@tea<><>2011/04/07(木) 19:50:58.03 ID:MrgmK5Ww0<>「さてと…」

久しぶりの外。

濁った空気を胸一杯に吸い込み、学園都市第二位、垣根帝督は(失敬してきた)背広の襟を直した。

グー

(腹も減った)

背中から現れる翼。

黒い。

いや、白との斑。

おぼつかない飛び方で、羽ばたいた。



「あれ?なんだろう このかんじ」

「どォした?」

ヒョコヒョコとゆれているアホ毛。

「なんか来る気がするって、ミサカはミサカは外を見てみる」

向かってくるのは、悪意では無く、むしろ虚脱感。

または悲しみ。

まるで、翼の折れた孔雀のような。
<>垣根「黄泉川ァ!!」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/04/07(木) 20:02:01.50 ID:gqeCFm9so<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage <>2011/04/07(木) 20:13:04.31 ID:YNY7AD3G0<> さてどうなる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/04/07(木) 20:43:09.70 ID:XhkiprQKo<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/07(木) 21:44:44.95 ID:DIPZt5hDO<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)<>sage<>2011/04/07(木) 21:48:29.85 ID:SecwNxqAO<> 期待せんでもなくはななくはないな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/07(木) 23:16:13.03 ID:e1AhXSQc0<> 帝凍庫からの復活後? <> @tea<><>2011/04/07(木) 23:20:15.94 ID:MrgmK5Ww0<> 垣根は唯一知っている人の家に向かっていた。

かつて殺し合い、敗北した相手の居候先。

宿主も殺そうとした。

こんな自分を受け入れて…

いやよそう。

気にしていてもしかたがない。

知っている人間が、あいつしかいないのだから。

<> @tea<><>2011/04/07(木) 23:25:59.38 ID:MrgmK5Ww0<>



「ただいまじゃん」

帰ってくると、出て行くときと同じ格好のまま、一方通行はソファーの上にいた。

「そんなにゴロゴロしてると背骨が曲がるじゃん。起きた起きた」

「起きてもやることねェし」

「なら打ち止めと公園でも行ってくるじゃん」

「あァ!?、愉快すぎて笑えてくるなァオイ!」

「黄泉川!この人と公園行ってきていいの?!」

「晩御飯までなら自由に行ってきていいじゃん。」

「ワーストが検査から帰ってきたら公園にいるって伝えてね、いこ!あなた!」

「くそかったりィンですけどォ」

なんだかんだいって、結局出て行く一方通行。

(平和になったじゃん)

台所に向かった。

三人の大好きな煮込みハンバーグを作るために。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/07(木) 23:45:18.59 ID:WHg5aEuDO<> 超期待 <> @tea<><>2011/04/07(木) 23:46:28.36 ID:MrgmK5Ww0<>
垣根はやっと見つけた部屋のベランダで、一部始終を見ていた。

素直に羨ましかった。

自分には無いもの。

欲しかったもの。

得られなかったもの。

何であいつだけ、

      どうして俺には無い?

               何が違うんだ?


同じ暗部という世界に所属していた。

年齢もさしてかわらない。

生き様もだ。

幼いころから実験室にほうりこまれ、

体中弄り回された。

心すらもだ。

群がってくるのは本人ではなくその後ろ。

即ち、能力による膨大な利益にのみ興味を持つ研究者。

真実など無い。

建前と虚構と利益だけで動く世界。

悔しい。

「そこにいるのはだれじゃん?」

「!?」 <> @tea<><>2011/04/07(木) 23:53:42.43 ID:MrgmK5Ww0<> 気配は消していたはず。

なぜ。

「チッ…」

「アンタは…」

覚悟はしていたが、ここまでビビられるとはな。

「何できたんじゃん」

なんでもねえ。ただ知っていたから来ただけ

「また、あの子達を暗いとこに引き込むのか?」

ちげえよ

「何が目的?」

金貸して欲しいだけさ

「もうやめてやって欲しいじゃん」

「あの子達は、自分で血へど吐きながら‘今‘をつくった」

「だから…もう…」

そんな泣きそうな顔で言うな

アンタ大人だろ

こっちだって泣きたいよ

容器の中でいじくられて、やっと抜け出したら何も無かったんだぞ

地位も名誉も、存在も


とっぷり時間が過ぎた後、やっと口がうごいた。

「握り飯 ってのをくれないか?」 <> @tea<><>2011/04/08(金) 00:00:17.78 ID:1JfayN/P0<>
昔研究所で聞いた。

そいつはまだまともなほうの人間だった。

そいつの話では 外 の一般家庭では、母親がオニギリというものをつくってくれるらしい。

憧れのせいか、その話だけ妙に印象に残っていた。


「できたじゃん」

目の前に小さめの真っ白の塩ムスビが1つ。

かじってみる。







泣いちまった。

涙が出ちまった。

うまかった。

今までのどの飯より。

涙がとまらねえ。












「アンタも、あのころのあいつと一緒じゃん」










気付いたら抱きしめられていた。

あたたかかった。







「疲れたら、泣くのが一番じゃん」

<> @tea<><>2011/04/08(金) 00:09:01.59 ID:1JfayN/P0<>









ここ《学園都市》に来る前は絵本ばかり読んでいる内気な少年だった。

よく言えば物静かな、悪く言えば他者に興味を持たない少年。

友達なんていなかった。

ずっとお気に入りのメルヘンチックな絵本を読んでいた。















ここに来て自分の能力を知った。

第二位、未元物質。

垣根帝督ではなく、未元物質、と呼ばれることのほうが圧倒的に多かった。

今まで見たことの無い世界、金の量。

いろんな感覚が麻痺した。

人との距離、なんて忘れた。

<> @tea<><>2011/04/08(金) 00:12:01.16 ID:1JfayN/P0<>

実験所の近くに可愛い女の子が住んでいた。

名前なんてしらねえ。

気持ちを伝えたくて、能力を使った。

手のひらの中で小さな真紅の薔薇を生み出した。

女の子は一言、綺麗だね って言ってくれた。

それからはもっともっと大きな薔薇が造りたくて頑張った。

薬を飲み、脳に電極をさしたりetc…
<> @tea<><>2011/04/08(金) 00:22:17.18 ID:1JfayN/P0<>
そんな中、未現物質の対人実験が始まった。

未元物質で人を壊す。

最初の被験者はあの女の子だった。

-君と比べればカスみたいな能力者さ-

置き去りだったのだ。

俺は拒否した。

そしたら研究者が目の前で撃った。

女の子に向かって。

必然的に花が咲く。

真っ赤な、真っ赤な、

それでいて、この世で見たことも無いほど美しい。 <> @tea<><>2011/04/08(金) 00:22:50.26 ID:1JfayN/P0<>
未元物質は「この世にない素粒子を生み出す」

ヒトの体は、「この世にある素粒子」

己の無力さを呪った。

麻痺して狂ってしまいたかった。 <> @tea<><>2011/04/08(金) 00:23:37.29 ID:1JfayN/P0<>
-お願い、追う一度綺麗な花を-

死ぬ間際にそんなことを言い始めた

-お願い-

冷たく、白くなっていく手を握られながら、呟いていた。

ああ、見せてやるよ チクショウ

こんな、こんなタイミングで見せるつもりじゃ無かったのに。

背中から生える天使の翼が恨めしい。

少女から流れ出た血だまりに、緑の芽が生える。

瞬く間に、一面真っ赤な薔薇に覆われた。

あの時と同じくらい、いやそれよりもっと美しく可憐な薔薇に。

棘は無い。その代わり、絹より柔らかい葉が生い茂る。

-あなたは、きっと天使さまなのね-

-ありがとう-

-とっても、とっても、きれい‥だ‥よ-

眠り姫は、眠りに就いた。

もう二度と起きないだろう。

くそったれめ。

<> @tea<><>2011/04/08(金) 00:24:16.37 ID:1JfayN/P0<>
-すばらしい!!核シェルター並みの強度というわけだね、うん?-

-これで未元物質だ。薔薇で覆うとは、なかなかロマンティックなぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛-

ムカついた。

すんばらしく、ムカついた。

翼で顔を潰してみた。


俺はその後、そいつを殺した。

杜殺と言ってもいい。

原型が無いくらいに潰した。

ついでに勢いに任せて、そこにいた大人を片っ端から殺してった。

ウザかった所長も、薄ら笑いを続ける気味の悪い研究員も。

みんな、みんな潰してった。

目玉をくり貫いたり、

四肢をもいでみたり、

上あごから吹っ飛ばしてみたり、

内臓を引きずり出してみたり、

顔の皮を剥いでみたり、

胃に穴をあけたり、

背骨からえび反りにしてみたり、

もうどうでもいい。

みんなぶっ壊してやる。

必要ねえ。 <> @tea<><>2011/04/08(金) 00:37:32.20 ID:1JfayN/P0<> -そろそろ止めて貰えると助かるのだがね-

変な男?がいた。

アンタは?

