VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:26:50.79 ID:XJEiPlqb0<>先日、vipで『唯「あずにゃんが横浜のドラフト1位!?」』を書きましたが、
シーズン途中という中途半端なところで終わってしまいました。

完全に前回の続きなのでvipに建てるのも気が引け、こちらでその続きを書かせていただこうかと思います。

もし興味を持っていただけたなら、前回のものから読んでいただけたらありがたいです。

○前回(唯「あずにゃんが横浜のドラフト1位!?」)
・スレ  ttp://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1309622835/

探してみると、まとめサイトで編集されたものも見つかりました。
途中で止まっているサイト、よく分からない編集のものもありましたが、スレタイで検索していただければ、
読みやすくまとめていただいたものが見つかるかと思います。<>唯「あずにゃんが横浜のドラフト1位!?」憂「クライマックス!」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:28:53.61 ID:XJEiPlqb0<> 憂「さて!横浜ベイスターズがまさかの三位入りでプレーオフ進出を決めました!」

憂「梓ちゃん凄い!頑張ったね!」

憂「でもパリーグはまだ日程は決まっていないし、セも何試合か残ってます」

憂「そして何より!お姉ちゃん率いる巨人の優勝がまだ決まっていません!」

憂「プレーオフの前にそれらの試合の応援に行って来たいと思います!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:30:09.05 ID:XJEiPlqb0<> 憂「さて!横浜ベイスターズがまさかの三位入りでプレーオフ進出を決めました!」

憂「梓ちゃん凄い!頑張ったね!」

憂「でもパリーグはまだ日程は決まっていないし、セも何試合か残ってます」

憂「そして何より!お姉ちゃん率いる巨人の優勝がまだ決まっていません!」

憂「プレーオフの前にそれらの試合の応援に行って来たいと思います!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:34:25.45 ID:XJEiPlqb0<> 憂「その前に、各選手の前提情報と各リーグの順位を!」

 ○平沢唯:巨人 3B 右投げ右打ち 
 ○田井中律:阪神 C 右投げ右打ち
 ○中野梓:横浜 リリーバー 右投げ右打ち
 ○琴吹紬:広島 RF兼クローザー 右投げ両打ち
 ○秋山澪:日ハム スターター 左投げ左打ち
 ○鈴木純:ソフトバンク LF 右投げ右打ち
 ○山中さわ子:西武 セットアッパー 右投げ右打ち <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 18:37:08.83 ID:8za/BQHIo<> 続編期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:38:54.69 ID:XJEiPlqb0<> セリーグ
 
 1巨人☆
 2中日☆
 3横浜☆
 4広島
 5ヤクルト
 6阪神

パリーグ
 
 1日ハム☆
 2ソフトバンク☆
 3西武
 4オリックス
 5楽天
 6ロッテ

 ☆=プレーオフ出場権獲得

憂「セパ共に大混戦の中、セは横浜が三位に滑り込み!
  パは四球団すべてにまだ三位の可能性があります!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:41:30.55 ID:XJEiPlqb0<> 憂「CS(クライマックスシリーズ)出場をかけた争いから目が離せませんね!」

憂「それでは今日はこの試合を観に行きましょう!」

 楽天vsロッテ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:46:10.69 ID:XJEiPlqb0<>  〜楽天ベンチ〜

星野「おい若王子!今日という今日はスタメンで出ぇ!」

いちご「え、ヤダ」

星野「何たわけたこと言うとるんや!今日負けたらCS出場の可能性がなくなるんやぞ!」

いちご「ふーん」

星野「しかもお前、なんでいつもベンチ裏におるんや!」

いちご「なんかオヤジ臭いから」

星野「……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:47:37.88 ID:XJEiPlqb0<> 聖澤「ま、まぁまぁ監督!ここは抑えて!」

星野「なんや聖澤!チーム全体で戦う意志のない奴に味方するんか!」

聖澤「いやそうじゃなくて…、でもそんなに強く言ったらいちごちゃんもビビっちゃいますよ!」

いちご(いちごちゃんて)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:49:25.42 ID:XJEiPlqb0<> 聖澤「ねっ、いちごちゃん!頑張ってCS出ようよ!それで日本シリーズに出よう!」

聖澤「日本一になったら凄いよ!祝勝会に海外旅行だよ!」

いちご(興味ない)

鉄平「旅行か…中日時代行ったなぁ…。あ、いや、そういえば俺行ってないな」

いちご(聞いてないよ)

いちご(はぁ…めんどくさ) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:50:47.41 ID:XJEiPlqb0<> 聖澤「ねっ、いちごちゃん!頑張ってCS出ようよ!それで日本シリーズに出よう!」

聖澤「日本一になったら凄いよ!祝勝会に海外旅行だよ!」

いちご(興味ない)

鉄平「旅行か…中日時代行ったなぁ…。あ、いや、そういえば俺行ってないな」

いちご(聞いてないよ)

いちご(はぁ…めんどくさ) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:52:22.46 ID:XJEiPlqb0<>  〜ロッテベンチ〜

今江「こ、これが新発売のウチ名物の応援弁当…」

里崎「これって応援弁当が出ると活躍できなくなるってジンクスが…」

伊志嶺「いや、でもあの二人ならそういうの喜びそうな…」


麻呂みたいな眉の娘「これがあの不幸を呼ぶ弁当…」

ハマーン様みたいな髪の娘「不吉なオーラが…。これは是非オカ研発表会でテーマに」


今江・里崎・伊志嶺「……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:54:53.83 ID:XJEiPlqb0<> 今江「そもそもどうやって入ったんや?」

伊志嶺「なんか催眠術で色々ごまかしたって噂が…」

里崎「催眠術て……」


麻呂眉「今日の千葉地方へのUFOの出現確率は」

ハマーン髪「12%…。アダムスキー型より葉巻型の方が可能性高」


里崎「……ありえるな」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:56:40.18 ID:XJEiPlqb0<>  〜マリンスタジアム〜

 憂「さて、この試合は私の知ってる人は出ないんですが」

 憂「負けた方はCS出場の可能性が断たれるという大きな試合です!」

 憂「おや、そろそろ始まるようですね!」

『一番、レフト、若王子…』

 憂「わ!この若王子という選手はずっと代打だったんですがついに先発するようです!」

いちご「はぁ、めんどくさ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 18:58:21.02 ID:XJEiPlqb0<>  実況「さて左打席には若王子いちご。
    ここまで長打はないものの巧みなバットコントロールで、代打で四割の打率を残しています」

 実況「吉見、第一球…投げた!」

いちご「……」カキッ

審判「ファール!」

 実況「難しい球を打っていきました」
 
 小宮山「非常にリストが柔らかいですね」

 実況「早くも仙台のイチローの呼び声もあがっています」

 小宮山「え?専大に一浪?いや私は早稲田に二浪です」

 実況「小宮山さん落ち着いて下さい」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:00:38.82 ID:XJEiPlqb0<> いちご「……」カキン!

 実況「若王子打った!これは二遊間を…!」

麻呂眉「…予想通り」パシッ

 実況「抜けなーい!セカンド、絶妙な守備位置!」

ハマーン髪「風水に基づいたポジショニング」コクコク

 実況「今季途中加入のこの二遊間、井口を指名打者に追いやっただけあります!」

 小宮山「荻野君が今季三度目のケガをしている間にスタメンを勝ち取りたいですね」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:02:10.41 ID:XJEiPlqb0<>  実況「楽天一回は三者凡退。さてロッテの一番二番はこの二人」

麻呂眉「……」コツン ポテッ

ハマーン髪「……」ポキッ コテン

 実況「完全に打ち取った当たりがなぜかことごとくテキサスヒット!」

 実況「さあ一二塁で打席には井口!」

 カキィーン!!

 実況「打ったー!これはレフト若王子全力で追――」

いちご「……」

 実況「――っていない!若王子微動だにしない!!」

 小宮山「これは二点間違いないですよ」

聖澤「うおおおおおおおおおお!!!」ダダダダダダ…

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:05:18.32 ID:XJEiPlqb0<>  実況「センター聖澤快脚飛ばしてレフトに猛ダッシュ!!」

聖澤「いちごちゃーーーーーーん!!」

 ダダダダダダダダ パシッ

 実況「捕ったぁぁーーー!!」

聖澤「いちごちゃーーーーん!!」ゴロゴロゴロ

いちご「ロリコ…いえ、聖澤さん」

聖澤「いちごちゃん…」

いちご「ありがと」

聖澤「いちごちゃーーーーん!!!」

 小宮山「僕が現役のころの初芝と小坂の関係に似てますね」

 実況「いやー、若王子、聖澤らの楽天外野陣は非常に強い絆で結ばれているんですね!」

鉄平「……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:06:54.85 ID:XJEiPlqb0<>  実況「しかしこれはランナーは飛び出していた!ロッテピンチ!!」

麻呂眉「……」

 実況「あれ!??動いていない!!」

ハマーン髪「打球がキャトルミュートレーションされる可能性88%」


 憂「なんだか凄い試合になりそうですね!さて西武ドームの西武、オリックス戦は…」

 憂「あ!西武が一点差で勝ってる!これは山中先生の出番がありそうですね!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:09:06.13 ID:XJEiPlqb0<> 連投したり失敗すまんかった。
少し消えます。とりあえず書きためた分は今日中に投下するつもりです(終わりまでは書いてない) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 19:16:31.16 ID:NMu3oNYSO<> りっちゃんムギちゃんはプレーオフ出場の可能性もうなかったのか
残念

>>1
続きまってます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:21:18.23 ID:XJEiPlqb0<>  〜西武ドーム〜

銀仁朗「あれ?さわさんは?監督呼んでるのに」

石井「ベンチ裏ぁー」

銀仁朗「ベンチ裏?なにしてんだこんな時に――わっ」

 ピコピコ ボーン ボーン

銀仁朗「さわさん!何してんスか!」

さわ子「うるさいわね!ああもう!あんたのせいでリモコン取り逃したじゃない!」

 ボーン!

さわ子「キーッ!ああああ!イライラして自分の爆弾に挟まれたじゃない!!」

西口「山中ーそろそろやめようぜー…?」

銀仁朗「なにしてんスか…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:25:49.72 ID:XJEiPlqb0<>  ドタドタドタ…

江草「お、おい山中!」

岡本「山中!頼む、出てくれ!」

藤田「好調オリックス打線に一点差…お前の力が必要なんだ!」

星野「俺達じゃダメなんだ!」

 「「「俺達じゃダメなんだ!!!」」」

さわ子「……」

岡本「山中……?」

さわ子「しゃぁ゛ーね゛ぇーなぁー!!」ギラッ

江草「山中ぁ!!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:29:42.23 ID:XJEiPlqb0<> >>21
ありがとう。
今までvipばっかで書いてきたもんで、良くも悪くも波風立たないここは、今のところ全然慣れない。
ラストまで書いたとしても投下数が900いくなんてことはまずないだろうから、
どんなことであれレスしてくれるとありがたいっす。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:30:41.38 ID:XJEiPlqb0<>  〜福岡ドーム〜

純「なんか…平和ですねー」

澪「…はは…そう、だね…平和…だね…アハハハハハ」

純「澪センパイ…。落ちついて下さい、昨日のアレはよくあることですって!」

澪「アハハハハハ…全国放送の優勝決定戦で、なぜか監督の後に突然胴上げされて…」

澪「勢いのあまりズボンが脱げてパンツを晒すことがよくあること…?アハハハハ……」

純「い、いいじゃないですか!優勝したんですから!ウチは悔しいんですよ!」

内川「そう。負けた悔しさはある。これは横浜にいた時は感じなかったね」

内川「横浜にいた時は負けてもどこか『自分のせいじゃない』という気持ちがあった」

内川「横浜に来た選手はみんな苦しそうに思えたね」

純「横浜…。そういえば梓は今なにしてんのかなぁ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:34:19.02 ID:XJEiPlqb0<>  〜福岡ドーム〜

純「なんか…平和ですねー」

澪「…はは…そう、だね…平和…だね…アハハハハハ」

純「澪センパイ…。落ちついて下さい、昨日のアレはよくあることですって!」

澪「アハハハハハ…全国放送の優勝決定戦で、なぜか監督の後に突然胴上げされて…」

澪「勢いのあまりズボンが脱げてパンツを晒すことがよくあること…?アハハハハ……」

純「い、いいじゃないですか!優勝したんですから!ウチは悔しいんですよ!」

内川「そう。負けた悔しさはある。これは横浜にいた時は感じなかったね」

内川「横浜にいた時は負けてもどこか『自分のせいじゃない』という気持ちがあった」

内川「横浜に来た選手はみんな苦しそうに思えたね」

純「横浜…。そういえば梓は今なにしてんのかなぁ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:37:13.38 ID:XJEiPlqb0<> 梓「…ちょっと早く来すぎちゃったみたいですね」

紬「すごい人ね〜。入れるかしらー?」

梓「大丈夫です。ちゃんと席はとっておきましたから」

紬「梓ちゃんは頼りになるねェ〜。そういえば憂ちゃんは?」

梓「憂はデーゲームのロッテ‐楽天の試合を観てからこっち来る、って…」

紬「わぁー、ロッテって最近オカルト研究会の人が入ったのよねー」

紬「ね、ね。キャトられるってどういう意味?」

梓「えらく昔のこと覚えてますね…。あ、入れるみたいですよ」

 〜神宮球場〜 『 巨人マジック1!優勝決定戦! ヤクルト‐巨人 』
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:37:55.90 ID:XJEiPlqb0<> 梓「あ、えーと、ここらへんですね、私たちの席」

紬「梓ちゃん!梓ちゃん!」

梓「はい?」

紬「じゃぁーん♪」

梓「わぁっ!?いつの間にそんな食べ物を!?」

紬「神宮カレーにソーセージ盛りにモツ煮丼にジャンバラヤー♪」

梓「…ムギ先輩、ハードなトレーニングしててもさすがにそんなに食べたらふと――むぅっ!?」

紬「はい、あーん♪」

梓「…(もむもむ)…」

紬「はいもう一口〜…ってあら?あ、あのヤクルトの選手…」

梓「ん?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:40:33.65 ID:XJEiPlqb0<>  〜ヤクルトベンチ〜

小川監督(今年は各球団のルーキー達にやられたが)

小川監督(うちの新人はしっかり二軍で経験を積んできた)

小川監督(来年はうちの若手が新人王、そしてヤクルトを優勝に導いてくれる!)カッ


 〜巨人ベンチ〜

「お、おい平沢!あのヤクルトのかわいい選手は誰だ!?」

唯「ふぇ?……あ!ほんとだ!ペンギンのチームに女の子がいる!」

「やっぱりお前の知り合いか!た、頼む紹介してくれ!」

唯「えー?もうー…」

唯「おーい!春子ちゃーん!信代ちゃーん!!」

近田春子・中島信代「「ん?」」

唯「谷さんが呼んでるよー!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:44:24.89 ID:XJEiPlqb0<> 信代「唯ー、今日勝てば優勝なんだって?そうはさせないからね!」

唯「そうなんだよー、今日と明日の二試合でどっちか勝てばうちが優勝!」ふんす

信代「連敗したら?」

唯「そ、それは中日が優勝……うぅっ」

信代「引き分けがあったら?」

唯「それは、えーと、えーと…」

春子「ややこしい…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:44:52.67 ID:XJEiPlqb0<>  〜マリンスタジアム〜

いちご「……!!」カキィン!

 実況「今度こそ若王子、二遊間を破――」

ハマーン髪「プラズマを応用した守備位置」パシィ!

 実況「――れません!楽天若王子、このような打球が三打席続いております!」

いちご「……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:47:46.26 ID:XJEiPlqb0<> 聖澤「き、気にすることないよいちごちゃん!」

いちご「…別に気にしてないし」

聖澤「いちごちゃん、チームの誰よりいい当たり打ってるよ!間違いないよ!」

松井稼「諒の言う通りや。アンラッキーを気にし過ぎて自分を崩したら意味あれへん」

いちご「……」

草野「若王子、お前はいい感じで打ててる。結果は後からついてくる。今は自分の打撃をしろ」

内村「ああ。正直お前を頼りにしてるんだぜ」

いちご「……」

星野「おい若王子!ちゃんと腰入れて打てや!育てたらんぞ!」

いちご「………………………………」

聖澤「い、いちごちゃーん……」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:48:37.63 ID:XJEiPlqb0<> 岩隈「ハァハァ…」

 実況「さあ岩隈、ここまで球数120球を超えていますが、それでも八回のマウンドにのぼります!」

星野「エースなら喜んで投げるべきや」

岩隈「せ、先生…お力を……!」

 ピュッ

麻呂眉「……」カキン!

