VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:15:45.23 ID:icMtDkA0<>この物語はキノが世界を旅するお話です。
世界とは作品の壁です。

ツバサの捉え方を参考にしていきます。

最初は禁書目録です。ちなみに、それ以降はまだ考えてません。<>キノ「学園都市……ですか」 VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:16:19.77 ID:icMtDkA0<>一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)が、広く平坦な道を東へと走っていた。
後輪の両脇と上に、旅荷物を満載している。主に、箱。上には鞄や寝袋。箱に付けられた銀色のカップが、脈動のように規則正しく、揺れる。

運転手は、若い人間だった。陽光に照らされる精悍な顔つきと大きな瞳から、恐らく十代の半ばほど。
黒いベストの胸元は少し開けられており、そこから白いシャツが露出している。腰を太いベルトで締めて、右腿にはホルスターに収まったハンド・パースエイダー(注・パースエイダーは銃器。この場合は拳銃)がある。さらに腰の後ろにも、細身の自動式のパースエイダーがあった。
綺麗な短い黒髪。その上に鍔のある帽子をかぶり、一眼式ゴーグルをかけていた。

「ねぇキノ。あらかた回ったけど、次はどんな国なの?」

モトラドのエンジン音に混ざり、男の子のような声が運転手の耳に届く。

「さぁ? 行ってみないとわからないよ。エルメス」

キノ、そう呼ばれた運転手は、自らが跨るモトラドに向かって話しかける。傍から見れば明らかな異常者でもあるが、その次の光景がそのことを異常から通常へと引き戻していた。
次は意識したからか、ハッキリと、そのモトラドから声がする。

「ふーん? まぁ、今更どんな国がでてきても驚かない自信はあるけどね」

胸を張って(といってもわかるはずもないが)エルメスが言う。
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:17:08.08 ID:icMtDkA0<>「この前の国でも、そう言っておきながら驚いてたね」

キノは、若干茶化すように言った。

「あれは仕方がないさ。本当に凄かったんだから」

張り合うエルメス。

「次も、同じように凄いかもしれないよ?」

前方に気を向けつつも、会話をこなすキノ。

「それも旅の大根だからねぇ」
「……醍醐味?」
「そうそう、それそれ……ねぇキノ。何か嫌な予感、しない?」

エルメスは周囲を窺いつつ、キノに問いかける。
キノも同調し、首を縦にする。

「だね。何か途轍もなくめんどくさいことに巻き込まれる気がして……」

突如、雲一つない空が暗転する。青は灰に変わり、陽光は影に変わる。
キノは驚き、すぐにモトラドを止めた。

空を再び見上げると、なにやら光る者が空を割っていた。
その孔から、何か巨大な生物らしきものが姿を現す。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:17:44.68 ID:icMtDkA0<>「私は、神だ」
「」
「」

突然そう口走った神は、米国の自由の女神像のような格好をしていた。それに髭が生え、顔が濃くなったといったところ。
その自称神に、キノとエルメスは無言でいた。

「ふふふ、驚いているようだな」

キノはゆっくりと、サイドブレーキを上げ、ゴーグルを顔にかける。

「ちょ、何をしているのかね?」
「ボクは神様に用は無いので」
「キノに同意」
「まぁまぁまぁまぁ待て待て。君が次に行く世界の事について教えよう」

神様がそう言うと、キノは、

「お断りします」

冷めた目つきで神を見て、エンジンをかける。

「ん?……世界? 世界と言いましたか? 国ではなく?」
「そ、そうだ。私はこの世界をあらかた見て回った君に、何かご褒美を上げようと思ってね! 世界を旅行させてあげよう」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:18:36.68 ID:icMtDkA0<>魅力を感じる人も少なくないであろう話に、キノは冷めた声で、次のように返す。

「いえ、別にいいです」
「……何故だ?」

キノは、ゴーグルの位置を帽子の位置にまで上げ、エンジンを止め、サイドブレーキをする。

「ボクは、この世界をまだ見切っていませんから」

神様は驚きを表情に出し、笑った。

「そうか。まぁ君に拒否権はもとよりなかったのだが」
「……はい?」

キノは、聞き捨てならないことを聞いたためか、思わず素っ頓狂な声を上げる。

「君にはこれから世界を旅してもらう。この次元における世界ではなく、別次元という意味での世界だ。実際行く世界は様々で、銃が禁止されている世界もあれば、何か超能力のような物がある世界かもしれん。その場合は、君に何かしらの能力が発現するようになっている。その世界限定の。そして一つの世界に留まれるのは五日間。君は国に滞在する場合は三日と決めているようだが、世界はその範疇に入るまい。以上、幸運を祈る」
「え、ちょっ……」

何やらブラックホールに似た穴が開き、キノとエルメスを強制的に引き摺りこんだ。

「待ってぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「恨んでやるぅぅぅぅぅぅぅ!!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/20(火) 00:19:09.42 ID:icMtDkA0<>第一の世界。『とある魔術の禁書目録―インデックス―』

主人公、上条当麻は欄干に布団を干すような形で現れた白≠ニ出逢う。
これが幼児好き(アブノーマルセンス)ことステイル=マグヌス、他魔術師と、イマジンブレイカーの出逢いだった。
二人のレベル5。多数の魔術師。大覇☆祭。神の右席。少年は、育つ。

思いが、連なる。

10万3000冊の魔導図書館――イン[ピーーー]
学園都市のレベル5且つビリデレ――御坂美琴

科学と魔術が交差する時、歯車は回りだす――――


              とある魔術の禁書目録<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:19:53.64 ID:icMtDkA0<>―学園都市第7学区―


学園都市の『裏』と『表』を繋ぐ薄暗い所。人はここを、裏路地と呼んでいる。勿論のことながら昼夜問わずスキルアウト(注・無能力者(レベル0)の武装集団の総称)が常駐しており、この頃は第7学区のスキルアウト達を統一してきた駒場利徳の死をキッカケに、無秩序ぶりを発揮していた。
そんな道が交差する路地裏の、ちょうど真ん中の辺りで、世界と世界は交差する。

現れたのは、バイクのような乗り物と、人間。描写は割愛。

「ここは……」

その人間は、周囲を観察する。生きていくうえで最も必要なことは、知ること。彼女が師匠から教わったことの、一つだ。
見た所、周囲はコンクリートのような物で囲まれており、上を見るとかなりの高さまでそれが伸びているので、建物だとわかる。切り取られた青空。加えて、この不衛生さ。ゴミが散乱し、ゴキブリや蠅が蠢く。

「ねぇここ臭くない? キノ。さっさと抜けだそうよ」

突如、そのバイクのような乗り物――モトラドから男の子のような声が響き、壁に反響する。
音の残響が俺の嫁に届く。その声に反応し、キノはモトラドに向かって話しかける。

「そうだね。ボクもここはあまり好きじゃないよ、エルメス……あれ? 何の虫だろ、これ」

キノが目を付けたのは、茶色でカサカサ動き、甲殻の表面がツヤツヤ光る虫。頭からは二本の触覚が生えており、甲殻には線が入っている。
その線の部分から甲殻が、真っ二つに裂けた。その下からは薄く透き通る羽が見え隠れする。そして――その虫は飛翔≠キる。
あるかどうかも分からない【明日】へと旅立たん勢いで小さな羽を懸命に動かし、キノから離れるように飛び去って行った。その姿には、どこか優雅さすらも感じさせる。

「ああ、あれはね。『ゴキブリ』だよ。キノ」
「あれがゴキブリ? 意外と愛くるしいね」

目を爛々と輝かせるキノ。視界には、未だ逃げ続けるチャバネゴキブリの姿があった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:20:23.47 ID:icMtDkA0<>「……大抵の人間は逃げ出すんだけどね。まぁキノは初めて見たんだし、千手観音がなくて羨ましいよ」

注・作者は今Y巻までしか読んでいません。つまりZ巻以降でキノがゴキブリを観ていたとしてもそれは与り知らぬことです。

「……先入観?」
「そう、それそれ!」
「最近わけわからなくなってきてない?」

時折言葉を間違えるモトラドに、少し頭を抱える俺の嫁。
だが、その二人の掛け合いを邪魔する集団が現れる。

「おいおい、お嬢チャンよ。俺らと遊ばね?」

スキルアウト。不良で有名な彼らがやってきた。数は五人。キノは、ゆっくりと息を吸って――

「イヤです」

短く、一言だけを告げた。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:21:10.01 ID:icMtDkA0<>こめかみに青筋を浮かべるスキルアウト達。そしてそのまま飛びかかろうとしたとき――

キノの左手が、素早く腰の後ろに回される。抜かれたのは、細身のパースエイダー。自動式のそれは『森の人』という銘を持っている。
乾いた発砲音が、路地に木霊する。

放たれた一筋の弾丸は、寸分違わず飛びかかってきた男の足の腱を貫いた。
痛みで失速した瞬間、振り向き真後ろの二人の足の腱に銃弾を放つ。
そして残りの二人のうち右の方の脚の腱を、右手で抜いたホルスター入りのパースエイダー、『カノン』で撃つ。

瞬く間に四人を行動不能に陥れたキノ。その眼はあくまでも冷徹で、何か罪悪感を抱いている様子は無い。
殺される前に、殺す。それがキノの考えでもあり――師匠の考え方でもあった。

残りの一人が、少したじろぐ。

「安心してください。殺す気は、ありませんよ」
「――うっ……せぇぇぇ!! 発火能力(パイロキネシス)!!」

手から赤く煌めく炎が現れた。不可思議な現象に、キノは目を丸くする。
男が腕を振ったと同時に、炎は火の玉となり、キノに襲いかかる。

サッ、と避けるも、背後の壁に突き刺さった火の玉は中規模な爆発を起こした。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/20(火) 00:21:18.08 ID:cirGPwAO<>なろうでやれよ。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:22:42.65 ID:icMtDkA0<>「ハッハァ! 俺は強能力者(レベル3)だ!!」

再び、火の玉を生成し、キノに投げつける。だが、今度は一歩も動かない。
目の前に上げた『カノン』を構えた。

発砲音と同時に、キノの右腕が跳ねあがる。

路地の空中で、爆発が起こった。
黒煙を上げ、爆風が壁に煤を付ける。

それと同時に、吹き飛ぶ男。肩には銃痕が残っている。

「そんな火遊びでは、ボクは殺せません」

火の玉を、撃ち落とした。着弾と共に爆発する性質の炎を撃ち抜くことにより、キノに届く前に爆発。しかも、貫通した銃弾のおまけつき、だ。

「ち、チックショウ……舐めやがって……」

男は、よほど悔しいのか、唇の端から血を流している。
右腕をつらそうに持ち上げながらも、すこし万歳をするように手を上げる。その間には巨大な火の玉が現れる。

『森の人』を撃つも、弾丸は先ほどとは違い、火の玉を通過する。性質を、変えたのだ。

「死にやがれぇぇぇ!!」
(これは――どうすることもできませんね)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:23:11.75 ID:icMtDkA0<>だが、その間に割り込む影が。
ガラスが砕け散るような音を立てて、火の玉が霧散する。

「いいぜ……テメェが女の子に本気で攻撃しようってんなら――」

男は、恐怖よりも先程の全力を壊されたことによるショックで動けなかった。
そこに、影は拳を振り上げ、駆ける。

「まずはその幻想をぶち殺す!!」

左頬を捉えた右ストレートにより、男の体はノーバウンドで数メートル吹き飛ぶ。
壁に叩きつけられた男はずり落ち、意識を失った。
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:25:13.69 ID:icMtDkA0<>今日はここまで

というか書き溜めがここまでしかないっていうwww
書き溜めてからまた来ます

>>10
なろうとは? 無知で済みません<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/20(火) 00:25:31.34 ID:zBOfORUo<>なんか結構違和感あるけどとりあえず期待。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/20(火) 00:27:59.02 ID:icMtDkA0<>あ、スキルアウトに能力者が混ざっていたのは、それは彼がワルだからということで
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/22(木) 18:57:41.90 ID:D43ulGQ0<>投下しますね

あと若干キノの旅風に文を変えてみました
今までの堅苦しい…<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/22(木) 18:58:09.82 ID:D43ulGQ0<>影は、キノに向き直り、

「大丈夫か? 女の子がこんな所に一人でいたら危ないぞ?」

フラグを形成する要因の一つの吊り橋効果≠無意識のうちに最大限に発揮してるのを体現するように、笑顔を向けました。

「ありがとうございます」

深々と礼をするキノ。どうやら俺の嫁にフラグ体質は通用していないらしいです。

「一人じゃないって!」

そこに、エルメスの声が木霊しました。
機械からの声に、上条は驚き、

「うわぁ! え、なんで機械が……?」

エルメスをしげしげと見ています。
そんな情景にキノはクスリと笑い、

「初めまして、ボクはキノ。こちらは相棒のエルメス」
「よろしくね」

思いがけない所で始まった自己紹介に、影は戸惑いながらも、

「あ、どうも。俺、上条当麻って言います」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/22(木) 18:58:50.44 ID:D43ulGQ0<>自己紹介をしました。上条は自己紹介とともに、辺りを見渡します。視界には、足を押さえて呻く男たちがいました。

「これ……キノさんがやったのか?」

その表情は恐怖と言うよりも、愕然。信じられないといった顔です。

「キノでいいですよ。あと、質問に関してはそうですね。襲われたから撃ちました」

表情を変えずに言いました。冷徹にも見える態度だけど、そういうわけでもないようです。

「へぇ……」

相槌を打ちつつも、内心冷や汗を流していた上条さんでした。

(予想外にヤバいかも……いやいや上条さんでも流石に撃たれないでせう)

