1<>sage<>2011/02/07(月) 00:46:49.13 ID:cwlmwiBAO<>
じゃあ、始めようか。<>僕「探偵ごっこ」
1<>sage<>2011/02/07(月) 00:49:26.67 ID:cwlmwiBAO<> なにかしら部活に入れば良かった。
それが高校一年の三学期最後の日に思った感想だった。
中学生の頃に部活内のトラブルに巻き込まれて以来、部活にはもう入るかと決めたけどやっぱり入らなかったら入らなかったで虚しかった。
学校の外を走り回る運動部とすれ違うのもなんか気まずいし。
ここは大人しく美術部かアニ研とかに入部するべきだったかな。
絵の評価は―…あまり良くなかった。そういえば。
…僕の得意分野ってなんだっけ。
まあ、ともかくどこかしら入ってたら。
友達も少しは増えただろうし、
出不精もちょっとは直っただろうし、
うまくいったら彼女も…それはないな。ないない。
あと、下校途中に死体にも遭遇しなかっただろう。
「…僕がなにしたってんだい」
話しかけても当然のことながら返答はしてくれなかった。
<>
1<>sage<>2011/02/07(月) 00:56:16.99 ID:cwlmwiBAO<> 一応良識のある市民のため、警察に通報をした。
そして今は、
「…と、ここまでですが…」
第一発見者だからなのか取調室で事情聴取を受けていた。
思ったより広い。取調室にも何パターンかあったりするのかな。わからないけど。
僕が一連の流れを話終えると、書記の人が走らすペンの音のみが部屋に響く。
目前に座る刑事さんは僕を何かを探るように見続けて、ふいと反らした。
なんだったんだ今の。後の伏線なのか。
「昔、死体見たことでもあるのか?」
「ほえ?」
「いや、対応に慣れきっていたから。いやなら答えなくて良いが」
「…ありましたね」
これ以上は言いたくないから言わなくていいか。
手に視線を落とした。
緊張のため指いじくってたら血が出てきてた。
皿洗いするとき痛みそうだ。絆創膏貼らなきゃ。
「時間をとって悪かった。後日また君の家へ聞きに行くと思う」
あ、これで終わりってわけじゃないのか。
まあそうだよな。ドラマでも何回か訪ねてるし。
「あ。あの、カツ丼とかって本当に出されるんですか?」
疑問に思っていたことを聞いてみる。
刑事さんがそれまでの固い表情を一瞬崩した。きょとんという感じに。
次の瞬間にはまた元に戻っていた。いや、頬が心持ち上がっている。
「あれ、都市伝説だから」
「あ、そうなんですか」
都市伝説なんだ。
じゃあ僕が食ったのは時間だけか、なんて。
全然面白くねえなこれ。 <>
1<>sage<>2011/02/07(月) 01:10:24.64 ID:cwlmwiBAO<> 「ああ、そうだ。君の姉を呼んでいる」
「そうですか」
「第一発見者は狙われやすいからな。気をつけて帰れ」
「えっ、そうなんですか?」
「うん。証拠隠滅に下手したら殺される」
言いながらドアを開いて僕に出るように促した。
待って、何それ聞いてない。
もしかして第一発見者って散々な目に遭うものなのか。
かなり重くなった気持ちを抱えて外に出る。
風が微かに吹いていた。春先だけどまだ夜はうすら寒い。
何時間、取調受けてたんだろう。二時間ぐらい?
「!」
視界の端に黒い影が横切った。
反射的に身体を動かそうとする前にガバッと。
「捕まえた!」
ずしっと肩が重くなる。
姉さんが抱きついてきた。なんと人騒がせな。
いやーさっきの刑事さんの言葉で人間不信になりそうだぜ。
「精神的に大丈夫?」
「うん。ちょっとびっくりしただけだから」
指が震えて携帯の番号をろくに打てなかったけどな。
どうして金田一君とかコナン君は冷静に警察呼べるんだろう。
慣れってやつか。いいものなのか死体に慣れて。
「相場なら探偵がぱぱって解決するんだけどなあ」
「あら、現実の探偵はペット捜しが専門よ」
姉さんは相変わらずの笑顔のまま。
確かにその通りだ。探偵と警察は仕事が違う。
なにを隠そう、この人探偵だったりする。
毎日すごく暇そうだけど。儲かってるのだろうか。
「さて。もう帰ったら寝た方がいいわよ」
話を変えて、姉さんは僕を気遣うような顔をする。
心配してくれるのが嬉しい。
「そうだね。ありがと」
「あとついでに添い寝してあげるよ!」
「だがそれは断る」
<>
1<>sage<>2011/02/07(月) 01:35:49.65 ID:cwlmwiBAO<> 「うーん」
寝れない。
布団の中をごろごろ回る。
自覚はしてないけど興奮してるのだろう。
寝れない。
時計を見れば深夜一時すぎ。
明日から休みだからいいけど、でもやっぱり寝たい。
ホットミルクでも飲むか。
そう思い立って身を起こし、冷蔵庫を開ける。
…しまった。牛乳切らしてた。
なんて間の悪い。夜遅いから買いにもいけない。
「白湯でも飲むか…ただのお湯じゃん」
口に出さないとやりきれない気持ちになった。
白湯を飲む気にもなれず、また布団に戻る。
豆電球が照らす天井を眺めて、今日あったことを思い出す。
死んでいたのは女の人だった。
黒いコートに暗い色のマフラー。
長い髪は顔をかくしながらアスファルトに広がっていた。
電灯に照らされ生々しく浮かび上がった赤黒い水溜まりが脳裏を埋める。
通り魔か痴情のもつれか。
前者は誰もが被害を被る可能性があるけど、後者は一部の人以外一切関係ない。
死んだ人には良い迷惑だけど。
でも後者だったら早く犯人見つかるだろう。
警察とあの刑事さんにお仕事お疲れ様ですと言いたい。
そこまで考えて目を閉じる。ほんの少しの間だけ女性の冥福を祈って。
「寝よ」
呟いて布団に潜り込む。
…独り言が多い気がするんだけど治した方がいいかな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/07(月) 01:36:50.60 ID:vDhkbEdQo<> どこぞと同じ人かと思ったがID違うな <>
1<>sage<>2011/02/07(月) 01:37:59.76 ID:cwlmwiBAO<> 今日は短いですがこんな感じで進めます
何かあったら教えてください。 <>
1<>sage<>2011/02/07(月) 01:43:21.26 ID:cwlmwiBAO<> >>6
変態で探偵な男女だったら自分です <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/07(月) 03:36:38.68 ID:vDhkbEdQo<> >>8 あっちの人だったか
別のスレで似たような感じのあったからそこかと
どっちもauだし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/07(月) 11:22:38.88 ID:MnLcr97DO<> 別にスレを建てるとは思わなんだ
期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/07(月) 22:40:07.11 ID:X26uSf/No<> 期待 <>
>>1<>sage<>2011/02/07(月) 22:45:53.85 ID:cwlmwiBAO<> 翌日。
いや、寝た時点で日付は代わってたんだけどさ。
カラスの鳴き声で目を覚ます。縁起悪いぜ。
枕元の時計を見ると、朝の八時前。
身体を起こして、突如昨日のあのワンシーンが蘇り吐き気を催した。
あわてて口を手のひらで覆う。
しばらく深呼吸をすると少しずつ吐き気が去っていった。
一日はいい寝起きからとか言うのに最悪だ。聞いたことないけど。
昨日は混乱してたからかこんなことなかった。
一晩寝て、脳が冷静になったというか情報を整理したってことだろう。
人間ってすげー。
…でも逆にマイナスになってないか。
「はぁ…」
うじうじと悩むのは気が滅入るので洗面所で顔を洗い、気分を切り替えた。
さて朝ごはんを作ろうと冷蔵庫を開けた。そうだ、牛乳買ってこなきゃ。
適当に目玉焼きとご飯、あとインスタント味噌汁でいいか。
水を入れたやかんに火をかけてしばらく暇な時間をすごす。
春休みのため宿題もない。暇だ。
姉さんの務める探偵事務所でまた短期バイトでもやらせてもらうか。
主に猫捜しだけど。浮気調査はまだ早い。
そうしよう。行く途中に何か差し入れ買っていっこう。
おおかた一日の予定が決まりかけたところでドアがノックされる音がした。
残念ながら貧乏アパートのためチャイムとか贅沢なものはないのだ。
ガスの火を止めてから、玄関ドアへ行く。そして小窓を覗いた。
「おや」
昨日の刑事さんが立っていた。 <>
>>1<>sage<>2011/02/07(月) 23:25:33.26 ID:cwlmwiBAO<>
ドアを開ける。
昨日の刑事さんと、同僚っぽい人がセットで立っていた。
同僚っぽい人がむさい。女の刑事さんっていないんだろうか。
「朝早くにすまない。…もしかして寝起きか?」
あれ、寝癖ついてたかな。
違うそうじゃない。寝間着だった。いやだ恥ずかしい。
「いいえ。すでに起きてたので」
「そうか。じゃ早速だが」
言葉通りに、早速写真を取り出して僕に見せる。
にこやかに長い髪の女の人が笑っていた。背景からしてパーティーか何かで撮った写真らしい。
「彼女と面識は?道であっただとかでもいい」
「多分ないです。…もしかして、昨日の人ですか?」
「いいや」
刑事さんは首を横にふった。
「あの後起こった、二番目の被害者だ」
「…一夜で、二人も?」
「そう」
刑事さんも昨日よりやつれてるようだった。横の人はくっきり隈が出来ている。
非常事態…なんだな、やっぱり。
交通事故も月一回程度の田舎町だから、いきなりこんな事件が起きててんてこ舞いなんだろう。
写真の女の人も、まさか自分が死ぬとは思わなかっただろうな。
「協力ありがとう。気をつけて」
「ど、どうもです」
昨日と同じような事をいわれ、ちゃんと返答できないままその背中を見送る。
結局同僚っぽい人はなんだったんだろう。
こっちの反応を見る係の人だったりして。ありそうだ。
話を聞いてみると、あまり行って欲しくない方向に転がっていってるなあ。
ニュースを見ないと分からないけど、これは金目目的の殺人なのかな。
強盗で殺されたら報われないよなあ。
なんて、人事のように考えつつ部屋に戻る。人事だけど。
「しかし……お腹すいた」
…薄情薄弱だよな、僕。 <>
>>1<>sage<>2011/02/08(火) 07:29:19.64 ID:/jHhU6EAO<> 寝落ちしてた…
ちゃんと書き溜めてくる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/02/08(火) 18:03:45.69 ID:ysApqgoBo<> 待ってる <>
>>1<>sage<>2011/02/11(金) 21:48:02.47 ID:oMZZD18AO<> 朝ごはんを食べ、使った食器を洗う。
やっぱり昨日いじくり回したささくれに洗剤が染みて地味に痛い。じんじんする。
そして手頃なバックに財布や携帯を放り入れた。
被害者の人たちとは面識は一切ない。
直接傷つけられたわけでもない。
だから、これからしようとすることは『無謀』の一言につきる。
僕は、平和な日常と大切な春休みをぶち壊してくれた犯人に一矢報いたいだけで。
それはただのエゴだろうし、自己満足なんだと思う。
下手すると自分まで危ない目に会うかもしれない。
でも、一度関わってしまったものは放っておけない。世間としてはこういうのは放っておくのが最善なんだろうけど。
問題事を放置出来ないのは姉さん譲りなんだろうな。
春休み一日目。
僕はどこかの小学生や高校生や女子高生や多重人格男性の真似をしてみることにした。
探偵ごっこを始めよう。
もっとも本来の職業は殺人事件解決ではないんだけど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/11(金) 22:00:45.56 ID:jW4U+ex+o<> ktkr <>
>>1<>sage<>2011/02/11(金) 22:40:01.96 ID:oMZZD18AO<> 古いビルに、今にも落ちてきそうな看板が引っ付いていた。
看板には掠れた字で「探偵事務所」と書かれてある。
姉さんの働くところであり、僕の短期バイト場所でもある。ほぼ猫捜しだけど。
やけに音が反響する階段で二階へ上がる。
これまた古びたドアをあけた。ようこそと書かれたプレートが危なっかしげに揺れた。
「おはようございます」
「おはよー」
「おはよう」
姉さんの同僚さんと所長さんがそれぞれ挨拶を返してきた。
同僚さんはいつのまにか金髪に変えたみたいだ。あとあの青いサングラスはなんだろう。非日常でも求めてるのか?
