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HTML化した人:lain.
青髪ピアス「カミやん、『スクール』って知っとる?」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/04/10(日) 22:48:41.06 ID:axrgxkSW0
・基本台本形式。科学中心です。
・ギャグとシリアスどっちもというよりはどっちつかずです。
・<>内はルビだと思ってください。
・独自解釈、キャラ崩壊注意
・第三次大戦終了後。上条さん学園都市戻り済。

・言い訳になるかどうかは不明ですが初SSです。
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/04/10(日) 22:49:22.48 ID:axrgxkSW0
12月1日とある高校の教室

青髪「というわけでカミやん、バイトせーへん」

上条「唐突だよな唐突ですよね唐突過ぎやしませんか?」

青髪「三段活用できてへんよ、カミやん」

上条「話がいきなりすぎて上条さんは混乱しただけですよー」

青髪「苦しい言い訳やなぁ」

上条「うるせ!で、なんで急にバイトなんだ?」

青髪「ボクのお友達から手伝ってって話が来たんや」

上条「っていうか何のバイトなんだ?お前の下宿先のパン屋とかか?」

青髪「んー秘密や」

上条「却下」

青髪「カミやんのいけずー」

上条「黙れ!怪しい雰囲気プンプンじゃねーかよ。フザケんな!!」

青髪「ホンマのこと言うとね」

上条「?」

青髪「教室じゃ話にくいんや」キリッ

上条「は?」

青髪「そんなわけで今日の夜六時にとある公園に来てやーそこで詳しい話するわ〜」

上条「俺の都合は無視か?」

青髪「いいやん。シスターちゃんもいなくなってカミやんは今暇やろ?」ボソッ

上条「!?何でお前がそれを知って……」

青髪「んじゃカミやんまた後でー」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/10(日) 22:51:15.73 ID:axrgxkSW0
上条「………どういうことだ?」

姫神「上条君。ぼーっとしてどうしたの?」

上条「あ、ああ。ちょっと考え事してて」

姫神「……。インデックスの事?」

上条「……違うと言えば違う。そうと言えばそうなんだよなー」

姫神「帰ったんだっけ。イギリスに」

上条「ああ……戦争があった今アイツが学園都市にいるのはいろいろと問題があるらしくてな」

姫神「元気にしてる?」

上条「元気過ぎて困ってますよ。ほぼ毎日電話してくるし、しかも時差考えねーから夜中だし」
  「しかも今日何があった?とか聞いてくるのに『とうまは相も変わらずとうま何だね』って言った後にガキンガキンって歯の音が」ガタガタブルブル

姫神「元気そうで。何より」

上条「今度お前の番号も教えとくか?インデックスのやつも話したいだろうし」

姫神「上条君も相変わらず」

上条「へ?」

〜〜

??「―、――――。――」

上条「時間まで結構あるんだよなー中途半端な時間に呼びやがって……不幸だ」テクテク

??「――――?―――!!――――――ッ!!!!」

上条「というか何であのことを青髪が?……ま、考えたって仕方ねーよな」

御坂「っていい加減無視すんなやこらーっ!!」ビリビリ

上条「だぁー!!……って御坂か」

御坂「アンタ本っ気でフザケてんの?その耳は飾りなの!?飾りなのかしら!?だったら今すぐ吹き飛ばして……」

上条「ごめんなさいごめんなさい上条さんは今考え事してたんですよーだからコインを出して超電磁砲なんて撃とうとしないでください」

御坂「……考え事ってまた厄介事じゃないでしょうね……」

上条「……ああ、多分」

御坂「はぁ!?またアンタ厄介事に巻き込まれそうなの!!??」

上条「違う違うって違いますの事よ。そもそもまたってなんでせうか?」

御坂「ロシア」ボソッ

上条「う」

御坂「結局あの時の事も何でロシアにいたかも全然説明してくれないし」

上条「その件に関しては感謝してますしだからこそ散々罰ゲームを受けたと思うんでせうが」

御坂「うっさい!アンタ私があの時どれだけ心配したか解ってんの!?」

上条「まあ、正直な話心配掛けたと思ってるし、来てくれた事には感謝しても感謝しきれないよ」

御坂「う(急に真面目な顔されたらどんな反応返していいか……)」

上条「どうした?顔真っ赤だぞ?」

御坂「う、うっさい!で、今度は本当に厄介事じゃないんでしょうね?」

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/10(日) 22:53:04.57 ID:axrgxkSW0
上条「ああ」

御坂「本当に?能力者の犯罪率が上がったらしいけど関係してない?」

上条「そうなのか?」

御坂「ええ。異能力者以上の犯罪も発生してて大忙しだって黒子が言ってたわ。だからアンタも関わってるんじゃないかと思ってね」

上条「上条さんはまったくの無関係ですのことよー」

御坂「本当に?」

上条「大丈夫だって。高校の友達からバイトしねーかって言われてるだけだから」

御坂「何のバイト?」

上条「まだ聞いてない。今日の夜会った時に話すってさ」

御坂「……その友達って女?」

上条「何で?男だけど」

御坂「本当でしょうね?」

上条「何で疑うんだよ。そもそも俺の知り合い=女の子みたいな前提はおかしい!!上条さんは女の子の知り合いは少ないんですのことよ」

御坂「………」

上条「え?御坂さん?どうかされ……」ダラダラ

御坂「どのクチでんなこと言ってんだコラぁああああああ!!!!」ビリビリ

上条「だぁー!!不幸だーーー!!」

〜〜

上条「何とか撒いた、か?」ハァハァ

青髪「まったく……ボクを待たせといて常盤台のお嬢様と追いかけっことはイイ御身分やね、カミやん」

上条「す、すまん。というかあれは追いかけっこなんて生易しいものじゃねぇ。捕まったら最後のデスゲームだ!!」

青髪「ほい、飲む?」

上条「ああ、サンキュ」

青髪「バイトの内容の前にきっとカミやんは聞きたいことがあると思うんだけど……ボクはそっちから答えるべき?」

上条「ああ。何でインデックスがイギリスに帰ったことを知ってるんだ?誰にも言ってないのに」

青髪「んーあ、その前に。ボクは魔術師やないよ」

上条「!?どこまで知ってるんだ?」

青髪「知っとるだけやよ、存在をね。ボクってば隠れた特技が情報収集なんよ。だからそういうのがあるのは知識として持ってるんや」

上条「インデックスについては?」

青髪「あの子のことはあんまり知らんよー。アッチ側で重要な存在、としか」

上条「お前……何者なんだよ」

青髪「安心してやーボクはカミやんの味方やから」

上条「……で、バイトって言うのは?」

青髪「カミやん、『スクール』って知っとる?」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/10(日) 22:54:42.70 ID:axrgxkSW0
上条「『スクール』?。予備校か何かででも働けってか?」

青髪「万年補習のカミやんに頼むわけないやん」

上条「事実だけどお前に言われるとむかつく」

青髪「簡単に言うと何でも屋みたいなもん。それを再結成しようって話があるんや」

上条「何でも屋ねぇ。例えば?」

青髪「学園都市へのテロの始末とか、統括理事会のメンバーの護衛とか、離反者の制裁なんてもんもあったなぁ」

上条「……冗談だろ?」

青髪「ホンマや。解り易く言うと学園都市の『闇』だった組織や」

上条「フザケてるのか……」

青髪「待って待って落ち着いてくれへん?それは元『スクール』の仕事であって今度の『スクール』は違うんや」

上条「どういう意味だ?」

青髪「まあ、ボクも話す順番が悪かったっちゃ悪かったんけどねー。まあ、詳しく説明すると――」

青髪ピアスは話した。かつて存在した学園都市の『闇』の部分。かつての『スクール』とは何かを。
何も知らなければただの妄言だと思って笑い飛ばすのだろうが上条当麻は知っている。
絶対能力進化計画<レベル6シフト>や9月30日。学園都市の裏側にある『闇』の一端を。
そして青髪は続ける。今の学園都市はそれを『なくす』と決定したと。
今回の戦争や様々な事情から学園都市の『闇』の部分を根本から排除する。
無論それに抵抗する人間は山程いるだろう。科学者や能力者の抵抗だってあるかもしれない。
その為に新しく組織を作り治安維持を強化する。そしてその為に『スクール』を再結成するというのだ。

青髪「ってわけやねんけど……ま、その反応が普通やね」

上条「何で俺なんだ?」

青髪「一つはカミやんの右手。いい加減無能力者詐欺は卒業してもらわなかん。それにボクらの目的は守ることや。相手を[ピーーー]ことやない」
  「一つはカミやんの経験。カミやんのアッチ側に対する知識はもしもの時に学園都市を守る切り札になる」
  「最後に……」

上条「最後に?」

青髪「ボク、カミやんのこと好きやねん。いっつも馬鹿やってる仲間として。本当はカミやんを巻き込むのは反対やねんけどね。でも」

上条「……」

青髪「カミやんならボクの背中を任せていいかな、とも思えるんや。それにカミやんはいろいろと荒事に突っ込む正確やからね。ならボクが一緒にいた方が安心やん」

上条「……その『スクール』ってのに入るのがバイトだってわけか?」

青髪「そうや。ちなみに風紀委員や警備員みたいなものとして扱われるから報酬はもちろんカミやんの場合は補償にもなるで」

上条「補償?」

青髪「今までの入院費は経費で落ちるしと補習分は免除になるよ」

上条「」

青髪「これ以上は企業秘密や、入ってからのお楽しみって事……で、どうするん?」

上条「一つ、条件をつけていいか?」

青髪「何ー?」

上条「どんな状況だって人殺しはしないし誰にも殺させない」

青髪「んーダメやね」

上条「!?」

青髪「たとえテロリストだって傷一つつけないでやる!くらいやないと困るわ」

上条「………解ったよ」

青髪「カミやん、ようこそ『スクール』に」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/10(日) 22:55:59.68 ID:axrgxkSW0
上条「で、ここはどこなんだ?」

青髪「ボクらの支部……というか詰め所の一つになる予定や」

上条「詰め所……ねぇ」

青髪「場合によってはカミやんには装備をしてもらうことになるかもしらんしね」

上条「装備……?」

青髪「あー銃やないで、防刃や防弾系。それに対能力者の手錠とかやね。カミやんの弱点は物理やからねー」

上条「………物騒だな」

青髪「後悔しとる?」

上条「いや。全世界とか学園都市全体を救うとか言う気はないけど……お前と戦うくらいはできるからな」

青髪「ボクが女の子やったら惚れとるね。カミやんはこれだから……」

上条「何だそれ?そういえば俺達二人だけなの?」

青髪「いやー二人やないよ。実働隊員がもう一人、指示役がもう一人や」

上条「ふーん」

青髪「指示役を連れてもうすぐ来る予定なんよ。と言っても指示役の人は今日くらいしか会うことはないと思うんやけどね」

上条「ってかさ………何か結構責任重大?」

青髪「………今更それを言うん?」

ピンポーン

青髪「来た見たいやね」

上条「………って雲川先輩!?」

青髪「お疲れ様やね、カッキー」

垣根「その呼び方は止めろ」

雲川「久しぶりだな。前話したのは大星覇祭の前だったか?」

上条「なんで先輩が……?」

青髪「ええやん、カッキー。ていとクンのがよかったん?昔はどっちでも反応してくれたやん」

垣根「何年前の話してんの?お前」

雲川「暇潰し、みたいなものだ」

上条「暇潰しって……」

青髪「えー久しぶりにあってそれは冷たいなー久々に会った親友に対して酷い話しや」

垣根「オマエが本名教えたら考えてやるよ。それよりも」

三人「?」

垣根「キチンと挨拶しようぜ。会話もぐちゃぐちゃでよく解らねぇ」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/10(日) 22:56:45.98 ID:axrgxkSW0
雲川「雲川芹亜だ。スクールの指示役となった。一応そこの馬鹿二人の先輩だ」

上条「馬鹿二人って」

青髪「酷いやーでも悔しい!ゾクゾクきちゃう」ゾクゾク

垣根「指示役が顔見せるとはな」

雲川「かつての立ち位置と同じと考えるな。表に立つ分お前が知っているそれ以上に責任は大きい」

垣根「……解ってるよ」

雲川「と言っても今後直接顔を出すことはないよ。私には本業もいろいろとあるからな」

青髪「んじゃ次はカミやんやねー」

上条「俺か?えーと……上条当麻です」

垣雲青「………」

上条「………」

青髪「それだけかい!!」ドゴッ

上条「痛ぇっ!!三人中二人も知り合いの中で自己紹介って何言えばいいんだよ!!」

青髪「いろいろあるやろ!!女の子の趣味とか女の子の趣味とか女の子の趣味とか!!」

上条「フザケんな!!いろいろって一個じゃねーか」

雲川「相変わらず、お前らは見ていて飽きないな」ハッハッハ

上条「先輩に笑われたじゃねーかよ」

青髪「カミやんが悪いんやでー」

上条「何で俺が?」

青髪「自己紹介をちゃんとしないからや。そもそも自分が『幻想殺し』だって言わんでどないするんや」

垣根「!?まさか第一位野郎を倒した……?」

上条「あー知ってんのか?っつっても何もできない無能力者ですけどねー」

青髪「カミやんそれ嫌味?」

雲川「全くだな。お前の自己評価の低さは謙虚を通り越して嫌味にしか聞こえん」

上条「えー……ってか先輩も知ってたんですか」

雲川「知っていなければ指示役となんかになれんだろうが」

上条「ま、たしかにそうですけど」

青髪「んじゃ次は帝督の番やね」

垣根「……垣根提督、超能力者<レベル5>第二位未元物質<ダークマター>だ」

上条「!?第二位ってすげーじゃねぇか」

青髪「カミやんやと何言っても嫌味にしか聞こえんね」

垣根「全くだ」

上条「不幸だー!!」

雲川「自己紹介だけでこんな事態になるとは……相変わらずお前は意味不明だなあ」クスクス

青髪「さ、自己紹介も終わったところで騒ぐでー!!」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/10(日) 22:58:12.59 ID:axrgxkSW0
〜〜
ベランダの外

青髪「どうしたん?こんなところで黄昏て」

垣根「いいのか、と思ってな」

青髪「手が汚れてるとでも言うつもりなん」

垣根「生き返ることができた理由も聞いた。正直一度死んで考えも変わった。でもだからこそここにいいていいのかって思うんだよ」

青髪「帝督があの日まで何してたかは知ってるよ。まあ、ホンマなら大罪人やね」

垣根「そんな俺が治安維持、今更正義のヒーローとか笑っちまうだろ」

青髪「ボクは笑わんよ。それにカミやんも先輩も笑わんよ」

垣根「………」

青髪「それにカミやんに帝督の過去を言ってみ?多分こう言われるで」

上条『たしかにお前のしてきたことは悪いことなのかもしれない。でもだからと言ってお前が悪で居続ける必要なんてねえだろ!』
  『償えばいいじゃねぇか!胸を張る必要なんてねぇ、開き直る必要なんてねぇ、後悔して後悔して後悔して後悔して』
  『その上で前を向いて誰かを救えばいいんだよ。お前が誰かを救いたいって罪を償いたいって気持ちは変わんねぇだろ!』

青髪「とか言われるで。しかもグーパンチつきや」

垣根「………そんなヤツなのか、上条は」

青髪「せやでーだからボクも重たい腰をあげたんや」

垣根「……正直死んだと思ってた」

青髪「殺したつもり、死んだつもりやったよ」

垣根「じゃあ何で今更出てきた」

青髪「一つは理事会からの要請。一つは世界情勢。一つは最近のカミやんが見てられんかったから。ま、もう一つあるねんけど」

垣根「なんだよ」

青髪「昔の親友の為や」

垣根「………感謝してる。学園都市第一位様」

青髪「いつの話やねん。君も一方通行も学園都市に来る前の話やん。今は名無しの青髪ピアスくん……は無理か。せめて第六位って言ってくれへん」

垣根「第六位、ねぇ」

青髪「それにね、ボクも同じなんよ。二度も親友を見殺しにしとる。自分可愛さに多くの傷をの見て見ぬふりしとる」

垣根「二度……?」

青髪「さ、硬い話しは抜きにして仲良くカミやんに殴られに行こかー多分3日は硬いもの食べれんくなるけど」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/04/10(日) 23:01:36.91 ID:axrgxkSW0
とりあえず第一段できりのいいところまでです。
2、3日中には。

なお、次回は『スクール』は一旦おやすみで『スクール』以外のチームが出てきます。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/04/10(日) 23:03:00.83 ID:nlcFB/iMo
乙乙
頑張ってくれ
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)[sage]:2011/04/10(日) 23:04:59.43 ID:KEbiC/td0

心理定規たんはいないのか…
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/10(日) 23:09:28.06 ID:D83oobgi0

これは俺得
期待してるから無茶せず頑張ってくれ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/04/10(日) 23:20:53.30 ID:0ndcgW540


最近俺の頭の中見られてる気がする
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/04/10(日) 23:22:22.70 ID:0ndcgW540


最近俺の頭の中見られてる気がする
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/04/10(日) 23:23:20.61 ID:0ndcgW540
お乙

最近俺の頭の中見られてる気がする
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/04/10(日) 23:29:28.25 ID:PFQhb46eo

これは俺得
期待してるから無茶せず頑張ってくれ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/10(日) 23:32:07.46 ID:HvOYcp1DO
いいね面白いね
期待してます
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/10(日) 23:41:52.59 ID:c929lovZo
なにこれ面白い
期待
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/11(月) 00:20:18.52 ID:QfOAle1AO
乙期待ブクマ
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/11(月) 01:47:31.50 ID:UMcy7884o

心理定規と上条さんの絡みは稀少だから期待しちゃってもいいかい
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/04/11(月) 02:08:44.51 ID:lvQ2AB2m0
この青ピには惚れる
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)[sage]:2011/04/11(月) 15:02:29.70 ID:Tmmrs6afo
雲川先輩はぁはぁ
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/11(月) 21:58:29.26 ID:lRuWW5/IO
珍しい組み合わせだ
期待
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)2011/04/11(月) 22:04:51.02 ID:q7fTs9dk0
>>20
そして心理定規にフラグを立ててしまう…
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県)[sage]:2011/04/11(月) 22:23:41.32 ID:AIayj5cao
未元定規大好きな俺は期待していいのか?
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/04/11(月) 22:57:37.69 ID:GYxlx55r0
>>1です。
沢山のレスありがとうございます。
そして心理定規たん人気過ぎワロタ。
そして謝らなければ。2、3日中には。といったのはありゃ嘘だ。
という訳で投下。

『スクール』以外の治安維持組織の方々です。

27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/11(月) 23:00:42.69 ID:GYxlx55r0
黄泉川家

番外「取り戻した平穏の味はいかが?」

一方「……何が言いたい」

番外「別にぃ」ケタケタ

♪スキトオルーキーセツガスーギーカゼガマター

一方「……!?」

打止「どうかしたのーってミサカはミサカは驚いているアナタの顔を覗き込んでみたり」

一方「出てくる」

打止「お出かけ?ならミサカも行きたいってミサカはミサカはおねだりしてみたり―」

一方「ダメだァ」

打止「ぶーせめて連れてってくれないならお土産をお願いってミサカはミサカは最終兵器上目遣いを投入決行」

一方「帰りは遅くなる」

番外「猫の手は必要かにゃーん」

一方「オマエもいらねェよ」

〜〜

土御「久しぶりだな、一方通行」

一方「しぶとく生きてやがったみてェだな」

結標「相変わらずの憎まれ口ね」

海原「まあそれも彼らしい部分ではないでしょうか」

一方「ンな世間話より用件を言いやがれ。別に無事でしたって俺に報告してェわけじゃねェンだろうが」

土御「『グループ』を復活させる」

一方「………今なンつった」

土御「『グループ』を復活させる。メンバーは以前と同じ俺達四人のつもりだ」

一方「『闇』は消したはずだ。俺が消した。街中の『暗部組織』を縛る構造そのものを撤廃させた」

土御「その通りだ」

一方「なのに何で『グループ』なンてあからさまな名前がでて来るンだ?」

土御「落ち着け一方通行」

結標「土御門、やっぱり貴方は説明が下手ね」

海原「同感です。というよりわざとやってませんか?」

土御「一応順を追って説明してるつもりだがな」

一方「どォいう意味だそりゃ」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/11(月) 23:02:13.56 ID:GYxlx55r0
土御「暗部がなくなれば、非人道的実験がなくなれば学園都市は平和になると思うか?全ての闇が駆逐できると思うか?」
  「上層部にだって癌はいるし、学園都市には敵が多い。戦争があった不安からか犯罪率も上がってる」

一方「まさか俺達に風紀委員や警備員の真似ごとをしろってンじゃねェだろうな」

土御「近い」

一方「!?オイオイ、今更正義のヒーローの真似ごとでもしろって言ってンのか?このウス汚れた手でかァ?」

土御「裏ではなく表の組織として公式に『グループ』が再結成される。まあ、一般人には風紀委員の増援として発表される予定だ」

一方「オマエ達は納得してンのか?」

土御「してるさ。学園都市には敵が多い。それは学園都市に大切なモノがある以上学園都市を守らざる得ない」

結標「もちろん完全に上層部を信用してるわけじゃないわ。それでも守りたいものがあるのだから仕方がない」

海原「ああ、強制ではありませんよ?今回のは『闇』ではなくて『汚れ役』基本的に殺人はご法度のクリーンなお仕事ばかりですので」

土御「別にお前が嫌だと言うなら止めはしない。学園都市そのものを恨んだって仕方がない。既に学園都市は存在するんだからな」

一方「……俺が断ったらオマエらはどうすンだ?」

土御「別にどうもしないさ」

結標「まあ、取り扱い注意のロリコンがいなくなってせいせいするくらいかしら」

海原「問題ないですよ。学園都市は自分達が守ってあげますから」

一方「上は今まで通り統括理事会か?」

土御「いや、厳密には親船最中だ。統括理事会ではなく次期統括理事長候補となってるがな」

一方「あの時の……」

土御「『上』の中では信用できる存在だ。で、お前はどうする?」

一方「丁度どっかの馬鹿が『社会の一員として歯車になるじゃん』ってウルサかったとこだァ」

結標「まったく素直じゃないのね」

海原「まあ、彼に素直さを求めても仕方ないでしょう」

一方「元『暗部』が正義のヒーローたァ世も末だなァ」

結標「まったくね」

海原「まあ、これで往来を歩けると言ったところでしょうかね。ところで再組織されたのは自分達だけなのでしょうか?」

土御「他にもいくつかチームが結成されてるらしいが詳細はまだ来てない」

結標「まあ私達四人だけってのもアレだしね」

一方「『暗部』みてェに潰し合いになったら冗談じゃねェぞ」

土御「一応その辺りは考慮してあるそうだ。協力しろとは聞いてないがな」

海原「お任せ、というヤツですか?信頼……されているんですかね」

土御「そこまで手が回ってないんだろう。『上』は今非人道的実験を潰したり後始末するのに躍起だそうだ」

結標「……学園都市を一から作り変えるつもりなのかしらね」

海原「どうなんでしょう」

一方(ハッ、俺が正義の味方たァ……信じられねェなァ……)
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/11(月) 23:06:46.34 ID:GYxlx55r0
第10学区 学園都市の墓地の前。

浜面「……麦野のヤツ、遅いな」

浜面「フレンダって、何が好きだったっけ?」

滝壺「さば」

絹旗「なんか缶詰ばっかり超食べてた人でしたよね。金には困ってなかったはずなんですけど」

浜面「終わったか?」

麦野「終わったよ」

滝壺「バスと電車、どっちで帰った方が早いんだっけ?」

浜面「えーっと……」

??「バスの方が早いけど第7学区より遠くまで行くなら電車の方が早いわよ。結局、第10学区はバスも電車も本数が少ないから車の方が早いんだけれどね」

麦浜滝絹「え」

??「結局、いろいろ探した末にこんなところで対面することになるとは思ってなかったって訳よ」

麦浜滝絹「……」

??「どうしたの?幽霊でも見たような顔しちゃって」

麦浜滝絹「フレンダ!?」

フレ「詳しい話は後。まずは移動しよう、そこの車使っていいから」

麦野「本当にフレンダなの……?」

フレ「久しぶり、皆」


フレ「それにしても……結局、二か月しか会ってなかったのに皆結構変わってるし……あ、そのサバ缶もらっていい?ちょっとお腹空いててさ」

滝壺「フレンダの御供え物のつもりだったから元々フレンダのだよ」

フレ「んじゃもらう訳よ。あ、浜面次の交差点左ね」

絹旗「フレンダ、正直状況がつかめないので超説明してもらえると嬉しいんですが」

フレ「まあ、かいつまんで説明すると……」

目を覚ましたらある第7学区の病院にいたこと。
その医者はフレンダを生かす為に様々なことをしたこと。
そしてその一つとしてフレンダを死んだままにしたしたこと。
その医者の手伝いでいろいろと画策していたこと。
第三次世界大戦が終わり、最近まで四人の動向が掴めずにいたこと。

フレ「本当はもう少し早く顔出したかったんだけど、結局、私の調整とかこっちの準備とかいろいろあったからね」

絹旗「そんなことが……」

フレ「まあ、麦野や浜面達ほどではないのかもしれないけどね。統括理事会から狙われたわけじゃないし」

麦浜滝絹「!?」

絹旗「超初耳なんですけどそれ」ワナワナ

浜面「いろいろあって説明できなくて、な」アセアセ

絹旗「何でそんな超大事なことを話してくれなかったんですか?」プンスカ

浜面「いや、お、お俺達はお前を巻き込むまいと」

絹旗「浜面超[ピーーー]!!」ポカポカ

浜面「運転中はやめろぉおおおおお!!」

滝壺「大丈夫、そんなはまづらを私は応援してる」

フレ「結局、浜面はキモいのは変わらないのね」

浜面「俺の扱いは変わらない!?」

滝壺「でもなんでフレンダはそのことを知ってるの?」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/11(月) 23:09:36.63 ID:GYxlx55r0
フレ「『ピンセット』って覚えてる?」

絹旗「あーそれってたしかあの日『スクール』が狙ってたものでしたっけ」

フレ「そ。正確には『ピンセット』を使って『滞空回線』っていうナノデバイスから情報を採取するのが目的だった訳よ」

滝壺「『滞空回線』って何?」

フレ「簡単に説明すると学園都市統括理事長の情報管理に使ってるデバイスよ」

麦浜滝絹「!?」

フレ「学園都市中に5000万個くらいばらまかれてたらしいわ。結局、統括理事は学園都市全域の情報を管理できたって訳よ」

絹旗「超悪趣味ですね」

フレ「結局、今はもう機能停止して使えないらしんだけどね。あ、浜面次の次の交差点右ね」

浜面「了解。……にしてもそんなものが……ってフレンダなんでそんなこと知ってるんだよ」

フレ「統括理事長に直接聞いたから」

麦浜滝絹「!?」

フレ「詳しくは着いてから話す予定なんだけどね」

浜面「フレンダ」

フレ「何?」

浜面「俺達は学園都市の上層部が原因でこうなったんだぞ?滝壺の体晶だってそうだ」
  「そもそも能力者なんてモノを生み出したのは学園都市だその大元ってことなんだろ?」
  「しかも『滞空回線』だ?だったらあの日のことを全て知ってたってことじゃねぇか」
  「お前を殺した張本人って事なんだろ?何でお前はそんなことしてるんだよ!?」

麦野「浜面、前見て」

浜面「……」

麦野「納得できる理由、聞かせてもらえるんでしょ?フレンダ」

フレ「皆が納得できるかは解らないけど。結局、今の位置を選んだのは私自身な訳よ」

〜〜

第3学区 とある個室サロン

フレ「結局、学園都市を恨んだって統括理事を憎んだって意味がないのよ。幸いにも私は生き返れたんだしこれからを考えるって訳ね」

絹旗「だからって同じ事を繰り返すんですか!?」

フレ「『暗部』じゃないよ。むしろ風紀委員や警備員が近いって訳ね」

絹旗「一緒ですよ!!散々使い捨てにされてきて、今度は自分達がピンチだから守れって事ですか!?」

フレ「別に嫌ならいいよ。結局、自由参加な訳だし別に断ったってペナルティはないから」

滝壺「フレンダは参加するの」

フレ「もちろん」

絹旗「何でですか?意味が超解りませんよ!!」

フレ「別に善人を気取るつもりはないけどね。守りたいものがある。それに気付いた訳よ」

絹旗「何にですか?」

フレ「誰も命なんて懸けたくない。でもさ、結局誰かが命懸けて誰かを助けなきゃいけない」
  「学園都市なんてなければよかったのかもしれないけれど現にあるものはどうしようもないし」
  「結局、学園都市がなくなって困るのは私たちみたいな存在な訳よ」
  「だったらさ、ヒーローを待つより自分がヒーローになった方が手っ取り早いじゃない?」

31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/11(月) 23:12:10.60 ID:GYxlx55r0
絹旗「……」

麦野「私にも手伝わせてくれる?」

絹旗「麦野!?」

麦野「別に私は正義の味方になる気はないけど……それで誰かが救えるなら。そしてアンタが私の手を取ってくれるなら私は手伝うわ」

フレ「もちろん。麦野なら大歓迎って訳よ!」

絹旗「………」

フレ「さっきも言ったように強制はしないよ。結局、強制じゃ意味がないから」

絹旗「……ズルイです。ここで私が拒否したら超悪者じゃないですか」

麦野「別にいいんじゃない?自由参加なんでしょ」

フレ「そうよー絹旗。結局、嫌なら参加しなくていいんだよ?」

絹旗「というか参加しますよ。私みたいな子を増やさない為にも…そういう実験も超廃止になるんですよね?」

フレ「今そのために動いてるって。結局、現行の非人道実験は全て中止。もちろん被験者はちゃんと手厚く保護されてるって訳よ」

浜面「………」

滝壺「浜面はどうするの?」

浜面「俺は……」

フレ「あ、そうそう浜面。コレ」ポィ

浜面「電話……?」

フレ「履歴の一番上にかけて」

浜面「……解った。ちょっと外出てくる」

フレンダから投げられた携帯電話。言われた通り履歴を開く。
しかしそこには名前も何も書かれていない登録番号1番という文字。
見た限り他の番号にはしっかりと名前が入っている。
この番号だけ特殊なのだろうかと首をかしげながらも浜面はそのダイヤルを発信する。

浜面「もしもし」

アレ「はじめましてだ、浜面仕上」

浜面「誰だアンタ」

アレ「彼女は何も説明しなかったのか」

浜面「フレンダの事を言ってるなら何も聞いてない。誰だアンタ」

アレ「アレイスター。現学園都市統括理事長だ」

浜面「!?……お前が」

アレ「そう全ての元凶だ」

浜面「俺に何の用だ」

アレ「二つ、伝える事がある。その二つだけは聞いて欲しい」

浜面「……言えよ」

アレ「浜面仕上、滝壺理后両名は学園都市から狙われることはない」

浜面「!?」

アレ「機密保持の為に保護される事はあっても学園都市から狙われる事はない」

浜面「どういう意味だ」

アレ「そのままの意味だ。そしてもう一つ、『体晶』の治療ができる医者を知っている」

浜面「!?」

アレ「フレンダ=セイヴェルンの知っている病院に行けば滝壺理后は治療できる」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/11(月) 23:18:13.61 ID:GYxlx55r0
浜面「それを、それを信じろって言うのかよ!!」

アレ「信じる信じないは自由だ。学園都市はもう君達を狙わないし、彼女を治療できるのは彼だけだ」

浜面「……聞きたい事が山程ある」

アレ「可能な限り答えさせてもらう」

浜面「滝壺の能力を諦めた理由は何だ?完成すれば学園都市の機能全てをまかなえるその力を諦めた理由だ」

アレ「一つ誤解があるようだが私が狙っていたのは彼女の命じゃない、君の命だ」

浜面「俺の、だと?」

アレ「学園都市としては『能力追跡<AIMストーカー>』である彼女を追っていたようだったが私のプランに影響していたのは君だ」

浜面「どういう意味だ?プランだと…」

アレ「本当は10月9日、あの日君は暗部同士の抗争に巻き込まれて死ぬ予定だった。しかし君は生き残り無能力者でありながら原始崩しを撃破した」
  「君の行動は私のプランにはなかった。君がイレギュラーとなりプランが崩れる可能性があった。だから私は君を排除したかった」

浜面「そのプランとやらの内容は?」

アレ「残念ながらそれを君に説明するには時間が足りない。今となっては叶えようのない意味すらない事だ」

浜面「『素養格付<パラメータリスト>』はどうなった?なぜ滝壺は狙われなくなった?」

アレ「『素養格付<パラメータリスト>』は破棄させた。情報が流れている可能性は否定できないが『処分』の項目に載せてある。不安なら君の交渉材料に記憶しておくといい」
  「滝壺理后に関しては彼女だけではない。誰一人として学園都市に狙われる事はなくなった」
  「全ての実験研究は本人の協力と同意によって行われる。実験や研究を拒否しても罰則が追加される事はない」

浜面「きっちり管理されたある意味学園都市の目指していた『理想』の形になるってことか?」

アレ「その通りだ。君らからすれば全ての研究や実験を破棄させたいのだろうがそれはできないのでね」

浜面「なぜだ?」

アレ「今学園都市を解体すればその全てが狙われる。例え狙われなくても生きていけない子供も存在する」
  「だからそこ勝手と解っていても学園都市は崩壊させる事はできない。それに技術がある以上いずれ同じ事が起こる」

浜面「だから今のまま管理をしていくってわけか?」

アレ「その通りだ」

浜面「一つ、いいか」

アレ「何だろう」

浜面「フザケるな!!俺達は実験動物じゃねェ。勝手に品定めされて勝手に見捨てられてその上今から努力しますだ?」
  「舐めんのもいい加減にしやがれ。俺はいい。恵まれてるんだ。滝壺がいる。『アイテム』がいる」
  「お前たちの勝手で殺された人間が山程いる。のたれ死んだ連中が沢山いる。ソイツらを目の前にして同じ事が言えるのか?」

アレ「言って見せる。それが私の答えだ。私を殺したいなら殺せばいい。どんな拷問でも屈辱でも受け入れる」
  「しかし全てが解決しないうちに、その糸口すら見えないうちに死んでやる事はできない」
  「私を許す必要はない。しかし私は謝るよ。全てに」
  「だからこそ私は可能な限り生き続ける」

浜面「二つ、俺との個人的な約束だ」

アレ「聞かせてもらう」

浜面「可能な限り生き続けろ。そして償え。許される事なく安らぐ事なく。そしてやれる事を全てしろ」

アレ「そのつもりだ」

浜面「もう一つ。死ぬ直前に俺に連絡しろ」

アレ「なぜだ?」

浜面「俺が殺してやる」

アレ「……約束しよう」

通話を切り、天を仰ぐ。空が見える訳でもなく、何が見える訳でもなく、目の前にあるのは綺麗な壁紙の天井だ。
自分がずっと求めていたもの。自分がずっと探していたもの。それが手に入った。いともたやすく手に入ってしまった。
麦野沈利と3度も殺し合いをし、ロシアまで逃げ、他人を拷問し、滝壺を傷つけたこともあった。
そんな努力、いや、必死に生き延びる為に足掻いてきた全てとまるで関係のないところで叶った願い。
浜面仕上は素直に喜ぶ事が出来なかった。裏があるとか罠じゃないかとかそういった勘ぐりではない。
自分の生き方が否定された、少しだけそんな気がしたからだ。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/11(月) 23:21:22.53 ID:GYxlx55r0
フレ「あ、電話終わったの?」

浜面「ああ、ありがとな」

滝壺「はまづらはどうするの?」

浜面「………滝壺はどうしたい?」

滝壺「………私は皆といたい。でも今の私はきっと役に立たないし。はまづらが止めるなら私は止める」

麦野「正直私はアンタ達は抜けるべきだと思ってる」

絹旗「麦野!?」

麦野「浜面はともかく滝壺は『体晶』の件だってあるし、それ以上に滝壺は狙われる理由がある。だからこそ滝壺はどんな形でも荒事から離れるべきだと思う」

絹旗「ですが」

滝壺「むぎのの言う通りだよきぬはた」

フレ「結局、二人はどうするの?」

浜面「ここで断ったら俺が悪者確定だよな」ボソッ

浜面「どうするも何も俺達は『アイテム』だよ」

滝壺「はまづら」

浜面「っつーか何かあったら俺が滝壺を」

絹旗「大丈夫です。滝壺さんは私が超守ります」フンス

浜面「おい絹旗!人がカッコいいこと言ってる途中だってのに」

フレ「結局、浜面は何言ったってキモいよ」ヤレヤレ

浜面「フレンダまで!?」

滝壺「大丈夫、キモいはまづらを私は応援してる」

浜面「否定してくれよ滝壺ぉおおおおおお!!」ガ-ン


絹旗「そうと決まれば『アイテム』再始動パーティですよ!!」

フレ「結局、そう思って食糧お菓子飲み物山程買い込んである訳よ!!」

絹旗「フレンダ超ナイスです!!」キラーン

フレ「あ、サバ缶大量にあるから分けてあげてもいいよ」

絹麦滝浜「それはいらない」

〜〜

フレ「絹旗も滝壺もツブれるの早いなー」

浜面「ってか絹旗まで飲んでたのかよ……」

フレ「ま、今日は無礼講って事で」

麦野「浜面」

浜面「ん?」

麦野「二人をベットルームまで運んであげてくれる」

浜面「おう。……ついでに俺も夜風に当たってくるわ。飲みすぎたみたいだ」

麦野「………解った」

フレ「……浜面も空気読めるようになったのねー」シミジミ
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/11(月) 23:22:59.15 ID:GYxlx55r0
麦野「フレンダ」

フレ「何?」

麦野「許されるとは思ってない。そもそもそんな資格ないのかもしれない。それでも私はアンタに謝りたい」
  「ゴメンなさい、フレンダ」

フレ「麦野」

麦野「何?」

フレ「私、怒ってないよ」

麦野「え?」

フレ「結局、あの時の麦野の行動は『暗部』として正しかった訳だしね。それに結果論だけど私は生きてる」

麦野「でも」

フレ「麦野が解ってくれてる。苦しんでくれてる。結局、それ以上はないのよ」

麦野「でも……」

フレ「あの日から麦野がどうしてたか私は知らない。でもね、麦野。結局、私達はお互いに今ここで生きてるって訳よ」
  「欲しいのは謝罪の言葉じゃない。これからも私と一緒にいてくれること」

麦野「………許してくれるの?」

フレ「麦野は許さずずっと恨まれ続けたまま見せかけだけの関係でいたいの?」

麦野「ううん」

フレ「だったらはじめよう。今日から本当の私達を」

麦野「うん」

フレ「なろう、本当の『アイテム』に」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/04/11(月) 23:26:50.14 ID:GYxlx55r0
今日は以上です。
予想通り『グループ』と『アイテム』復活でした。
これで一応プロローグというか導入的な部分が終わりですかね。
次は2、3日中には。

PSどなたか[ピーーー]が表示できる方法を教えてください、、、殺 すってうたないとダメなのかな?

あ、ちなみに心理定規さん……でると一人の女の子が若干不幸になるんですがどうしましょう?

36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/04/11(月) 23:28:27.48 ID:ZOqELve80
超乙です
メル欄にsagaって入れると超解除されますよ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sege sega]:2011/04/11(月) 23:28:56.43 ID:FYVWjKtN0
こんな感じでメール欄にsagaといれると回避できる。
もちろん[ピーーー]以外の言葉も。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sege saga]:2011/04/11(月) 23:31:04.65 ID:FYVWjKtN0
悪い、上のはsegaになってる
正しくは上の文章だ。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/04/12(火) 00:14:12.84 ID:Rb0xIt+bo
セガww
二度見して吹いたじゃねーかww
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/12(火) 00:18:18.12 ID:VApCHgSyo
>>35
乙です
盛り上がってきたなあ

心理定規さんはせっかくのスクール物なんで出してほしいってのが本音だけど出す予定がないのに作者の構想を曲げてまで出す必要性はないかと思うよ
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/12(火) 00:20:16.07 ID:WVuP0xAc0
乙!
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga sage]:2011/04/12(火) 00:20:53.80 ID:W2bE1bX10
野生のかまちーがいるぞ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/12(火) 00:30:40.11 ID:QZvuMg91o
しかしアレイスターは何があったんだろうな
改心っぷりが半端ないな
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/12(火) 00:42:55.59 ID:Udr82j3DO
アレイスターはそげぶされました
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/12(火) 13:56:31.40 ID:1dGAwfl6o
元のメンバーが垣根だけで、しかもメインが青ピと上条ならスクールの原型なくね?

いっそ臨時風紀委員とかのほうがしっくりくるような
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/12(火) 14:56:00.66 ID:N2NZQCato
アレイスター的には一方とそげぶさんがいればいいんじゃないのか?他はどうでもいいんだろう。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/12(火) 18:04:18.16 ID:+qaNJjIK0
>>45
まだメンバーが増えないと決まったわけじゃないんだぜ?
心理定規とか

――――心理定規とかな
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/13(水) 10:29:14.08 ID:RECwdoVSO
フレンダが芝村化してんじゃねぇか
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/13(水) 20:12:32.12 ID:0ECyUeVo0
砂皿さん好きだけどこのメンツじゃ活かせないよなー
やっぱ心理定規とか

――――心理定規とかな
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/13(水) 22:09:08.09 ID:uusMEBVq0
テスト:その幻想をブチ殺す!!
沢山のレスありがとうございます。
>>1です。
矛盾とかコイツおかしくね?ってのはまだまだ序盤ですし
あとから紐解く予定なので気長に待って頂けると嬉しいです。
一応「ああ、こういうことか」って納得できるようには努力します。

では、本日分の投下です。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/13(水) 22:10:51.86 ID:uusMEBVq0
12月2日とある高校の教室

上条「頭痛い」ガンガン

青髪「右に同じやー」ガンガン

吹寄「だらしないぞ!上条当麻!!」

上条「やっと授業を乗り切ったのにこの仕打ち!?しかも何で俺だけ!?青髪は!?青髪も同じ状況だぞ!?」

青髪「日頃の行いやない?」

上条「尚更納得いか……って頭痛い……」ズキズキ

青髪「右に同じや……」ズキズキ

姫神「二人とも。どうしたの?」ツンツン

吹寄「いつも以上にダラけてるわね……」

上条「昨日ちょっと騒ぎすぎたんだよ」ダラダラ

青髪「流石にやり過ぎたわー」ダラダラ

吹寄「三馬鹿で騒いでたのか?自業自得じゃない……」

姫神「じゃあ土御門君は。サボり?」

上条「いや、土御門は一緒じゃなかった」

吹寄「そうなの?じゃあ、土御門は……」

青髪「つっちーはよう休むからねー、例の義妹といちゃいちゃしとるとか?」フケツヤー

上条「ありそうで嫌だな、それ」マッタクダ

吹寄「貴様たちは……期末テストが終わったからってダラけ過ぎだ!!」

上条「ああ、大きい声は勘弁して下さい吹寄センセー」ガンガン

姫神「頑張らないと。上条君達には補習があるのだから」

吹寄「また月詠先生に迷惑をかけるのか貴様らは……」ワナワナ

青髪「んー多分それはあらへんよ」

姫吹「へ?」

青髪「ボクは今回本気出したしカミやんも今回は大丈夫やろうしね」

上条「ああ、そうなるのか」

姫神「本気……?」

吹寄「上条当麻……貴様今度は一体何をした!!」オデコアタック

上条「ぎゃあああああ!!し、知らないんですけど、何も」

青髪「あー別にズルやないよズルや」

吹寄「だったら何だというのかしら?」

青髪「んー……真能力解放<パージ>ってところやね」ドヤ

吹寄「………意味が解らないんだけど?」

青髪「いくら二人の頼みでも残念やけどすぐには言えへんのよー、堪忍やね」

吹寄「また貴様らはロクでもないこと考えてるというの?」

青髪「ボクは世界平和の事しか考えてへんよ?」キリッ

姫神「流石にそれは。無理がある」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/13(水) 22:12:28.37 ID:uusMEBVq0
青髪「……姫やん酷いわ。さ、カミやん。そろそろ時間やで」

上条「あー了解」

姫神「何か。するの?」

青髪「今から合コンや」

姫吹上「」

吹寄「上条当麻!やはり貴様というヤツは!!」オデコアタック

姫神「………」

上条「本日二回目!!」グハッ

青髪「嘘やけどね」

上条「何で俺ばっかり…」ボロボロ

吹寄「貴様だからだ」

青髪「カミやんだから」

姫神「上条君だから」

上条「不幸だーーーーー!!」
ウルサイ! イタイ!リフジンダ! マダイウカ! モウヤメテカミジョウサンノライフハゼロノコトデスヨ!

姫神「で。本当のところは?」

青髪「実は本当に内緒にしないといかんのよ。ちょっと極秘任務でね」

姫神「………」

青髪「心配しなくても大丈夫や。ボクも一緒やし、も少したったら姫やんにも教えれるはずやし」

姫神「……。解った」

青髪「カミやんが心配なんは解るけどもう少し直接的やないとカミやんは気付かんと思うで?」ボソッ

姫神「!?」
サァアソンデナイデソロソロイクデーカミヤン モトハトイエバテメェノ イイカライクデー

〜〜

『スクール』待機部屋<セーフハウス>の一つ

青髪「ていとクン待ったー?」

垣根「その呼び方止めろ」

青髪「イライラしとるねーカルシウム摂らなあかんよ?」

上条「悪い、待たせちゃったか?」

垣根「いや、大丈夫だ」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/13(水) 22:15:02.54 ID:uusMEBVq0
青髪「んじゃーとりあえず連絡事項からいくで。活動中はこれ必須やから」ホイ

上条「腕章か」

垣根「デザインが風紀委員と同じだけどいいのか?」

青髪「表は一般人向けや。裏は違うんよ」

上条「青色?見たことねーな」

青髪「風紀委員や警備員と話す時はこっち見せたってや。警備員も黙るで。黄門様の印籠並みや」

垣根「なるほど」

上条「何か名乗る時は『スクール』でいいのか?」

青髪「正式名称は『統括理事会直轄治安維持組織スクール』や」

上条「長っ!」

垣根「『スクール』以外にも活動してるのか?」

青髪「流石かっきー。カミやんとは頭の回転が違うわ」

垣根「それ止めろって」

上条「どういう意味だよ」キョトン

青髪「名前はまだ聞いてないんやけどあと二つほど『統括理事会直轄治安維持組織』があるんやて」

上条「あーなるほど。んで俺達はその中の『スクール』ってわけだ」

青髪「そゆことや。あとこれ」ホイ

上条「携帯?」

青髪「防水耐火耐衝撃使用、地下鉄でも地下街でも大丈夫な特殊携帯末端や」

垣根「……そりゃすげぇ」

青髪「腕章も末端もGPSついとるけど絶対落とさんようにな。特にカミやん」

上条「う。解った……」

青髪「渡すもんは以上やな。ところで……チームリーダーどうする?」

垣根「上条じゃねぇの?」キョトン

上条「青髪じゃねぇの?」キョトン

青髪「帝督にしようと思っとったんやけど?」キョトン

三人「」

垣根「『幻想殺し』を持ってるわけだしな、いいと思ったんだけど」

上条「既に全部仕切ってる青髪がリーダーだと思ってたんだけど」

青髪「『スクール』の元リーダーとして仕切ってもらおう思てたんやけど」

三人「……」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/13(水) 22:16:21.46 ID:uusMEBVq0
上条「というか俺二人の能力知らねーし。作戦とか立てれねぇぞ」

青髪「あーせやったなー」

垣根「俺はいいとして青髪の能力も知らないのか?」

上条「うん」

垣根「説明しとけよ」オイオイ

上条「そう言えばお前の能力って……」

♪チーチチッチオッパーイ、ボインボイーン

青髪「はーい、もしもし」

垣上「」

青髪「……ふむふむ、了解や。残念お仕事や。第5学区の銀行で強盗3名。銃器ありの人質ありやって。地図は末端に届いとるから見てや」

垣根「了解。……あーここ知ってるわ」

上条「第5学区ってここからじゃ遠くないか?」

青髪「まあ、3、4分やない?」

垣根「飛んでいいんだよな?」ファサ

上条「」ナニソノシロイハネ

青髪「ええよー。さ、カミやんいくで―」

上条「は?行くって」

青髪「一緒に飛んでくんや」

垣根「先行くぞー」パタパタ

上条「青髪の能力って空間移動<テレポート>か?だったら俺は右手のせいで」

青髪「ちゃうよー」

上条「じゃあなんだよ?」

青髪「時間ないから飛びながら説明や」セィ

上条「ってぬぁああああああああ!!」ビューン

青髪「ボク、実は念動力<テレキネシス>やねん」ビューン

上条「右手がもげるぅううううう!!」

青髪「ちなみにMAXスピードは時速300kmくらいでるんやで?空気抵抗も減らしとるし」

上条「右手!!右手!!」

青髪「ただしカミやんの右手は空気抵抗の範囲外や」キリッ

上条「もげる!!もげるぅ!!」

青髪「もうちょいやから我慢や我慢」

上条「不幸だーーーー!!!!」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/13(水) 22:18:21.11 ID:uusMEBVq0
第5学区 銀行前

青髪「ありゃ、帝督抜いてもうた」

上条「右手。もげるかと。思った」ズキズキ

青髪「動揺し過ぎて姫やんになっとるで」

垣根「待たせたな」トスッ

青髪「通報は終わってるっぽいけど風紀委員も警備員まだやね」

垣根「追加情報は?」

青髪「異能力者<レベル3>一人で発火能力<パイロキネシス>やと。他二人は無能力者<レベル0>や。銃器はマシンガンやて」

上条「どうする?」

垣根「作戦なんかいらないだろ」

青髪「帝督、人質がいるんや。それに強盗も怪我なく制圧が基本やで」

垣根「……悪かった」

青髪「ええてええてー、んで作戦やけど……ゴニョゴニョ」

〜〜

銀行内

強盗A「く、通報しやがって……」

強盗B「逃げるのを優先するか?」

強盗C「通報されてまだ時間は経ってない。さっさと奪って逃げるぞ」

強盗A「さっさと金を詰めやがれぇ!!」

強盗の言葉とほぼ同時に強烈な衝撃音が響き、シャッターと入口のガラスが割れる。
ダンプでも突っ込んだようにシャッターが拉げる。
当然ガラスや破片が飛び散る……はずなのだが不可視の力でそのまま地面に落下する。
大きな音と大きな穴が開くという奇妙な光景。そしてその穴から三人の人影が飛び込んでくる。

強盗AB「!?」

強盗A「お前ら何者だ!?」

青髪「何だかんだと聞かれたら!!」ムサシ

上条「答えてあげるが世の……」コジロウ

強盗B「お前ら人質が見えねェのか!!」

青髪「ああ、まだ口上の最中やのに!?」

垣根「いや、普通の反応だろ」ドンビキ

強盗C「撃ち殺せ」

青髪「演算終了、必殺青ピグラビトン!!」ナゾノポーズ

強盗A「んな!?銃が」

青髪「重たい銃なんやねー」ニヤ

垣根「こっちは拘束完了だ」

強盗B「」グデーン

強盗A「いつの間に!?」

強盗C「面倒だ。燃えろ」

強盗の言葉と共にその右腕に炎球が生み出され、集まって怯えている人質に襲いかかる。

青髪「カミやん!!」

上条「おお!!」ピキュン
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/13(水) 22:21:14.55 ID:uusMEBVq0
強盗C「炎が消えただと!?」

上条「巻き込まれただけの一般人を狙いやがって」

垣根「典型的小物だな」

強盗A「ど、どうする!?」

垣根「どうもさせねぇよ」

青髪「まったくや」

強盗AC「」グデーン

上条「お前ら二人いれば充分なんじゃねぇか?」

垣根「いや、上条の手がなけりゃ怪我人が出てたかもしれねぇ」

青髪「せやせや、やっぱカミやんの手はすごいわー」

上条「いやいや、褒めても何も出ませんのことよ」

垣根「ただ最初のあれはない。演算時間を稼ぐためとはいえ動くな!!とかでいいじゃねーか」

青髪「えー」

上条「垣根に同意。……ん?」

垣根「どうした?」

上条「何かアイツ、様子がおかしくないか?」

強盗C「――、――」

垣根「?」

強盗C「消シ、トベ」

青髪「カミやん!!右手や!!」

気絶させられ拘束されていた強盗Cから赤い光の球が発生し、それが音もなく膨れ上がった。
念動力<テレキネシス>や未元物質<ダークマター>では演算が間に合わない。幻想殺し<イマジンブレイカー>では距離があり過ぎて届かない。
油断していた3人が反応するもそのまま光球は膨れ上がり大爆発を起こし、銀行内が粉塵に包まれる。

が、爆発音はしたものの何も壊れた様子はない。
粉塵が収まるとそこには強盗Cの近くの焦げた床の上に倒れている上条当麻がいるだけだった。

青髪「カミやん無事ー?」

上条「な、何とかな」ピクピク

光球の爆発とほぼ同時に上条当麻の右手が全てを打ち消したのだった。
間に合うタイミングではなかった。が、届かなかったはずの距離は青髪ピアスが上条を『飛ばし』その距離を埋めた。

青髪「秘儀『カミやんミサイル』」キリッ

上条「何だったんだ今のは?」ムシムシ

垣根「悪足掻きで無理矢理能力解放でもしようとしたんだろ。やっぱ対能力者用の手錠は欲しいな」スルースルー

青髪「まったくや」シレッ

垣根「それにしてもよく間に合ったな、上条」

上条「青髪が能力で飛ばしてくれたからな。実はアイツの能力より吹っ飛ばされた衝撃のが痛い」ズキズキ

青髪「緊急事態にやったから許したってやー。それに帝督もグッジョブやで」

上条「あの状況じゃ仕方ない。って何かしてたのか?」

青髪「人質の前に未元物質で防御壁張っとったんよ」

上条「さ、流石」

垣根「……俺ができるのはそれくらいだっただけだ」テレテレ

青髪「照れんでもイイやん」

上条「お、警備員が来たみたいだぜ」

青髪「んじゃ引き渡してミッションコンプリートや!!」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/13(水) 22:21:48.91 ID:uusMEBVq0
青髪「とりあえず今日はおしまいやね―」テクテク

垣根「銀行強盗1件、帰りに路地裏の喧嘩に4件遭遇……これは多いのか?」

青髪「どうなんやろ?初日やから解らんわ。それに能力者の事件は最初だけやったし」

垣根「にしても相手にもなるべく怪我させないって疲れるな」

青髪「慣れんとあかんよー」

垣根「解ってるよ」

青髪「どうしたん?カミやん」

上条「うるさい。現場に向かう度に俺を飛ばしやがって……上条さんは腕がもげるかと思いましたのことよ」ズキズキ

青髪「緊急事態やからしゃーないって☆」

上条「垣根に運んでもらおうかな……」

垣根「万が一でも上条の手が触れたら落下だぞ?」

上条「……」

青髪「まあ、要出力調整やね」

垣根「というかお前が気をつければいいんじゃないのか?」

青髪「んじゃボクらは帰りますかー」スルー

上条「……そーだなーってもうこんな時間か」コノヤロ

青髪「外で食べへん?」

上条「昨日騒いだせいでお金がない」

青髪「貸そか?『スクール』の給料が入ったら返してくれればええし」

上条「マジで!?」

青髪「ただしトイチやで」

上条「」

青髪「カッキーもいく?」

垣根「……ああ。そしてその名で呼ぶな」

上条「んじゃ行くか」
ンデドコニスルン? ヤスイトコニシヨウ カスイウテルノニ ンジャトイチトカイッテンジャネェヨ!

垣根「………毒されてきたかのかも、なぁ」

青髪「ていとクン何してるんー?」

垣根「今行くよ。ってかいい加減にしろ!!」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/04/13(水) 22:28:20.04 ID:uusMEBVq0
以上、本日分でした。
最初[sage]てますよ……って思って[saga]に気付かなかったのは内緒。

スクールである理由はいろいろあるんですが
・『グループ』『アイテム』の名前は絶対残したかった。できれば『スクール』も。
・風紀委員、警備員と違って、基本的に集団で行動する(旧暗部みたいな感じ)にしたかったからです。

まあ、上が主な理由ですね。
次は『グループ』『アイテム』の初日の行動になります。
そして心理定規の人気に嫉妬wwww
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/04/13(水) 22:52:36.23 ID:CgxbbmgMo

スクールはメンバーこれで確定か?
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/04/13(水) 23:59:34.80 ID:1p0drIGb0
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/14(木) 23:32:29.47 ID:wV/6yHu4o
>>51
でるとしたら定規さんじゃね?
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/14(木) 23:33:36.43 ID:wV/6yHu4o
安価みすた
>>59だった
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/04/14(木) 23:36:57.31 ID:G7Z+ChxDo
今日は来ないのかしら
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/04/15(金) 00:15:14.08 ID:wguw+1XK0
>>1です。
昨日の投下の時に次回投下の予告忘れてましたね。スミマセン。
という訳で本日投下。

『スクール』は出てきません。

65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:16:41.01 ID:wguw+1XK0
警備員第73支部詰め所前

海原「で、ここは一体どこなんでしょうか?」

結標「来いと言われて来たはいいものの……」

一方「………」

土御「警備員の詰め所だ」

一方(第73支部……まさかな)

一方「で、警備員の詰め所に何の用だ?」

土御「挨拶回りだ」

一方「は?」

土御「言ったろ?これからの『グループ』は表の組織だって。独立した活動が主だが警備員と連携を取る場合もある」

海原「その為の顔見せといったところですか?」

土御「そうらしい。ちなみに俺達は『統括理事会直轄治安維持組織』の代表らしい」

結標「『統括理事会直轄治安維持組織』?」

土御「ああ、昨日話していた『グループ』以外もチームを含めた総称らしい」

海原「また仰々しい名前ですね」

一方「まあ、警備員や風紀委員の下みてェな名前じゃないだけマシだァ」

海原「解り易くはありますね」

結標「それで私達はその『統括理事会直轄治安維持組織』の中の『グループ』というわけね」

土御「そういうことだ。別に取り繕う必要はないがなるべく大人しくしておけよ」

〜〜

土御「………こちらから挨拶させていただきます。土御門元春です……」ドキドキ

結標「結標淡希です」

海原「自分は海原光貴と申します」

一方「……………一方通行だァ……」イライラ

鉄装「鉄装綴里です、よろしくお願いします」ペコ

黄泉「黄泉川愛穂じゃん。ここの部隊長じゃん」ニヤニヤ

一方「なァンでテメェがこんな所にいるンでしょうかァ、黄泉川ァ!!??」ブチブチ

黄泉「部隊長って言ったじゃん。それに一方通行」

一方「あン!?」

黄泉「敬語」ゴン

一方「ぐほァっっ!!何しやがンだァ!!」

黄泉「いい機会だからアンタの性根を叩き直してやるじゃん」

一方「俺はテメェの部下じゃねェぞ黄泉川ァ!!」

黄泉「私が先生でアンタは生徒、理由はそれで充分じゃん」

一方「フザケてんじゃぐほァっっ!!」

海結(あの一方通行が子供扱い!?)
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:18:10.49 ID:wguw+1XK0
土御「えーと、黄泉川センセ。それくらいにしておいて話を進めて欲しいにゃー」

黄泉「『統括理事会直轄治安維持組織』なんてのができたとは聞いたけど……一方通行や土御門とはねぇ……」

土御「アハハハハー俺自身信じられないにゃー」

黄泉「ま、怪我しない程度に頑張るじゃん」

鉄装「黄泉川先生お知合いなんですか?」

黄泉「そっちの白いのはうちの居候。そっちは隣のクラスの生徒で月詠先生の生徒、さらにそっちの女の子は月詠先生の居候じゃん」

鉄装「……世間は狭いんですね」

結標「土御門のしゃべり方が何か変じゃない?」ヒソヒソ

海原「以前一度だけ学校の友人と話している時にすれ違いましたけど……たしかあんな話し方でした」ヒソヒソ

結標「つまり、キャラ作ってるの?痛いわね……」ヒソヒソ

海原「うーん、自分は見た目も名前もキャラ作りみたいなものなのでノーコメントですね」ヒソヒソ

海原「と、ところでお二人しかいらっしゃらないんですか?」

鉄装「はい、他の先生は今巡回中でして」

結標「変な聞き方なんですけど私達の事ってなんて聞いてますか?」

鉄装「高レベルの能力者で実践経験のある生徒だとうかがってます」

結標「そんな事になってるのね」ヒソヒソ

海原「みたいですね。いくらなんでも暗部とは言えないでしょう」ヒソヒソ

鉄装「最近増加している高レベル能力者の事件の対処や犯罪率の低下の為に増援されたとかで……」

黄泉「私は嫌だったんだけどね」

一土結海「?」

黄泉「いくら高レベルの能力者だって生徒に危ない真似はさせたくなかったじゃん」

一方「反対すればよかったじゃねェか」

黄泉「散々上にかけあったじゃん!それでも却下されたし、それに状況は悪くなる一方……だったらと私が警備員側の窓口に立候補したじゃん」

一方「俺がこンなとこにいンのはテメェのせいか!?」

黄泉「それと道具を使うヤツが二人もいるから指導をしろって上から言われてるじゃん。そして一方通行」ギロッ

一方「ンだよォぐほァっっ!!」

黄泉「これを機に正しい日本語を覚えるじゃん」

土結海鉄(じゃんじゃん言ってる人に言葉使いって言われても……)

土御「ま、それはそれとして預かってるものってないですかにゃー?」

鉄装「あ、はい。これですね」

土御「ありがとですにゃー。あと会議室を借りしますにゃー」

鉄装「あ、はい。あっちです」

一方「じゃんじゃん言ってるテメェに日本語がどうこう言われたくねェンだぐがァっっ!!」

黄泉「懲りないやるじゃんね」

結標「土御門はいいのかしら?」ヒソヒソ

海原「解りませんけど触らぬ神に祟りなしかと」ヒソヒソ
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:20:03.70 ID:wguw+1XK0
会議室

一方「」プシュー

黄泉「話が終わったら声かけるじゃん」

土御「了解ですたい」

結標「学園都市第一位がこのザマって」

海原「あの人いれば自分達はいらないんじゃないですかね?」

土御「さて、本題だ」キリッ

海結(あ、口調戻った)

土御「とりあえずを渡しとく」

結標「腕章と」

海原「携帯末端ですか」

土御「専用の支給品ってとこだ」

結標「聞きたかったんだけど仕事はどういう形でくるの?今までと同じ『電話』かしら?」

土御「『巡回』と『電話』の両方だ」

海原「『電話』は解りますが『巡回』とは?」

土御「風紀委員や警備員と同じらしい。事件に素早く対処する為と抑止力が目的だ」

海原「抑止力、ですか」

土御「第一位が風紀委員に参加したって話だけで抑止力にはなるだろ?」

結標「まだのびてるけどね」

海原「厳密には風紀委員でも警備員でもないですけどね」

土御「『巡回』の方は毎日じゃないし、簡単な喧嘩や事件の事後処理は風紀委員や警備員に回すそうだ」

海原「なるほど」

結標「いろいろと面倒なのねぇ」

土御「慣れろ。それが『裏』と『表』の違いだ」

一方「他のチームとやらはどうしてンだァ」

結標「あ、復活した」

海原「別の警備員の支部じゃないんですか?」

土御「いや、話によると一つは風紀委員と行動、もう一つは既に巡回中らしい」

一方「三つだけなのかァ?」

土御「らしいな」

海原「どんな方々なのですか?」

土御「情報は来てない」

一方「あァ?どォいうこったァそりゃ」

土御「俺に言うな。『上』の管理がまだまだ不充分らしくてな」

海原「大変なんですね」

結標「中間管理職みたいになってるわね」

土御「板挟みは辛いにゃー」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:22:03.96 ID:wguw+1XK0
一方「で、今日はどうすンだ?」

土御「とりあえずは何もないはずだ。今後は末端に直接指示が来る」

一方「ンじゃ俺は帰ンぞ」

結標「協調性がないわね」

海原「まったくですね」

一方「知るかァ」スタスタ

黄泉「どこ行くじゃん?」

一方「何でいンだ」

黄泉「そろそろ終わると思って待ってたじゃん」

一方「俺はもう帰ンだよ」

黄泉「?じゃあ今日はもう暇じゃんね」

一方「だから帰るつったろうが耳ついてンでオガァっっ!!」ボガァ

黄泉「あっちで組手するじゃん。畳みの部屋だから安心するじゃん」ズルズル

一方「」プシュー

土海結(学習能力ないのか?)

黄泉「土御門も来るじゃん」

土御「え?」

黄泉「鍛えてやるじゃん」

土御「え?俺は遠慮しにゃーーーーー!!」ズルズル

海原「さて、どうしましょうかね」

結標「組手でも見学する?」

海原「見てたら標的にされそうで。それに自分の戦い方ってあんまり組手は必要ないんですよね」

結標「それにしても私達が……ねぇ」

海原「ま、お気持ちは解りますよ。自分も全く同じ意見です」

結標「貴方はなぜ残ったの?」

海原「妹分とその友人の為です。彼女たちは故郷に帰れませんし、学園都市レベルの治療が必須ですので。人質ではなく守りたいんです」

結標「いいわね、解り易くて」

海原「結標さんこそどうして残られたんですか?かつての『仲間』の方々は解放されたのでは?」

結標「………ええ、それぞれ学校に通ってるわ。残念ながらまだ監視付いてるみたいだけど」

海原「ではなぜ?」

結標「あの子たちが学園都市の犠牲にならないように。それに私にはもう一人借りがある人間がいるもの」

海原「それは初耳ですね」

結標「こんな私に優しくしてくれた酔狂なお人好しよ。お節介にも私を怒ってくれる人。彼女のためにも私は頑張ろうと思ったの」

海原「なるほど」

結標「ま、私達なんて『表』にいたって『裏』にいたって結局は柵<しがらみ>だらけで雁字搦めなのよ」

海原「そうなのかもしれませんね」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:23:58.46 ID:wguw+1XK0
絹旗「それにしても……あのお医者さん超すごいですね」テクテク

麦野「あれが噂の『冥土帰し』とはね。流石の私もびっくりしたわ」

浜面「麦野が4日、滝壺が3週間だっけ?」

フレ「名医なのは知ってたけど……」

浜面「何か滝壺を治す為に走り回ってた俺が馬鹿みたいだよな」

滝壺「大丈夫。そんな馬鹿みたいなはまづらを私は応援してる」

浜面「肯定された!?」ガーン

フレ「結局、浜面は相変わらずって訳よ」

絹旗「ところで私達はどこに向かってるんですか?」キョトン

麦野「さっき説明したでしょうが……風紀委員の支部の一つよ」

絹旗「何でそんなところに?」

麦野「本当に何も聞いてなかったのね」ハァ

滝壺「『統括理事会直轄治安維持組織』の代表としての顔出しだっけ」

麦野「らしいわよ。風紀委員と連携する場合もあるらしいから」

絹旗「何か超面倒ですね」

フレ「結局、『表』の組織ってのはいろいろある訳よ」

麦野「それに滝壺はすぐに前線復帰って訳にはいかないからね。情報管理のバックアップだってさ」

浜面「……今度の『上』はそんな事まで考えてくれんのか」

絹旗「『上』も超変わったって事ですかね」

麦野「それにしてもあの女まだ生きてたとは……」

フレ「相変わらず馬鹿デカイ声だったね」

麦野「本当かどうか知らないけど次期統括理事長候補になったとさ」

浜滝フ絹「!?」

麦野「『私の為に死なないように、死なせないように頑張ってね』だってさ」

絹旗「超相変わらずですね」

フレ「それより目的地はまだなの?歩きつかれて来たって訳よ」ゲシゲシ

浜面「俺を蹴るな!!仕方ねーだろ、車盗むわけにはいかねぇんだから。『暗部』の時とは勝手が違うんだよ!!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:27:23.43 ID:wguw+1XK0
絹旗「一つ超疑問いいですか?」

滝壺「きぬはた、何?」

絹旗「車を盗めない、偽造関係の証もおそらくダメ、浜面って何ができるんですか?」

麦滝フ浜「…………」

浜面「えーっと……お、俺は滝壺を守ってやれる!!」キリッ

麦野「無能、死ね」

フレ「結局、パシリくらいしかできなさそう」

絹旗「超役立たずですね」

浜面「のぉぉおおおおおおおおお!!」プラトーン

滝壺「はまづら」

浜面「お、俺を癒してくれるのは滝壺だけだ!!」カンルイ

滝壺「そんな役立たずなはまづらは少し応援できない」

浜面「」マッシロ

麦野「ま、浜面の馬鹿が無能で役立たずなのは今更だから置いておいて……着いたわよ」

滝壺「ここ工事中だよ?むぎの」

麦野「一階じゃなくて二階が私達の目的地。風紀委員第177支部だってさ」

〜〜
新風紀委員第177支部兼特別情報管理局

白井「というわけでお姉様、佐天さん。本日ばかりは帰ってくださいまし」

御坂「えー支部の引越しだって言うからせっかく来たのに」

佐天「そうですよー、前の詰め所の時だって自由に出入りさせてくれてたじゃないですか」

初春「本来ならそれがおかしかったんですけどね」

佐天「何か風紀委員の協力者だかなんかが来るんですよね?見て見たいんですよー」

御坂「え?何それ初耳」ピクッ

白井「佐天さん、何でそれを知ってますの!?」

佐天「初春に聞きましたー」ケロッ

白井「う〜い〜は〜る〜???」ギロ

初春「スミマセン!!!!」

御坂「風紀委員の協力者ねぇ」

白井「最近の能力者犯罪の増加に伴いまして、統括理事会が新しく組織した治安維持のチームとの連携をとる形になりましたの」

初春「白井さん!?話していいんですか?何か聞かれたら白井さんが言いましたって言いますよ?私」

白井「中途半端に話してお姉様の好奇心を逆撫でする方が面倒ですわ。それにバレたら初春も同罪ですわよ」

初春「えー」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:28:46.09 ID:wguw+1XK0
御坂「治安維持のチームねぇ」フムフム

白井「お姉様」

御坂「何?」ビクッ

白井「なーんで『私に声掛からないのよ』とか思われてませんわよね?」

御坂「え?…………アハハハハハハ」ダラダラ

白井「遊びじゃないんですのよ?」ハァ

御坂「そ、そんな事私だって解ってるわよ」

佐天「でも御坂さんがその新チームに参加すれば『あの超電磁砲が!?』みたいな感じで皆ビビっちゃうと思うんだけどなぁ」

御坂「何かその言い方だと素直に喜べない」

初春「でも犯罪の抑止にはなると思うんですけどね」

御坂「だ、だよね?」

白井「で・す・が!!お姉様に声がかかってないのも事実ですの」

御坂「そうだけどさ……」

白井「以前から思ってましたがお姉様は些か好戦的過ぎると思いますの。そういう意味では風紀委員に向いていません。だいたい黒子が常日頃から申し上げているように」

御坂「そ、それで!!それで、今日顔合わせってことなの?」

初春「そうですよー」

白井「新チームの方々だけではなくて特別情報管理局の方々ともですが」

御坂「特別情報管理局?聞いた事ない名前ね」

初春「監視カメラや衛星情報を使って風紀委員と警備員のサポートを専門にする部署だそうです」

佐天「何かカッコイイ」キラキラ

初春「私の情報処理の能力が買われて第177支部は風紀委員を代表してそのサポートに抜擢されたんです」ドヤ

御坂「すごいじゃない」

白井「初春の情報処理能力。わたくしの空間移動によるサポート。固法先輩の手腕を買われて、ですわ」

佐天「流石いろいろな事件を解決してきた177支部ですねー」

白井「それで今日からはわたくし達だけではなくて特別情報管理局の方々が一緒に入ることになりますの」

佐天「それでこんなに広いんですね。部屋もいっぱいあるみたいだし」

御坂「え?それじゃあ……」

白井「はっきり言ってこれまでみたいに気軽に出入りされるのは無理だとお考えになってくださいまし」

佐御「えー!?」

初春「一応聞いてはみますけど期待はしないでください。新チームの方々が頻繁に出入りする可能性もありますから」

白井「ですので……今日ばかりは本当にお帰りください」

御坂「……仕方ないわ。佐天さんどこかに寄って帰りましょ」

佐天「えー」

御坂「私達のせいで黒子や初春さんの迷惑になっちゃいけないから。流石に今回ばっかりは、ね」

佐天「……初春。ちゃんと聞いといてよ!!」

初春「期待はしないでくださいね―」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:31:10.51 ID:wguw+1XK0
御坂「じゃあ黒子、初春さん。また今度」フリフリ

佐天「がんばってくださいね!!初春、明日どんな人たちだったか聞かせてねー」ブンブン

白井「まったく……お姉様も困ったものですわ」

初春「でも佐天さん達が来れなくなるのは少しさびしいですね。それに珍しいですね」
  「いつもなら『ああ、本来ならわたくしもお姉様とご一緒しますのに!!』って抱きつくのに」

白井「遊び場ではないのですから当然です」

初春「そうなんですけどね。あ、そろそろ固法先輩が新チームの方を連れてくる時間ですよ」

白井「固法先輩が連れて来て下さるのは特別情報管理局の方々だったかと」

初春「あれ?そうでしたっけ」

白井「どちらにしてもお姉様達のせいでぜんぜん準備ができていませんの」コレハアッチニ

初春「でもどんな方達なんでしょうね」ウーン

白井「まあ、どんな方々が来てもわたくし達の仕事は変わらないですわ」アレハコッチニ

初春「新チームの方々ですけど、気になりませんか?」テガトマッテマスノヨウイハル

白井「んー何も聞いてませんからね、正直」チャントヤッテマスヨシライサン

初春「実は私、少し調べたんですけど」

白井「……法に触れない範囲でですわよね?」ジロ

初春「ギリギリセーフの範囲でしたよ?」ニコリ

白井「………。それでどうでしたの?」ハァ

初春「全く情報がなかったんですよ。話題にもなっていないというよりは完全に情報規制されてる感じでした。少なくとも私レベルのIDではダメでしたね」

白井「……どういうことですの?」

初春「解らないんですよねー。もっと上のセキュリティレベル上げて見ようかと思ったんですけど今日になれば解るしって思って止めましたけど」

白井「それが当然ですわ」

固法「戻ったわよー」

初春「お帰りです、固法先輩」

白井「おかえりなさいませ。そちらの方々が……?」

固法「ええ。今日から主に情報管理でお世話になる方々よ」

布束「布束砥信よ。よろしくお願いするわ」

芳川「芳川桔梗よ」

白井「白井黒子と申しますの」

初春「初春飾利です。よろしくお願いします」

固法「改めて固法美偉です」

布束「自己紹介、と言いたいところだけど先に機材のチェックに入るわ。誰に聞けばいいかしら?」

初春「あ、私です」

布束「graspでは早速お願いするわ」

初春「あ、はい。こっちの部屋にまとめてあります」テクテク
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:32:46.29 ID:wguw+1XK0
白井「……芳川先生は行かなくてよろしいんですの?」

芳川「私の仕事はあの子のサポートだから問題ないわ。あ、あと私は先生ではないわ」

白井「そうなんですの?」

芳川「警備員の臨時募集で採用されただけ。専門ではないけど情報管理くらいはできるしコネがあったから」キリッ

白井「はぁ……」

固法「白井さん、私達は準備するわよ」

白井「は、はい」

芳川「私は教師に向いていないから」テクテク

白井(なぜ迷わず仮眠室へ行けるんですの……)

固法「あと5分しかないじゃない」

白井「え?初春からはあと30分以上あると聞いていましたの」キョトン

固法「間違えて覚えてたんじゃない?」

白井「い、急がなくては……しかも当の本人は……理不尽ですわ」

ビー

白井「この音は……」

固法「来ちゃったみたいね。行ってくるわ」

白井「ドキドキしますの……」

〜〜

固法「えーっと、じゃあ私達から自己紹介しますね。固法美偉です」

白井「白井黒子と申しますの」

固法「うちの支部には今は向こうで仕事してる初春飾利って子がいます」

フレ「フレンダ=セイヴェルンよ」

絹旗「絹旗最愛です」

滝壺「滝壺理后」

浜面「俺の名前は…」

麦フ絹「「「雑用A」」」

浜面「それ酷くね!!?」

麦野「最後に私が麦野沈利。『統括理事会直轄治安維持組織アイテム』のリーダーよ」

白井「『統括理事会直轄治安維持組織』?」

固法「まだ詳しく言ってなかったわね。新しく組織されたのは『統括理事会直轄治安維持組織』って名称に決まったのよ」

白井「風紀委員とどう違うんですの?」

固法「そこら辺は直接確認してくれって言われたわ」

麦野「私そこ詳しく聞いてないんだけど」

白固「え?」

絹旗「麦野はさっき診察受けてましたもんね」

フレ「結局、私が説明役って訳よ」

白井(こんな方々で大丈夫なんですの?)
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:36:00.88 ID:wguw+1XK0
フレ「組織が発足したてだからまだまだ確定じゃないけど基本的には生徒のやる警備員って訳よ」
  「被害者の保護優先で被疑者もなるべく無傷での制圧が基本。ただ権限的には警備員以上らしいけど」

固法「警備員以上?」

フレ「結局、私達は実働部隊だからね。事件を解決したら風紀委員や警備員に引き継ぎして次の事件に回るって訳よ」

白井「実働部隊って……以前は何をされてたんですか?」

絹旗「超秘密です」

フレ「結局、機密組織だったからね。悪いけど言えないわ」

白井「……失礼ですけど、最近は高レベルの能力者の犯罪が増えてきています。皆さんに対処できるんですの?」

固法「白井さん!」

麦野「超能力者<レベル5>」ハイ

滝絹「大能力者<レベル4>」ハイハイ

白固「」

フレ「あ、でも結局、滝壺は『八人目』の超能力者<レベル5>になるんだっけ?」

白固「」

浜面「あーそんな話あったなぁ」

滝壺「実験する気はないし、今は体調優先かな」

フレ「ま、そんな訳よ」

白井「た、大変失礼しましたの」ドゲザー

麦野「別に気にしてないわ」

フレ「結局、当然な疑問ではあるね」

絹旗「まあ、私なんて傍から見たらただの超可愛いお子様ですしね」フンス

浜面「中身は物理攻撃力マックスの怪力女だけどな」ゲラゲラ

絹旗「超窒素パーンチ」ドゴッ

浜面「はべらっ」

白固(壁まで吹っ飛んだ!?)

