相変わらず臭いな同一人物だろうが <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします(関東・甲信越)<><>2011/03/30(水) 11:45:12.33 ID:z4EAH/LAO<> まだかなぁ
(チラッ∞チラッ) <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/03/31(木) 02:35:12.00 ID:f/3M+ays0<> 数え切れない回数目の長らくおまたせしました。
小腹が減っているので何かつまんだら書き始めます。

書いてる本人が話の設定忘れてきてるって言ったら、まずいんだろうな……。 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/03/31(木) 03:03:40.30 ID:f/3M+ays0<> (三日後、早朝)
――氷の町郊外

勇者「はぁっ……はぁっ……」

勇者〔どうだ、今のは?〕

魔剣〔うむ……〕

魔剣〔形は出来ている。……いや、理屈は掴めていると言った方が良いか〕

魔剣〔何にせよ、まだまだ強化魔法の域には及ばん〕

勇者〔そうか……。まぁ、自分でもそう思うよ〕

勇者〔確かに理屈は分かっている……分かっているつもりだ。だけど、どうしてもしっくりこない〕

勇者〔魔法を使っている感じじゃない〕

魔剣〔ではどういう感じがするのだ?〕

勇者〔魔力を漏らしてる感じかな……いや、違うな。よく分からない〕

魔剣〔やはりキミには無理なのではないか? 強化魔法の素質が見当たらん〕

魔剣〔無論、この三日間だけ見てどうこう言うのもおかしいわけではあるが……〕

魔剣〔この辺りで明確に決定せねばならぬぞ。太陽神が示した方法か――〕

勇者〔――錬金師さんが示した方法か、か。そのくらい、俺も分かっている〕

勇者〔だが、“魂のシンクロ”とか言うよく分からない方法よりも、強化魔法を憶える方が確実だ〕

勇者〔それとも、お前は“魂のシンクロ”について何かヒントを知っているとでも言うのか?〕

魔剣〔……いや〕

勇者〔だろうな〕 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/03/31(木) 03:18:03.41 ID:f/3M+ays0<> 勇者〔そんな得体の知れない力よりも、確実な方法を取る〕

勇者〔確実な方法がしっかりあるのだから、それが賢明なのではないかと思う〕

魔剣〔キミの言う事は大方正しい〕

魔剣〔だが前にも言った事だが、より確実な方法があるのだが――〕

勇者〔ああ、前に聞いた。だがそれは断ったはずだ〕

魔剣〔……〕

勇者〔これは――魔の国の結界を破ると言う使命は、俺に下されたものだ〕

勇者〔だから俺はそれを確実に成功させなければならない。俺自身で、だ〕

勇者〔……って、前に言ったはずだけど〕

魔剣〔ああ、聞いておる〕

魔剣〔キミは妙なところで真面目すぎる。人の好意さえ払いのける程に〕

勇者〔嬉しいとは思ってるよ〕

勇者〔さて、特訓の続きだが――〕

ガサガサッ

勇者「っ!?」ヒュッ

盗賊「おおっと、俺だ俺!」

勇者「何だ、お前か……」

盗賊「って木の棒か……」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/03/31(木) 03:48:14.24 ID:f/3M+ays0<> 盗賊「剣術の鍛錬ってのは木の棒でやるものだったのか。知らなかったぜ」

勇者「普通は真剣でやるものなんだけどな」

盗賊「つーか、その木の棒で何してたんだてめぇ」

勇者「鍛錬だけど……それは盗賊も自分で言っただろ」

盗賊「そうじゃなくてだな……木の棒をどうすればそこの岩が傷だらけになるんだって聞いてんだ」

勇者「色々あってだな」

勇者「それで、何の用だ?」

盗賊「錬金弟子が呼びに来た。錬金師の所に行くぞ」

勇者「こんな朝早くからか!?」

盗賊「確かに早ぇがみんな起きてるぜ」

盗賊「いや、俺も男も寝てたんだがな……。俺達が戻る頃には男も身支度出来てるだろ」

勇者「というか」

盗賊「何だ?」

勇者「みんなで行くのか?」

盗賊「そりゃあ、珍しいものだからな」

勇者「お前、仕事はどうした?」

盗賊「とりあえず明後日まで臨時休暇もらってんだよ。昨日言っただろ」

盗賊「あぁ、そうか。てめぇはいなかったな。日中ずっと鍛錬してたんだっけか?」

勇者「そうだ」

盗賊「今までそんな集中してしてなかったってのに、何で急に……」

勇者「思うところがあってだな」

勇者「まぁ、今日はこの辺りにして錬金師さんの所へ行くか」

勇者〔それで良いか?〕

魔剣〔それは我が決める事ではないだろ? キミが良いと思うならそうしろ〕

勇者「さぁ、戻るぞ。錬金弟子さんも待たせているんだろ?」

盗賊「ああ。俺としてもあまり外にはいたくねぇ。寒ぃ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2011/04/01(金) 01:21:41.74 ID:sTrDZmcAO<> o(`▽´)oキタァァァ!! <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします(高知県)<>sage saga<>2011/04/04(月) 03:07:32.48 ID:dxfRkGhx0<> (数十分後)
――錬金師の研究小屋