「あれ、姉さん達はどこですか?」
「ああ。ついさっき出掛けたよ。依頼人の話聞きに」
「そうですか」
別にこれといって用はないんだけど。
それにしても仕事入ったのか、良かった良かった。姉さんによると一週間入ってなかったそうだから。
「何かあったの?」
同僚さんがなんでもないように切り出した。
さっきからパソコンの画面を、真剣な顔でじっと見ている。
この人の癖だ。真面目な話になると話す相手とは目をあわさず、別のものを見つめる。
「…どうしてそう思いますか?」
「真っ白だよ、顔」
はて。朝見たときはそこまで白かったか。
頬にふれると、先ほどまで外気に触れていたためか少し冷たい。
頬から手をはなして、同僚さんの横顔を眺める。
きっとこの人は何かを察しているんだろう。
姉さんはああ見えて口が固いので昨日の事を漏らしたとかはしないはずだし。
そうだ。少し迷惑だろうけど頼らせてもらおう。
「この話したら、協力お願いできますか?」
あと今気づいたけど所長さんが空気。 <>
>>1<>sage<>2011/02/11(金) 23:10:58.83 ID:oMZZD18AO<> そして僕は話した。
洗いざらい、全部。
果たしてこれがいいことなのかは分からないけど心は幾分かスッキリした。
「なるほどねー」
話終わったタイミングを見計らって所長さんが口を開いた。
「新聞でも書いてあったよ。一晩で二人ってね」
そうだったのか。
僕のうちは節約のため新聞を取っていない。ちなみにテレビはこの前ぶっ壊れた。
携帯はインターネットに繋がってるためもしかしたら調べようとすれば調べられたんだろうけど、刑事さん襲来というイベントが発生したためそこまで頭が行かなかった。
新聞を渡されて読むと確かに載っていた。…ん?
「で、協力ってなに?」
「あ、ええと、二人の被害者の共通点を調べて欲しいんです」
「まあいいけど。なんで?」
「…何かが引っ掛かるんです」
先ほどから感じてきたパズルピースが浮き出そうなんだけど…。
なにか、おかしい。
新聞の地図によると、僕が最初の被害者を見つけたときと一本先の場所でもう一人犠牲になっていた。
僕が警察署に取り調べ受けてる最中ぐらいの時間に犯行か。…防げなかったのかなこれ。
二人の写真を見比べて、クエスチョンマークが浮かぶ。妙な違和感というかなんというか。
「…これ、何かが目的なような気が…」
「意味なく人は殺さないでしょ…。まあ、調べるだけ調べてみるけど」
「はい、ありがとうございます」
「でも危ないことしちゃだめよ」
…見透かされてる? <>
>>1<>sage<>2011/02/11(金) 23:27:56.78 ID:oMZZD18AO<> 「ただいまー、あ!来てたんだ!」
姉さんが帰って早々、僕の胸へダイブしてきた。
あはははは、今マジで死ぬかと思ったぜ。
姉さんの後ろから気だるそうな雰囲気をまとった男が出てきた。
僕に気づいても特にリアクションを起こさず、口を開いた。
「誰だっけ」
「…人んちに不法侵入する奴がよく言うね」
「まだアイス食ったの怒ってるのかよ」
「侵入した上にアイス食いやがったのかよ!?」
なんてやつだ!
僕も食べたこと忘れてきたのかと嘆いた時間を返せと言いたい。
ちなみに彼は年上だけどタメ口で会話をしている。いつの間にかそうなってた。なんでだろう。
あと姉さんが心なしか首絞めてきた。ここにも死体が出来そうなので(素材は僕)ギブアップ宣言をして離してもらった。
離し際に姉さんが耳元に囁く。
「…昨日の今日だけど大丈夫?」
頷くと姉さんは笑顔になり、鞄を置くために自分の席へ移動した。
「で、お前は何しに来たの?」
男、いや彼…シュヴァインって名前があったんだった。
シュヴァインも姉さんと同じく荷物を机に置いた。
「何か仕事ないかなと思って」
「へえ。友達とか彼女がいない長期休みは暇で辛いよな」
「悲しいこというのやめて」 <>
>>1<>sage<>2011/02/11(金) 23:29:27.63 ID:oMZZD18AO<> あげてみようかなドキドキ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/11(金) 23:45:20.31 ID:DPGGaJ2DO<> こっちの世界の姉さんはレールガンとか出来ないのかしr…なんでもないです <>
>>1<><>2011/02/11(金) 23:49:00.55 ID:oMZZD18AO<> これで探偵事務所メンバーがそろった訳だ。
所長さんに姉さんに姉さんの同僚さんにシュヴァイン。あと一人は転んで全身骨折したためしばらく休職している。
それにバイトの僕。
少ないけどそれに比例して仕事も少ないためなんというか、世の中うまくできてるんだネ!
「そうだ、帰りに甘いもの買ってきたのさ!」
「また姉さんは……」
「放課後ティータイムだ」
「放課後なんてもう社会人にはないんだけどね」
「やめて!所長の青春の心が今傷ついたよ!」
みんなで勝手な会話をする。だから依頼人が来ないんだと言われても仕方がないだらけっぷりだ。まだ午前中なのに。
漫画じゃこういう場面でふいに事件のヒントが出てくるんだけどこんな会話じゃ恐らく、いや百パーセント無意味だろう。
それもそれでいいと思う。ご都合主義はほどほどがいいのだ。
現実じゃ伏線なんてもの気づかない。いつだってガチンコで生きてるもんだし。
焦らずに探偵ごっこをしていこう。
それにしてもチョコパイはおいしい。 <>
>>1<><>2011/02/12(土) 00:13:30.21 ID:JC+ExUpAO<> それからお昼も終わった数時間後。
「ん」とクッキーをくわえながら同僚さんが印刷された紙を僕に渡した。
「あ、どうも」
仕事早いな。一日ぐらいかかるかと思った。
ざっと目を通す。地図と容姿について書かれていた。
「このストールってのはなんですか?」
「えっと、灼眼の戦士のコキュートス」
「それはアラストールよ…。首に巻く布のことね」
「へえ」
珍しく姉さんが突っ込みに回った。
それにしても同僚さんはラノベ中毒なのだろうか。金髪+青いサングラスからみてそうなんだろう。
「今の時期、ストールとか身に付けるもんかな?」
「夜はまだ少し肌寒いしね。する人もいるんじゃない?」
僕がマフラーと思ったのはストールだった。
ふうん、二人ともストールか…。流行してるのかな、今。
<>
>>1<><>2011/02/12(土) 00:28:21.04 ID:JC+ExUpAO<> 明日またお会いしましょう <>
>>1<><>2011/02/19(土) 02:13:26.71 ID:tWqiq2GAO<> 明日やるいいながらどんだけたってんだ自分…
ゆるゆる始めます <>
>>1<><>2011/02/19(土) 02:24:44.42 ID:tWqiq2GAO<> 「あ、そろそろ帰んなきゃ」
「おぅ、気を付けてね」
事務所メンバーととりとめもない雑談をしながらふと外をみやると、外は日が長くなったとはいえ暗くなりかけていた。
…それより雑談で半日が潰れる探偵事務所って大丈夫なのか。
そろそろスーパーでタイムセールが始まる。
夕飯のものを買って帰ろう。
そう思って、移動手段が足しかないので徒歩でスーパーへ向かって。
「……」
あと少しでつくという時に目前に人だかりがあった。
救急車だとか警察だとか、不穏なワードに酷く嫌な予感がする。
いや昨日からずっと嫌な予感継続してるんだけど。
肩越しに中心にあるものを覗く。
予想はしていた。予測もしていた。
だからこそ外れて欲しかった。
恐らくは第三の被害者。
奇妙なことに彼女もまた長髪で布類を首に付けていた。 <>
>>1<><>2011/02/19(土) 02:36:28.35 ID:tWqiq2GAO<> 今回は僕が第一発見者ではないので他のやじ馬と共にその場から帰された。
そりゃあ捜査のじゃまだから仕方がないか。
それにしても写真を撮る奴は一体なんなんだろう。馬鹿なんだろうか。
さてこれからどうしようか悩み、とりあえず夕飯の材料を買うことにした。
人間食べなきゃやっていけない。三大欲求のひとつに数えられてるのも頷ける。いや食べなければ餓死するんだけどね。
肉のパックを手にしかけて…今日は魚にしよう。うん。
会計を済ませて外に出る。
人のざわめきが現場からまだ聞こえるということは、騒ぎは未だに鎮火していないらしい。
警察も大変だ。
他人事のように感じてしまう。実際に他人事だけど。
「………しかし、この時間帯」
今は夕方六時ちょい過ぎ。
つまりは、僕が昨日名も知らぬ彼女の成れの果てを発見したのとだいたい同じぐらいだった。
ふぅむ。
何か、具体的なパズルピースが見えてきた気がする。 <>
>>1<><>2011/02/19(土) 02:56:27.72 ID:tWqiq2GAO<> 『ふーん、大変だったのね』
と、いうのが僕がカクカクシカジカ話した後の姉さんの反応だった。
…殺人事件にビバ興味なし。
不謹慎だけど食いつくかと思ったんだけどなぁ。
まあ興味あったら昨日僕を迎えに来た時点で根掘り葉掘り聞いただろうな。それはそれで嫌だけど。
この人が興味わくものは未だに掴めない。最近だとレールガンか。確か出したいとのたまっていた。
『結局、似てる人を狙ってるって訳ね』
「超その通りみたい。もう『たまたまそんな服装していた』とは考えづらい」
『そうね。…ところで』
「ん?」
『まさか事件に首を突っ込んでる訳じゃないわよね?』
「……そ、ソンナコトナイヨ」
どうやら同僚さんは黙っててくれていたらしい。ナイス。
それにしてもエスパーか、姉さんは。さすがブラコン侮れないぜ。
なんとか電話を終わらせため息をついた。
姉さんに限った話ではないのだけれど、直接話すよりも電話のほうが疲れる。表情を声色だけで見なきゃいけないからか。
正直、僕は何をしたいんだろう。
犯人を見つけて追い詰めたいのか捕まえたいのか。
「…その時考えるか」
未来の自分へ丸投げして、皿洗いをするべく立ち上がった。 <>
>>1<><>2011/02/19(土) 03:09:36.49 ID:tWqiq2GAO<> 痛みは忘れた頃に襲ってきた。
「ささくれイテェ!」
皿洗い中に思わず絶叫した。
すっかり忘れていたっていうかまだ塞がってなかったのかよ!仕事してくれよ僕の身体!