ハマーン髪「……」カキン!

 実況「ロッテ二連打!これで一二る…あぁっ!イレギュラーで鉄平後逸!その間にランナー走る!」

麻呂眉「…」サササササ
 
 実況「意外な俊足をとばし…今ホームイン!ロッテ先制!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:52:29.75 ID:XJEiPlqb0<>  実況「さあロッテCSへの一縷の希望をつなぐため、九回に薮田を投入したのですが…」

薮田「はぁはぁ…」

 実況「ツーアウトながら一塁二塁の大ピンチ!」

 実況「そして打席には若王子いちご!」

いちご「……」

「若王子ー!」「頼んだぞー!」「お前なら打てる!」「いちごちゃああああん!」

里崎「さて、この打席もショート真正面に打ってもらおうか」

いちご「……」ぎゅっ

里崎「それともセカンド正面がいいかな?」

いちご「……打つ」

里崎「あん?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:53:39.53 ID:XJEiPlqb0<> 薮田「これで…終わりだ!」

 ピシュッ

いちご「……」

  カァァーーン!!

 実況「いったーーーーーーー!!ライトスタンドへの大きな放物線!」

 実況「入るか!?入るか!?」

麻呂眉「むにゃむにゃむにゃむにゃむにゃ…」

ハマーン髪「むにゃむにゃむにゃむにゃむにゃ…」

今江「な、なにしてるんや!?」

ハマーン髪「これはインカ文明に伝わる風を呼ぶ儀式」

今江「ハァ!?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:54:39.94 ID:XJEiPlqb0<>   ビュウウウウッ

 実況「ああーっと!ここで突然マリンスタジアム名物の強風が!」

 実況「若王子の打球、失速!失速!そして…」

  パシッ

 実況「ああー!捕られてしまった!ゲームセット!!楽天CSへの希望ここで潰える!!」

いちご「………」

聖澤「い、いちごちゃん…。残念だったけど…来年があるよ」

いちご「……」

聖澤「あれ?いちごちゃん…目、どうしたの?ゴミでも入った?」

いちご「……なんでも」スタスタ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 19:58:43.11 ID:XJEiPlqb0<>  〜ベンチ裏〜

星野「おう、なんや若王子か」

いちご「……」

星野「なんや最後のあの打球は!根性と体力がないんや!」

いちご「……」

星野「あれこれ理由つけて代打ばっかりやりよってからに……」

星野「若王子!その程度の体力でフルシーズン戦えると思うな!」

いちご「……」

星野「お前は来年からイーグルスの不動のトップバッターなんやからな!」

いちご「……はい」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:00:10.11 ID:XJEiPlqb0<>  〜西武ドーム〜

さわ子「ううう……」

 実況「どうしたんでしょうマウンド上の山中。珍しくピンチを招いています」

さわ子「え、えいっ」

  ぽいっ

  カキーン!

 実況「バルディリス、クリーンヒット!これで三塁一塁!」

銀仁朗「ど、どうしたんスかさわさん……」


岡田監督「グフフ…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:01:51.79 ID:XJEiPlqb0<> 「「「「山中先生がんばってぇーー!!!」」」」

さわ子(ま、まさか学校の生徒や先生方が見にくるなんて)

さわ子(山中さわ子といえば可憐清廉おしとやかの代名詞!
    うら若き乙女達が憧れる教職員ナンバーワンに輝く女!)

さわ子(その私が奇声をあげて剛速球を投げ込むだなんて…)

さわ子(ダメ!!絶対!!)

さわ子「ウフフフフーそぉーーれ、いきますわよー」

 ふわっ ポスン

銀仁朗「ちょっ…、さわさんなんなんスか!もっといつものような人を殺しそうな気迫を…」

さわ子「わっわっわっちょっと!ヘンなこと言わないで!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:03:36.24 ID:XJEiPlqb0<> さわ子「うふふー。ボール投げるのって難しいんですねぇー」

銀仁朗「いやいつも剛速球を…」

さわ子「(ギロリ)」

銀仁朗「ヒッ!」

  ふにゃっ カキン!

 実況「前田にさえヒット!これでオリックス同点!」

岡田監督(グフフ…敵がアレ(弱点があるん)やったらそれをアレ(リサーチ)して、
     こっちが(対策を)するんはそらそう(当然)やろ)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:07:00.84 ID:XJEiPlqb0<>  〜神宮球場〜

憂「あ、お待たせしましたー」

紬「あら、いらっしゃぁーい♪」

梓「憂、ナイスタイミング。ちょうど始まったくらいだよ。千葉はどうだった?」

憂「うん、凄い試合だったよ。それにしてもロッテって諸積選手って引退したんだねー」

梓「なんで諸積…」

憂「私、諸積と大塚と定詰しかロッテの選手知らないから分かんなかったよー」

紬「まぁまぁ♪」

梓「諸積さんくらいしかしらないなんて…おかしい…こんなことは許されない……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:12:42.89 ID:XJEiPlqb0<> 憂「――ってあれ?今日のヤクルトのスターティングメンバー…」

1 LF 青木
2 2B 田中
3 CF 近田
4 RF バレンティン
5 1B 中島
6 3B 宮本
7 SS 川端
8 C 相川

憂「クリンアップに新人が二人も……?」

梓「あ、今からその近田春子って選手が打席に入るみたいよ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:13:21.92 ID:XJEiPlqb0<>  実況「ヒットで出塁の青木を一塁に置いて、左打席には新人の近田。サングラスが光ります」

 実況「二軍では現在打点3位、長打率は2位、盗塁は1位と、新人離れした成績を残しています」

 実況「さあピッチャーの内海、第一球!」

春子(ここまでストレートが相当走ってる。球速も145キロくらいは出てる)

春子(その代わり変化球のコントロールがついてないし、青木さんにも真ん中に入ったカーブを打たれた)

春子(初球なら安易にストレートをストライクゾーンに投げ込んでくる可能性も…)

 ピシュッ

春子(ズバリ)

  カキィーーン!

 実況「近田ジャストミート!ファーストの頭を超えライト前ヒッ――」

 古田「オッケーイ!」

  キィーーーン!! バンッ

 実況「い、いや打球が落ちない!そのままフェンス直撃!」

 古田「オッケーーイ!」

春子「よっしゃ!」ザザァッ

 実況「俊足飛ばし近田、三塁打!ヤクルト先制!」

 古田「オッケェーーイ!!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:14:32.72 ID:XJEiPlqb0<>  実況「さらにバレンティンを四球で出し、ここで五番ファースト中島」

 実況「中島、右打席に入って、ぐぐっと両足を広げます、おおっ!これはノーステップ打法ですね!」

信代「……」

 実況「打席で構える姿はまさに和製アルバート・プーホールズ!」

 実況「この打法で飛距離を出すにはかなりの力が必要ということですが…」

  コキン!

 実況「ああっ打ちあげてしまいました!セカンドの藤村が数歩下がって捕球体勢に入ります」

信代「……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:16:36.20 ID:XJEiPlqb0<> 実況「藤村下がる下がる…おっと処理をライトの亀井に任せます。おや亀井も下がる…」

 実況「亀井下がる!まだ打球が落ちてこない!亀井下がる!」

亀井「くっ……!」

 実況「もう後がない!亀井フェンスに張り付いて腕を伸ばす!」

  ポォーーン…

 実況「入ったーーーー!ライトスタンドに飛び込む中島第一号スリーラン!!」

 古田「オッケェーーイ!!」

信代「ありゃ。思ったより飛ばなかったな」

 実況「巨人の優勝に大きく立ちふさがる初回4得点!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:17:29.62 ID:XJEiPlqb0<> 唯「うぅ…一気に四点かぁ…」

唯「でも!少しずつ取り返して行くしかないよ!」

 実況「巨人、取り返せるでしょうか。ワンナウト二塁で平沢」

唯「チャンスだ!……でも私、打てるのかなぁ…」

 実況「平沢、ここ五試合でノーヒット。全く打てていません」

館山(…外角のスライダーでいいんですね?)

相川(そうだ!平沢への対策はもうハッキリしている)

  ズバーン! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:18:10.94 ID:XJEiPlqb0<> 唯「うう…打てない。それなら…」スッ

 実況「おっ、これは中日戦でみせた一本足打法!」

相川(だが一本足をした時の対策ももう知ってるんだぜ!)

  ズバっ ブルーン!!

 実況「ああっ平沢内角を突かれて空振り三振!」

唯「あうぅ〜バッ太(三代目)〜なんとかしてよぉ〜」

 憂「お姉ちゃん……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:20:33.95 ID:XJEiPlqb0<> 〜試合中盤〜

 実況「巨人、小刻みに点は返しているのですが、やはり初回の四点が大きく4−2」

 実況「さあ優勝に向けて同点、逆転できるか!打席には平沢唯」

唯「と、とぉー…」

 コキッ ぼてぼて…

 実況「ああーっと、平沢ぼてぼてのショートゴロ!今日もいいところがありません!」

唯「はぁぁぁぁ…」

 憂「…お姉ちゃん……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:22:33.26 ID:XJEiPlqb0<>  憂「あ、ジュースなくなっちゃいましたね。買ってきます」

 紬「あらいいのよ?気にしなくて」

 憂「いいんです。昼からずっとイスに座ってたからちょっと立ちたくって」

 〜売店〜

 憂「えーと梓ちゃんがスコールで…ってあれ?」

??「…」ススッ

 憂「あ、あの人……!!」

 憂「ま、待って下さい!」

??「!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:23:09.68 ID:XJEiPlqb0<>  憂「和ちゃん…」

 和「あら憂。お久しぶり。私のデータ役に立ってる?」

 憂「…和ちゃん…。アレ、本物のデータ?」

 和「もう。ひどいのね。さすがに嘘のデータを渡すようなことはしないわよ」

 憂「…でも、お姉ちゃんに分かるわけないし、野球に詳しくない私にも…って分かってたでしょ?」

 和「ダメよ、分かるようにならなきゃ。データ分析はスポーツ選手の義務なんだから」

 憂「……。でもね、ほんとに和ちゃんに聞きたいことはまだあるんだ…」

 和「なに?」

 憂「……和ちゃん。お姉ちゃんのデータ、他球団に売った…?」

 和「……」ニッ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:27:24.69 ID:XJEiPlqb0<>   カキィーーン!!

 実況「いった!いった!これはいったー!」

 実況「センター長野!追うことさえしません!」

 実況「中島信代!!神宮の杜にかける今日二本目の大アーチ!!」

唯「ふ、ふいー…凄い当たり……」

坂本「…おかわりちゃんだな…」

信代「ふぅーっ」 ドスドスドスドス…

 実況「巨人優勝の夢をさらに突き離すソロホームラン!」

 実況「これで5−2!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:28:11.89 ID:XJEiPlqb0<>  憂「最近突然お姉ちゃんが打てなくなったの…。今までは中日相手だけだったけど」

 和「駄目ね。研究されてもそれを覆す力がないと」

 憂「和ちゃん!はぐらかさないで!」

 和「……」

 憂「どうしてそんなことするの?優勝したいから?巨人が負けたら中日が優勝だから?」

 和「…もしそうなら巨人全員のデータを渡すわよ」

 憂「それってお姉ちゃんのデータは渡したってこと!?」

 和「………」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:28:43.83 ID:XJEiPlqb0<> 相川(えーと『前の打席で外角を意識させた場合、
   スタンスがややクローズド気味になっていれば
   内角を突く球で詰まらせれば効果的』……だったか)

  ピシュッ

唯「うひゃー!」

  ゴキン! ボテボテボテ…

 実況「平沢今日二度目の内野ゴロで三打数無安打!」

相川(誰が送り主かは知らないが…ほんと助かるぜ。『ゴールデンルーキー対策ノート』)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:29:55.45 ID:XJEiPlqb0<>  〜試合終盤〜

 憂「…お待たせ」

 梓「どしたの憂。遅かったね」

 紬「あら?そこにいるのは…」

 和「こんばんわ。久しぶりね」

 梓「あれ!?あ、もしかして応援にいらしてたんですか!?」

 憂(そっか。和ちゃんが中日のスコアラーだってことは私しか知らないんだ)

 憂「う、うん。お姉ちゃんの応援に来て下さったんだってー」

 梓「わぁ!それなら連絡いただけたらいっしょに来れたのに!」

 和「ウフフ」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:30:39.95 ID:XJEiPlqb0<>  梓「それで…最近私芯で捉えられることが多くなって」

 和「へえ、そうなの」

 梓「なんていうか…クセでも読まれてるんでしょうか…?」

 紬「私も経験あるけど、それって中日?」

 梓「! そうです!そうなんです!あそこってどうも研究が早くって…」

 梓「でも最近はどこの球団もそうみたいで…」

 憂「あ、梓ちゃん。人もいるんだしそういう話は…」

 梓「? 別に大きな声で話してるわけじゃないし大丈夫だよ。変な憂」

 憂「……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:31:07.35 ID:XJEiPlqb0<>  実況「さあ九回表!ジャイアンツに大きなチャンスがやってきました!」

 実況「イムチャンヨン、エラーと四球でツーアウト満塁!」

 実況「一発出れば逆転のチャンスで、ホームランバッターの平沢!」

唯「ふぅー」

相川(問題ない。こいつは安パイだ)

  ズバッ  バシィィッ

 実況「イム、ギアを上げてきたか!?一気にツーストライク!」

唯「ふうー、ふうー、ふうー。冷静に冷静に」

唯(私らしく…私のバッティングをしよう!)

 実況「さあイム最後の一球になるか!?」

  ピシュッ

相川(よし、注文通りのコース!これで終わりだ!)

 カキィィン!

相川「!!?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:36:20.06 ID:XJEiPlqb0<>  実況「いったー!バックスクリーンへ一直線!」

 憂「キャー!キャー!お姉ちゃーん!」

 梓「入れ!入れ!」

 和「……!」グッ

春子「……」タタタタタタタタ

 実況「俊足近田追う追う!」

春子「やぁぁぁっ!!」

 ガッ

 実況「近田フェンスを蹴った!そしてジャーンプ――」

 パシィ

 実況「捕ったー!近田ビッグプレイ!試合終了!!」

春子「ヘヘ…そう簡単に優勝なんてさせねぇーって」

青木「大丈夫か? 入ったかと思ったぜ」

春子「ヘヘ…バーロー」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:36:50.64 ID:XJEiPlqb0<>  〜平沢家!〜

憂「おねえちゃーん、お風呂ー」

唯「はーい!今入るよー!」

憂「入ったらもう寝る?」

唯「うん!今日は疲れたからすぐ寝るー」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:40:03.87 ID:XJEiPlqb0<>  〜脱衣所!〜

唯「きょぉーじーんるーいがーはじーめてー♪」フンフン

唯「もーくせーぇについーたよー…きゃぁぁぁ!窓に誰か!?」

??「……」

唯「変態だ!変態だ!おまわりさんに…」

??「まて…ゆい」

唯「ほえ…?私のこと知ってるの?」

??「わた、あたいは…トンちゃんだ!ちぇけらっちょい!」

唯「トンちゃん…?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:42:15.30 ID:XJEiPlqb0<> 唯「ト、トンちゃんは何をしにきたの?」

トン「あ、アタイは全然打てないお前を心配して見に来てやったのだ!」

トン「唯、お前は今日打てたのか!?」

唯「よ、四打数ノーヒット……です…」

トン「それなのにさっき、『お風呂入ったらすぐ寝る』って言ってたな!?」

唯「ヒィィ!すみません!」

トン「風呂から出たら!?」

唯「す、素振りします!!」

トン「よろしい!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:46:37.99 ID:XJEiPlqb0<>  〜庭!〜

唯「ひゃくー、ひゃくいちー……」ブン、ブン

トン「唯、お前はちゃんと考えて振ってるのか!?」

唯「ふえ…。と、トンちゃーん、塀に隠れてないでこっち来てよー」

トン「い、いいから!どうなんだい!ちぇけらっちょい!」

唯「いやーとにかく目いっぱい振ることを心がけてるけど…」

トン「それがダメなのよ!」

唯「ヒィィッ」

トン「なぜ自分が打てないのか、そして常に打てるようにするにはどうすればいいか
   それを自発的に自分で考えて、自分なりの答えを見つけようと努力しないと駄目でしょう!?」

唯「は、はい…」

トン「なぜ失敗したか考えなさい!そしてそれを解決するにはどうすればいいか!いいわね!?」

唯「はい…あ、ありがとうございますトン様……」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:47:03.79 ID:XJEiPlqb0<> 唯「うー…なんで打てなかったか…」

