伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/23(金) 23:11:57.22 ID:LwPmhzSAO<>ほむら「……まさかの3スレ目ね。2スレ目でも言った気がするけれど」ホムゥ
ほむら「さて、注意点よ。増えていってるのは気にしないで」
バカエロ
生える
誰だお前
厨二病
ほむら「で」ホム
オリ解釈
オリ設定
ほむら「それから」ホム
オリキャラ注意
ほむら「このくらいかしら。うわー……地雷にしか見えないわ……」ホムン……
ほむら「まぁそれは置いといて……」コホン
ほむら「『キュ――』」
QB「『キュゥべえをレイプしたらソウルジェムが浄化された』、通称キュベレイ。ボクと契約して、新スレを読んでよ!」きゅっぷい!
ほむら「貴様ぁぁぁぁ!!」ホムゥゥゥゥ!!<>ほむら「キュゥべえをレイプしたらソウルジェムが浄化された」3
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/23(金) 23:19:24.72 ID:LwPmhzSAO<> ほむら「キュゥべえのおかげで大事なモノを忘れていたわ。前スレよ」ファッサァ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306507584/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312128466/ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/23(金) 23:20:31.27 ID:/RYUH8Bco<> おつほむ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)<>sage<>2011/09/23(金) 23:29:25.63 ID:mdxm1KK8o<> スレ立て乙 <>
NY<>email@gmail.com<>2011/09/23(金) 23:34:09.11 ID:1XbSYgs80<> comment4, http://www.formspring.me/thynaquizubihe diflucan 150 mg tablet, =[, http://dailybooth.com/furosemideactiondur/17863813 furosemide action duration, ixg, http://www.formspring.me/thoquobezugoba ciproflaxin treat, >:(, http://www.formspring.me/desagajirasylu levitra 10mg 20mg, iwlfp, http://www.formspring.me/kafupojigosav levitra side effects vision, 33693, http://www.ign.com/blogs/diflucaninchildre8 diflucan in children, pvunmh, http://www.formspring.me/tojypotavutat furosemide online dictionary, 48595, http://dailybooth.com/furosemideactionloo/17863768 furosemide action loop henle, 792, http://dailybooth.com/vardenafilhcl20mgt2/17801548 vardenafil hcl generic, 750073, http://dailybooth.com/levitraandalcohol/17867134 levitra and alcohol, 3634, <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/24(土) 07:25:59.30 ID:GJzslayDO<> 新スレ乙!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/24(土) 16:22:44.88 ID:t7JeB4eSO<> マミ「円環のスレ立て乙、ってところかしらね」ドヤッ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/24(土) 23:38:29.69 ID:jcQ5oFJAO<> 遅れたけど>>1乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/25(日) 05:49:47.45 ID:CFMoVUGAO<> >>1さん乙です!
次の更新待ってます。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:26:31.14 ID:YZZqAYFAO<> 書き溜めが無いのにスレ立てするのは気が引けて遅れてしまった。
迷惑をかけてゴメンね。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:27:01.13 ID:YZZqAYFAO<> ――――記憶の水底
かずみ「どうしてオマエが」
かずみ「黙れ」
かずみ「なんでオマエが」
かずみ「黙れ」
かずみ「何故ワタシじゃない」
かずみ「黙れ」
かずみ「死ね」
かずみ「黙れ」
かずみ「死ね!」
かずみ「黙れ」
かずみ「ワタシの替わりに」
かずみ「黙れ」
かずみ「黙れ」
かずみ「黙れ」
かずみ「黙れ」
かずみ「黙って――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:27:56.97 ID:YZZqAYFAO<> ――――調理場の獣
かずみ「う、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ユウリ「ハハハッ、ハハッ!これでオマエも化け物さ、かずみ!」
ユウリは心からの笑顔をプレイアデス聖団に向けた。
かずみの身体は激しく痙攣し、イーブルナッツの瘴気がその身体を包んでいく。
海香「かずみっ!?」
カオル「かずみぃぃぃぃっ!!」
聖団のメンバーの表情に、一様な陰りが指す。
動かない身体を必死に治癒し、しかし尚も起き上がれない身体に憤っていた。
みらい「くそぉ……」
里美「かずみちゃぁん……」
サキ「うぐ……かずみ……」
ただニコの表情は見えない。いや、笑っているのだろうか。
ニコ「――かずみを嘗めない方がいい」
何かの割れる音がした。
ユウリ「ん?」
その音に振り返ると、かずみの足元に砕けたイーブルナッツが見える。
ユウリ「――なんだと」
かずみ「――――、――――っ!!」
声にならない獣の様な咆哮と共に、かずみの細い身体に力が加えられる。
かずみは、その剛力で――ユウリの拘束具を砕いて自由になった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:29:09.03 ID:YZZqAYFAO<> ユウリ「ば、バカな――」
驚く間も無く、かずみの右腕がユウリの頬を突き抜く。
脳を揺らされ、そして身体は地面に叩きつけられた。
ユウリ「――!?――!?」
訳が分からない。
おおよそかずみが好まない戦い方だったから。
地面に崩れたユウリの腹を、容赦無く手加減無く蹴り上げる。
ユウリはその勢いで再び地面を転がった。
口から血を嘔吐する。
ユウリ「けほ――がはっ」
かずみ「――――」
かずみはゆらゆらと揺れながら、ユウリを見ていた。
虚ろな目が、不気味さを演出している。
海香「かずみ……?」
ニコ「よし、勝てるな」
カオル「かずみっ!!」
かずみ「っ……カオル?」
カオルの声に反応して、かずみの瞳に光が戻った。
地でもがいているユウリに気付き、震える。
怖い。
さっきまで、自分が自分で無かったようで。
紫『ユウリ――』
ユウリ「無用だっ……て言った」
紫『…………』
震える膝を必死に立たせ、ユウリは身体を起こした。
思考するのは、かずみの異常な力について。
かずみ。
プレイアデス聖団。
戦闘スタイル。
聖団。
団?
弱い。
群れる。
ユウリ「成る程――成る程」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:29:52.24 ID:YZZqAYFAO<> ユウリの魔力が地を走る。
ソレがプレイアデス聖団らを拘束する荊の蔓となって絡み付いた。
みらい「な――痛っ!?」
里美「何、これ」
地面から十字架のようなオブジェが突き出てきて、それぞれが縛り付けられてしまった。
かずみ「――ほ、ほどけないっ」
ユウリ「さっきトドメを刺しとくべきだったね……かずみよぉ」
サキ「な、何をするつもりだ……?」
歯噛みする音が聞こえる程、強く唇を噛むユウリ。
ユウリ「分からないか?分からないだろうね」
ユウリ「――聖者気取りの畜生を処刑するんだよ!!」
十字架に磔にされた聖団の回りに、荊の蔓が生え上がる。
ほむらの肌が、悪寒を感じ取った。
それは、理としての本能なのだろうか。
紫「(いけない――彼女はもうすぐ魔女になってしまう)」
遅かれ早かれ、ユウリはもう持たない。
ユウリ「死ね、死ね、死ね、しね、しね、しねぇっ!!」
鋭利な植物が、かずみの腹を食い破った。
膓を蹂躙し、犯す。
かずみ「――――……」
かずみは一つ痙攣して、気絶した。
激痛と喪失から脳が理解を拒否した結果である。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:30:45.68 ID:YZZqAYFAO<> 里美「ひっ――」
ユウリ「つぎはオマエらだ」
ユウリが意思を向けると、その棘だらけの鞭が聖団に這い寄ってきた。
サキ「(チャンスは一瞬……)」
だが、サキには手がある。
遠隔操作した自分の得物――皮肉にも、鞭――それが頭上に浮遊していた。
蔓程度を切り裂くには足るだろう、ソレ。
だが、チャンスとは何時だ。
サキ「(何でもいい。奴の気を引く何か――)」
ユウリ「何も出来ないのは分かっているぞ、プレイアデス」
ユウリ「オマエらはかずみが居なければ何も成せない」
ニコ「…………」
ユウリの身体から傷がゆっくりと消えていく。
少しずつ、魔力を治癒に回しているのだろう。
ユウリ「私はオマエら以外の魔法少女をよく知らなかった。これからも知る事は無かっただろう」
ユウリ「暁美ほむらと出会わなければ」
横目で、心配そうに見つめるほむらと目線が合う。
ユウリ「だが、暁美ほむらを見て、暁美ほむらの話を聞いて気付けたよ」
ユウリ「私が言うのもなんだが、オマエらは、魔法少女らしくない――」
みらい「ど、どういう意味だっ。失礼な奴!」
ちょうど良く声を上げたみらいの方を見て、顔をしかめた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:34:03.84 ID:YZZqAYFAO<> ユウリ「そこの奴を見りゃ一目瞭然……私からすれば只の雑魚だ」
ユウリ「アンタも、アンタも、アンタも、アンタも……唯一張り合えそうな奴が、そこの仏頂面くらいか」
ニコ「過大評価かもね」
事実、過大評価などでは無かった。
危機に対する判断力や、痛みに対する耐性など、プレイアデス聖団に欠如しがちな特性を悉く備えているのだ。
神那ニコという人物は。
紫「(――なら、かずみは)」
ユウリ「一人じゃ魔獣にも手こずりそうなメンツ……そんな奴らが、意地汚く生き残る為にはどうするか」
ユウリ「――番犬を、飼うんだろ?」
プレイアデス「――――っ!」
聖団の様子に、ユウリは一つの満足を覚えた。
どうやら、当たらずとも遠からずと言った具合で。
ユウリ「可哀想だねぇ、かずみも。こんな奴らに使われちゃって、さ」
荊の蔓がかずみ以外の聖団にすがり付いてくる。
かずみの意識は、亡い。
その時、聞いた事の無い、笑い声がした。
いや、今までこんなあからさまに笑っていなかっただけなのだ。
ニコ「あはははっ!」
ユウリ「……何が可笑しい?」
怪訝な表情を、ユウリはニコに向けた。
ニコは、そう――心底愉快そうで。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:34:39.91 ID:YZZqAYFAO<> ニコ「面白い仮説だったもんでさ、思わず失笑してしまったよ」
ニコ「その説明は、せめてかずみが起きている時にすれば良かったかもね」
ニコ「それにさ――」
ニコの口角が釣り上がる。
と同時に、ほむらの背筋に嫌な気配が走った。
ニコ「――もしソレが本当なら、かずみがコレくらいで」
その先の言葉は、咆哮に掻き消されてユウリには届かなかった。
ニコ「ヤられる訳ないだろう?」
両手両足が、獣の様な――太く力強いモノに変わってしまったかずみが、十字架を捻り潰して脱出する。
目に理性無く、心に感情無く、そして唯々哭いていた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:35:34.14 ID:YZZqAYFAO<> ――――化け物
ユウリ「バカな、確実に仕留め――」
見えない。
かずみだった何かに手痛い打撃を貰った、ユウリの最初の思考だった。
木っ端の様に吹き飛んで、壁にヒビを作る。
サキ「今だな」
サキの遠隔操作された鞭が、プレイアデス聖団の皆を十字架から解放した。
紫「(――アレはまずい!)」
ほむらが獣と化したかずみに接近を試み――
ユウリ「邪魔するなよ」
踏みとどまる。
ユウリ「そうだ、ありがとう。ソレでいい」
ダメージは確実に蓄積しているだろうに、それを感じさせない喋り。
ユウリ「オマエには、関係無いからな――ほむらの戦場は、ここじゃない」
かずみがユウリを蹴りあげ、浮いた身体を地面に叩き付け、そのまま掴んで壁に投げ飛ばした。
駄々を捏ねる子供の様な、幼稚で暴力的なソレ。
ニコ「勝ったね」
サキ「油断するな、構えろ」
ニコ「油断?これは余裕というモノだよ」
プレイアデス聖団のメンバーの表情は二種類。
落ち着いている者と、そうでない者。
海香「かずみ……」
カオル「もう止めろかずみ!」
地面に倒れたユウリを、構わず殴る。
何度も、何度も。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:36:11.23 ID:YZZqAYFAO<> 紫「…………っ」
何故足を止めているのだろう。
関係無いから?
違う。
意味が無いから?
違う。
彼女の誇りを穢さない為だ。
でも――
紫『――ユウリ!返事をしないと割り込むわよ!!』
見ていられない。
暁美ほむらは、魔法少女になってから今まで一つの例外もなく――甘いから。
――かずみが蹴られて、ユウリから離れた。
ユウリ「そりゃ、困る……」
ボロボロの身体を横たえて、ユウリは呼びかけに応えたのだった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:37:41.57 ID:YZZqAYFAO<> かずみ「う……私、何を?」
どうやら喰らった衝撃で正気を取り戻した様子のかずみ。
かずみの目に入ったのは、解放された仲間たちと、今にも襲いかからんばかりの紫色の服の少女と――血溜まりの中で寝転ぶ敵だった。
かずみ「――これ、私が……?」
かずみは真の意味で、己の力に震えた。
身体ではない、心が。
両手両足は、ヒトの形を取り戻している。
ユウリ「ダメ――だったか」
ポツリ、と呟く声。
身体はもう動かない。
ユウリ「せっかく魔法少女になって、コレか」
ユウリ「チクショウ――チクショウ――」
ユウリの周囲から魔獣が這い上がってくる。
ほむらはそれらをナイフで薙ぎ払った。
紫『くっ、ハイエナみたいね。全く』
ユウリ「……もういい、ほむら」
紫『――ユウリ?』
ユウリのソウルジェムは、もう。
ユウリ「魔女になって……アイツらに一泡吹かせるのも、良いかもしれない……な」
紫『いけない、魔女になってもろくな事には――』
ユウリ「……冗談だよ」
目に希望は無く、そんなモノは初めから無く。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:40:02.54 ID:YZZqAYFAO<> ユウリ「……ホントはずっと分かってたんだ。あの時プレイアデスが居なかったら、私は死んでたんだって」
ユウリ「私のは只の逆恨みだって」
ユウリ「でも許せなかったんだ」
ユウリ「戦う事でしか、償えない」
ユウリ「勝っても負けても、どっちでも良かった――」
ユウリ「このまま死ねるなら――それもそれで良い」
紫『――ちょっと、しっかりなさい!』
ほむらはユウリの肩を抱き起こした。
酷く、軽い。
ユウリ「ほら……やるん、だろう?」
ほむらの左手に、理の指輪が光っている。
紫「…………」
ほむらの翼が、彼女達を包み込んだ。
暖かくて優しい、ソレ。
ユウリ「借りが出来てしまったなぁ……」
紫『……右腕と目を治してもらったお礼よ』
ユウリ「それは魔獣の礼だから……ね」
ユウリが目を閉じる。
ユウリ「そうだ……折角だから、魔法少女らしく『願って』みるかな……」
ユウリ「短い間だったけど、世話になった……お節介な魔法少女に、『借りを返したい』」
ユウリ「叶う訳、ないけど……ね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:40:52.67 ID:YZZqAYFAO<> 紫『……気持ちは、受け取ったわ』
ユウリ「そっ……か」
ユウリ「そうだ……コレ、やるよ」
ユウリが手渡したのは、小さなスプーン。
ユウリ「ユウリの……形見。大事なモノ……お前なら、ずっとコレが……生きてられる、から」
紫『……預かっておくわ』
ユウリ「あり……がと――」
ユウリの身体が、空に融けて――消えていった。
俯いたほむらの前に、何か金属質な物が落ちてくる。
紫『……これは』
それは、グリーフシードともソウルジェムとも付かぬ、奇妙な宝石。
紫「――――っ」
あんな、あんな小さな――ささやかな願いで。
ようやく――ようやく彼女は『魔法少女』になれたのか。
紫「(こんな――こんな事って)」
ほむらはその宝石を、丁寧に両手で包んだ。
ほむらの左手に――指輪が一つ、増える。
そして、少しばかり泣いた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:42:27.28 ID:YZZqAYFAO<> ――――幕引き。
紫「…………」
ニコ「……終わったようだ。お疲れさん」フゥ
かずみ「……私が――」
サキ「かずみは何も悪くない。私たちは火の粉を振り払っただけなのだからな」ポンッ
みらい「まだ身体が痛いや……あんにゃろめ」ウググ
里美「治癒しましょうか?」
海香「…………」
カオル「……かずみ」ポツリ
紫『……ねぇ、そこのアナタ』
ニコ「何か?」
紫『いずれ足元を掬われるわよ』バサッ
ニコ「おー、くわばらくわばら。そうならない様に、気を付けるよ」
紫『……アナタ達がどうなろうと勝手だし、私は知らない――保護者もいるみたいだし』チラ
JB「お、気付いてたのか。大したもんだぜぃ」ヒョコッ
里美「べえちゃん……」
紫『……さよなら。もう会う事もないでしょう。かずみ』
かずみ「……?」
紫『殺したのは貴女。ソレは間違いない……だから、忘れないで。そして、真剣に生きなさい』
かずみ「……うん」
紫『――じゃ、私の用事は済んだから』バサァッ
かずみ「……行っちゃった」
ニコ「(円環の理、か)」
ニコ「大変だねぇ、全く」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:43:12.00 ID:YZZqAYFAO<> ――――
祈らなかった魔法少女がいた。
呪いを願った魔法少女がいた。
それは、魔女になりたいという願いと、どう違うのだろうか。
絶望を願った彼女に、希望は与えられたのだろうか。
希望が絶望に変わる事はあっても、その逆は得てして有り得ない。
特に、魔法少女にとっては。
彼女は、どう在れば救われたのか。
ほむら「…………」
それは私にも分からない。
救いなど最初から用意されていなかったのかもしれない。
それでも――そんな世界が嫌だと、あの時私は願ったのだ。
私が事を成せば、彼女は魔法少女にはならないだろう。
しかし、それは――彼女の幸せなのだろうか。
考えれば考える程、泥沼に沈む様な感覚に囚われる。
でも――色んな生き方、死に方を見て……考えるようにはなった。
成長と言うにはちっぽけだろうソレは――しかし私にとって大事なモノ。
私はこれからも、戦い続ける―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 09:44:15.09 ID:YZZqAYFAO<> これにて未来編終了。お疲れ様っしたー
投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)<>sage<>2011/09/25(日) 09:46:00.15 ID:obxWi2LAO<> 乙ー
そろそろキュベレイシーン来るか……? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/25(日) 09:47:07.56 ID:p7gc3vLVo<> お疲れ様でした <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/25(日) 10:19:18.41 ID:yCM+SrLDO<> ジューベレイはなかったか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/25(日) 11:18:37.98 ID:J9FPw0jDO<> 乙!!
未来編終了と言うことは・・・
遂にスレタイ再臨・・・か? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2011/09/25(日) 11:33:18.28 ID:aFruXP1Bo<> 未来編が終わったけど、JBたんがでないとは限らない
ジュベレイも期待していいと思うデスマス <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/09/25(日) 12:02:32.55 ID:L5l4g70l0<> 遂に…3スレ目にして遂に
「パカエロと申したか」
「はっ!?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 12:50:42.20 ID:YZZqAYFAO<> さって、こっから先は要注意だよ。
※未来編以上のオリキャラ祭
※世界観すら『もしもこうだったら』
※ほむら脇役
※名前が付くオリキャラもいるよ!
QB「それでも良いなら……プロローグに入るとしようか」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 12:51:27.55 ID:YZZqAYFAO<> ――――最後の日
紫「…………」
マフラーを外し、戒めを解くほむら。
羽は禍々しい物に成り果て、白かったあの頃には戻れない。
ほむら「……まどかの力も、今は無い」
たくさんの魔法少女が――生きて、死んだ。
その何れもが、尊かった。
磨り減っていくかと思われた私の心は、今も確固たる現実を見据えている。
それは、些細な変化で――ただ、少しだけ回りを見回しただけ。
ほむら「――懐かしいわね」
左手に、自在の盾。
時を舞う、翼なき鳥。
砂時計を回そうとして、その手が止まる。
ほむら「みんな……」
未来に生きた魔法少女たちの事が、脳裏に蘇ってきて。
私のする事は、その全ての否定。
ほむら「――違う」
ほむらが以前にこの未来から時間跳躍した時は、考える暇も無かった。
身心共に疲労困憊し、そこに突如現れた希望。
ほむらは無我夢中で時を戻ったのだ。
だが、今は余裕がある。
救いがあると知っていたから。
ほむら「私のコレは――肯定よ」
まどかを救う。
それ故に、世界全てを救う。
そうでなければ、私は許されないのだから。
――ふと、違和感。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 12:52:24.57 ID:YZZqAYFAO<> ほむら「まどかを助ける……?」
盾を見た。
そう、これは時を駆ける力。
だが、私がまどかを救う為に手に入れた力は、限定的なモノで――
そう、確か――一ヶ月しか時間跳躍が出来ないのだ。
幾ら跳ぼうと、病院のベッドより昔には帰れな――
ほむら「っっ!!?」
違和感。
違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感
違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感
違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感
違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感
違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感
違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感
圧倒的違和感。
この盾は何だ。
この力は何だ。
コレは――『誰』を助ける為の力なんだ?
ほむら「――――っん」
生唾を飲み込む。
前回、きっと私は間違えたんだ。
だから許されなかった。
何だ?
私が本当にしなければならない事は何だ?
何を識らなければならない―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 12:53:22.87 ID:YZZqAYFAO<> 思い出せ……掠れた記憶に、何かのヒントは無かったか――
織莉子『分からないわ。ただ、遥かな過去……だって事しか知識が入って来なかったわ』
ほむら「――遥か、過去」
過去へと戻る――そうだ、それが私の力。
――インキュベーター?
ほむら「っ!?」
視線を感じて振り返る。
そこには何もいなかった。
そう、もう、誰もいないのだから。
私だけ。
人の形をしているのは私だけなのだから。
ほむら「……覚悟を、決めなきゃ」
世界に。
そして、全ての魔法少女に。
ほむら「私は――戦う!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 12:54:14.19 ID:YZZqAYFAO<> そして、時を舞い戻る。
深く、深く――
人類始めての魔法少女が生まれるより前に――
インキュベーターがこの星に来た時間まで――
ほむら「(――何、これ。時間の……壁?)」
戻ろう、戻ろう。
そう思って、戻れない所まで来た。
時間の歪みで、吐きそうで、早く跳びきってしまいたい。
ほむら「この先に、何かあるのね――!!」
ほむらの翼が強く羽ばたき、空間を捻じ曲げる。
パラドックスか、はたまた別の何かか――何であれ、『暁美ほむら』はこの先の世界に受け入れられないのだろう。
ほむら「――喧し、い」
喧騒が聞こえる。
壁にヒビが出来た。
ほむら「私は、私は――っ!」
『理』のグリーフシードが、ほむらを後押しする。
ほむらは――時空の壁を突き抜けた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 12:56:02.91 ID:YZZqAYFAO<>
『インキュベーターは優しい夢を見るか』
――過去より過去の過去編、開幕
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/25(日) 12:57:56.74 ID:YZZqAYFAO<> って訳でまだ帰れませんほむほむマジ頑張れ。
まだ立ててないフラグあるから待ってねー。
投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/25(日) 13:32:11.59 ID:p7gc3vLVo<> お疲れ様でした。
ほむほむに『』の加護のあらんことを・・・・・・・。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/25(日) 13:49:25.86 ID:ZD0MLJVUo<> インキュベーターが来た時間っつーと穴ぐら暮らし? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/25(日) 13:53:54.28 ID:aFruXP1Bo<> QB星での昔のことなんじゃ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/25(日) 14:39:32.31 ID:J9FPw0jDO<> 少なくともクレオパトラよりは前だよな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/25(日) 17:18:27.84 ID:UXMB2Ol1o<> ついにキュウベェレイプの謎が解かれるのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/09/25(日) 17:28:03.23 ID:L5l4g70l0<> とうとう、本編が到達できなかった「謎」の扉が開かれるのか。
「我が輩の脳髄の飢えが満たされる時が遂に・・・」
「正体出てるってば!?」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/25(日) 21:21:09.49 ID:vHqBfeVCo<> ほむっちの魔法はねぇ"1か月分の時間を砂として操る能力"なんだよな
砂が落ちた分時間は進んで動かせば止まりすべてが落ち切ってから返すと1か月前に戻る
ワルプルギスの夜を乗り越えるための願いであってそれ以降は能力が使えないんだよね
と水を差すテスト <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/25(日) 21:30:34.97 ID:UXMB2Ol1o<> >>45
今更だね
正直本編ラストの翼だってよくわかって無いんだし
そこはオリ設定でいいじゃないか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/25(日) 21:45:53.55 ID:aFruXP1Bo<> おりマギでも一ヶ月経ってないのにワープしてたからいいんじゃない <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/25(日) 21:57:05.08 ID:2NdX5ynOo<> >>1が読めない人が現れたと聞いて <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/25(日) 22:00:14.98 ID:0XotSVvco<> >>45
>>1にオリ設定って書いてあるのに
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/25(日) 22:56:35.74 ID:JC95q8VIO<> みな落ち着け
構うと移るぞwwwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/26(月) 12:37:43.74 ID:NcbzEYmAO<> 逆に考えれば
ワルプルギス終了から1ヶ月経つ→1ヶ月巻き戻す
で、ワルプルギス終了直後に能力復帰した状態でもどれるんだろうか?
砂時計の砂はチャージされてる訳だし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/26(月) 13:01:16.71 ID:nVOLqNpUo<> あれ、ここって考察スレだっけ?
考察は考察スレにでもいってやれよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/26(月) 21:11:35.29 ID:olaFKKLAO<> まどかのグリーフシード強すぎ
まあ、一度は神になったんだし当然か。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/26(月) 22:02:11.79 ID:OMErCh2Vo<> 今のところどうなってるか分からない所が多いから
次とか次の次あたりで一気にフラグ立てて回るのかしら <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:14:46.88 ID:vYOWyMZAO<> ……すっげー投下するの怖い。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:18:43.36 ID:vYOWyMZAO<> ――――過去より過去の過去、市街地。
ほむら「――はっ」ガバッ
ほむら「う……どうやら気を失っていたみたいね……頭がガンガンする」ホムゥ……
ほむら「――ん?」ハッ
ほむら「ここは……街?随分近代、というか未来的だけれど」キョロキョロ
ほむら「この地面は――どうやら道路のようね。土が道路の下にあるみたいだし、舗装……?」コンコンッ
――ゥゥン
ほむら「ほむ?」クル
車「――ゥゥン」
ほむら「跳ねられるーっ!?」ホムーンッ!?
スルッ
ほむら「……アレ?」ポカン
ほむら「すり抜けた?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:19:40.24 ID:vYOWyMZAO<> ――――散策
ほむら「……どうやら私は思念体の様なモノになっているようね」
ほむら「世界の妥協、ってところかしら」
人々「」ガヤガヤ
ほむら「しかし進んだ技術ね……過去に来たはずなのだけれど」
ほむら「(しかし、今まで見てきた未来とも合致しない……どういう事?)」
ほむら「人からも見えてないみたいだし、弱ったわ……コミュニケーションが取れないとなると、情報収集が大変ね」ホムゥ
ほむら「って言うか……」ムゥ
女「」
女「」
女「」
女「」
ほむら「美少女まみれ……男は?」
女「ねぇ、ベアトー。今帰り?」ヤッホー <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:20:44.90 ID:vYOWyMZAO<> ほむら「っ」クルッ
ベアトリクス「うん、そうだけれど」っぷい?
女?「なら、俺らと返りに喫茶店行こうぜ」
ベアト「うーん。申し訳ないんだけれど、ボクは今日晩御飯作らなきゃいけないから……」
女「あ、それじゃ仕方ないか」
女?「チックショー……じゃまた今度な!奢るから!」
ベアト「ありがと、じゃあね」トテトテー
ほむら「……インキュベーター?という事は、ここはキュゥべえの母星って訳?」
ほむら「時空を突き破る感覚は、もしかしてソレ?……帰れるのかしら」
ほむら「……いや、インキュベーターに着いていけばいいわね。追わないと」タタッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:22:14.00 ID:vYOWyMZAO<> ――――ここがキュゥべえのハウスね!
ベアト「ただいまー」
「あー、お帰りなさい、お姉ちゃん!」パタタタ
ほむら「お邪魔します……って見えてないけれど」ホム
ほむら「……妹?」
ベアト「ただいま、ハンネ。今日は楽しかったかい?」
ハンネ「んー……クラスの男の子とケンカしちゃった!」アハハー
ベアト「なんだって、それは良くないよ。原因は何だい?」ムムッ
ハンネ「……えとね」ウグ
ベアト「怒らないから言ってごらん?」ナデリ
ハンネ「……お姉ちゃんの事」
ベアト「へ?」
ハンネ「お姉ちゃんは女の子なのに、男の子みたいな言葉遣いで変だって言われたの」グスン
ベアト「……それで怒ってくれたんだね。でも良いんだ、ボクは気にしないから……怒らなくていい」ヨシヨシ
ハンネ「でも、お姉ちゃん変じゃないもん……」シュン
ベアト「……ごめんね」
ほむら「……イマイチ状況が呑み込めないわ」ホムッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:23:47.24 ID:vYOWyMZAO<> ――――キュゥべえの私室
ほむら「ふむ、インキュベーターの世界にも学校のようなモノがあるのね」フム
ほむら「……教科書?」ペラ
ほむら「――日本語で書かれている……どういう事?」ペラ
ほむら「……歴史や保健体育、社会とかの教科書無いかしら」ゴソゴソ
ベアト「弱ったなぁ……」ガチャ
ほむら「ほむぅっ!?」ビクンッ
ほむら「(――マズイ、この状況は本が浮いているようにしか見えないはず)」
ベアト「……」ボフッ
ほむら「ベッドに倒れこんだ……どうやら本も一緒に感知されなくなっているようね」ホッ
ほむら「でも肝が冷えるわ……図書館みたいな場所があれば、何か分かるかもしれないわね」ホム
ベアト「……」
ほむら「考え事かしら……」
ほむら「(外の美少女と比べても抜群に目を引く容姿……ふむ)」ホム
ほむら「美人には悩みが多いっていうしね、うん」ホムホム <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:26:33.82 ID:vYOWyMZAO<> ――――晩御飯のようです。
父「――――」ハハハ
母「――――」アラアラ
ベアト「――――」アハハ
ハンネ「――――」モー……
ほむら「……」チラ
ほむら「和気藹々とした家族のようね。あのインキュベーターとは思えないわ」
ほむら「ここからどうやって宇宙のエネルギーって話になるのかしら……」ハァ
ほむら「しかし……父親?かしら。明らかに女性に見えるのだけれど――」
ほむら「まさか」タラー <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:28:54.77 ID:vYOWyMZAO<> ――――夜
ベアト「……」スゥスゥ
ほむら「良く眠っているようね……本を拝借しましょうか」ペラ
ほむら「――性別?」
ほむら「男性型と女性型……?なになに……」
ほむら「――なんとまぁ」ホウ
ほむら「基本的に性別が無いのね。男性器と女性器を合わせ持っていて……その中で、男らしいのと女らしいのに分かれてるの」
ほむら「……みんなフタナ――いやいや考えない事にしましょう」ブンブン
ほむら「ふむふむ……優勢遺伝子に寄る進化……?」
ほむら「なるほど、見た目が美しくなるような遺伝子が優先的に残ってしまうのね」
ほむら「模様でアピールする昆虫とかも多いし、妥当な進化なのかしらね」
ほむら「……ん?という事は、両性って事も合わせて――余り繁殖力が強くないって事かしら」フム
ほむら「確かに、この技術力なら種族単位の死亡率が減るはず。故にかしら」
ほむら「……ん?『純女性』?」
ほむら「……たまに普通の女が生まれるのね。男でない辺り、遺伝子の強さを感じるわ」
ほむら「インキュベーターは……」ゴソゴソ
ほむら「純女性だったわ。まぁ知っているのだけれど」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:30:04.25 ID:vYOWyMZAO<> ほむら「……なるほど、純女性は他人を強烈に引き付けるのね……数が少ないのも、それに拍車を掛けているのかしら」
ほむら「確かに……レイプしたらレイプされ返されるけど、唯一反撃がないから……いけないわね、思考回路がヤられてきたみたい」ハァ
ほむら「……」チラ
ベアト「……」クゥクゥ
ほむら「パジャマには触れるのに本体はすり抜けるって……」ホムゥ……
ほむら「因果に影響を与える事は出来ないって訳ね……厄介だわ」
ほむら「『観測されなかった事柄は、起こっていない』って事かしらね……シュレディンガー万々歳だわ」
ほむら「疲れた……寝ましょう」グゥ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:31:33.03 ID:vYOWyMZAO<> ――――朝、登校
ベアト「行ってくるよ」トテテ
ほむら「……」タタッ
ほむら「……人間と変わらないわね。あんまり」ホムッ
ベアト「はっはっ……待たせたね」タタタ……ピタッ
「おっ。今朝も早いな、ベアト」ヨッ
ベアト「おはよう、茜」ヤア
茜「相変わらずよそよそしいな。名前で呼んでくれよいい加減ー」ブーブー
ベアト「『陽子』より呼びやすいからね」バッサリ
茜「友人が冷たい……」ハウゥ……
茜「ま、いっか。行こ?」
ベアト「うん」
ほむら「(……でもフタナ――おっとっと)」ホムリ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:35:32.45 ID:vYOWyMZAO<> ――――学校、校門前。
茜「あ、そういやベアト……リボン変えた?」
ベアト「あぁ、うん。母がオシャレしろって煩くてね。変かい?」ファサッ
茜「いいんじゃない?」
ベアト「そうかな……ボクとしては少し派手じゃないかと思っていたんだけれど、キミが言うならそうだろう」テレリ
茜「何付けてもベアトなら似合うっつーの」
ベアト「ふふん」ドヤァ
茜「あ、今アタシの触れてはいけない琴線に触れたよアンタ――このぅ!」ガバッ
ベアト「わっ、アハハ、くすぐったいじゃないか、ハハッ――」ケラケラケラ
ほむら「……来る時間、間違えたかしら」ホム
ほむら「ん?」ホムン?
「ベアトちゃんだ!」
「ベアトちゃーん!」
「ベアトリクスさん……いつ見てもお美しい」
ほむら「あ、その他大勢に囲まれた」
ほむら「……美少女美少女美少女……正直自信を無くすわ。フタナ――なんだろうけど」ホムゥ……
ベアト「お早う、みんな」ニコ
茜「ほらほら教室に行けないだろ、退いた退いた」ワッサワッサ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:37:09.14 ID:vYOWyMZAO<> ――――授業中、静かな校内。図書室。
ほむら「…………」ペラ
ほむら「インキュベーターたちの技術は高いけれど、どの書物にも感情エネルギーの事なんて書かれていない」フム
ほむら「まだ発見されていない……と言う事かしら。長居になるのは嫌ね」コトン
ほむら「……地理。これは都合良いわね」ペラ
ほむら「――これが、インキュベーターの星?」
ほむら「(形が、寸分違わず地球だわ……大陸の形も同じ)」
ほむら「……どういう事?ただの偶然――にして出来すぎね」
ほむら「地球を作り替えた?……インキュベーターが?」
ほむら「謎は深まるばかりね……ここは日本に当たる場所みたい」
ほむら「――言語までそっくり」ワオ
ほむら「私たちは悉くインキュベーターの模倣だったのねぇ」フムフム
ほむら「……しかし社会の仕組みは私たちと大きく変わらない。いや、故にかしら」
ほむら「……まるで人間みたい」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:38:48.38 ID:vYOWyMZAO<> ――――ほうかごっ!
ベアト「ようやく終わったね……」ノビー
茜「こらこら、そんなはしたない事しないの。可愛い女の子なんだから」メッ
ベアト「余計なお世話さ。ボクは男の方が良かったよ」ハァ
茜「付いてないだけじゃん。気にしない気にしない」アハハー
ベアト「バッ、公衆の面前で何を言っているんだいキミは!?キミの方がよっぽどはしたないよっ」カァァッ
茜「ジャパニーズジョークっすよ、独逸の人にゃ伝わらぬかー」テヘッ
ベアト「そんな日本のジョークは聞いた事も無いよ……しかもドイツよりこっちのが長いしボク」ハァ
ワイワイガヤガヤ
茜「おっ、早く帰らないとヤバいんじゃん?」
ベアト「うぐ」ギクッ
茜「ファンクラブが集まってきたみたい……よっ、ニクいねっ!」アッパレ!
ベアト「何時でも変わってあげたい所さ……ハァ」
ほむら「どこー、キュゥべえどこー!?」キョロキョロアセアセ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/26(月) 23:41:01.23 ID:vYOWyMZAO<> ――――ファンクラブは撒きました。
ベアト「きゅっ、ぷいー……久しぶりに走った様な気がするよ」ハァハァ
茜「ベアトはギャグマンガの主人公になれる素質があると思う」ケラケラ
ベアト「『実はファンクラブのみんなは一回刺されただけで死ぬぞー!』みたいな感じかい?」ヤレヤレ
茜「その一回は普通致命傷だからね?当たり前だからね?」ネ?
ほむら「…………」ゼェゼェ
茜「――っと、んじゃアタシはこっちだし。またね」
ベアト「うん。バイバイ」フリフリ
茜「ん」テクテク
ベアト「……さてと、ボクも早く帰ろうかな」トテトテ
ほむら「…………」
ほむら「(……驚く程感情に溢れているわ。インキュベーターは嘘を吐いていたのね)」
ほむら「ん……待って。このインキュベーターは魔法少女ではない……って事は?」
ほむら「これから魔法少女になるのよね……多分。とすれば、インキュベーターにとってのキュゥべえが現れなければならない筈……」
ほむら「ソレとも別の形で……?下手に未来を知っているのも厄介ね」ホムゥ
ほむら「……こんな日常を享受していたのね。幸せそうで羨ましいわ」ホム <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/09/26(月) 23:41:30.67 ID:vYOWyMZAO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/26(月) 23:43:35.62 ID:L63Mb0vfo<> お疲れ様でした。
・・・・・・うーむ・・・・・・なるほど・・・・・・・。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/26(月) 23:44:18.96 ID:olaFKKLAO<> ふたなり星か… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/09/26(月) 23:59:47.93 ID:fZ8EgzCc0<> ま…ま…まさか、まさか………インキュベーターが人間に似ているのではなく……インキュベーターこそがっ!? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)<>sage<>2011/09/27(火) 00:26:56.72 ID:uIKuvLD4o<> 俺が、俺たちがインキュベーターd <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/27(火) 00:46:57.23 ID:QiC+Qjhs0<> 優勢遺伝子は造語でいいのかな? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/09/27(火) 00:49:36.70 ID:spWbqizAO<> まじかよ俺ちょっとレイプされてくるわ <>
名無しNIPPER<>sage<>2011/09/27(火) 03:04:09.25 ID:NH7F7PkAO<> 乙ー
そうきたかー <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/27(火) 10:16:24.97 ID:+kNiweqAO<> じわりじわり行くよ。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/27(火) 10:19:55.60 ID:+kNiweqAO<> ――――日常の断片。幸せのベアトリクス。
ベアト「むむむ……」タラタラ
教師「ちょっと難しかったかな。誰かこの問題分かるか?」
茜「(ドンマイ)」
――――
ベアト「子供の頃にやった記憶があるよ。手を回して『パン工場〜』って……」キャイキャイ
茜「え……」
女「いや無いよ。それは無いよ」
ベアト「二回言った!?」ガビンッ
――――
ベアト「お弁当作ってきたよ」
茜「者共、群がれー!」
男1「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
男2「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
男3「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ベアト「なにこれこわい」
ほむら「(『男』も美少女よ?)」ホム
――――
ベアト「もむもむもふっ」カリカリカリ
茜「(メロンパン食ってる……)」
女「あぁ……これが『萌え』なのね」ブワッ
男「貝になりたいね」
――――
ハンネ「むむぅ……」ガックリ
ベアト「姉より優れた妹などいない事の証明だね」エヘンッ
ハンネ「ルークしか無い……ポーンすら全滅って……」
ベアト「ナイトはしっかり使わなきゃダメだよ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/27(火) 10:21:13.66 ID:+kNiweqAO<> ――――そして非日常へ。
ベアト「ごちそうさまでした、と」パンッ
ハンネ「今日の晩ごはんも美味しかったよ、お姉ちゃん」ニパッ
母「いつもゴメンね。助かってるわー」
ベアト「構わないよ。好きでやっているしね」カチャカチャ
ほむら「……平和過ぎるわね。堪能してる分、こっちは何も言えないけど」シーハー
父「……お、これは凄いんじゃないか。みんな、テレビ見てみろ」オォ
ベアト「?……どうしたの父さん」
ハンネ「……エネルギー?良く分からないや」?
父「精研……精神エネルギー研究グループが新型の技術開発に成功したみたいだな……」マジマジ
母「それって確か、テレビで話題のオカルト集団じゃない」フン
父「いやいや母さん。彼らはそのオカルトを科学しているんだよ。僕らもエンジニアとしては学ぶ所が多い」フムフム
ほむら「――、――っ」
ベアト「えーと何々……『精神エネルギー研究グループは、先日魂の固着化に成功』」
ベアト「『固着化されたソレを便宜的にソウルジェムと名付けた』」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/27(火) 10:23:04.04 ID:+kNiweqAO<> ベアト「『ソウルジェムは発生の際、非常に巨大なエネルギーを発生させる』」
ベアト「『これによって』……?」
父「『これによって、無数に存在したであろう他の世界線と情報伝達、因果の書き換えを可能とした』」
父「『これがもたらすのは、願望の実現である。その願望が実現している世界から、その情報を抜き取り、現実に対応した形で上書きする』」
ハンネ「???」
父「タイム理論は難しいからね。つまり、この世界はたくさん存在している可能性があるって事さ」
母「んー……もっと噛み砕いて?」
父「例えば、母さんは今日洗濯したかい?」
母「いや、今日は雨が降りそうだったからしていないわ」
父「うん。でも降らなかったね。ここで可能性として、もしかしたら降らないかもしれないと思って、洗濯物を干した母さんのいる世界が構築されるんだ」
ベアト「なるほど……つまり、このソウルジェムって言うのを使えば、干し損ねた洗濯物を干し終わった状態に出来るんだね」
母「え、お母さんショボい」ショボン
ハンネ「ショボくないよっ」ギュー
母「ありがとー」モギュー <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/27(火) 10:23:46.78 ID:+kNiweqAO<> ベアト「凄い技術だね……ん、『なお、その際叶えられる願望にも限界がある』」
ベアト「『多数の人間に影響を与える可能性のあった者は、そうでない者より因果の増幅が見られる』」
父「将来大人物になりそうな人程、大きな願いが叶えられるって事だろうね」
ベアト「なんだ、それじゃボクなんかが願っても意味が無いじゃないか」ハァ
父「いやいや、自分に自信を持つべきだよ。ベアトリクスはこの父さんの娘なのだからね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/27(火) 10:25:29.15 ID:+kNiweqAO<> ベアト「『願望を叶える力の事を、便宜的に因果力と名付けた』」
ベアト「『因果力の測定は精神エネルギー研究グループが既に確立させた技術である』」
ベアト「『政府は因果力の高い人間を求めている』……」
父「……成る程。大きな願望が叶えられる人を探して、奇跡を起こすんだね」
ベアト「奇跡?」
父「技術革命だって奇跡だし、中東の方の戦争が無くなっても奇跡だろう?――これは世の中が変わるぞ」ワクワク
ベアト「ふーん……『因果力の高い人間が、国の要求する願望を実現した場合は、生活面での一生涯の保障を約束する』」
ベアト「『第一被験者――』?」
TV「では、実際スタジオに起こし頂きました――明智十兵衛武政さんです」
ベアト「わぁ、カッコイイ人だな」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/27(火) 10:26:35.67 ID:+kNiweqAO<> 司会『十兵衛さんは代々軍の家系で、――大名の子孫となります。素晴らしい家系ですね』
十兵衛『いや、ま、七光りだけどな』ハハ
司会『で、願いは何を?』
十兵衛『最強になる、だな』
司会『最強……ですか?』
十兵衛『願いには大別して二種類ある。『概念系』の願いと『物質系』の願い』
十兵衛『物質系の願いは簡単で『〜〜が欲しい』とか、そんな感じの願い。まぁ、願えば大抵思った通りに叶う』
十兵衛『それに比べて概念系の願いは何が叶うか正確に分からない分、強力な願いになる可能性があるからな』
十兵衛『俺の願いは概念系って訳さ』
司会『成る程、では次の質問――』
ベアト「へぇ……難しいんだね」
父「みたいだね。『なお、副産物として願いに応じた小さな情報書き換えを行える』」
父「『ある程度エントロピーの減少を無視しているので、熱力学の法則が覆る可能性がある』」
ベアト「『無から有を生み出す、これを精神エネルギー研究グループは『魔法』と呼び――』」
ほむら「対象者を『魔法少女』と名付けた――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/27(火) 10:28:00.68 ID:+kNiweqAO<> 投下終了
造語に気を付けて。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 10:29:44.74 ID:jHYof+IUo<> おいおい急展開すぎるぞ>>1乙最高 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/27(火) 11:35:53.08 ID:GhX2sWbAO<> 何という超展開 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 14:09:00.24 ID:pTatg9XJ0<> 自然選択の事を言いたいんだろうけど優性遺伝とごっちゃになって誤字ったんじゃない?
3つ掛け持ちして2つ放置するならあっちの2つ落としてここに集中してみたら? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/27(火) 14:39:42.50 ID:uAqhI8p/o<> 他の世界から望む物を掠め取る技術か…怖いな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 15:02:32.44 ID:/ftisJ6IO<> >>87
まあ、もちつけwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 15:30:41.78 ID:hNluPeyDO<> ほむほむさりげなく痴漢すんなw <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 16:51:38.78 ID:pTatg9XJ0<> 某スレで「同時にスレ立てて書くのは俺には無理」的なことを言ってた
>>1の発言って特徴的だから見てるスレが被るとすぐわかる
ただでさえ放置癖があるのに掛け持ちして全部放置とか洒落にならない <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2011/09/27(火) 16:54:38.16 ID:TrQ+jjuc0<> 乙ー
優勢遺伝はMGSと同じ解釈でいいか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/27(火) 17:40:15.15 ID:bFy9P3RAO<> 魔法少女って科学の力でつくってたのか… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)<>sage<>2011/09/27(火) 19:17:48.45 ID:LsGlg63Ko<> 昨日から過去ログ読み直してたんだが、ちょうど前編終了して
幕間の回想部分読んだところだったから鳥肌たった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/27(火) 20:55:37.35 ID:EWKKgosso<> お疲れ様でした <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 11:56:11.87 ID:UEs4PYZAO<> あわわ、誰が見てるか分からないね。確かに自分も言えたもんじゃなかったよ。
でもアレ落ちたら泣くから堪忍して下さい。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 11:57:06.64 ID:UEs4PYZAO<> ――――侵食
ベアト「お早う」ヤァ
茜「よ」ヨッ
ベアト「昨日の速報見たかい?」
茜「うん。何か凄いよね、願いが叶うって」ホー
ベアト「うーん……ボクは特に叶えたい願いも無いんだけれどなぁ」
茜「ま、私ら庶民には関係無いってね」タハハ
ほむら「(……しかし、魔法少女になってしまえば魔女化が付きまとう)」
ほむら「……構造の欠陥から、私たちをモルモットにしたのかしら」ホムム <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 11:58:32.42 ID:UEs4PYZAO<> ――――学校、昼休み
ベアト「ごちそうさま。今日のおかずはちょっと失敗しちゃったな……」アリャ
茜「弁当のおかずに求めるレベルを遥かに越えてると思うけどね」モグモグ
ピンポーン
ベアト「昼放送?珍しいね」ン?
放送『政府からの重大な発表があります。黒板のモニタシステムを起動して、テレビ回線に切り替えて下さい』
茜「ん?なんだなんだ?」カタッ
パチパチ、カチッ
ブウンッ
茜「付けたけど……おい、みんな見てみろ!」
「なんだ?」
「どしたの?」
ベアト「……魔法少女の話なのかな?」
ほむら「何ですって……?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 11:59:50.42 ID:UEs4PYZAO<> ――――画面の向こうの魔女たち。
司会「――ハイ。皆さま方、本日は大変重大な発表がございます!」ニカッ
司会「先ずはゲストの紹介です!願望実現システムを開発した、精神エネルギー研究グループの皆さんです!」バッ
「マイクを……ありがとうございます」パシッ
「これをご覧になられている皆さま、日々良き人生を過ごしておられるでしょうか」
渚「私、渚響と申します。精神エネルギー研究グループのリーダー、させていただいております」ペコッ
渚「我々は先日世界に願望実現システムの開発を発信致しました」
渚「と同時に、全国で『因果力』の大きい人物の創作を開始すると申し上げもしました」
渚「だがしかし、それは杞憂に終わったのです」
渚「『因果力』の説明は後ほどあるでしょうが、こちらは対象になるべき者を既に把握しております」
渚「そも『因果力』が強大になるための条件は二つです」ピッピッ
渚「『年齢』と『如何にその人間が多数に影響を与えるか』」
渚「年齢は単純なモノです。若ければ若い程良い」
渚「若い人には未来がある。その未来の可能性の分だけ因果力は膨れ上がります」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 12:02:10.13 ID:UEs4PYZAO<> 渚「しかし、若すぎてもいけません。赤子などになると可能性が分岐する以前の問題になりますから」
渚「こちらは大体14〜18までの若者となりますね」
渚「世界中の対象者を探すにしても、条件としては広すぎて……我々も手をこまねいていました」
渚「――しかし、そこで二番目の条件が我々に光を与えました」
渚「そう――我々ほど世界に影響を与えた者たちはいない!……私たちの因果力は絶大でした」
渚「私たちは国からの庇護を約束され、各員それぞれが願いました。みな、出番だ」
「は、はいっ!わ、私の願いは『強大な因果力を持った人のデータの収集』ですっ!」
「わたくしの願いは『世界中の人々に、願望実現システムが与えられますように』です」
「俺――いや、わ、わたくしめの願いは『システムの迅速な普及』であります!」
「俺の願いは『戦争の根絶』……この世界に神はいない――が、俺と、仲間と、画面の前の貴様がいる!」
「僕の願いは『技術革命』です」
「私の願いは『医療の発展』ですぅー」
渚「と言う訳でございます。他にも多数願わせて頂きましたが、それは後ほどの資料をご覧下さい」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 12:03:06.68 ID:UEs4PYZAO<> 渚「役所へ行けば、自分が対象者かどうか分かるようになっています。また、その際対象者でない方には『願望器』を差し上げる事になっております」
渚「おい」
「はいです。このぬいぐるみはメンバー秀逸のデザインです。これが願望器の役割を持つです」
「このぬいぐるみに願いを言って、その願いが可能ならば『それはキミの魂を懸けるに値するのかい?』って喋るです」
「ダメだったら『申し訳ないが、キミの素質では……』とお茶を濁すです」
「前者の質問に肯定を返せば成功です。願望器は捨てていただいて結構です」
「……ぬいぐるみが可愛いのは趣味です」
渚「――と言う訳です。それでは世界中の皆さん、良き魔法少女ライフを!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 12:05:50.28 ID:UEs4PYZAO<> ――――教室
ベアト「へぇ、凄いね」
茜「――早く行かなきゃ」フラ
「そうだな」ユラ
「行こう」ガラッ
ベアト「えっ、みんな……授業は?」ビクッ
放送『本日の午後は休校になりました。生徒先生の皆さんは役場へと向かいましょう』
ほむら「昨日の今日で――」クッ
ほむら「――軽々しく願うからこうなる!」
ほむら「――しかし、このままでは……ヘタに性別が統一されている分、全滅も有り得るわ」
ほむら「……私には何も出来ない。とりあえずはキュゥべえに着いていきましょう」
ベアト「待ってよ、ボクも行くからさ――」タタッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 12:07:03.38 ID:UEs4PYZAO<> ――――ごった返す役所
ほむら「狭い……」ホムギュッ
ベアト「お父さん?お母さん、ハンネまで」
父「急に仕事が休みになってね」ハハ
母「テレビを見たのよ」
ハンネ「多分お姉ちゃんと理由一緒だよっ」
ベアト「もう貰ったのかい?」
ハンネ「うん、これっ」バッ
ぬいぐるみ「きゅっぷい!」
ほむら「……モロにインキュベーターじゃない。なんだか懐かしいわ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 12:08:17.35 ID:UEs4PYZAO<> ――――その日の夜。世界中が書き換えられる夜。
父「ベアトリクスは何をお願いするんだい?」
ベアト「うーん……どうしようか」ウムム
母「別に私たち、恵まれてない訳じゃないものね」
ハンネ「私は――お菓子食べ放題なんてどうかな?」キラキラ
父「こらこら、一度しかない願いなんだからもっと大事に使いなさい」メッ
ハンネ「はーい……じゃあ何にしよう?」ウーン
父「私は決めてあるよ。『家族を守れる強い父でありたい』……どうかな?」
ぬいぐるみ「それはキミの魂を懸けるに値するのかい?」
父「よしよし、大丈夫みたいだ。もちろんだよ」フウ
ぬいぐるみ「キミの願いはエントロピーを凌駕した!」パァッ
父「くっ……ふう、これがソウルジェムか。綺麗なモノだ」シゲシゲ
母「じゃあ私は『子供達を幸せに出来る母でありたい』……かな?」ウフフ
ぬいぐるみ「それはキミの魂を懸けるに値するのかい?」
母「当たり前よ」
ぬいぐるみ「キミの願いはエントロピーを凌駕した!」パァッ
母「ワオ、パパのとは色違いね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 12:09:31.28 ID:UEs4PYZAO<> ベアト「……じゃボクは――『誰も不幸になら『無』い世界』を望むかな」
ぬいぐるみ「それはキミの魂を懸けるに値するのかい?」
ベアト「うん」コクリ
「キミの願いはエントロピーを凌駕した!」パァッ
ハンネ「んーと、『家族みんなずっと一緒』!」
ぬいぐるみ「それはキミの魂を懸けるに値するのかい?」
ハンネ「とーぜんっ」ドヤッ
ぬいぐるみ「キミの願いはエントロピーを凌駕した!」パァッ
父「まぁ、こうなると思っていたよ」ニッコリ
ベアト「特にお願いなんて無いしね……」
母「私の願いは既に叶っているしねー」
ハンネ「?」
母「家族みんなが健やかに。それが一番だから、ね」ニコ
ハハハハ――
ほむら「…………」
ほむら「……とても見ていられないわ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/28(水) 12:10:02.39 ID:UEs4PYZAO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/28(水) 12:12:07.44 ID:XEWa4iCDO<> 乙!!
なんというヒキの巧さ・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)<>sage<>2011/09/28(水) 12:25:52.14 ID:mwUAagvAO<> 乙
おいせっちゃん何やってんだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/28(水) 13:59:44.69 ID:NuBtr7jG0<> 書く書く落ちたら泣く堪忍してっていって何ヶ月だよ。生存報告のみして全然手をつけてないだろ?
一つ完結したらまたスレ立てて放置するんだろ?全部とは言わないけど責任持てないなら落とせよ。
前から常に2,3個掛け持ちして放置する癖あるだろ。動機が違うだけでやってる事が乱立魔と同じだぜ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/28(水) 15:02:51.26 ID:Hi2EOdoIO<> 乙!
続きが楽しみだC <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/28(水) 15:31:29.51 ID:X8rSEmFPo<> 乙〜 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/28(水) 15:41:07.70 ID:oyR4NOoIO<> 乙乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/28(水) 17:40:50.39 ID:VUXlkEqAO<> 乙でした <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/28(水) 17:59:51.84 ID:xt2zPUgoo<> この板って管理スレッドってあるの?
なんか粘着してくる奴を通報したいんだけど <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/28(水) 18:18:37.85 ID:se+vKxF5o<> 自治スレ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/09/28(水) 18:36:34.04 ID:Gc1rLmrDo<> ソラン・イブラヒムさんが紛れ込んでる件についてw
乙! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/09/28(水) 20:37:26.71 ID:OfZhIw/l0<> …ほむらと一緒だ(TT)。この後どうなるかを考えると、とても見ていられん。この連中がどうなったかを考えると……なんというブーメラン。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)<>sage<>2011/09/28(水) 22:19:38.23 ID:RvyT81XUo<> 乙です。
なんか星バーーーローーのショートショートを読んでるような気分になったな。
変だな、確かバカエロ(ry <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)<>sagesaga<>2011/09/28(水) 22:21:03.82 ID:RvyT81XUo<> くそ、星新一って書いたのになんでバーローになるんだよw <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)<>sage<>2011/09/28(水) 23:44:55.84 ID:Zs+wbouO0<> 星バーーーローー吹いたw <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 00:54:50.87 ID:bo/v1O5AO<> ぐうの音も出ない正論過ぎて正しく仰る通り……
でも一つずつ終わらせようとしてるんだ。それだけはホントだよ。
一番早く終わりそうなコレを片付けてるだけなんだ。
こないだスレ落ちして凄く反省したんだよ。
立てたいネタは沢山あるけど、今ある分が終わるまでは立てないつもりでいます。
なのでスピードを上げて、
投下開始! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/29(木) 00:56:09.78 ID:8LFuoeG1o<> >>121
荒らしたいだけの奴に構う必要なないですぜ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 00:57:22.81 ID:bo/v1O5AO<> ――――魔法少女の日常。断片。
ベアト「あれ?お父さん仕事は?」
父「実は機械技術が急発展してね。仕事は全て機械がやれる様になってしまったんだ」
ハンネ「点検は?」
父「点検をやるロボットがいるんだ……仕事をしなくて良いのは有り難いんだけど、ね」
ほむら「食いっぱぐれるのではないの?」
――――
ベアト「貨幣制度の撤廃だって!?」ビックリ
母「だって全部機械でやるのだから、私たちは何もしなくていいでしょう?」
母「バイオテクノロジーも発展したようだし、食料にも困らないわ」
父「争う原因が無くなってしまったんだねぇ」〜♪
ハンネ「パパギターうまーい!」キャッキャッ
父「昔取った杵柄さ」ドヤッ
ほむら「原始に返っているような気がするわ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 00:59:24.57 ID:bo/v1O5AO<> ――――
ベアト「人間は趣味に没頭出来て良いね……」フゥ……
茜「でも学校はあるよ」グデー
ベアト「まぁ最低限の学は必要だろうしね。全く、大人より子供が大変だなんて」ハァ
茜「そだね」ハァ
ベアト「ところで、茜は何を願ったんだい?」
茜「アタシ?アタシは……恥ずかしいんだけど、言わなきゃダメ?」モジモジ
ベアト「ボクはキミに教えたのだけれどね」チラ
茜「あー、うー……あのさ、私男型じゃん?」
ベアト「うん」
茜「ちょっとばかし括れがイマイチだから『スレンダーになりたい』って……」カァ
ベアト「――ハハッ、それは茜らしいや!」ケラケラ
茜「わ、笑ってられるのも今の内だけなんだから!ほら見ろ!目に焼き付けろアタシの括れをな!」バサッ
ベアト「――なんと」
茜「…………どうよ」
ベアト「これは――なんと言うか――魔的だね。いや、美しいよ」サワッ
茜「ひうんっ!?」ビクッ
ベアト「ふむ――ふむ……」ツツ、フニッ
茜「あ――はっ――くぅ――」ピクンッ
ベアト「いや、素晴らしいよ」タンノウ
茜「そ、そりゃどうもぉ!」カァァッ!
ほむら「…………ほむほむしそうだわ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 01:00:53.47 ID:bo/v1O5AO<> ――――
ベアト「先生、何でまだ教師してるんですか?」
教師「趣味だ」
教師「若い子を育て、良き考えを持った人になってもらうのが先生の生き甲斐なのさ」キリッ
茜「本音は?」
教師「ぶっちゃけヒマだから」ダルン
生徒一同「台無しだよ!?」ガビーン!?
ほむら「台無しよ……」ホムン
――――
ベアト「お母さんも仕事しなくてよくなったから、ご飯作らなくなっちゃったよ」
母「家事をやってくれるロボットもいるらしいけど、そこくらい母をやらせてほしいわ」アハハ
ハンネ「ママのゴハン大好き!」ギュー
母「ありがとー」ムギュー
父「父さんも家事をバリバリ手伝うぞー」バリバリー
ベアト「やめて!」
ほむら「やめなさい!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 01:02:34.41 ID:bo/v1O5AO<> ――――そして来たる未来。
ベアト「おはよ、みんな……」ネムネム
父「お早う、ベアトリクス。ベアトリクスも気を付けなければいけないよ」クイッ
ベアト「何?テレビ……?」
父「家を出てすぐに気絶する人が増えているみたいなんだ。原因はソウルジェムらしいけど」
ベアト「なになに……ソウルジェムから身体が遠ざかると、体調を崩します?」
ベアト「常に持ち歩いておきましょう……指輪やネックレスに変化させる事も出来ます?」
ベアト「物騒だね。ボクは持ち歩いていたから大丈夫だったけれど」ワァ
父「最初の頃はみんなそうさ。だけどもう慣れてきてしまったんだろうね」
ベアト「ボクは……これでいいかな?」パァッ
母「あら、チョーカー?可愛らしいわね」アラアラウフフ
ベアト「カッコイイって言ってもらえる方が嬉しいのだけれどね」テレリ
ハンネ「おはよー……」ネムネム
父「ハンネも気を付ける――」
ほむら「……情報規制が入っているわね。一体どうなってしまうの……?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 01:04:33.27 ID:bo/v1O5AO<> ――――学校、ホームルーム
ベアト「勉強にも意味を見いだせなくなってきたよ……」っぷい
茜「意味がある事の方が、世の中少ないもんさ」ハハ
ほむら「……研究グループはもう気付いているのでしょうね。ソウルジェムの欠陥に――ん?」ホム?