いったくねー…いったくねーし…でも用事思い出したから帰るわ。
ああだめだ痛い言ったし何よりここが家だ。
セルフツッコミを終了させて頭をふった。痛みで頭の回路が変な方向に繋がっていたらしい。困ったもんだ。
絆創膏を外してしまっていたのがミステイクだったな。
洗剤が染みて痛かった。
痛みを振り払おうと指をぶらんぶらんさせながら、昼に貰ったプリントを取り出した。
「ふむ」
いっちょまえに頷いてみせて。誰もいないけど。
「動機がさっぱり分からん」
落としてみた。 <>
>>1<>sage<>2011/02/19(土) 03:26:49.30 ID:tWqiq2GAO<> 「ぬぬぬぬ」
意味のない言葉を出してみる。本当に意味はない。
んー…同じような人ばっか狙ってるのは分かるけど、なんで?という感じ。
ストーカーは違うだろう。つきまとう人数多すぎだし。
可能性としては
@そういう姿形の人が憎らしいのか
A好きな子に似てて憎らしいのか
Bそれか人違いでこんなことをしているのか
Cそれともたまたまなのか。
少なくともCのたまたまじゃあないよな。
だとしたら@ABのどれかか。
@はちょっと強引だな。AかB。Bだったら悲劇だ。だとしたらA?
もしかしたら選択肢にのっていないのかもしれない。
「よくもまぁ、こんなもんコナン君は解けるよな」
宿題のない春休みなのにうっかり大きすぎる宿題を渡されてしまった。
…訂正。
うっかり大きすぎる宿題を解こうと思ってしまった。
<>
>>1<>sage<>2011/02/19(土) 03:27:20.17 ID:tWqiq2GAO<> そういやヒロインがいないぜこの物語…。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/02/19(土) 08:45:43.28 ID:37hLGjbAO<> なん・・だと? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/19(土) 08:57:09.35 ID:Yl5GdYbBo<> 乙
ヒロインは死体っ娘 <>
>>1<><>2011/02/19(土) 10:56:13.44 ID:tWqiq2GAO<> 紙とにらめっこしていたら携帯が震えだした。
ふと会いたくて震えてる歌手を思い出した。
手にとり相手を確認すると、
「あれ?」
また姉さんから電話だ。
まさか、何か姉さんにあったのか?最悪の場合…いやいや、それはないと考えたい。
緊張しつつ携帯を耳に当てる。
「…はい、もしもし」
『あ、もしもし?』
「どうしたの?もしかして被害にあったとか―」
『え、違うよ?』
「へ?」
『煮魚が焦げちゃって…』
魚が被害にあっていた。
それよりどうやったら焦げるんだアレ。文字通り煮るのに。
脱力気味に空いている片手で頭を抱えた。
そんなんだから25になっても婿候補がいないんだとかは優しい弟である僕は言わなかった。
言った瞬間にコンクリ抱いて海のモズクの仲間入りだろうし。
「分かったよ…今度教えるよ、基礎から」
『ありがとう!』
基礎から、を強調してみたけど気づいただろうか。
てか何でこんなことで電話してきたんだろう。この悲惨さを誰かに話したくなったんだろうか。
今日も早めに寝よう。精神的に疲れた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/19(土) 14:29:48.16 ID:GfSxk3tAO<> 支援ぬ <>
>>1<>sage<>2011/02/21(月) 23:12:51.60 ID:pDanlZ8AO<> 春休み二日目の朝。
刑事さんは来なかった。新たな第一発見者の元へ行っているのだろうか。
雨戸を開けると晴天だった昨日と違い、なんだか怪しい曇り空だった。
しかし風は冬に比べてかなり暖かかい。
夜はまだまだ冷えるけれど。
「………」
また暇つぶしに事務所へ向かおうか。
いやこれ高校生の過ごし方じゃないだろ。おかしいだろ。
普通こういう休みは友達と遊ぶべきなんじゃなかろうか。
「友達って色んな方面で大事なんだな…」
話し相手お弁当相手はもちろん体育の二人一組とか。
人と絡むのは消極的なほうだから、体育で相手が休みのとき余り者同士で組んだりするのは苦行だった。
それよか友達の少なさに危惧するべきだろうか。
片手で数えられる状態から脱しなければ。
二年生になったら…二年生になったら友達百人作るんだ…。
<>
>>1<>sage<>2011/02/21(月) 23:27:49.05 ID:pDanlZ8AO<> まだお店も開く前の時間帯だから歩いている人数もまばらだ。
地図なしではたどり着けなさそうな事務所を目指して僕も歩く。
自転車はパンクしたため最近は乗っていない。だって直すのめんどくさいんだもん。
途中のコンビニへ寄るかと考えてたら。
「うわっ」
「っ!」
いきなり女の子がぶつかって来た。どうやらそこの交差点から曲がってきたらしい。
僕は尻餅をつき、女の子は地面とごっつんこした。
「だ、大丈夫?」
返事はない。額を押さたままの女の子。
ツインテールが力をなくしたようにダランと彼女の肩にかかっている。ツインテールに力なんてないけどね。
見た目としては小学校高学年ぐらいか。
今は痛みに堪えているところ悪いけど立ち上がらせよう。
朝は車がめったにこない道とはいえ、そのぶん飛ばしてくる車もあるので、柵やガードレールという守りのない歩道にいつまでも座っていられない。
「立てる?」
女の子に手を差し出す。
少し距離遠いかな。
もう少し手を近づけようとして、
「―触るな」
手の代わりに小刀をつき出された。
その小刀の向こうには右は青色、左は赤色の瞳が僕を睨んでいた。
<>
>>1<><>2011/02/26(土) 13:11:06.83 ID:5AADduDAO<> こんなときどうすればいいんだろう。
いま起こっていることを簡単に説明するなら、年下の女の子にナイフを向けられている状態。
しかも冗談じゃなく本気っぽい。
「……あ、あの…別に危害を与える訳じゃないんです」
しどろもどろに弁解する。
女の子はなおも訝しむ目で僕を観察した。眉間にしわまで寄っている。
…そんなに怪しいのか僕は。
「手」
やっと女の子が口を開いたと思ったら一言だけだった。
手…ああ、引っ込めろってことか。
言葉(単語だけど)通り、手を戻す。さて、この子はこの後どうするのか。
「………」
「………」
「………」
……。
「………」
「………えーと」
ひたすら沈黙。
こういうときに限って車も人も猫すらも通らない。
もう朝なんだけどな。この町は引きこもりしかいないのかな。
遠くのほうで聴こえるクラクションとか、子供の喚声が静寂をたまに乱すのみ。
言葉通り沈黙の春。
「……あ、おでこ擦れてるよ」
僅かに血が出ていた。かすり傷。
頭をぶつけても女の子がぴんぴんしてるところを見ると脳内の出血とかは大丈夫みたいだ。
あ、そういえばバックの中に絆創膏があったはず。
<>
>>1<><>2011/02/26(土) 14:07:52.21 ID:5AADduDAO<> 相手を刺激しないようにしながらバックの中をがさごそ探る。
どうして強盗犯向けの対応してるんだろうとか思ったら負け。
「絆創膏…いる?」
恐る恐る、戦闘体制の猫にマタタビを与える気持ちで絆創膏を差し出した。
女の子は口を少しだけ曲げる。
はて、なんだろう。
「…いい。家でやる」
まさか絆創膏に毒物が混じってるとか考えちゃってんのかなこの子。
さすがにそんな厨ニ病じゃないよな…いやナイフ持ってたんだっけ。
厨ニ病の基準について考える僕を横目に、女の子は指先を額に這わせて傷を確かめる。
…もしかして。
「傷の位置分からないなら、貼ろうか?」
「え?」
「え?」
「新手の変態?」
とんでもない誤解を受けた。 <>
>>1<><>2011/02/26(土) 14:24:35.91 ID:5AADduDAO<> 額に絆創膏貼る行為が変態ならお医者さんとかやることなすこと変態じゃあないか。
どうしよう。絆創膏も包装紙(というのだろうか)を取り払ってあとはスベスベする紙のみなんだけど。しかも若干剥がしたんだけど。
仕方ない、ここは。
「えい」
ピトっと的確に。
「ひゅわぁぁああああ!!!?」
はい、絆創膏を貼るだけの簡単なお仕事終わり。
…おや?女の子の様子が。
「さ、刺すよ!?刺しますよ!?活け作りされた魚みたいにしますよ!」
「え、ちょ、落ち着いて」
「活け作りされた魚がしばらく口パクパクしてたときの気まずさが分かるかっ!?」
「活け作りトラウマなの!?」
壮絶な半生を辿っていたらしい。
なんか、触れちゃいけない糸に触れたみたいだ。
ついでに、たった今通りかかった人に凄い不審者の目でみられた。散々だ。 <>
>>1<>sage<>2011/02/27(日) 00:19:39.68 ID:dCEEJ2NAO<> 「…お前、私が大丈夫なのか」
活け作り議論会を終え息を整えたあと、女の子が切り出す。
はて。不幸体質だとか?そうだとフラグ乱立しちゃうのか。
「大丈夫だけど。なんで?」
「目」
また単語かい。今度は親切に指先のガイド付きだけど。
目…ああ、オッドアイだったなそういえば。
挑発するように僕を見つめる。
は、恥ずかしいなぁもう。女子に見つめられたことあんまりないもん。
「別に、綺麗な目だよ?」
あれ、大きく目を見開いたぞ。なんだなんだ。
あわあわと意味なく手をわたわたさせている。
「……ッ、借りは必ず」
ドラマみたいなことを言ってダッシュで女の子は行ってしまった。
なんだったんだ。不思議な子だったな。
肩をすくめて尻を払う。
さて。
若干時間を食ったけど事務所に行くか。 <>
>>1<>sage<>2011/02/27(日) 00:39:58.37 ID:dCEEJ2NAO<> どうやら人生はうまくいかないらしい。
