無料アクセスカウンターofuda.cc「全世界カウント計画」
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫メニュー■ ■VIPService (VIPサービス)■
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みはできません。。。
HTML化した人:lain.
一方通行「いい子にしてたかァ?」
1 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/26(水) 20:16:13.18 ID:KPu69xg30

電磁通行(予定)の未来ネタ。

超注意!!

・娘ネタ?要はオリキャラじゃんかwwオリジナルは他所でやれよ。
・美琴は上条の嫁だろ?JK。
・電磁通行っていうからにはしっかり結ばれるんだよな?恋愛じゃなきゃ俺は認めないぜぇ?
・美琴が愛されまくってて中心じゃないと嫌なんだ…俺…
・一方通行はロリコンに決まってるじゃん?馬鹿なの?
・上琴&通行止めが俺のジャスティス。
・ヒロインは処女!!膜があってナンボなんだよ!!中古はノンノン!!


以上の方は要注意。
読まずに立ち去るか、読んでも書き込まないか、書き込むにしても荒らさないかでお願いします。



一応今までこんなお話を書いてました。


佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294928104/

一方通行「……クソッタレ…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294928111/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/26(水) 20:19:57.95 ID:vT7MvEmoo
スレタイwwwwwwww
乙です、期待させてもらいます!
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 20:20:44.31 ID:G1QZjYMk0
頑張れ、そんな>>1をわたしは応援してる
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 20:23:54.79 ID:xx8Jb3i40
良い子にしてましたぁ!
5 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/26(水) 20:28:01.96 ID:KPu69xg30


指の間を砂が滑り落ちていく感触が好きで、少女は飽きることなく砂をスコップで叩く。
崩さないように、慎重に力を加減して形を整えていく。
先ほどまで一緒にお城作りに精を出していた友達はすでに母親が迎えに来て帰ってしまった。


それを寂しいと思うことはない。
それ以上に、目の前の作品を完成させることが少女にとっては重要な命題である。


その集中力に絹旗は呆れるよりも感心する。

「せんせぇ、そこちがうの!!」

「ああ、ゴメンなさい。こうですか?」

「も〜!ぜんぜんちがうの」

「超ゴメンなさい…」


時折、少女の意図に反し、その度に可愛らしいお叱りを受ける。
帰ってしまった少女の友達の代わりに、少女をサポートしているのは、少女の面倒をいつもみている彼女の役割だ。

空が青から橙へと夕暮れを色濃く表し始めていることも、少女から集中を削ぐには足らないようだ。
少女のイメージしているお城と目の前の不可思議な尖塔がどれほど近いのか、絹旗には皆目見当もつかないが、
頷きながら砂を継ぎ足しているところを見ると、それなりに納得しながら作れているようだ。

少し気取った顔で、尖塔を首を傾げて眺めすかしているさまに吹き出しそうになるのを絹旗はかみ殺す。



不意に、少女がぴくんと顔をあげる。


絹旗は少女のその仕草だけで何が起きたかすぐに察した。


少女はレーダーが反応しているかのようにきょろきょろと首を巡らせると、すぐにお目当てを見つける。
少女の視線の留まった先に、絹旗もつられるように目を向ける。
夕暮れの闇が下りかけている中、完全に溶け込んでしまっている小さな人影。
絹旗はとっさに姿を見つけ出せない。そんな絹旗を尻目に、少女は既に立ち上がっている。

その姿を横目でみてから、ようやく小さな人影が絹旗の視界におぼろげに浮かび上がる。

6 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/26(水) 20:30:32.04 ID:KPu69xg30

まるで、遠くからの足音や匂いで、いち早く主人の帰りを察知する犬のようだ。

カツカツと、杖を突く乾いた音が夕闇のなかではっきりと聞こえてくる。
絹旗がようやくはっきりと人影を確認し終えると、少女は絹旗の横を風のように走り去る。
子犬のように、弾むように駆けていくその後ろ姿は見慣れていても顔が緩んでしまうものだ。


「あーくん!!」


少女が思い切り人影にぶつかる。

大好きなご主人様にぶつかっていく子犬のようだ。



(柴犬です。超柴犬です)

可愛いなぁと絹旗が顔を緩めて見守るなか、飛び込んできた少女を受け止めた男が乱暴に少女の頭に手を置く。


「コラ、危ねェからタックルすンじゃねェって言ってるだろォが」

それでも口調がいまいち厳しくなりきれないのは、少女の無邪気さのせいであろう。
少女はえへへへと気持ちよさそうに髪を撫でられるに任せている。


「ったく……しやァねェなァ……いい子にしてたかァ?」


覗き込む紅の瞳に、少女は喜びで満ち満ちた笑みを向ける。
エプロンで手に付いた砂を払いながら、絹旗が少女の後から駆け寄る。


「相変わらず超いい子ですよ。ねー?」

「ねー」

7 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/26(水) 20:31:39.83 ID:KPu69xg30

困っているのは口調のなのはその柔らかく緩んだ表情でも十分に伺える。
嬉しさを抑え切れぬ掠れた低音は、側で聞いているだけの絹旗までどきりとしてしまう優しさに満ちていた。
細くしなやかな指が、少女の栗色の髪を優しく梳いていく。


(超気持ちよさそうです…)


あまりにも気持ちよさそうなその表情に、絹旗も少し少女が羨ましく思える。
やがて、少女をひとしきり撫でた男が絹旗に視線を向ける。

「悪いなこンな時間までうちのチビに付き合わせちまって」

「いえいえ、好きでやってることですしね。それにこれが私のお仕事でもありますから」

「そォか。お前も大変だよな。まだガキなのに、ガキの世話なんてしないと…」

「成人してます!!超成人してますから!!いつもながら超失礼ですよね一方通行」


顔を赤くして怒りを訴える絹旗を小馬鹿にするように一方通行が口元をゆがめる。
先ほどまで少女に見せていた柔らかい表情など最初から絹旗の幻影か何かだとでも嘲笑うように。


「かかかか、安い挑発に乗ってるようじゃあまだまだだなァ〜絹旗センセイ?」
「うぎぃ〜〜!!なんて保護者ですか!!」
「うぎぃ〜、うぎぃ〜」
「もう!ホラ、超真似しちゃったじゃないですか!!」
「それは俺じゃなくてお前のせいだろォ。なァ?」
「ねー」


一方通行に促されるように少女が頷く。
分が悪いことなど今更論ずるまでもないことに絹旗は今更ながらに気づく。
この少女が一方通行の味方につかない筈がないのだ。溜息を吐いた絹旗の頭を不意にぽんぽんと叩く感触がした。
はっと顔をあげると、いたずらっぽく笑う一方通行の顔があった。
思ったよりも近い距離に、頬が赤く染まる。
もっとも、夕暮れ時、すべてが赤く染まるこの時間帯にそれはうまく紛れることとなったのだが。

8 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/26(水) 20:37:21.94 ID:KPu69xg30

「ま、いつも世話になってるのはマジだからな。明日もよろしく頼むわ」

最後に、ひと撫ですると、絹旗は反射的にうなずく。
園児の前で子供扱いされたことの恥ずかしさと、
優しくさわられたことへの恥ずかしさがない交ぜとなって絹旗から言葉を奪い去っていた。

「むぅぅ〜〜〜!!」

頬を膨らませた少女が一方通行の手を握る。

「あ、お前砂いじってやがったな。砂だらけじゃねェか」
「はう…」
「いつも言ってるだろォが、砂で遊んだら手を洗えって」
「だって…むぅ〜」

大好きな人が自分以外の女の子を構ってる姿にいてもたってもいられなくなったのだと、
そんな乙女心などこの白い朴念仁にはわかるはずもない。絹旗は小さく溜息を吐く。
それにしても、こんな幼いというのに、そう、まだ四歳になったばかりだというのに一丁前にやきもちを焼くのだこの少女は。
そんなおしゃまな少女が絹旗は可愛くて仕方が無い。
少女と同じ目線の高さまでかがみこむと、少女の頬をつついた。

「超ゴメンね。一方通行をとっちゃったりしませんから安心してくださいね」
「何言ってンだァ?」
「鈍感は黙っていてください。それよりも、お手てを洗いましょう?綺麗にしてから見せないと、ね?」
「うん」


一方通行と仲良く手を洗い終えるころには、ようやく機嫌が直ったお姫様はにっこりと笑う。



「ねーね、あーくん。みてみて」


少女は大事なことを思い出す。
精魂込めて作っていた大作を見せると決めていたのだ。
ぐいぐいと小さな手で一方通行を砂場まで引っ張る。
9 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/26(水) 20:38:15.83 ID:KPu69xg30

「オイ、あんま引っ張ンな。転ンじまうだろォが」

「これこれ、あーくんこれ」

「あァ?」


一方通行が砂場に築かれた尖塔に目をやる。
少女の顔と見比べると、少女はどこか得意げに胸を張っている。
絹旗にちらりと視線を向けると、頷く彼女を見てようやく一方通行は察する。


「やるじゃねェか。かなりロックな城じゃねェかよ」

そんな褒め方があるかこの超馬鹿と絹旗は思わず顔を覆いたくなる。

「えへへへ」

少女の十分満足している様子がせめてもの救いだろうか。
一方通行はしばらくしげしげと砂山を眺めると、携帯を取り出す。

「せっかくなンだ、アイツにも見せてやンなきゃなァ」
「いつもながら超親馬鹿ですね」

うれしそうに携帯のカメラで砂山を収める一方通行の傍らでぼそりと絹旗が揶揄する。
既に見慣れた光景に、薄々彼ならそうするだろうと思ってはいても言わずにはおれなかった。

「違ェし。アイツに話したら絶対ェに見せろだずりィだうるせェしなァ。仕方なくだ仕方なく」


「はいはいわかってますって」
貴方が超々親馬鹿だっていうことくらい。

心の中でそっと付け加える。

どうせこの天の邪鬼は否定するのだろうから、言っても無駄というものだ。

10 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/26(水) 20:39:12.35 ID:KPu69xg30

「せんせぇ。さよぉなら」

「はい、さようなら。また明日ね」


舌足らずな少女の挨拶に、絹旗は相好を崩す。
少女は一方通行を見上げる。
一方通行は、少女が挨拶をきちんと済ませたのを確認する。

「じゃあ、行くか。想」

「バイバイ、想ちゃん」

「ばいばーい」

一方通行に手を引かれていく少女 ――― 御坂 想に向かって絹旗最愛は手を振る。
青年と少女の後ろ姿を見送りながら、絹旗は瞳を細めて笑う。


「ふふふ、ホントに親子みたいですね」




                      ◇







「それでね、それでね」

少女と並んだ自分の影が夕日を浴びて長くアスファルトに映るのを眺めながら、少女の手を引く。
杖を付いていても、想の歩幅は一方通行のそれよりも遙かに小さい。
想の小さな身体を引っ張ってしまわないように、歩幅を調節してやる。
それは意識するまでもなく、一方通行の身体に染み着いたものだ。

11 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/26(水) 20:39:53.70 ID:KPu69xg30

「よっちゃんがお母さんでね、それでそれで」

少女は先ほどからひっきりなしにしゃべっている。
今日あったことを一から順に説明しなければ気が済まないのだ。
四歳にして朝からの出来事を時系列に従って話せるとはなかなか賢いなと、一方通行は満足感を抱く。
そういえば打ち止めも小さいころは学校であったことを逐一自分に報告していたなと思い出したところで、少女が不満そうに見上げていることに気づく。


「あーくん、想のおはなしちゃんときいてる?」

思わず吹き出しそうになるのを寸でのところで堪える。

「ままごとでよっちゃンとやらが母親役やったンだろ?ちゃンと聞いてるから話せよ」
「うん。それでね…」

女というものは、つくづくこんな年頃から女なのだなと、何だかおかしくて笑いがこみ上げる。
今の不服そうな表情はそのまま番外個体や打ち止め、そして少女の母親のそれとそっくりだ。
一方的に話して満足することが多い男に比べてなんとマセたものか。

掌の中の小さな温もりを握り直す。
こんなに小さくても一丁前なのだ。
そう思うと何故か心が温かくなる。


「はまちゃんがにろうしてひきこもってる息子やくなの」
「そいつは……なかなかへヴィーだな」




一方通行は、オレンジの光に照らされて、細く伸びた影に再び目を落とす。

小さなシルエットと、大きなシルエット。

二つのシルエットが手を繋いでる、それだけのことで小さな笑みが零れた。



12 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/26(水) 20:42:12.80 ID:KPu69xg30
とりあえず今日はここまで。
色々意見を賜った結果、どうせなら開き直ってしまえと娘の名前は自分で考えたやつにしました。
出来るだけ淡々としてほのぼのとしたお話を目指していこうと思っています。
それではまた。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 20:43:33.95 ID:xx8Jb3i40
おつー

この雰囲気堪りませんな。あーくんで一々にやけてしまう
読み方はそうちゃんで良いのかな?
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/26(水) 20:49:04.55 ID:dFw9LIPJ0
矢車の兄貴と同じ名前……。

いいセンスしてますね、乙。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/26(水) 20:56:36.02 ID:z/p15mxmo
乙乙

待っていたぞ・・・
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 21:03:41.34 ID:CriKqmAz0
予防線張りまくりで笑った
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/26(水) 21:39:16.39 ID:QuOwi2cvo
恋愛じゃないと認めない!


そう思っていた時期が俺にもありました……
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/26(水) 22:14:50.79 ID:JOBIHzIDO
幻想殺し…………想………………

ふむ、一波乱あるな
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/26(水) 22:21:18.31 ID:xsXeAFch0
「超ゴメンなさい…」 ノックダウンした
絹旗せんせいとあーくんがお父さんとお母さんだったらいいのに  とかそんなフラグは無いですか・・・?
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/26(水) 22:32:38.06 ID:DtX6zibDO
カプ厨うっざ
21 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]:2011/01/27(木) 00:30:10.32 ID:OEK00pwu0
>>13
“そう”で良いですよ。

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 01:12:11.02 ID:84wfqoW1o
ああもう二人とも可愛いしアセロラさんまじ父親すぎてやばいわ
胸がメルトダウナーだわ

おつかれ
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 07:19:04.67 ID:s9vfvFH7o
パパセラレータか……胸熱
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 09:25:36.91 ID:lei7bzTAO
はまちゃんとはもしや……
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 09:32:06.59 ID:aib/IQFDO
よっちゃンもな
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 13:22:15.55 ID:4/9a/hSSO
乙、待ってたぜ

二浪してひきこもってる息子役とかやっぱりはまちゃんははまちゃんだな
27 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 20:20:51.16 ID:OEK00pwu0
多分10時くらいに投下します。まったり進行です。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 20:57:32.83 ID:gFDTXWfQ0
うむよいぞ
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 21:43:29.90 ID:aib/IQFDO
あすて……ワクテカ
30 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:07:04.49 ID:qfluUYGG0
今から投下します〜
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 22:07:54.37 ID:aib/IQFDO
>>30
ウィヒ!
32 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:08:31.77 ID:qfluUYGG0


「ただいま〜」

「オイ、まずは手洗いだろォが」

「あ〜い」


帰宅するとすぐに想に手を洗わせる。
台の上に乗って、一方通行にくっつくように想は手を洗う。
ハンドソープで手を大まかに洗うと、添え付けのブラシに手を伸ばす。

一方通行も爪の間を磨く。

彼は砂遊びをしていたわけではない。
当然磨く必要はないのだが、少女に手本を示すために洗う。

小さな花びらのような爪と指の間に挟まっている砂を、想は丁寧にこそぎ落としていく。
時折ちらちらと自分の手元をのぞき込みながら洗うさまに、一方通行は小さく唇を緩める。


想は洗い終えた手を一方通行に開いて見せる。

目を眇めながらじっくりと確認した後、一方通行は納得したように頷く。



「よし。綺麗になったなァ、やるじゃねェか」


想の頭を軽くあやすようにぽんぽんと叩いてやる。
きちんと言いつけ通りに出来たら褒める、それは彼が想の保育園の母親連中から聞いたことでもある。

元々褒めるのも優しい言葉をかけてやるのも苦手ではあったが、それを聞いてからは出来るだけ意識して褒めてやることにしている。


「うに〜」


頭を撫でる手を、目を細めて享受する。
絹旗とも母とも違う、この少し骨ばった手が想はとてもお気に入りだった。
褒めると言って不器用なも一方通行である。
当然口下手且つ口の悪い彼に気の利いた言葉は吐けない。

しかし、幸いにもこの小さな少女は母親に似て聡明であった。

一方通行の不器用な言葉の裏に秘められた彼の優しい言葉を少女は無意識にしっかりと受け取っていた。


嘗ての打ち止めのように。

33 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:10:03.66 ID:qfluUYGG0


「さて、夕飯の仕度しねェとな」

「あーくんが作ってくれるの?」


一方通行の言葉に子猫のようにひくんと見上げる。



「まァ今日は…っつーか今日もだけどな」

「やった〜」


想が一方通行の足下にくっつく。
ホワイトジーンズごしに少女の温かい体温が伝わる。


「オラ、離れろ。歩き辛いだろォが。さっさと仕度しなきゃならねェンだ」

「想もお手伝いする」

子犬のように足下にじゃれつきながら想が弾んだ声をあげる。


「包丁は使わせねェからな」
「ぷぅ〜…」
「そンな声あげてもダメ」


予想通りの言葉に、一方通行は黒いエプロンを身につけながら釘を刺す。
子供ようの小さな桃色のエプロンを想の身体にかぶせると、かがんで背中の紐を結んでやる。


自分でやるの、と言う想の言葉は無視する。

うまく結べずにだらりと床に付けたままの紐を自分で踏んづけて転んだことは記憶にまだ新しい。
でかいたんこぶをこさえて泣きわめく少女をなだめるのに苦労したのだ。


もう少し少女が大きくなるまでは自分が結んでやるしかない。
一方通行は蝶々結びにしてやると、一人うなずく。

34 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:11:21.24 ID:qfluUYGG0



「今日のごはんなぁに?」
「なンだと思う?」


少女に意地悪をするように、質問を質問で返す。
少女はう、と短く唸ってから考え込む。
もちろん、既に準備はある程度出来てるのだが、少女挙げたものによっては明日の夕食の参考にもなる。


「あんきも?」


「……渋いなァ…」



参考になりそうにもない。
寧ろ自分の酒の肴だろうか。
少なくとも夕食のメインにはなりそうにもない。


「ハンバーグ」

「ほんと?ハンバーグすき〜」


てててとキッチンに走っていく少女。
冷蔵庫に冷やしておいた挽き肉は既にタマネギを入れる段階だ。
刻んだタマネギを炒めるかどうかと一瞬迷う。
どちらでもいいが、炒めない方が楽だと考え、一方通行は想をみる。

「タマネギはシャキシャキがいいか?」

「うん、しゃきしゃきするのすきー」


そいつは助かると内心思う。
炒めなければあとは混ぜて焼くだけだから楽なのだ。


手早くタマネギを刻むと一方通行はうずうずとこちらを凝視している想にボールを手渡す。
35 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:13:52.72 ID:qfluUYGG0


「挽き肉とタマネギをよく混ぜろよ?」

「ぺったんぺったんするんだよね」

「ハッ。ちゃンとわかってるじゃねェか」


一方通行は挽き肉のうちのいくらかを小さいボウルに入れると空気を抜いて丸い形を作っていく。

想のこねた挽き肉が失敗しても、想の食べる分をきっちり確保しておく為だ。

ぺたんぺたんと慣れた手つきで挽き肉の形を整える。
楕円が手の中でできあがってから一方通行は暫し考えてから形を変えることにする。


大きな丸に小さな二つの丸。

それは世界で一番有名な国際的ネズミ。

千葉浦安にもいるヤツだ。


血統的には国民的ネズミである黄色いアイツにすべきだったかもしれないが、形としてはこちらの方が失敗するリスクが小さい。
よしと取り分けた小皿に想用のハンバーグタネを乗せる。


余ったタマネギにトマトとキャベツを刻むと、鍋の中にいれる。
沸騰したところでコンソメを入れて塩胡椒で味付ける。
一方通行は辛い方が好みだが、あまり入れすぎると想が食べられなくなってしまう。
少し物足りない程度で味付けを終えたところで、朝作っておいたゆで卵の残りを出す。
ゆで卵をつぶしてマヨネーズとあえる。
レタスとキュウリのサラダに入れたところで想の方を見る。

想は鼻歌を歌いながらぺったんぺったんとタネから空気を抜いている。

36 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:14:52.54 ID:qfluUYGG0


「ぺったん、ぺったん、ぺったんこ。ママのむねもぺったんこ。おねえちゃんたちはおっきいのにママのおむねはぺったんこぉ」

「……それ、ママには言ってやるなよ?アイツマジで泣くから…」


子供は時に残酷だ。







                       ◇






「じょうずにやけました〜」

「思ったよりもマシな出来じゃねェか」

想のこねたタネも焦げることなく焼き上がり、一方通行はこっそりと胸をなで下ろす。
消し炭を食べる羽目にならなくて済んだ。
皿を食器棚から出そうとしていると、ポケットの中携帯が鳴る。


表示を見て一方通行はイヤな予感と共に開く。

メールの文面を追っていくうちに、眉を顰める。




「ママは?」

想が母親のお気に入りの皿を両手に抱えて一方通行を見上げる。
暫しの沈黙の後、想の形のよい頭をそっとなでる。

37 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:15:27.20 ID:qfluUYGG0

「またケンキュウ?」
少女は一方通行の撫でる手つきそれだけで事態を察したように瞳を伏せる。

「あァ……そうだ」
「…いいよ、想はあーくんとごはんがたべれるんだもん。うれしいもん」

一緒に食事が出来ると思っていた母親の帰りが遅い。
四歳の少女が寂しくないはずがない。
それでも、少女は自分が寂しがると一方通行まで悲しむと思ったのか、にっこりと笑顔すら見せる。


意地張りやがって…チビガキのくせに。

そんな少女がいじらしくて、一方通行は頬をくすぐるように撫でる。
子猫のように喉を鳴らす少女を見つめる瞳は優しい。


二人きりの夕食を終えて、想の母親の分のハンバーグをラップで包み終えた一方通行のエプロンをくいくいと小さな手が引っ張る。
見下ろすと、手には着替えをしっかりと抱え、瞳をきたいに輝かせた少女。

やれやれとため息を吐くが、今更なのかエプロンを脱ぐ。

浴室で脱いだ服を洗濯機に放り込む。
色落ちしないか、確認をして、柔らかい繊維のものはネットに区分けする。

38 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:15:59.44 ID:qfluUYGG0

日頃から湯船に入る前に、身体を洗うように言い聞かせているため、想は身体に湯をかけるとボディーソープを泡立て始める。
広い浴室は、青年と少女が並んで座る余裕があった。
少女の母親が決めたこのマンションの目玉の一つがこの大浴室だ。
全寮制のお嬢様学校、それも頭に超が五つくらい付くような学校の出だけあって、浴室やキッチンにはうるさいのだろうか。
身体中を泡だらけにしていく想を眺めながら一方通行は思う。

「あーくん、あたまあらって〜」

身体の泡をシャワーで落としながら甘えるように想が見上げてくる。
少女の髪はうっかりすると溶けてしまうのではないかと心配になってしまう細く柔らかい髪質だ。
それが泡と共に指の間を滑るのは心地よくクセになる。
何度も洗ったことのる一方通行は、あの独特の感触を思い出す。


しかし、彼は即座に首を振る。

期待満面の少女はとたんに不服そうに眉間に皺を寄せる。


「あーくんずっと想のあたまあらってくれてたのに」

「ハァ…お前もう四歳だろ。いい加減甘ったれてンじゃねェよ。自分の頭くらい洗えンだろォ」

こつんと軽く額を小突く。
想は、ますます膨れ面をすると、うぅ〜と唸る。
一瞬、洗ってやってもいいかなという考えがよぎるが、即座にそれを打ち消す。
甘やかすことと大切にすることは違う。
心を鬼にして一方通行は自分の身体を洗う。

39 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:17:16.69 ID:qfluUYGG0

想は諦めたのか、渋々シャンプーを泡立てて、肩まで伸びたセミロングの髪をわしゃわしゃと洗いはじめる。

泡が目に入らぬように目をぎゅうぅっと瞑っている姿に笑いをこらえる。
本人は一生懸命なのだから。


「しっかり耳の裏も洗ったか?」

「わかってるもん!あらったもん!!あーくん、お湯かけて〜」


今度シャンプーハットでも買ってやるかなと思いながらゆっくりとお湯をかけていく。

湯船に入ると、足を開く。
少女が勢いよくそのスペースに身体を滑り込ませる。
そのまま一方通行に背中を預けるようにもたれる。
おぼれてしまわぬように、想のお腹に腕を回してやる。
このマンションの浴槽は大きいため、想が湯船に浸かる度に彼は心配になってこうして抱えてやる。

想は口にはしないが、そうやって彼が一方通行が抱きかかえてくれるのが嬉しくて、必ず一方通行に身体を預けるように入る。

幼い少女特有の、柔らかく、芯に弾力のある感触が大した重みもなくのしかかる。


「えう〜」

「熱くないか?」

「はう〜」

どうやら心配はないようだ。
少女は蕩けたように、力の抜ける声を出す。
目の前に小麦色の髪が湯に浮かび揺れる。
ゆっくりと指を絡めると、ほつれがないか確かめるように梳いていく。

「むふ〜」

想が気持ち良さそうに可愛らしい唸り声をあげる。
40 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:18:04.93 ID:qfluUYGG0

「100まで数えるからなァ。もう覚えたか100まで?」

「うん。きぬはたせんせいにもほめられたの。『そうちゃんちょうすごいです。てんさいです』ってほめてたの」

「へェ〜アイツがそんなこと」



ちゃんと先生してるじゃないかと、場違いな感想を抱く。

「ね、ね、ね」
「ンあ?」
「想、ちゃんとひゃうまでかぞえられるの。エライ?」
「あァ〜〜………」

褒めて褒めてと目で訴える想に苦笑する。
あくまでも彼女の為に100までと言ったわけであって褒めることそのものが目的ではないのだ。
しかし、四歳の少女に、物事の意味まで知れというほうが無茶な話だ。

褒めて欲しいから頑張る。

そもそも、砂のお城も、手をしっかり洗うのも、お料理のお手伝いも、そして、100まで数えられるようになるのも、すべては一方通行に褒めてもらいたいからだ。

褒めてもらいたいから頑張る、小さな子供はそれで十分なのだ。

だからこそ、一方通行は少女の望む一番の行動に出る。



「おゥ、スゲェじゃねェか想。最っ高だぜェ」


ぎゅうっと抱きしめてやり、褒めてあげること。

「わふ!!えへへへへ〜〜」

とろけるように想は笑う。
ご満悦といったその表情に、一方通行もつられて笑みを浮かべた。
結局、100をとうに過ぎてもじゃれあう二人はお風呂からあがることはなかった。





                        ◇





「ただいま〜」


御坂美琴はリビングのドアを開けるなり満面の笑みで言い放つ。
研究で期待以上の成果が出たことが彼女の気持ちを高揚させていた。
心なしか、歩くのに合わせて揺れるショートボブも弾んでいる。

41 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:18:43.28 ID:qfluUYGG0

「うるせェ、ガキが起きるだろォが」

一方通行はそんな脳天気にさえ思える声に、しかめ面で答える。
声を抑えている彼に、一瞬首を傾げるが、すぐさまその理由に気づく。


「大体ただいまじゃねェよ。ここは俺の家だろォが」
「細かい男ねぇ。お隣さんじゃない。気にしない気にしない」

スレンダーなモデル体型を包んでいたコートを脱ぎ、ハンガーにかける美琴はパタパタとスリッパの音を立てながらソファに駆け寄る。
目的は、一方通行の膝の上。


「気持ちよさそうに眠っちゃってるわね」

「今さっきようやく寝付いたところだ」

「ああ〜〜ん、想ちゃんったらカワイイ〜〜」

「声でけェよこのバカ」


一方通行の膝を枕に、想がかわいらしい寝息をたてていた。
そんな愛娘の寝顔に、美琴はとろとろに頬を緩ませる。


「だって仕方がないじゃないのよ。可愛いんだもん」
「ふン…」

一方通行は取り合うことなく、想の身体にかけた毛布がずり落ちそうになるのを直してやる。
可愛いということに否定をしない時点で、この素直じゃない男の本音が自分と変わりないことに美琴は十分気づいている。

42 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:19:22.67 ID:qfluUYGG0


「今さっき寝付いたって…もう11時じゃないの。こんな時間まで起こしてたのアンタ」


時計に目をやりながら美琴の声に若干責める色が混じる。
一方通行は呆れたように鼻で笑う。

「バカかテメェは。察しの悪い女だなホントに。お前に『おかえり』って言ってやりたかったンだよコイツは。少しは汲み取ってやれよ『お母さン』よ」
「……そっか」

カーペットに膝をついて、美琴は想の顔を覗き込む。
自分そっくりの幼い寝顔はあどけなく、無垢だ。
研究の疲れなど、それだけで吹き飛んでしまう。
そのマシュマロのような頬に、そっとキスをする。

小鳥が啄むように。くすぐったそうに身をかすかによじる小さな少女に、美琴は相好を崩す。

愛しさが美琴の笑みから溢れている。一方通行はそれを黙って横目で見ている。



「お前よォ……もう少し早く帰ってこいよ」

「……ごめん…」

「バカ、俺に謝ってるンじゃねェよ。コイツだろォが」

「そっか……そうだよね……ゴメンね、想ちゃん」


美琴がそっと想の額に掛かった髪を指でかき上げてやる。
露わになったおでこに、そっと柔らかく唇を落とす。キスというよりも、触れるように。


「………お前飯は?」

「妹と軽くサンドイッチを摘んだくらい…かな」


小さく舌打ちをする。
研究に没頭し過ぎて食事を疎かにしがちな美琴の悪癖を知っているからこその反応だ。
親指でくいっとキッチンを指す。

「ハンバーグ作ってある。時間が経ってるからスープは温め直せ。サラダはそのままテーブルにラップかけて置いてある」

43 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:20:07.90 ID:qfluUYGG0

もっとも時間が深夜に近い。

ハンバーグは流石にカロリーを気にして食べないかもしれないなと、一方通行は簡単な軽食でも準備しておくべきだったかと考えるが、美琴の反応は至ってシンプルだった。


「ハンバーグ!?ウッソ、嬉しい。お腹ペコペコだったんだ」
「……お前、こんな時間に大丈夫かァ?」
「だって殆ど今日は食べてなくってさ」


予想通りの答えにげんなりする。

そして、それ以上にハンバーグと聞いてからのはしゃぎようがそっくりそのままだ。

「……アホ親娘」

「あによ。何か今ぼそっと言ったわよね?」

「うるせぇ。ガキ起きる前にさっさと食え。俺はコイツを運ぶ」


起こさぬように注意をしながら、想を抱き上げる。


「お前はどうする?」
「へ?」

既にテーブルに置いてあるハンバーグの皿をレンジに入れ終えた美琴が間抜けた顔をする。

「もう想はこのまま俺の家に泊めるが、お前はどうする?」

「ああ」


ようやく一方通行の訪ねている意味を悟る。自分にも泊まっていくのかと聞いているのだ。
律儀な奴だと思いつつ美琴は時計に目をやる。
部屋に戻り、そのまま眠ってしまいたいのが、疲労の溜まった身体の正直な叫びだ。

44 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:21:45.91 ID:qfluUYGG0

しかし、想の寝顔を見つめているとそんな考えは即座に吹き飛ぶ。

こうして自分を待っててくれた娘がいるのだ。

それなのに、自分の都合で寂しい思いをさせた挙句に、自分の勝手で別々の部屋で眠る。
そんなことありえない、寂しすぎる。何より、自分自身許せない。



「…迷惑じゃなかったら私も泊まっていってもいいかな」

おずおずと尋ねる美琴に一方通行はなにを今更とため息をわざとらしく吐いてみせる。

「当然だ。寝るときまでガキのお守りは勘弁して欲しいからな。一緒に寝てやれ」

「アンタ本当に素直じゃないわよね」


クスクスと笑う。
優しく想を抱き上げている姿ではなにを言ってもさまにはならない。
それがわかっているのか、ふてくされたように一方通行はふいと視線を逸らす。

「ああ、泊まってくならタオル出さないとなァ」
「い、いや、流石にお風呂は帰って入るから」


流石にお風呂は恥ずかしくてこの部屋のものを借りることには抵抗があった。
いろいろと意識してしまうからだ。
湯上がりの姿など恥ずかしくて見せられるものではない。
頬を赤くしながら慌てて首を振る美琴に、いまいち彼女が慌てる理由もわからずそォか、と一方通行は首を傾げた。

45 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/27(木) 22:24:21.72 ID:qfluUYGG0

本日の投下終了〜
冗長な話でゴメンなさいね。でもこれからもきっとこんなノリ。
電磁通行というよりも一方お父さんと電磁娘って感じになってるな。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 22:25:23.62 ID:jFJuUqYTo
乙乙

想が可愛すぎるだろ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 22:29:07.56 ID:OxJb6XJQ0
おつおつ

一方さんの足の間に想ちゃんか…
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 22:32:05.93 ID:qNTHB9RYo
これ絶対、周囲に誤解されてるよね。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 22:37:11.50 ID:aib/IQFDO
乙乙
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 22:40:53.79 ID:iVAf/FCB0
GJ

×冗長>○いいぞもっとやれ
想ちゃん超可愛い。一方お父さんいいなあ。

というか昔リアルにこんなんだったわ。眠っちまったガキを抱っこして隣の部屋までいくのが俺の仕事だった…
唯一の違いは俺が当時高校生だったことか。ダブル両親共働き&親戚という。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 22:42:40.28 ID:EuD1hXIyo
おつ

これはいいもの……
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 22:50:00.15 ID:sYnFnUHJo
ゆったりとした始まり、良い雰囲気で好きです。可愛いですなぁ
おつー
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 22:59:15.55 ID:3TXr+p/so
ほっこりするわあ。
料理のパートとかすげえな>>1の引き出しは。あんきも。
キーの部分がとっても気になるけどそれは追々の楽しみだ。
誰なんだろうな。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 23:11:41.05 ID:DLzpBHI20
スレタイ見てセロリが幼女を拉致誘拐監禁でもする話だと思った俺はどーすりゃいい?
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/27(木) 23:20:33.96 ID:ThLDYqrIO
これは最高である
癒されるのである…

おつ!
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 00:14:25.53 ID:ll8d9bLDO
ほほう
設定が気になるところだな…乙
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 00:16:37.44 ID:tGVdASCLo
これは癒されすぎて現実を見たくなくなってくんな・・・
最高すぎるわ
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 01:04:35.90 ID:2QzbPGYNo
ほのぼのするな・・・
関係が特に進展しなくてもこういう日常見てるだけで幸せかもしれない
美琴は何の研究してるのかなぁ
想ちゃんが寂しがらない程度には時々起きてる内に帰ってきて欲しい
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 03:41:37.10 ID:gWxRJVSyo
絹旗せんせーのとこに一方さん(あーくん)が迎えに行くのを2、3レスで見たことがあるけど、
>>1がスレの合間に書いたんだっけ?
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 16:28:37.23 ID:haVWDMY60
打ち止めと番外個体はどうしてるんだろうか
御坂妹は美琴と一緒に研究しているみたいだけど
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/28(金) 17:33:08.47 ID:Nn9eeify0
>>59
それであってる
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 19:54:16.43 ID:EsET7kepo
貧乳の人も、妊娠・出産時に乳房が一時的に大きくなることがある。
しかし子どもの授乳期が終わると小さくなり、しぼんだ風船のようになる。
これを【幻想偽乳(バストアッパー)】と呼ぶ。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/28(金) 21:18:09.58 ID:9UdNEhY70
なにこえ・・・胸がキュンキュンする
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 21:35:57.41 ID:Jr4duhDdo
>>61
やっぱりか

あの時は数レスでほのぼのさせて貰ったから期待して待ってよう
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 22:17:21.97 ID:0Ylpdzob0
>>1乙ですよ!!
もうマジ想ちゃんとあーくんが可愛すぎて生きてるのが辛い…

想ちゃんが言葉覚え始めた頃のことを妄想するだけで悶える
一方通行さんに向かって天使の笑顔で「あー、あー」とか言ってたんだろうなああああ

>最っ高だぜェ
一方さんの名台詞だけど、それが時が経って幼女に向けられた言葉なのが、深いな
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 22:37:55.73 ID:q+8rAt+DO
スレタイ忘れたけど片親上条さんの話あったよね?
一方さん小説家で担当花畑の
それとしずりちゃん
なんだったけかな
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 22:40:14.70 ID:hyYxYCzR0
>>66
上条「あの日、もしかしてお前は、俺以上に」かな
あれが切っ掛けでマイガール全巻買ったぜ
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/28(金) 23:17:45.99 ID:q+8rAt+DO
>>67
ありがとう
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/29(土) 01:51:27.68 ID:qvFcJUpG0
(のワの)<タドリツキマシタヨー
父親している一方さんに胸がキュンキュンしました
あと前スレのナナのくだり見てガチ泣きした…

いいぜ、成人男性がSS読んで泣くはずが無いって言うのならそ・げ・ぶ(AA略
70 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 20:59:29.34 ID:ChlwkKn80
性懲りも無く投下します。
9時半くらいに。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 21:00:19.05 ID:eBUgz+W4o
凄く待ってる
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 21:01:39.54 ID:CcabHMXdo
「いま会いにゆきます」の初版本を未だに持っている俺に死角はない。
73 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:33:37.98 ID:ChlwkKn80
投下します〜
74 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:35:04.28 ID:ChlwkKn80


「おわ、寝過ごした」


美琴は時計を見ながら慌てて着替える。
勿論、想を起こしてしまわないように、物音は出来る限り立てないように気を付ける。
想はウサギの抱き枕を抱きしめて未だに眠りの園にいるようだ。
ジーンズを手にしたまま、下着姿で愛娘の寝顔に見惚れる比較的駄目な母親。
あどけない寝顔に、顔を蕩けさせていた美琴は、我に返ると頬をぴしゃりと叩く。


このままでは気付いたら一時間経過という事態になってしまう。


名残惜しいが、早く大学に行かなければならない。
ジーンズを履き終えると、想の寝顔にそっと近づく。


ちゅっと赤みをおびたほっぺたに唇を当てる。


柔らかな感触はいつまでも触っていたくなる。
それを鋼の精神力で抑え付ける。


「いってくるね想ちゃん。ママ研究頑張ってくるからね」


カバンの中の資料を確認しながら、娘に語りかける。
後ろ髪引かれる思いを決死の覚悟でふりきりながらリビングに行くと、
新聞を広げた白い青年の姿が目に留まる。


青年は呆れたように美琴を見る。


上から下まで、品定めするような視線に、美琴は居心地が悪くなる。



「お前なァ……もう少し早く起きろよ。ノーメイクってどうなンだ?」

「う、うるさいな。私はノーメイクでも十分イケてるのよ」

「誰情報?」

「い、妹よ。文句ある?」

「滅茶苦茶身内贔屓じゃねェか……ま、いいか。ホラよ」


75 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:36:01.87 ID:ChlwkKn80


一方通行は包みを美琴に渡す。
きょとんとした美琴に、面倒くさそうに肩をすくめる。

「昼飯だ。朝食作り過ぎたンだよ」
「サンドイッチ?」
「おにぎりの方が良かったか?」
「手が汚れないからサンドイッチの方が寧ろ嬉しいかな」
「……そォか」

朝食を作りすぎたなどと、下手な言い訳だと美琴は苦笑する。
想の朝食は、作り立てを食べさせていることを美琴は十分に知っている。
サンドイッチ、こいつのことだから妹の分まで作ってるだろう。
学園都市の第一位は随分と家庭的だ。


「何笑ってンだよ」
「別に何でもないわよ。じゃあ行ってくるわ」
「精々頑張ンだな」


しっしと手で追い払うように見送る一方通行。
美琴は笑いを堪えながら玄関を出る。大学で会ったら妹達に何て言おうか。
ネットワークを介して半分は大笑いをして、半分は美琴を羨むといったところだろうか。
それを思うと、美琴は今から大学に行くのが楽しくなってくる。





                    ◇




一方通行は三杯目になるコーヒーを注ぐ。
ブラックで飲みすぎると胃を悪くすると、何度も周りから言われてきた。
口煩い筆頭は想の母親と、その友人連中に妹達。おまけに想の担当保育士等々。
考えてみると自分の周りは口うるさい女ばかりではないだろうかと重大な事実に気付く。

なんだかなァ…

カップを傾けながらげんなりとする。
どいつもこいつもお節介ばかりだ。美琴のせいだろうか。
76 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:36:55.89 ID:ChlwkKn80

「おあよぉ…」

舌足らずな声が一方通行を引き戻す。
時計を見れば、まだ起きなければならない時間までは余裕がある。
目覚ましすらなっていないだろう。しかし、一方通行は殊更慌てることもなく声の方を見る。
ウサギのぬいぐるみを抱きしめた少女が目をこすりながらてこてこと歩いてくる。
転ぶのではないかと、若干冷や冷やしながら見守る一方通行の思惑を他所に、少女は一方通行の座るソファまで無事たどり着く。
ぽてんと一方通行の膝の上に頭を落下させる。

「あーくん、おあよ」
「“おはよう”な」

いい加減きちんと言えるようにならないものだろうか。
膝の上に甘えるように頭を乗せてきた想の髪に寝癖が無いか一方通行は確認していく。
毛繕いをするように、丁寧に髪を掻き分けていく指の感触に、想は心地良さそうにとろとろと眠りに落ちていく。

「てい」

「はうっ」

ぺしりと眠りかけた少女の頭に軽くチョップを下ろす。
眠りに陥りかけていた想の意識が浮上する。

「お前もう一辺寝たら確実に寝坊するだろォが」

77 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:38:56.98 ID:ChlwkKn80


少女の頭を膝の上から下ろしながら一方通行は以前のことを思い浮かべる。
二度ねしたら最後、目覚ましが鳴ろうとも起きない少女を起こしてやるのは至難のわざだ。


エプロンを身に着けながら一方通行は冷蔵庫から卵とミルク、そしてチーズを取り出す。
残り物のコンソメスープに茹でたブロッコリーを加えてやる。
ブロッコリーがやたらと多く茹でてあったことに若干疑問を覚えるが、すぐさま次の工程に取り掛かる。
刻んだニンジンも忘れずに入れてやると塩で味を整える。
最後に少しだけ生姜を加えてやるとそれだけで風邪の予防になる。

しっかりとニンジンに火が通る間に、卵をボウルに入れて軽くかき混ぜる。
砂糖とミルクを加えながら混ぜていく。



「顔洗って来いよ。洗面所あんま濡らすンじゃねェぞ」

「あーい」


本当にわかっているのだろうか。

元気の良過ぎる返事に不安を覚える。

かき混ぜた卵をフライパンに投入し、手首を返しながらオムレツの形に変えていく。
ピザ用のチーズを半熟の卵の中に入れて包み込むように楕円に整えてやる。
更にオムレツを乗せ、十分に火の通ったニンジン入りの野菜スープとパンを用意し終える頃に想は戻ってくる。


前髪をぐっしょりと濡らした少女に呆れながらも、一方通行は想を抱き上げる。

ソファに座り、自分の膝に乗せてやるとドライヤーをかけて、櫛を通していく。

細い前髪は熱風を浴びてすぐに水気をなくしていく。

78 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:41:57.76 ID:ChlwkKn80

「ほっ」

「ったく…お前は顔を洗うのが上手くならねェなァ本当に」

渇いたのを確認すると、想と向かい合うように朝食に移る。


「オムレツおいしいねぇ〜」
「当たり前だろォが。ホラ、ケチャップ付いてるぞ」
「うにゅう」

余裕を持って朝食を摂り終えると、想を連れて保育園に向かう。





                    ◇




想を絹旗に預けるところで、ようやく一方通行は一人になる。

「なん…だと…」

部屋に戻り冷蔵庫の中身を確認するなり一方通行は崩れ落ちる。
夕食の献立は
クリームシチューにするつもりだった。火曜特売で鶏肉も買っておいた。
そして、ようやくブロッコリーが多かったわけに気付く。
一段落着いた瞬間に思い出したのだ。


「夕飯のクリームシチュー用じゃねェか……白菜で代用…できるのか?」

芯が残らぬように予め茹でておく。普段からそうしているというのに、何故今日に限って忘れていたのだろうか。
これほどの敗北感はおそらく木原数多、エイワスに敗北したとき以来だろう。
一人の部屋で、一方通行は暫く跪いたまま立ち直れなかった。



79 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:45:26.91 ID:ChlwkKn80



                    ◇



大学に着くと結局朝食を取ることもなく、美琴は実験に取り組む。
先日の研究成果を早くレポートにまとめたかった。
研究の余韻が残っている内にアウトプットしなければ気持ちが上手く切り替えられないのだ。

朝食代わりに少々摘むつもりだった彼のサンドイッチはやはりランチに持ち越しとなりそうだ。


研究室の前に立つと、微量の電磁波を感じ取る。
ロックを外してドアを開けると、自分と瓜二つの顔をした少女が立っていた。
腰まで伸びた髪をシュシュで纏めている。


「早いじゃない」

「ミサカのマンションの方が近いですから」


微かに親しげな笑みを浮かべる少女、妹は既に白衣に着替えている。
嘗ての無表情は若干柔らかくなっている。
しかし、それを見て表情が豊かになったと解釈できる者は限られているだろう。


機動音をあげているパソコンをのぞき込むと、そこには昨夜の実験結果が表示されている。
昨日の自分の記憶とのそごが無いかを確認して美琴は満足げに唇を微かにあげる。


「神経伝達率は…七割か」


まずまずの成果だ。

御坂美琴は現在大学院の院生であると同時に教授待遇として研究室と機材を与えられている。
同大学の院生である妹を助手として。
美琴は筋ジストロフィー治療における電気治療からのアプローチにおいて、目覚ましい成果を見せた。
成果というよりも、最大の課題を取り除いた。
医学会にもたらした彼女の成果は、研究室と最新鋭の研究機器、潤沢な研究費でもってしても、ささやかであるといえる。
彼女の提唱した治療法には、彼女と妹達のDNAマップが大きく貢献している。


もはや筋ジストロフィーは決して直らない病ではない。

現況の課題は如何に治療するかではなく、如何にリスクを無くし、経済的に余裕の無いものでも
受けられるように安価なシステムを構築するかという治療体制へとシフトしている。


美琴は、彼女が幼心に望んだ己のジーンマップの本来の利用法を10年以上の歳月を経て自らの手で達成させたのだ。
80 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:47:31.44 ID:ChlwkKn80


「残りの三割を阻害している要素としては」

妹がキーを叩く。

「加える電流の強弱。この場合は弱すぎるということでしょうね」

「確かに強い電流を流せば神経はつながるし活性化もするけど」


現在、彼女はクローン技術を応用した再生治療の研究に没頭している。
神経の分野には未だに不可解な点が数多く存在する。
それらについて、治療について決定的な確証を得るまで強い電流による治療は好ましくない。
美琴自身、臨床実験を繰り返すことを主とした現況手探りの状況は打破したいところだ。


「アイツだったらさっさと打開策でも考え出すんでしょうけどね」


ここにはいない人間を頼るような言葉は嘗ての美琴には見られなかった。

それは悪い意味ではなく、彼女が人に頼ることをこの10年で覚えたことだと妹はわかっている。


「相変わらず引きこもりですか彼は」

「なんだかんだで色々と依頼されては論文書いたりしたりしてるみたいだけど…本人的には小遣い稼ぎじゃないかしら」


第一、レベル5に生活費の心配など必要ない。


「アンタ達を救った時点でアイツはもうこっちの業界には興味がないんでしょ」


打ち止め、番外個体、そして数多の妹達。

少女達を救うことにその身のすべてを捧げてきた少年は、その目的を達成すると同時に医療科学への一切の興味を失った。
この都市において最高の頭脳が、現在その頭脳を割いているのは幼い少女の健やかな成長のみ。

莫大な利益をもたらしてくれるであろうその頭脳は、都市側としては喉から手がでるほどに欲しいものだろう。


しかし、一方通行に都市への愛着も恩も無い。
彼にそうさせたのは他ならぬこの都市だ。
だからこそ、これはもしかしたら一方通行なりの遠回しな意趣返しなのかもしれない。

81 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:48:47.50 ID:ChlwkKn80


「それよりもアンタきちんと寝た?昨日遅かったでしょ」
「それはお姉さまも同じでは?」
「私は大丈夫よ。アンタの方が問題でしょ?身体弱いんだから」


妹から手渡された白衣をまとう。
消毒薬と、自身の香水の混じった独特の匂いが美琴の鼻先をかすめる。


「大丈夫です。幸いミサカはまだまだ若いので。若さで無茶は何とかカバー出来ます」

若さ、と強調する妹の言葉に美琴は形の良い眉を顰める。
何処か挑戦的な言葉の響きだ。

「若いって、私だって若いわよ」

「年を取った人に限ってそういうセリフを言いますよねと、ミサカはお姉さまの悲しい意地を黙って流します」

「意地じゃないわよ。私はまだ22だもん」

「子供を産んだら女は一気に老け込むと聞いていますが」


ちらりと妹は視線を美琴の身体に向ける。
どこか探るような、品定めするような視線に居心地の悪さを覚える。
身体を妹の視線から庇うように美琴が自身の身体を抱きしめる。
82 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:50:55.68 ID:ChlwkKn80

「何よ…」
「なるほど。女は母親になると同時におばさん化の一途を辿るというのは本当でしたね、とミサカは若干摘めそうな気配を帯びているお姉さまの腹部に視線を向けます」
「あ、アンタねぇ」
「研究室で放電は不味いですよお姉さま」





                    ◇




研究が思ったよりも捗った。
おかげで少し早めの昼食にありつける。
バスケットの中のサンドイッチは丁寧に、形が崩れないように敷き詰められている。
几帳面だと美琴は作り手の顔を思い浮かべて苦笑する。


料理や、その盛りつけはその人の人柄が現れる。
なるほど、真理だ。


黄色と緑のグラデーション。卵とレタスのサンドイッチを取り出す。
一口頬張ると、しゃきしゃきとした歯ごたえ。
レタスはパンが塗れてしまわぬように念入りに水切りされており、食感がしっかりと伝わる。
しっかりと固めに焼かれた卵焼きの甘さをケチャップの甘酸っぱさがアクセントとなって引き立てている。
一口食べた途端に急激な空腹に美琴は戸惑う。
研究に没頭している間は気づかなかったが、自分が如何に空腹に耐えていたのかを知る。

瞬く間に、サンドイッチの一つを平らげてしまうと、じっと見つめる妹の視線に気づく。

83 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:52:45.32 ID:ChlwkKn80


「美味しそうなサンドイッチですねとミサカはノーメイクで勢い良く卵サンドを頬張る
 お姉さまの女の捨てっぷりにドン引きします」

妹の膝の上にはコンビニで買ったらしきパンが一つ。
美琴のバスケットに比べると彩り、見た目、ボリューム、食欲をそそる全ての要因において貧相に映る。

何処と無く美琴を見つめる視線は恨めしげだ。


「残念ね…もっと素直な妹だったら分けて上げようと思ってたのに。一方通行の手作りのサンドイッチを」

「飾らないお姉さまが一番素敵だとミサカはダブルスタンダードな女であることを宣言致します」


手でくれくれと催促する妹の額をぺしりと叩く。
憎まれ口ばかり年々身につけていく妹の捻くれ者っぷりにそうせずにはいられなかった。
妹は一番ボリュームのある照り焼きチキンのサンドイッチに手を伸ばす。

「おおぅ…甘い照り焼きのタレとマスタードとマヨネーズの絶妙のハーモニー……
 鶏のぷりぷりとしたジューシーさがまた…おおぅ」

「アンタは料理評論家か」


もう一度軽ぺしりと額にくツッコミを入れる。
満足そうにサンドイッチを堪能する妹は、唇の端についたタレを拭うことも忘れない。

「恐るべきは一方通行。学園都市最高の頭脳には絶妙な味付けのレシピすらも搭載されているのでしょうか」

「アイツ凝り性なのよ基本」


料理を作り始めたのはここ数年。


「打ち止めもぶーぶー言ってたっけ」

打ち止めがどうして自分と暮らしていた頃に料理にハマってくれていなかったのだと不平を漏らしていたのを思い出す。
紅茶のおかわりを注ぎながら妹はくすりと笑う。


「上位個体のアレは美味しい料理を食べたいというよりも想ちゃんへの嫉妬だと思いますが」
「だよねー」
「あのモヤシはロリコンというか、父性の人ですからね」


庇護を必要とする無垢な存在をついつい構ってしまうのだろう。
立派に成長し手が掛からなくなった打ち止めよりも、まだまだ幼く甘えたい盛りの美琴の娘を可愛がってしまうのだろう。

84 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:54:46.54 ID:ChlwkKn80


「しかし……もう完全に父親と母親が逆転してますね、お姉さま達は」
「あはははは…否定したくても出来ないな…たまには早く帰ってきてやれって怒られたし」
「お母さんじゃないですか」
「というか、アイツ一人で親役こなせちゃってる現状が母親として情けないというか」


これは本音だ。

娘と接している時間は圧倒的に一方通行の方が多い。
最初に話した言葉はままではなく「あー、あー」。そのまま大きくなって「あーくん、あーくん」。
「ママ」と聞いたのはそれから果たしてどれくらいの時が経ってからだろうか。


「初めて立った時に立ち会ったのもアイツだし。初めて歩いた時なんて一方通行一直線だったし……」

「全敗じゃないですかお母さん…」


美琴は情けなさここに極まれりと言った顔で力無く笑うと、自棄のようにハムサンドにかぶりつく。
畜生、ハムとキュウリの組み合わせがまた美味しい。
美味しいのが腹が立つやら悔しいやら。
妹はこの料理を毎日食べられる姉を羨ましく思う。
だから慰めの言葉はかけない。お姉さまザマァとだけ思う。


研究が長引いて、今夜は帰れないという連絡をした美琴が、携帯越しに一方通行に平謝りをする光景を妹が拝めるまであと9時間40分である。





                     ◇






一方通行は不可解、不審、困惑といった表情を浮かべて前方の光景をにらむ。
傍らの絹旗はちらりと横目で一方通行の様子をうかがう。
彼がここまで戸惑いを見せるのは珍しい。
しかし、それも無理はない。
初めて見たときは自分もそうなった。自分だけではない。
この園の保育士皆が、目の前の光景に彼と同様の表情を浮かべた。
85 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:55:50.62 ID:ChlwkKn80

オルガンの温もりを感じさせる篭もった音と共に園児たち
が歌いながらお尻を振る。


「「「にゃんにゃん、にゃんにゃん、にゃんにゃんにゃ〜ん」」」


小さな手をきゅっと握り、子猫を模した格好であどけなく、少しちぐはぐに可愛らしい踊りを踊る。
来週の学芸会の演目。年少組は踊りだ。他愛もない、愛らしさを前面に押し出した踊り。


協調性を身につけるなどと、しゃらくさいと絹旗は思う。

要はみんなで何かやることが楽しいことなのだと知ることが大切なのである。
そして、あとは可愛ければそれでオールオッケー。
自分の子供達の愛らしい姿を眺めてこそ、保護者は仕事の休みを取った甲斐があろうというものだ。


絹旗は、メロメロといった風に頬をゆるめるが、一方通行は頬をひきつらせる。

確かに、可愛らしいと一方通行も思う。
想がこの踊りを踊る光景はさぞかし愛らしいだろう。
デジカメとビデオを買い換えておくべきだろう。
10000時間持続バッテリー、手ブレ補正完備、自動照明付き、昼夜完全対応の最新型に。


そう、踊れれば。

86 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:57:53.96 ID:ChlwkKn80

「……暗黒舞踏…なのか?」

「超お遊戯ですよ」

掠れた声で、呟く一方通行のボケとも受け取れるような言葉をさっくりと突っ込む。
そんなわけねぇだろうが、という意志を乗せた視線を受けても、一方通行にはまだ目の前の光景が信じられない。


「そォか……まさかまさかと思っていたが……あそこまでキレてやがったのかァ…」


痛みを堪えるように、苦渋に満ちた声をあげる一方通行。
絹旗は、彼のオーバー過ぎるリアクションに苦笑を浮かべざるを得ない。
確かに、彼がこれほど打ちのめされる理由もわかるのだ。


「にゃーにゃー、にゃーにゃー」


必死に周りの園児達に合わせようと身振り手振りをまねているが、決定的に違っている。
奇妙なリズムで奇妙な角度と奇妙な位置で突き出された手足は、結果奇妙な踊りと化す。

想は絶望的に運動神経が悪かった。

87 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 21:58:58.25 ID:ChlwkKn80


あと多分リズム感も。




それでも、何とか踊りきろうと想はぎこちない踊りを続ける。
絹旗には、想の気持ちが痛いほどよくわかる。
想は大好きな人、つまり隣りに立つ白い青年にいいところを見せたいのだ。
上手に踊って、あの細長い手で頭を撫でてもらって、不器用な青年の誉め言葉をかけてもらいたいのだ。


想のいじらしさに、絹旗はきゅんとなる。


しかし、一方通行の視線を意識すればするほど緊張を招き、緊張すればするほど焦りを招く。

焦りは失敗へとつながり、失敗は緊張を否応なしに増す。

つまりは見事な悪循環。



「にゃん、にゃん……にゃぁ…」


想の歌声だけ小さく、か細くなっていく。
上手くできない自分、一方通行にみっともない姿を見せてしまっている情けない自分。
そんな自分への苛立ちが少女の心を挫く。

一方通行の見てる前で失敗したくなどないのに、上手くいかない。

幼いながらも、一人の女の子なのだ。

想の目にぷっくりとした涙の膜が浮かび上がる。
できるなら駆け寄ってその大きな目に浮かぶ涙を拭ってあげたい。絹旗は胸を抑える。



「オイ……先生よ」

88 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 22:00:33.50 ID:ChlwkKn80


「はい?」

珍しく自分を先生と呼ぶ一方通行に、思わずぎょっとする。
彼の横顔は悔しげにしかめられている。薄い唇は口惜しそうに歪む。
そうだ、自分が胸の痛みを覚えずにいられない少女の姿に、この青年が平然としていられるはずがないのだ。


「……今夜空いてるか?」

普段ならば、心音を三拍は早める魅力的な言葉だろう。
色々と、耳年増な自分の期待を煽る言葉だろう。


しかし、この場において、絹旗は一切の期待など抱くことはない。
続く彼の言葉が容易に想像出来るからだ。


「アイツに……想に教えてやってくれねェか?踊り」


この超々親馬鹿め。



ため息がこぼれる。


「ハァ……なに言ってるんですか?」


そして、自分の言うべき言葉は決まっている。

自分は園児達の保育士なのだ。



「超当然でしょう」


すなわち、想の先生である。
泣きべそをかいてもやりとげようとする超可愛い頑張り屋さんを放っておくはずがないのだ。


「サンキュ」


顔を見ずとも、一方通行が薄く笑ったのがわかった。






訂正。少し期待してもいいだろうか。



89 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/29(土) 22:04:11.71 ID:ChlwkKn80
今回の投下終了。
一方通行は凝り性というのは勝手なイメージです。
一辺料理にハマッたら相当極めそう。箸が立つくらいのかつおぶしを使ってダシ取ったりして。
それでは。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 22:10:33.00 ID:F8ji1tglo
乙。いいお父さんといい先生だ。


>>「しかし……もう完全に父親と母親が逆転してますね、お姉さま達は」

!?

