VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:32:19.78 ID:XXvn2lU0<>
澪「い・・今、なんて言ったの?」
梓「澪先輩が好きです、と」
澪「どういう・・意味?」
梓「ですから、澪先輩とお付き合いしたいという意味で」
唯「あ、あずにゃんっ・・・?」
律「・・・」
梓「な、何ですか、律先輩。私のおでこに触れても先輩のおでこは狭まりませんよ?」
律「熱があるわけじゃないみたいだな」
梓「当然です、私は至って正常ですからっ!」
唯「あ、あずにゃんっ・・・」
紬「で、澪ちゃんはこの告白を受けるの? それとも、まさか・・?」
澪「ちょ、ちょっと待ってっ、どうしてそんなに展開が早いんだ!」
紬「えっ、だって善は急げって言うじゃない?」
澪「何が善で何が悪なのか、今の私には判断ができない・・」
唯「あ、あずにゃんっ・・・」
梓「とにかく、私は本気ですから。遊びなんかじゃありませんっ」
澪「す、少し落ち着いてくれ、梓。色々聞きたいことはあるけれど、…どうして私なんだ?」
梓「理由なんて言うまでもありませんが、いくらでもありますよ」
澪「(言うのか・・・)」
紬「うんうん、1つ1つ細部まで詳しく教えてほしいわっ」
澪「さっきから何でムギはそんなにニコニコしてるんだ・・・」
梓「1つ1つ言っていたら、下校時刻になってしまうので省きますけど、」
澪「(下校時間まで1時間以上あるんだが)」
<>梓「好きです、澪先輩っ」 澪「・・・え?」
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:34:08.15 ID:XXvn2lU0<>
梓「澪先輩は花に例えると、コスモスのように可憐で、スイセンのように純朴で、ときどきチューリップのように愛くるしくて・・・、」
紬「それでそれで?」
唯「あ、あずにゃんっ・・・」
梓「果物に例えると、イチゴのように可愛くて、バナナのように栄養豊富で、メロンのように甘く、柔らかで・・・、」
紬「うんうんっ」
唯「あ、あずにゃんっ・・・」
梓「・・いや、この場では私の徒然なる想いを打ち明けることはできません!
とにかくっ、私と付き合ってくだされば、夜空を見上げながら煌めく星の数だけ、澪先輩の素敵な所を挙げてごらんにいれますっ!」
澪「・・・」
梓「先輩?」
澪「・・ご遠慮願いたいばかりなんだけれど」
紬「澪ちゃんっ!」
澪「えっ?」
梓「・・・う、ぐすっ」
澪「(な、泣いたっ!?)」
梓「えぐ、うっ・・」
紬「澪ちゃんが遠慮したいなんて言うからっ・・・」
梓「いえ・・ぐす、確かに澪先輩は誰にでも優しい人ですが、私みたいなただの後輩と付き合ってくれるわけがないって分かっていました・・、でもっ!」
唯「あ、あずにゃんっ…」
梓「でも、普段同じ部活のメンバーとして他の人よりも身近に居る私なら、と思って・・!」
澪「梓・・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:36:36.22 ID:XXvn2lU0<>
紬「分かったわ、澪ちゃんが戸惑うのも分かるけれど、梓ちゃんの気持ちを蔑ろにするわけにはいかないし、」
律「(気合い入ってるなぁ、ムギ)」
紬「だから、澪ちゃんは今日1日しっかり考えて、メールや電話じゃなくて『直接』、梓ちゃんにちゃんとした返事をすること、梓ちゃんもそれで良いかしら?」
澪「う・・・わ、分かった」
梓「もちろんですっ」
紬「うんっ。じゃあ、まだ時間あるし、練習始めましょ!」
唯「あ、あずにゃんっ・・」
律「・・・」
―同日・某所、帰路(PM 7:15)―
澪「なんか今日はすごい疲れた・・・」
律「澪にしては珍しくミス連発だったな〜、今日の練習」
澪「あ、当たり前だろっ!みんなが居る前で何の前触れもなく後輩に告白されたんだからっ、しかも女の子に!」
律「そうだよなー、梓も梓で演奏中に澪の方ばっか見てて、全然手が動いてなかったし」
澪「その視線もあってか、私も全然頭が回らなくて、リズムもメロディも歌詞もさっぱりだったよ・・・」
律「ふーん・・で、どーすんのさ?」
澪「な、何が?」
律「何がじゃないだろっ、梓の告白の返事だよ、へ・ん・じっ!」
澪「そ、そうだよな・・・どうしよう、今日は眠れないかも」
律「澪はこういうの疎いもんな〜、しかも相手が普段は真面目で可愛い後輩だものー」
澪「他人事だと思ってぇ・・!」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:38:01.73 ID:XXvn2lU0<>
律「悪い悪いっ、ほっぺた膨らませるなって・・ってか、私にアレコレ指図する権利はないし、最後に決めるの澪だってことを忘れるなよっ」
澪「そうだけど、私一人で、一晩で答えが出せるかどうかが危ういよ・・」
律「ムギはそう言ってたけど、そんなに簡単に答えが出せるもんじゃないって。ま、たまにはこういうことで頭を捻らすのも良いことなんじゃないか?」
澪「そういうものかな・・・うん、よく考えてみるよ。ありがとな、律」
律「おうっ、私は澪の味方だから。どうしてもってときには電話しろよ!」
澪「分かった・・どうでもいいけど、なんかすごく楽しそうだな、おまえ」
律「なっ、そんなことないって!」
澪「ふぅん、まぁ良っか…、じゃあまた明日な」
律「おうっ、また〜!」
律「・・・」
律「楽しいわけないだろ…、ばーか」
―同日・平沢家、リビング(PM 10:00)―
唯「・・・っていうワケなんだよっ」
憂「へぇ〜、梓ちゃん、澪先輩に告白したんだぁ…」
唯「うん、いきなりだよ、いきなり。『澪先輩と付き合いたい』って言い出してさ〜」
憂「でも、お姉ちゃん、すごく元気ないね・・・」
唯「だって〜・・、あんなにあずにゃんを可愛がってたのに澪ちゃんにいっちゃうなんて、あたしゃショックでショックで・・・」
憂「(女の子が女の子に告白したっていう点は気にならないんだ・・・)」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:39:29.58 ID:XXvn2lU0<>
唯「もし、澪ちゃんがOKしちゃったら、もう私、あずにゃんにスリスリできないよぉ〜」
憂「別にそれは良いと思うけど…でも、お姉ちゃんには私が居るからねっ」
唯「う゛い゛っ〜・・・!」
憂「よしよし」
唯「良い匂いー・・」
憂「元気出して、お姉ちゃんっ。ほら、まだお風呂入ってないでしょ?」
唯「はいるぅ〜・・・ぐすっ」
憂「・・・私はもう入ったから、出たらお風呂のスイッチは消しておいてねっ」
唯「わがっだぁー・・・お風呂で泣いてくる〜」
憂「もう、お姉ちゃんったら・・・!」
憂「・・・」
憂「さて、と・・・」
―同日・中野家、梓の部屋(PM 10:05)―
梓「え、あぁ、うあぁっ!言っちゃった、言っちゃったよぉ・・!」
梓「澪先輩、私のこと絶対変な子だと思ってるよね・・今からでもメールで告白の撤回を、」
梓「いや、もうダメっ、二人きりのときに告白したならまだしも、唯先輩たちが居る前で言っちゃったし、あぁもうっ!」
梓「・・・あ、あれ、電話・・・憂からだ」
梓「も、もしもし?」
憂『やったね、梓ちゃん!澪先輩に告白できたんだよね?』
梓「あ、うん、憂が昨日の夜に私にアドバイスしてくれたおかげだよ・・・っていうか何で知ってるの?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:45:16.20 ID:XXvn2lU0<>
憂『あ、ごめん!お姉ちゃんが言ってたんだ、すごくメソメソしてたんだけど・・』
梓「そうなんだ。でも、憂にはすぐ言おうと思ってたから気にしないでっ・・・ただ、まだ返事をもらえてないし、全然喜べる状況じゃないんだよね・・」
憂『大丈夫だよっ、澪先輩ならきっと梓ちゃんのことを想ってくれるはずだよ!悪い印象も持ってないだろうし、何よりあの澪先輩だもんっ!』
梓「うん、私もそう思っていたいけど・・・」
憂『それで、返事はいつもらえそうなの?』
梓「早ければ明日もらえると思う・・かな」
憂『そうなんだ。澪先輩って恥ずかしがり屋だし、今日の夜にメールが来たりとかはしないの?』
梓「ううん、ちゃんと直接返事してくれるって・・澪先輩、そういうところはちゃんとしてくれる人だから」
憂『そっかあ・・、うんっ。とにかく、何かあったら遠慮なく相談してくれて良いからね、私は梓ちゃんの味方だからっ!』
梓「うん、ありがと・・この1週間、告白するかどうかずっと悩んでたけど、憂の後押しのおかげだよ、ホントにありがとう」
憂『どういたしまして。良い返事がもらえること、私も祈ってるからっ!』
梓「うん・・・じゃあ、また明日ね」
憂『うん、おやすみっ!』
梓「おやすみっ」
梓「・・・」
梓「・・憂のおかげで少しだけ前向きになれた、かな」
梓「晩ご飯が喉を通らなかったけど・・、ちょっと食べてこようっと」
梓「・・・明日、か」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:46:26.79 ID:XXvn2lU0<>
―同日・秋山家、澪の部屋(PM 11:30)―
澪「っ、くぅ・・・!」
澪「ダ、ダメだっ…、今日の復習も明日の予習も、ベースの練習さえも手がつかないっ・・!」
澪「それもこれも全部、梓が私に告白するから・・」
澪「どうして、梓は私なんかが好きなんだ・・・、どうして私なんかっ、」
ピピルピルピルピピルピー♪
澪「うわぁっ!び、びっくりした・・、あれ、ムギから電話なんて珍しい」
澪「・・もしもし?」
紬『・・あ、澪ちゃん?こんな遅くにごめんなさい、もう寝てた?』
澪「ううん、勉強も睡眠もままならない状況で…かれこれ、3時間は机に突っ伏してるよ」
紬『やっぱり・・・私、どうしても澪ちゃんが心配で』
澪「ごめん、ムギにまで心配かけちゃってるみたいで」
紬『ううん、私の方こそ、澪ちゃんに明日までに、しかも直接返事をしなさいなんて強制しちゃって・・』
澪「大丈夫だよ。ムギの言ってたことは最低限の礼儀だと思うし、あんまりだらだら考えてても、みんなに変に気負わせちゃうだろうからさ・・・、明日からも部活はあるわけだし」
紬『そう言ってもらえると助かるわ・・。それで、返事は決まったの?』
澪「それが、まだなんだ・・・。梓は大事な後輩だし、可愛いとは思うけど・・・、まさか、告白されるなんて思いもしなかったから」
紬『うんうん、恋なんていつも唐突なものよ。澪ちゃんが戸惑うのもよく分かるわ』
澪「うん・・、ホントにどうすれば良いのかわかんなくって・・」
紬『そうね・・、差し出がましいようだけど、私は二人が付き合っても良いと思う』
澪「ど、どうして?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:47:36.39 ID:XXvn2lU0<>
紬『だって、何も困ることなんてないじゃない、澪ちゃんと梓ちゃんが付き合ったとしても』
澪「そ、そうかな・・、だって女の子同士なんだよ?」
紬『そんなこと、大した障害じゃないと思うわ。恋愛で損得勘定をしてはいけないけれど、
一緒に軽音部でやっていくにあたって二人にデメリットはないし、それに、見てる方もすごく安心できる組み合わせだと思うから』
澪「そ、そうなのかな?」
紬『それに、私たち3年生には大学受験が控えているわ」
澪「そうだな・・そろそろだもんな」
紬「うん。過酷な受験勉強をやっていく中で、後輩である梓ちゃんの存在は澪ちゃんの心の支えになってくれるはずよ?』
澪「で、でも、唯とかかなりショック受けてたみたいだし・・」
紬「・・・」
澪「・・ムギ?」
紬『・・澪ちゃんに1つだけ言っておくことがあるの、これだけは忘れちゃだめ』
澪「な、何?」
紬『・・梓ちゃんが、他でもない澪ちゃんを選んだこと、よ』
澪「梓が私を・・」
紬『何より、すごく可愛いじゃない・・梓ちゃん』
澪「う、うん。それは、まぁ思うけど・・」
紬『ハッ・・あっ、ご、ごめんなさい、澪ちゃんの気持ちを無視して勝手なことばっかり言って・・』
澪「そんなことないよ・・、すごく参考になった」
紬『ありがとう。私はとにかく二人が幸せになってくれれば良いなって思ってるだけだから』
澪「うん・・、やっばりムギは優しいな」
紬『そんなことないわ、こんな時間まで真剣に梓ちゃんの想いに答えてあげようとしてる澪ちゃんの方が・・・ずっと優しいと思う』
澪「い、うっ・・そんなこと、」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:49:59.20 ID:XXvn2lU0<>
紬『うふふ、澪ちゃん、顔真っ赤よ?』
澪「な、何で分かるんだっ!?」
紬『声が上擦ってるもの、すぐ分かるわ』
澪「・・・と、とにかくっ、もう少し一人で考えてみることにするよ」
紬『分かったわ、あんまり思い詰めないようにね・・、明日も学校あるんだから』
澪「うん、ありがとう、ムギ。少しだけ気持ちの整理がついた気がする…かな」
紬『良かった・・そのために電話したんだもの』
澪「ふふっ、ムギには適わないな・・じゃ、おやすみ」
紬『うん、おやすみなさいっ』
澪「(二人が幸せになってくれれば良いなって思ってるだけだから・・・・、か)」
澪「・・・」
澪「私と、梓の幸せ・・・」
『好きです、澪先輩っ』
澪「・・・」
澪「もう少し・・考えてみよう」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:51:50.90 ID:XXvn2lU0<>
―翌日・桜が丘高校近辺、通学路(AM 7:55)―
澪「・・・」
澪「結局、一睡もできなかった・・・」
律「よーっ、澪!」
澪「・・おはよう、律」
律「おっす・・って、どうしたんだ澪、目の下のクマがすごいぞ、奇抜なアイメイクか?」
澪「うぅ・・・、あんまり寝れてないんだ」
律「何でまた・・・あぁ、もしかして、梓のことか?」
澪「正解・・・、どの公式を使っても解くことのできない問題だな、これは」
律「おいおい、フラフラしてるぞ、酔っ払ってるのか・・・?」
澪「あはは、なんか詞ができそう・・・」
律「ら、ラリってる・・!」
澪「曲名は『禁断の純愛 〜先輩後輩エロティズム〜』・・みたいな」
律「日頃の澪なら絶対に浮かばないワードばかりだ・・」
澪「・・いきなりだけど。律、今日の授業のノート頼む」
律「む、むりムリっ、無理だって!」
澪「だって、こんな精神状態じゃ英単語一つ頭の中に入らない・・」
律「今日、休んだ方が良いんじゃないか・・」
澪「・・はっ、夢か!」
律「え?」
澪「そうだよ、梓が私に告白なんて地平線より果てしなく非現実だもん、夢に決まってるっ」
律「澪の現実逃避に拍車がかかっている・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:53:21.01 ID:XXvn2lU0<>
澪「きっとアレだよ、私の独り身っぷりが余りにも寂しく見えたから、梓は私を勇気づけようと・・・」
律「大丈夫だ、澪は同性にも異性にも思ったよりモテてるからっ!」
澪「あっ、もう8時だ・・家に帰らないと」
律「よく見ろっ!あれは夕日じゃなくて朝日だっ、っていうか夜の8時でまだ日が出てるとか北欧諸国かよっ!」
澪「あ、朝日っ!?・・・やめろ、砂になるぅ!」
律「・・おまえは徹夜明けのサラリーマンか?」
澪「あれ、天使が見える・・・、私を夢と希望の国へ連れていって・・」
律「ネズミの国で我慢しろ」
澪「・・・あれ、いつから居たんだ律、おはよう」
律「(とうとう、記憶障害が・・・)」
澪「まぁ、冗談はさておいてだな」
律「(今までのボケは意識的なものだったのか)」
澪「・・・」
律「澪・・?」
澪「・・・」
律「死んでるッ!?」
澪「・・気絶してるだけだ」
律「してないじゃないか・・」
澪「いっそのこと、ホントに私を殺してくれぇ・・・」
律「バカなこと言うなよ、素直に向き合うことが澪にとって大事なことだって、いつも言ってるじゃんか」
澪「そ、そうだけど・・・」
律「逃げてばっかりじゃ梓に失礼だしな、どっちを選ぶかは澪の自由だけど、答えは出さなきゃいけない・・・、だろ?」
澪「そうだよな、解答用紙は白紙のままより何か書かないとだよな・・・」
律「そうそうっ、それにこれは記述問題じゃなくて選択なんだからさっ!」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:54:59.39 ID:XXvn2lU0<>
澪「うん・・・、頑張ってみる」
律「おう、頑張れ☆」
澪「・・・」
律「?」
澪「・・やっぱり、帰りたい」
律「(まるで反省していない…)」
―同日、桜が丘高校、2年1組(AM 8:30)―
梓「・・・」
梓「結局、一睡もできなかった・・・」
梓「今日は朝練なくて良かったな、こんな状態じゃ澪先輩にまともに目を向けられないよ・・」
憂「おはよう、梓ちゃんっ」
梓「おはよう・・、憂」
憂「どうしたの、酷いクマだよ?」
梓「・・昨日の夜のうちは澪先輩から返事は来ないって分かってるのに、」
憂「・・・寝れなかった?」
梓「うん・・」
憂「なんか良いなあ、梓ちゃん。恋する乙女って感じで」
梓「笑い事じゃないよぉ・・・今日一日、先生の話が頭に入らないと思う・・」
憂「それは大変だね・・でも、そんなにも澪先輩のこと想ってるんだっ」
梓「ちょっ、憂、声が大きいっ」
憂「ごめんごめんっ、梓ちゃん見てたら私までほっこりしてきちゃって・・・、」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:57:03.99 ID:XXvn2lU0<>
梓「うぅ・・・、私はほっこりどころじゃないよ」
憂「そうだね、・・うん」
梓「不安で心臓が押し潰されそう・・・」
憂「何か憧れるなぁ・・・、そういうの」
梓「そんな気楽な・・・私、死んじゃうよー・・」
憂「良いなぁ。死ぬほどの恋、って感じで」
梓「もうー、憂ったら・・・」
憂「今から死にそうになってるんじゃ、いざ付き合ってもダメダメになっちゃうよ?」
梓「フラれても死んじゃうけどね・・・」
憂「大丈夫だよっ、大丈夫!」
梓「え〜・・、根拠は〜?」
憂「根拠とか、理屈で考えることじゃないよっ、恋愛って」
梓「うう・・・、そんなものなのかなぁ」
憂「万が一・・億が一、だめだったとしても、いっぱい泣けば良いと思うから・・、ね?」
梓「帰りたい・・・」
憂「めっ」
キーンコーンカーンコーン
ズバンッ!
純「お、おはようっ・・・間に合ったぁ〜、遅刻するとこだったよっ
靴下を間違えて違うの同士で履いちゃっててさー、慌てて戻ってたらこんなにギリギリで・・!」
梓「・・・」
憂「・・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 14:58:10.11 ID:XXvn2lU0<>
純「な、何・・どしたの二人とも?」
梓「・・・私、純になりたい」
純「それどういう意味よっ!?」
憂「ふふっ・・・!」
―同日・桜が丘高校、2年1組(PM 0:15)―
純「どうしたのさ、梓」
梓「・・・何が?」
純「だって、授業中ずっと上の空だったり、そのせいで先生に指されて出された私でも分かる問題を梓が答えられなかったり・・、」
梓「何それ、バカにしてるの?」
純「ご、ごめんっ、そういうつもりじゃなくって・・・梓がそんなアンニュイな表情してるの珍しいなって思って」
梓「あっ、ごめん・・私も何だかピリピリしてた・・・、でも何でもないよ、心配してくれてありがとね、純」
純「そう・・・なら、良いんだけど」
梓「ホントに大丈夫だから・・、あ!」
純「メール?」
梓「うんっ」
From:澪先輩
Subj:梓へ。
―――――――――――――
話したいことがあるから、
今日の部活が終わったあと、部室に残ってくれないか?
―END―
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 15:00:01.27 ID:XXvn2lU0<>
梓「(き、来たっ・・!)」
純「どしたの、梓・・・顔真っ赤だよ?」
梓「あ、いやっ、ね、熱でもあるのかな!?」
純「大変じゃんっ、保健室行かないと!」
梓「あ、いや、やっぱ嘘っ!・・、何としても部活が終わるまでは残るんだから!」
純「梓、何言ってんの?」
憂「・・ただいまー、何やってるの二人とも?」
純「憂ーっ、梓がおかしくなっちゃったんだぉ!」
梓「(とりあえず、返信しなきゃ・・・)」
梓「(こういうのに楽しげな絵文字はタブーだよね・・・」
To:澪先輩
Subj:Re:梓へ。
―――――――――――――
わかりました。
―END―
梓「(・・・味気ないなぁ)」
梓「(まぁ、メール云々は問題じゃないよね)」
梓「(返信っと)」
純「まるで私たちが見えてない・・、携帯画面に釘づけになってる」
憂「梓ちゃんだって携帯に釘づけになっちゃう日もあるよ、さっご飯にしよっ!」
純「う〜、気になる・・・」
梓「(・・・緊張でご飯が喉を通らないっ)」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 15:01:44.46 ID:XXvn2lU0<>
―同日・桜が丘高校、軽音部部室(PM 6:55)―
唯「ふぃ〜、今日は一段と頑張って練習した気がするよー・・・お疲れさま、あずにゃ〜んっ!」
梓「も、もう、唯先輩ったら、くすぐったいですっ!」
唯「あぁーん、あずにゃんのいけずぅ・・・あっ、」
澪「ん?」
唯「・・・」
梓「唯先輩?」
唯「・・・うん、忘れ物はなっしんぐ、帰る準備完璧っ、いこうっ、りっちゃん、ムギちゃん!」
律「じゃ、私たちは先に帰るから、戸締まりだけはしっかり頼むぞ、澪に梓っ!」
梓「は、はい・・・」
澪「ああ。ありがとな、律」
律「・・・」
澪「おい、律?」
律「ん、あぁ・・うん、任せたぞんっ!」
紬「じゃ、また明日ね」
唯「ばいばい、澪ちゃんあずにゃんっ」
梓「お疲れさまでした、先輩方」
澪「ああ、また明日な」
梓「・・・」
澪「・・・」
梓「・・先輩たちに気を遣わせちゃったみたいですね」
澪「うん、まぁ・・そうだな」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 15:02:34.75 ID:XXvn2lU0<>
梓「・・・」
澪「・・・」
梓「あ、」
澪「あのっ、」
梓「せ、先輩からどうぞ」
澪「良いよ・・、梓が先だったし」
梓「は、はい・・えっと、昨日はいきなりすみませんでした、場所も変えないであんなこと・・どうかしてましたよね」
澪「あぁ、別に気にしてないから大丈夫。私の方こそ、ぞんざいな対応しちゃって・・」
梓「いえ・・、それで、あの・・」
澪「・・?」
梓「へ、返事の方は・・」
澪「・・うん」
梓「・・・」
澪「昨日の夜、ずっと考えてたんだ、梓のこと・・」
梓「(私のことを・・ずっと?)