錬金弟子「ただいま戻りました!」

シーン…

錬金弟子「うーん……やっぱりまだ研究室にいるのかな……」

錬金弟子「すぐに呼んできますので、少し待ってて下さい」

勇者「分かりました」

剣士「賢者の石か……。どんな魔石なんだろうな」

男「確実に出来ているわけではないはず。だが、どうも期待してしまうな」

狂人「あーーあーーー」

男「にしても、やっぱり狂人は置いてきた方が良かったんじゃないか?」

剣士「何を言う。一人にしてはおけないだろう」

男「剣士さんが子守りしてれば……」

盗賊「良いじゃねぇか。こういうイベントってのは全員いた方が良いもんだ」

勇者「そうそう。狂人もあの容器持ってたらある程度おとなしいしな。邪魔にはならないだろ」

剣士「そうだそうだ!」

男「いや、まぁ……連れてきたものは仕方ないが……」

錬金師「みんな揃って来たか! 待ってたぞ」

勇者「錬金師さん。おはようございます」

錬金師「ああ、おはよう」

錬金師「さて、こうして呼ばせて貰ったのはだな……朗報があるからだ」

男「という事は……」

錬金師「この三日間、君達が持ってきた亜法具は順調に動作し、賢者の石生成も順調に進んでいた」

錬金師「そして、後数分程度で生成完了する兆しが見えている」

錬金師「亜法具は研究室に置いてある。案内しよう」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/04(月) 03:21:41.78 ID:dxfRkGhx0<> ヴーン…ヴーン…

錬金師「ここが俺の研究室だ」

錬金弟子「ようこそ。ここまで来るお客さんはあまりいないんですよ」

錬金師「そもそも客があまりいないからな」

男「地下室か……」

勇者「広いですね。敷地の地下一杯がこの部屋なんだな」

剣士「壁も相当厚くできているようだ」ゴンゴン

錬金師「魔法実験として危険なものもあるからな」

錬金師「今回のもある意味危険だな。亜法具……特に多少風化の気があったようだから、何が起こってもおかしくない状況だったのだからな」

勇者「遺跡にあったものでしたからね。相当古いもののはずです」

狂人「ぬっへっへっへ」トテトテ

盗賊「おい」ガシッ

狂人「なう!?」

盗賊「勝手に触るんじゃねぇぞ」

狂人「なふぅうう〜!」ジタバタ

錬金師「あまり好き勝手しないようその子を見張っておいてくれ。特にその亜法具は作動中なんだ」

ヴーン…

盗賊「さっきから変な音がすると思ったら、これだったのか」

男「振動により発生する、典型的な機械音だな」

錬金弟子「これでも小さい方なんですよ」

錬金師「ああ。使い始めはまさに騒音だった」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/04(月) 03:31:57.09 ID:dxfRkGhx0<> 剣士「私達が持ってきた時より綺麗になっているな」

錬金師「砂埃で汚れ放題だっただろう。無論、使う前に掃除した」

錬金弟子「私が、ですけどね……。ホント大変でした……」

盗賊「こんな所に小窓があったんだな。気付かなかったぜ」

錬金師「そこから中の様子が見れるようになっている。見てみると良い」

盗賊「ほう……。成る程、全くわからねぇ」

勇者「俺にも見せてくれ。ふむ……全く分からないな」

狂人「うー! うぅー!」

盗賊「てめぇは駄目だ。変なところ触っちまうだろうが」

剣士「そんな事言ってやるな。ほら、私と一緒に見ような」

狂人「きゃるぅう!」キャッキャッ

剣士「どうだ。これが賢者の石になりかけのものだぞ。凄いな」

狂人「へはぁっ!」キャッキャッ

剣士「……どうだ。何も問題なかっただろう?」

盗賊「そうだな。そりゃあ安心したぜ」

男「俺も見て良いですか?」

錬金師「ああ、構わないぞ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/04(月) 03:48:06.03 ID:dxfRkGhx0<> 男「高魔力圧炉……でしたっけ」