-アレイスター=クロウリー-

-統括理事長といったほうがいいかね?-

なんの用だ

-好き勝手壊してくれたが、一応ここもタダじゃないからね-

-借金2兆円ほど請求させてもらうよ-

喧嘩売ってんのか?

-変わりに、私の下で動かないか?-

-もしかしたら(ほしいもの)が手に入るかもしれんよ?-

上等だ。

力のためなら、犬にでも何でもなってやるよ。



そっからまた殺し殺し殺し。

愉快なオブジェが積みあがる。 <> @tea<><>2011/04/08(金) 01:08:39.89 ID:1JfayN/P0<>
「40、2°超高熱じゃん」


あのあと垣根は倒れた。

とりあえず自分のベットに寝かせてみる。

氷枕、熱さまシート。

しまおうと思っていた防寒具類。


リビングに入ると一方通行が壁に寄りかかっていた。

隣には、番外個体。

芳川と打ち止めは、薬を買いに行った。

「なあ、一方通行‥」

「あン?」

そこから先が言葉にならなかった。

「…レベル5ってェのはみんなあンな感じだ」

「よくも悪くも壊れかけたヤツばかり」

「表から見たら可笑しな世界だろうなァ」

一方通行は、自嘲気味に笑った。

「よくレベル5になったらバラ色〜みたいな妄想してる輩もいるけどさ、」

「はっきし言って、上に行くほど黒くなっちゃうのさ」

番外個体の言葉は、重かった。

暗部、絶対能力進化計画、妹達、第三期製造計画。

自分が知っているのは僅かしかない。

これよりもっと暗いのだろうか。

ここは。

この、自分が生きている学園都市という場所は。

 


<> @tea<><>2011/04/08(金) 01:09:18.35 ID:1JfayN/P0<>
芳川達が帰ってきたのは少し後だった。

「発熱の理由がわからないから、とりあえずポカリス●ットを買ってきたわよ。」

「熱の理由は?」

専門は遺伝子工学なので発熱に関しては検討がつかない様子だ。

「あのメルヘンの熱は、恐らく異常な演算負荷だ」

「知恵熱の悪化版みたいなものだネ」

「打ち止めを助けた時みたいにはいかないかしら?」

「無理だな。アレは打ち止めの脳内が未発達段階にあったからできたことだ」

「順位こそ1こ下だが学園都市第二位、演算はこのガキの比じゃねェ」

「ヒーローさんに頼んでみたら?」

「できねエことはねエが、最悪「自分だけの現実」をソゲブされかねエ」

「まずいわね、この状況だと脳物質が破壊されて廃人…なんてことにもなるわ」

「自然治癒をまつしかないってことじゃん…」
<> @tea<><>2011/04/08(金) 01:24:34.91 ID:1JfayN/P0<> みなが寝静まった後、黄泉川は垣根のそばにいた。

家族を忘れ、愛を自ら消した少年。

端整な顔の裏にどれほどの苦悩を抱えているのかは、計れなかった。

「ウっ…ン」

うめき声と共に手が伸ばされる。

思わず包んでいた。

やっぱり大きな手だった。

寂しいのだろうか。

逃すまいと、手にかかる力が強くなる。

  あの子には、打ち止めや妹達といった支えるものができた。

   この子にそれはある?
<> @tea<><>2011/04/08(金) 01:25:03.40 ID:1JfayN/P0<> 夜半を過ぎたころ、一時的に垣根は目を覚ました。

朦朧とする脳みそを使って回りの認識をする。

黄泉川が、自分に寄り添うようにして眠っていた。

のしかかられるような状態、と言ったほうが良いかもしれない。

(ぐる‥じい…)

退けようとするが、うまく体が動かない。

「う…」

寝ぼけているのか、首の後ろに手を回された。

ちょうど添い寝をされる形になる。

今まで味わったことの無い、包まれるような暖かさ。

「ウン…あ、起こしちゃった?」

なぜ、顔が赤い。

「いや、勝手に眼が覚めちまった」

「そう、なら良いじゃん」

「腕…」

「あ、邪魔だった…かな」

この、暖かさが逃げていく。

「このまんまが‥いい」

やっと掴んだ気がしたから。

もう、離したくなかったから。

「そっか。なら、安心して眠るんじゃん」

頬に触れる暖かさに誘われて、眠りの国へと飛び立った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/08(金) 03:56:27.20 ID:FVSfXcdEo<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/04/08(金) 07:34:04.11 ID:fLEi71oAO<> 握り飯で不覚にも泣いた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/08(金) 08:02:18.02 ID:viSDiiYDO<> 誰かに甘えたくなるときってあるよね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/04/08(金) 10:13:11.68 ID:LXSOhEWS0<> 期待 >>1がんばって <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/04/08(金) 10:55:34.72 ID:AAa786xC0<> でも一方通行は「ァィゥェォン」だけがカタカナになるから気をつけて <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/04/08(金) 17:42:48.00 ID:OtvqJzJu0<> こうしてみると、一方通行と垣根の一番大きな違いは、
上条さんに会えたかどうかだよなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(山陽)<>sage<>2011/04/08(金) 18:03:16.08 ID:+VIBBnlAO<> 最近黄泉川がヒロインのssが増えて嬉しい限り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/04/08(金) 19:22:38.14 ID:cHQA7YSQ0<> セリフの前に名前入れてもらえると読みやすくなる
あとミサカはミサカは〜も全部に入れないと… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2011/04/08(金) 20:19:15.02 ID:5fDylG9F0<> 全冷蔵庫が泣いた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/04/08(金) 21:01:49.87 ID:V7z/Us6Ho<> >>32
名前を入れるのは作者様の自由だろ <> @tea<><>2011/04/08(金) 23:12:38.54 ID:1JfayN/P0<>

朝、目覚めると頭痛も温もりも無かった。

代わりにパンと、珈琲の刺激的な薫りが流れ込んでくる。

上半身を起こすと、待ちかねたようにアホ毛が一つ。

「あさごはんだけど、食べられる?ってミサカはミサカはヨミカワの伝言を伝え
てみる」

「腹は問題ないからな…食う」

「わかった。じゃあ台所に向けてダーッシュ!」
<> @tea<><>2011/04/08(金) 23:13:33.95 ID:1JfayN/P0<>
「おはようじゃん」

すっきりと後ろで黒髪を束ね、エプロンをつけて…なぜかたくさんの炊飯ジャーの前に立つ黄泉河。

心理定規とは、また違った美しさがあった。

「ああ、おはよう」

適当な椅子に座り、台所を眺める。

打ち止めだけが、甲斐甲斐しく働いていた。

「一方通行とか番外個体はどうした?」

「ああ…あいつらは…」

「まだ寝てるよ、ヨミカワ」

「やっぱそうか。まあいつもの事か…」 <> @tea<><>2011/04/08(金) 23:15:58.10 ID:1JfayN/P0<> チーン

軽快なトースターの音と共に、数枚の食パンが飛び出す。

「焼けたぞー」

「こっちもできたじゃん」

大きなホール状のオムレツ(恐らく炊飯ジャーで作ったのだろう)を抱えて、台所から二人が出てきた。

「あっ!!」

何かにつまずいたようだ。

あわてて、手を伸ばす。

(間に合わねえ!)