澪「ずっと考えてた・・、私は梓に相応しいのかどうかって」
梓「・・・、え?」
澪「私、人と付き合うなんて想像したこともないし、長く続ける自信もない・・・相手が知らない人ならまだしも、梓が相手だから余計に不安で・・・」
梓「・・・あの」
澪「だって、もし愛想尽かされたり、何か取り返しのつかない失敗しちゃったら、私も相手もすごく傷つく・・・だから、傷つくくらいなら付き合わない方が良いと思うし」
梓「あ、あの、澪先輩っ!」
澪「うん?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 15:05:42.47 ID:XXvn2lU0<>
梓「『私は梓に相応しいのかどうか』ということは、あのっ、澪先輩は私のことを、」
澪「?」
梓「・・受け入れてくれる、ってことですか?」
澪「・・・」
梓「・・・」
澪「・・えっ、あっ?私っ、何て言ってた・・!?」
梓「つまり、あの・・・付き合っても良いってことですか?」
澪「あ、わ、私っ、話の順番を間違えてっ・・・!?」
梓「せ、先輩?」
澪「あ、あっ、うわわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
梓「待ってくださいっ、先輩!」
澪「・・あ、あずさ、」
梓「あっ、す、すみません・・いきなり、手掴んじゃって」
澪「こっちこそ・・、逃げようとするなんて、最低だ・・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/23(月) 15:06:50.85 ID:XXvn2lU0<>
梓「いえ、澪先輩の気持ちが分かったので、もう安心しました・・」
澪「・・梓」
梓「あの・・、改めて返事をください、先輩」
澪「・・・うん」
梓「・・・」
澪「梓・・」
梓「はいっ」
澪「・・私、梓を好きになっちゃったみたいだ」
梓「・・・」
澪「梓?」
梓「・・私も、」
梓「私も・・・、澪先輩が大好きですっ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/23(月) 15:08:13.95 ID:XXvn2lU0<>
以上です。
需要があるかは微妙ですが、続きは近日に。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/23(月) 15:36:33.63 ID:23nxqEUo<>乙<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/23(月) 17:17:02.87 ID:aXCGoEDO<>続けてください<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/23(月) 17:47:58.46 ID:gB7nbMDO<>ふぅ…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/23(月) 18:04:24.69 ID:3iPhp6DO<>構わん、続けろ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/23(月) 19:29:20.60 ID:1A3ozMAO<>りっちゃん可哀相過ぎて見てられん<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/23(月) 21:09:16.86 ID:snNFBoSO<>すばらしい…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/25(水) 21:26:36.29 ID:SXmpWiI0<>
―同日・桜が丘高校近辺、帰路(PM 7:10)―
律「・・・ありがとな、か」
唯「どしたの、りっちゃん。珍しく何かに悩んでいるご様子でっ」
律「いやー何でもない、昨日あんまり寝てなくってさぁ」
紬「・・・」
唯「んも〜う、りっちゃんのことだから、どうせまた夜遅くまでゲームやってたんでしょ!」
律「そんなトコ・・ったく、1回始めると止められなくなっちゃうんだよなー、はっはー!」
唯「やれやれ〜、そんなだから授業中居眠りばっかりするんだよー?」
律「なっ、唯だって本も立てずに堂々と爆睡してて、先生に怒られてたじゃんかー、しかも五限連続ッ!」
唯「そんなこといったら、りっちゃんだってぇっ!」
律「はいはい、そこまでっ、じゃあまた明日、学校でな!」
唯「う〜っ、この続きはまた明日だよっ、ばいばいきんっ!」
律「おうっ、ムギもまたな!」
紬「うん、またね・・」
紬「・・・」
紬「・・ごめんね、りっちゃん」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:28:20.89 ID:SXmpWiI0<>
―同日・桜が丘高校、軽音部部室(PM 7:10)―
梓「なるほど〜・・それじゃ澪先輩は大学進学ですか?」
澪「そうだな、できれば推薦もらって・・、かな」
梓「澪先輩はインテリですから、大丈夫ですよっ」
澪「その言い方はやめてくれ・・インテリってどう考えてもバカにしてるだろっ」
梓「ふふっ、あたふたする先輩もちょっぴり怒った先輩もとっても可愛いです・・」
澪「うぅ、・・・梓はそういうことを平気で言えるんだな」
梓「そうですね。でも、先輩が私に恥じらいを求めるというのなら、私はいくらでも恥じらいますよ?」
澪「くっ・・梓、いつもと性格が違うぞっ」
梓「自分の前でだけ積極的になる後輩・・、何かそそりません?」
澪「そ、そういう、えっちなのはどうかと思う・・・」
梓「だめですか?」
澪「か、可愛いとは思う・・けど」
梓「んっ、もう一度・・・目を見て言ってください、先輩」
澪「・・もう言わないっ!」
梓「えぇ〜、良いじゃないですかっ」
澪「い、嫌だっ!」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:29:21.32 ID:SXmpWiI0<>
梓「私は澪先輩の目を見ていたいです・・その澄んだ黒い瞳を」
澪「何言ったって無駄だっ!」
梓「、お願いですっ」
澪「・・っ」
梓「澪先輩っ」
澪「あ、ずさ・・・」
梓「・・・、良いですか?」
澪「な、何が・・・」
梓「初めてですよね、キス?」
澪「・・っ!」
梓「初めてじゃなくても、今日が初めてってことにしてください」
澪「ぁっ・・、い、いや・・私も初めて・・だよ」
梓「・・良かった、私もですから」
澪「梓っ・・わ、私、心の準備が、」
梓「だめです・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:30:42.14 ID:SXmpWiI0<>
澪「あず・・、ん、んぅっ」
梓「んっ・・・」
澪「ぁむ、んっ・・」
梓「・・っ」
澪「ぅ、んぷっ・・ッ!?」
梓「ぴちゅ、」
澪「んむっ・・はっあ!」
梓「んぁっ・・・先輩、どうして逃げるんですか?」
澪「どうしても何も、し、舌を入れられたら誰だって逃げるだろっ・・」
梓「あ、やっぱりダメでしたか?」
澪「当たり前だ!!」
梓「残念です・・けど、そういうウブなところも新鮮で、たまらなく可愛いですし」
澪「うぅ・・、そうやって逃げるのはずるい」
梓「先輩が誉められ慣れてないのが悪いんですよ」
澪「あ、梓だって可愛いと思うぞ」
梓「ふふっ、でもまだまだですよ・・私は」
澪「な、何がだ?」
梓「私はまだまだ先輩に自分を見せていませんから・・」
澪「・・っ、」
梓「もう1回したくなっちゃいました・・、良いですか?」
澪「な、あっ・・?」
梓「良いですか?」
澪「う・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:31:42.66 ID:SXmpWiI0<>
梓「・・ね、先輩っ」
澪「1回だけ、だぞっ」
梓「・・ふふ」
澪「?」
梓「・・この上なき幸せ、です」
澪「んっ・・・」
ガチャッ
さわ子「あれっ、まだ居たの?」
梓「!」
澪「う、うわわわわわわわわわああぁっ!?」
さわ子「ちょっと、どうしてそんなにオーバーリアクションなのよ・・、少し傷つくわ」
澪「すみません・・、っていうか先生の方こそ、ノックくらいしてくださいよ!」
さわ子「あぁ、ごめんなさいね、今日は私が日直で早く見回り済ませたくってぇ・・」
澪「・・なるほど」
さわ子「あら、何でちょっと不機嫌なの、梓ちゃん?」
梓「いえっ・・何でもないです」
さわ子「それなら良いけど・・それにしても珍しい組み合わせねぇ、澪ちゃんに梓ちゃんなんて・・何してたの?」
澪「え、えぇ。ちょっと好きなアーティストの話に華が咲いちゃって・・・」
さわ子「ふぅ〜ん・・それだけぇ〜?」
澪「せ、先生は私たちに何を期待しているんですかっ!?」
さわ子「うふふ、ごめんごめん。何にせよ下校時刻は過ぎてるんだから、急いで帰りの支度してねー」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:33:10.13 ID:SXmpWiI0<>
澪「わかりました、わざわざすみません・・・」
さわ子「えぇ、あと戸締まりだけはしっかりして、気をつけて帰りなさいっ」
澪「はい、ありがとうございました」
さわ子「じゃ、また明日ね〜」
バタンッ
澪「・・・びっくりした」
梓「邪魔されちゃいましたね」
澪「心臓が止まっちゃうかと思ったよ」
梓「そのときは、私が病院まで先輩をお姫さま抱っこして運びますから安心してください」
澪「恥ずかしいからやめてくれっ!」
梓「ふふっ、可愛いです・・先輩っ、」
澪「・・す、ストップストップっ、また同じことの繰り返しになっちゃうだろ!」
梓「私は一向に構いませんよ、澪先輩と一緒なら学校に一泊や二泊、何なら今日から同棲しても、」
澪「私がダメなんだっ!」
梓「あ、わかりました。先輩は夜の学校が怖いんですね?」
澪「なっ、あ、ぐっ・・そ、そんなことっ・・な、い」
梓「声が小さくなりましたけど・・本当ですか?」
澪「ほ、本当だ・・」
梓「あれ、あそこの窓に女の人の顔が、」
澪「う、うひゃあああぁぁぁぅっっっっ!!!!?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:34:47.67 ID:SXmpWiI0<>
澪「・・・」
梓「ふふ、嘘です♪」
澪「・・も、もうっ!」
梓「すみません、澪先輩をからかいたくて」
澪「う〜っ、これ以上ここに居るとどうにかなっちゃいそうだ・・もう帰るぞっ」
梓「はいっ、先輩♪」
澪「なんか調子が狂う・・」
梓「はいっ、目一杯よがり狂ってもらっても構いませんよ?」
澪「こ、この・・バカ梓ぁっ!」
―同日・秋山家、門前(PM 7:45)―
澪「梓とのんびり話ながら帰ってたら、こんな時間になっちゃった・・」
澪「うぅ、まだ顔が熱いぞ・・、あれ?」
?「・・・」
澪「(・・い、家の前に誰か立ってるっ」」
澪「(ふ、不審者・・?)」
澪「(不審者に会ったときは、まず・・えーと、)」
澪「(と、とにかく、いざとなったら、このベースで・・)」
澪「(・・いや、そんなことできるわけないっ、エリザベスを武器にするなんて)」
澪「って、あれ?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:36:10.95 ID:SXmpWiI0<>
律「・・・」
澪「・・律?」
律「おっす、澪」
澪「おっす。じゃないだろ、どうしたんだこんなところで?」
律「いやぁ、明日の英語の小テストの出題範囲でどうしても聞きたい場所があってさぁ」
澪「電話で聞いてくれれば良いのに・・、とりあえず、上がるか?」
律「うん、・・・と、ところでさっ、」
澪「ん、何だ?」
律「・・・」
澪「律?」
律「・・梓のこと、どうなった?」
澪「あっ・・えっと、うん」
律「うん。じゃなくて、」
澪「・・つ、付き合うことに、した」
律「・・・」
澪「律?」
律「・・そっか、そっかそっかぁっ!」
澪「?」
律「いやー、結局、昨日の夜は澪からメールの1つも来なかったし、一日中、澪がセンチレンタルな顔してたから、心配になっちゃってさぁーっ!」
澪「センチレンタルって何だよ・・」
律「いやぁー、良かった良かった」
澪「でも、悪かったな・・・律にも迷惑かけたし」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:37:00.66 ID:SXmpWiI0<>
律「おっけーおっけーっ、梓が相手なら自信を持って澪を任せられそうだ!」
澪「失礼なっ・・、まぁ良いか、早く上がりなよ、泊まっていくわけじゃないんだからさっさとこなして・・・、」
律「いや、やっぱ帰るよっ」
澪「え、律っ?」
律「ごめんっ、私、3分しか変身していられないからさ!」
澪「何を訳のわからないことをっ!?」
律「ほんじゃ、ばいびー!」
澪「お、おいっ」
律「・・お幸せになっ!」
澪「り、律ーっ!?」
澪「・・・」
澪「・・何だったんだ、あいつ?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:38:26.95 ID:SXmpWiI0<>
―同日・中野家、梓の部屋(AM 0:00)―
梓「はぁ」
梓「・・私、絶対おかしい、おかしいよ」
『・・先輩が私に恥じらいを求めるというのなら、私はいくらでも恥じらいますよ?』
『私は澪先輩の目を見ていたいです・・その澄んだ黒い瞳を』
『私はまだまだ先輩に自分を見せていませんから・・・』
梓「信じられない、同じ中野梓っていう人間が言ってるとは思えないほど・・・、」
『・・この上なき幸せ、です』
梓「・・、恥ずかしいっ」
憂『でも、良かったんでしょ?澪先輩が付き合ってくれるって言った上、梓ちゃんと両想いになったんだから』
梓「それはそうだけど、この調子じゃ澪先輩に引かれちゃうよっ・・!」
憂『詳しくは分からないけど、それも梓ちゃんの(隠された)一面なんだから、悪いことじゃないと思うな』
梓「う、うん・・」
憂『何事も進展なしには大成せず――、平坦なお付き合いよりも、いつもと違った梓ちゃんで居てくれた方が良い方向に進むかもしれないよ?』
梓「うん・・」
憂「もし、澪先輩の方から梓ちゃんについての要望があれば、その都度その通りにすれば何とかなるだろうし・・」
梓「な、なるほど」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:38:55.03 ID:SXmpWiI0<>
憂「何より澪先輩って純粋そうだから、少しでも刺激があると条件反射でそれを拒絶しちゃう傾向にあるのかも・・、
だからさ、つまり、澪先輩を梓ちゃん色に染めちゃえば良いんだよ!」
梓「・・私色に、染める?」
憂「そう。ゆっくり、ゆっくり・・時間をかけて、ね」
梓「うーん・・ちょっと腑に落ちないところもあるけど、憂が言うとすごい説得力がある気がする」
憂「私なんか偉そうに言える立場じゃないけれど・・・これくらいしかアドバイスできない、かなぁ」
梓「うん、参考にする。ごめんね、先輩と付き合ってからも相談し続けちゃって・・」
憂「全然大丈夫だよっ、むしろ普段真面目な梓ちゃんが恋とかに悩んでるのは何か新鮮だし」
梓「な、何か複雑だなぁ・・、ん、もうこんな時間だ、今日も遅くまでごめんね、憂」
憂「もう・・、そんなに謝らないのっ」
梓「あはは、気を付ける。・・おやすみっ」
憂「うん、おやすみなさいっ」
梓「・・・」
梓「はあ・・、結局、澪先輩にメールしてないや」
梓「先輩からもメール来ないし・・・、明日も学校あるから、もう寝ちゃおうかな」
梓「・・・あっ、メール」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:39:35.10 ID:SXmpWiI0<>
From:澪先輩
Subj:梓へ。
――――――――――――――――――――
不束者ですが、よろしくお願いします;
おやすみ、また明日。
―END―
梓「・・・っ!」
梓「(たった二言の、絵文字も何もないメールなのにすごくときめいたっ・・・!)」
梓「・・・」
梓「そ、それより何て返信しようかな?」
梓「うーん・・」
梓「そうだっ・・そういえば、唯先輩が言ってたっけ、」
To:澪先輩
Subj:Re:梓へ。
―――――――――――――――――――
おやすみなさい!
明日、英語のテストがあるんですよね?
がんばってください☆ヽ(▽⌒*)!
―END―
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/25(水) 21:41:09.43 ID:SXmpWiI0<>
梓「何か味気ないかなぁ・・、澪先輩と付き合ってからの記念すべき初メールだけど、返信が遅くなるのも良くないし・・、えいっ!」
梓「・・・」
梓「・・メール1つ送るのにこれだけの気力を使うなんて、先が思いやられるなぁ」
梓「あっ、もうきた!」
From:澪先輩
Subj:Re:Re:梓へ。
―――――――――――――――
ありがとう。
じゃ、また部活で。
おやすみ。
―END―
梓「・・・」
梓「(素っ気なくってぶっきらぼうで、字面だけ見ると少し冷たい気もする・・)」
梓「でも・・嬉しい、かな」
梓「ん」
梓「・・、ふわあぁぅふっ」
梓「歯も磨いたし、おトイレも行ったし、澪先輩にメールもした。・・私も早く寝ようっと」
梓「・・・」
『・・私、梓が好きになったみたいだ』
梓「・・・」
梓「こ、これからだよ、梓・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/25(水) 21:43:33.42 ID:SXmpWiI0<>
以上です。
コツコツ進展していく感じで・・。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/25(水) 22:03:40.21 ID:ePEhqkDO<>乙! これ以上進展するとなると……いきつくとこまでいっちゃうのか!?<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/25(水) 23:39:44.57 ID:Et/tRUDO<>憂ちゃん恐ろしい子……
期待してるぞ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/26(木) 00:05:59.31 ID:sr.sKYDO<>乙乙!
俺も憂が暗躍してるようにしか見えないww
ていうか、りっちゃん…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/26(木) 00:08:09.19 ID:x/Fj0MAO<>憂の計画が読めてしまうのが怖い…
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/26(木) 14:09:42.29 ID:HcMzx3go<> _.. ´  ̄ ̄ ` . : : :.、
/ . : :./ : : ヘ : : : : : : : :\
/.: : / : : : 〃 : : : : : ', : : : : :、 : : :ヽ
/ .: .:/: : : : :.li : :∧ : : :|: : : : : : \: : :.',. _ _
/. .: : : :∧.: : : : :|i :rz彡‐`ヽ: : : : : : : : : : : :. /:::::X:::::\
,′/ : :'ヾミミヽ: : :li/ V ヽ : : :ヽ : : : : : r‐.、 ヽ:::::::::::::::::::/
l : : :l レ'ヽ: : :/ , - 、 V.:. .:.|.: .: .: : :|: : :.\ ヽ:::::::/
i : : :| : : :! , - 、',: l{ ,tッー-ァ i: : :∧ : : : :∧: : : : :\ `V´
}l 、 :l : : :! ,tッー V `' ー ' .!: :/: : : : ::/ \: : : : :\
〉:.V : :从 `ー' ///// .ムィ:.:|: : :.∨ ヽ : : : : :\
,′:l :/ : :.',.//// , |:.:i : : : | \: : : : :
/.:. .:|/.: : : :i V′: : :! \: : :
,' : : :イ.: : : :人 -―' イヽ: : :./ \
: : :/}l : : : l : iヽ / / |: :./`ー‐' ¨ ̄`ヽ
,' : : / | l : : | :.l ,>ー-― ' ´ / }l∧ / ',
il: :.{ |卜、.:l :.|-‐´ .i |', / / ', / ハ
|l : i |ノ ∧l :.| l | ヽ / / : ,′ / {
|:. :.| | ヽ:| | ', /V{ヽ / 〉 l |
l:. :.| |l l Y}__ { \/ l <´ | |
|:. :.| ', \ 〃|| ||\ / / ヽ
|:. :.l ヽ / ,l| l| ヽ,/ / | |<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/27(金) 01:32:34.93 ID:Osl7Se60<>これはいい乙<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/27(金) 12:41:22.95 ID:mVvP7pMo<>澪梓いいよ〜<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/27(金) 17:33:05.21 ID:KfOaQuw0<>澪梓に目覚めた<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/27(金) 20:17:04.63 ID:/fGw0Nko<>これはりっちゃんを手に入れたい紬と唯を梓にとられたくない憂が手を組んだ・・・のか?
鬱展開はいやー<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/27(金) 20:21:37.32 ID:Osl7Se6o<>このSSでみおあずに目覚めてくれる人が増えてくれると願う<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/27(金) 20:25:33.35 ID:HWkhCQDO<>普通にラブラブキャッキャウフフな澪梓でしょ
それを期待してる<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/27(金) 20:35:53.03 ID:ihfw/sYo<>続きまだかなぁ〜
楽しみだ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/27(金) 22:08:01.59 ID:/4jkpkI0<>
―翌日・桜が丘高校、2年1組(PM:0:30)―
梓「はぁ・・・」
純「どしたの、梓。また悩み事?」
梓「んー、ちょっとね・・」
純「なになに〜っもしかして、恋煩い?」
梓「そそ、そんなわけっ・・!」
純「え、えぇっ?何その反応っ、もしかしてっ・・?」
梓「いや、な、何でもな、
憂「純ちゃん〜、お昼ご飯の前にお手洗い行かない?」
純「あ、うん。梓は?」
梓「私は待ってるから、二人で行ってきなよ」
純「そっか、先に食べてても良いからねっ」
梓「うん、わかった」
梓「・・・」
梓「(憂に助けられた・・)」
梓「(でも、付き合ってるのを隠す必要なんてあるのかな?唯先輩たちも知ってるだろうし、憂も知ってるし・・)」
梓「(うーん、まぁ聞かれたら言えば良いか・・)」
梓「(!・・、澪先輩からメールっ)」
梓「なになに・・?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/27(金) 22:11:14.19 ID:/4jkpkI0<>
From:澪先輩
Subj:今週の日曜日なんだけど・・。
――――――――――――――――――――
もし暇なら、映画でも行かないか?
嫌だったら、断っても良いから・・;
―END―
梓「ぶッ・・!?」
梓「・・・」
梓「(・・こ、これってデートのお誘いっ、だよね!?)」
梓「(まさか澪先輩の方から誘ってくれるなんて・・、)」
憂「ただいま〜♪」
純「よーし、ご飯にし・・・梓、どうしたの?」
梓「ちょっと感無量ってるだけ・・」
純「な、何言ってるの、梓・・?」
梓「っ、あう、なんでもない・・」
憂「ふふっ・・」
純「えっ、何で憂は笑ってるの? 私だけ蚊帳の外みたいじゃん〜っ!」
憂「うぅん、梓ちゃん可愛いなあ〜って」
純「何その含み笑い〜ッ!?」
梓「ぐすっ、・・楽しみっ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/27(金) 22:12:44.87 ID:/4jkpkI0<>
―同日・桜が丘高校近辺、帰路(PM 7:00)
律「良かったのか、梓と二人で帰らなくて?」
澪「別に良いだろ・・彼女と付き合い始めたからって、友達との付き合いを疎かにするのって何か違うと思うし」
律「ふぅん・・、てか梓が彼女だとすると澪が彼氏なんだなー」
澪「ああ・・うーん、今は口をついてなんとなく『梓が彼女』って出ちゃったけどそれってどうなんだろう?」
律「まー、見た目は澪の方がカッコいいけど、中身は梓の方が男気あるから、微妙なトコだな」
澪「・・やっぱり、私って頼りないのかな?」
律「あたしに聞かれても・・まぁ、頼りなさげに思われてるとしても、そういうところにも梓は惹かれたんじゃないのか?」
澪「何か複雑だな、それ」
律「良いじゃん、守ってあげたいタイプってコトだろ? 澪ってお姫さま志向強いし、ぴったりじゃん!」
澪「べっ、別に私はそんな女々しい願望は抱いてなんかない!」
律「うっそだぁ〜!!」
澪「本当の本当だっ」
律「はいはい・・、ま、梓の中では普段の澪は凛としたカッコいい先輩だと思うし、それをしっかり『演じる』ことだな」
澪「演じる・・?」
律「つまり、本当の澪を見せないようにするってコトだよ」
澪「何だよ、本当の私って・・」
律「んー、怖がりで寂しがり屋で泣き虫で臆病な澪ちゃんのことー♪」
澪「わ、私はそこまでヘタレじゃないっ」
律「いや、ヘタレだねー、私は知ってるもん」
澪「何だよ・・、私を知り尽くしたような風に言って、」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/27(金) 22:15:46.39 ID:/4jkpkI0<>
律「・・・」
澪「?」
律「・・知ってるよ、澪のことなら“何でも”」
澪「な、・・」
律「長い付き合いだもん、澪とは」
澪「・・・」
律「・・んじゃ、またなっ」
澪「あ、あぁ。また・・」
律「あ、そうだ。明日澪んち行って良い?」
澪「・・何だよ突然」
律「うん、例の新しいライブDVD買ったから一緒に見ようかなと思ってさ、澪も見たいだろ?」
澪「ほ、ホントかっ!? うん、見たいっ、分かった!」
律「よしっ、でも午前は私、用事があるから、午後から行くけど大丈夫?」
澪「うん、明日なら問題ないぞ」
律「分かった、まぁ何かあったらメールするから・・とりあえず、また明日な!」
澪「ああ、また」
律「・・・」
律「よしっ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/27(金) 22:17:56.16 ID:/4jkpkI0<>
―翌日・中野家、梓の部屋(PM11:20)―
梓「・・・」
梓「明日は澪先輩とのデート、か・・」
梓「・・、今から頬が緩んでいてどうするのっ私!」
梓「映画を見に行くだけっ」
梓「そして、夜は澪先輩の家にお邪魔して、先輩の部屋に行って・・、」
『梓、初めてか・・・?』
『・・は、はいっ』
『分かった、できる限り優しくするから・・、我慢しなくても良いからな?』
梓「だ、」
梓「だめだめっダメです!ここから先は立ち入り禁止っ!」
梓「それに、澪先輩はそんな欲望に駆られるような人じゃないっ!」
梓「・・・」
梓「いや、むしろ、逆に澪先輩を私の家に呼んで・・・、」
『あ、梓・・、私、初めてだからっ』
『・・何ですか、はっきり言ってくれないと分かりませんよ?』
『あ、ぅ・・、や、優しくっ・・・してくれっ』
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/27(金) 22:20:02.43 ID:/4jkpkI0<>
梓「〜〜〜っ!!!」
梓「・・良いっ、すごく良いですっ!」
梓「はぁ・・、はぁ」
梓「・・妄想が留まることを知ってくれない」
梓「うぅ・・お父さんお母さんごめんなさいっ、私はいつからこんなにふしだらな子にっ」
梓「・・・」
梓「と、とにかく…今日は早く寝よう、明日は10時にバス停で待ち合わせだし」
梓「おやすみ・・」
『梓っ・・』
『澪先輩・・』
梓「・・・」
梓「・・やっぱり、眠れないよ〜っ!」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/27(金) 22:21:30.32 ID:/4jkpkI0<>
―翌日・秋山家、澪の部屋(PM11:30)―
♪〜
澪「・・終わっちゃった」
律「結局、午後を丸々使って3回も見ちゃったなー」
澪「うん、時間があればもっと見たいな」
律「よし、1週間500円で貸してやるっ!」
澪「くっ・・いつもなら怒ってるところだけど、このDVDにはそれくらいの価値はある気がするっ」
律「じゃあ、2000円でどうだぁっ!?」
澪「調子にのるなっ!」
律「あいたっ!!」
澪「ったく、バカやってるうちにもうこんな時間に・・、」
律「いててっ、」
澪「・・・」
律「?」
澪「あれ・・、」
律「どした?」
澪「・・律、今日泊まるのか?」
律「・・・、言ってなかったっけ?」
澪「き、聞いてないぞっ!」
律「まっ、別に良いだろ」
澪「良くないっ!」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/27(金) 22:23:17.75 ID:/4jkpkI0<>
律「何だよ、明日用事あったりするのか?」
澪「あっ、いや・・その、えっと」
律「?」
澪「でも、今日くらいは良いか・・律がウチに泊まるのも久しぶりだしな」
律「おう、そうこなくっちゃなっ☆ミ」
澪「でも、オールはしないからな、明日も休みだけど、少し早く起きなきゃならないから」
律「そっかー、でも全然おっけーだよ」
澪「うん。まぁ、もう夜も遅いし、今頃になって律を一人で帰らせるのも危ないしな」
律「そうそうっ♪」
澪「じゃ、私はもう寝るから」
律「えぇっ!?ちょ、ちょっとっ、夜はこれからだろぉっ!」
澪「何言ってるんだ・・おまえだって目の下にクマできてるぞ、早く寝ろっ!」
律「気のせいだっ!・・ふっふーん、寝るって言うなら、ドナドナを澪の耳元で歌ってやるっ!」
澪「止めろばかっ、私はもう寝たいんだ!」
律「くっそぉーっ、梓と付き合い始めたからって澪が私に冷たくするぅ〜っ!!」
澪「そ、そんなことはないから、安心しろって・・」
律「ホント?」
澪「ホントだよ、幼なじみだろ・・」
律「・・・」
澪「?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/27(金) 22:25:29.11 ID:/4jkpkI0<>
律「ぐすっ」
澪「なっ!?」
律「・・、澪ぉ〜っ!」
澪「な、なぜ泣くっ!?・・う、うわっ鼻水ついた!」
律「澪が梓に貞操を捧げる前に、せめて1度だけでも澪を抱き締めて寝る〜っ!」
澪「や、やめろって!今日のお前おかしいぞっ」
律「ほらほら、あんまり騒ぐとママとパパが起きちゃうぞ〜っ」
澪「あぐっ、この変態っ・・!」
律「何とでもどうぞ〜・・・、おやすみ〜♪」
澪「・・・」
律「すぅ、すぅ・・」
澪「(もう寝てる・・)」
律「にむゃ・・澪ぉ・・」
澪「・・・」
澪「(今回の梓の件・・律にも要らない心配かけたしな・・)」
澪「・・おやすみ、律」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/27(金) 22:28:29.76 ID:/4jkpkI0<>
今回は以上です。
多少なりとも需要があるようなので、正直ホッとしました。
どういった方向に進むかは、お楽しみで。。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/27(金) 22:32:29.12 ID:5SrbkYco<>待ってる<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/27(金) 22:36:46.14 ID:33ujqnYo<>俺に需要ありまくりなんで今後も楽しみ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/27(金) 22:40:12.47 ID:.KIh3.AO<>続きwktk<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/27(金) 22:41:40.44 ID:ihfw/sYo<>キマシタワー乙
楽しみに続きを待ってるよ!<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/27(金) 23:03:24.96 ID:SQpsyEco<>http://pic.20ch.net/s/pic2d288169.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/27(金) 23:11:09.10 ID:SeXZe8Qo<>続き楽しみお(^ω^)
>>67
多分俺、おまえと同じスレ見てると思う<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/27(金) 23:18:21.19 ID:Q4ga4QDO<>イイネ・
乙!
あずにゃんペロペロ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/28(土) 09:36:44.95 ID:cVwTcgAO<>また最後は律澪になりそう
たまには最後まで梓澪を読みたい<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/28(土) 15:52:14.63 ID:7eQG/Qko<>続きwktk<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/28(土) 17:22:13.08 ID:ZfE54LMo<>>>70
そこはムギに期待しよう
つか、たまにはムギにもいい目みせてあげて欲しい<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/30(月) 00:05:47.12 ID:6q5kQ9Mo<>楽しみにしてるよ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/30(月) 22:31:15.51 ID:NhXTe8U0<>
―翌日・隣町行バス停(AM 9:45)―
梓「・・ふわぁぁ」
梓「・・・」
梓「眠い・・」
梓「今日という日が楽しみすぎて、1時間も寝れなかった・・」
梓「・・でも、きっちり15分前行動っ」
梓「髪型もいつも通りに決まってるけど、履き慣れないパンプスが少し痛い・・、
服は清潔感溢れる純白のワンピース・・ちょっとひらひらすぎるけど、少しくらい印象に残るくらいじゃないとね」
梓「・・・」
梓「澪先輩は遅刻しないだろうから、あと5分もすれば来るかな?」
梓「・・にへら」
梓「・・やばいやばい、顔がだらしなくなってるっ」
梓「キリッ」
梓「よし、これで大丈夫っ」
梓「・・にや」
梓「やっぱダメだ・・口元だけはどう頑張っても緩んじゃうっ」
梓「・・・」
梓「さて、先輩と会ってからの第一声はどうしよう・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/30(月) 22:32:18.06 ID:NhXTe8U0<>
梓「おはようございますっ、先輩♪」
梓「・・♪はさすがに私のキャラじゃないか」
梓「んー・・」
梓「本日は天候にも恵まれまして、絶好のお出かけ日和でござい・・、」
梓「・・なんか堅い」
梓「いや、普段通りでいこうっ、表情も言動も自然体自然体!」
梓「澪先輩も飾り気のある私なんて受け入れてくれないはずだしねっ」
『・・先輩が私に恥じらいを求めるというのなら、私はいくらでも恥じらいますよ?』
梓「・・・」
梓「ち、違うっ!」
梓「あれは飾ってるんじゃなくて、えっと・・なんだろ、二重人格?」
梓「・・何か自分で自分が分からなくなってきた」
梓「・・・」
梓「そこはアレだよっ、澪先輩に新しい私を開発してもらおうっ!」
梓「・・せ、性的な意味じゃなくてねっ!?」
梓「(・・誰へのフォロー?)」
梓「っていうか周りに誰も居なくて良かった・・、こんな独り言が誰かに聞かれてたら、通報されちゃ、」
憂「・・梓ちゃん?」
梓「う、憂っ!?」
憂「おはよっ、梓ちゃんもお出かけ?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/30(月) 22:33:17.67 ID:NhXTe8U0<>
梓「うん、そんなとこ・・」
憂「?」
梓「(今、澪先輩が来たら、憂に先輩とのデートがバレちゃうっ・・!)」
憂「梓ちゃん?」
梓「あ、でも隠す必要もないのかな・・?」
憂「何の話?」
梓「何でもないよっ、こっちの話!」
憂「それなら良いけど・・、ね、お姉ちゃん」
唯「・・・」
梓「・・ゆ、唯先輩っ、居たんですか?」
唯「あずにゃん・・澪ちゃんと結婚したからってそんな粗末な扱いしなくても・・!」
梓「結婚って・・どこまで飛躍してるんですかっ!?」
憂「えぇっ!?梓ちゃんと澪先輩、結婚してたの!」
梓「だからしてないってぇっ!!」
憂「でも、近いうちに結婚するんだよね、婚約はしてるんだよね?」
唯「こんにゃくっ!?」
憂「あはは、蒟蒻じゃなくて婚約だよ、お姉ちゃんっ」
唯「なるほど〜、憂は物知りだなぁ・・ところで、婚約って何〜?」
梓「(澪先輩、早く来てください・・、私1人じゃ収拾がつきません)」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/30(月) 22:34:28.80 ID:NhXTe8U0<>
―同日・秋山家、澪の部屋(AM 9:30)―
澪「ん、ぅ・・」
律「ぐぅー」
澪「う・・、げほっ!何で私のお腹に律の足が・・っ」
律「がー」
澪「んしょ・・、ふぅ・・うーん、今何時、」
澪「・・・」
澪「9時30分・・」
澪「えーと・・梓との待ち合わせは何時にしたんだっけか」
澪「・・10時に、バス停」
澪「そして・・今は、」
律「ぐおーっ」
澪「9時・・、」
律「んげー」
澪「30分ッッ!!?」
律「むにゃ、なんだよぉ、澪・・」
澪「なんだよじゃなくて何時だよっ!?・・いや、9時っ、9時半って!?」
律「落ち着けよー・・・つーか、今日何があんのさ?」
澪「梓と映画行くんだよっ、どうしよ、髪を整える時間すらっ、
律「・・梓との、デート?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/30(月) 22:35:25.24 ID:NhXTe8U0<>
澪「あっ・・!」
律「あーなるほど、だから昨日ちょっと様子がおかしかったのかー・・・」
澪「えっと・・、別に隠すつもりじゃなかったんだ、ただ・・、」
律「そっかそっかぁ、そりゃあデートじゃ早めに寝たいワケだー」
澪「律・・」
律「・・・」
澪「・・律?」
律「本当に澪は・・梓と付き合ってるんだな」
澪「・・、うん」
律「・・澪、本気なのか?」
澪「あ、あぁ・・梓にあそこまで真剣に迫られた以上、こっちもちゃんと応えてあげなきゃって思うし」
律「・・・」
澪「じゃ、私、準備するから・・」
律「・・待って」
澪「なっ」
律「待って、澪」
澪「な、何だよ・・、悪いけど朝ご飯は自分で、」
律「・・行かないで」
澪「り、つ・・?」
律「行くな・・澪っ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/08/30(月) 22:38:38.02 ID:NhXTe8U0<>
澪「痛っ・・」
律「行くなよ・・」
澪「手、離して・・おまえ昨日からおかしいぞ?」
律「おかしくなんかない・・、私は正常だ!」
澪「だったらっ・・!」
律「正気だからこそ、私は澪に行ってほしくないって思ってる」
澪「なっ、」
律「だって・・」
律「だって、私っ!」
澪「な、」
律「っ・・・」
澪「・・何だよ」
律「・・ごめん。あたし、まだ寝呆けてるな」
澪「あ、いや。えっと・・うん、なんか私も・・少し熱くなってた」
律「ホントにごめんな、すぐ帰るから・・楽しんで来いよ、梓とのデート」
澪「うん・・、ありがとな」
律「あ、このDVDは貸しとくから・・そのうち返してくれれば良いからな」
澪「あぁ、うん。悪い・・」
律「・・じゃ、また明日」
澪「うん、また・・」
澪「・・・」
澪「・・急ごう、梓が待ってる」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/30(月) 22:40:32.12 ID:NhXTe8U0<>
中2日ながら、本日は以上です。
次回からデート編へ。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/30(月) 22:42:51.59 ID:YXGGMnko<>ふむふむ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/08/30(月) 23:48:13.68 ID:6q5kQ9Mo<>次は修羅場??