……そういうことなのか?
それとも、言葉の綾なのか……気になるぜ……

そして打ち止め、強く生きろ。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 22:11:16.99 ID:i1pCP1I+o
おつおつ

なんかもう俺の萌えが昇華してLevel6になりそうな勢いだわ
でも一通さんとモアイの今後の進展とか打ち止めとの関係も気になるぜ
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 22:13:38.50 ID:CcabHMXdo
単純計算で50年以上かかる実験だから、妹たちも50年以上生きられるんだろうな。
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 22:15:47.42 ID:RfUaXOWwo
おつー
素敵だ一方パパ。想ちゃんファザコンになっても仕方ない
しかし女捨ててると言われても、美琴格好良いなぁ
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 22:25:08.05 ID:OlR7/rTDO
乙ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/29(土) 22:36:34.81 ID:UpG7t7ML0
乙です
想ちゃんが可愛過ぎて全俺がヤバい
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 22:37:03.43 ID:hAI+PDir0
おいおい、どうなんだ?一方通行は第2の父親なのか?違うだろ?アパート違うんだから。
上条との子だけど、上条は死んだか、美琴父みたいに世界中を放浪してて、一方通行が面倒見てるだけだろ?
だから、窒素通行もまだ可能性は残されてるよな?
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 22:37:49.11 ID:ZVoS8iLDO

料理食いてぇうらやますぃー…
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 22:47:33.48 ID:d/qka/nAO


とりあえず想ちゃんが可愛すぎる
あとブロッコリーごときで木原くン、エイワスに負けた時と同じくらいの敗北感を味わっちゃうあーくんも可愛い
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 23:05:18.46 ID:ETnMVpF30
>>1乙なんですの!

ブロッコリーの茹で忘れで涙目になるレベル5ってどうなの?ってミサカはミサ(ry
一方さんが主夫としてもレベル5でなによりです。

絹旗が堅気…ってのが味噌だなぁ。
置き去りで且つ12歳で暗部だった子が先生ってのが、グッとくる。

想ちゃんが、「あーくん」じゃない「一方通行」を知った時。どうなるんだろーな。
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 23:18:16.35 ID:Hv2LqXgho
窒素通行は>>1の次回作に期待してる
このスレでは美琴とあーくんの淡い関係にwwktkが止まらないぜ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 23:18:26.76 ID:As2wD9nmo
一方の実子に決まってるだろjk
ツンデレ同士の夫婦最高だろ!
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:22:19.48 ID:Y65qqaHS0
おつおつ

きゅんきゅんした
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/29(土) 23:31:33.29 ID:37GytCCIo
おつー

>>100
番外編というのもありえるかもわからんぜ?
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 00:25:52.60 ID:sOCmqGZEo
ベクトルクッキングなら茹で時間なんざ問題にならないだろうに・・・
能力を封印してるのか!?
105 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/30(日) 00:47:48.74 ID:PdaPkYDQ0
補足という名の蛇足。

一方さんがorzになったのはシチューに入れる分の茹でておいたブロッコリーを
(・3・)「あるェ?」と思いながら全部投入したからです。
ブロッコリーの芯が万が一にでも残っていてお腹を壊すといけないので、一方さんは大きめの具材はあらかじめ個別に茹でておきます。

ベクトルクッキングは使いません。おチビがお手伝いを出来なくなるからです。
炊飯器も使いません。打ち止めみたいにまともに料理が出来なくなるといけないからです。
一方さんは父親『役』をやっています。父親は別にいます。

美琴は文中で書いているように『御坂』姓です。
地の文で小賢しい嘘は基本入れません。


電磁通行がカップリングになるかどうかは正直決めてません。
注意書きを読んで、判断してくれたらと思います。
絶対恋愛関係アリじゃなきゃ嫌だという人向けのお話ではありません。

基本、殺すだの、謀略だの、グロだのは入れません。前スレでお腹いっぱいになったので。
それでは蛇足でした。
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 01:30:14.01 ID:QwCXzMJHo
>>打ち止めみたいにまともに料理が出来なくなる

黄泉川ェ……
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 01:34:16.64 ID:w47cab5C0
乙!
ところで>>1はきのう何食べた?
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 01:40:35.46 ID:YnQwoO950
もうこのままほのぼの生活が続いてくれたらいいよ。学園都市最高の主夫を見せてくれ
109 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/30(日) 01:55:07.99 ID:PdaPkYDQ0
>>107
金欠なので大根の葉と挽肉を炒めたヤツと大根の味噌汁。
きんぴらの残りを混ぜた卵焼き。残念ながらゲイじゃないですわ。
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 02:12:54.71 ID:Tgym8U8to
おつおつ

こんな時間にニヤニヤが止まらん
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 02:54:07.98 ID:QKc1ls/AO
美琴の娘で運動神経が悪いなんて、一体誰との子なんだ
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 03:00:00.59 ID:jSjTMfISO
介旅さん
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 04:08:31.23 ID:mrQK8oyDO
父親候補は上条さんが有力かな・・・?

むしろ他が誰か分からん。海原か?そんな訳ないかww
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 04:12:42.50 ID:UMYG+RoNo
大穴で俺
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 04:29:56.04 ID:HXMmkk8DO
誰にせよ実父涙目フラグはたってるよな
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 04:30:24.59 ID:sOCmqGZEo
>>114
つまり想ちゃンが上手く踊れなくて涙目なのはてめェのせいなンだな?
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 08:51:53.40 ID:oaIUO+Joo
アクセロッコリー
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 08:52:24.67 ID:pNs6v/VAO
打ち止めは普通に学校行って普通に恋愛したりしてるのか
それとも未だに一方通常ラブなのか

それと妹達の半数が羨むってそんだけ一方通常派が増えたんだろうか
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 09:08:14.51 ID:6Gq+F2LAO
超期待
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 09:33:54.87 ID:+UB3pEjgo
数多の妹達wwwwwwww
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 11:26:40.74 ID:hGgr04sAO
あーくんて呼び方だけで超キュンキュンしてしまうわ


>>数多の妹達
木原妹達(シスターズ)か……

つまり、那由他たんやテレスたんがいっぱいってことですね

胸熱
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 17:03:57.87 ID:bNhfx6d0o
カップルというよりコンビやパートナーって感じだな
恋愛感情はないけど信頼関係にあるということで
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 17:15:16.29 ID:hvG6QxLJo
むしろそっちの方が俺得
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/30(日) 17:23:16.42 ID:kEFeXnBAO
想ちゃん×あーくんか
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 03:29:38.03 ID:RSZbmcd50
>>116
待てよ、お前の目には想が誰よりも一生懸命に踊っているように見えているんだろ?
お前がそれを感じ取っていればそれだけで充分じゃねぇか。
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 09:59:43.21 ID:3gh0IBmO0
御坂姓ってことは離婚したか婿養子か、誰かに無理矢r でその後は男は蒸h
つーか今22歳で4歳児の母ってことは18の時に産んだってことか
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 12:12:38.84 ID:rQAxxAnAO
本編から8年後ってことは打ち止めは17〜8歳くらいかな。


一番良い時期じゃないか
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 14:38:38.87 ID:qadkI8hd0
ほう。四捨五入で三十路のむぎのんだと?
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 14:41:27.55 ID:jQutGWD/o
だれだよ変なオブジェ飾ったの
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 20:28:55.36 ID:VfBof9Z2o
>>128
何も問題は無いな
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 20:40:12.80 ID:91CuPxl+o
>>128
34歳? もうそんなになるのか……。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 21:00:15.98 ID:A4Ck6rdUo
俺は一向に構わん
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 21:55:48.18 ID:PcYdoAO3o
電磁通行俺得
134 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/31(月) 22:25:14.78 ID:mSe0cSaS0

美琴「ねーねー想ちゃん。ママと一方通行、どっちが好き?」
想(14)「あーくん」(0.2秒)


ちゅどーーーーん!!


美琴「あっはっは〜ごっめ〜ん、よく聞こえなかった」
想「てめェ…本気で超電磁砲撃ちやがったなァ…ッ」(紙一重でかわしつつ)
美琴「で、もう一回聞くけどさ、ママと一方通行、どっちが好き?」
想「あー・く・んv」(一文字一文字区切るように)



ちゅどーん!

どごごごーん!!

めめたぁぁぁ!!!


浜面「ちょっとぉぉぉぉぉーーー!!何だ何だ、また上の階の母娘喧嘩してるのかぁぁぁーー!?」
理后「大丈夫、私はそんなみさかおやこを応援している」
浜面「しちゃだめだろぉぉぉぉーーー!!っていうか学園都市最強の母娘喧嘩すなーー!!」
135 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/31(月) 22:27:08.12 ID:mSe0cSaS0
今時の若い子らはパプワくんネタとかわからんだろう。
そう思っても投下するのが酔っ払いクォリティー。
思いつきのネタは投下してから後悔するよね大概は。
結局『後で悔いる』と書いて『後悔』なわけよ。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/01/31(月) 22:36:25.43 ID:A4Ck6rdUo
元ネタわかんねーけどなんかワロタ
本編wktk
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 22:39:21.61 ID:thxvZ1uFo
美琴「一方通行は本当に想ちゃんが可愛いのね」

一方「ン……可愛ィっつーか、癒されるンだな」

美琴「ロリは駄目よ、非生産的よ」

一方「オリジナル、自分の発言に責任持ちやがれ」


オッサンなのでわかります。
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 22:43:01.95 ID:r2DX2whLo
わかる俺もおっさんか…

でもくそワロタ
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 22:52:25.67 ID:dgydSPBXo
コミックが本棚にある俺とか加齢臭すんのかな
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 22:52:38.40 ID:YyMTnCVDO
おっさんじゃないがパプワ君クソワロタw
ガンマ砲の代わりにレールガンか。被害でかそうw
141 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/01/31(月) 22:58:55.64 ID:mSe0cSaS0
私も若いですから!!ガンガンとか詳しくないですから。
Z-MANとロト紋とハーメルンとグルグルがやってた頃が黄金期だったよなとかそういうことは思いませんから。もう寝る!
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 23:17:24.62 ID:r2DX2whLo
Z-MANだけ分からないけど
>>1と同年代って事は分かった

続きも待ってます
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/31(月) 23:29:32.83 ID:z8uU2vwAO
>>141
貴方とは 美味い酒…
いやコーヒーが飲めそうだ
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/01(火) 00:10:40.03 ID:5MXJpPfDO
ナーガスが打ち切りになって悲しかった俺は、作者がロリエロ漫画家に堕ちたと知って複雑な気分の三十路ダンディー
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/01(火) 00:55:53.04 ID:MYQWdtQIO
>>144
ナーガスと聞いてナマヅメハーガスが出てきた俺はもう駄目かもしれない
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 01:12:34.31 ID:ziiJmdsY0
懐かしいな…創刊号からいまだに買い続けているぞ。今年でもう29だが。
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/01(火) 02:00:55.66 ID:fhAINynT0
>>おねえちゃんたちはおっきいのにママのおむねはぺったんこぉ

美鈴さんの遺伝子を受け継いだ打ち止めとか…
胸が熱くなるな
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/01(火) 02:58:55.40 ID:Q91pRcEuo
打ち止めは胸が育ってる設定になってるSSがよくあるな
包容力=おっぱいという幻想から導き出された方程式なのだろう
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 03:03:41.11 ID:BcuwpfUAO
>>140
ギャグ補正があるから大丈夫さ

パプワくんネタとか言われるまで気づかんかったがいいなあww
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 03:20:43.51 ID:NlsLWbVf0
>>148
セロリが寝てる間にセロリの手で揉みしだいたに決まってるだろうが
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/01(火) 03:23:57.00 ID:YLyqKHT+o
>>148
環境が人を作るってのもあるし、栄養的に黄泉川家で育てられてるってのもな
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/01(火) 08:47:10.54 ID:7FfQLyQDO
>>151 なるほど炊飯器は胸を大きくするのですね。わかります。
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/01(火) 08:55:39.52 ID:Sm2UG9c60
おい、なんか常盤台のお嬢様が炊飯器買い占めてるんだが……
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 10:36:38.82 ID:x5UIH1/DO
>>141
オカリナたんかわいいお(';ω;`)
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/01(火) 11:18:19.50 ID:VY8fSfCAO
まぁ一番の萌えキャラはドラム様なんだけどね
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/01(火) 17:37:45.94 ID:zgk0nuCK0
俺おっさんじゃないけど全部分かったわおっさんじゃないけど
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 00:28:22.79 ID:xwgag8450
>>155
じゃあギータは俺の嫁な
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 12:37:21.20 ID:yuvaLR500
投下少なくなったなあ
忙しいのかな
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 17:34:22.83 ID:BQ8h7l/f0
他にもっとご無沙汰なSSも読んでるからこのぐらい待ってる内に入らない
160 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 21:00:46.97 ID:ZGMn2MWE0
10時半くらいに投下します。
ちょろっと他のお話を書いてたりして投下に間が開いてしまいました。
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 21:34:48.10 ID:IlK7U80Co
わーい。楽しみにお待ちしてます
162 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:26:27.65 ID:ZGMn2MWE0
それじゃ投下開始します。
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 22:31:42.02 ID:32o6I6z+o
期待wwktk
164 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:31:48.95 ID:ZGMn2MWE0

「夕飯の食材がブロッコリー二つだけですか?」

絹旗が不思議そうに買い物袋の中をのぞき込む。
袋の中身は、ブロッコリー二つ。
他にはシナモン、ココアパウダー、おそらくお菓子作りでもするのだろう。
それから30分の攻防の末に一つで妥協した想のお菓子。子供達に最近人気の食玩だ。
一方通行は、視線を逸らしながら気まずそうに顔をしかめる。


「ちょっと足りなくなったんだよ…」

「あーくん、朝もブロッコリーだった…あだ!」

「余計なこと言ってンじゃねェっての」


てい、と軽くチョップを食らい、想はにへへへと嬉しそうに笑う。
一方通行に構ってもらえる事が嬉しくて仕方がないのだ。
絹旗はそんな少女の姿に胸をなで下ろす。
泣いた烏が何とやらとは言うが、呆れてしまうやら可愛いやらだ。
上手くダンスが出来ずに泣いていたのが嘘のようだ。
165 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:33:13.84 ID:ZGMn2MWE0

「せんせぇ、おててつなご」
「いいですよ〜」
「あーくんも」
「おう」


想が右手で一方通行の左手を、左手で絹旗の右手をきゅっと握る。
想を真ん中に、三人で手を繋ぐと、想はご満悦と言いたげに笑う。
にこにことする想を見ていると、絹旗の心までぽかぽかとしてくる。
絹旗は子供の笑顔が好きだった。正確には好きになった。


昔、暗部にいた頃は逆であった。


何の憂いもなく、脳天気に笑う子供の笑顔が大嫌いだった。


けれども、暗部から解放され、自分がなにをしていいのかわからなくなったとき、ふと絹旗は保育士になろうと思った。
明確な理由があったわけじゃない。
大層な目的があったわけじゃない。
ただ、薄汚いもの、信じ難いもの、憎むべき大人を見てきた反動か、綺麗なものの側で生きたいと漠然と思った。


そして保育士の学校に入り、現在に至る。



「せんせぇのおてて、やわらかくてあったか〜い」

「そうですか?ありがとう、想ちゃん」

「あーくんやママのおててよりふわふわ〜」

「ち、超照れます」

166 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:36:01.87 ID:ZGMn2MWE0


無垢な、一切の含みを持たない笑みに思わず照れてしまう。
子供の無邪気であるが故の不意打ちには慣れない。
そして、それがどこかくすぐったく、心地よくある。


「そォいや、おまえ昔みたいな格好しなくなったな」

「昔…ですか?」



絹旗は自分の格好を見下ろす。
ジーンズ素材のレギンスに、お尻が隠れる程の丈の桜色のセーター。
嘗ての露出度の高さが信じられない程に、抑えた、言い換えれば大人びた服装だ。


「グループに刃向かってきやがったときがあったろ」
「ああ…」


誤解と謀略によって潰し合い寸前まで行ったグループとアイテムの抗争。
浜面の調停が無ければそのまま行くところまで行っていただろう。
もっとも、抗争と言ってもそれは一方的なものであった。

情報操作によって学園都市第一位の存在を伏せられていた絹旗達は、結果、この目の前の青年に徹底的に叩きのめされた。
青年が殺さないように全力で加減していてくれなければ今絹旗はここにはいない。

そう思うとぞっとする。



「あの時は超走馬燈が見えました……」


黒い翼を目の前で出された時には、フレンダが手を振っている姿がガチで見えたものだ。
もちろん、一方通行にしてみれば、跳ねっ返りの子供をビビらせる為の威嚇に過ぎなかった。
しかし、絹旗にはそのようなことはわからないし、何より関係がない。


唸り声を上げる虎を前にして、それが威嚇にすぎないと言われて、平然としていられる者がいないのと同じだ。

戯れに触れた爪で容易くズダ袋と化してしまうと本能が悟ってしまうのだ。

167 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:37:55.71 ID:ZGMn2MWE0

「かかかか、いいじゃねェか、滅多に見れるもんじゃねェぜ」

白い青年は、意地悪く喉を震わせて笑う。


「あの時はびびったぜ。今時のガキはンな痴女みてェな格好するのかってなァ」
「ち、ちち、痴女!?何て失礼な保護者ですか。っていうか想ちゃんがいるのに痴女って…
 痴女なんて言葉使わないで下さい」



「………お前の方が連呼してンじゃねェか」


呆れたような赤い瞳が勘に障る。


「ま、ガキ丸だしのキャラパン見せられて俺も頭が冷えたからな。手加減する余裕も生まれたし……
 ああ、そう考えると、キャラパンに救われたわけだお前」
「貴方、あの時人の下着見てたんですか!?超信じられません!!」




「せんせぇ?」

無垢な声に、絹旗はハッとなる。
教え子の前で、みっともない振る舞いをするわけにはいかない。
いつもの優しく、おおらかな絹旗先生にならなければならない。
絹旗は、深呼吸をすると、どうにか自身の動揺を押さえ込む。
一方通行にパンツを見られていたことは、とりあえず脇に置くことにする。



といっても、無効にするのではない。

あくまでも保留だ。


こほんと、咳払いをすると、絹旗は想の手をしっかりと握り返す。
168 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:40:33.60 ID:ZGMn2MWE0

「何でもないですよ、想ちゃん」

「へェ、流石は絹旗センセイ。キャラパンごときじゃ、園児の前で取り乱したりはしないってかァ」

「うぬぬぬ……ま、まぁ、そんな挑発には乗りませんよ。最初の質問だけに答えますとですね、
 あの格好はスカートめくりの標的にされるんですよ」


初日に、悪ガキ共に全開で捲り上げられたことを思い出す。

すらりとした脚も、レース付きの水色の下着も、可愛らしいお臍も、フルオープンだった。

それは、絹旗に、ファッション革命を引き起こす程の衝撃であった。
挑発的な格好とは裏腹にウブな絹旗にとって、園児と保育士くらいとはいえ、衆目に曝される羽目になったのはトラウマと言ってもいい。
そこには、若く、可愛らしい女の先生をからかわずにはおれないという、幼い男の子の微笑ましい好意があったのだが、
新米保育士であった当時の絹旗にはわかるはずもない。


「まァ、ガキにキャラパン曝すわけにはいかねェもンなァ」

「いい加減キャラパンから離れて下さい。もぉぉぉぉぉぉぉ!!
 想ちゃんからも言ってやって下さい。貴方のあーくん、とっても意地悪ですよ」

「お前があーくン言うな」


じゃれ合いのような言い合いをする二人に挟まれている想は、ふふふふと、可愛らしく笑う。
きょとんとして、思わず顔を見合わせる一方通行と絹旗。


「どうしたんですか?想ちゃん」


想はモジモジと恥ずかしそうに下を向くと、赤くなった顔で絹旗を見上げる。


「あのね、何だかね、パパとママに挟まれたみたいなの」

「え?」

想の言っている言葉の意味を計りかねて、絹旗は息を漏らすように、短く声を上げる。
一方通行は何も言わず、ただじっと少女の笑顔を見つめる。
169 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:43:22.06 ID:ZGMn2MWE0

「んとね、はまちゃんがね、この前パパとママがおでむかえにきたの」


そう言えば、浜面が仕事が休みだとかで、滝壺と二人で来たなと、絹旗は思い出す。


正確には浜面夫妻だろう。
ただ、絹旗は付き合いの長さ故に、未だに滝壺と呼んでしまう。


はまちゃんと呼ばれているのは、母親に似て可愛らしい顔をした気弱な男の子だ。
妻に似て可愛らしく穏やかな性格の息子に、父親はデレデレであり、絹旗はそれを見て

『超キモいです。今までの超キモいの記録を更新するくらいの超キモいです浜面』

と言い放った。


男の子は甘えん坊らしく、二人揃ってのお出迎えに終始笑顔だった。
両手をしっかりと繋ぎ、家族三人で、子供番組の歌を歌いながら帰る光景は微笑ましく、
保育士達や迎えに来ていた保護者達の笑顔を誘った。そして思い出す。


想はその光景を何処か羨ましそうに見送っていたのだ。



「はまちゃんちみたいなの。えへへへ」


はにかむように頬を薄紅色に染める少女は可憐の一言につきる。
絹旗は抱きしめてしまおうかと葛藤する。
そこで、絹旗はふと気づく。
浜面一家のようだと、喜ぶ想。


配役は真ん中の想が娘で、一方通行がお父さん。

そして、美琴には申し訳がないが、自分がお母さん。


ここまではいい。照れくさいが、可愛い少女にお母さんみたいと慕われるのは保育士冥利に尽きるし、素直に嬉しい。
しかし、そうなると、一つの事実がある。


先ほどスーパーでの買い物の際、レジで待っている間、買い物に来た主婦らしき女性に話しかけられた。



『あらあら、仲良くお買い物?いいわね、家事に協力的で』


持参したエコバックに食材を詰めていく一方通行を羨ましげに眺めながら言っていた言葉の意味に初めて気づく。
彼女はつまり正確にはこう言っていたのだ。


『家族で仲良くお買い物?いいわね。貴女のところは旦那さんが家事に協力的で』と。


170 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:44:35.85 ID:ZGMn2MWE0

すると、自分と一方通行は夫婦ということになる。


一方通行が夫で、自分が妻。


そしてさっきも、そして今も自分達はそう見えているということだ。
周囲にそう思われているということだ。


「せんせぇ?どうしたの?」
「オイ…大丈夫か?」


想が不思議そうに、一方通行が何処か気遣わし気に絹旗の顔をのぞき込む。


「せんせぇ、おかおが真っ赤だよ?リンゴみたいなの」

「え?」


慌てて絹旗は頬に手を当てる。
熱い、熱すぎる。冬も近いというのにそんな外気温など知らぬとばかりに頬が熱い。


「……お前風邪でも引いてるのか?」

「い、いえ、至って超健康ですよ」

「……ちょっとジッとしてろ」


「え?え?ちょ……」


不審な顔で絹旗をじっと見ると、一方通行がおもむろに顔を近づける。
不意に迫る端正な青年の顔に、絹旗は露骨に狼狽える。


こつん。


どもる絹旗の額に、一方通行の額が当たる。
一瞬絹旗はひやっとしたものを感じる。
火照った顔に、一方通行の低い体温が心地よかった。
しかし、息がかかる距離の一方通行の顔に、反射的に絹旗は飛び退く。
171 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:45:39.20 ID:ZGMn2MWE0


「な、ななな、何をするだー!?」
「何って…熱計ってンだろォが。なァ?」
「ねー」

少女にそう言って振ると、少女はうなずく。


「あーくん、いつもそうやってお熱計ってくれるよ」

「だ、だからって、そんな…」

「せんせぇ、お顔がもっと真っ赤になっちゃったよあーくん」

「お前やっぱり調子が…」

「悪くありませんってば。ほら、行きますよ。早くダンスの練習をしないといけません。超ダンシングですから!!」


これ以上つっこまれたら自分はいらぬ墓穴を掘ってしまう。
それはある意味好機なのかもしれないが、自分にだって覚悟とかタイミングとかがある。
絹旗は想の手を引くように、ズンズンと歩き出す。

首を傾げる一方通行と想。
学園都市第一位の朴念仁と、幼い少女には、絹旗の複雑な乙女心など到底察することなどできるはずもなかった。





                    ◇


172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 22:50:52.82 ID:pyCx4hv4o
ひょー!
173 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:51:10.53 ID:ZGMn2MWE0


「ただいま〜」
「お邪魔します」

「待ってろ、今コーヒー淹れてやる。ブラックは平気だったか?」

「出来ればカフェオレにしてもらえると超ありがたいです」
「想はねー、あーくんといっしょのぶらっくぅ〜」

「ン、了解。カフェオレとハチミツ入りのホットミルクだな」

「むぅ〜ちがうもん!!あーくんといっしょの!!」
「そォか、この前苦くて泣きべそかいてたのにまた泣きたいってかァ」
「んゃー!泣いてないもん」
「じゃあハチミツ入りのホットミルクはいらねェんだな?」


「………いる」

「よし。素直で宜しい」

絹旗は二人の可愛いやりとりに相好を崩す。
コートを渡されたハンガーにかけながら、一方通行の部屋を見回す。
浜面一家と同じマンションである以上、間取りは基本同じはずだが、絹旗にはまったく違う部屋に見えた。
一方通行の匂いとでも言い表せるのだろう、自分の部屋とは明らかに違う香りに絹旗は何ともいえない落ちつかなさを覚える。


綺麗に片づけられてるというか、無駄なもののない部屋だ。

カーテンもカーペットも、モノトーンで統一された部屋は男の部屋なのだと強く意識せずにはいられない。
ふと、硬質なはずの部屋なのに、何故か冷たい感じを抱かないことに絹旗は不思議に思った。
そわそわと部屋を見回すと、部屋に似つかわしくないものを見つけた。
独特の色彩で描かれた数冊の絵本。
子供に人気のゲーム機も目に付く。

「想ちゃん、よくここに来るんですね」

絹旗には、それらが何を意味しているのかすぐにわかった。
手を洗い終えた想の手を確認しながら、一方通行が小さく苦笑する。


「来るっつーか、こっちにいる方が長いな」

「あのね、あのね、想のおフトンもあるの〜」


想が自慢するように絹旗に駆け寄る。
174 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:51:44.79 ID:ZGMn2MWE0
さらさらとした琥珀色の髪を撫でてやりながら、もう一度見回す。
硬質な感じがしない理由がわかった。
小さなマグカップ、子供向けのアニメの玩具、小さなエプロン、テーブルに置かれたクレヨンとスケッチブック。
所々に存在する小さな少女の息づかい。
柔らかな少女の名残が、この部屋を何処か暖かなものにしているのだ。
ちらりと一方通行を見ると、絹旗が何を思っているのか気づいたのか、恥ずかしそうに視線を逸らす。
くすりと笑みが思わず零れる。
このぶっきらぼうで無愛想な青年が父性愛の強い人間だということは知っている。というか周知の事実である。
彼がこの部屋で、この無垢でいじらしい少女と日常を過ごしている。その光景は想像するだけでも何とも可愛らしい。


(何この二人。超可愛いんですけど)


「想ちゃ〜ん…えい!!」

「わぷっ」


そして、そんな空間に今こうして自分もいることを許されている。
それが無性に嬉しく、絹旗は思わず想をぎゅっと抱きしめる。


「想ちゃん、超頑張りましょうね」

「うんっ!!」

腕の中の想が子犬のようにすりすりと絹旗に身を寄せる。


「もう、超可愛いです!!」

「せんせぇくすぐった〜い」


舌足らずな少女をさらにぎゅっと抱きしめる。
一方通行の呆れたような苦笑には気付かないふりをする。
浮かれている自分が、何だか恥ずかしくて誤魔化すように綿菓子のように甘くふわふわとした少女を抱きしめた。


175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 22:58:05.54 ID:32o6I6z+o
気のせいかも知れないけど、総合に番外通行書いた?
176 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:58:32.22 ID:ZGMn2MWE0

投下終了。進展亀ですまないです。
ガンガン話題自重。ギータがケフカのようになってくれると期待してたのに…私はヴォーカルが好き。
以下余談。

一方通行さんはこのお話では娘っ子や、打ち止めのお世話とかにかまけては彼女を放置⇒別れる、を繰り返してます。
丸くなったヤツは頭の良いヴィジュアル系のツンデレイケメンさんなのでモテると思います。
でも、見た目に吸い寄せられてくる馬鹿女も多いでしょうね。

本文でも書いたように娘さんは他のミサカに比べて髪長いです。肩より下はある。
佐天さんの長い黒髪とか黒子のふわふわ栗色の髪に密かに憧れてた美琴ママが伸ばしてるみたいな裏設定。
ボーイッシュ路線は出来るだけ選ばないのが美琴ママンの趣味です。でも朝のブラシで梳いているのは一方通行の役目。
177 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/02(水) 22:59:17.08 ID:ZGMn2MWE0
総合には、スレ立て以降投下してないですよ〜
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 23:00:49.13 ID:YDIj7PlDo
おつ
萌え死んだ

なにこの一家かわいい
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 23:03:55.40 ID:D8KzciGZo
一方さんは、上条さんの悪いところばっかり似ていくなぁ。
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 23:12:53.58 ID:IlK7U80Co
おつー
家族愛に溢れる一方さん素敵すぎるじゃんよ
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 23:18:08.78 ID:+gS3SO7AO
電磁通行も窒素通行も味わえるなんてなんて良いSSなんだ!
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/02(水) 23:41:20.39 ID:f9w0wq2Qo
何この三人。超可愛いんですけど
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 23:47:37.10 ID:PgkSQtpW0

想ちゃんが女の子していて生きるのがつらい
一方通行と長く付き合うには保護欲を誘う系でないとダメなんですね。わかります
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 00:43:35.37 ID:HnUSTl3IO
おつおつ

こいつら可愛すぎじゃね?神の上の可愛さじゃね?
しかしわるいが俺はモアイちゃんを応援させてもらうぜ!!
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 00:48:33.98 ID:BANMjlBW0
乙。こういうの大好きだよ。
なんというかこの平和なgdgd感(褒め言葉。ボキャ貧で済みませぬ)いいよね。

たぶん一方さんは付き合うって言っても断らないだけなんだろうな。
番外ちゃんは何してる事やら。
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 11:05:44.67 ID:O6wP43jJ0
乙。平和でほのぼのな感じが結構好きだ
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 15:26:46.50 ID:N24KhadIO
絹旗可愛すぎる
188 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 21:21:58.06 ID:p/SNDRCP0
少ないけど、10時ごろに投下します。投下できる内にしておこう方針(キリッ
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 21:34:27.95 ID:YEq5a/q70
絹旗はなんでこんなに可愛いんだろうか。
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 21:46:26.86 ID:OgtghIhYo
よろしい、ならば全裸待機だ(キリッ
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 21:57:28.10 ID:DyFRUg9so
>>189の質問から>>190の回答に至った理由は?
192 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:07:13.90 ID:p/SNDRCP0
今から投下します!
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:07:50.54 ID:kCQh710c0
>>189>きっと>>1さんなら教えてくれるさ!>>>190
194 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:09:07.02 ID:p/SNDRCP0


「「にゃん、にゃん、にゃ〜ん♪」」


手を猫のように丸めてお尻を振る想と絹旗の姿をぼんやりと見ながら一方通行はとりとめもない思考に耽っていた。
正直な話、暇で暇で仕方が無いのだ。
踊りの概要は知らないものの、絹旗と想の踊りが遠くかけ離れているという事はわかる。


ハリウッド版のDBと原作くらいは離れている。
せめてGTとZの距離までは詰めてもらいたいところだ。
少なくともそうすれば一応はDBを名乗れる。


「俺ァ絶対認めちゃいねェがな、GT」

自分のスタンスをしっかりと主張しておくのは忘れない。
一通り踊り終えた絹旗は、ふと一方通行の視線に気付く。じっと自分を見つめる視線が照れくさくてそっぽを向く。
想はやはり自分が上手く踊れないことに不服そうだ。


「な、何ですかジッと見て。超ヤラシイです」

「やらしいの?あーくん?」


「やらしくねェし。つか今のでどうやって劣情を催せってンだ…」


ガシガシと頭を搔く。

195 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:12:55.78 ID:p/SNDRCP0


「………まァ、ガキのお遊戯がガキにしか許されねェもンだってのはわかった。
 二十歳過ぎて『にゃんにゃんにゃ〜ん』って、お前……」

「!?」


初めて絹旗は我が身を振り返ることが出来た。
22にもなって、猫ダンス。猫ダンスである。
いつも園児達の前でお手本として踊っているせいか、何の抵抗も無く踊れてしまっていたことに気付く。


顔を赤くして俯いている絹旗をフォローするように、一方通行が慌てて付け加える。


「あァ…気にすンな。園児と並んで踊ってても全然違和感ねェからマジで。
 コレがあの馬鹿や麦野だと相当キツイけどよォ」

「それ全然フォローになってませン……」


大人っぽい、というか年相応なら寧ろ似合わなくて当然という意味ではないか。
そして、即ちそれは自分が本当にアレな女だということになる。
さっきから気に掛かっていたが、もしかして彼の中では未だに自分はキャラパンを履いてる子供のように見えているのではないだろうか。
割とガチで。


「せんせぇ……ゴメンね」

思い悩んでいた絹旗の耳朶をか細い声が震わす。
想がしょんぼりと肩を落としている。上手く踊れなかったことを言っているのだろう。
伏目がちのせいか、長い睫の影が頬に下りて一層寂しげな印象を受ける。


「なぁにがゴメンなんですか。想ちゃんが謝る理由なんて超ありませんよ〜」


絹旗は、想の顔を覗き込みながら、柔らかな頬をつついてやる。

絹旗は常々疑問であった。想の踊りに対してだ。
確かに運動はやや苦手な想であるが、せいぜい他の子達よりワンテンポずれてしまう程度であった。
練習時は、それはそれで可愛らしくて良いのではないだろうかとも思っていた。
しかし、今日は見るも無惨な結果になっている。現在進行形で。
それも、徐々に酷くなっている。その理由は何だろうかと考えてから、すぐさま絹旗は原因に目が行く。

196 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:13:36.80 ID:p/SNDRCP0


「ンあ?どうしたンだよ」

「………」

コーヒー片手に絹旗と想の踊りを先ほどからマヌケ面を下げて見ている男。
想の父親役にして、美琴を差し置いて母親役までこなしつつある学園都市最強の男。
そして、想がおそらく世界で一番大好きであり、いいところを見せたいと四歳じながら一丁前に思ってしまう相手。
この男に見られているからだろう。

視線を意識し、緊張、失敗、焦り、また失敗。

幼いが故に、自分が何故上手く出来ないのかがわからない想。
鈍感な故に、自分のせいで想が上手く踊れないのがわからない一方通行。

ならば、絹旗がすべきことは一つだった。

「想ちゃん」

そっと想の耳元で小さく囁いてやる。


「あーくんに内緒で二人で練習しましょう」

「ないしょで?」

きょとんと首を傾げる想。


「ばっちり踊れるようになって、あーくんを超ビックリさせたくないですか?」

「びっくり…」


幼いながらも、想はそのシーンをシミュレーションしてみる。




『ひゃっはァァァーー!!何だ、何だよ、何ですかァ?驚かせてくれンじゃねェかよ。何処のアイドル様の降臨かと思っちまったぜェ!』
『むふぅ〜』
『いいね、いいね、最っ高だねェ!!ゴキゲンな踊りじゃねェかよォ』
『えへへへ〜』
『こりゃァ、なでなでするくれェじゃァすまねェなァ』
『想ねぇ、あーくんにまたあたまあらってほしいの』
『おゥ、当たり前だろォが』
『あとね、いっしょにねてくれる?』
『いつもしてやってンだろォが』
『ヤンヤンつけぼーかってくれる?』
『箱買いするしかねェだろォが』




「にへぇ〜」

うっとりと宙を見つめる想に、絹旗は母親の血を明確に感じ取った。
妄想癖は御坂のDNAに共通しているのかもしれない。少女の説得はとりあえずこれでいいだろう。
コーヒーのお代わりを淹れている白いのに目を向ける。
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:13:44.60 ID:ni0lK71Eo
一方通行、絹旗、超電磁砲の三角関係か…
いっそ4人で暮らしちゃいなよ
198 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:14:35.49 ID:p/SNDRCP0


「一方通行」
「あン?」
「二人だけの秘密特訓したいので、部屋から出てって下さい」
「はァァ?ふざけ ――― 」
「あーくん、でていくの」



「……なン……だと…?」





                   ◇





サラダを盛り付け終え、風呂の温度を確かめるといよいよすることが無くなる。
酒でも飲んでしまおうかとも思うが、夕食を食べる前に飲むのは抵抗がある。酒は食中か食後と決めている。
絹旗と想は、現在自分の部屋でダンスの練習をしている。
音楽とともに、きゃっきゃとした笑い声が聞こえてくる。楽しそうで何よりだ。
楽しんでやれているのならば、絹旗を呼んだ甲斐があった。
もっとも、絹旗以外に想を安心して任せられる者がそもそもいない。一方通行なりに絹旗を信頼しているのだ。

しかし、二人の笑い声が聞こえる程に、一人ぽつんと残されたことが寂しい。


「………コイツが親離れの第一歩か……もう少し猶予ならあると思ってたンだが」


リビングのソファーに腰掛けると、弱々しく呟く。

199 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:19:04.93 ID:p/SNDRCP0


「……いや、打ち止めも4歳だったか」


もちろん、実年齢のことである。
肉体的には14歳の立派な思春期に掛かっていたことなど一方通行の脳裏にはない。

思春期の打ち止めは、正直全盛期の美琴もかくもやとばかりのツンっぷりだ。

美琴+番外個体、アイテムに何か加えますか?ああ、じゃあMNWのログを加えて下さい。

オッス、オラ打ち止め(思春期)、今後ともヨロシク。

と言った具合に、色々な影響を受けまくっているのだ。
言葉遣いはきつくなり、スキンシップも減った。
何よりも自分と距離を置くようになってから、一方通行はどうしようもなく寂しさを覚えたものだ。
あれだけ子犬のように自分に纏わり付いていた打ち止めが、14歳頃の御坂美琴のように、
やたらと自分へのあたりだけ厳しくなってきたのだ。

『アナタ』は『アンタ』になったのが第一ステップ。

『大好き』は『大嫌い』、『ウザイ』、『気に入らない』、とバリエーション豊かに殺傷力も豊かになった。


その癖、やたらと突っ掛かってくるのだ。

一方通行としては年頃になった少女のやりたいことが理解不能であった。

勿論、此処には、思春期の少女特有の不器用さ、姉譲りの気になる異性への不器用な態度が
顕れているのだが、如何せん姉同様にお相手は朴念仁。

姉の相手が鈍感大王なら、一方通行はさしずめ鈍感大魔王だろう。

ツンデレがカワイイのは端から見る分であって、実際いたら面倒くさい。
鈍感男にとっては、ツンしか映らないのだから、嫌われているとしか思えない。
一方通行は、そのまんまに打ち止めのツンを諸に受け、娘にウザがられる父親の気持ちを20歳にして味わうこととなった。


200 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:21:07.89 ID:p/SNDRCP0


「夕食も準備終わっちまったしなァ……」


夕飯の仕度は既に済んでいる。元々切り分けておいた野菜をシチューにぶち込むだけだ。
野菜も牛乳も取れるクリームシチューは偉大な料理だと一方通行はしみじみと思う。
クリームシチューを生み出した人間は素晴らしい。
嘗て存在した水槽に引きこもっていた神気取りの馬鹿よりも遥かに偉大だ。

何せ人の役に立っているのだから。



練習は中々の出来だったようで、具合を聞いた一方通行に、二人は笑い合うと笑顔でこう答えた。



「ないしょだも〜ん」

「ええ、一方通行には超内緒です」

「ねー」

「ねー」



「………」


父親の疎外感ってこんな感じなのだろうか。
だとすると、全国のお父さんは一体どれほど強いメンタルをしてるのだろうか。
一方通行は涙を堪えた。




                    ◇





(超緊張して眠れません……)

間に想を挟んで、絹旗は一方通行と向かい合うように床に就いている。
間の想は、一方通行の胸にぎゅっと身を寄せている。
それが少し、そう、ほんの少〜しだけ羨ましい。羨ましいというのは、温かそうだからだ。
決して他意はない。そう、それだけに決まってる。


(私は一体誰に超言い訳してるんでしょうか……)


どうしてこうなったと、絹旗は数時間前のことを思い出す。

201 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:22:03.59 ID:p/SNDRCP0

夕食は賑やかなものであった。

まず最初の洗礼の如く、絹旗は一方通行の手料理の味に愕然とした。
会社の異なる缶コーヒー(ブラック)を10缶並べて、味を全て当てることが出来るのだ、相当精密な舌を持っているとは思っていたがここまでとは。
というのが絹旗の率直な感想である。
これでこの男は平然と好みのタイプを「女らしくて、最低限、俺より飯の上手い女」と言ってのける。
イヤミとしか思えない。全国の飯マズ女に謝れと言いたい。

ショックから立ち直ると、想が絹旗の隣の席で、ひっきりなしに話す。
普段美琴の研究が中々都合が付かない為に一方通行と二人の食事が多い想には、三人での食卓が嬉しくて堪らないようだった。
保育園であったことを一方通行に報告する一方で、家であったことを絹旗に教えてあげたりと、終始想は落ち着きがなかった。
食事中、一体何度一方通行に「モノ食べながら喋るンじゃねェ」と額をぺしりとされていたことだろうか。
そんな想が可愛いのと同時に、一家の団欒に飢えている少女を痛ましくも思った。

202 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:23:23.00 ID:p/SNDRCP0


「ねーねー、せんせぇとまってってよぉ〜」

「ええっと…そうは言われましても」


絹旗の腕にくっ付いてぶらぶらと離れない想に、顔をでれでれにしながらも、絹旗は困ったように眉を寄せる。
ちらりと一方通行を見ると、食後のコーヒーを啜りながら面倒くさそうに絹旗達を見る。


「つーか、今更送ってくのなンざかったりィンだよ。泊まっていけ」


明日は休みだろうが、と言われては言葉が無い。
コイツ本当にわかっているのか、と絹旗は見返す。


自分の部屋に女を泊めるということの意味が、どういうことなのか。


(きっと超わかってません……)


美琴の服を絹旗の着替えに持ってくることからも伺える。
美琴は今日は研究室に泊まるから気にするなと、一方通行は気配りを見せた。

しかし、そういう問題じゃねぇと喉まで言葉が出かかった。

平然と他の女の服を用意するとか、無神経にも程があるというものだ。
他の女の痕跡を見せるという時点でいただけないのに。

要は、彼にとって絹旗はさしずめ「お泊りに来た親戚の子」という感覚なのだろう。

それでも、しがみつく子犬のような想の瞳に負けて結局絹旗は泊まることになった。

203 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:24:10.64 ID:p/SNDRCP0



そして、今に至る。


『せんせぇいっしょにねよ〜』

可愛らしいおねだりに、頷いたのは不味かった。
少女は嬉しそうに、ウサギの着ぐるみのようなパジャマのフードの耳をピコピコ揺らしながら一方通行を見上げた。

『あーくんもいっしょ〜』

頬を赤くしながら甘えた声を出すおませな少女に、『世界一想に甘い男』という呼び名も高い一方通行が断ろうはずもなかった。
返す刀で切りつけられたかのような衝撃とはこのことだろう。
しかし今更『やっぱそれなし』などと言えるはずもない。

親子で川の字という形態に、緊張しながら、ギンギンの目を瞑って寝たフリをして一体どれだけ経っただろうか。
それでも目を瞑っていれば眠気が少しずつ、少しずつ、寄せる細波のように意識を削り、ふわふわとした世界へと誘っていく。
絹旗は、とろとろとまどろむ意識の中、でそれを耳にした。


妖精。


最初はそう思った。
小さく、囁かれる耳に心地良い愛らしい声。
妖精が内緒話をしているような、柔らかな響き。
しかし、それが聞きなれている声だと気付き、絹旗の意識は一気に覚醒する。

そっと薄く瞼を上げる。

204 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:25:48.63 ID:p/SNDRCP0


「――― !?」

紅い瞳と目が合い、息を呑む。
しかし、一方通行は絹旗から視線を逸らすと、すぐに、下へと視線を向ける。
下、つまり想の方へ。

一方通行の視線は彼の腕を枕にしている少女へと注がれる。


「それでね、それでね……」


可愛い妖精のおしゃべりかと思ったのは、想のひそひそとした囁きだった。
すぐに寝付いてしまった想が起きている。きっと途中で目が覚めてしまったのだろう。


「ママがね、このまえ泣いてたの」
「………」


絹旗は、思わず聞くんじゃなかったと後悔する。

妖精の声が、僅かに翳る。

一方通行が微かに眉を動かしながら、そっと聞き返す。



「お前の前でか?」


205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:27:34.26 ID:YEq5a/q70
>「つーか、今更送ってくのなンざかったりィンだよ。泊まっていけ」
濡れた!!
206 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:36:42.32 ID:p/SNDRCP0


美琴を、母としての彼女を信頼した聞き方だと、絹旗は思った。
泣いたことではなく、娘の前でそんな少女を不安にさせるような振る舞いをするはずが無いという信頼に裏打ちされた言葉。
その言葉と、声の響きに、ちくりと胸が痛んだ。
少女は、ゆるゆると首を振る。

「あのね、いっしょにねててね、よるにおトイレに行きたくなったの。そしたらね、ママがね……」


少女が話し易いように、そっと頭を撫でてやる。



「ねながらね、言ってたの。“とーま”って…言ってたの。泣きながら……」



一方通行の手が止まった。絹旗も密かに息を呑む。


「ねー、ねー、あーくん。とーまって人……だぁれ?」


不安を微かに帯びた少女の声。
一方通行は、そっと瞳を伏せる。薄く覗く紅の瞳に絹旗はどきりとした。
その瞳に優しさと、何かを堪える悲壮さが、紅の色を何倍も艶やかに映したのだ。
一方通行は、少女を心の底から愛しむように撫でてやる。
想は腕枕にしている一方通行の腕に、子犬が親犬に甘えるように頭をすりすりと擦り付ける。


「ママの大切なヤツだ」


何かを思い出すように、そろりと紡がれた言葉。
何を思ってその言葉を選んだのだろうか。絹旗は聞き返したい衝動を堪える。
想は、おずおずと見上げる。


母親譲りの大きくて、――― 父親譲りの僅かに穏やかに垂れ目がちの瞳で。


少女の瞳に立ち上る親友の面影を見て、一方通行は小さく笑う。


「ばーか。お前のママは世界で誰よりもお前のことが大好きなンだぜ?ハンパなくなァ」

「本当?」

少女の声に、安堵が混じる。
絹旗も釣られてホッと胸を撫で下ろしたくなる程に、無垢な感情が声から伝わってくる。
一方通行は、少女の頭を抱き寄せると、そっと前髪をあげてやる。
その額に薄い形の良い唇を当ててやる。

まるで、少女の抱えている不安を消してやる為のおまじないのように。


「にへへへ……」

「さ、ガキがいつまでも夜更かししてンじゃねェよ。さっさと寝ろ」

「うん」


ぎゅっと想が一方通行の薄い胸にしがみつく。

絹旗は何故か泣きたくなった。

二人のあり方の綺麗さと、その根底にあるモノの痛みを感じ取ってしまったからだ。



207 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/03(木) 22:42:04.13 ID:p/SNDRCP0
今日の投下終了〜
想のパパさん(バレバレ)がちょろっと話題に出たけど、まぁ気にしないで。

美琴って書く人によって凄くバラつき出ますよね。
二次で好きな美琴は当麻にどうやって想いを気付いてもらえるか四苦八苦する美琴。
二次で嫌いな美琴は一方通行に対して「絶対アンタは許せない!!絶対にだ!!」な美琴。
……アンタ妹達に悪いこともしてないけど、特別良いこともしてないじゃん、とツッコミ入れたくなります。


>>189
その質問は虎に「何で強いの?」と聞くくらいの愚問だと思いますJK。


とあるシリーズ撫でたい頭選手権をしたらトップ3に食い込むのは絹旗、インちゃん、アンジェレネだと思う。

それではお休みなさい。
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:45:17.95 ID:Q6id6B4AO
おつ
この世界のインデックスはどこに居るんだろうか
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:46:19.59 ID:QvPP7bXH0
おつ

たれ目……って誰だろう
相変わらずのほのぼのだけど切ないのがgjですな
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:47:23.45 ID:U9A/mLwIO

この>>1、できておる惱
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:49:27.55 ID:kCQh710c0
乙。
一方さんマジ男前。これは惚れる女続出するわ。どうしようもない。

ガチ一方アンチな美琴もわからんではないですけどねー。一方さんがしてきたことの最初だけ知ってる前提なら。
一方さんは許せないけど、自分も何もできなかったという演出は私は結構好きです。
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:55:43.16 ID:fuTrccNMo
親父さんは彼か。想って名前がすごく物悲しいものに聞こえる。
もしかしたら想いが大きくなりすぎて彼のいなくなった後に……って。
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:58:42.32 ID:evtIrbRAO
原作で実験終わった後、美琴と一方通行って会ってるっけ?
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 22:58:42.64 ID:O6wP43jJ0
乙。
打ち止めが当時のオリジナルみたいになるのが想像できなくて違和感がぱねぇww
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 23:01:53.22 ID:JlTm5fnvo
美琴でてこねえなぁ
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 23:05:48.58 ID:OgtghIhYo
ふう、寒いな

おつおつ
もうこいつらくっつけよと
でも打ち止めとか番外個体とかどうなってんのか気になるるー!
見たいよー!

美琴はほら…そういうのがキャラ付けになっちゃってるから
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 23:13:21.02 ID:+MF6kTn2o
乙ー
親父は予想通りだと思いたいけど登場してないのが気になるな
出てないのか出れないのか・・・・あまり考えないようにして、答えが出るまで我慢ww

あと、貧乏螺子さんはダイガーマスクにやられてるのかな^p^
STの分母が大きいからすぐ抜けてしまうんだよ・・・
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 00:10:06.39 ID:KX4F8P0Do
美琴は一方を許せない感情を持ちながら一番許せないのは自分自身ってのがしっくり来るかな
でも一方をすんなり許す美琴はそれはそれで違うし色々葛藤とか思考の迷路に陥ったり
様々な経緯を経て許さないけど受け入れるみたいに落ち着くのが妥当な落とし所だろうか

・・・あんまり真面目に考え過ぎると二人を交差させる事自体が出来なくなるから色々省略していつの間にか仲良くなってるとかが一番楽なんだけどさ
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 00:12:41.81 ID:/7zNokEDO
ツンツンな打ち止めとか心が折れる…(´・ω・`)
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 00:15:29.34 ID:343uN7kIO
「想のおとうさんね、フラグを抉らせて、もう会えないの」
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 00:19:00.35 ID:Ok6MTRug0
>特別いい事も

原作者が物語には余計な部分だと描写はしょってるだけで何もしてないとも限らず・・・
なんかその辺あとから漫画超電磁砲で補完しようとしてるようにも思えるから気を使ってないわけでもなさそうだけどね
一方さんもついでに補完してるしww
222 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 00:28:34.14 ID:I/nhPWvz0

>>218
仰るとおりです。

電磁通行和解ネタを試しに書いてみたら、いつの間にか憎悪と罪悪感で狂った美琴と、
美琴からの暴力に贖罪的な意味で救いを感じ始めた一方さんの救いようの無いSM的な
お話になりかけたので却下しました(^q^)
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 00:34:10.14 ID:Zykcy8fHo
まぁうん…俺が気にしすぎかもしれんが
折角話が最高に面白いから別な所で波風立てない方が良いかなと思うよ
この話とても好きだ。応援してる
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 00:35:55.97 ID:nb5DAuVjo
>>222
すげえおもしろそうw
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 00:41:21.79 ID:KX4F8P0Do
>>222
ちょっぴり見てみt

いやまあ、二次で気楽に書こうとしてもめんどくさい障害だらけで大変なテーマなんだよねこの二人の関係って
思考実験として楽しめるならいいんだけどそのせいでドツボにハマるくらいなら投げ出してしまった方が健全だwwww
とにかく>>1の好きに>>1が書いてて楽しい話を書くといいと思います!
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 01:58:17.25 ID:43EEzLpVo
クリームシチューの話ってハガ錬だっけ?

ほんと>>1はガンガン好きだな
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 02:26:35.10 ID:r0G29zNg0
>>222
非常に気になります
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 02:39:23.52 ID:77jz2DYL0
>>213
会っていない。確か妹達とも会っていない。会っているのは美鈴。そして美鈴は上条さんも含めて「『君達』みたいな子が美琴ちゃんを守ってくれれば何の問題もない」と言っている。
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 03:39:36.34 ID:7fZoYm8e0
電磁通行和解ネタって大抵第三者が割って入る話が多いよね
妹達が介入するのが一番しっくりとくる

二人だけだと永遠に悪循環をループする展開になるのが予想できる
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 04:39:05.74 ID:vTfzt+WTo
>>222
ワロタ
よくそんな所にたどり着いたな
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 05:57:51.45 ID:mRDQnWf60
>これでこの男は平然と好みのタイプを「女らしくて、最低限、俺より飯の上手い女」と言ってのける。
オルソラさんがアップを始めたようです
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 07:03:42.29 ID:TFUurrff0
>>223に同意かな
>>1の嫌いなものでも他人からすれば違和感のないものだろうし、それを主張する場所を考えないと何もかも台無しになるぜ
良いこと悪いことと二元論的に考えずに、それでは割り切れないものがあることを思い出してみるのもいいかと

なんにせよ一方さんと美琴が和解している話はいいものだ
233 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 08:00:13.12 ID:I/nhPWvz0
>>223‐232
ご忠告痛み入ります。
自分の萎えは誰かにとっての萌え、自分の萌えが誰かにとっての萎え、という基本原則を忘れていました。

少量になるかもしれませんが、今夜も10時or11時くらいに投下するつもりです。
特に秘密にし続ける必要もないので言ってしまうと、娘の父親は上条さんです。
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 08:46:33.01 ID:Z6hkTcZg0
つまり、当麻と想ちゃんは腹違いの兄妹だと……
息子の彼女を寝取るとは鬼畜だな、親父。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 10:13:34.98 ID:Bak1OZlK0
>>234
一瞬何言ってのか分かんなかったが
そうか、刀夜さんのことか
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 10:19:27.08 ID:mwnSJEP6o
美琴はあの歳で子供産んだのか……ごくり
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 15:33:24.10 ID:718YLB8SO
今追いついた。あーくンマジ過保護


出来れば前スレに移転先のURLが欲しかったがまぁいいや
238 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 21:48:17.86 ID:1lhqk4y30
10時から投下します。
今日は早帰り日だったので、調子に乗って書いてしまった。
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 21:52:30.97 ID:Ox4+29bao
超期待です
240 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 21:59:43.63 ID:1lhqk4y30
じゃあ投下開始します。
241 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:01:05.79 ID:1lhqk4y30


鉄橋を見上げるとむき出しの骨のようにどこかグロテスクな鉄柱の間から覗くのは鉛色。
みっしりと重たげな鉛雲が広がる空。
今夜は雨が降ると言っていた。
衛星もなく、外れることが多くなった天気予報を思い出す。
どうやら今夜は的中らしい。

思わず漏れた溜息でさえも飲み込んでいくような憂鬱な黒に息苦しさを覚える。


今夜は月が見えない。


そこで、ふと苦笑が浮かんだ。
何を考えているのだか。
そもそも自分は月を眺めて季節の巡りに思いを馳せるような情緒を解する人間ではない。
見上げていた空から、視線をゆっくりと下ろしていく。


闇にすぐに紛れてしまいそうな細いシルエット。
高校生だろう、紺色のブレザーに身を包んだ細身の少女が20メートル程先に立っている。


少女の瞳をよく見ようとして、ゆっくりと近づく。


夜の静寂の中、杖を突く音が白々と響く。
半分ほど距離を詰めただろうか、パチッと何かが弾ける音がした。
足を止める。


少女の周囲に青白い火花が散った。
シャンパンゴールドの前髪に隠れていた少女の瞳が初めてまっすぐに自分を見つめる。


見つめるというには生やさしい、射抜くと言うのが妥当だろうか。


焦点の合わない瞳。
宝石を填めたように美しく澄んでいるはずの瞳には力がない。
少女の口が、微かに震える。
下唇を噛みしめると、一拍置いて口を開く。
242 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:02:02.59 ID:1lhqk4y30



「なんでアンタが笑ってるのよ…なんでアンタが幸せそうにしてるのよ…」


少女の瞳から涙がこぼれた。


「なんでアタシが泣かなきゃいけないのよぉッ!!!」


バチンッ。


街灯が激昂する少女に呼応するように割れる。
舞い散る硝子の欠片が乾いた音を立てて鉄橋に零れる。

243 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:03:35.51 ID:1lhqk4y30



「     」



言葉は聞こえなかった。


おそらく自分が何かを言っただろうということはわかった。
特別重要な何かを言ったわけではない。
ただ、覚えていないのだこのときの自分の言葉を。
大した問題ではなかったから。


もっと優先すべきことがあったから。


自分の全神経が目の前の少女へと注がれてる。
少女の能面のようだった顔に徐々に感情が浮かび始める。
先ほど見せた激昂に、ようやく表情が追いついたように。
その表情には様々な感情が浮かんでいる。


憎悪

憤怒

悲哀

嫉妬

絶望

失望

嫌悪

渇望



極彩色の感情同士が混ざり合い、鮮やかな色のすべてが塗りつぶされた果ての、何者でもない顔。

少女にそんな表情をさせる自分に反吐が出そうになる。


244 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:06:50.22 ID:1lhqk4y30



「アンタ…なんで生きてるのよ!!

