無料アクセスカウンターofuda.cc「全世界カウント計画」
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫メニュー■ ■VIPService (VIPサービス)■
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みはできません。。。
HTML化した人:横▲
市民「もしやあなたがクヴァッチの英雄ですか!?」美琴(は、恥ずかしい……)
1 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:29:23.47 ID:+Ib6YL0To
・OBLIVION × 禁書 のクロスSSです。

・お勧めの〜スレでOBLIVIONとのクロス無いか聞いたけど無さそうだったので勢いで建てた。

・残酷な描写が出てくるかもしれません

・禁書キャラを湯水のごとく使い捨てる予定なので注意。

・禁書原作では殺人などの行いをしないキャラが、このSSでは殺人等に手を染める描写があるので注意。

・一部OBLIVIONの重大なネタバレが出ます。

・独自設定、MODの設定等が出てきます。

・失踪予定

・以上の注意文を読んでから先に進むと良いんじゃないかな?


        _人人人人人人人人人人人人人人_
        >  ゆっくりしていってね!!!  <
      / ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^\
    /____|  |__ \.    /____|  |__ \
  /  ___  ___  \ /  ___  ___  \
  |  / (●)|_|(●) \  | |  / (●)|_|(●) \  |
  |  |    .(__人__)   | |..|  |    .(__人__)   | |
  |  |     |::::::|    | | .| .|     |::::::|    | |
  .\|     l;;;;;;l    | /  .\|     l;;;;;;l    | /
   /     `ー´    \    /     `ー´    \ 
/              ヽ/              ヽ

2 : ◆A3/sLhI/4c[sage]:2011/09/07(水) 02:30:28.84 ID:+Ib6YL0To
……しかれども竜の火が衰え、我らの結ばれし血を受け継ぐ者がその身に王者のアミュレットを帯びぬことがあれば、帝国は闇に落ちていくであろう……
             ______
        ||||||||||______|
           Loading



美琴「……う、うーん」ムクリ

美琴「……あれ? ここ、どこ……?」ボー


???「見ろよ、インペリアルが帝国の牢屋にいるぜ。しかも小娘と来たもんだ! 帝国の奴等はひいきしないんだな」


美琴(どう見ても寮じゃないし……。って言うか汚いし臭いし……なにあれ、鉄格子?)


???「んん? アンタの親兄弟はあんたを人間のゴミだと思ってるらしいな。可哀想に」
3 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:31:29.76 ID:+Ib6YL0To
美琴(鉄格子って、牢屋? いやいやいや、そんな牢屋に拘束だなんて……まあ暗部にはしこたま恨まれていそうだけどさ)

美琴(だいたい超能力者をこんなボロっちい所に閉じ込めても意味無いし。いや、見た目には分からないようにキャパシティダウンとか――)


???「おいインペリアルの小娘!! 聞いてるのか!?」


美琴「うっさい!! 今こっちは考え事して――っ!!?」フリムキ

美琴(な、なにあの顔……顔色が悪いとかそんなレベルじゃ……!)


???「ちっ、いきがりやがって。……おう、衛兵達が来たぜぇ。お前に特別な接待をする為にな。そうだ、お前はここで死ぬんだ、インペリアルの小娘。死んでゆけ!」


ザッザッザッ


美琴(誰か来る!)
4 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:31:57.05 ID:+Ib6YL0To
???「陛下、こちらです」


美琴(……陛下? 天皇陛下でも来るの? こんな所に?)


???「バウルス! 後ろの扉を見張っていなさい!」

???「娘達は……全員殺されたのか?」

???「わかりかねます、陛下。使者は襲撃を受けたとだけ言っておりました」

???「いいや、死んだんだろう。わかるのだ」


美琴(ちょ、ちょっと! 何よそれ、大事件じゃない!!)


???「現在の私の使命は、陛下を安全な所にお連れする事です」


???「……この囚人はここで何をしている? この檻は使用禁止のはずだが」

???「見張りの手違いかと、私は……」

???「気にするな、その扉を開けろ」
5 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:32:45.88 ID:+Ib6YL0To
美琴(……全身鎧に腰には剣。おまけにあの顔、どうみても日本人じゃないし)

美琴(あのおばさんが、見た目からして陛下かな? なんかどこかで見た事あるような……)

美琴(あーもー! 訳わかんない! 何だってのよ!!)


???「囚人よ、そこから動くな。邪魔するなら、この場で斬り捨てるぞ」

???「まったく、こんな少女が囚人とはな……」

ガチャッ、キィィ ザッザッザッ

???「お前は……」

美琴「は、はい?」

???「お前には見覚えがある……」

美琴(いや、私もあなたに見覚えが――って、こ、この人は!!)

美琴「エ、エリザード女王!? な、何でイギリスの女王様がここに!?!?」

一同「……は?」ポカーン

皇帝「い、いや。私はそのエリザードと言う者ではなく、ユリエル・セプティムと言うのだが……」


※ユリエル・セプティム七世

タムリエル大陸を統べる皇帝。セプティム家に代々伝わる予知の能力を特に強く受け継いでいる人物でもある。
また、単純に帝国のトップであると言うだけではなく、その血筋には重要な意味を持っている。
元ゲームでは♂
6 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:33:56.98 ID:+Ib6YL0To
美琴「へ? そ、そうなんですか?」アセアセ

美琴(た、他人の空似? いやでも陛下って呼ばれてるし、どういう事なの……?)

皇帝「少し、顔を見せておくれ」ジー

美琴「え、は、はぁ……」

皇帝「やはり夢で見たのはお前だな」

美琴「は? 夢?」

皇帝「星々のお告げは正しかったようだな。そしてその日は来た」

美琴(…………まあ、国毎に色々あるわよね、うん)

美琴「あのー、それで一体……」

皇帝「娘達が暗殺者に襲われた。次は私の番だ」

美琴「なっ!?」

皇帝「ブレイドが私を都市の外へ導いてくれる。この秘密通路を使ってな」


※ブレイド

皇帝直属の精鋭部隊。皇帝への忠誠心溢れる猛者達。
主に扱う武器はアカヴィリ・カタナと言う勘違い日本刀。
7 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:34:40.83 ID:+Ib6YL0To
ブレイド「陛下、先をお急ぎください」

ガコン ゴゴゴゴ
ザッザッザッ

美琴(隠し扉?)

ブレイド「運が良かったな、我々の邪魔だけはするなよ」

美琴「ちょ、ちょっと待っ……行っちゃった」

美琴「なんなのよもう、こっちはまだ聞きたい事があるっていうのに……」ブツブツ


『娘達が暗殺者に襲われた。次は私の番だ』


美琴「――はぁ、ついて行けばいいんでしょ」ヤレヤレ

美琴「脱出出来たらきっちり話してもらうんだから!」
8 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:36:15.11 ID:+Ib6YL0To
ガキン! ガキン! フン! グアアアア!!
ヒダリダ! ヘイカヲオマモリシロ!

美琴「っ!! 本当に暗殺者が!?」ダッ


目が覚めたら何故か古臭い牢屋。
向かいにはありえない顔色の人間に、全身鎧の兵士達とイギリスの女王そっくりの人物。
次々と訳の分からない状況に晒された美琴の耳に飛び込んできたのは兵士達と暗殺者達の争いの音。

そんな混乱気味で駆けつけた美琴の目に飛び込んできたのは――


美琴「…………ぁ」


三人居た兵士のうちの隊長と思しき人物、血のように赤いローブを纏った暗殺者達がそれぞれの血の海に沈む、護衛と暗殺者がぶつかり合った後の『ごく当たり前』の光景だった。


美琴「あ、ああ……」


死体を見たのは初めてではない。
あの忌まわしい出来事――絶対能力進化実験で自らの妹達を目の前で殺された。
一人は機関車で潰され、一人は画面越しで全身の血流を――


美琴「げほっごほっ! がはっ! はぁ、はぁ……」

美琴「い、行かないと……」フラフラ


心の準備無しに飛び込んできた光景に我を忘れかけた美琴。
彼女を正気に戻したのは皮肉にも、忌まわしき記憶のフラッシュバックだった。


※暗殺者

真っ赤な装束を身に纏ったおかしなやつ等。
魔法で召還した武器や鎧を身に纏って襲い掛かってくる。
9 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:37:05.27 ID:+Ib6YL0To
美琴「ま、待って!」

ブレイド「来たのか囚人、お前はここにいろ。我らの後を着いてくる事は許さん」

美琴「んな!? なんでよ!」

バウルス「見ての通り我らは陛下をお守りせねばならない。それに子供の暗殺者がいないとも限らんしな」ジロリ

美琴「それは……」

バウルス「ではな」

美琴「あ、ちょっ!」

バタン ザッザッザッ

美琴「……ふ、ふふふ」

美琴「ふっざけんなああああぁぁぁぁ!!!! こっちだって被害者だっつーの!!!!」ガンガンガン
10 :>>9訂正 ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:38:16.77 ID:+Ib6YL0To
美琴「ま、待って!」

ブレイド「来たのか囚人、お前はここにいろ。我らの後を着いてくる事は許さん」

美琴「んな!? なんでよ!」

ブレイド「見ての通り我らは陛下をお守りせねばならない。それに子供の暗殺者がいないとも限らんしな」ジロリ

美琴「それは……」

ブレイド「ではな」

美琴「あ、ちょっ!」

バタン ザッザッザッ

美琴「……ふ、ふふふ」

美琴「ふっざけんなああああぁぁぁぁ!!!! こっちだって被害者だっつーの!!!!」ガンガンガン
11 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:38:50.56 ID:+Ib6YL0To
ゴトン ガラガラガラ

美琴「ひゃっ! な、なに!?」

チューチュー チューチュー

美琴(でかっ! 何あのでかいネズミ? あれが壁を崩したの?)

美琴(……ん、壁が崩れた先に空間があるわね)スタスタ

ネズミ「ぢゅ!? ぢゅーー!!!」

美琴「……」

美琴(ドブネズミにすら嫌われる私って……。まあ好かれても困るけどさ)ハァ

美琴(この先にも外に出られるのかな? あっちのドア壊して先に進んでもいいけど、そんな事したらあの人達と敵対しそうだし……)

美琴「ま、行くだけ行ってみればいっか」



※ネズミ

最弱モンスター。
的が小さいので少々攻撃が当て辛いが、チュートリアルにもってこいの相手。
12 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:40:01.47 ID:+Ib6YL0To
――洞窟――


ヂュヂュー ヂュー
ヂューヂュー

美琴「ったく、ネズミだらけね……」

美琴(ドブネズミは人間に襲い掛かる事もあるみたいだし、今日だけはこの体質に感謝しないとね)

アー アー

美琴「な、なに?」ゾクッ

???「アー……アー……」

美琴「だ、誰かいるの?」

美琴(暗くてよく見えないわね……ん、これ松明ってやつかしら?)ヒョイ バチン ボワッ

ゾンビ「オオォォアァ」

美琴「ひっ!」

美琴(ひ、人? ち、違う、あれは)

ゾンビ「オオォォアアァアァァ!!!」ダダダッ

美琴(し、死体が!!)

美琴「い、いやああああああああああ!!!!」バリバリバリ!!

ゾンビ「ゴアアァァ……」プスプスバタン

美琴「はぁ……はぁ……」

美琴「う、うう……も、もうやだ、何なのよぉ……」グスン


※ゾンビ

ゲーム序盤、人型モンスターだと思って近づいたらゾンビだったのはいい思い出。
見た目と足の速さが相まって初見ではものすごいびびる。
見た目悪し、所持品悪し、病気の状態異常にさせられると良い所が全く無い。
頭部が欠損していたり等の個性がある。
また、ゾンビから共通して手に入る錬金材料で「死体の肉」と言う物もある。マジキチ。
13 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:41:11.75 ID:+Ib6YL0To
電撃使いは動物系低級モンスターを寄せ付けない代わりに隠密にペナルティを受けます。
             ______  
        ||||||||||______|
           Loading


ギィィ バタン


美琴「…………ん?」

美琴(誰かいる……今度はさっきみたいな化け物じゃありませんように)


ゴブリン「ギィ、ギィ」


※ゴブリン

RPGでは定番の亜人。
武器や防具、簡単な罠を仕掛ける程度の知能はあるが、意思の疎通は不可能。稀に魔法を扱うゴブリン・シャーマンと呼ばれる個体もいる。
一部を除き一対一ならさほど苦戦はしないが、基本的に集団生活しているので狭い所だとボコボコにされたりする。
フィールドやダンジョン等いたる所に棲息し、一般市民には「うざいし臭い」と大変嫌われている。
主食はネズミで、よく飼育している。
14 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:42:02.08 ID:+Ib6YL0To
美琴「…………」

美琴(何、あれ……ファンタジー系の漫画とかに出てきそうな化け物じゃない。何なのよここは……)


ゴブリン「ギッ?」


美琴(! やばっ、見つかった!?)

ゴブリン「ギヤアアアァァァ!!」

美琴「くっ!? こ、このお!!」バリバリ

ゴブリン「ギャアア!?」プスプス バタン

美琴「はぁ、はぁ……な、何だってのよほんとに……」


その後再び襲い掛かってきたゴブリンを撃退したり、大きな壷にギッシリと詰まった頭蓋骨を見て意識を飛ばしかけたりしつつ、美琴は洞窟の奥へと進んでいった。


15 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:43:18.30 ID:+Ib6YL0To
仲間と戦闘になってしまった場合、防御しながら話しかけることで和解する事が出来ます
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――秘密通路――


ギィィ バタン


美琴「あ……」

美琴(ようやくさっきの場所に出られた……ん?)

ガキン! ガキン! フン! オゥ! ガキン!

美琴(戦ってる! 助けないと!)ダッ



ブレイド「陛下! お下がりください!」ガキン!

皇帝「何を言っておる、私は元々玉座より現場向きでな! そら!!」ズバッ!


※戦う皇帝陛下

暗殺者に短剣一本で立ち向かう熱血皇帝。
護衛が困るから後ろに下がれよ。
16 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:44:07.57 ID:+Ib6YL0To
ブレイド「くそ、数が多い!!」

バリバリバリバリバリ!!

暗殺者「ぐあああああ!?!?」

ブレイドA「な、なんだ!?」

美琴「よっ、さっき振りね兵隊さん」スタスタ

ブレイドB「今のは……君か?」

皇帝「そうだ、彼女は我々を助けてくれるのだ。いや、助けねばならんのだ」

ブレイドA「……先程の非礼を詫びよう、若き魔術師よ」

ブレイドA「何故かは分からんが皇帝の信頼も厚いようだ。良ければ我々と共に皇帝を守ってもらえないか?」

美琴(魔術師って……まあ外人だし超能力を見たことないのかな)

美琴「良いわよ。えっと……」

グレンロイ「グレンロイと」

バウルス「バウルスだ」

美琴「美琴よ、ミコト・ミサカ。それでちょっと聞きたい事が――」


暗殺者達「「「「……」」」」スッ…


グレンロイ「悪いが話は脱出してからにしてもらおうか」ジャキ

美琴「その方が良さそうね。行くわよ!」
17 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:46:28.35 ID:+Ib6YL0To
その後、美琴はブレイドの二人と共に幾度と無く暗殺者を退け通路を進んでいった。
途中、美琴が打ち倒した暗殺者をブレイドの二人が止めをさした事に美琴は反発したが、皇帝の安全の確保の為、なによりここが学園都市や日本、それどころか地球でもない『全く違う世界』なのだと薄々感付いている事もあり、納得せざろうを得なかった。
それでも、未だ美琴は自ら手を下す事はせずにいたのだが。


皇帝「お前は相手が誰であれ、人の命を奪う事に強い抵抗があるようだな」

美琴「……はい」

皇帝「……もしやお前はこの世界の住人ではないのか?」

美琴「えっ!?」ドキッ

皇帝「どうやらそのようだな。おそらくお前はナインの神々の見えざる御手に導かれた使者なのだろうな」


※この世界の住人

基本的にこの世界の住人は自分や仲間に危害が加えられると、相手が誰であろうと(例え誤射等の事故でも)相手が死ぬまで全力で殴りかかってくる。
気弱なアイツも、可愛いあの子も、神に仕える僧侶も死ぬまで殴りかかってくる。
子供は知らん。出てこないし。


※ナイン

九大神。この世界、シロディールで広く信仰されている神々。
18 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:47:29.63 ID:+Ib6YL0To
美琴「一体、どう言う……?」

皇帝「夢で見たのだ。太陽の輝きを放つお前をな」

皇帝「望みはお前だけなのだ。もしお前が協力してくれると誓ってくれれば、もう思い残す事は無い」

美琴「何を……?」


グレンロイ「何てこった! 門が向こうから閉じられている。罠か!」


美琴「! なら私が門を、って」ゴソッ

美琴(う、嘘! 超電磁砲の弾が無い)アセアセ


ドォォォン!!


暗殺者達「「「「……」」」」スッ…


グレンロイ「くそ! 罠だ! 待ち伏せだ!」

バウルス「な、なんて数だ!」

美琴「っ! 私が!」

バウルス「だめだ魔術師! 皇帝を守れ! 守り通すんだ!」ダッ!


皇帝「……私はここまでのようだな」

美琴「っ! そんな事は!」

皇帝「よい。私は自分が助かる夢をついに見ることは無かった」

19 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:49:14.86 ID:+Ib6YL0To
次の瞬間、皇帝の背後の壁が開き暗殺者が襲い掛かってくる。
だがその程度の奇襲、超電磁砲には通用しない。


美琴「この!!」バリバリ

暗殺者「ぐああああああ!!!!」

美琴「ふぅ……大丈夫、陛下は私が守ってあげますから!」

皇帝「……これを持つのだ」

美琴「……これは?」

皇帝「王者のアミュレットだ。それをジョフリに渡すのだ。彼は私の最後の子供を知る唯一の人物だ」

皇帝「彼を探せ。そしてオブリビオンの顎(あぎと)を閉じてくれ」

美琴「陛下?」

皇帝「お前はたった一人で破壊の君主と奴に味方する人間達に立ち向かわなければならない。奴らに王者のアミュレットを渡してはならん!」

美琴「な、何を……?」

皇帝「まだ幼いお前に重責を背負わせて済まないとは思う。だがお前だけが希望なのだ」
20 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:50:22.27 ID:+Ib6YL0To
油断していたのだろう。
いくら美琴が強大な力を持ち、数々の修羅場を潜り抜けてきたとは言え、その本質はただの中学生だ。
それに不運もあった。
たまたま倒れた暗殺者が皇帝の背後に完全に隠れ、目視でも電磁波によるレーダーでも暗殺者が見えていなかった。
そしてたまたま、その暗殺者は雷に耐性を持っていた。

――だから、まだ意識のある暗殺者が、皇帝にその凶刃を突き立てるまで気づく事が出来なかった。


皇帝「ごぶっ……」

美琴「……え?」

皇帝「ミコトよ、そなたに……アカトシュの、導き、を……」ガクッ

美琴「……陛、下? ……うそ、そんな……」


自分の目の前で人が死んだ。
一方通行のようなどうにもならない敵が立ちはだかったわけではない。
油断さえしなければ、あるいは暗殺者が見える位置で倒れていれば。

そして何よりも、自分が暗殺者に止めをさしていれば――


美琴「あ、ああ……」


皇帝は死なずに済んだ。


美琴「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」



その日美琴は初めて、自らの手を汚した。
21 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:51:12.21 ID:+Ib6YL0To
バウルス「へ、陛下!」

美琴「……」ビクッ

バウルス「陛下は、亡くなわれたのか……」

美琴「ごめ……なさい……私、が……」

バウルス「いや違う。我々の……私のせいだ。陛下を守ると誓ったのに……」

バウルス「ん? アミュレットは? 王者のアミュレットはどこだ?」

美琴「……これ?」スッ

バウルス「そうだ……陛下は、お前に託したのか?」

美琴「うん……これって何なの?」

バウルス「それはだな――」


※王者のアミュレット

メインクエストのキーアイテム。
帝国の真の聖なるシンボルであり、ある力が宿っている。
皇帝の血を受け継ぐ後継者のみが身に着ける事が出来る。
もちろん主人公は装備不可、と言うかつけても外れる。
22 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:56:02.43 ID:+Ib6YL0To
美琴「そんな大事な物を……私に?」