絹旗「あ、ついクセで」

麦野「壊したら自腹よー」

絹旗「浜面が超原因ですから壊れたら浜面の責任です!!」

浜面「てめぇ殺す気か!?」

白固(無傷!?)

フレ「私が聞いてるのはそれくらいなんだけど……あとはそっちに聞いてくれって言われてる訳よ」

固法「じゃあ私から説明させてもらうわ。しばらくは貴方達はこの第177支部で活動してもらう形になるそうです」
  「理由は3つ。一つはここが特別情報管理局が併設されているからそこの護衛を兼ねて」
  「一つは統括理事会直轄治安維持組織と風紀委員の連携のモデルケースとして」
  「最後は……」

白井「どうかされたんですの?」

固法「わ、私が言ったわけじゃないからね。『アイテムの連中は常識ないから、こいつときたら☆常識教えてやってください』って」

麦絹フ「はぁあぁああああああああ!!」

固法「私が言ったんじゃないから!私が言ったんじゃないからね!!」

フレ「アイツ…人の事言える立場じゃないじゃない!!」ムキー

絹旗「自分の超事棚に上げてますね」プンスカ

麦野「殺す。あの女殺して×××を焼いて浜面に食わせてやんよ!!」ブチギレ
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:38:38.53 ID:wguw+1XK0
浜面「イテテ……お前ら自分が常識人だと思ってたのかよ」ボロボロ

麦野「はーまづらぁ」スーパームギノン

絹旗「浜面超殺す」チョウチッソパンチ

フレ「あ、絹旗麦野。結局、私が殺す分残しといてね」

固法「えーっと、少し過激な人達なのね……」アハハ

白井「少しってレベルじゃない気がしますの……あの殿方大丈夫ですの?」

浜面「」ダッタモノ

滝壺「大丈夫、はまづらは頑丈だから」

白井(何というか……あの殿方を見ていると雰囲気は違うのにあの類人猿を思い出すのはなぜですの)

初春「こっちはだいたい終わりましたよーってそちらの方々は?例の新チームの方々ですか?」

固法「そうよ。『統括理事会直轄治安維持組織アイテム』の方々よ」

初春「初春飾利です、よろしくお願いします」

麦絹フ滝(あの頭の花は何!?)

滝壺「そういえば私、情報管理系の手伝いをしろって言われてるんだけど」

初春「あ、じゃあ私と一緒に仕事してもらうことになります。よろしくお願いします」ペコ

滝壺「私は滝壺理后。よろしくね、ういはる」

初春「あと二人一緒に仕事する人がいるんですけど……芳川先生ってどこにいますか?」

白井「おそらく仮眠室かと」

初春「じゃあちょっと滝壺さんを借りてきますね。端末があっちの部屋にあるので」

麦野「はいよー」フリフリ

白井「心なしか上機嫌でありませんの?初春」

初春「え?」ギクリ

白井「どうかしましたの?」

初春「そ、そんなことないですよー、支給された端末が滅茶苦茶性能良くて布束さんもいろいろ詳しくてすっごい話が合うとかそんな事はまったくないですよ―」テカテカ

白井「そんな事だろうと思いましたわ」ハァ

固法「そっちが一段落ついたら皆さんに紹介したいから布束さんたちも連れてこっちの部屋に来てね」

初春「解りました!さ、滝壺さんこっちです」テクテク

滝壺「わかった」トテトテ

白井「そういえば『アイテム』とおっしゃってましたけど他にも『統括理事会直轄治安維持組織』はございますの?」

フレ「結局、他に2チームあるらしいのよ」

固法「そうなんだ。どんな人たちなのかしらね」

麦野「まだ連携取れてないから私達も知らないのよね」

白井「そうなんですの?……他のチームの方々も『アイテム』の皆さんみたいに高レベルの方々なのでしょうか?」

フレ「まあ、レベル5が一人、レベル4が二人以上ってことはないかも」

浜面「痛ててて……俺じゃなかったら死んでるぞ」ボロボロ

白井「……普通に死んでてもおかしくなかった気がしますの」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 00:39:58.45 ID:wguw+1XK0
固法「あ、そうだった。浜面くんとフレンダさんにこれを渡してって言われてるわ」ハイ

浜面「何ですか?これ」

固法「さあ?中身は見てないから」

フレ「多分、装備の申請関係じゃない?結局、私と浜面はいろいろと準備がいるから」

浜面「あーなるほど」

固法「あとは……何かあったかしら。なければいろいろお話しましょう」

白井「いいんですの?」

固法「協力活動の期間は聞いてないけど仲良くするにこしたことはないし、今日は準備期間だから巡回も別の支部がやってくれてるから」

白井「ならいいんですの」

固法「さ、お茶でも淹れましょう」

絹旗「あ、手伝いましょうか?」

固法「じゃあお願いするわ」

絹旗「了解です」フンス

白井(それにしても……)

浜面「ってか俺の滝壺は!?」ビクッ

フレ「俺のって……結局、浜面はいつもキモいのね」

麦野「テメェが無様にノビてる間に出てっちまったよ」

浜面「な、なんだって!!唯一の癒しである滝壺さんが居ないとなると俺はもう死ぬしかない!!」ガーン

麦野「じゃあ死ね」メルトダウナー
ギャー ヨケンナボケ! ヨケルワ!! ツギヨケタラXXXネライナ イジデモヨケテヤルヨレベル5!!

白井(本当にこの方々と上手くやっていけるんですの……?)
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/04/15(金) 00:44:52.04 ID:wguw+1XK0
というわけで今回の投下は以上です。
これで本編の下準備は終わりですね。
次回からはついに本編が…………!?
とは行かずに短いお話が幾つか入ると思います。閑話的な。

『スクール』に関しては唯一原形をとどめてないチームなのでいろいろあるのです(苦笑)

次回は明日の予定です。ただし、量は少なくなると思いますが。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/15(金) 02:47:53.54 ID:5ZIP+BsBo
乙乙、期待しとるよ
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/15(金) 05:25:27.17 ID:IFF/zTvS0
期待
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/15(金) 07:09:12.94 ID:r7MT3cuQo
いいよぉ
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/15(金) 17:33:59.21 ID:gaTL9iYL0

心理定規とか砂皿とか出てこないのかいいえでてきますよね?
心理定規は垣根が死んでると思ってたからスクールに入らなかったんですよね?
そして再会してなんやかんやあって未元定規展開乙ですよね?
砂皿はまだステファニーとリハビリ中で垣根とバッタリ会って
垣根が「…女連れかよ。リア充死滅しろ」的なこと言ってそれに対して
砂皿が「貴様に言われたくは無いな…」みたいなこと言ってつまり未元定規状態認知能力を持っていたんだね展開ですよね?
ステファニーもふもふな展開も当然ありますよね?
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/15(金) 18:26:39.92 ID:BEsh0p65o
>>81
原型がないったんだから砂皿は復帰しないだろな

心理定規は出るかわからんが出ると不幸になる子がいるらしいから元々スクールに他からヒロインを補充する予定なんじゃないかな
誰が出ても旗男さんが黙っちゃいないが

予想はこの辺にして今日の投下も楽しみにしてるぜ、全裸で
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/15(金) 19:40:22.85 ID:Y8JMzZpXo
むしろ心理定規さんと砂皿さんはブロックかメンバーとして出てきて貰ったほうがいいんじゃないかな
そしてゴージャスバレスさんも同じ組織で

あと一人も女性だったら砂皿ハーレムの完成や!!!
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/15(金) 20:00:42.30 ID:O+u9Xaem0
>>83
手塩さんとか鉄網とかな。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/15(金) 23:14:25.29 ID:BEsh0p65o
やっぱり構成員は学生じゃないか?

というかモテるスナイパーとか砂皿さん死亡フラグすぎるだろ
彼にはゴージャスバレスさんといちゃいちゃしてもらわねば
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/15(金) 23:17:50.61 ID:wguw+1XK0
>>1です。
何か自分の不注意な発言が……物議を……というほど大げさでもないのか。
『スクール』に関しては唯一原形を留めてない、というのは単純に『アイテム』『グループ』は15巻登場時のまま
『スクール』は本来のメンバーは垣根のみ、他メンバーも青髪(しかもオリジナル設定)と上条という原作ならあり得ない設定だからというだけで深い意味はありませんw

さて、本日の投下分ですが今日よりしばらくは大事が起こる12/12までの日常シーンです。
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 23:19:05.77 ID:wguw+1XK0
風紀委員第177支部兼特別情報管理局

絹旗「うーん、一人だけ待機って言うのは超暇ですねー。滝壺さんは超お休みですし」グデー

布束「……今日は貴方だけなのね」

絹旗「他の人は超出動してます。私だけじゃんけんで負けたので超待機中です」

布束「じゃんけん?」キョトン

絹旗「最初は順番決めてたんですけど……巡回に関しては面倒でじゃんけんになりました」

布束「そうなの」

カッチコッチカッチコッチ(時計の音)

布束「incidentally貴方は私のことを覚えているかしら?」

絹旗「どこかでお会いした事ありましたか?」ンー

布束「覚えていて欲しかったわけではないけれど」

絹旗「ま、まさか生き別れの超姉さん!?」

布束「超姉さんって何よ」

絹旗「超冗談です。悪いけど覚えてませんね」

布束「絶対能力進化実験」

絹旗「!?……ああ、あの時の。生きていたんですか」ガタッ

布束「思い出したようね」

絹旗「……すみませんでした」ペコ

布束「どうして謝るのかしら?」

絹旗「今思えば仕事とはいえ申し訳ない事をしたなと思ったんです」

布束「謝ってもらうつもりはなかったのだけど……こちらこそごめんなさい。私はただおめでとうと言いたかっただけよ」

絹旗「おめでとう、ですか?」

布束「exactly表の世界に出てこれて」

絹旗「……暗部にいた私がこんなことしてていいのかってのは超ありますけどね」

布束「後悔したならその分やり直せばいいのよ。挫折は子供の頃に経験しておいた方がいいわ」

絹旗「布束……」

芳川「ふぁあ……コーヒーコーヒー……あ、何かあった?」テクテク

絹旗「超平和です」

布束「こちらも何も聞いてないわ」

芳川「ならいいわ」テクテク

絹布「……」

布束「大人になってからの挫折はああなるわよ」

絹旗「超覚えときます」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 23:20:06.38 ID:wguw+1XK0
布束「あ、あとそうそう」

絹旗「何ですか?」

布束「年上は敬うものよ。布束『さん』ね」ゴキン

絹旗「!?な、何で窒素装甲を破れるんですか……」ズキズキ

布束「企業秘密よ」スタスタ

絹旗「一体何が……」

白井「戻りましたのー」

初春「ただいまです」

絹旗「お帰りない」

初春「いやー久々だと巡回も楽しいですね。普段は疲れるだけなんですけど」

白井「初春、それって問題発言ですのよ」ハァ

初春「やっぱり私はデスクワークのが向いてるんですかね。白井さんと違って」

白井「どういう意味ですの?」

絹旗「それどうしたんですか?」ジー

初春「え?あ、これですか。クッキーです。私の友達からの差し入れなんですよ」

白井「まったく勤務中だというのに……」

絹旗「いいですね」

初春「皆さんにもあげますよ。どうぞ、絹旗さん」ドウゾ

絹旗「あ、いえ……そうではなくてですね……」

初白「…………」

初春「どうかしましたか?」

白井「相談に乗るとはとまでは言いませんが、話して楽になる事もありますの」

絹旗「『アイテム』の皆には秘密にしてくださいね」

初白「」コク

絹旗「実は私、同年代の友達って超少ないんです。『アイテム』の皆は仲間ですが……超年が離れてるので。不満って訳じゃないんですけど、少し羨ましいな、と」

初白「………」

絹旗「わ、忘れてください。超忘れてください」テレテレ

白井「何を言ってますの?」

絹旗「ですよね。私なんかが」ショボーン

白井「そうではなくて、わたくし達はもう同僚でお友達ではないんですの?」

初春「そうですよ。まだ知り合って数日ですけどそういうのに時間って関係ないと思います。互いを知らなくたって友達ですし、知らないならむしろ知ればいいんですよ!」

絹旗「!」

初春「このクッキーくれた友達、佐天さんって言うんですけど……今度一緒に遊びましょう!同じ年だしきっと話も合うと思いますよ」ニコ

絹旗「………はい!」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 23:22:27.84 ID:wguw+1XK0
第7学区 とある病院

海原「トリチリは相変わらず目を覚まさないのですね」

ショチト「ああ。元々生きていたことが不思議なレベルだ」

海原「あなたの具合も相変わらずでしょうか?ショチトル」

ショチト「流石の学園都市も魔術で蝕まれた身体を補填するには時間がかかるらしい」

海原「それでも回復に向かっているのは流石学園都市というべきかあの医師の腕なのか……」

ショチト「組織が潰れた今、正直どうでもいいのだがな。もはや私には何もない」

海原「何を言っているんですか?」

ショチト「え?」

海原「まず命があります。あなたは生きている。そしてあなたには身体を直してやってもらわなければならないことがあります」

ショチト「やるべきことだと?」

海原「はい。意識を取り戻したトリチリの看病です。組織がなくなった今トリチリを支えて上げれるのはあなただけなのですから」ニコッ

ショチト「…………エツァリ。貴様はズルいな」

海原「自覚はありますよ。飲み物を買ってきますね。あなたは何かいりますか?」

ショチト「大丈夫だ」

海原「では行ってきます」テクテク、バタン

ショチト「……ズルいよ、エツァリお兄ちゃん」

〜〜

海原(やはり自分は卑怯者なのですかね……)テクテク

??「っだあーー!!細かいのがねぇ!!」

海原(ん?先客がいますね)
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/15(金) 23:23:54.33 ID:wguw+1XK0
浜面「折角見つけたっつのに……札はダメだし、両替機もねぇし。結構時間たってるからこのままじゃ麦野に殺される……」ガタガタ

海原「(殺されるって大袈裟な)お困りでしたら両替いたしましょうか?」

浜面「!?マジか?本当にいいのか??」

海原「え、ええ」

浜面「お、恩に着る!!」ジーン

海原「ど、どういたしまして」ドンビキ

チャリンガションチャリンガションチャリンガションチャリンガション

海原「……そんなに飲むんですか?」

浜面「いや、これは全部連れの分だ」

海原「じゃんけんで負けたんですか?」

浜面「………いや、こういうのは強制的に全部俺だ」ドンヨリ

海原(何というか不幸そうな方ですね)

浜面「えーっとこれとこれとこれと……よし、これで全部だな。急がねーと……あ、ありがとな」

海原「いえいえ、たいしたことはしてませんし」

浜面「いや、マジ助かった。えーっと」

海原「海原です、海原光貴です」

浜面「ありがとな、海原。そうそう、俺は浜面仕上だ」

海原「(浜面……どこかで聞いたような)ところであちらの方はお知り合いですか?」

浜面「え?」クルリ

滝壺「迎えに来たよ、はまづら」ヒョコ

浜面「滝壺?診察はもう終わったのか」

滝壺「うん。そっちは誰?」ジー

浜面「ああ、ちょうど細かいのがなくて困ってたところを助けてくれたんだ」

滝壺「そうなんだ」ジー

海原「(何かすごい見られてますね)そんなたいしたことはしてませんよ。それより行かなくてよろしいんですか?」

浜面「あ、そうだった。行くこうぜ!滝壺」ダッ

滝壺「うん」

浜面「まったく売り切ればっかで大変だったぜ……麦野怒ってたか?」

滝壺「うん」

浜面「マジか……でも流石に病院で走るわけにも行かないし、滝壺を走らせるわけにもいかないしな」

滝壺「はまづら、さっきの人知り合い?」

浜面「いや、たまたま会っただけだけど」

滝壺「そう」

浜面「どうかしたのか?」キョトン

滝壺「ううん」

浜面「?」

滝壺(気のせいかな、AIM拡散力場が一切感じられなかった)
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/15(金) 23:29:20.05 ID:wguw+1XK0
というわけで今はこれが精一杯。
一応砂皿さんとかゴージャスさんとかがどうなってるのかって裏設定は考えてますが……
あんまり登場人物出すとさばけないんですよねぇ……
禁書は登場人物多いから……。。。

次回投下は明日にでも。
次は黄泉川さんとか麦野とあの人が……(予定)

にしても浜面ハーレムには誰もツッコミいれないんですね。
アイテム4人+風紀委員177支部3人+残念美人+ジト目ゴスと計9人もの女性に囲まれてるのに。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/04/15(金) 23:30:11.53 ID:HmyVFGVAO
浜面もげろ
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/04/16(土) 00:39:29.72 ID:SwL3/vd20
こういうのは上条さんの役目だろ
それと上条さんは誰とフラグ立てるの?
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/04/16(土) 00:44:54.04 ID:fSMCz1mCo
わりとどうでもいいけど
トチトリな
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/16(土) 00:47:32.56 ID:CQY8pVt40
上条さんは今ていとくんルートを攻略中でせう
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/16(土) 02:53:42.46 ID:5YCWmavTo
トリチリ・・・なんとなく美味しそうだなw
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/16(土) 08:11:24.16 ID:41kU7mlro
トリチリ糞ワロタwwwwwwww
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/16(土) 11:04:46.10 ID:LfbGdNXEo
ちょっぴり辛そうである
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/04/16(土) 12:38:06.71 ID:O2y68q2s0
浜面爆発しろ
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/16(土) 15:40:57.11 ID:s1uqzuRVo
チリトリ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/16(土) 20:14:50.05 ID:LqJzxS150
>>1です。
思い込みって怖いですね。
でもトチトリとトリチリとチリトリと……並んでたら迷いませんか?
ちょっとエツァリさんにテクパトルされてきます。もしくはウサギの骨の材料になってきます。

と、言うわけで本日分の投下です。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/16(土) 20:16:24.12 ID:LqJzxS150
警備員第73活動支部

浜面「装備借りに来たはいいものの……警備員第73活動支部だと?悪い予感しかしねーんだけど」

鉄装「どうかされましたか?」

浜面「えーっと……さっき電話で話した『アイテム』の浜面仕上です」

鉄装「あー話聞いてますよ。中に入ってください」ニコ

浜面「はい……(うわ、やっぱりここは、ここは)」

鉄装「訓練場のスペースまで来てもらっていいですか?簡単な説明もしないといけないので」テクテク

浜面「あ、はい」テクテク

鉄装「『統括理事会直轄治安維持組織』って言っても結構雰囲気違うんですね」

浜面「え?」

鉄装「うちによく来るチームがあるんですけど……何か雰囲気違うなって思いまして」

浜面(そういえば全部で3チームあるって言ってたな)

鉄装「入りますねー。黄泉川先生ー電話の子来ましたよー」

黄泉「おおー、よく来たじゃん?浜面」

浜面「げえ、関羽!?」

黄泉「誰が関羽じゃん」ゴツン

浜面「ぐは!!やっぱりアンタの支部だったか……」

鉄装「お知り合いなんですか?」

黄泉「ああ、よく顔合わせてたじゃん」

浜面「酷い目に合わされてた記憶しかないけどな」

黄泉「自業自得じゃんよー。それにしても浜面がねー」ニヤニヤ

浜面「風紀委員だの警備員だのが似合わないことくらい自覚あるよ」

黄泉「罪滅ぼしのつもりじゃん?」

浜面「……良い事すれば悪い事が帳消しになるなんて思ってねーよ。守りたいものがあって運よくその手段が手に入った。だからここにいるだけだ」

黄泉「なかなかいい答えじゃん」

浜面「で、実はさっきから気になってたんだけど……そこでノビてるのは?」

黄泉「ああ、浜面とは違う『統括理事会直轄治安維持組織』のメンバーらしいじゃん。というかいい加減起きるじゃん」

土御「……何か人が増えてるにゃー」フッカツ

黄泉「アンタのお仲間じゃん。ちょうどいいからアンタら二人でかかってくるじゃん」

土御「そろそろ休憩したいにゃー」ボロボロ

浜面「は?何で俺まで!?」

黄泉「別に怖いって言うならいいじゃんよ?そこにゴム弾入った銃もあるし、手段は問わずでオーケーじゃん」ニヤニヤ

浜面「オーケーオーケー、戦争帰りの世紀末帝王HAMADURA様を舐めるんじゃねーぜ!!」キリッ

黄泉「さっさとかかってくるじゃん」

〜数分後〜

浜面「」チーン

土御「予想通りだにゃー」ケラケラ
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/16(土) 20:17:33.38 ID:LqJzxS150
結標「あら、見慣れない死体があるわね」

土御「俺達とは違うチームだそうだ」

結標「そういえばそんなのがあるって言ってたわね」

土御「『アイテム』の浜面仕上だ」

結標「あの?……というか『アイテム』ねぇ」

土御「予想の範疇ではあっただろ?」

結標「ええ、まあ。でも『アイテム』までコッチ側に来てるってことは……『上』は本気みたいね」

土御「だろうな。ま、平和なのはイイ事ですたい」

結標「………チームは三つって言ってたわね」

土御「そう聞いている」

結標「『グループ』と『アイテム』最後の一つは何?たしか他の『暗部』は壊滅状態だったはずよ?」

土御「まあ、考えても仕方がないにゃー。いずれ解るぜよ」

黄泉「話してないでそろそろ来るじゃん土御門」

結標「ご指名よ」

土御「先生ーそろそろ限界にゃー」

黄泉「そんな弱音認めないじゃん。それに結標も混ざるじゃん」

結標「……小萌といいどうしてこうもお節介なのかしらね」

黄泉「そして浜面はいつまで寝てるじゃん」ゲシ

浜面「痛ぇっ!!」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/16(土) 20:19:50.10 ID:LqJzxS150
セブンスミスト

麦野「んーこれってのはあんまりないわね……今日は帰ろうかしら」

固法「あら、麦野さん一人?」

麦野「固法さん。貴方も買い物?」

固法「ええ。さっきまでルームメイトが一緒だったんだけどね」

麦野「どうかしたの?」

固法「違う支部で風紀委員やってる子なんだけど…書類のミスで呼び出しだって」

麦野「それは気の毒ね」

固法「もう買い物は済んだの?」

麦野「あんまりいいのがなくて食事にしようかと思ってたところ」

固法「もしよかったら一緒にどう?ケーキがおいしいお店知ってるのよ」

麦野「ええ、いいわよ」

〜〜

固法「そう、サイズがないのよね。サイズが」タメイキ

麦野「やっぱりそうなるわよね。気に入ったデザイン見つけてサイズがありませんって言われた時の絶望感」プルプル

固法「しかも無理して小さいサイズだと柄が伸びちゃったりしてね。Tシャツとか特に」イヤヨネー

麦野「あ、それはない。私はそこまで大きくない」ナイワー

固法「まさかの裏切り!?………でも嬉しいな、こんな話ができる友達ができて」

麦野「え?」

固法「だって白井さんや初春さんは年齢離れてるし、麦野さん私と同じ年でしょ?」

麦野「………よく解ったわね」

固法「なんとなくね」

麦固「…………」

固法「ねぇ麦野さん」

麦野「何?」

固法「大学生?とか言われたことあるでしょ」ニコリ

麦野「……ちょっと明るめの服来ただけで若作りとか言われたりね」ニコリ

固麦「………」

固麦「」ガシィッ カタイアクシュ

固法「麦野さんとは仲良くなれそう」

麦野「そうね、固法さん」

固法「美偉でいいわよ」

麦野「……」

固法「嫌かしら?」

麦野「よろしく、美偉」

固法「ええ、沈利」

麦野(でも仲良く、ねぇ……『闇』のド真ん中にいた人間がよく言うわ)
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/16(土) 20:21:42.81 ID:LqJzxS150
固法「それにしても本当にすごいのね」

麦野「へ?」

固法「貴方達のことよ。また数日しか一緒に仕事してないけど…息もぴったりだし」

麦野(まあ『暗部』でしてきた仕事と比べれればカンタンなのばかりだしねぇ)

固法「白井さんじゃないけど……少し自信なくしちゃうかな」ハァ

麦野「え?」

固法「ここ数週間で犯罪率が上がってるのは知ってるわよね?」

麦野「ええ。私達が風紀委員を手伝ってる理由の一つだし」

固法「『アイテム』が来てからその被害が激減、発生件数そのものも減ってる。皆が悪いわけじゃないけど自信なくしちゃうわ」

麦野「いいんじゃない」

固法「え?」

麦野「風紀委員の仕事の全てを見たわけじゃないけど、仕事の中には迷子を案内したり探し物を探したりそういう人助けもあった」
  「だけどそれは私達みたいな人間じゃできないことなのよ。私達は雑な荒事専門だから……風紀委員だって『アイテム』だって学園都市を支えてるのは同じじゃない?」

固法「…………ありがと」

麦野「別に、ただの事実よ」

通行人「ひったくりだーーー!!」

固法「!?行きましょう」ガタッ

麦野「せっかくの休日に……ええ」

固法「止まりなさい!風紀委員よ」ジャッチメントデスノ

盗人「ち、邪魔だぁ!!」

麦野「拳銃!?(ヤバイ!ここじゃ人が多すぎて原子崩しが使えない!!)」

固法「えぃ」ダイリーグボール1ゴウ

盗人「痛ぇ!!」ポロ

固法「今よ!!」

麦野「ええ!!」ムギノパンチ

盗人「」ジョウズニツカマリマシター

麦野「……よく解ったわね、銃持ってたって」

固法「私レベル3の透視能力者なのよ。沈利の方が足は速いだろうと思ったから武器を持ってないか確認して準備してたの。でも当たってよかったわ」

麦野「すごいのね」

固法「慣れよ、慣れ」

麦野「………ね、やっぱりそうでしょ」

固法「え?」キョトン

麦野「やっぱり適材適所でしょ?美偉」

固法「……みたいね、沈利」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/16(土) 20:27:22.61 ID:LqJzxS150
以上が今回の投下になります、と>>1は投下を終えた事を報告します。
個人的に麦野んと固法んは絶対気が合うと思うんだ。
体系的にも属性的にも。
あとテクパトルされるって何だ、テ/ク/パ/ト/ルされるが正しいですね。

次回は明日、登場は『スクール』の方々です。
上条さんの本領は12/12(SSの時間軸で)になってからだぜぇ!!
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/16(土) 23:11:27.26 ID:LfbGdNXEo


上条さんの本領ってことはフラグか説教か
楽しみにさせてもらうぜ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/04/17(日) 00:05:31.73 ID:fJY/XBHHo


あと関係ないことでわるいんだがおれ兵庫にいないのに兵庫って表示されるのはなんでなの?
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/17(日) 00:17:46.64 ID:Q8BBcdmSO
わりとどうでもいいけど
ジャッジメントな
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/04/17(日) 01:26:00.65 ID:pwG6sh/AO
>>109
どっか間違いがあったか?
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/17(日) 02:10:05.74 ID:sMIRcc1DO
乙。
上条さんのフラグ職人と説教に期待
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/04/17(日) 09:02:16.97 ID:mSqt/Ym60
乙。

>>108
ヒント:魂のふるさと
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/04/17(日) 14:28:25.15 ID:pf6/QKOco
土御門が黄泉川にのされてるのに違和感が…
相手してきた人間からしてまず負けることないんじゃないか?
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/17(日) 15:06:49.10 ID:zFL7mXhSo
一般人の前でスパイモードになる訳なかろう
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/17(日) 16:28:35.13 ID:sO/miW880
純粋な格闘技なら負けちゃうんじゃね?
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/04/17(日) 20:33:31.07 ID:pf6/QKOco
>>114 治安部隊なんだし訓練受けたで通じると思うがやはり>>115かな
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/17(日) 21:58:48.97 ID:T2nWx2EY0
土御門は手塩にも負けたからな
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/17(日) 22:06:00.96 ID:YKr0z9Y90
>>1である。
誤字は仕様である(某傭兵風に)。

トリチリに続き……思い込みって怖い。ジャッ『ジ』メントですね。
ちなみに土御門に関しては
土御門→本気を出さない+殺人術(相手を考慮しないという意味で)の強さ
という認識なので、訓練とか捕縛術としての技術は黄泉川先生に圧倒されているイメージで書いてます。
まあ、それを文章だけで表現できてない>>1が悪いんです……罵ってください。喜びます。
という訳で本日分の投下です。
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/17(日) 22:07:19.63 ID:YKr0z9Y90
第6学区 とある娯楽施設

垣根「にしても……こんなに楽でいいのかねー」コン…カコン

青髪「何がや?」

上条「……」

垣根「『スクール』の仕事だよ。温過ぎねぇか?」コン…カコン

青髪「まあ、こんなもんやろ。話によると犯罪率も下がって来とるらしいし……事件の制圧より防止のが目的やからね」

上条「……」

垣根「まあ、ならいいんだけどなー。今日なんて俺達休みだし、いいのかって思うだろ?」コン…カコン

青髪「ていとクンは仕事中毒<ワーカーホリック>なんか?休める時は休めばええし、それにボクらの仕事なんて暇な方がええやろ」

上条「……」

垣根「そうだけどよ……。そしてその呼び方止めろ」コン…カコン

青髪「まあ、ボクらの他にも2チームあるらしいしそっちが頑張ってくれとるんやない?」

上条「あのさ、一ついいか?」

青垣「何?」

上条「今日はおやすみだったので三人で交流会兼ねてビリヤードに来てるわけですが」

青髪「せやね」

上条「上条さんはまったく何もしてないんですけど」

垣根「そうか?はい、俺の勝ちっと」コン……カコン

上条「そうか?じゃねーよ。さっきから交代でマッチプレイしてるけどずっと俺だけ連マスされてるじゃねーかよ」

垣根「連マスって何?」キョトン

青髪「ブレイクからH番までノーミスで落とす事をマスワリ言うて連続でマスワリすることを連マス言うんや」

垣根「へー」

上条「って知らなかったのかよ」ガーン

垣根「ビリヤード自体初めてだし」

上条「!?」ナンダト

青髪「あーやっぱりか。ちょいちょい危ないショットあるもんね」

垣根「やっぱか。物理は専門じゃねーからな」

上条「お前ら能力使ってズルしてないか?」

青垣「使ってない」

青髪「そんなん使ってもつまらんやん」

垣根「別に少し考えればできるだろ?入射角と力加減の問題だし」

上条「」

青髪「それにカミやんのためにちゃんと負け残りにしとるやん」

垣根「そうだぜ、上条。さっきから一人ずっとプレイしてるじゃねーか」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/17(日) 22:08:32.49 ID:YKr0z9Y90
上条「………お前ら……さっきからバンキング以外で撞いてないの解ってて言ってるよな?」プルプル

青垣「うん」

上条「だぁああああ、不幸だー!!」

青髪「自分の不勉強を棚に上げてよく言うわ。こんなん物理の基礎やで?」

垣根「ってかバンキングって何?」

上条「それすら解らないやつに負けてたのか俺は!?」

青髪「最初の順番決めるやつや」

垣根「あーあれか」

上条「………俺はちょっと飲み物買ってくるから二人でやってろよ」

青髪「ボクも何か買ってきてー」

垣根「俺もよろしく」

上条「あいよー」トボトボ

青髪「さて、ちょいルール変えよか。このままやとつまらんやろ?」

垣根「いいぜ」

青髪「Gボールで帝督は1クッション以上、ボクは3クッション以上で行こか」

垣根「どういうルールだ?」

青髪「@〜Nまで使って片方は@からF、もう一人はH〜Nを落とすねん」

垣根「んでGを先に落とした方が勝ちか」

青髪「せや。んでクッションって言うんは手球を的球を壁に当てる事。今回の場合は手球を撞いてクッションさせてから的球に当てることや」

垣根「なるほど……ハンデってことか?」

青髪「足りん?」ニヤ

垣根「ムカついた。後悔すんなよ」ニヤ

青髪「んじゃまずバンキングや」

垣根「ああ」

コン……ピタ

青髪「よし」

垣根「………壁にぴったりつけるとかマジかよ」

青髪「ああそうや、Hボールと違って順番に入れなくてええで。あと本来はコールショット言うて的球を落とすポケット指定するんやけど面倒だから省略や」

垣根「解った」

青髪「ローボールとハイボールどっちがええ?」

垣根「ローが@からFの方だよな?どっちでもいいしローで」

青髪「了解や。んじゃ……行くで!!」カァン……カカカカカカカ

垣根「球が多いと何か楽しいな」

青髪「Hボールのが主流なんやけどね。んー3つしか落ちんかった」

垣根「てめぇ落としたの全部ハイボールじゃねぇか」

青髪「狙い通りや」フフフ

垣根「流石最強の念動力能力者って言うべきか?」

青髪「褒めても手加減はせーへんで」コン…カコン
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/17(日) 22:09:52.49 ID:YKr0z9Y90
垣根「言ってろ。……新チームのデータって来たのか?」

青髪「そういえばまだやね。まだまだ『上』も忙しいんちゃう?雲川先輩の話やと二桁レベルで実験中止にしなあかんかったらしいし」コン……カコン

垣根「まあ、そっちが優先なのはしかたないか」

青髪「大きいテロみたいなのが起きてないだけマシやない?」コン………カコン

垣根「前から聞こうと思ってたんだけどさ」

青髪「なんや?……あう、ミスった」

垣根「ブレイク合わせて5つも落としたら充分だろ。どこまで知ってるんだ?」コン……カコン

青髪「何のことや?」

垣根「学園都市のことだよ。暗部にいてもお前の情報は何一つ集まらなかった」
  「それって学園都市の『最深部』に居たってことだろ?だったらどこまで知ってるのかって思ってさ」コン…カコン

青髪「探してくれてたん?」

垣根「茶化すなよ」コン……カコン

青髪「残念ながら逆や。ボクは雲隠れして第六位なんて捨てて『表』でノンキに遊んどっただけや」

垣根「親友を二度見殺しにしてるって言ったよな?それは俺が死んだって知ってたって事だろ?あの時俺が死んだのを『表』の人間が知れるはずがないだろ?」コン……カコン

青髪「あーそれね……実はボクやねん『ピンセット』作ったの」

垣根「!?あ」コン……

青髪「油断大敵や」フフフ

垣根「『ピンセット』って……本当なのか」

青髪「正確には開発協力、やけどね。『滞空回線』自体の開発もボクが手伝ってんやし、似たような事を能力でできるんや」コン……カコン

垣根「なるほど」

青髪「それ終わって用済みで遊ばしてもらえとったけどね。念動力なんて珍しないし」コン……カコン

垣根「だから知ってたわけか」

青髪「ああ、ちなみに今はもう『滞空回線』自体壊れとるよ。何か維持できんくなったみたいや」コン……カコン

垣根「そうなのか……って負けちまった」

青髪「原因は知らんけどね。心辺りがあり過ぎる。にしてもやっぱり慣れへんの?」

垣根「何がだ?」

青髪「『表』の世界と『平和な日常』。カミやんとおる時は特にそうやけど、すぐに仕事の話持ち出すやん」

垣根「………正直言って慣れねよ。『表』そのもの以上に俺がこんなことして笑ってていいのかって思っちまう」

青髪「カミやんに殴られたりん?」

垣根「というか俺が俺を許せねぇんだよ、結局」

青髪「許せないん?」

垣根「ああ、理由はどうあれアッチの世界にいたのは変わらない事実だし、もっと方法はあったんじゃないかってな」

青髪「別に許す必要はないんやない?」

垣根「は?」

青髪「お仕事して皆の役に立ってそれが『贖罪』だと思って後悔して懺悔して謝罪して生きればいいんやない?」

垣根「今日みたいなコレはどうなんだよ」

青髪「何事にも例外はあるし、お休みって大事やよ?神様にだって安息日があるくらいやしね」

垣根「そうなのかもな……」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/17(日) 22:11:58.79 ID:YKr0z9Y90
上条「悪い、待たせたな。ん?ちょうどゲーム終わったところか?」テクテク

垣根「ああ」

青髪「ってかカミやん……やけに長かったけど……まさか女の子にぶつかってフラグメイクしてたりせーへんよね?」

上条「してねーっつーの。電話してたんだよ」

青髪「土御門クンから?」

垣根「土御門?」

青髪「カッキーに紹介しよう思てたんよ。ボクとカミやんの親友」

垣根「ああ、今日誘う予定だったやつだっけか。そしてその呼び方止めろ」

青髪「せやせや。でも何か最近忙しそうなんよねー」ザンネーン

上条「そうなんだよなーって電話は土御門じゃなくて姫神からだったぞ」

青髪「カミやん……結局フラグやないかーーーー!!」ゴツン

上条「痛っ!!ビリヤードの球をそんな風に使うな!!そしてお前能力明かしてからツッコミが激しいんだよ!!!!」

青髪「全力出したらカミやんなんて一瞬で片手サイズに圧縮できるで?右手以外」ニヤリ

上条「怖ぇよ!!」

垣根「で、姫神って誰?」

青髪「黒髪美人巫女や」キリッ

垣根「………は?」

上条「俺らのクラスメイト」

垣根「クラスメイトが巫女……?」

青髪「姫やん何やって?」

上条「クラスでクリスマス会やることなったろ?あれの下見に付き合えって。どうせ暇だし行くって返事したぞ。三人で行こうぜ」

青髪「カミやん」

上条「何だ?真面目な顔して」

青髪「姫やんは一人やって?」

上条「ああ。買い物もするかもだから荷物持ちなら多い方がいいし三人で今からいだだだだだ!!何すんだ青ピ!!!!」

青髪「ちなみに姫やんは女の子や」ボソ

垣根「……ああ」ナルホド

上条「何とか言えよ!!」ムキー

青髪「カミやん一人で行きやー、ボクは今からていとクンと大事なお話するから」サッサトイケ

垣根「俺も遠慮しとくわ。そしてその呼び方止めろ」シッシ

上条「別に遠慮なんていたいいたいいたいいたいさっきから何なんだよ!!!!」

青髪「さっさと行くんや!!姫やん待たせたら可愛そうやろ?」

上条「解ったよ!!んじゃまたな」ダッ

青髪「やー」

垣根「またな」

青髪「まったく……姫やんの道のりは長いねーホンマ。さ、ボクらはどうする?」

垣根「ま、とりあえずリベンジかな」

青髪「返り討ちやで」ニヤ
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/17(日) 22:15:00.33 ID:YKr0z9Y90
と、言う訳で以上です。
一回死んだ帝督は絶対丸くなって帰って来てくれると信じてるんだ……。

一方さんのピンチに天使の羽根でファサってつけて「俺、参上」ってさ……。
次回は明日にでも。

なお、次回で閑話が最後になります。
予告!白い人がでます。
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/04/18(月) 00:39:35.97 ID:YDmCaabKo
おつ!
明日も楽しみにしてんぜ!
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/18(月) 07:26:08.77 ID:Dj18QjmCo
白い人・・・インポッシブルさんか!
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/19(火) 00:07:54.90 ID:13UCuNVb0
日付変わってしまった!!
1です。すみませン。
投下します。
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/19(火) 00:09:34.77 ID:13UCuNVb0
とある専門店街

打止「あーあっちのお店は何があるんだろうーってミサカはミサカはダッシュしてみる」ダッシュ

一方「走ンなクソガキィ!!!!」

番外「こっちのお店は何だろうってミサカはミサカは興味すようなものはまったくないけどね」

一方「とりあえずその口調だけはウザってェからやめろ。倍に増えるだけで死にたくなる」

番外「嫌だと言われたら止める訳ないじゃん?ミサカの目的は今も昔も第一位を苦しめる事なんだからってミサカはミサカは無理矢理つける」ケタケタ

一方「チィ」

番外「にしても慣れないねぇ」

一方「あン?」

番外「こんな日射しの中で、三人仲良くお買い物。正直、まともじゃないよ。こんなのは普通じゃない」
  「逆に、何も起こらないっていうのに不安を感じない?これが全部、何か巨大な出来事の前触れなんじゃないかって」

一方「期待の裏返しか?」

番外「さぁね。かもしれないし、そうじゃないかもしれない」

一方「興味ねェな」

番外「で、それはそれとして追いかけなくていいの?上位個体。ってミサカはミサカは……面倒だな、これ」

一方「あンなに離れて……オィ、打ち止――」

番外「どうしたの?ってミサカはミサカは………感動のご対面かな?こりゃ。というかあったね、巨大な出来事」wktk

御坂「一方……通行」

〜〜
近くの公園

御坂「…………それが全部なの?」

一方「あァ、俺が知ってる全部だァ」

番外「散々話して今更だけどこんな機密レベルの話するのに公園ってチョイスはどうかとミサカは思うんだけどね」

一方「黙ってろ」

打止「あのね、お姉」オドオド

一方「黙ってろ」

10032「ミ、ミサカからも」アセアセ

一方「黙ってろ。これは俺が言わなきゃいけねェことなんだ。俺から言わなきゃいけねェことなんだよ」

番外「ミ、ミサカからも」

一方「テメェはんな気ねえだろ」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/19(火) 00:10:47.52 ID:13UCuNVb0
御坂「……一つ聞いていい?」

一方「何だ?」

御坂「もし私が今すぐアンタを殺すって言ったらどうするの?」

打番32「!?」

一方「お前の望み通りに死ンでやる」

打番32「!?」

一方「って少し前の俺なら言ってたかもなァ。悪ィがそれは言えねェ。死ぬ事は怖くねェが死ンでやる事はできねェ」
  「今の俺はやる事がある。コイツらを守らなきゃいけねェし、守るモノは今はもっと増えた」
  「俺が死ンでコイツらが安全になるならまだしも、状況が悪化するのが解ってるのにそれはできねェ」
  「許してもらう気なンてねェ。それでも俺は何度だって謝るしそのためだったら何だってやってやる」
  「それこそコイツら全員が死ぬまで俺は謝り続けるし、コイツらを守るために生き続ける」
  「その後だったら拷問だろうが何だろうがされたってかまわねェよ。もちろん殺されたってなァ」

御坂「……それがアンタの答え?」

一方「あァ」

御坂「今度はアンタたちに聞かせて。今の生活は幸せ?」

打止「幸せだよ!!だってこの人と一緒に居れるんだもん。辛いことも大変な事もあったけど……今はもう大丈夫だし、この人がいない生活なんて考えれない
  ってミサカはミサカは恥ずかしがりながらもお姉様に本心を吐露してみる」

番外「悪くはないかなぁ。白もやしみたいな第一位が毎日苦しんでるのを横で見てるのも楽しいし」

10032「正直、感謝していますよ。お姉様がいなければ、そして一方通行がいなければミサカ達はそもそも生まれてないのですから
   とミサカは恥ずかしいので具体的な言葉は口にせずに肯定します」

御坂「………ならいいのよ」

一方「イイのかァ」

御坂「この子達が幸せならいいのよ。私がどうしたいかなんて二の次でいいのよ。私だって原因の一端なんだから。ただし」

一方「?」

御坂「この子達泣かせたらタダじゃ済まさないから」ビリビリシチャウゾ

一方「………あァ」

御坂「ならいいのよ。それにあんな偉そうな事を言っといてどこぞでのたれ死んだらそれこそぶっ殺してやるから覚悟しなさい!!」

一方「解ってンよ」

打止「お姉様が許してくれてよかったね!!ってミサカはミサカは最大の懸念事項が解決して感謝感激雨あられ!!」

番外「まあ、このモヤシが殺された方が手っ取り早かった気もするけど第一位を殺すのはミサカの役目だからね」ケタケタ

10032「番外固体といいお姉様といいツンデレはもうお腹いっぱいだとミサカは心底呆れます」

御番「誰がツンデレか!!」

10032「おいおい、何の冗談だ。というか自覚してなかったのかよとミサカはダルそうにツッコミを入れます」タメイキ

打止「まあ、他の下位個体もツンデレ気味なのはけっこういるからお姉様のDNAなんじゃないかなーってミサカはミサカは大胆予想」
ダカラダレガツンデレダッテノ!! オリジナルハベツトシテナンデミサカマデツンデレナノサ!! チョットワタシハベツッテドウイウコトヨ!!

一方「平和だァ………」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/19(火) 00:19:05.90 ID:13UCuNVb0
上条家

上条「今日も上条さんは疲れましたよっと……さて、寝るか」

♪イーマーナーニモカーモガゼーロデーモーキットミツーケダーセル

上条「ん?ステイル?こんな時間に……?」ハァ

♪テノヒーラセーイイッパイソーラーニームケードーンーゾコニフコウイイージャネーカ

上条「……。はいはい、こちら上条さんの携帯ですよー」

イン「とうま!!何ですぐ出ないんだよ」

上条「は?インデックス!?表示はステイルのだったんだけど??」

イン「私のは今手元にないからステイルに借りてるだけなんだよ!!それより何ですぐ出なかったのかな?」

上条「こんな時間に電話して何言ってんだよ……俺はもう寝るところだったんだぞ?」

イン「とうまはこんな昼間っから寝るつもりだったの?学校はどうしたの?私がいないからってサボってるのかな?」

上条「国際派のインデックスさんが日本とロンドンじゃ時差があるってことをお忘れですか?」

イン「へ?こっちが15時前だから………ご、ごめんなんだよ。そっちはもうすぐ日付変わるんだよね」

上条「いつもは覚えてるのにな。携帯見つからなくて焦ってたのか?それとももうすぐ3時のおやつだからウキウキワクワクして忘れてたのか?」ププー

イン「とうま?噛みつかれたいのかな?」ガキンガキン

上条「(歯音ってより金属同士を叩いてるみたいな音がする)……冗談だよ、何もないか?」

イン「うん。とうまは心配性だね。前電話したの4日前なんだよ?」

上条「お前が神裂に迷惑かけてないかと心配で心配で上条さんは夜も眠れてませんの事よ」

イン「とーうーまー」ワナワナ

上条「………冗談。毎日のように電話してきたてからな、少しだけ心配になったんだ」

イン「そっか……でも大丈夫。別に何かあったわけじゃないよ?電話が見つからなかったのが一番の原因かも」

上条「ならいいんだ」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/19(火) 00:19:56.97 ID:13UCuNVb0
イン「とうまは元気?」

上条「ああ、元気だぞ。小萌先生も土御門も姫神も皆元気だよ」

イン「みことは?」

上条「御坂?ああ、元気だけど………どうかしたのか?」キョトン

イン「………みことは相変わらずなんだね」タメイキ

上条「ああ、相変わらずビリビリしてるな」

イン「そういう事じゃないんだよ……とうまも相変わらずだけどみことも相変わらずかも」ハァ

上条「?」ナンノコッチャ

イン「そういえばとうま、そっちはどうなの?」

上条「どうって何が?」

イン「いろいろ、かな。戦争が終わってからドタバタしてるって聞いたんだよ」

上条「あー……まあ、何とかやってるよ。大きな事件もないし」

イン「そう、ならいいけどね。とうまはすぐ危ない事に首を突っ込むから心配なんだよ」

上条「酷い言われようだ……ってかそっちはどうなんだ?」

イン「しばらくは戻れそうもないかも。あ、ロンドンが危ないとかそういうのじゃないんだよ?」
  「十字教全体がドタバタしちゃっててシスターとしても禁書目録としても結構大忙しかも」

上条「危ないことに巻き込まれてなきゃいいよ。ま、ステイルや神裂がいれば心配ないけどな」

イン「む、それは私だけじゃ心配って意味なのかな?」

上条「ははは……ま、危なくなったら呼べよ。俺が駆け付けてやる」

イン「………どうやって?」

上条「………頑張って?」

イン「まったくとうまは相変わらずとうまだんだから……あ、呼ばれてる、行かなくちゃ。またね、とうま」

上条「ああ」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/19(火) 00:22:10.44 ID:13UCuNVb0
12月11日 風紀委員第177支部兼特別情報管理局

固法「じゃあ、そろそろ解散にしますか。今日もお疲れ様」ペコ

一同「お疲れさまでしたー」ペコ

麦野「あ、私達はちょっと残りなさい。業務連絡があるわ」

浜面「何だ?」

滝壺「お仕事の話?」

麦野「仕事っちゃ仕事ね。私達以外に2つチームができたって話したの覚えてる?」

絹旗「あーそういえば言ってましたね」

麦野「顔合わせだってさ」

浜面「ようやくかよ」

絹旗「私達が超結成してから何日たったと思ってるんですかね?」プンスカ

麦野「何か指揮系統が違うらしいわよ?」シライナイケド

滝壺「いつなの?」

麦野「明日」

浜絹「明日!?」

絹旗「超いきなりじゃないですか!」

麦野「私に言わないでって。っつーわけで明日の夕方に顔合わせだから」

絹旗「……超了解しました」

浜面「滝壺の仕事が終わったら午後からデートの予定だったのに……」ガックシ

絹旗「超いい気味です」ケタケタ

滝壺「仕事だから仕方ないよ、はまづら」

絹旗「今日休みのフレンダには伝えてあるんですか?」

麦野「私から伝えとく」

浜面「というか最近よく休むよな、フレンダのやつ」

絹旗「そう言えばそうですね。巡回中も超落ち着かないみたいな感じでしたし」

浜面「そうなのか?」

麦野「前聞いた時は別に何もないって言ってたけど……明日にでももう一回聞いてみるわ」

浜面「んだなー」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/19(火) 00:22:44.04 ID:13UCuNVb0
固法「沈利ー業務連絡終わったー?」

麦野「ええ、終わったわ」

固法「ルームメイトが残業らしいからどこか食べに行かない?」

麦野「いいわよ」

浜面「沈利……だと?」ポカン

滝壺「いつのまに」

絹旗「超仲がいいんですね」ビックリ

麦野「いろいろあってね。アンタ達も行く?」

滝壺「いいの?」

麦野「多い方がいいでしょ」

絹旗「だったら超行きます」フンス

滝壺「私も行く」

浜面「じゃあ」

麦野「アンタは却下」

浜面「仲間外れ!?」ガーン

麦野「冗談。ドリンクバー係が居なくちゃ困るじゃない」

浜面「解ってたよ、解ってはいたさ!!でも少しくらい期待したっていいだろうがよ」シクシク

滝壺「大丈夫、ドリンクバー係なはまづらも応援してるよ」

絹旗「………前から思ってましたけど滝壺さんって応援は超しても手伝いは超しませんよね」

――

フレ「相変わらず連絡はとれないまま、と……」

フレ「メール!?……麦野からだ」

フレ「他のチームか……少しは情報集めれるかな」

フレ「どこにいるの……フレメア」

133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/19(火) 00:25:43.78 ID:13UCuNVb0
以上で本日の投下終了&閑話終了です。
やっと本編というか、本題に入れます。

一応明日からは新約プチ再構成です。
ただしこのままの戦力差だとシルバークロースはどうでもいいにしろ黒夜ちゃんがフルボッコ確定なのでイロイロいじります。
敵も増えるけど味方も増えると浜面無双はどうなるんでしょうねぇ……。

続きは2、3日中には。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/19(火) 03:27:44.63 ID:vYN1mwU/0
otu!!

kekyoku,furemeahaotorinisaretyauwakeyo
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 07:01:21.00 ID:8IquWVEn0
>>134英語に見えた……
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/19(火) 21:47:47.91 ID:3EDy/B9/0
>>133
確かに、窒素爆槍じゃ何千本集めても未元物質は貫けないだろうな。
力の『大きさ』ではなく『質』がダメなんだよな……
窒素じゃ原子崩しも防げないし
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/19(火) 23:51:12.16 ID:lzuLK7pDO
>>53
>>54

とかで使ってる「末端」って「端末」じゃね?
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/21(木) 21:29:07.17 ID:SHuv5bZ60
>>1です。
なんだよ携帯末端って……浜↑面的な下部組織を携帯してるとでもいうのか、、、
誤字スミマセン。

というわけで投下です。
今日の投下分からは特にオリジナル要素、実験内容の曲解、キャラ崩壊が含まれる恐れが大です。
ご注意ください。
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/21(木) 21:32:45.35 ID:SHuv5bZ60
目を覚ますと窓からは既に日差しが差し込んでいた。
時間を確認すると八時過ぎ。定職持ちのようなものになったとはいえ決められた日以外、そして予定外の依頼<オーダー>がなければ彼に予定はない。
そして今日は仕事の日ではないし、依頼も入っていなかった。にも拘らずこんな時間に起きてしまう彼がだいぶ『表』に毒されてきた証拠だろう。
頭を覚醒させながらベッドの脇の杖を取る。杖に異常はない。その作業が終わると首元のチョーカーのスイッチを入れ、能力発動を確認してから切る。
こちらも異常はない。元々簡単に壊れるような作りではないが、それでも一連の作業は既に日課になっていた。
いつもならばここで同居人2名が部屋に飛び込んでくるのだがドアは開くことなく沈黙を保っている。
そのまま部屋を出るとそこには――

打止「ふっふっふっふ、それパターンは既に見切った!!本命はその後の……ってぎゃーす!!」
  「なーんーでーいつもならこの後は溜め技極太のレーザーなのに今日に限って即発動のミサイル攻撃なのーっ!?」
  「ってミサカはミサカは豆鉄砲を喰らったハト状態!!」

番外「ククククク、いつもワンパで攻めてたのはこれの布石だったのさそして本命はここからの新必殺のメガトンコンボじゃあああ!!」

芳川「………最終信号が番外固体に両手を使わせる日は遠そうね……」

番外「そういえば、最近ずっとそればっかりだけどその民族衣装気に入ったの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

芳川「案外着やすいんだよね、これ」

黄泉「さ、そろそろ朝食にするじゃんよー」

ピーというけたたましい炊飯器の音が鳴り響く。

打止「今日はご飯?パン?それとも他の何かなのかな?ってミサカはミサカはわくわく胸を躍らせてみる」

黄泉「今日はパンじゃん。というかいっつも土曜日はパンじゃんよ」

芳川「あなたの料理は開けて見るまで解らないのよ。というか本来ならパンという選択肢自体が出てこないはずなんだけどね、愛穂」

番外「炊飯器でパンにハムエッグ、コンポタージュスープができるなんて学習装置は教えてくれなかったよ」

黄泉「食べたいなら昨日の残りのグラタンも温めたじゃん。そして突っ立ってないで皿くらい出すじゃん?一方通行」

――そこには彼の家族がいた。彼自身は家族などと口が裂けても言わないだろうが。
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/21(木) 21:35:08.35 ID:SHuv5bZ60
黄泉「で、今日の予定は?」

打止「番外固体とお姉様のところに遊びに行きます!!ってミサカはミサカは敬礼してみる」シュピッ

番外「そこのちっこいのの御守だよーどっかの白もやしに押し付けられた」

芳川「私は家でダラけるわー、働き始めちゃったから久しぶりにゆっくりしたい」

黄泉「私は今から一方通行と訓練所でトレーニングじゃん」

一方「俺は行くっつった記憶はねェンだが」

打止「うーらーやーまーしーいーってミサカはミサカはヨミカワに嫉妬の炎がめらめらだよ」

黄泉「遊びじゃないじゃんよー」

芳川「笑顔で組手やってるって聞いたけど?」

番外「そこの白モヤシをボコボコにできるならミサカも参加したいかもねぇ」

一方「……………」

同居人達の自分勝手な会話を止めようとした彼に割って入ったのは携帯末端の無機質な音。
彼の携帯電話ではなく仕事専用のものだ。操作して内容を確認する。

一方「黄泉川ァ」

黄泉「どうしたじゃん?」

一方「依頼<オーダー>が来た。訓練は見送りだァ」

芳川「朝から大変ねぇ」

黄泉「気をつけるじゃんよ」

打止「気をつけてねってミサカはミサカは仕事に行くアナタを妻のように送り出してみる」

番外「両手両足骨折してきてね。マジック用意して待ってるよ☆」

それぞれがそれぞれの反応を返す。
依頼<オーダー>の内容は解らないがこの端末に直接来るという事はある程度の仕事なのだろう。
もっとも、どんな内容であれ彼に危険を感じさせられる仕事などほとんどないのだが。
立ちあがり用意を済ませる。
そのまま出発しようとして少しだけ思いとどまり、もう一度足を進めようとしてやはり止まる。
少しだけ考えてから、後ろも見ずに小さな声で呟いた。


一方「行ってくる」

そして彼は今日もかけがえのない『くだらないもの』の積み重ねへと出かけた。
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/21(木) 21:40:33.76 ID:SHuv5bZ60
垣根帝督はイスに座っていた。
冬の独特の差し込む日差しが部屋を照らす中、何をするわけではなくただ座っていた。
彼は一度死んだ人間だ。
自分が死んでいた時、どんな状態だったか興味本心で聞いた事がある。
彼を直したカエル顔の医者は言い淀んだ末に

『脳が三つに分けられ容器に入っていたよ。それと内臓補助のための大きな機材が部屋いっぱいだったね』

と言った。

垣根(あの時ほど自分の好奇心を恨んだ事はねぇよ)

よくもまあ五体満足で復活したものだ。もはや『治療』ではなく『修理』だ。なお、その過程は怖ろし過ぎて聞いていない。
彼の所属する今は三人組の『スクール』の仕事は今日休みだ。
正確には夕方から他の組織との話し合いがあるらしいし、何もない時は待機状態なので本当の休みではないが。
生き返ってから、考える時間が増えた。
多くの時間を治療に当て、傷が癒えてからはリハビリと恩返し、暇潰しのためにカエル顔の主治医の手伝いをした。
それでも多くの時間をもてあまし、結果思考に費やす時間が増えた。

垣根「自分に酔ってる、ねぇ」

殺されたせいで記憶が曖昧だが、最後に戦った彼の敵に自身が言った言葉だ。
いつ思いだしても馬鹿馬鹿しい。

どれだけ暗い世界にいようが、どれだけ深い世界にいようが、必ずそこから連れ戻す。

一方通行にかけられた言葉。そして自分が否定した言葉。そしてそれは――自分がかつて望んだものだった。

『第二候補<スペアプラン>』が嫌で『第一候補<メインプラン>』になる事を求めた。
学園都市は利用できる、だからこそ集中に収めようと考えた。
そもそも第一位である一方通行が気に入らなかった。
神みたいに全てを見下していたアレイスターを許したくなかった。
しかしそれらは本心ではない。正確に言えば本心ではなかった。
闇と絶望の広がる自分達の世界で最初に忘れた、切り捨てた垣根帝督の本心。

垣根「アレを捨てた時点で俺は垣根帝督じゃなくて、第二位未元物質<ダークマター>だったんだろうな」

名を捨てた一方通行のように。
最後まで、そして再開した今ですら名を教えてくれない親友である『彼』のように。

一方通行に向けていた感情のそこにあるものは嫉妬だと思っていた。数字に対するコンプレックス。
垣根帝督はそれを認めなかったが、それは正しい。
嫉妬などではない。
自ら第一位になりたかったわけじゃない。第一位の座に『彼』以外がついているのが耐えられなかったのだ。

垣根「結局はガキだったんだな。見捨てられて。それを認めたくなくて。欲して。捨てて。最後にゃ死んで」

簡単な話だ。何年経っても成長していなかっただけの話だ。時が止まっていた、それだけの話だ。
部屋に短い電子音が響く。
生き返ってから幾度目か、酷い時は一日の間に何度も考えた思考を捨てる。
遊び<プライベート>な誘(さそ)いではない。仕事<ライフワーク>へ誘(いざな)いだ。

垣根「さて、行くか」

垣根帝督は一度死んだ人間だ。
その一度とは一方通行に殺された時ではない。
心の底から望んだ本心を諦めた時に彼は死んだ。

そして彼は生き返った。
それは壊れた身体を直された時ではない。
心の底から望んだ本心を思い出した時に彼は生き返った。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/21(木) 21:44:12.39 ID:SHuv5bZ60
嫌な夢を見た。

夢といっても体験した空想のない悪夢ではなく、自らの過ちという過去の記憶。
麦野沈利は身体を起こし、少しも乱れていない呼吸を整える。
右目と左腕、機械で補われている場所が痛む。
絶対に許されない罪ではなく、既に許された罪が自分を苦しめる。
どんなに許されたとしても自分自身が許せないからだ。
静かに目を閉じる。
そして少しも揺らいでいない心を落ち着かせる。

麦野「最悪な目覚めだわ」

最悪なのは夢の内容ではない。
最悪なのは悪夢からの寝起きではない。
最悪なのは身体を引き裂く幻肢痛ではない。

最悪な悪夢からの最悪な寝起きに呼吸すら乱れない、心すら揺るがない自分だ。
決して許すことのない罪すらも克服してしまった自分自身だ。

麦野「十二時三十分、か」

携帯を見て時間を確認する。
今日の予定は夕方からの会合だけで時間はまだある。
何をしようかと考え、思い出したのは夢で真っ二つにした最近落ち着かない同僚の顔。

麦野(この時間なら昼食が終わって休憩してるかな)

話をするなら午後の予定の前のがいい。そう思って携帯を取り出し連絡をする。

麦野「もしもし」

フレ『はーい、こちらフレンダ。どうしたの麦野?』

麦野「今大丈夫?」

フレ『大丈夫よ』
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/21(木) 21:46:24.43 ID:SHuv5bZ60
麦野「もう昼食は終わった頃かしら」

フレ『まだって訳よ。ちょっといろいろやってて忘れてた』

麦野「すぐ食べる予定?」

フレ『んーまだいいかな』

麦野「もしよかったら合流して一緒に食べない?」

フレ『んーお誘いは嬉しいけど今日は遠慮しとくわ』

その声は別段おかしなところなんてない。
いつも通りの声。いつも通りの言葉。
いつも通りじゃないはずの彼女が。

麦野「フレンダ、アンタ今何してるの?」

フレ『え?べ、別に何もしてないって訳よ』

麦野「あのね、フレンダ」

フレ『何?改まって』

麦野「私はアンタの力になりたいのよ」

フレ『………麦野。私は大丈夫だよ』

その一言はもはや決定的だった。
その声は明らかに無理をしている。
その言葉は明らかに助けを求めている。
気丈に明るく振る舞っているが、震え擦れ不安で消え入りそうな声だ。

麦野「フレンダ。私はもうアンタに負い目を感じてない。私は私自身を許してないけどアンタに償いたいと思っているけれどこれはそれじゃない」

自分では決して許さないと決めた。たとえ誰に許されようとも。

麦野「『アイテム』の仲間の力になりたいんだよ。『アイテム』のリーダーとして」

でも許すとか許さないとかそんなものよりも、そんなどうでもいいものよりも大切な物ができた。

麦野「ううん、違う」

それは。

麦野「アンタの友達の麦野沈利として」

かつて自分が壊してしまったけれどもう一度手に入れる事ができた大切な宝物<つながり>。

フレ『麦野』

麦野「うん」


フレ『私、妹を探してるの』

だから私はその宝物を絶対に守る。二度とその掌から落としてしまわないように。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/21(木) 21:49:43.83 ID:SHuv5bZ60
土曜日の昼下がり、ぶらぶらと街を歩いている少年がいた。

名を浜面仕上といい、元々はスキルアウトなる無能力者<レベル0>の最底辺の集団に所属し、一時はそのリーダーになった男だ。
しかしその当日に仕事の失敗で最底辺から地獄の底、とある『暗部』の雑用にまで転落した。
何度も命の危機に瀕しながら逃げて戦い逃げて戦い逃げて戦い逃げた先でなぜか光が当たり、学園都市を守る『ヒーロー(の雑用)』となった。
そんな『ヒーロー(の雑用)』にだって休息はある。それが今日だった。

浜面「本当なら今日は仕事終わりの滝壺とデートだったんだけどなぁ……。起きたらデートコースの再確認して迎えに行って……はぁ」

たとえ休みだろうと午後から仕事(顔合わせだけだが出席は絶対)が入っているとなるとその価値は下がってしまう。
それがその日の希望<午後からのデート>を潰された後なら尚更である。

浜面「(それにしても)どこもクリスマス一色だなぁ……」

十二月十二日、クリスマスまで二週間を切っていた今日、それも土曜日の昼下がりとなればどこも人は溢れかえっている。
別にやましいことはないのだがその視線に耐えきれずにふらりと路地裏へと足を向ける。

今でこそ『表』の仕事についている彼だが、先述したように彼は本来『裏』の世界にいたゆえにどうしても『表』の世界に馴染めない。

浜面「いい加減慣れるべきなんだろうな……」

ポツリと呟き同僚を思い出す。
自分よりも前から『裏』の世界にいた彼女たちであればどうどうと表も歩いていたのだろう。
そもそも彼女たちは『裏』も『表』もないのかもしれない。自分がいる場所が自分の『世界』なのだろう。

浜面「そう考えると俺はいい加減だったんだろうな……」

『裏』にいながら『表』を捨てる覚悟すら持てずに『表』に戻りたいと願いながらそれを諦め『裏』を抜け出せないでいた。
だからこそ『表』に戻るという願いがかなった今でさえそれを実感できずに『裏』にいるような気分になってしまう。

元々頭を使うなんてことは得意ではなかったし、そもそも落ち着いて考える状況に陥ることなく過ごしてきたせいで今の平穏が落ち着かない。

どんな顔をすればいいか解らない。

そんなことをぼーっと考えていると見慣れた光景が飛び込んできた。
一人の男が二人の男に絡まれている。昔は被害者や加害者の側として見慣れた光景。今ではそれを止める側として見慣れたはじめている光景だ。
溜息をついて声をかける。
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/21(木) 21:54:02.25 ID:SHuv5bZ60
浜面「風紀委員だ。とりあえず――」

「ん?どうした」

「っつーか早く終わらせて次行こうぜ」

「次っていい加減腹減ったんですけどー」

ぞろぞろぞろぞろ。
気付けば二人の男は増えて五人もの団体さん御一行になっている。
自分はとりあえずの言葉の後、何を言おうとしたのだろうか?とりあえず考えて見ようなど混乱した思考が頭を埋め尽くす。

「で、何だって?」

「っつーか今風紀委員って言ったか?この失敗面」

「むしろ明らかにこっち側のクセに何言ってんの?正義のヒーローのつもりかぁ?」

「あ、っつかー財布クン逃げちゃったよーまだ交渉中だったのに」

「あーあ。まあこの新しい財布クンが大活躍してくれることを祈ってます」

どっちが失敗面だよ、こちとら可愛い女神様滝壺って彼女がいるんだぜ。なんて心の中で毒づきながら状況を整理する。

とりあえず襲われていた男は逃げたらしい。それはよかった。
相手は五人。当然見知った顔ではない。おそらく能力者ではない。能力があったとしてもせいぜい低能力者<レベル2>だろう。
そして気付く。

腕章、一度帰ってから麦野達と合流するつもりだったために持っていない。拳銃、同上。
携帯端末は持ち歩いているが仲間を呼ぶのを悠長に待ってくれるはずなんてない。
ゆえに選択肢は一つしかない。

浜面「不幸だァァああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

走りながら慣れないことは二度としないと心に誓った。

現役ではないとはいえ勝手知ったる第7学区、浜面は走り、逃げ、駆け、不良少年5人を何とか振り切る。
無我夢中であったために迷いこそしなかったが思いもよらない場所に辿りついてしまった。
かつてスキルアウト時代にねぐらの一つとして使っていた場所。
今やスキルアウトを捕まえる側に回ってしまった自分には不釣り合いな場所だと思い、すぐに立ち去ろうとしたが、

半蔵「お、浜面。どうしたんだ、お前?」

横合いから声を掛けられた。
ギクリと少しだけ固まった後、浜面がそちらを見ると、彼の見知った顔があった。


浜面「……半蔵?」

どんな顔をすればいいか解らない自分が会いたいと思っていても、どんな顔をすればいいか解らない相手の顔があった。

146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/21(木) 21:57:10.23 ID:SHuv5bZ60
地の文いれると一気に執筆速度が遅くなる……。
とりあえず事件前のプロローグ的な部分を一気に。

一方さん、ていとクン、むぎのん、浜↑面
並べると……浜面ェ……

次回は土日には。
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/04/21(木) 22:14:26.39 ID:hxuWaid4o
会合に期待
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/22(金) 18:39:15.03 ID:j3Lzyjzd0

また末端になってんぞ大丈夫か
あと番外「個」体だからなそこも気をつけろ
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/22(金) 23:41:46.91 ID:n7IRDzUT0
乙!
面白いっす
期待してるz
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/24(日) 03:29:17.19 ID:scd7/PNH0
また間違えるとか……寝ぼけてたんですかね、すみません。
もう、誤字は仕様と思って無視してください。

いや、ちゃんと添削しますけどね。

さて、本日分の投下です。
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/24(日) 03:30:25.75 ID:scd7/PNH0
目の前には立ち入り禁止の文字と壁に囲まれた広い更地。
誰にも手入れされていないそこは荒れ果てていた。
研究舎のほとんどは取り壊されて残っている施設はほんの一部だ。

一方「土御門はどうした」

嫌な予感はあった。対象の場所が第10学区と聞いた時から。

海原「別件で学園都市にいないそうですよ。夕方の顔合わせまでには帰ってくるそうです」

結標「どうしたの?いつも以上に不機嫌みたいだけど」

おかしいと感じていた。『グループ』が緊急に招集されるほど事件、それなのに警備員である黄泉川に連絡がこなかったこと。

海原「まあ、破棄させたはずの非人道的な人体実験をやっている可能性があれば誰でもそうなるでしょう」

結標「それだけじゃない気がするけどね」

目的地に向かう車の中で見たのは記憶の残滓にある風景。

海原「そうそう、今回の仕事に関しては対象の始末の許可が出ているそうですよ」

結標「珍しいわね。いつもは無傷で制圧しろとか言うくらいなのに……それだけ危ないってことなのかしら」

その先にあるのは、今は名もなき実験施設跡地となっているはずの場所。かつて彼がいた地獄の一つ。

海原「かわり言ってはなんですが、もし被験者の子供がいたら確実に助けて保護しろと」

結標「……救出対象がいるかどうか曖昧なわけ?情報不足にもほどがあるわね」

海原「自分に言われましても」

一方「さっさと終わらせンぞ」

一方通行の目の前にあるのは第10学区特別能力者多重調整技術研究所、通称「特力研」の跡地だった。
詳細な理由は解らないが学園都市から切り捨てられ、警備員という『表』の力で解体された場所だ。

結標「見取り図いらないの?」

一方「かつての古巣<ホーム>だよ。何がどこにあるかなンざァ記憶してるよ」

その言葉は間違いではないが正しくはない。忘れられなかったのだ。
この場所は一方通行が経験した地獄の一つでしかなくもっと酷い地獄を彼は知っている。
しかし彼がどんなにより深い『闇』を知っていようが同じレベルの『闇』を経験していようが、忘れられるものではなかった。
ここの場所は九歳まで彼がいた『学校<ホーム>』だ。

一方「凱旋だ、クソ野郎」

あの時とは違う。『闇』を喰らうためではなく、誰かに『光』を見せるためにその言葉を吐いた。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/24(日) 03:32:54.36 ID:scd7/PNH0
上条「何があった?」

上条の受け取った指令には「緊急指令:能力者の暴動」とあり、今日の集合の待機部屋<セーフハウス>書いてあっただけだった。
待機部屋につくと既に青髪ピアスがドアの前で待っていた。

青髪「待ってたでカミやん。事情は『空』で説明するわ」

それだけ言うとそのまま自らの身体と上条の身体を宙に浮かす。
青色の腕章は既に巻かれていた。それだけ緊急事態ということなんだろう。

青髪「現状は6か所で能力者が暴れとる。1個は帝督が解決したらしいからあと5つのハズや」

上条「6か所も!?おいおい、何だよ。どういう事だよ」

同時に6つ。喧嘩自体は少なくないが能力者のというと日に2、3件でも多い方だ。
それが同時に6か所も。明らかにおかしい。

青髪「今先輩が情報集めてくれとる。ただ、おかしいのは件数だけやない」

上条「派手に暴れてるって事か?」

青髪「それもあるね。全部が高レベルの能力者ばかりらしいから」
  「でも問題はそれやない。さっき帝督から聞いたんやけど能力者の反応がおかしいいんや」

心なしかいつもよりも『飛ぶ』スピードが速い。
右腕に感じる負荷を気にしながら状況を確認する。

上条「能力者の反応?」

青髪「ボクらが担当した最初の事件覚えとる?」

『スクール』としての最初の活動。
腕章を受け取った後の連絡が来た最初の仕事。

上条「三人組の銀行強盗だっけか?一人発火能力者のいた」

青髪「そうや。その最後って覚えとる?」

事件の事思い出す。能力者は発火能力者が一人。怪我人はなし。特に問題もなく拘束し、無事を事件解決できた。最後のある一瞬を除いては。

上条「何か様子が変で、縛られたまま無理矢理能力使ってたな」

青髪「そう。あの時は最後の悪あがきって片付けたけど思い返せば変やなかった?眼が虚ろやったし、まるで誰かに操られとるみたいやなかった?」

思い返せば三人は格闘術に長けているわけではないので気絶させたというわけではない、なのにあの能力者は意識が虚ろだった。
そしてそんな状態なのに能力を発動させていた。
まるで何かに操られているかのように。

青髪「帝督が捕まえた一人がまったく同じ状況やと。嫌な予感がしたからって気をつけとって大丈夫やったと」

上条「もしかしたら残りも?」

6件もの事件が同時に起こる。
誰かに操られてタイミングを合わせられたかのように。

青髪「せや、急ぐでカミやん!」

上条「おう!」

二人は急ぐ。
一人でも多くの人を助けるために。
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/24(日) 03:41:16.94 ID:scd7/PNH0
浜面仕上はビルの壁に背中を押しつけていた。
そのままずるずると座り込む。
先程まで一緒だった半蔵はここにはいない。
一人だった。
彼との会話が脳裏に思い浮かぶ。
内容は他愛もない世間話だった。
久しぶりに再会した友人との何気ない会話。
半蔵の様子に少し疑問を感じたが何も言われはしなかった。

ただ浜面は二人の間にある壁を感じていた。
別に今の『アイテム』に所属していることは裏切りじゃない。
スキルアウトの敵だとしても直接的対しているわけではないし、ある意味で彼らのために味方になることだってできる。
それに浜面にとって一番大切な物は悪いが半蔵でもスキルアウトでもない。滝壺理后であり、『アイテム』なのだから。

だからといって何かに少し様子のおかしかった半蔵を放っておくことはできない。
しかし、もしかしたら昔自分もやっていた類の悪事かもしれない。そうだった場合、自分に止める資格はあるのだろうか。
考えるまでもない。

今の自分には何もできない。

手伝う事も。諭す事も。救う事も。何もできない。
それでも力になれる事はあるんじゃないかと考えてしまう。

浜面「………どうすりゃいいんだよ」

迷った末に浜面が出した選択は、情報収集だった。
情報が集まらならければ忘れればいい。次に会った時に「この前どうしたんだよ」とでも声をかければいい。
そう思ってある一人に電話をかける。

郭 『はーい、私です』

浜面「私ですってそれじゃ誰か解んないじゃん」

郭 『その声は浜面氏ですか?お久しぶりですね』

浜面「久しぶり、郭ちゃん、番号変わってなくてよかったよ」

もし番号が変わっていて連絡が取れなければ、そのまま半蔵の事は放っておくつもりだったのだがそれを口にはしない。

郭 『それにしても私に電話なんてどうかされたんですか?』

浜面「いや、半蔵が何かやる事あるとかいって忙しそうだったからさ。メシ喰う時間もないとか言ってたし」

郭 『半蔵様とは?』

浜面「さっき会ったよ、定食屋で」

少しだけくだらない世間話に華が咲く。

郭 『となると、へえ。浜面氏も半蔵様から話は聞いているのかな?』

浜面「軽くなら。金儲けの話だろ?」

郭 『うーん。私が今関わってるのとは違いそうですね』

浜面「郭ちゃんが関わってるってのは何よ?」

郭 『いや、半蔵様が抱えている案件に私が首を突っ込んでいるだけなんですけどね。でも、あんなの抱えたまま、別件で動けるのかなあ?』

浜面「?」

郭 『でもまあ、浜面氏はもう聞いているって話だし、しゃべっちゃっても大丈夫ですよね』

浜面「何が?」

郭 『だからあれですよ。あの話。半蔵様は今、小さな女の子を匿っているんです』

その言葉を聞いて思い浮かんだのは「金儲けの話」と苦笑いした半蔵の顔だった。

郭 『詳しい事は分かりませんけど、何だか学園都市の「上」から狙われてるみたいでしてね。例の子、その辺に歩かせておけば30分で殺されそうな感じなんですって』

学園都市の『上』と聞いて身体が反応をする。そういう事はなくなった。なくすために自分は今の『アイテム』にいる。

郭 『名前はなんだったかな……良く、駒場氏に懐いてた女の子なんですけど』
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage saga]:2011/04/24(日) 03:42:39.14 ID:scd7/PNH0
覚えている。駒場に懐いていた、彼が『舶来』と呼んでいた少女だ。おそらく半蔵が匿っているのは駒場に遺志を受け取っての事だろう。
彼女が狙われている詳しい事情は解らない。そもそも学園都市の『上』が狙っているという話そのものがたしかな情報とはいえない。
ただ、そんな事はどうだっていい。問題なのはその先だ。半蔵が間違っている事どうかすら問題ではない。
問題なのはそこじゃない。

半蔵の手助けをすれば『アイテム』を敵に回す。自ら守るべきものを捨てる事になる。
『上』が未だに『闇』を抱えている場合、滝壺も麦野も絹旗もフレンダも味方になってくれるだろう。もしかしたら第177支部の皆でさえも。
しかしその場合、再び浜面達は学園都市に終われるだろう。
何をどう考えても自分一人だけでは解決しそうにない。大切な守りたいものを巻き込んでしまう。


駒場の意志と半蔵、そしてその二人が守りたい小さな存在。


自分が選んだ、誰よりも何よりも、それこそ学園都市の平和なんてものよりも守りたい『アイテム』

その二つの天秤が揺れ動く。


郭 『確か……フレ……フレ、メア。……そう、フレメア=セイヴェルンっていうんですよ。10歳くらいで、ふわふわした金髪の女の子。?』

その言葉を聞いて浜面の迷いは吹き飛んだ。
駒場に懐いていた彼女の顔は覚えている。
そして思い出す。最近様子のおかしかった一人の同僚を。
フレンダ=セイヴェルン。
むしろ今まで気付かなかったのがおかしいくらいだ。忘れていたのが間違ってるくらいだ。

浜面「迷う必要なんてねーじゃねーか………」

高揚した身体を落ち着けるために深い溜息をつく。
身体から灼熱のような息が吐き出され、冷たい外気で頭が冷えて行くのが解る。
骨まで心まで冷えて思考をする。褒められるような頭じゃない。そもそも悪戯みたいなチャチな犯罪しかできない無能力者<レベル0>だ。
それでも考えて考えて考えて――最善の結果を叩き出す。
他人を喰い物にするためではなく。
誰かに認めてもらうためでもなく。
困っている人に手を差し伸べるために。
自らのかけがえのない存在を助けに行くために。

浜面「行くぜ相棒。地獄のそこまで」

浜面仕上は走り出す。
細い路地の奥、いまだ解らない学園都市のような混沌とした影の中へと、自分の足で突き進む。
死の危機に直面した友人を助けるために。
死んだ友人の思いを守るために。
自分達の仲間の家族を守るために。
くだらない三流のチンピラだった男はもういない。とある少女を守り通したちっぽけな無能力者<レベル0>でもない。

分不相応だろうと諦めない、その手を我侭に伸ばす事が出来る馬鹿な男だ。

あとはその手で願いを叶えて、馬鹿じゃなくなればいい。
少しだけ滝壺への連絡を考えて、思いとどまる。
それは巻き込みたくないというエゴであり、立ち位置の解らない半蔵のためでもあった。
だが一人だけ、仲間の一人だけには連絡する。
情報を得るために。助けるために。フレメアが助けを待っているだろうフレンダ=セイヴェルンに。
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/24(日) 03:45:48.38 ID:scd7/PNH0
地の文書くと自分の文章力のなさにヘコみますね。
そして投下直前に新約読んでないと凄まじく話が解り辛い事実に気付きました。

まあ、でも分岐内容だからって同じ内容を書いちゃ駄目だよね!!

