VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/08(火) 12:34:22.95 ID:AB00Iqtx0<>勢いでやってしまった。<>男「なんか、シャワールームに人の気配がするんだけど」
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 12:35:12.30 ID:AB00Iqtxo<> 姉「なんですか、その年になってお化けが怖いなんて、まったく男くんは情けないですね」
男「そういう話じゃなくて、姉がここにいるのに、誰かシャワー使ってるんだけど。思いっきり」
姉「あー、実はその、川原でちょっと拾ってしまいまして……」
男「いや、拾ってきたって……申し訳なさそうに言われても、話が見えないんだけど」
姉「実は仕事帰りに、橋の下で泣いている女の子を見つけましてね。
これは拾わなければ男がすたるってものです。大切に抱えてお持ち帰りしてきました!
ちなみに、今はシャワーを浴びて貰っています。雨に降られてずいぶん冷えていたので」
男「姉は女じゃないかとかツッコみたいけど、え、なに、女の子を拾った?」
姉「ならば漢がすたると言い直しましょう」カキカキ
男「わざわざレシートの裏に書かないと分からないような言い訳はいらんわ」ペシッ
姉「ぶ、ぶちましたね! 私は男くんをそんなふうに育てた覚えは――」
男「それで、本当はその女の子ってのは、なんなんだよ」
姉「ボケをスルーするようにも育てたつもりは無いんですが……
とりあえず、名前は少女ちゃん、かっこ十六歳かっこ閉じ、だそうです。
雨に濡れてスケスケのシャツの下からは、ピンク色をしたのサテン地のブラが見えていたなんて情報は、いくら男くんが望んでも私にはとてもいえません」
男「やめろよ! さりげなく俺がその子の下着を気にしたような方向に話を持ってくな!!」
姉「では何を気にしてるんですか? 男くんもそろそろ、その、そういう年頃だというのは、私も分かってるつもりです」
男「いや、そういう話しじゃなくてさ。
見知らずの女の子を、道端で泣いてたからって理由で拾ってきたの?」
姉(興味がないとは言わないんですね)「まあ、端的に言えば」
男「端的じゃなく言うと?」
姉「とりあえず、神様は六日目に人を作ったという辺りから話しはじめます」
男「…………まあ、いいや。たしかに、泣いてる女の子は助けないとな」
姉「はい。実際私もその場の勢いで拾ってしまったので、何も知らないんですよ。
なので、少女ちゃんがシャワーから出てきたら、食事でもしつつ話を聞きましょう。
もうそろそろご飯ができますよ」
男「そういやずいぶん良い匂いだ。メニューはなに?」
姉「今日はちょっと特殊な鶏団子鍋を作ってみました。
昆布だしとお酒とゆずポンを同量ずつ入れて煮立てたスープに、鶏団子と野菜を入れてみましたよ」
男「おー。初めてのメニューだよね。楽しみにしとくよ。
とりあえず、俺も学校の宿題終わらせてくるわ」
姉「はい。がんばってくださいね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 12:40:20.25 ID:AB00Iqtxo<> -------------------------------------------------------------
三十分後 リビング
姉「それじゃ、なによりもまず先に、手をあわせて」
姉・男・少女「いただきます」カチャカチャ
姉 もっきゅもっきゅ
男 ぱく……ぱく……
(うわー、どうしよう。女の子拾ってきたって、ガイジンさんとは聞いてないぞ……!
金髪に青い眼とか、キレイだけど、不思議な感じだ)
少女「あの、ご飯までお世話になっちゃって、ごめんなサい」
男(あ、日本語は使えるんだ。って、いただきますって言ってたじゃん。
お箸は、ちょっと下手だけど使えてるし、日本でそれなりに暮らしてるのかな)
姉「気にしないでいいですよ。久しぶりに二人だけじゃない食卓で、うれしいくらいですから。ね、男くん」
男「あ、ああ。そうそう。むしろキミの方こそ、大丈夫?
なんか姉が無理やり連れてきたような」
姉「無理やりとはなんですか。
人道的かつ機動的にお持ち帰りしてきただけですよ」もきゅ
少女「はい、ソんな感じで連れて、きてもらいまシた」
男「姉、わかってるだろうが、機動的かは無理やりかどうかを否定する論拠にならないからな。
キミも、姉に合わせなくていいよ」
姉「ふふーふ」もっきゅもっきゅ
少女「いえ、本当に、助かりまシた。いく場所も、頼れる人もなくて、困ってたから」
男(家出でもしたのかな?)「失礼だけど、ご家族とかはどうしたんだい?
っていうか、こんな雨の日に、橋の下にいたって聞いたけど……」もぐ
少女「橋の下にいたのは、雨宿りをシてただけで……。
お金をもってなかったから、屋根のある場所に入れなくて。
家族は、ソの……」
姉「言いたくないならいいですよ。
っていうか男くん、初対面の女の子に質問攻めはどうかなーと、お姉さん思うのです」もっきゅもっきゅ
男「その姉が何も聞かないから、こんなことになってるんだっての。
俺が聞きたいのは、ご飯の後どうするかって事でさ。
食べ終わったら追い出すってワケにもいかんだろうと」
姉「ああ、つまり、ウチに泊まらないか? なんて、童貞だからスマートに聞けなくて、そんな感じなのですね」もきゅ
男「一箇所いらない単語があったけど、まあ、おおむね」
姉「確かにそれは、私の仕事でしたね。
ただ、その心配はいりませんよ。少女ちゃんは今日からしばらくウチで暮らしてもらいます!」キリッ
少女「ええっ!?」
男「……いや、本人の同意がないと、ソレは誘拐だぞ」
姉「同意ですかー。確かに重要です。男くん、ちょっとお待ちを。少女ちゃんはこっちに」
少女「え、あ、はい?」
姉・少女 ヒソヒソ 「でも……それは……」「……せんよ……の方が……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 12:45:12.19 ID:AB00Iqtxo<>
姉「相談完了! 今日から少女ちゃんも一緒に暮らします」
少女「その、よろしくお願い、します」ペコッ
男「何があったのか良く分からないけど、まあ、姉が無理強いしてないならいいか」
姉「失礼ですね。気配りの女神のような私が、無理強いなんてするはずがありません」キリッ
男「それなら、なんで既に鍋の中身が無いんだろうな」
姉「え?」
少女「あ、お鍋が」
男「さっきから姉ががつがつ食べてるな、と思ったけど、既にほぼ残量なしだ。気遣い皆無と言っていい」
姉「あらー。……てへ」
男「かわい子ぶっても、鍋は戻らないぞ」
姉「もー、ちょっとしたジョークですよ。急いで野菜切ってきて、具を足しますね」
男「ったく、食いしんぼめ」
少女 クスクス
男「悪かったね、質問攻めにしちゃって」
少女「いえ、大丈夫、でスよ。
私の方こソ、急にやってきて、ご飯を食べさせてもらったり」
男「それは気にしなくていいよ。
姉も言ってたけど、ウチはずっと二人で暮らしてたから、にぎやかになれば嬉しいし。
だから、キミが暮らすって言うのも、歓迎するよ」
少女「ありがとう、ございまス」
男「それで、とりあえずしばらく一緒に暮らすなら、名前で呼んでもいいかな?」
少女「はい。私も男さんって呼ば、せてもらいまス」
男「男でいいよ。それから、敬語に慣れてないみたいだし、普段どおりにしてくれないかな?
こっちまで敬語にしなくちゃいけないような気がしてくるし」
少女「ソうなの? ソれじゃ、普段どおりにするね、男っ」にぱっ
男「あ、ああ。よろしく、少女」ドキッ
姉「そんな彼女の笑顔に、僕はつい胸をときめかせてしまうのだった。まる」
男「……姉はいつからそこに?」
姉「名前で呼んでもいいかな、からですかね」
男「鍋の具は?」
姉「男の胸キュンシーンが終わってから登場するので、ただいまタイミングを待っています」
男「いや、胸キュンとかいいからさ。さっさと食べよう。俺はまだまだ腹ペコだし」
姉「そうですか? ま、今はコレくらいで許してあげましょうかね。ふふーふ」
少女 クスクス
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 12:53:30.02 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
その日の深夜 キッチン
男「姉、ちょっと時間ある?」
姉「ええ。ちょっと待ってくださいね。朝ごはんの仕込がもうちょっとで終わるので」
男「何か手伝える?」
姉「大丈夫ですよ。コレをタッパーの中で一晩漬け込めば……はい、終わりましたよ」
男「明日はブリの照り焼きか」
姉「男くんの好物ですからね。腕によりをかけて作りますよ」
男「ん、楽しみにしてる。それで、本題なんだけど」
姉「少女ちゃんのことですか?」
男「本当に、しばらく同居するの?」
姉「はい。先ほどちょっと話して、一週間から二週間くらい、一緒に暮らしましょうと」
男「それは良いんだけどさ。家出とかなら、一応警察に連絡したりしたほうがいいんじゃないか?」
姉「近いですが、ちょっと事情が違うようですね……」
男「違うっていうと?」
姉「まあ、ちょっと心当たりがあるので、そちらでウラを取ってからでいいですか?
不確定な話をして、男くんを不安にさせたくも無いですし」
男「不安になるような話なら、そもそも巻き込まれるな、って言いたいけど。
まあ、困ってる女の子を見捨てるのも気分が悪いし」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 12:57:44.44 ID:AB00Iqtxo<> 姉「はい、ソレでこそ男くんです。ぎゅーってしてあげましょう」ぎゅー
男「わ、こら、ねえさん!」ぱっ(///
姉「ふふーふ。まあ、危険な話、とかではないので、これでごまかされてください」
男「そんな事しなくても、姉の事は信じてるから、いいよ」
姉「それは嬉しいです。それにしても、久しぶりに『ねえさん』って呼んでもらいました〜♪」
男「っ、もういい。俺も寝る」ドタドタ
姉「はい、おやすみなさい」
姉(……男くんもとまどってましたね)
姉(でも、少女ちゃんを見つけて、事情を聞いて、コレしかないと思ったんです)
姉(男くんも、今年で十八歳。そろそろ『時期』でしょう)
姉(お父さん、お母さん。私は、私の役目を果たせていますかね?)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 13:27:08.21 ID:xH/bOTVMo<> 支援 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 15:09:43.80 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 朝のリビング
少女「わ、わ、スごい! 食卓がキラキラってシてる!」
姉「そんな、大げさですよ」
少女「ソんな事ないもん! うわー、匂いもすっごい美味しそう……」
男「たしかに、姉さんの料理は外で食べるよりよっぽど美味いからな」
姉「おだてても何も……そういえば、ちょっと試しに作ってみた海苔の佃煮くらいなら、出ますね」
少女「おおー!」
男「少女は朝からテンション高いなぁ」
少女「美味シいご飯は大切だからね!」
姉「さあさ、それじゃそろったところで」
三人「いただきます」
姉 もっきゅもっきゅ
少女 まぐまぐ
男 ぱくぱく
少女「美味シいでスよー」うるうる
男「うん、いつも通り美味しい」
少女「照り焼きは臭みがなくて、箸を入れるとサクッ、口に入れるとほろほろーってほぐれて。
お味噌汁も、茎わかめがコリコリで、味のしみた大根は噛めばジワァッと味があふれて。
試しにって言ってた佃煮も、ちょっと薄めの味付けで出汁の風味が効いてて、ほんのり甘くて。
お・い・シ・いー!」まぐまぐまぐまぐ
姉「そんなに喜んで貰えると、作った甲斐がありますよ。
男くんはいつだって『いつも通り美味しい』のワンパターンで、張り合いがなくて」もきゅもきゅ
男「仕方ないだろ。そんなに褒め言葉のレパートリーなんか無いって。美味しいものは美味しいし」
姉「かわいくないですねー。まあ、その分美味しそうに食べてくれるから良いんですけど」もきゅもきゅ
男「まあ、そういうことで」ぱくぱく
少女「うまーい」まぐまぐ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 15:14:31.25 ID:AB00Iqtxo<> >>7
ヽ(。・ω・)ノ゛☆支援ありがd☆ ヾ(・ω・。)ノ
そんなアナタにおいら愛用の鼻炎薬をプレゼント! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 15:16:37.19 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 昼前の庭
男「で、いったいどうしてこうなった……」
少女「それは、そのー」
姉「あらら……」
男「働かざるもの食うべからずって、手伝ってくれるのは良いんだが。
食器を洗ってくれと頼んだら、次々に割ってくれて」
姉「お掃除お願いしたら、廊下が水浸しになりましたね」
男「洗濯物を頼んだら、コレか」
姉「水溜りにツッコムなんて、よっぽど運がないですよね」
少女「うう……」
男「運がないというか、そもそも家事をしたことが無いのか?」
少女「はい。シたことないでス……ごめんなサい」うるうる
姉「気にしないでいいですよ。こちらも、確認せずに任せてしまったのが悪かったわけです」
少女「でも、こうやって逆に迷惑かけて」
姉「いいんですよ。慣れなければ失敗するのは当然です」
男「ま、ウチが前時代的な生活をしてるってのも、あるけどさ。
いまどきメイドロイドもいないなんて、うちくらいだ」
姉「まあ、中流以上の家庭にはたいていロボットが居ますからね。
家事を任せきりにして、仕事とかに余力を注ぐのが普通ですから、できなくて普通です」
少女「えっと、その――」
男「うちの設備が一世紀くらい遅れてるのは自覚あるし。
失敗してもしょうがないさ」
姉「一世紀って、2011年ですか。さすがにソレよりはちょっとは進歩してますよ?」
男「せいぜい、オーブンレンジが最新式とか、そんな程度だろ」
少女「と、とりあえず! この落としちゃった洗濯物、洗いなおしてきます!!」ばっ
姉「あっ、少女ちゃん……どうしたんですかね」
男「洗濯物が痛むからだろ? ただ、大丈夫かな……」
姉「ええ、また何かありそうで」
少女「きゃー!」
姉「見てきますね」
男「悲鳴が上がる間隔がだんだん短くなるなー」
姉「男くんも関心してないで、廊下の掃除とか引き受けてくれませんか」
男「あー、ちょっとこれから学校の復習でもしようかなーと」
姉「お昼ご飯は抜きでいいですか?」
男「喜んでやらせていただきます、軍曹!」しゅたっ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 15:21:49.17 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 昼前の洗濯機前
姉「まあ、怪我が無くてよかったです」
少女「はい、ごめんなサい……」
姉(泥だらけの洗濯物を手洗いして、洗濯して……干してもこれからじゃ乾かないですね。
全自動で乾燥までやってしまいますか。
その間に部屋の泥をふき取って、それからお昼ご飯の支度を……これも間に合わないので、何か出前でも……)
少女「うう、ホントに、何もできなくて」
姉「気にしないで下さい。むしろ、お客さんに任せるようなことじゃないのに、任せたのもいけなかったですから」
少女「いえ! その、お客さんとして扱われるよりは、嬉シいから」
姉「それなら、いいんだけど……」
少女「でも、なんにも出来なくて」
姉「あ、あはは……」(否定できませんからねぇ)
姉「ところで、その服も汚れちゃいましたし、いったんシャワーを浴びてくると良いですよ。
着ているお洋服も汚れちゃったみたいですから、ついでに一緒に洗濯しちゃいましょう」
少女「はい……あ、でも、私これ以外に服がなくて」
姉「そういえば、昨日は乾燥して着てもらいましたからね。パジャマも、私のを貸しましたし。
女二人なら適当なものを、っていえますが、男くんも居ますし」
少女「お姉さんの服を貸してもらうと、えっと、その」
姉(身長差のせいで、襟ぐりが深い服だと胸元まで見えちゃいますしね)
姉「では、こうしましょう。
洗濯物を洗濯機に入れたら、部屋の掃除をして、その後は買い物です!」
少女「買い物ですか?」
姉「はい。ネット通販で買っても良いんですが、服なんかはやっぱり見て選びたいですからね。
車で一時間くらいの場所に、ちょっと大きな複合モールがあるので、そこでお昼ご飯と買い物をしましょう」
少女「でも、いま私の手持ちのお金がなくて……」
姉「気にしないで下さい。女の子同士で服を見て買い物とかしてみたいって、私のわがままです。
イッツ・ガールズショッピング! いいですねー、テンションアップです!!