いきなり何いってんだこいつって感じだけど、簡潔に三行にまとめよう。
さっきの出来事を
知り合いに
見られていた。
「よぉロリコン」
「……誰がロリコンだ誰が」
そしてそいつは探偵事務所に勤める一人、シュヴァインだった。
二番目に会いたくないやつに会ってしまった。気になる一位は姉さん。
ちなみにこいつも徒歩みたい。
「なぁにおんにゃのこ口説いてるんですか?」
「口説いてないからね。あと姉さんに言わないでね」
姉さんにバレたら「私とあの子、どっちが大事なのよ!」とか言われて首をしめられる。意図していなくても。きゅって。
行きすぎたブラコンは怖いものだ。
最近読んだ本だと姉が弟のこと好きすぎて弟とキスした彼女とキスしてるからな。あれは空恐ろしいものを感じた。
「ナイフの扱いはまだ子供だけどな」
「子供大人あるもんなのかよ…どの辺りから見てたの?」
「ぶつかったあたり」
「最初から見てたのかよ!」
助けてくれたってよかったのに! <>
>>1<><>2011/03/06(日) 00:47:35.13 ID:WDSzKygAO<> 「しかし、お前。ナイフ突きつけられて平静でいられるって言っちゃ悪いが気持ち悪いぞ」
「そう…かな?殺意とか元々無いだろうし、相手は女の子だったし」
尖端恐怖症ってやつでもない。
だから傘の先っぽを突きつけられても特に何も感じない。それで気味悪がられたことがあったけど。
その前にどうして傘を突きつけるやつがいるのだろう。ううむ、謎だ。
「相手が女の子であろうが男の娘であろうが、ナイフ突きつけられてる事実には変わらないだろ」
「……何が言いたい?」
「善人に見えようが何に見えようが、凶器を持ち運ぶやつに易々と心を開くなってことだよ」
言わせんな恥ずかしい、と付け加えた。
いったいコイツは何が恥ずかしいんだろう。小一時間問い詰めたい。
易々と心を…か。
別にそんなつもりはなかったんだけど。
むしろ女の子が心を閉めきってた。鍵を二三重にもわたって扉ロックしてた。
「……」
今回の犯行は全て刃物が凶器。
そしてあの女の子。
一つの予想が浮かぶ。
…色々あり得ない、よね。 <>
>>1<><>2011/03/06(日) 00:49:57.58 ID:WDSzKygAO<> 「しかし、お前。ナイフ突きつけられて平静でいられるって言っちゃ悪いが気持ち悪いぞ」
「そう…かな?殺意とか元々無いだろうし、相手は女の子だったし」
尖端恐怖症ってやつでもない。
だから傘の先っぽを突きつけられても特に何も感じない。それで気味悪がられたことがあったけど。
その前にどうして傘を突きつけるやつがいるのだろう。ううむ、謎だ。
「相手が女の子であろうが男の娘であろうが、ナイフ突きつけられてる事実には変わらないだろ」
「……何が言いたい?」
「善人に見えようが何に見えようが、凶器を持ち運ぶやつに易々と心を開くなってことだよ」
言わせんな恥ずかしい、と付け加えた。
いったいコイツは何が恥ずかしいんだろう。小一時間問い詰めたい。
易々と心を…か。
別にそんなつもりはなかったんだけど。
むしろ女の子が心を閉めきってた。鍵を二三重にもわたって扉ロックしてた。
「……」
今回の犯行は全て刃物が凶器。
そしてあの女の子。
一つの予想が浮かぶ。
…色々あり得ない、よね。 <>
>>1<><>2011/03/06(日) 01:02:44.99 ID:WDSzKygAO<> 「ただいま帰りました」
「こんにちは。あれ、まだおはようございますかな」
二人で仲良く扉を蹴り開ける。所長さんが涙目になったけど今更気にすることでもない。
姉さんがわーいわーいと口で言いながら手を上にあげた。いわばバンザイ。
「聞いてくださいよ。こいつ女の子に逆ナンされてたんですよ」
くいくい、と親指で僕を指す。
そのまま手の甲に向けて曲げてやろうかと思った。
姉さんが驚いた風に顔色を変えた。
「えっ、マジで!?ほんとなのカルネ君!」
「全然違うよ。おい何姉さんに嘘教えてんだその脂ののったジューシーな舌を引っこ抜いて捌いて焼いてやろうか」
「あ、じゃあレアで」
「脅し文句なんですけど!どうして焼き加減をオーダーするかなぁ!」
とってもうまく乗せられていた。
敗北した。完璧に負けた。
安西先生、諦めずにいこうとしたら既に試合は終わってました。
ブルーな気分でとりあえず姉さんにさっきあったことを説明する。
「特定する。社会的地位をなくす。待ってて」
「いや何いってんの姉さん!?やめて!めっちゃくちゃ笑顔が黒い!」
「落ち着きなさいポワソン。やめたら源氏パイあげるから」
「やったー!」
姉さんがお菓子に釣られたことでこの騒動は早々と終わった。
ナイスだ同僚さん。
そしてお菓子ごときで行動を放棄する姉さんに一抹の不安を覚えたことも追記しとく。 <>
>>1<><>2011/03/06(日) 01:15:22.75 ID:WDSzKygAO<> 今日は依頼者が飛び入りしない限り仕事はないと所長さが宣言した。
前々から何度も思ってるけどやっぱり大丈夫なのかここ。
姉さん達は手慣れたもので、同僚さんは漫画原稿を姉さんは薄っぺらい本をシュヴァインはパソコンを起動した。
どうしよ。
暇を潰すつもりが、ここでも暇だとは。
「ああ、そうだ」
同僚さんが筆ペンを手に原稿から目を離さず口を開いた。これからベタをするのだろうか。
「またあったよ。通り魔」
夕飯の感想をいうような口調で彼女は言った。
またこの町で誰かが死んだという事実を。
他の三人は既に聞いていたのか知っていたのか興味を示さなかった。
えっと、どう返事を返そうか。
「カルネ君」
姉さんが薄っぺらな本から顔を離し、声をかけてきた。
「危ないことしないでね」
それは僕が事件に首をつっこむことへの容認か。
それともただの注意だったのか。
「うん」
どちらか分からないまま僕は頷いた。 <>
>>1 ミスした…<><>2011/03/06(日) 01:16:54.16 ID:WDSzKygAO<> 今日は依頼者が飛び入りしない限り仕事はないと所長さんが宣言した。
前々から何度も思ってるけどやっぱり大丈夫なのかここ。
姉さん達は手慣れたもので、同僚さんは漫画原稿を姉さんは薄っぺらい本をシュヴァインはパソコンを起動した。
どうしよ。
暇を潰すつもりが、ここでも暇だとは。
「ああ、そうだ」
同僚さんが筆ペンを手に原稿から目を離さず口を開いた。これからベタをするのだろうか。
てか何書いてるんだろう。
「またあったよ。通り魔」
夕飯の感想をいうような口調で彼女は言った。
またこの町で誰かが死んだという事実を。
他の三人は既に聞いていたのか知っていたのか興味を示さなかった。
…えっと、どう返事を返そうか。
「カルネ君」
姉さんが薄っぺらな本から顔を離し、声をかけてきた。
「危ないことしないでね」
それは僕が事件に首をつっこむことへの容認か。
それともただの注意だったのか。
「うん」
どちらか分からないまま僕は頷いた。 <>
>>1<>sage<>2011/03/06(日) 01:18:15.52 ID:WDSzKygAO<> うわ二重投稿にミス\(^O^)/
おやすみ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/06(日) 01:20:46.81 ID:0eJYFbh2o<> こっちも来たのか、乙 <>
>>1<><>2011/03/06(日) 11:44:15.41 ID:WDSzKygAO<> --------------------
半ば逃げるようにして、私は走っていた。
何から?どうして?
それはきっと、突然の親切から。
他人から手を差し出されるということが今までに余りなかったことで戸惑ってしまって、それを思わず突っぱねてしまった。
ちょっと怖かったこともあるけど。最近ぶっそうだし。
でもその後悪い人じゃないみたいだと気づいて。
こんなものに頼らないで自然にお礼を言えば良かった。どうしてかぜんぜん別のことをしてしまった。
あの男の人は私にふつうに話しかけてくれたのに。
…たとえそれが本心からじゃないとしても。
親切をあだで返してしまったのは事実。
人からの優しさを私は素直に受け取れない。だから結局、みんなとうまくいかない。
そんなこと、分かっている。
だから人とうまく接しようとがんばっているのだけれど―
「シアン?」
今さっき通りすぎた角から私の名前を呼ばれた。
急停止して少し戻る。
おかっぱに近い髪型をし右目に眼帯をつけた親友が立っていた。
「やけに急いでるけど。なにかあったの?」
「兄貴が朝からうるさいから逃げてた」
「また?」
「うん、また」
そういや本来の目的忘れてた。 <>
>>1<><>2011/03/06(日) 13:51:40.89 ID:WDSzKygAO<> 朝からただ町内マラソンをしていたわけではない。
兄(ちなみにちゃんと血は繋がってる)の変態行為から逃げていたのが本来の目的。目的というか、理由か。
今朝は「夕方まで親帰ってこないから…」と言われた為全力で家から飛び出した。本能で。
べつに悪いやつじゃない(多分)。
いわゆるいきすぎたシスコンなんだと思います、まる。
「でも迂闊すぎない?そこらでばったばった人が死んでるのに」
「…そういえば、そうだな」
親友のキツイ指摘。けっこうダメージがでかい。
その時は無くなりそうな何かを守るために何も考えず飛び出してしまった。
確かに最近、色んな人が死んでるらしい。
この町で起こっているとはいえ、いまいち実感がわかない。
「ん?」
親友は疑問を感じたように首を傾げ、ついっと人差し指で私の頭らへんを指す。
「おでこどうしたの?」
「え?ああ」
さっきまであったことを話す。
ぶつかったところから別れるところまでを駆け足で。
ナイフはダメでしょ、とたしなめた後にふっと彼女の顔に影がさした。
「わたしのシアンにぶつかったのか…」
「ん?」
わたし「の」?