次回からはもう少し解り易くします。
次回はできれば明日に。
難しければ2、3日くらいかかります。
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/04/24(日) 09:12:04.67 ID:hzZRV4Bxo
おつ!
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/25(月) 03:27:21.98 ID:IVgDDqLCo


今更だけど雲川先輩の口調には誰も突っ込まないのな
158 :上条2011/04/25(月) 13:45:31.24 ID:NdZdmwju0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なあ・・・俺が元暗部にいて、いいのか
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県)[sage]:2011/04/25(月) 14:33:45.44 ID:EsoEgCtwo
今は暗部じゃないから問題ないだろ
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/25(月) 17:19:14.47 ID:m4BR7Nnk0
>>158
なあお前色んなとこにいるけど一旦ROMるべきだと思うぞ
スルーできない俺がいけないんだが
161 :上条[saga]:2011/04/27(水) 18:06:36.84 ID:/j9RRJYQ0
160
わかった・・・・・・・・・・努力する
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/27(水) 23:16:47.86 ID:gEhE1Cwt0
>>1です。
雲川先輩ってあんな話し方じゃなかったですっけ?

投下開始しますー。
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/27(水) 23:17:25.26 ID:gEhE1Cwt0
青髪「『スクール』や状況は?」

二人は指定ポイントに着地すると、近くにいた警備員の一人に腕章を見せ、声をかけた。
明らかな高校生の二人を見て一瞬だけ顔をしかめた後が、腕章を見て状況を説明しだした。

「一般人には退避命令中だ。対象は能力を使用しながらこの道を北上中、スピードは徒歩程度だ」

上条「相手の能力って解ってますか?」

「申し訳ないが不明だ」

相手の能力が解らないとなると逆に急がなければならない。
どんな影響が出る能力かは解らないし、そもそもまだ事件は残っているのだから。

青髪「拘束用した後任すから少人数を残して他の現場に回ってや。他はボクらが対象を拘束後出てきてや」

二人の前の警備員は青髪のその言葉に苦しそうな、痛みに耐えるような表情を浮かべる。
別に怪我をしているわけではない。
ただ悔しいのだ。
無力な自分が。
救う事の出来ない自分が。
子供に頼るしかない、危険な場所に子供を送らなくてはいけない自分が。

「く……了解した」

青髪「普段は先生方がおらんと何もできんのや。こんな時くらい頼ってや」

上条「まったくです。まだまだ勉強不足ですから、俺達」

それだけ言うと二人は走り出した。
走り始めて気付く。能力者が通った後は小さな爆撃があったかのようにボロボロだ。

上条「何の能力だよ……発火能力か?」

ゴミ箱、道路標識や吹き飛ばされた車、看板など様々なものが滅茶苦茶になっている。
まるで本当に空爆をしたようだ。

青髪「威力がまちまちやな……爆発の場所も無差別過ぎや。地面や看板、対象が絞れんね」

交差点に出て、周囲を見渡した。
二人の眼に映ったのは――

上青「!?」

――いくつもの小爆発を続ける街並みだ。
見慣れた風景を小さな爆発が壊し続けている。
ゴミ箱を道路標識を車を看板を何もかもを。
無差別に。無選別に。無茶苦茶に。
いつもの街並みがまるでシューティングゲームかアクションゲームの画面のように小爆発を繰り返している。

その中心にいるのは一人のセーラー服の少女だ。黒い髪の後ろ姿からはその顔は見えない。
悠然と歩いている。
爆風で揺らぎながらも真っ直ぐとゆっくりと歩いている。何もないかのように。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/27(水) 23:18:04.89 ID:gEhE1Cwt0
上条「何だ、これ…」

明らかに異常な光景だ。

上条「止まれ!!」

黒髪の少女を呼び止める。当然のように反応はなく、荒れ狂う爆発の中ゆらゆらとその歩みを進めている。
明らかにおかしい。まるで自覚なく能力を使いながら歩いているように。

青髪「カミやん、これは量子変則<シンクロトロン>や。簡単に言うと物質を爆弾に変える力や。おそらく対象はアルミ」

青髪の手にあるのはビンのかけらだ。爆発したゴミ箱から拾ったものなのだろう。
アルミの爆発で吹き飛ばされ、アルミ出ないがゆえに破片が残っていたのだ。

上条「能力による爆発って事か。なら……俺の出番だな!!」

言葉と共に走り出す。
少女との距離は20メートルもない。走り、追い付き、彼女に触れて演算を止める、それで全てが収まるはずだ。
右手で爆発を消しながら上条は爆風の中を走り抜ける。
あと数メートル、あと数歩のところで大きい爆発が起こり上条の身体が宙を舞う。

青髪「カミやん!!」

上条当麻の右手には幻想殺し<イマジンブレイカー>という異能の力なら何でも消せる能力が宿っている。
当然量子変則の爆発も消す事が出来る。彼の記憶にはないが同じ能力で作られた爆弾を過去に消していた。
しかし、爆発や爆熱が消せても、離れた場所から来る爆風や爆発で破壊され飛んできた物体は消す事が出来ない。
幸いにも飛んできた破片は小さなものだったため、服には刺さったが傷はない。

上条「大丈夫だ。それより彼女はどこに向かってるか解るか?」

吹き飛ばされて再び黒髪の少女との距離が開く。
今も少女はよろけながら『何か』に向かって進んでいる。。

青髪「この先は……不味い!!自販機広場や!!」

上条は再び前にいる少女、そしてその先にある場所を見る。
50メートルも先ではない位置にあるはある広場だ。
人気の商品からキワモノの実験品まで揃っている自動販売機が何台もある広場だ。通称自販機広場。
彼女の能力の範囲は解らない。彼女の能力発動の条件も発動までに必要な時間も解らない。
しかし、彼女の能力が広場で発動すれば広場だけではなくその周囲の店まで吹き飛びかねない。
当然、彼女の身体も。

上条「右手を突き出すから彼女の所まで吹っ飛ばしてくれ」

青髪「ええんか?」

上条「明らかに様子が変だ。それにあの能力はアルミを爆弾に変えるだけの力なんだろ?」
  「さっきから彼女の近くでも爆発が起こってる。飛んできた破片で怪我もしてる。このままだとヤバイ」

青髪「了解や。行くでカミやん!!下噛むなや!!」

その言葉と共に右手を前に突き出す。
不可視の力で身体が押し出され、加速度で勢いが増す。
抑えられた空気抵抗の中でも爆発の振動が伝わるほどの力。
全てを打ち消す右手に凄まじい力がかかり爆発の破片でいくつもの傷ができる。
それでもその右手を下げる事はない。
歯を食いしばり痛みに耐える。
彼よりも傷ついている人のために手を伸ばす。

上条「届けぇえええええええええ!!」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/04/27(水) 23:20:25.31 ID:gEhE1Cwt0
特力研はかつて警備員に解体された研究所である。
一般に研究が終了した研究所は別の研究が始められる。これは一つの研究が滞りなく終わり、次の研究に移行するという意味ではない。
ここでいう研究終了とは研究内容やその試作実験に何かしらの問題があった場合の『上』からの差し止めであり、凍結や中止のことだ。
倫理的問題や純粋な利益の関係、権利の関係など様々な理由はあるが、多くのその敷地や機材を別の研究チームに譲渡する。

しかし何事にも例外はあるもので、ここ特力研はその例外だった。
研究チームが解体された後、他の研究チームに譲られる事はなく、そのまま解体が始まった。
そして更地にされた後でも学園都市管理の土地とされ、放置されている。
研究所の地下部分の解体が終わっていないからだ。

結標「何もないわね」

薄暗い、申し訳程度の光が照らす廊下を三人は歩いていた。
あまりの暗さに他人の表情は3メートルも離れれば確認できないほどだ。
念のためと用意した暗視ゴーグルが頭の上で不釣り合いに揺れる。

一方「警戒を怠ンな、始末の許可がでるレベルなンだ」

結標「解ってるわよ」

海原「それにしても……やっぱり人のいた形跡自体はありますね」

明かりがついている。何年も使っていないはずの施設に。
壁紙は剥がれ落ち、使えない通路もあるというのに人が通った跡もある。
一方通行は歩きながら考える。
そもそもなぜ何年も前に解体されたここが存在しているのか。たしかに地上部分の研究も常軌を逸していた。が、この研究所の本丸は地下だったはずだ。
多重能力者が実現不可能と『実証』された場所で敷地内に死体処理場があるとさえ噂された場所のその本懐が。

結標「ところでどこに向かっているの?」

一方「特力研のそういう研究の実験室は三つしかねェ。そしてその三つは全部、観測室と呼ばれてた部屋から見渡せる」
  「全ての研究資料と研究所の中枢は観測室に集まってたし、三つの実験室は全てをつなげられる」

結標「何かを隠しているのであればその実験室にあるし、何かを調べているなら観測室にあるってわけね」

海原「実験室とやらは大きいんでしょうか?」

一方「10メートル立法の部屋が左右に二つ、正面に大きなのが一つ、観測室を囲むようにあったハズだ」

結標「10メートル……地下一階から地下三階までぶち抜きにでもしてたの?豪快なのね」

実験室。
それを話して思いだす。
自らに行われていた実験を。

一方「蠱毒(こどく)って知ってるか?」

結標「何それ?」

海原「たしか古代中国で用いられてた呪術でしたっけ。虫や蛙や蛇や……とにかくいろいろな生き物を器に入れて喰い合わせる」
  「そして最後のに凝った生命力の強い一匹を用いる。というものですね。呪術だけではなく毒の製法などでもありますね」  

結標「よく知ってるわね」

海原「まあ、専門ではないですがこちら方面の知識ですからね。ある程度は」

結標「で、それがどうかしたの?」

一方「別に。それを俺達みたいな『実験体<能力者>』でやってたってだけだ。ここはそういう場所なンだよ」

結標「………なるほどね」

いつしか会話はなくなり三人の足音だけが響き渡る。
一方通行の杖の音だけが足音とは違う高い音をコツコツと立てている。
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/04/27(水) 23:21:32.36 ID:gEhE1Cwt0
海原「で、ここがその観測室ですか」

一方「入ンぞ」

観測室の扉を前にそれぞれが構える。
黒曜石のナイフと軍用ライト、そしてチョーカーの演算スイッチ。
薄暗い地下に不釣り合いな高い音がガチャリと響く。

結標「………何よ、誰もいないじゃない」

海原「でも……使用された痕跡はありますね。何かを調べていたんでしょうか?」

広い実験室を見渡せる広い観測室。
三面がガラス張りになっており(ガラスは既に割れていた)、全ての実験室が見渡せる。
その中には誰もいないし、何か特別な物が置いてある様子もない。
あるのは人がいた痕跡だけだ。

結標「うわ、本当に広い」

海原「下りてみますか?何か手掛かりがあるかもしれませんよ?」

展望台から景色を見るように実験室を眺める二人。それを尻目に一方通行は観測室を物色する。
たしかに何者かが潜伏していた様子はある。ただ彼にはこの場所が解体されなかった理由の方が気がかりだった。
実験室には何もないだろうと振り返り、入口の近くに散乱している書類に気付く。
情報媒体ではない、紙媒体の資料。土埃で汚れてはいるが比較的新しい。

一方「これは……?」

『多重能力者研究』『暗闇の五月計画』『プロデュース』『量産型能力者計画』の資料。
数々の非人道的な実験でその全てが『闇』に葬られたはずだ。
なぜこんなものがここに?
一つは特力研で研究されたもの、残り二つも少なからず影響のあった実験かもしれない。しかし『量産型能力者計画』だけは違う。
『量産型能力者計画』が最初に立案されたのはいつかは知らない。しかしここで研究されていたはずはない。
天井亜雄に試作品が作られ、頓挫し凍結され、一方通行と『絶対能力者進化計画』のために再開されたものだ。
つまり何者か、今ここにいない潜伏者が持ち込んだのだろう。

更に資料を探すと一つの実験の資料と一つの報告書が出てきた。
『暴走能力の法則解析用誘爆実験』そして『幻想御手<レベルアッパー>』。
前者は聞いたことがあるAIM拡散力場を刺激するための暴走条件を探る実験だったはずだ。
しかしもう一つは聞いた事がない。第一位という立場上、彼にはほとんどの実験の話が回って来いたはずなのに。
疑問に思い、資料を手に取る。
するり、と小さな紙が音もなく静かに落ちる。
一方通行はその小さな紙を手にとった。

ダダダダッ!!と銃の乱射音が響く。
ドアは弾丸でボロボロに穿たれて、欠片も残っていない。
一方通行に反射された弾が当たったのだろう、小さな悲鳴が聞こえる。

海原「おかえりなさい、とでもいえばよかったんでしょうかね」

結標「貴方が入口にいてよかったわ、一方通行」

海原「まったくです」

ただでさえ薄暗い闇の中、粉塵で上がり相手の姿は見えないが、小さい機械音が聞こえる。おそらく小型の駆動鎧だろう。
相手が『グループ』だと知った上での装備なのだろう。
だとするとおかしい。三人を殺すなら施設ごと壊せばいい。
それをしないという事は、まだここに価値はある。
まだ、何かがつながっている。
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/04/27(水) 23:22:09.46 ID:gEhE1Cwt0
一方「頼みがある」

粉塵が消えないせいか銃撃はまだ来ない。
駆動鎧を展開させているのかもしれない。

結標「頼み?」

海原「珍しい事もあるものですね」

一方通行らしくない言葉に二人は顔をしかめる。

一方「急用ができた。数はある程度減らす。先に行っていいか?」

普段なら「先行くぞ」と言って相手を蹴散らしながら先行するような性格の一方通行が頼みがあるといい、更にはこちらにまで確認した。
たしかに危険度の高い任務だが、『暗部』時代の任務と比べれば安全なものだ。

結標「仕方ないわね」

海原「自分もかまいませんよ」

一方「ありがとよ」

一方通行は小さな声で呟くと、そのままチョーカーの演算スイッチを入れ、部屋を飛び出す。
出迎えたのは何人か武装した人間と三体の小型駆動鎧。
武装兵の銃を風で潰し、駆動鎧を銃で撃つ。本来なら弾かれるはずの弾丸は彼の能力により駆動鎧を動かす補助演算を容易くブチ抜く。
そしてそのまま出口まで駆け抜ける。
残された二人の仕事は武器のない武装兵と動けない駆動鎧の処理だけだ。

結標「明日は雨だったかしら」

海原「槍が降ってもおかしくはないですね」

自分達がやる仕事などもはや後始末だけだった。
脳に欠損があり、演算機能を制限されてなお学園都市の第一位の座にいる一方通行が本気を出せば当然の結果かもしれない。

既に終わった仕事など気にかけず、一方通行は駆ける。
まずは地上に出て、そこで確かめなければならない。
ただの地下施設であるために演算補助に影響がでないとは言え、いつ影響が出るとも解らない。

そしてたしかめなければならない。
一方通行が拾い上げた小さな紙切れに書かれた事の真偽を。
おそらく電子媒体ではなく紙媒体でやりとりしていたのだろう。
陰謀を張り巡らす以上、連絡手段を複数持つのは常識だ。
それに回線を繋ぐというのはそれだけで誰かに漏れる可能性がある。
左手に握られた紙切れをもう一度確認する。

『超電磁砲量産能力者「妹達<シスターズ>」検体番号00000号』確保。計画準備完了。

そこに書かれていた文字は先程と変わらない。
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/04/27(水) 23:24:07.44 ID:gEhE1Cwt0
本日分終了です―。
なぜかメモ帳がとんで書き溜めが一部消失したのは内緒の話。

次回は土日になるかと思われます。
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/04/28(木) 00:06:59.26 ID:fSsUgfuCo
おつ!
楽しみにまってる
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/28(木) 00:47:46.24 ID:GPk0g3tSO
乙乙!
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/28(木) 13:00:00.33 ID:WEKsQ+Xyo
雲川先輩の喋り方は
「〜だけど」
が口癖だった気がする
どっかの禁書wikiにキャラの特徴とか説明とかあったから参考にするといいかも
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/29(金) 21:06:10.67 ID:RKrE3hUv0
>>171
「〜だけど」というより「〜けど」が口癖というべきだな
基本的にはシリアスめのボスキャラに口癖をくっつけた感じ
「〜けど」が入る時と入らない時は大体7:3くらいで、大体文の最後にしか使わない
ただし、「〜けど……〜」みたいな場合もある
また、あまり不自然な時には使わない
たまに「〜けどな、〜けどなあ」という風にもなる…このくらい把握してれば多分大丈夫
SS2か画集のSS見るのが手っ取り早いとは思うけど
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/05/01(日) 17:55:09.41 ID:CYE0ahoe0
>>1です。
というかアレですね。言われて読み返してみれば雲川先輩誰だこれってレベルですね。
書き直したいレベル。本当にすみません。そして指摘ありがとうございました。
というか以前雲川先輩書いてた時はどうしてたんだろう……。

では本日投下分です。
まだまだ続くよ、スクールサイド。
本日はあの方の登場です。

174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/01(日) 18:00:56.61 ID:CYE0ahoe0
御坂「何か騒がしいような……?」

番外「どうかした?もしかして愛しのあの人でも見つけて思わず身体が火照っちゃったの?」

御坂「ななななんなに、何言ってんのよアンタ!私はアイツの事なんか……」

打止「あ、お姉様顔真っ赤だね、ってミサカはミサカは指摘してみる」

番外「アイツって誰?はっきり言ってくれなきゃ解らないなってミサカはミサカは質問してみる」

打止「あー、ミサカの口癖とっちゃダメー!!ってミサカはミサカは憤慨してみる!!」

ある公園の噴水の前に三人の少女がいた。
一人は淡い青のワンピース、一人は名門常盤台中学の制服、一人は白とピンクのアオザイを着ている。
背格好は違うが皆同じ系統の顔をしており、傍から見ればとてもよく似た微笑ましい三姉妹だ。
実際にはDNAレベルで同じ軍用クローンとそのオリジナルだった。
しかもオリジナルを長女とするなら末妹は一番大きなアオザイを着た少女なのだから現実とは難しいものだ。

番外「というか……あんなののどこがいいのかねえ。冴えない顔だし」

御坂「ちょちょちょちょっと、アイツと会った事あるの!?」

番外「ミサカはないよ、直接は、ね。ただ……ネットワークから負の感情を集めやすいからね。いろいろと情報が来るわけだよ、お姉様」

御坂「じょ、情報ってどんな?」

番外「というかモヤシかヒーローかで朝まで討論とかマジで勘弁だよ……どっちだっていいんだよこっちは」

御坂「情報ってどんな?ねぇ、どんな??」

番外「眼がきらきらしてるんですけど……」

御坂「気にな……べ、別に気になんてなっていないのよ?ただ姉としてアンタ達が普段何を考えてどうしてるかが気になってるだけで」

美琴と番外固体は、美琴が言う『アイツ』の話で盛り上がる。『アイツ』とは当然上条当麻であるのは言うまでもない。
第三次世界大戦、ロシアでの出来事は御坂美琴と上条当麻の関係を―― 一切変えなかったのだ。

自らの恋心を自覚し、決死の思いでロシアへ向い、その手を伸ばした美琴であったが、帰って来た上条当麻は「ありがとな。で、何か用だったのか?」と一言で切り捨てた。
(のちに上条は美琴にボコボコにされ、御坂妹に「そりゃねーぜ」と言われ、インデックスに散々頭を咬まれてた)
お詫びと称して行われたデートも白井黒子の妨害や様々な不幸により、中途半端な形に終わってしまった。
ゆえに御坂美琴は変わっていない。

インデックスのイギリス出発前夜。
インデックスは美琴と二人で夜通し語り合った。
インデックスが家主である上条当麻を追い出して、いろいろな事を二人で話し、美琴は一大決心をした。
犬猿の仲とも言うべきインデックスと打ち解け、更には彼女から「私はみことを応援するんだよ」とまで言われた。
それなのに御坂美琴は変わっていない。むしろ素直になればなろうとするほどにその態度をこじらせた。

だからこそ、スイッチが入ると語りだす。自らの思い人の事を。普段のたまりにたまったストレスを発散させるが如く。
そんな美琴のマシンガントークを聞いて、番外固体は「ミサカのオリジナルってこんな人だったのかよ」と狼狽していた。

番外「うぜぇ、これ。そして最終信号はさっきから何してんの?ミサカにだけお姉様を押しつけないでよ」

打止「えーとね、情報収集?」

番外「何で疑問形?」
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/01(日) 18:02:51.17 ID:CYE0ahoe0
佐天「あ、御坂さんだ」

御坂「あ、佐天さん……って」

トリップしていた美琴は聞きなれた声で現実に戻る。
別に彼女とあうのが嫌なわけではない。
ここには自分に似た少女が二人もいるのだ。

佐天「偶然ですねーってこの人達は……?」

御坂「し、親戚……そう親戚なのよ。いろいろあって学園都市に遊びに来ててねー。今案内してるの。佐天さんこそどうしたの?」

佐天「そうなんですかー。私は初春と遊ぼうと思ったんですけど最近忙しいみたいで……」

御坂「あー何か最近いろいろあるみたいね」

佐天「そしたらちょうど湾内さんと泡浮さんから遊ばないかってメールが来まして」

御坂「湾内さん達から?」

佐天「はい。もしよければ一緒に……って思ったけど邪魔しちゃ悪いですね」

御坂「ゴメンね。また、別の機会に」

佐天「あ、湾内さんだ。じゃあ、また今度遊んでくださいね」

御坂「またね……。……何とか乗り切ったわね………」

美琴は窮地を乗り越えた事実に思わず溜息をついた。
そして同時に「これから知り合いにあったらどうしよう」などと考えている。

打止「お姉様、ってミサカはミサカは驚愕の表情で話しかけてみる」

御坂「どうしたの?」

番外「最終信号の話し方だと緊張感ないけどね。ヤバイよ」

打止「10032号から聞いたんだけどいくつかの場所で能力者が暴走してるらしいよってミサカはミサカは緊急報告」

御坂「え………?」

どういう事?そう美琴が聞き返そうとした時、急に足元が影に覆われる。
太陽はまだまだ高い、謎の影の正体を突き止めようとして振り返る。

御坂「!?」

影の原因は噴水の水だった。噴水の仕掛けではないだろう。
学園都市といえど水が3、4メートルも膨れ上がるような仕掛けは存在しない。
水を見た瞬間、状況を確認する前に美琴は打ち止め、番外固体の二人の手を引いて噴水から離れた。
幸い、噴水近くには人がいないが大きな噴水だ。反対側に人がいるかもしれない。

御坂「アンタ達は避難して」

番外「別にいいけどねー、最終信号傷つけるとあの人がうるさそうだから手伝えないし」

打止「お姉様はどうするの?」

御坂「止めるわ。絶対に」

そう言うと美琴はそのまま噴水へと走り出した。

佐天「御坂さん!!」

御坂「佐天さん!?け、怪我は?」

佐天「私は大丈夫です。で、でも湾内さんが、湾内さんが!!」

御坂「湾内さんが?……まさか!?」

その言葉を聞いて思いだす。佐天涙子が待ち合わせをしていた湾内絹保という後輩が何系統の能力者であったかを。
そして先程の打ち止めの言葉で出てきた『能力者の暴走』という単語。
原因は解らない、しかしおそらく彼女はその対象になっている。
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/01(日) 18:07:15.84 ID:CYE0ahoe0
御坂「湾内さん!!」

佐天「急に、急にああなって」

御坂「湾内さんがああなる前の直前の様子って解る?」

佐天「えっと、湾内さんが来て、御坂さんに会いましたよって話してて、そしたら急にフラついて倒れたと思ったら……」

御坂「そう、ありがとう。佐天さん、とりあえず逃げて警備員に通報をお願い」

佐天「え?でも……」

彼女の気持ちは解る。友達のピンチを助けたい、手を伸ばしたい。
知り合って半年ほど、それだけの時間だが彼女を見てきた美琴には彼女の気持ちが痛いほど解る。
だが、この状況で彼女にできる事は何もないだろう。

御坂「ゴメンね。今回は……多分佐天さんを守りきれない。だから湾内さんは任せて」

佐天「………お願いします」

佐天を噴水から離れさせる。彼女の悲しそうな瞳が頭に残るがすぐに振り切る。
美琴にできるのは湾内を救いだす事だけだからだ。

御坂「すぐに、助けるから」

湾内「――、―」

彼女が何か言った瞬間にいくつもの水のドリルが美琴に襲いかかる。
数本のドリルを電気を通し、逸らし自らも横に避ける。

御坂(やっぱり何かに操られてるみたいね、彼女の意志が感じられない。それに明らかに彼女の能力よりも強い)

記憶の限り彼女の能力は水流操作系の異能力者<レベル3>だ。こんなに大量の水を同時に扱うほどの力ではない。
本人の意志ではない力、そして本来の力<レベル>以上の能力。
思い当たるのは一つ、幻想御手<レベルアッパー>だ。
以前の事件の際には誰かを操るなんて力はなかったが美琴も幻想御手<レベルアッパー>の全てを知っているわけじゃない。
何かを合わせたという事も考えられる。
それに今問題なのは彼女を止める方法だ。

御坂「どうすれば、どうすればいいの……」

本人が能力の制御をできていない。
その状況で能力を止めるためには一体どうすればいいのだろうか。
彼女を止める手段を考えている間にも水のドリルは美琴を襲う。
攻撃自体は避ける事が出来る。全てではないが電流を介してドリルを逸らす事も出来るが水の物量の方が多い。

御坂「く、水が……」

噴水から大量の水ドリルが襲ってくる。
一本や二本ではない、何本もの数か同時に美琴を狙う。
それはまるで嵐のようで、その中心にいるのは大事な大事な後輩だ。

噴水を背にした湾内に近付けない。
圧倒的な水量が美琴の行く手を阻む。

もしあれが幻想御手<レベルアッパー>が原因なのであれば彼女はいずれ昏睡状態になってしまう。
能力は止まるだろうがこの様子だとそれまで彼女の身体はもたないだろう。
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/01(日) 18:13:32.34 ID:CYE0ahoe0
御坂「彼女を止めるには……!!」

湾内「―、――。助、ケテ」

悲痛な叫びが聞こえる。
意識を失った中での必死の抵抗なのだろう。
彼女の悲痛な表情から苦しみが伝わってくるようだ。

御坂「何か、何か方法は?方法はないの!?」

助けを求める彼女をどうする事も出来ない。
自分はまた何もできないのだろうか。
超能力者<レベル5>と呼ばれ、その力を身に宿し、それでもまた誰も助けられないのだろうか。

美琴が操っているドリルの一つが小さく爆発する。爆発自体はたいした事はない。
一体何が爆発したのかと考えようとしても思考が落ち着く前に次の攻撃が来てしまう。
吹き飛んだのは先端だけだったのですぐに復活したドリルに再び電流を流そうと考え、思いとどまる。

御坂「今のは……まさか、水素爆発!?」

おそらく水が電気分解されて発生した水素に電流が飛んだんだろう。
屋外、そして美琴が細心の注意を払っていても少しずつ電気分解され、水素の濃度が上がっていたのだろう。
本来ならば大気中で直ぐに拡散する水素が徐々に集まりつつあるのだろう。

爆発自体は電磁波を用い、近くの金属を吸い寄せ、身を守る事で無効化できる。
しかし、それでは彼女を助ける事は出来ないし、このままではいずれ大爆発を起こし、彼女を傷つけてしまう。

湾内「助ケ、テ」

感情のない壊れた機械のような擦れた声。
彼女の苦しみが伝わる。
そして何もできない自分が不甲斐ない。

御坂「どうすればいいのよ……どうすれば助けられるのよ!!」

美琴は叫んだ。目の前の少女を救いたかったから。
誰でもいい。彼女を救ってくれるなら誰でもよかった。
なぜ私は誰も助けられないのだろう。
なぜこの右手には誰かを助けられる力がいないのだろう。
力の限り叫んだ。あの右手を持つ彼なら助けられると思ったから。


垣根「おいおい、諦めんなよ、第三位。諦めたらそこで試合終了だぜ?なんてな」


どこからともなく聞こえた言葉と共に視界が白に染まる。
そして前に見えるのは人影は心なしか『アイツ』よりも大きい。

御坂「な……!!誰!?」

垣根「諦めたわけじゃねえのかもしれないが、もうちょっとやり方はあったと思うぞ」

そういうと白を纏った男は振り向いた。
美琴には見覚えのない顔だったが警戒心よりも言われた言葉が気にかかる。

御坂「アンタ、何様よ!?」

垣根「別に年上を敬えとか言う気ねーけど……話に聞いてた通りだな」

御坂「うるさい!何なのよ、アンタ!?」

垣根「自己紹介してる場合か?第三位」

御坂「第三位って私の名前は御坂美……そうよ!!湾内さん」

茶髪の闖入者によって少しの時間だが美琴は彼女からの意識を逸らしてしまった。
そして気付く。逸らす事が出来たという不可解な状況に。
先程まで絶え間なく襲ってきた水のドリルは全て目の前の男の翼に弾かれている。
まるでそれが当然であるかのように。

垣根「さーて、んじゃお仕事お仕事」

男はそう言うとくるりと踵を返し、水の嵐に向き直る。
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/01(日) 18:21:53.60 ID:CYE0ahoe0
御坂「ちょっと待って。あの子私の後輩で様子がおかしいのよ。だから」

垣根「解ってるっつの。それにあの子がお前の後輩だろうとそうじゃなかろうと関係ねえ」

焦る美琴に対して垣根は最初から余裕の表情だった。
そもそも垣根は水の嵐の中心にいる湾内を最初から暴走能力者などと見ていない。
この場所に来た瞬間から、救出対象としか見ていない。

垣根「傷一つつけずに救ってやるよ」

その言葉と共に再び垣根の6枚の白翼が大きく広がる。
相手は水。物量こそ多いが未元物質<ダークマター>の敵ではない。
翼で噴水を壊し、そのまま中心にいる少女に一瞬で近寄る。
優しい手付きで少女の頭に触れ、気絶させる。

演算が中断され、残っていた水のドリルが力を失い、ただの水に戻る。
操られていた水、噴水から溢れる水が辺り一面に広がる。
足元の大量の水の中、一滴も濡れなかった垣根帝督は少女を抱きながら呟いた。


垣根「誰がやってるかしらねーけど……ムカついた」


今日垣根が止めた能力者は二人目。共に同じ状態だった。
明らかに人為的な暴走状態。望まない暴力を強いられ、自らも傷ついている。

しばらくすると警備員が現場に駆け付ける。
垣根はそのまま少女を預けるとその場を離れようとしたが、肩を掴まれ振り返る。
振り返った先にはバツの悪そうな顔をした美琴がいた。

御坂「ありがと」

垣根「ん?ああ、いえいえどーも」

荒事が解決したからか、先程の緊迫した雰囲気とは違う。
とは言っても垣根は最初から最後まで徹頭徹尾動揺も緊張も全くしていなかったのだが。

御坂「ってそうじゃなくて、アンタ何者なのよ!?」

垣根「風紀委員」

美琴の問いに「ほれ」と腕の腕章を見せる垣根だったがその腕章は風紀委員の緑ではなく青い色だった。

御坂「そんな腕章見た事ないわ!!」

垣根「え?ああ、表のままだったか」

御坂「裏が風紀委員のマーク?ちょっと何よ、その腕章!!」

垣根「面倒だからパス。まだやる事あるし」

御坂「ちょ、ちょっと!!」

説明を求める美琴に対して、そんな義理も時間もない垣根は無視をする。
美琴の頭からビリビリと電気が漏れている気がするがかまっている場合はない。
状況確認のために携帯端末を取り出す。

垣根「あーもしもし、こちら垣根。こっちは終わ……あれ?」

御坂「どうしたのよ?」

垣根「切れた……?」

通話が強制的に切断された。
学園都市統括理事会からの支給品。
最先端の学園都市の技術の中でも最先端の機能を持っているだろう携帯端末が。
明らかに普通の事件とは違う能力者の暴走に確定ではないが強度の電波妨害。

垣根「いったい何が起こってやがる」
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/05/01(日) 18:25:23.84 ID:CYE0ahoe0
本日分は以上です。次は水曜にでも……というか最近水、土日の週2投下になってますね。
次はスクール面子以外をかけるといいなぁ……。

そして地味にオリキャラでるかもと言おうとして青髪第六位設定の時点でかなりオリなんですよね、と気付いたり。
まあ、『スクール』『アイテム』『グループ』を同じ側にいさせるとどうしても敵キャラが少なくなるのは仕方ないですよね……。
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/05/01(日) 21:03:47.61 ID:nKgDeB7Jo
おつおつ!
次も超楽しみにしてます
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/01(日) 23:55:40.89 ID:4PZU4utzo
オリ設定は二次創作にはつきものだけどオリキャラは結構拒否反応出る人も多いと思うよ
まあモブ程度なら影響少ないだろうけど
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/02(月) 11:55:32.79 ID:mmj87JBvo

オリキャラ嫌いな奴は見なけりゃいいだけだろ
書くの上手いからオリキャラ出ても面白そうだし俺は賛成だぜ
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/02(月) 20:10:45.47 ID:iqJQbJMgo
イケメルヘンなていとくんを応援するっぜ
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/02(月) 21:30:47.06 ID:gE1b+Md2o
>>182 見る人減るのは否定できないから作者次第だろうね
ごっそり居なくなるとは思わんが
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/05/03(火) 00:07:51.44 ID:xu5gO7iuo
オリキャラメインでも面白いのもあるし
作者の腕による
がんばってくれ
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/03(火) 22:16:11.13 ID:SFa2f/8p0
舞ってるぜェ
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/05/04(水) 22:53:09.65 ID:M9BRON6H0
>>1です。
いろいろなご意見ありがとうございます。

オリキャラについてはまた考えてみます。
さて、本日投下分です。
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/04(水) 22:54:54.71 ID:M9BRON6H0
量子変則の黒髪の少女を救った上条の元に届いたのは雲川からの電話だった。

雲川『今の能力者は終わったようだな。端末にデータは送ってある。そのまま全ての能力者の保護を頼む』

上条「解りました。じゃあ、今から青髪と」

雲川『警備員に交通規制を頼んである。発生現場の位置情報も渡してあるからそちらで移動して欲しいのだけど』

上条「え……でも、青髪と一緒の方が早いですよね?」

雲川『ヤツにはヤツの、お前にはお前の役目があるのだけど』

上条「でも、なるべく早くに助けないと」
   ・ ・ ・ ・
雲川『上 条 当 麻』

雲川の口調が強くはっきりとした言葉になる。
脳を直接揺さぶられるような、思わず動きを止めてしまう声。
電話の向こうにいる彼女の表情の一つ一つさえ伝わるような、そしてそれ以上に自分の全てが見透かされる感覚。

雲川『はっきり言うと今学園都市で起こっている問題は大きいよ。能力者の暴走が些細な事件に見えるくらいには』

見透かされ、開かれた頭に言葉が侵食する感触。
拷問や尋問というよりは、悪戯をした子供をしつけるような生温い甘い言葉。
じわじわと聞こえる声に割り込む事を体が拒否する。

雲川『ただ、私は見捨てる事などせん。この役割を担うものとして』

耳を通り、頭が理解し、心を納得させる声。

雲川『だからお前にはお前のやるべき事をして欲しいのだけど』

その言葉で気付く。
いつも自分はできる事をしてきた。
目の前にある事を一つ一つ重ねて。
ただそれだけでは救えないものもある。
これは誰かを救う戦いではない、誰もを救う戦いなのだ。

雲川『それにお前に嫌われたくないしな』

上条「先輩」

雲川『何だ?』

上条「生意気言ってすみません」

雲川『私はお前の愚直さがたまに羨ましくなるけれど。今はそんな話をしている場合ではない』

上条「そうですね」

電話の向こうで雲川の笑う声が聞こえる。
まったくこの先輩には叶わない。

雲川『警備員と共に能力者の暴走を止めろ。発生位置、最善の対処ルートと解る限りの能力者情報は送るから』

上条「解りました。その後はどうすればいいですか?」

雲川『終わる頃に電話をするよ。予定では事件の後始末と無事解決のパーティだな』

上条「了解です」

上条は端末を切ると大きく深呼吸をする。
冷静になれ。今回は違って考えてくれる、力になってくれる仲間がいる。
全てを救うには信じる事が必要だ。

青髪「先輩なんやって?」

上条「俺は警備員の車で能力者の暴走を止めて保護だってさ」

その顔には何の迷いもなく、力とやる気に満ち溢れた顔だ。
そんな上条とは対照的に端末のメールを見た青髪ピアスの表情は曇る。

青髪「カミやんは電話でボクはメールなんか……ああ、なるほど」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/04(水) 22:55:33.72 ID:M9BRON6H0
上条「お前は何するんだ?」

青髪「本気を出せ昼行灯、やって。ホンマ人使い荒いなー」

そう言って大きな溜息をつく。
しかし、気ダルそうな行動とは裏腹にその顔はこの状況を心底楽しんでいるかのようだ。

上条「本気……?」

青髪「ま、ぼちぼちやるわ。あ、カミやんお迎え来たで」

上条はいつもの笑顔とは違う青髪の顔に疑問を覚えつつも、その役割を全うするために警備員の車に乗り込む。

青髪「……ん?」

一瞬だけ青髪の表情が曇る。
古傷が痛むような、小さな小さな違和感。

上条「どうかしたのか?」

青髪「いや、問題あらへんよ。先輩の読み通り、ギリギリ間に合ったみたいやし」

上条「?……行ってくる」

青髪「頑張ってやー」

上条「お前もな!!」

青髪「あーカミやん、忘れとった」

上条「何だ?」

青髪「カーナビは当てにならんはずやから迷わんように注意してや」

上条「?ああ、解った」

その言葉と共に車は走り出した。
上条を乗せた車がいなくなるまで見たあと、再び深い溜息をつく。

青髪「さて……カミやんも行った事やし、まずは状況の確認やね……」

ポケットから携帯端末を操作し、通話やメールを確認する。
電波障害で通じない事を確認しキョロキョロと周りを見回した。
店頭のディスプレイや街頭のモニターを見ると電波が届いていないのか砂嵐が表示されている。

青髪「さっきので潰れたのは携帯だけなんかな?車とかが正常って事は……電子演算系は動いとるんか」

先程上条との会話の最中に感じた違和感。
通常の感覚では感じられない電波が阻害された感触。
分子レベルで物体に干渉できる青髪だから気付けた感覚。
どうやら強度の電波障害のようだ。

青髪「カミやんには電話でボクにはメールって……。ま、しゃーない、アレ疲れるんやけど……」

青髪は溜息をつくと空を見上げる。
高いビルに切り取られた小さな青空が広がっている。
特に予備動作をするわけでもなく、一瞬で上空へ100メートルほどまで飛び上がり停止する。
見晴らしが良くなった街並みを足元に、両手を広げ、いつもは閉じている糸目を見開いた。

普段は見せない碧い眼を開き、両手を広げる。
その姿勢は十字架に繋がれたキリストのようでもある。
風が起こるわけでもなく、何かが集まるわけでもなく、ただ自らの力の全身全霊をかけて情報を集める。

大気の振動が、物質の状態が、彼の掌に学園都市中の状況を伝えてくれる。
『滞空回線<アンダーライン>』の雛型となった能力の使い方。

しばらくして、そのまま脱力し、音もなく地上に着地をする。

青髪「…………。面倒な事になっとるねー………ホンマ、人使い荒いわ」

軽く乾いた笑いをした後、溜息をつく。
そして目を閉じたまま、再び空へ飛ぶ。

全てを知らなければ後から後悔するのは知っている。
全てを知っていても何もしなければ、懺悔すらする資格はない事も知っている。

青髪「全てを知っても犠牲を出さんとあかん場合はどうするべきなんやろうね」

その問いに答えるものは誰もいない。
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/04(水) 22:59:59.80 ID:M9BRON6H0
麦野「割と急いだんだけど、待ったかしら?」

フレ「んーん、そうでもない……とは言えないかな。結局、退屈ではなかったけどね」

昼時と言うには少し遅すぎる時間帯。
麦野とフレンダはとある第4学区のオープンカフェにいた。

麦野「フレンダはもう頼んだ?」

フレ「うん、注文せずに座ってるのもなんだったし」

麦野「そう、私は少し頼むわね」

フレ「急がなくていいよ」

麦野「急ぐわよ。待たせてたわけだしね」

そう言うと店員にサーモンサンドとアップルティーを頼む。
料理が来る少しの間、二人は他愛もない話しをした。
本題とはかけ離れた話。
事によっては一刻も争う事態ではあるが、フレンダ自身に無理矢理聞くような話ではない。
麦野は彼女の力になりたいと思ってはいるが、親切の押し売りをしたいわけではない。
それでも麦野は気が長い方ではない。
サーモンサンドを食べ終わり、アップルティーの二杯目を頼むと同時に話を切りだした。

麦野「で、詳しく聞かせてくれるわよね」

フレ「んー…………」

麦野「私は話してくれるまで何度でも聞くわよ?今更言わないなんて選択肢はないのは解ってるわよね」

フレ「結局、どこから話したらいいのかなって思う訳よ」

麦野「アンタに妹なんていたのね」

フレ「うん、実は」

麦野「名前は?」

フレ「フレメア。フレメア=セイヴェルン。今年10歳だったかな?」

麦野「結構離れてるのね」

フレ「うん」

何がきっかけだったのかは解らない。
フレンダはその言葉を境に、流れる水のようにフレメアの事を話しだした。

フレ「結局、あんまり会ってなかったの。私達は置き去りではなかったけど……結局、あの子も私も能力の素質はなかったから」

麦野「別にアンタが話したいならいいけど……私はアンタが『暗部』にいた経緯を知りたいわけじゃないわよ?」

フレ「ハハハハ………麦野は何だかんだで厳しいよね」

麦野「そんなつもりはないわ。聞いてあげるわよ?今じゃなければ」

フレ「全くの無関係って訳じゃないんだけど……結局、お世辞にもいいお姉ちゃんじゃなかったのよ。お金を送ってれば、物を与えていれば妹は幸せだと思った」

フレ「私自身が『仕事』にのめり込んでいたせいもあるけどね」

フレメアの話。
それはフレメアに対しての接し方であり。
それはフレンダ自身の後悔でもある。

フレ「元々、あんまり連絡をとってなかったんだけどね。結局、10月9日、あの日から連絡をとってないって訳よ」

ただそれだけの事、そう付け加えたフレンダの顔は見かけだけは何でもないように見える。
麦野には姉妹はいない。兄弟もいない。それ以上に連絡を取り合う家族と呼べるような存在は今はいない。
血統的な、遺伝子的な家族はいるのだろうが、存在しないわけがないのだが、それでも彼女が家族と呼べるような人間はいない。

フレ「無事なのは確認してたんだけどね。結局……4、5日前だったかな?家出みたいに施設を出ちゃったらしいのよ」

だから麦野にフレンダの気持ちは解らない。
約二か月以上。最初はフレンダ自身が連絡を取れなかったのだろうが、その後も連絡を取らなかった理由を知らない。

フレ「カードとか口座とかを見る限り無事みたいなんだけどね」

ただ、フレンダの表情は心から苦しそうに。妹を心底心配している顔だった。
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/04(水) 23:01:41.39 ID:M9BRON6H0
麦野「で、探してたと」

フレ「うん。新しい『アイテム』なら情報入ってくるかなー思ってさ」

麦野「私達に相談せずに一人で探してた、と」

フレ「うん」

麦野「一つ聞いていいかしらフレンダ」

フレ「何?」

麦野「妹さん、フレメアだっけ?その子の事は心配?」

フレ「もちろんよ!!」

麦野「じゃあ、その子に会いたい?」

フレンダは麦野の質問に答えられなかった。
本人が考えもしていない質問だったわけでも答えが解らない質問だったわけでもない。
フレンダにはその答えが解っている。

フレ「結局、どういう顔していいか解んない訳よ。ずっとずっと放置して好き勝手にして好き勝手に生きてきた私が今更、さ」

その言葉は徐々に小さくなっていって最後は消えてなくなってしまいそうなほどに擦れた声になる。
フレンダはフレメアの姉である。しかし、フレンダが姉であったとしても姉でない部分の彼女も存在するのだ。
かつて彼女は学園都市の『闇』の一つ、『暗部』に所属していた。仕事として殺人すら請け負う組織だ。
最初は違ったのかもしれない、それでも本人はそれを楽しんでいた。
それは妹を守らなければいけないという責任から解放されたからか。
ただその行為が彼女に合っていたのか、明確な原因は定かではない。

理由はどうあれ、状況がどうあれ、環境がどうあれ。
フレンダは妹から目を背けた。
見捨ててはいなかったが距離をとった。

フレ「だから、私は」

その声に力はない。その言葉に続きはない。
フレメアを心配する姉であるフレンダとフレメアを放置してきた姉でないフレンダが同時に存在しているんだろう。

だからこそ誰にも助けを求めずに。
カードの使用状況や口座確認なんて簡単な最低限度の生存確認だけをしている。
心配しているという言葉が嘘なわけではない。それでも、自ら動き出せない。
見捨てる事はできない。それでも、直接会う事ができない。

フレ「私は」

麦野「普通に会えば?」

フレ「へ?」

麦野の言葉にフレンダはたっぷり10秒間は停止してから間抜けな声を出す。
今麦野は何と言ったのか?

麦野「普通に会えばいいじゃない」

フレ「で、でも」

麦野「心配なんでしょ?」

フレ「うん」

その言葉に嘘はない。

麦野「会いたいんでしょ?」

フレ「……うん」

その気持ちにも嘘はない。

麦野「私には可愛い妹もカッコいい兄貴もいない。でもさ、アンタには可愛い妹がいるんでしょ?心配してくれる存在はいるかもしれないけど姉はアンタだけだよ、フレンダ」

フレ「うん!!」

難しい事を考える必要なんてない。
フレンダは姉でフレメアは妹だ。それは時間がたっても喧嘩をしても変わらない。
たとえどんなに離れても。
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/04(水) 23:03:56.28 ID:M9BRON6H0
フレンダがどんな顔をして会えばいいのか?姉の顔をして会えばいいのだ。
妹の家出に心配した姉の顔をすればいいのだ。

麦野「さ、ぐじぐじとした浜面の腐ったようなどうでもいい悩みは解決したかしら?」

フレ「浜面は元々腐ってる気がする訳よ」

麦野「んじゃその腐った浜面や絹旗、滝壺にも手伝わせてアンタの妹を見つけますかね」

フレ「うん!!」

麦野「んじゃとりあえず連絡を……」

最初に連絡すべきは足である浜面だろうか、それとも他の二人だろうかと考えながら端末を手に取り、気付く。
次に麦野は自分の『右眼』をたしかめる。とある事情で通常のものではない義眼へと変わっている特殊な『右眼』だ。

フレ「どうしたの?」

麦野「フレンダ、アンタの端末使える?携帯でもいいわ」

フレ「え……?何これ」

麦野「私の『右眼』もダメね。多分だけど電波妨害がかかってる。対象がこの学区なのか学園都市全体なのかは解らないけど」

それとも私達『アイテム』なのか、という言葉は伏せる。
狙われる理由は星の数ほどあるが、『アイテム』が狙われるという事はフレンダの妹であるフレメアが狙われる可能性も高い。
彼女の所在が確認されていない以上、過度に不安を煽る言動は避けるべきだ。

麦野「どうしたの?」

しかし、飲み込んだ言葉は無意味なものへとなり果てる。

フレ「こ、これ……」

振るえるフレンダの手に握られていたのは彼女の携帯電話だ。
別にそれ自体には変わったところはない。
彼女の言うこれとはその中に入れられた伝言だ。
時間からするにこの目的も規模も解らない電波妨害が始まる前に入れられたものなのだろう。
スピーカーから一人の男の声が聞こえる。
走っているのか声よりも雑音が目立つ。

浜面『お前の妹が追われてる!!状況も理由も解らないけどかなりヤバいらしい。とりあえず俺は追う。保護できたら第3学区のあの場所に逃げるつもりだ』

浜面がフレンダの妹の事を知っていたとは思えない。
が、それでも『アイテム』であるあの男がそんな嘘をつくとは思えないし、連絡手段がとれなくなった時の万が一を残しておくなどとも思えない。
それだけ切迫した状態という事なのだろうか。

麦野「急ぐわよ」

麦野はそのまま立ち上がりコートを羽織る。
もはやこれは麦野の問題でもフレンダの問題でもない。
『アイテム』の問題だ。

フレ「うん」

言葉に迷いはもうなかった。
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/05/04(水) 23:06:58.99 ID:M9BRON6H0
以上が本日分です。
やっとフレンダ麦野がでてきました。
そして青髪マジチート。

次回は土日に。
イルカの人とか出てくる予定です。

あ、もしよければ1レスの分量が多いかどうか意見が頂けたら幸いです。
投下してて少し1レスの分量が多いかも、と自分で思ったので。
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/05/04(水) 23:33:10.75 ID:biAmX4Y2o
>>193
おつ!

いるかの人っていうと…

ドルフィン刑事ですね、わかります
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/04(水) 23:34:57.90 ID:rVp7v2Dh0
>>1

1レスの分量はいい感じじゃない?
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/05/04(水) 23:54:51.73 ID:siwvYhwbo
乙!
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/05/05(木) 00:20:56.88 ID:6snPF5AJ0
イルカの人とな…

まさかNARUTOのいるか先生ですか??
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)[sage]:2011/05/05(木) 09:25:07.98 ID:edBPx3qwo
これくらいの量でいいと思うよ

いるかの人…

イルカに乗った少年?
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/05(木) 10:20:42.92 ID:g9C/e3qr0
お前らは馬鹿か
イルカっつったら…ほら…あれだよ…
あの人だよ……
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/05(木) 11:54:13.40 ID:pQuDMs8N0
シーシェパードだろバカだなあ
酷い事しやがるぜ
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/05(木) 14:57:59.36 ID:hMJMbSUDO
イルカの人だと
城みちるか!?
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/06(金) 08:35:43.50 ID:mj6ZFBzNo
おまえらww

蘇我入鹿にきまってるだろ
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/06(金) 12:23:26.36 ID:BaUfUdlzo
なごり雪とか歌ってるんだよな?
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/06(金) 14:46:35.82 ID:TtXOY4QE0
こうも選択肢が多いとマジで誰かわからんな
いったい誰なんだ…
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/06(金) 23:17:33.48 ID:uu770Hm+o
ドルフィン刑事に決まってるだろ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/05/07(土) 17:53:12.54 ID:1WNPsb1W0
なにをいってだよjk

ここはやっぱりあの子しかいねえだろうが!

せーの 「く」
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/07(土) 22:35:56.28 ID:9G7v/KD5o
「ー」
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/05/08(日) 11:54:39.33 ID:OqQKHXPt0
「るびゅーてぃー」
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 16:49:47.51 ID:Ubv1OrfZ0
>>1です。
いるかの人が人気過ぎて生きるのが辛い。
実験的な意味もありますが少し書き方を変えてみました。

見にくい見やすいなどの意見を頂けると幸いです。
では、本日分です。
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 16:50:46.92 ID:Ubv1OrfZ0
半蔵とフレメアは地下街で駆動鎧に追われていた。
そんな二人を浜面が助けられたのは奇跡とまでは言わなくても、かなりの幸運だった。
三人とも軽い傷はあるものの治療が必要なほどではない。

駆動鎧の脅威から逃れられた三人を襲ったのは体力的、精神的な疲労だった。
特にフレメアの精神的な疲労が酷い。
無理もない。十歳程度の少女が命の危険に晒されたのだ。


三人は疲れた体に鞭を打ち、浜面がフレンダの携帯に残した伝言の通りに第3学区の個室サロンに逃げ込んでいた。
『アイテム』が『暗部』だった時代にお世話になった場所である。

半蔵と言い合いになりながら、半蔵とこれからの動きを話し、フレメアと談笑し、できる限りの情報を集める。
敵の姿も目的も見えない。敵勢力が強い権力を持っているのは確かだが、かつての『上』のやり方とも違う。
あくまで感覚的なのだが違和感が付きまとう。
端末で連絡をしようとするが学園都市全体で電波障害が起きているらしく、携帯はおろか部屋の備え付けのパソコンすら使えなかった。

やはり何かが起こっている。
学園都市そのものが敵なのかそれとも学園都市そのものを敵に回せるほどの存在なのか、どちらにしろ敵はデカいらしい。
最低でも駆動鎧を持ち出せるくらいには。

フレメアと話していて様々な事が解った。

グリンピースが嫌いな事。
ブラッド&デストロイなどという10歳児らしからぬ血みどろなゲームを好むらしい事。
駒場利徳の死を知らない事。
姉であるフレンダと2か月以上も連絡をとっていない事。


どうでもいい事からいつか話さなくてはいけない事、そしてその不安を解消できる事まで様々な事が解る。
ただしその続きは全てを解決してからだとも理解していた。

とりあえずの安全確保をしながらも次の手として半蔵に下準備を頼む。
いろんな事を保留にし、この騒動が終わったら全てを話すとだけ言った。
『アイテム』の事も言わず。
今、自分が学園都市側に、かつて自分が敵対した側にいるとも言わずに。


半蔵は明らかに何かを隠している浜面に何も言わなかった。
おそらくそれは今を切り抜けない限りそんな話をしている暇はないからだ。
互いのためにも、フレメアのためにも、そして駒場のためにも生き残ると誓って分かれた。

情報を集めると言って部屋を出た半蔵を見送ると、浜面は溜息をつくと部屋に入る。
そのままテーブルにあるコーラを一気に飲み干す。


抜けかけた弱い炭酸が喉を軽く焼く。

疲労と混ざったままの思考を吹き飛ばすため。

考える事は山積みだ。


状況を整理する。
全てに優先順位をつけて、その必要性が高いものから片を付ける必要がある。
間違えればそれは死に直結するだろう。
それも自分ではなくフレメア、そして『アイテム』そのものの。
取り立てて――




ゾクリ、と背筋が凍るのを感じる。




何か予感めいたものがあったわけではない。
強いて言うならば勘だ。
スキルアウト時代のヌルイ修羅場ではなく、『暗部』やロシアでの『殺し合い』で研ぎ澄まされた第六感から来る危機回避の生存本能。
根拠はない。それでもここで動かなければダメだ、浜面の脳はそう告げていた。

すぐに思考を中断し、必要な荷物を集める。
本来なら部屋の掃除でもしたいところだがそんな暇はない。
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 16:51:26.11 ID:Ubv1OrfZ0
浜面「外に出るぞ、フレメア」

フレメア「にゃあ?」

浜面の突然の言葉に首をかしげるフレメア。
この「にゃあ」なんて媚び媚びなセリフもフレンダが教えたのだろうか? それとも駒場のリーダーが……? そんなどうでもいい事を考えながらも、浜面は必要最小限の荷物だけを持ち、フレメアを部屋から連れ出す。
フレンダや半蔵にはここにいると言ってあるし、連絡の取れない状況での移動は混乱を招くが、それでも背に腹はかえられない。

下に降りる階段は二つ、どちらを利用するかと考えたところで――浜面は自分の直感が正しかった事に気付く。


カツン、カツン、カツン


ブーツの音だろう。
南の階段から人の上がってくる音が聞こえる。
金属と金属のぶつかる無機質な音。

各個室にはそこそこの防音設備が施されているのでサロンの廊下は静まり返っている。
そこに小さな音が響く。

浜面「根拠のない感覚ってのも、馬鹿にならないもん、だな」

根拠のない違和感が確信に変わる。

背筋が凍るなんてレベルじゃない。
脳髄が凍てつく。
理解を拒否する。
そうする事で恐怖という悪魔から、少しでも逃れようと体が抵抗する。

浜面仕上は知っている。


これは『死』の匂いだ。


麦野沈利、学園都市第四位の超能力者の殺意を経験していなければ動けなくなっていただろう。
本人に言ったら原子崩しでのお仕置きという名の虐殺が確定だろう、そんな事を考える余裕があるのは数々の修羅場を経験した結果なのだろうか。

フレメア「ど、どうしたの?」

フレメアの存在も大きいのかもしれない。
背中にいる小さな少女。
『体晶』に蝕まれていた時の滝壺以上に無力な存在。
浜面仕上は小さな彼女を守らなくてはいけない。その存在が力になる。


カツン、カツン、カツン


徐々に大きな音になる。
そしてその音が止まると、階段から現れる人影が一つ。

黒夜「アレ?部屋の外に出ててる……ま、一つ一つ部屋を探す必要が省けて助かったかな」

そこにいたのは12歳前後の少女だったが、浜面は一目見ただけで、その内面にあるヘドロのようなものを受け取った。
明らかに殺しと騒乱に手慣れた雰囲気を纏っている。
隠しようのない『闇』の匂い。
かつての『アイテム』もこうだったのかもしれない。
追手は彼女だけだろうかと様子を見ながら、ジリジリと後退し、少女の上がって来た反対側にある北の階段との距離を詰める。

黒夜「自己紹介しとくか……私の名前は黒夜海鳥」

改めて眼前の少女を確認する。
黒い髪が肩甲骨の辺りまで伸びていて、アクセントなのか耳元の髪だけが金色に色を抜かれている。
白いコートを頭に引っ掛けて羽織っている。その下は小柄な体を締め付けるように、黒い革と錨でできた衣装を身に着けている。

浜面「こっちの名前は名乗らなくても知っていそうだな」

見たところ銃器はなし。
隠す場所もなし。
周囲に人の気配はない。
単独で武器はなし。

それは彼女が高レベルの能力者である事を裏付けている。
もっとも小脇に抱えたイルカのビニール人形に爆弾が入っている可能性も否定はできないが。

黒夜「浜面仕上にフレメア=セイヴェルン」

答えるその表情は何が愉しいのか酷く歪んだ笑みが張り付いている。
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 16:52:36.26 ID:Ubv1OrfZ0
浜面「何でこの子を狙う」

黒夜「答えると思ってるのか?」

浜面「素直に答えるなんて思っちゃいないさ。それでも聞いておくのが筋ってもんだろ?」

黒夜「正直、私はソッチのガキに用はない……仲間というか同じ技術提供元の知り合いというか……手を組んでるヤツが狙ってるだけさ」

浜面「……なら、お前は誰に用があるんだ?」

黒夜「アンタだよ、浜面仕上。無能力者<レベル0>にして超能力者<レベル5>を退けたなんて面白い実績を持つアンタだよ」

予想はしていた、ただその言葉に浜面は言葉を失う。
無能力者である浜面仕上は超能力者である麦野沈利を三度撃退している。
正確には撃退と言えるのは最初の一回だけで、残り二回はかろうじてギリギリ逃げ切ったレベルだったりするのだがそれでも事実だ。

やはり自分もこの状況を作った一端を担っている。ギリリ、自然と奥歯が音を立てる。
それどころかフレメアが狙われる理由は浜面が原因かもしれないと思うと怒りで頭が沸騰する。

黒夜「もっとも、本命はアンタでもねェンだけどえェ!!」

その言葉とともに黒夜の悪意が膨れ上がる。
距離は充分にある。
それなのに素手で心臓を鷲掴みにされるように、彼女の悪意が浜面を飲み込もうと迫ってくる。

浜面「フレメア、非常階段から逃げろ!!」

浜面の言葉と同時に黒夜の両手から透明な槍が生み出される。
おそらくそれが彼女の能力なのだろう。
見えない槍は壁をゴリゴリと傷つけている。その槍がこの身に当たればそのまま裂け切れるだろう。
黒夜の両手から伸びる透明な槍に恐怖心と若干の既視感を覚えながら背後のフレメアに指示を出す。

浜面「とにかく行け!フレメア!!」

目の前の少女の便を信じるのであれば彼女の目的は自分である。
ならば自分は行かない方がいい。そして、フレメアが逃げ切る確率を上げるためにも自分はこの場所を離れる事は出来ない。
たとえ、目の前にどんな化け物がいようとも。
逃げるわけにはいかない。

何の武器もない浜面は真上に飛ぶ。
ダンクシュートのように両手で掴んだのは、防火用のシャッターの縁だ。そのまま全体重をかけて、強引に真下へ下ろす。
ギロチンのように、少女の頭へと。
少女は軽く振り返った。
ボンッ!!と、金属製のシャッターが火薬を詰めたスポンジのように弾け飛んだ。
真上に掲げた掌は、ただそれだけで分厚い鈍器を粉砕する。槍そのものは直撃しなかったものの、飛散した金属が浜面の体を叩き、真後ろへと転がした。
肺の中の空気が無理矢理外へと吐きだされる。

浜面(駄目だ、まともな武器もなしに立ち向かえる相手じゃねぇ!!)