男「高圧の力というものは、不確かな力でもここまではっきりとさせるんですね」

男「……!!」

錬金師「どうした?」

男「……中の石の色が変わりました」

錬金師「本当か! 見せてくれ!」

錬金師「……よし、賢者の石は恐らく、完成だ」

勇者「失敗はしてないんですね?」

錬金師「……」パチッ ガガガガッ キュイーン

盗賊「……何してんだ?」

錬金師「動作を止めているのだ。でないと、魔力圧がかけ続けられるからな」

錬金師「実際の所見てみないと分からないが、九十七パーセント成功している」

錬金師「さて、これから炉を開けるが、絶対に正面の直線上に立つな。魔力圧にやられるぞ」

錬金弟子「気を付けて下さい」

勇者「わかりました」
剣士「承知した」
盗賊「ああ」
男「はい」

…ガチャッ

狂人「ふひゃぁ〜!」トトトッ

剣士「あっ、待て――」

狂人「っ!?」ズオォォオォオ! <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/04(月) 04:02:57.61 ID:dxfRkGhx0<> 狂人「あ……あ……」ピク…ピク…

狂人「……」ヘナヘナ…

錬金師「しまったな……。剣士さんは彼女をしっかり掴んでおくべきだった」

剣士「……全くだ」

剣士「狂人は、助かるのか?」

錬金師「心配ない。魔力圧に当てられただけなら、基本的に気絶だけで済む」

剣士「……良かった」

男「全く、結局面倒な展開になったじゃないか」

盗賊「起こったことは仕方ねぇ。ぼやくんじゃねぇよ」

錬金師「話を進めても良いか?」

勇者「どうだ、剣士?」

剣士「ああ、問題ない」

錬金師「では……これが、賢者の石だ」

勇者「……凄い。はっきりと魔力の存在を感じるぞ」

剣士「どの魔石とも違う色合いだ。美しい……」

男「これが……賢者の石か……」

盗賊「触っても良いか? ってか、どうせ俺達がもらうんだから――」

錬金師「火傷しても良いなら触ってくれても構わない」

盗賊「チッ……熱いのか」

錬金師「だが、実物を見て確信した。これは成功――」

狂人「……い」ピク

勇者「狂人……?」

狂人「おい……」

剣士「狂人! 無事か? 気分とか――どうした、狂人……?」

狂人「おい……そこのお前だ」

狂人「何をしている」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2011/04/04(月) 14:36:04.83 ID:9E1YokNAO<> 狂人がしゃべった… <> lain.<>sage<>2011/04/05(火) 03:14:30.35 ID:???<> 以前SS速報板へのスレッド移転依頼をして頂きましたが、管理人が移転作業を放棄してしまったため、
作者の方ご自身でSS速報板にスレッドを立て直して頂きたく思います。
お手数をおかけしますが、どうかよろしくお願いいたします。
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2011/04/07(木) 18:27:30.79 ID:GfidFAT2o<> 誰か向こうに立ててよ <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/04/08(金) 06:53:48.01 ID:xda3vjuyo<> http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/onnna_kokoga_isekai.html
ここまでまとめました <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/09(土) 04:48:16.69 ID:Ormr5E030<> >>784
そうでしたか。わざわざお報せいただいてありがとうございます。

>>785
一応こっち埋める感じでやっていくつもりですが、この遅さだけどもう立てていた方が良いのかな?

>>786
いつもありがとうございます。話の流れを思い出すのに活用させてもらってます。 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2011/04/11(月) 00:12:34.43 ID:Dp3MSxCAO<> とりあえずこっちうめてから
満をじして向こうにたてよう <> lain.
<>sage<>2011/04/11(月) 18:12:56.69 ID:???<> できれば今月中にお願いします。 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/04/11(月) 20:56:58.09 ID:yvUyGy9AO<> 今月中に1000までいけだとさ <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/04/11(月) 21:29:18.93 ID:n4AN2Scho<> 利用させてもらってる立場だけどさ
更新途中のスレを急き立てて
何様のつもりだとちと反感を覚える <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/04/11(月) 22:12:35.59 ID:II2dn0NRo<> lainタンはノリと気まぐれで移転した荒巻の尻拭いをしているだけなんだから攻めないで><
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/16(土) 23:16:15.04 ID:1IREqLMH0<> >>789
善処してみます。

さて、今日はどこまで起きていられるかな? <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/16(土) 23:33:22.68 ID:1IREqLMH0<> 勇者「狂人がまともな言葉を……!」

剣士「何が起こったのか分からないが、本当に喋れるのだな!」

狂人「……無視をするつもりか?」

男「確かに狂人が喋っているのも異常事態だが」

盗賊「そうだ。今はそれどころじゃねぇ気がするぜ」

勇者「だが、それは一体何だ?」

盗賊「さぁな」

錬金師「私も特に異常は感じない。どう思う?」

錬金弟子「私にもさっぱりですね」

錬金師「ふむ……」

狂人「……」ジッ

剣士「何を見ているんだ? 何もないが……」

錬金師「ふむ。これは彼女に聞いてみるのが早いようだな」

錬金師「教えてくれないか? 一体何があるのかを」

狂人「……お前も気付いていないのか。大魔法使いが聞いて呆れる」

狂人「もっと周囲に気を付けろ。そこに――っ!!」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/16(土) 23:48:39.03 ID:1IREqLMH0<> 勇者「ど、どうし――!? これは……!」