「ちょっと失礼して宜しいかな?」カタッ
茜「はい?……誰だお前?」
「やっぱり拙者が誰だか分からぬでごさるな、拙者大勝利でござる!デュフッ、デュフフッ!」ニタニタ
ベアト「もしかして……杏奈さん?」
杏奈「!!気付かれたでござるか!拙者大変驚きでござる、フォカヌポゥ!」フォカヌポゥ!
茜「……あー、あの隅っこの地味子か」ポンッ
杏奈「『もう』地味子じゃないのでござる!拙者の名は杏奈唯でござるよ!」プンプンッ
ベアト「『もう』?」
杏奈「拙者願ったのでござるよ。『美人になりたい』と――ほら、美人でござろう!」ドヤッ
茜「……ふむ。ベアトにケンカを売るとは2光年速いな」ニヤリ
ベアト「キミはニビシティでボーイスカウトをやるべきだよ、茜」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 01:07:17.07 ID:bo/v1O5AO<> 茜「ベアト」
ベアト「オーケーだ」
杏奈「む?」
茜「黒髪ロング」
杏奈「如何にも」
ベアト「巨乳」
杏奈「イエス」
茜「肉付きの良い尻」
杏奈「その通り」
ベアト「太もも」
杏奈「自慢でござる」
茜「ムチムチ系だな……ベアトとは違った意味で美人、ってかエロいわお前」ズバッ
杏奈「な、なんですと!?」フォカヌポゥッ!?
ベアト「……っていうか、多分あんまり前と変わってないと思うのだけれど」
杏奈「いえ、拙者は変わったのでござる。憧れのベアトリクス殿にこうやって話しかける自信が持てた――ヤバいニヤけてきたでござるるる」ピィィィィィ――
茜「落ち着け地味」
杏奈「せめて人間扱いして下され!?」エフッ
ベアト「具体的に変わった事って?」
杏奈「メガネをコンタクトに代えたでござる」キリッ
茜「……それ、願い関係なくね?」
杏奈「――ヌポゥ!?」
ベアト「アハハ……よろしくね、杏奈」
杏奈「――っ、よ、よろひくおねふぁっす!」プルプル
茜「落ち着けコミュ障」
杏奈「こここコミュ障ちゃうわ!」ヌポゥ!
ほむら「新ジャンル『キモエロ』……」ホムゥ
ほむら「いやでも確かに、何かゴスっぽいミニスカからはみ出す肉がエロいのは分かるわ」
ほむら「身長高いし」ホム <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 01:09:14.49 ID:bo/v1O5AO<> ――――
ベアト「と言うか杏奈って最近来てなかったような覚えがあるんだけれど」っぷい
杏奈「あぁ、それは……何もやらなくて良くなったから日がな1日vipに潜ってたのさ」
茜「うわ、オタかよ」ヒキッ
杏奈「失礼な。ネットサーファーと呼びたまえよ」ムッ
ベアト「……喋り方変わった?」
杏奈「……実はさっきまでは緊張していて、つい母国語が出てしまったでござる。いや、実に失敬」タハハ
茜「わかりやすい奴だよな、お前」ヘェ
杏奈「ヌポゥ!?」
ほむら「良く見ると赤髪ショートのギャルギャルした茜もなかなかエロ――」
ほむら「……なんだか無くなってた煩悩が帰ってきているような気がするわ」ホム <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 01:10:42.69 ID:bo/v1O5AO<> ――――放課後、帰途。
ベアト「みんな用事でボク一人か……」テクテク
ガヤガヤ
ベアト「ん?何だか騒がしいぞ?」トコトコ
ほむら「これは――!?」
少女1「この――謝れよっ!!」ガキンッ!
少女2「アンタこそ!」バキンッ!
ベアト「魔法少女同士のケンカだ……ど、どうしよう――武器持ってるし、危ないよ……」オロオロ
ほむら「確かに容易に想像できるわ――って、キュゥべえ!?」
ベアト「や、止めるんだっ!」バッ
ほむら「せ、せめて変身しなさいっ!そこの奴らもやってるでしょ!」アセアセ
少女1「あぁ?」
少女2「関係『無』いのは黙ってろよ!」
ベアト「う……ダメだよ、戦うなんて危ないよっ!」ブルッ
少女1「退かないならオマエからだ――」ヒュンッ
ベアト「え――(剣?)」
ほむら「斬られる――っ!?」
キンッ!
「おいおい、危ねぇだろ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 01:12:12.20 ID:bo/v1O5AO<> 少女1「(止められた……)」
少女2「オマエも邪魔をする気か!」ブンッ!
ほむら「(槍を突いた――いや)」
バラッ
少女2「――槍が」
ほむら「(薙刀……かなりの業物ね)」
「あ、それ槍だったのか。てっきり薪かと思って割っちまったわ」ヘラヘラ
「で、まだやるかい?」ゴォッ――
少女1「……ちっ」ダッ
少女2「くそ、冷めた……」ダッ
「ふん、『最強』には程遠いな」
ベアト「あ、あ……」トサッ
「大丈夫か?」スッ
ベアト「う、うん。ありがとう」
ベアト「――アナタは」
「あ、俺?」
十兵衛「明智十兵衛武政、気軽に十兵衛って呼んでくれよ」ニッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/29(木) 01:17:30.56 ID:bo/v1O5AO<> 投下終了。
言い忘れてたけどQB=バカエロフラグだからね。
名前の読みだけ投下しとく。
ベアトリクス・クヴァンツ
ハンネ=ローレ・クヴァンツ
茜洋子(あかねようこ)
杏奈唯(あんなゆい)
渚響(なぎさひびき)
明智十兵衛武政(あけちじゅうべえたけまさ) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/29(木) 01:26:45.01 ID:aqqRXUaco<> 乙!JB△ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/09/29(木) 01:27:34.98 ID:bo/v1O5AO<> 書いて気付く名前の読みにくさとセンスの無さ。
これだからオリキャラに名前付けるの難しくて嫌なんだ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/29(木) 01:53:09.02 ID:8xwmky4Q0<> >>1
乙!
http://www.geocities.jp/mt_erech_ave/data.html
外人っぽい名前考えるならここが結構数もあって使いやすいぜ
>>122
>>109が本当かどうかは知らんけどルールとかマナーを指摘してる奴を荒らし認定してると
作者にも迷惑かけることになるぞ?(よく分からんが作者も認めてるみたいだし) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/29(木) 06:53:34.30 ID:X8lJ9H0Vo<> お疲れ様でした <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/29(木) 07:38:53.47 ID:zHiylhDIO<> みてるー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空)<>sage<>2011/09/29(木) 07:59:33.80 ID:2YMHuzHb0<> センスないってゆうけど、法則守ってる中で違和感無いからOKかと <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/29(木) 16:48:48.36 ID:iqOhAlbAO<> 同じ地域で同じ言葉を話してるのに名前が東洋風だったり西洋風だったりするのが不思議なんだけど、その辺も後に出てくるのかな? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/29(木) 17:25:30.30 ID:xSVKNtZd0<> >>139
QB一家はドイツからきたみたいなこと言ってなかったか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/29(木) 21:43:17.42 ID:iqOhAlbAO<> ホントだ書いてあったわw
普通に読み飛ばしてたっぽい <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/30(金) 23:50:17.83 ID:iONIh/uAO<> 日常フェイズに手を抜かない。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/30(金) 23:51:20.68 ID:iONIh/uAO<> ――――帰宅
ベアト「ただいまー……」ポケー
父「お帰り、ベアトリクス」
ベアト「分かったー」ポケー
父「……?」
ハンネ「お姉ちゃん、ゴハン食べる?」
ベアト「分かったー」トテトテ
母「む」ピキンッ
ほむら「無視して部屋行ったわよ……惚れた?」ホム
母「恋ね」キリッ
父「え、マジかい?」
母「マジよ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/30(金) 23:52:07.11 ID:iONIh/uAO<> ――――その夜、ほむら
ほむら「やはりインキュベーターは嘘を吐いていた」
ほむら「……だがしかし、インキュベーターは嘘を吐けない」
ほむら「どういう事……あのインキュベーターとこのインキュベーターは別物だというの?」
ほむら「しかし、有用な情報だわ」
ほむら「インキュベーターは感情エネルギーを加工する技術があったが、感情が無い為に人間に白羽の矢を立てた――これはダウト」
ほむら「よくよく考えれば、自分達で利用出来ないモノを開発する道理が無いわ」
ほむら「しかし……このままでは」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/30(金) 23:53:56.52 ID:iONIh/uAO<> ――――視点を俯瞰へと。とある研究所、十兵衛
十兵衛「渚さん、何か分かったか?」
渚「……魂を体内に戻すのは不可能、としか」
十兵衛「マジかよ……とんだ悪魔の発明だな、オイ」
渚「だがしかし画期的である事は間違いない――!」
十兵衛「うっかりソウルジェムが無くなっちまえば死ぬがな」
渚「くっ――」タジ
十兵衛「……ま、対策は出来るんだし。気にする程ではないと思うが」
渚「身につけていれば大丈夫……今はソウルジェムが原因で仮死する人もいない」
十兵衛「アンタんとこのデータバンクのお陰で大事にならずに済んだしな」
渚「彼女は人間よ、そんな言い方しないで」
十兵衛「さてな。アンタはこれを――ソウルジェムを見てもさ」
十兵衛「同じ事が言えるかい?」
渚「――っ」
十兵衛「言えないだろう?俺は言える」
十兵衛「俺は『最強』だからな」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/30(金) 23:55:47.45 ID:iONIh/uAO<> ――――休日。みんなで遊びに。
杏奈「久方ぶりに外に出たよ」ノビー
茜「運動しろオタク」
杏奈「オタクじゃない!」ガウッ
ベアト「…………」ボーッ
杏奈「……ベアトさんはずっとあんな調子だし」ハァ
茜「止めとけ。ベアトは高嶺の花だ、落ちた時は洒落にならんからね」ポムッ
杏奈「……うっせ、半年romってたんだよ。こっちはね」
杏奈「いや、ここはポイントを稼ぐでござる!ベアト殿!」タタッ
ベアト「……杏奈、どうしたんだい?」クル
杏奈「その方、何かお悩みのご様子。宜しければ拙者にお話し下され」ヌポゥ
ベアト「……ちょっと人を探していてね――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/09/30(金) 23:57:14.20 ID:iONIh/uAO<> ――――
杏奈「その人を探しているんだ」フム
ベアト「ちゃんとお礼を言えなかったしね」
茜「そんな奴なら噂になってそうだけど……」ムム
杏奈「特徴は?」
ベアト「長い黒髪をポニーテールにしていて、薙刀を持った黒い服の魔法少女」
杏奈「不審者じゃないですかやだー!?」ヤダー!?
茜「ま、それだけ奇抜ならすぐ見つかるんじゃないの?」タブン <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 00:01:54.49 ID:Hno0ikJAO<> ――――
茜「一時間前の自分を恨む」グッタリ
杏奈「全然手がかりが無い……」ハァ
ベアト「もうこの街にはいないのかもしれないね……」っぷい……
「――もし。もし、そこ行くお人ら」
ベアト「ん?」クルッ
「失礼致す。拙者、この御仁を探しているのですが……ご存知でござるか?」ペラッ
杏奈「な、仲間を見つけたでござるよ!」パアァッ
ベアト「この写真――十兵衛」ハッ
「ご存知でござるか!?」ガシッ
杏奈「ご存知も何も、拙者たちもこの者を探している最中でござる」フォカヌポゥ!
「これはまた奇遇な事でござるな……貴殿も侍の家系であらせられるのか?」
杏奈「……へ?」キョトン
「む、これは失礼仕った」キリ
四郎「某、早苗四郎正宗と申す者にござる。十兵衛殿と、この都に馳せ参じたのだが……」
茜「はぐれたって訳ね」
四郎「誠に情けない話でござるが、否とは申せないでござる」シュン
杏奈「うわー……ガチ士族かよ鬱だ死のう」ウワァ……
茜「死ねオタク」
杏奈「引き止めてよ!?」ガーンッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 00:03:14.44 ID:Hno0ikJAO<> ――――
ベアト「――という訳なんだよ」っぷい
四郎「十兵衛殿らしいでござる……」ハハ
茜「そっちは?」
四郎「十兵衛殿には些か放浪癖が有りもうしてな……」ハァ
杏奈「人は多い方が越したことはないよ。一緒に探した方がいいんじゃないかな」
四郎「……?」
杏奈「ゴメン、私武士でも何でもないの……止めてそんな目で見ないでぇぇぇ」ブンブン
四郎「?」
茜「コイツバカだから気にしないで」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 00:05:47.52 ID:Hno0ikJAO<> ――――探索中。急速に科学化した都市。
ベアト「キミも魔法少女?」
四郎「察しの通りでござる。と申すか……今世界中で魔法少女でない人間は居らぬでござる」
茜「……何故そんな事が言えるの?」
四郎「拙者は十兵衛殿の付き人でござる。故に、十兵衛殿を通して情報が耳に入るのでござる」
杏奈「付き人が付いてないって……」エー
四郎「耳が痛いでござる……」シュン
茜「ふーん……って、アレなんだろ?随分人が集まってるけど」ピッ
四郎「まさか……」ダッ
ベアト「あっ、待ってよ」タタッ
杏奈「人ごみ嫌いなんだけどなぁ……」
茜「良いから走れ引きこもり」グイグイ
杏奈「現在進行形でアウトドアしてますぅー!!」ズルズル <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 00:09:48.51 ID:Hno0ikJAO<> ――――人ごみ
キャーッキャーッ!
四郎「間違いない、十兵衛殿でござるな」
ベアト「何で分かるんだい?」
四郎「結構な有名人なのでござるよ。見た目も凛々しく有らせられますによって」
グイグイ
四郎「し、失礼仕ります――お通て下されー!」
「何よコイツ」
「割り込んでんじゃないわよ!」
十兵衛「――おぉ、四郎か!探したぞ?」ハハ
四郎「それは拙者の台詞でござるよっ!お探し申し上げました……」ホッ
十兵衛「手間を掛けた。いや、済まなかったな」
十兵衛「では、みんな生憎だが、用事があるんでな……またな!」ジャアナッ!
「はーいっ♪」
「またね十兵衛さまー!」
茜「……アイドル気取りかよ、バッカみてー」ケッ
杏奈「イケメン滅べ……あ、壁殴り代行ですか?3時間お願いします」モシモシ
ベアト「わぉ……」ポケー <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 00:11:20.36 ID:Hno0ikJAO<> 投下終了
四郎のしゃべり方ムズい。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2011/10/01(土) 00:12:52.19 ID:luedBnHao<> 乙!!
たしかに侍言葉は難しいwwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/01(土) 00:19:29.13 ID:y8gjiajz0<> 世界中が魔法少女だと……「まあ、何てことでしょう」
「これから、この惑星は全滅するッ!!」(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/01(土) 00:22:26.13 ID:6eZGXNzPo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/01(土) 00:24:03.82 ID:SPMBeTq8o<> ゆっくりおやすみなさい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/01(土) 00:25:40.17 ID:190fzwquo<> 四郎と書いてあるのを見るたびに伊東さんを思いだしてしまう <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/01(土) 00:27:24.86 ID:6B3QW0fxo<> 体はもふ毛でできている <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/01(土) 05:48:10.90 ID:VcRMfVvIO<> 士郎m……もとい四郎正宗と聞いて攻殻機動隊思い出したのは俺だけじゃないはず <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:33:06.33 ID:Hno0ikJAO<> そろそろじわじわ行くわ。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:34:43.78 ID:Hno0ikJAO<> ――――
十兵衛「いやー悪い悪い。のんびりしてたら人が集まってな」ハハハ
四郎「全く……」スッ
四郎「十兵衛殿」ボソ
十兵衛「……何かあったか?」
四郎「渚殿から、ソウルジェムについての経過報告でござる」
十兵衛「かーっ、親父がやりゃあいいのによ……『隠居したい』なんて願ってなけりゃ叩きだしてやる所だぜ」ヒソヒソ
ベアト「あっ、あのっ!」
十兵衛「ん……お前はあん時の」チラ
ベアト「こっ、この間は助けてくださり、ありゅ、ありがとうございましたっ」ペコー!
茜「(噛んだ……)」アーア
杏奈「――――そう言う意味かよ」ハッ
十兵衛「お、良いって良いって。気が向いただけだからな」ケラケラ
十兵衛「四郎、その件は急ぐか?」
四郎「火急を要するにござりまする」
十兵衛「そうか、じゃあ仕方ねぇな……よし」ガサゴソ
十兵衛「ここで会ったのも何かの縁だろ。端末のアドレス交換しようぜ」スッ
ベアト「えっ、へぇっ?」ドキンッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:36:14.27 ID:Hno0ikJAO<> 杏奈「いやいや待てよjk。会っていきなり、はいそーですかって訳には――」
ベアト「あ、はい――ボクの端末ですっ!」スッ
杏奈「ちょっ」ガーンッ……
十兵衛「お、サンキューな。ほら四郎も」ピピッ
四郎「拙者、未だにこれの使い方が分からぬでござるよ……」
十兵衛「んじゃ貸せ。時代に追い付けなきゃ、立派な侍にゃなれないぜ?」ピピッ
四郎「面目無い……」シュン
茜「……なぁ、アタシとも交換してよ。それから、アソコでプラトーンしてるバカも」ピッ
杏奈「プラトーンじゃない!」クワッ
茜「バカを否定してほしかったよアタシは」ヤレヤレ
十兵衛「おっ、良いぜ……完了だ」ピッ
十兵衛「……そうだ、お前ら――ソウルジェムに変わった事は無いか?」
ベアト「え……いや、特に無いけれど……無いですけど」カァ
茜「研究者か?」
十兵衛「俺か?いや、ソイツらの上司……小間使いって所だな」ハァ
杏奈「ソウルジェムねぇ――?」
杏奈「(色が変になってる……何これ封印解けた系?)」ン?
ほむら「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:37:51.48 ID:Hno0ikJAO<> ――――解散。杏奈宅
杏奈「イケメン死ね……チクショー」ボフッ
杏奈「やっぱアレかー……リア充とはオーラ力の差がでるよなー」
杏奈「向こう絶対ビルバインだわ。私じゃ頑張ってもボチューンが限界だわ」ウヘェ
杏奈「……あーもやもやする。こんな時はvipでクソスレ立てるに限るわー……ん?」カチカチッ
杏奈「何だこのスレ……『キモいモンスターやっつけたったった』?」カチッ
杏奈「……ハイハイワロスワロス。こんなん現実にあるわけないし」
杏奈「……え。何か体験談たくさんあるんだけど。こわー」
杏奈「……魔法で武器――防御服――へぇ、成る程。魔法少女って、みんな強くなってるのか」
杏奈「やってみよ」パァッ
杏奈「おおっ、憧れの黒ゴス!デュフフッ!」クルリ
杏奈「武器……武器?」ジャラッ
杏奈「えー、鎖とか無いわー……SMとか興味無いわー」ジャラリ
杏奈「でも……ちょっとカッコイイかも」ニヘラニヘラ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:38:24.46 ID:Hno0ikJAO<> ――――十兵衛サイド
渚「――と言う訳ね」
十兵衛「ソウルジェムに奇妙な濁りか……分かった。引き続き研究を頼む」
渚「後、気になる事が……」
十兵衛「何だ?」
渚「ウチの子、いるでしょ?」
十兵衛「……あぁ、データ収集の人か」
渚「えぇそう。あの子が最近ね、変だって」
十兵衛「何がだ?」
渚「……理解できる魔法少女のデータが、少なくなってきているって」
十兵衛「?……そりゃ日々誰か死んでるだろうから、それでだろ?」
渚「有り得ないの。魔法少女になった副次効果として、健康な身体と寿命の獲得は説明したでしょう?」
十兵衛「ま、確かに……なら原因は?」
渚「分からないから気になるって訳。要観察よ」ハァ
十兵衛「確かに気になるな……ま、頼むわ」
渚「貴方は?」
十兵衛「俺は現場主義者なんだ。悪いね」コツコツ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:39:41.09 ID:Hno0ikJAO<> ――――学校
ベアト「ハァ……」ポケー
茜「すっかり骨抜きね」
杏奈「うん……」ショボン
茜「……あー、なんだろ」ポリポリ
茜「あんなチャラ男に渡すくらいなら、アタシはアンタの方がいいと思うよ」ナデリ
杏奈「……マジレス?」ウルッ
茜「うん。アンタ、頑張ってるから、好きかな」
杏奈「え゛」
茜「そのキモい勘違いを止めれば更に」ハァ
杏奈「すんませんっした……よっし!!ベアト殿ー!!」ズダダダッ!
茜「……ばーか」クスッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:41:42.99 ID:Hno0ikJAO<> ベアト「どうしたんだい?」
杏奈「用事が無ければ話しかけてはならないでござるか?」ニパー
ベアト「そんな事はないけれど……」フゥ
杏奈「(とは言えコレは精神にクるモノが……こっちを見てほしいなぁ)」ズキズキ
茜「そういや、皆勤のアイツ来てねぇな……何か知らない?」
女「え?そうね……休むなんて珍しい子だし、どうしたのかしら?」
茜「病気かねぇ……」
ほむら「全く……っ!!?」バッ
ザワッ――――
ベアト「――なに?」
茜「何だ、ここ」
杏奈「――え、マジ?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:42:52.76 ID:Hno0ikJAO<> ――――奇妙な空間の中。怯える者達。
「何ここ……気味悪い」
「ひっ、何よコレ……」
クラスメイト達の困惑の声が聞こえてくる。
彼女達を包んだのは、不安定な空間。
彼女達は知らず、そして暁美ほむらは知っている空間。
ほむら「魔女の結界――やはり、遅かれ早かれこうなるのね」
物陰から、使い魔が這い出してきて、少女達を取り囲む。
ベアト「な、何?なんなんだいコレは!?」
茜「寄るな、あっちいけっ!」
だが、混乱するクラスの中、一人冷静な者がいた。
杏奈「(まず小さいのが来る……スレに書いてあった通りだ――なら!)」
茜「お、おいバカ何する気よ!?」
杏奈「落ち着けよ唯……怖がるな……私は変わったんだ……変わった。変わった――」
杏奈が指輪をソウルジェムへと戻し、クルリと一回転する。
其処には、漆黒のドレスを身に纏った魔法少女が顕現した。
長い鎖を手に、使い魔に立ち塞がる。
杏奈「……この後ろにデカいのがいるんだ。ソレを倒せば、この空間から外に出られる――」
ほむら「――ある程度は、知っているのね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:43:33.69 ID:Hno0ikJAO<> ベアト「あ、杏奈?」
怯えるベアトリクスを――
杏奈「下がってて」
自分の後ろへと。
使い魔「――――」
マネキンの様な使い魔たちが一斉に襲いかかってくる、が。
杏奈「怖くないっ!」
鎖を振り回し、鞭の様に叩き付けてソレを砕いていく。
ある程度接近された当たりで、鎖を頭上で振り回し出した。
手に鎖が巻き付き、籠手となる。
杏奈「あんまりスマートじゃないけど」
その右腕で、最後の一匹を殴り消した。
杏奈「……やれるモノだったんだ」
佇む彼女に、みな萎縮している。
茜「杏奈……?」
杏奈「みんな、行こう。早くここから出なきゃ」
振り返った時に見せた表情をみて、杏奈は思った。
あぁ――コレが彼女の本当なんだろう、と。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/01(土) 16:44:40.94 ID:Hno0ikJAO<> 投下終了。
割りとみんな流れの予想は付いてるみたいだね。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/01(土) 16:44:58.07 ID:6eZGXNzPo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/01(土) 16:46:09.02 ID:gjfFdjVDO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2011/10/01(土) 17:02:06.60 ID:luedBnHao<> 乙
しかし・・・自業自得とは言え、救われねぇのはかわいそうだねぇ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/01(土) 19:10:13.72 ID:y8gjiajz0<> 杏子の例と一緒なら、「願いの結果は、どんなに不自然でも、影響受けた連中にはフツーに受け入れられてしまう」
最初に、世界中に渡るような願いばかり連発したのが致命傷だったか。
同情の余地ありとは言え……その結果が、本編のあの救われない世界かorz <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/10/01(土) 23:12:38.99 ID:Hno0ikJAO<> >>168
致命的なミス
最後の杏奈→茜 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/02(日) 20:39:16.49 ID:Cv4C7xw90<> 乙です
結末がわかってるだけに救われないねえ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/03(月) 22:45:06.25 ID:+MSKZh5AO<> ――――魔女の結界、深奥
杏奈「――いた。親玉だ」
杏奈は鎖を前に構えて、魔女――今はその呼び名すら知らぬ――と対峙する。
ベアト「な、何アレ……」
茜「グロ……オマケにデカい」
魔女は空からノコギリを落としてきて、それを杏奈は鎖で叩き落としていった。
杏奈「うわっ――ヤられる……前に!」
杏奈が必死に願うと――虚空から現れた幾つもの鎖が魔女を縛り付ける。
杏奈「鎖縛(バインド)――」
それは魔女を逃がさない。
そして――
杏奈「粉砕(シャッター)!」
鎖が爆ぜて、魔女ごと粉々になった。
魔女は死に、結界は消えて――そこに一つの『種』が残った。
杏奈「……なんだコレ?」
ほむら「……グリーフシード、ね」
ほむらの呟きは、彼女らには届かない。
この先起こりうる絶望すら、伝える術がないのだから。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/03(月) 22:45:38.42 ID:+MSKZh5AO<> あ、投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/03(月) 22:47:17.80 ID:+MSKZh5AO<> ――――学校、校庭
杏奈「よーし、倒せたな」ホッ
杏奈「みんな、大丈夫だった?」クルッ
一同「」ザワ……ザワザワ……
杏奈「え、何これ拙者わけがわからないでござるよ……」ビク
茜「ま、何はともあれ助かっ――」
キャーッ!!!
ほむら「黄色い声ね、随分」
「すっごい!今のどうやったの?」キャイキャイ
「カッコイイ……」ポケー
杏奈「わっ、わっ……拙者特に何もアババババ……」アワワワ
茜「途端にこれだよ」ハァ
ベアト「……」ムム……
茜「どした?」
ベアト「あのお化けは何だったのだろうと思ってね……」
茜「確かに。何だかこう――」
茜「――嫌なモノを見せられた気分だ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/03(月) 22:48:06.00 ID:+MSKZh5AO<> ――――
杏奈「魔法の使い方は――」
「ふんふん」
「へぇ……そんな方法が……」
杏奈「コレでとりあえず身を守れる筈だよ」
杏奈「(何とか落ち着いて話せているでござるが……フォカヌポゥ……)」ビクビク
「……私、杏奈さんに守ってもらいたいなー、なんて」キュッ
「あっ、こらアンタ!ズルいよ!」グイグイ
杏奈「(根暗の私がこんなリア充な訳がない)」
ベアト「一躍ヒーローだね」ハハ
茜「まー、ねぇ」ケッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/03(月) 22:49:52.80 ID:+MSKZh5AO<> ――――淀む街
杏奈「――何だか様子が変だ」
学校は解散となり、帰る途中の道での発言だった。
茜「イヤな感じがそこら中を包んでる……」
魔法少女となった彼女たちが本能的に感じる、相反する者の存在。
ベアト「確かに――みんな、何か聞こえたよ!」
ベアトリクスが誰かの叫び声を聞き取る。
しかし、二人にはそんなモノを感じる事は出来ていない。
茜「……私には何も聞こえないけど?」
杏奈「――固有魔法かもしれない……ベアトさんはもしかしたら、遠くの人と話せる力があるのかも」
杏奈「何て言ってるの?」
ベアト「ま、待っていてくれないかな……」
ベアトリクスが小さな声に、必死に耳を傾ける。
強く、強く念じる――
『死にたくない――助けて!!』
ベアト「――誰かが助けを求めている!!向こうだよ!」
ベアトリクスが指差した方向には、確かに淀んだ空間が感じられた。
杏奈「……よし、行こう。誰かが助けを待っている」
三人が結界へと入っていく。
恐れは薄く、しかし想いは真っ直ぐに。
ほむら「(私たちはみんなテレパシーが出来ていたのに……?)」
ほむらも、それに続いた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/03(月) 22:50:46.13 ID:+MSKZh5AO<> ――――結界内
杏奈「どう、魔法は?」
杏奈が二人に問いかけた。
杏奈が鎖を魔法としたように、二人の手にも奇跡が握られていた。
茜にはレイピア。
如何にも普通の武器だったが、一方ベアトリクスの魔法は――その普通からかけ離れていた。
杏奈「歯車……?」
ベアトリクス「一応、盾にはなるみたいだ」
ベアトリクスの傍らに浮遊する、大小二つの歯車。
とても武器とは思えない異質なソレを、しかし彼女は心強いと感じた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/03(月) 22:53:07.11 ID:+MSKZh5AO<> ――――魔女。
使い魔を蹴散らして、彼女らは魔女の元へと辿り着いた。
その足元に、倒れる魔法少女を見る。
杏奈「茜、あの人を!」
茜「分かってるよっ」
茜がその魔法少女を抱えて後ろに下がった。
息はあるが、とても無事には見えない。
ベアト「ひっ、このっ!」
魔女が飛ばしてきた針を、歯車を盾にして遮るベアトリクス。
その僅かな時間で、杏奈は魔女を鎖で縛り付けた。
杏奈「鎖縛粉砕!」
巻き付いた鎖が破裂して、魔女に致命傷が刻まれる。
杏奈「茜は!?」
茜「いるよ」
安全な場所に魔法少女を置いてきた茜が、細剣で魔女を真っ二つにして――その魔女は消滅した。
グリーフシードが落ちてきて、杏奈はそれを拾った。
価値は、まだ知らない。
ホッとした三人に、異変。
――結界が、解けない。
見れば、先ほど魔法少女を避難させた物陰に、また魔女が現れていたのだ。
杏奈「――まさかお前!」
杏奈はその魔女に向かって、怒りをぶつける様に鎖を叩き付けた。
助けた魔法少女を――殺されたと、そう思ったから。
そして彼女は、その魔法少女を殺した。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/03(月) 22:54:52.37 ID:+MSKZh5AO<> 投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/10/03(月) 22:55:18.35 ID:hZ/by1r2o<> あちゃー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/03(月) 23:06:56.37 ID:Vc09eEiGo<> 乙
じわじわと迫ってくる絶望感がなんともたまらん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)<>sage<>2011/10/03(月) 23:16:31.31 ID:j1PZhl+Po<> 乙
絶望が見えていても、心がざわざわする <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/03(月) 23:29:00.43 ID:hAfYBHiI0<> 本編の異様な感じが蘇ってくる。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/03(月) 23:38:27.89 ID:+8RPim0Ro<> お疲れ様でした。
・・・・・起きたことはやり直せない。覆水盆に返らず。
切ないものですね・・・・・・・・。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/03(月) 23:53:08.47 ID:8SzfzEmv0<> ほむら「キュベレイ 〜THE DAWN OF THE DEAD」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/04(火) 01:03:45.61 ID:hATwlGWX0<> 乙。その先には絶望しかないのに、なんだろこの高翌揚感は <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県)<>sage<>2011/10/04(火) 17:20:52.91 ID:DvTSU1SIo<> 乙乙
そして魔女の正体を知ったら[ピーーー]こともできない、と
ラクーンシティはこうやって滅んでいったのかねぇ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/04(火) 20:29:31.78 ID:UP7NJWug0<> 乙
この絶望感…確かに本編を思い出すな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/05(水) 01:25:27.79 ID:p0e3fCbC0<> インキュベーターは、何も知らない子供を地獄に落とした。
だが、そのインキュベーター自身が、自分が人間だった事すら忘れてしまうほどの地獄に落ちていたとしたら……一体、誰に対して怒ればいいのだろう。
「教えてくれウーフェイ。俺は後何回、あの子犬と女の子を殺せばいいんだ?」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2011/10/05(水) 23:00:39.41 ID:h4vp11S/0<> 乙乙。
救いがないのになぜか求めようとする
そのうち誰かがマミさんみたく全員死ぬしかないーって言い出す流れになりそう <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/07(金) 00:30:21.66 ID:510SVDnAO<> ――――ベアトリクス宅
ベアト「……と言う訳なんだ。父さん達も気を付けて」
父「ふむ……なら、僕も魔法を練習してみるかな」
母「あら、私はもう使いこなしてるわよ」トントントン
ハンネ「わー……包丁が勝手に千切りしてるー……」ポカーン
父「気を付けなければいけないね……不思議とニュースにもならない」フム
父「何も無ければいいんだが……」
ほむら「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/07(金) 00:30:53.25 ID:510SVDnAO<> また投下開始忘れたよ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/07(金) 00:31:40.71 ID:510SVDnAO<> ――――学校。放課後
杏奈「……さてと、送るよベアトさん」カタッ
茜「私は送ってくれないんだ」ニヤニヤ
杏奈「……? 送るに決まってるだろ?」キョトン
茜「……あっそ」
ベアト「ありがとう。じゃあ、お願いしようかな」ニコ
杏奈「い、いつでも守るでござるからな!」ハ、ハハッ
茜「…………」ムゥ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/07(金) 00:32:33.35 ID:510SVDnAO<> ――――ベアトリクス、帰宅
ベアト「ありがとう、杏奈」
杏奈「あんまり外に出ない方がいいよ。まだ変な感じ、いくつかするし」
ベアト「分かっているよ」
杏奈「うん……じゃ、次は茜の家に行こうか」クル
茜「アタシは大丈夫だと思うんだけどなぁ……」
杏奈「何かあってからじゃ遅いだろう。ほら、行こ」グイッ
茜「あ、こら、手離せバカ」カァ
杏奈「だが断る。この後見回りもやる予定があるしね」スタスタ
茜「この……バーカバーカ!」ズルズル
ベアト「……すっかり仲良しだね」クス
ほむら「杏奈……彼女もまた、マミのような変わり種ね」ホム <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/07(金) 00:33:20.57 ID:510SVDnAO<> ――――家
ベアト「ただいま……って、誰もいないや」キョロキョロ
ベアト「……なんだか一人の方が怖いや」ブルッ
ベアト「……そうだ、ハンネだって危ないし――迎えに行こうかな」
ベアト「歯車……よし、出せる。お化けに出会っても逃げるくらいなら……」グッ
ベアト「大丈夫……杏奈だってお化けを倒して回ってるんだ。ボクにだって……」
ベアト「行こう」
ほむら「……止められないのがもどかしいわね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/07(金) 00:33:48.76 ID:510SVDnAO<> ――――ハンネの学校。不穏。
ベアト「このイヤな感じ……まさか」
背筋に薄ら寒いモノを感じながら、ベアトリクスは妹の通う学校に辿り着いた。
異様な気配を放つ校門を跨ぐと、そこは異世界。
ベアト「――お化けがいるんだね!」
ほむら「魔女の結界……」
ベアトリクスは確信を持って、敷地内へと入っていった。
妹を心配する余り、自分の身を省みずに。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/07(金) 00:35:38.93 ID:510SVDnAO<> ――――結界内
ベアト「ハンネー!いるのかい、いたら返事をしてくれないかー!」
結界を歩きながら、妹を探すベアトリクス。
だがしかし、生徒の一人すら見つける事が出来ない。
ベアト「……お化けを倒せば消えるんだろうけど、ボクには厳しいだろうし」
その時、目の前の壁が開いた。
まるで彼女を深く招き入れるように。
そこに、ハンネがいた。
ベアト「ハンネ!」
ハンネ「――お姉ちゃん!」
ほむら「バカ、罠よ!!」
ベアトリクスはハンネに駆け寄り、その身を抱き締めた。
幸い、ハンネに怪我は無く――そして不幸な事に、出口は閉じる。
ベアト「――なっ」
驚きすら、遅い。
気付けば彼女たちはマリオネットの群れに囲まれていた。
ほむら「なんて迂闊なの、キュゥべえは……」
ほむらの悪態も、彼女には聞こえない。
聞こえるのは死の足音だけ。
ベアト「あ……あぁ……」
後ずさるにも、回りをすっかり囲まれてしまって其れすら叶わない。
どうしよう。
どうしようどうしようどうしよう。
ハンネ「お姉ちゃん――!」
袖を引かれる感覚で、ベアトリクスは集中を取り戻した。
混乱している場合では、ない。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/07(金) 00:37:25.33 ID:510SVDnAO<> マリオネットが一斉に飛び掛かってきた。
到底、捌ききれない数が、だ。
ベアトリクスは遮二無二、歯車に向かって力を加えた。
頭に浮かんだ言葉――祈りを、強く叫ぶ。
ベアト「ヴァルプルギス・ナハト!」
大きい歯車に重なる様にして、小さい歯車が噛み合った。
そして、敵対する者から――『敵対』を奪う。
ほむら「――へぇ」
彼女の祈りは『誰も不幸にならない世界』。
彼女の介する場所で、不幸を振りかざすのは赦されない――
マリオネットらに戦意はある。殺意もある。
だが、『戦えない』。『傷付けられない』のだ。
ベアト「や、やった……?」
ベアトリクスは回りを見て安心し、そして回りを見て焦った。
――勝てない。
戦う事を止めるのは可能だが、それは勝ちには繋がらない。
ハンネ「お姉ちゃん――!」
怖がる妹の声が、彼女の思考を掻き乱した。
逃げようにも囲まれてしまっていて、彼女を囲むマリオネットの輪は徐々に狭まって来ている。
ベアト「――いやだ、寄るなっ!」
そう叫んで――そしてマリオネットは砕け散った。
ベアト「え――?」
「よぉ、ベアトリクスだったか」
薙刀が、辺りの全てを切り裂く。
使い魔も例外無く、消滅した。
十兵衛「厄介な事になってるみたいだな」
薙刀を肩に担ぎ上げ、黒い魔法少女は結界を切り裂いたのだった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/07(金) 00:38:20.00 ID:510SVDnAO<> 投下終了。
もう200だって……このスレで片付くのか……? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/07(金) 00:48:32.17 ID:kLvFlkOSo<> お疲れ様でした <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/07(金) 00:51:40.30 ID:hiA8+L5eo<> 4スレ目いってもいいのよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/07(金) 00:54:13.00 ID:BvtzMxTu0<> 36スレ行ってるのもあるし意外と余裕だよな! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/07(金) 02:49:49.18 ID:Wrx87jN4o<> まさかワルプルさんの正体って… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/07(金) 02:50:41.29 ID:Wrx87jN4o<> まさかワルプルさんの正体って… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/07(金) 02:51:35.15 ID:Wrx87jN4o<> ダブったごめん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/07(金) 07:18:28.30 ID:stYQuInDO<> 乙!!
完結するまで何スレでも追いかけるから安心しろwwwwwwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/07(金) 07:56:29.52 ID:dSBJH5xDo<> 2スレ目入った瞬間から「あ、100スレ行くな」って思ったから大丈夫
永遠にくっついて回るぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/09(日) 11:13:58.02 ID:XaGTeA9/0<> 十兵衛さんって名前の通りJBなのかな <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/09(日) 13:01:25.33 ID:O9W/4VeAO<> 投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/09(日) 13:03:03.77 ID:O9W/4VeAO<> ――――消滅する結界
十兵衛「無事みたいだな」ホラ
ベアト「……何でここに?」アリガト
十兵衛「うーん……ま、調査かな」
ベアト「そう。しかし助かったよ……ハンネ、もう大丈夫だ」ギュ
ハンネ「――そうだ、みんなが!」ハッ
ベアト「みんなって、学校の?」
十兵衛「あぁ、それなら心配なさそうだが?」ホレ
ほむら「結界が消えたから、囚われてた人たちが解放されたようね」ホム
ハンネ「あぁ、良かったぁ……」ヘタッ
ベアト「今日は帰ろう。先生を探そうか」
ハンネ「うんっ」
カツン――
十兵衛「ん?」ヒョイッ
ほむら「グリーフシードの事は、彼女もまだ知らないようね」
十兵衛「これは……?」シゲシゲ
ベアト「それかい?それは、あのお化けが倒された時に落とす変な石だね」
十兵衛「ふぅん……持ち帰ってみるかね」スッ
十兵衛「送ろう。お前はどうやら戦闘向けの魔法少女じゃなさそうだしな」
ハンネ「あ、あの」
十兵衛「生徒を集めてくれないか。『最強』が護衛してやるよ、気分が変わるまでな」ニッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/09(日) 13:05:19.06 ID:O9W/4VeAO<> ――――全員漏れなくお届け致しました
十兵衛「ここがお前んちか。最後になったが、これで全員か」ンー……
ベアト「ありがとう。ほら、ハンネも」
ハンネ「ありがとう、十兵衛お姉ちゃんっ!」ペコッ
十兵衛「良いって。気が向いただけだしな……ん?」ピクッ
――ジュウベエドノー!
十兵衛「よう、今日は早かったな」ケラケラ
四郎「洒落は止して下され……すぐ居なくなるのは止めて頂きたく存ずるでござるよ……」ゼェハァ
十兵衛「はいよ。じゃ、またな」クルッ
ベアト「十兵衛……キミは、アレと戦うのかい?」
十兵衛「……仕事ならな、やんなきゃならねぇな」ハァ
ベアト「なら、この辺りをパトロールしている魔法少女がいるから……話を聞いてみたらどうだろうか」
ベアト「キミも知っている、杏奈という人だよ」
十兵衛「ほう……いい情報だ。活用させてもらう。行くぞ四郎」タッ
四郎「お、お待ちになって下されー!」ダッ
ほむら「嵐の様な奴ね、十兵衛とやらは――ん?」ピクッ
ほむら「(『ジュゥべえ』――?いやまさか)」
ハンネ「カッコイイ人だったね」ワー……
ベアト「ボクもそう思うよ」エヘヘ
ベアト「(きっと、生き方が格好いいから――そう見えるんだろうな)」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/09(日) 13:07:24.50 ID:O9W/4VeAO<> ――――パトロール中、杏奈
杏奈「粉砕!」グシャッ!
魔女「――……」
杏奈「よし……大分慣れてきたみたいだ」ヒョイッ
杏奈「しかし、この石はなんだろう……どれも似たような形をしているし、ソウルジェムみたい」
「確かにな」
杏奈「っ!?」ジャラッ
十兵衛「お、おいおい待てよ。俺は化け物じゃねぇ……武器を納めて話し合おうぜ」
杏奈「……アンタらか。何の用?」チャリッ
四郎「この辺りの怪物を倒している御仁が居ると耳にして、参った次第にござりまする」
四郎「しかし、本当に杏奈殿でござったか……些か見掛けない間に、良き表情になりましたな」
杏奈「……ま、あんなのと戦ってればね」
十兵衛「どうなんだ。化け物について、何か知らないか?」
杏奈「……倒すとコレを落とす。共通点はそれだけだったよ」スッ
十兵衛「ふむ……やはりこの石に何か秘密がありそうだな」
四郎「研究所に回してみるでござるか?」
十兵衛「あぁ、何か分かるかもしれんしな……いやスマン、手間を取らせたな」
杏奈「別に……じゃ、私は見回りがあるから」バッ
四郎「……あの様に拙者も人を守りたいものでござる」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)<><>2011/10/09(日) 13:08:36.61 ID:O9W/4VeAO<> >>216
修正
――――パトロール中、杏奈
杏奈「粉砕!」グシャッ!
魔女「――……」
杏奈「よし……大分慣れてきたみたいだ」ヒョイッ
杏奈「しかし、この石はなんだろう……どれも似たような形をしているし、ソウルジェムみたい」
「確かにな」
杏奈「っ!?」ジャラッ
十兵衛「お、おいおい待てよ。俺は化け物じゃねぇ……武器を納めて話し合おうぜ」
杏奈「……アンタらか。何の用?」チャリッ
四郎「この辺りの怪物を倒している御仁が居ると耳にして、参った次第にござりまする」
四郎「しかし、本当に杏奈殿でござったか……些か見掛けない間に、良き表情になりましたな」
杏奈「……ま、あんなのと戦ってればね」
十兵衛「どうなんだ。化け物について、何か知らないか?」
杏奈「……倒すとコレを落とす。共通点はそれだけだったよ」スッ
十兵衛「ふむ……やはりこの石に何か秘密がありそうだな」
四郎「研究所に回してみるでござるか?」
十兵衛「あぁ、何か分かるかもしれんしな……いやスマン、手間を取らせたな」
杏奈「別に……じゃ、私は見回りがあるから」バッ
四郎「……あの様に拙者も人を守りたいものでござる」
十兵衛「俺らは俺らでやる事があるだろ?先ずは報告だ」
四郎「御意でござる」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/09(日) 13:10:51.45 ID:O9W/4VeAO<> ――――学校
ベアト「今日もパトロールかい?」
杏奈「うん。あの化け物はどうやら自分で増えるらしい。同じのを何体か見たんだ」
ベアト「ボクも手伝えたらいいのだけれど……」
杏奈「危ないから……その気持ちだけで嬉しいよ、ありがとう」ハハッ
ベアト「頑張って……じゃあ、また明日」タタッ
杏奈「うん、また」フリフリ
杏奈「……」クスッ
茜「随分普通に話せてるじゃないすか杏奈さんよ」ズイッ
杏奈「茜……フォカヌポゥ」ハァ
茜「無理して言うなよ」ハハ
杏奈「…………」
茜「どうしたの、らしくないじゃん」ポンポン
杏奈「余裕が――無いんじゃないかな。私、多分」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/09(日) 13:11:45.06 ID:O9W/4VeAO<> ――――帰り道
ベアト「今日も真っ直ぐ帰らなきゃ……ん?」プルルッ
ベアト「端末が……?」カパッ
端末『俺十兵衛、今お前の後ろにいるの』
ベアト「?」クルッ
十兵衛「よっ。よく会うな」ヤァ
ベアト「あ、あっ」カァッ
十兵衛「送ろうか?」
ベアト「あ、いやあの……お願いするよ」パァッ
十兵衛「合点承知の助だ」ニッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/09(日) 13:13:00.48 ID:O9W/4VeAO<> ――――
ベアト「(な、何を話せばいいんだろうか)」ドキドキ
十兵衛「…………」チラ
ベアト「あわわ……」カァッ
十兵衛「(白い髪……赤い目。ベアトリクスは――)」
十兵衛「なぁ、お前は何を願って魔法少女になったんだ?」
ベアト「ボクかい?ボクは『誰も悲しむ事の無い世界』だけど……」
十兵衛「――へぇ、意外だ。てっきり持病を治したのかとばかり思ってた……お前、アルビノだろ?」
ベアト「あ、分かる人には分かるんだね。そうだよ」
ベアト「そうか、そういう手もあったね」
ベアト「でも、今は医学も発展したから……普通に過ごせてるし」
ベアト「確かに、嫌な事もたくさんあったけれど……それは昔の事だよ」
ベアト「今は凄く幸せだから……そのボクが更に何かを望むのは、おかしい気がして――」
ベアト「だから――『悲しい』のは誰だって辛いって、知っているから」
ベアト「それが無くなれば、きっとみんな幸せになれるんじゃないかなって」
ベアト「そうなれば、ボクはそれだけで満足だって――思ってしまうのでした」クスッ
ほむら「――――っ」
十兵衛「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/09(日) 13:14:15.47 ID:O9W/4VeAO<> 十兵衛「……そうか」フム
十兵衛「おい、ベアトリクス」ガシッ
ベアト「へっ、な、何だい?」カァァッ
十兵衛「気に入った、もっとお前が知りたい!」
ベアト「え、えぇっ!?」ドキーン!
十兵衛「またお前と話したい……連絡するから、その時は付き合ってくれよな?」ニッ
ベアト「つ、つきあっ!?」パニック
十兵衛「ま、でも今日はとりあえず……」
ほむら「あ、もう着いてたわ」ホム
ベアト「あ。……ありがとう。送ってくれて」
十兵衛「易い御用だ。むしろこっちからお願いしたいね」
ベアト「あわわ……ま、待ってるよ。連絡」
十兵衛「あぁ、また『明日』な」
十兵衛「じゃな」バッ
ベアト「…………ラッキー、なのかな?」っぷい!
ほむら「……インキュベーターに、一瞬まどかが重なったわ」
ほむら「インキュベーターは……本当に悪なのかしら」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/09(日) 13:14:45.02 ID:O9W/4VeAO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2011/10/09(日) 14:03:07.38 ID:Sh0hpSU70<> 乙乙
キュゥべえがいい奴すぎてこの後の展開が辛い <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/09(日) 14:08:06.92 ID:MbIZNgITo<> 繰り返される歴史…
悪いのは、さあ一体誰なのでしょう
そんなの居ないってわかってんだけどな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage saga<>2011/10/09(日) 14:10:19.99 ID:CEREbBRpo<> 過去に事情があろうが本当はいいやつだろうがキュゥべえが地球への侵略者なのは変わらない
コイツに掛ける言葉は「死ね」の一言だけだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/09(日) 14:23:51.03 ID:W20jf8yzo<> 約1名死亡フラグが立ってるな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/09(日) 16:59:32.99 ID:EALEf8vgo<> そうか、メリーさんの怪談もQB星から伝わったのか <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:14:24.40 ID:SG9KEYaAO<> 十兵衛「また『明日』って言ったよな?」
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:15:29.24 ID:SG9KEYaAO<> ――――夜、0時。ベアトリクス私室。
ベアト「……んー」ゴロゴロ
ベアト「『また明日』……か」ポケーッ
ベアト「……えへへ」
プルルッ
ベアト「端末……十兵衛からだ」ピッ
端末『よ。迎えに来たぜ』
ベアト「はぁっ!?」ガバッ!
ほむら「え、バカじゃないの?バカじゃないの?」スタスタ
ほむら「ん」ヒョイッ
ほむら「外にいるし……」ウワァ
ベアト「え、ちょっ、まさか」タタッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:17:10.58 ID:SG9KEYaAO<> ――――玄関
ガチャッ!
ベアト「……ホントだ」ポカーン
十兵衛「ちゃんと言ったぜ。『明日』迎えに行くってな」ニッ
ベアト「こんな夜中に、一体何処へ――」
十兵衛「おいおい、夜しか出来ないだろ?」パチンッ
十兵衛「これは、な?」ニパッ
ほむら「(望遠鏡……?)」
ベアト「それは……?」
十兵衛「星を見に行こう。二人で」
母「はいちょっと待ちなさーい」パンパン
ベアト「――お母さん」ビクッ
父「お父さんもいるぞ」
十兵衛「ご両親ですか。私、明智十兵衛武政と申します。以後、お見知り置きを」ビシ
母「嫌でも覚えたし忘れないわよ」フーン……
母「で、我が娘を夜中に連れ出すあなた」
母「何様?」ピッ
十兵衛「私は、私以外の何者でもございません」
父「夜は危ないし、こんな時世なのだけれどね」ハァ
十兵衛「ご心配無く。腕っぷしには些か自信がございます」
十兵衛「ベアトリクスさんを傷つける様な輩には手加減致しません」
母「私の娘を連れていけるのは、世界で最高の人間だけよ?」
十兵衛「その点に着いてもご心配無く。私、こう見えても『最強』である事は保障出来ますので」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:20:06.98 ID:SG9KEYaAO<> 母「ふーん……ま、なら様子を見てやってもいいけど」フン
父「母さんが良いなら、僕に口出しは出来ないね」ハハ
父「しかし我が娘ながら凄い人を連れてきたねぇ……武士の方とは」ウンウン
十兵衛「恐縮です」
母「え、何それ詳しく」
父「ほら、テレビでやってた――」ボソボソ
母「」ハッ
母「どうぞどうぞウチの娘を宜しくお願いします!――やったわよパパ、玉の輿よ!」キャッホイ!
ベアト「……母さん」マッカ
十兵衛「さて、ご両親の了解も得た所で……」ニッ
ベアト「うぐー……」ウルッ
十兵衛「行きましょうか、姫」パチンッ
ベアト「わっ……服が」ヒラヒラ
十兵衛「プレゼントさ。ほら、掴まれ――飛ぶぞ!」ダンッ!
ベアト「わわわっ――い、行ってきます!」バイバイッ
母「ホテル行くならメールしなさいよー」フリフリ
ベアト「バカー!!バカ親ー!!」
ほむら「…………」ハッ
ほむら「追わなきゃ」ダッ
母「……芯の強そうな子だったわね」
父「それでいて奔放としている。ベアトリクスに足りない所を全部持ってる子だと思ったよ」
母「はぁぁ……我が娘もそんな年か……」ガックリ
父「久しぶりに呑むかい?」ハハ
母「いいかも。軽くだけどね」ウフフ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:21:52.31 ID:SG9KEYaAO<> ――――小高い丘
十兵衛「ほら、着いたぞ」スタッ
ベアト「わぁ、ここ……本当に星が良く見えるね」ワァ
ほむら「」ヒュー、ヒュー
ほむら「(見失うかと思った)」グッタリ
十兵衛「よっ……と。ほら、覗いてみろよ」ホラ
ベアト「どれ――凄い」ドキン
十兵衛「だろ?宇宙には、俺らを引き付ける何かがあるんだ」ゴロンッ
ベアト「……十兵衛?急に寝転んでどうしたんだい。キミは見ないのかい?」
十兵衛「俺はこれでいい」スッ
十兵衛「こうやって、空に手を伸ばすとさ……星に手が届きそうだと思わないか?」ハハッ
ベアト「…………」クスッ
ゴロンッ
十兵衛「ベアトリクス?」
ベアト「ボクも、キミと同じ物を見たいな」
十兵衛「……そうか。そうだな」
ほむら「……私も失礼するわ」ゴロンッ
ベアト「…………綺麗だね」
十兵衛「あぁ、最高だな。幾ら見ていても飽きない」
十兵衛「あの空が大好きだ。何も分からないモノが、頭の上にあるってだけでワクワクしてくる」ヘヘッ
ベアト「ふーん……確かに、そうかもしれないね」
十兵衛「……でも、それもいつか無くなってしまうかもしれないんだ」
ベアト「……?どうして?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:25:03.81 ID:SG9KEYaAO<> 十兵衛「……難しい話だ。デートには野暮だから、しない」ニッ
ベアト「でっ!?」ドキッ!
ベアト「…………」モジモジ
十兵衛「ベアトリクス?」ン?
ベアト「んっ!」ギュッ、ピトッ
十兵衛「(――近い)」ドキ
ベアト「キミは、ボクの事を知りたいって言ったろう?」
ベアト「ボクも――キミを知りたいと思うのは、迷惑かい?」
十兵衛「――いや、迷惑じゃあ、ないが」
ベアト「なら、ボクは……キミの、話を、聞きたい……」カァァァッ
十兵衛「……あんまり面白くないんだぜ?」
ベアト「キミの話なら、何でもいいんだよ」クスッ
十兵衛「そうかい」ハハッ
ほむら「口から砂糖がザンラザンラ出てるんだけど」ザラザラー <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:25:59.03 ID:SG9KEYaAO<> ――――
十兵衛「じゃ、何から話すか……」
十兵衛「熱力学の法則ってあるだろ?」
ベアト「うん」
十兵衛「暖かい物は勝手に冷えるが、その逆は無い……って事だな。簡単に言えば」
十兵衛「つまり、宇宙からはエネルギーが無くなっていってるんだ。徐々に、な」
ベアト「ふむ」
十兵衛「だとしたら、最後に残るのは……冷えきってしまった、真っ暗な宇宙だけ……」
十兵衛「それは、ちょっと寂しい」グッ
ベアト「……十兵衛は、案外ロマンチストなんだね」フフッ
十兵衛「バカな。俺は現実的にリアリストだよ」ハハ
十兵衛「ま、でももしかしたら――いや、だからこそ」
十兵衛「宇宙のどっかにある、進んだ文明の惑星、そこの生き物が――エネルギーを集めてるかもしれねぇかもな」
ベアト「ほら、やっぱり」クスッ
十兵衛「笑い事じゃないぞ。もしかしたら俺たちの知らない所で、宇宙人がエントロピーを凌駕してるかもしれねぇ」
ベアト「エントロピー?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:26:52.46 ID:SG9KEYaAO<> 十兵衛「あぁ。簡単に言えば、木を育てるエネルギーと、ソレを燃やして得られるエネルギーは等価じゃねぇ」
十兵衛「エネルギーにする段階で、既にロスがあるんだ」
十兵衛「だから、エネルギーを増やすには……少ない何かで莫大な何かを、エネルギーとして得なければならない」
ベアト「へぇ……でも、それならボクたちでも何とかなりそうじゃないのかな?」
十兵衛「……何故そう思うんだ?」
ベアト「だって、ボクたち魔法少女は無から有を産み出してる……」
ベアト「これは、エントロピーを凌駕しているんじゃないのかい?」
十兵衛「確かに……」ハッ
十兵衛「(そうだ……確かにおかしい)」
十兵衛「(簡単に言ったが、理論的に『エントロピー』とは絶対に凌駕出来ない物だ)」
十兵衛「(とすれば、俺たちは何かマイナスの物を得なければならないはずなんだが……)」ハテ
ベアト「十兵衛?」ヒョイッ
十兵衛「――済まない。しかし、確かにそうだな」
十兵衛「俺たちは……エントロピーを凌駕したのだろうか?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:28:26.54 ID:SG9KEYaAO<> ――――しばらく。
ベアト「……んっ」ムクリ
十兵衛「冷えてきたな……そろそろ帰るか?」スッ
ベアト「……そうだね。惜しいけれど」ノビー……
ベアト「ん……アレは?さっきは気付かなかったけれど」
ほむら「丘の下に……沢山のキュゥべえ人形が捨てられてる?」
十兵衛「あー、願望器の廃棄所かもな。使い終わったら必要ないしな」
ベアト「たくさん……ボクはまだ持ってるんだけれど」パァッ、ポムッ
十兵衛「お、奇遇だな。実は俺もだ……収納魔法は便利だと思うよ」パァッ、ポフッ
ベアト「へぇ、キミのぬいぐるみは黒い子なんだね」カワイイ
十兵衛「初期型だからなぁ……デザインも適当だったんだとよ」
ベアト「……ここには何匹の子が捨てられてるんだろう」ジッ
十兵衛「さぁな……この街の人口が25000人だから、そのくらいだろうな」
ベアト「……ボクの子も、みんなと一緒にいた方が嬉しいのかな」ギュッ
十兵衛「……かもな。置いていくか?」
ベアト「……うん。そうする」コクリ
十兵衛「じゃあ俺も。またな、『ジュゥべえ』」トサッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:31:03.32 ID:SG9KEYaAO<> ベアト「ジュウべえ?」
十兵衛「俺の分身だからな。それと発音が違う。『ジュウ』じゃなくて『ジュゥ』だ」
ベアト「ふーん……じゃあボクのは『ベアトリクス』かな」
十兵衛「うーん、何かそんなハイカラな感じじゃないと思うんだが……」ウーン
ベアト「そうかな……なら、何か良い名前を付けてあげてよ」ハイ
十兵衛「ベアトリクス……クヴァンツ……クヴァンツってどっちだ?」
ベアト「キミは博識だね。『Q』だよ」
十兵衛「B……Q……B――お、こりゃいいぜ」
十兵衛「『キュゥべえ』、なんてどうだ。俺とお前をもじってるんだ」ドヤッ
ベアト「ネーミングセンスの無さは良く分かったよ」クスッ
十兵衛「なんとっ!?」ガァンッ!
ベアト「――でも、それがいいや。さよなら、『キュゥべえ』。ありがとうね」トサッ
ベアト「…………」
ベアト「帰ろ、十兵衛」ニコ
十兵衛「はいよ」
ほむら「ようやくイチャイチャも終わりかしら」フゥ
ほむら「しかし25000匹もいるって気持ち悪いわね……今ので25002匹になったし――」ハッ
ほむら「……偶然よね」
ほむら「しかし綺麗な星空ね……オリオン座もはっきり見えるもの」
ほむら「……オリオン座?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/10(月) 01:32:43.16 ID:SG9KEYaAO<> 絶望を表現するには、同じだけの希望を見せなければいけないと思うんです。
投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2011/10/10(月) 01:34:57.54 ID:a07zxVkq0<> 乙乙
久々にリアルタイムで見れたー
25000匹のところで思い出したように1スレ目を見直したら、スレを間違えたかなと一瞬錯覚 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2011/10/10(月) 01:35:49.52 ID:a07zxVkq0<> 乙乙
久々にリアルタイムで見れたー
25000匹のところで思い出したように1スレ目を見直したら、スレを間違えたかなと一瞬錯覚 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2011/10/10(月) 01:36:57.32 ID:a07zxVkq0<> 連投ごめんなさい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/10(月) 04:02:54.53 ID:DkdnvuU80<> おお、神よ
あなたは何と多くの星々を蕩尽された事でしょう
彼らの星は、何故燃やされなければならなったのですか
彼らの死を、ベツレヘムの空に輝かせるためであったのですか(アーサー・C・クラーク/星)
神様、あなたはどこにいるのですか
彼はもう、何もかも失いました
愛する父もきょうだいも、その思い出さえも
一人の人間に、これほどの運命を背負わせてよいものなのですか(テッカマンブレード/如月アキ)
お前は神か
神なら死んだはずだ(装甲騎兵ボトムズ/キリコ・キュービィ)
QBとJBに情けをかける日が来ようなどとは、思っても見なかった。
まさかこんな事が。こんな恐ろしい事が。インキュベーターとは、われわれの… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)<>sage<>2011/10/10(月) 04:42:15.96 ID:mQ20Ev/to<> おっつ
>>237で何のこと言ってんのかと思ったら、
頭文字がKなのかQなのかってことね
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/10(月) 05:18:16.95 ID:O2cnvp/L0<> 乙
25002って何のことだっけって思って同じく1スレ目読み返したら結構忘れてた <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/10(月) 05:19:05.30 ID:K/4FR5/E0<> おつかれさまです。
希望とは絶望のスパイス、が持論でございますので、全面的に賛同いたします。
無論、逆もまた然りとも思います。でなければ、あまりにもあんまりでしょう? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)<>sage<>2011/10/10(月) 08:32:02.66 ID:KHt/9cMCo<> ※十兵衛もふたなり美少女
※父もふたなり美女 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/10(月) 09:28:11.96 ID:YrbfOGy4o<> ジュベレイフラグか…こりゃたまらん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/10(月) 11:17:33.19 ID:DkdnvuU80<> ジュベレイだと…まさか!まさかそんなッ!!!