  あの子達を殺しておいて……そんなアンタがなんで……

   なんでそんな満たされた顔で生きてるのよ!!
 
    それなのに……なんで…なんでアタシがこんな気持ちにならないといけないのよ!!

     アンタの…アンタみたいな奴の周りにアンタの大切な人がいてくれるのに、

      どうして、私の側に“アイツ”が居ないの?ねぇ、どうしてよ!!

     

          ねぇ、答えてよ!!!」



245 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:08:07.97 ID:1lhqk4y30


涙を流しながら少女は叫ぶ。
支離滅裂で、脈絡の無い言葉。何があったのか少女は語らない。
しかし、叩きつけられる罵声の中に、少女の逼迫した精神の軋みがはっきりと感じ取れた。


詰られる自分の胸の痛みなどどうでも良いと思うほどに。



「       」


自分がまた何かを口にする。

どうせもっと他に言いようがあるだろうと、怒鳴りつけたくなるような気の利かない言葉。

優しくない言葉だろう。

少女の顔色が変わる。

破裂寸前にまで膨らんだ風船が破裂する直前のような、たわみのようなものが浮かぶ。
ぐにゃりと歪んだ顔。ふるふると小刻みに震える唇。それはほんの僅かな間だけ。


ひゅっと少女が息を飲む。
まとわりつかせていた火花がスパークしていき、明確に雷を成していく。




「あああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」



絶叫。


少女が腕を振るう。


白銀の矢が、自分に向けてまっすぐに解き放たれる。


直後、体中が焼け付くような感覚が走った。




246 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:09:30.87 ID:1lhqk4y30



目を覚ましてまず最初に一方通行は自分の手のひらを見つめることだった。
にぎっては開く。それを二度、三度と繰り返す。



動く。



痺れてやしないかと思っての行動だったが、そこでようやく今自分が見ていたのが夢だったと気づいた。


夢の中では痛みを感じない、というのは嘘である。
夢の中でも痛いものは痛いし、気持ちいいものは気持ちいい。
痛くないと言うのは、痛かったことを覚醒と共に忘れてしまうからだ。


腕の中で小さな寝息に気付く。
自分の腕の中ですぅ、すぅと、愛らしく寝息を立てている少女。


つと、視線をずらすと栗色の髪が覗く。
少女とは異なり、微妙に黒みを帯びたブラウン。
形の良いショートボブの女 ――― 絹旗最愛は、同じく少女に寄り添っ眠りについている。
湯たんぽのように暖かい少女を抱き枕代わりにしているのだろう。
その寝顔は、ただでさえ年齢よりも5歳は若く見える童顔を更に幼く見せている。
腕の中の少女と見比べると、まるで年の離れた姉妹だ。
247 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:12:26.46 ID:1lhqk4y30

自然と笑みが口に浮かんだ。
掌に汗がじっとりと滲んでいる。
ようやく、身体にタールのようにまとわりついていた緊張が解けていくのを感じた。
酷くリアルな夢だった。感覚がまだ身体に残っているようだ。
それも当然の話だ。



あれは現実に起こったことなのだから。




少女を起こしてしまわぬように、枕を差し込みながら腕を引き抜いていく。
時計に目をやると、時間はようやく一時を回ったかというところであった。
一方通行は溜息を吐く。
目が完全に覚めてしまった。





                    ◇






研究が長引くのはいつものことであるが、それが他人の、それもどうでも良い雑用じみたものだとうんざりする。
妹の淹れてくれたコーヒーを飲みながら美琴は肩を回して、強ばった筋肉をもみほぐしてく。
微量の電流を指先から流して筋肉に蓄積された乳酸を分解することもできるのだが、それはしない。
凝りと一緒に、張りつめた集中の糸が切れてしまうのがイヤだからだ。
妹はコーヒーを啜りながらレポートを読み終えると、深く息をつく。
疲労が色濃く滲んだ溜息は自分と同じだ。美琴は薄く笑うとカップを空ける。




248 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:15:46.02 ID:1lhqk4y30

「どうしてミサカ達は、こんな時間まで同じ年の生徒の論文を読んで批評を書かないといけないのでしょう?
 と、ミサカは愚にも付かない論文の山を読まされてうんざりします」

「まぁ、あの先生も多忙な方だから。それに研究室をもらう時にいろいろお世話になったのよ。
 無碍にできないでしょ?」



コーヒーのおかわりを妹のカップに入れてやると、美琴はいましがた読んでいた論文とも呼べない代物を指で弾く。

書いた人間は知っている生徒だった。

確か、学園都市第三位ということは、学園都市で三番目に強いということなのかと、
怖いもの見たさの好奇心丸だしで近づいてきた男だ。
論文には、最強の能力者になるためのアプローチ法が書かれている。
己のオリジナリティに酔った独善的な文章に沿って、
何処かで目にしたことのある実験ばかりをつらつらとと並べ立てた論文だ。



曰く、如何なる攻撃も無効化出来れば、それが最強の能力だという結論に至っている。


もっとも、そこに至るまでの過程についての筋立てはもって回った言い回しで文字数を稼いだ挙げ句に、
『今後の遺伝子の研究次第』という大層な丸投げっぷりであった。


「何か未だに序列が勝負で決まってるって人多いのよね」

「第一位に勝てば、その能力者が第一位になるとかいう深道ランキング的な発想ですねと、
 ミサカはジャンプの読みすぎだろpgrと内心思ってみます」

「口に出してるじゃん」

「でも、そう思われても仕方がありませんわ、レベル5の方々は圧倒的ですもの」


ごく自然に紛れ込んだ声。
美琴と妹は、一瞬はてと顔を見合わせてから、あわてて声の方へと振り返る。


「黒子!?」


「はいですの。貴女の白井黒子ですわ、お姉さま」


腰まで伸びたウェーブがかった髪をかきあげ、ツリ目がちな瞳を不敵に緩め、白井黒子が優雅に微笑む。
249 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:17:09.67 ID:1lhqk4y30

「アンタ、どうしてここに」

「これはこれは、ご無沙汰しておりますわ、妹様」

「いえいえ、こちらこそいつも姉がお世話に…」

「聞け!!」


お嬢様同士の挨拶のように、お淑やかに、柔らかくお辞儀をする後輩と妹に美琴のつっこみが入る。


「第一位様からお電話がございましたの」

「一方通行から?」


美琴は、数時間前に受話器越しで叱られたことを思い出すと複雑な顔になる。
幸い、今日は保育士の絹旗が泊まりにきているから、想を寂しがらせることは無いだろう。
しかし、まだ四歳の娘の側に母親はもっといるべきだろうが、ともっともなお説教を食らった。


「ハイな。夜分遅くでしたので、何事かと思いましたの」

苦笑する黒子に、嫌悪は浮かんでいない。
仕方がないなという呆れが大人びた顔には浮かんでいた。

250 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:19:48.97 ID:1lhqk4y30


『オイ、オセロ。テメェ暇か?』
「暇じゃありませんの。明日は朝早くに学会にお供するので今から寝ようと思っていたところですの。
 夜更かしは乙女の大敵ですのよ」
『そォか、暇か。ソイツは良かったぜ』
「聞いてまして!?」
『今日、あのバカが大学に泊まり込みやがる。どォせまともに食わないだろォからテメェ何か作って持ってってやれ。
 ああ、妹の分も忘れるンじゃねェぞ』
「お姉さまが?それはとても魅力的ですけれど、貴方が行けばよろしいのではないですの?」
『バカか、バカなの、バカなんですかァ?』
「バカ三段活用とか酷いですの!」
『うちにはおチビと客が来てンだよ。留守に出来るか』
「でしたら初春とか佐天さんに…」
『ハイ、またバカこいたよこのパンダ』
「パンダ!?」
『こんな夜遅くに花娘や佐天を出歩かせられるかァ』
「あら、優しい。それ聞いたらあの二人黄色い悲鳴をあげますわよ」
『はァ?なンだそりゃあ』
「………何でもありませんの」
『ま、ともかくテメェだったら最適だろォ。
 いざとなったらアレだ、テメェの得意な脳味噌に矢を転移させ…』
「してませんの!殺人ですの!!得意技じゃねーですの!!!」
『まァ、とにかくテメェが適任だ。だから行け』
「……ま、お姉さまに会えるのは何物にも代え難き喜び。引き受けましたの。それにしても……」
『………ンだよ…』
「貴方、お姉さまに対しても随分過保護ですのね?それとも愛ですの?」
『何言っちゃってンですかァ?ベクトル操作でアフロにするぞアフロパンダ』
「モッコモコですの!?」

251 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:22:36.38 ID:1lhqk4y30




「ということがございましたの……」

「……ああ、何かゴメン。うちの白いのがホントゴメン」

「いいですの。お姉さまと妹様はお食事は?煮物とか色々作ってきましたの。
 味があまり染みて無いのが心残りですが」


里芋の煮転がしのタッパやらを取り出す黒子に、美琴はぎくりとする。
痛いところを突かれたとばかりに、美琴と妹は顔を見合わせる。
どこと無く申し訳なさそうな二人に、黒子は眉を顰める。


「まさか……何も食べてないんですの?」

「いや、何て言うかタイミング逃しちゃってさぁ〜」

「ハイ。一応ミサカ達もそれではいけないと思いどんべえを…」



姉妹揃っての無頓着ぶり黒子は肩を落とす。一方通行が過保護になるわけだ。


「お姉さま……少女趣味をようやく引退したと思ったら…」

「何よぅ…」


御坂姉妹は基本、自分の外見にそこまで投資するタイプではない。
しかし、それにしてももう少し年相応のおしゃれは身につけてほしいと黒子は切に願う。
特に美琴の無頓着ぶりがすさまじいのだ。

スッピンかつジーンズとブラウス。

シンプルにもほどがある。
それでも、美琴からだらしないとか、色気が無いという印象を受けない。

それは偏に『御坂美琴』という存在の持つ素材そのもののクォリティの高さだろう。

252 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:24:09.97 ID:1lhqk4y30

「そんなことだから女の子のファンばかり出来ますのよ」

大学内での美琴はもはや宝塚の男役だ。
母親よりも高い身長に、すらりとした長い手足。
ただでさえ整った顔が、知性と誇りの高さによって一層の凛々しさを醸し出している。
そして、他人に媚びずに優しい気配りと、頼りがいを持っている。
結果、常盤台ではないにも関わらず「お姉さま」呼びが浸透することとなった。
ちなみに、昨年の学祭におけるカッコいい生徒ランキングで男を差し置いて一位を獲得してしまっている。


「いいじゃんか〜別にお洒落して誰かを誘惑しようとか、そんな目的なんか大学に無いんだし」

「お姉さま母親になってからさばけすぎですのその辺」

「おばさん化が着実に進行しつつあるのですと、ミサカはくろこんにひそひそと告げてみます」

「なるほどですの。納得ですの」

「聞こえてるわよ…アンタ達…」


こめかみをひくつかせる美琴から逃れるように、黒子は机に積み上げられた論文の山に目をやる。


「あら、お姉さまったら、もしや、生徒の論文批評を押しつけられましたの?」

「……まぁね…」


それはさぞかし苦痛だったろうと、同情的な気持ちになる。
ふと目に付いた論文のタイトルを読む。先ほど美琴が読んでいた論文だ。
黒子の浮かべたうんざりといった表情で、彼女が何を見たのか美琴にはわかる。
高レベルの能力者だったら誰もがこんな表情になるはずだ。


「ああ、こういう系統の論文は多いですのよね」

「本当ね」

253 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:28:20.10 ID:1lhqk4y30


第三位に勝てば第三位に、第一位に勝てば第一位になれると思っている人間は多い。

美琴からすれば馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
少年マンガじゃあるまいし、より強い奴が高いランキングを勝ち取っていくなどという単純なシステムでこの都市は動いていない。

確かに、第一位の超能力者がイコール最強の能力者であることは確かである。

しかし、それは結果論だ。


仮に、如何なる病でも怪我でも、それこそ欠損であろうとも修復し、命を甦らせることが出来る能力が現れたおする、
明日にでもその能力者はレベル5になれるだろう。
それが解析可能と判断されれば第二位、もしかしたら一位になれるかもしれない。



「要はあれですよね、キワモノ過ぎるギャンよりも万能なゲルググの方が評価は高い的な」

「ちょっと違うわよ」

「ヅタよりもザクということですのね?」

「もっと遠ざかったわよ」


他の分野に転用がどれだけ利くか、要はそこだ。
そもそも、それを解析して、科学技術に応用出来るか。
能力の優劣とは、どれほど汎用性に優れてるかとも言える。
故に、如何なる能力も消せる能力者がいたとしても、彼には第一位は与えられない。
せいぜいがレベル5の八位か七位止まりだろう。
更には、かかるであろうコスト面を考えればキャパシティーダウンの改良の方が遥かに安価である。
『原石』のような研究素材としての学術的な観点からの価値がある一方で、技術の転用幅が小さい故に。



「その理屈が通れば、今頃あの人が第一位でしたね、とミサカは一方通行を二度も撃破した彼をふと思い出します」


「………そうね」



美琴は複雑そうに笑うと、顔を隠すようにカップを傾ける。

コーヒーの苦みと共に、心の中に生じた苦々しさも飲み込む。


254 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:30:29.31 ID:1lhqk4y30

「そっか、そういやアイツ勝ったもんね…何だかスゴく昔のことみたい」

「懐かしいですね、とミサカは笑って話せる過去にしてはヘビーだったなオイと改めて…」

「あの類人猿の話は止めましょうお姉さま」



醒めた黒子の言葉を、美琴は表情を変えずに受け止める。


「アンタ、まだ怒ってるの?」

「当然ですの。というか、お姉さまが怒らなさ過ぎですの」

「ははは、そんなことないよ。私だって相当キレてたしあの頃は」



妹が黙ってコーヒーを啜る。

美琴は胸ポケットに手を伸ばし、煙草を取り出す。
箱の底をトンとたたくと、一本抜き出す。
グロスを塗ったように艶やかな唇に加えると、指先をそっと近づける。
バチッという火花と共に煙草の先に小さなな蛍火のような頼りなげな赤橙が点る。

ゆっくりと吸い込み吐き出された紫煙と共に、ふわりとしたバニラの香りが三人の間を縫うようにして広がっていった。




「五年も経てば流石に吹っ切れるわよ、色々」


過去にしたのだと、暗に示す美琴に、黒子は何も言わない。





                     ◇




目が覚めると、目の前にいるはずの白い髪の青年がいない。
トイレかと思ったが、どうやらずっといないのか、彼の寝ていたベッドに温もりは名残すらない。

255 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:31:56.43 ID:1lhqk4y30


絹旗は、すぐ側の幼い想を起こさぬように、そっとベッドから抜け出すとリビングへと足を運ぶ。


美琴のものだというパジャマは丈が長く、手はすっぽりと袖に隠れ、裾を折り使っている。


リビングに足を運ぶと、ひやりとした風が頬を強く撫で、絹旗は身を縮めた。
肌寒さのなか、目に映ったのは、呑み込まれそうな真円の月。
そして、それを見上げる白い後頭部。
フローリングに直に座り、開け放ったバルコニーから月を見上げていた。
何故か、その後姿は昔見た、星空の下に一人ぼっちで座っていた猫の絵にダブってしまい、絹旗は胸が苦しくなる。



「こんな夜中に一人酒ですか」


だから思わず声をかける。


「……起きたのか」


一方通行の傍らにそっと座ると、絹旗は空になった数本のビール缶に視線を向ける。


「この寒いのに、よくビールなんて飲めますね…見ているこっちが超寒くなります」

「ほっとけ…」


ビールを傾けながら、ぼそりとつぶやく。
何となく、その横顔を眺めながら、想を間に挟まずにこうして二人きりになることなど初めてだと気づいた。

何か話題をと、絹旗は言葉を探す。
256 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:34:47.93 ID:1lhqk4y30


「そういえば、彼女さんと別れて随分経ちましたよね」

「そォだったか…?つーか思い出せね」

「思い出せないくらい昔でも無いですよ」

「いや、そうじゃなくて。顔?」

「超最低です!?」



この男本当に超酷い。

そもそも付き合い始める動機からして酷い。

『特に断る理由が思いつかない』

『泣かれたら面倒だ』

『さっさと話を切り上げたい』

そんな不埒な理由で承諾しているのだ。
それも「あァ」とか「おォ」といった返事とすら呼べぬ返事で。
何故絹旗が知っているのかと言うと、脳波で自在にネットワークを結べる少し変わった女友達からの情報だ。


「ダメですよ、彼女放置したら怒りますって」

「うるせェよ。大体向こうが私とのデートと、お迎えに行くのとどっちが大切なの?とか聞いてくるから答えただけだろ。
 それをそっちが聞いてきておいて、勝手に怒るンだから意味がわかンねェよ」


空いたビールの缶をくしゃりと潰す。
その顔に、特に失恋の痛みに堪えるとか、苦い恋いの記憶を思い出してしまった切なさなどは無い。
理解不能の生き物の生態を思い出すような、そんな他人事のような醒めた表情が浮かぶだけだ。
少し、その事に絹旗は胸を撫で下ろす。一方通行の過去に対してまで嫉妬などしたくなかったからだ。

手持ちのビールが空になり、補充すべく一方通行は立ち上がる。

257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 22:37:03.44 ID:wpjekWoAO
○○屋さんでェすネタきた!!ww

いつになったら続編くるんだろ…(-.-)
258 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:37:23.47 ID:1lhqk4y30


絹旗はキッチンに向かっていった一方通行の背中をしばらく見てから、月に目を向けた。
今しがた自分のした質問をもう一度反芻する。
何言ってるんですか私は!自分の頬をビンタしたくなった。能力全開で。
何故いきなり園児の保護者と恋バナなど切り出すのだ。
どこの世界にそんな保育士がいるのだ。
そんな、恋心丸だしの思春期の女子中学生のような保育士が…



「……いましたここに。超私です…」


両手で赤くなった顔を覆う。

気恥ずかしさがようやくやってきた。



「何がだ?」

「に゛ゃッ!」


上から降ってきた不思議そうな声に、奇妙な悲鳴を上げてしまう。


「アレ?それって…」

絹旗の視線は一方通行の手の中にあるカップへ。
絹旗の鼻孔をくすぐるアルコールの匂い。
絹旗の前に差し出された琥珀色の液体は、白い湯気を立ち上らせている。
鼻を近づけると、それがホットウイスキーだとわかった。


「あんまりお酒強くありませんよ?」

「安心しろ、ガキにストレートを勧める程馬鹿じゃねェ」

「ガキって!!」

「酒は少ししか入ってねェよ。寝酒には丁度いいだろ」



ぶっきらぼうに、そう言うと、一方通行はさっさと自分の分のウイスキーを飲み始める。
絹旗はおそるおそる、舐めるようにウイスキーを飲む。

259 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:39:40.50 ID:1lhqk4y30

喉を滑り落ちると同時に、身体がぽかぽかと暖まっていくのがわかる。
こんなにもウイスキーは飲みやすいものだかったか。

ウイスキーの癖のある香りをシナモンがうまく和らげているのだ。それから、ハチミツも入れてある。

辛党の一方通行が一人では絶対飲みそうにないもの。
彼が自分の為に作ったのだと思うと、胸の奥がむずむずとする。



「……なァに笑ってやがンだよ」


「何でもありませんよ〜」



両手でカップを持って、一方通行の傍らで絹旗はくすりと笑う。
お酒のせいか、先ほどと同じように無言が続いているというのに、緊張感のようなものが幾分も軽くなった。
一方通行につられるように空を見上げる。確かに彼が一人酒と洒落込む気持ちもわかるような気がする。
酒が飲めればもっと共感できるものだろうか。
260 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:41:31.47 ID:1lhqk4y30


「今日はすまねェな」



ぽつりと呟かれた一方通行の言葉。
うっかり取りこぼしてしまいそうなほどさり気無いものだった。
絹旗は、きょとんとしながら見つめると、頬を搔き照れくさそうに青年は言葉を濁す。


「つまり、アレだ、その、想のことでよォ」

ようやく合点が行く。
おそらくは泊まるのも込みで、彼女に一日付き合ってくれたことを言ってるのだろう。


本当に不器用な男だと呆れる。
きちんと目を見てお礼が言える分、想のほうがずっとしっかりしているのではないだろうかと本気で考える。



「良いですよ別に。想ちゃん可愛いし、美味しいご飯食べられたし、想ちゃん超可愛いし、一方通行の過保護ぷりも見れましたし」

「うるせェ」

「でこチューですか〜超羨ましいです」

「忘れろ!からかうンじゃねェ」



(羨ましいのは超本音なんですけどね…)


絹旗は鈍感男への苛立つと同時に自分のヘタレぷりに嘆く。



想が羨ましいのは常々思っていることだ。

親に捨てられた、親の記憶の薄れた絹旗には、想が堪らなく羨ましく思えるときがある。
想に向けられるこの青年の、慈しみに満ちた愛情溢れる瞳を目の当たりにするときだ。
261 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:42:38.87 ID:1lhqk4y30


もし自分が想の立場だったらどうだっただろうか。
あんな、フカフカの毛布に包まれるように、柔らかで温かな愛情に包まれたら。
きっと自分だったら蕩けてしまう。



「一方通行は想ちゃんが本当に、本当に超可愛いんですね」

「………かもな」



十全の肯定を示さないところは本当に素直じゃないが、彼がここまで肯定するというのも珍しい。
一方通行は何か遠くを見つめるように紅の瞳を細める。

不意に、煙草の箱を取り出すし一本指に挟む。
口にくわえるとジッポで火をつける。


「……想はよォ……」


ゆっくりと吸い込み、細い煙を静かに吐き出す。





「救いなンだよ……俺にとっても……アイツにとっても」


「救い……ですか?」


「ああ」


262 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:46:54.36 ID:1lhqk4y30



それ以上は何となく聞けず、絹旗はホットウイスキーをちびりと飲む。
一方通行が煙草を口に咥えると、咥えた拍子に彼の鋭い犬歯が見えて、絹旗は顔を逸らす。

何となく落ち着かない。

ちらりと見ると、細い指に挟んだ煙草の光が、ふわりと舞うようだ。

一方通行が煙草を吸う仕草を、絹旗は綺麗だと思った。

これほど綺麗に煙草を吸う姿を見たのは初めてかもしれない。


すぱすぱとせわしなく吸う者や、ぼそぼそと背筋を丸めて吸う者を見る度に、絹旗は煙草を吸う姿を軽蔑していた。
吐き出す煙の匂いが染み付く以上に、その姿が見っともなく、『汚い』とさえ思っていた。
しかし、一方通行は静かに、ゆっくりと紫煙を吐き出す。
時間にせっつかれているわけでもなく、煙草に飢えて飢えて仕方がないというわけでもない。
何となく、吸いたくなったから吸っている。さり気無く。


バニラの香りに気付いたのはそれからだ。


「甘い匂いですね……煙草にもそんなのがあるんですね」

「想が嫌がるだろォ……まァ、それでも月に二、三回しか吸わねェけど」

「ホントにまず想ちゃんありきの生活ですよね……」




想がたまに言っていた「あーくん、甘い匂いするの」というのはこの事だったのかと納得する。
最初はお菓子作りをしていたのだろうかこの家庭的な男はとも思ったのだが、匂いが染み付くような甘いものをこの男は作らないらしい。
それでは一体何だろうかと思ってきた疑問の理由がようやくわかった。

こうして、考え事をするとき、彼はこうして一人でぼんやりと空でも眺めながら煙草を手にするのだろう。

けれども、少女が嫌がらぬように、甘い煙でそんなことなど微塵も悟られぬように覆い隠す。
少女に対する過保護であると同時に、少女に嫌がられない為のこの男の可愛い予防策なのだろう。

263 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:48:51.45 ID:1lhqk4y30


ふと、煙草を吸わない絹旗は何となく好奇心を持って尋ねる。


「ちなみにどんな時に吸いたくなるんですか?」



一方通行は、意地の悪い笑みを浮かべながら絹旗を見下ろす。
何かよからぬ事を企んでいるときの顔だ。



「……あァ……そォだなァ…やっぱり……
「やっぱり?」




「セックスの後とかだなァ」


「セッッ!?」



絹旗は言葉に一瞬詰まる。



「ぎゃはははははッ。オイオイ、センセェよォ。今時中学生でもそのリアクションはねェよ」

「あ、あなな、貴方…超最低です!!こんなのが想ちゃんの保護者だなんて…」

「安心しろ、想の前じゃ言わねェよ」

「超当たり前です!!」



真っ赤な顔で怒鳴る絹旗を、からかうように笑って見下ろす一方通行。
じゃれ合いながらも、絹旗の頭の片隅ではずっとその言葉が反響し続けていた。


『救い』という言葉が。




264 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/04(金) 22:49:52.82 ID:1lhqk4y30
今日の投下はコレにて終了。
帰宅後ずっと書いてました。ビバ、定時帰り!!です。
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 22:53:02.83 ID:HaSrwNZ2o
ぬおああああ。
一筋縄ではないだろうと思っていたけれど、
過去が気になりすぎる、いったい何があったんだ……
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 22:57:37.97 ID:mRDQnWf60
乙。初めてリアルタイムで遭遇した。終わった傍から続きが待ち遠しい。楽しみに待ってるよ
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 23:15:09.53 ID:YWFBCeovo
死んだのか行方不明かインフィニットさんのとこに行ったのか
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 23:17:32.39 ID:bQ5E5rfR0
乙なんです。なんだなんだ。何がどうなってこうなったんだ?絹旗が可愛すぎて生きるのが辛い。
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 23:22:42.10 ID:ACzEGVu9o
過去も気になるけどそれ以上にこの二人の進展が気になってしまう…
おつ!
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/04(金) 23:42:52.88 ID:pvS72vIy0
過去美琴の激情と口ぶりから察するに
『一時付き合っていたが振られた』って事なんだろうか・・・
でも想の事を考えるとそういう関係まで進んだ上条さんが自分から突き放すとは考えられんし
やべぇ、気になりすぎるwwマジ乙です!
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/05(土) 01:27:33.14 ID:suk9yeF5o
GJ

ツンデレオーダーとか見たい、超見たい
出番はまだか!
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/05(土) 02:06:55.91 ID:7KCaI8rio
投下お疲れ様です
やっぱり美琴は救われてないのか・・・・

当麻が亡くなってるは悲しいので、
インテグラルさんでも誰でもいいからそっちとくっついて
魔術側で生きてますーってオチがいいな
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/05(土) 04:22:58.61 ID:6rk90aVoo
いまだにこの話の落し所が見えてこない
上条さんが戻ってきてもこなくても誰かしらは
辛い結末迎えそうな感じだし
何より仮に上条さんが戻ったとしたら、一方通行と想の日常が
ぶっ壊れそうですごい怖い
先が怖いけどどう展開していくのか気になって楽しみでしょうがない
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/05(土) 04:23:52.61 ID:7q2meL1IO
>>272
それだと事情はどうあれ「女孕ませて育成丸投げ」って事実が残るんだが
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/05(土) 06:04:54.63 ID:1q5R0LqSo
別にゲス条でも構わんのことよ
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/05(土) 07:41:22.91 ID:wzcjowdjo
強さが序列みたいな思い込みはありますよね、深道ランキング的な
美琴のウチの白いのって言い方が凄いキタよコレ。美鈴さんの血を感じさせつつ、親密度合いが分かる良い台詞
次回も楽しみにお待ちしてます
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/05(土) 07:43:57.76 ID:CptBbngAO
>>273
完全に今まで通りとは行かなくても色々世話は焼けるし、何よりあれだけなついてるから、上条さんが帰っても二人の日常がぶっ壊れるとまではいかない気がする
それでも一方さんが構ってあげる時間は減るだろうからその分は絹旗が超埋めてあげればいいと思います
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/05(土) 08:29:08.77 ID:YO2zKzY90
>>274
上条さんが想ちゃんのことを知らないままイギリスに行っちゃったとか。

あの人はいないけれど、この子がいるから大丈夫……な美琴。
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/05(土) 11:05:37.99 ID:5y7MhCZAO
つーか生んだのが四年前
居なくなったのが五年前って書いてあんだから
直前に種が当たった事になるし知らなくて当然だろ。
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 01:04:50.33 ID:iF4gH26so
上条(゚听)イラネ
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 01:21:23.28 ID:DCs/HQ8i0
正直上条がどうのこうのどうでもいい
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 01:36:23.12 ID:A9EhtDTLo
そういう事はチラシの裏にでも書いとけ、な?
>>1が自由に書けなくなるだけだから
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 02:18:21.78 ID:oVcHzU5ro
おぅ
続きが気になるぜ・・・
月並みだが頑張ってください
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 04:27:44.88 ID:Si9eAzVp0
外道展開な上条さんはマジ勘弁。
できれば22巻で上条さんはそのまま死んだとかにしてください。
285 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 07:56:49.13 ID:7iPJtPjT0
すみません、基本レスは参考にはしますが、お話を変えるつもりはありません。
ですから、上条さんもいずれ出てくるのでご期待に沿うことが難しいと思います。
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 08:36:19.19 ID:+Es7GZVe0
美琴さんウチのって…もう家族扱いじゃないですか
しかしこの一方通行、名の通りフラグも一方通行である
287 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:18:03.56 ID:7iPJtPjT0
少量ですが投下。
本当に何気ない日常のワンシーンですのでオチもヘッタクレもございません。
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 09:21:04.16 ID:dvsiufPIO
上条死亡説は消えたか…
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 09:29:49.42 ID:SNEDMPHao
きたか……
290 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:30:52.88 ID:7iPJtPjT0



「放て心〜に刻んだ〜夢を〜♪」



嘗て流行った懐かしくすらある歌を口ずさみながら美琴は久しぶりの休日を満喫していた。
満喫といっても、どこかに出かけたり、何かに打ち込んでいるというわけではない。

リビングのソファに座りながら雑誌を読んでいるだけ。
傍らには白い湯気の立つコーヒー。
膝の上には四歳になる愛娘が美琴の膝に覆いかぶさるようにして、ころんと寝転がり絵本を読んでいる。


美琴は時折手慰みに膝の上にいる愛らしい生き物の髪を指に絡めたり、丸くて手触りのよい頭を撫でたりする。
更には柔らかいお腹を突っついて擽ってやったりする。

くすぐったいせいか、小さな身体を捩ってゴロゴロと動くさまは、子猫か子犬のようで、美琴の頬が可愛らしいさに緩む。
元々可愛いものが好きな美琴にとって、愛娘の可愛らしい姿は母性を擽るだけではすまない。


雑誌を傍らに置くと、両手で柔らかくぷにぷにとした丸いお腹を擽り始める。

291 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:31:58.45 ID:7iPJtPjT0


「おりゃ!こしょこしょこしょ」

「んにゃ〜。あはは、あはは、にゃふぅ、あにゃ、あふはは〜くす、くすぐったいの、ままぁ」

「ここか?ここがええのんか〜?」

「あにゃははははっ」

「こやつめ、こやつめ。ええい!」

「あははっはははっはははにゃははは」



舌足らずの甘い声に、美琴は更に擽る手を強める。
少女はそれだけで嬉しいのか、美琴がちょっかいをかける度にきゃっきゃっと笑って美琴のお腹に自分の腕を回して抱きつく。

大好きな母親を独占して、たっぷり甘えてやろうという幼くストレートな意思表示。

美琴の上機嫌のパラメーターが更に更新される。
292 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:37:15.42 ID:7iPJtPjT0


彼女の日常の大半を占めている研究は彼女のライフワーク兼趣味と化している。
その一方で、彼女自身のプライベートにおける趣味は皆無に等しかった。
中学生の頃はそれでも可愛いものグッズの収集が趣味と言えば趣味だったのかもしれない。
可愛いものグッズというよりもゲコ太であるが。
強いて挙げるならば他にはゲームセンターに行ったり、あまつさえコンビニに立ち読みに行ったりすることであろうか。

しかし、一児の母になって趣味とするにはどれもこれも相当キツイ。相当キツイ。
というよりも、女の子の趣味として挙げるにしても相当キツイ。相当キツイ。


笑い疲れてぐったりと美琴の膝の上で横になっている想の捲れてしまった裾を直してやり、
荒い息を吐いている少女の背中を落ち着けるように撫でてやる。

美琴は淹れたてのコーヒーを一口飲むと、満足そうに微笑む。
妹が研究室で淹れてくれるコーヒーも悪くはないのだが、やはりコレには敵わない。


「結局ウチのコーヒーがやっぱり一番な訳よ」

「他人様の家に上がりこんでおいて何言ってやがる……つーかその口癖…いや、いい…」


293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 09:38:12.67 ID:SNEDMPHao
フレンダェ
294 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:39:13.60 ID:7iPJtPjT0

キッチンで調理をしていた一方通行は頭痛を堪えるように眉間に皴を寄せる。
黒いエプロンが本当にサマになっているな、と美琴は感心すらしてしまう。
鼻を甘い香りが擽る。
一方通行がフライパンから大き目のフレンチトーストを皿に盛り付けていく。
似合うついでに言えば、コーヒーを淹れる姿もサマになっている。黒いエプロンで美味しいコーヒーを淹れる姿は喫茶店のマスターのようだ。
豆が違うのだろうかとも思ったが、自分が淹れてもこの味は不思議と出ない。


「オラ、テーブルの上さっさと片付けねェとブッ飛ばすぞ」


御坂母娘は積んである読みかけの雑誌や、読む予定の本、想の玩具をささっと慣れた手付きで片していく。
大皿に乗せられたフレンチトーストは五枚。一枚は想、二枚ずつ一方通行と美琴。
白い湯気を立てる出来立ての淡いタンポポのような色のフレンチトースト。
その上にかけられた黄金色のハチミツの甘い香りが食欲をそそる。
フレンチトーストをそれぞれの小皿に美琴が取り分けていると、キッチンから一方通行が自分のコーヒーが入ったカップとデザート皿を持ってくる。

バナナとキュウイとリンゴをカットした上にヨーグルトをかけたものの内、二つにハチミツをかける。

一つはすっぱいヨーグルトの味が苦手な想の為。

もう一つは美琴の為に。

295 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:45:42.38 ID:7iPJtPjT0


「美味しそう〜」
「おいしそ〜」
「ね〜」
「ね〜」


普段よりも少し遅めの朝食に、美琴と想はそっくりの顔を輝かせる。


「ただの余り物で作っただけだろォが、こんなモン」

一方通行は興味無さ気に顔を逸らすと、コーヒーを一口飲む。
一瞬御坂母娘はきょとんとしてから互いの顔と一方通行の横顔を見比べる。
色白というのも考え物だ、照れているのが一発でわかるのだから。
想もそれがわかっているのだろう。
幼いながらも何処か一方通行を見る目に「しかたがないなぁ」と言った慈しみの感情の芽が垣間見える。

美琴と想は顔を見合わせてこっそり笑う。




「ハイハイ、アンタが朝からツンデレ絶好調なのは美琴さんちゃんとわかってるから」
「あーくん、ツンデレうさぎさんだもん、ね〜」
「ね〜」



「うるせェ!黙って食え!!」


耳まで真っ赤にしながら一方通行が怒鳴る。

296 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:47:33.47 ID:7iPJtPjT0

しかし、今更そんな声を少し荒げた程度で怯む御坂母娘ではない。
二人は、一方通行の声など聞こえていないかのように手を合わせる。



「「いた〜だきます」」


「……いただきます」




普段から想にきちんといただきますとごちそうさまを言うように教えている一方通行は言いたいであろう言葉をグッと飲み込むと二人に続く。
一口齧ると、フレンチトーストはフワリと容易く歯で噛み切れる。
口の中でミルクと卵の優しい味わいと、ハチミツの何処かホッとするような甘さが広がる。
ナイフなどいらないのではないだろうかと、フォークで器用に切りながら美琴は思う。

一方通行はナイフで想が食べやすいように切ってやる。
過保護だと、美琴は呆れてしまう。

そういえばコイツは打ち止めにも過保護だったし、番外個体さえも妹どころか娘扱いしていたなと思い出す。

もしかしたら、親しい年下の女は皆彼の中では妹か娘に区分けされてしまうのかもしれない。

だとすれば、何とも浮かばれない話だ。勿論、彼に好意を寄せている娘達がだ。
想がふと期待に満ちた眼差しで見上げていることに気付く。



「ね〜ママ。あーんって、してほしいの」

切り分けられたフレンチトーストにちらりと視線を落とすと、想は甘えた声を上げる。
もじもじとした仕草で察しは付いていた。
美琴は当然だとばかりにフォークで刺すと、やけどしないようにふーふーと息を吹きかける。


「想ちゃん、ハイ、あーん」

「あーん」

小さな作り物のような可愛らしい歯が並ぶ口を元気良く開ける。
そこに覚ましたトーストを入れてやると、想はふにゃりと笑う。
はにかむような娘の可愛い仕草に、美琴は悶えそうな衝動を堪える。

297 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:48:11.30 ID:7iPJtPjT0


「あーくん、あーくん。あーくんもあーんして」

「アホ。冷めないうちにさっさと食え」

「あうぅ」

「唸ってもダメ」

「ぷぅ〜」

「膨れてもダメ」

「にゃぁ」

「甘えてもダメ」


想は、フレンチトーストを一方通行に食べさせて欲しそうに見上げている。
拾って拾ってと訴えかける子犬みたいに。
あの瞳によく打ち勝てるものだと感心する一方で、彼が甘やかすだけの男ではないことに安心する。
元々が娘を溺愛してしまう上に、寂しい思いを味あわせてしまう負い目も重なって美琴は想に甘い一方だ。
彼が折に触れては、所々でこうして締めるところを締めてくれているおかげで想は我が侭放題にならずに此処まで育ってきているのではないだろうか。
そう考えると頭が上がらない。

298 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:57:18.19 ID:7iPJtPjT0


(フレンチトーストか……)


一方通行の作る料理で、美琴は彼のその日の機嫌がわかる。

朝食にチーズオムレツが出てくる時。
その日は機嫌が良いとき。彼の好きな作家の本が面白かった時。


機嫌が悪い時はスクランブルエッグ。
おそらくイライラしながらオムレツを作ろうとして失敗した名残であろう。


そして、フレンチトーストの時。
これは美琴がゆっくりと休む日。
想とまったりとした時間を過ごす日。
ハチミツたっぷりの甘くふわふわとしたフレンチトースト。
疲れた身体に良いとされるハチミツたっぷりのフレンチトースト。

299 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 09:57:47.94 ID:7iPJtPjT0

想のハチミツでベトベトになった口元を拭ってやりながら、美琴はちらりと白い青年を見る。
無愛想な顔でハチミツの代わりにシナモンシュガーを振っておいた自分用のフレンチトーストに齧り付いている。


(ホント、コイツ素直じゃないんだから………意外にみんな気付いてるのに)


嘗ての自分だったら、お前が言うなというツッコミが入っただろうか。

今日は、想のお洋服でも買いに行こう。そして、不意打ちで一方通行の服も。
買い物は長くなるだろう。自分もそうだが、一方通行も想の着る服にはうるさい。
金に糸目をつけずに余り高級ブランドの物を買い与えるのは気をつけないといけない。
年相応の、可愛らしいものが良いのだと以前絹旗が言っていた。美琴もそうだと思う。



(せっかくの休みなんだもんね、想ちゃんを思い切り可愛くプロデュースしなきゃね。コイツも付き合うだろうし)



二切れ目のトーストに取り掛かりながら、今日のスケジュールを組み立てる。
そのことをぼんやりと思い浮かべながら美琴はコーヒーを飲む。
カップの底に視線を落としながら自然と笑みが零れた。


300 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/06(日) 10:02:17.98 ID:7iPJtPjT0
投下終了です。本当に、単に朝食食べてるだけの話なんですけどね。
美琴さんが娘っ子をくすぐっているシーンが書きたかっただけ。
このお話も美琴さんは小萌先生くらいのショートヘア。
娘っ子は芳川さん以上佐天さん未満の長さ。
一方さんは22巻時点よりも長いので、料理の時や読書や論文書く時は後ろで縛ってるとか。
妄想です、すみません。
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 10:08:09.63 ID:I04aY25AO


エプロン着て後ろで髪束ねた一方さんが顔真っ赤にして悪態ついてるとこ想像して濡れた
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 10:35:51.36 ID:SNEDMPHao
おつー
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 10:48:12.39 ID:MHQjswGb0
>>301なにそれやばい
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 10:50:56.45 ID:D1P7uOJBo
どう見ても夫婦です。本当にありがとうございました。

……て、(事情を知らない)周囲に見られてるような気がしてしょうがないぜ。
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 10:58:31.87 ID:gmSvpqHAO

この登場人物間の微妙な距離感がなんとも言えんね。
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 11:01:23.81 ID:3wCZGTLdo
おつおつ

こういう雰囲気良いなぁ、すばらしい
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 14:25:08.82 ID:yBvY30d50
>>301
ツンデレウサギたんペロペロ

こういう「お前ら結婚しろ」な二人見てると
+であって×じゃないと分かっていても電磁×通行を期待してしまう

上条さん生きてたのか、そして出てくるのか
ついヤってしまって孕ませたのか、或いは事情があって離れていたのか
後者なら上条さんが帰って来たら、美琴母子とは一方さん距離取るだろうな
「妻が再婚したら子どもとは距離を置かなあかん。再婚相手を父親と認識させる為に」
とさんまも言ってた
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 14:38:01.65 ID:WMaE7tIFo
ちょっといろいろ可愛過ぎてやばい
皮被りさんといろいろ交渉してくる
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 14:58:05.33 ID:68oPIlxh0
いいなぁ読んでるこっちまで和んでしまう
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/06(日) 15:40:52.73 ID:4wjOJnZAO
花娘&佐天とか番外止めとの会話も見たいなぁ
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 00:16:12.87 ID:uAHRDTpX0
乙乙

着る服に気分が出るタイプだもんな一方さん…そりゃ料理にも出ますよね

そしてまさかの長髪とかマジ天恵!!
想ちゃんとおままごとして子供役の一方さんが、
お母さん役の想ちゃんのなすがままに髪の毛を梳かれるところまで受信した。


312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/07(月) 07:03:27.98 ID:Z2BZwDDDO
一瞬ホントにフレンダがデテキタかと思った

責任取ってよね!
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/07(月) 07:37:09.41 ID:yUwW5HqAO
フレンダがデキタに見えて幸せそうなフレンダ通行を妄想してしまった
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/07(月) 10:23:07.93 ID:RwwX+GnAO
フレンチトーストがフレンダトーストに見えた
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/07(月) 13:22:00.34 ID:hMs/4kIAO
フレ ンダ人気ありすぎだる……
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/07(月) 19:20:46.33 ID:BuPrvYZ5o
ピンポーン

麦野「来ちゃった……」
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/08(火) 11:17:20.85 ID:sPwMbUvDO
フレンダかわいいお(';ω;`)
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 18:16:48.91 ID:zD7bZlAAO
>>1まだー?
319 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 20:15:10.28 ID:ilscuxnU0
>>318

一方通行「もう我慢出来ないってかァァ〜?くかかかか…
     随分堪え性がねェンじゃねェのかァァ?なァ、オイ」

想「え〜おなかすいたよあーくん」

一方通行「慌てるンじゃあねェ。パスタってのァな、時間とお湯との真剣勝負なンだ。
     早過ぎりゃァ生茹で、遅過ぎりゃァヘドロ。ギリギリを見極めンのがコツだァ」




10時に投下します。他にもスレ立てという無謀をやらかしたので、間隔が開いてしまったりけるのよ。

320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 20:24:55.04 ID:PKWCfLJK0
おのれ>>318

投下楽しみにしてるー
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 20:36:03.26 ID:DrjU8BNVo
>>319
ちゃんんとアルデンテになっているかどうか、窓ガラスにはりつけて確かめるんだぞ。
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 20:44:00.27 ID:VomEETtF0
さあスレタイを晒すんだ
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 20:46:31.52 ID:QT6AW0Bko
くそぅ、明日試験なのに。これは投下を待つしかないな。
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 21:07:02.71 ID:84aNWpkco
>>323
安心しろ。試験を受けさせる側も投下を待ってるんだぜ。
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 21:15:52.96 ID:oAekBF+Jo
投下と同時に試験を始めますね
326 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 21:43:07.68 ID:ilscuxnU0
ゴメン、10時とか言ったけど、あれは嘘だ。

今から投下します。
327 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 21:45:03.27 ID:ilscuxnU0



絹旗最愛は最近溜まってきている疲れを揉みほぐすように、こめかみをさすりながら周囲を見渡す。

色とりどりの折り紙でデコレートされたホールには無数のパイプ椅子。
ほとんど座る者はなく、周辺でざわざわと話し声がする。
それぞれは大きくはない話し声が、ひとつになり、ホールにざわめきという一つの塊となって反響する。

今日は12月5日。絹旗が働く保育園では学芸会の日。
園児たちが今日という日を迎える為に親をびっくりさせてやろうと内緒で練習を重ねてきた成果の発表の場である。
内緒とは言っても家でも練習をする子はするだろうし、早い時間帯に迎えに来た親などは保育士と共に練習を見学したりもする。
故に、バレバレだ。


隠し通せているつもりなのは園児のみ。

保護者は知ってて知らぬフリをし、保育士はそれを承知でおくびにも出さずに保護者が満足の出来る水準まで子供たちの芸を指導してやる。


絹旗は断言しても良いと思っている。
学芸会とは子供たちの芸を発表する場ではない。


子供たちの頑張り、時に失敗、そして一人で出来たつもりになって得意になっている小憎らしさに萌える日なのだ。
そう、園児たちのドヤ顔に悶える日なのであると。


328 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 21:46:54.26 ID:ilscuxnU0



そして、目の前の光景を見る。
絹旗の前には二組の家族。
絹旗は、すでに予感めいたものを覚え疲労を蓄積し始める気の早い自分の身体にうんざりする。

もうすぐ保護者の席へと案内をしなければならないのであるが、園長の計らいによってしばし、絹旗は歓談の時間を与えられていた。


一組目の家族に目を向ける。

ビデオカメラを片手に、数年前よりも体つきのがっしりとした男。
その傍らで、ぽややんとした空気を嘗ての3割増の女。
美人の部類に間違いなく入るはずなのに、ピンク色のジャージのせいで台無しになってしまっている服装がっかり美女。

息子の晴れの舞台の為に仕事を休みにしてきた父親、家事を切り上げて同じく駆けつけてきた母親。


お手本にしたいくらいの良い両親だ。
ただ難癖…もとい、注文を付けるとしたら一つ。

「カメラ片手にニヤニヤ顔の浜面…壮絶にキモいです。もはや犯罪の光景の一部ですよ。保育園より鉄格子が超似合いそうです」
「ちょっとぉ!!最近の保育士さんはみんな保護者にこんな態度なんですか!?」
「頑張ってしあげ。そんな田代の再来と言われているしあげを私は応援している」
「超健気な妻の愛です。浜面には超もったいないくらいの」
「保護者になっても変わらないのね、俺の立場…」
「ま、きちんと休みを取って馳せ参じたことは評価してあげます。あの子ずっとお父さんも来てくれるかな…って心配してましたから」
「そ、そうかぁ!!いや〜ホント参ったな〜男なんだからもうちっとしっかりしねーといけないのに」


言葉と表情の見事な乖離。


父親 ――― 浜面仕上の顔が瞬く間にデレデレになる。


329 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 21:49:09.09 ID:ilscuxnU0

キモいと心の底から思いながら、絹旗は隣の旧姓滝壺に目をやると、彼女は相変わらずにこにことしている。
お母さんっ子にして、お父さんっ子である二人の子供の不安そうな顔を思い出す。
一体どれだけこの男は甘やかしてるのやら…とため息が出そうな時がある。


「まぁ、奥様方の下着をそのカメラで盗撮したりしない限りはキモい浜面でも保護者らしく見えますからね」

「どんだけお前の中の俺の地位は犯罪者よりなの!?」

「大丈夫。しあげはそんなことはしない」

「理后……」

「しあげを私は信じているから」


心ない妹分の言葉に涙目になりかけていた浜面の手をそっと彼の妻が握る。
優しい言葉に、浜面の顔が生彩を取り戻してく。




「もししたら地下室ね、しあげ」
「ひぃぃぃぃーーーーッ!!」




最後に押された念押しに、浜面が悲惨な声を上げる。
締めるるところは締める、釘を刺すところはきっちり刺すのがこの数年間の夫婦生活の賜だろう。



そして、絹旗はもう一組に目を視線を移した。

絹旗の疲労を更に増加、否、倍加させうる問題の一家だ。



330 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 21:51:44.96 ID:ilscuxnU0


「ちょっと、ビデオの充電はばっちりなんでしょうね?」
「あァ?てめェ誰に物言ってやがるンですかァ?満タン、メンテもばっちりの最新型だコラ。原子崩し食らってもビクともしねェ未元制だ」
「ああ、初春さんの彼氏さんの手作りか…」
「てめェこそ、興奮し過ぎて放電すンじゃねェぞ?他の親御さんのビデオまで壊したら想の立場がやべェンだからなァ」
「壊さないわよ!!レベル5何だと思ってるのよアンタ」
「ハンッ。この前ゲコ太の映画見て劇場スパークさせたのは誰だっけなァ」
「あ、あれは仕方がないのよ。ゲコ太がまさかあんなことになるなんて…」
「サブタイで気付よ。「ゲコ太最後の日」って思い切りネタバレしてンじゃねェか。想の方が冷静だったぞ」
「うううう、うるさい……大体ね、想は単にゲコ太よりもラビ太郎派なのよ」
「ああ、あの目つきの悪いウサギかァ…アイツの趣味もわかンねェなァ…」
「………まぁ、アンタならそういうと思ってたわよ。ええ、そうでしょうね……あ!絹旗先生。ゴメンなさい、煩くしちゃって」
「主に煩かったのはお前だけどなァ…」
「うるさい!!あ、ゴメンなさい…」



「いえいえ〜超気にしないで下さい。そこの白いのが誰とイチャコラしてようと超々どうでもいいですから」

こめかみをひきつらせながら絹旗は全力で笑顔を作る。
本当は、イチャイチャしてるんじゃねぇこの真っ白白助!!と言ってやりたいのをグッとこらえる。
やべぇ、もう少しで窒素パンチが出るところだったよ、とエプロンのポケットの中で右手を抑えながら絹旗はかろうじてこみ上げていた怒りを飲み込む。


だって絹旗、先生ですから。


そう、こちらが問題の一組だ。
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 21:54:54.20 ID:0LLndCbN0
>>323-325 お前らwwwwww

他にもスレ立て…だと…!?
乙乙、楽しみにしてます。


それにしても想ちゃんは何味のスパゲッティが好きなんだろうなあ…
ミートソースの時はお口の周りがベトベトになるんだろうか…
実はベトベトにした口をあーくんに拭うのが嬉しかったりするのだろうか…
332 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 21:54:59.78 ID:ilscuxnU0


「よォ、何変な顔してやがンだ。笑ってンだか怒ってンだかわかンねェツラだな」

遠慮もなく、ズバズバと言葉を選ばない白髪の青年。
手には浜面の手にしていたものと0の数が二つばかり違いそうなビデオ。
黒のジャケットに、緩くシルバーアクセの付いたネクタイを締めてると、まるでヴィジュアル系かホストだ。

長身痩躯の美形、白髪に赤目のアルビノは目立つのか、周囲の奥様がたがしきりに熱い視線を送っている。


正直、面白くない。


「何でもありませんよ!!想ちゃんの晴れ姿しっかり撮るんですよ」

「言われるまでもねェンだよ、ボケ。それよか、さっさとテメェも戻らねェとなァ。年長組だったけか?テメェのお遊戯は」

「鉄板ですか!超鉄板ネタですか!それでとことんイジリつくすつもりですか!!」

「だってよォ〜お遊戯の練習してっと見分けつかねェしィ〜」

「こら!先生にそんな口のきき方する保護者がいるか!!ごめんなさいね、絹旗先生」


ぺこりと申し訳なさそうに頭を下げるのは先ほどまで一方通行と漫才じみた言い合いをしていた女。
絹旗よりも10センチ以上高い背に、スレンダーな体型。
典型的なモデルのようなルックスに、短くばっさりと切られた琥珀色の髪。
娘そっくりの顔立ちと髪の色。それもそうだ。


御坂美琴、絹旗が受け持ち、もっぱら目を掛けて可愛がっている少女 ――― 御坂想の母親だ。



333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/02/09(水) 21:55:38.51 ID:ux2smtV9o
田代の再来wwwwwwwww
334 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 21:56:54.17 ID:ilscuxnU0


「いえいえ、それにしても今日はよくいらっしゃいましたね。てっきりまた、一方通行だけが来るのかと」

「研究はもう今日は妹に任せても大丈夫だったんで。いつもいつもコイツばっかり想ちゃんの可愛い姿リアルタイムで見られるのも悔しいですし」

「けけけけけ、雛祭りも七夕も月見パーリィーもハロウィンも制覇した俺に死角はねェ」

「ずるいわよアンタばっかり…ビデオカメラで想ちゃんの可愛い姿見てても、副音声ばりに隣で、想ちゃんと思い出話で盛り上がっちゃってさぁ」

「ケッ…だったら、ちったァ少し家にいるンだなァ」

「わかってるわよ、もう」


唇を尖らせる美琴と、意地の悪い言葉とは裏腹に、優しい眼差しを彼女に送る一方通行。
周囲には美男美女の若い夫婦に見えているだろう。
絹旗だって、事情を知らなければそう思う。



そんな二人を見ていると、胸が苦しい。


そんな色っぽい空気はないというのに、それ以上に飾らない、力の程良く抜けた空気が絹旗の知らない年月を感じさせる。


「そうですよ、御坂さん。想ちゃんいつも「あーくんが、あーくんが」って言ってるんですから。そろそろママの存在感も出しておかないと」

「……先生までコイツと同じこと言う……ってまぁ、自業自得なんだけどさ」



美琴があはははと、自嘲気味に笑う。
その笑みを見ながら、絹旗は安心する。
彼女がどれだけ忙しい立場なのか、一方通行や妹から聞いているだけに絹旗はわかっている。
それでも、こうして何とか時間を作っては想の為に使っている。
そのことに絹旗は安心するのだ。
彼女は、しっかりと想を愛しているのだと、絹旗にはわかるから、安心するのだ。

あの無垢でいじらしい少女が、きちんと母に愛されていることが、絹旗は嬉しい。

335 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 21:59:11.48 ID:ilscuxnU0


「それじゃあ、もうすぐで始まりますから。今のうちにお手洗いとか済ませておいて下さいね」
「やっとか。待ちくたびれさせやがって…」
「想ちゃんは年少さんですから、一番手ですよ」


絹旗は手を振ると、その場を立ち去る。





                    ◇




そんな彼女の後ろ姿を見送りながら、ぽつりと美琴が呟いた。

「可愛い人だよね、絹旗先生って」

可愛いもの好きであり、自身、年々「凛々しい」と表現される姿に成長していく美琴にとって絹旗は羨ましかった。

一方通行よりも頭一つ分は小さい、華奢な身体。
厚手のセーター越しにもみっしりと存在感を示す胸。
幼い顔立ちに、くりくりとした大きな瞳。


人懐こい笑みがそこに加われば、天下無敵の可愛い保母さんだろう。


336 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:01:23.23 ID:ilscuxnU0

「あんなに可愛かったら男は放っておかないわね」

「だろォな。確かに可愛い奴だからな」



絹旗が去っていった方をしばらく眺めていた一方通行は、ビデオの操作を確認している。
興味の無いような横顔に、美琴はチェシャ猫のような笑みを向ける。


「へぇ〜〜」

「なンだよ気持ち悪ィ笑いしやがって。沈めるぞ?」

「別に〜アンタ本当にツンデレよね。先生の前じゃ憎まれ口たたいてるくせに、いなくなるとデレるのね」

「はァ?意味わかンね。何言ってるンだ」

「さっきのを先生に言ってやれっていうだけの話」

「フン…」






                    ◇







準備を終えた年少組の子供たちの中に少女の姿を絹旗は探すべく見回す。
今日のお遊戯、猫をモチーフにした踊りに合わせ、園児たちは猫の格好をしている。

猫の耳に、猫のしっぽ。

男の子は着ぐるみのモコモコ姿。

女の子はファーをところどころあしらったワンピースに毛皮の手袋とブーツ。

多少媚びているとはいうものの、犯罪的な可愛らしさに絹旗はくらりと来る。



今日だけはショタコンじゃなくて良かった。
さらって行きたくなる可愛らしさだ。

337 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:04:45.38 ID:ilscuxnU0


目的の少女を見つけると、すぐに絹旗は駆け寄る。


「想ちゃん。ママ来てましたよ」

「ホント!?」


茶色のスカートにしっぽ、手袋にブーツ。
鈴が付いた赤い首輪に、茶色の猫耳。
贔屓目ではなく、純粋に想は年少組の中でもダントツで可愛らしかった。

絹旗は抱きしめたくて仕方がなくなる。
しかし、想を抱きしめれば当然他の子達も抱きしめなければならない。不公平だから。
それを鬱陶しい義務だとは思わない。

愛らしい園児達を抱きしめるのは、先生の特権だと思っているくらいだ。

ただ一人一人抱きしめてる時間も無い。
だから、グッとこらえる。


想は、母親が来ると聞いて頬を赤くして笑う。
滅多にこのようなイベントに来れない母親が来てくれていることが嬉しいのだ。
想はおそるおそる絹旗を見上げる。



「あーくんもいる?」

「当然。あーくんが今まで来なかったことがありますか?」


想はあわてて首を振る。

しかし、僅かな間を置いて想の顔が曇る。


338 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:07:16.61 ID:ilscuxnU0

想の不安はわかる。
滅多に来れない母親が来てくれたという喜び、幸せ。
だから逆に不安になったのだ。これは夢じゃないのか?と。
もしくは、一方通行が来れなくなったから、母親が代わりに来たのではないのかと。