不幸体質。これが、上条を覆う周囲の攻撃。
とある10万3000冊の魔導図書館は、『右手が神様の幸運とかも打ち消している』という判断を下したが、上条の日常を鑑みるにあたっていると考えていいだろう。それほど、上条は不幸なのである。例えばここでパースエイダーを上条に持たせた場合、暴発するだろう。要はそういうことなのだ。
だが不幸である≠ニいうのは不幸に関われる≠ニいうことでもあり、上条はそういう点に於いての不幸は、むしろバッチ来いである。尤も、日常生活に於いてのスプリンクラーの暴発などは上条としても勘弁してほしい所だが。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/22(木) 18:59:23.44 ID:D43ulGQ0<>「さて、ボクは何故かこの世界に来てしまった旅人なんですが、この世界のことを教えてもらえないでしょうか」

キノの口ぶりに若干怪訝な顔をする上条。思わず口から言葉が漏れます。

「この世界……?」
「ええ、神様と名乗る男にこの世界に飛ばされました」

その返しを予想していたかのように、キノは淡々と答えました。

「そんなことってあるんだなぁ……」

不幸さに共感を覚える上条。尤も、無理やり違う世界に送られるなんていう不幸に普通に共感できている時点でアレなのですけれども。

「まったく、不幸ですよ。ということで、貴方の家にお邪魔してもいいですか?」

突然のキノの提案に、上条はしどろもどろし始めました。キモチワルくもあります。

「い、いや年頃の女の子が男の家に来るのは……」
「平気です。それに、こちらの世界で味方の一人は欲しいですしね。いいですか?」

平然と答えるキノ。どうやら熱いシャワーがあればいいらしいです。
因みに余談で蛇足ですが、上条家の浴槽は同居人の穀潰しにより、何故か爆発しているのです。でも、シャワーは使えます。

「ああ……じゃあ案内するよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/22(木) 18:59:53.04 ID:D43ulGQ0<>戸惑いつつも、キノを案内する上条。路地裏から出て、表通りに出ます。
人で溢れかえるそこは、薄暗い裏路地とは違って、明るいところでした。

「すごい……」

キノたんは、思わず目を薄くする。陽光は容赦なく降り注ぎ、眩しいぐらいです。
初秋のこのごろ、残暑により少し暑くも思えるのは、見ない景色に心を震わせているからなのでしょうか。
様々な学生服が入り混じるその中に、大きな単車を押す女の子がいるのは大変不似合いなものです。

「すごいですね。こんなに活気がある所、久しぶりです」
「あ〜、ここは学生の街だからな。若々しいってのもわかる」

素直なキノの笑顔を向けられた上条は、少し目を逸らしつつも答えます。

「へぇ……変わった街ですね」

感嘆の声をあげるキノ。多種多様な学生服が入り乱れるこの光景は、確かに奇妙でもあります。

「ああ、この街は、住民の八割が学生なんだ」
「ふぅん」

短い返答ですが、まったく驚いていないようではありません。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/22(木) 19:00:53.46 ID:D43ulGQ0<>「それで、さっきの超能力みたいなのは……超能力だ」
「超能力?」

若干声が裏返っているようです。飛行機で空を飛ぶことを魔法だと言っていた世界から来たのだから、当たり前です。

「ああ、電極やら薬やら使って脳の潜在的な部分に『自分だけの現実』を生成させるらしい。そしたら演算で能力が使えるようになるんだけど……ハハ。俺の右手は『幻想殺し』って言って、異能を打ち消すことができるんだ。まぁ、レベル0なんだけどね。どうせ発現したとしても頭の悪い上条さんはレベル2が限界でしょうけどね……ハハ……」

頭を抱えてしゃがむ上条に、キノは背中を少し撫でて、

「苦労……してるんですね。そういえばここ、なんて名前なんですか?」

一番、気になっていることを聞きました。
キノの世界観だと『学生の国』とかだったでしょう。しかし正式名称は違います。

「ああ、ここは『学園都市』だよ」
「学園都市……ですか」
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/22(木) 19:02:41.15 ID:D43ulGQ0<>今日はここまで

てかキノたんかわいすぎだろ
ボクっ娘でひんぬーとか最高じゃないか

美琴さんがボクっ娘になるssはよかったなぁ……<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/22(木) 19:08:42.02 ID:neDAqEDO<>ティーは出るか<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/23(金) 13:57:31.90 ID:kj.RbFg0<>私は信じているのだ!師匠と相棒とティーは必ず出ると!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/24(土) 19:43:52.99 ID:Pfpf5vc0<>今日は来るかな?<> とある魔術の左方殺し<>saga<>2010/07/24(土) 23:55:12.64 ID:UjhfHuM0<>投下します。
ちなみに師匠やハンサム、ストーカーやワン公やティーたんは


今 の と こ ろ 出 ま せ ん


まぁ、禁書世界ともう一つぐらいをキノで行って、
ストーカーと師匠で行って
最期に1,2して終わりかな

ちなみに日付は15巻の二日前です。
何月何日だっけ……?<> ああああ、タイトル残ったままだった<>sage saga<>2010/07/24(土) 23:56:10.21 ID:UjhfHuM0<>キノは少しはにかみながらも、こう返します。

「そのままの名前ですね。でも、いい名だ……」
「ハハッ。名前を付けた人も喜ぶだろうね」

上条さんは、再び俺の嫁に声をかけます。

「なぁ、キノ。キノがいた世界って……」
「見っつけたわよー―!」

ですが、そこに乱入者が現れます。
茶色の短髪で、可愛らしい髪飾りをしています。単調なデザインの服は、彼女が通う学校の制服でしょう。
顔は可愛らしくてついつい俺の嫁にしていしまいそうですが、どうにも前髪に迸る紫電が怖いです。
少し表情筋が引き攣っているのは、目の前の景色に対してでしょう。

「げっ! ビリビリ!」
「ビリビリ言うなッ!! 私には(以下略」

凄い剣幕です。目の前のツンツン頭の男に気でもあるのでしょうか。気が触れたように怒っています。
先程彼女が聞いたのは、『何故また女の子を連れているのか』とのことでした。

「わかってますとのことですよ御坂さん。あとこれには深い理由が……」
「はい。上条さんに助けていただきました。キノです。よろしくおねがいしますね。あ、こっちはエルメス」

ペコリと頭を下げるキノ。ついでとばかりに、エルメスのタンクを叩く。

「ついでみたいに言わないでよ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/24(土) 23:57:36.59 ID:UjhfHuM0<>男の子の声が機械から響いたことに若干怪訝な顔を御坂は見せます。

「あ……はい……じゃなくて!! なんで一緒に歩いてるのよ!! ……し、しかもアンタの家の方向じゃないの!!」
「当然ですよ。上条さんの家に連れて行ってもらうんですから」
「はぁ!? それどういうことよ!!!」

かくかくしかじか。かくかくかくかく。しかかく。
キノと上条は怒り狂う御坂に説明と贖罪をします。

「だからってアンタの家に行っていいわけないでしょ!! それにインデックスも怒るだろうし」
「……インデックス? 牧師だね!」

御坂の会話に出てきたインデックス≠ニいう単語。
ただの単語であって辞書か何かです。……ぎあっ、噛まないでインさん。ちょ、そこみさくら

「は?」

御坂は目を丸くします。確かにシスターだし牧師? いやいやないない。みたいなことが頭の中で暴れます。

「……目次=H」
「そうそう」

そうです。エルメスはおバカさんでした。
『インデックス』の意味がわからないキノとエルメスに、上条は話しかけます。というよりもう単語でいいじゃん。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/24(土) 23:58:04.51 ID:UjhfHuM0<>「あ〜インデックスってのはな……ま、行けば分かるだろ。御坂も来るか?」

その言葉を聞いて御坂は、アタ、フタとします。
顔を赤く染めて、手を目の前で振りながら、

「だっ誰がアンタの家に……「嫌か?」行く、行くわよ!!」

女の子は心変りが早いです。

「しっかし……キノも物好きよねぇ……こんな奴のどこがいいんだか」
「客観的に見るとカッコいいですね。あとフラグ体質みたいです。相当な修羅場もくぐってそうですし、もうこの人に全てを任せてもいいかな、と」

涼しい顔で行ってのけるキノタソ。しかし御坂はその内容に反応し、電気を迸らせます。
そして、上条に向かって、こう言いました。

「〜〜アンタって奴はぁー――!! 私だけじゃなく何人にもフラグ立てやがってぇぇぇ!!」

電撃が指向性を持って上条へと飛んでいきます。1000000000Vを誇る電撃は、当たるだけで致命傷です。

「キノ……さっきの、わざとでしょ」
「うん」
「うわあぁぁああぁぁぁぁぁぁぁッッッ……――」

直撃しました。死にました。めでたしめでたし。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/24(土) 23:59:43.65 ID:UjhfHuM0<>放たれた雷は、右手の力の前に消滅しました。
これこそが、上条当麻の唯一無二の能力――その名も――!!

「へぇ、その右手、どうなってるんですか?」
「ああ、この右手、『幻想殺し』(イマジンブレイカー)って言うんだ」

そう、イマジン――もう言われてましたね。

「異能を打ち消すことができるんだよ。能力とか魔術含めて――な。ほら、こんなふうに」
「ふぇ?」

頭に手を乗せる上条さん。それはもう右手の効果は絶対的でした。
迸る雷撃がまるで絶縁体を挟んだかのように消えました。

そして、御坂美琴はいわゆる「ふにゃ〜」状態になりました。

「それ、外さない方がよさそうですよ。漏電しそうです」

そう言い、スタスタと歩くキノ。とはいえ、上条の家なんて知るはずもありません。
後ろで雷の炸裂音と悲鳴が響きました。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/25(日) 00:03:59.48 ID:GOwHqyQ0<>今日はここまで。
一日目終了まで行きたかったけど力尽きた。

てか学園キノ読むと印象も書き方も変わってしまったね。残念。
まぁ水着の俺の嫁を見れただけで満足。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/25(日) 00:23:03.70 ID:HUKRvEAO<>乙<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/25(日) 00:50:18.04 ID:tqfdjJo0<>乙
あれはむしろ全編あとがきみたいなもんだからそれでいいんだww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/25(日) 21:02:39.08 ID:Uvra24c0<>学園キノを見たのならば

もっとテンション上げたらいかが?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/25(日) 21:46:10.24 ID:GOwHqyQ0<>うわ今気付いた

>>30を修正
―――――――――――――――――――――――――――――――

とはならず、当たったその右手で、何かが弾ける音がしました。
1000000000Vですが、跡形もなかったかのように霧散していきます。

「あっぶねー、死ぬかと思った」
「何が『危ない』よ!! 一度も喰らわない癖に……むむむ、忌々しい……」

放たれた雷は、右手の力の前に消滅しました。
これこそが、上条当麻の唯一無二の能力――その名も――!!

「へぇ、その右手、どうなってるんですか?」
「ああ、この右手、『幻想殺し』(イマジンブレイカー)って言うんだ」

そう、イマジン――もう言われてましたね。

「異能を打ち消すことができるんだよ。能力とか魔術含めて――な。ほら、こんなふうに」
「ふぇ?」

頭に手を乗せる上条さん。それはもう右手の効果は絶対的でした。
迸る雷撃がまるで絶縁体を挟んだかのように消えました。

そして、御坂美琴はいわゆる「ふにゃ〜」状態になりました。

「それ、外さない方がよさそうですよ。漏電しそうです」

そう言い、スタスタと歩くキノ。とはいえ、上条の家なんて知るはずもありません。
後ろで雷の炸裂音と悲鳴が響きました。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/25(日) 22:49:55.96 ID:GOwHqyQ0<>うし投下。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――学園都市虚数学区・五行機関『窓の無いビル』――

外≠フ自然光を一切取り入れず、機械的な明かりのみが灯る。
明滅を繰り返す廊下。その先に、一つの部屋があった。
中央には何かを培養するかのような巨大な円筒型の設備。その周囲を囲うようにして、コードに繋がれた機械達が稼働音のハーモニーを生み出す。
そして、その円筒型の設備は赤い液体で満たされており、その中には『人間』がいた。それも、逆さまで。
何故液が赤いのかは、フェノールフタレイン溶液が塩基性の液体に反応しているからである。『人間』の排泄に反応したわけではない。断じて。
それは生々しいからではない。単に、『人間』が水分も栄養も必要としてないからである。『人間』の体は大体が機械で代替(ダジャレじゃないよ!!)されており、生きる≠ニいうことを機械に依存しているのだ。逆に言えばここが破壊されれば、『人間』は生きていられない――常識の範疇では。そこに付け込もうとする組織もいるかもしれない。空間移動能力者なら意外と簡単に入れてしまう『窓の無いビル』。かつては超能力者、一方通行による通称自転砲により攻撃を喰らったが、柳田準拠で言う所のビキニ水爆2100個分の衝撃を受けても傷一つ付かなかったこの建物は、最早人間が認知できる範囲から逸脱していた。関わることすら許さない虚数学区の架空技術。そんなところを支配下に置く『人間』は、当然何らかの対策を講じているだろう。

その、『人間』は。男女の区別もつかないような存在そのものが謎の『人間』、アレイスター・クロウリー(以下☆)は、静かに笑った。

「旅人が来たようだ。こことは違う世界から――ね」

対して、その装置の前に立ち、逆さ状態の☆を敵対の目で見る金髪サングラスで見えない目のアロハシャツは、口を開く。

「――で、俺に何の命令だ? ☆」
「明日でいい。招待≠オようではないか。この窓の無いビルに――ね」
「……チッ。いけすかない野郎だ」

捨て台詞を吐き、振りかえる。そこには『窓の無いビル』の案内役がいた。
<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/25(日) 22:51:28.63 ID:GOwHqyQ0<>
「素晴らしい家ですね」
「そ、そうでせうか。酷い方にはいると思うんですが……」

家の前に立つキノと上条と御坂さん。寮の自転車置き場には、哀れなエルメスがいました。

「あがらせてもらうわよ」

ズカズカと上がり込む御坂。上条は焦っているようです。

「あれ? イン……ってどれのことですか?」

中には、誰もいませんでした。
インデックスが何かを気にしていたキノは、肩透かしを食らったような声を放ちます。
まぁもうどうでもいいでしょう。

「あっ……書置きがある」

『こもえのところにいってくるんだよ。焼き肉ぱーてぃーでおとまりなんだよ! 肉肉にっくー♪』

「てててことはアンタキノと二人っきりでお泊り!?」

顔を赤らめながら、指をさしてあたふたする御坂。
相当可愛らしいけども、上条さんの目には奇行に映ってるだけみたいです。
君の目は節穴、むしろ風穴になればいいのにね。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/25(日) 22:52:03.92 ID:GOwHqyQ0<>
「まぁそうなるな」
「ですね。野宿よりはましでしょう」
「そ、そんなの許さないわよっ!! 私も泊まる!」

トンデモ発言をしたお嬢様。とてもそんな風には見えないんですけども。

「うえっ!?」
「何? イヤなわけ?」
「いや、上条さんとしては嬉しい状況ではあるのですが……門限とかは大丈夫なんでせうか」

ハッと気付いた顔をする御坂。
急いで携帯電話を取り、打ち慣れた動作でアドレスを漁っていきます。
ボタンを押し、通話状態になった相手とは!!