「特定する。社会的地位をなくす。待ってて」
「いやそっちが待て!ば、絆創膏貰ったし!いいよそんなことしなくても!」
なんだか。
どっかで同じような会話が繰り広げられてる気がした。
--------------------
<>
>>1<>sage<>2011/03/06(日) 13:58:47.03 ID:WDSzKygAO<> 休憩します。また夜に。
くそ!親知らずがいたいぜ!
自己満人物紹介。
見なくても支障なし。
僕→カルネ(高校生)
女の子→シアン(小学生)
姉さん→ポワソン
姉さんの後輩→シュヴァイン <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/06(日) 15:28:30.74 ID:m/XQDOpDO<> シアン、昔日、カラミティ >>1乙 <>
>>1<>sage<>2011/03/07(月) 22:16:20.57 ID:5teKxwoAO<> 昨日今日で長文を書ける元気がありませんです…
もう一個の方は短いからサクサクかけるんですが
一週間以内にはきたい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 08:17:17.71 ID:zh5UfP5Fo<> 待ってる <>
>>1<><>2011/03/11(金) 12:45:06.99 ID:C6mvUuHAO<> 春休み3日目。
事態は急展開することもないまま、相変わらず人が死んでいく。
警察もそろそろ本格的に焦り始めた頃か。
犯人探しも楽じゃないと分かった。つうかアリバイだのなんだのじゃなく、正体すらつかめていない。
漫画とかに登場する探偵はアリバイと犯人が混じっているという用意されたステージにたってるわけか。
なるほど勝ち目ない。勝負してるつもりもないけど。
「………はぁ」
僕の前で理不尽に人殺しといて、逃げられると思うなよ。
漫画でありそうなかっこ良くキメてみたけどどうだろう。
ダメですかそうですか。 <>
>>1<><>2011/03/11(金) 12:58:46.23 ID:C6mvUuHAO<> 「新学期の準備でもやるか…そろそろ」
僕はまだ学業に励まなきゃいけない年齢だし。
この春休み中しか「探偵ごっこ」はできないことになる。
新学期始めの一週間はかなり忙しいから。
新しいクラス、新しい授業、新しい担任エトラセトラ。
私生活でいっぱいいっぱいになるのは目に見えてる。
「春休みが終わる頃には平穏が戻っているといいなぁ」
なんて呟いてみた。
この世にヒーローはいるのだろうか。
全てを解決してくれる存在に想いを馳せる。
ぼんやりと天井を眺める。
もしもヒーローがいるなら、この町に今もいてくれるのだろうか。
こんな、昔から狂っている町に。
<>
>>1<>sage<>2011/03/11(金) 15:03:18.06 ID:C6mvUuHAO<> 地震やべえ!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/12(土) 09:28:00.54 ID:dn+bMp+AO<> 震度7の地域ではないのですが、地震の被害にあいました。軽めですが
少し家のことをしてきます では
しばらく更新はどうなるんだろう… <>
>>1<><>2011/03/14(月) 21:55:11.59 ID:e36v9yPAO<> 過去をめくる。
過去をめぐる。
僕が僕となったあの事件を思い出す。
あの時、僕は大切な身内を亡くした。
あの時、僕は大切な友人を無くした。
縁を切られてしまった。
永遠に続くと思っていたのに。
その前に彼は罪を犯したけれど。
でも僕は彼を責めることは出来なかった。
本当は責めてもいい立場なんだけど。
むしろ責めなくてはいけない立場なんだけど。
気づけたはずなのに。
彼の心の容量に。
その時、僕を彼を助けるヒーローはいなかった。
そして未だに現れない。
<>
>>1<><>2011/03/14(月) 22:01:35.50 ID:e36v9yPAO<> 「……しまった」
うっかり寝ていたらしかった。
時間をみると昼過ぎ。
二度寝を何故してしまったのだろうか。
なんだか贖罪とかそういうことっぽいの考えてたみたいだけどすっかり忘れてしまった。
いいのか忘れてしまって。
二度寝したからか鈍く頭痛がする。
頭をかきむしりながら今後の予定を組み立て直す。
とりあえず文房具屋行って、ご飯買って…今日は事務所寄らなくていいや。
顔を洗って髪をとかして、なんとか人前に出られる顔にする。
携帯の着信はなし、と。
この春休みに一切友人から連絡がこないのは結構悲しい。
…まさか忘れられてんじゃなかろうな。
さすがに、さすがにそれは事実であろうと認めたくない。 <>
>>1<><>2011/03/14(月) 22:09:06.73 ID:e36v9yPAO<> 馴染みの文房具屋でひとまず新しいノートやシャーペンの芯を買う。
シャーペンの芯はないと本当に困る。
頭の禿げかけた店主は電卓で値段を計算したあとにレジに打ち込んだ。
それ、二度手間じゃあなかろうか。
千円札を出しておつりをもらう間、かかってるラジオに耳を傾けた。
地元のラジオなのか、ここら辺のつまり僕が遭遇した事件について話していた。
時折混じるノイズの中、様々な意見を好き勝手に出しあっている。
「おつり、173円ね」
我に返っておつりを貰う。なんとも微妙な数字だ。
レシート無しで渡された。
頭を下げ、手動の扉を開けて外に出る。
後は食料か。
タイムセールまで待つか。 <>
>>1<><>2011/03/14(月) 22:21:36.80 ID:e36v9yPAO<> 「やあ、カァァァルネくゥゥゥゥゥん!」
「なんですか。木原神拳繰り出せって言うんすか」
「その前に顔面にタトゥーいれないとね」
「やですよ。模範生目指してるんです、これでも」
「ちぇ、つれないわね」
家(正確にはアパートの部屋)に入ろうと鍵を探している途中、隣の隣の部屋の人に挨拶された。
挨拶というのか。下手すれば黒い翼に吹っ飛ばされそうな予感すら感じる。
分かる人にしか分からないネタになっていくから止めよう。
「あ、そうだ。夜間の外出、危ないから気をつけてくださいよ」
「分かってるさ」
「若い女性が狙われていますから、今」
髪の長い若い女性。
この人は髪は短いけれど注意にこしたことはない。
姉さんは髪長いけど大丈夫だろう。なんとなく。
「嬉しいこといってくれんじゃない」
「夜間はシワも見えにくくなるので若く見られますよ」
「おいコラてめぇ」 <>
>>1<><>2011/03/14(月) 23:02:36.46 ID:e36v9yPAO<> --------------------
名前を聞かなかったのを後悔した。
道の真ん中で立ち呆ける。車がめったに通らないド田舎なので問題ない。
困った。
彼はたまたまあの道を通っただけという感じだったので、あそこで待っていても来ないだろう。
あのいつか道徳の時間に先生が話していたみたいに。
たしかウサギが切株にぶつかって以来ずっとそこでウサギがぶつかるのを待ち続ける、みたいな話。
なにかちょっと違う気がするけどまあいいか。
ふぅ、と息をはく。
ため息のつきすぎは幸せが逃げるってお母さんはよく言う。
ここには彼はいない。別のところを捜そう。
ただ私は絆創膏を渡したいだけなのに。
…そしたらすなおにお礼を言おう。ナイフなんかに頼らないで。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/15(火) 01:54:17.69 ID:4Jz9sK6Po<> 乙 <>
>>1<>sage<>2011/05/01(日) 19:51:23.12 ID:WvrQ1cQAO<> ああ。はやく会って謝らなくては。
絆創膏を渡さないと。
なんだか早く会わないと取り返しのつかないことになりそうで。
すぐ死にそうな顔してるもの。
満タンゲージのくせに一撃食らうと負けるような。
学校へテロリストが侵入したら撃たれるタイプだとか。
いやぜんぜん分からん。
今晩は両親がお出かけらしい。
兄が変なことしてこなきゃいいんだけど。
--------------------
<>
>>1<>sage<>2011/05/01(日) 21:47:09.30 ID:WvrQ1cQAO<> 時刻は午後五時半を示していた。
無事に買い物を済ませて、帰路についているところだ。
いつも曲がる道に差し掛かった。何となく悩んでみて、真っ直ぐの道を歩く。
こうすると遠回りになるのだが、まあたまにはいいかなぁと思って。
しばらく行くとまた曲がり道。
確かここら辺は同僚さんが出してくれた地図に出ていた道のはず。
あそこが普段僕が使う通学路だから…うん、そうだ。
と、すると犯人出没率が高いのか。
まいったな戦う道具がネギしかないなんて考えながら今度こそアパートへ向かう。 <>
>>1<>sage<>2011/05/01(日) 21:53:26.17 ID:WvrQ1cQAO<> パトロールのパトカー(変な目された)とすれ違った。
あの刑事さんは元気だろうか。
少しずつ暗くなりつつある空の下を歩く。
「あれ」
道端にうずくまる人発見。
腹痛でも起こしたかな?一応声をかけてみよう。
ガサガサとわざとビニール袋を鳴らしながら近寄る。
その男の人はびくっと顔をあげた。
そして僕の顔を見上げて、めんどくさそうな顔をした。
「なんなんだ、あんたは」
帰ってくれというかのような拒絶した言葉。
むしろ僕がなんなんだと聞きたいぐらいなのですが。
「いや……ほら、ここら物騒ですし」
頬をかきながら言葉を探す。
「どうしたのかなと思いまして」 <>
>>1<>sage<>2011/05/02(月) 07:06:53.25 ID:SS0ttoOAO<> 「どうしたのかだと?お前には関係ないだろう」
「……関係ないですね」
怒鳴りちらすような口振りで、あからさまに僕を拒絶する。
もしかして人と話すの嫌いなタイプか?
まあ、何もこの人と仲良くなりたいわけではないから早々と立ち去ろう。
「気をつけてくださいね。この時間、この場所で通り魔が起きますから」
ビニール袋を持ち直しながら特に何も考えずに警告する。
「まあ、あなたは男だからいいですけども」
誰もこのハゲちらかった男の人は刺さないだろうな、なんて。
…将来禿げたくないな。父さんはハゲていたっけ?
「布を巻いたコートの女性。それを犯人は狙っているみたいですよ」
何気なく言ったつもりだった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/02(月) 10:42:49.68 ID:dpFAb4uoo<> 乙かな <>
>>1<>sage<>2011/05/02(月) 23:00:34.78 ID:SS0ttoOAO<> まさか見てる人がいるとは
ほぼ気まぐれなペースで行きます <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/05/03(火) 03:52:07.75 ID:ZdXZ4goqo<> 乙!