母親には来て欲しい。しかし、一方通行が来てくれなくなるのも嫌だ。



だから不安になったのだろう。
二人いっぺんに来てくれるなどという幸福に、想はすぐに信じることができなかったのだ。


そして、もう一つ。


大好きな二人の前で、前のように失敗してしまったらどうしようかという不安。



二つの不安が想の表情を曇らせたのだ。



そんな少女の幼いながらも、健気で少し痛ましい想いがわかって、絹旗は想が愛しくなる。
まさに文字通り子猫な想の頭をなでてやる。

「想ちゃん、いっぱい頑張りましたよね」
「うん」

少女は強くうなずく。
絹旗はにっこりと笑う。


「でも、上手に出来るのか不安なんですよね」
「………」

沈黙の後、想はこくりと頷いた。
素直でよろしいと、心の中で想を褒める。






「想ちゃん……想ちゃんの大好きなあーくんやママは上手に出来ないと怒ったり想ちゃんのこと嫌いになったりするんですか?」

「え?」


339 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:08:56.65 ID:ilscuxnU0


少女には少々難しい問いだったかと、口にしてから後悔した。
想は、きょとんとした顔で、絹旗の言葉をゆっくりと咀嚼していく。
そして、ゆっくりと、首を横に振る。


しっかりとした、意志の宿る瞳。


自分で考え、意味を理解したという少女の瞳に絹旗は感心の息を漏らす。


この子は自分の言葉の意味を感覚で理解している。



一方通行も、美琴も想が上手に出来ないことに失望などしたりはしない。
当然だ、失敗など誰でもすることだと、幼い少女と違って彼らはわかっているから。


彼らは責めることなどせず、少女を褒める。そこまで頑張ってきた少女の努力を知るから。
上手に踊れるかどうかではなく、一生懸命に踊るかどうか。

彼らは想のそんな姿がみたいのだ。だからこそ、想の心配は杞憂にすぎない。そのことを絹旗は教えてあげたかった。
立場的に、失敗しても良いとはいえないからこそ、遠回しに、そして四歳の少女には困難な問いかけを行う。

340 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:12:43.42 ID:ilscuxnU0






「せんせぇ……想がんばる」





母親譲りの瞳が、力を帯びる。幼いながらも、凛とした光を宿した瞳だ。



「ママよろこんでくれるかな……?」


緊張をはらんだ瞳で見上げてくる。

マシュマロのような頬を両手で包み、額を当てる。

少し潤んだ大きな瞳と、絹旗の柔らかな瞳が合う。

341 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:14:07.94 ID:ilscuxnU0


「はい、とっても。ハグハグぎゅーってしてくれますよ」

「えへへへ…じゃあ…あーくんもうれしいかな」

「感涙するんじゃないですかね」

「おでこにちゅーってしてくれるかな」

「それはもう、何回でも。先生にもついでにしてくれるくらいテンション上がるでしょうね」

「せんせぇはだめ。でこチューは想の」

「あ、そこ超ハッキリさせるんですね」


どさくさ紛れの言葉でさえも、少女は聞き逃さない。


「想ちゃんは本当にあーくんが好きなんですね」

「うん」

「じゃあ、喜ばせちゃいましょう」

「うん」

「上手にじゃなくて、一生懸命踊りましょう」

「うん」

「きっと、頑張ったなァって言って喜んでくれますよ」

「うん!!」

「きっと大丈夫ですから。今日の想ちゃんにはあーくんと、ママと、それから……」


少女の紅葉のような手を握る。



「先生も付いてるんですから。超大丈夫ですよ」


342 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:16:10.95 ID:ilscuxnU0

「えへへへ。せんせぇもだいすき」

「先生も想ちゃん大好き」

「想はね、ちょーだいすきだもん」

「あ、超取りましたね〜」

「ふにゅぅ〜」


ほっぺたをぷにぷにとこねてやる。
すっかり緊張の抜けた少女のひまわりのような笑顔をみて、絹旗は一安心する。


もう、これでこの少女は大丈夫だ。


この前のように、泣き出したりなど絶対にない。



「さ、みんな」


絹旗が手を叩くと、それまで銘々騒いでいた子供達が絹旗をみる。
それを確認すると、絹旗は優しく、そして、イタズラを企む一人の子供のように笑う。


「にゃんにゃん可愛く、一生懸命踊りましょう。お父さんとお母さんを超びっくりさせちゃいましょう!!!」



「「「「おー」」」」


絹旗が手を振り上げると、園児達も、楽しそうに手を上げる。



「さぁ、超楽しんできちゃいなさい!!」




愛しくて可愛い子供達を、絹旗は、安心出来る温かな笑顔で送り出す。






343 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:17:05.77 ID:ilscuxnU0






さて、ダンスの結果であるが、ある意味当然の、絹旗の危惧した通りのものになった。






344 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:20:33.83 ID:ilscuxnU0




「んきゃーーーー!!!!想ちゃん可愛いーーよ!!!にゃんにゃんにゃん〜ああんも〜可愛い〜〜想ちゃぁ〜ん」

「ええっと…お母様、他の保護者の方々もいらっしゃるのでフラッシュとあと放電の方はご遠慮下さい」





「いいねェ、いいねェ〜最っ高にゴキゲンに踊れてンじゃねェかァァァーーーーーー!!!エンジェル爆誕かコラァ!想、マジ天使ってかァ!!くか!!……くか、かかきききかくけけここかきくけこかかかこくききくけかきくけーーーー」

「天使は貴方ですから、輪っかと羽をしまって下さい、超しまって下さい………しまえぇぇぇぇーーー!!!!」




345 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:24:15.03 ID:ilscuxnU0

以上で投下終了。
周りに誰も居ない時の一方さんは娘さんのおでことかにチューくらいします。
前々回は絹旗が寝てると思って油断してたのです。
でも、娘さんは自慢したくて仕方が無いので、話まくってます。絹旗先生やママやお姉ちゃんズに。
先生経由で浜面夫妻や土御門等元グループメンバーに伝わり、ママ経由で佐天さんや初春や黒子に伝わってます。
ばれてないと思ってるのが一方さんだけです。

それではまたノシ
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 22:25:46.76 ID:j+DtHw9AO


絹旗先生が超可愛くてヤバいです
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 22:26:19.11 ID:KoaihRLSO
あーくんマジ天使
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 22:27:35.08 ID:ZDhXPnDho
ダメだこのレベル5ズ・・・早く何とかしないと
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 22:27:55.95 ID:ZmZzL5ado
>初春さんの彼氏

ていとくぅぅぅぅぅん!?!!?!!
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 22:32:14.26 ID:dVY7kzSPo
おつー
浜滝に美琴に一方さんにこの親馬鹿共微笑ましいですなぁ
絹旗先生良い先生だね
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 22:32:31.23 ID:THGRKnSUo
セロリさンマジ天使!
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 22:42:14.51 ID:1XFdPbx3o
他のスレタイはなんだ?
353 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/09(水) 22:44:39.01 ID:ilscuxnU0

上条さんが主人公で一方さんはサブキャラということだけ言っておきます。
きちんと完結させる目処が立つまでは秘密裏にしておこうかなと。
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 22:46:19.68 ID:84aNWpkco
おィ、この想ちゃンって子はもしかして天使ですかァ?
可愛すぎるンですけどォ
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 22:51:30.46 ID:/McrGq7/0
超おつですよ。。
あれ?この主って帝春も書いてたっけか?おぉ、教えて下さい。超読みたいです。
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 23:21:56.30 ID:oAekBF+Jo
くっそwwww可愛過ぎてwwww
2828が止まらない、切実に。

おつ
ちょっと冷蔵庫殴ってくる
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 23:26:21.27 ID:XdZJesNBo
クソッ……なんて安定した一方通行愛を見せてくれるんだ……
乙!
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 23:27:56.83 ID:DrjU8BNVo
まったく関係ないけど、菱沼聖子は怒ると静電気を出す
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 23:56:52.06 ID:idY4XaLS0
想ちゃんの可愛さはレベル6だなぁ
ちくしょう!この胸のときめきが止まらないぜ!
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 23:59:18.73 ID:QT6AW0Bko
待ってたかいがあったぜ。かわいすぎて爆発する。

お陰で明日の受験は成功しそうだ。
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/10(木) 00:03:02.67 ID:+jflfVov0
くっそかわいすぎる

天使かした一方さんと放電中の美琴とか周りの視線を考えるとww
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/10(木) 00:57:46.42 ID:u3CIrnfW0
乙乙

天使化にスパークだとwwwwww
本当に窒素装甲先生がいて良かったですね…本当に

あーくんと美琴さんは保護者のハートを掴んじゃいそうだな…

>>360 受験頑張れ超頑張れ
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/10(木) 01:12:27.89 ID:/8ysBSvAO
御坂想
上条当麻

とうまそう…

Q.E.D
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/10(木) 01:41:21.06 ID:b1jfGYH90
他のスレと思われるもの読んできた。
>>1の書くSSはどこでも一方さんがイケメン過ぎてマジ困る。惚れるやろがい。
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/02/10(木) 11:17:43.53 ID:Ynpb9HcV0
さりげなく帝春があって超俺得
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/10(木) 11:18:05.21 ID:LooV+30AO
佐天さんに2秒でだまされてコマされて尻に敷かれた一方さんも居たような
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/10(木) 14:38:12.16 ID:s5/J+nsSO
輪っかと羽をしまえってどんな注意、一方さんマジ天使
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/11(金) 00:39:24.87 ID:XF19nrJ9o
>>366
kwsk
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/11(金) 07:49:20.83 ID:XDnHlbzDO
> 一方通行よりも頭一つ分は小さい、華奢な身体。
> 厚手のセーター越しにもみっしりと存在感を示す胸。
> 幼い顔立ちに、くりくりとした大きな瞳。





> 厚手のセーター越しにもみっしりと存在感を示す胸。


> 厚手のセーター越しにもみっしりと存在感を示す胸。


370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/11(金) 08:16:30.14 ID:kxsh2sfXo
( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/11(金) 09:32:44.50 ID:iPkKi9BDO
そこに気付くとは……やはり天才か……
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/11(金) 11:53:34.75 ID:t9xDiQUf0
おいおい、絹旗にぬかりは無いぞ。
窒素装甲に決まってるだろ。形も張りも柔らかさも温もりも自由自在だ。LV5と呼んでも良いくらいだよ。
部屋の電気さえ暗ければ最強だ。
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/11(金) 21:35:08.37 ID:iPkKi9BDO
『窒素偽乳』
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/11(金) 22:30:09.73 ID:qgmOFgfFo
白いのが
巨乳好きとは
限らない
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/12(土) 00:08:15.79 ID:Z+SSz4/AO
>>368
佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/12(土) 01:03:51.78 ID:Igq8fR5Y0
>>374
だが黄泉川、芳川、結標、ミサワと
白いのの周囲には一定水準以上の持ち主が多いという罠
となれば彼の価値観も次第と…
って中一にして規格外の持ち主の無能力者が言ってた
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/12(土) 12:59:34.00 ID:vO+OVyzF0
>>374 な・・・んだと・・・。絹旗はそれに気づかずに巨乳に偽装を・・・。なんて健気な絹旗たん。
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/12(土) 17:37:13.12 ID:ROQdW0MDO
モアイたんは責任持って俺が引き取るよ
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/12(土) 19:40:16.54 ID:5McF79hAO
>>378
イースター島から頑張って持って来い

その間俺は最愛ちゃんとイチャイチャしとくから
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/12(土) 19:56:24.53 ID:6UsGt74Go
なんで絹旗が偽乳特戦隊であることが前提なんだよ。
種島ぽぷらの例もあるだろうに。
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/12(土) 21:03:12.96 ID:vtMcOi9io
ロリ巨乳は至高
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/13(日) 02:54:10.26 ID:6wWdZ2CDO
婆貧乳もいいですよ、美琴さン
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 03:47:39.59 ID:Icge6i9AO
まだー?
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 04:18:14.12 ID:MQgRZtB70
この時間じゃもう寝ているだろうさ、無理せずゆっくり投下してくれればいい。
385 :sage2011/02/13(日) 04:19:21.30 ID:MQgRZtB70
すまん。忘れていた。
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/13(日) 04:20:43.11 ID:MQgRZtB70
間違えた…orz
387 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 03:19:38.52 ID:X2Y/8/8V0
昨日力尽きていたので投下できませんでした。
今日投下します。22時くらい予定です。では!
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/14(月) 03:59:53.32 ID:cksFiYAyo
期待
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/14(月) 07:45:33.27 ID:s+Mn80UDO
>>387
待ってる
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/14(月) 12:14:29.42 ID:gR2yYGxeo
想ちゃぁぁぁん結婚してくれーー!!
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/14(月) 16:21:05.43 ID:e0NRn7ADO
>>390こんがり焦げた愉快なオブジェが超邪魔です
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/14(月) 19:35:34.78 ID:ZCpk5ITjo
このスレ読んでると心がフワフワしてきもちいい
393 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 21:16:23.86 ID:4+Gzf6Dv0
10時までに間に合わないので、今日中に変更。
バレンタイン想ちゃんパートが間に合わぬのです…
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/14(月) 22:53:03.37 ID:s+Mn80UDO
>>393
バレンタインSSはもう諦めたわ
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/14(月) 23:26:01.93 ID:TwDIRduco
>>394
お前がチョコもらえたかったからといって、
このSSを殺していいことにはならねェだろォがァ!
396 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:35:06.29 ID:Rii4WmjZ0

アレイスター「このしつこいくたばり損ないが……いいだろう…
       今度こそ木っ端微塵にしてやろう…あのアステカのように…」

一方通行「あのアステカ?



         海原のことかァァァーーーーーーーーーーーーーー!!!!」





投下開始します。
397 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:38:45.19 ID:Rii4WmjZ0



一方通行は緊張をはらんだ瞳で、じっと女の唇を見つめる。
その瞳には、紅の色に劣らぬ情熱が立ち上る。
女の唇のなまめかしい動き、その一つ一つを見逃さぬように、じっと見つめる。
女は、舌の上に溶けて行くほろ苦い甘みを吟味するようにゆっくりと神経を舌に張り巡らせる。
やがて、女の手がゆらりと上がる。そして、白く細長い親指が突き立てられる。



「合格!!」


佐天涙子はサムズアップをする。唇の端にチョコレートを付け、満面の笑みで。
一方通行はホッと小さく溜息を吐くと、すっかり冷め切ってしまったコーヒーを飲む。
佐天はチョコレートマフィンをぺろりと平らげると、物足りなさ気にじっとマフィンが乗せられたプレートに視線を送る。
一方通行が佐天の視界から隠すように間に割り込む。
彼女の視線に軽く危機感を覚えたからだ。



「もう一個…」

「ダメだ。他にやる分が無くなる」


眉間に皴を寄せて、軽く睨む。
軽いといっても、気の弱い者ならば失神してしまいそうな鋭い視線である。

しかし、佐天は何処吹く風とばかりに、にぱっと笑う。




「うんうん。よくぞここまで苦手なお菓子を自分の物にしましたね。先生嬉しい!!」



腕を組んで頷くと、佐天はそっと自分のお腹を見下ろす。


398 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:40:35.52 ID:Rii4WmjZ0


「……ホント、味見に協力した甲斐もあったというものです。私の摘めてしまいそうなお腹も草葉の陰で…」
「どれどれ」
「ひゃんッ」



それは本当に何気ない行為であった。
佐天の言葉に対して一方通行は純粋に疑問に感じた。

腹が摘めると嘆く佐天。

太ったようにはとても見えない彼女。

スレンダーな身体で、唯一スレンダーという枠組みから外れているのは胸部のみ。

美琴が酔うたびに『胸に脂肪が全部行ってるのよ!!』と羨望と妬みと嫉妬と、嫉みと僻みと憎しみを吐き出す相手。
だから、不思議に思ったのだ。


『嘆くほど太ってンのか?』と。


むにゅっと佐天涙子のお腹を指で摘む。



「これくれェならいいンじゃねェのか。寧ろ ――― 痛ェェ!!」



寧ろ健康的で良いじゃないかとほめようとしたところで思い切り足を踏みつけられる。



「馬鹿!!変態!!最低!!助平!!」




顔を真っ赤にした佐天が眦を釣り上げる。


「この……踵で踏むこたァねェだろォが。たかが腹摘んだくれェで……乳揉んだわけじゃねェだろォが」

「当たり前です。揉んでたら責任取ってもらいます!!」

「なンのだよ!!」





399 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:41:52.60 ID:Rii4WmjZ0



そんなキッチンでのじゃれ合いを忌々しげに眺めている視線が二組。
瓜二つの顔、姉妹としか思えぬ二人。片方は凛とした瞳に、まだ子供らしさが抜け切らぬ幼い輪郭を持つ少女。
もう一組は、程よく熟した果実のような艶かしい身体付きに、優雅な長い手足を持つ女。
少女に似て美しいものの、瞳の鋭さが近寄りがたさを生み出している。


「チッ…いちゃいちゃしてんじゃねーっての…」

忌々しげに番外個体と呼ばれている女は舌打ちをする。
優雅に組んでいる長い足のつま先を苛立たしげにぶらぶらとさせる。


「あの人って、ああいうのが好きなのかなってミサカはミサカは……ど、どうでもいいけど、一応気に掛けてみる。ホント、どうでもいいんだけどね」


セーラー服姿の少女が背中まで伸びた髪をかき上げる。
どこか不機嫌な猫の如きつんとした表情は、少女の心境を言葉よりも遙かに雄弁に物語る。


400 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:44:10.09 ID:Rii4WmjZ0


「せっかくクソ忙しい合間を縫って義理チョコくれてやりに来てやったミサカを放置プレイとかあり得ないんだけどあのクソアスパラ」

「ミサカだってテストも終わって、友達と遊びに行きたいのを我慢して来てるんだよ?一応、保護者だし。義理だけは立てておかないといけないしさ」

「何様だってんだよアイツ。勝手に出ていってさ」

「ホントそうだよね。ミサカ達のこと守るって言っておいて、この数年思い切り放置だし」

「マジでロリコンだろ。アンタがでかくなったから興味が失せたんじゃない?」

「そ、そんなことは無いんじゃないかな〜もっとも番外は最初から眼中に無かっただろうけどさ。番外なだけに」

「は?ブチ殺されたいのかにゃーん?クソガキ」

「やれるもんならやってみたら?言っとくけど、この前の測定でミサカもレベル4になったから。 もうアンタに劣る要素なんて一つも無いよ?ってミサカはミサカは痛んだ髪を誤魔化す為に
 未だにセミロングにしてるミサワをあざ笑ってみたり」

「けけけけけけ。『ロングヘアで料理上手』っていうアイツのタイプに近づこうと涙ぐましい
 空回りっぷりを発揮してるお子ちゃまにミサカが負けるはずないじゃん。
 あとミサワって言うな」


姉妹のような二人は、口々に辛辣な言葉を口にしながらも、視線は決してキッチンの二人からそらさない。
視線の先の一方通行と佐天の一挙手一投足に注意を払っている。


互いに目の前の自分うり二つの顔を罵りながらも、彼女達の目は一番油断のならない相手をきっちりと見据えている。


401 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:46:10.12 ID:Rii4WmjZ0
二人はというと、マフィンの他にも様々なお菓子を作り終え、現在は一方通行の作る夕食の準備を手伝っている。
相変わらず惚れ惚れするような手際の良さだと、内心佐天の手つきに感心していた一方通行が、佐天の顔に視線を留めた。


「オイ、佐天」
「はい ?なんで ――― んんッ ――― 」

ポトフの微妙な味付けに没頭していた佐天が振り向くと、細長い指が彼女の唇に触れた。

「付いてたぞ」

白い指先に、先ほどのチョコレートが付いてる。

「あははは」

佐天は頬を赤く染めながら、照れ隠しに笑う。
子供のようにチョコレートを付けていたことへの羞恥心によるものだが、年頃の近い男に受けた不意打ちが彼女を少なからず動揺させた。

「ったく……想と一緒だな」
「あっ」

ぺろっと一方通行はチョコを舐め取る。
白い唇から覗いたぬらりとした舌の鮮やかさの艶めかしさに佐天は一層顔を赤くすると視線を逸らす。
落ち着かない気持ちを持て余すようにエプロンの裾を指でいじる。何でも無いように振る舞う一方通行が小憎らしい。
じとっと恨めしげににらむものの、彼は既に料理に集中している。何か文句くらい言ってやろうかとも思うが、先ほどの行為が佐天からその気勢を削ぐ。


402 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:48:10.68 ID:Rii4WmjZ0


「あン?どォした?」

「………想ちゃんにもよくやってるんですか?」

「やるって…ああ。まァな。アイツ結構食いっぷりがいいから口の周り汚しちまうンだよ。クリームやらシロップやらチョコレートやら……
 飯食うときも飯粒つけやがるし。ミートソースなンざ超鬼門だな」

「で、それを取ってあげてると?」

「いちいち指摘するのもメンドクセェからなァ」

愚痴っぽく呟いてから、一方通行は何気に隣を見る。
うつむいて、真っ赤になりながら怒ったように鍋をかき回す佐天を不思議そうに見る。
佐天は責めるように一方通行を睨みつける。
やや、間を置いて佐天はぼそぼそと口を開く。


「そういう事をするから……色々誤解されるんですよ」

「誤解?……フン、俺はロリコンじゃねェぞ」

「そっちじゃありません。もう、絹旗さんの言ってた通りだ…」


諦めたように佐天が深いため息を吐く。
一方通行はわけがわからないという風に怪訝な表情を浮かべる。
何もわかっていないだろう一方通行の顔を横目に、佐天は唇を尖らせる。

「そんなんじゃ想ちゃんいつまで経っても親離れ出来ないんじゃないですか?」
「ハンッ。俺はガキの躾には厳しいンだよ。余計な心配だ」

403 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:52:53.96 ID:Rii4WmjZ0


料理の傍ら用意しておいた打ち止めと番外個体用の紅茶と、お菓子をトレイに乗せる。
その自信満々な表情に胡散臭さを覚えながらも一応、佐天は尋ねてみる。だいたいの予想はついているのだが、一応。


「じゃあ、例えばどんなことを?」


「もう自分で頭を洗うようにしてる。あと、手洗いとうがいも欠かさずにさせてるしよ。料理の手伝いもしてるからな。
 チッ……コイツは予想以上に早く親離れするかもなァ…」


そう言って遠い目をする一方通行。
どこかその瞳は寂しげで、佐天ならずともきゅんときてしまう。もっとも、その内容が内容であればだ。



(今までずっと頭を洗ってあげてたってこと?というか、お風呂常に一緒ってことじゃないですか…お手伝いとか、どう聞いても一緒に想ちゃんがいたくてしてるだけのようだし…
 絹旗さんが酔っぱらいながら「想ちゃんになりたい!!超なりたい!!」って言ってたけど…)



おそるおそる佐天は確認する。


「……ちなみに夜は一緒に…?」

「ああ、あの馬鹿が帰れねェ日とか遅くなる日は一緒に寝てるな。ガキの体温あったけェし」





(ハイ、アウト!!親馬鹿だこの人。過保護だ凄く。超溺愛してるよ)


この分だと、やはりデコチューの話は本当のようだ。



(あ……私も想ちゃんがちょっとうらやまし…いえいえいえ、何考えてるんだか)




404 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:56:01.79 ID:Rii4WmjZ0



「よォ、待たせちまったか」

「待たせすぎだよ第一位。ほ〜んと薄い背中見てたらぶっ殺したくなっちゃった〜〜ぎゃはは」
「貴方ってさ、本当に礼儀知らずだよねお客を待たせておくなんて……ってミサカはミサカはこんなヤツが保護者という現実に嫌気が差してみたり」


「へいへい、そいつァ悪かったな。オラ、お前らの分だ」

紅茶と一緒に出されたのは、チョコマフィン。
自分と番外個体の分だということはわかっている。打ち止めは一口食べてからむっつりと口を閉じる。

「どォだ?美味いか」

自分のコーヒーを飲みながら一方通行が微かに瞳を柔らかく緩める。
この数年、家族や親しい人間にのみこの男が見せる表情だ。隣にちゃっかり腰掛けている佐天がちらりと盗み見しているのが、打ち止めの癇に障る。
しかし、それ以上に癇に障るのが、このマフィン。不味いのではなく、その逆。とても美味しいのだ。
彼らしい甘さ控えめな味付け。それが逆に何個でも食べたくなってしまう。女の子の敵のような味だ。
そして、自分が作るよりも数倍美味しいということもすぐにわかる。被らなくて良かったと安心すると同時に、自分の作ったものとの落差を感じる。


それはどうやら自分の隣りの番外個体も同じだったようで、唇を引きつらせながら、辛うじて強がりの薄笑いを浮かべている。


405 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/14(月) 23:58:22.86 ID:Rii4WmjZ0


「何だか美味しいお菓子が作れる一方通行なんて逆に気持ち悪いんだけど?ってミサカはミサカはすっかり主夫になってる貴方に呆れてみたりする」

「ああ、ミサカもそれ思った〜っていうかさぁ、これってあのおチビにはちょっと渋過ぎるんじゃない?」

「うん、想ちゃんはもうちょっと甘い方が良いと思うんだけど、こんなマフィンとか、ちょっと子供心をわかってないかもねってミサカはミサカは昔を思い出しながら言ってみる」

「ロリコンなのに、子供心がわからないとかマジ受けるんだけど〜」



「…お前らなァ…ったく、年々口が悪くなってきやがる。番外はともかく、打ち止めァァ…お前そんな毒吐きまくってて黄泉川に怒られねェのか?」

「お生憎サマ。ミサカ達が口が悪いのは貴方限定だからって…ミサカはミサカは衝撃の事実を言ってみたりする」

「つまり保護者ぶって気に食わない第一位にだけ辛辣だっていうことよ、わかるかにゃ〜ん」

「ふゥ〜ん。まァ、他所ではマシな振る舞いしてるっつーンだったら俺からは何も言わねェよ」




「………フン…」

「………ケッ…」

406 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:00:38.39 ID:Fe9d2dbe0


ありったけの毒を含んだ言葉を打ち止めと番外個体が向けても一方通行は子供の駄々のように簡単に受け流す。
大人びた少年、いや、今にして思えば大人ぶった少年だった一方通行。
しかし、今の彼は大人なのだ。大人ぶって気にしてないフリをするのではなく、今の彼は本当に気にしていないのだろう。
数年前だったら、16歳の少年の彼であったら、今頃キレて大声で怒鳴っていた。
そして、最終的に演算を切って喧嘩が終了という流れになっていた。

しかし、今、一方通行はMNWからの演算を受けていない。

科学の勝利と言えばそこまでであるが、その繋がりが消えたのと同時に、打ち止め達の中に言い知れぬ喪失感が生まれたのも事実だった。
その喪失感が、彼女に苛立ちを、そして一方通行への身勝手な反発を抱かせているのだ。或いはただの反抗期なのかもしれないが。




ちなみに一方通行は後者だと思っているのは周知の事実であり、報われぬ事実である。



「お二人とも、心配は無用。一方通行さんの師匠こと私、佐天涙子プロデュースの想ちゃん専用チョコレートケーキが用意してありますから」

「フッ……我ながら会心のできだぜ。俺一人じゃビターになってたが、佐天の力によってウチの想が喜ぶ奇跡の甘さが実現したってわけだァァ…くかかかかか…」

「二人の共同作業っていうわけですよ、ね、一方通行さん」

「おう」



407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:03:18.15 ID:jTTW9raDO
おま
408 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:04:07.88 ID:BhjEz1wI0

二人の共同作業という言葉に、打ち止めと番外個体が若干イラッとする。
打ち止めに至っては、『想』という言葉が一方通行の口から出てくること自体が正直気に食わない。


自分の居場所を完全に奪った少女だと、たかが四歳の子供だとはわかっているが、嫉妬せずにはいられない。


もっとも、姉のDNAに従ってすっかりツンツンツンデレになっている彼女はそれを認めないが。



「ミサカ帰る」

番外個体が立ち上がる。
顔は不機嫌そのもの。
もっとも、彼女はデフォが不機嫌、仏頂面なのであまり違いがわからないのだが。
つられるようにして、打ち止めも立ち上がる。
それは弾みとか、反射的なものであったが、これ以上此処にいても一方通行に辛辣な言葉を浴びせてしまうだけだと思うと、今更座ろうとも思わない。



「おォ、そうか。チョコすまねぇなァ」


彼女の不機嫌に気付いた風もなく、一方通行が軽く手を上げる。
番外個体の奥歯がぎりっと軋む音が打ち止めにだけ聞こえた。



(あ……この子相当苛立ってる)



もっともそれは自分も同じだけど、と打ち止めはそっと呟く。
番外個体は馬鹿にしたようにハッと笑う。

「べっつに〜彼氏と別れたからさぁ。本当はソイツにあげるつもりだったの。だから別にミサカは特別どうこうしたってわけじゃねーし」

「そうか。ってか、お前この前の野郎と別れたのか?いい加減だな…」

「ああ、うっさいうっさい。お説教は止めろっての。アンタ説教臭いオヤジになってきてんだけど?マジうぜぇんだけど?大体今更じゃん、ミサカが男と別れるなんて。
 もうさ、ズッポズッポにやりまくりの乱交パーティーしまくりなんだから、また男適当に見繕うだけだし」

409 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:06:28.31 ID:BhjEz1wI0



吐き出された汚らしい下品な言葉に、佐天が驚き、顔を赤くする。
慣れている自分でさえも正直ドン引きする。普段の番外個体は、一方通行と自分以外の人間が居る前ではそんなに下品な言葉を発することが無い。
つまり、それほど今の彼女は面白くないのだ。


「テメェでテメェの価値下げてンじゃねェよ馬鹿娘」

「 ―――― ッ!!」


番外個体が息を呑む。
静かに、諭すように向けられた言葉に、咄嗟に言い返すことが出来ず、黙り込む。

「で、打ち止め。お前も帰るのか?」

一方通行は、ちらりと打ち止めに視線を向ける。
その静かで、少し呆れた瞳にカチンとくる。

「ま、まぁね〜ミサカは流石に彼と別れたりしてないからさ。今から彼と遊びに行くんだよってミサカはミサカは充実した交際をアピールしてみる」

声が上ずっていないかという打ち止めの心配を他所に、一方通行は「そォか」と安心したように、そして何処か寂しそうに呟く。
期待していたものとはまた違う彼の反応に、打ち止めはむっとする。


そうじゃない。

そうじゃないだろう。

もっと、他に言う事があるんじゃないのか。


そう言ってやりたいのは、打ち止めも、そして番外個体も共通していた。


410 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:09:01.02 ID:BhjEz1wI0



「ガキらしい領分は守れよ。まだ責任も何も取れる年齢じゃねェンだ」




一方通行はぽんぽんと打ち止めの頭を軽くなでる。
一瞬、そのまま身を任せてしまおうかという甘い誘惑に駆られるが、すぐさま羞恥がこみ上げる。
手を振り払うと、打ち止めはキッと一方通行を睨む。



「だから、保護者面は止めて欲しいの!」

「そいつァ悪かったなァクソガキ」


しかし、一方通行はそんな言葉にも特に気にしたわけでもなく、からからと笑う。
少女が、順調に大人になって自意識を一丁前に持ち始めていることが、嬉しくて堪らないように。



「ったく……ガキ共がそろいも揃って色気づきやがって……気を付けて帰ンだぞ」



「バカ……」


一瞬、引き止めてもらえなかったことへの、落胆が番外個体と打ち止めの顔に浮かぶが、気付いたのは佐天だけであった。




411 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:14:16.23 ID:BhjEz1wI0





                       ◇








「おいぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーー!!!!全然ダメじゃねーーーか、この『嫉妬を煽って、気持ちに気付かせよう作戦』っての。
 ミサカにビッチ設定が勝手に付いちまっただけじゃねーか!!」

「う、う、ううう、煩い!!ミサカだって彼氏とラブラブ設定ってあの人の中で定着しちゃったんだよ!!!
 それにアンタ元々ビッチだから関係ないじゃん!!ってミサカはミサカは世間一般の常識として言ってみる」

「ビッチじゃねーし!!バリッバリの処女だし!!大体、アイツと会った時のヤツだって、告白されて五分で捨ててやった糞だし」

「乱交云々なんてアンタの勝手なアドリブじゃんかぁぁ!!全員ドン引きだったよってミサカはミサカは負の感情受けなくなっても変わらない貴女に呆れてみたりプークスクス」

「オイ、こら、クソ上位個体。テメェ最後笑っただろ今。笑えるような状況に無いのは一緒だろうが。
 つーか、お前アレなに?ツンデレキャラ?あれじゃあただの嫌なヤツじゃん。デレ無いだろ」

「ヤンデレビッチが吠えてらぁってミサカはミサカはテメェよかマシだよと嗤いつつ、あの部屋に最大の敵を残して来たことに気付いてみたりする……」




「いいよぉ………どぉせ妹扱いだって。最近ミサカわかってきたよ。アイツにとって親しい年下は全部娘か妹のカテゴリーに入るんだって」

「でも、あの先生は侮れないとミサカはミサカは危機感を募らせてみたりする」

「あのチビ巨乳か……超とか言ってガキっぽいくせに、あのアフロダイなミサイルとか……」

「あの人の貧乳属性に期待しようか……」

「それはそれで、お姉さまとか油断出来なくなるだろ……」

「………」

「………」

「………これからウチで作戦会議するけど来るってミサカはミサカはあの人から貰ったマフィンでお茶をすることを複雑な思いを抱きながら提案してみる」

「………ミサカも賛成するよ。作戦会議にも、お茶にも。マフィン美味しかったもんね」

「うん……」








                     ◇









412 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:16:55.38 ID:BhjEz1wI0



「想ちゃん、お手て熱くないですか?」

「だいじょーぶ」



真剣な顔で湯銭でチョコレートを溶かしている想を、絹旗は微笑ましく見つめる。
部屋中に漂う甘い香り。これは当分取れないなと、苦笑する。
エプロンはピンク。一方通行の家から内緒で持ってきたとは想の言い分だが、おそらくばれているだろう。
小さな少女の懸命な挑戦、それを邪魔する程野暮な過保護でもないということだろうかと、少し感心する。

今日はお休み。想は今、絹旗最愛の部屋に来ている。
目的は一つ。乙女の決戦の日、バレンタインデーのためだ。
今頃一方通行も想の為のチョコレートケーキを作ってる頃だ。
というか、余りに馴染み過ぎて違和感が無くなったのだが、何故あの男は毎年毎年バレンタインデーにチョコを用意するのだろうか。
それによってプライドを粉々に打ち砕かれた乙女達がどれほどいたことだろうか。


「まぁ……軽い気持ちでちょっかいかけてくるようなのが撃退されるのは超オッケーなんですけど…」

「ほぇ?」

「いいえ、何でもないです」

413 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:19:37.65 ID:BhjEz1wI0



思わず口に出して呟いていたらしい。絹旗は慌ててかぶりを振る。
想はすぐに目の前の作業へと取り掛かる。砂遊びの時も、ダンスの時もそうだが、この少女の集中力の高さにはいつもながら舌を巻く。
余り見惚れているばかりではいけないと、絹旗はフライパンに意識を向ける。
コーヒー豆が程よく香り立つように、慎重にフライパンで炒めていく。
想は可愛らしくハート型のチョコレートを製作中。
絹旗はコーヒー豆をチョコでコーティングしたお菓子を製作中だ。




「ねーせんせぇ」

「はい?何ですか」

「あーくんよろこんでくれるかなぁ?」

「勿論ですよ。というか、想ちゃんのが一番喜ばれると思いますよ」




ホント、マジで。



想はパァっと顔を明るくさせると、いっそ目の前のチョコレートに集中する。
とろとろに溶けたミルクチョコレート。少女は、祈るようにかき回す。
大好きな人にチョコレートを贈る日と知ってから、少女の立てた計画。




『あーくんにないしょでチョコを作って、あーくんをビックリさせるの!!』



それは計画と言うよりも、所信表明だろうと、絹旗は野暮なツッコミを心の中で唱える。
フンス、と小さな拳でガッツポーズをつくる少女が可愛かったのもあるし、自分も作るつもりだったのだから、一緒に渡せればという思惑もあったりする。



414 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:25:41.77 ID:BhjEz1wI0


「ところで、どうして一方通行は結構チョコ貰ったり……」

「うん。いつもあーくんいっぱいチョコもらってくるの。あーくん甘いの食べられないからいつもこまってるの」


彼は相当な辛党だったはずだ。
酒のあてにチョコレートが好きな者もいるが、生憎と彼はそうではない。
もっとも、それ以上に絹旗は『いっぱいチョコもらってくる』という件が気に食わないのだが。


「一方通行ってモテるんですよね結構……」

呟いてみてから、改めて認識する。
一体、あんな性悪男の何処が良いのだろうかと思うが、自分も人の事はとてもではないが言えないという事に気付く。

「だってあーくんやさしいもん。カッコいいし、ごはんおいしいし」
「ま、まぁ、カッコ悪くはないというか、良いといえなくもないというか…」
「それに、ぎゅーってしてくれるし、あたまあらうのとっても上手なの。それからねー、デコチューしてくれるし、えっと、えっとそれから…」


我が事のように想は嬉しそうにへにゃんと笑う。
そんな恩恵を受けているのは地球上で想ちゃんだけですよ、と言いたい気持ちをグッと堪える。


「だから、あーくん好きな人いっぱ〜いいるの。ええとね…」


少女がかき回す手を止めて、指を折っていく。
その確認作業に、絹旗は思わず紅葉のような手を凝視する。一体何人数える気なのだろうかと。


「あいほお姉ちゃんとききょうお姉ちゃんでしょ。みすずちゃんもだし〜」

ホッと小さく息を漏らす。
親愛というのも、少女の中では好きに当てはまるようだ。
というか、四歳の少女のに自分が何を期待して、何を不安に思っていたのだ。



「お姉ちゃん達でしょ、それからママに〜」


不安が的中し始めた。
少女の上げるラインナップにグレー臭が漂い始めた。

415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:26:05.12 ID:zQwUyD4Lo
番外通行は期待できないな、窒素通行か
416 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:27:32.88 ID:BhjEz1wI0


「あとワーストとオーダーのお姉ちゃんでしょ〜それからるいるい」

そして、友人の名前が出た。
無能力者であるが、心優しく、真っ直ぐな気性の持ち主。
美琴の紹介で友人になったが、個人的にも非常にウマが合う。
嘗て一方通行が上げていた『髪が長くて、料理が自分よりも上手い』という条件に、唯一当てはまるのは彼女ではないだろうか。





「それから〜せんせぇ!!」

「んにゃッ!?」





417 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:28:09.40 ID:BhjEz1wI0

「きぬはたせんせぇもあーくん大好きだもんね〜」


にぱーっと笑う想。しかし、絹旗はそこまで余裕があるわけではない。
いきなり口に出されると、流石に心の準備もヘッタクレも無いのだ。


「そ、それは…その…」

「あーくんのこと嫌いなの……?」

「――― ッ!?……ああ……そうじゃなくてですね……」


ただ、急な振りにビックリしたのだ。
自分の大好きな人を大好きな先生が嫌っているのではという不安が少女の表情を曇らせる。
絹旗は自分の軽率さに舌打ちをする。こんな子供を不安にさせてどうするのだ、と罵る。
熱くなっている頬はきっと暖房の効きすぎなのだと、言い聞かせながら、絹旗はにこっと笑う。


418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:28:13.47 ID:6M+zF2bXo
番外個体と打ち止めすら、電磁通行の可能性に怯えているというのに……
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:29:01.46 ID:zgmeRPEJo
ここの1なら番外編でやってくれるはず……!
420 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:29:21.02 ID:BhjEz1wI0






「先生もあーくんのこと大好きですよ。ええ、本当………超大好きです」






421 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:30:25.55 ID:BhjEz1wI0


10代の小娘じゃあるまいし、自分の感情がどんなものか、十分に把握している絹旗ははっきりと断言する。
これを本人に向かって言えればな、と自嘲気味に思いながら。
想は、その言葉を聞くと満足そうに頷く。
綿菓子のように甘くてほわほわとした想の笑顔につられて、絹旗もにっこりと笑う。


「想もね〜あーくんのことちょー大大だ〜い好きなの。せんせぇとおそろいなの」



マシュマロのような頬っぺたを桜色に染めて、何て可愛いことを言うのだろうかと、絹旗はきゅんとなる。
想は笑顔のまま、更に続ける。

422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:30:30.39 ID:aH4f8XLG0
絹旗さンよぉ…想ちゃんが最初に挙げた人物がグレーゾーンではないと思っていたのか(CV.島田敏)
423 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:32:44.65 ID:BhjEz1wI0











「だから、せんせぇだったらあーくんのあいじんになってもいいよ〜」









424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:33:40.79 ID:QCLbswK6o
oh…
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:34:06.99 ID:yq5o9rAlo
なん…だと…
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:34:12.70 ID:BiPzIMsqo
くっそわろたww
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:34:24.93 ID:zQwUyD4Lo
忘れてはいけないのはこの一方さんに彼女がいたこと。ワースト達をほってなにしてたんだ。
428 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:35:40.23 ID:BhjEz1wI0


「ぶふぉぉッ!!あ、あい、あい、愛人ッ!?想ちゃん!?」
「ほんとはせんせぇもあーくんのお嫁さんになりたいんだよね?せんせぇ……ごめんね?」
「ええ、それは超残念で、出来れば私もお嫁さんに……ってそうじゃなくて!!想ちゃん、それ誰に…?」
「はまちゃんのね、おとうさんが言ってたの〜お嫁さんは一人しかなれないから、他はあいじんっていうんだって。想ね、あーくんのお嫁さんになるの。だからせんせぇはあいじん。
 せんせぇ……ごめんね?でも、そうすればせんせぇともいっしょだもん。この前みたいにあーくんとせんせぇと寝れるんだもんね〜
 あれ?でもママもいっしょに寝たいからママもあーくんのあいじんになるの?あれ?お嫁さんがママになるから、あれ?」


想はだんだんよくわからなくってきたのか、しきりに首を傾げる。
絹旗は、目の前の無垢な四歳児から飛び出した単語の破壊力にうろたえる。



(何純粋な想ちゃんに超教えてるんですか!!はぁぁぁぁぁーーーーーまぁぁぁーーーづぅぅぅぅぅぅーーーーらぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー)








「へっきし!!」
「お父さん風邪?」
「いや、全然平気だぞーー?父さん強いからな!」
「しあげ、ハイ、これ」
「おお!!チョコレート。……そういや、この前想ちゃんにあんな事言っちゃって良かったのか?一応お前が説明してやれって言ったから教えたけど」
「小さいころからちゃんとした常識を教えるのが大人の務め。うさぎさんは照れ屋さんだから、きっとそうちゃんに教えてない」
「……うん、まぁ、一方通行が絹旗を愛人に云々なんて教えてたらママさんが黙ってないだろ……」
「大丈夫、私はうさぎさんに窒素デンプシーを食らうであろうしあげをポジティブに応援している」
「あれ?俺それって殴殺ルートじゃ……」




429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:36:09.75 ID:rCpM0BUo0
つまり娘や妹のカテゴリに当てはまらず特に断る理由が
見つからない黄泉川や芳川がその気になれば……!
430 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:38:32.76 ID:BhjEz1wI0





                    ◇




年は取りたくないものだ。昔は何でもなかった徹夜がこうも身体に堪えるとは思わなかった。
親船最中は老眼鏡を外すと、目頭を指で揉み解す。
濃厚に疲労の滲む表情には、今までに積み重ねてきた時が年輪のように刻まれている。
60を越え、増々精力的に活動する老いを知らないとまで言われている学園都市総括理事長の人には見せない姿であった。


「でも、ようやく軌道に乗ってきているのだもの……多少の無理は…」
「ババァが年も考えねェで気張るのは無謀ってンだよ」


本来ありえないはずの闖入者の声。
彼女の立場であれば、それこそ一大事であるはずの事態にも関わらず、おや、と親船は大した驚きも見せずに、声の方へと振り返る。
黒いスーツに、一つに結んだ白い髪。紅の瞳は、悪戯をしている子供を叱る親のように、苛立ちと呆れが半々になっている。
彼の手にある箱に目が行く。


そして、彼女はようやく納得する。



「そういえば今日は2月14日なのね」

「オイオイ…大丈夫なのかよババァ……」

「時間の感覚が中々掴みきれなくてね。最近忙し過ぎて」

「ケッ……こンな窓のねェ部屋に居るからだよ」


431 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:40:38.37 ID:BhjEz1wI0


白い髪の青年は親船のデスクまで近づくと、箱を置く。
親船は、苦笑する。


「毎年毎年、貴方も律儀な子ね」


箱を開けると、ふんわりと甘い香り。箱に触れるとまだ温もりが残っている。


「あら、マフィンなんてステキじゃない。いい紅茶があったし、お茶にしましょうか」

「俺は遠慮しておく。すぐに消えるから、その後で好きにしてな」

「そうするわね。それにしても……折角のバレンタインデーの夜にこんなおばさんのところに来てて良いのかしら? ―――― 一方通行」


一方通行は、親船の言葉を鼻で笑う。
何を今更下らないことを聞くのだと言わんばかりに。

「ハッ、盛ったガキ共がかこつけてヤりまくる日じゃねェだろ。元々は日頃世話になってるヤツ等に贈り物をする日だろォが」

「意外とそういうところ真面目よね貴方……ふふふ、ま、貴方の良いところかもしれないわね、そういう義理堅さ」


マフィンの箱を閉じると、脇に置く。

432 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:42:51.88 ID:BhjEz1wI0



「それで、想ちゃんは元気かしら?」

「ああ、母親に似ようと父親に似ようと、アレが大人しいタマかよ。それから……今更になったが、保育園の件……すまねェな」

「バレバレだったみたいね」

「当たり前だ。レベル5のガキと、実質レベル5のガキが通う保育園の保育士がレベル3やら4ばかりなンざ、作為的じゃねェって思える方がどうかしてる」


皮肉げに笑う一方通行を、親船は静かに見る。


「対外的に今が正念場だからね。『8人』のレベル5、これが最大の武器であり、同時にネックでもある……だから全力で保護しないと……」

「魔術サイド対策か?だが向こうは……」

「まだいるのよ。そういう手合いは。世界は変わろうとしているのに、それを改悪だと言って騒ぎ立てる。まだ始まったばかりなのに一体何がわかるっていうのかしら……」

「屑共らしいじゃねェか。知らねェ、わからねェ、予測できねェ。だからしがみつく。悲しいくらい小物だなァ……」


親船は何かを思い出したのか、ふふふと笑う。
不審な目をする一方通行に、謝りながら彼女は晴れ晴れとした表情を浮かべる。



「もっとも、そんなに悲観することもないのよ。来月、ようやくイギリスが動くのだから」



その言葉に、一方通行の頬が強張る。
驚きに、微かに見開いた紅の瞳を、親船は少し小気味良い心地で見返す。


433 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:44:09.29 ID:BhjEz1wI0


「そう、最大教主直々にお見えになるの。あのお嬢さん中々のタマだわ。お人形さんみたいに可愛らしい顔しておいて」

「………フン。新しい最大教主は学園都市に住んでたんだ、事情ってもンなら引きこもりの先代よりも遥かにわかってンだろ」


一方通行は、座っていたデスクから腰を上げると、扉へと足を運ぶ。
途中、親船はその背に声をかける。
それは、彼女にとって話しのタネについでに言っておこうという程度のものだった。

「そうそう、最大教主なのだけれど、彼女の……守護聖人っていうのかしら?」

あの露出侍か、と一方通行はとある年齢詐称疑惑の女剣士にしか見えない魔術士の顔を思い浮かべる。

「彼女の側近にあたるらしいのだけれど、二人も来るそうよ。へぇ……最大教主の側近兼……これは夫…でもあるみたいね」



一方通行は、思わず親船を振り返る。
親船は、不思議そうに手元の資料に視線を落としており、一方通行の表情に気付いていない。

434 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:44:57.62 ID:BhjEz1wI0











「神浄……討魔っていうのね……物々しい名前だわ」










435 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:45:50.98 ID:BhjEz1wI0

呆れたような、不思議そうな親船の言葉は一方通行には届いていなかった。




「上条……当麻……」





搾り出すような声が、一方通行の喉から知らず知らずの内に零れた。




436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:45:58.98 ID:XR1a6Vj1o
三下ァァァァァァ!!!!!
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:46:24.98 ID:zQwUyD4Lo
ステイルじゃないのかい
438 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 00:47:05.58 ID:BhjEz1wI0
今日の投下はこれにて終了〜
ちなみに、以前話題にした別スレですが、ぶっちゃけ上条さんのお話です。
このスレに載せるのはアレかなと思ったので。
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:47:47.74 ID:6M+zF2bXo
え? え? ええええええ?
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:47:55.57 ID:QCLbswK6o
ここでこの名でか…
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/15(火) 00:48:32.11 ID:Jra/7PaSO
ステ「僕は、側近にすらなれないのか」
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:49:10.87 ID:JXFd1P4AO
え?











え?
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:50:00.64 ID:/dFq6tODO
何この展開




何この展開
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:53:19.68 ID:pG0/eBZuo
新しい最大教主は学園都市に住んでたんだ・・・?
もしかしてもしかしないでも
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:53:31.39 ID:XR1a6Vj1o
どういうことだよ三下ァァァァァァ!

お疲れじゃん
このSSは相変わらずやばいな
何がやばいって登場人物の可愛さがやばい
ミサカ達もるいるいもモアイも想ちゃんもやばい可愛い
しかも関係性がやばい
絶妙な温度差と距離がやばい
何が言いたいかっていうとこんなに想われてるリア充な第一位をもぐための木原神拳講習会を行います
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:54:02.96 ID:zQwUyD4Lo
なんかとんでも展開になってきたぞ
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:54:25.08 ID:d2hyepzN0
佐天さんの時にちょろっと出てたあれか
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:55:27.07 ID:Ft+uQlV4o
まさかの二股・・・
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:55:52.79 ID:yq5o9rAlo
乙ー
波乱の展開の予感が…先が気になるっす!
女の子たくさんで皆可愛かったが、最中さん好きだなぁ。原作でも一方さんとまた絡んで欲しいわ
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 00:57:52.59 ID:0AO6ZVNDO
ワーストが可愛すぎるww
まさかの三下くん登場で雲行きが怪しくなってきたな
まさかすっかり丸くなった一方さんの戦闘が見れたりとか…チラッチラッ
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 01:03:06.18 ID:i/DkIOk1o
バレンタイン回なうえに
ついに打ち止めに番外に佐天さんまで出やがった

……と思っていたら、新しい最大教主に神浄だと…?


え?






……え?
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 01:03:22.58 ID:RPTnNhDAO
面白いんだけど面白くないから壁殴ってくる
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 01:11:47.85 ID:Q5MMnqDW0
打ち止めェ…すっかりDNA元と同じになっちゃって…でもこれはこれで
しかしツンデレ打ち止め、初心番外、ロリ巨乳モアイ、別作で元祖ヒロイン佐天は言わずもがな
想ちゃんがあまりにも天使すぎてこの先の展開が怖いな
浜面?後で浜/面な

>>441
側近が二人っつってるからもう一人はステイルだとおも
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 01:17:40.24 ID:jygjJWR50
>>453
片方女って言ってんだから神崎と上条でうまっとるがな
まぁ別に側近が二人来るってだけで側近が二人しかいないわけじゃないっしょ
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 01:25:31.53 ID:sD6ZbfgDO
落ち着け、一方さんの本命はオセロパンダですの(中国産)のはずだ
俺はそう信じてる
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 01:26:47.00 ID:YxdamNKIO
>>452
お前の気持ちすっごくわかる。うん、すっごくわかる。俺の分も頼む
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 01:29:10.44 ID:sqh1rHnIO
「お腹が空いたりけるよ」
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 01:40:05.83 ID:A2ICAeUVo
ツンツン打ち止めやべえ・・・
そして妙齢の黄泉川芳川・・・ゴクリ
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 01:44:28.85 ID:Q5MMnqDW0
>>454
あ、ホントだ。後ろに「最大教主の側近兼〜」ってあるのに
「彼女(守護聖人)の側近」かと勘違いしてたわ、スマン
今気付いたけど想がいるってことは美鈴さんっておry
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 02:00:01.33 ID:Fla4Tapr0
孫にちゃん付けで名前呼ばせる美鈴さん最高
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 02:52:16.63 ID:seSTRtzW0
上条さんヒーローやのになんて事を・・・
そういえば1が書いた短いSSの中で
美琴がだまし討ちのようにヤらせた〜や、イギリスで幸せに暮らす上条さんには言えないって
言ってたもんな、確か

そしてすっかり綺麗に大人になった一方さんに心強さを感じたり寂しさを感じたり
見事に成長したから逆にミサカ達に勝機がなくなっちゃった感じがする
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 04:19:28.12 ID:zlHWteWK0
前半一方さんどれだけもてるんだよとか思ってたら
ラストのほうで水ぶっかけられた気分だびっくりだ
完全に吹っ切れてない美琴と上条さんぶつかったらと考えると不安だなww
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 04:25:57.71 ID:C2IBfaZj0
黄泉川と芳川がお姉さん…だと!? 美鈴さんに至ってはちゃん付けwwww
さらに「るいるい」!何気に他の女性たちと差が出てるな。
あと反抗期打ち止めは正直ツボですwwww

一方通行さんのスーツに白髪一つ結びとか俺得すぎ

そんで今後の展開読めなすぎ 支援支援
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 04:31:32.07 ID:b6RxAktNo
一方さんの本命が親船さんだったなんて…
セロリセロリ言われてたのに実はババァ萌えだったのか…
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 04:39:31.47 ID:dewk372eo
今更年上好きなンて言えねェよなァ…
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 07:24:14.48 ID:0AO6ZVNDO
?「遠回しにババアっていってんのかぁ!?」パリィパリィパリィ!
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 07:44:42.96 ID:BiPzIMsqo
想ちゃんマジ想ちゃん
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 08:30:23.68 ID:YzkJhv0G0
>ウチの想

親wwwwwwバwwwwwwwwカwwwwwwwwww
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 09:50:10.84 ID:i/DkIOk1o
>スーツに一つ結び
画像もなしに(ry

濡れた
なんていうか、濡れた
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 10:41:07.05 ID:Bso87okDO
面白いンだけど言葉が見つからない

想は上条さんの子供なんだよね?
こりゃあ[ピーーー]だけじゃあ済まされねぇだろ
美琴さんとガキ作って蒸発したと思ったらねーちんと結婚?
ふざけろ三下
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 10:51:29.95 ID:POob9EyA0
美琴以外全員に嫌われてたら面白そうだなあ……
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 15:38:59.26 ID:aAQAebrSO
美琴が実はヤンデレで、勝手に上条さんの子供を人工受精した可能性もある
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 16:45:35.33 ID:YxdamNKIO
>>470
最大教主って書いてるだろ、つまりは・・・
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 16:49:56.63 ID:2ev3KLgfo
上条さんだけど俺らの知る上条さんじゃなくなってたり
475 :名無しNIPPER[sage]:2011/02/15(火) 19:04:28.21 ID:15MYfDJDO
この感じだと新最大主教って…いややっぱ止めとく
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 20:09:38.25 ID:8XHYUXuq0
なんとなく>>1のやろうとしてる事がわかった気が…いややっぱ止めとく
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 20:35:50.43 ID:ug5gxa/to
必要悪の教会のトップならまだわかるが最大教主か
清教内のある意味秘匿される部分の出身の経歴の不確かな修道女が
仮にも科学側のトップと折衝?出来得る立場である宗教(魔術)側のトップになるのって対外的にどうな…こまけぇこたぁ(ry
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 20:40:25.33 ID:PZdf0UTKo
上条「俺は魔術サイドに立てたフラグの責任を取る」

上条「だから一方通行……」

上条「学園都市のフラグは、お前が引き継いでくれ」

上条「俺の代わりを出来るのはお前しかいない!」

一方(ヒーローに頼まれるなンて生きてて良かったぜ!!)

一方(いいねェ!いいねェ!最ッ高だねェ!!)

一方(まずは料理からかァ? ヒーローみてェな台所に立つ男にならねェとなァ!!)