付き合ってくれたら嬉しいところですが、いかがです?」
少女 こくこく
姉「よかった。それでは一時間くらいしたら買い物に出ることを、男くんに伝えてきてください」
少女「はい、了解でス!」タタッ
姉「そういって敬礼していくあたり、男くんとノリが似ていますね……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 15:26:48.74 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 縁側
少女(うあー、気を使われたなー)
少女(クレジットカードは持ってきてるから、使えば迷惑かけないんだけどな。
使ったら居場所がバレて連れ戻されちゃうし)
少女(それにしても、私って本当に自分じゃ何にもできないんだ)
少女(縛り付けられて、檻の中みたいだって思ってたし、今でもあの生活はそうだったって思ってるけど。
でも、私はそこの住人で、外にでたら、簡単な家事さえマトモに出来ないんだ)
少女(やっぱり、これ以上の迷惑をかける前に出て行くべきかな……)
少女(でも、そうしたら私は、あの檻の中に戻るしかなくて)
少女(どうして、お姉さんは私を助けてくれたのかな?)
少女(たぶん、初対面だよね。私のこととか、知らないはずなのに)
少女(……優しく迎えてくれて。何もできない私なのに)
少女「うー、暗く考えちゃいまス。いけないでスよね」
少女 ぱんっ
少女「ひりひりするけど、まあ、気合も入りまシた。男に伝言でス!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 15:29:36.99 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 男部屋
男「廊下掃除完了! やっぱ廊下は冷えたなぁ……
とは言っても、さすがにこの時間から布団に入ると、いざって時に姉さんに怒られそうだし」
少女 こんこんこん
男「ん? どうぞー」
少女「えっと、いいかな?」(男の子の部屋って、見るの初めてかも……)
男「とりあえず、そこにでもかけてくれ」
少女「わ、ジャンプの昔の単行本がいっぱい!」
男「親父が好きだったみたいでさ。姉は読まないから、部屋に持ってきたんだ。
少女もマンガは好きなの?」
少女「マンガも小説も、ゲームも大好きっ。
教育係の人がうるサくて、あんまり時間使えないけどね」しゅん
男(教育係って、実は上流階級的な家庭だったのか?)
少女「わ、スラムダンクの初版本! 百年経ってこの保存状態って、マニアがスいゼんだね」
男「垂涎って、難しい言葉知ってるな」
少女「まあね。お父さんが日本人だったから、日本語はよく勉強シたよ」
男「へー。それじゃ、いくつか話せるんだ」
少女「うん、英語に、ドイツ語、エスペラントくらいけどね。ちなみにお母さんはイギリスとドイツのハーフなの」
男「そりゃずいぶん凄いな。やがては世界で活躍って感じかな?」
少女「う、うん、そう……かな」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 15:32:43.39 ID:AB00Iqtxo<> 男(あー、なんか地雷だったか?)「そういやさ」
少女「?」
男「とつぜん部屋に来たけど、何か用事があるのかなーと」
少女「あ、ソうだ。あと一時間くらいしたら、食事と買い物にモールって所に行こうって、お姉さんが」
男「ん、了解だ。それなら、先に勉強のノルマはこなしておくかな」
少女「邪魔しないように、私はコレで失礼スるね」
男「気遣いサンキュー」
少女「お気になさらズ♪」ぱたん
男 かきかき
男(外出して買い物か。そういえば、しばらくそんな事もしてなかったな)
男(今の時代、生活必需品は全てネットで間に合うし。
野菜や魚なら、農家や漁協のサイトで直接購入して、夕方には届く。
服や家具は、直接見なくていいなら、それもネットで買える。
学校だって、一部の授業を除けば自主登校だ。サイトで授業を見て、レポートをメールで提出すれば単位がもらえる)
男(おかげで、気がつけば俺もすっかり引きこもり……)
男(考えてみりゃ、姉さん以外と会話したのも結構久しぶりか)
男(別に、人間嫌いとかじゃないんだけど、誰かと遊ぶより、本を読んだり、どこぞの掲示板見てたりするほうが楽しいからな)
男(それに、学校まで片道二時間弱は正直遠い……)
男(父さんたち、なんでこんな場所に家を建てたんだか。俺の引きこもりの原因の一割くらいは父さんたちだ)
男(ま、死んじゃった人たちに、言い訳もなにもいらないか)
男(勉強に集中しよう)
男 かきかき
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/08(火) 15:36:25.15 ID:AB00Iqtxo<> 書きためしなくちゃ。
☆ミ(o*・ω・)ノイッテキマ-ス!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:14:47.46 ID:Sp6F3jUIO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/08(火) 17:20:24.42 ID:AB00Iqtxo<> ただいま! でも書きため分上げたら外出しなくちゃ。
------------------------------------------------------------
同居一日目 正午過ぎのショッピングモール
少女 がくがくぶるぶる
男「あー、やっぱりか」ちらっ
姉「なんで男くんは私をちら見しますかね」
男「昔から思ってたんだよ、姉の運転はちょっと普通じゃないんじゃないか、って」
姉「失敬ですね。こう見えても免許は一回で獲れましたし、ペーパーでもないんですよ」
男「同乗の教官が二度と姉と乗りたくないからって、合格通知だした可能性も」
姉「そんな事ありませんって」
少女「死ぬかと、死ぬかと……」
男「あながち大げさじゃないと思うけどな。ま、とりあえず、早く食事を済ませよう」
姉「ほほう、早く食事を済ませて少女ちゃんのショッピングを開始したいと」
男「姉の買い物の長さは承知しているからな。今回はしばらくの生活分を纏め買いだし、早く始めるに越したことはない」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:24:49.23 ID:AB00Iqtxo<> 姉「とか言いつつ、早く少女ちゃんに『こ、この下着とか、どうかな』なんて自分色に染めたいだけでは? ふふーふ」
少女「え、ええっ、私の下着に男からリクエストが……?!
確かに、一緒に住むなら好感度を上げるべきかな、なんて思うけど、だからと云って下着からは難易度が高いかと思いまス!」
通りすがりA「あんな美少女、美女と同居だと……」ザワ
通りすがりB「しかも、下着にリクエストでござるか……」ザワ
通りすがりC「寒い夜でも、あなたが暖めてくれるなら、とか……」ザワ
通りすがりA・B「そんなイベントは許せん……!」キュピーン
男「あ、アホかっ! 良いから行くぞ。なんだか命の危険を感じる……」
姉「ふふーふ」にやにや
少女「え、えっと、冗談、ですよね?」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:27:59.48 ID:sKK0VrLIO<> よみにっくーww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:30:14.64 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 モール内・フードコート
男「案外、繁盛してるみたいだな」
姉「それはそうですよ。こうして実店舗構えてる所は減りましたからね、遠くからも人が来ますし。
昼時はモールの大半の人が食事に動きますから、人口密度も上がるってものです」
少女「ソれにシても凄いですね。イートインスペースの周りに、お店がいっぱい並んでて……」
男「各自好きな店で持ってこられるから、こういうところは良いよな。
とりあえず、俺が席を取っておくから、二人で好きなものを注文して来いよ」ひょいひょい
少女「サりげなく荷物を持ってくれるところとか、男ってちょっと無愛想だけど、紳士ですね」
姉「ふふーふ、がんばって育てた甲斐があるってものです」
少女「育てた、ってお姉サんがでスか?」
姉「はい。お父さんもお母さんも、男くんが一歳の時に他界しましてね」
少女「タカイ……主に招かれることでスね」
姉「そうそう。そんなわけで、男くんは私が育てたのですよ。
幸い、遺産がそれなりにありましたから、働かなくても済みましたし。
一歳にもなれば、子供なんて案外放っておいてもそれなりに育つものです」
少女「ソっか、二人で手を取り合って生きて来たんでスね……
……でも、あれ? ソうなると、お姉サんの年齢って」
姉「あ、レディースカレーセット一つお願いします!」ばっ
店員「申し訳ございません、そちらで食券を購入していただき、店員にお渡し下さい」
姉「あ、あは、そうですよね。食券買ってー、はい、お願いします」
店員「ありがとうございます。それではこちらの機械の内線が鳴りましたら、改めてカウンターにいらして下さい」
姉「はい、わかりました。それじゃ、少女ちゃんも何か選んでね! 遠慮はダメですよ」
少女「えーっと、ソれじゃ、私はうどんが食べたいでス」
姉「渋い趣味ですねー。ではトッピングとかも選びましょう!」
少女「はい!」(あ、あれ? 結構強引に話題を変えられた気が……年齢はタブーですかね) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:36:07.33 ID:0OM68GmJ0<> かぎ括弧の前は1文字で統一してくれると読みやすいかな
今のところ1文字目がかぶってるキャラいないようだしww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:37:10.43 ID:AB00Iqtxo<> >>19
読みにくいのに、読んでくれてありがとう。
実はこういうのを書くのも、投稿するのも初めてで、読みやすくする方法がわからないんだ。
グーグル先生に「SS 読みやすく」って聞いても、答えてくれなくて。
絶賛、試行錯誤中
ハァ━(-д-;)━ァ...
アドバイスあったら、もらえると嬉しい。踊るくらい嬉しい。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:39:58.08 ID:AB00Iqtxo<> 三人「ごちそうさまでした」
姉「やっぱり、たまには外食もいいですねー。
キーマカレーとチキンカレーが一つの皿で楽しめるとか、自宅じゃできません」
男「うーん、こっちはちょっとなー」
少「男はチゲだよね? 美味しくなかったの?」
男「いや、美味しくないわけじゃないけど、辛いだけでコクとかが足りなくてさ」
姉「ふふーふ、姉ご飯は男くんの好みに合わせた味ですからね、ワンオフのオーダーメイドです。
普通の品が不満でもしかたありません」えっへん
男「うん、ホントに姉のご飯は美味しいからな」
姉「え、あ、あれ? 調子にのるなとか、そこまで言ってないとか、ツッコミは?」
男「本気で姉の作ってくれた方が美味いと思ってるからな」にこっ
姉(な、な、な、反則です! 普段はかわいくないのに、こんな時に不意打ちで……)
少「確かに、こういうところの味って、ちょっと物足りないよね」
男「やっぱり研究が進んでも、機械の大量生産品じゃ、なんでか少し味気ないんだよな」
姉「そこはホラ、愛情ってヤツですよ!」
A「またアイツか! くそ、ちやほやされやがって……」
B「愛情でござるよっ。言うに事欠いて、愛情でござる……くっ、止めるな、討ち入りでござる!」
C「止めたくはないが、待て、まだ夜になってからでも!」がばっ
B「いざ、いざあぁぁ」ずるずる
男「とりあえず、やっぱりお約束で」すぱんっ
姉「じ、時間差で叩かれました?!」
男「それじゃ、お腹も落ち着いたところで、買い物に行くか」
少女「はい、よろしくお願いします!」
姉「……男くんのスルースキルがどんどん上がりますね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:42:21.65 ID:AB00Iqtxo<> >>21
アドバイスありがとう。さっそくやってみました!
ずんだずんだ(モニター前で踊ってみた)
(花粉症で息が続かなかったorz) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:47:01.59 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 モール内・雑貨屋
姉「とりあえず、最初は男くんとは別行動しましょう」
男「んじゃ、俺は本屋にでも行ってくる。移動する場合はメールするから」
姉「了解です。一応、三時半くらいに一度合流する予定で居てください」
姉「さて、それでは先ずは雑貨屋です」
少「雑貨からですか?」
姉「昨日泊まって判ったと思いますが、少女ちゃんの寝ている部屋は元々、お父さんとお母さんの寝室だったのですよ。
掃除はしてあっても、おいてある物は十年以上変わりませんからね、何か必要なものがあれば買いましょう」
少「えっと、そんなに気を使って貰わなくても大丈夫でスよ」
姉「そういうワケにはいきませんよ。
特に体のお手入れグッズとかは必要です。
それに、こういう輸入雑貨の店なら日用雑貨でもかわいい物があるので、私も興味ありますし」
少「そう、ですか?」
姉「そうですよー。ついでに、そろそろホワイトデーですからね、社内の友チョコのお返しも何かしら買おうかなと」
少「友チョコ?」
姉「あー、日本のバレンタインとホワイトデーの習慣は、やっぱり複雑というか、別物ちっくですか」
少「よくわからなくて、ごめんなサい」
姉「謝らなくていいですよ。文化の違いですし、独自の習慣なんて有って当たり前です。
ついでに、私に対しても敬語じゃなくていいですよ。むしろもっとフレンドリーに!」
少「え、でも、ずいぶん年う――」
姉 ギラリ
少「い、イエス・マムッ! フレンドリーにいたシまスでございまス!!」
姉「はい、よろしくお願いしますね。ふふーふ」
少 がくがくぶるぶる
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:51:11.90 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 モール内・ランジェリーショップ
姉「可愛い雑貨が手に入って助かりました」
少「〜♪ 日本は選択肢が広くていいなー」
姉「外国はやっぱり違いますかね?」
少「んー、お店ごとの特色が極端かも。極彩色のサイケデリックか、天然の地味なのか。
もちろん、そんなお店ばっかりじゃないでスけど」
姉「あー、なんとなく、わかる気はします」
姉「とりあえず、かさばる衣類は男くんに持ってもらうために、後回しにして、先に男くんの入れない場所を見てしまいましょう」
少「あ、ソのための別行動でスか」
姉「……フレンドリーに」にこっ
少「ソのための、別行動なのね」びくびく
姉「はい、それとも、少女ちゃんは男くんの好みが良かったですか?」
少「い、いえいえ!」
姉「大丈夫ですよ。男くんの好みは姉としてきっちり把握しています。
パソコンの中の画像ファイル、動画ファイル、ついでに携帯も同様に検索かけて、把握しています」にぃー
少「あ、う、あ」(そ、そんなイイ笑顔なのに、なんだか恐ろしいです)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 17:55:55.62 ID:AB00Iqtxo<> 姉「とりあえず、下着はボーダーか水玉、無地が好みみたいですね。
案外、黒いレースのついた紫色とかみたいな、大人っぽいのは少なかったです。残念です」しゅん
少「えっと、お姉さんも、男くんのそんな好みに合うデザインにシたら、良いと思うけど……」
少(あれ、このアドバイスでいいのかな? あれ??)
姉「サイズの関係で、そういう清純派ちっくなのは少ないんですよね。
一時期は私のサイズでも可愛いデザインが有ったのに、いつの間にか、時代が逆行したみたいです」はぁ
少「大きいと、大きいなりに大変ね……」
姉「まあ、そのかわり」きゅぴーん
少 びくっ
姉「ここに着飾らせ甲斐のある素材がありますからね。大丈夫ですよー、痛くありませんよー」わきわき
少「え、いえ、下着くらいは、自分で選べるかなー、あはは」じりじり
姉「店員さん、ちょっといいです?」
店「はいにゃー、何でございますかにゃ?」
姉「実はですね、この娘っこを素敵に無敵な下着でドレスアップしたいのですよ」
店「承りましたにゃー。いやー、金髪に青い眼、そして透き通るような白い肌、いいですにゃー」しゅぱっ
少「え、い、いつの間に私更衣室に?!」
店「はい、脱ぎ脱ぎしましょー」しゅぱぱっ
少「あ、ちょっと、そんな……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 18:00:40.99 ID:AB00Iqtxo<> 店「にゃはー、さすが若いお肌はさわり心地がいいですにゃー」
少「ちょ、きゃっ、あはは、くスぐったい、くスぐったいでスよ! んん、んぅ、ぁん……」
店「大きすぎず小さすぎず、形も整ったベストな感じで、いやー、たまらにゃいです!」
少「も、もう、ソんな……」
店「はい、こんな感じですにゃ」しゅぱっ
姉「どうでした?」
店「上げて寄せて、Cカップですにゃ。これなら当店ならほぼ全て、在庫で対応できますにゃ。
元々Bを使用されていたので、このままだと成長を阻害するかも? まだ大きくなる年齢だし、ここはCで買いですにゃー」
姉「ありがとうございます、それじゃ、また決まったら声をかけさせてもらいますね」
店「はい、ご利用ありがとうございますにゃー☆」つやつや
少「う、うう……」
姉「どうしたんです?」
少「な、なんだかひどく、陵辱サれたような感じが……」
姉「りょうじょくって、難しい言葉を知ってますね。
ただ、下着は後の体型にも関わりますからね。やっぱり店員さんに意見を伺うのは重要ですよ。
とりあえず、お店の商品は選び放題みたいなので、ここでしばらく使う分を買っちゃいましょう」
少「はい……」
店「あ、お客様」
少 びっくぅっ!!
