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HTML化した人:lain.
烈「風見 幽香ッ!! 貴様は中国拳法を嘗めたッッ」
1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:13:17.40 ID:M6AZnWIo
 幻想郷。遥か昔、世界から切り離された、閉じた楽園。
 そこに今、一つの異端が降り立った。


 浅黒い肌。結われた弁髪。ぎしぎしと痛々しく軋む義足。そして何よりも目を引くのは。
 人体の常識を超越するまでに作り込まれた、異様な密度の筋肉。


 ――――即ち、魔拳。烈 海王である。


 彼は困惑していた。
 無理もない。
 ふと気付けば、視界を支配するのは一面の花畑だったのだから。誰だって困る。
 しかし、それよりも何よりも彼を戸惑わせているものがあった。

 彼の心の奥深く、更にそのまた奥の奥。
 無意識。本能。とにかく呼称は数あろうが、そんな部分。
 そこに、悠久を生きる大樹の如く強固な根を張っているものがあった。
2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:14:37.85 ID:M6AZnWIo
 確信。

 来るべくしてここに来たのだという、確信。

 欠けたパズルのピースがぴったりとはまるような。口に入れたものがすとんと胃に落ちるような。必然の感覚。
 こんな場所に落ちてなお、烈の深層意識は僅かの違和をも唱えず、むしろ納得すらしているのである。

 それに伴うように、烈の五体は、蒸気が発生する程の熱を帯びていた。まるで、『何か』を待ちわびているかのように。
 

 一頻り思考の泥沼でもがいた彼は、やがて考えるのをやめた。
 武に生きる雄、烈 海王は、鍛えに鍛えた己の肉体を信ずることにしたのだ。
 産まれ落ちて三十余年、一度も音をあげずについてきた、他ならぬ肉体(コイツ)が往けと言うのだ。往かぬ道理があるものか、と。


 そうして、烈は歩きだした。
 足の向くまま。武の向くままに。


 烈は知らない。ここが太陽の畑と呼ばれ、人々から恐れられる地であることを。
 一部では『最強』とも目される、とある大妖怪の住処であることを。
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:16:16.92 ID:M6AZnWIo
 出会ったのは、女であった。
 美しい、女であった。

 一面に広がる花畑の少し拓けた場所で、反り返った花弁にも似た形状の純白の傘を差し、悠然と笑んでいる。
 その様は、まるで彼女自体が大輪の花であるかのよう。


「花を愛でに来た、というわけでもなさそうね。と、なると、貴方が……ふふ、待ってたわよ」


 赤い瞳を細め、烈に甘い声を向ける。
 風に吹かれて、若草色の髪が草花とともに揺れた。
 さながら、絵画から抜け出た女神のようだ。溜息を吐く程の美しさ。
 
 だというのに。

 烈の五体に怖気が奔り、全力で警鐘を鳴らす。
 油断ならざる相手だと。武を振るうに値する者だと。

 ――――この女は、人ならざるモノだと。
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:16:55.21 ID:M6AZnWIo
「そう硬くならないの。その拳で、誰を打つつもりなのかしら」


 美しき異形が、歩を進める。烈の方へと、一歩一歩。
 知らず、烈の拳は硬く握られ、黒色の岩石と化していた。

 烈は理解した。頭脳ではなく、もっと深い、根源ともいえる部分で。
 まさしく、この女なのだ。
 肉体(わたし)が、本能(わたし)が、武(わたし)が求めていたのは、この女なのだ。

 そうとワカれば、やる事は一つ。
 ずざざ。
 前後に大きく足を広げ、両腕を猛獣の顎の如く天へ、地へ。
 両眼を化物へと向け、言う。


「気を遣わせたようだ。スマナイな、お嬢さん」
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:17:39.38 ID:M6AZnWIo
「あらあら、一丁前にやる気になっちゃって。その無様な足を引き摺って、私……この風見 幽香に勝てるとでも?」


 女――幽香の視線は、烈の右足、その一点へ。
 そして、嗤った。嘲った。時を隔てた親友との絆の証である、失われた足を!
 瞬間。

 ぱぁん!

