VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2011/05/29(日) 00:26:03.48 ID:r0h3l9PCo<>山間の小さな村の入口に、憎しみの光を宿した少年が一人。
“>>3”色の瞳は外界へと続く小道を見据え、“>>4”色の髪は夜風に靡く。

少年の名を「“>>6”」と言った。


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※出来るだけ頑張るけど安価は絶対じゃないです。ごめんね!(下・エロ・版権ネタは高確率で回避します)
※超遅筆+SSに割ける時間が少ないので安価スレとは思えない程のド低速の予定。気長にお待ち下さい
※方向性が決まったら安価と無関係な進行が増えそう。安価はおまけ程度に考えて頂けると幸い<>少年「安価を交えつつ敵討ちする」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/29(日) 00:29:03.18 ID:Eomwgcbyo<>












                   ∩  ∩
                   | | | |
                   | |__| |
                  / 一 ー \
                 /  (・) (・)  |
                 |    ○     |
                 \__  ─  __ノ 









       <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)<>sage<>2011/05/29(日) 00:30:16.33 ID:ftAJw7bAO<> 透明 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/29(日) 00:49:03.37 ID:1oBod0bDO<> 黒 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2011/05/29(日) 00:53:55.58 ID:r0h3l9PCo<> 透w明wwwwwうんこ色とかは想定してたのに変化球来たぞwwwww
赤目か比喩にしようかと思ったが初っぱなからこれでは怒られそうなので頑張った。

そしてスレ立て初めてだったから感覚が分からなかった…時間がアレなのに>>1で欲張りすぎた感が
----------

山間の小さな村の入口に、憎しみの光を宿した少年が一人。
透明の瞳は外界へと続く小道を見据え、黒色の髪は夜風に靡く。

透明の瞳、とは言っても比喩ではない。
事実として少年の虹彩にはオペラグラスの如く背後の風景が映っていた。
脳も頭骨もあるにも関わらず、だ。

だから、少年の前髪は少し長め――僅かに瞳が見えるか見えないかの長さだった。
最も、今は夜風のせいで左右に散っているが。


少年の名を「“>>6”」と言った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/05/29(日) 01:37:36.30 ID:0JBm2+Bqo<> 6 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)<>sage<>2011/05/29(日) 01:43:31.43 ID:ftAJw7bAO<> 曽我 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2011/05/29(日) 01:52:31.18 ID:r0h3l9PCo<> すまん全然進んでないが眠い…いつのまにか寝てるかも
----------

少年の名を「6」と言った。
無機的な名であるが、彼はこれ以外に自身を指す名を知らない。
これが唯一の名であるのか、それとも他に名付けられているのか
気にならないと言えば嘘になるが、今の6にとっては大した疑問ではなかった

6の右の手は、一本の剣を握りしめていた。
その刀身は少年の髪と同様、まるで闇を固めたような漆黒。

そしてやはり、異質なのは刀身だけではなかった。

(剣の詳細or力>>10) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/05/29(日) 06:32:49.08 ID:7Igey2kYo<> 人少ないうちは安価+1がいいと思う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/05/29(日) 06:36:46.84 ID:7Igey2kYo<> 刀身が伸縮自在
本気を出せば一瞬で13キロメートル伸ばすことも可能 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2011/05/29(日) 12:19:28.73 ID:r0h3l9PCo<> 成る程確かに…エロ無し一次で地の文大量とかここ受けする作風でもないしなー
----------

今は刀身の色を除けば、外観は一般的なショートソードであり
刃渡りも五十センチメートル程度だ。

しかし、その刀身は使用者の意志と力によって伸縮する。

力ある者が使えば十三キロメートルもの長さにする事が可能だと言うが
6にはせいぜい十メートル、それも一瞬が限界であった。
それでも、初めは数メートル伸ばすのも大変だったのだから成長したものである。

変形自在とまではいかないが、刃渡りの制約から解放された魔法の剣。
「闇を固めた」というのも、強ち間違いではないのかも知れない。

この剣を手に入れた時の事を、彼は不意に思い出した。

(剣の入手方法>>12) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2011/05/29(日) 12:22:08.41 ID:VyeBksvf0<> 滝から落ちる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2011/05/29(日) 13:23:02.77 ID:r0h3l9PCo<> ――まだ6が幼かった頃、二人で山奥へと赴いた時のことだ。

山奥にある水場の岩とは得てして滑りやすく、
少しの気の緩みで滑り落ちてしまうものだ。
そう解っていても、ずっと気を張りつめていられる訳がなく
少し後ろを振り返った拍子、岩肌に生える苔に足を取られ急流へと滑り落ちた。

同行者の悲鳴にも似た声に応える余裕もなく、激流に飲まれながら
ちらりとその流れが途切れているのが目に見えた。――滝だ。

子供心に助からないと思った。

滝壺に落ちた際、滝壺の側面に黒い何かが突き刺さっているのが6には見えた。
丁度手に触れそうな位置で、藁に縋るような勢いでそれを掴んだ。

結果的に、同行者に助けられる迄に余計な水を飲まなくて済み
一命を取り留める事が出来た。
同行者が引き抜いたそれを、後に書物で調べて驚いた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2011/05/29(日) 13:24:57.72 ID:r0h3l9PCo<>


鞘を握る手に力が篭もる。
それに気付いた6は、目を閉じ深呼吸をした。

膨れあがった憎悪を何とか押さえつける。
憎き敵は今尚脳裏に鎮座するが、6は瞳を開かずそれをただ見据えた。

もう一息大きく吐いて、彼は森へと足を踏み入れた。

(嘗て殺された者>>15/敵討ちの相手>>16) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/29(日) 13:49:41.51 ID:GbMX/Y0xo<> 幼馴染 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2011/05/29(日) 14:03:00.23 ID:VyeBksvf0<> 竜王 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2011/05/29(日) 14:26:01.34 ID:r0h3l9PCo<> くっそ投下してから気付いた、鞘握ってどうすんだorz 柄と鞘をよく間違えて惨事
----------

「――」

滑り落ちた名は、地を踏みしめる音と木々の擦れる音に掻き消される。

幼馴染を殺した竜王……今現在の居場所や背格好など、彼は知らない。
しかし、何としても探さねばならない。
その為に、今日までこの地で修行を積んできたのだから――!


***


鬱蒼と茂る木々の間を、6は一歩一歩前進していた。
剣は既に鞘に閉まってある。

透明の瞳も、闇の中であれば黒の瞳に等しくなる。
だから、6は夜が好きだった。
最も、月の明るい日は昼同様に嫌いであったが。

物心ついた時には、瞳は既に透明であった。
その瞳を見て、周囲の人間は彼を蔑んだ。
気持ちは解らないでもない。幼少の頃は自分自身でも気味悪く
像を映すものを見るのが怖かった。
しかし、それを理解したところで、寂しいことに違いはなかった。

寂しかったが故に、ただ一人普通に接してくれた幼馴染が大切で
そしてそれを奪った竜王が憎かった。

何しろ、何かと外れにされる様な扱いを受けて育ってきたのだから、
人前ではどうにも消極的になりがちだった。
しかし、幼馴染は彼に対して「6は>>18な性格だよな」と言ってのけた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/05/29(日) 14:32:13.32 ID:7Igey2kYo<> 勇敢で優しい
でもムッツリ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage saga<>2011/05/29(日) 14:35:36.28 ID:r0h3l9PCo<> ちょっと本文書く前に幼馴染の性別安価>>20
男でも女でもふたなりでも無性別でもいいよ、人外希望なら種族書いてくれても多分おk

後個人名無いと書けないタイプなんだけども、こっちで勝手に付けちゃっていいものなんだろうか
人名安価は多分取り辛いよな… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/05/29(日) 14:43:11.26 ID:7Igey2kYo<> 女

名前は好きにして欲しい
安価スレなのに丁寧に書いてるから面白いよ
頑張って <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2011/05/29(日) 15:12:14.71 ID:r0h3l9PCo<> thx! 安価スレは台本形式が殆どだったから内心凄く不安だった
名前は適当にファンタジーっぽいのを付けていこうと思う
----------

しかし、幼馴染み彼に対して「6は勇敢で優しいけど、でもムッツリな性格だよな」
と言ってのけた。

「ムッツリ」という評価に対しても勿論異を唱えたかったが、
しかし「勇敢で優しい」という事に関しても、彼自身には意外な評価であった。
6自身は自分の事を「臆病」「消極的」であると考えていたからだ。

幼馴染を失ってから、その評価は自身の中で更に地位を築いた。
本当に勇敢であったのなら、彼女を失わずに済んだのではないか。
本当に優しかったのならば、どうして自分だけが生きているのだろうか。

本当に、彼女の言葉に嘘は無かったのか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2011/05/29(日) 15:13:19.78 ID:r0h3l9PCo<>


弓張り月は木陰の向こう、地上にはただ申し訳程度に光が落ちるのみ。
この暗闇に随分眼も慣れてきて、大まかな輪郭ぐらいなら捉えられる様になってきた。

がさり、と不意をつく物音。

「ん……?」

反射的に、6は剣に手を伸ばした。
小動物かと思ったが、音のした方向を見てみれば、僅かに何かの影が見て取れる。
風の生む音にしても、不自然な音だ。
人間にしても、この付近に旅人など滅多に訪れない。

夜盗か、それともモンスターか。

何時でも抜刀できる状態で、彼は足音を潜ませ
影の方へと前進した。


(影の正体>>23) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2011/05/29(日) 15:18:44.80 ID:VyeBksvf0<> 男盗賊 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2011/05/29(日) 16:01:31.32 ID:r0h3l9PCo<> 近付いていゆく内に、その影が6と似た背丈の人間であることが理解できた。
と同時に、影の手にする物が金属質の光を発するのが6の眼に映る。

恐らく、あちらの持つ刃が僅かな光を反射したのだろう。
黒の剣は、未だ鞘の中だ。

暗闇は大抵の場合恐怖心を煽るが、6に対しては逆に勇気をくれる。
大きく息を吸って、彼は叫んだ。

「誰だっ!」
「……誰だっ!」

山彦の如く返ってくる問い掛け。
ただ、それは6よりも若干低い男の声であった。

「そっちこそ誰だ!」
「それはこっちの台詞だっ!」

これは堂々巡りかもしれない。
6がそう考えたのを裏切るように、人影は唐突に姿を消した。
立ち去ったとは考え辛い。6は剣を抜刀し、辺りを見回す。

刹那、頭上からの気配。
見上げるのと同時に、6は自身を守る様に刃をそちらへ向けた。

暗闇に響く、鋭い音。

垣間見た顔つきは、少年のそれであった。
同じぐらいの年頃かもしれない。若しくは、彼方の方が少し幼いか。

影の主が着地するのを見据えながら、6は思考を巡らせた。
軽装、片刃の短刀、機敏な身のこなし。
可能性として高いのは――盗賊。


(男盗賊の目的(物でもそれ以外でも)>>25/※次の投下は夜以降になります)
(ついでに安価じゃないけど盗賊の性格(キャラ)アンケ。しっくり来るので行こうと思います。無かったら適当に) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/05/29(日) 16:15:24.23 ID:nxpsjdn30<> 竜王退治のための資金集め
性格;守銭奴 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/29(日) 16:18:32.35 ID:GbMX/Y0xo<> 性格は臆病で攻撃的 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/05/29(日) 16:29:30.15 ID:7Igey2kYo<> 盗賊のくせに虚をついた、姑息な手段を好まない
正々堂々と目的の物を奪う <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 00:52:30.55 ID:e3zxJ8Ulo<> もう一打来るかもしれない、と切っ先を盗賊と思しき少年に向けたが、
6の予想とは裏腹に、飛んできたのは言葉であった。

「どうしてアンタがそれを持ってるんだっ!」
「は……?」
「その黒剣だよ!」

え、と声を漏らし、6はその刀身を一瞥する。
この場で黒剣と言えば、間違いなくこの剣の事だろう。

「くっそ!」

一言吐き捨て地を蹴った少年は、重力のままに座り込んだ。

「一攫千金のチャンスが……」
「はあ……」

項垂れながら自己完結しつつある少年に、6は改めて問いをぶつけた。

「……で、君は一体誰なんだ……?」
「オレか……? お宝求めてやってきた哀れな盗賊だよ……」

恐る恐るの問い掛けに、返ってきたのは気のない声。
6の推測通り、彼は盗賊だったらしい。

「山奥の滝の中にあるって聞いてここまで来たのになぁ……」
「ああ……それ七年前までの話だぞ」
「えっ」

何処か情けない声と共に、盗賊の少年は顔を上げる。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 00:57:10.36 ID:e3zxJ8Ulo<>
「……マジで?」
「ホントに」

珍品である事は知っていたが、宝扱いまでされていたとは知らなかった。
滝壺に落ちたのは九歳の頃だから、逆算して七年前。
つまりこの人は、七年も前に失われた宝を求めてやってきた訳だ。

「なあ、それくれねぇか?」
「無茶言うなよ」
「だよなぁ……そうだよなぁ……」

譫言の様に呟きながら、盗賊は立ち上がった。
そして、再び短刀を6に突きつける。

「ここまで来たんだっ、こうなったら意地でも手に入れてやる!」
「実力行使という訳か!」
「あぁ! 正々堂々正面からな!」

6は剣を構え直し、意識を研ぎ澄ました。
精神統一をしないと、刃渡りは自在に操れない。

この剣を、そう簡単に渡す訳にはいかない。
これは竜王を葬る為の力であり、同時に幼馴染みとの思い出の品でもあるのだから――。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 00:59:21.84 ID:e3zxJ8Ulo<>

***


「ありえん」
「えっと……」
「ありえねぇ……」

盗賊は6に背を向け、近場の木の幹へと寄りかかる。
あまりの項垂れっぷりに、6の心にはある種の申し訳なさが渦巻いていた。

6はどれかと言われると剣士に分類される。
盗賊は剣士に力で劣るが、その分速さと器用さに長けている。
……盗賊が正面から向かって来るならば、6が敗北する要素など殆ど無かった。
盗賊が剣の能力を知っていたとしても、だ。

「何のためにここまで……」
「ええっと、その、何か……申し訳ない……」
「謝るぐらいだったらさぁ、その黒剣くれよ」
「だから無茶を言うなよ」

何故、ここまで黒剣に拘るのか。
その疑問がふと6の心に浮かび上がった。

「何故、この剣が欲しかったんだ?」 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 01:02:54.04 ID:e3zxJ8Ulo<> 「……資金集め」
「ん?」
「竜王退治の資金集めだよ!」
「竜王、退治……?」

頭が真っ白、というのはこの時のような事を言うのかも知れない。
盗賊の言葉を聞いた直後に、6の思考は停止した。
まさか、この盗賊の口から憎き敵の名が飛び出すとは思わなかったのだ。

「何だっ、アンタも馬鹿にすんのかっ?」
「いや――」
「そうだよなあっ、人間相手に宝も奪えないような奴が竜王なんて無謀だもんなぁ!」

くそう、と吐き捨てると盗賊は木の元にしゃがみ込んだ。

頭は今尚混乱している。
しかし、それでも尚、6は無理矢理言葉をひねり出した。

「俺も――」
「あぁ?」
「俺の目的も、竜王を討ち取る事だ」
「……なっ」

盗賊が振り返るのが、夜目に解った。

「だから、この剣は渡せない」
「……」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 01:06:10.03 ID:e3zxJ8Ulo<>
盗賊が静かに立ち上がる。
暫し、沈黙が続いた。
さらさらと流れる様な風の音が鳴る。

「じゃあさ」「ところで」
「あ」「あ」

同時に痺れを切らせたのか、それとも同時に思考が整ったのか。
僅かに、気まずく間が空いた。

「先にアンタから言ってくれよ」
「じゃあ……」

促され、6は問う。

「君は何故、竜王討伐を目指しているんだ……?」

地位、名誉――そして恨み。
考えられる理由は様々である。
同じ竜王討伐を目的とする者として、6はそれを明確にしておきたかった。

盗賊が、解を返した。

「金だよ。何せ、竜王を退治出来れば、地位と名誉が約束されるからなぁ」
「……そうか」

対象とするものは同じであるが、目的のベクトルが正反対。
……勿論、盗賊が嘘を言っていないのであればの話だが。
返事自体を疑う気持ちがあるものの、それでも内心複雑というところが6の本音であった。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 01:10:25.16 ID:e3zxJ8Ulo<>
「アンタはどうなんだ?」
「俺か……?」

盗賊の目的を聞いた後では何となく躊躇われたが、
6には嘘をつく理由がない。

「敵討ち、だ」

そう言って、彼は歯を食いしばる。
また、竜王に対する憎しみが湧き出したからだ。

「そうか……何かわりぃ事を聞いちまったみたいだな、すまねえ……」
「いや、気にしないでくれ」
「……じゃ、じゃあさ」

少し控えめな、盗賊の声。

「事情は違うけどさ……一緒に、竜王退治を目指さねぇか……?」

――覚悟していた問いではあるが、答えはまだ出せずにいた。
背負うものの重みに気付いて、天秤が揺れ始めてしまったからだ。

「ダメ、か?」
「ええっと――」

唸って、僅かな間に高速で思考を巡らせた。



1.「……解った、一緒に行こう」
2.「……いいや、遠慮しておく」

---------
トリップ付けました(昔回した時の副産物)
>>1にも似たような事を書いていますが、特に平日はあんまり来れません
(リアタイ執筆はまず無理です)。数日来れなくても生きてます <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 01:10:59.89 ID:e3zxJ8Ulo<> ごめん安価抜けた
安価>>35 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2011/05/30(月) 02:09:35.64 ID:6/2akqC00<> 1 <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 21:07:13.51 ID:e3zxJ8Ulo<> 「……解った、一緒に行こう」

――揺れた天秤は、結局は同じ向きへと傾いた。

十分に修練を積んだつもりではあるが、それでも竜王相手に一対一で勝てるとは思えない。
理由は違えど目的が同じであるのならば、仲間は多い方がいい。
それに、外から来た彼は6の知らない情報を持っている可能性も高い。
竜王の事は勿論、世界の事、旅をする上の知識――。

……ただ、それらは理屈で考えればの話である。

「おっ、マジかっ? よかったー!」

嬉しいと言うよりも安心したといった感じの盗賊の声色。
その一方で、6の胸は早打つ。

「ただ、一つ言っておかなければいけない事がある」

育つ過程で向けられた様々な「目」が、6の脳裏を過ぎった。
自然と、声は震える。

「ん?何だよ」
「今は暗くて解らないだろうけど、その……少し、俺には異形な点があるんだ」
「え、そ、そうなのか?」
「とりあえず、直接見て貰った方が――」
「いや待ってくれ、心の準備をさせてくれ!」

ぎりりと、6の心臓が痛む。
やはり、彼も他の者と同じなのであろうか。

「だよな、異形の人間なんて気味が悪いもんな……」
「いっ、いや、そうじゃねぇんだ!」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 21:10:49.68 ID:e3zxJ8Ulo<>
盗賊は慌てて否定したかと思うと、気まずそうに言葉を紡いだ。

「オレさ……その、ちょっとビビリな所があるからさ……」
「……よくそれでこんな辺境まで一人で来れたな……」
「宝の為だったからさ……金の為だったら、割と何とか……」

挑発的な奴だと思っていたが、根は結構脆いらしい。
情けない声で、盗賊が打ち明ける。

「行きは何とかなったけどさぁ、正直、一人で下山出来る気がしなかった……」
「ああ、そう……」
「で、まぁそういう訳だから、出来れば先に言葉で詳細聞いておきてぇ……なんてな……」
「……そういうことなら」

あまりいい気もしないが、現物を見てから血相を変えられるよりは幾分マシだ。

「えっと……俺の目、透明なんだ」
「……えっ、どういう事だ? 頭ん中が丸見えとかっ?」
「グロイ! それグロイぞっ!」
「いや、そんな訳ねぇか……さっき戦っていた時も違和感なんざ感じなかったし……」
「まあ、それはここが暗いからだな」

数メートルの距離であっても、互いの顔が殆ど解らない暗さ。
少なくとも、6には盗賊の顔は殆ど見えない。せいぜい輪郭ぐらいだ。

「原理は解らないんだが……俺の黒目、後ろの背景が透けて見えるんだ」
「どういう事だ?」
「こう……双眼鏡みたいな感じ?」

そう言って6は、両手を使い双眼鏡を覗くようなジェスチャーを取る。
最も、盗賊にそれが見えているかどうかは解らないが。

「……さっぱりわかんねぇ」
「だから直接見て貰った方がいいって言ったのになあ」

ぼやきながら、6は周囲を見回す。
木の幹に少し光が落ちているのを見つけた。

「あの、木の幹を覗く形にすれば見易いか」
「解った。……心の準備は出来た、見せてくれ」

6が光の落ちる方向を背に立ち、盗賊が歩み寄る。
恐る恐る、といった感じに盗賊は6の眼を覗き込んだ。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 21:12:35.20 ID:e3zxJ8Ulo<>
「うおっ、こういうことか!」

しかし、盗賊に怯える様子は見られない。

「あ、でも意外と怖くねぇわ。しっかし、どうなってんだろうなぁ、これ……」
「俺に聞かないでくれ……子供の頃からこうなんだ」

冷静に6は言葉を返す、風に装った。
内心、少し嬉しかった。
事前に伝えていたとは言え、この眼を見て「怖くない」と言われたのは
とても久々だったからだ。

6から顔を離し、盗賊が問うた。

「何か特殊能力とかあったりすんのか?」
「いや、特には」
「ただ見た目が変わってるってだけかー」

盗賊は腕を組み頷き、再び口を開いた。

「オレも、先に言っておかないといけねぇ事がある」
「何だ?」


(盗賊の打ち明け内容>>39) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/05/30(月) 21:14:56.46 ID:I9Hp1zgG0<> 金を求める理由:貧乏のために一家離散 <> ◆Y706p.....<>saga盗賊のキャラとか設定とかがドツボすぎてやばい。おまいらエスパーかw<>2011/05/30(月) 21:44:25.93 ID:e3zxJ8Ulo<> 「この際言うけどさ、オレが「金目当て」って言った時、正直くだんねぇと思っただろ?」
「いや、それも立派な目的だと……」

まさか、「正直思った」などと言える筈もない。
6は言葉を返したが、しかし己の目的が「敵討ち」であると言った以上、
嘘か真かに関係なく嘘であると響くだろう。

それなら本音を言えばよかった、と6は直後に後悔した。
今は多少の表情の変化ならば掴める距離であるのだから、尚更である。

「……まぁ、全く理由も無くて富と名誉を欲しがってんじゃねぇんだよ」
「と、言うと?」

6が問い掛けるのと同時に、盗賊は地に座りあぐらをかく。
釣られて、6も同じ様に座り込んだ。

「うちの家は貧乏でよぉ……餓鬼の頃から色々大変だった訳よ……」
「家族……」

「家」という響きが、6の胸を引っ掻いた。


(盗賊のかつての家族構成>>41) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/05/30(月) 21:47:42.34 ID:I9Hp1zgG0<> 両親と病弱な妹の四人家族 <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 22:34:55.73 ID:e3zxJ8Ulo<> 「加えて妹が病気がちでさぁ、オレも小せぇながらに必死に働いていた訳よ」