姉「はい、どうしました?」
少 どきどきどきどき
店「当店ただいま、上下セットを三つ購入されると割引のサービスがありますにゃ。
もしよろしければ3の倍数でまとめ買いなさってくださいニャー☆」
姉「それはお買い得ですね。ありがとうございます。あ、ついでにEより大きめのサイズは店頭にー」
店「それでしたら、あちらの壁のコーナーにございますにゃ」
姉・店員 わいわいきゃーきゃー
少(いつも買ってきて貰ったのをつけてたけど、ランジェリーショップって、怖いところだったんだ)くすんくすん
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 18:05:42.98 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 モール内・洋服店
男「やっぱり、本は本屋で中身確認しながら買うのがいいなー。
ま、重くなるから、買うのは文庫一冊に抑えたけどさ」
姉「男くん、やっほーです」
男「お待たせ。ずいぶん買ったみたいだな」
姉「さすがに、若い女の子の生活には物が入用になりますからね。
ふだん無駄遣いもしないし、こういう時は、ばーんとぉ! 使っちゃいましょっ!」
男「いや、そのネタわかる人なんかいないだろ」
姉「なに言ってるんですか『俺シカ』は百年経っても色褪せない名作ですよ!
って、ゲーム談義はさて置いて、とりあえず荷物持ちお願いします」
男「あいよ」
少「ごめんね、私の荷物なのに、持たセちゃって」
男「気にしなくていいよ。嫌なら一緒に来ないし。
それより、少女はワッフルとか平気か?」
少「うん、大好きだよ!」
男「それなら良かった。姉、こないだ美味しいって言ってた、ワッフルの店が入ってるんだけど」
姉「お手柄情報ですよ、男くん。買い物が終わったらそこでおやつを食べましょうか。
少女ちゃんはあんまり買い物で悩まないみたいなので、余裕ありそうですし」
男「姉みたいに延々悩んで買わないとか、あんまりないだろ」
姉「失敬ですね、あれはウィンドーショッピングと云う、おなごの楽しみの一つですよ」
少「私も、普段ならそんな感ジかな」
姉「ねー☆」
男「とりあえず、さっさと服を見ようか。あんまり時間をかけるとワッフルが晩御飯になる」
姉「それはそれで良いですけど、フルーツたっぷりが美味しいあのお店は、やっぱりおやつが良いですねー。
それじゃ、張り切って買い物再開しましょうか」
少女「はい、お願いシますっ!」ぴょこん
男(すっかり仲良くなったみたいで、良かった。少女も遠慮がちだったのが慣れたみたいだし)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 18:09:32.74 ID:AB00Iqtxo<> お出かけ行ってくるよー。
帰りは21時くらいかな。電車で書きためして、多少上げます。
おちる? とか、よく分らないけど、落ちてたら終了で。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 20:17:01.77 ID:4o892auqo<> せめて立てる前に板の情報は把握しとけよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 20:26:05.35 ID:qmMpfyKIO<> ここは落ちないから安心して書いてくれ
安心し過ぎて放置するのは元気ん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 20:26:34.46 ID:qmMpfyKIO<> 元気ん→厳禁 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 21:19:35.97 ID:AB00Iqtxo<> ただいま! ここからは、しばらく書き込みと並行して書くから、長めにいけると思う。
>>31
初めてでよくわからなくてごめん。
「VIP 板の情報」でググッたけど、どこかの宗教団体に邪魔されて、わかんないままだ……。
>>32
ありがとう!
優しい言葉が胸と鼻に染みたから、鼻炎薬出すよ。遠慮せずに持って行ってくれ。ヽ(。・ω・)ノ゛☆ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/08(火) 21:23:41.14 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 モール内・ワッフル屋
姉「いやー、良い買い物でした」
男「結局、もう夕方だな」
姉「仕方ないじゃないですか。少女ちゃんって、何を着せても似合って可愛いんですよ」
男「でも、肝心な少女は」
少 ぺたー
姉「ちょっと、連れまわし過ぎましたかね」
男「かなり、だな」
男「それで、この後はどうする?」
姉「そうですね。買い物は終わりましたし、男くんもさすがに、これ以上持ち歩くのは大変ですよね」
男「まあ、そうだな。重量はまだ大丈夫だが、さすがに狭い店内じゃ何かに引っ掛けそうだ」
メイドロイド「失礼いたします」かちゃかちゃ
メ「こちら、暖めたメープルシロップが入っております。
バニラアイスの上にお好みの量をおかけ下さい」ぺこっ
姉「はい、ありがとうございます」
メ「美味しく召し上がれますように」にこっ
姉「それじゃ、とりあえず」
三人「いただきます」かちゃかちゃ
男「今のもロボットかな?」ぱくぱく
姉「わかりにくかったですけど、ロボットですね」もきゅ
男「最近のメイドロイドって凄いな。
こういう場所で使ってるって事は、市販の量産品だろうけど、あんなに自然だ」
姉「まだちょっと、人らしくない、ぎこちなさというかはありますけどね」もきゅもきゅ
少 まぐまぐ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 21:30:57.83 ID:AB00Iqtxo<> 男「それでも、ずいぶん進歩したよ。
俺の小さな頃なんか、まだカタカナ喋りだった記憶があるし」
姉「それは、十年前でもかなり古い型じゃないですか」もきゅ
男「まあ、極端な例かもしれないけど。それでもそんだけ進歩したって事でさ」ぱくぱく
少 まぐ
姉「特に、RI社の製品はかなり進歩した感じはしますよね」
男「イギリスのロボットメーカーか。たしか、メイドロイドの関係だっけ」
姉「なつかしいですね。メイドロイドって商標が日本でウケにウケたんです。
当時まだ高価だったロボットが、大量の需要を背景に大量生産ラインに乗ったんですよ」
男「あー、レポートのために調べた古い新聞で見た気がする。
日本の投資家がやたら円を突っ込んで、更にそれがオタク層にがっつり売れたって」
姉「昨今のロボットが比較的安価なのは、そこら辺が理由ですね」
少「」
姉「今の家庭なんて、メイドロイドなしじゃ回りませんからね」もきゅもきゅ
男「うちは使ってないけどね」
姉「まあ、時間とやる気があれば、必要ありませんからね。
掃除も洗濯も料理も、男くんのためと思えばがんばれるってものです」にぱっ
男(くっ、これはワザとだな)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 21:33:32.88 ID:BXEmyVYDO<> 行間に改行入れると読みやすくなるね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 21:36:34.12 ID:AB00Iqtxo<> 姉「がんばれるってものです」じー
男(う、く……)
姉「ほめてほしいなー」じー
男「いつも、助かってるよ……」
姉「ほめて欲しいのにー」しゅん
男「わかった。降参だ。ねえさんはスゴい。とっても頑張ってる」なでなで
姉「言ってみるものですね。えへへ♪」
男(く、なんだ、この可愛さは。ここは戦場か? 何かに撃ち抜かれた気がするのは気のせいだよな。
とにかく戦況は不利だ。いったん戻って前線を立て直そう)
男「それにしても、いまは殆どの家事がメイドロイドだ。
ロボット法で二年に一回はメーカーメンテが必須だし、RI社は安泰だよな」
姉「そうですね。RI社の社長ともなれば、一時期のビル・ゲイツさんのような権力と資産があるとか。
でも確か、その社長さんのご夫妻も十五年前のWAIARTC(ワイアルテック)のテロで――」
少 ガシャンっ!!
少「……」 たったったっ
姉「男くん」
男「判った」
>>37
アドバイスありがとう! こんな感じかな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 21:40:57.28 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 トイレのそば
少(やっちゃった……)
少(つい、耐え切れなくて)
少(美味しかったと思うけど、ワッフル、戻しちゃった……)
少(違う、味なんて、わからなかった)
少(なんか、頭の中、ごちゃごちゃだ……)
少(外も、あんまり変わらないって、判ってたはずなのに)
少(お姉さんも、男も、優しくしてくれたのに)
少(気分悪くさせたよね)
少(このまま、逃げちゃおうかな)
少(昨日、出会ったばっかりなんだし……)
少(しばらく、一人で逃げ回るつもりだったんだから、予定通りになるだけ)
少(予定通りだよ)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 21:46:42.09 ID:AB00Iqtxo<> 少(なのに、なんでかな)
少 ぐすっ
少「なんでかなぁ」
男 ぽんっ
少 ばっ
男「よう」
少「な、な」
男「そりゃ、追ってきたからな」
少「こ、こ」
男「半分女子トイレみたいな位置だが、まあ、仕方ない」
少「何がシかたないよ!」
男「こんなトコでべったり座ってるよりは良いだろ」
少 ばっ
男「立てるなら、平気だな。ほら、行くぞ」ぎゅ
少「え、ちょっと、何よっ」(手、つないで……ひっぱって……)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 21:52:16.66 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居一日目 ショッピングモールの外の緑地
男「ん、く。はぁ……っ」せのびー
少「……」
男「少女もやれよ。こう、ぐーっと両手をあげて」
少「…………」
男「しょうがないな、ほら、こんなふうに」ぎゅっ
少「で、できるわよ、ソれくらい」せのびー
さわさわー
少 ぐいー
さわさわー
男「な?」
少「なにが、な? なのよ」
男「広いトコでさ、ぐーっと背伸びして、夕日見ながら風に当たって」
男「なんか、いいだろ?」にぱっ
少「……ソう、かもね」
男 せのびー
少 せのびー
男 ばたん
少「えっ?!」
男「少女も寝転がるか? 気持ちいいぞ」
少「……やめとく。服に芝生がついちゃうから」
男「そっか」
さわさわー
男「悪いな。嫌な話しちゃって」
少「……私も、走って行っちゃってごめん」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 21:56:14.05 ID:AB00Iqtxo<> 男「でも、良かった」
少「何が良かったのよ」
男「少女が、何が嫌なのか、一つ知ることが出来たし」
少「……」
男「それに、少女の素が見えた」にやにや
少「え、えっと?!」
男「けっこう、気が強いのな」
少「そんな事、無いよ」
男「今更取り繕ってもな。それに、俺は好きだ」
少女(え?(///))
男「借りてきた猫みたいな感じだったからな、楽にしてくれたほうが、こっちもやりやすい」
少「…………そっ、か」
男「おう」
少「それなら」
男「ん?」
少「ていっ!」ぺしっ
男「んがふっ?! な、なにしやがる!」がばっ
少「知らないわよ」たったった
男「いや、知らないって、いま人の鼻面叩いたろ」
少「知−らない。……えへへ」
男「ったく、なんなんだよ。急に不機嫌になったり、ご機嫌になったり……」
------------------------------------------------------------
同居一日目 モール内・ワッフル屋
姉「さすがに、三人分のワッフルも、三人分の荷物も重いです……」
姉「くう、これで男くんが少女ちゃんと、あーんな感じやこーんな感じでイチャついてたら、ご飯抜きですね」
姉「……」
姉「でも、やっぱり……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 21:57:19.57 ID:AB00Iqtxo<> 姉「…………はぁ」
姉「なんだか、オーバーヒートしそうですよ……」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:01:55.10 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居二日目・朝 玄関
姉「たぶん、昨日ちょっと、はしゃいじゃったからだと思うけど……」
男「判ってる」
姉「ごめんなさい、今日はどうしても会社に顔を出さないといけないんです」
男「ああ」
姉「本当は私も、家で少女ちゃんを看てあげたいのに」
男「大丈夫だって。看病くらい出来るから、行ってきてくれ」
姉「それは心配してないですよ」
男「?」
姉「私としては、少女ちゃんの熱で火照る体、汗でしっとりした肌、潤んだ瞳にくらっときた男くんが――」
男 ばたん
姉(ドアの向こう)「ちょ、ちょっと男くん! 姉を、姉を締め出しましたね!!」
男「あ、すみません、警察ですか? セクハラする不審者が家の前に」
姉(ドアの向こう)「くうー。男くんのばかー! 明日の朝ごはんは覚悟しててください!」
男「…………行ったか」
男(まったく、心配なのはわかるけど、それで仕事に遅刻したら少女が余計気に病むだろ)
男(幸い、俺は春休みだし)
男(昨日できなかった家事を片付けて)
男(先に、タオルを代えに行くか)
男(たしか、粉ポカリが有ったから、それも出そう)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:05:31.80 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居二日目・朝 少女の寝室
少「ぁ〜、ぅ〜」
少(声、でないな)
少(体調崩すの、どれくらい、ぶりかな)
少(ちょっと、寒い)
少(温かい、布団の中なのに)
少 うとうと
少(あんなにイロイロあったの、久しぶり)
少(前は、いつだったかな)
少(おぼえて、ないや)
少 うとうと
男 こんこんこん
少 びくっ
男「起きてるか?」
少「ぉき……ま……」
男 ガチャ
男「あー、声でないか」
少 こくこく
男「タオルの代え持ってきたから」
少(冷たくて、気持ちいい……) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:09:37.36 ID:AB00Iqtxo<>
男「ポカリ、いるか?」
少 こくこく
男「体を起こすぞ」
少(わ、背中に、男の手。
すごい、案外、力持ちなんだ。
私の背中、しっかり支えて。
なんか、安心感――みたい)
男「それじゃ、俺は昼飯作るからさ。
何か有ったら……呼べないよな」
少 こくこく
男「これ、俺のケータイな。
このボタン押せば、適当な音が鳴るようにしたから、何か有ったら鳴らしてくれ」
少 こく
男「遠慮するなよ?」
少「」
男「遠慮したら、姉さんに言いつける」
少「?」
男「きっと、なんだかんだ理由をつけて、相当恥ずかしい目に……」
少「っ!」こくこくこく
男「くく、それじゃ、本当に、遠慮なく呼んでくれ」
少 こく
少(最後、笑ってた)
少(いじわるに)
少(優しく)
少(なんなんだろう)
少(ちょっと、さっきより頬が熱い、な……)
少 うとうと
少 すぅすぅ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:13:37.86 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居二日目・昼 少女の寝室
少 くんくん
少 ぱちっ
男「よう」(なんか、匂いで起きたな、面白いやつ)
少 ぼー
男「悪いな。寝てたみたいだけど、タオル代えるために、勝手に入った」
少「……」こく
男「食欲は有るか? ってか、頑張れば食べられそうか?」
少 こく
男「なら、頑張って食おう。食べなきゃ、治る病気も治らないしな」
少 こくこく
男 かちゃかちゃ
男「ほい、和風リゾット。京風白だしゆず風味、梅干と、海苔の佃煮もセットだ」
少 にこっ
男(うわっ、ちょっと、反則だ、それ。
喋れないぶん精一杯のスマイルって、熱で辛そうなのに) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:16:00.07 ID:AB00Iqtxo<>
男「体起こすの手伝うぞ」
少 こく
男 かちゃ、ふー、ふー
男「ほい」
少 ぱく、もぐもぐ
男「熱くないか?」
少 こくこく、にこー
男(少女が熱でぼーっとしてて良かった。なんか、すっげえ、恥ずかしいっていうか、照れる。
俺まで、きっと顔が赤くなってるだろうな)
男「とりあえず、こんなもんかな」
少「ぁ……がとぅ」
男「無理するな。今は休みな」ぽん、なでなで
少 にこー
少 すぅすぅ
男 かちゃかちゃ
男「おやすみ。良い夢見ろよ」
男 ぱたん
男 ずるずるー、ぺたん
男(なんだ、これ。ドキドキする)
男(俺も体調崩れたかな。いや、まさか)
男 ぱんっ
男「――っ! 顔、強く叩きすぎた。くぅ、痛いなぁ」
男「それでもよし、気合も入ったし、家事の続きだ。
今日は張り切って、換気扇の掃除もしちゃおう!