向こうでコメした甲斐があったというもの! <>
>>1<>sage<>2011/05/03(火) 12:46:39.22 ID:FYbct8DAO<> 「………そうなの、か」
妙な間が気になったけど肯定した。
「はい。そうじゃなくてもとばっちり食らう可能性ありますけど」
ドラマとかでとばっちりで殺される人がいるけど可哀想だよなあの死に方。
というか幸せな顔から一転、死に怯える表情になるというのが僕は嫌いだ。
犯人の残虐さを出すためには必要なんだろうけどさ。
幸せな家族が血まみれになるなど、もってのほか。
「それで?」
「それで、とは?」
「なんでガキがそんなこと嗅ぎ付けてんだ」
「さあ何ででしょう」
絶対納得いかないだろうから言わない。めんどくさい。 <>
>>1<>sage<>2011/05/03(火) 12:56:02.79 ID:FYbct8DAO<> 彼は僕の態度にあからさまにイラついたようだった。
あっちゃあ…死亡フラグだったか今の。
もしかしたら話しかけたところから死亡フラグだったりするのか。
「いいか」
おじさんが立ち上がった。
「ガキが余計なことを」
僕に近寄ってくる。
その瞳には狂気がこもっていた。
「知ろうとすれば」
その威圧感はなんなんだろう。
普段はかなり我が儘で頑固な人なんだろうな。
「どうなるか――教えてやる」
おじさんはポッケに手を突っ込んだ。
何をするんだろうとぼんやりと考える。
違う、分かってはいるんだけどどうにも思考が動かない。
その動きは、あの時の縁を切ってしまったあいつそっくりで。
<>
>>1<>sage<>2011/05/03(火) 15:33:45.63 ID:FYbct8DAO<>
ここまで来たら、あとは一つしかない。
僕はあっさり刺された。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/03(火) 21:51:27.50 ID:5eiNVyoeo<> みてるよ <>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 09:27:30.35 ID:ZCOkcjSAO<> どうしよう、ここから。
携帯は持ってきたっけ。
ここらへんに公衆電話はあるかな。
いざとなったらそこらの民家に駆け込めばいいのだろうけど。
人様にあんまり迷惑はかけたくない。
激痛、というよりかじんじんと傷がいたい。
突き刺さってる状態だからまだ大出血にはなってないけど、抜かれたらアウトだ。
人生的にアウト。
どうしよう。どうしよう。
逃げるか?
逃げ切れるか?
この体で?
自慢じゃないが体力はないほうだ。
ぐるぐると頭の中で様々な考えが浮かんでは消える。
すぐ目の前のおじさんが嘲るように笑った。
言葉にするなり「ざまぁ」あたりか。 <>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 09:40:32.52 ID:ZCOkcjSAO<> ああ、清々しい顔をしてるなあ、このおじさん。
涙目だから若干視界がぼやけているけど。
人生で一番素晴らしいみたいな。そんな顔。
「…趣味の悪い」
ナイフが引っこ抜かれないように押さえながら、感想を漏らす。
ついでだから聞いてみる。
「ここらの殺人事件、犯人はあなたなんでしょう?」
「ああ」
犯行自白したよ!
やったねたえちゃん!
いやいや、たえちゃん誰なの。
「……あんなに殺した理由は?」
「言う必要なんてないだろう」
あらま、素っ気ない。
なら仕方ない。僕は、自分で出した結論を叩きつける。
「あなた、あの中の誰かのストーカーでしょ?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/04(水) 17:15:42.82 ID:9N50kZBIO<> また負傷してる… <>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 18:52:01.99 ID:ZCOkcjSAO<> 「…その証拠はあるのか」
あ、当たりみたい。
ちょっと同様した。
「ないです。ただの予想です」
うぎ、立っているのが辛い。
「ただ、手口からみてストーカーかなぁと」
うーん、ここで倒れたらおじさんが優位にたってしまう。
ナイフ抜くとか蹴るとか砕くとか。
そもそもこうなった時点で僕に優位にたてるチャンスが低いんだけど。
かなりおじさんに勝利が傾いてるんだけど。
でも、まだ諦めるのは早いかもしれない。たぶん。
転機が訪れるのを期待しよう。
「聞かせてください。あの中に、あなたの本命はいました?」 <>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 18:52:49.24 ID:ZCOkcjSAO<> 「………本命だと?」
「ええ。本当に殺したかった人はいましたか?」
この人は無差別に殺してるわけじゃない。
ただ、その人を――ストーカーしてた人に似てる人を殺し回っていたんだ。
……僕の予想はだいたい合っていたのかもしれないな。
なんて、自画自賛に走ってみる。
「……」
彼は言った。
もっとも報われない答えを。
「まだだ」
<>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 18:53:37.50 ID:ZCOkcjSAO<> ――
すこし昔、とあるところにとある男の人がいました。
彼はひょんなことで財布を落としてしまいました。
なかなか財布は見つかりません。
そんなとき、
「お手伝いしましょうか?」
とある若い女性がいっしょに探してくれました。
今まで異性と触れ合ったことのない男の人は、その優しさに惚れました。
彼女とはすぐに別れてしまいましたが、話ぶりから近所に住んでいると知りました。
そこから、彼は歪みはじめました。 <>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 18:54:03.25 ID:ZCOkcjSAO<> 男の人は捜しました。
歪みきった想いを抱えて。
彼女を。
優しい彼女を。
手に入れたいといつしか考え始めました。
男の人は捜しました。
そしてとうとう、自宅を突き止めたのです。
そこからはトントン拍子で仕事場も、通勤ルートも、人間関係も全てを調べました。
何度も言いましょう。彼は、歪んでいました。
それが世間でストーカーと言われようが。
彼は気にもしませんでした。
彼女を手に出来ればいいのだから。
<>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 18:54:33.26 ID:ZCOkcjSAO<> そしてある時、男の人は知ってしまいました。
あの天使のような女性が、他の男と付き合っていると。
男の人は知ってしまいました。
彼女は自分の気持ちに気づかないだろう。
もしくは拒絶するだろう。
だから。だから。
彼は、彼女を手に入れることにしました。
もはや生きてなんかいなくてもいい。
人形として自分のそばにいて欲しい。
何度も何度も言いましょう。
彼は歪んでいました。
<>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 18:55:25.90 ID:ZCOkcjSAO<> その次の日、彼女の通勤ルートをいつも通る時間に待ち伏せしました。
女の人がそこを歩きました。
長髪で、コートにストールをつけた、あの姿。
彼はそれだけを確認して、刺しました。殺しました。
だけど。
人違いでした。全くの、人違いでした。
暗くてよく見えなかったのでしょう。
男の人はがっかりしました。
――違う人を刺した。
――ならば、当たるまで。
彼を支配したのは狂気のみ。
理性などありません。
似てる人を刺しては確認し、刺しては確認し。
確認してから、とはもはや考え付きませんでした。
<>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 18:55:53.34 ID:ZCOkcjSAO<>
まだまだ、あの女の人は見つかりません。
――
物語調に自己解釈も含めるとこんな感じか。
いやあ、ここまでよく生きてたな僕。
……てかまだ何も推理してないんだけど。もういいか。うん。
「……なるほど。じゃあその女性が見つかるまであなたは」
「殺し続ける」
おい誰かこいつを止めろ。
「で、これで満足か?」
「? はい」
勢いに気圧されて思わず頷く。
にやりとおじさんが笑った。
「よし、じゃあ邪魔だからもう[ピーーー]」
えっ。
<>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 18:56:26.80 ID:ZCOkcjSAO<> ナイフの柄が引っ張られる。
鈍い痛みが走り、あわてて現状維持のため引っ張りかえす。
すでに手の先が冷たくなってきた。
力がでない。断じて顔が濡れてるからではなく。
やばっもうこれは――…
「ちぇすたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
横から絶叫が入り、おじさんが怯んだ。
その瞬間を狙っていたのか、小さい影がおじさんにタックルを仕掛けて一緒に倒れる。
「お母さんが言ってた。ケンカは素手でやれって」
いやケンカじゃないんすけど。
何となく力が抜けてその場にへたりこむ。
街灯の光が、救世主を照らしている。
あの時の少女だった。
<>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 18:57:41.72 ID:ZCOkcjSAO<> 歪んだ愛って怖い。
そしてカルネ君は嫌いなわけじゃないよ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/04(水) 21:27:02.80 ID:9N50kZBIO<> かルネくん刺されてるのに元気すぎ、この間およそ二秒、みたいなあれか <>
>>1<>sage<>2011/05/04(水) 23:24:36.09 ID:ZCOkcjSAO<> き、きっと姉さんのお料理で鍛えられたんだよ!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/05/05(木) 03:02:22.64 ID:CdMIN39io<> 乙!
それをこれから食べることになるシュヴァイン君… <>
>>1<><>2011/05/09(月) 23:53:22.93 ID:1ssOZa2AO<> なんで夜に女の子が一人で出歩いてるんだとか、そういうことは後においといて。
これはやばい。助けてもらったのはありがたいけど、やばい。
自分から死にに来てるようなものだ。
少女がどことなくケンカっ早そうだから、早く止めないと。
おじさんvs少女 という最悪なバトルが繰り広げられそうだ。
まさに誰特としか言えない。
「そこの子!」
「はい」
「早く逃げて!あと救急車呼んで!」
「……本命は救急車か?」
あ、しまったバレた。
ともかく、僕の必死な説得に耳を貸さず、ツインテを一度尻尾のように振った。
おじさんに改めて向き直る女の子。
彼女の顔は僕の位置からは見えない。
「覚悟しろ」
女の子にしては少々口の悪い喋り方。
低い、ドスの聞いた声。
……一体、この子は何者なんだろう? <>
>>1<>sage<>2011/05/09(月) 23:55:00.44 ID:1ssOZa2AO<> 「ガキが威張ってんじゃねえよ!!」
立ち上がったおじさんが手近にあった石をひっつかみ少女に投げつけた。
それを首を軽く傾け受け流すと、すぐに体制を低くしおじさんのふところに突っ込んだ。
動きからしてケンカ慣れしてる。
「はぁぁっ!」
少女の鋭い声と共に、どすりと鈍い音が響いた。
「&%℃@☆◎△!!!」
おじさんが男の急所をおさえて獣のような叫び声をあげる。
少女はあげた足を地面に戻して、半歩下がった。
あ、あれはまさか…。
痛い……。なんて容赦のない子なんだよ…。
「―――必殺、きんた○潰し」
「いや潰さなくてもいいよ!」
思わずツッコミをいれたおかげで血がちょっと減った。
<>
>>1<>sage<>2011/05/09(月) 23:55:52.53 ID:1ssOZa2AO<> しばらく悶えるおじさんを見て目を離しても大丈夫だと思ったのか、少女は僕のそばに寄ってきた。
「あの、君の、名前は?」
なんだかんだで助けてもらったこの少女に、名前ぐらいは聞いてもいいだろう。
……冥土の土産となりかけてるけど。
だから拒絶されるのを覚悟で聞いてみた。
「シアン」
あれ、あっさり答えてくれた。
拍子抜け。
「…僕は、カルネ」
「そうか。よろしく」
「うん、よろし――」
いきなりがくん、と身体から力が抜けて地面に倒れ込んだ。
「だ、大丈夫か!?」
少女…シアンちゃんの声が遠い。
耳に何か膜が貼られたような。
そろそろ本格的にヤバイ。
さっきから何度も思ってるけどヤバイ。 <>
>>1<>sage<>2011/05/09(月) 23:57:05.14 ID:1ssOZa2AO<> ああ、まだ決着ついてないのに。
シアンちゃんが危なくなってしまう可能性もあるのに。
ここで気絶なんかしてられないのに。
必死に意識を保とうと頑張るけどまるで言うことを聴かない。
ぬるま湯につかる感覚の中、遠いところから声が聞こえた気がした。
「後は任せろ、馬鹿野郎」
後は任せた、馬鹿野郎。
<>
>>1<>sage<>2011/05/10(火) 00:00:15.24 ID:qAglMuZAO<> さて、一体助けにきた第二の人物は誰なのか!(棒)
1、姉さん
2、同僚
3、シュヴァイン
4、その他
あ、当たっても何もでないんだから!/// <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<><>2011/05/10(火) 21:44:26.08 ID:p/XBdFVRo<> まさかの4 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/05/10(火) 22:21:17.21 ID:nJLTKTAfo<> じゃあ…4 <>
>>1<>sage<>2011/05/10(火) 23:21:09.80 ID:qAglMuZAO<> …あれっ
まさかこれ安価な流れになってる…? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/05/10(火) 23:23:23.27 ID:nJLTKTAfo<> いやそんな。別に期待なんてしてませんよ?