wktk<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/08/31(火) 13:54:18.37 ID:q9493gAO<>りっちゃん…(´;∀;`)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/01(水) 20:40:40.18 ID:/dKE0gso<>ありきたりでもいい
律澪におさまってくれ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/01(水) 20:44:02.40 ID:JyUeCaIo<>律うぜぇ・・・<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/01(水) 20:53:09.97 ID:SQ30tVEo<>>>84
なんでここにいるんだ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/01(水) 21:21:44.93 ID:vAZYwmo0<>>>84
お前は何を言っているんだ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/01(水) 22:53:45.48 ID:JnucUGE0<>律澪なんて公式すぎていくらでも転がってんだろ
貴重な澪梓まで律澪を求めるなよ…
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/01(水) 23:20:03.19 ID:bJg3fNwo<>アニメでばっさりカットされて傷心<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/02(木) 03:04:33.97 ID:M3xXvpg0<>本来あの回こそ数少ない梓澪だったというのに…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/02(木) 08:48:08.06 ID:.cEHdQAO<>原作だと梓→澪なのに何でアニメではやたらと梓とムギを絡ませたがるんだ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/02(木) 11:46:52.45 ID:bOwNO1E0<>アニメでプッシュされてるのはむしろ唯との絡みじゃね?<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/02(木) 22:30:32.10 ID:nZGNvyEo<>梓って慣れてない頃は澪に頼りきりだったのに今じゃ誰にでも尻尾振りやがる<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/02(木) 22:37:35.09 ID:qKRyVoIo<>ttp://2d.moe.hm/2d/img/2d23591.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/03(金) 00:02:24.39 ID:w.ZsJx2o<>澪ちゃんもあずにゃんも可愛いなぁ〜<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:13:54.12 ID:wojOUIw0<>
―同日・駅前バス停(AM10:15)―
憂「じゃあ、またねっ!」
唯「あずにゃーんっ・・」
梓「うん、またっ」
梓「・・・」
梓「良かった、憂が察してくれて。やっぱり、憂は機転が利くなぁ・・・」
梓「でも、唯先輩の落ち込み具合がすごかった・・」
梓「やっぱり、私のせいなのかな・・」
梓「・・・」
梓「それにしても、澪先輩遅いなぁ」
梓「・・もしかして、見捨てられたっ!?」
梓「い、いやいやっ、先輩に限ってそんなこと!」
梓「・・・」
梓「とりあえず、メールでも送ろうかな・・」
梓「あっ」
澪「・・あずさっ、遅くなってごめん!」
梓「澪先輩っ」
梓「(お、落ち着いて・・私っ、いつも通り、いつも通りで!)」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:15:27.37 ID:wojOUIw0<>
澪「はぁ・・はっ、寝坊した上に色々あって・・!」
梓「だ、大丈夫ですっ、私も今来たところですから」
澪「そうか、良かった・・あ、バスもちょうど来たし、それじゃあ行こうか?」
梓「はいっ」
梓「・・頑張れ、私」
―同日・隣町行バス、車内(AM10:20)―
澪「・・15分くらいで着きそうかな」
梓「そうですね。えっと、新しくできた映画館なんでしたっけ?」
澪「あぁ。あんまり目立たない駅ビルだったんだけど、でっかい映画館がくっついてから、随分繁盛してるみたいだ」
梓「へぇ〜、楽しみですねっ・・そういえば、何の映画見るんですか?」
澪「うん、そんなこともあろうかと今日の上映スケジュールを印刷してきたんだっ」
梓「さすが、澪先輩ですねっ・・私にも見せてもらって良いですか?」
澪「ああ、どうぞ」
梓「う〜ん・・、色とりどりのより取り見取りですね」
澪「あのさ・・・1つだけ言っておくけど、」
梓「・・やっぱりホラー物はだめですか?」
澪「そっ、そんなこと、ない・・かな」
梓「顔が引きつってますけど」
澪「うぅ・・、そんなに簡単に克服できるわけないだろっ」
梓「もうっ、何回も何回も怖いものを見て耐性をつけないとっ」
澪「ま、まぁ梓の言うことは正論だと思う・・、けどっ!」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:17:05.23 ID:wojOUIw0<>
梓「けど?」
澪「けど・・、わざわざ今日見ることもないだろ・・?」
梓「・・どうしてです?」
澪「だ、だって、梓との初めてのデートだから、もう少し思い出に残るようなものが良いなって思って…」
梓「・・っ!」
澪「あっ、これとかどうだ?」
梓「・・えっと、実話を元にしたノンフィクションハートフルアニマルストーリー、『小猿物語』?」
澪「・・・」
梓「・・・」
澪「や、やっぱり、別のラブロマンス系にっ」
梓「これ・・これにしましょうっ、先輩!」
澪「え、『小猿物語』で良いのか・・?」
梓「だって、かわいいじゃないですか、子どものおさるですよっ?」
澪「そ、そうだよなっ、目がくりくりしてて身体も小さいし、このパンフレットに載ってるのだけ見てもすごい惹かれるし!」
梓「うーん、でもこれ一番早い上映時間でも1時ですね・・」
澪「そうだな・・もう着くだろうし、お昼ご飯が先で良いんじゃないかな?」
梓「なるほどっ、食べるところもたくさんあるでしょうしね」
澪「・・実は私、朝ご飯食べてきてなくて、ちょっとお腹減っちゃってるんだ」
梓「あぁ、寝坊しちゃったんでしたっけ・・珍しいですね、先輩にしては」
澪「うん・・、ちょっとな」
梓「?」
澪「ん、次だな。ボタン頼めるか、梓?」
梓「あ、はい」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:18:09.84 ID:wojOUIw0<>
ピンポーン
澪「よく届きました、偉いぞ、梓っ」
梓「ばっ、ばかにしましたね・・!」
澪「でもバスとかエレベータのボタンに届かないのって可愛いと思うぞ?」
梓「そうですか・・何か上手く言いくるめられてる気が・・」
澪「私は背がある方だから、そういうことはないからなあ・・」
梓「せ、先輩が可愛いというのなら、私は何度でもボタンを押しはぐりますっ」
澪「いや、それは困るからほどほどにしてくれ・・」
梓「ん・・、そうこうしているうちに着きましたねっ」
澪「本当だ、よし行こっか?」
梓「はいっ」
―同日・駅ビル映画館1F(AM10:40)―
澪「・・さてと、梓は何が食べたいんだ?」
梓「良いですよ、先輩に任せますっ」
澪「うーん・・私はこういうの決めるの苦手だから、梓が決めてくれないか?」
梓「いいえ、腹ペコなんですから、先輩が選んでくださいっ」
澪「そ、そうか?・・そうだなぁ、何となく今日は朝からうどんが食べたいと思ってたんだけど」
梓「やっぱり、食べたいものがあったじゃないんですか!」
澪「う、うん・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:19:21.01 ID:wojOUIw0<>
梓「私に対しては遠慮なんてしないでください、他人行儀な気がして嫌ですっ」
澪「でも・・、
梓「私と先輩の間に不用な遠慮や隠し事は許しませんっ!」
澪「・・・」
梓「良いですねっ?」
澪「・・分かった。遠慮も隠し事もしないよ、梓は私の恋人だもんな」
梓「・・・」
澪「?」
梓「いえ・・、こんなデパートの入り口でする話じゃないなって思いまして」
澪「うっ!?」
梓「人の目が痛いですから、早くあそこの和食屋に入っちゃいましょう」
澪「そ、そうだな・・・少し自重しよう、誰か知り合いに聞かれてたりしたら合わせる顔がないし、」
梓「ではっ・・」
『・・梓は私の恋人だもんな』
梓「(こういう風に澪先輩の口から改めて聞いたからか・・なんだか顔が火照ってきた・・)」
澪「?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:19:51.65 ID:wojOUIw0<>
―同日・駅ビル内1F、和食屋(AM10:50)―
澪「ふぅ、あとは待つだけだな・・・」
梓「ちょっと早すぎましたね、お昼ご飯・・」
澪「・・ごめんな、私が朝ご飯食べてくれば・・、あんまりお腹空いてないよね?」
梓「いえっ、私も朝は控えめでしたから・・それより、和食って何だか澪先輩らしいですね。律先輩とかなら、ラーメン食べたい!って言いそうです」
澪「り、律は・・そうだな、そういうの好きそうだよな、うん」
梓「・・?」
澪「あ、いや・・っていうか、梓も食べたいものあっただろ、ここで良かった?」
梓「はいっ、私は澪先輩と一緒に食べられるのであればゆでたまご1個だけであっても喜んで食べます」
澪「・・そ、それは嬉しいな」
梓「先輩のためなら生卵だって食べてごらんにいれますっ」
澪「(目が本気だ・・)」
梓「・・あれ?」
澪「どうした、梓?」
梓「律先輩じゃないですか、あれ」
澪「ど、どこだっ!?」
梓「ほら、この店の外ですけど・・今、エスカレーターで上がっていった、」
澪「・・?」
梓「あ、いや・・別人だったみたいですね」
澪「・・そう、みたいだな」
梓「茶髪でデコ出しの女の子だったので、てっきり律先輩かと思って」
澪「・・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:20:38.21 ID:wojOUIw0<>
梓「・・どうかしました?」
澪「いや、何でも・・あっ、梓の来たぞ」
梓「ホントだ・・でも、澪先輩のはまだですし、待ちますよ」
澪「良いよ、そこまでしなくって。さっき、梓が私に言ったばかりだろ、不用な遠慮は要らないって」
梓「・・そうですね、分かりました。お先に頂きます」
澪「うん、私のもすぐ来るだろうし・・」
梓「はい、先輩っ」
澪「な、何だ・・?」
梓「あーん、してくださいっ」
澪「・・バ、バカ言うなっ、周りの人が見てるだろ!」
梓「自意識過剰です、こんな満席の中でも先輩を見てる人なんて居ません・・私以外は、ね?」
澪「そ、そういう目で見ないでくれ・・」
梓「あれ・・、上目遣いで見られるのは嫌ですか?」
澪「た、耐えられないから、止めてくれっ・・」
梓「・・何にです?」
澪「梓の可愛さに・・、」
梓「・・な、ぅっ!?」
澪「?」
梓「先輩ってときどき、自然すぎるほどに爆弾投下しますよね・・」
澪「な、何だそれ?」
梓「いえ、強力なカウンターを受けたというだけのことですっ」
澪「・・なんか梓ってすごい大人っぽかったり、子供っぽかったりするな」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:21:59.97 ID:wojOUIw0<>
梓「さ、さすがにそれは先輩の方が当てはまりますよっ!」
澪「そうかな・・?」
梓「だって、見た目はカッコ良くて、ベースも上手だし、勉強もできるし、面倒見も良いし、後輩に人気あるし・・
その一方で、かわいいもの好きで、怖がりで、歌詞とかもすごいファンシーだしっ・・!」
澪「す、ストップストップっ・・何か丸裸にされてるみたいで恥ずかしいから止めてくれっ」
梓「つまり、澪先輩は私の『あーん』要求を拒否できないということですっ」
澪「どういう論理だっ!?」
梓「あ、それとも口移しの方がお好みでしたか・・?」
澪「なぜそうなるっ!!」
梓「先輩が相手なら私はどんな手間もかけます!」
澪「そんなサービスは要らないっ!」
梓「・・、それにしても、先輩が風邪をひいたときが楽しみです」
澪「な、何で・・?」
梓「私が愛情込めて作ったおかゆを充分に噛み砕いて口移しで先輩に食べさせてあげるからですけど、何か?」
澪「(真顔で首を傾げてるぞ、梓・・)」
梓「?」
澪「うん、何があっても健康体で生きていくと、たった今決めたから大丈夫だ」
梓「だ、だめですっ!先輩の看病は私の先輩にしたいご奉仕100選の1つなんですからっ」
澪「(私を体調不良にさせたいがために、薬でも盛りそうな目をしている・・)」
梓「とにかく、先輩は覚悟を決めてあーんしてくださいっ!」
澪「うぅ・・1回だけだぞ」
梓「はいっ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:24:33.27 ID:wojOUIw0<>
澪「・・・」
梓「はいっ!」
澪「・・・」
梓「あの、先輩・・早く口を開けてくれませんか?」
澪「や、やっぱり、無り、
梓「えいっ!」
澪「む、むぐぅっ!?」
梓「どうぞ、ちゅるちゅるっと!」
澪「じゅるじゅる・・、」
梓「・・・」
澪「じゅる」
梓「・・先輩、お言葉ですが、もう少し上品に食べたらどうですか?」
澪「梓のせいだろっ!!」
梓「・・では、次は私に食べさせてくださいっ」
澪「なぜそうなるっ!?」
梓「だめですか?」
澪「・・・」
梓「・・先輩?」
澪「ほら、あーんして」
梓「あーんっ」
澪「・・えい」
梓「ちゅるちゅ・・、っうきゅゅうあぁぁあああああああああっっっっ!!!!????」
澪「・・どうだー?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/03(金) 22:25:58.58 ID:wojOUIw0<>
梓「あうあうあうっ・・、か、辛いっ、辛いですっ!」
澪「わさびを箸の先にたっぷりつけておいたからなっ、・・少し反省しなさいっ!」
梓「うぅっ・・、」
澪「!」
梓「えほっ・・えほ、」
澪「(な、なんか急に罪悪感が・・)」
梓「・・酷いです、先輩」
澪「は、反省してるか?」
梓「はいっ・・」
澪「よし、それなら・・、
梓「今度やるときは二人だけのときにします・・」
澪「・・・」
梓「?」
澪「いや、そういう問題でもないんだけど・・」
梓「・・先輩が私をどうしたいのか分かりません」
澪「私も梓が何を言ってるのか分からなくなってきた・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/03(金) 22:30:12.38 ID:nDFTnjYo<>http://pic.20ch.net/s/pic2d289772.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/03(金) 22:30:34.86 ID:wojOUIw0<>
以上です。
デートは続きます。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/03(金) 22:36:58.38 ID:LGxTZa6o<>乙
ttp://www.uproda.net/down/uproda135212.gif<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/03(金) 22:50:44.30 ID:IGcyQIEo<>乙
メ欄のsagaは故意かね
仕様に引っ掛かるような文字は見当たらないが・・・<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/04(土) 09:32:23.10 ID:V4EoL.SO<>乙。待っていたぜ。<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/04(土) 20:25:04.94 ID:G7iwNGso<>乙<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/05(日) 21:46:22.74 ID:UYxDjp.o<>期待age<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/06(月) 21:40:44.51 ID:O8D7SkAO<>乙。
あずにゃんと澪可愛い<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/06(月) 22:14:34.07 ID:di2mEF2o<>マダカナー?
一期は良かったなあ
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1131638.gif<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/06(月) 23:31:39.35 ID:wi/HzA6o<>どっちも猫耳つけさせたい<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/07(火) 23:38:42.48 ID:QGmrgAoo<>続ききぼんぬ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 20:08:40.78 ID:zxpfNNo0<>
―同日・映画館、チケット売り場(PM 0:30)―
澪「・・じゃあ、『小猿物語』で良いんだよな?」
梓「はいっ」
澪「ん、次だな」
受「次の方、どうぞー」
澪「・・えーと、高校生二枚で『小猿物語』を、」
受「はい、高校生のお二人様で・・、」
梓「あの、今日はカップルデーですよね?」
受「・・あ、はい。男女お二人でご来館のお客様は本日限定でそれぞれ鑑賞料金1000円となっておりますが、」
梓「男女二人・・・私たち二人にそのカップルキャンペーンは適用されますか?」
澪「はっ!?」
受「え、えっと・・それは、あの、お客様は・・恋人同士、ということでしょうか?」
梓「見えませんか?」
受「え、その・・あの、では、こちらの方は男性・・ということですか?」
梓「いえ、澪先輩は正真正銘、女性です。貴女には見えないんですか、この豊満なむn
澪「ちょちょっ、そこまでにしろ、梓っ!」
梓「何するんですかっ!」
澪「何するも何も、受付のお姉さんが困ってるだろっ!」
梓「だってこの人、私と澪先輩の関係を否定しているんですよっ、私たちはこうやって正統なお付き合いをしているだけなのにっ!」
澪「見ず知らずの人や不特定多数の人たちにそれを振りまく必要はないだろっ、後ろで順番待ってる人たちも見てるぞ!!」
梓「いえ、しかしっ、
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 20:09:47.74 ID:zxpfNNo0<>
澪「い、良いか、梓?・・私と梓の関係は無闇に人に教えなくて良いんだっ、最低限の友達だけに教えれば良い、分かるな?」
梓「・・つまり、私と先輩は秘密の関係ということですね?」
澪「そうだっ・・えっ?、いや・・うん、そう捉えてもらっても構わない・・かな」
梓「分かりました。私としては限りなく不本意ですが、ここは普通の女子高生二人の会計で済ませることにしましょう」
澪「すみません、ご迷惑おかけしました・・えっと、高校生二人だから3000円で・・、」
受「・・私、百合属性の女の子って初めて見ました」
澪「え?」
受「今日のところは、お二人ともカップルキャンペーン適用範囲内ということで良いですよ」
澪「い、良いんですか?(倫理的な意味でも、営業的な意味でも)」
受「だから今日だけなんですっ・・お二人とも可愛らしいから、今日だけは見逃しちゃいますっ」
澪「いえ、でも・・」
受「次のお客様がつっかえていますので、会計を手早くお願いしますっ」
澪「あ、え・・、」
梓「はい、2000円・・これで良いですか?」
受「あと学生証の提示もお願いしますね〜」
梓「はい、これで」
澪「どうして梓が私の学生証を持ってるんだっ!?」
受「確認しました、お返しします。こちらがチケットになりますので・・では、お幸せにっ♪」
梓「ありがとうございますっ」
澪「・・どうも」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 20:11:52.86 ID:zxpfNNo0<>
梓「私たちのことを分かってくれる人が居て良かったです、本当に」
澪「・・・」
梓「先輩?」
澪「・・とりあえず、私の学生証を返してくれないか?」
梓「まだコピーを取ってないので、後で良いですか?」
澪「(・・私の持ち物をコレクションする気満々だな)」
―同日・映画館、シアター内3番内(PM 0:58)―
梓「澪先輩、映画が始まる前にポップコーン食べ終わっちゃダメですよ?」
澪「律や唯じゃないんだから、私はそんなことしないって・・」
梓「・・腰回りが気になるんですか?」
澪「言ってない!!」
梓「しーっ・・」
澪「っ・・?」
梓「先輩、館内はお静かに・・ですよ」
澪「はい・・」
梓「あ、始まりますね」
澪「(何か腑に落ちない・・)」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 20:12:58.18 ID:zxpfNNo0<>
ビー・・・
『・・ある山奥の農村で実際にあったお話です』
『自然開発により、住み処を追われた野生の猿たちは餌を求めて渋々人里に下りてきました』
澪「かわいそうっ・・!」
梓「(もう泣いてる・・)」
『しかし、猿たちは農民たちに追い返され、まだ子供だった1匹の雌猿は農民たちに捕まってしまいます』
『逃げているうちに親に捨てられ、離ればなれになってしまった小猿は、
猿たちに畑を荒らされた恨みをもつ農民たちに暴力をふるわれてしまうのです』
澪「はぁぅっ・・!」
梓「・・・」
『ですが、たった1人の少女だけが、村の大人たちにバレないように小猿に優しく接してくれていました』
『小猿は動物でありながら、少女の優しさに涙を飲んでいたのです』
『そんなある日、囚われの小猿の元に山の神様が現れ、枷を外し、小猿を人間の姿にしてくれると告げます』
『人間の女の子になった小猿は、自分に餌や水を与えてくれた少女に会い、恩返しをしようと努めました』
澪「女の子も猿の子も良い子だなあ・・」
梓「そうですね・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 20:15:51.33 ID:zxpfNNo0<>
『少し悪戯好きでお調子者の小猿は、気弱な女の子を困らせてしまうこともありましたが、
元々あまり快活でなかった女の子に元気を与え続けました』
『しかし、女の子には両親に虐待されているという悩みがあったのです』
『だから、彼女は同じく暴行を受ける小猿を可哀想に思い、微力ながら助けてあげていたのです』
澪「うっ・・!」
梓「・・この小猿、誰かに似てますね」
『やがて、両親のエスカレートする虐待を見かねた小猿は、女の子の同意を得て、
共に山の奥へ逃げ、幸せに過ごしたといいます・・』
〜おわり〜
澪「うっ・・ぐす・・!」
梓「・・先輩、ハンカチどうぞ」
澪「ぅ、ありがと・・」
梓「(澪先輩ってこんなに涙もろかったっけ・・?)」
澪「えぐっ、えぐ・・!」
梓「それにしても、あの人間になった小猿・・律先輩に似てましたね」
澪「ぇう・・そ、そうか?」
梓「虐待されてた女の子は澪先輩に似てました、黒髪ロングヘアにおとなしい性格・・」
澪「き、気のせいだろ・・」
梓「気のせいですか・・ねぇ?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 20:17:48.06 ID:zxpfNNo0<>
―同日・駅ビル2F、CDショップ(PM 3:05)―
澪「・・良い映画だったなあ」
梓「は、はい・・でも、あの映画、ノンフィクションって銘打たれてましたよね?」
澪「うん、慈悲深い神様の力で人間になったお猿さんが、親の愛に恵まれなかった女の子と一緒に生きていく・・、何か勇気をもらうなぁ」
梓「色々と違う気が・・、というか本当にあった出来事なら、行方不明とか拉致事件の類だと思うんですけど・・」
澪「・・で、梓は何のCDを買うんだ?」
梓「あ、えぇ。私の好きなバンドの新曲が水曜に発売されてたんですけど、なかなか買う機会がなくて・・」
澪「なるほどな、私もちょっと漁ってみようかな・・」
梓「それにしても、最近はCDが売れてないって聞きますよねぇ」
澪「うーん・・まぁ、ダウンロードが主流になりつつあるからな」
梓「私はCD好きですよ。胸を踊らせて買いに行って、家に帰ってから、歌詞カードを目で追いながら、曲を耳で感じる・・すごい好きです」
澪「耳で感じる・・か。良いな、それ」
梓「べっ、別にえっちな意味じゃないですから、勘違いしないでくださいね!?」
澪「分かってるよ・・梓が勝手に過敏になってるだけだぞ?」
梓「うぅ・・あっ、先輩が好きなアーティストの新作ライブDVDが出てますよっ」
澪「ホントだ・・でも、昨日の夜にコレ見たんだけどな」
梓「あれ、もう買ってたんですか?」
澪「うん・・まぁ、そんなとこ、かな・・」
梓「さすが澪先輩っ、抜かりはないですね!」
澪「ま、まぁね・・」
梓「じゃあ私、会計済ませてきちゃうので、店の外で待っててくださいっ」
澪「うん、分かった」
澪「・・ふぅ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 20:18:45.35 ID:zxpfNNo0<>
―同日・駅ビル3F(PM 3:30)
梓「こっちですよ、先輩っ」
澪「・・ここは?」
梓「見ての通り、アクセサリショップですっ」
澪「何かすごいキラキラした店だなぁ・・」
梓「せっかくですから、ペアルックとか、お揃いのアクセサリか何か買いたいなって思って・・」
澪「あぁ、なるほどな・・うん、すごく良いと思う」
梓「はいっ・・あんまりキャピキャピしたものは先輩に相応しくない気もしますし、少しオシャレでありながら品のあるものを・・」
澪「そうだな、私もあんまりジャラジャラしたものは抵抗があるし」
梓「これとかどうですか、ハートが2つに割れる、2つで1つの仕様の・・ネックレスですかね、これ?」
澪「ペンダントかな・・2つ合わせて1つのハートになるっていうのは可愛いけど、
元々の形が割れてるっていうのは、少し縁起が悪い気がするなぁ・・」
梓「言われてみれば・・。じゃあ、これとかどうですか?」
澪「シュシュだっけ、最近してる人をよく見るよな」
梓「でもペンダントと違って隠せないから、学校に居る間は服装規定で弾かれそうですね・・」
澪「別に良いんじゃないか、授業がある内は外しておいて、放課後になったら付けるっていう風にすれば・・」
梓「だ、ダメですっ、常に先輩との繋がりを求める私としては、ずっと身につけていたいんですっ」
澪「なっ・・?」
梓「夜寝るときも、お風呂に入るときもっ!!」
澪「シュシュを付けながらお風呂に入ったらふやけちゃうんじゃないか・・?」
梓「とにかく、これもダメですっ・・となると、うーん・・」
澪「無難にストラップとかどうかな?」
梓「そうですね・・でもストラップは先輩たちが修学旅行で買ってきてくれた『けいおんぶ』ストラップがありますよ?」
澪「あぁ、確かに・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/08(水) 20:20:24.16 ID:zxpfNNo0<>
梓「何か丁度良いのはありませんかねぇ・・」
澪「あ・・これっ」
梓「・・?」
澪「・・指輪だ」
梓「指輪・・」
澪「ダメ、かな?」
梓「指輪・・良いですね、指輪っ!」
澪「いつも身につけていられるし、そんなに目立ちもしないから、誰かにとやかく言われることもなさそうだしな」
梓「鈍いシルバー・・。シンプルだけど、すごく上品な気がします・・」
澪「最後の2個みたいだな、危なかったな・・」
梓「あっ、今なら名前を彫ってくれるサービスがあるらしいですよっ」
澪「うんっ、これに決めた・・『Mio』って彫ってもらおうかな」
梓「じゃあ、私は『Azu』でっ」
澪「『Azusa』じゃなくて?」
梓「先輩が三文字なら、私も三文字が良いなって・・」
澪「そこまで合わせてくれなくても良いんだぞ?」
梓「いえ、私が合わせたいと思ったから合わせるんですっ」
澪「・・・そう微笑まれると、何も言葉が出なくなっちゃうな」
梓「ほぇ・・何か言いました?」
澪「いや、何でも。・・意外とあっさり決まったし、レジ行こっか?」
梓「はいっ・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 20:24:11.30 ID:zxpfNNo0<>
以上です、中四日ですみません。
>>109
故意ですね、"意図せず"という時があるので。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 20:51:56.63 ID:8ZVdgk2o<>おつ
よし、誰か今から俺と甘酸っぱいデートしようぜ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 20:52:27.48 ID:pepbS72o<>http://beebee2see.appspot.com/i/azuYm-7gAQw.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/08(水) 21:24:07.23 ID:62pHfCYo<>乙
いいよいいよーみおあずかわいいよー
幸せになってほしいよー
http://viploader.net/anime/src/vlanime030756.jpg
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 21:55:32.42 ID:BJSZ9zAo<>とりあえず、梓と澪は大丈夫そうか
律にも救済欲しいところだ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 22:02:21.30 ID:nZFmtMUo<>幸せになってほしいのは同意だがこの澪×梓はなんか怖い…明らかに合わない二人が澪の同情で一緒にいるみたいにしか思えない
どうか幸せにしてあげてください<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 22:07:15.59 ID:BJSZ9zAo<>スレタイ通りいって欲しいけどな
踏み台系はもう腹いっぱい<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 22:11:32.50 ID:pepbS72o<>http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1136058.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 22:17:01.26 ID:pepbS72o<>http://news.motto-jimidane.com/s/news2d866.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 22:20:20.54 ID:YdxwxMoo<>http://sukima.vip2ch.com/up/sukima008909.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 22:59:07.08 ID:pMl/1cSO<>多少荒れ気味の恋愛のが話としては楽しいだろう
それはそうと乙<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/08(水) 23:01:24.06 ID:u9VTvBYo<>踏み台オチにならなければ、波乱はあった方がいいかな。<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/09(木) 00:43:29.86 ID:flXiltQo<>ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1136296.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 00:51:22.00 ID:lBDi0F20<>>>135-136
真理だな、日常系でもないのに何の山場もないのはちょっと
さすがに踏み台は勘弁だが
ともあれ乙<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 03:54:54.89 ID:JRWWAxgo<>>>130
同意だな
頑張ってくれ!ひとまず乙!<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 12:30:09.77 ID:1TjxWEAO<>梓澪はもっと増えて良いと思う<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/09(木) 14:52:32.18 ID:iajOh.DO<>唯梓より澪梓派の俺のためのスレだわ、ホント<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/09(木) 23:05:30.33 ID:87MmQF6o<>ぺろぺろまだぁ〜?<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/11(土) 01:17:40.03 ID:7YLPkYEo<>あげ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:39:06.71 ID:RJBi8dIo<>澪梓って同人だと人気だよね<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/13(月) 11:36:13.47 ID:pN8MyQAO<>百合系は唯梓、律澪ばっかだけどな
澪と梓は単体か二人で野郎に襲われるのばっかだし<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/14(火) 18:37:10.59 ID:YhIY4iYo<>みおあずの風呂場での百合ってなかったっけ?