そんな 素 晴 ら し い ことが <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/10/10(月) 15:02:56.43 ID:1eOa7PWt0<> 話が進むごとに面白くなくなってきてる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/10(月) 19:22:13.87 ID:CJmvK55so<> >>249
そう思うなら、タブ閉じればいいじゃん。
それともただのアンチ()か? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/10(月) 21:37:26.09 ID:YrbfOGy4o<> 話が進むごとに面白くなくなくなくなくなくなくなくなくなってきている <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/10(月) 21:47:56.60 ID:DkdnvuU80<> フ・・・照れ屋さんは素直に「面白い」といえずに、頬が真っ赤になっているのですね。
「よし、そこでキュベレイだ」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)<>sage<>2011/10/10(月) 21:53:01.77 ID:ceeJB921o<> そろそろ近そうな雰囲気か、前に出た回想的に考えて。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/10(月) 21:53:10.92 ID:YrbfOGy4o<> じゅっぷい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/10(月) 22:05:23.02 ID:XCNUgLNSo<> >>250辺りからキモチワルイ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)<>sage<>2011/10/10(月) 22:09:04.98 ID:ceeJB921o<> えっ、何ですか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/11(火) 00:29:23.27 ID:O3iVR2mqo<> 値が下がり続けてる株でも買った時の値段を思うと売るに売れない
そういうこともある
それだけ期待してるってことでもある
あ、俺は今も面白いと思うよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)<>sage<>2011/10/11(火) 00:36:01.49 ID:mQHnNYxVo<> オリキャラも結構気に入ったけど、結末は悲劇、ってのが分かってるから読んでて辛い部分があるな。
つまんないとかそういうんじゃなく、気分が重くなるつーか。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/11(火) 01:35:59.33 ID:JSh7lTNh0<> だが、それがいい。凄くイイというのが外道な私だ(・・;;; <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/11(火) 01:46:39.63 ID:hmXToZ3Lo<> いずれ訪れる悲劇を見ても、ほむほむはれいぽぅしちゃえるのだろうか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/10/11(火) 12:03:04.42 ID:RUclvS5AO<> こんないい子がキュベレイされるなんて……
あれ、なんか股関がむくむくと(ry <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/11(火) 13:20:46.94 ID:nOlxFSYNo<> >>260
良い言葉がある
それとこれとは(ry <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 01:58:05.15 ID:sB8rAzkAO<> 今回で下地構成は何とか終えられる気がするよ。むしろ終わっててくれ……
投下開始
って打ち込むの四回目。今日は止めとこうかな…… <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:00:18.27 ID:sB8rAzkAO<> ――――学校、放課後
ベアト「……また一人か」ハァ
ベアト「杏奈は増えている化け物の退治をしてるみたいだし、茜はソレに着いていってるし……」
ベアト「……欠席する人も増えているみたいだ」
ベアト「警察も動いてるみたいだけど、犯人は見つからないし……」
ベアト「お化けのせいで行方不明になる人たちも増えた……」
ベアト「……こんな世界は、望まなかったんだけどなぁ」ハァァ……
ほむら「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:01:55.11 ID:sB8rAzkAO<> ――――帰り道
ベアト「…………」トボトボ
ベアト「変な声が、町中から聞こえてくる……きっとお化けがいるんだ」ブルッ
ベアト「ボクたちに隠れて……ん?」ピクッ
ジュウベエドノー!
ベアト「この声は……」タッ
ベアト「四郎?」
四郎「むっ……これはベアトリクス殿。奇遇でござるな」ペコリ
ベアト「また十兵衛を探しているのかい」クスッ
四郎「如何にも……いやはや、情けない所をお見せ致し申した」タハハ……
ベアト「構わないよ。良ければ、ボクも一緒に探そうか?」
四郎「いえ、それには及びませぬ。拙者の役目でもありますによって」
ベアト「あー、言い方が悪かったね」ズイッ
四郎「(ち、近いでござる)」ドキッ
ベアト「ボクも探したいんだ。いいだろう?」ニコッ
四郎「――――」
ベアト「四郎?」キョトン
四郎「え、えぇ、そこまで申されるなら構いませぬ。拙者も手が足りていないのは事実でござる」シドロモドロ
ベアト「うん。じゃ、探そう」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:02:45.73 ID:sB8rAzkAO<> 四郎「(……拙者、今まで立派な侍になる事ばかり考えて、色恋沙汰などとは縁が無かったでござる)」
四郎「(いやしかしそのような事は関係無いでござる)」
四郎「(美しい――そう、ベアトリクス殿はきっと美しいのでしょうな)」
ベアト「ほら、行こう?」
四郎「畏まったでござる」
四郎「(拙者が立派な侍になった暁には、そういった事も考えなければならないでござるな)」
四郎「(しかし……)」チラ
ベアト「…………」テクテク
四郎「(良く見れば実に見目麗しい人にござる……)」ポーッ
四郎「はっ、いかんいかんでござるよ」パンパンッ
ベアト「?」
ほむら「とんだ魔性の女ね……」ホム <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:04:35.21 ID:sB8rAzkAO<> ――――
ベアト「いつもこうやって歩きで探しているのかい?」テクテク
四郎「その通りでござる。十兵衛殿は端末に連絡を送りましても、なかなか受け取ってくれぬもので」テクテク
ベアト「あはは、大変だね。でも、確かに彼女らしいや」アハハ
四郎「同感でござる。探すのにも、些か慣れてきたでござるしな」
ベアト「……そういえば、なんでキミは十兵衛を探すんだい?」
四郎「拙者らは、精神エネルギー研究所に関わっている者にござる」
四郎「現場の魔法少女の状況をリサーチして、研究所にデータを差し上げる役目があり申す」
ベアト「へぇ……凄いんだね」オォ
四郎「……別段、誉められる物ではござらぬよ」ハァ
ベアト「どうして?」
四郎「…………余り口にするのは憚られるのでござるが、十兵衛殿の願いをご存知で有らせられるか?」
ベアト「『最強』……だよね」
四郎「ご名答でござる」
四郎「我々は武士の家系でござるが、その中でも十兵衛殿は位の高い家系に有らせられる」
四郎「そして、そのような環境では覇権争いも激しいのでござる」
四郎「願いによって、十兵衛殿は爆弾の様な扱いを受けたのでござる」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:05:45.73 ID:sB8rAzkAO<> ベアト「……確かに、『最強』は邪魔。って事かい?」
四郎「そうでござる。幸いと申すか……十兵衛殿には権力欲が無く、仕方ないと笑って飛ばしておられましたが……」フゥ
四郎「それでこんな末端に……精神エネルギー研究所も、今となっては不要な物と考えられているのでござる」シュン
四郎「だが拙者は、決して主である十兵衛殿を見限らないのでござる……」
四郎「いずれあの方は大成する器にござる……それに、今まで受けた数々の恩義に尽くさんは侍に非ず……」
四郎「拙者にとって、十兵衛殿はかけがえのない者でござるからな」
ベアト「……なかなか難儀だね。そうだ、ちょっと待ってて」タタッ
四郎「ベアトリクス殿?どちらに行かれるでござるか?」
アイスフタツー
カシコマリマシター
ベアト「はい。頑張れって気持ちを込めて、アイスクリームを奢ってあげよう」ドヤッ
四郎「そんな……わざわざ拙者などの為に――」
ベアト「いいからいいから。ほら」スッ
四郎「で、では失敬して……頂くでござる」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:08:47.95 ID:sB8rAzkAO<> 四郎「…………?」シゲシゲ
ベアト「どうしたんだい?」キョトン
四郎「……拙者、生憎甘味を余り食さないものにて、この様な物はどこを食めば良いのか……」ウムム……
ベアト「わぉ、お侍っぽいね。それは上から下まで全部食べられるよ」クスッ
四郎「なんと、取っ手まで食えると申すか……なかなかに面妖な」パクッ
四郎「――――冷たいでござる」キーン……
ベアト「そりゃあそうさ、四郎は変な所で子供みたいだね」ナデ
四郎「っ」ビク
ベアト「……四郎?」ナデリナデリ
四郎「…………」
四郎「かもしれないでござるな……」ペロペロ
ほむら「あー……フラグ立ってるんじゃないのコレ……?」ホムゥ…… <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:10:00.06 ID:sB8rAzkAO<> ――――
四郎「(ベアトリクス殿はとても優しいでござる)」
四郎「(ただ優しいだけではごさらん。包み込むような温かさを持っておられる……)」
四郎「(懐かしき感覚……まるで母上の様な……)」
四郎「(――いけない。母上の事を考えると、今でも涙を溢しかねないでござる)」
四郎「(拙者は立派な侍になるのでござる……)」
四郎「(……ベアトリクス殿は、拙者の母上になれるお方なのだろうか?)」
ベアト「ねぇ、四郎?」ズイ
四郎「はひっ!?」ドキンッ
ベアト「変な四郎……ねぇ、キミの願いは何だったんだい?」
四郎「拙者の願い……でござるか?」
四郎「……拙者は未熟故『立派な侍になりたい』、と」
四郎「見てくだされ……ご覧の通り、拙者は女性型にござる」
四郎「故に若干の差があるでござる。若い世代の者はそんな物には拘らぬでござるが……」
四郎「上はそうでもござらん……」クッ
ベアト「……まだキミは良いよ。みんなと同じなのだからね」ハァ
四郎「ベアトリクス殿?」
ベアト「ベアトで良いよ。堅苦しいだろう?」クスッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:11:02.34 ID:sB8rAzkAO<> 四郎「では、ベアト殿。その言い種ですと――もしや貴女は」
ベアト「うん、純女性だよ」
ベアト「ボクはみんなと、体つきからして違う」
ベアト「遺伝子の異常で――いや、特別なのかもしれないけれど、白い髪に赤い目」
ベアト「そして欠けたこの身体……」
ベアト「子供の頃はコンプレックスにまみれていたよ。今だって、なれるなら――せめて女性型だっていい、なりたいさ」グッ
四郎「……では、ベアト殿はそれをお願いになられたので有らせられるか?」
ベアト「ううん。ボクの願いは『誰も不幸になら『無』い世界』……それを、欲しがったんだ」
四郎「……如何様な考えがあって?」
ベアト「ボクが性別を変えたいと、願うのは確かに簡単だろう」
ベアト「だけれど、それは今までのボクの否定に他ならない」
ベアト「それは……今までそんな事を苦にせずボクを育ててきた両親への侮辱だ」
ベアト「ボクは今、人並みに幸せだから……それ以上はいらないんだ」
ベアト「だから……その『人並み』でない事が辛いって、知っているから」
ベアト「みんなから、そんな思いが無くなればいいって、そう願ったんだ」
ベアト「……変だろう?」アハハ…… <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:12:06.97 ID:sB8rAzkAO<> 四郎「そんな事、無いでござる」ガシ
ベアト「四郎?」
四郎「ベアト殿は立派でござる。拙者も、是非見習いたいでござるよ」
ベアト「……な、なんか照れるよ」テレリ
四郎「――さて、何だかやる気が出てきてしまったでござる!」ガッバァ!
ベアト「行くかい?」スクッ
四郎「勿論にござる!さぁ、十兵衛殿を探しに参りましょう!」ガシッ
ベアト「わわっ、ゆっくり走ってくれないかい――」タタッ
ほむら「これ、大丈夫なのかしら……」タタタッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:13:44.96 ID:sB8rAzkAO<> ――――発見
四郎「居たでござる!」ビシィッ
ベアト「ようやく……だね……」ハァハァ
十兵衛「お、四郎……とベアトリクス?」
四郎「一緒にお探ししてくれていたのでござるよ」
十兵衛「そうか、ありがとうな。ベアトリクス」ニッ
ベアト「あ、うん。ど、どういたしまして」テレッ
四郎「……む」ピクッ
十兵衛「――――」ハハハ
ベアト「――――」テレテレ
四郎「(ベアト殿のあの様子……まさか)」
四郎「(……そうでござるな。普通なら、そうでござる)」
四郎「(いや、しかしお似合いでござるな。文句は無いでござるよ)」
四郎「…………」ズキッ
ほむら「……ちょっと、これは」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:15:33.12 ID:sB8rAzkAO<> ――――帰途
四郎「十兵衛殿」
十兵衛「なんだ?」クル
四郎「十兵衛殿は、ベアト殿の事を如何様にお考えで?」
十兵衛「…………凄い奴?いや違うな……」
十兵衛「守ってやりたい……かな。そうだ、それだな」カァ
四郎「そうでごさるか……」フム
四郎「拙者の見立てではベアト殿は十兵衛殿に惚れ込んでいるでござるよ」
十兵衛「ば、バッキャロウ!柄に無いことを言うんじゃねぇ!」カァッ
四郎「日頃の仕返しでござるよ」ハッハッハ
十兵衛「部下が謀反してくるんだけど……」ガックリ
四郎「(これで良いのでござる。拙者はまだ未熟ゆえ)」
四郎「(きっとこの感情も、拙者を強くしてくれるに違いないでござる……)」フッ
十兵衛「――おい、四郎!!アレ!!」ダンッ!
四郎「何でござるか――研究所がっ!!?」ダッ! <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:16:28.56 ID:sB8rAzkAO<> ――――ベアトリクス宅
ベアト「ただいまー……ってどうしたんだい、皆テレビを見て?」キョトン
父「ベアトリクス、お帰り。大変みたいだよ」クイッ
ほむら「――――っ!」
ベアト「『精神エネルギー研究所で事故か?大量の化け物――?』」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/12(水) 02:18:19.77 ID:sB8rAzkAO<> ようやくここかよ……頑張れ俺。
投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/12(水) 02:19:47.95 ID:chlpr3qDO<> 乙!!
遂に物語が動き出したか・・・
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/12(水) 06:16:15.95 ID:I167L3wI0<> 遂に起承転結の「転」に至ったか(1章1スレと言う感じだな) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/12(水) 06:49:19.11 ID:l7CS0cEDo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/12(水) 21:27:29.14 ID:6jc97uNwo<> >>262を見るにまだ「起」じゃね? <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/14(金) 00:14:31.20 ID:2hs3ZX6AO<> 何だか今日は短めに纏まってしまった。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/14(金) 00:15:02.07 ID:2hs3ZX6AO<> ――――精神エネルギー研究所、混沌とした結界
十兵衛「これは……あの化け物の巣か?」
研究所に昔の近未来的な風貌は無く、今やそこは魔女の結界が重なり合う異界だった。
四郎「禍々しい気配を幾つも感じるでござるよ……十兵衛殿、如何致すか?」
四郎が魔力を太刀に変えて、主の傍らに着く。
十兵衛「研究所の皆が心配だ……探索するぞ――むっ」
遠くでの戦闘音を僅かに聞き、十兵衛はそれだけを頼りに駆け出した。
四郎もそれに続き、二人は呪いの中へと潜っていく。
まだ絶望を知らずに。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/14(金) 00:15:52.82 ID:2hs3ZX6AO<> ――――深部
十兵衛「ちっ、雑魚ばっかじゃねぇか、よっ!」
薙刀の一振りで、使い魔が斬り裂かれた。
大分潜ったはずではあるが、未だに人を見ない。
四郎「十兵衛殿、あれを!渚殿でござる!」
四郎が指した方向に、渚と研究員の一人がいた。
渚は倒れ、研究員は魔法で使い魔を必死に追い払っている。
十兵衛「良かった、生きてたか――おらぁ!!」
十兵衛が気を放つと、使い魔が内側から爆発した。
研究員は二人の姿を認めて、ぐらりと地に付してしまう。
十兵衛「お、おい大丈夫か、しっかりしろ!――っ?」
研究員たちに近寄った十兵衛は驚きを隠せなかった。
生きているのだが――今にも死にそうな顔で。
十兵衛は側に座り、穏やかな声で話しかけた。
十兵衛「どうした、何があった?」
研究員「……あぁ、明智十兵衛武政か」
研究員は少しだけ十兵衛を見て、また視線を上に戻した。
誰に話しかけるでもなく、呟く。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/14(金) 00:16:42.22 ID:2hs3ZX6AO<> 研究員「俺たちの発明は世界を照らす光のはずだった……」
研究員「……だが違った。世界の歪みは――俺たち自身だった」
研究員「俺は、魔法少女にはなれなかった――」
研究員「……すまない、俺はもう――」
研究員は自らのソウルジェムを掲げて、そしてソレを拳ごと地面に強く叩き付けた。
血まみれになる手と、砕けるソウルジェム。
――研究員は動かなくなった。
十兵衛「おい――おい!?しっかりしろ!――渚、一体これはどういう事なんだ!?」
十兵衛が渚を見る。
力なく、しかし彼女はしっかりと目を見た。
渚「私たちは、世界を滅ぼしたのよ……」
渚「……これを見て。あなたの持ってきてくれたモノについて調べた結果よ。端末にデータも入ってるわ……持って行って」
渚は懐から一つの端末と書類の束を取り出し、十兵衛に渡した。
十兵衛「これは……?」
渚「あなたなら、きっと絶望せずに受け止められる……だって、『最強』ですもの……」
彼女は笑っていた。
気がかりだった事を成し遂げた様な、安心した顔。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/14(金) 00:17:35.30 ID:2hs3ZX6AO<> 十兵衛は書類に目を通し始め――表情が徐々に歪んでいく。
四郎「十兵衛殿、それは一体――」
十兵衛「見るな!!」
四郎「っ」
十兵衛「……いや、スマン。だが、機密事項だ。お前に話すにしても、少し時間をくれ」
四郎「……御意」
四郎は命を受けて下がり、周囲の警戒に当たる。
運良く、使い魔は辺りに感じないようだ。
十兵衛は書類を読み進めていく。
十兵衛「こんな――こんな事が――」
手が震える。
膝が笑う。
背筋が凍りつく――
渚「ね?」
十兵衛「っ」
不意に掛けられた、色気さえ感じる声に――畏怖を感じた。
彼女はソウルジェムを差し出している。
渚「ねぇ十兵衛」
渚「ころして」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/14(金) 00:18:24.59 ID:2hs3ZX6AO<> ――――
砕くのは簡単だった。
四郎「十兵衛殿、如何いたし――渚殿……」
十兵衛「…………」
亡骸を抱え上げた。
酷く――酷く軽い。
十兵衛「俺が……殺した」
四郎「――何故」
十兵衛「殺さなければ――コイツは望まない死を迎えるから」
十兵衛「だから俺に『殺せ』と――」
十兵衛は、既にモノに成り下がってしまったソレを抱えて泣いていた。
無力だ。
『最強』であっても、かくも無力。
自分には壊す事しか出来ない――
なら、せめて。
十兵衛「――行くぞ四郎」
四郎「どちらへ?」
十兵衛「『魔女』を――弔いにいくのさ」
そして彼女は一歩、踏み出した。
人類の代表として、絶望への道を。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/14(金) 00:20:44.93 ID:2hs3ZX6AO<> 投下終了なんだ、すまない。
展開を不自然に早くし過ぎないように気を付けよう。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/14(金) 00:22:34.10 ID:HalkhymHo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/14(金) 07:27:29.98 ID:NKxLKIQIO<> 急ぐな、マイペースでいい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/14(金) 08:18:41.88 ID:T6zyhqkZ0<> こんなにも…こんなにも「エタるな」と祈る作品はそうそうない。
作者のサービス精神には感謝する。「マイペース・・そう、マイペースでいい・・・この最後が拝めればそれでいい」。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/14(金) 22:37:11.71 ID:MZJofrOSo<> アナタが一番頑張ってるのはこのスレ住人全てが知ってる
体調とリアルも気遣ってくださいね <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:10:50.47 ID:5jcmTfcAO<> かずみマギカ2巻がようやくまどかマギカしてた。
でも何か絶望不足に感じてしまうのは何故だ……原作パワーか。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:14:39.56 ID:5jcmTfcAO<> ――――十兵衛、街中を行く。
十兵衛「…………」
十兵衛「(『魔女』に『グリーフシード』……か)」
十兵衛「一応マスコミは謎の事故って思っているが……」チッ
十兵衛「俺は……人殺しだな」クッ……
「……十兵衛かい?」
十兵衛「っ」クルッ
ベアト「やっぱり……キミはこの辺りを彷徨く癖があるね」クスリ
ほむら「……雰囲気が違うわ。もしかして」
十兵衛「あ……はは、そうみたいだな」ポリポリ
ベアト「どうしたんだい?キミらしくないね」
ベアト「ボクで良ければ話してご覧?」ニコ
十兵衛「――――」
十兵衛「おぉ、サンキュー。困ったら相談するわ」ハハ
ベアト「うん」ニコリ
十兵衛「(しかし……俺はどうすればいい?)」
十兵衛「(真実を世界中に話して、それから世界はどうなる?)」
十兵衛「…………」
ベアト「……十兵衛?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:15:30.75 ID:5jcmTfcAO<> ――――魔女の結界、半壊
杏奈「ふん」
魔女の亡骸を踏み潰し、杏奈は結界を砕いた。
彼女が今まで倒した魔女は、大小合わせて両手では数えきれない。
彼女を強くしたのは、一重に実戦経験と――希薄な恐怖感。
魔法少女と言う存在に対する、客観的な安心が彼女を支えていたのだ。
「いやぁ、今回もお見事でしたね!」
「私、憧れちゃいます!」
杏奈「あぁ、ありがとう」
愛想笑いも得意になった。
そう、こうなる事が望みだったはずだから。
杏奈「(……本当にそうか?)」
美しくなりたかった。
醜い自分が嫌いだった。
何で?
杏奈「(私は――)」
最近は色々と考える。
端末に向かっても答えは出ないと知ってからは、電源すら点けていない。
杏奈「……そうだ。逃げるのは――もう止めにしよう」
臆病だった。
自分を信用出来なかったから。
だが今はどうだ?
私は、それなりに『人間』だと、そう思える。
「どうしたんですか、杏奈さん?」
杏奈「いや……なに、独り言さ」
茜「随分大きい一人言だね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:16:08.50 ID:5jcmTfcAO<> 杏奈「茜……」
杏奈が声に吊られて目線を上に上げる。
茜が、高台に座って杏奈を見下ろしていた。
飛び降りて、綺麗な着地。
「わ、あの子だよ……」
「杏奈さんに馴れ馴れしいのよね……」
茜「けっ」
内緒話なら、もう少し音量を落としてほしいモノだ。
茜は杏奈の目の前に立ち、杏奈の目を見た。
茜「アンタさ、無理し過ぎだよ」
杏奈「……かもしれない、でござるな」
笑顔が、くすんで見えた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:16:57.11 ID:5jcmTfcAO<> ――――邂逅
十兵衛「……街は危険だ。帰った方が良いぜ、ベアトリクス」
ベアト「……どういう事かな?キミは……何かを知っているの?」
変に鋭い、と十兵衛は苦笑した。
隠しきれない不安が滲み出ているのだとすれば、自分の何と未熟な事だろうか。
そんな時、遠くから大勢の人の気配を感じた。
杏奈「ベアトリクス――と、アンタ……か」
十兵衛「あ?……あぁ、ベアトリクスの友達だったよな。何だよゾロゾロと、お山の大将か?」
以前までの彼女を微かに覚えていた十兵衛は、その様子にちぐはぐなモノを感じた。
「あ、アレ……最初の魔法少女じゃないかしら?」
「最強だって……何だか杏奈さんの表情、ヤバくない?」
取り巻きの声は小さく、喧しい。
ベアト「な、何なんだい……あ、茜!これは一体――」
茜「良いから黙って聞いてるんだ、ベアト」
茜は複雑な表情をしていて、内なる感情を読み取る事は出来ない。
杏奈「ベアトリクスさん」
杏奈が口を開いて、その場が凍てつく様に静まりかえった。
それだけの力が、ソレに込められていたから。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:17:40.91 ID:5jcmTfcAO<> 杏奈「こんな場で何を、と思うかもしれないが、聞いてくれ」
杏奈「私は貴女が好きです」
ベアト「――――な?」
突然の告白に、思考回路が追いつかない。
そんなベアトリクスに宥める様に彼女は続けた。
杏奈「……いや、でも、答えは分かっているつもりなんだ」
ベアト「ど、どうして――ボクなんだい?」
杏奈は、過去を懐かしむ様に記憶を吟味する―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:20:31.47 ID:5jcmTfcAO<> 杏奈「キミは覚えていないかもしれない。だから、キミは分からなくていい――」
知れば、優しい彼女の事だから――きっと考え過ぎてしまうだろう。
自分だけが知っていれば、それでいい。
『ねぇ、キミはこのクラスの人かい?』
『あ……は、はい……何か……?』
『ボクはベアトリクスって言うんだ。転校生なんだよ』
『そ、そうなんですか』
『良かったらボクと仲良くして、お友達になってよ!』
『――――』
ずっと背景だった。
誰とも関わらないし、誰も関わってこない。
でも、それはそれで辛かった。
変えたかった。
でもその時の自分は、自分に自信を持てなくて。
『わ、私なんかより、あの人たちの方が……』
ずっと後悔していた。
変われるチャンスをみすみす手放してしまった。
あんな人を、自分は求めていた筈なのに。
杏奈「ただずっと――君を見ていたい」
ベアト「杏奈――」
ベアトは困り果て、回りを見渡した。
視線は泳ぎ疲れ、やがて十兵衛に辿り着く。
十兵衛「…………」
十兵衛の険しい顔に気付けるのは、今この場にいない四郎ぐらいのモノだろう。
それほどに、感情を押し殺していたのだから。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:21:18.11 ID:5jcmTfcAO<> ベアト「ボクは――」
ベアト「――ゴメン」
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:23:13.21 ID:5jcmTfcAO<> ――――
空気が張り詰めていた。
十兵衛「…………ふん」
取り巻きの目線が、ベアトリクスを刺している。
茜が堪らず声を掛けそうに――
杏奈「うん、知っているよ」
ベアト「え――?」
申し訳なさそうに俯いていた顔を、驚いて上げてしまう。
微笑んでいた。
杏奈「きっと君は次に『キミは大事な友達だ』って言うよ」
ベアト「――――っ」
杏奈「ありがとう。自分勝手に付き合ってくれて」
杏奈が漆黒に染まったソウルジェムを掲げて、魔法少女へと変身する。
ざわめきが場を支配した。
杏奈「今度は別件だ……」
穏やかな顔が、酷く歪む。
鎖を鳴らして、彼女は十兵衛に対峙した。
十兵衛「……何のつもりだ?」
杏奈「戦え、私と。決闘だ」
余りにも、突拍子。
十兵衛は思わず、高く笑ってしまった。
十兵衛「はっ――ハハハハッ!!お前が?俺と?」
それは余りに無謀だろうと、馬鹿げていると、そう感じて笑う。
が。
杏奈「――――黙る気になったか、『最強』?」
十兵衛「――へぇ」
虚空から現れた鎖が、十兵衛の足元を深く抉った。
十兵衛「(――なかなか)」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:25:08.27 ID:5jcmTfcAO<> 十兵衛は、願いの通り――自己の唯一を望む。
その道を阻んでくれるかもしれないソレに――心が、踊ってしまった。
十兵衛「だが、ダメだな」
杏奈「何が、だ」
十兵衛「だってお前――」
いや、しかし無粋。無粋極まりない――
しかし……だから、これくらいなら――
十兵衛「お前、もう魔力が無くなりそうじゃねぇか。『グリーフシード』を使えよ」
ほむら「――――知っている。確定ね」
不可解な事を聞いて、眉を潜める杏奈。
杏奈「『グリーフシード』……?」
十兵衛「あの化け物……『魔女』を倒した時に落とすアレだ。それをソウルジェムに当てると浄化されるんだ」
杏奈「…………嘘じゃないみたいだな」
杏奈は自分のソウルジェムにグリーフシードを幾つも当て、そしてソレは輝きを取り戻す。
杏奈「……私の学校で待つ。準備に時間はいるか?」
十兵衛「今すぐおっぱじめても構わねぇぜ」
ベアト「十兵衛!?……杏奈も!」
杏奈「ゴメンね、我が侭でさ」
以前の雰囲気が、今は微塵も無くなってしまっていて。
ベアトリクスは事ここに至って漸く、彼女がすっかり変わってしまった事に気付かされてしまった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:26:30.05 ID:5jcmTfcAO<> 杏奈「仕掛けておいて悪いが、なら三時間後だ」
十兵衛「随分弱腰なんだな」
杏奈「済まないね。生憎こちとら庶民なモノで、な」
杏奈が背を向けて去り、それに取り巻きが続いて――こちらを見て悩み、向こうに着いていった茜が最後に居なくなった。
ベアト「十兵衛……」
十兵衛「……アイツも何か、思う所があるんじゃねぇの」
遠くから、従者の声が聞こえてくる。
十兵衛「……ったく、今日は空気を読んでくれたのかねぇ、四郎よ」
何気無く、天を仰ぐ。
明るい空から、見えない――星の光が届いている気がした。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/15(土) 00:28:01.59 ID:5jcmTfcAO<> もう300だね。
投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2011/10/15(土) 00:30:46.28 ID:fZtDY5Dno<> 乙!!
やはり十兵衛はSGシステムの全てを知ってしまったのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/15(土) 04:42:03.11 ID:PL9LKdfN0<> かずみマギカの場合、JBがまだ善人?だからな。
原作のQBはナチュラルに(善悪の観念がないから)極悪人だし。
しかし雑誌展開では、既にとてつもなく深い闇が顔を出しているようだ。
それはともかく、こっちのルートではJB、仮面の下にどれほどのものを抱えてるんだか。
・・・防ぐ方法のない滅びを前にして、何を思う。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/16(日) 20:37:52.66 ID:gMkpJayU0<> ・・・・かずみマギカ最新号でのJBは、魔法少女システムの・・・否定を?
QBとJBは違うのか、それともそれも嘘なのか(QBは嘘をつかないが)。
・・・・スピンアウト作品とは言え、まだまだ公式からも目が離せないなあ・・・。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:39:59.28 ID:WtezSRMAO<> ベアトリクス(CV.若本)……いや何でもない。
投下開始。ちと長め。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:41:07.80 ID:WtezSRMAO<> ――――杏奈と茜、そして取り巻き。
杏奈「…………」スタスタ
「あ、杏奈さん。何処へ……?」タタタッ
「待って下さいー……」タッタッ
杏奈「身辺整理だよ。万が一があってもいけないしね」
「杏奈さん、あんな白いやつなんかより、私は――」
杏奈「それ以上は言わない方が良いよ。君も私も困るから」
茜「おい、止まれ馬鹿」グイッ
杏奈「……時間が無いんだけど、茜」
茜「何でこんな馬鹿げた事するんだよ。意味なんか無いだろ?」
杏奈「…………」
杏奈「はは……全くだ」ヘラッ
茜「っ」
パンッ――
「キャ――」
杏奈「――痛いな」
茜「訳わかんねぇ事してるからだ、反省しやがれってのよ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:42:03.25 ID:WtezSRMAO<> 杏奈「……諦めたいんじゃないかな、多分」
茜「諦める?」
杏奈「いくら頑張っても無駄なんだって分かれば、諦めも付くから――」
杏奈「きっと私は自分を完膚無きまでに潰してほしいんだ」
杏奈「でも、もし私に隙を許すようなら――」
杏奈「殺してでも、奪い取る」
茜「――ベアトはモノじゃないんだぞ!」
杏奈「分かっている。こんな世の中になっているからこそ、彼女を――例え世界が滅ぼうとも、守れる力が無ければダメなんだ」
杏奈「それに……『あのね』――」
茜「――っ?」
杏奈「…………」チラ
「…………?」
杏奈「……いや、何でもないよ。何でも、無い――」グッ
茜「杏奈……?」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/18(火) 00:42:37.93 ID:0gT7CtXNo<> こんなタイミングで遭遇とは。がんばれ! <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:42:58.56 ID:WtezSRMAO<> ――――杏奈、自宅。
杏奈「さて、片付いた……」ハァ
杏奈「ハードディスクの中身はとっくに消したし」ハハハ……
杏奈「思えば、あの時端末を弄らなきゃこんな事になってなかったかも」
杏奈「『グリーフシード』ねぇ……そういう名前なんだ、コレ」ジャラッ
杏奈「浄化に使うモノか……だとしたら、このシステムは上手く出来てると思うや」ククッ
杏奈「ソウルジェムに、良く、似ているし――ね」
杏奈「――泣くな。私」
杏奈「私は――正しいんだ、きっと」
杏奈「間違ってるって言うなら、誰か――」
――殺してくれ。
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:44:04.66 ID:WtezSRMAO<> ――――学校、校庭
ベアト「やっぱりこんなのダメだ、何の意味も無いよ!」
ベアトリクスが、十兵衛の服を掴んでいた。
手には震え。
十兵衛「そうは言うがな、ベアトリクス。奴さんは本気だぜ?」
四郎「杏奈殿が……俄には信じ難いでござる」
十兵衛「正直な所、俺もだ。アイツは見たところ内向的に見えたんだがな」
「それは心外」
割り込む声に十兵衛が顔を上げると、そこには鎖の魔法少女が立っていた。
後ろに取り巻きたちと、茜を連れている。
十兵衛「へぇ、お互い観客が多いもんだ」
杏奈「同感だよ」
二人はそれぞれ微笑し、十兵衛は薙刀を構えた。
杏奈「君らが先に来てたんだ。罠でも張っちゃいないだろうね?」
鎖を強く握って、杏奈は無いだろう罠を警戒する。
十兵衛「んなしょうもない事しやしねぇよ、ハハッ!」
軽く笑って『杏奈の方にしか向いていない』十兵衛に歯噛みした。
強いが故に、分かっていない――
杏奈「それは大層スポーツマンな事で」
杏奈「私は罠を張っていたけどね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:44:36.96 ID:WtezSRMAO<> 十兵衛「――――っ!!?」
十兵衛の足元から鎖が無数に現れ、その体を縛り付けた。
両腕にソレが食い込み、薙刀を取り落とす。
ベアト「十兵衛!?」
四郎「十兵衛殿!」
もがくが、なかなかに固い。
練度は相当なモノだった。
十兵衛「見掛け通り、卑怯な奴だぜ……」
解く方法も無いわけではない。
だが、相手もソレを分かっているだろうから、敢えて動かなかった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:48:23.78 ID:WtezSRMAO<> 杏奈「卑怯?」
十兵衛「ぐあっ……」
鎖が十兵衛を更に強く締め付ける。
杏奈「なら今の罠が、ベアトリクスを襲っていたらどうなる?」
十兵衛「っ」
杏奈「お前は強いけど、経験が足りないんじゃないか。甘ちゃんだよ」
杏奈「化け物達は手加減なんてしてくれないし、卑怯な技だって使い放題だ」
杏奈「そしてね――」
杏奈の手の鎖が真っ直ぐに連なり、剣となった。
それを構えて、杏奈は照準を十兵衛に合わせる。
杏奈「油断は死に繋がるのさ」
剣に魔法が篭り、赤色の刃がソレを修飾した。
杏奈「『天の鎖』――!」
振り抜かれたソレから、刃だけが十兵衛に襲い掛かって――
十兵衛「――『零閃』!!」
当たらずに霧散した。
不可視の、無数に放たれた斬撃が走ったかの如くに。
十兵衛を縛る鎖も、役割を放棄してバラバラに斬り裂かれていた。
杏奈「流石」
十兵衛「……使ったのは初めてだぜ。『最強』の技だ……振らず、斬らず、抜かず――裂く」
杏奈「デタラメだなぁ。奇跡か魔法でも無いと、そこまで因果をねじ曲げられないだろうね」
軽口は、強がり。
それを、杏奈は自分でも分かっている。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:48:50.10 ID:WtezSRMAO<> 十兵衛「加減出来んぞ」
杏奈「加減したら殺すよ」
ベアトリクスが息を呑むのと同時に、二人の魔法はぶつかりあった。
ベアト「――――やめてよ」
彼女の小さな声を掻き消す様に、鎖と薙刀が擦れ合う金属音ばかりがその場に響く。
観客は、見ている事しか出来なかった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:49:42.20 ID:WtezSRMAO<> ――――
十兵衛「…………」
十兵衛は薙刀を前に構え、動かない。
撃ってこい、と謂わんばかりの様子だった。
杏奈「……嘗めるな」
鎖を振り回し、上段から力任せに叩きつける。
防御しようが、彼女の得物は硬く柔らかい――しなり敵を打つのだ。
が。
十兵衛「柔い!」
鎖が薙刀との接触点から、まるで液体の様にあっさり斬れる。
切断面が、十兵衛の身体を避けた。
十兵衛が薙刀を振り上げたまま、身体を翻して接近し、ソレを振り回した。
旋風が巻き起こる。
十兵衛「――へぇ、やるもんだ」
杏奈「くっ……」
手を巻き付けた鎖が、その豪を辛うじて受け止めた。
軋む音が、悲鳴に聞こえる。
杏奈「鎖縛――」
虚空から伸びてきた鎖な束が、しかし十兵衛を捉えられない。
邪魔なモノは切り裂き、その他は相手にせず。
徹底した蹂躙だった。
それは勝負だったが、しかし杏奈は『採点される側』だった。
杏奈「くそぉ……」
全力で得物を叩きつけようとも、それを難なく往なす敵。
敢えて受けてやっているという態度。
――気に入らない。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:50:45.53 ID:WtezSRMAO<> 怒りに任せて鎖を振り回し、そしてその愚行に罰がめり込んだ。
十兵衛の薙刀の腹に殴り飛ばされ、杏奈は全身を強く打ち付ける。
杏奈「がっ――」
口から血を吐き、それによって内蔵の危機を理解した。
崩れ落ちる。
十兵衛「呆気ないな」
顔だけを動かして、薙刀の魔法少女を見上げた。
随分と余裕なようで、その様子が悔しい。
身体を必死に起こす。
痛覚は遮断し、身体を治癒しながら、彼女は立った。
十兵衛「おぉ、全治3ヶ月ってくらいにはかましたんだが……やるねぇ」
杏奈「――――」
手を、抜かれている。
まだ、これでも。
黒い感情に、魂が堕ちていくのが分かる。
冷たく暗いソレを――解き放った。
杏奈「――遊ぶなぁぁぁぁっっ!!!」
十兵衛「な――」
観客からざわめきが起こり、それは『結界の中』に響く。
ほむら「これは――(キリカと同じ?)」
杏奈「はぁ――はぁ――」
息も荒く、杏奈は武器を構えた。
不思議と――この中なら負ける気がしないのだ。
月の亡い、真っ暗な夜の砂漠で。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:51:48.23 ID:WtezSRMAO<> ――――サバク、砂漠、鎖縛、裁く。
ベアト「ここは――」
ベアトリクスは辺りを見回して、それが化け物の結界に良く似ている事に気付く。
十兵衛「な、魔女か!?しかし、一体どこから――っ」
禍々しい気配を、正面から感じた。
見れば其処には杏奈唯。
だが、魔法少女というよりは――
杏奈「何を考えてるの?」
意識はあるようで、とりあえず安心する。しかし――
杏奈「さぁもっとヤろう。ここならもっと戦えるはずだよ」
杏奈が手を上げて、そして夜の空が艶やかな黒色に染まった。
天を埋め尽くす、鎖。
「あ、あれ――」
「私たちも危ない!?」
取り巻きの悲鳴が聞こえるが、彼女には聞こえていないようだ。
十兵衛「――お前ら全員、固まれぇぇぇっ!!」
杏奈「天の――」
十兵衛の咄嗟の呼び掛けに、ある程度取り巻きたち――ベアトリクスや茜、四郎を含む――が一ヶ所に集まった。
杏奈「――鎖」
空から鎖が、針となって降り注ぐ。
十兵衛「ぬおぉぉぉっ!?」
薙刀を頭上で、全力を持って回転させた。
薙刀は巨大化していて、背後の観客を守るのに十分な盾となっている。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:55:02.04 ID:WtezSRMAO<> 杏奈「……えい」
焦点の合わない目で、彼女は手を下ろした。
その瞬間、凄まじい質量の鎖が十兵衛の薙刀を軋ませる。
茜「――おい、杏奈!私らも居るんだぞ!?」
茜の叫びも耳に入っていないようで、構わず魔法を振りかざしていた。
ベアト「……もう我慢できないよ。ボクが止める」
四郎「ベアトリクス殿!?」
ベアト「だってこのままじゃ、誰か大怪我しちゃう――」
軽い音がして、ベアトリクスの頬が叩かれる。
呆気に取られて見れば、茜が手を振り抜いた格好で止まっていた。
茜「怪我?」
茜「ベアトは、アイツらの戦いが怪我だの何だので済むレベルだと思ってんの?」
ベアト「茜……?」
少し、痛い。
茜「いつまでも、いつまでもさ――」
肩を掴んで、揺さぶられて、彼女は訴えかけた。
茜「お姫様じゃないんだよ、アンタはさ!」
ベアト「……分かっているよ、でも!」
その時、会話に割り込む様にして、十兵衛がベアトリクスに向かって叫んだ。
十兵衛「止められるのか、ベアトリクス!?」
鎖の雨は未だ止まず、杏奈の取り巻きは縮こまってしまっている。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:56:08.36 ID:WtezSRMAO<> ベアト「――出来る」
十兵衛「ならやってくれ!もう勝負なんて言ってる場合じゃねぇ――」
十兵衛「アイツ、ヤバいぞ!」
茜の手を引き剥がし、ベアトリクスは魔法少女へと姿を変えた。
傍らには、大小の歯車。
ベアト「もう、やめよう。戦う事に、意味は無いから――」
ベアト「ヴァルプルギス・ナハト!」
歯車が噛み合って、そして全ての暴力が動きを止めた。
四郎「なんと――これがベアトリクス殿の魔法でござるか!」
杏奈「アれ――あレ――?動カなイ――?」
鎖が力なく砂漠に横たわり、杏奈は不思議に思った。
力が入らないのだ。
目の前の敵を倒さなければならないはずなのに。
十兵衛「お、おいベアトリクス!?俺も動けないんだが!?」
ベアト「……そういう魔法みたいなんだ」
十兵衛「――オッケー上等、やってやらぁぁぁっ!」
十兵衛がベアトリクスの魔法の拘束を、『最強』で強引に断ち切った。
杏奈へと飛び込み、そして――
杏奈「あ――」
強かに薙刀を打ち付けた。
杏奈は倒れて、結界は緩やかに溶けていく。
――校庭の砂は、砂漠ほど輝いてはいなかった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:56:49.88 ID:WtezSRMAO<> ――――
十兵衛「ふう……なんとか、か?」
十兵衛が冷や汗を拭い、一息吐く。
大丈夫、魔女には為っていない。
ベアト「なんとか、かな。十兵衛」
ベアトリクスが声を掛けたのをきっかけに、取り巻きの堰が切れた。
「あ、ありがとうございました……」
「まさか杏奈さんがあんな事をするとは思わなくて……」
十兵衛「……そうか」
十兵衛はソレらを僅かに見て、呆れた。
ソレらが、強者に群がる者の目をしていたから。
四郎「お見事でござる、十兵衛殿」
十兵衛「……あんま誉められたもんじゃねぇよ」
地面に横たわる杏奈の隣には、茜だけ。
グリーフシードの予備は一応ある。
後で彼女に分け与えなければ。
十兵衛「庶民じゃねぇのも……割りと大変なんだぜ?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:58:08.24 ID:WtezSRMAO<> 杏奈「……私は」
茜「返り討ちだバカ」
痛む身体を無理矢理起こして、杏奈は回りを見回した。
取り巻きは、もう取り巻いていない。
杏奈「それは、そうだよね」
杏奈「あぁ、楽になったや」
自分のソウルジェムを見た。
可笑しい程に、真っ黒。
茜「……どしたの、それ」
杏奈「……はは、やっぱり」
自嘲気味に笑って、杏奈は勢い良く立ち上がった。
周囲から驚きの声が疎らに上がる。
茜「……杏奈?」
杏奈「茜――」
「じゃあね」
その時、茜は酷い焦燥感に刈られた。
今、この手を掴まなければならないと、感じた。
茜「まって――」
伸ばした手はすり抜け、彼女は飛び立ってしまった――
十兵衛「お、おい待て!?」
ベアト「十兵衛?」
意外に速く、彼女は世界に隠されてしまう。
悪戯と呼ぶには悪魔的な、ソレ。
十兵衛「アイツを探せ――間に合わなくなるぞ!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 00:59:15.71 ID:WtezSRMAO<> ――――公園
杏奈「…………」
ベンチに座って、暮れ行く空をぼんやり眺めていた。
流れる雲が、羨ましい。
茜「――いた」
黄昏る彼女を最初に見つけたのは、やはり茜だった。
茜は端末に手を掛ける。
茜「アタシ……うん、居た。場所は――」
茜「ヤバい事ってのが何なのかは知らないけど、何ともないみたいよ……じゃ、切る」
端末は十兵衛に繋がっていた。
杏奈の身に危険が迫っている、とだけ聞いていたが故の連絡。
だが、それより大事なのは彼女で。
茜「心配かけんなよバカ」
杏奈「……茜か」
茜「隣、座るよ」
近くに座った。お互いの体温を感じる程度の、距離。
杏奈「…………」
茜「…………」
沈黙が降りてくる。
ソレを打ち破る為に、茜は丁寧に言葉を探した。
茜「……頑張ったね」
杏奈「……はは。下らない事に、だけど」
茜「ううん、下らなくなんかない」
茜「アタシはそう思ってる」
杏奈「でもダメだよ……私じゃダメなんだ」
茜「そんな事、ない」
杏奈「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 01:01:04.65 ID:WtezSRMAO<> 茜「アタシね、アンタは凄いと思う」
茜「アンタは変わろうと頑張ってた。嫌な事や苦手な事でも」
茜「アタシは、嫌な事全部やらずに生きてきた」
杏奈「はは、茜らしいや」
茜「だってそうじゃん?面倒だし、イライラするし、楽しくないし」
茜「――だから、そんなのと向き合って、真剣に戦ってるアンタが――」
茜「……ちょっと、好きかも」
杏奈「……そう」
杏奈は微かに笑った。
茜「……スルーですかぁ」
頬を膨らませて、茜は可愛らしく抗議を訴える。
杏奈「……それは、気のせいにした方が良いよ」
茜「何でよ」
杏奈「きっと、もう持たないから」
遠い目で、杏奈は夕暮れをみていた。
茜「杏奈……?」
杏奈「結局、最初からできる奴が一番なんだ」
杏奈「そういう奴が中心だし、それはずっと変わらないんだ」
杏奈「願ったところで覆らない」
茜「杏奈……?ねぇ杏奈!?」
肩に手を置いて気付く。
感覚が無い。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 01:02:14.72 ID:WtezSRMAO<> 杏奈「戦ってる内に、色んな人と出会ったんだ」
杏奈「その中で、どうしても信じられないモノを見た事があるんだ」
杏奈「それは私をずっと悩ませていたけれど、それも今日で終わり」
杏奈がソウルジェムを手のひらに乗せて、大事そうにソレを掲げた。
もう、ただの黒い石。
杏奈「茜、君は私を許してくれる?」
茜「どういう事……アンタ、何を――」
杏奈「私はね……間違っていたんだ」
杏奈「間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた」
杏奈「間違って、いた――」
彼女のソウルジェムはグリーフシードへと生まれ変わって、魔女に成り果てた―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/18(火) 01:03:11.56 ID:WtezSRMAO<> 投下終了。
大して長くなかったね。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/18(火) 01:04:15.53 ID:0gT7CtXNo<> 乙!!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/18(火) 01:07:31.18 ID:/0PYce8yo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/18(火) 01:08:50.67 ID:ZN95honIO<> いつも最高だぞ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/18(火) 02:06:17.13 ID:UlUDMtAw0<> そうだな。・・・今この瞬間は、この一杯が世界で最高の珈琲だ。これ以上はない。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/18(火) 04:21:13.29 ID:Ony0VqOIO<> 何か、金ピカ王の片鱗を見た気がしたw
乙! <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 12:50:17.80 ID:pjzeDsDAO<> 天の鎖を普通にエルキドゥって読める人は、おめでとうございます。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 12:51:09.47 ID:pjzeDsDAO<> ――――砂漠の結界。
茜「な……なに、これ?」
茜は見覚えのある、夜の砂漠に立っていた。
目の前にいるのは、巨大な異形の化け物。
茜「ひっ――」
それは、嫌悪。
その魔女は、一際異質な雰囲気を纏っていた。
両手両足をもぎ取られている裸の人間の様で、皮膚は炎で炙られたように、爛れている。
顔に凹凸こそ見て取れるが、口のような穴が空いているだけで、瞼は焼けてしまってまるで溶接されたようだった。
ソレが虚空から伸びる鎖に雁字絡めにされていて、宙吊りになっている。
まるで、解体された肉のよう。
茜「なによ……何なのよ、これ……」
茜は恐怖に後退り、微動だにしない『杏奈の身体』に小声で語りかけた。
茜「杏奈、これヤバいよ……逃げよ?」
そして、気付く。
茜「杏奈――?」
ぐらり、とソレが倒れて――
茜「――杏奈!?」
飛び付く様に身体を支えて、そして現実が彼女に絶望を叩き付ける。
茜「(死んで――)」
バカな。
有り得ない。
茜「杏奈、杏奈!!冗談キツいって、起きてよ――杏奈ぁ!!」
思わず声を上げるが、彼女はもう何も答えない。
もう、何も。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 12:51:40.65 ID:pjzeDsDAO<> 背後の魔女が、蠢きだす。
茜「……お前か――っっ!?」
魔女「――、――――、――!!」
茜が再び魔女を見ると、ソレは激しく痙攣していた。
気が狂ったように頭を振り回し、鎖の擦れる音が酷く煩い。
口のような穴は醜い叫び声を上げ、そして回りの空間に大量の文字が浮かんだ。
全て同じ文章。
『KILL ME』
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 12:52:54.56 ID:pjzeDsDAO<> ――――十兵衛
十兵衛「ここか――って、これは……」
十兵衛たちが連絡先へと向かって、しかしそこには結界があるだけだった。
十兵衛「――冗談だろ」
十兵衛の心を、焦燥感が覆っていく。
負けてやれば良かったんじゃないか?
決闘を受けなければ良かったんじゃないか?
ベアトリクスと会わなければ――
ベアト「十兵衛?」
十兵衛「っ」
ベアトリクスが、呆然とする十兵衛に声を掛ける。
無邪気なソレが、心を締め付けた。
四郎「お早く参ろう、お二人の身が気掛かりでござる」
四郎が結界へと入っていく。
その先に誰がいるのかも分からずに、きっと化け物を倒すだろう。
十兵衛「……あぁ、行こう」
いや、もしかしたら別の魔法少女かもしれない――
そんな淡い期待すら持てず、彼女は結界に入っていった。
ほむら「あぁ……可哀想に。彼女の思いは実らなかった」
ほむら「理想の自分に為りきれず、他人の為に戦って――その身を滅ぼす」
ほむら「そう、彼女は……酷くさやかに似ている――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 12:55:18.50 ID:pjzeDsDAO<> ――――
ベアト「茜!」
茜「――ベアト、杏奈が!」
ベアトリクスは結界に入ってすぐ、茜を見つける事が出来た。
茜は、眠ったように動かない杏奈の身体を抱えている。
四郎「あれは……」
その奥に、醜悪な怪物を見つけ、四郎は魔力を太刀に変えた。
いつ襲って来ても撃退できるようにと構えたソレは、しかし意味を成さない。
四郎「……かかってこないでござるな」
怪物は身体を痙攣させるばかりで、別段危害を加える様子は無いようだ。
ほむら「間違い無い……杏奈ね」
彼女を縛る鎖が、彼女自身をその場に押し留めているようにも見える。
『KILL ME』の文字が痛々しい。
ベアト「杏奈、どうしたんだい杏奈!!?」
友人の身体に駆け寄り、必死にソレを揺らして目を醒まさせようとした。
無駄だというのに。
十兵衛「……無駄だベアトリクス、ソイツはもう目覚めない」
ベアト「な――何を言っているんだい、十兵衛……助けてあげてよ!」
ベアト「キミなら出来るだろう、最強なんだろう――?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 12:56:10.65 ID:pjzeDsDAO<> すがる様なその言葉を、しかし十兵衛は振り払わなければならなかった。
十兵衛「すまない……俺には、何も出来ない……」
肩に担いだ薙刀を回して、『魔女』に構える。
十兵衛「一つ出来る事があるとするなら、それは――殺してやる事だけなんだ……っ」
茜「――アンタ、何を知ってるのさ。何を隠してるんだ、答えろ!!」
四郎「十兵衛殿……?」
ほむら「…………」
十兵衛の――見た目より凄く小さな――肩が震えていた。
十兵衛「……魔法少女は、身体的には既に死んでいるんだ」
十兵衛「ソウルジェムに移された魂が、身体を動かしているだけ」
真実を話していく。
話す事で、許しを乞おうとしている。
ベアト「な――何を言ってるんだ十兵衛……わけがわからないよ」
十兵衛「故に、ソウルジェムが身体から遠く離れてしまえば――ソレが死ぬのは当然なんだ」
十兵衛「それを代償に、俺たちは願いを叶えられた」
十兵衛「だが、死んだ人間が動き続けるのは不自然――奇跡だ」
十兵衛「俺たちが生きているのは、ソウルジェムの魔法のお陰で――そしてソウルジェムは魔力を使う程濁っていく」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 12:59:41.52 ID:pjzeDsDAO<> 彼女たちは今、扉の前に立っているのだ。
四郎「――確かに。して、其れが如何様な事を引き起こすのでござるか?」
十兵衛「……ソウルジェムが黒く染まると、『魔法少女』は『魔女』へと変わる――ソウルジェムはグリーフシードに変化して、魔女を産むんだ」
十兵衛「あの……化け物の事だ」
ベアト「っっ!?」
茜「――じゃあ、アレは」
茜は魔女を見た。
醜く蠢くソレが――
茜「杏奈――?」
十兵衛「ソウルジェムは魂だ……故に、絶望によっても濁っていく」
十兵衛「失敗、挫折、敗北、苦悶、死別、失恋、不幸、悲哀――その全てが……俺たちにとって致命的なんだ」
十兵衛「そして、魔女になってしまえば、もう戻る事は無い――」
茜「――なん、だって?」
十兵衛「それを薄々勘づいていたんだろうな……杏奈は」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 13:00:13.59 ID:pjzeDsDAO<> 魔女とその結界は、その人間の全てだ。
ほむら「…………」
四肢の無い身体。
自由の無い身体。
醜い身体。
醜い自分。
縛り付けられた身体。
縛り付けられる自我。
死にたい。死ねない。
誰か殺して。
誰も居ない暗い砂漠で。
ほむら「人間らしいと言えば人間らしい……誰も傷つけようとしない辺り……彼女は本当に、心から優しかったのね」
ほむら「だから、人を殺してしまっていたと言う事実が、彼女を苦しめていた」
十兵衛は薙刀を振りかぶった。
十兵衛「俺に出来るのは――」
茜「――やめろ」
そして、それで、魔女の身体を、真っ二つにした。
十兵衛「――殺してやる事だけだ」
茜「――やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 13:01:38.29 ID:pjzeDsDAO<> ――――消える結界
ベアト「……こんな、こんなのって無いよ……あんまりだよ」
ベアトリクスは涙していた。
自分の背負った運命にではない。
戦っていた彼女の気持ちを考えると――泣かずにはいられないのだ。
茜「……クソッ!」
十兵衛「俺たち魔法少女は、願いの後にも奇跡を起こし、魔法を使う……」
十兵衛「……奇跡は他の因果線から奪ってきたモノだ。だから、この世界に因果が増える」
十兵衛「書き換えられた因果の後に、書き換えられる前の因果の残骸が溜まっていくんだ」
十兵衛「それが世界に歪みを産む。絶望に変わる」
十兵衛「エントロピーは、けして凌駕されない……希望の分だけ、俺たちは絶望しなければならないんだ……」
茜が十兵衛の胸ぐらを掴んで、壁に押し付けた。
明確な怒りを、表して。
茜「何なんだお前は、何様のつもりなんだ……事情通ですって自慢したいのか?」
茜「何でそう得意気に喋ってられるんだ……杏奈は私らの友達だったんだぞ……」
茜「それに、お前の話が本当なら――杏奈が死んだのは、お前のせいじゃないか!!」
十兵衛「っ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 13:03:17.93 ID:pjzeDsDAO<> 十兵衛の身体が、僅かに震えた。
彼女にだって分かっているのだから。
茜「お前のせいだ、お前のせいだ、お前のせいだ!!」
茜「杏奈が絶望したのは、全部お前のせい――」
ベアト「やめてよ、茜!!」
ベアトリクスが、責め続ける茜を遮った。
彼女は耳を塞いでいる。
茜「……アンタも、分かってるんでしょ?」
ベアト「……ボクが」
ボクのせいだ。
ボクが彼女を拒絶したから。
ボクが、杏奈を殺したようなモノなんだ――
十兵衛「……ベアトリクスが気に病む事じゃない」
茜の手を払い、ベアトリクスの肩に手を置いて――小さなソレを必死に捕まえた。
茜「よく言うな……お前、それでも人間かよ」
十兵衛「……勿論、違う」
十兵衛「俺も、お前も……な」
その場に、冷たい風が吹いた。
皆のソウルジェムは、少しずつ濁っていっている。
十兵衛「……だが、まだやれる事はある――決心は着いた。四郎、行くぞ」
だが、返事が無い。
十兵衛「四郎?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 13:04:02.48 ID:pjzeDsDAO<> 四郎は、ただ話を黙って聞いていた。
どんなに噛み砕いても、彼女の中では結論が一つしか出ない。
四郎「ソウルジェムが魔女を産むのなら……みな自害するしか無いのでござる――拙者も、皆の者も!!」
太刀を構えて、力なく立って――目に涙を湛えていた。
彼女が信じた正義は、得てして間違いだったと気付かされてしまったのだから。
十兵衛「……まだ、死ぬには早い」
四郎「――なんと?」
十兵衛「俺たちは確かにソウルジェムが濁れば死に至るだろう。だがな」
十兵衛「延命出来ない訳じゃない――」
十兵衛「真実を世界中の魔法少女に報せるのは不安だったが、今回ので心は決まった――」
絶望の中でも、確かに彼女は強くあった。
十兵衛「全てを伝えるんだ。こんな事――起こって良いはず、無いんだからな」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 13:05:17.22 ID:pjzeDsDAO<> ――――
ほむら「友人を助ける事が出来なかったと、茜は知ってしまった」
ほむら「自分では彼女の心の支えになれなかったと」
ほむら「彼女は――杏子に似ていた」
ほむら「これから一体どうなるのかしら……魔法少女の行く末を、インキュベーターは知ってしまった」
ほむら「魔法少女と魔女……切っても切れないその因果を――どうやって解決するのかしら」
ほむら「もしかしたら、私が知らなければならないのは――ソレなのかもしれない」
ほむら「貴女たちがどういう回答を出すのか……私はここで見守る事しか出来ない」
ほむら「……インキュベーターは泣いていた」
ほむら「彼女は――そう」
ほむら「本当に、まどかに似ている――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 13:05:44.82 ID:pjzeDsDAO<> ――――世界に向けての、放送。
『みなさん。私は最初の被験者、明智十兵衛武政です』
『今日はみなさんに、大事なお話があります』
『魔法少女の未来についてです』
『魔法少女は、魔法を使う事でソウルジェムを濁らせます』
『ソウルジェムが濁り、黒く染まると……それは魔女と言う化け物になり、魔法少女は死を迎えてしまうのです』
『魔女になってしまった魔法少女は、もう元に戻る事は……ありません』
『その上、ソウルジェムは絶望によっても濁ります。些細な心の揺らぎですら、我々にとっては命に関わります』
『しかし、我々にも取れる対策はあるのです』
『魔女を倒す……かつて魔法少女だったモノは、死ぬとグリーフシードという物を落とします』
『これをソウルジェムに当てると、グリーフシードの穢れを吸ってくれます』
『グリーフシードが穢れきると、それがまた魔女を生んでしまうので、素早く砕いて下さい』
『生まれたての魔女は、グリーフシードを落としません……グリーフシードを落とすのは、一つ以上の命を喰らったモノだけなのです』 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 13:06:14.49 ID:pjzeDsDAO<> 『ただ、魔女は強い。しかし、もう一つだけ方法はあります』
『それは、ソウルジェムにソウルジェムを当てる事……』
『ソウルジェム同士が悲しみを分かち合う事で、お互いに穢れを受け取る事が出来るのです』
『一時しのぎにしかなりませんが、それでも助かる命はあるはずです』
『この事実を知った精神研究所のメンバーは……みな、魔女になってしまいました。皆さんの怒りをぶつける場所は、既に無い』
『私たちは今、重要な局面に立っているのです』
『願わくば、絶望に負けないで――』 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/21(金) 13:09:18.36 ID:pjzeDsDAO<> 投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/21(金) 13:12:57.41 ID:XScbQq84o<> べぇはん本当に弱い人の事に、これっぽっちも考え及んでねー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)<>sage<>2011/10/21(金) 19:04:11.31 ID:XaLPnak/o<> 乙
強いって言うのは返せば弱いっていうことなんだよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/21(金) 23:08:05.87 ID:G0Cp87WSO<> どう考えても逆効果ですね…
絶望する人増えるだろ… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/21(金) 23:11:01.14 ID:294VMmRy0<> 乙
ベアト→まどか、十兵衛→ほむら、四郎→マミ、杏奈→さやか、茜→杏子で互換できるわけね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/21(金) 23:16:02.69 ID:ca8wJhHTo<> 杏奈はキリカ要素もあったような <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/21(金) 23:18:38.15 ID:0XND4Bsu0<> 弱い奴はどうせ死ぬしかない。最強で、それに加えて戦い慣れている奴なら、十分に分かっているはずだ。
全員が魔法少女の世界では、どのみち魔女が増えるのは避けられない。魔女が増えれば、弱い奴はどのみち食われて死ぬ。
このままではお互いに食い殺しあって全滅するか・・・・だが、この世界、異変が進行しはじめてから、人口が一人も増えなかったんだろうか?