 銃声かと錯覚する程の、大音量の破裂音。
 突如として発生した突風に、ぶわわと花びらが舞い散り、二人を包む。

 それを引き起こしたのは、幽香の眼前へと突き出された、烈の右拳。
 先の破裂音は、音の壁を突き破った拳によるものであった。

「ご心配なく、幽香さん」

 拳を収め、にぃと笑う。

「こんな身体になったからこそ、得たモノもある」
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:23:32.02 ID:M6AZnWIo
とりあえずここまで。ちょっと残りは推敲してから投下するね
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:29:59.75 ID:K2ovg9go
乙ー!
wktkwktk
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:30:35.28 ID:EVLofIIo
おつおつ
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:58:04.10 ID:M6AZnWIo
 それに対して、幽香は一層深く笑みを浮かべた。口角を上げ、人間よりも発達した犬歯も隠さずに。
 その性質は、先程までの微笑とは根本から異なる。

「笑う」という行為は、そもそも攻撃的なものであるという。

 だとするならば、これは。この貌は。

 獲物を狩る肉食獣(プレデター)の、食事の始まりを告げる合図に外ならない。


「そう。それは失礼をしたわね」


 ざわり。
 空間が歪んで見える程の殺気を孕む幽香。
 そして、続ける。楽しそうに。愉しそうに。


「紫のヤツも、たまには面白いモノを連れてくる」


 傘を打ち捨て、赤黒チェックのベストを脱いだ。
 ブラウスのボタンを際どい所まで開ける。谷間どころか、実がぽろりと零れてしまいそうな程に。
 思わず顔を背ける烈。
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:58:54.90 ID:M6AZnWIo
「あら、待っていてくれたの。優しいのね」
「準備は済んだか」
「ええ」


 ぎりり。
 烈の筋肉が、闘志が、引き絞られる。弦のように。
 その肉体は、今にも放たれんとしている弩と化して。
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 16:59:22.59 ID:M6AZnWIo
「数多くの拳雄と闘った私だが」


 空手家。鬼の血族。死刑囚。そして、原人。
 強敵たちの横顔が、烈の脳裏を過ぎる。


「未だ、妖の類と拳を合わせたことはなかった」


 その分厚い胸に去来するは、未知への恐怖。
 そして。
 それ以上の歓喜。強敵との闘い(かたらい)への、湧き上がる期待。


「中国四千年が、この私の研鑽が、魔を打ち倒すに足るものであるのか」


 大気が震える程の妖気を纏って佇む、幽香を見据えて。


「興味が尽きぬ」


 再び、硬く固く拳が握られる。
 すぐにでも放たれる程の勢いを内包して。


「我が名は烈! 烈 海王ッ!! 推参(おしてまいる)ッッッ!!」


 そして、放った。幽香の顔面へ向けて、全霊の崩拳を。
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 17:38:01.26 ID:M6AZnWIo
 ぱぁん!!

 その拳は、吸い込まれるように幽香の鼻っ柱へ命中。上体を大きく仰け反らす。
 音速の拳打が再び放たれたことにより、またもや突風が舞い上がる。

 舞う花弁の中を振り切って、烈が駆ける。
 幽香は未だ、天を仰いでいる。

 この機を逃すまいと、烈は怒涛の連撃を繰り出した。

 連撃。連撃。連撃。

 拳を。足刀を。義足を。膝を。肘を。打ち込んだ。
 腹を。あばらを。水月を。喉を。人中を。狙い打った。

 その一撃一撃が、並みの戦闘士ならば即死する程の威力。
 それでも、烈は止まらない。
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 17:38:50.59 ID:M6AZnWIo
 靴を脱ぎ捨て、その以上に発達した足指を以て、幽香の髪をぐわしと掴む。
 そして。

 ぐしゃ! ぐしゃ! ぐしゃ!

 肘と膝で、幽香の頭部を挟み打つ。まるでプレス機。水を含んだズタ袋を打ち付けるような音が響く。

 そこで、烈は気付く。
 幽香が、全くの無抵抗であることに。

 その不自然さに気を取られ、烈の攻勢がほんの少し、ただの一瞬弱まった時。


 圧倒的な悪寒。ちらり、と幽香の顔を見る。
 罅割れた唇が、いびつに歪んでいて。

 笑っている。

 烈にしてみれば幸運だった。
 刹那でも、『それ』に気付くのが遅れていれば。
 この闘いは、終わっていたのだから。
 ――――烈の死という形を以て。
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 17:43:41.30 ID:M6AZnWIo
その以上に×

その異常に○


さっそく誤字だよ(笑)
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 17:46:34.66 ID:SDDeRQSO
ここまで勝敗の読めてるのに期待しちゃう戦いも珍しい
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 17:48:05.17 ID:M6AZnWIo
 ぼっ。


 轟音をあげて、迫る。迫る。女の細腕から放たれた拳は、その頼りなさとは裏腹な、砲丸じみたものだった。
 必倒……否、文字通り必殺の一撃。それはまさしく、具現化された『死』そのもの。

 ぢぢぢぢぢっ!