バウルス「……陛下はお前をそれ程までに信頼していたのだな。竜の血族と言う奴か。セプティム一族には常人に見通せない力があるらしい」

バウルス「それで、陛下は何かお前に伝えなかったか?」

美琴「確か、ジョフリって人を探せって」

バウルス「ジョフリ? 何故だ?」

美琴「陛下の最後の子供の居場所を知ってるって」

バウルス「……初耳だ。だがジョフリなら知っていてもおかしくない。彼はブレイドの騎士団長なんだ」

バウルス「彼は今、コロル郊外のウェノイン修道院の僧侶として静かに暮らしているはずだ」

美琴「……そう」

バウルス「……本当なら君のような少女に任せるのは気が重い」

バウルス「だが、陛下は君に王者のアミュレットを託した。君にはきっと何かあるのだろう」

バウルス「卑怯な言い方かもしれないが、陛下の遺志を汲んでくれないだろうか?」

美琴「……わかった」コクリ

バウルス「よし、ではこの下水道の鍵と……地図を持って行け。ウェノイン修道院の場所には印をつけておいた」

バウルス「危険は犯すな。だが出来る限り急いで旅の準備をして出発してくれ」

美琴「……バウルスさんは?」

バウルス「私はここに残り陛下のご遺体を守らねばならない。隊長も、グレンロイ先輩も死んでしまったからな……」

美琴「…………」

バウルス「では、頼んだぞミコト。タロスよ、この者を導きたまえ」


※タロス

九大神の一柱。
タムリエルを征服し帝国を築いた英雄タイバー・セプティムが死後神格化された存在。
元々は八大神であった所に彼を加えて九大神となった。
皇帝の一族であるセプティム家は彼の末裔である。


序章・完
23 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/07(水) 02:56:56.07 ID:+Ib6YL0To
あーあ、建てちゃった……。
とりあえず今日はここまで。
続きは今週中にでも。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/09/07(水) 02:59:23.85 ID:fQACGV5y0
何という俺得スレ
いいぞもっとやれ
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/07(水) 03:00:59.96 ID:5RXAFePOo
絶対投げるなよ
絶対だぞ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/07(水) 03:30:35.37 ID:iMopwcZIO
禁書しか知らない俺でも説明あるからわかりやすくて面白い
期待します
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/07(水) 12:04:51.14 ID:W9nlsgGIO
ロード中の説明文がいい味だしてんな
28 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 02:33:57.40 ID:yZlyrkC8o
>>26
正直説明文入れすぎかなって思ったけど、そう言って貰えると助かります。

>>27
ロード中の説明文はちょくちょく捏造した奴を突っ込んでいく予定。


前回投下分見直して自分で気になった部分。

・英語喋ってる(洋ゲーだから)事に美琴が何の突っ込みもなし。
・英語で陛下って言ったのに天皇陛下がどうとか言わせちゃった。
・×ウェノイン ○ウェイノン

あと美琴の服装は冬用の制服です。
それについての言及も忘れてた……。

今日もまた投下します。
ウェイノン修道院編、説明回。

29 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 02:35:32.37 ID:yZlyrkC8o
――街道――


美琴「…………はぁ」

美琴(さっき立ち寄ったインペリアルシティ見て分かってたけど、とても電車とかバスがある文明じゃないし。でもどう考えても歩いて行く距離じゃないわよね……)

美琴(だいたい何なのよここは……。そりゃこんだけ自然溢れてれば野生動物ぐらい出てもおかしくないのは分かる。山賊みたいな奴らが出るのも分かる)

美琴「けどさ……」

カジートの追剥「」プスプスピクピク

美琴「インペリアルシティでも見たけど、ほんと何だってのよコイツら……」


※歩いて行く距離じゃない(少々長いので注意)

OBLIVIONの舞台となるのはタムリエル大陸のシロディールと言う地方。
全体地図はこちら。
ttp://images.uesp.net//4/47/Cyrodiil_roadmap.png

帝都インペリアルシティ(Imperial City)を中心に時計回りで
北にブルマ(Bruma)
東にチェイディンハル(cheydinhal)
南にブラヴィル(Bravil)
南端にレヤウィン(Leyawiin)
西南西方向に順に
スキングラード(Skingrad)
クヴァッチ(Kvatch)
アンヴィル(Anvil)
西北西にコロル(chorrol)

で構成されている。
国土の大部分は未開発であり、多数の野生動物や怪物が生息する草原や森林が広がっている。
また、遺棄された砦や古代人の遺跡なども多数点在し、ダンジョンとしてプレイヤーを待ち構えている。

ちなみに美琴が脱出した下水道はインペリアルシティのある島の道の北東端辺り。
ウェイノン修道院はコロル最寄の家が三つ重なったような記号の所。
この距離を道なりに踏破するのにゲーム内時間で『ランニング程度の走りで』五時間前後。

無論歩きならその倍以上掛かり、戦闘を行えばさらに到着に時間が掛かる。
現代人の感覚ならとても歩く距離じゃない。


※野生動物、山賊

フィールドで主に遭遇する敵。
野生動物(狼や熊)や怪物(トロール、ミノタウロス)、山賊等がこれに当たる。


※この世界の人種

人間系にはインペリアル(帝国人)、ブレトン、ノルド、レッドガード。
エルフ系にはダークエルフ、ハイエルフ、ウッドエルフ。
亜人系にはアルゴニアン(爬虫類人)、カジート(猫人間)、オーク。
が存在する。

ちなみに追剥はカジートのみであり、こいつらは山賊とは違いお金を払うと見逃してくれる。
洋ゲーらしく厳つい顔だが、会話中に耳がピクピクしててちょっと可愛い。
30 :アニェーゼの口調意外と悩む ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 02:38:07.77 ID:yZlyrkC8o
ブレイドの騎士団長であるジョフリは、相手の武器を弾き飛ばす剣技や装備を破壊する魔法を得意としています。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading



――ウェイノン修道院――


美琴(や、やっと……着いた。もう無理、ほんと無理)フラフラ



美琴「す、すみませーん、誰か居ませんか?」

???「おや、お客さんですか」

美琴「あ、私人を探し、に……」

美琴(何、この人。修道女、なのかな? なんか異様に裾が短いし、あの厚底靴なんか30cmぐらいあるんじゃないの?)

???「? どうかしたんですか? 変わった格好のお客さん」

美琴(アンタに言われたか無いわよ!)

パイネル「あ、申し遅れました、私はパイネル、ここで修道女なんかしちまってます」

美琴(……やっぱ修道女なんだ)

美琴「美琴よ。それで私、ジョフリって人を探しに来たんだけど……」

パイネル「ジョフリさん、ですか? ジョフリさんなら二階にいますよ」

美琴「良かった、いるのね。どうもありがとう!」ダダダッ

パイネル「……やれやれ何だってんですかね。さっきまで死にそうな顔しちまってたのに」

※マルボレ修道院長の出番は消え去りました。
31 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 02:39:29.32 ID:yZlyrkC8o
ドタッドタッドタッ!!


美琴「ジョフリさんですか!?」

ジョフリ「騒々しいな。私が修道士のジョフリだが、何の用だ? それと君も女性なら貴婦人たらんとしてみてはどうかね?」

美琴「あ、す、すいません……」

美琴(うわぁ、堅物そうな人……。でも想像してたより随分若いわね、あのブレイドの人達とあんまり変わらなさそう)


※ジョフリ

ブレイドの騎士団長(グランドマスター)。
序盤の重要人物。
ユリエル・セプティム七世の隠し子を知る数少ない人物。


ジョフリ「それで、用件は?」

美琴「あ、はい。これを」スッ

ジョフリ「!! これは、王者のアミュレット!! ……君は一体何物だ?」

美琴「何と言えばいいのか――」
32 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 02:40:12.22 ID:yZlyrkC8o
――説明中


ジョフリ「――あんの馬鹿皇帝、こんな子供になんつー事を……」ボソッ

美琴「は?」

ジョフリ「コホン! いや、何でもない。突拍子も無い話だが、君を信じよう。君が王者のアミュレットを携えてここに来たのも、陛下の数奇な運命がなせる業だろうな」

美琴「あの、陛下が言ってた破壊の君主って何者なんですか?」

ジョフリ「破壊の君主とはオブリビオン支配者の一人、メエルーンズ・デイゴンの事だ」

ジョフリ「人間界は結界によってデイゴン率いるオブリビオンの魔物、ディードラから守られているのだ」


※オブリビオン

ゲームの題名にもなっている人間界とは違う異界。魔界とも呼ばれる。
オブリビオンは16人のディードラ王が支配する領域で、王毎に全く違う世界観の領域となっている。
今回の主な舞台となるのはメエルーンズ・デイゴンの支配するオブリビオンである。


※ディードラ

オブリビオンの住人達。人間を超越した価値観の持ち主。
基本的に死と無縁の存在であり、人間の事を「定命の者」と呼ぶ。


※メエルーンズ・デイゴン

ディードラ16王の一人。破壊・変化・改革・力・革命を司る。
破壊自体が存在意義であるため、人間界を積極的に滅ぼそうとしている。
33 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 02:40:51.31 ID:yZlyrkC8o
美琴「…………」

ジョフリ「理解できたかね?」

美琴「まあ、なんとか……」

美琴(正直まだ戸惑ってるけど、やっぱりここは魔法のあるファンタジーの世界なのね……)

美琴「じゃあなんで、陛下はオブリビオンの顎を閉じろだなんて……。まるでオブリビオンの脅威が迫ってるみたいな……」

ジョフリ「分からない。陛下は唯一人で何らかの脅威から我々を守っていたのかもしれない……」

美琴「王者のアミュレットが、何か関係でもあるんですか?」

ジョフリ「戴冠する新皇帝が帝都の最高神の神殿で王者のアミュレットをかざし、竜の火を灯すのが慣わしとなっている」

ジョフリ「だが、皇帝も皇太子も居なくなり、竜の火が失われつつある」

美琴「だから、陛下は子供を捜すように言ったんですね」

ジョフリ「恐らくはそうだろう。竜の火が完全に失われれば、恐ろしい事が起きるのだろうな……」

美琴「……陛下の子供は、今どこに?」

ジョフリ「陛下のご子息、マーティンはここから南にあるクヴァッチと言う街の教会で、アカトシュに仕えているはずだ」


※アカトシュ

九大神の長、最高神。
初代皇帝に王者のアミュレットを与えた。
翼の生えた竜の姿で描かれる。
34 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 02:42:26.73 ID:yZlyrkC8o
美琴「……分かりました、クヴァッチですね。色々ありがとうございました。それじゃ、私はそろそろ」クルッ スタスタ

ジョフリ「待て、どうするつもりだ」

美琴「マーティンを連れて来ます」

ジョフリ「そのふらついた体でか?」

美琴「……陛下に頼まれたんです。私が行かないと」

ジョフリ「責任感が強いのは結構だが、少々気負いすぎではないか?」

美琴「でもっ!」

ジョフリ「もし君が陛下の死について自分を責めているのなら、それは間違いだ」

ジョフリ「陛下の事は、残念だった。だが、君が居なければブレイドは全滅し、陛下も希望を繋げる事は出来なかった」

ジョフリ「君はもう少し自分を誇ってもいいだろう」

美琴「…………」

ジョフリ「クヴァッチまでの道のりは遠い。どうせ不眠不休でここまで来たのだろう? 少し休みなさい」

ジョフリ「その間に君の旅の準備をしておこう。本来なら私が向かいたいところだが、それも適わないのでな。それで良いかな?」

美琴「……よろしく、お願いします」

35 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 02:46:17.66 ID:yZlyrkC8o
説明回終了。
原作OBLIVIONも説明回だったから仕方ない。

注釈とかに悩んだからOBLIVIONの二次創作無いか探したら1個見つけたけど、書式がほぼ似通ってたから参考に出来なくて残念。

次回、クヴァッチ編。
中盤ぐらいまでは原作に沿って進むと思うので悪しからず。
36 : ◆A3/sLhI/4c2011/09/08(木) 03:04:45.14 ID:yZlyrkC8o
        ヘ
        ゝ \
        \  \
         /    ヽ
       /      \
      /         \
 |ヽ  /  ________   \ /|  
 ヽ ヽ|  / ━┓ ┏━ \  |/ / age忘れた
   ヽ|/  (●)  (<)☆ \| /  
    |     ⌒(__人__)⌒   |
    \     |r┬-|     /
    /      `ー'´     \
  /               ヽ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/08(木) 04:26:48.47 ID:2DD8yJFDo
超電磁砲ならオブリビオンのすべての敵を一撃で倒せそうだなww
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/08(木) 16:52:46.98 ID:EEykZprf0
素晴らしい作品だ!
今後の展開に期待
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/09/08(木) 19:53:10.77 ID:NqOy0f24o
タマネギ男はそのままなのかなー
期待
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/09/08(木) 21:47:47.74 ID:nbgf9Yg8o
これは楽しみになる。しかもMODありとな。
41 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 23:07:38.58 ID:yZlyrkC8o
レス返し

>>37
基本美琴無双っす

>>38
あざす

>>39
たまねぎ枠は決まっております

>>40
MODはしばらくあんまりでないかも。
後の方でMIDAS使って○○○○○○が××××××××を△△△△にゴニョゴニョしてみんなハッピーみたいな予定。
失踪しなければ。


んじゃ投下行きます。
クヴァッチ編・その一。
42 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 23:08:49.57 ID:yZlyrkC8o
常盤台中学では淑女の嗜みとして乗馬の授業も行っています。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――街道・クヴァッチ付近――


美琴「この坂を上っていけばクヴァッチね。アンタのおかげでだいぶ早く来れたわ、ありがとうシャドウメア」ナデナデ

シャドウメア「ヒヒーン!」


※シャドウメア

ゲーム内で手に入る最速、最強、不死(≠アンデッド)の馬。
暗殺者ギルドの幹部の愛馬で、暗殺者ギルドのクエストを進めると譲り受ける事が出来る。

今回はジョフリが一晩で用意してくれた。
勿論、本来のゲーム内ではそんな事はしてくれない。


美琴(しっかし、この規格外すぎる馬と言い、服の謎の修繕方法と言い、ほんと訳分かんない世界よね……)
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/08(木) 23:09:38.00 ID:fQIaVItIO
黒子はマゾーガ嬢か玉葱か
44 :ゼロにするって言わせたかっただけ ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 23:11:32.23 ID:yZlyrkC8o
――ウェイノン修道院出発前


ジョフリ「ここに来るまでにかなり暴れたようだな。靴や服が所々傷んでいるぞ」

美琴「あー、言われて見れば確かに」

パイネル「なら私の予備の修道服をお貸ししましょうか? 他にあなたのサイズに合う物はねえですし」

美琴「いや、それは全力で遠慮するわ」

ジョフリ「ふむ、ならば修理しておくか」スッ

美琴「……ハンマー?」

ジョフリ「なに、心配するな。私の修理スキルはマスターレベルだ」

美琴「は、え? いや、ちょ――」

ジョフリ「(服の劣化を)ゼロにする!!」

カンカンカンカンカン!


※修理スキル

鍛冶用ハンマーを用いて、武器防具を修理するスキル。
革製品も修理できるので、多分服も修理できる気がする。
残念ながら服に耐久力は無い(無限)ので、本来は服を修理の対象にする事自体出来ない。
上級レベル以上で装備品の耐久力を本来の最大値以上(125%)まで修理? する事が出来る。

断っておくと、ゲーム内でジョフリの鍛冶スキルがマスターレベルだと言う描写は無い。
45 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 23:12:35.53 ID:yZlyrkC8o
――――――


美琴(しかもおろしたてより何か綺麗になってる気が)

美琴「まあ、気にしたら負けよね、はははっ……ん?」

美琴(誰か走ってくる)

タタタタタッ

動転した男「おい、そこのあんた! 早く逃げるんだ!」

美琴「どうしたの? 山賊にでも追われてるとか?」

動転した男「違う! 神々の畜生共だ! 衛兵達が抑えてる間に早く逃げるんだ!!」

美琴「ちょ、ちょっと落ち着いて! 何があったの?」

動転した男「クヴァッチは焼き尽くされたんだ! 巨大な兵器で囲まれて!」






動転した男「オブリビオンのゲートが開いたんだ!!」
46 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 23:14:14.10 ID:yZlyrkC8o
――クヴァッチ・城壁前――


???「止まれ!!」

シャドウメア「ヒヒヒーン!! ブルルルルッ……」

美琴「どうどう!」

???「何をしに来た! 今がどういう状況だか分かっているのか!?」

美琴「こっちも急を要する事態なの!」

美琴「あなたがサヴリアン・マンティスさん? 下の避難所で聞いたんだけど、アナタがマーティンの行方を知ってるって」

サヴリアン「マーティン? あの坊さんか? 確か、最後に見たときは住民と一緒にアカトシュの礼拝堂に向かって行ったな」

サヴリアン「運が良ければしばらくは大丈夫だと思うが……」

美琴「なら、助けに行かないと!」

サヴリアン「そんな事は分かっている!! だが、あのオブリビオン・ゲートがある限り我々はここから進めないのだ!!」


※オブリビオン・ゲート

その名の通り、オブリビオンの領域と人間界を繋ぐゲート。
デイゴンの領域であるデッドランドと呼ばれている所に繋がっている。
ゲートに近づくとあたかも炎に照らされたかのように周囲の景色や空が全て赤く変色し、雷が鳴り響く。
その様相はさながら地獄に繋がる門にすら見える。

ttp://up3.viploader.net/game/src/vlgame042193.jpg
47 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 23:16:23.79 ID:yZlyrkC8o
サヴリアン「我々はこの場を死守して、化け物共から生き残った市民を守る責務があるのだ」

サヴリアン「今はそれで精一杯なのだ……む?」



衛兵「ディードラの化け物共が出やがったぞ!!」

衛兵「クソッタレが! 死ね化け物!!」

クランフィア「グルルル……」

スキャンプ「ギー!」


※クランフィア

ちっちゃい恐竜もどき


※スキャンプ

チビで醜い赤茶色のピッコロさん。
弱い火の魔法を使う。
臭い。
48 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 23:19:42.02 ID:yZlyrkC8o
サヴリアン「くっ! 分かったか!? 分かったなら君は早く避難を――」


バリバリバリバリバリ!!!!


衛兵「な、なんだ!?」

衛兵「ディードラが……」

怪物ズ「」プスプスプス



サヴリアン「君は……魔術師だったのか?」

美琴「まあ、そんな感じよ」

サヴリアン(それにしても、ディードラの化け物を一撃だと!? この若さでアルケイン大学の魔術師クラス、いや、それ以上か?)


※アルケイン大学

インペリアルシティに併設されている魔術師ギルドの総本山。
所属するには各街の支部から推薦を受ける必要がある為、研究職など方向性は違えどみなエリート魔術師である。
49 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/08(木) 23:22:00.00 ID:yZlyrkC8o
美琴「ゲートを閉じる方法は?」

サヴリアン「――っ、あ、ああ。現時点では不明だ。だが敵は攻撃の後ゲートを閉じているから方法は必ずあるはずだ」

サヴリアン「ゲートに部下を数名送り込んだが、まだ帰ってきていない……」

美琴「なら、私が行く」

サヴリアン「なっ!? ば、馬鹿を言うな! いくら君が強力な魔術師とは言え、子供にそんな危険な……!」

美琴「シャドウメア、あんたはここを衛兵さん達と一緒に守ってて。サヴリアンさん、この子の事よろしくね」ダッ

サヴリアン「ま、待て!」

シャドウメア「ヒヒーン!」

サヴリアン「くっ、この馬、邪魔をするな! 誰か、あの少女を止め――」


ボシュン!!