唯「トン様ー……はもう帰っちゃったみたいだし…」

唯「そういえば今日の四打席目はいい感じに打てたな…」

唯「力を抜いて…自然体で…」

唯「………そっか」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:47:42.69 ID:XJEiPlqb0<>  〜横浜!〜
梓「はぁー、明日は練習かぁ。唯先輩の応援にはいけないね」

森本「おーい、あずにゃーん、手紙だってよー。すごい長い手紙だ」

梓「手紙?」

 〜西宮!〜
律「手首を…こうッスか?」

藤井「違う違う。それじゃミットが流されちゃうから…こう!」

律「さっすがー!藤井さんおっとこ前だなぁー!」

小宮山「おーい、田井中ー、なんかファックスが大量に届いてるぞー」

律「ほえ?」

 〜福岡!〜
純「むにゃむにゃ…もうモツ鍋は食べられないよ…むにゃむにゃ…」

  ♪げーんかーいなーだーのー しーおかーぜーにー♪

純「電話…?知らない番号だ。うるさいなぁ…」
 
 プチッ

純「むにゃ…」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:48:50.79 ID:XJEiPlqb0<> 和「あら、切れちゃったわ」

さわ子「あらー?そこにいるのは生徒会長の真鍋しゃまかしらぁ〜?」ヒック

和「ちょっせんせ…どうしたんですか、そんなに酔って」

さわ子「だぁれが酔ってんのよ誰がぁ!わたひはシラフよぉ!」ヒック

和「そうですか。じゃあ私帰りますね」

さわ子「こらぁ!酔った人を見捨てるなぁ!」

和「さっき酔ってないっていったじゃないですか」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:49:32.09 ID:XJEiPlqb0<> 和「そうですか…初めて負け投手に…」

さわ子「ううう〜〜!やることがコスいのよあの雑巾タヌキは!!」

和「でもまだ三位。着実に勝てば大丈夫ですよ」

さわ子「むにゃむにゃ…」

和「……大変そうですね。それじゃ私…」

 ガシッ

和「!?」

さわ子「大変なのはお互いさまでしょぉー?中日のスコアラーさんー!」

和「え…」

さわ子「やることが回りくどいのよぉー!和ちゃんはぁー!」ヒック

和「先生…」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:50:11.64 ID:XJEiPlqb0<> 和「…みんなプロ野球選手になっていって…」

和「なんていうか、疎外感みたいなものを感じてたのかもしれません」

和「で、あの日を期に野球を勉強して、いざ彼女たちの野球を観ていたら…」

和「だんだん隙みたいなものがあることが分かってきて…」

和「プロ野球は真剣勝負の世界。自分で修正する能力がなければ、才能だけじゃ勝ち残れない…」

和「老婆心じゃないけれど、なんとかして彼女たちにその重要性を気付いてほしいと思ったら」

和「なんだか私がやらなきゃ、ううん、なんとかして彼女たちに関わりたい――なんて」

和「でもなかなか自分では気づいてくれないものですね。今日は結局四人に、私からヒントを送っちゃいました」

和「すみません。変なこと言っちゃって。それも自分に都合のいいことばっかり…」

和「でも話せて…気が楽になりました」

さわ子「うぅ〜ん秀章のバカァ…私を完全スルーしてなんであんな年増のアナと…」ヒック

和「…………」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:51:12.99 ID:XJEiPlqb0<>  〜翌日! 神宮球場!〜

憂「もう!こんな日に寝坊してどうするの!」

唯「ご、ごめ〜ん。昨日は遅くまで練習してて……」

憂「早く中に入らないと!えーと選手は………あっ!!」

唯「ほえ?」

和「あら、唯と憂じゃない」

憂「……」キッ

和「…………」

唯「あ!の、のどかちゃん!昨日はありがとう!」

憂・和「「え!?」」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:51:38.97 ID:XJEiPlqb0<> 和「な、なに言ってるのよ唯!昨日は私、あんたと会ったりなんてしてないわよっ!?」

唯「ほえ?あ、そっかそっか!昨日はトンちゃんが…あれぇ?でものどかちゃんに教えてもらったような気も…」

憂「お姉ちゃん…トンちゃんが野球教えるわけないでしょ…」

唯「あ、あれぇ!?じゃあアレは全部夢!?夢だったのかなぁ!?」

唯「な、なんだかこんがらがっちゃったけど!なんかのどかちゃんにありがとう言わなきゃいけない気がしたの!」

和「……ばかね、唯」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:57:40.52 ID:XJEiPlqb0<>   〜試合開始前! スタンド!〜

律「ったくぅ…いつになったら試合始まるんだよー」ボリボリ

澪「律!お菓子一人占めするな!」

律「あーら、ビッグマウスな澪さまはお口が大きいだけあって一杯食べるんですのね」

澪「だ、だからそれは誤解だって何度も言ってるだろぉ!?」

憂「ま、まぁまぁお二人とも……」

澪「とにかく、あれは全部マスコミが勝手に…」

律「あ!つば九郎だ!おーい!!」

澪「聞けよ話をぉ!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 20:59:13.64 ID:XJEiPlqb0<> つば九郎「!」

律「おーい!私だよわったしぃー!」

つば九郎「(カキカキ…)」

澪「なんか書いてる…」

憂「つば九郎は筆談するんですよ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:00:30.54 ID:XJEiPlqb0<> つば九郎《まさかとはおもいますが、そんなおでこで で〜と にきたんですか。》

律「おい!そんなおでことはどういうことだ!またプロレス技かけてやろうか!」

つば九郎《どうせなら となりの みおさん にかけてもらいたい。へでで。》

澪「お、おい律!あんまりやると周りの人に私たちのことバレちゃうだろ!」

律「ハハハ!でも面白いんだぜ。この前、技かけたら、すげぇ低音で
  『苦しい…苦しいから…』ってうめいたんだー」

憂「そ、その話はあまり大きい声でしないほうが…」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:01:37.70 ID:XJEiPlqb0<> 律「あ!スタメンの発表だ!」

澪「どれどれ…ってえぇ!?」

1 LF 青木         1 SS 坂本
2 2B 田中         2 2B 藤村
3 CF 近田         3 1B 小笠原
4 RF バレンティン     4 LF ラミレス
5 1B 中島         5 C 阿部
6 3B 宮本         6 CF 長野
7 SS 川端         7 3B 亀井
8 C 相川         8 RF 谷

憂「お姉ちゃんが…」

澪「唯が…」

律「スタメン落ち…?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:04:01.18 ID:XJEiPlqb0<>   〜試合序盤〜

信代「どっせい!」 カキン!

 実況「これは大きなフライ!犠牲フライには十分!近田、悠々かえって…ヤクルト先制!」

谷「いいなぁ…信代たん…実にいい……」

 律「だぁーーっ!いきなり先制点とられちゃったよ!」

 澪「巨人もさっきの攻撃でいい形つくったんだけどな…」

 律「唯だ!唯をださないからこんなことになるんだよ!原のアホー!」

 澪「唯……落ち込んでなきゃいいけどな……」

  〜ベンチ裏〜

唯「うまい!おかわり!」

鈴木「平沢…控えだからってそんなに食うなよ…」

唯「えへへ〜控えっていいなー、好きな時にお菓子食べられるんだもん!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:07:46.92 ID:XJEiPlqb0<>  〜試合中盤〜

 実況「六回終わって3−0。ヤクルトのリードです」

 実況「ここまで中島の犠牲フライ、青木のタイムリー、
    さらに近田のホームスチールと効果的に点を取ってきました」

 実況「今日負ければ首位の座を中日に明け渡す巨人!優勝へ赤信号!」


 律「……」イライラ

 澪「唯…出番ないな…」

 律「やっぱさっきの二三塁だ!あん時亀井さんに代打出すべきだったんだよ!」

 澪「済んだことはしかたないだろ!とにかくこれからどうやってチャンスを作るかだ!」

 律「ちきしょー、原監督めぇ…なんでこの大一番で唯を外すんだよ…」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:08:13.96 ID:XJEiPlqb0<>  和「……」

 和(このままいけば自分のチームが優勝なのにそうならないことを考えてる。駄目ね、私は)

  ピリリリリリリ…

 和(電話…?山中先生から…?)

 和「はい、もしもし。いいんですか?そっちも試合中じゃ…」

 さわ子『いいのよ!今こっちはロッテにボロ勝ちだもの。出番もないしCSも決定的ね』

 和「へえ、でも最近調子の良いロッテを…」

 さわ子『ええ。オカ研の娘たちには『北海道でミステリーサークルが』と言っておいたわ。
     見事に二人は欠場よ』

 和(外道…) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:12:29.31 ID:XJEiPlqb0<> さわ子『で、そっちはどう?唯ちゃんは?』

 和「ええ、かくかくしかじかで…」

 さわ子『…そう。ヤクルトにも近田さんと中島さんがいるし、元担任としては複雑だけど…
     でも優勝は私の教え子に勝ちとってもらいたいわね』

 和「先生?私も先生の教え子ですよ?」

 さわ子『あら?じゃああなたはヤクルトの勝利を心から願ってるの?』

 和「……それは」

 さわ子『ま、いいんじゃない?結果としてあなたはチームのためにも、
     彼女たちのためにもなることをしたわ。後悔するよう必要はありません』

 和「…覚えてたんですね。昨日の話」

 さわ子『どんな状況であれ…そう、狙った獲物に逃げられ、その上敗戦投手にもなって
     ヤケ酒した夜であれ、生徒の話は聞くのが教師ってものよ』

 和「…私は聞いてもらった感覚はありませんけど」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:13:03.77 ID:XJEiPlqb0<>  〜試合終盤〜

 実況「結局3−0のまま、ついに試合は最終九回まで進んでまいりました」

 実況「秋風の冷たいこの神宮で…巨人優勝の夢は手のひらからすり抜けてゆくのでしょうか」

 実況「全てはこの男の右腕に懸かっています…燕の守護神、イムチャンヨン!」


 澪(イムさんはいいクローザーかもしれない…けど!)

 律(ただでさえ昨日ピンチを招いて…)

 憂(その上連投!)


 和「つけいるスキはあるわ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:13:32.76 ID:XJEiPlqb0<>   カキン!

 実況「打った!ベテラン谷!しぶとくつないでついに……」

 澪「満塁!」

 憂「ホ、ホームランが出れば…一気に逆転!」

 律「ここで投手の打順だろ!?代打だ!唯だ!
   昨日いい当たりされた唯が出てくるのが一番キャッチャーにはイヤなはずだ!」

 客A「はぁ!?おいおい、ここはヨシノブだろ!イムは右投手!左の高橋しかいねーよ!」

 客B「そうそうwwwwそれに平沢ってwwww 六試合ノーヒットの新人に任せられっかよwwww」

 客C「アレじゃね?平沢とか今ベンチ裏で菓子食って動けないんじゃね?ありえそうじゃね?」

 客D「ヤバイヨヤバイヨwwwwイムヤバイヨwwww」

 律「テメェら…!」ギロッ

 澪「お、おい律…!ちょっ憂ちゃん止め…」

 憂「…………へぇー……そういうこと言っちゃうんだぁ……」ポツリ

 澪(こ、こっちもご立腹…!) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:15:26.10 ID:XJEiPlqb0<> 『九番、ピッチャー西村に代わりまして…』

 律・澪・憂「ゴクリ…」

『ピンチヒッター、高橋由伸』

 律・澪・憂「えっ……」

「「「ワァァァァァァァァァ!」」」

「ヨシノブー!」「ガンバレー!」「パーンーダ!パーンーダ!」

 澪「……ずっと打ててない唯よりは…やっぱりそうなのかな」

 律「…絶対唯だと思ったんだけどな…」

 憂「だ、大丈夫ですよ!ここは由伸さんが打って、お姉ちゃんはプレーオフで活躍します!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:16:23.22 ID:XJEiPlqb0<> 高橋由「……」

  ブンッ!ガキッ!

  実況「高橋、積極的に振っていきますが、空振りとファールでツーストライク」

 律「ああああもう!だから唯にしておけば…」

 澪「うるさいぞ律!こうなったら由伸さんを応援しよう!」
  <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 21:20:28.41 ID:U00gf5MIO<> チェケラッチョイ支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:22:30.06 ID:XJEiPlqb0<>  実況「イム、最後の一球になるか!第三球、投げた!」

  ガギッ

  実況「おっとファール!ファールです!……おや?」

高橋由「……ツッッ…!!」

  実況「打席の高橋、脚をおさえてうずくまってしまいました。自打球を当てたのでしょうか?」

  実況「おっと、ここで治療をしていたスタッフが首を振ります!高橋、立つこともままなりません!」

  『バッター、高橋由伸に代わりまして…ピンチヒッター、平沢』

 澪「お?」 律「おおお?」 憂「お姉ちゃん……!?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:23:05.33 ID:XJEiPlqb0<> 唯「はれ?」

唯「あ!りっちゃんに澪ちゃん!おーい!おーい!」

 澪「ちょっ…!」 律「バカ!こんな緊迫した時に…!」

唯「おーい!私だよー!今から打つからねー!見ててねー!」

 客B「んだよアイツwwwwww集中ゼロかよwwwwwwww[ピーーー]よwwwwwwwwww」

 客A「はぁ…原マジ最悪だわ……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:24:52.47 ID:XJEiPlqb0<> 唯「ふんふーん♪」

唯「よしっ!頼むねバッ太!」

唯(今まで野球が大変で気がつかなかったけど)

唯(今ここにいられるのって大変なことなんだよね)

唯(原監督やチームの偉い人が指名してくれなかったらここにはいられなかった)

唯(金なんとかさんや、江藤コーチ、セコムしてますかのおじいさんも色々教えてくれた)

唯(チームメイトのみんながいたからきょじんは一位になれた)

唯(あずにゃんにりっちゃん…ムギちゃんや澪ちゃんが頑張ってるから私も頑張れた)

唯(憂が毎日栄養を考えたご飯を作ってくれる)

唯(和ちゃんやトンちゃんも…私を応援してくれてる!) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:25:52.95 ID:XJEiPlqb0<> 唯「よしっ!」

 実況「さあ代打の代打となった平沢。ここで一発……おや?」

 古田「またフォームが変わっていますね」

 
 実況「非常に自然体といいますか…ゆったりと構えていますね」

 実況「ここまで平沢はよくフォームを変えていますが…それで打てるものなのでしょうか?」

 古田「いや、一朝一夕で身につくものではないですよ」

 実況「なるほどまさに付け焼刃…といったところでしょうか」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:29:28.67 ID:XJEiPlqb0<> 唯(今までなんとか打とうって頑張ってたけど…何も考えないでぼーっとしてるのが結局私らしいんだよね)

唯(それで打てなきゃしかたないよ…ねっバッ太!)

 実況「さあイム…平沢へ…投げた!」

  ズバーン!

 実況「ギリギリいっぱい!ストライクアウ……おや?球審の橘高さんの判定はボール!」

相川「お、おい平沢…今のボールだと思って見送ったのか?」

唯「えへへーあんないいタマ打てないよ。打てないのに手を出すのはやめようって」

相川「いや…代打の代打だから今ツーストライクだぞ」

唯「ハッ!そっかぁ!」

審判(あまりに堂々と見逃すためにボールと判定してしまった…)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:31:01.62 ID:XJEiPlqb0<> 唯「じゃあ次は打たなきゃね…よーし」

イム(なんとなくイヤな感じだ…WBCでイチローと対戦した時のような…)

  ビシュッ

相川(さっき以上にナイスコース!外角いっぱいへのストレート!これで決まりだ!)