こういう事じゃね?
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 21:04:56.18 ID:6ciZwP7K0
>>478
一方さんに惚れてんのは全部上条さんの管轄外だけどなwww

存在は示されたていとくンの出番はありますか
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 21:35:31.64 ID:55D5Jc25o
>>478
一方さん、ヒーローのこと好きすぎんだろw
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 21:49:28.44 ID:PZdf0UTKo
>>479
じゃあ、きっとこういう事もあったんだろう

一方「ダメだァ三下ァ……俺にはオマエのフラグを引き継げねェ」

一方「アイツら、今でもオマエにフラグを回収してもらう事を願ってるンだよ」

一方「俺じゃダメなンだァ。俺みてェな悪党に、オマエの代わりなンてできねェんだよォ!!」

上条「……諦めるんじゃねえよ!!」

上条「お前が俺の代わり? そうじゃねえだろ一方通行!!」

上条「お前はお前だ! 俺じゃない!!」

上条「だからお前のやり方で女の子とフラグを立てていけばいいんだ!!」

一方「さ、三下ァ…」

上条「お前は上条さんになるんじゃねえ!!」

上条「史上二人目の学園都市最強のフラグ建築士になるんだ!!」

一方「そげぶっ!」

ガチャン

上条「悪いな、電話は終わった。練習の続きしようぜ」

神裂「わかりました……では」

ステイル「前方のステイル!」シャキーン

風斬「こ、後方の氷華!」シャキーン

神裂「左方の火織!」シャキーン

上条「右方の討魔!」シャキーン

四人「「「「四人揃って、禁書の右席!!」」」」バーン!
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 21:55:09.27 ID:ug5gxa/to
何の練習してるんだお前らはwwww
ってヒューズさんあんたモロに科学側ですやん
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:01:34.49 ID:bxz0CSdao
俺は、電磁通行と窒素通行どちらを応援すればいいんだ(´・ω・`)
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:11:18.73 ID:tAQSgBbeo
一方通行に決まってるだろ!
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:13:24.95 ID:VowwOhJKo
想通行一択だな。
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:20:15.60 ID:yA25vbCIO
想電磁通行な
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:20:18.15 ID:uAxdyNmh0
インデックスが最大教主になったのか。で、神裂とステイルが側近k って、え?

え?

とりあえず言えることは、超乙+絹旗は俺の嫁。るいるいは、、、、、、、、、、、諦める。絹旗が俺のよめ。
488 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 22:40:08.34 ID:Fe9d2dbe0

何か一日経ったらレスがすごいことに…
次回の投下は時期を過ぎたくせにバレンタインのカットした部分を書こうと思っています。
初春さんの彼氏とかそのへんの当たり障りのないキャラを出す予定です。

あと、最初の注意書きにあるように、基本壮大なお話にはなりません。
読んでいく内に失望されるよりはマシかと思い一応言っておこうかと。

それから、娘さんの生まれる前の、彼女のお父さんお話は別のスレにて書いてます。
このスレだと場違いなので。それでは。
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:42:53.12 ID:nnrG+rf60
おつおつ

ふぁざーの話が見つけらんねぇwwww
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:46:34.23 ID:skGamxkAO
>>488
IDでやっとからくりが分かったような、つーか某所読んでの自分の予想あってたらぶっちゃけこの御坂は庇えないわ。そこ含めておもしろすぎる
あと最大主教だと思う
491 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/15(火) 22:48:55.14 ID:Fe9d2dbe0

>>490
ホントだ。
ありがとう。
今からちょっと身投げしてきます。ノシ
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:49:31.67 ID:skGamxkAO
すんなバカ!期待してるんだからッ!
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:55:27.98 ID:48kp4wrfo
別スレ何処ですか?
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:55:32.11 ID:jaWXy5euo
いや、今俺も分かっちまった気がするけどこれ誰が悪いとか誰が良いとかそういう単純な事じゃねーわ
ただひたすらに胸が痛い
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:55:32.62 ID:yq5o9rAlo
自分も他スレの方も読ませて頂いてます
個人的にはどっちも楽しませてもらってますが、こういう風に繋がるんですねあの話
どっちも好きですから身投げは無しで頼む!
続き楽しみにお待ちしてます
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 22:56:00.07 ID:3kb7+iO5o
誤字なんて脳内変換余裕だから気にすんな
どっちも面白いよ
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 23:02:48.81 ID:VowwOhJKo
繋がってたのか……
となると、上条さん責められんわ……かと言って、美琴が悪とも言い切れず……あああああ。

もう、間を取って、浜/面が悪いってことにしよう。
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 23:14:21.00 ID:XR1a6Vj1o
想ちゃんの可愛さがオシリスでホルスでレベル6で神上だからなんでもいいや
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 23:15:20.23 ID:uAxdyNmh0
なるほどな。そうか。超乙なんだよ。
誰が悪いとかじゃないよ。そう、俺が悪いんだよ。俺が責任持って美琴と想ちゃんを引き取って、かつ、絹旗も愛人にするよ。
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 23:42:39.39 ID:CJ2rlbbLo
ゲス条さんと繋がってるかと思ったのは俺だけでいい。
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/15(火) 23:54:56.73 ID:wW1egZRI0
まぁ「別スレに書いてます」はいいんだけどせめて場所晒すぐらいしてくれてもいいんじゃね?
それともこの話では重要じゃない裏設定だから見なくても問題ないってことかな
作者さんのファンの人らは理解できてるみたいだけど
502 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 00:02:23.40 ID:k+edVNKu0

上条イラネな声がチラホラあったのが別スレ立てた一番の理由だったので隠すことに意味があるわけじゃないんですがね。
短いお話だから、向こうが完結したら晒したほうが良いのかな〜と思ってたのでぼかしてました。



というーわけで⇒http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297085602/


503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 00:03:31.75 ID:qmPyxnfCo
わざわざ別スレで書いてるってことなんだから、察しようよ
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 00:05:00.20 ID:r4qQbqjF0
別スレってどこ?
詳細希望!
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 00:05:56.70 ID:UUUKh/HSO
やっぱりそうだったのか……
どちらにしろ一方さんマジイケメン
そりゃフラグメイカーになるわ
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 00:29:43.21 ID:AY+d8T6Go
>>499が身体を張ってこの話題を終わらせてくれたみたいだな

無茶しやがって…
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 00:32:53.46 ID:i9NUzCFJ0
なるほどやっぱりあなただったか
ここで妹達と美琴に関する作者自身の見解を見かけた時の気分と同じ気分を、そちらの番外個体からも感じたからもしやと思っていたが
まぁなんだ……ダメ条さん乙
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 01:08:14.55 ID:Q/xvDiTAO
コテなかったからチェックしてなかったよ……気になる駄目条
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 02:29:51.13 ID:muYLg6cIO
あっち読んできた
ごめん、これは。キツイ。こっちでのほのぼのが、壊れてしまいそうだ。一方通行さん、美琴をお願いします本当にorz
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 02:40:10.43 ID:X7u2B+FOo
俺も読んじまった。
読んでしまった。
頼むぜ一方通行さん
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 03:04:34.78 ID:LpoqnMcxo
よし!

見ないで相ちゃんにニヨニヨする事に決めた
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 03:05:50.89 ID:LpoqnMcxo
字がちげェよ……
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 05:30:35.11 ID:I8Gvi6UAO
なァんですかァ?
もしかしてウチの想は心無い人間だとでも言いたいンですかァァァ?
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 06:00:51.09 ID:dbncEkCIO
心無い天使
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 09:11:37.95 ID:rykHxV330
>>513
一方さん座布団1枚
いや、10枚上げますんでこれからも末永く美琴と想をよろしくお願いします
電磁通行超応援。憎しみから始まる恋だってあってもいいじゃないか

読んだらこの物語で上条さん登場して欲しくなってきた
1なら滅茶苦茶ヘビーで重くて面白くて最後には救われる話をきっと書いてくれる・・・!
そんで、あっちの美琴にもハッピーエンドが訪れる!
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 10:22:14.78 ID:aKVaE1tDO
                  _____
              . : ´: : : : : : :`丶、
                /: : : : :,∠二: : : : : \
             /: : : : :/   --ヘ、: : : : :}
              . : : :/ ̄ ̄>─ヘ,¬'⌒\______,. -‐……‐-  .
             {: : :/    '′ ,ィ≦弐  .        `丶. -─- .  }
           ヽ {'´ ̄`   { {:::'ー:ハ.  '.  、___    \_/ /⌒7
            八 ,ィ抓j     ー''゙´}  :い \: :`丶、  ∨., '⌒¨て.ン'⌒ヽ
           { ハ {:::ノ .;        |  :|ハ  ハ: :,_: \ }/ ̄ ̄}  } 「わたしもいい子いい子してほしい訳よ!」
              八{ {'゙´   、    ,|  :|  ∨ }: \_): : Y、__ノ :ノ
              .'  V人    `   ∠:} :i从 / 厶 -、 : \八  . : :/
          {  `¨⌒≧=;--r/ ノ:厶V  /: : :\}: : : :} `¨´{: ;ハ
              `77T^7  厶 ,〈  { {_}\ 厶: : :<}: : /   人{ン
             {└'⌒{.∠\/^ヘ., `7/   `¨゙⌒ヽ : /   .'
           `フ⌒7  ∠{r'⌒{`¨゙{ハ{       }〈     {
        ,ノ^L.厶 \`^7.  { _/ ̄\ \       ,ハ:}、     `    _/|
      /_r‐く__,ノ}  ∨,  |\〆 ̄ ̄` :}\_// `'<}   厂´  ,√ ̄}__
      / 人 \ } `¨⌒):{ {  | / ̄ ̄\ ∨   `¨´ヽ.       `ト-i-<⌒ヽ 、{ `ゝ,
    .  /{\` .ノ.ノ⌒¨}'^い、 {    、 \}/ ̄ ̄|  `丶、___,ノ ノ       \/
   /, 、{ 、__,ノ´   ,ノ  ∨l 人/  \_}^'vヘ,  |     `て´      / ,∠)
  ,{_{  `¨フ ,ノ^¨´     {/  7    ,人_,}  \ノ       _\   __/  :{
 く厂       {       {,.-‐{____/{  \  }>' ´ ̄|∠ --ヘ,∨ .厶、_}
  \  厂 ̄´         八 \   \ ̄ ̄'⌒て___  :|___} `¨´
    `¨´          /  丶 ` ‐--へ.∠、    :} ̄´   \
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 11:11:40.00 ID:aKVaE1tDO
なにも知らずにこんなAA貼った俺だが

なんか向こうのスレ読んでどうしようもない気持ちになった
上条さんもインさんも責められねぇよ……
それに、この美琴をもう想の母親として見れねぇ
これで美琴が一方通行にホの字だったらどうしようもねぇ女だな

そんな話しが大好きなんですけどね!
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 18:06:22.69 ID:wxjtBKRho
向こうのスレの話をこっちでしたら、せっかくスレを分けた意味が無いと思うの
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 20:20:05.58 ID:3ax71oPIO
>>518
そうだな、すまない。反省する。
520 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 21:58:44.97 ID:k+edVNKu0

今日、投下します。

まず最初に一言ゴメンなさい。

ほのぼのが好きな人は、向こうのお話読んで嫌な気分になったかもしれません。

別スレにした理由は三つ。

@このスレと毛色が違うから。
A主人公が違うまま、長々と話が続いてしまうから。
Bこちらで書いたら素直に読んでもらえないかなと思ったから。

「美琴を捨てたゲス野郎でした。」で終わらせたくなかったのでそうしたのですが、中々上手くいかないものです。


あと、もう一つ謝りたいです。






今日の内容、全然シリアスじゃないんです。
幼女にデレデレのお馬鹿な大人たちのお話なので…

521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 22:00:52.32 ID:zDKF+uqIO
最高だ
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 22:02:32.29 ID:aKVaE1tDO
こっちこそスマンな

お詫びと言っちゃ何だが尻穴くらい貸してやろう(*)
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 22:06:15.02 ID:X7u2B+FOo
俺のケツ穴も貸してやるよ
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 22:11:51.35 ID:AY+d8T6Go
気にするな、俺も気にしない、誰も気にしない

>幼女にデレデレ
ほう…………………!
525 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:19:14.29 ID:k+edVNKu0


垣根「一方通行……想に会ってやれ…」
一方通行「アイツは強い……自分の足で歩いて行ける」
垣根「フッ……余計なお世話か…」



一方通行「…そォいや、一つやり残したことがあったなァ」
垣根「やり残したこと?」
一方通行「まァちょっとした野暮用なンだけどよォ」
垣根「ああ、しかしアレが始まりだった……」
一方通行「きっかけなンざどォでもいいだろォが。俺はただすっきりしてェだけだ」
垣根「ああ、白黒はっきりさせないのは性に合わねぇな」


一方通行「そォ思うだろう…」

垣根「貴様も…」




一方通行・垣根「「そう思うだろ……テメェも!!」」





投下します。
526 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:23:52.99 ID:k+edVNKu0

一方通行と船最中の会話から時は遡ること数時間前。




一方通行は不機嫌を顔中に浮かべていた。その原因は目の前にある。
一方通行の隣りで、絹旗最愛は呆れた顔でその横顔をちらりと見る。


「ていとくん、ていとくんだ〜」

きゃっきゃと笑っているのは御坂想。
学園都市第一位と第三位の愛情を一身にその身に受ける少女である。
そして、その少女は今、一方通行の見ている前で、他の男にくっついている。
といっても、女が男を誘惑しているというものではなく、あくまでも懐いているお兄ちゃんに久しぶりに会えて喜んでいるという
微笑ましいものにすぎないのであるが、隣の白い男は気に入らないらしい。

「おう、元気してたかおチビ」
「うん!!ていとん、ていとくん、もふもふさせて」
「しゃーねーなぁ」

口では困ったように言っても、純粋に愛らしい少女に慕われるのは悪い気がしないのだろう、学園都市第二位の
男はその恐ろしき能力の一端を惜しげもなく解き放つ。
少女のもふもふの為に。

「ふかふか〜」

白い羽毛にすりすりと頬をすり付ける少女は、子犬そのもののようであり、絹旗はとりあえず携帯に納める。
527 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:25:44.25 ID:k+edVNKu0


「いやーん、可愛い〜!!」

「あ、デジカメ研究室に忘れた!!佐天さん、後でそれ送って!!」

「オッケーです。もう、想ちゃんったらカワイ過ぎ」


友人と、少女の母親も同じ心境のようで、羽毛に包まれてとろけるような笑みを浮かべている少女の可愛い姿を写真に納めている。


「チッ…チッ…」

一方通行の舌打ちが頻度を増す。
そろそろ16ビートを刻みそうである。
想が懐いていることもであろうが、それ以上に相手が相手であることが彼の機嫌を斜め60度に傾けているのであろう。
組んだ腕を指がイライラと叩く。

まったくもう…、絹旗はため息を吐く。


「ンだよ…」

「ヤキモチは超みっともないですよ」

「うるせぇ……つーか、何であのクソメルヘンが来るんだよ…」



吐き捨てるように呟く。


「すいませ〜ん、どうしてもって来たがってたので…つい…」

花飾りを頭に乗せた少女が申し訳なさそうにキッチンから戻ってくる。
少女とは言っても、絹旗と一つしか違わない。
絹旗と同様、成人しているようには見えない程に幼い顔立ちをしている彼女は、その小さな手には些か大きいトレイを携えている。
乗せているのは、綺麗に八等分されたチョコレートケーキ。
一方通行が想の為に作ったものだ。



「いえいえ、超気にすることはないですよ初春さん」
「何でお前が言うンだよ」


べしっとチョップが絹旗の頭頂部に打ち下ろされる。

528 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:28:24.81 ID:k+edVNKu0


「痛っ。今結構力入ってましたよ!」

「黙れ。オイ、花娘。俺はお前だけが来るって聞いてたンだぞ。それが何、アレ?」


親指で指し示すのは、想を白い翼で包み込んでいる垣根帝督。
現在、一方通行内における『死ねばいいのにランキング』、その1位をキープし、更に票数を伸ばし続けている男だ。


「ばぁーか。俺がどうしてわざわざ一方ハーレムの手助けをしてやんなくちゃいけねぇんだよ。
 つーか、飾利をてめぇみてぇなケダモノの巣に放り込むわけねぇだろ」

いつの間にかキッチンの方へと足を運んでいた垣根は初春からトレイをさりげに奪い取る。
想は既に御坂と佐天にいじくりまわされている。
垣根は全力をもって馬鹿にしているとばかりに、いやらしい笑みを一方通行に見せる。
初春に一瞬見せた優しげな表情とは天と地である。


「はァ?ハーレムだァ?何処見てたらそォなンだァ?」

「何処見てっていうか……」

「わ、私の方見ないで下さい!!見ないで下さい!!(超内緒にしてるんですから)」

(いや、内緒っつーかモロバレっつーか…)


「大体よォ……クソメルヘンの羽なンざの何処がいいンだァ?羽なら俺だって……」
「ダメですから!!超ダメですから。想ちゃん死んじゃいますから!!」



慌てて絹旗が止めに入る。黒くても白くてもこの男の翼は攻撃的過ぎる。

垣根が勝ち誇った笑みを浮かべる。


「女の子はウイングゼロカスタムの方が好きだってこった。てめぇの翼は所詮デスティニー。
 女子人気じゃ勝てないんだよ」

「てめェ……今俺のデスティニーさンディスたかコラァ…」



「喧嘩は超止めて下さい!!」



529 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:32:24.13 ID:k+edVNKu0


垣根に自分の運ぶはずのトレイを持たせてしまった初春が慌てる。


「あ、帝督さん…私やります」
「お前何無理しちゃってるわけ?この前寝ぼけながら運んでスープひっくり返したのは誰でしたか?んー?」
「うっ…」
「カーペットにシミができたって半泣きだったのはどこのどなた様でしたかぁ?」
「はう……っ」

痛いところを突かれたのか、初春はしょぼんとする。
まったくと、呆れながら垣根はトレイをリビングのテーブルに置く。


「垣根は初春さんに超優しいですね〜」

「メルヘン的にはあのお花はどストライクなンじゃねェのかァ?メルヘン同士よォ………
 くかかかかか、第二位が随分丸くなったもンだなァァ?馬垣根ェェ」


ヘッと、馬鹿にした笑みを浮かべる一方通行であったが、次の瞬間総ツッコミを食らう。





「「「「「お前(貴方・アンタ)が(超)言うな」」」」」」




「…………ステレオで言うなよ」








530 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:33:28.35 ID:k+edVNKu0




                    ◇




「想ちゃん、ハイ、ママからバレンタイン。それから……」

美琴は後ろに隠していた大きな包みを取り出す。

「ハッピーバースデー、想ちゃん。五歳のお誕生日おめでとう」

綺麗にラッピングされた包みと、美琴の顔を見比べると、想の表情が見る見る内に喜びに華やぐ。
まるで蕾が花開くように、にぱっと笑うと、想は美琴に勢いよく飛びつく。


「ママ!!ありがとう」


想の笑みを見た美琴は目を細めて柔らかく笑う。
いつものように、テンションの高い笑顔ではなく、心の底から慈しみ、愛しむように、淡く微笑む。

それは、普段の何倍も彼女を大人の女に見せた。



531 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:34:36.69 ID:k+edVNKu0



「こっちこそ ――― ありがとう、想ちゃん。生まれてきてくれて」






ぎゅっと想を抱きしめると、美琴はその温もりを確かめるように、しっかりと力を込める。
痛くないように、加減をしつつも、閉じ込めた腕から逃さないと、決してその手から離さないというように。
扇状に切りそろえられた前髪から覗く額に、優しくそっと唇を当てる。



美琴の「ありがとう」にどれだけのものが込められているのか。

それをよく知るのは佐天と初春、そして一方通行だ。
どれほど強く深い想いが込められているのか。
ふと、佐天と目が合う。
切なげに瞳を伏せていた佐天が、一方通行に、ひっそりと笑いかける。
同じ思いを共有する者同士の一種のシンパシーが二人の間に走る。


五年前のあの日、同じ場所、同じ時、そして同じ瞬間に居合わせた者同士のシンパシーだ。


532 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:38:02.38 ID:k+edVNKu0





(なぁ〜〜〜に、わかり合った顔してるんですかぁ)

ぶすっと絹旗がその視線のやりとりを横目に膨れているのはご愛敬であろう。



533 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:40:15.56 ID:k+edVNKu0


「ママ、開けてみてもいい?」

「もちろん。っていうか、むしろ早く開けて着てみて」



そわそわとしながら包みを開けると、中から出てきたのはもこもことした毛皮。否、毛皮ではなく着ぐるみのような衣装である。
誰もが頭上に「?」を浮かべるなか、想はすぐにハッとした顔で衣装を手に取り、寝室の方へと引っ込む。


「何だァ?」
「わかりません。想ちゃんは超わかったって顔でしたけど」
「お洋服…ですかね…毛皮?」




「御坂さん、何をあげたんですか?」
「…それは見てのお楽しみよ〜どぅふふふふふ…」

(………超電磁砲がキモいのを通り越して怖ぇぇ…)



一方通行と絹旗と佐天が首を傾げ、初春が不審に眉を寄せ、美琴が若本笑いをし、そして垣根が怯えるなか、パタパタと小さな足音と共に寝室の扉が開く。

534 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:43:19.11 ID:k+edVNKu0


「ン?」

「あら」

「まぁ」

「わぁ」

「ほぅ」



「むふっ」




六者六様のリアクション(美琴さン自重して下さい)の先には、白い二本の長細い耳。

ぴょこんと寝室から覗くのはウサギの白い耳だ。

六人の声に応えるように、現れたのは白くてふわふわの子ウサギ。
もこもこのコートに、ウサギの耳を付けたフードをかぶった想だった。


535 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:44:27.34 ID:k+edVNKu0





「グ…グググ……」

「一方通行さん?」



「ググググ……」

「ア、一方通行?どうしたんですか…」



「グググ…」

「…黒マテリア?」
「超懐かしい!!しかも『ク』じゃなくて『グ』ですから」




「グググググ…GJだァァーーーーーー!!」



一方通行のサムズアップに、同じくニヤリと笑ってサムズアップで返す美琴。
白くてふわふわのウサギをモチーフにしたコートは、一言で言ってしまえば少女趣味の塊である。
仮に14歳くらいの大人っぽい顔立ちの少女とかが着れば正直厳しいものがあるだろう。


しかし、しかしだ、五歳になろうという少女、それもとびきり愛らしい少女が身につけることによってそれは凄まじい威力を帯びることとなる。



((御坂さんの少女趣味が初めて実を結んだ…))


古くからの友人は目頭が熱くなるのを覚えた。



536 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:46:11.30 ID:k+edVNKu0





美琴のプレゼントを皮切りに、集まった友人達から想へプレゼントが贈られた。




初春からはお絵かきが大好きな想の為に100色の色鉛筆。



「今度お絵描きしましょうね〜」

「うん。かざりんも描いてあげるね〜」

「わぁ、嬉しいです」

「……芸術センスを磨くなら、是非かざりんのヌードデッサンなんていいんじゃないかな〜って
 帝督は帝督は……あ、痛い!凄く痛い!!飾利、人差し指が水月に…水月に刺さって……」


537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 22:47:11.08 ID:puDPaaudo
>>1はネタの幅が広すぎるだろww
538 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:48:26.72 ID:k+edVNKu0



佐天からはおそろいのエプロン。

「一緒にお料理しようね」
「うん、るいるいとおりょうりするの!」
「……包丁はまだ使っちゃダメだからなァ」
「ぷ〜〜」

「もう、過保護はダメですよ?」
「過保護じゃねェし…」

「あーくんもいっしょにおりょうりしよ。るいるいも、ね」
「三人仲良く、今度はクッキーでも焼きますか」

「勝手に決め……ハァ…好きにしろ」




539 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:50:36.19 ID:k+edVNKu0


そして、絹旗はやたらとごつい箱を取り出す。
きらきらとした瞳が、逆に不吉である。

「じゃあ、私からは取っておきの……じゃん!!絹旗先生による厳選されたB級映画のBRボック……」
「はい、没収ゥゥ」

無垢な幼子に手渡される寸前のパンドラの箱(ただし希望は同封されておりません)を、白い親御さんが素早く取り上げる。
瞬時に絹旗と想を除く全員の間で交わされる視線だけの『GJ!!』。修羅道回避に成功したようだ。

「か、返して下さい!!今から教育が必要な……」
「ウチの子をそンな茨の道に進ませるわけにはいきませン〜〜」

手を伸ばせども、身長に開きのある一方通行と絹旗では勝負は見えている。
ぱたぱたと手を伸ばせども、一方通行が頭上に退避させたパンドラの箱(ただし希望は(ry)には手が届かない。
若干涙目になる絹旗。

「だって、独りで観に行くの超ツマんないんですよ!!想ちゃんを今から教育して立派なB級マスターに…」
「お前のは限りなくC級好きじゃねェか。想を巻き込むンじゃねェ!!」
「酷いです!!わぁ〜ん」

子供の前で駄々っ子になる絹旗。
もう保育士の面影なんてものは存在しない。
一方通行は鬱陶しさを振り払うように叫ぶ。
540 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:51:43.86 ID:k+edVNKu0


「ああァァーーー!!うぜェ!!そンなに行きたきゃ俺がいつでも付き合ってやっから引き下がれってンだ」

「!?」



絹旗の手がぴたりと止まる。
丸くした瞳に、ほんのり浮かぶ涙。子供丸出しの顔に、一方通行はうんざりする。


「ほ、ほんと…ですか?」

「ああ、だから想にコイツを渡すのは諦めろ、な?」


可愛い少女を修羅の道へ進めるくらいなら、自分が歩む方が遥かにマシだ。
あくまでも、一方通行としてはそんな具合だったのだが、絹旗は全く異なる見解を抱いてる。



「あ、ああ、そ、そうですかぁ。じゃ、じゃあ、今度早速観に行くのをリストアップしておかなきゃいけないですね…」



なにやら彼女の中では、なんらかのプランが立ち始めているようだ。
何もわかっていない一方通行は、「よっぽどB級映画が好きなンだなァコイツ」という程度のものであるのだが。







541 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:52:51.12 ID:k+edVNKu0



                      ◇






それぞれのプレゼントが終わり。

「じゃあ最後は俺だな」
「いや、いいですゥ」
「おい!!何速攻その扱い?てかお前が否定するのかよ」

一方通行を一睨みすると、うきうきとしながら丁寧にラッピングされた箱を手に取り、垣根は想の前に跪く。

「俺からのお姫様へのプレゼントだ。受け取ってくれるかい?」

「すいませ〜ン、せンせェ。垣根クンの笑顔が気持ち悪すぎて具合が悪くなったンで、垣根クン保健所に連れていってもいいですかァァ」
「ああ、私もうっかり放電しちゃいそうなくらいゾワッて来たんですけど〜」
「超我慢して下さい。垣根君もかろうじてお友達なんですから」

「ひどいなお前等!!ホントヒドい!!流石ヒドい!!」

「あ、私も保健室に行きたいです」

「初春さんんんんんんんんんーーーーーーー!?」

口々に垣根の浮かべた笑顔の正当な感想を述べていく中、垣根のメルヘンハートはしたたかに傷つく。
佐天は苦笑すると、コラ、とたしなめる。

「ハイハイ、そこまで」
「佐天さん……マジ天sーー「恒例の垣根さんいじめは後にして、今は想ちゃんを愛でる時間ですよ〜〜」ちょ、おま、ちょ…」

「「「「はーい」」」」

「エェェェーーーー……俺ってこんな、てか、エェェェーーー」
542 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:55:01.43 ID:k+edVNKu0



肩を落としてうなだれる垣根の服を、想がきゅっと掴む。


「ていとくん元気だして。ね?」


こてんと、首を傾げる想に、思わずうるっと来る垣根帝督。


「想タン……」



「えっとね、ありがとうね、ぷれぜんと」



「想タン……マジ天使……ていとくんのお嫁さんになるかい?」



                                     
                           <『あァ!?ブチ殺すぞォォ!!!』『御坂さん落ち着いて!!』





「ううん。それはダメ。想はあーくんのお嫁さんになるの」

「それは残念だぜ」

「ねぇねぇ、これ……お洋服なの?着ても…いい?」


もじもじと垣根を見上げる想に、フッと笑うと頭を優しく撫でてやる。一方通行の嫉妬の視線をヒシヒシと感じるがそんなもの知ったことかだ。

「おう、着てこい着てこい。お姫様仕立てだ」

「うん!!」



想はてててと、一方通行の寝室へと走っていく。


543 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:56:30.25 ID:k+edVNKu0


数分後、戻ってきた想の姿を見て、一同はどよめく。



「やっぱり、今日みてぇにおめでたい日に、主役のお姫様がありきたりの常識に囚われた格好なのはいただけねぇよなぁ?」


勝ち誇ったように腕を組む垣根。
それについて、普段なら真っ先に噛み付くはずの一方通行ですら言葉が無かった。
というよりも、垣根の事など目に入っていなかった。



「えへへへへ……あーくん、にあう?」



くるりと回ると、ピンクと白のフリルがふわふわと舞う。
リボンを金糸でまとめ、白とピンクを基調としたゴスロリ風の服。
何よりも注目すべきは、幾重にも折り重なったフリルがスカートを花のように見せていることだろう。
背中に縫い付けられたフリルは、小さな羽根のようにふよふよと揺れている。

一方通行も美琴も、共に目の前の少女の姿に声も出ずに凝視するばかり。



「初春、これってもしかして……」

「っていうかもしかしなくても『TEITOKU』の春の新作じゃ…」

「ハイ。一足早く想ちゃん用に持ってきちゃいました。帝督さん、御坂さん達声も出ないみたいですね」

「おう、更に畳み掛けるぜ飾利!!」

「はい!」



初春は想に近づくと、先ほど美琴がプレゼントしたウサギのもこもこのコートを着せてやる。


544 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:57:54.52 ID:k+edVNKu0



「おふゥッ!!」
「ぐふッ!!」




一方通行と美琴が蹲る。



「見ろよ飾利。ついに一方通行に膝を付かせてやったぜ!!」

「そうですね、ニュアンスが違いますけどね。とりあえず二つツッコムと、膝を突いたのは可愛さに悶絶したからで、
 付かせたのは帝督さんじゃなくて想ちゃんですけどね。まぁ、些細なことですけど」



4勝89敗7分の戦績が5勝89敗7分になったことを、喜ぶ垣根。


ある意味可愛い馬鹿である恋人にそれ以上のツッコミは野暮かなと、初春は想に近づくと、最後に止めとばかりに耳打ちをする。


「想ちゃん、用意はいいですか?」


想はその言葉に、ピンときたのか、すぐに頷く。
てててと、想は美琴と一方通行の元に駆け寄ると、頬を赤くして小さな包みを出す。
二人は一瞬疑問に微かに眉を顰めた。
何故ならバレンタインのチョコならば、既にプレゼント渡しの前に貰っているのだ。
しかし、想が、いや、想と初春、絹旗が隙を生じぬ二段構えを取っていたことなど二人は夢にも思わなかった。
これは一緒にチョコレート作りに取り組んでいた絹旗も当然噛んでいる。

545 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 22:59:28.05 ID:k+edVNKu0




「えへへへ、んとね、きょうはいちばん大すきな人にチョコをあげるひなの。

 
 だから、あーくんとママに………ハイ!!」





林檎のように真っ赤に染まったほっぺで、にっこりと差し出してくるウサギ型天使。
震える手で受け取り、包みを開く一方通行と美琴。

美琴のはカエルの形をしたチョコレート。

一方通行はウサギの形のチョコレート。


真ん中には、ホワイトチョコで『ママ』、『あーくん』とたどたどしく書かれている。




「にゃーーーーーーーーーーー!!!!想ちゃ〜〜〜〜ん!!!」

「ふにゅっ」



嬉しさでスパーク…否、スパーキングした美琴が想を抱きしめる。

薄い胸で窒息することは無いものの、若干苦しそうな想。

しかし、その顔は普段中々一緒にいられない母親からの愛情たっぷりの抱擁に蕩けきっている。








そして、一方通行はというと。



546 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 23:00:56.39 ID:k+edVNKu0



「やってくれるじゃねェかァァァ……垣根……」

ゆらりと立ち上がる一方通行(鼻血)は、幸福と、感動で何やら色々解放されつつあるようだ。

「俺はなァァ…垣根……」

「一方通行……」

「さっきの想がアルティメットフォームだと思ってたンだ……究極だとな……
 しかし、“先”はまだあった……」

「……ライジングアルティメット……か」

「チッ………ライジングアルティメットなンざ認めるつもりはなかったンだがなァ……」


すっと、手を差し伸べる一方通行(鼻血)。
垣根は一瞬呆気にとられるものの、照れくさそうに笑うと、その手を取る。
一位と二位。反目し、対立し続けることの多かった二人の男の間に流れる友情。
御坂母娘の微笑ましい愛の抱擁と、二人の男の熱い友情に、絹旗と佐天は目尻をそっと拭う。


微笑む垣根。


微笑む一方通行(天使)。







微笑む一方通行(天使)。





「………天使?」




誰が呟いたのか、その言葉。
垣根の手を握った一方通行は、気付けば絶賛、輪っかと翼を表出させていた。
547 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 23:02:45.84 ID:k+edVNKu0



「ところで………さっき…テメェ……想に『お嫁さんになるかい?』とか言ってやがったよなァァ?」

「え?」

「言ってたよなァァァァーーーーーー垣ァァァ根ェェぇくゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーンンンンンンン」

「え?







 え?」




                       ◇







「5勝90敗7分……と」

初春が、溜息混じりに恋人の対戦結果を更新した。

548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:03:14.64 ID:LtHJ9KvTo
天使化ww
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:03:41.69 ID:wzE0kj1do
一方さんマジ天使
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:05:36.28 ID:AY+d8T6Go
垣/根
551 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/16(水) 23:07:34.55 ID:4sRG27WD0

本日の投下終了。
ていとくんがマジメルヘン過ぎて、バレンタイン編終わらなかったです。
次回は一方通行と御坂のお話予定。バレンタイン編まだ続きます。
遅筆ですまないです。もっと早く書けるようになるために、火の中に飛び込んでみます。

そして、火中天津甘栗拳を習得してきますノシ

552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:09:14.58 ID:lRep1JKDO
改行多いのはレス稼ぐ為?
多過ぎて読みづらい
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:09:47.36 ID:Xgdtba1DO
超乙。笑いが止まらんww
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:10:47.77 ID:MHOayovro
想ちゃんマジ天使
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:11:23.37 ID:wzE0kj1do

俺のニヤニヤが飛龍昇天破
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:13:23.57 ID:AY+d8T6Go
おつおつ
やべーわ2828がとまらんw
あっメルヘンさんお疲れさまでした(笑)
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 23:14:13.59 ID:coWki1WQ0
天使化しすぎだろwww
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 23:19:24.94 ID:LdQaXC620
>>574
それだけ一方さんが想を愛してるんだよ
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagee]:2011/02/16(水) 23:20:01.94 ID:aKVaE1tDO
超乙
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:20:14.11 ID:f2gbxS/mo
>>574に期待
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:23:27.19 ID:u4JwAeYV0
おつ。
>>552 改行は時間経過の長さを表してるんだろ。

それにしても、一通さんが「ウチの子」ってよく言うけど・・・。違うんだよな。お隣さんのお子さんだよな?
絹旗にもまだ道は残されてるんだよな?
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:31:37.12 ID:alp0DTJp0


しかし、この幸せ家族風景を壊す神浄()さんってホント何なの・・・?
今すぐイギリスに帰っておくれよ、お願いだから
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:33:07.31 ID:vANcK4T8o
みんな可愛いな
特にていとくんが可愛い
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:33:10.84 ID:aKVaE1tDO
>>561
大事にしてきた娘同然の子、ってことじゃない?

よく言われるが、一方さんはイチャラブ恋愛モノより過保護パパorブラザーのが一方さんらしいんだよな
通行止めしかり番外通行しかり
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/16(水) 23:34:44.28 ID:EDT68CNqo


最初は恋愛じゃないのに電磁通行?って思ってたが
こういうのもいいな
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 00:11:45.88 ID:/c9dZweDO
乙ー

……一方さんの翼はデスティニーてかビクトリーじゃね?
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 00:15:47.64 ID:oX/m2j5Vo
外見的にはV2 or デスティニー
機能的には月光蝶クラスだと思うの
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 00:45:39.17 ID:ZZEO0KWFo
じゃあ間とってリーンの翼で
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 01:05:02.65 ID:FMVv5moAO
おつ!
ていとくんまじドンマイwww
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 03:02:29.03 ID:R6oYT9rE0
乙なんだよ!

一通に帝凍庫の絡みが面白な。
この後はゲス条さんを天使一通がボコるんですね、そうですね?
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 03:33:36.65 ID:5yQrXMuDO
さっきあのスレ読んできたばっかの俺は、初春と帝督くんの組み合わせがツボすぎた
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/17(木) 03:58:21.92 ID:dJBr6mrAO
俺のツボに爆砕点穴
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 05:59:59.89 ID:0EEfnMyDO
この垣根は調子に乗った、乗っても平気な浜面だな
どうやって五勝もしたんだか
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 07:18:53.82 ID:pvXiSL8AO
二十歳過ぎてもまだ頭でお花を育ててる初春さんスゲー

いや、あれが本体か
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 09:34:01.06 ID:5/GXqbq30
ライジングアルティメットは……せめて
アメイジング→アルティメットで勘弁してく……れ
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 11:42:12.47 ID:wRauLUyDO
>>525
黒翼一通さんを見て「そいつとやり合いたかった!」とか言う垣根くんを夢に見ました
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 12:26:21.96 ID:yXGeiXhAO
>>574

二十年過ぎてもまだ下の人を育ててるお花さんスゲー

こうじゃね?
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 12:57:15.66 ID:sr2PRlt10
>>1

一方「テメエが犠牲になってアイツらが笑っていられると思ってンのかよォ!」
KJ「何だと!?」
一方「アイツらが笑って生きていける以上に最高のハッピーエンドなンてねェ!」
一方「だからテメエのふざけた考えをブチ壊す(アクセラサンマジデスティニー)!!」

ここまでは想像できた
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 17:55:20.96 ID:nUNymv9q0
>>574
花の下にあるものって何だ?根だよ。栄養と水分を吸収する器官だよ。
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 18:54:16.52 ID:b+LVFbn3o
初春本体
↑養分
下の人
↑精
垣根
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 19:19:15.74 ID:qVV1EFSIO
納得した
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 22:07:52.40 ID:xWKljJtCo
電磁通行か窒素通行か……悩ましい
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 22:59:49.88 ID:CD4NQTryo
まさかの伏兵で聖人通行
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/17(木) 23:06:09.66 ID:ZZEO0KWFo
アックア×一方通行だと……
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]:2011/02/17(木) 23:07:38.15 ID:b1dH72XE0
>>583 
三角木馬に跨る第一位だと……?
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 00:11:54.19 ID:BRjqO+sDO
あわきんはでないのかな。座標通行も見たい!!
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 01:06:09.85 ID:khCIV58Qo
とりあえずお前らは>>1を読んでこいw
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 02:19:43.41 ID:zuinyg7DO
予定は未定と言ってだな……
俺は白黒通行を推す
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 02:59:55.47 ID:9kcdgLXgo
>>525
「テメェが想を呼び捨てにしてんじゃねェ」
「彼女に許可を貰った」
まで想像した

>>542
<『あァ!?ブチ[ピーーー]ぞォォ!!!』『御坂さん落ち着いて!!』
美琴から黒い翼がww
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 17:01:54.35 ID:43bQh58Q0
>>589
え?俺は>>542のアレを一方さんが御坂家に婿入りしたものとして納得してたんだが……
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 17:15:03.12 ID:sgB6rP7DO
>>590
そこに気付くとは……
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 18:03:35.60 ID:oSb5XrsNo
>>590
つまり、
一方「お義母さン」
美琴「ウチの娘をよろしくね」

ということか。
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 19:04:57.12 ID:4Q3Lv8Ev0
>>589
俺はそこんとこ、一方さん→ブチ切れ 美琴→ブチ切れ寸前を誰かが止めてる
と思ってたけど。
深読みし過ぎだったか……
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 22:21:12.16 ID:j/EwgdaP0
>>593
俺もそう思った。
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 22:32:06.77 ID:G7sQIsNBo
つまりは電磁通行ですね
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 22:50:04.28 ID:Avc6Kir7o
読むと湧き出てくる優しい気持ちがあああああああああああ
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 23:36:11.67 ID:59Xk3g790
>>596 お前のカ-チャンとト-チャンもそんな気持ちに包まれてたんだよ
598 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/19(土) 00:40:41.91 ID:RR8j+Mh90

【突発的小ネタ】


@充電


一方通行「やべェな…そろそろ充電しねェと」
美琴「ほい」つ充電器
一方通行「おう、サンキュ」


想「じゅーでん?」
初春「そうですよ。一方通行さんは燃費が悪いのですぐにフェイズシフトが…いだだだだ…」
佐天「えっとね、あれをしないと一方通行さんが元気でないのよ」つ初春ヘッドにアイアンクロー

想「じゅーでんすると元気がでるの?」

佐天「そういうこと」




想「あーくん」
一方通行「あン?」

ててててて

想「ふみゅ」(一方通行にぎゅうッ)
一方通行「……どォした?」
想「想もねーじゅーでんするの。じゅーでん」
一方通行「充電だァ?」
想「あーくんにぎゅってするとね、げんきでるの」
一方通行「そ、そォか…」
想「じゅーでん、じゅーでん、えへへへへへ」ご満悦むふー

599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 00:42:15.48 ID:B6zM3vCAo
テメェのせいで頬の筋肉の弛緩がヤベェ
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 00:43:17.11 ID:SvsnSDqIO
ニヨニヨ
601 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]:2011/02/19(土) 00:43:30.20 ID:RR8j+Mh90

何となく魔が差しました…

おやすみなさい。
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 01:01:22.66 ID:UDsymCz5o
構わん、続けろ
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 01:21:05.62 ID:Gu6Wo3sj0
なんとなく小ネタを投下してもいい…>>1とはそういうものだ

あーくんパワーかぁ…俺も充電したい
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 02:09:48.07 ID:xfg/iymoo
フェイズシフトわろたwwwwww

よーしじゃあおじさんも想ちゃんでじゅうでんしちゃ…あばばbbbbbbbbbbbbb
605 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]:2011/02/19(土) 08:36:14.20 ID:rfYxn5Yf0

【突発的小ネタ】

Aトラウマ



一方通行「お前のこの未元カメラスゲー良かったわァ」
ていとくん「だろ?だろ?」
一方通行「それなのにいつもボコってゴメンなァ」
ていとくん「止めろ。べジータを見つめるカカロットみたいな目は」
一方通行「だからよ。コレをお礼に持ってきたンだよ」

つゲームソフト(SFC)

ていとくん「……これは?」
一方通行「SFC界のレベル5と呼ばれてるソフトだァ」(レベル6はクロノだけど
ていとくん「SFC終盤…神ゲーラッシュの時期だな」wktk
一方通行「ああ、存分に楽しんでくれ…ああ、ひとつアドバイスだ」
ていとくん「おぅ?」

一方通行「このゲームなァ、ヒーローとヒロインの名前変えられるからよ……あとはわかるな?」

佐天(子供のような笑顔だ…)
黒子(無垢な笑顔ですの…)
絹旗(超天使に微笑みです…)

ていとくん「お、おう////」

佐天・黒子・絹旗(((ああぁぁ………)))


・ていとくん宅


ていとくん「じゃあ主人公はていとくで、ヒロインは………かざり、だよな?//////お姫様だし////」


ていとくん「うぉ…スゲェ…芸術だろ、このドットは…」


ていとくん「育成面白ぇな…」


ていとくん「難易度はともかく神ゲーの予感…だな…」(パッケージをチラ見


つ『バハムートラグーン』


後日




ていとくん「一方通行のクソ馬鹿野郎は何処に行ったぁぁぁーーーーーー!!!」
絹旗「え?究極の和菓子を極めるとかで京都に」

606 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]:2011/02/19(土) 08:37:36.51 ID:rfYxn5Yf0
以上突発ネタなのでsage進行でした。すみません。
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 08:54:08.84 ID:M0y3cr0DO
かざり『翼もふもふより、ずっとはやい!』
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 09:36:17.07 ID:Jw/FjbfAO
誰も止めてくれないあたりがマジていとくん
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 11:25:53.97 ID:54d9C4oAO
ていとくェ…
想たんもやっぱ電気の能力なのかな?その辺も後々出てくるかな?
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 18:07:08.54 ID:xi0RulFKo
基本的に「開発」しなかったら能力は発現しないはずだし、
保護者が美琴と一方通行ならあえて無能力のままで育てるかもね
二人とも能力でしんどい思いしてきてるわけだし
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 18:33:57.96 ID:anJLGqJ1o
そもそも能力者の子供って前例はなかったはずだから、そこまでは分からん
特にレベル5の子なら生まれつき能力を備えていてもおかしくない
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 00:41:47.54 ID:Dal5fYaQ0
バハムートラグーンってヒロイン寝取られるやつだっけ?
確かヒロインが完全に相手に惚れちゃったある意味超鬱ゲーの
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 02:07:58.96 ID:DehTN/4a0
一方通行…お前鬼だな…
そしてタイトルの『トラウマ』の意味に気付く。

>>レベル6はクロノだけど
バハラグといい、どうやら>>1とは上手い酒が酌み交わせそうだ。
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 02:54:51.00 ID:i0QQDNOA0
しかもオチがこち亀とかwwwwww
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 04:00:04.39 ID:JRfo0OdAO
>>612
カザリが「おはなになるって悲しいことなの……」
って言いながら寝取った相手と教会に
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/20(日) 04:35:53.09 ID:SniakhgI0
>>615
カタカナで書いてあったから一瞬グリードの方かと思った
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 04:36:36.03 ID:SniakhgI0
下げ忘れごめん
618 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:02:39.99 ID:GKpB9m+H0

今から投下致します。相変わらずバレンタイン編。
619 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:05:02.48 ID:GKpB9m+H0


「あれ?お出かけですか?」

箱に詰めたマフィンを手にした一方通行の姿に最初に気づいたのは絹旗だった。
アルコールのせいで普段よりも頬が赤いものの、その口調はしっかりとしいている。
絹旗は上から下へと、一方通行の姿を見る。黒いシャツに、黒のスーツ、シルバーのネクタイ。
似合ってはいるものの、どう見てもホストか、顔の良いスジモノの青年である。


「超いかがわしい感じです…」
「ホント、ホストみたいですよ」


酔いつぶれた垣根を介抱していた初春飾利がそれにかぶせるように続ける。


「うるせェ、テメェの旦那見てから言え」

舌を鳴らすと、一方通行は玄関へと足を運ぶ。
絹旗が慌ててその後を追っていく。

「あ、ちょっと、何処に行くんですか」

玄関マットに腰掛けて革靴の紐を結び終えた一方通行は面倒くさそうに振り返る。


「ちょっと野暮用だ」

「想ちゃんはどうするんですか」

野暮用ならわざわざ出かけずとも良いではないか。
今日という日にするようなことなのか。野暮用など後回しでも良いではないか、そう思う絹旗の口調は自然と責めるように強いものになる。


「想なら寝かし付けた。お前らが馬鹿騒ぎし過ぎないかぎりは起きないだろ」
「そうじゃなくて、わざわざ今日にしなくてもいいじゃないですか。野暮用ってなんなんですか」
「お前は俺の嫁のつもりかよ…」
「嫁っ!?」


絹旗の頬が赤くなる。



「あら、もうそんな時間なの?」


グラスを手に美琴が顔をリビングからひょいっと出す。ふらふらとした足取りに、一方通行の顔がわずかに険しくなる。

620 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:06:02.60 ID:GKpB9m+H0

「テメェ…飲み過ぎだろ」
「大丈夫。これでも許容量は弁えてます〜」
「1ミリたりとも信用できねェ…オイ、絹旗」
「は、はいっ」
「この馬鹿が無茶飲みしねェように見といてくれ。絡み酒と笑い上戸の複合技かましてきやがるからな」
「ちょ、超了解です!」

嫁発言からまだ立ち直っていなかった絹旗は、うわずった声をあげる。そんな絹旗の心情を理解している美琴はにっそりとした笑みを浮かべ、一方通行は特に意に介すこともなくうなずく。

「じゃあ、行ってくる」
「ほいほい、行ってらっしゃい。ああ、一方通行ちょっと待ってて」
一方通行を押し退けるように玄関を出ると、美琴は慌てて隣の自分の部屋へと駆けていく。
怪訝な表情を浮かべる一方通行と、いまいち展開に付いてきていないぽかんとした顔の絹旗の前に、慌ただしく美琴が戻ってくる。
その手にある紙袋に、一方通行が気づくと、美琴がにっこりと笑う。

「これ、あの人に。前にお好きだっておっしゃってたから」

紙袋の中を覗くと、ロゼの瓶が目に映る。
一目で、それがかなりの金額のものだとわかる。
美琴は子供の荷物を持たせるように、一方通行の左手に押しつけるように握らせる。
「無理に持たせるなよマフィンが潰れちまう……まァいい…行ってくる」
「うん。よろしく言っておいてね」

軽く手を振る美琴に、背中を見せたまま一方通行は紙袋を気怠るげに掲げて応える。
エレベーターに乗り込んだところまで見送ると、美琴は絹旗の背を押すように部屋へと戻る。

「さ、飲も飲も。再開」
「え、あ、ええっと…御坂さん。今のは…」
「ん?ロゼだけど…絹旗先生も飲みたかったもしかしたら」
「超違います。さっきの、あの一方通行が何処に行ったのかです」

探るように絹旗の猫のような油断の無い瞳がじっと美琴を見つめる。重要な情報は聞き漏らすまいとするように。
美琴は、にやぁと絹旗からは見えない位置で意地悪く笑う。年々母親に似てくると言われる彼女であるが、一方通行曰く、血の繋がりをもっとも感じさせるのが、この笑みである。

621 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:08:19.26 ID:GKpB9m+H0


「な〜に?気になるの〜?アイツが何処に行ったのか?」
「え、ええっと…その、気になるというか、その、想ちゃんの先生としてはですね、そういう保護者が……いや、御坂さんがお母さんだということは
 重々承知しているのですが。やはり保護者的立場の男が、子供を放っておいて一体何処に出かけたのかというのはですね、やはりその…」

「まぁまぁ、先生落ち着いて。そんな、慌てなくても大丈夫。ちょっとーーーーー逢い引きに行っただけだから」

「!?あ、あ、あああ、逢い引き!?え?そ、そんな……え?」


絹旗の顔が、一瞬にして奈落にたたき落とされた人間もかくもやという絶望に満ちた顔になる。






「なんてね」
「へ?」

ぺろりと美琴は舌をだして笑う。

「ホントはアイツがちょっとお世話になった人にご挨拶に伺うだけ。安心した?」
「は、はい。……あっ!」


思わず素直にうなずいてから、絹旗はぼっと顔を林檎のように赤くする。美琴はそれを鼠をいたぶる猫のような笑みで眺めている。否、なめ回すように見ている。


「うふふふふふ……そういう素直な絹旗先生をもっと積極的にプッシュしていけばいいんじゃないかなと、美琴は美琴は思うのですけどぉ〜」
「は、図りましたね!!超図りましたね!!」

涙すらうっすら瞳に浮かべた絹旗が食ってかかる。
しかし、身長差というものは悲しい。
どれだけ、憤りと怒りとおまけに羞恥心を込めてにらみ付けようとも、涙目で上目遣いとくれば、そこには最早迫力などというものは存在しない。


「ああん!!もう、絹旗先生ってば可愛いんだからぁ〜」
「はぷっ!?」

美琴は、乙女丸出し小さな絹旗を感極まったように抱きしめる。
体格差の為に、殆ど包み込むと言っても良い。

「もう、可愛い可愛い〜」
「く、苦しいです。超離して下さい!!」

女としては高い身長と、強い力、薄い胸に挟まれて素で苦しいと思いながら、一方通行の言っていた忠告を絹旗は思い出していた。





(でも、できればもう少し早く教えて欲しかったですよ〜)









622 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:11:06.57 ID:GKpB9m+H0


                       ◇



「悪ィな手間かけさせた」

ビルの外へと運んでくれた嘗ての仲間に軽く礼を言う。それでも嘗ての彼を知る者であれば、目を剥いて驚愕せずにはおれないだろう。
彼と同じ暗部に所属していた結標淡希はそれに応える代わりに一方通行の首に腕を回す。
抱きつくのかという期待を紅の瞳に浮かべるわけでもなく、微動だにしない一方通行の細首に濃紺のマフラーを手早く巻いていく。


「バレンタインだからね、一応。緩く巻くのが今の流行なのよ」


少し得意げな結標に一方通行は一言「そォか」とだけ呟く。
そっけない返事に結標は苦笑を浮かべる。

「言っておくけど、それ買ったものだから」
「何の断りだ?」
「手編みのマフラーとか思われたら困るし」
「安心しろ。お前の不器用ぶりは良く知ってる。こンな代物100年掛かっても作れやしねェ」


マフラーで口元が隠れていても、一方通行が笑っているのがわかる。不意に吹きつけた風に、結標は身を縮めるように自分の肩を抱く。


「車出そうか?」
「いや、歩いて帰る」
「ここからだと結構かかるんじゃない?」
「問題ねェよ」

そう、とそれ以上言うこともなく結標はあっさりと引く。いいといったら、頑として聞かない男だということはよく知っている。


「……じゃあ、私行くね」

「おォ」

ぷらぷらとやる気なさげに手を振るスーツ姿の白髪頭に、少し呆れた視線を送って寄越す。
一方通行はその視線に気付くことなく背を向ける。

闇色のスーツが街の夜に溶け込むように消えていくのを佇んで見届けると、結標は溜息を吐く。
最後まで振り返らない男の背中に、小さく恨み言を呟く。


結標の呟きは二月の風に紛れて誰に届くことも無く掻き消えていった。


623 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:13:20.45 ID:GKpB9m+H0


                      ◇



腕時計を見る。親船最中と話していた時間は10分もない。多忙を極める彼女の仕事の邪魔をするのは忍びないというのは口には出さない本音である。
何より、ああいう類の人間は苦手だ。清濁併せ呑んだ上で、自分のなかの正義をしっかりと持っている類の人間。好ましいと思うことも確かであるのだが。


窓の無いビル ――― 嘗てはそう呼ばれていたビルを一方通行は見上げる。

外見を眺めただけでは超高層ビルの一つに過ぎない其処には嘗て神に等しい悪魔のような男が住んでいた、
などと言おうものならば魔王の住処のようだが、事実彼は世界にとってそのような存在であった。
世界を蹂躙し、弄び、操り。その先にあるのが如何なる崇高な理想だったのか。

しかし、一方通行には興味がない。

それを知ったところでどうしたというのが本音である。
窓の無いビルは、陰気で、空気が澱んでいた。振り返ると結局そんな他愛も無い感想しかない。
科学と魔術の粋を集めて作られた建物であろうとも、気が滅入るだけの場所だといってしまえばそれだけであり、
親船最中が統括理事に就任すると同時に窓を付けたという話も科学者連中にとっては度し難い愚行であろうとも、
一方通行にとってみればスノッブかつ辛気臭いビルが少しマシになったという程度の話である。


あんなビルにいるから自分が唯一の全能者だと勘違いできるのだ。


独善と偏見に満ちた自分だけの結論を嘗ての学園都市の暴君へと手向ける。


通りの少ない近道を選んでいるというのもあるが、第七学区、特にこの近辺の人通りは激減した。深夜ともなればゴーストタウンかと思う程の人気の無さ。
人の匂いの薄いビル群の間を縫うように、杖がアスファルトを突く音が響く。慣れたとはいえ、不自由であることの否定出来ない身体だ。
このような身体になったことで、誰もが同情的な視線を送る。それこそ一方通行の正体を知らぬ者達、想の通う保育園の保護者やマンションの近隣の住人。街中で擦れ違う中高生などがそうだ。
彼らは皆一方通行の不自由さを哀れみ、同時に己の健康な身体を振り返り安心する。それに対してとやかく言うつもりはない。

しかし、一方通行は杖がアスファルトを突く乾いた音が好きだった。
こんこんこんと、一定のリズムを刻むそれは、自分の心をいつの間にか落ち着かせてくれる。
もっとも、そんなこと16歳の頃には思いもしなかった。
単純に自分の犯した罪に対する何千分の一程度の報いに過ぎないと、自己犠牲というなの自己陶酔に浸っているだけだった。

そんなことを考えるような余裕はあの頃の自分には無かった。




「今が余裕があるのかって言ったら……そォいうわけでもねェがな」





呟くと息が白い輪郭を伴い、空へと溶けていく。
二月の寒さが、思考をクリアにしていく。親船に聞かされ、動転しながら保留にしていた思考がゆっくりと動き始める。


624 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:15:00.99 ID:GKpB9m+H0



上条当麻 ――― 神浄討魔が帰って来る。


帰って来るのではなく、訪れるというべきだろうか。何せ彼の唯一の存在に付きしたがってのことなのだから。
そして、最大主教が帰るとなれば彼は当然再び『帰って』しまうのだろう。




嘗て、御坂美琴を捨てて、たった一人心から愛する少女の下へと行った時のように、振り返ることなく。


しかし、一方通行には上条への怒りはない。それが一方通行を憂鬱にさせる。
彼が何かを得るために何かを捨てるような男であれば、三流ドラマに出てくる最低男のような男であれば良かったのにと思う。
自身の出世と安寧の為に金持ちの美しい娘と結ばれる為に、自分に尽くしてくれた一途な少女を捨てるような男であれば、もっと簡単に彼を憎むことも軽蔑することも出来たのに。
一方通行と土御門元春しか知らされていない事実。他ならぬ上条に頼まれたことなのだ。


御坂美琴が心置きなく上条を憎むことが出来るようにするため。


それは彼の残酷な優しさに過ぎないと知っていて、尚一方通行は口を噤む。
緩く巻かれたマフラーがすり落ちてくる。流行だか知らないが、今度からはしっかりと巻いてやろうと決意しながらマンションへと向かう。
一方通行はマフラーを口元まで引き上げる。
吐き捨てた苛立ちは、マフラーにぶつかって言葉となる前に砕けて吐息と共に散っていく。