何が来ても私は不満に思いませんからね? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/05/10(火) 23:35:13.05 ID:TcUhfYDgo<> 4の所長かな
まあ2だろうが <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/05/11(水) 08:16:52.44 ID:bj+wvqkEo<> >>102
さりげなくネタに走るなwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/11(水) 08:24:25.04 ID:e8lXlVlDO<> 4の人外探偵のあの人。
某スレから流れてきたが、ようやく追い付いたんだぜ。おもしれぇ。 <>
>>1<><>2011/05/11(水) 13:16:37.74 ID:CTlzFunAO<> -------
いきなり現れた人影は、私やおっさんに目もくれず、まずカルネという人に声をかけた。
そのカルネという人は直後に気絶したけど。
重症負って倒れ仲間からの言葉を聞いてからの気絶は死亡フラグじゃなかろうか。
なんとなく。
街灯の明かりの下、いきなり出てきた人のやる気のない表情が見えた。
この人は……私たちの助っ人なんだろうか?
もしこのおっさんの味方だったらマジ死んでまう。
私の視線に気づくと特に表情を変えないで口を開いた。
「呼ばれて飛び出てアクビちゃんです」
どっちにしろ不審人物だった。
もっとかっこいいセリフはなかったのだろうか。
本人も気恥ずかしさを感じたのか首の後ろをかきながらそっぽを向いた。
…なんなんだこの人。
<>
>>1<><>2011/05/11(水) 13:21:57.68 ID:CTlzFunAO<> 「あれだ、怪しくてすまない。アクビちゃんじゃないから」
気にしてる。スベったこと気にしてるよ。
「そこの馬鹿を助けに来た、って感じだ」
絶賛気絶中の人を指差しながら言った。
どうやら知り合いらしい。
「ふぅん……正義の味方みたい」
「いや、正義の味方はセーラームーンとプリキュアと月光仮面と仮面ライダーだけだ」
よく分からん。
自分はそれらじゃないから正義の味方じゃないよってことなんだろうか。
うめき声が聞こえて視線を向けると、おっさんが復活していた。
兄よりは回復が遅い。
「お嬢ちゃんはここにいろ。決着つけてくる」
「逃げたほうがいいんじゃ…」
おっさんスペアのナイフ取り出したし。
どれだけ準備万端なんだ。
ここはカルネという人をこの人が抱えて逃げたほうがいいんじゃなかろうか。 <>
>>1<><>2011/05/11(水) 13:22:24.75 ID:CTlzFunAO<> 私の提案はあっさり退けられた。
「それじゃこいつの成仏にならない」
いやまだ死んでないだろ。
「ここで見逃したら被害は増える」
「じゃあ生身でつっこんでいくのか?」
そういうのはむぼうと言うらしい。
私がさっき一時的に倒せたのは不意打ちだったからで、今は警戒バリバリだろう。
見たところ、この人ケンカは強そうだけど。
「生身じゃ行かない」
「じゃあなにで」
「目には目を、歯には歯を、ナイフにはナイフをってな」
「はぁ」
つまり相手と同じくナイフで戦いにいくと。
「でも今ナイフ持ってないんだ」
「おい」
「て、ことでお嬢ちゃん。ナイフ貸してくれないか」
<>
>>1<><>2011/05/11(水) 13:23:17.69 ID:CTlzFunAO<> 「え……」
何故知ってる。
この人とはなんの接触もしたことがない。
それに今は上着の陰に隠れている。
いつ頃知られたんだろう。
「…お前、誰だ?なんで持ってることを知ってる?」
「探偵。持ってることはたまたま知ったんだよ」
さらりと答えた。
探偵なんて職業、本当にあったんだ。
たまたま知られた?
おかしいな、一応出すときには周囲みてから出してるんだけど。
あ、いや最近このカルネって人にナイフ突きつけたような…。あの時か。
「あ、借りるからにはこちらの名前も言っとくべきだな」
まだ貸すとは言っていない。
「シュヴァイン・フリーゲン。よろしく」
よろしくされても。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<><>2011/05/11(水) 19:56:43.03 ID:bj+wvqkEo<> 名字…だと…っ!? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/05/11(水) 19:57:53.49 ID:L9wFGAk3o<> うぉっ。マジだ。乙。
ミスターフリーゲン。かっけぇ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/11(水) 23:27:39.59 ID:IDN9YUbIO<> シュヴァイン・フリーゲン、探偵さ! <>
>>1<><>2011/05/13(金) 20:13:31.65 ID:bkGAcbXAO<> 「……よろしく」
よろしくされたのでよろしくする。友達増えるね!
そして渋々、ナイフを渡した。
きっと貸すまでてこでも動かないだろうだろうから。
あまり知らない人に私物を触られたくないのだけど。
それに、ここで渋ってたらカルネ…さん、が危ない。
天に召される五秒前ってところだ。
「ありがと」
シュヴァインという人はナイフを試すように、二三度宙にぽんぽんと投げた。
危なっかしいったらありゃしない。
足元にザクッて落ちたらどうするつもりなんだろう。 <>
>>1<><>2011/05/13(金) 20:19:11.77 ID:bkGAcbXAO<> 「ふぅん、いいナイフだな」
「……そうなのか?」
おじいちゃん護身用にと渡されたナイフ。今まであまり気にしたことなかったけど。
ついでにそれを渡された数週間後、おじいちゃんは倒れた。
病院に駆けつけた頃には時すでに遅し、おじいちゃんはナースさんのお尻追っかけていた。
まあよくおばあちゃんの怒りの鉄槌食らって半殺しになりながらも生きてるもんだ。
かんわきゅうだい。
「あ、お嬢ちゃん」
「?」
「救急車呼んでくれ」
すっかり忘れてた。 <>
>>1<><>2011/05/13(金) 20:26:00.74 ID:bkGAcbXAO<> そう言い残すと、迷いなくおっさんの所へ向かう。
私は私で、お子様ケータイを引っ張り出してボタンを押す。
ええと、救急車は110か。
ぷるるー。ぷるるー。がちゃ。
「あ、もしもし?人が刺されて倒れてます」
「……」
「意識はないです…はい、はい」
「……しあ、」
「住所は……ここどこだろう…」
「ちょっと、…貸してくれないかな……」
「ひゃあああああ!?」
ぴと、と冷たい手が手首に触れた。本当にびっくりした。
カルネさんの意識が戻ったらしい。
なんて生命力……。 <>
>>1<><>2011/05/13(金) 20:34:42.57 ID:bkGAcbXAO<> 「住所は……○○町の○○○です…はい」
どうしよう、この人、口から血が零れてきてるんだけど。
ハンカチを取り出して口の端を拭う。
「ん……、……はい、ありがとう」
ケータイを私に返して、ぱたりと腕が力をなくした。
やはり息が荒い。
こんな動作でもガリガリ体力を削っているみたいだった。
「シュヴァ…イン、は?」
「ああ、あの人なら」
………。
「たった今、顔面にパンチ食らわせてKOさせた」
ナイフ関係ねえじゃねーか!
<>
>>1<>sage<>2011/05/13(金) 20:46:44.35 ID:bkGAcbXAO<> Q なんでカルネ君生き返ったの?
A 死んでない。意識が戻っただけ。
Q なんで意識が戻ったの?
A おちおち寝てられなかったんだよ多分
Q なんでカルネ君負傷してばっかなの?
A 主人公だから
Q なんで主人公なのに立ち回り弱いの?
A カルネ君だから <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/13(金) 23:00:05.00 ID:aHPgOycUo<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/05/14(土) 00:03:56.91 ID:dshR8M6no<> おつん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/05/14(土) 22:44:27.22 ID:Nb81ys3Mo<> おつー。
お兄ちゃんどいて所長落とせない。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/15(日) 18:17:31.44 ID:PFkSbEhDO<> これって何か元ネタあるの?
日本舞台だと思ってたら外人の名前が出てきて驚いた <>
>>1<>sage<>2011/05/15(日) 21:38:05.90 ID:whgE8UpAO<> >>120
いや、ない。ほぼ自分の妄想の世界です。
舞台は日本みたいな日本じゃないところ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/05/15(日) 21:41:35.54 ID:4XDk1JGKo<> その妄想の世界、シリーズ化はされてるよね。
コレ合わせて4スレしか知らないので、まだあれば知りたい。 <>
>>1<>sage<>2011/05/15(日) 22:01:10.19 ID:whgE8UpAO<> >>122
まだその4つしか書いてないんだよね…
あと2つぐらい書きたいとは思っているんだけども時間が <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/05/15(日) 22:19:23.99 ID:4XDk1JGKo<> >>123
なるほど。ありがとうございます。
期待してます。 <>
>>1<><>2011/05/15(日) 22:29:05.21 ID:whgE8UpAO<> 「終わったぞ。ちょっと眠らせてきた」
爽やかな笑みだった。
一仕事終えて、肩の荷が降りたような。
おつかれさまです。そして、
「結局貸した意味ないじゃないですかァァァァァ!!」
理不尽すぎて思わず叫んだ。
「おいおいお嬢ちゃん、瀕死の奴の近くで叫ぶな」
「大丈夫だ、また気絶したか…また!?起きて!!」
気付いたらまたカルネさんが気絶していた。
寝たり起きたり忙しい人だなぁもう!