フレメア「浜面!!」

浜面「行けよフレメア!!早く!!」

駆け寄ろうとするフレメアは、浜面の怒声に押されて肩を縮ませた。彼女は通路の真ん中でわずかに逡巡したが、やがて背中を向け、非常階段の方へと走っていく。

黒夜「一つ、聞きたい」

浜面「………何だよ」

見えない槍は壁を壊し続けている。正体は解らないがどうやら軌道は直線、つまり掌の正面さえ外れれば当たらないはずだ。
少女の両の手を警戒しながら浜面は答える。
彼女を打倒するのが自分、そしてフレメアの生き残る確率を上げる最良の行動だが、装備も何もない現状それは不可能だ。
ならば目的は敵を倒す事ではない。
時間を稼ぎ、逃げる事。

黒夜「アンタは何で私があの子を狙ってンのか、そう聞いたけど」

黒夜と名乗った少女には余裕がある。浜面を侮っている。
警戒をしていても能力者と無能力者という差が無意識に溝を生む。
そこに隙があるはずだ。
そんな浜面の様子を気にも留めずに黒夜は言葉を続ける。

黒夜「アンタは何で私だけがあの子を狙ってンだと思ったのかねェ」

浜面「ッ!?」

黒夜「時間稼ぎはもっと上手くやれよ。それにたしかに私は一人でココにいるけど、それでも私が一人って事にはならないだろォ?」

浜面はとっさに少女へ飛びかかろうとしたが、それよりも先に、彼女は両の手を振るい壁を破壊する。
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 16:53:06.37 ID:Ubv1OrfZ0
黒夜「そこそこ頭が働くみたいだがまだまだ三流だなァ。それとも本調子じゃねェだけかァ?」

このままでは近付く事はすらできない。かといって彼が背中を見せてフレメアを追えばその槍は浜面を貫くだろう。
この場から逃げてフレメアと合流をする。生き残るために、フレメアを助けるために。
浜面は距離を取り、壁にある鉄の塊を投げつけた。

黒夜「こんなモン『窒素爆槍』には意味がねェよ!!」

軽く振るわれた手で、シャッターと同じように鉄の塊が弾け飛ぶ。が、それだけではなかった。
大きな音と共に白い粉が廊下を埋め尽くす。
浜面が投げた鉄の塊、それは消火器だった。

浜面「別に俺はお前に勝ちたいわけじゃねぇんだよ」

そう吐き捨てると踵を返し、フレメアの後を追う。
『窒素爆槍』は大気を操る能力だ。
ゆえに消火器の煙などその手を振るえば周りの壁ごと消し散らせる。
しかし、既に浜面の姿はなかった。

黒夜「チッ」

黒夜は浜面を殺すつもりはなかったが逃がすつもりはなかった。
しいてあげるのであればその底に隠れた力が見たかった。
彼女としては油断をしていなかったつもりだが彼の能力を侮っていたらしい。

黒夜「でもまァ………思ったよりは普通だったなァ」

つまらなそうに吐き捨てるとそのまま踵を返し、来た階段を下りていく。
それは浜面やフレメアを追うためでもないし、逃がすためでもない。
彼女の目的のためだ。


黒夜「やっぱりあんなのじゃダメだ」

その顔は酷くつまらなさそうで。


黒夜「第一位も面白そうだけどアッチは譲ってるからなァ……あとは任せて私はさっさと本命を探すか」

その言葉は悪意に満ちていて。


黒夜「楽しませてくれよォ、絹旗ちゃァン」

その想いは恋慕にも似た、強い強い殺意。
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 16:55:31.87 ID:Ubv1OrfZ0
※補足
仕上さんの活躍は23巻こと新約1巻をお読みください。
未見の方に説明すると

地下街で半蔵とフレメアが駆動鎧に襲われる。
颯爽登場!!世紀末帝王HAMADURA
フレメアにゃあ

って感じです。
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 17:00:19.84 ID:Ubv1OrfZ0
特力研を出た一方通行は第15学区に向かっていた。

第15学区は学園都市最大の繁華街があり、テレビ局やマスコミ関係の施設が多く、そこには学園都市で最も高い建物がある。
電波塔、正式な名前は忘れたが機能はそのまま学園都市内全域の情報発信を行っている施設だ。
専門の研究機関や重要機関でない限りは、テレビや携帯電話などの全てが一度ここを経由し、直接もしくは中継地点を経由して各端末に配信される。


なぜ一方通行がここに来たのか。

それは自身の端末が通じず、街頭のモニターなども機能していないこの状況が、この場所に何かがあった事を示唆しているからだ。


おそらくこれは罠だ。
先の特力研で『グループ』が調べていた組織と同じかどうかは別としても、今の状況には確実に関連している。

本来なら学園都市全体の状況を確認してから動くべきであるが、今の彼にその余裕はない。

左手に握りしめられた小さな紙。
『超電磁砲量産能力者「妹達<シスターズ>」検体番号00000号』の文字。
つまりこの計画には彼女達が巻き込まれている。

彼が過去に犯した罪が。
彼が存在したがゆえに生み出された彼女達が。

たとえ妹達が許そうとも。

たとえ打ち止めが番外固体が彼を許そうとも。

たとえ御坂美琴<オリジナル>と和解をしようとも。


彼女達の誰一人として見捨てるわけにはいかない。

もちろんこの単語を使う事によって一方通行を誘き寄せる罠かもしれない。
動揺を誘うっているのかもしれない。
しかし1%でも関わっている可能性がある以上、彼は避けて通らない。


全てを救うと決めたから。


電波塔の真下にある、学園都市最大のテレビ局を目の前にしてその疑惑は確信に変わる。
警備員が封鎖しているわけでもない、それなのに真昼間から人が一人もいない。
罠かどうかは解らないが今起こっている何かに関係している。

問題は罠か否か。

一方「関係ねェ」

他に情報はない。端末が使えない以上、情報収集も時間がかかる。

ならば答えは一つ。


一方「罠だろうがなンだろうが正面からブチ壊してやる」


一方通行は歩き出す。

その先が虎穴だろうが罠だろうが地獄だろうが自らの目的のために突き進む。


罠だろうと罠でなかろうと敷地に侵入した瞬間に何かしらのリアクションがある、そう思っていたが杞憂だった。
テレビ局の中は異常なほど静まり返っていた。

異常なのは一点、ただ人がいないだけ。

通路に電気がついているし、暖房も効いている。
何よりも解せないのは首の電極が正常に作動している事だ。

そもそもこの場所を占拠する事が出来るなら学園都市中に妨害電波を発信できる。
そうすれば衛星電波を使っている重要施設にもダメージが与えられるし、学園都市の最大戦力たる一方通行への攻撃にもなる。

一方(演算に異常はねェっつー事はおそらくあのガキ達も無事。それに今日は超電磁砲と一緒なはず、下手な警備員なンかといるより安全だ)

ロビーにある見取り図から一番大きいスタジオを探す。
虱潰しに探してもいいが時間が惜しい。可能性の高いところから埋めるのが定石だろう。
一番大きいのは第四スタジオ。場所を確認すると最短ルートで歩き出した。
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 17:01:31.91 ID:Ubv1OrfZ0
一方(俺を潰しにこねェのは余裕なのかそれとも何かしらの意図があンのか……まさかこっちサイドに俺がいるって状況を想定してねェってのは考えらンねェ)

静かな廊下に一方通行の足音だけが響く。
様々な可能性を探りながらも警戒だけは絶えず続けている、が何も起こる様子はない。

一方(これで何もなけりゃ馬鹿もイイとこだなァ)

ここまで異常な状況で何もない可能性はほぼゼロだが、一方通行の読みが見当違いという場合もあり、その場合は情報収集から始めなくてはいけない。
しかも、一切の手がかりがない状態で。

一方(できればそれは避けてェ………でもまァ)

大扉の前で足を止める。
荷物搬入のためだろう、縦横4メートルほどはありそうな大きな観音開きの扉の上には目的の「第四スタジオ」の文字。

一方「その必要はなさそうだなァ」

分厚い防音扉越しにその存在が伝わる。
一方通行に向けられているのは敵意や悪意、そして明確な殺意。
長い間佇んでいた濃いべっとりとした『闇』の感覚。

鬼が出るか蛇が出るか。
どちらでも関係ない。捕まえて情報を吐かせるだけだ。
やる事は変わらない。
一方通行は電極のスイッチを入れると大扉を蹴破った。
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 17:02:00.09 ID:Ubv1OrfZ0




眼前に広がったのは白い雪景色だった。



218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga sage]:2011/05/08(日) 17:03:25.10 ID:Ubv1OrfZ0
実際に気温が低いわけではない、立体映像か何かだろう。
機材などどこにもなく一面が真っ白で、だだっ広いスタジオの境が曖昧でまるで雪原のようだ。

そんな仮初めの白い大地に一つの人影が見える。

一方「誰だ」

その人物は雪原用の、白いピッタリとした戦闘用の衣類に身を包んでいた。仮面のような顔全体を覆う特殊なゴーグルをつけている。
目や鼻の位置は不明だった。のっぺりとした仮面には、八つの小型レンズがアナログ時計の文字盤のような円形に取り付けられているだけだ。
隙間のない衣類なので、内部に好きなだけ詰め物をする事が出来る。よって、見た目の体格はあまりあてにならないのだが、あくまで第一印象といては、高校生ぐらいの少女のように見えた。

チリチリと。

妙な緊張感が走る。

仮面の横からわずかに漏れる耳の肌の白さや肩を過ぎ、腰まである長い茶色い髪の揺らめきに、一方通行はものすごく嫌な予感がした。
いや、これは予感ではない。


既視感ですらない、記憶の断片から来る確信だ。


この光景を彼は知っている。

かつて経験した記憶と全てが重なる。

一方「オマエは誰だ」

それでも抗うように、何かに縋るように人影に質問をぶつける。
白い人影は仮面を取らない。
表情も見えない。
時計盤のように設置された小さなレンズだけをわずかに動かし、彼女は話しだした。

「まずはアナタ様がここにいらっしゃるまでに考えになられたであろう質問からお答えさせていただきます」

声を聞いて理解をする。
理解をすると言うと正しくない。
目の前の現実を否定する事を諦める。

可能性を諦める。

「学園都市の電波妨害を行っているのはここです。そしてアナタ様の電極をも巻き込むような電波障害を行わないのはこちら側の連絡手段の確保のためでございます」

今や聞きなれた声だ。
打ち止め<ラストオーダー>や番外個体<ミサカワースト>、妹達<シスターズ>、そして超電磁砲<オリジナル>である御坂美琴と同じ声。

似た声ではなく、同じ声。

「罠ではございません。聡明なアナタ様なら様々な情報を整理して推理して、直ぐにこの場所に辿り着いていただけると信じていましたので」

しかし、その独特の丁寧過ぎる口調は彼の知る誰でもない。
初めて聞く言葉遣いだ。

「はじめまして」

そういうと人影は白い仮面を取る。
その下には初めて見る、しかし見慣れた顔があった。

00000「ミサカは超電磁砲量産能力者「妹達<シスターズ>」における試験個体、00000番<フルチューニング>と呼んで頂けると幸いです、一方通行」
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]:2011/05/08(日) 17:08:15.74 ID:Ubv1OrfZ0
というわけで本日分は以上です。
浜面さんが全く活躍してませんが仕方ない。
あくまで>>1の考えなのですが、浜面さんは逆境だったりもっと絶望的な状況じゃないと活躍できないのです。

あと00000号の姿は番外個体ベース、目は妹達、髪の毛だけ腰まで、みたいな感じです。

次回は銀布さんことシルバークロースさんができてきます!!

今後は特に何もなければ水、土日で週2更新していきます。
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/05/08(日) 17:30:05.97 ID:OqQKHXPt0

しかし黒夜とは完全に予想外だったぜ
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/08(日) 18:16:02.12 ID:eUyqHAYe0
ヘタ錬「出番があると思っていたが・・・・」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[saga]:2011/05/09(月) 10:22:54.50 ID:IHZd59ee0

やっぱりそうだと思ったぜェ
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/11(水) 14:56:26.40 ID:lnFNrx/h0
今日かァ
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/05/11(水) 22:20:14.47 ID:mKHrt3yAO
>>1です。
携帯から失礼します。
まことに申し訳ありませんが
HDのトラブル………というかぶっちゃけデータがとんだのでしばらく更新できません。
本当にすみません。

早めに復旧します………、、、、
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/11(水) 23:53:08.54 ID:lnFNrx/h0
データぶっ飛びは凹む
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[saga]:2011/05/13(金) 22:11:18.61 ID:fVXYJ5Kv0
…いつ合流?
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/05/13(金) 22:29:51.17 ID:2xHP7Rzf0
>>226
下げろや
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/05/19(木) 18:43:32.36 ID:vLrkix7R0
まだかな?
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/05/21(土) 00:44:23.37 ID:JAUQHd6K0
…まだ?
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/05/21(土) 00:47:49.97 ID:ssoeJDKc0
>>229
sageろやカス
お前怒っていいのスレもageただろ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[saga]:2011/05/21(土) 08:26:40.35 ID:JAUQHd6K0
>>230黙れ!!
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/05/21(土) 09:07:54.40 ID:ssoeJDKc0
>>231
なんで俺の楽しみなスレをピンポイントにageんだよ…
ageることが必ずしも正しいと思ってるの?馬鹿なの?死ぬの?死ねよ
sagaじゃなくsageろ
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)[sage]:2011/05/21(土) 10:30:38.78 ID:4609uiBAO
>>231お前ちょっとおかしいぞ?何にキレてんだwww
謝るとこではあってもキレるとこではないwww
こういう輩は無視するのが筋だがどうしても気になったんですまない。
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/21(土) 12:07:05.63 ID:jkbHjk8Do
お前ら力抜け
そいつ多分age荒らしだ
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/21(土) 12:49:11.56 ID:D3Lwcs5h0
ファイト
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/05/21(土) 12:58:37.69 ID:Iach0c7a0
>>235sageろ
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/21(土) 15:05:17.92 ID:iX23V9on0
乙待ってるぜ
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/21(土) 15:23:52.38 ID:yAazKtdDo
荒れやすい訳でもないのに無駄にageに過敏な方がどうかしてると思うがな
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/21(土) 16:06:16.16 ID:AHPkqYS00
誰か初心者の俺にsageだのageだのについて教えてくれぃ……
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/21(土) 16:15:21.78 ID:yAazKtdDo
>>239 メール欄にsageと入れなければ書き込んだ際にスレッド一覧の一番上に来るこれがageで
sageと入れた場合はそのままの位置のままになるこれがsage
実際は下がってないが他のスレが立ったり上がったりするので下のほうに沈むのでスレが見つけにくい
専ブラ入れてる場合は関係ないが上がってると嵐が来やすいとは言えるがVIPと違って嵐自体が少ない上通報もここは楽
agesageは基本的に書き手に合わせるものだと思う
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)[sage]:2011/05/21(土) 16:33:27.11 ID:4609uiBAO
まあ読者は基本sageじゃないかな。
安価なら上げても良い気がするけどね。
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/21(土) 16:33:57.42 ID:AHPkqYS00
ありがとうございます!

分からなくて前に指摘を受けた事があったんで、助かりました。
以後気を付けます。
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/22(日) 21:59:40.16 ID:i1vf5IpI0
まあガンバ
244 : ◆oEZLeorcXc[sage saga]:2011/05/25(水) 13:05:13.12 ID:HX9UY5qf0
>>1です。
復帰に時間かかってすみません。
PC完全復活がもう少しかかりそうなので、生存報告を兼ねて少しだけ投下します。
あ、トリつけてみました。
245 : ◆oEZLeorcXc[sage saga]:2011/05/25(水) 13:08:15.85 ID:HX9UY5qf0
浜面仕上は個室ビルの建物の外へと飛び出した。

建物の中は受付以外全くと言っていいほど荒れてはいなかった。
おそらく浜面とフレメアのいた部屋番号を知るために行った『交渉』の結果だろう。


何かがおかしい。

腑に落ちない。


最初に半蔵とフレメアが襲われていた時、敵は地下街で駆動鎧を使用していた。
もし『上』が関与しているならあと数時間もすればもみ消されてしまうだろうが、それでも騒ぎを見た人間は発生するし、秘密裏に動きたいのであればそもそも駆動鎧は向いていない。
つまり、ある程度の騒動は覚悟の上だと思っているのだろう。

しかし、今の個室サロンでの黒夜海鳥の行動はその逆だ。
最小限の被害しか出していない。
それはまるで秘密裏に事を進めて騒ぎを起こしたくない、そんな印象を受けた(その割には乱暴な手段ではあったが)。

そもそも黒夜の言葉を信じるならば、彼女にはフレメアでも浜面でもない他の『本命』があると言っていた。
もう一つ、自分以外の仲間がフレメアを狙っているとも。

浜面(仲間とやら……おそらく地下での駆動鎧のヤツらはフレメアを狙っている……でもそれはフレメアの『命』じゃない……?)

死体でいいならフレメアはとっくに殺されているはずだ。
殺すだけを目的にするならば、もっと効率のいい方法がある。

何というかどっちつかずなのだ。

浜面(もしかしたら何か思い違いをしているのか?)

重大な何かを見落としている気がする。
この状況を打破するための決定的な何かを。
しかし、悠長に考えている時間はない。

浜面「フレメア!!どこだ、いないのか!?」

土曜日という事もあり、人通りはそこそこだ。
道行く人影からフレメアの小さな体躯を探す。
浜面の叫び声に驚いている通行人もいるが気にしている余裕はない。

フレメア「……大体、!こっち、浜面……来て……ッ!!」

雑踏に紛れてかすかに聞こえるフレメアの小さな声。
人々の足が止まり、ざわざわと場が沸き立ちだす。

神経を研ぎ澄まし、消え入るような小さな声を必死に手繰る。
同時に周りを見回す。

何でもいい。
どんな手がかりでもいい。

ふと、通行人の幾人かが同じ場所に視線を向けているのに気付く。
その視線の先にあるのは路地裏と明らかに怪しい黒いスモーク付きのワゴンの後ろ姿。
ワゴンを見た瞬間、浜面はそのまま走りだす。

戸惑う人垣をかき分け、辿り着いたワゴンの前では二人の黒づくめの男に囲まれたフレメアがワゴンに押し込まれる寸前だった。
その光景を見た瞬間に血が沸騰するかと思うほどに怒りが込み上げてくる。

浜面「フレメア!!」

浜面の登場を予期していなかったのか、二人の男が振り向いて驚いたように停止する。

相手は銃を持っているかもしれない。銃がなくても特殊警棒を持っているかもしれない。
対して浜面の手には銃も警棒も何もない。
だが浜面はそんな事を考えず、迷わずその足を踏み出した。
246 : ◆oEZLeorcXc[sage saga]:2011/05/25(水) 13:12:54.17 ID:HX9UY5qf0
浜面「おおおおおおお!!」

雄叫びと共にショルダータックルを喰らわせ、一人をそのまま壁に叩きつける。
末端構成員だったのか、たいした装備もしていない男はそのまま動かなくなる。
振り返ると同時に、立ち上がろうとしているもう一人の男のこめかみを狙い、足を振りぬく。

ブーツのつま先が硬い頭蓋骨に当たる嫌な感触と共に、男は吹っ飛んで動かなくなる。

二人の男の沈黙を確認して、浜面はフレメアの無事を確認する。

フレメア「浜面……ッ!!」

浜面の胸にめがけて飛び込んできたフレメアをそのまま優しく抱きしめる。
泣きじゃくり、震えている少女。
服が少し汚れているが怪我はないようだ。
浜面はよかったと安堵しながらも、自分の力のなさを再確認する。

ただ少女を確保できた事への安堵、それは浜面仕上の油断だった。

浜面「ッ!!」

背中に強い衝撃が来た。
もう仲間が一人いたのか、それとも二人のうちどちらかが立ちあがったのか。

覚えのある鈍痛。素手で殴られている。
幸いものすぐに行動不能なるほどではないが、痛みは思考を行動を鈍らせる。

フレメア「浜面?どうしたの?」

浜面に覆われているフレメアには状況が分からないらしい。
それでも衝撃が伝わるのか少しずつ不安の色が声に混じる。

浜面(まだ生き残りが……せめてフレメアだけでも……!!)

衝撃に思考を中断されながらも必死に次の手を考える。
すぐにフレメアを離し、振り向くと一人の男がいた。
車の中に待機でもしていたのだろう。

そして間の悪い事に最初にタックルを喰らわせた男がゆっくりと立ち上がる。
幸いにも二人とも武器は持っていないようだが二対一、それもこちらはフレメアを庇いながらになる。

装備もない無能力者の浜面ではこの状況を切り抜けるのはきつい。
先程受けたダメージも抜けていない。

じりじりと睨みあいながら距離をとる。
表通りに逃げたいが相手を挟んでしまっているので、すぐに逃げれるのは路地裏の奥側になる。
奥に逃げてフレメアとはぐれた場合、最悪の事態になる。
247 : ◆oEZLeorcXc[sage saga]:2011/05/25(水) 13:18:11.86 ID:HX9UY5qf0
浜面(それは、避けたい)

手はないか。フレメアだけでも逃がせる手は。
最低限でいい。背中にいる小さな少女の命さえ無事ならば。

奇跡でもマグレでもなんでもいい。
この状況を抜けられるならば。

浜面がそう考えていると――



麦野「ま、アンタにしちゃあ上出来ね」



――聞きなれた声と見知った閃光が路地裏に降り注ぐ。

突然の閃光に思わず、目を閉じる。

幾度となく浜面の命を脅かした光。

忘れるわけがない。

学園都市第四位の超能力者、麦野沈利の原子崩し。


肌を焼く熱気と衝撃が収まり、浜面が目を開くと二人の男は倒れ、二人の人影があった。

一人は腕を組み、建物の壁にもたれている麦野。

一回り小さいもう一人は、金色の長い髪を持つ、浜面の背中にいるフレメアを成長させたような容姿を持つ、フレンダ。

浜面の所属する『アイテム』の仲間のうちの二人だ。

麦野「60点、ギリギリ合格。こんな×××ヤロウ相手なら無傷<ノーミス>が当然だけど」

フレ「フレメア!!」

フレメア「……ッ!?フレンダお姉ちゃん!!」

助かった、そう思うと強張った体から力が抜ける。
ガクガクと手が震える。

浜面(慣れない事はするもんじゃねぇ。でも……)

浜面の横でフレメアとフレンダが互いにその名を呼び合いながら抱き合う。
互いの無事を確かめるように。

浜面「慣れない事も悪くはねぇかな……」

報われた。

この手で守れた。

何の力もない無能力者<レベル0>の手でも守る事が出来た。


それだけで浜面には充分だった。

248 : ◆oEZLeorcXc[sage saga]:2011/05/25(水) 13:20:06.62 ID:HX9UY5qf0
短くてすみません。
そもそもこのシーン自体難産というか時間かかってたんですよね……。
次回はもっと早めに投下予定です。
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/25(水) 14:49:08.26 ID:J+DnbMYIO

感動のさいかいだ
250 :上条2011/05/25(水) 15:37:34.89 ID:uYbEdSe/0
…グスいい姉妹だな…
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県)[sage saga]:2011/05/25(水) 18:49:40.71 ID:bsD2/DVE0
>>250
お前は学習能力ってもンがねェのかァ?sageろ
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/25(水) 19:45:31.37 ID:pdiYLIDpo
おいおい そいつに触れるほうが学習能力無いだろ
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/26(木) 23:43:57.58 ID:ZbknAFCk0
俺もにゃあとか使う妹がほしかった
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[saga]:2011/05/27(金) 08:06:27.69 ID:pyf7crlH0
そんな妹いらね〜〜www
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/05/27(金) 14:18:20.26 ID:Mr34Mfw7o
>>1乙です、とミサカは次回の投下に期待します。

と同時に非常に頭が残念なクソコテ野郎と埼玉県民にあきれ返ります

学習装置つかっても直らねーんじゃねぇのコレ
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/27(金) 15:21:12.62 ID:XlCQBoykP
>>255 大阪もよく見るとsageれてないよ
わざとだろうけど
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/28(土) 07:22:45.67 ID:2Gqa85pSO
sageろとか未だに注意してる馬鹿に呆れ返ります

学習装置つかっても直らねーんじゃねぇのコレ
258 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/01(水) 02:44:28.31 ID:HW8d0c1w0
HDDうんぬんではなく、PC買い替え決定!!
というわけで本格復帰はも少しかかります……すみません。

では、本日分の投下いきます!!
259 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/01(水) 02:48:58.89 ID:HW8d0c1w0
00000「はじめまして、一方通行」

外された仮面の下には見慣れた顔があった。

下位個体<シスターズ>のような表情の読めない顔に、番外個体<ミサカワースト>のような超電磁砲<オリジナル>より成長した体躯。
打ち止め<ラストオーダー>とも同じ、聞きなれた彼女達の声。
彼女達特有にして共通の電磁波と演算パターン。


それらは全て、目の前にいる存在が妹達との繋がりを持っているという証明だ。


00000「先程から顔色が優れませんがいかがされましたか?一方通行」

繋がりなどと言うレベルの話ではない、彼女達と同じだ。


無表情の00000号<フルチューニング>が少し右に首をかしげると、腰まである茶色の髪が揺らめく。


その姿が。

その仕草が。

その声が。

その全てが。


一方通行の記憶を呼び起こす。



自らの犯した罪からは逃れられないのだと彼を追いつめる。



打ち止め<ラストオーダー>の命を救っても。

番外個体<ミサカワースト>と打ち解けても。

御坂美琴<オリジナル>と話すようになっても。


一方「何が、目的だ」

聞いたところで目の前の00000号が敵である状況は変わらないだろう。

言葉で変わるほど彼の罪は軽くない。

説得で事態が収拾するのであれば00000号はこの場にいないだろう。


それでも一方通行は縋る。

小さな糸に。

見えない希望に。
260 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/01(水) 02:52:49.64 ID:HW8d0c1w0
一方「オマエの目的は何だ!!」

自分の声と思えないほどの大きな声。
ギリリ、とその歯を噛み砕くのではないかというほどの音が体に響く。

一方通行は焦燥にかられていた。


喉は渇き。

足は震え。

手は汗で滲み、意味もなく拳を握り。

電極のスイッチすらそのままに。


目の前の少女をただ見つめていた。

その言葉を待つ事しかできないでいた。

00000「ミサカの目的はアナタ様の命でございます、一方通行」

ゆっくりとした、穏やかな声が白い空間に響き渡る。
学園都市の第一位という圧倒的な力を前にして、微塵も揺らいでいない、恐怖を感じていない声。

00000「正確に言えば、アナタ様の命ではございませんが、ミサカの目的を遂げるためにはアナタ様の犠牲を必要とするのでございます」
   「その意味ではミサカの本当の目的は全てのミサカ達の命、という事になるでしょう」

子供に子守唄を聞かせるような優しい声。

しかし、その言葉は一方通行を苦しめる。

真綿で首を絞めるようにじわじわと。

徐々に彼を追い詰めていく。

00000「調整という延命、ではございません。生命活動をしているという意味ではなく、人間としての存在とでも言いましょうか」
   「たしかに今のミサカ達は各地に分散され、慎ましくも不自由ないといえる生活を送らせていただいております」
   「しかし、それでもミサカ達の存在はどこまでいっても学園都市の『闇』であった部分、つまり表沙汰にできない問題なのでございます」

淡々と告げられる言葉。

その一言一言が死神の鎌のように一方通行を追いつめる。

最初から分かっていた現実を揺るがないものにする。

一方「何が言いてェンだ」

口だけの抵抗。

諦めきれない、もはやその気持ちはただのワガママだ。
261 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/01(水) 02:56:17.71 ID:HW8d0c1w0
00000「学園都市は今、かつての『闇』であった部分を一掃し、本来目指されていた理想とでも言うべき形を目指しておりますが」
   「そこにミサカ達の姿はあると、ミサカ達存在できる場所はあるとアナタ様は思っていらっしゃいますか?」

00000号を含め、妹達<シスターズ>は全て等しく軍用クローンだ。

一方通行のように、生まれてから罪を背負った存在ではない。


彼女達は生まれながら、生まれた事そのものが罪なのだ。


00000「一万人近い同一遺伝子個体<クローン>。ミサカ自身を除いたとしても妹達<シスターズ>9972体はどうなるのでしょう」
   「ああ、その内2体は最終信号と番外個体ですから姉妹で通るかもしれませんね」

一方「俺の命と引き換えに『闇』を復権させて元の鞘に戻るって事か?」

00000「いいえ、違います。ミサカへの対価は戸籍や顔の整形などございます」
   「人としての生活をするために、という目的もございますがそれ以上に」
   「情報が漏れればいつ処分されるともしれないミサカ達の命を確実に救うために必要なものを手に入れる、それがミサカの目的でございます」

その言葉を聞いて全てを理解する。
目の前の00000号<フルチューニング>、彼女が何のために戦っているのかを。

一方通行と同じだ。
もちろん彼女自身のためもあるのだろうが、それ以上に全ての妹達<シスターズ>を守るために戦っているのだ。


この場所に立ち、一方通行と対峙している。

彼とは別の方法で妹達<シスターズ>を救うために。


00000「ああ、それと一つお伝えしておきます」
   「ミサカの意識が途切れる、もしくは生命活動が停止する、どちらかの条件を満たせばミサカの体内の爆弾が爆発いたします」
   「威力は十メートル程度の小型爆弾ですが、爆発の直前にほんの数秒ですがアナタ様の電極への妨害電波を発する仕様となっております」

思い出されるのはロシアでの記憶。

目の前で番外個体に起こった悪夢。

自らに降り注いだ不幸。

00000「誤解なさらないでいただきたいのはこの爆弾はミサカの自らの意志で埋め込ませていただきました」

ただ、あの時と違うのは。

00000「アナタ様のご存じない場所で作られたとはいえ、ミサカは全てのミサカ達の長姉でございます」

あの時よりも決定的に違うのは。

00000「ですのでミサカは姉として、自らの意思で、妹達のためではなく、ミサカのエゴで、妹達のために」

一方通行に勝利は存在しない。いや、彼女の言い分が正しいのであれば、一方通行がどうなろうと彼の負けは存在しない。

00000「この木偶な命を懸けてでも絶対にアナタ様に負けられないのでございます、一方通行」

表情の理解しにくい瞳に宿っているのは明確な決意。

格上の敵、学園都市第一位である一方通行という強大な敵に対して絶対に負けないという強い意志。


殺意でも敵意でもない、強い強い信念。


00000「では、はじめましょう」

00000号は世間話と変わらない口調で戦闘の合図を告げる。


勝つ事も負ける事も引き分ける事も、何もかも意味のない勝負が始まる。
262 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/01(水) 03:01:03.61 ID:HW8d0c1w0
本日分は以上でございます。
バラバラな展開で同時進行で事件が進んでいるのに更新遅くて済みません。

なお、PC完全復活まではsage進行……というかいつ更新ができるか不確定なのでageないで行こうかと思っております。
見てくださっている方々にはご不便かと思いますが、ご理解いただけると幸いです。
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 06:22:08.02 ID:VqDDoatIO
きっさてん!と同時進行だったのか!!
両方楽しんでるぜ!乙!!
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/06/04(土) 14:45:06.18 ID:sd31zYdE0
まぁだ〜〜〜
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/04(土) 21:09:55.89 ID:r+JrTQXAO
いつ更新出来るか解らないってわざわざ>>1がsage進行って言ってるのにageるとか………しかも3日とか。
沸いてんのか?
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/04(土) 21:46:01.13 ID:24siI/Zao
>>265
埼玉県 で抽出してみろ
お前の忠告は無駄ってことが分かるから
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)[sage]:2011/06/05(日) 21:22:47.40 ID:xRqbVHnAO
これだからダサいたま(笑)は…
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/06/10(金) 18:23:35.54 ID:5Vy0a6iJ0
ダサいたまで悪かったなァ
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/10(金) 19:01:00.93 ID:ZNLe9mgDO
ほーら、食いついたww
1乙です。気長に待ってます!
270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage]:2011/06/10(金) 19:29:17.53 ID:Aag8deVZ0
最近途中で消える作者多い
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/06/10(金) 19:29:30.81 ID:+6aaINqAO
お前ら埼玉だからって苛めてやんなよ

埼玉だって良いとこあるだろ?ほら……草加煎餅とか
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/06/10(金) 20:53:37.80 ID:glA8E9O7o
同じ埼玉民として恥ずかしい
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/11(土) 15:24:44.80 ID:IAzCtH1R0
……草加煎餅
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)[sage]:2011/06/11(土) 15:29:07.67 ID:X6Y7fHaso
十万石饅頭とかいうのあるやん埼玉

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ヽ,.-、, '  ________  さ い た ま 銘 菓    .┃
┃‐(.゚∀゚)‐<風が語り掛けます   _|_  ┬─ ┬─      .┃
┃ , '`,、',、  二二二二二二二二   .|  .ノフ  ノ口      ┃
┃∩( ゚∀゚),<うまい、うますぎる     食曼  豆頁      ┃
┃ Y  イ   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      (株)十万石ふくさや┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 20:57:36.19 ID:HfWxB3OM0
まだか?
276 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/16(木) 03:47:00.35 ID:aGQrez5U0
生存報告がてらというわけではないですが、今日の夜くらいに投下します。
長らくお待たせしました。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/16(木) 21:55:37.18 ID:TtUof4/10
来てくれてありがとう期待しながら待ってる
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/06/16(木) 22:06:48.39 ID:/BivNqdAO
キタ─wwwwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwwwヘ√レvv〜─!!

支援age
279 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/16(木) 23:17:17.94 ID:aGQrez5U0
支援ありがとうございます。
そしてお待たせいたしました。
致命的なミスが判明したので(1エピソード抜かしていた)ちょっと短いですがとりあえず投下です。

むぎのん、フレ姉妹、浜面さん合流の続きになります。
280 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/16(木) 23:21:18.77 ID:aGQrez5U0
麦野「間に合ったかにゃーん?」

金髪の姉妹を尻目に麦野は浜面に近寄る。
目立った外傷はなし。

浜面「……ああ、充分過ぎるくらいだ」

その言葉と共に浜面は路地に座りこむ。
正直いつ死んでもおかしくない状況だったのだから仕方ない。

麦野「どこで知ったかはどうでもいいけど、何が起こってるかは解ってる?」

浜面「どこではそもそも偶然みたいなもんだし、端末は全く使えないから情報もない。一応『上』に狙われてるって聞いたけど……そうか。そこだ。なんで気付かなかったんだ」

麦野「どうしたってのよ?」

浜面は話しながら状況を整理する。
そして気付く。
今までずっと付きまとっていた違和感の招待に。

浜面「敵の目的はフレメア個人じゃない。本命はそこから繋がる俺達だ」

麦野「それが?」

浜面「駆動鎧に能力者……おそらく大能力者<レベル4>クラスが出てきた。俺とフレメア程度ならすぐに殺せたはずだ」

麦野「まあ、私達が狙いならそうでしょうね」

無能力者で機密情報に関わりのあるわけでもないフレメアが狙われる理由など『アイテム』の繋がりしかない。
浜面にはスキルアウトである駒場利徳や服部半蔵という選択肢も思い浮かぶが可能性は低いだろう。
浜面は麦野の知らない情報を知っているが、ポイントはそこではない。

浜面「おかしいのはその先だ。何でアイツらは通信を遮断した?麦野や滝壺狙いなら連絡が取れない状況にするのはおかしい」

麦野「それは……そうね」

浜面に言われて麦野も違和感に気付く。
敵の通信遮断がいつ行われたか正確な時間は分からない。
しかし、敵の狙いが『アイテム』にあるのであれば、通信遮断を行う事は利にそぐわない。

フレメアが『アイテム』に助けを呼ぶ事が出来ないからだ。

通信が遮断されていてはフレメアを狙う目的、その裏にいる『アイテム』につながらない。

浜面「なんつーかどっちつかずというか…………悪い、情報が足りなくて整理できてない」

麦野「……ま、とにかく移動よ」

浜面「ああ」

出ない答えに業を煮やし、二人は答えを出すのを諦める。
考えて出ない答えは『そういうもの』として理解するのが一番だ。
見えない敵を相手にするのは精神的にも厳しいし、自らの身を守るのも難しくなる。
このままでは足元を救われかねない。

麦野「フレンダ、移動するわよ」

フレ「了解!!行くわよフレメア」

フレメア「にゃあ」

真剣に考えていた二人に対し、じゃれ合っていた金髪の姉妹が動き出す。
こっちは見えない敵に辟易としていたにもか関わらず平和な事だ、そんな事を考えて浜面は溜息をつく。

麦野、フレメア、フレンダ、そして最後尾に浜面。順に薄暗い路地裏から大通りに出ようとして、くるりとフレンダが振り返る。

フレ「浜面」

浜面「ん?」

フレ「……ありがと」

フレンダは一言そう言うと、何もなかったかのように歩き出した。
えーっと、デレたのか?いやいやでもあのフレンダが……、とも思ったが、目の前の少女は心なしか早足になってるし、長い髪に見え隠れする耳も赤い。
こ、れはやっぱり……いやいやそれでもあのフレンダが……、と同じ思考を繰り返し、浜面は呟いた。

浜面「……どう、いたしまして?」
281 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/16(木) 23:23:55.71 ID:aGQrez5U0

四人が表通りに出ると、騒然とした人集りができていた。
浜面は周りを気にせず路地裏に突っ込んだし、当然だ。
原子崩しの音も外に漏れていたかもしれない。

幾人かは警備員への連絡を試みたのだろう。繋がらない携帯電話に気づいたようだ。
そんな通行人をかき分けて四人は移動を始めた。

しばらくして先頭の麦野が個室ビルから少し離れた駐車場でその足を止めた。

麦野「浜面、足を探してきなさい」

浜面「いいのかよ、昔とは違うぜ?」

言われて浜面は焦る。『暗部』時代なら後先など考えずに適当な車を拝借しただろう。
しかし、今の『アイテム』はそういった権力はない。いわばそれを抑制する立場なのだから。

麦野「緊急事態だしいいんじゃない?」

浜面「何かあったら責任とってくれんだろうな!!」

フレ「大丈夫よ。結局、浜面ならできるってわけよ」

浜面「絶対なすりつける気だよな!!」

麦野「うるさい。早く行け」

浜面「う」

唸る浜面に「時間が惜しい」と麦野は付け加える。

たしかに時間が惜しい。
敵の本意がはっきりしていない以上、味方は少ないと思っていたほうがいい。
こうしている間にも危険が迫っているかもしれない。
状況説明すれば事後承諾でどうにかなるだろう。無事解決すればの話だが。

幸いにも駐車場に人はいなかった。

フレ「これなんかどう?」

浜面「それはセキュリティが厳しいヤツだからダメだ」

フレメア「これはー?」

浜面「それじゃ四人乗るのが難しい」

フレ「これ」

浜面「何でリムジンが止まってんの!?」

フレフレ「だったらどれならいいのよ!!」

浜面「だから俺が選んでんだろうが黙ってろ金髪姉妹!!」

麦野「早くしなさいよ」

浜面「ちょうどいいのがないんだよ。フレンダとフレメアは邪魔するし……それに急がば回れっていうだろ?」

何台もの車があろうが学園都市にある車だ。基本的にセキュリティの甘い車なんて存在しない。
そもそも浜面の技術はデジタルなセキュリティを正面から突破するのではなく、そのデジタルの隙をついたアナログでの突破力であるために、獲物を選ぶのは必須である。
説明しようにも学園都市といえどこういうメカとか技術的なものに詳しい女子は少ない。麦野はもちろんフレンダもそういった技術には疎いようで説明が難しい。
やっぱりメカもロボットも男のロマンなんだろうかと浜面は頭を悩ませていた。

そんな事を考えていた。

それは油断だった。

仲間が来たという油断。

学園都市が誇る超能力者の第四位、麦野沈利という戦力を得た慢心。


三人は「この車がどうだ」「あの車じゃダメだ」とか「結局、浜面は使えない訳ね」なんていつもの言い合いをしていた。

そのわずかな時間、ほんの少しだけ三人が目を離した隙にフレメアが離れてトタトタと歩いて行ってしまったのだ。

フレ「フレメアーあんまり離れちゃ――」

ゴガァッ!! という音にフレンダの声が遮られる。
音とともに三人の視覚にあったある車両――観光バスの一つが開き、中から駆動鎧が出現した。
282 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/16(木) 23:27:01.84 ID:aGQrez5U0



現れたのは後部に巨大なプロペラを備えた、四本脚の駆動鎧。



麦浜フ「ッ!!」

四本脚はそのまま直進し、フレメアへと魔の手を伸ばす。

フレ「フレメア!!」

フレメア「お姉ちゃん!!」

フレンダの伸ばした手、フレメアの伸ばした小さな手が互いにすり抜けてフレメアが四本脚に攫われる。

あと少しのところで届かない。

フレメアを攫った四本脚は一瞬で大通りまで移動すると静止をして方向修正をする。

駆動鎧の種類など詳しくない麦野達は知る由もないが、学園都市製の駆動鎧の中でも一、二を争う高速移動用のモデルだ。
つまりこの場からの逃亡には非常に適しているモデル。


ただし、それはフレメア<荷物>がいるという前提がなければの話だ。


人質であるフレメアを持ったままその高速移動をする事はできない。

故に四本脚の駆動鎧は駐車場から出て方向修正をし、同時に前面のハッチを開けた。

虚を突かれた麦野とフレンダには距離があった。
走っても届かない距離が。

ただし、それは麦野沈利<原子崩し>になら埋められる距離だ。

麦野「ふざけてんじゃないわよ!!」

怒声とともに演算を開始する。

全てを融解させる原子の光を放つために。

浜面「止めろ!!通行人に当たる!!」

麦野「ッ!!」

発射の直前、浜面に声をかけられて演算が止まる。

原子崩しの力は強力だ。
コンクリートの壁に大きな穴を開けるほどに。
特殊素材でなければ目の前の駆動鎧も簡単に融解させる事が可能だろう。

だがしかし、強力すぎる原子崩しは駆動鎧を融かしたままその周囲で慌てふためく通行人をも巻き込んでしまう。

それを自覚してしまった今、麦野沈利は原子崩しを放つ事はできなかった。

だったらどうすれば、そう思い声がした方を見ると、浜面仕上が灰色の塊を振り上げていた。

浜面「だぁ、っらぁああっ!!」

浜面の持っていた灰色の塊はコンクリート製の車止めだ。駐車場に備え付けてある車止め。
ただし大型車両が駐車可能なこの場所のそれは重さは十キロ以上もある。

振り上げたそれを開いたハッチに全力で叩きつける。

鈍い音とともに車止めが二つに折れ、金属製のハッチが数十センチほど下がる。

同時に飛んできた手によって浜面の体は薙ぎ払われ吹き飛ばされる。

脇にある車に衝突し、肺から空気が漏れた。

浜面「ぐ……がぁ……」

フレ「浜面!!」

浜面「俺は、いい」

浜面は苦しそうに指差した先にはハッチが空いたままの駆動鎧があった。
283 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/16(木) 23:28:28.61 ID:aGQrez5U0

浜面がフレメアを捕まえている腕を狙わなかった理由は二つあった。

フレメアを捕まえている腕の位置が遠かったから。
もう一つは攻撃を受ける事を多少なりとも想定された腕よりも、攻撃を受ける事を想定されていないだろう閉開ハッチの内側の方が脆いと思ったからだ。

浜面の目的はもともと時間稼ぎだった。

壊すまでいかなくてもハッチが少し閉じなければ本来の機能は発揮されない。

それを理解した麦野とフレンダが走り出す。

ハッチを開けたまま高速移動はできない。

だが逆に言えば高速移動でなければできるという事だ。

つまり時間の猶予はほとんどない。

麦野「邪魔だ!!どけぇええええ!!」

通行人は戸惑うばかりで動かない。


原子崩しは封じられたままだ。

離れた距離がもどかしい。

演算に使った時間が無駄になった。


敵はこちらの動きを理解している。
『暗部』でなくなり、通行人をも守る必要がある『アイテム』の変化を逆手にとっている。

距離を詰めている間に駆動鎧が動き出す。
間に合わない、そう麦野が諦めかけた瞬間だった。

駆動鎧の中身<操縦者>は考えていなかったのだ、『アイテム』の障害物である通行人の中に自分達の障害になる存在がいる事を。



音のないオレンジ色に光る線が四本脚の近くから上空へと走った。



原子崩しとは違う音速を超える閃光。

フレメアを捕まえていた腕の人間でいえば肘に当たる部分が消失していた。
ゴトン、と地面に腕が落ち、フレメアはオレンジ色の閃光を射出した少女に抱きかかえられていた。

御坂「とりあえず悪者っぽい方を攻撃したけど……駆動鎧<そっち>で合ってた?」

少女はしゃべりながらも電撃の槍で駆動鎧との距離を取り、麦野達に近寄ってきた。

少女の名前は御坂美琴。

麦野沈利と同じ、学園都市二三〇万人の頂点の七人の一人。
284 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/16(木) 23:31:44.51 ID:aGQrez5U0


麦野「何でテメエがここに……!?」

御坂「むしろこっちが聞きたいわよ。ホストもどきはどっか行くし、携帯は使えないし……探してたら今度は駆動鎧にアンタでしょ?何が起こってんのよ」

美琴はフレメアを下ろすと駆動鎧に向き直る。

そもそも局地戦での動きを想定していないのか大した装備がない上に電撃と相性が悪いのだろうか、駆動鎧は動きかねているようだ。

御坂「と言っても説明は今度でいいから……貸しイチでいいわ」

種類にもよるが駆動鎧の多くは金属パーツがメインである。

もちろん、絶縁素材を用いている場合もあるがそれでも完全に電気を通さないものなど皆無であるし、通常の電波障害<ジャミング>よりも強い電波障害が相手ならば相性がいいはずがない。

浜面「麦野、どうする?」

気付けば数秒のやり取りの間に浜面は回復していたらしい。
逆を見ればフレメアの手を握ったフレンダが不安そうな顔でこちらを見ている。

目の前には一度しか会った事がない、しかもその一回は殺し合いをした相手。

麦野「後は任せたわ、超電磁砲」

麦野は迷わずにそう言うと走り出す。

背中からかけられた声に正面を向いたまま美琴はため息をつく。

御坂「……まったく……どいつもこいつも人の事を超電磁砲とか第三位とか……」

茶色の前髪から角のように青白い火花が散り、

御坂「私には御坂美琴って名前があるっての!!」

数億ボルトの威力を持つ雷撃の槍が放たれる。


数メートル先の駆動鎧はいまだに動いている。
電気兵器への防御対策は充分らしい。

駆動鎧、飛び交う電撃、そして美琴の常盤台の制服を見たせいか、通行人はいつの間にかいなくなっていて小さなスペースができていた。

周囲を軽く見まわして、美琴はもう一度大きなため息をついた。


思えば今日はストレスがたまってばかりだった。


休日に妹達と遊ぼうとしたら邪魔された。
そもそも最近加わった(らしい)末妹はどうにも性格が悪いらしい。
諸事情により隠しておきたい妹達を友人に見られてしまった。
謎の事件に友人が巻き込まれてしかも手も足も出なかった。
その状況を風紀委員(なのかよく分からない)のホストみたいな見た目のヤツにいとも容易くやり解決されてしまった。
昔、命を狙われた人間と会い、しかも流れで助けてしまった。
いつも騒動の中心にかならずいつ黒いツンツン頭を探したのに見つかっていない。


とにかくイラだつ事ばかりだった。

だからストレス解消に悪者を攻撃したってバチは当たらないわよね。

三度、電撃の角を頭に纏う。


御坂「来なさい。今の私は……すっごいむしゃくしゃしてるんだから!!!!」

285 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/06/16(木) 23:34:24.29 ID:aGQrez5U0
とりあえず今回は以上です。短くてすみません。
最初書いた時は浜面さんがしにかねない事してたんで修正。

今更ですけど美琴さんもなかなかにトラブルメイカーですよね(上条さんばりの)

次回は一週間もかからないと思います。

プロットというか話の流れ自体はできてるんで時間があればすぐにでも完結させれるんですけどね……。

286 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [saga]:2011/06/18(土) 15:38:41.15 ID:l7k/dQ6l0
ってもほとんどのトラブルは上条さんを中心に起こってるんだけどな
ストーカー寸前の御坂が上条さんを捜してるから巻き込まれてるだけどな
ほとんど上条さんの不幸に巻き込まれてるだけ
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/18(土) 16:06:42.50 ID:/F6gxhXCo
ぶっちゃけトラブルに巻き込まれるのは"主人公だから"だよ
美琴は上条さん関係ない事件多いよ
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/18(土) 16:24:21.44 ID:cQjeHNlF0
御坂が巻き込まれたのってあるか???

ロシアとかもストーカーしただけだし
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/18(土) 16:44:46.42 ID:/F6gxhXCo
俺が反応したのが悪かったか
雰囲気を悪くしてごめんなさい
このやりとりはスルーして感想をどうぞ
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/18(土) 21:28:39.47 ID:EWA0sgyK0
御坂が巻き込まれたのは妹達の時とあとはストーカーだろ
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/18(土) 21:34:00.49 ID:l7k/dQ6l0

期待してる
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/06/18(土) 21:47:28.24 ID:643uxfmao


16巻当たりに書いてあったなぁ〜
293 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 22:36:44.43 ID:C/hdS1hm0
一週間かからないとか言っといて一週間ギリギリですみません。

投下します。


本日はみんな大好き最愛ちゃんが出てきます。
294 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 22:39:30.88 ID:C/hdS1hm0


絹旗最愛は荒れ果てた広場の中心に立っていた。


絹旗「何が起こってるんですか……」


自分の行動を思い出す。

昼前まで一緒にいたフレンダは用事があるといって別行動になった。
仕方なく近くのファミレスで食事をしながら映画のパンフレットを見ていると、いつのまにか外が騒がしい。
何事かと思って携帯で調べようにもつながらない。
明らかに何かが起きているのに警備員の無線連絡が飛び交っているわけでもない。

状況がつかめないでいると不自然な人の流れがあった。
何かから逃げるような人の流れが。

そしてその流れに逆らうとそこには荒れ果てた広場があった。

自販機広場と呼ばれる大量の自販機のある小さな公園のようなスペースの半分ほどが小さな爆撃を受けたようにボロボロになっている。
向こう側の大通りは広場と同じようにゴミ箱、道路標識に車や看板などが滅茶苦茶になっていて、警備員に封鎖されているようで人との姿は見えない。

どうやら絹旗は逆側から広場に入ったらしい。

ほんの数時間ファミレスにいた間にこうも状況が変わるのだろうか。
そしてこういった事件を解決するために存在する『アイテム』である自分になぜ連絡が来ないのか。
何から何まで状況が分からなかった。

そして読めない状況は不安を加速させる。

絹旗、そして彼女が所属する『アイテム』のメンバーには狙われる理由が山ほどある。
たとえ『統括理事会直轄治安維持組織』だなんて仰々しい表の組織になったところで変わらず敵は存在する。


仲間が狙われているかもしれない。


その事実が不安となり、心を揺らす。



黒夜「こんなとこにいたとは……ある意味お誂え向きな場所なのかな?」



絹旗の不安定な心を落ち着けたのは懐かしい――ただ聞きたくもなかった声だった。

黒夜「絹旗最愛ちゃん」

名前を呼ばれ、振り返るとそこにはニヤニヤとした笑いを浮かべる少女が一人。
白いコートを頭にひっかけただけの黒髪の少女だ。

黒夜「正直どうでもよかったちゃーどうでもよかったんだけどねぇ。今回の目標には多少の興味があった程度だったからさ」

絹旗にとってはある意味自分と同じほどに知っている相手、黒夜海鳥という名前の少女だった。
なぜこの場所にいるのだろうかとも一瞬だけ考えたがすぐに結びつく。

『今回』

『目標』

この言葉で理解をする。

つまり黒夜の立ち位置は絹旗の対岸なのだろう。

黒夜「まあ、でも? 割り当てでもあるし、こういう機会にキッチリしとくのも悪くはないとも思うわけなんだよね」

絹旗「あなたに用事なんて超ないんですが」

黒夜「こっちだってねぇよ。ただの暇潰しだ」

荒れた広場には二人しかいない。

二人の会話が止まれば決して狭くない空間が無音になる。
遠くからかすかに聞こえる喧騒が逆にその静かさを強調し、浮き彫りにしているようだ。
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/23(木) 22:39:58.99 ID:IdqP5Zv9o
更新ktkr
296 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 22:41:29.27 ID:C/hdS1hm0

絹旗「私に勝てるとでも思ってるんですか?」

黒夜「やっぱりそうだよなぁ。そう来るよなぁ」

向かい合う二人には共通点があった。

『暗闇の五月計画』
学園都市最強の超能力者の演算方法の一部分を意図的に植え付ける事で、能力者の性能を向上させようというプロジェクト。

黒夜「だから私はアンタを殺しに来てやったんだ。いつまで私を下に見る権利があると思ってやがる誰かさんを」

絹旗「……根にでも持ってたんですか?あなたはろくな『成績』を叩き出せなかった劣等生だったんですから仕方ないんじゃないですか」

黒夜「劣等生ね」

黒夜はそう吐き捨てると両手を広げて言い放つ。

黒夜「攻撃性の一点なら『最も近付けた』個体ってのが私だ。まァ、あんまり溢れすぎたせいで研究者連中ブチ』殺しちまって、プロジェクトは破綻」
  「都合の良い『犬』を作りたがってた連中からすりゃァ、たしかに劣等だったかもしれないねェ。なァ、そォだろう。優等生の絹旗ちゃーン?」

ガラリとその口調を変えて。

ボンッッッ!!!!!! という爆音が発せられた。
黒夜の左右へ伸ばした腕の先から、全長三メートルほどの『窒素爆槍』が噴き出したのだ。

それを見た絹旗は、一度だけ両目を瞑る。

そして


開く。


絹旗「この期に及んでそンなくだらない事を根に持ってたンですか」

彼女の口調も、変わる。
まるで黒夜に引きずられるように、内に秘められた暴力性が顔を出す。

黒夜「根に……持ってたンだろォな。だからアンタを殺しに来たンだよ、絹旗最愛ちゃン」

黒夜と違って派手な物理現象が起きているようには見えない。
だが絹旗の周囲の窒素は確実に制御下に置かれていた。
ライフル弾程度の衝撃なら、三六〇度どの方向からでも確実に防御する『窒素装甲』である。

絹旗「……掌から噴出するしか能のねェ超クソ野郎が、私に勝てるとでも思ってンですか」

互いの視線は最初から交差したままだ。
その瞳の奥には互いの暴力性が垣間見える。

演算方法の理想モデルとされた第一位。
その精神性の『どこを切り取り、どこを植え付けるか』によって、異なった二人の能力。

片方は攻撃性。

片方は防護性。


同じ実験を乗り越えた二人、共に『空気中の窒素を操る』大能力者<レベル4>でありながら、黒夜海鳥と絹旗最愛の間には確かな区別があった。


鏡に映った像が反転するように。


『表』に帰る事ができた少女と。

『裏』に居続ける少女。


最強の『矛』と最強の『盾』が交差する。


ド派手な衝突音と共に、舗装された地面が捲れ上がる。
297 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 22:43:38.27 ID:C/hdS1hm0

絹旗「……防護性なら私の方が超一流です」

アクション映画のような光景とは裏腹に、二人の体に傷は見受けられない。

交錯の衝撃で、絹旗がわずかな呻き声を上げたくらいだ。

仕方がない、相手は『矛』でこちらは『盾』、攻撃が通るのは当然の事だ。

しかしそれは致命傷どころか軽い打撲にすらならない。


だから絹旗は攻撃を気にも留めずに、その拳に『盾』を宿し、前を見据える。

絹旗「超お可哀そォに」


矛盾という言葉がある。

そこそこ有名な『どんな盾も突き抜く矛』と「どんな矛も防ぐ盾」の話。

ならば「その矛でその盾を突いたらどうなるか」というのが話の論点になるのだが、この話を聞いた時に絹旗が思った事は前提条件そのものが間違っている。


盾は矛を防ぎ、使用者の身を守るものだが、矛は人間を突き抜き殺すものであり、盾を突き抜くためのものではないのだから。



故に『盾』を『矛』が突き抜く事などできやしない。



絹旗「初撃で私を殺せなかった時点で、すでに勝敗は決まってます。私の防護は三六〇度、私の意思に関係なく自動展開――」

黒夜「ンな事ァ知ってンだよ。べらべらとご高説どォも」

絹旗は効かないと分かっている黒夜の攻撃を衝撃を受け流すように後ろに跳ぶ。

絹旗「……」

二人の距離が開く。

距離は十数メートル。

互いの攻撃が届かない距離。

黒夜「可哀そォなのはどっちなンだろうなァ」

エンジンを吹かすように、その手の『矛』を徐々に強大なものへとしていく。

絹旗「……何を言ってンですか?」

黒夜「気付かないのか気付けないのか……ただ植え付けられた能力をそのまま使ってきた絹旗ちゃンには分からないンだろォねェ」


矛盾という言葉がある。

そこそこ有名な『どんな盾も突き抜く矛』と「どんな矛も防ぐ盾」の話。

ならば「その矛でその盾を突いたらどうなるか」というのが話の論点になるのだが、この話を聞いた時に黒夜が思った事は前提条件そのものが間違っている。


盾は矛を防ぎ、使用者の身を守るものだが、矛は人間を突き抜き殺すものであり、盾を突き抜くためのものではないのだから。



故に『矛』が『盾』を突き抜く必要などない。



黒夜「見せてやるよ。変わって変わって変わった私を、ねェ」

298 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 22:46:11.06 ID:C/hdS1hm0

言葉とともに、地面を蹴る。

同時のその両手を前に出し、正面に二本の『矛』を展開する。


絹旗は咄嗟に両手を交差してそれを受け止める。

あらゆる攻撃をあらゆる方向から受けても致命傷どころか小突かれた程度にしかならないそれを防御したのは生物的な反射からだ。


生命を脅かされるという恐怖に対する反射。


先ほどと同じように攻撃を受け流すように後ろに跳んだ。


絹旗「ッ!!」


ニットでできた袖が破け、腕に衝撃が伝わり、痣ができていた。

彼女の『窒素装甲』が貫かれている。


黒夜「だらだらと講釈たれるのは嫌いなンだけど……その顔じゃァ理解できてないみたいだから教えてあげるよ」


別に『窒素爆槍』の出力が上がったわけでもない。

別に『質素装甲』の出力が劣ったわけでもない。


黒夜「私とアンタの違い攻撃性と防護性、全身と掌だけじゃない。もう一つ指向性ってのがあるンだよ」


変わったのはベクトルだ。


黒夜「二本の腕で『螺旋』を作ってアンタの盾を抉り取った。そもそもアンタの『窒素装甲』は絶対の盾じゃねェだろォが」


『盾』が突き抜けないなら『盾』を剥ぎ取ってやればいい。


黒夜「全身から垂れ流すだけの思考停止野郎が、いつまでも見下してンじゃねェぞ」


『盾』を突き抜くのではなく、『盾』を剥ぎ取りその奥にある生身の体を突き抜くための力の流れ。


再び二人の距離が開く。

距離は十数メートル。

互いの攻撃が届かない距離。


『窒素装甲』のなんたるかを知る黒夜と『窒素爆槍』を気にも留めていなかった絹旗とではどちらが優位かは明らかだ。


黒夜「まァでも、ガードの上からチマチマ削るってのは性に合わないンだよねェ」

黒夜はつまらなさそうにため息をついた。
まるでクリアしたゲームをもう一度やらなくてはならないような大きなため息。

黒夜「さっさと超必殺技で終わらせてやるか」

その言葉とともに、白いコートに張り付いていたイルカのビニール人形が、爆ぜた。
299 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 22:47:50.55 ID:C/hdS1hm0

中から出てきたのは、大量の腕。
それらは黒夜の体を伝い、右上半身へと次々接続されていく。

手といっても、それは赤子のように小さく、ある意味でバランスの歪なものだった。
1メートルほどの長さで、あきらかに生物的なものではない腕。
歪んだパイプのようにも見える十数もの腕は、まるで黒夜の意思に従うかのように、ギシギシギチギチと蠢いている。

エンジンを吹かすように、全ての手から『窒素爆槍』が音を立てる。
その動作だけで先ほどまでとは比べ物にならない爆音が響き渡る。

絹旗「義手……駆動鎧……いや、超違う。それは……ッ!?」

黒夜「一定の水準を超えたサイボーグは駆動鎧と変わらないって事さ、絹旗ちゃンよォ。逆もまた然りだが」

完全なチューブではなく、内部に短い骨が何本も接続されているらしい。
それがまるで、複雑骨折した歪な腕を無理矢理動かしているかのような嫌悪感を与えてくる。

機能を優先した結果なのだろうが、まるでわざとそういったデザインにしたような気持ち悪さだ。

黒夜「まァ、説明は面倒だから……全部私の手だと思ってくれればイイ」

ニヤニヤと嘲笑う声。

その体についた歪な腕のように。


そして全ての腕から生み出された槍が一つとなって絹旗の体を襲う。


衝撃そのものは強いものではなかった。

同じ窒素を使う壁と槍では相性が悪いらしい。

『窒素装甲』で致命傷にならないほどの衝撃だ。


しかしそれは自らの身を傷つけられた事がほとんどない絹旗が、自らに劣ると思っていた能力に傷つけられてなお平常心であればの話だった。


黒夜「面倒くさくて『螺旋』の入力忘れちゃったじゃン……この程度じゃ普通に生きてるだろうなァ」

ニヤニヤと笑う黒夜の声に共鳴するかのように、数十の腕が蠢いている。


絹旗「作り物を、使って……私を超え、れて……満足ですか?」


自販機の群れに突っ込んだ絹旗はよろよろと立ち上がる。


黒夜「別に。元々ついでなンだよ。この場所にいる事も。アンタと遊びに来たのも暇潰しだ」

絹旗「さっきと、言ってる事が……超違いますよ? 根に持って殺し、に来たのでは?」


見た目ほどのダメージはない。

ただそれは『窒素爆槍』の質の強化と増量を同時にやらなかったからに過ぎない。

状況は何一つ変わっていない。


黒夜「やっすい挑発だねェ」
300 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 22:50:11.55 ID:C/hdS1hm0

絹旗「最初、『窒素装甲』が破れた時は、超驚きました。あなたの言ったように、私はただ与えられた力を与えられたようにしか使っていなかったんですから」


一瞬とはいえ、負けを覚悟した。

だってそうだろう、自分より劣っていると思っていた存在に真正面から力負けしたのだ。

そんな相手が機械に頼る。

なんて情けない姿なのだろう。



絹旗「でもあなたは自分以外に頼ってしまった。自分の負けを超認めたんですよ」



機械に頼る、絹旗だって拳銃を使ったり爆弾を使ったり道具に頼る。

それでも目の黒夜の姿は機械に食われた人間にしか見えない。

映画でよくあるチープな話。

人を超えたロボットに支配される未来人。

やっぱりB級映画は映画だから面白いんだ。


絹旗「結局、あなたはただの劣等生。いや……超劣等生以下ですよ」

黒夜「……リクエスト通りに殺してやるよ」



劣等生。

その言葉を聞いて黒夜の頭が沸騰する。

幾度となく言われた言葉。

そんな言葉は自分だけの現実<プライド>に響かない。

研究員<ゴミ>の戯言だと思っていたから。



ただそれを




同じ被検体<モルモット>から言われるのは気に入らない。





301 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 22:50:55.53 ID:C/hdS1hm0




黒夜「ブッ殺してやるよォォおおおおおおおおおおお!!!!!!!」




数十の手から放たれた槍が、螺旋を描き、絹旗最愛という一点に収束する。

無色透明で不可視なはずの窒素が荒れ狂い、誰の目にも分かるほどの渦ができる。

小さな竜巻に地面が抉れ、様々な物が舞い上がる。


黒夜「ハァ……ハァ……これで――ッ!!」


視界が晴れた時、そこにはないもないはずだ。

自らを脅かす絹旗最愛はいないはずだ。




少なくとも黒夜海鳥は思っていた。



302 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 22:52:19.80 ID:C/hdS1hm0





「あっぶねぇ!! ギリギリだった、ギリギリだった死ぬかと思った流石に今回ばかりは死ぬかと思った!!」






存在するはずの声がする。

弾幕のように厚い粉塵の向こう側から、聞いた事もない男の声がする。


視界が開け、そこには黒髪のツンツン頭の男と傷一つない絹旗最愛がいた。


黒夜「誰だテメェは」


黒夜の敵意に右手を突きだした男は答える。







上条「通りすがりの無能力者だよ」






303 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 23:00:59.20 ID:C/hdS1hm0

00000「では、はじめましょう」


その言葉と同時に、音速を超えた鉄の塊が一方通行の体を掠める。

御坂美琴<オリジナル>の超電磁砲<レールガン>並みの弾丸が一方通行を襲う。

彼女の使用電力はおそらく番外個体以上、御坂美琴以下と言ったところだろうか。
それでも超電磁砲<レールガン>並みの力を持っているのは、おそらく電力不足を射出する弾の材質で補っているのだろう。


『反射』ではなく、力の方向を『操作』した弾が彼の背後で壁にめり込む。


00000「『反射』はされないのですね」

轟音と共に00000号の見透かしたような声がスタジオに響く。

一方「勝手だろォが」

そう吐き捨てると同時に距離をとり、思考を張り巡らせる。

この場を切り抜ける方法を。

状況はあの時とほぼ変わらない。


ロシアの雪原で、番外個体と会ったあの日と変わらない。

勝っても負けても引き分けても逃げても結果が変わらない戦い。

一方通行をただ追いつめるために00000号はこの場所にいる。


考えながら音速を超える弾丸を掻い潜る。

狭い室内とはいえ、避けるだけならば難しい話ではない。

ましてや当たったとしてもその弾丸は流され、一方通行を傷つける事はない。

00000号が放つ弾丸を一方通行が避ける、一方的な勝負にすらならない戦い。


一方(どォすりゃイインだ)

手は見つからない。

能力使用可能時間<タイムリミット>は刻一刻と近づいてくる。


00000「避けられてばかりでは埒が明きませんね」


00000号は言葉と同時に床を蹴り、一瞬にしてお互いの距離が詰まる。
同時にその右足が一方通行の胴へと吸い込まれる。

一方「ッ!!」

予想外の動きに反応が遅れる。

かろうじてできたのは00000号を傷つけないための演算の停止。



あり得ない激痛が腹部を襲う。


304 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 23:04:49.37 ID:C/hdS1hm0

一瞬で間合いを詰めるほどの脚力。

超電磁砲を成長させた姿とはいえ異常なほどの膂力だ。


00000「薬品強化<ドーピング>ではございませんよ。体内電気の操作をして、制限<リミッター>を解除しているだけに過ぎません」


見透かされたような00000号の声。


人間の体は運動の際、自らの体を傷つけないように一定の制限を設けている。
いわゆる火事場力は危機的状況でその制限が解除された状態である。

そしてその制限も体を動かすという信号も全ては脳からの電気信号に過ぎない。


00000号は電気信号を操り、任意的にその解除をしている。


つまりそれは――

一方「……早死にすンぞ」

       ――自らの体を省みない行為である。



いつか必ず綻ぶ自己崩壊前提の突貫。



00000「学園都市第一位のアナタ様がお相手ですのでミサカとしては捨て身、犠牲は既に覚悟の上でございます」


その言葉とともに今度は右手が振り上げられる。

二度目はヤバイ。


一方通行は条件反射でその手を振り払う

否、00000号を攻撃するためにその手を振り上げ ――



                        ―― そこで手が止まる。
305 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 23:06:16.15 ID:C/hdS1hm0



攻撃するために振り上げた手が振り下ろされない。

かわりに00000号の拳が一方通行の顔に突き刺さり、地面に倒れこむ。


00000「なぜアナタ様の手が止まるかお答えいたしましょうか?」



振り上げたその手を止める気はなかった。


番外個体の時は、その手は振り下ろす事が出来た。


迷い、悩み、苦しみ、恨み、自分自身を呪った上でその拳を振り下ろし、彼女を傷つける事が出来た。



あの時できた事がなぜそれが今できないのか。



00000「番外個体の時、アナタ様が迫られた選択は番外個体を助けるか最終信号を助けるかのどちらか、しかし今はこのミサカ、00000号<フルチューニング>を殺すか否か」
   「似て非なる状況なのでございます」

一方通行は00000号に言葉にされて気付く。


言葉にされなければ気付かなかった。

あの時と同じではない。

同じ部分など一つもない。


00000「そしてもう一つ申し上げさせて頂くのであれば」
   「それはアナタ様が『悪』ではなくなったからでございます」

一方通行はロシアから帰って平和な日々を過ごしていた。

活動内容を表へと移した『グループ』での活動はわずか二週間にも満たない。

しかし、そのわずかな時間の間に一方通行は変わってしまった。


戻れないと思った光の暖かさを知ってしまった。

他人の命を奪う暴力は他人の命を守る力へと変わってしまった。


00000「敵の命すら救ってしまうお優しいアナタ様に、なぜミサカを傷つける事が出来ましょうか」




一方通行は妹達のために自分の命だけであれば犠牲にできるほどにはお人好しになってしまっていた。




(ヒーローに憧れた中途半端な悪党の末路としちゃァ……三流すぎるなァ)



306 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/06/23(木) 23:09:46.22 ID:C/hdS1hm0


一方通行がそんな事を考えた瞬間だった。



ドガンという音とともに閉められていたはずの扉がスタジオ内に吹っ飛んできた。




「ったくよー……いきなり場所だけ行って来いってパシリ扱いされてこっちはイライラしてんのに……自分の粗悪品以下のガラクタの始末とか……本っ当」




ついで入ってきた長身の人影は手に持っている白い仮面のような物を地面に投げつける。


「ムカついた」


どういう材質でできているのか音はしなかった。


「一度死んだ自業自得ってやつか?」


自嘲気味にそういうと倒れている一方通行にその視線を向ける。


「まあ、ムカつく第一位がボロボロで這いつくばってるなんてレアなシーンを見れた事には感謝しときますか」



その顔は楽しんでいるようで憐れんでいるようで悲しんでいるようで、どこか怒っているような複雑な表情で彩られている。



00000「アナタ様は誰でしょうか?」

新たに現れた敵に対して00000号は少しだけ一方通行への警戒を解く。

同時にその場を飛びのいた。

「俺を知らねぇとは……今日は本当にムカつく日だな」

その言葉とともに白い羽のようなものが00000号がいた場所を通過する。

音もなく地面に突き刺さった羽はすぐに塵となって消えてしまった。



倒されていた一方通行は一部始終をそのままに見ていた。


そして


闖入者の名前を口にする。





一方「垣根、帝督」




307 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/06/23(木) 23:13:28.64 ID:C/hdS1hm0
上条さん、帝督の二人が合流。
やっと終盤に向けて動きましたね。


いろいろ遅くて済みません。

次回も一週間以内に。

できるといいなぁ。
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/24(金) 01:22:48.15 ID:PWw1Uwfeo
キャーカミジョーサーンカキネサーン
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2011/06/24(金) 14:37:54.56 ID:aZPlsuql0
質素装甲ってお前
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/06/24(金) 15:57:29.30 ID:hGRojQuN0
いつまでも待ってる
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/24(金) 17:00:29.86 ID:0DDKIh5A0
黒夜終わったな
さてカミやん病にはかかるのか?
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/06/26(日) 08:34:24.40 ID:drhEyju90
>>311いやかからねぇだろ
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/06/26(日) 10:15:40.04 ID:gRsnmGuM0
いやいやフラグは立つだろ
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 23:02:37.66 ID:D18ypX5p0
なんか一方×黒夜が多いから上条×黒夜が見たいって希望はあるから
俺的にはカミやん病にかかってほしいところだ
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/08(金) 16:53:40.40 ID:wGTnBVmB0
…こねえ
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/07/09(土) 08:04:16.41 ID:2KEd6QHL0
…………こねェじゃねェかァ!!?
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/07/11(月) 13:07:55.99 ID:xRklmjo+0
どォしたンだ!!>>1!!!
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/11(月) 22:19:59.44 ID:20+3Jrveo
黙って待てよ
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 16:19:06.58 ID:KWgD1mL50
むりだ!
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/14(木) 18:11:15.99 ID:PM7vnejP0
まだかー
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/15(金) 02:37:31.85 ID:WkFPt4Vq0
>>1 あわてず慎重にそして最速で頼む
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/15(金) 17:30:41.76 ID:ESWHDH050
とにかく生存報告はしてほしい
323 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/07/15(金) 23:43:17.81 ID:A8iZ3QGY0
>>1
いつの間にかこんなに書き込みが……スミマセン。
のうのうと生きてますスミマセン。
そんなわけで今日分ですすみません。
324 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/07/15(金) 23:44:16.56 ID:A8iZ3QGY0

御坂美琴のおかげもあって麦野達はサロンのあった第三学区の隣、第十四学区に逃げていた。

どうやら学園都市全体で電波障害以上の何かが起こっているらしくあちらこちらが騒がしい。


麦野「さっきの続きだけど」

浜面「何だ?」

麦野「敵の狙いはなんだと思う?」

フレ「どういう意味? フレメア、その先のそして私を通じて麦野や滝壺、『アイテム』全体狙ってるんじゃないの?」

麦野「それは間違いないと思うわ。でも問題はこの広域の電波障害よ」

先ほどからずっと付きまとう違和感。

敵の正体が見えない。

大規模な襲撃を行っているくせに敵の統制がとれていない。

目的が見えてこない。

浜面「フレンダ」

フレ「何?」

浜面「お前はフレメアを結構前から探してたんだよな」

フレ「うん」

おそらく泳がされていたフレメア。
今日という日に起こっている出来事。

不確かで中途半端な情報の中、浜面は一つの可能性に思いつく。

浜面「だったら……本命は別にあるのかもな」

麦野「私達<アイテム>じゃないって事?」

浜面「というよりは俺達<アイテム>だけじゃないって事だと思う」


フレメアが狙われた事が『アイテム』に起因するのは確実だろう。


しかし、『アイテム』そのものが最終目的でないとしたら。


能力追跡<滝壺理后>や原子崩し<麦野沈利>よりも大きな目的があるとすれば。


浜面「その本命が何かは知らねえけど、そっちで電波障害が必要で、俺達はその本命の邪魔にならないように。もしくは本命と同時進行で狙われてるって考えるのが妥当だろ」

確証はないし、二人分の超能力者<レベル5>と持っているに近い『アイテム』よりも優先度の高い存在が思いつかない。

しかし自分たちが知らない情報など山ほど存在する。

フレ「たしかに」

麦野「なら……フレンダ、ここら辺には詳しいわよね?」

フレ「もちろん」

第十四学区。
海外からの留学生が多く集う学区。

つまりフレンダのような学生が集う学区だ。

麦野「なら最低でも二階以上の建物で周りに人気がない場所に誘導して。建物の種類は問わないけどできればビルか研究所」

フレ「了解よ」

言葉と共にフレンダが先頭に立つ。

浜面「どうするつもりだ?」
325 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/07/15(金) 23:46:33.70 ID:A8iZ3QGY0

麦野「迎え撃つわ」

浜面「……装備もなしにか?」

麦野「妹<フレメア>はフレンダに任せる。私は前衛で迎撃。駆動鎧<オモチャ>や能力者<格下>なら楽勝よ」

浜面「俺は?」

麦野「アンタはここまでよ」

浜面「は?」

浜面は予想外の言葉に思わず足を止める。

麦野「風紀委員第177支部にいきなさい」

浜面「はぁ!?」

ついで告げされたのはこの状況を打破するのではなく、全く別物の指示。

麦野「連中の本命が別だろうが私達がついでだろうがフレメアを狙う以上、その先にある『アイテム』を誘き出す事が目的なはずよ。つまり能力追跡<滝壺理后>か原子崩し<麦野沈利>、もしくは両方の捕獲。おそらく滝壺は捕獲、私の捕獲は努力目標<可能ならば>だろうけどね」

麦野は苦々しく言い放つ。


どんな状況だろうと『アイテム』が狙われている事実は変わらない。


浜面「だったら」

麦野「だからだよ!!」


つまりそれは


麦野「テメェが守りたいものは何だ!!テメェが選んだものは何だ!!『アイテム』は最優先じゃねえだろうが!!」


滝壺理后が狙われている事を指す。


『八人目』となり、学園都市の全機能をまかなえると言われた存在。


第三次世界大戦<ロシア>でその道が開けてしまった存在。




浜面仕上が何よりも優先した存在。




その言葉に浜面は奥歯を噛みしめる。

ギリリと言う音が鳴るほどに。

それは何も言い返す事ができないから。


あの雪原で浜面仕上は誓った。

麦野沈利を守ると。

『アイテム』になろうと言った。


ただそれでも




浜面仕上が滝壺理后を選んだ事実は変わらない。



326 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/07/15(金) 23:50:37.24 ID:A8iZ3QGY0