「もしもし」
『む、御坂か』
「実は今日は」
『ああ、知っているぞ。レベル5だけの特別研修だったな。『上』から連絡が届いたぞ。まぁ頑張れ』
「えっ!?」
『ん? どうかしたのか?』
「〜〜とありがとうございます」

ブツッっという音と共に通話が途切れます。
唖然とした顔で呟く御坂。

「え……どゆこと?」








☆「旅人を利用してプランの短縮をさせてもらおう。お膳立てをしなくてはな」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/25(日) 22:52:40.12 ID:GOwHqyQ0<>「まぁいいんじゃねぇの? ホラ、キノも座る座る」

軽い口調で言う上条。これが後に大きな波乱を巻き起こすことにな――――らないけどね♪
上条に【促されて】座るキノ。御坂もついでに座り、なんともまぁ珍妙愉快傑作な絵ができあがった。

「キノのこと、聞かせてくれよ。気になるしさ」
「はい。えっと――」

略。気になる人はwikiで検索してね。
検索してね。検 索 し て ね。ケ・ン・サ・ク・カ・ク・テ・イ・ネ。

「んじゃ、そろそろ寝るか」

シャワーも浴び、寝間着姿になったキノ。御坂はパジャマを持ってきてないので、上条さんのシャツに短パンで代用。
俺の嫁は、「フカフカのお布団……」とか言いながらベッドに倒れ込みます。今は初秋ですから少し暑いですよー。初春だと涼しいんですけどねー。

「さて、上条さんはいつも通り風呂場へ……」
「馬鹿、何言ってんのよ」
「え?」
「わ、私も床で寝て上げるし……アンタも隣で寝なさいよ」
「い、いやそれは」
「……」
「うっ」
「……」
「zzZZ……」
「わ、わかりましたよ御坂さん」
「よろしい」

一日目の夜は、ここで終わり。
だがこの時点では、誰も――そう、誰も明日の展開を読み切っていなかった。

☆以外は。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/25(日) 22:54:42.66 ID:GOwHqyQ0<>オッケーここまで。
明日から俺の嫁が大活躍するかも。

しっかし☆の口調がヨクワカンネ
まぁどうでもいいんだけどね。

というか明るい感じとかむずかゆいです。

くぁwせdrftgyふじこlp;@:

になりそうです<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/26(月) 14:42:13.37 ID:ChGUV020<>アレイ☆  じゃないのか?<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/07/26(月) 23:17:23.60 ID:o29INQw0<>>>41

アレイすらがめんどくさ(ry
どうせギャグ狙って☆単体に(ry

ではでは、投下します。
毎日更新ってのはぁ……ツライもんだねぇ。てかタイピング遅い俺には致命的。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/26(月) 23:18:08.81 ID:o29INQw0<>――朝――

(……二人とも、まだ寝てますね……床で。悪いこと、しちゃいましたね)

常識人のキノは、罪悪感を感じながらも、ベッドから立ち上がります。
どこぞの銀髪シスターのような常識の通用しない人とは違います。流石俺の嫁ですね。

(まぁ、御坂さんも幸せそうにしていますしいいでしょう。そういえば二人は付き合ってるのか……疑問ですね)

そしてそのまま、エルメスから運んできた荷物のそばにしゃがみこみました。
分解されたハンド・パースエイダーを組み立て直し、家主を起こさぬように外に出る。

抜き撃ちと格闘の訓練を行っているとき、上条家の隣のドアが開きました。
そこから出てきたのは、アロハシャツにサングラス。金髪黒眼の腹筋割れてるヤの付く自由業(嘘です)が現れました。
隣人の名前は、土御門。上条のことを上やんと呼ぶ親友であり、裏では魔術サイド化学サイドの両面スパイや、『グループ』という組織で日々殺人に勤しんでいます。学校行きながらのアルバイトとしては少々過激ですが。

「なんだにゃー?……って女の子?」
「あ、おはようございます」
(な、どういうことだにゃー……)

土御門は、『裏』の住人としての観察眼を発動させます。

(上やんの家の前に立つ、寝間着姿の女の子。そして、上やんのフラグ体質……これらの要因が符合するのはただ一つ……ッ!!)
「虐殺決定だにゃー」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/26(月) 23:19:04.74 ID:o29INQw0<>キノたんは拳を堅く握りしめていた土御門の顔を覗き込みます。
大きな眼をサングラス越しに捉えた土御門は、ある一つのことを思い浮かべます。
昨夜の☆との会話。旅人≠フことについて。その、顔を。

(まさかこの女の子が、キノという旅人か?)

歯車が噛みあったような感覚が土御門の体を電気信号の速度で駆け巡る。
☆は『この世界のことを知る為に誰かのことを頼りにしているはずだ』、と言っていた。

つまり……

(そ う い う こ と か。☆め、やってくれる。最初から上やんの家に泊まっていることを滞空回線で知っていたんだ)

瞬時に自分の役目について思い出す。旅人を招待≠キるという、学園都市の最高権力からの直々の命令を。

「どうか……しましたか?」
「あ、ああ。ちょっと考え事していたんだにゃー」
「どんな?」

読めない。土御門は若干の読心術を持っている。目線の動きなどから、だ。
だがキノの眼にはどの色も浮かんではいない。
<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/26(月) 23:19:40.16 ID:o29INQw0<>「君は上やんの家に泊まったのかにゃー?」
「ええ。でも、一人ではないですよ。御坂さんと言う方も一緒です」
「なにー!! それは許せんぜよ!! かーみやーん!!」

ドアを開け放ちその中に靴を脱いで踏み込みます。
そこには、床で寝る二人の姿がありました。それも――
御 坂 美 琴 が 上 条 当 麻 に 抱 き つ く 形 の。

プルプルと土御門は肩を震わせます。そして再び大声で叫ぼうとした時、
背中に堅いものが押しつけられました。土御門も知っている感触。

「あまり声は出さないでくださいね。上条さんに迷惑がかかります」
「……すまんにゃー。でもな、これは友情が為す行動なんぜよ?」
「!? そうでしたか。上条さんの友人であれば、問題は無いはずです」

その瞬間、土御門は ニ ヤ リ と口角を上げ、口を開きました。

「かーみやぁぁぁぁぁぁん!!」
「うおあっ」

上条は起き上がりました。胴辺りに絡まっていた御坂の手も同時に持ちあがり、眼を覚まさせます。
寝惚け眼の美琴は、辺りを見渡して、自分の腕が上条の胴に絡まっているのを見て、

「〜〜〜〜〜ッ!!」

声にならない絶叫を上げ、放電を始めます。
素早く上条が右手を出してそれを防ぎました。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/26(月) 23:21:01.74 ID:o29INQw0<>「おはようございます」

キノがペコリと頭を下げました。その横で、土御門がズンズンと迫り、

「天誅だにゃー!!」
「ごっ、がっ、アアあああああああぁぁぁぁァァァアアあああああッッッ!!?」

唖然とする御坂と、悠然とした態度で銃を分解し、再びしまうキノ。

「平和ですね」
「え……え?」
「ではボクはシャワーを浴びてきますね」

そういうと、欄干に布団のような形で干されていたいつもの服を取り込み、扉を閉めた。

「ぶっ殺してやるぜい!!」
「ぐっ……いいぜ、俺に理不尽な暴力を振るうってんなら……まずはその幻想をブゲラッ!?」
「理不尽なのは上やんのフラグ体質ぜよー!!」

こうして、上条家の朝は更けてゆく。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/26(月) 23:21:49.04 ID:o29INQw0<>「さて、ボクはもう行きますね。いつまでもお世話になるわけにもいきませんし」
「おう。いつでも頼ってこいよな」

上条は言いながら微笑みかける。キノは会釈で返し、すっかり忘れられていたエルメスを押しながら学園都市の喧騒に消えていきました。

「……んじゃ、私も帰るわね」
「……朝はごめんな。嫌だったろ」
「!! そ、そんなこと……ゴニョゴニョ」

モジモジする美琴さん。ちなみに隣人はというと、『用がある』とか言いながら消えていった。
上条は『どうせ愛しの義妹に合いに行くんだろ』と思って深く追求は……しなかった。

 そ  れ  が  間  違  い  だ  っ  た        のかもしれない。



――学園都市某所――

「さて、エルメス。どこにいこうか」
「そうだねぇ。ここじゃあんまりエンジン掛けられないから、違う世界に行きたいかな」

無言でタンクを叩きます。エルメスは抗議の声をあげますが、キノは気にとめません。
そんな二人(?)の前に、よく見た男が現れました。

「キノ。お前を学園都市統括理事長アレイスター・クロウリーの命で招待≠キる」
「……土御門さん。どういうことです?」
「俺は嘘つきだ。だけども、余り手荒な真似はしたくない」
「……わかりました。行きましょうか」

赤髪のツインテールがキノの横に何の前触れもなく、現れる。
サラシを巻いたその胸は、男性を誘っているようにも見える。

キノは、やれやれといった態度で溜息を吐いた。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/26(月) 23:23:43.22 ID:o29INQw0<>きょーはここまでぇ!!

ちなみにシリアスな感じの所は口調を変えて三人称やってます。
いやまぁミスでどうでもいいところが変わってますが。

でもね、そんなの
関係ねぇんだよ! カァァァンケイねぇんだよオォォオオオオオオッ!!<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/27(火) 21:56:17.80 ID:ixntKTY0<>「……ようこそ、窓の無いビルへ」
「こんにちは。今日は良い天気ですね」

巨大な円筒型のガラス容器。その中に上下逆さまになった『人間』がいた。
対峙するキノは、笑みを崩さず相手の出方を窺っている。

「まずは一つ聞いておこうか。この世界の居心地はどうだね? 旅人」

「……へぇ、流石はこの街の長なだけありますね。どうやって知ったんです?」

「簡単な話だよ。私はこの街にざっと5000万程の小型監視装置を使っている。そうしたら路地裏に君が突然現れたのでね。申し訳ないが監視を付けさせてもらった」

「プライバシーの概念はないんですね。ボクにそれを言ってしまってもいいのですか?」

「構わない。話すわけがない、ということは殆ど予想できている」

「……言葉も出ません。で、ボクをどうするつもりですか?」

「人を、殺せるか?」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/27(火) 21:56:52.74 ID:ixntKTY0<>「ええ。勿論できれば撃ちたくはありませんが、報酬次第ではやります」

「では人材派遣の方に話を回しておこう」

「ありがとうございます」

キノは、脇に立て掛けたエルメスと一緒に、ツインテールの案内人の元へと行く。

「ああ、旅人。身体検査を受けると良い。もしかしたら能力が発現しているかもしれないからな」

「わかりました」

案内人がキノに触れると同時に、その体は空間から消える。
後には、静寂と男性のようでもあり女性のようでもある声が残る。





「これは……プランの短縮ができそうだな」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/27(火) 21:57:21.49 ID:ixntKTY0<>「『……へぇ、驚きましたね。貴女、大能力者ですよ』だってさ」

「それって結構凄いことなんじゃないの」

銃を手で弄びながら、エルメスに語りかけます。エルメスは軽い調子で返しました。

「軌道操作=iワンショットキル)……まぁ、ボクにはあまり必要のない能力だよ」

「へぇ? それまた何で?」

「能力なしでも確実に当てる自信があるからさ」

「パチパチ。すごいすごい」

エルメスがおちょくるように言いましたが、キノは何事もないかのようにエルメスに跨ります。

「さて、人材派遣の所まで行かなくちゃ」

「ごー」

音を撒き散らしながら、モトラドを操作するキノ。ちなみに単車は大人しか乗れない街ですよー。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga <>2010/07/27(火) 21:58:49.58 ID:ixntKTY0<>今日はここまで。若干疲れてきた……
やっと禁書世界半分か。ちなみに木曜辺りにパソコン修理に出す予定。

水吹いてキーボードのところから沁み込んだっぽくて音声がぶっ壊れた<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/27(火) 22:38:38.73 ID:DlO0/pM0<>乙!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/28(水) 12:02:54.78 ID:JEE1mK60<>乙!
なにに吹いたんですか?<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:35:48.74 ID:gqEF0rA0<>よし投下ー
ちなみに人材さんとか色々とオリジナル設定付けてる
だって……禁書ってさぁ……




かませが多いもん

空気キャラも多いしさ……設定足しちまってますから閲覧注意<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:36:21.60 ID:gqEF0rA0<>――人材派遣(マネジメント)本部――