でも、と盗賊は一瞬言葉を切る。

「親父もお袋も、オレも頑張っていたけどさ……貧困ってそう簡単に抜けられねぇ訳さ」
「……」
「それで……なんだろ、一家離散って奴?
 妹は修道院に、オレは働いていた>>43に住み込み、両親は気付けば行方知れずさ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2011/05/30(月) 22:42:38.33 ID:QFXp12wT0<> 病院 <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 23:50:43.23 ID:e3zxJ8Ulo<> 「妹は修道院に、オレは働いていた病院に住み込み、両親は気付けば行方知れずさ」
「せめて、妹さんも同じ病院に――」
「病院にゃ金の無い奴なんざ入れてもらえないわな」
「ああ……」
「それに特別技術がある訳じゃねぇ、餓鬼に出来る事と言やぁ雑用ぐらいさ。
 多少知識はついたけどさぁ、それだけだ。治療が出来る訳でもねぇし」

そう言い切って、盗賊は指を組み筋を伸ばす。
打ち明けるのはここまで、といったところだろうか。

「すまない……」

自然と、6の口から謝罪の言葉がこぼれ落ちた。

「何でアンタが謝るんだよ……」
「いや、辛い事を話させてしまった気がして」

それに、と6は言葉を続けた。

「俺が「敵討ち」と言った時も、君が謝った」
「ああ、だったっけなぁ。でも、これオレが勝手に言い出しただけなんだがなー」

そう言って盗賊は笑う。
ある程度吹っ切れているのかも知れない、と思うと、6には少しそれが羨ましくなった。

「どうせなら金持ちから色々と奪ってやろうと思って盗賊になったんだけどさぁ
 ……ダメだー、オレにゃ向かねぇ」
「正面から向かって来るぐらいだからなあ……」
「その通りさ、全く」

盗賊が吐き出す、とても深い溜息。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 23:54:34.31 ID:e3zxJ8Ulo<>
「金さえあれば、また一緒に暮らせるかもしれない。
 旅を続けりゃ、親父やお袋だって見つかるかもしれねぇ。でも――」

盗賊の声が、低く、自嘲的になった。

「修道院に入ったってことは、悪人になったオレが会っちゃまずいだろうな」
「それは――」

言いかけて、6は口を噤んだ。否定など出来る筈もない。
施す立場の修道院、奪う立場の盗賊――本来ならば、決して相容れない存在である。
ただ、6は唇を噛み締めた。



「ところでアンタ、名前は何って言うんだ?」
「名前か……」

名乗るのもまた、6はあまり好きではなかった。
「自分の名前」という認識はあれど、好きかと言われれば答えはNoであったからだ。
ただ好きではないというだけで、瞳の事情を話す時程の抵抗はない。

「――6、だ」
「ロク?」
「そう、数字の六」
「へぇー、変わった名前だなぁ。この奥の村は、みんなそんな感じなのか?」
「いや、そういう訳じゃないらしい」

話を聞く時の癖なのか、盗賊はまた「ふぅん」と腕を組んで頷いた。
どうやら、それ以上の言及をする気はないらしい。

「オレの名前は



1.イオン
2.ルース
3.ブラン
4.レオ
5.(その他)

<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/05/30(月) 23:55:37.11 ID:e3zxJ8Ulo<> ----------
名前の方向性決めも兼ねて選択式で試してみる。どれも厨二臭くてすまんぬ
とりあえず一番多いもので。同数の場合はその中で一番早かったものを
次は少し日数が空くかもしれない

戦闘スペックは6より低そうだし、性格も短所の方が目立つので
盗賊の幼少時代の働き先で長所を決めようと思ったら、少し面白い風に展開できそうなものになった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/05/31(火) 07:04:03.76 ID:X/gltgODO<> 5 シックスとかどうよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/05/31(火) 07:52:17.66 ID:ingrxEt70<> >>47
いいな、シックス
……某新種を思い出すのがアレだが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/05/31(火) 08:26:05.00 ID:IXtDjfAAO<> 金属を操って木火水火を仲間にするのか…六とシックスを筆頭にした六人なら竜王に勝てるかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2011/05/31(火) 11:30:58.19 ID:q0fJFwYAO<> リウ(中国語)とかセーイ(イタリア語)とかが仲間になる展開か… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/05/31(火) 17:09:07.88 ID:9wjLgdDGo<> それだと竜王がドS魔人になりそうなんだが…

6の相棒キャラってことでシックスがいいかも <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/05/31(火) 17:46:19.15 ID:sMKRKOrRo<> シックスいいね、それでいこうか

ただ実は皆の話のネタ元が解らないのと、元より版権は高確率で回避と書いているのと
(知ってるネタ且つ小ネタ程度なら構わないのだけども)
今回は飽くまで名前のアンケなので、恐らく名前しか反映されないと思う。申し訳ない
随時出す安価をそれっぽいのでとってくれるのはおk
でも何も考えずに、うっかり勝手に書き進めてしまう事もあるかもしれない

「安価はおまけ程度」と書いているとはいえ、一応安価スレの癖に自分の意見を通しまくりでごめんね
(正直こうなりそうな気がしていたので、スレタイを「安価で〜」ではなく「安価を交えつつ〜」にした)
みんな優しくて良い流れになってきたので、折角だからまともなSSとして成り立たせたくなってきたんだ
思っていた以上に見てくれている人が多くて嬉しいのだけど、この方針を不快に思う方が居たらすまない

後、この数日ここで遊んでいたツケが回ってきたので木曜か金曜深夜まで書けそうにないっすorz <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/05/31(火) 18:11:07.14 ID:sMKRKOrRo<> …と思ったけど二段落目書く必要なかったなあ、蛇足過ぎたごめん。これだと雑談が不快みたいにとられる…
俺は折角のスレッド形式だし雑談で伸びるのもアリだと思ってる派
見てくれている人がいるのが解るだけで安心するし
むしろ人が居ないと安価が成り立たないから不安になるしw

あんまり書き手が投下以外でレス数伸ばすのも何なのでとりあえず潜る <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/31(火) 19:10:56.08 ID:X/gltgODO<> 乙気長に待つわ
後、ネタに上がってたのはネウロって漫画
それのラスボスがシックスって名前でかなり強烈なキャラ。
興味あったらwikiで調べりゃわかる。
それから安価に振り回されて逃げ出すよりわ自分がやりたいようにやった方がいいと思う。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/01(水) 10:53:34.76 ID:n3ZDdyYAO<> 乙、待ってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)<>sage<>2011/06/01(水) 18:59:26.73 ID:mpZobr5+0<> 乙ー
気長に待つよー <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/03(金) 23:02:06.55 ID:A4zeWWgVo<> ぼちぼち再開します
例によって安価間が空きがちなので、気付いた時にでも参加していただければ幸い

ネウロはタイトルしか知らなかったからぐぐってみたけど色々ぶっとんでて吹いたw
(説明として読んだからそう感じただけだろうけど)
教えてくれてありがとう! <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/03(金) 23:04:57.54 ID:A4zeWWgVo<> 「オレの名前はシックスだ」
「……え?」

シックス――つまり、六。
やけに堂々としている盗賊とは対照的に、6は眼を見開いた。

「シックス……?」
「ああ」
「……同じ意味じゃないか」

6の名に対し「変わった名前だ」と言ってのけた人物の名とは思えない。
偽名か冗談か、と6は一瞬疑った。

しかし、彼からは「後ろめたさ」など微塵も感じ取れない。

「いや、名前としてはアンタの方が珍しいだろ? 何せそのまんまなんだしさぁ」
「そ、そういうものか……?」

確かに、「シックス」ならば語感的には名前でも問題ない、かもしれない。
最も、それは飽くまで彼らの主観であるが。
それでも、6にはそれだけで羨ましかった。

「それにしても凄い偶然だな……名前の意味が同じだとは……」
「全くなぁ」

親近感は、嫉妬に勝る。
狭いコミュニティで暮らしてきたが故に、対等に話せる相手自体6には久々であった。
その上に、この偶然だ。

「じゃあ、シックス。これから宜しく頼む」

右の手は、極自然に持ち上がった。

「あぁ。宜しく頼むぜ、ロク!」

差し出した手が掴まれる感触。
彼とならば、悲願を達成できそうな気がした。

……しかし、一方で「どうせなら女の人とお知り合いになりたかった」などという考えが
6の中でほんの一瞬浮かび上がり、そんな自分に彼は内心肩を落とした。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/03(金) 23:13:38.17 ID:A4zeWWgVo<>

***


例えば、幼い頃に浮かび上がった疑問などは、解けぬままに沈みゆく事も多い。
例えば、幼い頃に抱いた「大切」という感情のベクトルなども、
理解出来ぬままに流れ去る事が非常に多い。

感情の矛先である者が居なくなっては、尚更の事である。



その道の大半が下りと言えど、6の暮らしていた村があまりの僻地であったが故に、
麓の街に辿り着いたのは翌日、丁度日が沈んだ頃合いであった。

それでも、これは僅かな仮眠の時間を除いて歩き続けた結果である。
シックスの所持品は必要最低限。6に至っては、金銭と剣の他には
下山までの食料ぐらいしか持ち合わせていないという有様であった。
従って、彼らには一刻も早く街に到着する必要があった。

街に踏み込む手前、6は足を止める。

「丁度良い時間帯だな……」

そう呟きつつ、彼は前髪で瞳を覆った。

「何してんだ?」
「ほら、瞳を見られてはまずいからな」
「ずっと思ってたんだけどさぁ、それ、帽子とか被って頭を覆えばいいんじゃねぇの?」
「駄目だ、それじゃあ普通に透ける」
「マジかよ……本当どうなってんだろうなぁ」
<>
◆Y706p.....<>sagaフリーズしおった…<>2011/06/03(金) 23:28:42.96 ID:A4zeWWgVo<>
薄暗い中で髪で覆ってしまえば、近付かれさえしなければ瞳の異常は知られない。
だが、それとは引き替えに、6自身の視界が遮られる。

「少し見える位なら大丈夫だと思うけれども、しかしゴーグルかサングラスが欲しいんだよなあ。
 街まで来たら真っ先に買うつもりだったんだけれど」
「……先に道具袋買いにいかねぇか?」

旅人の必需品と言える道具袋、それさえも6は持っていなかった。
しかし、それでも6は譲らない。

「いいや、先に眼を何とかしたい。それに……」

シックスのウエストポーチを一瞥し、6は言葉を続けた。

「最悪、少しぐらい君のに入れてもらえば――」
「オレのはそんなに入んねーよ……」

深々と、シックスは溜息を吐いた。

「で、ゴーグルかサングラス、どっちを買うかは決めたのか?」
「いいや、実はまだ……どっちがいいと思う?」
「そうだなあ――



1.ゴーグルの方がいいんじゃねぇか?
2.サングラスがいいんじゃねぇか?
3.(その他)
>>61 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/03(金) 23:32:10.46 ID:sMmMZ7Wko<> 1
主人公だからな! <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 00:16:03.65 ID:PQcsAUY9o<> 「そうだなあ……ゴーグルの方がいいんじゃねぇか?」

腰に右手を当て、6の風貌を改めて確認した上でシックスは答える。

「正直さぁ、サングラスじゃただの怪しい人になると思うぞ」
「言われてみれば、確かに……」

黒髪に黒い剣、加えて濃い色のサングラスと来れば、確かに怪しさは拭えない。
自らのその様な姿を想像し、6は小さく唸る。
思考の過程で、彼は呟いた。

「ゴーグルなら、防具にもなるか」

その言葉を聞いたシックスが、僅かに顔を曇らせる。

「ああー……それなんだけどさぁ……」
「何だ?」

無意識だろうか、顎に手を当て、彼は視線を逸らす。
その一方で、6はシックスの顔を凝視した。

「聞こう聞こうと思って聞きそびれてたんだけどさぁ……その……」
「聞きたいことがあるなら、はっきり言ってくれよ」
「ええっと、じゃあさぁ……」

口籠もりながらも、しかし漸くシックスは6の顔を見た。
言い辛そうに、彼は問うた。

「アンタさ……正直なところ、幾ら持ってんだ?」
「う……」

6の動きが止まり、今度は彼が眼を逸らす。
同じように口籠もったかと思うと、途切れ途切れに言葉を返した。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 00:23:59.19 ID:PQcsAUY9o<>
「ご……せん、ぐらい……」
「必要物資買って終わりじゃねーか……」

あー、と声を吐き出しながら、シックスは俯く。
道具をそれなりに揃えるならば、それだけで直ぐに消えてしまう額だ。
武器を買わずに済む事だけが、不幸中の幸いであった。

「仕方ないだろうっ、あんな山奥だし、――」

――誰も不気味がって働かせてくれないし!
言いかけて、6は言葉を飲み込んだ。
今、ここでそれを言っても何にもならない。ただ、場の空気が重くなるだけだ。

ただ、飲み込んだものは跡形も無く消え去る訳ではない。
飲み込んだそれの替わりに、6は問いを吐き出した。

「そういう君はさ、どれだけ持っているんだ?」
「え……いやぁ、オレ関係なくねぇ?」
「俺だけ聞かれるのはフェアじゃない」
「そういうもんかぁ?」

明らかに、シックスの言葉の端々に困惑の色があった。
金の話は確かにシビアな話題だが、この場合切り出したのは彼の方だ。
ここは意地でも退くものか、と6は背筋を伸ばし、改めてシックスの方へと向き直した。



(シックスの所持金額(自己申告)>>64/はぐらかす、も可)
(そして異様に重い…) <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/04(土) 00:25:50.55 ID:PQcsAUY9o<> ※間に合わないかもだけど補足:円の10倍ぐらいの価値のイメージだけどまあ適当
単位は何か指定してくれてもおk、無ければ無難にGでいく

安価した <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/04(土) 00:27:02.24 ID:dFHyd5DAO<> 二万くらい <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 00:53:36.06 ID:PQcsAUY9o<> 観念したかの様に、シックスは口を開いた。

「二万ぐらい……かねぇ」
「結構な額じゃないか!」

てっきり少ないが故に言い辛いのかと思っていたものだから、6は驚いた、
竜王退治の為に資金稼ぎをしていたというのは、やはり伊達ではなかったらしい。

しかし、6とは対照的に、シックスはあっさりと言ってのける。

「順調に旅してりゃあ、こんなもんだ」
「それでも、俺にとっては大金だ」
「……そりゃあ、五千Gに比べればなぁ……」

う、と声を漏らしたかと思うと、再び6は動かなくなった。
その一方で、「それにさぁ」とシックスは6の腰に携えられた剣を指さす。

「その剣一本にゃ、オレの有り金以上の価値があるぜ」

剣の重み――一般の剣よりは多少軽いそれを、改めて6は感じた。
物として現存する、数少ない思い出の品だ。手放す気など一切無い。

静かに剣を抜き、切っ先を上に向ける。
飽くまで好奇心から、6は問い掛けた。

「この剣の価値って、具体的にはどれぐらいなんだ?」

腕を組み、シックスは言う。

「量産品じゃねぇから明確な額はねぇと思うが、オレの調べたところでは>>67ってところかねぇ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/04(土) 01:05:01.77 ID:OT0LSoVXo<> 25万 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 02:13:43.06 ID:PQcsAUY9o<> 「量産品じゃねぇから明確な額はねぇと思うが、オレの調べたところでは
 25万Gってとこかねぇ」
「25万?!」

思わず、6の声が裏返る。
25万と言えば、一年は余裕で暮らせる額である。
シックスが「お宝」と言った理由も、今の6には理解出来た。

「だから欲しかったんだよ、ちくしょ……」

悔しがるシックスの傍ら、6は半ば呆然と呟いた。

「何で25万もの宝が回収されていなかったんだ……」
「何らかの力で封印されてた、とかじゃねぇの?」
「さぁ、滝壺に刺さってただけだしなあ」

それに、と6は言葉を続ける。

「……引き抜いたのは俺じゃないしな」

そう、引き抜いたのは幼馴染なのだ。
それを改めて認識し、果たして自身に所有者としての資格があるのか
無性に6は不安になった。


***


売っているものだな、と二人で言葉を漏らした。
そもそも、こんな田舎の街に頭部防具専門店があった事自体に驚いた。

真新しいゴーグルを装着し、嬉しそうに髪を掻き分ける6の傍らで
「1500G」とシックスが耳打ちする。6が少し、苦い顔をした。

シックスの持つ地図を頼りに、今度は鞄屋を目指す。
時は既に八時を過ぎている。丁度、個人商店が閉店し始める時間帯であった。

「しっかし、本当にこのゴーグルいいねぇ」
「防具兼用っつー事になってくると、やっぱり高かったけどなぁ」
「それはもう言わないでくれ……」

レンズの色は濃い為、視界は裸眼と同じという訳にはいかない。
しかし、髪で眼を覆っていた時よりはずっと良い。
恐怖さえ抱いていた風が、今はとても心地よかった。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 02:16:12.85 ID:PQcsAUY9o<>


幸いな事に、鞄屋はまだ営業していた。
しかし、問題は商品の額である。

「あー、やっぱり高いな……」
「魔法道具だし、仕方ねーだろうなぁ」

店内を徘徊しつつ、二人は言葉を交わす。

6の全財産は3500G強。
しかし、道具袋となると一般のカバンとは桁が一つ違う。
勿論、相応若しくはそれ以上の価値はあるのだが。

到着迄の道のりで、シックスに金を借りれないか打診してみたものの
見事に断られてしまった。
当然と言えば当然の反応でもあったので、6には特に不満を漏らす気も無い。

値札との睨めっこの後、溜息をつき顔を上げた6の目に、
ゴーグル越しに一つのカバンが映った。



>>70
1.ウエストバッグタイプ 2000G
2.ショルダーバッグ型 2500G
3.メッセンジャーバッグタイプ 3000G
4.(その他)
>>71道具袋(カバン)の色

※注:目に止まっただけで購入するとは限らない

−−−−−−−−−−
せめて買い物回が終わるまで安価を飛ばす予定だったのですが、睡魔に負けたので今日はここまで
(ビジュアルを明確にしたくてゴーグルのベルトの色も安価出したかったんですが、流石に止めた)
明日も来れれば来たいのですが、恐らく作業の合間合間になるのでゲリラ的な投下になると思います <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/06/04(土) 06:45:53.22 ID:Rj5/3oKro<> 風呂敷 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/04(土) 13:43:50.43 ID:lAWfXPBDO<> 藍色 <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 18:37:08.38 ID:PQcsAUY9o<> ――鞄、というのは間違いであったかもしれない。
鞄屋にあるぐらいなのだから当然鞄なのだろう、と6は思っていたが、
よくよく見ると、それは藍染めの布を鞄状に結んだ物だと理解できた。

札に書かれている額は、1500G。
トートバッグ状に結ばれたそれを観察する6に対し、言葉が一つ投げかけられた。

「良い物に目を付けましたね」

反射的に、6は背後を見る。
先程迄カウンターに居た中年の男性、店の主がそこにいた。

商品を指さし、6は問う。

「これも道具袋の一種なのか?」
「ええ。こちらは補助として使われる事の方が多いですが、単品でも十分お使い頂けますよ」
「へぇ……」

にこやかに、店主は商品を手に取った。
そのまま床に置いたかと思うと、おもむろに結び目を解く。

袋部分の数倍の大きさはあろう置物が、一辺一メートル弱程の布の上に姿を現した。

「この様に」
「成る程、確かに……」

一般に「道具袋」と呼ばれる代物は、収納物を縮小、軽量化する力がある。
その点、この布は道具袋としての条件を満たしていた。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 18:38:22.97 ID:PQcsAUY9o<>
「結ぶ手間がありますのでメインに使われる事はあまりありませんが、これはこれで便利ですよ」
「……どれだけ入るんだ?」
「限度はありますが、この風呂敷の幅に収まる範囲であれば」

確かに、包まれていた置物は6の肩と同じ程度の高さがあった。
高く積むことが出来れば、結構な量を持ち運べそうだ。
そう考えたところで、ふと6は疑問を述べた。

「生物も?」
「ええ、短時間でしたら」

あまりにもあっさりとした店主の回答に、6の動きが一瞬止まる。

「冗談だったのだが……」

このタイプの道具袋、不穏な使われ方をされる事も多そうである。
勿論、そういうつもりで彼は聞いたのでは無いのだが。

「強度はどの程度なんだ?」
「薄くとも魔法道具ですから、解除の魔法でも使われない限りは大丈夫ですよ。
 最も、そんなものを使える術士なんて限られていますが」

そう言って、店主は笑った。

今の彼の所持金からすると、多少の不便はあれど1500Gという額は魅力的であった。
それに、何時か一般的な道具袋を買い足したとしても、このタイプであれば活用できる。
強度的にも問題無いのであれば、躊躇う要素はもう無い。

「じゃあ、これを頂こうか」 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 18:40:50.22 ID:PQcsAUY9o<>

***


「物好きだねぇ」

鞄屋を出て歩き出した後、開口一番でシックスが言った。
道具袋の事なのは、言うまでもない。

「この所持金であの額は魅力的だぞ」
「確かに初心者向けのを買うよりかはずっと安いしなぁ。使い勝手は悪そうに見えるけどさぁ」
「慣れれば問題無いだろう。……多分」

扱い方が書かれた、所謂取扱説明書も受け取った。
今、藍色の布は袋状に結われ、斜めに背負われている。
まだ単なる風呂敷でも十分なだけの物品しか入っていないのが、
ある意味悲しいところではあるが。

「流石にもう、何処も閉まっているだろうなあ……」

漏れ出す光は民家らしき建物からが殆どで、商店らしき建物は、何処も灯りを落としていた。
道行く人も減ってきており、街全体が眠ろうとしているのが解る。

食料を含め、買わなければならないものはまだあるが、開いていないものは仕方がない。

「だろうねぇ……そろそろ宿でも探すかぁ」
「そうだな……買い物の続きは明日――」

<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 18:42:53.81 ID:PQcsAUY9o<>
――言葉は、掻き消された。
轟音だ、この様な田舎町、それも夜には場違いな!