剣士「体が……」

盗賊「くそっ! 動かねぇ!!」

男「それに寒くなったような……」

狂人「こんなもので足止めしたつもりか? 逃がさん!」

狂人「“――”」ブツブツ ブツブツ

盗賊「あの容器……ハゲを治すあれか?」

狂人「“――”」ブツブツ

勇者「魔力が見えるくらいに集まってる……何をするつもりだ?」

錬金師「狙っている先には何もないが……」ブツブツ

錬金師「――そうか。まさか! “カイ”!」

狂人「“――、大魔力砲”!」チュイーン…

剣士「!?」

盗賊「どういう……事だ……?」

男「どうして錬金弟子さんが、そこにいるんだ?」

…ドーンッ!! <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/17(日) 00:09:15.74 ID:N42le3lF0<> シュゥゥ…

狂人「……くそっ、逃がし、た、か……」フラッ ペタン

剣士「お、おい! 狂人!」

狂人「……」グターリ

勇者「今のはどういう事なんだ。何が何だか……」

錬金師「今のは、幻覚魔法だ。錬金弟子のな」

男「じゃあさっきの狂人の言動は、彼女だけ本当の景色が見えていたと言う事ですか」

勇者「しかし、なぜ彼女が……!」

錬金師「賢者の石を盗むためだ。炉の中からなくなっている」

勇者「なんだって!? それにしても……どうして……」

錬金師「今は説明する時間が惜しい。早く追え!」

盗賊「つってもな……凍結魔法で足が固められてんだが」

錬金師「“ギ”」

パリーンッ

錬金師「これで動けるだろ」

盗賊「こりゃどうも。ったく何なんだ、そのでたらめな短縮詠唱は」

剣士「そんな事を言っている場合ではない。早く追うぞ」

勇者「いや、剣士と盗賊は残れ。相手は大魔法使いの弟子だからな。魔法に耐性のないお前達には厳しいはずだ」

剣士「だが……!」

勇者「それに、狂人を残していくつもりか、剣士?」

剣士「……」

盗賊「残念だが、今回はてめぇの言葉に甘えさせてもらうぜ。俺も命が惜しいからな」

勇者「ああ。悪いな」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/17(日) 00:35:30.88 ID:N42le3lF0<> 盗賊「だがな、こいつは連れて行け」

勇者「え?」

男「無理にでもついて行かせてもらうよ」

勇者「でも男さんは……!」

男「大丈夫だ。俺にも遠距離攻撃出来る武器がある。このレーザー銃搭載のフォースランスがな」

男「それに、彼女は姿が女さんに似てるから、どうも放っておけなくてな……」

勇者「……そうか。ああ、そうだな。じゃあ行こうか、男さん」

男「ああ!」

錬金師「人を残してもらえるのはこっちとしても助かる。多少手伝って欲しい作業があるからな」

盗賊「作業だと!? 自分の弟子が問題起こしてるってぇのに!」

錬金師「相手は一筋縄ではいかない。例えこの俺でも、だ」

錬金師「そのために準備が必要なんだ。手伝ってくれるな?」

剣士「……なんだ、そういう事か」

盗賊「そういう事なら手伝うぜ」

錬金師「それは良かった。礼を言う」

錬金師「勇者さん、男さん。俺は出来るだけ早く後を追う。俺が着くまで無理をせずに耐えるだけで良い」

錬金師「それと、錬金弟子が向かっている先は、恐らく“幻の祠”だ。ここから北の方向にある。入り口と逆の方向だ」

錬金師「それなりに長い道のりになるはずだ。走り続ければ一日程で着くだろう」

錬金師「外は寒い。暖房薬を持っていなければ、ここから持って行け。一階の広間においてあるはずだ」

勇者「分かりました。気を付けて行ってきます」

男「盗賊、剣士さん。留守番は頼んだぞ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/17(日) 01:17:36.01 ID:N42le3lF0<> 錬金師「……行ったか」