 そんなものが、烈の頬を掠めていった。辛うじて。本当に辛うじて、避けることができたのだ。
 
「〜〜〜〜ッッ!!」

 たんっ!

 堪らず後方へ跳躍し、距離を置く。
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 18:02:47.94 ID:M6AZnWIo
 跳躍の途中、空中にて。烈は異様なものを目にした。
 先程の一撃が通り過ぎたあたり。烈の顔面があった、そのすぐ横。

 穴が、開いている。空間に、ぽっかりと。

 卓越した身体能力に、ありあまる妖力を上乗せした一撃。
 それは、賢者がその叡智を総動員して敷いた結界をも、容易く破砕せしめる代物であった。

「痛いわね」

 その全身を、血の赤と痣の青に染めながら、幽香が呟く。

「痛いわ、痛い。いつだったか、ご大層な謂われのある霊刀で斬りつけられた時。その百倍、千倍。いえ、万倍は痛いわ」
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 18:06:36.35 ID:rYDBnoAO
ダメージがあるんなら、勝ち目はあるな。
烈はオワタ式だけどww
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 18:22:32.40 ID:M6AZnWIo
 痛い、痛いと言いながら。幽香の表情は、歓喜の一色に塗り潰されている。
 数え切れぬ傷跡を、一つ一つ、指でなぞってゆく。それらが愛おしくて堪らないという表情で。


「ふふふ。私の身体を犯してくれて、ありがとう。私の渾身の一撃を避けてくれて、ありがとう。はぁ、幸せ。こんな人間は、いつ以来かしら。
 打って打たれて、傷つけて傷つけられて、それで私の、妖怪の本懐は果たされる。嗚呼、素晴らしい!!!」


 げたげた。
 笑う。嬉しくて仕方がない様子で。眠れる恐怖は、目を醒ました。

 これが妖怪。これが恐怖。これが風見 幽香。妖怪からすらも恐れられる、大妖怪の姿。


「貴様」


 そんな幽香の姿を目にしても、烈の闘気は些かも衰えず。
 むしろ、膨れ上がってすらいた。
 その表情には、明らかな怒り。


「私の拳など、防ぐ価値もないとでも言うのか」
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 18:39:51.78 ID:ZO6xlKA0
それでも烈ならなんとかしてくれる
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 18:49:07.40 ID:M6AZnWIo
 頬の裂傷からどくどくと血を流しながら、烈は猛る。


「私が、中国拳法が、その程度だと言うのかァッッ!!」


 びりびりと空気を震わせて、咆哮する。


「ふふふふふ……。違うわ。貴方の技も力も、間違いなく一級品。私が食った(あった)人間の中でも、間違いなく五指に入る。
 誇るべきよ。貴方は、この風見 幽香に好敵手(えさ)として認められたの。さぁ、続けましょう。私はもう、イけそうなの」


 恍惚とした表情で、幽香は言う。
 烈の血液が付着した右拳を、ちゅるちゅると舐め回しながら。

 ぴちぴち。
 烈の額に、青筋が浮かぶ。
 
 なんという、侮辱か。なんという、高慢か。

 闘い、勝利し、食らう。
 その点において、この女とあの塩漬けの原人は類似しているように思える。
 しかしその実、二人の内面は全く違うモノであった。

 この女の、なんとドス黒いことよ。
 敬意もなく。こうして拳を合わせてなお、己と対等たる存在など有り得ないとたかを括っている。
 どちらかと言えば、あの食人鬼に似た傲慢振りだ。

 ぷちり。

 烈の怒りが、ついに頂点に達した。


「風見 幽香ッ!! 貴様は中国拳法を嘗めたッッ」
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 18:50:16.20 ID:M6AZnWIo
とりあえず、ここまで。続きは十時くらいになるかな。
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 19:04:34.44 ID:rYDBnoAO
花山さんのは安心して見ていられたけど、これは……
どっちか死ぬんじゃないか
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 19:32:56.42 ID:K2ovg9go
乙です
なんだか二人ともやばいかっこいい
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 20:43:43.34 ID:2cS2Cxwo
食われた後の烈か……頑張って欲しいが
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 22:27:40.84 ID:M6AZnWIo
レスしてくれた方々ありがとう。いくよ。
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 22:28:17.38 ID:M6AZnWIo
 そんな二人の姿を彼方より見つめる、三対の視線があった。