浜面は一度空を仰ぐ。

地上はこんなにも荒れているのに空は雲一つない快晴だった。

あの時の気味の悪い黄金の空ではない、いつも通りの空。

麦野「さっさと行けっての」

フレ「結局、装備もない浜面がいたって邪魔にしかならないってわけよ」

麦野の言葉に肩をすくめながらフレンダが付け加える。

浜面「……死ぬなよ」

麦野「誰に言ってるのかにゃーん」

浜面「『アイテム』のリーダー、学園都市第四位の超能力者<レベル5>、麦野沈利にだよ」


浜面は彼女の力を知らないわけではない。

むしろ誰よりも知っているかもしれない。

だからこそ彼女をそのままに見る事ができる。

原子崩しではない一人の女として。


麦野「アンタこそ滝壺に傷一つでもつけたらオ・シ・オ・キだから」

浜面「ああ!!」


浜面仕上は麦野達に背を向けて走り出す。

彼女達に背中を預けるように背を向けて。


その背を見届けて麦野達は浜面とは逆方向に走り出す。


フレ「結局、守ってくれる王子様がいないのは辛いのかな?」

ケラケラと笑いながらフレンダが話すと

麦野「……浜面が王子様ってツラ?」

呆れたように麦野が笑う。

フレ「……私とした事がノリでも言うべきじゃなかった訳よ」

麦野「フレンダ、終わったらオシオキね」

フレ「ううー、言うんじゃなかった。……そういえば絹旗は無事なのかな」

麦野「心配しなくてもいいんじゃない?あの子は一人ならまず死なないだろうし」


信頼をしているからこそでる言葉。

滝壺の元へ一人で向かわせた浜面仕上のように。


フレ「ここが一番だと思う」

足を止めたのは誰もいない廃ビルだった。
入口にある看板を見ると数日後には取り壊しが決定しているらしい。

周りも開発中のようで人気は全くと言っていいほどない。

フレ「念のためフレメアと中を確かめてくる訳よ」

麦野「外にいるわ。フレメアは金庫か倉庫にでも入ってなさい」

フレメア「うん」

フレ「すぐ戻ってくる訳よ!!」
327 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/07/15(金) 23:54:34.36 ID:A8iZ3QGY0



建物の中に入っていくフレンダとフレメアを見送り二人の姿が見えなくなってから、麦野は「はぁ」と大きな音が聞こえるほどの長いため息をつく。



物思いにふける、熱の込められた吐息。


麦野「王子様、ね」


先ほどまでの軽口を思いだし、ポツリと呟いた。



我ながらくだらない感傷だ。



浜面仕上は麦野沈利ではなく滝壺理后を選んだ。

彼女を助けるために。

その命を粉にして第三次世界大戦の真っただ中のロシアまで行った。


とっくに理解している。


分かり切っている。


それでも改めて理解するたびにジクリと胸の奥が痛む感覚。

この気持ちが恋慕じゃないとは言わないが、恋なんてキレイなものでもはっきりしたものでもない。



多分、正解は執着心。



欲しい玩具が売り切れてない、それでも欲しい。そんな子供のワガママだ。

恋い焦がれたわけじゃない、元から欲しいわけでもない。



手に入らないから欲しい。



つまり満たしたいのは子供のワガママ以下のちっぽけな自尊心<プライド>。


そもそも今思えば浜面仕上個人に向けられた感情かどうかすら怪しい。


ただ滝壺理后のように誰かに守られたかっただけなのかもしれない。


滝壺理后が羨ましかった。


妬ましかった。




結局は嫉妬だ。




嫉妬――だとすると自分は浜面仕上に恋していた事になる。

328 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/07/15(金) 23:56:50.76 ID:A8iZ3QGY0


それは納得がいかない。

麦野沈利<超能力者>が浜面仕上<無能力者>に恋する事などありはしない。


しかし―――


麦野「あー………自分が分からないっていうのはイライラするわね」



ガシガシと乱暴な手つきで長い髪を掻き毟る。


あの時、ロシアで助かってから、『アイテム』が壊れたから幾度となく考えた無限の螺旋に囚われた思考。



学園都市第四位の超能力者<レベル5>の自分だけの現実<パーソナルリアリティ>を持ってしても制御できない感情。



答えの出ない思考の迷路。



麦野「お肌に悪いからストレス解消しないと、ね」


そう言って向いた視線の先には何台もの駆動鎧がいた。

大小様々な一個分隊。見た事のないデザインは新型のものだろうか。

数十ものカメラが頻繁に動き、無機質な音が麦野に向けられている。


麦野「わざわざ正面から来るとか」

気怠そうにため息をつく。

先ほどとは違う、乾いたため息。

麦野「そろいもそろって自殺志願者か? よっぽどスクラップになりてえのかそれとも私を舐めてんのか」

乾いたため息で、自らがチリチリと高揚していくのが分かる。


銃だけじゃない様々な兵器は一瞬で人をダース単位で肉塊にできる力を持つし、そもそも駆動鎧の膂力だけで紙屑のように人は殺せる。

そんな兵器が一個分隊。


それでも麦野は焦らない。


そんなものは彼女の敵ではないから。




駆動鎧なんかよりも先程までの乙女の悩み<ジレンマ>の方が彼女にとっては100倍厄介だ。




麦野「どっちにしろ」


麦野の体の周囲に光球がいくつか展開される。

原子崩し<メルトダウナー>を放つ始点。

全てを掻き消す白き光。

329 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/07/15(金) 23:57:43.20 ID:A8iZ3QGY0








麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」







330 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/07/16(土) 00:00:16.70 ID:UIdR9Pso0
というわけで>>1でした。
スーパーむぎのん化はしてません。
むぎのんマジ乙女。

それでは今日はこの辺りで。
PS投下が遅くなったのは別に夏アニメ金曜に重なりすぎてるとか囮物語いいとかそういった理由ではありません。
あしからず(どうでもいいですね、すみません)
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/07/16(土) 04:09:49.18 ID:NiGbmMapo
おつ!
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 13:24:00.82 ID:h684Fg0p0
麦野いい加減あきらめろしつこい
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/07/25(月) 17:46:54.21 ID:De+2LwfX0
こねえ
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/26(火) 22:11:30.80 ID:4P9KAQlo0
青ピクンが中々来ないねw
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/07/28(木) 21:52:21.66 ID:ci2wasBH0
koi
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)[sage]:2011/07/28(木) 22:03:15.73 ID:nV8erwnAO
だからageるなと
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)[sage]:2011/07/29(金) 21:19:56.75 ID:8JNaFYCC0
>>1
まだ来れないのか?
338 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/07/31(日) 23:49:36.75 ID:ET1z74yj0
>>1です。
ギリギリ7月投稿!!
遅くなってすみません。。。

では本日投下開始いたします。
339 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/07/31(日) 23:51:01.28 ID:ET1z74yj0
>>1です。
投下遅くなってすみません。
本日分開始させていただきます。
340 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/07/31(日) 23:53:50.09 ID:ET1z74yj0




死んだ。




絹旗最愛はそう思った。

少なくとも黒夜海鳥の『窒素爆槍』を見た瞬間、穿たれて死ぬと思っていた。


しかし現実には

傷一つない。


変化したのは一つ


自分と黒夜の間に、黒髪のツンツン頭の少年が立っていただけだった。


黒夜「無能力者?」

上条「ああ、そうだ」

黒夜は見慣れない少年に距離を取る。


演算は完璧だった。

十数もの腕に螺旋の演算を組み込んで『窒素装甲』とその先にある体ごと抉るほどの威力の『窒素爆槍』。

しかし実際には



消しゴムでも使ったかのようにキレイさっぱり消えてしまった。



黒夜「……無能力者ねぇ……」

うかつに手を出せない状況でブツブツとその言葉を繰り返す。

上条「大丈夫か?」

対して上条は黒夜の動きを見ながら、背中の絹旗の様子を気にかけている。



絹旗「逃げてください」

341 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/07/31(日) 23:56:47.37 ID:ET1z74yj0

助かったという事実が少しだけ彼女を揺らす。

助けてくれと言う言葉を飲み込んで、少しでも被害が少ないようにと望む。


絹旗「今の黒夜は危険すぎます」


何をされたか分からないが助けられた。

助けてもらえた。

それだけで十分だ。


犠牲になるのは私だけでいい。


絹旗「聞いてるんですか?」

絹旗は立ち上がり、目の前のツンツン頭――上条の背中に問いかける。

上条「聞いてるけど聞く気はない」

絹旗「ッ!!」

上条「怪我人は大人しく守られとけばいいんだよ」

上条は絹旗の言葉に背を向けたままで答える。

揺らがずに揺るがずに。

絹旗「ですが!! 今の黒夜は学園都市最強の一方通行に近い力を持っています。どうやったかは知りませんが勝ち目はありません!!」

上条「一方通行?」

予想をしていなかった言葉に上条は振り向きそうになる。


一方通行。

学園都市の超能力者第一位。

尺度として引き合いに出すには適さない存在だ。


絹旗「ええ。彼女は一方通行の縁のある人間なんですよ」

私もですがと付け加えようとして口ごもる。

そして相手の反応を待つ。


一方通行と聞いてその言葉を無視できる人間はこの町にいない。

いるとすればそれは無知か馬鹿かのどちらかで




上条「……んじゃ、何も問題ないな」




ただ上条当麻はそのどちらでもない例外だった。
342 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/01(月) 00:02:32.25 ID:OcBHguu80

絹旗「え?」

上条「アイツを貶める気はねーし、アイツは強いけど……一方通行くらいだったら何とかなるよ」

そう言ったあと、「それこそそんな相手に負けたらアイツに怒られそうだしな」と上条は呟いた。

予想外の言葉に絹旗は驚いてしまう。

第一位。一方通行。
その全てが畏怖する存在であり、その言葉が出てきただけでほとんどの人間は尻込みしてしまうはずだ。


なのに目の前の少年はまるで数学か何かの問題が解ける、そんな軽さで何とかなると言い放ったのだ。

一方通行『くらい』と言った。

それも自信満々に。


絹旗「それってどういう」

黒夜「そろそろいいかにゃーん」

痺れを切らしたのか、様子をうかがっていた黒夜が二人の会話に割り込んでくる。

黒夜「時間稼ぎってわけじゃねぇんだろうけど、生憎こっちもそこまで暇じゃないんだ」

上条「ああ、待たせたな」

黒夜「気にしてねぇさ。幻想殺し」

その言葉と共に黒夜はニヤリと笑う。

その言葉を聞いて上条は警戒を強める。

上条「……どっかで会った事あったか?」

黒夜「はじめましてだ。ただこのタイミングで出てくるだろう無能力者はアンタだけだろ?」

心底楽しむようなニタニタとした笑いは止まらない。


この状況を楽しんでいるような

上条当麻<幻想殺し>というイレギュラーを心の底から楽しんでいるような笑顔。


黒夜「にしても……『スクール』は任せろっつってやがったのに……やっぱりザコはザコだ」

上条「どういう意味だ?」

黒夜「それともその『右手』はそれほど優れたモノなのかって感嘆する場面かねぇ」

上条「どういう意味だよ」

黒夜「そのままの意味さ」


お互いの表情は変わらない。

ただ世間話のような会話の中で、空気が急に張り詰める。

343 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/01(月) 00:05:09.54 ID:OcBHguu80

黒夜「黒幕は私達だって言ってるンだよ、幻想殺し。最終的に暴走能力者<兵隊>を何人用意したかは知らねェが……全員撃破<ステージクリア>おめでとう」

黒夜は笑顔のまま

黒夜「アッチの担当は別のヤツだったンだが……本人自体はザコもイイとこだしィ? 暴走したところで使えねェクソッタレはゴミカスのままだったみたいだけどねェ」

目の前の<上条当麻>敵への殺意を高め、それを露わにする。

殺意を高め、暴力性を強め、体に相手を殺戮するという明確な目的を意識させる。

両の手、そして体の側面から生える十数の『腕』の周りの空気が制御下に置かれる。



その様はニトログリセリンのようなあからさまな危険物。



殺すために殺す絶対の意識。


そんな危険物に対する上条は無言で相手を見つめ、静かに深呼吸をする。


体を、心を落ち着けるための小さな深呼吸。


上条「一つ確認させてくれ」

黒夜「どォーぞ」





上条「敵でいいんだな?」





殺意ではない。

敵意ではない。


上条当麻に存在するのは静かで落ち着いた冷たく強い怒気。


344 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/01(月) 00:09:48.85 ID:OcBHguu80

黒夜「あァ、その通りだ」

上条「投降する気は?」

黒夜「そンな事する人間はこンな事しねェだろ?」

上条「だろうな」

黒夜「さァ、御託を並べるのはやめよォぜ、幻想殺し。戦闘開始<ゲームスタート>だ」

黒夜はその言葉を合図に全ての『腕』から『窒素爆槍』を上条に放つ。


『幻想殺し』には『窒素装甲』のような攻撃力はない。

だがそれ以上の防護性がある。


故に全ての『腕』で大きな螺旋を作り、周囲が歪むような巨大な渦を作り出す。

地面が抉れ、戦車が通ったような跡ができる。


しかし


黒夜「にしても便利な『右手』だねェ……そればっかりは付け替えらンねェのかな」


空気が歪み地面が抉れるような渦ですら前に突き出した上条の『右手』に跡形もなく消される。


やはりこのままでは分が悪いらしい、それを確認し、小さく舌打ちをすると黒夜は距離を取り、槍を拡散させる。


あの『右手』には槍は通用しない、ならばそ例外を狙えばいい。


と分かっていても互いが正対している以上、攻撃は正面からになるためチャンスは訪れず、戦闘は硬直してしまう。

黒夜「そォそォ、答えてやったお返しにってわけじゃねェけど……よかったらコッチの質問にも答えてくれねェか? 幻想殺し」

上条「なんだよ」

距離を取り、離れている間も何本かの『腕』から『窒素爆槍』は放たれ、お互いの距離は縮まる事がない。

だからこそ相手を崩す必要があった。


黒夜「何でそンなに怒ってンの?」


その言葉に上条の表情が少しだけ変化する。
345 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/01(月) 00:11:46.44 ID:OcBHguu80



おかしな話だ、黒夜はそう思う。



明確な強い殺意を向けた上条から返ってくるのは殺意でも敵意でもない――怒気。



それはどうしても場違いなものに思えてしまう。

黒夜「いやさァ、いろいろと調べさせてもらってずっと思ってたンだけど……学園都市最強の化け物に『別の法則』の能力者に、話によると『外』でもいろいろとしてるらしいじゃねェの」

目の前の黒髪の男、上条当麻。

学園都市の中だけでも異常なほどの戦績を残している。


路上での喧嘩のようなものとはいえ、第三位超電磁砲を幾度も無傷で撃退。

学園都市最強の超能力者、第一位一方通行に勝利。

九月一日、九月十九日や九月三十日など、『外』からの侵入者の撃退にも一役買っている。

更には外での出来事、イギリスのクーデターもどきや第三次世界大戦にも関わっているとの話だ。


もはや世界規模での救世主<ヒーロー>とさえいう事ができる。


黒夜「今回だってそォだ。そンなに人助けが好きなのかァ?」


黒夜には理解ができない事だ。

いや、黒夜でなくても大概の人間が理解できないだろう。


なぜならその『右手』には異能の力を消すだけで他には何の効果もない。


自らを守る事も。

相手を殺す事も。


その『右手』以外には何もない。


それなのに上条当麻は武器らしい武器も持たず、その『右手』のみで世界と戦っている。


上条は殺意と共に投げかけられた言葉に『右手』をかざすと


上条「別に俺は人助けなんて好きじゃねぇよ」


そう言ってため息をついた。

346 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/01(月) 00:13:19.89 ID:OcBHguu80


上条「むしろ上条さんは何の不幸もなく平和に過ごしていたいですよ」


彼は別に救世主<ヒーロー>を気取るつもりはない。


科学だとか魔術だとかそんな事を細かく考えているわけでもない。


損得だって自分では考えているつもりだ。


怪我をするのだって不幸な目に遭うのだって嫌だ。


その上で


上条「でもな、だからって他人が傷つくのや不幸になるのを見て見ぬふりできるかよ」



上条当麻はただ自分が思うままに生きているだけだ。



確固たる意志を宿した瞳。ブレない姿を見せられて黒夜は軽く鼻で笑う。


上条当麻は別に正義の味方ではない。


黒夜「偽善者って事でイイのかにゃーン?」


だからこそ


上条「偽善者でもかまわないさ。この右手で守れる範囲なら、俺は誰だって迷わず助けてやる」




敵対する者としてはイライラする。




そしてそれは


黒夜「それじゃァ偽善で死ねよ、幻想殺し」


故に殺意と敵意を向ける相手には十分だ。




黒夜「その『右手』に収まりきらないモノを抱えて死にやがれェ!!」



347 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/01(月) 00:14:33.00 ID:OcBHguu80

黒夜は自らの腕と十数の『腕』を広く展開させ、その全ての『窒素爆槍』を展開させる。

同時ではなく、発射時間、着弾時間、軌道を少しずつズラし、角度をつけ、その『右手』以外を狙うため。

上条を囲むように『窒素爆槍』で『網』を作る。


逃れられない包囲網。


触れるだけで致命傷を負う蜘蛛の糸。


しかし上条はその網の中へ、『右手』を前に突っ込んだ。

黒夜の正面に展開された『窒素爆槍』が掻き消され、包囲網がほつれてしまう。


黒夜「ッ!!」


予想外の動きに動揺するが、『腕』の何本かの軌道を変えて大きく後方に距離を取る。

圧倒的な力を持つ黒夜が、『右手』しか能のない上条から退いてしまった。

それ以上に


黒夜「踏み、込ンだ……?」


たしかに上条が勝つためには黒夜に近づくしか方法がない。


しかし、鉄板ですら紙屑のように引きちぎる網の中に突っ込んでいけるものなのか。

『右手』以外が触れれば死ぬ可能性すらある、そんな中に迷わず突っ込んでいけるものなのか。


動揺した黒夜の目に映るのは上条当麻の揺るぎない力強い姿。


圧倒的な戦力差に自暴自棄になっているのではない。

虚勢を張っているようにも見えない。


状況を理解した上でなお諦める事のない自らの力を信じている姿。


その姿に黒夜は思わず後ずさる。

全てを消すその『右手』よりもその目が、姿が何よりも恐ろしい。

348 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/01(月) 00:16:40.41 ID:OcBHguu80


黒夜「だったらこォだ!!」


黒夜が怯えるように叫ぶと広場の奥、ビルの陰から何かが這い出してきた。

ぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞ、と大量の腕が黒夜の元に集まってくる。

自らの二本の腕よりも、イルカに入っていた腕よりもなお多い大量の『腕』。

それぞれが黒夜の意志で動く『腕』だ。

自らの力をより補強するための新しい体。


黒夜「死にやがれ!!」


先ほどまでとは比べ物にならない力の奔流が広場を包み込む。

大小様々な槍がいくつも上条に降り注ぎその身を引き裂く


                         ―――はずだった。


黒夜は荒れ狂う本流の中、上条がその足を止めずに進めているのを目の当たりにする。


黒夜「何を、しやがった」


前後左右上様々な方向から上条へと槍を放った。

着弾点を着弾時間をずらし、ダミーを混ぜ、その『右手』だけでは消しきれない槍の弾幕を張った。


現に全ての槍が消えたわけでもなく、いくつかの槍は制御を失っていない。

しかし明らかにその『右手』だけでは掻き消せないはずの量の槍が消えていた。

そして上条はいくつかの傷はあるものの致命傷と言えるものはなく、黒夜に近づいてくる。


黒夜「何をしやがった!!」

上条「別に何もしてねえよ」


上条当麻は何もしていない。

いつも通りにしているだけだ。


上条「言ったろ? この手で守れる範囲なら、俺は迷わず助けてやるって」


上条当麻に宿るのは異能の力を打ち消すという単純な力だ。

その『右手』に宿る力は右手にしか適用されない。


上条「第三次世界大戦<ロシア>で嫌ってほど理解したんだよ。俺の力なんてちっぽけなものだって」


かつてベツレヘムの星の上、その『右手』だけで大天使と対峙した。

それはその『右手』といえど当然たやすい事ではなかった。


上条「それでも俺には助けたいものがあるだったら」


それでも上条は進む必要があった。助けたいものがあった。

そして気付く。


上条「この『右手』が伸ばせる範囲を広げるしかないだろ?」
349 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/01(月) 00:17:16.19 ID:OcBHguu80










この『右手』に宿る幻想殺し<イマジンブレイカー>の能力が『右手』の範囲しか打ち消せないと誰が決めたのか。










350 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/01(月) 00:20:43.95 ID:OcBHguu80

上条の限界まで大きく開いた右手の周りに一回りも二回りも大きな『右手』が膜のように張り付いている。

黒夜「成長したって言いやがるのか……ただでさえ不可解なその『右手』が成長しただと」

消されている範囲は正確には分からない。

それでも明らかに右手の範囲を超えている。

その右手に触れた異能の力を消滅させるという幻想殺し<イマジンブレイカー>が成長している。

黒夜「ふざけンじゃねェ!!」


幻想殺し<イマジンブレイカー>の成長

それは脅威だ。

ただでさえ全ての異能を消滅させる絶対の力。

それが『右手』という小さな範囲を凌駕する。


それほど脅威な事はない。


上条「別に成長したなんてたいそうなものじゃない」


突き出された『右手』が揺らぐ。

荒れ狂う窒素の制御を解き、蜃気楼のようにグラリと歪む。


上条「少しだけ、ほんの少しだけ多くのものを掴めるようになっただけだ。天使の力なんて大きなものを掴む必要があっただけだ」


握られた拳が振りかぶられる。


上条「そもそも人間なんて常に成長できるんだ。強くなれるんだ。特別な事なんかじゃない」


目の前まで迫った黒夜はその両手から『窒素爆槍』を生み出す。

それは攻撃のためではなく、反射的な自衛行動。


上条「お前が使えないゴミクズ呼ばわりしたアイツらだって成長はする。だから誰もゴミクズなんて言う資格はない。道具みたいに扱う資格なんてない」


晒された恐怖からとった、攻撃ではない行動。


上条「俺みたいな無能力者だって成長できるんだから当たり前だろ?」


しかしそれは上条の『右手』に掻き消される。


上条「それすら認められないって言うんなら」



噛み砕くように、噛み千切られるように食い荒らされて消滅する。



上条「その幻想をぶち殺す!!」


そしてそのまま振り下ろされた右手が黒夜に突き刺さった。
351 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/08/01(月) 00:25:33.88 ID:OcBHguu80
本日分は以上です。
上条さんの右手成長は>>1の脳内予想の中の人が漏れ出してる感じです。
原作上条さんはどうなるんですかね……22巻で死んだとか言ってたのにそのままなんでしょうかね?

次回こそ!! 次回こそ早めに!!

なお次は第一位さん達のお話です。
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/01(月) 00:41:26.69 ID:bUGCKKeDO
>>1乙!!
期待待ちしてたかいがある!!!!
上条さん△
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/08/01(月) 08:21:14.19 ID:5bEUrOCn0
さすがヒーローやるな
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/08/01(月) 16:45:26.33 ID:Pto4iVr70
ドラゴンストライク
竜王の顎  覚醒しろよ
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/01(月) 18:01:24.81 ID:wROQt2GIO
>>354
下げろ

作者乙
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/01(月) 20:41:08.17 ID:f7f7dhk20
>>1乙〜
上条さんかっこええな〜
357 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/02(火) 18:54:03.80 ID:AvVrlCko0
>>1です。
二日!! びっくりだ!!
という事で本日分投下いたします。
358 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/02(火) 18:55:57.38 ID:AvVrlCko0

垣根帝督。


学園都市第二位の超能力者<レベル5>。

10月9日、学園都市独立記念日。

『暗部』同士の抗争の最中、一方通行との戦闘によって再起不能。

実質的には死亡と言える状態だった。



少なくとも一方通行の知る限りでは。



一方「何で……オマエがここに……」

一方通行の目の前に立った長身の影、それは明らかに垣根帝督そのものだった。

見た目も気配も何もかもがあの日と変わらない。

一つだけ違うのは。


あの日のようなドス黒い何かがその姿と言動に含まれていない事だ。


垣根「ん? ああ、主に人助け」

一方「余計な、マネ……すンじゃねェ」

垣根「知るか。それに……俺の用事はそれだけじゃなくなったしな」

垣根は床に転がったままの一方通行を一瞥し、少し離れた位置の00000号を見据える。
少しだけ嘲るような柔らかい表情の垣根に対して00000号は相変わらずの無表情だ。

00000「ミサカのオーダーにはアナタ様への干渉は含まれておりません」

垣根「いや、別に俺もテメェに用事はねえよ」

00000「ならばミサカに干渉しないで頂けませんか?」


二人の空気が少しだけピリピリとしたものになる。


垣根「まあ、一対一<対等な勝負>なら手を出す気はないし、一対二<片方が有利>でも助ける気はねえ。でもな、一対三<数の暴力>ってのはあんまり好きじゃねえんだよ」

笑いながら「ましてや相手はテメェだしな。一方通行」と垣根は付け加えた。


そして緩んでいた表情から一転して真面目な表情で00000号 ―― のさらに奥の白い壁に声をかける。


垣根「距離の対象は一人だったし、対象は自分のみ……第三者同士の距離はいじれなかった記憶があったんだけどな」

広いスタジオに造られた白い雪原のような空間。

その奥の誰もいない場所。

00000「何をおっしゃっているのでしょうか」

誰もいない空間を見つめたまま垣根は言葉を続ける。
359 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/02(火) 18:56:42.79 ID:AvVrlCko0








垣根「出て来いよ、心理定規」








心理「いつ気付いたのかしら?」








360 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/02(火) 18:58:30.80 ID:AvVrlCko0

遮蔽物があったのか、立体映像で錯覚させていたのか、白い空間が切り裂かれたように開く。


出てきたのは純白のドレスを着た十四歳くらいの少女だった。


垣根は少女にも白いドレスにも見覚えがある。

少女の名前は心理定規、『暗部』として活動していた頃の『スクール』のメンバーだ。


そしてそのドレスは

かつて自分が彼女にプレゼントしたもの。


垣根「この部屋に入ってすぐだよ」

垣根帝督は馬鹿ではない。
派手にドアを蹴破ると同時に、スタジオ内の状況を把握していた。

そもそも白と言う色はそのイメージとは裏腹に激しい色である。

雪山で反射焼けをするように雪のような純白は可視光をほぼ100パーセント反射させる。

つまり、色として視認しにくい色なのだ。



何かを隠していると疑うのは当然だ。



睨むように不機嫌な垣根に対し、少女はクスクスと笑うように話しかける。

心理「これで二対二<対等な条件>とでも言うつもり?」

垣根「言わねえよ? そもそもそっち<00000号>は俺の担当じゃねえしな」

心理「あら。一方通行じゃあの娘<00000号>を傷つけられないわよ?」

垣根「あーそっちに関しては安心しろよ」


無感情な目で垣根を見る00000号と今だに伏したままの一方通行を一瞥し、ため息をつく。



少し、呆れたように。

少し、憐れむように。




垣根「とっくに偽物だって分かってるんだから」




00000号が無表情のままピクリと反応する。

心理定規はクスクスと笑ったままだ。

一方通行は



一方「偽……物……?」



垣根の言葉の意味が理解できないでいた。

361 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/02(火) 19:05:45.02 ID:AvVrlCko0

垣根「落ち着いて考えりゃ分かるんだけどな」

呆けた一方通行に呆れながらも、垣根は言葉を続ける。

垣根「そもそもこのステージ自体おかしいんだよ。なんでこんな下準備をしてたか考えろ」


異常なまでに白に染められた空間。

00000号の着ている白い戦闘服<バトルスーツ>。


一方通行を孤立させ

かつて経験した悪夢のような状況を再現する。


一方通行は学園都市最強の能力者だ。

脳に障害が残ろうと制限時間つきだろうとその事実は変わらない。



そんな彼を殺す方法は限られている。



その中でおそらく一番簡単な方法。



垣根「心理定規がここにいる事はあの偽物<00000号>とテメェ<一方通行>の距離を操作してたわけだ。偽物だと気づかれないように」





彼の能力使用の制限時間を超えさせて最強でなくしてしまえばいい。





垣根「そしてそれは最強<一方通行>を倒せる力のない偽物<00000号>で時間を稼ぐためだ」


偽物?


ニセモノ?


その言葉が一方通行の脳にゴリゴリと割り込んでくる。



目の前の00000号が偽物?


362 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/02(火) 19:06:47.61 ID:AvVrlCko0

一方「顔は……それにアイツからは妹達と同じ電磁波が出てンだぞ!!」



妹達<シスターズ>と同じ顔。


妹達<シスターズ>と同じ声。


発電能力者特有の無意識化の電磁波。




全てに心当たりがある。



一万人以上、全く同じものに心当たりがある。



一万人以上その姿と対面し。



一万人以上その存在を殺し尽くした。




垣根「オイオイオイオイ……しっかりしろよ、第一位。顔なんて整形でいいだろうが。電磁波に関しては……言ったろ? 一対三<数の暴力>は好きじゃねえって。ああ、でもそっちは二.五人くらいか?」

ゲラゲラと笑うと垣根は00000号の方を見て一方通行に答える。

垣根「暗闇の五月計画……いや、プロデュースの応用か? 脳みそ植えつけるとは趣味が悪いな」

一方「どォいう意味だ」

垣根「冷静なれば解るはずなんだけどな。それだけ揺さぶられてるって事か」

笑いながら白い翼を広げる。

広げた翼に音速を超えた速度の鉄の塊が衝突する。

弾丸を放った00000号の顔は先ほどまでの無表情ではなかった。



今までの00000号からは想像もできない苦虫を噛み潰したような顔。



垣根「届かねえよ」



一方通行にも向けなかった明らかな悪意を持った顔を垣根に向けている。



垣根「演算能力の強化か演算パターンを似せるため、もしくは他にも目的があるのかもしれないが……破棄されたクローンの脳みそを接続してるんだろ? 趣味の悪い。ああ、一人で二人分の演算能力でも持たせるつもりだったのか? 一つの能力を二つの脳で演算すれば底上げにはなるわな」


渾身の一撃が届かなかった事実より、垣根の一言で00000号の顔が動揺に歪む。




垣根「冷静になれよ、一方通行。あれはお前を殺すために死体漁りまでやった偽物だよ」

363 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/02(火) 19:10:58.52 ID:AvVrlCko0


垣根に言われ、00000号の乱れた顔を見て、一方通行は頭がクリアになっていくのを感じる。


おそらくこのスタジオに入ってはじめて、いや今朝第10学区特別能力者多重調整技術研究所の跡地であの資料を見てからはじめて冷静になれた。



いつの間にか残り一分程度のバッテリーをそのままに能力をフル稼働して全てを感じる。




そして理解する。




そして




怒気と共に言葉に乗せ、大声で放つ。




一方「オイオイオイオイオイオイオイオイ」




怒りの対象は自分自身への不甲斐無さ。


一方「ボケ過ぎてンだろ馬鹿か俺は。馬鹿だろなンで今頃気付くンですかァ!!」



本来の骨格に張り付いているズレた顔。


薬か何かで弄られた雑音の混ざった声帯。


精神能力者の干渉を受けている時の特有の違和感。


00000号から感じられる妹達<シスターズ>の電磁波に重ねられた能力者の気配。




その全てに今気づく。




一方「ククククカカカカカカカカカ!!」



364 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/02(火) 19:12:06.05 ID:AvVrlCko0

泣き叫ぶような慟哭とともに立ち上がる。

時間は十分にある。



垣根「さっさと終わらせろよ。第一位」



自分が手にかけた妹達をさらに踏みにじった偽物<00000号>を殺すには十分すぎる時間が。



視線だけで人を殺せそうな眼光で偽物<00000号>を睨みつけるとそのまま床を蹴る。


余りの威力にメキリと床が軋み、一方通行の姿が消える。


そのまま偽物<00000号>に手を伸ばし、一瞬でその意識を刈り取った。



一方「安心しろよ、殺さねェ。殺してやらねェ」


爆弾云々は嘘だったようで何も起こらなかった。



もっとも一方通行は偽物<00000号>が命を賭しているとは思わなかったし、そんな些事を気にしてもいなかった。




一方「オマエには話してもらう事が山ほどあンだ」



365 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/08/02(火) 19:15:26.68 ID:AvVrlCko0
ちょっと短めですが今回は以上です。

次はむぎのんパートですね。
できるならその次の垣根パートも投下したいですが……どこまでいけるかな。

ちなみに上条さんの竜王の顎は覚醒方向に向かってます。
ただ……黒夜で覚醒したらオーバーキル過ぎるでしょう、と思って覚醒かな? 程度に抑えましたww
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/02(火) 19:46:11.16 ID:vddDNGv20

次も待ってるよ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/08/02(火) 19:57:16.81 ID:lc2b8/I40
乙!!
垣根かっこいいな
368 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:35:02.67 ID:raBmHFF+0
>>1です。
そういえば前回の補足ですが

脳を使って演算強化云々は>>1の完全な妄想ですのであしからず。

今更ですけど。
では投下します。
369 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:37:42.37 ID:raBmHFF+0

麦野「さっさと来やがれガラクタども!! 片っ端からジャンクにしてやるよ!! のんびりテメェらみてぇなのに付き合う趣味はこっちなねえんだからなぁ!!」

フレ「麦野、テンション高……」

AI制御か遠隔制御か、人の入っていない駆動鎧の大群。

人も建物も何もかもを紙屑のように扱う兵器の軍団。


それを麦野は紙屑のように扱っていた。


技術も戦略も何もなく、ただ圧倒的な力<原子崩し>で


壊し


壊し


壊し尽くす。



麦野沈利<原子崩し>の本懐だ。



麦野「ん?」


一通り破壊し尽くし、瓦礫と化した駆動の残骸の遠くにいままでとは明らかに違う駆動鎧が立っていた。


サイズはおそらく五メートル程度の巨体。

数十メートルは離れているために詳しい装備や形状は分からないがどことなくカマキリに似ている。


今までとは明らかに違う雰囲気が漂っている。


『「噂以上の破壊力だな、私のコレクションが玩具扱いだ」』


拡声器を使ったようなノイズの混ざった肉声がカマキリの中から聞こえてくる。

地面に転がる大量の駆動鎧を操作していた人間なのだろうか、目の前の最後の一体には人間が入っているらしい。


麦野「やっと中身入りかよ。さっさとかかって来い×××ヤロウ」

『「聞きしに勝る口の悪さだな」』

麦野「黙れガラクタ。玩具もなけりゃ愛撫もできねぇような××ヤロウが喋んじゃねぇ」


表情の見えないカマキリに吐き捨てる。

相手の目的の予想はついている。

言葉の駆け引きは必要ない。

表情の見えない相手なら尚更だ。
370 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:40:57.08 ID:raBmHFF+0

麦野「狙いは解ってんだ。私<原子崩し>の抹殺と滝壺<能力追跡>の捕獲、だろ?」

『「……口の悪さとは裏腹に頭は冷静みたいだな。伊達に『アイテム』のリーダーではないというところか」』

ノイズ混じりの音声にさらにノイズが混ざる。

中の人間が笑ったらしい。

『「一つ訂正しておくなら『アイテム』の抹殺だ。滝壺理后<能力追跡>の捕獲は努力目標だからな」』

麦野「駆動鎧使って女の子の尻追っかけ回して目的がそれだけって……小せぇな」

『「依頼人<クライアント>が慎重でね。一つ一つ潰せとのお達しだ。私の担当はお前達『アイテム』なのだよ」』

フレ「それで私達を誘き出すためにフレメアを狙った訳ね」

麦野「そっちは分かってた事だからいいとして……こんな無人<中身なし>の駆動鎧<ジャンク>で私の首を取れるとでも?」

『「それらは全て最新鋭なんだが……まあ、学園都市が誇る超能力者<レベル5>の第四位様には物足りないか」』

フレ「というかさっきから私の事を無視してるのが気に食わないんだけど」

麦野「戦力として誤差範囲だから仕方ないわ」

フレ「酷い!!」

『「安心しろ。本命<とっておき>はこれからだ」』

言葉と共に鎌のような前脚が麦野とフレンダの方に向く。


瞬間、麦野が感じたのは恐怖。


超能力も装備もない一般人が銃を向けられた時に感じるもの。

超能力者<レベル5>である彼女が久しく感じた事のなかった感情。


おかしい、と思う間もなくカマキリは続ける。

『「コイツの名前を名乗っておこう。FIVE_Over. Modelecase_“RAILGUN”」』

麦野「ファイブ……オーバー……?」


ファイブ。


レールガン。


告げられた二つの単語から思い浮かぶのは鬱陶しい小娘、御坂美琴<超電磁砲>。



ファイブオーバー。



つまりそれを意味するのは。



『「その名の由来は身をもって知れ、第四位」』



答えに至る前に麦野とフレンダを襲ったのは全てを薙ぎ払う鋼の暴風だった。






ッッッッッッッッッッ!!!!!! 音が消えた。

371 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:43:05.98 ID:raBmHFF+0


転がっていた駆動鎧の残骸を貫き


地面すらも抉り取る弾丸の嵐。


つい先ほど見たオレンジ色の光と同じ線が無数に走る。


第三位の超電磁砲を再現し、それを超えるために連射機能を付けた存在。


故に超能力者超え<ファイブオーバー>。


『「ふむ、耐えれたようだな」』


射撃が開始される直前、原子崩しの盾を用意できたのは『暗部』で過ごしていた時の勘。


生き残るための第六感。


反射的に原子崩しの盾を展開できたのはほとんど運に近かった。


麦野もフレンダも共に無傷。


ただし


フレ「麦、野」

麦野「私は大丈夫。アンタは?」

フレ「麦野の、お陰で」

麦野「攻撃は直線だ。私の背中から出るな」


互いに傷と負ったかのように息は荒い。

理由は簡単。

恐怖に支配されてしまったから。


喉が渇き。


声が震え。


心臓が早鐘を打つ。



放たれた弾丸は原子崩しの盾に阻まれ、二人には届かなかった。


それでもファイブオーバーの脅威は十二分に理解できた。


その圧倒的性能も。



『「ではもう一度だ、原子崩し」』



殲滅するための圧倒的な力が再び二人に襲い掛かる。

372 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:45:07.62 ID:raBmHFF+0


原子崩しの盾を再び展開する。

弾丸は届かない。

しかし問題はその圧倒的攻撃量。


このままでは打つ手がない。


麦野「クッ……ガラクタの分際で……ッ!!」

フレ「ッ!!」

麦野「フレンダ!!」

麦野の展開している盾を迂回するように転がっている駆動鎧の破片が飛んでフレンダにあたる。

フレ「私は、大丈夫……」

破片は小さかったのか傷は目立たない。

ただその肩には赤い血がにじんでいる。


正面に展開した盾が徐々に小さくなっていく。


原子崩しは元々『盾』のように力を留めるのではなく、『線』として射出する能力だ。


故に展開し続ける事は難しい。



『「そろそろ諦めても誰も文句は言わないぞ?」』



轟音の中で敵の嘲笑が聞こえた気がした。



フレ「逃げ、て。結局、麦野だけなら、逃げれるはず」



轟音の中で仲間の悲痛な言葉が聞こえた気がした。
373 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:46:28.29 ID:raBmHFF+0


麦野沈利、原子崩し<メルトダウナー>の最大の弱点は攻撃の際にその能力から面制圧ができない事だ。

それは攻撃という防御ができない事を意味する。


攻撃を当てる事が出来れば目の前のファイブオーバーといえど破壊できるだろう粒機波形高速砲。


しかし、それをする事は刺し違える結果になりかねない。


それどころか今展開している盾を解除した時点で二人とも鋼の暴風に喰われるだろう。

麦野が逃げるだけならば盾を展開したまま逃げればいい。フレンダを見捨てて。


かつての麦野であればそうしたかもしれない。


演算の限界が近づく。


盾がどんどん小さくなる。


背中には傷を負った仲間<フレンダ>。


絶えない弾幕。


『「これがガラクタの力だよ第四位。悪足掻きは止めたらどうだ? それとも死ぬのが怖いのかな、第四位」』




ああ ―――― そうか。




麦野はグチャグチャになっていた頭が理路整然となり、霞んでいた視界が開けた。



音が消え、頭が冴えわたる。



思考が繋がる。



そして溢れて来たのは猛烈な憤怒。




麦野「――けるな」
374 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:47:31.39 ID:raBmHFF+0


死ぬのが怖いわけではない。


元々『暗部』なんて場所で生きてきた命だ。


幾度となく死んでいたはずの命だ。


無理矢理生かされた命だ。


死ぬ事なんて怖くない。



それよりも何よりも怖いのは。




麦野「ふざけてんじゃねえぞガラクタァア!!!!!!」




仲間を失う事だ。



自分の命を救ってくれた。


自分の罪を許してくれた。





自分の命よりも大切な仲間を失う事の方が百倍は怖い。





麦野「人間を舐めるな!! 超能力者を舐めるな!! 原子崩しを舐めるな!! スクラップのクセに吠えてんじゃねぇ!!!!」


叫び声と共に能力を開放する。


膨大な演算に脳が悲鳴を上げる。


ロシアで『体晶』を使った時以上の激痛が走る。


その痛みに呼応するように左の義手が閃光と共に原子の光となり、展開していた『盾』と混ざり、巨大な『壁』となる。


肩口が原子に焼かれ、激痛が走る。


ただそんな事は気にしない。

375 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:48:34.20 ID:raBmHFF+0






麦野「麦野沈利様を舐めてんじゃねぇぞ×××ヤロウ!!!!」







演算の負荷も、左肩の激痛も、何もかもを飲み込んで、左手の『壁』をそのままの大きさで撃ちだした。


極太のビームレベルではない、マシンガンのような連発の面制圧でもない、『壁』そのものを射出し、粒機波形高速砲として広範囲に薙ぎ払う文字通りの面制圧。


白く輝く巨大な閃光が塗り潰す。





土煙りがなくなったそこには、抉れた地面と消え残ったガラクタがあるだけだった。



抉り潰された残骸の脇に幾回りか小さな駆動鎧と見慣れない男が倒れている。


どうやらアレがファイブオーバーの中身らしい。


駆動鎧は壊れ、隣の男も生きているようだが意識はない。


麦野「ハァ……ハァ………ハァ……」

フレ「大丈夫!?」

麦野「アンタは、大丈夫な、の?」

フレ「麦野のお陰って訳よ」


麦野の目の前にはフレンダの笑顔。

笑顔と言ってもボロボロと泣いている。



何がそんなに嬉しんだか。



でも



どうやら私はやりたかった事をやれたらしい。

376 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:51:40.35 ID:raBmHFF+0
というわけでファイブオーバーVSむぎのんでした。

原作で戦う事になる機会があるかは解りませんがとりあえずこのSSでは無事勝利です。

予定通り垣根パートに続きます。

377 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:53:20.92 ID:raBmHFF+0

垣根「んじゃ俺は自分の目的を達成しますかね、と」


00000号が偽物だと分かった時点でこの結末は見えていた。

一方通行の動きを確認すらせずに垣根は振り向いて心理定規に声をかける。


垣根「チェックメイトだ」

心理「そうね。00000号が偽物だとバレた時点で第一位への勝ち目はゼロになっていたし」


明らかに心理定規にとって不利な状況だ。

しかし彼女は何もなかったかのように柔らかい笑顔を浮かべていた。


垣根「で、お前はどうする気だよ。一方通行と俺の距離を調節して殺し合いでもさせるか?」

心理「あなたに私の能力が届かないのは知ってるわ。動揺していた第一位ならともかく私の脆弱な自分だけの現実<パーソナルリアリティ>じゃ……今のあなたには届かない」

垣根「まあ、超能力者<レベル5>の精神操作なんてあの女王様でも容易じゃねえだろうからな」

心理「そうね」


精神操作は万能ではない。

言わば催眠術の強化版。

能力のレベル差の影響は少ないが全く影響しないわけではない。

電磁波による身体制御や強い自分だけの現実<パーソナルリアリティ>の確保によって防ぐ事が出来る。

つまり、00000号の力では勝てない垣根がこの場に来た時点で心理定規の負けは決まっていたのだ。


それなのに。

そのはずなのに。


心理定規は揺らいでいない。


垣根「……何でそっち側についた」

心理「第三次世界大戦が終わって『暗部』が解散して、私は身を隠していた。そしたら私には通告が届かなかった。そこへこの話が来た、それだけよ」

垣根「だから学園都市にもう一度『闇』を、ってか? お前って勝てない勝負はやらない性格だったと思ったんだけどな」
378 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:54:03.02 ID:raBmHFF+0

10月9日、学園都市独立記念日。

『暗部』同士の抗争の最中、垣根帝督が一方通行に挑んだあの日。

心理定規は垣根の隣にはいなかった。


心理定規は一方通行に関わらないと言い、垣根の隣を離れた。

一方通行に自らの能力は意味がないと思っていたから。

少なくともあの時点での彼女の能力では一方通行に効果がなかった。



一方通行を打破しようとしていた垣根帝督の足手まといにしかならなかった。



心理「なぜ『スクール』にしたの?」


その言葉に主語はない。


心理「なぜ『スクール』の名前を使ったの?」


ただそれだけで二人には何かを理解できた。


心理「私に対しての当て付けだったの? 常にあなたの傍にいた私に対しての。そしてあの日あなたの傍を離れた私に対しての」


先ほどまでの涼しい表情をしていた心理定規はそこにはいなかった。

そこにいるのは



大切な人間に裏切られた可哀想な少女が一人いるだけだ。



379 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:55:16.18 ID:raBmHFF+0

心理「答えなさいよ!!」


叫ぶ彼女の姿を見て、垣根は少なからず驚いた。

『暗部』という特殊な状況だった事を除いても『スクール』で共に過ごした時代、彼女のそんな表情を見た事がなかったから。


心理「答えて、よ」


いや、それは違う。

一度だけその顔を見た事がある。


心理定規の幼く整った顔が、信じられないくらい取り乱した事が一度だけ。



垣根「納得したわ」


それは『スクール』ができて間もない頃。

心理定規と他二名を従えての初仕事。


他二人は『スクール』の敵対組織からの構成員だった。

そして敵は『スクール』の軸である垣根を御するために心理定規を狙ったのだ。


垣根「いや、ずっと考えてたんだよ。『闇』の残りカスどもをお前が手伝ってる理由。勝ってもメリットの少ない勝負。勝ち目の薄い勝負。そんなのにお前が乗った理由」


結果、敵対組織ごと潰す形になったのだが垣根はその際に怪我を負った。

死ぬほどの傷ではなかったが出血は酷く、その時着ていた心理定規の白いドレスを真っ赤に染めるほどだった。



これはあの時の顔だ。



垣根「ムカついた」




二度とさせないと誓った表情だ。




心理「自分勝手な言い草ね」

垣根「ん? ああ、お前にじゃねえよ。俺にだよ」

心理「……どういう意味かしら」


予想だにしない垣根の反応に心理定規は怪訝な顔をする。

380 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:58:36.31 ID:raBmHFF+0

垣根「『スクール』の名前を使った理由だったな。一つは『上』の提案だ。元『暗部』の名前を使う事で牽制にもなるし、今回みたいな燻(くすぶ)ってるやつらも誘き出せる。もっとも元々のメンバーは俺しかいなかったけどな」


学園都市の最深部では様々な組織が暗躍していた。

その最深部にとって解散したとはいえ『スクール』の名前はそれだけで価値を持つ。


心理「それがどうかしたの?」

垣根「一つはっつったろ。もう一つは……俺が使いたかったから使ったんだよ」

心理「未元物質<あなた>がいるって証明でもしたかった?」

垣根「ああ、その通りだ」


長い間『スクール』は垣根帝督のものだった。

垣根帝督そのものだった。


垣根「垣根帝督<俺>がここにいるって証明したかったんだよ。どこにいるか生きてるかすら解らないお前にな」

心理「……私に?」

垣根「ずっと探してたよ」


あの日死んだ垣根が目を覚ましたのはとある病院だった。

都市伝説とさえ言われた名医のいる病院で。

奇跡的に生き返る事が出来た。


垣根「生き返ってからずっと」


最初に考えたのはあの日の結果でもなく。

なぜ生き長らえたのかでもなく。

『スクール』がどうなったのかでもなく。


垣根「死んでるかもしれないお前をな」




心理定規<彼女>がどこにいるかだった。



381 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 22:59:49.70 ID:raBmHFF+0

心理「ふざけないで!! どこの誰とも知らない人間をいれて、そんなもので」

垣根「アイツらは今の仲間だ。新しい『スクール』のメンバーだ」


『表』に戻ろうとしている垣根を支えてくれる。

『裏』にいた垣根を受け入れてくれた。

大事な『今』の仲間だ。


垣根「でもな、昔も今もお前は『スクール』のメンバーだよ。そして俺の絶対のパートナーだ」


垣根にとって彼女は違う。


『今』も『昔』も変わらずに代わりのない存在。


垣根「何で今の『スクール』が3人か教えてやろうか?」


『スクール』は補充を繰り返し、常に四人体制での活動を行ってきた。

今のように長期間三人で活動した事などかつてなかった。


垣根「4人目はお前だからだよ。候補はあったが全部俺が却下した」


心理「……今更そんな甘言を信じると思ってるの?」


心理定規の知る限り、垣根帝督は都合のいい男だった。

目的のためには手段を選ばない。


心理「あなたは私も『スクール』そのものさえもただの駒としてしか見ていなかった。ただの欲しい物を手に入れるための道具。あなた<垣根帝督>という王<キング>を守るための駒」


自らの目的のためには犠牲を厭わない。


心理「あなたは大怪我をしたあの日だって、この白いドレスを買ってくれた時だっていつだって、私が欲しい言葉をくれなかった」


感情すらも、関係すらも絡めて目的のために使う人間だ。


心理「そんなあなたの、何を、信じれば、いいと言うの」


心理定規の言葉には徐々に嗚咽が混ざる。

そこにいたのは超能力<ちから>を持った能力者なんかではなく

まだ幼い、一人の少女。

純白のドレスを着た少女。


その姿を見て垣根は改めて理解する。


心理定規を苦しめているのは自分だ。

彼女の姿は闇に囚われたかつての垣根自身だと。

382 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 23:00:37.87 ID:raBmHFF+0

垣根「ああ、駒だ」


それは変えようがない事実。


垣根「ただお前だけじゃない。俺自身も駒だよ。操り手<プレイヤー>じゃねえ。そして俺は王<キング>だよ。そう生きてきた」


目的のために手段すら選ばずに

目的すら忘れていた自分自身。



それでも今も昔も変わらない事がある。



垣根「でもな、お前って姫<プリンセス>の前じゃ騎士<ナイト>になる覚悟と甲斐性くらいは持ってるつもりだぜ?」


垣根は一歩足を踏み出す。


垣根「さっきのムカついたってのは、何も言わずにお前に解ってくれるなんて思ってた俺自身に対してだ」


その能力を解除したままにもう一歩踏み出す。


垣根「あれだけ一緒にいて、精神系能力者の割にはそういう気が利かない性格だってのを忘れてたんだからな」


ゆっくりと、一歩ずつ未元物質としてではなく、垣根帝督として心理定規との距離を縮めていく。


垣根「むしろ見えちまうから鈍感になるのかね」


目の前に立ち、彼女の小さな手を取り重ね、自らの胸に当てる。


垣根「見ろよ、お前の力で。俺からお前の距離を見てくれれば解る」


トクン、トクンと響く垣根の小さな鼓動が心理定規の掌に伝わる。


垣根「自分だけの現実<パーソナルリアリティ>云々じゃねえ。お前の能力は俺に効かない。意味がない」



心理定規の能力は相手を直接傷つける能力ではない。


敵と対面した場合の戦闘手段は距離を調整し、縮めて攻撃対象から外す事。


相手と自分の距離を変える能力だ。



友人のように親しい関係に


家族のような近しい繋がりに


恋人のような愛おしい存在に




しかしその距離が初めから縮まりようがないほどに短いならば、その距離を縮める事は出来やしない。




383 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 23:01:09.47 ID:raBmHFF+0










垣根「これ以上どうやったらお前との心の距離が縮まるんだ?」









384 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/07(日) 23:01:40.10 ID:raBmHFF+0


その言葉と共に二人の距離がゼロになった。




心理「帝督」

垣根「んだよ」

心理「許してくれるの?」



垣根はその言葉に大きく溜息をつくと心理定規を抱く両腕に少しだけ力を込める。







垣根「自分の女のワガママに振り回されるなんてただのご褒美だろ? 言わせんな恥ずかしい。察しろよ」





385 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/08/07(日) 23:05:54.79 ID:raBmHFF+0
※当SSの垣根帝督はイケメルヘンです。用法用量を守って正しく罵倒してください。


あ、精神操作云々に関しては>>1の自己解釈です。
みさきち出てきた時に超電磁砲で解説されるかと思いましたがほぼスルーだったのでこう解釈。

事件はもうちょっとだけ続くんじゃよ。
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/07(日) 23:30:23.71 ID:0/ArcrIa0
キテタワァー
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/07(日) 23:33:23.99 ID:sK3vJUEH0
乙! このイケメルヘンはあっちのイケメルヘンとは別の人なのですね ふむふむ
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)[sage]:2011/08/08(月) 00:09:55.11 ID:X7jccO7AO
>>1

ていとくんマジイケメルヘン!!
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/08(月) 04:00:23.39 ID:LUA18O+Qo
なんだただのイケメルヘンだったか濡れるわ
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)[sage]:2011/08/08(月) 13:10:10.39 ID:8bOttu1q0
ていとくんマジかっこいい
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/08(月) 13:52:43.32 ID:1ez5FKYuo
ていとくンさン
ID変えてまで自演ですかァ?

それより一方さンカッケー
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/08(月) 21:13:45.85 ID:V7LZmPLAO
もうこっちが本編でいいよ

393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/11(木) 22:37:58.51 ID:pg2CXlUDO
垣根△
394 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:05:03.04 ID:HiU/Wkyl0
>>1です。
あれですよね。
15巻しかでてないなのに人気のあるていとくんはすごいですよね。

脳みそ3分割からの復活はないのかなぁ……。

では本日分投下します。
395 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:06:25.19 ID:HiU/Wkyl0

広場はもはや場所が分からないほどに壊れていた。
地面は抉れ、壁や街路樹が嵐の後のように散乱している。

上条「大丈夫か?」

上条は座り込んだままの絹旗に手を差し出す。

絹旗は跳ね除けようかと少しだけ迷った後に、そのまま立ち上がる。

絹旗「……大丈夫です。一人で立てますから」

自分を救った少年。

ずっと見ていたが彼が何をやったかは分からなかった。

分かったのは結果だけ。


自分は安っぽいC級映画みたいにヒーローに助けられた。


なぜだろうか、胸の奥がチクチクする。

上条「どうかしたのか?」

絹旗「ありがとうございました。助けてくれて」

上条「ん? 別にかまわねえよ、仕事だし。それに俺は青髪の指示に従ってただけだしなぁ」

絹旗「仕事?」

原因は分からない。

上条「ああ……って腕章がねぇ!! 絶対なくすなって言われてたのに……不幸だ」

がっくりと肩を落とした上条は周りを探し出す。

ガレキが散乱しているので何が何だか分からない。
もし落ちていたとしてもボロボロだろう。

その姿を見て絹旗はため息をつく。


最初飛び込んできた時はオドオドとしていて

私が止めているのに自信満々に黒夜に向かっていって

馬鹿みたいに熱血して

今はまたオドオドしている。



とりあえずただ自分があれだけ苦戦した状況をいとも簡単に終わらせておいて、涼しげに『仕事』の一言で片付けられるのはとりあえずイライラする。



絹旗「腕章ってどんなのですか?」

上条「ああ。表が風紀委員で裏が」

絹旗「こんなのですか?」

上条「ああ! そうそれ!! ……ってそれ俺のじゃないよな?」

絹旗「私のです」

だいたいの想像がついていた絹旗は再びため息をつく。

想像のついていなかった上条は驚いた表情をする。

上条「……仲間だったのか」

絹旗「分かってなかったんですか?」
396 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:07:36.36 ID:HiU/Wkyl0

上条「いや、とりあえずあの状況なら止めるだろ?」


絹旗は何かを言いかけてそれを止める。

何というか馬鹿馬鹿しい。

こんな落ち着かない男の行動にいちいち反応するのは疲れてしまう。


ただ


目の前のツンツン頭が私を誰か知らなかった事に驚いた。

先ほど言っていた言葉は掛け値なしの本心なんだろう。

他人が傷つくのや不幸になるのを見て見ぬ振りができないんだろう。



ただの馬鹿ではなくてすごい馬鹿なんだろう。


慌てふためいている姿を見てなぜだか納得してしまう。

そんな事を考えている絹旗の耳に飛び込んだのは

上条「にしても……こんな小さな子まで」

上条の(本人にとって)何気ない一言だった。



ピキリ、そんな音がした気がした。



絹旗「……小さな子?」


絹旗が拳を固く握り、ブルブルと肩を震わせている。

諦め半分で腕章を探している上条は気付かない。


故に


上条は(本人にとって)何気ない言葉を重ねる。


上条「だってそうだろ? 人手不足かもしれないけどこんな小さな――」


ゴン、と鈍いコンクリートが砕ける音がした。


何が? と思い上条は顔を上げる。


上条「あの? どうされました?」


そこには先ほどと変わらない笑顔を浮かべた少女がいた。

先ほどと変わらないが変わっている。

思わず敬語になった。

そしてこれは上条がよく経験する場面に似ている。


とある少女が彼の頭を噛み砕く直前の雰囲気だ。

397 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:08:31.90 ID:HiU/Wkyl0






絹旗「遺言をどォぞ」






言葉と共に発されるのは先ほどの戦闘以上の狂気。

目の前で巨大なハンマーを振り上げられたそんな感覚。


上条「えーと……不幸だーー!!」

絹旗「超自業自得です!!」



叫び声をあげて逃げる上条を削岩機のような音を出す絹旗が追いかけている。


398 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:10:01.92 ID:HiU/Wkyl0

駆動鎧に乗っていた男が気絶している事を確認すると麦野は振り向いて建物へと歩き出した。

麦野「さ、フメレア呼んできて移動するわよ」

フレ「うん」

地面にへたり込んだままのフレンダを立ち上がらせる。

すべき事は山ほどある、敵はまだ残っているだろし滝壺と絹旗の様子も気になる(ついでに浜面も)。

何から手を付けるにしても一度移動をしなくては。



ザリ。


ブーツと地面が擦れる音が聞こえ、麦野は思考を中断する。



黒夜「シルバークロース……任せろって言っといてこれかよ」



誰かの声が聞こえ振り返る。


黒夜「所詮ガラクタはガラクタって事か、ザマねぇな」


少女がいた。

黒髪の少女だ。

服装以上に体の側面から伸びた『腕』のような機械が目に入る。


麦野「誰だアンタ」

黒夜「初めまして、第四位。殺しに来たぜェ」

麦野は返答をする代わりに原子崩しを放つ。


自分の状況。

相手から感じられる威圧感。


それを考えれば四の五の言っていられない状況だ。


だが

黒夜「これが原子崩しねェ……思ったよりなンかなァ。ま、消しゴムよりゃ有能か」

黒夜は原子崩しをいともたやすく避ける。

演算に時間がかかったせいもあるのだろうが原子崩しは粒機波形高速砲、簡単に言えば光線だ。

敵はそれを避けれるほどの能力者。


言葉を返すわけでもなく、麦野は黒夜とフレンダの間に入る。


399 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:10:53.35 ID:HiU/Wkyl0

フレ「麦野……?」

黒夜「何のつもりだァ」


先ほどファイブオーバーと戦った時と同じように。


麦野「フレンダ。さっさと妹を回収して逃げなさい」

フレ「ッ!! 何言ってるの?」

麦野「早く!!」

敵との戦力差は歴然。

ならば選ぶ道は一つ。


故に麦野は迷わずにその道を選択する。


ただその行動は黒夜の逆鱗に触れる。


麦野は知る由もないが今の黒夜はかつてないほどに荒れていた。



弱者を守ろうとした一人のヒーローが原因で。


今の麦野と同じ行動が原因で。


黒夜「逃げれると、逃がせられると思ってンのか?」

麦野「逃がせないと思ってんのかよ」


だから今の黒夜のは麦野の行動の一つ一つが、放つ言葉の一言一言が癇に障る。


黒夜「だったら足掻いてみろよ、原子崩し」


黒夜の全ての『腕』から透明な槍が形成される。

原子崩しで荒れ果てた畑になっていた地面がさらに荒らされる。


麦野「ッ!! フレンダ逃げろ!!」


麦野は精一杯の声で叫ぶ。

同時に原子崩しを展開させようと演算を開始する。


黒夜「アイツといいアンタといい……そンなにお友達がヤられンのが嫌か」

400 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:12:11.52 ID:HiU/Wkyl0


麦野「アイツ?」


麦野は黒夜の言葉に疑問を覚える。

黒夜は麦野を通して何かに怯えているような気がする。

麦野を見ていないのではなく、麦野の背中に誰かを感じているのような不自然な感覚。


黒夜「終わりなンだよ!! 力がないヤツは誰も守れねェンだ!!」


黒夜はまるで泣き叫んでいるようだった。

必死に何かを否定するような、打ち消すような、抵抗するような懇願の声。


それはフレンダを守ろうとする麦野自身への

たった数分の対峙で黒夜のアイデンティティを揺るがした一人の少年への

揺らいでしまった自分自身への



悪意を孕んだ必死の抵抗。



麦野「逃げ、逃げろフレンダ!!」

黒夜「死にやがれェ!!!!」




窒素爆槍<ボンバーランス>で地面が抉れ、駆動鎧の残骸が飛び散った。





麦野「フレンダぁぁぁぁぁああああああああ!!」





叫び声は土煙の中に吸い込まれるように消えていく。



401 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:13:10.93 ID:HiU/Wkyl0


絹旗「まったく、こんな超グラマーなレディを捕まえておいて」

上条「え?」

絹旗「何かァ?」

上条「ゴメンナサイ」


絹旗に追い回されボロボロになった上条は土下座をしていた。


絹旗「そういえば」

上条「どうした?」


上条を追い回し、すっきりしたのか絹旗はふと思い出す。

黒夜やツンツン頭のせいで忘れていた思考。


絹旗「いえ。私が心配するなんて超おこがましいですね」

上条「?」

絹旗「私の仲間の事ですよ。どうやったって死なないような人が二人と何だかんだで死なないような人が一人。そして殺されたのに死んでなかった人の話です」


言葉の通りの四人の仲間を思い出す。

唯一ヘマをしそうなおっちょこちょいは殺されたのに死ななかったため。

だから今ではそのイメージが一番できない。


上条「……なんか物騒な話だな」

絹旗「まあ、超事実ですし」



どうにも複雑な表情をした上条をよそに絹旗は空を見上げ退屈そうに呟いた。




絹旗「どう考えても死ぬところなんて超想像できませんから」



402 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:14:38.36 ID:HiU/Wkyl0

視界を覆い尽くす粉塵は高く舞い上がったままだ。


言葉が出てこない。


突きつけられたのは


自分が超能力者<レベル5>なんて強い力を持っていても仲間一人守れないちっぽけな存在だという現実だけだ。



黒夜「ンなに大事なら首輪でも付けてりゃイイのにねェ……欠片くらいは残ったかァ?」



麦野は膝から崩れ落ちた。





青髪「どーしたん? まるで世界が終わったみたいな顔しとるで?」





聞き慣れない声に顔を上げると砂埃が動きだし、竜巻のような球状になる。


しばらくして竜巻は弾け、視界が開く。


そこには青い髪の男とフレンダがいた。


青髪「いやー危なかった危なかった。あと数秒遅れとったら全部手遅れやったね」

フレ「私は、大丈夫って、訳よ」

そういうとフレンダががくりと倒れ、青髪の男に支えられる。

麦野「フレンダ!!」

青髪「大丈夫やで。気ぃ失っただけみたいや」


駆け寄った麦野がフレンダの顔を覗き込むと疲れ果てたように寝ている。

よかった、そう思いフレンダを抱きしめる。

403 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:15:48.60 ID:HiU/Wkyl0

黒夜「誰だテメェは」

青髪「お前に名乗る名前なんてない!! ……とか言うべきなんかね。帝督なら言いそうやなぁ、ナルっぽいし。カミやんは普通に名乗るかも知れんね」


突如現れた青い男に黒夜は驚きを隠しきれない。


男が現れたタイミング

無効化された窒素爆槍<ボンバーランス>


まるで先ほどの焼き回しだ。


冗談じゃない。

あんな男みたいなのがもう一人いてたまるものか。


黒夜「どォやったか知ンねェけど……マグレは二度目続かねェぞ」


黒夜は全ての腕と悪意を目の前の青髪<敵>に向ける。


麦野「逃げろ!!」

青髪「何で?」

麦野「足手まといが二人もいてどうにかなる相手じゃない!!」


相手の能力はおそらく大能力者<レベル4>クラス。

重ねて二人の戦闘不能者。

目の前の青い髪の男がどんな能力を持っていようがどうにかなるとは思えなかった。


そんな麦野の言葉を聞いて青髪はニコリと笑うと話し出した。


青髪「足手まとい? ボクには可愛い女の子しか見えんけど?」

麦野「へ?」


あまりの場違いなセリフに間抜けな声が出る。

超能力者<レベル5>の私でさえ動揺し、諦めかけているこの状況でこの男は何を言っているんだろうか。

そもそもコイツを囮にしてさっさと逃げてしまえば――そんな混乱した麦野をよそに青髪は笑いながら続けた。


青髪「可愛い女の子が後ろにおるのに逃げるなんてボクにはできへんね。いいとこ見せんと。それに逃げる必要なんてあらへんよ。ボクが――」

黒夜「私を無視してンじゃねェ!!」


轟音。

まさにそう表現すべき音に遮られた言葉を麦野は確かに聞いた。





ボクが―――守ってあげるで。


404 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:17:20.21 ID:HiU/Wkyl0

黒夜「何を……何をしやがったンだ!!」


黒夜の腕から伸びた槍は青髪に届くことなく消えた。


正確に言えば拡散した。


幻想殺しのように強制的に掻き消されるわけでもなく

窒素装甲との衝突で干渉しあったようにでもなく



糸の結び目を綺麗に解くように優しく丁寧にバラバラにされた。



理解が追い付かない。

目の前にいるのは青い髪の優男。

初めて見るデータにすらない男。

そんな男が何かをしている。


そしてそんな男がどうしているかと言うと

青髪「ヒ・ミ・ツ」

クネクネと動きながら指を振っている。


黒夜「ふざけンじゃねェ……」


黒夜は頭が沸騰するのを自覚する。



怒りが。

怒りが。

怒りが。




目の前の青い髪に対しての憤怒が全身から湧き上ってくる。




黒夜「ふ、ざけてンじゃねェぞォォおおおお!!」



もう一度全ての腕から最大出力の窒素爆槍を生み出した。


先ほどよりも強大な、比べ物にならないほどの不可視の槍が出来上がる。


轟音を携えて青髪に迫る。


が。


405 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:17:49.19 ID:HiU/Wkyl0










青髪「幕引きや<Il gioco e finito>」









406 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:20:04.80 ID:HiU/Wkyl0

トン、という小さな音が響く。


同時に


黒夜「ッ!!」


黒夜の体を圧倒的な力の塊が押しつぶした。


窒素の槍は解かれ、体は地面に縫い付けられたように動かなくなる。


本来の二本以外の腕は無理やりもぎ取られ地面に這いつくばった蛇のようだ。


どうにか顔を上げると、青い髪の男が変わらない笑顔だった。


青髪「ボクはカミやんほどお人好しじゃないんよ」

黒夜「何……もン、だ……!!」


一方通行と同じ演算式を使用した窒素爆槍をいとも簡単に解き

一瞬で人を高速するほどの力場を発生させる。


思えば最初に登場した時もおかしかった。

周囲には誰もいなかったはずなのにこの男は一瞬で窒素爆槍の中心に現れた。



そんな能力者の存在がデータにないはずがない。


なのに目の前に存在する。


青髪「イチ高校生や。もしくはただの愛の戦士やよ」



意識が薄れていく黒夜が最後に聞いたのは青い髪の男のおどけた声だった。



青髪「あ、もしもーし。こっちは終わりましたよー、カミやんや帝督の方は――」


麦野が状況を理解する前に、圧倒的な力の差によって全てが終わってしまった。


敵も、それを倒したこの男もいったい誰なのだろうか。
407 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:20:58.99 ID:HiU/Wkyl0

青髪「さ、行こか」

麦野「アンタは何だ」

青髪「自己紹介なんて後でええやん」

麦野「どこの誰だ」

青髪「とりあえず君と後ろの子の怪我の手当てが先やろ?」

麦野「誰だっつってんだろうが!!」


反射的に原子崩しが出る。

今の精神状態であり得ないくらいスムーズに。


しかし


白い閃光は届く事なく霧散する。


麦野「ッ!!」

青髪「そこまで元気なら大丈夫そうやね。そっちの子は傷より疲れの方が問題見たいやし……あーこっちです、こっち」


数台の車と共に何人かの警備員が来るのが見えた。


青髪「さて、行きますか」



そういうと青い髪の男は意識のないフレンダを背負い、麦野を正面に抱きかかえた。



麦野「え」



俗にいう、お姫様抱っこの体勢だ。



麦野「ッ!! 離しやがれ!!」

青髪「んじゃ、あとお願いします。ボクはこの子ら病院連れてくんで」

麦野「離せっつってんだろクソ×××が!!」

青髪「演算も満足にできんのに……たまには守られるだけの女の子でもバチはあたらんで?」

麦野「ッ!!!!」


そういうと青髪は二人の少女を抱いて飛び上がった。

408 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:27:56.84 ID:HiU/Wkyl0
一応補足しておくと

上条絹旗のくだりは麦野達の戦闘より前に行われてます。

黒夜さんがいっぱいいるとか瞬間移動したとか実は猫耳少女だなんて事はありません。
409 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:29:27.91 ID:HiU/Wkyl0

夕刻の研究所。

学園都市内ではなく、外部にあるとある研究所。
割れた窓ガラスからオレンジ色の光が差し込んで暗い室内を染めている。

土御「『多重能力者研究』『暗闇の五月計画』『プロデュース』『量産型能力者計画』」
  「『暴走能力の法則解析用誘爆実験』『幻想御手<レベルアッパー>』『絶対能力者進化計画』」

土御門は言葉と共に一枚一枚、纏められた計画書をめくり、床に落としていく。

土御「よくもまあ、学園都市の『最深』の研究ばかり集めたものだ、天井亜雄」

目の前には椅子に座った一人の男がいた。

黒髪で白衣を着た男だ。

土御「『体晶』と『幻想御手』を合わせた能力者の暴走操作」
  「『プロデュース』『暗闇の五月計画』『量産型能力者計画』を利用した多重能力者」
  「それをサイボーグで補って完成させるとはな」

彼らのしたことは単純だ。

『量産型能力者計画』で殺された妹達<シスターズ>の脳を利用したのだ。


時に意識をなくしたものを操るコントローラーとして。

時に他者を偽り、その能力を使うためのデバイスとして。


土御「反吐がでる」


そう吐き捨てて地面の資料を踏みにじる。


手塩「土御門。まだ、始末してなかったのか」


背中から声がかけられる。

手塩恵未。


学園都市唯一となった『暗部』のメンバーだ。


土御「ま、お陰でいまだに実験を諦めなていなかった木原一族の残党や利権を貪りたかった出来損ないの統括理事が捕まえられたがな」

手塩「速やかに、行動をしろ」

土御「心配はいらない」

手塩「?」


部屋の入り口にいた手塩が入る、そこにあったのは椅子に座ったまま事切れた天井亜雄の死体だった。


手塩「……なぜ、死体に話しかけていた?」

土御「冥土の土産ってやつだ」

手塩「死体相手にか」

土御「研究者ならば自分のやった事の結果くらいは知りたいだろうと思ってな」
410 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/14(日) 00:30:30.48 ID:HiU/Wkyl0

土御門は落とした資料に火をつける。

既に下準備は終わっている。

火はすぐに燃えあがり、数分後にはこのビルは火に包まれて証拠はチリ一つ残らず灰になる。



土御「生きてる内に話すなんて、そんな反撃の機会を与えるような真似ができるほど自信家じゃないからな」



大きくなる火を尻目に、二人は歩き出した。



手塩「お前は、なぜこちら側に、戻って来た?」


かつて存在した『暗部』の多くは10月9日にほとんど壊滅していた。

構成員の残っていた『グループ』『アイテム』『スクール』も今は『学園都市直轄治安維持組織』などと言う仰々しい名前の『表』の組織となった。


しかし、それだけで守れないものもある。

それを守るための学園都市唯一の『暗部』。




学園都市を守るために組織された『裏』の汚れ役だ。



人質で使われているわけでもなく

誰に強制されるわけでもなく



土御「『表』に戻った『グループ』だけじゃ守れないものがあるからだ」



自らの意志で動く者たち。



土御「砂皿とゴージャスパレスはどうした?」

手塩「既に、撤収準備を終えて、待機している」

土御「今日は大人しくしてるんだろうな……この前みたいなのはゴメンだぞ」

手塩「この前?」

土御「アイツら後方支援<自分たちの仕事>が終わったからってイチャイチャしてたろ? 気不味い事この上なかった」

手塩「それは、私の知るところでは、ない。それに、砂皿は拒否を、していただろう」

土御「満更でもなさそうだったけどな……まあ、いい。さ、帰りますかね。学園都市<俺達の町>に」
411 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/08/14(日) 00:37:35.09 ID:HiU/Wkyl0
と、いうわけでやっとこさ12/12終了です。
何か月かかってんだか……遅筆すみません。