まあいいや、続きに期待<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:37:45.18 ID:SJIte5g0<>
―同日・駅ビル屋上(PM 7:00)―
梓「色々回りましたねぇ、CDにアクセサリに服に本に100均にペットショップっ」
澪「まさかペットショップに2時間も居ることになるとは思わなかったけどな・・」
梓「べ、別にハムスターに魅入ってたワケじゃありませんからっ!」
澪「買うワケでもないのに満足げに1匹1匹に名前付けてなかったか?」
梓「ぅ、ぐぅっ・・わ、私にはトンちゃんという本命が居ますからっ」
澪「何にせよ、梓の浮気性は注意深く見守った方が良さそうだな・・」
梓「そ、そんなっ!?」
澪「冗談だよ。まぁ、でも色々回った割にほとんど何も買わなかったな」
梓「・・先輩こそ」
澪「だって、なかなか決められなかったんだから仕方ないだろ・・」
梓「楽器専門店なんかがあれば、何時間でも暇を潰せるんですけどね」
澪「そうだな・・っていうか、ウィンドウショッピングって楽しいけど、万引きに間違われそうだよな」
梓「結構店の人からの視線が痛かったですね・・あ、気付けばもう良い時間ですけど、どうします?」
澪「7時過ぎたな。明日も学校あるし、そろそろ帰るか?」
梓「名残惜しいですけど・・そうですね」
澪「あっ、最後にそこのクレープ屋さんに寄らないか?」
梓「はいっ、私も甘いものが欲しいなって思ってたところでっ・・」
澪「それなら良かった、じゃあ・・」
梓「そうと決まれば早く早くっ、ダッシュです、先輩っ!」
澪「ちょっ、待てって!」
梓「えっ、ぴぎゃぁんっ!?」
澪「・・私が思ったとおりに転ぶ奴だな」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:38:45.23 ID:SJIte5g0<>
梓「こういうのはいつも澪先輩のポジションのはずなのに・・」
澪「?」
―――――
店「いらっしゃいませっ」
梓「たくさん種類がありますねぇ・・先輩は何にしますか?」
澪「うーん・・私はチョコで良いかな」
梓「あれ、澪先輩にしてはあっさり決めましたね」
澪「・・まぁな」
梓「じゃあ、私はこのアップルシナモン生クリームでっ」
澪「あれ、梓のことだから、“先輩と一緒のが良いですっ”って言うと思ってたのに」
梓「そんなっ・・烏滸がましいですっ」
澪「なんだそれ・・」
梓「(・・にやにや)」
澪「あ、お代は私が出すから良いよ」
梓「えぅっ、このくらいは自分で払えますよっ」
澪「良いんだ。たまには先輩ぶらせてくれ」
梓「で、でもっ」
澪「ていっ!」
梓「んくゃっ!」
澪「先輩命令だぞっ」
梓「(鼻をつままれた・・)」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:41:04.04 ID:SJIte5g0<>
澪「良いなっ?」
梓「・・はぃ、ありがとうございます」
澪「うん、素直でよろしい」
店「・・ふふっ、仲がよろしいんですね」
澪「へっ?あっ、えぇ・・まぁ」
店「まるで、ご姉妹のようですよ?」
梓「いえっ、恋びtっむぐぐっ!?」
澪「ち、チョコとアップルシナモンを1つずつくださいっ!!」
梓「む゛〜〜〜っ!!!」
―――――
梓「このアップルシナモン、すっごい甘いですっ」
澪「私のチョコも甘すぎて虫歯になりそうだ・・」
梓「あはは・・それにしても、外は結構涼しいですね」
澪「そうだな・・」
梓「というか、この駅ビルに屋上なんてあったんですね」
澪「あんまり必要性が感じられない屋上だけどな・・」
梓「ほとんど人が居ませんもんね・・」
澪「まぁ、私は人が少ない方が好きかな、落ち着くし」
梓「なるほど・・」
澪「さてと・・歩き疲れたし、食べ歩くのもお行儀悪いから、そこのベンチで一休みしないか?」
梓「そうですね、賛成ですっ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:42:21.36 ID:SJIte5g0<>
澪「んーっ・・良い夜空だな」
梓「まだ西の方は明るいのに・・星がたくさん見えますねぇ」
澪「あぁ。ほとんど雲がないし、空気が澄んでるからか、すごい綺麗だ」
梓「・・で、でもっ、」
澪「?」
梓「先輩の方が・・、この星空の何倍も綺麗だと、思いますっ・・!」
澪「・・ふふ、ありがとな」
梓「(受け流された・・本心なのにっ・・)」
澪「あ、そういえばさ、梓は私に告白してくれたときにこんなこと言ってなかったっけ?」
梓「?」
『とにかくっ、私と付き合ってくだされば、夜空を見上げながら煌めく星の数だけ、澪先輩の素敵な所を挙げてごらんにいれますっ!』
梓「・・言ってましたね、そんなこと」
澪「まぁ、だからどうしたってワケじゃないんだけどさ」
梓「そうですっ!せっかくの満天の星空の下ですし、今日一日の締め括りということで告白のときに言ったこと、有言実行してみせますよっ!」
澪「ちょっと待って・・どのくらいの時間がかかるんだそれ・・」
梓「間違いなく日付は変わりますが、良いですか?」
澪「やっぱり、遠慮しておくよ・・」
梓「えー・・」
澪「(割と本気だったな・・)」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:43:57.33 ID:SJIte5g0<>
梓「・・・」
澪「ん、どうした?」
梓「いえ、先輩のチョコクレープも美味しそうだなって・・」
澪「少し食べるか?」
梓「良いんですかっ!?」
澪「なるほど・・食べ比べがしたいから私と一緒のクレープを食べるのを嫌がったんだな?」
梓「そ、そんなところです・・」
澪「チョコも食べたいなら2つとも買ってあげたのに・・少しくらい甘えてくれても良いんだぞ?」
梓「(・・最初から先輩との間接キスが目的だったなんて、言えない)」
澪「ほらっ」
梓「ん・・むぐ、こっちもとびっきり甘いですね〜」
澪「だろ?」
梓「んぐんぐ・・」
澪「・・あ」
梓「どうかしました?」
澪「いや、指輪を買ったのにまだはめてなかったな、って思ってさ」
梓「それは、指輪を買ったすぐ後に“もう我慢できないっ・・”って先輩がトイレに行っちゃったからですよ」
澪「だって、なかなか言い出すタイミングが掴めなかったんだもん・・っていうか梓だって後からトイレに来てたじゃないかっ」
梓「(先輩が個室に入った後に入って、先輩が出る前に出たのに・・どうして、バレたっ!?)」
澪「とにかく・・はい、さっきの指輪」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:45:11.59 ID:SJIte5g0<>
梓「あっ、『Mio』って彫ってある方が欲しいですっ」
澪「ん、自分の名前じゃない方で良いのか?」
梓「はいっ、暇なときに指輪を見つめてにやにやする予定なのに、自分の名前を見たってときめかないじゃないですか」
澪「よくわからないけど、わかった・・」
梓「じゃあ、私が先輩に指輪をはめてあげますから、先輩は私のをお願いしますっ」
澪「う、うん・・」
梓「では、お手を拝借して・・」
澪「手慣れてるなぁ・・っておいっ!今、左手の薬指にはめようとしてただろっ!?」
梓「あっ、私ったらつい衝動に駆られてっ・・左手薬指はまだほんのちょこっとだけ早いですよねっ、失礼しました、すぐにやり直しますねっ」
澪「ちゃんとよろしく・・ってだからそっちは左手だって言ってるだろ!」
梓「ちぇっ」
澪「(今のはさすがにわざとだな・・)」
梓「ダメですかね、やっぱり?」
澪「開き直るんじゃないっ・・さすがに、左手の薬指に指輪をはめて学校に行く勇気はないよ」
梓「私はありますっ」
澪「梓と私を一緒にするなっ!」
梓「・・そういえば、右手薬指の指輪はどんな意味があるんでしたっけ?」
澪「うーん、基本的に右手の指輪には恋愛の意味はないんじゃなかったかな」
梓「でも、結婚指輪じゃないペアリングって右手指輪が王道じゃないですか?」
澪「私もよくは知らないけど・・例外なんじゃないかなぁ」
梓「まぁ、右手の薬指が妥当ですかね・・はい、できましたっ」
澪「ありがとう、じゃあ次は私の番だな」
梓「優しくお願いします・・」
澪「はいはい・・ってだから、右手だって言ってるだろ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:46:25.08 ID:SJIte5g0<>
梓「や、やだなぁ・・2回も言われれば分かりますよー」
澪「今、左手引っ込めただろ」
梓「あ、指輪にキスとかしてもらえると、ときめくんですけど・・」
澪「な、なんでだ・・」
梓「王子様っぽいじゃないですか、そういうの」
澪「そ、それは・・学園祭じゃロミオ役とかやったけどさ・・」
梓「あのとき、ジュリエットが私ならって、どれだけ思ったことか・・」
澪「・・梓?」
梓「あ、はめてもらえました?」
澪「うん。それにしても、梓って手は小さいし、指も細いんだな・・」
梓「まぁ、身体が大きくないですし」
澪「それなのに、よくあれだけの演奏ができるよな」
梓「一応、小学生の頃からやってますから・・でも、ステージは違えど、澪先輩の方が演奏は上手ですよっ」
澪「そんな調子の良いこと言って・・私なんか、」
梓「澪先輩は謙遜禁止ですっ!“私なんか”は使っちゃダメですからね!」
澪「うぅ・・」
梓「私だって言われるほど上手じゃありませんし、同じギタリストでも飲み込みの早さで言えば唯先輩の方が断然上ですよっ」
澪「唯、か・・」
梓「?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:48:28.14 ID:SJIte5g0<>
澪「・・・」
梓「何ですか?」
澪「いや・・私、梓は唯のことが好きなんだと思ってたよ」
梓「・・確かに、唯先輩のことは大好きですよ、本人の前じゃ絶対に言えませんけどね」
澪「私と律の関係に似てるな・・」
梓「・・それって澪先輩も律先輩のことが大好きってことですか?」
澪「まぁ、な・・一応、幼馴染みだし」
梓「私よりも、ですか?」
澪「・・いや、梓と律に対する『好き』のベクトルは違うよ」
梓「どういうことです?」
澪「梓のことは恋人として好きだけど、律のことは友達として好きなだけってこと」
梓「・・・」
澪「梓?」
梓「・・先輩の口から『恋人として好き』って言ってもらえて、本当に安心しました」
澪「そうか・・?」
梓「私、先輩への憧れは憧れのままで終わると思ってましたから・・恋人同士になれるなんて、夢にも思ってなくて」
澪「それなのに、いきなりあんな告白したのか?」
梓「私もよく分からないんです・・あの一週間前くらいから急に先輩への想いが止まらなくなっちゃって・・。
本当に夜も眠れなくなるくらいで・・授業もギターも頭に入らなくなっちゃうくらいで・・。
実を言うと、憂にもこのことを相談してて、憂が後押ししてくれたから、先輩に告白できたっていうのもあるんです」
澪「そんなに・・だったんだ、気付かなかったよ」
梓「とにかく、私の中で先輩への憧れが、段々と形を変えていったんです・・」
澪「憧れ、か・・憧れられるほどのことはしてないんだけどな」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:50:55.67 ID:SJIte5g0<>
澪「そんなに・・だったんだ、気付かなかったよ」
梓「とにかく、私の中で先輩への憧れが、段々と形を変えていったんです・・」
澪「憧れ、か・・憧れられるほどのことはしてないんだけどな」
梓「そんなことないですよっ・・先輩のファンクラブができたのも、先輩にそれだけの魅力があったからですし、
ライブや演劇が大成功に終わったのも、先輩の力があってこそなんですよっ・・もっと自分に自信を持って良いと思いますっ」
澪「私の力なんて些細なものだよ・・正直言うと、自分のことすら満足に分かってあげてやれないだけなんだけどさ」
梓「・・私はこんなこと言える立場じゃないですけど、自分に自信を持ってくださいっ、先輩。
私の好きな澪先輩なら、どんな壁だって乗り越えていけるはずですからっ!」
澪「そう、なのかな・・」
梓「はいっ、絶対っ、私が保証しますっ! 万が一、先輩一人じゃどうにもならないことが起こっても、私が助けに行きますからっ」
澪「そっか・・、少しだけ勇気がもらえた気がする、ありがとな」
梓「いえいえっ」
澪「ふふっ、梓って結構口が巧いんだな」
梓「・・失礼ですけど、それってどういう意味ですか?」
澪「人を元気づけるのが上手いってことだよ」
梓「そ、そんなことないです・・むしろ、いつも憂とか唯先輩とか、周りに元気づけられてばっかりで・・、」
澪「でも、勇気づけられたのは本当だよ・・逆に私の頼りなさが強調されちゃって嫌だな」
梓「澪先輩は頼りなくなんかないです・・もし、先輩がなよなよのダメ人間になっちゃっても、私が先輩を支えていきますっ」
澪「梓が私を支える、か・・」
梓「・・・」
澪「・・・」
梓「(えっ、私何か変なこと言ったかなっ・・、ここに来て会話がっ・・!)
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:51:45.22 ID:SJIte5g0<>
澪「・・・」
梓「(な、何か話題、話題をっ!)」
澪「・・あのさ、ちょっと変な話しても良いかな?」
梓「あ、はいっ」
澪「私が、梓と付き合う資格があるのかどうかを考えてた夜のことなんだけど、」
梓「えっと、私が告白した日の夜ですね」
澪「そうだな。それで、そのときにムギが電話をかけてきてくれたんだけどさ」
梓「ムギ先輩が?」
澪「うん。それでさ、ムギが私にこう言ってくれたんだ、“梓ちゃんは澪ちゃんの支えになってくれるわ”って・・」
梓「支え・・、心の支えってことですか?」
澪「そう。そして、私たち3年生は大学受験っていう乗り越えなくちゃいけない大きな壁がある」
梓「はい・・」
澪「そういう辛さの中で何が必要なのか、何を支えにすれば良いのかを考えたときにさ、
梓は、自分にとって何が支えになってくれると1番嬉しい?」
梓「え、えっと・・難しい質問ですね」
澪「まぁ、普通はこんなこと考えないもんな」
梓「・・先輩はどうなんですか?」
澪「私か?・・そうだな」
梓「はい」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:53:48.62 ID:SJIte5g0<>
澪「私は、人が支えになってくれるのが1番良いかなって思う、かな」
梓「人が、支え・・」
澪「もちろん、他人任せって意味じゃなくてさ、支えになってくれる人が居れば、前向きに頑張っていけるってこと」
梓「なるほど・・」
澪「私から見れば、パ・・お父さんやお母さん、一緒に勉強していく律や唯、ムギや和たち、そして・・、」
梓「んっ・・」
澪「梓。」
梓「私・・ですか」
澪「うん、梓だ」
梓「私が・・、」
澪「ん?」
梓「私が、先輩の支えになれていますか?」
澪「そうだな・・なりつつある、かな。大きな存在に」
梓「律先輩よりも、ですか?」
澪「・・うん。だから、梓と付き合ってるんだ」
梓「嬉しいですっ・・!」
澪「ふふっ」
梓「あ、先輩、口にチョコがついてますよっ、」
澪「えっ、・・んっ!」
梓「んゅ・・!」
澪「む・・んっふ、は・・」
梓「へふっ」
澪「はっ・・あ、梓っ・・!」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:54:36.74 ID:SJIte5g0<>
梓「・・チョコの味、でした」
澪「そりゃそうだろ・・」
梓「すみません、唐突にしたくなっちゃって」
澪「いきなりのキスは・・びっくりするから止めてくれっ」
梓「それはできません、驚いて照れた先輩も見たいのでっ」
澪「・・っ、梓なんかっ、」
梓「な、何です・・?」
澪「梓なんか・・、」
澪「抱きしめてやるっ・・」
梓「んぁ・・」
澪「キスのお返しだっ」
梓「見事にやられました・・」
澪「ふふ・・」
梓「ぅ、んぅっ」
澪「・・・」
梓「先輩、」
澪「何だ?」
梓「・・あったかいです」
澪「だな・・」
梓「それに・・すごく落ち着きます」
澪「私もだ・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:55:14.24 ID:SJIte5g0<>
梓「・・・」
澪「・・帰るか?」
梓「もうちょっとだけ・・、あと少しだけで良いから・・」
澪「でも・・」
梓「先輩は嫌ですか・・?」
澪「・・だって、さっきのクレープの店の人が見てるぞ?」
梓「そんなの、見せつけてあげれば良いんです・・」
澪「・・・」
梓「・・・」
澪「・・そうだな」
梓「はいっ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:56:22.39 ID:SJIte5g0<>
―同日・中野家、門前(PM 8:15)―
梓「・・送ってくれてありがとうございました、今日はとっても楽しかったです」
澪「うん、私も・・」
梓「まさか、先輩の方から誘ってくれるとは思ってなかったので、嬉しかったですっ」
澪「良かったよ、断られたらどうしようかと思ってたから」
梓「そんなっ、余程のことがあっても、私が先輩からのお誘いを蹴るなんてことありませんっ!
交通事故に遭っても、40度の熱を出しても、先輩との時間のためなら身体を引きずってでも行きますっ!」
澪「そのときは私がお見舞いに行くから我慢して寝ててくれないか・・」
梓「あぁ、よく考えてみると、その方が私個人としてはメリットがありますね・・」
澪「え?」
梓「・・いえ、あの、」
澪「うん?」
梓「今日は本当に色々すみませんでした・・初めての先輩との二人きりのお出かけだからって柄にもなくはしゃいじゃって・・」
澪「・・何だ、帰りのバスで妙に静かだと思ったら、そんなこと考えてたのか?」
梓「はい・・」
澪「梓自身が言ってたことだろ、私たち2人の間に不要な遠慮や隠し事はしないって」
梓「そうですけど・・遠慮のなさが迷惑をかける場合は話が別ですし」
澪「真面目なところが梓の良いところでもあり、悪いところでもあるからな・・少なくとも私に対してはできる限りは素の梓で居て欲しい、かな」
梓「素の私・・」
澪「うん、ありのままの梓を見ていたいんだ・・極端に肩に力が入った梓を見てるとこっちも疲れちゃうからさ」
梓「・・あの、普段の私ってそんなにギクシャクしてますか?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:57:01.46 ID:SJIte5g0<>
澪「何だろう・・唯とか律が自由すぎるから、“私がしっかりしなきゃ”ってあまり、梓は頑張りすぎてる気がするっていうか・・。
私やムギなんかはもう力の抜き方を覚えたから良いんだけどさ」
梓「・・最近の私はそうでもないような」
澪「確実に染められてきてるよな・・」
梓「・・と、とにかく、先輩の言う通り、明日から少し姿勢を柔らかくしてみようと思いますっ」
澪「明日からじゃないも、今日、今、この瞬間からだ!」
梓「は、はいっ!」
澪「うん、自然体のままの方が梓らしく居られると思うぞ・・まぁ、誰にでも言えることなんだけどさ」
梓「そうですかね・・」
澪「さてと、こんなところでずっと長話してるのもアレだし・・じゃ、今日は本当に楽しかったよ、梓」
梓「私もです、先輩っ」
澪「じゃ、また」
梓「・・あ、あのっ!」
澪「ん?」
梓「改めて・・、不束者ですが、中野梓をよろしくお願いしますっ」
澪「・・・」
梓「?」
澪「ふふっ・・あはははは!」
梓「な、なんで笑うんですかぁっ!?」
澪「いやっ、ごめんごめん。梓は積極的だったり、変にかしこまったり・・忙しいなって思ってさ」
梓「せ、先輩だって、私と初めてキスしたときの夜に、こんな感じのメール送ってきてましたよっ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/15(水) 21:57:45.75 ID:SJIte5g0<>
澪「はいはいっ」
梓「うぁっ?」
澪「じゃ、また明日、学校でな」
梓「(あ、頭撫でられたっ・・!)」
澪「梓?」
梓「は、はいっ・・また明日っ」
澪「うん、じゃあな」
梓「先輩っ、帰り道気をつけてくださいねっ!」
澪「・・ありがとうっ、おやすみ!」
梓「おやすみなさいっ!」
梓「・・ふぅ」
梓「もう、先輩の背中が見えなくなっちゃった・・」
梓「・・・」
『・・あったかいです』
『だな・・』
梓「澪先輩の胸、本当に温かかったな・・」
梓「・・・」
梓「・・なんか、澪先輩を私色に染めるどころか、逆に私が染められてる気がする」
梓「(とりあえず、家に帰ったら、今日の反省会ですっ)」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/15(水) 22:05:27.53 ID:SJIte5g0<>
以上です。
全体としては3割くらい過ぎたところで。
最終回は澪梓皆無でしたね。では。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/15(水) 22:40:47.82 ID:ZRNOhiIo<>乙。
食べ比べ間接キスはいいね、うん。<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/15(水) 23:02:55.85 ID:4t5et2DO<>おつ
貴重な澪梓楽しませてもらうよ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/15(水) 23:40:27.44 ID:cIAhGIEo<>ふぅ…
…ふぅ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/16(木) 02:14:14.21 ID:YC1UxB.o<>乙♪
最終回どころか二期のみおあず皆無は堪えたけど
二次創作で補えればいいや<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/16(木) 11:41:40.31 ID:XnFr2kDO<>おっつん
やっぱり澪梓は正義だわ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/16(木) 16:50:41.46 ID:X0W0t4E0<>無事終わったか・・・
これは乙せざるを得ない
澪は唯一尊敬できる先輩ポジションなのが美味しいな<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/16(木) 17:06:04.76 ID:QxsczWUo<>http://img.20ch.net/anime/s/anime20ch67015.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/16(木) 17:14:15.14 ID:cLQJqJko<>>>169
3割言うとるがなww
続くっしょ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/16(木) 18:27:53.65 ID:N51EpBoo<>アニメ化したら起こして<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/16(木) 22:57:40.81 ID:UcF42JEo<>更新GJ
楽しみにしてるよ
>>172
まずはドラマCDでw<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/16(木) 23:04:53.91 ID:8rQRRJoo<>>>173
冷静に考えて漫画が先じゃないか?<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/16(木) 23:14:18.77 ID:/etIoESO<>おつ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/17(金) 01:12:58.77 ID:M31pdz.o<>さてまた続きを気長に待とうかな
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1149248.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/18(土) 18:23:03.93 ID:oWe7C.AO<>よし、アニメのばっさりは原作で補うとしよう<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/18(土) 20:58:39.38 ID:Zbuuqzw0<>最近知ったが原作で梓は澪パンツ見て鼻血出してるんだな…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/18(土) 22:23:23.22 ID:cBCOZ3go<>アニメでも鼻血出してるんだぜ
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1152546.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/19(日) 14:52:57.40 ID:cwzGn4co<>影でパンツをくんかくんかしてそうだねww<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/22(水) 22:08:57.79 ID:9LrlcnMo<>期待あげ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/24(金) 22:53:55.20 ID:2BdliIA0<>
―翌日・桜が丘高校、3年2組(AM 0:30)―
紬「ただいまぁ〜」
唯「おかえりーっ」
律「よーし、昼飯にしよっぜ!」
澪「あぁ」
唯「あ、そういえば、澪ちゃんは昨日どこかにお出かけしてたの?」
澪「えっ、な、何で?」
唯「うん、昨日バス停で偶然にあずにゃんと会ったあと、またその近くで澪ちゃんを見かけたからさ〜」
律「!」
澪「いや、えーと・・映画を見に行ったんだ」
唯「おぉ、何の映画見たの〜?」
澪「『小猿物語』・・」
唯「あっ、私も見たかった奴だよー、どうだった〜?」
澪「うん、すごく感動したよ、映画で泣いたのは久しぶりだったかな」
紬「でも澪ちゃん、ホラー映画でいつも泣いてるじゃない?」
澪「そ、それとこれとは別にしておいてくれ・・」
和「ところで、澪は1人で映画を見に行ったの?」
澪「あ、えっと・・」
律「誰と行ったんだ〜、澪?」
澪「律は知ってるだろっ・・!」
律「・・さぁねー?」
澪「何だよ、その顔っ・・」
<>
AM 0:30 →PM 0:30<>saga<>2010/09/24(金) 22:55:22.71 ID:2BdliIA0<>
唯「あっ、もしかして、あずにゃんと行ったの?」
澪「・・うん。私から誘って行ったんだ」
律「(それは聞いてない・・)」
和「えっと、梓ちゃんってあの梓ちゃん?」
澪「あぁ、うん・・」
和「へぇ、2人で映画を見に行くなんて、仲が良いのね…、どうせなら、軽音部みんなで行けば良かったのに」
澪「あ、それはその・・」
紬「あら、和ちゃんはまだ知らなかったわね」
和「何を?」
律「・・・」
唯「なんと、澪ちゃんとあずにゃんは付き合ってるのです〜」
和「え、えぇ? つ、付き合ってるって・・、本当なの、澪?」
澪「うん、本当だよ・・」
唯「びっくりするよね〜」
和「びっくりしたわ・・でも、どういう経緯があったの?」
紬「先週、梓ちゃんが澪ちゃんに告白したのよ」
和「それでOKした、と・・」
唯「んもう〜、妬けちゃうよね・・、ホントに」
和「そうね、梓ちゃんって澪のことを尊敬してた節があったみたいだし」
紬「良いわよね〜、先輩への憧れが愛情へ・・そして、激情へと変わるッ!」
澪「激情へ変わることはないだろうから、変な期待は抱かないでくれ」
紬「ぶ〜」
澪「まぁ、できればあんまり口外しないでくれると助かるかな・・」
和「あら、どうして?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/24(金) 22:56:50.39 ID:2BdliIA0<>
唯「もしバレたら、澪ちゃんのファンクラブの子たちに少なからず影響がありそうだね〜・・」
紬「黙っていれば、澪ちゃんと梓ちゃんが2人きりで居ても、
傍から見ればただの仲の良い友達同士にしか見えないから、人前で少し抉ったことをしても問題ないわね〜」
澪「ムギ・・」
和「なるほどね・・、曽我部先輩にも内緒にしておいた方が良いかしら?」
澪「そうしてもらえると助かります・・」
和「…何にせよ、不純異性交友ならぬ不純同性交友ね、生徒会長として見逃すわけにはいかないわ」
澪「えぇっ!?」
和「なーんて、冗談よ・・何かあったら私にも遠慮なく相談してね」
澪「・・ありがとう、和」
和「良いのよ、私から見ても2人はすごくお似合いだと思うし」
紬「そうよねっ、和ちゃんもそう思うわよねっ!」
唯「ムギちゃん、最近すごく楽しそうだよね・・」
澪「まったくだよ・・」
紬「・・ハァ、ハァ」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/24(金) 22:59:25.70 ID:2BdliIA0<>
―同日・桜が丘高校、軽音部部室(PM 4:00)
律「あれ、まだ私と澪だけか・・」
澪「んー、唯とムギは掃除当番だし、私たちだけでも簡単に練習の準備しておくか」
律「そだなー」
澪「・・梓もまだ来てないみたいだな」
律「彼女が気になって仕方ないのねぇ、澪ちゃんは〜」
澪「そんなんじゃないって・・」
律「はいはい・・そういや昼休みのときは聞きはぐったけど、梓とのデートはどうだったんだ?」
澪「うん、別に普通だったけど・・」
律「普通って何だよー、キスの1つでもしたか?」
澪「キ、キスなんて・・、」
律「ったくもー、どこまで奥手なんだよ、澪は」
澪「・・だ、だって、そういうのって順番やタイミング、雰囲気とかが大切だろっ」
律「あっちから澪のことが好きだって告白きたんだから、澪の方から少しくらい強引に攻めても特に問題ないと思うけど」
澪「それはそうかもしれないけど・・」
律「あの梓の・・。何て言うのかなぁ、澪への心酔っぷりを見れば、むしろウェルカム!って感じだと思うし」
澪「でも下手にガッついたことして、幻滅されたら嫌じゃないか?」
律「うーん、だからって特に進展ないままってのもなぁ・・」
澪「まぁ、焦らずに考えていく・・かな」
律「その通りっ、恋に焦りは禁物だ!焦らすのは良いと思うけどなっ」
澪「知った風な口を聞くなぁ、おまえ・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/24(金) 23:01:11.42 ID:2BdliIA0<>
律「いやぁ・・それにしても、澪が誰かと付き合うなんて思いもしなかったな・・」
澪「何で律が感傷的になってるんだよ?」
律「・・自分の可愛がっていた娘がお嫁に行っちゃう気分だわー」
澪「あぁ、唯も梓を絡めてそんなこと言ってたな」
律「誰とも付き合おうとは思ってなかったんだろ、澪は?」
澪「いや・・付き合わないんじゃなくて、付き合えないってだけだよ」
律「怖いから・・か?」
澪「うん、男の子が少し怖いって思うのもあるけど、長続きするのかなとか、愛想尽かれちゃうのは嫌だなとか・・そういう怖さがあるから」
律「その点、梓とはお互い良く知る仲だし、素性も知らない男と付き合うよりは断然上手くいきそうってことだな」
澪「うん、実際に昨日2人でデートしてみて、一緒に居ても苦痛はなかったし、楽しかったよ」
律「ふぅん・・」
澪「他人行儀な遠慮とか謙遜は要らないって梓も言ってくれたしな」
律「へー、梓がそんなこと言ったのか?」
澪「うん、梓って私の前だとちょっといつもと違うんだよ。何て言うか、少し積極的っていうか」
律「(それで後になって猛省するタイプなんだろうな・・)」
澪「ちょっとだけズレてるところもあるけど、梓の積極性には助けられてる気がするよ」
律「その調子じゃ、色々とねだるのは梓が先になりそうだなー」
澪「私の情けなさが強調されるよな・・年上なのに」
律「歳はこの際関係ないだろ、たった1学年だし」
澪「そうだけどさ・・やっぱり私が引っ張らないとって思うし」
律「まぁ、付き合い始めてまだ1週間も経ってないんだし、今からガチガチに考えてると何もできなくなっちゃうんじゃないか?」
澪「・・うん」
律「そういう澪のぎこちなさが梓に伝わるのも良くないし、柔軟に考えてみたら良いんじゃないか?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/24(金) 23:04:49.12 ID:2BdliIA0<>
澪「そうだよな・・・ちょっと難しく考えすぎてたかもしれない」
律「そうそうっ。澪は真面目すぎるんだよ、そこが良いとこでもあり、悪いとこでもあるんだけどな」
澪「それ・・昨日、私が梓に言ったことだ」
律「ははっ、そっか」
澪「・・うん、何かちょっと肩の荷が降りたかも。ありがとな、律」
律「へへっ・・頑張れよっ」
澪「・・・」
律「な、なに?」
澪「いや、律もそういう笑い方できるんだなって」
律「何だよそれー・・」
澪「子供っぽいっていうか、屈託のない笑みっていうのかな・・まぁ、長い付き合いなのに何を今更って感じだけどさ」
律「別に・・普通に笑っただけだっつーのっ」
澪「そっか・・律は自然に笑えるんだから、少し羨ましいな・・」
律「う、うるせぇやい・・」
澪「ふふっ、律も褒められ慣れてないよな」
律「むぅー・・澪のくせに」
澪「はいはい」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/24(金) 23:09:08.58 ID:2BdliIA0<>
ガチャリッ
唯「やっほーいっ!」
紬「やっと掃除当番終わったわ〜」
梓「・・どうもです」
律「お、全員来たかっ、私と澪はもう準備しちゃったし、今日はのっけから練習といきますかぁっ!」
澪「・・勉強はどうした」
紬「あ、今日は久しぶりに新茶を持ってきたんだけれど、どうかしら?」
律「さて、お茶にしようか」
唯「右に同じで」
紬「じゃあ、準備するわね〜」
澪「・・・」
梓「・・まぁ、いつものことですよね」
―同日・桜が丘高校、昇降口(PM 7:10)―
澪「今日もあんまり勉強できなかったな・・」
梓「相変わらずお茶飲んでばっかりでしたからね・・」
澪「習慣化しちゃってるのが怖いよな、ホント・・」
梓「でも、澪先輩は家でしっかり勉強してるじゃないですか」
澪「・・そこそこだけどね」
梓「?」
澪「ま、要するに勉強だ練習だって言って放課後集まりたいだけなんだよ・・私もだけどな」
梓「澪先輩でさえも、ですか・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/24(金) 23:11:04.34 ID:2BdliIA0<>
澪「・・うん」
梓「そういえば、今日は律先輩と一緒に帰らないんですか?」
澪「何だ、私と一緒に帰りたくないのか・・梓は」
梓「ち、違いますっ、そんな怪訝そうな顔しないでください!」
澪「ごめんごめん、つい・・で、どうしてなんだ?」
梓「あ、はい・・だって、私と付き合い始めてからも澪先輩は律先輩と二人きりか軽音部全員で帰ってたのに、
今日は口裏合わせたみたいに私と澪先輩二人きりだなんて・・」
澪「さぁ・・律は律なりに気を遣ってくれてるんだろうな、唯もムギも」
梓「皆さん不器用ですけどね…」
澪「なーにが『部室に忘れ物』に『お腹痛くてトイレ』だよ、って感じだよな」
梓「でも、私と澪先輩をこうして二人きりにしてくれるのなら、私は先輩方にずっと頭が上がらないままです」
澪「不覚にも、私もだ」
梓「ふふっ・・じゃあ、2年の下駄箱はこっちなので、しばしのお別れです」
澪「ほんの一瞬だろ・・」
梓「・・ぅ」
澪「な、なぜそんな寂しそうな目で見るっ!?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/24(金) 23:12:38.79 ID:2BdliIA0<>
梓「(澪先輩と二人きり、澪先輩と二人きり・・)」
梓「うぅっ、なんか不整脈がっ・・!」
梓「・・・」
梓「あれ?」
梓「私の靴が・・、ない?」
梓「どうして・・どこにいっちゃったんだろ」
梓「・・・」
澪「梓っ」
梓「先輩?」
澪「何か私の靴入れに誰かの靴が入れてあって、どうしようかと思ってさ・・梓こそどうしたんだ、きょとんとしてるけど」
梓「えっと、私の靴がないんです・・」
澪「もしかして、この靴が梓のだったりする?」
梓「・・そうみたいですね、どうして先輩のところに?」
澪「さぁ・・誰かの悪戯か?」
梓「全然、見当もつきません・・」
澪「不安だけど・・まぁ、良いか。今日のところは早く帰ろう、気を遣ってくれてる律たちが来ちゃうと気まずいし」
梓「・・そうですね」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/09/24(金) 23:14:24.22 ID:2BdliIA0<>
梓「(私に悪戯なんてしてくるのは純とか唯先輩くらいだけど、いくら何でもこんな幼稚な悪戯は・・)」
梓「・・・」
梓「まぁ、大したことじゃないし、気にしなくても良いよね・・」
・・あのとき、
私の靴が見当たらなかったとき、一瞬だけ、全身が妙な寒気に襲われた。
私が小心者だからとか、外から冷たい空気が入ってきたからとかじゃなくて、何か変な感覚…、
暗く、どこか湿ったような・・私が感じたことのない、何か。
―――これが、これから起こる、とある出来事の幕開けだったことをこのときの私はまだ知らなかった。
第1部、終
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/25(土) 00:22:02.56 ID:l5nq5Ywo<>乙!<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/25(土) 00:29:17.14 ID:atLwKeko<>更新乙
待ってたよ!