盗賊「みてぇだな」

錬金師「今日は面倒事の多い日だな。錬金弟子の然り。そしてその狂人という子どもも然り」

錬金師「……彼女の容態はどうだ?」

剣士「さっきの魔法の後、また気を失っているみたいでな」

錬金師「そうか」

盗賊「しかし凄ぇよな。まさかあの容器に魔力を集めるだけで壁に大穴が開いちまうとは」

錬金師「錬金弟子の一件が済んだら修繕しなければならないな」

盗賊「まさか修繕費の弁償とかは……」

錬金師「身内の問題だ。弁償なんていらんよ」

盗賊「そうか」ホッ

剣士「……さっき、“幻の祠”と言ってたな。もしや、民間伝承の……?」

錬金師「知っているのか」

剣士「まぁ、少し前に知人が言っていたのでな。『凍結の森には幻の祠があるから気を付けろ』とな」

錬金師「その知人の言う事は正しい。幻の祠に常人が近付いてはならない。祠の周囲には幻覚を催させる作用があるんだ」

錬金師「実際は、幻の祠の“幻”とは幻覚の幻。そしてその祠に封印された者に由来する」

盗賊「幻の祠に封印された者だと?」

錬金師「その者こそ、錬金弟子を惑わし幻覚魔法を伝授した張本人であり、俺達の真の敵」

錬金師「大魔法使い幻術師だ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/04/17(日) 01:26:40.73 ID:bXEMwE4qo<> ナ、ナンダッテー <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/18(月) 17:35:38.07 ID:j8ahIjlH0<> 剣士「大魔法使い……」

盗賊「幻術師、だと……?」

剣士「待て。大魔法使いと名乗れるのは、錬金師さんあなただけのはずではないのか?」

錬金師「無論、現在大魔法使いの資格があるのは俺だけだ」

錬金師「だが幻術師は現代の大魔法使いではない」

盗賊「どういう事だ?」

錬金師「彼は今より遙か昔、時にして戦乱期中頃に名を馳せた大魔法使いの一人なんだ」

錬金師「当時この大陸に平和な土地などあまりなく、どの国土も戦場としてなる様だと歴史学では言う」

錬金師「彼の生まれた時も例外ではなく、当時大魔法使いと名乗るに値した魔法使いは、特に幾多もの戦歴を持つ者だ」

錬金師「故に彼は多大な力を持つ。ついに彼自身が大陸の地を力で治めんと野望を持つ程にな」

錬金師「だがその野望は他の六人の大魔法使いによって阻止された。彼を封印すると言う形でな」

錬金師「その封印の場所が、幻の祠と言うわけだ」

盗賊「何で同じ大魔法使いが六人もいるってのに、封印で終わってんだよ」

錬金師「それ程に幻術師の力は強大……いや、特殊と言うべきか」

錬金師「恐らく、古今東西幻覚魔法をあれ程極めた者は他にいない」

錬金師「全感覚――視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚いかなる所からでも訴えかける幻覚からは、いかなる者でも逃れられないのだ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<><>2011/04/18(月) 18:15:51.40 ID:j8ahIjlH0<> 剣士「だが、封印されたのは随分昔の話じゃないか。そんな昔の奴が……」

盗賊「いや、仮にも大魔法使いだ。それなりの魔翌力も持ってるはずだ」

盗賊「それに大魔法使いについての言い伝え、知ってるだろ?」

剣士「お、おい。まさか……」

盗賊「『大魔法使いを邪険にするな。でなければ化けて出るぞ』俺も子どもの頃に何度か聞いた事あるくらいだが」

錬金師「そのような迷信が本当かは分からないが、実際彼はあの祠の中にいる」

剣士「ど、どうして分かる?」

錬金師「俺も昔、幻の祠に行った事があるからだ」

錬金師「実際、今でもあの場所は危険だ。幻術師が今でも封印を解こうとして、近付く者達に幻覚魔法を掛け続けている」

盗賊「じゃあ、てめぇも……!」

錬金師「無論、彼の幻覚に捕らわれたよ」

錬金師「だが俺も大魔法使いと呼ばれるだけはあったようだ。何とかそれを解き、逃げる事が出来た」

錬金師「逃げる事は出来たが、それだけだ。まともに戦えば、俺が負けるだろう」

剣士「そんな! では勇者様達は……!」

錬金師「幻覚に飲み込まれる前に駆けつければ良いだけだ。俺とて危ない橋を渡らねばならんがな」

錬金師「……本当は、こうならないようもっと目を光らせておくべきだったのだが」

錬金師「俺の弟子を持って行かれたのでは、笑い話にもならないな」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/18(月) 18:46:43.23 ID:j8ahIjlH0<> 盗賊「そういや、錬金弟子がなんでその幻術師なんかに賢者の石を持っていったのか分からねぇな」