 一つは妖怪の賢者、八雲 紫。
 一つはその式、八雲 藍。
 そして最後の一つが、山の四天王が一人、伊吹 萃香のものである。


「いや、凄まじい」

 紫のスキマを経由して投影される映像に食い入りながら、藍が呟く。

「此度の人間は、本当に強い。あの風見様をここまで……。このような強者、いったい何処から?」

 その問いに、紫は上空を指しながら、いつにも増して胡散臭い風情で答える。

「遠い世界」
「と、申しますと? 外界ではないのですか?」
「平時なら、決して交わることのない世界。まぁ、貴女に何を言った所で理解できないでしょうね」
「うぅ……」

 ふさふさもふもふの尻尾が、しゅんとうなだれる。
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 22:31:20.66 ID:M6AZnWIo
「それにしても、羨ましい限りだよ! くぅ〜、私もまた、つんよぉ〜い人間と死合いたいもんさね!」

 がぶがぶと瓢箪から酒を飲みながら、萃香が唸る。
 二人の闘いを最も熱心に見ていたのは、彼女であった。
 一挙手一投足の度、やれ私ならこうしただの、やれここがすごいだの、そのうるささといったらない。
 鬼という種族故、致し方ない事ではあるが。

「貴女は弾幕ごっこで満足していなさい」

 紫の言葉はにべもない。

「とは言ってもさ〜。私としても、こんなモン見せられちゃあ、疼いちゃうワケよ」
「何度言えば分かるの。幽香は、特別なの。貴女は、もしもの時の為の保険に過ぎない」

 ちぇ〜、とつまらなそうにむくれて見せる萃香。
 そこに。

「いつまで、こんな事を続ければ良いのでしょうか」

 ぽつり、と。藍が零した。
 その瞳には、憂いの色が濃く表れていた。
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 22:54:13.22 ID:M6AZnWIo
 烈がこの幻想郷へと招かれた理由は、一つ。
 幽香のガス抜きの為である。勿論、他の妖怪に知られぬよう、極秘裏に。

 スペルカードルール設立以来、妖怪達はそのルールに則って、擬似的な闘争、異変によって、その力を保ってきた。
 しかし、そんな理想的に思えるルールにも欠陥が存在した。

 ごっこ遊びでは存在を保てない妖怪の存在だ。
 その最悪の一例が、幽香なのである。その事は、幻想郷のパワーバランスの一翼を担う存在でありながら、幽香の持つスペルカードが異常に少ない事からも伺えよう。

 人々に虐げられし、草花の悪意の権化。故に、人間と闘い、勝利し、惨たらしく殺し、そしてその血肉を食らう事でしか己を維持できない。
 幼い子供が、花びらを千切って恋を占うように。幽香は、人間に対してそれを行って返す事を宿命付けられているのだ。

 楽園の危険因子。いっそ殺してしまおう。
 紫とて、そう考えた事は一度や二度ではない。
 しかし、だ。
 あの膂力を。妖力を。残虐性を見よ。
 例え式や友人を伴って滅しにかかったとて、こちらもただでは済まない。

 ならば、どうなる。
 傷ついた紫を、今の幻想郷を快く思わぬ連中が放っておくだろうか。否。
 下剋上を狙う者共の蜂起を皮切りに、再び幻想郷に動乱の時代がやって来よう。
 
 それだけは、断じて。


「いつまでも、よ」


 そう言った紫の横顔は、どこまでも悲しげなものであった。
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 22:56:37.40 ID:M6AZnWIo
ごめん。眠い。続きは明日の夕方にでも。
幽香ちゃんが新作に出してもらえなかったりグリモワからもハブられたりする理由を自分なりに妄想しました。
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 23:04:20.96 ID:EVLofIIo
幽香は犠牲になったのだ…
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 23:06:13.46 ID:rYDBnoAO
グリモワの事は言うな!
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/10(木) 17:55:38.07 ID:4b6erYAO
紫がただの便利屋じゃないのはめずらしいな
期待
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 22:15:18.16 ID:dqW8AwSO
マダー
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 19:08:32.56 ID:ZKjUUkwo
ごめん。付き合いでおっぱいパブ行ってた。
今日も飲みがあるけど、それまでは書くよ。
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 19:09:01.23 ID:ZKjUUkwo
 ごすっ。がっ。ずどぉっ!