前から思ってたけど、この作品ってどこか寂しさや、重さ、暗さを感じてしまう。
具体的には言えないけど、今回のラストを見る限り、やっぱりそんなイメージを浮かべてしまう・・・。
最後は、澪梓が笑顔で完結する話であってほしい。<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/25(土) 00:34:35.85 ID:W.mubcAo<>続きが気になる・・・<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/25(土) 02:36:43.54 ID:zbkz5nQo<>きいたぁぁぁぁぁ!
りっちゃん…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/25(土) 06:17:16.83 ID:oGccbygo<>ちょっと寒気が・・・ヤベェよ
とにかく続きを待つ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/25(土) 06:54:36.79 ID:bOr76sco<>欝はヤメロよ、ぜったいだかんなww<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/25(土) 13:26:53.58 ID:6qWEHTMo<>程良い鬱はハッピーエンドの時のためのスパイス<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/25(土) 16:26:03.30 ID:95Nfo2DO<>>>198
程良ければな…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/25(土) 17:43:41.95 ID:Ibc7/KA0<>嫌がらせかどうか微妙な行為なのが逆に怖い
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/25(土) 18:47:03.97 ID:.CZaeeQo<>すごくワクワクしてる<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/25(土) 23:00:08.18 ID:atLwKeko<>ttp://www.mobi-cha.mobi/anime/keion/138.jpg
挿絵ww<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/09/29(水) 00:17:32.80 ID:/fieRkso<>age<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/30(木) 13:42:28.60 ID:rs./4Qo0<>>>198
それ俺が以前どっかでしたレスな気がするがどこだったか思い出せない<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/09/30(木) 19:41:42.92 ID:R4mLKH6o<>>>204
どっかで見たレスを使ったらおまえさんのレスだったのか<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/01(金) 00:54:08.31 ID:dXMTssAO<>運命だな…
二人とも披露宴には呼んでくれよ
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/01(金) 19:06:19.44 ID:3FS9X3go<>>>206
ああ、同性婚の認められてるオランダで澪と梓の結婚式に出席しような<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/02(土) 19:41:06.37 ID:Gt7nb/6o<>そろそろ続きくるかな??<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/02(土) 23:44:41.33 ID:RGwXBsSO<>週一でしか投下されないけどスレ毎日チェックしてるよ…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/03(日) 00:42:13.29 ID:WJHeEpIo<>俺も毎日チェックしてるよ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/03(日) 13:31:26.15 ID:tMhiOcAO<>俺も毎日[田島「チ○コ破裂するっ!」]してるよ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/04(月) 23:19:58.97 ID:eMWw35Y0<>
先週の火曜日に澪先輩との交際を始めてから、一週間が経った。
ファーストキスを捧げたり、近場とはいえ、念願の二人っきりのデートをしたり。
今のところ、私と先輩の間に主だった障害は見当たらない。
私は澪先輩と特別な関係になれたっていう充実感でいっぱいだった。
できれば、このまま・・ひっそりとこの関係を続けていきたいと思った矢先の日のこと。
―桜が丘高校、2年昇降口(AM 8:30)―
梓「ふわぁ、ねむ・・」
梓「・・・」
梓「・・うん、上履きはちゃんとある」
梓「でもやっぱり、昨日の靴のことがひっかかるなぁ・・」
憂「昨日の靴のこと?」
梓「あぁっ、おはよ・・憂に純」
憂「おはよー。どうかしたの、何か元気ないみたいだけど?」
梓「うぅん、何でもないよ、ちょっと眠いだけ」
純「それよりさ、聞いたよぉ〜?」
梓「んぇ?」
純「やだなぁ、しらばっくれちゃって〜、澪先輩とのことだよー」
梓「・・な、何のこと?」
純「あれあれぇ、この子はこの期に及んで往生際が悪いなー」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/04(月) 23:21:06.15 ID:eMWw35Y0<>
梓「うぅ・・誰から聞いたの?」
純「聞いたも何も、少なくとも2年の間じゃ噂になってるよ〜?」
梓「そうなの・・?」
憂「うん、学祭ライブとかで顔は知れ渡っちゃってるからね。
興味のあるなし関係なく、広まっちゃってるみたい・・梓ちゃんと澪先輩のこと」
純「もう一線越えちゃったとか越えちゃってないとかねッ!」
梓「あることないこと広まってる・・」
憂「尾ひれ背びれどころじゃないかも」
梓「うぅ・・」
純「っていうかね、梓ッ!!」
梓「なに・・いきなり怖い顔して」
純「私は怒っているんだよっ、梓が澪先輩とのことを私に秘密にしてたのを!」
梓「あ、ごめん・・」
純「だいたい、梓は〜、」
憂「ストップ!」
純「ぐぇっ!?」
憂「昇降口で話すことじゃないし、もう時間になっちゃうよっ、教室に急ご!」
純「で、でもー・・」
憂「ねっ?」
純「う〜・・分かった」
梓「そうだね・・」
梓「(憂にはいつも頭が上がらない・・)」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/04(月) 23:22:37.26 ID:eMWw35Y0<>
―同日、桜が丘高校、3年2組(PM 0:30)―
澪「へぇ・・そうなのか」
律「あんれ、意外と冷静だな・・てっきりすごい焦ると思ってたのに」
紬「良いの? なるべく、こっそりと付き合っていくはずだったんじゃ・・?」
澪「うーん、バレちゃったものは仕方ないし・・問題は梓がどう思ってるのかってことかな」
律「あくまで自分のことよりも相手のことを気にするなんて・・澪も大人になったな」
澪「何だよそれ・・」
和「ところで、どうしてそんな噂が広まったの?」
紬「えっとね、澪ちゃんと梓ちゃんが日曜日にデートに行ったっていうのは昨日聞いたでしょう?」
和「うん、映画を見に行ったって奴ね」
紬「そのデート現場を、この学校の誰かに見られてたらしいの」
澪「隣町だったから、見かけられてもおかしくなかったからな・・」
唯「二人で居たからってデートだ!って言い切るのもおかしな話だけどね〜」
律「(珍しく唯が客観的にまともなことを言った・・)」
澪「別に噂の出所を突き止めて何か言うとかはないよ。
特に気にしなければ良いし・・梓と相談するほどのことでもないからな。」
和「まぁ、そうね・・ちょっと心配なことはあるけれど」
澪「ん、何が?」
和「・・いや、なんでもないわ、私の取り越し苦労になるだろし」
律「・・・」
澪「そっか・・何か皆に心配かけちゃって悪いな」
紬「深刻に考えても仕方ないわ・・少なくとも私たちは本心から良かったなって思ってるから」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/04(月) 23:23:28.93 ID:eMWw35Y0<>
唯「そうだよー・・私もあずにゃんとにゃんにゃんしたいよー・・」
律「いつもやってるだろ・・」
澪「っていうか、私はにゃんにゃんなんてしてない・・!」
唯「それより、私としてはあずにゃんと映画を見る以外に何をしたのかが知りたいです、澪ちゃん参謀!」
紬「私も知りたいわ〜、映画のことしか聞いてないもの」
澪「なっ・・いや、そんな」
唯「おぉ〜、言えないようなことまでしちゃったの〜?」
澪「し、してないっ!」
紬「だったら良いじゃない、梓ちゃん居ないし」
澪「うぅ・・か、勘弁してくれっ・・!」
唯「・・だめ?」
澪「く、うっ・・別に面白くないし、オチもないからな?」
和「(本当に澪は根負けしやすいわね・・)」
澪「・・バスで隣町のショッピングモールに行って、和食屋さんでお昼ご飯食べて、映画見て、色々回って、クレープ食べて、おわりっ!」
唯「具体的に!」
紬「より具体的に!」
澪「と、特に細かく説明するようなこともないって・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/04(月) 23:24:22.07 ID:eMWw35Y0<>
唯「ふっふ〜ん、その指輪についても説明はなしなのかしらん?」
澪「うくっ!?」
紬「あ、ホントね・・気付かなかったわ」
和「銀色の・・綺麗な指輪ね」
唯「昨日見たけど、あずにゃんも似たような指輪してたよね〜・・澪ちゃんと同じ右手の薬指に」
澪「(ゆ、唯のくせに目ざとい・・!)」
紬「まぁ、ペアリング?」
唯「あぁん・・もうアベックしてるな〜、澪ちゃんとあずにゃん・・!」
澪「変な動詞を作るなっ!」
紬「そうね、その指輪をいつか左手の薬指に移す日がやってくるのね・・そのときは呼んでね?」
澪「何言って・・!」
和「あ、私もね」
澪「の、和まで・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/04(月) 23:25:04.02 ID:eMWw35Y0<>
―同日、桜が丘高校、2年1組(PM 4:40)―
純「じゃ、私はジャズ研のミーティングあるからっ」
憂「ばいばいっ」
梓「うん、また明日・・」
純「何よ〜、元気ないなー、ぐりぐりぐりーっ!」
梓「あ、あひゃははっ・・や、やめてよっ!」
純「うんうん、梓は笑ってる方が可愛いんだから、そんな暗い顔するんじゃないのっ」
梓「く、暗い顔なんかしてないっ」
純「いーや、してましたっ、どんよりオーラが漂ってたもん。
そんなんじゃ、私が晴れ晴れとした気持ちで部活に行けないでしょっ!」
梓「うぅ・・ごめん」
純「よしよし・・じゃ、またねっ!」
梓「ばいばいっ・・」
憂「また明日〜っ」
梓「はぁ・・」
憂「あれ、梓ちゃんは部室行かないの?」
梓「・・私が行っちゃうと先輩たちが気を遣っちゃうからさ、たまにはね」
憂「うぅん・・お姉ちゃんたちの受験勉強が捗るに越したことはないけど・・、
お姉ちゃんたちが部室を使わせてもらってるって立場なんだから、部長の梓ちゃんがそんな遠慮しなくても・・」
梓「いや、今日はちょっと気分も悪いし・・」
憂「えっ、保健室行く?」
梓「大丈夫、今日は早寝するから」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/04(月) 23:26:36.49 ID:eMWw35Y0<>
憂「そっか・・無理だけはしないでね、梓ちゃん」
梓「うん、ありがと・・」
憂「じゃあ、一緒に帰ろっか」
梓「あ、いや・・今日は用事があるから、先に帰ってて良いよ」
憂「用事?」
梓「うん、ちょっとね・・」
憂「体調悪いのに、ホントに大丈夫?」
梓「大丈夫だってば・・憂はホントに心配性なんだから」
憂「うん、でも、梓ちゃん、あんまり顔色良くないし・・」
梓「私はいつもこんな感じだよ、ほらっ、早く帰って唯先輩のために晩御飯の買い物しなきゃ」
憂「あっ、え、うん・・じゃあ、帰るけど、ホントに無理しちゃダメだよ?」
梓「心配ないって・・、ばいばいっ!」
憂「うん、また明日っ・・」
梓「・・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/04(月) 23:30:09.69 ID:eMWw35Y0<>
・・・。
やっぱり、勘違いなんかじゃない・・。
今日一日、ずっと誰かの悪意ある視線を感じ続けてる。
教室移動のときも、トイレに行くときも、購買にパンを買いに行くときも。
一分一秒・・常に見られてるって訳じゃない。
そして、今も・・
梓「・・誰っ!?」
私は不安な面持ちのまま教室の外に飛び出て、左右を見渡す。
まだ帰りのホームルームが終わってそこまで時間が経ってる訳じゃないのに、廊下には誰の姿もなかった。
窓から差し込む、淡く、朱に光る日差しだけがあるだけで。
梓「誰も・・居ない」
自意識過剰・・なのかな。
誰が見ても分かるように、私の心は完全に疑心暗鬼になっていた。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/04(月) 23:31:08.27 ID:eMWw35Y0<>
梓「・・・」
キンコンカンコーン
梓「っ!」
『2年1組の中野梓さん。至急、放送室に来てください』
梓「び、びっくりした・・」
梓「・・でも、どうして放送室なんだろ」
・・何処からか見られているような感覚は、今では綺麗に霧散していた。
梓「私・・なんか疲れてるのかな」
梓「澪先輩とのことで、ちょっと気を張りすぎてたのかも」
梓「憂の言う通り、無理はしない方が良いよね・・」
・・とりあえず、放送室に行こう。
至急、って念を押されていたし。
−
すっかり秋も深まって、日暮れは前よりも早い。
窓の外に見える夕日は、鈍く、それでいて、眩しく明るい光を私に浴びせている。
それでも、私の足取りは重力に負けそうな程、重たいものだった。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/04(月) 23:33:16.23 ID:eMWw35Y0<>
時間をかけた割にあまり大幅な更新にならず、申し訳ないです。
できるだけ小刻みな更新を心がけたいとは思っていますが・・。
今回は第二部のプロローグ的なものということで・・では。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/04(月) 23:46:58.41 ID:zUX7hCUo<>乙!
ストーリーが少しずつだけど進んでるね、次が気になる。
気長に待ってるよ。<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/04(月) 23:51:50.07 ID:UFi5lgQo<>乙!!
これからも楽しみにしてるぞ
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/05(火) 00:31:15.16 ID:hW83.oDO<>乙だ…
やはり、どことなく切なさがある…
それに、ある程度地の文があると引き締まるね<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/05(火) 01:59:47.41 ID:M1JvExEo<>うおおおおおお!
続きがきになるぜええええ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/05(火) 05:38:35.60 ID:NB40rsSO<>ううむ犯人が気になるな<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/05(火) 09:36:06.42 ID:GRmrom.o<>乙
靴隠した犯人が呼び出したのかな?
本命:けいおん部の誰か
対抗:佐々木さん
大穴:そげぶ先輩<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/05(火) 17:50:57.63 ID:AhSlhlgo<>ごきにゃん!
てめえが私のみおたんとくっつけるってえんなら
まずはその幻想を
ブチ[ピーーー]!<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/06(水) 08:50:44.48 ID:ITjGKuc0<>むしろ幻想壊される側なのにそげぶ先輩とはこれいかに<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/09(土) 17:51:27.07 ID:yOn1p2Ao<>期待あげ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/10(日) 05:14:18.06 ID:yhR5bNk0<>澪梓幸せになってくれよ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/10(日) 22:07:23.37 ID:6U.i2i60<>おいまだか<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/10(日) 23:51:37.59 ID:zh8scEDO<>俺はいつまでも待ち続けよう…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 21:37:21.50 ID:M/6pe7I0<>
―同日、桜が丘高校、放送室(PM 4:50)―
梓「え?」
放「はい・・何かここに手紙が置いてあって。
急用だったみたいなので、先生の許可なく呼んじゃったんですけど・・」
放送部の一年生かな・・赤い髪留めをした、黒髪ショートの女の子がおずおずと手紙を二枚差し出す。
一枚目には、やや走り書きで書かれた、私を呼び出す内容の、真っ白の簡素な手紙。
『至急、2年1組の中野梓さんを放送室に呼んでください。
その後、中野さんにもう一枚の手紙を渡してください』
放「それで、これがもう一枚の手紙です・・」
梓「・・・」
二枚目は一枚目とはうってかわって、花柄で薄桃色の可愛らしい手紙・・。
そこには、か細くて、大人が書くような角度のある、手足の長い字が綴られていた。
『こんにちは、中野さん。お忙しいところ、突然のお呼び出し、申し訳ありませんでした。
折り入ってお話したいことがあるので、夕方の五時までに校庭奥隅の体育倉庫までいらしてください』
不気味なくらい綺麗な字と、丁寧すぎる言葉遣い、この整然さに私は表現仕様のない寒気を感じた。
・・この妙な感覚が、私の気のせいであれば良いんだけれど。
放「・・もしかして、ラブレターだったりします?」
梓「えっ、いや・・それはないと思うけど・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 21:38:37.63 ID:M/6pe7I0<>
そっか・・何も知らない人から見れば、下手すればラブレターにしか見えないよね。
もしかして、今日一日私が感じてた視線は、そういう意味での視線だったとか・・?
・・いや、ないない、絶対ないっ!
放「校内放送まで使うなんて・・情熱的なお相手さんですね」
梓「・・・」
放「きゃっ、禁断の恋ってやつですかっ」
梓「はぁ・・じゃぁ、私行くので・・」
放「頑張ってくださいね、応援してますっ」
梓「どうも・・」
教室から放送室、そして、体育倉庫・・。
良いように振り回されている感じ・・誰かの手の平の上で躍らされてるみたいだな。
梓「はぁ・・」
私は一人で勝手に盛り上がる暢気な放送部員を置いて、そそくさと放送室を後にする。
そのとき、突然、重力を失ったように足元がフラついた。
思わず近くの柱に寄りかかり、瞼を閉じる。
梓「っ・・、立ちくらみ」
今日は一人で居たいからって、憂に『ちょっと気分が悪い』なんて嘘ついちゃったけど・・ホントに体調が悪くなるなんて。
何から何まで悪い方向に進んでる気がする・・やっぱり、私が神経質すぎるだけなのかな。
梓「・・でも」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 21:40:32.49 ID:M/6pe7I0<>
梓「誰が私をこんなにも悩ませてるのか・・それだけははっきりさせないといけない」
私は体育倉庫に向かうため、昇降口に靴を履き替えにゆっくりと足を運ぶ。
間抜けなことに・・このときの私に、愛しの澪先輩に頼るという選択肢は存在していなかった。
校庭に出た私は、すっかり地平線に隠れてしまった夕日を背に、
部活で汗を流す後輩たちを横目に、顔も名前も知らない赤の他人に指定された待ち合わせ場所へと向かう。
―同日、桜が丘高校、3年2組(PM 4:45)―
<side和>
視界が淀みないオレンジに染まる世界で見慣れた人影が一人、机に突っ伏していた。
私は目を丸くしながら、その意外な人物に話しかけようと、なぜか忍び足で近づく。
すると、私の接近に気付いた相手の方が先に口を開いた。
律「和・・?」
和「・・律、よね?」
律「・・どうしたんだよ、もう帰ったのかと思ったけど」
和「うん、明日の授業の教科書を忘れたから、急いで取りに戻ってきたのよ」
カチューシャを取っているせいで、それが律だとすぐに分からなかった。
いつも快活な彼女には珍しく、すごくアンニュイな表情。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 21:41:51.46 ID:M/6pe7I0<>
律「そっか・・和が忘れ物なんて珍しいな」
和「・・そうかしら」
律「・・・」
和「・・・」
律は沈黙に耐え切れなくなったのか、また突っ伏してしまう。
他人との触れ合いを拒絶する人見知りの子供みたいに。
和「・・律こそどうしたの、今日も軽音部の部室で唯たちと受験勉強じゃなかった?」
律「うーん、何か気分が乗らなくってさー・・、澪たちにはトイレに行くって言ったきり、戻ってない・・」
和「そんなのでどうするのよ・・まだ時間はあるけど、今やる気を出さなくていつ出すの?」
律「はは・・、気分が乗らないときに勉強なんかしても頭に入んないって」
和「そうね、勉強をしない人だけがそういうことを言ってるわね」
律「きっびしぃ・・」
決して影を見せない人気者・田井中律が、こんな放課後の教室で別人のように感傷に浸っている。
それだけでも、私は違和感を覚えざるを得なかった。
和「何かあったの?」
律「何も・・」
和「私で良ければ、相談に乗るわよ?」
律「生徒会長は優しいなー・・」
和「生徒会長の肩書きは関係ないでしょ・・それに、『元』ね」
律「和は和だよ・・元だろーが、現だろーが」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 21:42:25.20 ID:M/6pe7I0<>
私は私・・、ね。
こんな何気ない会話の中で、半端に飾ったそんな言葉が律の口から出てくるとは思わなかった。
言った本人は照れ隠しなのか、顔を伏せたままだけれど。
和「で、どうしたの?」
律「ちょっとお腹痛いだけだから、気にしなくて良いさー」
和「二秒でバレる嘘ね・・顔に出てるわよ」
律「嘘じゃねーし・・」
和「それも嘘ね」
律「・・・」
こういう顔をされると、どうも放っておけなくなる。
自慢じゃないけれど、小さい頃から唯の世話を焼いてきた私として、
元生徒会長の癖なんかじゃなくて、真鍋和として・・ね。
数十秒の静けさの後、律が耐え切れなくなったように言葉を紡ぎ始めた。
律「澪と梓のこと、どう思う?」
和「澪と梓ちゃんのこと・・」
律「そう、付き合い始めただろ、あいつら」
和「えっと・・そうね、別に良いんじゃないかしら。
・・こういう言い方すると、全然興味がないみたいに聞こえちゃうけれど」
律「そうだよな・・、和ならそう言うと思った」
和「で、その澪と梓ちゃんのことがどうかしたの?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 21:43:45.85 ID:M/6pe7I0<>
律「いや・・」
和「?」
律「私は・・澪と梓が付き合うことは、二人のためにならないと思ってるんだ」
和「・・どういうこと?」
律「そのまんまの意味・・頭の良い和なら説明するまでもないだろ?」
和「律は二人の付き合いに対して、否定的・・ってことかしら?」
律「否定的って言うと、何か嫌な奴みたいじゃん」
和「事実でしょ、肯定的とは捉えにくいし」
律「どっちかと言えば、なー・・」
和「私から見れば、やっぱり二人はお似合いだと思うわ。
澪は大人しいけど面倒見は良さそうだし、梓ちゃんは澪ちゃんのことを尊敬しているみたいだし、」
律「そこなんだよな」
これまでに聞いたことのないくらいに、律が鋭敏な口調で会話を途切れさせる。
私は思わず(いや、意識的に?)瞬きを繰り返した。
律「梓は澪のことを本当に好きなのか・・?」
和「どういう・・、」
律「私には、梓の澪への想いは尊敬っていう名前のラインで止まってるように見えるんだよ」
和「・・根拠はあるの?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 21:45:37.19 ID:M/6pe7I0<>
律「そりゃ、軽音部の中で誰が一番頼りになりそうかってぇと、澪じゃん?
容姿も良いし、実力もある・・ここが共学だったら、澪はすごいモテてると思うしな」
和「だったら余計じゃない、そんな澪ちゃんのことを梓ちゃんが好きになったって考えるのはさほど不自然なこととは思わないけど?」
律「ホントにそう思ってるのか、和は?」
和「私は同性愛について、特に否定的な考えは持っていないわ、肯定的に思ってるわけでもないけれど。
・・律は、女子校とは言っても、女の子同士が付き合うことに疑問を持ってるんでしょう?」
律「疑問を持ってるっていうか・・違和感を覚えるっていうか」
和「まぁ、それは律の考えだから、私が真っ向から否定することはできない。
そういうデリケートな考えって個人差があるし、あんまり踏み込んだことは言えないから」
律「あぁ。・・あと、澪だって、梓のことを好きなのかどうか」
和「それは本人に聞いてみないと分かんないでしょ・・感情表現が苦手な澪なら尚更ね」
律「本人に・・」
和「・・もしかして、聞いたの?」
律「いや・・でも、梓と一緒に居て楽しいとは言ってた。
男の人と一緒に居たら、自分は気張っちゃうだろうけど、梓とならそんなことはなくて、自然体で居られるから・・みたいな」
和「そう・・」
律「私だって梓みたいな可愛い後輩に言い寄られたら、いくら同性だからって言っても、断る自信ないけどさ・・、」
和「要するに、梓ちゃんは澪のことを『尊敬』してるだけ、
そして、澪はそんないたいけな後輩を傷つけないために、相手をしているだけって律は言いたいのかしら」
律「・・そういう訳じゃ、ないけど」
和「悪いけど・・今の話を聞いた限りじゃ、そういう風にしか聞こえなかったわよ?」
律「うっ・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 21:46:28.50 ID:M/6pe7I0<>
つまり、律は、二人の仲がいつか綻びを見せるのを危惧してる。
自分の気持ちを偽り続けた、あるいは、自分の本当の気持ちに気付けない恋愛なんて、テレビゲームの擬似恋愛よりタチが悪い。
自分も仲の良い二人のことを想ったからこその、律の判断。
・・でも、私には明らかに『別の想い』が交錯しているようにしか見えなかった。
和「一つだけ、聞いて良い?」
律「・・うん?」
和「律は、二人が長く続かないってことを危惧してる・・でも、」
律「あぁ・・」
和「そこに・・『他意』はないのね?」
律「・・・」
一瞬だけ・・律が言葉を詰まらせるのを私は見逃さなかった。
僅かに眉根を寄せた律は、私に向けて、見るからに無理やりな笑みを浮かべる。
律「『鯛』、魚のことか?」
和「・・・」
律「冗談だって・・、私は二つのことを同時に考えるなんて器用なことできねーよっ」
和「そう・・、変な質問してごめんなさいね」
私は精神科医でも心理カウンセラーでもないから、はっきりとした事は言えない。
友達から色々な相談は受けるけど、恋や愛の絡んだ相談が来るのはほとんどないし、私自身もあんまり得意じゃない。
もちろん、相手の仕草とか言動から、相手の心の奥底の気持ちを読み取るなんて器用な真似はできない。
・・でも、一つだけ言えることがある。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/11(月) 21:47:27.72 ID:M/6pe7I0<>
これには間違いはないはず・・
律は、
―――律は、澪のことが、
キンコンカンコーン
「!」
『2年1組の中野梓さん。至急、放送室に来てください』
聞きなれた女子生徒の名前が鼓膜に届くや否や、私と律は思わず顔を上げる。
中野梓。
過敏に反応するのも無理はない、当事者の一人が校内放送で呼び出しを受けていたのだから。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/11(月) 21:50:39.90 ID:M/6pe7I0<>
今回はこれまでです。
適度に地の分を入れていきます。
あくまで、くどすぎない程度に。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/11(月) 22:10:33.63 ID:L1.TWGko<>乙
今回で梓呼び出した相手がわかると思ったのにwwwwww
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/11(月) 22:23:27.17 ID:3XQtppgo<>うおおおお
にゃぁぁぁぁぁ
次待ってる<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/11(月) 22:51:17.42 ID:4N4kbXEo<>乙
地の文入れたほうが面白いかも・・・。
続きが気になるわー<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/11(月) 23:16:33.78 ID:O75L8Fk0<>素晴らしい・・・
いつもいいものをありがとう<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/12(火) 14:00:03.22 ID:PCCqusSO<>この重さがたまらなく好きだ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/12(火) 16:25:06.95 ID:2UauXkDO<>今読み終わった
第一部の反動なのか、第二部はビターだな<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/13(水) 12:03:23.34 ID:lQDLj2AO<>やっぱ律澪要素はあるのか…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/13(水) 22:25:58.84 ID:fLpD1A2o<>これは素直に続きが気になる<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/20(水) 19:15:52.21 ID:U184yYgo<>製速復活期待age<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/23(土) 09:15:01.90 ID:t/GS5roo<>更新まだぁ〜?<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/23(土) 20:46:38.84 ID:Nsfgg7.o<>http://beebee2see.appspot.com/i/azuY2vyPAgw.jpg<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/24(日) 23:19:51.67 ID:/Jgp7C6o<>にゃんにゃん<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/24(日) 23:34:41.74 ID:U.pgl6DO<>復活に気付いてないのか?<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/24(日) 23:39:36.95 ID:EgDAt0.o<>ペロペロ(^ω^)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/25(月) 00:39:08.35 ID:EB5QLAko<>>>256
おいおい、独り占めは無しだぜ?<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/27(水) 14:43:18.43 ID:cCGdWqw0<>♥<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/27(水) 21:07:32.69 ID:nZDBvOw0<>
―同日、桜が丘高校、校庭、体育倉庫(PM 5:00)―
<side梓>
校舎の時計を見ると、時刻は指定された五時ちょうど。
遠くで部活に励む女の子たちの声がするだけで、私の周囲は静まり返ってた。
梓「まだ、誰も居ないのかな・・」
校舎とは少し離れたところにある、校庭の隅にある体育倉庫の前に私は立っていた。
プールのある建物の影にあるので、校庭からは微妙に死角となっている場所。
距離があるせいで、体育の時間にここから用具を持ち出すのは一苦労で、ときどき、生徒の間で苦情が出てるスポットだ。
私は、閉まっていた両開きのドアを両手で静かに開ける。
梓「失礼しまーす」
梓「・・・」
梓「やっぱり、誰も居な、・・っ!?、うぇほ・・えほっ!」
梓「すごい埃っぽい・・乾燥してるし、虫が出そう」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/27(水) 21:08:24.35 ID:nZDBvOw0<>
部活で扱う用具は既に持ち出されているけど、体育の時間に使う用具は多く残っている。
夕日に照らされた体育小屋の中に、私という存在がいささか不釣合いな感じがした。
そのとき、
バンッ!!