たった一人でも生き残るべきものがあるとすれば、それは・・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/22(土) 00:02:43.42 ID:Amc3HNvso<> 最初はこのスレギャグ路線だったんだね…一スレ目から見直すとよくわかる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/10/22(土) 00:18:57.55 ID:VhVCUTHAO<> QBがすごいいい子だけど後々トイレでレイプされたり
さやかにオナホのように扱われる事を思い出すと
なんというか股間のSGに穢れが溜まってきて浄化したくなってくるよね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/22(土) 00:28:00.59 ID:reLQX4xDO<> 今の路線に文句はないがなんというスレタイ詐欺 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:25:33.02 ID:RjPmTenAO<> >>350
惜しい。
>>352
良い観点。『繁殖力が低い』って設定書いてたっけ?
みんなキュベレイ待ち望み過ぎだろ……もうちょっと待ってね。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:27:50.81 ID:RjPmTenAO<> ――――放送局、放送後
十兵衛「……スタッフのみんな、お疲れさん」カタッ
スタッフ1「明智さん……今のは本当なんですか……?」ブルッ
スタッフ2「それなら、それなら俺らは……」ズゥゥ……
カツンッ
スタッフ2「!」シュウゥ……
十兵衛「ほら、言った側から絶望するんじゃねぇよ……これは礼だ。お前の絶望、少し貰い受けよう」ニッ
四郎「十兵衛殿」ザッ
十兵衛「出迎えご苦労。さて、やる事は山積みだぜ」
四郎「これを知った人々は……余計に絶望するではないでござるか?」
十兵衛「……比較的絶望しやすいのは子供だ。大人はあぁ見えて絶望に慣れている」
十兵衛「だが親は子を守り、子は親に守られる事で絶望を和らげるだろう」
十兵衛「子供が絶望して死ねば、親も諸とも絶望するだろうから、それ以外に道は無いし……な」
十兵衛「友と悲しみを分かち、家族と支え合って、他人を慈しめば、人はまだ戦えるんだよ」
十兵衛「だから、俺たちはそれを守らなきゃあならない」
十兵衛「……親父と話すのは、久しぶりだな」
四郎「十兵衛殿……」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:28:32.63 ID:RjPmTenAO<> ――――ベアトリクス自宅
TV「――――」
父「これは……厄介だね。ベアトリクスの元気が無かったのは、これのせいかな」フム
母「アナタ……どうしましょ。私……」フルフル
父「大丈夫さ」ポム
父「僕たちが、娘たちをしっかり支えてあげれば良い」
父「ハンネに話すのは、お母さんに任せたよ。僕はベアトリクスと話してくるから」グッ
母「……分かったわ。確かに、私たちが凹んでいても始まらないものね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:29:29.05 ID:RjPmTenAO<> ――――ベアトリクス私室
父「ベアトリクス、入るよ?」カチャ
ベアト「……父さん」
父「隣、座っていいかい?」
ベアト「……うん」コクッ
父「随分と落ち込んでいるみたいだけれど……良かったら、話してごらん」ポスッ
ベアト「……友達が『魔女』になっちゃったんだ」ウルッ
父「……そうか、ベアトリクスは十兵衛君と仲が良かったね。彼女から、先に詳細を聞いているんだね」
ベアト「父さんも見ただろう?魔法少女は絶望すると――」
父「俄には信じがたいけれど、ベアトリクスの様子からするに……真実らしいね」
ベアト「――ボクが、殺したんだ。彼女を……」ググッ
父「……詳しく、聞かせてごらん?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:30:03.33 ID:RjPmTenAO<> ――――
ベアト「…………」
父「……なるほどね。その、杏奈って言う子が――」
父「ふむ」
父「杏奈ちゃんは、自分の不甲斐なさに押し潰されてしまったんだろうね」
父「人間、生きていれば良くある事さ」
父「自分に出来る全てをやって、だけど壁を越えられない」
父「自分の限界を見て、心が折れてしまう」
父「それに折り合いを着けて生きるのが、大人なんだ」
父「杏奈ちゃんはきっとベアトリクスの事を恨んだりしていないよ」
父「杏奈ちゃんはやれるだけの事をやって、失敗したんだから」
父「ただ、高すぎる壁を見てしまっただけなんだろう」
父「何故こんな事に挑戦していたのだろうか、と思うくらい」
父「人間って言うのはね、生きる事に価値を見出だせないと死んでしまうんだ……心がね」
父「きっと杏奈ちゃんだって……そうだったんだと思うよ、父さんはさ」
ほむら「……だから彼女は、魔女になっても誰も傷つけようとしなかった」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:32:50.98 ID:RjPmTenAO<> ――――十兵衛、押し潰されるソレ、とある会議室
十兵衛「どういう事だ、親父!!それに官僚の皆さんも!!」バンッ!
親父「声を荒げるな、娘よ」
十兵衛「……百歩譲って、事実を知って尚隠蔽していた事は堪忍してやってもいい……だけどな」
十兵衛「このふざけたプランは何だっ!!」ドンッ!
ザワザワ……
真宵父「まぁ落ち着きたまえよ、十兵衛君。君はまだ若いからね……分からないかもしれない」ニコ
十兵衛「真宵さん……アンタって人は――っ」
真宵父「我々上流階級の者は生き残らねばならんのだよ。人々を導く為にね」
十兵衛「……だから弱者を食い物にするのか?」キッ
真宵父「遅かれ早かれ、君の宣言で魔女は増えるよ」フフ
真宵父「それを刈らなければ、貴重なソウルジェムが失われてしまうし、倒せばグリーフシードを落とす」
真宵父「誰も困らないだろう?」ニィッ
十兵衛「ならこれは何だ」パサッ
『新規出生者の確保、及び教育』
真宵父「我々は種族として増えにくいのは知っているでしょう。これからの世代を担う若者を保護したいのは当然ですよ」ハハハ
十兵衛「良く言う……魔法少女の依り代が欲しいだけだろうが……」ギリィッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:35:30.22 ID:RjPmTenAO<> 真宵父「我々の希望になるのですよ。それはとても名誉な事でしょう?」
十兵衛「そうやって飼い殺すつもりか?」
真宵父「……ふむ、平行線ですね。売り言葉に買い言葉では、会議も進むに進めませんよ」ヤレヤレ
十兵衛「――この野郎!」ジャキンッ!
真宵父「おやおや……やはり随分と血の気が多いですな、明智殿?」クックックッ
親父「得物を下ろせ、十兵衛」
十兵衛「だが親父!!」
親父「十兵衛!!」クワッ
十兵衛「っ」
親父「決断せねばならぬ時が来ているのだ……ソレを、分かれ」
十兵衛「……俺は、反対だからな。四郎、引き上げるぞ!」ガタンッ
四郎「御意」スッ
バタンッ!!
真宵父「やれやれ……あれが『最強』だと言うのだから始末に終えない。でしょう、明智殿?」
親父「我が娘には厳しい躾をしてきた故、正義感は一人前だ」
親父「だが若い」
真宵父「確かに。さて、皆さん一時解散としましょう」パンパンッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:36:32.60 ID:RjPmTenAO<> ――――会議室のあった大きな建物、談話室
十兵衛「チクショウ……」ガンッ
四郎「十兵衛殿……」
十兵衛「……確かに正論だろう。だが、納得はいかねぇ……」
「何に納得がいかないのかしら、十兵衛?」ファサッ
四郎「……何奴」ザッ
四郎「(黒く長い髪に整った顔、細身の身体……見掛けぬ顔でござるよ)」
十兵衛「……真宵か」ハァ
四郎「お知り合いで?」
十兵衛「あぁ、腐れ縁だ……」
真宵「まだ水城って呼んでくれないのね。私は悲しいわ、十兵衛」スルッ
四郎「なっ」カァ
十兵衛「一々絡み付くのを止めれば考えてやるよ」グイッ
真宵「あらあら、その様子だとお父様にやり込められてしまったようね」ニヤッ
十兵衛「やかましいわ」チッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:37:54.20 ID:RjPmTenAO<> 真宵「ねぇ十兵衛、貴女が私のモノになるなら……私がお父様に進言してあげても良いのだけれど」
十兵衛「御免被る」
真宵「あはっ」ゾクッ
真宵「貴女ってそう。どうやっても手に入らない」
真宵「私の欲しいモノなんて、全て手に入るはずなのに、貴女はそう上手くいかないのよ」ホゥ……
十兵衛「それが普通なんだよ、真宵」
真宵「せっかく『最高のモノを自分のモノにしたい』と願ったのに……貴女はその上を行くもの」
真宵「欲しいわ……貴女、本当に」クスッ
十兵衛「変わっちまったな……お前も」
真宵「あら、それは違うわ」
真宵「貴女が、まだ子供なだけよ」フフッ
十兵衛「けっ……失礼するぜ」ツカツカ
四郎「じゅ、十兵衛殿!待って下されー!」ダッ
真宵「ふふっ、早苗の一族とつるんじゃって……本当に変わった奴」フフッ
真宵「でも……良い事思いついちゃったわ」クスクス <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/22(土) 15:41:25.19 ID:RjPmTenAO<> 投下終了。
読みは真宵水城(まよいみずき)。
この子は名前ちょっと考えた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/22(土) 15:47:09.29 ID:KqOzL/GXo<> 乙。上層部の企みでまた絶望が撒き散らされるのか… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/22(土) 15:47:17.12 ID:a8KX+Riqo<> 乙っス <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/22(土) 15:48:04.62 ID:i7m8JxkFo<> 乙です
また新キャラが現れたか
名前的にも擬音的にもほむらの対かな? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/22(土) 15:53:46.95 ID:Amc3HNvso<> シャルの前身っぽさを感じたけど、ほむほむかねやっぱ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/22(土) 16:41:34.77 ID:Amc3HNvso<> 溜め込んだ魔法少女達の奇跡…は、この世界だとどうすることもできないんだっけ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/22(土) 18:10:41.61 ID:EuIowrp40<> 乙。なるほど、宵←→暁、水←→焔で対照的な形となってるわけか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/22(土) 19:02:07.84 ID:rJptRF5to<> 上層部はぜーれを思い浮かべたけど、実際皆女なんだよな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/22(土) 21:17:05.24 ID:3ooDt8qI0<> 新世代を生かそうとした、というのはやはりだったが・・。
文明自体は滅びが避けがたい、というのは本編の歴史から明らか。
ムカつく上層部もいずれ粛清されるのは目に見えてるな。
誰が粛清するかは後のお楽しみとして・・・・。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/22(土) 22:59:02.17 ID:YXMeogdUo<> >>371
こいつ・・・できる! <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/23(日) 00:24:19.28 ID:8cW56lbAO<> >>370
二週目でスーパーまどかワールドから脱出した時、空間叩き割る為に武具系の奇跡は全部壊れた。
盾の中身もリセットされるかもって回収したのがバイオリン。
この世界では何も出来ないしね。
>>371
Exactly
投下スピードがおかしくなってるね。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/23(日) 00:25:30.06 ID:8cW56lbAO<> ――――ベアトリクス、実際の世界。
ベアト「…………(街が、五月蝿いな)」
ベアト「来たよ、茜」
茜「……よ、ベアト。ま、どっか座るか」ハァ
――――公園
ベアト「……話って?」
茜「……小耳に挟んだ事を伝えたくてね」
茜「近々、魔女狩りが始まるって噂だ」
ベアト「それは……?」
茜「徒党を組んで魔女を倒し、グリーフシードを蓄えていくんだってさ」
茜「……杏奈が死んだ後にさ、杏奈の部屋に上がる機会があったんだ」
茜「アイツ端末オタクだったからさ、すっげーマシンだったのよ。アイツの端末」
茜「でも、全部データは消されててね……一つだけ、アイコンがあった」
ベアト「……それは?」
茜「『情報交換』って名前のテキストファイルだった」
茜「中には、とあるアドレスと、自力で調べた魔女の特徴なんかが書かれていた」
茜「アドレスは掲示板に繋がった。そこは杏奈と似たような奴等が、絶望に負けずに頑張ってた」
茜「アイツ、結構凄い奴だったらしいよ。アタシが死んだ事を伝えたら……みんな悲しんでたよ」
ベアト「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/23(日) 00:26:18.36 ID:8cW56lbAO<> 茜「そこで聞いた話なんだ。実際、リアルでも私に声を掛けてきた奴がいたし、間違いない」
ベアト「……気は乗らないけど、誰かがやらなきゃならないんだよね……」
茜「だけど、本題は別」
茜「気を付けなよ、ベアト。世の中にはね、人の命なんてどうでもいい奴が沢山いるんだから」
ベアト「どういう事だい?」
茜「……ソウルジェムを奪う奴らがいる」
ベアト「――まさか」
茜「実際に会った事はないけどね……会ったら殺されるし」
ベアト「怖いね……」ブルッ
茜「……アタシはね、生きるためなら何だってする。杏奈の分まで、生きてやるんだ」スック
ベアト「茜?」
茜「次に会った時は……もしかしたら、ね」
ベアト「――何を考えているんだい、茜!?」
茜「生きる事だよ、ベアト」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/23(日) 00:26:59.79 ID:8cW56lbAO<> 茜「忠告はしたからね……アンタも、生き残れよ」ダンッ!
ベアト「茜……」
ほむら「……当然ね。生き残る為には魔女を狩るか、魔法少女を狩るかしかない」
ほむら「ピックジェムズ……かしらね」
ほむら「しかもソウルジェムは使い終わった後に魔女を産む。一個で二度美味しい……」
ほむら「……まさか、同士討ちで全滅なんて……無いわよね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/23(日) 00:28:27.50 ID:8cW56lbAO<> ――――ハンネの最初の旅。最後の旅。
ハンネ「お化けになっちゃう……よく分からないけど、怖いよぅ……」カタカタ
ハンネ「でも、お父さんもお母さんも大丈夫だって言ってたし……うん」
ハンネ「みんな色々やることあるみたいで居ないし……寂しいよぅ」
プルルルッ
ハンネ「あ、電話……」トテテ
カチャッ
ハンネ「もしもし、クヴァンツですけれど……」オズオズ
『ハンネちゃん。ハンネちゃんね――お願い、助けて』
ハンネ「――琴音ちゃん?ど、どうしたの、何があったの!?」ガバッ
『お母さん――』プチッ
ハンネ「琴音ちゃん、琴音ちゃん!?」
ハンネ「……何かあったんだ」ブルッ
ハンネ「怖いっ……けどっ……友達が困ってるんだ……っ」グッ
ハンネ「い、行くよ!私だって――魔法少女なんだからっ!」ダッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/23(日) 00:29:06.93 ID:8cW56lbAO<> ――――友の家。玄関前
ハンネ「……あれ?特にお化けの結界があるわけじゃないんだ?」
ハンネが勇んで来たものの、そこは比較的静かなモノだった。
時折聞こえるのは、彼女の友人の小さな声。
ハンネ「……?『聞こえろ』っ!」
ハンネが耳に手を当てると、小さな音が増幅されて聞こえた。
『やめて』
『ごめんなさい』
『ゆるして』
『たすけて』
『しにたくない』
ハンネ「――――ひぃ」
腰が抜けて、立てなくなってしまう。
確かに、この中で、友が助けを呼んでいたのだ。
ハンネ「……怖くないぞ、怖くないよ!」
震える足を叩いて、無理にでも立ち上がる。
ハンネ「武器……かっこいい武器!」
彼女が魔力を込めると、イメージ通りの得物が現れた。
確かに格好は……良いだろう。
ハンネ「こないだ映画で見たもんね……行こう!」
ハンネ=ローレは『対戦車ライフル』を担いで玄関のドアを蹴破った。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/23(日) 00:30:22.15 ID:8cW56lbAO<> 投下終了。
琴音ちゃんはロリです。
もう出ないモブなのに、電話してきたせいで名前が着きました。
つまり中沢サイド。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/23(日) 00:31:32.87 ID:A8ERX4CTo<> お疲れ様でした。
切ないものですねぇ・・・・・・・。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/10/23(日) 02:04:39.69 ID:SN7Uu2EAO<> 琴音ってゆまかしら <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/23(日) 02:37:29.58 ID:reqcpekG0<> 乙
まるで25000人のバトルロワイアルみたい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/23(日) 07:20:51.70 ID:3PW7Kkik0<> 魔法少女となった者の運命。それは、魔女に堕ちての死・・死あるのみ・・・何故、俺は泣(ry) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/10/23(日) 12:24:45.26 ID:PT1cJ3pAO<> 戦わなければ生き残れない! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/23(日) 14:23:29.88 ID:sOSmqILf0<> 選定って間引きって意味もあるよね。
更新速度に感想が追いつかない!
とりあえずお偉方のやってることはまったくもって正しい。種としての存命と指導者の延命は何よりも必要。もっとも対処療法に過ぎないってのが切ないところだけど。
どっかの誰かに「システムの崩壊」を願わせればいいんだろうけど、ワラキアみたいな拡大解釈がないとも限らないし、まずもって因果の選定が“もう”できないだろうからねぇ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/23(日) 15:53:29.54 ID:/OzN0bC0o<> >>386
戦っても生き残れないラストになるんですか!? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/23(日) 15:57:00.25 ID:F3Ypv8bPo<> この世界(星?)には25002人しかいないのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)<>sage<>2011/10/23(日) 21:50:17.87 ID:J0gvoRilo<> それって確か舞台の街の人口じゃなかったっけ? <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/24(月) 00:34:43.17 ID:bm9Ia+rAO<> >>389>>390
十兵衛が言うには、ベアトの街には大体25000人の人が住んでる。
けど決して正確な値ではないよ。
ほむほむも色々ヒント落としてるかもね。『観測されないモノは存在しない』とかね。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/24(月) 00:35:42.17 ID:bm9Ia+rAO<> ――――家の中
ハンネ「えーいっ……って、あれ?」
蹴破ったのにも関わらず、中はやけに静かだった。
奥の扉がゆっくり開く。
琴音の母が顔を出した。
琴音母「あらぁ、ハンネちゃんじゃない。どうしたのかしらぁ?」
ハンネ「おばさん……あれー?」
外から感じたのは確かに異変だったのに、中は驚く程日常だった。
琴音母「遊びにきたのかしらぁ?」
一般家庭にしては少々長めの廊下を歩いて、ハンネに近寄ってくる。
その時、ハンネは気付いた。
――おかしい。
琴音母「――あらぁ、それ、なぁに?」
対戦車ライフルを突き付け、ハンネは接近を許さなかった。
突き動かしたのは、純粋な恐怖。
ハンネ「おばさん……なんで?」
琴音母「何がぁ?」
ハンネ「普通――『玄関』に反応するはずだよ」
玄関は蹴破られて粉々になっている。
ここが日常だというなら、この非日常に反応すべきなのだ。
そうでないと言う事はつまり――
琴音母「――あらあらホントぉ。大変だわぁ……お転婆さん、ねっ!!」
斧が、ハンネの頭があった場所を通り抜けた。
ハンネはそれをがむしゃらになって避け――腰を抜かす。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/24(月) 00:36:38.18 ID:bm9Ia+rAO<> ハンネ「あ――あわぁ」
琴音母「あらぁ……避けちゃダメじゃないの……ソウルジェムに当たっちゃったら意味無いのよぉ?」
ニタニタと笑って、その『魔法少女』は床に刺さった斧を引き抜いた。
玄関側に立たれてしまい、退路は無い。
ハンネ「ひっ、ひぃっ!」
思考が上手く回らなくなって、ハンネは狙いも定めずライフルの引金を引いた。
轟音と共に、砂ぼこりが舞う。
ハンネ「――に、逃げなきゃ!」
奥の部屋へと逃げ込み、扉を閉めて鍵を掛けた。
魔法少女にとって、そのような施錠は意味を為さないが――
ハンネ「うぅぅ……」
ライフルを構えておく事は出来る。
動悸が速まる中、ハンネはか細い声を聞いた。
「ハンネ……ちゃん……?」
ハンネ「――琴音ちゃん!?」
薄暗い部屋の中に、その少女は倒れていた。
弱りきって、今にも消え去りそうなソレ。
ハンネ「どうしたの、しっかり!」
琴音「ハンネちゃん……ゴメンね……」
ハンネが『異様な事』に気付く。
ハンネ「――琴音ちゃん、琴音ちゃんのソウルジェムは?」
彼女はソウルジェムを身に付けていなかったのだ。
ハンネ「どこに――?」
琴音母「こ、こ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/24(月) 00:37:40.13 ID:bm9Ia+rAO<> ハンネ「っ!!」
音も無く背後に現れる、魔法少女。
その手には、ソウルジェム。
琴音母「あーあ、汚れちゃったわぁ……綺麗にしないとぉ」
自らのソウルジェムに、娘のソウルジェムを当てて――穢れを押し付ける。
声は無いが、ハンネには――悲鳴が聞こえた。
ハンネ「――おばさん、なんでこんな……なんで意地悪するの?そんなおばさんじゃ無かった――」
琴音母「だって、子が親の為に生きるのは当然でしょぉ?」
わけがわからなかった。
だってハンネの両親は、ハンネを守ってくれているから。
琴音「お母、さん……やめて……わたし……しに、たく、ないよ……」
母親は、そんな我が子に優しく微笑みかけた。
琴音母「大丈夫よ」
「魔女になったら、ちゃんとブチ殺してあげるからぁ」
少女のソウルジェムは、砕けて魔女を産む。
琴音母「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!これでまだ生きられるわぁ!!」
歓喜する雌と。
ハンネ「あ――――」
呆然する少女が、それを見た。
ハンネ「(助けて――助けて、お姉ちゃん――)」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/24(月) 00:38:10.52 ID:bm9Ia+rAO<> ――――そしていつかはワルプルギス。
ベアト「茜……なんでこんな事になってしまったんだろうか……」
ベアト「――ハンネ?」
遠くから、聞き覚えのある声を拾う。
彼女の魔法の一つ、念話能力の恩恵だった。
ベアト「嫌な予感がする……こっちか!」
大きな歯車を呼び出し、それの上に飛び乗る。
歯車は彼女を乗せて、空を駆けた。
ほむら「まさか――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/24(月) 00:38:53.34 ID:bm9Ia+rAO<> ――――結界。
魔女「――――!」
琴音母「ぎゃっ!?……案外手強いのねぇ……」
魔女になった娘を殺そうとする母親。
それは絵画にすれば、題名に『地獄』と付けられるだろう。
そんな醜い風景。
ハンネ「――に、にげ」
上手く動かない足を無理矢理に働かせ徐々に後ずさるが、それに気付かれてしまう。
琴音母「逃げたら殺しちゃうわよぉ……」
と、そこで何か思いついた様な表情をした。
琴音母「そうだわぁ。ハンネちゃんも、あの化け物をブチ殺すの手伝ってくれないかなぁ?」
ハンネ「――――え?」
琴音母「そしたらぁ、見逃してあげてもいいかなぁ?」
優しい笑みで、外道の頼み。
ハンネはクヴァンツ家の最年少として、家族の愛を一身に受けて生きてきた。
だから、ようやく。
怒りが恐怖を上回った。
ハンネ「…………」
琴音母「なぁに?そのデカいばっかりの鉄屑でやろうってのぉ?」
低い姿勢で、反動を殺すようにライフルを構えた。
今なら、人でも覚悟を持って撃てる――
ベアト「ダメだよ、ハンネ」
そんな妹の前に、姉が降り立った―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/24(月) 00:40:28.42 ID:bm9Ia+rAO<> ――――舞台装置の魔法少女。
ハンネ「お姉ちゃん……」
ベアト「遅くなってしまったね。済まない」
歯車が、大切な妹を守るように噛み合っていた。
いつもは、どちらかと言うと非好戦的なベアトリクスも――今は仁王立ちで魔法少女の前に立っている。
琴音母「あらあらぁ、またソウルジェムが増えたわぁ」
ほむら「小悪党だわ」
ベアト「……なるほど。クズだね」
琴音母「止めてくれない?生きるか死ぬか、それにクズも何もないじゃない」
斧を高く構えて、振り下ろしてきた。
歯車が、一斉に舞台を止める。
ベアト「ヴァルプルギス・ナハト――」
琴音母「――動けない!?」
戦意のある者の動きを止めるソレが、魔法少女の浅ましい心を縛り付けた。
ベアトリクスはハンネを抱き抱え、そのまま静かに歩き出した。
ベアト「さようならだね。妹は、連れて帰ります」
ほむら「いい気味ね」
琴音母「ちょっとぉ――」
声を掛ける間も無く、ベアトリクスは視界から姿を消した。
琴音母「もう……これ、いつ解けるのよぉ……」
魔女「――――」
琴音母「え、やだ、うそ、やめ――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/24(月) 00:41:05.67 ID:bm9Ia+rAO<> うわぁ筆乗りまくるんだけど。
投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/24(月) 00:46:09.18 ID:y/Yrmo8xo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/24(月) 00:46:37.80 ID:gSBryKJr0<> 戦意を持つ者は、ワルプルギスの夜を打ち破る事は出来ない、か。
外道には外道の最後がある。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/24(月) 00:49:00.82 ID:aOgs4f5Zo<> どっかにあった最弱さやかちゃんじゃないと勝てないのか・・・・戦意持てないくらい弱くないと・・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/24(月) 02:30:07.68 ID:erbPFPkY0<> 乙
あまりの早さに氏が契約でもしたのではないかと危惧してしまうよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2011/10/24(月) 07:41:32.90 ID:SA1sCoUAO<> その性質は無力、ってことか
乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/24(月) 18:28:23.83 ID:1iw0F4H+o<> まあ、生きるか死ぬかにクズもクソも無かったわな
故にクズもクソもない死に方で終わったと
乙っすー
かずみ組最登場しないかしらーなんて <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県)<>sage<>2011/10/25(火) 17:18:41.48 ID:Jqkc9Hex0<> なるほど、杏奈や茜にそっくりなマミやさやか
そして何より自分にそっくりなまどかに会ってしまったから昔の絶望を思い出したのか <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 00:45:17.44 ID:dCQIvKjAO<> >>403
そこに気付くとは……天才か。
>>405
それもあるけど……うわぁネタバレしてぇぇぇ。
投下開始。
終わらないんだけど。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 00:49:08.20 ID:dCQIvKjAO<> ――――結界の外。
ベアト「――よし、抜けた……大丈夫かい、ハンネ」スッ
ハンネ「…………」カタカタ
ベアト「震えているのかい……?」ギュウッ
ハンネ「お姉ちゃん……私も、ああなるのかな……?」
ベアト「大丈夫さ。きっと直ぐに解決策を見つけてくれるさ」
ほむら「……希望的観測ね」
スタッ
茜「……言ったそばからまた会うのか」ハァ
ベアト「茜……と、後ろの人たちは?」
茜「……杏奈の取り巻きって言うか弟子って言うか」
茜「杏奈は何かあった時の為に、戦い方を何人かに仕込んでおいたらしくて」
茜「ソイツらと一緒に魔女狩りって訳さ。ほら、行くよ」チャキッ
「はい、茜さん」
ハンネ「ま、待って。あのお化けは私の――」
茜「友達じゃないよ」
ハンネ「っ」ビクッ
茜「もう友達なんかじゃない。全然別の何かよ」
ハンネ「そんな――そんなぁ」ポロポラ
茜「……見たくなければ帰りなよ。ベアトリクス」
ベアト「…………」チラ
ハンネ「……」グスグス
ベアト「……そうさせてもらうよ。行こう、ハンネ」クイッ
ハンネ「ゴメンね――ゴメン――」ポロポロ
ベアト「…………」ズキンッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 00:50:23.34 ID:dCQIvKjAO<> ――――十兵衛サイド、十兵衛私室
十兵衛「…………」
ガチャッ、バタン
四郎「失礼仕る」
十兵衛「どうだった?」クルッ
四郎「やはり、と言ったところでござる」ペラ
十兵衛「貸してくれ」パシッ
十兵衛「……やっぱりな。そう綺麗なプランな訳ないよな」フム
十兵衛「弱者を飼い殺して、俺たちは生き残るのか……」チッ
四郎「新生児の製造プラント開発とはあるでござるが……これは」
十兵衛「あぁ。ただの牧場に過ぎないな」
十兵衛「そもそも魔法少女は副産物として、長い寿命を手に入れているはずだ」
十兵衛「自分たちさえ生きていれば、種の存続は成る……」チッ
四郎「どうするでござるか?」
十兵衛「……正直分からん。俺に画期的な解決策は無いしな」ハァ
十兵衛「煮詰まった。ちと出かけてくる」スクッ
四郎「お供致す」
十兵衛「いや、いい……動向を監視していてくれ」
四郎「……御意」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 00:51:23.22 ID:dCQIvKjAO<> ガチャ……バタン
十兵衛「はぁ……やっぱり息が詰まるぜ」
真宵「何処へ行くのかしら?」スルリ
十兵衛「ぁわひゃんっ!?」ビクンッ
バッ
十兵衛「いきなり現れるなと言うに……」
真宵「ねぇ、貴女」
十兵衛「……なんだよ」
真宵「変な顔。何をしに行くのかしら……いや、誰か待ち人がいるのかしらね」クスッ
十兵衛「……関係ねぇよ。じゃあな」スタスタ
真宵「面白そうね……ねぇ」
付き人1「はっ!」ザザッ
真宵「私、少し外出したいの。エスコートして下さる?」
付き人2「畏まりました」ザッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 00:52:43.97 ID:dCQIvKjAO<> ――――ベアトリクス宅、夜半
父「ふぅ……」
ベアト「父さん、どうだった?」
父「ようやく寝付いたようだよ。ハンネは随分と辛い体験をしたようだね……」スッ
母「――あなた、それ」
父「ハンネのソウルジェムの穢れが止まらないから……ちょっとお父さん頑張ってしまったよ」ハハ
ベアト「だ、大丈夫なのかい……?」
父「まだ余裕はあるみたいだから、心配ないよ」ナデ
ベアト「……本当?」
父「本当だとも。さ、ベアトリクスもお休み」ホラ
ベアト「……分かったよ。お休みなさい」
カチャ、パタン……
母「……で?」
父「ちょっとしんどいかな……情けないね」タハハ
母「――っ」
母「嫌よ……そんなの嫌」ギュッ
父「大丈夫さ、キミを置いていったりしない」
ほむら「……そんな余裕があるような濁り方じゃあ無いわよ……?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 00:53:58.15 ID:dCQIvKjAO<> ――――沈み行く心の太陽、されども明け行く朝。
ベアト「……眩しい」バサッ
ベアト「……眠った気にならないや」ムクリ
ベアト「ハンネは……部屋に行ってみようか」
ベアト「ハンネ、入るよ?」コンコンッ
ベアト「……開けるよ?」カチャッ
ハンネ「……お姉ちゃん」
ベアト「まだ眠いのかい?それなら寝ていても構わないんだけど……」
ハンネ「ううん、そばにいて……」フルフル
ベアト「分かったよ」スッ
ハンネ「……夢じゃなかった。寝て起きれば、きっと元通りだって」
ハンネ「――お姉ちゃん、私、怖いよ……お化けにはなりたくない……」
ベアト「大丈夫、きっと大丈夫さ。信じようよ」……ニコ
ほむら「…………」クッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 00:56:41.56 ID:dCQIvKjAO<> ――――街。
ベアト「…………」テクテク
父『本当にベアトリクス一人で大丈夫なのかい?』
ベアト『買い物ぐらい平気さ。父さんは休んでて』
ベアト「……」キョロッ
ベアト「街が死んでいるみたいだ……酷いモノだよ」
ガサッ!
少女「お、お前……!」ガタガタ
ほむら「……追い剥ぎ、って言うのかしら?」
ベアト「……なんだい?刃物は人に向けるモノじゃあないよ」キッ
少女「そ、ソウル、ジェム……渡せよ……!」ブルブル
ベアト「……震えているじゃないか、止めるんだ」
少女「うるさい!こっちには……」
ベアト「――キミの為だ」ハァ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 00:57:59.36 ID:dCQIvKjAO<> 少女「何が――」
十兵衛「優しいな、ベアトリクスは」ザンッ
ガンッ!
少女「ひぃっ!?」ズサァァァッ!
ベアト「コラ、手加減しなきゃダメじゃないか」メッ
十兵衛「いやはや、参ったね……」タハハ……
少女「ひっ……逃げろぉ……」バタバタ
ベアト「行ったね」フゥ
十兵衛「追うぞ」ダッ
ベアト「あ、キミにも分かったんだね。歯車、っと」フワッ
十兵衛「あぁ、あんな泣きそうな顔してりゃ、誰だって分かるさ」
ベアト「流石だね」フフッ
ほむら「あの様子は……確かに何かありそうね」ホム <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 00:59:33.92 ID:dCQIvKjAO<> ――――少女の家。
少女「お母さん……大丈夫?」ユサユサ
母親「あぁ……私はもうダメよ……もうきっと死ぬのよ……」
少女「そんな事無いよ、お願いだから起きてよ……」グスグス
十兵衛「ほいほい、お邪魔するよ」ガラッ
少女「――お前ら、何しにきた!」チャキッ
十兵衛「へぇ、良い目だ。母親を守る為なら命を張れるって目だ」ホウ
ベアト「ボクたちは、別に取って食おうって訳じゃないんだ……キミは、お母さんの為にソウルジェムが欲しかったんだね」
少女「…………」
十兵衛「へっ、退きな。お前の親御さんは、お前の度胸に免じて俺が浄化してやるよ」ズイッ
母親「誰……?」
十兵衛「通りすがりの最強さ。覚えなくて良いがね……」コツンッ
シュウゥ……
ほむら「……十兵衛のソウルジェム、どうやら凄まじい容量のようね。あれだけ吸ってもまだ穢れない……」
母親「……身体が、軽い?」フゥッ
ベアト「やった、さすがだね」ニコッ
十兵衛「あたぼうよ」ヘヘッ
ドサッ
ほむら「――子供が!?ベアトリクス、こっちに気付きなさい!ベアトリクス!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 01:00:13.25 ID:dCQIvKjAO<> ――――ケタケタ笑いの残酷な現実。
誰かの倒れる音で、ベアトリクスは振り返る。
そこには、地に伏せる少女。
微かな笑いを湛えて、そこに居た。
少女「お母さん、治った?」
ベアト「治ったけれど……どうしたんだい?」
その少女を抱き起こして、ベアトリクスは気付く。
ベアト「――キミ!?十兵衛、早く!」
十兵衛「どうした――こりゃあ酷い」
母親「――何、何なの?」
ベアトリクスと十兵衛が見たのは、酷く濁った少女のソウルジェム。
そうか。
自分ではどうしようも無くなったから――
少女「良かった……治って良かったね――」
「おかあさん――」
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 01:00:45.43 ID:dCQIvKjAO<> ――――魔女の、結界
母親「そん、な」
少女のソウルジェムは、安心したのか――疲れきったように崩れて魔女を生んだ。
母親はそれを呆然と見つめている。
母親「ゴメンね……心配ばっかりかけるお母さんで……」
十兵衛「――っ」
いや、違った。
強い、母親の目だった。
母親「そこのお方」
十兵衛「……如何なされた、奥方」
母親「私のソウルジェム、どうかお持ちになって下さいませんか。貴方なら、お役に立ててくれそうですし」
そう言って、ソウルジェムを渡す。
十兵衛「……有り難く、頂戴します」
母親「ありがとうございます。ご迷惑をお掛けしました」
深々と、頭を下げた。
魔女はゆらゆらと遊んでいる。
ベアト「……それで良いのかい?」
母親「えぇ……私は、この子といます……最後くらい、母親をやるんです」
笑みは、本当に柔らかかった。
二人は一礼して、その場を去る。
母親は我が子を抱いて――事切れた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 01:01:37.67 ID:dCQIvKjAO<> ――――結界の外
十兵衛「…………」
ベアト「…………」
十兵衛「……俺は、ダメだな」
ベアト「そんな事、無いよ」
ほむら「こんな事……あって良いの……?こんな、バカな事が……」
真宵「――へぇ、あの子がお気に入りかしら?跡を追って正解だったわね」
付き人1「お嬢様――」
真宵「しー、静かになさい。まだ気付かれたくはないわ」
真宵「それにしても……あの白髪の子」
ベアト「――――」
真宵「イイわね……欲しいわ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/26(水) 01:02:03.57 ID:dCQIvKjAO<> 投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2011/10/26(水) 01:09:09.19 ID:iN+TTN3go<> 乙!!
・・・切なすぎるぜ・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/26(水) 01:20:34.38 ID:k7q3EWz1o<> 絶望にひた進む感じがたまらん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/26(水) 01:48:49.32 ID:gxr8oxWO0<> 何千年、何万年の間、魔女に堕ちる魔法少女を見て来たほむらが。
心をなくしたはずのほむらが。
仮面の下で泣いている・・・。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/26(水) 03:52:35.51 ID:oEqOluEDo<> 誰か頭の弱いオレに教えてくれ
この星のほとんどの人間が魔法少女になってるってこと?
ベアトの街のQB願望器の山はほんの一部でしかないのかな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/26(水) 05:04:32.62 ID:16K3EVhd0<> 乙。
>>422
ヒント:シュレディンガーの猫 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/26(水) 06:37:07.16 ID:/ItTypIuo<> お疲れ様でした <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/10/26(水) 08:28:52.96 ID:Lsrz1dEAO<> 絶望の果てにキュベレイが待ってると思うと股間が熱k(ry
虚しさが込み上げてくるな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/26(水) 10:26:59.76 ID:M3STiNySO<> なんかエロが来そうで嬉しい。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/10/26(水) 12:21:06.88 ID:Opks0DJAO<> >>422
大丈夫何も考えてなくても面白い <>
422<>sage<>2011/10/26(水) 22:44:30.07 ID:oEqOluEDo<> >>423
ありがとう
まだ伏線になってそうなところもあるし、悩まないことにする
>>427
そうだね
ちょっと気になっただけで、ほかは楽しく読んでるよ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:41:58.10 ID:6pdFPH9AO<> この星全ての人間が魔法少女。
ベアトリクスの街の人口は大体25000人。でも決して正確ではない。
ゴミ処理って地域ごとでしょ?つまりそういう事。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:43:07.55 ID:6pdFPH9AO<> ――――二人
ベアト「街……荒れてるね」テクテク
十兵衛「自棄になって暴れる奴も見た……これが、俺たちの末路だって言うんだから、笑っちまうな」ハハ……
ベアト「…………笑えないよ」
ベアト「こんな恐怖が今もボクを喰らい尽くそうとしているのに――」
ギュウッ
ベアト「――――っ」
十兵衛「大丈夫だ。お前は俺が守る。絶対、絶対魔女になんかさせない」
ベアト「……ありがとう」フルッ
ベアト「少し……泣いてもいいかい?」
十兵衛「あぁ。濁ったら俺が引き受ける」
ベアト「ゴメン――」ヒック
ほむら「…………」フイッ
ほむら「私は何も見ていないわ……何もね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:44:32.15 ID:6pdFPH9AO<> ――――寄り添う二人。深まる仲。
ベアト「……ありがとう、十兵衛。少し、楽になった」
十兵衛「おう、そりゃあ良かった」ニッ
ベアト「……ねぇ、十兵衛?」グイッ
十兵衛「ん、何だ――」
「――――」
十兵衛「ベアトリクス……」
ベアト「ボクの初めて、あげるよ」
十兵衛「――足りない」
ベアト「へ――ふむっ」
ベアト「……えっち」カァッ
十兵衛「いやゴメン今頭冷やしてる所だからさ、いやマジで」ウワァァァ
ほむら「…………」マジマジ
ほむら「っ!」ハッ
ほむら「これじゃただのデバガメじゃない……」ホムン……
ほむら「……でも、愛のあるキス――私は」ズキッ
ほむら「もしかして、怒りに任せてとんでもない事をしてしまったのでは……?」
真宵「成る程、ねぇ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:46:10.52 ID:6pdFPH9AO<> ――――とりあえずの別れ
十兵衛「行ったか……アイツも大変みたいだが、まぁ上手くやるだろう」
真宵「それで大丈夫なのかしらね?」ヒョコッ
十兵衛「……つけてきていたのか」
真宵「そうよ。なかなかに面白い物を見せて貰ったわ」
十兵衛「ちっ……悪趣味だぜ、全くよ」ケッ
真宵「しかしねぇ……十兵衛があんな顔をするなんで」クックッ
十兵衛「やかましいわ」カァッ
真宵「まぁ、でも――」
真宵「(興味は湧いたわ)」クスッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:47:04.46 ID:6pdFPH9AO<> ――――幸せのベアトリクス
ベアト「…………」
彼女の足取りは、出掛けた時より遥かに軽くなった。
人を、愛しいと思う事が――こんなにも自分を支えてくれる。
こんな気持ちがあるなら、自分は絶望したりなんかしないと――そう思った。
世界はいつだって残酷だというのに。
彼女が家に着き、扉を開けると――嫌に静かな空気が肌に突き刺さった。
ベアト「――っ、父さん!?母さん!?」
慌てて居間の扉を開けると、ソコには両親が確かにいた。
一時、胸を撫で下ろす。
父親は、母親に膝枕されて――気持ち良さそうに目を閉じていた。
父「……ベアトリクスかい?」
ベアト「うん。買い物してきたよ」
母「そう……ちゃんと『料理』するのよ?火には気をつけるのよ?」
何だか、様子が変だ。
ほむら「まさか――あぁ、ああぁ……そんなバカな……」
ほむらが見たのは、父親のソウルジェム。
もう真っ黒なそれが、余命を物語っていた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:48:12.70 ID:6pdFPH9AO<> ベアト「おとう、さん?」
父「なぁ……ベアトリクス。ボクはね、幸せだったよ」
父「短い間だったけど、家族と一緒に、楽しい事も、辛い事も分け合ってきた」
父「二人が成長していくのが嬉しくて嬉しくて、ボクは本当に、恵まれていた」
父「本当はもう少し……一緒に居たかったけど……」
ベアトリクスは父親に駆け寄り、その力なき手を取った。
ベアト「お父さん、ヤダよ――待って、当てがあるんだ。きっと助けてくれるよ――」
父「ボクは、手遅れさ。ちょっと、無理をし過ぎてしまったね」
母「うっ……うぅっ……」
あんなに頼もしい母が、泣いている。
あんなに優しかった父が、今、死のうとしている。
父「ベアトリクス……ハンネを、頼んだよ……?」
手が震えながら、ベアトリクスの頭に乗る。
父親が頭を撫でてくれるのは、きっとこれで最後。
ベアト「分かっ……た」
父「よかった……母、さん」
母「――うぅぅぅぅ……!」
母親が、真っ黒なソウルジェムを叩き割り――父親の時間は、笑ったまま動かなくなった。
ベアト「あ、あああ……」
喪失感がベアトリクスを包む。
もう取り返しが付かないと理解する。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:50:19.91 ID:6pdFPH9AO<> 母「ベアトリクス……」
ベアト「――っ」
ベアトリクスは、こんな母の顔を初めて見た。
母親ではなく、恋い焦がれる女の顔。
母「ごめんなさい……私は、もう――」
ベアト「かあ、さん……?冗談だろう……?」
母「あの人を一人で逝かせたくないの……家族を守らなきゃいけなのに、私がもう持ちそうにないの……」
母親はベアトリクスにソウルジェムを渡した。
そして、魔法少女の姿へと変わる。
母「それは、お母さんの最後の贈り物……大切に使って?」
そんな寂しい笑顔をしないで。
ベアト「お母さん!?」
母「十兵衛君によろしくね。ウチの娘を泣かせたら承知しないって」
最後に懐かしい表情で、母は亡骸を抱いて窓から外に出た。
追いかけようとするが、魔法で窓が閉まり――カーテンが閉じて視界を消す。
開かない。
ベアト「母さん、母さん!?何をしているんだ!?お願いだから――このぉっ!」
ベアトリクスが手近なチェアを使って窓に殴りかかるが、びくともしない。
ほむら「……私はすり抜けられるわ」
ほむらが壁を抜け、見たモノは―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:51:24.37 ID:6pdFPH9AO<> ほむら「――うっ……うぷっ」
今まで見てきた絶望にも、確かに酷いモノは多くあった。
だが、それら全ては自業自得と言っても良かったのだ。
しかしこれは――――
ベアト「こ、のぉっ!」
窓ガラスの砕ける音がして、ベアトリクスがソレを蹴破って現れた。
ほむら「――いけない、貴女だけは見てはいけない!!」
ベアト「――え?」
ベアトリクスが見たのは。
大きな焚火と。
その上から何度も何度も叩き付けられる、巨大な――
『あら、私はもう使いこなしてるわよ?』
――包丁だった。
火と、包丁。
中には何があるのだろう。
何が燃えているのだろう。
ダンダン、ダンダン。
リズム良く、包丁は中身の『何か』を刻んでいく。
刻んで、刻んで。
やがて、刻まなくなった。
ベアト「あは、あはは……」
楽しくも何も無いのに、笑いが勝手に出てきた。
おかあさん
おとうさん
しんじゃった。
おかあさん おとうさん
しんじゃ おかあ おと
いなく しんで なんで おかあさん おとうさん
ベアト「あ――あ――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:52:48.76 ID:6pdFPH9AO<> 現実味が無くて、息が出来ない。
頭が何もかも考え過ぎて訳が分からなくなって。
いっそ壊れてしまえば――
ハンネ「お姉ちゃん?」
ベアト「っ!!?」
強烈な刺激が神経全てを駆け巡る。
振り返ると、妹が不思議そうな顔でこっちを見ていた。
ハンネ「何してるの?」
生唾を飲み込む。
両親は言ったじゃないか。
なら、自分は耐えろ。
大切な、最後に残った道標を護るんだ。
その為になら、道化にだってなる――
ベアト「火を起こすと、魔女が寄ってこないらしいからね。こうしていたのさ」
ハンネ「へぇ……しばらく安心、かな?」
ベアト「あぁ、勿論だよ」
きっと、お父さんとお母さんが守ってくれる。
ベアト「父さんと母さんは、大人の集まりでしばらく帰ってこられないってさ。魔女対策をするらしいよ」
ハンネ「え……」
ベアト「大丈夫さ、ボクがついてるからね。さぁ、ご飯にしよう」
『火には気をつけるのよ?』
泣かないっていうのは、大変だった。
彼女の歯車が、反転を始める。
ほむら「あぁっ……うああっ……」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/27(木) 00:53:19.81 ID:6pdFPH9AO<> 投下……終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/27(木) 00:58:48.00 ID:xGWnAb0uo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/27(木) 08:52:31.40 ID:1TU9Kdxz0<> インキュベーターは悪ではなく、天然に不幸を呼び込んでしまっただけだったか。
だが、誰にこんな事が。こんな事が予見できるものか・・・。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/27(木) 17:06:23.50 ID:VDq92HPho<> クヴァンツ編が終わるまでは現代のあすなろのことは扱えないか…
つか、現在進行中の物語でSSを書くのは冒険だな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/27(木) 18:02:52.15 ID:nyO4eJFwo<> 元のループに戻ったらほのぼのレイプに路線変更だな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/10/27(木) 21:49:17.12 ID:NDTdlGgAO<> こんなに虚しい気持ちでバカエロを待ったことはないよ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:09:48.15 ID:lg6M80cAO<> バカエロとは……これ哲学だよね。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:10:27.00 ID:lg6M80cAO<> ――――夜半、寝静まる子供たちと見えない魔法少女
ほむら「……キュゥべえは」
ほむら「……笑った。取り繕った」
ほむら「感情と言うものが正常に機能していては、到底不可能よ……」
QB『ボクに感情と言うものは無いよ』
QB『一部の個体が、精神疾患としてソレを持っていたぐらいでね』
ほむら「バカね……精神疾患だったのは、貴女じゃない……」
ほむら「……確かに、『人間らしい心』を失えば、少なくとも絶望する事は無い」
また一つ、紐が解かれた。
ほむら「……久しぶりに、弾きましょうか」
バイオリンが、ほむらの手の中に現れる。
ほむらが奏でるその音色は――とても寂しかった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:10:59.69 ID:lg6M80cAO<> ――――逆さまになった世界。
日に日にハンネのソウルジェムは濁っていく。
ハンネのソウルジェムを再び輝かせる為に、喉から手が出るほどグリーフシードが必要なんだ。
だから、ゴメンね。
ベアト「アハハ――アハハハハハ!!」
キミたちを殺してあげる替わりに――グリーフシードを、ちょうだい?
ほむら「――――もう止めなさいよ……っ」
彼女の魔法は、傷付け合う事の否定だった。
だが、彼女の心の有り様は変わってしまう。
傷付ける事に何の躊躇いも無く、戦う事に何の恐れも無い。
炎を操り、舞台の観客を操った。
それは、確かに道化。
逆さまになって、歯車に立っている彼女は――何度も繰り返し戦ったアイツに似ていた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:12:14.00 ID:lg6M80cAO<> ――――十兵衛、私室
十兵衛「――くそっ、親父どもの分からず屋め!」
十兵衛が拳を机に叩き付ける。
鈍い音が鳴って、そしてまた静かになった。
机の上には戦術要項と書かれた、虐殺を肯定する書類がある。
『魔女化を免れない者の確保』
十兵衛「体よく言いやがって……これじゃまるで狩りじゃねぇか!」
ベアトリクスの顔が、脳裏に浮かぶ。
このまま放っておけば、彼女も無事では済まないかもしれない。
決断しなければならないのだ。
「暫し待たれるでござる!」
部屋の外から四郎の焦った声が聞こえる。
次いで、ノックもなく扉が開いた。
真宵「こんにちは、十兵衛」
十兵衛「何しに来やがった」
真宵「貴方が、この作戦を書いた紙切れに憤慨していると思って」
含み笑いが不気味だが、悪意が有るようにも思えない。
十兵衛「何か策はあるのか?」
真宵「貴方に、世界の上に立つ覚悟があるなら、ね」
十兵衛「何だと……? どういう事だ」
手を口元に当て、真宵は可愛らしく笑った。
それは小悪魔的なモノで。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:13:08.06 ID:lg6M80cAO<> 真宵「その計画の先発隊は、全て私の息が掛かった者たちよ。貴方が行くなら……私は何時だって彼らを止められるの」
十兵衛「……何が目的だ?」
真宵「物分かりが悪いのね。手を貸してあげるって言っているのよ」
甘く優しく耳に入ってくる言葉が、故にとても不安にさせるのだ。
仕方は無いだろう。
真宵「……なら、一つお願い。向こうの先発隊に接触したら、誰でもいいからその子に話しかけて」
十兵衛「……何の意味が?」
真宵「貴方が無事向こうに到着する事に意味があるのよ。貴方は――正義感が強いもの」
憐れむような視線。
真宵「私も、お父様たちのやり方は快く思っていない。それだけよ」
そして、子供の頃に見たような笑顔。
真宵「どうするの?」
十兵衛「…………四郎!」
四郎「はっ、お側に」
十兵衛「支度しろ、出るぞ」
四郎「――畏まって仕る!」
二人は勇み足で部屋を出ていった。
後に残されたのは、真宵ただ一人。
彼女は端末を懐から取り出した。
真宵「行ったわ。そちらに着いたら私に報告するように、全員に伝達を頼むわ……じゃあね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:14:09.50 ID:lg6M80cAO<> 通信を切り、部屋を出る。
部屋の外には、彼女の部下と思わしき者たちが大勢いた。
付き人「お嬢様」
真宵「貴女たちの忠誠に心から感謝するわ。愛してるわよ」
付き人「いえ……勿体無いお言葉です」
皆、彼女に従っている。
が、真宵にも分かっていた。
コイツらは力有る者に着いていくだけなのだ、と。
分かり易くて良い。
真宵「さぁ、合図がくるまで休みなさい。じき、忙しくなるのだから」
小悪魔から、悪魔へと。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:15:54.33 ID:lg6M80cAO<> ――――粉々に砕け散る魔女の結界
ベアト「はぁっ――はぁっ――!」
ほむら「さすが……とは言いたくないのだけれど」
息も荒く、傷付きながらも、ベアトリクスは何度も魔女を倒していた。
元々人間だったという事は、暫し忘れて――容赦無く。
疲労からへたりこむ彼女の脇に、懐かしい顔が降り立った。
茜「――アンタ、だったの」
ベアト「茜……どうしたんだい?魔女はもういないよ」
茜「っ」
機械的な声色に、怖気すら感じる。
目に光は無く、だと言うのに表情は以前のままなのだから。
茜「……最近やたらめったらに魔女を狩る魔法少女がいると聞いてはいたけど、まさかベアトとはね」
ベアト「必要なんだ」
茜「そりゃ皆おんなじだよ。だから困るんだ、ただでさえ皆いっぱいいっぱいなのに」
ベアト「キミは、奪いにきたの?」
ベアトリクスの周囲に歯車が浮かび上がり、噛み合う――
ほむら「バッ――止めなさい!?」
茜「……やる気か? アンタに直接的な戦闘能力は――」
肉が裂ける音、追って衝撃。
黒い波動が茜の腹部を切り裂いた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:16:39.04 ID:lg6M80cAO<> 茜「――っ」
ベアトリクスは歯車の作る、空中に浮かんだ舞台に立っていた。
『下を向いて』
ベアト「あは、あははは」
茜「――――っ!?」
正気じゃない。
あの優しい彼女を、茜は知っていたから――今の彼女が、ネジを外した歯車だと理解出来た。
茜が細身の剣を構える。
適当にあしらって、頭を冷やさせなければ話にすらならない――
炎が波打って覆い被さってきた。
茜「――このっ!」
大きく距離を取って、それを回避する。
明らかに、そこらの魔法少女より火力があった。
服が僅かに焦げる。
逆さまのまま、彼女はゆっくりと歩いてきた。
彼女だけ違う世界を歩いているような錯覚すら覚える。
茜「寄るな!」
茜が空を切り裂き、真空波を巻き起こした。
ベアト「ヴァルプルギス・ナハト」
それも、ベアトリクスに当たらず霧散する。
誰も彼女を止める事が出来ない。
出来るとするならば、彼女の妹くらいだろうか。
彼女の傷付ける対象では無いから、ではあるが。
茜「……くそっ!」
茜が地面に剣を突き刺すと、そこが爆ぜて――辺りは土煙で見えなくなった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:17:19.36 ID:lg6M80cAO<> ベアト「…………いない」
それに紛れて、茜は居なくなっていた。
ベアト「帰らなきゃ」
彼女はグリーフシードを懐にしまって、まるで何も無かったかのように帰途に着く。
ソウルジェムに、大した濁りは無かった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/28(金) 22:18:10.76 ID:lg6M80cAO<> じんわりじんわりと進み過ぎて俺が絶望しそうです。
投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage<>2011/10/28(金) 22:38:00.19 ID:ANz7k3VSo<> >>453
おつかれさま
続きも期待してるよ!('A`)ノ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/28(金) 23:41:24.83 ID:mXr2n1Us0<> 乙。
僕のジェムをお使いよ! ミ● <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/28(金) 23:43:27.33 ID:7EM75B8Bo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/28(金) 23:44:58.85 ID:TKMnKPEXo<> 乙ですが・・・
>>451の茜のせりふのはずのところがベアトになってません?
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/10/28(金) 23:50:51.28 ID:lg6M80cAO<> >>457
……おかしくないと思うんだけれども、そう言われると自信が無くて二度見するけど分からない。
え、どこ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/28(金) 23:52:03.04 ID:Zmb9hvGRo<> 俺も何回も見たけど分からない <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/28(金) 23:53:15.05 ID:HdOSX7yBo<> 俺も分からん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/29(土) 00:00:46.05 ID:KcwpilWIo<> >>451の
>茜が空を切り裂き、真空波を巻き起こした。
>ベアト「ヴァルプルギス・ナハト」
>それも、ベアトリクスに当たらず霧散する。
>誰も彼女を止める事が出来ない。
この部分。
ベアト「ヴァルプルギス・ナハト」
これが茜では? ってことじゃ?
間違ってたらごめんね。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/10/29(土) 00:02:14.49 ID:Md6RU/pvo<> >>461
茜の真空波がベアトリクスの技で霧散したってことじゃないの? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/29(土) 00:06:29.17 ID:J+JVSNsBo<> ヴァルプルはベアトの技やで <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/29(土) 00:09:28.66 ID:KcwpilWIo<> >>462-463
それなら俺も解らないな。
ベアトの台詞って笑いとそれしかないから。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/29(土) 06:37:31.14 ID:X7MVRZLLo<> 読解力なさすぎワロチwwwwwwwwwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/29(土) 10:02:36.18 ID:tePzihVZ0<> 「みんなしぬしかないでござる」
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/31(月) 17:35:58.31 ID:cnSsdYVAO<> 就活だからと言って投下が滞っていいわけない。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/31(月) 17:37:29.14 ID:cnSsdYVAO<> ――――大切な、街。市街地。ジェム狩りの時間に。
十兵衛「――ふう、まだ大丈夫みたいだな」スタッ
四郎「十兵衛殿、まずは言伝てを済まさねば」
十兵衛「そうだな――」
「十兵衛様ですね?」スッ
四郎「何奴!」バッ
十兵衛「……アンタか?」
付き人「えぇ。まさか本当に来られるとは……父君様に反旗を翻すようなものなのですよ?」
十兵衛「……それでも、やっちゃいけねぇ事がある」
付き人「……成る程、覚悟はとうに済んでいると」
付き人「でしたら、私たちは何も致しませぬ。ですが、一つ条件が」ピッ
十兵衛「なんだ?」
付き人「いくらお嬢様の命令でしても、我々は上に逆らう訳にはいきませんから……」
付き人「我々は全て十兵衛様にやられた、ということにして頂けるなら」
十兵衛「……ふむ、確かにそうだな」
付き人「と言う訳で、どうぞ」バッ
十兵衛「……?」
付き人「さぁこい反逆者め!実は私は触られただけで気絶するし、それが回りに伝達して連鎖気絶するぞぉー!」ゾー!