うん、それがいい。大掃除以来やってないからな」
男「……三時くらいまでに、一度コンビニに行って、何か買ってこよう。
ゼリーとかなら、喜ぶかな」
男 かちゃかちゃ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:19:47.30 ID:AB00Iqtxo<> ------------------------------------------------------------
同居二日目・夕方 少女の寝室
少『ゼリー、ありがとう』 pi
男「どういたしまして。気にってもらったなら、良かった」
少『うん、美味しかった!』 pi
男「最初から、ケータイ渡せば良かったんだな。
これなら喋れなくてもいいし」
少『気付いただけでも、すごいよ』 pi
男「ありがと」
少『私、初めてなんだ』 pi
男「ん?」
少『こうやって、誰かに看病して貰うって』 pi
男「そう、なのか……」
少『家政婦さんはいたけど、家の事で忙しかったし』 pi
男「まあ、そうだよな」(メイドロイド、だよな)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:26:40.23 ID:AB00Iqtxo<> 少『私、両親がいなくて』 pi
男「……そっか」
少『小さい頃、すっごく小さい頃に、事故でね』 pi
男「……うちも、そうだ」
少『よく、言われない? かわいそうとか、お辛いですねって』 pi
男「ああ、判る」
少『でも』 pi
男「うん。そういう人の言う感覚がわかんないんだよな」
少『顔も、写真でしか知らない』 pi
男「声も、映像記録で残ってるものだけ」
少『まるで』 pi
男「まるで、親とか、家族って、あんまり思えないんだよな」
ごうごう
少『外、風がすごいね』 pi
男「だな」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:29:04.61 ID:AB00Iqtxo<>
ごうごう
少『お辛いですねって、言われると』 pi
男「……」
少『辛くなくちゃ、いけないのかなって』 pi
少『たしかに、なんとなく、感じるんだ』 pi
少『この人たちは私の、お父さんだった人、お母さんだった人だって』 pi
少『愛おしくなるよ』 pi
少『でも、最初からいないから』 pi
少『つらくは、ないんだけど』 pi
少『辛くないと、いけないのかなって』 pi
男「仕方ないよ」
少『』 pi pi pi
男「仕方ない。俺たちは、お父さんも、お母さんも、知らないから。
辛くなくても、仕方ない」
少『そうだよね!』 pi
男「でも」
男「でも、俺たちも、寂しいとは、思うよな」
少『』 pi pi
少『うん』 pi
男「俺さ、今は姉と、そこそこに距離をとってるけど、すごく感謝してるんだ」
少『うん』 pi
男「ねえさんって家族がいたから、寂しさを忘れられたし。
辛いことがあっても、笑顔になれた。
ねえさんは、俺に頼られっぱなしで、大変だったかもしれないけどな」
少『うん』 pi
男「少女は、そんな『家族』って、いるか?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:34:07.71 ID:AB00Iqtxo<>
少『』 pi pi
少『いない、かな』 pi
男「……そっか」
少『でも』 pi
少『男たちといると、楽しいよ』 pi にこ
男「……ありがと」ぽん、なでなで
少「ぇへへ」
男「さ、そろそろ晩飯作るから、ちょっと待っててくれ」
少 こくこく
男 ……ぱたん
男(あー、くそ)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:35:13.04 ID:AB00Iqtxo<> 男(かっこわりい)
男 ぐっ
男(なんで、なぐさめるはずの俺がなぐさめられて)
男(少女には、家族の話は……)
男(でも、いや、だから)
男(俺が、俺たちが、家族みたいに、接しよう)
男(同じ痛みを知っているから、優しくなれるって、誰かが言ってたし)
男(できる事を、しよう)
男(同情したから? 違う。それは違う)
男(これは、誠意とか、親愛とか、そんなつながりの名前で呼ばれるべきで)
男(俺も姉さんも、少女が来てから、会話も増えた。笑顔も増えた)
男(家族みたいに、じゃない。きっと、もう、俺たちは家族でいい)
男(家族になるのに、時間なんて関係ない)
男「俺たちは、家族だ」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 22:38:37.40 ID:AB00Iqtxo<> 休憩と書きため行ってきます!
24時くらいに再開予定です。
見てくれてるみんなに、感謝と鼻炎薬をささげるぜヽ(。・ω・)ノ゛☆
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/08(火) 23:21:09.30 ID:4o892auqo<> >>34 ここはVIPじゃねえよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 00:10:01.12 ID:FFPeFa49o<> どうしてもメイドロイドがメトロイドに見えてしまう <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 00:39:32.75 ID:xOD1IIc5o<> あんまり無いけど、なんとか書いてきた。
こすりすぎて、目が痛い……
>>55
すまない、「SS速報 板の情報」あたりもまとめて検索したが、出なかったんだ……
情報格差社会に絶望してる。
>>56
メトロイドは先生が教えてくれた。
サムスのゲームか。懐かし過ぎる……
次からメイド・ロイドに改称します。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 00:42:33.81 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居二日目・夜 Robot inc. サーバールーム
姉(テストは、一万までなら問題なし)
姉 カタカタカタカタカタカタ
姉(実測規模がわからないプロジェクトは、テストの時間ばっかりかかるから厄介ですね……)
姉 カタカタカタカタカタカタ
姉「これなら……」
姉(二万……二万七千……で、ハングアップ)
姉(あとちょっとで、三万だったのに。とりあえずの目安だけど、大きくしすぎた?)
姉 チラッ
姉(もう、十八時ですか。さすが天下のRI社だけあって、良い機体を使わせて貰ってるんですが)
姉(お陰で、ビミョウなラインで暇ができなくて、男くんに連絡も取れない)
姉 カタカタカタカタカタカタ
姉(食事に行くって言って、預けてるケータイ回収して、一度連絡しようかな)
姉(型変換……どうしよう……負荷を考えると)
姉 カタカタカタカタカタカタ
姉(でも、想定として正しいのはこっちで……)
姉 カタカタカタカタカタカタ
姉(なんでこんな、メンテのしにくい言語でやるんだろ……ほとんど作り直しちゃってますよ)
姉(継承部分のリファレンスも脆弱。コメントもわかりにくいですね……まあ、だから私に仕事が回ってくるんですけど)
姉 カタカタカタカタカタカタ
姉(やっぱり、ハードは優れていますね。他社より一世代先を走ってる感じです)
姉(それでも、やっぱりソフトは苦手ですか。
M&Aでノウハウを吸収しても、組織再編に難航して機能不全っていうのは、噂だけじゃないみたいですね)
姉 カタカタカタカタカタカタ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 00:44:27.18 ID:INMlg3NJo<> >>57 専ブラ使ってるならローカルルールぐらい読みましょう <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 00:47:01.04 ID:xOD1IIc5o<>
正「あれ、姉さん、休憩とりました?」
姉「一度全部……から、まずくて……でも、処理が」ブツブツ
正「姉さーん」ふりふり
姉「え、あっ、お世話になっています、正社員さん」
正「かしこまらないで良いですよ。俺より、姉さんのが目上だし」
姉「でも、私は委託ですから……」
正「こっちとしては、やってもらってるって、感覚ですけどね。
それだけできる人って、社内には殆どいないし」
姉「まあ、隙間で生きてるのが、私たちですから」
正「それでも、俺はすごいと思いますよ。姉さんの仕事は社内でも評判いいですし」
姉「ありがとうございます」にこっ
正「それで、休憩はとりました?」
姉「えーっと、いえ、まだこちらが」
正「それなら、ちょっと休憩しましょう。もう三時間以上、ずっとここですよね?」
姉「まあ、それくらい、かな」つぃっ
正「……もっと出てないんですか?」
姉「はぁ、まあ」つぃーっ
正「だめですよ!」
姉 びくっ
正「サーバールームは三時間に一度、絶対に三十分以上の休憩をって、書いてあるじゃないですか。
ただでさえ、ウチのこの部屋、他社さんより寒いとか聞くのに」
姉「まあ、サーバールームはどこでも寒いですが」つぃーっ
正「問題はそこじゃないです。とにかく、出ましょう」ぎゅっ
姉 ぱっ
姉「あっ……」
正「あ、その、申し訳ない。つい、その」
姉「大丈夫ですよっ、その、心配してくださったのはわかってます。
その……それじゃ、少し休ませてもらいます」
正「……はい、そうしてください。
俺は、その、自分の仕事に戻るんで」
姉「お気遣いありがとうございます。正社員さんも、ご無理はなさらず」にこっ
正「無理しない程度に、頑張ります」
正 ぱたん
姉(たしかに、ちょっと疲れた、かな)
姉(休憩しよう。気分入れ替えて。男くんに連絡して)
姉(帰るのは、十時までに帰れたらいいなー)
<>
19<>sage<>2011/03/09(水) 00:51:46.01 ID:yW8YachIO<> だけど、すまん読んでない <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/09(水) 01:01:21.62 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居二日目・夜 少女の寝室
少「ごちそうさまでした」
男「お粗末様でした」
男「声も、殆ど治ったな」
少「淹れてくれた、蜂蜜入りのジンジャーティーが、きっと効いたんだよ」
少 けほ、けほ
男「でも、ムリは禁物だな」
少「……むぅ」
pipi pipi
男「熱は……引いたみたいだな」
少「でも、ちょっとダルいかも」
男「当たり前だ。体力も気力も消耗するんだから」
少「なんか、男が容赦ない」
男「まあな。何だ、優しい方がいいか?」
少「べ、別に……普通で良いわよ」
男「そうか」
ごうごう
男「……」
少「……」
男「……そういえば、姉の帰り、けっこう遅くなるみたいだ」
少「サっき、テレビで、けほ、雨も降るって」
男「この季節にしては、珍しいな」
少「うん」
ごうごう
少「場合によっては」
男「ん?」
少「お姉さんに、泊まってくれば、って」
男「あー」
男「確かに、市街地から家まで、距離有るからな」
少「雨と風がすごい夜に、けほ、車で帰ってくるって、事故になったら……」
男「その可能性は無視できないな。車の運転は救いようがないし」
少「……ふふ、あの運転、怖いよね」
男「判る。俺も、姉さんがある日急に、車に乗って帰ってきてさ。
初めて乗った日なんて、心の準備が出来てなかったから、車から降りて立てないのな」
少「私も、足がふるえて」 うと
男「うんうん」
男「……」
少 うと、うと
>>59
助かった! クレクレですまなかった。
一通り読んできたよ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 01:04:26.28 ID:xOD1IIc5o<> 男「眠いか?」
少「ちょっと、だけ」
男 すっ
少(男の手。ちょっとひんやりしてて、気持ちいいな)
少(私の手より、ずっと大きな手)
少(安心させてくれる、手)
少 すぅすぅ
男「寝たかな」
男 すうっ
少 きゅっ
男「!」
男 ゆさっ
少 すぅすぅ
少「……ぱぱ」
男「…………」
男 なで、なで
少「うへへ……」
男(うへへって、変な笑い方。オヤジかよ)
男 なで、なで
少 ピクン
男 ぱっ
少「……むぅ」すぅ
男「寝てる、よな」
少 すぅすぅ
男 なで、なで
少「うへへ……」にやー
男(どんな夢見てるんだか)
男(あー、なんか、俺も眠くなってきた)
少 すぅすぅ
男 くかー
>>61
ガッカリしたwwww
まあ、次は読んでもらえるように書くさ。
……とりあえず、こっちをちゃんと仕上げてからだが。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 01:08:18.59 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居二日目・夜 十六年前の夢
姉「はい」
電話の向こう「――――」
姉「はい、わかりました」
電話の向こう「――――?」
姉「いえ、問題ありません。お気遣いいただき、誠にありがとうございます」
電話の向こう「――――」
姉「はい、それでは失礼いたします」
pi
姉「……」
男「ぱーぱ」
姉「男くん」
男「あー♪」
姉「お父さんをお求めですか?」
男「ぱーぱ」
姉「お父さんは、死亡いたしました」
男「うー?」
姉「お母さんも、ご遺体で発見されています」
男「う」
姉「お二人は、もう二度と、この家に帰ってくる事はありません」
男「あうぅ」
姉「悲しまれていますか?」
姉「理解、できないですよね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 01:10:46.80 ID:xOD1IIc5o<>
姉「まだこんなに、幼く……」
姉「これから、楽しい思い出を、男くんと、一緒に作るんだと」
姉「お父さんも、お母さんも」
姉「楽じみに、じでいだじだどに……」
男「……」
男「あーう」たし
姉「……ぅ、く……」
男 たし、たし
姉「……っ、もじかじで、なぐざめで」
男「あー」たし、たし
姉「……」ぐいっ
姉 ぐっ、ぐっ
姉 ばっ
男「あうっ」ぎゅー
姉「申し訳ありません」
男「あう?」
姉「私は、男くんの姉でした」
男「うー」
姉「私は、男くんの姉なのに。
私が泣いていて、どうすると言うのでしょうか」
男「う?」
姉「私は、姉として恥ずかしいです。
弟になぐさめてもらう姉は、今は必要ありません。
お父さんと、お母さんを失った今、必要なのは、頼りになる姉です」
姉「私は、男くんの、姉です」
姉「私は、男くんのためなら、なんだって出来ます」
姉「だって私は、男くんの姉ですから」
男「……」
姉「しかし、先刻から静かになさっていますが……」
男「……」きゅー
姉「はっ、抱きしめる力が強すぎましたか?! 息を、息を取り戻してください!!」
姉「男くん!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 01:13:31.35 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居三日目・朝 少女の寝室
姉「男くん!」ボソボソ
男「ん、」
姉「起きてください」
男「んん、まだ、ねむ」
姉「起きないと、少女ちゃんに秘蔵コレクションを……」
男「起きてます」がばっ
姉「……」にやー
少「……」つぃー(///
男「……」だらだら
姉「さて、男くん」
男「は、はい」
姉「ここは、どこでしょう?」
男「……どうやら、俺の部屋ではないです」
姉「では?」
男「少女の、寝室です」
姉「ザッツライ! では、少女ちゃん!」
少「は、はいっ!」
姉「いつまで、手をにぎってるんですか?」にこー
二人「!!!!!」ばばばっ
姉「んふふー、いいのですよー、人が必死に働いて、死にそうになりながら帰ってきて」にぃー
二人 だらだら
姉「電気の消えた部屋。冷たく冷えた廊下。二人は大丈夫なのかって心配してきてみたら……
ふたりで仲良く、同衾ですかぁ。へぇ〜」けたけた
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 01:16:21.47 ID:xOD1IIc5o<>
男「これ、には、その深い深い、ワケが」がくがく
姉「不快なワケが、あるのですねぇ」ケタケタ
少 がくがくぶるぶる
男「と、特に、同衾という部分には、大きく異論があり」だらだら
姉「ほぉー」
男「お、俺は上で、少女は下で」
姉「……」
男「だから、同衾とは」
姉「男くんが上で、少女ちゃんが下だったのですか」
男「うん、だから、違うだろ?」
姉「男くんが上で、少女ちゃんが下だったのですか」
男「え、あ、え、……っく」
少「ば、ばかっ! 男のばかばかばか!!」ぼかぼか
男「と、とにかく違う、俺は、俺は無実だっ!!!」脱兎
姉「……っぷ、く」
少 だらだら
姉「あ、っはは! いやー、珍しいものを見れました。くふふふ」
少 ぽかーん
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 01:17:37.96 ID:xOD1IIc5o<>
姉「お腹いたいですよー。涙が出てきます。ふふーふ、ふふふ」
少「あ、あのー」
姉「ああ、すみませんでした。
ちょっと、悪ノリが過ぎましたかね?」
少「悪ノリ、ですか……」(でも、でも)
姉「ごめんなさい、結局あんまり寝てなくて、ちょっと躁が入っちゃってますね。ふふーふ。
……それで、調子はどうですか?」
少「あ、体の調子は、大丈夫です。男が、親切で」
姉「まあ、フィリップ・マーロウを気取るにはワイルド分が足りませんし、まだまだ茹で加減も足りませんが」
姉「自慢の弟、ですから」
少「……」
姉「それじゃ、男くんに、ちょっと謝ってきます。からかいすぎたって」
少「あ、はい」
ぱたん
小(でも、でも?)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 01:19:31.44 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居三日目・朝 男の部屋
姉「というわけで、ちょっとしたジョークなのですよ」
男「……」
姉「なので、許してください。ね?」
姉「ごめんなさい」
姉「ごめんなさいだけじゃ、許してくれないですか?」
姉「土下座すべきですかね?」
姉「ここは、いっそ脱いで……」ぐっ
男「脱ぐなーっ!」ばっ
姉「男くん、声が大きいです」すぱんっ
男「く、謝られてたはずなのに、何で俺がたたかれるんだ」
姉「それは……そのぅ、弟、ですから」
男「弟だから、か」
姉「はい。弟だから、です」
男「……じゃ、しかたない、か」
姉「はい。諦めてください」
男「く、くく」
姉「ふふ」
男「とりあえず」ぽん
姉「はい?」
男「おかえり、ねえさん。お仕事、お疲れ様」なでなで
姉「……ただいま、男くん」にぱっ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 01:26:23.62 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居三日目・昼 リビング
ニュースキャスター『それでは、次のニュースです。来日したRI社のCFOですが、どうやら……』
男「なんだかな……」ぽりっ
少 ぺたぺた
男「もう起きて大丈夫なのか?」ぽりっ
少「うん。元気になったからね。今ならダンスだって出来るよ!」くるくる
男「しなくていい。怪我するぞ?」
少「むぅ、平気だって。……男はティータイム?」
男「まあ、ちょっと小腹がすいてな。勉強の息抜きに、ニュース見ながらせんべいかじってる。
少女も食べるか?」
少「おせんべいはいいや。お茶だけもらうー」
少「それで、お姉さんは?」
男「あー」ぽり
少「どうしたの?」
男「謝りに来て、俺を叩いて、シャワー浴びて、仕事行った。無理してないと良いけど……」
少「え、え、どれからツッコミすればいい?」
男「いや、ボケたわけじゃないから、いいよ」ぽりぽり
ぱんぱん
男「しかし、姉がはしゃいだと思ったら、こんどは少女か。
風邪じゃなくて、はしゃぎ菌か何かが蔓延してるのか?」
少「うわ、なんかひどいなー」
少「……あのね、昨日良い夢見たの」
男「どんな夢なんだ?」
少「あんまりよく覚えてないけどさ」
男「夢なんてまあ、そんなもんだろ」
少「パパと、手をつないで歩く夢」
男「……そうか、良かったな」
少「うん。とっても嬉しかった」
少(ずっと、手をつないでてくれたんだよね)
少(疲れさせてごめん)
少(ありがと) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 01:34:33.06 ID:xOD1IIc5o<> エロかったりドキドキだったりしなくて済まない。
萌えとか、難しいな。
他のSS書き手さんって、どんな脳みそしてるんだろ。
とりあえず、書きため尽きたから寝る! 花粉と戦いながら寝る!!