  カンッ

相川(なに!?) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:31:34.25 ID:XJEiPlqb0<>  実況「打ったー!平沢外角の速球を見事にライトへ弾き返した!!」

 古田「コースに逆らわない打撃で、今までの平沢君には見られなかった打球ですね」

 実況「一点!さらに一点!同点のランナーも還るか!?」

谷「うおおっ!」

 実況「一塁ランナー谷も還ってきた!これで同点!!」

 実況「さあこれでどうて…あぁっ!打球の処理がモタついている!!」

唯「はぁ、はぁ、はひ…」タタタタタタタ…

 実況「平沢、三塁を周るか!?周るか!?まわったー!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:33:14.51 ID:XJEiPlqb0<> 唯「はぁ、はひ、はふ…」 グラッ

 実況「あぁっ!三塁を周ったところでバランスを崩した!」

唯「わっ、たっ、ととっ…!」

 律「頑張れ唯!」

 澪「こらえろ!」

 憂「お姉ちゃーん!!」

唯「ふんす!」ガッ

 実況「た、耐えた!平沢そのままホームにつっこむ!返球が返ってくる!さあどうなる!」

  ザザァッ

審判「……」

唯「…はぁ、はぁ……」

相川「……ッ…!」



   審判「セーフ!」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:34:56.76 ID:XJEiPlqb0<>  律「やったぁーーー!」

 憂「お姉ちゃんかっこいいーーーー!キャアアアアアア!!」

  実況「平沢激走実った!なんと九回土壇場で平沢が逆転満塁ランニングホームラン!」

平沢「はぁ…はぁ…もう…一年分走ったよ……」

原監督「……平沢…!」クワッ

原監督(ここまでのジャイアンツ愛を持った選手だったとは…まさに侍!)クワッ

原監督「なめていたようだ…平沢のジャイアンツ愛を!」クワワッ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:35:57.23 ID:XJEiPlqb0<>
  バシッ

 実況「久保!最後を三振で締めくくったー!巨人、優勝決定!!」

 実況「最後の最後で大ドンデン返し!優勝を決めたヒーローはもちろんこの人!」

アナ『逆転ランイングホームラン!平沢唯選手です!』

\\\ワァァァァァァァ\オネイチャーンオエイチャーン!!/ァァァァァァァ///

アナ『平沢選手!ファンへ一言!』

唯「みなさん!我がきょじん軍は…いつまでも…いつまでも…」

\\\ワァァァァァァァ\オネイチャーンコッチムイテー!!/ァァァァァァァ///

唯「いつまでも…ずっとずーっと……!!」

\\\ワァァァァァァァ\オネイチャーンカッコイイヨォー!!/ァァァァァァァ///

唯「永久に放課後です!!!」

   ……………………\オネイチャーンステキィィーー!!/…………………

唯「……あれ?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:37:20.23 ID:XJEiPlqb0<>  律「いや、放課後の意味分からん」

 澪「うん。さすがの私にも意味不明だ」

 憂「キャー!キャー!お姉ちゃーん!!新世代のミス・ジャイアンツ!!!キャー!」

 律「憂ちゃんは一人ではしゃいでるし…」

アナ『さ、さあ次は優勝監督インタビューです…』

原監督(ん?今までの流れを聞いてなかったが…えらく静かだな)

   ……………………\オネイチャーン!!/…………………

原監督(一人だけやたら声の聞こえる女の子が…ん!?あれは!?)クワッ

原監督(侍・平沢の……そっくりさん!?)クワッ

原監督(なるほど、侍・平沢の妹さんか…)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:37:50.52 ID:XJEiPlqb0<>   〜その夜!〜

律「えー、唯は未成年&女の子ということでビールかけに参加できませんでした!」

律「というわけで…『ドキッ!女の子だけのコーラかけ大会』を開催します!」

律「コーラの提供は中島酒店!さらに…」

唯「わお!ごちそうもいっぱいだよ!」

紬「ご、ごめんなさい。斎藤が張り切っちゃって…」

内川「お!サイトゥー!」

律「そう!観戦にはこられなかったムギと梓も来てくれたぜ!」

唯「みんなー!ありがとー!」

律「それじゃコーラかけ…スタート!」

内川「横浜にいた時は借金からスタートしていた」

 わぁぁぁぁぁぁぁぁ!キャッキャッ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:42:37.40 ID:XJEiPlqb0<> 梓「あ、ムギ先輩、このまえはどうも…」

律「くんじゃねー!」

梓「えっ」

律「今ムギは私とBクラスの悔しさを語り合ってるんだよ!三位は来るんじゃねー!!」

紬「ねぇりっちゃん…クスン…なんで私あそこで五本もホームランを…クスン」

律「泣くなムギぃ!お前が悪いんやない!上位や!Aクラスがみんな悪いんやぁ!!」

梓「……。はーあ。じゃあ私はのんびりしてますね。律先輩と違ってまだシーズン続いてるんで」

律「[ピーーー]!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:44:18.43 ID:XJEiPlqb0<> あれ?禁句みたいのがあるのか? <> 94 やりなおし<><>2011/07/12(火) 21:46:27.78 ID:XJEiPlqb0<> 梓「あ、ムギ先輩、このまえはどうも…」

律「くんじゃねー!」

梓「えっ」

律「今ムギは私とBクラスの悔しさを語り合ってるんだよ!三位は来るんじゃねー!!」

紬「ねぇりっちゃん…クスン…なんで私あそこで五本もホームランを…クスン」

律「泣くなムギぃ!お前が悪いんやない!上位や!Aクラスがみんな悪いんやぁ!!」

梓「……。はーあ。じゃあ私はのんびりしてますね。律先輩と違ってまだシーズン続いてるんで」

律「しね!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:47:22.98 ID:XJEiPlqb0<>   ドタドタドタ…バターン!

純「ちょっ…なんで私を…なんで私を呼んでくれないんですかぁ!」

律・澪・唯・梓「……」

律「すまん。連絡を忘れていたというより…」

梓「存在を忘れてた」

  ドタドタドタ…バーン!

さわ子「じゃあ私はどういうことなの!?」

澪「さわ子先生は…」

律「来てほしくなかった。騒ぎ起こしそうなんで」

さわ子・純「ひどすぎる!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 21:47:23.10 ID:8za/BQHIo<> メール欄にsagaと入れれば禁句も表示できる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:49:37.17 ID:XJEiPlqb0<> >>98
トン。2ちゃんにはない機能があるんですね。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:50:22.50 ID:XJEiPlqb0<> 純「そもそも私が呼ばれないでなんで内川さんが来てるのよォ!」

澪「あれ!?本当だ!」

梓「なぜ…」

内川「男だけでは味わえなかったドーンときてガシャーンとやられる感覚」

律「す、すみませんけど今日はお引き取りを…」

 バタン!

 〜廊下〜

内川「アッタマ来た!なんだろアレは!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 21:51:49.82 ID:XJEiPlqb0<> 憂「…というわけで、無事、レギュラーシーズンは終了しました!」

憂「結果、クライマックスシリーズ出場はこのようになりました!」

 ☆パシフィックリーグ

・ファーストステージ(三試合)
 ソフトバンク(パ2位)−西武(パ3位)

・ファイナルステージ(4勝先取。1位チームに1勝のアドバンテージ)
 日本ハム(パ1位)−ファーストステージ勝者

 ★セントラルリーグ

・ファーストステージ(三試合)
 中日(セ2位)−横浜(セ3位)

・ファイナルステージ(4勝先取。1位チームに1勝のアドバンテージ)
 巨人(セ1位)−ファーストステージ勝者

憂「ついに待ちに待ったクライマックスシリーズ!」

憂「果たして日本シリーズに駒を進めるのは一体どこでしょうか!?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 22:00:23.33 ID:XJEiPlqb0<> これで書きため分はおしまいです。おそまつさまでした。

これから先は、また書きためて、明日の夜に書いていこうかと思います。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 22:13:03.55 ID:U00gf5MIO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 22:29:14.78 ID:IpZpIsQIO<> おぉっ!待ってたぜー
もう書くのやめたんじゃないかと心配してたが書き溜めてたんだな
まあのんびりじっくり書いてってくれや
これからも期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 22:32:29.90 ID:wLq7/BrIO<> >>91
憂ちゃん相変わらずでワロタ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/12(火) 22:43:33.78 ID:XJEiPlqb0<> >>83にも禁句があることに気がついた。
これも中身は「しね」です。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 23:17:50.42 ID:uW56PgySO<> 超期待!

前作は、7月のけいおんSSで一番盛り上がったSSだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2011/07/13(水) 01:09:07.19 ID:TFEChvfT0<> 乙
燕ファンだが
宮本のサヨナラタイムリーエラーで巨人に優勝決められたのを思い出して死にたくなった
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/13(水) 06:22:20.91 ID:4lFBWMzIO<> 乙
ここは書き込みは少ないけど見てる奴はそこそこいると思うから
レスが少なくてもめげずに頑張ってくれ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/13(水) 06:22:59.53 ID:4lFBWMzIO<> 乙
ここは書き込みは少ないけど見てる奴はそこそこいると思うから
レスが少なくてもめげずに頑張ってくれ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/13(水) 07:44:05.79 ID:8Ib9fqVDO<> 前作見てたので期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/20(水) 19:47:38.44 ID:Q2O6IU7X0<> 遅くなって申し訳ありません。
実は、完結を急ぎたかったため、この先の流れは
ここが落ちている間にvipで完結させてしまいました。

(スレ)
ttp://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1309622835/
(まとめていただいたもの)
ttp://morikinoko.com/archives/51724897.html

その際、この話の後日談(?)的なやつを書いたらどうかと言われたので、
ここでそれを書いていこうかなと思います。

一応書くものは、『いちご』と『けいおんメンバー』の後日談、ということで。

まとめて書くのは時間的に厳しいと思うので、ちまちま書いていこうかと思います。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/20(水) 19:48:34.72 ID:Ow7YZ5hRo<> 待ってるで! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2011/07/20(水) 20:36:01.79 ID:ieQf5K+x0<> さわ子が西武のセットアッパーということは
さわ者になる可能性もあるのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/07/22(金) 09:12:16.20 ID:6chzXgdAO<>     _、_
  ( ,_ノ` )
 (⌒`::::  ⌒ヽ
 ヽ:::: ~~⌒γ⌒)
    ヽー―'^ー-'
     〉 さわ│
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/22(金) 11:38:35.44 ID:gWePOQYDO<> 和の行動が意味わからんかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2011/07/22(金) 21:26:31.55 ID:4HHQZeHE0<> 熱烈歓迎さわ者wwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/23(土) 22:22:01.57 ID:VF8gd5KX0<> 宣言から三日も立ってしまいました。
まず『いちごアフター』から書いていきます。

いちごは好きなモブキャラなので、今までのテンションとは違った感じで書いてみようかと思います。
ノリを変えるのもどうかと思ったんですが、たかがSS。ご容赦ください。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/23(土) 22:28:48.39 ID:VF8gd5KX0<> 若王子いちごはベンチに腰掛けていた。
冷たい秋風が吹きこむダグアウトの中から、彼女の所属する楽天イーグルスの敗戦模様を眺めていたのである。
彼女はスターティングメンバーに名を連ねていたが、七回にレフトの守備を替えられた。
それまでは、2打数1安打1四球。決して悪い成績ではなかった。

『ゲームセット!』

審判の声は、ずいぶん遠くで響いたように感じられた。

結果は、スコアボードを見るまでも無かった。
相手チームの抑え投手の前に、自軍の最後の攻撃は、三人であっさり終わった。

周囲に座っていた選手たちは一斉に重い腰をあげ、自分の荷物を抱えてベンチ裏へと消えていった。
ある者がつぶやいた。
「残念だったな」
それを聞いた誰かもまた、誰に言うわけでもなくつぶやいた。
「最後の最後で最下位転落か」

シーズン最終戦、ホームスタジアムでの試合。
イーグルスのシーズンはこれで終わった。
客席からはもはやため息も聞こえてこない。

いちごの背中を撫でた一陣の風は、ひときわ冷たかった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/23(土) 22:44:13.25 ID:VF8gd5KX0<> 「ふぅ…」

ロッカールームで、髪をほどきながら一息ついた。

いけない。

自分のこの細くゆっくりと息を吐く癖は、自分ではリラックスをしているだけなのだが、
いつも家族や友人からは、「不満があるように見える」と言われてきた。
今はそれが一番いけない。

「あっ」
内村が慌ててイスに放り出されていたスポーツ新聞を隠した。
だが何が書かれているかは、ずいぶんと前から知っている。

『楽天 若王子 怠慢プレーでチームに亀裂!?
        お姫様から一転チームのやっかい者に ―ある選手は語る―』

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/23(土) 22:58:45.89 ID:VF8gd5KX0<> こういう報道が、ここ二三日でやたらと増えた。
それにつられてか、試合中のヤジもそれに関するものも多くなった。
どんなに歓声が大きくても、そういう声は不思議と耳に突き刺さる。
それが辛いと感じたことは無い。
ただ、なんとなく寂しかった。

「気にすることないよいちごちゃん」

「こんなん恒例のことや。本当やったことは一度もあらへん」

「こういうのは売上欲しさにデッチあげてるもんだよ」

チームメイトはいつもそう言ってくれる。
その言葉が嘘とは思わない。
だが彼らの気遣いは、少しだけいちごの胸をしめつけた。

加えて、報道が始まって数試合での起用も気にかかる。
初めてスタメンに抜擢された時はフル出場出来たのに、最近は途中交代ばかりだ。
それはヤジに晒さない監督の心遣いなのかもしれない。
でももしかしたら、それとは全然反対な意味をもったものなのかもしれない。

(ま、気にする必要ないし。)

物ごころついた時から、いちごはあまり悩まないことにしている。
けれどこのところのゴタゴタは、彼女の心に、ぬぐいきれない影を落としていた。

(今日もあの公園でランニングしよう)

他の選手たちとは違う場所に用意された女子更衣室で、
寒さの割に肌にべっとりとついた汗をぬぐった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/23(土) 23:16:21.24 ID:VF8gd5KX0<> 夜の公園は樹木が熱を吸うようで、しんと冷たく静まりかえっている。
虫の声はそこかしこで聞こえるのだが、不思議なことに虫の鳴き声は静寂を引き立たせる。
落ち葉を食べた黒い土の匂いがほのかに薫る。

そんな夜の真ん中で、唯一自分の体がかっかと火照り、
したたる汗の匂いが湿った空気に溶けていく。その感覚が好きだった。
この公園でのランニングを始めたのは数日前、それ以来毎日続けている。

「はぁ、はぁ…」

首にかけた珠飾りつきのタオルで、流れる汗を拭く。
息を吸うと、秋らしい虫の音でいっぱいの空気が自分の胸いっぱいに入ってくる。
なんだか身も心もきれいになった気がして、さあ最後の一周、とシューズのかかとを整えた時だった。

「あれ?」

誰かが大きく目を見開いてこちらを見ている。知っている顔だ。

「秋山さん…?」

ああ、そういえば今日の先発は彼女だったな、と今更のようにいちごは思い返していた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/25(月) 23:34:55.28 ID:y+gjM0Qu0<> 「どうしてこんな公園に?」

「え…いや、色々あって、さ。それで良い公園があるなって」

澪は少し眉を八の字に傾けて、右手に提げていた大きめなグラニーバッグを胸に抱えた。

「あ、あの、若王子さんはどうして…ってランニングだよね、そりゃ…アハハ…」

いちごはこういうタイプが苦手だ。
いや、嫌いというわけではない
ただ、こういう風に人見知りする相手とはうまくコミュニケーションが取れない。
かと言って自分が会話をリードするようなおせっかいを焼こうともしてこなかった。

けれど今のいちごは、ふいに出会ったかつてのクラスメート、そして同じ女性の野球選手に、今までにない親近感を感じていた。
秋夜の公園の冷たい空気をこの相手と共有できたことに、何か運命めいたものさえ感じていた。

「そこのベンチ、座る?」

澪は少し驚いた顔を見せたあと、大きくうなずいた。

ベンチに張り付いていた湿った落ち葉を拾い上げ、二人は小さめなベンチに腰を下ろした。

いちごは、澪がなぜここに来たのかを尋ねた。
出来るだけ明るく話そうと努める澪の話は、要するに、
今日の試合の後に『シーズンお疲れ様&プレーオフ頑張ろう』の飲み会があったが、
酒の席は苦手で、宿舎近くの公園に避難してきた、ということだった。

「大変だね、強いチームも。、あぁ。無理して苦手な所にいる必要もないよね」

人の話を進んで聞いてあげるなんて、なんだか自分らしくないと思った。
こういうことは、もっとしっかりして、もっと元気で、もっと頼れる人がやることだと思っていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/26(火) 00:23:34.39 ID:3jt9zNrk0<> その後も、二人は話し続けた。
さやかに光る星空も、首筋を撫でる秋風も、それに揺れる草のさざめきも、まるで意図して二人に落ち着いて話せる場所を作ってくれているようだった。

「今日の試合はやられたなぁ」

澪は子供っぽく笑った。

「フォークをあんなに綺麗に外野にもっていかれるとは思わなかったよ」
「でもあれ結局フライだったじゃん」
「いや、でも一打席目のヒットよりあっちの方が印象に残ってるなぁ」
「まぁ分かるかも。私もあっちのが収穫あった感じだったし」
「だよね!やっぱり結果よりもさ、自分の中で『うまくいったー!』って方が心に残るんだよなぁ」