 応酬が続く。
 拳足が唸る度、どちらのものともつかぬ鮮血が散る。

「墳ッ」

 きゅん、と大気を切り裂く音を放ちながら、喪われた右足で回し蹴りを放つ烈。
 それは過たず命中し、幽香の横っ面を打ち抜いた。
 しかし、その程度で怯む幽香ではない。新たに作られた傷にも構わず、前進。

「破ッッ」
「…………ッ!」

 だが、そんな幽香を迎え撃ったのは、予想だにせぬ反撃。
 地に付いていたはずの烈の左足が、振り抜かれた義足に追従するかのように、幽香の眼前に現れる。

 ぱぱぁん!

 束ねられた二本の矢を、それもカウンターで受けたとあっては、流石の幽香も堪らない。
 きりもみながら吹っ飛んで、どしゃ、と土煙を巻き上げた。

 一打目の蹴りがヒットした瞬間、烈の身体は独楽の如く回転し、その遠心力もプラスされた痛烈無比の二撃目を見舞ったのだ。
 恵まれた才能を、人の域を外れかねない程の修練で以て打ち鍛えて初めて可能となる、神技。

 その様、さながら旋風(つむじかぜ)。
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 19:09:54.28 ID:ZKjUUkwo
「なんて、芳醇。なんて、雄弁」

 よろり。幽香が立ち上がる。

「貴方の積み重ねた生が、研鑽が、手に取るようにワカる」

 その身体には一つとして無事な部分などなく、その美貌すらも血と傷に塗れて見る影もない。
 満身創痍の様相で、しかしそれでも幽香は笑う。


「そうか」

 対する烈も、そこかしこに抉り取られたような傷痕を残している。
 未だ一撃のクリーンヒットも許していないとはいえ、相手は怪物。
 幽香の振るう圧倒的暴力は、掠っただけで肉を裂き、筋骨を破壊せしめる。
 

「そうして磨き上げられた、泣きたくなるくらいにキレイな結晶を、私が壊す。――――堪らないわね」
「出来るものなら、やって見せるがいい。私に勝つ事。それ即ち、中国四千年を打ち倒すに等しいと思え」
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 19:29:59.25 ID:UUgx09I0
烈さんぱないっす
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 19:41:07.30 ID:ZKjUUkwo
 闘いの最中、烈の感覚は鋭敏に、極限まで研ぎ澄まされる。
 すると、不思議なものが見えた。

 ――――原人との闘いの折に見えた、幻覚。

 己の映し身、やがて辿り着くであろう理想の姿が、霧のようにたゆたいながら烈を見守っている。

 武の懐が、近いのだ。

 烈は確信する。この女ならば、自分を武の懐へと送り出してくれる。
 対するは人外の化生。それもとびきり、特A級。
 相手に取って、不足なし。
 
 そして。
 その他にもう一つ、烈の五体に新たな力を吹き入れるものがあった。

 幽香が、闘いを通じて烈の半生を垣間見たように。
 烈もまた、幽香を理解し始めていたのだ。

 成程、強い。恐ろしい。それは認めよう。

 しかし。拳に纏った風音が、烈には幽香の泣き声に聞こえてならぬ。
 顔を伝う血の雫が、烈には幽香の涙に見えてならぬ。

 狂喜を貼り付けて笑う、強大なる大妖怪。その裏に、か弱き『風見 幽香』の姿があった。

 弱き者を救う事こそ、武。
 ならば、救ってやらねばなるまい、と。

 そして、烈は拳を握るのだ。
 武の懐へと至るために。幽香を、産まれ持ったであろう宿業から解き放つために。
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 19:53:12.94 ID:ZKjUUkwo
ごめん、迎え来た。
明日は一日ヒマだから、たっぷり書くぜッ
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/11(金) 19:54:07.49 ID:NqevmkAO

陸奥圓明流じゃねぇかww
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/11(金) 21:05:17.45 ID:ZBbfcTM0