二人は顔を見合わせた。
同時に爆音の聞こえた方角に目を向ける。
星空を僅かに遮る、白煙。

先に口を開いたのは、6であった。

「行ってみるか?」
「……あ、あぁ」

シックスの言葉には、どこか躊躇いがあった。
彼が「ビビリ」だと自称していた事を、6は思い出す。
しかし原因によっては、体を休める事が命取りになりかねない。

剣の柄に指先で触れた後、6は叫んだ。

「行くぞ!」
「お、おうっ!」

煙の上がる場所――街の南方を目指し、二人は駆け出した。



爆音の発生場所>>76
その原因>>77 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/06/04(土) 18:44:52.50 ID:xo2J9J5AO<> カジノ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/06/04(土) 18:45:54.00 ID:eXTzYY6Do<> デスピサロ <> ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/04(土) 18:56:27.36 ID:PQcsAUY9o<> す…すまん、実はこの手のを書きながらDQ系は一度もやったことがないんだ…
(職業関係は(読み手の時は)主にFFTの知識+αで補ってた)

名前だけ知ってたからぐぐったけど、これはちょっと書ける気がしない…
申し訳ないけど原因だけ再安価させてくださいorz >>79 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/06/04(土) 19:01:03.76 ID:xo2J9J5AO<> 超能力者がリア充爆発しろと念じたから <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/06/04(土) 21:20:12.75 ID:PQcsAUY9o<>


辿り着いたのは裏通り、ある建物の前であった。
炎こそ上がっていないものの、そこは既に壊滅状態。
街灯と月光の元、人々は混乱に陥っていた。

「癒術を使える人はいませんかっ?」
「早くフィアンセを助けて!」
「犯人を早く捜せっ!」

着飾る服を焦がした人々と、屈強な男達。
建物はまるで足下から崩れた様で、地下へと続く階段が辛うじて二人からも見て取れる。

6には今一ぴんと来なかったが、シックスにはその意味が理解出来たようだった。

「……カジノ、か」

呟くその顔は苦々しい。

「カジノ……」
「こんな田舎にねぇ……」

嫌悪とも取れ、哀しみにも取れ、怯えとも取れるその表情。
シックスは、非常に複雑な顔をしていた。
腕を組み、彼はぽつりと呟く。

「金自体は好きだけどよ、カジノは嫌いなんだよなぁ……どうにも」

彼の生い立ちを考えれば、自然な感情なのかもしれない。
カジノゲームなど、金を玩具に豪遊する行為に他ならないからだ。

何か、言葉を掛けなければ。
6は咄嗟にそう思うものの、口を開けど言葉が何も出てこない。
僅か、二人の間に沈黙の時が流れた。

「――ふふっ、全く……良い光景だよねぇ」

やがて発された言葉は、6のものでも、シックスのものでもなかった。

それは二人の背後――来た道から。
惨状を喜ぶような、この場にはあまりにも不似合いな口調。

目を見開いた後、二人は振り返った。



(声の主の詳細>>81-82/両立出来ないものは79>81>82の順に優先) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/04(土) 21:23:38.26 ID:dFHyd5DAO<> じゃあ安直に
超能力者だけど非リア充の男 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/06/04(土) 21:30:48.07 ID:7HLFnLVz0<> 何気に顔は悪くないが、俯いているので暗そうに見える
触れた物体の温度を上下させる事ができ、リア中のいたカジノの中に転がした
火炎瓶を爆発させた <> (今回安価無し)
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/05(日) 03:16:56.64 ID:qmFFhbNgo<>
其処にいたのは、フードを被った長身の人間であった。
多少距離が空いていた事と、俯き気味であった為に顔は確認できないが、
声質から男である事は推測できた。

「キミ達も、そう思わないかい?」
「……」

見えない瞳を、6は静かに睨み付ける。

「……やったのは、君か?」
「あぁ、そうだよ」
「何の為に?」

問い掛けながら、6は剣に手を伸ばした。
その隣でシックスもまた、及び腰ながらも短刀を抜く。

そんな二人を前にしても尚、男の言動は変わらなかった。
やはり楽しそうに、彼は語る。

「ボクも、カジノは嫌いなんだよねぇ」
「聞いていたのか……」
「むしろ、そこに集まる人間が嫌いなのかな? こんな場所に来る位なんだから、
 どいつもこいつも幸せそうでね。虫酸が走るんだよねぇ」

男の口元が、にやりと歪んだ――気がした。

「だから、不幸を願ってやったんだ」
「――サイコパス、か」

6にしか聞こえないであろう程小さく、シックスが呟いた。 <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/05(日) 03:20:09.22 ID:qmFFhbNgo<>
「ロク、話が通じる相手じゃねぇよ」
「どういう事だ」
「多分、常識なんざアイツにゃ通用しねぇってこった」
「……そうか」

6にとっては、十分な説明であった。
抜剣し、それを男に向けて構える。

「武器を構えたって事は、ボクの気持ちは理解してくれなかったんだね」
「数歩譲って理解は出来ても、実行に移すのは褒められる事じゃないな」
「そう、それは残念だ」

言うな否や、男は素早く懐に手を入れ、握りしめた拳大のそれを
二人に向かって投げつけた。
それが何であるかを理解するよりも先に、唐突な悪寒が6を襲う。
6は左へ、シックスは右へと飛び退いた。

だが、6の移動距離では不十分であった。

パリンと小さくも鋭い音の直後、二人が元居た場所で爆発が起こる。
音から考えて、カジノで起こったものよりは小規模であろうが、
しかし爆風のみで6を壁に叩き付けるには十分すぎる規模であった。

道具袋、背負った風呂敷がクッション代わりになったものの、
6はゆらりとよろめいた。 <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/05(日) 03:24:27.24 ID:qmFFhbNgo<>
異常に気付いたのか、少し遠く、人々のざわめきが止む。

「大丈夫かっ、ロク!」

手の甲で額を守りながら、シックスが叫んだ。
盗賊というだけあり、無事に爆風の範囲からは逃れたらしい。

「あ、あぁ、大丈夫だ!」

ふらりともう一度揺れた後に、6は剣を構え直す。
人間相手に戦ったことは殆ど無いが、修練なら積んできた。
そう簡単には、やられはしない。

「魔法の一種なのか……?」
「解んねぇよ、こんなの見た事ねぇ……!」
「……魔法?」

男の声が低く、そして重くなった。

「そんなものと一緒にはしないで欲しいねぇ」
「なっ……!」
「そんなもの、だって……?」

魔法は適正が無ければ扱えず、使いこなせれば将来は安泰と言われる程である。
しかしこの男は、それを「そんなもの」と言ってのけた。



----------
安価まで少し遠くなりそうなので、書けたところまで投下。安価無くてごめん
リア充を苦しめることで充実を図れているのなら非リア充ではなくね?とか
本当にサイコパスならもちっと社交的なんじゃね? とか正直書いてて諸々思ったorz
自己解釈しすぎて、ちょっと今回安価回収不足気味になるかもしれない…
(消化しきれなかったものもいつかは消化したい)

明日明後日は1,2回来れるか来れないかといった感じになると思います <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/06/06(月) 06:32:58.60 ID:Fc/glTb40<> 乙ー <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/06/06(月) 23:38:44.01 ID:kk4i54ako<>
では、男は一体何物なのか。

「魔法じゃなけりゃ、何だっつーんだ!」

シックスが問う。
だが6は、果たして敵が手の内を晒け出してくれるのか不安であった。
一方で、相手がそれを誇りに思っているのならばもしかすると、という期待もあった。

「そうだねぇ」

何の躊躇いも無く、男は言った。

「超能力、とでも言っておこうかな」

――超能力。
嘗て学問としての魔法が確立されるまで、魔法はその様にも呼ばれていた。
しかし、男は魔法である事を否定していた。
深い意味が込められているのか、それとも単に冗談を言っているだけなのか――。

「……やはり、そう簡単には教えられないという事か」
「失礼だねぇ、ちゃんと事実を言っただけさ」

掌を上に、男はやれやれといったポーズを取る。
その様子を見て、6の中に苛立ちが生まれた。
シックスも同様らしい。尚も彼は声を荒げる。

「ふざけるのも大概にしろよ!」
「ふざけてなんかいないさ、だって、その証拠に――」

その声は、酷く愉快そうで。

「ボクは、詠唱をしていない」
「……!」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/06(月) 23:40:25.74 ID:kk4i54ako<>
そう、魔法の発動には詠唱を要する。
それは、どれ程高位の魔術師にも言える事だ。
しかし先程、男に詠唱を行う素振りは見られなかった。

「……距離があったんだ、聞こえない程小声だったというのも考えられる」
「さぁて、どうかな?」
「若しくは、衝撃か、空気に触れると起爆する類の爆薬か」
「……成る程なぁ!」

だが、ふふん、と男は鼻を鳴らす。

「二割正解、かな?」
「二割、だけか……」
「極少量であれだけの爆発を引き落とす爆薬なんて、そうそう手に入らないからねぇ」

確かに、先程投げつけられた恐らく瓶であっただろうそれは、
爆発の規模を考えれば相当小さかった。

面白い物を見せてあげよう、と男は再び懐に手を伸ばす。

「させるかっ!」

男を睨み付けながら、6は剣を水平に振った。
遠心力にでも引き摺られる様に、刀身が男目掛けて伸びてゆく。

しかし、男は側にあった街灯に回り込むことでそれを回避した。
鈍い音と共に、刀身は収縮する。
6は小さく舌打ちした。

次いでシックスが男を斬り込もうと駆けた。
しかし、彼が右腕を振り下ろすよりも先に、男は懐から取りだした「それ」を突きつけた。

「それ」から飛び出した長い棒状の物が、シックスの肩を擦った。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/06(月) 23:41:51.29 ID:kk4i54ako<>
「シックス!」

目を見開き、6は叫ぶ。

「くっ……だ、大丈夫だ……!」

右肩を押さえ、シックスは後退した。
ぽたり、ぽたりと、血が流れ落ちる。
しかし尚も男を見据え、彼は呟いた。

「魔法道具、かぁ……?」
「いいや違うね。ただの水鉄砲さ」
「馬鹿な!」

今度は、叫んだ6に銃口が向けられる。

――放たれたのは、確かに液体であった。
飛び退いた6の足下に小さな水溜まりが生まれる。
薬品臭もしなければ、ジェル状でもない。
確かに、6の目にはただの水に映った。

「まぁ、折角だし教えてあげようかなぁ?」

くるくると水鉄砲だと称するそれを回しながら、愉快そうに男は言った。

「ボクはねぇ、液体の温度を弄れるんだよ。勿論、詠唱無しでね」
「何だぁ、そりゃ……!」

それが本当ならば、先程シックスが受けた攻撃は、水が固体となった物
――氷によるものの可能性が高い。

「温度変化の魔法なのか……?」
「だからさぁ、魔法なんかと一緒にしないで欲しいって言ってるだろう?」

しかし、と男は二人と、そしてその奥の光景を眺める。
溜息とも笑いとも付かぬものを吐き、彼は言い放った。

「これは流石に分が悪いねぇ」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/06(月) 23:43:45.71 ID:kk4i54ako<>
6とシックスは振り返る。
いつの間にか、二人の背後には武装した警備隊らしき一団が居た。
最も、一団と言えど田舎であるが故、その数は十数人といったところであるが。

「まぁ、これだけ喋っていれば当然かねぇ」

男は、武器を持った手を胸に突っこんだ。

「仲間が居るだけでボクはキミ達も腹立たしく思うけど、まぁ、
 キミ達とはまた会えそうな気がするからねぇ。楽しみは後に置いておこうか」

つまりは、逃走宣言。

「ま、待てっ!」
「逃げんのかぁっ?」

二人の叫びも虚しく、男は小瓶を数本投げ捨て炎の壁を造り上げた。
その朱の向こう、男は言う。

「ボクの名前は……そうだね、「――」とでも名乗っておこうか。



1.(六の意の名)
2.(六以外の数字の意の名)
3.(その他)



−−−−−−−−−
結局昨日駄目だった…しかしどえらい世界観迷子
伏線らしきものが増えてきましたが、勿論あまり考えていない
また今週も名前ネタ(しかも安価じゃなくてアンケ)で引っ張ってすみません…流れ見て決める予定
ではまた週末に <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/07(火) 01:10:15.99 ID:udcGD26AO<> 安価無いがセーイ(イタリア語の6)はどうだろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/07(火) 12:59:21.83 ID:weknDW5DO<> 1 ゼクス(ドイツ語で六) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/06/07(火) 17:10:19.96 ID:weknDW5DO<> アンケしたいなら上げんと
ぶっちゃけみてるのすくないだろうし <> 支援上げ<><>2011/06/08(水) 07:07:47.39 ID:TLHDUA490<> 1
バスク語(フランス・スペインのバスク地方)の6で「セイ」ってのがあった <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/11(土) 18:10:01.21 ID:1vv4UBnDo<> 昨日夜には来ようと思っていたのに、気付いたら半日寝てた…
ぼちぼちとド低速で再開、今回も月曜辺りまでの不定期投下になるので
見かけた際には参加いただけると幸いです

支援thx! そして前回アンケ分を投下時刻下一桁で
安価無しでアンケ取る場合は(特別追記が無い場合)
今後このスタイルになる事が多い…かもしれない

0~3:>>91
4~6:>>92
7~9:>>94 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/11(土) 18:18:17.66 ID:1vv4UBnDo<> 「ボクの名前は……そうだね、セーイとでも名乗っておこうか。
じゃあ、また遭おう。ゴーグル君と短刀君」

愉快そうに嘲りながら、男は走り去ってゆく。
尚も怒声を発するシックスの傍ら、6にはただ唇を噛みしめる事しか出来なかった。


***


被疑者と対峙してしまったが故、面倒な事に
二人は事情聴取を受けることとなってしまった。

シックスは顔を見たと言うが、それも一瞬の事。
「割と整った顔をしていた」以上の記憶は残っていないらしい。
男はセーイと名乗ったが、言動から察するに本名ではないだろう。

動機、男の能力、「超能力」との主張――。
被疑者の言っていた事をそっくりそのまま証言した筈なのだが、
その度に警備隊員は訝しげな表情を浮かべた。
まるで己らが疑われている様な気分になって、6は些か不快に思った。



「くっそ、今日こそはって思ってたのにさぁ、また野宿かよ……」

懐中時計を一瞥し、空を見上げてシックスがぼやいた。
事情聴取は意外と長く、解放された頃にはどの宿も受付を終えていた。

「あれだけ引き延ばすなら、一泊ぐらい泊めてくれてもいいのにな……」
「全くだ」

顔を見合わせ、溜息をつく。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/11(土) 18:21:21.48 ID:1vv4UBnDo<>
「まあ……雨が降っていないだけマシとも言えるか」
「宿代が浮いてアンタの懐が延命した、とも言えるなぁ」
「ぐ……」

旅人向けの安宿の相場は50G。
6の手持ちはまだ2000Gある。50G程度ならば痛くも無いが、
手持ちの金が少ないという自覚はあったので、内心6は複雑であった。

「早いところ依頼でも受けないと……」
「あぁ、全くだぜ……明日はギルドにでも行くかねぇ」
「そうだな」

それと、と6は言葉を続ける。

「図書館があれば、行ってみたい」
「図書館?」
「例のセーイとか言う男の事も気になるし、竜王についても調べておきたい」
「ふーん、図書館ねぇ……」

ちょっと待てよ、とシックスはポーチから地図を取り出した。
それを広げ、彼は道筋を指でなぞる。やがて、その指は静止した。

「あー、あったあった。商店街からの距離はギルドと然程変わんねぇな」

地図を覗き込み、6が呟く。

「……こんな小さな街にもあるものだな」
「この感じだと規模は期待できねぇけどなぁ」

地図が示す面積は、一商店とそう変わらない。

「それでも、何か情報があれば儲け物じゃないか?」
「まぁな。田舎の図書館にゃ、意外と貴重な本があるっつー話も偶に聞くしねぇ」
「……考え様によっては、先にギルドや図書館に行く方がいいかもしれないな」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/11(土) 18:25:46.25 ID:1vv4UBnDo<>
最初にギルドに行けば、依頼に見合った準備が出来る。
始めに図書館に行けば、有益な情報を入手できるかもしれない。
真っ先に買い物を終えれば、少なくとも食料面での不安は解消される。

何処から巡るにしても、利点と欠点はある。
成り行き任せという方法もあるが、折角だからと6は問うた。

「シックスはどう思う?」
「何がだよ?」
「明日、どこにどの順で行くかだよ」
「あー……そうだな……」

応えながら、シックスは地図をしまう。
少し考える仕草を見せた後、彼は言った。



1.先にギルドに行く方がいいと思うぜ
2.先に図書館っつー手もあるな
3.先に買い物を済ませちまった方がいいんじゃねぇか?
>>99 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/11(土) 18:28:43.34 ID:USWrbvGv0<> 3 <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/06/12(日) 03:05:55.98 ID:G7wN2eKqo<> 「先に買い物を済ませちまった方がいいんじゃねぇか?
 明日行きそびれちまったら、流石にまじぃぞ」
「……確かに」

依頼内容による二度手間の可能性はあれど、三つの目的地は其程離れてはいない。
ならば、死活問題になりうるものを先に解消しておくべきか。

「まだ余裕はあるけどよ、オレもそろそろ補充しておきたいしさぁ。食料だの魔法薬だの……」
「あ」

気のない声を、ふと6が漏らした。

「どうしたよ?」
「いや……食料ばっかり気になっていて、薬のことをすっかり忘れてた」
「はぁ?」

呆れた様に、シックスが言う。

「……アンタさ、何だかんだで結構抜けてるとこあんよな……」
「いや……だって、あんな場所じゃあ、魔法薬なんて無縁だったからさ」
「どこまで田舎なんだよ……」
「田舎というか、最早秘境だったからね」
「っつー程も人里からは離れてねぇ筈なんだがなぁ……」

急いだとは言え、確かに下山まで一日も掛からなかった程度である。
唸るシックスの動きが、一瞬止まった。

「……そう言えば……気のせいなら悪いんだけどさぁ」
「ん?」
「ロクってさぁ……」

宵の口に問いを投げた時と同じく、言い辛そうにシックスは疑問を発した。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/12(日) 03:10:31.85 ID:G7wN2eKqo<>
「ずっとあんな山奥に住んでいたのか……?」

――心臓が、一拍強く打った。
鼓動の音が漏れたんじゃないかという程に。
そして、その事実に、6自身が驚いた。

傍ら、シックスは言葉を続ける。

「どうも妙な事を知っていたり知らなかったり、変な感じがしたんだけどよぉ……」
「……」



1.そうだよ
2.いいや、そうじゃないんだ
3.(はぐらかす)
>>102

(少なくとも6自身の認識は)
1.出身は例の山間の村
2.出身は別の場所
>>103 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/06/12(日) 05:08:54.98 ID:BhZZOm9AO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)<>sage<>2011/06/12(日) 05:27:42.68 ID:2+xEx2uAO<> 1 <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/06/13(月) 00:13:13.00 ID:gJ9976kWo<>
思わずと言っていい様な、意図せぬ間が空いた。

「――そうだよ、故郷はあの場所だ」

答えた後、6は黙考する。
これは事実だ。そして、隠したかった訳でも、嘘を述べたかった訳でもない。
ならば何故、返答に詰まった……?

そしてやはりというべきか、シックスの顔はどこか疑り深かった。

「……ソコから出掛ける事は無かったのか?」
「全く無かった訳ではないけど、それでも数度か」

6にとっては、あまり引き出したくない時期の記憶である。

「その代わり、本は良く読んだな。知識源はほぼそれだ」

若しくは、極限られた人間から話を聞いたか。
――そう考えて、ようやく彼は、言葉に詰まった理由に気付いた。

きっと、いつの間にか、嫌悪の対象があの集落そのものにすり替わっていたからだと。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/13(月) 00:16:30.44 ID:gJ9976kWo<>

***


「――と、この様なお買い得セットが500Gとなっております」

翌日の正午頃、二人は魔法薬屋に訪れていた。
入店して早々に、二人の背格好を見た店員が説明を始めたのだ。

熱心に話を聞く6の傍ら、何処か冷めた目で商品を見つめるシックス。
腕を組み黙っていた彼が、口を開く。

「あー、止めとけ止めとけ」
「え?」

次いで、シックスは店員の方を向いた。

「兄ちゃん、それ、大手メーカーの詰め合わせだよなぁ?」
「ええ、そうですね」
「もっと安価なのを単品で買ってくわ。その方が安いんだろ?」

それにさぁ、とシックスはにたりと笑った。
右の親指と人差し指で輪を作り、にやにやと彼は言う。

「その方が、多分アンタ達も儲かるだろ?」
「……よくご存じで」
「これでも昔は病院で働いていたからなぁ。
 それに、コイツは旅を始めるとこだけどオレはそうじゃねぇしな」
「成る程……それは失礼致しました。では、ごゆっくりご覧下さいませ」

一礼の後、店員は歩き去る。
それを見送りながら、小声で6はシックスに問うた。

「……ぼったくられかけていた、という事か?」

シックスは首を横に振る。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/13(月) 00:21:43.42 ID:gJ9976kWo<>
「いや、そうじゃねぇよ。全部単品で買うよか安かったし、寧ろ良心的だろうなぁ。
 何も知らない初心者は、有名な薬ってだけで安心するもんだしさぁ」

「何も知らない初心者」に見事に当てはまる6の胸が、ズキンと痛んだ。
彼の言葉が嫌みなのか、特に意図も無かったのか、それは定かではないが、
とにかくシックスは言葉を続けた。

「ネームバリューのあるメーカーの薬って奴ぁ、それだけで原価が上がるんだよ。
 全然知られてねぇメーカーの薬の方が、同じ効力でかえって安い事も多い」
「そ、そういうものなのか……?」

今一6には理解出来なかったが、シックスは迷い無く言い切った。

「そういうもんなんだよ」
「へぇ……」
「まあ、オレに任せてくれよ。損はさせねぇよ」
「流石、病院勤務って言ってただけの事は――」
「いや」

ぶんぶんと横に振られる手と共に、6の言葉は遮られた。
謙遜か、それとも――。

「ぶっちゃけこの件に関しちゃ原価の知識ぐらいだ、昔の仕事で役立ったのは。
 コストパフォーマンスの良い薬求めて、色々試したからなぁ、経験則のが関係してんな」
「……あぁ、流石……」

先程までとは違う意味で、6はただ感心した。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/13(月) 00:26:35.17 ID:gJ9976kWo<>


シックスの魔法薬選びは、とてもスムーズであった。
選んだ薬の殆どが彼の常備薬だという。それ故かもしれない。

「まぁ、合わなきゃ次のを試しゃいいだけの話だしな」

……聞くところによれば、魔法薬というものは一般薬と比べ体質による差が少ないという。
とはいえ、魔法その物ではないのだから、やはり合わなかったり効果が薄い事もあるらしい。
更に、調合に用いた薬草等が同一でも、製造法、魔力量等で効力が変化するとも言う。
勿論、個人名義で販売している薬を除けば、同一商品であれば品質はほぼ均一であるらしいが。

回復薬、毒消し等の基本的な薬を選び終え、6は改めて篭の中を見た。
始めに紹介された初心者セットと比べ、四割程多い印象を受ける。
本当に効果も問題ないのか、それはまだ不安であったが、
何れ使用すれば解るだろうと気にしないことにした。

「うっし兄ちゃん、精算してくれ」
「また良い商品に目を付けましたね」

言いつつ、店員は算盤を弾き出す。
パチパチと軽快な音が響いた。

やがて指を止め、店員は少し驚いた様な顔をする。

「……なんと」

その一方、何故か勝ち誇ったような表情を見せるシックス。
そんな彼を見て、店員が告げた。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/13(月) 00:29:10.33 ID:gJ9976kWo<>
「500G、ですね」
「おお!」

思わず声を上げた6の傍ら、尚もシックスはにやついている。
つまり、例のセットと同額。どうやら意図して調整したらしい。

シックスが6の方を向き、言った。

「な、オレに任せてよかったろ?」
「ああ、助かったよ」

一人だったならば迷わず初心者セットを購入していただろうと、6は考える。
改めて、自身には知識、そして経験が足りない――そう実感し、
彼は少し苦い気分になった。



薬代を支払い、店を後にする。
食料調達は終わった。一般薬や最低限の道具も購入終わった。

――6の残金は、ついに三桁に突入した。
八割以上は使ってしまった計算になる。
道具袋を奮発しなくてよかった、と彼はぼんやりと思っていた。

「後はギルドと図書館、だっけなぁ」
「ああ、そうだな……」

ここからの距離はそう変わらない。
どちらから行くにしても、時間に余裕はある。

「そろそろ昼時だし、昼食を取ったら先に――



1.ギルドに行こうか
2.図書館に行こうか
>>109
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2011/06/13(月) 00:48:47.96 ID:MZpz3AwZ0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/14(火) 09:39:24.90 ID:ZAQVYUR40<> 面白いな
登場人物の名前が全部6って言うのは何か燃えるな <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/14(火) 23:18:11.29 ID:FkB6OyCBo<> 自由安価は勿論、選択式安価でも想定していたのと違うものになるのが殆どだから
書いていて面白いっす

今回せめて後1,2回投下したかったのですが、どうにも週末まで時間が取れなさそうです
選択式安価ゾーンを突破したかったのですが…無念。また金土辺り迄潜ります
体が4つ欲しい… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/17(金) 09:48:54.00 ID:bEBgy58DO<> 6の6って感じで
個人的には6の意味の名前はきっちり6人にしたい。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/17(金) 17:05:45.52 ID:M5St+iGAO<> それなら竜王にも6関連の何か欲しいな
6つの神殿で封印とか、6箇所の場所で暴れたとか、6種類の特殊能力とか……狙い過ぎか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/17(金) 19:14:57.86 ID:bEBgy58DO<> 竜王→りゅう王→リィウ王
リィウ(中国語で6の意味)
ふと、思い付いただけだから無視してもいい <>
◆Y706p.....<>sage saga無性にこのAAを持ってきたかった反省はしている<>2011/06/18(土) 02:11:46.46 ID:olLzNytMo<>          ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・
ミミ:::;,!      u       `゙"~´   ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ  ゞヾ  ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/   ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/    J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ|
'"       _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  /
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ
ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i


先が決まりすぎると面白みが無くなるので、安価外のネタは
気まぐれに採用したりしなかったりな感じでいこうと思います
勿論自由安価で改めて取ってもらって確定して貰ってもおk

色々と暗黙の了解化してしまうのも、それはそれでアレなので
了解外の安価が取られても恨みっこ無しでおながいします
六縛りも好きですけどね!