キノ「どうも、今日からお世話になりますね」

人材「ああ、アンタがキノさんか。サッソクここに必須事項を書いてくれ」

キノ「どれどれ……?」

名前、職業、年齢、仕事条件。このあたりは当たり前なんですが……
報酬の形、報酬額、使用武器、支給所望パーツ、などの明らかにカタギではないものが書かれていました。

キノ「まぁ、あの会話からある程度予想は出来ていましたけどね……書けましたよ」

人材「どれどれ……なぁキノさん。このハンド・パースエイダーってなんだ?」

キノ「これですよ」

人材「ああ、拳銃か。しっかし今どき普通の拳銃ねぇ……まぁ、腕は確かなようだ。学園都市製の消音器を貸してやるよ。銃三つさっさと出しな」

軽く構造を見て、それぞれに消音器を装着していきます。
手なれたその作業は、ものの十分で終わりました。

キノ「へぇ。この街のサイレンサーはどんな銃にも対応可能なんですね」

人材「おらよ。しっかしまぁ……古いタイプのを使ってんだな。最新型のも、貸そうか?」

キノ「いえ。自分の手に馴染んだのが一番ですし」

人材「違いない」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:36:47.76 ID:gqEF0rA0<>そこで、電話が鳴ります。prrrrrrrrrr……人材派遣が受話器を取ると、若い男の声がしました。

??「よぉ。久しぶりだな」

人材「おっ、『スクール』さんか。世話になってますね」

スクール「世間話はいい。急遽、狙撃手を雇いたい」

人材「狙撃手? この前紹介≠オた気がするんだけど?」

スクール「無能力者は駄目だな。やっぱり狙撃手も能力者に限る」

人材「一応リストを読み上げると……狙撃手は現在三名だな。一人目、砂皿緻密。得物は磁力狙撃砲で、紹介料は70万、報酬は1000万で『外』の備兵だ。修羅場を一番くぐってんのはこいつだな」

人材「んで二人目は大連能臣(おおむらじ のうみ)。武器は散弾銃と、レーザーライフル。紹介料50万、報酬700万だ。無能力者の16歳だ」

人材「三人目はキノ」

スクール「は? 苗字とかねぇのかよ」

人材「素性不明、だ」

スクール「ナメてんじゃねぇぞ」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:37:28.02 ID:gqEF0rA0<>
人材「うっせぇな。今日上から回されたんだよ。腕は三人中で一番。武器は拳銃二つと「五二式国民ライフル分解型」……まぁライフル一丁だ。全部サイレンサー付き。紹介料200万、報酬は宝石類で700万円分。大能力者の軌道操作=iワンショットキル)」

スクール「へぇ。そいつでいい」

人材「高いぞ?」

スクール「俺の財力に常識は通用しねぇ。それに、素性不明だと色々扱いやすい」

人材「そうか? 俺なら怪しい奴は扱わないが」

スクール「そういうやつは秘密を守って誰にも目を付けられねぇから素性不明って相場が決まってんだよ」

人材「了解了解。いつもの場所でいいな?」

スクール「ああ。後最後に」

人材「ん?」

スクール「人材派遣のくせに狙撃手が二名だけって少なくねぇか?」

人材「いいんだよ」

スクール「じゃあ午後三時にな」ブツッ、ツーツーツー

人材「さて、キノさんを呼んで……ああ、あの単車にも音鳴らないようにしておくか。お得意さまからのクレームはご勘弁だしな」

呑気なことを言う人材派遣。翌日に、まさかあんなことになるなんて……ウッ、結構いいキャラなんだけどなぁ……グスッ<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:38:05.08 ID:gqEF0rA0<>人材「……オーケー、200万ピッタリ貰った」

スクール「しっかし……まだガキじゃねーの。どんな境遇何だか」

人材「ああ。『目玉商品』の砂皿緻密、言っただろ?」

スクール「興味ねぇよ」

人材「あいつ並に修羅場くぐってそうな眼だろ?」

スクール「信用できねぇな。本当かどうかは俺の匙加減だ。俺に周囲の意見なんて通用しねぇ」

人材「まったく。お前は相変わらずだな。周りを少しくらい信用しろよ? 俺や心理定規は、お前以上にお前のことを知ってるつもりだが」

スクール「うっせぇ。レベル5ナメてんな」

人材「知ってるか? あの一方通行にだってお父さん役がいたんだぜ?」

スクール「!? ……アイツはアイツだ。で、あのキノってのは何なんだ?」

人材「知るか。統括理事会とか統括理事長サマにでも聞いてくれ」

スクール「よしわかった。アレイスターの直接交渉権ついでに聞くか」

人材「……あんまし危険なことすんなよ?」

スクール「保障はできねぇな。だが俺に常識は通用しねぇ」

人材「はいはい。んじゃ、俺はそろそろ帰るから」

スクール「じゃあな」

人材「……死ぬなよ?」

スクール「うっせ」

人材「じゃあな」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:39:17.76 ID:gqEF0rA0<>スクール「……死ぬかもしんねぇけどな」

キノ「お話は終わりましたか?」ピョコ

スクール「うお……ああそうだな」

俺嫁「では、第一に貴方は誰ですか? それと、どんな仕事を?」

垣根「ああ、俺は垣根帝督。一応この街で二番目に強い……今はな。そしてここは暗部『スクール』。仕事はおいおい話そうか」

キノ「わかりました」

垣根に連れられ『すくーる』のアジトに入って行くキノさん。エルメスはその前に停まっています。

エルメス「……またこのパターンか……まぁ慣れてるからね……」



??「あら、その子が新しい狙撃手?」

キノ「初めまして。ボクはキノです」

土星「ふん。この俺は土星 稚(つちぼし わっか)。よろしく」

??「あら、そんな簡単に名乗らない方が暗部の世界では生き残るのよ?」

垣根「え、名乗っちゃいけなかった流れ?」

心理「……あなたに常識を覚えさせるのは諦めた方がいいの? 私は……心理定規=iメジャーハート)」

垣根「さて、まずはキノに俺達の目的について話そうか」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:40:03.15 ID:gqEF0rA0<>キノ「いえ、あまり興味ないのでいいです」

垣根「まぁそう言わずに」

キノ「遠慮しておきます」

垣根「まぁ少しぐらい」

キノ「いいです」

垣根「聞いてくれ」

キノ「イヤです」

垣根「……聞けっつってんだよおぉぉぉぉおおぉぉぉオオオオッッ!! 超能力者ナメてんじゃねぇぞオオぉぉぉぉォォッ!!!」」

バッ! という擬音を伴い、純白が空に舞う。
宝石のように透き通っているのに、しっかりと白≠認識できる。
大きく薙がれたのに、さほど風を伴っていない。不可思議、あまりにも不可思議。
六つの純白の翼が、メルヘンチックに輝いている。
その中心である垣根帝督の茶髪に、本のような物が突き刺さった。

垣根「痛ってぇぇぇ!!」

心理「ここで暴れないでって何回言えばわかるのかしら?」

垣根「ぐっ、すまん」

白い翼が、まるで空気に溶けるかのように消えました。
宙に浮いていた垣根の姿はフワリと地面に降り立ちます。

心理「あなたはそろそろ自重ってものを覚えた方がいいわ」

垣根「俺の未元物質に常識は通用しねぇ」キリッ

キノ(変な人ですね……)<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:40:37.35 ID:gqEF0rA0<>キノ「まぁ直接交渉権≠ニかいうのを手に入れるんでしょう?」

垣根「なっ、なんで知ってやがる!!」

キノ「……さっき若干盗み聞きしてたので」

土星(この俺空気)

垣根「テメェッ!!」

キノ「何ですか?」

垣根「誰にも話すなよ……」

キノ「わかってますよ。自分の不利益につながることはしたくありませんので」

心理「あら、良い心がけね。この人よりわかってるんじゃないかしら」

垣根「うっせぇよ」

キノ「お二人は付き合ってらっしゃるのですか?」

心理「ブフフゥッ!! ……ゲホッゲホッ……んな訳ないじゃない」

垣根「そうだそうだ。第一どっちかって言うと俺は嫌われている方でな……」

心理「だっ、誰があなたのこと嫌ってるのよ!?」ボコッ

垣根「イテッ!」

土星(この俺超空気)

心理「あ、あなたが悪いんだからっ」

垣根「わけわけんねぇよ」

キノ「まぁ女性は神経質ですしね。ボクはそうでもありませんが」

垣根「は? お前男じゃねぇのかよ」

キノ「え?」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:41:44.66 ID:gqEF0rA0<>土星(何この空気)

垣根(か、垣根は予想外すぎて口調が変に……なってたまるかぁぁァァアア!!)

心理(まぁ私は知ってたしね。能力って便利)

垣根「ま、まぁ明日の予定について話そうか」

キノ「はい」

垣根「明日、俺たちがやることは超微粒物体干渉用吸着式マニレピュータ、通称『ピンセット』の強奪だ」

キノ「……マニ……まぁ、ボクの仕事はその援護ですか?」

垣根「ああ。だがその前に一つやってもらいたいことがある」

キノ「それは?」

垣根「統括理事会の親船最中の狙撃。十二時開始の演説中を狙え。失敗でも成功でも良い。この場合はそちらに注意を向かせるのが目的だからな」

キノ「わかりました」

垣根「終わったらあの単車に乗って第十八学区・素粒子工学研究所付近のビルから狙撃しろ」

土星(この俺かませ)

キノ「わかりました」

心理「あなたの部屋は三階の右から二番目よ。シャワーもあるわ。食事はちゃんと用意してあるから」

キノ「では休ませてもらいますね」

部屋に入ったキノはパースエイダーの調整をし、シャワーを浴び、食事をとって、ライフルの調整、スコープの倍率調整などをし、再びシャワーを浴び、寝ましたとさ。




エルメス「……キノ、恨んでやる」

外で呟きが漏れましたが、スルースルー。
スルースキルは大切ですよね!!<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/28(水) 20:46:51.27 ID:gqEF0rA0<>ここまで。

あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁぁぁァァアアアアアッッ!!!
地の文書きたい症候群があぁぁぁぁぁぁあああああああああああ……収まった

まぁ次から地の文だらけに戻るでしょう。それもシリアスまみれの。
しっかし会話中心だとえらく早くかけるな……

土星はもぅ投げやりです。そんな感じの名前じゃないですか。
大連? 名前だけのかませですよ? 伏線ですらないです。

>>54
言わせんな恥かしい///<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 17:40:25.18 ID:2J5RSMU0<>――朝――

垣根「さて、あと二時間ほどだ。そろそろ準備はできたな?」

土星「問題ない」

心理「万全よ」

キノ「眠たい……」

キノだけが気の抜けたことを言う中、電話が鳴り響く。
『スクール』のリーダー、垣根帝督は乱暴に受話器を掴み取り、耳元へと運ぶ。

垣根「誰だ?」

下部組織「かっ、垣根さん! 人材派遣が、襲撃されました」

垣根「はぁ?」

下部組織「生死は不明ですが……無事ではないでしょう。今『グループ』の護送車に乗せられています」

垣根「チッ……」ガチャッ

受話器を叩きつけた垣根は、人間らしい&\情を見せ、全員に命令する。

垣根「キノ。お前は打ち合わせ通り狙撃に向かってくれ。それから……土星、人材派遣の生死を確認して来い……生きてたら、楽にしてやれ」

土星「わかった」

キノ「りょーかいー」

垣根「心理定規は俺と来い……行くぞ。始動≠セ」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 17:41:13.27 ID:2J5RSMU0<>「さて、あの気の弱そうなおばあちゃんですか……」

ビュウゥゥゥ…………
微かな風がビルの間に吹き、その屋上に木霊を響かせている。
親船最中を狙撃できるであろう15のポイントのうち、1つにキノはいた。

目の前には『フルート』が狙撃台に固定され、銃口を講演会場に向けている。キラリと光る銃口は、喩えるなら研ぎ澄まされた獣の牙。
掃除などまるで行われていないビルの屋上の床にうつ伏せになり、トリガーに指をかけ、スコープを覗き込む。

スコープ越しに見えた景色は、講演会場の広場。中央には文化祭で使われるような簡単な舞台が設置されており、その上に立つのは初老の女性。柔和な微笑みを浮かべるその顔に、不安はなさそうだった。周囲には四人の黒服。四人ともが服越しでもわかるほど屈強な肉体を持っている。そして少し離れた所には、特殊車両に取り付けられた大型の冷蔵……扇風機のような物があった。金属製の立方体の中で、プロペラが回っている。四方からランダムに風を吹かせているそれの名を、『妨害気流』(ウインドディフェンス)と言う。

「あれが風で狙いづらくする機械ですか……」

(まぁ、ボクに目覚めた能力ならば関係ないんですけど。能力がなかったら全部潰すことになってましたけど)

カチャリ。ライフル本体が少し動いた音。そしてスコープの中心に親船最中の皺だらけの顔を置く。
キノの今現在の大能力、軌道操作=iワンショットキル)はその名の通り、絶対座標を用いてその場に弾丸を的中させるというものだ。軌道も自在に設定でき、弧を描いて真横を狙わせることも、真後ろを狙わせることも、絶対座標さえ把握していれば壁の後ろだろうと狙える能力。

「……親船最中さん、さようなら」

距離は676m。普段のキノでもほぼ確実に当てれる距離だ。
この引き金を引けば二秒後、親船最中の頭はザクロのように中身をぶちまけるだろう。

カチリ、という音と共に、学園都市製のサイレンサーにより最小限にまで抑えられた発砲音がビル屋上に響く。

瞬間。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 17:42:02.02 ID:2J5RSMU0<>爆風に煽られて親船最中の細い痩せた体は倒れ、弾丸の軌道から見事離れた。
その場を通り過ぎた銃弾は標的を失い、舞台の端を掠め、アスファルトに食い込む。

「何でしょうか……?」

疑問を覚えながらも、もう一発撃ち込む。
だが、護衛の一人が間に割り込み、銃弾を防弾チョッキの腹部で受け止めた。

黒い煙が親船最中を覆う。スコープ越しに捉えるのは不可能になった。

「潮時ですかね」

サッ、とフルートを台から取り、ケースに入れる。
それを肩に背負い、もう一度舞台の方に視線を遣った。










                  












                    目の前に、白が迫っていた。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 17:43:33.47 ID:2J5RSMU0<>「っ!! ……うわぁ!!」

言いようのない悪寒がキノの体を駆け巡る。広場から一直線に迫るこの『白』は、今まで遭った何よりも、火砕流や濁流よりも、恐ろしかった。

ブワッ!! と。
白がそのウルトラマンのようなセンスの悪い服を靡かせ、太陽の光を遮った。
その手に持った現代的なデザインの杖が音速で射出される。

寸前に回避行動を起こしていたキノは直撃こそ免れたが、現在的なデザインの杖は狙撃用の三脚に直撃し、そのままビルの屋上に突き刺さった瞬間、三脚の破片やらアスファルトの破片が、まるでショットガンのようにキノに突き刺さる。

「がっ……」

為す術もなく吹き飛ばされるキノの小柄な肉体。茶色のコートには所々赤が滲んでいる。
そして白≠ヘ降り立つ。楽しそうな、愉しそうな、タ ノ シ ソ ウ ナ 笑みを浮かべて。

「こォ〜ンにちはァ。今日はイイ天気ですねェ? 狙撃手さんよォ! あはぎゃはっ」

狂ったように白い人間は、笑う。嗤う。哂う。
キノは冷や汗を頬に感じながら、

「……ええ、狙撃日和でしたよ」

素早く右腿の『カノン』を抜き放ち、目の前の白≠ヨと……放たない。
放たれた銃弾は白≠フ真横を通る。つまり、外したのだ。

「オイオイ、恐怖で狙いも定……」

遥か後方へと空を切った弾丸は“白≠フ背中へ突き刺さる”。だが、何事もなかったかのようにその白≠ヘ立っていた。
銃弾は反射≠ウれ、後方へと飛んでいく。

キノは白≠ノ問う。銃弾を喰らっても何事もないこの化け物に。銃弾を反射したこの化け物に。676mの距離を数秒で縮めたこの化け物に。

「……何者、ですか?」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 17:44:19.87 ID:2J5RSMU0<>
「ハジメマシテェ、一方通行でェーす。つーことでさァ……とっととユカイなオブジェにしてやンよ!!」

轟!!