十兵衛「……ノリが良くて結構」ククッ
ペタッ
付き人「や、やーらーれーたー……ガクリ」パタリ
四郎「ひ、酷い茶番でごさる……」ウワァ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/31(月) 17:38:16.55 ID:cnSsdYVAO<> 十兵衛「いや、俺は良かったと思うぜ。張った気が適度に緩んだからな」
十兵衛「サンキュ、通るぜ」
付き人「…………」グッ
十兵衛「役者だねぇ。じゃあな」バッ
四郎「ま、待って下されー!」ダッ
ムクリ
付き人「……さて、済ますか」ピピッ
付き人「お嬢様、行きました。警戒心もありません――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/31(月) 17:38:42.63 ID:cnSsdYVAO<> ――――真宵、官僚の膝元
真宵「そう、それは良かったわ。じゃあ手筈通りに……ね」ピッ
真宵「さて……こっちも始めないとね。ねぇ?」
護衛「えぇ。準備、全て滞りなく整っております」
真宵「なら始めましょうか――」ニタァ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/31(月) 17:39:32.80 ID:cnSsdYVAO<> ――――真宵の父親のオフィス。
ノックの音が静かな部屋に響く。
真宵の父親は、今は一人だった。
真宵父「入れ」
真宵「失礼するわ、お父様」
真宵の父親は目を丸くした。
娘がここに来る事なぞついぞ無いからだ。
真宵父「どうしたのだ?緊急の用事か?……真宵には特に大した案件も出していないが……」
真宵「お父様」
冷えた声。
父親を、そう扱っていないソレだった。
真宵「私、欲しい物があるの」
真宵父「……なんだ?言ってみなさい」
異様さに気付けない無能な父親を見て、彼女は微笑む。
真宵「お父様の、ソウルジェム」
真宵父「――ハッハッハ、面白い冗談を言うのだな。心配しなくても良い。今、ジェム狩りを行なっている所だからな」
下卑た笑いが酷く醜くて――もう要らない。
真宵「――お父様」
四回目の『お父様』を合図に、部屋の扉が蹴破られた。
真宵の護衛たちが雪崩れ込む。
真宵父「なっ、無礼だぞ貴様――っ」
真宵「お父様、まだお分かりになられないのかしら?」
そうやって突き付けたのは魔法の拳銃。
事ここに至って漸く合点がいったようだ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/31(月) 17:40:23.37 ID:cnSsdYVAO<> 真宵父「こ、こんなバカげた事を……や、止めなさい真宵。いい子だから――」
真宵「私は、貴方たちが好き勝手にやってる世界を欲しいのよ」
真宵「そして貴方たちは要らない。だから殺す。ジェムは使う。それだけよ」
明確な恐怖を、その間抜け面に刻んでやった。
だと言うのにまだ減らず口が開く。
真宵父「こ、こんな事をして、十兵衛君が黙っている訳が――」
真宵「十兵衛は今、遠くにいるわ」
一歩一歩、歩みを進めた。
真宵父「止めろ……止めてくれ……」
真宵「さよなら、お父様」
真宵「さて、じゃあ皆作戦を遂行してちょうだい」
真宵「狩るなら……狩られる覚悟もあるはずだし、ね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/31(月) 17:42:27.43 ID:cnSsdYVAO<> ――――十兵衛
十兵衛「よし、とりあえずベアトリクスの家に……心配だしな――」
「待ちなよ」
四郎「――、茜殿?」クルッ
十兵衛「お前か……どうした?」
茜「余所者が入ってきたって話が流れたから、釘を刺しに来たんだけど……アンタ、今まで何やってたの?」ズイッ
十兵衛「何、って言われてもな……あんまり言える事じゃねぇんだ」
茜「ふぅん。ま、いっか」クルッ
茜「…………」
茜「……ベアトの様子が変だ」
十兵衛「――っ、どういう意味だ?」
茜「グリーフシードを集めているみたいなんだけど……見境が無いって言うか、とにかく好戦的になってる」
四郎「まさか。ベアト殿はその様な事を仕出かすとは思えないでござる」
茜「事実だよ。早くしないと――ヤバいかもね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/31(月) 17:43:32.82 ID:cnSsdYVAO<> ――――意味を無くす『帰る場所』
ベアト「ただいま。ハンネ、いるかい?」
玄関に辿り着いて、声を出す。
と同時に、彼女の身体は重力に負けた。
ベアト「あれ――?」
無理が祟ったのだろう。
全身が酷い脱力に襲われ、起き上がる事すらままならない。
ほむら「何故私は手を差し出せないの……」
ほむらはただ見ているだけしか出来ない。
ソレがこの世界のルールだから。
その時、この場所が姿を変えた。
極彩色の空間がベアトリクスを包む。
ベアト「――魔女」
ベアトリクスは魔女の反応を感じて、幽鬼のように起き上がった。
だが、肝心の魔女の姿は無い。
ベアトリクスは不審に思いながらも、結界の深くへと潜っていった。
ソレは、どこか懐かしい感覚を伴っている。
例えば、朝、家族に言われて――寝坊した妹を起こしに行くような、そんな感覚に似ていた。
ほむら「冗談じゃないわよ!!これ以上、この子に追い討ちをかけないでよ……」
ベアト「行かなきゃ――」
引き留めたい。
行ってはならない。
きっと今度こそ本当に壊れてしまう。
――彼女を支えるモノが、今は何もないのだから。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/10/31(月) 17:44:34.75 ID:cnSsdYVAO<> 投下終了。
ベアトリクス編はこのスレに収まりそうでなにより。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)<>sage<>2011/10/31(月) 17:45:23.77 ID:bNoc/4JYo<> 乙
いつかは訪れる時、か… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/31(月) 17:52:34.74 ID:9El394zIO<> wktkしえん! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/31(月) 18:27:39.86 ID:kCS9jQkDO<> 乙!!
物語に引き込まれるぜ・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/31(月) 20:08:22.44 ID:mrJWqbW5o<> なんでほむらがベアトリクスに感情移入してるの?
1000余年も生きてきて、憎み続けてきた敵に一片の弱さを見ただけでこれはないと思うなあ
なんだかなあ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/31(月) 20:28:53.60 ID:AJwMC6vIO<> >>479
憎み続けてたとは言え、"こういう存在だ"という前提が根幹から揺るがされてるわけだからなぁ
あとは、いう程人間を捨ててた訳じゃないっ事じゃない? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/31(月) 20:50:50.51 ID:CS5cUg3+o<> ほむら「ふん…出自がどうあれ、インキュベーターは所詮インキュベーター。情けは無用よ。」
インキュベーターは愚か、まどか以外は洟も引っ掛けないのがほむらなんじゃないかなあ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/31(月) 21:26:27.24 ID:FHZsGJx+o<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/31(月) 21:36:34.70 ID:6Kjji5Zyo<> 乙でした。
>>481
そんな感じで何百だか何千年だか戦ってきて擦り切れかけた所でこの話が始まって、
クリエムヒルトを絞めてグリーフシード奪った後の円環の理ごっこで、
色々な魔法少女を介錯した事で他人を思いやる気持ちを取り戻したんでない?
そのまま擦り切れたのがベアトリクスっぽいしな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/31(月) 22:18:45.62 ID:ZzpiPI6go<> 乙です
>>481
それはお前ん中のほむらだよ
てか、恐らく人型のQBは1000年憎んでたQBと全く同じ存在だとは扱えないだろう
人型ってのには情が移りやすかったのかもしれんし、憎しみに任せてQBをレイプしまくってたことを反省してたじゃん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/31(月) 22:24:15.33 ID:mrJWqbW5o<> そこは反省せずにまたムラムラしてズコバコやってほしいものである <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/31(月) 23:54:54.95 ID:3M+3HSMCo<> まどジェムをピックされた時みたいな感情大爆発はまた見ることが出来るのだろうか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県)<>sage<>2011/10/31(月) 23:57:24.80 ID:xAwk0qAP0<> >>479
>>481
ベアトがまどかに似てたからじゃない? <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/02(水) 00:44:04.69 ID:No2Ue+UAO<> 色々答えたいけれど、俺が言ったら面白くなくなるし言わない事にするよ。
フラグはそこら中にばら蒔いてるつもり。
投下開始
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<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/02(水) 00:44:58.05 ID:No2Ue+UAO<> ――――優しくて懐かしい結界の中。
ベアト「ハンネ……ハンネ……?」
結界の中をさ迷い、妹の姿を探す。
一刻も早く見つけなければ、魔女にヤられてしまうかもしれないから。
ベアトリクスの懐には、溜め込んだグリーフシードが沢山あった。
これだけあれば、暫く困る事は無い。
だと言うのに――
ベアト「――こっち?」
振り向けば、其処にはドアがあった。
ドアには写真が一枚張ってある。
『クヴァンツ一家が一緒に仲良く写った』写真だった。
彼女は静かにその扉を開ける。
中に、椅子に座っているハンネを見つける事が出来た。
ベアト「ハンネ……良かった」
一先ず無事だった事に安堵し、ベアトリクスは妹に近寄る。
ハンネ=ローレ・クヴァンツの目に、光は無かった。
ハンネ「お姉ちゃん」
ベアト「なんだい?」
ハンネ「お父さんとお母さんは何処へ行ってしまったの?」
ベアト「何だ、そんな事かい? 二人は大人だから、皆と魔女対策を――そんな事はいいから、グリーフシードを使うよ」
グリーフシードをハンネのソウルジェムに当てるが、一向に浄化される気配が無い。
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<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/02(水) 00:45:54.38 ID:No2Ue+UAO<> ベアト「――ハンネ?」
ハンネ「嘘つき」
ハンネ「もうお父さんもお母さんもいないんだ」
ベアト「そんな事は――」
ハンネ「じゃあ」
ハンネ「お姉ちゃんが今持っているのは何?」
ベアト「これ、は――」
ベアトリクスが持っているのは、母親。
ハンネ「お母さん、お父さん、怖いよ、みんな居なくなっちゃう――」
ベアト「――まだボクが居る! しっかりするんだ、ハンネ!」
ベアトリクスは半狂乱になって、グリーフシードでハンネを浄化しようとする。
する、が。
ベアト「――濁る方が、早い?」
ハンネ「やだ、怖い、助けて、寂しい――」
ハンネが遠く離れていく。
慌てて追いかけて、走って、何故か追い付けない。
ベアト「待って、待ってくれ――」
ハンネ「みんなと一緒が良かったのに――」
ハンネは、姉を置いて――両親の元へと向かった。
そして産む。
彼女のソウルジェムが、魔女を。
ベアト「そん、な」
交わした約束は、砕けて散った。
そして、彼女の心さえも。
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<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/02(水) 00:46:21.47 ID:No2Ue+UAO<> ――――『魔女』の結界の外、十兵衛。
十兵衛「――どういう事だ」
十兵衛が見たのは、魔女の結界に飲み込まれた家屋。
ベアトリクスの家が、呑み込まれていた。
十兵衛「――ふざけんじゃねぇぞ……四郎!!」
四郎「お供致す!!」
二人は結界を叩き切って、その中に乱暴に侵入した。
其処が誰の心の中かとも分からずに。
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<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/02(水) 00:47:18.73 ID:No2Ue+UAO<> ――――無邪気な子供の結界。
四郎「使い魔は見当たらないでござるな……」
十兵衛「油断すんなよ。何があるか分からねぇからな」
静かな結界の通路を、二人は慎重に進んでいた。
不気味な程に、何も起こらない。
友好的だとすら感じる程に。
十兵衛が辺りを見回す。
このフロアには、辺り一面にテレビがあった。
映っているのは、人形。
家族に囲まれ、幸せそうに笑う人形。
刻まれた人形。
焼け焦げた人形。
逆さまの人形。
そして――バラバラの人形。
十兵衛の胃が、何か冷たいモノを飲んだかのような錯覚を起こす。
嫌な予感を振り払うように、頭を乱暴に掻いた。
その時、空から扉が落ちてきた。
ソレは大きな音を立てて着地する。
四郎「うわっ――襖……でござるか?」
十兵衛「待て……何か書いてあるぞ……?」
『Hilfe』
十兵衛「――行くぞ!」
即座にその扉を開いた。
中には魔女と、ベアトリクスが。
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<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/02(水) 00:48:16.63 ID:No2Ue+UAO<> 魔女は殊更不気味だった。
一つのマネキンの身体から、四つの頭と八つの腕が出ている。
その魔女を、愛おしそうに撫でているベアトリクス。
十兵衛「――っ」
本当に優しい微笑みを、ソレに向けていて――十兵衛は真に理解する。
アレは――――
十兵衛「ベアトリクス!!」
魔女からベアトリクスを引き剥がす。
不思議と魔女自身は抵抗しなかった。
ベアト「あれ、十兵衛じゃあないか。どうしたんだい?」
十兵衛「どうしたって……お前――っ」
ベアトリクスの顔を見て、気付く。
微笑んでいるけれど、微笑んでいない。
彼女が自分に笑いかける。
そんなささやかな願いも、きっともう叶わないのだ。
ほむら「感情と言うものが、始めから無ければ――悲しむ事も、苦しむ事も無かった……」
ほむら「そんなの、間違ってるのに――」
四郎「――十兵衛殿!」
十兵衛「――なに?」
四郎が異常を感じて呼び掛ける。
魔女が自らを食い千切り、絶命しようとしていた。
十兵衛「――そう、なのか」
あのメッセージの対象は、決して『私を』では無かったのだ。
本当に伝えたかったのは、『姉を』――――
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<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/02(水) 00:49:36.52 ID:No2Ue+UAO<> 結界が自然に任せるまま崩れていく。
十兵衛「――確かに!! ベアトリクス・クヴァンツ!! お引き受け致す!!」
十兵衛「達者で……!」
ベアト「何処かに行くのかい、十兵衛?」
無邪気な瞳を向けてくる、大事な人を抱き抱えた。
崩れゆく結界から、逃げるように駆け出す。
ベアト「ボクがいなくても、みんな大丈夫かな?」
ベアト「晩御飯はお母さんが作るから……お父さんは今日遅いんだっけ? ハンネはちゃんと宿題をやっているのかな……」
ベアト「十兵衛、どうして泣いているんだい? 何か悲しい事でもあったのかな……?」
私は、こんなにも弱い。
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<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/02(水) 00:50:50.71 ID:No2Ue+UAO<> 投下終了。
ちなみに俺って実は鬱展開好きじゃないんだよ。マジで。
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<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(不明なsoftbank)<>sage<>2011/11/02(水) 01:09:57.69 ID:sMKAvwXJ0<> 乙
やばい、涙が出てきそう・・・
QBに対してこんな思いを持つのは初めてだ
サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/02(水) 06:51:41.68 ID:IIUx1NxXo<> お疲れ様でした <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道)<>sage<>2011/11/02(水) 20:25:18.27 ID:GdL39/9u0<> ここまでやられて好きじゃないとか信用出来ねえよwwwwwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/02(水) 22:56:55.38 ID:7VbZbz7M0<> 乙でした。
某アニソンを思い浮かべてしまった <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/03(木) 09:20:15.02 ID:RibWytyAO<> 投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/03(木) 09:20:47.95 ID:RibWytyAO<> ――――ベアトリクスを連れての帰還。官邸、十兵衛
ベアト「ここは何処なんだい、十兵衛?」
十兵衛「ここは……俺の仕事場みたいなとこだ」
ほむら「大きな建物ね……国会の様な造りを見るに、その類いかしら」
ベアトリクスをその腕に抱いたまま、十兵衛は正面玄関へと歩いていった。
四郎が先に扉を開いて――絶句する。
四郎「――これは如何様な事でござるか!?」
十兵衛「おいおいおいおい……洒落になんねぇぞ……?」
ベアト「きゃっ……」
ホールは、血だらけだった。
パシャン、と水音が右からして、四郎と十兵衛は咄嗟に振り返る。
見知った女が、余計に紅い絨毯を歩いてきていた。
真宵「あら、思ったより早かったのね。まだ掃除が済んでいないのよ、ごめんなさいね」
含んで笑いながら、彼女はやれやれと言った感じで回りを見る。
十兵衛「一体何があったんだ……?みんなは無事なのか?」
真宵「あ、そうね」
何か思い出した様に、真宵は自分のポケットに手を突っ込んだ。
手に取った何かを十兵衛に投げて寄越す。
十兵衛はベアトリクスを下ろしながら、空いた手でソレを取った。
ソウルジェム。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/03(木) 09:21:14.37 ID:RibWytyAO<> 十兵衛「おい、これは――」
真宵「貴方のお父様よ」
あっさりと言い放った。
四郎「――まさかこの惨状は!」
真宵「そう。私が手引きしたわ」
両手を大きく広げ、心底得意気に喋っている。
十兵衛は堪らずその女に掴みかかった。
十兵衛「テメエ……何やったか分かってんのか……?」
だが、真宵は目を反らさず、彼女を真っ直ぐに見ていた。
真宵「貴方こそ分かっていないんじゃない? 上の連中を排除しなければ、何も解決しないっていうのに」
十兵衛「だからって、殺す事は無いだろうが…………俺の、親父なんだぞ!!?」
だんだんと脳が理解するに連れて、精神が動揺していく。
真宵「貴方だけではないわ」
真宵は別のソウルジェムを取り出した。
真宵「私の、お父様よ」
十兵衛「――――っ」
手を離してしまう。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/03(木) 09:22:10.54 ID:RibWytyAO<> 真宵「……私はね、世界全てが私の思い通りにならないと我慢ならないのよ」
真宵「誰が好き好んで望まない結果を受け取ると言うの?」
真宵「だから私好みに書き換えるの、世界を」
ほむら「――――この子」
真宵「他の全てなんて知らない。意味も無い」
真宵「私の都合の良い奴だけ生きていればいい」
四郎「――その様なつまらぬ事で、皆を弑したと申すのか!」
四郎が怒りの余り掴み掛かって――襟を取られて投げ飛ばされた。
四郎「うぁっ――!?」
真宵「つまらなくなんかないわ。寧ろ私は自分に正直に生きているもの」
真宵「唯一、私の上を行っていいのは――十兵衛、貴方だけよ」
真宵「私は言ったわよ。覚悟があるかどうか、ね」
十兵衛「おれ、は……」
真宵「恨むなら、甘く物事を見ていた自分を恨むのね。『最強』」
真宵は踵を返して、待機していた部下たちに向き直る。
真宵「ここの掃除お願いね。私は少し眠るわ」
足音が離れていって、四郎と十兵衛は取り残されてしまった。
十兵衛に、一人の従者が近付く。
付き人「ね、案外役者でしょう?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/03(木) 09:23:07.15 ID:RibWytyAO<> ――――ベアトリクスと十兵衛と四郎。私室
十兵衛「…………」ゴロン
四郎「……隣、よろしいでござるか?」
十兵衛「あぁ。広さだけは自慢のベッドだ」
四郎「では、失礼仕る」コロン
ベアト「なんだい、新しい遊びかい? ボクもお邪魔するよ」ポフッ
十兵衛「…………」ボーッ
四郎「…………」フー……
ベアト「…………」ウツラウツラ
十兵衛「現実味がねぇな……」
四郎「確かに拙者らは、お父上殿とは意見を違えていたでござるが……この様な結末は望んでいなかったでござるよ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/03(木) 09:23:54.70 ID:RibWytyAO<> 十兵衛「……親父が、死んだのか」
四郎「殺されたのでござるよ、他ならぬ真宵殿に」
ベアト「……十兵衛、お父さんがお亡くなりになったのかい?」
十兵衛「……あぁ、そうだよ」
ベアト「辛いだろうに……ボクで良かったら力になるよ。だから、悲しまないで」ナデナデ
四郎「……ベアト殿」
十兵衛「……あぁ、済まねぇ。ありがとう……ありがとうな、ベアトリクス」ニコ……
どっちにせよ、俺は選び取らなければいけなかったのだ。
だが俺は、安っぽい正義感に駆られて宙ぶらりんだった。
真宵は、俺のぶら下がる糸を切っただけなのだろう。
俺のやりたい事は何だった。
彼女を守る事じゃあないか。
なら、それ以外は切り捨てる。
そういう覚悟を、真宵は聞いたんだ。
やってやるさ。
何があっても、コイツを傷付けさせたりはしない。
俺が生きている限り、必ず―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/03(木) 09:25:36.22 ID:RibWytyAO<> ――――ほむら
ほむら「資料が多い……さすがと言った所ね」ペラッ
ほむら「……ん? 出生率の低下……?」
ほむら「成る程……繁殖力が弱まっていた。それを打開する為でもあったのね、魔法少女システムは」
ほむら「確かに、永遠の命と言えば聞こえは良いし……だから」ペラッ
ほむら「こんなプランも立てられる……上流階級の選ばれた人間だけを生存させる、なんてね」
ほむら「これは反旗を翻されても仕方ないわよ……それだけでは無いと思うけれど」
ガチャッ
ほむら「あら、奇遇」
真宵「ふぅ……疲れたわ」トサッ
ほむら「……」ジッ
ほむら「(……外見までそれなりに似ているから、何だか変な気分ね)」
真宵「……フフッ」
真宵「遂に二人が手元に来たわ……とてもイイ」クスッ
ほむら「二人……?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/03(木) 09:26:05.99 ID:RibWytyAO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東)<>sage<>2011/11/03(木) 09:28:24.02 ID:U6J3+/ZAO<> お疲れ様です <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/03(木) 09:33:08.71 ID:zaZespuDO<> これは…真宵と十兵衛とベアトで3Pのフラグ……ッ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/03(木) 13:54:24.90 ID:fgwUKB/M0<> 乙。
いつの時代のトリガーを引いた人間は似たような人間なのかねー。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県)<>sage<>2011/11/04(金) 02:19:02.43 ID:9StMhkxE0<> 似ているからトリガーを引いたのではなく、トリガーを引いたから似ているという推論に至った。
つまり因果が繋がっているゆえ・・・・ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 08:57:26.90 ID:gG47jIVAO<> 日常フェイズ纏まるまで投下しないはずだったけれど、あまりに長い。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 08:58:50.17 ID:gG47jIVAO<> ――――翌朝、会議室
真宵「どう、気分は?」スワッテ
十兵衛「最悪だ。最高にな」ストッ
真宵「それは上々。で、これから貴方はどうするの?」クス
十兵衛「……正直、思いつかない」
真宵「あら、意外」ヘェ
真宵「貴方を縛る物はもう何も無いし、貴方を縛る者ももう何処にも居ないの」
真宵「貴方の好きな事を、やりたいようにやればいい」
十兵衛「俺の……やりたい事」
真宵「そう。貴方なら、世界全てを支配する事だって可能……」フフッ
十兵衛「何をバカな事を」ハァ?
真宵「事実よ。もう事態はそこまで進んでいるのだから……これを見て」パサッ
十兵衛「――まさか」
真宵「嘘みたいな真実よ。この国の人口は、既にシステム前と比べて3分の1を切っているわ」フゥ
十兵衛「そんな……こんなに早いのかよ……」
真宵「正直貴方の所為だと思うわ」
十兵衛「っ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 08:59:25.15 ID:gG47jIVAO<> 真宵「貴方は全世界に向けて真実を伝えた」
真宵「それが結果的に、弱者の駆逐に繋がったのよ」
真宵「貴方は、貴方のお父様と何ら変わらない」
十兵衛「止めろ……止めてくれ……」
真宵「でも、それを悪いとは言わないわ。その数多の犠牲の上に、私たちは今成り立っているのだから」
真宵「貴方が生き残った理由は至極簡単」クイッ
真宵「私の、お気に入りだからよ」フフッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 09:01:21.13 ID:gG47jIVAO<> 十兵衛「……心にも無い事を。私を仕留める自信が無いからだろうが」バシッ
真宵「仕留めるなんて、まさかまさか」アハハッ
真宵「貴方を射止めなければならないのに、何故始末しなければならないのよ」クスクス
十兵衛「……邪魔したな。俺は出る」スクッ
真宵「何をするか決まったのかしら?」
十兵衛「――まずは手の届く場所からだ」ザッ
十兵衛「この辺りの魔法少女を守る。魔女は俺が倒し、魔法を余り使わない様に呼び掛けるんだ」
十兵衛「それで少なくとも寿命は伸びる。後は産めや増やせや……」
十兵衛「世代を総とっかえするしかあるまい。だろ?」
真宵「ま、一理はあるわね。だけど、それまで私たちは滅びずに持つのかしら?」
十兵衛「そこを何とかするのが俺だ。ま、やってみるさ」
真宵「そ。なら貴方はそうして。私は外交で忙しいから」
十兵衛「外交?……何を進めているんだ?」
真宵「これから先、私たちが比較的犠牲を少なく生き残るか。その検討をね」
真宵「貴方は下を、私は上を見る。それだけよ」フッ
十兵衛「……じゃ、せいぜい小石掃除でもしておくわ」ガチャッ
バタンッ
真宵「……さて、と」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 09:04:35.80 ID:gG47jIVAO<> ――――官邸、入り口。
ベアト「帰るのかい?」
十兵衛「あぁ。向こうの方が、お前も良いだろう?」ナデリ
ベアト「うん、確かにそうだね」ニパッ
四郎「十兵衛殿……」
十兵衛「無理に着いてこなくても構わないんだぞ? 俺一人でも余裕だからな」ハハッ
四郎「いえ、この身は常に十兵衛殿のお側に」
十兵衛「……サンキュー。信頼してるぜ、四郎」ニッ
四郎「誠に有り難きお言葉」ニコリ
「おい」
ベアト「ん、茜じゃあないか。どうしてこんな場所に?」キョトン
十兵衛「……んな物々しい面子連れてきて、どういうつもりだ?」
ザワザワ……
茜「良く言う。私たちを家畜みたいに扱ってる癖によ」チャキッ
四郎「――如何様な意味合いでござるか?」
茜「お前らのプランは漏れてたって訳よ。言い訳は聞かない――」ギリッ
十兵衛「――ま、待てっ! その話は既に終わったんだ。話をさせてくれないか……この通りだ!」
茜「…………」
茜「……何かあったみたいね。聞かせてよ」スッ
十兵衛「助かる……実はな――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 09:06:18.73 ID:gG47jIVAO<> ――――
茜「――って事は何? 上層部崩壊って訳なの?」フム
十兵衛「まぁ……有り体に言えばそうなるな」アァ
茜「……で、アタシらを? アンタが? 保護する?」ピッ
十兵衛「あぁ」コクッ
茜「ふざけるのも大概にしなよ」ヘッ
茜「これまで私らは上手くやってきたんだ」
茜「杏奈が残した物は沢山あって、それは今でも私達を守っている」
茜「はっきり言って、ありがた迷惑だ」
十兵衛「そうは言うが、このままじゃあどん詰まりだろう?」
茜「それは……まぁ、そうだけどさ」
十兵衛「……なら、こうだ。そちらさえ良ければ俺たちを手伝ってくれないか?」
茜「……利は?」
十兵衛「戦闘力だな、俺の。後は……配給の安定か」
茜「配給?」
十兵衛「お前らだって、魔女を安定して狩り続けられる訳じゃないだろう?」
十兵衛「死人は出るし、グリーフシードの容量が少ない時もある」
十兵衛「それを解消しようってんだ……簡単にいえば、会社みたいな物か」
十兵衛「俺たちで魔女を倒し、得たグリーフシードを分け合う」
十兵衛「……お前らだけじゃないだろ。グリーフシードを集めてるグループはさ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 09:09:01.27 ID:gG47jIVAO<> 茜「……よく知ってるね」
十兵衛「まぁな。縄張り――グループの治める範囲があるんだろう?」
茜「……確かにそうだ。だけど、それがどうしたって言うんだ」
十兵衛「統合する。力を合わせて、出来るだけ現存の魔女を無傷で片付けていく」
十兵衛「これ以上魔女を増やさない為にも、絶望の種は取り除かなきゃならない」
茜「だからって……グリーフシードを自由に取れないんじゃ、誰も着いてこないって」
十兵衛「ソレがそもそも間違ってる。グリーフシードを狩るって事は、かつて人だった者が……死んだって事だろう」
十兵衛「もう誰も、死んではならない……」
茜「……理想論じゃん。無理さ、魔法を使えばソウルジェムが濁る」
十兵衛「それは、魔女を倒す以外で使わなければ良い話だろ?」
茜「便利さを覚えた奴らが、そう簡単にソレを手放せるって言うの……甘くない?」
十兵衛「出来る出来ないじゃあない。やらなきゃ、俺たちは終わりなんだよ」
十兵衛「――それを分からなきゃならないんだ」
茜「……こっちもそれなりに大所帯だ。意見を纏めさせてよ」
十兵衛「あぁ、頼むよ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 09:09:56.91 ID:gG47jIVAO<> ――――暫しの時間
四郎「……しかし、散見するに些か厳しいのではないでござるか?」ウムム
十兵衛「ま、確かにそうだな。でも俺たちに出来る事なんて実は知れてる」
十兵衛「絶望の替わりに希望を受け渡す事は出来ない……だが、束の間の休息を与える事は出来る」
十兵衛「プラスにはならない……がマイナスよりはゼロだ。見てな――人は案外生きたがりなんだ」
茜「――なんだって?」
「いや……やっぱり、安全に戦えるなら……」
「そ、そうですよ……協力して魔女を倒せば消耗も少なくなるし……」
「私らが一緒なのも、そうじゃないですか」
「正直……魔女狩りが楽になれば、魔力の消費も抑えられるし」
「無駄な抗争が減るなら……確かにあの人なら、逆らうバカも居なさそうだし……」
茜「あぁん? アタシじゃ役者不足ですってか?」
「そういう訳では……だけど、確実にネームバリューの差はあるじゃないですか」
「逆に考えるんですよ……私たちはついている」
「強力な後ろ楯を得られる……それも他に先んじて」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 09:10:51.59 ID:gG47jIVAO<> 茜「……アイツを利用するのかい? だけど、骨が折れるくらいじゃ済まないよ」
「いえ、存外単純だと思いますよ。向こうは私たちに危害を加える気は無いようですし……」
茜「……アイツは嫌いなんだけどな」チッ
「それだけではやっていけない。分かっているでしょう」
茜「――あぁクソ、仕方ないな。チクショウめ」ポリポリ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 09:11:56.84 ID:gG47jIVAO<> ――――
十兵衛「纏まったみたいだな。で、どうする?」
茜「気に食わないが……ウチらはアンタに協力しよう」
十兵衛「それは助かる。事は早い方が良い……行くとするか。なぁ、ベアトリクス」
ベアト「ようやく終わったようだね。全く、すっかり待たされてしまったよ」プクー
十兵衛「わりぃわりぃ……じゃ、行くかね皆の衆」ホラ
ゾロゾロ……
茜「…………」
茜「(強い奴にしがみつく、か。現金な奴らだよ、全くね)」
茜「(杏奈も、こうやって人を信じなくなっていったのかな)」
茜「(相手の全部が薄っぺらに見えて)」
茜「(……魔女、か。私らは、実は最初っからソレだったんじゃないのかな)」ハハッ
茜「寂しいなぁ、杏奈……」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/08(火) 09:12:58.64 ID:gG47jIVAO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/08(火) 14:14:29.64 ID:a+I8MG/IO<> 切ねえ…
茜△ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/08(火) 14:16:59.23 ID:cR3cIEs7o<> ベアトが怖いぜ… <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:34:58.57 ID:JqMyby0AO<> ほ虐は奥が深い。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:35:46.58 ID:JqMyby0AO<> ――――ベアトリクス宅、静かな家
ベアト「ただいまー」
十兵衛「本当に、帰るのか?」
ベアト「? 当たり前じゃないか。可笑しな事を言うんだね、十兵衛は」クスッ
バタン
ベアト「久しぶりの我が家だよ」フゥ
十兵衛「……静かだな」
ベアト「そうだね――」
「みんなりょこうにいっているからね」
十兵衛「っ」ビクッ
ベアト「……?」
ベアト「ふふっ」ニコッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:36:39.46 ID:JqMyby0AO<> ――――十兵衛、思案。
十兵衛「(ここに一人でベアトリクスを置いておくのは流石に心配だ)」
十兵衛「(幸い、家具なんかはそのままだが……)ん?」ヒョイッ
十兵衛「……あの魔女のグリーフシードか」
十兵衛「(あの魔女は、きっとベアトリクスの家族の誰かだろう……でなければ、説明が付かない)」
十兵衛「だとしたら、他の家族は……? 俺が少しここを離れている間に何があった?」
ほむら「……それを知る事は、きっともう誰にも許されないのかもしれないわ」
ほむら「或いは、彼女の心を癒せれば……そうね、全て貴方しだいよ」ハァ
十兵衛「っ」ピクッ
十兵衛「誰かいるのか?」クルッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:37:51.45 ID:JqMyby0AO<> ほむら「――!?」ガタッ
ベアト「ボクだよ」ヒョコッ
ベアト「……何か悩んでいるようだけれど、人の家だからって遠慮しているのなら、ソレは必要ないよ?」
十兵衛「いや、そういう訳じゃないんだが……ありがとうな」ニッ
ベアト「礼を言われる程では無いよ。夕食を作ったから、食べていくといい」ニコリ
十兵衛「あぁ……分かった」
十兵衛「(人の脳みそってのは随分合理的に出来てるよな……思い出したく無い現実、忘れ去りたい過去……そういうのを無かった事に出来る)」
十兵衛「(だがそれじゃ、いけないんだ……辛い現実とも向き合って生きなければ、いずれ思い出した時に絶望してしまう)」
十兵衛「(だからと言って、俺は彼女に辛い現実を突き付けるのか……?)」
十兵衛「……今は、ゆっくりでいい、か」
ベアト「十兵衛ー?」
十兵衛「あぁ、今行く」スック
十兵衛「(ベアトリクスの心の支えにならなければ……アイツは優しいから)」
ほむら「……上手くいくのかしら。どちらにせよ、私は見ている事しか出来ないのだけれど……」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:39:31.36 ID:JqMyby0AO<> ――――魔女、殲滅。十兵衛、茜
十兵衛「さて、一丁上がりだな」シャキンッ
茜「そうか……よし、よし、上がっていいよ」ピッ
茜「他のグループも今日のノルマはこなしたみたい」パタン
十兵衛「ふむ……四郎の管轄も終わったようだ。まともにメールを打てるようになったのは成長だな……他のグループにも連絡を――」ピピッ
茜「……大したもんだよね、アンタさ」ハァ
十兵衛「何がだ?」ピッピッ
茜「この辺りのグループをあっという間に纏め上げちゃって……一体何をすれば、こう人が着いてくるのよ?」
十兵衛「こう見えて求心力には自信が合ってな。自分で言うのもなんだが、最強だしなぁ」ピピッ
十兵衛「……俺も聞きたい事があるんだ」ピッ――
クルッ
十兵衛「ジェム狩りの情報、何処から手に入れた?」ジッ
茜「……私も連れに聞いただけだから、はっきりとは分からない。だけど、顔を隠した怪しい奴だったって」
十兵衛「そんな奴を信じたのか?」
茜「街に物見を走らせたら、たくさん居たよ、偉そうな奴らがさ」
十兵衛「真宵の部下か……成る程な――待てよ?」ハッ
十兵衛「まさかあの野郎……っ」ピピピッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:41:16.96 ID:JqMyby0AO<> プルル――ピッ
真宵『あら十兵衛。貴方から電話なんて、どうしたのかしら?』クスクス
十兵衛「てんめぇ……差し金はお前か!」
真宵『……ようやく気付いた、のかしら?』
十兵衛「『狩り』の情報を漏らしたのはお前だな?」
真宵『正解。花丸をあげるわ、十兵衛』フフッ
十兵衛「いらねぇよ。生憎成績に興味は無いものでね」ケッ
真宵『あら、感謝してもらいたいくらいなのだけれど。何をするにしたって、兵隊は必要でしょう?』
真宵『折角貴方好みのを用意してあげたのに、連れないのね』クスッ
十兵衛「それは!……確かに、そうだが……くそっ」ガシガシ
十兵衛「――まぁいい。話は変わるが、そっちはどうだ?」
真宵『米、露、英、独……諸々の大国と連絡を取り合っているわ』
十兵衛「どうなんだ……?」
真宵『既に滅んだ国も幾つかあるそうよ』ヤレヤレ
十兵衛「――確かか」
真宵『えぇ、西欧内陸なんかは魔女の巣窟らしいわ。南米などの南半球の国は治安が極端に悪化しているそうだし……』
十兵衛「こんな時に……なんで」
真宵『弱者の集まりだから、よ』
十兵衛「……これからは?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:43:41.11 ID:JqMyby0AO<> 真宵『生き残った国で連合を組む予定よ』
真宵『各国の技術や情報を総動員して当たらなければ、この問題は解決出来ないと思うし、でしょう?』
十兵衛「……相変わらず舌を巻くぜ」
真宵『このぐらいこなしてこそ、淑女足り得るのよ』クスッ
真宵『話はそれだけかしら?』
十兵衛「……あぁ、それだけだ」
真宵『忘れないで。貴方は何でも出来る訳ではないのだから』フフッ
十兵衛「……お気遣いどーも」ピッ
十兵衛「……くそっ」チッ
茜「アンタにも苦手な相手がいるんだね。気になるわ」ヘラヘラ
十兵衛「……はぁ、まぁ、そうだなぁ」グッタリ
十兵衛「……なぁ」
茜「何よ?」
十兵衛「話しておきたい事があるんだ――ちょっと良いか?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:45:11.67 ID:JqMyby0AO<> ――――
茜「ベアト、ねぇ。前も言ったけど、魔女を狩りまくってたよ。それしか私は知らないね」
十兵衛「……ベアトリクスは今、空っぽだ。何にも覚えていないような感じさえする」
茜「……だから?」
十兵衛「お前も、アイツの力になってやってくれないか?」
茜「……いや、悪いけど遠慮するし」フリフリ
十兵衛「……何故だ?」
茜「そういう状況に陥ってる奴ってのは一人や二人じゃない。ベアトリクスが、特別に特別って訳じゃないでしょ」
茜「まだアンタが居るだけ恵まれてる……アンタは怖いんだ」ビシッ
十兵衛「――なんだって?」
茜「自分の何気ない行動がベアトを壊してしまうかもしれない、と言う恐怖を感じてるんじゃない?」
十兵衛「そんな、事は――」
茜「そう。なら、アンタはアンタのやりたい様に、好き勝手にやれよ。アタシは知らないね」クルッ
茜「もう用件はない?」
十兵衛「……あぁ。時間を取らせて済まなかった」
茜「全くね」タッ
十兵衛「――俺は、ベアトリクスと本当に向き合えるのか……?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:46:02.37 ID:JqMyby0AO<> ――――ベアト宅
十兵衛「――と言う訳で、しばらく泊めてほしい」
ベアト「ふむ、確かに魔女狩りは大変だからね。構わないよ。十兵衛なら大歓迎さ」ニパッ
十兵衛「四郎はどうする?」
四郎「拙者は別のグループの方に寝床を借りたでござる。お二方でごゆるりと」
十兵衛「……いらん気ぃ回しやがって」カァ
四郎「はて、何の事やら。では、拙者此れにて失礼致す」
ベアト「二人っきりだね」ニコニコ
十兵衛「あぁ……そうだな」ナデリ
十兵衛「――そうだ。ベアト、星を見に行こうぜ」
ベアト「いいね。着いて行かせてもらうよ」
ほむら「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:46:49.93 ID:JqMyby0AO<> ――――二人の丘、静かに輝く空。
ベアト「綺麗だね」
十兵衛「――――ん」
彼女の横顔が、凄く眩しかった。
十兵衛「――あぁ、とても、とても綺麗だ」
ベアト「大げさだね」
彼女は意図に気付かなかったようで、小さく笑っている。
十兵衛「そんな事ないさ」
ベアト「そうかな……?」
十兵衛「そうさ。間違いない」
ベアト「??」
キョトンとした顔も、庇護欲をそそる様なソレだった。
十兵衛「……空は嘘みたいに変わらないのに、何でこんな事になっちまったんだろう」
天に手をかざす。
十兵衛「天罰、なのかねぇ。だけど、神様ってのが居るなら……これは酷いだろうよ」
ベアト「……もしかしたら神様じゃなくて、宇宙人じゃないかい?」
彼女が、手を叩いた。
まるで名案を思いついたみたいに。
十兵衛「……何でだ?」
ベアト「キミも言ってたじゃないか。もしかしたら宇宙人がエネルギーを集めてるかも、って」
ベアト「宇宙人なら、ボクたちの事なんて歯牙にも掛けないさ」
ふっと、表情が見えなくなった。
ベアト「……じゃなきゃ、何でボクの家族は死んだんだか分からないんだ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:47:38.08 ID:JqMyby0AO<> 十兵衛「――ベアト、お前」
ベアト「……ホントはね、分かってた」
彼女は夜空を見上げて、其処に見えないモノを見ようとして。
ベアト「悲しかった事を自分に都合よく忘れているだけだって」
ベアト「ううん、今だってそう。急にふっと思い出した」
ベアト「きっと、今はキミがいるから……心が耐えられるんだと思う」
一言、一言、告白していく。
ベアト「――キミまで居なくなったら、ボクは――」
そんな彼女を抱き締めたかった。
だからそうした。
十兵衛「……心配するなよ。なんたって俺は『最強』だからな」
ベアト「……はは、頼もしいね」
何を言うでもなく、見つめ合った二人は――
ベアト「――ん」
十兵衛「……ベアト」
親愛以上の意味を持つ、口付け。
酷い麻薬で、悲しい程に劇薬。
でも、二人にとっては最高の妙薬だった。
ベアト「――十兵衛、それ」
十兵衛「――うわ、これは……?」
十兵衛のソウルジェムが濁りを失い、月の光を反射して輝いていた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:49:18.96 ID:JqMyby0AO<> 十兵衛「ソウルジェムが……浄化された?」
ベアト「……絶望が穢れになるのなら、その逆だってあるんじゃないかな」
十兵衛「まさか……そんな事があるとしたら――む」
ベアトリクスがもう一度、優しくキスをする
ベアト「――それは、奇跡。かい?」
十兵衛「……そうだな。でも、こんな奇跡なら……悪くないな」
ほむら「これ以上は野暮ね。私は星空でも見上げてましょう」
そして、澄んだ空を見上げる。
そういえば、こうやって星をじっくり見た経験なんて子供の頃にしかなかった。
ほむら「何だか懐かしいわね。星空は未来も今も余り変わらないから、不思議な気分」
戯れに、星空をなぞってみた。
オリオン座、おおぐま座、ふたご座。おうし座に……あの辺り適当に繋いでエリダヌス座。
ほむら「こんな何でもないと思っていた事でも、案外楽しいものね」
北極星があって、そこからこぐま座。月が明るい。近くにカシオペヤ座。それから――――
ほむら「――――っっ!!?」
空をなぞるほむらの手が止まった。
空を見て、愕然としているほむらは、心臓が破裂しかねない程に動揺している。
空は嘘みたいに変わらない。
――空は、嘘をつかないのだ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 00:50:09.60 ID:JqMyby0AO<> 投下終了。
気付いたらもう500。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東)<>sage<>2011/11/11(金) 01:03:20.25 ID:VXRiB1hAO<> あああああああああそういうことかああああああああああああ!!!!
うわあああああああああああああ
乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/11(金) 01:07:49.97 ID:avJd55VIo<> お疲れ様でした。
何に気付いたんでしょうね・・・・・・・・・・・・・・・・・。
天体もまた時とともに見え方が変わるものなわけですが。
(ジュラ紀と現代とで同じ形で星座は見えないわけですし) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(滋賀県)<>sage<>2011/11/11(金) 01:08:03.22 ID:YEz9UKcNo<> デジャビュ感じると思ったら一度ほむほむはオリオン座を見てるんだな
その時点では偶然と思ったのかなほむらちゃん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県)<>sage<>2011/11/11(金) 01:12:01.00 ID:FOJSG4rI0<> 乙
ここで伏線回収か <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/11(金) 01:17:47.06 ID:gXAUv7VDO<> お、思い出せない
ちょっと読み返してくる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/11(金) 04:24:32.75 ID:EVvhnsqDO<> >>539
確かオリオン座はその内消えちゃうんだよな
まったく同じ、ってことは即ち…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県)<>sage<>2011/11/11(金) 08:30:50.56 ID:/PcgoOvY0<> 過去だと思っていた。しかし、「未来も変わらない」・・・だと?
まさか・・・まさかインキュベーターとは、過去ではなく・・? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/11(金) 16:55:39.23 ID:rrohQQYRo<> oh・・・そういう事かよ・・・・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/11/11(金) 17:16:23.55 ID:hf0oUzTho<> つまり太陽系第三惑星地球の、しかも人類だったというわけか
米露独英とか普通に書いてあるから何でみんなが驚いてるのかよく分からなかったけど
おまけに近い とか…あれ空白レスになっちゃtt ラ・ベスティアー <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:39:13.95 ID:JqMyby0AO<> 投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:39:49.44 ID:JqMyby0AO<> ――――
日々は彼女たちを置いて過ぎ去っていく。
そんな中、彼女たちが惹かれ合うのに時間は掛からなかった。
ベアトリクスのひび割れた心の隙間を、十兵衛が埋めていく。
彼女にも、だんだんと自然な笑顔が戻ってきていた。
魔女を倒し、愛する人を守る。
そんな日々すら、長くは続かなかった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:40:39.03 ID:JqMyby0AO<> ――――機械の街
十兵衛「……しかし、技術革新が間に合ったのは幸いだよな。食糧供給は問題無いから……」
十兵衛「このまま俺たちが絶滅しても、機械だけは動き続けるのか……ゾッとするぜ」ハァ
茜「アタシはアンタの方がよっぽどゾッとするよ」スタッ
十兵衛「茜か。何か用か?」
茜「魔力切れになりそうな奴が何人かいる。グリーフシードを分けてくれない?」
十兵衛「――またか。いい加減に節度を守ってほしいんだが」チッ
茜「無茶を言わないでよ。それから、アタシに言うな」
十兵衛「お前のところの魔法少女たち……もう少し何とかならないのか?」
茜「アタシがリーダーって訳じゃないし、アタシらはグリーフシードの為に群れてただけ。グリーフシードが無ければ、仲間意識も無くなるさ」
茜「リーダーは居たんだよ? ついこないだ、殺されちまったけれどね。誰かさんに、さ」ジッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:41:09.84 ID:JqMyby0AO<> 十兵衛「…………それは」
茜「謝れとは言わないし、別に気にしろって訳でもない。でもアタシは一生忘れないだけ」
十兵衛「……グリーフシードは余り使いたくない。俺が行こう。ソウルジェムにはまだ余裕があるからな」
茜「それでアンタがグリーフシード使ってたら意味無いじゃん」
十兵衛「あー、それは、まぁ……気にすんな。俺は最強だからな」
茜「……? 変なの」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:41:49.94 ID:JqMyby0AO<> ――――
十兵衛「……弱ったな」
この辺りの魔女はあらかた狩り終わり、非戦闘員の保護も済んだ。
後は慎ましく皆が過ごしていくだけで良かったのだが――
十兵衛「一度得た『願い』を棄てきれない……か」
魔法の力を存分に扱える者たちだ。
その力を腐らせておくのが我慢出来ないのだろう。
働いた分のグリーフシードと釣り合わない、と不平を洩らす者もいた。
要するに飢えているのだ。
グリーフシードに。
十兵衛「弱ったな……」
最近は、こうして自分のソウルジェムを穢れさす事が多い。
それで誰かが助かるなら万々歳だが、不必要な事に命を削らされていると思うとやっていられなくなる。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:42:40.01 ID:JqMyby0AO<> ベアト「十兵衛、迎えにきたよ」
思い人の声を聞き、疲れた顔を起こした。
彼女の顔がふっと曇る。
ベアト「今日も大変だったようだね」
十兵衛「……こんな事を日々頼むのは、心苦しいな」
ベアト「いいよ。ボクにくらいさ、甘えてよ」
そう言って、ベアトリクスと唇を重ねた。
目を閉じ、彼女を感じる。
ソウルジェムが癒えていく感覚が、酷く心地よい。
ベアト「んっ……ほら、元気になったね」
十兵衛「あぁ、サンキュ。帰るか?」
ベアト「うん。帰ろう、ボクたちの家に」
小さな手を握って、彼女の隣を歩いた。
心に暖かいモノが染みて広がっていく。
思うに希望とは、こういうささやかなモノじゃあないのかな。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:45:00.67 ID:JqMyby0AO<> ――――真宵。何処かの研究所、地下室。
真宵「ここは……?」
付き人「(……真宵様、こんな場所に着いてきて宜しかったので?)」ボソッ
真宵「問題ないわ。いざというときの為に、貴方を連れてきてんだもの」クスッ
付き人「……お任せ下さい」フッ
「こちらです」
真宵「……この、ガラスの向こうの人は何なの?」
「彼女は我々の希望です。ですが、その魂も擦り切れる寸前です」
真宵「御託は良い。さっさと事実だけ述べなさい」
「……彼女は浄化能力者です。『全ての人々に愛を』と願った結果、絶望の蓄積を打ち消す事が出来ます」
「『世界全て』を対象に願った事で、後天的に他人の因果を束ね、結果このような奇跡を起こしたのです」
「我々は彼女の魔法について研究しています」
真宵「ふうん。で、浄化方法は?」
「『愛』ですよ」
「だが、如何せん効率が悪い……今、改善案を練っている所です」
「ちょうど良い。グループBが始める時間ですし、どうぞご覧になっていって下さい」
少女「――――ァ」
付き人「――な、何を!?」ガタンッ
真宵「ふうん、『愛』ってこういう事ね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:45:59.95 ID:JqMyby0AO<> 「そうです。我々が発見した画期的な抜け道です。これを我々の手で生産出来た暁には、人類に暖かな未来が――」
真宵「もう良いわ。分かったから」
真宵「どう思う?」
付き人「……正直、現実味が」
真宵「そうね。私もそうよ」
真宵「ああも精液にまみれなければ、世界は救われないなんてね」
付き人「獣みたいで、正直胸糞が悪いです」チッ
真宵「こら、口も悪いわよ。でも、確かに滑稽ね」
真宵「だけど、面白いわ。だって、人類を救うのが性交だっていうなら、それは確かに正解だもの」
真宵「子孫を残すにしてもそうだし、ね」
真宵「さて、私も参加しようかしら」クスッ
付き人「真宵様っ!?」
真宵「まぁ見てなさいよ。構わないわね?」
「えぇ、どうぞどうぞ」ガチャッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:46:55.28 ID:JqMyby0AO<> ――――
キツい臭いが鼻に付いた。
無機質な部屋の中央に、その子はいる。
回りに群がる者は気に止めない。
真宵「退いてくれないかしら」
その言葉に、少女に腰を叩き付けている者以外は道を開けた。
真宵「退け、下郎」
蹴って退けた。
突然の事に、両者様々に驚いている。
真宵「貴女、平気?」
少女「……もう、イヤ」
真宵「そ。なら耳を貸しなさい」
少女「…………?」
真宵が少女の耳元で何かを呟くと、少女は目を大きく見開いた。
真宵「じゃあね」
少女「――――」
真宵「帰るわよ」
付き人「はっ」
真宵はその少女にもう一度目をくれることなく、その部屋を後にした。
研究所の外に出た辺りで、付き人が耐えきれなかったように聞いてくる。
付き人「一体何を吹き込んだので?」
真宵「些細な事よ」
背後で、研究所全てが魔女の結界に飲み込まれた。
真宵「少し、絶望を早めただけ」
真宵「戯れにね。失敗の前例も、あった方がいいじゃない?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/11(金) 23:47:22.73 ID:JqMyby0AO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/11/11(金) 23:50:29.13 ID:hf0oUzTho<> ほむらの、鏡人間?
「おつかれさま」とでも言ったのかしら <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/12(土) 01:07:27.41 ID:ImhdEuQJ0<> 乙。
真実でも告げたんじゃないかしら? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)<>sage<>2011/11/12(土) 08:23:51.17 ID:xB8aCjObo<> 展開が変わってきたな
楽しみだ!
('A`)ノ 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(新潟県)<>sage<>2011/11/12(土) 13:47:35.77 ID:dckw9Qf6o<> 乙
生きる欲望か……
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/13(日) 08:30:42.03 ID:/UiwenFYo<> 少女がレイプされまくってると思うと胸が痛むのに
ふたなり少女が逆レイプされまくってると思うと胸が高鳴る
ふしぎ!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中部地方)<>sage<>2011/11/13(日) 09:11:14.05 ID:C6MeGh3vo<> 乙
快楽でその場凌ぎの希望を得ても
どのみち地獄には変わらんというのに
単なる現実逃避を希望に縋るあたり
もはや末世、世紀末なんだな <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:24:35.98 ID:6Oqz9a4AO<> みんなお待たせ!
今日はみんなお待ちかねのアレがあるよ!
喜んでね!
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:27:26.10 ID:6Oqz9a4AO<> ――――夕焼け空と絶望の街
ベアト「――んむ」チュッ
十兵衛「――済まないな」
ベアト「もう。謝るのはダメって言っただろう?」プンプンッ
ベアト「キミとしたいからしてるんだ。ダメかい?」
十兵衛「いや、そんな事はない。大歓迎なんだが……」
ベアト「なら良いじゃないか……それとも、意味の無いキスがしたくなってきたのかい?」ニヤニヤ
十兵衛「……帰るぞ」
ベアト「真っ赤になってるじゃないか」クスクス
ほむら「……見られたわね」チラッ
茜「――なんだ、アレ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:28:04.22 ID:6Oqz9a4AO<> ――――夜の街、茜
茜「(最近ウチの奴らが迷惑を掛けてばっかりだし、詫びにと思ってグリーフシードを持っていったけど……)」
茜「そうか……カラクリが一つ分かったわ。ベアトが浄化できるなら、アイツにはグリーフシードが必要ないし」
茜「なのにアタシらを縛るのかよ」
茜「……ズルいよ。それ」
茜「杏奈は居ないのに、ベアトは居る」
茜「狡いだろ……狡い。それ」ギリィッ
――生きるためなら。
茜「――ズルいよねぇ、それ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:28:57.78 ID:6Oqz9a4AO<> ――――魔女退治定例日、茜
ベアト「な、何を……どうしたんだい、茜?」
ベアトリクスを薄暗い路地裏に連れ込んで、壁に押し付けた。
こんなにも細く小さかったのかと、きっと一生気付く事は無かったであろう事実を知る。
茜「……アンタさ、ソウルジェム浄化出来るんだろ?」
ベアト「!」
茜「勘違いしないでね。アイツは何にも喋ってない。アタシが偶然見ただけだよ」
確かに、異性の臭いがして――頭がクラクラした。
成る程、確かに麻薬。
ベアト「ど……どうするつもりだい?」
ほむら「ちょっと!?止めなさいよ!」
ベアトリクスの小さな肩が震えていた。
それが煩わしくて、肩を壁に押し付ける。
茜「――分かってるんだろ」
そして、強引に乱暴に唇を奪った。
ベアトリクスは精一杯抵抗するも、だんだんと力を無くしていく。
ほむら「あ、あぁ……なんて事……」
茜「(……凄い)」
ソウルジェムが癒えていくのが分かった。
荒っぽく、情熱的に口付ける程、それは顕著になる。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:29:24.50 ID:6Oqz9a4AO<> ベアト「ん……んくっ……」
ベアトリクスの身体から力が抜けて、ソレが重力に任せて落ちようとした。
しかし赦さない。
彼女の腰を掴んで引き寄せ、身体を擦り寄せて口内を貪った。
呼吸も儘ならず、ベアトリクスの息が荒くなっていく。
茜「(……チクショウ)」
不覚だった。
茜は、不覚にも興奮してしまったのだ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:31:04.33 ID:6Oqz9a4AO<> ――――
茜「――ぷはっ」
ベアト「ふ、ふぁぁ……」
唇を離して手を退けると、ベアトリクスはその場にへたり込んでしまった。
その真っ赤な蕩けた顔を見て、ふっと我に帰る。
茜「――アタシは、なんて事を」
ベアト「あ……あか、ね?」
茜もまた地に崩れ落ちた。
罪悪感が、心に広がっていく。
茜「ゴメン……ゴメン、ベアト……どうか、してた……」
顔を見れない。
泣きたいのはきっとベアトリクスの方だろうに、茜は涙を溢していた。
ベアトリクスは、茜に近寄って――頭を撫でる。
茜「――え」
ベアト「……ゴメンね、茜」
茜「そんな――謝るのはアタシだろ……止めてよ……」
ベアトリクスは首を横に振った。
ベアト「ううん……キミも辛いのを知っていて、ボクは何もしなかったから……」
ベアト「だから……怒ってないよ。ソウルジェムは大丈夫かい?」
茜「……凄く光ってる」
ベアト「なら、良かった。でも、今度は遠慮させてくれないかな」
ベアト「……ボクは、十兵衛のだから」
茜「――ゴメン……ゴメンっ……」
ベアトリクスは、さめざめと泣く彼女を、その両腕で優しく包み込む。
ほむら「…………っ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:33:14.70 ID:6Oqz9a4AO<> ベアト「怖かったんだよね……もう良いんだよ。泣かなくて、良いんだよ」
茜「――――っ」
ほむら「――っ、上に人!」
「――アレは金魚のフン……と誰かな?」
「アレがあったら、魔法が使い放題じゃん……にしし、運が向いてきたぞう。流石深幸ちゃんだぜ」
四郎「七瀬殿ー、どちらに居られるでござるかー!?」
七瀬「はいはいよー!……全く、四郎が来てから息苦しくってたまんないよ……」
七瀬「ま、それもあと少しかな」
小さく笑った彼女は、七瀬深幸と言う。
四郎が指揮を任されているグループの代表だった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:33:50.22 ID:6Oqz9a4AO<> ――――いつもの会瀬
十兵衛「今日も頼めるか、ベアトリクス」スッ
ベアト「うん、分かったよ。こっちに来て――」
『――ゴメン』
ベアト「…………」チュッ
十兵衛「額……?」
ベアト「今日はそういう気分なんだ。もしかして、物足りないかい?」
十兵衛「いや、そんな事は無いが……おぉ、これでも浄化されるのか」
ベアト「みたいだね……」
ベアト「(……とてもじゃないけれど、十兵衛にキス出来ないよ――)」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:34:43.29 ID:6Oqz9a4AO<> ――――街、ベアトリクス
ベアト「今日も十兵衛は魔女狩りかぁ……最近急に増えたし、絶望する人が多くなっているのかも……」
「ねぇ、キミ。一人?」
ベアト「誰?」クルッ
「貴女は……ベアトリクスで間違いないね?」
ベアト「そうだけれど、キミたちは?」
「なら話は早い。十兵衛さんが大変なんだ、急がなきゃ……いくらあの人でもやられてしまう」
「僕たちも必死で魔女から逃げてきたんだ。十兵衛さんは僕たちを庇って……」
ベアト「何だって!?――早く案内してくれないか――ボクが行く!」
ほむら「――ば、バカっ!コイツは――っ」ハッ
七瀬「了解したよ」ニヤリ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:36:08.22 ID:6Oqz9a4AO<> ――――薄暗い廃屋の中。
ベアト「んむ、んんっ!?」
人気の無い廃屋に連れ込まれ、魔法少女の集団に囲まれて――その全員がベアトリクスの唇を貪っている。
逃げられないように魔法少女の胆力で羽交い締めにされ、一人ずつ舌を犯していった。
七瀬「君はバカだねぇ。こんな簡単に捕まっちゃうとは思わなかったよ」
耳元で囁くのは、主犯の少女。
ソレに及んだのは、いずれも十兵衛のやり方に不満を持っていた者たちだった。
ベアト「やめて……やめ――ふむっ!?」
七瀬「んむー♪……おいしー♪」
彼女たちのソウルジェムは一様に浄化されている。だが、まだ濁っている
ほむら「やめてっ!!やめなさいよっ!!」
ほむらがいくら掴みかかろうとも、彼女らに触れる事は出来ない。
無力が、心を堕としていく。
七瀬「口ではそう言っても、もうビンビンなんじゃない?――あら?」
七瀬がベアトリクスの股座をまさぐって、不思議に思った。
無い?
七瀬「まさか――♪」
ショーツごとハーフパンツをずり下げる。
其処に男性器などは存在していなかった。
「おぉぉぉっ!?」
「純女じゃん!」
回りの魔法少女からも驚きの声が上がる。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:36:35.51 ID:6Oqz9a4AO<> ベアト「あ、あ――」
七瀬「あ、やば、興奮してきた♪」
七瀬が絡める。
足を。
手を。
肌を。
七瀬「ねぇねぇベアトちゃん。私もうガマンできないなー♪」
固くなった彼女自身を、ベアトリクスのソレに擦り付ける。
七瀬「みんなもやろーぜぃ♪」
ベアト「やめて――」
七瀬「やめなーい♪」
ほむら「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:37:38.62 ID:6Oqz9a4AO<> ――――
「あ、すっげー出る」
「おい、これ浄化されてる……」
「へー、なら仕方無いよねー♪」
泣き声。
失神。
崩壊。
ほむら「やめて……お願いだから……もう……彼女が何をしたっていうのよ」
ほむら「……私も、コイツらと――何も変わらない」
ほむら「ごめんなさい……ごめんなさい、キュゥべえ……」
泣いて詫びても、何も変わらなかった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/13(日) 14:39:00.89 ID:6Oqz9a4AO<> 久しぶりにスレタイ詐欺じゃない内容だったね。楽しんで頂けたかな。
投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県)<>sage<>2011/11/13(日) 14:39:20.79 ID:4gZvnbMxo<> 今日のお前が言うなスレだと思ったら自覚あったわ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/11/13(日) 14:42:02.04 ID:FomFkxNro<> oh……
十兵衛による肉のビックリ市クルー? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東)<>sage<>2011/11/13(日) 14:53:56.75 ID:rWrmR69AO<> 久々のエロシーンの筈なのに……なんか……
抜けないっていうか……
待ちに待ってた筈なのに……
悲しい……っ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/11/13(日) 16:11:57.02 ID:6cyLAFjho<> ほむらが反省しちゃう所がやっぱり理解出来ないなあ
ここのところ彼女同情ばっかりじゃない? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越)<>sage<>2011/11/13(日) 16:17:06.74 ID:lB/EFNsAO<> ほむらの置かれている状況を考えたら、そんなに不自然でもない気がする <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/13(日) 17:26:12.15 ID:5Ofp0Jfho<> スレ間違ったかと思ったがこれが正しいんだったなwwwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/13(日) 18:03:02.28 ID:OgcS1qCuo<> そういえば今のほむらの魔翌力消費ってどうなってるんだろ
こっちに来てから一度も浄化してないよね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/13(日) 18:13:46.35 ID:0G/ma35wo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県)<>sage<>2011/11/13(日) 18:52:53.24 ID:AkLWxO0Eo<> これは抜けない
というか前スレ行って抜こうとしてももう抜けない <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/13(日) 21:04:05.46 ID:Xx+q7vZEo<> いいね、やはりエロ分が足りてなかったんや! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)<>sage<>2011/11/13(日) 21:16:22.01 ID:2Jv9my1f0<> インキュベーターが全滅した理由が分かってきた・・・
おそらくは、純粋の男にせよ女にせよ、その魅惑は両生体に取って圧倒的な・・・ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/15(火) 00:21:36.21 ID:yWOCTU/AO<> ほらほら、まだまだエロはあるよ。やったね!