あ、と思い出したように声をあげて、澪はバッグの中に手をつっこんだ。
取り出したのは、グローブと野球ボール。

「若王子さん、グローブ持ってる?キャッチボールしない?」

さっきの話ですっかり気持ちが野球に向かってしまったらしい。
だがあいにく、ランニングだけをするつもりでここに来たのだ。

「持ってない」

「そっか…」

そっけない回答にしょんぼりと肩を落とし、グローブをしまった。
その時、またもふいに澪が声をあげた。

「あ!グローブ!あれ、グローブじゃないかな?」

指をさした先にあったのは、ハクチョウゲの茂みだった。
その隙間から、確かにグローブのようなものがその姿を覗かせている。

「ほら、やっぱりグローブだ!これ、結構いいやつじゃないかな?」

すっかり野球少女の目になってしまった澪は、グローブのもとに駆けて、それを拾い上げた。
表面の土を払いながら、澪は懇願するような目でいちごを見た。
その顔は、買ってほしいおもちゃを見つけた子供が恐る恐る親の表情をうかがっているのをイメージさせ、いちごは思わず苦笑いを浮かべてしまった。

「いいよ。しよっか」

季節外れのコハコベが、澪の顔に小さく咲いた。

「う、うんありがとう!私がこっち使うからさ!」
「私左利き用使えないから。それでいいよ。貸して」

澪から受け取ったそれは、なるほど有名なメーカーによるもので、作りはしっかりしているし土の上に投げ出されたにしては汚れも少ない。
けれど手入れはあまりなされていないようで、痛みが激しい。
ちらと前を見ると、澪が早く投げたそうにうずうずしている。また小さく笑みを浮かべて、子ども用のそのグローブを左手にはめた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/26(火) 02:19:05.29 ID:3jt9zNrk0<>
「ふう…もうこのへんにしとこうよ」

いちごはグローブを外し、汗ばんだ左手をタオルで拭きながら言った。
澪も同意したようだったので、外したグローブを元の木の影に戻す。

「ゴミ箱に入れるべきだったのかな」

自販機の前に立ってジュースの品定めをしている澪の背中に話しかけた。

「いや、元の場所に置いといた方がいいんじゃない?あそこにわざと置いてるのかもしれないし」

「そんなことするかな」

渡してくれたカロリーゼロの炭酸飲料のフタを開けながら、首をひねった。

澪が腕時計に目をやっている。自分も携帯電話の時計を見てみると、もう随分と時間が経っている。
思えば、すずしいこの場所でも汗が噴きだすほどキャッチボールをしていたのだ。
さっきまで楽しそうにボールを投げていた澪も、これほど遅くになっているとは思ってなかったのだろう。
くちびるを小さく噛んで、考えるそぶりを見せている。

「随分遅くなっちゃったな…。あんまり遅くなるとアレだから、じゃあ、私これで」

「道わかる?」

「大丈夫。すぐそこのホテルだから」

二人は少しホテルの場所について会話を交わしたのち、それが礼儀であるかのようにアドレスの交換を始めた。
言いだしたのは澪からだった。とりあえず澪のアドレスをいちごに送り、「好きな時に返事ちょうだい」と言うことだった。
こういう場合の「好きな時に」は、「その日のうちに」と同義であることは、人づきあいが達者でないいちごにも分かっていた。

「それじゃあ」

公園出口、月光が澪の白い顔を照らし、彼女の柔らかな頬笑みをますます清らかにした。

「若王子さんとこんなに話せて楽しかった。また会おうね。今日は本当にありがとう!」

はじめの人見知りはどこへやら、澪はすっかり少女の無邪気さと大人の社交性を併せ持った顔をして、滑らかな口調でそう言った。
今日のように、どんなに自分らしくないことをしたとしても、この口調は自分には出来ない、と思った。

『楽しかった。また会おうね』

きっと自分には言えない言葉だと思いながら、いちごは、去りゆく、時折振り返って笑顔を見せる一人の女性に手を振り続けていた。

そして自分のそういう一面が――

ふっと心に浮かんだそんな言葉は、さっきまで美しくひかめいていた月を、いつの間にか薄雲の向こうに隠してしまった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/26(火) 02:48:08.82 ID:3jt9zNrk0<> 次の日の夜。
いちごは今夜もあの公園で走っていた。

もう澪のチームはこの土地を離れている。
それなのに、今日も誰かがひょいと現れて、他愛のないおしゃべりが出来るのではないか、という甘い期待が心のどこかにある。
その心持ちを、「寂しさ」と表現するのは嫌だった。
そんなものは、自分と縁遠いものだと思っていたからだ。

シーズンが終わったとはいえ、チームの寮のすぐ近くにある、
球団が用意してくれた部屋で暮らしているいちごにとっては、その人間関係からまだ離れることはできない。
今まで、女ということもあって、周囲からは特別に見られてきたという自覚はある。

けれどあの報道がされてからは様子が違う。
今までより冷たくなった――わけではない。暖かい。みんなやさしい。
その不自然な優しさが、今の自分には非常に居心地が悪い。
なんだか自分が責められているような気さえした。

『良い子になりたいの?』

心の片隅で誰かがささやく。誰だろう?分からないけれど、きっと嫌な奴に違いない。

『みんなに好かれる良い子になれば、こんな煩わしさから解放されるのに』

その言葉はぐるぐるといちごの頭の中を駆け巡っている。もちろん今も。いや、正確にいえば走れば走るほどその声は大きくなっている。
このささやきは、まだ子供だったころに聞いたことがあった。
その時は、『別に。どうでもいいよ』の一言にふした。この言葉が、数年の時を超え、再び蘇ってくるとは思いもしなかった。

傷を負った慣れない自分にとまどいながら、いちごは走った。

ある低木のそばを走った時、木陰に隠されるように置かれた昨日のグローブが目に付いた。

明らかに昨日自分が置いた場所とは違う。

ということはこのグローブを誰かが使ったのだろうか?

明日、見にこよう――

そう思って、いちごは額を流れる汗をぬぐい、ぐい、とスピードを上げた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/26(火) 10:50:29.08 ID:3jt9zNrk0<> 翌日。
昼間の公園は夜と違って人が多かった。
親子連れ、子ども達の集団、休み時間をつぶすサラリーマン。

自分が何者であるかが知れたら面倒なことになるとは思っていたが、
かといって似合わぬサングラスをかけたり暑苦しいマスクをすることの方がよっぽど面倒だと思ったので、いつも通りのトレーニングウェア姿で散策している。

昨日グローブを見つけたあたりを見回してみると、一人の子供がうずくまっているのが見えた。
何かを抱きかかえるように、その小さな背中をますますこごめている。
4、5歳だろうか、後姿だけでは性別までは分からない。

いちごは気になって話しかけようとした。
けれど子供といえど全くの他人に声をかけるのに躊躇し、まごついているうちに、その子の方が先に振り向いてしまった。

「あっ、おねえちゃん!」

女の子だった。
大きく黒い瞳を爛々と光らせて、まっすぐいちごの顔を見つめている。
どうやらいちごのことを知っているようだった。

「やきゅうする人でしょ?おねえちゃん」

女の子は、あのグローブを大切そうに抱きかかえていた。
なるほど、どうやら野球好きの女の子のようだ。

いちごは少しほっとした。
あのグローブの持ち主としては、最も望ましい人物に思えた。
そして、この子と話したい、と思った。

「お嬢ちゃん、野球好きなの?」

いちごは出来る限り優しくほほ笑んだ。

「ううん、キライ!」

女の子の答えは明快だった。そしていちごの予想とは全然反対のものであった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/26(火) 11:12:35.01 ID:3jt9zNrk0<> いきなり出鼻をくじかれた。
ただ相手は子供。状況を整理し頭を落ちつけ、出来るだけ穏やかに言った。

「そっか。なんで嫌いなの?」

「つまんないから!」

女の子の答えはどこまでいっても明快だった。

さて、一体これから何と言うべきなんだろうか?
当たり障りのない、そして当てにならないいくつかの候補が浮かんだ。
もやもやと逡巡するうちに、女の子が言葉を続けた。

「おねえちゃんだってそうでしょ?」

「えっ?」

「いつも怒りながらやきゅうしてる」

「え…」

「ぜんぜんたのしくなさそうじゃん!」

ショックだった。
女の子の言葉は、まるでハンマーのようにいちごの頭を打ち付けた。

『若王子、怠慢プレー』『若王子、やる気無くチームのやっかい者』『若王子、和を乱す存在』

あの忌まわしい新聞の見出し達が、一斉に頭の中で踊りだした。
『怒ってる』『楽しくなさそう』
一番言われたくない相手だった気がした。一番この子に言ってほしくない言葉だったような気もした。

「おねえちゃん?」

女の子が、いちごの顔を覗きこんだ。
心配そうにいちごを見つめるその顔には、悪意なんてこれっぽっちもなかった。
それが辛かった。
知らず、いちごの口からはこんな言葉が出ていた。

「そんなことないよ」

「え?」

「野球、楽しいよ。私。野球好きだよ。ほんとうだよ」

その言葉には熱がこもっていた。
なぜ自分がこんな見ず知らずの女の子にこんなことを言ってるのか、彼女自身にも分からなかった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/26(火) 11:27:26.72 ID:3jt9zNrk0<> 「おねえちゃん?」

女の子は、いちごの強い語気に鼻白んで、抱えたグローブをますます強く抱きしめた。
いちごは、ひしゃげたグローブに目をやりながら言った。

「お嬢ちゃんだって、野球が好きだからそれを持ってるんじゃないの?」

途端、女の子は、肩ほどまでの髪を振り回すように、何度も首を振った。

「それじゃ、どうして?」

「…………」

女の子は首をすくめて口をとがらせている。
あまり言いたくないのであろうことはすぐに分かった。
相手の秘密を詮索するほど自分は優しい人間でもないし、優しい人間であることをアピールしたいとも思わなかった。

「ううん、言いたくなかったらいいよ。ごめんね」

「うん」

「でも。野球は本当に楽しいと思うよ」

「…………」

女の子は眉をひそめていちごの不慣れな笑顔を見つめている。
それははっきりと疑いの顔であった。
そんな顔を晴らしたいと、いちごは強く思った。この子のために、またおそらく、自分のために。

「キャッチボールって分かる?私としてみない?」

きっと持ち主は子供だろうと思って、来る前に準備しておいたゴムボールを取り出した。
女の子はしばし考えるそぶりを見せたのち、首を縦に振った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/26(火) 17:03:51.59 ID:3jt9zNrk0<> 蛍光色のゴムボールが二人の間を行き来する。

いちごが時折ゴロを転がしたり、高く上に放り投げてみたりすると、女の子もそれを追って必死にパタパタと走る。
グローブはやはり女の子には大きすぎ、まともに捕球はできないようである。
だが時々ボールがうまくグラブに収まると、その度に汗ばんだ顔でにっこり笑うのだった。
そんなことをしているうちに、あっという間に数十分が経ってしまった。

「これくらいにしとこう」

女の子はもっと出来るとほほを膨らませたが、幼い女の子ならそろそろ家に帰るべきだろう。
女の子がグラブを外して、汗をぬぐっている。
それをぼんやり眺めていたいちごは、何かを思いついたように小さく眉を持ち上げた。

「これ」

いちごが差し出したのは、ジュースだった。
女の子は一瞬きょとんとそれを見つめたが、もらえるのだと分かるとパッと真面目な顔になって頭を下げた。

「あ、ありがとうございます!」

急な敬語に、思わずつい口元がほころんだ。
きっとお礼を言うときはそうするように親御さんにしつけられたのだろう。

「家まで送ろうか」

「いい!大丈夫!」

「そ」

またはじめの快活な少女に戻ったようで、いちごは安心した。

「でも、お母さん心配してるんじゃないかな」

「いないよ!夜まで私しかいないの!」

女の子はまた明快に答えた。
聞きたいことがないではなかったが、彼女の明るさを失わせるようなことはしなくなかったので、

「そっか」

とだけ言っておいた。

「ね、今度はいつきてくれる?」

ジュースを飲みきった女の子が尋ねた。
いちごは、予定を思い出して、この時間に来られそうな直近の日を教えた。女の子は八重歯を見せて笑った。

そうか。彼女はずっとグローブをああいう風に使って来たことがなかったのだ。
今までは、初めて彼女を見かけた時のように抱きかかえてばかりいたのだろう。
できるだけ、この時間があけられるようにしよう。それが自分の役目のようにも思えた。

「それじゃあね。お姉ちゃん、バイバイ」

女の子は手を振って、そのままくるりと背を向け、夕方になりかける街の中へ駆けだした。
木陰に残されたグローブについて言っても、大きな声で「いいの!置いといて!」と答えるばかりだ。
そのうち、彼女の幼い背中はすっかり見えなくなっていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/26(火) 19:22:44.71 ID:3jt9zNrk0<> それから、二人は時々この公園でキャッチボールをするようになった。

女の子は握れないグローブの扱いにも慣れ、いつしかいちごの投げたボールを上手に捕まえられるようになっていた。
すると彼女の興味は捕ることから投げることへ移ったようで、いちごの構えるグラブめがけ目いっぱいボールを投げ込むことを楽しみとするようになった。

大体はいちごの捕れる範囲を大きくオーバーして、走って捕りに行く羽目になる。
女の子はそれすら楽しいようで、いちごが「もう」と眉を寄せてボールを追う姿を見て、けらけらと笑うのだった。
それでも女の子は投げる方でもメキメキと上達し、いちごのグローブに、パシンと乾いた音とともに球が飛びこんで来ることも多くなってきた。

うまくなっていく姿を見ることが楽しいと思いつつも、この女の子について気がかりなことがないわけではない。

いちごがこの秋に知った彼女の情報は、名前と大まかな住所、好きなジュースは何か、程度のものでしかなかった。

だが、相変わらずいちごは彼女について多くを知ろうとはしなかった。
それはいちご自身、あまり他人に興味を持たない性質であったということもあるが、
心のどこかに、彼女との関係を揺らがせたくないという思惑もあった。

秋季キャンプでも相変わらずチームメイトとのギクシャクした関係は続いていたが、あの少女のことを考えると、少し気持ちが落ち着いた。
(ま、私がいないとあの子も可哀そうだしね)
彼女のことを考える度、大体こういう結論に至るのだが、自分が彼女に支えられているということも、いちご自身うすうす気がついていた。

そういう風に二人の仲は大きく変わることなく、冬を迎えた。

冬の公園はますます冷たく、あれほどいた子供連れやサラリーマンの姿も見えなくなっていた。
風の子たちが元気に走り回っているくらいである。

そんな中でも、二人のキャッチボールは続いていた。
女の子は相変わらず行動を家庭に束縛されていないようだったし、いちごも実家に帰る日を先延ばししてこの街に残っていた。

だがある日、冬の冷たい空気が災いしたか、ついに女の子のグローブが壊れてしまった。
使っているのはゴムボールなので、おそらく一番の原因は彼女が執拗に抱いたりいじったりしたことだろう。

「これくらいならまだ何とかなると思うけど」

いちごがそう言っても、女の子は口をつぐんで壊れた所をいじるばかりだった。
結局その日は、それ以上二人は会話を交わすことなく、木枯らしと共に公園を去っていった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 11:12:24.61 ID:B52d7inW0<> 家に帰って一息ついていると、携帯にメールが届いていることに気がついた。
秋山澪からだ。
彼女とはあの日から数回メールでやりとりしている。
大体は、彼女のチームが勝ち進んだことへの祝辞であり、シーズンが完全に連絡が終わってから連絡が来るのは珍しかった。

「…なんだろ」

開いてみると、なんということはない。
単に、友達でクリスマスパーティーをすることになったから、
何か女の子に贈って喜ばれそうなかわいいもののアドバイスをもらえないか、ということだった。

おそらく学生時代の軽音部のメンバーでやるのだろう。
後輩の子はあまり知らないが、同学年の四人の顔を思い浮かべて、
それらしいものを紹介しておいた。

「クリスマスか…」

澪に返信し、カレンダーを見た。
いつの間にかもうそんな頃になっているのだ。
そういえば家族も、クリスマスあたりには帰ってこいと言っていたし、
バトン部の友人もそのくらいのころに集まろうと誘ってくれていた。

「どうしようかな…」

ベッドに転がって、組んだ腕の中に顔をうずめた。
おせっかいを焼くのは自分らしくないと思っていたし、あまり得意でない自覚もあった。

「クリスマス…か」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 12:00:46.10 ID:B52d7inW0<> 冬の日。