剣士「うむ」

錬金師「幻術師の幻覚魔法は、その精密さ故に精神をも破壊させる二次効力を持つ」

剣士「それが民間伝承の発端なのだな」

錬金師「そうだ。だが錬金弟子のように中途半端に強い精神集中力を持っていると、幻覚から抜け出し精神を正常に保っていたとしても、催眠状態に陥るのだ」

錬金師「そして幻術師が待っている――いや、待っていた者こそが、そういった者なんだ」

盗賊「って事は、ただ操られてるだけって事か」

錬金師「そんな所だろう」

剣士「となると、彼女の目的も幻術師の封印を解く事だろうな。だが賢者の石を何に使うんだ?」

錬金師「賢者の石だけではどうにもならないはずだが……」

盗賊「それはどういう事だ? 封印を解く方法を知ってんだな!?」

錬金師「ああ……。詩篇自体は幻術師が知っている簡単な詩篇で十分なのだが、問題は魔力だ」

錬金師「祠の六方に、それぞれ大魔法使い一人分の魔力を持つ者がいなければならない」

剣士「封印者が六人だったからだな」

錬金師「そうだ。そして賢者の石は、それ一つで大魔法使い一人分の魔力を有すると言っても良いだろう」

盗賊「何!?」

剣士「それは本当か!?」

盗賊「だが、所詮魔石じゃねぇか」

錬金師「魔石だろうと人だろうと、中に入っているものは同じ魔力に違いないのだ」

錬金師「そして錬金弟子はそれを知っている」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/18(月) 19:01:27.74 ID:j8ahIjlH0<> 盗賊「じゃあ……これで封印解除の一歩って事か……」

剣士「……!! いや、違う!」

盗賊「どういう事だ?」

剣士「月の雫……それだけじゃない。その前に起こったと聞いた氷の欠片も錬金弟子さんの仕業と考えると……!」

盗賊「まさか! じゃあ俺達が博物館でやり合った連中は幻覚だって言うのか!?」

剣士「考えられる」

錬金師「月の雫と氷の欠片……実物を触った事ないが、その二つで一人分と換算しても良いだろう」

剣士「これで……二人分……」

盗賊「……いや、もしかしたらもう揃ってるかもしれねぇ」

剣士「どういう事だ?」

盗賊「氷の街で、三年前くらいから魔石泥棒が出てるって話だ。今では店に置かないようにしてるらしいが」

錬金師「それが錬金弟子の仕業と言うのか? ……ありうる話だ」

錬金師「俺もその話は知っていたが、これと言って気にしなかったとは……」

錬金師「だが……これは好機でもある」

剣士「何が好機と言うんだ! このままではもしかしたら……!」

錬金師「封印が解けるんだろう? 良いじゃないか」

錬金師「この際解いてしまうのも悪くない」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/18(月) 19:06:01.91 ID:j8ahIjlH0<> お腹が空いたので少し切り上げ。
暫く書いてないうちに、自分でも書くのが遅くなったんじゃないかなと思う。

やっとこの辺りの流れがクライマックスに入りそうなので、位置関係あげ。
もっと説明とか上手ければ、地図なんて不要なんだけどね。
http://sssssssssssssss.web.fc2.com/img/img_a003.jpg <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/04/19(火) 01:45:08.58 ID:HlPE6TxSO<> 乙
地図助かる <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2011/04/23(土) 00:21:47.72 ID:q3UdaPFAO<> (^O^)キター <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします(高知県)<>sage saga<>2011/04/27(水) 00:51:13.35 ID:pU2nQ7ZA0<> 惰眠を貪っていたらうっかり今月あと少しじゃないか!!
今日から毎日頑張って書く(予定)ですが、間に合わないと思った場合三十日に次スレ立てて誘導リンク貼ってここから逃亡します。

どのみち来月からは移転先でまたゆっくり書き続ける。 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/27(水) 01:02:10.77 ID:pU2nQ7ZA0<> (翌日)
――凍結の森、北部

男「はぁ……はぁ……」

男「ま、まだか……?」ゼェゼェ

勇者「そろそろだと思うんだけど……」

勇者「だけど本当に、ここが凍結の森で助かった」

男「暖房薬がなかったら凍え死んでるけどな」

勇者「それもそうだが、追跡にはやりやすい場所だよ」

勇者「降った雪が長時間溶けずに残る。錬金弟子さんの足跡も消えずに済んだじゃないか」

男「だが、どれだけ離されたか……。すまん。俺の体力がないばかりに」

勇者「元々徹夜で走り続ける事が無茶な話なんだ。勿論、向こうもそうだ」

勇者「それにこの足跡の幅を見てくれ。多分殆ど歩いて移動してる」

男「確かに最初と比べて歩幅が短い気がするな」

勇者「油断か罠か……どっちかはわからないが、俺達は進むしかないと思わないか?」

男「戻るのは、なしだな。急ごうか」

勇者「……」

男「どうしたんだ? 急がないと離される一方だぞ」

勇者「……静かに」

男「?」

勇者「……やっぱりだ。見えたぞ。まだ随分遠いところにいるけど」

勇者「間違いない。錬金弟子さんだ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/27(水) 01:16:58.57 ID:pU2nQ7ZA0<> 錬金弟子「……」ザッザッ