サヴリアン「――っ!! な、なんと言う事だ……」



身の危険に曝される事を覚悟してください、オブリビオンの領域は大変危険な場所です
             ______
        ||||||||||______|
           Loading
50 : ◆A3/sLhI/4c2011/09/08(木) 23:24:36.79 ID:yZlyrkC8o
今日は以上となります。
さ、これからクヴァッチのゲートクリアしてこないと……。
んではまた。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/09/09(金) 00:39:07.51 ID:EvfN2u8V0


懐かしいなぁ…久々にオブリがやりたくなってくる
失踪せずに完結してくれる事を期待してる
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/09/09(金) 20:22:11.34 ID:KcKyMsBuo
オブリビオンはPCのスペックが足りなかったから埃かぶってるお
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/09/10(土) 11:00:20.04 ID:/vDcsnTp0
PS3プレーヤーだった俺…MOD良いなぁ
54 : ◆A3/sLhI/4c2011/09/10(土) 14:42:29.63 ID:WzzXrE/Io
レス返し

>>51
SKYRIMの情報見てOBLIVIONやりたくなる→勢いでSSを書き出す→>>51がオブリやりたくなる
素敵コンボ

>>52
PC新調する前、描画とか最低レベルにして無理矢理プレイした俺が通りますよ。
おかげで洞窟が暗いという描写が出来なくて明るかったワロエナイ

>>53
素のままでも面白いけど、MOD入れると二度三度四度面白いよ。
慣れるまでMOD導入がすごいだるいけど……。


それでは投下、クヴァッチ編、その2
55 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:44:07.94 ID:WzzXrE/Io
前回忘れた注釈

※サヴリアン・マンティス

クヴァッチの衛兵隊長。
ディードラに急襲され、混乱状態の街で部下と共に生き残りの市民を避難させた。
生き残った衛兵をまとめ上げ、街へ救助活動に入ろうとするものの、オブリビオン・ゲートに足止めを食らい、敵を食い止めるのに精一杯な状況にイラだっている。
56 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:45:36.72 ID:WzzXrE/Io
ゲートを越え、降り立った大地。そこは端的に言えば『地獄』だった。
地獄のように恐ろしいとの比喩的な意味合いもあるが、単純に風景が異常だ。
地面は細かくひび割れ隙間からマグマが覗き、周囲はマグマの海で囲まれ、太陽も月も無い空は抜けるように暗い。
まさに御伽噺に出るような『地獄』そのものだ。


美琴「…………」


高い気温にも関わらず、美琴の背に冷たいものが流れ、わずかに鼓動が早くなる。
どれほどの力を持とうが、人間である限りはこの光景に根源的な恐怖を感じずにはいられない。


美琴「さすがに、ちょっと早まったかしら……」


引き返すつもりも無ければ、ゲートを閉じると言う目的を違えるつもりも無い。
それでも、恐れから来る若干の後悔を感じずにはいられなかった。


※オブリビオン(デッドランド)

デイゴンの支配する領域。
人間界とは一線を画す、独自の環境と生態系を持つ。
人が傍を通ると襲い掛かる蔦や、有毒ガスを吐き出す花。
クランフィアやスカンプ、鬼や悪魔そのものの様な亜人、クモの胴体に人間の上半身がついたようなおぞましい生物が生息している。
また、進入した人間の成れの果てであろう切り刻まれた死体が吊るされていたり、頭蓋骨が団子の様に棒に突き刺されていたりする。
まさに死の国と呼ぶにふさわしい領域である。
57 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:47:26.30 ID:WzzXrE/Io
美琴(とにかく、生き残りの人を探しつつゲートを閉じる方法を調べないと……ん?)


ディードロスA「グルルルル……」

ディードロスB「グウウゥゥ……」

???「だ、だめなのです! せ、先生は食べても美味しくないのです! だからあっちに行って下さい!」

ディードロスA・B「「グルォォォォ!!!」」

???「っきゃああああぁぁぁぁ!?」


バチバチバチバチバチン!!!!


ディードロスA・B「「ガアアアア!!!?」」バタン

???「……あら?」

美琴「大丈夫!? 怪我は無い?」

???「ほへ? な、なんであなたみたいな子供がこんな所に!?」

美琴「何言ってんの、アンタの方が子供じゃない。さ、お姉さんが出口まで連れてってあげるから」

???「ち、違います! 先生はこう見えてもれっきとした大人の衛兵さんであって――!」

美琴「はいはい分かった分かった。後で衛兵ごっこでも何でも付き合ってあげるから」

???「だ、だから違うのですーーー!!」


※ディードロス

オブリビオンに棲息する、長い四肢を持った二足歩行のワニ。
移動速度はそれ程でもないが高めの攻撃力を持つので、接近戦の場合は装備が貧弱だと苦戦することも。
58 : ◆A3/sLhI/4c[sage]:2011/09/10(土) 14:49:06.23 ID:WzzXrE/Io
美琴「まさか本当に衛兵だなんて、ごめんなさい……私は美琴、ミコト・ミサカです」

イレンド「先生の名前はイレンド・ヴォニウスです。……それにしてもあなたみたいな少女が増援だなんて隊長は何を考えてるんでしょう」プンスカ

美琴(……本当は無理矢理突入したって言ったら怒られそうね)

美琴「それにしても……」ジー

イレンド「? どうかしたのです?」

美琴「いや、魔法ってすごいなーって思って」

美琴(これで[ピーーー]歳って半端無いアンチエイジングね……。それにしたって限度ってものを考えろって気がするけど)

イレンド「……何だか分かりませんがものすごく失礼な事を考えてませんか?」

美琴「え? そ、そんな事全然無いですよ! あは、あははは……」

イレンド「はぁ……。それで、ミサカちゃんはこのゲートを閉じに来たんですよね」

イレンド「仕方ないので先生がここを案内してあげるのです」エッヘン

美琴「いやそんな、危ないですよ!」

イレンド「それはこちらの台詞なのです。確かに御坂ちゃんが強いのは分かります。大抵の怪物なら御坂ちゃんの敵では無いでしょう」

イレンド「でも、怪物以外もここは危険なんです! 例えばこの蔓、ハラーダって言うんきゃん!!」バチン!

美琴「だ、大丈夫ですか!?」

イレンド「こ、こんな風に近づくと襲い掛かってくるので非常に危ないのですー」イタタ

イレンド「と、言う訳で先生が道すがら講義をしてあげますので安心して欲しいのです!」

美琴「は、はぁ……よろしくおねがいします」

美琴(すっごい、不安)



美琴「ところで何で一人称が先生なんですか?」

イレンド「それは女の秘密って奴なのです」


※ハラーダ

オブリビオン内部、及びオブリビオン・ゲート周辺に生える植物。
近づくと蔓(根?)が鞭の様に襲い掛かりプレイヤーに打撃を与える。
錬金素材にもなるため、採取しようと近づいてよく殴られる。
59 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:49:57.20 ID:WzzXrE/Io
――オブリビオン・塔内部――


美琴(死体が吊るされてる……)

美琴「……酷い」

イレンド「……先生と一緒に突入した仲間達です。敵の待ち伏せで離れ離れになったのです……」

美琴「…………」


クソ! ココカラダスジャン!


イレンド「この声は……メニエンさん!」

美琴「助けないと!」

イレンド「はいです!」
60 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:51:11.75 ID:WzzXrE/Io
タタタタタッ

ドレモラ「む……?」

イレンド「メニエンさん、助けに来ましたよ!」

ドレモラ「貴様は、定命の者か!」

美琴「その人を解放しなさい」

ドレモラ「!! 何者だ貴様!?」

メニエン「そいつが持ってる鍵を奪え!! その鍵で中央塔に入ってシジルストーン外すんだ!! そうすればオブリビオン・ゲートは閉じるじゃん!!」

ドレモラ「っ! 貴様!!」

美琴「はあああああ!!!」バリバリバリバリ

ドレモラ「しまっ!? ギャアアアアアア!!!」


※ドレモラ

強力な武器と魔法を使いこなすオブリビオンの主力。
人間並みの知能を持つ、非常に攻撃的な亜人。
三種のクラス(戦士、魔術師、弓師)と七段階のランクに分かれ構成される。
ドレモラ製、もしくはより上位のディードリック製の装備で身を固めている。
61 :黄泉川先生のポロリもあるよ! ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:52:28.57 ID:WzzXrE/Io
イレンド「メニエンさん、今助けます!」

メニエン「いや、いい。どうせここには檻を開閉させるスイッチは無いじゃん。それより早くシジルストーンを取りに行くじゃん!」

イレンド「そ、そんな……」

美琴「んじゃまあ、壊しちゃえば良いんじゃないですか?」

メニエン「どうやって? お前さんは若い割に強力な魔術師みたいだけど、魔法じゃこの檻をぶち壊す前に私が黒焦げになるじゃん。さすがの私もそんな死に方は遠慮したいじゃん」

美琴「どうやってって、」ズゾゾゾゾゾ

メニエン(剣の、召還魔法? いや違う。なんだあれは?)

美琴「こうやって、です。危ないから目を閉じてて下さいね!!」

メニエン「くっ!?」

イレンド「きゃっ!」

ギュイイイイイイイ パキンッ!
ゴトン ゴロゴロ

イレンド「……」ポカーン

メニエン「……お前はいったい、何者じゃん?」

美琴「んーまあ、そこは企業秘密ってことで」アハハ

メニエン「……仕方ない、恩人を深く追求するのはやめておくじゃん」ヤレヤレ


※メニエン・ゴーネルド

塔内部の檻に閉じ込められているクヴァッチの衛兵。
中央塔にあるシジルストーンがオブリビオン・ゲートの動力源である事をプレイヤーに教えてくれる。
ゲーム内ではどうやっても檻を開ける事が出来ないので見捨てていく事になる。
ちなみに装備を剥ぎ取られ、上半身裸で捕まっている。
つまりry
62 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:53:44.26 ID:WzzXrE/Io
――オブリビオン・中央塔最上階――


無双するだけなので戦闘シーンカット


メニエン「まさかあんなにディードラ共がいるなんてな」ハァ

イレンド「でも御坂ちゃんのおかげで何とかここまでこれましたね」

美琴「私も二人のおかげで攻撃に専念できたし、この通り無傷です」ムン!

イレンド「……御坂ちゃん、私達を自動で動く盾か何かと勘違いしてませんか?」

美琴「い、いやそんな事は……」アセアセ

メニエン「あははは、御坂をいじめるのはその辺にしとくじゃんよ」

メニエン「まあ御坂を無傷で守り通せたなら私達も何とか大人の面目は保てたじゃんか……っと、あれか?」

美琴「あれが、シジルストーン……」

イレンド「なんか思いっきり火柱に包まれちゃってますけど……あ、でもこの周りは熱くないのですよ!」

メニエン「……御坂、お前が取れ」

美琴「メニエンさん?」

イレンド「御坂ちゃんが一番の功労者ですからね。一番美味しいところを持っていくのは当然なのです」

メニエン「と、言うわけじゃん」

美琴「――はい!」


※シジルストーン

オブリビオン・ゲートの動力源である宝玉。
これを取られたオブリビオンは安定性を失い崩壊する。
取得したシジルストーンは強力なエンチャントアイテムを作る材料になる。
63 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:54:49.26 ID:WzzXrE/Io
ジャーナルの「アクティブな効果」のページから、あなたに効果を及ぼしている病気、能力や魔法などを見ることができます。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


サヴリアン「……くそっ!!」


クヴァッチ衛兵隊長、サヴリアン・マンティスは一人悪態をついていた。
原因は単身でオブリビオン・ゲートに突っ込んでいった魔術師の少女だ。
あの時彼女を連れ戻そうとするのを彼女の馬に妨害された間に少女はゲート内に消えてしまった。
とは言え、その気になれば部下と共に突入して連れ戻すことは十分に可能だった。

しかし、彼はそれをしなかった。

彼女一人の為に戦力を割く愚を犯す事は出来ない。
彼女を連れ戻す間に怪物達が湧き出せば、辛うじて保っている防衛線が破られ、避難民達が危険に晒される。
だから、あの愚かな少女を見捨てることは正しい事だ。正しい事だと分かっている。
それでも思うところが無いわけではなく、やり切れない感情を乗せた視線を忌々しい『門』へと向ける。瞬間――


サヴリアン「……なんだ?」


ゴゴゴゴゴ、と突如ゲートが振動を起こした。
サヴリアンと周囲の衛兵達が身構える中、ゲートの光は収束し空へと消えていった。
光が消え力を失ったゲートは崩れ落ち、それに呼応するかのように空からは少しずつ雨が降り出す。
そして崩れ落ちたゲートの前にいつの間にか三人分の人影――サヴリアンがオブリビオン・ゲートに送り込んだ部下の内の二人と、鈍く光る宝玉を手にした少女が立ちすくんでいた。


数秒後、城門前に大きな歓声が上がった。
64 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:57:07.63 ID:WzzXrE/Io
メニエン「メニエン・ゴーネルド、イレンド・ヴォニウス、ミコト・ミサカの三名、オブリビオン・ゲートの閉鎖任務を完了いたしました」

サヴリアン「ご苦労。よくぞやってくれた。よくぞ、生きて帰ってきた……」

メニエン「隊長、全ては彼女のおかげです」スッ

美琴「ふぇっ!?」

イレンド「私もメニエンさんも御坂ちゃん助けてもらったのです」

サヴリアン「……そうなのか?」

美琴「あー、その……まあ……」

イレンド「もっと胸を張るのです! さっきも言いましたけど御坂ちゃんはゲートを閉じた一番の功労者なのですよ!」

サヴリアン「そうだったのか……ありがとう、若き魔術師よ。よくぞやってくれた。クヴァッチを代表して礼を言おう」

美琴「い、いやぁ、何か照れちゃうわね……」

サヴリアン「だが!! 君は私の静止も聞かずに大きな危険を冒した!! これについては大いに反省してもらいたい!!!」

美琴「うぐっ」

サヴリアン「確かに君の力が無ければゲートは閉じる事が出来なかったかもしれない。だが周囲の心配を省みないような行為は慎むように」

美琴「す、すみません……」ショボン

サヴリアン「うむ。……とにかく生きて帰ってきてくれて良かった」

美琴(はぁ、またやっちゃったな……、黒子や初春さん、佐天さんにばれたらまた怒られそう……)
65 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 14:59:18.11 ID:WzzXrE/Io
サヴリアン「よし、それでは準備が出来次第、我々はクヴァッチ市街に突入する!!」

衛兵「「「「了解!!!!」」」」



メニエン「よし、もう一仕事じゃん!」

イレンド「ディードラ達をこの街から叩き出してやるのです!」

サヴリアン「君は、まあ言わなくても行くと言う顔をしてるな」

美琴「あ、あははは……」

サヴリアン「全く、今度は我々と一緒に戦ってもらうぞ」

サヴリアン「いや、一緒に戦っていただけないかな? オブリビオン・ゲートを閉じた『英雄(ヒーロー)殿』」ニヤリ

美琴「ひ、英雄って……」

メニエン「おお、確かに御坂は英雄じゃん!」ニヤニヤ

イレンド「御坂ちゃん、かっこいいのです!」

美琴「……サヴリアンさん、実はまだ怒ってますよね?」

サヴリアン「ふふ、さてな。――よし、それでは我々はこれよりクヴァッチ市街のディードラ撃滅、及び市民、並びに伯爵の救助のため突入する!!」

サヴリアン「行くぞ! FOR KVATCH(クヴァッチの為に)!!」

衛兵「「「「FOR KVATCH(クヴァッチの為に)!!」」」」
66 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 15:00:14.50 ID:WzzXrE/Io
ウオオオオオォォォォォ!!!!!


美琴「……」ゴソ

美琴(なんだろう、何かシジルストーンから変なものを感じるのよね)

美琴(なんか、こう、反発されてるって言うか……)

美琴「っと、私も行かないと! 行こう、シャドウメア!」ダッ

シャドウメア「ヒヒーン!!」





シジルストーン「…………」

67 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 15:02:32.38 ID:WzzXrE/Io
現在までのまとめ

ユリエル・セプティム皇帝       →エリザード女王

パイネル修道士             →アニェーゼ・サンクティス

ブレイドのグランドマスター・ジョフリ →騎士団長(ナイトリーダー)

イレンド・ヴォニウス(クヴァッチ衛兵)→月詠小萌

メニエン・ゴーネルド(クヴァッチ衛兵)→黄泉川愛穂

皇帝最後の後継者・マーティン     →???
68 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/10(土) 15:05:28.95 ID:WzzXrE/Io
本日は以上です。
次回は「美琴、マーティンと出会う」
調子こいて伏線っぽいもの張ったけど回収するまで長いなぁ……。
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/10(土) 15:15:40.19 ID:aUbB15aIO
乙っ!
なんかギルドには入るのかな?
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/09/10(土) 15:16:48.72 ID:FcXHf71Ho
乙なんだが、シジル石から嫌な予感しかしない…。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2011/09/10(土) 16:41:31.90 ID:rT7yMycAO
またひとつ俺得スレが・・
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/09/10(土) 17:58:25.06 ID:Fjj8o94Ao
ドラゴン騎乗MOD入れて移動がくそ楽になったのはいい思い出
73 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/11(日) 14:29:37.61 ID:KTiTYFKho
レス返し

>>69
ギルド関連の話は出ます、とだけ。

>>70
非常に厨2的な展開になるという意味では、その予感は正解。

>>71
誰も書いてくれなかったので仕方なく

>>72
空飛ぶとフィールドの敵に遭遇しなくなってしまふ


では投下しま。
74 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/11(日) 14:30:13.21 ID:KTiTYFKho
幻惑魔法には、敵にスペルを詠唱させないようにする沈黙のスペルがあります。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading



――クヴァッチ・市街地――


市街地に突入した美琴達の目に飛び込んできたのは完全に廃墟となったクヴァッチの市街と大量のディードラ達だった。
普通なら余りの光景に腰が引けてしまう所だったが、オブリビオン・ゲートが陥落した事により士気が最高潮になっていた衛兵達は恐れる事も無く次々とディードラに立ち向かっていった。
加えて美琴の砂鉄操作による的確な援護もあり、大した損害も無く次々とディードラは討ち取られていった。
程無く広場の敵は一掃され、美琴たちは礼拝堂へと生存者の救助に向かった

余談だが、美琴の砂鉄操作を見た衛兵達はそれを「テレキネシス」の魔法と勘違いして、テレキネシスの一時的な地位向上に繋がる事となった。


※テレキネシス

神秘魔法に属する魔法。
離れたものを手を触れずに操る事が出来る。
ちなみに>>1は使ったことないし、使ってるNPCを見たことも無い。
超マイナー魔法。

魔法には他に、破壊魔法・変性魔法・幻惑魔法・召還魔法・回復魔法があり、神秘魔法とあわせて主に六種の系統で構成されている。
また、これ以外にも死霊術のような死体をゾンビに作り変える魔法もあるが、現在では禁止されている。
75 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/11(日) 14:31:13.02 ID:KTiTYFKho
――礼拝堂――


ザワザワザワザワ

サヴリアン「――生き残りは、これだけか?」

ティエラ「はい、隊長。初めこそもっとたくさんの市民がいたのですが、大半はここを留まる事を拒否して。何とか止めようとはしたのですが……」

サヴリアン「そうか……。周囲の敵は一掃した、市民の安全を確保する為に直ちに南の避難キャンプまで護送してくれ」

サヴリアン「そして安全が確保出来次第、ここに戻ってきてくれ。敵はまだまだ居るのだからな」

ティエラ「了解しました!」



美琴「あの、すみません。マーティンって人を知りませんか?」

市民A「ええ、良く知ってますとも。彼女はあの恐怖の夜に私達を助けてくれたのよ」

市民B「ああ、彼女の勇気は忘れられない。っと、あの人だよ」

美琴「あの人、ですか?」

美琴(……皇帝陛下がエリザード女王だった時点で考えなかったわけじゃないけど)

美琴(まさか本当にこの人が出てくるなんてね。ヴィリアン王女……)ハァ

美琴「まったく、ここは本当にどうなってるのよ……」
76 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/11(日) 14:32:46.91 ID:KTiTYFKho
美琴「あなたがマーティンさん?」

マーティン「ええ、そうですけど。あなたが噂のミコトさんですか?」

美琴「……噂?」

マーティン「衛兵さん達がみな噂してました。可愛らしい英雄がいらっしゃるって」フフフ

美琴「うぇ……勘弁して欲しいわ……」ゲンナリ

マーティン「それで、どうなされたのですか?」

美琴「……気をしっかり持って聞いて欲しいんですが。マーティンさん、あなたの本当の名前はマーティン・セプティム」

美琴「皇帝陛下の最後の後継者なんです」

マーティン「……皇帝陛下が、私の母君だと?」

美琴「ええ。突拍子も無い話なのは分かってるんですが……」

マーティン「あなたは、オブリビオン・ゲートを閉じてみなに希望を与えてくれた方です」

マーティン「そんな方が嘘を言うとは思えませんし、私の中の何かもあなたを信じろと言ってる気がします」

マーティン「でも、それを知って私にどうしろと?」

美琴「私と一緒に、ウェノイン修道院まで来て下さい。そこでジョフリって人に会って欲しいんです」

美琴「私はこれからディードラ達を倒さないといけないんで、それまで避難所で他の人達と待っていて下さい」

マーティン「……分かりました。あなたにナインのご加護を」


その後、礼拝堂を出発した美琴達は大きな問題も無く(城門が閉じられていたが美琴が吹っ飛ばした)ディードラを排除しつつ伯爵の居城へとたどり着く。
美琴の活躍のおかげで十分に余力を残していた衛兵達は、怪我人こそ出たものの死者は出さずに城を制圧していった。
しかしながら、城の最奥で伯爵を発見した時には既に伯爵は事切れてしまっていた。
77 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/11(日) 14:33:31.68 ID:KTiTYFKho
――避難民キャンプ――


マーティン「お帰りなさい、無事だったのですね。……どうかなさったのですか?」

美琴「いや、なんでも……」

美琴「ただ、もっと私が早く来ていればな、って……」

マーティン「……美琴、今あなたの目には何が見えていますか?」

美琴「何、って……」

美琴(あれ、何か前にも同じ事言われたような……)


ドドドドドドドッ


美琴「……へ?」

市民A「君がゲートを閉じたって本当かい!?」

衛兵A「ええ、本当ですよ! 市街地でもものすごい活躍でした!」

市民B「おいおいしけた顔してどうしたんだよ?」

市民C「礼拝堂から避難する時この子の戦いぶりを見たぜ! あの恐ろしいディードラ共を蹴散らしてたんだ!!」

衛兵B「悔しいが、君が居なかったらここはダメだったかもしれないな……」

市民D「君はこのクヴァッチの英雄だ!!」

ワイワイガヤガヤ
78 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/11(日) 14:34:37.53 ID:KTiTYFKho
美琴「ちょ、ちょ!」

マーティン「分かりましたか? ここに居る人たちはみな、あなたに感謝しているんです」

サヴリアン「そうだぞ。もし君が来なければあの忌々しいゲートは閉じる事が出来なかった」

メニエン「あのままだったら、いずれここは全滅してたかもしれないじゃん」

イレンド「御坂ちゃんはクヴァッチみんなの命の恩人なのですよー」

美琴「そんな大げさな……」

マーティン「いいえ、大げさでも何でもありません。あなたは絶望の闇に包まれていた私達を救い出した英雄なのですから」ニコリ

サヴリアン「みんな、この小さな英雄に元気を出してもらうんだ! クヴァッチの英雄、ばんざーい!!」

全員「「「「クヴァッチの英雄ばんざーい!!」」」


美琴「……みんな、みんなありがとう!!」

ワアアアアアァァァァァァ!!!!