この日は朝からどんよりと重たい雲が空を覆っていた。
風も肌を切るように冷たい。
雪になるだろうと天気予報では言っていた。

公園に行くと、いつもの場所にいつもの女の子が座っていた。
いちごはできるだけ穏やかに話しかけた。

「寒いでしょ、ここにいると」

「うん。でも…」

ここしか行く場所がないから。
女の子の言いたいことはおおよそ予想がついていた。

だから彼女はここに来るのだ。
いちごとのキャッチボールは、彼女にとって数少ない楽しみだったのだろう。
それはいちごもよく分かっていた。

「それでね、昨日のグローブなんだけど」

いちごはそう言いながら彼女の胸に抱えられた、傷の付いたグローブを見た。
直そうとしたのだろうか、テープやノリの跡が見え、傷はますます広がっているようにみえた。

「それ、まだ大きかったでしょ?だから…これ」

そう言っていちごは、包みからグローブを取りだした。
女の子の手に合う、四、五歳の子供用のものだ。
スポーツショップで買ったそれは、冬のほのかな光を浴びて、きらきらと光っていた。

「これ使ってキャッチボールしよう。それは、あなたが大きくなるまでに直して、それから使えばいい」

女の子はまばたきを忘れたように目を剥いて、差し出された新しいグローブといちごの顔を交互に見つめた。
やがて、絞り出すような声で言った。

「…ありがとうございます」

女の子はうつむいた。

「でも、いらない」

「えっ?」

「…いまのグローブがいい」

「うん。でもそれ壊れてるし。大きさもあってないし、合うようになってから…」

「これがいいの!」

女の子の声は、公園中に響かんばかりだった。
枝に残った最後の葉が、はらりと落ちた。

どうして…。
口に出してしまいそうだったが、深く探らないと自分で決めたことだ。いちごは口をつぐんだ。
けれど、女の子のほうから口を開き、ゆっくりと話しだした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 12:31:42.32 ID:B52d7inW0<> 「パパのだもん」

「え?」

「パパが買ってくれたの。一緒にこれで遊ぼうって」

「……」

「私、イヤって言ったの。おっきいし、手が痛くなるし、つまんないから」

女の子はそれから言い淀んだが、一度きゅっと唇を結んで、勇気を振り絞るように言った。

「そしたらね、いなくなっちゃったの。怒って、家からいなくなっちゃったの」

「……」

「私がね、イヤって言ったから、私が、私が…」

いちごは何か言葉をかけようかと思ったが、言葉を詰まらせながらもなんとか言葉を繰ろうとする女の子を見て、
とにかく彼女が話してくれる限りのことを聞いてあげようと思いなおした。

「そしたら、ママがこれを捨てなさいって。家にもっていちゃダメって」

「………」

「ママが怒るから、パパのグローブ捨てなさいって言うから、でも捨てたくないって思ったから、だから…」

いちごはもう一度、彼女の抱えたグローブを見た。
雨と土と泥を吸ったそれは、表面をどんなに拭いても、ぬぐいきれないくすみが底光りしている。

「だから、これがいい。これじゃないと、パパが戻ってきてくれないもん。
 これで一杯遊んでたら、きっとパパもご機嫌なおして、また戻ってきてくれるから…」

いちごは、涙をこぼしはじめた女の子の背中を優しく撫でた。
小さく、そして熱い背中だった。
この背中にかけられる言葉を探したが、やはり見つからない。
何を言っても彼女を傷つけるように思えた。

そうやってしばしの時間が過ぎた。
もう日が暮れる。
女の子は赤い目をこすって、いびつな笑い顔をつくって、いちごに別れの言葉を告げた。

「新しいグローブありがとう。でも、でもやっぱりこれがいい。じゃあね、じゃあね」

女の子はいつもと同じように、街の中へ駆けて行った。

それを見計らったように、ちらちらと雪が舞い始めた。
雪はひらひらと風に踊りながら、いちごの手や首筋に落ちていく。
けれど、冷たさを感じる間もなく、それらは融けて消えていく。

「…帰ろうか」

少し早目のクリスマスプレゼントは、来たときよりも随分重たく感じた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 13:12:49.42 ID:B52d7inW0<> 次の日の朝、雪はほとんど融けてしまい、土や葉の上にかすかに残っているだけだった。

朝食をとりながら、いちごは今日どうすべきかを考えた。
公園に行くべきか、行かざるべきか。

あの子は自分をどう思っただろうか。
大切なグローブを馬鹿にした、嫌な奴と思っただろうか。
なんだか嫌な考えばかり浮かんだ。

しかし、彼女は、また今日も寒空の下で自分を待っているかもしれない。
そうだとすれば、いかない理由なんて一つも無い。
あの子が自分を待ってくれている可能性が少しでもある限り、それに応える義務がある。


雪でびしゃびしゃになった公園には、昨日以上に人気がなかった。
グローブを隠してある場所、いつもあの子と待ち合わせる場所に目を移すと、
女の子ではなく、一人の大人の女性が佇んでいる。

細身の体にくたびれた衣服をまとわせ、大きな瞳でこちらをじっと見据えている。

見たことのない人物だったが、いちごにはその女性が、あの子の母親であることはすぐに分かった。

ぺこり、と礼をすると、女性も礼を返す。
どちらかが名乗るということもなく、自然に話は始まった。

「…いつもあの子と遊んで下さったようで、本当にありがとうございます」

女性は再び深く頭を下げた。

「私は何も…」

「いえ、よくあの子の相手をして下さる方がいらっしゃることは存じ上げておりました。
 でもそれがまさか、テレビで見るような方とは昨日まで思いもしませんでしたが…」

「…昨日は…」

「ええ。帰ってみるとあの子の目が赤く泣き腫らしておりまして、どうしたと尋ねたら、
 少しずつですが話してくれました。…恥ずかしいことを知られてしまったようですね」

女性の目はまっすぐいちごを見た。
そこには気品と、みなぎれんばかりの強さが湛えられている。
顔に刻まれた深いしわが物語る苦労も、その目の力で悲壮さを感じさせなかった。

だが、その目に負けてはいけない。いちごは、気になっていたことをぶつけた。

「あの子のお父様は…?」

女性は鼻から深く息を吸って、

「ええ。予想はおつきかと存じ上げますが、娘の父、つまり夫とは別れ、別居しております。
 毎日のように遊びまわりギャンブルに狂う夫に、私は困憊し離婚届を突きつけました。」

女性は一呼吸おいて、

「揉めなかったと言えば嘘になりますが、夫も家庭を困らせている自覚があったのでしょう。
 いつの間にか、私に置き手紙といくらかのお金を残して家から姿を消しておりました。
 その金額はさしたる額ではありませんでしたが、彼にとっては精一杯の額だったと思います」

「そのことは娘さんは知らないんですよね」

「ええ。娘には夫婦のゴタゴタを見せぬようにしておりましたし、
 娘からすれば急に夫がいなくなったように思えたかもしれません」

「…旦那さんはどこへ」

「存じ上げません」

「えっ」

「夫は唐突に姿を消しました。彼が今、どこにいるのかは私には分かりません。
 彼のことを思い出すと苦労ばかり思い出してしまい、彼に関するものはみな捨ててしまいましたし…」

いちごは空を見上げ、重たい息を吐きだした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 13:42:13.17 ID:B52d7inW0<> 家に帰って、重たい体をベッドに放り出す。
携帯を開いてみると、澪からの返信が届いていた。

いちごのアドバイスに沿ったものを買った、という旨の文と、その商品の写真が添付されていた。

いちごは、自分でも築かぬうちに、澪への発信ボタンを押していた。

何回かのコール音ののち、澪が嬉しそうな声で電話に出た。

『若王子さんが電話くれるなんて珍しいね。どうしたの?』

あの子のことを話すのは、あの母子に失礼に思えた。
かと言って世間話をするような気分でもない。
本当に自分はなぜ電話をかけたのだろうと苦笑した。

「あー、いや別に。クリスマスパーティー、うまくいきそう?」

『うん。あ、そのパーティー、高校時代のバンド仲間でやるんだよ』

やっぱり。

『懐かしいなー。あの頃。若王子さんは私たちの演奏聴いてくれたことあったんだっけ?』

「三年の時ライブの受付とかしてたし、少しくらいは」

話すことはないが、自分からかけた電話だ。とりあえず少し話を合わせて、会話らしいことをしておこうと思った。

「ライブってやっぱり楽しかったの」

『うーんどうだろ…最初は緊張してばっかりで楽しいどころじゃなかったなぁ。
 でも慣れてくると、自分の演奏で喜んでもらえるのが嬉しいんだよ。
 『もっと喜んでくれてる顔が見たい!』って素直に思えるんだ』

「へぇ…」

『でもあんまり欲張りすぎると駄目だったな。あれもこれもやってみたいって、失敗したりさ。
 自分が精いっぱいできることをやった時が一番ウケがいいし、自分も楽しかった』

その後もしばらく、他愛のない話を続けた。
会話が終わって電話を切ってからも、澪の話で気にかかった言葉がぐるぐるとリフレインした。

『自分が精いっぱいでいることを』

なぜだか、グローブを受けとらなかったあの子の顔が思い浮かんだ。
お父さんとのつながりを抱きしめ続けたあの子を。

『わたくしの杯は大きくはございません。
 それでもわたくしはわたくしの杯で戴きます。』

何かで読んだ言葉だ。
さして印象深い本でもなかったのに、この言葉が急に思い出された。

いちごは、ふぅ、と細く長い息を吐いて、もう一度澪に電話をかけていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 13:59:24.88 ID:B52d7inW0<> 時は流れ、春になった。
まだ冬の寒さは残るが、それでも間違いなく春だ。

なぜなら今日はオープン戦。
仙台での初めての試合。
この地にもとうとう球春がやってきた。

観客席には春を待ちわびたファンが、胸を高鳴らせてプレイボールを待っている。
そんな外野席の真ん中に、あの女の子と、その母親の姿もあった。
いちごが招待したのだ。
女の子は修理したあのグローブを胸に抱え、母親は一番のおめかしをしてやってきた。

「プレイボール」

球審が手を上げる。
ピッチャーが投げ、バッターが打ち、野手が追う。
ベースボールが始まった。

そして、いちごの出番がやってきた。
一番レフト。トップバッター。
打席に立つその顔には、ほほ笑むわけでもなく、眉を釣り上げているわけでもない。
いつもの自然体だ。
自分にとって自然な形でいればいい。いちごは結局前と変わらぬ信念に行きついた。

キャンプ中もその姿勢で臨んでいくうち、チームメイトも分かってくれたらしい。
いつしか、過度に気にかけられることも、何か言われることもなくなっていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 14:14:57.04 ID:B52d7inW0<>  
 かぁん。

乾いた木の音が球場に響く。

春の淡い色の空に、白い放物線がかかる。

白球はぐんぐん伸びて、女の子の方へと向かっていく。

「あ、あ」

女の子が、あのくすんだグローブで、ボールにむけて目いっぱい腕を伸ばす。

ぱしり。

けれど白球を捕まえたのは、女の子のすぐそばの別のグローブだった。

「あ」

女の子はそのグローブに見覚えがあった。
子供用の小さなグローブ。その革の表面は、春の日差しをうけてキラキラと光っている。
不釣り合いな小さなグラブを指先にはめた男性は、中のホームランボールごとグラブを女の子に差し出した。

「うっかりボールを買い忘れてちゃったんだよ。キャッチボールしたいと思ってたのにな」

今度は女の子のグローブをひょいと取り上げ、それでもまだ男性には小さめなそれを、強引に自分の手にはめる。

「でもこれで大丈夫だ。お姉ちゃんのくれたそのボールでやろうな。うまくなったって聞いてるぞ」

女の子はこくこくと何度もうなずいた。

隣の母親のまん丸な目に気がついた男性は、優しく目を細めて、ダイヤモンドを周る野球選手を指差した。

「ご覧。あのお姉ちゃんのお友達がね、パパを探してくれたんだ。そしたらあのお姉ちゃんがやってきて、パパをここに呼んだんだよ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 14:35:33.23 ID:B52d7inW0<> 「それにしても、もうちょっとニコリとでもすりゃあいいのによ」

カメラマンが苦々しく言った。
そのカメラの先はダイヤモンドを一周する選手の顔に向けられている。

「ま、お姫様きどりなんだろ。ちやほやされたいのさ。愛嬌をふりまくような下賤なマネはしたくないってさ」

隣のカメラマンも皮肉っぽく笑った。

「あれでニコニコしてりゃファンも増えるし、こっちだっていい写真の一つも撮れるのによ」

カメラから顔を外して、唇を歪めて、二塁ベースを駆け抜ける選手を眺めた。

「うん?」

一人が大きく目を見開いて、もう一度カメラを覗いた。

「今、笑ってなかったか?」

「まさか。ニコリともしねえしインタビューじゃ愛想一つねえ。それがあいつだろ」

「いや、でも…」

カメラマンの目線を背中に浴びながら、いちごはホームベースを踏んだ。
その口元は、わずかに緩んでいる。

どんな時でも自分の思うようにあればいい。
笑いたくなければ笑わなければいい。笑いたければ笑えばいい。
自分を自分でごまかす必要はない。
いちごはそう思った。

ホームランを放った選手を、ベンチが出迎える。
ハイタッチがどんどん連鎖していく。

明るく踊るマスコットキャラクター。

大盛り上がりのホームチームファン。

歯噛みするビジターチームのファン。

その合間を縫うように、大忙しの売り子たち。

バックスクリーンには、ホームランボールを持って嬉しそうに笑う三人家族。

今年も野球の季節がやってきた。

そして、いちごの新しい春がやってきた。


『いちごアフター』 おわり
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/27(水) 14:37:33.99 ID:MpPU77Eno<> あとはどんな物語がある予定? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 14:47:58.85 ID:B52d7inW0<> けいおんメンバーアフター

唯「コホン。えーそれでは!第四回!桜高軽音部クリスマスパーティーを始めます!」

紬「わー♪」パチパチ

律「まぁもう桜高じゃないけどな」

梓「確かにそうですね」

澪「それにしてももう四回目かぁ。時間の流れは早いなぁ」

唯「みんなヒマなんだねぇ。カレシとかいないの?」

律「よーしケーキ切るぞー」
梓「早いですよ律先輩!それはデザートです!」
澪「はははは!シャンパンあけちゃうぞーシャンパン!ウソシャンパンだけどな!あははははは!」
紬「じゃあ、チキン切り分けるわねー」

唯「…あれ?」

憂「お姉ちゃん、聞いてあげないほうがいいこともあるんだよ」

梓「ちょ、ちょっと憂!何その言い方!わ、わたしだってきっかけの一つや二つ…」

律「やめろ梓!言うな!言えば言うほど哀しくなる!」

澪「そうだな!それじゃちょっと野球の話でもするか!まぁ私は全然そっち方面の話でも平気だけどな!」

紬「そこはつっこむところ?」

梓「と、とにかく!みなさんの成績をおさらいしましょう!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/27(水) 14:50:41.65 ID:B52d7inW0<> >>140
いや、あとは軽音メンバーの後日談的なのを普通のSS形式で書いたら終わりです。
これはさらっと書けそうとは言え、今日中には終わらないかもしれません。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/27(水) 14:54:44.72 ID:MpPU77Eno<> >>142
サンキューイッチ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 15:00:35.45 ID:B52d7inW0<> 失礼。ageてもうた。



○平沢唯
.266 27本 82点 7盗塁 14失策

○田井中律
.301 11本 76点 22盗塁

○琴吹紬
.262 13本 53点 防御率2.45 2勝3敗21S

○中野梓
防御率2.01 4勝 2敗 1S 17H

○秋山澪
防御率2.61 12勝6敗 3完封4完投

梓「これを見るとみなさん新人離れした成績を残しましたよねー凄いです!私含めて」フフン

律「でもさー、一番ビミョーな成績なのは梓だよな」

梓「なっ!?」

律「だって17ホールドってセントラルのベスト5にも入ってないだろ確か」

梓「そ、それは同点とか負けてる場面での起用が多かったから…っていうか!そんな数字で私を計らないでください!」

律「いや、でも結果は結果だし…」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 15:22:13.41 ID:B52d7inW0<> 梓「そ、そもそも!ホールドとかセーブとか勝ち負けで投手を計るなんて古い!古すぎます!」