一方通行の華奢な体が、銃弾とさして変わらない速度で飛ぶ。
キノは横に飛び避けるも、衝撃波により地面を転がる。

「で、『すくゥる』さんよォ、何で親船最中を狙ったんだァ?」

両腕を静かに広げて、問いかける。バックには青い空。白い雲。勇気を持って踏ーみ出ーそ……じゃなく、一方通行の足が、一歩ずつ、一歩ずつキノに迫る。キノにはそれが、断頭台へと進む囚人の歩みにも見えた。本能的に悟る。一方通行と自分までの距離が、自分の寿命だと。

「うっ、わあぁぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!」

バッ、と身を翻したキノは、出口に向かって駆けだす。
一度ブーツが滑り、地面にぶつかる。その際に背負っているケースから水筒やらスコープやら何か筒状の物が落ちたが、キノは再び錯乱した様子で逃げ出す。

「……チッ、つまンねェなァ」

チョーカーのスイッチを切り、いつの間にか手元に引き寄せていた現代的なデザインの杖を地面につける。
そして、懐から愛銃を取り出す。

「じゃァな、小悪党」

逃げるキノの背中に照準を置く。


炸裂音と、轟音が響いた。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 17:46:44.07 ID:2J5RSMU0<>うああああ、早速ミスった。

>>67の最初に

>ゴバッ!! と。
>何の前触れも見せずコンサートホール前広場の一角が爆発し、黒い煙と人々の絶叫を伴う。

を追加。

なんでこんなにコメント少ないんだろう……
需要ないのかな? クドく書きすぎかな? それとも最初の掴みで失敗したのかな?
まぁ一方さんが来てからが本番。

あ、夜にまた投下するかも。

<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/29(木) 18:13:23.11 ID:5ZUAuKM0<>キノの能力がセックス・ピストルズを思い出させるな<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/29(木) 18:23:54.63 ID:lDrtQsAO<>見ているぞー<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/29(木) 19:56:16.11 ID:wfy141I0<>コメントじゃなくてレスな<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 23:13:11.54 ID:2J5RSMU0<>うえ疲れた。中途半端なとこまでだけど投下行く。

>>71
それは知らないけどこの業界で能力が被るのは必然。焦ることではない。

ちなみに人格崩壊若干注意。
今更か
<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga <>2010/07/29(木) 23:13:43.55 ID:2J5RSMU0<>だが、その轟音は光を伴ったものだった。
先程落した筒状の物体。水筒に隠れて見えにくかったが、あれはスタングレネードだった。

通常ならば一方通行は気付いていただろう。
だが、あまりにも早いキノの錯乱の演技と、余りにも偶然に見せかけてスタングレネードを落した所作。
これらが一方通行に油断を生ませた。

(ちィ……視えねェ聞こえねェ。見事に騙されたってことかァ……)

勿論キノは耳など塞いでいない。今頃耳の機能は一方通行と同じく停止しているだろう。

「……クク、あひゃぎゃははははははははは!! イイねイイね最ッ高だねェ!!」

一方通行は、叫ぶ。今はどこにいるかもわからない狙撃手への称賛(ラブコール)を。
チョーカーのスイッチに手をかけ、視力と聴覚を弄ぶ。

「さァて、鬼ごっこの始まりだなァ。キノさンよォ!!」

『うわぁーい。ってミサカはミサカは着信をお知らせするよ! プルルルル〜♪』
一方通行の胸から、可愛らしい女の子の声が響く。これは彼の同居人、見た目は10歳中身は0歳の欲情対象ではなく保護対象、打ち止め(ラストオーダー)の声を録音したものだ。ロリコンでもあり学園都市第一位でもある一方通行。本人は否定している。まぁ、土御門がこっそりと差し替えただけなのだが――

(……土御門と海原は惨殺決定だなァ)

「もしもしィ?」

「よぉ一方通行。狙撃手は始末したか?」

「あァ、逃げられた」

「そうか。じゃあ急いで広場まで戻れ」

「はァ? 寝言は永眠してから言え」

「第五学区・ウィルス保管センターがクラッキングを受けている。すぐに出発するぞ」

「はィはィ。あと着ボイスのことで少し話をしよォか?」ブツッ

即座に切れた携帯を一瞥し、チョーカーのスイッチを入れ直す。
アスファルトの砕け散る音がしたかと思えば、一方通行の脅威は消え去っていた。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 23:14:09.63 ID:2J5RSMU0<>「うー、耳がキンキンする」

「遅かったじゃん。大丈夫? キノ」

「これが大丈夫に見える?」

「見えないね」

「まぁいいや。いったん集合場所に向かおう」

学園都市の技術によりエンジン音が少なくなったモトラド――エルメスにキノは跨る。
ゴーグルを付け、その場から走り去った。
<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 23:14:37.43 ID:2J5RSMU0<>心理「あら、早かったわね。まだ土星が着いてないわ」

キノ「ちょっと白い人に狙われて、ケガしました。救急箱借りますね」

心理「いいわ。私がやってあげる」

キノ「ありがとうございます。垣根さんは?」脱ぎっ

心理「下準備中。もうじき戻ってくるんじゃないかしら」ガチャガチャ

キノ「では作戦実行はもう少し先ですね」

心理「そうね。しっかりこんな傷、どうして負ったの?」シュルシュル

キノ「いや、片づけをしたら、白い人が飛んできました」キュッ

心理「白い人? ……はい、完了っと」

キノ「ありがとうございます」着る

垣根「よし、帰ったぞ〜」

心理「あら、下準備は?」

垣根「バッチシだよ……所でキノ、なんでお前そんな傷負ってんだ?」
<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 23:15:08.83 ID:2J5RSMU0<>キノ「白い人に狙われて……」

垣根「白い人だぁ? あ、そのコート直してやるよ」

キノ「出来るんですか?」サッ

垣根「俺の未元物質に常識は通用しねぇ」

心理「悪い意味でもね」

垣根「ひでぇの……よし、完成。その白いのは名乗って無かったか?」ポイッ

キノ「ありがとうございます。あ、確か一方通行とか名乗ってました」

垣根「あっ、一方通行だとぉ!?」

心理「よく生き延びたわね……」

キノ「本気で死を覚悟しましたね。で、有名なんですか?」

垣根「……ああ。今のところ、この街で俺に勝てる唯一の野郎だ。ああムカつくな」

心理「どうやって逃げたの?」

キノ「錯乱しているフリをして、わざと転び、偶然を装って水筒などに混じらせてスタングレネードを落しました。まだ耳がキンキンします」

垣根「そりゃすげぇな。あの一方通行を騙しきるたぁ、やるじゃねぇか」

土星(さっき帰ってきたんだけど、この俺が入りづらい空気すぎる)

心理「……あら? 土星も帰ってきたみたいだし、そろそろ行きましょうか」

垣根「ああ。『ピンセット』強奪作戦――開始だ」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 23:15:36.18 ID:2J5RSMU0<>垣根「ここが素粒子工学研究所か……御大層な建物なこって」

土星「この俺。きちんとやりますよ」

垣根「よし、心理定規は逃走補助にそこの建物乗っ取っておけ。俺と土星、その他二名で突入する。土星、麦野沈利の足止めは任せた」

土星「了解だ」

心理「わかった」

垣根「キノ、聞こえるか?」

キノ『聞こえてますよ』

垣根「金髪の女と12くらいのチビの足止めを頼むぞ。情報が欲しいし、殺すなよ?」

キノ『わかりました』

垣根「じゃあ――幸運を祈るぞ」

心理「あなたこそね」

各々が与えられた役割をこなす為に散らばる。
対する『アイテム』は、素粒子工学研究所到着間近だった。







エルメス「……暇だなぁ」

例に漏れず絶賛放置中のエルメス。まぁどうでもいいでしょう。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 23:17:03.61 ID:2J5RSMU0<>「『ピンセット』は三階C-5か。さっさと行くぞ」

垣根が土星と下部組織の二人に言った瞬間、無線から雑音混じりの声が響く。

『来ました。4ドアの車から、オバサン一名と少女三名。あと変なの一人です』

「そうか。おそらく戦力からオバサン、滝壺理后。そして絹旗最愛、フレ ンダの二手に分かれて別ルートで『ピンセット』のところにいくはずだ。絹旗フレの方を狙え」

『了解』

ブツッ、という音と共に無線が切られる。
垣根は下部組織二名に来るよう促す。

「生き残れよ?」

「保障はできない。この俺の相手は超能力者だし」

頭に金属製の演算補助機械らしきものを取り付けた少年を置き、垣根帝督は廊下を駆ける。
階段を上った直後に階下で轟音が響いた気がしたが、まっすぐに目標へと向かう。

「C-5……ここか」

垣根は目の前の機械に眼を遣る。そして下部組織二名に命じ、取り外しに掛らせた。


轟音は、まだ続いていた。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 23:17:32.44 ID:2J5RSMU0<>「あの二人……ですね」

スコープ越しに研究所内を見据える。所々の窓ガラスに見えるのは、金髪とチビ。
奥に進む通路と、階段を上る通路に分かれた二人。

(まずは金髪の足を封じましょうか)

通常、駆けまわる人間を捉えるのは至難の業だ。狙撃は弾丸が標的に当たるまでおよそ二秒かかる。
キノの能力は絶対座標を指定してそこに銃弾を叩きこむというものだ。人体の指定などできはしない。

(……二秒後の未来に、銃弾を放つ……)

風の音が、意識から消える。狙うのは、二秒後のフレン ダのみ。速度などから未来を予測し――引き金を、引いた。
窓ガラスが割れる音が研究所内に響く。一人の少女の叫び声が木霊し、血液が滴る音がフレン ダの意識に潜り込む。

「くっ、結局、狙撃に勝てるわけないってことよ……」

(次は、ニットのワンピースの彼女ですね)

狙いを移す。そこには、窓ガラスの割れる音に立ち止まった絹旗最愛の姿が。
しめた、とばかりに引き金を絞る。

だが、銃弾は絹旗の頭に突き刺さったかと思えば、先から潰れて地面に落ちる。
絹旗はと言うと直撃の際少し頭を傾けはしたが、逆に言うとそれだけだった。

(……? もう一発)

再び引き金を引く。だが結果は、さっきと同じだった。
こっちを睨んでいる絹旗。暗部ならではの殺気が漂っている気がした。

「その顔、覚えておきましょうか。では、足止めの始まりです」

動く度に撃つ。それが、キノなりの足止めだった。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 23:18:15.28 ID:2J5RSMU0<>「……止まれ。麦野沈利」

廊下を駆ける麦野の目の前に現れたのは、頭に環状の演算補助装置らしきものを取り付けた少年。土星のワッカの様なそれから、コードが伸び腰の辺りに繋がってる。

「あら、何こいつ」

「オバサンの足止めがこの俺の役目だ」

ブチィッという効果音が耳に聞こえるかのように思えるくらい、明らかにキレた。
暗部では基本感情を押し出す短気な人間は生き残れない。だが麦野の能力はそのデメリットを補って余りまくるほど強力なものだ。

「……へーぇ。あんまり悪口を言うような悪い子にはねぇ……」

纏う空気が変わる。廊下全体を掌握するかのような殺気に、土星は思わず冷や汗を流す。
それはまるで獅子がウサギさァンを狩るかのような空気。超能力者の壁が、土星稚の前に立ちはだかっていた。

「オ・シ・オ・キ・か・く・て・い・ね」

麦野がスゥッと腕を前に差し出す。麦野の前の空間が、真っ白に歪む。
『曖昧なまま固定された電子』が強制的に放たれる。それは一本の特殊な電子線となり土星に迫る。原子崩し=iめるとだうなー)。学園都市に七人しかいないレベル5の、第四位の力。
素早く避けるも、麦野はその初動より速く動いていた。





女性の物とは思えない、喩えるならばゴリラのような蹴りが土星の腹に突き刺さる。



「ごふっ……」

吹き飛ばされながらも、対峙する化け物(レベル5)に対し腕を振るう。空気を切り裂く特徴的な音が麦野の耳に届く。
だが避けようともしない。突き出した腕から螺旋状に原子崩し≠放つ。空中で何かと衝突し、オレンジ色の光を発生させた。