烈さんよく知らないけどカッコイイ!
なのでググってきます。

明日を待ってるぜ!
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 21:59:32.59 ID:tIIORd.0
こんなに俺得なのは久しぶりだ
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 21:15:49.34 ID:AmnUMQSO
マダー
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 00:29:16.16 ID:dRhjlMDO
作者は犠牲になったのだ…
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 00:48:14.62 ID:BTxUU5Ao
古くから生きる大妖怪……その犠牲にな……
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 02:11:09.20 ID:uZifVc2o
アルティメットサディスティッククリーチャーェ……
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/14(月) 19:48:56.93 ID:LEKIooDO
作者失踪したのか?
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/19(土) 06:07:49.22 ID:WFVlhsA0
まだ慌てる様な時間ではないッッ
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 07:14:42.02 ID:jlNKaSIo
俺得
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 16:28:38.69 ID:jlNKaSIo
14kgの砂糖水が必要か?
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 16:51:23.97 ID:bTnpMf60
http://beebee2see.appspot.com/i/agpiZWViZWUyc2VlchULEgxJbWFnZUFuZFRleHQYm9_DAQw.jpg
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 10:24:07.46 ID:NtXf6UDO
>>1の言う明日っていつなんだよ
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 10:31:25.20 ID:O2jTytUo
明日って今さ!
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 21:18:00.93 ID:IG6nyzso
期待
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/07(水) 23:46:13.33 ID:zLngHMko
明日がまだこない
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/15(木) 05:37:41.63 ID:oI7C2hY0
テメーらに明日はこねぇ
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/02(月) 08:48:28.41 ID:Zh9kFlM0
もう来ないのか?
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/02(月) 11:36:02.54 ID:UY6/fEAO
てっきり今日始まったスレかとッッ
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/02(月) 15:00:49.24 ID:9dY91YAO
だからスキマ妖怪に見つからないように書けとあれほど…
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/03(火) 12:46:01.89 ID:bWnr4To0
>>1の言う「たっぷり書く」とは
どこまでがたっぷりなんだろうか
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/05(木) 23:58:32.35 ID:wjnA.OQo
もうhtml化依頼してもいいんじゃないだろうか
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/08(日) 04:54:12.47 ID:Brt0tUSO
ほうちしやがって、もったいないおばけがでるぞ
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/08(日) 06:10:16.12 ID:c9do2sE0
この俺を待たせるとはいい度胸だなァ
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/14(土) 08:54:23.53 ID:1AusS1k0
あげ
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/16(月) 22:27:12.97 ID:udbYL1c0
もう諦めのムード
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/04(土) 12:12:12.25 ID:WvwJvlEo
書き手のレスがないまま”2ヶ月”以上が経過したのでHTML化のご案内です

続ける意思がなくなった場合は以下のスレでHTML化依頼をお願いします
■ HTML化依頼スレ Part1
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1190564438/

続ける意思がある場合は2週間に1度ぐらいでいいので生存報告をよろしくお願いします
住み良い製作速報を作るため放置スレの削減にご協力お願いします
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 01:33:24.33 ID:pyrwiASO
あきらめんぞッ!!
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 12:55:21.10 ID:7YXD1e6o
明日が来るまで待ち続けるさ
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/06(月) 06:15:42.04 ID:UTlbdsSO
ageてみる
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 01:02:20.82 ID:/Pin/6SO
もう誰でもいいから書いてくれよ…('A`)
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/09(木) 19:56:27.64 ID:tQIFY6SO
…明日……か………
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/12(日) 14:56:41.47 ID:imPNkcko
明日・・・な・・・
74 :67[sage]:2010/09/13(月) 12:03:33.02 ID:0GfkP4wo
追記です
HTML化案内後1ヶ月経過しても書き手のレスがない場合は、放置スレと判断してこちらでHTML化依頼を出させて頂きます
みんなで仲良く製作速報を使うための処置ですので、申し訳ないですがご了承ください
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 19:22:09.37 ID:mWkWOsSO
くやしいのうwwwwwwwwwwwwwwwwwwくやしいのうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
76 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/17(水) 15:23:18.26 ID:gycSEw60
克己とか出してくれよ
77 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/15(水) 21:46:29.05 ID:3o.2eUSO
もうだめか…
78 :lain.[sage]:2011/02/19(土) 00:59:37.21 ID:???
SSスレッドは、SS速報VIP【http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/】へ移転することになりました。
それに伴いこちらのスレッドをHTML化させて頂きます。
スレッドを立て直す際はSS速報VIPへお願いします。



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