バッと羽を出して受け止める。

「…//」

「…//」

思わず、見詰め合う形になってしまった。

「セイシュン、恋の季節だねってミサカはミサカは覚えたての言葉を使ってみる」

「とうとう、万年どべの愛穂に恋人か…ウンウン」

「まァ、アレだ。否定はしねェよ。ウン」

「いやー、朝っぱらから鬱になるくらい熱々だねぇ」

どうやら、見られていたらしい。

「あ、あんたら!!いつの間に起きてたじゃん!!」

「愛穂が、コードにつまずく瞬間から」

「最初っからってことじゃん!!」

平和な、家庭の朝だった。

<> @tea<><>2011/04/08(金) 23:22:41.01 ID:1JfayN/P0<> 間違えた

「愛穂が、コードにつまずく瞬間から」 ×

「「「「愛穂(ヨミカワ)が、コードにつまずく瞬間から」」」」 ○ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/04/09(土) 02:02:22.29 ID:0BJPsElB0<> 面白い
続きを楽しみにしてる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/04/09(土) 22:37:21.36 ID:vFve1vXWo<> ていとくんを幸せにしてやってください <> @tea<><>2011/04/10(日) 00:26:01.57 ID:EoLb7zu70<> 「じゃあ、仕事に行ってくるじゃん」

「ああ、行ってらっしゃい」

とりあえず手を振って、送り出してみる。

打ち止めは、正午から検診らしい。

午前中は、みなぐうたらすごすようだ。


ソファーにどっかりと座り適当に、テレビのチャンネルを回す。

「打ち止めは、小学校とかいかねーの?」

ランドセルのCMをみて、なんとなく聞いてみた。

「ウ〜ン、ミサカは行きたいんだけどねー」

「ほら、ミサカが行くと他の妹達も行きたい!!って言い出すかもしれないし…」

三つ子ちゃん、という設定にしても、3000ペア以上。

無理な話である。

「っその、悪かったな。ごめんよ」

「ううん、いいよ。気にしてないから」

ここにも、影が一つ落ちていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/10(日) 00:53:44.20 ID:Ul7JRCYDO<> 支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/04/10(日) 21:34:21.32 ID:Of7sh24So<> sien <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)<>sage<>2011/04/10(日) 21:42:15.08 ID:O30umZ9S0<> 最初の握り飯で不覚にも泣いた…久しぶりに実家に帰りたくなってきた…

シリアスかつ暖かそうな物語支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/11(月) 15:33:40.73 ID:khAgmGZDO<> 黄泉川先生の母性マジハンパネェ…… <> @tea<><>2011/04/12(火) 23:14:24.22 ID:sHK4DT2h0<> 「黄泉河先生、ご機嫌ですねー」

態度に出ているのだろうか。

「なっ、なんでそう思うじゃん?」

「いやー、いつもより表情も明るいし、なんとなく機嫌がよさそうなんでねー」

長年の付き合いがあるだけに、やたら鋭い子萌先生。

「もしかして…コレですか?」

ピンと小指を立ててみせる。

「…子萌先生は、年下との恋ってどう思うよ」

「うーん…我々は教職ですからねー」

「何歳なんですかー?」

「多分、今年19」

「まだ18ってことですね」

「まあ、学校の外なら問題ないと思いますよー」

ジリリリリリ

思考を途絶させるように、始業のベルが鳴った。

「さて、教師として勤めるじゃん」

「きょうも、ガンバルぞー」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<><>2011/04/13(水) 00:15:25.73 ID:i7rFKHVc0<> 続き、気長に待ってます <> @tea<><>2011/04/13(水) 23:37:27.55 ID:XUIcxCl00<>
打ち止めの携帯が鳴った。

「ねえ、あなた、友達のツチミカドって人からでんわだよ、はい」

あまり、受け取りたくはない。

「ああ、代わった」

『イヤー、親友の声を久しぶりに聴けて嬉しいにゃー』

「黙れ、切るぞ」

『冗談はさておき、垣根帝督がいるようだな』

「!?なンでテメェが知ってィやがンだよ?」

『暗部のころのパイプからな。それにまだ知らないようだな』

「何をだ?」

『対超能力者計画≪プロジェクト・アンチバーサーカーズ≫』

『超電磁砲は、一般のAIMジャマーだけで撃破可能だが、お前らは違う』

『今回の戦争を終結させた一方通行、学園都市に多額の利益をもたらした未元物質』

『[ピーーー]のはデメリットが多いが,野放しも心中穏やかではない』

『その制御出来ない上位二人の対策案としてできたのが、この特殊部隊なのさ』

「大能力者≪level4≫風情でこの俺に敵ゥわけねェだろォが」

『木原神拳』

「………」

『不可解なベクトル』

「……」

『幻想殺し』

「…ッチ」

『まあ、気をつけるに越したことはない』

『ァニキィー』

『おっと、可愛い義妹が起きちまうにゃー』

そこで電話が切れた。

(対超能力者計画…か)

また、暗い影。

戦争を終らせた自分の行動が、尾を引いている。
今は、守るものが増えた。

打ち止めだけじゃない。
番外個体、黄泉河、芳川、今の平穏。

(クソッタレめ)

じゃれ付く打ち止めを抱えて、ソファーに寝転んだ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/13(水) 23:53:52.46 ID:a2/aeZCeo<> おもしろいじゃん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/04/14(木) 16:10:56.65 ID:dbx7JXsT0<> 非公式の【木原神拳】という名称を
当たり前のように言う土御門にふいた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/04/14(木) 21:19:07.55 ID:0u0E0Ruq0<> 土御門の木原神拳にワロタww
<> @tea<><>2011/04/16(土) 00:14:52.46 ID:4Akf30Pc0<>

(退屈だ…)

近くにショッピングセンターがあったのを思い出す。

「おい、一方通行、金貸して」

「れェるがァーン」

ワケわからないことを言いながら、プラズマを使って500円玉が飛んできた。

吸電物質でエネルギーを奪い、片手で受け止める。

「借りるわ」


放課後、夕飯の買い物に行った。

昨日は、ハンバーグ。

今日は何にしようか。

「あれ?」

背の高い黒背広。

向こうも自分に気付いたようだ。

「よう」

「かっ、垣根!?」

垣根だった。

「こんなところで何してるじゃん」

「何って…普通に買い物だけど?」

「体はもう平気?