79 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/11(日) 14:40:55.94 ID:KTiTYFKho
短いけど今日はここまで。
マーティンはヴィリアン王女様でした。
アックア? しらね。


美琴の口調で気になってる人が居るかもしれないので、突っ込まれる前に自己弁護。
美琴のタメ口と敬語の使い分けについて。
明らかに目上の人には敬語、ただし慌ててたりするとタメ口になる。って感じで一応考えてます。

と言う建前で、単に小萌先生と黄泉川先生にタメ口で話す美琴が想像できなかっただけ。
80 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/11(日) 14:42:31.36 ID:KTiTYFKho
あ、後最後の避難所の2レスは捏造シーンなんで。
ゲームにはあんな描写ありません。
でもあれぐらい持ち上げてくれても良いと思うの、と言う妄想。
81 : ◆A3/sLhI/4c2011/09/11(日) 14:44:27.38 ID:KTiTYFKho
        ヘ
        ゝ \
        \  \
         /    ヽ
       /      \
      /         \
 |ヽ  /  ________   \ /|  
 ヽ ヽ|  / ━┓ ┏━ \  |/ / またage忘れた
   ヽ|/  (●)  (<)☆ \| /  
    |     ⌒(__人__)⌒   |
    \     |r┬-|     /
    /      `ー'´     \
  /               ヽ
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/09/11(日) 21:11:36.90 ID:FNs4a7ui0
乙!
しかしだ。最後のことを考えると鬱だな
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/12(月) 02:49:40.17 ID:OkisXT4Ro
ほんとだよなー
衛兵たちがバタバタやられてる中主人公は一人でゲート閉じちゃうんだから
だがその主人公を軽くたたきつぶすスタァアアアアァァアッッッップ!!!の強さは異常
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/09/12(月) 23:18:47.77 ID:LEsW8+kl0
しかし強くなるとスタァァァップも怖くない

もう何も怖くない!みたいな
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/09/12(月) 23:20:56.69 ID:U+g8uyfYo
おい、死亡フラグ立てるなw
86 : ◆A3/sLhI/4c2011/09/13(火) 02:59:46.40 ID:/RQfmnaco
レス返し

>>82
まあRPGって大体最後あんな感じの展開になるよね。ハッピーエンドにせよバッドエンドにせよ。

>>83
英雄なんだから正直ちょっとぐらいの罪は大目に見てくれよって思う。

>>84
       _____
      /   ___ \
     ノ  /:::::::::::::::::\ \
    ノ  ノ:::::::::::::::::::::: レ  ゝ  闇兄弟に入らないかね
    ノ  ノ::::::::::::::::(●)::::|  ノ
   ノ /   (_人_)   レ \
  / ノ      `ー´     \  \
  \ \            / /
  /                 \

>>85
ニア 逮捕に抵抗する。
ならば血で清算して貰おうか!


今日の分投下ー
87 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/13(火) 03:00:44.94 ID:/RQfmnaco
噂話を聞き込めば、あなたを偉大な宝物へと導く手がかりになるかもしれません。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――ウェイノン修道院――


クヴァッチ解放後、惜しまれつつもクヴァッチを後にした美琴とマーティン(その際、せめてものお礼と言う名目でサヴリアンから彼が身に着けていた汗臭い鎧を押し付けられそうになったが、丁重にきっぱりとお断りした)
ウェイノン修道院までの道中はシャドウメアに二人乗り(クヴァッチの馬は軍、民間問わず全滅したため)をした以外は大きな障害も無くウェイノン修道院へと急いでいた。

そして二人がウェイノン修道院に着いて最初に目にした光景は――


美琴「これは……」


あの忌まわしい赤装束を自らの血で更に赤く染め、地面に横たわる暗殺者達の姿だった。


※サヴリアンの鎧

クヴァッチでの一連のイベントをこなすとサヴリアンから彼の着ていた鎧を貰える。
衛兵隊長の装備と言うこともあり、ステータスが増強されるエンチャントが施されている。
強力な装備が手に入るまでの繋ぎとしては十分な性能を持つ。
88 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/13(火) 03:02:31.69 ID:/RQfmnaco
ジョフリ「戻ってきたか。タロスよ、感謝します」フゥ

美琴「ジョフリさん、無事なんですか!」

ジョフリ「何とかな。だが突然の襲撃だったので身を守るので精一杯だった」

ジョフリ「マボレル院長は殺され、王者のアミュレットも……」

美琴「そんな……」

アラ ヤッパキラレルヨリナデラレルホウガオコノミデスカ?

美琴(うん?)チラリ

ジョフリ「そちらの方は、もしや?」

美琴「……へ? あ。は、はい、この人がマーティンです」

ジョフリ「殿下、ご挨拶が遅れて申し訳ない。私はマーティン、あなたの警護を勤めるブレイドのグランドマスターです」

アハハ カラダヲビクビクフルワセテナニガイイタインデス

マーティン「え、ええ。美琴から話を聞いています。どうぞよろしく」チラチラ

ジョフリ「マーティン様だけでも無事だったのは不幸中の幸いです。ですが、生存を知れば敵は再び襲ってくるでしょう」

アラ、アラアラ? コッチモハンノウスル?

マーティン「え、ええと、どこか安全な所は無いのですか?」

ジョフリ「……我々を襲う未知の勢力に対して、真に安全な場所などありはしないでしょう」

ジョフリ「ですが、あえて挙げるとするなら一つだけあります」

サキホドヨリモビンカンジャナイデスカ

マーティン「それは一体?」

ジョフリ「我々ブレイドの本拠地、クラウドルーラー神殿です」


※クラウドルーラー神殿

ブルーマ近郊の雪山にあるブレイドの創始者が建てた要塞。
ブレイドの聖域であり、隠れ家でもある。
ゲーム中盤からはここが本拠地となる。
89 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/13(火) 03:03:36.14 ID:/RQfmnaco
パイネル「ふっふふ、殿方のくせにいじられるほうが感じるだなんて、この変態」フフフフ

パイネル「いっその事、直接このカタナを奥まで突っ込んで差し上げましょうか?」グリグリ



美琴「……あれは止めなくて良いんですか?」

マーティン「頼むから放って置いてくれ……」アタマイテェ


※パイネル

彼の名誉のために言っておくと、彼はゲーム内では普通の修道士のおっさんです。
決して暗殺者を弄って悦に浸るようなドSな人じゃありません。


※マボレル院長

このSSでは唯一の出番をパイネルに奪われたかわいそうな人。
暗殺者の襲撃で殺された後は、何日経ってもその亡骸が放置されたままの本当にかわいそうな人である。
90 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/13(火) 03:05:24.95 ID:/RQfmnaco
軽鎧のレベルがマスターになると軽鎧装備時の重量が0になります。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――クラウドルーラー神殿・正門前――


ジョフリ「着きました、ここがクラウドルーラー神殿です」

美琴「へぇ……」

マーティン「本拠地と言うだけの事はありますね」


ガコン、ゴゴゴゴゴ


ブレイド「グランドマスター、お久しぶりです。こちらの方々は?」

ジョフリ「サイルスか。このお方は陛下のご息女、マーティン・セプティムだ」

サイルス「殿下! クラウドルーラー神殿へようこそいらっしゃいました」

サイルス「皇帝をお迎えする栄誉に預かることなど、久しくございませんでした!」

マーティン「え、えぇ。私も光栄です」

サイルス「それで、もしやこちらの方も……?」

美琴「あ、いや。私はそう言うんじゃなくって」アセアセ

ジョフリ「彼女は我々の恩人だ。詳しくは皆の前で紹介しよう」

ジョフリ「サイラス、皆を集めてくれ」

サイラス「了解しました」

ジョフリ「行きましょうマーティン様。あなたのブレイドが、ご挨拶申し上げます」

マーティン「……ええ、そうですね。行きましょう」

美琴「……」

美琴(大丈夫かな……)
91 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/13(火) 03:06:41.26 ID:/RQfmnaco
――クラウドルーラー神殿・広場――


ジョフリ「ブレイドよ! 今は暗黒の時だ」

ジョフリ「陛下とご息女は、我らの目の前で命を奪われた。帝国は危機に瀕している」

ジョフリ「しかし希望はある。この方はマーティン・セプティム、ユリエル・セプティムの真のご息女だ!」

ブレイド達「「「「竜の生まれ万歳! マーティン・セプティム万歳! 万ざあい!」」」」

ジョフリ「そして彼女は我々の恩人であり、マーティン様を敵の手中から救い出した若き魔道の天才、そしてクヴァッチの英雄であるミコト・ミサカ嬢だ!」

美琴「ぶっ!」 

ブレイド達「あんな少女が?」「ほう……」「ただの街娘では無いと思ったが……」「タロスよ、感謝します」ザワザワ

美琴「ジョフリさん、もう少しオブラートに包んで欲しいんですけど……」ボソボソ

ジョフリ「マーティン様。皆にお声を掛けてやって下さい」

マーティン「分かりました」

美琴(無視かい!)

マーティン「ジョフリ、そしてみなさんも聞いてください」

マーティン「みなさんが私の即位を望んでいる事は分かっています」

マーティン「私に取っては何もかも初めての事。まだみなさんの忠誠には十分に答えられないかもしれません」

マーティン「ですが、この度の歓迎は大変ありがたく思っていることだけはわかって下さい」

マーティン「いつか皇帝にふさわしい力を身につけ、あなた達の忠誠に応えられる様全力を尽くします」

マーティン「以上です、ありがとう」

美琴(堂々として、伊達に皇族の血は引いてないのね)

ジョフリ「マーティン様、ありがとうございます」

ジョフリ「我々は任務に戻り、全力を尽くすとしましょう」
92 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/13(火) 03:07:48.78 ID:/RQfmnaco
マーティン「ふぅ……。ああ美琴、私の演説はどうでしたか?」

美琴「ご立派でしたよ、マーティン様」

マーティン「マーティン様、ですか……」フッ

美琴(……やっぱり)

美琴「皇帝になるのは、嫌ですか?」

マーティン「嫌、と言う訳ではないのです。ブレイド達の忠誠は素直に嬉しいですし」

マーティン「ただ、孤独ではない筈なのに、何故か自分一人だけになってしまうような気がして……」

美琴「……私にも似た様な経験があるので、何となく分かります」

美琴「ただ、私の場合は支えてくれる人が居たので。ちょっと困った所もある子なんですけどね」アハハ

マーティン「……羨ましいですね。美琴も、そのお友達も」

美琴「あー、だから、その、なんと言いますか……」

マーティン「?」

美琴「歳は近く無いけど、まあ、私で良ければ……その、ええと……」ゴニョゴニョ

マーティン「……ぷっ、あはははは!」

美琴「な、何で笑うんですか!」カァァ

マーティン「ご、ごめんなさい。美琴の照れくさそうにする顔が面白くって……くくっ、つい」プッ ククク

美琴「わ、私はマーティン様の事を心配してですね!」

マーティン「あら、だめですよ美琴。あなたはお友達になる相手を敬称をつけて呼ぶのですか?」ニコ

美琴「……! そうですね。ううん、そうよね、マーティン」パァァ

マーティン「ええ、これからよろしくお願いしますね、美琴」ニコリ
93 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/13(火) 03:08:40.85 ID:/RQfmnaco
ジョフリ「ですが、公と私を分けていただく必要はあります」ヌッ

マーティン「ジョフリ……」

美琴「い、いつからそこに」

ジョフリ「さて、な。ただクヴァッチの英雄殿は少々照れ屋だと言う事がわかったが」ニヤニヤ

美琴「ぐっ……」カァァ

マーティン「ジョフリ、余り私の友達をいじめないで下さい」

ジョフリ「失礼。我々としても、マーティン様に良き理解者が出来る事は喜ばしい事です。ですが今は公を優先すべき時」

ジョフリ「美琴、もし君がマーティン様を友として支えてくれるならば、我々と共に戦ってはくれないだろうか?」

ジョフリ「具体的に言うならば、わが騎士団の一員となって私の指揮下に入って欲しい」

美琴「それは構いませんけど。でも私、剣なんて使えませんよ」

ジョフリ「なに、マーティン様をお守りする事の前では些細な問題だ」

美琴「分かりました。その話お受けさせていただきます」

ジョフリ「光栄だ。君を我が騎士団の同志として迎え入れよう」


※美琴はブレイドの同志になった!
94 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/13(火) 03:09:29.79 ID:/RQfmnaco
マーティン「ごめんなさい美琴。でも私は皇帝になる――いいえ、皇帝にならなければいけないのです」

美琴「気にしないで、私は自分の出来る事をするだけ。むしろ私だけ蚊帳の外に居させられるのは我慢できないわ。だからマーティンも、ね」

マーティン(私の、出来る事……)

マーティン「……二人に知っておいて貰いたい事があります」

ジョフリ「マーティン様?」

マーティン「クヴァッチに出現したゲート、あのような安定した往来を可能とするゲートを開く事は本来なら不可能です」

マーティン「ディードラ王ですら人間界の結界を破る事は出来ない、これはディードラの魔法に携わる者の常識です」

美琴「ディードラの、魔法?」

ジョフリ「マーティン様……」

マーティン「もちろん今でこそアカトシュに仕える僧侶ですが、昔の私は違う道を求めていたのです」

マーティン「人を惑わすディードラの魔法……。あの頃の私は、酷く弱い存在でしたので……」フフ

美琴「…………」
95 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/13(火) 03:10:43.58 ID:/RQfmnaco
マーティン「何としても王者のアミュレットを取り戻さなければなりません」

マーティン「そして再び竜の火を灯し結界を張り直さない限り、オブリビオンの侵攻を止める事は出来ないでしょう」

ジョフリ「王者のアミュレットの行方については現在帝都で調査をさせています」

ジョフリ「美琴、帝都でバウルスがあの暗殺者達について調べている」

美琴「バウルスさん、無事だったのね」

ジョフリ「帝都のエルフ・ガーデン地区にあるルーセル・ブロードの下宿屋に向かってくれ。そこで彼に会えるはずだ」

美琴「分かりました」

ジョフリ「彼に会ったら、こう伝えてくれ。美琴を私の元へ向かわせた君の判断は賢明だったと」

ジョフリ「そして、陛下の死について思い詰め過ぎるな、ともな」

美琴「……必ず、伝えます」


※マーティン・セプティム

ゲーム内では壮年の男性。
皇帝最後の後継者であり、竜の火を灯す事の出来る唯一の人物。
アカトシュに仕える僧侶になる前はディードラの力に魅せられ崇拝していた。
彼自身その事を過去の過ちとして戒めているが、後にその経験が敵対勢力への対抗手段を見出す事となる。
96 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/13(火) 03:13:41.86 ID:/RQfmnaco
終わり。
アルケイン大学行くときに禁書で二番目に好きなキャラを出す予定。

次の投下か、その次ぐらいはもしかしたら少し間が空くかも。
ではでは ノシ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/13(火) 12:27:27.42 ID:BWxlTjMIO
乙!
この世界に上条さんいたらディードラも一撃なんだろうか
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/09/13(火) 19:56:59.12 ID:quYZINmw0
乙!
ふと気付いたんだが、もしかして>>59で吊るされてる人って鉄装先生なんじゃ……
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/09/13(火) 23:35:35.05 ID:7b97Y30f0
乙!

アルケイン大学と言うことはつまりター=ミーナが出るんですね分かります
100 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/14(水) 23:59:46.01 ID:LRL6IRepo
レス返し

>>97
雑魚は分かんないけど、ディードラ王達みたいな高位存在は倒せそう。
右手を当てられればって前提がつくけど。

>>98
やめて!

>>99
今回でまっせ

今更だけど、叫び声とか断末魔は結構適当。
んでは投下しま。
101 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:00:54.52 ID:0PXoPZ8Jo
使った矢は回収できる事があります。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――エルフ・ガーデン地区、ルーセル・ブロード――


ギィィ バタン


美琴(バウルスさんは……居た)←ローブを着て変装中

美琴「…………」スタスタ

店主「……いらっしゃい」

バウルス「……座ってくれ。こっちを向かず話だけ聞いてくれ」ボソボソ

バウルス「私はこれからここを出る。後ろの男が私の後をつけるはずだ。君は奴を尾行してくれ」ボソボソ

美琴「分かった」ボソ

バウルス「頼んだぞ」スッ スタスタ


怪しい男「……」スッ


ギィィ バタン


美琴(さて、二重尾行と行きますか)
102 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:01:42.11 ID:0PXoPZ8Jo
バウルス「……」スタスタ

怪しい男「……」ジャキン

美琴(っ! あの格好は!)

怪しい男改め暗殺者「ハァッ!!」

バウルス「ぬう!?」ガキン

美琴「させない!」バリバリバリ

暗殺者「があ!?」バタン


バウルス「よくやった。再開できて嬉しいぞミコト。何でも大活躍らしいな」

美琴「あはは……。久しぶり、バウルスさん。それで、この暗殺者は?」

バウルス「ああ、こいつは『神話の暁』と呼ばれる、とあるディードラ崇拝教団の工作員だ」

バウルス「やつらの崇拝対象はメエルーンズ・デイゴンのようだ。私は帝都でやつらを探っていたんだが、勘付かれてしまったようだな」

バウルス「そっちはどうだ? 無事ジョフリとは合流できたようだが」

美琴「うん、陛下の最後の娘のマーティンをクラウド・ルーラー神殿まで連れて行けたわ」

美琴「けど、王者のアミュレットが敵に奪われちゃって……」

バウルス「……事態は以前、好転したとは言いがたいのだな」

バウルス「だが、マーティン殿下だけでも無事なのは不幸中の幸いだな。タロスよ、感謝します」


※『神話の暁』教団

破壊のディードラ王、メエルーンズ・デイゴンを崇拝するカルト教団。皇帝暗殺の黒幕。
400年以上前に存在した教祖マンカー・カモランと言う人物の教えに従い活動しているが、そのほとんどはベールに包まれている

103 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:03:20.56 ID:0PXoPZ8Jo
美琴「それで、これからどうすれば?」

バウルス「アルケイン大学にディードラ崇拝研究の第一人者、ター・ミーナと言う学者がいる」

バウルス「その人にこの暗殺者が持っていたこの本を解析してもらって欲しい」スッ

美琴「了解。バウルスさんは?」

バウルス「私は引き続き教団の組織網を調査する。何か分かったらルーセル・ブロードまで来てくれ」

バウルス「ああそうだ。調査するならそのローブは脱いだ方が良いな。その方が色々と好都合だろうからな。色々と、な」

美琴「うん? どういうこと?」ハテ

バウルス「さて、その時になれば分かるさ」

美琴「ふーん……。そうだ、バウルスさん。最後にジョフリさんからの伝言を伝えるわ」

美琴「『陛下の死について思いつめ過ぎるな』って言ってたわ」

バウルス「……そうか」

美琴「無茶しないでよね。私だって力になれるから」

バウルス「ふっ、オビリビオン・ゲートに単身飛び込んだお前に言われてもな」

美琴「ぐっ……。そ、それはそれよ」

バウルス「まあ安心しろ、無茶はするが無理をするつもりは無い。マーティン殿下を帝位につかせるまで死ぬわけにはいかんからな」

美琴「うん、気をつけてね」
104 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:05:04.34 ID:0PXoPZ8Jo
――アルケイン大学――


美琴(うーん、何か周りから妙に見られてるような気が……。学校の制服のせいかな?)