揺り起こすと血がすごく出るような気がしたので頬をぺちぺち叩く。
顔色はすでに悪く、暗い中でもわかるぐらいに真っ白だった。
<>
>>1<><>2011/05/15(日) 22:30:51.30 ID:whgE8UpAO<> 「…なんだかんだで忘れてたけど、絆創膏返しに来たんだ」
ポケットを探り、絆創膏を取り出す。
こんなの、今じゃ戦車に水鉄砲レベルの非力さだ。
それでも冷たくなってきた手に握らせて、少しでも暖かくなるように手を包む。
「死ぬなよ。せめてお礼とお詫びぐらいさせてくれ……」
それに、私の目を気持ち悪くないって言ってくれたから。
初対面で、あんなことして、それでもそんなこといってくれて。
あなたはまだ死ぬべきじゃ
「残念ながら、ご臨終です」
「縁起でもないこといってんじゃねェェェェェェ!」
もうやだこの人! <>
>>1<><>2011/05/15(日) 22:40:52.06 ID:whgE8UpAO<> ふと遠くのほうでピーポーピーポーと音がした。
どうやら救急車が来たようだ。
「お嬢ちゃんは帰れ。事情聴取はクソめんどいからな」
「でも」
「まだあんた小学生だろ?親どころか警察にも怒られるぞ」
「……分かった」
なんとなく逆らえないので引き下がる。
あと、貸してたナイフを返してもらう。さすがにこれは無くしたなんていえないし。
もう一度カルネさんの顔を見る。
今度は意識があるときに会うことを願って。
「…さようなら」
「ん。じゃあな、お嬢ちゃん。ああ、あと」
真っ直ぐ私の目を見据えて。
「――刃物の使い道に気を付けろよ」
それがどういう意味で意図なのかは分からなかった。
分からないまま頷いた。
そして私は、彼らの舞台から降りた。
------------- <>
>>1<><>2011/05/15(日) 22:50:10.49 ID:whgE8UpAO<> ◇
救急車に向かって大きく手を振りながら、男は呟く。
「あんな子でも刃物を持ち歩くんだな」
「物騒な世の中になったもんだよ。なあ、カルネ」
問いかけた相手は目を固く閉じたまま。
手を下ろし、男は続ける。
「……きっと、あれを心の支えにしてんだろうな」
「『ナイフがあるから何も怖くない』って暗示かけてんだ」
「昔の俺みたいだよ」
「彼女はおそらく目の色、俺は家族関係」
「何か支えがないと死んでしまうんだよな」
「――多分、先輩にとっての支えはお前だよ」
少し悲しげに。 <>
>>1<><>2011/05/15(日) 22:54:53.89 ID:whgE8UpAO<> 「だから首突っ込んでいちいち死ぬなよ」
「先輩が泣くだろうが。あと親も」
「いや、そもそも首突っ込むなというべきなのか」
はぁ、とため息をついて伸びている連続殺人犯を見る。
彼については何も言わず、すぐに視線を戻した。
「救急車が来たぞ。もうちょっと頑張れ」
赤いランプが彼らを照らした。
◇ <>
>>1<>sage<>2011/05/15(日) 22:55:52.71 ID:whgE8UpAO<> 今日の投下終わり。
シュヴァはまだ主人公と先輩の親がいないことは知りません。 <>
>>1<>sage<>2011/05/15(日) 22:59:31.17 ID:whgE8UpAO<> >>128
×「彼女はおそらく目の色、俺は家族関係」
○「彼女はおそらく目の色で悩んでて、俺は家族関係で悩んでる」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/16(月) 00:50:33.65 ID:8f8Xe4p0o<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/05/16(月) 00:53:59.83 ID:oK02sMJQo<> 両方乙 <>
>>1<><>2011/05/16(月) 23:15:06.55 ID:7zT1EhuAO<> 「………」
目を開いて真っ先に飛び込んできたのは見知らぬ天井だった。
えっ、なんでだろう。まさかエヴァに乗るはめになったんじゃないだろうな。
混乱が混乱を呼ぶ。絡まった毛糸みたいだ。
しばらく思考が停止して、少しずつほぐれるように記憶が戻ってきた。
そうだ、確か買い物帰りに遭遇して刺されてシアンちゃんって子に助けられて…。
あとはあやふや。
生きてるってことは、シアンちゃんも助かったということだろうか。
ならいいんだけど。
少し頭を傾けると、栄養かなにかを注入する点滴と血液の点滴のふたつが並んでいるのが見えた。
ぼうっとそれを眺めていると今まで耳に入らなかった声が聞こえてきた。
「……ップ」
「…それ…また先輩…」
何話してるんだ?
もう少し集中して聞いてみる。
「ウノです」
「ええっ、また?!」
カードゲームしてた。 <>
>>1<><>2011/05/16(月) 23:24:38.81 ID:7zT1EhuAO<> 「……どうしてウノをしてるのさ」
起き上がれないので声だけで主張する。
あっと姉さんの小さな声。
パイプ椅子が軋む音がして、姉さんが視界に入ってきた。
「カルネ君、起きたのね?」
「うん」
「よかった……わけないわよ、バカ」
そう言って僕の頬をつねった。地味に痛い。
その顔はどこか悲しげで、顔色も悪かった。
もしかしたら本気で僕を心配していたんだろうか。
そうだとしたら悪いことをした。
「危ないことしないでって、言ったのに」
「……ごめんなさい」
がばりと姉さんが抱きついてきた。
肩ごしにやれやれと肩を竦めるシュヴァインがいた。
ウノを揃えているようだ。意外と几帳面なんだな。
シュヴァインはウノをサイドテーブルに置くと、新聞を足元から持ち上げた。
見せびらかすようにヒラヒラふる。
「事件のオチでも話そうか?」
「…………頼むよ」 <>
>>1<>sage<>2011/05/17(火) 23:19:39.11 ID:1YTF0noAO<> 「あのおっさんは捕まった」
まあ、そりゃあな。
「あとは……そうだな、元々狙われていた女性についてだ」
「うん」
「引っ越してた」
あまりにさらりと言われたので判断に困った。
ん?引っ越し?
「事件の数日前に引っ越していたんだよ」
「おいおい……」
ストーカーしてたならおっさん気づけよと思う。
しばらくサボっていたのだろうか。い、待ち伏せしてたのか。
ん、あれ?
ふと恐ろしい事実にぶち当たった。
じゃあこれまでのおっさんの行為はすべて無駄だった、ということなのか?
あらかじめ待ち伏せしていた意味も殺した意味もすべて。
逆に殺された人は――これこそ、とばっちりだ。
「……はは」
思わず笑いが漏れてしまう。 <>
>>1<>sage<>2011/05/17(火) 23:27:17.45 ID:1YTF0noAO<> 「……ああ、とても面白い話だね」
「だろ?」
春休みと血液を消費した割には、あまりにあっけないオチ。
いいのかな、こんな終わりで。
こんなのハッピーエンドじゃない。バッドエンドだ。
「世の中、解決したところでうまくいかないのよ」
姉さんが言った。
さすが僕より長く生きてるだけあって言葉が重い。
そんなもんなのだろうか。
深々とため息をついて、サイドテーブルにおいてある絆創膏に気づく。
しわくちゃの絆創膏。
「なにこれ?」
「お嬢ちゃんからのお返しだってよ」
<>
>>1<><>2011/05/18(水) 20:45:23.06 ID:Mxi6mLDAO<> お嬢ちゃん……もしかしてシアンちゃんって子かな。
あの子にまた会えるだろうか。
色々お礼がしたい。
などなど考えていたら、そそくさと姉さん達が帰り支度を始めた。
「じゃ、またね!」
それだけ言い残してぴゅーんと帰ってしまう。
………?
一体、何が……。
病室の出入口を呆然と眺めていると、誰かが入れ換わるように入ってきた。
「やあ」
あの時の刑事さんだ。
にこにこ。
にこにこにこにこ。
な、なんかやばそうなんだけど。オーラが。
あの二人、僕置いて逃げやがったな。
刑事さんはパイプ椅子に座って静かに足を組んだ。
「色々調べたんだが――君、あそこに意図的に立ち寄ったそうだね?」
「は、はい……」
「ちょっとだけお叱りさせてくれないかな?」
「えっと、何ででしょうか?」
「危険なことにわざと首突っ込んだって話だから」
ちくしょー!いったい誰がそんな話を洩らしたんだ! <>
>>1<><>2011/05/18(水) 20:59:04.58 ID:Mxi6mLDAO<> それから一時間、僕は刑事さんに静かに怒られ続けた。
しきりにペコペコするしかなかった。
負傷人を労らないんだなこの町の人。
「――ったく……」
ああやっと終わった。
話の転換を願って一つ質問してみる。
「そういえば、なんで取り調べの時僕の顔じっとみたんですか?」
まさか所長のような趣味じゃあるまい。
「ああ、あれか。妹が持ってた本に顔相なるものがあって」
「はあ」
「なんか死相が出てるなーと思っただけだよ」
…………。
死相出てるのかよ、僕。
なんとなく将来に不安を覚えた。
うんうんとこれからのあり方を考える僕を横目に、刑事さんが立ち上がる。
「警察ごっこは止めといた方がいい。事件は本物が片付けるからね」
厳しい言葉。
でもその通りだろう。
本物の警察の仕事だ。
だけど。
せめて、言い訳ぐらいはさせてもらおう。
揚げ足取りみたいな形になるけど。
「違いますよ」
「?」
「探偵ごっこ、ですよ」
終わり <>
>>1<>sage<>2011/05/18(水) 21:02:01.92 ID:Mxi6mLDAO<> ――とある彼の独り言――
◇
今回の事件で久々に過去を思い出した。
苦々しい過去。
少しだけ昔、両親は死に、一番の親友を失った。
その親友は僕の前から消えた。
ノアル。
お前は今、何を思って生きているんだ?
何故あの時、僕を殺さなかった?
◇ <>
>>1<>sage<>2011/05/18(水) 21:05:15.34 ID:Mxi6mLDAO<> 書き貯めも方向性もろくに考えてなかったのでぐちゃぐちゃでした。死にたい。
ミステリーなんか無理でした。
お付き合い頂きありがとうございます。
一応次のは方向性考えてますよ……… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/18(水) 21:33:55.83 ID:sN+FmP2DO<> 待ってるぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/05/18(水) 23:26:03.78 ID:bRfJfv70o<> お疲れさまでした! <>
>>1<>sage<>2011/05/19(木) 09:50:41.01 ID:q+BhYfCAO<> 裏話みたいな。
最近このカルネ達の元になったメモを見つけました。恥ずかしい
カルネの親は初期段階からいませんでした。しかも三重人格。
シュヴァも初期は親がいなくて、それどころか人やっちゃってるとかそんな感じ
あと先輩じゃなくて師匠と呼んでたり。
うわー…厨二病だなー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/05/19(木) 10:04:18.89 ID:lqj6Tx3/o<> 創作なんて中二病こじらせなきゃやってられんぜよ。 <>