VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:16:19.23 ID:YaBQIAsR0<>※掌篇です
その1http://punpunpun.blog107.fc2.com/blog-entry-1888.html<>八九寺「わたし、阿良々木さんの事が嫌いです」その2
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:18:35.42 ID:YaBQIAsR0<> 001
あの八九寺とのあにはからんやから一か月が過ぎた。
八九寺真宵。
彼女は迷子の幽霊であったり、または背後霊であったり久しい。
彼女にしてみれば迷惑な話で、それゆえ、僕は彼女にとっての敵なのかもしれない。
いや敵ではないんだけれど。
八九寺は、僕の中では完全に真実だから。
フィクションではなく、僕の中に存在している、実在している人物なのだから。
僕にとってはそうだ。
だから……守りたいと思う。
その八九寺の想いすらも。一生、守っていきたいと思う。
八九寺が僕を好きだという気持ち。それに応えてやるような度量はないが、しかし。
守ってやるのが僕しかいないのなら、僕が守るしかないのだろう。いやそんな否定的な言い方を、すべきではない。
好きっていうのは、本来、とても積極的なものだから――
八九寺に言われた言葉だった。
八九寺の未練は、僕に告白することだ。
だから、それまで、八九寺を守りたいと思う。
いつか八九寺が、僕に告白してくれるその時まで。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:20:28.66 ID:YaBQIAsR0<> 002
「阿良々木さん」
出かける直前。
八九寺に出会った。
門を出て直後なので、驚くことはなかった。分かっていたことだし。
「阿良々木さん、冬服ですね」
「着てちゃ悪いか」
「いえいえ。やっぱり阿良々木さん、冬服姿もお似合いです」
「…………」
嬉しいことを言ってくれるじゃないか。
「しかし八九寺は着てる服変わんないんだな。一年同じじゃ、僕も飽きるぞ」
「別に阿良々木さんが飽きようが、知ったことじゃありません」
それはそうだった。
「ふぅ……」
最近はいつもこんな調子だから、いつも歩きながら話してんだよな。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:25:26.90 ID:YaBQIAsR0<> 「阿良々木さん」
「どうした?」
「今日は、お別れを言いに来ました」
「え?」
唐突すぎる。
「わたし、阿良々木さんの事が好きです」
八九寺の成仏できない理由。
「そうか。帰るんだな」
その時の僕の表情はどうだったんだろう。
冷たいだろうか。それとも……。
「阿良々木さん。そんな顔、しないでください」
八九寺は笑った。
そうか。僕は、泣きそうになっていたのか。
涙をぬぐった。
「やっぱり告白せずにはいられませんでした。
この一か月間、何も気にせず接してくれた、いつも通りの阿良々木さんといるのは楽しかったですが――
今までと同じ関係では、やはり、いられないですから」
「ああ。そうか」
あるべきものはあるべきところへ。
帰ってしまうのか。
「お元気で」
そう言って、八九寺は消え去った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:27:06.75 ID:YaBQIAsR0<> 「阿良々木さん」
「どうした?」
「今日は、お別れを言いに来ました」
「え?」
唐突すぎる。
「わたし、阿良々木さんの事が好きです」
八九寺の成仏できない理由。
「そうか。帰るんだな」
その時の僕の表情はどうだったんだろう。
冷たいだろうか。それとも……。
「阿良々木さん。そんな顔、しないでください」
八九寺は笑った。
そうか。僕は、泣きそうになっていたのか。
涙をぬぐった。
「やっぱり告白せずにはいられませんでした。
この一か月間、何も気にせず接してくれた、いつも通りの阿良々木さんといるのは楽しかったですが――
今までと同じ関係では、やはり、いられないですから」
「ああ。そうか」
あるべきものはあるべきところへ。
帰ってしまうのか。
「お元気で」
そう言って、八九寺は消え去った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:30:03.07 ID:YaBQIAsR0<> 「阿良々木さん」
「どうした?」
「今日は、お別れを言いに来ました」
「え?」
唐突すぎる。
「わたし、阿良々木さんの事が好きです」
八九寺の成仏できない理由。
「そうか。帰るんだな」
その時の僕の表情はどうだったんだろう。
冷たいだろうか。それとも……。
「阿良々木さん。そんな顔、しないでください」
八九寺は笑った。
そうか。僕は、泣きそうになっていたのか。
涙をぬぐった。
「やっぱり告白せずにはいられませんでした。
この一か月間、何も気にせず接してくれた、いつも通りの阿良々木さんといるのは楽しかったですが――
今までと同じ関係では、やはり、いられないですから」
「ああ。そうか」
あるべきものはあるべきところへ。
帰ってしまうのか。
「お元気で」
そう言って、八九寺は消え去った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:32:09.17 ID:YaBQIAsR0<> あれ?