ぼちぼちド低速で再開。どうも夏休みシーズンまで減速継続の予感
また神出鬼没状態なので、見かけた際は宜しくお願いします
今回の目標は潜るまでに自由安価一回…今週こそ出せたらいいな… <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/18(土) 02:16:30.47 ID:olLzNytMo<>
「そろそろ昼時だし、昼食を取ったら先にギルドに行こうか」

優先順位を考えれば、やはりギルドが先であろうか。

「あぁ、その方が良いだろうなぁ」

歩きながらシックスは頷く。
しかし、不意に彼は6の方を向いた。

「――あ、ギルドと言えばさぁ」

そこには含みも何も見られず、ただ世間話で発せられるような軽い言葉。
そんな調子で、シックスは言った。

「冒険者登録はどうすんだぁ?」
「……え?」

思わず、6は疑問の音を漏らした。

国家、宗教に勝るとも劣らぬ強大な勢力、冒険者ギルド。
その登録証は簡易身分証として、各国で用いる事が出来る程である。
普通の旅人ならば、真っ先に登録するところだ。

しかしシックスは、それに関する疑を投げた。

「どうする、って……」
「登録するのかしねぇのか、だよ」
「普通は登録するものなんだろう?」

いやー、とシックスは頭を掻く。

「オレ、登録してねーんだよな」
「……は?」 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/18(土) 02:20:52.28 ID:olLzNytMo<>
てっきり登録していると思っていたものだから、6は驚いた。
だが、よくよく考えれば当然の事である。

「だって盗人が登録なんてしちゃあ、足が付いちまうじゃねぇか」
「ああ……」

登録者であれば、情報はより良いものを得られ、
依頼はより良条件で受けることが出来る。
だが、それは「善良な旅人」を誓うが故の事だ。

例えば、訪れた場所におけるルールの遵守。
例えば、犯罪の阻止義務。

勿論、未登録だからと言って特別不審がられる訳ではない。
しかし登録による恩恵は確かに大きい。

――旅の理由が決して穏やかではないが故に、6の中に迷いが生まれた。

「登録しない、なんて考えた事も無かったな……」
「……あー、登録するにしてもオレをしょっぴくのは勘弁な」
「いや、流石にそんな事はしないさ」

仲間を売るつもりなど毛頭無いが、共に行動する際に気を配らねばならなくなるか。
逆に、異なる立場を生かすことも出来そうであるが。

「……少し、考える時間が欲しい」
「ま、どうせ先に昼飯だしな。そこまで急いで結論を出す必要もねぇ」

それを聞き、6は口を閉ざす。
熟考の中、6の歩く速度が少し落ちた。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/18(土) 02:22:29.02 ID:olLzNytMo<>

***


屋根上でひらめくは翠の旗。
流石というべきか、ギルドの施設はこの街の中でも一、二を争う程大きかった。
とは言えここは田舎町。周辺の建物と比べ、一回り大きい程度であったが。

ギルドのシンボルである旗を、6は仁王立ちで正視していた。
その側、シックスが口を開く。

「……決めたか?」
「ああ」

――メリット、デメリット、頭の中でよく吟味した。
静かに6は答える。



1.「やっぱり、登録しておこうと思う」
2.「今は止めておこうと思う」
>>119 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2011/06/18(土) 02:35:43.25 ID:l1QvIwhw0<> 2 <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 02:14:48.09 ID:NmE9UHCVo<>
「今は止めておこうと思う」

メリットは重々承知しているが、自由度が無くなることで
本来の目的への道が狭まってしまうのが、何よりも怖かった。

竜王討伐に向けてシックスが盗みをはたらくのと同様に、
6だってそれ程の、もしかするとそれ以上の犯罪行為に手を染めるかもしれない。

「ま、その気になりゃあ、いつでも登録出来るかんなぁ」
「そうだな」

シックスの言う通りである。
必要になれば、その時に登録すればいい。
……最も、その時に未だ登録出来るならばの話であるが。



ギルドに足を踏み入れたのと同時に、人々の視線が数秒集まった気がした。
被害妄想なのかもしれないし、事実なのかもしれない。
小さな街のギルドに立ち入る人間など皆顔見知りであろうとも思うし、
しかし他人に其程注目するかという疑問もある。

数秒の無言の内、6は小さく言った。

「ここが、ギルドか……」
「まぁ、ここはかなり小規模だけどなぁ」

木製の長椅子とテーブルが並び、疎らながらもそれなりの人数が座っている。
談笑する者、取引を行う者、紙切れを注視する者――。
奥にはカウンターの様な物が幾つもあり、武具を持つ者達が何らかの手続きを
行っているのが遠目に解った。

少ないながらも弱々しげな者達も見受けられたが、
それは依頼をする側の人間なのかもしれない。
若しくは、数少ない魔法使いか。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 02:15:39.82 ID:NmE9UHCVo<>
「とりあえず依頼票でも見っかー」

そう言ってシックスは、左の壁に設置された大きなボードを指さす。
乱雑に、結構な数が張り出されているのが、入口からも直ぐ解った。

「凄い数だな……」

近寄りながら、6は呟く。

「まぁ、死に票も多いけどよ」
「死に票?」
「冗談半分で出された依頼だとか、内容と報酬が見合ってねぇ依頼とかなぁ」
「成る程な」

ボードの前に立ち、改めて全体を眺めた。
達筆など、特別読めないなどという依頼票は無さそうである。
依頼者が直接書くのではなく、受付人達が記入するのかも知れない。

そうぼんやりと考えてた最中、依頼票の一つが6の目に止まった。


(依頼票の内容>>122 /出現時刻偏りすぎすみません…) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/19(日) 02:19:27.58 ID:NKQ6GDYAO<> 6縛りしたいなら、安価取るだけだよな、りぃう王もカックイィし
1ガンバ <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 02:31:23.29 ID:NmE9UHCVo<> これ再安価出しておいた方がいいかな
>>124


応援thxー
潜るときに出すのは安価じゃなくてアンケな事が多いけども
その場合は6縛り継続率が高そうな予感

…後、今日読み返していてセーイの能力に関する安価を読み違えていた事に今更気付いたorz
すみません…最初から液体だとずっと思いこんでいたんですけど物体だったんですね…
読み違いはよくやってしまうんで、単なる回収不足な訳じゃなさそうだって時は
遠慮無く指摘してやってください…今回のは訂正せずいつかどっかで改めて回収し直す <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2011/06/19(日) 04:00:44.40 ID:QYMofAKt0<> 1日だけ、姫の護衛  報酬10000G <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)<>sage<>2011/06/19(日) 17:33:29.03 ID:tya7/m4G0<> さあ、姫の名にふさわしい6を考えようか <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 20:23:05.17 ID:NmE9UHCVo<>
「……本当に、何でも有りだな」

――一日だけ、姫の護衛。報酬10000G。

冗談なのか本気なのか、6には全く判別が付かない。
仮に王族ならば、親衛隊がいるだろうに。

「うひゃあ、10000Gかー! 桁違いじゃねーか!」

視線を辿ったのか、同じ依頼票を見たらしいシックスが声を上げる。

「それだけ危険を伴うか、額に見合った実力者を必要としているんだろうな……」
「だろうなぁ……オレ達じゃあ相手にされねぇ気もすっし……」

至極残念そうに、シックスは言った。

「それに、こういう依頼には緑の印が――



1.あんだよなぁ……(登録限定依頼=受注不可能)
2.――あれ、無い……?(登録有無不問=受注可能)
>>127
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/06/19(日) 20:26:41.52 ID:Ez4wZ2yAO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/19(日) 21:14:34.16 ID:aBaSpm2Zo<> 2 <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 22:30:40.97 ID:NmE9UHCVo<>
「それに、こういう依頼にゃ緑の印が――」

シックスの言葉が、途切れた。
一瞬の間の後、彼の言葉は怪訝そうに続いた。

「――あれ、無い……?」

顔を近づけ、彼は依頼票を凝視する。

「……どうしたんだ?」
「あぁ……いや、な」

依頼票の右下を指さし、シックスは言った。

「冒険者登録してねぇと受けられねぇ依頼にゃ、ここに緑の印が有る筈なんだよ」
「へぇ。でも、これには無いな……」
「あぁ……こう、身元がはっきりした奴が欲しそうな依頼にゃ、絶対ある筈なんだけどさぁ」

確かに、半数近くの依頼票には、右下に緑の丸印が付けられている。
そして、この依頼票にはそれが無い。

こうなってくると、悪戯の線が濃厚になる。

「怪しいな……」

そもそも、この依頼票には「一日だけ、姫の護衛」という一文と報酬、
後は「詳細は受注カウンターにて」としか記されていない。
「姫」が何物なのかも、「一日」が一体いつなのかも明記されていないのだ。

「なぁなぁ」

不意に、シックスが言う。

「やっぱ10000Gは捨てられねぇ。詳細だけでも聞きに行こうぜ!」 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 22:33:29.29 ID:NmE9UHCVo<>
6がシックスの方を向くと、これまでに無い程目を輝かせた彼の姿があった。
確かに日給10000Gは大きいが、流石に大きすぎだ。

しかし、6の方もこの怪しい依頼に興味を惹かれていた。

「……そうだな、話ぐらいは聞いても良いかも知れない」
「うっし! そうと決まれば……!」

言うや否や、シックスは依頼票を剥ぎ取った。

「行くぜぇ、受注カウンターは右の三つだ」
「あ、あぁ解った」



右側のカウンターに座る受付に、シックスは依頼票を突きつけた。

「こいつの詳細を聞きてぇ」

少々荒い物言いではないかと6は思ったが、受付が顔色を変える事は特に無かった。
血の気の多い者も多かろうから、これが普通なのかも知れないし、
そうでなくとも慣れているのかも知れない。

ただ、依頼票の内容を見た時点で、僅かに顔色が変わった事に6は気付いた。

「こちら……ですか。少々お待ち下さい」

受付は席を立ち、カウンターの奥で書類の束らしき物を高速で捲り続ける。
それを見遣りつつ6は小声で言った。

「依頼票を見た途端に、顔色を変えたな……」
「あぁ……声のトーンも落ちていたしな」
「やっぱり、厄介な依頼なんだろうか……」
「かもしれねぇなぁ……あの依頼さぁ、変な点がいくつもあったしな」

やはり、シックスも怪しいとは思っていたらしい。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 22:37:24.59 ID:NmE9UHCVo<>
少し間を置いて、受付が二枚の紙を持って戻ってきた。

「……お待たせ致しました。一日護衛、報酬10000Gの依頼で宜しいですね」
「あぁ」

応えるシックスの傍ら、6は無言で頷いた。
ギルドでの勝手が解らない以上、受け答えはシックスに任せておこうと決めたからだ。

「こちらの依頼は、当窓口では仮受注という形になりますが宜しいでしょうか」
「あぁ。だろうと思っていたさ、構わねぇ」
「仮受注……?」
「依頼主に会ってから、契約を結ぶかどうか決まるってこった」
「成る程」

確かに、内容が内容だ。
人柄なり、実力なりを確認したくはあるだろう。
冒険者登録不問、つまり受注者の実力も経歴も解らないのだから尚更だ。

「冒険者登録はされていらっしゃいますか?」
「いいや、オレもコイツも登録してねぇ」
「解りました」

二枚の紙の内、薄緑の紙にペンを走らせながら、受付は言葉を続ける。

「依頼主様は近郊の宿にいらっしゃる筈です。詳細は依頼主様に――」
「一つ、聞きてぇ」
「何でしょうか?」
「姫っつーのは一体誰だ? どこぞの国の王女なのかぁ?」

6が抱いていたのと全く同じ疑問を、シックスが発した。
「姫」という言葉を用いている事から、お忍びとも考え難い。
単なる自称、という可能性もある。

「そう、ですね……」

途端に、受付の言葉がぎこちなくなった。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 22:40:28.42 ID:NmE9UHCVo<>
「こちら、仮受注の段階ではお伝えしない様にと承っています。
 ですが、真っ当な身分でいらっしゃる事は当ギルドが保証致します」
「……そうか」

益々怪しい。
この依頼が受注されずに残っていたのは、この怪しさ故に
誰もが避けていたからかもしれない。

薄緑の紙とペンを、受付は此方に差し出した。

「説明は以上となっております。宜しければ、此方二箇所にサインをお願い致します」
「……どうする?」

こちらの方こそ向いてはいないものの、間違いなく6に向けられた言葉であろう。
確かに怪しくはあるが、ここまで脹らんだ疑問は解決しなければ気分が悪い。
それに、まだ仮受注だ。正式に受注するまでは、断る事もきっと可能であろう。

「俺は、受けてみてもいいと思う」
「うっし、決まりだな!」

多分、シックスも受ける気だったのだろう。
最も、彼の場合は若干報酬に目が眩んだ形だろうが。

シックスがペンを持ち、記名しようとする。
が、彼は動作を止め振り返った。

「オレが書いて構わねぇか?」
「ああ、頼むよ」

むしろ、それは有り難いぐらいであった。
あの無機質な名前を、人前に晒さずに済んだのだから。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 22:43:11.82 ID:NmE9UHCVo<>

***


薄緑の半券には、手書きで東通りの地図が記されていた。
大通り程も騒がしくはなく、かといって寂れているわけでもない。
閑静という程でも無いが、それなりに落ち着いた雰囲気の区域であった。

示された場所は、受付の言っていた通り宿屋であった。
小綺麗な建物で、少なくとも駆け出しの旅人には無縁そうな宿ではあった。

まさか、ここに護衛対象である「姫」が居る訳ではないだろう。
「姫」が王女という意味のそれであるならば、親衛隊だとか、
面接担当の一兵だとかが妥当であろうか。

宿に入り、仮受注の証である半券を主人に見せる。
「ああ、また」と呟かれたのを6の耳が拾った。
あの依頼は、どうやら何度も再掲されているものであるらしい。

教えられたのは、二階の奥の部屋であった。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/19(日) 22:47:27.53 ID:NmE9UHCVo<>
「あぁ……やっぱりこういうのは緊張すんなぁ……」

極々小さな声で、シックスが言葉を漏らす。

「慣れている訳じゃないのか……?」
「そんなにねぇよ、こういうのはさー」
「――よし、じゃあ」

シックスが少し震えているのを見て、6は自身の右の手を持ち上げた。
深呼吸をし、彼は扉を二度ノックする。
コンッ、コンッという軽い音が響いた。

「護衛依頼の仮受注をした者だが……」

暫しの沈黙の後。

「……どうぞ」

落ち着いた声が、室内から発せられた。

「失礼……」

一言返して、6はドアノブを回す。
ギィィと扉が不快に軋んだ。



(依頼主の詳細、主に外見>>135-136 / 重複出来ないものについては>>135優先)
(ものによっては回収に時間がかかるかもしれません) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/19(日) 22:50:32.93 ID:aBaSpm2Zo<> 黒髪ロングとかで良いんだよね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/19(日) 22:51:05.94 ID:1Yq4FWr20<> 女 <> ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/19(日) 22:59:56.40 ID:NmE9UHCVo<> >>135いいよー

もちっと欲しいので追加安価。勿論重複出来ないものは>>135-136(> >>138)優先で
後性格とかでもおkです。名前は…必要になりそうなら安価orアンケするんでまだ無しで
>>138-139 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/06/19(日) 23:03:05.33 ID:lbx0KRB4o<> 真面目
堅苦しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/19(日) 23:22:08.01 ID:aBaSpm2Zo<> 器用貧乏 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/06/20(月) 02:53:17.77 ID:aE81TuwU0<> あくまで依頼主の外見であって、姫のそれじゃないんだよな……
それとも、姫自身が依頼人? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/20(月) 15:32:00.72 ID:zHArNKDo0<> セクステット(六重奏)ってお姫様っぽくね
いやまあ別に意味は無いけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/21(火) 16:50:13.35 ID:LvLZQLkAO<> 六重奏なら読み方は「むつしげ かなで」?

てかこの姫が仲間になるかまだ分からないよな、本当にただの姫なら足手まといでしかないし <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/21(火) 19:27:24.52 ID:Q8uEBFT0o<> そもそも「姫」自体存在するのkry



仮眠のつもりが12時間寝てしまう癖は何とかしたいっすね…昨日来たかったorz
明日寝坊するとガチで単位が一つ無くなるので今日もちょっと止めときます、すみません
今週末はこれまでと比べて余裕が有るので、予定が入らない限りまあまあ書ける…かも

依頼の詳細諸々は安価出したいですが、
黒髪ロングの人の詳細は追加安価もらった段階で、暫定ながらも何となく決まったので
安価出せそうなところも出さずにガンガン書き進めていくかもしれない。
…こうなると結果的に出せる安価の数は変わらない…気もする <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/24(金) 23:50:02.34 ID:XIqWrJe4o<> ぼちぼち再開しますー
また時間が偏ると思いますが気付いた時に参加していただけると幸いです

今月は月曜日まで投下できれば…いいなあ <> (今月って何だよ…今回だよ)
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/24(金) 23:54:31.87 ID:XIqWrJe4o<>
室内に唯一人佇んでいた、依頼者らしき人物と目があった。
反射的に視線を逸らし、6は小さく頭を下げる。

迷い無く流れる黒髪を有した、若い女性であった。
濃灰のロングコートには擦り傷が多数あり、場数を踏んでいる事が伺える。
整った面持ちに、鋭い眼差し――綺麗な女性だ、と6は思った。

寝台に腰掛けたまま、女は右の手を付き出した。

「依頼書の半券を」
「お、おう」

シックスに渡された半券を、女は黙って目を通す。
女の言動は堅物を彷彿とさせ、取っ付き難い印象を抱かせた。

ギルドでの手続きと同様、依頼者とのやり取りもシックスに任せる気でいた。
慣れの問題が無くとも、記されたサインがシックスのものなのだから当然だろう。
だから6は、彼から一歩引いた所で静観していた。

ふぅん、と小さく声を漏らし、やがて女は顔を向けた。

「君達はこの周辺を拠点にしているのか? それとも、旅人なのか?」
「旅人だな」
「旅歴は?」



(シックスの旅歴>>146/辻褄があわなくなる程極端なものは再安価します) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/25(土) 00:07:53.20 ID:aSJJKhLAO<> 武者修行しながら街から街へ金稼ぎの日々


一応嘘では無いはず <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/25(土) 00:08:44.17 ID:aSJJKhLAO<> >>146
あごめん間違えたわ死んでくる安価下 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/25(土) 00:09:09.30 ID:i1fNfxlDO<> シックスの故郷から6の故郷まで
その途中にある古代文明遺跡を残らず回っている <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/25(土) 00:12:52.80 ID:+pByGHJIo<> うおー、申し訳ない…期間(○年とか○ヶ月とか)のつもりだった
再安価>>150
勿論>>146(と可能なら>>148も)も組み込むんで短すぎない期間で頼む <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/25(土) 00:17:43.52 ID:N8ELZlYfo<> 5年 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/25(土) 00:18:06.35 ID:i1fNfxlDO<> 三年
シックスの故郷を拠点にして一年程近場をうろちょろ
この国の首都を拠点にして一年程うろちょろ
6の故郷を目指して一年程かけて到達 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/25(土) 01:03:22.28 ID:+pByGHJIo<>
「オレは五年ぐらいだったっかなぁ」
「ん?」

――五年?
無意識に、疑問の音が漏れてしまった。
二人の視線が同時に6へと向けられる。

「どうした、ロク」
「いや、何でもない」

そう言って、6は右手を横に振るジェスチャーを取った。
疑問は残留しているが、何も今すぐ解決せねばならないものでもない。
それに、今は「依頼」に集中したかった。

「ふーん、そうか……」

女の方へと向き直し、シックスは言葉を続けた。

「修行も兼ねてんけどさ、金品求めて街から街へって感じだなぁ。
 ルート上の遺跡諸々は、粗方廻ったんじゃねぇの?」
「……盗賊業でもしているのか」
「まぁ、否定は出来ねぇなぁ」

でも、と彼は言う。

「こういうアウトローな立場の方が良いんじゃねぇの?」
「何故、そう思う?」
「そうじゃなきゃあ、登録者依頼にしている筈だろ?」
「……ふっ」

無表情を貫いていた女が、ついに笑った。
しかし、シックスの言葉に返さない。

「そちらの君は?」

視線は、6に投げられた。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/25(土) 01:08:02.50 ID:+pByGHJIo<>
「俺、か……」

旅立ったのは僅か数日前である。正直、答え辛い。
が、嘘をつく訳にもいかないだろう。

「まだ、旅を初めて三日目だ。でも、修練なら積んできた。――」

――強さには、自信がある。
言いかけて、彼は苦々しく飲み込んだ。
昨日、超能力者相手にまるで歯が立たなかったばかりじゃないか。

己への腹立たしさを鎮める為に、6はそっと剣の柄に触れた。

「あぁでもさぁ、オレよりコイツの方が強ぇよ。悔しいけどさぁ」

シックスはそう言うが、それは長所を生かさず真っ向から挑んできたからだろう。
6は無言でそう考えるが、とはいえ、その言葉が少し有り難かったのも事実である。

「……成る程、何れも素人という訳では無い様だな」

半券を内ポケットに仕舞い、女は立ち上がる。
窓の外を一瞥し、彼女は言った。

「この近くに開けた場所がある。そこで見極めさせて貰おう。
 ――君達が、この依頼を任せるに値するかどうかを」

傍らの「――」を手に取り、女は改めて二人を見据えた。



(依頼人の武器>>155/次の安価まで恐らく遠いので、次回安価は多分明日になります)
(一ヶ月近くもかけて作中の時間経過が数日、という事実に今気付いてへこんだ) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/25(土) 01:22:54.78 ID:aSJJKhLAO<> 今のところの登場人物は剣士と盗賊と超能力者…被らない方がいいよなやっぱり
てわけで中距離に対抗出来る槍 <> a<><>2011/06/25(土) 01:58:03.40 ID:gcdHuvBT0<> わびすけ ブリーチの <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/25(土) 07:56:14.48 ID:i1fNfxlDO<> 侘助がどんな武器か一応書いとく刀身が中程から鉤状になっている日本刀
能力は斬りつけた対象を倍の重さにする
重さは斬りつけるごとに倍々になる。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/25(土) 10:35:57.86 ID:Jj+W74ps0<> えっ





えっ
<>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/06/25(土) 13:35:11.50 ID:+pByGHJIo<> 説明サンクス
能力解放中に変形するのはググってわかったけど、
変形中も斬れる?それとも鈍器扱い?