「ああ、問題ねぇ。すこぶる快調だ」

そう言って軽く腕を伸ばす。

「そうだ、元気なら買い物の手伝いをしてほしいじゃん

「荷物持ち、ってことか…」

一緒に行きたいだけ

なんて言えない。

だから…

「そっ。ただの荷物持ち」

そう言って、買い物カゴを握らせる。

「まあ、しかたねえか」

「何を買うんだ?」

普段は、一人で買い物に来る。

今は隣を歩いてくれる人がいる。

「今日はねぇ…」

ちょっぴり幸せだった。 <> @tea<><>2011/04/16(土) 18:07:28.60 ID:4Akf30Pc0<>

新しい家族のために久しぶりのご馳走でもよかったのに、カレーライスになってしまった。

打ち止めがいるので、もちろん甘口。

辛くないように、だけどご飯に会うように。

「おかわりってミサカはミサカはおかわりを要求してみる!」

「うめェ」

「愛穂ーラッキョと福神漬けがもうないわよー」

とろみはあまりない。

けど、決して水っぽくはない。

微妙な火加減、味加減。

家庭の、家庭でしか味わえない優しい味。

「垣根はどうする?」

自分の皿は、とうに空。

目の前には、優しく笑う黄泉河。

「…ああ、たのむ」

断る理由はどこにもない。

久しぶりに、美味いカレーを頬張った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/04/16(土) 18:55:40.32 ID:ynSsFEBK0<> 誰も言ってないようなので言っときますが

黄泉河× 黄泉川○

スレタイではあってるので変換ミスかな? <> @tea<><>2011/04/16(土) 21:56:10.33 ID:4Akf30Pc0<> >>54さん 有難うございます

変換ミスでした

<> @tea<><>2011/04/17(日) 00:35:15.54 ID:GdRoka5E0<>

「お休みなさい、ってミサカは…ふぁ」

ご飯を食べて風呂に入ると、打ち止めはもうお眠の時間らしい。

「寝かしてくるわァ」

一方通行はどこまでも親バカだった。

「酷い時は、子守唄が聞こえるけどネ」

「愛穂ー、ビールとツマミが切れてるわよー」

ここから黄泉河家では晩餐が始まるようだ。

「さて、アンタも飲むじゃ〜ん」

コップに並々と注がれるビール。

「私は甘いからね。飲まないなんて選択肢はどこまでも無いのよ

「無いじゃ〜ん」

無いらしい。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/17(日) 00:40:53.66 ID:1ssc4TTgo<> また変換ミスってるぞ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/04/17(日) 01:41:07.18 ID:CcgxuAfAO<> 黄泉川フラグどこでたったんだ? <> @tea<><>2011/04/18(月) 20:50:21.08 ID:FnO3HENG0<>

「ちょっと顔ァかせや」

一方通行が声をかけてきたの、黄泉川達が酔いつぶれた後だった。

「アルコール、飛ばしてやろォか?」

「自‥分で…でき‥らぁ」

皮膚から浸入して血中のアルコールをコントロールする物質を造り出す。

ドーパミン、その他興奮物質も制御して、頭を覚醒させた。

「何の用だ?」

「ベランダ出ンぞ」

窓を開けると、真夜中の冷たい風が頬を撫でた。

よほど、黄泉川達《表の人間》には聞かせたくないらしい。

闇に溶け込むように、番外個体が佇んでいた。

「夕方、昔の仕事仲間から連絡があった」

「オレと、逃げ出したテメェを潰すための組織ができたらしィ」

「…統括理事会か?」

「いィや、あのクソッタレの口振りからしてその可能性は低ィ」

「おォかた、アレイスターの決定に安心できねェ理事会の誰かだろォがな

しかし、自分達が追われる身になるとはな。

複雑な気分だ。

犬のようにこき使われて、要らなくなったら捨てられる。

裏世界《こっちの世界》のセオリーだけに、自分達の生きていただけに、何だか
悲しかった。

「オレ達怪物に、正面から啖呵切ってくるわけはねェ」

「人質…か」

相手の最も大切とする人間を手に入れ、相手の判断力や冷静さを奪う。

有効かつリスクも少ない戦術。

以前、垣根自身もこの戦術を使おうとしたために妙に納得できた。

「呑み込みが早くて助かるぜェ」

「打ち止めにはオレが付く。できるだけ違和感の少ねェ人間が付いた方がいィからなァ」

防衛対象の気疲れを防ぐ為にも、近くにいる人間が警護に付いた方がいい。

「ミサカは、ヨシカワと蛙先生のとこよく行くから決定だね」

「判った。俺は誰につけばいい?」

「黄泉川のことを頼みてェ」

「ミサカも賛成。守っやんなよ。あんた、ヨミカワにホレてんでしょ」

「!?なぜ解かった」

「「バレバレですゥー」」
<> @tea<><>2011/04/18(月) 21:17:21.91 ID:FnO3HENG0<>
リビングに入ると、まだ黄泉河はうたた寝をしていた。

「こんなとこで寝てたら、風邪引くっての」

「ぅン」

「起きろ、ベッドまで行ったほうがいい

「抱っこォ…」

とんでもないことを言い始めた。

さらに…

「おふろォ…」

無理ですたい。

「ね〜ぇ〜」

しかし、酔った状態での入浴もよろしくない。

「ッチ、しゃーねーな」
<> @tea<><>2011/04/18(月) 21:18:30.23 ID:FnO3HENG0<>
洗面所に黄泉河を押し込んで、自分は安物のズボンに履き替え上着を脱ぐ。
さっき買ったばっかりだが、まあいいだろう。

「タオル羽織れよ〜」

「入ってきていいじゃ〜ん」

とりあえず、浴室に入ってみる。

目の前に、タオル1枚の黄泉川。

理性を保てるだろうか。
「髪、洗って欲しい」

「あ、ああ」

柄にもなく自分が相当緊張しているのがわかった。

熱くない程度のお湯をかけてやる。

手にシャンプーを取って、包むように泡を伸ばしてゆく。

(タオルがある、タオルがある、タオルがある、タオルがあるゥゥゥゥゥゥ)

割と理性を保のに精一杯だったりする。

絹のような手触りと、墨のような漆黒。

髪先から流れる白い泡すら、一種の美しさがあった。

「な、流すぞ」

後ろからシャワーをかけるのと、黄泉川が倒れかかってくるのはほぼ同時。

もっと言えば、巻かれたタオルが反抗したのも同時。

「………」

まだ、若々しさを保っている柔肌。

溢れる母性の象徴。

そして…





下腹部に残る、大きな傷跡。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/04/18(月) 22:22:03.56 ID:ja0TuCj0o<> まあ、あれの傷跡なんだろうな <> @tea<><>2011/04/18(月) 22:59:45.12 ID:FnO3HENG0<>
気を失った黄泉川を抱え、寝室に向かった。

足取りは重い。

自分が壊してきたもの、自分が傷つけつけてきたもの。

(なんだったんだろうな…)

自分が今までしてきたこと、自分が今からしたいこと。

(偽善…かもな)

黄泉川をベッドに横たえ、自分も淵に座る。

僅かに頬を赤く染めた、無防備な寝顔。

(守ってやるさ)

月明かりに染まるその頬に、誓いの証を………



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/04/25(月) 22:32:42.08 ID:nDJ80wBi0<> 最近、更新来ないな 楽しみにしてるスレなのに <> @tea<><>2011/04/26(火) 00:10:13.96 ID:MQXjAwxu0<>


実は、抱上げられた時ほどから意識は戻っていた。

酔いも一緒に覚めていた。

とりあえず黙んまりを決め込んで…今に至る。

(酔った勢いでとんでもないことしちまったじゃん)

一緒にお風呂まで入って、髪洗ってもらって…

(手…気持ちよかった)

他人、特に男性に自分の髪を洗って貰うことなんて無かった。

むしろ、黄泉川は男を知らない。

要は、処女である。

垣根は、足の方に座っている。

寝室の闇に、そのまま飲まれてしまいそうだった。

声を掛けるべきか、かけないべきか。

不良とホストの二分の一にしたような顔がこっちを向いた。

薄目を思わず閉じてしまう。


直後、頬に暖かいものが触れる。


あっ


1秒後には、元通りの静寂が訪れた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/04/26(火) 08:08:54.80 ID:trXPbnk+o<> 私怨
佐天リーダーは6個で統一した方がいいぞ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/04/26(火) 08:11:19.92 ID:trXPbnk+o<> ごめん……
3点リーダーっていいたかった <> @tea<><>2011/04/29(金) 22:58:27.49 ID:b9qXfhTG0<>