625 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:17:08.57 ID:GKpB9m+H0


                        ◇





「おかえり〜意外と早かったじゃんか」

「お前まだ起きてたのか」


静かに音を立てまいとドアを開けて入ってきた家主に、美琴はグラスを軽く掲げて迎える。
明かりを落としたリビングに差し込む月明かりに引き伸ばされたシルエットが映る。
スーツを乱暴にソファーへと投げ捨て、家主 ――― 一方通行はバルコニーに出る。


「飲もうよ。ロックで良かったわよね」
「お前ずっとあれから飲ンでたンじゃなかったのか…」

手すりにもたれ掛かっている美琴は、ガーデンテーブルの上に置いておいたグラスを手渡す。
アイス・ペールに山盛りにされた氷をちらりと見て一方通行は呆れたように眉を顰める。


「これでも小休止入れつつ飲んでたからね。まだまだ余裕よ。他の皆は流石にもうダウンしてるけどさ」

「まだ1時前じゃねェか……無理矢理飲ませたンだろ」

確か佐天も初春もそれに絹旗も酒にはあまり強くなかったと記憶している。唯一ざるの白井黒子は大学の用事で来れなかった。
酒に弱い連中が、それもまだ酒の飲み方を把握しきれていない学生が飲めばつぶれてしまうことは容易に想像がつく。


「佐天さんと絹旗先生は想ちゃんと一緒に寝てる。初春さんと垣根さんは…」


美琴は下世話な笑みを小さく浮かべると隣を指さす。



「やっぱりせっかくのバレンタインなんだもん。恋人達は二人っきりにしてあげなきゃね」

「お前……なンつー神経してンだ?ダチのホテル代わりに自分の家提供するとか……」

「流石にしてないでしょ。垣根さんがあんなにぐでんぐでんにつぶれたんだから。出来ないでしょ」

「まァ…かもな。でもなァ、あのメルヘンだぞ?」

「それはそれでいいじゃない。恋人同士なんだし」


626 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:18:36.79 ID:GKpB9m+H0


琥珀色の液体をゆっくりと美味そうに口に運ぶ美琴にかける言葉が浮かばぬとばかりに一方通行は自分の分のロックを作る。


「かんぱ〜い」
「おう」

カチンと、心地良い音が重なる。

ウイスキーは自分自身が冷えているせいか十分に冷たく、アイスは必要なかったかと一方通行は僅かに後悔する。
酒が喉を滑り、胃の中でゆっくりと熱へと変換されていくのを心地良く感じながら、そういえば今日はまだ一杯程度しか飲んでいなかったのだと思い出す。



「アンタさ、いいお酒結構持ってるよね」


グラスの淵を指先で撫でながら、美琴がぽつりと呟く。


「お前も人の事言えねェだろ。酒の趣味が被ってねェからそう思うだけだ」

「お母さんがワインとか送ってくれるからね、ついついソッチに傾倒しちゃったのよ」

「知ってる。テメェが酔うと母親そっくりになるのも知ってる」

「散々迷惑かけたもんね〜まぁ今となってはいい思い出だわ」

「良かねェよ。貧乏くじは専らこっちだろォが」

「じゃあアンタもいっぺん潰れてみなさいよ。介抱してあげるわよ?」

「MNWに流されそうだから絶対に断る」

「えええぇ〜〜〜つまんないじゃんか〜〜」



隣りにいる一方通行の肩を軽く自分の肩でぐいっと押す。




「うっぜ。早くもうっぜェ……お前こんなところで飲んでていいのか?想と一緒に寝てやれよ」

「お姉ちゃん二人に囲まれてご満悦だから大丈夫でしょ?帰ってきて誰もおかえりって言ってもらえないとどっかのウサギが泣き出すかもしれないじゃない」

「テメェ、本気でぶち殺すぞ」

「あははは、怒らない怒らない。冗談なんだからぁ」

「………本当にお前母親そっくりな…」

「それに、寂しがり屋なのは本当じゃないの」

「………かもな」
627 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:19:39.27 ID:GKpB9m+H0

「やだ、気持ち悪いくらい素直。っていうか、アンタが素直だと普通に気持ち悪いわね。マジ気持ち悪い」

「アイツ等今日来たンだけどよ……アイツ等に会ってからお前見てると、マジ同じ素材で出来てやがンだなって実感するぜ……」

「へぇ、やっぱりあの子達来てたんだ」

「ああ、っつーても、デートのついでに立ち寄ったみてェだがな……デートか……彼氏とか、ハァ……打ち止めも番外個体もそういう年頃なンだな……」

「何思春期の娘持った父親みたいにぼやいてるのよ」


半分まで減っていたウイスキーを一気に飲み干す。
そんな一方通行を横目に、ちびりちびりと美琴はウイスキーを舐める。


「俺にとってはそういう気分なンだよ。最近よ、アイツ等の……番外はまァ最初からあンな調子だったが打ち止めの態度がますますキツくなってきてなァ……
 『死ね』だ、『キモイ』だの『触るな』だの。他にも近づくなとか、煩いとか、構うなとか……昔はなンなに可愛かったのに…
 どォしてあンなキツイ性格になっちまったンだろォな……やっぱり元ネタが元ネタだからかァ……ハァ…」

「元ネタって言わないでよ。あと人の顔みて溜息吐くなコラ」

「ま、健康であってくれるならいいンだけどよ」


コイツ本気であの子達の父親気分だな。
空になった一方通行のグラスに注いでやりながら美琴はそっと同情の念を妹達に送ってみる。
それで彼女達が救われるというわけではないのだが、姉としてはそうせずにはおれないのだ。


「ま、打ち止めのそれは照れ隠しよ」

「そォか…?思春期の娘が親父のことを臭ェっていうのだろォ?」

「実年齢はともかく、自分と外見10も離れてない男を父親だって思えるはずないでしょ。アンタ的には娘であっても」

「じゃあ兄貴か?」

「妥当なところね。打ち止めの場合はまぁ少し違うでしょうけど……あの子きっと素直になれずにパニックに陥って暴言が飛び出してたりするのよ。
 だからきっと後で自己嫌悪に苛まされているはずよ。ああ、ミサカの馬鹿馬鹿、どうしてあんなこと言っちゃったの〜!!ってね」

「言い切りますねェ…美琴さン」

「経験者は語るってね。とりあえず、想ちゃんばかり構ってないで、あの子たちもきちんと構ってあげなさい」

「彼氏といンのに邪魔にならねェか?」

「ああ、それはないそれはない。アンタに誘われたら仮にそういう位置づけが居ても躊躇無く捨ててくる子達だから」

「へ、へェ〜〜」



若干その言葉を嬉しそうに顔を緩めて聞く一方通行。
ていうか、そもそも彼氏なんて嘘にきまってるじゃないの、と美琴は鈍感白助をじろりと睨む。

628 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:21:42.47 ID:GKpB9m+H0


「なンだよ……?」

「べっつにぃ〜〜〜こ〜〜んな鈍感野郎の何処がいいんだか」

「………お前ブーメランって知ってるか」


「知ってるわよ馬鹿。何だろ、御坂美琴様のDNAには三つのお約束があるみたいね」

「ほゥ…聞こうじゃねェか」

「一つ目、電気」

「ピチュー、ライチュウと程度こそ違えどもそォだな」

「で、二つ目、可愛い。それもとびきり」

「…自分で言い切るとか、清々しいくれェおめでてェなァ……」

「良いじゃない。多少自意識過剰なくらいじゃないと常盤台のエースなんてやってられなかったのよ」


勢い良くグラスを傾ける。頬が赤いのはアルコールのせいだけではないのだろう。
一方通行は照れるくらいならば最初から言わなければ良いのにという言葉は流石に呑み込む。




「そして、三つめ」


手すりにこつんとグラスを置く。美琴は一瞬、切なげに瞳を伏せると、顔を上げる。



「まぁ、今更かもしれないけど、失恋体質……かな?初恋が実らない体質っていうか」



月を見上げたまま、からからと笑う。
悲哀も自嘲の色も其処にはない。割り切った清々しさすら漂う。
629 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:22:39.30 ID:GKpB9m+H0
その強く凛とした横顔を、暫く沈黙と共に眺めていた一方通行はグラスに浮かぶ月を見下ろす。




「四つめ………」



アルコールを帯びた白い息と共にそろりと零れる声。
かつんという杖の音と共に肩と肩が微かに触れ、美琴は不覚にもどきりとした。



「どいつもこいつも俺よりも遥かに強くてイイ女だってとこかァ」




喉を震わせて、自嘲気味に笑う。
その力無い横顔に、美琴はすぐさま何かあったのだろうと察する。嘘の下手糞な男だということは彼以外にとっての周知の事実だ。


「ばぁ〜か。最初から強かったわけじゃないわよ。支えてくれるヤツがいなかったら強くなんてなれなかったわよ」



ぐいっと、肩で一方通行の肩を押す。身体を押し付ける美琴に面食らったように一方通行が見下ろす。
兄にじゃれつくお転婆な妹のように、無邪気に、照れくさそうに笑う美琴に、一方通行は表情を柔らかくする。


「……ねぇ…」


不意に息も触れそうな距離で、美琴の瞳がじっと真っ直ぐに一方通行の瞳を見つめる。
どちらかが少しでも半歩踏み込めばすぐにキスが出来そうな距離だ。


「今日ね、佐天さんに聞かれたんだ。あんたと私って結婚しないのかって」


630 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:23:46.29 ID:GKpB9m+H0

絹旗先生のいないところでね、という言葉は省略する。
一方通行はまったくの完全な予想外のポイントを突かれたように目を丸くする。
それが、少し幼く可愛いと美琴はこっそり思う。

「なンで答えたンだ?」

その声には、内心の期待を悟られまいとする苦心は感じられなかった。
本音として、純粋に疑問に思ったことをそのまま口に出したような、一種の無邪気ささえあった。
それが美琴の心を軽くする。

「多分今のところありえないって言っておいた」

多分だとか、今のところだとか、不確かな言葉ばかりだが、それが一番的確な言葉だと一方通行は思った。


「そういうタイミング的なものってきっとあったんだろうけどね……でも私達お互いそういうのスルーしてきたから」

「まァ……な」


美琴の声に悔いる響きも惜しむ気持ちも無いことで、一方通行は奇妙な安堵を抱く。
おそらく同様に自分の言葉にもそれは無いだろう。
そして美琴にとってもそれが安堵となっているはずだ。













「それにアンタの好みのタイプは絹旗先生とか佐天さんみたいな子だもんね」

「ゴホッ!」
631 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:24:43.10 ID:GKpB9m+H0


不意討ちに、一方通行は思い切りむせた。
隣に視線を送る。


「佐天さんみたいに女の子女の子してるのに芯が強い子とか、絹旗先生みたいにちまっとしてて元気一杯な子とか、アンタ好きだもんね〜」
「何でそいつらを名指しすンだよ」
「見てればわかるわよ。アンタ好きな子にイジワルするタイプだもんね〜それにさぁ〜〜タイプは“髪が長くて料理が上手な子”……料理を“上手になろうとする”子じゃないの〜〜?」
「!?」

露骨にうろたえる一方通行を気分良さ気に見つめる瞳は、先ほどの無邪気さや、可愛らしさとは遠く掛け離れている。
三日月のように弧を描き、愉悦と悪戯心と好奇心に満たされた瞳は、彼女の母親に初めて相対した時を鮮明に一方通行の脳裏に浮かび上がらせる。


「幸い明日もお休みだしさ〜ゆっくりあーくんのお話でも聞かせてもらおうかしら」



チェシャ猫のように笑う美琴がそこにはいた。





632 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/22(火) 00:27:14.63 ID:GKpB9m+H0

以上で投下終了。バレンタイン編もようやく終了です。それではまたノシ
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:28:25.03 ID:Wl1nzAyU0
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:29:18.48 ID:dJqlY5vlo
おつ
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:30:00.97 ID:uMA5fi/ho
マジ乙です。
読了後すぐさま自分の感じたことを文章にできる語彙力が欲しい。
とにかく乙です。
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:30:29.59 ID:NIp67j6T0
一方さんカッコカワええええええええ俺一方さんになら抱いても抱かれてもいい!!
電磁通行も欠陥通行も窒素通行も佐天通行も座標通行もお手のものとかこの>>1は化け物か
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:37:13.53 ID:Q6T7jJXIO
ニヨニヨがとまらなき

638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:38:47.86 ID:ZRWqO1vjo
もおだからお前ら結婚してしまえとあああああ、くそっ、なんだこれは。えええーい、乙すぎるんだよ。
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:40:32.51 ID:zK7aG8tW0
乙です!!
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:53:59.38 ID:7anisn4lo
ズボンを脱いだ俺が恥ずかしいな・・・
次の更新からちゃんと上も脱いで全裸で見るようにします

次回も楽しみにしています
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:54:12.76 ID:GXZzB5fb0
乙です。この一方さんならどっちに転んでも転ばなくてもニヤニヤが止まらないくあああ
しかしこの裏でなんかシリアスっぽい匂いもヒシヒシと伝わってとりあえず悶えるしかない
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 00:56:47.17 ID:FdZH+Laeo
御坂DNAともくっつくチャンスはあるはずだ
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 01:02:17.84 ID:i4goQaPDO
“髪が長くて料理が上手な子”……料理を“上手になろうとする”子


一方通行はホント報われないな……美琴サンもだけど
なんか憂鬱になるな……
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 01:07:25.99 ID:Tfskh5XSo
もうおまえらマジ結婚しろよww

しかし上条さんには会わないで済むに越したことはないが一体どうなることやら

せめてこいつらのこの日常をぶち壊すのだけは勘弁してくれよ上条さん・・・
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 01:26:28.08 ID:VUdoTNfAO
恋愛やら結婚っていう過程をすっ飛ばして
既に家族愛レベルなんだろ

まぁ良くも悪くも上条さん次第な気はするがww
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 03:43:40.02 ID:zyp4UxXDO
一方さんのタイプはインなんとかさんだもんな。切ないな…。一方さんには幸せになってもらいたい。
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 04:14:28.01 ID:6qTAZHxDO
萌えるけど切ない。胸が痛いわ
続きが気になる
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 06:28:47.48 ID:vkar1KWt0
おつ。
むう、このなんと言いますか、大人な感じ、いいね。
こういうのうまいですよねー貧乏螺子さん。裏山。
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 16:10:22.38 ID:FdZH+Laeo
原作だと打ち止めエンドかな。新約で番外個体とどう絡むのか、SSぐらい窒素通行や超電通行がみたい。
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 20:01:20.66 ID:dHPGraa2o
二人の絶妙でもどかしい距離感がヤバい・・・
そしてニアミスしそうなあの二人の影が怖い・・・
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 22:08:33.12 ID:Fyos9MgDO
うおーヤバい。大人美琴ヤーバいマジ美しい。
色々と予想が付かねえええ
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 22:41:09.94 ID:5tmbBihbo
電磁通行最高です
653 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]:2011/02/22(火) 23:31:42.54 ID:bj8btwDM0

【突発的小ネタ】

B好み


絹旗「じゃーん、ウサギの着ぐるみ(パジャマ)ですよ〜」
想 「ラビ太郎だぁ〜せんせぇありがと〜♪」ギュッ
絹旗「超似合ってますよ〜」ぎゅっ
一方「悪ィな、結構いい値段すンじゃねェのか?」
絹旗「好きでしてることですから」
一方「そォか。だが今度何か礼させてくれ」
絹旗「え、ええ、その、そう言われてしまうと…じゃあ、買い物に付き合ってごにょごにょ///////」



美琴「じゃーん、ゲコ太着ぐるみ(パジャマ)だよ〜」
想 「ああ、すみません。両生類はちょっと……」
美琴「!?」


654 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]:2011/02/22(火) 23:32:44.34 ID:bj8btwDM0

>『ガンバレカカロットオマエガナンバーワンダ』


想 「おぉ〜〜」(一方通行の胡坐に座りながら
一方「悟空さンマジぱねェ…」
絹旗「ホント、こういうの超好きですよね…観る映画もアメコミヒーローか東Aものばかりですし」
(右隣に座り
佐天「寧ろ、一番キラキラした目で見てますよね。可愛い〜」(左隣に座り
一方「うるせェなァ…悟空さンは永遠のヒーローなンだよ。ただしGTは認めねェがな」
絹旗「想ちゃんは誰が好きなんですか?」
想 「べジータ!!」
一方「ハンッ。あンなマヌケなツンデレがそンなにいいかァ?」
佐天(ああ…)
想 「かっこいいもん!」
一方「ねェよ、全然ねェよ。アイツがカッコいいとか、垣根の爽やかな笑顔並にねェよ」


垣根「流石だな第一位。ほのぼのしながらも俺虐めを忘れねぇとは」


>一方通行with女子衆買い物に出かけ中。


垣根「しっかし想タンも変わってるねぇ〜べジータがカッコいいとか。そんなにいいか?」

想 「カッコいいというのは一面だけについての感想であって、実際のところべジータの魅力というのは
   何処までも妥協を知らない己への厳しさ。誇りに裏打ちされた他者を寄せ付けないストイックさ、
   その反面要所要所に顕れるツメの甘さや油断、慢心、子供じみた癇癪という精神的未熟さとのアンビバレンスにあると思うの
   その魅力というのが誰についても当てはまるのかは言うまでもないよね?」


垣根 ( ゚д゚)   


一方「帰ったぞォ〜」
想 「あ〜あーく〜ん。おかえりなさ〜い!!」
一方「いい子にしてたかァ?」
想 「うん!!」



垣根 ( ゚д゚) 


垣根 ( ゚д゚ )


655 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]:2011/02/22(火) 23:34:44.05 ID:bj8btwDM0
こういう下らないネタの時はさげ進行にします。
それでは。
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 23:35:33.47 ID:e8nFPaSxo
こっちみんなwwwwww
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 23:36:45.24 ID:ZRWqO1vjo
何故か柴田亜美の絵で再生されるんだがwww
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 23:39:05.91 ID:91K2I1hk0
下らなくなんかない!!! >>653とか大好物です!!!むしろ完成系かと。
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 23:45:59.50 ID:+nIqo5QZo
てめえwwww腹筋がwwwwwwちくしょうwww
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 23:46:05.51 ID:/aUu6mMRo
想タン黒すぎわろたww
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 23:57:38.76 ID:7anisn4lo
やっぱり想たんは別の一面を持ってたかww
遺伝子だし仕方ないねww
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/23(水) 00:48:43.94 ID:9tMp+YhNo

美琴にも一方通行にも幸せになってもらいたいもんだ・・・
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/23(水) 00:50:19.81 ID:WggKkMH/o
>想 「ああ、すみません。両生類はちょっと……」
海原の声で再生されてダメだwwwwww
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/23(水) 01:08:37.23 ID:K2odYPFz0
母親に敬語とかどんだけイヤなんだよwwwwwwww

アニメ鑑賞してる一方さんの背中を賭けて
打ち止めとミサワが睨み合って膠着状態な図が見えた
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/23(水) 01:30:23.97 ID:MRSTl2KXo
さすが想タン、べジータ好きとか徹底してるなwwwwww
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/23(水) 21:51:56.49 ID:3ciY9sdco
つまりは電磁通行最高ですな
667 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]:2011/02/23(水) 22:27:03.33 ID:QzdXcszD0
>>649
超電磁通行…電磁通行で脳内でインプットされていたから、一瞬
一方×絹旗&美琴で想像してしまった…
ちょっとバーダックの気持ちになってフリーザに挑んできますノシ
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/23(水) 22:46:33.72 ID:3ciY9sdco
>>667
要するに、電磁通行最高ですな
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/23(水) 23:30:11.73 ID:b1R3yNAQo
じゃあ俺>>1が生身で宇宙出てる頃にセリパたんちゅっちゅしてくるわ
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 10:02:51.14 ID:e0myLTHJ0
>>669
そげぶ!!
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 16:17:52.77 ID:17yt+uhDO
わけわからんわ
なぜ一方通行が許されているの?(美琴を筆頭に、シスターズ、絹旗)
んで、なんで佐天さん、絹旗、結標は一方通行に気があんの?

その辺しっかり書かねぇなら、
そこらに転がる上条ハーレム作品(笑)となんら変わらんだろ
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 16:34:32.06 ID:WYhTq/BJo
つまり原作と変わらないということか
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 16:40:38.67 ID:59Xq0rmAO
>>1も読まずにどや顔で煽られてもなぁ
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 17:01:36.77 ID:17yt+uhDO
>>673
期待してるからこそ言ってるんだよ
つまらないスレならレスする気にもならねぇ
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 17:09:44.27 ID:A5L2jPSP0
なんで佐天さん、絹旗、結標は一方通行に気があんの?
その辺しっかり書かねぇなら、 そこらに転がる上条ハーレム作品(笑)となんら変わらんだろ

前スレにしっかりそこら辺のこと書いてるだろ
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 18:04:50.43 ID:pw9cKCKMo
なんでそんな煽るような書き方なんだろうねこのもしもしは
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 18:48:40.52 ID:obwsBlzXo
>>674
なんだ、このスレにいる時点で理解しているものと思っていたが……
正直、わからんならこのスレ面白くないんじゃないか?

とりあえず、>>1にあるスレを読むと幸せになれると思うよ。
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 19:12:17.06 ID:GGYgkvAWo
        まあまあ
           落ち着いて
                , -─-、
               /     \
               l彡  ミ   |  + +
         + +   |  l     |  +
           +   | r──ァ  l +
             +  | l__ノ  /         nnn
  nnn          ヽ____ノ       | | | |n
 .n| | | |          _ノ   ヽ_     ,、| - l
  ! - レヽ       /         \   ヽ ヽ _ノ
  ヽ / /      /            ヽ  ./  /
   \  \    /   /l        |\  \/  /
     \  \  /   / .|       .|  \    /
      \  ヽ/  /  l          l   \_/
       \   /    |       |
         ` -´      |        |
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 19:47:21.33 ID:h3QFzLTYo
おもすれー
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 21:17:44.10 ID:qIJy9Aaao
>>674
じゃあレスすんなよ
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 21:18:59.82 ID:0y38u9dMo
ageんな
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 21:34:21.06 ID:hNrqI3Bio
ちょっと伸びてるから投下来たのかと思えばただのプチ荒れだった

とりあえずまだまだ進行中なんだからノンビリ見てたらいいんじゃね?
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 22:11:12.82 ID:WYhTq/BJo
こんな荒れてるところに想ちゃんを置いておくわけにはいかないな
さあお兄ちゃんの部屋に行こう
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 22:20:46.94 ID:mNdQOkp60
その後、>>683の姿を見た者はいない…
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 22:23:52.23 ID:YkjjXtVSo
絹旗先生、想ちゃんは向こうです。一緒に探しに行きましょう。二人きりで
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 22:25:04.08 ID:S0z8EzQo0
絹旗が好きになったきっかけって、暗部時代に対戦したときに手加減されたのがフラグだったんじゃなかった?
佐天さんとかかねがね女性陣が好意的なのはちょっと想像力を働かせればわかるだろ。
孕まされた挙句捨てられた親友とその娘を下心無く面倒見てくれるツンデレV系イケメンなわけだろ一方さん。
そりゃ好感持てるだろ。

あわきんは……元カノ?
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/25(金) 23:30:20.92 ID:obwsBlzXo
>>686
そこは……生死を賭ける戦場を過ごした仲と考えれば……


さて、あても落ち着くとしよう。想ちゃんのために。
それにしても面白いなぁ……
この面子で風斬女史が混ざれば俺的には昇天モノでござるよ。
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 01:03:34.52 ID:vPbAniV9o
>>686
なにいってんの?あわきんは俺の彼女だよ

それはそうと、このスレって>>1に書いてあるスレとはまったく別設定の関係ないお話よね? まあ、>>1が佐天通行とか座標通行とかのカップリングが好きっていうか、一方さんが好きっていうところはもちろん一貫してるんだろうけど。
なんだか続き物と理解してる人が何人かいるみたいでちょっと自分の読解力が心配になってきたんだが
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 01:08:47.71 ID:tr95ovzYo
パラレルワールド的なアレだよ
どのみち一方さんはモテる運命だけどな!
リア充爆発しろ!
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 01:10:30.61 ID:Ucx13OZto
>>689
爆発のベクトルを反射しますゥ
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 01:19:20.22 ID:Ldh8d/kAO
考えてみりゃ

戦闘力→学園都市最強
頭脳→学園都市最高
外見→真っ白なイケメン・ブランドに詳しい
性格→優しい

あれェ?こンな優良物件まずないですよお客さン
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 02:19:50.39 ID:DcFfslG4o
借金8兆円


…くらい返してそうだな
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 03:33:18.50 ID:Tho8IrCYo
一方さんの別名は母性殺し
だが同時に年下崩しも持ってる二重能力者
694 :VIPにかわりましてミサカがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 03:34:03.57 ID:vPbAniV9o
まぁ待て、落ち着けお前ら
ここでもう一度冷静になれ

・口調がおかしい
・服装がおかしい
・笑い声もおかしい
・顔が怖い
・いつまでも中2病(※黒い翼が生えます)
・借金八兆円
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 03:55:04.15 ID:8oKzlewIO
一方さんは学園都市の強さランク第一位かつ鈍感ランク第二位
一位は言わずもがな
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 04:38:56.47 ID:tnkGcYfAO
>>694
姉御wwww
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 06:33:08.69 ID:zcNoj1ax0
>>693
すっげー納得
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 08:23:14.76 ID:bE/i3jRY0
>>694
ッハ、漏れらは何を!
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 09:31:46.90 ID:m0l3kUHTo
>>75からすると、既に妹達の半分が一方派みたいだけどなw
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 11:19:02.15 ID:QZDfaSfX0
>>694
○一方さんマジ天使
×黒い翼が生えます
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 11:24:52.28 ID:ykp1g+mAO
>>699
上手い料理を食えることを羨んでる個体もいるんじゃなかろうか
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 11:47:35.52 ID:3UrqM/WDO
>>694
・飲み物と食い物ゴチ
・とりあえずお金持ってる
・お洒落話題(笑)豊富
・さりげない気遣い
・コンビニの扉開けて待っててくれる
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 13:42:37.54 ID:MG8kA9Lv0
>>702
あれ?
一方さん最高じゃん
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 16:27:35.74 ID:rMu19/UPo
口調がおかしいとか…

ミサカはミサカは とか ありけるのよ とか 結局〜ってわけよ とか 尻を出すのである とか
妙なのがうじゃうじゃいる中じゃ一方さんの口調はマトモな方から数えた方が早いだろ
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 16:41:19.35 ID:OZuliZ//o
>>704
貴様、その例示の最後納得行かないのである
少し落ち着いて話すためにそこの公園のトイレまで一緒に来るのである
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 16:47:05.96 ID:zcNoj1ax0
>>705
今すぐここで服を脱ぐのである
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 17:34:50.15 ID:wy+5IMAIO
こんなホモ臭いところに俺の涙子を置いておくわけにはいかんな
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 17:47:12.85 ID:Ldh8d/kAO
さあ淡希、一緒に帰ろう。おっかないウィリアム=オルウェルがいるからね
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 18:41:25.21 ID:hnhJVpzno
>>1が来たかと思ったらどうでもいい話であったでござる
710 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 19:35:04.72 ID:2XzJuHTL0

八時半くらいに投下致します。
そんなに長くないですが、ご容赦を。
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 19:52:08.57 ID:X3KUOQCAO
待ってるよ!
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 20:14:00.76 ID:zeuA4qFAO
缶珈琲飲みながらまってます
713 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:32:50.06 ID:2XzJuHTL0
今から投下します。
714 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:34:26.06 ID:2XzJuHTL0


思考が鈍るのを嫌って最低限の保温を目的とした温度のエアコンの設定をさりげなく引き上げる。
普段は気にならない程度の加湿器の音がやけに耳障りだった。

「11782号が…ってミサカは、ミ、ミサ、カは」

しゃっくりを上げながら、懸命に伝えようとする打ち止めの肩を、番外個体が優しく抱きしめる。
普段口喧嘩の多い二人だが、本当は仲睦まじい姉妹だ。そのことを微笑ましいと思う。
それが現実逃避であるのだということはとっくに承知だ。

気にするな、そう声を掛けるべきだろうか。
それとも泣くなと言うべきか。
気をしっかり持て、それも違う。
じゃあ落ち着け?無茶を言うな。

「ほら、座ろ」

番外個体が、打ち止めの小さな肩を抱きしめながらソファに促す。
打ち止めはこくんと頷くと促されるままに大人しく座る。

「11782号……南米の方だったか?」

一度泣き始めたせいで、タガが外れたように嗚咽を上げる打ち止めの代わりに番外個体が頷く。

715 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:35:53.64 ID:2XzJuHTL0


「本当はね、すぐにでも連絡しようとしたんだけどさ」

打ち止めの頭を撫でながら番外個体の静かな声が研究室に響く。

「まずこの子や、それに他の妹達落ち着かせてからって思ったの。知ったのは昨日。ラピュタがやってたじゃん、あれくらいの時間」

しゃくりをあげる打ち止めの背中を優しくさする。

「変にトチ狂って暴走した妹が出ても困るじゃん。お姉さまが今スゲェ大変な時期だって知ってるし」

確かにと納得する。妹の死を割り切ることのできない心の優しい美琴がショックを受けないはずがない。
初めてずくしの不安定な時期にどのような影響が出るかわからない。最悪流産もありえる。

「ごめんね、こんな遅れて連絡して」

「いや、いい判断だ。すまねェな番外個体」

「止めてよ。アナタからお礼なんてミサカ、サブイボが出ちゃうってきゃはは」

挑発するように笑う声に張りがない。
普段の軽口の叩き合いをして、必死に平静を装うとする姿がいっそ痛々しい。




「打ち止め…」

ひざまずき、俯いた少女をのぞき込む。白衣が床に広がるが気にしない。
大切な少女。ずっと守り抜いてきた少女達の筆頭。
皆等しく守ると決めた中でも特別な存在の一人である少女。

その手をそっと握る。

「よく、きちンと報せに来てくれたな。ありがとうよ」

打ち止めの肩がびくりと震える。
部屋で泣き伏していたっていいのに。
妹たちを散々殺めてきた自分に会うことが彼女の心をさらに掻き乱すはずなのに。
長年共に過ごしてきたこととは別問題だ。それは理屈ではない。
殆ど刷り込みのように刻まれた恐怖だ。

悲しいとは思うが、理不尽だとは思わない。

それを乗り越えて自分のそばにいてくれる少女達に感謝こそすれ、不満になど思う理由がない。

716 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:39:59.32 ID:2XzJuHTL0

「…アナタは大丈夫なの?って…ミサカはミサカは徹夜続きのせいで隈ができてるアナタに尋ねてみたり」

大きな瞳から、宝石のように泪がこぼれる。
それを親指で、そっと丁寧に拭っていく。
傷つけぬように、優しく、指の腹で。

「バァ〜カ。クソガキがくだらねぇ心配してンじゃねェよ。これくれェでダメージ受けるようなか弱い神経も、優しい心も生憎持ち合わせてねェからな」

はん、と鼻で笑ってみせる。
きょとんとした顔の打ち止めの横で、番外個体が顔をしかめるが、それには気づかぬ振りをする。

「何か飲ンでけ。で、十分温まってから帰れ。お前等明日も学校だろォが」
「じゃあ、ミサカはブラックで。この子は……ココアね」
「よォく練ったヤツだな」



お湯の準備をすると、カップを棚から出す。
かちんと、食器がぶつかる。
棚から取り出そうとして、ぶつけてしまったようだ。
手に取ったカップを、欠けていないか念入りに見る。無事なことにホッとする。
その手が震えていることには気づかなかったことにする。


忌々しい。情けない。自分にありったけの罵声を心の中で送る。






「すまねェ…」
「え?」

番外個体の膝で眠りについた打ち止めを見下ろしながらの突然の謝罪に番外個体は目を丸くする。

「本当なら俺がする役だ。こンなところにチンタラ引きこもって、保護者の仕事まで押しつけちまってる」

「止めてって。保護者面するのは。仮にするって言ってもせいぜい兄貴役でしょ?ミサカ達はアンタに父親役を頼んだ覚えはないんだけど?」

「それでもだ。妹の辛いときに側に居てやるのが兄貴ってもンだろォが」

土御門にしては、随分といいことを言うと、昔感心した記憶がある。もちろん、調子に乗るだろうから言わないでおいたが。


「兄貴失格だな」




「……別に兄貴役じゃなくてもいいのに」
717 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:42:25.15 ID:2XzJuHTL0

「あ?」
「そんな肩肘張らずにさ、もっと普通に側に居てくれたらこの子は喜ぶよ。それに……ミサカも」


最後の言葉は、消え入るようにつぶやく。
聞こえてなかったのか、一方通行は、力無く「ありがとォよ」と笑う。「馬鹿…」番外個体が吐き捨てる。

コーヒーを啜る音。

加湿器の小さな唸り。

数台のPCが銘々好き勝手に立てる駆動音。


それが沈黙を却って際立たせる。



「ねェ…」


打ち止めに視線を落としながら、番外個体は沈黙を煩うように言葉を転がす。

「アナタどれくらい寝てないわけ?」
「別に大したことじゃねェよ」
「答えになってねーっての。昔のミサカ並の隈だよ?白いからくっきり浮かびすぎ。つーかむしろパンダ?」
「木山ほどじゃねェし。色々やってたら徹夜になっちまうンだよ」




「あのさ、ミサカ手伝ってやってもいいよ?」
「学校はどォすンだ?」
「別にあんなものどうでもいいし。そんなことより…痛ッ」

ぱちんと額を指で弾かれて涙目になって番外個体は睨みつける。

「何すんだよテメェ」
「馬鹿ですか?つーか馬鹿なお前。ハイ馬鹿決定」
「ああ?」
「テメェ如きのチンケな脳味噌が一個増えて何が出来るンですかァ?ああァ?」
「何って…ちょっ、ちか」


口ごもる番外個体を挑発するように、のぞき込む。

「ち、近いって」

息が触れる距離にまで近づいた顔に、別の意味で口ごもる番外個体に気を留めずに一方通行は番外個体の頭に手を置く。


「くだらねェことグダグダ考えてねェで、お前等は普通の生活して馬鹿みてェに笑ってろ」




「なんだよ…それ……ホント、アンタってミサカ達の前で弱み見せてくれないよね…ムカつく」





718 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:43:37.43 ID:2XzJuHTL0






「あんまり無理しちゃダメだよ?ってミサカはミサカは単身赴任の夫を心配する妻のように言ってみる」
「三歳児っがナマ言ってンじゃねェ」
「ミサカ中学生だもん」
「ガキじゃねェかどちらにしろ。オイ、番外個体。このガキがきちんと学校行くように見張ってろよ。ああ、お前もサボるンじゃねェぞ」
「ハイハイ、わかってますよ。ホントにこの白い親御さんは過保護なことで」


目を覚ました打ち止めと番外個体を見送る。
思い切り泣いて、眠ったおかげか、すっかり落ち着きを取り戻している少女に安心する。


「じゃあ、またねってミサカはミサカは一方通行に手を振ってみたり」

「ン」

軽く手を振り返してやる。番外個体は何か言いたげにしばらく見つめていたが、打ち止めの呼ぶ声に背を向ける。
小さく「馬鹿野郎」と呟きながら。


少女達を見送ると、研究室のドアに鍵を掛ける。


719 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:44:29.16 ID:2XzJuHTL0








「ガァァァァーーーーーーー!!!」







720 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:46:59.87 ID:2XzJuHTL0




目に付いたHDDを思い切り蹴る。
それに引きずられるようにコードに繋がった機器が、テーブルの上に置かれた資料や器具を道連れに派手な音を立てて転がる。
杖を付かずに思い切り足を振り上げたせいで、バランスを崩して倒れる。


「クソがァ!!!」


それでも目に付いた機器を手当たり次第に殴りつける。
まるで癇癪を起こした子供のように、周囲に当たり散らす。


何が学園都市最高の頭脳だ。
何が守るだ。白衣なんぞ着て、こんなご大層な研究室に引きこもって、格好ばかりだ。
剥製と同じだ。見た目ばかり取り繕って中身は大鋸屑しか入っていない。


悔しいとか、悲しいなどという感情ではない。
怒り、憤り、苛立ち。そして憎悪。
無力で無能な自分へと向けられる感情が溢れる。
声を振り絞って叫ぼうと、微塵も和らぐことがない。
間断なく落ちてくる滝の水のようだ。いくら叫ぼうと、コップで掬って捨てるようなもの。
勢いを上げて落ち続ける滝の流れには影響はない。
自身へと向けられる嫌悪はそれによく似てる。


「クソッ、クソッ、クソッ、クソッ、クソッ、クソォ!!」


こうやって嘆いていることでさえも、自己陶酔、自己満足でしかないのではないか。

悲しんでいる自分に満足して、償っているつもりになっているのではないか。

悲しむ行為すら偽善めいてくる。

自分の行動すべてが憎く、疎ましく、目障りだ。


721 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:51:27.69 ID:2XzJuHTL0







『既に君なら気づいてると思うが ―――― そうだ、アレイスターめやってくれるよ…… 時限式…  そうだね、私も同意見だ』



「ああああああああああーーーーーーーーーーーーーーッッ」

両手を顔に当てて叫ぶ。
打ち止めが伝えに来た内容は、既に知らされている。冥土帰しから知らされている。




万が一自分が倒れた時、自分の理想を下らぬ俗物が利用などせぬように、その道具の自壊をプログラムしていた。
道具  そのように定められた少女たちの命に。
自分はそれに気づけなかった。
寿命が人並みになったと喜んだ少女達の笑顔がそのまま死に顔になって脳裏をよぎる。




『調整が杜撰なだけじゃないよ。南米は兎も角、イギリスに至っては最大主教が率先してバックアップしているからね。
 ああ、彼女はただの宗教指導者では無い。この件における実質の責任者だからね ――― ああ、私の方でも調べている、親船にも…
  ――― そうか、君から頼んでくれるか。アレイスターの残した資料を洗い直すしかないだろうね』

722 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:54:28.76 ID:2XzJuHTL0

電話越しに、冥土返しの怒りが伝わってくる。
常に平静であり、一方通行から見ても底の知れないこの男が心を砕くのは常に患者であり、胸を痛めるのは無為に消え去る命であり、そして怒りに震えるのは生への冒涜なのだ。


『それから…一応言っておく。これは君のせいではない。すべてはあの男の自己満足にすぎない。むしろ今日まで持っているのを君は誇るべきだ』


誇る?

ただ先延ばしにしてるだけで、いったい何を誇れと言うのだ。

助けるとは、そんな数年の延命のことなのか。

半端な夢を見せただけで、いったい何が誇りだ。

転がったカップを見る。

守るべき、そして償うべき少女達の一人がくれたもの。


『いい加減アナタはアナタを許しても良いときが来てると思いますよ、とミサカはM疑惑のあるモヤシに内心ウンザリしながら聖母の眼差しを向けてみます』


その笑顔に、一体自分はどれだけ救われただろうか。
きっと、目の前に立つのが、その少女ではなかったら、泣いていた。
おかしな話だ。その言葉をその少女がくれたから泣くのに、その少女の前では泣かないと決めているのだから。



その年の秋、少女は眠りに就いた。


最初に、この都市を掌握していた男の愚劣な呪いの犠牲になった。


723 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:56:19.20 ID:2XzJuHTL0

許せるわけがない。
誰が許しても。
世界が許しても。
例え彼女達が許しても。
あの少女が許しても。

自分が自分を許せない。


行き場の無い怒りが喉を震わせる。



「がぁああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」















「――― レータ!」


遠くから自分を呼ぶ声に、一方通行は微かに瞼を震わせる。
少し重さの残る瞼に力を込めてゆるゆると瞳を開く。

「アクセラレータ!」

724 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:57:35.24 ID:2XzJuHTL0
薄暗い空間のおかげか、まぶしさに瞳が痛みを感じることもない。
目覚めとしては、穏やかなものだ。
ただ、目の前にある少女の顔を除けば。

「もう、グースカ眠るなんて超失礼です」

隣に座っていたはずの絹旗最愛が、真正面に回り込むようにして見つめる。
膨れ面をすると、十代の小娘にしか見えないなと、回りきらぬ頭で思う。
周囲を見渡すと、席を立ち上がりぞろぞろと出口に向かう客が数人。
時折チラチラと見てくるのは、自分達が人目を引くからだろう。
遠目にはキスをしているカップルのように映っているかもしれない。

「顔近ェよ。キスでもねだってンですかァ?」
「ひゃんッ!?」

つんと、膨れ面をつついてやると、真っ赤な顔をして飛び退く。
ようやく周囲、といっても僅かな客であるが、の視線に気づき絹旗はますます柔らかな頬を朱に染める。
見回して、一方通行は此処が映画館だと思い出す。
よほど深く眠っていたのだろう、まだ夢から意識が抜けきらない。


「というか、よくこんな超大迫力の映画で爆睡出来ますね」
「うるせェよ、シベ鉄クラス二本立てとか狂気の沙汰だろォが。寧ろ一本はしっかり見たことを評価しろ」
「何て男ですか。超超失礼です、もう!!」

舌打ちをすると、一方通行は杖を取って立ち上がる。
確かに映画の内容はどうであれ、一緒に見ている人間が隣で寝息をたてているのは真剣に見ている人間にとっては気分の良いものじゃないだろう。内容はどうであれ。

725 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 20:59:43.19 ID:2XzJuHTL0


「昼飯好きなモン奢ってやるから機嫌直せ」

「ご飯でつろうだなんて超侮りすぎですね」



「プラス俺ン家で夕飯ご馳走しよォと思ったンだが…」
「超機嫌直りました!」

ハーイと手を上げる絹旗最愛。
単純ですね絹旗先生、と心の中で呟く。
まずは昼食だなと、ケータイを取り出し検索をかける。
そういえば、こうして女と二人きりで出かけるのは、美琴を除いては、久しぶりだと一方通行はふと気づく。



(デート…なのか?)

そんな言葉を使うことすら何だか自分には似合わなすぎて首を傾げる。


「一方通行、早く行きましょう」


頬をテンションがあがっているせいなのか、絹旗は微かに紅潮させる。
とりあえず、彼女の満足するような店を探してから、買い物だろうか。
あのテンションの高さだと、今日は一日中振り回されるなと、溜息。


「ま、いいか…」


あの夢から起こしてくれたお礼も加えてやろうと心の中で呟く。


726 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 21:02:52.80 ID:2XzJuHTL0

いずれ書くつもりの過去編を、ちょろちょろと小出しにして行きます。
違うスレになってしまうから。ほのぼの好きな人にはゴメンなさいな話でした。
個人的には辛い過去があってこそ今の幸せが噛み締められると思うんです。


だから美琴には過去編で思い切りツライ目に合わせてしまってるのですが…

それではまた。
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 21:06:50.26 ID:zeuA4qFAO
いちおつ
一方通行は朴念仁(フラグマスター)に改名すべき
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 21:08:08.75 ID:vd2cLU9jo
>>1
御坂妹こと10032号は生きてるって事は番号順じゃないのか…
いずれにしても悲しいな…
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 21:08:18.22 ID:9t2fTXAKo

一方さんはやはり怒りの感情を表す姿が良いなぁ…
ほのぼのもギャグもシリアスも大好きだ。続き楽しみにしてます
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 21:10:45.94 ID:d7w/p/UL0
乙。>>1の一通さんはあいかわらず格好いいなぁ。
絹旗もぶれの無い可愛さだ。
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 21:17:50.95 ID:BWliRIOio


悲しい。
なんかこのもやもやを上条にぶつけたくなってる自分がいる。(アンチという意味ではない)
「お前は、辛いこと全部他人に押しつけて何のうのうと暮らしてやがるんだ」と。
それは違うんだろうとは予想していても。上条には上条の物語があるのだと理解していても。それでも。

誰か一方さんの荷物を一緒に持つ人はいないのか。誰か。

続きを待ちます
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 21:32:02.13 ID:Ldh8d/kAO
>>1さん乙です。これが一方通行さんが研究止める前の話か…
ありがとう>>1。最後までついていくぜ。そして冥土帰しのおっちゃん格好良すぎ
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 21:35:14.57 ID:d7w/p/UL0
想ちゃんと絹旗先生がかわいいから、なんでもいいよ。
想ちゃんと絹旗先生と一方通行で幸せな素敵な家族じゃないか。

ん?誰か忘れてるか・・・?
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 21:58:17.19 ID:PRU8raG8o
きぬはたの身長が意外とデカかったことが判明。

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/26(土) 21:44:05.31 ID:ZA7V6r530
アイテム可愛い
http://iup.2ch-library.com/i/i0251039-1298723819.jpg
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 22:03:21.67 ID:OZuliZ//o
それの絹旗は没稿
実際はそっから縮んで採用版の絹旗になり申した
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 22:06:08.94 ID:EpBZpVcIo
>>733
ママ・・・
まぁ、今の所絹旗のが目立ってるね
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 22:34:13.27 ID:ikIF+OZNo


面白すぎんだろ・・・
一方通行だけじゃなくて美琴も自分を責めそうでやばいな
でも、>>1なら最後が電磁通行になろうが窒素通行になろうが皆幸せにしてくれる気がするわ

個人的にはこの電磁通行のいい感じの長年連れ添った夫婦的な距離感が大好きだ
738 :貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]:2011/02/26(土) 23:18:39.59 ID:1bXPUhzj0
謝っておきます。
このスレだけで終わらせるつもりだったけど、何か無理そう。
グダグダはまだ続くみたい。ごめんなさいです。
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 23:19:59.10 ID:yvMSrUhJo
わたしは
いっこうに
かまわん
!!
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 23:20:50.38 ID:Ldh8d/kAO
何言ってんだこのやろう!!!!










地獄の底までついていくんだよ!!!
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 23:22:54.62 ID:BWliRIOio
いいぜ、お前がこのスレだけで終わらせると思ってたんなら、
そんな幻想……(以下略)
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 23:28:59.24 ID:9t2fTXAKo
良いか悪いかはともかく雑談も結構あったからね
もしかしたらこのスレで纏める為に短くなっちゃうかなぁと心配してたから、嬉しいです
続きを楽しみにしてます
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 23:30:31.21 ID:d7w/p/UL0
おいおい、俺の人生は後どんだけあると思ってるんだ。何十年でも付き合うぞ。
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/26(土) 23:58:45.64 ID:5WpV+FMlo
>>743
いいぜ(ry
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/27(日) 02:44:33.89 ID:kOpMBQKDO
ドントコイデス
746 :名無しNIPPER[sage]:2011/02/27(日) 10:02:23.63 ID:aVs2r/vDO
今追いついた。おもしれぇな、これ。こうなると麦のんとか根性の人の登場も期待したいところ
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/27(日) 10:08:03.13 ID:L+eFYeAAO
そんな次スレで大丈夫か?
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/27(日) 13:41:22.48 ID:x/4uBue/0
次スレ決定とかむしろ超朗報です
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/27(日) 15:12:29.02 ID:b3wrD5Zu0
>>1かっこいいのである
尻を出すのである
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/27(日) 17:08:56.73 ID:UCTjNuJ20
尻を出してネタを捧げるのである。
………ところでリアルゲコ太の一人称って『僕』じゃね?
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/27(日) 17:30:44.30 ID:HxRis9pAO
>>次スレ

まさか、ただ伊達と酔狂で雑談に興じて徒にレスを稼いでいたとでも思っていたりしたりけるの?

新しいスレに突入せざるを得なくなれば、そのスレを使い切ろうと欲をかくのは書き手ならば当然の性ということなりけるのよ。

ならば、自然と話は引き延ばされて……
得をするのは誰ということになりけるかしら?
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/27(日) 18:02:36.54 ID:WTcON3qIO
日本語で
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/27(日) 20:22:50.76 ID:Y7ljunqAO
>>751
最大教主仕事しろwwwwwwwwww
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 14:44:17.13 ID:fNhHTqkDO
コテハンがウザい
オリキャラがキモい
レス乞食臭い
内容は中学生の考えた恋愛小説みたいでペラッペラ

つまんね
センスねーわ
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 14:51:44.68 ID:Q3YHwGhAO
確かに前置きが痛い
これまで書いたやつとか…作者アピールいらね

内容は…本人達の自己中な自業自得を重いように見せかけてるだけだな

まぁ2スレ使うほど面白くはないわ
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 14:53:25.47 ID:tXRjUMLSO
>>754
オリキャラがうざい以外は同意
恋愛ものはペラペラであろうとそれも嫌いじゃない

ただ作者が黙って投下して去ってくれれば文句はない
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 14:58:35.15 ID:fNhHTqkDO
>>756
某スレもそうだったけど、書き手が語る事程ウザったい事はないわな

語りたくなるのはわかるけど、気持ち悪い
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 15:01:50.90 ID:y4oIXAj40
>>754-756
どうぞまわれ右してお帰りください。
要するにその書き込みでどれだけの人間が不快な思いをするか考えろってことだ

759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 15:06:17.74 ID:6Wm5pIG+0
スルーしなされ。
不評と好評、どっちのレスが多いかは一目瞭然なんだから
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 15:12:24.31 ID:Q3YHwGhAO
感想書いただけで不快とかwwwwww

馴れ合いたいなら他でやれks
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 15:20:24.11 ID:LGsIJ4Jt0
批評があってもいいだろうし、好評があってもいい。
読者全員が同じ感想持ってるわけじゃないしな

何が言いたいかってーと喧嘩するなら余所でやってくれ
感想書きこむくらいなら別に何も言わん
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 15:34:50.49 ID:IUlN47wu0
批判されようが自分にとっては面白いんだからそれでいい
と思う一方で作者のモチベ低下は困る
まあこういう場所で書く以上は多少の覚悟はしてるだろうけどね
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 16:04:02.80 ID:q1CCx8wAO
ここの民度低すぎwwスルーでおk
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 16:18:57.66 ID:DCcpOqB60
いきなりアンチ出てきてワロタ
気にするなよ>>1
俺はこのSS好きだぞ
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 16:22:16.79 ID:GPjmusWco
いきなりっていうか同じやつがずっと張り付いてるだけだろ
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 16:54:36.27 ID:ab4Xw0jIO
何故お前らは構ってちゃんを構ってしまうのか

何故セロリは女の子をほっとけないのか

これがわかるまで想ちゃんはおあずけです
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 18:33:15.51 ID:aAC3mR/DO
ナナ(笑)とか書いてる[田島「チ○コ破裂するっ!」]野郎にナニ求めてんの?
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 19:03:21.09 ID:ABNQa6ejo
これだからもしもし共は
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 19:06:43.03 ID:7Om6mLhr0
何を求める求めないは人それぞれ
見限る人はさっさと引き返せば良いし読むの止めればいい

ただ、助言でも何でもないアンチ的なレスはよろしくないんじゃない?
こういう不特定多数が利用する掲示板だからある程度は仕方ないかもしれないけど、
それでもマナーってのがあると思う
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 19:12:55.63 ID:Djh4FVm+o
>>769
そういう一般常識とかマナーが判ってる人ならそもそもあんなレスしないわけで
ああいう手合いはアンチだからレスしてるんじゃなくて、
不特定多数の人にチヤホヤ(というふうに見えている)されている人が羨ましい
自分が本気だしたらもっといい話かけるのにいいいみたいな妬みだろ
自己顕示欲が満たされてないプライドだけは高いタイプにありがちな厨ニ症状
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 19:14:46.59 ID:ABNQa6ejo
わりとどうでもいい!!!
黙って>>1待ってろよ
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 19:15:30.51 ID:60WfH0f4o
良スレが荒れるのは宿命か……
まあ気にする必要もあるまいよ。


支援。
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 19:48:24.11 ID:3Ojlhil8o
俺はここの>>1の書く作品が大好きなんだ。
こんなことで内容がおかしくなったりしたらすげえ悲しい。
批判的なレスする人も毎回楽しみにしてる奴がいることを知って欲しい。
俺は作者としての>>1を愛してるよ。ラブですよラブ。
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 19:54:25.54 ID:MDSqBasy0
批評家は文学論壇誌にでも寄稿していればよいのに
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 22:22:58.20 ID:ta0YOX1Uo
なんでSS速1.2レス煽られただけで荒れてしまうん
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 22:24:37.79 ID:V9DXJYlIO
上がってるから来てみれば、、、
何を書くにしろマナーを守ってコメントしろよ。感想(笑)はsageで書けよクズが。
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 22:49:21.71 ID:SoJ9sHB6o
どうやらssのプロがいるようだな。
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/28(月) 23:25:02.04 ID:J3d167HBo
>>1が来たのかと思ったらアンチが沸いていただけだった
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 00:44:46.38 ID:r3SCGUNn0
確かにおまえら煽られ耐性無さ過ぎだけど結局は煽る方がイクナイんちゃう?
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/01(火) 01:06:20.45 ID:oo9nfflAO
んなもん五十歩百歩だろ
元の原因でいえば煽った奴が悪いんだろうが
それに簡単に反応する奴もどうかと思うぞ
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/01(火) 01:19:57.21 ID:2FV0p8d10
どうでもいいからあげんなカス
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/01(火) 02:27:28.83 ID:TUEtipbUo
進んでるから来たのかと思ったらお前ら……
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/01(火) 13:54:55.66 ID:idMwNQSAO
読み手のくせに馴れ合いでレスするのはやめろ

そんなことも分からないならssスレに来んなks
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/01(火) 14:00:50.91 ID:TNfx1NEIO
はまちゃんぺろぺろ
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/01(火) 14:22:42.52 ID:EmjzrjfIO
NGIDが増えた、>>1がんばれー
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/01(火) 15:20:01.91 ID:hd+n9opRo
相変わらずAUはキチガイが多いな
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/01(火) 18:26:03.05 ID:K71JXTS3o
まあ、そんなことより野球しようぜ!
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/02(水) 06:33:28.73 ID:oVFaEUmP0
過去読み返してみたら、どうやら想タンはぱっつんらしいな。
ロングで前髪ぱっつんとは実に愛らしい。俺様に相応しい美幼女とみた。

もらってやってもかわまんぞ?
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/02(水) 11:16:08.75 ID:A+35Kn9AO
>>788
■■「私も。ぱっつんロング」
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/02(水) 19:58:07.26 ID:vPxrj17IO
>>788>>789
そげぶ
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/02(水) 20:33:55.70 ID:ijR74je+o
マダァ━━━(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン━━━??
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/03(木) 00:04:49.03 ID:h+JpKobQo
あっちのスレがついにクライマックスだな
793 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/03(木) 21:58:17.23 ID:CYLZJA1n0
多分12時くらいに投下します。
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/03(木) 22:02:07.93 ID:t5kL3RdQo
脱いで舞ってる
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/03(木) 22:04:46.30 ID:ozvAymEMo
脱いで外で舞ってる
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/03(木) 22:21:46.15 ID:ANJD9reyo
そんな>>795を中継しながら待ってる
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/03(木) 23:37:31.61 ID:bumQke0Zo
ジャッジメントですの
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/03(木) 23:52:21.30 ID:YuAKL1b5o
アンチじゃんじゃんじゃん!
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/03(木) 23:58:42.04 ID:SzzxvLaDO
いーもんじょんじょんじょん
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 00:00:37.43 ID:Bc12gBV10
いーもんもんじゃんじょん、じゃなかったっけ
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 00:02:22.25 ID:MzgPb77Po
いーじゃんいーじゃんすげーじゃん
802 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:08:40.26 ID:aFMkGtcL0
投下します〜
803 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:11:28.20 ID:aFMkGtcL0



バレンタインの日。

『映画にならいつでも付き合ってやる』との口約束が交わされてから、僅か三日後。

一方通行は某ハンバーガーショップに来ていた。





「ポテト一つ超欲しいです」
「つか取ってンじゃねェか」


自分のトレイからポテトを摘む絹旗をじろりと睨む。


「さっきからポテトに手付けてないじゃないですか。一本くらいケチケチしないで下さい」
「これから食うンだよ…」

塩の付いた指を咥えながら誤魔化すように笑う絹旗は普段、園児達の前にいる彼女よりも三歳は若返って見える。
一方通行も注文したチキンにかぶりつく。
あまり良い油を使ってない。味付けも濃い。

料理を作るようになってから、無意識に外食すると事細かに点数を付けるようになってしまった。
一方通行自身悪い癖だと自覚している。
肉が柔らかいことだけは及第点だな、と点数を付けながら紙のカップになみなみと注がれたコーヒーを飲む。
苦ければコーヒーであるのだと言いたげなコーヒーに思わず顔を顰める。

正直、不味い。

それでも水っぽいコーラやジンジャーエールを飲むよりはずっとマシだ。



「想にはこんなモン食わせられねェな」

「親御さん超過保護過ぎませんか?」

「過保護じゃねェし」

804 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:13:33.00 ID:aFMkGtcL0

「へぇ〜〜その無駄に伸びた髪はどう説明するんですか」
「切るタイミングを逸しただけですゥ」
「切らないで、って超お願いされたんですよね“あーくん”」
「知らねェなァ……」
「青い髪ゴムよく似合ってるじゃないですか」


「……チッ」



ニヤニヤと絹旗が一方通行の首の後ろへ視線を送る。
白い髪に、青いゴムが爽やかなコントラストになってよく映えている。
想がバレンタインに贈ったプレゼントだ。
絹旗、佐天、初春、垣根、そして一方通行と自分用に、色違いのゴムを贈った。
想からプレゼントされた時、子供のお小遣いで買える範囲であり、且女の子らしい少しませたプレゼントだと、絹旗は微笑ましくなったものだ。

それを、この男が毎日髪を縛るのに活用しているということを、美琴経由で絹旗はとっくに知っている。


「それより…折角おごりだっつってンのに、こんな場所で良かったのかよ」


手遊びのように、空になったナゲットの箱を潰しながら一方通行は釈然としない顔を浮かべる。
和洋中と、おススメの店ならばいくらか心当たりがある。
どうせ奢るなら、美味い料理のお店に連れて行ってやりたいという男心は一方通行とて同じだ。



「わかってませんね〜」


絹旗はわかっていないな、とばかりに肩を竦める。



「わかってませんね〜」
「何故二度言った」


「超わかってませんね〜いいですか。B級映画はポップコーン。いえ、贅沢を言えば油っぽくて味の濃いスナック菓子。
 映画鑑賞後はジャンクフードでパンフレット片手に語り合う。モスなんて邪道。マックもライト過ぎます。ロッテリアがベター。これこそがジャスティス」


「で、此処か…」



絹旗の熱弁にげんなりしながら、店内の賑わいを眺める。
小さなテーブルに椅子を集めておしゃべりに花を咲かせている女子高生。
顔を寄せ合って雑誌を見ながら、あれこれと話しているカップルは次の行き先でも決めているのだろうか。
携帯ゲーム機を持ち寄っている中学生達にいたっては、外出の意味をわかっているのか疑問だ。


805 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:15:52.76 ID:aFMkGtcL0

「昔から利用してるんです。一緒に観に行ってたツレの財布的にも此処が限界でしたし」

「ああ、浜面か」

「浜面は昔から超貧乏ですから」

「仲良いんだな。ま、確かにアイツがイタ飯だとかに連れて行く姿なンざ想像つかねェしな」

ギクシャクしながらピンク色のジャージを着た少女を、慣れないエスコートでイタリア料理のレストランに連れて行く姿を想像すると、似合わな過ぎて笑えてくる。

(イタ飯というか痛飯になるな…ってアホか俺は)

我ながら下らなさ過ぎる。
そんな事をぼうっと考えていると、絹旗がハッとした表情を浮かべる。

「あ、な、仲が良いって言っても、友達ですからね?友達。た、確かに、一時期気の迷いというか…
 周囲に一人しか男がいなかったから、ついいいかなって思ったりもしましたが。
 ホント、はしかみたいなものでして、ええ、現在進行形で超キモイ浜面なんて、せいぜい馬鹿な兄貴みたいな、そんな感じなんですってば」
「お前は何を慌ててンだ?」

一方通行は、慌てて取り繕う絹旗を怪訝な表情で見つめる。

「初恋ってヤツだろォが。いいじゃねェか。見る目あると思うぜ。ツラはアレだが中々見所のある野郎だぜ」


うんうんと、一人頷く一方通行。


(ちょっとくらい慌ててくれてもいいじゃないですか!!っていうか超焦れ!!)