今後は

後日談のようなもの→ドタバタ日常→クリスマスにて3チーム会合パーリィ

の予定です。

原作発売とかSP発売とかいろいろありましたねー。
そしてそれ以上に未那フラグがびっくりです(この言葉で分かる人間はこのスレにはいないかもですが)

後日談は早目に投稿できると思いますがドタバタ日常篇は少し時間かかります。
ご了承ください。

412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/14(日) 01:00:56.57 ID:Z0UwQWiDO
>>1乙!!
来てくれてありがとう!!
青髪に惚れたけど
>>1には更にアーックア!!だったぜ///
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/14(日) 01:03:40.11 ID:Z0UwQWiDO
連レスすまん
ちと待て
二人共フラグ立っt(ry
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)[sage]:2011/08/14(日) 07:38:51.75 ID:qLRIz2aW0
青ピもフラグ立てたのか
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/14(日) 12:02:59.70 ID:lx2tYyTq0
                 /
                     /
            _   _.. -{- .._
              `ア´ : : : : : : : `ヽ.
           . : :/: : :/ ハ: :}h: :\__
         /: :/: : 7爪/  }仏 }: :ト-'′
          . :/リ :从{_}  {_} {: : .、
          {: :{/{〔 、、、    、、}}: い
         人: :/`弌u 匚 ]  人ト、|
         ノイ{: :/{: {≧rz:≦∧从  い、>>1
              、{ 爪 {]  {_] ̄\
    (\       /L.Y^仁〔/   ∧
    '77、`‐n  h ∧ | / /      ハ
   └{ { 「L.爪  /  }  {{く 【]   }   l、
    `¨て´  ∨  {   r‐ 、__  ∧  ∧
      β\  _}  .ハ rU7  `マ⌒¨   }
     ∴  \__/ 人 `¨L{_{_,厶qqo-‐'′
    : ;        〕       人
      ※       /  _}       ハ
    〔 ::: \   /  /人      }
      \/|  └イ ─╋≒┰─r〈]
      |噐|   √  │  │ │ }、
      |/ _/ {   ‐╋─╋─|‐八
          {ヘ,√⌒でつ'⌒¨⌒7⌒ゝ
           ∀    /〜!    /¨´
           /   /  |    /

416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/08/14(日) 23:52:13.19 ID:gW+CdzaD0
ooooooooo
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/16(火) 23:24:17.76 ID:SL/szh4F0
        { `¨⌒}
          ..>'⌒'〈
        {__,,ノ´ 、}
       {___,,ィ ,〉
           { リ'^i
           、{_,ノ
           | -‐…‥‐-  .,,_
           i: : : : : : : : : : : : :`丶、
           l: : : : : : : : : : : : : : : : :\
           l: :/: : : : : : : : : : : : : : : ` 、
           |/: : : /: /: :/: : : : : : : : : : : :'.
           |:,_:_:/|:〃 /:/ : : : : : : : : : : : :
             〔_、{`刈、:|: | : : / : : : : : : : : :
           i==ミぃW|/|: :/: : _j: : : : : : : :
           :'⌒i 犲i  |/|: :_/ }: : : : : : : :
           トrリ }}   .ノイ}`メ:i:| : : : : : :
           |ミ    _    =ミ: :从:| :i: : : :
           l     i|{、_  '⌒i 狐\/: : : :
           |  r    ミ.トrり }}i|从 : : : :
           | _   ´    `弌 ノ代:八: : : :
             〔_ `Y           '| / : : :、ト、|
           ト .`’       / /|: : : : : :
           |        . イ-イ: :|: : : : : :|
       , /   _}├‐…=≦{:! : |: :|: |: : : : : :|
     { {'⌒¨´ ̄`'く_/ 从: :|: :|: |: : : i: : :
       `て¨i≧r‐ } _/ }iW|: :∧: |: : : |ト、
      、_{'⌒¨´ ̄`ヾ     ∨八{ }:i|: : : || .
      `下≧zr‐ }}    \__ノ リ }: :リ  }
         (⌒“ ̄`Y”,    ⌒て¨}ノイ .ノ'
       、(⌒¨⌒'〈、‘,      '.
          `で下.,__}} ‘.       }、
          {」 ,リ      .≠⌒i
             i | √}     |_/    }
             i 「 }八   ´}      ノ

418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/17(水) 09:33:18.63 ID:W7qOnP3no
おまえらAA早すぎだろWWWWWW
419 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/17(水) 17:48:05.23 ID:5Lu3WJlC0
AA早ぇぇぇ!!
あ、>>1です。

にしてもレイヴィニアって小萌先生系かと思ったらガチ幼女っぽいですね。
では本日分です。
420 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/17(水) 17:50:19.53 ID:5Lu3WJlC0

12月13日
とある第7学区の病院

上条「結局昨日は何が起こってたのか上条さんには把握できませんでしたよー」ハァ

青髪「そもそもいろいろ並行して事件が起きとったからねぇ。全体像把握できたのなんて一握りやない?」

土御「それにカミやんは知ってても理解する頭がないから知る必要ないにゃー」ケラケラ

垣根「それは一理ある」

海原「皆さんなんていいですよ。自分なんていきなり風紀委員の支部に連れてかれてここで待機とか言われたんですよ? しかも連絡取れなくてそのまま夜まで放置されましたし」ウノ シテマシタ

浜面「気付いたらいろいろ終わってたんだよなぁ……無事だからいいんだけどさぁ」

上条「まるで上条さんが馬鹿だって口振りだな」オイオイ

土御「違うのかにゃー?」ニヤニヤ

上条「ケンカ売ってんのか?」アアン

垣根「でもそれ事実だろ?」

上条「垣根まで……」OTZ

海原「昨日学園都市内にいなかった人間がよく言いますね」ジトー

土御「野暮用だったんだぜよ」

浜面「病院では静かにしようぜ……」ハァ

青髪「それでカミやん、昨日は何人フラグ立てたんや?」

上条「何の事だよ。フラグも何も警備員の車に揺られて能力者の暴走止めてただけだっての」ハァ

土御「本当かにゃー?」

海原「そう言えば皆さん今日の午前中は何していらしたんですか? 自分は知り合いのお見舞いですが」フタリホド

垣根「俺も知り合いの見舞いだ」

土御「彼女の間違いじゃないのかにゃー?」ボソッ

垣根「な!!」ナゼソレヲ

浜面「俺は……半蔵…知り合いと連絡取ってた」ブジデ ヨカッタ

青髪「ボクは暇しとったんやけどねー。カミやんは?」

上条「……事情聴取に付き合ってた」ヒトヅカイ アライ
421 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/17(水) 17:52:32.89 ID:5Lu3WJlC0

垣根「そんなのあったのか?」ハツミミダ

上条「何か……能力が暴走した六人に対する事情聴取で念のためにって俺が呼ばれたんだよ」

青髪「あーカミやんが頭を触ればすぐに演算止まるからやね。ホンマ便利やね」コウ、テヲポンット

浜面「撫でるみたいな感じか?」シラナイケド

土青「………」ジトー

上条「………」イヤナヨカン

土御「時にカミやん、その六人の性別は?」

上条「……性別とか別に関係ないだろ?」アセアセ

青髪「……帝督。昨日助けたの何人? んで性別は?」

垣根「ん? 俺は女の子二人だけど」

青髪「そしてボクとカミやんで女の子一人助けとるねぇ」

上条「………」ダラダラ

海原「ああ、昨日の犠牲者でしたら六人全員女性の方ですよ」

上条「なぜそれを!?」

海原「昨日自分がいた風紀委員の支部が情報管理の担当でしたので」ニコ

青髪「しっかりフラグ立てとるやないかい!!」フザケンナ

土御「天が許しても俺達が許さんぜよ!!」ムキー

上条「だああああ!! ふざけんなあああああ!!」ムジツダアアアア

垣根「騒がしいやつらだ」ハァ

海原「まったくですね」ニコニコ

浜面「にしても六人で見舞うのは多いから二手分かれるか。病室は二つだっけ?」

海原「自分と土御門さんは一方通行さんの方へ行きます」ウチノ チームデスノデ

垣根「俺も一方通行の方だ」

浜面「んじゃ残りの三人で麦野の方か……怖いな」
422 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/17(水) 17:54:05.60 ID:5Lu3WJlC0

結標「貴方が入院してベッドにいるっていうのも結構シュールな光景ね」クスクス

一方「……結局どォなったンだ?」

結標「私は知らないわ。昨日は海原と滝壺理后の護衛だったし」

一方「入院してンのは俺だけか」

結標「『アイテム』はそこそこの被害が出てるみたいね。二人が怪我、第四位が貴方と同じで一週間程度の入院だって。詳しくは土御門が説明に来るそうよ」

一方「……チッ」

結標「貴方の活躍もあって事態は無事納まったそうよ?」クスクス

一方「……」

コンコン、ガラガラガラ

土御「一方通行元気かにゃー?」

海原「元気じゃないから入院してるのでは?」

土御「まーそうだけど聞くのが定番ぜよ」

海原「その通りですけどね」

垣根「……」

結標「騒がしいわね……」ビョウインナノニ

一方「……何でクソメルヘンまでいンだ」

土御「まとめて説明しとこうと思ってな。それにお前を助けた人間だ、見舞う権利くらいはあるだろ」

一方「チッ……好きにしろ」

結標「何この空気」ヒソヒソ

海原「第一位と第二位が仲が悪いって噂は本当だったんですね」ヒソヒソ

土御「今回の事件の報告だが――」
423 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/17(水) 17:58:20.48 ID:5Lu3WJlC0

滝壺「みんな無事でよかった」

絹旗「でも麦野が一番重傷とは……世の中超解らないものですね」

フレ「結局、私の怪我が軽いのは麦野のお陰って訳よ」フフン

絹旗「私は……あの超ウニみたいなツンツン頭は誰だったんでしょうか?」チョウエラソウ デスネ

滝壺「私はうなばらにむすじめ、はまづらがいたから大丈夫だった」ナニモ ナカッタ

絹旗「護衛が3人も……超ビップ待遇ですね」

フレ「ま、結局浜面はいてもいなくても同じだったと思うけどね」ケラケラ

麦野「………」

滝壺「むぎのどうしたの?」キョトン

麦野「……私何かがリーダーでいいのかなって思って」

フレ「……何言ってるの?」

麦野「今回の事件を治めたのって『アイテム』以外のチームらしいし、フレンダの妹の事も私がもっと早めに気付いてれば防げたんだと思う。私は何もできてない」

絹旗「何言ってるんですか? 麦野は超頑張ってるじゃないですか」

フレ「結局、麦野がいなかったら私は死んでたって訳よ」

滝壺「私達のリーダーはむぎのしかいないよ」

麦野「………」

絹旗「弱気になるなんて超麦野らしくないです」

フレ「怪我で弱気になっちゃった?」

滝壺「これからもよろしく、むぎの」

麦野「……ありがと」

フレ「あーそうそう。頼まれたモノ持ってきたよ」ガサゴソ

麦野「あーありがとフレンダ」

絹旗「頼まれたモノってなんです?」

麦野「病院着が肌に合わなくてね。買ってきてもらったの」ヌギヌギ

滝壺「そういえば二人の怪我はどうなの?」

絹旗「私は何だかんだでそこまでではないです」ム、オオキイ

フレ「私も激しい運動しなければ2、3日で完治。自慢の脚は傷一つないわよ☆」ムギノ ハダキレイ

滝壺「それはよかった」スベスベダネ

ガラガラガラガラ

浜面「麦野ー元気かー」

上条「っつーかノックくらいしろよ。いくら知り合いとはいえ」

青髪「カミやんが常識を語るとどうにも違和感しか残らんね」ゲラゲラ

麦滝フ絹「」

浜上「」

麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ、確定だ×××野郎どもぉぉおおおお!!!!!!」メルトダウナー ミダレザキ

浜上「ぎゃああああああああああ!!!!」
424 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/17(水) 17:59:51.94 ID:5Lu3WJlC0

結標「……統括理事の8人が黒幕ってほとんど全員じゃない」ゼンインデ12ニンヨネ?

海原「よく無事に解決できましたね」

土御「向こうに手駒が少なかった上に荒事に慣れていない理事ばかりだったからな。大きな被害が少なかったのは奇跡に近い」

垣根「残りの理事は全てこっち側って事か」

土御「その通りだ。事件のお陰でその手の研究は全て破棄。すぐに破棄できないものは無期限で凍結だ」

海原「雨降って地固まると言ったところでしょうかね」

土御「不服か? 一方通行」

一方「別にィ」

土御「そうそう、依頼主<クライアント>から伝言だ。『今回の件は全て私達に落ち度があります。不満があるのならこのまま『グループ』を抜けていただいてかまわないです』だそうだ」

一方「………」

結標「これからの活動どうなるの?」

土御「表向きは風紀委員として活動する。あとはそのままだ」

海原「反乱分子のほとんどは消えましたから、かなり楽になるでしょうね」

垣根「だろうな」

土御「お前達はどうするんだ?」

結標「私は続けるわ」

海原「自分もです」

垣根「俺もだ。ま、俺は『スクール』だけどな」

一方「……伝えとけ。オマエらだけには任せらンねェから俺がやってやるってなァ」

土御「解った」

結標「素直じゃないのね」クスクス

海原「まあ、彼ですし」ニコニコ

土御「男のツンデレは見苦しいにゃー」ニヤニヤ

一方通行「黙りやがれェ!!」
425 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/17(水) 18:03:05.38 ID:5Lu3WJlC0

浜面「」ボロボロ

上条「ふ、不幸だ……」ミギテイガイ ボロボロ

青髪「だからノックするべきやって言うたやん」ケロッ

フレ「結局、浜面はキモいのよ」

絹旗「というか何でこの人は超無傷なんですか?」コノ アオイヒト

滝壺「そんなはまづらは応援できない」

麦野「そもそも何でアンタがここにいるのよ、青いの」ギロリ

青髪「あー……そういえば自己紹介する暇なかったねぇ」

フレ「麦野の知り合い?」

麦野「知り合いと言うか……フレンダは昨日あの場にいたじゃない」

フレ「へ? 昨日……あー最後の方は記憶があいまいで……」アハハ

絹旗「あ、超よく見ればそこにいるのは昨日私を助けた超ツンツン頭じゃないですか」

上条「おー元気みたいだな」ヨカッタヨカッタ

青髪「カミやん……こんなロリっ子にまでフラグ立てとったんか」ハァ

絹旗「超ナイスバディーな私を捕まえて超ロリっ子とは失礼ですね!!」チッソパンチ

青髪「というか二人ともそろそろしゃんとしいや」パシ

絹旗「ッ!! 私のパンチを超簡単に受け止めた!?」

フレ「な、何者?」

浜面「いたたたた……」

上条「お、復活した」

滝壺「はまづら、二人は誰なの?」

浜面「あー俺もさっき聞いたんだけど『アイテム』以外の『統括理事会直轄治安維持組織』のメンバーだとよ」

青髪「せやでー」クネクネ

フレ「こ、こんなのが」キモイ

上条「こいつと同じカテゴリにされるのは非常に不本意だ」
426 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/17(水) 18:05:32.42 ID:5Lu3WJlC0

麦野「で、名前は?」

上条「上条当麻、えーっと……『スクール』のメンバーだ」

麦浜滝フ絹「!?」

上条「え?」ナニ ソノ ハンノウ

青髪「あー前言ったやん。『スクール』は元々『暗部』の名前やって。安心してやー、今は君ら『アイテム』と同じやから」アッハッハ

絹旗「そうなんですか、超びっくりしました」

浜面「『アイテム』以外のチームって『スクール』だったのかよ……」シランカッタ

麦野「で、アンタは?」アオイホウ

青髪「青髪ピアス」ドヤァ

フレ「……それ名前?」

青髪「事情があって名前は明かせんのや、堪忍してや」クネクネクネ

上条「……お前いつもそればっかだよな」ハァ

滝壺「何て呼べばいいの?」

青髪「好きに呼んでやー」ミンナ アオピッテ ヨブデ

麦野「そんなヤツを信用しろってか?」

青髪「仲良うなった女の子には教えとるで?」クネクネ

フレ「何なのコイツ……」キモイ

絹旗「超信用できないんですけど」チョウキモイデス

上条「それ前にも聞いたけど第六位関係か?」

麦浜滝フ絹「第六位!?」

浜面「っつー事は超能力者<レベル5>かよ」

青髪「ああん、カミやんばらしちゃあかんやん」プンスカ

上条「え?ダメだった?」キミツ ダッタノカ?

青髪「秘密にしといて驚かすつもりやったのに」クネクネ

上条「知った事かよ!!」シンパイシテ ソンシタ
427 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/17(水) 18:08:29.90 ID:5Lu3WJlC0

絹旗「第六位って実在したんですか……」

滝壺「どういう意味?」

フレ「第六位って第一位とかよりも情報不足で実在しないんじゃないかって言われてるのよ。正確には言われてた、ね」メノマエニ イルシ

青髪「酷い話やねーボクはちゃんとここにおるんに」シクシクシクシク シク36

麦野「こ、こんなのに助けられたのか……」ガーン

青髪「さ、あんまり長い事いても邪魔になるだけやからね。お見舞いの品物渡して帰るでカミやん」キリッ

麦野「……悪いわね」カラミ ニクイ

上条「と言ってもコレもだけどな」ソレハ ドウカン

浜面「封筒?」

青髪「『上』からの報告書や」

フレ「何で一人一つあるの?」

上条「さあ?」

青髪「んじゃボクらは帰るから。またやープリティーな女の子らー」クネリクネリ

上条「お前って初対面でも自重しないよな……んじゃまたどこかで」ブレナイナー

ガラガラガラ

絹旗「何か超落ち着かない人達でしたね」ハァ

麦野「………」

滝壺「でも仲間みたいだね」

麦野「……そうね」

フレ「結局、これは何なのかしら」マジマジ

浜面「報告書って言ってたけど……」ソレニシチャ ブアツイ

麦野「浜面、開けて」カタテジャ メンドウ

浜面「はいはい……ってコレは!!」

滝壺「どうかした?」

浜面「お前らも開けてみろ」

絹旗「はぁ……」

滝絹フ「ッ!!」

麦野「……何が書いてあるのよ」
428 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/08/17(水) 18:09:47.94 ID:5Lu3WJlC0
短いですが今回は以上です。
もうちょい説明回というかつなぎのお話が続きますがご勘弁をば。

ではまた次回に!!

429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/08/17(水) 18:17:36.49 ID:09ZwfX930
乙でした
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/17(水) 22:32:32.21 ID:W7qOnP3no

更新待ってます
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/19(金) 01:41:37.20 ID:DEQaRPySO
乙です
432 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 05:58:01.31 ID:Q51McpNk0
>>1です。
さて、アイテムの面々が見たものは!!

本日投下分です。
433 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:02:06.67 ID:Q51McpNk0

12月14日(月)
とある高校の教室(朝)

青髪「にしても……やっぱ違和感あるねえ」チラッ

上条「何が?」

土御「ああ、同感だにゃー」チラッ

上条「だから何がだ?」

姫神「上条君。どうかしたの?」

上条「何か二人が違和感あるんだって」

土御「いやあ、でもなぁ」チラッ

青髪「ああ、言うん悪いよね」チラッ

上条「何だ、やっぱり俺か?俺に関してなのか!?」

青髪「もちろんや」

土御「にゃー」

姫神「二人とも。どうかしたの?」

上条「さっきからこの調子なんだよ……イライラする」

青髪「言ってええんなら言うんやけど」チラッ

上条「気になるから言えよ」

土御「一昨日あれだけの事があってカミやんが入院してないのがすごい違和感があるんぜよ」

上条「」

青髪「右に同じや」

上条「」プルプル

姫神「一昨日……。詳しくは知らないけど。騒ぎがあったのは知ってる」

青髪「それに巻き込まれてカミやんが無事って言うんがねー」ケタケタ

土御「違和感バリバリにゃー」ゲラゲラ

上条「好き勝手言いやがって!! 上条さんだって成長しますの事よ!!」ムキー
434 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:09:12.20 ID:Q51McpNk0

土御「よく言うにゃー」

上条「ビリビリのヤツといい……お前ら失礼過ぎるだろ」

青髪「ビリビリって……あの常盤台の?」

上条「ああ。朝会った時に『あれだけの騒動があったのに入院してないの!?』って……ふざけんなっつーの!!」

青髪「2学期中3分の1くらい休んでる人間やし」

上条「俺だって好きで休んでるんじゃねーよ!!」プンスカ

土御「うわーカミやんが怒ったにゃー」ゲラゲラ

青髪「逃げるでー土御門クン」ケラケラ

上条「あ、コラ待……ったく……もうすぐホームルームだってのに」

姫神「上条君」

上条「ん?」

姫神「また。危ない事したの?」

上条「あー……」エート

姫神「また。誰かを助けたの?」

上条「……助けました」

姫神「また。女の子?」ゴゴゴ

上条「あ、あのー……姫神さん。何か怒っていらっしゃいますか?」ダラダラ

姫神「女の子?」ゴゴゴゴゴゴ

上条「というか……今回は…………学園都市全部、かな」

姫神「え!?」

上条「俺一人の力じゃないし、俺は全然役に立ってない方だけどな」

姫神「私はあの娘の代わりに。何かするべき?」イッペン シンデミル?

上条「ごめんなさい」ナニソレコワイ

姫神「……。無事でよかった」

上条「ご心配おかけしました」
435 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:11:43.19 ID:Q51McpNk0

月詠「まったくなのですよー」

上条「小萌先生!? いつの間に?」ビクッ

姫神「おはよう。小萌先生」

月詠「おはようなのですよー」

上条「お、おはようございます」

月詠「そうそう、上条ちゃん。聞きましたよ」

上条「えーっと………何がでしょう?」ダラダラ

月詠「『スクール』の事です」

姫神「『スクール』?」キョトン

上条「あー」ナルホド

月詠「上条ちゃんが入る事になった風紀委員みたいなヤツの事です」

姫神「風紀委員……」ハツミミ

月詠「何で先生に黙ってたんですか?」

上条「え、あ、っといや。その……」ダラダラ

青髪「カミやんにもいろいろあったんや、小萌先生。堪忍したってやー」

土御「そうそう。男の子にはいろいろあるんだにゃー」

上条「あ、お前ら逃げやがって……」イツノマニ

月詠「あ、二人も聞きましたよ? 土御門ちゃんは」

土御「先生ーあれは表向き風紀委員って事になってるから秘密にして欲しいぜよ」

月詠「……そうでしたね」

青髪「先生との歓談は幸せやしずっと続けてたいんけど、ホームルームはええんですの?」

月詠「そ、そうでした。……三人とも」

上青土「?」

月詠「怪我だけは注意してくださいね? 先生との約束なのですよー」ニッコリ

土御「了解にゃー」

青髪「もちろんや」

上条「解ってます」
436 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:13:19.90 ID:Q51McpNk0

青髪「特にカミやんは気をつけんとね」ケタケタ

土御「まったくぜよ」ゲラゲラ

上条「テメェら……ったく」

姫神「上条君」

上条「う……何でせうか、姫神さん」ダラダラ

姫神「ついに。風紀委員にまでなったのね」

上条「にまでって……うん。みたいなものになった」

姫神「あんまり。心配させないでね」

上条「……努力する」

月詠「さーてホームルームを始めますが、出席を取る前にクラスのみんなにビッグニュースですー。なんと今日から転入生追加ですよー」

青髪「おおおおお!!」キター

土御「二学期ももうすぐ終わるこんな時期に転入生とはわけありかにゃー?」ワクワク

月詠「三人もいますし、急ぎましょうねー。さあ、転入生ちゃん達、どーぞー」

上条「……三人?」

青髪「……なーんか」

土御「……嫌な予感がするにゃー」

ガララ

上青土「ッ!!」

垣根「垣根帝督だ。よろしくな」

フレ「フレンダ=セイヴェルンって訳よ」

滝壺「滝壺理后。よろしく」

上条「うわー」

土御「Oh……」

青髪「お約束の展開やね」
437 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:16:50.90 ID:Q51McpNk0

土御「来るかもとは思ったけど……まさか全員同じクラスとは思ってなかったぜよ」

垣根「俺も同感だ」

フレ「一気に3人も増えていいのかしらね」

青髪「どうなんやろね」

滝壺「かみじょうはどうしたの?」

青髪「あーいつも通りやから気にせんでええよー」アッチアッチ

上条「ぎゃーなんで俺だけなんだよ!!」(クラスメイトから制裁中)

姫神「今回は上条君だけじゃなくて。二人も知り合いなの?」

土御「仕事仲間みたいなもんにゃー」

垣根「厳密には俺だけだけどな」

フレ「あなたは?」

姫神「姫神秋沙」

垣根「よろしく」ドッカデ キイタヨウナ

滝壺「ひめがみ。よろしく」

姫神「よろしく」

垣根「あー」

姫神「? どこかで会った事あった?」

垣根「いや、ない。ちょっと上条から名前を聞いた事あったんだよ」

姫神「ッ!?」

青髪「前3人でおる時に姫やんから電話があったんよー別にやましい事はないで?」ボソボソ

姫神「そ。そう」セキメン

垣根(解りやすいな、おい)

青髪(そこが可愛いやろ)

垣根(まあ、否定はしない)

土御「ま、これからよろしくにゃー」

フレ「よろしくね」

滝壺「よろしく」
438 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:19:31.52 ID:Q51McpNk0

上条「ううう……今回は青髪も土御門も知り合いだし、垣根だっているのに……不幸だ」ボロボロ

青髪「日頃の行いやね」ケタケタ

土御「カミやんなら仕方ないぜよ」ゲラゲラ

姫神「上条君だから」

吹寄「貴様が悪い」ドーン

上条「姫神まで……」ガーン

滝壺「大丈夫。そんなかみじょうを私は応援する」

上条「そしていつの間にか吹寄センセーがいらっしゃる」

吹寄「いちゃ悪いか!!」オデコアタック

上条「ぎゃああああ!!」

青髪「カミやんは何で一言多いんかねぇ」ケタケタ

吹寄「さて、3人ともよろしくね。私は吹寄制理よ」

垣根「よ、よろしく」

フレ「よろしく」

滝壺「ふきよせ。よろしく」

青髪「あれは天然やで」ボソッ

垣根「」ブッ

土御「ん? かきねんはムッツリかにゃー?」

垣根「違ぇ!! ってか変な呼び方すんな!!」

青髪「カッキー、ていとクンに続く新しい呼び方やね」

垣根「続くな!! そして呼ぶな!!」

吹寄「また騒がしいのが増えたわね……」

垣根「俺は被害者だ!!」

フレ「結局、垣根はいじられキャラって訳よ」

垣根「黙れフレンダ!!」

滝壺「大丈夫。そんなかきねを私は応援する」

上条「滝壺ってそればっかりだよな……」

姫神「私の出番が。危うい」
439 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:25:05.45 ID:Q51McpNk0

新設風紀委員177支部兼特別情報管理局 1階
喫茶『judgment』

布束「―――基本シフト制で『グループ』『アイテム』の仕事との兼ね合いもあるから予定があるなら早めにね」

浜面「………」

結標「………」

海原「………」

布束「仕入と経理関係の裏方は私が担当するわ。何か質問は?」

浜結海(……どうしてこうなった)

浜面「あのー」オソル オソル

布束「何?」

浜面「何で俺達が喫茶店なんかやらなきゃいけないんだ?」

布束「貴方達が一般生徒に風紀委員として発表されているのは知ってるわよね?」

海原「そう聞いてますね。『グループ』や『アイテム』と言っても伝わり辛いですし、下手な混乱を招きかねませんし」

布束「However 昼間貴方達は学校に行っていない」

結標「だからその間はここで働け、と言う事かしら?」

布束「学校に行きたいと言うなら書類は用意するけどね。学校の所属自体はあるわけだし」

浜面「この決定は絶対なのか?」

布束「Exactly そもそも拒否権はないわ。統括理事会直々の通達だし、復学を拒否したのは貴方達だと聞いているから」

海原「解りました。自分はかまいませんよ」カイハツハ ウケレマセンシ

結標「拒否権はないわけね」

浜面「仕方ねぇか……」

布束「First 担当を決めるわ。貴方達料理はできる?」
440 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:25:35.32 ID:Q51McpNk0

結標「えーっと……」ダラダラ

海原「人並みには」

浜面「ある程度なら」

結標「え、何でできるのよ!!」

浜面「一時期ファミレスでキッチンやってたから。簡単なものなら作れるぞ?」フダンハ シネーケド

海原「意外ですね」

浜面「まあ、似合わないって自覚はある」

布束「二人いれば大丈夫そうね。レシピはコレを基本にしてくれればいいわ」ハイ

海原「了解しました」

結標「うう……悔しい」ガーン

浜面「あ、俺達3人だけなのか?」

布束「今入院中の麦野沈利が回復次第参加するわ」

浜面「………まじか……」

結標「……一方通行は復学組なの……?」ッテコトハ

布束「他に質問は?」

浜面「とりあえずは大丈夫だ」

海原「同じくです」

結標「私もよ」

布束「マニュアルは用意してあるからそれを見てくれればいいわ。incidentally 浜面君だったかしら」

浜面「へ? ああ、はい」

布束「えい」ローリングソバット

浜面「ビブルチ!!」

結海「」

布束「年功序列。礼節は大事。敬語使いなさい」

浜面「サー、イエッサー……」
441 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:28:15.77 ID:Q51McpNk0

柵川中学
とある1年生の教室

絹旗「知り合いがいて超良かったです」

初春「同じ学校なら言ってくれればいいじゃないですか。水臭い」

絹旗「同じ学校だなんて超知らなかったんですよ」

佐天「うっいはるー、転入生と仲がいいなんてお姉さんは寂しいぞー」シクシク

初春「お姉さんって佐天さん同じ年じゃないですか、私達と」ウソナキ ヤメテクダサイ

佐天「む、そこに気付くとは……」ヤルナ

初春「気付く気付かない以前だと思いますけど」ハァ

佐天「まあ、それはいいとして何で初春は絹旗さんと仲がいいのかなー?」

初春「あー……詳しくは言えないんですけど同僚みたいなものです。風紀委員関係の」

佐天「なるほどーで、いつになったら私の事を紹介してくれるのかな?」

初春「こちら佐天さん、私の友達です」

佐天「佐天涙子だよー。よろしくね、絹旗さん」フリフリ

絹旗「超よろしくです。あ、絹旗でいいですよ」

佐天「そう?じゃあ、お言葉に甘えて」

春上「わ、わたしも紹介して欲しいの」

初春「あ、春上さん。いたんですか」

佐天「あ、初春酷いー」

初春「佐天さんに隠れて見えなかったんですよ!!」ワザトジャナイデス

春上「春上衿衣なの。よろしくなの」

絹旗「超よろしくです」

佐天「もしかして前初春が風紀委員の協力者って言ってたのって」

絹旗「あー多分それですね」

初春「一応、秘密ですからね。その話」シー

春上「絹旗さんは高レベル能力者なの?」ドキドキ

絹旗「まあ、そこそこですね」

佐天「うらやましいなー、私なんて無能力者<レベル0>だからなー」

初春「佐天さんの場合、努力不足ってのもあると思いますけどね」ナンダ カンダデ

佐天「生意気言うのはこの口か―?」グニグニ

初春「やへてくらはいー」ウニウニ

春上「今のは初春さんが悪いかも」

初春「ほんなー助けてくらはいよー絹旗さんー」ウニウニ

絹旗「あー超どうしましょう」クスクス

初春「ほんなー」ウニウニ

佐天「この口かー?」アハハハハ

絹旗(…………うまくやってけそうですね。よかったです)
442 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/20(土) 06:32:11.65 ID:Q51McpNk0
布束先輩の登場だひゃっほー!!
ま、ちょい役でしたが。

浜面が料理できるできないについては

(確か)原作で明記されてなかった事
浜面はかなり器用

の二点から簡単な物ならできる、ただし面倒だから基本やらない、という独自設定にしました。

実際料理が全くできない人って言うのは不器用だったり人の話を聞かない(レシピを見ない)人なのでヅラさんはできるはず!!
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/20(土) 08:56:18.69 ID:D3kGJpqc0
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::::::::::::::::::::::::あ な た の 恨 み 、晴 ら し ま す 。::::::::::::::::::::::
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新ブラウザリーダーテスト中!
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/08/20(土) 23:04:37.39 ID:EgF3v6M+0
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/20(土) 23:14:50.47 ID:mQ4qp2KB0
>>443何それ………!?
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/20(土) 23:54:03.05 ID:V2wUNvpi0
            _, -‐‐ ''.'' ─-、
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       !:::::!| :::|l/'l';jlヾ    ',.イr;リ`!:::: l.!::::|
      .!::::::l|: :::!|ヽ-'      ヾ-'´|::::::l|:::::|   相手を地獄に送る代わりに、 あなたの魂も死後地獄に行く事になるわ、
       |:::::::::!::: ||           |:_:_|:::::::|
      .!|::::::::|:::::l、    _'_:_    /::::: :::::|   それでもいいの?
     ,ll.!::::|::|::::::|:::`t、  ` ´  , . ' :|:::|:::::::: :!
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.   /./|.l : ||.!|::::::l´ .!      |  │::||:::::.|:.lll
   / / l.|,.-||:||::::::|   l __ _ _ /  |:::::l'ト、||::|.|
   /, !' \l |:|:::::.!   .|-ニニ、/   |:::::!.! ,> 、
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   !:|:::!::::::l.!:.!|:::::::ト、 `'- ! .//_┤:::| |/:::::::/ ::|
  l:::|::::ヽ::::l: !|:::::::|ヾ ` ̄ヾ//  ,l|:::::l/|::::::./ :::::!


>>445
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/08/21(日) 05:49:35.29 ID:R/SXD56o0
乙!
あわきんは料理をしてはいけないっ.....!!wwww
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)[sage]:2011/08/21(日) 10:10:42.19 ID:IphE0LXV0
新約2巻で黒夜が変なフラグふんじゃたっね
449 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/21(日) 17:10:43.24 ID:rY6iS8KI0
能登かわいいよ能登。
あ、地獄少女だから怖い方か。

>>1は実はメタメタな話が大好きな病人なのです。
というわけでメタな番外編。

メタな話が苦手な方は>>455以降になる本編をお待ちください。
450 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/21(日) 17:11:23.21 ID:rY6iS8KI0

初春「第一回」

佐天「統括理事会直轄治安維持組織SS」

初佐「裏話大会ー」パフパフドンドン

佐天「出番だ! 出番だよーうっいはる〜ついに私達の時代だよ!!」

初春「て、テンション高いですね、佐天さん」

佐天「当たり前じゃん! 原作(超電磁砲漫画版)で出番が少なくなってて無能力者<レベル0>なのにSSでも使ってもらえてないんだよ!?」

初春「それは>>1のせいです。それにいいじゃないですか。佐天さんは無能力者<レベル0>ネタがあるんですから。探せば山ほどスレでてきますよ」

佐天「うう……まあ、たしかに。でもこのSSで能力使いたいよ!! 活躍したいよ!!」ヤダヤダ ヤダヤダ

初春「といってもこのSSだと超能力者<レベル5>の方かなりでてきますし、正直割と原作準拠だから幻想御手<レベルアッパー>使っても能力的に……ねぇ」

佐天「うう、初春が原作仕様で黒いよう……」シクシク

初春「その割に佐天さんはアニメ仕様で元気っ子ですよね。さて、今更ですが注意です」ハイハイ、36、36

佐天「この裏話大会は本編とは別の異世界空間<パラレルホニャララ>仕様で行われています」

初春「所謂番外編というよりアトガキやパロに近くまた反則<メタフィクション>が含まれておりますのでご注意ください」

佐天「今後のSSの次回予告的なものがあっても展開ネタバレはしない予定です」

初春「裏話大会自体は続くか不明ですので過度な期待はしないでください」
  「あと、部屋は明るくして、テレビは3kmは離れて見やがって下さい」

佐天「うわぁ」クリミタイナクチ シヤガッテ
  「そして3kmはない」

初春「どうかしましたか?」

佐天「いや別に。というかさ、初春。上の注意、遅くない?」

初春「気にしたら負けです。というかむしろ遅出しの注意ってもはや様式美ですよね」

佐天「解らなくはない。散々××ネタやったあとに××ネタやりますので注意!! とかね」

初春「でもグ○とエ○とリョナとスカト○は後だしは不味いですよねー」

佐天「隠れてない隠れてない隠れてない」ガタガタ ビクビク ブルブル モフモフ

初春「ちなみに欝が入ってないのは>>1が某魔法少女を結構好きだからです。最終回でだいぶ救われちゃいましたけどね」

佐天「Oh………」
451 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/21(日) 17:11:50.23 ID:rY6iS8KI0

初春「可愛いですよねーワルプルたん」

佐天「そんなの絶対おかしいよ!!」ソコ!?

初春「とまあ、そろそろ話を進めていきましょうか」

佐天「んじゃー行きます。今日の本題は……能力判定検査いたします!!リターンズ、ってラジオじゃねーから!!」ゲンコウ、ユカ ビターン

初春「トナカイって(ry」

佐天「ヤメテ!! カナエチャンのライフはもうゼロよ!!」

初春「ってか>>1は声優ネタ好きですよね」

佐天「あー姫神さんの地獄少女ネタとか?」

初春「今後も日常パートで小ネタ的に出すだろう、との事です」

佐天「アニメ見過ぎだよねー」

初春「まあ、大体見てますからね。一方さんと上条さんが吹寄さんを奪い合うとか、インさんが執事で浜面さんと……とか」

佐天「一方さんと木原さんが親子で剣の師匠に御坂さんがなる話とか……なんのアピールなのよ。これ」

初春「ただの>>1が見てるアニメの主張ですね」

佐天「毎クール7割くらい見てる人間がよく言うよ」

初春「で、そろそろ本題なんですが今回の裏話はお前らいくつ? です」

佐天「まあ、簡単に言うと年齢というか学年よね。先生陣は置いておいて生徒陣ははっきりさせといたほうがいいもんね」

初春「とりあえず……以下は原作準拠で確定してるはずの設定、()は満年齢ですね。留年していなければ」

佐天「上条さんはまだ留年決定してないですよ! 頑張ってますよ!!」

高校3年(18) 布束
高校2年(17) 結標
高校1年(16) 上条 土御門 青髪 姫神 吹寄
中学3年(15) 
中学2年(14) 御坂 婚后
中学1年(13) 白井 初春 佐天 湾内 泡浮
高校生 一方通行
中学生 心理掌握食蜂操祈
高校2年以上 固法 雲川

初春「こんなところですかね」

佐天「なお、補足としまして一方通行さんに関してはSS1巻(原作)の記述『長点上機学園転入』から判断してます」
452 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/21(日) 17:12:20.73 ID:rY6iS8KI0

初春「心理掌握さんに関しては御坂さんの発言からおそらく同学年もしくは先輩であると推測されますが情報不足で保留です。ま、ほぼ確定ですが」

佐天「雲川さん、固法先輩についても同様で情報不足から曖昧です。>>1的には雲川さんは高校3年、固法先輩は高校2年だと思ってますが」

初春「何でですか?」

佐天「雲川さんについてはなんとなく。固法先輩についてはただ白井さん小学生時に高校生っぽいのでおそらくは高校2年以上」
  「ちなみに固法先輩は多分2年生。なぜなら『固法先輩が高校3年だと年上の黒妻さんが高校生じゃなくなるから』だそうです」

初春「なるほど」

佐天「たしかに黒妻さんが高校生じゃないとちょっとあれよねー。まあ、長い間姿を消してた設定だから問題ないのかもだけど」

初春「で、次が上の不確定者含むこのSSの決定年齢設定です。他のSSや原作とは違う場合もありますがご了承ください」

高校3年(18) 雲川
高校2年(17) 麦野 浜面 固法
高校1年(16) フレンダ 滝壺 垣根 一方通行
中学3年(15) 心理掌握 海原(エツァリ) 心理定規
中学1年(13) 絹旗

初春「となっております」

佐天「なるほど」

初春「一応解説をしてきましょう。上から順に。まず雲川さんは……理由なしだそうです」

佐天「さっきも言ってたね」

初春「強いて言うなら『あのヘソは18禁だ(キリッ』との事です」

佐天「その情報はいらない」ヒキギミ

初春「ちなみに>>1はヘソ(正確にはややぽにょっとした下腹部ヘソ周り、上はへそから数センチ下は結構ギリギリまで)フェチだそうです」

佐天「」ドンビキ

初春「固法先輩は上記理由で高校2年生、他の二人は麦野さん浜面さんは結構迷ったらしいです」

佐天「何か理由はあるの?」

初春「麦野さんに関しては滝壺さんより上と話的に固法先輩と組ませやすい同じ年がよかったらしいです。実際は違うだろうと思ってるらしいですが」

佐天「あー閑話で共感!!的な事やってるもんね。二人とも大人っぽくてカッコいいと思うんだけどなあ」

初春「あと神裂さんじゅうはっさいをなるべく孤立させたかったらしいです(年齢的に」

佐天「………気持ちは解らなくない。浜面さんは?」
453 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/21(日) 17:12:48.28 ID:rY6iS8KI0

初春「一方通行さんとの兼ね合いらいいですけど三主人公で一人年上くらいは年上であるべきだろう」
  「あと麦野さんとは同じくらいのがいい。あと滝壺さんより上がいい、だそうです」

佐天「まあ、SS2巻で一月にATM盗んでるからその時に高校1年くらい、時系列で高校2年だろうという推測だね」

初春「高校1年生組は男陣は特に理由なく即決だったらしいです。感覚的にも話の流れ的にも。ただ垣根さんだけもう原作なら年上かも……でも面倒、の一言で決まったそうです」

佐天「女性陣は迷ったってこと?」

初春「フレンダさんは中3か高1、滝壺さんは高1か高2で迷ったみたいですね」

佐天「とりあえず>>1の中で滝壺≧フレンダの図式は決定だったと」

初春「正確には麦野≧滝壺≧フレンダ>絹旗が決定だったらしいですよ」

佐天「じゃあ、話の展開的に麦野>滝壺=フレンダ>絹旗にしたのかな?」

初春「それもありますけど浜面さんとのバランスとかも考慮した結果らしいです」

佐天「中学生陣は?」

初春「心理掌握さんに関しては『同じ年ならもっと御坂や白井の反応があるだろう』とのことです」

佐天「絹旗さんは私達と絡めたかったんだろうねー。それに中学1年設定が一番しっくりくるでしょう」

初春「心理定規さんは14、15歳の外見だったから垣根>心理でまあ中3くらいだろうと」

佐天「海原さんは?」

初春「上条>海原>御坂で即断だったそうですよ。ちなみに>>1、曰く『海原はストーカーであってもロリコンではない』キリッだそうです」

佐天「よく考えたら原作で明記されてないとはいえ1、2歳くらいしか違わないはずだもんね」

初春「とりあえずはこんなところですかねー」

佐天「さて……はたしてこれは一体誰得なんだろうか」

初春「ま、完全な裏設定な上に>>1がSS内で表現できないのが悪いんですよ☆」

佐天「出番減らされても知らないぞー」

初春「強いて言うなら攻略本や設定資料集大好きな>>1得ですね。それに大丈夫です。元々出番少ないから私達が出てきたんですから」

佐天「……え?」ドユコト

初春「ちなみにそんな佐天さんに朗報です」キュピーン

佐天「な、なんだろう?」

初春「以前、>>1が『心理定規さん……でると一人の女の子が若干不幸になる』と発言していますが」
454 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/21(日) 17:13:16.98 ID:rY6iS8KI0

佐天「嫌な予感しかしない」

初春「その女の子は佐天さんです」

佐天「」

初春「ご愁傷様です」チーン

佐天「何でさああああああああああ!!!! かな恵ちゃんディスってんのかああああ!!!!」

初春「中の人は結構好きらしいですけどね。緒花可愛いよ緒花。そして夜空に期待」

佐天「何で!? どうして減ったのさ。むしろ私はどう出る予定だったの!?」

初春「垣佐の予定だったらしいですよ」

佐天「」

初春「つまり心理定規さんが出てきて佐天さんの立つはずだった垣根さんの隣を奪われた、と」

佐天「言い直さないで……。そして何で初春はそんなに楽しそうなの?」

初春「それはこのSSでは未元定規ですが>>1が垣春、定温物質大好物だからです。別スレでは完全定温物質ですからねー」

佐天「」

初春「やめて!! もう佐天のライフはゼロよ!!」

佐天「初春が原因だよぉ」ボロボロ

初春「ちなみにそもそも心理定規さんが出ない予定だったのは」

佐天「どうでもいい」ショボーン

初春「元々スレタイを『アレイスター「はーい、四人組作ってー」一同「」』みたいな内容にする予定だったかららしいです。その場合は心理定規さん不在、やっぱり垣佐だったと」

佐天「なぜそうしなかったし!!」

初春「何か最初から12人全員が知り合いの状態で出てるとうざかったそうです」

佐天「………ならしかたないね」

初春「では今度こそこの辺で」

佐天「もし聞きたいことあったら気まぐれで>>1が答えるかもしれません。伏線系は答えないかもだけどね」

初春「たいして伏線もありませんけどね」

佐天「内容が薄っぺらいのは言っちゃダメ」

初春「それでは引き続き」

佐天「本編をお楽しみください」
455 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/08/21(日) 17:15:29.78 ID:rY6iS8KI0
メタが好きなのはまあ病気みたいなものなのでご勘弁を。
まあ、適当に学年整理してたら解りやすくしてみようって思っただけなんですけどね。

新約……というか本編ネタはパラレルな以上ちょこちょこ使いたいですよねー。

では今日はこの辺りで。
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/21(日) 19:39:09.08 ID:6JBfz+/i0

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               i,イ:ゝ -リi:::::リ:::i.  ー ´   i:/   .       ,':;イノ/  、:::::r' ヽ::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/   i::::!        , -、
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                   |::::i `iー-              ._      /    ヽ゛       `ー ' .″:,′      i::::!        ,:::::/
                  リ','  刈:::ゝ         r ´_ ̄..v             `、iフー‐v-、  三 /       i::::!        /:::/
                     リ`i::::,::>      ´ _....,    ,イ.\        ゝ _ ノ__ , /ヽ        .j:::j        ,':::;'
                       i:/ ヾ',  >        ./ .!  \      ハi`ーy-- ´/,:::::::i         ,':::;'     ./:::;'
                          ,}'>´::',     ` ー  ´   | i  ∧     i.λ  ‡  //::::::::j.       /:::;'      /:::/
                          /     リ!              \i   ト、   iヽ、.〉   //::::::::/|     /::::/     /:::/
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                    /      / ,'                 7    .i     i:::::;':::::::::::::::i:::::::,':::::!./三\ノ     /::::/
                      。/       /  !                ∧     i    !::::, > 、::::!:::::7::/ 三三 .\   ,..'::::/
               。 < /       ′_          _. 7     i   ノ、7    7:::::/ 三三三三 \/:::/
                <     /. /∨.  ト、   ヽ      '´   i /´丶  i .{,.,.ノ    /`ヽ\  三三三三三 .\'´
        ,ィ´       //   ∨  |  `丶          </./.    、  .i `     {ノ_,_ノ  \ 三三三三: /

457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/08/23(火) 17:05:33.01 ID:Nxq8Hebho
乙乙
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/25(木) 02:13:19.48 ID:6V003jQZ0
            ___                              ,.  '´ ̄ ̄ `  、
           /     ヽ----、                            /::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
            /   r--- 、r// ̄〉〉                     /::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::∧
       /    { {´>'´ ̄ ̄  >‐- 、                     /:/i:::!::i::::::::::::i:!:::i:::::|::::::::::::ハ
        /      冫   / ̄  ´ ̄\`ヽ               |/N/j/j/WNハト、トN|:::::::::::::::::i
      /      〃  /       ヽ  ヽ \                  j!::|´ ̄`  '´ ̄_`  |:::::!:::::::::::|
.     //     /∧  /         }   i   ハ                |::!rf芹ミ   斗芋ミ!:::::|::::::::::::!
    ///     //|  V   /  /:!  /  ,ハ  :| ヽ  |       \       |::|代リ     代り八::「ノ}:::::::!
.   ///     // :ト、 ! /| :-/‐ト、/ ! /┼、 |  :} !        ト、     |::|::::::: r   :::::`¨´::!:::::レ'//::::|
  ///     //  | /イ j/_j/j/ jノ j≠ミx! /jノ―――-.、   !: i     !八  、   _,. ::::::/::::::「::/:::::八
  ///     //  V{^V∠ ,.ィ芹ミ    {rリ 八/´: : : : : : : : : : :\j: :|     !∧\  ̄ ,. イ::/__/レ'j/j/
. ///  /   /   ヽr/ !:| 代り     ゞ'....{/: :,. -‐: : : : : : : : : :/,ノ      ! ヽ:ト><-彳7´  `ヽ
///  /   /   / ̄7 // ::`¨´   '::::::://: : : : : : : /: : : :〈´ハ         _/{_7、 /     i
//   |   |     / /∧>‐- 、{`ーァ' ,/: /: : :// : : : /: / : : : :{: : }      /´「ソノ / /    / |
|   |   |    :/ //´     \ニイ´/: : ://: /j/{: :{: : : : :ハV     _/ ノ/r'7  '      i ,!
|   |   |   / //         \イ/: : ! !ィ芹ミメ、乂 : /∠  }|     /'´// r/   !     レ' |
|   |   |  :/ //             \: : :!:从 {{rり^ヾj/ィ芹^》ハ  /_/  i {  ∧       ! 八
|   |   | / /∧   `二ヽ      }_人! ゞご′   以リ彳{   {_,{   |八 Vハ |    / /
、!    |  / // \_/   \   ´   ヽ::::::::、_'_,. ¨´∧: ゝ  ヽ.V :|X !ヽ V} :!   , ' /
ヽ    ト、/  //!  /        >、,._      \ {: : ノ ::::::人 :八    ハ  :! |  }》 :!     /
| ! :|/  /〈  |  / /      ノ::レ'´ ̄ ̄ _ヽ. \-=≦-、/    / {! :|X:!  }》j    ! |
八 ! :!  ∧ ヽj-イ´        〃!:::{r──'----- 、_ \_ r'´ ニ⊇_ i  :{: | |  ,}冫   ∧|
  ヽ\|  /{ ` 7 /       / /|::八ー‐- 、    〈_ \_ ノ    ニV  :i! !X|  V    ハ八
  } 人∧乂-'//     _ / / /!::!ハ / ヽ}   _ノ } 〉┐____ ‐-}  !V:| / !  i     !  \
  ノ<「「//___∧{   r-' /  ヽ//|::|  !イ  /  /  // /}/ ト、  \  | |イ | |    八   \
. / 〈 // /  i!  _う__ノ  /://〈!::| :| | 〈_/「´`ー、,.rイ_}   | ヽ  r‐┐| j|o|  :!    ′ ヽ ___>、
/ 〉/ 〈.∧   !  {_ノ- '´ :// /!:::! .! |  {こ|  |《:| |_,}  .!  rく   | :! r! :! |  |   ,'     〉V/ ヽ
V/ 〉/ 〉∧   ヽr'__,/    // /r!:::| ,' :!  )、_!  ! 》! !〈  '  「   ハ :! r! :! |  |    |   ,.イ ∧  ハ
/ /∧ /∧ \   V /    // /ぅ|::::| / !  { こ|  |V/| |,ノ /   |  / } !/{ ! |  |    ! / /∧/  V/ }}

インデックス 打ち止め 滝壺理后

459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/08/28(日) 18:04:41.14 ID:6I7gCy1g0
牡蠣の天ぷら……もとい垣佐は珍しいな、つーか未元定規と帝春以外は大抵珍しいのかもしれんけど
あと思いつくのは垣一(垣百合)と未元崩しぐらいだわ
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/28(日) 23:13:50.18 ID:hi9UD7oc0
まだかな
支援
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/06(火) 08:38:08.01 ID:/whGw+td0
遅いな…
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/06(火) 23:36:27.03 ID:ap1kWyhx0
          ∠ニ、ヽ
         ___)ノ
       /: : : : : : `ー.、                                  _,. -―‐- 、
      ノ://: / /: : :ヽ: :ヽ                               /  ,.  \  \
  -=≦: /://、_レイ:/|: : ∧: :}                               { / >―-ヽ  ヽ
   ___ノ: :V: !: N__j/ j/!/_ V八                                 <j 《       ヽ  ハ
  ´ ̄フ: :{ !∧ | ´ ` 、 ´ `{┌ヽ                            / ∧7T ‐ァ 、__》_  i
   -イ: : ノ>V (⌒ヽ  人}、〃`_                           / レヘト芯レヘ斗<  <  |
    -=≦_,.イ} ≧=-'⌒ヽ=-{{〃⌒ヽ                     /∧_j\!ゞ'  弋り八「 ̄ ,ノ!
     〉 r'´_〉 / /、ー-、  r ヽ、\                         } ,j_ぅ}:::::ヽ' ___,. イ∧   ト、
  ___/ 冫  } { ト、 \  \U-、_〉〉′                    _/_/_/:::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ\   \
. /    ヽ_// ヽ ! \ \  } 八´                     _{>::::::::::::::::::::|::/:::::::::〈{  | ヽ\    \
|     /  |   :ト、_,ヘ_ト、_メ、  ! \                    _,.≧:::::::::::::::::::j∧::「ヽ!::\__j :!  :}     \
|   ∠  レク  j_∧_j乂}トrゥ从ト、「 `                         />∧/jハ「レ'|7、::::::Y^V≧┤ ハ   __ヽ
八___/从ト〈〈} 八个‐″ ,ノ 、イ人! ヽ                      //j爪{厂,  {厂j/!:::::ミ、ノ< 〉   }___/   \
   \ _j∧_,厶イ人    _,  人   }                 //:〈 iニ八      j∧:::ハ「三V   /  ∧ ̄ ̄ヽ
    ≫=ヽ冫  }> 、 _´,.イ     ∧                / ∧ V三ニ ヽ ‐- ,. イ/Vニ /三ヽ  ∧_/ | i
   〃 /ヽ'   /ハ厂/   _,. <! ∧                   | :| ヽ∧三三三》´  く三三/三三ハ'  |   :! !
   {{ / | : \∧  \_,. イ  ∧ | : : |               | :|  |ヽ三三ニ《_ヽ /ヽ三/三三三:!  :ト、 :| |\
    冫 | : : : \\    ヽ{  !  :|\/!               \!  |三三三 ∧_{ }__,/ニ/∧三三ニ|  ∧\ | |\\_,
   /!  ! : : : : : >〉   八  |__ノ   |                ヽ. !三三三ニ 》 V /三=∧三ニ/、 :/ ト、j乂   ̄´
  /: {___ヽ__/V-'  __ /: :} ̄「: : \/!                      |三三ニO〃==V三三ニ!ヽ.∧ V   ! ヽ__ハ
  〈: : __/  ゝ--(_,ノ : /: : :ト、 : : : ∧        ,.≦≧=-、_     !三三三/ー――ヘ三三 !三三!、______} }>‐、
. /三ニヽ     ∧___/: : :∧ヽ : : ∧ |       〃三三ヽ三≧---|三三O《、_____|三 ∧三 ∧ \____,jノ-- 、 〉
/三三三\   /{ ヽ: : : : : : : : : :〉 \/  ハ         V三三三\三三ニ!三三ニ∧     /|三 | ∧ニ|三三三三三三ハ{ノ/
|三三三三 \{  \ \ ----/、    /: : }       V三三三三三ミ、:!三三三 |   / :!三 |三ヽ:!三三三三三三ニ}/
V三三三 ヽ三ヽ   !\__\/{: : : \_ /: :/〉        |三三三三三三∧三三三|  〈_ /三/三三|三三三三三三 /
. ヽ三三三=!三 |   |: : : // ヽ : : : / ̄ /-、        \三三三三ニ/三i三三三!    /ニ∧三/三三三三三三/
  |三三三=!三八  \/ : {   \_/ /三三\        \_三三三三:|三三三!    《ニ/三/三三三三三 >'´
  ヽ三三三}三三\__{: : :ヽ    /∠三三三三> 、       〉三三三ニ≧=ミ、》≦ニ≧V三三三三三三三/
  | \三 /ニV_三三三{\: : :\__/三三三三三}三三> 、     \三三三三三三《、r--、ニ》三三三三三三/
  |三≧≦三} `ー- ノニ/`ー―〈三三ニ=― /三三三ニヽ     \三三三三三 》 /三三三三三三三/
  |三三三三ハ    r1´三三/ | 「三三ニ /三三三/三}        |三三三三ニ/ {三三三三三三ニ/
  /三三三ニ/ニ》    冫ニ /三ニレィ´三三〈三三三/ニ/      |三三三ニ/ /∧三三三三三_/


463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/08(木) 15:15:43.50 ID:wG/bM+k+o
二週間か…
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/17(土) 16:24:37.26 ID:OPZ9YoTw0
あとちょっとでひと月か
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/30(金) 20:45:39.25 ID:Hd6dllYo0
せめて生存報告してくれ
俺には超需要あるんですよ
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/15(土) 23:20:18.03 ID:J2GiNHxx0
おいおいおい!?
来てくれよ>>1
467 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:36:33.18 ID:JDxsLyIm0
>>1です。
更新も長期の休止の報告もせず申し訳ありませんでした。
諸事情により書き込みすらできない状況だったのです。
ご心配のレスありがとうございます。

詳細なんぞ書くよりSSを書くべきだという事で投稿させていただきます。

468 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:40:49.05 ID:JDxsLyIm0



前回までのあらすじ


垣根、フレンダ、滝壺はとある高校の三馬鹿<デルタフォース>がいるクラスに転入。

絹旗は柵川中学、初春佐天春上クラスに転入。

結標、海原、浜面は風紀委員177支部兼特別情報管理局 1階喫茶店『judgment』に雇われました。


469 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:42:03.47 ID:JDxsLyIm0

とある高校の教室

吹寄「それにしても……貴様らが風紀委員とはね」ジトー

土御「吹寄は不服そうだにゃー」ケラケラ

吹寄「思いっきり不満ね。世も末だわ」

青髪「ひどいわー。つれないわー」クネクネ

青土「何かあったら守ってあげるで」「何かあったら守ってやるぜよ」キリッ(AA略

吹寄「貴様らのそういうところが信じられないのよ!!」オデコアタックx2

青土「ビブルチッ!!」

吹寄「むしろ捕まる方の行動じゃない……あ、何かあったら言ってね? 私がこいつらを成敗しに行くから」

フレ「あ、うん。ありがと」

垣根(強ぇ……)

滝壺「いつもこんな感じなの?」

吹寄「だいたいそう。上条当麻を含めて、ね」

垣根「そうなのか」

吹寄「上条当麻を筆頭に、って言った方がいいかしらね」

フレ「で、そんな上条は?」

吹寄「あー、最近は姫神さんと屋上よ」

土御「まったくけしからんぜよ」ケタケタ

青髪「姫やんのおいしい弁当を独り占めするやなんて信じられんわー」プンスカ

滝壺「教室にいないの?」

吹寄「こいつらが邪魔するからね……」

フレ「結局、二人は付き合ってるわけ?」

土御「違うにゃー」

垣根「……まさか」

青髪「姫やんが『一人分の弁当を作るのが面倒』という理由でカミやんの分もお弁当を作ってきとる『だけ』や。付き合ってないでー」

垣根「……」

フレ「結局、それって……」

吹寄「姫神さんもあんなののどこがいいのやら」ヤレヤレ

滝壺「そんなかみじょうは応援できないけど、ひめがみは応援する」

土御「ま、カミやん攻略の道のりは険しいにゃー」ゲラゲラ
470 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:44:08.40 ID:JDxsLyIm0

警備員第73活動支部

結標「それにしても一方通行が入院ねえ……」

海原「にわかには信じられませんが……事実ですので」

結標「一週間くらいだっけ?」

海原「そう聞いてますね。クリスマス付近の忙しい時期までには戻れるとの事です」

結標「クリスマスはやっぱり忙しいのね……学生がほとんどだから仕方ない、か」

海原「それはまでは3人で活動なんですかね?」ヨテイデモ アルンデスカ?

結標「どうなのかしら? 大きいのはアレで一掃されたからいなくても何とかなるんじゃない?」ベツニ ナイケド

ガラガラガラ

土御「お疲れ様にゃー」

青髪「へーここが警備員の詰所なんやねー」

結標「騒がしいのが来たわね」

土御「いきなり酷いぜよ」

海原「そちらの方は……?」

青髪「一方通行の代わり出来たんやでー」

結標「一方通行の代理?」

海原「という事は」

青髪「『スクール』のメンバーや」

土御「『アイテム』も『グループ』も超能力者<レベル5>が入院中、『スクール』も故あって人員が一人割かれてる状態だから二チームに別れる事になったんだよ」

結標「という事は『アイテム』には垣根帝督がいってるのかしら」

青髪「そういう事やね」

海原「しかし……一方通行の代理ですか」
471 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:46:19.44 ID:JDxsLyIm0

青髪「ボクじゃ役者不足やって?」

海原「そこまでは言いませんが……第一位の代理となると」

青髪「ふふふふふ……二人はボクを侮っとるんやね。ボクは!!」バーン

海結「」ゴクリ

青髪「土御門クンの大親友や!!」キリィ

海結「………」エー

土御「せめてそこは第六位って言うべきぜよ……」ハァ

青髪「えーそれ嫌いやもん」

海結「第六位!?」

土御「役不足ってほどじゃないが一方通行の代理には十分だ。もっとも代理が必要になるなんて事態が起きてほしくないがな」

青髪「平和が一番やからねー」クネクネ

ガラガラガラ

黄泉「おー揃ってるじゃん」

青髪「あ、黄泉川センセや」キラーン

黄泉「お前までこっち側だったとはね……世間は狭いじゃん」

土御「そんなもんですたい」

黄泉「一昨日はお疲れだったじゃん」ゴクロウダッタジャン

結標「そうでもないわ」テレッ

海原「これが自分達の仕事ですから」ニコニコ

青髪「全然無問題やでー。 黄泉川センセのお力に慣れただけで本望やからね」クネクネ

土御「ま、俺はたいして何もしてないからにゃー」ケタケタ

黄泉「じゃあ、ご褒美に組手でもするじゃん。今日は暇みたいだし」
472 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:48:40.23 ID:JDxsLyIm0

青土「え?」

黄泉「遠慮はいらないじゃん」

青髪「黄泉川センセと組手なんて……寝技はありですか!!」シュバッ

土御「青ピだけでやってくるといいぜよ」アセアセ

黄泉「寝技? その状態に持ち込めるならありじゃん。あー二人はどうするじゃん?」

海原「自分達はこの後予定がありまして……料理の練習があるんですよ」

結標「……私もよ」

黄泉「それじゃ仕方ないじゃん。さ、二人共キリキリ歩くじゃん」

土御「いやあああああああ!!」ズルズル

青髪「んじゃまたやー」フリフリ

海原「変わった方ですね」

結標「………」

海原「どうかされましたか?」

結標「別に」

海原「気が乗らないのは分かりますけどね」ハァ

結標「別に料理のせいじゃないからね?」ジロリ

海原「あら、違いましたか」ニコ

結標「分かってるくせに」ムカツク

海原「しかし白井さんとは和解……一応仲直りはされたんですよね?」

結標「ええ、一昨日風紀委員の詰所で暇だった間にたっぷりと……それでも顔を合わせにくいのは当然じゃない」タメイキ

海原「傍から見ていた限りでは数日もすればどうにでもなりそうでしたけどね」

結標「そんなものかしらねー……」

海原「それより結標さんには料理の方が大問題では?」

結標「だからこれから練習するんじゃない」

海原「爆発だけはやめてくださいね」

結標「そんな事にならないわよ!! ………多分」ボソリ
473 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:50:23.31 ID:JDxsLyIm0

風紀委員177支部兼特別情報管理局

白井「それで結局一昨日は何が起こってたんですの?」

浜面「それが俺にもわからなくてなー……」ナニガナニヤラ

絹旗「浜面に聞いたって超無意味ですよ。浜面ごときの頭じゃ何が起こってたか理解してないでしょうから」

浜面「テメェ………確かに分かってねえけどよ」グヌヌ

絹旗「それに機密事項レベルらしいので知らない方が身のためですよ」

初春「隠されると知りたいですよね」

白井「好奇心は猫をも殺しますのよ? 初春」ジトー

初春「残念です」ムムム

浜面「初春ちゃんなら調べれちゃいそうで怖いんだよなぁ……」ジョウダンニ ナラン

白井「笑い事ではないですの……でも、超能力者<レベル5>である麦野さんが入院とは……気を引き締めないといけませんの」

絹旗「そういえばその件で一つ伝言があるのを忘れてました」ソウソウ

初春「伝言、ですか?」

絹旗「『アイテム』以外のチームから超臨時の補充要因が来るそうです」

浜面「あー、なんかそうらしいな。滝壺とフレンダが一緒に来るって言ってたな」

白井「臨時の補充要因ですか」

初春「他のチームの方ですか……どんな人なんでしょうね」ワクワク

白井「でも超能力者<レベル5>である麦野さんの代わりなんて務まるのでしょうか?」

絹旗「さあ?」

浜面(何か絹旗に言うべき事があったような……)ナンダッケ

ビー

初春「来たみたいですね」
474 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:52:05.67 ID:JDxsLyIm0

滝壺「おはよう」

フレ「お疲れってわけよー」

白井「お疲れ様ですの……あら、もしやその殿方が?」

垣根「へー風紀委員の詰め所ってこんなんなのか」キョロキョロ

初絹「あ、あなたは!!」

浜面(あ、垣根が他のチームだって言うの忘れてた……)ヤベェ

絹旗「ちょっと、何であなたがここにいるんですか!!」

垣根「俺が補充要因だから」

白井「お知り合いですの?」タダナラヌ フンイキデスノ

絹旗「……フレンダも滝壺さんも何されたか覚えてないんですか?」ギリ

滝壺「覚えてる。でも、あれはお互い様だから」

絹旗「ッ!! フレンダ、あなたはこいつが原因で……」

フレ「私は納得してるよ? それに垣根は病院で一緒だったし」トックニ ワカイズミッテワケヨ

絹旗「………」

垣根「信じられないかも知れねーけど俺は俺なりの覚悟を持ってこの場に立ってる。あの時の事をなかったことにしようとは思わないし、言い訳もしない」

白井「何やら空気が重いのですが」ヒソヒソ

浜面「いろいろあるんだ……もう少し待ってくれ」ヒソヒソ

垣根「許してくれなんて言う気はねーよ。ただ、仕返しなら一発くらいで勘弁してくれ。仕事があるからな」

絹旗「…………フレンダと滝壺さんが超納得してるのに、私が超納得しないわけには行かないじゃないですか」プクー

垣根「……これからよろしくな」ナデナデ

絹旗「……超よろしくお願いします」ナデナイデ クダサイ!!

フレ「結局、これで解決ってわけよ」
475 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:53:13.46 ID:JDxsLyIm0

滝壺「きぬはたえらい」ナデナデ

絹旗「それはそうと浜面。一緒に来た二人は分かるとして何では浜面は超顔見知りと言うか和解済みなんですか?」ヤメテクダサイ!!

浜面「え? あ……」サー(血の気の引く音)

絹旗「垣根帝督がいるって知ってたんですよね? 何で私に黙ってたんですかーー!!」チョウチッソパンチ

浜面「ってかさ、昨日病院で『スクール』の名前が出た時に気付くべきじゃぎゃああああああああ!!!!」

白井「相変わらず騒がしい事ですの……あら? 初春はどこに……?」キョロキョロ

〜〜〜

初春「な、なんであの人がここにいるんですか……」ガタガタ

垣根「よう」

初春「ッ!!」

垣根「その様子だと覚えてるみたいだな」

初春「………何の事ですか?」

垣根「謝って済むとは思ってねぇが、あの時は悪かった」ペコリ

初春「…………」

垣根「罪滅ぼしってわけじゃないが、今は心を入れ替えて『アイテム』とは別の『スクール』って組織で学園都市の治安維持してるよ。あんなマネは二度としねえ。誓っていい」

初春「……何の事ですか?」

垣根「は? だから……」

初春「はじめまして」ニコリ

垣根「ッ!!」

初春「初春飾利といいます。これからよろしくお願いします」ペコリ

垣根「……『スクール』の垣根帝督だ。よろしく頼む」

初春「垣根さんですね。これからがんばりましょう」ニコリ

垣根「ああ」
476 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 17:55:56.78 ID:JDxsLyIm0

新設風紀委員177支部兼特別情報管理局 1階
喫茶『judgment』

結標「レシピ通りに作ったのに……」ズーン

海原「何でただピラフを作るだけでフライパンに穴が開くんですか? しかも冷凍の完成品で」

結標「知らないわよ!!」

海原「そうそう。布束さんからの伝言です『調理がしたいならせめて器具を壊さないようになってから』との事です」

結標「……何も言えないわね」

海原「ぜひ反論できるようになってください」ニコ

結標「いつものニヤケ面が五割増しでムカつくわね」イラッ

海原「自分に言われましても」ニコリ

♪カランカラーン

佐天「すみませーん」

御坂「準備中って書いてあるけどいいのかしら」

佐天「でも初春が下で待っててって言ってましたし、飲食もモニター扱いでタダでいいらしいですし来なきゃ損ですよ!!」

御坂「でもなぁ」

御海「あー!!」

佐天「どうしました?」キョトン

結標「うるさいわねぇ」ヤレヤレ

御坂「何でアンタがここにいるのよ!!」

結標「店員だからに決まってるじゃない」バカジャナイ

御坂「〜〜ッ!!」

海原「まあまあ、御坂さん。落ち着いてください」

御坂「誰か知らないけど黙っ……海原さん!? 何でここに!?」

海原「何でと言われても自分もここの店員でして……社会勉強と言ったところでしょうか」ニコリ

結標「社会勉強(笑)」プークスクス

佐天「修羅場の予感」ニヤリ


477 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 18:00:07.88 ID:JDxsLyIm0

――――――――――――――――――――――

―――――――――――――
―――――――――
――――――
―――

御坂「アンタが風紀委員ね……信じらんない」ジトー

結標「それについては私も同感ね」クスクス

御坂「また何か企んでんじゃないでしょうね?」

結標「だったらどうするのかしら?」

御坂「私がブッ潰してやるから覚悟しなさい」ビリビリ

結標「怖い怖い」

御坂「ふざけないで!!」ダンッ

結標「冗談よ。そんな気はサラサラないから安心してくれていいわよ」ツクエ タタカナイデ

佐天「すっごく話に入り辛い雰囲気なんですけど」ヒソヒソ

海原「詳しくは存じませんが、浅からぬ因縁があるようでして」ヒソヒソ

佐天「すっごい怒ってるなあ」ヒソヒソ

海原「性格的にもあまり相性の良い方ではなさそうですしね」ヒソヒソ

御坂「……分かった。信用してあげるわ」

結標「それはどうも」

佐天「別に御坂さんにそんな権限ないですよね?」ヒソヒソ

海原「それ言わないでくださいね? 御坂さんの怒りが再燃しそうですので」ヒソヒソ

御坂「アンタだけならまだしも海原さんがいるんじゃ信用せざるえないじゃない」

結標「海原のお陰なのね。感謝しなくちゃ」ニヤニヤ

海原「………自分に振られましても」アハハハハ……

佐天「ところで御坂さん」

御坂「何? 佐天さん」

佐天「できればお二人を紹介してほしいんですけど」

御坂「………」

結標「気が乗らないみたいね。貴方のせいじゃない?」

海原「自分ですか!?」エー

御坂「いや、気が乗らないと言うより……紹介できるほど知り合いと言っていいのか分からない」

結標「……それもそうね」
478 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 18:01:38.49 ID:JDxsLyIm0

海原「それもそうですね」

佐天「どんな関係なんですかそれ」エー

御坂「うーん……」

♪カランカラーン

初春「お待たせしましたー」

白井「おっ嬢っ様ー♪」ヒュン

御坂「く、黒子!?」

垣根「へー内装はこんな風になってんのか」キョロキョロ

佐天「初春遅いーってまたしても新しい顔が」ダレ?

海原「一気に人が増えましたね」

結標「……営業してないのにね」レンシュウ デキナイ

御坂「あー!! アンタは!!」アノトキノ!!