「まつんじゃん」

部屋を出ようとして、後ろから声がした。

「ああ、起きたのか…」

正直、顔を合わせたくなかった。

見つめあったら、絶対に気付かれる。

その確信はあった。

「どこいくんじゃん」

感が良すぎて困る。

まるで昔の相棒のようだ。

「ソファーで寝るだけだ」

ポケットには、一方通行から渡されたメモが入っている。

過去に超能力特殊部隊を開発していた、もしくはingで研究でしている施設。

殺られる前に殺れ。

戦いの最も基本を実行しようとしていた。 <> @tea<><>2011/04/29(金) 23:03:51.15 ID:b9qXfhTG0<> 部屋から出ようとしていた垣根に、声をを掛けてしまった。

理由は特に無い。

ただ、その背中があまりにも儚げだったから。

かつて、一人で、たった一人で、幼い命の為に全てと闘った少年。

自分すら捩じ伏せ、深紅に染まった少年。

その姿に、酷似していたから。

「嘘だ‥」

何と無くそんな気がした。
<> @tea<><>2011/04/30(土) 00:19:48.61 ID:EYJDY7QS0<>
(やっぱり感づかれたな)

「大丈夫だ…」

振り返らず、呟いた。 <> @tea<><>2011/04/30(土) 13:12:39.08 ID:EYJDY7QS0<>
「また、暗がりに行くつもり?」

「……」

「確かに私達教師は、強くなれ、正義になれって言うじゃん」

「裏を返せばほとんどの場合弱くて、真っ直ぐ生きられないって事…」

「脆弱で脆くて、すぐに歪んでしまうもの」

「それが人間…ってことじゃん」

「でも私達教師は、その歪みを元に戻さなきゃならない」

「いや、私達大人は……か」

「1人が無理なら、頼って欲しいじゃん」

こんなことを言うのは卑怯かもしれない。

でも、言わねばならない。

それはきっと、この少年のことが大切だから…………

「でも俺は、あんたの生徒じゃない…」

「それに、俺は歪んだんじゃない」

「折れたんだ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/05/03(火) 16:00:49.39 ID:D8M8EiWI0<> まだかなあ
<> @tea<>sage<>2011/05/04(水) 01:26:44.51 ID:GBdS74I+0<>

過去の話はもう聞いた。

“少年”が背負ってきたものは、人の粋を超えた業。

拭うことすら許されない返り血。

「もう俺の手は真っ赤だ」

真っ白な心だけに、純粋な思い。

子供じみているけれども、妥協の無い願い。

そんな気持ちになっているのだろう。

「俺はあんたを守りたい」

「そのためになら手段を選ぶ気は……ムグッ」

唇を塞いだ。

唇で。

「守らなくていいじゃんよ」

「アタシが守るから」

手を伸ばして、何かに怯えるような顔を包み込む。

「それに‥アタシだけじゃあないんでしょ、あんたが守りたいのは」

この少年が躍起になって直接交渉をしたかったのは、きっと一方通行のように開放したかったから。

守りたい、守るべきものを失った。

戦いを繰り返し、その先の答。

護りたい者以外を、すべて敵に認定すること。

そのために、手を汚すことすら躊躇しない。

例え、返り血で真っ赤になることがあっても守り続ける。

大人の玩具にしたくない純粋さを。

弱くて儚い、その笑顔を。

あの時のような少女≪アリス≫達を。

「夢を守ってあげなさい。夢の無い笑顔は、縛り付けられた運命と一緒よ」

数多の返り血を浴びた手ごと、その体を抱きしめた。

それでもまだ僅かに逃れようとする垣根。

「自分には人を好きになる資格が無いとか、大切にすることはできないとか」

「そんなことはないじゃん」

優しく、語り掛けるように言葉を紡ぎだす。

「黄泉川……」

「私のしたの名前は…」


       
                 「愛穂、っていうじゃん」
<> @tea<><>2011/05/04(水) 01:29:21.58 ID:GBdS74I+0<> っと言うわけで前半終了?かな
この後 行間はさんで、後半(バトルメイン?)にはいりませう
グダってすいません。
詠んでくれている方、アリガトウございます。
後半もどうぞよろしく。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/05/04(水) 05:35:38.09 ID:vz6FGT3Z0<> 頼むぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/04(水) 09:18:54.56 ID:N6loaeDDO<> 乙乙!!
楽しみにしてます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福島県)<>sage<>2011/05/06(金) 00:16:05.39 ID:qE5N1/2C0<> 乙。
垣根と黄泉川の遣り取りが良い。
そして一方と番外のテンポが楽しい。
期待期待。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/05/06(金) 02:03:48.99 ID:7t5RANgz0<> 乙 後半も楽しみ <> @tea<><>2011/05/08(日) 15:14:07.01 ID:ntQGQaTr0<>

行間

麗らかな午後、アフタヌーンティーを優雅に飲む。

「お姉さまま、お代わりなどいかがですか?」

「お願い」

学園都市第二位、御坂美琴、

唯一のお嬢様タイムであった。

不意に、着信音が響いた。

待ち受けには、見慣れない表示。

「……一方通行?」

この行間の始まりは、とある1通の着信から。

最強と家族が交わる時、この行間は始動する。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/05/08(日) 16:45:47.13 ID:1U1G84HDO<> まってる <> @tea<><>2011/05/08(日) 19:08:18.38 ID:ntQGQaTr0<>
「じゃあいい?行くわよ?」

「うん」

「では、生中継開始ですね、とミサカは報告します」

「ちょっとミサカ緊張してきた」

「あァ」


一方通行からの電話の内容こうだ。

-今居候している家を出て、三人でアパートに移り住む-

-それで、報告の意味も込めて今までの事を遺伝上親に当たる二人にも話しておきたい-  と。
<> @tea<><>2011/05/08(日) 19:29:56.79 ID:ntQGQaTr0<>
緊張と裏腹に、チャイムは間抜けで空虚な音がした。

「美琴だけど」

『はーい、いま開けま〜す』

たとたとたとたと‥

ステンレス性のドアが開いて、(胸部以外は)オリジナルそっくりの女性が出てきた。

「大事なお話しって‥あれ?」

「おかしいなぁ、私は美琴ちゃんしか産んでないハズだけど…」

「美琴ちゃんと、ちっちゃい美琴ちゃんと、ゴーグル美琴ちゃんと、おっきな美琴ちゃんと、白ちゃん?」

「ママ、今日はその事で話があるの」

「え、ええ、パパも中にいるからどうぞ」

取り敢えず、御坂邸和室に五人が入る。

「えっとね、パパとママ‥」

<> @tea<><>2011/05/08(日) 20:27:11.46 ID:ntQGQaTr0<>
そこから、時間をかけてたくさんのことを話した。

実験のこと

打ち止めとの出会ったこと、

命懸けで守ったこと、

0930事件のこと、

暗部抗争のこと、

ロシアのこと、

新しい妹のこと、

帰って来て、一緒に暮らしていること、

これから三人で暮らそうと思っていることを。

打ち止めはずっと、一方通行の手を握っていた。

この人が不安にならないように、一人じゃないって思えるように。 <> @tea<><>2011/05/08(日) 21:12:50.48 ID:ntQGQaTr0<>


話終わると日は傾き、空は夕闇へと流れていた。

「一方通行さん」

沈黙を払うように、美鈴が口を開いた。

「貴方は、1031人の私達の娘を手にかけた極悪人です」

パンッと乾いた音を立てて、一方通行の頬を張っていた。

「いまのは、1031人分の痛み…」

美鈴の声が震えている。

「でも、あなたは残り9970人のために命を張って頂きました」

「これは、その感謝の気持ちです」

一方通行の頭をまるで我が子のように撫でた。

本当に優しく。

「ありがとう」 <> @tea<><>2011/05/08(日) 21:31:08.55 ID:ntQGQaTr0<> 「妹達を代表して、ミサカ1032号は一方通行に総意を伝えます」