錬金弟子「……」キョロキョロ

錬金弟子「……」ザッザッ

勇者「……まだ警戒はしてるみたいだな」

男「早く近付いて賢者の石を取り返さないと」

勇者「焦っては駄目だよ、男さん」

勇者「今いる距離が、相手を目視できて足音を隠せるギリギリの距離なんだ」

勇者「それに無闇に近付いては意味がない。また逃げられるだけだ」

勇者「それに向こうは、幻覚魔法もあるんだ。先に魔法に掛かれば終わりだ」

男「じゃあどうすれば良いんだ。殆ど詰んでないか、それ」

勇者「いや、向こうの不意を突けば良いだけだよ」

勇者「そのためには、ここから魔法で攻撃するより――」

男「そうか。回り込んで待ち伏せすればいけるんじゃないか」

勇者「その方が確実だと思うよ。幸い錬金弟子さんは歩きだしね」

勇者「それにわかってると思うけど……」

男「ああ。多分まっすぐしか進まないと思う。ここ暫く、そういうルートだったからな」

勇者「さらに待ち伏せしやすいわけだ。まぁ、森の中を不必要に曲がりながら逃げるのは迷う原因になりかねないから、仕方ないんだろうけどな」

勇者「じゃあ、行こうか。俺が前を走るぞ」

男「わかった」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/27(水) 01:43:33.05 ID:pU2nQ7ZA0<> 勇者「……」ザッザッザッザッ

男「……」ザフッザフッザフッ

錬金弟子「……」ザッザッ

勇者「……よし、そろそろ良い頃合いかな」ボソッ

勇者「男さん、そろそろ錬金弟子さんの前に出ても良いくらいだ」

勇者「そうだな……あの辺りを目指して――ん? どうした、男さん?」

男「いや、ちょっとな」

男「前の方に森が開けた所があるのはわかるか?」

勇者「ああ」

男「じゃあそこで何か光ってるのは、俺の見間違えじゃないか? あれ、何だろうな」

勇者「……本当だ。いや、ちょっと待て」

錬金弟子「……」ザッザッ

勇者「錬金弟子さんが向かってるのも、あそこかもしれない」

男「と言う事は、あそこが幻の祠か?」

勇者「可能性はある」

勇者「作戦を変更する。あそこで待ち伏せするぞ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/04/27(水) 22:30:45.36 ID:rd3aSugSO<> そういえばもう月末か <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/30(土) 00:35:05.63 ID:XZQsclFy0<> 「毎日頑張って書く」だと? 嘘言ってんじゃねぇよ。
嘘つきは泥棒の始まりなんだぜ。学校で習っただろ?

スミマセン。二連続で改行上限過ぎて書いた文が消えたんだ……。
その所為でモチベーションが……という言い訳。
直投下の場合は書き込む前にコピー必要だね。

後、四月末日になったので次スレのお知らせ。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1304090848/ <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/30(土) 01:52:36.99 ID:XZQsclFy0<> ――凍結の森

勇者「な、何なんだ、ここは……!」

男「ぜぇ……ぜぇ……」

男「何でこんなところに、山のような宝石が……いや、魔石か?」

勇者「あそこの祠と関係があるのか?」

男「だろうな。あれを中心に四方に山積みされている」

勇者「とすると、ここが幻の祠……錬金弟子さんの目的地か」

勇者「だが、この魔石の山と賢者の石。何をするつもりなんだろう……」

魔剣〔……勇者〕

勇者「何だ?」

男「何だ、勇者さん?」

勇者「え? あ、いや、こっちの話だ」

魔剣〔定かではないが、雪とは違う輝きが見える。右の方だ〕

勇者「……」ザッザッ

男「何かあったのか?」

勇者「これは……!」

男「まさか、月の雫か!」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/30(土) 02:10:49.13 ID:XZQsclFy0<> 勇者「どうしてこれがこんなところに……」

魔剣〔答えは簡単であろう? あやつが盗んだのだ。錬金弟子だ〕

勇者〔そんな馬鹿な! 錬金弟子さんはあの時俺達と一緒に戦ってたぞ〕

勇者〔第一、犯人はあの妙にクネクネ動く奴らだ〕

魔剣〔あやつが賢者の石を盗んだ時、どうしていた?〕

勇者〔……あっ!〕

魔剣〔そうだ。博物館での一件も全てあやつの芝居であったのだ〕

魔剣〔我らの見たあのクネクネは、全て幻覚だったのだ。通りで気配がなかったわけだ〕

男「どういう事だ……。これは確かあの妙な連中に盗まれて……」

勇者「真犯人は錬金弟子さんだった、と言うだけの事だ。俺達が犯人だと思ってた奴らは、全部幻覚だったんだよ」

男「成る程。それなら合点がいくな」

魔剣〔勇者、キミって奴は……〕

勇者〔な、なんだよ……〕

男「ん? まだ下に何か埋まってるぞ?」ザクザク

勇者「……これは、氷の結晶か?」

男「そうなのか?」

勇者「ああ、多分間違いない」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/30(土) 02:23:48.87 ID:XZQsclFy0<> 男「多分、か」