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/15(火) 00:24:06.68 ID:yWOCTU/AO<> ――――
七瀬「くっはぁ……もう無理だぁ……♪」
ベアト「あ……」
力無く地面に倒れているベアトリクスを背に、七瀬は服装を整えた。
ベアトリクスに魔法をかけて、彼女の身体に付いた汚れは霧散する。
七瀬「ありがとうね、ベアトちゃん♪」
ベアトリクスを抱き起こし、壁にもたれ掛からせた。
目に光は亡い。
七瀬「君のお陰で十兵衛さんを殺さなくって済んだよ」
だが、聞き逃す事の出来ない単語に顔を上げざるを得なかった。
ベアト「なん……だって……?」
七瀬「いやぁ、十兵衛さん厳しくってさぁ。魔力管理が大変だったんだよねー」
七瀬「だから、私たちでねー……大っ変不本意ながらー、ぶっ殺すしかないかなーって」
ベアト「そん……な……」
七瀬がヤらしい笑みと共に手を叩いた。
七瀬「でももう大丈夫!君が居てくれれば私たちは魔力に困らないから……ね♪」
七瀬「いつでも殺せる準備は出来てたんだけどー、やっぱ嫌じゃん?」
――いや、これは。
ほむら「脅迫……飼い殺す気ね……!」
ほむらが強く歯噛みした。
七瀬「だからー、今度も――お願いして、いいかな?」
拒否を許さない嬌笑が、彼女を縛り付ける。
彼女に――
ベアト「……分かったよ」
――拒否権は与えられていなかった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/15(火) 00:24:38.47 ID:yWOCTU/AO<> ――――日々。
「十兵衛さん、こっちに魔女が複数います!」
十兵衛「またか……よし、すぐ行く!」
「(グッジョブ!)」
「(後で変われよ!)」
十兵衛が愛する物の為に戦っている中――
ベアト「んぐっ……んん――」
「浄化最高……だな?」
「あぁ、堪らねぇ……へへ」
七瀬「おーい、無茶し過ぎるなよー♪」
その愛する人は穢れていった。
魔法少女らの淫欲は果てる事無く、彼女をただひたすらに犯していく。
異性を目の前に、各々が獣の様に性器を捻り込み、生きようとしていた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/15(火) 00:25:26.37 ID:yWOCTU/AO<> ベアト「お疲れ様、十兵衛」
十兵衛「おうよ」
最近、ベアトリクスと深いキスをしていない。
急に恥ずかしくなったのだろうか。
それはそれで微笑ましいと思う。
……彼女はまだ精神的にも不安定だろう。
余り俺ががっつき過ぎるのも良くない。
抱きたいとは思うが……まぁ、それは、彼女が落ち着いてからの方が――きっと幸せだろう。
うわぁ、俺今凄いキモいな。はは。
ベアト「お風呂は沸いているよ。先に入ったらどうだい?」
十兵衛「お、済まないな。じゃあ、先に頂くとするよ」
新婚みたいだ。へへ。
……全てが終わったら、それも真剣に考えなきゃならないな。
指輪とか、プレゼントしたいぜ。
どんな顔するかな?
アイツを心から、笑えさせれるかな?
十兵衛「ふはぁ……」
風呂はちょうど良い温度だった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/15(火) 00:26:56.39 ID:yWOCTU/AO<> ――――日々。紛れもない現実。
「あっあっ、あぁぁぁぁっ!!」
「うっせ、静かにしろよ……」
「あ、悪い……」
「しっかし、役に立つなぁ」
「やべぇ、アイツ今ちょっと近くまで来てる」
ベアト「!!?」
「ねぇベアトちゃん。早くしないと来ちゃうよ。彼」
「そうだ、――――ってさ」
「ねぇ言って?そしたら興奮して早く出せるからさっ」
ベアト「あ……ああ……」
ほむら「もう見たくないの……やめてよ……」
折角直っていた彼女の心が、緩やかに砕けていく。
ベアト「だ――」
希望なんて無い。
心の歯車が動いていないから、絶望しないだけ。
ベアト「だして。ベアトのおくちのなかヌポヌポッてつかっていっぱいだして……おくちまんこいっぱいにしていいよ」
ほむら「やめてっ……聞きたくないっ……」
「うっわ、良いなコレ……やっぱアイツとも毎晩ズコバコやってんのかな」
「まぁどうでもいいよ。今は私たちの牝猫で、穴なんだからさ」
「そうそう。アイツだけじゃズルいもんね」
「エロいよー、ベアトちゃん早くー」
新手の拷問なのだろうか、とほむらは思ってしまう。
ほむらは許してくれと懇願した。
それが届いたのだろうか。
茜「――おい、何を、やってる?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/15(火) 00:28:49.98 ID:yWOCTU/AO<> ――――
茜は自らの目を疑った。
かつての友人が、名も知らない奴に跨がって腰をイヤらしくくねらせているのだから。
茜「ベアト――お前、何を!?」
七瀬「おやおやー? それは無いんじゃあないのかなー、杏奈さんの金魚のフン?」
茜が声の主を睨み付けた。
甘ったるい声が、酷く不快である。
茜「七瀬……お前――」
七瀬「いやー、この間さー、茜ちゃんが面白い事しちゃってんの見てさー?」
茜「っ!?」
心当たりにたじろいでしまった。
したりと言った顔で、七瀬は話を続ける。
七瀬「私らもソウルジェム浄化したくってさー。知ってる? セックスするとすっごくキレイになるんだぜぃ?」
茜「こんな――こんな事が奴に知れたら、お前らはたたじゃ済まない!」
七瀬「知ってるぅ」
茜「っ」
浮世離れした台詞に、茜の背筋が凍った。
七瀬「でも、アタシらってもう死んでんじゃん?」
七瀬「べっつに、どーでもいーって言うかさー?」
七瀬「生きれてきもちーならさいこーじゃん♪」
七瀬「ね、ベアトちゃん♪」
ベアト「――そうだね」
ほむら「――キュゥべえ?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/15(火) 00:29:53.72 ID:yWOCTU/AO<> ほむらはふとベアトリクスの目を見た。
光は戻っていて、とても不自然。
ほむら「あ、あぁ……あぁ――」
人間の脳とは上手く出来ている。
例えば精神が駄目になってしまおうモノなら――別の、運用に耐えうる精神を造り上げてしまうのだ。
ベアト「生きる為に、と言えば彼女たちは比較的合理的だね。だってボクはこれによって、体力は消耗せどもソウルジェムが濁る訳では無いからね」
そしてベアトリクスは――ほむらが良く知るキュゥべえになる。
七瀬「ほら、アイツは友達なんだよね? 助けなきゃ♪」
ベアト「確かにその通りだね」
茜を二人の魔法少女が押さえつけた。
茜「な、お前ら――止めろ!?」
「まぁまぁ」
「すぐ良くなりますから、ね」
仰向けに押し倒されて、七瀬によって下半身を露にされてしまう。
七瀬「あは、勃ってんじゃん♪ ベアトちゃーん?」
ベアト「失礼するよ、茜」
茜「バカ――やめろ、やめろってベアト!?――かはぁっ――!?」
深く、彼女の一番奥に侵入する。
吸い付き、求めるその壺が――茜に肉体的快楽と精神的葛藤を押し付けた。
ベアト「あっ、あん……んくぅ♪」
今や享楽すら感じているようで、それがほむらには、酷く悲しいモノに見えた。
水面下の宴は、まだ終わらない。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/15(火) 00:31:13.46 ID:yWOCTU/AO<> 投下終了。
エロ回の連続でタイトル通りだね!
しかしそろそろ600でヤバい。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/15(火) 00:32:41.92 ID:oTIKtofTo<> 乙!もうすぐこの世界線もおわりかしら <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/15(火) 00:37:08.50 ID:kckCqM+70<> お疲れ様でした。ここのほむらも大変だ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/15(火) 00:38:55.93 ID:dSeXMHiIo<> お疲れ様でした。
ふむ・・・・・・ここから・・・・・・・・どう・・・・・・・量産型四足歩行生物になっていくんでしょうね・・・・・・・。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県)<>sage<>2011/11/15(火) 00:56:30.67 ID:By6lr3dAo<> 乙!!
各々の欲望やらなんやらが入り交じってえらい状態ですなぁ〜 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)<>sage<>2011/11/15(火) 01:06:44.77 ID:yAucObdL0<> 冷えるんじゃあ・・・ゾッとするほど冷えるんじゃあ・・・
・・・なんという事・・・なんという事だ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank)<>sage<>2011/11/15(火) 01:35:20.92 ID:3GEb/TVN0<> 乙
コレジャナイ・・・いや、これであってる。
救われないってわかってたけど、いざ目の当たりにすると、とても悲しい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/15(火) 16:00:29.56 ID:EeL+IufDO<> キュゥべえに過去に可哀想な事があったからという理由で、今まで魔法少女達を騙して搾取してきた事も全て許されるような流れになったら… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/15(火) 16:09:39.85 ID:vpAExAXF0<> それはないっしょ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/15(火) 17:36:26.92 ID:4nPlWjdho<> しかしこの題名インキュベーターは優しい夢を見るかっていうから
ほむらはQBの胡蝶の夢みたいな存在なのかな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/15(火) 22:54:32.22 ID:wZZn7xyYo<> ほむらはほむらで早く開き直って欲しい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/16(水) 09:01:26.25 ID:YIomb4Qzo<> 万年の時を生きてても心にダメージ受けるのなほむほむ
正直因果が失われたときのほうがきつい状況だと思うけど <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:44:11.42 ID:rMfQ8UaAO<> あー今日エロ無いわ……
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:46:10.81 ID:rMfQ8UaAO<> ――――真宵
真宵「紅茶」
付き人「どうぞ」カチャリ
真宵「ありがと」
真宵「…………」カタカタ
付き人「……情勢はどうですか?」
真宵「実験体がもう居ないから、理論構築だけに留まっているようね」
真宵「まぁ、適材適所って言うし……研究は研究者に任せておきましょ」コクンッ
真宵「煮詰まってきたわ……十兵衛の様子でも見に行きましょうか」ノビー
付き人「お供致します」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:47:56.64 ID:rMfQ8UaAO<> ――――白き恋人(ラブドール)。
ベアト「あ――――」ビクンッ、ビクンッ
七瀬「あーあ、みんな無茶なんだからー……ほら、回復ー」ポワン
ベアト「あ……あ」クター
七瀬「今日はみんな満足したみたいだからさー、もーいーよ」ニコッ
ベアト「そう……かい」ググ……
七瀬「おやおや、足が立たなくなっているよー。ちょっとおいでー?」グイッ
ほむら「――おまえっ!」
ベアト「わ――?」
ギュムッ
七瀬「よーしよし、お疲れ様ー♪」ナデリコナデリコ
ほむら「今さら何のつもりよコイツ……」
ベアト「?」キョトン
七瀬「何を不思議そうに……自分のオモチャにぐらい愛着はわくよー?」キヒヒ
ベアト「……わけがわからないよ」
七瀬「勿体無いよねー、こんないーのを独り占めなんてさぁ」
七瀬「ま、バレて死ぬのもやだしー?」
七瀬「楽しい事は、みんな一緒に、だからね!」ニハハ
ほむら「くそっ……茜、早く何とかしなさいよ……」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:48:24.47 ID:rMfQ8UaAO<> ――――茜
茜「……いつまで着いてくるんだよ」
「いえ、彼女に情でも沸いたら困りますし」
「生きる為に必死になれ、ってのはあなたの教えでしたから」
「まさかあなたがアレを否定するとは思っていなかったんですよ」
茜「……情けなくないのか?」
「カッコつけて死ぬよりマシでしょう」
「それに、事実を隠していたのはヤツですよ?」
茜「…………」
『生きる為なら、何だってやる』
茜「――もう、何もかも分からない……何が正解で、何が間違ってるんだよ……っ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:50:40.34 ID:rMfQ8UaAO<> ――――七瀬、その器から溢れる水。
「終わりました!」スタッ
七瀬「おつかれー。んで?」ニィ
「はい、上質のソウルジェムです。穢れもあまりありません」スッ
七瀬「やったね♪それはみんなで分けていーよ」ヘヘッ
「ありがとうございます、では」ダッ
七瀬「おーおー、乱暴だねぇ。抵抗出来ない一般魔法少女を殴る蹴る殺すー、だからね」キヒヒ
七瀬「強いヤツがさぁ、一番って事はさぁ、そういうルールなんでしょ?」
七瀬「雑魚は死ね!」ドヤッ
七瀬「アハハッ!」ケラケラケラ
「お母さん……」ポロポロ
七瀬「ん? そこの子、その死んでるの母親?」ヒョイッ
七瀬「うっわー頭グシャーじゃん。ひっでー♪」ワオ
「お、お母さんを返して!?」
七瀬「うっせーよ」ドガッ
「ぎゃっ!?」
七瀬「見てろよ……」ニタァ
グググッ……パァンッ
七瀬「はーいおかーさんバラバラー♪」キッヒヒ
「あ――あぁ……」
七瀬「おら泣けよ、ほら、ほら泣けよ♪」
「――――あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
七瀬「ひひ、魔女様一人ごあんなーい♪」
七瀬「いただきまーす♪」ジャキンッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:51:42.65 ID:rMfQ8UaAO<> ――――十兵衛、ベアトリクス宅
十兵衛「ただいま……おっと」フラ……バタンッ
ベアト「っ、十兵衛、どうしたんだい!?」タタッ
十兵衛「何でもない……ちと疲れただけだ……悪いが、今日はもう寝る……」フラッ
ベアト「ほら、捕まって」ダキッ
十兵衛「悪い……」
十兵衛「(妙だ……ここのとこ魔女の発生が、速度も量も尋常じゃねぇ)」
十兵衛「(その上、味方はろくな戦い方が出来ない奴らばっかりだ……俺がやるのが一番効率も良い)」
十兵衛「(俺が始めた事だ……着いてきている奴は守ってやらにゃあ)」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:54:06.06 ID:rMfQ8UaAO<> ――――十兵衛、疲れから熟睡。ベッドルームで。
ベアト「……十兵衛」ギシッ
十兵衛「」クー……
ベアト「今日はね、47人だったよ」
ベアト「日に日に人が増えるし、昨日したばっかりの人も来たりするからね」
ベアト「魔法少女で良かったと思うよ。怪我は直ぐに治るからね」
ベアト「慣れると意外と痛くないんだね。びっくりしたよ」
ベアト「……愛しているよ、十兵衛」
ベアト「愛してる」
ベアト「愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」
ベアト「ボクはキミを愛しているんだ」
ベアト「だから嫌わないで……こんなボクを――こんな汚れたボクを――っ」
ベアト「――だから、はやくたすけて」
ほむら「何寝てるのよ……」
ほむら「起きなさいよ……」
ほむら「キュゥべえは、今、泣いてるのよ……?」
ほむら「起きてよ……」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:55:22.19 ID:rMfQ8UaAO<> ――――四郎、七瀬との定期魔女狩り。
四郎「さぁ、今日こそは是が非でも作戦通りに戦闘して頂くでござるよ!」バッ
七瀬「もー四郎ちゃんは固すぎなんだよ……童貞ってこれだから」ヤレヤレ
四郎「それとコレとは関係無いでござる!」プンスカッ
七瀬「抜いたげよっか?」アーン
四郎「はしたないでござるっ!口を閉じられよ!」ガウッ
七瀬「あーあ、つまんない。最近からかっても反応が薄いんだもん」ハァ
四郎「流石の拙者も慣れるでござるよ……全く、少しは恥らいと言う物を――」
七瀬「あーあーきこえなーい」フサギッ
四郎「……ハァァ、まぁとにかく……魔女を倒すでござるよ。……それ事態気は乗らないでござるが」
七瀬「はいよー」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:56:37.80 ID:rMfQ8UaAO<> ――――討伐、のち。
七瀬「疲れたわー、マジ疲れたわー。ダメージ無いけど疲れたわー」
四郎「拙者は誠に疲れたでござるよ……」ハァァ
七瀬「ん……四郎ちゃん、それ。ソウルジェムヤバくね?」ピッ
四郎「このくらい余裕でござる……おっと」フラッ――ダンッ
四郎「見ての通りでござる」キリッ
七瀬「いやいやいや見ての通りだよ。何でそんなに頑張るかなー、しかも一人で」ヤレヤレ
七瀬「こんな世の中なんだから、誰かに支えてもらわなきゃ。好きな人とかいないの?」ニヒッ
四郎「……いた、とだけ」
七瀬「?」ン?
七瀬「どゆことー♪?」カシゲ
四郎「そのお方は……別の御仁に惚れ込んでいたのでござる」
四郎「故に拙者は身を引いたのでござるよ……後悔もござらん」フゥ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:59:02.08 ID:rMfQ8UaAO<> 七瀬「はぁ?」ピョコン、スタッ
七瀬「奪っちゃえばいーじゃん?」カシゲ
四郎「それはあの方の幸せではござらぬよ……情けなき事でござるが」
七瀬「誰よー? ちびっとなら四郎ちゃんに借りもあるし、ぶっ殺してやんよー」シュッシュッ
四郎「遠慮するでござるよ。七瀬殿が返り討ちにあってしまうでござるからな」ハハッ
七瀬「にゃにおぅ!? 私だってけっこーやるんだぞぅ!」ムキーッ!
四郎「いやいや、不可能でごさるよ。何せ『最強』でござるからな」ククッ
七瀬「っ」ピクッ
四郎「七瀬殿?」
七瀬「へぇぇぇ……」ニタァ
四郎「っ?」ビクッ
七瀬「四郎ちゃんの好きな子……当てたげよっかぁ?」ニヒヒヒヒ
四郎「何を――?」
七瀬「ベアトリクス・クヴァンツ」キヒヒヒヒッ!
四郎「!?」ドキッ
四郎「な、何故ご存知で?」
七瀬「なーんだ、簡単じゃーん♪」クルクルッ、スタッ
七瀬「ねー四郎ちゃん、私ならキミの願いを叶えられるよ」ニヒッ
四郎「――それは如何様な意味合いで?」ムッ
七瀬「着いてくれば分かるよ」スルル……
四郎「は、離れるでござ――」
七瀬「――い・い・こ・と、しない?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/16(水) 21:59:29.72 ID:rMfQ8UaAO<> 投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)<>sage<>2011/11/16(水) 22:01:16.27 ID:O0uiGbUC0<> そして全ては破滅に向かう、か。
いや・・・それでも、この作品の魔性にあらがえん(笑)。行き着く果てを見たいという気持ちが消えない。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)<><>2011/11/16(水) 22:06:01.62 ID:RZiCEd8m0<> 乙
破滅の足音がすぐそこまで……。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/16(水) 22:07:20.75 ID:wxQlqicTo<> 破滅に向かうからこそ美しい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)<>sage<>2011/11/16(水) 22:18:20.84 ID:ODkQJMqpo<> 乙
これからの展開を思うと胸が… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/11/16(水) 22:35:59.61 ID:VQ19+Xp3o<> 魔法少女肉のびっくり市まで秒読み入りましたー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)<>sage saga<>2011/11/16(水) 23:10:46.25 ID:2mXoBuWqo<> 十兵衛が仕事が忙しくて嫁を省みられないサラリーマンになっとる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/16(水) 23:16:28.59 ID:RkTxUjk5o<> せめて魔法少女のまま始末されるといいな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/16(水) 23:31:16.71 ID:Ln6+fXCho<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/17(木) 08:19:12.74 ID:Z5Nwg0n/o<> >>622
的確過ぎて切ねえ…
だって漏れもそんなサラリーマソ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中部地方)<>sage<>2011/11/17(木) 09:25:34.45 ID:TcTbNVn/o<> 乙
四郎は耐えられるのだろうか・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/17(木) 10:28:33.01 ID:3rkQau/IO<> >>626
もう四郎の行く末にあの世行き3ルートしか見えないぜ…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/17(木) 10:36:03.65 ID:yqG0B56No<> 七瀬がいい感じに絶望の中核を担いつつあるな
どう死ぬのか期待 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:05:51.59 ID:EdA+JvnAO<> 難産かと思ったらそんな事なかった。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:06:58.28 ID:EdA+JvnAO<> ――――酒池肉肉肉肉林
七瀬「やっほー、やってるかーい?」
七瀬は四郎を連れて、人気の無い廃屋へとやってくる。
奥から小さく聞こえる声の色を、しかし四郎は感じ取る事が出来なかった。
四郎「な、何を……?」
四郎は、何かに群がるような――ハイエナのようにも見える魔法少女たちに驚く。
四郎の声に、それらが一斉にこちらを見た。
四郎「っ」
経験足らずの四郎にも分かる、異様。
この場の誰もが正常で無い。
七瀬「ほら……止まらないでぇ、ね?」
背中を押され、たたらを踏んで前に進んで『しまった』。
ほむら「……また新しいヤツ?――四郎っ!?」
四郎「――なん、で」
ベアト「んむ……っ?」
好きだった人と目が合った。
汚らわしい物を口に加えて、淫らに顔を紅潮させた、その人と。
ほむら「――何で、よりによってソイツを連れてきたのよ!!」
ほむらの激昂は、世界に吸い込まれて消えた。
今ほど、他人を憎いと思った事はそう無い。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:07:33.76 ID:EdA+JvnAO<> 四郎「――これは、如何様な事で……?」
四郎は四郎で、目にした事が余りに現実離れし過ぎていて――理解が追い付いていなかった。
七瀬「ベアトちゃんはね、優しい子なんだよー♪」
七瀬が四郎に絡める指が、もう逃げられないと暗喩している。
七瀬「こうやって、私たちのソウルジェムをキレイにしてくれるんだぁ♪」
成る程、確かに彼女らのソウルジェムは鈍く輝いていた。
だから――
四郎「――巫山戯るな!!」
七瀬「……なにかなー?この手はー?」
「七瀬さん!?」
七瀬「いーよいーよ、こっちでやるから。君らは早く抜いちゃいなよ」
襟首を捻り上げ、殺意すら内包した目線を突き刺す。
四郎は我慢ならなかった。
何に我慢ならないのかも分からない程に、腹の底から叫びが飛び出てきて。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:08:31.58 ID:EdA+JvnAO<> 七瀬「ふざけてなんかないよー?」
七瀬「だってベアトちゃんは無限のグリーフシード」
七瀬「それだけだよ♪」
四郎「下郎……っ」
七瀬「いいじゃん。私たちも幸せ、そして――」
声を遮って、四郎を後ろから抱き締める者がいた。
白く透き通る肌。
白濁に染まり尚香る彼女。
振り替えれば紅い目と、桃色の唇が――
七瀬「その子も気持ち良いんだからさ♪」
四郎の唇と重なった。
四郎「――――っ」
快楽なんて言う度合いの物じゃなかった。
ソウルジェムの穢れが口淫によって吸い取られていくような、深く激しいソレ。
四郎「――ベアト、殿」
ベアト「良かった、四郎」
彼女は笑っていた。
ベアト「キミが魔女にならなくて、嬉しい」
笑っている。
何で、何でそんな表情が出来るんだ。
七瀬「君も、心の底では欲しかったんだろ?♪」
覆い被さってくる彼女を振り払えない。
そんな気力も起きない。
七瀬「素直になりなよ♪」
七瀬「……愛したい時に、誰も居ない。そんなのは――寂しいから」
ほむら「…………っ」
七瀬「ね、良かったでしょ?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:09:19.77 ID:EdA+JvnAO<> ――――
ベアト「あっ、あはっ」
四郎「くっ……」
何もかもどうでも良くなりそうだった。
下半身に脳があるみたいに、腰は勝手に動く。
満足感、背徳感、罪悪感。
全てがない交ぜになって、自分をぐちゃぐちゃにしていく。
ベアト「ん……」
でも。
撓垂れかかってくる彼女が。
息遣いが。
柔らかい肌が。
唇が。
自分を優しく溶かしていく。
萎える事の無い自分のソレが彼女を貫く度、切なそうに声を上げる彼女が、たまらなく可愛らしくて。
気付けば、自分は奥へ奥へとソレを捩じ込み――キツく彼女を抱き締めて、穢れを吐き出していた。
自然と涙を流してしまった自分を、柔らかく包んでくれたのも――また彼女だった。
そんな時、現れたのは。
真宵「全員動かないで」
精鋭たちと共に魔法少女らを取り囲む、真宵だった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:09:55.60 ID:EdA+JvnAO<> ――――
七瀬「……誰かな。穏やかじゃないけど」
七瀬は回りを取り囲む、統率の取れた集団に対して構えた。
真宵「あら、当然の対応だと思うわ」
付き人「真宵様――これはまさか」
真宵「えぇ、間違い無いわ――浄化能力者ね」
どうやら向こうも事情を知っているようだ、という情報だけは伝わる。
七瀬「あげないよ。そのつもりなら容赦しない」
真宵「あげない?貴女、何を勘違いしているの?」
真宵「世界の全ては例外無く私の所有物よ」
真宵「その子もそう」
プレッシャーが重力になったみたいに、七瀬たちに押し潰されているような錯覚を与えた。
七瀬「……わーがままぁ。財はみんなで分けてこそ、じゃない?」
真宵「それを決めるのは私。貴女じゃあない」
真宵「まぁ、咎めはしないわ。私の所有物を愚民が使うのはいつもの事だもの――でもね」
真宵の背後の地面に突き刺さる、ありとあらゆる武器。
その中の、一際業物の剣を手に取った。
真宵「私の思い通りにならない子はいらないのよ。そんなのは『最強』だけで十分」
そしてソレを突き付ける。
真宵「貴女はどっち?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:13:01.82 ID:EdA+JvnAO<> それを見て、しかし軽い笑みを絶やさない七瀬。
恐怖は昔に無くしてしまっていたから。
「七瀬さん……どうするんですか?」
小さな声で取り巻きが訪ねてくる。
衣服はいつの間にか魔法で着替えていたようだ。
それが可笑しくて、七瀬はクスリと微笑する。
七瀬「何もしないよ」
真っ直ぐに七瀬は真宵を『見下した』。
このくらいの傲慢が無ければ、こんな事はやらない。
真宵「チッ……」
七瀬「何がお望みなのかな?♪」
何も思考していないような笑いと、真逆な内心の打算。
だって、知っているって事は――つまりそういう事だから。
真宵「……彼女の保護よ」
七瀬「それは困るなぁ。ボクたちは彼女のお陰で生きていられるんだからさ♪ねぇ?」
ベアト「うぅ……?」
四郎とベアトは未だ覚めやらぬ余韻に浸っていた。
頭の中が真っ白になって、回りを感じ取る余裕もないのだろう。
七瀬「ねぇ、君の名前は?」
真宵「真宵水城。貴女は?」
七瀬「七瀬深幸。でさ、だよね?」
真宵「――へぇ、意外と切れるのね。ただのバカじゃないみたい」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:13:39.93 ID:EdA+JvnAO<> 七瀬は会話の中から答えを探した。
向こうのやりたい事は、ベアトリクスの保護なんかじゃない。
ましてや、私たちを成敗する事でもない。
向こうの連中も、同じ様に求めているだけ。
そして、『咎めない』。更に『全て私の所有物』。
それに私の『共有』を掛け合わせて導かれる妥協点。
七瀬「下げてよ、物騒だしさ♪交渉は成功だよ♪」
真宵「あらそう。それは良かった。なら今一度言うわ」
真宵「私の部下になりなさい、七瀬」
七瀬「貴女の部下になりましょう、真宵」
真宵「ふふっ」
七瀬「きひっ」
真宵が手を上げると、周囲の付き人らは構えを解いた。
真宵が四郎の傍に歩いていき、取り巻きは道を開ける。
四郎はベアトリクスの下で意識を手放していた。
眠っていると言った方が良いだろうか。
ベアトリクスはそれに身体を擦り寄せて、気持ち良さそうに目を閉じている。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:14:11.98 ID:EdA+JvnAO<> 真宵はしゃがみ込んで、四郎の頬をつついた。
反応は無い。
真宵「早苗の一族もやるじゃない。反骨する気概くらいは持ち合わせていたのね」
真宵「今日はここまでにしてくれるかしら?」
七瀬「今から再開は流石に興が乗らないし、嬌も乗らないよ」
真宵「なら、ベアトリクスは私たちが送らせてもらうわね。今日は解散なさいな」
真宵「私の部下で居れば……美味しい思いも出来るわよ」
七瀬「分かってるよ。君の付き人を見れば分かる……有権者でしょ?」
真宵「……読心魔法かしら?」
七瀬「残念。人の顔色を見るのが得意なだけさ」
真宵「ふぅん……ま、構わないわ」
真宵「起きなさいベアトリクス。帰るのよ――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:15:14.25 ID:EdA+JvnAO<> ――――暫時経って。
四郎「――――っ!」ガバッ!
七瀬「お、よーやく起きたの」
四郎「ここは――ベアト殿は!?」
七瀬「うっせー騒ぐなー……ここは私の家、ベアトちゃんは連れられて帰ったよ」キーン……
四郎「な、何者に――」
七瀬「真宵水城って人。知り合いっぽかったけど?」
四郎「――――っ」ゾクッ
七瀬「見られたねぇ♪」キヒヒッ
四郎「拙者は――何と愚かな事を……」
七瀬「……四郎ちゃんさぁ、あの子好きなんでしょ?」ハァ
七瀬「もっと強欲になっていいんじゃない? 私らから奪い還すくらい出来ないの?」
四郎「――拙者に、そんな資格があるのでござろうか」
七瀬「何鬱入ってんのさ。好きな子とエッチ出来て幸せっしょー?」ニヒヒッ
四郎「――拙者は!!」
七瀬「出来なかった私なんかより、よーっぽどマシさ」
四郎「えっ――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:16:33.92 ID:EdA+JvnAO<> 七瀬「彼女居たんだ、私♪」
七瀬「まぁ願いが『彼女欲しい』だったから♪」
七瀬「毎日何となく生きてて」
七瀬「だからすっげーてきとーに、ソレ願った」
七瀬「叶ってさ、そしたら彼女出来た♪」
七瀬「何かじゅーじつしてたね、あの時はさ♪」
七瀬「もう彼女可愛すぎでさぁー、命だって余裕で張れたね」
七瀬「ま、でも魔法少女ですからー――そのうち居なくなって」
七瀬「そこに魔女が居たから半泣きになりながら倒して」
七瀬「後でソレがあの子だった事に気付きましたチャンチャンおしまい♪」
七瀬「キスもしてなかったのに。『好きだ』って言ってなかったのに」
七瀬「そんなんに比べたら、マシマシ。うらやましーよ」
四郎「だからと言って――」
七瀬「いーたい事は分かるよ。でも仕方無くない?」
七瀬「グリーフシードは限られててー、みんな死にたくなーい♪」
七瀬「じゃーどうする?」
四郎「…………しかし」
七瀬「割り切っちゃえってー」ポンッ
七瀬「……最高だったよね?」ニヒ
四郎「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:18:34.73 ID:EdA+JvnAO<> ――――真宵、とあるホテルの一室。
真宵「人払いを命じられたい?」
付き人「出来れば」
真宵「なら命じるわ、頼んだわよ」クスッ
付き人「ハッ」
バタンッ
真宵「こっちに来なさい、ベアトリクス」
ベアト「……ありがとう」
真宵「キレイになったみたいね。流石にあのままじゃあ、酷いもの」フフッ
ベアト「キミは……あの屋敷で会った人だよね?」
真宵「えぇ。十兵衛とも長い付き合い……貴女の事は聞いているわ」
真宵「でも、そんな事は今は気にしないわ」グイッ
トサッ
ベアト「……キミも」
真宵「私のソウルジェム、浄化して頂けるかしら?」
ベアト「助け――」ピクッ
ベアト「仕方無いね……ほら、好きにして構わないよ」ピラッ
真宵「――ふふっ」
真宵「すっかり壊れちゃってまぁ……」
真宵「でも、これはコレで……」クスクスッ
ほむら「(前に感じた通り――)」
ほむら「彼女は、酷く我が侭で、傲慢で、不遜で、狡猾」
ほむら「彼女は――まるであの時の私」
ほむら「四郎も、茜も、真宵も……誰も彼女を救わない――」
ほむら「十兵衛、貴方しかいないのよ――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/20(日) 01:19:07.52 ID:EdA+JvnAO<> 今日は終わり。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 01:27:41.42 ID:KYe/t4zoo<> 十兵衛ってジュゥべえ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/20(日) 01:46:11.13 ID:vCIuhIvwo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 08:33:53.61 ID:WVd3KggE0<> 乙。鬱だけど興奮するってこういうことか……。
長編になってきたせいか、こちらとあちらで誰と誰が対応してるのかわからなくなったなぁ。読み直すか。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)<>sage<>2011/11/20(日) 18:03:02.15 ID:nZUySJ9AO<> 今更だがこのスレの通りなら、まどかも浄化能力者という事に… <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:27:22.57 ID:N5mCpbOAO<> >>645
お、気付かれた。
今日は長い。バイトまでに投下しきれるか心配。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:28:30.20 ID:N5mCpbOAO<> ――――迷える侍
四郎「…………」
「なに黄昏てるんだ?」スタッ
四郎「……茜殿でござるか」
茜「……たまたま魔女狩りの様子を見たから――酷いよ、アレは」
四郎「ハハハ……面目無いでござる」ポリポリ
四郎「――茜殿に聞きたい事があり申す……もし、自分が好いた女人が――囚われていたら、如何致すか?」
四郎「その方に非は無いのでござるが、社会が、環境がソレを容認してしまっているのでござる……」ググッ……
茜「……ベアトか」
四郎「――っ、知っておいでか?」
茜「…………巻き込まれた形だけど、その――」
四郎「……茜殿も、でござるか……?」
茜「……そうだよ」
四郎「茜殿はどうお考えで?」
茜「ダメだってのは心が分かってる。だけど、実際に生きていくにはベアトに頼るのが一番だ」
茜「勿論、それは極論だ。私たちはもう二度と十兵衛には顔向け出来ないだろうね」
四郎「……拙者は、今、悔いております」
茜「アタシもさ……」ドサッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:29:20.35 ID:N5mCpbOAO<> 茜「座りなよ」チョイチョイ
四郎「お言葉に甘えて……」ドサッ
茜「……今日は良い天気だ」
四郎「誠に……」
茜「……どうしてこんな事になったのか、今でも分からなくなるよ」
茜「ホント、ホントにちょっと前まではさ、皆でのんびり笑ってたはずなんだよ」
茜「なのに、なんでさ」
茜「こんなのが奇跡だって言うなら――アタシは奇跡なんて欲しくなかった」
茜「アタシの願いなんかすっごく下らないしさぁ……」
四郎「立派な侍になる……」
四郎「御笑い種でござる」
四郎「大事な人を傷付け、主君を裏切り――」
四郎「魔法少女とは、かくも罪深い――」
四郎「奇跡を願うのは、其れ即ち業を背負うのと同義でござった……」
「「――何故、自分はまだ生きているのだろう?」」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:30:30.55 ID:N5mCpbOAO<> ――――四郎、茜と別れて。
四郎「…………」フラフラ
「ん、あれは……」オッ
十兵衛「おい、久しぶりに見たと思ったら、随分しけた面してんじゃねぇか」バシンッ
四郎「わっ……じゅ、十兵衛殿!?」ビクッ
十兵衛「そんなに驚くなよ。お前もしっかり戦えてるようで何より」ハハハッ
四郎「……いえ、主君に仕える者として当然の働きにてござる」
ベアト「前に会った時はもっと元気がなかったよ」ヤァ
真宵「あら、それは見てみたかったわ」クスクス
四郎「――――お二人とも」
真宵「何よ、そんな鳩が機関銃食らったみたいな顔しちゃって」フフッ
ベアト「それは死んでしまうから、表情は読み取れないと思うよ?」
真宵「言葉の文よ……四郎も『身体に気を付けなさい』」クスッ
四郎「っ」
十兵衛「そうだぞ、お前が死んだら俺が困るぜ」ハハッ
四郎「――御意」
ほむら「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:31:38.76 ID:N5mCpbOAO<> ――――端から見れば、仲のよい四人組。
真宵「ほら、パトロールでは無かったのかしら十兵衛? 歩きながら話しましょう」
十兵衛「お、おぉ。悪いな、付き合ってもらって」スタスタ
真宵「こっちの用事もあるから……手短に話しましょうか」フゥ
四郎「……?」
真宵「ベアトリクスについて、貴方何か隠してないかしら?」チラ
十兵衛「っ」ギクッ
真宵「……ソウルジェムの浄化能力。調べは付いてるわよ?」クスリ
ベアト「…………」ニコニコ
四郎「――ベアト殿?」
ベアト「ん?」
ベアト「『何?』」キョトン
四郎「(――失念して、おられるのか)」
ほむら「いくつもの人格を使い分けている様な素振りもあるわね……」
十兵衛「……何処から?」
真宵「外でイチャつかないで欲しいわ、全く」フフッ
十兵衛「あ、あー……いや、アハハ……」タラー <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:32:31.98 ID:N5mCpbOAO<> 真宵「ま、ソレは良いわ。副産物だったようだから、ね」
真宵「本題はここからよ」ピッ
真宵「今、全世界の科学者達が合同、かつ総力で研究を進めているの」
真宵「それは、浄化能力者のメカニズム解明と、それに準ずる魔法少女の量産よ」
十兵衛「魔法少女の量産……って、それじゃ親父のやろうとした事と何も変わらないじゃないか!」
真宵「犠牲は遥かに少なく済むわ。それに、確定事項ではない」
真宵「研究次第では、代替エネルギーの生産も可能だと考えられているわ。だけど、被験者がいないのよ」
真宵「浄化能力者は極めてレア。正確な発生条件などはまだ分かっていないわ」
真宵「『世界』に対しての願いは後天的に因果を練るらしいから、恐らくソレでしょうけれど」
十兵衛「……成る程。だから」
真宵「そう。ベアトリクスも研究に協力してほしいの。本部は米国だから、少しばかり遠いけれど」
十兵衛「しかし、なぁ……なぁベアトリクス、お前はどうしたい?」
ベアト「ボクかい?」チラ
真宵「…………」クスッ
ベアト「――『みんなの為になるなら、ボクは喜んでお手伝いしたいな』」ニコッ
四郎「っ」ゾクッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:35:46.97 ID:N5mCpbOAO<> 十兵衛「うー……マジかー……うーん……」ポリポリ
十兵衛「……もう少し待ってもらえないか? ベアトリクスとじっくり話がしたい」
真宵「構わないわ。私だって、貴方たちの仲を裂くのは忍びないもの」クスクス
四郎「――――っっ。四郎殿!」ダンッ!
十兵衛「うぉっ!? どうした、四郎?」キョトン
ほむら「っ!」
四郎「実は――実は――……」パクパク
四郎「…………何でも、ないでござる」
真宵「――ふふっ、可笑しな四郎」クスクスクスッ
十兵衛「どうしたんだよ四郎……疲れてるなら言ってくれよ、いつでも休んでいいからな」ポンッ
四郎「お心遣い……感謝いたす……」
ベアト「…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:36:26.96 ID:N5mCpbOAO<> ――――そして過ぎ行くかつての奇跡
月が綺麗だった。
夜だからといって、魔女が出ない訳では無い。
自分たちは駆り出され、当然最強も魔女と戦っているのだろう。
四郎は一人、自らの情けなさに涙していた。
四郎「ぐっ……うう」
真宵の言っていた『研究』という事柄の意味は、四郎には容易に予想出来た。
なのに、あの時の自分は引き止められなかったのだ。
我が身可愛さに、彼女を売ってしまった。
ここ最近の魔女の多さも見当は付いている。
単にこれは最強の足止めに過ぎないのだ。
隠れ蓑にくるまって、影でその恋人を犯しているだけ。
四郎「拙者は……一体……」
力が抜けて、倒れてしまう。
ソウルジェムは濁っていないというのに、身体は動こうとしなかった。
頬に当たる地面が、酷く冷たい。
このまま眠ってしまえば――
そんな思考を遮る様に、目の前に金属質の何かが落ちてきた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:37:26.89 ID:N5mCpbOAO<> それは小さな音を立てて、月の光で鈍く光る。
四郎「――これは……っ」
虚空から現れたソレは、確かにかつて存在していた奇跡の残滓。
何の変哲も無い――鎖だった。
四郎「――――」
――彼女は、自分と向き合っていたと聞いた。
弱さから逃げず、現実から目を反らさず、ただ真っ直ぐに。
彼女はソレの苦痛を知っていたから、と。
自分の願いは、何だったろう。
四郎「――ハハッ」
思わず漏れた笑いと共に、ゆっくりと起き上がった。
気付けば、鎖は消えている。
四郎「存外、易き事でござった」
不思議と、心は澄んでいた。
四郎「拙者は拙者なりに、願おう」
犯した罪は決して消えはしない。
だが、だからと言って塞いでいても仕方無いのだ。
四郎は、あの穢れた建物へと足を向ける。
きっと今も苦しんでいるだろう、ベアトリクスが居る場所へ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:39:16.37 ID:N5mCpbOAO<> ――――肉欲の檻と、サムライ。
件の建物の前で、一人の魔法少女が見張りに就いていた。
とは言っても、例の『最強』は魔女に掛かりっきりだから、特に見張るモノもないのだが。
「ふぁ……」
思わず欠伸が漏れる。
良くもまあ、あぁ連日性欲が持つものだ。自分は一日置きぐらいでいい、と見張りは思った。
そこに、砂利を踏む音が一つ。
「ん……お、アンタか。アンタも楽しみに来たのかい?」
目を上げて顔を見れば、つい先日見知ったソレだった。
頭の七瀬から事情は軽く聞いていて、見張りは多少気の毒に感じる。
「あー……まぁ、あんま気にすんなよ。女なんて星の数いるんだからさ――」
四郎「ご無礼」
「――な」
最後の言葉は呆気なかった。
胸に付いていたソウルジェムごと身体を真っ二つに斬られ、見張りは一瞬で絶命する。
返り血を右半分、顔に浴びて――薄く笑った。
四郎「うふっ、あはは……今参ります、ベアト殿」
太刀を振って、血糊を飛ばす。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:39:56.05 ID:N5mCpbOAO<> 思うに、今まで自分の振るう刀には迷いがあったと感じた。
だが、今はこんなに軽い。命も、刀も。
四郎「身体が軽い――このような気持ちで刀を振るうのは、初めてでござる――」
ドアノブを回そうとして、面白い事を考えた。
今さら何に遠慮するというのか。
どうせなのだから、ルールなんて全て投げ出してしまえばいい。
わざわざ出した手を引っ込めて、思いきり扉を蹴り抜いた。
面白い様に弾け飛んで、大きな音を立て――そして、早苗四郎正宗は檻の鍵をぶち壊したのだ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:44:21.93 ID:N5mCpbOAO<> ――――檻の中。姫は喘ぎ、サムライは嘆き。
乱暴な侵入者に一同は騒然とする。
淫らな肢体を絡ませて、白髪の少女を貪り喰らっていたソレら。
そんな凄惨な状況を目視して尚、表情を変えずに四郎は強く真っ直ぐに歩いていった。
自慢の奇跡の結晶――無銘の太刀を、今は持たず。
ほむら「――四郎?」
この状況にも慣れてきて嫌気が差していた暁美ほむらが、思わず声を上げた。
それほどに、何の変哲も無く違和感を発していたのだから。
四郎「退いてくれぬか」
「だ、旦那。どうしなさった? 何あったか知らねぇが、先に使うかい?」
気圧され、魔法少女たちはベアトリクスから一歩間を置いた。
七瀬「どしたの? 今日はヤりたい感じ♪?」
甲高い笑い声が耳障り。
目線を下に落とせば、様々な液体で汚れてしまっている彼女が、意識も朦朧に浅く息をしていた。
茜「…………」
部屋の脇で壁に背を預けながら、茜もその様子を見ている。四郎自身もそれには気付いていた。
ベアト「あ、う――し、四郎……?」
四郎「えぇ、四郎にござりまする。姫」
跪き、首を垂れて、深々と礼。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:45:24.03 ID:N5mCpbOAO<> ベアト「ボクが姫……? キミは面白い事を、言うね……」
優しい笑顔は、変わっていなかった。
四郎「いえ。主の恋人と在れば、某にとってはお妃様同然にござりまする」
ベアト「そうかい、それは素敵だね」
手を取り、魔法を掛けて、元通りの美しさへと磨き直す。
ベアト「? ……しないのかい?」
四郎「某、気付いたのでござる」
「おい、旦那まさか――」
何かを察した魔法少女が四郎の肩を掴もうとして――その右腕が短冊の様に切られ裂ける。
「うぎゃ――!?」
「お、おい大丈夫か!?」
「何しやがる!」
七瀬「へぇぇ……」
ほむら「――行きなさい!!」
一瞬にして臨戦体制になる魔法少女たち。
茜は目を開いて驚いた。
目が合い、そして四郎は不敵に笑う。
四郎「某は魔法少女である前に――」
四郎「――侍でござる」
四郎から近い順番に八人。
ソレはとうの昔、ベアトリクスに声を掛けた時点で死んでいた。
魂が別にあるから、そんな些細な事実に――気付けない。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:46:17.02 ID:N5mCpbOAO<> 太刀を召喚し、鞘に手を掛けた。
その瞬間で、あの八人が血飛沫と共に弾ける。
紅色の噴水を障子にして、四郎は持てる限りの最速で、太刀を抜刀ざま、辺りを薙ぎ払った。
空気が赤色に犯されていく。
「ひぃ――」
七瀬「おー、こわいこわい♪」
兵隊の数が一瞬にして半分程度になってしまったというのに、七瀬はまだ余裕といった様子だった。
ベアト「し、ろう――?」
四郎「さ、参りましょう」
真っ赤な太刀を携えて、侍は檻の中の姫の手を取った。
歯車は、急速に回り出す。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:48:03.79 ID:N5mCpbOAO<> ――――人の檻、孤軍奮闘のサムライ。
四郎「ふむ、流石に簡単には出奔出来ぬでござるか」
七瀬「ま、呼べば来るからさ♪」
建物から出る事を許さない、魔法少女の軍勢。
よくもまあ、これほど集めたモノだ。
攻めあぐねる四郎に、徐々に距離を詰める兵隊たち。
大小様々な武具の切っ先は、全て四郎に向いていた。
なら、自分も覚悟を決めよう。
「四郎ぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
四郎「っ!」
突然の奇襲に、四郎は咄嗟に太刀を合わせた。
四郎の魔法と鍔迫り合うのは、細い剣。
四郎「――茜殿?」
茜「四郎、アンタっ!」
四郎「ベアト殿、離れないで!」
ベアト「う、うんっ」
白き姫を守護するサムライは、赤髪のフェンサーを弾き返した。
だが、もう一度強く斬りかかってきて、再び迫り合う。
ほむら「茜、貴女って人は――!」
七瀬「お、やるじゃん♪」
切迫し、顔は息が掛かる程に近く、気を抜けば太刀諸とも断ち斬られそうな迫力だった。
四郎「邪魔をしないで、頂けるか!」
茜「私は『生きる』って決めたんだ! それを邪魔する奴は誰にだって屈しないと『決めた』!!」
四郎「――っ!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:49:43.71 ID:N5mCpbOAO<> たまらず一歩下がり、刃先が離れた。
そこを逃さず細剣は疾く鋭く、斬撃は壁となって太刀を削るように踊る。
四郎「では――?」
茜「話す事なんて、無い!!」
痛烈な蹴りが、四郎の顎を叩き上げた。
世界が揺れ、意識が持っていかれそうになる。
茜の本気を感じ、四郎の心は昂った。
やはり、茜は茜だったのだから。
太刀を強く強く握り直し、負けじと神速で斬りかかる。
斬撃の放つ音が、まるでソレ自体が刃物の様に鳴り響いた。
魔法少女たちは、その凄まじい剣舞に目を奪われる。
風のように、見ることは叶わないのに速さだけは感じる事が出来た。
七瀬「……っ。お前ら、構えろ――」
七瀬がふと違和感を感じて、思わず指示を出す。
あれだけ激しく斬り結んでいるというのに、渦中のベアトリクスは微動だにしていないというのに――傷一つ無かった。
四郎が大きく太刀を振りかぶり、茜に向かって横一閃を叩き付けた。
茜はソレを細剣で受け止めて、しかし力に負けて――地面に水平に吹っ飛ばされてしまう。
その直線上に、ベアトリクス。
七瀬「――奴ら、逃げるぞ!!?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:52:30.72 ID:N5mCpbOAO<> ベアト「わぷっ!?」
茜「舌噛むなよっ!!」
茜はベアトリクスに飛び付き、その勢いのまま加速して建物の窓を突き破った。
外に着地し、剣士は姫を抱え直して――全力で走る。
七瀬「ヤられた――グルだったんだ。追って!」
「は、はいっ!」
一人残ったサムライは、足で床を豪気に踏み鳴らした。
重厚な音と共に、建物は魔女の結界に包まれる。
和風の城の様な内装と、深い堀。
結界の入り口であろう、跳ね橋は上がっている。
四郎「まぁ、そう焦らず――是非遊んでいって頂けぬかな?」
外も中も、二人とも心から笑っていた―――― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/22(火) 17:53:11.50 ID:N5mCpbOAO<> 間に合った。
投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越)<>sage<>2011/11/22(火) 18:12:26.21 ID:tIVuGmBAO<> 乙
しびれました <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)<>sage<>2011/11/22(火) 18:36:38.41 ID:umS9oESDo<> いい展開だ
久々にスカッとしたな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/22(火) 19:51:05.76 ID:E1H1rjRzo<> まさか半魔女化… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/22(火) 20:21:58.39 ID:AnwozF/Do<> >>665
おう!スカッとしたな!
まどかマギカのSSでスカッとっしちゃったな!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/23(水) 00:47:20.14 ID:c/cwA5Mro<> 乙
久しぶりに「もうなにもこわくない」が聞けそうで何よりだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/23(水) 00:56:09.70 ID:autNH8mSo<> 乙です
バッドエンドが視えてる分なんとも言えんな… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/11/23(水) 03:20:42.19 ID:+gFUK5Nuo<> 乙でした。
ただ>>652の四郎のセリフが1箇所おかしいような・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)<>sage<>2011/11/23(水) 09:12:54.81 ID:aG91RNnno<> そこは各自で脳内変換できるだろ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/11/23(水) 09:43:03.77 ID:EJZXMQWAO<> やっちまった……
>>652四郎→十兵衛でお願いします。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/24(木) 00:43:53.74 ID:0Ew76fcDO<> 四郎殿になら掘られても良いでござる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/24(木) 00:46:38.71 ID:69hOGByOo<> >>673
四郎乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/24(木) 19:24:12.47 ID:0Ew76fcDO<> <<674
拙者は自作自演などと拙い事はせぬでござるよ
遅れ馳せながら乙でござる <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:41:47.77 ID:b1Tbp4yAO<> >>675
四郎さん慣れない事するから安価ミスってますよ。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:44:13.50 ID:b1Tbp4yAO<> ――――懸命の一騎当千
四郎「はっ!!」
一陣の疾風の様に、魔法少女と擦れ違って――その身を斬り裂く。
見事な太刀回りで得物ごと太刀斬っていくその様子は、紛れもなく侍だった。
「ひっ――」
「七瀬さん、あの人強い……っ!」
四郎「如何にも」
日々を魔女狩りに費やした四郎と、淫蕩に耽る日々を過ごした彼女らと。
その差は歴然だった。
七瀬「ありゃりゃ、結構な人数いたのになぁ……」
四郎「有象無象では、拙者の相手は務まらぬでござるよ」
四郎の足元には、大小様々な斬り傷を付けられた魔法少女たちが転がっている。
中にはソウルジェムを割られ、真に絶命した者もいた。
七瀬「おーこわ、人殺し♪」
四郎「笑わせる。人と云う定義が存在するとも、既に拙者らは其れ成らざる者だ」
四郎「人を名乗るなら、其れ相応の振る舞いをしては如何でござるか?」
太刀を振って血糊を飛ばし、切っ先を七瀬に向ける。
今すぐ斬り捨てる事すら容易だという意思表示。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:44:58.64 ID:b1Tbp4yAO<> 七瀬「君だって私たちの事は言えないよ?」
四郎「痛く存じているでござる」
四郎「既に此の身畜生へと堕ち、身体は腐り、魂は穢れ――」
四郎「――拙者に残ったモノは、小さき志のみ」
口角を吊り上げて、嘲る様に笑う。
四郎「嘆くが良い。貴様の悪事は拙者程度に打ち壊されてしまうのでござるよ」
七瀬「――上っ等、お前らぁ! コイツ全殺しだ!」
七瀬の回りに岩石が現れて浮き上がり、四郎へと飛来した。
ソレを太刀で叩き斬り、畳に突き刺す。
空いた両手に小刀二本、それは四郎の爪と牙。
四郎「既に――」
死んでいる、とは言わなかった。
真っ赤な華を咲かせながら、サムライは敵を斬る。
ただ其れだけだった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:45:45.42 ID:b1Tbp4yAO<> ――――茜色の剣士。
茜「……追ってこない。四郎が足止めしてる?」
周囲の気配を気にしつつ、茜はベアトリクスを下ろした。
白き少女は事此処に至って、ようやく混乱を治める。
ベアト「――戻らなきゃ」
ほむら「なっ」
覚束無い足取りで、来た方向へと向かう少女を、茜は肩を掴んで制止した。
茜「バカ、何を考えてる!?」
ベアト「ボクが行かなきゃ――四郎が酷い目に遇う……」
茜が無理矢理に目を合わせて、そして見たのは真っ赤な目。
瞳の奥まで吸い込まれそうな、血のような紅色だった。
茜「――だからどうした!」
ベアト「え――?」
茜「四郎は覚悟の上だと、アタシは感じた……だから、アタシもこんな――柄に無い事をやってるんだよ」
手を離す。
ベアトリクスには、『ソレ』が最後なのだと――無意識に理解した。
茜「……待ってて。ホントのヒーローを呼ぶからさ」
端末の番号を見て、運命の数奇さを感じる。
こんな時に役に立つとは、正直思っていなかった。
コールは、二度。
『……どうした?』
茜「よ。十兵衛だよね?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:47:07.82 ID:b1Tbp4yAO<> ――――十兵衛、分岐点。
急な連絡に、十兵衛は慌てて会議室を出た。
十兵衛「あぁ……何か用事か?」
茜『アンタ、今どこだ?』
突っ込んだ質問をされる間柄では無かったはずなのだが、と十兵衛は訝しむ。
十兵衛「今は……魔女狩りを終えて、真宵と――なんだ、世界のお偉いさん方と会議の最中なんだが」
十兵衛「悪いが、大した用事じゃないならかけ直し――」
茜『――バカ野郎!!』
怒声が耳を劈いた。
茜『そんな事は放って、ベアトを――なっ』
十兵衛「――ベアトリクス? おい、どうした! おい!」
意味深な言葉を最後に、通信が途絶える。
かけ直しても繋がらず、向こうに何かあったのは確実だった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:48:03.37 ID:b1Tbp4yAO<> 十兵衛「くそっ……何だってんだよ」
真宵「十兵衛、どうかしたのかしら?」
真宵が会議室から顔を出した。
叫び声を聞いての、純粋な興味。
十兵衛「真宵……悪いが話は保留って事で、説得をしてくれるか?」
真宵「今さら? もう引き返す気はないみたいよ、彼らはね」
十兵衛「悪い……ベアトリクスに何かあったようなんだ。少し様子を見てくるから、その間待ってもらうだけでも構わない……」
真宵の表情が変わる。
真宵「ふぅん……なら、行ってきなさいな」
十兵衛「済まない。後で埋め合わせは必ず!」
言うが速いが、十兵衛は飛び出していった。
残された真宵の、背後の扉が開く。
各国の要人が揃っているようだった。
真宵「察するのも時間の問題かと」
「ふむ、仕方あるまい」
「えぇ。彼には悪いが、彼女は我々にとっての希望」
「女神であり、再生の象徴ですからな」
建物の外で大量の魔法少女が動く気配がした。
制圧の為の、もはや軍隊と化した各国の魔法少女たち。
ソレらの魔力だった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:51:39.27 ID:b1Tbp4yAO<> ――――侍死してサムライ死なず。
四郎「くそっ……」
いくら質が良かろうと、圧倒的な数には叶わない。
例に漏れず四郎に、隠しきれない疲弊が蓄積していった。
四郎「――邪魔!」
飛び掛かってきた魔法少女を斬り飛ばして、再び構え――その魔法少女の上半身が四郎の足を掴む。
四郎「なっ」
それは致命的な隙となって、四郎にツケを払わせた。
右腕に槍が突き入れられる。
四郎「がっ!」
七瀬「今だ、やっちゃえ!」
左足にナイフ。
腹に西洋剣。
戟。
鎌。
銃剣。
四郎「がっ――がぁぁぁっ!!」
全身至る所に刃物を突き立てられ、尚戦意を燃やして動く。
その狂気じみた様子に魔法少女らは気圧された。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:52:33.54 ID:b1Tbp4yAO<> 「ばっ、今だろ! 槍を使え!」
槍使いであるのだろう、魔法少女がソレを量産して仲間に手渡す。
ソレを受け取った魔法少女が、次々と四郎を針鼠にしていった。
刺す刺す刺す刺す刺す刺す。
四郎「あ――――」
皮膚の下を金属に犯され、四郎は程無くして地面に倒れた。
意識も既に虚ろで、ソウルジェムは暗黒と言って刺し差さえない程に穢れて。
七瀬「……ふー。てこずったぁ。さ、みんな追うよ♪」
動かなくなった四郎をそこに捨て置き、七瀬らは気配を頼りにベアトリクスを追う。
四郎「――――」
四郎の、最早呪詛である小さな呟きを聞く者は――誰も居なかった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:53:14.03 ID:b1Tbp4yAO<> ――――茜、広がる結界に呑み込まれ。
茜「――何だ?」
急に端末の通信が切れ、そして自分達を包んでいく魔女の結界を感じた。
その結界の雰囲気は――
茜「……おい、冗談じゃないよ」
ほむら「これ――まさか!?」
何故か、四郎を想起させた。
ベアト「魔女が近くにいる……?」
茜「行こう、ここは危険だ」
ほむら「――っ、気配っ!」
「いました!早く応援を!」
茜「っ」
不意の声に振り向けば、そこに小柄な魔法少女。
どうやら七瀬の使い走りらしい。
茜「黙ってろ!」
茜が細剣を三度振って、同じ数の真空波が魔法少女の身体を刻んだ。
斥候は崩れ落ちる。
茜「ヤバい、急がないと――ベアト、ほら!」
ベアトリクスの手を引くが、彼女は踞って動こうとしなかった。
ベアト「四郎の……四郎の声が聞こえる――」
茜「――何だって?」
微かな震えも混じり、ただ事では無いのは痛い程伝わってくる。
ベアト「――忠誠を、誓う?」
彼女が聞いた声は、一人の侍の遺言だった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:53:54.28 ID:b1Tbp4yAO<> ――――十兵衛、結界の外。
十兵衛「何だこりゃあ……電波の反応があったのはこの辺りだろ……結界に巻き込まれたか?」
結界を入ってすぐ、行く手を深い堀が阻んだ。
十兵衛「ふん、こんなの飛び越え――」
言い終わる前に、跳ね橋が十兵衛の前に降りてくる。
まるで主を招き入れるように。
十兵衛「――入れってんのか?」
警戒しながらも、十兵衛はそこに足を踏み入れた。
十兵衛が十分進み、橋から見えなくなった辺りで、ソレは行儀よく元の位置に上がっていく。
有り様は、とても良く似ていた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:54:23.40 ID:b1Tbp4yAO<> ――――茜
茜「ほら、行くよベアト! もたもたしてたら――」
七瀬「追い付かれるからねぇ♪」
茜「――っ」
嫌な声。
声の主は死角から瓦礫を弾丸にして、それは茜を貫く軌道を描く。
ほむら「(やられた――)」
振り返るまでに行われるであろう、ソレだった。
茜「(間に合わ――?)」
刹那、何かが弾丸を叩き落とし――茜の前に束まって壁となる。
茜「――鎖」
虚空から伸びる、無骨な鎖が茜を守っていた。
確かに――『彼女』の奇跡だ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:57:22.21 ID:b1Tbp4yAO<> 七瀬「あっれー? 何それ。杏奈さんの猿まね?」
七瀬の背後からぞろぞろと子分が現れ、茜とベアトリクスは包囲されてしまう。
茜「……これはまずいよ」
下がりたくともそれを出来ず、このままではきっとなぶり殺されるだけだろう。
鎖が、震えた。
無意識に、ソレに手を伸ばす。
茜「――お願い、アタシを守って……っ」
魔法少女たちがソレを皮切りに、各々が武器を奮って茜を討とうとした。
茜に握られた鎖は――ソレを一団ごと薙ぎ払う。
茜「――ありがと」
茜「うん。もう怖くないから――!」
声無き声に返事をして、茜は魔法少女たちに単身突撃した。
右手に細剣、左手に鎖。
とてもちぐはぐなソレは、しかし見事だった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:58:13.96 ID:b1Tbp4yAO<> ――――寂しがりの剣と、臆病な鎖。
茜「どぅりゃあぁぁぁぁ!!」
身体が軽い。
誰かと一緒に戦っているような錯覚さえ覚えた。
いや、事実そうなのだろう。
茜「失せろっ!」
負ける気がしない。
木っ端の様に敵は吹っ飛ぶし、自分に攻撃は当たらない。
見えなかったモノが容易に見える。
感覚が鋭敏になる。
動きは鋭い。
打撃力もある。
一対多に不向きな剣という武器を、鎖が見事にカバーし合っていた。
もう、何も怖くな――
七瀬「ところがどっこい♪」
茜「がっ!?」
さっき防いだはずの瓦礫が、散々暴れまわった今――足元から不意に飛び出し、茜の背を切り裂いた。
その後、炸裂。
鎖を持っていた左手が、巻き込まれて千切れ飛ぶ。
茜「あ――がぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
痛みは身体だけでは無い。
急に一人になった子供の様に、不安が瞬間的に襲いかかる。
そこに追い討ちをかける、七瀬の石。
凄まじい速度で飛来したソレは、彼女のソウルジェムをかすって胸を貫いた。
茜「ぐっ――」
七瀬「今のは殺せたんだけどさ♪ じっくり行こうと思ってね♪」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:58:55.77 ID:b1Tbp4yAO<> 身体が力を失って地面に抱擁される。
倒れ伏した彼女の頭を、七瀬は強く踏みつけた。
ほむら「あぁ……なんて事……」
下卑た笑いを披露する。
七瀬「ざまぁないねぇ♪」
七瀬「いい加減分かるべきだよ、魔法少女なんだから」
七瀬「現実的に、勝てる訳ないじゃん♪」
七瀬「そんな希望なんて、始めから与えられていないんだから♪」
コイツも、哀れだ。
茜「――楽だよな」
七瀬「あぁん?」
茜「そうやってさ、絶望から逃げてばっかり」
茜「嫌な事から目を反らして、自分に都合の良い事だけ欲しがってさ」
七瀬「それが普通じゃん♪?」
ほむら「――――」
茜の目は、まだ絶望していない。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/25(金) 23:59:52.69 ID:b1Tbp4yAO<> 茜「普通ってのは便利な言葉だと思う」
茜「どんな間違った事でも、回りが正しいと思えばそれは普通だから」
茜「私は――誰かに間違いを正して欲しかっただけだったみたい」
ほむら「――――っ」
七瀬が足に掛ける力を強めた。
七瀬「普通ってのをさ、やらなきゃ――生きられない」
七瀬「それは間違いじゃない。やっぱり私とお前は合わないんだ――しね♪」
茜「あっ――!」
ベアト「や、止めてっ!」
白い髪も、既にくしゃくしゃになってしまった少女が、七瀬の足にすがり付いた。
懇願する瞳が酷く愉快だと、七瀬は思う。
七瀬「だって君逃げたよー?」
ベアト「逃げない逃げない! もうどこにも行かないから! だから――」
ほむら「……」
七瀬「んふー♪ どーしよっかな?」
茜「――ふっ!」
七瀬「――あぶ、おまえぇぇぇぇぇぇ!!」
呑気な声を吐き出している七瀬に向かって、茜は最後の魔力で細剣を遠隔操作した。
それは神速中の神速で空気を斬り裂き、青い熱を纏う程の真空波となって七瀬の頬を裂く。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/26(土) 00:00:40.56 ID:aXDwfo4AO<> 七瀬「そんなに死にたいなら――ぶっ殺してやるよ!」
ベアト「や、止め――」
七瀬は茜の襟首を掴んで、魔法少女の怪力をもって空中に放り出した。
地面から鋭い石柱が飛び出して、茜の腹を貫く。
ほむら「茜!」
七瀬「ほら、槍!」
「「「「はいっ!」」」」
完全に動かなくなった身体に、魔法少女たちは念を入れて槍を襖の如く突き刺した。
刺される度に茜の身体は痙攣し――やがてそれも無くなった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/26(土) 00:02:29.81 ID:aXDwfo4AO<> 七瀬「ハハッ。あーあ、死んじゃったよ。私の言う事聞けば良かったね♪」
七瀬は茫然自失とするベアトリクスの頬を撫でる。
反応が薄くていまいち面白くない。
ベアト「茜……あかねが……」
七瀬「そもそも君が悪いよ?」
ベアト「ボクが……?」
七瀬「あぁ。キミが一緒に逃げなければ、私たちだってここまではしなかった」
まだ、この上この子を追い詰めるつもりなのか。
自分が涙を流している事に気付く様子も無い、この子を。
ほむら「どの口が……ほざくのよ……っ」
魔法少女たちに、一仕事終えた後の安息感が訪れた。
その一人が言う。
「七瀬さん、ちと疲れてしまって……ヤっちゃっていいっすか?」
七瀬「おー、ヤっちゃえヤっちゃえ♪」
ベアトリクスは抵抗も無く、魔法少女に抱えられた。
ベアト「ボクが……ボクのせいで……」
和気藹々とした雰囲気の中、一人が気付く。
「あれ、そういえば結界がまだ消え」
そして頭から真っ二つに両断された。
悲鳴を上げる暇すら、赦されない。
七瀬「なに――?」
巨大な太刀を持った、がらんどうの武者鎧が――鬼の面を向けて返り血を浴びていた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/26(土) 00:03:00.38 ID:aXDwfo4AO<> ほむら「――四郎」
鎧武者の魔女、その性質は愚直。
まだ何も終わっていないのだ。
ソウルジェムを砕かれて、速贄の様になった茜洋子の――死して尚不敵に笑っていた意味とて、誰も気付けない。
茜の最後の一撃は空へと吸い込まれて、鮮やかな青色を結界の中に撒き散らした。
それは、目印。
十兵衛「あの光は――?」
自分の役目を終えた、笑みなのだから。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/26(土) 00:03:46.08 ID:aXDwfo4AO<> 長いバトルはフラグ。
投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/26(土) 00:04:15.49 ID:d7CMWnvDO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/26(土) 00:13:01.39 ID:BA3Jm7vco<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/26(土) 00:24:46.58 ID:UqRKKr/Go<> 乙
みんな女だってことを忘れちまうわ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/27(日) 10:51:46.60 ID:PWUf41+DO<> 忘れてたわ…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東)<>sage<>2011/11/27(日) 21:53:34.44 ID:BLznvzXAO<> 完全に切った。いつになったら本筋に戻るんだよ?杏子とかマミとかのレスを最後に読んだのがいつだったか思い出せない。
最初の頃からずっと読んできたし面白いとも思ってたたけど、ここ数ヶ月の流れは本当に勘弁して欲しい。もういい加減にして欲しいマジで。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<><>2011/11/27(日) 22:48:26.87 ID:dw83Fy5Y0<> >>699
その気持ちは解らんでもないがここに書き込むなし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/27(日) 23:23:28.24 ID:W/u5t+7uo<> >>699
で? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/27(日) 23:24:02.51 ID:hmHlbFjQo<> 切るヤツもいるが、
その分、俺が読んでやるず! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 00:06:15.85 ID:qdPTwp2ao<> 「伏線は回収した」
「これから過去、いろいろわかるよ!」
少しでいい、少しでいいから省けるところは省いてもらえないかな?