「『1031人の妹達が死んだとき、

  喜ぶべきか悲しむべきか、妹たちに怒りの感情はありませんでした。
      
   今考えると我々は怒りを覚えたかもしれません。
    
    しかし、今゛考える゛という選択肢を与えてくれたのは、あの少年と、紛れも無くあなたです。


 貴方と妹達の繋がりは、決して憎しみでは無く、

   貴方は、貴方が思っているほど人でなしではありません。

    今の今まで妹達を大切に思っていることを、私達は知っていること。



           本当にボロボロになるまで戦ってくれたことを、

                         決して妹達は感謝している、ということ』」









                             「『ありがとう、一方通行』」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/05/08(日) 22:31:50.55 ID:N8teDkML0<> 続き来てた 支援
それと、ミサカ達に0がひとつ足りてないよ <> @tea<><>2011/05/08(日) 22:47:34.86 ID:ntQGQaTr0<> >86ありがとうございます。すいませんでした
-------------------------------------------------------------


ツっと、一筋涙が落ちた。

もう、どうしていいか判らないくらいに泣いた。

一方通行はきっと欲しかった。

自分を包み込む、この優しさ達が。

゛悪いこと゛をした自分を赦してくれる暖かさが。

 途切れることなく零れる涙と嗚咽。

  自分に抱きついて一緒に泣いてくれる打ち止め。

  おずおず、とした手つきで涙を拭う番外個体。

  相変わらず無表情のまま背中をさする1032号。

「さて、お話はここでお終い」

「今日は泊まっていきなさい」

「遠慮しなくていいわよ」

「ここはあなた達の家なんだから」 <> @tea<>sage<>2011/05/08(日) 22:49:23.32 ID:ntQGQaTr0<> っとまあこんな感じで行間。


…明らかにグダグダやな

後半にご期待ください ってことで勘弁してください <> まだかなぁ<><>2011/05/12(木) 16:48:52.84 ID:EjRJe8MU0<> まだかなあ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/05/12(木) 19:06:37.90 ID:QG2pcxtf0<> >>89
気持ちは分かるが気長に待とう
あと、sageようぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/05/21(土) 21:04:15.17 ID:9j1G4zF50<> とは言ったものの、なかなか来ないな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/23(月) 22:11:20.71 ID:YrytrhCY0<> 俺も、このスレ楽しみにしてるが
気長に待つしかないよな <> @tea<>sage<>2011/05/24(火) 14:11:53.64 ID:OqW10nvW0<> 大変長らくお待たせいたしました。

本当にすいません。

本日やっとひと段落着きました。

とりあえず復活します が、追試と言う悪夢に見舞われそうなので更新がさらに遅くなる時があります。(多分)

またマイペースの更新になりますが、よろしくお願いします。

(二部はオリキャラが出現します)
---------------------------------------------------------------
<> @tea<><>2011/05/24(火) 14:13:03.28 ID:OqW10nvW0<> 学園都市第二位、垣根帝督。

能力解析の結果、この世に存在しない素粒子 に付与できる能力は必ず一つ。

また、急激な温度変化により、操作権を失う模様。

生産された物質からの副産物についてはこの限りではない。


分子凝結、疑似太陽2名による作戦は可能……



…作戦開始《ミッション・スタート》
<> @tea<><>2011/05/24(火) 19:56:45.63 ID:OqW10nvW0<> 現在、動けない状態にいる。

理由は簡単、恋人兼宿主殿に捕まっているからである。

絡まれている。

「んー」

最近、芳川桔梗が家にいない。

何でもカエルの医者のところで仕事にありついたらしい。

必然的に、打ち止めがいるリビングで飲む率は下がる。

そうすると、自室(with垣根)で飲むのであった。

「ん、」

「はいはい」

「ん。」

「はいはい」

「んー」

「またァ?」


「ん♪」
<> @tea<><>2011/05/24(火) 19:58:43.99 ID:OqW10nvW0<> 説明しよう

ん、とは、ビールのおかわり要求。

ん。とはゲソの追加。

んーとは、未元七味をゲソにかけてほしい、ということらしい。

ここ数日一緒に飲んでいる(未成年はコーラ)ので、見慣れた光景になりかけていた。

「アンタも飲むんじゃん」

ボトルから、グラスへ。

ゆるりとした軌道を描き、琥珀を濃くしたような液体が流れ落ちた。

底の硝子に触れて、今までの軌跡が嘘だったように砕け散る。

数多の気泡を引き連れて。

「どーしたんじゃん?」

「何でもねえ…よ」

弾ける雲は、儚さと同時に妙な不安を掻き立てた。

裏側からのアクションが無い。

間借りなりにも、学園都市第二位垣根帝督。

非合法研究施設を片っ端から潰しているのに暗部≪むこう≫側から接触も無い。

踊らされている危険性もある。

(面白くはねぇ、な)

あまりに低い確率を否定する。

理由が無い。

ならば、なぜ?

「ていとく〜ん」

「それはヤメロ」

声をかけられたことで、思考が断絶した。

ジャージ姿の前の女性に思考を戻す。

うむ、艶やかナリ。 <> @tea<>sage<>2011/06/16(木) 01:34:24.16 ID:YdNoSAN+0<>





ジャージなのがあれと言えばアレだが、それはそれで良さがある。

このタイプの女は嫌いじゃない。

「考え事?」

「主にエロティックな意味でなら」

「…ばか」

なんですか一瞬の沈黙は。

対応と反応に困るだろうが。

肩を抱き寄せ、その額にキスをする。

かつて無い幸せを感じていた。
<> @tea<>sage<>2011/06/17(金) 18:23:25.56 ID:/lcIRxjh0<>
「なあ、学校に行きたいんだが…」

前から考えていたことを話してみた。

まあ、一方通行達と相談していた事なのだけれど。

相方はどうやらびっくりしているようだ。

鼻からビールが垂れている。

「そんなに驚くなよ」

取敢ずティッシュで鼻をかませる。

妙な感慨だ。

さておき、

「がっ、学校に行くの?」

「ああ、まあ学校なんてまともに行ったことも無かったからな」

黄泉川が不思議そうな顔で見ている。

「この機会に行ってみようかな〜と」

「それは解ったとして、どの学校にするんじゃん?」

ここで外したら意味がない。

「アンタが働いている所が良いんだ」



数日後

「学ラン、プッ…」

「笑っちゃいけないんだよね、てっミサカは…プック」

「カカカアクククギャハハハ」

「テメェは少し自重しろ」

ムカつくので、翼パンチを仕掛けてみる。

「反射反射ァァ!!」


「ま、会議があるから行くじゃん」

「行ってらっしゃい、ってミサカはヨミカワを見送ってみる!」

送り出した後、三人で目配せする。

番外個体はこれから病院、一方通行達も一緒に行く。

蛙の病院の娯楽室で学校の代わりに、妹達と授業のようだ。

端のほうで珈琲を啜る一方通行を見てみたい気もするが……

靴を持ってベランダに向かう。

下には黄泉川の運転する車。

「学校でメルヘンすンなよォ」

靴を履き、窓枠に手を掛ける。

「するか…よ!!」

手摺を飛び越え、その羽で空へと飛び出した。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岡山県)<>sage<>2011/06/18(土) 01:02:27.87 ID:tpXyv7Fpo<> 楽しみながらよんでるよ、がんば <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/06/19(日) 05:31:07.35 ID:zVezxtIt0<> お、俺も読んでる。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/06/26(日) 13:24:17.59 ID:UaNP1Ix20<> 俺も <> @tea<>sage<>2011/07/13(水) 00:48:24.38 ID:YQSEpvEs0<> 詳細ヘッダー
校門まで後50mの所で、垣根は翼を畳んだ。

(ここから先は歩いて進むか…)