勇者「俺も今まで実物は見たことないからな」

勇者「だけど、噂通りならこれで間違いない」

男「まぁ、あってもおかしくはないな。氷の結晶が盗まれた時も錬金弟子さんが取りに行った、と月光博物館の館長が言ってたからな」

勇者「ああ」

男「となると、この魔石の囲いは四方じゃなくて六方になるかな」

勇者「五方だろ? それともここの反対側にも何か魔石があるって言うのか?」

男「今はないと思う。だけど今ここに向かってる賢者の石がそこに置かれるはずだ」

勇者「確証は?」

男「賢者の石というものは普通の魔石九種類をあの魔力圧炉で加工して出来る」

男「とすると、あれ一つで魔石九つ以上の魔力エネルギーを持っていると言っても良いと思う」

男「その証拠に、ここにも特別な魔石と言われてる二つしか置かれてない。他が山になるくらい置かれているにもかかわらず」

男「そもそも、五方でこの置き方だと、必然的に正多角形にならないからバランスが悪いと思う」

勇者「……最後のが本当の意見で良いかな?」

男「それまでも本当の意見なんだが……」

男「だが、今はそんな事どうでも良いと思うけどな。そろそろ来るはずだ」

勇者「ああ。もう目で見える所まで来てる。さぁ、迎え撃つぞ」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/30(土) 16:00:25.45 ID:XZQsclFy0<> 訂正(>>813)一行目

――凍結の森 誤
――幻の祠  正 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/30(土) 16:17:31.57 ID:XZQsclFy0<> 錬金弟子「……」ザッザッ

錬金弟子「……やっと着いた。もうすぐ……もうすぐですよ、兄さん」

錬金弟子「……」キョロキョロ

錬金弟子「それにしても、おかしいな。バレてるのに追ってこないなんて」

勇者「そりゃそうだ。先回りしてるんだからな」

錬金弟子「!」

男「賢者の石を返してくれないか」

錬金弟子「兄さ……じゃない。男さんも来てたんですか」

錬金弟子「追ってきたのは、二人だけですか?」キョロキョロ

勇者「さて、どうかな?」

錬金弟子「とにかく、あなた達には悪いのですが、賢者の石は渡せません」

勇者「どうしてか、聞いて良いかな?」

錬金弟子「……師匠はなんと言ってましたか、私の事?」

男「特に何も。ただここに来るはずだと聞いただけだな」

錬金弟子「そうですか。確かに、このままだと私が悪者ですからね」

勇者「そこで月の雫と氷の結晶を見つけた。後、推測だけどそこの魔石も殆ど盗んだ物じゃないのか?」

勇者「そうまでして、何をしようって言うんだ?」

錬金弟子「……兄さんを蘇生させるのです」

男「兄さんって、三年前に亡くなったって言う錬金兄弟子さんの事か?」

錬金弟子「そうです。正確には、兄さんは師匠に殺されたんですけどね」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/04/30(土) 17:18:53.86 ID:XZQsclFy0<> 勇者「何だって!?」

男「それは本当か? そんな人には見えないが」

錬金弟子「人は見掛けとは違うんですよ」

錬金弟子「元々おかしいと思いませんか? 蘇生魔法を使える師匠が自分の弟子さえ蘇生しないなんて」

錬金弟子「大体、死んだ状況もおかしいんですよ」

勇者「どういう事だ?」

錬金弟子「兄さんが行方をくらましたのは、北へ向かって航海している途中でした」

錬金弟子「大陸の北側には、魔の国しかありません。兄さんがそこに何をしに行くと言うんですか?」

錬金弟子「師匠の話では、兄さんはその途中で魔物に突然襲われたのだろうとの事ですが……」

錬金弟子「そもそもあの航海だって師匠の命令だったと思うんです。じゃないと辻褄が合わないじゃないですか」

勇者「それもそうかもしれない……」

男「だが仮にそうだとしても、それが真実という確証がないんじゃないかな?」

錬金弟子「確証ならあります。兄さんが全て話してくれました」

男「錬金兄弟子さんが、話してくれた? でも亡くなって、行方も分からないって……」

錬金弟子「私はずっと行方がわからないだけって思って、兄さんを捜していました」

錬金弟子「ですが、師匠が兄さんの死を私に伝えてから、案外すぐに見つかったんです。ここ、幻の祠で」

錬金弟子「師匠によって埋められた兄さんは、今もここで彷徨っているんです」 <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/04/30(土) 21:00:30.51 ID:SLYxk0oSO<> あれ? <> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
(高知県)<>sage saga<>2011/05/01(日) 01:17:04.64 ID:Gl/V9qU10<> こんな時に急用入って思う存分書けないとか……。

疲れて書く元気がないので、HTML化依頼してきます。
また次スレで会いましょう。 <>