唯「えーなんでー?」

梓「先輩方はセイバーメトリクスというのをご存知ですか?」

唯「サイバーマトリックス?」
律「聞いたことくらいなら…」

梓「ハッww」

律「いや教えろよ!なんだその嫌な笑み!」

梓「まずですねぇ、なんでさっき挙げた数値が当てにならないか、ということですが」

梓「セーブやホールド!これらは場面に応じて与えられるもので、そういう場面で投げられない投手の実力を計ることはできません!」

梓「はい、では澪センパイ!ホールドやセーブがつく基準は?」

澪「えっ、わ、私!?えーとその…三点差以内の場面、だろ?」

梓「△です!四点差や五点差でもつく場面はありますよ!」

紬「ランナーがいる時はつくわよね?たしか」

梓「そうです!二本連続でホームランを打たれたら同点になる場面を抑えればセーブ、ホールドがつきます」

梓「だから四点差でも二人、五点差でも三人のランナーがいる場面で最低一人抑えればつきます。
  あと3イニング抑えれば点差は関係なくつきますね」

梓「あと澪センパイは三点差と言いましたが、三点差の場合は最低一イニング抑える必要があります」

梓「でも二点差だと一人抑えればいいんですよ(二本連続HRだと同点だから)」

律「三点差だと三人だけど二点差だと一人か。よく分からん基準だな」

梓「でしょう!?そういう場面で投げる選手は限られてるし基準も良く分からない!ここが問題なんです!」


唯「ういーゲームしようよ」

憂「お、お姉ちゃん!飽きるの早すぎるよ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 15:41:13.31 ID:B52d7inW0<> 梓「そして勝敗は言うまでもありませんよね。
  9イニング投げて1失点でも自軍が0点なら負け。5イニング投げて5失点でも10点取れば勝ちです。
  これは運に左右され過ぎです」

紬「実は私二勝ついてるけど、それ、セーブの場面で失敗してあとから逆転してくれてついたのよねぇ」

梓「そう!中継ぎや抑えの場合、むしろ失敗した結果勝ちがつくこともあります!」

律「勝ち投手ってどうやって決まるんだっけ」

梓「基本的に、チームが決勝点、つまり試合を振り返って勝ちを決定づけた点が入った際に
  投げていた投手に勝ちがつくと思ってもらえば結構です」

澪「で、でも!先発は最低5回まで投げてないといけないんだぞ!」フフン

梓「…誰でも知ってることをわざわざありがとうございます」

澪「え!?い、いや今のは律に…」アセアセ

律「ごめん澪、さすがにそれは知ってるわ」

澪「  」

梓「…とまぁ、先発投手はどんなにチームが勝っていても五回まで投げないと勝ちはつかないってことですね」

梓「で、運に左右されない要素から選手の実力を推し量る分析方法!それがセイバーメトリクスなんです!」

律「で、お前はそれで見るとどうなんだよ」

梓「はい。まずは投手の能力を分析する指標的なDIPSからお話ししましょう」


唯「ねーどうしよ?SIRENがいい?ドラッグオンドラグーンにする?」

憂「お姉ちゃんたら!ゲームじゃなくて梓ちゃんの話聞いたげなよ!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 15:55:07.41 ID:B52d7inW0<> 梓「DIPSというのは、ざっくり言うと奪三振、与四球、被本塁打だけで投手を評価する指標です」

律「ザックリし過ぎにもほどがあるだろ!」

紬「えっと…それはヒットはどれだけ打たれても考えないってこと?」

梓「そうです」

澪「それはさすがに乱暴すぎるだろ…」

梓「そうですか?ヒットなんて守備に影響されるあやふやなものですよ」

梓「例えば澪センパイの日ハムの三遊間は小谷野さんと金子誠さんですよね?」

梓「もしそれが平沢先輩と坂本さんの三遊間になったら!?」

澪「ううっ!?」

梓「さらにラミレスさんもレフトでついてきたら!?」

澪「やめろ、やめてくれー!」

梓「…とこのように、チームによって、もしくは守る人によってアウトに出来る範囲、確実性が違います。
 それはつまり、守備によってヒットにされる範囲も違うということなんです。だからヒットは勘定に入れません」

律「………」

梓「おやどうしたんですか阪神の律先輩。誰のことを考えているんですか?」

律「!? べ、別に!誰のことも考えてねーよ!!」

澪(考えた)
紬(間違いなく考えた)
梓(あの人のことを考えた) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/07/27(水) 15:56:17.33 ID:MpPU77Eno<> あのお肩(43) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/07/27(水) 15:57:05.89 ID:XG0+d0DAO<> つまり、マシンガン継投が悪いと <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 15:59:01.71 ID:bibpY6gko<> 唯のゲームチョイスいなww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 16:17:13.12 ID:B52d7inW0<> 梓「私はシンカーでゴロを打たせるゴロピーですから、残念ながら三振は多くを望めません」

梓「けどコントロールも良く、被本塁打も少ない私のDIPSの数値は……なんと!2.88!チームトップです!」

律・澪・紬「……」

梓「あれっ?」

律「いや、その数値がいいのか良く分かんねーよ」

梓「えーと、計算式は{(四死球−敬遠)×3+本塁打×13−三振×2}/投球回+3.12です。少ないほどいいんですよ」

紬「へえ。今度計算してみようっと」

梓「ムギ先輩!悠長なことを言っている場合ですか!」

紬「ふぇっ!?」

梓「ムギ先輩は被本塁打と四球が多いんです!結果DIPSは4.15!三振は取れててもこの数値は抑え失格ですよ!」

紬「がーん!」

梓「こんなんじゃ来年抑えおろされちゃいますよ?契約更改の時何も言われませんでした?」

紬「契約更改の時、ねぇ…」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 16:24:47.01 ID:B52d7inW0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

鈴木本部長「琴吹君…君のお父様の融資によってわがチームの資金は非常に潤った。感謝しているよ」

紬「はぁ、そうなんですか?」

鈴木本部長「さらに君個人の成績も素晴らしい。投げては20セーブ。打っては10本塁打。新人離れした成績だ」

紬「えへへ。ありがとうございます」

鈴木本部長「さらに君は今季の給料はゼロなんだそうだね。君のような優秀な選手が……胸が痛いよ」

鈴木本部長「これらの功績、現状の低待遇を鑑み…君の来季の成績は、なんとウチでは異例の!」

紬「わくわく♪」

鈴木本部長「400万円アップだ!さあここに判を!」

紬「はぁい♪」ぽんっ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

紬「って言う感じだったの〜♪」

梓「えええええええええええええええええええええええ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 23:59:18.14 ID:x1vdED3SO<> 守備が信用できないなら三振とればいいだけ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 00:00:38.03 ID:x/AdFc/A0<> 梓(20セーブだけ見ても400万アップなんてありえないよ…資金増えたのに…
  これが球界最強と名高い鈴木本部長の銭闘力……!!)

律(私の上げ幅は…言わないでおこう)

紬「ね、梓ちゃん。他の指標は何かないの?」

梓「あ、ああそうですね。それじゃ投手に関する指標としてBABIPとtERAについてご説明しましょう」

梓「ちなみにBABIPは打者を評価する指標でもあるので律先輩も聞いておいてください」

律「お、おう」

梓「まずBABIPというのは、ホームランを除く、フィールド内に飛んだ打球がヒットになる確率を示します」

律「いきなり分からん」

紬「つまり10回バットにボールが当たって、七回アウト、三回ヒットになれば三割ってことよね?」

梓「その通りです。五回ヒットなら五割。0回なら0割」

律「なるほど。んで、それはどうだったらいいんだよ」

梓「いえ、BABIPは特にどうだったらいいということはありません」

律「は?」

梓「このBABIP、どんなタイプの投手であれ、通産で見れば大体三割前後に落ち着くということが分かっています」

梓「つまりピッチャーはバットに当てられたボールをコントロールできない。あとは運次第。
  どんなピッチャーであっても、最終的には打球の三割はヒットになる、ということなんです」


唯「え?洗濯場にいるカーフェイを呼んでくるんでしょ?」

憂「お姉ちゃんアンジュさんの話聞いてた?11時半にナベかま亭でアンジュさんと会うって約束だったじゃない!」

唯「あーあんまりアンジュさんの話聞いてなかった…。ていうかもう11時半過ぎてるけど」

憂「ちょっ!早く!急いで!ウサギずきんかぶって!」

唯「あーウサギずきんまだ取ってない」

憂「なんで取ってないの!?もう!ばか!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 00:18:33.94 ID:x/AdFc/A0<> 梓「だから、ある投手がその年良い成績を残しても、BABIPが3割を大きく下回る数字だった場合、
  それは単に運が良かっただけ、と評価されるわけです」

澪「そうかな?凡打を打たせて取るピッチャーだっているだろ?」

梓「はじめはそう思われてあまり信用されなかったそうです。
  もちろんある程度タイプによって数字は前後するかもしれませんが、大きな差ではないようです。」

梓「で、みなさんのBABIP、もう計算してまいりました。ちなみに計算式は(安打−HR)÷(打数−本塁打−三振+犠飛)です」

梓「ムギ先輩のBABIPは….312!」

紬「えーと、平均よりちょっと高いくらい…?」

梓「打者全体の平均が分からないんでなんともいえませんが、まぁそうですね。今年のムギ先輩はちょっと運が悪かったくらいです。
  逆にいえば運がよくなれば今後の成績はもっと期待できます」

澪「…わ、わ、わたしは?」

梓「なんでそんなにビクビクしてるんですか…」

澪「だ、だって新人王までもらったのに、それが全部運が良かったからとか言われたら…」

梓「ご安心を。今年の澪センパイのBABIPは.292。ごく普通です。つまり今年の成績は実力通りというわけです」

澪「よ、良かったぁ」

律「で、私にも関係あるってのは?」

梓「ああ、打者にもBABIPは関係あるんですが…えーと律先輩は.352ですね」

律「ゲッ、なんだそりゃ!今年の私は運が良かっただけだってことか!?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 00:25:29.50 ID:n4HVlGeDO<> 和と純を……
チラッとでも和純を…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 00:30:08.57 ID:x/AdFc/A0<> 澪「あっはっは律!そんなに気を落とすなよ!また来年も運がいいかもしれないだろあっはっは!五年後は分からないけどさ!」

律「うぜぇ…で、梓、本当にそういうことなのか?」

梓「うーん、一概には言えません。BABIPは、打者は投手よりもタイプに応じて左右されるんですよ」

梓「例えば、ホームランはめちゃくちゃ打つけど脚は死ぬほど遅いしフライアウトになることも多い選手は普通低いです。
  逆にゴロを打っても内野安打にできる脚力を持った選手は四割近いBABIPを叩きだすこともありますし」

梓「だから、律先輩は後者なんですよ。ほら、律先輩すばしこいじゃないですか」

律「…もっと良い言い方があるだろ…」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 00:40:13.19 ID:x/AdFc/A0<> 澪「それでもう一つの方は?」

梓「ああ、tERAですね。では澪センパイ、ここで問題です!」

澪「えぇっ!?」

梓「さっきBABIPで打球の話をしましたが、打球の種類は大きく三つに分けられます!それはなんでしょう!」

澪「えっ、ちょっ、きゅ、急に言うなよぉ!こ、ころろの、いや、こころろ、じゃなくて、心の準備が…」

梓「カミカミじゃないですか…。はい、あと三十秒」

澪「種類?打球の種類?あっ、わ、わかっぱ!ヒットとアウトとファール!」

梓「はいカミ山澪さん残念!不正解です!」

澪「…梓お前、入部当初の可愛らしさ消えうせたな…」

梓「細かいことは気にしないでください。じゃあ次の解答者はムギ先輩!」

紬「はぁい♪」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 00:52:24.80 ID:x/AdFc/A0<> 梓「ではムギ先輩、どうぞ!」

紬「ぴんぽーん♪」

紬「あのね、多分澪ちゃんが言ったようなことじゃなくて、打球そのものの種類だと思うの。だから…」

紬「ゴロとフライ…みたいな打球の角度だと思うの」

梓「おおっいいですよ!残りの一つは?」

紬「うーん、ゴロとフライ…だから…あ!ライナー!まっすぐ飛ぶ打球じゃない?」

梓「その通り!正解はゴロ、ライナー(ラインドライブ)、フライの三種類でした!」

梓「次!では律先輩!」

律「えっ終わったんじゃないのか!?」



憂「違うよ!なんで他の人の所にザッピングしようとするの?」

唯「えーだって馬部も牛尾も全部の選択肢選んだのにダメだったんだよ?じゃあ他の人の選択肢が違ったんだよ!」

憂「じゃあ誰?」

唯「分かんないけど…あ、ほら!桂馬じゃない?なんか逮捕しようとしてたところを変えるんだよ!」

憂「違うってば!分かる?例えば二人がAの場所で出会うとしたら、両方がAに行かなきゃ駄目でしょ?
  全部の選択肢選んだっていっても、かたっぽがA,もうかたっぽがBに向かってたら意味ないと思うの」

唯「憂の言ってること全然分かんない」

憂「わかんなくないよ!もう!ばか!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 01:16:41.59 ID:x/AdFc/A0<> 梓「ゴロ、ラインドライブ、フライ。キャッチャーからして、一番打たれたくない打球は?」

律「そりゃラインドライブだろ。野手の正面に飛ばないとヒット間違いないし、左中間とか右中間破られたら目も当てられないしな。
  それに真正面でもヘタすりゃはじいてヒットになることもあるし」

梓「なるほど。では、次に嫌なのは?」

律「ゴロとフライか…。まぁ状況にもよるけど、大体はフライのほうが嫌だな。
  外野の頭オーバーして長打になることもあるし。
  ただ内野フライならそっちの方が安全だと思うけど」

梓「ありがとうございます。
  つまり、律先輩はライナー、外野フライ、ゴロ、内野フライの順で嫌だということですよね?
  こういう違いがtERAでは重要なんです」

梓「つまり、打球のタイプによって『アウト期待値』を設け、それを考慮して投手を氷解しようということなんです」

梓「ちなみにこの計算式はやたらと細かいです。
  ちょっとこれは調べないとわかんなかったですが…。
  
  tERA=0.93×{(0.298×四球+0.327×死球−0.108×三振+1.411×本塁打+0.044
  ×ゴロ+0.320×ライナー−0.118×内野フライ+0.163×外野フライ)/
  (三振+0.744×ゴロ+0.245×ライナー+0.980×内野フライ+0.648×外野フライ)×27}
  だそうです」

律「ながっ」

梓「でもそれに見合うシロモノですよ。
  なにせtERAというのはtrueERA、つまり『本当の防御率』という意味なんです」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 01:36:56.54 ID:x/AdFc/A0<> 梓「ちなみにこの細かい数字、これは普通の防御率と比較しやすいように微調整してあるんです。
  つまり二点台なら良好。四点台より大きいと良くないですね」

梓「そして気になる私のtERAは…」

律「いやあんまり気にしてないぞ?」

梓「なんと!驚異の一点台!1.75です!」

梓「いやーこの数字は、三振の評価が高い(内野フライ以上にアウトになる可能性が高いから)んですが、
  DIPSほど大きな影響は無いので、三振の少ない私でも真っ当な数字が出ましたね」

澪「真っ当ってなんだ真っ当って」

梓「つまり!私をホールド数で評価するのは間違っているんですよ律先輩!」

律「あ、すっかり忘れてた。そこに戻るのか」

梓「まあ他にもフライがホームランになる確率を示したHR/FB%、奪三振と与四球の割合を比べるK/BB、
  1イニングあたりに出す走者の数であるWHIP、運の要素を極力排したxFIPなどもありますね。
  ま、最近ではWHIPやHR/BB%などは投手本来の力量を量るのか疑問視されていますが…。
  でもどれも私としてはかなり良い数字が出ていますね…なによりコントロールの良さが与四球数よりも…」

律・紬・澪(なんか…オタクっぽいなぁ…) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 02:08:29.52 ID:x/AdFc/A0<> 律「っていうかさ、ほとんどピッチャーのやつじゃないかぁ。
  バッター用のはないのか、バッター用のは!」

梓「じゃあwOBA(ウォーバ)についてお教えしますね」

律「一個かい…自分に関係ないからってあんまりやる気ないだろ…」

梓「まぁそう言わないでください。きっちり説明しますから。
  wOBAというのは出塁率とは切っても切れない関係です。
  出塁率っていうのは分かりますか?」

律「打って塁に出る率+フォアボールとかで塁にでる率だろ。それくらいわかってるよ」

梓「あながち間違ってないです。出塁率はそれくらいあれば優秀か分かりますか?」

律「四割くらいだろ。私は早打ちだから、打率の割に低いって和田コーチに怒られたもん」

梓「そうですね。四割あれば優秀の部類です。バリーボンズは6割というふざけた記録を出していたりしましたが…」

梓「このwOBAも出塁率をモデルに作られているので、優秀かどうかの基準は出塁率と同じように判断してもらえば結構です」

紬「さっきの防御率と似せたtERAと似てるわね」

梓「そうですね。でもtERAと似ているのはそこだけじゃありません。
  このwOBAも、結果に応じて細かい数値が決められているんです」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 02:21:34.42 ID:x/AdFc/A0<> 梓「例えばフォアボールは0.72、シングルヒットは0.9、ツーベースは1.24って感じですね」