深い理由はない。

ただ校門までの木陰の中を進んでみたかっただけなのかもしれない。

もう学校の中に消えた黄泉川の影を気にしならがら、歩を進めた。




後にいる影は、笑った。

「なんだか滑稽だニャー」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/17(日) 08:49:29.46 ID:2RidC5DDO<> きてたー!!!
気長に待ってます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/24(日) 20:20:49.04 ID:+QorFWbDO<> まだなのかー <> @tea<><>2011/07/25(月) 02:42:23.93 ID:Cre99Pf90<> 黄泉川愛穂の机の上には1枚のプリント。

窓辺には、何故かミサカゴーグル着用の子萌先生。
「何してるんじゃん子萌先生」

「ミサカ妹ちゃん達に頼まれて録画しているんですけとね…大変ですよ垣根ちゃん」

ゴーグルをかけて、覗きこんでみる。

「ああ…成る程」

垣根は本人の学力水準と学生としての楽しみから、2年として編入した。

早速校門付近で人だかりができていた。

女子は羨望の眼差しで、男子は恨みや怨みで。

「早速有名人ですねー」

笑うしかなかった。

まさか、私の彼氏です、と説明するわけにもいかないから。



<> @tea<><>2011/07/25(月) 02:44:05.26 ID:Cre99Pf90<> 自分を見る人だかりの視点に気がついた。

一つ二つではない。

(なんだ…?)

思わず羽をしまい忘れたのか、と思ってしまう。

(そんなことはないか…)

取り敢えず、その辺の女に声をかけてみる。

「おい、そこのあんた」

「ん、わたしか?」

黒髪のわりと胸部が強調されている女だった。

気が強そうなのが一点減点。

「悪い、職員室に案内してもらいたいんだが…」

「なっなんやて、我らが最後の砦、吹寄女史が…」

「カミやん以外に懐柔されとるニャー」

「何ですか、私めはそんなにプレイボーイではないんでせうよ」

「3バカうるさい!!とっとと教室でも行って予習でもしてなさい!」

「うわー吹寄さんが切れたー!!」

脱兎のように校舎の方に駆けていく。

「すまんな、校内でも有名なアホどもだ」

少し期の強そうな細い目が笑った。

<> @tea<><>2011/07/25(月) 02:44:31.90 ID:Cre99Pf90<> 「私が案内してやれれば一番いいのだが…姫神さーん!」

(姫神…?)

「なに……あっ」

表情が一瞬変わる。

困惑と恐怖の色だ。

「ど、どなた吹寄さん」

「ん、?今日転校してきた…」

「垣根、垣根帝督だ」

「よろしく、私は吹寄正理だ」

「わたし、姫神哀沙」

じゃあお願い、と垣根を任せると吹寄はどこかに行ってしまった。

その背中が見えなくなると、姫神が口を開いた。

「どうして、未元物質がここにいるの?」

「こっちの台詞だ、吸血殺し」

互いに睨み合う。

「まあいい、職員室は何処だ?」

「また、上条くん目当て?」

「上条?…ああ、幻想殺しもこの学校だったけか…」

パワーバランスの可笑しさを感じた。 <> @tea<><>2011/07/25(月) 02:52:29.93 ID:Cre99Pf90<> 校門で歓迎と好奇の視線を受けて、辟易としながら職員室に出向いてみた。

「失礼します、転校してきた…」

「垣根ちゃんですねー。お待ちしていたのですー」

でてきたのは、どう見ても小学生サイズの女の子だった。

「悪いんだか゛先生を呼んでくれないか」

「私は先生なのですよー!!」

「嘘だろ…」

「ほんとなのですー、垣根ちゃんの担任の月詠子萌先生なのです」

椅子に座ってギャグを吐き続ける桃髪先生。

月詠。

−MoonReader−

「珍しい名字ッスね」

「あんまり居ないんですけどねー」 <> @tea<><>2011/07/25(月) 03:12:41.73 ID:Cre99Pf90<> 机の上の書類に目を通して向き直る。

「さて、垣根ちゃん…ここからは真面目なお話です」

……?

うえ
「統括理事会からの情報は来ています。学校では素行に気を付けてほしいですねー」

入学初日から、しっかりバレていやがる。

「代位二位、未元物質の垣根帝督ちゃん」

「この学校に入ろうと思ったことの細かい経緯は聞きません」

「ただ、この学校の生徒に傷をつけるようなら、容赦はしません」

子萌から吹き出るオーラは、表のソレとは違っていた。

「あんたは…」

「さて、お話はここで終了。教室に行きましょうねー」

遮るように言葉を止められ、もう何も言い返せなかった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/25(月) 03:31:40.81 ID:JJwCW5mDO<> (吹寄)制理と(姫神)秋沙だよ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/07/25(月) 07:12:55.22 ID:2/XgdxoAO<> ってゆーかお前ら細かすぎじゃね?

誤字間違いの1000や2000くらい脳内補完しとけよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/07/26(火) 13:14:44.47 ID:JUKxXUIPo<> >>111
まあその通りなんだろうが…姫神の「、」は「。」に統一してくれ。ほかのは脳内変換できるんだがこれだけは…頼む。 <> @tea<><>2011/08/16(火) 23:52:20.56 ID:if9DadB80<> さて、spも出たしちょっと行間を…

少しネタバレになるから、sp未読の方はくれぐれも見ないように <> @tea<><>2011/08/16(火) 23:52:49.13 ID:if9DadB80<> さて、spも出たしちょっと行間を…

少しネタバレになるから、sp未読の方はくれぐれも見ないように <> @tea<><>2011/08/16(火) 23:56:44.27 ID:if9DadB80<>

「黄泉川先生、黄泉川先生。緊急放送です。至急職員室までお越しください」

校内放送で恋人の名前が流れてきたのは、

トロピカルマンゴーメルヘン南国フルーツ味

を買った時だった。

「こういうの、よくあるのか?」

「そんなにしょっちゅうじゃないけどニャー」

「俺たちは気楽だニャー、警備委員≪おもてがわ≫だけで事足りるるんだからニャー」

「ニャーニャーウルセェよ、緊急呼出か…、あんまり良い予感はしねぇな」

心配しすぎだニャー、とかなんとか聞こえたが、まあ気にしないことにする。

「先公にはなんて言ってほしいニャー?」

「そうだな…、」

窓枠に足を掛けてふと思う。

「ヤンチャなお姫様の見守り…かな」

窓からの出入りが、最近多くなったな…と。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/17(水) 00:03:46.80 ID:3z4hSltV0<>         { `¨⌒}
          ..>'⌒'〈
        {__,,ノ´ 、}
       {___,,ィ ,〉
           { リ'^i
           、{_,ノ
           | -‐…‥‐-  .,,_
           i: : : : : : : : : : : : :`丶、
           l: : : : : : : : : : : : : : : : :\
           l: :/: : : : : : : : : : : : : : : ` 、
           |/: : : /: /: :/: : : : : : : : : : : :'.
           |:,_:_:/|:〃 /:/ : : : : : : : : : : : :
             〔_、{`刈、:|: | : : / : : : : : : : : :
           i==ミぃW|/|: :/: : _j: : : : : : : :
           :'⌒i 犲i  |/|: :_/ }: : : : : : : :
           トrリ }}   .ノイ}`メ:i:| : : : : : :
           |ミ    _    =ミ: :从:| :i: : : :
           l     i|{、_  '⌒i 狐\/: : : :
           |  r    ミ.トrり }}i|从 : : : :
           | _   ´    `弌 ノ代:八: : : :
             〔_ `Y           '| / : : :、ト、|
           ト .`’       / /|: : : : : :
           |        . イ-イ: :|: : : : : :|
       , /   _}├‐…=≦{:! : |: :|: |: : : : : :|
     { {'⌒¨´ ̄`'く_/ 从: :|: :|: |: : : i: : :
       `て¨i≧r‐ } _/ }iW|: :∧: |: : : |ト、
      、_{'⌒¨´ ̄`ヾ     ∨八{ }:i|: : : || .
      `下≧zr‐ }}    \__ノ リ }: :リ  }
         (⌒“ ̄`Y”,    ⌒て¨}ノイ .ノ'
       、(⌒¨⌒'〈、‘,      '.
          `で下.,__}} ‘.       }、
          {」 ,リ      .≠⌒i
             i | √}     |_/    }
             i 「 }八   ´}      ノ