あんまり版権職の強い言葉を使いたくないのとブリーチ読んでないのと
若干アレンジ加えてしまって別物化してしまうかと思いますがご了承を…
(主に固有名詞とか) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/25(土) 14:57:53.54 ID:i1fNfxlDO<> 普通に斬れる。
あと名前の意味は作中では重さに耐えきれなくなった敵が倒れふして。
それが土下座や侘びをいれてるようにみれるから侘助とか。
そういや6の剣もブリーチ由来だ。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/25(土) 17:55:53.08 ID:+pByGHJIo<> >そういや6の剣もブリーチ由来だ。
マジかwww知らんかったー
−−−−−−−−−−



傍らの刀を手に取り、女は改めて二人を見据えた。


***


郊外の平野にて、二人は女と向き合っていた。
刃を振るうのに邪魔になるからであろう、腰まである長い髪は束ねられ
後頭部で纏められている。

直刀を抜き、切っ先を地に下げ女は言った。

「さあ、死ぬ気でかかってこい。蘇生ぐらいはしてやろう」

日光を反射し、刃が一瞬光る。
同時に、女の目もぎらりと光った、気がした。

酷く上から目線の態度ではあったが、6にはそれに不満を持つ余裕はなかった。
彼女の放つ威圧感は、それだけで萎縮してしまう程のものであったからだ。

武器を手に、二人は目配せをする。

「……行くぞ」
「おう……!」

まだ自然に連携が取れる程、互いが互いを知っている訳ではない。
しかし昨日と比べるならば、今の方が知っている。

先に駆けたのは6であった。
踏み込み、黒剣を大振る。当然、女の刀身に阻まれた。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/25(土) 17:59:02.00 ID:+pByGHJIo<>
「ふっ、悪くない太刀筋だ」

女は黒剣を弾き、次いで飛び込んできたシックスのナイフをも受け止めた。
刀は水平に薙ぎ払われるが、6は受け止め、シックスは回避した。
6は突きを繰り出すも、女は難なく回避する。

6もまた飛び退き、距離を置いた。

あえて隙だらけの攻撃を仕掛けたのと同様に、女も見定めに徹している。
6はその様に感じた。
そして彼女が本気を出せば、決着は恐らく一瞬であろうとも。

視界の隅に、ちらりとシックスが映った。
少し、様子がおかしい。

「……大丈夫か、シックスっ」
「これぐらい、何てことねぇよ」

そうは言いながらも、彼は右肩を押さえていた。
――昨夜、セーイに傷を負わされた箇所だ。
救護は受けた筈である。しかし、完治には至らなかったのか。

「昨日の傷、治っていなかったのかっ?」
「ちょっと痛むだけだ、心配すんじゃねぇ」
「……何だ、体調は万全ではないのか」

呆れた様に、女が口を挟む。

「こんなもん、どうってことねぇよ!」
「……ふん、なら構わんか」

だが、シックスの傷が完治していないのならば、ここは6が踏ん張るしかない。

女は尚も隙を見せない。
かといって、趣旨が「決闘」ではない以上、何か仕掛けなければ意味はない。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/25(土) 18:02:04.72 ID:+pByGHJIo<>
この間合いならば――。
振り下げた剣は刀身を伸ばし、女を襲う。

「何っ……?」

女は驚愕の表情を浮かべつつも、やはり刀で受け止めた。
刀身の収縮と同時に6は飛び掛かり、再び斬り掛かるも受け止められる。
そのまま、二人は打ち合いに発展した。

「魔剣か――ならば、これはどうだ」

女は退き、それを追った6に左の手を向けた。
一瞬の間の後、彼女は口を開く。

「――《属性魔法・風》」
「なっ……!」

彼女の掌から突風が生まれ、6は吹き飛ばされる。
何とか倒れず堪えたものの、彼の頭は混乱していた。

「魔法、だと……?」
「アンタ、魔術師なのかっ?」
「手習い程度だ。そう名乗れる程ではない」

女はそう言うが、魔法は手習いで扱える代物ではない。
剣技に加えてこの魔法……彼女は一体、何物なのであろうか。

一度下ろした左手を今度はシックスに向け、女は詠唱した。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/25(土) 18:04:02.24 ID:+pByGHJIo<>
「《治癒魔法・身体回復》」

6はシックスの方に顔を向ける。
彼の右肩が、僅かに緑の光を放っていた。

肩から手を離した彼の顔に、先程までの苦痛の色はない。
信じられない、と言った顔で、無言で女を見据えていた。

「治癒魔法も、使えるのか……」
「……」
「万全でなければ意味が無い。今度こそ、全力でかかってくるといい」

女の瞳が、再びギラリと光った気がした。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/25(土) 18:09:58.96 ID:+pByGHJIo<>


その後、数度の打ち合いに至ったが、やはり彼女には敵わなかった。
シックスが脇腹に一撃だけ加えたが、コートの下には鎖帷子が着込まれていた。
当然だろう、近距離戦を主とするのに、二人の様な軽装では危険すぎる。

一方、女からの攻撃は殆ど無く、数少ない攻撃はほぼ峰打ちであった。
なめられたものだ、と思う気力すら無い。
峰打ちであろうと、痛いものは痛いのだ。

女の刀は今、コの字型に変形している。どうやら妖刀らしい。
攻撃を受け止められる度に、此方の刃が重くなり、
攻撃を喰らう度に、此方の体が重くなった。
この不思議な力は魔法によるものか、それとも刀の能力か――
変形前まではその様な事は無かった、と考えると後者であろうか。

最もそれも一時的なものらしく、今は何れも平常通りの重さに戻っているが
最早体力の方が残ってはいなかった。

「成る程、おおよそ理解した」

刃が紅い光を纏い、一瞬の内に直刀へと戻る。
それを鞘に仕舞い、女は二人を見据え、言った。

「私は「>>165」にある「>>167」国の王国騎士、「――」・サトゥルノという。
 君達に、依頼を任せよう」




>>165 8方位の何れか
>>167 「大」「小」「島」若しくはこんな感じで漢字1~2文字

結局大雑把な能力と形状だけ残しました。版権物はこの方針でいく予定、だけど多分再安価率の方が高い

名前は次の投下(明日?)までのアンケ式で。セーイの時と同じ形式か「これいい」と思ったものにする予定
ただ、このペースで「6」を消化していくともうすぐネタ切れになりそうなのでそこんとこお願いします

姓はどうせ滅多に出ないので、基本こちらで適当に決めていきます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/06/25(土) 18:16:42.21 ID:fzJj12JAO<> 南 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)<>sage<>2011/06/25(土) 18:18:16.04 ID:qyU/rY720<> 乙

南で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/25(土) 18:20:32.26 ID:N8ELZlYfo<> 若 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/25(土) 21:29:32.04 ID:aSJJKhLAO<> 世界に言語は溢れてるし、「ロク、ム、ムッツ」みたいに複数の読み方や表現もあるから
大丈夫さ足りる足りるww
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/27(月) 02:55:39.85 ID:qgH2h8VFo<> とりあえず6関係で適当に単語引っ張ってきましたい
もう少し捻ろうかと思ったけど流石に我慢
−−−−−−−−−−


「私は南にある若国の王国騎士、ジュアン・サトゥルノという。
 君達に、依頼を任せよう」

6とシックスは、同時に女――ジュアンの顔を見る。

「は……?」
「どういうこった……惨敗だったっつーのによぉ」

それを聞いた彼女は、少し力を抜いた様に微笑を浮かべた。

「向き合う事で解るのは、何も戦闘技術だけではない」
「……どういう事だ?」
「太刀筋には、その者を構成する要素が滲み出る。
 どの様な性格で、どの様な人生を歩み、どの様な信念を得たのか――等がな」

――反射的に、6は「怖い」と思った。
己の奥底に隠しておきたい何もかもが、曝かれてしまいそうな気がして。

そんな6の心境など伝わる筈も無く――最も、仮に伝わったとしても
無視されたであろうが、とにかくジュアンは言葉を続けた。

「私が見定めたかったのは、むしろそういう事だったのだ。
 信用出来る者でなければ、いざという時に何も任せられないからな」

勿論戦闘技術も必要だが、と彼女は言い加える。

「とにかく、君達二人なら任せられると判断した」
「……いいのか? そう簡単に信じてしまって」
「未登録者を探していた以上、こうする他は無いからな」

やはり、「登録不問」の真意は「未登録者希望」であったらしい。
リスクは確かに大きくなるが、それならばこの様な選考手段を取らざるを得ないか。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/27(月) 02:57:29.50 ID:qgH2h8VFo<>
「《治癒魔法・身体回復》」

右の手を突き出し、ジュアンは静かに詠唱した。

ほんの数秒、穏やかな光と共に痛みが抜けてゆく。
光が引いた頃には、6は難なく背筋を伸ばせる程に回復していた。
脇目に見たシックスの体にも、もう揺れは無い。

二人が何か言うよりも先に、ジュアンがくるりと後ろを向いた。
歩き出して、彼女は言った。

「宿に戻るぞ。依頼の詳細はそこで話そう」
「あ、ああ……」

少し出遅れた後、二人は小走りに後を追う。
追い着き、速度を緩めた彼らを一瞥し、ジュアンは言った。

「盗賊の方は……シックスと言ったか。魔剣使いの君の名は?」
「……6だ」

名乗ると言う事には、まだ慣れない。
ひょっとすると、少し声が震えていたかもしれない。
瞳の不安が和らいだが故に、機械的な名前に対する不安が増幅されたのであろうか。

「ふむ……ロク、か」

ジュアンが返した言葉は、ただそれだけであった。
それが少し、彼には有り難かった。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/27(月) 03:05:32.17 ID:qgH2h8VFo<>

***


宿に着いた後、解いた髪を掻き上げてジュアンは言った。

「我が国の事は、知っているか?」
「いや……」

6は小さく首を振る。
「若国」というからには、未だ歴史は浅いのであろう。
村の書物は、その殆どが古い物であった。記述が無かったのも仕方がない。
最も総てが古い訳では無かったから、軽く読み流したが為に記憶に残らなかった、
などという可能性も否定出来ないが。

一方のシックスは、腕を組み少し小首を傾げながら。

「聞いたことはあんなぁ……十何年か前に出来た国だろ?
 まだ治安は安定してねぇって聞いたけどよぉ」
「ああ。今もまだ、隣国との停戦にも至っていない」

ここで、6が予てよりの疑問を口にした。

「依頼票には「姫の護衛」と書いていたが……まさか本当に、その国の王女なのか?」



1.(本物の若国の姫)
2.(姫という身分に違いはないが他国の姫)
3.(影武者の類)
4.(姫と呼んでいるが別に王族という訳ではない)
5.(そもそも「姫の護衛」自体が出任せで「護衛している振り」が真の依頼)
6.(その他)
>>172 二つぐらいなら組み合わせてもらっても(多分)おk <> .<><>2011/06/27(月) 03:12:45.06 ID:mjiLT2WW0<> 1と5 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 17:28:43.93 ID:xvqnaYKZ0<> フィーア ドイツ語で4 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/27(月) 17:29:53.98 ID:xvqnaYKZ0<> あ、リロードしてなかった恥ずかしい
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/27(月) 23:52:51.50 ID:qgH2h8VFo<>
それを聞き、ジュアンは俯きがちに口を噤む。
その表情が、少し曇った。

6は言葉を続ける。

「護衛対象について、ギルドでは「真っ当な身分」だと聞いた。
 冷静になって気付いたけど、「王族」だとは一言も言っていない」
「そういや、確かになぁ」
「全く……」

深々と、ジュアンは溜息を吐いた。

「これには、少し込み入った事情がある……が、これは我々の任務の要だ。
 聞いてしまえば強制的に依頼を受けて貰う事になるが、覚悟は出来ているか?」

つまり、これはただの護衛任務ではないという事。
詳細を聞いた上で受けないならば、斬って捨てる気であるという事。

酷く乱暴な気もしたが、元々十分な怪しさを放っていた依頼である。
そう考えれば、この程度の事は仕方がないのかも知れない。

無言で思考を巡らせている6の傍ら、シックスは親指と人差し指で輪を作り
――つまるところ金銭のジェスチャーを取り、言った。

「報酬は変わんねぇんだよなぁ?」
「勿論だ」
「じゃあオレは問題ねぇ。6は?」

乗りかかるどころか、自らの意志で乗ってしまった船だ。今更降りる気にもなれない。

「ああ。詳細を聞かせてくれ」
「解った」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/06/27(月) 23:57:31.08 ID:qgH2h8VFo<>
ジュアンは頷き、二人の顔を順に直視した。
その後にもう一度頷き、声を潜めて語り始める。

「若国の王女たる姫様は、確かにこの近くに身を潜めていらっしゃる」

つまり、「姫」は本物の王女であったという。
だが、ジュアンは言った。

「……しかしな、依頼の「護衛」というのは嘘なのだ」
「どういうこった……?」
「姫様と我々親衛隊は、極秘に>>177へ向かっている。――表向きはな」

その言葉が、6の心に引っかかる。

「極秘、なのに「表向き」とは一体……」
「極秘と言えど、上層部や騎士団の一部などには周知の事実。
 しかし、彼らに本来の目的を悟られる訳にはいかなかった」

言うや否や、彼女はコートの内に手を突っこみ、折りたたまれた地図を取りだした。
ジュアンと二人を挟む机の上に広げると、ある一点をコツコツと叩いて彼女は言った。

「我々の真の目的地は、>>178だ」



(表向きの目的地>>177/真の目的地>>178)
(ものによっては「姫様と我々親衛隊は〜」辺りからちょっと書き換えます)

−−−−−−−−−−

今回は余裕がある、なんて気のせいやったんや…
また週末まで潜ります <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2011/06/28(火) 00:07:15.15 ID:dXrGH47a0<> 魔物狩り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/28(火) 02:02:37.65 ID:urI4CuJo0<> 大規模盗賊団のアジト
正確にはその盗賊団のボス、姫様の恋人(非公認)のところ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/29(水) 17:40:53.19 ID:6l+LPE5DO<> 魔物狩りを言い訳に出来るとは
どんだけアグレッシブな姫なんだww <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/03(日) 02:40:41.23 ID:W1dNxR8/o<> ぼちぼち再k…もう日曜じゃないか!
今週は月曜も朝から晩まで用事があるので、安価2つ3つ出して終わりかもしれない…
来週も多分こんな感じです <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/03(日) 02:43:07.66 ID:W1dNxR8/o<>
「姫様と我々親衛隊は、極秘に魔物狩りへ向かっている。――表向きはな」

その言葉が、6の心に引っかかる。

「極秘、なのに「表向き」とは一体……」
「極秘と言えど、上層部や騎士団の一部などには周知の事実。
 しかし、彼らに本来の目的を悟られる訳にはいかなかった」

言うや否や、彼女はコートの内に手を突っこみ、折りたたまれた地図を取りだした。
ジュアンと二人を挟む机の上に広げると、ある一点をコツコツと叩いて彼女は言った。

「我々の真の目的地は、ある大規模盗賊団のアジトだ」
「盗賊、団……?」

示された場所は、この国の東部に位置する>>182であった。



1.(森林/山岳/砂漠/氷雪)地帯
2.(大・中規模)都市
3.(その他)
>>182 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/07/03(日) 02:48:22.34 ID:ujDnm7NAO<> 待ってたぜ1


安価なら山岳
魔物も盗賊も沢山いそうだし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/07/03(日) 09:52:40.86 ID:M9MuQxrS0<> さて、善人か外道か……それが問題だ <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/07/03(日) 17:50:19.69 ID:W1dNxR8/o<>
示された場所は、この国の東部に位置する山岳地帯であった。
酷く大雑把に思える等高線と、河川を示す蒼の線。
周辺に街や村は無いらしい。

「……あぁ、聞いたことあんなぁ」

地図に顔を寄せ、シックスが言った。

「東の山地を拠点にしているから「東山海賊団」ってなぁ」
「よく、知っているな」
「ロクは山ん中に居たから知らねーかもだけどよぉ、結構有名だぜ」

それだけではなく、同業者だからというのも関係しているのだろうか、などと
6は何となしに考える。
その傍らで、シックスは少々訝しげな表情を浮かべた。

「……つーても東は山ばっかだから、アジトの正確な位置は解らない
 ……筈なんだけどよぉ」
「その様だな」

特に動揺無く、さらりとジュアンは言う。
それが逆に、ある種の不気味さを感じさせた。

「……アンタ達さぁ、何でそれを知っていて、何でそこに向かってんだよ」
「ふむ、それがな……」

ジュアンは腕と足を組み、眉間に皺を寄せる。

「この盗賊団の頭目と姫様が、その……」

やや口籠もりながら、彼女は小さく言った。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/03(日) 17:52:09.44 ID:W1dNxR8/o<>
「――恋仲、なのだ」
「マジでっ?」
「そんなベタな事が、本当にあるのか……」
「うむ……」

「賊と姫とのラブロマンス」というのは、作り話の世界では定番中の定番ではあるが、
まさか現実の事柄として起こっているとは。

だが、仮に欺く為だとしても、この女がこの様な嘘をつくとも思えない。
嘘をつくなら、もっと現実的なものにするだろう。
そう考え、6はその話が事実であると仮定しておいた。

――そしてそれが事実であるならば、知られていない筈の盗賊団のアジトとやらを
知っていても、何ら不思議は無い。

「つーかよぉ、魔物狩りを隠れ蓑にってのもどうよ……
 姫って言やぁ、温室育ちでお淑やか、ってもんじゃねぇのか?」

シックスの疑問は尤もである。
正直6もこの話を聞くまでは、シックスと同様のイメージを持っていた。

そんな二人に対し、ジュアンは口角を上げる。
苦笑、と言って差し支えはないだろう。

「気持ちは解らなくともないが、まあ……そういう御方なのだ」
「一体どんなお姫様だってんだ……」

6もそれが気になるが、それよりも先に聞かねばならない事がある。

「その盗賊団のアジト……数日で着く様な距離じゃあなさそうだが……
 俺たちは、一体何をすればいい?」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/03(日) 17:55:28.53 ID:W1dNxR8/o<>
この街周辺のモンスターは、さほど強くは無い筈。
わざわざ一日限定で人を雇う理由が解らない。
そもそも、口止め料にしても報酬が破格すぎる。

「そうだな」

真顔に戻して、彼女は言った。

「結論から先に言うと、君達には囮として「護衛する振り」をしてもらいたい」
「囮……?」
「今回の任務の最中、姫様がある者(達)にお命を狙われていることが判明したのだ。



(姫の命を狙う者(個人でも集団でもおk)>>188) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/03(日) 17:56:19.29 ID:P9taAWcvo<> セーイ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/03(日) 17:56:40.17 ID:uCtC5BzDO<> 黒の氣志團 <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/03(日) 17:58:43.84 ID:W1dNxR8/o<> すまん>>184海賊じゃねえ盗賊だwwwww
ミスが地味過ぎて見落とした… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/07/03(日) 18:34:54.77 ID:M9MuQxrS0<> 気志團フイタwwww
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/04(月) 10:04:17.71 ID:/fDZRjfa0<> 騎士団・・・だよな <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/05(火) 07:42:55.63 ID:CTZXXmfoo<> あんまりに進まなかったからもう一回投下するつもりだったんですがダメでしたorz
また週末まで潜ります。来週も似たような忙しさだけど場面転換ぐらいしたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/07/05(火) 23:49:57.58 ID:uiGJbsHF0<> 了解ー <> ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/10(日) 02:12:18.04 ID:yqZ5vCgOo<> バイト始めたら時間が取れぬ…だが働かねば飯が食えねえ…!