勢い良くドアが閉められ、外からガチャガチャと何やら鍵をいじる音がする。
梓「え?」
何やら話をする声も聞こえる、もちろん、女の子の声だ。
いや、そんなことよりも・・。
―――まさか、
私は急いでドアに駆け寄り、鍵を確認する。
しかし、ガチャガチャと無意味な音が響くだけだ。
梓「・・開かない」
外で、複数の足音が慌てて遠ざかっていくのが聞こえた。
さっき私が体育小屋に入ったばかりのときは、その人たちが近寄ってくる音はまるで聞こえなかったのに。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/27(水) 21:09:57.37 ID:nZDBvOw0<>
梓「・・っ」
完全に・・ハメられた。
梓「(一体、誰が・・)」
私は何が何だか分からないまま、ただただ俯くことしかできなかった。
荒んだセピア色の世界に、異質な存在である私一人だけが取り残されている。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/27(水) 21:14:25.04 ID:nZDBvOw0<>
―同日、桜が丘高校、軽音部部室(PM5-05)―
<side律>
結局、和とは微妙な雰囲気のまま、別れちまった。
一応、和には二人で話したことは内緒にするように頼んでおいたけど、・・若干の不信感は拭えなかったって感じだ。
まぁ、こういう日もある・・、よな。
律「ただいまー・・」
紬「おかえりなさーい」
唯「随分と長いおトイレだったねー、りっちゃん」
律「うっさい、アイドルはトイレになんか行かないんだぞっ!」
澪「誰がアイドルだ・・それにおまえ、『ちょっとトイレ行く』って部室出ていったぞ」
律「身に覚えが御座いません」
澪「・・・」
お分かりの通り、トイレに行ったなんていうのはちっぽけな嘘だ。
自分の中に募ったモヤモヤに耐え切れなくなって部室から逃げ出しただけ。
それを感じ取ったのかどうなのか、澪は深く追求してこなかった。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/27(水) 21:16:48.44 ID:nZDBvOw0<>
紬「じゃあ、勉強の続きをしましょう?」
律「何だよ、してたんじゃなかったのか?」
澪「律が急にトイレに行くっていうから、みんな中断したんだよ」
唯「集中が切れちゃったんだよ〜、りっちゃんのせいでーっ」
律「私のせいかよ・・っていうか、人がトイレに行ったくらいで途切れる集中力ってどうなんだ」
唯「あ、それよりさ、さっきあずにゃんが呼び出されてたよね?」
律「ああ・・うん、私も聞こえた」
紬「放送室に呼ばれてたみたいだけど・・何の用事なのかしらね」
澪「さあな・・」
確か、梓は放送室に来るように言われてたっけ。
妙な違和感は感じる・・けど、今の憂鬱な気分の私にはさして気にかかるようなことでもねーや。
澪は少し気にしているようだけど、行動に起こすまでには至ってないみたいだし。
唯「あずにゃん、まだ学校に残ってたんだね〜・・部室来れば良いのにー」
律「・・梓には少し気を遣わせちまってるかもな」
紬「そうね・・」
唯「よし、澪ちゃんっ!」
澪「な、なんだっ・・?」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/27(水) 21:17:58.19 ID:nZDBvOw0<>
唯「あずにゃんに気を遣わせっぱなしなのも悪いから、今日はあずにゃんと一緒に帰りなさい!」
澪「え・・えぇっ!?」
紬「でも、梓ちゃんは今日は部室に来ないみたいだけど・・」
唯「構いませんっ、澪ちゃんが呼べば、あずにゃんはきっと来るはずっ!」
澪「そんな勝手な・・」
唯「それとも、澪ちゃんはあずにゃんと一緒に帰るのは嫌なの?」
澪「そ、そんなことは言ってない・・けど」
唯「それなら、今すぐあずにゃんの携帯に電話しなさい!」
澪「う、うぅ・・分かったよ」
鼻息の荒い唯の勢いに押され、澪は泣く泣くポケットから携帯電話を取り出す。
気が乗らなそうな表情をしてる割に、指の動きは滑らかだ。
こういう素直じゃないところは、澪らしい。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/27(水) 21:19:23.65 ID:nZDBvOw0<>
澪「・・・」
唯「わくわく」
紬「どきどき」
律「・・・」
澪「あ。あず・・あれ?」
澪の表情が何処かむず痒いような表情から、透き通るような無表情へと移り変わる。
私の目には、それが落胆の色合いにも見えた。
澪「・・電源切ってるみたいだ」
唯「ありゃりゃ・・」
紬「さっき呼び出されたことから考えると、まだ梓ちゃんは学校に居るはずだし・・、
もちろん、携帯も持ち歩いてるはずよね?」
律「まー、呼び出されたからって言っても、梓が学校に居るかどうかは分からないと思うけどなー」
唯「それだったら、放送でまた呼び出しが入るんじゃないかな、『至急!』って言ってたし・・」
澪「携帯の電池が切れたのかな・・」
律「・・今日のところは諦めるしかないな」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/10/27(水) 21:20:27.17 ID:nZDBvOw0<>
瞳と唇の震えを抑えながら。
私はさも自然な風に言う。
少しだけ、安堵した自分がそこに居た。
そして、思う。
私はなんて汚い人間なんだろう、と。
澪「・・そうだな、残念だけど仕方ないよ」
唯「ほらー、澪ちゃんだってあずにゃんと帰りたいんじゃんっ」
澪「・・悪いか」
唯「うん?」
澪「わ、私が梓と一緒に帰りたいって言うのがそんなに悪いのかっ!」
唯「わはあっ、澪ちゃんが怒ったぁっ!?」
澪「唯ぃーっ!!」
唯と澪がぎゃあぎゃあ騒ぎ、ムギは口に手を当てて微笑んでる。
そんないつもと変わらないはずの風景を、私は胸を痛めながら見ていた。
『わ、私が梓と一緒に帰りたいって言うのがそんなに悪いのかっ!』
・・やっぱり、私の心の中の不快な霧は消える気配がない。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 21:26:44.23 ID:PVNvRFUo<>oh・・・<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 21:29:20.02 ID:nZDBvOw0<>
おばんです、大変ご無沙汰でした。
リハビリ程度ということで、今回はこの辺りで切ります。
困った事に11月も少し忙しくなるので、更新は不定期になりますが、
ちびちびとお付き合いしてもらえると嬉しいです、では。<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/27(水) 23:59:36.42 ID:3P0Qvpko<>くっ!仕方ない!
>>1がしばらくあずにゃんを体育倉庫から出す気がないなら俺が世話をしにいってやらないと!
いって来ます<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/10/28(木) 05:25:13.26 ID:kShHfH.o<>まあ気長に待つぜ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/29(金) 01:13:38.99 ID:S0WnauM0<>体育倉庫に閉じ込められるとか、二人ならドキドキもんだが一人では・・・
乙・・・<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/10/29(金) 04:44:19.35 ID:oa/uVESO<>ピンチ状態で待つのは辛い
早く助けてあげて<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>age<>2010/10/30(土) 23:12:51.45 ID:qW1UMFM0<>age<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:00:36.88 ID:wwzSATw0<>
―同日・桜が丘高校、校庭、体育小屋(PM 5:20)―
どれだけ叫んでも、密閉された体育倉庫という空間から声が漏れるわけはなかった。
それに、部活をやってる人たちが声をあげてるのも、私の声が届かない理由の一つ。
梓「困ったな・・」
誰がこんなことをしたのか、私にはさっぱり見当つかない。
ただの悪戯・・それとも、何かの怨みがあって?
誰かの怨みを買うようなことをした覚えはないけれど。
梓「そうだ、携帯!」
梓「こんなときこそ、澪先輩を・・いや、先輩たちは受験勉強してるから、邪魔するワケには・・」
梓「・・ってあれっ!?」
け、携帯がないっ!
どうしてっ・・バッグは教室に置いてきちゃったけど、
携帯はポケットの中に入れておいたはずなのに。
周囲を見渡しても、体育倉庫の中に私の携帯は見当たらない。
梓「どこかで落としたのかな・・」
今日の私はとことん運がない・・。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:04:01.59 ID:wwzSATw0<>
梓「けほっ・・けほ」
必死に叫んだのと、倉庫の中が埃だらけであるせいで、すごく喉が痛い。
苦渋に満ちた表情をした私は、そこであることに気付いた。
私の目の前に、私の影がある。
そして、ハッとしたように振り向くと、私みたいに小柄な体格であれば、人一人は何とか通れそうな窓があった。
目に染みるような夕日が差し込んでくる、小さな窓が。
梓「んっ、ちょっと高いけど・・」
身長の小さな私でも、工夫すれば何とか届く高さに窓はある。
私は、倉庫の中にあった複数の用具を不慣れに組み合わせて、即興の土台を作った。
足元がグラグラするけれど、なりふり構っていられない。
梓「誰かの助けを待つよりも、自分で行動するのがまず第一っ・・!」
足をかけ、慎重に手を伸ばす。
梓「(根気だけは誰にも負けないっ・・ギターだって、その根気一本で練習してきたんだからっ!)」
土台を作ったら、案外ゆとりを持って窓に手が届いた。
それどころか、私の首くらいの高さにまで窓がある。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:07:41.71 ID:wwzSATw0<>
梓「よし・・あとは」
私はやや錆び付いた窓の鍵に手をかけた。
思いっきり力を込めて、レバーを下に回す。
梓「・・・」
・・回したつもりだった。
梓「ん、んぁ・・!」
梓「・・ふぅ」
梓「ん、んぅ〜っ!!」
梓「はぁ、はぁ・・」
・・開かない、ビクともしない。
「やや錆び付いた」どころじゃないよ・・この鍵、完全に錆びちゃってる。
梓「こ、ここまで来て・・」
あまりに報われない展開に、全身からフッと力が抜ける。
梓「!?」
ドシンッ!と大きな音を立てて、私は背砂だらけ埃だらけの地面に落ちる。
ガラガラ、と用具の土台も崩れていく。
コンクリートに思い切り背中を打ちつけた私の全身には満遍なく衝撃が走る。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:09:43.13 ID:wwzSATw0<>
梓「い、いたた・・げほっ、けほ」
すっかり汚れてしまった制服を見て、私は何だか切なくなってくる。
理由は、ひとえに自分の情けなさ。
梓「・・・」
私は観念したようにお尻を地面につけて、体育座りをし始める。
開くことのなかった窓に目を向けて、ボヤけて見える朱色の空を映す。
そのときだった。
『少しは反省した?』
何処からか聞こえてきた、女の子の声。
せせら笑うような、それでいて、子供のような無邪気な声質。
聞いたことのない声だった。
よく聞くと、一人じゃない・・何人か居るみたいだ。
梓「だ、誰ですか・・!」
?「・・誰ですか、なんて聞かれてバラすわけないと思わない、中野さん?」
梓「(私のことを知ってる・・)」
『声』は私が向いていた方向、つまり、窓のある方、体育倉庫の真裏から聞こえてきている。
恐らく、校庭で部活をやっている人たちに見咎められないようにという魂胆なんだろう。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:11:17.33 ID:wwzSATw0<>
梓「・・私を閉じ込めたのは貴方たちですか」
私は、なるたけ冷静ぶった口調で問う。
?「さぁ・・、神様がやったことかもね〜」
梓「嘘をつかないでください・・悪戯にしては度が過ぎてると思わないんですか?」
そのとき、一瞬だけ沈黙が降りる。
そこそこ高い位置にあるはずの窓に、ちらりと影が蠢いた気がした。
屈託のない声質から、いきなり氷の刺さったような声に変わる。
「『度が過ぎてると思わないんですか?』・・それは、こっちの台詞だよ?」
梓「どういうことですか?」
?「・・それは自分で考えてほしい、かな」
梓「な・・?」
私は軋む身体を起こし、窓に駆け寄る。
そんなことをしても、加害者の姿すら見えないことは分かってる。
でも、とにかく、私にこんな理不尽な仕打ちをした犯人に少しでも詰め寄りたかった。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:13:45.59 ID:wwzSATw0<>
梓「何が狙いかは知りませんけど、こんなことしても無駄ですから・・。
今、部活をやっている人たちが用具を片付けに倉庫に戻ってきますよ・・、
最悪、部活の終了時間の6時半を過ぎるかもしれませんけどね」
?「・・そうかな〜?」
梓「?」
?「残念だけど、ここの倉庫の鍵はついさっき『壊れた』って報告しておいたの。
用具は一時的にそれぞれの部室に保管しておくように、部活をやってる人たちに言っておいたんだ」
梓「なっ・・」
私の頭に浮かんだのは「用意周到」の一文字だった。
私一人を陥れるために、そこまでしたっていうの・・?
?「できれば、ずっと閉じ込めていたいんだけど・・まぁ、明日にでも先生が確認しに来ると思うよ」
梓「・・・」
?「最低でも、今日の夜はここで過ごしてもらおうかなあ」
梓「っ・・!」
?「中野さんの家は大変かもね、娘さんが帰ってこないっていうんだから」
私は言葉を詰まらせる。
勿論、一生、この体育小屋に幽閉されるわけがないのは分かっていた。
でも、こんな薄汚い体育小屋で一泊するのは辛すぎる。
携帯がない以上、先輩たちどころか、家族にも連絡できない・・。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:16:07.63 ID:wwzSATw0<>
梓「どうして・・どうして、こんなことをするんですか?」
?「だから、それは自分で・・、」
梓「無駄ですから・・こんなことしても、きっと・・きっと、澪先輩が助けてくれますから」
言葉の最後の方は消え入りそうな程、小さくなっていた。
どうして、そのときに澪先輩のことを口走ってしまったのかは分からない。
自然と口をついて出てしまったから・・。
でも、その私の一言が、『声』を一変させた。
ガンッッ!!!
と、何かを蹴るような鈍く大きな音が響く。
梓「な、なに・・?」
目の前の、犯人と私を隔てた壁から。
?「・・あんまり、・・が、よ」
梓「え・・?」
「あんまり、調子に乗らない方が良いよって言ったんだよ、中野さん」
あまりにもその口調に怨念が満ちていたせいか、私は言葉を失った。
相手は生きた人間のはずなのに、どうしてこんなにも恐怖を抱いてしまうのか分からない。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/03(水) 23:17:44.21 ID:wwzSATw0<>
梓「っ・・」
『声』はそれきり、一言も発されず、何者かは立ち去ったようだった。
やはり、複数の足音がしていた。
私は、最後まで壁一つ挟んだだけの加害者たちに反論できないまま、その場に力なくぺたんと座り込んでしまった。
私の身体は学祭ライブなどでは感じたことのない、別の緊張感に包まれている。
梓「どうしよ・・」
気付けば、ほんの僅かだけれど夕日の光が夜の闇に侵食されていくのが見える。
秋の半ばとはいえ、夜は肌寒くなっていくばかりだ・・。
梓「先輩・・」
私は無意識に助けを求めていた。
それに応える声も、差し伸べる手もないと分かっているのに。
梓「・・澪先輩っ」
ただ、その唇を震わせることしかできない。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 23:19:58.36 ID:wwzSATw0<>
おばんです。
まだ投下可能な分があるんですが、ちょっと体調不良なので次回に持ち越しますー。
早ければ明日以降〜土日までに・・では、おやすみなさい。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/03(水) 23:20:53.30 ID:XaNeLQAO<>怖い乙<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/03(水) 23:37:06.04 ID:rqNSRCMo<>乙
あずにゃんカワイソウ
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/04(木) 01:28:32.05 ID:3OafkKgo<>乙
次も楽しみにしてる<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/04(木) 04:20:57.19 ID:HxuM/kSO<>乙
続きが気になるぜ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/04(木) 08:58:35.76 ID:LsfEmsDO<>乙です
だが、澪梓分が足りねぇ…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/05(金) 02:14:13.01 ID:H0uykXk0<>乙
おめーの席ねぇから!を思い出した・・・
澪先輩早く助けてあげて!<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/05(金) 03:53:48.05 ID:vmSNDuQo<>あずにゃん…<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/09(火) 22:14:58.96 ID:wsGZOcc0<>
―同日・桜が丘高校、軽音部部室(PM6:45)―
<side澪>
分厚い問題集を閉じ、ペンを筆箱に戻す。
ゆっくりと背伸びをし、疲れを吐き出すように大きな息を吐く。
今日も何事もなく、私の一日が終わる。
澪「ん〜・・」
紬「もうすぐ下校時刻ね・・そろそろ帰りましょうか?」
唯「賛成ーっ」
律「右に同じく!」
紬「唯ちゃんもりっちゃんも元気ね〜」
澪「二時間近くやって、二人とも問題集5ページしか進まなかった割に、な」
律「クックック、逆に言えばこの5ページ内の問題は完璧に解答することができるのだよっ!」
澪「・・『効率』って知ってるか?」
私の言葉を無視して、唯と律の二人は僅か数秒で帰り支度を整えていた。
人を気にする余裕はないけれど。唯一、この二人だけは心配だ・・。
そのとき、呆れ気味に目を細めていた私の肩を不意にムギが掴む。
紬「そうだ、もう一度梓ちゃんに電話してみたらどうかしら?」
ホッと一息ついていた私はビクンとその肩を震わせた。
澪「え・・わ、私か?」
あたふたする私とは対照的にムギは柔和な笑みを崩さない。
・・軽音部で一番裏表に差があるのはムギだな(逆に一番裏表がないのが唯)。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/09(火) 22:16:31.81 ID:wsGZOcc0<>
紬「うふふ、澪ちゃん以外に誰が居るのっていうの?」
澪「でも・・」
唯「ムギ隊長っ、澪ちゃんの携帯を奪取完了、現在あずにゃんに発信中であります!」
澪「い、いつの間にっ!?」
唯から携帯を奪おうと手を伸ばすも、ムギが笑顔で私を羽交い絞めにして押さえつける。
ぐうっ、今日も紬嬢は力持ちだ・・。
唯「・・・」
紬「唯ちゃん?」
夕方、梓に電話をかけた私のように、
唯の表情が少し照れたような様子から、透き通るような真顔(唯にしては珍しい)に変わる。
唯「あれー・・やっぱり、通じないや」
律「まだ電源切ってるのか?」
紬「んー・・ちょっとおかしいわねぇ」
唯「私、あずにゃんの教室に行ってみるっ」
澪「なんでだよっ」
唯「だって、あずにゃんがホームルーム終わったのに気付かないで、まだ机に突っ伏して寝てたら大変だもん!」
律「・・唯じゃないんだから」
紬「もし、そんなことがあっても、憂ちゃんたちが起こしてくれるはずでしょうけど・・」
まぁ、もしも、本当に梓が寝ていたのなら、電話に出なかったっていうのにも頷けるけど、電源を切っていたのには「?」が浮かぶし、
四時半過ぎにあった梓を呼び出す放送が一回きりだったっていうことは、梓は放送後にすぐに呼び出された放送室に行った・・
つまり、梓はこの学校に居て、且つちゃんと起きているってはずなんだけど。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/09(火) 22:18:50.74 ID:wsGZOcc0<>
澪「うん、そうだな・・やっぱり、私も気になるから、唯と一緒に行くよ」
律「私たちも行くか・・」
紬「そうね、梓ちゃんがまだ学校に居るのなら、そのまま一緒に帰っちゃいましょうか」
唯「よし、そうと決まれば便は急げだよ!」
澪「・・便?」
―同日・桜が丘高校、2年1組前(PM7:00)―
<side澪>
午後七時過ぎ、完全下校時刻を僅かに過ぎていた。
運動部はもちろん校内で活動している文化部もほとんどが規律正しく帰宅しているみたいだ。
校内は、まるで深夜の住宅街のように物音一つしていない。
唯「夜の学校って何だかワクワクするよね〜・・」
律「文化祭のときも似たような台詞聞いたなー」
澪「私はちょっと・・怖い、かも」
紬「うふふ・・」
どのクラスも真っ暗で、何だか変な感覚が私の中を支配しているようで・・。
正直、みんなと一緒じゃなければ、怖くて塞ぎ込んじゃってるところだ。
文化祭のときとはわけが違う・・分かるかな、こういう感覚?
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/09(火) 22:19:18.81 ID:wsGZOcc0<>
唯「澪ちゃんっ、あずにゃんのことを想っているなら夜の女子トイレを一人で探索してくるんだっ!」
澪「何でそんなっ・・む、無理無理、無理だっ!」
唯「澪ちゃんのあずにゃんへの想いはその程度のものだったのかいっ!?」
澪「う、ぐぐ・・」
紬「あら、梓ちゃんのクラスも真っ暗ね」
律「ホントだ・・」
ガララッ
唯「あーずー・・にゃんっ」
律「・・・」
澪「居ないな・・」
ドアが開いたということは、日直の先生はまだ回ってきていないということ。
いずれにせよ、急いで梓を見つける必要がある。
紬「電気点けるわね?」
パチッとスイッチが鳴り、目の前が明るくなる。
でも、梓の姿は見当たらない。
一瞬だけ、不安がよぎる。
澪「やっぱり、誰も居ない・・」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/09(火) 22:20:12.96 ID:wsGZOcc0<>
唯「あずにゃん・・そこかっ!」
バンッ
律「こらこら、他のクラスの掃除ロッカーを勝手に開けるなって、私が思うに・・、そこだーっ!」
ゴバァッ
紬「(・・りっちゃんはどうしてゴミ箱の中に梓ちゃんが居ると思ったのかしら)」
澪「・・・」
唯「ふっふーん、あずにゃん、かくれんぼだな〜・・私とりっちゃんの目から逃れられると思うなよ〜!」
・・まぁ、騒ぎ立てる二人は置いといて(最初から戦力としては期待してない)。
改めて教室の中を見渡すと、ある見慣れた物が私の目に映る。
澪「・・これ、梓のバッグか?」
紬「そうみたいね。この机、梓ちゃんの机みたいだし」
――何より『ぶ』ストラップも付いている。
唯「どれどれー、あずにゃんのバッグの中身拝見っ」
律「おい唯・・お前、本来の目的を見失ってないか」
「うひゃー、あずにゃんのバッグの中、教科書でいっぱいだぁ」だの
「私とか唯なんかいつも置き勉だからなー・・」だの、眉根を寄せる二人は置いといて。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/09(火) 22:22:51.58 ID:wsGZOcc0<>
紬「澪ちゃんはどう思う?」
澪「どう思うって言っても・・」
紬「さわ子先生なら何か知ってるかしら・・」
「私が何を知ってるって?」
澪「うひゃあっ!?」
唯「さわちゃんだーっ」
キラリと光る眼鏡がそこに居た。
さ「そんなに驚かなくても・・」
律「出たな妖怪っ」
さ「・・あ?」
律「」
いつの間にか私たちの背後を取っていたさわ子先生。
話を聞くと、今日はさわ子先生が日直で各教室の戸締り確認で巡回していたらしい。
丁度良い機会だったから、一通り、梓のことを話してみるとするか・・。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/09(火) 22:24:22.05 ID:wsGZOcc0<>
紬「・・と、いうことなんですけど」
律「」
さ「んー・・私も梓ちゃんを呼び出す放送は聞いたけど、私が呼び出したわけじゃないし・・梓ちゃんからも何の連絡もないわねぇ」
唯「さわちゃんも知らないのかー・・」
澪「さわ子先生は今日、梓と会いましたか?」
さ「そうねぇ、特に見かけてな、・・あ」
紬「?」
さ「・・五時くらいだったかしら、梓ちゃんが外に出るのを見かけたわよ」
澪「外に、ですか?」
さ「うん、特に用事がなかったから話しかけなかったけど・・」
澪「何か変わった様子はありませんでしたか?」
さ「そうねぇ・・そういえば、梓ちゃん、手ぶらだったわ。てっきり家に帰るのかと思ってたから、ちょっと気にはかかったわね」
澪「他には・・?」
さ「うーん、強いて言えば、何だか少し不安そうな顔をしていたような・・」
紬「不安そう・・?」
さ「何て言ったら良いのかしら・・何か鬼気迫ったような、不安気な・・チラっと横顔が見えただけであんまり覚えてないんだけれど」
澪「外・・」
私はふと教室の窓の外を見やった。
季節が季節だからか、木々が冷たい風で揺れ始め、空はすっかり暗くなっている。
視線を少し下に落とすと、部活を終えた運動部の面々が談笑しながら帰路についているところだった。
暗くてよく見えないけれど、見知った顔も何となくちらほら。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/09(火) 22:26:26.10 ID:wsGZOcc0<>
さ「ごめんなさいね、あんまり力になれなくて」
澪「いえ、ありがとうございました・・助かりました」
さ「梓ちゃんを探すなら私も探そうか?」
澪「私たちだけで探しますから大丈夫です。
でも、先生が日直の戸締り確認をしているうちに梓を見かけたなら、そのときは連絡をお願いできますか?」
さ「ええ、分かったわ、そっちも梓ちゃんが見つかったなら連絡ちょうだいね」
澪「はいっ・・」
律「」
−
さわ子先生に頼んで、2年1組の教室の鍵はギリギリまで開けておくようにしておいた。
梓が教室に戻ってくるかもしれないという可能性もなきにしもあらずだったから、
梓の机に「この置き書きを見たら、携帯で私に連絡するように」という紙を置いておく。
澪「私と律は外を探すから、唯とムギは校内でまだ探してないところをシラミ潰しに頼む」
唯「りょーかいっ」
紬「分かったわ」
澪「あんまり走り回ると、さわ子先生以外で残ってる先生に見つかるかもしれないから、ゆっくり、かつ、性急にな」
唯「もう下校時刻過ぎちゃってるもんね〜」
律「お前、ただ単にわくわくしちゃってるだけだろ・・」
澪「・・よし、じゃ、何かあったらそれぞれの携帯に」
「「「りょーかいっ!」」」
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>saga<>2010/11/09(火) 22:28:21.31 ID:wsGZOcc0<>
−
「・・・」
ただ単に、学校の何処かで友達と話しこんじゃっているのかもしれない。
だから、安易に先生方に協力を求めるのは、逆に迷惑をかけてしまう。
その場合は、梓にも迷惑がかかる。
でも、このときの私の胸騒ぎは梓の身に何かが起こったことを示唆していた、確実に。
私の危惧は、夜が深まると同時に染み込むように広がっていく。
「梓っ・・」
夜の暗闇がどうした、学校が怖いなんて言ってられない。
私は肌寒い空気を切りながら、『彼女』を探すために走るだけだ。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/09(火) 22:33:50.15 ID:wsGZOcc0<>
おばんです、かなり牛歩ペースで進行中。
今週から来週はてんやわんやなので、次の投下は最速でも来週の木曜以降で。
謝罪と同時にこんな拙作を見てくださる方が居て感謝です、では。
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/09(火) 22:52:08.71 ID:spvRpnEo<>乙
楽しみに待ってるよ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/10(水) 08:11:49.46 ID:E4/FrgSO<>おつ
頑張って<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/10(水) 13:29:36.99 ID:eonlAMwo<>乙<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/11/10(水) 14:05:54.23 ID:MtP1KgE0<>おばんでがす
日々を生きる糧をありがとう<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/16(火) 23:35:25.15 ID:zikH8F2o<>ほ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/11/17(水) 22:18:36.71 ID:F15eLgDO<>面白い<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/20(土) 22:59:23.04 ID:IWlD4bgP<>続きマダー?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/11/21(日) 14:33:24.02 ID:RNGfGdQo<>気長に待とう<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/21(日) 19:04:17.21 ID:Bz67FoDO<>あずにゃんが閉じ込められてから、約25日が経過<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/22(月) 02:02:58.93 ID:1jlHscSO<>まるでエロゲだな<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/23(火) 19:12:58.99 ID:vVWjzSco<>マダー?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/23(火) 22:47:16.93 ID:9tI5VX.P<>もう一週間経つな<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:16:40.09 ID:Y/VHfIk0<>
―同日・桜が丘高校、校庭(PM7:30)―
−side澪−
時刻は七時半、校庭に赤とも黒とも言えない夕闇が沈み込んでいる。
そんな中、私と律は息を切らしながら外を駆けずり回って、
部活帰りの友人たちに聞き込みして回るなどして東西奔走していた。
律「んー・・誰に聞いても、梓らしき人を見かけてないみたいだな」
澪「バッグがあったから、家に帰ってるとは思えないんだけど・・」
律「やっぱ、どっかで友達と話しこんじゃってんじゃないのかー?