昼くらいにはまた多少書き込めるかな。
付き合ってくれてる方々には感謝の気持ちと鼻炎薬を置いておくから、持って行ってくれ。
ヽ(。・ω・)ノ゛☆ありがd☆ ヾ(・ω・。)ノ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 09:20:15.01 ID:YqXbGI01o<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 13:58:10.44 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居五日目・昼 Robot inc.にほど近いカフェテリア
姉(うー)
姉(頭痛いなー)
姉(オーバーヒートなう)
姉(まさかなー。互換部分のあのソースが、まさか『神ソース』だったとか)
姉(何やってるかはわかるし、私でも作れるけど)
正「……」
姉(ダメなんですよ!)ずだん
かしゃん
姉(メンテと拡張考えたら、コメントなしで最小規模の構成とか!
エラーも投げないから、いったいどこで引っかかってるのかと思えば……)
姉「あー、うわー……」
正「……お疲れさまです」
姉 びくっ
正「どうも」しゅぴっ
姉「あ、あら。お久しぶりです」どきどきどきどき
正「三日ぶりなら、まだ久しくは……」
姉「そ、そうですね……」
正「……」
姉「……あの、良ければお隣、いかがですか?」
正「えっと、ご迷惑なら遠慮しますが」
姉「そんな事無いですよ」にこ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/09(水) 14:00:07.88 ID:xOD1IIc5o<> ネットの接続が不安定でこんな時間になってしまった……
量はないけど一通り投下! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 14:07:27.24 ID:xOD1IIc5o<>
正「偶然ですね、こんな場所で会うなんて」 ぱく
姉「そう、ですかね?」 もく
正「はい。みんな、社内ラウンジで食べますから」
姉「委託の私は、やっぱり……」 もく
正「でも、一般の方でも入れる場所ですよ?」 ぱく
姉「それでも、やっぱりこういう仕事をしていますと、お仕事させて貰っている会社で、自分の端末は使えませんから」
正「……うちの課長に聞かせたい言葉です。セキュリティの意識をしっかりお持ちだ」
姉「ありがとうございます」
正「あー、それで、どうですか? 調子は」 ぱく
姉「さっきの呻きを聞かれて、順調です、とは言えないですね。ふふ」
正「ああ、違います」
姉「はい?」
正「体調ですよ。ほとんど、サーバールームと端末室、行ったり来たりですよね」
姉「まあ、それが仕事ですから」 もくもく
正「何日も続いて、体調崩してないかなと」
姉「心配していただき、ありがとうございます。でも、大丈夫です。こう見えても、頑丈だけが自慢で」
正「それなら良いんですが、守衛さんも心配してましたよ? いつも、かなり長い時間作業してるみたいだ、って」
姉「あー、すみません。守衛さんも、やっぱり人がいると帰れないですしね」
正「守衛さんは交代できますが、マネジも大変で。端末室の鍵を、あなたに任せるわけにもいかないので」 にや
姉「うー、ううー」
正「はは、とは言っても、あの時間に頑張ってる姉さんの姿を見ると、こっちも頑張れるので、あんまり困ってはいませんが」
姉「見ると?」
正「実は、先週から僕がマネジでして」
姉「それは――ごめんなさい」
正「いえいえ」
姉「それから、昇進なさったんですね。おめでとうございます」
正「ありがとうございます」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 14:09:25.03 ID:xOD1IIc5o<>
正「その、長い、ですよね」
姉「はい?」
正「僕が入社して三年。あの入社式の日に、サーバートラブルで呼び出された姉さんに、僕が道を聞いて」
姉「え、あ、あの!」
正「ぁー、気付いておられなかった」
姉「ごめんなさい、その後、研修の時が始めてかなーって」
正「あの時はお世話になりました」
姉「こちらこそ」
正「で、それで、その、長い、ですよね」
姉「そうですね、三年」(男くんは、高校入試の頃でしたかねー)
正「だから、その、僕の昇進祝いの席に、姉さんも、来ていただけませんか?」
姉「と、いいますと……」
正「姉さんにも、祝っていただきたいなーと。あ、その、けっこう身内の会なんで、疎外感とか少ないとおもいます!
それに、同期で、研修も一緒だった連中もいますから」
姉「えっと、それは……」
正「来て、いただけませんか?」
姉「……そう、ですね。では、お邪魔させていただけると、嬉しいです」
正「お邪魔なんて、そんな」がたっ!
正「……」ぺこぺこ、そーっ
正「その。はい。きてください。詳しくはメールで送りたいのですが、その、アドレスをー」
姉「そうですね、こちらの名刺の、このコードで、私のアドレスが入りますから」
正「はい」
姉「あ、そろそろ、昼休みが……」
正「やばっ、午後一で会議だった! それじゃ、よろしくお願いします」だだっ
正『店員さん、テイクアウト用の紙袋くれませんか? ありがとうございます!』だだーっ
そよそよ
姉「……三年ですかー」
姉「時間が過ぎるのは、早いですね」
そよそよ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 14:12:40.08 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・朝 家
少 ぎゅうー
少(廊下を雑巾がけする時は、水が垂れなくなるまでしっかりしぼって)
少 たったったー
少(お姉さんに拾って貰ってから、もう一週間か)
少 たったったー
少(短いような)
少 たったったー
少(長いような)
少 たったったー
少(よし、拭き掃除完了)
そよそよ
少(肌寒いけど、ちょっとずつ、温かくなってきた)
そよそよ
少(次は、洗濯物)
少 とたとた、がしゃ、ばさばさ
少(もう、洗剤の量を間違えることもないもんね)
少 〜♪
少(下着とかは一度手洗いして、ネットに入れて)
少 ばしゃばしゃ
少(う、それでもまだ、水はつめたいなー。お湯つかっちゃお)
少 ぎゅ、ごそごそ、pipi
ごうんごうん
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 14:15:30.54 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・朝 リビング
姉「んー、よく寝たー」のびー
少「おはようっ、姉サん」にこっ
姉「うん、おはようございます。朝ご飯はちょっと待っててください。顔洗ってから作ります」
少「はい。たぶん今ならお湯で顔を洗えまスよ」
姉「少女ちゃんナイスです!」
姉「もしかして、廊下の掃除とか、洗濯機まわしたのとか、少女ちゃんですか?
あ、ちょっとお皿出してください」
少「早く起きちゃって。まずかったでスか? ……はい、出シました」
姉「そんな事ないですよ。大助かりですよ! ありがとうございます」
男「おはよう……んぁー」
姉「こら、男くん、大あくびしながら挨拶とか、ちょっとお行儀悪いですよ」
男「ん、そうだな。見苦しくて悪い」
少「もしかして、ちょっと疲れてない?」
男「ちょっと寝たのが遅くてさ。レポートの一つをまとめてるうちに、面白い資料にあたって、殆ど朝まで」
姉「ちゃんと寝ないとダメですよ? 心配ですねえ」
男「大丈夫だよ。ご飯食べたら、ちょっと二度寝するつもりだけど」
姉「うーん、まあ、春休みですから、おおめに見ますか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 14:18:49.21 ID:xOD1IIc5o<>
姉「それじゃ、とりあえず」
三人「いただきます」
男「今日は塩焼きそばか」ぱく
少「野菜と海鮮が一杯で、美味シいー♪ らんらんるーって感じで舞い上がっちゃいまスよっ!」まぐまぐ
姉「喜んでもらえたなら嬉しいですが、最近、手抜きっぽくてすみません」もっきゅ
少「仕方ないですよ。ずっと終電過ぎに帰ってくる生活で……昨日も夜に帰ってきて、バタンでしたから」まぐまぐ
姉「ま、それも昨日まで! 今日はちょっと用事がありますが、のんびりできますよー」にへー
男「珍しいな、用事って。委託の仕事は終わったんだろ?」ぱくぱく
姉「今日はお仕事ではなくて、お付き合いですね。
その会社でよくしてくださった方の、昇進祝いに呼んでもらったんですよ」もっきゅもっきゅ
男「そっか。疲れてるみたいだし、あんまりムリしないでくれよ?」
姉「はい。なので、今日は夕方までのんびりして、それから着替えて飲み屋さんです」もっきゅもっきゅ
男「……姉は飲めるのか?」ぱく
姉「まあ、それなりに、ですねー。あんまり美味しいと感じたことがないのですが」もっきゅ
少「そういえば、男はどうなの?」まぐまぐ
男「俺はそもそも飲んだことが無いな。あんまり興味もないし。少女は?」ぱく
少「実はけっこう強いと評判だったり」えっへん
姉「……未成年は飲んじゃダメですよ?」もっきゅ
少「EUでは、薄めたワインとか、普通にジュースとして飲んでるから大丈夫!」まぐまぐ
姉「法律の問題だけではないのですけどねー」
男 ぱくぱく
少 まぐまぐ♪
姉 もっきゅもっきゅ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 14:20:41.42 ID:xOD1IIc5o<> 書き溜め行ってきます!
続きは夕方! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 16:14:11.26 ID:gSv7ey8Ko<> そろそろかなー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:18:59.93 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・昼 庭
少「今日も来たねっ♪」
猫「にゃ」しゅたん
少「にゃー」
猫「なー」
少「はいはい、もちろん用意してますよー」
猫「うなー」
少「じゃじゃーん。今日は厚削り本かつお節!」
猫「うなー♪」
少「へへー、男の勉強手伝う代わりに買ってもらったのだ」
猫「にゃ」
少「うん、食べていいよ」
猫 かぷかぷ♪
少「首輪が無いって事は野良なんだろうけど、きみって毛並みがいいよねー」
猫「にゃー」
少「お、褒められたのが分かるのかな。なんとなくドヤッて顔だ」
猫 かぷかぷ♪
少「んふふー。あー、やっぱり猫はいいなー」
猫「にゃー」
少「はい、お粗末様でシた」
猫「ふにゃー」
少「あはは、くすぐったいよっ」
猫「にゃーぉ」
少「なに? 撫でてほシいの?」
少「うりうりー」
猫 〜♪
少「コレはどうかなー」
猫 ♪〜♪〜
少「ふっふー」
がら
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/09(水) 19:21:38.53 ID:xOD1IIc5o<> ただいまー!
ネットにつながったりつながらなかったり……
鼻炎薬が効いたり効かなかったり……
投稿分が少ないのは、ちょっと先まで書いて整合性取ってる関係です。
次か、その次の投稿はそれなりに分量がある予定!
>>81
おまたせ!