律「ん?なんでフォアボールとシングルヒットが違うんだよ。一緒だろ、一塁に出るのは」

梓「そんなだから律先輩のリードは『ジョニキ二世』なんて言われるんですよ」

律「どういうことじゃあ!」

梓「この数値は、得点への期待値なんです。例えば二三塁の場面ではヒットとフォアボールは同じですか?」

澪「あ、そっか。その場面でフォアボールだと満塁になるだけで点は入らないな」

紬「でもヒットなら一点。二塁ランナーの脚の速さによっては二点入るわね!」

梓「というわけです。お分かりいただけましたか?律先輩」

律「ぐぬぬ」



憂「お姉ちゃん、バッターの話してるみたいだよ?聞いてみたら?」

唯「このステージ終わったらー」ピコピコ

            『ボウヤ、この新しいオモチャで遊んであげよう』>
         『ペッピー、お前もおやじと同じであんまいやつやのー』>
           『下等生物が、アンドルフ様に会えると思ったか!』>
                       バキュンバキュンバキュン>
                    『アンドルフおじさーーん!!』>

憂「もう…」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 13:48:33.61 ID:x/AdFc/A0<> 梓「今現在、打者の実力を最も正確に量れるといわれているのがこのwOBAです」

紬「OPSは?」

梓「OPSというのは出塁率と長打率を合わせたものですね。
  この指標は日本でも浸透してきて、成績一覧でも取り入れられるようになってきました」

梓「ただOPSを構成する二つの要素は、どちらも欠陥が指摘されています」

梓「出塁率は、ヒットの種類が区別されません。
  例えば全打席シングルヒットを打つ選手と二打席に一回ホームランを打つ選手なら前者の方が高い数字になります」

梓「長打率もシングルヒットなら1、ツーベースなら2、ホームランなら4という単純な数字で算出するものです。
  正確な得点への貢献度、期待度を計るには不十分だという指摘があります」

梓「また、一流選手の基準として出塁率は4割、長打率は6割と言われています。
  4割で十分なものと6割で十分な物をそのまま足すのはおかしいですよね?
  OPSは出塁率を過小評価している、といわれるゆえんです」

梓「wOBAはそれらの問題を解決し、出塁率、長打率の要素を合体させ、なおかつ二つの価値を同じものとなるよう計算された指標と言うことです」

律「で、私はどうなんだよ?」

梓「うーん、律先輩は長打はあるけど出塁率はそれほどでもないですからね…。
  えーと、.388ですね。優秀な値ですけどもう少し四球を選べるようになりたいですね」

律「いいんだよ私は!脚があるしな!盗塁も20もあるし!」

梓「あ、セイバーメトリクスの観点で行くと盗塁はあまり評価されません」

律「どういうことじゃコラァ!」

梓「あとバントもですね。全否定はしませんが、
  セイバーメトリクスの考え方では、バントも盗塁も『多用するのはオススメしない』作戦です。」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 14:09:33.31 ID:x/AdFc/A0<> 梓「セイバーの考え方の基本は『いかに得点期待値の高い状況に持っていくか、持っていかせないか』ということです。
  なので状況に応じた得点期待値というものが、データをもとに算出されています。
  例えばノーアウト1塁なら何点、ツーアウト2,3塁なら何点、とか」

梓「それでいくと、ノーアウト1塁でバントをしてワンアウト2塁、ヒットになってノーアウト1,2塁になるのとなら後者の方が期待値が高いです」

澪「いやそりゃそうだけど…確実にヒットなんて打てないからバントするんだろ…」

梓「そうですね。だからそれぞれに成功確率をかけあわせます。
  さらにヒットだった場合、二塁打三塁打本塁打と言う可能性もありますから、
  そこも加味して考えた場合、よほど打撃に期待できない場合を除いて、バントはしない方がいい、という結果になるんだそうです」

梓「もちろん、一点をとりにいくならバントも否定しません。
  でも試合序盤、中盤でバントをするのは、試合全体として多くの点を取りたいならオススメしないということですね」

律「んで、盗塁が評価されないってのは?」

梓「ああ、それも同じです。
  成功してランナーが進む可能性&得点期待値と、失敗してランナーがいなくなる可能性&得点期待値で
  考えた場合、盗塁成功率が七割五分ないと、盗塁はむしろ悪手になるということです」

律「私はそれよりもうちょいあるからOKだな!」

梓「でもこれは盗塁を成功させるためのサポートが計算にはいってないですからね。
  盗塁を成功させるために、バッターがわざと空振りしてキャッチャーが投げづらくする、というのはよくありますが、
  あれはバッターからすれば攻撃のために使える三つのストライクを一つ無駄にしてるわけですから」

律「ぐぬぬ」

梓「でもセイバーは選手の心理面は計算できませんから。
  ピッチャーが盗塁を恐れるあまりコントロールを狂わせたりってこともありますからね」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 15:09:41.05 ID:x/AdFc/A0<> 律「じゃあ唯はどうなんだよ!唯は!」

唯「ほえ?」

梓「えーと、長打はもちろんなんですが意外に出塁率も良くて…」

澪「打てない球をぽけーっと見逃してたりしたもんな」

律「私も唯と言えばポケっと見逃し三振ってイメージあるな…」

梓「まぁその分フォアも選べてるんですよ。えーと唯先輩は.396ですね」

律「ううーっくっそー!やっぱ唯の新人王は妥当だったのかぁ?!」

澪「あー結構もめてたよなーセリーグの新人王争い」

紬「ネットで論争とかになってたんでしょ?」

梓「ありましたねー、2ちゃんで唯先輩派、律先輩派、ムギ先輩派、私派で罵り合いになってましたよ」

澪「2ちゃんって…。梓、あんなの見てるのか?」

梓「結構面白いですよ?今年の夏につい書き込みデビューしちゃいましたし!」フフン

律「どんなスレッドに?」

梓「まぁ野球関係の板の、ベイスターズに関するスレですね。今までずっとROMってたんですが、ついつい書きこんじゃいました」

律「それって…もしかしてこれか?」ずいっ

澪・梓・紬「え?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 15:11:18.42 ID:x/AdFc/A0<> 『初カキコ…ども…
 
 俺みたいな三位狙いでプレーオフ出場夢見てる腐れ野郎、他に、いますかっていねーか、はは

 今日のベンチの会話
 あのダルかっこいい とか あんなバレンティンほしい とか
 ま、それが普通ですわな

 かたや俺は死にかけのベイのスコアボードを見て、呟くんすわ
 it'a Bays ball.黒すぎる?それ、星取表ね。

 好きな打線 machine gun
 尊敬する人間 白ローズ(キャンプ中退団はNO)

 なんつってる間に先発崩壊っすよ(笑) あ〜あ、リリーフの辛いとこね、これ 』

紬「わぁ…」

澪「うわぁ…」

唯「うっわぁ……」

梓「ちょっ唯先輩!なんでこんな時に限って話に入って…っていうか!律先輩、なんでそれを!?」

律「いや、なんか痛い書き込みってことで晒されてた」

梓「   」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 15:32:21.35 ID:x/AdFc/A0<> 梓「……」ズーン

紬「あ、そ、そう言えばクリスマスらしいこと全然してなかったわね!」

澪「そ、そうだな!ほら、ケーキ切ろっか?な!ほーら甘くておいしそうだなー!」

律「あ、チ、チキンも残ってるな!ほら、梓食べな?全然食べてないだろ?」

梓「…おいしいです…」もぐもぐ

律「あっはっは…それはよかった…はは…」

澪(律!お前があんなの見せるからだぞ!責任とれよ!)

律(いやまさかほんとに梓の書き込みとは思わなかったし…)

紬「あ!そぉだ!そろそろプレゼント交換にしない?」

律・澪(ナイスムギ!)



憂「お姉ちゃん、プレゼント交換だって。そろそろゲームやめよ?」

唯「ちょっと待ってー、エリーナちゃんが剣をユンナが持ってるから持ってきてって。
  早くエリーナちゃん助けてあげないと!」フンス

憂「もー」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 16:33:22.16 ID:x/AdFc/A0<> 紬「はぁいそれではプレゼント交換ー♪」

律「ジングルベールジングルベールすっずっがーなるー♪」

澪「ジングルベールジングルベール♪」

紬「はいっ!どこでストップ!」

紬「それでは、プレゼントをあけてくださーい♪」

梓「……」

梓「あ…バッグ?」

紬「うふふ、それは私からのプレゼント。えーと私のは…あっ!遠征用のバッグ?」

梓「! そ、それ私です!なんか…すみません。同じバッグなのに全然値段違いそうで…」

紬「ありがとう♪すごいいっぱい入りそうだし便利そう!来シーズンは絶対これを使うわ!」

梓「えへへ…ありがとうございます。私もこれ、プライベートで絶対大切に使いますから!」

律・澪「……」

律「このぬいぐるみ…」

澪「私が買ったやつといっしょ…」

憂「あ!それ、私がもらったやつといっしょですよ!」

唯「えへへー、実はそれ私も同じの買ったんだよー。私がもらったのは、憂のニットの帽子だけど」

澪「えっえっえっ、ちょっと待って。じゃあ私と律と唯の三人が同じぬいぐるみを買ったってことか?」

律「そういうことだな…なぜ…」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 16:41:12.74 ID:x/AdFc/A0<> 澪「…せっかく若王子さんに聞いて買って来たのにな…」

律「えっ、ちょっと待て。私もいちごにアドバイスもらってそれ買ったぞ?」

唯「えっ奇遇!私もいちごちゃんに相談したんだよー」

澪・律「「ええ!?」」

澪「嘘だろ…!?」

律「いや本当だ…。いちごってかわいいもの詳しそうだったし…」

唯「私もシーズンで忙しくてあんまり探せなくてさー。でもみんなに聞くわけにもいかないし」

澪「そうか…みんな若王子さんに聞いたのか…それなら仕方ないな…」

律「そうだな……っていやいやちょっと待て!おかしいぞ!いちごは私たちがパーティーすること知ってたはずだろ!?」

澪「あ、そっか。ダブるって分かってたのか」

律「あんにゃろう…どういう神経してんだ!!」

律「いちごー!一言言ってやらないと気がすまねえ!」ピッピッピッ…

〜〜〜〜〜〜〜〜

 ♪〜〜

友だち「いちごー?携帯なってるよ?」

いちご「はいもしも…」

『テメー!どういう了見だ!プレゼントダブ(プチッ)』

友だち「? なんだったの?なんか律の声が聞こえたけど」

いちご「なんでもない」


『けいおんアフター』おわり <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 17:15:58.10 ID:r/G9qBLIO<> 乙!

しかしこのメンツなら純ちゃんもパーティー呼ばれても良さそうなのに… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/28(木) 19:10:55.52 ID:n4HVlGeDO<> ちくしょう……


ちくしょおおおお―――!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/28(木) 23:27:20.75 ID:x/AdFc/A0<> >>156に捧ぐ

純「はぁ…クリスマスにロマンチックな夜を共にする彼氏もいないって…」

純「それどころか梓と憂は軽音部でクリスマスパーティー…。私に連絡の一つも無いってどういうことなの…」

純「しかもパーティーの存在知ったのが、
  今日の梓からの『やったー!ブランド物のバッグもらっちゃった!』っていう自慢めいたメールって…」

純「でもよかったです。和センパイがいてくれて。まさか私の家の前でバッタリ会うなんて…。
  こうなったら独り者同士、最後まで付き合ってもらいますよ!」

和「……」

純「そう!楽しまなくっちゃ!この状況を目いっぱい!」

和「……」

純「あ、トランプしましょうかトランプ!
  神経衰弱…は勝ち目なさそうだし、ポーカー…はフルハウスの意味が分からないし、大富豪はローカルルール覚えられないし、
  ババ抜き!ババ抜きしましょうか!ねっ、和センパイ!」

和「……」

純「和センパイ?」

和「……」スースー

純「ね、寝てる?」

和「…うぅん…」ゴロン

純「ちょ、和センパイ顔あかっ!ど、どうしたんです…って、あぁっお酒開けたんですか?それお父さんのなんですけど!」

和「うぅぅん…///」ハラリ

純「!!」

純「って…な、なにをドキドキしてんのよ私はぁ!!///」

純(『楽しまなくっちゃ!この状況を目いっぱい!』)

純「……」

純「たのしまなくっちゃ…うん、そうだよね…今日はクリスマスなんだもん…」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/28(木) 23:45:55.86 ID:x/AdFc/A0<> 和「むにゃ…」コロン

純「ヘヘヘ…和センパーイ?未成年なのにお酒飲むような悪い子はオオカミさんが襲っちゃいますよー?」スルリ

純「わっ、和センパイの体あつぅ…っていうか首筋辺りから肩まで赤いじゃないですか…
  強そうに見えて案外お酒弱いんですか…?」

和「…あふ…」

純「和センパイ…寝顔、案外子供みたいでかわいいですね…」

純「よく見ると…大人びてるように見えて結構童顔なんですね。初めて知りました」

純「おぉっ!?、和センパイ、ブラはブルーですか!てっきり黒かと…」

和「ん…んん…!?」

和「!」

和「えっ、あれ、ここ…?」

純「や、やば…。起きちゃいました…?」

和「あれ…鈴木さん…?なんで…ここはどこなの…?ん…なんか頭がぼーっとする…」

純「えぇっ全然覚えてないんですか?お酒飲んだことも?」

和「お酒…?ごめん私全然…ご、ごめん、ちょっと洗面所借り…わっ!」ゴロン!

純「わふっ!あ、あいたた…の、和センパイ急に立ったら危ないですよ!お酒入ってるんですから!」

和「ご、ごめん…って、あら?」ポヨン

純「あっ…///」

和「結構大きいのね。いい枕になるわ」ポヨポヨ

純「ちょっ、ちょちょちょちょっと!ダメですってぇ!」

和「なんだか落ち着く…」モフッ

純(か、顔をうずめ…///) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/28(木) 23:48:39.16 ID:x/AdFc/A0<> 和「…もう少しこういさせて…」モフモフ

純「あわわ…」

和「……こうしてると…嫌なことも…なんだか忘れられるみたい」

純「センパイにも嫌なこととかあるんですか?」

和「あるわよー?いっぱい。いーっぱいね」

和「ウフフ。お酒が入ってるからかしら?ヘンね。私」

純「ヘンじゃ…ないですよ」

和「え?」

純「こうやってる和センパイ…かわいいです。今日は、和センパイの悩んでること、全部聞かせてくれますか?」

和「……。いっぱいあるわよ?後悔するかも」

純「いいですよ。聞かせて下さい。一晩中」

和「鈴木さん…」

純「今夜は、純で」

和「……純」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/29(金) 00:00:55.12 ID:yafGdoLV0<> 純「和センパイ…」

和「…純ちゃん…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さわ子「――というところまで妄想したわ!」

純「…そうですか…」

和「あの…それは分かりましたけど、なぜ先生もここに…」

さわ子「見かけたからよ!どういうこと!?軽音部のみんなに続いて、あなた達も私をハブにしようっていうの!?」ドンッ

純「いや別に…和センパイとはほんとにたまたま出会っただけですし…」

和「先生飲みすぎじゃないですか?っていうかなんでそんなお酒持参してるんですか?!」

さわ子「あたしが倒れたら純ちゃん介抱してちょうだい!、そのたわわなおムネで…ヒック」

純「なぁっ/// て、ていうか先生、さっきの妄想といい、そっち系なんですか!?」

さわ子「ええそうよ!女よ!時代は女同士よ!男にはほとほと愛想がつきたわ!」ドンッ

和「またそういう話ですか…」

さわ子「だって岸きゅんは既婚だし、涌井きゅんは年増のアナを選ぶし、ナカジさんはつれないし、おかわりくんはなんかおかわりくんだし…」

さわ子「あ!そうだ!浅尾きゅん!浅尾きゅん紹介しなさいよ和ちゃん!」

和「あの人既婚ですよ」

さわ子「ええいもう!じゃあムネリンよ!ムネリン紹介して純ちゃん!」

純「別にいいですけどあの人ちょっとヘンな人ですよ」

さわ子「キーッ!ホントにどいつもこいつも!まともな男がいりゃしないわ!!」ドンドン!

純・和((帰ってほしい…))


おわり <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/29(金) 00:52:58.01 ID:tKetPZ4s0<> あずにゃんはいかにもセイバー信者っぽいよね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/29(金) 00:59:48.23 ID:TnacVvfDO<> 乙!乙!
和と純とさわ子ありがと!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/31(日) 20:25:36.35 ID:mHgrGskSO<> 乙 <>