ちょいと大筋(暫定)の再確認をした後、日曜午後(夕方?)から超低速で再開します <> すまん予想以上に時間かかった
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/10(日) 20:54:06.60 ID:yqZ5vCgOo<>
「今回の任務の最中、姫様がある者達にお命を狙われていることが判明したのだ。
 ――恐らく、「黒の氣志團」であろうと我々は考えている」
「黒の騎士団……?」
「まーた大層な名前だこった」

語感から組織名であろう事は予測できるが、6にとっては初めて聞く名であった。
若国や東山盗賊団を知っていたシックスでさえ疑問符を浮かべているのだから、
少なくともこの国では常識という訳でもないようだ。

二人の様子を見て、ジュアンは更に難しい顔をした。
だが、呆れているという様子ではない。

「……いや」

彼女は手帳を取りだし、白紙の上でペンを走らせる。
それを二人の方へ向け、綴った文字をペンの頭で指し示した。

「外国の者にはよく誤解されるが、奴らの「キシダン」はこの様に書く」
「うわぁ……」
「これは……」

そこに綴られていたものは、6の想定とは異なるものであった。
何故捻ったのか疑問、というのが正直な感想である。

「成る程、「キシダン」は「キシダン」でも……」
「……しかしこれでいて、我が国では侮れない勢力となっているのだから困る」

手帳から目を離し、6は問うた。

「現状を快く思わない、テロ集団と言ったところか……?」
「まあ、その様なものだな」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/10(日) 21:01:49.34 ID:yqZ5vCgOo<>
そうジュアンは言いながら、手帳を閉じてペンを置く。

「若国は元々「南老国」の領土だったのだが、黒の氣志團が目指すのは「南老回帰」。
 南老に戻る事を望む、我が国の反体制勢力だ」

表情に嫌悪を滲ませ、彼女は続けた。

「……私に言わせれば、南老の技術と若国の資源――いいとこ取りをしたいだけの愚か者達だがな」
「愚か者……?」
「若国の領土は、南老に不当に搾取され続けた歴史を持つ。故に、大多数の者は独立を願い続けた。
 直接的な軍事行動は皆無に等しいが、南老は今尚和平を結ぼうとはしない」
「国内のアンチ集団と隣の国――アンタらの国の治安が安定しないっつー理由はこういう事か」
「ああ」

足を組み、シックスが二度頷いた。
その傍ら、お国事情を一通り聞いたところで6は再度疑心を抱く。

「そんな情勢で王族の遠出、それも「魔物狩り」が許容されるものなのか……?」
「……それについては一旦置いておいて欲しい。それよりも一度、本題に戻るぞ」

はぐらかされた気もするが、確かに本題に戻りたい気持ちも解るし、
その過程で疑問点も解決されるかも知れない。
それに、「囮」というのはまだしも、「振り」というのも気になっている。

……結局、黙って頷く他無かった。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/10(日) 21:06:47.59 ID:yqZ5vCgOo<>
一呼吸置いて、ジュアンは口を開く。

「――「黒の氣志團」の所業というのは、飽くまで我々の臆測に過ぎない。
 奴らが王族の命を奪う、などという手段に出た事は一度も無かったからな……」
「殺しちまうぐれぇなら、人質にしちまった方が利口ってもんだしねぇ」
「確かに、シックスの言う通りだな……」

人質にしてしまえば交渉材料にもなるだろうし、
それに、国外であろうと「殺人」自体のリスクが高すぎる。
仮に、若国を良しとしない南老国の方が声が大きくとも、
「王族の殺害」となればギルドも黙ってはいないだろう。

だから、と彼女は言った。

「襲撃者を捕らえ、正体を明確にしたい」

剣を交えていた時を除けば、その眼光は、これまでで最も真っ直ぐで鋭い。
それだけ、その結果を望んでいるという事。

「……だが、現在姫様の護衛についているのは、私と親衛隊長の二人だけだ。
 これでは姫様を守るだけで精一杯でな」
「何故、二人だけで……?」
「恋仲の相手が「大盗賊」であると知っているのは、親衛隊でも私と隊長だけだからだ。
それに、人数が多くては人目についてしまう」

彼女の言った通りであれば、今迄はこれ程危険な状況にはならなかったのだろう。
ジュアンの強さは身を持って知っているし、護るだけならば二人で十分という事か。

「作戦を実行するのは、このルート上だ」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/10(日) 21:11:38.98 ID:yqZ5vCgOo<>
なぞられたのは地図上、南東の森の一本道。

「このルートを通れば、襲撃者は現れるだろう」
「……依頼票にゃ「一日だけ」って書いてたけどよぉ、本当に出てくるって保証はあんのか?」
「期間を絞り、且つ「姫」という単語まで出しておいたのだ。
 此処までの襲撃タイミングを考えても、間違いなく来るだろう」
 ……ただ、一つ問題がある」

大方予想はつくが、6は黙って言葉を待った。

「こちらの戦力増強を見込んで、奴らもより強者を送り込んでくるかも知れないということだ」

「命を奪う」という目的が明確であるのなら、尚更。
予想通りの問題である。

しかし、ジュアンに手も足も出なかった二人が、果たして戦力と成り得るのか。
セーイ、ジュアンと実質的な負け星が続いた中、6は自信――特に自分に対してのそれを
喪失しつつあった。

「……なに、気にしなくていい」

――読まれた?
それとも、不安が顔に出ていたのか。
とにかく、6の心配に答える様に、ジュアンは言った。

「君達とは別に、>>200の>>201も雇っている。君達は、その補佐をしてくれれば構わない」




(>>200職業的なもの、>>201性別 / 性別は少年少女みたいに(外見)年代を多少限定するものも可) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/07/10(日) 21:15:57.20 ID:PZiKF7PAO<> ニート <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/07/10(日) 21:16:03.42 ID:Sae1XItPo<> 攻撃呪文特化の魔法使い
少女で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/07/10(日) 21:16:20.86 ID:Dskxue7AO<> おかま <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/07/10(日) 21:17:23.88 ID:Sae1XItPo<> ニートの少女…
使えねぇ… <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/10(日) 21:25:22.58 ID:yqZ5vCgOo<> >>202
今回下2安価だから>>200職>>201性別で攻撃魔法特化釜になるよ
そういえばおかまキャラ書くの初めてかもしれない。多分暫く先だけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/07/10(日) 21:27:36.05 ID:Sae1XItPo<> あ、見間違えてたわ
どっちにしてもひでぇなwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/07/10(日) 23:37:29.51 ID:dxmB9tBG0<> ボン・クレー少ね……少女時代みたいなキャラかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)<>sage<>2011/07/11(月) 02:43:05.37 ID:AVffyaXAO<> 盆暮れならまだいいが、もしもミニサイズのイワちゃんなら… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 10:54:01.89 ID:Lo9/VZrk0<> 待て、オカマだからって可愛くないとは限らないぞ
すごく可愛い女の子になりたい男の子・・・つまり男の娘だよ! <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/15(金) 02:18:09.70 ID:gn5R3Cg4o<>
「君達とは別に、攻撃魔法に特化した魔法使いの……おかま、も雇っている。
 君達は、その補佐をしてくれれば構わない」
「ん?」

思わず、6はジュアンの顔を二度見した。
その横でシックスが問う。

「攻撃特化の魔法使いの……なんっつーた?」
「……おかま、だ」

そう言って、彼女は少し困った様な顔をした。

これまでの言動から、ジュアンがこの様な直接的な表現を使うとは考えられず、
従って6も空耳を疑った。
しかし、どうやら空耳では無かったらしい。

「またそんな言い方を……」
「そうは言っても、自己申告によるものだからな」

――女性用の暖色のローブを纏った中年の男性の姿が、無意識に6の脳内で像を結んだ。
酷くステロタイプに依存した像ではあったが、自己申請であることを考慮すれば
当たらずとも遠からずといったところかもしれない。

「だが、実力は十分だ。戦法的な相性の問題もあるが……私と互角か、それ以上だろう」
「……俺達、要らなくないか?」
「だよなぁ」

ジュアンは、首を横に振る。

「攻撃特化という事は、小回りが利かないという事。そこで、君達の出番という訳だ。
盗賊の君は文字通り、魔剣使いの君の方も、その歳でそれ程の実力というのは
敵に対して良い油断材料にもなる」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/15(金) 02:20:52.28 ID:gn5R3Cg4o<> 「成る程ねぇ」

一方で無言を返した6であったが、内心少しの安心感を覚えた。

ジュアンが言った事を言い換えれば、「現状、同年代の平均以上の実力はある」という事。
勿論自身の目的上、その程度の力であってはならない。
しかし、自信を喪失しつつあった彼には十分救いの言葉と成り得た。

確かに、何年も修練を続けてきた。
だが、それはあの地に篭もっての話。
世界は広く、知らない事――可能性に溢れている。

まだ、まだ伸びしろはある。


***


――二日後、南東ゲート近隣の喫茶店で。
そう約束を交わし、6とシックスは宿を出た。

本受注の処理は依頼者側の仕事らしい。
依頼票の半券は渡したままだ。

「いやー、まさかマジだったとはねぇ」
「全くだな」

依頼内容そのものが全くの出任せ、という可能性も考えていた6に取っては、
意外という程では無くとも驚きは感じていた。
依頼主、ジュアンの言葉も嘘とは考えがたい。信用して良いだろう。

「10000Gもマジで良かったぜ!」
「その分、リスクも高そうだがな」
「……まぁねぇ」

前払いされたのは2000G、折半して一人1000G。
これで、金銭面での心配はしなくてよいだろう。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/15(金) 02:23:02.64 ID:gn5R3Cg4o<>
「図書館にも行きたかったけども……今日はもう閉館しているだろうな……」
「あー、確かになぁ」

周囲は既に西からの光で朱く染まり、日没も間近。
図書館の閉館時刻とは得てして早いものである。無駄足になる可能性は高いだろう。

「まぁ、明日いきゃーいいんじゃね?」
「そうだな、そうしよう」
「それよりもよぉ、そろそろ屋根の下で寝てぇ」
「ああ……それには同意だ……」

旅に出てからの数日間、野宿続きである。
旅人にとっては当然のこと、とは言え6はまだ旅自体に不慣れであり、疲れも溜まっている。
財布も潤ったのだから、もう宿に泊まらない理由はない。

宿は決して多くは無かったが、昨日今日で何件かは確認している。
この時間帯ならば、ほぼ確実に泊まれるだろう。

そう考えながら、辺りを見回す。
朱い、夕景。

僅か、会話が途切れたその時を狙って。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/15(金) 02:27:27.24 ID:gn5R3Cg4o<>
「……なぁ、シックス」
「あぁ?」
「君は一体、何歳なんだ?」



(シックスの年齢>>212/二桁)

※此処までの情報:6は16歳。6とシックスの背丈は似た位、顔付きはシックスのが僅かに幼い
  小さい頃から生活費とか妹の治療代稼ぎ(年数不明)→一家離散、病院に住み込みで働く(期間不明)
 →雑学に毛が生えた程度の知識を得た後旅に→修練と金稼ぎの旅(5年)→(今ここ)


−−−−−−−−−−
二日連続帰宅即→場面転換目指して朝書く→数時間仮眠→その間にNIP落ちてたorz
超ド低速とか言いながら一回しか投下出来なかったという酷い有様だったので
妙なタイミングだけど投下。

来週から夏休みに入るので、出没曜日を「日~水曜の内2~3日程度」
に変更しようと思います(ここ数週既にこんな感じでしたが)。

「おかま」の定義って真面目に考えると難しいっすね!
後>>200は飽くまで職業安価だったので年代まで反映するかは不明
(でも間違っても6の想像通りではない筈)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/07/15(金) 07:14:22.51 ID:DZyEotj1o<> 投下頻度多くなるのは嬉しいな

シックスの年齢14歳で <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/19(火) 15:17:46.59 ID:4aoEYw29o<> 今更背中痛再発とかマジ勘弁! 完全に再発すると10分もPCに向かえないからまずい…
今も十数分に一度休憩入れないときついけど

…そんな感じですがド低速で再開。
曜日がずれただけで投下量・頻度はさほど変わらないです、すみません
暫く地味な安価が続くと思う <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/19(火) 15:20:39.76 ID:4aoEYw29o<>
――6は、シックスの旅歴は長くても一、二年程度だろうと考えていた。
旅慣れをしている様だとは言え、それでも言動の端々からは
どこか幼いものを感じさせたからだ。

よって、6はシックスが二、三歳程度年下なのではと思っていた。

しかし、今日シックスは旅を五年続けていると言った。
一家離散した後に住み込みで働いていた時期もある、とも確か言っていた。
もしも6の臆測が当たっていたならば、ひょっとすると彼は年上か、それとも――。

「ん、言ってなかったっけなぁ?」
「ああ」

特にはぐらかす様子も見られず、シックスは言った。

「十四だぜ」
「十四っ?!」

当初の予測が当たっていた、という事実に驚いた。
そんな6に、シックスは少し不満そうに言う。

「……そんなにオレは餓鬼くせぇかぁ?」
「いや、そういう意味ではなくて……」

言動、体格などで言えば、むしろ相応の年齢だと6は思う。
だが、導き出されるシックスの人生の密度を考えてしまえば、驚きは隠せない。

「ほら、五年も旅をしているって言っていたじゃないか」
「あぁ、そういや言ったなぁ」
「単純計算で九歳から旅をしているのかと驚いてさ」
「おうよ、これでもまぁまぁハードな人生を送ってる自信があっからな」

心なしか、シックスが少し胸を張ったような気がする。
自虐か、それが昇華されたされた別物なのか。

<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/19(火) 15:26:01.03 ID:4aoEYw29o<>
「そういやさぁ、ロクはいくつなんだ?」

言われてみれば、6も年齢を教えた記憶がない。
最も、片方が年齢の話題に触れれば、流れでもう片方の年齢にも触れそうなものだから、
当然と言えば当然でもある。

「十六だな」
「二つも年上なのかよっ?」
「……幾つだと思ったいたんだ?」
「いやぁ、正直同じぐらいだと」

少し心外ではあったが、しかし原因は解らなくもない。

「まぁ、旅人としてはオレの方が先輩だからな!」
「ああ、頼りにしているさ」
「その代わり、戦闘では頼むぜ!」
「善処はするよ」

「任せてくれ」と未だ言えないのが6自身もどかしくはあったが、
それでも彼は自然に笑った。


***


翌朝、二人は図書館に赴いた。
鳥のさえずりの中で辿り着いたそこは、地図から予測した通りの規模であった。
が、一応図書館としての体裁は整っている。それなりの蔵書数は期待出来るだろう。



(今回6が調べる事>>216 / 展開というより設定固め要素が強いです)
1.竜王の事
2.魔法の事
3.東山盗賊団の事
4.若国の事
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/07/19(火) 15:31:06.85 ID:qhSTsQPSo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)<>sage<>2011/07/20(水) 01:02:02.94 ID:uhMVRARe0<> 超能力についての資料は無いのか……
そういや、世間知らずの6はともかくシックスが驚いてたぐらいだし
歴史浅(ry余り世に知られて無いのかな?

<> (起床4時半なので安価無しで書けたとこまで)
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/20(水) 03:10:51.66 ID:aR+jYwpBo<>
シックスはカウンター近く、新聞が保管された一角へ向かった。
同業者故の興味だろうか、東山盗賊団について調べるらしい。

6はというと、魔法について改めて調べる事に決めていた。
勿論、敵である竜王の事を真っ先に調べておきたかったのだが、
明日対峙する者が「魔術師」……そこまでいかずとも、魔法を使わないとも限らない。
事が目前に迫っている以上、今日はそちらを最優先すべきだろう。

……それに、あのセーイが言っていた「超能力」の事も解るかもしれない。
と言うよりも、「超能力」の見当が付かなかった6にとっては、
嘗てそう呼ばれていた「魔法」を切り口に探す手段しか思いつかなかった。

丁度中央付近の列に足を踏み入れ、6は「魔法学」の本棚を見上げた。
確かに、蔵書数自体は図書館の名に恥じない程度にはある。
しかしタイトルと小分類から察するに、その殆どが「魔術師」の為の
専門的な書物であろう。

その中から魔法史と対魔術に関しての書物を中心に何冊か取り出し、
彼は閲覧用のテーブルについた。
<>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/20(水) 03:15:38.85 ID:aR+jYwpBo<>


極微力な者も含め、魔法の素質を持って生まれるのは数百人に一人程度。
構築自体は意識さえあれば可能――つまり、自らの「内側」だけで構築可能であるが、
発動にはやはり「詠唱」することで外側に直接干渉しなければならないらしい。

「魔法」というものが学問として成立するまでは、確かに「超能力」とも言われていたが、
それは言葉が言い換えられただけで、やはり以前より「詠唱」が必要な事には違いないという。

「ロストテクノロジーか……それとも、新たな力か……」

回復特化は別としても、魔術師一人で一般兵の数十人に匹敵する力を持つという。
一対一で対等に渡り合うには、魔法道具や魔剣などの特殊な武具に頼らねばならない。

しかし、強力な一方で使用者への負担も桁違いであり、また「構築」という手順を
踏まねばならない以上、即時発動とはいかない。
双方の実力次第だが、隙を突く事も不可能ではない。

「……特に目新しい情報は無し、か」

心の何処かで、「超能力」に関する手がかりが見つかることを期待していた。
にも関わらず、結構な時間をかけてこの結果だ。
明日「襲い来るかもしれない魔術師」対策の復習にはなったと言えばなったが、
「超能力」も同様とは限らない。

6の口から、溜息が漏れた。
<>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/20(水) 03:18:56.24 ID:aR+jYwpBo<>
諦めた様に一番古そうな書物――恐らく写本――を閉じかけて、最後の見返しの右下に
小さく何かが書かれていることに、6はようやく気がついた。

本文とは違う、まるで走り殴られた様な筆跡。
本文の筆跡と似てはいるものの、同一人物が書いたのか否かは定かではない。

擦れて消えかかっていたものの、それでも何とか読み取ることが出来た。

――Ab uno disce omnes.

其処にあったのは、6の知らない言語で書かれた一文であった。

「アブ、ウノ――さっぱり解らないな……」

ぱらぱらと一から捲り直してみるも、これ以上の情報は得られない。
何の言語か解らない以上、言語の本棚を漁るのも厳しいだろう。

単なる悪戯書きか、それとも深い意味のある何かなのか、
彼には判別がつかなかったが。

「もしかすると、誰かが知ってるかも知れないな」

書物の傍に開かれた、真新しいフィールドノート。
今日調べた事柄をメモしたその下に、6はその謎の一文を書き写した。 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/21(木) 05:21:00.90 ID:qtvKqI3Go<>

***


三つ隣の大衆食堂にて、二人は向かい合わせに座っていた。

サンドウィッチを前にフィールドノートを取り出す6と、頬張りながら
それを見つめるシックス。
アイスティで流し込んだ後に、シックスは問うた。

「何か解ったか? 特にあの「超能力」とかいうやつさぁ」
「いや……駄目だった」

6は小さく首を振る。

「そうかー、そりゃー残念だねぇ……」
「ただ……少しだけ引っかかるものが」
「お、マジで?」

左肘を付き、6はフィールドノートをシックスへ向ける。
右手で「例の一文」を指さし、彼は言った。

「……これ、読めるか?」

ダメ元ではあるが、長く旅をしているシックスなら知っているかもしれない。
言語の種類だけでも解れば、意味を調べることは出来る。

しかし、やはりシックスは首を傾げた。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/21(木) 05:25:33.09 ID:qtvKqI3Go<>
「いやぁ、わかんねぇな……これがどうしたんだぁ?」
「古書の一番最後に、走り書きされていたんだ」
「落書きじゃねぇの?」
「俺もそう思ったが……何せ写本の様だったからひょっとすると、と」

読過に支障の無かった本文と比べ、その一文の擦れ、褪せ具合が気になった。
本自体が手書きによるものだから、何らかの理由で作成者がメッセージを残した、
という可能性も多少は上がる。

「成る程ねぇ。本文は現代語だったんだよなぁ?」
「ああ」
「ふぅん……そうなってくると、確かに意味深にも思えるなぁ……」

パタン、とノートを閉じて、今度は6が問いかけた。

「そっちはどうだった?」

向けられた顔は険しい。
6と同じく、シックスもまた難航した様であった。

「案外新聞沙汰になってる事は少なくてなぁ……噂ではもっと色々聞くんだけどよぉ」
「取るに足らない小さな犯行が多いのか、それとも誰かがもみ消しているのか……」

思索する6の前で、シックスは唸った。



(知名度の割に新聞沙汰になることが少ない理由>>223)



−−−−−−−−−−
どこまで安価出してどこから自分で決めてるかという線引きが難しいな…
「超能力」の正体は幾つか考えてるけど、今後の流れで一番しっくりくるやつでいく予定
少なくとも世に知られている術ではないっぽいです。
何でなのかは、きっとその内勝手に決めるか安価を出すか

ではまた来週!(でも日曜は多分来ません。月曜は微妙)
皆さんマジで首は大事に <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/07/21(木) 05:35:29.78 ID:wToOv6JAO<> 一を聞いて十知れなのか、トロイの木馬の隠語か、今後が気になるなぁ


安価下 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/07/21(木) 07:04:28.03 ID:Aw9+dNAAO<> 外で裸踊りをする事で新聞に載っても載らなかった事にできる(現実を歪める能力を持っている)奴がいるから <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/21(木) 09:44:54.06 ID:W3D00fXz0<> 裸踊りとかwwwwww しかし魔術的な儀式と考えればそうおかしくもないかwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)<>sage<>2011/07/24(日) 17:27:52.36 ID:IbLb3asH0<> 確かに目の前で裸踊りしてる人物がいたら
現実から目を逸らしたくもなるわなwwww <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/26(火) 23:55:20.77 ID:0Ou/KN2ro<>
おまいら裸踊り要因が男とは限らないぞ!!

…更なるキャラ増殖フラグが立った事が一番不安です(名前的な意味で)
「こいつの名前はこんなのどうよ」みたいなレスがあればそのまま採用する、かもしれない
しないかもしれない
今のところ護衛隊長とかおかま系魔法使いとか盗賊の頭とか登場フラグたってますね


そんな訳で水曜になりそうですが微妙に再開します
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/26(火) 23:57:29.15 ID:0Ou/KN2ro<>
「心当たりはあるっちゃあるんだけどさぁ……」
「何か知っているのか?」

少し目を逸らし、口元に手を寄せ考える仕草を見せるシックス。
その眉間に、更に皺が寄る。

「信じられねぇ位、くだんねぇ噂だぜ。オレもずっと冗談だと思ってたしよぉ……」
「でも、何かが解るかもしれないじゃないか」

全てが事実という訳でも無かったが、今回の依頼だって蓋を開ければ
その殆どが事実であった。

噂というものは、例え大部分が嘘であろうと、多少なりとも真実が含まれている場合が多いという。
そう考えるならば、知って損は無いだろう。

「教えてくれよ。ものによっては、今回の依頼にも関わってくるだろうしさ」
「……わかった」

小さく、シックスは頷いた。

「あの盗賊団にはさぁ、変わった魔法を使える奴がいるって噂があんだよ」
「変わった魔法?」
「「過ぎた出来事を歪める魔法」が使えて、それで「新聞沙汰にならなかった」事に
 するっつー話さ」

少なくとも6には聞いた事が無い類の魔法ではあるが、所詮自身は素人、
その様な効果を持つ魔法も存在するのかもしれない。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/26(火) 23:59:12.93 ID:0Ou/KN2ro<>
「流石にねーだろと思ってたけどよぉ、この記事の少なさを目の当たりにしちまうとな……」
「確かに、嘘みたいな効果だな……」
「……いやぁ」

シックスは右手を横に振る。

「魔法自体の効果もそうなんだけどよぉ、発動方法がもっと嘘くせぇんだよ」
「どういう事だ……?」
「……先に言っておくぜ、飽くまで噂だからなぁ!」
「解ってるさ」

冷静な口調で切り返す6。
とはいえ、内心は「嘘くさい発動方法」への純粋な興味と、
あまりに焦らすシックスに対する僅かな苛立ちが入り交じっていた。

意を決したような神妙な面持ちで、シックスは言った。

「なんつーか……外で裸踊りするんだってよ」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/27(水) 00:01:29.80 ID:RL5V3ZWto<> 「はぁっ!?」

思わず大声で一驚する6。
魔法の効果が凄まじければ、発動方法もぶっ飛んでいる。

周りの視線が一斉に二人に向けられた。

「お、落ち着けって! 気持ちは解るけどよぉ……」
「あ、ああ……すまない……」

周囲の注目からは外れたが、しかし内々の居心地悪さは変わらない。

「しかし、それが本当なら凄いな……」
「でもよぉ、ひょっとすると「外で踊る」ぐらいは合ってるかもしれねぇな」

溜息一つついて、俯きがちに6は呟く。

「それにしても、変わった効果に変わった発動ほうほ――」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/27(水) 00:04:18.99 ID:RL5V3ZWto<>
――気付いて、目を見開いた。
同じく目を見開いたシックスと目が合う。

右指を立てて、言い出したのは6であった。

「もしかすると」
「「魔法」じゃねぇかも!」

――何故、その可能性に気付かなかった?