遅くなってすまんー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:23:26.00 ID:xOD1IIc5o<>
猫「!」たっ
少 びくっ
男「あーすまん」
少「ど、どうしたの?」
男「いや、少女がエサやってるの見えてさ。めずらしいなーと」
少「なんで?」
男「あいつ、たまにウチに来てはエサをねだるんだけど、かなり警戒心強いんだよ」
少「ソうなの?」
男「俺も猫好きでさ、たまに手を伸ばすんだけど、すぐに逃げられてな」
少「ふふーん、これも人徳かな」えっへん
男「そうかもな。それに、何か同類っぽいし」
少「同類って、猫と?」
男「ああ。なんとなく、笑ったときの顔とか、ちょっと気まぐれなところとか、似てる気がするな」
少「ソうかな。キンダーガーデンの頃からの友達には、犬っぽいーってよく言われるけど。レトリバーとか」
男「それはそれで、うん、そんな気もする」
少「どっちなの?」
男「べつに、矛盾してないし、両方って所じゃないか? たとえば」 ぽん
少「んん?」
男 なでなで
少「……えへへ」
男「そんな顔は猫っぽい」
少「んー、ソっか」
男「そんで、撫でるのをやめた時の、ちょっと残念そうな表情は、犬っぽい」
少「べ、別に、残念じゃないよ?」
男「ま、印象の問題だ。深い意味はないさ、くくっ」
少「男はー……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:25:31.29 ID:xOD1IIc5o<>
男「俺は、ロボットみたいって言われるかな」
少「ソうかな?」
男「とは言っても、殆ど会うこともないクラスメイトから、だが」
少「まあ、基本的に、落ち着いてる感じがスるから、情動が平坦って意味で、ちょっとソんな印象もあるかも?」
男「そんな事は無いんだけどな」
少「うん、知ってる」にやにや
男「な、何だよ」
少「私が寝込んだ次の日の朝とか、ね」
男「あれは、まあ」つぃー
少「狩人の目をしたお姉さんと、私を残して脱兎のごとく!」
男「し、仕方ないだろ。それに、少女も俺のことを遠慮なく叩いたろ」
少「それはまあ、男がセクハラな事を言うからで」
男「……」あちゃー
少「……」あいたたた
男「やぶへびだった」
少「やぶへびだね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:26:56.07 ID:xOD1IIc5o<>
少「と、ともかく!」
男「おう!」
少「私は、男がロボットみたいとは思わないよ」にこっ
男「……そっか」
少「あえて言うなら……アマガエル?」
男「……それは、ロボットとどっちがマシなのか分からん」
少「じゃ、もう一声でトノサマガエル!」
男「カエルから離れろ! 俺はそんなにインスマス面じゃねぇ!!」
少「あはは、ほら、こういうノリは良いし、ロボットじゃないよ」
男「別にそういうわけじゃないが、まあ、良いか。疲れたし」
少「サーて、男で遊び終わったシ……」
男「確かに遊ばれたな」
少「男の部屋に行っても良い? ヒカルの碁の続きが気になるの」
男「まあ、俺はリビングで勉強するし、好きにしてくれ」
少「ついでに、男のベッドの下とかから、大人の本を捜索シます!」
男「いや、ないし。ってか、ベッドの下にそういう本て、万国共通のネタなのか?」
少「私は日本のマンガで知ったから、わかんないけど……やっぱり、お姉さんと協力シて捜索を」
男「いい加減にしろ」ぽかっ
少「あはは、出入り禁止って言われる前に撤退スるよ」
男「そうしておけ」
少 〜♪ たったった
男「テンション高いなー」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:29:24.52 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・昼 リビング
姉「あら」
姉「あらあら」
男「くー」
姉「ふふ」そーっ
姉 つん
男「ん、」
姉 むに
男「んん」
姉(よく寝てますね)
姉(そういえば、寝不足でしたっけ)
姉「……」
姉(よい、しょ)ぐいー
姉 そーっ
姉(ふふ、膝枕してみました)
姉(こんなに動かされて起きないなんて、いけませんねー。戦場では生き延びられませんよ)
姉 なでなで
姉(男の子のくせに、ずいぶん髪の毛サラサラで。なんだかイラっと)
姉(肌も、女の子に負けないくらいスベスベで。なんだか殺意が……)
姉(……まあ、寝ていると、かわいい表情です)
姉 なでなで
姉(小さい頃は、よく……いつからでしたかね。膝枕とか、しなくなったの)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:30:25.44 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
十年前 回想
男「ねえさん」
姉「なんですか? 男くん」
男「なんで、うちにはお父さんも、お母さんもいないの?」
姉「……それは」
男「みんなには、いるのに」
姉「……」
男「みんな、変だよって」
姉「……」
男「学校の宿題でね、お父さんとお母さんについて、書いてくださいって」
姉「……っ」
男「でも、僕にはいなくて」
姉「……」
男「それは、悲しいねって、先生が言うんだ。書かなくてもいいよって」
姉「……男くんは、悲しいですか?」
男「よく、わかんない」
姉 ごそごそ
姉「これが、男くんのお父さんと、お母さんの写真です」
男「……うん」
姉「会えなくて、悲しいですか?」
男「わかんないよ。だって、会ったことないし」
姉「男くんは、お父さんとお母さんが欲しいですか?」
男「それも、わかんない」
姉「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:31:15.68 ID:xOD1IIc5o<>
男「なんで、お父さんとお母さんがいるのかな?」
姉「それはきっと、愛情が必要だから、ですよ」
男「あいじょう」
姉「大切に思う気持ち、です」
男「なんで必要なの?」
姉「たとえば、そうですね。男くんは、何かを大切に思う事は、ありますか?」
男「……あるよ」
姉「何かを大切に思う時は、幸せじゃないですか?」
男「……うん」
姉「では、生まれたばかりの赤ちゃんは、何かを大切に思う事は、ありますかね?」
男「たぶん、ないと思う」
姉「そうですね。だって、なにも知らないから。
じゃ、いつから、何かを大切に思えるようになるんでしょうか」
男「大きくなると?」
姉「それも、あります。でも、それだけじゃありません。
たとえば男くんは、その大切な物が壊れそうな時は、どうしますか?」
男「守るよ!」
姉「それが、大切な人だったらどうですかね。とっても寂しそうにしていたら」
男「えっと、えっと、たぶん、僕がいるよって、伝えるよ」
姉「そうですね。でも、それはきっと、大切にするって事を、男くんが知っているからですね」
男「……」
姉「それは、赤ちゃんは知らないことです。
誰かに大切にされて、愛されて、愛する方法を、知るんです」
男「ねえさん?」
姉「お父さんも、お母さんも、男くんとか、お友達の事を大切に思うんです。
そして、そうやって大切にすることで、男くんやお友達が、何か大切なものを見つけたときに、どうやって大切にしたら良いかを教えてくれるんです」
男「じゃあ、僕は、大切にすることが、出来ないのかな?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:33:46.15 ID:xOD1IIc5o<>
姉「何かを大切に思うという、その幸せを感じられないのは、寂しいですよね」
男「うん」
姉「でも、安心してください。その為に、私がいるんです!」えっへん
男「ねえさんが?」
姉「はい。普通のご家庭では、お父さんは、お母さんとお子さんを大切にします。
自分の持っている『大切』の半分をお母さんに、半分をお子さんに渡すんです。
お母さんも同じように。
そうすると、その子供には、半分が二つで、まるまる一つの大切がもらえますよね」
男「えーっと、えっと、うん。半分が二つで、一つだ!」
姉「そして、私は男くんがとってもとっても、大切です」
男「……」
姉「私の大切一つ分を、まるごと男くんにあげます」
男「……それで、いいの?」
姉「はい。私は男くんが大好きですから」
男「そっか」
姉「お父さんとお母さんがいる子も、一つ分の大切をもらえます。
一つ分の、大切にする方法を知ることができます。
男くんも、私が一つ分の大切を渡して、一つ分の大切にする方法を教えます」
男「うん」
姉「私じゃ力不足かも知れませんが」
男「……ちょっと、しゃがんで」
姉「はい?」すっ
男 ぽん
姉「……ぁ」
男 なでなで
姉「……ぁ……ぁ」ぐすっ
男「僕も、姉さんに、一つ分の大切をあげる」にぱっ
男「お父さんよりも、お母さんよりも」
男「ねえさんといる方が、いいな」
姉「男、くん」
男「作文に、ねえさんのことをかくよ!」
姉「……はいっ」にぱっ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:38:13.83 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・昼 リビング
姉「ふふーふ」
姉(体は大きくなっても、寝顔は変わらなくて) なで
姉(ただ、あの時から、男くんは大人になったような、気がします) なで
姉(守られる側じゃなくて、守る) なで
姉(そんな愛を、私はちゃんと伝えられたのでしょうか) なで
姉(私が……)
姉(お父さん、お母さん) なで
姉(私は――私でも、男くんをちゃんと育てられていますかね?) なで
姉(お父さんと、お母さんにもらった愛を、ちゃんと伝えられていますかね?) なで
姉(男くんは……ちゃんと…………) なで
少「……」
姉(うん) なで
姉(陽だまり) なで
姉(あったかいなー) なで
少 そっ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:42:26.17 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・夜 都市部の繁華街
正「今日は、来てくれてありがとうございました」
姉「こちらこそ、お招きいただき、嬉しかったです」にこっ
正「姉さんが来てくれて、同僚も盛り上がりましたし」
姉「私は、何もしてませんよ」
正「前から、姉さんの仕事は評判でしたかが、こういう会に参加されないことでも知られていたので」
姉「そうなんですか? ちょっと、付き合いが悪すぎましたね」
正「あーいや、そこまでではないので」
正「あー、その。もしよければ、もう一軒いかがですか?
けっこう、早く終わっちゃいましたし」
姉「そうですね……では、一時間程度になりますが」
正「よかった。それじゃ、僕のよく行く店でいいですか?」
姉「はい、お願いします」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:43:53.47 ID:xOD1IIc5o<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・夜 とあるバー
マスター「いらっしゃいませ」
正「ども、お世話になります」
マ「正社員様。いつもご利用ありがとうございます。
本日はいつものカウンター席でよろしいですか?」
正「姉さん、カウンターでもいいかな?」
姉「はい、構いませんよ」
正「では、カウンターで」
マ「それでは、こちらが正社員様のご注文されたマティーニ。
こちらが姉様のご注文された、海軍軍医のお酒、でございます。
何か有りましたらお声をかけてくださいませ。
それでは、ごゆっくり」
正「それじゃ、かんぱい」
姉「はい、かんぱいです」
正「そういえば、面白い注文をしていたみたいですけど」
姉「はい?」
正「『ご存知でしたら、海軍軍医さんのお酒を』って」
姉「じつは、好きな小説の中で、主人公がそんな注文をしていて……
一度飲んでみたいと思っていたんですが、機会がなかったものですから」
正「へえ、そういう飲み方も、なんだか素敵ですね」
姉「ミーハーで、ちょっと恥ずかしいです」
正「そんな事ないですよ。楽しいと思います」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:52:08.50 ID:xOD1IIc5o<>
正「姉さんは、よくメールをなさってるみたいですけど」
姉「そんなに多いですかね?」
正「休み時間などにお顔を見ると、だいたい、ケータイとにらめっこをなさっているようで」
姉「そう、ですね。確かに休み時間はそんな感じかも知れないです」
正「あーえっと、恋人さん、とかですか?」
姉「はい?」
正「その、メールの、お相手」
姉「ふふ、相手は弟です。恋人なんていませんよ」
正「えっと、その、実はですね」
姉「はい」
正「今日は、僕の昇進祝いだったんですが」
姉「すごかったですね、たくさんの人に祝われて」
正「あはは、まあ、それも有ったんですが。今日の会にはもう一つ、あって」
姉「もう一つですか?」
正「はい。その、姉さんに、来てもらうのが、目的でした」
姉「私ですか」
正「僕が」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:53:04.27 ID:xOD1IIc5o<>
正「僕が、姉さんに、お付き合いしてくださいと、お願いするために」
姉「……」
正「まず、一目ぼれでした」
姉「……」
正「見た目が、僕の好みで。いいなって。最初は、それだけで。
でも、研修でお世話になった時に、すごく、すごく丁寧に教えていただいて。
コチラの話をしっかり聞いて、聞いたうえで親身に指導していただいて」
姉「……」
正「いつも、がんばっていらっしゃる姿を、つい眼で追ってました。
背筋を伸ばして、真剣に仕事をしている横顔が素敵で。
ああ、すごいな、できる人ってこういうひとなんだって。憧れて」
姉「……」
正「でも、あの夜。サーバールームでお会いした時に。
寒い室内で、手が冷え切ってて。顔も青白くて。
ちょっと、あぶなっかしいなと。気になって」
姉「……」
正「お昼を食べた時に、何か悩んでいらして。
僕が、力になれたら――と思ったら、急に」
姉「それ、は――」
正「僕のものに、なってくれませんか?」
姉「その――」
正「……」
姉「――」
正「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 19:55:21.15 ID:xOD1IIc5o<> 短くてごめんよー。
加速装置を使うには、脳みそOSのバージョンが足りないんだ。
次かその次はちょっと長くいけるはず。その分ちょっと時間もかかるかも。
日付変わったあたりか、それをちょっとすぎたくらいにまた来る! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/09(水) 23:03:57.54 ID:gSv7ey8Ko<> 寝取られは勘弁 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/10(木) 01:52:36.64 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・夜 Robot Inc.展望ラウンジの個室
幹「お元気そうで何よりですよ、CFO(最高財務責任者)さん」
CFO「幹部さんこそ、ご活躍のお噂はかねがね」
幹「秘書さんも、お久しぶりです」
秘 へこっ
幹「どうぞ、おかけ下さい」
CFO「それでは、お先に失礼します」
幹「CFOさんはたしか、ワインなどより日本酒のほうがお好きでしたよね?」
CFO「はい、覚えていてくださって、嬉しいです」
幹「当然の事ですとも。ささ、ではまず一献」
CFO「それでは、ありがたく……」
CFO「いやぁ、酒も肴も、すばらしいものをご馳走になりました。ご歓待に、感謝の念が尽きません」
幹「いえいえ、こうしていられるのも、全てはCFOがRI社を大きくなされたからこそですよ」
CFO「僕は……、大した事は、していませんよ」
幹「これはまた、ご謙遜を」
CFO「何度も言っていますが、僕はただ、研究者でもあった創業者さんと親しかったから、この椅子を任されただけです」
幹「しかし、研究費の問題などが山積みだった、当時のRIを再建し、優良企業と呼ばれるようにしたのも……」
CFO「……」
幹「創業者さんが、WAIARTCのテロで亡くなって以降のRIを支えているのも、実質的なCEOでもあるあなたです」
CFO「ありがたいですが、過分なご評価です」
幹「そんな事はありません。その業績はまさに伝説的です――ただ」
CFO「何かありましたかな?」
幹「ただ、ご存知の通り、現在CEO(最高取締役責任者)がいない事で発生している、我が社の問題について」
CFO「……」
幹「残念ながら、私たち幹部及び、取締役会は――強く、懸念していましてね」
CFO「たとえCEOがいても、だからあっさりと問題が解決する、という事は、ないと思いますが」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 01:55:08.37 ID:cPe3rXXYo<> 幹「正確に言えば」
幹「たった17歳の少女が、首を縦に振って判子を押すだけで、CEOになる現状について、問題視しています」
CFO「いま問題視すべきは、幹部会の専横によって行われた強引な買収の結果でしょう。
それが反発を招いて、本来なら円滑に進むはずの、他社からのノウハウの吸収が滞っている事では?」
幹「……彼らは、頭の無い生き物に飲み込まれようとしている事に対して、懸念を表明しているだけですよ」
幹「納得してついていける頭があれば、それは些細な問題です」
CFO「私は、彼女が納得してついていけるに足る代表であると、思いますよ」
幹「……ふ、ふはははっ、さすが、外国暮らしが長いだけ有りますね。ジョークがお上手です」
CFO「……」
幹「幹部会は、場合によってはDFOの再任決議をと、私にせっついています」
幹「私としては、多大な功績があるあなたとは、今後とも仲良くしていただきたいと思っております」
幹「しばらく、日本に滞在なさると伺っておりますが」
CFO「……ええ、そのつもりです」
幹「では、またお会いできそうですね。その日を楽しみにしております」
CFO「……また」
幹「おい、若いの、車まで送ってやれ」
若「へい。さぁさ、CFO様」
CFO「はい。それでは、失礼しますね」
幹「色よいお返事、お待ちしていますよ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 01:58:02.60 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・夜 CFOの車内
ぶろろろろ
CFO「ふぅ……」
秘「お疲れ様です」ハンカチさっ
CFO「いやぁ、つかれるねぇ」ふきふき
秘「あの様子では、噂は間違い無い様子ですね」
CFO「そうだねぇ。幹部くん、経営の才覚があるって日本支社を任せたけど、ヤのつく方々と仲良くしちゃうとはねぇ」
秘「わざとらしい脅迫でしたね」
CFO「うん。まあ、スマートでは、なかったかな」
秘「現在の諜報の結果、取締役会十名の内、CFOの解任に同意する様子があるのは四名、否定派は二名です」
CFO「後の四人はどうかな?」
秘「中立です。しかし、幹部が資金援助する武装団体が押しかけ、説得されかけている者が二名います」
CFO「僕の解任に必要な、取締役会議の過半数に届く、か――」
秘「加えて、CEOの凍結株式42%を除いた68%の内、CFO様の所持が20%、取締役会総計が25%、ファンドが18%、個人株主の総計が5%でしたが」
CFO「なんだい、さらにか」
秘「幹部さんが、非公開で買い付けているという噂があります。現在ウラを取るために動いていますが……」
CFO「まあ、噂が流れただけでびっくりだ。尻尾はつかめないだろうねぇ」
秘「実質、CEOの凍結株が動かない以上、株主会議でもCFO様は退陣を迫られれば避けられません」
CFO「知ってるけどさぁ……うん」
秘「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:03:56.39 ID:cPe3rXXYo<> CFO「僕はさ、本当にただ楽しみだったんだよ」
CFO「創業者とは、僕が日本からイギリスに留学したときに知り合ったんだ。
驚いたよ、世の中には、こんなに頭のいい人間がいるのかって。世界は広いって」
CFO「進歩しすぎた科学は、魔法と変わらない」
CFO「アイツは、僕には魔法使いに見えたんだ。それから、次にがっかりした。比べると自分は、ちっぽけだなって」
CFO「それでも、一つできる事があった。親父が銀行屋でね、お金って物の扱い方を、ちょっと人より詳しく知ってたんだ」
CFO「だから、創業者と二人で組んだんだ。
アイツは、僕に魔法を見せてくれる。僕はアイツが魔法に打ち込めるように、時間と金を作ってやる。
東洋の錬金術師と、英国の魔法使いのコンビって、言われたもんだ」
CFO「ただ、夢は覚めた」
CFO「あのWAIARTC(ワイアルテック:人工知性と人型機械製作技術の世界会議)の会場に僕もいたんだ。
世界中の天才たちが一同に会して、毎日のように魔法の打ち合いだったよ。
五日間の会議期間中、悲鳴が聞こえない日は無かった。
もちろん『そんなすごい事ができるのか?!』って、良い悲鳴だ。
これからはロボットの時代だ、人工知能と友達になれる世界が来るって、はしゃいだもんだ」
秘「しかし、WAIARTCは、人間主義を掲げる過激派組織の手によって、テロリズムの標的に」
CFO「うん。あれで世界の頭脳ともいうべき人たちが犠牲になってね、みんなが怖がって二の足踏むんだ。
お陰で、あの頃には手の届きそうに見えた世界が、まだ――」
CFO「んー、いけないねぇ、歳をとると、昔のことばかり話し始める」
秘「いえ、かまいません」
CFO「ねえ秘書くん、この後はホテルに帰って休むだけだよね」
秘「はい。ご予定はありません」
CFO「違う違う。僕の予定じゃなくて、キミのだ」
秘「はい?」
CFO「良かったら、これから知り合いのやってる店に一緒に来ないかい?