<> @tea<><>2011/08/17(水) 00:11:34.48 ID:EdzhO0DB0<>
飛んでいる最中に色々な情報を手にいれた。

猛毒の燃料を積んだ輸送車が暴走して、止まらなくなっている。

恋人が最前線に行ったこと。

対策本部と銘打たれた安っぽい会議室の前では、女の子ともっと幼い男の子が泣いていた。

「ママぁ〜」

「大丈夫、大丈夫だよ」

背中を優しく擦る女の子の顔は蒼白だった。

「どうしたんだ、お前ら」

「……ママが、ママがぁ!」

なぜ泣いているのか理解した。

「輸送車を運転しているのは、…」

「…、私たちの母親です」

遠くに見える対策本部の大型モニターの前では、1つまた1つと事故のアイコンが増えていった。

人工泉に進んでいくルートを覗いて。

(……やられた。多分だが上からの指示が出てる)

気づいた瞬間には、もう決まっていた。

「母親を助けたいか?」

「……助かるんですか?」

諦めムードの対策本部を見ていた女の子の顔に生気が戻る。

未開封のトロピカルマンゴーを、男の子の手に乗せた。

「俺の未元物質に常識は通用しねえ」

次の瞬間、垣根は音速を越えていた。
<> @tea<><>2011/08/17(水) 00:13:13.64 ID:EdzhO0DB0<>




走り去って行く悪魔の背中をなにもできないままに見送っていた。

こんなときあいつらだったら解決できたのだろうか。

怪物と蔑まれたとしても目の前で何の罪のない人間を見殺しにするよりは……………

<> @tea<><>2011/08/17(水) 00:14:58.67 ID:EdzhO0DB0<>


「愛穂ぉ!!」

誰かが駆け寄ってきた。

「か、垣根!?」

「帝督っていつになったら、手がヤバイぞ!」

未元物質で応急処置だけはしておく。

「私はいい!!私はいいから!!早く列車を!」

「言われなくてもそのつもりだ!」

ステップを二、三歩踏むと消えた。

速すぎて眼で追えなかったのだ。

後はもう自分に出来る事は何も無い。

不思議と安心感があった。

あいつに任せれば大丈夫だと。

(後は…お願い、ていと…く)

意識は暗黒に塗られて行った。

<> @tea<><>2011/08/17(水) 00:19:12.10 ID:EdzhO0DB0<>


先回りした垣根は、遠くに見えてきた鉄の固まりに語りかける。

「さて、問題です」


電子制御云々の前に機械化した駆動部分を瞬間的に凍結させればいいのだ。

爆弾で信管さえ潰せば、もうただの塊になるのと同じこと。

大型の誘導車の動力部分を凍結させ、突入してくる鉄塊の勢いを0にする。

簡単…だ。

「路面には氷結物質を着けました」

「ていとくんは何をしようとしているでしょうか?」

やや、速度を上げている輸送車。

「1、恋人の願いを手伝う」

「2、ガキ二人を泣かせないようにする」

「3、あまりにもムカつく理事会にキレる」

<> @tea<><>2011/08/17(水) 00:20:43.35 ID:EdzhO0DB0<> 山岳揚子は見た。

路面の先に白羽の天使がいる。

本物か、偽物か。

端正な顔が憤怒に歪んでいるのが遠くからでも解った。
<> @tea<><>2011/08/17(水) 00:21:16.14 ID:EdzhO0DB0<>

「正解はァ、」



「全ェん部でしたァァァァァ!!!!」

羽で勢いを付けて飛び出し、固く握った右の拳を正面から叩きつける。

勢いを全て[ピーーー]ことは出来ないが、確実に列車の運動ベクトルを削り取る。

「うォらぁぁぁぁァァ!!!!」

列車の前面装甲をひしゃげさせて、突撃の威力を拡散させていく。

止めるだけなら簡単だが、中の人間を殺さないようにするにはある程度時間を掛けて威力を[ピーーー]必要がある。

足元の強化物質が接地面との摩擦で焼け切れなければ良いのだが。

しかし、無情にも列車が止まる気配は今だにない。

(不味い、これ以上の力をかけると、中の人間が鋼鉄サンドイッチになっちまう!!)

(くそ!)

その時空から何かが降ってきた。

人間か?

「えええい!!」

女の掛け声と共に、何かが空へ上がる。

「!人間バラシュートか!、やってくれるぜ!」

タイヤを廻す軸は既に凍結している。

後は人間ブレーキと一緒に止めるだけだ。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/17(水) 00:22:28.13 ID:PrXSarxB0<> 2ですね。 <> @tea<><>2011/08/17(水) 00:23:11.22 ID:EdzhO0DB0<>




一方通行はこの様子をモニターで見ていた。

先ほど可愛い愛娘≪last order≫に干渉しようとしていたハッカー集団のアジトを潰していた。

「ヘェ、アソコで爆発すると確実に学園都市の妹達が死んじまゥなァ」

キーボードに顔がめり込むような形で、一人捕まっていた。

「そこで死んだ妹達のIDになりかわってMNWに侵入。第一位を無力化、超電磁砲をジャミングで捕獲、微弱電流に乗っけて精神操作って所かァ?」

ちなみに相手の四肢はあらぬ砲口に曲がり、顎も潰れている。

「相変わらず残虐ねぇ」

「負けてねェよ、年増ババア」

「テメェも死体≪コイツラ≫みたいに粗末なp−焼いたろか」

ちなみに元は白かったろう事務所に10センチ四方も元の色はない。

人と分かる屍が少ない。

機械と癒着していたり、何か異常に重いもので擂り潰された用なのが殆どだった。

パソコンも、点灯している一台を除いて、全て溶けていた。

語る二人は一滴の返り血もなく、その場で何の緊張もなく話していた。

「まァ、ァのクソメルヘンなら、これくらい余裕だろ」

「そうね、私のアジトも被害がなかったみたいだし、これでめでたしめでたしね」

「じゃ、帰るかァ」

「そうね」

捕まっていた人間が放り投げられる。

その体は地面につくことなく、消えた。

爆発音と壁の大穴を残して。

<> @tea<><>2011/08/17(水) 00:31:58.32 ID:EdzhO0DB0<> 砲口じゃないです。

方向です。

すいません。 <> @tea<><>2011/08/17(水) 00:41:27.46 ID:EdzhO0DB0<>

山岳揚子は勝利に大笑いしながらふと思った。

自分たちを助けたあの天使は一体なんだったのかと。

幻想か、実像か。

それともただの妄想か。


消える間際に天使はこう呟いていた。

興奮すると、あいつの口癖がでちまうな、と。

子供たちのいい土産話になりそうだ。
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と、こんな感じで行間お終い。

本編はしばらく書けそうも無いのでご容赦を。

新約二巻はフレメアがやたらと可愛かったですね。

僕も馬面ポジになりたいですよ。

spのステイル編は、最後イノケンさんが頑張ってくれるのかと思ったらそんなことも無く、なんか残念です。

次の巻も楽しみですねェ〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/08/17(水) 18:03:16.22 ID:09ZwfX930<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/11/02(水) 00:07:55.96 ID:2hh++BwV0<> 乙
生存報告だけでも

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/13(日) 10:35:20.48 ID:5y5aAYFY0<> >>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1 <>