私たちが深刻に考えすぎなんだよ、ちょっと姿が見えないくらいでさー」
どことなく軽い口調で話す律に対して、私はピクリと反応する。
まぁ、いつもの律の口ぶりではあるけれど、状況が状況なだけに、私は微かに苛立ちを見せる。
澪「何言ってるんだよ、携帯も繋がらないんだぞ?」
律「じゃあ、電波の届かないトコで話してるとか・・」
澪「どこだよ、そこ・・」
律「・・とにかく、私たちがネガりすぎなんだって」
澪「あのなっ、5%でも1%でも可能性があるなら・・、
律「分かった分かったよ・・彼女が行方不明なんだから、必死になるのも当たり前ってか?」
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:18:44.76 ID:Y/VHfIk0<>
そう言い捨てると、律は窮屈そうにポケットに手を突っ込み、そっぽを向く。
その行為が鼻についた私は、眉根を寄せながら口を尖らせた。
澪「・・別に梓だから、こんなに必死になってるってわけじゃない」
律「私が居なくなっちゃっても、澪はこんな風に探し回ってくれるかどうか・・」
澪「何、いきなりスネ始めてるんだ・・」
律「・・別にスネてなんかねーし」
私と同じように、律も口をタコみたいに尖らせてポツポツ呟く。
さっきから微妙に突っかかってくると思ったら、そういうことか
・・まったく、律ときたら、
澪「あのな・・」
律「・・何だよ」
澪「私は梓だろうが律だろうが、何かあったのならすぐに駆けつけるぞ」
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:19:42.59 ID:Y/VHfIk0<>
律「・・・」
澪「・・・」
律「くぷっ」
澪「な、なんだよっ」
律「・・いや、なんかすごい臭い台詞だなって思って」
澪「ぐ、う・・」
律「く・・くくっ、くははっ!」
澪「うるさいっ、笑うな!」
我ながら、よくもまああんな男気溢れた台詞を吐けたものだなと今更ながら思う。
若干の後悔と羞恥で頬が熱い。
Prrrrrr….
澪「ん・・」
律「電話・・梓か?」
澪「いや、これは・・」
けたたましく鳴り響く着信音。
携帯のディスプレイに表示されたその名前は。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:20:39.77 ID:Y/VHfIk0<>
―同日・桜が丘高校、校舎一階(PM7:35)―
−side紬−
とりあえず、私たちは校舎の三階から探し始め、下に向かって順々に探していこうと決めたものの、
梓ちゃんはまったく見つからずに終わり・・結局、一階の昇降口近くで手持ち無沙汰に・・。
唯「あっずにゃあああああーん、どkっむぐぐっ」
紬「唯ちゃん、もう下校時刻は過ぎてるんだから、静かにしないと・・」
唯「そ、そうだね・・」
職員室はまだ煌々と明かりが点いており、先生方はまだ多くいらっしゃるようで。
そんな私たちは夜の学校の新鮮さに心を躍らせる余裕もなく、梓ちゃんのことが心配でならなかった。
紬「あら・・?」
唯「どしたの、ムギちゃんくむ゛っ!」
紬「ごめんね、ちょっと静かに・・」
昇降口の方から人の気配を感じた私は唯ちゃんの口を強引に塞ぎ、物影へずるずると隠れる。
先生に見つかると早く帰るように言われてしまうから。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:21:55.55 ID:Y/VHfIk0<>
「「・・・」」
見るからに挙動の怪しい私たちは昇降口から少し離れた通路の柱から、顔を半分だけ出す。
うっすらと影が現れ、ひたひたと近づいてくる・・女の子?
紬「誰かしら・・」
私たちが隠れている反対側から現れたその子はゆっくりとした足取りで下駄箱へ。
私と唯ちゃんは目を凝らして、その女の子が通り過ぎるのを見ていた。
紬「・・何年生?」
唯「うーん・・暗くてよく見えなかった」
紬「先生じゃないなら、隠れる必要はなかったかしらね」
もしかしたら、梓ちゃんかもしれないという淡い期待は早々に打ち砕かれてしまった。
その子は顔も知らないような女の子だったので、
私たちがもう一度梓ちゃんを探しに行こうかと踏み出した瞬間。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:23:03.32 ID:Y/VHfIk0<>
『・・ごめんね、中野さん』
ふと聞こえたのは、今の女の子の声か。
直後に「コトリ」と何かを置いたような音も聞こえる。
紬「え・・?」
何より耳についたフレーズ。
中野・・?
紬「っ!」
唯「ムギちゃんっ?」
私は女の子が居たと思われる下駄箱へ走り向かったものの、その子は既に消えていた。
私は息を荒げながら上履きのまま昇降口から飛び出し、辺りを見回しても誰の姿も見えない。
紬「はぁ、はぁ・・」
唯「ムギちゃん、どうしたのー?」
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:24:35.12 ID:Y/VHfIk0<>
一歩、遅かった。
仕方なく昇降口に戻ると、唯ちゃんが見覚えのあるものを手にしていた。
唯「そうだ、ムギちゃん・・これ」
紬「・・?」
唯ちゃんが持っていたのは、何の変哲もない携帯電話。
どこかで見たことのあるような柄と形態、これって確か・・、
紬「梓ちゃんの携帯・・?」
唯「うん、あずにゃんの下駄箱にこれが入ってて・・」
唯ちゃんから梓ちゃんの携帯を受け取り、カパリと開いたけれど、その液晶は何も映さない。
つまり、電源が切られてしまっているということ。
間髪入れずに電源を点けると、「不在着信2件あり」と表示された。
これは、恐らく澪ちゃんが五時頃と七時頃にかけた電話(七時頃の方は唯ちゃんが強引にかけたのだけれど)。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:25:33.10 ID:Y/VHfIk0<>
唯「どうして、あずにゃんは下駄箱に携帯を置きっぱにしてたのかなぁ・・電源も切ってたみたいだし」
紬「・・いえ、これは」
唯「?」
・・私は少しだけ思案する。
携帯の電源を切ってしまうと、言うまでもなく梓ちゃんとは連絡が取れない。
つまり、梓ちゃんが自分からそんなことをするとは考えにくい。
そして、今、それを、目の前であった事象とリンクさせる。
紬「今、ここに居た女の子・・」
唯「うん?」
紬「・・少し調べてみる必要があるわね」
・・確固とした証拠はない。
けれど、今、梓ちゃんがどういった状況にあるのかが分かれば、それは自ずと浮き彫りになるはずだ。
唯「どしたの、ムギちゃん。珍しく怖い顔して・・」
紬「ううん、何でもないわ・・早く梓ちゃんを、
Prrrrrr….
紬「え?」
そのとき、私のポケットが奮え、着信音が鳴り響く。
事態は終局へと転がりこむ、私たちを誘う音。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:26:32.53 ID:Y/VHfIk0<>
―同日・桜が丘高校、体育倉庫(PM7:50)―
−side梓−
私が体育倉庫に閉じ込められてから、もう三時間が経とうとしていた。
無理だと分かっていながらも、私は何度も扉の鍵に手をかけては、
監禁されたという現実に叩きのめされ、再び地べたに腰を下ろす。
スカートが汚れてしまうけど、その程度のことはもう気にならなくなっていた。
「はあ・・」
錆びれた窓から見える夜空には、丸々とした満月が顔を見せていた。
私を見下ろすその月は、あっさりと閉じ込められた私をせせら笑うかのようで。
月も星すらも味方してくれないこの哀れな状況に。
「やっぱり、ちょっと寒いな・・」
マフラーもカーディガンもない。
コンクリートの冷たさも相まって、さすがに手足の先が冷えてきた。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:27:27.07 ID:Y/VHfIk0<>
「・・・」
どうして私がこんな目に・・なんて疑念はこの短時間で何度も頭の中に浮かんできたけど、何も思い当たることはない。
・・そんな私の心の中に現れるのは、やっぱり、
「・・澪先輩」
窮地に立たされたときにこそ、愛する人の顔が浮かぶという。
そんなベタな恋愛ドラマみたいな状況で、私はその主人公の恋人のような心持になっていた。
「・・・」
いっそのこと、寝てしまおうかと思ったけれど、この寒さと、湧き出る不安のせいで目すら閉じられずに居た。
ふと思いついたように、私は地面に広がっていた砂利や校庭の砂に指で落書きを始める。
大きな△を書き、その底辺から、下に向かって一本の長い棒を生やす。
・・俗に言う、「相合傘」。
「・・あ、き、や、ま、み、お」
相合傘の「左」に、それを口ずさみながらその人の名前を書く。
指使いがすごく不慣れだ。
そういえば、澪先輩の名前を書いたことなんてなかったな・・。
私が大好きで、心から愛したい、そして、愛してもらいたいと思っている存在。
そんなことを思いながら、私は相合傘の「右」にたどたどしい指使いで一つの名前を書き入れようとする。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:28:10.75 ID:Y/VHfIk0<>
「・・・」
そこで、私の指がピタリと止まった。
理由は自分でも分からなかった。
指が微かに震えている。
寒さのせいじゃない。
じゃあ、どうしてなの?
澪先輩は言うまでもなく美人な女性だ。
容姿端麗、頭脳明晰、クールだけど実は怖がりという女性の強さと繊細さを併せ持った性格。
そして、何よりもベースの腕前、音楽に対する真摯な姿勢。
どれを取っても、私にとって心から尊敬できる先輩だ。
でも、ここに来て私の頭を悩ませることがある。
それは――
「!」
そんな苦悩の最中だった。
倉庫の扉の向こう側から、数人の声が響く。
聞き覚えのある、複数の声。
決して、幻聴なんかじゃなかった。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/24(水) 22:30:02.33 ID:Y/VHfIk0<>
「・・え?」
急に身体が熱くなる。
そして、その熱はあっという間に身体の先々、隅々にまで届く。
その瞬間が訪れるのに、僅かな時間もかからなかった。
ガチャリ、とあっけなく鍵を開けるような音。
すかさず立ち上がろうとしても、寒さと痺れで私の足はなかなか反応してくれない。
それでも、私は強引に、よろめきながらも立ち上がった。
そして、私を外界と隔絶させていた扉はゆっくりと開いていく。
まず、飛び込んできたのは窓越しでなければ見えなかった夜空。
秋の夜空でありながら、すぐ後に控える冬の香りのする、濁りのない星たち。
そして、そのすぐ前に、長い黒髪を携えた、あの人の姿があった。
暗闇のせいで顔が見えなかったけれど、私にはすぐに分かる。
―――梓っ!
真っ先に届いたのは、あの人の声。
私が一番聞きたかった、強く、それでいて透き通るようなあの声。
その声のした方へ、私は飛び込んでいく。
「先輩っ・・!」
私の待ち侘びていた世界が、そこにあった。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/24(水) 22:33:49.52 ID:Y/VHfIk0<>
おばんです、ご無沙汰で失礼しました。
多忙な時期を抜け、またコツコツと自己満を書き溜めさせていただきます。
では、おやすみなさい。
それにしても、最近は澪と梓がイチャコラしていないような・・?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/24(水) 22:38:22.17 ID:TKyWMToP<>乙!
やっと再会出来たし澪梓分は次回に期待してる<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/24(水) 23:08:40.96 ID:cmf/AYSO<>乙
ホッとしたぜ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/24(水) 23:21:30.50 ID:BREd9Cso<>おつおつ
こういうのもおもしろいな<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/24(水) 23:33:30.03 ID:16bHdX.o<>おもしろい<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/24(水) 23:33:55.85 ID:HjNQk0Q0<>おばんです
やっと脱出できたか・・・
乙
>>309
wwwwww<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/24(水) 23:35:41.06 ID:yCOz8PEo<>梓「何十日閉じ込めてんだよ」
乙!<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/24(水) 23:43:48.47 ID:kYNR8sDO<>乙、待っていた…
餓死するかと思ったぞ
次回にも期待<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/24(水) 23:55:36.54 ID:qRMoP2SO<>乙です
梓が助かってよかったよかった<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/27(土) 18:47:59.65 ID:qAdRmIgo<>期待あげ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/11/28(日) 16:31:19.58 ID:yVNai6AO<>あげ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 21:58:06.84 ID:kJ6Af8E0<>
―中野家、梓の部屋(PM11:00)―
「う、ふ、ふふっ・・うにゃ、にゃあ・・・!」
寝支度を整えた私は未だ抜け切らない疲労感を全身に感じつつ、ベッドにその身体を沈める。
さっきまでやり取りしていた、私を気遣う澪先輩からの数通のメールを何度も何度も見ては、ニヤける自分。
ちなみに、澪先輩からのメールは別ボックスに分けてるし、すべて保護済みなのです。
「うゅっ・・よ、よだれ出てきた・・」
ベッドの上で一人悶えて身体をくねらせる、放課後ティータイム、リズムギター担当、中野梓。
「・・いつからこんなに気持ち悪い子に」
パン、と自分の頬を両手で叩き、見慣れた天井に目を向け、もう一度溜め息をつく。
思い起こすのは、体育倉庫から出られた直後のこと。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 21:59:12.28 ID:kJ6Af8E0<>
―――
「せんぱい・・!」
「大丈夫か、梓・・怪我、ない?」
律先輩が隣に居たにも関わらず、私は澪先輩の胸に飛び込む。
今は、ひたすらにぬくもりが欲しかったから。
「はい・・私、何が何だか分からなくて・・」
「うん、怖かったよな」
「・・っく」
澪先輩がそのしなやかな手で埃だらけの私の頭を躊躇いなく撫でてくれる。
時折、「うん・・」だとか「もう大丈夫だからな」とか、声をかけつつ。
ずっと同じ力の入れ具合なのに、私に注がれる優しさは大きくなっているようで。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 22:00:36.46 ID:kJ6Af8E0<>
「とりあえず、今日は帰ろう。話は夜に電話・・いや、明日聞くからさ」
「はい・・あ、でも、どうして私がここに閉じ込められてるって・・?」
「私ら、部活が終わってからずっと梓のことを探してたんだけどな、」
私の問いかけに、律先輩が心なしか不機嫌そうに口を開く。
澪先輩は私を抱きしめたまま、何も言わないままだ。
私にはそれが嬉しくてたまらなかったのだけれど。
「えーと・・」
・・先輩の話によると、まず、ある生徒が職員室の方へ『体育倉庫の鍵が壊れた』という報告をした。
運動部の生徒たちはその報告を顧問を通じて知り、一時的に器具を部室に置くこととなってしまい、
夕方の五時過ぎ以降は生徒どころか、先生方も確認すべきだったにも関わらず、
誰一人として体育倉庫に近づいていなかったらしく、それで私が監禁されているのも発覚しなかったらしい。
そして、さわ子先生は日直の巡回を終えた後にその報告を他の先生から知り、
何かひっかかることがあったのか、念のため、澪先輩たちに連絡したという流れだった。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 22:01:54.04 ID:kJ6Af8E0<>
「正直、体育倉庫の鍵が壊れたかどうかなんて、些細なことだったんだけどさ、
澪が一応、見ておきたいっていうから、来たわけなんだけど・・まさか、ホントに梓が居るなんて」
「言っただろ、5%でも1%でもその可能性があるなら、
「はいはい、分かったよ・・ん?」
ふと、ドタドタとした足音が耳に届く。
「おーい、澪ちゃん、りっちゃん・・あ、あ、あっ、あずにゃあああんっ!!」
「うにゃああああああああああああっ、むぐぅぅっん!!??」
唯先輩が私を撫でる澪先輩を押しのけて、私に胸を押し付け、思い切り抱きしめる。
うぅ・・もうちょっと澪先輩にハグし続けてもらいたかったのに・・。
「・・あずにゃん、あ〜ずにゃ〜ん♪」
「ゆ、唯先輩・・苦し、ですっ」
うーん、澪先輩と比べると、どうしてもボリュームが・・。
でも、唯先輩のこういう愛情表現は少しホッとする。
私が澪先輩と付き合い始めたからって、唯先輩は少し身を引き気味だったけど、気付けいたら元に戻ってた。
抱きしめられながら思うのもおかしなものだけれど、やっぱり、唯先輩はこうでなくっちゃなって思う。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 22:03:18.07 ID:kJ6Af8E0<>
「良かったぁ。探したのよ、梓ちゃん」
「ムギ先輩も・・すみません、心配かけちゃって」
ムギ先輩も、いつも通り、少し離れたところから私に微笑んでくれる。
良かった・・ほんのちょっと離れてただけだけど、ようやくここに戻ってこれた。
・・私が心から安堵できる場所。
「さてと、もう下校時刻はバリバリ過ぎちゃってるし、帰るとすっか?」
体育倉庫の中に入っていたらしい律先輩が、伸びをしながら出てきた。
ホントだ・・もう八時を過ぎていて、先生に見つかったら説教ものだ。
「そうだな・・今日は皆で帰ろうか?」
「賛成っ、今日だけはあずにゃんと澪ちゃんを二人きりでなんて帰らせないからね。
・・あずにゃん分が足りなくて、もう我慢できないんだからっ!」
唯先輩は私に何をする気なのだろう。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 22:03:58.40 ID:kJ6Af8E0<>
ムギ先輩は相変わらず、「あらあらっ・・」とか機嫌よさげに手を口に当てている。
相変わらず、ムギ先輩は他人事視点が得意です。
「じゃ、帰ろう」
「・・はいっ」
様々な複雑な感情が私の中で巡り巡った日だったけれど、
私の肌に残ってくれたのは、澪先輩と唯先輩のぬくもりだけ。
「ふふっ・・」
体育倉庫に監禁されていた私を嘲笑うかのように見下ろしていた月も、
今では私たちを見守るように、その輝きを注いでくれている。
私は温かい先輩たちに囲まれながら、遅くなった言い訳を頭の中で考えつつ、その賑やかな帰路についた。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 22:06:31.22 ID:kJ6Af8E0<>
―――
「・・めでたし、めでたし」
こうして、私の長い一日が終わろうとしていた。
体育倉庫の鍵の故障が誤報だったことは、澪先輩が先生の方へ連絡しておいたっぽい。
これにて、一件落着・・かと思ったけれど、
誰が私を閉じ込めたのかってことは未だに分からないままだ。
「・・はぁ」
そんなことを考えながら、ボーッと携帯電話を弄っていた。
そんな腑抜けた状態だったが故に、『それ』が目に入ってしまったのかもしれない。
メールの保存ボックス、つまり、未送信メールのボックスに保存されている一件のメールが。
「あれ・・?」
メールを保存しておいた覚えはなかった。
お風呂上がりの私の心を、再びモヤモヤが包んでいく。
ゆっくりとボタンを押し、内容を確かめる。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 22:07:55.96 ID:kJ6Af8E0<>
『中野梓は、秋山澪とは釣り合わない』
たったそれだけだった。
その、たった一言が私の頭に叩き込まれる。
安堵していた私の気持ちが引き裂かれる。
それは明らかなる私への宣戦布告ともとれるメッセージだった。
この携帯電話は誰かが私の下駄箱に置いていたってムギ先輩たちが言ってた・・、
つまり、私の携帯は数時間だけ、その「誰か」が持っていたということ。
「・・・」
私と澪先輩が釣り合わない?
・・そんなこと、「貴女」なんかに言われなくても分かってる。
だからこそ、私は澪先輩に似合う相手になろうと頑張らなくちゃいけない。
貴方たちみたいな、人の前に姿も見せないような卑怯者に言われなくても分かってるんだ・・!
そのとき、ハッとしたように、私はあることに気付く。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 22:08:49.78 ID:kJ6Af8E0<>
「・・そういうこと、なのかな」
相手は何人居るのか、どんな人たちなのかは分からない。
ただ、目的は明らかだ。
思い出してみれば、あのとき・・私が体育倉庫に閉じ込められていたときのことだ。
私を閉じ込めた人たちに、私が思わず「澪先輩」と口走ってしまったら、相手の女の子はいきなり激高し、壁を蹴りつけていた。
そして、この私が澪先輩には釣り合わないという文章。
「・・嫉妬」
私の頭の中に真っ先に浮かんだ言葉。
嫉妬――自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと。
恐らく、犯人(犯人たち)は澪先輩のことを・・。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 22:09:36.71 ID:kJ6Af8E0<>
さらに、純が言っていたことを思い出す。
『やだなぁ、しらばっくれちゃって〜、澪先輩とのことだよー』
『聞いたも何も、少なくとも2年の間じゃ噂になってるよ〜?』
私と澪先輩が付き合ってるってことは、純が言ってた通り、かなり広まっているはずだ。
それが噂として伝わったにしろ、事実として広まったにしろ、ね。
澪先輩の人気は学校でもトップクラスだから、私に対して何かしらの行動をとってくる“過激派”が居てもおかしくはない。
「・・・」
そして、私の中でただ一つの感情が生まれる。
「負けない・・」
絶対に負けてやらない、という想い。
大袈裟に言えば、正体不明の相手に対する闘争心だ。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/11/29(月) 22:11:08.85 ID:kJ6Af8E0<>
「・・絶対に負けないっ」
澪先輩にこれ以上、迷惑をかける訳にはいかない。
今日までの私は誰かの視線に怯え続けていた・・でも、これからはそうはいかない。
私は澪先輩との絆を守る、何としても。
何者にも壊させはしない。
「絶対に、守るから」
その覚悟と同時に、私は忌わしい未送信メールを削除した。
私の目は常に前を向いている。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 22:14:52.77 ID:kJ6Af8E0<>
おばんです、大分ダラダラしましたが、監禁生活はひとまずピリオドです。
独白形式になると、地の分の割合が多くなるのはクセみたいなものです。
形式に対して何か要望があれば、お願いします・・では、おやすみなさい。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 22:17:37.76 ID:/GniCt.o<>リアルタイムで拝見してたよ乙!
久々に澪梓分が見られて満足だし前向きな梓は強い子で良いな
それにしてもこのまま「私の戦いはこれからだ! 完」
になったらどうしようかと思ったwwまだ続くみたいで何より<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/11/29(月) 22:25:02.45 ID:q8RaEMMo<>>>347
乙です。
あずにゃん強くなってきたねww
要望というか、話の流れを壊さない程度として。
最近、某澪梓ss(詳細は2cnの澪梓スレか澪梓wiki)で激鬱になったので、この作品では澪梓がラブラブチュッチュッしてる描写を入れて欲しいです。あとハッピーエンドでww<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/11/29(月) 23:05:38.07 ID:nXBqQp60<>ゆいあず希望
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:49:21.59 ID:OZt.1Kco<>続き期待してます<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:56:30.04 ID:DVGgnkSO<>乙いいかんじだ
梓頑張って<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 00:19:26.73 ID:TjLLmQAO<>>>350
どっかいけ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 00:31:05.23 ID:623TkkDO<>乙!
あずにゃんとみおにゃんが幸せになるならどんな展開でも受け入れよう…<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 02:56:52.08 ID:g5yOIAQo<>さあ、こっからどうなる!
おつ!<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 22:11:21.69 ID:aWXdc/Mo<>この後の展開が楽しみだ…
乙<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/01(水) 12:55:55.65 ID:fixBHc60<>乙!
一人部屋でニヤニヤしてる梓きめえ・・・と思ったら俺も今まさに同じことしてた件
それもこれも澪梓が可愛すぎるのがいけない
ところでお前ら>>347を良く見るんだ
求められてるのは形式に対しての要望であって、内容に対しての要望ではない
俺は地の文が多いからどうこうっていうのはないから、何も言うことはないけども<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/12/01(水) 23:30:13.42 ID:EiX.fcMo<>澪梓wiki
http://www43.atwiki.jp/mioazu/<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/12/04(土) 12:24:57.03 ID:fpwbpLoo<>この土日で更新あるかな?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 23:51:52.07 ID:dD0XbNsP<>一週間か、早くきてくれー!<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/08(水) 22:35:25.62 ID:8Grpwnwo<>まだ来てないか<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/08(水) 23:05:12.98 ID:vMNM6kDO<>気長に待つんだ…
師走は色々と忙しいのさ
たぶん<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/11(土) 01:34:45.41 ID:zxp3iPko<>今追いついた。実に素晴らしいですね、続きが楽しみ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/12/11(土) 08:59:03.30 ID:aO3Hu3Mo<>そろそろ?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/11(土) 21:53:57.55 ID:HafSFggo<>さすがに遅くなイカ?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/12(日) 01:05:58.46 ID:FwyJy2AO<>いや・・・そんな・・まさか逃げt<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/12(日) 01:10:36.81 ID:Awxag6DO<>ここは製速だぜ
いくらでも待つさ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/12(日) 01:38:43.76 ID:uk.b/.Ao<>12月はいろいろ忙しい時期だからしょうがないだろう<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/12(日) 01:39:02.05 ID:na64h9oo<>いつまでも待つぜ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/12/14(火) 23:34:28.61 ID:yUIuSf2o<>まだー?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/15(水) 22:25:25.91 ID:f9VPcnYo<>おっせーよ↑スペクタクル<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/16(木) 23:03:51.64 ID:TjyMZmIo<>ワクテカ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/17(金) 21:33:19.91 ID:rMLgjDko<>あずみお<>
名無しさん@お腹いっぱい。<>sage<>2010/12/17(金) 23:20:20.07 ID:e/G4KY6o<>みおあず<>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/12/18(土) 08:13:55.26 ID:pUOWd.so<>にゃんにゃん<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 22:02:38.73 ID:BncEj2AO<>にゃっ!<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/12/18(土) 22:17:34.66 ID:zwm1z3Eo<>まだか、まだなのか!?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:14:12.27 ID:PhukbGU0<>
おばんです。
遅筆具合に関してはもう返す言葉はなく、ホントに申し訳ないです。
本編はちょっと行き詰まり状態なので、
今回は予め用意しておいた番外編の1つを投下します。
長くお待たせしたからというわけではないんですが、いつもより少し長いです。
ではでは、お付き合いください。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:16:51.25 ID:PhukbGU0<>
―――――
いつのことだったかな・・ある寒い日曜日の午後、澪先輩を見かけた。
学校から少し離れた場所にある、大きな書店の看板を見上げる先輩がそこに居る。
紺色の薄いカーディガンやら白いマフラーやらに身を包んだ先輩は何やら思案しながら、書店の中へ。
「・・澪先輩?」
普段見ることのできない私服の先輩を少しでも眺めていたいという願望と、
私の知らない場所での先輩はどんなことをしているんだろうという好奇心。
そして、私の澪先輩尾行作戦が密かに始まった。
「澪先輩、どんな本読むんだろう・・?」
澪先輩が読書をしているのを見たことはないけれど、
先輩に本は似合う気がするし、読書する先輩の姿を想像するのは簡単なことだった。
「澪先輩の作詞に影響を与えそうな・・、」
宮沢賢治とか・・いや、むしろ、グリム童話とか読んでそう。
麗らかな日差しの中、教室の端で黙々と読書する先輩の姿が思い浮かぶ。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:17:47.47 ID:PhukbGU0<>
止まることのなかった澪先輩の足取りが、ある一角の前で止まる。
目を向けると、「参考書・問題集・赤本」と本屋手作りの小さな看板が見えた。
気付けば、先輩たちの大学入試まであと三ヶ月ほど。
「・・受験生だもんね」
ふと、私の心の中で不快なもやもやが滲み出てきた。
そっか・・澪先輩、卒業しちゃうんだ・・。
澪先輩だけじゃない・・唯先輩も、律先輩も、ムギ先輩も。
「あ・・」
私がそんな感慨に浸っていると、澪先輩は数冊の参考書を見て回った後、
一冊だけ手に持って、また別の場所に向けて、歩き出す。
私が尾行していることにはまだ気付いてないみたい、気付かれちゃっても困るけど。
「文庫本コーナー・・?」
やっぱり、澪先輩も本を読むんだ。
何を読むんだろ・・。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:19:32.31 ID:PhukbGU0<>
「あれ?」
そのとき、澪先輩が一点を見つめているのに気付く。
と思ったら、先輩はすぐに顔を伏せてレジへ向かってしまった。
心なしか顔が赤かったような・・。
「・・何だろう?」
先輩がその場を離れた後、私は先輩の動向を注視したまま、
先輩が見つめていた(見とれていた?)コーナーの前に立つ。
新作コーナーとは離れた場所にある、手狭な区画。
「『女性向けコーナー』・・?」
平積みされている文庫の表紙は、どれも顎の尖った少女漫画のような絵柄の男の人ばかり。
私は目をパチパチさせつつも、一冊だけ手に取ると試しに帯を黙読する。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:21:11.76 ID:PhukbGU0<>
「(『そう・・飲み込んで、ボクのエクスカリバー・・!』・・)って何なんですかこれぇッ!?」
思わず、大声をあげてしまった私に周囲の人たちの視線がグサグサと刺さった。
脊髄反射並の速度で私はその場にしゃがみ込み、やり過ごそうとする。
「あ、うぐぅ・・ど、どうしてこんな目に・・!」
澪先輩に気付かれなかったのは、不幸中の幸いだったけれど。
いや、それにしても・・危なかった、と私がゆっくりと立ち上がった瞬間、
「あの、いかがなされましたか?」
「うにゃあ゛っ!?」
急に背後から声をかけられ、私は尻餅をついてしまう。
・・うぅ、結構痛ひ。
「大丈夫ですか・・?」
「だ、大丈夫です、何でもないので・・ホントに大丈夫ですからっ!」
「あっ・・お客様っ、これっ」
手にもっていた女性向け官能小説を元の場所に戻し、
私を呼ぶ店員さんの声も振り切って、その場から立ち去る。
そのときの私の真っ赤な顔や焦った様子といったらもう、思い出すだけでも恥ずかしいっ・・!
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:23:25.81 ID:PhukbGU0<>
「あれ、先輩は・・?」
こんなことで先輩を見失うわけにはいかない。
見ると、先輩は会計を済ませ、書店から出て行ったところだった。
私も慌てて後を追う。
出口付近のレジのアルバイトさんが私をすごく怪訝そうな目で見ていたけれど。
「(万引き犯を見るような目で私を見ないでくださいっ・・!)」
背中にブスブス刺さる視線を何とか振り切って、出口から勢い良く出ると、
「っしょ・・たまにはコーヒーも良いな」
「んなっ!?」
澪先輩が、書店出口のすぐ前にあった自動販売機で飲み物を買っていた。
私はとっさにブレーキをかけ、踵を返して脱兎の如く書店の中に戻る。
「あ、危なかった・・」
・・っていうか、別にバレても良いんじゃないの?と思ったそこのあなた。
私は澪先輩が「一人で」いつもどんな感じなのかを見たいんです。
誰が周りに居るわけでもない先輩の姿をこの目に焼き付けておきたいんですっ。
それが分かったなら、そんな怪しい目で私を見るのはやめてくださいっ!
私に再び鋭い視線を浴びせるそこのレジのアルバイトさん!