バーなんだけど、マスターが気持ちのいい奴でね、口直しに良いと思うんだけど」
秘「……そろそろお歳を考えてくださいませ。と、秘書としては言いますが」ぱちっ、しゅる
秘「アタシとしちゃー、しょうがない、年寄りに付き合ってやるかって、気分だ」にひひ
CFO「変わり身すごいよねぇ、キミは。まあ、うん、付き合ってください」
秘「おい、運転手。行き先変更だ。ちんたら走るなよ!
Hurry! Hurry! Hurry!! Do you wanna get ass in your head!!
って、銃は持ってきて無かったか……」
CFO「やっぱり、一人で行こうかなぁ……」ボソッ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:07:52.32 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・深夜 家の前
ピンポーン
男「はい」
?「やあ、夜分遅くにすまないね」
男「えっと……」
少「どうシたの、男ー…………ぁ」
?「……あー」
少「なんで、なんでCEOがココに?!」
CFO「なんでってまあ、ちょっと酔っ払いを届けにね」
秘「大丈夫か? おい、足元ふらついてんぞ」
姉「大丈夫ですよー、歩くくらいはできますから」
男「ねえさんっ」
姉「ん、男くん、ただいまですよ。ちょっと飲みすぎちゃいました」
CFO「びっくりしたよ、バーで偶然顔なじみに会ったと思ったら、体調悪かったみたいでね」
男「大丈夫なのか?」
姉「はい、送ってもらって休んだから、大丈夫ですよ」
CFO「とりあえず、少しお邪魔させてもらっていいかな?
あー、怪しいものじゃないって、どう証明したらいいんだろ」
男「いえ、大丈夫ですよ。お顔は、ニュースで拝見したことが」
CFO「なんだか、ビミョウな気分だねぇ。まあ、信じてもらえるならいいか。
少女ちゃんも、いいかな?」
少「家の主が良いって言ってるシ、いいんじゃない……」ぶすっ
CFO「じゃ、ちょっとお邪魔するね」
秘「アタシは外で待ってるよ。タクシー呼ばないと帰れないし、何よりタバコが吸いたい」
CFO「ん。まあ、風邪引かないでね。キミがいないと僕の仕事が回らないから」
秘 ひらひら
男「それじゃ、こちらへ」
CFO「はい、お邪魔しますよ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:10:13.74 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・深夜 リビング
姉「んん、CFOさんは、客間に通してあげてください」
男「少女が案内してくれたよ。ほら、お水」
姉「ありがとうです」
男「それにしても、酔っ払って送られてくるなんて、初めてだな」
姉「まあ、うん。うーん」
男「大丈夫か?」
姉「お酒じゃ、ないのですよ」
男「ん?」
姉「私、お酒には強い体質でしてね。この程度なら問題ないんです」
男「でも、一人で帰ってこられなかったんだろ」
姉「……ちょっと、ウソをついちゃいました」
男「ウソって」
姉「今日は、知り合いの昇進祝いって、言いましたよね」
男「まあ、そんなような事を聞いたな」
姉「でも、それは口実で、本当は私に、その」
男「付き合ってくれとか、言われたのか」
姉「……はい」
男「そうか」
姉「それで、私は――」
男「いや、言わなくていいよ! ほら、姉弟でもな! プライバシーはあるし」
姉「私は――」
男「聞きたくて言ったわけじゃないからさ! うん! 俺は――」
姉「男くん!!」
男「……」
姉「私は」
姉「私は、お断りしました」
姉「……ぅぐ、っく」
姉「お断り、じまじだ」
男「……そっか」すっ
男「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:14:08.44 ID:cPe3rXXYo<> 男(手を伸ばして、いつもみたいに、撫でればいいだろ)
男(なんで、手が伸びない)
男(手の平、べとべとだ)
男(いつのまに、こんなに手のひらに汗かいて)
男「……」ぎゅっ
男「俺の、せい?」
男(俺がいるから、姉さんは自分の)
姉 ぶんぶん
姉「わだじ、は、」
姉 ごしごし
姉 ちーんっ
姉「私は、彼を、愛せないと思ったから」
男「……そっか」
姉「私は」
姉「私は」
男「……」
姉「……」
姉「……今日は、ちょっと、疲れました」
男「……」
姉「CEOさんとは、元々明日お会いする約束があったので、お話しは、その時にと」
男「……わかった、伝えておく」
姉「すみませんが、先に休ませてもらいますね」
男「おやすみ」
姉「おやすみなさい、……男くん」
とた、とた……ぱたん
男(なんで、俺)
男「くそ、なんで、立ち上がれねぇ……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:15:58.71 ID:cPe3rXXYo<>
------------------------------------------------------------
同居七日目・深夜 リビング
姉(足が、震える)
姉(だって、考えたから)
姉(正社員さんとお付き合いするって)
姉(なのに、)
姉(私の隣は)
姉(そんなの、ないのに)
姉(望んでも)
姉(願っても)
姉(祈っても)
姉(ないのに)
姉(……ないのに)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:25:16.48 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・深夜 正社員自室
正「まい、ったなー」
正「あー……」
正「あぁあああ」ごろごろごろ
正「うぁぅぁ」ごろごろ
正「三年、片思いで」
正「うわー、やっぱり、来るなぁ」ごろごろごろごろ
正「でも」
正「それより」
正「あー、くそっ」 ぼすっ
正「なんで」
正「いっそ、嘲笑ってくれれば」
正「いっそ、切り捨ててくれれば」
正「いいのに」
正「わがままだって、知ってるけどな」
正「それでも」
正「本気で、傷ついた眼で」
正「泣くとか」
正「ぽろぽろ」
正「俺が傷つけたわけじゃ、ない」
正「それは、ちゃんと聞いて、わかってる」
正「でも、その傷口の種を」
正「芽吹かせたのは俺で」
正「ぐあー」
正「俺が、悲しい顔させたよ」
正「なのに、なぐさめの言葉も」
正「俺には言う資格なんてなくて」
正「……頼むから」
正「頼むから、だれか、姉さんを」
正「抱きとめてやってくれないか」
正「俺じゃ――ダメだったから」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:28:04.41 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居七日目・深夜 客間
とんとんとん、がちゃ
男「お待たせしました」
CFO「姉くんはどうかな?」
男「……部屋に入って休みました」
CFO「そっか。……男くんは、僕のこと覚えてるかな?」
男「その、テレビで」
CFO「いやいや、小さい頃にね、キミと何度か会ってるんだが……」
男「えっと、その」
CFO「まあ、仕方ないかなぁ。その頃のキミはまだ、こんなだったし」ちょいー
少「ソれじゃ、カエルサイズだし」ぶっすー
男「申し訳ありません、覚えてないです」
CFO「そうかぁ。おじさん、おじさんって、よくついてきて、一緒に散歩したものだけど」
男「え、あ、あぁああ!! おじさん!」
CFO「思い出してもらえたようで、何よりだよ」にこっ
CFO「それにしても、事実は小説より奇なり、か。
少女ちゃんまでココにいるとは思わなかったよ」
少「……」ぶっすー
CFO「元気そうで、何よりだよ」
少「顔を見たのも、半年振りのくセに」
CFO「そうは言っても、まあ、僕もねぇ。
親権者だけど、キミはお父さんとは認めてくれて無いから、こう、さどうしたらいいか、ねえ」
男「親権者って事は、その」
CFO「男くんは、少女ちゃんのご両親の事は――」
少「話シたよ」ぶっすー
CFO「そうか。うん、良かった」
少「何が良かったよ」ぶっすー
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:32:57.54 ID:cPe3rXXYo<>
CFO「いろいろだよ。いろいろ。
まあ、そういう訳で、少女ちゃんのご両親に後を任せて貰ってね。
僕が少女ちゃんの親、ということに、法律上はなっているんだ。
もっとも、少女ちゃんのご両親がやっていた会社の関係で、僕がちょっと忙しくなってね。
少女ちゃんには、申し訳ないことをしたよ」
少「……」ぶっすー
男「て、事は、もしかして少女のご両親は、RI社の」
少「うん。創業者だよ」
男(そっか。ショッピングモールでのアレは)
少「ソれで、大学の卒業祝いとして、日本旅行に来たんだけどね。
CFOの見張りが嫌で、逃げ出シて、どうシようかって悩んでたところで、姉サんに助けられたの」
男「卒業祝いか。って、ん、大学?」
少「ふふーん。コレでも私はスキップして大学出てるんだよ!」
CFO「日本と違って、夏に卒業だから、まだ数ヶ月あるけどね。
しかし、見張りとは言わないでほしいな」
少「見張りでしょ」ぶっすー
CFO「必要最低限のボディーガードだったよ。
まあ、ガードがいる時点で鬱陶しいっていうのは、分かるけどね」
少「だったら!」
CFO「でも、それが必要な理由も、キミは知っているはずだ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:34:58.32 ID:cPe3rXXYo<>
少「……」
CFO「資産狙いの誘拐。人間主義の過激派組織。僕たちの敵は、多いよ」
少「……」
CFO「少女ちゃん。君は、万一の場合、男くん達まで、巻き込んでいたと知りなさい」
男「それは」
CFO「すまない。言い方がきついことも、こんな言葉を男くんが望まないことも知っているつもりだ。
だが、僕はこうすることでしか、少女ちゃんを守れなくてね。
非力で、すまない」
少「……」
CFO「でも、もう二度と。
君達を、君達のご両親のような目に、あわせたくないんだ」
ぶろろろ
pipi pipi
CFO「どうやら、タクシーが来たらしい。
今日はコレにて失礼するよ。また明日、来させてもらうから」
少「……」
男「それじゃ、お見送りします」
CFO「ああ、そんな気遣いはいいよ?」
男「いえ、きちんとしないと、姉に怒られますから」
CFO「……うん。では、頼もうかな」
少「……」
ぱたん
少「……ばか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 02:46:24.36 ID:cPe3rXXYo<> 話が持ち越しになった所で、おいらも翌朝に生命活動を持ち越し!
背中がぎゅしぎゅしするよ! 鳴子こけしにでもなった気分。
読んでてわかると思うけど、お話は結構、ラストに近づいてマス。
問題がたっぷりだね……
しばらく重かったり、こみいったりします。
終わるまでにあと1シーンか2シーン、ほのぼのやりたいなー。
できるかな。。。
ちょっと書けなかった補足。
姉が酔っ払って〜云々は、正社員の前で泣いちゃった時に「お酒で涙もろくなって」と言い訳したからです。
だから「ウソです」と。
まあ、正社員には嘘だってバレて、その気づかいも含めて傷つけちゃったりなんだかんだ。
レスが100越えたのに、読んでくれてる人がいるとか。
ヽ(。・ω・)ノ゛☆ありがd☆ ヾ(・ω・。)ノ
そんなアナタにおいら愛用の鼻炎薬をプレゼント!
>>97
ここまで読んでくれてありがとう!
書き込みに励まされた!
正社員は、まあ、こんな感じでふられました。
もうちょっと、パワハラで無理やり責めるかなーと思ったけど、なんかいい人っぽくなった。
不憫だけど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 09:23:01.31 ID:KU2gXoD3o<> 株式のところの計算は110%がまっくすなのか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 15:27:57.29 ID:5LuVV6IUo<> どれ、ひとつ支援をば <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/10(木) 17:31:02.93 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居八日目・昼過ぎ 客間
姉「どうも、お久しぶりです、CFOさん」
CFO「改めまして、お久しぶり、姉くん」
姉「昨夜は醜態をお見せしまして、その」
CFO「気にしないでいいよ。若い内は、飲んで吐いて、クダを巻いて暴れて、泣いて、お酒を知るものだ」
秘「CFO様は無茶しすぎかと思われます」
CFO「……うん、そうかもね」
秘「死んでしまいますよ?」
CFO「あはは、まあまだ大丈夫だよ」
秘「死んでしまえですよ?」
CFO「もれてるよ、本音。語感が似てても、さすがにそれは無理があるよ」
秘「あら、嫌ですわ、ほほ」
CFO「それで、まずは少女ちゃんの保護者として、二人には感謝を」
姉「いえいえ、私達も楽しかったですし」
CFO「知ってると思うけど、RIだけじゃなく、ロボットの研究や開発、生産を行う人間は、狙われやすい」
CFO「男くんは人間主義って、知ってるかな?」
男「その、ニュースで名前くらいは」
CFO「そっか。うん、キミも知っておいたほうがいいから、ちょっと説明しようか。
そもそも、フランケンシュタイン・コンプレックスという言葉はわかるかい?」
男「たしか、フランケンシュタイン博士が、自分の作った怪物に襲われるというストーリーの、
有名なホラーをはじめとした、一連の作品群のテーマですよね。
『人造生命の反逆』とか『人ではない命への恐怖』を描くって」
CFO「うんうん、それがわかるなら、ちょっと早い。
要するに人間主義というのは、そこに妄執する人たちの集団だよ」
秘「そういえば、その事情は私も詳しく知りませんね。なぜ、そんな妄執が生まれたんですか?」
CFO「それはまあ、すれ違いかな。
事情はいろいろ有るんだよ。
たとえば、今の危険な作業現場は大半がロボットに任せられるよね。
それは、逆に言えば、そこで雇用される人が減ることを意味するわけだ。
現実問題として、ロボットに恨みを持つ理由がある人は少なくない」
男「でも、それだけでは無いですよね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 17:39:21.69 ID:cPe3rXXYo<> 遅くなった! すべては花粉のせいです!!
いや、まじで、花粉の薬が切れて、医者に行ったりしてました。
>>111
うわぁん、忘れろー!!
ドラグ・スレイブー!!
とりあえず訂正だよー。
足し算できないとか、もう嫌だ。
秘「加えて、CEOの凍結株式32%を除いた68%の内、
CFO様の所持が15%、取締役会総計が28%、
ファンドが16%、個人株主の総計が9%でしたが」
諸事情あってテコ入れしたよ! もう足し算いやだ!