「変わった「魔法」、って噂のせいで先入観に囚われてたぜ」
「「超能力」の手がかりになるかもしれないな」
「おうよ、十分有り得るな!」

確証はない。
構築に踊りを付随しているだけの、飽くまで「魔法」かもしれない。

だが、現状では他に糸口さえ見つからないのも事実である。

「行ってみよう、シックス。東山盗賊団のアジトに」
「あぁ、異議はねぇ。今の俺たちにゃ情報が必要だしなぁ」

最も、まずは翌日の依頼を完遂せねばなるまい。
アジトを知っているのはジュアン達であって、二人だけで向かうことは出来ないのだから。

「……情報と言えば」

ふと、6が問うた。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/27(水) 00:07:22.14 ID:RL5V3ZWto<>
「シックスは、竜王についてどこまで情報を掴んでいる?」
「あー……」

これが、本来の目的だ。
6にとっては勿論、通過点とはいえシックスにとっても。

「竜王に関しちゃあ、お伽噺みてぇな話が殆どだからなぁ……。
 ものがものだけに、何が真実で何が作り話なのか全くわかんねぇ」



(シックスが知っている竜王に関するお伽噺・噂>>233-234 / 真実とは限らない) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 00:08:37.52 ID:z8TiKy+80<> 山より大きい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/07/27(水) 00:09:36.32 ID:Yzi3g82r0<> 擬人化可能 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 00:10:08.66 ID:6Ygvwu7Y0<> 人々をしょっちゅう全裸にして困らせている <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)<><>2011/07/27(水) 00:12:31.82 ID:IWOqdOOAO<> 実は南銀河を滅ぼした伝説のスーパーサイヤ人 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 00:19:48.46 ID:z8TiKy+80<> 世界の半分をやろうとか言って取引してくる
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 00:27:36.33 ID:We+xkHd3o<> 一瞬で13km移動する <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 00:29:54.09 ID:z8TiKy+80<> 実は1回刺されただけで死ぬ
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/27(水) 00:58:45.39 ID:RL5V3ZWto<>
「確かに、それはあるな……」

6がこれまで目を通した文献でも、それは同じであった。

「古き時代、世界を分かち合わないかという取引を持ちかけた」だの
「一瞬で十三キロメートルを移動する」だのの真偽の判断が付かないものは勿論、
「人々を全裸にして困らせる」だの「南銀河を滅ぼした伝説の超人」だの
明らかに嘘としか思えない記述も混在していた。

ただ、彼はその点に於いて強みがあった。

「山より大きいだとか、人型を取れるだとか聞くけどよぉ……実際どうなんだかなぁ」
「人型を取れる、というのは事実だな」

腕を組み、彼は応えた。
6の持つ強み、それは――不本意にも、竜王の姿をその目で見てしまった事である。

「マジかよ」
「元から人型なのか、変化の術が使えるのかは解らないが……「あの時」、
 確かに俺は見たからな」
「あぁ……」

強く刻み込まれたとはいえ、古い記憶である。細部まで覚えている訳ではない。



(そう言えば決め忘れてた気がする、6が竜王と遭遇した時期>>241 /「3~7年前=9~13歳」の範囲で)
(6が見た竜王の背格好>>243 / 人型と言えるなら獣人・竜人の類でも可)
(そろそろ設定纏めないと、既に決まった内容にうっかり安価出しそうな気がしてきた…orz) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/07/27(水) 01:01:01.08 ID:Xy7dat6AO<> 9歳の時 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)<>sage<>2011/07/27(水) 01:13:01.66 ID:RAqlukxAO<> 半魚人 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2011/07/27(水) 01:13:40.57 ID:3eM4oChAO<> エロいメイド服を着た人間の美少女(人の形の時) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2011/07/27(水) 01:14:31.86 ID:CUWnUo0N0<> 美少女悪魔 <> ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/27(水) 08:03:22.11 ID:RL5V3ZWto<> http://wktk.vip2ch.com/upload.cgi?mode=dl&file=11438 (PW:6)
※別に本採用じゃない

「エロいメイド服ってどんなんだよおおお!!」という衝動だけで
本文そっちのけで色々考えてみたが、最早メイド服では無い上に別にエロくもないという惨事
つるぺたボーイッシュ萌えの俺にこの手の絵は無理やったんや…

そんでもって、よく考えてみたら
今回は別にしっかりと描写する必要が無い事に今更気付いて今涙目。寝る
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/07/27(水) 22:07:32.32 ID:RL5V3ZWto<>
「ただ……恐らくは変化の術の方だと思う。というよりも、俺はそう思いたい」
「どういうこった?」
「あまりにも……俺達を馬鹿にする様な姿だったからな」

七年前に見た竜王の姿は、「竜」の要素も「王」の要素も微塵も感じさせなかった。

露出多くアレンジが施されたメイド服を着る、十三、四程度の人間の美少女。
それが、何も知らない真っ新な状態での第一印象であった。
だからこそ――そんな姿で幼馴染の命を奪ったからこそ、憎悪は更に膨れあがったのだ。

6の言葉を聞いたシックスは、そうか、という一言の後に口を閉ざした。
今は踏み込むべきではない、と考えてくれたのかもしれない。

思い出してしまった今、6自身に感情の暴走を阻止出来る自信はない。
シックスの選択が有り難い反面、申し訳なく感じるのと同時に、彼は自身に苛立った。



(昼からの行動>>247 / 繋げ辛いものは再安価します、すみません) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/07/27(水) 22:12:39.09 ID:nOlqaX8jo<> まずは腹ごしらえだ <> 既に食事中なので「腹ごしらえ(の準備)」と超解釈  ◆Y706p.....<>saga<>2011/07/27(水) 23:31:01.00 ID:RL5V3ZWto<>


午後からは竜王について調べるつもりであったが、彼らは予定を変更した。
文献を漁っても、真実と断定出来るものは見つからないだろうと踏み、
それよりも物資、特に食料の調達を優先すべきであろうと判断したのだ。

今後の方針は決まった。
無理矢理にでもジュアン達に付いていき、東山盗賊団の術者と接触する。

王族と親衛隊という彼らの身分上、「無理矢理」若しくは「尾行」となる可能性は低くない。
そうなったならば、物資の補充をする余裕は無いだろう。

アジトがあるという東の山地までは、徒歩ならば早くとも一週間程度掛かるだろうか。
昨日買い物をしたとはいえ、それは必要最低限。
数週どころか一週間も保たないかもしれない。

そういう訳で食料を調達すべく、彼らは再び商店街を訪れた。

買い込んだ保存食を包みながら、道具袋を風呂敷にしてよかったと6は実感する。
積み上げさえすれば幾らでも持ち歩ける為、シックスの分の食料を置いても尚余裕はあった。
とは言え積み上げただけでは取り出しに苦労する為、収納用の棚でも買おうかとも彼は考えたが。

前払いの2,000Gを有効活用し、万全の状態で彼らは翌日を迎えた。




※来週使う安価を小出しに。次週までに2人(隊長と魔術師)の名前案が無ければこちらで決めます
・親衛隊長の性別>>249
・親衛隊長の容姿・服装装備・得物の類>>251-252
(シースルー・裸族不可。重複不可設定は早い方優先)



−−−−−−−−−−
あんまりの進まなさに巻きが入り始めました。
そろそろ安価から妄想した設定を内々で固め始めようかと思う
(とはいえスライム状なので安価次第で変わっていくだろうけど)
ここまでの設定纏め(俺用)が非常に長くなってしまった為
どのタイミングで投下するか非常に迷ってます…次辺り新キャララッシュだしなぁ

とりあえず>>234の御陰で>>17の「背格好」という修正忘れ凡ミスを回収できて内心超スッキリ
ではまた来週!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 23:33:53.04 ID:6Ygvwu7Y0<> おかま <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/07/27(水) 23:38:12.55 ID:3eM4oChAO<> 日本の侍でレーザーブレードとサイコガンを装備。人間バズーカを使うのが上手い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 23:38:23.18 ID:vyGx3Fpk0<> ハゲ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 23:42:13.34 ID:We+xkHd3o<> ピッチリと張り付いた露出の多い革の服で、鎖が沢山ついてる <> ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/07/27(水) 23:48:16.50 ID:RL5V3ZWto<> おかまでハゲまでは何とか脳内でこじつけられたけど服装wwwww
これは性格安価無しになるかもしれん、すまん

隊長の得物追加安価>>255
出来れば版権物以外で(版権物の場合は大雑把な設定と見た目のみを残して別物化) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 23:50:17.52 ID:6Ygvwu7Y0<> 鞭とロウソク <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/07/27(水) 23:50:26.00 ID:3eM4oChAO<> レーザーブレードとサイコガンを常に装備。人間バズーカを使うのが上手い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)<>sage<>2011/07/28(木) 00:20:02.83 ID:3T//nMCP0<> 盗賊より同行者の方が怖い件について <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/07/28(木) 14:02:22.99 ID:CL6zzncko<> 明らかに6とシックスのキャラを潰しにかかってるな
もうこいつが無双する姿しか浮かばない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 20:00:23.48 ID:AdZ4WRV7o<> 重火力型なんじゃね?
小回りの利く奴が欲しいって二人を雇う位なんだし

パワータイプに器用貧乏タイプなら姫の従者としてもバランス取れてるかも <>
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/08/03(水) 00:02:20.64 ID:7qTTo7fFo<> 夏休みだから余裕あるぜ!と思ったけどそんなことなかった

ぼちぼちちょっと再開します
それと誰か人間バズーカの詳細たのむ… <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 00:06:01.54 ID:7qTTo7fFo<>

***


約束の時刻の少し前、南東ゲートとその直ぐ傍にあるロッジ風の建築物を視認して、
6とシックスは目を合わせた。

「あれか……」
「あぁ、みてぇだなぁ……」

そう言って、シックスは少し歪な笑みを浮かべる。
6もまた、同じ顔をしているだろうという複雑な自信があった。

「一体、どんな人なんだろうな……」
「心配だよなぁ、色々とよぉ……」

建物内に居るであろう待ち人は三人。
依頼人のジュアンと、彼女の上司である親衛隊長、
そして、6達と同じ「請負人」という立場である魔術師。

様々な意味で問題なのは魔術師であり、ジュアン曰く
「実力自体は申し分のない、自称おかまの攻撃特化魔術師」だという。

親衛隊長に関しては一切の情報を受け取っていないが、
隊長というだけあって強くはあるのだろう。

「とにかく、俺達は俺達の目的達成を目指そう」
「おう!」

ジュアンらの任務に同行し、東山盗賊団の「術者」と接触する。
最悪尾行する覚悟もしているが、確実に目的を成し遂げるには、
依頼の間に出来うる限りの信頼を勝ち取り、正式に同行したい。 <> (何この涙目っぽいID)
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 00:09:03.61 ID:7qTTo7fFo<>
「よし……行こうか」

意を決し、彼らは建物――喫茶店へと歩み寄った。
少し不安げな手付きで、6は「Open」の看板が掛けられた扉を開く。

――嫌な予感がしていたのは確かである。
だが、現実はそれを遙かに越えていた。




(親衛隊長の性格>>262、魔術師の性格>>263)
(ある程度はこちらで調整したいので「ネガティブ」だとか「面倒臭がり」だとか、出来る限り大雑把に。
 細かすぎるのは再安価or部分採用) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/03(水) 00:12:08.22 ID:pzogzoOH0<> エロエロ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/03(水) 00:12:52.14 ID:HjrIHu9Io<> キレやすい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/03(水) 00:16:34.93 ID:oGt02mgLo<> どんどん危ない方向に向かってるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)<>sage<>2011/08/03(水) 00:37:46.21 ID:4FfFbgTAO<> 人間バズーカってサーカスの人間大砲みたいなもんじゃないの <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/03(水) 01:56:12.26 ID:51kv/xcZ0<> つまり南斗人間砲弾か <> ◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 05:00:03.41 ID:7qTTo7fFo<> くっそ>>262で予定してたフラグ(恋愛的な意味ではなく)がひん曲がった!毎度の事だ!
>>265 サンクスそっちか!何かぐぐったら異名云々ばっかり出たからどうなんだろうと
−−−−−−−−−−



確かに、店内には三人の客がいた。
一人は長髪を後頭部で纏め上げたジュアン。
だが、その傍で会話を繰り広げる二人組が問題であった。

アザミ色のフードマントを纏った人物が一人。
胸こそはあり顔も差ほど崩れてはいないが、僅かに確認出来る骨格は完全に男性のそれである。
傍らに紅の宝石を抱いた杖を掛けていることから、此方が例の魔術師であろう。
髪型も栗毛のウルフカットであることから、「おかま」という印象は薄くはあるが。

問題は、もう一人であった。

防具と呼ぶには些か露出が多い、装飾の鎖が沢山付いた革の装備――耐久面に関してのみ
述べるならば、6やシックスの服装も相当残念なものではあるが――、その傍には
6が見たこともない金属の塊が置かれている。武器の一種であろうか。
消去法でいくならば、このボールドヘッドの人物が親衛隊長だと考えられるが、果たして。

「それにしても……こんな場所で同士と出会うなんてね。全くもう、びっくりしたわ」
「あたしもびっくりよー。神様に感謝するっきゃないねぇ」
「そうね」

裏声気味に繰り広げられるやり取りを聞き、6はぐらりと眩暈を覚える。
どうやら、「男でも女でもない」のは一人ではなかったらしい。

平然とティーカップの中身を啜っていたジュアンが、気付いた様に二人を手招いた。

「待っていたぞ」 <>
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 05:03:13.50 ID:7qTTo7fFo<>
その言葉に続く様に、他の二人の視線もまた彼らに注がれる。

「キミ達が彼女の言ってた二人組? 随分と若い子ねぇ」

それを言ったのは、ボールドヘッドの人物。
むっとしたのも束の間、ジュアンが少しベクトルのずれた言葉を投げた。

「貴方の好みの年頃の男性なんて、とてもではないですが雇えませんよ」

そう言って、やはり隊長だというその人物に冷めた視線を送るジュアン。
一方で、ローブの人物はにこりと笑う。とはいえそれもまた気持ちの良い笑みではなかった。

「なに? 貴方、年上が好きなの?」
「ううん、そういう訳じゃあ――」
「ストライクゾーンは二十代から三十代。片っ端から口説き出すせいで、
 その年代の強者を雇えやしない」

そうか、そういう……などというシックスの呟きを、6の耳が捕らえる。
6が意味を問う前に、ジュアンは彼らの方へと顔を向けた。

「心配するな。君達ならば、そういった心配は無い」

その一言で、6は漸くこの流れを理解する。
とんでもない依頼を受けてしまったものだ、と彼は改めて溜息を吐きたくなった。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 05:06:54.22 ID:7qTTo7fFo<>


円状のテーブルを囲うように座り、自己紹介が始まった。

「若国王女親衛隊隊長、ペルラ・コニーリョ。宜しくねぇ、坊や達」

そのあまりのインパクトに、6もシックスも「坊や」に反論する余裕もなく。

「冒険者のセストよ。属性魔法なら任せておいて」

想像よりもずっとまともだった為に、魔術師セストに対する不安感は無い。
最もその不安感は、もう一人がかっさらっていった、とも考えられるのだが。

「6、だ。旅は始めたばかりだが、剣の腕は磨いてきた。宜しく頼む」
「オレはシックスだ」

二人の自己紹介を聞き、セストが唸る。

「ふーん、ロクにシックスね……兄弟か何かなの?」
「ちげぇちげぇ、数日前に会ったばかりだ」

ぶんぶんと手を振って否定するシックスと、小さく首を振る6。

「……そう言えば、盗賊の方は旅歴五年と言っていたな」
「へぇ、その歳で五年って事はさぁ、結構ハードな人生送ってるじゃないのー」
「そ、そんなことねぇよ!」

何故かにこやかな隊長に対し、息を荒立てて反論するシックス。
謙遜という様子ではなく、本当に触れられたくないらしい。

それは隊長も解っているのか、「はいはい」と言ったきり
それ以上の言及をしようとはしなかった。

その様子を見つつ、溜息混じりにジュアンは言った。

「一応、私も改めて自己紹介しておこう。親衛隊隊長補佐のジュアン・サトゥルノだ。
 得物は刀だが、極初歩の魔法ならば多少は使用できる」

言ったのも束の間、さて、と彼女は地図とペンを取り出した。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 05:13:21.02 ID:7qTTo7fFo<>
「客が居ないのも開店直後の今だけだ、昼になれば流れ込んでくるだろう。手早く済ませるぞ」
「……ん、隊長じゃなくてアンタが進行するのか?」

シックスの疑問は尤もである。
わざとらしく眉を潜め、ジュアンは応えた。

「こういうのは私の仕事でな。隊長に任せては進む物も進まない」
「相変わらず毒舌ねぇ。まぁ、否定はしないけど」
「自覚しているのなら、せめて邪魔はしないでください」

何故ジュアンが隊長ではないのか、と6は疑問に思う。
その傍で、何事も無かったかのように彼女は地図を広げた。
二日前と同じ様に、ジュアンはペンの後ろで一本道をなぞった。

「このルートを夜まで歩き続ける。目標は、この無人宿だ」

コツコツと二度叩かれたのは、森の中の少し開けた場所。
そこには、印と共に小さく文字が書き込まれていた。

少し怪訝そうにセストが問うた。

「もしも襲撃が無かったら?」
「「餌」は撒いた。奴らなら引っかかるだろう。万が一現れなければ、その時は解散で構わない。
 約束通り、報酬は支払おう」
「……貴方のギルドカードは本物だったものね。信用するわ」

信用すると言っても尚、その顔には心配心が残っている様に取れる。
それを見て見ぬふりをする様に、ジュアンは説明を続けた。

6達にとっては、襲撃無きまま解散の方が好都合かもしれない。
そうなったならば、何かにつけて襲撃があるまでは付いて行き易い。

「そして、今回の作戦で最も重要な役割を果たして貰うのは――君だ」
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 05:18:27.20 ID:7qTTo7fFo<>
「――は?」

ペン先を向けられたのは、6であった。

「どういう、事だ……?」
「君の背負っている風呂敷、それは生物さえも運べる代物だ。
 その中に姫様を匿っている様に見せかける」
「しかし……俺の聞いた話じゃあ、長時間は厳しいと――」
「勿論ただ入るだけならば、な」

にやり、と彼女は笑う。

「そんなもの、他の道具との併用で幾らでも何とかなる。恐らく「奴ら」の常識でもあるだろう」
「……ジュアンらしくない作戦ねぇ」

これまで黙っていた隊長が、急に口を挟んだ。
一転、ジュアンの表情は再び難しいものへと戻る。
その顔で、彼女は隊長に向かって言い放った。

「そもそも今回の作戦自体、元々は私の考えたものではないですからね」
「どういう事だぁ?」
「今回の作戦は、元々は姫様のお考えなのだ」
「改めて思ったけど……随分と元気なお姫様ね」
「ああ……囮戦法自体は有効だろうが、姫様を危険に晒す訳にはいくまい。その点に関しては、
 どうにか納得して頂いた」

つまり、と6は言う。

「ターゲットがその様な事を思いつく人物だからこそ、今回の作戦が成り立つと」
「そういうことだ」

そう言って、彼女は小さく頷いた。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 05:24:19.76 ID:7qTTo7fFo<>
「私と隊長は出来れば戦闘に徹したい。セストでも構わないが、魔法は使用時の隙が大きい。
 そこでそれなりの戦闘力があり、いざと言う時に魔剣で遠距離攻撃も出来る君だという訳だ。
 シックスには私達に足りない「機動性」をカバーしてもらいたいのもある」
「……成る程」

魔剣の力を引き出すには、ある程度の精神統一が必要である。
しかし一昨日手合わせをしたのだから、それを把握した上での発言ではあるだろう。

「故に、基本的にはロクを守る様に見せかける。勿論、風呂敷を守る形で
 あまり動かない様にならば、ロクも戦闘に参加してもらって構わない」

とは言え、あまり積極的には参加出来ないだろうか。
他にも、木々にもたれ掛かる等の些細な行動も気を付けた方が良いかも知れない。

「最後に改めて……今回の目的は、一人でも敵対者を捕まえる事。以上だ」
「一つ、良いかしら?」

控えめに手を上げ、セストが問う。

「何だ?」
「これまでの襲撃は、一体どんな感じだったのかしら」
「……ああ、忘れていたな」

確かに、その情報があればより対策は立て易くなるだろう。
森の中というのもあり、奇襲の可能性も高いのだから尚更である。

「黒の氣志團らしき者からの襲撃は、今回の任務中に三度。
 その内、明確な殺意が感じ取れたのは二度だ。戦い方としてはアサシンに近いな」
「アサシンか。暗殺目的なだけの事はあるわね」
「いや、それは今回に限った事ではない。黒の氣志團自体でその様な教育が施されている
 というのが現在の我々の見解だ」
「反体制組織が暗殺者を、ってかぁ……厄介なこった」

シックスの言う通りだと、6も思う。
目的を達成する為には形振り構わぬということか。

――それは自身にも言えることだと気がついて、内心6は嘲った。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 05:27:31.80 ID:7qTTo7fFo<>
「過去三回の襲撃に関しては、人数は多くても十人程度だったが……ただ、
 今回はこちらも同行者の存在を仄めかしている。彼方も戦力を増強する可能性は高いだろう」
「そう……森は厳しいわね。炎魔法は使えないし、暗殺者には有利な地形だし」
「しかし、ここでやらねばなるまい」

セストの杖の宝石は、炎を彷彿とさせる赤色であった。
もしかすると、得意なのは炎属性なのかも知れない。

「そうね、請け負ったからにはやってやるわよ」

そう言って、セストはガッツポーズを取る。

ちらりとジュアンは掛け時計を見た。釣られて6も時計を見遣る。
時刻は十時二十分、そろそろ出発する頃合いか。

「隊長、姫様は――」
「ちゃーんとギルドの人預けてきたわよぉ、ギルドなら安心でしょ?」
「……口封じ代は」
「当然よ!」

にこりと笑みを浮かべる隊長。
その傍ら、少し歪ながらもジュアンも笑みを浮かべた。
<>
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/03(水) 05:33:28.59 ID:7qTTo7fFo<>

***


元々魔物の少ない地域である上に、この地域に生息するそれの大半は夜行性である。
魔物らしい魔物にも遭遇せず、一行は順調に歩みを進めていた。

戦闘を行く隊長の左腕には、例の金属の塊が装着されていた。曰く、サイコガンと呼ぶらしい。
右腕の籠手のような装備もまた、レーザーブレードという内蔵型の武具なのだそうだ。

南老国・若国の地域は、この様な特殊な武具の技術が発達しているという。
現南老の地域で技術躍進、若国の地域でその素材を採取してきたという歴史、
それ故の現状だという。

「皮肉よねぇ。南老を忌避してるあたし達が、その技術の恩恵に与っているだなんて」
「とは言え、その技術も我々に対する搾取の上に成り立っていたのですから、
 我々が恩恵に与るのも当然だと思いますが」

少し悲しげな表情を見せる隊長と、飽くまで毅然とした物言いを貫くジュアン。
それが、6にはとても印象的であった。

話題はやがて、東山盗賊団へと流れてゆく。
問いを発したのはセストであった。

「そう言えば、東山盗賊団のボスってどんな人なの?」




(ボスの性格など@ジュアンの見解>>275、隊長の見解>>276)

※辻褄合わせが出来ないぐらい矛盾しすぎるものはジュアン優先で部分採用、若しくは再安価
※飽くまで見解という形なので、その部分が薄いor事実と異なる場合有。なので多少は矛盾してもおk
※これ以上おかまキャラが増殖してもアレなので性別は男性固定で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/08/03(水) 07:14:34.14 ID:QmxoVrRAO<> 誰とでも話を合わせるタモリみたいな人。
あ、そういえば俺の知り合いもねぇ〜、とか言う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2011/08/03(水) 08:27:24.92 ID:aX/MunTo0<> やさしずぎて、命を殺めたことがないらしい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/08/03(水) 13:21:50.27 ID:oGt02mgLo<> これなら真性のゲスにはなりそうにないな <> ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/08/04(木) 02:35:38.91 ID:G4fcxjbCo<> もう一回投下するつもりだったのですが、ちょっと無理っぽいです
予定に一歩及ばずのパターンが多すぎる…

またちょっと来週まで潜ります <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/08/04(木) 05:44:29.93 ID:IaJzMLEe0<> 追いついた。面白い。>>1頑張れ! <> 蒼牙 ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/08/08(月) 01:57:07.49 ID:XFH3k4yBo<> 応援thxでした! ぼちぼち再開します。今週中には>>263回収したいところ…
突っこまれる前に書いておくとおかま二人の三人称は仕様。しかし安価を挟む場所に迷ってきた…