投稿されたことになってるぞ?
>>5-6は飛ばしてください。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:33:51.90 ID:YaBQIAsR0<> 003
「で、阿良々木君は八九寺ちゃんとどういう風にいちゃついていたのかしら?」
「イチャついてねえよ!」
「またどうせ、噛み合ってたのでしょう?」
「意味はそうだがニュアンスは大分違うぞ!」
「彼女と言うものがありながら」
「いやお前だって大目に見てくれていたはずだろ」
ここでまさかの責任転嫁。
「あら。責任転嫁とはいい度胸ね。それとも、嫁と転嫁を掛けたのかしら?」
「いや、僕、そんなセンスないギャグは言わないよ」
「阿良々木君、相当落ち込んでいるようね」
「まあな。落ち込み度で言えば、九十パーぐらいかな」
「どうなれば百パーセントになるのかしら?」
「ああ。いや、そんな掛け合いする気力も……」
八九寺はずっとつらかったんだろうか。僕に告白できないままで。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:40:00.88 ID:YaBQIAsR0<> 004
朝起きると、八九寺が隣に立っていた。
夢か、と思った。
しかし、よくありがちな頬をつねってみたところ、そんなことはなかったぜ!
しかしつまりそれは、八九寺が隣にいるということ。戻ってきているということ。
「阿良々木さん」
「は、八九寺。なんで戻ってきたんだ?」
「阿良々木さんが落ち込んでいたからです」
「お前は、こんな僕が傍にいてもいいのか?」
「もちろん、阿良々木さんじゃなきゃ駄目です」
「そうだな」
だってお前、僕のことが好きなんだもんなあ。
「八九寺」
いつも僕はお前のことを考えていた。
お前が嬉しくなるように楽しくなるように。
でもだからそれは、八九寺のためではなかったということ。
「八九寺。お前は、僕といる時、なんで苦しかったんだ?」
「だって、阿良々木さん、分かってくれないですから」
「分かってくれない?」
「わたしの気持ちを」
八九寺のねえ。
果たして僕は、分かったことがあったんだろうか。
親友と言っておきながら。
「片恋相手と一緒にいるのに、苦しくないなんてことがありますか?」
「苦しい……」
そうか。
八九寺は……僕が戦場ヶ原と一緒にいるのが辛かったのか?