「環状圧縮=iサークルチェンジ)……一応空力能力の一つらしいけど、原子崩し≠フ前には無力なのねぇ」

大気を環状に圧縮し、輪の内側を超強力な大気圧で破壊する能力。レベル4に分類されるが、そんなモノでは目の前のレベル5(化け物)は倒せない。
今度は予備動作もなく、麦野から何条にも渡る光線が放たれた。

避ける間もなく、土星の上半身、右足を蒸発させた。麦野は戦利品として頭の演算補助装置を文字通り毟り取り、上を向く。

「馬鹿正直に階段登るのは馬鹿だけにゃーん♪」

原子崩し≠ェ、素粒子工学研究所の上に向かう一直線の通路を作りだした。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/29(木) 23:23:22.51 ID:2J5RSMU0<>……投下終了。なんかゴメンネ? むぎのん

小ネタ入れるのはいいことなのかね?
シリアスな中に笑いを入れるのは正直KYというかもしれないけどもうすでにこの作品自体ギャグみたいなもんだし別に良いか

当初は土星さんをわっかを使う魔術師で魔法名『CircleK393』(サークルKサンクス)にしようとか思ってたんだけど

や っ ぱ り こ い つ は か ま せ だ な

と思いまして。
ボツ案になりました。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/30(金) 02:44:44.78 ID:ekLOaMgo<>たかが数日の滞在のためにキノさん酷い目になってるなww<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga <>2010/07/30(金) 15:03:10.60 ID:fEKqUQc0<>>>84

上条さんに比べれば……

三つほど投下開始。続きは夜。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/30(金) 15:03:59.82 ID:fEKqUQc0<>「うおあっ!」

垣根の素っ頓狂な声が響く。だが、事態は軽くは無かった。
下部組織二名の作業がもうじき終わろうというときに、突然真横の床が融解。続きオレンジ色の光線が貫通した。

「チッ……こりゃあ……」

驚いた垣根は、穴を覗き込む。轟音が響き、急いで体を捻り離れる。
そこから現れたのは、どう考えても結構適齢期を過ぎたオバサン。原子崩し≠フ反動によりロケットのように一回からここ三階まで上がってきたのだ。

「あら? アンタは確か……」

「よう、久しぶりだな。第四位」

「垣根……帝督……なんでここにいるのよ」

「『スクール』のリーダーが俺だからだよ。さぁかかってこいよ第四位。俺達を止めに来たんだろ?」

「ええ、そうね。レベル4一人殺した程度じゃ、止めれないもんね」

麦野は、手に持ったワッカを見せびらかせる。所々が血に染まったそれは、垣根を行動に駆り立てるのに十分すぎるほどだった。

「……そんなに死にてぇのなら、殺してやるよ」

だが、垣根が能力を発動するより速く、原子崩し≠ェ放たれた。
垣根に超高速で迫る不健康な白い光を、健康的な白い光が受け止める。

一切の汚れすらもない純白が、垣根帝督に顕現した。

「『曖昧なまま固定された電子』なら、俺の未元物質で元に戻しゃぁいい話だ」

次いで、垣根の姿が宙に浮く。『ピンセット』はもう運び出されたようだ。『ピンセット』のないこの部屋はただの巨大な空洞。

轟!! と。
純白に彩られた六枚の翼が振るわれると同時に巨大な風圧を生む。

めるとだうなーが旋回し風を防ぐも、いつの間にか麦野の真横にまで移動した垣根の翼は原子崩し≠ノ触れると同時にそれをただの電子に戻す。
鈍い音が響き、麦野の体は宙を舞った。

「ぐ……退くわよ!! 滝壺!」

垣根のAIM拡散力場を解析中の滝壺も首根っこを掴み、逃走する麦野。
それを見た垣根は、ここには用がないとばかりに外のステーションワゴンへと飛び去った。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga <>2010/07/30(金) 15:04:37.20 ID:fEKqUQc0<>「……おや、作戦完了でしょうか」

麦野の原子崩し≠フ射程よりも遠いビルから狙撃を繰り返していたキノは、スコープの端に映ったステーションワゴンを確認し、スコープから目を離す。
『フルート』の斬弾を確かめ、思っていたよりも少ないことに若干顔をゆがませるキノ。

「助かります」

フルートを解体し、ケースに詰めたキノは、懐から携帯を取り出す。
不慣れな手つきで小さなボタンを操作し、やがて耳に当てる。

「心理定規さん。現在金髪が一名、研究所内に放置してあります。情報を吐かせるのは任せましたよ」

『わかったわ……そろそろ準備に入るわ』

「はい」

通話を終えたキノは、また違う番号にかける。

「ああ、『スクール』の下部組織の人ですね? 早急に、スクールのアジトに鮫島を持ってきてください」

『了解』

キノは、建物の方にもう一度眼を遣る。そこには、弾幕が止まったことを訝しむ絹旗の姿が。

「絹旗……最愛さんですね。次は意識を刈りとれるよう取り計らいますので」

そのままビルを降り、エルメスに跨ったキノ。エンジンを掛け、その場から去っていった。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/30(金) 15:05:03.16 ID:fEKqUQc0<>ミス、訂正版

「……おや、作戦完了でしょうか」

麦野の原子崩し≠フ射程よりも遠いビルから狙撃を繰り返していたキノは、スコープの端に映ったステーションワゴンを確認し、スコープから目を離す。
『フルート』の斬弾を確かめ、思っていたよりも少ないことに若干顔をゆがませるキノ。

「助かります」

フルートを解体し、ケースに詰めたキノは、懐から携帯を取り出す。
不慣れな手つきで小さなボタンを操作し、やがて耳に当てる。

「心理定規さん。現在金髪が一名、研究所内に放置してあります。情報を吐かせるのは任せましたよ」

『わかったわ……そろそろ準備に入るわ』

「はい」

通話を終えたキノは、また違う番号にかける。

「ああ、『スクール』の下部組織の人ですね? 早急に、スクールのアジトに[禁則事項です]を持ってきてください」

『了解』

キノは、建物の方にもう一度眼を遣る。そこには、弾幕が止まったことを訝しむ絹旗の姿が。

「絹旗……最愛さんですね。次は意識を刈りとれるよう取り計らいますので」

そのままビルを降り、エルメスに跨ったキノ。エンジンを掛け、その場から去っていった。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/30(金) 15:06:24.65 ID:fEKqUQc0<>キノ「……それが、ピンセットですか?」

垣根「カッコいいだろ?」

キノ「いえ全然。そんな爪みたいなもののカッコよさはボクの理解の範疇ではありません」

垣根「女にゃわかんねーロマンってのがあるのよ」

心理「ふぅ、ただいま」

垣根「おお、情報は引き出せたか?」

心理「上々よ。フレン ダって奴の話だと第三学区にある高層ビルの一角らしいわね」

キノ「では……ボクはこの辺りで狙撃をしますね」

垣根「あ、キノ。『アイテム』潰しゃ、お前の仕事は終わりだ。下部組織の連中に連絡して報酬を受け取れ」

キノ「はい。ありがとうございます」

心理「で、その爪みたいなのは何?」

垣根「『ピンセット』だ。カッコいいだろ?」

心理「ダサいわ」

垣根「……さて、行くか」

心理「ええ」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/30(金) 15:16:08.20 ID:weizY0.0<>垣根さんもとい帝督くんかわいそう
だけど
それがいい!!<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/30(金) 22:10:06.82 ID:fEKqUQc0<>「さて、あそこの建物が『アイテム』の潜伏場所……ですか」

高層ビルの一角。そこに『アイテム』は鎮座している。
『フルート』の整備をし、組み立てているキノの頭に、垣根帝督の声が脳内再生される。

――『別に[ピーーー]必要はねぇ。自分の敵である以上容赦する必要はねぇが、戦闘能力を奪ったら下部組織に回収させりゃそれでいい』

彼曰く、悪党の美学なのだそうだ。余談ではあるが、一方通行の話題がキノの口から出たことに対抗心を覚えたのだろう。

――『まぁ、殺した方が簡単なんだがな』

(……ま、それが命令ならやりますけど)

ここは地上から85m離れたホテルの一室。
二十五階にあるアイテムの潜伏場所を狙うのには、ここが一番いい。

ふかふかのベッドの感触を楽しみながらも、スコープを覗くキノ。

(そろそろ、垣根さんが突入するはずですね)

息を整え、手の汗を軽く払う。引き金に指を掛け、精神を集中させた。

決着は、すぐそこまで迫っている。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/30(金) 22:10:43.75 ID:fEKqUQc0<>キノが思うのとほぼ同時に、個室サロンの扉が蹴破られた。
フレン ダ除く『アイテム』三名と、下部組織の無能力者、浜面仕上がその部屋にはいた。

蹴破られた扉が、床に衝突音を響かせると同時に、ガラの悪い少年が一人立っていた。

「よう、『アイテム』。辞世の句は詠んだか?」

横柄な態度で部屋に入る男に、麦野沈利は忌々しそうにその名を紡ぐ。

「『未元物質』(ダークマター)……ッ!!」

「おいおい、名前で呼んでほしいもんだな。俺には垣根帝督って名前があるんだからよ」

舐め回すような、獰猛な獣が無抵抗なウサギさンを狩るような、そんな眼で三人+αを見る。
カツ、カツ、とわざとらしく足音を響かせる垣根の手には、奇妙な爪のようなモノがあった。

「その爪……」

「勝利宣言をしに来たぜ。『ピンセット』だ。カッコイーだろ?」

自信満々に言い放つ垣根。『ピンセット』を見せびらかすように手を軽く振る。
そんな垣根に『アイテム』+αは、それぞれの率直な考えを述べる。

「ダサいわね」

「超無いです」

「……ださい」

「ダサいな」
(一瞬カッコイイと思っちまったがここでそう言うと麦野に殺される気がする……)

垣根はと言うと少ししょんぼりしながら、

「……ハッ、このカッコよさがわかんねぇからテメェは第四位止まりなんだよ原子崩し=Bこのレベルのセンスを理解できるようになんねぇと『自分だけの現実』が広がんねぇぞ」





開き直った。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/30(金) 22:11:11.36 ID:fEKqUQc0<>「……あっそ」

そこで会話は打ち止め。
絹旗が自分の座っていたソファーを持ち上げ、投げる。
無駄にごわごわと装飾が付いたソファーは、そこらの机よりも重量がある。

が、ゴバッ!! という派手な効果音と共にソファーは砕け散った。
中の綿がこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいのように降る。だが、それよりも遥かに白く、神々しいまでの光を纏った翼が垣根の背中から生えていた。

絹旗はサロンの壁をぶち抜き、滝壺と浜面を逃がそうと画策する。

「おっと、俺の狙いはそこのサーチ能力者なんだ。逃がされても困るんだが」

白い六枚の翼が指向性を持って二人に牙を剥く。
空気を派手に切り裂いたはずなのに、何故か音は伴わない。

「無視されても困るにゃーん」

ゴリラに比類する蹴りが、垣根帝督を襲う。

「邪魔するなよ、テメェの原子崩し≠ネんて俺からしたら鉄砲魚と変わんねぇーよ」

白い翼の一枚が、麦野に襲いかかる。
だが、その瞬間光の奔流が垣根ではなく床を襲う。
その反作用により麦野の体が垣根の後ろに飛ばされる。

「――チッ」

二人を狙っていた翼が、麦野に襲いかかる。
だが、麦野は先ほどと同じ方法で距離を取る。その間に二人の姿は消えていた。

「絹旗! さっさと追え!! あの二人に戦闘力がねぇのはわかってんだろ!!」

「……超了解しました!」

傍目から見てもわかるくらいに床を蹴る絹旗。
罅が入った気がしたが歯牙にも留めず、レベル5の睨みあいは続く。

「美談だな。笑えねぇ」

「垣根、アンタにとっての怪談にしてやんよ!!」

「あのとき無様にケツ振りながら逃げたくせに何言ってんだか」

「言ってればいいわよ!!」

原子崩し≠ニ未元物質=B二つのレベル5がぶつかる。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/30(金) 22:11:42.37 ID:fEKqUQc0<>「――二人とも、先に行ってください」

「何言ってんだよ絹旗!!」

「……敵の狙いは滝壺さんです。私達の中心なんですから、殺されたら超困るんです。さぁ早く行って、車で逃げてください」

「――……くそ! 絶対追いついてこいよ!」

「きぬはた、これ……」

「これって『体晶』のケースじゃないですか!」

「きぬはたが逃げれないと、わたしは能力を使えない。だから、必ず逃げてね」

「……超行ってください」

浜面は、滝壺理后という少女の手を引き、走る。かつて方法はともかく、仲間の為に奔走した無能力者。次は、白い天使から少女を守る。
そして残った少女は、仲間の為に戦う。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/30(金) 22:14:52.10 ID:fEKqUQc0<>うえwwsaga忘れたw

粉雪のところが凄いことになってますね。
超凄いですよ。

原作そのままじゃまぁ新鮮味がないので、そこそこオリジナルを加えてみました。

明後日までに終わらせたいですね。
頑張ります。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/31(土) 12:22:06.26 ID:t7P/CFE0<>普通にあの『爪』かっこいいと思うんだが
自分が普通じゃないのか<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/31(土) 18:35:19.36 ID:US/WIKg0<>原作読んでないから爪がなんなのかわからない
だれかおしえて<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/31(土) 19:23:24.86 ID:Xt.51yk0<>>>96
自分ははまづらと同じ意見です。
女にはわからないという思い込み+ssでの垣根の扱い=爪ダサい

>>97
俺「超微粒物体干渉用吸着式マニレピュータ、通称『ピンセット』だ」

97「説明する気ねぇだろ!」

……むぎのんと浜面の会話のパロです
浜面カワイソス

ちなみに超微粒物体干渉用吸着式マニレピュータは、微生物サイズのごく小さい物などを吸着させ、その物体に干渉します。
原作では滞空回線というのを見つけるのに使用してましたね。