美琴(っと、ここね)

美琴「こんにちは。ター・ミーナさんって人を探してるんだけど」

ター・ミーナ「まぁまぁ、あなた様が連絡のあった方ですね。私がター・ミーナでございます。何かお困りごとでございますか?」

美琴「ディードラ崇拝に詳しいって聞いてきたの。この本を見てくれる?」スッ

ター・ミーナ「こちらは……『ミステリウム・ザルクセスの解説書』でございますね」

美琴「私、『神話の暁』教団を探してるの。何か知らない?」

ター・ミーナ「素晴らしいですわ、あなた様はディードラ崇拝に学術的な興味がおありなのでございますね」

美琴「いや、そうじゃなくて私は教団を探してるんだけど……」

ター・ミーナ「この本をお読みになればお分かりになると思いますが、この解説書は全四巻で構成されているのでございます」

ター・ミーナ「ですが、私自身二巻の写本までしか持っておりませんので」
105 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:06:11.15 ID:0PXoPZ8Jo
美琴「いや、だから本の解説じゃなくて私は教団を探してるの!」

ター・ミーナ「はあ、でしたらファーストエディションのご店主様に他の巻をお聞きになってはいかがでございましょうか?」

ター・ミーナ「こう言った経典に入信方法のメッセージを隠すのは、密教の常套手段でございますので」

美琴「だーかーら違、……わない? あれ?」

ター・ミーナ「もし全巻そろいましたら私の方で解析してさしあげますので」

美琴「え、あ、うん。どうも、ありがとう」

美琴(な、何かすごい疲れる人だった……)


※ミステリウム・ザルクセス解説書

『神話の暁』教団の教本。
教祖マンカー・カモランが著したとされ、悪名高い本として知られる。
全四巻、読むと魔法系統のスキルが上昇する。


※ター・ミーナ

大学の頭脳とも呼ばれる優秀なアルゴニアン人の女性。
いくつかのクエストでは解析役として重要な位置づけにある。
研究内容がやや特異な事もあり普段は軽視されているが、有事の際には様々な書物の解析を任せられる(押し付けられる)苦労人。


106 :俺なら確実に落ちる ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:07:33.14 ID:0PXoPZ8Jo
――書店・ファーストエディション――


店主「ああ、第三巻の写本ならあるが」

美琴「ほんとですか!? それ、売って下さい!」

店主「悪いがグウィナスに売約済みでね。どうしても欲しいなら彼と交渉してくれ。……お、噂をすればだな」

グウィナス「やあ、遅くなって申し訳ない。写本は?」

店主「ここにありますよ、どうぞ」

グウィナス「はは、やったぞ! 後は第四巻を彼らから――」

美琴「あの、すいません。私それがどうしても必要なんです!」

グウィナス「な、なんだい君は。そんな事言われても困るよ。私だってずっとこれを待ち望んでたんだ」

美琴「そこを何とか! 出来る限りの事はしますから」

グウィナス「なんと言われようとダメなものはダメだ、帰ってくれ!」

美琴(どうしよう、さすがに無理矢理奪う訳にも行かないし。こうなったら……!)

美琴「ねぇ、お兄さん……」

グウィナス「うん?」

美琴「どうしてもダメ……かな?」ウルウル

グウィナス「…………」

美琴(どうよ、必殺涙目で上目遣い!)

グウィナス「……後十年してから出直してくれ」ハァ

美琴「」
107 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:08:12.20 ID:0PXoPZ8Jo
美琴「ううう……」orz

店主(うん? あの顔はどこかで、……!)

グウィナス「もういいかい、私は帰らせてもら「な、なあ! 君はもしかしてクヴァッチの英雄じゃないか!?」なんだって?」

美琴「……へ?」

店主「やっぱりそうだ! なあ、俺の子供が君のファンなんだ、サインしてくれないか!?」

美琴「え、ええ?」

グウィナス「ク、クヴァッチの英雄だって? こんな子が?」

店主「ほら、こいつを見てください!」

グウィナス「おお……、君があのクヴァッチの英雄なのか!」

美琴(な、何か分かんないけど、もしかしてチャンス?)

美琴「そ、そうよ。私がクヴァッチの英雄よ」

グウィナス「で、でもいくらクヴァッチの英雄でもこの本は……」アセアセ

美琴(もう一押し、かな?)
108 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:08:49.16 ID:0PXoPZ8Jo
美琴「あなた、それ以上『神話の暁』に関わらない方が良いわ」

グウィナス「な、なんでそんな事を……?」

美琴「皇帝暗殺の黒幕が『神話の暁』だからよ!」

グウィナス「……は? 皇帝の……暗殺? やつらが? そ、そんな!」

美琴「さ、その本を私に渡して」

グウィナス「わ、分かった、もう二度と奴らには関わらない! 知らなかったんだ、本の革新的な無いように夢中になって……」アセアセ

美琴「ありがと、助かったわ」

グウィナス「私はもうあいつらに関わりたくないからね、アンタに託すよ」

グウィナス「全く、とんでもない事に巻き込まれるところだったよ」ハァ


※クヴァッチの英雄

クヴァッチ解放後に主人公が一般の市民や衛兵達から呼ばれ親しまれる通り名。
この名前で呼ばれるようになると大抵の市民の好感度があがり、交渉事が行いやすくなる。
109 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:10:05.62 ID:0PXoPZ8Jo
美琴「そう言えば、なんで私がクヴァッチの……その、英雄だって分かったんですか?」

店主「ああ、これに君の事が載ってたんだよ。ほら」

美琴(新聞?)



黒馬新聞、臨時増刊号


特集!!
クヴァッチの英雄、その正体に迫る。


一夜にしてクヴァッチが崩壊した「オブリビオン・クライシス」はまだ記憶に新しいだろうか。
そのオブリビオンの脅威を払拭したのはクヴァッチ衛兵隊の生き残り、帝国軍兵、そしてクヴァッチの英雄と呼ばれる謎の人物なのは余りにも有名な事だろう。
今回はその謎の人物、クヴァッチの英雄について現地クヴァッチの住民達からのインタビューを交えて解説していきたい。

そもそも、クヴァッチの英雄とはどんな人物なのか。
戦士ギルドマスター、ヴィレーナ・ドントンの様な歴戦の戦士なのか? 
若しくはアルケイン大学の大魔術師、ハンニバル・トラーベンの様な深い英知を秘めた魔術師か?
答えはどちらもノーだ。

取材の結果分かった彼、いや彼女の正体は、若干十四歳の見た目麗しい少女であると言う俄かには信じがたい内容であった。


     ,.. -――-..、 //
   /:.:.:.、:ハァァ:.:.:.:./:.`ヽ、
  /:.:.:.:.:.:.:ハトf ̄`ミ、:.:.:.:.:.:.:ヽ、
 /:.:.:i:.|:.:i:| |! レ' _ ミヽ、:.:.\\
. |:.:i:.:.|:ト:.:!| レ'ィfrハヽ `ミへ:.:.:.:.「、`ー‐<  
. |:.:.|:.:ト! V ' 代_ソ〃 `Y^ Y:.:|:.:ヽ`ヽ `  
 |:.,.ト≠ミ、        レ ハ:|:ト、:| jハ
 ト、:.:Vfr_ r        r':.:.:.ハ:! }}      ,.ィ
  vヘ:ヽヽゞ'    _   从:.:.乂 ,リ   /レ'う(´    ,.ィ
  | Y:从    '´    /‐ァ┴< ̄≫<´  `ー―‐/´
   V∧:个..、._   / _ノ::::/:.:Y/:.:.:.∧     /
   ノ  ト、ミト、:.:ア´  //:.:.:.:|:.:./:.:.:.:∧
     / V:| Vレ::ゝ 彳:.:.:.:.:.:.:.:|/:./:.:.:∧
   /!  jハ! /_:人_ 〉´ ̄ ミ、ヒ´_:.:.:.∧
  〃     /:.:.:./〈 ヽ.  、/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ
// //  /:{:.:/:.:.:.:.:\ X{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
// ∧/ |:>{::.:.:.:.:.:.:.:.`ーi!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:__ノ
        |:.i´:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:/\__/:. ̄:.:!
       |:.:|:.:.:.:.:.\___/:.:.:.:./、\:.:.:.:.:.:`ヽ
        |:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:./ー‐<:.:.:.:.:\\=‐:_》\
      |:.:.':.:.:.:.:.:.:.:Xヽ:.:.:.:.:.:.i!:.:.:.:.:.:.\\´:.:.:.:.`ヽ`ヽ
      |:.:.:.:.:.:.:./  ヽ:.:.:.:.:.:.:i!:.:.:.:.:.:.:.:.:\\:.:.:.:.:.:}:.}:.}、
      `ー‐'´     |:.、:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\≫'´:.:.:.\
                 |:.、:.:.:.:.:.:|\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.,.ヘ:.}
                   |:.:、:.:.:.:.:.|  \:.:.:.:〃:.:.:.:.:.:./‐<_
                |:.:||:.:.:.:.:.:|  /\:.:.:.:.:.:/: : : : : :―`――,-、
               |:.:ヽ:.:.:.:.:.:〃  /><―-: : : : : : : : : : /
                 \:.:.>'´:.:.:.V: :/: : : : :ヽ: : : : `: :、: : : /

※こちらは聞き込みから書き起こしたクヴァッチの英雄のイメージである。


クヴァッチ衛兵隊長であるサヴリアン・マティウス氏によれば、当初彼女は――(以下美辞麗句で埋め尽くされていると思いねぇ)



美琴「」

店主「いや、この絵にあんまりそっくりなんでな、もしやって思ったら――おいどうした、大丈夫か? おい、おーい」

美琴「」


※黒馬新聞

シロディールで唯一の新聞社。
足の速いブラックホースで配達人が各街に新聞を届ける。
ゲーム内の大きなクエストをこなす毎に新しい新聞が出るようになっている。
110 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:10:52.15 ID:0PXoPZ8Jo
――ルーセル・ブロード――


バウルス「ほう、第三巻は無事に手に入れられたようだな。英雄としての知名度が役にたったようだな」フフ

美琴「ったく、笑い事じゃないわよ」ハァ

美琴(街でも想像以上に私の事が噂になってたし……。恨むわよ、サヴリアンさん達……)

バウルス「私の方は偶然だがマンカー・カモランの息子を名乗る人物を発見してな。そいつからこの第四巻を失敬してやった」

美琴「じゃあこれでター・ミーナさんが持ってるのを合わせれば全部そろったわけね」

バウルス「ああ、これを早速彼女に解析してもらってくれ。これが突破口になれば良いんだが」
111 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:11:35.89 ID:0PXoPZ8Jo
――二日後、アルケイン大学――


ター・ミーナ「解析させて頂いた所、『塔が正午の太陽に触れる緑の皇帝道』と書かれてございましたわ」

美琴「ありがとう、ター・ミーナさん。助かったわ」

ター・ミーナ「困ったときはお互い様でございますわ。また何かあったらいらっしゃって下さい」

美琴「うん、それじゃね!」タッタッタッ


???「あれ、誰か来てたの?」

ター・ミーナ「ええ、例の本の解析をご依頼された方でございますわ」

???「ふーん、そう言えばどんな人なの?」

ター・ミーナ「そうですね、この黒馬新聞の増刊号はお読みになりましたか? こちらに彼女の事が書かれていますので、読んで見てはいかがでしょうか」

???「クヴァッチの英雄さん? ……え? この人、は……」

ター・ミーナ「どうかなさいましたか?」

???「う、ううん、何でもないんだよ」

???(そんなはず、無いんだよ……。でもこの服装は、もしかしたら……)

112 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/15(木) 00:13:40.93 ID:0PXoPZ8Jo
この謎の人物は一体誰なんだ……(棒読み)

今週は後一回投下できる、かなぁ……。
来週からはまじで投下速度遅くなりそうでございます。申し訳ない。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/09/16(金) 07:24:46.10 ID:g7KH+dL0o
乙、だが…この人物は…まさか…そんな…!


ところでこの謎の人物は一体誰なんだ(棒読み)
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/16(金) 17:00:26.22 ID:rvYriWdB0
この口調から考察してみると……


全く分からん(棒読み)
115 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/17(土) 13:47:39.04 ID:qBIQBFXAo
>>113
>>114
小芝居に付き合ってくれてあざっす


今回辺りから独自設定がちらほら出来てきます。
では投下
116 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/17(土) 13:49:19.58 ID:qBIQBFXAo
家を買い、あなたの安息の場所を求めてください。各都市には売りに出ている家があります。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――アリウス湖洞窟郡――


ター・ミーナの助言『塔が正午の太陽に触れる緑の皇帝道』に従い、美琴はその条件に合致するカマリル王子の墓所の壁を調べた。
すると正午過ぎ、墓壁に描かれたシロディールの地図に印が浮かび上がった。
そしてその印の位置にあるアリウス湖洞窟郡にある教団の本拠地に潜入を試みた美琴であったが――


神殿の番人・ハロウ「『神話の暁』教団の一員となれば、必要なものは全てマスターが施してくれる」

ハロウ「荷物を”着衣を含めた全て”差し出し、この入信のローブに着替えるのだ」


美琴はかつて無い危機に見舞われていた。


美琴「こ、ここで着替えるんですか……?」

ハロウ「当然だろう。さあ、早くするのだ。お前は幸運だ、今日ならばマスターご自身の手で入信の儀を受けられるのだからな」

美琴(何が幸運よ! 最っ高に不幸よ!)

美琴(うー、でも騒いだらアミュレットを取り返せないかもしれないし……)

ハロウ「何をしている。……仕方ない、踏ん切りがつかないなら私が手伝ってやろう」ガシッ

美琴「ひっ! さ、触んなああああぁぁぁぁ!!」バリバリバリバリ

ハロウ「ひぎゃっ!?」

美琴「……あ゛」

守衛「き、貴様何をしている!?」

美琴「ち、ちがっ! こいつが私の服を脱がそうと――」

守衛「侵入者だ! 侵入者だーー!!」


私は悪くない。
それにどうせ倒すんだし、順序が変わっただけ。
そう自分に言い訳しつつ、美琴は襲い掛かってくる大量の信者や教団の衛兵を迎え撃った。

117 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/17(土) 13:49:55.72 ID:qBIQBFXAo
――洞窟深部・デイゴンの祭壇――


美琴(……ここは外の騒ぎは伝わって無いみたいね)

美琴「ん?」


???「――竜の玉座に座る者は無く、王者のアミュレットは我らの手にある」


美琴(奥から声がする……)


???「これよりデイゴン神のお言葉を授ける。『我が今一度大地を踏むとき――』」


美琴(多分あいつがマスター、かな? それにあいつが持ってるのは……王者のアミュレット!!)


???「浄化の時は近い。これより私、マンカー・カモランは『楽園』へ向かう。暁が迫るとき、私はデイゴン神と共に舞い戻るであろう!」


ゴオオオォォォ……


美琴(あれは……まさかゲート!?)
118 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/17(土) 13:51:14.73 ID:qBIQBFXAo
逃がすわけには行かない。
確実に仕留める為、美琴は瞬時に自身の最大電力を生み出しカモランへと放った。だが――


カモラン「むっ!?」


美琴(んなっ!?)


カモランは攻撃されたことに少々驚いた様子を見せたものの、まるでダメージを受けた様には見えない。
渾身の一撃が完全に無効化、あのツンツン頭の少年を相手にした時の様なの様な理不尽な状況に美琴は僅かな時間呆然としてしまう。


カモラン「……あのネズミを片付けておけ」

司祭「はっ!」


美琴「しまっ!?」


美琴が呆けていた僅かな時間に、カモランは自身の開いたゲートへと消えてしまった。
直後に我を取り戻した美琴は襲い掛かる敵を難なく撃退したが、既にカモランは愚か彼が開いたゲートすら影も形も無かった。


※マンカー・カモラン

『神話の暁』教団の教祖にして、皇帝暗殺の首謀者。400年以上前から生きている。
何故未だに彼が生きているのかはストーリー終盤で明かされる事になる。
本来電撃を無効化する能力や装備は持ってないが、本SSではクヴァッチのオブリビオン・ゲートでの美琴の戦い振りが報告されており、万が一遭遇した時の為に備えアクセサリ等で雷耐性のみ100%の状態となっている。

119 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/17(土) 13:53:27.01 ID:qBIQBFXAo
美琴(何か、手掛かりは無いの?)


いっそ自棄になりたい気持ちを抑え、何かカモランが残したものは無いかと祭壇へ美琴が近づく。すると


???「た、助けてー!!」ジタバタ

美琴「っ!? さ、佐天さ……ん?」

美琴(なんか、肌うろこっぽいし、アルゴニアン人……? いやでも、あんまり蜥蜴っぽい顔の形じゃないし)

美琴「一応聞くけど、あなた佐天さん……じゃないわよね?」

???「私はそのサテンサンとか言うのじゃないです!! 良いから助けてくださいよー!!」ジタバタ

美琴「あーはいはい、今解いてあげるからじっとしてて」ヨイショット

???「ううー、もう少しで生贄にされる所だったよ……」

美琴(うーん、やっぱり似てるわね。佐天さんとアルゴニアン人を混ぜるとこんな感じになるのかしら)ジー

ジーリウス「あ、私ジ−リウスって言います。ほんと助かりました――って、何ですか? 私の顔ジーっとみて?」

美琴「え? あ、いや何でもないの」アセアセ


※ジーリウス

インペリアルシティのアルゴニアン人の僧侶。
助ける手順を間違えると倒れてきた像に巻き込まれて死んでしまうし、助けても主人公を無視して逃げ出す面倒くさい人。
ちなみに上半身裸で捕まっている。つまりry
120 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/17(土) 13:54:54.39 ID:qBIQBFXAo
美琴「あ、そうだ。何かカモランがここに残していった物無い? 何でも良いんだけど」

ジーリウス「残していったものですか? うーん、そう言えばあそこの本を読んでましたよ」

美琴「あそこの本?」クルリ


”その本”を目にした瞬間、美琴は”その本”から何故今まで気づかなかったのだろうと言うぐらいの強烈な存在感を感じ取った。
それだけで”その本”が普通ではないと理解するに十分であった。
吸い寄せられるようにそれに近づくと、今度は本が自身と反発しあうような妙な感覚を感じる。


美琴「これは……ミステリウム・ザルクセス?」

美琴(それにしてもこの反発する感じ……なんだかシジルストーンに近いものを感じるわね)


シジルストーンとの類似性から、本が人間由来の物ではなくディードラ由来の物であるのだろう。
何か手掛かりは無いかと美琴は本を開くが……


美琴「さっぱり読めない……」


中に書かれていたのは魔方陣らしきものと謎の言語。
とにかく持って帰って解析して貰うしかない、そう考えていると――


美琴「――っ!?」


ビキリ、と美琴の体の内側で何かが悲鳴を上げた。
間を置かず全身から汗が噴出し、頭がガンガンと痛み出す。


美琴「――かはっ!! はぁはぁ……」


慌てて本を閉じて元の場所に置くが、まるで毒でも注入されたかのように頭の痛みは取れない。
そして良く見れば本に触れていた手がうっすら赤黒くなり、軽い痣の様になっている。
僅か数秒間触れていただけ、にも関わらず現れた症状で、この本がとてつもなく危険な物だと言う事が理解できる。
逆に言えば重要な物である可能性が高いとも言える。

とにかく直接触れないようにと、美琴はその辺にあった布切れでグルグル巻きにして本を抱える。


ジーリウス「だ、大丈夫ですか?」

美琴「え、ええ。なんとか……。早いとこ脱出しちゃいましょ」
121 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/17(土) 13:56:07.67 ID:qBIQBFXAo
――洞窟・出口――


美琴「お待たせ、シャドウメア」ハァ…ハァ…

シャドウメア「ブルルル……」

ジーリウス「すごい顔色ですけど、本当に大丈夫ですか……?」

美琴「だ、大丈夫大丈夫! さ、早いところおさらばし――」フラッ

美琴(あ……や、ば――)ドサ

ジーリウス「!? し、しっかりして下さい! ねえ――!! ――――!!」

美琴「…………」


※ミステリウム・ザルクセス

メエルーンズ・デイゴン本人が書いたとされる書物。
常に悪しき力を放つため、身を守る術を知らなければ持っているだけでも危険な品。
とは言え、すぐに影響が出るほどの物では無い筈なのだが……。
122 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/17(土) 13:58:38.17 ID:qBIQBFXAo
中二病魂がみなぎっっっっってwきwたwぜーーーー!
これからどんどん酷い妄想が展開されていくので逃げるのならお早めに。
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/17(土) 15:37:11.78 ID:v7PsGj/IO
安心しろ
みな発症済みで免疫がある
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/09/19(月) 17:21:20.74 ID:buxQJ6aT0
悲痛の短剣とかウンブラとか虫の杖はまだですかー
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/09/19(月) 18:05:02.73 ID:74jbUfo6o
乙。
しかし、謎の人物の正体、そしてミステリウム・ザルクセスが魔術関連っぽそうな書であること考えるに、美琴が倒れた原因は…
いやよそう。俺の予感だけでみんなを混乱させたくない
126 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/21(水) 03:46:27.36 ID:vSr6FDmYo
レス返し

>>123
どっちが重症患者か勝負なんだぜ。

>>124
その辺は多分出ないかと。本編終了後にSIとかならやる予定だけど、気力が持つかどうか。

>>125
そんな感じで想像を膨らませてもらえると嬉しいわん。


今回は美琴が倒れた原因の触り&ストーリーを端折る回。
んでは投下
127 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/21(水) 03:47:44.14 ID:vSr6FDmYo
巡礼者や旅人は、チェイディンハルのアルカイ教会にあるナインの祭壇に祈りを捧げます。傷は癒され、病気は完治し、その身に降りかかった呪いも消え去ります。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――チェイディンハル・アルカイ大礼拝堂――


美琴「ぅ……ん」

ジーリウス「あ、目が覚めたんですね! 良かったぁ……」

美琴「佐て……じゃなかった。ジーリウスさんだっけ。私、どうなったの?」

ジーリウス「洞窟出た後すぐ倒れちゃったんですよ。心配したんですからね!」

美琴「……あー。ごめんごめん、疲れでも溜まってたのかな」アハハ

???「そんな軽い話では無いのだけれどね?」

美琴「っ! 先生、何でここに!?」

カエル顔の司祭「うん? 僕はここの司祭をやっているものだがね?」

美琴「あ、あれ?」

美琴(また他人の空似!?)