垣根「なーなー腹減ってんだけど何かねーの?」

白井「お姉様はどうしてここに?」クネリクネリ

海原「営業してないので」ニコリ

佐天「初春に用事があってここで待っててって言われたんです。それで御坂さんと待ってたんです」

垣根「の割には料理の匂いしないか?」スンスン

初春「上にはいろいろと物が増えましたし、あんまり入られると困りますからねー」

海原「あーそれは……」チラッ

御坂「黒子!! ちょっと離して」

結標「……何よ?」コッチミンナ

白井「ま!! お姉様!! この黒子に死ねと言うんですの? そして初春グッジョブですわ」b

垣根「ん? 練習中か? 別に多少の味は気にしねえけど?」

佐天「私はもういらない子なのね!? 昔はもっと気軽に入れてくれたのに」サメザメ サメザメ

海原「……それがですね」フライパンヲ ミセル

初春「何ですかそのキャラ。というかそもそも今までのそれがおかしかったんですけどね」
479 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 18:03:02.14 ID:JDxsLyIm0

垣根「……。あーなるほど」ナットク

御坂「だから黒子。ちょっと離してってば!! 私はアイツに用事が」バタバタ

結標「何よ!! 言いたい事あるなら言えばいいじゃない!!」ムキー

白井「用事? この黒子の愛の抱擁を拒んでまで優先する用事がお姉様にあると言うのですか!?」ガーン

垣根「打ちひしがれてるやつに鞭打つなんてできねえよ」ククク

佐天「初春がかまってくれないー、佐天さんは悲しいぞー」シクシク

結標「中途半端な同情がすっごいムカつくわね!!」

初春「だから何キャラなんですかそれ……」ダキツカナイデ クダサイ

御坂「だあああああああああああああ!!!!」ビリビリビリ

白井「あばばばばばばばばbっばばばばあ」

佐天「あ」

初春「白井さん……」

結標「うわぁ」

海原「だ、大丈夫でしょうか?」アセアセ

御坂「ゴメン、黒子。後で謝るから」ハー ハー

白井「」プスプスプスプス

一同「」シーン

垣根「っつーかどうせ冷凍食品なんだろ? 失敗する要」

御坂「アンタも無視してんじゃないわよ!!」

垣根「失敗する要素あるか? 少なくともフライパンに穴は開かないだろ」

結標「ちょっと……垣」

御坂「無視すんなやこらーっ!!」デンゲキ

垣根「はいはい、未元物質未元物質」メルヘンガード

一同「!!??」

垣根「危ねえなぁ……室内で何してんだよ」

御坂「アンタが無視するからでしょうが!!」
480 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 18:05:50.54 ID:JDxsLyIm0

垣根「年上、しかもほぼ初対面の相手にに敬語なし。超能力者<レベル5>でありながら人のいる所、しかも室内で能力使用。んなヤツ知るか馬鹿」

御坂「な……っ!!」

海原「礼儀とか気になさるタイプでしたっけ?」

垣根「ケースバイケース、かな。普段は気にしないけどな。でもまあ」チラッ

御坂「………」

垣根「何かを聞こうとしてる態度じゃないのはちょっとなあ」

初春「な、何なんですかこの空気」ヒソヒソ

佐天「というか今、御坂さんの電撃防いだよね? 本気じゃなかっただろうとはいえ超能力者<レベル5>の電撃を防ぐって」ヒソヒソ

結標「ああ、垣根は超能力者、ついでに言うと第二位だから」シレッ

御佐「ええ!?」

垣根「その紹介もどうなんだ? この子は初春ちゃんの知り合い?」

初春「ええ、まあ」

佐天「初春の親友です」ブイ

垣根「俺は垣根帝督。まあ、簡単に言って風紀委員の手伝いみたいなのをやる事になってな。会う機会があったらよろしく」

佐天「佐天涙子です」コノヒト カッコイイ

海原「(この流れに便乗して)自分は海原といいます。垣根さん同じく風紀委員の手伝いです。別チームなんですけどね」ニコ

結標「私は結標よ。垣根とは別だけど海原とは同じチーム」

佐天「へー皆さん風紀委員の協力者ってヤツなんですね!! すごいです」

垣根「たいした事はしないけどなー」

佐天「いやいやすごいですよ!! しかも超能力者<レベル5>で第二――」

垣根「それって何か――」

御坂「………」

結標「別にいいけど貴方から折れないと何も変わらないわよ?」

初春「全部が全部とは言いませんけど御坂さんに非があるのは確かですからね」

御坂「……分かったわよ。あの――」

♪カキネケイタイ チャクシンアリ
481 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 18:09:22.17 ID:JDxsLyIm0

垣根「佐天ちゃんちょっとゴメンな。はいもしもしー」ピッ

御坂「」

初春「あちゃー」タイミングワルイ

結標「ドンマイ」シカタナイワ

垣根「あー了解。場所はこの前の待機部屋<セーフハウス>か? オーケーオーケー、飛んでくわ。んじゃなー」ピッ

佐天「どうしたんですか?」

垣根「ゴメンなー、俺のチームのミーティングが始まるらしくて今から行かなきゃいけなくなっちまった」

佐天「ええーいろいろ話聞きたかったのにー」ブーブー

垣根「またの機会ってやつだな」

海原「チームのミーティングですか」

垣根「ああ。上条のヤツがいろいろあって補習でしばらく忙しいらしくてな。その間の詰めというか打ち合わせというか何というか」

結標「大変ね」ホシュウ?

御坂「上条……上条って上条当麻!!」ウン?

海原「あ……」シマッタ

初春「御坂さんのお知り合いなんですか?」

御坂「どういう事よ!! 何でアイツが!?」

垣根「っつーわけで俺はこの辺りで。またなー佐天ちゃん初春ちゃんに気絶一名他二名」ノシ

♪カランカラーン

佐天「はいーまた今度ー」フリフリ

結標「気絶一名って」タシカニ ソウダケド

海原「自分たちはその他扱いですか」ベツニ イイデスケド

御坂「この期に及んで私をまだ無視するのね……」プルプル

初春「み、御坂さん……?」

御坂「黒子が起きたら適当に言っといて」ダッ

♪カランカラーン バタン!!

マテコラーッ!! ッテナンナノソノハネ!? マチナカデデンゲキタレナガスナダイニイ ダカラワタシニハミサ……

初春「………」

佐天「台風みたいだったなぁ」アハハハ

結標「どうするのこの子?」

海原「どうしましょうね」

白井「」プスプスプス
482 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 18:10:17.92 ID:JDxsLyIm0
>>468に追加です。

一方通行、麦野は入院。

483 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/10/16(日) 18:12:32.04 ID:JDxsLyIm0
話自体はあまり進んでませんがとりあえず事後処理はだいたい完了。

一応補足すると上条さんは補習です。
『スクール』の仕事で欠席分はどうにかなりましたが普通の勉強の埋め合わせは必要なので。

そして更新なしだと2か月で落ちる仕様になったんですね。
ぎりぎりだったのか……スミマセン。

>>1がいないのにスレを開いていてくださった方々ありがとうございます。
次回はもう少し早くにかけるといいのですが。

では次回。

484 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/10/16(日) 18:13:50.20 ID:JDxsLyIm0
ageついでに追記。
他2作も徐々に更新再開する予定なので気長にお待ちいただけると幸いです。

485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/16(日) 18:45:56.51 ID:hlyxALvE0
>>1乙っ乙!
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/16(日) 20:04:06.98 ID:tgX64lAfo
乙!

>>481で電撃垂れ流してるのは第三位だよな?
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/10/16(日) 20:31:37.63 ID:zbF/YiP0o
もう一つの方も見てきた!!

乙でございます
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/17(月) 02:09:42.10 ID:jK10WrMU0
こう言っちゃ>>1に失礼だが進行速度遅いよね?
半年で500行かないって大分遅いきがするが……
まぁそれでも書いてくれるからいいけど
上から目線で失礼そして>>1
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/10/17(月) 03:40:32.94 ID:jGOrZbKko
>>488
失礼だと思うなら言わずに心の中に閉まっておけよ
投下ペースがゆっくりでも面白いもの読ませて貰えるならそれでいいじゃないか

>>1
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/10/17(月) 16:35:49.70 ID:kfYZ3NAe0
投下キテター!
待ってたよ>>1乙!
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/17(月) 17:37:23.63 ID:jK10WrMU0
>>489
スマンそうだったな今後気をつけるよ
そして改めて>>1
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/17(月) 18:46:42.99 ID:nwcr8RYio
投下乙

2ヶ月ルールは決定されただけで、実行は管理人待ちだからまだ当分先だと思われ
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]:2011/10/17(月) 20:27:42.22 ID:jIDwqT3AO
>>1

今追いついた

取り敢えず上条さんはむぎのんにラッキースケベを発動するべし
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/27(木) 16:11:01.45 ID:0EVqac5DO
まだぁー?
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/29(土) 09:13:29.49 ID:MvhUGN5V0
また停滞かwwwwwwwwwwww
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]:2011/10/29(土) 22:58:42.41 ID:WpZ2sMKAO
上条×麦野だったら俺得だけど、賛否両論だろうからこれ以上のカップリングは無い方がいいな。個人的には。
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/30(日) 00:24:22.20 ID:nBl8i9kT0
……ここまで読んできて何故そのカップリング? 不思議
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/30(日) 11:27:13.75 ID:NR7OQuGb0
このSSのなかで上条さんがフラグ立てたのって誰がいるっけ?
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/05(土) 20:08:06.25 ID:EspCtrap0
がんばってくれ…
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/07(月) 11:59:13.23 ID:OCRzYxd+0
>>498
あえて言うなら絹旗あたりでしょうか…
でも、何となく立たなそうな気もします。
501 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:07:40.75 ID:rNl/iHO60
上条さんが原作で立ててなくてこのSSで立ててるフラグは助けた6人(モブ)と絹旗くらいですかね。

モブ6人は出す予定がないので「ああ、また上条か」と上条さんのクラスの人みたいに思っていただければ幸いです。

では、全員集合顔合わせまでの小さなエピソードを投下していきます。

502 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:09:44.68 ID:rNl/iHO60

垣根「にしても分からん」

青髪「まったくやー」

土御「同じくぜよ」

上条「……」

垣根「やっぱりお前らもか?」

土御「何で俺達が誘ってフレンダと滝壺に断られたのか」ナンデナノカニャー

青髪「何でボク達が誘ってフレンダちゃんと滝壺ちゃんに断られたのか」ナンデヤロネー

上条「…………」

垣根「それじゃねえ!! ってか普通に仕事って言ってたろ? そもそも俺達4人が休んでんだから他は働いてて当然だろうが」

青髪「せなんけどねー」シューン

土御「やっぱ男ばっかりじゃつまらんぜよ」シューン

上条「………………あのさ、一ついいか?」

青土垣「何?」

上条「今日はおやすみだったので4人でボーリングに来ているわけですが」

青髪「ちゃうでーカミやん、『ドキッ!! 男だらけのボウリング大会〜ポロリはR-18になるし誰得なのでありません〜』や」ドヤッ

上条「それは心底どうでもいい」

土御「それがどうかしたぜよ?」

上条「てかすっごいデジャブなんだけどさ」

垣根「何だよ」

上条「何でお前らストライクばっかりなんだよ!! 俺がすごい下手みたいじゃねーか!!」

青髪「実際カミやんは下手やからなー」ケタケタ

土御「仕方ないにゃー」ゲラゲラ

上条「くそう。147って上条さん歴代最高記録ですよ!? それなのに何この差? 何なんだよ!!」

垣根「初めてだから点数が高いのか低いのか解らん」
503 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:10:49.79 ID:rNl/iHO60

上条「またその流れかよ!! ってか初めてで200超えるとか普通ありえねーから!!」デジャブ

垣根「そうなのか?」

土御「そもそもカミやんは大雑把すぎるにゃー。フックもかけないしフォームもブレブレ。スプリットしてスコアが丸いっぱいにゃー」

青髪「むしろそれで100中盤に届くカミやんがびっくりや」

上条「ってか土御門は前来た時に俺とどっこいどっこいだったじゃねーか」

土御「ふっふっふ……俺はついにこの右手の封印を解いたというわけだ。カミやん」テレレレレーン♪

青髪「ま、まさか!! 土御門クン、その右腕は……!?」ガガーン♪

上条「こんな奴らに負けるとか……」ウウ…シクシク

垣根「俺が教えてやろうか?」

上条「今日初めてボウリングやる人間に教えてもらうほど上条さんのプライドは……教えてください」ドゲザー

土御「あーカミやん。俺達は休憩するから三人分投げてていいぜよ」

上条「三人分?」

青髪「ボクも一回休みやー。それにカミやんは三倍くらい練習せんとボクらに追いつけへんよ」ニヤリ

上条「」プルプル

垣根「どうする?」

上条「後でホエヅラかかせてやるから覚悟しやがれ!!」ゲキド

垣根「というか後何ゲームあるんだ?」ケッコウ ヤッテルヨナ

青髪「平日スペシャルパックだからまだ3ゲームもあるでー」

垣根「……多過ぎね?」オレ ツカレテキタ

土御「多いに越した事はないぜよ」

上条「2ゲーム特訓してラストにリベンジだ!!」

青髪「ま、時間の無駄やと思うけど」ケタケタ

土御「頑張るんだにゃー」ゲラゲラ

上条「上条さんをあんまり舐めない方がいいですの事よ!!」ムキー

垣根「んじゃなー」フリフリ

土御「まあ、せいぜい頑張るんだぜい」フリフリ
504 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:12:06.81 ID:rNl/iHO60

青髪「………」

土御「………」

青髪「で、土御門クンはどこまで知っとるん?」

土御「そっちこそ、どこまで土御門元春の事を知ってるんだ?」

青髪「たいした事は知らへんよ? 学園都市とアッチの世界の掛け橋やってくらいかな」

土御「掛け橋……物は言いようだな」

青髪「ま、掛け橋になって欲しいって皮肉も込めてやから堪忍してや」

土御「こっちだって似た様なものさ。第六位って事くらいしか知らない」

青髪「まあ、それはもう一般人にしか隠してへんしなあ……吹寄センセ辺りにバレた時が怖いんやけど」

土御「むしろ俺が気になってるのはそこじゃないけどな。7人しかいない超能力者なんだ。情報が隠れてたのはそこまで不自然じゃない」

青髪「じゃあ何が不満なん?」

土御「第六位の情報が第一位、それも絶対能力進化計画辺りの最重要機密よりも高い位置づけにされてた事だな」

青髪「そうなんや」

土御「ああ。そもそも俺は第六位だけは誰か知らなかった。他の6人や結標淡希や滝壺理后、そういった情報を知っている俺ですら」

青髪「……話をしよう」

土御「いいのか?」

青髪「あれは今から三十六万……いや、一万四千年前だったか」

土御「………」

青髪「まあいい。ボクにとってはつい昨日の出来事だが」

土御「そういう小ネタを入れるな」マジメナトキニ

青髪「んー……話さんとあかん?」エー エエヤン

土御「別に。敵じゃなければそれでいい」

青髪「んじゃ秘密でええんやね。ボクはカミやんや土御門くんの敵やないし」

土御「味方でもないのか?」

青髪「そこに関しては……保留って事で」

土御「……ならいいさ。さて、俺はカミやんの邪魔でもしてくるかにゃー」スタスタ

青髪「……いつかは話せるとええんやけどね」
505 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:14:18.85 ID:rNl/iHO60

服部「にしても……電話でも聞いたけどお前が真面目に働いてる上に風紀委員とはな……世も末だ」

浜面「それには俺も同意するけどな……いろいろあったんだよ」シミジミ

服部「ってか客いないけどいいのか?」オレダケ ダケド

浜面「何だかんだで学生がメインの客だからな。本格的に混むのは学校終わってからなんだよ」ハイタツモ シテルシ

服部「なるほどなー……こんな時間に来るのは俺達みたいな半端者か暇な研究者くらいって事か」

浜面「そういう事だ」

服部「他に従業員いないのか?」

浜面「いるけど……一人は上で仕事、一人は配達、一人は休み」

服部「浜面が店番じゃ来る客も来ない気がするけどな」クククク

浜面「……客受けするようなツラじゃねぇのは自覚してるけどな」

服部「にしても……ポスターやらチラシやら……何かゴテゴテしてんなぁ」

浜面「一応扱いとしては公共施設だからなー。それ系の募集とかは強制的に貼らなきゃいけないんだと」

服部「へー……んで、話ってなんだ?」

浜面「…………」

服部「言いにくそうだな」

浜面「正直、な」

服部「ま、俺とお前との仲じゃねぇか」キイテハ ヤルサ

浜面「学園都市がスキルアウトを本格的に解体しにかかってる」

服部「………………は?」

浜面「あ、いや。武力行使って意味じゃねぇ。かなり真っ当な手段で、だ」

服部「どういう意味だよ」

浜面「一言でいえば低能力者の支援処置ってとこだ。職業訓練や外部大学への斡旋やらいろいろだ」
506 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:15:48.23 ID:rNl/iHO60

服部「強度<レベル>や学力に関わらずいろいろな方法で道を示してくれるってか?」

浜面「そういう事だ」

服部「だからスキルアウトは存在が出来なくなる、と」

浜面「その通りだ」

服部「フザケんな!! 今まで放置しといて、俺達をこうしておいて……駒場のリーダーをゴミみたいに殺しておいて……今更」ギリギリ

浜面「それは俺だって分かってる。そもそも俺がこうなる時にだってその事は考えた。ない頭で必死に考えたんだ」

服部「それで出た答えが学園都市に媚び諂う事だってのかよ」

浜面「そうは言ってない。でも考えろよ、半蔵。俺達はまだマシなんだ。何だかんだで五体満足で生きていられる。だけど俺達より弱いやつはどうだ?」
  「そもそもスキルアウトなんて潰れて復活してその繰り返しだった。でもそれに耐えれなかったやつは? 俺達は耐えれた。ただそれが出来なかったやつはどうなった?」
  「そういうやつらを救うには最善の手段だろ?」

服部「……今までの事を許容しろって言うのか?」

浜面「これは俺達のためなんじゃない。これからのためだ。そして何よりこれが駒場の旦那が求めた事じゃないのか?」

服部「………」

浜面「目的はどうあれ、それに手段が正しかったか間違っていたかは別にして駒場利徳の理想は成し遂げられなかった。でもそれが成し遂げられるんだよ」

服部「……どの道俺達は従うしかねぇけどな、上が決めたんだ。一応メンバーに話はしておくさ」

浜面「ああ、頼む」

服部「でも具体的にはどうなんだ? 強度<レベル>はともかく学力も何もないやつらばっかりをどう扱うつもりなんだ?」

浜面「聞いてる限りでは――」

結標「戻ったわよー」ヒュン

服部「!?」

浜面「結標の姉さん……入口使ってくれよ」シンゾウニ ワルイ

結標「ついクセで。やっぱり自分が空間移動できると楽ねー」ゴメンゴメン

浜面「いいけどよ。あ、配達ご苦労さん」
507 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:17:04.22 ID:rNl/iHO60

結標「というかお客さん来てたのね」アラ

服部「どうも」ペコ

浜面「俺の知り合いだから気にしないでくれ」

結標「あらそうなの。あ、そうそう。浜面君にお客さんよ」

浜面「俺に?」

♪カランカラーン

黄泉「結標ー、いきなり空間移動するなんて酷いじゃんよー」オイテカレタ

結標「ああ、ゴメンなさい。ついクセで」

服部「」

浜面「黄泉川? 何でここに」

結標「貴方に用事があるらしいわ」

浜面「俺に?」

黄泉「ああ、前言ってた……お、服部もいるならちょうどいいじゃん」

浜面「ちょうどいい?」

服部「え? 俺に用? ちょうどいい? い、一体なんでしょうか!!」ギクシャク ギクシャク

結標「………もしかして」

浜面「………察してやってくれ」

結標「なるほど」ワカリヤスイワネ

黄泉「服部、お前まだスキルアウトのボスやってるか?」

服部「え? ええ、まあ」

黄泉「んじゃ今度私の前に全員連れてくるじゃんよ」

服部「は?」
508 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:19:12.26 ID:rNl/iHO60

浜面「意図は分かるが説明を省きすぎだ」

黄泉「そうじゃん?」

浜面「あー半蔵。多分さっき話してたやつだよ」

服部「低能力者の救済ってやつか」

黄泉「話してくれてたじゃん?」

浜面「ああ、俺も他人事じゃなかったしな」

黄泉「まあ、お前らには今更かもしれない。それでもやっと上が重い腰を上げてくれたじゃん。だから私もできる限りの事がしたいんじゃん」

服部「………話はしてみるさ。俺に強制はできない」

黄泉「それで充分じゃん。頼りにしてるじゃん二人とも」

浜面「俺は大失敗して逃げ出した出来損ないのリーダーだけどな」ハッ

服部「で、具体的にはどうするんだ? まだ浜面からは詳細聞いてねぇんだけど」

黄泉「ん? まだ言ってないんじゃん?」チュウト ハンパジャン

浜面「ちょうど話してた途中だったんだよ」

黄泉「まあ、簡単じゃん。学力ある人間には外の企業就職や大学進学の斡旋じゃん」

服部「悪いけどそんなやつはスキルアウトにはならないぜ?」

黄泉「体力馬鹿や犯罪紛いの技術しかないやつにだって道はあるじゃんよ。そこの馬鹿だって今みたいな仕事ができてるわけだし」

服部「なるほど」スゲェ セットクリョク

浜面「反論できねぇけど教師のセリフじゃねぇぞそれ」グヌヌ

結標「反論できないのね」クスクス

浜面「……くそう」

黄泉「まあ、募集人数は少ないけれど警備員も補充予定だったりするじゃん。教員としてよりはもう少し荒事専門だけど」イテ ソンハナイ

結標「………不良が教師になるなんて漫画の世界だけにしといた方がいいんじゃないかしら」
509 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:20:30.40 ID:rNl/iHO60

黄泉「まあ、悪ガキの気持ちは悪ガキが一番分かるじゃん? もっとも学校で教鞭をとらせるつもりはないじゃんよ」

浜面「教えれるやつはいないだろうからなぁ」バカバッカダシ

服部「警備員、ねぇ」

黄泉「まあ、第一期生は多分私が教官になるだろうから悪いようにはしないじゃん」

浜服「!?」

結標「厳しそうね」クスクス

浜面「絶っ対嫌だ」ガタガタ

黄泉「浜面、今度組手の訓練時間倍に増やすじゃん」

浜面「ッ!! ちょ、勘弁してくれ!!」

結標「自業自得ね」

服部「やる」

浜結黄「へ?」

服部「不肖、服部半蔵立候補させていただきます!!」

浜面「マジで!? 自ら死地に赴く気か? 半蔵」ショウキカ!?

黄泉「浜面は今度の組手覚悟しとくじゃん」

服部「本気も本気。こうなりゃ本気で狙うぜ!!」ア、アイノタメニ

黄泉「大歓迎じゃん。贔屓するつもりはないけど聞きたい事があったらいろいろ教えるじゃん」

浜面「マジかよ……」

結標「いいんじゃない? 本人が好きでやるなら」
510 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:22:25.86 ID:rNl/iHO60

固法「やっほー沈利、元気?」

麦野「元気も元気。今すぐ退院したいくらいよ」

固法「みたいね……元気そうで何よりよ」

麦野「心配かけたみたいね」

固法「そうでもないわよ? 皆から『麦野は超元気で殺しても死なないくらいです』って聞いてたし」

麦野「絹旗……」オシオキネ

固法「でも本当によかった。私じゃ力に慣れないし、さ」

麦野「あんなイレギュラーな荒事に関わるのは私達だけで充分よ」

固法「それでも私は風紀委員だから」イチオウネ

麦野「大きな膿もなくなったし、これからは私達がお世話になる事のが多いと思うわよ? 私達にはそういうの足りてないから」

固法「ま、期待せずに待っとくわ。あ、これお見舞い」ドウゾ

麦野「ありがと」

固法「何かあった?」

麦野「へ?」キョトン

固法「何か悩んでる顔してるから」

麦野「そんなつもりはないけど……あーでもこの前少し弱気になってたからかしらね」

固法「弱気に?」

麦野「こんなボロボロになるリーダーでいいのかなって……ま、滝壺達に怒られちゃったけど」

固法「ふむ」

麦野「スッキリ解決したから大丈夫だと思ってたけど……顔に出てたかしら?」
511 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:23:28.61 ID:rNl/iHO60

固法「勘はハズレたか」

麦野「勘?」

固法「滝壺さんが言ってたのよ。最近の沈利が恋する乙女みたいだって」

麦野「!? 何それ」ナニヲ コンキョニ

固法「私に聞かれても……でも、少し晴れやかな顔してると言うか、新しい恋を見つけた!! って感じにイイ顔してるからそうかなって」オトメノカン?

麦野「新しい恋…………ないわー」

固法「心当たりあるの?」

麦野「ないわよ」

固法「そっかー……ま、私はその手の話は全然だからなぁ」カンガ ハズレタ

麦野「前に言ってた先輩とは相変わらずなわけね」

固法「ッ!! いや、先輩とはそんなじゃ……というか沈利に話してそんなにたってないじゃない」

麦野「もうすぐクリスマスが近いんだから数日でも違いはあるんじゃない?」

固法「………多分だけど、もうすぐ戻ってくるかも」

麦野「へぇ」

固法「低能力者の支援措置を大々的にやっていく話は聞いた?」

麦野「一応ね」

固法「それの一環で情状酌量っていうか……いろいろとあるみたい。詳しくは聞けてないけど」

麦野「なるほどねー(というか私達自体情状酌量されてるようなもんだし、ありえる話ね)」

固法「ま、そういうわけで何にも進展なし」

麦野「美偉からは何もしないの?」
512 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/19(土) 16:24:51.27 ID:rNl/iHO60

固法「………いまだに自分の気持ちが分からないのよ」

麦野「前も言ってたわね」

固法「風紀委員とスキルアウト、互いに対立する存在になっちゃったから……自分の気持ちがあやふやになっちゃって」レンボナノカ ケイアイナノカ

麦野「後悔するわよ」

固法「え?」

麦野「違うわね。後悔すらできなくなるわよ」

固法「………」

麦野「鈍感なフリで逃げたり、変な自尊心で認めなかったら後悔すらできないうちに終わっちゃうわよって話」ワタシ ミタイニ

固法「心に突き刺さる言葉ね」

麦野「ま、偉そうな事言える経験してないけどね」クスクス

固法「………」

麦野「………」

固法「………」

麦野「何か言ってよ」ハズイジャナイ

固法「やっぱり変わった気がする」

麦野「へ?」

固法「新しい恋とは言わなくてもいい出会いくらいはあったのかしら?」

麦野「いい出会い……ないわね。いろんな意味で」

固法「?」

513 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/11/19(土) 16:29:24.15 ID:rNl/iHO60
とりあえず終了。
分量的には半分くらいですね。

投下スピードに関してはすみません。
トラブルがあって数か月書けなかったり現状でもあまり時間取れないので……。

頑張ってスピードあげますのでよしなに。

次回こそ少しは早く……。
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/19(土) 16:43:23.23 ID:+mWzFJHAO
>>1

恋する麦のん…ありだな
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/19(土) 17:02:54.23 ID:x+gMFYxuo
>>1

うむ、ありだな
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州)[sage]:2011/11/19(土) 17:21:16.63 ID:yrdFUdHAO
>>1

ああ、ありだな
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/19(土) 18:52:10.98 ID:obPMAbZzo
>>1乙乙乙
一気読みしちまったぜ
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/19(土) 23:56:58.04 ID:/LwNVBtYo
519 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:25:10.50 ID:rrqBBIRy0
恋するむぎのんは可愛いです!!
ま、今後どうするかは……。

では本日分投下します。

520 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:27:03.99 ID:rrqBBIRy0

垣根「んで結局よ ―――」ケラケラ

佐天「出席は足りても学力が足りなくなって補習って ―――」アハハハ

浜面「………仲イイよな、あの二人」サラ フキフキ

海原「最近よくお話しされてますね」コップ フキフキ

結標「………少し心配になる組み合わせだけどね」ヤルコト ナイ

♪カランカラーン

白井「お疲れ様ですのー」

初春「お疲れ様ですー」

垣根「お疲れー」

佐天「お疲れ様です、白井さんに初春」フリフリ

白井「もはや佐天さんがここで待っているのがデフォルトになりつつありますね」ベツニ イイノデスガ

初春「佐天さん暇なんですか?」

佐天「何だとー。春上さんからの伝言受け取った私に対して言っていいセリフなのかー?」

初春「えーそんなのメールでいいじゃないですか」ダッテ ヒマジンジャ ナイデスカ

白井「そして垣根さんは勤務がなくてもいらっしゃいますのね」カナリノ カクリツデ

垣根「一人暮らしで自炊は面倒でな、高くつくし。本当は誰かさんの練習に付き合ってもいいんだが」チラッ

結標「何よ」

垣根「まだ練習ですら食べさせれる域に至ってないらしい」タメイキ

結標「うるっさいわね」ムス

海原「進歩はしてるんですけどねぇ」ニコニコ

浜面「レシピ通り作るだけなんだけどなぁ」ナゼ アアナル

結標「うるさいわよ!!」セキメン
521 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:28:44.54 ID:rrqBBIRy0

垣根「さて、二人も来たしそろそろだな」オレハ イク

佐天「えー何か用あるんですか?」マダハナシ トチュウナノニ

初春「最近仲良いですよね、佐天さんと垣根さん」

佐天「お、あれか? 初春ヤキモチか〜?」ニヤニヤ

初春「お調子者同士気が合うんですかね」モシクハ カルイヒト ドウシ

佐天「何をう!! そんな事言うのはこの口か?」ホッペタ ツネツネ

初春「ひはいへふ〜」ニョイーン

垣根「まあ、用事って言うかなあ」アイカワラズ ナカイイナ

白井「そもそも完全下校時間が一時間を切っておりますし、帰宅されるのでは?」フツウニ カンガエテ

垣根「いやま、追いかけっこってとこかな」

初白佐「追いかけっこ?」キョトン

♪カランカラーン バタン!!

御坂「やっぱりここにいたのね!!」ビリビリ

佐初「御坂さん!?」

白井「お姉様!?」

垣根「あー今日はけっこう早かったな」12ガックデ マイタノニ

御坂「毎度毎度人をおちょくって……いい加減観念して私を入れなさい!!」スッゴイ ツカレタワヨ!!

垣根「だから俺にそんな権限ねえって言ってるだろ?」

御坂「じゃあその権限があるヤツに会わせなさいよ!!」

垣根「テメェみたいな危険人物を会わせられるか馬鹿」

御坂「〜〜〜ッ!!」ビリビリビリ

垣根「んじゃ俺は行くわ。代金置いとくな」コーヒー サンキュ

♪カランカラーン バタン

御坂「あ、待ちなさいよ!!」

♪カランカラーン バタン
522 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:31:31.21 ID:rrqBBIRy0

初春「台風みたいですね」アハハ

佐天「だね」

浜面「毎度毎度飽きねぇな」ドッチモ

白井「お姉様のお帰りが遅いのはこれが原因なんですのね」グヌヌ

結標「海原、手が止まってるわよ?」アラアラ

海原「………気のせいですよ」

浜面「御坂ちゃん……『スクール』に入りたいんだっけ?」

佐天「そうなんですか」

初春「あそこまで頑張るなんて熱心ですね」

白井「それがまだまともな理由であればよろしいんですけどね」ドウキガ フジュン

佐天「まともな理由じゃないんですか?」

浜面「詳しくは知らねぇけど……まあ、普通ならまず風紀委員になろうとするんじゃね?」

佐天「あ、そっか」

白井「まあ、他の超能力者<レベル5>の方々が所属してるのもあるのでしょうが……忌々しい。あの類人猿め」ギリギリギリギリ

初春「御坂さんが垣根さんを追いかけてばかりなのでヤキモチですか? 白井さん」カオ コワイデスヨ?

白井「ヤキモチだなんてそんな事は……たしかにわたくしでは超能力者<レベル5>としてのお姉様を正面から受け止める事はできませんの。そこは羨ましく思いますわ」ギリギリギリギリジンジン

佐天「垣根さんは超能力者ですからねぇ……まあ、御坂さんに真正面から対抗できる人間なんて超能力者くらいですって」ラーメンズ!?

浜面「まあ、そうはいないだろな」アレノアイダニハ ハイリタクナイ

初春「本当ならそういう状況になる事自体おかしいんですけどねー」アハハハハ

浜面「それはたしかにそうだな。平和が一番だ。そういえば絹旗は?」

初春「まだ上で始末書作ってます。今日器物破損を少々」

浜面「またかよ」
523 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:32:22.41 ID:rrqBBIRy0

佐天「またなんですか?」

初春「ええ。この前は ――」

白井(お姉様の世界には、その場所に行くのは黒子には無理なのでしょうか。所詮頂点に届かないもの<レベル4>程度の黒子では)

海原「どうぞ」コトッ

白井「へ?」

海原「お疲れ見たいですので」ニコ

白井「……ありがとうございます」

佐天「あー白井さんが海原さんに何かもらってるー贔屓ですか〜?」ズールーイー

海原「そんなそんな」

初春「白井さん……顔赤いですよ?」

白井「ッ!!」

海原「ご安心ください。皆さんの分もございますので」ニコ

佐天「やったー☆」

初春「はしたないですよ佐天さん」

佐天「じゃあ初春はいらないんだね」

初春「いります。海原さんの淹れてくれるお茶は美味しいですし」

結標「……乗り換えたの?」

海原「乗り換えるも何も自分は……まあ、平和なのが一番という事でいいじゃないですか」アセアセ

結標「お人好しねぇ」クスクス
524 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:35:25.70 ID:rrqBBIRy0

絹旗「ううーもう始末書は超勘弁ですよ」グデー

滝壺「きぬはた、お疲れ様」

フレ「まあ、私達は全然書いてないから自業自得な訳よ」フフン

絹旗「フレンダと滝壺さんは後方支援がメインだからですよ!! もっと前線に出てれば超始末されるはずですよ」

フレ「始末されるって」ヘンナ ニホンゴ

滝壺「でもむぎのはあんまり書いてなかったよね? 入院前の話だけど」

絹旗「ぐぬぬ」

フレ「結局、絹旗が猪並みに単純だって事じゃないの?」

絹旗「猪!? 言うに事欠いて猪ですか? ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ですよ?」スーパーモアイチャン

フレ「ひいいぃぃいいそれトラウマだからあああぁぁああ!!」

滝壺「きぬはたが頑張ってるのは認めるけど、もう少し考えて行動した方がいいと思う」

絹旗「………超反論できません」

フレ「理不尽っ!? 滝壺の言う事は聞くのに!? というか滝壺のが考えて動いてないでしょ絶対!!」

絹旗「それにしても久しぶりですね」

滝壺「何が?」

絹旗「こう、ファミレスで超ゆっくりできるのが」ムギノハ イマセンガ

フレ「ああ、たしかにそうかもしれないわね」ハマヅラモ イナイケドネ

絹旗「こう……なんか慣れませんよね」ハマヅラハ チョウドウデモイイデス

滝壺「慣れない?」

絹旗「こう、こんな幸せでいいのかなって思いませんか?」

滝壺「……きぬはた」ソレハ

フレ「ま、言いたい事は分かる訳よ」
525 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:37:22.46 ID:rrqBBIRy0

絹旗「で、ですよね?」

フレ「でもさ、じゃあどうするの?」

絹旗「え?」

フレ「たしかに私達は世間様に顔向けできるような真っ当な人生を歩んでない訳よ。結局、そういう人間かも知れない。でもじゃあどうすればいいと思う?」

絹旗「それは……」

フレ「別に絹旗がこれから先後悔して生きたいなら止めないよ? 結局、そういうのは誰に言われても変わらないし」
  「責任を放棄して気楽に生きろって言うつもりはないけどね。少なくとも落ち込んだって仕方ないって訳よ」

絹旗「………流石に一度死んだ人生経験がある人間は違いますね」イツニナク チョウマジメデス

フレ「すごく貶なされてる気がする」ジジツダケド

滝壺「よしよし」ナデナデ

フレ「ううー絹旗がいじめるよー滝壺ー」ム オオキイ

絹旗「………何か悩むんでるのが超馬鹿らしくなってきました……ん?」

滝壺「どうしたの?」

絹旗「あれは……」

上条「いやだから上条さんにはそんな権限ありませんから!!」アセアセ

御坂「じゃあその権限あるヤツに会わせなさいよ!!」

上条「………誰だろ」

御坂「ふざけてんの?」ビリビリ

上条「か、垣根も会った事あるんだろ? 垣根に聞いてくれよ」アセアセ

御坂「だってアイツはずっと逃げまくってるし……確実に捕まるのはアンタなんだもん」ソレニ アイタイシ

上条「だからって補習が終わっていつもいつも待ち伏せされてもなぁ」

御坂「まままま待ち伏せなんてしてないわよ!! 偶然たまたま万が一にも散歩してたら遭遇してるだけで……」ビリビリ
526 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:39:21.74 ID:rrqBBIRy0

上条「むしろ偶然な方が怖ぇよ!? ってかそんなに暴れたいのかよ」タメイキ

御坂「………暴れたい?」アン?

上条「すみませんごめんなさい御坂さんは裏表のない素敵なお嬢様です。だからバチバチ火花を飛ばささないでください」

御坂「ふざけてるわよね? だいたいアンタは――」

フレ「上条ー」オーイ

上条「ん?」

御坂「え?」

上条「あ、フレンダに滝壺に絹旗」タスカッタ

フレ「やほー」フリフリ

滝壺「久しぶり、かみじょう」

上条「久しぶりって今日も学校で会ったじゃねーか」

御坂「何で、アンタ……知り合いなの?」マタ オンナノコバッカリ

上条「……同僚? だし、そもそも二人はクラスメイトだし」キョトン

フレ「一緒に座らない? いつももっといるからどうにも三人だと広くてねー」オチツカナイワケヨ

上条「………あれだな。浜面枠なわけだ……ま、いいけどさ。二人もいいのか?」

滝壺「いいよ」

絹旗「い、いいですよ」ドキドキ

御坂「何で私には聞かないのよ!!」

上条「え? お前も一緒に座るの? ってか何か食べるの?」リョウデ メシアルノニ?

御坂「ファミレス来て食べないとか迷惑じゃない」ベツニ イイジャナイ

滝壺「普通に隣に座ったね」

フレ「だね」

絹旗「……」
527 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:41:09.24 ID:rrqBBIRy0

上条「何にしようかなー………って思ったけど今日も今日とて上条さんの懐は寂しいのでここはから揚げライス……いやポテトライスか」

御フ滝絹「何それ」

上条「え? 一番安いポテト単品にごはんスープセット(スープお代わり自由)を付ける事によって安価で腹いっぱいにするという極貧高校生御用達の荒業……」シラナイノ?

フレ「うわぁ」セツナイ

滝壺「はまづらがやってたような」ソウイエバ

絹旗「超哀れですね」チョウヤッテソウデスネ

御坂「それは、ちょっと」ドンビキ

上条「どうせ誰にも理解されませんよ分かってましたよ」シクシク

滝壺「大丈夫。私はそんなかみじょうを応援するよ」

御坂「(ん? これはチャンス)お、お金ないの? だったら――」テレテレ

絹旗「だったら私が出しましょうか?」ワリコミ

御坂「」

上条「いや、それ悪いし……上条さんとしては年下におごってもらうのはどうにも」

絹旗「この前のお礼ですよ。助けてもらったのに超何もしてませんし」

上条「あー……っつってもアレはただ通りかかっただけだし、仕事なわけで」ソウイエバ

絹旗「じゃあポテトライスとかみっともない事しないでください」シレッ

上条「う」ソレヲ イワレルト

絹旗「それに勘違いしないでください。別に感謝しているとかではなくて、単に超借りを作ったままなのが嫌なだけですので」セキメン

上条「んー………じゃあお言葉に甘えて」

御坂「………」ビキビキビキ
528 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:43:51.93 ID:rrqBBIRy0

フレ「修羅場?」ヒソヒソ

滝壺「っぽいね」ヒソヒソ

フレ「土御門達から聞いてたけど……これが噂の上条属性というやつな訳ね」ヒソヒソ

滝壺「みさかもみたいだね」ヒソヒソ

御坂「そ、そういえばアンタ。ちゃんとクリスマスの予定明けときなさいよ!!」ワリコミ

絹旗「ッ!!」

上条「は?」ナニソレ

御坂「一端覧祭の時に言ったじゃない。ロシアでの借りを返すって言ってたのにあの子と回るって言って私を放置したし」ユズッタケド

上条「あーアレに関しては先約だったので上条さんにはいかんともしがたかったと言いますか」アセアセ

御坂「先約先約っていつもそればっかりじゃない。一応、一端覧祭の前にデ、デートしてくれたけどさ」

絹旗「………」イライライラ

滝壺「今度はみさかのターンだね」ヒソヒソ

フレ「あーこれ見てる分には面白いわねー見てる分には」ヒソヒソ

滝壺「そしてきぬはたが」ヒソヒソ

フレ「明らかに機嫌悪くなってるわね」ヒソヒソ

上条「えーっと、御坂スマン。クリスマスは無理だ」

御坂「ッ!!」ガーン

絹旗「ッ!!」ニヤリ

御坂「ほ、補習とか?」ユウキ ダシタノニ

上条「いや、補習はそこまでないけどな。風紀委員の手伝いとかいろいろあるんだよ」

御坂「………24と25の二日間全部?」

上条「いや、25日の午後からは空いてるんだけど……」

絹旗「あ、その日は私と過ごす日じゃないですか」ニヤリ

上御「ッ!!」
529 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:45:58.52 ID:rrqBBIRy0

御坂「ア、アンタ……」コノコト…

上条「誤解だ誤解!! 絹旗も誤解するような事言わないでくれ!!」

絹旗「超事実じゃないですか」フフン

御坂「どういう事よ!!」ビリビリ

上条「風紀委員の手伝い組というか『スクール』や『アイテム』やそこら辺の関係者での集まりなんだよ」タキツボフレンダ タスケテ

滝壺「ああ、25日に集まるって言ってたね」ソウイエバ

フレ「結局、顔合わせ兼クリスマスのお疲れ会だっけ」シカタナイワネ

上条「な? な? だから二人ってわけじゃないんだよ」

御坂「………」イライラビリビリ

絹旗「………」フフン

フレ「うわぁ、すごいドヤ顔」ヒソヒソ

滝壺「超ドヤ顔だね」ヒソヒソ

フレ「一応だけどクリスマスに一緒にいれるからかな?」ヒソヒソ

滝壺「多分」ヒソヒソ

上条「ま、そういうわけだからさ」

御坂「私も参加する」

上条「へ?」

御坂「私もその集まりに行くって言ってんのよ!!」ダン!!(机を叩く音)

上条「えー」ナニソレ

絹旗「部外者が何言ってるんですか?」
530 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/11/23(水) 15:47:52.75 ID:rrqBBIRy0

御坂「超能力者<レベル5>なんだから戦力になるわよ? 私が所属して損はないに決まってるじゃない!!」

絹旗「はっ。超能力者超能力者って二言目にはそれですか。そもそもあなたがやりたいやりたい言ってるのは知っていますがそれでも上からの許可は下りてない。それが超答えなのでは?」

御坂「ッ!!」

絹旗「そもそも聞けば街中で迷惑も考えずに能力を使ってるらしいじゃないですか……そんなんでいいと思ってるんですか?」フフン

御坂「………黒子から聞いてるわよ。始末書ばっかりだって。この前は警備員の車両を一台ダメにしたらしいじゃない」

絹旗「ッ!!」

御坂「アンタこそ勤まるのかしらね?」ニヤニヤ

絹旗「………」ビキビキビキ

御坂「………」イライライラ

上条「………」ナニコノ ジョウキョウ

滝壺「雲行きが怪しくなってきたね」ヒソヒソ

フレ「これは……修羅場とか言って楽しんでる場合じゃなかった訳よ」ヒソヒソ

滝壺「どうしようか」ヒソヒソ

フレ「全然焦ってないわね」ヒソヒソ

上条「あ、あのさ、二人とも」アセアセ

御坂「何よ!!」ダン!!

絹旗「何ですかァ!!」ダン!!

上条「とりあえ」

♪ぐー(腹の音by上条)

上条「あう……」

御坂「くくくく……あはははは」

絹旗「ふふふふ……あはははは」

上条「ううー、折角この場を収めようといい言葉を……不幸だ」

御坂「一時休戦にしといてあげる」バチバチ

絹旗「同じくですよ」バチバチ

フレ「うわー見るからに視線に火花が飛び散ってる」

滝壺「………北北西から信号がきてる………」

上条「不幸だ……」
531 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/11/23(水) 15:55:16.35 ID:rrqBBIRy0
今回分は以上です。
次回はついにクリスマスパーティ……まで行くかな?

もう一つ二つエピソードを挟むかもですね。

あ、ちょろりと出しましたが上条さんは一端覧祭では主にインデックスとすごいしていて
その前にお礼と称して美琴とお詫びのデートをしています。

532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州)[sage]:2011/11/23(水) 16:04:38.88 ID:jsk4bXVAO
いちおつ(^ω^)


一方さんと早く顔合わせして欲しいぜい
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/23(水) 17:01:47.23 ID:RX635Mff0
>>1
絹旗キタワァー
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮城県)[sage]:2011/11/23(水) 18:08:00.96 ID:T1TQ2CLX0
ss速報来てみたら一日で500レス以上いってる。
スレタイ見て暗部落ちかと思ったわ乙
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/23(水) 19:39:10.11 ID:Ie8I845zo
乙!

すごい面白い 新訳買おうかな?
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(四国)2011/11/24(木) 00:28:03.74 ID:7i9Q29EAO
ってか御坂スクールに入りたい入りたい言ってるけどマジうぜぇぇぇぇぇ
少しは我慢するって事できないのかよそれじゃただの目立ちたがりやじゃねぇか
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州)[sage]:2011/11/24(木) 00:31:37.57 ID:g6gUNluAO
>>536
全くの同感だがsageないのは看過出来ねぇぞコラ
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府)[sage]:2011/11/24(木) 04:09:12.34 ID:hmwKyPQWo
御坂のキャラはDQNに限るな
しかしここまでくると駄々捏ねる子供に格下げしなきゃならんな
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/24(木) 16:36:12.12 ID:Mxj6VHiT0
結局絹旗にフラグ立ってるわけか・・・

流石は上条さんやでぇ・・・
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海)[sage]:2011/11/24(木) 18:25:51.80 ID:loCYnu4AO
御坂だけじゃなくて他の人もぶっ飛んでるから
そこまでうざく見えないのは俺だけだろうか?
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/27(日) 16:08:07.85 ID:Z1kCOsHDO
うん。確かに美琴ウザい。というか、ストーカーだよな。これは。

それとあと一つ。レベルについて。(読み返しすれば、違和感に気付くはず)

無能力(レベル0)

低能力(レベル1)

異能力(レベル2)

強能力(レベル3)

大能力(レベル4)

超能力(レベル5)

絶対能力(レベル6)

以上の7通り存在する。

542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/01(木) 12:39:01.12 ID:aZH75wKQ0
御坂と絹旗で修羅場?おいおいどっちも貧nyおや誰か来たようだ
543 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:42:40.26 ID:2fwX6c0t0
>>1です。何とか年内に更新できた……。

そして時系列がクリスマスに届いたりしました。

では本日分です。
544 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:45:04.94 ID:2fwX6c0t0

雲川「調子はどうだ」

一方「……誰だ」

雲川「そうか、初めましてだったな。次期統括理事候補の一人、雲川芹亜というものだけれど」

一方「……統括理事候補だと」

雲川「現『スクール』の指示役、そして貝積継敏の頭として思考するものだけど」

一方「………オマエがあの」

雲川「そちらの通り名が分かりやすいとは……私の知名度もまだまだのようだ」タメイキ

一方「統括理事候補、ねェ」

雲川「表向きは何ら変わらんよ。貝積継敏という説得力影響力のある顔で私の意見を述べているだけだ」

一方「表向きは、か」

雲川「裏では未来の学園都市の担い手として育成されているけど。まったく……親船といいあの女といい面倒な事を押し付けてくれるものだ」

一方「………」

雲川「どうかしたか? 直属の指示役を貶められて憤りを覚えるような性格ではないと思っていたのだけど」クスクス

一方「別に……で、何の用だ」

雲川「何の用だと思う?」

一方「その手のやり取りは好きじゃねェ。用件だけ言いやがれ」

雲川「せっかちだな。短気な男は女性に嫌われるけど」クスクス

一方「………」

雲川「用件は三つ。一つは単純に確認しておきたかったんだよ」

一方「確認だァ? 何をだよ」

雲川「学園都市の超能力者<レベル5>第一位、一方通行という存在をだけど」

一方「お眼鏡には適ったかよ」

雲川「及第点、といったところだけど」ニヤリ

一方「そりゃよかったなァ」
545 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:46:27.30 ID:2fwX6c0t0

雲川「もっともそれこそが正しい形だけど。まだ成長途中の子供だ。完成していては面白くもなんともない」

一方「……エラく上からの言葉だなァ」

雲川「上からの言葉だけど」

一方「………」

雲川「形だけだとしても上に立つものだ。それに私の持つ力とお前の持つ力は違うものだしなぁ」

一方「知ってるんだよ。ンな事は」

雲川「二つ目の用件はパーティの招待状だ」ホラ

一方「パーティ?」ナンダコレ

雲川「『統括理事会直轄治安維持組織』全チームの集まりだ。『スクール』『グループ』『アイテム』の全てのな」

一方「……今更だな」

雲川「前回は潰れてしまったからな。改めて、だ」

一方「俺は行く必要ねェだろ」

雲川「初顔合わせになるんだ。残念ながら参加は必須だけど」

一方「……いつだァ」

雲川「25日の午後からだけど。午前までは彼らは仕事で忙しいだろうからな」

一方「入院中なんだが?」

雲川「それまでには退院できると聞いているけど」

一方「……気が向いたらな」

雲川「では、また」

一方「用件は三つじゃなかったのか?」

雲川「ああ、忘れていた。私の用件ではなくお前の用件だったから忘れていたよ」

一方「俺の用件?」

雲川「土御門からの伝言だけど。頼み事は目下調査中だそうだ」

一方「………お喋りなヤツだ」

雲川「調べる過程で土御門が私を頼っただけだけど」

一方「………」

雲川「では25日、待っている」
546 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:48:33.35 ID:2fwX6c0t0

12月25日 夕刻
第三学区 とあるパーティルーム


土御『と、言うわけで皆様、二日間お疲――』

雲川「挨拶が長いんだけど」

土御『……先輩。乾杯の挨拶を押し付けた上に一行目で文句とか酷――』

雲川「乾杯」

全員「乾杯っ!!」チンッ

土御『……これは泣いてもいいレベルだにゃー』シクシクシク

雲川「一度やってみたかっただけだけど」クスクス

上条「相変わらずですね、先輩」

青髪「おおおお、知らない女の子がいっぱいやー」テンション ダダアガリヤー

垣根「どうでもいい」

青髪「なんやカッキー、テンション低いで?」

垣根「心理定規の体調が芳しくなくて間に合わなかったんだよ。そしてカッキーって言うなっつってんだろ」

上条「ああ、垣根の彼女だっけ……そういえば会った事ないな」ドンナコダ?

垣根「安心しろ。絶対に会わせないから」

上条「なぜに!?」

青髪「まあ、当然やね」

雲川「自分の胸に聞くといいと思うけど」
547 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:49:36.28 ID:2fwX6c0t0

結標「こう、いつも鬱陶しい土御門が手玉に取られてるとスカッとするわね」クスクス

海原「それは土御門さんが少しかわいそうなのでは?」ニヤニヤ

結標「いつもの胡散臭い笑顔じゃないそのやたら嬉しそうな顔を止めてから言いなさいよ」

一方「帰りてェ」

海原「そんな顔してますか?」ニコリ

結標「どこからどう見てもそんな顔よ。いつもに増して気持ち悪いわよ」

海原「これは手厳しい」

一方「帰りてェ」

土御「いい加減諦めろ、一方通行」

結標「あら、お帰りなさい。帰って来なくてもよかったのに」

海原「とてもいい乾杯の挨拶でしたね」

一方「帰りてェ」

土御「こう……何でチームで殺伐としなきゃいけないんだか。他のチームを見習うべきぜよ」

結標「よそはよそ、うちはうち」

海原「そういえば御坂さんのクローンがパーティに参加すると言うお話を聞いていたんですが」

一方「黄泉川に頼んで力付くで止めさせた」

海原「なぜですか!?」

一方「オマエがいるからに決まってんだろォが!!」

結標「どっちもどっちね」

土御「ブレないにゃー、二人とも」ゲラゲラ
548 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:50:36.76 ID:2fwX6c0t0

浜面「すげぇ料理だな」ハラガナル

絹旗「料理が超美味しそうですね」メ キラキラ

フレ「この2日間忙しかったからこれくらい当然な訳よ」

麦野「そんなに忙しかったの?」

滝壺「始末書間に合ってよかったね、きぬはた」

絹旗「滝壺さん!? それは麦野に言わない約束では」アワワワワ

滝壺「そうだっけ」

麦野「絹旗……」ジトー

絹旗「憐みの目で見けないでください!! あれは、あれは……そう、浜面が全部悪いんです!!」アセアセ

浜面「へ?」モッグモッグ

絹旗「何呑気に食べてンですかァ!!」チッソパンチ

浜面「ぷげらッ!!」

フレ「浜面汚い!!」フクニ カカッタ

麦野「浜面なんて頼りになんないの最初から分かってるでしょうが。いないものとして……いやむしろ足引っ張るものとして考えときなさいよ」

絹旗「それもそうですね」

浜面「ってか昼間のは俺のせいじゃないのに……理不尽だ」

滝壺「大丈夫。私はそんなはまづらでも応援するよ」
549 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:51:42.42 ID:2fwX6c0t0

――――――――――――――――――――――

―――――――――――――
―――――――――
――――――
―――


上条「っつーかよ。このまま仲間内で話してちゃダメだろう」

青髪「ほほう。カミやんは他のチームの女の子にフラグを立てに行きたい、と」

垣根「流石幻想旗男<フレグメイカー>の名は伊達じゃないな」

雲川「お前というやつは相変わらずだな。最低だ」

上条「……顔合わせパーティって言われてたから当然の意見を出しただけなんですけど何でこんなにフルボッコなんでせう?」シクシク

青髪「カミやんだから」

垣根「上条だから」

雲川「お前だからだ」

上条「せ、先輩まで」ガーン

雲川「ま、もっともお前の言っている事自体は正しいのだがな。よし、会場に入る前に渡した籤を開け」

青髪「そういえばもらってたね。どれどれ」ゴソゴソ

雲川「土御門ー、席替えだ」

垣根「………席替えって合コンかよ。別にいいけどさ」
550 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:54:33.34 ID:2fwX6c0t0

テーブルA


滝壺「フレンダと一緒だ」

フレ「滝壺と一緒ね」

土御「そして俺も一緒だぜい」ブィ

滝壺「あ、つちみかどだ」ヨロシクー

フレ「……クラスで会ってるから今更感が否めない訳よ」ツマラナイ

海原「皆さんはクラスメイトなんでしたっけ」

フレ「お、新顔」

滝壺「うなばらもこのテーブル?」

海原「ええ」

土御「ん? 知ってるのか?」

海原「ええ。彼女達の普段協力している風紀委員の支部の真下が喫茶店ですし。フレンダさんはあまり来られないのでご存じないかもですが」

滝壺「この前お世話になった」

フレ「私はフレメアの迎えがあるからね。この前って……あーあの日のか」12/12カ

海原「と言っても結標さんと支部にいただけに近いですけどね」

滝壺「そんな事ないよ。助かった」ペコリ

海原「貴方こそお知り合いなんですね」イエイエ

土御「まあな」

フレ「クラスメイトって訳よ」

海原「そういえば高校生でしたね、貴方」イワレナイト ワスレテシマイマスネ

土御「ふむ」

滝壺「どうしたの?」

土御「いや、カミやんに殴られた人間が旗建男<フラグメイカー>属性を持つという噂は本当だったのかと思ってたんだぜい」ニヤニヤ

海原「は?」キョトン

フレ「何その面白そうな話!!」

土御「実はだな」ニヤニヤ
551 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:56:39.99 ID:2fwX6c0t0

海原「貴方は何を言おうとしてるんですか!?」

土御「大丈夫だ。爽やかイケメン海原クンがロリコンだとか妹萌とかイメージを崩す事実は隠しておくから安心するにゃー」

海原「貴方のどこをどうやったら安心できると言うんですかっ!!!! 隠れてないですしそもそも妹萌は貴方でしょう!?」

土御「ロリコンは否定しなかったな」ニヤリ

フレ「しなかったわね」ニヤリ

滝壺「しなかったね」ニヤリ

海原「断じて違います!!」フカイイミハ ナイデス

フレ「そういえば白井に甘いわよね」

滝壺「そういえばよくみさかに放置されてうなだれるしらいをなぐさめてる」

海原「ッ!!」ソ、ソレハ

土御「何だ、お目当ての超電磁砲だけに飽き足らずその取り巻きにまで……業が深いな」

海原「違います!!」

滝壺「やっぱり本命はみさかなんだ」

海原「だから違いますって!! 自分は単純に……ってやっぱりってなんですか!?」

フレ「結局、バレバレなんだけど」カクセテルト オモッタノ?

海原「違います!! そんなんじゃないですから!!」

土御「そういえばお前の妹の片割れ……トチトリだっけ? 目を覚ましたらしいなお兄ちゃん?」

海原「貴方という人はぁぁぁああああ!!!!」

滝壺「片割れという事は二人いるんだね」ダヨネ?

フレ「結局、海原は二人の妹の好意を放置、いや無視して御坂や白井にうつつを抜かしてる、と」デショウネ

海原「いや、なのでうつつを抜かしてるとかそういうのではないですし、そもそも兄弟ではなく師弟関係みたいなものでしかないわけでしてね!!」アセアセ

土御「つまり義理っ!! むしろそっちの方が最高じゃないかにゃーっ!!」

海原「黙りなさいシスコン!! というか貴方には前にもこの説明したでしょうっ!?」イツゾヤ ビョウシツデ

滝壺「義理……という事は何も怖くないね。そんなうなばらを私は応援するよ」

海原「何を想像してるんですか!? 応援なんていりませんからね!!」

フレ「えーでもむしろ義理じゃない方が萌えると言うか燃えると言うか……結局、そっちの方が琴線に触れない?」

海原「血がつながってたら法に触れますから!!」

土御「俺の魔法名は背中を刺す刃<Fallere825>。覚えておけ」

海原「このタイミングで魔法名を名乗るとかふざけるのも大概にしてくださいよっ!?」
552 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:58:23.77 ID:2fwX6c0t0

テーブルB


雲川「ふむ、向こうは騒がしいな」

絹旗「そうですね」

結標「珍しく海原が声を張り上げてるわね……土御門と一緒じゃなくてよかったわ」

上条「………」

雲川「どうした上条。先ほどからずっと黙っているけど」

絹旗「そうですね。さっきから超静かです」

結標「私達といるのはそんなに退屈かしら、上条君」

上条「……一つ、お馬鹿な上条さんにお聞かせいただきたいのですが」

雲川「何だ?」

絹旗「何です?」

結標「何かしら?」

上条「近くないですか? みなさん」

雲川「そうか?」

絹旗「そうですか?」

結標「そうかしら?」

上条「いや、絶対近いですって。っていうか近いってレベルじゃない」

雲川「だ、そうだけど。首に巻きついているチビッ子」ギュー

絹旗「だ、そうですよ? 左手に巻きついている露出狂さん」ギュー

結標「だ、そうよ。 右手に巻きついている巨乳オデコさん」ギュー

上条「………」

三人「………」
553 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 17:59:34.68 ID:2fwX6c0t0

上条「このままだと何もできないので離れていただけないでせうか?」

雲川「だ、そうだけど。離れるといいチビッ子」ギュー

絹旗「だ、そうですよ? 離れてください露出狂さん」ギュー

結標「だ、そうよ。 離れてね巨乳オデコさん」ギュー

上条「………」

三人「………」

雲川「そうだな。ここは多数決でいこうと思うけど」

絹旗「超不本意ですがそれで行きましょう」

結標「まあ、異論はないわね」

上条「いや、全員離れてくれよ」

雲川「そうだな。ならまず上条がくっついていても嬉しくないだろう体の凹凸が少ない人間から離れるべきだと思うけど」

絹旗「ッ!!」

結標「賛成ね」

上条「俺の意見は完全に無視ですか……?」アレ?

絹旗「図りましたね!!」ムキー

雲川「侵害だな。私は事実に基づいた一般論を意見として述べただけだけど」ニヤニヤ

結標「そうね。事実凹凸がはっきりした女性の方がいいでしょう」クスクス

絹旗「そ、そんな事ないです!! そもそも私は」

上条「だあああああああっ!!!!」

雲川「ふむ」ヒョイ

絹旗「うわぁ」ドタン

結標「あら」ヒュン

上条「いい加減にしてくれ!!」

雲川「珍しく怒るんだな。いつもは怒らないけど」

上条「流石にここまでからかわれたらこうなりますよ!!」
554 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:00:52.11 ID:2fwX6c0t0

絹旗「大きい方がいいんですか? やっぱり超そうなんですか?」ウルウル

上条「何で涙目!? 単純に三人もしがみつかれて限界だっただけだからね?」

結標「つれないのねぇ。前はもっと側にいてくれたじゃない」

上条「前に小萌先生ん家でも言ったけどからかうの止めてくれよ、結標さん。あの後だって小萌先生にさんざん言われたんですよ?」カミジョウチャンハ カミジョウチャンハ ッテ

雲川「相変わらずだなぁ、お前は」クスクス

上条「相変わらずって何ですか!!」

雲川「そのままの意味だよ」

絹旗「相変わらずなんですか」ムス

結標「相変わらずらしいわよ?」クスクス

雲川「例えばあの」

結上絹「あの?」

♪ アーイーガーウマレタヒー ソノトーキニー

雲川「すまない。所用ができた」

絹旗「あのなんですか? 何なんですか? 超気になります!!」

上条「不穏な爆弾を投下したままいかないでぇ!!」

雲川「お前が引き留めてくれるのは嬉しいし名残惜しいのだけど……仕事だ。許せ」ナゲキッス

上条「ああ。何だろうこの意思疎通が取れてない感じ」

結標「お見送りは必要かしら?」

雲川「安心してくれ。外に待たせてある。ではまたな」スタスタ

上条「………ではまた」

絹旗「あの人……なんというか今までであった人の中で一番アレな人でしたよ」チョウアレデス

上条「アレって……否定はしない」

結標「それにしても……あそこの席は楽しそうね」

上条「あそこの席? ………………俺なら絶対勘弁だ」

絹旗「どこですか? ………………超同じくです。あ、浜面が死んだ」
555 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:02:36.97 ID:2fwX6c0t0

テーブルC


浜面(あ…ありのまま 今起こった事を……ってボケる余裕すらないっ!!)

一方「………」

浜面(籤と聞いた時点でいろいろ覚悟をした。なんとなく嫌な予感がしたからだ。麦野と一緒だったりどのテーブルでも下っ端扱いされるだろうとか)

垣根「………」

浜面(いろいろ考えた。ない頭で答えを出そうと必死に考えた。でもよ……)

麦野「………」

浜面(この仕打ちはあんまりだろぉぉぉおおおおおおっ!! いるだけで精神がゴリゴリ削られてく感じがするんですけど!?)

青髪「あ、ボクもここなんやね。おお、これさっきのテーブルにはなかったんよねー美味しそう」ヒョイッ パク

浜面「救世主来たあああああ!! (でも全員超能力者<レベル5>じゃねえかああああ!!)」

青髪「あ、浜面クンや。この前黄泉川センセのトコであって以来やね」ヤホヤホ

浜面「ああ、そうだな」

青髪「なんやていとクンつまらなそうな顔して……カッコいい顔が台無しやで? といってもボクほどカッコよくはないんやけど」

垣根「うるせえ。というかていとクンじゃねぇ」イライラ

浜面(ぬおおおお!! 何言ってんの!? 何言ってんのこの人!! 更に場の空気が悪く)

青髪「あっちゃんもやでー笑顔笑顔」

一方「………」

青髪「無視は酷いでー」

一方「え、もしかしてそれ俺の事?」キョトン

青髪「一方通行だからあっちゃん。アっくんとかレーたんの方がええ?」

一方「………ふざけてンのか?」

浜面(顔が見るから不機嫌にいいい!!)ガタガタガタ

青髪「むぎのんもムスーっとしとると美人が台無しやで」

麦野「ッ!!」ビクッ

浜面「今度は麦野に……自殺志願者か!? 絶対殺され――」

麦野「………」プィ
556 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:04:02.32 ID:2fwX6c0t0

青髪「あら、嫌われてもうた」ザーンネン

浜面「あの麦野が何も言わずに顔を背けただけ、だと……!?」

一方「とりあえず訂正しやがれクソピアス」

青髪「いやん♪ ちゃんと青ピって呼んでーや。青さには誇りをもってるんやから」クネクネ

浜面「青さに誇りを持ってるって何!?」

垣根「元々青くなかったじゃねーか」ムカシハ フツウダッタロ

青髪「イヤン☆ かきねん。そんな昔忘れてやー」イケズー

垣根「だからかきねんとか言うんじゃねえ」

浜面「天丼!? 何で第二位相手に同じ事をする勇気があるの!?」

青髪「えーだってカッキーとかていとクンとかかきねんとかのが親しみやすいやん? ねぇ、あーくん」

一方「どうでもいいから訂正しやがれクソ青ピ」

浜面「こっちは訂正しただと!?」

青髪「ってかしずりんも話さへん? 男ばっかで話しててもつまらんよー」

浜面「再び麦野に特攻だと!? 命知らず過ぎるぞ!! そしてなぜ呼び方を変えたんですか!?」

麦野「………」ズリズリズリ(椅子を引きずる音)

浜面「仏頂面のままだけどこっちに来ただとおおおお!! 何だ、何が起こっているんだ!?」ノオオオオ

垣一麦「………」

垣根「とりあえず」

麦野「そこの青いのの処遇は置いておいて」

一方「三下2号」

浜面「へ? 俺?」

垣一麦「黙れ!!」

浜面「三重殺!?」

垣根「さっきからうるせえんだよ!!」

浜面「何? まさか俺の心の声がサトラレになったのか!?」

一方「はっきりと声に出てたぞ。 具体的に言うなら『今度は麦野に……自殺志願者か!?』から普通にツッコミいれてやがったからなオマエ」

浜面「何、だと……っ!! つ、つまり……」ダラダラダラ

麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・だ!!!! はーまづらぁぁあああああ!!!!」メルトダウナー

浜面「ノオオオオオオオオオッッッ!!!!」シヌシヌシヌウウウウウウ
557 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:05:08.11 ID:2fwX6c0t0






土御『さて、そろそろもう一度席替えにゃー』





558 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:08:04.89 ID:2fwX6c0t0

テーブルA


浜面「助かった……俺生きてるよ。生きてるよ」ゴタイマンゾクダヨ…

青髪「大袈裟やねー」

垣根「いや、麦野が本気だったし結構すごいと思うけど……って三人も同じなのか」アレハ シヌダロ

海原「みたいですね。自分はお邪魔ですかね」

青髪「……こ、これは」

垣根「どうした?」

青髪「女の子がおらんやないか!!」ガーン

垣根「……そうだな」

海原「ですね」

浜面「だな。っつっても俺は結標の姉さん以外旧知だし、結標の姉さんも店でよく話すしなぁ」

青髪「なんやと!? リア充爆発しろ!!」モゲロ!!

垣根「女は『アイテム』がほとんどだしな。……そういう意味でも心理定規に早く復帰してほしいな」コウイッテントシテ

海原「心理定規さんですか?」

浜面「ああ……アイツか……」

海原「どんな方なんです?」

垣根「どんなって聞かれてもなぁ」

青髪「カッキーの彼女さんや」

浜面「そうなのか」

海原「そうなんですか」
559 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:10:12.00 ID:2fwX6c0t0

垣根「まあな。そしてカッキーって言うな」

青髪「まったく……みーんなフラグ立てててボクが独り身とか……世界にとって重大な損失やね」

浜海「………」

垣根「それはツッコミ待ちか?」

浜面「まあ、でも男だけってのもいいよな」

垣海「………」アトズサリ

青髪「いや、流石のボクもソッチの趣味はノーサンキュウや」オトコノ娘ナラ カンガエルケド

浜面「違ぇぇえええ!! 違う違う。そうじゃなくて男同士のが気楽に話せるって意味だって。俺だってそんな趣味ねぇよ」

海原「なるほど、そういう意味でしたか」

垣根「危うく翼出して全力で逃げるとこだったわ」

青髪「アーッ!! な趣味はなぁ……流石にないわ」

浜面「……俺ってそんな趣味ありそうに見えるのか……?」

海原「自分にはそんな残酷な言葉を口にできません」

垣根「鏡見てみろよ」

青髪「駒浜ってわりと人気あるらしいで」

浜面「………まあ、普段女に囲まれてるとそう思うんだよ。スキルアウト時代も男ばっかりだったしな」

海原「そういえば177支部も女性ばかりですしね」

垣根「言われりゃそうだな」オンナ バッカリダ

青髪「そうなん? うらやましいわー」オンナノコ バッカヤナンテ

海原「そういえば一度もいらっしゃってませんね」アナタハ
560 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:11:02.52 ID:2fwX6c0t0

青髪「普段は黄泉川センセと遊んどるからねぇ」ラッブラブヤー

浜面「あれを遊びって言うのかよ」アノ サツジンクミテヲ

垣根「俺は逆にその人に会った事がないんだよな。どんな人なんだ?」

海原「……なんて言えばいいんですかね」

浜面「……すっげー人間。いや、人種」

青髪「けしからん人やね」タイケイテキニ

垣根「もう少し具体的に言ってくれ」

浜面「麦野とどっこいどっこいの恐ろしさだ」

垣根「なるほど」

海原「納得してしまうんですか?」

垣根「いや。麦野がキレてるとこなんざ浜面相手にしか見た事ねぇし」ナントナク

海原「では何がなるほどなんですか?」

垣根「こうして浜面は自ら自爆していくんだなって思ってさ」

海原「なるほど」

浜面「何の話だ?」

垣根「麦野にだって聞こえてるだろ? この話」

浜面「ッ!!」シマッタ
561 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:12:56.46 ID:2fwX6c0t0

テーブルB


フレ「あ、麦野と一緒だー」ワーイ

絹旗「またあなたとですか」ムスッ

結標「そうみたい。よろしくね」

絹旗「……よろしくです」

結標「嫌われちゃったかしら」クスクス

フレ「どうしたの麦野? 気になる事でもあるの?」

麦野「いや」アイツハ コリナイワネ

結標「お久しぶりね、麦野さん」

麦野「久しぶり」

絹旗「あれ? 二人は知り合いなんですか」

結標「学校同じだし」ソウヨ

麦野「同い年だし」ウン

フレ「麦野の学校って」タシカ

麦野「霧ヶ丘女学院。所属だけだけどね」

結標「私も籍置いてるだけよ。制服は着てるけど」アレハ セントウフクダカラ

麦野「そうそう、聞いたわよ。トラウマ克服して自分の空間移動できるようになったんだってね」

結標「耳が早いわね」

麦野「ならさっさと身体検査<システムスキャン>やって超能力者<レベル5>になっちゃいなさいよ」

結標「嫌よ、面倒臭い」

麦野「そのせいで実験やら授業やら講演やらの話が全部私に来てるんですけど」

結標「いいじゃない。どうせ断ってるんでしょ?」

麦野「それにしたって鬱陶しいっての」

絹旗「……何ですかこの超すごい会話」
562 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:14:45.49 ID:2fwX6c0t0

フレ「超能力者になっちゃいなさいってあり得ない言葉よね」

結標「相変わらずみたいね」クスクス

麦野「相変わらずね」クスクス

フレ「何か空気が悪くなってきたんだけど」

絹旗「む、麦野。こんなところで暴れないでくださいよ?」

麦野「暴れるわけないじゃない。コイツとケンカしたって何一つプラスになんてならないし」ハァ

結標「ゴメンなさいね。これ私達のデフォルトなのよ。見た目よりは仲がいいから安心して」ウインク

絹旗「そうなんですか?」

麦野「まあ、超能力者<レベル5>と大能力者<ニアレベル5>だったからねぇ。仲がいいと言うよりは気付いたら一緒くたににされてたって感じかな」

結標「あら酷い。そんな寂しい言い方ってないんじゃない?」シンユウニ タイシテ

麦野「そういうのは少しでも酷いって思うヤツの言葉よ」ダレガ シンユウヨ ダレガ

絹旗「……麦野、楽しそうですね」

フレ「……ずるい」

絹旗「え?」

フレ「私ももっと麦野と仲良くするー!!」トビツキ

絹旗「ええ!?」ナンデスカソレ

麦野「フレンダくっつくな!!」ウットウシイ!!

結標「あらうらやましい」クスクス

麦野「だからそういうのは少しでも羨ましいって思うヤツの言葉だって!!」ハナレロ フレンダ

フレ「結標!! 結局、私の麦野は渡さないわよ」ギュウウウウウ

結標「あら、それは残念」

麦野「テメェのじゃねぇ!!」チョップ

フレ「ぎゃいん」

絹旗「……超懲りない人ですね」ハマヅラモ デスケド
563 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:16:21.01 ID:2fwX6c0t0

テーブルC


上条「今度は土御門と滝壺が一緒か」

滝壺「よろしく」

土御「人数的にもう一人いるはずなんだけどにゃー」ニヤニヤ

一方「………」

土御「あれーあれーそこで立ってるのは一方通行君じゃないですか。座らないんですかい」ニヤニヤ

一方「土御門ォ……オマエ」プルプル

上条「あ、もしかしてお前ここか?」

一方「………」

滝壺「座らないの?」

一方「チッ」

上条「俺が嫌いなのは分かるけど一応仕事仲間なんだし、こういう場くらいは頼むよ」アハハ…

一方「ッ!!」

滝壺「かみじょうとうさぎさんは仲が悪いの?」

上条「まあ、どっちが悪いかは置いといて好かれてる気がしない」ナグッテルシ

一方「………」

土御「………」ププププ

上条「ってうさぎさん?」ナニソレ

滝壺「うん。白いし、眼赤いし」

一方「………」

土御「………」プルプルプルプル

上条「そうだけど……って土御門どうしたんだ? 何か笑いをこらえてるように見えるけど」

土御「何、でも……プププ……ないにゃー……プククク」

一方「土御門ォ、黙れ。いやそのまま死ね」

上条「お前ら仲悪いな」ヤレヤレ

滝壺「仲良くしないと」

上条「だなー」

土御「………」プククククククク

一方「黙りやがれェええ、土御門ォおおお!!」
564 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:17:45.20 ID:2fwX6c0t0

上条「何だいきなり」

土御「そうだぜぃ、来年からは同級生なんだしな」

一方「あァ? 何の事だ?」

土御「一方通行は来年から俺達と同じ学校に通うんだにゃー」

一方「何訳分かンない事ほざいてるンですかァ!?」ハツミミ ナンデスケドォ!!