更新はもうすこし待ってて下され
学校から帰るやいなやジャンプ読んで電波的な彼女読んでたから……<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/31(土) 21:21:50.60 ID:Xt.51yk0<>麦野の原子崩し≠ェ明るい光を発し放射される。
それをも凌ぐ純白の翼が原子崩し≠防御する。

「やっぱり大したことねぇなぁ第四位」
「チィッ!!」

原子崩し≠移動の補助として麦野の体が高速で飛ぶ。
振り回す棍棒を想起させるような腕が振るわれる。だが、垣根の体が何もしていないのに後ろに下がった。

「俺の未元物質≠通せば重力方向なんて簡単に変えれんだよ」

が、追撃を加えようとなんかせず、麦野は後ろに半歩下がり、原子崩し≠放つ。
垣根の真横を通過し、後ろに突き刺さる。

「どこ狙っがっ!?」

原子崩し≠ェ、背後から垣根を襲った。
翼に阻まれたものの、垣根本人が未元物質≠フ性質を変えない限りただの堅い翼。
貫通までは行かずともダメージは与えられたようだ。

垣根はわけがわからず、背後を見る。
そこには、光る物質が。

「反射導体(シリコンバック)。小細工でも弄さないで勝てる相手じゃないからね」

先程腕を振った際に垣根の後ろに投げつけていたものに、原子崩し≠狙ってぶつけたのだ。

「痛ってぇな……もう許さねぇ」

ゴバッ!! と白い翼が膨張する。

「熱膨張って知ってるよな? まぁ今回のは関係ないんだが」

「ねぇのかよ!」

白の奔流が、個室サロンを包み込んだ。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/31(土) 21:23:58.58 ID:Xt.51yk0<>ガラスが割れる音とともに、ガキィン! と絹旗の側頭部に銃弾が突き刺さる。
華奢な体はその勢いに押され、吹き飛ぶ。

だが何よりも怪訝なことは、窓ガラスの破砕音の方向と、銃弾が来た方向が逆だったということ。

「狙撃……しかも銃弾の軌道を超操る能力ですか……」

かつて窓ガラスがあったその虚無な空。それを間にここと繋がる向かいのホテル。
その一室の窓から黒い物が見える。恐らくという予想すら張り巡らす必要もなく、銃口だと判断出来た。

次いで二発、背中に銃弾が突き刺さる。窓側へと押し出される絹旗の体。

「外に押し出す気ですか……超させませんよ」

絹旗が取りだしたのは、30cm程の棒に何か膨らんだモノが付いた物質。
後ろにはひもが付いており、クラッカーを引くように、構える。

携行型対戦車ミサイルの弾頭。

これは超電磁砲5巻にてフレンダが使用していたものだ。
即ち、フレンダの形見。心で黙とうをささげながらも、紐を引き抜いた。

10m程飛んだ所で、突如発火。猛スピードでキノまでの距離を縮めていく。

だが、何も無い空中でそれらは爆発した。

(撃ち堕とした!? どんな腕ですか……)

銃身を引き抜いたキノは、解体を始める。
絹旗と視線が絡み合う。殺気と殺気がぶつかった。
だがそれも一瞬。キノはコートを翻し窓際から姿を消した。

少し静まったその場に、一人の男の声が響く。

「おーおー、アイツ良い腕してやがんな」

「垣根ッ……帝督!」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/31(土) 21:25:46.30 ID:Xt.51yk0<>うwwwうぇwwwwwww

行きつけのスレに誤爆した、最悪。
ちょっと最愛たんの窒素パンチ喰らってキノたんに狙撃されてむぎのんにビーム喰らってくる

てか進まねぇし
今日はここまで!! 更新は一方通行ってなァ!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/31(土) 21:33:34.17 ID:qPH5a7go<>いやーあれは見事な誤爆だった、ミコトだけに<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/31(土) 23:18:44.11 ID:dokeJYY0<>ちょうど終わっていい雰囲気だったのに>>1がぶち壊したなwwwwwwwww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/01(日) 03:37:32.97 ID:7M0cR/Uo<>バーーーローーや<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/01(日) 09:32:39.45 ID:jF/xH0s0<>>>98
ありがとう
よくわからんけどなんかすごいものなんだな
<> 96<>sage<>2010/08/01(日) 19:02:57.34 ID:R97rd1w0<>>>105
灰村さんのサイトにカラーの絵がある  15巻
>>98
女でも分かるんだぞー<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/01(日) 23:09:30.68 ID:i5RFdAI0<>くかっ、くかこきっ、くかきこかかきくけこきけくかかかくここけかかかかきくここかけけきくくけこここ……!

あー駄目だ進まねぇ

絹旗死んじゃってもいいよね、うん。どうせ15巻しかやらないし
つーことだけ1レスだけ投下<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/01(日) 23:10:31.89 ID:i5RFdAI0<>「麦野はどうなったんですか……?」

「さぁな。今頃冷蔵庫にでもなってんじゃねーの?」

「……チィッ!」

真横の床に散りばめられている窓ガラスの破片を適当に掴んで投げる。
光る雨と化したそれは、容赦なく垣根を襲った。

ゴバッ!! と純白の翼が展開される。六枚の翼はmade in darkmatter.
それらは無数の暴風を伴いガラス片を吹き飛ばした。

「そう焦るなよ絹旗最愛。しっかし第四位には手こずらされた。今頃あの二人は車強奪して逃げちまってんだろうなぁ……だからテメェを代わりにブチ殺すとするか」

白が蠢く。
内包できない程の殺気を孕んだ翼が絹旗を呑み込んだ。

視界全てを白に染めた絹旗は窒素装甲≠全力で展開する。

「無駄だ」

(なんですか……この異臭はっ……)

も、窒素に無理矢理化学変化を起こし、水素を加える。アンモニアに変化した窒素は、最早窒素装甲≠フ材料には成りえない。
だが、未元物質≠ェ異臭を打ち消しているのか、臭いはほんの少ししかしなかった。

絹旗のニットワンピースの所々を純白の翼が切裂く。
体中に裂傷を負った絹旗の体が、突如吹いた突風に吹き飛ばされる。

「しま……うっ……ああああぁぁぁぁあああああっ!」

「高度約80mの紐無しバンジーだ。生き残れるもんなら生き残ってみな」

死のダイブが、絹旗を恐怖に呑みこむ。









――この物語に、彼女の為のヒーローは存在しない。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/01(日) 23:11:51.15 ID:i5RFdAI0<>>>106

……暗部の女の子はわからないということでっ!!


しかし誤爆はひどかった。
ちょっと窒素パンチや狙撃やビームはご褒美になるからていとくんの翼で攻撃されてくる<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/02(月) 10:39:43.11 ID:L0PCfsA0<>>>109
誤爆見ました
もろ特定できた<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/02(月) 15:40:39.36 ID:uLn8.F60<>ちょっと修理に出してくる

こっからは書き溜めもできず夜書き込めないようになるけどもうちょいだからいいか
つーことで二つ投下<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/02(月) 15:41:31.62 ID:uLn8.F60<>「クハッ、やっと追い付いたぜお二人さんよ。エレベーターに細工してるとは思わなかったのか?」

エレベーターの前で立ち往生する二人の前に、白い堕天使が舞い降りた。

「な……」

浜面の顔は疑問よりも、恐怖で埋め尽くされていた。
自分(レベル0)とは次元の違う化け物(レベル5)は、敵視すらしていない雑魚二人に語りかける。

「下部組織の人間に2〜25階までのボタンを全て押させた。まぁもう22階ってことは危なかったみたいだがな」

「く……逃げろ滝壺!」

だが、滝壺は返答しない。少しの静寂が漂うと共に、エレベーターの到着音が静寂を切り裂いた。
扉が開く。とともに滝壺は浜面の後襟を掴み、引き倒す。そして倒れる勢いを利用してエレベーターの中に放り込んだ。
素早く閉じるを押し、外にでる。

「なんでだよ!」

悲痛と驚きの混じった顔の浜面が、閉まり始める扉の向こうから響く。

「はまづらは無能力者なんだから、大能力者の私が守らなくちゃ」

浜面は急いで手を伸ばす。

「滝壺ー――!!」

「バイバイ」
<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/02(月) 15:41:57.08 ID:uLn8.F60<>扉が無慈悲に閉まる。後に残ったのは、絶対的な武力と絶対的は意思。
だが、垣根は何でもないかのように口を開く。

「仲間を助けるために残る……ねぇ。感傷的だが、現実的じゃねぇな。……答えろ、なんでテメェはあの無能力者相手にそこまでするんだ?」

心底不思議そうに、好奇心を押さえられない普通の人間のように、垣根は問い掛けてみた。

「……私が、そうしたかったから」

その答えに、落胆と嘲りを込めてこう返した。

「ハッ、善人ぶってるつもりかよ『アイテム』。テメェに直接的な攻撃力がなかろうが殺してきたことにはかわんねぇだろうが」

(……『体晶』がないから能力は使えない……どうしよう……)

「まぁいい、美談を見せてくれたご褒美だ」

垣根は懐から取り出したケースを軽く放る。
滝壺はそれを受け取った。

「これ……」

「これで能力が使えるだろ?」

『体晶』のケース。何故これを垣根が持っているのか? 絹旗に預けたのに? ……答えは簡単。

「きぬはたをどうしたの……」

「さぁ? こっから地上にでも落ちてんじゃねぇか?」

さもなんともないかのような口調で答える。
滝壺は、静かな怒りと共に、『体晶』を舐めた。

「許さない……」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/02(月) 15:42:55.08 ID:uLn8.F60<>(くっ……不味いですね。前方から窒素を高速癒着。そして後方に向け解除!)

前方の空気からのみ窒素を集め、窒素装甲≠創り出す。
そのまま後方の窒素のみ解除し、前方の窒素を後方に集める。

それを繰り返すことにより、絹旗の体は前方――即ち壁に張り付いた。

(あと――約二秒!!)

窒素パンチを、壁に突き刺す。
ガガガガ!! という音を立てブレーキに変わる。

やがて、絹旗の体は1階のあたりで止まった。
建物の側面に一本の巨大な断層を作って。

(――超戻らなければいけませんね)

だが、そこで絹旗はあるものを見付ける。
タイヤ痕と、駐車場に落ちているピッキングツール。

(あれは――浜面の。そうですか、超逃げきったようですね)

絹旗は、遠目でそれを見付け、逃走を始める。ピッキングツールが、浜面の使っていたのと同じタイプのものであるということだけを確認して。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/02(月) 17:22:11.38 ID:L0PCfsA0<>早く戻ってきてください<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/03(火) 12:39:35.22 ID:EtqzkCo0<>書き溜めはyっぱりできないぜっと


今からリアルタイムで書く。
多分完結までするから<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/03(火) 12:40:57.36 ID:EtqzkCo0<>(く……体の節々が超痛みます……)

昼なのに人気のない裏路地を、絹旗は息を荒げながら走っていた。
彼女のロリ声は閑静な裏路地に響き、足音は比較的少ないものの、確かに鳴いていた。

(早くアジトに戻る必要がありますね……)

だが、そんなことをするほど『スクール』は甘くない。
ピカァ! と上空から閃光と轟音が走る。

「なっ……」

光源を見上げた絹旗。眼が少々、耳が結構やられたようだ。
突如、背中に衝撃を感じる。

「後ろですか……!!」

振りかえると、そこには――――<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/03(火) 13:02:40.78 ID:EtqzkCo0<>「もうすぐ……かな」

「そうだね、キノ。終わったらどうする?」

「いくつかを売っ払って、何か食べようか。甘いものがいいかなぁ……」

「ん、来たようだよ」

カッカッカッと足音が響く。そこまで大きくは無いが、聞き取れる程度。
それに対しキノは、変わり果てたエルメスに跨り、右手に『カノン』を。左手に『森の人』を持っている。

「……さて、行動開始だ」ボソッ

キノは、右手の『カノン』を上に向けて放つ。大した音はならず、ほぼ聞こえないようだ。
直後に耳栓をする俺の嫁。
放たれた弾丸は真横の建物の屋上に回り込み、そこに置いてあった紐を切る。
その先にあった、筒状の物が転げ落ち、裏路地の上空に現れる。

ピカァ! と閃光と轟音が走った。

「なっ……」

絹旗の呻き声を聞いたキノは、素早く『森の人』を持ち路地に身を出す。
迷わず引き金を引く。その銃弾は、絹旗の横を通って背中に突き刺さる。

「後ろですか……!」

振り返った時には、キノはもうエンジンを掛けていた。
全速力で裏路地に突入。少しやかましいエンジン音は、どうやら絹旗の耳には届いていない。

多少狼狽する絹旗。
その後ろを、一台のモトラドが追う。その横には、何故か大きな、巨大なライフルのような物が。

「フェイクっ……」

絹旗が気付き、再び振り返った時には遅い。
微かに映る視界にぼやけて見えるのは、モトラドに乗ったキノと、その横の巨大なライフル。

「そうです。後ろでしたよ」

キノは、エンジンスロットルを放し、隣の巨大なライフルの引き金に指を掛ける。
疾駆するキノと、絹旗の体が衝突することなく交差する。

絹旗が最後に見たものは、巨大なライフルの銃口。
絹旗が最後に聞いたものは、巨大なライフルの轟音。

アンチ・マテリアルライフルが、0距離で轟いた。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/03(火) 13:24:27.09 ID:EtqzkCo0<>ごみのように吹き飛んだ絹旗。
出血は無いようだが、恐らく脳震盪で意識が飛んでいるのだろう。

(流石の威力ですね……0距離で超強力な衝撃を与えれば、貫通するというのは正解でしたね)