しかし、『エブリデイ父性愛』、『家族愛が恋愛感情から常にフォールを取る男』という異名を持つこの男にそんな微妙な乙女心を察しろという方が難しい。
それに、兄のように親しみを抱いている友人が、憎からず思っている男から高評価なのも、悪い気は決してしないのも確かなのだ。
滅多に人を褒めないこの男がこれほど言葉を尽くすところに、浜面仕上への評価が窺い知れる。
垣根などが聞いていたら、間違いなく暴れ出しかねないだろう。
未だに一方通行の垣根に対する評価は変わらない。寧ろ悪化しているのだから。

『メルヘンくゥゥゥゥン。アレですか?羽にお花をデコレーションしてパワーアップですかァ?メルヘンじゃねェ、超メルヘンだ(キリッ)ってかァ〜』


こんな感じに。

806 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:19:02.87 ID:aFMkGtcL0


「初恋ってのは実らねェモンだ。あんまり気にすンじゃねェよ」
「してませんから!!」

やけに年上ぶった物言いが、癇に障る。
絹旗はぶすっと膨れて、上目遣いに睨み付ける。
一方通行が「どうした?」と心からわかっていないとありありと顔に出す。
舌打ちの一つくらいしてやりたいのを、グッと堪える。男の前で舌打ちする女など、それだけでマイナスだ。減点どころの騒ぎじゃない。


「そんなもん、と〜〜〜〜〜っくの昔に終了してるんです。今更見当違いの心配とか超止めて欲しいです」


初恋だったと仮定しても、そんなもの六年前には完全に終わっている。浜面と滝壺の結婚で。
そもそも、浜面に仄かな想いを抱いていた期間よりもずっと長い時間を捧げていて、しかも結構自分でもバレバレなくらいにわかりやすいオーラを放っているのだ。

いい加減気付けこの超馬鹿野郎、と喉元までこみ上げてくる言葉を絹旗は呑み込む。


「そういえば、今もお小遣いは少ないそうですね、この前愚痴ってました。
 浜面のことですから、どうせバニーの出てくるエッチぃのとかキモイ買い物しか用途ないので滝壺さんGJですけど」

「ピンクのヤツ、あれで中々の手綱捌きだからなァ…侮れねェよ」

「そういえば、ご近所さんでしたもんね」

「下の階が浜面ン家なンだよ。ピンクとはスギモトさン家で週一で和食を教えてもらってンしよ」

「誰ですかスギモトさんって……教えてもらってるって、滝壺さんと一緒に?」

「ああ。アイツ結構暇を持て余してっからな…つか、茶飲み友達」

「嘘ッ!?」

「ホント」


人妻と、二人でお茶飲んでるんですかこの超エロモヤシ。
滝壺に限ってそんなことはないとはわかっている。わかっているが、それでも胸中穏やかではいられない。
自分がいないところで、女と二人きりという話をされるのも気に入らないが、平然と自分にすることが気に食わない。
そんな絹旗の思いなど露ほども知らず、女子高生の集団を見ながら一方通行は打ち止めもこんな風に年相応に友人達と過ごしているのだろうかと考える。
自分とは違い、交友関係を広げるのが上手い彼女のことだ、自分が心配する必要もないだろうが、父親代わりとしてはやはり気に掛かる。


そんな思いを抱きながら少女達を見ていると、彼女達がチラチラと見ているのに気付く。

807 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:21:19.32 ID:aFMkGtcL0

(こんな悪党面がジロジロ見てりゃそりゃ怖ェか)


自分の行動を改めて思い返し、軽い自己嫌悪に陥りながら視線を前に戻す。


「………なンだよ」
「別に〜〜そんなに女子高生が気になりますか〜〜そんなに若い子が好きなんですか〜〜へぇ〜〜」
「わけのわかンねェいじけ方すンな。ウゼェ。打ち止めもあんな感じなのかって思ってただけだ」
「というか、さっきから私がいるのに他の女の子の事考えるなんて超デリカシーがありません!」


第一、向こうの女子高生がヒソヒソ話しているのが、誰であろう自分達のことだというのに。
正確に言えば目の前の男のことである。
昔ならば、悪人顔として怯えたであろう表情は大分角が取れ、一方通行が思っている程他者に威圧感を与えるものではない。
強面の印象が薄れれば、当然元来の整った顔立ちのイメージが前面に押し出される。
自分のツレが一目を引く外見というのは、男をアクセサリーとしか見ないような女ではなくとも大なり小なり誇らしい気持ちになる。
しかし、余りにも向けられる視線、関心に鈍感過ぎると、流石にやきもきする。
自分の気持ちもこうやって、周囲から向けられる数多の取るに足らない視線といっしょくたに流されているのではないかという不安。
焦れるような気持ちはきっと、この白い朴念仁にはわかるまい。


「ま、一方通行に其処まで望むのは超無理難題かもしれませんが……」

「わけがわかンねェンだが……」

一方通行はムスッとしたままテリヤキバーガーを小さな口でかぶりつく絹旗を眺める。
絹旗は、一方通行の知り合いの女の中では珍しい部類に入る。
服装とかではなく、趣味や好みについてだ。
そして、食事の時になどに強く感じる。
808 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:23:58.84 ID:aFMkGtcL0

折角美味しい料理を出すお店に連れて来たのに、散々イライラする程メニューと睨めっこし、パスタとサラダとくれば正直ガックリと来てしまう。
能力を持たない一般人であろうと、複雑な演算を行うことが出来る能力者であろうとも、このイライラするような時間は変わらない。
カロリー計算を頭の中であれこれと巡らせているのであろうことは一方通行にもよくわかるのだが、そこまで長考すべきことなのだろうかというのが本音だ。
知り合いの中でそういったことを些末なものだと切り捨てているかのようにバンバンと高カロリーのものを頼む女と言えば、美琴と目の前の絹旗くらいだろう。

もっとも、単純に太らない体質なのかもしれないが。


(それにしてもまァ…こんなガキ臭ェモンよく食べられるモンだ……あ〜あ、ソースまで付けやがって馬鹿が…)

何が嬉しいんだかと一方通行は絹旗を無遠慮に眺める。

美味しそうにハンバーガーを頬張る彼女とぱたりと目が合う。


「……何じっと見てるんですか…超いやらしいです…私の唇がそんなに目を引きますか?」

「何言ってるンですかァ〜ちびっ子センセイが。園児に混ざっても違和感無いモアイちゃんがよ」

「最愛です!さ・い・あ・い。貴方のせいでモアイって言う子がいるんですよ」

「良かったじゃねェか。仲良くなれて。対等の関係って素敵じゃねェのか」

「それはナメられてるって言うんですよ!」

「どうどうどう。落ち着けって。ソース付いてンぞ」


唇の端のテリヤキの甘いソースを指で取ってやる。
そのままペロッと舐めると、甘いタレの味が舌の上に広がる。


「うェ…甘…」

みたらし団子のようなタレをつけた肉なんてよく食べられるものだと、一方通行は口直しにポテトを摘む。


「コレが人気一位って……どンだけ甘党が多いンだ?」

「………」

「ン?どォしたンだよブス面して」


「………別にぃぃ〜〜っていうか、ブス面って何ですか。超失礼極まりないんですけど」


不貞腐れた顔で絹旗はオレンジジュースを啜る。
普段であれば真っ赤になって照れているところだが、バレンタインデーの時のことを佐天から聞いているだけに素直に喜べない。
一方通行にとっては、佐天の口に付いたチョコレートを舐めてやるのも、絹旗の口に付いたソースを舐めてやるのも大差ない。
想のほっぺたに付いたご飯粒を取ってやることの延長線なのだ。


それを知っているだけに、嬉しいはずの行為が腹立たしくすらある。


809 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:26:16.24 ID:aFMkGtcL0


(折角麦野に服借りて来たのに)


年下と自分をきっぱり見ている一方通行の意識を変えるべく、いつもの自分とは違った雰囲気を出す為に絹旗は麦野に協力を仰いだ。
今日の為に絹旗が選んだのはローライズデニムに、ノースリーブのタートルネック。
個人的な好みとして、革ジャンなど着てしまおうかと思っていたところで麦野からのダメだし。
彼女が貸してくれたのはニットカーディガン。
普段の自分と比べると大人し目なのは、普段とは違った自分に見せる為に。


『カーディガンを脱いだ時に目に映る肩に第一位だってひとたまりも無いわよ。そこを思い切り押し倒しなさい!!』


その後に出た、『目指せ寿退職!』云々は聞かなかったことにした。
要は少しでも大人っぽく見せたかったのだが、結果はこのザマだ。
服装に就いても「似合ってるじゃねェか」と待ち合わせの時に一度言ったきりである。



(嬉しくないわけじゃないんですけど、それが逆に超複雑なんですよ……)


子供扱いは腹が立つ。
しかし、親しい人間にしか触れることをしない一方通行の性格上、彼の親しい人間に入ってることは嬉しい。

複雑であるが。

810 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:28:45.74 ID:aFMkGtcL0


そんな絹旗の様子に首を傾げつつも、一方通行は最後のチキンを片付けていた。
脂が指に絡むのが気に食わないのか、やたらと念入りにウエットティッシュで拭っているのが少しおかしい。
既に食い尽くしたチキンの骨に視線を落とす。

「どんんだけチキン食べてるんですか?共食いですか?」
「うるせェな…っていうか、お前今何つった?怒らないからもういっぺん言ってみろ、な?」

眉間に皴を寄せる青年に取り合わず、絹旗はハンバーガーの残りを口に放り込む。
行儀が悪いが、コレが一番汚れない食べ方だから仕方が無いと言い訳をそっとする。
残り少ないテリヤキバーガーを丁寧に食べると逆にぼろぼろになってしまうのだ。
ソースとマヨネーズでべったりの包み紙を眺めていると何となく勿体ない気がしてくる。


「何物惜しげな面してンだ。ハンバーガー二個じゃ足りなかったのか?仕方がねェ、ナゲットでも……」
「違います。超違います!!止めて下さい、私に大食い属性を付けようとするのは」
「じゃあ何で包み紙ジッと見てるンだ?食い足りねェンじゃなかったのか」
「テリヤキバーガーって綺麗に食べられた試がなくて。いつもマヨネーズとかが残るのが勿体ない気がするというか…」
「セコイですねェ絹旗先生は」
「いいじゃないですか。一方通行は思ったことないんですか?」
「スパイシーチーズバーガー派なンで」
「汚ッ!流石一位、超汚いです。論旨ちゃぶ台返しですか!」
「俺としては、ポテトの最後の方で味に飽きが来ることの方が重要なンだけどな」
「ガッツリ食べたくてLサイズ頼むと、まだ食べられるのに、味に飽きちゃいますよね」



一方通行はおもむろにポテトを摘むと、絹旗の広げた包みに残ったマヨネーズにちょいっと付ける。


「まァ、折衷案としてはこォするのが俺の答えだがな」


マヨネーズと甘いタレの掛かったポテトを、絹旗の口に放り込む。



いわゆる「あ〜ん」というヤツだ。




811 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:32:39.48 ID:aFMkGtcL0


「―――― ッ!?」


突然過ぎる不意討ちに絹旗の顔が一気に茹で上がる。
油断した。油断していた。超油断していた。
唇に付いたソースを取るという行為で、もはやそれ以上のハプニングなど此処では起こらないだろうと高を括っていた。
これが第一位の実力だろうか。絹旗は周囲に視線を向けると、いつの間にか来店客の視線が二人に集まっている。
どちらも、人並み以上のルックスであることは言うまでもなく、一方通行は良くも悪くも個性的な外形をしている。
絹旗もまた、本人には自覚が無いが、小柄で凹凸のはっきりとした身体付きは、男達の視線を引き寄せる。
結果、そんなファーストフード店に些か不釣合いな二人が漫才のような言い合い、或いは微笑ましいじゃれ合いをしている様子は十分過ぎる程に衆目を集めていた。


「て、撤収します。超エスケープです!」


いたたまれなさに、絹旗は強引に一方通行の腕を引く。


「オイ、まだコーヒーのおかわりが……」
「いいから!」


一方通行は、まだ三杯目のコーヒーを飲んでいないと抵抗するものの、自動車を持ち上げるレベル4にとってそのような抵抗は羽毛の如き軽やかさでしかない。
一方通行を半ば引きずるようにして絹旗は店を後にした。
当分此処には来れないという後悔と羞恥心が彼女の中を占めていた。



(ば、バカップルとか思われてたら、どどどど、ど、どうしましょうか…)



が、案外満更でもなかった。




812 :  ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/04(金) 00:34:37.57 ID:aFMkGtcL0
投下終了。
次回は、窒素通行デート後編です。
名前を入力しなくてもコテは大丈夫だと今日知りました。迂闊。
それではまた。
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 00:36:59.09 ID:x8K8LB0AO
>>812
乙ゥ!明日のデートの参考にさせてもらうぜェ!

絹旗先生ハアハア
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 00:37:20.16 ID:Qy7UVZrj0
モアイちゃんかわいい
モヤシはもげなくていいから挿れろ
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 00:37:22.91 ID:Bc12gBV10
乙! バーベキューソースよりもテリヤキソースよりも甘甘甘。
しかしモスをディスった事だけは許せない
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 00:39:08.38 ID:CCUd/qKDO

ファーストフード店に一方さんと絹旗が一緒にいたらそりゃ目立つだろうなぁ
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 00:39:39.16 ID:ed3DZB3to
えぇマックですら腹一杯食おうと思うと
中々財布が許さない貧乏人ですが何か?

くそそれにしてもカワイイな!オイ!!
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 00:43:46.63 ID:9NHB9keQo
くそおおおかわいいなぁああああこいつらぁぁ
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 00:46:32.04 ID:eYHhTZYTo
ばっかおまえモスだとA-級になっちゃうからダメなんだよ。
つうかこの駄フラグ男もげろよ爆ぜろよ常盤台寮監あたりとくっついちまえよ。
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 01:02:46.73 ID:7Y0B7qoAO
こんな折衷案があんのかよ第一位ィィィィ!!
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 01:04:31.68 ID:UwpI6H17o


お似合いだなー、この甘さはたまらない
(くそがぁぁぁぁもげろ白モヤシいいいいいいいいうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!)
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 02:41:43.39 ID:VG6Alrkuo
あれ?バレンタイン美琴は髪留め貰ってないのかw
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 02:53:27.36 ID:Vzz/WINAO

あぁぁぁモアイちゃん可愛いよぉぉぉぉぉぉ
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 06:53:41.94 ID:NcqAWn6Jo
ありがとうありがとう ごちそうさま次も期待してます
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 07:50:10.82 ID:IEEvAUgE0
>>「初恋ってのは実らねェモンだ。あんまり気にすンじゃねェよ」
>>知り合いの中でそういったことを些末なものだと切り捨てているかのようにバンバンと高カロリーのものを頼む女


なんか一方さん、節々で某さんを引きずっているような……
切ないな。
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 08:59:57.69 ID:LHSgN/fj0
学園都市第一位の頭脳によってはじき出された折衷案…やはり天才か

一方通行さん流石っす、乙乙
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 11:13:05.32 ID:x8K8LB0AO
>>822
髪が短いから…じゃないか?
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 14:02:27.54 ID:NPTSetw4o
最高すぎんだろこれ
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 21:52:53.71 ID:ELmLKNnc0
一方さんになら、俺の絹旗をゆずるよ。残念だが俺より一方さんとの方がお似合いだ。
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 22:21:00.31 ID:j/KWuYAIO
良いよいいよ!
このままくっついてくれよ!
あ、>>1
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 22:55:01.92 ID:C2VNyRFuo
電磁通行結婚式前編マダァ━━━(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン━━━??
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 23:01:24.52 ID:q8KTPU5wo
超窒素通行砲だろ?
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 23:02:21.54 ID:NKI6arf5o
その3Pの組み合わせとか想像するだにヤバいな・・・!
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/04(金) 23:03:19.66 ID:9nbLtwvlo
おいおい、
超番外窒素無能通行止めだろ?
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/05(土) 04:50:56.29 ID:CBCT2LsAO
6Pかよ……ゴクリ
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/05(土) 07:06:41.44 ID:tXGHwkpIO
ちょっと待て、絹旗が二人じゃないかそれ?!
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/05(土) 07:32:16.00 ID:tXGHwkpIO
>>836NG推奨
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/05(土) 07:35:59.40 ID:90H1wg2to
落ち着け
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/05(土) 15:43:43.52 ID:eMhQ7AJDo
絹旗二人に取り合いされる一方さん・・・ゴクリ
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/05(土) 17:17:50.43 ID:LUVNTw8zo
>>839
一方/通行になる未来しか見えない
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/05(土) 21:54:14.81 ID:5QXL4iFl0
一方さんもげろ
842 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 20:48:17.58 ID:eJSstRhK0
10時くらいに投下します。
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 20:55:33.66 ID:PHIlVnnzo
アステカ
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 20:59:41.24 ID:ipII/o+T0
待ってたぜェ・・・
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 21:13:22.70 ID:L0SYRIqAO
>>840
ここの一方さんは爆ぜろとかもげろとか言われないなwwやはり器の問題か…
846 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:05:15.96 ID:eJSstRhK0
投下します〜
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:05:54.40 ID:o/lpxtz40
来たか
848 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:06:36.92 ID:eJSstRhK0

相変わらずモノトーンを基調としたシンプルなインテリア。シンプルというよりも無愛想な部屋だ。

この部屋に上がるのは何度目だろうか。
絹旗は見慣れたリビングに足を踏み入れてからふと気付く。
一方通行と二人だけでこの部屋に来たのは初めてじゃなかっただろうか。

「今日は想ちゃんはどうしたんですか?」

「アイツの実家。アイツも大学休みだからな。妹達掻き集めて揃って里帰りだ」

「それはまた超凄い光景でしょうね…」


同じ顔が最低でも五つ並ぶのだ。それはちょっとシュールな光景だろう。
妹達とはおそらく打ち止め、番外個体も含まれているのだろう。
美琴の性格上、彼女達を省いて自分達だけとはしないだろう。妹達も姉の気遣いを慮って予定を合わせるだろう。


「最近じゃ一丁前にどいつもこいつも色気づきやがって髪だのメイクだのと拘ってるみてェだからな。せいぜい大人数の姉妹だろ。
 ……打ち止めのヤツも最近じゃァ化粧するようになりやがってな……まだ高校生だってのによ」
「それって別に超当たり前のことだと思うんですけど………それでもお父さんとしては超寂しいですか?」
「………否定はしねェよ。自覚はある。ただ、化粧すること自体より、もうちっと似合うメイクにしてくれってのが切実だ」
「最近は凄く上達してきてるって思いますよ?」



「最初の頃が酷過ぎただけだろ………ン」


ジャケットをハンガーに掛けた一方通行が、手を差し出す。
一瞬何をしようとしているのか、その意図を掴みかねた絹旗は微かに首を傾げる。

舌打ちをすると、杖を突いて一歩近づく。

849 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:07:52.27 ID:eJSstRhK0


「脱げ」

「……ひょへッ!?」


夕方とは言え、まだ五時を回っていないというのに、いきなり何を言い出すのだろうか。
内心の動揺を必死に抑えきれずにマヌケな声を上げた絹旗を、呆れたように見る一方通行。

「コートだボケ」

「あ、ああ…コート……コートですね。…ですよねー」

ベージュのコートを脱ぎながら誤魔化し笑いをする。穴があったら入りたいとはこのことだ。
いそいそと手渡すと、一方通行は慣れた手付きで皴を叩いて伸ばす。


「何考えてたンだか」
「な、別に何も…ええ、別に超どうでもいいことですとも」
「ふゥ〜〜ン……絹旗センセイってばムッツリスケベですねェ」
「ち、違います!超誤解です!!」
「ハイハイ」
「うぐぅ…」


壁際へ彼自身のジャケットと一緒にかけると、パタパタとスリッパの音を立てながらキッチンへと歩く。
キッチンの椅子に掛かっている黒いエプロンに手に取ると、冷蔵庫の中身を確認する。
一方通行の姿を何となく見ていた絹旗は慌てて自分もキッチンに向かう。

「あ、手伝います」

エプロンを手にとって冷蔵庫の中身を確認するまでの流れが何となく様になっているせいで、思わず眺めてしまった。
そんな自分の行動を恥ずかしく思いながら、袖を捲くる。

「いや、お前はいいから大人しくしてろ」

一方通行はキッチンに来た絹旗を手で押し留める。
ぶっきらぼうな物言いに、眉を微かに吊り上げ、絹旗がムッとした表情を浮かべる。
850 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:08:45.10 ID:eJSstRhK0

「何ですか、その超面倒くさそうな言い方。私だって夕食の準備くらい手伝えますよ」

一方通行や滝壺には劣るが、人並みには作れるのだ。
如何にも不満タラタラの絹旗に、溜息を吐くと一方通行は瞳を逸らしながら煩わしさを滲ませた声を上げる。

「テメェはホントに沸点低いヤツだな。ガキ共の前で猫被ってる反動か。……お前、それ新しい服なンじゃねェの?」
「あ…えっと、コレは」

そういえば、カーディガンは麦野のだとは言っていない。
初めて見た一方通行が、それを新しく買った物だと勘違いしているのだ。
そして、それは一方通行が絹旗が普段から身に付けている服にもさり気無く気に留めておいていたということでもある。
一方通行の言葉の意味が絹旗の中に染み渡るまで、一瞬、奇妙な沈黙が生まれる。


「あ……う…そうですね…じゃ、じゃあ超大人しくしてます」



特別なことを言われたわけではないというのに、頬が熱を帯びていく。
絹旗は熱くなった頬を見せないようにそそっと小走りにリビングへ引っ込む。
ソファに座ると、無性に落ち着かず、手近なクッションを抱きしめる。

(うあぁーー…何でしょうか。何だか無性に超恥ずかしいんですけどーーーー)

それは、他の男に言われた言葉であるのならば、例え浜面のように親しい男だとしても、ここまで絹旗は照れはしなかっただろう。
ただ、相手があの一方通行だったのが問題だった。基本的に他人に興味を示すような人間ではない彼。
興味の落差が激し過ぎる程に激しい男が、普段からの自分の服装に注意を向けていたことが問題だったのだ。
勿論ただの気まぐれだったのかもしれない。学園都市第一位の男の記憶力から言えば完全記憶能力とまではいかずともその程度楽々と覚えてしまっているだけなのかもしれない。
しかし、それでも絹旗の思考はついつい自分にとって非常に都合の良い、甘酸っぱい方へと持っていきたがる。


(うあーうあーううう…はう…)


絹旗はパタパタと足をばたつかせながら、自分で招いた都合の良い思考に、自分で悶える。




851 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:10:08.99 ID:eJSstRhK0




自分の背後のリビングで、そのような、ある意味おめでたいお祭り騒ぎが行われているとも知らずに、一方通行は冷蔵庫を再び開けると食材をチェックして行く作業に戻っていた。

浸け込んでおいたスズキがそろそろ味が染みているだろう。

美琴から何本か貰ったワインがあったからそれを開けるのもいい。

美琴は赤派だ。白ならば一本や二本開けても文句は言わないだろう。

ベーコンが痛まないウチにカリカリに焼いてサラダの上に乗せてしまおうか。

想と美琴の朝食ように新しいベーコンは買っておいてある。

夕食の段取りを頭に浮かべながら、一方通行はエプロンを身に着けると、ポケットから煙草を取り出す。

昼間は久しぶりにジャンクフードを食べた。
だからだろうか、何となく煙草が吸いたくなるのは。
キッチンの換気扇は一方通行が足を踏み入れた時からオートで作動している。
それを、ちらりと確認すると、一本取り出し火を点ける。

想の面倒を見るようになってから、極端に外食が減った。正確にはジャンクフードの類を食べる機会が減った。
たまに食べたくなることもあるが、基本的に一人で食べる事が少なくなっているここ数年、一人で外食やらコンビニ弁当を食べるということは無い。
それは、佐天から子供の頃から外食、それもファーストフードばかり行くと味覚が馬鹿になるという事実を脅しと誇張を交えて聞かされたことも要因になっているのかもしれない。
打ち止めと一緒に住んでいた頃は、食事など作らず、もっぱらファミレスかコンビニで済ませていた。
その上当時中学生になったばかりの打ち止めが友人とハンバーガーを食べに行くという話を聞いていたせいもあって、随分と彼女の味覚について気を揉んだものだ。
結局ヘルシー且バランス志向の黄泉川の炊飯器料理のおかげもあってか、打ち止めの味覚に特に障害など無く胸を撫で下ろした。
しかし、あの当時の何とも心の置き所の無い不安を思い出すと、おいそれと想を連れて行く気にはならない。
それにつられるようにして、一方通行自身も自然と外食が減ったのだった。

(想っていや…アイツ……普段からハンバーガーだとかそンなもンしか食べてねェわけじゃねェだろォな)

想の方は大丈夫だとして、母親の方が問題だ。
一つの事に打ち込むと周りが見えなくなる。
その他がすべておざなりになるのだ。それはもう、物の見事に。
夢でもあり、目標でもあり、そして使命でもある研究。それに打ち込む余り美琴は他の同世代の女達に比べ様々なものを省いてしまっている。
勿論、無理に経験する必要の無いも省いている。頭の悪い火遊びにうつつを抜かすだとか、けばいばかりの無個性な流行のブランドに身を固めるなどということをする必要はない。
しかし、同じように、年相応の愉しみも擲っているのではないだろうか。
小ざっぱりした服装と、してるかしていないかのメイク。
それでも、天然素材の美しさ故か、美琴からは健康的な色気と爽やかさすら醸し出されているのだが、もう少し自分のことを構っても良いとも思う。
日々の愉しみが研究と娘だけというのも、23歳の若い女として寂し過ぎやしないだろうか。

(まァ、俺が口を出すこっちゃねェ話なンだろォけどな……)

それでも気に掛かってしまうのは、背負うと決めているから。
そして、それ以上に重ねてきた月日と、それに比例する感情がある。
換気扇に吸い込まれていく紫煙を目で追いながら巡らせていた思考を切り上げる。
幾ら考えてもコレは自分が答えを出せる話ではない。
一方通行は半分程吸った二本目になる煙草を灰皿に捻り込む。


「さてと、さっさと作らねェとセンセイがウルセェな」




                      ◇

852 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:11:52.07 ID:eJSstRhK0


キッチンの一方通行に暫く視線を向けていた絹旗だったが、ふと目を向けたテーブルの棚に視線が留まる。
そこに置かれたウサギの絵が表紙のスケッチブックに見覚えがあった。
それは想が好きなラビ太郎という目つきの悪いウサギのキャラクターである。
保育園で想が使っているスケッチブックだ。

想のものだと気付くと同時に、プレゼントされた色鉛筆が一緒に置かれていることに微笑ましさを覚える。初春もきっと喜ぶだろう。
そっとスケッチブックを手に取ると、リボンで縛られたスケッチブックの封を解く。

一枚目に描かれた絵はウサギ、ラビ太郎のであろうウサギがでかでかと描かれている。

中々特徴を捉えており、心の中で二重丸を付けてやる。

絹旗は、綺麗な身なりでお人形さんのような愛らしい外見とは裏腹の思い切りの良い力強い線で描かれた絵が大好きであった。
浜面の息子などは、逆に余白が随分と目に付くくらいに自信無さ気な絵を描く。余白が時に足りなくなる想と対照的過ぎて、二人の絵を見比べるのが密かな絹旗の愉しみである。

二ページ目を開くと、今度は人間が描かれている。
一人は、すぐにわかる。白い髪に、おそらく目であろう、赤い丸が二つ。
キッチンでスズキのソテーに取り掛かっている男であろう。もう一人は誰であろうか。
茶色い髪は自分も含めて沢山いる。しかし、すぐにそんな疑問は解消される。何故なら茶色い髪の人間からは白い羽が生えていたからだ。
羽を生やした茶髪の男が横に描かれ、その上に乗った赤い目の男が笑っている。
茶色い髪の男の顔の横には、天気予報で目にする雨マークのような水色で塗り潰された沢山の雫。
白い男は、丸で描かれたおそらくは拳を何度も下の茶髪に振り下ろしているようにも見えないことはない。

つまり、コレは想の目から映る一方通行と垣根帝督。


「垣根ェェ……」


幼女の目から見てもフルボッコだと知れば、垣根はどんな顔をするのだろうか。
初春曰く、意外に打たれ弱い学園都市第二位は。


気を取り直して、次のページを開く。

見開きに描かれていたのは二人の人物。それぞれ一ページずつに、一人ずつ。
最初のページに描かれていたのは、白い髪の青年。黒く長い布は服ではなくておそらくエプロン。
現実の一方通行ではまずしないだろう笑顔が何だかおかしい。もしかしたら、あの少女の前だけでは見せているのかもしれないが。
そして、隣には、小麦色の短い髪の、にっこりと優しく笑った女。美琴であろう。
絹旗はその絵に見覚えがある。好きな人を描くというテーマで保育園で描かせたときに想が描いていたのを思い出す。

更にページを捲る。


853 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:13:29.82 ID:eJSstRhK0


「あ……」



思わず絹旗は声を上げていた。

次のページには、肩までの茶色い髪をして、やはりニコニコと笑っている絵。
絹旗が声を上げてしまった理由だ。



そこに描かれていたのは絹旗の絵だった。



好きな人を描く。
そのテーマを与えられて想が描いたのは一方通行と美琴であった。
周りの子供たちが父親と母親を描くのがほとんどであったので、絹旗も何の疑問も抱く事はなかった。
お絵かきの時間は午前中を使って行われ、園児たちは皆父親と母親の顔を描き終えて満足そうにしていた。
ただ、想だけは不服そうに膨れていたが、絹旗はそれが満足のいく出来ではなかったからだと思っていた。
砂のお城を作るのにも子供ながらに侮れぬこだわりを見せる少女だからだと。しかし違ったのだ。


少女が不服だったのは、絵の出来ではなく、“二人しか”描けなかったことだった。


854 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:14:41.61 ID:eJSstRhK0


そっと次のページを捲る。ギザギザの口で、怒ったように、意地悪な笑いの二人。
茶色い髪のよく似た二人はおそらく打ち止めと番外個体。
どうにも、想をいじめているらしき二人の困った少女達は想の目から見るとストレートにわかりやすいくらいに意地悪な顔に描かれている。
絹旗は思わず笑ってしまった。

更に捲ると、今度はカラフルな絵。
長い黒髪の上に赤、白、黄色、桃色と、様々な色彩を駆使した花が描かれた女と、羽の生えた男。
二人は一枚に納められ、隣のページには黒髪の女が微笑む。こちらは佐天だろうか。
ページを捲っていくと、次々と現れる笑顔。浜面に滝壺。二人の子供に、おそらく御坂妹。
長く、波打つような茶色の髪の女は麦野か。麦野がこんな笑顔をするのはあまり想像が付かないなと絹旗はこっそり思う。
美琴によく似た顔で、唇を赤く塗ってあるのは面識は無いが美琴の母親だろうか。勿論知らない顔もある。



「…………」


ただ、共通しているのは誰も彼もが笑っているということ。
想の目にはこう見えているのだろうか。
誰も彼もが楽しそうにしているように見えているのだろうか。
絹旗はスケッチブックをそっと閉じた。
膝の上で組んだ両手に額を乗せて、俯く。



自分が想くらいの年の時、こんな風に世界は映っていたのだろうか。







855 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:15:13.52 ID:eJSstRhK0







一方通行の作った夕食は悔しいことに絶品であった。

スズキのソテーは塩コショウがよく効いており、うっすらと掛かったレモン汁がアクセントになっていた。

細切りにしたジャガイモのフライを乗せて食べると、しゃきしゃきとした食感が心地良い。

サラダはアスパラとラディッシュ、レタスの上にカリカリに焼いたベーコンが乗せられていた。

フランスパンは佐天がバイトをしている店で買ったという、手作り特有の優しい小麦の甘さがふわりとする。

絹旗は飲み慣れぬワインを、一方通行の制止も聞かずに次々と口にした。

口当たりの良いワインだったことが災いしてしまったともいえる。





856 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:16:38.18 ID:eJSstRhK0









「うう〜〜超気持ち悪いです……」

「飲み過ぎだ馬鹿」


ソファーに沈む込むように座る絹旗の額に手を当てる。
能力で大分アルコールを分解したとは言え、完全に吸収してしまったものは如何ともしがたい。
やってやれぬことはないが、余り人体に良いこととも言えず、結果絹旗は飲んだ直後に軽い二日酔いのように呻く羽目になった。
絹旗の隣に座る一方通行は呆れたように溜息を吐く。
いつもはこうならないように自分でセーブするのに、どうしたことか、今日の絹旗のペースは異常ともいえる。
怪訝な表情のまま、洗い物は後にするかと、内心うんざりしながらテーブルの上にあるスケッチブックに気付く。
閉じられているものの、記憶にある配置とは違う。何よりも、ページを閉じる為のリボンがおかしい。
拙い結び方のせいでゆるゆるだったはずのリボンがしっかりと結んであったのだ。想はまだこんなにきっちりと結ぶことは出来ない。

一方通行の視線の先に気付いたのか、絹旗が赤い顔でにへらと笑う。


「えへへへへ〜〜超見ちゃいました〜〜〜」

「ハァ……今更見るもクソもねェだろ。お前ンところで描いたモンなンだからよ」

「そんなことありませんよ。超書き下ろし満載の豪華な一冊です」


何がおかしいのか、絹旗がけらけらと笑う。


「可愛いですね〜〜一方通行の髪なんか、塗らなくてもいいのにわざわざ白でちゃんと塗ってあって。打ち止めちゃんと番外さんには超笑ってしまいました」

「アイツ等いつもいじめやがンだよ。別に陰湿ってわけじゃねェンだけどよ。昔なンか何回泣かされてたか……」

「その度に想ちゃんは貴方のところに超泣きついてたんじゃないですか?」

「正解。つーか、想も学習したのかアイツ等が来ると俺の膝の上から降りねェンだよ……仕方がねェけど」




「顔……超キモイです……」
「あァ?」

「超ニヤケてるって言ってるんですよ、超々キモイです。仕方が無いとか言いながら超嬉しそうです超キモイ」

「………テメェ……ほっぽり出すぞ……」

「フン、やれるもんでしたらどうぞ〜〜〜」


ごろんとソファーに寝転がる絹旗を横目に、「性質悪ィ……」と呟くだけで、一方通行は何もしない。


一方通行は傍らに置いていた空きかけたワインをグラスに注ぐと、黙々と飲み始める。
色白の肌は鮮やかに染まっているものの、口調も瞳も絹旗とは異なり些かもぶれていない。
ワインを飲む微かな音だけがリビングの沈黙の中を転がる。不思議と気まずくはない。
アルコールで赤らんだ頬をクッションに乗せながら、うっすらと潤んだ瞳を細めて絹旗は一方通行の横顔を見る。
その視線に気付いたのか、グラスに口付けながら、紅い瞳が絹旗を見る。

857 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:18:39.52 ID:eJSstRhK0


「何だよ」
「想ちゃん……いっぱい描いてましたね」
「ああ」
「好きな人だらけです」
「いいことじゃねェか」
「あの子の目にはこの街はあんなふうに見えてるんですね」


絹旗の口にしようとしていることに何かを感じたのか、一方通行はグラスをテーブルに置く。
何を言おうとしているのか注目するあまり、彼女の濡れた唇を凝視していることに気付き、そっと視線を逸らす。
ワインと微かな唾液に濡れた唇は薄っすらと開かれ、ただありのままでも嫣然と映る。
程よく酔いが回って、そこそこの好意を抱いている女がえてしてそういう表情を時折浮かべることは知っている。
16の少年でもあるまいし、それだけで恋しているだとか誘っている等と都合の良いことは流石に考えない。
しかし、そういう雰囲気、そういう流れになりやすいのは経験則上知っている。
故に、一方通行は視線を逸らす。
絹旗はそんな仕草に気付く程頭が回っていないのか、囁くような声を出す。
内緒話を打ち明けるように。

「好きな人を好きなだけ描いて下さい、そう言ってあげるんです。そうしないとお母さんとお父さんどっちを描けばいいのか子供達は迷っちゃいますから。
それに、親って結構気にするんですよ、自分が描いてもらえなかったら。当然お門違いの文句を言ってくる親もいる訳で」
「予防策か」
「そういうことです。好きな人を、好きなだけ。中にはお婆ちゃんやお爺ちゃん。飼ってるワンちゃんを描く子もいたりして、それが凄く可愛いんです」


何かを思い出したのか絹旗がくすくすと笑う。


「想ちゃんの絵を見て凄く嬉しかったんです。私の絵を描いててくれたことも超嬉しかったし。好きな人がいっぱいいるって、とっても素敵なことだと思うし……
 ああ、この子って本当に綺麗な子なんだな〜って、絹旗先生超感動しちゃいました」

絹旗の笑みが自然と止む。
波が引くように、すぅっと砂に吸い込まれて残滓だけが唇に微かに残る。


「ただ、私があの子くらいの頃だったらきっと何も描けませんでした。好きな人なんていませんでしたし……それに、超実験ばかりでそれどころじゃありませんでした」

「…………」

「それを突然……ホント、超久しぶりに思い出しちゃったら……何だかヘコんじゃいました」

「それでワインがぶ飲みか。安い給料で働かされてるOLの自棄酒みてェだな」


858 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:20:22.50 ID:eJSstRhK0


ハンッと鼻で笑ってみせる。
唇を微かに歪め、しかし、一方通行は言葉と裏腹に瞳を伏せる。

『暗闇の五月計画』 ―――― 絹旗の指す実験とはそのことであろう。

一方通行が罪悪感を抱く筋合いは無いが、それでもいい気分はしない。
自然と瞳を伏せていた一方通行の手を、柔らかい感触が包む。



「言っておきますけど……別に恨んじゃいませんからね?気にしないで欲しいんですけど」

「別に……恨まれる筋合いもねェし……どォでもいいことだ…」



「…………嘘つき」



一方通行の本音であり、強がりである。
低い体温の彼と比べずとも、熱を孕んだ柔らかな手。酔いのせいもあるかもしれない。
絹旗が身を起こして、一方通行の手をそっと包む。普段の彼女ではまずありえない行動だ。


一方通行はその手を払いのけることも、握り返すこともなく、ただジッと視線を落とす。


859 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:21:02.76 ID:eJSstRhK0


「想ちゃんと……想ちゃんだけじゃありません。このお仕事をしてると時々勘違いしちゃうんです。自分まで綺麗になってるような、そんな気になっちゃうんです。超錯覚なんですけどね。
 錯覚だってわかってるんですけど……コレが超効いてしまったりするんです。もう、ボディらへんに」

「…………」

「今日凄く浮かれてたことも思い出しちゃって……何か色々まとめて来ちゃいました」

「ああ……」



散々手を汚してきて、何を都合の良いことを考えてるのだろうか。何を人並みに幸せになろうとしているのだろうか。
絹旗のたどたどしい言葉を繋げるとそんなところであろう。彼女の言おうとしていることは要約すればただのジレンマだ。
過去は過去と割り切って普段生活をしていても、不意に閉じた蓋がずれる時がある。
些細なきっかけ。ちょっとした揺れだったり接触だったり、本当につまらない小さなことだ。
それでも、蓋の下から覗くものは、浸っていた頃は気付かない破壊力と、同じくらいの虚脱感をもたらす。
今の自分が満たされていればいるほど、その乖離は心を抉る。

それだけ、この少女とも言える幼さの残る絹旗の本質は真っ直ぐなのだろう。

眩しいものを見るように一方通行は瞳を細める。



860 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:30:18.47 ID:eJSstRhK0


「超ゴメンさない……今日、すっごく楽しかったのに、こんなお話 ――― 」

「温ィこと言ってンじゃねェよモアイ」

「もあ、モアイ!?ちょ、超いきなり何言ってるんですか!!」

「なァにが手が綺麗なお手手が汚れちゃってるんです超およよよよ、だ」

「言ってませんから。あと超の使い方おかしいですから!!」

「ヘッ。なァにどっぷり闇に浸かってました可哀想な穢れた私(笑)なンて顔してるンですかァ〜〜モアイ先生。せいぜいテメェは泥溜りに滑って転ンでたくれェだろォが。
 泥遊びは保育園だけにしておいてくれますかァ?」



「な、な、何気安くそんなこと……」

「俺はよォ、一万人の妹達を殺した……それだけじゃねェ… 俺は ――――― 五千人の妹達を救えなかった」

「!」


小さく息を呑む声。
重ねられた手に視線を落としたまま、一方通行は絹旗に視線を向けはしない。
代わりに、グラスに手を伸ばすと、一息にワインを飲む干す。



「そンな俺がのうのうとこうして生きてンだぜ?」


小さく一方通行が笑う。
少なくとも、唇は笑みの形にきゅぅっとカーブを描く。
泣いてるように見えたのは、既に相当眠気と酔いが回ってきているせいだろうかと、絹旗は微かに思う。


861 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:31:11.21 ID:eJSstRhK0


「お前程度の闇なンざ溺れる程のモンでもねェだろ。さっさと跨いで進ンじまえってンだよ。それが出来ねェンだったら絹旗先生は引退っつー事だな。引退理由は泥に超嵌ってしまいましたってか」

「………そんなの嫌です。先生辞めたくないです………私」

「カカカカ……わかってンじゃねェか……」

「きゃッ」


一方通行の手が絹旗の頭に乗せられる。
わしゃわしゃと子供にそうするように撫でる。
腕越しに、絹旗の目に一方通行の笑った口元が覗く。


「安心しろよ。救いようのねェ薄汚ェヤツだったら、俺もアイツも想を任せやしねェって」

「…………一方通行……」

「な?」

「……ハイ」






                      ◇



862 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:38:54.11 ID:eJSstRhK0




完全に酔いと眠気に包まれて、絹旗はふわふわとした心地に包まれていた。

一方通行と何を語ったのか、正直なところ、曖昧にしか覚えていない。

酔った自分の記憶力や理性はあまりあてになら無い事を、絹旗はわかっているから。

ふわふわとした感覚に、不意に微かな重みが生じた。

ベッド?布団?柔らかな布に包まれる感覚。

良い匂いがする。甘いとか、そういうのではなく、ただ、漠然と良い匂い。自分はこの匂いが好きだ。

自然と、布を手繰り寄せる。




不意に、柔らかな感触がした。




少ししっとりとして、熱を帯びている自分には少しだけひんやりした感触。


一体何なのだろう。



「お前も、アイツも……十分綺麗なモンだ……」



誰の声だろうか。


そう思いながら、絹旗は残り少なかった意識を完全に手放した。



863 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:46:37.46 ID:eJSstRhK0


                        ◇




『よっ、久しぶりの一人の夜はどぉよ?もしかして、誰か連れ込んで……それで、それで……
 もぅ、イヤン。何言わせちゃうつもりなのよあーくんったらぁん』


受話器越しにも酒気と陽気が漂ってくるような声に、一方通行は眉を顰める。
酒に弱い癖に、酒が大好きなのは御坂家の遺伝子に組み込まれているのだろうか。
受話器を押さえて溜息を一つ吐くと、気を取り直す。


「御坂さァ〜〜ン?酔っ払ってますよォ?声が美鈴さンみてェになってンですけどォ〜?」

『美鈴さんみたいっていうかねー………むしろ、美鈴さん?だったり?』

「ブホォッ!?」


御坂母、御坂遺伝子の頂点であり、数少ない頭の上がらない人間に一方通行は噴出す。


「アンタ何だよそのテンション。つーか、アイツはどォした」

『アイツゥゥ?』

「だから……み…美琴だァ…」

『やれやれ、名前呼びじゃないのね〜〜どうせ、お前とかオイなんて呼んでるんでしょ?』


図星過ぎて言葉が無い。


                                    『―――― くん!』



何か反撃の糸口は無いかと一方通行が黙り込んでいると、受話器の向こうから聞きなれた声が微かに聞こえる。


「あ?今の……」

『ああ、ゴメンゴメン。この子全然寝てくれなくてね。あーくんとお話するって、さっきから足に引っ付いちゃって……あ、こらこら、よじ登らないの。今代わってあげるから。
 ああ、ゴメン、じゃあ代わるから、今度はシロ君も遊びに来るのよ?』


「ああ、考えとく…」

864 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:49:59.14 ID:eJSstRhK0

『あーくん!』


相変わらずの、孫がいるとは思えないテンションにげんなりしている一方通行の耳朶を、舌足らずの甘い声が優しく打った。
自然と、一方通行の口元が微かに緩む。


「コラ、まだ寝てンのか?早く寝ろっていつも言ってンだろォが」

『あう…ゴメンなさい』

「まァ、起きてるモンはしゃァねェ。そっちはどォだ?あンま迷惑かけてンじゃねェぞ?」

『うん。あのね、あのね、今日ね、みすずちゃんとね、ゆうえんちにいってきたの〜〜それでね、それでね』


綿飴のように、ふわふわと甘い声が酷く心地よい。
絹旗に言った言葉を思い出す。本当に、我ながら笑ってしまうくらいの強がりだ。
それでも、格好を付けたかった。男のつまらぬ意地だと、自覚はしている。
何より、一方通行自身、どれだけ罪の意識に苛まれようと、背負っているものに押し潰されそうになろうとも決めているのだ。


この今自分の手の中にあるものを手放すまいと。


『それからね、わーすとのおねえちゃんがね、えっとね』

「ああ、わかったから、落ち着いて話せ。ちゃンと聞いてやるから…」



865 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/06(日) 22:50:54.23 ID:eJSstRhK0
以上で投下終了です。途中修正していたので間が開いてしまい申し訳ありませんでした。それではまた。
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:53:09.26 ID:I56gowtDO
乙乙!

俺の14510号は無事なんだろうか
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:54:06.44 ID:+Jn9WBAM0
おつおつ
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:54:53.86 ID:cLivEK7Eo

やっぱり一方さんは自然に美琴の好みを把握してるのなw
しかし、表面上明るくても皆暗いもの持ってるなぁ・・・
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:54:55.11 ID:2yY6zB97o
乙っす
あぁこれで明日も頑張れる
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:55:22.36 ID:L0SYRIqAO
ほああああああああああああああああああああああああああああ!!ほあっ、ほあああああ!!

な ん だ こ の 胸 の ほ わ ほ わ は
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:55:23.46 ID:o/lpxtz40
乙。
最後の台詞とか、一方さんマジお父さん。
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:55:23.80 ID:cLivEK7Eo

やっぱり一方さんは自然に美琴の好みを把握してるのなw
しかし、表面上明るくても皆暗いもの持ってるなぁ・・・
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 22:55:25.97 ID:qYPH28Mw0
おつおつ
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:55:56.91 ID:t71DxUEfo
一方さんのミサコンは死ぬまで治らないな。
そして絹旗の想いに泣いた。


>>866
俺の家にいるよ。
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:56:10.31 ID:IiDZu3YXo
いちおつ
シリアスの後に想タンまじ天使
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:56:10.34 ID:cLivEK7Eo

やっぱり一方さんは自然に美琴の好みを把握してるのなw
しかし、表面上明るくても皆暗いもの持ってるなぁ・・・
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 22:56:56.81 ID:cLivEK7Eo
うわぁ三重もやっちまったorz
スレ汚しすいません・・・
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 22:57:23.27 ID:P9gC1v01o
五千人…生き残りの妹のその半数が既に死んでるのか
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 23:16:49.01 ID:+Kp7aZIgo
感想はたくさんあるのに、言葉にできないこのジレンマ
誰か代筆してくれよ
なんにせよ乙
いつも色々悶えながら読ませて貰ってるぜ
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 23:23:45.87 ID:pG8titVQ0

色々切なくて泣いた

そうそう、14889号なら俺が保護したよ
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 23:57:56.59 ID:gGKgYORIO
20000号は最後までしぶとく生き残ってるか、別の死因で真っ先に死んでるかだな。
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/06(日) 23:58:16.80 ID:vPOLs+8bo
過去がどうあれこの連中は想ちゃんの道を明るく照らしてんだよな。
いつかそのことを、自分らで作れたことを誇りに思える日が来るんだよきっと。
先は明るいぜー。
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/07(月) 00:04:16.20 ID:YPcRTlMAO
>>881
死因=にがうり


>>1乙。お酒入って「どうぞ」ってなっちゃう空気とか雰囲気がスッゴい身体に蘇った。
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/07(月) 01:11:56.61 ID:SjdxcPoHo
そういや、ここの美琴はまだ23なんだな
落ち着きっぷりからしてもう25、6だと勝手に脳内設定してたわ
たしかに佐天さんまだ学生だしな
まあ、濃すぎる人生経験つんでるしなあ……
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/07(月) 01:17:11.86 ID:faH+CHszo
学園都市に住んでる人たちは、俺たちより>>884の言う「濃すぎる人生経験」ってのに自然的に近い位置にいるのかもな。
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/07(月) 15:49:40.22 ID:uAq9YI5ho
>>883
20000号の死因で納得した俺はもうだめかもしれない

とにかく>>1
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/07(月) 23:44:46.50 ID:h2UCMtOAO
乙なんだぜ

ちょっと>>883と二人で酒飲んでくる
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/08(火) 15:26:15.19 ID:7moXvfFZo
おねえちゃんって言われてるけど、番外個体も打ち止めも厳密には想ちゃんの叔母さんだよな・・・ゴクリ
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/08(火) 15:47:49.41 ID:KjzUR2/Bo
番外個体も打ち止めも美鈴さんもおねえちゃんて呼ばないと怒るんだよ
きっと「おば…」って言いかけただけで、すごい顔でこっちをにらんでくるに違いない
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/08(火) 21:37:43.11 ID:XkMMdzx3o
電磁通行結婚式前編マダァ━━━(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン━━━??
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/08(火) 23:31:17.78 ID:9i8TwMuoo
つーか遺伝子的には打ち止めも番外個体も想ちゃんのお母さんじゃねw
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/08(火) 23:48:31.61 ID:0SE2zbDuo
2004人の母さん…
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/08(火) 23:49:32.17 ID:0SE2zbDuo
>>892
ミス
20003人か?
894 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/09(水) 23:39:04.38 ID:OZdvG4n60
一方通行「コイツが黒翼レータ…超アクセラレータってところだなァ」
一方通行「ンでもって、コイツがエンジェラレータ…超アクセラレータ2ってところか」
アレイ☆「フン…つまらない変身だ」
一方通行「そして…その限界を更に超えた…コイツがァ…ッ!!」


土御門「は、ハッタリだぜよ?一方通行。更に変身だなんて……」



一方通行「……コイツが超アクセラレータ3だ…時間が掛かってすまねェな…まだこの変身に慣れてねェンだ」




この前書ききれなかった分ちょっとだけ投下。
895 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/09(水) 23:42:07.98 ID:OZdvG4n60


「一方通行って外車のイメージが超ありました」


マスカットグリーンのフィットの助手席に乗りながら絹旗は戸惑うように呟く。
フィットが嫌いというよりも、一方通行のイメージに合わないと純粋に感じていたからだ。


「前はエキシージに乗ってたンだけどな。ロータスの」

杖を助手席の絹旗に手渡すと、チョーカーのスイッチを入れる。
初期の妹達のバックアップを受けていた頃とは違う。充電をフルにすれば日常生活だけならば一週間は保つ優れものだ。

「っていうか、障害者用にカスタマイズしないんですか。アクセルとか手動なんでしょ?」

杖を受け取りながら、不思議そうな顔をする絹旗。

「前は充電器乗っけてた。乗るとコードブッ刺して充電しながら運転」

「超携帯じゃないですか」

「否定できねェな。ただアレだとコード繋ぎっぱなしだって忘れて立ち上がっちまうンだよ。で…」

「ピーンってなるわけですね。超把握しました」


まるでリードを繋がれた犬のようだ。


その様子を少し見てみたいと思ったが、口には出さない。



「ちなみに、冥土返しはロードスターに乗ってるぞ」
「嘘!?超似合いません!!」



あれでハードロックやヘヴィメタが好きだと知ったらどんな顔をするのだろうかと、好奇心に突き動かされそうになるが、一応は尊敬する数少ない人間だ。
わざわざ進んで名誉を傷付けることもあるまいと、一方通行はエンジンを噴かせた。

896 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/09(水) 23:45:28.82 ID:OZdvG4n60



                        ◇




「で、結局そのまま送ってもらって、ハイさよならってわけだ」

麦野沈利は呆れたと言わんばかりに露骨なため息を吐く。
クリームパスタの鮭をフォークで解しては上品に口に運ぶ。

麦野の頬が蕩けそうに緩む。

『鮭のクリームパスタ』と銘打っておきながら、『鮭のクリームソースがけパスタ添え』という方がしっくりとくる鮭ッぷりが麦野の琴線を擽るのだ。


「中学生のデートだってもうちょっと進んでるでしょうが……アンタお泊りまでしておいて」

「お泊りって言っても、超酔いつぶれちゃったわけで……」

「手を出してくれないかにゃーん?なんて思ってたりしなかったわけ?」

「そりゃ……ちょっとくらいは……」


絹旗とてもう21だ。男の部屋に泊まりこむ以上、『覚悟』は出来ている。
というか、ぶっちゃけ勝負下着だって用意してある。
しかし、結果は惨敗。酔いつぶれたとは言い訳に過ぎない。
要は自分に負けたのだ。


「で、結局朝までスヨスヨピーってかぁ?」

「もう…そりゃ寝覚め爽快でしたよ。ガッツリ熟睡でしたから」


前日緊張してあまり寝られなかった分余計に。


「アンタよっぽど女として見られてないか…もしくはあのモヤシが不能……はねぇな。あんだけヤリチンなんだから」
「正直ちょっと自信無くしました…」


本格的に落ち込み始めた絹旗の様子に麦野は慌てる。
プリプリ怒るかと思っていただけに、ガチへこみは後味が悪い。

897 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/09(水) 23:49:17.93 ID:OZdvG4n60


「ちょ、ちょっと何沈んでるのよ。別にアンタに魅力が無いとは限らないでしょ?」

「じゃあ、ヤリたい盛りの男が女と二人きりで何もしてこないっていうことに超納得の行く説明をお願いします」


どんよりとした空気を纏わせたまま、じとっと湿気たっぷりの視線を向けてくる絹旗に引きつつも、唇に指を当てて年不相応に、「んー」と可愛らしく考えこむ麦野。
経験豊富なお姉さんキャラで見られているが、実際の恋愛経験など無きに等しいのが悲しいところだ。
さぁ、言え!と言われてそうホイホイ気の利いた答えなんぞ出てくるはずもない。
それでも妹分の手前、意地がある。
ちっぽけなプライドと置き換えても良いし、耳年魔の見栄と言ってしまえばそれまでなのだが、とにかくそんなチンケなものを支えに麦野は思考する。
恋愛経験はなくとも、ストーカー経験は豊富な20[ピー]歳の麦野はやがて、一つの解法を導き出す。



「本命の御坂に操を立ててるとか?」
「ぐっはぁぁぁぁーーー!!!超グサって来たーー!!!!」




椅子から転げ落ちるのではないかという勢いで仰け反る絹旗に、ビクッとする麦野。
からかい半分の言葉が予想外に絹旗hダメージを受けたようである。
心当たりが相当あるらしい。一体普段どんなんなんだあの白アスパラは、と胸倉を掴んで問い詰めたい気分になる。


麦野が知るのは、あくまでも又聞きの噂に過ぎない。


曰く。


『学園都市第一位は、節操の無さでも第一位らしい』

『女と別れ話をしている途中に、他の女が遊びに来て修羅場』

『結局は修羅場を収めて美味しく両方いただきました』


等といった悪い噂にはキリが無い。
実際のところ、その噂は七割は正解で残りはデマの類なのだがそれを麦野が判断する術はない。


「ま、まぁでも単純に酒臭い女には勃たないだけなのかもしれないじゃない?無駄に繊細そうだし」

「範疇外とか超絶望的じゃないですか〜〜〜〜!!!にゃぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!」