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:45:50.39 ID:YaBQIAsR0<> 「結局何が苦しかったんだ? 告白できないこと、それ自体か?」
「告白できないことも辛かったです。ですが、一番苦しかったのは、」
八九寺は言った。
「阿良々木さんが、私が阿良々木さんを好きだという気持ちを、理解してくれなかったからこそ、知ってもらいたくて……
未練を残したから、結局、晴らしたかったのですよ。わたしの気持ちをすべて、知ってもらいたかったのです。
ていうか、阿良々木さん、何もわかってないような顔をなされてますね」
「いや、そんなことはない。続けてくれ」
「わたしは戦場ヶ原さんがずっと妬ましかったんです。
できることなら私が阿良々木さんのそばにいたかった。付き合いたかった。
でも、できない。でも阿良々木さんがしてくれると……戦場ヶ原さんと付き合ったままでという条件付きですけど。
わたしは一番でいたかった。阿良々木さんにとっての一番に、なりたかった。
阿良々木さんが戦場ヶ原さんと付き合ってもずっと阿良々木さんが好きでした。
阿良々木さん。どうか、私のことを理解してください。阿良々木さんの傍にいたくてもいられない。それが辛かった」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:47:11.34 ID:YaBQIAsR0<> 八九寺は啖呵を切る。
まるで、胸の内を滔々と明かすように。
僕は……僕は。
親友じゃなく、恋人として見てくれていた八九寺を見やる。片恋相手として僕を見てくれていた八九寺を。
僕はそんな八九寺を……どういう風に見ていたと言うんだ?
今までの関係でいようとも?
そんなこと……できるはずもないのに。
楽しい掛け合いなど、できるはずもなかった。そんなギスギスした関係の掛け合いが楽しいなどと。
「わたし、阿良々木さんの事がずっと好きでした。
好きで好きで、仕方なかったのです。成仏できないほどに。喋りすぎましたね。えへへ」
そう言う八九寺は、僕の普段見る八九寺とは違って見えた。
僕は八九寺のためを思って傍にいさせた……いや、圧倒的に僕が強制させたのか?
何も分からなかった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:49:26.80 ID:YaBQIAsR0<> 005
後日談というか、今回のオチ。
僕は結局八九寺を、親友としてしか見ていなかったわけだ。そして、やはり、順当にというか、傷つけてしまった。
八九寺の気持ちは、でも。
分かった気がするから。
この一か月は決して幸福ではなかったということが。
この一か月。
八九寺にずっと強制させてきた。
だから、これからは。
八九寺をもっと幸せにできたらいいのにな、と思う。ここにいる八九寺とともに。
「ちなみに八九寺は、なんで舞い戻ってきたんだ?」
「成仏してもなお、阿良々木さんと一緒にいたい未練が残っていたのです」
「へえ……」
ドン引きだった。
まあいいや。
一生付き合っていくというのは、以前、決めたことだ。今更変えるつもりもないし。
だから守っていこうと思う。
八九寺真宵の想いを。
「話しかけないでください。わたし、阿良々木さんの事が好きです」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 11:52:06.03 ID:YaBQIAsR0<> とりあえず、終了です。
何か感想があればお願いします。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/30(土) 13:43:06.46 ID:OIPVF94F0<> 短いなww
でも前編と合わせて面白かった、乙! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2011/07/30(土) 16:50:10.81 ID:YaBQIAsR0<> >>14
ありがとうございます。
感想がなくて死にそうになってました。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)<>sage<>2011/07/30(土) 22:14:31.62 ID:NO2BYS7Io<> 前編読み直してくるか… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/07/31(日) 02:29:47.16 ID:dZV+eYu2o<> デレンデレンじゃないですかぁー! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/31(日) 20:21:51.64 ID:FayBRp5DO<> まだ900以上も余ってるんだからもっと何か書いてくれてもいいのよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/31(日) 20:57:17.49 ID:1B7JKDwrP<> 自分だけのようじょ二人所有とか鬼畜 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/29(木) 14:02:50.16 ID:JMNcR4oho<> まだあったのかここ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/10(月) 09:43:54.80 ID:tyc6RmD4o<> デレデレでグダグダでベロンベロンにケチョンケチョンな短編を>>1200あたりまで書き続ければいいんじゃないかな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/10/11(火) 20:05:03.99 ID:qhbx6vKyo<> >>1はもういないよな... <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/12(水) 12:03:03.28 ID:6k9sKbIj0<> ちょっと前篇読んでくる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/15(土) 11:11:49.82 ID:X07kx6qNo<> 後日談が読みたい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/18(火) 01:53:55.27 ID:ta68glLqo<> 後日談書いてくれええええ <>