キノは携帯を取り出し、下部組織の人間に連絡を入れる。

「キノです」

『はい、垣根様から承っております』

「絹旗 最愛さんを確保しました。今すぐX-●●●●● Y-○○○○○に来てください」

『了解しました。報酬も持っていきますね』

下部組織の人間が到着したのは、それから五分経過したあとだった。
彼らは動かない絹旗をトラックに乗せ、エルメスの横の台とアンチ・マテリアルライフルを回収し、報酬を渡し去って行った。

「……さて、行こうか。換金所に」

「で、どこにあるの?」

ピシィ、と空気が凍った気がした。
少しの静寂のあと、キノは語る。

「まぁ、適当に歩けばいいんじゃない? 風紀委員(ジャッジメント)ってのもいるらしいしね」

キノは、エルメスを押しのんびりと歩きだす。
同時刻、高層ビルでは『体晶』の過剰暴走で能力の使えなくなった滝壺の前に、浜面が舞い戻った。




『アイテム』は、実質的に崩壊した。




??「っつ、第二位の野郎……いや、それよりもフレ ン ダに死罰を与えなきゃね……」

能力を発動し、壁に穴を開けるオバサン。
ジェット機のようにその場から飛び去った。向かう先は手に持つ『アイテム』メンバーの位置情報を記したGPSが知っている。
<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/03(火) 13:45:06.92 ID:EtqzkCo0<>先程出発してからそろそろ30分が経過したころ。
『裏』の時間で言うと、浜面がオバサンを迎撃した報せを垣根が受けた頃。

エルメス「見つからないね……」

キノ「うん、やっぱりそういうのは少ないのかな?」

エルメス「まぁいざとなれば次の国で換金したら良い話だしね」

キノ「うん……あ、あの人の腕章……」

エルメス「話に聞いたジャストメントスってやつだね」

キノ「風紀委員(ジャッジメント)だね。声を掛けてみよう」

キノは、頭に花飾りをのっけた奇妙で珍妙な少女に声を掛けました。
頭がお花畑の風紀委員は、その声に反応します。

キノ「もしもし、風紀委員さん」

??「ふえ?」

??「どーしたのってミサカはミサカは初春お姉ちゃんに問い掛けてみる」

キノ「……誘拐?」

初春「ち、違いますよっ! えっとこの子は……アホ毛ちゃんです」

打ち止め「ミサカの名前は打ち止めだよってミサカはミサカは主張中!!」

キノ「ボクはキノです。よろしく。で、打ち止めちゃんは今何をしてるの?」

打ち止め「えっとね、迷子探索中! ってミサカはミサカは迷子のあの人を心配しながら言ってみる」

初春「迷子なのはアホ毛ちゃんでしょー」

打ち止め「違うもんってミサカはミサカは拒否してみる!」

キノ「……暇ですし、ご一緒してもいいですか?」

初春「え、いや、男の人と……」

打ち止め「キノお姉ちゃんも一緒がいい! ってミサカはミサカは暗に気に入ったことを示してみる!」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/03(火) 13:47:45.19 ID:EtqzkCo0<>ここまで! 終わらせるのは明日になりそうですっと

……オバサンを入れまくったけど大丈夫だろうか。

――瞬間、>>1の視界が閃光で埋め尽くされる。
一拍置いて轟くのは、原子崩し≠フ牙。
圧倒的な力を以って蹂躙し、全てを破壊し尽くした。

ああ駄目だ、シリアス以外書けやしねぇ
いちゃいちゃとかほのぼの書ける人マジで尊敬する。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/04(水) 10:05:24.81 ID:ik09kHw0<>――とあるファミレス

打ち止め「わーい! ってミサカはミサカの一番乗り〜♪」

初春「ちょ、アホ毛ちゃーん?」

キノ「やれやれですね……」

店員「こちらでございます」





――店の外

エルメス「………………」




――再び店の中

打ち止め「ミサカはこのチョコパフェ!」

キノ「ボクは……このフレンチトーストで」

初春「ふっふっふ、わたしはあらかじめ決めてましたよ……店員さーん」

店員「(以下略)でございますね。ゆっくりしていってね!」

打ち止め「ミサカはミサカはうずうずするの!」

初春「良い子にしてれば早く来ますよ」

打ち止め「ならってミサカはミサカは現金」<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/04(水) 10:18:25.93 ID:ik09kHw0<>店員「お待たせしました。(以下略)でございます」

打ち止め「ムムッ、ドリンクバー入れてこなきゃってミサカはミサカは思い出した!!」

キノ「ではボクも行きます。初春さんは何が?」

初春「そーですねー。[ピーーー]でおねがいします」

キノ「(何だろ今の)わかりました。打ち止めちゃん、行きましょうか」

二人が席を立った。初春はその眼の前の[ピーーー]にスプーンを差し入れ、食べる。
そこに、一人のガラの悪い少年が割り込んだ。

垣根「よう、お嬢さん。この写真の女の子、どこに行ったかしらねぇか?」

差し出したのは、打ち止めの写真。
お花畑は少し躊躇いながらも、しっかりと眼を見据えて答える。

初春「いえ、残念ですがこの子、知りませんね」

垣根「ああ、そうか。残念」

以下原作と同じ流れなので中略<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/04(水) 10:33:02.66 ID:ik09kHw0<>ガシャァーン! という何かが壊れる音とともに、周囲の悲鳴が木霊する。
離れた所にいたキノは、サッと身構え、打ち止めに次のように促す。

「打ち止めちゃんはそこらに隠れていてください。ボクが様子を見ます」

「わ、わかったんだよってミサカはミサカは隠れてみる」

キノは右腿のホルスターに刺さっている『カノン』に手を掛ける。
コートで隠してたそれが露わになる。

だが、人々の視線が集まるそこに眼を向けたキノは、少し言葉を失う。

「垣根さん? そこで、何をしているんですか?」

言いつつも、『カノン』を垣根に向ける。
周囲からは、また違った種類の悲鳴が上がった。

「ああキノか。今こいつから情報を引き出してる所だ」

「……そうですか。では、その足をどけてもらえます?」

「あ?」

垣根が声を上げた瞬間、『カノン』が火を噴いた。
黒く光る銃口から飛び出す銃弾は、垣根の背中から噴き出す翼に遮られた。

「……テメェ、どういうつもりだ?」

「その人とはさっき知り合ったので、お返しです」

「そうか、つまりテメェは俺の敵になるわけだ」

「はい」

短い返答の直後、再び引かれるトリガー。
撃鉄が下り、軽い銃声が響く。

翼がそれを遮る形で銃弾の軌道に乗った。

だが、銃弾は翼を避け、垣根に的中した。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/04(水) 10:55:25.91 ID:ik09kHw0<>「がっ……」

肩の辺りを抑える垣根。その傷口に、未元物質≠ェ侵入した。
貫通した傷を、それぞれがそれぞれに相応しい性質になった未元物質≠ェ埋めていく。

「……こんなもんで、俺を殺せるとでも思ってんのかァ!!!」

未元物質≠ェ、牙を剥く。
膨大な白の奔流が、翼の形を成してキノを呑み込む。

轟!! という音とともにキノの体は宙を飛んだ。
店内を破壊していくキノの体。止まった時には、もうすでに息も切れ切れ、といった状態だった。

「さぁて、最後に一つ聞いておいてやる。このガキの居場所、知ってるよな」

「ゲホッ……いえ、貴方に教える気は……ありません……」

「強情で馬鹿な奴だな。お望み通り殺してやる――ッ!!」

翼が震動する。空気が震え、キノの視界が歪む。
そして白は……高速でキノの体細胞を破壊する……はずだった。

結果としては、その攻撃は中断された。

巨大な冷蔵庫が、まるで野球のボールか何かのように垣根に激突したからだ。
向かいの電化製品販売店の外に出された見本≠フ冷蔵庫を、とある最強が投げたためだ。

その白≠ヘ、地面を一蹴りし、店の中に突っ込んだ。

「ったく、シケた遊びでハシャいでンじゃねェよ、三下」

白≠ヘ――学園都市最強の第一位、一方通行は、前回とは違った形でキノの前に現れた。
それを最後に、キノの意識は暗転した。
<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/04(水) 11:05:50.83 ID:ik09kHw0<>キノが眼を覚ました時、最初に眼に入ったのは、白でした。
清潔感あふれる白。それを仰ぐ形で、キノはベッドに入っていました。

「ッ……ここ……は……」

「やぁ、眼を覚ましたようだね」

キノの顔を覗き込んだのは、蛙に似た顔をした白衣の男です。
首には聴診器をぶら下げていて、手は後ろで組んでいます。

「あなたは……?」

「冥土返し=iヘブンキャンセラー)とでも呼んでくれればいい。医者さ」

「そう……ですか」

「キミが運び込まれた時には驚いたね? なんせ、あの事件の中心にいたって言うんだから」

「……あのあと、どうなったんですか?」

「さぁ? 私には与り知らぬことだね? しかし呆れた回復力だね? もう昼には退院できると思うよ?」

「では、一方通行と言う人に会う機会があれば、『助けてくださって、ありがとうございます』――とだけ、伝えてください」

「わかったね?」

キノは、日付を見ます。そして、つぶやきました。

「今日で、最後ですか……」

そういいながらも、俺の嫁はもう一度 ベッドにもぐります。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/04(水) 11:10:03.50 ID:ik09kHw0<>「さて、まずは上条さんですね……」

エルメスを押しながら、前に案内してもらった寮に向かいます。
駐車場にエルメスを放置し、上条の部屋に行きました。

インターホンを押し、反応を窺います。
しばらくすると、ドアノブがガチャガチャと反応を示します。

出てきたのは、上条当麻本人でした。

「はーい」

「どうも、上条さん」

「あ、キノ。どうしたんだ?」

「もうすぐこの世界から消えるので、最後に挨拶をしに来ました。泊めていただいて、ありがとうございます」

「ああ、いいよいいよ。うちには酷い穀潰しもいるからさ」

「ではこれで」

ドアが閉められました。
中で『とうまはまたなんだよー!』とか『だあぁぁぁっ、不幸だー!!』などという声が響きます。
キノは苦笑して、宝石を少し紙に巻いて、ポストに入れました。

その紙には、『一宿一飯のお礼です』と書かれていました。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/04(水) 11:22:14.05 ID:ik09kHw0<>キノたんは、上条の寮の近くの公園にいました。
そこのベンチに座って、少し休みます。

すると、どこからか聞いた声色で『ちぇいさー!』という掛け声が響きます。
その方向に目を遣ると、斜め45°からの回し蹴りを自販機に叩きこんでいる茶色の髪を持った少女がいました。

キノは、窃盗行為を今まさにしているその少女に、声を掛けます。

「お久しぶりです。御坂さん。三日ぶりですね」

「あ、キノじゃない。どうしたの?」

「今日この世界から違う世界に行くので、挨拶を」

「ふーん。まぁ、頑張ってね」

「はい。ところで、上条さんと進展はしました?」

そこで、飲んでいたヤシの実サイダーを吹き出しました。
せき込みながらも、美琴はキノに言います。

「な、なんでそういうことになるのよっ!」

「ボクの見立ててです。では、頑張ってください」

キノは、漏電の気配を感じ颯爽と去って行きました。
後ろでは『ふにゃ〜』という声と、電撃の炸裂音が響きました。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/04(水) 11:27:56.79 ID:ik09kHw0<>キノは、街中を歩いていました。
エルメスを押す姿は、意外とシュールです。

「あ〜、あの人だよってミサカはミサカは指を差してみる!!」

「あァ? クソガキ、人に指差すンじゃねェ」

キノは、振り返ります。
そこには、見慣れたアホ毛の少女と、見慣れた白≠ェいました。
白≠フ方は現代的なデザインの杖を左手で突きつつも、右手でアホ毛ちゃんの手を掴んでいます。

「あ、打ち止めちゃんと、一方通行さん」

「よォ狙撃手。元気にしてましたかァ?」

「お陰さまで。あの時は助けてくださってありがとうございます」

「やめろよムズ痒ィい」

「キノお姉ちゃんはこんなとこで何してるの? ってミサカはミサカは質問してみる」

「今日この街から去るので、その準備を」

「あァ、達者でなァ。テメェの不幸でも祈っておくかァ」

「もう、あなたは口が悪いんだからってミサカはミサカは嘆息してみる」

「また、どこかで逢えればいいですね」

「またねー! ってミサカはミサカは手を振ってみる!」

「じゃァな、狙撃手」

後ろからは、『あー、あれ欲しいー! ってミサカはミサカはダッシュ!』『走ンなクソガキ、転ンだらどうすンだ』という微笑ましい会話が聞こえます。

(彼は……俗に言う……ロリコンなのでしょうか……)

そうです、としか言いようがないでしょう。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/04(水) 11:30:51.65 ID:ik09kHw0<>「さて、これでこの街ともお別れですか」

「殴り足りない?」

「……名残惜しいだね。まぁ、そうでもないよ」

キノは口を動かしつつ、手で説明書の通りに操作します。
エルメスに付けられていた時空間移動装置。そして、それが作動します。

「さようなら、学園都市」

科学の発展した街、学園都市。
その明かりは、途絶えはしません。<> V1PにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/08/04(水) 11:34:15.60 ID:ik09kHw0<>さて、これで終わり。

キノ×PSYRENとかシズ×デュラララとか師匠×パワポケとか考えてたけど
明日からしばらくいなくなるし、宿題もあるし、よく考えれば師匠とかシズとか扱いにくいから
ここでgdgdになる前に終わりにしておきます。

ちょっと用事でいなくなるけど、夜辺りにはhtml化に依頼してきますので

乗っ取ってくれる方がいれば嬉しいです。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/04(水) 11:57:29.71 ID:zR/3NU.0<>乙乙!!
楽しかった!
本家キノと学園キノが混ざってて、地の文吹いたー
あと、一方さんは、ロリコンじゃないよ(!)
(ロリコンは俗に言うセロリさん)<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/04(水) 15:03:56.63 ID:KgvnFh20<>乙様でした!
とっても面白かったです
キノのss増えないかな<>