「止めて!!ヘッドドラムは止めて!!此処私常連なの!!で、でもさ、アンタが覚えていないだけで、本当は何かされてたかもしれないわよ」




その言葉に、ヘッドドラムの演奏を中断して、顔を上げる絹旗。



898 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/09(水) 23:51:59.27 ID:OZdvG4n60


「何かって……」

「本当に何も覚えてないの?」



そういわれても、昨夜の絹旗の記憶はふわふわとした浮遊感で締められている。

ぽすんと柔らかい布に沈む感触、あれはおそらくベッドだろう。

朝目が覚めると一方通行のベッドで眠っていた。麦野に借りたカーディガンはガンガーにかけられていた。

脱いだ記憶がどうにも絹旗にはない。

酔いつぶれた絹旗が寝やすいようにと一方通行が脱がしたのだろう。

不意に見せた肩チラにドキッ作戦は完全な不発に終わったのだ。

気分は完全なる敗残兵。折角購入したスケスケのエグイ勝負下着さン達もさぞや御立腹であろう。

しかし、一つだけ彼女は気になっていることがあった。

記憶の最後に残っている柔らかくて、少しがさがさとした感触。

自分の体温よりもずっと低い、ひやりとすらした温もり。







あれは、まるで。



「どうしたの?リップクリームなら新品あるけど、あげよっか?」

「え、ええ?どうしたんですか急に?」

「だって、アンタさっきからずっと唇触ってるじゃない。かさついてるのかって思ったんだけど。違った?」


絹旗の指は、自然と唇に触れていた。





                      ◇







899 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/09(水) 23:53:01.30 ID:OZdvG4n60



絹旗を送り終えてから、一方通行はマンションのエントランスで煙草を燻らしていた。
目の下には、色白な肌のせいか、うっすらと隈が目立つ。
一晩中理性と戦った男の勲章だと、言って果たしてどれ程の理解が得られるだろうか。
もっとも、一方通行はそんな共感など求めてはいないのだが。

論文を早々に書き上げ時刻はもうすぐ昼にさしかかろうとしている。
普段であれば昼のメニューをあれこれと考える一方通行であるが、美琴も想も夕方にならなければ帰ってこない。

自分一人となると、普段あれほど生き生きと取り掛かっている食事の用意に一向に手が伸びない。

カップ麺を作ることさえ億劫だった。


そして、手持ち無沙汰のままエントランスでぼんやりと煙草を吹かす現状に至る。




「あれ?一方通行?」



900 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/09(水) 23:54:47.61 ID:OZdvG4n60


暇を持て余している一方通行に声をかけたのは、どうにも冴えない三下顔の青年。
細面というよりも、ただ長い顔に、一重の小さな目。
7シリーズ続いたボクシング映画の主人公もかくもやというほどにぐにゃりとひしゃげた低い鼻。
歯並びの悪さが垣間見える口元。
散々繰り返した脱色と染色のせいで痛みに痛み抜いたしょぼくれた髪の毛。
何処に出しても恥ずかしくない脇役面の三下臭。


その姿を示すその名は ――― 馬面もとい、浜面であった」



「酷い!!モノローグに見せかけた巧妙な俺虐め!!」

「馬面くンじゃないですかァ」

「浜面です!!は・ま・づ・ら!!炎の男、浜面仕上だから」


軽く片手を上げ、初対面の頃が嘘のようなフランクな挨拶をかます学園都市第一位、元最強の暴君にして現役保父さんの白い青年。
吐いた暴言など、暴言の内にも入らぬ。
というか、浜面への罵倒の中で、暴言に当てはまるのってあるの?とばかりの気にも留めない様子に、身体中の力が抜けて行く浜面仕上。


それでも手に持った買い物袋を落とさぬように細心の注意を払う辺り、なんとも所帯じみている。

やる気の無さを示すように紫煙を口からぷかぁ〜と上らせる一方通行に、気を取り直した浜面は不思議な顔をする。


901 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/09(水) 23:56:06.57 ID:OZdvG4n60


「お前こんなところで何やってるわけ?」
「煙草吸ってンだよ。見てわかンねェのかァ?眼科行きますかァ?」
「あら、嫌だこの子ったら。的確に人の心傷付けてくるんですけどぉぉぉぉ!!」


据え置きの灰皿に半分まで吸った煙草を捻り込むと、一方通行は新しい煙草を咥える。
半分のところで圧し折られた煙草を、悼むように、惜しむように見つめる浜面に、怪訝な顔を浮かべる。


「何だよ、キメェ顔してよ」

「キモくありません!!いや、勿体ねぇ吸い方しやがるなって思ってさ……」


浜面も懐から煙草を取り出す。
如何にもな100円ライターを取り出し火を点ける。
愛おしそうに、慈しむように、実に上手そうに吸う横顔を無感慨に眺める。


「お前セブンスターじゃなかったか?マイルドセブンでもいいのか」

「理后がな……」

「ああ…」



セブンスター440円。
マイルドセブン410円。

脳裏に一瞬にして浮かぶ金額表。
短い言葉だが、それだけで納得してしまう一方通行。
目の前の男が、財布の紐をガッチリと女房に握られていることは有名な話だ。
財布の紐を握られているだけならば珍しくはないが、買う煙草の銘柄まで指示されているのは珍しいかもしれない。


もっとも、一方通行にはそれを律儀に守る忠犬ハチ公っぷりの方が驚きであるのだが。


902 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 00:01:11.32 ID:WOl9iQB80


「ハチ公ならぬハマ公だなァ…」

「何?」

「何でもねェよ」


ピンクのジャージを常備し、頭の中身までふよふよほよほよとしているようで、中々の良妻ぶりを見せ付ける浜面理后(旧姓:滝壺)。
お菓子作りの仲間でもあり、茶飲み友達でもある一方通行は彼女の言葉を思いだす。

『いきなり煙草止めてって言ってもしあげは辛いと思うし、長続きしないの。だから、少しだけ我慢してもらうの。一つ一つのことに、ちょっと我慢できればずっと我慢できるから』

一週間の出費を400円削る為に煙草を止めさせるのではなく、少しずつ削っていくのだ。
一つ一つに小さな我慢を課すことで、大きな我慢を無くす。滝壺はそうやって夫の生活水準を僅かずつ切り詰めていったのだ。
服は古着が増え、愛妻弁当の頻度が増す代わりに外食を禁ずる。煙草は予め安い銘柄を買っておく。
上手いやり方だと、しみじみと思う。少なくとも妻と息子命のこの男には効果は抜群だろう。


「で、お前が何してンだ?いつもは仕事だろォが。クビになったのか?」
「いや普通にお休みだし」
「それにしちゃ一人で買い物かよ」
「理后はスギモトさんと温泉旅行に行っちまってるし、ウチの坊主は半蔵のとこに遊びに行ってるし……」
「ああ、そォいや誘われてたなアイツも」

指に挟んだ煙草の灰を灰皿に落としながら思い出したかのように気の無い声を上げる。
エネルギー源でもある妻と息子の不在に肩を落としていた浜面だったが、ふと思い立ったかのような顔をする。

「そういや、一方通行昼まだ?」
「そォいや食ってねェなァ」
「じゃあ、俺ん家で一緒に食おうぜ」

一人の昼飯は侘しい。そんな思いが浜面からは見て取れる。悪い言い方をすればいつだって周囲に人がいる状況で食事をすることに慣れていた浜面。
いきなり一人ぼっちの食事は、彼の孤独感を色々と引き立てる。
世間一般では、妻が旅行に行ってる間の夫というのは開放感に包まれているものだが、浜面宅ではそうではないらしい。
そして、一人で料理をするのも食事をするのも味気ないという点において、それは他人事のようにブラックデビルを咥えている一方通行にも共通する。
他人が作った料理を食べるというのは、最近の自分の生活ではあまり無いことだ。それも悪くないかと、結論付けると、一方通行は頷いた。


「それにしてもお前眠そうだな。何かあったのか?」

「……気にすンな……年下のガキに振り回されるのには慣れてる……」


テメェがもう少し男に対する警戒心を教えておけばこうならなかったンだよ、とは一方通行は口が裂けても言えなかった。






903 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 00:03:03.03 ID:WOl9iQB80
投下終了。繋ぎみたいな話です。次回は美琴母娘のターン。それでは。
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:05:09.09 ID:J8O4VXdIo


あぁマジ男前だぜ一方さん
ヘタレとは違うんです(キリッ
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:06:00.60 ID:J/6ExEdAO

一方さんブラックデビルなんだな…
俺はてっきりアークローヤルぐらいかと…
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:06:11.32 ID:Rop+GYuyo
なんだ、結構我慢してたのか一方さん。

モアイ頑張れ、あと一押しだ
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:07:09.89 ID:DdFvzMb80

ブラックデビルだったんだ。なぜかキャスターだと思ってたわ
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/10(木) 00:08:04.31 ID:oErnkwIk0
乙!!リアルタイムとかまじで最高!
この調子でがんばってください!
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:08:28.39 ID:0/iiee5T0
>>1
絹旗が乙女過ぎて美琴のメインヒロインの立場がヤバいww
だが次は美琴母子娘のターン…美鈴通行マダーと言わざるを得ない
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:14:12.83 ID:LAxyEnyJ0

効いていたのか。酔い潰れずにもっと押せば倒せただろうに……
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:14:58.19 ID:g0ANlvKDO


窒素通行最高だぜー!!
もっとこの二人のいちゃいゃが見たいwwww可愛すぎるww
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:15:38.91 ID:T5R3bRKFo
美琴さんの立場がヤバイw
なんかもうそういうのも通り越してるのかもしれんが、頑張れ美琴
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:17:10.30 ID:5PgO9C5P0
乙です
噂の中の一方通行どれだけ入れ食いヤリマンなんだよwwww

>20[ピー]歳の麦野
一瞬『にひゃく[ピー]歳の麦野』って読むのかと素で思った
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:21:31.71 ID:f1Jyq8iTo
一通さんに性欲が存在した……だと……
これは明日の学会で発表せねば
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:24:39.86 ID:3r+5b+FIO
>>909
美琴母娘と来て何故美鈴さんになったし?!
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:25:49.88 ID:FeG+sKGDO
一晩耐えた一方通行さんまじ紳士
モアイ超頑張れ
という訳で噂について詳s
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:35:00.73 ID:89xP9z8Uo
一方さん、我慢してたんだ…wwwwww
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:40:27.02 ID:C5EEy6zAO
一方さんはアークロイヤルだと思ってた。そして手を出してもらえない絹旗が哀れでならない。で

「酒臭い女は抱く気がしないんじゃない?」あたりでグサッと来た。麦野ェ…
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:46:22.13 ID:s+ctW8nco
こういうドサクサだと仲が良い相手ほど手は出せんわな
こじれても切っちゃえばおkなら『酔ってて覚えてないかもしれないけど合意』とか言えるし
つまりそれだけ超大事にされてるってことですよ
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 00:48:01.01 ID:q+UeH8Wyo
>>914
「・・・・うさぎさんはね。・・・・動物の中で一番性欲が強いんだよ?」
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 01:03:43.02 ID:isCT1p+go
美琴さんの空気っぷりがぱねえ…
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 01:45:24.08 ID:/SIAiN2DO
付き合うなら絹旗、ケコーンなら美琴って感じなんかな
……おやおや!? 両立できるよ!!?
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 01:46:31.07 ID:VevdUcaIO
あくせらさん。選ぶなら絹旗だろ、絹旗だよな、絹旗にしろよ。
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 02:10:41.73 ID:ASPmXBpAO
身近な奴ほど簡単に手は出せないもんだ
大人になればなるほど周りの人間関係とか
いろんなしがらみもあるからな
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 07:19:07.84 ID:C5EEy6zAO
けれど、一線越えちゃうと一目惚れより始末に追えないのが友達とか身内の法則。速度も火力も半端じゃない。一通通行ェ…
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 07:41:40.59 ID:6hlD1P00o
一方「辛ェ戦いだった…絹旗が貧乳だったら危なかった…」
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 09:11:04.95 ID:stoFcKlAO
カエルさんとお友達になりたい
928 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 20:23:21.28 ID:URvLCU7D0
9時半くらいに投下します。多分。二本立てです。
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 20:24:59.98 ID:liM/5fhzo
ヒョーッ!
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 20:29:10.96 ID:CApw1OTIO
ヒューッ! 見ろよあのモヤシっぷり!
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 20:29:53.96 ID:g0ANlvKDO
豪華二本立て!!
楽しみすぎる。
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 20:49:09.96 ID:f6iRGs8DO
次の投下終わったら次スレかな?
933 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 21:36:59.68 ID:URvLCU7D0
投下開始します。
934 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 21:38:14.36 ID:URvLCU7D0


慣れた手付きでざく切りにしたキャベツ、モヤシ、タマネギ、ピーマンをフライパンに放り込み手首のスナップを利かせて炒めていく。
薄っすらと額に汗を浮かべ、最近少し伸びてきた髪をタオルをバンダナ代わりにして、リズミカルに具材をかき混ぜながら浜面は鼻歌を歌う。
麺を投入し、ビールのプルタブを開けると麺が解れる程度に注いでやる。
具と麺が混ざるように勢い良く、けれども具が零れてしまわないように注意を払いながらかき混ぜていく。
ソースを絡めて、万遍無く麺にソースが絡むのようにスナップを利かせていく。焼きそばをきっちりと作ろうと思うとどうしても結構な力を作業に要する。
火を弱めて、息を吐くと先ほどプルタブを開けたビールをくぴりと一口飲む。
昼間からのビールとはそれだけで贅沢な気分になれる。普段ではまずあり得ない時間帯に酒を飲む、その事への誰に対してなのかわからぬ罪悪感が少々。
それが贅沢をしているような気持ちに拍車をかけるのだ。
二人分にしても随分と作りすぎてしまった。もし余ったら晩飯にすれば良いだけだからそれも良いだろう。
浜面は大皿に盛ると、リビングに向かう。
丁度一方通行が自分の部屋から戻ってきたらしく、彼もまた持参した皿をテーブルに乗せていた。
焼きそばの皿を乗せると、細かな傷が目に付く。ウォールナットのテーブルは使い込まれた年月を感じさせる。
そろそろ新しいのを買い換えようと申し出ても頑として譲らない。
家族の思い出が染み付いたテーブルは妻のお気に入りの一つだ。
薄っすらと残るマジックの跡は、幼い息子が落書きをしたのを、必死の思いで消した跡である。
それすらも妻にとっては大切な思い出の一つであり、愛妻家の浜面はそんな少女のような妻を可愛らしいと思う。

「焼きそばにビールか。悪くねェチョイスじゃねェか」

既に並べてあった四本の缶ビールに小さく口笛を吹くと、一方通行は浜面の対面、カーペットに直に座る。
浜面の鼻腔を一方通行の用意した料理から立ち上る芳ばしい香りが擽る。

「何作ってきたんだ?」
「ピラフ。昨日夕飯に作ったスズキが結構余ってたからな」

ワインばかり飲んで早々に酔いつぶれた絹旗のせいで、多目に作っておいたスズキが余ってしまった。
最もそれはわざわざ話すことでもないと、一方通行は結論だけを口にする。
ほこほことした湯気と食欲を煽る匂いに唾を呑み込む。
焼きそばとピラフという組み合わせに若干奇妙な感じもするが、チャーハンみたいなものだと思えば問題は無い。
相変わらず横文字系の料理ばかり作るなと、浜面は半ば憧憬の念を視線に込める。


「お洒落だな〜〜俺は焼きそばとかラーメンとかチャーハンとか、そんなんばっかりだぜ」

横文字の料理と言えば、ハンバーグやオムレツ、カレーといった子供も大好きな定番料理ばかりだ。
理后は基本的に和食が多いし、浜面は基本男の手料理の見本のようなものしか作れない。
ざく切りにした野菜を油で炒めるというのが浜面にとっての料理のすべてであり、一人暮らしの大学生の自炊レベルと言ってしまえばそこまでである。
ゆえに、浜面家の食卓に洋食は縁遠い。

「ぶっちゃけた話をすりゃ中華みてェなのは腕が疲れるンだよ。家庭のキッチンじゃ火力も足りねェ、中華鍋は万能だが、使いこなすことが出来るのが前提だしな」

ちらりと浜面は一方通行の細腕に視線を落とす。
確かに、轟々と勢い良く炎を上げるキッチンで中華鍋を振るう一方通行の姿は想像しづらい。

935 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 21:39:24.59 ID:URvLCU7D0

「一方通行はキリンで良かったよな?」
「おォ」

琥珀色の液体をグラスに注いでやると、浜面は飲みかけの缶を手に、軽く掲げる。
一方通行は浜面に注がれたグラスを軽く缶に当ててやる。無言でビールを飲む音がリビングに広がる。
冷たいビールが喉を滑り落ちていく感触に朝から何も食べていなかったことをようやく一方通行は思い出す。
空っぽの胃には、ビールの冷たさが突き刺さるようで、それがまた心地良い。
焼きそばを小皿に取り分ける。


「青海苔使うか?」
「刻み海苔があるンならそっちくれ。あと紅しょうが」
「ほらよ」

浜面は大口を開けてピラフを搔きこむ。
お世辞にも上品な食べ方とは言えないが、美味いと感じているのは伝わってくる。
一口一口食べて、感想を述べてくれる美琴や想とは違って、色気もそっけもない食べ方だが、如何にも美味そうに食べてもらえるのは作った方としても気分が良い。


「……こういう料理は美味ェなお前」


焼きそばを啜ると、若干羨ましそうに呟く。


「ビールがポイントだな。味が何ていうか香ばしくなる」
「確かに。ガキが喜びそうだな」
「お前も想ちゃんに作ってやればいいのに」

一方通行が作るのであれば、ソースにも食材にも麺にさえも、自分より遥かに拘った美味いものが作れそうだ。

「こォいうのはあんまり上手くねェンだよ。どっちかっていうと目分量で作れる奴のが美味いモンが作れンだ。俺とかアイツはダメだな。きっちり分量がわかってねェと失敗するクチだ」

ぐびりとビールを飲みながら、瞳を細める。
空いてしまった缶を握りつぶしながら、そうかもしれないと浜面は納得する。
塩一つまみとか、醤油少々とか書かれると本気で考え込みそうだこの男は。根が生真面目だからだろうか。




「カレーもそォだな。こっちは分量キッチリ量って、時間にも正確に作ったってのによ、思いつきでハチミツやらミルクなんざぶち込ンだ奴の方が美味かったりするンだよ。
 野菜の切り方は雑だ、溶け残りもあるは、その癖妙に味付けだけはハマッたモン作るンだよな」
「それって誰の事言ってるんだ?」

素朴な疑問をクチにするが、一方通行は「さァな」と言って取り合わない。


(そォいや、アイツ等ちゃンと飯食って来るのか?)


今の時間帯だと、バスに学園都市行きのバスに乗った時間だろう。
スナック菓子と惣菜パンで済ませてはいないだろうな、という不安にも似た思いが胸に沸く。





                         ◇




936 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 21:40:09.15 ID:URvLCU7D0






膝に頭を乗せ、可愛らしい寝息を立てている愛娘に美琴は柔らかい視線を落とす。
長い睫が、俯いた美琴の白い頬に影となって降りる。
健康的な肌と、淡い睫の作る影のコントラストが、22歳という年齢以上の色気を醸し出す。
それは、扇情的であるとか、造詣が美しく艶かしいという形容詞で括られる美しさではない。
美琴自身が美しいのではなく、幼く無垢な寝顔を浮かべる想と、少女を膝枕して、髪をゆっくりと撫でる美琴の二人が揃っているその光景そのものが美しいのだ。
絵画の一枚のような、宗教画を前にして誰しもが抱くような安心感と何処か泣きたくなるような優しさを秘めた美しさである。
世の母親とは皆こういうものなのだろうか。番外個体は隣りの座席から美琴の横顔を盗み見る。
彼女には母親は居ない。遺伝子上では御坂美鈴であるのが、実感が伴わない。
美琴とは反対側、自分の隣で、自分の肩に頭を預けて眠る打ち止めに目を向ける。
だらしない、無防備な寝顔は想にそっくりだ。いや、想がそっくりなのだろう。
遺伝子の上で言えば、番外個体も打ち止めも想の母親という事になる。
そんな経験などないというのに母親というのは何ともややこしい。
打ち止めのように幼い頃に接することが出来ていれば或いは、無邪気に「お母さん」と呼べるようになっていたのかもしれない。

(ま、お母さんなんて甘えるミサカなんて想像するだけでゾッとするんだけどさ)

唇を微かに歪める。
震動でずり落ちそうになる打ち止めの頭をさりげなく支え直してやる。
こういうさり気無い気遣いが出来るようになった自分自身が何故か可笑しさを覚える。
負の感情しか受け取らないという処置を受けていたのは過去の話。
この数年間で繰り返された治療のおかげで常人と殆ど変わらぬようになっている。
それにも関わらず一方通行への口調のキツさはそもそもそういう性格なのかもしれない。
遺伝子元が遺伝子元なのだから、無理も無いのかもしれない。
現にあれほど素直であった打ち止めは、クチを開けば『ウザイ』『寄るな』『大嫌い』という単語の数々を一方通行に浴びせる。
それに膝を屈する程の衝撃を受けていた一方通行の姿は未だにMNWに保存され、年に一回行われる『ミサカ達が選ぶ名場面、珍場面特集』では必ずベスト20にランクインされ、上映される。
その度に番外個体は腹を抱えて笑い転げる。
最も、最近では番外個体の毒舌も打ち止めの暴言も『反抗期』というカテゴリーで一括りにして受け流す術を身に付けてしまったようだが。


(何一人だけ大人になりましたって面してるんだよ、クソ野郎。ミサカすっごく面白くないんだけど)


本当の不機嫌の理由は他にある。打ち止めの暴言にしても単なる思春期ではない。

要は面白くないのだ。
散々自分達にすべてを捧げるように、自分達だけを見ていた男の手が、いつの間にか他にも守るべき者を抱えていることに。

自分達を変わらず大切に思ってくれているのはわかる。しかし、男の優先順位に明らかな変動がもたらされていることもわかる。
オンリーワン、特等席。自分達の優越感すら抱いていた場所は何時しか自分達だけのものではなくなっていた。
同率順位が増えただけではなく、明らかに男の中の最優先順位が替わっているのだ。

937 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 21:40:59.43 ID:URvLCU7D0


「子供ってホント、玩具の犬とかお猿さん思い出すわね」

「は?」

愛しげに想の髪を撫でていた美琴の突然の呟きに番外個体は間の抜けた声を上げる。
突然何を言い出すのだろうかという怪訝な表情を気にも留めず、美琴は想の綺麗に揃えられた前髪を指先で弄ぶ。


「子供の頃遊んでたんだけどさ。よちよち歩く電池で動く縫いぐるみとか、シンバル叩くお猿さんとか。可愛い動きするんだけど、電池が無くなるとぴたりって止まるの。
 子供も一緒だね。遊んで笑って走って、それで電池が切れたらぱたんって眠って」
「単純な構造だね〜ぎゃはは」
「うん。単純だわホント。でも羨ましい。何でもそうやってシンプルに生きられるって、凄く綺麗なことだもの」
「お姉さま?」

窓の外に視線を移す。
何を考えているのか、その横顔から番外個体は計ることが出来ない。


「里帰りする度に何だかヘコむわ。罪悪感って未だに拭えないもの」


里帰りをする度に、美琴は自分の両親だけではなく、上条当麻の両親にも会う。
家がお隣同士だからというわけではない。今は亡き自分の息子の恋人だった少女に彼らもまた会いたいのだ。
息子の思い出を共有するものとして。


「騙してるわけじゃないんだけどさ」


想の髪を擽る。

彼らは知らない、美琴が連れてくる少女が自分達の孫であることを。

知らされていないし、仮に知ったとしてもすぐに土御門等の手によってその記憶は消される。

上条当麻に関する名残、痕跡はあってはならないのだ。

故に、彼らは想を見て「ママに似て可愛らしいお嬢ちゃんだね」と言って頭をなでる。
娘が欲しかったという詩菜に至っては、猫可愛がりだ。
未だに深窓の令嬢を髣髴とさせる、信じがたい若々しさを誇る詩菜と、彼女に懐く想。
その光景は微笑ましくも悲しい。美琴はいつ目にしても泣きたくなる。


938 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 21:41:45.27 ID:URvLCU7D0


「いいじゃん。無理にお姉さまが気に病むことってないんじゃね?」

美琴の膝の上で、無邪気に寝息を立てる少女に目を向ける。
その泰平楽な寝顔にデコピンの一発でも食らわせてやりたくなる。
すれば確実に一方通行がキレるだろうが。
番外個体も、打ち止めもこの少女がに対して複雑な思いを抱いている。嫌いなわけでは決して無い。
ただ、呑気に好きだとも断言できない。
自分達の場所を奪った張本人だから。

「あのウニ頭が全部やらかしたことなんだしさ。それに……」
「それに?」
「それくらいの代価は払ってくれなきゃミサカ達納得しないよ」


美琴は言葉に詰まる。
然程人の感情に敏感ではない美琴にも番外個体の言葉の意味が伝わったからだ。
それは美琴が妹達に対して抱いている罪悪感を刺激する言葉だった。
妹達が憧れていた男の子供を産み、更に、それとは別の妹達が恋い慕っていた男を事実上独占しているのだ。
最も、そうは思っていても妹達はそれを直接美琴には伝えない。心の中にしまいこんで置く。


妹達の多くが美琴を姉として慕っているからだ。
自分が生まれてきた事を喜びに思い、そのきっかけを与えてくれた美琴を姉以上に母のように思っている者もいる。
しかし、多くであって、全てではない。
妹達の負の感情を集めるように生み出された番外個体はそれを良く知っている。
当然の話だ。1万人の妹達が全員同じ人物に同じ感情を抱くわけがない。
個性が分化されるに従って、それは顕著になる。一方通行を強く憎む個体がある一方で、上条当麻を何とも思わぬ個体もいる。
美琴を崇拝にも似た眼差しで見る妹もいれば、ひたすら嫌悪を抱く妹もいる。それが個性というものだ。
故に、打ち止めもそのことを悲しく思いはすれども、矯正しようとはしなかった。
何より、一方通行と冥土返しがそれを止めた。

毎日死ぬ事ばかり考えている個体もいた。生まれてきた事をひたすら苦痛にしか思えない個体もいる。
無垢な少女が騙されてしまっただけとわかっていてもこの世に生まれてしまう切欠を与えた女だと恨む個体もいる。
それなのに、一人だけ学校生活を楽しみ、友人と笑い合い、恋に浮かれ、表の世界で光を浴びてひまわりのように明るく生きる少女を憎む個体もいる。
それは全体数から考えれば一、二割程度でしかない。しかし、その一、二割を十全のものとして生を授かったのが番外個体のだ。
故に、彼女は御坂美琴を、他の妹のように慕いもしなければ賛美もしない。


939 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 21:42:28.00 ID:URvLCU7D0


「アンタ…相変わらず当たりキツイわね〜」

「そういう仕様なんで〜す」


それでも、美琴の表情に番外個体への反発や怒りは存在しない。
寧ろ、対等な女友達のようにはっきりと口にしてくれる事への好意すら垣間見える。
好意に対して免疫が薄い番外個体は困ったように視線を美琴から逸らす。


「あんまり辛いんだったらあのモヤシ野郎にでも甘えたらどうなのかにゃ〜ん」
「あ、甘えるって、別に私とアイツはそいうのじゃないっての」
「じゃあ、どういうのなのさ〜」
「どうって……う〜ん…」


今更言葉にしろと言われても美琴は上手くそれを伝えられない。
極自然に触れ合っているから、今更それをきちんと説明しろと言われても言葉に窮する。
それでも、純然たる友情のみではないのだろう。
美琴にははっきりとは表れてこそいないものの、確かな好意が存在する。それが微かに頬を染めるという形になって表れる。


「今更上手く説明できないや。でも……アイツには感謝しているし……それに大切だと思ってるわよ、多分」

「へぇ〜〜……」


自分の感情の測り方を毛ほども知らない少女のようにはにかむ美琴に番外個体は内心舌打ちをする。
美琴が忌々しいのではない。
その美琴の素直さが羨ましく思えた。彼女と自分との落差に苦い気持ちになったのだ。
彼女とて憎まれ口は出るが、自分のように憎たらしいというほどではない。
それは少女じみた幼稚さと紙一重の愛らしさですらある。
番外個体には、少なくとも彼女の意識としては、備わっていない魅力だ。同じはずなのに。
そこが一方通行を引き寄せているのだろうか。
そう思うと、唇を噛み切るほど噛み締めたくなる。





番外個体は、想の寝顔を見る。


うにゅうにゅと口をもごもごとさせると、少女は美琴の膝の上で微かに身動ぎした。











940 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 21:43:54.48 ID:URvLCU7D0
以上です。続いて、番外編です。
娘っ子の髪型が話題になっていたので。
941 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:45:49.00 ID:URvLCU7D0


一日かけて煮込んだシチューの出来に一方通行は満足げに頷く。

分厚い牛肉はゆっくり長い時間かけたために、分厚いがスプーンで少し押してやるだけでスジ状に解れていく。
普段であれば、薄い牛肉を用いるのであるが久しぶりにガッツリと肉を食べたいという思いつきに駆られた為に奮発した。

実家から美味しいジャガイモが送られてきたといって知り合いからお裾分けをもらったのも理由の一つだ。


想も美琴も朝から揃って出かけており、一人の時間を持て余していたのも理由だ。というか、それが一番の理由なのかもしれない。
時計を見れば夕方と言える時刻。昼食を摂るのも忘れて、料理に没頭していたようだ。
昼過ぎにはお隣から物音がしたことから見て、二人とも帰ってきているのだろう。
ただ、普段であれば帰宅すればすぐにコチラの部屋にやってくる御坂母娘がそろって来ないことが一方通行には少し不思議だった。


決して寂しいわけではない。



「別に、一人は一人で気が楽だしよォ……」



誰に対しての言い訳なのかわからぬ独り言を呟く。
圧力鍋のシチューの量は一人ではとても片付けきれない量が作られている。



「……ったく、天下の悪党が随分と腑抜けになったモンだ」


知らず知らず大人数分の料理を作ることが当たり前になっている自分自身に呆れるが、不思議と悪い気がしない。
三人でも多過ぎれば打ち止めや番外個体、佐天や絹旗を呼んで皆で食べるのも悪くないかもしれない。
佐天にはバイト先からまたパンをもらってきてもらわなければならない。彼女のバイトするパン屋のパンは一方通行のお気に入りの一つだ。
下の浜面一家にもお裾分けするのも良いかもしれない。この前理后には肉じゃがをお裾分けしてもらった借りもある。
打ち止めは最近やたらとダイエットを気にしてるから牛肉たっぷりのシチューに難色を示すだろうか。

942 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:49:27.04 ID:URvLCU7D0


『こんなカロリーの高いモノを無遠慮に勧めるだなんて信じられない!!ってミサカはミサカは貴方の女心のわかってなさに呆れてみる』


そんなセリフが出たのは、家を留守にする黄泉川に頼まれて食事を作りに行った時だっただろうか。
打ち止めの好きな煮込みハンバーグと、半卵とベーコンたっぷりのサラダを作ってあげたのだが、その対価としてもらったのが上記のセリフであった。



『ああ、無駄無駄。コイツの昔と変わらぬモヤシ体型見ればわかるじゃんか。
 自分が太らないからカロリーとかそんな計算なんて全っ然気にしやがらねぇんだもん。
 ムカつくことにさ』


珍しく夜遊びもせずに早く帰宅した番外個体も馬鹿にしたような顔で辛辣なセリフを吐く。
こめかみにピキリと来るものがあったのは確かだ。
落ち着いて考えてみれば確かに年頃の少女達に振舞ってやるにしては少々高カロリーだったかもしれない。


せめて魚をメインにするとか、野菜をもっとふんだんに使った料理にしてやるべきだったのかもしれない。



「クソガキ共が勝手なことをほざいてンじゃねェぞ………まァ、ちィとばかり気遣いは足らなかったかもなァ……」


うろたえたのは打ち止めと番外個体である。
てっきり「じゃあ食うンじゃねェクソガキ共!!」などと言うセリフが飛んでくることを想定していただけに、
考え込み始めた一方通行の反応が予想外だったのだ。


『馬鹿のマジヘコミ顔とか超ウケるんですけどぉ〜〜ぎゃははははは〜〜!!は、はは…………で、でも折角だから食べてやらねーことも無いかなって………
 うん、腹減ってるし〜第一位の料理とか腹壊しそうで怖いけど、無いよりはマシだしね』

『勝手に黄泉川が頼んだだけで、べ、別に作ってくれなんてミサカは頼んだ覚えなんてコレぽちも無いんだけどね。でも、お料理無駄にするのはいけないことだし。
 あ、言っておくけどね、それで恩とか着せられたら、その、め、迷惑なんだからってミサカはミサカは保護者面したがる貴方に釘を刺してみたり!』



結局そう言って、彼女達は綺麗に残さず平らげてしまった。
口が悪いが、性根の優しさの変わっていない事に一方通行は胸を撫で下ろしたものだ。
尚、余談であるが、その翌日、ヘルスメーターのメモリを見て打ち止めと番外個体が悲鳴を上げたのを一方通行は知らない。



943 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:51:00.31 ID:URvLCU7D0



作りすぎたシチューはとりあえず三人の夕食に当てようと思い、一方通行は美琴の部屋に向かう。
サンダルを突っ掛けて、隣の部屋のインターフォンを鳴らす。
以前、これを鳴らさずに開けてしまい、お風呂上りの美琴の姿を見てしまったことがあった。
その日はお互い気まずくて、暫く目を合わせる事が出来なかった。
その教訓を生かし、インターフォンに指をかけようとしたところで、タイミングよくドアが開く。


「おわッ」

「一方通行ァァ……」

勢い良く開けられたドアにぶつかりそうになりながら、咄嗟に後ろに下がる一方通行。
出てきたのは、母親を連想させるようなシャツに黒いパンツルックの美琴。
彼女は一方通行の顔を見るなりホッとしたように眉を下げる。


「丁度良いタイミングじゃねェか。お前ら飯まだだろォ」

「それどころじゃないのよぉぉ」

情けない声をあげる美琴に一方通行の眉が不審に寄せられる。そういえば、彼女の娘の姿が見当たらない。
普段であれば、レーダーでも付いているように、美琴よりも先に一方通行を出迎えるのは彼女の、想の役目だ。
美琴の様子に異変を察知した一方通行の顔が鋭くなる。

「想に何があった?」

張り詰めた空気の中、美琴がゆっくりと頷く。
鼓動が早くなる。
一方通行の背筋を冷たい汗が滑り落ちる。
美琴の瞳に薄っすらと涙の膜が張っていることが、事態が急を要するのだという事を彼にひしひしと伝えてくる。
如何なる事態に直面しようとも、冷静さを失うまいと覚悟を決め、美琴の肩に手を軽く乗せるとリビングに足を運ぶ。
リビングに一歩足を踏み入れると同時に、視界に捉えたものに、一方通行の瞳が僅かに見開かれる。


「コレは……ッ」


944 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:52:00.04 ID:URvLCU7D0







「………」


小さな毛布の塊が、ちょこんとリビングの隅に鎮座していた。





「何があった?」





945 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:52:47.92 ID:URvLCU7D0


強烈な既視感に襲われながら、ゆっくりと美琴を振り返る。
セリフこそ同じものの、声に滲む緊張感はすっかり消え去っていた。
美琴は涙目で一方通行の袖を握る。


「あの妖怪チビ毛布にスッゲェ〜〜見覚えあるンだけどよォ…」
「そのね、ずっとあの調子で……」
「何でだよ?」
「そ、その……」

口ごもりながら、視線をそっと逸らす美琴。
言い出しづらいことを抱えている時の彼女の癖だ。
そこで既に、一方通行は元凶がこの目の前の駄母(ダボ)だと察する。微かに痛むこめかみを指で押さえながら、リビングを見回すと、あるものが目に付いた。
遠足に使うビニルシートと、そこに散らばるシャンパンゴールドの髪。


「………うン……まァ、大体把握したけど、一応聞いておく」

「えっと……」

「切ったのか…?」

「………」

呆れた視線を美琴に向けると、袖を指で摘んだまま、子供のようにぷいっと顔を背ける。
イラッと来たのは一方通行だ。
涙目で人に頼ってきておいてこの野郎という気持ちが湧き上がっても仕方があるまい。


「んに゛ゃッ」


美琴の頬を掴むと、強引に自分の顔に向けさせる。


「切ったンですかァ?美琴ちゃァン?」

顔はこれ以上なく、気持ち悪いくらいににこやかに。
しかし、搾り出される声には一切の弁解も誤魔化しも許さないという意思が滲んでいる。
息が触れる位置に顔を引き寄せられた美琴は、小さく「はい…」と応えることしか出来なかった。

946 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:53:46.74 ID:URvLCU7D0

「ッたく…」

掴んでいた頬を解放してやると、疲れきったように溜息を吐く。
頭が良い癖に馬鹿というか、未来をきっちりと見据えているくせに向こう見ずというか、頭をがしがしと搔く。
基本骨子は中学生の頃と替わっていない一児の母に、この数年で一体何度溜息を吐いただろうか。


「……んとね…」


しょんぼりとしたまま美琴は一方通行の袖を摘んだままぽつりと話し始める。


「よくあるじゃない。『8歳まではお母さんが床屋さん』っていうの。それにずっと憧れててね…それで、今日シザー買ってきてね…」
「お前は本当に形から入る奴だよな」
「それでいざ切ろうってなって…勿論、素人だからちょっと長さを揃えてあげようかなって、その程度のつもりだったのよ?前髪長くなってきてたみたいだし、目悪くなっちゃうでしょ?
 そうしたらさ、髪の毛がくっ付いちゃって。ホラ、私静電気とか持ってるじゃない?それで、予想外に…その……ザックリ……」
「美ィィィ琴ちゃァァァァンン?テメェ自分が不器っちょだっていう自覚は無いンですかァァ?」
「あうっ、あうっ、あうっ」

小刻みに、連続してチョップを叩き込む。額を押さえて、美琴は涙目でしょんぼりと項垂れる。
年齢以上に幼い表情は、研究室での彼女の姿しか知らない学生が見たらさぞや目を剥くだろう。
勿論美琴に悪気など一切無い。それは一方通行にも十分にわかっている。
普段忙しい分、余計に張り切って母親らしいことをしてやりたいだけなのだ。それがわかっているだけに、美琴を本気で怒ることも一方通行にはできない。

一方通行は、髪を切られた時の情景がすぐに目に浮かぶ。

不吉さを運ぶようなジャキンという音と共に、想は目の前に落ちた自身のもの“だった”髪をわけもわからず見つめた。
次に、答えを求めるように見上げた母親の顔色の変わったその表情に、その“わけのわからなさ”が『不安』に変わった。
そして、鏡の中に映る見慣れない自分の姿に、不安が破裂した。
泣き喚いた挙句、毛布に包まり、想はリビングにでんと座り込んだ。

それが三時間前のことである。


947 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:54:34.32 ID:URvLCU7D0


「そ、想ちゃ〜ん、ゴメンね、ねぇ、出てきてママに顔を見せて〜〜ほぉ〜ら、ラビ太郎くんも出てきて〜〜って言ってるよ?」


必死に想を毛布から引っぺがそうと試みる美琴に、想は涙で濡れた顔をぴこりと覗かせると、たった二言だけ発した。



「ママ、きらい!!」


美琴は言葉って凄いなと、何処かで感心すらした。
だって、たった二つの言葉で、人間とはこうも的確に臓腑を抉られるものなのだから。



「あーくん、想ちゃんが、想ちゃんがママ嫌いって言っでだのぉ〜〜……」

「お前まで泣いてンじゃねェ!!」


わしゃわしゃと美琴の頭を撫でる。


「まァ、とりあえずあのチビ毛布をどォにかしねェとな……」
「出来るの?」
「俺を誰だと思ってやがる」


近づこうとして、一度止まる。


「ああ、一応確認しておくが、あの毛布の下は全裸とかじゃねェよな?」
「え?」
「いや、忘れてくれ。ちょっと自分の黒歴史を思い出しただけだ」


あれがアクセロリータ呼ばわりの始まりだったのだから。
その忌々しい、過去の自分の軽率な行動に自己嫌悪を抱きながら、口を噤む。
くるんと繭のように毛布に包まった少女に近づくと、一方通行は側に腰掛ける。


948 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:55:43.09 ID:URvLCU7D0


「あァ〜〜想のヤツ、一体何処に行っちまったンだろうなァ〜〜」


わざとらしいまでにわざとらしい大根芝居。
それでも、幼い少女には十分効果的で、毛布の塊はピクリと動く。しかし、毛布は意地でも顔を出すものかとばかりにコロンと丸まったま動かない。
普段、嘗ての打ち止めも真っ青なまでに、弾丸タックルを敢行してはぴとりと子犬のようにくっ付いてくるこの少女が顔を出さない。
自惚れではなく、事実として、一方通行は相当にこれは怒ってる、いや、拗ねているなと呆れる。
普段ならば、自分が探してる素振りをするだけで走ってくるのだ。
いつの間にか、自分の隣に座って不安そうな顔の美琴をちらりと見る。
ぎゅっと服の裾を掴む指先が震えているあたり、相当ショックなのだろう。


溜息が零れる。

世話の焼ける親子だ。



「あ〜あ、残念だなァァ〜〜折角想と買い物に行こうと思ってたのによォォ〜〜」

ぴくりと毛布が動く。

「ラビ太郎のヌイグルミ買いに行こうかな〜って思ってたンだけどなァァ〜〜」

もぞもぞと毛布が蠢く。

「でも、いねェンじゃあしょうがねェかァ〜〜」

心なしか毛布の塊から、焦っているような気配が滲む。

それを横目で確認していた一方通行は、最後の一押しをする。


「………じゃあ、今日は帰るかァ」


わざと音を立てて、立ち上がろうとする一方通行の服を、毛布から伸びた小さな手がぎゅっと掴んだ。


「ンンン?」


わざとらしく不思議そうな声を上げる。
毛布はしばらくじっと固まっていたかと思うと、やがて、カンガルーの赤ん坊が顔を覗かせるように、ぴょこんと形の良い頭が現れた。


949 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:57:03.76 ID:URvLCU7D0


「……あーくん、かえっちゃいや…」


涙でべとべとに濡れた頬は、ずっと毛布に包まって熱かったせいか、林檎のように赤く染まっている。


「おおォ、そンな所にいたのかァ」


わざとらしさ此処に極まれりとばかりに、大仰に驚いた顔をする。
一方通行と目が合うと、想はハッとして慌てて毛布をかぶる。
みっともなくなった前髪を見られたくないという、幼いながらも女の子としての恥じらいに、微笑ましさを覚える。


「想、ちゃンと顔見せてくれよ。笑ったりなンかしねェって。それによ、コイツもスッゲー反省してンだ。いい加減許してやれ、な?」
「想ちゃん、ゴメンね。お願いだからママにもお顔見せて?」

沈黙がリビングに染み渡る。それは時間にして僅かなものだっただろう。
それが美琴には無性に長く思えた。
やがて、毛布がするりと肌蹴、少し膨れた愛らしい顔が現れる。
大好きな二人からのお願いを拒絶してまで張り通す頑なさはこの少女には無かった。
想の前髪を一方通行はさりげなく見てから「何だ」と拍子抜けした。
普段の前髪に比べれば確かにずっと短いものの、思っていたよりも全然おかしくはなかったのだ。
おそらく、想は前髪が変になったことに怒ったのではなく、今までの自分と違う姿に戸惑ったのだ。
それが、美琴の顔色を見て、変だと解釈してしまったのだろう。

「なンだ、全然おかしくねェじゃねェか」

「んん、ふゆ…」

「……なァ、想」


想の頬を指先で擽ってやる。
ひんやりとした一方通行の指が火照った頬に心地良いのか、嬉しそうな顔をする想。

「ママもな、お前が喜ぶと思ってやったことなンだ。確かに気に入らなかったかもしれねェが、忙しい中何とかお前が喜ぶ面を見たかっただけなンだ。
 それを嫌いなンて言ってやるな。お前だってママが喜ぶって思って手伝ったりすンだろ?それが失敗しちまっても、嫌いなンて言われたらお前だったら…どうだ?」

「………かなしい……」

「だろう?」


こくんと、小さく頷く優しく、賢い少女の頭を撫でてやる。
一方通行は滅多に見せない、というよりも他の人間にはまずは見せることの無い柔らかい笑みを浮かべる。
美琴がそろそろと想に近づく。そっと伸ばした美琴の手を、想の小さな手が掴む。


「ママ……ごめんね?」

「想ちゃん………ママこそゴメンね」


ぎゅっと、美琴は想を抱き寄せる。
母親を傷付けた事への罪悪感と、ずっと今日一日を甘えられなかった分が相まって想も必死にしがみ付くように抱きつく。
母娘の仲直りを見届けた一方通行はシザーを手に取る。
ビニルシートに腰掛ける。



「さてと……想、コッチ来い」

「なぁに?あーくん?」


にやりと、一方通行は笑う。




950 :彼女がぱっつんになった理由[saga]:2011/03/10(木) 21:57:43.86 ID:URvLCU7D0







「おはよう〜きぬはたせんせ〜」

「おはようございます想ちゃん……あれ、想ちゃん、どうしたんですか?超可愛いです!!」

瞳を輝かせた絹旗が思わず想を抱き寄せる。
お世辞でもなんでもなく微かに弧を描くように切り揃えられた前髪が、卵型の顔立ちを引き立たせ、お人形のように愛らしく見せている。


「あーくんにきってもらったの〜えへへへ〜」



心から嬉しそうに笑う想につられて、絹旗もふわりと笑う。
内心、白い青年の予想以上の器用さに驚きつつ。


こうして、白い青年は少女専属の美容師となった。










951 : ◆d85emWeMgI[saga]:2011/03/10(木) 21:59:41.97 ID:URvLCU7D0
以上で投下終了します。ぱっつん幼女はジャスティス。

次の投下は次スレを立ててするつもりです。
gdgdですみません。
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:01:48.30 ID:T5R3bRKFo

美琴がヒロインしてますなぁ
まあなれない人が髪切っちゃダメだよね
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/10(木) 22:03:35.85 ID:po9PON8r0
おつおつおつおつ 
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:03:38.50 ID:f6iRGs8DO
乙乙

前髪を自分で切ったらぱっつんになってしまったのを思い出した
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:04:04.37 ID:FmD/Htrg0
いや〜〜、もだえ死ぬとこだった。
しかし>>1はよく分かってる。心から尊敬するよ。
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:04:25.91 ID:J8O4VXdIo
子供の髪って気持ちイイよねぇ〜( ´▽`)

乙!
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:05:15.09 ID:SAgAgbLyo
>>今は亡き自分の息子

ああ、そういうことなのか……

あと、美琴と妹達の関係が新鮮だ。
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:06:35.53 ID:XnUvbt3Vo
乙ー
上条さんホント全てを捨てていったんだなぁ…壮絶だ凄いわこれ

番外編はほんわかと
髪は男でも落ち込むもんな。それが小さいながらも女の子じゃ尚更なのかな
御坂親娘可愛いぜ
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:08:12.67 ID:zKSe7keX0
乙〜
激しく癒されるぜェ……
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:27:03.29 ID:lQjQss2go
あんな、あんな前振りをしておきながら美琴ちゃン呼ばわりとか!
このもやしどうなってんのよ!
返品だ返品!
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:44:19.08 ID:Ily1S2o/o
どうみても夫婦です。本当に(ry
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 22:47:34.75 ID:1Z++82xyo
電磁通行結婚式前編マダァ━━━(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン━━━??
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/10(木) 23:27:42.33 ID:T5R3bRKFo
そういや美鈴さんとかは誰の子か分かってんのかな?
まあ、あーくんとの子だと思ってそうだけどw
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[age]:2011/03/11(金) 00:23:35.06 ID:fAuBorav0
乙です。超乙です!!もう超電磁通行でいいんじゃないかな?

本編と番外編の温度差がスゲェwwwwww
他の妹とは違うスタンスの番外個体との会話が大人の女同士な感じでカッコいい。
というか貧乏螺子さんの話はセリフのやり取りとか好きだわホント。

とりあえず想ちゃんが可愛過ぎてしかもぱっつんであることで、俺の中で天使から俺の嫁に昇格したよ。
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 00:24:25.46 ID:fAuBorav0
あげてしまった…orz
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 00:26:59.22 ID:7VnYnzY60
一方お父さんに「お嬢さんを僕に下さい」とか言ったら「俺に勝てたらなァ」とか言われそうで怖い。
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 00:28:40.76 ID:fAuBorav0

窒素装甲⇒超電磁砲⇒一方通行と三人抜きしないとダメなんじゃね?
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 00:30:06.05 ID:pJVZS7Nqo
ていとくん、二人までなら抜けるんだな……
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 00:45:20.53 ID:DyAOgDJ5o
>>968
その前にサーマルハンドで一発だけどな
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/11(金) 01:05:05.11 ID:fa7Oo99o0
次スレもタイトルいっしょなのか?
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 02:42:11.30 ID:SBmYxAkXo
はふぅ・・・胸がいっぱい過ぎて幸せ
これでまだ結婚してないとかホントすげぇな・・・逆にこの関係性にドキドキするわ
お風呂上りを目撃して気まずいとか初々しい所もなんともいえないww
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 05:13:28.98 ID:dzh3Sb+Ao
>>967
10万3000冊とそげぶを継承した異母弟フラグか
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 08:37:39.58 ID:PSf+5iJ8o
>>972
異母妹だったりしてww
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 08:54:35.85 ID:GqoFhQ0Jo
フライパンかえすのに手首のスナップはいらない
というかむしろ失敗フラグ。浜面らしいやり方だとは思うけど。
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 09:09:53.74 ID:9wtcq/xAO
パパセラレータまじ最高!

あ、最も→尤もです。細かくてゴメンナサイ。
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 11:59:19.56 ID:10OTxk2h0
>>909
すまない。美琴母娘だから美鈴さんと美琴、美琴と想ちゃんマジ天使 の2つが頭に浮かび俺は前者をとったんだ
でも酔っぱらってあーくンに絡む美鈴さんがマジ最高過ぎたんだ…
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 20:09:16.22 ID:qhpVNnLm0
みんな大丈夫か?
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 20:14:59.53 ID:+WT7MT8DO
沿岸は津波でやばいけど内陸は屋根の瓦落ちたとかそんくらい。ガス、水道、電気が止まってるけど発電機と井戸水でなんとかなってる。→岩手県南

逆に東京とかの方が被害でかいんじゃね?
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 20:33:18.10 ID:DjgYqLHDo
こっちは京都だから全然問題ないけど他の人達が心配だよ
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 21:21:46.73 ID:K93h4jxe0
>>977-979
心配なのはわかるが、とりあえずそれはこのスレで聞くことじゃないんじゃないかなぁ…

地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/11(金) 23:18:37.88 ID:y8sgXoBIO
>>1は無事だろうか…

地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 00:03:40.84 ID:ctGhS6rDO
>>980

スマン…自重するよ
>>1と皆の無事を祈ってる
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
983 : ◆d85emWeMgI[sage]:2011/03/12(土) 00:04:51.90 ID:Dt1zGppw0
こんばんはです。
念の為の生存報告です。震度3でも結構揺れてビックリ。
東北近辺に住まわれてる方々の安否が心配です。

それではノシ

投下は次スレですので適当に埋めてしまって下さい。残り僅かですし。
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 00:41:24.73 ID:JRcveGxbo
べりある
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 01:06:44.33 ID:ZbeFv7Vj0
超乙です。  ほうほう、、、、埋めてもいいのか・・・。

じゃあ恒例だけど、最後だから皆にきちんと言っとこうと思うんだが、今ままで隠しててごめんだけど、
絹旗は俺の嫁でFA。
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 01:23:00.09 ID:msCPW2C1o
>>985
みの「残念!!」
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 01:29:32.12 ID:JRcveGxbo
>>985
ざァンねンでしたァ
絹旗はオレの嫁だァ!!!
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 01:39:05.52 ID:XTS49Tkyo
年増はとりあえずいい

想お嬢様は僕の娘ですが何か?
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 01:40:17.14 ID:ISauYhC3o
じゃあフレンダは俺のな
え?死んでる?
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 06:41:21.21 ID:cXGoTQyK0
>>989
フレンダなら俺の隣で寝てるよ
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 09:07:02.57 ID:0vRbl5eRo
フレメアたんはもらった
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 11:01:58.21 ID:n7IXIMWto
次スレ誘導あった?
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 12:19:56.46 ID:V4D6DqNP0
まだ立ててないんじゃないの?
一方通行は美琴もモアイも、ついでに佐天さんも嫁にすればいいと思うの。
その代り一方通行さんをお義父さんと呼ぶ権利は俺のものだ。想ちゃんを嫁にもらうからな。
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 13:17:45.35 ID:XTS49Tkyo
>>993
貴様の様な男に
我が愛娘はやらん!!
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 13:49:07.42 ID:ISauYhC3o
>>993
窒素装甲と超電磁砲と一方通行と下手したら未元物質を相手にしなきゃならんだろうが頑張れ
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 16:33:25.09 ID:6h3zqLpIO
上条夫妻には誰との子って言ってんだろね
一方さんか適当にごまかしてるのか
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 21:15:38.95 ID:2v1hz7iIO
>>996
記憶操作してるらしいぞ?
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/03/12(土) 21:59:34.96 ID:ysCX9LQho
一人でも多くの人が無事でありますように
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/12(土) 22:28:17.51 ID:DF9QDO1SO
皆が無事でありますように

いや、みんな無事に決まっている。そう、信じている
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/12(土) 22:31:20.88 ID:QIP7FaD90
トゥグサー
1001 :1001Over 1000 Thread
      (ヽ、 _ヽ、  )\     ヽヽ
     _ヽ、     ⌒  ヽ、     \\
     \ ̄     __    )ノ     ヽヽ
    ∠⌒     / )    ⌒ヽ     | |
     )   / ゙̄- く       \   ノノ
    /  /ノ^)___)ノl       ヽ_//
   /   //(/ !_|_|       ヽ三ヽ
   レヘ  |j(/l_/    |ノヽ      |──)  
    ノ (/l_/  /⌒| | | |  !   |二 二ヽ
  /   |_/__| |  | -| | ノノ    ノ── 、)
  /    `───| | ノ -| |   |/(())   ヽ  
 /⌒) ∧    ヽ/_//  /j()ノ_   (()) i
    // ノ     |_// / ̄ ̄`\ (())  j
      (ヘ       ̄   |   ヽ   \   /
       )/(/) / ⌒ |⌒ヽ |\  /i\ /|   )ヽ
            |/      |    !  / | ノ |  ( (
     )ヽ           |  /  /  ( ((|   ) ヽ
    (  )           |  / /    ヽ|  (   )
    ) (      、    /  ) |ヽ、_ __ ノ   )  (
   (   ヽ    ((   /  /−、|        (   ヽ
(    )   )    )ヽ  ヽ_ノ |  |   ヽ   ノ     )
 )  (    (   ノ  )     |   |  ( (  (      (
 (_ ノ     )(  ( (    / /^)  ) )  )
               )  / / /  (  ( _ノ
                 (/__/// // // )
  .ト、.  /ヽ |\  /ヽ  /”゙ォv' .// // /
  |. ヽ./ | ヽ! .`、/  ヽ,/     '     /_  _
: --!          ,,,,, ,,,,,               ̄./
\      ,illllli,,,,,,,,, lllll llll               /
_ヽ    ,llllllllllllllll!' ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,             ̄ ̄ ̄''_,-
\    ,illll!' ,illll!'  !!!!lllll!!!!l゙`     ,,, ,,,     ,r-'''゙ ̄
  >   ゙゙゙゙' .,illlll゙    lllll|  llllllllll!!!!!  llll !ll! iiii,, <_.
/_   .,illlll'   ,,,,,,,llllll,,,,,,,,,,      ,,,iillll!!゙   >
 ̄/   ,llll!!'    lllllllllllllllll!!!l_      :ll!!!゙゙゜   <_
――――――――――――――――――――――――――――――――

   ( ⌒ )
    l | /

   .__⊥_    <こんなおわらせかたじゃあ、
  (____)     あとがこまるじゃないか!
  |_ノ_ヽ  ヽ
  | 3 | ◎| ̄ ̄6)  なんというむせきにんなわしだ!!
  ( ̄○丶   .|
  ヽ_◎__/)
  (
                                               SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
                                                 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
1002 :最近建ったスレッドのご案内★Powered By VIP Service
【トルネード】ここだけ剣と魔法と科学の世界【アイラブユー】 @ 2011/03/12(土) 22:29:09.91 ID:0CIr5UN30
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1299936549/

イケメン白人に押し倒された★11 @ 2011/03/12(土) 22:22:20.95 ID:XYmYg2Ym0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1299936140/

VIP大学文学部創文科ワナビ研究室 @ 2011/03/12(土) 22:11:33.68 ID:Cnhc9UpAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1299935493/

緊急援助ボランティア活動スレ @ 2011/03/12(土) 21:33:52.12 ID:qcH492u7o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1299933232/

2011年に地球壊滅? @ 2011/03/12(土) 21:23:54.51
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1299932634/

きょうはな @ 2011/03/12(土) 21:18:15.12 ID:G8VozWxMo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1299932295/

【いつもの】俺が勝手にチビっと立ててゆうどー【雑談?】 @ 2011/03/12(土) 21:17:25.84 ID:YBb5CUpco
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1299932245/

【我ら終末の日に遣わされた】能力者スレ【白日の使徒にして、蒼炎の騎士なり】 @ 2011/03/12(土) 21:06:46.78 ID:aT1EdkR80
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1299931606/


Powered By VIPService http://vip2ch.com/




Pastlog.cgi Ver2.0
Powered By VIP Service
Script Base by toshinari