某所で鳥間違えて涙目になったので、再発防止の為に今週からコテ付けます
(ギコナビで一々選択しているので、鳥キーだけだとぼーっとしてると選択ミスする)
どうせ文体でバレそうなのとルールの都合上、あっちの鳥も変更していないですが

後、先々週に「エロいメイド服」でぐぐったせいで
楽○の広告がメイド服擬きに制圧されてうがーってなってます、最近 <> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/08(月) 02:03:41.65 ID:XFH3k4yBo<>
隊長とジュアンは、その問いを聞き顔を見合わせる。
先に答えたのは隊長であった。

「そうねぇ……優しすぎる人、かしら」
「優しすぎる?」
「言動が犯罪者のものとは思えない感じなのよねぇ。
 それに……彼自身、人の命を奪ったことが無い……そう言っていたわ」

それを聞いたセストは、驚いた様に目を見開く。
空いた左手を口元に寄せ、彼は言った。

「盗賊団の頭なのに?」
「ホント、変わってるわよねぇ」
「義賊なのかしら……? でも、東山盗賊団がそうだって話は聞いたことが無いし……」

笑みを浮かべる隊長の傍ら、ジュアンは呆れた様に言葉を吐いた。

「……ふん、所詮自己申告だろう」
「あら……隊長さんの話は嘘だったの?」
「その話自体は嘘という訳ではないが……しかし、あの男の言うことは信用ならん」
「……どういう事かしら?」

訝しげな表情で、ジュアンの顔を覗き込むセスト。
その動作を特に気にする様子もなく、ジュアンは言った。

「私の見解を述べるならば……あの男は平気で嘘をつく。
 誰とでも話を合わせようとする癖があるからな」
「そんな言い方はないでしょ、ジュアン?」

反論しようとする隊長に対し、彼女は実に冷ややかな視線を送った。

「隊長、私は姫様があの様な輩と付き合うなど、到底認められませんから」
「……信用に足る良い男だと思うんだけどねぇ」
<> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/08(月) 02:10:42.01 ID:XFH3k4yBo<>
――無言を貫きつつ、それらのやり取りを聞いていたシックスは、
同じく無言が続いていた6に向けて、ひそひそと小声で言葉を発した。

「よく自然に相手できるよなぁ、それも二人もよぉ……」
「まあ……慣れているんだろうな……」

シックスがどうかは知らないが、少なくとも6にとっては
この手の人間を実際に見たのは初めてであった。

人間というものは、未知なるものに対して警戒心を抱くものらしい。
意識的ではないものの、未だに警戒心が残るのは事実である。

とは言え、あまりにも隊長の個性が強すぎたが故に、セストへの抵抗は
相対的に薄れていた。
おかまという割には中性的だった出で立ちに加え、年齢も6と同じぐらいか、
それよりも一、二歳程度年上に感じられたからかもしれない。

同じ年頃というのは、それだけで警戒心が薄らぐものだ。
シックスの時も、そうであった。

……そう考えたところで、疑問は自然と口に出た。

「そう言えば、セストは何歳ぐらいなんだ?」

セストが「女性」と自称したならば失礼な質問になってしまうだろうが、
二日前のジュアンの言葉を考えれば、彼は敢えて「おかま」と強調したと考えてよい。
半ば無意識に発した質問ではあるが、特に言い訳などもせずに6は回答を待っていた。

案の定、特に嫌な顔もせずにセストは答えてくれた。
<> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/08(月) 02:16:30.65 ID:XFH3k4yBo<>
「私? 十七歳よ」

ほぼ、予想通りである。

「ロクとシックスはいくつ?」
「十六だ」
「オレは十四だぜ」
「へー、二人とも年下だったのね」

実際に言葉のやりとりに持ち込んでみると、案外話しやすい。
マントの下に纏っているのも、淡色のロングスカートだからだろうか。
魔術師のローブを彷彿とさせるそれに、そこまでの違和感は無い。

以前像を結んでしまった「女性用の暖色のローブを纏った中年の男性」ではなく
本当によかった、6は真面目にそう思った。




(昼食休憩までに起こった出来事・トラブル・遭遇したものなど>>285 / 何も起きない、も可)
※あんまりに無茶苦茶なものは再安価するかも。でも出来るだけ頑張る <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/08/08(月) 04:20:13.35 ID:apSj4gsAO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/08/08(月) 04:34:48.02 ID:/VWfr/m50<> 女の新キャラ(6関連の名前で魔術士)が登場 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/08/08(月) 06:44:07.01 ID:/VWfr/m50<> 魔術士じゃなくて魔術師だな、すいませんミスです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)<>sage<>2011/08/08(月) 07:56:37.12 ID:UN/D8NtAO<> それって裸踊りの奴? <> 蒼牙 ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/08/08(月) 14:41:19.48 ID:XFH3k4yBo<> またキャラが増えるのかwそろそろこの形式でちゃんと動かせるのか不安になってきたw
本文中でもよく表記揺れしているので気にせんでください


状況(シチュエーション)追加安価>>289 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/08(月) 15:48:26.49 ID:lZIlc8e7o<> 空から落ちてきて6にぶつかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/09(火) 09:07:36.02 ID:r434WRb+0<> 6「親方!空から女の子が!」

あのちーへいーせーんー かーがーやくーのーはー <> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/09(火) 15:27:11.25 ID:bnHpzrd+o<>
……そんな事を考えていた、その刹那。

「――ロク!」

抜刀と同時に叫んだのは、ジュアン。
反射的に足が止まり、彼女の視線を追い――空を見上げようとしたが遅かった。

次の瞬間、何かしらに押しつぶされる様に、6は前のめりに倒れ込む。
不意打ち故に受け身など取れず、彼は力なく呻いた。

どうやら、頭上より何かが振ってきたらしい。
そして、その「何か」を理解するより早く。

「何物だ、貴様!」

武器を構える隊長とジュアンを、6の眼は捕らえた。
両拳に力を込めて、彼は首を後ろへ捻る。




(魔術師の容姿>>292-293 / 矛盾する場合は>>292優先、シースルー・裸族NG)
(魔術師の性格>>294) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/09(火) 15:31:30.05 ID:1KMZbmai0<> ボイン、ツリ目、高身長 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/08/09(火) 15:34:42.96 ID:amBO79vAO<> 全裸 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/08/09(火) 15:35:27.61 ID:TIYKUo5AO<> クール&おバカ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)<>sage<>2011/08/09(火) 15:36:37.45 ID:amBO79vAO<> あ、ごめん。全裸ダメだったんだ <> 蒼牙 ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/08/09(火) 15:41:28.26 ID:bnHpzrd+o<> むしろ安価スレなのにいちいち制限ついてごめん

服装再安価>>298
裸族・シースルーNG、情報が足りない場合はこっちで装備追加 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/08/09(火) 15:44:15.16 ID:Qq9MzE4AO<> 虎柄のパジャマ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/09(火) 15:44:17.16 ID:JzFJnGoD0<> ツナギ(ノーブラ・ノーパン) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/08/09(火) 16:51:12.73 ID:ydpWLd5AO<> 赤と白のもふもふしたのつけて白い大きい袋を持ってる <> 蒼牙(ノーパンノーブラは後日消化する) ◆Y706p.....<>saga<>2011/08/09(火) 19:28:42.70 ID:bnHpzrd+o<>
黒髪ポニーテールの女性が、まるで椅子にでも座るような形でそこにいた。
大きなチャックが印象的なツナギを着てはいるが、その手には杖がある。
違和感のある服装ではあるが、魔術師かその志願者であろう。

高身長にツリ目、それだけ言えばジュアンに似た印象を抱きそうなものだが、
その瞳は「きょとん」という擬態語が相応しい様子であった。

それにしても、チャックが完全には引き上げられていないのと、
加えてアングルのせいで、どうにもその豊かな胸に目がいってしまう。
つい、6は目を逸らした。

「な、何だぁっ?」

今の6からは見えないが、シックスがナイフを抜いたらしい音も僅かに聞こえた。

……しかし、当の女性はというと、周囲の敵意など気にも留めない様子でただ一言。

「ああ、またやってしまった……」
「あのね……貴方、状況解ってるの?」

先程までの様子とは一転、苛立ち露わにセストが言葉を発する。
しかし、女性は飽くまでマイペースに言葉を返した。

「あなた達は?」
「……この状況で問い返すとは、呆れたものだ」
「まぁまぁ、落ち着きなさいよジュアン。それにセストちゃんも」

隊長の言葉を聞き、ジュアンとセストは小さく唸った。

――言葉を割り込ませるなら、今しかないか。
<> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/09(火) 19:36:43.11 ID:bnHpzrd+o<>
「とりあえず……降りてくれないか……」

ナイスバディな女性の尻に敷かれる、などいう状況はそう経験出来るものではないが、
6は別にマゾヒストという訳でもない。
経緯がどうであれ――主に自身のプライドの為、あまり地に這い蹲りたくなかったのが
正直なところであった。



「名前はシャスチ、「シャス」でいい。今は座標魔法の勉強をしてる」
「座標魔法、ですって?」
「座標魔法だと……?」

驚きの表情を浮かべたのは、魔法を扱えるジュアンとセスト。

「セストちゃん、何なの? 座標魔法って」
「一般には「転移・転送魔法」とも呼ばれている魔法よ。魔法の中でも
 かなり難しい部類に入るから……魔術師でも使える人はそう居ないわ」
「……と言うことは、君は魔術師なのか?」
「ええ」

胸ポケットからチェーンを手繰り、引っ張り出されのは紋章の描かれた小さなメダル。
チェーンと銅色のメダルの繋ぎ目を摘み、彼女は小さく唱えた。

「……《送力魔法・術師証明》」

――紋章が、紫色に浮かび上がる。
心臓の鼓動が如く数度波打った後に、その輝きは再び失われた。

その様子を見たジュアンとセストが、互いに顔を見合わせる。

「本物、みたいね」
「その様だな……」

どうやら、これが魔術師の証明らしい。
<> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/09(火) 19:42:55.72 ID:bnHpzrd+o<>
「これが……。初めて見たな」

じっとメダルを見つめていた6も、ぼそりと呟く。
そして、ふと言った。

「そう言えば……セストも同じ物を持っているのか?」
「ええ、これとは少し違うけれど」

そう言って、セストはスカートのポケットに手を突っこむ。
やはりチェーンで繋がれたそれは、シャスチのそれとは紋章が違った。
加えて、色も違う……銀色だ。6にとって、寧ろ気になったのはそちらであった。

「色が違うな……」
「だって、私は中位魔術師だもの」
「中位――ああ、そうか」

何処かで知った知識が、脳裏を過ぎる。

基準までは知らないが、魔術師の資格というのは全部で三段階あるらしい。
「銀色」で「中位」となるならば、「金・銀・銅」で「上位・中位・下位」
となるというのが妥当であろうか。

そしてそれが正しいならば、銅色のメダルを持つ彼女は「下位」という事か。
最も、「下位」とはいえ魔術師というだけで充分凄い事なのだが。

「別に、資格が欲しくて勉強しているんじゃないし」

此方の考えが見透かされた様な、そんなシャスチの発言。

「メジャーな魔法よりもマイナーな魔法の方が、練習していて楽しいし」
「そうね……やりたい魔法を極めるのが一番だと思うわ。
 私だって、たまたまやりたかったのが攻撃魔法ってだけだった訳だし」
「……ところで」

ジュアンが、静かに割り込んだ。

「大方予想は付くが……敢えて聞こう。何故、君はここへ来た?」
<> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/09(火) 19:48:30.02 ID:bnHpzrd+o<>
直刀は、尚も右手に握られたまま。
尋問する彼女の姿は、正に軍人のそれであった。

しかし、シャスチはそれに怯える様子もなく。

「えっと……地図を持ってない?」

表情はそのままに、ジュアンは無言で地図を出し、そして手渡した。
地面に広げられた地図の、そのある地点に切っ先を向けてジュアンは言った。

「現在地は、この辺りだ」
「……やっぱり」

ここで漸く、シャスチが苦い顔を見せた。

「ここの村から、港町に飛ぼうとしたんだけど」

6を含め全員が、地図を覗き込んだ。

彼女が指さしたのは、この南東の中程にある小さな集落。
そして森を抜けた先にあるのが、港町。

村から港町までの直線距離と、今6達がいるであろう地点から村までの直線距離は
ほぼ一致していた。
6は魔法に疎いものの、考えるに、方角を真逆に指定してしまったということか。

「成る程、やはりか……」

呆れた様に、ジュアンは刃を地図から放す。
しかし、まだ納刀はしていない。
<> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/09(火) 19:52:09.33 ID:bnHpzrd+o<>
「ところで……あなた達、行き先は港町?」
「……ああ、そうだが」
「一緒に行っても――」
「駄目だ」

ジュアンは首を横に振る。彼女の立場を考えれば当然であろうか。
しかし、助け船を出したのは。

「いいじゃないのぉ、一緒に行きましょうよ」

よりにもよって、隊長であった。
ジュアンは露骨に嫌な顔をし、隊長の方を向く。

「隊長! 我々の立場を解っているのですか!」
「相変わらず頭が固いわねぇ、隊長のあたしが良いって言ってるんだからいいじゃないの」
「くぅ……この様な時だけ隊長隊長と……!」

ついに、あのジュアンから本音が漏れた。
しかし自覚しているのだろうか、隊長は特に追及しない。

ジュアンが黙ったのを確認して、隊長は言った。

「でも……そうねぇ。結構アブない旅をしているんだけど……シャスちゃん、
 戦えるかしら?」
「直接は厳しいけど、座標魔法でのサポートなら。近距離での座標固定ぐらいなら
 ほぼマスターしてるから。初歩魔法は治癒魔法ぐらいしか覚えてないけど」
「ふぅん、成る程ねぇ……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2011/08/09(火) 19:56:03.37 ID:bnHpzrd+o<>
腕を組んで頷いた後、隊長がジュアンに耳打ちする。
流石に6には聞こえはしないが、予想は出来ないでもない。

恐らく――「対象の捕獲」という目的の達成には有用、という様な内容であろう。

実際、隊長の言葉を聞いたらしいジュアンは、渋い表情を浮かべつつも
ようやく刃を鞘に収めた。

「仕方ない。身の安全は保証出来ないが……」
「それは別に大丈夫」
「……だが、もう一つだけ聞いておきたい」

右手は、尚も柄に触れたまま。

「君は、何を主業としている?」




(シャスチの職業>>307)
※戦士とか魔術師とかのキャラクタークラス的な意味ではなく、冒険者とか商人とか学生とかそんな感じの
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/09(火) 19:57:56.46 ID:JzFJnGoD0<> 遊び人 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/08/09(火) 19:58:08.21 ID:amBO79vAO<> ニートの露出狂 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/09(火) 20:01:50.75 ID:1KMZbmai0<> >>307
素直に無職って書けよwwwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/08/09(火) 20:04:11.78 ID:amBO79vAO<> やべ、踏み台のつもりで書き込んだら安価取っちまった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/10(水) 13:54:34.09 ID:UV8kV/qW0<> まだでござるか <> 蒼牙(安価無し) ◆Y706p.....<>saga<>2011/08/11(木) 07:27:35.89 ID:IXI3JuNjo<>
「また厳しいところを突くね」
「……」

元々軽いとは言い難かった空気が、この一瞬にして更に重くなる。
人には言えない職、という事か……?

しかし、差ほど間が空くこともなく彼女は答えた。

「まあ……身も蓋も無い言い方をすると、働く気もない無職かな」
「本当か?」
「嘘を言う理由はないけど、でも無職の証明って難しいから。でも」
 ――場所によっては、犯罪者ではあるかもしれない」
「なっ……!」

特に悪びれる様子もなく、しかしシャスチは洒落にならない発言をした。

ジュアンは再び刀を抜き、他の者もまた武器を構える。
6も例外ではなく、抜剣こそしていないものの魔剣の柄を握りしめた。

あの黒の氣志團の行為も、聞く限りはその全てが犯罪行為とは言えない。
それを考えれば、彼女が黒の氣志團の関係者であるという可能性も浮上する。

怖じ気づく様子は見られず、しかしシャスチは小さく両手を上げた。

「落ち着いて欲しい。単に趣味の問題だから」
「趣味って……?」

セストが問う。
現状、ジュアンと同程度に彼は警戒心を露わにしている。

そんな彼に、シャスチは言った。

「私、露出癖があってね」
「……えぇっ?」
<> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/11(木) 07:32:24.03 ID:IXI3JuNjo<>
6と、そしてシックスは同時に彼女から顔を逸らす。
目の前の女性のとんでもない告白に、6の顔は反射的に火照った。
行動を見るに、恐らくシックスも同様であろう。

シャスチは爆弾を投下し続ける。

「基本的には上半身だけだけど、余計なものを着けるのが嫌いなのもあって
 今もこの服一枚だし、それに――」
「……解った、解ったわぁ。ロクちゃんとシックスちゃんが鼻血吹いて
 倒れかねないから、もうその辺にしてあげて」

少し気後れ気味な隊長の言葉が、シャスチの言葉を遮った。

嘗て幼馴染みに「むっつり」だと称されたがあるとはいえ、
それは年齢が一桁の頃の話だ。
今の、この手の話題に特別耐性がある訳でもない。

流石に作り話宜しく鼻血を吹いたりはしないと思うが、
それでも真面目な意味で思考が狂いかねないので、
隊長が遮ってくれたのは6にとって有り難い事ではあった。

「ジュアン」

まだ顔の向きを戻せやしないが、隊長の言葉が聞こえる。

「少ぉし変わった子みたいだけど、悪い子じゃないと思うわ」
「まあ、あなたも相当変わってるように見えるけど」

特にリアクションを見せなかったシャスチではあるが、
一応彼女なりに異常性は感じていたらしい。
<> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/11(木) 07:38:30.32 ID:IXI3JuNjo<>
少々長い間の後。

「……はぁ」

ジュアンが溜息をついた、というよりもそれを彷彿とさせる声を発した。
ある種の意思表示と考えられるか。

そろそろ火照りも収まってきたからと、6は再び視線を戻す。
彼女の刀は、もう鞘の中に収まっていた。

仕方がない、とジュアンは言った。

「……我々に対して余計な詮索をしない、「目的の達成」への協力をする、
 それに対しての報酬は出ない、妙な行動を起こせば拘束をする。
 ……この条件なら構わないが」

事情が事情とはいえあまりにも一方的であり、そして遠回しに
「認めない」と言っている様なものである。

にも関わらず、シャスチは頷いた。

「いいよ、その条件で」
「後、その……露出癖も抑える様に」
「わかった、我慢する」

そして、特別表情を変える事もなく彼女は問うた。

「でも、「目的」については教えて欲しい。じゃないと協力出来ないから」
「……そうだな」
<> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/11(木) 07:46:25.43 ID:IXI3JuNjo<>
少し考える仕草を見せた後、ジュアンは6を指さした。

「そこのゴーグルの少年――厳密には、彼の道具袋の中の「あるもの」が
 何物かに狙われている。もしそれを狙う者達が現れたならば、
 それを退けるべく協力して欲しい」
「「あるもの」か……それも詮索しちゃいけないもの?」
「当然だ」

シャスチが特に不満を漏らさぬのを確認し、ジュアンは言葉を続ける。

「問題は……付け狙う者が何者なのかが分からない事だ。その正体を暴くべく、
 可能ならば生きたまま取り押さえたい」

上手い、と6は思った。
この説明ならば彼女は問題なく「目的達成への協力」を行えるし
仮に彼女が黒の氣志團の一員だったとしても、「姫の不在」は悟られない。
正体の解明を目指す事は至極当然のことであるから、
これを理由に襲撃を控える可能性も低いだろう。

「……とはいえ、最低限の蘇生魔法ならば心得ている。損傷を抑えられるならば
 一度殺しても構わない」

間違ってはいないのだろうが、何気に無茶苦茶な事を言っている。
魔法を使える者はそうでない者と比べ、こうも感覚が変わってくるものなのだろうか。
最も、ジュアンの場合は立場と性格の問題もあるだろうが。

しかしならば、過去数度の交戦では全て逃亡を許してしまったという事か。
これは、想像以上に大変かもしれない。 <> 蒼牙
◆Y706p.....<>saga<>2011/08/11(木) 07:49:18.06 ID:IXI3JuNjo<>
次の安価まで辿り着かないので、中途半端ですが書けたところ迄で投下
結局場面もほぼ切り替えられず終いか…orz

びっくりするぐらいシックスが空気ですが、今回は立場上仕方がなかった
(別に魔術師でもない、6程無知ではない、隊長程も発言力がない)

基本的にこのスレは
「投下する可能性のある期間を(結構広く)宣言、その中で更に超不定期で投下」
という安価スレらしからぬ方針を取っています
自身の遅筆もあり、一度の期間に数度が限度ですがご了承を

ではまた来週ー <> 蒼牙
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/08/16(火) 23:27:25.81 ID:ZYpehyyTo<> すみません、今週ちょっと無理そうです…orz
そして一週間程度帰省になりますので、来週もちょっと来れないです
二週空いてしまう形になってしまってすみません…

課題の残量的にその次も不安ではありますが
酷くとも一回は投下に来れる様頑張ります <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2011/08/21(日) 17:36:41.05 ID:hoFnrPrh0<> 待ちます <> 蒼牙 ◆Y706p.....<>sage saga<>2011/08/30(火) 14:35:51.69 ID:NvLbVqwCo<> お待ちくださっている方が居る中申し訳ないです
どう考えても8月中に時間を作る事が出来ないのでもう一週お時間下さい…
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/09/01(木) 22:56:24.77 ID:DjK9g6wI0<> 九月になったぜ! 禁断症状が起きる前に来てくれよ!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/23(金) 20:58:41.01 ID:0g2yyD//0<> 失踪? <> 蒼牙
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/09/24(土) 20:22:57.30 ID:mAEmUXZQo<> 生存報告せずに自分を追い込むという最終手段をとったのですが
忙しくてNIP自体に来れない日が続いていました…

一年で一番忙しいに突入してしまったので、この先一ヶ月ぐらいは書けそうにないです…
それなりに再開出来そうな感じであれば宣伝スレ(これから立てようと〜スレ)の方に
宣伝兼ねて書き込むつもりなので、待ってくださっていた方には申し訳ないのですが
一度切っていただいた方がいいかもしれません
(一度落とすかとも考えたのですが、まだ書きたい気持ちはあるものの落としたらもう戻れない気がして)

またもや生存報告で本当にすみませんでしたorz <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/09/26(月) 05:40:32.98 ID:YUf/LYoAO<> >>321
待ってるぜい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/10/01(土) 17:06:10.15 ID:bQaSOdRU0<> >>321
待ってるよー <> 蒼牙
◆Y706p.....<>sage saga<>2011/10/16(日) 12:09:07.56 ID:hdhTi6uKo<> 生存報告です
割と切実にバイトやめたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(新潟・東北)<>sage<>2011/11/14(月) 00:39:23.03 ID:z2NRO0gAO<> ルール変わったから一応保守 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 23:31:58.09 ID:KdfllRK40<> もうそろそろ12月やな・・・ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 02:09:40.32 ID:4Sm/gkZs0<> |д゚)チラッ <> 以下、あけまして<><>2012/01/04(水) 22:51:10.51 ID:0BY7zN0n0<> 一月だ・・・ <>