カエル司祭「見たところ元気そうだけど、どこか体に異常は無いかい?」

美琴「ええと、特には……。私、どうなってたんですか?」

カエル司祭「……君はね、ついさっきまで死に掛けていたんだよ?」

美琴「………………………………………………………………はい?」

カエル司祭「致死性の非常に強力な呪い――持続的に体力が削られ続ける呪いが掛けられていてね?」

ジーリウス「もう駄目かと思ったんだけど、何とかナインの祝福が間に合って良かったです」

美琴「……私、そんなにやばい状態だったの?」

ジーリウス「やばいなんてもんじゃないですよ! 全身赤黒くなって呼吸も止まり掛けてたんですから!」

美琴「……え」ゾクリ


※ナインの祝福

インペリアルシティ以外の街にはナインの神々をそれぞれ奉った礼拝堂があり、そこの祭壇で祈りをささげる事でナインの祝福を得る事が出来る。
ナインの祝福を得ると、体力・魔力・スタミナが全快し、毒や病気を始めとしたデバフが全て解除される。一日一回限定。

ただし、犯罪を犯したまま罪を償っていなかったり、名声より悪名が高かったりすると祝福は得られない。
128 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/21(水) 03:52:37.69 ID:vSr6FDmYo
カエル司祭「原因はこの布の中身、だね?」スッ

カエル司祭「見せてもらったけど、これはミステリウム・ザルクセス。一説にはメエルーンズ・デイゴン直筆とされる禁書中の禁書だね?」

カエル司祭「君も気づいてるとは思うけど、君に呪いを掛けたのはこの本だよ?」

美琴「やっぱり、相当にやばいものだったんですね……」
                                                                  
カエル司祭「確かにこれは邪悪な力を放っているね? けれど、仮にこれに目を通したとしても君の様な症状が”出るはずは無い”んだ」

美琴「……え? それって、どういう……」
                                          
カエル司祭「この本は確かに悪しき力を発しているけど、すぐにどうこうなるはずはない。それこそ君の様な症状が出るには”無防備なまま何年も肌身離さず持っていた”位でないとね?」

カエル司祭「僕も専門家では無いから、詳しい事は言えないがね?」

美琴「…………」

カエル司祭「僕としては君にはこの本を直ぐにでも手放して欲しいんだが――そうもいかないようだね?」

美琴「……詳しい事は言えないですけど、もうこれしか手掛かりが無いんで」

カエル司祭「……君の素性はある程度知っているから、悪用する事は無いとは思うがね。全く困った子だね?」フゥ

美琴「……すみません」

カエル司祭「長時間傍に置いておくのは勧められないけど、とりあえず出来る限り直接触れないようにして、中を見る事が無ければ大丈夫なはずだね?」

カエル司祭「それと、落ち着いたらアルケイン大学で少し調べてもらいなさい。あそこには色々と専門家がいるからね?」

美琴「分かりました、そうしてみます」
129 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/21(水) 03:53:27.60 ID:vSr6FDmYo
――――――


ジーリウス「それじゃ御坂さん、私はインペリアルシティに戻りますね」

美琴「うん、色々ありがとね」

ジーリウス「それはこっちの台詞ですって。あ、私普段はインペリアルシティの神殿に居ますから、帝都に寄ったら顔見せてくださいね」

美琴「うん分かった、必ず寄るわ」

ジーリウス「絶対ですよ! それじゃ」

美琴(インペリアルシティ、か。最初にこの世界に来て以来行って無いわね)

美琴(司祭さんの言った話も気になるし、折を見て行った方がよさそうね)
130 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/21(水) 03:54:14.06 ID:vSr6FDmYo
――クラウドルーラー神殿――


ジョフリ「無事に帰ってきたか。タロスよ、感謝します」

マーティン「お帰りなさい。美琴なら心配ないとジョフリ達と話していたところですよ」

バウルス「マーティン様はこう仰るが、どうしてもな。だが無事で何よりだ」

美琴「あはは……」

美琴(死に掛けたみたいって言うのは黙っておこ……)

ジョフリ「アミュレットは手に入ったのか?」

美琴「ごめんなさい、ゲートみたいなので逃げられちゃって……」

美琴「でも、手掛かりになりそうな物は持って来たわ」スッ

マーティン「これは?」

美琴「ミステリウム・ザルクセスの原本よ」

マーティン「っ! 美琴、今すぐそれから手を離しなさい!!」

バウルス「マ、マーティン様?」

マーティン「あ……、ごめんなさい。それを持ってきたのは正解ですが、大変危険な物なんです」

マーティン「私なら悪しき力から身を守る術を持っていますので、それは私が預かっておきましょう」

美琴(……うん、呪いの事は絶対黙っておこ)

美琴「それで、カモランが逃げた場所――確か『楽園』とか言ってたけど。そこへのゲートは開けそう?」

マーティン「分かりません。多分出来るとは思いますけど、解読しない事には……」

マーティン「ただ、かなりの時間が掛かると思います。闇の秘術に触れるのは大変危険なのです」

マーティン「『神は全てを善に変える事が出来る』と言う言葉があります。私も闇の秘術を善を成す為に力を尽くしてみましょう」

美琴(身を守る術を知ってるなら、私みたいになる事は無いと思うけど……)

美琴「……気をつけてね、マーティン」
131 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/21(水) 03:54:49.77 ID:vSr6FDmYo
ジョフリ「マーティン様にあの悪魔の書から影響が無いか不安だが、我々にはどうすることも出来ない」

ジョフリ「マーティン様が解読している間、我々は我々に出来る事をしよう」

ジョフリ「バウルス、マーティン様を頼む」

バウルス「了解、この身に変えても」

ジョフリ「美琴、君にはブルーマの直ぐ傍に現れたゲートを閉じて欲しい」

美琴「っ! ゲートが?」

ジョフリ「ああ。その際ブルーマの衛兵達と共にゲートを閉じて欲しい」

ジョフリ「彼らにもゲートの閉じ方を知ってもらい、ゲートを閉じる事が出来る人間を一人でも増やして欲しいのだ」

ジョフリ「ブルーマの門の外にバード隊長が待機しているはずだ。直ぐに向かってくれ」

美琴「分かりました」


バード隊長達と合流した美琴は無事ゲートを閉じる事に成功した。
ゲート内で美琴は自身の能力で敵を蹴散らさず、必要最低限の援護だけを行なった。
以後衛兵達はその経験を生かし、独力でゲートを閉じる事が出来るようにとなった。
132 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/09/21(水) 03:55:47.91 ID:vSr6FDmYo
――――――


ジョフリ「美琴、悪い知らせだ。マーティン様の居場所がついに敵にバレた事が判明した」

ジョフリ「敵はここブルーマ地方に大量のゲートを開き、飽和攻撃を行うつもりらしい……」

美琴「そんな……」

美琴(いくら私でも、ゲートを一つ閉じるのにそれなりに時間は掛かる……)

ジョフリ「恐らく我々やブルーマの衛兵だけでは手に負えない。早急に各地に援軍を求める必要がある」

ジョフリ「だが朗報もある。先程マーティン様が本の解読に一部成功した」

ジョフリ「我々はカモランが居る所へのゲートを開く為のアイテムを集める為に何人か手勢を出すが、それ以上はここの人員を割く訳にはいかない」

ジョフリ「美琴、君は各地へ赴いて援軍の要請をお願いしたい」

美琴「ギルドとかにも協力の要請を?」

ジョフリ「可能ならば頼む。我々には少しでも多くの戦力が必要なのだ」

美琴「分かりました」

美琴(まずはインペリアルシティからね。ついでだからアルケイン大学で本の呪いの事も聞いてみないと)

美琴(もしあいつらと直接対決する事になったら同じ呪いを掛けられないとも限らないし、ね)
133 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/21(水) 03:58:43.72 ID:vSr6FDmYo
タイバー・セプティムの鎧、ディードラのアーティファクト、グレートヴァーラストーンは犠牲になったのだ……。
そして次回、ついに謎の人物()が登場。
今週中に投下できるよう頑張ります。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/09/21(水) 05:12:30.89 ID:z1mXXOa5o
かなり端折ったなwwwwwwwwwwww「!?」状態だわwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
そのぶんサブストーリーとかやるのかな?乙
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/09/21(水) 07:57:56.39 ID:HSQQ2UFfo
乙。
サブストーリーか…ダーちゃん出るかな?
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/21(水) 11:18:42.01 ID:X/9Csx2IO
緑の貴婦人と同棲まだー
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/09/21(水) 19:40:50.70 ID:GnKfKiak0
きてたー乙
もうすぐskyrimだな
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/09/21(水) 19:41:45.31 ID:GnKfKiak0

skyrimが待ちどうしい
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/21(水) 19:43:26.56 ID:lZhcCpRho
ゲームだとそこまで進むのに100時間以上はかかったというのに・・・
140 : ◆A3/sLhI/4c2011/09/26(月) 01:55:39.26 ID:JpHEdZ4Go
レス返し

>>134
さーせんwwww まあゲート内の描写とか無双するだけだし。この後魔術ギルド方面に浮気する予定。

>>135
>>136
その辺りの人達は美琴編じゃ出てこないかな。

>>137
>>138
skyrimもうすぐ出るけど、やるのは日本語化されてからかねぇ……。英語はむりぷ。

>>139
100時間とかオブリではよくある事。


んでは投下。

141 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 01:56:30.38 ID:JpHEdZ4Go
あなたは組織に加わることにより、多くの友人と敵を得ることになるでしょう。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――インペリアルシティ・元老院本会議場――


美琴「え? 援軍を送ってくれないんですか?」

オカトー「うむ。ここ数週間程各地の将軍達にシロディールへの戦力投入を要請しているのだが、どこも手一杯のようでな」

オカトー「そんな状況で無理に属州から兵力を徴発したら、政治的にも危機に陥ってしまうのだ。分かってくれ」

美琴「そう、ですか……。仕方ないですね」

美琴(想像以上にタムリエルはピンチみたいね……)


※オカトー大議長

帝都元老院の総書記官であり、現在の皇帝亡き帝国の最高権力者。
保身が強い傾向にあるが、皇帝のいない帝国を混乱無く治めるなど政治的な能力は高い。
142 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 01:57:38.13 ID:JpHEdZ4Go
――アルケイン大学――


魔術師A「次はこっちの武器のリチャージを頼む!」

魔術師B「スクロールの在庫はどうなってる?」

魔術師C「ポーションの材料が足りないぞ! 帝都中の材料を買い漁って来い!」

魔術師D「おい! こっちのソウルジェム中身が入ってないぞ!」



美琴(なんか、妙に慌しいわね。前来た時はこんなんじゃなかったのに)

美琴「あの、すみません」

ラミナス「うん? 君は……クヴァッチの英雄じゃないか! ようこそアルケイン大学へ、私はラミナス・ポラスだ。何か御用かな?」

美琴「はい、実は――」





ラミナス「なるほど、ブルーマが……」

美琴「何とかなりませんか?」

ラミナス「平時ならば何とか話を捻じ込みたい所なのだが……。ここの慌しい様子を目にしたと思うが、我々もとある案件を抱えていてね」

ラミナス「むしろ我々も元老院に助力の要請を断られたところなのだ……」

美琴「そうなんですか……」ガックリ

ラミナス「すまない、力になれなくて」

美琴「いえ、仕方ないです。あ、それとは別件で尋ねたい事があるんですけど」

ラミナス「なにかね?」

美琴「ディードラの書――ミステリウム・ザルクセスが発する呪いについて詳しく教えて欲しいんです」

ラミナス「それはまた、何とも物騒な話だな。そう言った希少書の解析ならター・ミーナが専門だが、呪いとなると……」

美琴「これも結構重要な事なんです。誰か分かりそうな人居ませんか?」
143 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 01:58:22.57 ID:JpHEdZ4Go
ラミナス「そうだな、一人心当たりはあるが、生憎と今はシロディールの各街を旅しているはずだ」

美琴「旅? 何でまた?」

ラミナス「知識欲が旺盛な子でね。まだギルドに入って長くは無いのに、ここの蔵書はほぼ読みつくしてしまってね」

ラミナス「ギルドの要請と彼女自身の意向で、シロディール中を巡って知識をかき集めてもらっている所なんだ」

ラミナス「そうそう、ついでにその土地の料理も腹いっぱい味わいたいとも言ってたな」ハハハ

美琴「は、はぁ……」

ラミナス「とにかく、知識量だけなら彼女は既にこのアルケイン大学で一番だ。彼女なら何か知ってるはずだ」

美琴「なるほど……。いつ頃戻ってきそうですか?」

ラミナス「まだ何箇所かの街に立ち寄るそうだからな、しばらくは掛かるはずだ」

ラミナス「先に別の用事を済ませて、それからまた立ち寄ってもらった方が良いと思うが」

美琴「確かに、その方が良さそうですね。先に地方の街でブルーマの援軍を頼んだらまたここに来て見ます」

ラミナス「そうか、君もシロディール中を回るんだな。なら念の為彼女の外見だけ伝えておこう。現地でばったりなんて事もあるだろう」

ラミナス「彼女は白地に金糸の入った修道服を着て、大型の白い虎と行動を共にしている。目立つから見れば分かるはずだ」

美琴(……うん? なんかどこかでそんな子見た事あるような……)


                   ,.. ¨  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ` 、
                  /                \
                    /    √  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `  ヽ
                 /     /              ヽ |
                   /     /_____ ___           | |
                /    イ 丁  ̄/| T…/f:‐- .. ___   | |
                  /  'ー┐ 斗/‐/=|=l.、/ | ィ !_l_ j゙ヽ_| |
             /       |/ |i/__ .!/!/'  |/ i/_j! ¨ Tヽ' \
             r       ハ| | -=≡ミ       z=|ミ、/|/ !丁
               | /     /〈 | |::::::         fゥV/i!∧ ||
             | /     /〈 | |::::::         fゥV/i!∧ ||
             レ′   人ー_ノ: :ヽ.       ,   ` ::: / 小||
            /   __∠ イ: : : : : : !           ' ∧! ||
          /     \:.:.:.;:;; .: : : : : : ヽ   凵@   .ィ |:: \Y
           !    ,ィレ''"  ゙'"”""""リ、       イ | ト.:::::::\
            |    /_:!ゝ      ‐く `- ニ¨´/.: : | |  ̄`ヾ:ヽ
            /!   /´   〉  ___   、 \  /: : :..:/| |/    ∨'.
          !   /   __/__,.f::/´ ̄\  `ー 、:. :.r/=| |、、    | |
           | /   / r-- ':: し'´- ̄- `一 、oj: : /ヽ!| | ii     i! |
          ,/  !    ! '⌒ヽ::::: し'´二二    \:/、  | ト'’    |  ヽ.
         /  j   | ´ ̄`j:::::!`:ー‐‐ァ     i| : \ | |      j  U


ラミナス「どうかしたかね?」

美琴「あ、いえ別に」

美琴(まあいっか。どうせまた誰かに似た人が出てくるだけだろうし)

美琴「それじゃ全部の街まわったらまたここに来ますね」

ラミナス「ああ、待ってるよ」


※ラミナス・ポラス

変人や傲慢な人間が多い魔術ギルドでは貴重な常識人。
魔術ギルド関連のクエストの中盤辺りでずっとお世話になる。
階級は最上位のアークメイジに次ぐマスターウィザード。
144 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 01:59:54.27 ID:JpHEdZ4Go
インペリアルシティを後にした美琴はブルーマへの援軍を求めシロディールの各地をまわった。


――コロル――

アリアナ・ヴァルガ伯爵夫人「ごめーん、ブルーマが大変なのは知ってるけどコロルの方が大事だし☆」


――スキングラード――

ジャヌス・ハシルドゥア伯爵「もっと出ば……じゃなくて。ここもオブリビオンに脅かされてる。だから今は無理」


――アンヴィル――

ミローナ・アンブラノクス伯爵夫人「大体アンヴィルの前にもゲートが現れたから無理なの。にゃあ」


――レーヤウィン――

マリウス・カロ伯爵「だめだ、余分な兵力など無い。ブルーマも自分の身は自分で守らねばならないのだ」


――ブラヴィル――

レグルス・テレンティウス伯爵「帝位継承者をお守りする重要性も承知している。だが我々にも余裕が無いのだ」


こんな感じで当初は色よい返事は貰えなかったが、街の外に出現したゲートを美琴が一つ一つ潰した事で脅威は排除され、最終的にはブルーマへの援軍を快諾してくれる事となった。
そして援軍を要請する街は後一つを残すのみとなった。
145 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 02:01:16.56 ID:JpHEdZ4Go
チェイディンハルの東の隅にある廃屋について、公然と話すものはいません。伯爵はその存在さえ認めようとはしません。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――チェイディンハル――


美琴「は? ご子息が?」

アンデル伯爵「そうなのだ、二日前に茨の騎士団を率いて突入したきりで……。頼む、息子を、ファルウィル救ってくれ!」

美琴「は、はぁ……」

美琴(茨の騎士団、ねぇ……。街じゃあんまり良い噂聞かなかったけど)

美琴(ってかこの人、常盤台の理事長そっくりなのよね。その息子って、何だか嫌な予感しかしないんだけど……)


※アンデル・インダリス伯爵

所謂バカ殿。
衛兵隊長が堂々と不正を行ってても気づかない、暗殺者ギルドの脅しにビビッて存在を黙認する、子供に激甘で専用の騎士団を持たせる等々。
決して悪人ではないが、統治者としては首を傾げる面が多い人物。
この一件の後、息子を諌める様な事を言っていたが果たして……。


※茨の騎士団

伯爵の息子、ファルウィルが結成した総勢七人の騎士団()。
騎士団とは名ばかりで、飲んだくれて自慢話をするだけと衛兵達からの評判はあまり悪い。
そんな折、オブリビオン・ゲートが開いた事で虚勢を張るために全員が突入したようだが……。
146 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 02:02:20.99 ID:JpHEdZ4Go
十六のディードラの君主は、それぞれがオブリビオンに自らの次元を持っています。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――オブリビオン――


美琴「…………」

美琴(何度来てもこの光景には慣れないわね)

美琴「さて、大分進んだけど茨の騎士団の人達――居た」

美琴(本当に海原光貴にそっくり……)


???「遅い、何故これ程まで時間が掛かったのだ」

美琴(うざっ、何よコイツ……。同じなのは外見だけみたいね)イラッ

美琴「はいはいすみませんでした。あなたがファルウィルさんで良いんですよね。んでそっちの人が――え?」

ブレマン・セニアン「自分はブレマン・セニアンと申します」サワヤカー

美琴「えっ……と、双子?」

ブレマン「いえ、よく言われますが自分とファルウィルには血縁関係はありません」

美琴「え、だって……ええ?」

美琴(どうみても二人とも海原さんにそっくりなんだけど……はっ!)