>>699じゃないけどいい加減だれてきたよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 00:38:16.64 ID:Kjs1r/kqo<> 俺は逆にじっくり書いていってほしいけどね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 00:39:49.31 ID:56W7QtOAo<> 文句言わずに読めよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 01:30:10.86 ID:2FAMM18wo<> まったくだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 01:33:23.46 ID:QMF6b7kIO<> SSは作者の[田島「チ○コ破裂するっ!」]なんだから、読むか去るかどっちかにしろよ読者様 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/28(月) 02:22:20.67 ID:igv88G5no<> まあ、一切文句はさむなって言ってる信者もキモいけど、切ったとかそんな報告要らねえよ
楽しく読んでる奴もいるんだから言葉は選んでくれ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/28(月) 03:04:29.00 ID:5nK7MQnso<> 省いたら 説明不足と 罵られ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 05:17:11.79 ID:Kjs1r/kqo<> 省かずいれば 蛇足となじる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岡山県)<>sage<>2011/11/28(月) 07:20:47.09 ID:yW0IebSEo<> まぁ本筋に戻らないのはともかく、結末が悲劇で終わるのが分かってて
それをじっくりねっとりやられるってのはキツいもんがあるな。
直接手出しできないほむほむはこういう気持ちなのかねぇ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/28(月) 09:25:24.98 ID:PLxPp2P1o<> >>699は別スレで陰口叩いてるよりかは本人の前で言ってる分ましだろ
スクリプトで荒らしてるわけでもなし、面白かったって評価だってしてる
去る前の一言の愚痴くらい許してやれよ
俺も今の展開はだれるからきついと思うけど>>1の文章は面白いから頑張って欲しいと思う <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 10:04:26.75 ID:/cGFFE5ko<> 未来編は短編×2+カズミと章仕立てだったからまだサクサク読めたけど
今はずっと一つの話が延々続いてるから長くてダラダラしてるように感じるんだよなあ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 10:11:29.75 ID:Ww/QywKao<> 因果崩壊あたりから読者が見たいものと作者の書きたいものがズレだ印象
3周目さやか救出ハッピーエンド→真相解明だったらまた違っただろうに <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 11:40:34.27 ID:oyl4dFHSO<> まどマギSSだと思わないで読めば面白い。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 12:29:10.34 ID:2FAMM18wo<> >>715
ハゲ同 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岡山県)<><>2011/11/28(月) 14:28:38.67 ID:RK7twU2V0<> ほむらーとして至福なんだけど なにこの最高のほむら ほむほむしていい?結構有名なほむらーなんだけど <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 15:47:49.25 ID:yRKJ6qcIO<> 上がってて伸びてるから来てみたらお前ら… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/11/28(月) 16:32:35.61 ID:Rc6eGUp9o<> 言い方が悪いけれど、>>699とそれに賛同している人は
この手の創作系を発表するところからは去るべき。
>>707が書いているとおりで、作者のやりたいようにやればいいんだし
それが自分に合わなければ去ればいいじゃないか。
自分の読みたいような展開にならないのが嫌だから
文句を言えばすべて思ったようにでもなっているの?
# これだからヒキニートやゆとりのガキどもは・・・
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/28(月) 17:56:31.39 ID:igv88G5no<> >>719
わざわざ蒸し返しすてめぇが去れ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/11/28(月) 18:12:04.33 ID:ObGqu6rd0<> >>言い方が悪いけれど、>>699とそれに賛同している人は
この手の創作系を発表するところからは去るべき(キリッ
こいつキモい。おまえ何様?おまえはどこの誰で何を代表してんの?
面白くない、っていう感想ひとつも書き込むのが許されないみたいな今の空気も大概だよ。
実際今の展開だれるし萎える。クリームヒルトのところまでは本当に面白かったよ。いままでの魔まマSSで一番だと読み返すくらい好きだった。
今はこのオリジナル編が終わったかな?本編に戻ったかな?ってチェック入れるためだけに見てるだけ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/28(月) 18:24:00.63 ID:PLxPp2P1o<> まあまあそう喧嘩するなよ。
お互いが喧嘩腰で煽りあってもいいこと無いよ。頭に血が登って怒りに任せて書きなぐったってあとで見返すと無性に恥ずかしくなるだけだからさ
いらっといたら深呼吸して、一回2ch閉じて適当にネットサーフィンして頭を冷やすといい。
その後落ち着いたら相手を貶めるような言い方じゃなくて他を持ち上げるような言い方をすればきっとみんな不快にならずにすむよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 19:59:43.89 ID:ZimECBS+o<> ここまできて最後にほむらがキュゥべえに心から謝ったりしたら白けるだろうなぁ…
オリキャラマンセーすぐる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/28(月) 20:45:36.32 ID:igv88G5no<> まあ、色んな意見有るけれど今のオリストを楽しんでる人もいるんだって事をわかってくれ
後は作者に委ねて俺らはもう黙っとこうぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 20:47:14.82 ID:2FAMM18wo<> 楽しく読んでるヤツもここにいるぜ
気楽に行こうぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 21:06:03.22 ID:qdPTwp2ao<> >>723
そう、あくまでほむらは心のないレイパーで有るべきだった
このオリジナルストーリーで反省しちゃう経緯が謎すぎる
「え?何万回もループしてきて、感情とかないとか言ってなかったっけ?」と思ってしまった <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 21:10:21.63 ID:Qcl9JpUMo<> マジレスするとお前らSSに何そんな必死になってんの? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/28(月) 21:20:58.64 ID:igv88G5no<> >>726
感情ははなからあったじゃん
レイプの反省も最初から若干あったし
人型QBにまどかが重なるとも書いてあったよ
そこはちゃんと読めよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/28(月) 22:00:00.82 ID:ZimECBS+o<> 批判的な意見出る理由としては後だしジャンケン的に
どんどん注意文が増えていったこともあると思う
バカエロでコメディ的に始まったのにいつの間にやらオリキャラシリアスになっちゃってるんだし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank)<>sage<>2011/11/28(月) 22:19:07.00 ID:oMhT17H40<> 読みたい人が読めばいい
自分はこういうの好きだから、読んでる
興味がなかったらここまでついて来てないし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県)<>sage<>2011/11/28(月) 22:50:03.98 ID:QxBtDguCo<> なんで伸びてるかと思ったらまた読者様()がぐちぐち言ってるのかよ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga sage<>2011/11/29(火) 00:50:20.35 ID:sqTWRNsAO<> え、何コレ投下しづらい。
何だか申し訳無いんだけれど、でも自分は不器用だから、書きたいモノしか書けないんだ。
不要なところは極力削って投下してる。何だか杏奈が薄っぺらくなってしまっているのが心残り。
それで、最大の問題がね、次の投下でベアト編終わる事なんだよね。
うん。このタイミングで投下出来ないよね。
どうしたらいいのよコレ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県)<>sage<>2011/11/29(火) 00:51:32.78 ID:K14ZJoFvo<> 気にせず投下すればよろし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 00:54:18.75 ID:FXIpMNsIO<> 気にすんな
是非投下してくれ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/11/29(火) 01:06:23.56 ID:oWZQEVQno<> 俺は待ってたんだ!
カモン! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)<>sage<>2011/11/29(火) 01:40:46.98 ID:Ps1sVv2Y0<> 待っている人間の方が、遥かに多いと思うよ。黙っているだけで。・・・頼む、最後まで諦めないで。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県)<>sage<>2011/11/29(火) 01:58:45.76 ID:mbyvTEG0o<> 黙って投下すればいいのになんでしないの?構ってちゃんなの? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東)<>sage<>2011/11/29(火) 02:08:08.05 ID:UzG/SVxAO<> 読み手の気持ちは汲んでも顔色はうかがわないでくれ。ここまでおまいについて来たんだ夢なら最後まで見せてくれ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/11/29(火) 02:08:46.20 ID:oWZQEVQno<> >>737
流石に投下し辛くもなるだろうよ、機械じゃねーんだから
つーかこの程度で構ってちゃんとか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/29(火) 02:28:30.71 ID:rAh7hoijo<> >>737
こういった輩がいるから空気が悪くなって投下し辛くなる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中国地方)<><>2011/11/29(火) 02:30:31.26 ID:hq2SF5lj0<> しょうがないよ・・・自分がかまってちゃんなんだろ・・・ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:37:35.68 ID:sqTWRNsAO<> 仮眠したらさっぱりした。
投下開始。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮城県)<>sage<>2011/11/29(火) 02:38:27.13 ID:BQmmtcjHo<> <●><●> <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:42:32.39 ID:sqTWRNsAO<> ――――魂の泣き骸
魔女「ヴォォォ―――ッッ!!」
「な、七瀬さん、助け――」
「何だコイツ――今までの魔女とは比べ物に、ぎゃっ!?」
七瀬「は、はは……何だよこれは」
身の丈が倍ほどもある、人型の魔女が、藁を散らす様に魔法少女を殺していく。
その余りに圧倒的な様子に、乾いた笑い声しか出なかった。
ほむら「――強い」
ベアト「四郎、四郎だね――?」
魔女「――――」
魔女は背中を向けたまま小さく頷き、大太刀を振って鮮血を散らす。
魔女らしからぬ体躯の速さを目の当たりにして、兵隊達は狼狽えた。
「た、助けて、助けて――ぴっ」
足元を誤って転んだ魔法少女の、喧しい口唇ごと頭部を踏み砕く。
猛る心を抑える様に、雄叫びを空へと解き放った。
其れだけが、其れだけで戦意を挫く。
七瀬「おくびょー……こっちだ死に損ない!」
七瀬は四郎の事を他人よりかは知っていた。
故に、『アレ』の性質を予測できる。
七瀬「『バカ正直』、かなかな?♪」
当たらずとも、しかし遠からず。
七瀬は魔女に向かって小さな石礫を大量に飛ばした。
魔女はその弱き数撃を一太刀に振り払う。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:43:30.24 ID:sqTWRNsAO<> そして気付く。七瀬の姿が無い事に。
地面に、大きな影がぽつりとあった。
七瀬「上だよ!」
声に釣られて上空に有る物質を切り刻む。
――ただの瓦礫。
七瀬「ばーか♪」
七瀬は限界一杯に姿勢を低くして、魔女の股下を滑り抜けた。
狙いは――
ベアト「ひっ」
お姫様ただ一人。
魔女「ヴォゥ――!!」
だが、その肩に手を掛ける寸前。
魔女の体当たりで七瀬は紙切れの様に吹っ飛ぶ。
僅かに水平飛行、そして地面に何度も殴られて身体はそこを無様に転がった。
七瀬「あ……いたた……」
無視できないダメージが蓄積されたのが分かる。
骨は役に立ってないし、筋肉はズタズタだろう。
それでもまだ立ち戦える事に、少しばかりの恐怖を覚えて覚えない。
七瀬「やっべー……マジヤベー。年貢は納めたくないのになぁ」
魔女は未だ白き姫を守る侍でいて、そして正しく成されていた。
攻めあぐねたソコに、落ちた水滴は――一つの波紋を世界に呼び起こす。
十兵衛「――何だ、これは?」
ようやく、彼女は辿り着いたのだ。
そして、世界も辿り着いて―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:44:28.82 ID:sqTWRNsAO<> ――――主、明智十兵衛武政の御成
ほむら「――やっと来たのね!」
十兵衛「な、なんだこりゃ――?」
見れば、大勢の魔法少女と、殺られたであろう犠牲者。
生きている魔法少女たちにも、幾つもの手傷が見えた。
石と槍に身体を突き刺された茜。
それに、魔女。そしてその傍にベアトリクス。
ベアト「――じゅうべ」
七瀬「十兵衛さん、助けて下さい!」
ほむら「なっ」
ほむらが愕然とした表情で振り返った先には、内心笑っているであろう七瀬。
状況を良く観察した、狡猾な判断だった。
七瀬「あの魔女、かなり強いんです! 早くしなきゃ、彼女が!」
十兵衛「ベアトリクス――分かった、加勢する!」
ベアト「え――」
十兵衛が自らの武器、業物の薙刀で鎧武者に斬りかかる。
鎧武者は何の抵抗も無く、左肩から先を失った。
十兵衛「茜もお前がやったのかよ……ただで済むと思うなよ!!」
怒りに任せた蹴りが、巨大な鎧を空中に浮かせ上げる。
そのまま薙刀の腹で地面に叩き付けた。
金属音がけたたましく鳴り響き、なお魔女は抵抗しない。
七瀬「……さっすがぁ♪」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:45:05.77 ID:sqTWRNsAO<> 十兵衛は強く、空を貫かんばかりに薙刀を振り上げた。
それは、トドメの構え。
十兵衛「覚悟しな――っ?」
地に横たわり動かなくなった魔女の前に、ベアトリクスが飛び出す。
小さな肩だったが。
小さな身体だったが。
十兵衛には、魔女を守る鋼鉄の盾に見えた。
十兵衛「どうした、ベアトリクス……?」
ベアト「ダメだ……キミがこの子を殺しちゃいけない――」
ベアトリクスは不思議な表情をしていて、それが更に十兵衛に疑念を植え付ける。
だって、無表情で涙を溢しているのだから。
七瀬「ダメです! 彼女は魔女に操られているんです!」
ベアト「十兵衛、聞いてくれないか――」
どういう事だ、と思案する間に魔女は起き上がってしまった。
慌てて構え直し、そして見る。
自分の前に跪く魔女を。
ベアト「この子は――」
魔女は右手をこちらの頭に向かって伸ばし、何かを伝えようとしていた。
頭に、誰かの記憶が流れ込んで――
ベアト「四郎……なんだ」
――その記憶の一番最初に、満面の笑顔で手を差し出す、子供の頃の自分が居た。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:46:04.68 ID:sqTWRNsAO<> ――――役割、完了。
十兵衛「――――――――」
ほむら「……動かない?」
魔女と最強はお互い微動だにせず、その場の緊張感を一手に担っていた。
徐々に険しくなっていく表情。
全てが終わると、魔女は右手に小刀を生み出し――自らの腹部を裂いた。
十兵衛「許さん。が……ご苦労だった。済まん、無理をさせた」
本当の意味で崩れ堕ち――彼女は死ぬ。
結界は溶ける様に消えていき、空には嘲笑うような満月が浮かんだ。
七瀬「……どうしたんですか――」
十兵衛「口を開くな」
七瀬「――っ」
今。
今、一回、七瀬は死んだ。死んだと思った。
そんな錯覚を抱かせるような、質量を持った殺意がソコに満ちている。
だがしかし、恐怖はとうに捨てた。
七瀬「……あーあ、四郎ちゃんもホン……ットちゅーぎバカだねぇ。最後の最後に最後っ屁かぁ♪」
十兵衛「黙れ、頼むから」
「それ以上喋られると、街ごと抉りそうだからな」
一言一言が、波となって世界を揺らす。
十兵衛の足元の小石などは、既に粉末になっている。
怒りが現実を侵食しているのだ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:48:59.70 ID:sqTWRNsAO<> 七瀬「出来るのかな♪?……ベアトちゃん、コイツ、もう知ってるよ♪」
ベアト「え――?」
十兵衛「………………ベアトリクス」
ベアト「――ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
ベアトリクスは頭を抱えて震える。
きっと十兵衛は、こんな汚れた自分を許しはしない――
七瀬「ベアトちゃんは悪くないよねー」
ベアト「ボク、は――」
十兵衛「――気安く呼ぶな!!」
怒声を無視して話を続けた。
甘ったるい、優しい声で。
七瀬「ベアトちゃんはさー、僕らのソウルジェムの為に頑張ってくれてたんだぁ♪」
七瀬「だから君は悪くない。寧ろ良い事をしたんだよー♪」
七瀬「――お前はコイツを独り占めして、自分だけ生き残るつもりだったんだろ? 明智のじゅーべーさん♪」
十兵衛の突きだした薙刀が、七瀬の首の皮を薄く裂く。
血が少し、流れる程度。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:49:29.41 ID:sqTWRNsAO<> 七瀬「ヒュー♪」
十兵衛「今、殺さなかった自分を誉めたい――こんなにも、右腕はお前を殺したがっているのに」
七瀬「殺せないの? 殺せないよね?」
七瀬「ベアトちゃんが望んだなら、アンタに否定する権利は無いから」
七瀬「好きな女が、人の上で腰を振る淫売でも」
七瀬「アンタには関係無い」
七瀬「寧ろ、アンタは私たちとベアトちゃんの仲を裂く無粋者だ」
十兵衛は、十兵衛自身として矛盾していた。
自分の生きている意味は、人々を守る為。
しかし、自分の怒りによって傷付けようとしているのは、その対象。
二律背反。
自己の否定。
それに、自信が無い。
幾ら最強とて、人の心だけは、どうにもならない。
四郎の記憶の中の彼女は、本当に悦んでいるようで――
思い出して、頭が焼けそうになる。
脳が理解を拒んでいた。
ベアトリクスが、一生こんな目に合うくらいなら、いっそ全て――
真宵「その辺りで武器を下ろしなさい、十兵衛」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:50:19.69 ID:sqTWRNsAO<> ――――取り囲む屈強な者たち。
十兵衛「……何の冗談だ、水城」
真宵「酷い人。ようやく名前を読んでくれたのが、こんな時だなんて」
十兵衛と魔法少女たちは、みな一様に取り囲まれていた。
十兵衛「……そういう事か」
様々な国々の人種で組まれた軍隊で、十兵衛にはちぐはぐに見える。
十兵衛「お前は、ベアトリクスの浄化能力がどういう物か知って、敢えて計画を進めていたんだな?」
真宵はただ縦に首を振った。
七瀬「よっす、真宵さん♪」
真宵「随分とやり過ぎたようね。全く、向こう見ずで呆れるわ」
成る程、ここもか。なら。
十兵衛「物騒なソイツらは何だ」
真宵「分からないの? 今、世界中の人間が、喉から手が出る程欲しがっているモノが」
真宵「彼女がいなければ、世界は滅ぶ。彼女一人の犠牲で、世界は蘇るのよ」
全体を見れば、膨大に対する、たった一。
そんな事、分かっていた。
会議室で見た顔が口を開く。
「出来れば君は真実を知るべきでは無かったのだがね」
「知らなければ、ベアトリクス君は世界の救世主だと思って生きられただろうに」
「いや、今となってはもう遅いだろうが、やる事に変わりは無い」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:51:35.02 ID:sqTWRNsAO<> 勝手なモノだ。
誰も彼も、俺という存在を分かっちゃいない。
ベアトリクスの方を見る。
もう、ソレが怯えているのかどうかも、曖昧だ。
俺のソウルジェムは、夜みたいに濁っていた。
十兵衛「――――」
ベアト「うむっ――――」
戯れに、ベアトリクスに口付ける。
彼女は――――受け入れてくれた。
ソウルジェムの穢れが堕ちる。
輝くソレが、少し羨ましかった。
彼女に背を向ける。
怖い。けど、聞こう。
十兵衛「ベアトリクス。一回しか聞かないから、良く聞けよ」
ベアト「え」
喉が乾く。
息が苦しい。
十兵衛「お前は、『嫌』か?」
投げ掛けるソレは、簡単な選択肢。
『嫌』か、『構わない』か。
酷く簡単だ。
何せ二択だから。
しかも、片方を選べば世界は緩やかに滅ぶと確定している。
だけど、彼女は『一度だけ』と言った。
それが怖くなって、やり直せないと知って、ベアトリクスは我が侭を言ったのだ。
『ボクは――嫌だ』
世界を滅ぼしたのは、彼女だった。
皮肉にも、愛が、嫉妬が、滅ぼしたのだ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:52:05.89 ID:sqTWRNsAO<>
――そして彼女は、世界にとって『最強』の敵になり
――そして世界は、『最強』の彼女の敵になった。
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:55:26.37 ID:sqTWRNsAO<> ――――暁美ほむらの見た最期。
私は、この世界をずっと見ていた。
存在だけを鑑みるなら、この身は神的存在と言っても良かっただろう。
ここで見たのは、インキュベーターの過去。
私は、最初ここは宇宙の何処かにある、インキュベーターの母星だと思っていた。
しかし、ある日気付く。
空に映る天体の一つ一つが、私の見知ったソレだった。
私はソレにより、ある仮説を立てた。
一つは、ここが別の因果線上の地球である事。
彼らが魔法と称して因果を奪っている世界が、私たちのいた地球だという、仮説。
もう一つは、インキュベーターたちが地球を捨てて私たちを飼う檻として使っているという、仮説。
「…………」
彼女は一人踞って、ずっと『ごめんなさい』と呟き続けている。
世界を滅ぼすのが彼女だったとしても、それは目に見えない程にゆっくり訪れるはずだった。
実際、私もそう思っていた。
だが。
今、彼女の目に映る範囲に、『モノ』は無い。
水平線の果てまで、更地になった浅瀬があるだけ。
あの時織莉子が見た、風景。
――『最強』は、今は何処で戦っているのだろうか。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:56:21.45 ID:sqTWRNsAO<> ……彼女は世界の敵になった。
その瞬間、世界全ての因果を凌駕するように――彼女の奇跡は彼女を塗り替えた。
ソレが人間の姿を保てるとすれば、既に神域の存在で――そして良くも悪くも、明智十兵衛武政は人間だった。
魔法少女として人のカタチを保たなくなり、ただ愛する人に仇なす者を殺し、排除し、削除し続けた。
魔女とはまた違う、魔法少女のままで。
……彼女が『嫌だ』と言うのは、それ程までに罪だったのだ。
それ程までに――
この世界に来た意味は、知識の収集だった。
この世界にも、私が戦う為に、たくさんのヒントが散りばめられていた。
ソウルジェム同士での浄化や、願望器の存在。浄化能力者。
だが、一つだけハッキリとしない事実がある。
『インキュベーターは何故、地球に居たのか』
私たちの世界のインキュベーターと、この世界のベアトリクスは余りに合致しない。
同一では無いのかと、勘繰ってしまう程に。
――いや、まさか。
それならば、どうなるのだろうか。
私のした事は、一体どういう意味があって、世界にどう影響を与えたのか。
誰も、答えはくれない。
この世界が滅べば、何か分かるのだろうか。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:57:02.29 ID:sqTWRNsAO<> あの時、あの選択から凡そ三日。
この地球は、あと四日もすれば全て死に絶えるだろう。
魔女も、魔法少女もいなくなった世界。
リセットされた世界。
あぁ、彼女が『最強』を願わなければ。
あぁ、彼女が『全ての不幸を取り除く』事なぞ願わなければ。
いや、いっそ出会わなければ――世界は滅ばなかったのかも、しれない。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 02:57:46.83 ID:sqTWRNsAO<> ――――帰ってきた彼女は、もう。
「やだよ……ボクを独りにしないで……」
「――なぁ、『ベアトリクス』」
「っ」
「前、しただろ?――宇宙の話」
「……うん」
「いつか宇宙も終わっちまうのかな……宇宙人がいるなら、会ってみたかったねぇ」
「ボクなら、ボクの能力ならきっと大丈夫だよ……だから――」
「ダメだ」
「何故!?」
「間に合わねぇよ。このままなら、俺は魔女になっちまう……お前を、殺したくない……」
「――っ。『最強』なんだろう……?」
「いやぁ……やっちまったね。『最強』ってのは、比較対象が居て始めて『最強』らしい……『全能』を願っておけば良かったな、ハハッ」
「そんな……そんなの、わけがわからないよ……」
「――生きろ」
「……」
「生きてくれ……少しでも長く……俺たちのいた、世界を……俺たちがいた、証を……」
「――分かったよ、生きる、生きるから! まだ逝かないで、ボクといてよ……独りは嫌だよ――寂しいよっ!」
「ありがと、う」
空に、薙刀が浮かんでいた。
それは、死に行く魔法少女の武器。
「さよならだ、『ベアトリクス』」
「待っ――――」
黒き魔法少女のソウルジェムは、自らの武器によって砕けた。
世界に残されたソウルジェムは、たった一つで。
世界で動いている物は――
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
――泣いている彼女だけだった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:01:12.67 ID:sqTWRNsAO<> ――――
「どういう、事なの」
十兵衛は、自分が自分で何を話しているかすら、分かっていない様子だった。
アレは、きっと彼女の本心。
心からの声。
自分を否定してまで叶えたかった、奇跡。
しかし――このままでは、ここで全て終わりのはずだ。
何も起こらない。
宇宙からの生命体なんか居ない。
「なら、一体私たちはどうやって。いや、インキュベーターは、インキュベーターとは、一体何?」
ベアトリクスが、泣きながら意識を失って、その身体は水面に吸い込まれた。
波紋が――世界に広がって。
そこには、良く見知った魔女が居た。
ほむら「――ワルプルギスの、夜」
しかし、様子はまるっきり違う。
直立で、顔は悲しんでいて、嘆き声を振り撒いていた。
魔女が手を水に付けると――
「世界が――進化していく!?」
もう一度、もう一度。
速回しのビデオを見ているように、水から生命が生まれ、進化し、絶滅し、進化し、絶滅した。
圧縮された時間が、そこにあった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:01:55.32 ID:sqTWRNsAO<> ほむら「成る程――!!」
確かに、そう。
世界の全てが、一秒前に生まれた事は、誰も証明が出来ない。
記憶すらただの電気信号だ。
全てが作られていたとしても、ソレを疑う、者は、居ない?
ソレヲ、ウタガウ、モノハ、イナイ?
恐ろしい事実に触れた様な、平衡感覚が無くなっていく気分だった。
彼女は――死に際に交わした、約束を果たして、いや、果たし続けているのか。
生きる。
世界を。
その二つを?
だから似ていたのか――?
崩れた積み木を、積み直す子供の様に――過去の世界を模倣して造りあげているとでも、言うのか?
ワルプルギスの夜が魔法少女からエネルギーを集めているのは――この世界を、あの時も、直し続けているから?
「っっ――!!?」
そして気付く。
私は二つの仮説を立てた。
しかし、そのどちらも違っていたのだ。
ここは――確かに地球で。
そして今は、単純に過去だった。
今思えば、何で疑問に思わなかったのだろう。
何故、ワルプルギスの夜は『結界を張らない』? <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:02:22.85 ID:sqTWRNsAO<> 私は、ワルプルギスの夜が強力だから、隠れる必要は無いと思っていた。
事実、魔女化したまどかも結界は張らなかった。
だがしかしどうだ。
確実に強力な魔女だった、あの時の美樹さやかは――大きいなりに結界を張っていたではないか。
強力であるが故に、広大な結界。
それは、つまり――
「ワルプルギスの夜にとっての結界は――世界全て?」
つまりそれは。
つまりそれは。
「――私たちは、使い魔?」
叫びたい。
居なくなりたい。
死んでしまいたい。
いや、死ぬぐらいなら、叫ぼう。
「いや、いやぁぁぁぁぁぁ、ぁぁぁぁぁぁぁ、ぁぁぁぁぁ!!!!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:02:50.71 ID:sqTWRNsAO<>
「ボクと契約して、魔法少女になってよ!」
『誰か、ボクを助けて――』
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:04:09.44 ID:sqTWRNsAO<> ――――
「――っ」
唐突に頭に声が響いた。
彼女もまた、因果に囚われているのだとしたら。
システムとしての役割を強制されているとしたら。
私は、助けを求める彼女の手を――
何度も。
何度も。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
撃ち落としたというのか。
私がやっていた事は、前提から間違っていたというのか。
使い魔だから、魔女の為に生きるのは当然ではないのか――?
「違う!!!」
強く否定する。
私が生きた世界、関わったたくさんの魔法少女たち。
彼女らは、確かに、自分の意思で――生きていた。
私たちは、つまらぬ事で泣き、些細な事で笑い――
誰かを愛し、誰かに愛されて生きていた!
それは否定出来ない真実だ。
何物にも変えられない真実だ!
「私は、魔法少女よ――!」
自己を完結し、胸を張って立ち上がる。
そして虚空に向かって叫んだ。
「居るんでしょう!」
『――良く気付いたな』
声が返ってくる。
ワルプルギスの夜、ベアトリクスの真実を知った今、最後の疑問はこの盾。
時間を遡る私の力。
「――貴方、ジュゥべえね?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:06:36.85 ID:sqTWRNsAO<> 『ほぅ、オイラだと分かるのかい』
「この盾は、私のソレとは似て非なる。貴方の与えたモノでしょう?」
『オイラだけじゃないし、オイラにはそこまでの力は無い。無意識にだが、キュゥべえの力が大半だな』
「ふむ。差し詰め、最後に残った魔法少女の私に――」
『可能性を懸けた』
「私にインキュベーターを救う役目を、与えようとしたのね?」
声は答えない。
「あの、使い魔のインキュベーターは……本当に彼女?」
『……キュゥべえの記憶と――とあるお伽噺を参考にして、不都合の無いように作られた人格、だな』
お伽噺……と言えば。
十兵衛が死ぬ寸前に思い出させたアレ、か。
宇宙の為、と銘打てば罪悪感も無くなる……といった所だろうか。
「最後に……貴方は『何』?」
『一つ上の段階、だ。ま、オイラは亡霊みたいなもんだけどな』
『いつでも、どこにも、オイラはいる……ただ、オイラは残り滓だから、そんなに干渉できない』
『かずみたちは、ダメだったよ』
「……風の噂に聞いたわ。魔法少女システムの否定、なんてバカげた事を言っている集団がいるって」
「貴方たちだったのね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:07:10.44 ID:sqTWRNsAO<> 「貴方は、自ら魔法少女を育てる事によって、ベアトリクスを因果の糸から解放しようとしていた」
『そうだ』
「これで、全て繋がったわ……」
あの時まどかが『私も舞台の上で踊っているだけ』と自らを嘲った事も。
ジュゥべえの意味深な言葉の意味も。
「それでも、私たちにインキュベーターがした事は変わらない」
『分かってる……だけど――』
「だけど、私はまどかを助ける為に、世界全てを救うと誓ったわ」
ようやく目標が見えた。
正解に辿り着いた。
「そうね、でも、もしかしたら――」
髪をかき揚げ、盾からバイオリンを出した。
「――そのついでに、救ってしまうかもしれないわね」
魔女は世界を治していく。
私が存在出来るようになるまで、幾年掛かるかは分からないが――
それまでは、彼女の傍で、彼女が寂しくないように――音楽を奏でよう。
さながら、お祭りの様に、ね。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:07:47.79 ID:sqTWRNsAO<> ――――エピローグ
ほむら「失礼」
男「……君は誰だ。ここには誰も入れるなと言っていたはずだが」
ほむら「バイオリンを一つ、作って頂けないかしら?」
男「私は、もうバイオリンを作らない――」
ほむら「あら、何故?」
男「見ろ、コレを」
ほむら「……ガラクタね」
男「――ガラクタに見えるのか!?」
ほむら「えぇ」
男「貴女には信じられないかもしれないが、皆にはコレが素晴らしいバイオリンに見えるらしい」
男「私のバイオリンとは――」
ほむら「貴方のバイオリンは、とても素敵よ」
ほむら「……新しい、コレが欲しいの。作って頂けないかしら?」
男「コレは、私の――一体どれだけ使えばこんなに……」
ほむら「さぁ、1000年か、10000年か……定かじゃないわ」
男「……貴女は一体」
ほむら「さぁ、作ってちょうだい。とびっきり、『思い』を込めてね」
男「……分かった。作ってみよう。貴女のお陰で、私はまだやれそうだ」
男は、バイオリン職人である。
とても良い腕だが、生涯弟子を取る事は無かった。
名を、アントニオ・ストラディバリと言った。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:08:19.07 ID:sqTWRNsAO<> ――――見滝原、市街地。
ほむら「随分、懐かしい気がするわね」
あの後、最初の魔法少女の誕生と同時に、私は世界に再構築された。
たかが数千年。
もう時間の感覚なんて麻痺していたから、さほど苦では無かった。
過去の奇跡も集めている。
新たな、自分の武器も手に入れた。
まどかのグリーフシードもある。
そして何より、私は知った。
惜しむらくは――かつての仲間達が、この世界の何処にもいない事だった。
ほむら「……行きましょう。あの一月の箱庭へ」
そしてほむらの意識は落ちた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:09:43.42 ID:sqTWRNsAO<> ――――病室
ほむら「おはよう……うさ、ぎ?」ホムッ
ほむら「うさぎだったかしら……? まぁ良いわ」ムクリ
ほむら「……例え一人でも、やってみせる。私しかいないのだもの」スタスタ
ガチャッ
ほむら「さて――?」
「あ、ようやく起きたぜコイツ……おいほむら! アレだけの事をやったんだからな――」
何が、起きているのだろうか。
「まぁまぁ……起き抜けに怒ったって仕方無いわよ?」
「そうだよー」
「しかし病院とは味気無いね。主に壁が白い。黒も混ぜなきゃ」
「おはよう、暁美ほむら。加減はいかがかしら?」
何が。
杏子「お、おい、何で泣くんだよ!?」
マミ「ほら、暁美さんだって気にしてるのよ?」
ゆま「ほむらおねーちゃん、泣かないで」
キリカ「織莉子、確かハンカチが……」
織莉子「はい、暁美ほむら。拭きなさいよ……私たちが困ってしまうわ」
私は久しぶりに、子供みたいに泣いた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/11/29(火) 03:11:07.67 ID:sqTWRNsAO<> よっし、フラグ全部立ったよ。
長かった……投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 03:13:46.03 ID:sJrPHY7IO<> 待ってたかいがあった!
乙! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東)<>sage<>2011/11/29(火) 03:14:44.02 ID:UzG/SVxAO<> 乙……やっと本筋に帰ってきたか……感無量 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 03:22:29.18 ID:NZotstLIO<> うわー、これからがすごく楽しみだ!おつ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/29(火) 03:22:30.99 ID:IIscA2lmo<> 乙でした
待ってたかいは十二分あったぜ… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県)<>sage<>2011/11/29(火) 03:24:25.30 ID:/l/k9+RRo<> なるほどつまり最終的にはベアトリクスとガチ殴り愛して負けそうになった所で
かつての敵も含めた全ての魔女、魔法少女の力を借りてベアトリクスを圧倒した後に
ベアトリクスが自爆して一緒にほむらも消えそうになった所で概念と化したまどかが包み込むわけか・・・
その後いなくなったほむらを探してあんことかマミさんとかが色んな所を探すけどどこにも見つからなくて
ほむらはそれを見て散々見て笑った後にふと立ち止まって舞台装置の魔女は消えたのだから・・・
でエンドだな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 05:54:52.30 ID:kXemwxGjo<> 作者の書く表現のひとつひとつが面白い
続きが楽しみすぐるC <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越)<>sage<>2011/11/29(火) 07:04:28.57 ID:i73aVcAAO<> かずみたちはでないんですか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 09:04:50.34 ID:J4qooylMo<> 過去編終わったっぽいのかな?
これで久しぶりに読めるな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/29(火) 16:48:12.63 ID:TdF5ruMQo<> このほむほむがバイオリンを弾いたら恭介失神しちゃう? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 17:57:43.01 ID:pFM77y4SO<> 今まで話を追ってきてこれからの展開に凄くワクワクしてます。
どんな話でも読むので、ぜひ完結させて下さい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県)<>sage<>2011/11/29(火) 18:48:18.70 ID:zFozw23eo<> これが二次創作なんて思いたくねえ…むしろこれが本家でいい気までする…
乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)<>sage<>2011/11/29(火) 20:36:17.10 ID:Ps1sVv2Y0<> 遂に・・・遂に書ききったか。
一万五千年は待っていた気分だったよ。
そして・・・確かに、これが本編だといってもいい。SFとしてのまどマギを呑み込むスケールを持った作品は、これを措いて他にないかも知れん。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) <>sage<>2011/11/29(火) 20:39:34.97 ID:qeXdx95io<> まぁ過去編読んでない人も結構いるだろうけどな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 20:52:46.73 ID:kXemwxGjo<> 過去編読んでるヤツもここにいるぜ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 22:57:09.05 ID:GDw1ogkDO<> ここにもいるぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/29(火) 23:05:14.50 ID:qMw95hbzo<> マミさん達が戻ってきたってことは円環様も力を取り戻しつつあるのか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県)<>sage<>2011/11/29(火) 23:34:18.05 ID:/l/k9+RRo<> 寧ろマミさん達がほむらちゃんに引っ張られて円環の理から抜け出ているって事じゃね? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/30(水) 01:10:25.04 ID:jh3UTPcDO<> 色々な知識と新たなバイオリンを手に入れてまどかを殺したところの次の時間軸ってことじゃないのか?
単純に考えて <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank)<>sage<>2011/11/30(水) 03:42:54.04 ID:uePmyjcVo<> 自分なりのオリジナリティがあって且つ矛盾してなくてその風呂敷をしっかりたたむところ
SS速報じゃめずらしい良い作者である <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/30(水) 08:28:44.74 ID:yyRlvBdIO<> ハゲ胴 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/11/30(水) 23:45:35.34 ID:MR2QEBLAO<> ヤバい雨でメイン携帯のボタン効かなくなったバババ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/30(水) 23:49:12.02 ID:88fuHDv5o<> ざまあwwwwww
乾かせば余裕だからおちつけ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/11/30(水) 23:49:53.62 ID:MR2QEBLAO<> よっしゃバックアップ取れたぁぁぁ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/11/30(水) 23:52:00.87 ID:MR2QEBLAO<> 最後の力を振り絞ってまたボタンが効かなくなったようだ。
今晩はw41sに任せてゆっくり眠れ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/01(木) 01:05:27.80 ID:bDcexbwMo<> っ【祝福された願いの杖(残り0回)】 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/01(木) 01:07:28.45 ID:lqeD0ZDJo<> 投げつけて直るのかその衝撃でまた壊れるのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)<>sage<>2011/12/01(木) 01:10:33.94 ID:3zRaIsR5o<> 電池外して完全に乾くまで放置するといんだっけ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/12/01(木) 01:27:54.05 ID:40Zw+bcAO<> 願いの杖パネぇぇぇぇぇぇ治ったぁぁぁぁぁぁ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/12/01(木) 02:47:06.51 ID:cfXx8W1zo<> >>1は叫んだ
「q!!」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/01(木) 13:21:48.86 ID:t6XIiw5ro<> >>795
電子機器濡れはこれが正解
せっかちほど電源入れて漏電させてパー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/12/01(木) 14:06:53.07 ID:oHZv1KOg0<> まさかのeronaっ・・・!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/01(木) 15:11:54.68 ID:Nox/X+vZo<> elonaな <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:18:15.09 ID:40Zw+bcAO<> さぁさぁ皆さん大変長らくお待たせ致しました。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:23:06.50 ID:40Zw+bcAO<> ――インキュベーターは優しい夢を見るか
題目――そして魔法少女は眠る、開幕 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:25:11.27 ID:40Zw+bcAO<> ――――プロローグ、とあるファミリーレストラン。
「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」
ほむら「6名で」ホムッ
「かしこまりました。奥のお席へどうぞ」
ほむら「ありがとう」
杏子「…………おい、どうなってんだこりゃあ」ヒソヒソ
マミ「私に聞かないでよ……」ヒソヒソ
キリカ「一体どうしたって言うんだ暁美ほむら。頭でもおかしくなったのかい?」
織莉子「雰囲気が変わったというか何と言うか……とにかく変わったわね」
ゆま「ハンバーグ、ハンバーグ♪」キャッキャッ
ほむら「まぁ……色々あったのよ」スッ
ほむら「久しぶりに話したい気分なの。まぁ座って、聞いてくれるかしら?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:28:13.94 ID:40Zw+bcAO<> ――――料理が届いて
一同「」ポカーン
ほむら「――と言う訳。長い話になってしまったわね……疲れたかしら?」
杏子「い、いやまぁ、それは全然構わないんだけどさ」
マミ「じゃあ貴女は――」
ほむら「貴女たちと別れてから、数万の時を過ごした暁美ほむら。となるかしらね」クスッ
ゆま「おばあちゃんだね」モグモグ
ほむら「そうね、そうかもしれないわ」ナデナデ
ゆま「うにゅう」クシクシ
織莉子「(あの暁美ほむらが)」
杏子「(あの『絶対的な自分』に自信過剰だったほむらが)」
マミ「(常に自分の感情を燃え上がらせていた暁美さんが)」
ゆま「何だかほむらおねーちゃん、優しくなったね」エヘヘ
キリカ「ぶっちゃけ私たちには違和感凄くて正直キモい」キッパリ
マ杏織「(言っちゃったよ!?)」ガビンッ!? <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:29:53.61 ID:40Zw+bcAO<> ほむら「そうかしら……なら前の自分は、貴女たちの目にはよっぽど酷く映っていたのね」
ほむら「そんな事を気にするような性格でも……無かったのでしょうね」クスッ
杏子「ごめん悪いけど『クスッ』止めて。頼むから『ホムッ』に戻ってくれよ……」
ほむら「あら、随分な言われようだわ」ホムッ
杏子「そうそうコレコレ」ハハッ
マミ「……真面目な話、かなり辛い日々だったのではないの?」
ほむら「そうでも無かったわ――色々な経験が、あったから」ホムン
ほむら「誰もが、何かと戦っていて」
ほむら「皆、気高く」
ほむら「希望を願って、死んでいった」
ほむら「そういうのをね、たくさんたくさん見届けた」
ほむら「私は……とても恵まれているわ。こんなにたくさんの記憶を持った人間なんて、居ないわ」
ほむら「私は――少しでもヒトに戻れたのかしら」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:32:47.64 ID:40Zw+bcAO<> マミ「ふーん……暁美さん、良い経験をしたのね。月並みな言葉だけれど」クスリ
ほむら「えぇ。間違いなく、ね」フフッ
織莉子「随分と穏やかな顔付きになったと思うわ。魂の質が変わったのでしょうね」ニコ
杏子「オーラを発しておられる……」マブシッ
ゆま「はっしておられるー」マブシー
キリカ「ま、結果的に暁美ほむらは強化された訳か。これならワルプルギスの夜もイージーに越えられそうだ」
ほむら「……そう楽にはいかないかもしれないわ」ホムン
キリカ「おや、そう思う根拠は如何程なんだ?」ム?
ほむら「今回の周回で、私は全てを終いにするつもりよ」
ほむら「やる事はたくさんあるけれど……一番はまどかの生存」ピッ
マミ「…………」コクッ
ほむら「そして美樹さやかの生存」ピッ
杏子「……」コクリ
ほむら「更に、まどかによる世界改変と、理に囚われるはずのまどかの救出」ピッ
織莉子「…………」コクン
ほむら「重ねて、私たちが脱落しない事」ピッ
ゆま「…………」ウン
ほむら「そして――」ピッ
キリカ「ワルプルギスの夜のサルベージ、だったね」ヤレヤレ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:33:48.53 ID:40Zw+bcAO<> ほむら「えぇ、そうよ」ホムッ
ほむら「他の魔女と違って、ワルプルギスの夜は魔法少女からのオリジナル。マミの様にヒトへ――インキュベーターはベアトリクスに戻れるはずよ」
キリカ「……何故キミがアイツに肩入れするのか、私には不思議でならないね……キミはそんなタマじゃなかっただろうに」
ほむら「……そうね。これも話しておきましょうか」
ほむら「未来の話とは別の――過去のお話」
ほむら「世界が絶望に負けて、今も覚めない夢を見続ける話を――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:38:18.74 ID:40Zw+bcAO<> ――――インキュベーターは優しい夢を見ているのか
一同「――――」
ほむら「……これが、全ての根源。私たちを構築する素たる物語よ」
マミ「そんなっ……じゃあ彼女たちに救いは無かったっていうの……?」
ほむら「あったのかもしれないし、無かったのかもしれない……でもそんなのは、今はもう永遠に分かれないだけ」
杏子「……酷ぇ話だ。やってらんねぇよ」
ほむら「実際はもっとえげつない事もあったわ。聞かせるには……些か忍びないから」
ゆま「キュゥべえかわいそうだよー……」
ほむら「彼女が私たちにした事は変わらない。けれど彼女だって、きっと助かりたいのよね……」
キリカ「世界を滅ぼしたのは愛、か……いや、なかなかに言い得て妙だ」
ほむら「そう。それはとてもとても残酷で、しかし真実だったわ」
織莉子「……しかし、それではまるで――」
ほむら「そう、神そのものと言っても過言ではない――地母神のような、ね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:39:33.81 ID:40Zw+bcAO<> ――――
ほむら「これから話すのは私の考察なのだけれど」
ほむら「私たちは、厳密には魔法少女では無いのかもしれないの」
織莉子「それは先程の、私たちが使い魔であるという話に於て、かしら?」
ほむら「いいえ。願望器のインキュベーターが、私たちを魔法少女にしているようで……その実は違うのではないかと思うの」
ほむら「私たちは可能性として、『ベアトリクスの中での魔法少女像』として、魔法少女らしき何かになっているだけなのかもしれない、と」
キリカ「そう思う根拠は?」
ほむら「話したように、ベアトリクスの世界は性別の概念が希薄なの」
ほむら「ほら、私たち……生えるじゃない?」ホムッ
ゆま「はえる?」キョトン
杏子「ちょっと耳ふさごーなー……」アセッ
マミ「な、何をいきなり――」カァッ
キリカ「ナニをいきなりだって?」キリッ
織莉子「キリカ」ゴゴゴ……
キリカ「すいませんでした」ゾクッ
ほむら「……あれね、魔法少女以外には効かなかったのよ。魔法」
杏子「ちょっと待とうなー」フサギッ
ゆま「待つよー」フサガレッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:40:29.64 ID:40Zw+bcAO<> マミ「……試す機会があったの?」
ほむら「……昔に、女性カップルにせがまれて。私には、ちょっとした神様だった時期があるのよ……クロノスだとかなんとか……」ブツブツ
キリカ「で、それが?」
ほむら「私たちを、ベアトリクスの世界の魔法少女に近づいた存在とするならば、それらの一般である『両性』の概念を持っていてもおかしくない――それに、理由はもう一つあるのよ」
ほむら「マミ。貴女の『ティロ・フィナーレ』……アレを最初に使ったのはいつ?」
マミ「え……余り覚えてないのだけれど、少し前からかしら……」
ほむら「何で急にティロ・フィナーレ、なんて?」
マミ「わ、分からないわよっ」カァ
マミ「ただ……思いっきりやる時に、こう――自然に口から溢れたのよ。それだけは覚えてる」
ほむら「やはりね……思考実験だけでは確信は持てなかったのだけれど」ホム
ほむら「意味は知っていたの?」
マミ「後から調べて……だけれど」
杏子「なんだそりゃ……」ハナシッ
ゆま「きこえるー」ハナサレッ
杏子「つまりアレか。マミは自分でも訳の分からない事を必殺技っぽく言ってた訳か?」ウワァ
マミ「ちょっ、何よ……」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:41:15.20 ID:40Zw+bcAO<> ほむら「違うわ」ホム
ほむら「マミは私たちの中でも、キュゥべえと接した時間が段違いに長い」
ほむら「そういう者は、マミのように言語中枢の変換が見られるみたいなの」
ほむら「ベアトリクスは、現代で言うドイツ系の言語思考を大元に持っているから……それに干渉されたと思われるのよ」
ほむら「あの世界は、自慢の魔法に名前を付けていたしね」
ほむら「事実、ジュゥべえが付きっきりだった――かずみ達にも、言語中枢に書き換えがあったし」
ほむら「そういう意味でも、『ベアトリクスの持つ魔法少女像』なのでしょうね」
ほむら「もっとも……かずみ達が居たあすなろ市は、全体的にジュゥべえと関係していたようだけれど」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:42:23.38 ID:40Zw+bcAO<> キリカ「へぇ……しかし、その情報は役には立たないね」
ほむら「あら、そんな事無いわ」クスッ
ほむら「『魔法少女は祈りに始まり絶望で終わる』」
ほむら「でも、私たちは違うのよ」
ほむら「決して絶望に負けたりなんかしない」
ほむら「希望を心に持って、それを諦めなければ――必ず世界は変えられる」
ほむら「それは、力の有る無しに関わりなく、万人に平等に与えられているの」
ほむら「諦めているのは、いつも自分……それを知っているだけでも、私たちにはプラスだと思うわ……違う?」ニッ
マミ「……いえ、確かにそうね」フフッ
杏子「愛と勇気が最後に勝つストーリー、ってやつか」ニヤッ
ゆま「みんなが笑っていてもいい……」ニパッ
織莉子「救いがあると信じるから救われる……悪くは無いわね」フッ
キリカ「織莉子がそうなら、私だってそうだ」ハハ
マミ「――んー、やる気が出てきたわ! まずは何から始めるの?」
ほむら「そうね……非常に心苦しいのだけれど――」
ほむら「キュゥべえの残機減らすの手伝ってくれないかしら」ホムッ
一同「ええー……」ナエー…… <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/01(木) 22:42:53.86 ID:40Zw+bcAO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/01(木) 22:44:08.20 ID:zDqpB2Sio<> 乙
やはり現代編だとキャラがわかってるからさくさく読めるな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/01(木) 23:13:07.98 ID:pv64F9RSO<> 乙。
やっぱりこの空気いいな…。
期待してるぜ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(新潟・東北)<>sage<>2011/12/01(木) 23:33:16.17 ID:f6NRfJDAO<> 乙!
今全部読んだ、続きが気になって仕方ない <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/12/01(木) 23:42:44.01 ID:/cn8CDUNo<> お疲れ様でした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/02(金) 00:19:35.22 ID:CuwNOxo2o<> >>1の足元に乙が転がってきた
*保存* <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/02(金) 01:12:50.96 ID:O1kvsur2o<> 乙乙
>>1の足元に黄金が転がりますように! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越)<>sage<>2011/12/02(金) 01:23:56.62 ID:tMaiEwFAO<> ゆまエロほしいです
ニコエロほしいです
おねがいします
おねがいします <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)<>sage<>2011/12/02(金) 01:49:08.74 ID:No07GhmY0<> パカエロと申したか・・しかし、このスレの残機も残り少ない。・・・本当に、4スレで起承転結という事になりそうだな。大長編だ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鳥取県)<>sage<>2011/12/02(金) 13:20:37.43 ID:jTpRbM05o<> 乙
かずみキャラは本編参戦なし?
まあこれ以上キャラ増やしてもしょうがないんだろうけど <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/02(金) 16:01:23.70 ID:tHPEfRDNo<> 今更だがワルプルギスになる時に助けてとほむらに言ったのはQBインキュベーターでもワルプルギスでもなくベアトリクスだったんだな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県)<>sage<>2011/12/02(金) 16:27:12.03 ID:Rqx/I9sto<> 乙
これはお金払っても良いレベル <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(広島県)<>sage<>2011/12/02(金) 17:34:46.40 ID:RWXdFMwE0<> 過去編のラストのほうは百億の昼と千億の夜を連想したけど
>>1は読んでたりするのかな? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/02(金) 23:10:13.81 ID:NAWcbiZxo<> >>811
ティロ・フィナーレって伊語じゃね? <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/12/02(金) 23:16:43.18 ID:lfaCd2HAO<> >>826
よく見たら言葉足りてなかった。
西欧圏の言語思考なんだ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/02(金) 23:32:17.11 ID:lfaCd2HAO<> よっし投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/02(金) 23:34:58.68 ID:lfaCd2HAO<> ――――廃屋
QB「皆さんこんにちは。今日もニコニコ契約楽しい魔法少女ライフを提供しているインキュベーターです」カサカサカサカサカサ
QB「何故わたくしがこのようにブリッジで小石まみれの廃屋を全力疾走しているかと言いますと……」カサカサカサカサ
ほむら「へーいへーい(棒)」ズガガガガ
QB「ぶっちゃけボクはガトリングというものを見誤っていたね。アレは走行しながらでも容易に扱えるらしい――扱えるわけないだろぉぉぉぉチクショぉぉぉぉ!!?」カサカサカサカサッ
ほむら「とった!!」ズガンッ!
QB「けぺっ」パァン!
QB「な、何だってボクがこんな目にぃぃぃぃぃぃ……」トテテッ
ほむら「今回しぶといわ……みんな、作戦通りに」ホムッ
「「「「「ラジャ」」」」」ホムッ!
杏子「……いや良いんだけどさ。良いんだけどさ。何このノリ……」ハァ…… <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/02(金) 23:37:15.30 ID:lfaCd2HAO<> ――――
QB「はぁはぁ……やっと逃げ切ったよ」きゅっぷい
杏子「……やるか」ハァ
杏子「お、キュゥべえじゃねぇか。こんな所で何してんだ?」タタッ
QB「あ、杏子かい? キミこそこの街にいるなんて珍し――」クル
杏子「おおっとつまずいて転んじまってキュゥべえにアタシの人体で一番鋭利な肘がめり込んじまったー(棒)」ズギュルッ!!
QB「ぬぇぺっ」パァンッ
杏子「だ、大丈夫かキュゥべえー(棒)」
QB「うっかりで殺さないでおくれよ。余り余裕がないんだからさ」
杏子「わー、新しいキュゥべえが来たー。どういう事なんだー?(棒)」
QB「かくかくしかじか」ドヤァ
杏子「(うわ腹立つ)」イラッ
QB「――そうだ。そんな事よりキミにお願いがあるんだ……ある魔法少女がボクを殺そうと付け狙っているんだ」
QB「無駄極まりないから、ボクを守るがてら説得をお願いできないかな?」きゅっぷい
杏子「ふーん。よーし分かった任せろー(棒)」
杏子「あ、つまずいて(略)」ズギュルッ!
QB「コポゥ」パァンッ
QB「……何か肘に人為的な捻りを感じたんだけれど、気のせいだよね?」
杏子「まさかー(棒)」ヒョイ
杏子「しっかしキュゥべえは可愛いなー(棒)」ギュムム……
QB「ちょっ、苦し――」パァンッ
杏子「あ、キュゥべえ爆ぜた」
QB「ダメだこの子間違いなくグルだうわぁぁぁぁぁぁぁぁ」ダッ!
杏子『三匹ー』テレパッ
ほむら『グッジョブ』テレパッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/02(金) 23:39:29.64 ID:lfaCd2HAO<> ――――
QB「あんな怠惰な目で殺されちゃかなわないよ……」ハァ……
織莉子「あら、キュゥべえ。どうしたのかしらこんな所で」フワリ
QB「織莉子かい? キミは余り出歩くたちじゃなかったと思っていたよ」
織莉子「私だって、たまには散歩したくなる時があるわ」フフッ
織莉子「……そうだ。キュゥべえ、私これから家でお茶にしようと思うんだけど……一緒にどうかしら?」ニコ
QB「む」ピコーン
QB「(これは保護を受けるまたとない機会だね。落ち着いて話すためにも……)」
QB「じゃあ、ご一緒させてもらうよ」きゅっぷい
織莉子「喜んで」ニヤリ
――――まどか宅、朝
まどか「っ」ガバッ!