上条「そうなのか」シラナカッタ

滝壺「てっきりはまづらやむぎのみたいに働く組かと思った」

土御「誰とは言えないけど要請があったんだ。『アイツ友達もいないしコミュニケーション取れない人間だから社会になんて出れないじゃん』って鶴の一声でな」ゲラゲラ

一方「黄泉川ァァあああああ!!!!」

上条「同じクラス……って事はないか」

滝壺「私達三人も転校してきてるしね」

上条「黄泉川先生のクラスだったりしてな」

滝壺「誰それ」ソウイエバ

一方「不吉なフラグ建ててンじゃねェ、三下ァ!!」オマエガイウト シャレニナラネェンダヨ

上条「三下って言うな!!」ヤメテ

土御「ヒーローって呼べばいいんじゃないかにゃー」クスクス

上滝「ヒーロー?」ナニソレ

一方「オマエは本気で俺を怒らせたいらしいなァ!!」

土御「きゃー、カミやん助けてー」ゲラゲラゲラ

上条「あーそういえばロシアでヒーローがどうとか言ってたな、何の事だ?」

一方「オマエには関係ねェ!!」ソコヲ ドケ!!

土御「正直に言っちまえ、一方通行。貴方様はこのクソったれた悪党に道を示してくれたヒーロー様ですって」ニヤニヤ

一方「黙りやがれェェえええええええ!!!!」コクヨク モード

土上「ぎゃああああああああ!!!!」

上条「何で俺まで!?」

滝壺「おお、うさぎさんから黒い翼がでた」
565 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:18:30.45 ID:2fwX6c0t0

土御『あーあーマイクテスマイクテス。そろそろ完全下校時刻も迫ったし宴もたけなわって事でお開きにするぜよー』

フレ「えー結局、まだ話したりないって訳よ」

絹旗「もう一回くらい席替えしたかったですね」

土御『なら各個人やってくれ。とりあえずここを使っての会食は解散しなきゃいけないからな』

浜面「なるほど」

土御『本来なら挨拶をーっと思ったんだけど雲川先輩がいないからそのまま解散にゃー』

海原「締まらないですねぇ」

土御『ま、皆さま今後ともよろしくだぜぃ』
566 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:21:02.55 ID:2fwX6c0t0

絹旗「さ、上条行きましょうか」ウデクミ

結標「いえ、上条君は私と行くのよ?」ウデクミ

上条「いつの間に腕に!? えーっと……いい加減からかうのは止めて欲しいと言うか……それに俺これから用事があるんで」

絹旗「ッ!?」

結標「あら、残念ね」

絹旗「あの女、あの女との約束ですか!?」

上条「あの女って誰!? いや、電話だよ。女の子だけど……妹が一番近い関係かな」

結標「ああ、あの子か」アノシロイ

絹旗「知ってるんですか? ……とりあえず御坂美琴じゃないんですね?」ジトー

上条「何で御坂? あーそういえば前に誘われたっけ。断ったけど」ッテカ イッショニ イタジャン

絹旗「なら、いいです」イマシタケドネ

フレ「絹旗ー行くわよー」オーイ

上条「何かあるのか?」

滝壺「フレメアと『アイテム』全員でクリスマスパーティ」

上条「なるほどー……あそこでなぜかボロボロになってる浜面は参加できるのか……?」

フレ「あー麦野にもあの会話が聞こえてたみたいね。ちゃんと運ぶわよ? 絹旗、浜面起こしてー車出せないから」

絹旗「……じゃあ、とりあえずまたです上条」スタスタ

上条「はいはいまたなー。……浜面あれ生きてんのか?」シンデンジャネ?

結標「やけに懐かれたわねぇ」クスクス

上条「そうですか? あーでも、知り合いに似た雰囲気のがいるからかも」アイツニモ ナツカレテタ

結標「そうなんだ。同じ高校とか? でもあの雰囲気の子なら年下かしら」

上条「……多分、今頃イギリス辺りで尻尾振ってますよ」

結標「……イギリス?」シッポ?
567 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:23:07.15 ID:2fwX6c0t0

青髪「さて……カッキーは何か予定あるん?」

垣根「俺は病院。そしてカッキーはやめろ」

青髪「うわーラブラブでええねぇ」エエナー

垣根「早く『スクール』に戻れるようになるといいんだけどな」

青髪「まあ、もうしばらくの辛抱やねぇ」

土御「待たせたにゃー」

青髪「そういえば土御門クン。始まる前何しとったん?」

垣根「そういえば上条と海原と話してたな?」サンニンデ

土御「ちょっと野暮用だぜい」

青髪「悪巧み?」ニヤリ

土御「ふっふっふっ……秘密だにゃー」ニヤリ

垣根「なーんか引っかかる言い方だな」

土御「ところで結局二人だけなのか?」

青髪「うん。ていとクンは彼女さんのお見舞いやて。他の人はだいたい断られたんよねぇ」

垣根「何かあるのか?」

青髪「ボクの下宿先がパン屋なのは覚えとる?」

垣根「ああ」

青髪「クリスマスケーキがいくつか売れ残っとるからそれの後始末なん。あ、病院に持ってく?」ヤスクスルデ?

土御「本当なら舞夏と過ごすはずだったのに……聖夜限定サンタメイドを勧めたばっかりに冬期合宿に参加をしてしまったんだよ……」

青髪「舞夏ちゃんは本当にメイドとして頑張っとるんやからそういうお願いしちゃあかんて」

土御「誰にでも譲れないものというものがあるんぜよ!!」

青髪「いや、だからそれが舞夏ちゃんの譲れないものなんやって」

垣根「何の話だよ……っていうか、いいのか?」

青髪「何が?」

垣根「第四位……麦野の事だよ」

青髪「何が?」

垣根「…………いいならいいんだよ。じゃあな」スタスタ

青髪「まったやー。ってケーキいらへんのー? ……行ってまった」

土御「一つ、いいか」

青髪「何や?」

土御「あからさまなのに鈍感で気付かないのと、知っていて鈍感なフリをして気付かないのはどっちが罪だと思う?」

青髪「………どっちもダメやね。女の子を悲しませるんは変わらんし」

土御「悲しませなければいいのか?」

青髪「ボクは博愛主義の平和主義者やからね。来るものは拒まず。でもだからこそ藪をつついて蛇を出す主義はないんや」

土御「まあ、お前がいいならそれでいいさ」
568 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:24:38.65 ID:2fwX6c0t0

結標「あら、女の子と楽しそうに話してた海原君じゃない」クスクス

海原「……今日は厄日ですよ、本当。後半は楽しかったですけど」

結標「正直なところ同情はするけどね」

海原「そう思うなら助けてくれてもよかったのでは?」

結標「同情するだけよ。私に飛び火したら嫌だもの」

海原「……まあ、期待なんてしていませんでしたが」

結標「いいじゃない。今から病院に行って妹さんとラブラブするんでしょ?」

海原「……もういいですよ。そういう事で」ハァ

結標「あら、つれないわね」クスクス

海原「もう諦めました」

一方「海原」

海原「どうされました? まさか……今から自分を黄泉川家に招」

一方「バラバラになりてェか?」

海原「冗談ですよ」

結標(二人とも目が本気だったじゃない)

海原「で、どうかされましたか?」

一方「始まる前、土御門と上条と何を話してた?」

海原「ああ、あれですか。予防線を張っておいただけですよ」

結標「予防線?」

海原「ええ。念のための予防線です」

一方「……くだらねェ悪巧みだったら分かってンだろうなァ」

海原「そんなに信用ないですかね、自分」

一方「あるわけねェだろ」

結標「あると思ってたの?」

海原「………………。自分は、これで」ケーキヲ モライニ イクノデ

結標「あらまあ……海原のやつ今日は散々ね」

一方「………」

結標「秘密で何かされてたのがそんなに不満?」

一方「そんなンじゃねェよ」

結標「そうよね。貴方って海原を信用はしてないけど信頼はしてるものね」

一方「黙れショタコン露出狂」

結標「なっ!! だから違うって言ってるじゃない!!」
569 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:26:28.98 ID:2fwX6c0t0

第七学区
路上

上条「にしてもやっぱり忙しそうだなー。電話しない方がよかったか?」ウシロガ サワガシイナ

イン『そんな事ないんだよ。たしかに忙しいしばたばたしてるけど、そこまでじゃないんだよ』

上条「ならいいけど……今そっち何時だっけ」

イン『時間? 近くに時計がないや……でも多分十時くらいかも』

上条「十一時からいろいろあるんだっけ?」

イン『うん。だから私ももうすぐ行かないと』

上条「やっぱり忙しいんじゃねーか」

イン『ゴ、ゴメン』

上条「いや、俺の方こそ電話して悪かった」

イン『そんな事ないんだよ。元気そうなとうまの声が聞けて良かったんだよ。嬉しいんだよ』ニコ

上条「……俺もだ」

イン『メリークリスマス、とうま』

上条「メリークリスマス、インデックス」

イン『じゃあ、じゃあそろそろ切るね』

上条「ああ、ステイルや神裂に迷惑かけるなよ!!」

イン『大丈夫だよ!! それに今日は何か別件でもドタバタしてて忙しいみたいだし』

上条「ステイルは何だかんだで神父だしなぁ……忙しいんじゃないか?」

イン『ステイルは元からちゃんと神父だよ?』キョトン

上条「それっぽいとこ一切見てないからなぁ……ま、そろそろ切るわ」

イン『うん。またね、とうま』

上条「おう。またな。……さて、ってもうこんな時間かよ」
570 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:28:42.66 ID:2fwX6c0t0

第七学区
風紀委員第177支部兼特別情報管理局


初春「白井さーん、スピードあげてくださいよーじゃないと帰れませんよ?」カタカタカタカタ

白井「言われなくても分かってますわ!!」カリカリカリカリ

初春「固法先輩いない分遅れてますよねー」

白井「本部への報告があるんだから仕方ないですわ」

初春「まあ、いつもはもっと人がいますからねぇ……やっぱり皆さんがいると違うんですね」

白井「この前の事件といい、最近はお世話になりっぱなしですのでこれくらいの雑務は当然ですの」

初春「そう思うならちゃっちゃと終わらせちゃいましょう」

白井「もちろんですわ」

初春「というか白井さん」

白井「なんですの初春」

初春「何か気になる事でもあるんですか? 落ち着きないみたいですけど」

白井「……今日は何の日かご存知ですの?」

初春「白井さんみたいな独り身には寂しい日ですね」

白井「貴方だって独り身じゃありませんの!? まあ、そういう事です」

初春「あー御坂さんですか」

白井「あの類人猿と過ごすかと思うとこう……」ギリギリギリギリ

初春「怖いなぁ……。まあ、前のデートの時みたいに邪魔しないであげてくださいよ?」

白井「前のデート……ああ、一端覧祭の前頃の話ですわね」

初春「そうです」

白井「あの時は結局邪魔になど行ってませんの」

初春「え? そうなんですか」サンザン イッテタノニ

白井「もう諦めましたので」

初春「ええ!?」イマナンテ

白井「そもそもわたくしがお姉様に向ける感情は恋愛感情のソレではなくあくまで敬意の対象としてですので……お姉様がお認めになった相手であればわたくしとて認めざるえませんの」

初春「………」

白井「何か言いたそうですわね?」

初春「いえ」ソンナコトハ
571 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:31:01.52 ID:2fwX6c0t0

白井「まあ、あの類人猿がというのはいまだに気に喰わないですが……お姉様と同じステージに立っている。いや、お姉様よりも進んだ場所にいるあの殿方では認めざる得ませんの」

初春「御坂さんのステージ……?」

白井「不本意でしたがわたくしとて助けていただいた事もありましたので」トアル ジジョウデ

初春「世間は狭いですね。というか私もどこかであった気がするんですけどねー」ドコダッタカナ

白井「もっともわたくしもお姉様の隣を易々と譲る気はありませんのであの殿方にはいずれ失墜していただきますが」

初春「あははは……結局邪魔するんじゃないですか。あ、電話だ。はい、もしもし」

佐天『やっほー初春☆ メリークリスマスだよー』

初春「メリークリスマスです、佐天さん。どうしたんですか?」

佐天『むむむ。初春の大親友である私が電話してあげたのにテンション低いなぁ。それに私達はいつから用がなければ電話しちゃいけない関係になったんだい?』

初春「いや、今風紀委員の仕事中でして」

佐天『あちゃーやっぱりまだ仕事中か。白井さんも一緒?』

初春「はい、そうですけど……どうしました?」

佐天『独り身の悲しい者同士でケーキでも、って思ってさ。場所はウチで、御坂さんと春上さんも来る予定なんだけど』

初春「ええ!! ズルい!!」

佐天『だからこうして電話してるんじゃん』

初春「なるほど。そうですねー……急げばあと20分くらいで終わると思うんですけど」

佐天『お、じゃあ待ってるよ。終わったら電話して白井さんと来てー』

初春「分かりました。春上さんってもういます?」

佐天『まだだけど?』

初春「じゃあ私は一度家に帰って春上さんと合流してからいきますよ」イロイロ モッテキマス

佐天『了ー解♪ じゃあ、お仕事頑張ってねー☆』

初春「ではまた後で」

白井「佐天さんでしたか」

初春「はい。何か一緒にケーキ食べようって」

白井「わたくしは……終わったら直帰ですわ。門限がありますので」ハァ

初春「でも春上さんと御坂さんも一緒らしいですよ?」

白井「すぐに終わらせて駆けつけますわよ、初春」キリッ

初春「分かりやすいですよね、白井さんって」

白井「ほっとけですの」

初春「でも白井さん。御坂さんがいるって事はデートに誘えなかったんでしょうかね?」ソウイエバ

白井「そうなのかもしれませんの。お姉様もそこまで詳しく話してくださいませんし」

初春「っていうか上条さん、でしたっけ。『スクール』なんだから今日は麦野さん達と一緒なんじゃ?」

白井「……そういえばそうですわね」

初春「声くらいはかけたんですかね? それに終わってからでもイルミネーションくらいは見れる気が……って事はやっぱりダメだったのかぁ」

白井「……どっちでもいいですの」

初春「……今日聞いちゃいますか?」

白井「……そのためにもとっとと終わらせますわよ、初春」
572 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:33:49.94 ID:2fwX6c0t0

第三学区
とある貸し部屋


絹旗「ではでは」

フレ「改めて、麦野」

滝壺「退院おめでとう」

麦野「……ありがと」

フレ「あれー? あれー? もしかしてガラにもなく照れてるって訳?」コノコノ

麦野「フレンダ。原子崩し喰らいたいなら言ってくれればいいのに」オ・シ・オ・キ・ネ

フレ「結局、調子に乗りましたゴメンナサイ」ガタガタ

麦野「ったく……」

絹旗「でもこれでアイテム超完全復活ですね!!」

滝壺「そうだね」

フレ「結局、滝壺が『体晶』なしでも能力使えるようになった分、復活どころか強化されてる訳よ!!」チッチッチッ

絹旗「おお、忘れてました。そうですね!!」フンス

滝壺「まだ慣れてないんだけどね」

麦野「あら、そうなの」

滝壺「うん。前までと演算の感覚が違って少し戸惑ってる」

麦野「私でよかったら聞くけど? 分かる範囲でだけど」

滝壺「ええと。演算の時に――」

絹旗「ああ、超二人だけの世界に……」

フレ「ただ今後の事を考えるとうかつに邪魔できないわ。結局、こうなると話に入れないよね」

絹旗「え? 私は入れますよ? 一緒にしないでください」レベル4デスシ

フレ「常時発動型で意識してないクセになにいってる訳よ」アハハー

絹旗「フレンダ……私だってオンオフできますし、能力効果範囲広げようと超努力してるんですけど」

フレ「……ええ!?」

絹旗「何ですか今の間は」
573 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:36:12.71 ID:2fwX6c0t0

浜面「あのさー」

フレ「別にあのナマイキな絹旗の口から努力なんて言葉が!? とか驚いてるわけじゃない訳よ」

絹旗「……それはケンカ売ってるとみなしていいンですよねェ?」

浜面「無視すんなって!!」

麦野「んだよ」

滝壺「何?」

フレ「結局、何さ」

絹旗「何ですかァ?」

浜面「…………何でもないです」リョウリ モッテキタノニ

麦野「軽い冗談じゃない」ゴクロウ

絹旗「そうですよ。超打たれ弱いですね」ア、コレオイシイ

浜面「精神的に来てたよ? すっげぇ精神的にガンガン来てたからね!?」ハシツカエ キヌハタ

滝壺「ゴメンね。気付かなくて」

フレ「あーあ、最低ね。滝壺が涙目じゃない」

浜面「何ぃぃいいい!! スマン!!」

絹旗「謝ってください。超土下座してください」

浜面「スマァァン!!」ドゲザー

麦野「はーまづらぁ……謝るってんならもっとちゃんとした謝り方があるだろ?」

浜面「は? ………どうすればよろしいでしょうか?」

麦フ絹「焼き土下座」

浜面「ぬぇぇええええええええ!!」

麦野「まあ、焼き土下座セットは用意できないから私が直々に原子崩しで鉄板を用意してあげるわよ。感謝なさい」

浜面「それ鉄板じゃないよね!? っていうかそんなもん焼けるとか焦げるとか通り越して触れた部分から消滅するじゃねぇか!!」

絹旗「よかったじゃないですか。ちょうど消滅できますよ、跡形もなく」

浜面「何で俺が消滅したかったみたいな前提になってんの? いやたしかにこれだけイジメられたら死にたくもなるけどね!?」

フレ「イジメ? そんな……私達は親切でやってるのに……」ウルウル

浜面「……本当に親切心でやってるんならお前たちは確実に人間じゃねぇ。もっとおぞましい何かだ」
574 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:37:00.33 ID:2fwX6c0t0

滝壺「持ってきたよ、むぎの」ハイ

浜面「え? あれ? 滝壺……?」

麦野「どれどれ……」

滝壺「どうしたの?」キョトン

浜面「涙……あれ? どこかに行っていらっしゃいました?」

滝壺「うん。むぎのに見せる私の能力数値の書類を取りに。あと寝てるフレメアの様子を見に」

フレ「ちなみに浜面に謝ってすぐこの部屋から移動してた訳よ」ドゲザノ アイダニ

絹旗「滝壺さんが涙流すなんて眠い時くらいですよ」アトハ サカサマツゲトカ

浜面「つまり………お、お前ら……」プルプル

滝壺「そうそう、はまづら」

浜面「な、何だ?」

滝壺「フレメアが起きちゃうから静かにね」

浜面「」

フ絹「あっはっはっはっはっ!!!!」

麦野「滝壺」プルプルプル

滝壺「何?」

麦野「サイッコーよ、アンタ」アハハハハ

滝壺「?」

575 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:38:24.97 ID:2fwX6c0t0

第七学区
とある学生寮の一室


佐天「初春は一度家に寄って春上さんと合流してくるそうです。あと白井さんも来るそうですよ。でもお二人とも門限とかいいんですか?」

御坂「大丈夫よー。この日のためにいろいろと根回ししてきたから、ね」タイヘンダッタ

佐天「あははははは……白井さんはご存じないんですか?」

御坂「うん。私個人でしてた事だし」

佐天「白井さんの分はどうしたんですか?」

御坂「何とかしたわ」タイヘンダッタケド

佐天「流石御坂さん」

御坂「まあ、寮監に予定なければダメだったろうけど……何の予定だったのかしらね」ゴウコントカ?

佐天「でも、残念でしたね」マサカー…マサカ

御坂「へ?」

佐天「御坂さんがここにいるって事はあれじゃないですか」

御坂「………風紀委員の補強組の顔合わせ会って言われちゃ私も引き下がるしかないし」ネバッタケド

佐天「それは仕方ないですね……ところで御坂さん」

御坂「何?」

佐天「どんな人なんですか? 結局、教えてもらってないので気になって気になって」ウワサノ カレッテ

御坂「え? ええーっと………別に普通のやつよ」アセアセ

佐天「えーそんなー。すごい人なんですよね? カッコいいとか頭いいとか背が高いとか……もしかして超能力者<レベル5>とか?」ワクワク

御坂「そ、そんな事ないわよ! 背は……そんなに高くない。頭はむしろ悪かったはずだし、無能力者<レベル0>よ」
576 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:39:21.85 ID:2fwX6c0t0

佐天「……………嘘ですよね」

御坂「本当よ。ああ、でも無能力者<レベル0>って言っても少し例外だけど」

佐天「何でそんな人好きになったんですか?」

御坂「そ、そんな…好きって」アセアセ

佐天「え、好きなんですよね?」

御坂「……………う、うん」セキメン

佐天「なら……こう、惚れた!! みたいなポイントがあるんじゃないんですか?」

御坂「……………どこだろ」

佐天「え?」

御坂「いや、何て言えばいいんだろ……んー」

佐天「そんなに悩むものなんですか?」

御坂「あははははは……うまく、言えなくてさ」

佐天「ううー……気になります。こう、何かないんですか? イメージ的な物でもいいんで」

御坂「強い、かな」

佐天「強い、ですか」

御坂「別に殴り合いが強いとか能力が強いとかそういうのじゃないんだけど……何が相手でも何をしてても強くてブレないみたいな」

佐天「………いいなぁ」

御坂「え?」

佐天「いやあ、正直何の事を言ってるかうまく想像できないですけど、御坂さんすごく女の子の顔してます」

御坂「ええ!? 女の子の顔って」ビリビリ

佐天「私も恋がしたい!!」

御坂「そ、そんな事、は……」

佐天(そのためにも初春達が来たら御坂さんに詳しい事を聞きまくらないと、ね)
577 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:42:33.26 ID:2fwX6c0t0

第三学区
とある貸し部屋


絹旗「にしても超信じられません。この目で見てもCGかと思いますよ」

フレ「何が?」

絹旗「浜面が料理ができるという超事実です」

浜面「ええ!?」イツモ ミテンジャン

フレ「あー同感」

浜面「フ、フレンダまで」

麦野「ああ、私も何の冗談かと思ってたわ」キイタトキ

浜面「………まあ、いいけどな」ジカクハアル

滝壺「でも浜面は元々器用だしね」

絹旗「でもそういうのとは超別物かなって思うじゃないですか」

浜面「そもそも料理っていうか包丁使ってフライパンで炒めたりくらいは不器用じゃなきゃできるからな?」バンニンガ

フレ「でも、ねぇ?」

浜面「そもそもあれは料理じゃなくて調理っつーか工作みたいなもんだ」

麦野「いや、私達にしてみたらそもそもアンタがエプロン付けてフライパンとか包丁持ってる絵が想像できないって」ケラケラ

浜面「散々言ってるけどお前も同じ場所で働くんだからな? そもそも麦野って料理できるのか? 米は洗剤使わないんだぜ?」

麦野「馬鹿過ぎて怒る気にもなれないわ。簡単な料理なら私にもできるに決まってるじゃない。面倒だから普段は絶対やらないけど」

フレ「さっすが麦野」アイシテルー

麦野「それとも漫画やアニメよろしくフライパンに穴開けたり爆発させたりとか期待しちゃったのかにゃーん? んなもん非実在少女だっての」ダマレ フレンダ

浜滝フ絹「………」

麦野「どうかした?」

浜面「いや」

麦野「にしても……話聞く限り面倒ね」イロイロト

浜面「慣れりゃ楽だよ。客も少ないしな」ムシロ アレデイイノカッテ オモウ

麦野「店の話じゃねぇ。どっかの第三位の事よ」

フレ「第三位って」

滝壺「みさかがどうかしたの?」

絹旗「あの女がどうかしたんですか?」

麦野「……ま、私が口を出す問題でもないか。私なんかの言葉を聞くタマでもないしね」

浜フ絹「?」

滝壺「zzZ」

麦野「滝壺も寝ちゃったしそろそろ解散にしようかしらね」

絹旗「いや、今の発言超気になるんですけど」

フレ「同じく」
578 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:45:09.97 ID:2fwX6c0t0

第七学区
とある大きな時計の下


上条「すまん、待たせたか?」

??「遅いぞ。女の子を待たせるなんて」

上条「ゴメンなさい、姫神さま」

姫神「実際はそうでもないから。安心して」クスクス

上条「………いや、待たせてゴメン」

姫神「え?」

上条「本当だったら大星覇祭のパレードを見る約束だったわけで、それが一端覧祭のイベントに変わり」

姫神「それもダメでクリスマスイルミネーションになったね」

上条「だからゴメンな。三か月近く待たせちまった」

姫神「上条君」

上条「何だ?」

姫神「両方とも仕方なかった事。理由があったんだから」

上条「それでも約束を破ったのは俺だからさ」

姫神「君は違えた約束のために今日ここに来たの? 義務で私といるの?」

上条「……そうじゃない。そう聞こえたなら謝る、すまん」

姫神「謝らせたいわけじゃない。ほら。早く行こう」

上条「ああ、行くか」


――――――――――――――――――――――

―――――――――――――
―――――――――
――――――
―――


姫神「想像以上に。すごい」キレイ

上条「流石学園都市ってところだな」キレイダナ

姫神「毎年こうなのかな」

上条「…………だろうな」

姫神「どうかした?」

上条「いや、キレイだなって思ってさ」
579 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:46:05.28 ID:2fwX6c0t0

姫神「………」

上条「………」

姫神「ねぇ。上条君」

上条「何だ?」

姫神「聞いても。いい?」

上条「何なりと」

姫神「どうして。来てくれたの?」

上条「へ?」

姫神「大星覇祭の時もそう。私なんかでよかったの?」

上条「んー姫神が何を言いたいかよく分かんないんだけどさ。そんなに自分を卑下にする事はないんじゃないか?」

上条「たしかに今日は大星覇祭の時や一端覧祭の時の埋め合わせってのもあったし、いつもの弁当のお礼ってのもあったけど……姫神だから来たんだぜ?」

姫神「私。だから」

上条「誰でもなく、な」

姫神「………」

上条「………何か恥ずかしいな」アハハ

姫神「ねぇ。上条君」

上条「ん?」

姫神「ずっとずっと。言いたかった事がある」

上条「……何だ?」

姫神「私。上条君の事が――」


580 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:46:56.60 ID:2fwX6c0t0











「失礼。いたします」









581 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2011/12/24(土) 18:50:10.57 ID:2fwX6c0t0

突然の声。

「え?」

二人が振り向くとそこには黒い外套を来た筒のような人影があった。

イルミネーションをバックに縁取りされた黒い筒。


「お迎えにあがりました。姫君<プリンセス>」


黒い筒は深々と一礼をする。

ゆっくりと上げたその顔には凍るような冷笑が張り付いている。


その口から歯が見えた。




真一文字に閉じられ口角だけ上がった不自然で不気味な笑顔。


その唇から毀れるように


白い


輝く刃のような





牙が見えた。





                  to be continued.....

582 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2011/12/24(土) 19:01:15.66 ID:2fwX6c0t0
というわけで顔合わせ+α終了。

再び事件が起こります。
とある生き物が襲来する大事件が……何でしょうね、とある生き物って!!(とても白々しく)

今年の更新は以上になります。
良いお年を!!


☆どうでもいい補足☆
レベルが云々というレスがありましたがひっかかるのは多分>>523の黒子のセリフですよね?

頂点に届かないもの<レベル4>

という表現は
現学園都市の頂点が超能力者<レベル5>で絶対能力者<レベル6>は誰も届いていない頂(いただき)という意味から考えて使ってます。

それに厳密に言ってしまえば学園都市が目指してるのは絶対能力者<レベル6>の更に先にある何かのはずなので……。


まあ、適当にそれっぽく解釈していただけると幸いです。

ただ、誤解を招く表現をしてすみませんでした。
精進します。

583 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/24(土) 19:30:15.07 ID:caHAb27AO
乙!

ここでまさかの吸血鬼さん登場
584 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/24(土) 19:51:13.09 ID:thsTzLzWo
おつ!

黒い外套、筒って表記でブギーポップかと思ったwwww
585 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/24(土) 19:54:17.13 ID:NID1JYgp0
>>1キテターーーーー!!!
乙です
586 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/24(土) 21:38:09.70 ID:32GGPMh10
なにこれ おもしろい

おつ!!
587 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/25(日) 04:16:07.13 ID:FGT86kJQ0
やっと追いついた

おつです。
588 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 14:03:12.78 ID:GuelKdZT0


いつか佐天さんとショチトルの顔合わせもやってほしいな
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2012/01/05(木) 20:59:38.47 ID:unMZvAKS0
また俺が出るのか
最近忙しくてまいっちゃうな
590 :翼は消えて行く2012/01/06(金) 16:55:48.17 ID:G6NT7jaG0
青髪ピアスの話しがめっちゃオモシロイ
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2012/01/06(金) 17:46:58.50 ID:9JG9GeGAO
>>590

ageんな
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/06(金) 18:33:57.74 ID:JjfC++q20
>>590
[ピーーー]
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2012/01/11(水) 18:27:26.48 ID:YGsqe+iu0
下げ厨は去れ
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/20(金) 15:08:08.89 ID:ZekixXsB0
面白い
それで、更新はまだか?
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川)[sage]:2012/01/30(月) 18:26:34.77 ID:U49gLEGa0
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバン゙ン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄

  バン    はよ
バン(∩`・д・) バン  はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/   
  ̄ ̄\/___/

      ; '     ;
       \,,(' ⌒`;;)
       (;; (´・:;⌒)/
     (;. (´⌒` ,;) ) ’
(  ´・ω((´:,(’ ,; ;'),`
( ⊃ ⊃ / ̄ ̄ ̄/__
    \/___/

ポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチ
ポチ     ポチポチポチポチポチポチ
ポチ(∩`・ω・) ポチポチポチポチポチ
 _/_ミつ/ ̄/_
      /_/

596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/07(火) 22:10:39.02 ID:vihsrbRf0
まだー?
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川)[sage]:2012/02/10(金) 20:39:00.88 ID:lO5DKTs30
                _∧_∧_∧_∧_∧_∧_∧_∧_
     デケデケ      |
        ドコドコ   < まだーーーーーーーー!!?
   ☆      ドムドム |_ _  _ _ _ _ _ _ _ _
        ☆   ダダダダ! ∨  ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨
  ドシャーン!  ヽ         オラオラッ!!    ♪
         =≡= ∧_∧     ☆
      ♪   / 〃(・∀・ #)    / シャンシャン
    ♪   〆  ┌\と\と.ヾ∈≡∋ゞ
         ||  γ ⌒ヽヽコ ノ  ||
         || ΣΣ  .|:::|∪〓 ||   ♪
        ./|\ 人 _.ノノ _||_. /|\
         ドチドチ!
598 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:14:19.50 ID:YAYzLbNm0
明けまして――ってもうバレンタイン過ぎてるのに何言ってんですかね。

筆が遅くてスミマセン。

くだらない前口上は置いておいてさっさと投下させていただきます、、、

599 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:15:30.40 ID:YAYzLbNm0

高台にある小さな公園。

イルミネーションのあるメインストリートからは離れているが充分に楽しむ事が出来る穴場だ。

雪こそは降っていないが十二月の終わりらしい気温で、空気が肌を抓むように寒い。


一人の少年と一人の少女がいた。


少年はツンツンとウニのような黒髪で学生服にシックなストライプ柄のマフラーをつけている。

学園都市ならばどこでも見れるありきたりな服装だ。


その正面にいる少女は長い綺麗な黒髪で白いコートを着ていた。

腰より少し下くらいのPコートでその下に穿いた赤のロングスカートと相まって巫女服を着ているように見える。


最終下校時間を過ぎている事もあり公園には上条と姫神の他には誰もいなかった。



つい、先ほどまでは。



二人の前に現れたのはイルミネーションに縁取りされた黒い影。

光を吸い込むような漆黒の外套を纏っているその姿は人型というよりは長い筒か柱に見える。


「お迎えにあがりました。姫君<プリンセス>」


落ち着いたと言うよりも落ち込んだ、低いと言うよりは重い声。

距離に対して明らかに小さい声なのに耳元で囁かれたみたいにはっきりと伝わってくる。


手も足も包み込んだ外套にはボタンも継ぎ目もない。外套ではなく大きな布をただ巻きつけただけなのかもしれない。

唯一露出するのは頭。銀色の髪の下には冷たい作り物のような顔、そして不自然な笑顔が張り付いている。

600 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:17:27.07 ID:YAYzLbNm0

上条「姫神、知り合いか?」

明らかに違うと思いながらも上条は念のために確認をする。

案の定、姫神は控えめに首を横に振るだけだった。

上条「誰だ」

上条は闖入者と彼女の間に入り、問い詰める。


同時に少しだけ後ろから服を引っ張られる感覚がする。

不安に駆られた姫神が上条の服の裾を掴んでいるからだ。


「たしかにわたくしは姫君<プリンセス>とは直接的な面識はございませんが……縁深き間柄でございます」


動いているのは口だけでそれ以外は微動だにしない。

風景の一部か一枚の絵画のような違和感。


姫神「私は。貴方を知らない」


答える姫神の声は怯えているというよりは戸惑っている声。


姫君<プリンセス>。

その言葉が彼ら二人のうちどちらかを指す言葉なのであれば姫神秋沙を指しているのは明白だ。


そもそも初対面の相手に警戒をしない人間なんてそうはいない。



ましてやその相手が―――



「しかし。わたくしは姫君を存じております。貴方様以上に」



              ―――人間ならざる雰囲気と特徴を持っているのであれば殊更だ。



不自然なほどに白い牙。


全身黒い影に包まれた中で唯一それだけが白く輝いている。

601 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:19:59.69 ID:YAYzLbNm0

「ああ。申し訳ございません、姫君。わたくしとした事がお初にお目にかかる身で。名すら名乗り上げていないとは……舞い上がっていたのかもしれませんね」

話す度に見えるその牙は犬歯というには余りにも長く大きい。

閉じられた口からもその先が見える程だ。

ドラク「ヴラドと申します。ウラド・ドラクリア・ツェペシュ。ドラクルとお呼びいただけると光栄です」

上条「ドラクル?」

姫神「……串刺し公」

聞き覚えのない言葉に疑問符を浮かべる上条とは裏腹に姫神の顔は厳しいものへと変わる。


姫神が上条の服を引っ張る力を少しだけ強まる。


上条「串刺し……何だその物騒な単語」

姫神「ヴラド3世の通称。15世紀ルーマニアのワラキアの領主。ドラキュラ公とも呼ばれた人物」

上条「ドラキュラ……吸血鬼」

ギリリと奥歯を噛みながらその言葉を口にする。


その牙を見た時に予想はついていた。

一緒にいる姫神の能力を知っているのであればそれは常に考慮すべき存在だからだ。



吸血殺し<ディープブラッド>



姫神秋沙の所有する『吸血鬼を甘い香りで誘い、灰に返す』能力。

自然界で例えるならば食虫植物なんかが近いのだろう。

吸血鬼を誘い出し、その血を吸わせ殺す能力。



つまり、目の前にいる牙を持った存在は――吸血鬼だ。

602 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:21:56.83 ID:YAYzLbNm0

ドラク「ご存知でしたか。流石は姫君。博識でいらっしゃる」

上条は改めて正面の影を見据える。


感じられるのは明らかに人間とは違う生き物の感覚。


姫神「自分の力が何を冠するか分かっていれば。調べるくらいは当然」

ドラク「そうでしたか。それは大変失礼いたしました」

影は笑顔のままで軽い会釈をした。

姫神「でも。ヴラド3世はあくまでドラキュラのモデルとなった人物といわれているだけ。実際の吸血鬼伝承との因果関係はなかったはず」

ドラク「それに関しては……一言で申しますと火のない所に煙は立たず。という事です」

上条の警戒を余所にドラクルを名乗る男は淡々と言葉を続ける。


上条など気にも留めていないのか。


姫神だけしかその眼には映っていないのか。


あるいはその両方か。


ドラク「そもそもドラキュラという単語自体は後世になって作られたモノですので。大元の吸血鬼伝承のソレとは少し違いますし」

上条「吸血鬼が姫神に何の用だってんだ」

吸血鬼の由来などが聞きたいわけではない。もちろん世間話がしたいわけでもない。

上条は焦れるように会話に割り込んだ。



ぎょろり。



眼が動いた感覚がした。


顔が動いたわけでも体勢がが変わったわけでもないのに。


表現のできない気持ちの悪さに上条は少しだけ後ずさる。

603 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:24:11.10 ID:YAYzLbNm0

ドラク「失礼ですが。貴方様は?」


言葉をかけられて理解する。

今までは姫神と影の間にいたから視線が合っていたように思えただけだ。


ずっと向けられていなかった興味と意識。

それが初めて上条に向けられた。


なぜだろうか。


何かを感じるわけではないのに。



それだけで体が重く、意識が遠くなった。



姫神「彼は。私の大切な」


ほんの少し、ほんの少しだけ姫神が前に出る。

自身の震える手を必死に抑えながら。


姫神「大切な」


前を向いている、後ろを見る事ができない上条には彼女の表情が分からない。

分かるのは彼を掴む姫神の手が震えている事くらいだ。


姫神「大切な。友達」


だから彼女がなぜ震えていたのかも、彼女がなぜ一度言いよどんだのかも分からない。

本当は何を言おうとしていたのかも、何を言いたかったかも知るよしはない。


姫神の言葉で男から向けられていた重圧が和らいだ。

上条が振り向くと姫神は少し俯いたまま、先ほどより少しだけ震えていた。
604 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:26:35.51 ID:YAYzLbNm0

ドラク「そうでございましたか。ならご友人様。ご安心ください。わたくしはお迎えにあがっただけにございます」


男の言葉に二人は驚いた。


上条「迎え……どういう意味だ?」

姫神「吸血殺し<ディープブラッド>の私を。なぜ?」


当然だ。

吸血殺し<ディープブラッド>は吸血鬼の天敵。

『殺しに来た』のなら分かるが、『迎えに来た』というのは明らかにおかしい。



ドラク「吸血殺し<ディープブラッド>………ああ。姫君はまだそう呼称されていらっしゃるのでしたね」



言葉と共に一瞬だけ男の表情が綻んだ。

何かを懐かしむように、何かを慈しむように、それでいて何かを憐れむような奇妙な表情。


しかし、その表情を二人は見逃してしまう。

見逃すと言うよりは気にしていられなかった。


上条「まるで本当の呼び名があるみたいだな」


吸血殺し<ディープブラッド>。

吸血鬼を殺す、能力。

姫神秋沙自身が嫌悪する彼女の能力。


ドラク「ございます。そもそも姫君の御力は吸血鬼を殺す。などという力が本懐ではありませんので」


姫神秋沙を苦しめている能力。

それが違うと言うのならば。


上条「どういう意味だ!!」

上条は思わず叫ぶ。


それは彼女の求めていた事だ。

『殺したくない』、それは彼女と二度目に会った時、聞いた言葉。

『誰かを殺すくらいなら。私は自分を殺してみせる』、それが彼女の望みだった。


それが叶うというならば。

605 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:28:57.72 ID:YAYzLbNm0

しかし二人の希望は届く事はない。

ドラク「出来れば懇切丁寧にご説明させていただきたいですが……そろそろ宵も深まってまいりました。このままわたくしとご同行願いたく存じます」

男は上条の叫びなど意も返さぬように話を変える。

話を戻すと言った方が正確だろうか、男は最初から姫神秋沙を『迎え』に来ているだけなのだから。


上条はそれに答えるように姫神と男の間に入る。

姫神秋沙の前に立ち、正面を見据える。


姫神「上条君」

上条「姫神はアンタの事信用してないみたいだぜ? それに……俺が行かせねぇよ」

ドラク「左様でございますか。ご友人様に手荒な真似はしたくなかったのですが……残念です」


男がニコリと笑う。

今までの不自然な笑顔ではない。

諦めたように。

最初から分かっていたように。


何かを理解したような笑顔。



同時に。



筒から手が生えていた。

太い幹から細い枝が生えるように。



いつの間にか自然に。


606 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:31:39.52 ID:YAYzLbNm0

上条は一瞬たりとも視線を逸らしていなかった。にも関わらず手が生えていた。

外套をはためかせる事もなく静かに生えた黒い袖とその先に少しだけ見える白い手。


その細い手からテニスボールほどの小さな光球が生まれ。


同時にその光球が飛んでくる。


光球の速さはそこまでではなかった。

むしろ遅いくらいだ。

小さな子供の遊びのキャッチボール程度。


しかし、一連の動作が全て無音でかつ自然に行われたため、上条の反応はギリギリになってしまった。


遅れて突き出した右手と光球が接触する。

横から握るように光球を掴む。





眩い光が辺りを包み、音もなく消えた。





閃光が収まり、上条が見た光景は信じられないものだった。


上条「な―――ッ!!」


右手と光球が接触した場所を基点にして地面が放射線状に抉れていた。

無事だったのは右手で守った二人のいる場所くらいで範囲は五、六メートルほどだろうか。かなり大きく深い。


静かな現象とは不釣り合いに大きな威力。


強い閃光だけで派手な爆発も空気を裂く音もしなかった。

それなのに、確実に命を奪える威力。

607 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:36:25.79 ID:YAYzLbNm0

上条「姫って呼んでる相手にする行動かよ」


動揺を抑えて敵を見つめる。

強い威圧感があるわけではない。

それどころか背景に溶け込んでしまうかのような自然な存在感。


しかし、それこそが逆に恐ろしい。


自慢ではないが上条は様々な超常現象に遭遇してきた。

壊れたビルが巻き戻って治ったり、人の姿が入れ替わったり、氷の船に乗ったり、バカデカい戦艦モドキに乗ったり様々だ。

そこにはすべて異質な空気があった。


それなのに、明らかに異質な目の前の存在にはそれがないのだ。


ドラク「姫君を傷つけるつもりは微塵もございませんでしたが……ああ。またその『右手』ですか」

いつの間にか光球を生み出した腕は消えていた。

黒い筒の影へと戻っている。

上条「……また?」

ドラク「こちらの話ですよ。わたくしとしてもまだ猶予はございますし。姫君のご都合もお有りになるようですので……また機会を改めてお伺いさせていただきます」

影は深々と礼をするとそのまま闇に消えていく。

ドラク「他のお友達も見えたようですしね」


外套をはためかせる事もなく。

闇に波を作るわけでもなく。

最初と同じように不自然な笑顔で。




ドラク「la revedere」



英語ではない異国の言葉を残し、吸血鬼は静かに闇に溶けた。

608 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:38:20.07 ID:YAYzLbNm0

土御「カミやん!! 大丈夫か」

少しだけ呆けていた上条はその言葉で現実に引き戻される。


男と話していた時間は十分にも満たない。

しかし、何時間も全力疾走していたような虚脱感が体を襲う。


上条「ああ……って青髪もいるのか」

土御門の後ろにはもう一人見慣れた姿があった。

青髪「土御門クンと一緒やったからね。ボクが運んできたんよ」

上条「通りで早いと思った」

青髪「専門分野やないとはいえボクをのけ者にするんは酷くない?」

青髪はそう軽口をたたくと不満そうに頬を膨らませる。


のけ者。

つまり上条は土御門しか呼んでいなかった。

正確に言うと上条が救援を出したのは土御門元春と海原光貴の二人だけだった。


上条「すまん」

土御「とりあえず場所を変えよう。海原にもそう伝える」

青髪「ウチの待機部屋<セーフハウス>使おか」

上条「そうだな。先に姫神を連れてってくれるか? 俺と土御門は後から追いつく」

青髪「了解やで」

端末を出して一番近い待機部屋<セーフハウス>を検索する。

後からの合流のためか土御門も同じように端末を出していた。


その様子を見て、上条はやっと一息ついた。

何をするわけでもなく、張りつめていた警戒を解く。
609 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:40:22.21 ID:YAYzLbNm0

ふと、今まで握りしめられていた左手が気になった。

震えこそ止まっていたが、信じられないほど冷たい手。

明らかに寒さが原因ではない。

その手の主、姫神秋沙は俯いたままでその顔色は窺えない。


上条「姫神もそれでいいか?」

青髪「エスコートはボクにお任せあれやー」

姫神「………うん」


言葉と共に姫神が顔を上げる。

さらりと揺れる黒髪に隠れた顔には動揺の色は見えなかった。


平静を装えるくらいには落ち着いたらしい。


青髪「それじゃ先に行っとるで早ようきてやー」

能力を使い、二人の姿が空に消える。


静かな公園をイルミネーションの光が照らしている。


土御「早速『青色』を使う状況が来るとはな」


『青色』とは『統括理事会直轄治安維持組織』に支給された端末につけられた緊急連絡ボタンの一つだ。

ボタンを押すだけで緊急信号とG共にPSデータが発信される。

全部で4色あり、『赤色』『橙色』『黄色』『青色』がそれぞれ警戒信号段階に対応している。

『黄色』は自分のチーム。『橙色』は自分のチームと各超能力者<レベル5>。『赤色』は全員に緊急信号がが発信される。

先の会合で改めて説明され、互いの連携のために伝えられた事だ。

その際、残った『青色』は空きとして各個人で登録していいと説明された。


しかし、本当は残った『青色』こそ最重要なもので上条当麻、土御門元春、海原光貴が知る世界、魔術側の厄介事が起きた時の対処用だったのだ。

610 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:42:31.00 ID:YAYzLbNm0

土御門は二人の姿が遠く離れた事を確認すると改めてその口を開いた。

土御「で、状況は?」

普段の軽い口調ではない、冷たい仕事上の顔。

上条「姫神を狙ってた」

土御「相手は?」

上条「一人だったよ」

土御「魔術師か?」

上条「吸血鬼だってさ」


上条は少しだけ躊躇してそう答えた。

吸血鬼、想定外の言葉に土御門の顔が歪む。


土御「……本物なのか?」

上条「俺じゃあ詳しく分からなかった。姫神に聞いた方がいいと思う。でも……似たような感覚はあった」

土御「似たような感覚?」

上条「御使堕し<エンゼルフォール>の時やベツレヘムの星の上で感じた天使みたいな、そういう感覚だ」


自らの右手と地面に開いた大穴を見る。


公園の惨状。

異能を打ち消す幻想殺し<イマジンブレイカー>に触れてなお地面を抉り穿つ力。

尋常ではない力。

だがそれだけではない。


上条当麻の知る、人とは違う存在の感覚。


上条「人じゃない存在の感覚だ」


かつて対峙した天使の姿。

ドラクルと名乗ったあの男にはそれに近いものが感じられた。

自然に溶け込むような無色の透明感と同時にあった明らかな感覚。

611 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:44:10.32 ID:YAYzLbNm0

土御「………姫神の血におびき寄せられたのか?」

上条「姫神を迎えに来たって言ってた。本当かどうかは知らないけどな」

土御門はその言葉に上条と同じ疑問を覚える。

土御「迎えに来た?」

上条「ああ。そう言ってた」

土御「………少なくとも無視できるような存在じゃないというわけか」

上条「ああ」

返答に少しだけ迷いがあった。

上条はおそらく土御門が自分と同じ事を考えたんだと理解した。

誰もが疑問を感じるはずだ。


吸血鬼が吸血殺し<ディープブラッド>を求める矛盾。


ただそれを深く考えている時間はない。

土御「引き上げたという事は一度仕切り直してくるはずだ。強引な手段に出るとは考えにくい」

上条「多分、な」

土御「とりあえずカミやん、青ピと合流して姫神の護衛を頼む。その間に俺と海原で調べれるだけ調べてみる」

上条「頼んだ」

土御「じゃあ、行くぜよ。姫やんも心配してるだろうからにゃー」

上条「ああ」

歩き出した土御門の背を見ながら上条は自らの無力さを痛感する。


魔術については何も知らない。

全ての異能を掻き消してしまう自分の右腕の能力を考えればある意味当然なのだが上条には魔術の知識がない。

故に感覚でしか物事を語る事ができない。


上条(土御門がさっきのヤツと会ってれば何か分かったのかもしれないな)

自分の無知さが歯がゆい。

10万3000冊もの魔道書を持った彼女の近くにいたと言うのに何も進歩できていない自分が。

612 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/17(金) 21:45:07.69 ID:YAYzLbNm0

土御「カミやん? どうかしたのかにゃー?」

上条「いや、なんでもねー」

思ったより考え込んでいたらしい。

土御門とはかなり距離が空いていた。


後悔しても仕方ない。

頭の中の悶々とした後悔を振り払い、少しだけ急いで歩き出した。


この時、上条当麻は二つの事を忘れてしまう。

忘れると言うよりは他の事を気にするあまり、重大なとっかかりを記憶の片隅に追いやってしまった。



上条当麻が気付いた二つの疑問点。



一つは姫神秋沙について。

吸血鬼の言葉が本当ならば彼女の能力は吸血殺し<ディープブラッド>ではない。

何かの影響によりその能力が捻じ曲げられている、もしくは自分達が彼女の能力を勘違いをしているのだ。


もう一つはあの吸血鬼は上条当麻の右腕、幻想殺し<イマジンブレイカー>を知っていた。

科学にも魔術にも分類されないだろうその力を知っているのだ。


禁書目録にすら載っていなかった異能の能力を。


613 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2012/02/17(金) 22:04:11.46 ID:YAYzLbNm0
短いですが今回は以上になります。

なんととある生き物は吸血鬼でした!!(棒読み)


って話全然進んでねーすみません。

更に重ねて謝罪すると次回は説明回になりそうです。

なるべく分かりやすくまとめるのでご勘弁を!!

614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/17(金) 22:45:13.55 ID:7FQTnGdH0
乙!!

続きまってます
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/18(土) 00:19:27.24 ID:vNurNHbp0
乙!!
更新キター!!
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川)[sage]:2012/02/18(土) 03:14:25.59 ID:hD0y3OVY0
乙!
今度は早めに頼むぜ!
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/02/18(土) 09:22:46.40 ID:NJsuyoDU0
次回はもっと早く更新してくれ…
流石にこのペースは
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/22(水) 11:08:31.21 ID:8PichVNDO
一気に読んじまった
続きを……
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)2012/02/24(金) 12:35:01.00 ID:yT/FwN2C0
主ょ来てくれ...
620 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:04:21.96 ID:JtTlWHDi0

約一週間!!

いや、誇る事じゃない。むしろ普段遅くて本当にスミマセン。
しかも今回は説明回……あとから三行にまとめようかしら。
621 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:06:56.53 ID:JtTlWHDi0

目が覚める。


夢の中で目が覚める。


幾度となく見た悪夢。

繰り返されるかつての記憶。


ある部屋にいた。

三沢塾と呼ばれる進学塾のビルにある隠し部屋、その一室だ。

様々な用途に合わせいくつも存在するそれを私は全て余す事なく知っている。


全ての部屋に幾度も訪れさせられた。


目の前には一人の少女がいた。

年齢は私と同じくらい。

肩にかからないくらいの黒髪で眼鏡をかけていて


その手には一本のナイフが握られている。


この後に何が起こるかは分かっている。

全部覚えている。

全部忘れる事がない。

忘れられるはずがない。


この後に何が起こるかは分かっている。

でもこの手は動かない。

でもこの足は動かない。


それはこれが夢だからではなくて

私の両手が銀の手枷に縛られているからだ。
622 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:08:36.52 ID:JtTlWHDi0

目の前の少女が動く。

その手に持ったナイフを逆の手首に伸ばし。


迷いなく静かに動かした。


鮮血が飛び散る。

視界が赤く染められる。


この日の実験が何だったのかは覚えていない。

毎日行われるそれの意味などもはやなく、荒唐無稽な行為の繰り返し。

私にとって意味がないだけでなく、彼らにとっても意味がない。



先に何も繋がれていないその糸を紡ぎ続ける作業。



ある時は外見<見た目>が近い少女だった。

ある時はDNA情報<中身>が近い少年だった。

ある時は脳波<思考>が近い数人だった。


彼らは実験にその身を捧ぐ。

彼ら自身が望んでいたかは分からないが少なくとも誰かが望んでいる行為。


様々な方法で吸血殺し<私>の再現を試みる。



どんな事をしたって辿り着けない道を歩む。



私はそれをただ見せられるだけだ。


私はそれをただ見せられ続けるだけだ。


623 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:12:00.22 ID:JtTlWHDi0

――――――――――――――――――

―――――――――
―――――
―――


姫神秋沙が目を覚ますと、そこには見慣れない天井が広がっていた。


自分が住む女子寮ではなく、以前慣れ親しんでいた担任の月詠小萌の家でもない。

違和感を覚えながらも体を起こす。


カーテンの間から覗く外の景色はもう明るくなっており、日の高さからするとおそらく昼近い。


上条「ん? 姫神、起きたかのか?」


背後からかけられた声に振り向くと見慣れたツンツン頭、同級生である上条当麻が椅子に座っていた。

姫神「上条。君?」

上条「えーっと……もしかして寝惚けてるか?」

ポリポリと指で頬をかいている。

どこか戸惑っているようだ。


姫神は寝起きの頭で考える。

しばらくして昨夜の事を思い出す。


念願がかなってクリスマスイルミネーションを二人で見る事になった。

しかし、最後に邪魔が入った。


そしてその邪魔者は―――ある意味で誰よりも会いたくない相手だった。

624 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:15:45.86 ID:JtTlWHDi0

姫神「……思い出した」


その表情が暗くなる。


その様子を見て上条は重い口調で話し切り出した。

上条「とりあえず向こうからの動きはないから大丈夫だ」


向こう。

吸血鬼。

自分が天敵である生き物。


何人も殺した生き物。


姫神「また。迷惑かけちゃうんだね」


八月八日、上条当麻と初めて会ったあの日を思い出す。


目的をもってあの場所にいたのだから魔王に囚われた姫なんかじゃなかったけれど

上条当麻は姫神秋沙を助けてくれた。


あの時と同じように守られる事しかできない。

また助けられてしまう。


上条「迷惑じゃねーよ」

姫神「でも。私には守られる事しかできない」

上条「そのでもっての止めようぜ」

上条は笑いながら続ける。


元気をくれる笑顔だ。

不安で落ち込んでいた心が救われる。
625 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:20:14.80 ID:JtTlWHDi0

上条「姫神は何も悪くない」


その言葉に偽りはなく。

その言葉は疑いようがなく。

その言葉は彼の心からの本心だ。


上条「俺は姫神を守る。俺だけじゃ頼りなくても土御門とか青髪もついてる。だから姫神は気にしないでくれ」



なのになぜだろう、その笑顔がとても寂しそうに見える。

今にも泣きだしそうで、叫んで崩れそうで、何か我慢しているような張りつめた笑顔。



姫神「……。分かった」

笑顔の裏に隠された本心が見えるような気がしたがそんなものは彼女に分かるはずもなく。

ただ頷く事しかできなかった。

上条「何か食べるか? 持ってくるよ」


そう言って上条は部屋を出た。


助ける理由。

そんなものを聞けば「助けるのに理由がいるのか?」と逆に聞き返されるだろう。

求めている答えではない答え。

そしてそれ以上に――。


静かに閉められた扉を見ながら姫神は呟いた。


姫神「殺したく。ない」


守られる事しかできない自分。

あんな笑顔しかさせる事ができない自分。


姫神「あの娘なら……」


その続きは口に出す事すらできなかった。

626 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:24:02.38 ID:JtTlWHDi0
――――

部屋を出た上条は静かにその扉を閉めると崩れるように寄りかかった。

中の姫神に気付かれないようため息をつく。

青髪「あ、姫やん起きたん?」

リビングでは青髪がソファでくつろいでいた。

上条「ああ。ここ、任せていいか。姫神に何か作ってくる」


二人がいるのは『スクール』の待機部屋<セーフハウス>、そのリビングだ。

構成員が増える事、また場合によっては数日間暮らす事も考えられた待機部屋とはいえそこまで広くない。

リビングやバスルームなどの共同空間を除いた個室は三部屋しかなく、各部屋はそのままリビングに直結した作りになっていた。


青髪「ええよー。あ、でも土御門クンと海原クンから連絡あったからよかったら多めに作ってくれん? もうすぐお昼やし、ボクも食べたいし」

上条「二人から連絡あったのか? 何だって?」

青髪「いろいろ分かった事あるから報告やって」

上条「そうか」

青髪「やーっと説明してもらえるんやね。昨日から待たされとったからボクもう濡れ濡れのビンビンやー」

上条「……悪かった」

青髪「まあ、気にしてへんよ。アッチ側とのお話はデリケートなんやろ? ボクが聞くのもあれやんか」

昨夜、あの場にいなかった海原を含む全員が待機部屋に合流し、とりあえずはと丁度品を集めた頃にはもう日付を跨ぐ直前だった。

その後、土御門と海原は情報収集と各所への連絡、上条と青髪は姫神を護衛という形でこの部屋に留まった。


吸血鬼、それを説明するに当たり避けては通れない魔術について、一人だけその一端に触れていない青髪には簡単な説明しかしていなかった。


上条「なあ」

青髪「何?」

上条「結局さ、どこまで知ってるんだ?」

青髪「何が?」

上条「とぼけるなよ。魔術について、だよ」
627 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:25:46.89 ID:JtTlWHDi0

あの日。

12月1日。

上条を青髪が『スクール』に誘った日。

魔術師という単語は上条の口からでなく青髪の口から出ていたのだ。


つまり、魔術を知っている。


青髪「知らんよ。ボクは何にーも知らへん」

上条「インデックスや魔術師の事を知ってたのにか?」

青髪「情報として『把握』してるんと現実として『理解』してるんとは天と地の差があるやん?」

それは暗に他にも知っているという意味なのか。

笑顔のまま閉じられた眼からはその真意が感じられない。

青髪「まあ、ボクは妄想でも現実にできるくらいの力はあるんけどね」

上条「いや、妄想は妄想のままにしとけ」


冗談で煙に巻くと言う事は話す気はないと言う事なんだろう。

『スクール』として一か月弱、クラスメイト青髪ピアスは重要な話をする時、何かを隠すように冗談に逃げていた。


青髪「つれんねぇ。そんなしかめっ面やと姫やんも心配するで?」

上条「……分かってる」


気のない返事をすると上条はそのまま奥へと歩いていく。

廊下を挟み、少し奥にあるキッチンへと。


青髪「こっちが溜息つきたくなる背中やねぇ。なーんか無駄に背負い込んでるというか気負ってるというか……土御門クン心当たりある?」

土御「ないな」

キッチンと反対方向の廊下から声が返ってくる。

青髪「そかーそら怪しいねぇ……」

青髪はいつの間にか帰ってきた土御門に驚きもせずに「むむむ」とワザとらしい声を出し唸っていた。

青髪「あ」

土御「何だ?」

青髪「おかえりさん」

土御「ただいまだにゃー」
628 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:27:17.43 ID:JtTlWHDi0

――――

上条「じゃあ、隣の部屋にいるから何かあったら呼んでくれ」

姫神「うん」

上条「じゃあな」

姫神の部屋の扉を閉めるとそのまま隣の部屋に入る。

部屋では三人の男が自分の作ったサンドイッチを次々平らげていた。

青髪「これ美味しいわーカミやんまた腕上げた?」

海原「これならウチの店でも充分出せますね。結標さんに見習わせたいです」

土御「結標のアレはもはや奇跡だからにゃー」

上条「そりゃどーも」

部屋にいなかった二人は特に腹が空いていたようでかなりの量を用意したが既に残り少なかった。

上条「姫神の分、別にしといてよかったよ」

上条自身は作りながら味見をしていたので既に満腹に近かった。

それ以上に今の状態ではあまり食欲がなかった。

上条「それより本題に入ってくれよ。どうだったんだ?」

土御「まったくせっかちだにゃーカミやんは」


軽口をたたきながらも口調が変わる。

普段の緩い友人口調ではなく仕事での土御門元春の口調に。
629 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:29:56.12 ID:JtTlWHDi0

土御「まずは俺からだ。コッチ側……魔術側では大騒ぎだよ」

海原「そうでしょうね。吸血鬼が観測されたなど聞いた事ありませんし」

青髪「吸血鬼ねぇ……さわりだけ聞いたんやけど信じられんわぁ」

上条「少なくとも昨日のアイツが姫神を狙ってる。その事実が確かなら充分だ」

土御「本物かどうかの真偽は分からない。ただ昨夜天使クラス、しかし天使とは全く別の強大なエネルギーが学園都市で観測されたのは事実だ」

海原「十中八九そのドラクルという男の影響でしょうね」

土御「ただ十字教はそこまで危険視というか重要視していない。あくまで現状でだがな」

上条「どういう事だ?」

土御「力の質が一瞬過ぎたんだ。計器の故障レベルに近いくらいだったらしい。それにかつて同レベルの力が学園都市で観測された記録が過去にあるからな」

海原「つまり何かあったとは疑っていても吸血鬼だと考えていない、と」

上条「マジかよ……ってかかつてあった力の観測ってのは何だ?」

土御「カミやんは知ってるはずだぜい」

上条「俺が知ってる……?」

海原「『0930』事件ですね」

上条「……あの日か」

土御「魔術側、つまり十字教としては関わっていないために興味を持たれていないと言うか情報自体が信用されていないとべき言うか……それ以上に別件の方が大事らしい」

上条「別件?」

海原「一瞬と言えど正体不明の力が観測された。にもかかわらずそれ以上に重要視される別件とは何ですか?」

土御「そもそもクリスマス……降誕祭<この時期>の十字教はどこも忙しい。この時期にしか使えない術式もあるし、戦後処理もまだまだ残っているしな。その上、ルーマニアでとある魔術師の屋敷が見つかった」

上条「ルーマニアっていうと」
630 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:31:55.45 ID:JtTlWHDi0

海原「東ヨーロッパの国です。ウラド・ドラクリア・ツェペシュ。ドラキュラ公と呼ばれる人物が存在した地ですね」

上条「―――ッ!! アイツと関係があるのか!?」

土御「順番に説明するから落ち着けカミやん。で、その屋敷だが……遺跡みたいなものだったそうだ」

海原「遺跡、ですか」

土御「ああ。どうやら霊装とそれにまつわる情報の保管がされていたらしい。それこそ遺跡というより封印地とでも言うべきなんだろう」

上条「その霊装っていうのは」

土御「話に聞く限り吸血鬼縁のものだ」

上条「やっぱりか!!」

土御「遺跡の方は現在調査中だ。もっともローマ正教の調査結果をイギリス清教経由で聞いてるわけだからまだ情報が曖昧なんだがな」
   「ただイギリス清教にも正式に協力要請が来て現地に向かっている。もう少ししたら正確な情報が来るはずだ」

上条「とりあえず待つしかないのか」

海原「一つよろしいでしょうか?」

土御「何だ」

海原「戦後、十字教の三大勢力が協力的になっているのは知っています。しかしそれでもローマ正教がイギリス清教に協力を求めるとは思えないんですが?」
   「それも吸血鬼という強力な情報に関してです。むしろ協力を拒否する方向で動くと思うのですが」

土御「完全なる知性主義<グノーシズム>は知ってるか?」

海原「『神の領域』は人間に理解ができない。ならば人間を超えた肉体を手に入れれば良い、たしかそんな教義を持つ宗派でしたね」

土御「『人間は精製途中の神であり、己を鍛え上げる事で神の肉体を手に入れ神の技を自在に操る事ができる』と謳われる、十二使徒ヨハネさえも危険視した十字教最初の異端宗派<マーヴェリック>だ」

上条「その完全なる知性主義<グノーシズム>がどうかしたのか?」

土御「カミやん忘れたか? カミやんはかつてそれに所属していた敵と対峙してるんだぜ?」

上条「俺が?」
631 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:37:35.92 ID:JtTlWHDi0

土御「こう言えば思い出すか? アイツらの目的はこうも言い換えられる。『自らの精神を真鍮<ニセモノ>を黄金<ホンモノ>へと昇華させる事』」

上条「黄金……!? アウレオルス=イザード」

海原「その名前は」

土御「青髪は置いておいて海原、お前に説明はいるか?」

海原「いえ、不要です。あれは八月のはじめでしたか? あの事件について自分が知っている事はある程度の顛末だけですが充分でしょう」

土御「アウレオルスは元ローマ正教……その時の借りを返すというよりは単に情報が欲しいんだろう。藁にでも縋りたいのさ、ローマ正教は」
   「それにアウレオルスは吸血鬼を求めていた……関連がある可能性が高いからな。少なくとも無関係って事はないだろう」
   「その場所で何人が研究していたかは分からないし、吸血鬼を使って何をしようとしていたかは分からない。しかし事実なら第二の第三次世界大戦の首謀者<フィアンマ>になる可能性だってある」

海原「まだ釈然としませんが……一応は納得しましたよ」

土御「それにそうでもしないと禁書目録も借りる事ができないしな。つまりはそれほど切羽詰っているらしい。ただ、まだ調査中との事だ。向こうでさえ状況は不確か、更にここは学園都市だ。魔術側の増援はすぐには来ないだろう」

上条「大星覇祭<あの時>に近いって事か」

土御「ああ。現状ではイギリス清教、ローマ正教が直接介入して来ない事で他の勢力も手を出しにくい状況にするしかない」

海原「では次は自分の番ですね」

上条「そういえば土御門は魔術側の情報を集めてたんだよな? 海原は何をしてたんだ? その他の組織の情報とかか?」

海原「いえ。自分の古巣は既に解散していまして……土御門さんの指示で吸血鬼そのものの情報を集めてたんですよ」

上条「何か分かったのか?」

海原「前置きとして情報は断片的なものでしたがよろしいですか?」

土御「当然だ。細かい事でもなんでもいい」

海原「まず、カインの末裔、吸血鬼という存在についてなんですがどうやら人間のようです」

上条「そりゃ吸血鬼に噛まれた人間が吸血鬼になるんだから当然だろ?」

海原「ええと……最初に人を噛んだ吸血鬼も元々は人間だった、そういう意味です」
632 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:39:36.07 ID:JtTlWHDi0

海原「そもそも吸血鬼は大きく分けて真祖と眷属の二種類に分ける事ができます」
   「真祖とはオリジナル……その存在がどの時代に存在したかは分かりませんが、その存在は人であったようです」
   「もちろんただの人ではなく……どちらかと言うと聖人に近いのでしょうね」
   「もっともその力は聖人のそれと比べ物にならなかったようですが」

土御「真祖とやらはカインそのものなのか? それとも聖人のように偶像の理論によってカインと近い力を持っていたのか?」

海原「そこまでは分かりかねます。ただ、真祖と呼ばれる存在は4人の眷属を生み出したようです」
   「その力のほどは分かりませんでしたがかなりのものでしょう」
   「ただ、真祖と4人の眷属には大きな違いがあったそうです。子を、眷属をなせないという」

上条「眷属からは吸血鬼が増えないって事か?」

海原「いえ、というよりは出来損ないの吸血鬼しか作れなかった、という感じだそうです」
   「力も魔力も眷属に比べて弱い出来損ない。眷属の眷属、奴隷鬼などと呼ばれていたそうですが」

上条「昨日の夜、俺が姫神と会ったアイツはどっちなんだ?」

土御「おそらく眷属だろう」

上条「どうしてそう思うんだ? 様子見の下っ端かも知れないぞ?」

土御「状況的に考えてな。アイツはカミやんに加えて俺達が来て引いたんだ。つまり独断でその行動ができる立場だって事だ。それが奴隷鬼<下っ端>とは考えにくい」

上条「真祖かもしれないだろ?」

土御「真祖、つまり吸血鬼の頂点ならば引く必要がない。どう低く見積もっても聖人同等かそれ以上の力を持ってるんだ」
   「俺達が来たところでどうにでもなったはずだ。それに眷属とやらを引き連れてないのもおかしいだろ」

上条「たしかにな」

海原「もっとも何らかの理由で本当の力が発揮できなかったり、奴隷鬼の中でも発言力を持っているだけかもしれませんがね」

土御「可能性としてはある。で、他に何か情報はなかったのか」

海原「現状は以上です。すみません」
633 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:42:44.34 ID:JtTlWHDi0

上条「どうする?」

土御「引き続き俺と海原で情報収集。二人は姫神秋沙を守ってくれ」

上条「……そんなんでいいのかよ」

土御「現状それが一番確実だ。相手の数も戦力も目的も分からない以上、まずは情報収集が先決だ。それともなにか、襲ってくる敵を全員で待ち構えろとでも言う気か?」

上条「―――ッ!!」

青髪「まあまあ、ここは大人しく土御門クンの指示に従おうやカミやん。ボクらは門外漢なんやから。おかげで今やって冗談一つ挟めんかったわー」

上条「……分かってるよ。俺達には何もできない事くらい」

青髪「そんな顔しちゃダメやって。姫やん心配するで? 顔でも洗ってきたらええんちゃう?」

上条「ちょっと行ってくる」

そう言うと上条はゆっくりと部屋を出て行った。

閉められたドアが小さな音を立てる。

青髪「まったく……で、カミやんに聞かせたくない事でもあるん?」

土御「何がだ?」

青髪「海原クン、やっけ。まだ何か隠してるやろ?」

海原「そんな事はありませんが?」

青髪「ボクの力は嘘発見器より正確やでー? カミやんに聞かせたくない事でもあったん?」

海原「……精神干渉系の能力だとはお聞きしていなかったんですけどね」

土御「まだ何かあるのか?」

海原「彼に聞かれたくないと言うか……未確定ですし、集めた情報の自分なりの解釈なのであまり言いたくないんです」

土御「あの様子だともう少しかかるだろう。とりあえず話せ」


海原「どうやら吸血鬼になるのは魔術師だけのようです」

634 : ◆oEZLeorcXc[saga sage]:2012/02/24(金) 18:44:39.77 ID:JtTlWHDi0

土御「どういう意味だ?」

海原「そもそも吸血鬼、この場合は眷属が増やす奴隷鬼の事なのですが……簡単にいうと対象の人間に吸血鬼へ変化する魔術を唱えさせている状態らしいんです」

青髪「さっきちょろっと聞いたけど能力者が魔術使うと反動でエライ目にあうんやっけ。それもそんな感じなん」

海原「というより吸血鬼になる魔術そのものが発動しないみたいです。そもそも魔術を使用した事のある人間の経験とその回路を利用して魔術を使わせるという形をとっているようで」

土御「つまり学園都市ならば吸血鬼は爆発的に増えないという事か」

海原「得た情報からの推測なので確実ではありませんが……おそらく爆発的には増えないかと」

青髪「なーんか都合よすぎやね」

海原「自分も同意見ですね」

青髪「ともかくそれはよかった事なんかねー」

海原「どうでしょうね。これが事実なら魔術側からの救援は難しくなるでしょうね。対処が分かっていない現状では彼らを学園都市に入れない事が吸血鬼を増やさない事に繋がるわけですし」

青髪「そうなってまうねぇ」

土御「むしろ都合がよかった結果なのか」

青髪「何がやの、土御門クン?」

土御「偶然か誰かの計画かは分からないが学園都市で吸血鬼は爆発的には増えない。だから吸血殺し<ディープブラッド>が学園都市にいた……いや、学園都市にいる事ができたんだろう」

青髪「そうなるね」

海原「それが何か?」

土御「そもそも考えてみろ、考えてみればおかしい事だらけなんだ。なぜ吸血殺し<ディープブラッド>は学園都市にいたのか。いや、いる事ができたのか」

海原「どういう意味ですか?」

土御「少なくとも吸血殺し<ディープブラッド>に魔術的な結界が敷かれたのはアウレオルスが三沢塾に来て以降だ。それまでの期間、結界がなかった期間の方が長かったはずなんだ。にも関わらず長い間、吸血鬼は確認されていない」

青髪「そうなんや」

土御「学園都市の住人は吸血鬼にならない。だとしてもそれは吸血鬼が学園都市に来ない理由はないんだ。なのに吸血鬼は来なかった」

海原「そこに作為的な何かがある、と」

青髪「なるほどねぇ。たしかに気になるね」

土御「ああ。そっち側からも当たってみよう」
635 : ◆oEZLeorcXc[saga]:2012/02/24(金) 18:51:39.51 ID:JtTlWHDi0

と言うわけで説明回でした。

誰々が表情を変える、とか絶句する、とかこまごま入れても無駄に長くなるだけなので地の文は省きました。

あくまで試験的に、なので読みにくいって声が多そうなら省きます。


長々と説明してるので三行でまとめると


・イギリス清教は忙しくて救援来ないかも
・吸血鬼は三種類います。真祖と眷属と奴隷鬼。
・吸血鬼は学園都市で増えないっぽい?

って感じです。

うわーまとまってしまった。


今更ですがこれからオリジナル設定が多々出てきます。
分かりにく場所あれば意図的に隠してるところ以外はレスさせていただきますので何かありましたらどうぞ。

次回も、できれば早めに。
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/02/24(金) 23:36:05.59 ID:Vj8HkRL20
乙だす!
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/01(木) 11:05:45.00 ID:Rvqruqct0

638 :暇人o[sage]:2012/03/02(金) 00:55:41.06 ID:Asubf/P10
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/11(日) 16:02:24.22 ID:FjePK4c00
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/12(月) 00:51:33.82 ID:FUghcyzs0
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/04/09(月) 06:15:17.05 ID:zYpGtTnDO
続きマダー(´・ω・`)?
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/04/16(月) 07:17:31.02 ID:pcx2DOYDO
もう書かないのかしら?

643 :VIPにかわりまして暇人oがお送りします [sage]:2012/04/22(日) 01:07:04.50 ID:yFtHBuyb0
>>1が全然こないなー
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/04/28(土) 09:51:01.03 ID:jw2QDbFIO
まだ2ヶ月だ
慌てるようなことじゃない

マダー?
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/04/28(土) 09:52:57.38 ID:jw2QDbFIO
>1さん、生きてますかぁ??
646 :VIPにかわりまして暇人oがお送りします[sage]:2012/04/28(土) 22:07:18.85 ID:/8mfQiKg0
>>1ぃ〜
頼むから生存報告してくれ〜(泣)
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/01(火) 12:41:50.97 ID:oMF9GziDO
書き始めから一年以上経ってんじゃん!
富樫でも仕事するレベルだろ……
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/20(日) 09:54:07.35 ID:y1r8eRvSO
あわわわわ
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/24(木) 00:24:00.58 ID:AFgSSH6x0
生存報告を



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