美琴「まさか、偽者!?」

ファルウィル、ブレマン「「は???」」キョトン


※ファルウィル・インダリス

チェイディンハル伯、アンデル・インダリスの息子。
良く言えば夢見がち、悪く言えば妄想の過ぎる痛い奴。
とは言え、その妄想も自らの虚飾の為と言うよりは父を喜ばせたい一心から出たものらしいのが救いだろうか。
そうは言っても面倒くさい奴なのに変わりは無いが。


※ブレマン・セニアン

茨の騎士団の生き残り。ファルウィルと違って普通な人。
無鉄砲なファルウィルに振り回されても、彼のフォローを忘れない苦労人。
ファルウィルとそっくりとか言う設定は無い。
147 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 02:04:25.53 ID:JpHEdZ4Go
美琴(落ち着け私、ここには能力者なんて居ないんだから。ただそっくりなだけよ……)チラッ

美琴「とにかく、一度脱出しましょ」

ファルウィル「頭がおかしいのか? 茨の騎士団は任務を達成するまで戻りはしない。それが掟だ」

美琴「は、はあ!? 何言って――」

ファルウィル「我が父チェイディンハル伯インダリスの名の下に、汝に命令する。私をシジルストーンの元まで先導せよ!」

美琴(だめだ、この人……)

ブレマン「すみません、彼は言い出したら聞かなくて……。でも何とか、自分達をシジルストーンの元まで連れて行ってもらえないでしょうか?」

ブレマン「あなたの勇名は聞き及んでます。あなたなら可能だと自分は考えるのですが」

美琴「そりゃ、まあ……。でも万が一を考えたら、伯爵のご子息なら無理矢理にでも連れ戻した方が良いんじゃ?」

ブレマン「確かにそうすべきなのでしょうが、連れ戻しても結局は同じ事の繰り返しになってしまうでしょう」

ブレマン「街の警備隊は自分達を邪魔者扱い――事実そうなのですが、ファルウィルはそうでない事を証明しようと躍起になっているのです」ハァ

ブレマン「自分達の自業自得なのは分かっています。ですが、何とか自分達を助けて欲しいのです」

美琴(こりゃ本当に顔がそっくりなだけね)

美琴「……まあ、出来る限りの事はしますけど」チラ


ファルウィル「スーマン・スウィープ・フォーメーションを組もうではないか。前進あるのみだ! フラー!」


ブレマンその、「彼の事は悪く思わないで下さい。彼はまだ若くて、分別も経験も無いんです」

美琴(アンタと同い年に見えるけどね)

ブレマン「彼の事は子供の頃から知ってます。彼は、父君を喜ばせたいんです。彼は本心からチェイディンハルの為に戦ってるんです」

美琴「分かりました、ブレマンさんに免じて全力でやりますよ」ヤレヤレ

ブレマン「そうですか、ありがとうございます!」


ファルウィル「さあ急ぎシジルストーンを確保し、チェイディンハルの脅威を取り除くぞ。フラー!」


美琴「……はぁ」

ブレマン「は、ははは……」
148 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 02:05:55.38 ID:JpHEdZ4Go
オブリビオン内で三人は美琴を先頭に、残る二人が左右と背後を守る陣形で進んでいったが――


レインボーワイバーン「シギャアア!!」

ファルウィル「茨の騎士団の名に掛けて! フラー!」

バリバリバリバリバリ!!

ビホルデン「ピギャア!!」

ファルウィル「いばr――」

バリバリバリバリバリ!!

小型バルログ「グオ――」

バリバリバリバリバリ!!


と、オブリビオン攻略に完全に慣れてしまった美琴が見敵瞬殺した事で特筆すべき事も無く、あっと言う間にオブリビオン・ゲートを閉じる事に成功したのだった。


※レインボーワイバーン

大型MOD・MMM(Martigen's Monster Mod)で追加される、体色ではなく耐性がレインボーなワイバーン。
体も声も大きくてうざったい。
採取できる鱗は、火・氷・雷・毒への耐性のあるポーションが作れる。


※ビホルデン

大型MOD・MMMで追加されるモンスター。
球状の体に巨大な一つ目と口を持ち、体から生える触手の先にも目がついている魔法と親和性の高い奇怪な生物。断じてビホルダーでは無い。
幼生型、成体型、炎を纏う攻撃型がある。
とこかの魔術師がビホルデンを召還するための魔法を研究しているとの噂もある。


※小型バルログ

大型MOD・MMMで追加されるモンスター。雑魚の中では最強クラスに位置する。
見た目は炎を纏った大剣を持った悪魔。
強さに見合った美味しいアイテムを多数所持している。
世界のどこかには大型のバルログが封印されている所もあると聞くが……。
149 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 02:07:14.15 ID:JpHEdZ4Go
オブリビオンの次元で見つかる珍しい素材は、錬金術で役立ちます。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――チェイディンハル前、オブリビオン・ゲート跡地――


ファルウィル「やったぞ! ……ええと、違った。勝利は今一度、我々のものだ! フラー!」

美琴(何か、最初の時より疲れた……)グッタリ

ファルウィル「貴公はとても良くやった――――この善と悪の戦いは――――君には騎士団の名誉称号を――――」ペラペラ

美琴「あー、そりゃどうも」

美琴(話長いわよ……)

ファルウィル「茨の騎士団は再び大勝利を収めたのだ! さあ、凱旋しようではないか!」ザッザッザッ

美琴(やっと終わった……)ゲンナリ

ブレマン「ありがとうございます、あの地獄から無事脱出できたのはあなたのおかげです!」

ブレマン「おそらく彼が将来再び我々を率いるときには、彼は忍耐と思慮を学んでいる事でしょう」

美琴「だと良いんですけどね」ポリポリ

ブレマン「それと、これは個人的な事なんですが――」

美琴「何ですか?」

ブレマン「よろしければこの後、自分と食事に行っていただけませんか?」キラキラサワヤカー

美琴「……はい?」

美琴(し、しまったあああ!! こっちの方は中身は同じかい!!)

美琴「ご、ごめんなさい。私伯爵に会いに行かないと」ハハハ

ブレマン「そうですか。あ、でしたら――」

美琴「あー、私早く次の街に行かないとー。と言うわけで急いでるんで! んじゃ!」シュタッ ダッー

ブレマン「あ、待ってください! 自分は――! ――――!」


その後、無事伯爵にブルーマへの援軍を取り付けた美琴は逃げるようにチェイディンハルから走り去った。
もう二度とここに来ない様にしようと、堅く心に決めて。
150 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 02:08:55.44 ID:JpHEdZ4Go
魔術師ギルドは死霊術とその使用に対し、常に眼を光らせています。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――街道――


狼A「グウウゥゥ……」

狼B「ガウウゥゥ……」

アメミト「グルルル……!」

???「駄目、アメミト! もう動いちゃ駄目!」


少女――白地に金糸の入った修道服を着ている――は十を越える狼の集団に囲まれていた。
彼女の移動手段兼ペットでアメミトと呼ばれるグレートホワイトタイガーが完全な調子であれば、少女を乗せて狼を振り切る事も可能だ。
だが、運悪く別のモンスターに襲われた時にアメミトは小さくない怪我をしてしまった為、狼を振り切る事は出来そうにない。
それでも主人である少女を守ろうと狼達を威嚇しているが、今一斉に襲い掛かられては守り切れるものではないだろう。


???(アルケイン大学に、みんなに伝えないといけない事があるのに……!)


彼女ある理由でブルーマの魔術ギルド支部に立ち寄った時、既に支部は敵の手により壊滅していた。
そこで掴んだ手掛かりを何とかアルケイン大学に持ち帰らないとならないのだ。

しかし、現状ははっきり言って大ピンチだ。
彼女自身は魔術ギルドに在籍しているが一切魔法は使えない。
決して低くない地位を持っているが、それは彼女が持つ知識量と解析能力を評価され与えられたものだ。
念の為と持っていたポーションやスクロールも、ブルーマの支部に残っていた敵との戦いで使い果たしてもう無い。


???(どうすればいいの……?)
151 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 02:10:34.65 ID:JpHEdZ4Go
パトロールのガードとは少し前にすれ違ったばかり。
別のパトロールが来るまではまだしばらくの時間が掛かる。
偶然旅人が通りかかる可能性はあるが、一緒に狼の餌食になるだけ。
完全な『詰み』の状態だ。


狼A「グオオオオオン!!!」

アメミト「グオオオ!!」

???(とうま、ごめんなさい……!)


リーダーと思しき狼が吼えると全ての狼が一斉に襲い掛かってきた。
せめてアメミトだけでも逃げて欲しいが、それも叶わないだろう。
少女は覚悟を決めて目を閉じ、最後ににもう一目会いたかった少年に心の中で謝る。
彼は何があっても帰ってきてくれたが、ついに自分は帰る事は叶わなかった事に。直後――


バリバリバリバリバリ!!!!


狼達「――――――!!!」


凄まじい音と共に狼達が声にならない悲鳴を上げた。
何事かと恐る恐る目をあけると狼達は既に地に伏していた。
そしてその向こうからここに居るはずの無い、自分が元いた世界の人物が慌てた様子で走り寄ってきた。


美琴「大丈夫!? 怪我は無い!?」

???「…………短髪、なの?」


間一髪で助かった事、そして(いがみ合う事も多いが)二度と会えないかもしれないと思ってた元居た世界の人に会えた嬉しさ。
そのせいで白い修道服の少女、インデックスの涙腺が緩んだのは仕方の無い事だったのだろう。


美琴「え……今、短髪って――」

インデックス「ふ、ふえええぇぇぇ……」ポロポロ

美琴「え、ちょ! 私何かした!?」


※グレートホワイトタイガー

大型魔法追加MOD、Midas Magic Spells of Aurumの召還魔法で召還できる生物。
最初のうちは猫と変わらないサイズの幼虎だが、餌の猪肉を与えると徐々に成長し、最大まで成長した姿がグレートホワイトタイガーと呼ばれる。
戦闘力は並だが、馬の様に乗って移動する事できる。

ちなみにアメミトは古代エジプトの神話に出てくる怪物の名前で、MODとは特に関係ない。






上条「お前だけでもあっちに行く事は出来ないのかよ?」

エイワス「ふむ、御坂美琴をAIM拡散力場発生装置として能力を搾り取れば、しばらくは向こうで現出できなくも無いが……。まあ間違いなく死ぬな」

上条「却下却下! 却下に決まってんだろそんなの!!」
152 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 02:12:52.22 ID:JpHEdZ4Go
現在までのまとめ

ユリエル・セプティム皇帝                 →エリザード女王

パイネル修道士                       →アニェーゼ・サンクティス

ブレイドのグランドマスター・ジョフリ          →騎士団長(ナイトリーダー)

イレンド・ヴォニウス(クヴァッチ衛兵)         →月詠小萌

メニエン・ゴーネルド(クヴァッチ衛兵)         →黄泉川愛穂

皇帝最後の後継者、マーティン・セプティム      →ヴィリアン王女

希少書物の解析者、ター・ミーナ            →オルソラ・アクィナス  

コロル領主、アリアナ・ヴァルガ伯爵夫人       →食蜂操祈

スキングラード領主、ジャヌス・ハシルドゥア伯爵  →姫神秋沙

アンヴィル領主、ミローナ・アンブラノクス伯爵夫人 →フレメア・セイヴェルン

チェイディンハル領主、アンデル・インダリス伯爵  →常盤台理事長

チェイディンハル伯の息子、ファルウィル・インダリス→海原光貴?

茨の騎士団員、ブレマン・セニアン           →海原光貴?


※これらの人選に特に意図はありません。多分。
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/26(月) 02:15:20.10 ID:r+lnWoUFo
吸血鬼が吸血殺しに・・・
154 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/09/26(月) 02:16:54.78 ID:JpHEdZ4Go
ぎゃー!!
>>151の最後の部分は見なかった事にして下さい!!
酷いミスだ……

今日の分はおしまい。
次は何とか今週中に。
プレイと同時進行でSS書いてるから、プレイ時間の割りに話が進まなかった……。
オブリビオン内部はディードラよりリーヴァーによく殺されるんだぜ……。
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/26(月) 07:07:38.53 ID:ikBekcmuo
なんというミスww
楽しみにしてるよ
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/26(月) 22:42:23.88 ID:nS3alwh/0
チラ見せほどそそるものは無いと言っておこう 乙!
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/09/28(水) 20:12:26.11 ID:OoDyh4woo
MMMのリーヴァーはマジ強すぎるからなあ…こっちはオミットしてるよ、乙。
158 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/01(土) 18:07:06.60 ID:miwwN2dAo
レス返し

>>153
そこだけは美琴よりも早く配役が決まってたという。

>>155
>>156
まあ今回その部分は書くからいいんだけど……。致命的な部分チラ見せしないでマジ良かったわ。

>>157
リーヴァーはミダス魔法使っても場合によっちゃ完封されるんだよねー。でも所持品がおいしすぎてやめられない(^q^)


今週はストーリー進まないけど大目に見てちょ。
では投下。
159 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/10/01(土) 18:07:43.32 ID:miwwN2dAo
異世界とは宇宙の果てよりも遠く、しかしながら自分自身の体よりも近くにある世界なのかもしれません。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――学園都市・窓のないビル――


巨大なビーカーの様な容器、その中からアレイスター・クロウリーは虚空に浮かぶ幾つものモニター越しに様々な指示や協議を忙しなく行っている。
その傍らで上条当麻、風斬氷華、エイワスの三人? はまた別のモニター群に映る光景 ――美琴がインデックスの元に駆け付けた瞬間―― に三者三様の様子を見せていた。


上条「ま、間に合ったぁぁ……」ヘナヘナ

風斬「…………良かった、あの子が無事で」

エイワス「なるほど、これがご都合主義という事例か。陳腐な現象のようだが、これはこれで愉快だ」クックッ

上条「……なあ、何言ってるんだこいつ?」ヒソヒソ

風斬「……あんまり深く考えないほうが良いですよ」ヒソヒソ

上条「しっかし、御坂に続きインデックスまで……上条さんは心の休まる暇がありませんのことよ」ハァ

風斬「せめて、声だけでも届けられれば良いんですけど……」

エイワス「私なら出来るぞ」

上条、風斬「「!?」」

上条「な、何で今まで言わなk「そら、もう繋がってるぞ」――っ!」

上条「インデックス、御坂、聞こえるか?」
160 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/10/01(土) 18:08:31.04 ID:miwwN2dAo
インデックス『と、とうま!?』

美琴『え、え!? な、何? どこ? てかアンタまでこっちに来ちゃってたの!?』


上条「いや、俺は学園都市にいる。説明は省くけど学園都市からお前らの事はずっと見てた。風斬も一緒だ」


美琴『――っ』

インデックス『ひょうか? ひょうかもそこに居るの!?』


風斬「うん、久しぶり。あなたが居なくなったって聞いて心配したよ」

風斬「それと、御坂さん? 私の大事な友達を助けてくれてありがとう」ペコリ


美琴『……』

インデックス『短髪? どうしたの?』


風斬「え、と。私、何か変な事言っちゃいました?」アセアセ

上条「御坂? おーい。みぃさかああーー!!」


美琴『ふぇ!? な、何?』
161 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/10/01(土) 18:09:27.25 ID:miwwN2dAo
上条「何、じゃねぇよ。急にボーっとして、まさか具合でも悪いのか?」


美琴『べ、別に何ともないわよ! ほら、この通り!』ブンブン

美琴『あ、何だったらあそこの木に雷落としてみたり――』

インデックス『短髪!?』


上条「んな事したら山火事になるだろうが!! 焼畑でもするつもりかおのれは!!」

風斬「あ、あはは……」


美琴『冗談よジョーダン。んで、何なの?』


上条(お前の場合本気でやりかねないんだよ……)

風斬「その子、私の友達なんです。だから助けてくれてありがとう、って」


美琴『へ? ああ、うん。どういたしまして?』

インデックス『さすがに今回ばかりは私も短髪に感謝しないといけないかも』ヤレヤレ


上条「インデックス、御坂」


美琴『何よ?』

インデックス『何かな?』
162 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/10/01(土) 18:10:56.79 ID:miwwN2dAo
上条「必ず助――」プツン

上条「……へ?」

エイワス「む、映像まで消えてしまったな。どうやら向こうとの繋がりに障害が起きたようだ」

上条「〜〜っ! な、なら! お前があっち行って事件に介入はしないのかよ? 散々興味深そうにモニターに食い入ってるじゃねーか」

エイワス「ふむ、御坂美琴をAIM拡散力場発生装置として能力を搾り取れば、しばらくは向こうで現出できなくも無いが……。まあ間違いなく死ぬな」

上条「却下却下! 却下に決まってんだろそんなの!!」

エイワス「まあそもそも現段階で私が介入してしまっては愉快な時間が短くなってしまう。大した数も並べていないドミノの駒を端から倒すようなものだな」

エイワス「もっとも、彼女達のような”大きな駒”を倒したら君達がどんな反応をするか、興味が無いわけではないがな」フフフ

上条「テ、テメェ……!」ギリッ

風斬「抑えて、怒ってもこの人を楽しませるだけですからっ!」

エイワス「ま、今の所は彼女達が繰り広げる冒険譚の方が私にとっては愉快だ。わざわざ自分の楽しみを潰すような事はしないさ」クックッ
163 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/10/01(土) 18:12:32.31 ID:miwwN2dAo
アレイスター「やれやれ騒がしいな」

風斬「……終わったんですか?」

アレイスター「ああ、『こちら側』での準備は終わった」

上条「じゃあ……!」

アレイスター「焦るな、『こちら側』と言っただろう。『あちら側』で大規模な次元干渉が起きない限り『ゲート』は作れない」

エイワス「そんな事が起きるのは必然として物語のクライマックスだろうさ。中々愉快な事になりそうだ」フフフ

風斬「でも、意外です。あなたが他の世界の事を考えるなんて」

アレイスター「――勘違いしているようだが竜の火による『結界』、あれはタムリエルだけを守る物ではない。オブリビオンその物を封じ込める為の物だ」

アレイスター「必然として、タムリエルの後は『こちら側』にも攻め込まれる可能性は高い」

エイワス「あらゆる場所で開く事が可能な『ゲート』と決して減る事のない『不死の軍勢』。こちら側に攻め込んでくる光景もなかなか興味深そうだな」

アレイスター「……幻想殺し、分かっていると思うが君の仕事はこの馬鹿が馬鹿な事をしないようにする抑止力だ」

上条「お、おう」

エイワス「アレイスター、君は知らないようだな」

アレイスター「……何を?」

エイワス「この世界では、馬鹿と言った方が馬鹿らしいぞ」フフフ

アレイスター「……」

上条、風斬(もうやだこいつら……)アタマイテェ
164 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/10/01(土) 18:13:55.16 ID:miwwN2dAo
アイレイド、つまりハートランドのハイエルフが、歴史が記録されるはるか以前の神話の時代にシロディールを支配していました。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


――シロディール・街道――


上条『必ず助――』プツン


インデックス「あれ? とうま、とうま!」

インデックス「むー、急に声が聞こえなくなっちゃったんだよ……」

美琴「……」

美琴(「お前らの事はずっと見てた」、か……。なら私が何をしてたか全部知ってるのよね)

美琴(私が、たくさん人を殺した事も……)

インデックス「短髪、どうしたの?」

美琴(必要な事だと思ってやったし、これからも必要ならやるかもしれない)

美琴(けど、アイツだけには知られたくなかったな……)

美琴(嫌だな私、人を殺しておいてそんな心配しちゃうなんて。ほんと、嫌な奴……)