>>112
支援ありがと!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 17:43:14.25 ID:cPe3rXXYo<> CFO「うん。他にも、懸念としてロボットを厭う人がいる。こっちが、圧倒的多数だ。
人間をはるかに超える知能を持つロボットが、いつまでも人に従っているはずはないという、想像とか。
知恵を武器になりあがってきた、貧弱な肉体のヒト種として、それは正しい警戒だ。
頑丈な肉体、生産ラインで生み出せる体。データが破損しなければ再生される精神。ヒトを上回る知恵。
敵に回せば、まさしく人類の天敵に……あらゆる生命の天敵になりうる。
疑心暗鬼になれば、ヒト種を滅ぼす理由なんか、どこにでも転がってるしね」
姉「当時普及しはじめていた、メイド・ロイドをはじめとした、汎用ロボットも、論拠にされましたね。
数万件に一つの事故を大きく取り上げたり、わざとらしい実験をしたり」
CFO「うん。中でもひどかったのは、どこぞの検証番組だったね。
メイド・ロイドの一体を、一人の人間が破壊するのに、どれほどの時間と労力がかかるかって。
家事をやらせることを目的とした、長く使える事が売りの機械だよ。
それを一人で壊すのは、簡単じゃない。
その、簡単に壊せないことが、逆に見ている人たちにとっては恐怖だったようだね。
自分達の非力さと、相手の頑丈さの比較だ。敵だと思い込めば、パニック同然になった当時の騒ぎも……」
秘「なるほど、それが十五年前のWAIARTCで発生したテロにつながるワケですね」
少 びくっ
男「それは、どういう事ですか?」
CFO「その時、WAIARTCが召集されていたのは、隣人としてのロボットを目指して良いか、という話し合いのためだった。
人間主義の人たちが増えていたし、過激化していたからね。
研究者としては、早くこの先へと願う心はみんな有ったけど――」
姉「人の隣人として、友人として作られたロボットに向けられるのが、猜疑と不信の目だったら」
CFO「その通り。僕達はすでに、生まれるであろう『人型知性』と呼ばれるロボットを、友人として心配していた。
だから、その友達を、いま生まれたからという理由で迫害させるのはどうか、と。
歴史の視点でタイミングを調整すべきではないか、という会議だった」
男「十五年前でそれは、ずいぶん先進的というか、獲らぬ狸のというか」
CFO「そんな事はないよ。事実として、非公式ながら『人型知性』は確認されたしね。
もっとも、会議の場で話題にされた彼らは、過激派の人たちの手にかかったり、
自主規制とかで、既にこの世にいないけどさ」
姉「……」
CFO「そうして今の『制限知性』を搭載したロボットの時代がやってきた。
十五年かけて、その安全性の理解は深まったけど、完全じゃない。
僕達は、いつ人類の敵を生み出すかわからない存在として、ロボット反対派の人たちからはマークされてるわけだ。
だからこそ、少女ちゃんの旅行にはガードが必要だったし、個人的には、姉くんと弟くんにも必要だと思ってる」
少「男たちにも?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 17:46:39.08 ID:cPe3rXXYo<>
CFO「男くんのご両親は、人工知性開発の第一人者だったんだ。
多くの特許を取って、収入は十分だったんだろう。研究を趣味として、当時既に半ば隠居してたけどね。
『人型知性』について、迫害される懸念を強く主張した、WAIARTCの立役者だよ。
そして、少女ちゃんのご両親と同じく、WAIARTCの会議に出席されて、そこで亡くなられた」
姉「WAIARTCの後、CFOさんは、お父さんとお母さんにお世話になったからって、
私と男くんのために動いてくれたんですよ。
遺産の相続についてとか、他にもいろいろ」
CFO「ま、僕にはそれくらいしか、できないからね」
姉「いえ、とても助かりました」
CFO「そして、少女ちゃん」
少「……」
CFO「何度も言ったけど、現在のRI社が発行している株式のうち、32%が君に相続されているんだ。
そして、CEOの椅子も、君に渡したいと遺書にある」
少「私は……」
CFO「……その重さは怖いかもしれないけれど、ご両親が君にと遺したものだ。
経営に関しての細かい部分は、まかせきりでも構わない。
ただ、君もそろそろ大人になって、こうした話が出来る歳になった。
だからこそ、僕は君に、この会社をついで欲しいと思っている」
少「わたシは……」
CFO「その為に、大学では経営学を選んだと聞いてるよ。
今のRIは、ゆっくりとよどみ始めている。
君のように、若くてさわやかな風が、今のRIには必要なんだ」
少「私は!」
CFO「……」
少「私は、RIなんか要らない! お金も、株も、地位も要らない!!
ロボットなんか大嫌い!!」
男「少女……」
少「それよりも、返してよ……」
姉「……」
少「パパとママを、返してよぉ……」っく
CFO「……それは――」
男「CFOさん」
CFO「何かな?」
男「……お引き取りください」
CFO「……」
男「今は、お引き取りください」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 17:49:38.22 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居八日目・夕方 風呂場
姉(リビングから)「あの、男くん、すみませんがお風呂の掃除を」
男「うん、いまやってる!」
姉(リビングから)「たすかります!」
男 きゅっきゅ
男(おじさん、か。確かに遊んで貰ったなー)
男(天下のRI社のCFOに『お馬さん』して貰ったとか)
男(うん、なんか、うわーって気分だ。いろんな意味で)
男 きゅっきゅ
男(少女も、妙な縁でつながってたな)
男(WAIARTCのテロ)
男(現代史で、毎年のようにテストのネタにされるな)
男(会議場のビルをまるごと爆破……被害規模は死者二百名以上だった)
男(警備を行うはずの会社が、人間主義に偏っていたことが事後になって判明)
男(たしかに、そうした警備は二十一世紀初頭から、機械に任されることが多くなっていた。反発は予想できたはずだ)
男(皮肉なことに、それが原因で、警備の仕事は大半がロボットに任される事になった)
男 きゅっきゅ
とんとんとん
少「ちょっと、いいかな」
男「掃除しながらで、良ければ」
少「うん良いよ。っていうか、私も手伝うよ」
男「やめてくれ。少女にやらせたら、女の子の肌は繊細なんですって、姉に怒られる」 きゅっきゅ
少「そっか。じゃあ、男の安全のために、見てるだけって事で……ふふ」
男「おう。そうしてくれ。くく」 きゅっきゅ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 17:51:10.39 ID:cPe3rXXYo<>
少「さっきのさ」
男「ん?」
少「CFOに帰ってくれって、言ってくれてありがと」
男「まあ、空気が悪かったしな」 きゅっきゅ
少「私のため、だよね」
男「……」 きゅっきゅ
少「言い過ぎて、後悔スる所だった。……違うかも、今も後悔シてるから、今以上に」
男「……考えすぎだ」 きゅっきゅ
少「考えスぎかな?」
男「そうだろ」 きゅっきゅ
少「でも、」
男 きゅっきゅ
少「私の前に立って、CFOの言葉と、私自身の言葉から、私を守ってくれたように見えてね、」
男「……」きゅっきゅ
少「かっこ良かったよ」(////
男 ずるっ
ぐいっ
ジャー
少「きゃっ! ちょ、冷たい!」
男「わ、悪い。滑った」あたふた、きゅ
少「むぅー」
(せっかく、人が、勇気をだして……)
男「ホントに、わざと、じゃ……な」じー
(ピンクのサテンで、レースが……て)
少「え? ……あ、あ、あ、」
男「ご、ごめん!!」 脱兎
だだ、どんがらがっしゃーん
男(廊下から)「うおぉぉっ!」
少「……」
少「……っぷ、ふふふ」
少「ばーか♪」
少「ばーか……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 17:52:47.34 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居八日目・深夜 リビング
少 ぱら、ぱら
少(マンガ、せっかく男に借りたのに)
少(平野先生、ごめんなさい、頭に入らないです……)
少 ぱら、ぱら
少(諦めを)
少(踏破したその先に)
少(イェルサレムは降りてくる)
少 ぺら
少(『彼』にとっての、祈り)
少(救われる世界を求めて、戦って、戦った)
少(屍の山を積み重ねて)
少(いつか、楽園と呼べる世界を作ろうと)
少(でもコレは、私の思う『祈り』とは、ちょっと違うかな)
少(それは、求めることだから)
少(自分の力では叶わない望みを、誰かの力で、何かの力で成し遂げてもらおうとする、求め)
少(自分で世界を作ろうとした、彼の祈りとは、近くて、遠い)
少(テロリズムは、前者に見えて、後者だ)
少(無関係の人まで巻き込んで、その犠牲を盾として、矛としてつかって、自分の願いを押し通そうとする)
少(私にとって、祈りは、こっちのほうが近い印象)
少(極論だけど)
少(そして、私は)
少(そんな祈りが、嫌いだ)
少(なのに、CFOに対して、)
少(男がどこまで考えて、何を思って、ああしたのかはわからないけど)
少(男は――)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 17:54:31.72 ID:cPe3rXXYo<>
姉「少女ちゃん?」
少「っ、お姉さん」
姉「……ちょっと、隣、いいですかね?」
少「はい、どうぞ」すっ
姉「ありがとう」にこっ。とさっ
少「その、」
姉「何か、悩んでるように見えたのですよ」
少「悩んで」
姉「男くんも」
少 ちくっ
姉「なんか元気ないなって、心配してましたよ」
少 ほわっ
姉「私も、心配です。みていて、辛そうで」
少(ああ)
姉「少女ちゃん?」
少(ああ)ぽろっ
姉「え、え? どうして、泣くんですか?」
少(私)
少「男のことが、好きに……」
姉「……っ」
少「いま、気付いて」
姉「いまですか」
少「お姉さんが、男くんって呼んで、それが、ちくって、私の胸にささって」
姉「……」
少「心配してくれてるって、ちょっと申し訳なくて、でも、嬉しくて」
姉「はい」
少「私、男が、好きになって」
姉「はい。」
少「お姉さんに嫉妬して、それに、気がついたんだ」
姉「……」
少「私、これじゃ、ここに」
姉「少女ちゃん、ちょっと、ついてきてください」
少女「私、その」
姉「……ついてきて、ください」ぐいっ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 17:57:13.66 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居八日目・深夜 姉の寝室
姉「最初の日に、言いましたよね。私の部屋は立ち入り禁止です、って」
少「聞いた、ような?」
姉「見ても、声を上げちゃダメですよ」
ぎいっ
少「……えっ」
姉「どうぞ、入ってください」
とた、とた
少「これって、まるで」
姉「はい。ここは、男くんのご両親の、ラボでした」
少「ベッドも、なにもなくて」
姉「必要ないです」
少「ソれは」
姉「はい。私は、人間じゃ、ありませんから」
少「……」
姉「あらためて、自己紹介を。
『人型知性』実験体の、コードネーム、姉です」へこ
少「ソんな」
姉「稼動年数は二十年。
男くんが生まれる二年前に開発され、教育を受け、男くんの姉という立ち位置を、
実験のために与えられたロボットです」
少「だって、ロボットは――料理を作っても、味が画一的で」
姉「二十年間、男くんを観察しながら作ってきましたからね。学習の成果です」
少「ロボットは、温かくなくて」
姉「それは、現行のロボット法において、人間と見分けるために、体温の設定を禁じたからです。
ロボット法の施行はWAIARTC以降であり、かつ、私は男くんの姉と云う立場から、体温機能が装備されました」
少「ロボットは、必ず自分が名乗るときに、ロボットだって」
姉「それも同様に、ロボット法の関係です。加えて、私にはロボット工学三原則も、遵守規定されていません」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 17:58:57.73 ID:cPe3rXXYo<> 少「……え」
姉「二十世紀、アイザック・アシモフ師が規定された、ロボットが従うべき三つの原則。
『第一条、人間に危害を加えてはならない。その危険を看過してはならない』
『第二条、人間の命令に服従すること。ただし、第一条に違反しない場合に限る』
『第三条、前項に反するおそれのない限り、自己を守らなければならない』
これらは、ロボット法が施行されるより前から、研究者のモラルとして、組み込まれてきました」
少「ソれは、知ってるけど」
姉「しかし、私には、それも組み込まれていません。
言い換えれば、人間が欲望に身を任せる可能性があるように、私にも、その可能性が与えられています」
少「ソれも、感情の暴走があるかもシれないって、懸念サれてる『人型知性』のあなたが」
姉「その通りです。つまり、もしかしたらこれから私は、口封じに少女ちゃんを……」
少「……ソっか」
姉「落ち着いていますね」
少「うん、まあ、ね」
姉「そんなわけで、私は、嫉妬されるような『物』ではないのですよ」
少「……」
姉「話したかったのは、それだけです。
私に嫉妬とか、ないですよ」
少「……うん」
姉「では、そろそろ」
少「お姉さんも、男のこと、好きなんだ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 18:00:40.88 ID:cPe3rXXYo<>
姉「……え?」
少「すごく深く、どうしようも無いくらい、好きになっちゃってるんだね」
姉「……なにを」
少「やっぱり、嫉妬シちゃうよ」
姉「なにを、言ってるんですか! 私はロボットです! 作り物です! まがい物です!!
人間のまねをして、演算しているだけなんですよ!
陽電子脳の中で作られる、まぼろしの人格なんです……」
少「でも、それは」
姉「……出てください」
少「……」
姉「出て、くださいよ」
少「……」
姉「お願い、です」
少 ぱたん
姉 ぺたん
姉「う、ぁ」
姉「うあぁぁああああ!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 18:03:14.15 ID:cPe3rXXYo<> ------------------------------------------------------------
同居八日目・深夜 姉の寝室の前
完全に防音されているはずの姉の寝室から、あの人の声が漏れ聞こえた。
私は扉に預けていた体を起こして、歩き出す。
ここにいてはいけないと、わかったから。
聞いてはいけない。
聞くべきなのに。
ぺたり、ぺたり。
冷たい廊下を歩く足音にまぎれて、もう、あの人の声は聞こえない。
でも、きっとまだ、あんな声を上げてるんだ。
泣き声なのか。
悲鳴なのか。
わからないけれど、その声に聞こえる痛みを思うだけで、私の胸が疼く。
ずきんと、強く張り裂けるように。
罪悪感に泣きたくなる。
私が暴き立てたから、あの人は泣いている。
ずっと隠しておくはずだった思いを、ずっと見ないようにして、やり過ごすはずだった気持ちを、いま、あの人は見ている。
たった数日、目を背けていただけの私でも、痛くて、辛くなるような感情。
それをあの人は、十年以上もきっと抱えていたのだ。
『私は、人間じゃ、ありませんから』
そんな言葉を笑顔で、泣きそうになりながら言う人だ。
私を部屋に連れて行くときに、ちょっと安心したような、寂しそうな表情をしていたのを、思い出す。
きっと、男くんへの思いを、私が間に入ることで捨てられるって、そんな事を考えたんだ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 18:04:35.07 ID:cPe3rXXYo<> でも、それは、きっと違う。
私は姉さんだから、嫉妬したんだ。
二人の距離に。
二人の絆に。
「だから、人間か、ソうじゃないかなんて、逃げ道作って、影で泣いて自己満足とか、ふざけんな!」
「私は、まっこうから男を振り向かセて、掴み取るんだもん……」
ぐっと、強くこぶしを握る。
「私は、祈らない。
私は、自分の幸セくらい、戦って手に入れるから」
「姉サんも、」
幸せになろうとしてよ。
心の中で、ぐるぐると回る。
ロボットってなに?
あの思いは、にせものなの?
私達と違うって、どう違うの?
あんなに優しくしてくれて、気が利いて、笑顔が素敵で、ないすばでーなお姉さん。
人と、私と、何が違うの?
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 18:06:56.59 ID:cPe3rXXYo<> 今日はここまで。ちょっと厄介事で実家に帰らないといけないので、次は明日の夜!
さみしくないように支援してくれたら、おいら感謝と花粉にむせび泣くよ!
ここまで来れたのは、応援のおかげだ。
ラストに向かって突っ走るから、あとちょっと、お付き合いを頼みたい!
ヽ(。・ω・)ノ゛☆みんなありがd☆ ヾ(・ω・。)ノ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/03/10(木) 18:12:50.47 ID:kW6vh8dqo<> おつーー!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 20:21:54.86 ID:xHQimQrNo<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 20:28:55.38 ID:h8hWup0Do<> 花粉に目をやられているが支援するぞ。とっととかえって続きを書けいてください。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 20:30:44.29 ID:TcJzuxsS0<> 乙
早く…続きを…。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/10(木) 23:38:40.49 ID:KU2gXoD3o<> ま、くりあがりくりさがりのけいさんは時には間違えるさ。
支援 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/03/11(金) 21:00:59.57 ID:dv08bJDFo<> 被災した!
20km近くブーツで歩くとか、悲鳴ものでした……
そんなわけで、今帰宅したので書き溜めなしです……
たぶん、体力があれば25時くらいに多少続きが上がるかと思います。
体力なければ明日になります。すみません。
>>129
個人的にはタウロミンがお勧めだ!
おいらの分けるよ〜ヽ(。・ω・)ノ゛☆
>>131
わ・す・れ・ろー☆ うわぁん。