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:24:46.05 ID:PhukbGU0<>
「ふふっ・・コーヒーが飲めるようになるなんて、私も大人だな」
「(か、可愛いですっ、澪先輩・・!)」
先輩の幼げな独り言に思わず歓喜の握り拳を振り上げそうになった私。
驚いたり焦ったり喜んだり、今日の私は喜怒哀楽が激しめです。笑
「さて、と・・行くか」
「!」
そして、再び私の尊敬する尾行対象が歩き出す。
と同時に、私は自動販売機や街路樹の影に隠れつつ、その背中を追う。
澪先輩の後ろ姿だけが私の瞳に映る。
歩くたび、黒のロングヘアが僅かに左右に揺れ、清楚さを振りまいていて、
私もあんな風になりたい、と度々思っていた。
澪先輩は目標であり、尊敬の対象であり・・、そして。
「何か先輩に対して、美化フィルターがかかってる気が・・」
書店から十分程歩いた後、澪先輩がふとその足を止める。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:26:29.40 ID:PhukbGU0<>
「あ、ここ・・」
私たちがよく来る、見慣れた楽器店。
店先にはベースフェアと銘打たれて、いくつかのベースが飾られており、
先輩はその場に座り込み、念入りに見つめ始めていた。
「これ、欲しっ・・いや、でもお金が・・!」などと独り言を呟きながら。←かわいい
「ふふっ・・」
私は思わず微笑む。
女子高生が歩道で座り込むなんて、世間的に見たら少しはしたないことだろう。
歩いてる人から見たら、怪訝な目で見られるかもしれない。
でも、私は先輩のことをよく知っている。
夢中になると、周りが見えなくなる人だ。
作詞しているときも、演奏しているときも、先輩は一点に集中する。
いわば無の境地みたいな。
無の境地っていうのは心の中を真っ白にすることじゃない。
ただ、一つのことを、それだけを真っ直ぐに考える。
それが澪先輩の良いところ。
街路樹の影から澪先輩を見つめる私。
口元を緩めながら。
・・あれ、もしかして、私も変な風に見られてる?
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:27:38.86 ID:PhukbGU0<>
と、そのときだった。
しゃがみ込む澪先輩の元へ、楽器店から出てきたばかりの男の人・・大学生くらいかな?
明るい髪の色をした、背の高い、ギターを背負った男の人が近寄る。
離れたところからじゃよく見えないけれど、カッコ良い雰囲気に溢れてる・・。
目を凝らす。
「君・・で、・・じゃ・・の?」
ふと、大学生が澪先輩に話しかける。
飛び上がるように立ち上がった先輩は、少しあたふたしながら対応している。
何を言っているのかはよく聞き取れない。
耳を傾ける。
「あっ・・ん、・・です」
やっぱり、会話は聞こえないけど、澪先輩は少し恥ずかしがってる・・?
ステージの上で水色縞々パンツを丸見せにしちゃったときや、
さわ子先生に強引にメイド服を着せられたときとも違う、私たちが見たことのない表情。
そして、私の中で一つの推測が浮かぶ。
ま、まさかっ・・あの男の人は・・、
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:28:37.54 ID:PhukbGU0<>
「 せ、先輩の、彼氏さんっ・・! 」
そんな・・私の澪先輩が、あんなカッコいい彼氏を作って・・?
あ、「私の」とか言っちゃった。
いや、そんなことは今はどうでも良いんですっ!
澪先輩が、私や・・下手すれば律先輩たちにまで隠して誰かと付き合っていた・・!?
「(き、きっと・・今日は夕方から彼とデートの約束で、
この楽器店の前を待ち合わせ場所にしてて、
思いが高まる余り、予定より遥かに早く家を出ちゃった澪先輩は本屋で暇を潰し、
待ち合わせの少し前に着くようにこの楽器店を訪れて・・、
それで彼氏が来ると分かってたのに、思わず店先でしゃがみ込んじゃって、
そこにちょうど同じく暇を潰すために店の中に居た彼氏が鉢合わせしちゃって、
『ああぁっ、私ったら彼氏が来たことにも気付かないで座り込んだままだったなんて恥ずかしいっ・・!』みたいなっ!?」
(※上の独白の時間、わずか三秒弱)
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:29:57.04 ID:PhukbGU0<>
「ウ、ウソ・・」
どうしてこんなにもショック受けたのかは分からない。
いや、でも当然と言えば当然だよね・・。
あれだけの見た目を持っていながら、男の子の居ない女子校に通っていて、
そんな中で、一応はイマドキの女子高生である先輩が彼氏を作らないで居られるわけが・・。
「あ・・、あ・・」
両手で両頬を包む。
熱い。
理由はわからない。
でも。
「イヤ・・」
その場から今すぐにでも立ち去りたいという衝動と、
澪先輩が彼の前でどんな自然な表情を見せているんだろうという欲望。
その二つが私の心の中でせめぎ合い、半ばグロッキーな状態で、
私はその身を隠していた街路樹に身体を委ねてしまう。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:32:08.99 ID:PhukbGU0<>
このまま、逃げるなんてイヤだ・・。
私はあの男の人が先輩の彼氏だと認識してからずっと伏せていた目をゆっくりと上げる。
そのとき、店先の二人の会話が不思議と澄んで聞こえ始めた。
すると、
「あのっ、私、違いますから・・自分のベース持ってますし・・!」
「ああ、そうなんだ・・そんなにマジになって見つめてたから欲しいのかな、って・・
いや、でも、そりゃ俺だって君にベースをプレゼントなんてできないけどね。
ただ、良かったら、今から俺の行きつけのライブスタジオ来ない?って誘ってるだけだって・・ベース弾くんでしょ?」
「わ、私はそういうのは・・ちょっと・・」
「そんな釣れないこと言わないでって・・別に強要してるわけじゃないんだからさ」
「すみませんっ、私・・この後、用事があるので・・!」
男の人は、背を向けてその場を去ろうとする先輩の腕を掴み、
「あ、つっ・・!」と先輩が小さな悲鳴をあげた。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:34:13.78 ID:PhukbGU0<>
「痛っ・・、きょ、強要してるわけじゃないって・・言ってることとやってることが違いますっ・・!」
「あ、ごめんっ・・でも、君がそんな失礼な態度とるもんだから・・つい、ね」
と、言いつつ、男の人はその手を離そうとしない。
澪先輩の苦痛に歪む表情が見える。
そっか・・、そういうことだったんだ。
さっきまで私の心にシトシトと降っていた負の感情が蒸発したように消えてなくなる。
代わりにゆらゆらと渦巻いてきたのは・・、
「っ・・」
澪先輩は男の人が苦手だ。
だから、ああいう状況じゃ割り切って逃げることもできないし、悲鳴も出せない。
大人しくて、優しすぎるから手も出せない、相手を罵倒するようなことも言えない。
おまけに休日の昼間にもかかわらず、周りには誰の姿もなかった。
このままじゃ、先輩はあの男の人に言いくるめられて連れていかれちゃう。
でも、大丈夫ですよ。
・・私が居ますから。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:36:11.49 ID:PhukbGU0<>
「 ちょっとそこの人、私の澪先輩が嫌がってるじゃないですかっ!!?? 」
「えっ?」
「はっ?」
髪を振り乱し、私はズカズカと二人に近づいていく。
澪先輩の清らかな腕を掴む、その汚らしい腕を何も言わずに叩き落とし、
小さな悲鳴が聞こえても気にせず、私は先輩と男の人の間に割り込むように身体を入れる。
「な、なに・・君、誰?」
「貴方こそ!どこの!誰で!先輩とどんな関係で!どんな権利があって先輩に馴れ馴れしく話しかけちゃってるんですかっ!!」
「いや、たまたま、ここで会っただけだけど・・」
「そうですかっ、それなら貴方と先輩の縁はここまでですねっ!!」
と、我ながら何を口走っちゃってるんだろうという言葉を言い放ちながら、虫を払うかのような手振りをする。
男の人の眉根に皺が寄り、少々不機嫌そうな表情に。
・・そりゃまぁ当然ですよね、ナンパを強制中断させられたんですから。
まぁ、でも不機嫌にさせたいがためにわざわざ割り込んできてやったんですけどっ。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:38:32.67 ID:BncEj2AO<>エクスカリバークソワロタwwwwwww<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:39:22.73 ID:PhukbGU0<>
「何だよ、そっちの子は一向に俺の話聞いてくれないし、君はいきなり俺に暴力奮うし・・礼儀がないんじゃねーの?」
「れ、礼儀がないなんて、よくもまあ抜けぬけと言えたものですねっ!
失礼ですけど、貴方と先輩のやり取りを影から覗き見させてもらっていました。
礼儀がなくて、不躾で、失礼極まりないのは貴方なんじゃないんですかっ!?
こんなに綺麗な女の子捕まえておいて、失礼な態度とるだの自分の話を聞いてくれないだの・・。
あ。貴方が背負ってるのギターですか、同じギターを弾く者として恥ずかしいですねっ!」
「な、何言って・・、
「理解できないなら何度でも言ってあげましょうかっ。
先輩は貴方が軽々しく触れていいような人じゃないんですっ!
先輩はですね、容姿端麗で頭脳明晰で学校中で毎日噂されるほどの人気者っ!
ベースを弾かせれば天下一品っ、ペンを持たせれば他の追随を許さない(色んな意味で)作詞の才能っ!
この私でさえ理性を保てなくなって、澪先輩のピックとかシャーペンの芯とか鼻をかんだ後のティッシュとか、
ギリギリなライン(※ギリギリアウト)の私物を拝借しちゃうくらいなんですから!
貴方ごときが触れていいような・・いえ、話しかけるどころか、見ることでさえお布施を捧げてもらいたいくらいのっ・・むぐも、が!」
せっかくエンジンがかかってきたのに、澪先輩が後ろから羽交い絞めにするように私の口を両手で塞ぐ。
見えないけれど、その表情は明らかに憤怒の色が垣間見えていた。
ううん、律先輩以外に怒る澪先輩・・レアですねっ。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:40:45.33 ID:PhukbGU0<>
「梓・・もう良い、恥ずかしいからそこまでにしなさい」
「ぐむっ、だ、だって、先輩っ、この人下心丸出しで先輩に話しかけてきてっ・・、」
「梓がここに居る理由とか、私のピックやら何やらを拝借しただの、聞きたいことは色々あるが、ちょっとこの場は自重しろ、良いな?」
「あふぅっ・・!」
澪先輩が私の耳元でそう囁く。
先輩の息が私の耳の穴から脳髄にまで吹き抜け、プスンと私の身体からガスが抜ける。
そして、私を睨みつけたままの眼光を目の前の大学生に突き刺す先輩。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:46:58.79 ID:PhukbGU0<>
「あの、もう良いですか?(低音」
「・・あ、えっと、なんか、ごめんネ・・なんつーか、良い後輩が居て・・良かったね?」
地獄から閻魔でも憑依させたかのような私の迫力と、
さっきまで怯えたチワワの振る舞いをしていたはずの先輩の豹変ぶりに、
不機嫌だったはずの大学生は引き気味に、足早にその場を立ち去った。
ふん、ざまぁみろですっ。
・・形はどうあれ、先輩の危機を救うことはできました。
終わりよければすべて・・、
「梓、ちょっとそこの路地裏に来なさい。すぐ終わるから」
「あ、はい」
・・・
「うにゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!??」
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:48:04.28 ID:PhukbGU0<>
―――――
気付けば日が沈み、辺りは薄暗くなってきました。
・・澪先輩に何をされたか、ですか?
それはもう、思う存分にゃんにゃんしましたよ。
正確に言えば、私が一方的ににゃんにゃんされたんですけどね。
「先輩ったら・・いくらなんでもあそこまですること・・」
「いつも律にやってるのと同じお仕置きをしたまでだっ」
「えっ、律先輩にもあんな激しいプレイを強制してるんですかっ!」
「あ、梓・・おまえはいつからそんなにハレンチな女の子になったんだ!?」
「いまのどこにえっちな表現があったんですか、ぜひ教えて欲しいですっ」
「こ、この、雌猫めっ・・!」
「み、澪先輩からそんな単語が出てくるなんて・・!」
などと痴話喧嘩をしつつ、人気のない帰路につく私と澪先輩。
もう夕方だし、一人で帰るのは心配だから(梓が奇行に走るんじゃないかという意味も含む)
と言って、先輩が私を家の近くまで送ってくれるそうです。
むしろ、別れてから一人で家に帰る先輩が私は心配なんですけど。
澪先輩は薔薇のように美しいんですから、害虫も寄りやすいんですっ。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:49:50.56 ID:PhukbGU0<>
あ、私は害虫じゃありませんよ。
じゃあ何なのか?って・・そうだなあ。
・・ひ、肥料ですかね。
うっ、変なこと考えていたら、何かちょっと寒くなって・・、ふぇ、ふぇ、
「ふぇ、くちっ!」
「・・ん、大丈夫か?」
「うぅ・・先輩が私の身包みを剥ぐようなことをするからっ」
「し、してないだろ、そんなことっ!」
寒さのせいもあるのか、耳まで真っ赤にする先輩。
こういうウブなところも先輩の欠かせない魅力の一つ。
「ったくもう・・」
「ふふっ・・先輩ったら、」
「ほら」
「ふぇ・・?」
ふと、首周りがあったかいことに気付く。
真っ白な、それはもう真っ白なマフラーが巻かれていた。
誰のマフラーかなんて、言うまでもないです。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:51:58.24 ID:PhukbGU0<>
「こうすれば寒くないだろ」
「あ、えっと・・」
「・・何だ、まだ文句があるのか?」
う、うぅ・・澪先輩はずるいです。
そんなにカッコ良くて綺麗なのに、たまに反則すぎるくらいに優しい。
だから、学校でも先輩のことを影ながら慕う生徒が増えていくんです・・。
その度に私の嫉妬の炎は燃え上がっていくというのに。
「い、いえ・・でも、これじゃ先輩が寒くなっちゃうんじゃ・・」
「気にしなくて良いよ、誰かが私をからかうから、怒って熱くて仕方ないんだよ」
パタパタと自分を煽ぐ手振りを見せる先輩。
寒くないわけない・・11月とはいえ、最近になってまためっきり冷え込んでるんですから。
「だ、大丈夫ですっ、私のせいで先輩が風邪なんかひいちゃったらっ、受験生なのに!」
「こ、こら、マフラーを押し戻すなっ・・!」
「ふあっ!?」
「あっ!」
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:54:12.86 ID:PhukbGU0<>
すてーん!
私たちが漫画の登場人物だったなら、そんな擬音がついていたでしょう。
澪先輩は背中から倒れ、私はその上に覆いかぶさる。
私の手元から離れた白のマフラーは私と先輩を結ぶように巻き込んで、絡んで・・、
ちょうど、点いた街灯が私たち二人を白く包んで・・。
「あ、の・・」
「えっと・・だ、大丈夫か?」
「私は全然・・それより、先輩が・・」
私も先輩も、起き上がりもしないで、言葉を交わす。
「うくっ・・!?」
先輩の顔が目の前にある、という認識が遅れてやってくる。
その瞬間、私の顔も耳まで赤くなっていく。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:55:40.58 ID:PhukbGU0<>
「す、すみません・・私」
「いや、私の方こそ、足元見てなかったから・・」
「・・・」
「・・・」
プツン、と糸が切れたように、会話が途切れる。
私が先輩を押し倒したような格好。
街灯に包まれて、私の影が澪先輩をうっすらと黒く染める。
それでいて、先輩の瞳は私を映しているのははっきりと分かった。
先輩の美しい髪は乱れ、パッツン気味の前髪が分かれて、おでこが晒されていて。
マフラーのとれた首筋、乱れた襟から見える鎖骨。
呼吸ができない。
何かを思考しようとしても、すぐに掻き消えて・・。
先に沈黙に耐え切れなくなったのは、先輩の方だった。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/18(土) 23:58:18.74 ID:PhukbGU0<>
「あ、梓・・?」
と、同時に先輩の吐息が私の鼻先にかかる。
私は先輩に気付かれないように、ゆっくりと、静かに息を吸う。
それは、ただ苦しかったから呼吸をしたわけじゃない。
準備だ。
「あの、先輩・・」
「ど、どうした・・?」
先輩と私が徐々に、そして、確実に近づいていく。
既に身体は重なっている。
あとは・・、
「・・先輩」
そのとき、私の耳に二つの音が聞こえた。
「・・あずさ?」
薄靄のかかった頭の中で、私の理性が崩れた音。
そして・・、
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 00:01:11.02 ID:DErBRgg0<>
―――――
「あっ、ここまでで大丈夫ですよ」
「え、良いのか?」
「いえ、大丈夫ですからっ」
ふふ、意外でしょう。
澪先輩に隠れゾッコンの私が「家まで送る」という先輩に対して遠慮するなんて。
恋愛は駆け引きなんです。
たまには私も謙虚な姿勢を見せないと相手に悪い印象を与えてしまいますからね。
実は保護欲の強い先輩(律先輩に対する日常の態度からの推察)に対して、
「大丈夫かな」「心配かな」って思わせることにより、少しでも私を意識されるんですっ。
「ありがとうございますっ・・でも、先輩も早いうちに帰らないと、また不審者に・・はっ!?」
「・・ん、どうかしたか?」
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 00:02:40.81 ID:DErBRgg0<>
「先輩・・ウチに上がりたいんですか?
そして、あわよくば私の部屋でっ・・ダメですっ、お母さんたちも居るのにっ!」
「もうちょっとお仕置きが必要か・・梓?」
「喜んで」
「〜〜っ!!・・私はもう帰るからなっ!」
沸騰したように赤面して、そっぽを向く先輩。
ふふっ、可愛いなぁ、もうっ・・。
私に安易に背を向けるなんて、襲っちゃいますよ?
・・なーんて。
「ふんっ・・じゃ、また明日な、梓」
「はいっ、澪先輩」
髪を手で翻し、先輩が言う。
前で手を組み、私が返す。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 00:05:16.19 ID:DErBRgg0<>
薄暗い夜道、先輩の姿が小さくなっていった。
等間隔に位置する街灯の下に先輩が見えるたび、口元が緩む。
良いな。
先輩を見るだけでこんなにも胸が高鳴る。
「・・先輩」
一言、呟くだけで、こんなにも胸が躍る。
私はこのドキドキが好き。
時間もかからない。お金だって要らない。
ただ、その姿を見るだけで、
記憶に留めるだけで良い。
それだけで私は幸せだった。
今の私は、それ以上を先輩に求めることはできなかった。
求める資格はなかった。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 00:06:34.31 ID:DErBRgg0<>
「(・・だから、さっきもキスできなかったってこと)」
あのとき、私は先輩の唇じゃなくておでこにキスを落としていた。
何が何だか分からなくなっていた先輩は、私がめまいを起こして、
先輩のおでこにたまたま口をつけてしまった、って解釈をしていた。
・・そんなの無理やりだよ。
でも、今の私にそれ以上を求めることはできない。
私と先輩は恋人同士じゃない。
同じ高校に通い、同じ部活に入ってるだけという先輩と後輩に過ぎないから・・。
だから、「その一線」を越えることなんてできない。
抑制が効いているとも言えるし、単なる弱虫とも言える。
「うへぁ・・」
ふと、私は手元の白いマフラーを見つめる。
なぜ、まだ澪先輩のマフラーを私が持っているかというと、
先輩のおでこにキスした後、あまりの興奮のせいで、
鼻血を出し、先輩のマフラーに垂らしてしまったから。
大した量じゃないけれど、見事に真っ赤な染みがぽつぽつとできている。
・・いや、とんだドジっ子ですよね、本当に。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 00:08:34.92 ID:DErBRgg0<>
先輩は「別に構わないよ」と言ってくれたけれど、
私が強引に「洗って返しますからっ!」と引き取った。
あ、別に「せ、先輩のマフラァ・・くんかくんか」とか、
これを抱いてニヤニヤしながら寝ようとか思ってませんからね!?
・・・。
ホントですよ!?
「ふぅ・・」
今日は本当に・・良い一日でした。
先輩と会えただけでも充分なのに・・、ね。
「次は私がこのマフラーを澪先輩に巻いて、返してあげよう・・」
もう一度、私は満足気に息を吐き、残り少ない帰路へと着く。
先輩のマフラーを首に巻いたまま。
・・先輩の温もりと、先輩の微かな匂い、そして、先輩の優しさとともに。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 00:12:31.64 ID:DErBRgg0<>
以上でした。
前半と後半で梓の理性の効き具合に差があるのは仕様です。笑
さて、あまりにも手が進まないため、本編は来年から再開する予定。
遅筆はあれど投げ捨てはまずないので、それだけは約束しておきますね。
では、おやすみなさい。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 00:21:11.50 ID:yi0STyUo<>乙でした!梓が良い感じのエロにゃんっぷりで良いなww
本筋の方はある程度話は元から出来てると思ってたけどそうじゃないのね。
続きいつまでも楽しみに待ってますぞ。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 00:21:22.27 ID:QZNilYSO<>乙
信じてたぜ
製速だしこれからも気長に待ってる<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 00:33:51.17 ID:TDfFw/Io<>超乙!
あずにゃんの暴走っぷりがヤバイwwwwww
いつまでも待ってますので自分のペースで書いてください<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/12/19(日) 00:55:05.55 ID:YkSMtT.o<>乙
あずにゃんカッコイイんだか、駄目な子なんだかワカランなww
続きは年明けかぁ〜
期待してるよ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 05:35:01.52 ID:tPzwmhwo<>おつかれ!
変態あずにゃんでくそワロタwww
これで年こせるわww
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 12:12:46.35 ID:F8vYzB.0<>エクスカリバーワロスwwwwww
乙、のんびり待ってるよ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 13:13:02.62 ID:qgsHpgDO<>乙!
良いクオリティだ…
越年は上等です<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 21:40:53.02 ID:DErBRgg0<>
☆おまけ
「あれっ、財布がない!?」
家まであと50mというところ、何の気なしにポケットを探ったとき、そのことに気がついた。
どこで落としたんだろう・・あの中には澪先輩の××や××まで入ってるのにっ!
「うぅ・・まずい、まずいよっ」
ペタペタと身体中を手で触れて探してみても、財布らしき膨らみはない。
見るからに挙動不審な私・・そのときだった。
「・・梓ちゃん?」
「にゃっ!?」
不意に、誰かに背後から声をかけられ、私は肩をびくんと震わせる。
でも、どこかで聞いたことのあるような声だった。
振り返ると、白いコートを着たほわほわオーラ全開のムギ先輩が両手を前に組んで立っていた。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 21:41:50.29 ID:DErBRgg0<>
「・・ムギ先輩じゃないですか、どうしてこんなところに?」
「あぁ・・ぇっと、何から話したら良いのかしら、とりあえず、これ、梓ちゃんの財布よね?」
「あっ!はい、・・これ、私のです。どこで拾ったんですか?」
「ここから少し離れた本屋で・・昼間、梓ちゃんが転んで財布を落としたのを見たから」
あの場にムギ先輩も居合わせてたんだ・・なかなか恥ずかしいところを見られちゃったなぁ。
「そうだったんですか・・あれ、でもどうしてそのときに返してくれなかったんですか?」
私が問いかけると、ムギ先輩は伏し目がちに両の人差し指を突き合う。
な、なんです、その可愛らしい仕草・・。
「えっとね・・」
「・・?」
「梓ちゃんがあまりにも必死に澪ちゃんを追いかけてたから・・」
「・・な、なな、あ゛っ!?」
そ、そっか・・本屋で私が尻餅をついちゃったときから見ていたってことは、
下手すれば私がえっちな女性向けコーナーの前に居たことや、
隠れながら先輩を尾行していたことや、先輩を助けたことや・・ま、まさか・・、あの路上おでこキ、キスの・・!
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 21:43:05.66 ID:DErBRgg0<>
「・・梓ちゃんが澪ちゃんと会ったときくらいまで梓ちゃんの後をつけてたんだけど、
ちょっと急な用事ができちゃって一旦その場を離れたの・・それで今になって、梓ちゃんの家にお財布を届けに来たのよ」
「あっ・・そ、そうなんですか」
ふぅ・・、ここ最近で一番びっくりしたあ。
もし、先輩に「あんな場面」を見られてたら、お嫁にいけなくなります・・!
そんなだったら、最初から人のおでこにチューなんてするなと言う人も居るでしょう。
でも、女の子には引くことのできない窮地ってあるんですよ・・ご愛嬌です。
「もう、梓ちゃんったら、なかなか帰ってこなくて。
おまけに、お家は鍵がかかっているし・・仕方ないから、お家の周りでずっと待ってたんだからぁ」
「ずっと・・?」
・・妙に高そうな黒くて長い車が私の家の前に止まってる。
まぁ、ムギ先輩もこんな寒空の下で待ってるのは大変だろうけど、
あんなのが家の前に止まってたら、帰ってくるお母さんたちがびっくりしちゃうよ・・。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 21:43:47.73 ID:DErBRgg0<>
「・・じゃ、ちゃんと渡したからね、次からは気をつけてっ」
「あっ、ありがとうございました、ムギ先輩!」
「大丈夫よ、いいものを見せてもらったし」
「えっ?」
「ううん、何でもないわ」
「あ、えっと・・ホントにありがとうございました、ムギ先輩」
「うん、じゃまた明日ね、梓ちゃん・・ふふっ」
「あ、はい・・?」
ムギ先輩が妙に含んだ笑いをしていた、ような?
ひらひらと手を振りながら、優雅にミニリムジンへ戻るムギ先輩。
う〜ん、しかし、こんな寒い中でも春風のような人だ・・。
「・・・」
私は先輩にペコリと頭を下げた直後、急いで財布の中身を確認する。
良かった、私の秘蔵の澪先輩の××と××も無事だっ!
私はお財布を両手で包み、マフラーのあたたかさを味わいながら、ホクホク顔で家へと入る。
「・・今日は幸せな夢が見れそうです、先輩」
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>saga<>2010/12/19(日) 21:44:45.93 ID:DErBRgg0<>
――――
同じ頃、ミニリムジンの車内でムギ先輩が屈託のない笑みを浮かべていた。
携帯の画面を見つめながら、ニコニコと。
それをルームミラーで見据えた専属運転手さんが一言、声をかける。
「ご機嫌ですね、紬お嬢様」
「はいっ」
「良ければ何があったのか、教えてくださいませんか?」
「・・ふふ、それはもうトップシークレットです♪」
「それはそれは・・」
運転手さんは満足気に、再び前方へと視線を戻す。
ムギ先輩の無邪気な笑みの理由も知らずに。
「ふふっ、嘘ついちゃってごめんね・・梓ちゃん」
手で口を抑えながら、喜びを噛み締めるように小さく呟く。
―――携帯の画面に映っていたのは、人気のない街灯の下で絡み合う、
「♪〜」
・・今日もムギ先輩は『私は私の道を行く』です。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 21:46:40.64 ID:DErBRgg0<>
おばんです。
今までがあまりにも余白が多い印象だったので、形式を少しいじってみました。
このおまけは昨日のに続けて投下したかったんですが、余韻が台無しになってしまうので、
投下できる暇があったということもあり、今日に回してみました。では、おやすみなさい。
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 22:15:26.55 ID:QZNilYSO<>乙
おやすみ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 22:56:03.71 ID:qw8/FMAO<>いい夢が見れそうです<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/12/19(日) 23:20:53.01 ID:nWG1oP.o<>乙
番外編もいいね<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/20(月) 00:04:56.52 ID:en7x9QMo<>おつ
ムギw<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/20(月) 01:11:18.90 ID:/BNZBcDO<>乙
自分はムギ先輩のそういう抜け目のないところが好きです。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/20(月) 03:11:19.30 ID:cSK2RU6o<>乙
ムギさんマジぱねえっす
<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/20(月) 19:25:43.66 ID:CFs3xqko<>乙 流石紬嬢だぜ
来年期待してるえ<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<><>2010/12/25(クリスマス) 02:48:47.21 ID:8FaxTMAO<>いいクオリティ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/30(木) 08:05:29.37 ID:BDsvg/6o<>金麦と一緒に待ってるからぁ〜<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/12/30(木) 20:33:44.61 ID:DGNuJa.0<>来年が楽しみだじぇ・・・<>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2010/12/31(金) 23:14:04.51 ID:6H.sr4ko<>来年ってもいつくらいなんだろうね。
最速だとあと数十分だけど、まぁそれはないか。<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/01(正月) 00:36:23.40 ID:pV.IVUAO<>あけおめ
だれかいる?<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/01(正月) 11:08:11.57 ID:ZkDJtRwo<>オレガイル<>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2011/01/01(正月) 11:12:11.59 ID:zRdPzTgo<>俺もいる<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<><>2011/01/01(正月) 11:29:00.67 ID:gCx1m960<>このssで澪梓に目覚めた<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<><>2011/01/01(正月) 17:12:15.14 ID:raXp4zUo<>いらっしゃい<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/01(正月) 20:44:54.14 ID:ddsTZUE0<>ぶっちゃけ、澪×梓はフェイントで
実は澪×律っていうオチを期待してる。
いや、スレチなのはわかってるけど<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<><>2011/01/02(日) 10:27:34.67 ID:PBtCs2Uo<>カエレ<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/02(日) 10:30:44.50 ID:82hZWP.o<>このSS読んでる中で澪梓END以外を望んでる奴とかいないだろう普通<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/02(日) 10:42:30.71 ID:kcmIXTMo<>まあなんにせよ予想はよそうや<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/02(日) 12:47:56.43 ID:U7nn5ME0<>普通じゃないんですようへh
あと新年早々寒いギャグはやめてくれ
>>438
あげてんじゃねーよ投下と勘違いしてテンションあがっちまったじゃねーか<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/04(火) 03:58:13.55 ID:H0114HIo<>どうでもいいから予想厨はいなくなるべきだと思う<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/04(火) 07:26:34.45 ID:av6lnYAO<>律澪なんてありふれてんだから澪梓が読みたいんだよ<>
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!<>sage<>2011/01/05(水) 00:18:31.42 ID:9PFRQi6o<>車検切れ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2011/01/07(金) 23:57:18.64 ID:Xx71IBIo<>姉妹丼<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/08(土) 00:17:47.17 ID:2Yv.PcAO<>>>445
なんかおっきした俺はもう末期かな・・・<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/08(土) 21:20:10.44 ID:tfq4T4Qo<>自演乙
それはそうと気長に待つとするか<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/11(火) 03:50:01.93 ID:4HuEeniv0<>俺は待つ・・・・・・・
待ってるぞ・・・・・・・・<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/11(火) 18:07:04.44 ID:ZnBAcvTIO<>ふむ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2011/01/13(木) 23:06:44.99 ID:HWwyWr6bo<>むふ