インデックス「短髪? ねぇ短髪ったら!」ユサユサ

美琴「え? あ、ごめん何?」

インデックス「短髪、何か悩み事でもあるの? 何なら相談には乗ってあげない事もないんだよ」

美琴「……へぇ、アンタがねぇ」

インデックス「む、何なのかなその目は! 私はこう見えてもシスターであって!」ムキー

美琴「はいはい分かったわよ。それじゃ一つ相談に乗っていただけますか、シスターさん?」

インデックス「どんと来いなんだよ」

美琴(どうせドン引きするだけでしょ。まあ、誰かにぶちまけたかったしちょうどいいけどさ)

美琴「私さ…………人を、殺したの」
165 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/10/01(土) 18:15:27.72 ID:miwwN2dAo
インデックス「…………」

美琴「って言っても普通の人を殺したわけじゃないわよ? 私と仲間の命を狙ってくるような奴ら」

美琴「最初はさ、私も殺さないで済ませようとしたんだけど。そしたら守ってた人が、殺されちゃって……」

美琴「それからは、必要だと思ったら、何人も。それこそ、数えるのも、馬鹿らしくなるぐらい……」

インデックス「短髪……」

美琴「それなのに、私、アイツに知られた、事の方が、ショック、で……」

美琴「いつの、間に、か……人を殺すより、アイツに嫌われ、たくない、って……私、私……う、うう」ドサッ

インデックス「……」ギュッ

美琴「――っ?」

インデックス「辛かったんだね。人を殺すのに慣れてきちゃって。そんな自分が許せなくって」

インデックス「でも大丈夫、そう思えるなら短髪はちゃんと人の心を持ってるんだよ」

美琴「で、も……」

インデックス「さっき私を助けてくれたみたいに、誰かを守るためにやったならそれはどんな人でも責めていい事じゃないんだよ」

インデックス「もし誰かが短髪の事を責めたら、私がその人にお説教してあげるから大丈夫なんだよ」ニコ

美琴「…………」

インデックス「それにとうまも、ううん。とうまだけじゃなくて、短髪の事をちゃんと知ってる人達なら短髪の事嫌いになるはずがないんだよ」

インデックス「だから安心して。落ち着くまでは私の胸を貸してあげるんだよ」ナデナデ

美琴「う……あ、ああああ……」ポロポロ



アメミト「グルルル……」(俺らって空気だよな)

シャドウメア「ブルルル……」(でも空気は読めてるだろ)

アメミト「グルルル……」(だな)
166 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/10/01(土) 18:18:35.50 ID:miwwN2dAo
アレイスター・クロウリーさんの説明会&Index-Librorum-Prohibitorumさんのお悩み相談室終了の巻。

マジでストーリー進んでないけど繋ぎ回って事でひとつ。
つか今週オブリやってないねん。
んじゃまた一週間以内に、次こそは魔術ギルド編に入るよ!
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/10/02(日) 00:56:28.69 ID:ldvk2PQ10
ついに虫の杖!
虫の杖!
虫の杖!
168 : ◆A3/sLhI/4c[saga]:2011/10/10(月) 02:05:58.37 ID:MI+IiQIKo
>>167
ごめんよ、蟲の杖は使う予定なっしん。


んじゃ投下しま。
169 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:06:49.30 ID:MI+IiQIKo
メジャースキルを増加させればレベルはおのずと上がっていきます。
             ______
        ||||||||||______|
           Loading


美琴「…………」

インデックス「…………」←アメミト負傷中の為シャドウメアに一緒に騎乗中

美琴(はぁ、とんだ醜態さらしちゃったわ……。ちょっと愚痴聞いてもらうだけのつもりが……)ハァ

美琴(そもそもこの子に愚痴聞いて貰おうと思う事自体おかしいし、自分で思ってたより堪えてたみたいね……)

美琴(でもこの子、見た目だけじゃなくてちゃんとシスターやってるのね。悔しいけど、吐き出したら結構すっきりしたし……。借りができちゃったかな……)チラッ

美琴(アイツもこんな感じの優しい子が好みなのかな……。よく一緒にいるし、大事にされてそうな……)ハァ

美琴(――って! こ、これじゃ私が嫉妬してるみたいじゃない! アイツの好みとかどーでも良いし!)ブンブン

インデックス「……何やってるの短髪?」

美琴「へ? い、いや、別に何でもないわよ!」

インデックス「ふぅん……」

インデックス(さっきのしおらしい短髪と落差が酷いんだよ……。でも「時折見せるギャップに男は弱い」ってあいさが持ってた本にも書いてあったし)

インデックス(とうまもやっぱりそう言う女に弱いのかな? だとしたらやっぱり短髪は油断できないんだよ……)

インデックス(うー、でもさっき助けてくれたし。それに少しとうまと同じ無鉄砲な匂いがするから放っておけないというか……)

インデックス「凄い複雑なんだよ……」

美琴「何がよ?」

インデックス「別に、何でもないんだよ」プイ
170 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:08:42.25 ID:MI+IiQIKo
美琴「そうだ、忘れてた。私アンタの事探してたのよ」

インデックス「短髪が私を? 何で?」

美琴「ちょっと調べたい事があってアルケイン大学に行ったんだけど、そこでも分かんないって言われてね」

美琴「そしたらラミナスさんがアンタなら分かるんじゃないかって。まあその時はアンタが誰なのかまでは知らなかったけどね」

インデックス「うーん、まあ私に分かる事なら構わないんだよ」





美琴「――って訳なの」

インデックス「確かに、普通ならその司祭さんが言った通り何年も呪いを受け続けてないとありえない症状かも」

インデックス「なのに短髪はちょっとの間で大量の呪いを受けた。ならもうこれはもう、メエルーンズ・デイゴンに直接呪いを掛けられたって考えるのが自然だね」

美琴「直接? でも、私はデイゴンには会った事すらないわよ?」

インデックス「それは多分、ミステリウム・ザルクセスがデイゴンの一部だからなんだと思うんだよ」

美琴「ミステリウム・ザルクセスが、デイゴンの一部???」

インデックス「うん。こう言うアーティファクトはね、神様や魔神の血液で出来ているの。それはミステリウム・ザルクセスも同じなんだよ」

美琴「なるほどね、それなら納得できるわ。目をつけられそうな事は結構やったしね」ポリポリ

インデックス「でも一部って言ってもそれ自体は意思は無いはずなんだけど」ムムムム

インデックス「だから、うーん……もしかしたら短髪は本に反射的に攻撃されたって事になるのかも? 理由は分かんないけど……」

美琴(……まさか、私の体から出る電磁波に反応した、とか? 小動物並みに敏感な魔神……そんなのに殺されかけたとか嫌すぎる……)
171 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:10:00.91 ID:MI+IiQIKo
美琴「それで、肝心の呪いを防ぐ方法は?」

インデックス「完全に呪いを防ぐとなるとナインの祝福を受けた武具を装備するのが一番かも」

インデックス「って言っても存在するのは、聖騎士が魔王ウマリルを滅ぼした時に使った武具ぐらいだけどね」

美琴「聖騎士と魔王、ねぇ。まあ今更そういうのが居ても不思議じゃないけど。でもそう言うのって大体伝説の中、って相場は決まってるんじゃないの?」

インデックス「そんな事ないよ。実際数年前に復活した魔王を今代の聖騎士が聖なる武具を集めたて倒したって記録がちゃんと残ってるし」

美琴(さっすがファンタジーの世界……)

インデックス「記録によれば魔王を倒した後は聖具を九大神の修道院に残して姿を消したみたいだけど」

美琴「ならその修道院に行って事情を話せば――」

インデックス「でも仮に身に着けても、短髪じゃ重すぎて身動き取れなくなるんじゃない?」

美琴(なら最初から候補に挙げないでよ……)


※聖騎士

公式MOD・Knights of the Nine で実装される一連のクエストに置ける所謂『勇者』のポジション。
本SSにおけるシロディール記録によれば、今代の聖騎士は身の丈以上のアカヴィルカタナを振り回す奇抜な服装の女性だったとか。


※魔王ウマリル

Knights of the Nine におけるラスボス。
なのだが、デフォルト難易度での強さが魔王()な為あまり威厳の無いボス。
金ぴか。
172 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:10:41.29 ID:MI+IiQIKo
インデックス「他には魔道を修めて魔的な抵抗力を高めるって方法はあるけど……」

美琴「あるけど?」

インデックス「はっきり言って時間が掛かり過ぎるし、そもそも超能力者には魔法は使えないんだよ」

インデックス「簡単に言うと、超能力者とそうじゃない人は回路が違うの。そして魔術や魔法は能力者じゃない人のための技術なの」

インデックス「だから異なる回路じゃ魔法は使えない、どころか暴走して血管が破裂したりして、最悪死んじゃうかもしれないんだよ」

美琴「……もし私が魔法を使おうとしたてたら、ここでアンタと話してる事すら出来てなかったかもしれないって事ね。ぞっとしない話ね」

インデックス「うん、だから現実的な手段はなるべく呪いを掛けられそうな物や人に近づかないって事ぐらいかも」

美琴「なんか子供に危ない人について行くなって言うレベルの話ね……」ポリポリ

美琴(って言ってもこれからも敵地に乗り込む事になるし、避ける訳にもいかないのよね……)

インデックス「短髪、分かってるの?」

美琴「ん、分かってるわよ。危ない所に近づかなけりゃ良いんでしょ」

インデックス「そうだけど……」

インデックス(とうまと同じでイマイチ信用できないんだよ)ジトー

美琴「??」
173 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:12:19.76 ID:MI+IiQIKo
――アルケイン大学――


ラミナス「おかえり、よく帰ってきたね」

美琴「お久しぶりです、ラミナスさん」

インデックス「ただいまなんだよ。とらーべんは?」

ラミナス「アークメイジなら自室にいらっしゃるはずだが」

インデックス「分かったんだよ。それじゃ私報告してくる事があるから」タタタタッ

美琴「はいはい、いってらっしゃい」ヒラヒラ

ラミナス「無事合流出来たようで何よりだ。例の件は解決出来たかね?」

美琴「それが、結局危ない物や場所には近づかない位しか対応策がなくて」

ラミナス「それは、何とも……」

美琴「まあ折角の忠告も無駄になっちゃいそうですけどね」アハハ・・・

ラミナス「無茶はするなと言いたい所だが、今の君を取り巻く状況を考えれば仕方あるまい」

ラミナス「それで、これからブルーマに?」

美琴「はい、一度戻ろうかと思います。――でもその前に一つ、今ここで何が起こってるんですか?」

ラミナス「……何、大した事じゃない。身内のゴタゴタで忙しいだけさ」

美琴「元老院に助けを求める程の、ですか?」

ラミナス「ふぅ……参ったな、話せるものでもないんだが「構わんのよラミナス」っ。アークメイジ……」

美琴「えっと、どちら様?」

トラーベン「アルケイン大学の長を務めたるハンニバル・トラーベンよ。貴方は『クヴァッチの英雄』ミコト・ミサカで相違無しね?」

美琴「ええ、そうですけど……」
174 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:12:45.76 ID:MI+IiQIKo
ラミナス「アークメイジ、話して構わないとは一体……?」

インデックス「――『蟲の王』が『神話の暁』と手を組んだかもしれないんだよ」ヒョコ

ラミナス「な……に?」

美琴「え……? 手を組んだっ、て。そもそも『蟲の王』って何よ?」

トラーベン「それにつきしも話したるつもりなのよ。既に我々一組織でどうにかなり得る話では無きにつき」フゥ

美琴(……一体、何が起きてるの?)


※大魔術師(アークメイジ)ハンニバル・トラーベン

アルケイン大学の長にしてギルド最高の魔術師。
ゲーム内では魔術ギルドにおいて稀有な人格者。どこぞの最大主教みたいな腹黒さは持ってないと思う、多分。
白髪の似合う初老の渋いおっちゃん。


※『蟲の王』マニマルコ

あらゆる死霊術師の祖にして、一千年以上を生きる伝説の死霊術師。
oblivion以前のシリーズで度々語られていたが、今作でついにその姿を現す事になる。
ちなみに彼の渾名である『蟲の王』は彼の持つ杖である『蟲の杖』に因んでつけられた名前である。
魔術ギルド創設者・ガレリオンと兄弟弟子であり、その時から魔術ギルドとの因縁は続いている。


※死霊術師(ネクロマンサー)

禁忌とされる死霊術を主に行使する魔術師の事。
ゾンビやスケルトンを好んで使役する性質上、大多数の人間からは忌み嫌われる存在。
現魔術ギルドの長によって全面的に禁止とされ、ギルド員の半数近くが追放・離反する事となった。
175 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:13:22.73 ID:MI+IiQIKo
美琴「――つまり、ギルドから追い出した奴らをマニマルコってのが纏め上げて敵対してきた、ってことね」

美琴「んで手始めにブルーマの支部を襲ったと」

ラミナス「まあ、身も蓋も無い言い方をすればそうなるな……」

美琴「それで、『神話の暁』と手を組んだって言うのは?」

インデックス「支部の生き残りの人が言うには、マニマルコ達が前触れなく支部に訪れて、そうしたら何もない所から突然ディードラ達が現れたらしいんだよ」

インデックス「その時マニマルコが『神話の暁』と同盟を組んだらしき話をしてたって」

トラーベン「同盟を組みしはチャンピオンに抗する為――美琴、貴方に対抗するためと言ふ事らしきよ」

美琴「私、に?」

インデックス「とらーべん!」

ラミナス「アークメイジ、その言い方は……」

トラーベン「事実なりけるのよ。本来両者とも手を組むなどあり得ざる者達なれども、古来より人は強き敵に抗する為仕方なしに手を組みたるようね」

トラーベン「強き事でより強かりし敵を作ってしまう、皮肉な事ね」

美琴「…………」

インデックス「短髪……」

トラーベン「別に責める訳じゃなきのよ。ただ、わたし達も手を組みたる必要があると言ふだけの事。それに」スッ

美琴「?」

トラーベン「貴方、あの子と同じ異世界の人間なのでしょ?」ボソッ

美琴「――――――あの子が、それを?」

トラーベン「わたしなら聞かなけれどもその程度分かりたるのよ」フフン

美琴「…………」

トラーベン「同郷たる人間を見捨てずよね、英雄殿」ボソリ

美琴「別にそんな話持ち出さなくても手伝ってやるわよ」ジロ

トラーベン「それは良きことなるのよ。ジョフリに伝えたりて、当方はそちらと協力する準備が出来ている、と」フフフ

美琴「ええ、こっちも協力してくれるならそれに越した事はないしね」フン
176 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:16:16.35 ID:MI+IiQIKo
インデックス「……ごめんね短髪。こっちの事情に巻き込んじゃって」シュン

美琴「別にアンタが悪い訳じゃないでしょ。状況が悪化してるのは私のせいでもあるんだし」

美琴「それにまあ、どの道首を突っ込んでた気はするし」ポリポリ

インデックス「……そういう所、とうまとそっくりなんだよ」ボソ

美琴「何か言った?」

インデックス「別に何でもないんだよ」プイッ

美琴「?? まあいいけど……」

インデックス「…………ねえ、短髪」

美琴「うん?」

インデックス「私が、絶対帰る方法見つけるから。だから、あんまり無茶しちゃダメなんだよ?」

美琴「アンタこそさっきみたいに危ない目に遭わないでよ? 今度からは一人で出歩かないで、ちゃんと私がお守りをしてあげるから」

インデックス「うー、さっきは急いでたから仕方ないんだよ……。だから子供扱いはしないで欲しいかも」

美琴「はいはい、それじゃ私は一旦報告に行ってくるから。大人しくしてなさいよ」タッタッタッ

インデックス「だから子ども扱いしないで欲しいん――って、聞いてるの短髪!? ねえ! ――! ――――!!」

美琴(そう言うムキになる所が子供っぽいのよ……)ヤレヤレ


――――――


上条「お前が言うな!」ガタン!

風斬「ひっ――な、なんですか?」ビクッ
177 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:16:49.04 ID:MI+IiQIKo
――クラウドルーラー神殿――


ジョフリ「ちっ、あの女狐め……」

美琴「ごめんなさい、利用されてるのは分かってたんですけど……」

ジョフリ「いや、美琴が謝る事ではない。それにまあ、魔術ギルドの人間でなくとも『蟲の王』の危険性は理解しているつもりだ」

ジョフリ「それに各地からの援軍でブルーマの戦力は十二分に整っている。ゲートの三つや四つ開いた所で押し返せるだけのな」

ジョフリ「ただ、未だ開いたゲートは先の一つだけなのが不気味だ……」

美琴「――嵐の前の、ですか?」

ジョフリ「かもしれん。だから後顧の憂いを断つためにも、同盟を結んだと言う死霊術師達は叩いておきたい」

美琴「分かりました、ちょちょいとぶっ潰してきますよ」グッ

マーティン「……ごめんなさい美琴、あなたにばかり負担を掛けてしまって」

美琴「私は私に出来る事をしてるだけよ。マーティンこそ酷い隈じゃない、寝てないんじゃないの?」

マーティン「解読に熱が入ってしまいまして、つい」フフ

ジョフリ「まったく、少しはご自愛していただきたいと言うのに……」ブツブツ

マーティン「ですが、後もう少しです。もう少しでカモランを捕える事ができます」

美琴「――なら次に私が戻ってきた時が、カモランとの決戦って訳ね」

ジョフリ「我々もその時までに必ず全ての準備を整えておこう」

美琴「お願いします。それじゃ私はそろそろ」

マーティン「ええ。美琴、あなたにアカトシュの祝福を」
178 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:17:22.81 ID:MI+IiQIKo
――アルケイン大学――


美琴「は? 評議会が瓦解?」

トラーベン「協調性の無き輩ばかりなるのよ。すぐにでも反撃に出るやら、対抗する為に死霊術を使いたりやら……」ヤレヤレ

美琴「ねぇ、もしかしてこの人あんまり人望無いの? 変なしゃべり方だし」ヒソヒソ

インデックス「信用はあるけど信頼は無いって感じなんだよ……」ヒソヒソ

トラーベン「うるさしうるさし! 短気なあ奴らが悪しきのよ! とにかく、貴方達は『血虫のヘルム』と『死霊術師のアミュレット』を取り返してきたるのよ!」

美琴「はあ、それで私達はどこに行けば?」

ラミナス「ヘルムはアラーヴ・ジャロルがテレマン砦に、アミュレットはカランヤがオントゥス砦に持ち去ったはずだ」

ラミナス「急いでくれ、下手をすれば孤立した彼らが襲われる可能性もある」

トラーベン「難しき事だけど可能なら二人に戻るよう諭して欲しいの。それが無理ならせめてアイテムだけでも取り戻したるのよ」

美琴「まあ一応説得はしてみるけど、正直どうなの?」

インデックス「あの二人の様子を見るとそれも難しいと思うんだよ……」ハァ


※死霊術師のアミュレット・血虫のヘルム

マニマルコが狙っているマジックアイテム。
マニマルコがこの二つと『蟲の杖』の三つを身に着けると、ディードラ王に匹敵する力を得るとか得ないとか。
プレイヤーも装備できるがピーキーな性能なため使いづらい。


※アラーヴ・ジャロル

トレーブンの側近の一人でマスターウィザード。
マニマルコが狙う『血虫のヘルム』を解析して対抗しようとした
白地に黒模様のローブが目に痛い禿のおっさん。


※カランヤ

トレーブンの側近の一人でマスターウィザード。
マニマルコが狙う『死霊術師のアミュレット』が大学内にあるのは危険だと砦に立てこもる。
顔が長い。
179 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/10(月) 02:20:18.46 ID:MI+IiQIKo
終わり。
独自展開すぎてやばい。
ローラ口調難しすぎてやばい。
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/10/10(月) 02:45:10.49 ID:+15Zv9dNo
おつん
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/10(月) 21:43:08.47 ID:vj3hxrcDO
このスレのインデックスさん好きみこっちゃんの事ほっとけないあたりが可愛すぎ…

続き楽しみにしてます
182 : ◆A3/sLhI/4c[sage saga]:2011/10/20(木) 00:12:03.93 ID:vzjuDxtno
勢いがなくなったので失踪します。勢いだけで建てたんで(;∀;)
勢い戻ったら最後まで書いてから投稿するっす。さらヴぁー ノシ
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/20(木) 00:54:54.49 ID:HZHezfaD0
なんて清々しいんだ……
うん、じゃあその日を待ってるから  乙っした!



Pastlog.cgi Ver2.0
Powered By VIP Service
Script Base by toshinari