まどか「…………」キョロキョロ
まどか「夢オチかぁ……」ハァァァァ…… <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/02(金) 23:41:25.54 ID:lfaCd2HAO<> ――――
QB「どチクショぉぉぉぉぉぉ!!織莉子とキリカも信用出来ないよ!!」ダダダッ
QB「今日だけで10000体はやられたよ全く……」きゅっぷい……
QB「……ん? 強い力を持った子がいるようだ。接触してみよう――」
ほむら「」グポーン
QB「ちょっ、今明らかにモノアイのぐはぁ」パァンッ
QB「(ボクに安息の日は訪れるのでしょうか……)」トオイメ
――――登校。煌めく朝日。
さやか「よっ、まどか」ヨッ
仁美「おはようございます、まどかさん」ペコ
まどか「おはよー、二人とも」ニッコリ
さやか「お、リボン変えた?」
まどか「あ、うん。どうかな、派手過ぎない?」テレリ
さやか「いやいや、いいんじゃない? 仁美さん、まどかが遂に色気づきましたよ」ニヤニヤ
仁美「あらあら、それはそれは」ウフフ
まどか「ち、ちがうよぉ」アセアセ
さやか「知ってるー」ニヤニヤ
まどか「もう、さやかちゃんったら」プクー
さやか「はっはー、そう怒るな怒るなって」ポンッ
さやか「本日は晴天、今日も平和な一日が始まりますよ!」ワー
さやか「ね?」ニッ
まどか「――うんっ」ニコッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/02(金) 23:43:13.05 ID:lfaCd2HAO<> ――――学校、ホームルーム
早乙女「ゆで卵は半熟か完熟か……はい、中沢君!」
中沢「食べさせたい人の事を心から考えて、その人の好きな方を出します」フゥ
中沢「それくらいでまさかお別れになられたんですか? なら、先生の中でもその程度だったのでは?」キリ
早乙女「……それともうひとつぅ……」ウルウル
まどか「(半泣きだ)」
さやか「(半泣きだね)」
仁美「(半泣きですわ)」
早乙女「転校生を紹介します。暁美さん、入って」
ほむら「はい」ツカツカツカ
まどか「――あの子、夢の中で」
さやか「お、なになに? まさか前世からの恋人かぁ?」
まどか「――殺された、ような」
さやか「なにそれ物騒」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/02(金) 23:44:34.74 ID:lfaCd2HAO<> ――――いつものように。
ほむら「ごめんなさいね。少し貧血がきたみたい……みんなに迷惑をかけてもいけないし、保険室で見てもらうわ」カタッ
「あ、なら私が――」
ほむら「構わないわ。貴女に迷惑でしょう? 保健係の人に頼むから……」キョロキョロ
ほむら「保健係は……誰かしら?」キョロキョロ
まどか「あ――」ピクッ
ほむら「…………」チラ
ほむら「(……まどかもまどかで、こうして見ると……彼女は臆病過ぎたのね)」
さやか「お、まどか。付いてってやるの?」
まどか「あ、えと……」ワタワタ
ほむら「……」フゥ
ほむら「もしかして、貴女が保健係?」ファサッ
まどか「え、あ、うん」コクッ
ほむら「戸惑ったような顔をしていたから……保険室に案内してくれないかしら」ニコリ
まどか「う、うん。分かったよ」
「暁美さんってカッコイイよね……」
「なんだか包容力って言うか、私たちを良く見てるっていうか」
「人付き合いに慣れてる感じ」
「そう、それそれ!」
「美人で気が利くってチートだよ……」
まどか「う、うぅ……」
ほむら「……」クスッ
ほむら「お願いするわね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/02(金) 23:46:35.57 ID:lfaCd2HAO<> ――――初対面と、友達
まどか「……」テクテク
ほむら「……貴女の名前は、何と言うのかしら?」
まどか「あ……鹿目まどかだよ」
ほむら「良い名前ね。改めて、暁美ほむらよ。ほむらで構わないわ」ニコ
まどか「じゃ、じゃあ私もまどかで……」
ほむら「分かったわ、『まどか』」
ほむら「あぁ……とても素敵な響きだわ」ホゥ……
まどか「て、てれるよぅ……」テレテレ
ほむら「ふふっ……」テクテク
まどか「こっちだよ」トテトテ
ほむら「……少しだけ、良いかしら?」ピタ
まどか「……? ほむら、ちゃん?」キョトン
ほむら「貴女が、もし誰かを助けられるとしたら――貴女はどこまで懸けられる?」
ほむら「助けなければ死んでしまう……そんな知らない誰かの為に、貴女はどこまで失える?」
まどか「え――」
ほむら「お金? 名前? 家族? それとも――命?」
まどか「し、心理テストかな……?」アハハ
ほむら「真面目な話よ」
まどか「……その人が死んじゃうなら――うん、私、命だって懸けるよ。きっと」
ほむら「そ」ニコ
ほむら「なら構わないわ。変な事を聞いてごめんなさいね」クスリ
ほむら「(やっぱり……変わってないわね。まどか……)」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/02(金) 23:47:04.02 ID:lfaCd2HAO<> 投下終了。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)<>sage<>2011/12/02(金) 23:50:00.13 ID:QkEROSfXo<> 乙。何このチートほむほむ最高や <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮城県)<>sage<>2011/12/02(金) 23:51:39.83 ID:q/sWJie6o<> 乙乙
何かまどかさんがやばい部分を夢見てらっしゃる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/12/03(土) 00:07:39.33 ID:gal1OAD0o<> にじみ出る「エロは金輪際出しませんよ」臭
いいぞもっとやれ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/12/03(土) 00:52:56.17 ID:IfGWcIdzo<> 1日で10000体ってすげーペースだな! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県)<>sage<>2011/12/03(土) 00:56:27.13 ID:8R4tnE4+o<> 睡眠時間を8時間として活動時間は16時間
16時間を秒数換算すると57600秒
一体に付き5秒ちょいで余裕だな
睡眠時間を減らして20時間で72000秒ならもうちょっと余裕も出来るしな
まとめて殺した場合はもっと早くなるな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/03(土) 01:43:12.82 ID:562YcJMEo<> 24時間まるまる使って1分で6体強か
QBは機動力高いから1秒に3体の使い魔を余裕で防げる
マミさんくらいの身体能力にならないと瞬殺はきついぞ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道)<>sage<>2011/12/03(土) 22:24:20.10 ID:sb06N41Wo<> ほむほむ「いつから1日が24時間だと錯覚していた・・・?」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/12/04(日) 12:10:48.90 ID:k5myyfsHo<> 6人で10000体なら、一人あたり1600〜1700体だろ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/12/04(日) 13:08:15.44 ID:M05N7L2jo<> >>843
ベイベベイベ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)<>sage<>2011/12/04(日) 14:33:14.89 ID:9Mq7wm840<> (1)まず、まどかを囮にする
(2)QBが雲霞のように現れる
(3)殲滅する
ceron.jp/url/www.nicovideo.jp/watch/sm15319898
(4)このように、5分で十数体のQBを一掃する事が可能なのだ!!
「完璧(パーフェクト)だ、ウォルター」「感謝のきわみ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 02:28:33.04 ID:0g1pJ2eAO<> 投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 02:29:57.24 ID:0g1pJ2eAO<> ――――そして少女は世界と出会う。何も知らず、自分が何者かも知らず。
さやか「まどかー、今日CDショップ寄りたいんだけど良い?」
まどか「うん。上条君?」ウェヒヒ
さやか「まーね。恭介も元気ないし……少しでも良くなってほしいから」フー
仁美「……私は残念ですが、習い事がありますので」
さやか「あー……仁美は大変だねぇ。んじゃ、行きますか――」
ほむら「ごめんなさい。ちょっといいかしら?」ホム
さやか「ん、転校生?」
ほむら「私も付いていっていいかしら、美樹さやか」ホムッ
さやか「お、転校生も音楽に興味あるのかー?」オォ
ほむら「少しばかりバイオリンを嗜んでいるから……迷惑かしら?」ホムゥ
さやか「へぇっ、バイオリンできるんだ! そりゃちょうど良いや、恭介も喜ぶかも……」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 02:31:01.66 ID:0g1pJ2eAO<> ほむら「恭介?」
さやか「あ。ほら、休んでるのいたじゃん。アイツだよ」
さやか「見滝原のバイオリン天才少年って有名だけど……知らない?」
ほむら「みっともないけれど、世情には疎いのよね……どうやら休んでる理由があるようだけれど」ホムム
さやか「いやぁ、恭介は事故で今手を怪我しててさ……なら、一緒にお見舞いとか来ない?」
さやか「恭介、落ち込んでるから……同じ事で話せる人ならきっと気分も良くなると思うし」ポリポリ
ほむら「なら、喜んで。天才少年というのにも、興味があるし」ホムリ
まどか「じゃ、今日はみんなでお見舞いだね」ティヒヒ
さやか「さて、じゃ行きますか! 私、さやか。よろしくね」
ほむら「ほむらで良いわ。よろしく」ホムッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 02:31:50.49 ID:0g1pJ2eAO<> ――――CDショップ
まどか「あ、これ良いかも」
『助けて――』
まどか「えっ?」キョロキョロ
まどか「誰……?」
『助けて、まどか……』
まどか「誰か、呼んでる……?」タタッ
さやか「ん? まどか、どこ行くのさー?」タッ
ほむら「……使い魔をダシにしたわね」ダンッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 02:32:50.70 ID:0g1pJ2eAO<> ――――廃屋
まどか「この辺りから声が……」タタタッ
「来てくれたんだね、まどか!」きゅっぷい
まどか「……猫が喋ってる!?」ビクッ
QB「ボクは猫じゃなくて、キュゥべえだよ。ボクはキミにお願いがあるんだ」
QB「ボクと契約して、魔法少女になってほしいんだ」
まどか「魔法……少女……?」
QB「そう。魔女を狩り、人々を守る為の存在……ふむ、マズイね」
まどか「ど、どうしたの?」ビクビク
QB「魔女の使い魔がキミを捕捉してしまったようだ……早く契約をしなければ――キミは死んでしまうだろう」
まどか「ど――どういう事? 魔女って何!?」
QB「そうだね……キミたち風に言うなら――」
使い魔「――――」ワラワラ
QB「化け物、かな?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 02:33:57.81 ID:0g1pJ2eAO<> ――――世界は彼女に残酷な初陣を強いる。それは不幸か、それとも。
ほむら「――っ」
結界。
薔薇の魔女の使い魔のモノだろうと推測できるが――まどかを見失ってしまった。
さやか「わ、わわっ。なんだコレ……景色が変になってく!?」
さやかが予期せぬ事態に狼狽える。
それすら、ほむらには新鮮に感じた。
ほむら「(――いや、マミが向かっているわね)」
マミが近くに張っていたらしい。
まぁ、確かに初心者に適当なのは彼女だろう。
ほむら「早くまどかを探しましょう。良くない事が起こるわ」
さやか「良くない事って――わっ、なによコイツら!?」
見れば、回りを髭面の使い魔に囲まれていた。
ほむらはその様子に違和感を覚える。
使い魔たちはとても攻撃的な雰囲気を持っていた。
あの使い魔はそこまで乱暴な性質では無かったはずだが。
使い魔たちがハサミを持って切り刻もうと飛び掛かって。
さやか「わ、わぁっ!?」
さやかが頭を抱えて踞る。
だが、暫時経っても何も起こらず。
恐る恐るさやかが目を開けると、そこには―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 02:35:17.39 ID:0g1pJ2eAO<> ほむら「いきなり秘密がバレてしまったわね。クラスの皆には――」
美しいと描写すべき、芸術の髄を凝らした宝剣――いや、宝銃剣を携えて使い魔たちを薙ぎ払った、暁美ほむらがそこにいた。
紫紺の衣は現実を離れていて、さやかは本能的に気付く。
自分は――非現実に足を踏み入れたのだと。
ほむら「内緒よ?」
ほむらはさやかの手を取って走り出した。
さやか「ほ、ほむら?」
ほむら「私から離れないで」
ほむらは時折さやかの手を離しては、踊る様にその――現代の如何なる武器より異質な――銃剣を振り回す。
その度に、使い魔は裂けた。
さやか「な、なんなのよコレ――」
彼女はまだ、魔法少女を知らない。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 02:36:15.87 ID:0g1pJ2eAO<> ――――迫り来る使い魔
まどか「ひっ……何、コレ!?」
使い魔「――――」
鋏を手に、抵抗の術の無いまどかに近寄る使い魔たち。
QB「早く契約を――このままではキミは……」
「まぁ待ちなさい、キュゥべえ。女の子を急かす男子は嫌われるわよ」
その使い魔は、乱入の魔法少女の銃弾によって幾つか爆発した。
優雅に降り立ち、まどかを振り返る。
まどか「あ、あなたは……?」
「私? 私はね――」
マミ「見滝原中学の三年生、魔法少女の巴マミよ」
こうやって笑いかけるのも三度目だったろうか。
マミ「色々話したい所だけれど、その前に――」
不敵に不適な笑み。
マミ「ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら――」
――――
ほむら「(マミ、気を付けなさいよ。嫌な予感がするわ――)」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 02:36:42.59 ID:0g1pJ2eAO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/05(月) 02:54:14.26 ID:AznDQmiDO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)<>sage<>2011/12/05(月) 03:12:48.78 ID:x5yK7Z8AO<> 乙
周回の影響で何が変わったか… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/12/05(月) 03:24:50.88 ID:/bqWhAwqo<> 残機1桁かもしれんがQBはまだ猫モドキでいられるのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/12/05(月) 07:08:55.39 ID:kPGuFo+Fo<> お疲れ様でした <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:04:41.76 ID:0g1pJ2eAO<> >>825
知らない。けど、似てるって事は先人の偉大さを感じる。
ほむらにかかればコンマ単位での処分だってゲフンゲフン。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:05:49.53 ID:0g1pJ2eAO<> ――――そう。それはかつての全てを越えていて。
マミ「――くっ。貴女、下がって!」
まどか「は、はいっ!」
マミが10秒程度の戦闘で判断した安全策だった。
取るに足らないはずの使い魔が、しかし恐ろしい程に強力で。
マミ「(どういう事……こんなはずじゃ――)」
QB「マミ、気を付けるんだ。どうやらなかなかに強力な使い魔のようだよ」
マミ「分かってる!」
使い魔の鋏がマミの持つマスケットとぶつかり、マスケットは両断される。
マミ「数が多い……」
マスケットを召喚し、自動的に発射される弾丸が使い魔を弾き飛ばす。
――硬い。
マミ「火力もっ……、足りない……っ!」
撃てども撃てども数を減らすどころか、仲間を連れて寧ろ増える有り様。
まどか「きゃぁぁっ!?」
悲鳴に振り返ると、まどかの周囲に近寄る使い魔の群れが。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:07:21.82 ID:0g1pJ2eAO<> マミ「くっ……」
天秤に掛けるのは、ほむらの助言。
ほむら『マミ。くれぐれもキュゥべえには、私たちの手を見せないでほしいの』
ほむら『私たちが真に仲間だと分かれば、キュゥべえがどんな行動を取るか皆目見当が付かない』
ほむら『無いとは思うけれど、まどかを諦められて雲隠れされたら、私たちは失敗してしまうわ』
ほむら『余り半魔女化も使わない方が良いわね』
マミ「情けないわ……まさか一番最初にバレるのが私なんて」
マミの背中にマスケットの翼が生え、両の腕にガントレットを身に付ける。
リボンが虚空から現れて、まどかの回りに檻を作った。
しばらくはコレで安心だろう。
まどか「コレは……?」
QB「――マミ、その姿は一体?」
ちょっとだけ、全力。
マミ「ねぇ、あナた。名前ハ?」
意識をしっかり保ち、絶望に傾き過ぎないように、マミは話しかけた。
まどか「か、鹿目。鹿目まどかです……」
マミ「そう。いイ名前ね」
空の視界を埋め尽くす程度のマスケットを召喚し、マミは一つ、まどに願う。
マミ「目を瞑っていてクれなイかしら。余り見せるモのじゃナイから」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:09:15.35 ID:0g1pJ2eAO<> 点火。
圧倒的な火線が空から降り注いでなお全滅しない使い魔たちに、マスケットを両手に銃と打撃を捻りこんでいく。
マミ「フフッ」
とても暴力的な、孤独の呪いだった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:10:23.20 ID:0g1pJ2eAO<> ――――だが決して彼女は独りではなく。
走り、使い魔を斬り抜けているほむらの、そのソウルジェムが魂の震えを感じ取った。
ほむら「――マミ」
それが表すのは、危機。
しまった――予測して然るべきだった。
私の今回の目的、そしてその目的の因果増幅について。
ほむら「急ぐわ、掴まりなさい!」
さやか「わ、わわぁっ!?」
さやかの足を払って腕の中に抱え込み、そして時を止めた。
世界は灰色になり、全てがほむらに平伏す。
さやか「す……すごい」
ほむら「舌を噛むわよ!」
ほむらは余った魔力を身体強化に回して全力で駆けた。
彼女の元にはまどかとキュゥべえがいるはずだ。
杏子とゆまは別件で手が離せないし、織莉子とキリカは遠出で魔女狩りだ。
――仮説がどこまで有効なのか知らないが、織莉子達も危険ではないのだろうか。
死ぬ事は無いだろうが、心配だ。
今晩は皆を招集しなければ。
ほむら「上手くはいかないモノね……全く」
さやか「ほ、ほむら。これは一体何なの? アイツらは一体……?」
ほむら「後で話すわ。それに……」
さやか「?」
ほむら「貴女なら、きっと親切な白い獣が教えてくれるわよ」
ただ、今は駆けるのみ。
マミを失う訳には――もう誰も、失う訳にはいかないのだから。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:15:52.74 ID:0g1pJ2eAO<> ――――
まどか「な、何、アレ」
目を閉じろ。
そんな簡易な命令のみで、しかも初対面の人間が聞くはずがない。
まどかは見た。
目の前の化け物より化け物染みた、巴マミと名乗った女性を。
QB「どうしたんだいマミ、キミらしくない戦い方じゃないか?」
インキュベーターの言う通り、かつて巴マミは戦果より見栄えを優先する傾向があった。
だが今は、今の彼女は――より自らの祈りに近い存在だ。
生きたい。死にたくない。
其れは生命が生命たる為の望みであり、希望であり、願いだ。
他の何物にも変えられない純粋なソレが――彼女を生存させるだろう。
少なくとも、今は。
彼女が死ぬのなら――それはあの時の様に、因果に絞め殺される時だけなのだから。
マミ「アァァァッッ!!」
背中の翼が分解し、円陣を組んで周囲を撃ち払う。
飛び掛かってきた使い魔はマスケットで殴り飛ばし、しかしそのマスケットは砕けて片手が空いてしまった。
マミ「ハハハッ!」
その片手で棘にまみれた鋏を鷲掴みにする。
ガントレットは、傷付かない――
使い魔を引き寄せ、頭を掴み直して。
まどか「――っ」
地面に叩き付けて、頭部が砕け散った。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:16:35.86 ID:0g1pJ2eAO<> 笑顔には、狂気すら垣間見えて。
QB「ふむ。これは興味深いね」
だが一撃、マミの肩を斬り裂く鋏。
それを皮切りに、次々と小さな被弾を繰り返すマミ。
マミ「くっ……まダ――」
更に絶望(しゅつりょく)を増加させようとした所に、空から時が――降ってきた。
ほむら「…………」
まどか「ほむらちゃん!?」
QB「暁美ほむらか……」
ほむら「ほら、降りなさい」
さやか「わわっ……まどか、無事だったんだ」
さやかを下ろして、使い魔に目も向けず――マミと相対する。
何とまぁ、泥仕合をさせられたモノだ。
マミ「――暁美さ」
マミの呼び掛けは、ほむらが高らかに鳴らした指によって遮られる。
その軽く、かつ響く音でマミは正常な精神を取り戻した。
そしてそれは、茶番の合図。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:17:13.05 ID:0g1pJ2eAO<> マミ「――暁美ほむら……何をしにここへ?」
ほむら「あら、無様に倒れる貴女を見物しに来たと、分からないのかしらね?」
そう。舞台の上で演じるは不仲。
世界を今暫く騙す為の、演技。
さやか「ほむら……?」
ほむら「助けてあげましょうか? 貴女一人では荷が重いのではなくて?」
マミ「誰が貴女なんかに……」
ソレは演技と言うには、余りに完成していた。
だが、簡単な事だ。
かつての自分たちを思い出せるなら――それは実に容易。
ほむら「ならここで貴女はお陀仏ね。都合が良いわ」
まどか「――ほむらちゃんも、魔法少女なんでしょ?」
割り込んできた、か。
やはり貴女は優しいわね、まどか。
ほむら「えぇ、良く知っているわね」
まどか「……何で、マミさんを助けないの?」
使い魔がほむらに突進して、ソレは両断される。
話を邪魔しない程度の良識すら持ち合わせていないようで、嫌になる。
あぁ、良い機会だ。とても。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:18:06.84 ID:0g1pJ2eAO<> ほむら「誰かを助けるというのは簡単な事ではない」
ほむら「その人の全てを背負える覚悟がある者だけが、ソレを成して良い」
ほむら「まぁ、でも――確かにそうかしらね。助けないの、と言う疑問は確かに理に叶っているわ」
ほむら「何故なら私は――」
銃剣を器用に三回転、ソレを握り直す。
ほむらがこの一月の箱庭の為に容易した、宝銃剣『焔』。
通常状態では比較的微力な彼女を補佐する、過去の魔法を合成した最高結晶。
剣たりて、なお銃であるそれは――彼女の変化を如実に表していた。
他者に触れる事を恐れ、彼女は銃を取った。
――だが今は違う。
しかし、だからこそ、今は舞台の道化になろう。
ほむら「最高の魔法少女だから、ね」
ありったけ、不遜で、傲慢で、自信過剰で、かつ暴君とあれ。
それが世界を騙すのだから。
ほむら「巴マミ、背中を預けなさい」
マミ「……済んだら、消えてくれないかしら」
ほむら「喜んで」
そして二人は、最高に息を合わせて使い魔たちを討滅した―― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/05(月) 18:18:42.66 ID:0g1pJ2eAO<> 投下終了。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga sage<>2011/12/05(月) 18:20:41.77 ID:0g1pJ2eAO<> >>868
容易→用意 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/12/05(月) 18:22:35.56 ID:cIjDctnao<> 乙!!
リアルタイムで読めた嬉しい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/12/05(月) 18:26:34.89 ID:aHkhn6G/o<> なにこれカッコいい!
乙! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/05(月) 21:00:30.73 ID:EFIpZ+bSO<> ヤベェめちゃくちゃ面白い…。やっぱり知ってるキャラはいいね! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/12/05(月) 23:58:39.22 ID:FnNcO0+zo<> おつおつ
『焔』ってFF8のスコールさんの武器みたいのなのかな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/06(火) 01:53:00.36 ID:nT0XPeGIO<> おつー
このお話のマミさん大好き <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/06(火) 02:15:58.13 ID:OKJ0UUH/o<> 半魔女△ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)<>sage<>2011/12/07(水) 12:59:40.10 ID:tubnr0yAO<> >>874
ガンブレードという発想は無かった。
銃剣て書いてあるからてっきり普通の銃の先に「いかにも私が伝説です」って具合の装飾が施された剣がついてるのかと。
シュールだなーと思ってたわ。
しかし敵強化されすぎだろ、100rap超えたグリーフシンドロームみたいに使い魔相手でもティロフィナらないとやってられない状態なんだろうか。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 18:09:33.28 ID:b7cPateAO<> 投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 18:10:32.38 ID:b7cPateAO<> ――――嘆き悲しむにはまだ早く、運命を憎むには些か遅く。
ほむら「…………」クルクルクルクル、チャキンッ
マミ「随分と小器用なのね。手癖の悪さは一流って訳?」
ほむら「…………」クル
さやか「――ほ、ほむら!」
ほむら「……まどかと一緒にいてあげなさい。随分と怖い思いをしたようだから」……ニコ
フッ
まどか「消えた……」
マミ「ふう……キュゥべえもいけない子ね。無関係の子を巻き込むなんて」ハァ
QB「それはボクじゃなくて使い魔に言うべきだね」きゅっぷい
まどか「あ、あの……」
マミ「……そうね。これも私の役目だものね」
マミ「貴女たち、時間はあるかしら?」ニコッ
さやか「は、はい」
マミ「貴女たちも、もう無関係ではないから……伝えなければならない事があるわ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 18:11:39.43 ID:b7cPateAO<> ――――あの時、わたしがもっとつよければ。
ゆま「……ママ、泣いてるの?」オドオド
母親「――うるさい! 向こう行ってな!!」ドンッ!
ゆま「いたっ……ごめんなさい……」
杏子「…………」
ゆま『ゆまはこの時、まだ魔法少女じゃなかったから……』
ゆま『でも、やっぱりママはママなの』
ゆま『ゆまはもう、強いから。頑張れるから』
杏子「だからって、指を咥えてろってか……外から見てるだけなんてな」ジッ
QB「杏子」ヒョコッ
杏子「……キュゥべえか」
QB「望遠鏡を使ってゆまを覗くくらいなら、直接行ったらどうだい?」
杏子「そういう訳にもいかねぇんだよ。生憎な」
QB「ボクとしては、暁美ほむらと千歳ゆまは気になる存在だ。契約の記録は無いのに魔法少女なんだからね」
杏子「そうか」
QB「一人となれば、その者がイレギュラーとも考えられるけれどね。二人もイレギュラーが居るとは考え難い」
杏子「……だから?」
QB「分かっているんだろう、キミは。ボクはキミを――いや、キミたちを疑っている」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 18:12:27.45 ID:b7cPateAO<> QB「キミにゆまとの接点は無かったはずだ。キミをこの街に縛り付けるモノは一体何だい?」
杏子「……さてね。アタシは気まぐれなんでね」
杏子「(ちっ……厄介だな。ちと発破をかけとくか)」フム
杏子「(アタシの今の状況、所持する情報、キュゥべえの情報と合わせて――何を蒔く?)」
杏子「……いや、気まぐれって事もねぇか」
QB「やはり何かあるんだね?」
杏子「もうすぐワルプルギスの夜が現れるんだろ?」
QB「――何故ソレを」
杏子「さぁね。ほむらから聞いただけだから……でも、そんなヤツが来られちゃアタシだって困る」ゴソゴソ
杏子「それだけさ。ゆまは本当に気まぐれだよ」パキッ
杏子「くうかい?」スッ
QB「遠慮しておくよ」フム…… <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 18:13:27.62 ID:b7cPateAO<> ――――そして。
ゆま「(――きた)」
母親「な、何よコレ!?」
魔女「――――」
あの時と同じ様に、魔女は同じカタチで現れた。
母親に覆い被さる様に近づいてくる。
母親「ひぃ――!?」
ゆま「させないよっ!」
それをハンマーで殴り倒すゆま。
魔女は案外あっさり吹っ飛んでくれた。
手応えに欠けるが、今は感謝すべきだろう。
何度も何度も魔女を殴って殴って殴って――魔女はようやく息絶えた。
ゆま「やった……ゆまにもできたんだ!」
変身を解いて母親に向き直る。
未だに恐怖の表情が張り付いていて、ゆまはそれが何だか可笑しかった。
ゆま「もう大丈夫だよ、ママ!」
母親「ひっ」
ゆまが一歩近寄ると、母親は一歩後退りする。
また一歩、また一歩。
母親「い、居なくなれ化け物……全部、全部アンタのせいよ!!」
冷たい何かが、腹の底に溜まるようだった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 18:14:46.64 ID:b7cPateAO<> 母親「そう、そうよ……アンタは化け物だったのよ。どうりでアタシは幸せになれなかったのね」
母親「死ね! 死ね! 消えろ! 居なくなれ!」
何でか分からないけれど、顔を上げる事は出来なかった。
涙は目に溜まるが、決して溢しはしない。
ゆま「ママ」
母親が言葉を失った。
威圧でも何でもなく、ただ恐怖から。
ゆま「ゆまね、もうとっくに死んでるの。だから、ごめんなさい」
ゆま「生んでくれてありがとう。だいすきだよ、おかあさん」
ゆまは母親の顔を見ず、背を向けて――魔女の結界を砕いた。
世界は元通りに組み直される。
もう、行こう。
ゆまは自分の足で、歩き出した。
小さな身体で、成熟せざるを得なかった精神を抱えて。
彼女が『生きた母親』を見る事は、もう無いだろう―――― <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 18:15:55.14 ID:b7cPateAO<> ――――彼女がこの居場所を望んだと言うのなら、それはしかし。
ゆま「…………」
杏子「……おかえり」ポムッ
ゆま「…………」
杏子「……くうかい?」
ゆま「…………」
杏子「……おいで」ギュッ……
ゆま「……――うぅ」ギュゥゥ……
ゆま「うっく……うぁぁぁ……」
杏子「…………」
杏子「(……そりゃそうだ。誰だって、親に愛されたい)」
杏子「(私だって――)」
ゆま「う――うわぁぁぁぁぁぁ、あぁぁぁ、ぁぁぁぁ……」
杏子「(何で――『愛している』の一言が言えない? 何故、我が子を愛せない?)」
杏子「(主よ……コレが貴方の望む母子像なのですか? だとすれば、私は貴方を信じられなくなります)」
杏子「(この腕の中で泣いているこの子が、何をしたと言うのですか)」
ゆま「あぁぁ……おかあさん、おかあさん……うぁぁぁ……」
杏子「……私はずっと、お前と居るから」
杏子「(……下らない。神なんていない)」
杏子「(アタシの神は、アタシだけだ――他の何でも、他の誰でも無い)」
杏子「(アタシが――)」
杏子「チクショウ……」
ゆま「キョーコぉ……キョーコ……」
杏子「あぁ、いる。ここにいるぞ」
杏子「ここにいるから――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 18:16:31.02 ID:b7cPateAO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/12/07(水) 18:17:29.96 ID:9LjIIIuC0<> 乙乙
吊っちゃだめよん <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>sage<>2011/12/07(水) 18:21:22.73 ID:b7cPateAO<> >>886
へぁぁぁぁ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/07(水) 18:23:46.33 ID:tUjXwzNoo<> 東の果ての魔法少女なんてキリスト教側から見れば悪魔でしかないよな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/12/07(水) 18:33:21.37 ID:P2g7zS+to<> よく魔女化しなかったもので
そこは漫画版を踏襲してはるんですかね
つか過去編でやったことって一ヶ月編に対して意味のあるものだったの?
あそこから再ループおはようさぎ病院スタートでも違和感なかった気が <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/12/07(水) 18:34:27.97 ID:9LjIIIuC0<> それにしてもクライマックスに向かっていってる感じで盛り上がるが
終わってしまうのが寂しい気持にもなるね。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 22:11:59.64 ID:b7cPateAO<> ハイペース。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 22:12:48.72 ID:b7cPateAO<> ――――真実を知れば結果は変わるのだろうか。いや、変わら『無』い。
まどか「そんな……じゃあ魔法少女って」
マミ「えぇ、いずれはみんな魔女になるわ」ズズ……
さやか「……なんで、そんな呑気に紅茶なんか飲んでられるんですか」
マミ「救いを求めているからよ」
マミ「例え目の前に絶望しかなくとも、ソレを受け入れてしまえば――本当に絶望してしまう」
マミ「信じていれば、少しくらいは叶うかもしれないでしょう? だって、私たちは魔法少女なんだもの」クスッ
まどか「…………」
さやか「…………」
マミ「……貴女たちにも素質はあるわ。それは間違いない」
マミ「でも、決めるのは貴女たち自身よ。この運命を受け入れる代わりに、願いが叶う」
マミ「どんなに理不尽でも、どんなに不可能でも、それは奇跡というカタチで実験するわ」
マミ「ソレを止める資格も、私には無い。だけど覚悟はしてほしいの」
マミ「本当にその願いは正しいのかどうか、良く考えて。分かったかしら?」カチャ……
まどさや「――はい」
マミ「よろしい」ニコ
マミ「……まぁ、もしかすると鹿目さんは、暁美さんから話があるかもしれないけれど」ハァ
まどか「え?」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 22:14:29.08 ID:b7cPateAO<> ――――淡い恋心は年相応。来る不幸は不相応。
さやか「奇跡か……何で私なんだろ」
さやか「特に願いなんてないし……そういうのは不幸せな人に割り振られるべきじゃん」テクテク
さやか「そう、そうだよね……」
ガラッ!
さやか「やっほー恭介、さやかちゃんがお見舞いに来てやったぞー」ワハハ
恭介「やぁ、さやかじゃないか。良く来たね」
さやか「今日もCDの差し入れがあるのだよ恭介くん」ニッ
恭介「いつも悪いね……一枚貸してくれないかい?」
さやか「うん。はいこれ」スッ
恭介「――わぁ。さやか、これはなかなか珍しいモノだよ。早速聞くとしようかな」パチッ
さやか「うんうん」ニヘラ
恭介「ほら、さやかもどうだい? イヤホン」スッ
さやか「あ、う、うん」スポ
恭介「…………♪」
ススッ……
さやか「…………」カァァ
恭介「…………っ」ツゥ……
さやか「っ」ピクッ
さやか「(恭介の左手……コレだってそうだよ。奇跡が起こるなら、恭介の方がずっといい)」
さやか「(恭介……)」スッ
ギュッ
恭介「――さやか?」
さやか「…………」
恭介「……済まないな。そんな顔をさせたかった訳じゃないんだ」ナデ
さやか「……きっと治るよ」
恭介「勿論さ。治ってもらわなきゃ困る」グッ
さやか「……うん」ニコ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 22:15:47.83 ID:b7cPateAO<> ――――昼休み、憩いの空。屋上の日差し。
マミ「あ、来たわね」ピクッ
さやか「?」キョトン
まどか「誰がですか――って」ドキッ
「誰かしら?」ダーレダ?
マミ「暁美さん、でしょ?」クスッ
ほむら「あら、つまらないわ」ホムン
まどか「あれ……?」
さやか「やっぱり。何か変だと思ってたんだ」ナルホド
まどか「え? え?」ワタワタ
ほむら「さやかは鋭いわね」ホムリ
さやか「いやー、だって急に態度変わるんだもん。そりゃ変だと思うって」アハハ
ほむら「それもそうね……マミ、キュゥべえは?」
マミ「……近くにはいないようね。大丈夫よ」
ほむら「らしいわ。みんな良いわよ」パチンッ
ザザザザッ! <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 22:17:23.10 ID:b7cPateAO<> まどか「わ、わわっ!?」ドキンッ
さやか「あ、あなたたちは?」
杏子「……っ」ズキッ
杏子「佐倉杏子だ。こっちも話は聞いているよ。見ての通り魔法少女だ」
ゆま「千歳ゆまだよ」ニパッ
織莉子「美国織莉子よ」ペコ
キリカ「呉キリカだ。よろしく、恩人」ニッ
さやか「恩人……?」アタシ?
ほむら「キリカ」
キリカ「あぁ、そうだったね。全く、キミはこんな面倒な事をよくもまぁ長々とやってこれたもんだ」ヤレヤレ
ほむら「さて、面子も揃った所で――本日のメインから話しましょうか、鹿目まどか」
まどか「……へ? 私?」
ほむら「そうよ。これから私がするのは、突拍子も無い夢物語と区別が付かない話」
ほむら「それでも良ければ……聞いてほしいの」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 22:19:43.65 ID:b7cPateAO<> ――――長い長い、短い話。
まどさや「…………」アゼン
ほむら「……というわけ」
杏子「今日会って間もないだろうけど、嘘は言ってないと思うよ」
マミ「信じられないのは分かるわ……でも、真実なの」
まどか「私が……世界を、救った?」
ほむら「えぇ。そして今回――貴女の協力無しでは、ワルプルギスの夜を越えることは出来ないと言っていい」
ほむら「貴女の協力が必要なの……こんな事、頼める立場では無いのだけれど」
まどか「……ねぇ、ほむらちゃんは――私を殺したんだよね?」
ほむら「……えぇ。色々な原因があって、色々な結果があったわ」
まどか「……うん、信じるよ。嘘を吐くなら、そんな事隠すはずだから」
ほむら「こんな話を、そんなにあっさり――」
まどか「ううん、私にだってわかるよ。今の話が『こんな』で済まされない話だって」
まどか「でも、随分勝手な人だったんだね」プンプン
ほむら「そう。私は自分勝手で独り善がりの愚図だった――」ククッ
まどか「……そんな風に笑うのも、辛くないの?」
ほむら「…………」
まどか「今の私はほむらちゃんの事を全然知らないけれど……私は、ほむらちゃんに心から笑ってほしいな」ニコッ
ほむら「それは……っ、ワルプルギスの夜を越えるまでお預けだから」
まどか「うん。じゃあ、私、お手伝いするよ」
まどか「今ここにいない、キュゥべえを助ける為に、ね」
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/07(水) 22:20:17.57 ID:b7cPateAO<> 投下終了 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東)<>sage<>2011/12/07(水) 22:56:20.55 ID:2rWikJdAO<> 乙過ぎっぞ!
しかしまあ、なんだ……
実際にほむほむのしてきた事見てきた事全部説明しようとしたら
7、8時間はかかるよなあ……
やろうと思えば24時間語り続けられるかもなぁ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/12/08(木) 01:23:34.18 ID:4B9XCyFzo<> なかなかのハイペース
楽しみだが無理はしちゃだめだぜ
バカエロも過去編も今も楽しんで見てるC <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/08(木) 21:16:46.25 ID:E41IHoxC0<> 「全てを説明する事は出来ないのよ、まどか。恐らくは全てを言葉にしようとすると、永劫の時間が流れてしまうの」
「つまり、かくかくしかじかきゅっぷいぷいなんだね?」
<>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:26:08.29 ID:5GJM93LAO<> 投下開始 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 12:27:29.96 ID:jrgytP5AO<> 待ってた <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:27:38.27 ID:5GJM93LAO<> ――――
さやか「いや、何か着いていけてないんだけどさ――」タラー
キーンコーン……
ほむら「あら大変。予鈴が鳴ってしまったわ」
「そうだね、早くしなければ授業に遅刻してしまうよ」
「っっっ!?」ドキッ
QB「どうかしたかい、そんなに驚いて」
織莉子「インキュベーター……」
ほむら「落ち着きなさい」ホム
ほむら「盗み聞きとはいやらしいわね、インキュベーター。『どこまで聞いた?』」
QB「ボクが判断できるのは、キミたちが何か内緒話をしてたって事くらいかな」
QB「織莉子やマミまでキミの仲間だとは思わなかったから、一応収穫はあったよ」きゅっぷい
ほむら「そう」ホッ
ほむら「行きましょ。昼過ぎ早々、教師の小言を貰うのは御免だもの」ホムッ
杏子「じゃ、アタシらは撤収するかねぇ」ザッ
まどか「え、そういえばあの子たち……学校は?」
ほむら「細かい話は後よ。さっきの私の話だって、かなりかいつまんでいるのだから」
まどか「う、うん……」
ほむら『放課後』テレパシー
杏子『あい分かった』テレパシー
シン――――
QB「……『ボクを助ける』とは、どういう意味だろう……ボクは何にも困っているわけではないのだけれど」? <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:29:52.13 ID:5GJM93LAO<> ――――夕焼け空の帰り道
ほむら「…………」ツカツカ
まどか「……うぅ」テクテク
さやか「うーん……」スタスタ
QB「…………」テチテチ
ほむら「何故着いてくるの」ホムム……
QB「まどかと契約をしたいのさ。彼女はとても素晴らしい力を持っているからね」きゅっぷい
ほむら「はぁ……まどか、ちょっと」チョイチョイ
まどか「何、ほむらちゃん?」ススッ
ほむら「――――」ゴニョゴニョ
まどか「うん、うん、分かった。やってみる」
まどか「キュゥべえ。私、契約するよ」
QB「――本当かい?」
まどか「うん。でも、それはワルプルギスの夜が来るまで待ってくれるかな」
QB「確かにまどかの力なら、ワルプルギスの夜と戦う上で一番効率が良いだろうね……分かったよ」
まどか「でもね、私って付きまとわれるのは嫌いなの。だから、私が呼んだ時以外は近くに居ないでほしいな」
まどか「じゃないと、契約したくなくなっちゃうよ?」ティヒヒ
QB「……ソレは困る。分かった、キミには近付かないよ」タタッ
QB「じゃあね、まどか」
まどか「バイバイ」
まどか「……オッケー、かな?」
ほむら「グレイトよ、まどか」ホムッ
さやか「厄介払いが済んだとこで、どこに行くのさ?」
ほむら「巴マミの家よ。あそこは……暖かいから」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:31:42.31 ID:5GJM93LAO<> ――――憩いの茶会
ほむら「案外狭い」ホムッ
マミ「まぁ八人も居るから……」クス
杏子「あ、てめー……それはアタシのポッキーだぞ……返しやがれ!」パシッ、ポリポリ
キリカ「皆で食べた方が美味で旨いと思う訳だよ。失礼」パクッ、カリカリカリッ
杏子「っっ!? バッ、バカ野郎! 人が食ってる最中のポッキー食ってんじゃねぇよ!」ズザザッ
キリカ「うまー」ポリポリポ
織莉子「ダメよキリカ」ハァ
キリカ「む、嫉妬かい織莉子」ニヤニヤ
織莉子「そうよ」キッパリ
キリカ「う、む、まぁ、そう、か。そうだね、よろしくない、うん」カァッ
まどか「(ガチだ)」
さやか「(ガチな人がいる)」
ゆま「キョーコ」クイクイ
杏子「ん、どうした?」
ゆま「いや、しゃべらないと空気になっちゃうかなって」ユマーン
杏子「ごめんな……気を使わせてごめん」ルルー……
ほむら「……女姦姦女(かしまし)いわね」
マミ「読めないわよ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:34:04.75 ID:5GJM93LAO<> ――――お伽噺。
ほむら「さて、昼に概要は話したけれど」
まどか「うん。ほむらちゃんは未来から来て」
さやか「まどかが魔女になって」
まどか「助ける為に頑張ってて」
さやか「でも世界を救う為にやっぱりまどかが必要、だっけ?」
ほむら「大体あっているわ。今から話すのは、その内訳」
ほむら「何が原因で、ソレがどんな結果を引き起こしたのか……一人の愚か者の物語よ――」
――――無限の廊下に閉じ込められて、彼女を探す。見つけた彼女は、遥か遠くに。
ほむら「――そして貴女は居なくなった。未来は改変され、私は戦い続けるの。コレが一つの終わり」
まどか「……私の、最高の友達?」
ほむら「自信は無いし、少し照れ臭いけれど……あの時のまどかはそう言ってくれたわ」
さやか「アタシ、死ぬのかー……フラれて死ぬのかー……いや、普通に考えて有り得なくない?」ズーン
ほむら「魔法少女には致命傷よ。心の支えは大事なの」
――――しかし訪れた機会。だが仕損じる未来。
ほむら「――そして私は再び未来をさ迷うの。コレがまた一つの終わり」
まどか「…………」
さやか「…………」
ほむら「……責めてくれたっていい。私はそれだけの事をしたのだから」
さやか「……いまいちまだ実感湧かないけど、アタシ死にすぎじゃない? 正直信じらんないわ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:34:58.67 ID:5GJM93LAO<> ――――そして過去より過去の話。
ほむら「――そして世界は滅んで、彼女はひとりぼっち。幕はそこで下りたわ」
まどか「……こんなのって無いよ」
さやか「……つまり、総括するとほむらって酷いね」
ほむら「うぐ」ギクッ
さやか「みんなを利用してまどか助けようって腹で」
ほむら「ぐえ」グサッ
さやか「結局まどかは助けらんないし」
ほむら「うぎゅっ」グサグサッ
さやか「長生きしてソレってどうなの」
ほむら「…………」チーン
マミ「もうやめて! 暁美さんのライフはゼロよ!?」アセッ
ほむら「……いえ、さやかの言う通りよ。何も間違ってない」フルフル
まどか「……ほむらちゃんは、今、何がしたいの?」
ほむら「ここに居る全員が生きてワルプルギスを越える事よ。この……まどかのグリーフシードがあれば、キュゥべえを元に戻す事だって出来るはずだから」ホムッ
まどか「私すごい」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:35:31.76 ID:5GJM93LAO<> さやか「……ん? 順番おかしくない?」
さやか「キュゥべえの事を知ったのはソレを手に入れた後でしょ?」
ほむら「……手持ちのグリーフシードも無かったし、それでは勝てる見込みが無かったからよ」
杏子「(……さすがに言えやしねぇよなぁ)」
織莉子「(同じ理由で、鹿目まどかにも『概念』の事は話せない……因果はいずれ収束するとは言っても、少し不安ね)」
まどか「魔法少女かぁ……」
さやか「やっぱイマイチ分からないや」ウーン
マミ「……なら、体験してみるかしら?」
さやまど「え?」
マミ「街を守ってる魔法少女の姿を、見てみない?」ニコリ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:37:04.52 ID:5GJM93LAO<> ――――まどかとさやか帰宅
マミ「アドリブだったのだけど、悪かった?」
ほむら「いえ、構わないわ。慣れてもらう方がいいし……何よりさやかは、きっと戦力になるわ」
杏子「……何故だ?」
ほむら「因果増幅、よ」
ほむら「私がループする際の対象……かつてはまどかの因果が束ねられていた」
ほむら「今回の私の目的は全員生存……だから、私の力を受けた貴女たち以外は因果が増幅されているはずよ」
キリカ「成る程。私たちは暁美ほむらと同様の原理でループしたから因果はそのまま……そして、ベアトリクスか」
ほむら「そう。このループで『世界全て』に因果が巻き付いた……はずなのだけれど、貴女たちが狩っていた魔女は以前より強かったかしら?」
キリカ「いいや、昔の通り雑魚だったさ」
ほむら「……なら、仮説だけれど――私の参加する戦闘か、私がかつて戦った魔女か。ソレが強化されていると見て間違いないわ」
ほむら「薔薇園の魔女、きっと強敵よ。力を貸してくれないかしら」
ゆま「おやすいごようだよ!」ニパッ
キリカ「ようやく手応えのある敵か。爪が踊るよ」ニィ
織莉子「ここで貴女に死なれては困りますわ」フフッ
ほむら「……ありがとう」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:40:13.95 ID:5GJM93LAO<> ――――戦力強化
ほむら「『作楽』『友衛』『癒真』『檻弧』『桐華』」
ほむら「ふぅ……懐かしいわね」
杏子「さやかのは無くなっちまったんだよな……」
ほむら「まぁ……仕方無いわよ」
織莉子「魔法少女の奇跡……ね」
キリカ「暁美ほむらがいきなり『私たちは魔法少女ではない』って言った時は驚いたものだよ。ほら」
キリカ『コレだってキュゥべえの力なんだろう?』テレパッ
ほむら「えぇ。キュゥべえがテレパシーの魔法を所持していたから、私たちにも引き継がれているだけ……使い魔らしいと言えばらしいわね」ククッ
マミ「…………勝てるのかしら」
ほむら「勝つのよ。その為に、コレも用意したわ――『焔』」ジャキンッ
キリカ「なんだいその――なんだ、ガンブレード?」ワオ
ほむら「私の貧弱な魔力を増幅して、切断力や弾丸に変える回路を埋め込んだ、魔法金属の結晶よ」ホムッ
ほむら「この時代に至るまでに色々思考錯誤して、その時その時の最高の鍛冶師に作ってもらったわ」
ほむら「寧ろ片翼状態では30秒ももたないわ。回路が焼けついてしまうし、両翼なんて持っての他」
ほむら「銃火器の弾薬の節約にもなるし、我ながら便利な物を作ったと思うわ」ホムホム
織莉子「武器は集めたのかしら?」
ほむら「勿論。古今東西の物が揃っているわ」ガラガラ
杏子「お、良い槍だなコレ」ヒョイ
ほむら「『ゲイボルグ』ね。クーフーリンは意外とタフだったわ」ホムッ
杏子「……え、何してたのお前? わりとマジで」
ほむら「ガウェインと昼間殴り合いした時は流石に死ぬかと思ったわ」テヘペロ
マミ「えぇぇぇ…………」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/10(土) 12:40:40.65 ID:5GJM93LAO<> 投下終了 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 12:44:59.71 ID:qd3E0ygAO<> お疲れ様です
面白い <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 12:49:03.62 ID:sOF6Oyrko<> さすがほむほむお茶目 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 14:05:37.54 ID:3NiYSn4AO<> ・・・英雄たちの宝具を集めて弁慶かあんたは!
しかし、このほむほむ下手したらギルガメッシュになれるかも? <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 14:22:38.74 ID:+MAb4/p8o<> この私を、同じ時間に立たせるか!魔女!!
こうじゃないねわかりません。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 15:49:42.20 ID:15OLq8rxo<> ガラティーンまであるんかい!?
今になって思うと、奇跡を集めて虚構の世界から抜け出したアレは壊れた幻想か天地解離す開闢の星か……
乙 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 15:59:44.72 ID:IM0MG1YRo<> 作者としてはもう現代編を突っ走りたいんだろうけど
個人的には歴史上の人物との殴り合いがもっと見たいなって
「名もない魔法少女達がそうでした」なんて言われたら赤っ恥だけどさ
歴史好きな割に全く知らないもんで <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 17:33:39.46 ID:g+73thZE0<> 世界中の文献から黒髪の少女に関する記述が見つかりそうだな <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 21:54:46.47 ID:mV/8DpTd0<> 1ついえるのは、1スレ目から1万5千年ほども待っていた気がするが、その価値は十二分にあったという気分になっている事だ。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/10(土) 23:33:58.33 ID:38Cexqfpo<> 円卓のほむほむ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/11(日) 04:28:38.68 ID:14Qv0A8DO<> おつ
>>908で説明を濁したのって何について?
概念まどか絡みの内容は伏せてるって事かな?
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/11(日) 11:00:40.18 ID:3ucQ95ODO<> ほむらがさやかを助けるためにまどかを殺したことじゃね <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/11(日) 12:20:09.93 ID:JMUSPApP0<> ほむほむ「美樹さやか!!あなたは愛した男のために何度も魔法少女となり、そして」
さやか「そして?」
ほむほむ「フラれて確実に死ぬ!何度でも死ぬ!!もうこれ以上ないほど確実に死ぬフラグ!!享年14歳!!!」
さやか「ガーン」
ほむほむ「以上説明おわり」
織莉子「それで何ループ分?」
ほむほむ「今まで食ったパンの枚数を覚えている?」(ほむほむ・ザ・ワールド) <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/12(月) 11:34:53.97 ID:hcVrdKxIO<> よく考えたら1万年と2千年前から愛してるなんてレベルを軽々とぶっ千切ってるよな <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/12(月) 12:06:49.35 ID:Hfz9qCkAO<> >>923
・・・何故だろう、何故かほむほむの声のはずが銀河万丈さんのボイスで脳内再生するよ・・・ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/12(月) 22:45:45.52 ID:xxNQqNmE0<> 追いついた!しかしこれは>>1超乙としか言えない出来ですな
この章が終わったら後日談でQBといちゃエロですか?ホムホム <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 00:03:18.58 ID:weBTh/uxo<> まどかのグリーフシードでほむほむが尿道[田島「チ○コ破裂するっ!」]するのはまだですか? <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:13:34.27 ID:Qy7he5lAO<> 長い。
投下開始 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:14:04.52 ID:Qy7he5lAO<> ――――放課後、初めての魔女。
マミ「じゃあ行きましょうか。魔女を探す所からだけど、出現場所は大体割れているから……まっすぐ行くわね」
さやか「バッチこいですよ!」ヤー!
まどか「ちょっと怖いかな……」
マミ「暁美さんたちとは後で合流する予定だから、先に向かいましょ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:15:27.33 ID:Qy7he5lAO<> ――――
テクテク……
さやか「……ちょっといいですか、マミさん」
マミ「何かしら?」
さやか「やっぱり、アタシは転校生の事信じれないです。だって話通りなら、転校生の伝説が至る所に残ってるはずじゃないですか」
マミ「確かにそうね。でも、ソレは違うのよ」
マミ「暁美さんの戦った過去の世界と、今のこの世界は同一線上には無いのよ」
マミ「この一ヶ月は箱庭……私たちは――私たちが、世界に問いを突き付けない限り囚われ続けるソレ」
マミ「暁美さんの力は、もはや魔法少女と言うには少し強すぎる……世界線を独立させて構築してしまうなんて、出鱈目をやってのけるのだから」
マミ「暁美さんにとって、過去があって、現代があって、未来がある……なんて一般論は通用しないわ」
マミ「私たちの世界を中心として、世界は再構築されるの。私たちのこの世界が観測した過去が、唯一の過去」
マミ「暁美ほむらが戦っていた過去なんて、無かった事になるのよ。分かったかしら?」
さやか「……何ですかソレ。ソレじゃまるで転校生は――」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「――神様ですよ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:17:28.11 ID:Qy7he5lAO<> マミ「…………」
マミ「……そうかもしれないわね」
マミ「だから彼女は、私たちを分からなかった。いえ、分からなくなっていたのかしら」
マミ「余りにも洗練され過ぎていて、達観していた。人と呼ぶには確かに歪だったかもしれないわ」
マミ「そう成らざるを得なかった……それほどの絶望が、鹿目さんの居なくなった未来で、恒久的に彼女に降り注いだ」
マミ「無くしていく感情。得るモノの無い日常」
マミ「擦りきれていく心。なのに死ぬ事の無い身体」
マミ「ソレが、彼女を神にまで昇華したのかもしれないわ。人ならざる者へとね」
マミ「でもその姿は、居なくなった鹿目さんと比べて酷く無様で――醜く地を這いずり、生にすがり付く哀れなモノ」
マミ「だから彼女は気付かなかった。自分は未だ人間だと、そう思い続けたのでしょうね」
まどか「…………」
さやか「…………」
マミ「だからこそ仕損じた。不完全な完全では、外乱を処理出来ないから――」
マミ「だけど今は私、安心しているの。今の暁美さんは……人間らしいから」フフッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:18:31.83 ID:Qy7he5lAO<> さやか「人間、とは?」
マミ「彼女が何を経験したのか、詳細は分からない……けれど、確かにあの子は変わっているわ」
マミ「具体的に言えば……そう。仲間、だと思ってくれていると感じるわ」
まどか「それは……当たり前なんじゃ?」
マミ「いいえ、違うわ。彼女と私たちは、既に立つ舞台が違っていたけれど――今、あの子は私の隣に立ってくれているのよ」
マミ「そう。それが、とても嬉しいわ。私、怖がりだけれど……暁美さんが側に居てくれるなら――もう何も、怖くない」
さやか「それは、マミさんが転校生に助けられたからですか?」
マミ「それだけじゃないわ。仲間って言うのは――お互いを守り合うって事」
マミ「私は、暁美さんを助けてあげたい――あんな小さな肩に、どれだけのモノを背負っているか分からない、あの子をね」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:19:12.14 ID:Qy7he5lAO<> さやか「マミさん……」
マミ「だから、私負けないわ。どんな事があってもね」
マミ「ワルプルギスの夜を越えたら……世界がどうなるか分からないけど――みんなでお茶をしたいの」
マミ「魔法少女から解放されていても、私たちは仲間だと、暁美さんに教えてあげたいから」
マミ「あの子も私も、人間としての人生を欠損してしまっているから……ソレをみんなで取り戻せるなら――とても幸せよ、ソレは」
さやか「…………」
まどか「…………」
マミ「……だから、二人を巻き込むのも正直心苦しいわ。でも、鹿目さんは……」
まどか「大丈夫です」グッ
マミ「……鹿目さん」
まどか「私、頑張ります。みんなの力になれるなら、私は――」
マミ「ダメね」キッパリ
まどか「――何故ですか?」
マミ「貴女はこの一ヶ月で、貴女なりの答えを探さなければならない。貴女がその答えを誤れば――きっと私たちは只では済まない」
マミ「良く考えて。貴女が真に何を成せるのか、その意味を」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:24:14.58 ID:Qy7he5lAO<> さやか「……アタシは」
マミ「……確かに美樹さんは魔法少女になって私たちを助けてくれたりもしていたわ」
マミ「でも、貴女に義務は無い……叶えたい願いも無いならば、関わらない方が良いのよ」
さやか「――あ、アタシにだって!!」
『ありがとう、さやか』
さやか「――叶えたい願い、あります」グッ……
まどか「さやかちゃん……」
マミ「……なら、真剣に考えなさい。契約だけが、貴女の道でなく、また価値でもないのだから」
ピタッ
マミ「着いてしまったわね」クス
まどか「……なんだか、嫌な雰囲気ですね」ウワ……
ほむら「あら、分かるのね」ホムッ
さやか「うひゃはぁっ!?……転校生?」ビックゥ!
ほむら「そこまで驚く――どうしたの、貴女たち?」キョトン
まどさや「へ?」
ほむら「何だか私を見る感じが違うのだけれど……何か変かしら?」ホム?
まどか「あ、ううん。何でもないよ」ウェヒヒ
さやか「そうだよ、何でもないよ」アハハ……
ほむら「? ま、いいわ。さっさと行きましょう。杏子たちは既に中でスタンバってるわ」ホムッ
マミ「そうね……じゃあ、魔法少女体験、始めましょうか!」
まどさや「おー!」オー! <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:26:36.16 ID:Qy7he5lAO<> ――――魔女結界、薔薇の庭園。
杏子「お、来たな」ヨッ
ゆま「怖くない?」ヨー
織莉子「身の安全は、私たちが保証しますわ」ニコ
キリカ「有り難く感謝してくれてもいいよ」ニィ
マミ「みんな揃ってるわね。暁美さん」
ほむら「えぇ。前に伝えた通り、杏子とキリカは前衛」
杏子「あいよ」ポリポリ
キリカ「一つもらえるかな?」
杏子「ん」
キリカ「旨い」ポリポリ
ほむら「で、後衛がマミと織莉子。ゆまはまどか達の護衛と治癒をお願い」
マミ「分かったわ」
織莉子「任せてちょうだい」
ゆま「おねーちゃんたち、ゆまが守るよ!」フンス!
まどか「ありがとね」ナデナデ
ゆま「えへへ」テレリコテレリコ
さやか「(こんな小さい子だって戦ってるのに……)」クッ……
まどか「ほむらちゃんは?」
ほむら「私は遊撃よ。基本前衛だけれど、崩されそうな所を援護するわ」
ほむら「小手先は一番器用だと思うし、時間停止だって単純な素早さに置き換わるわ」
ほむら「だから心配は無いわ、まどか。ありがとう」クスッ
まどか「あ、う、うん」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:27:04.04 ID:Qy7he5lAO<> まどか「(ほむらちゃん……私に優しいのは、私が『鹿目まどか』だから?)」
まどか「(私は……ほむらちゃんの知っている『鹿目まどか』なのかな)」
さやか「(……まどかを随分と大事に思ってるんだね。よっぽどなんだろうな)」
さやか「(……魔法少女、か)」
さやか「(見極めなきゃ。私にもなれるのかどうかを)」
さやか「(そうすれば、恭介はきっと――)」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:27:59.83 ID:Qy7he5lAO<> ――――戦闘、薔薇園。
杏子「オラオラぁ!! 雑魚は引っ込んでな!!」
キリカ「薔薇には良い思い出が無くてね、悪いが刈り取らせてもらうよ」
前衛の二人が使い魔の群れに一太刀を浴びせ、討ち漏らした者を後衛が撃ち落とす。
各員の負担も少なく、強力ではあったが使い魔にもそれなりに戦えていた。
陣形に乱れが出れば、些か危険だろうが――その解れはほむらが断ち切ってしまうので、心配する程ではない。
マミ「これなら半魔女化しなくてもいけそうね」
織莉子「余裕がある内が華ですわ。油断してはいけないわよ?」
マミ「勿論」
冷静な射撃が、正確に使い魔を貫いていった。
ほむら「薔薇園……なら、『バルムンク』なんかお洒落かしらね」
ほむら「羽があれば、の話だけれど……」
雑魚相手に魔力全開では燃費が悪い。
ほむらは愛用の宝銃剣で使い魔を切り裂いていた。
統率と信頼が織り成すその舞踏は――
まどか「……わぁ」
さやか「すごい……」
少女たちに感動を与えるのに容易かった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:28:35.40 ID:Qy7he5lAO<> ――――対敵、魔女。
一行が先を進み続けると、やがて大きなフロアに突き当たった。
――魔女の巣だ。
ほむら「マミ、杏子、キリカ」
ほむらが合図すると、まどかとさやかの回りに結界が張られた。
黄色のリボンが覆い、黒と白の歪な柱がソレを囲い、赤の格子が回りを包む。
堅牢なソレは、間違いない安全を提供していた。
ほむら「二人はそこで待っていて。すぐ片付けてしまうから」
それだけ言って、魔法少女たちは薔薇の咲き乱れる舞台へと降り立った。
魔女はその薔薇をただ愛で続けるだけの傀儡。
かつて魔法少女だった異形。
謝罪は胸に。墓標は此処に。
ほむら「行くわよ――!」
彼女の終わりは、まだ先に。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:31:46.91 ID:Qy7he5lAO<> ――――
ほむら「牽制!」
マミ織莉子「「了解!」」
二人が魔女に対して一斉射撃を仕掛けた。
マミに至っては半魔女化の全力である。
ただでは済まない筈なのだが――
魔女「――――!!」
マミ「余りダメージが無いようね……」
ほむら「――前衛、使い魔くるわ! 上よ!」
杏子「任せな!」
キリカ「失せろ雑種!」
半魔女化したキリカが、巨大な爪で使い魔たちを撫で斬りし、伸縮自在の槍でその隙を杏子が埋めていた。
なお杏子を襲う使い魔は、槌によって潰されてしまう。
対応には困らない。が、射撃は有効手段にはならないようだ。
魔女は素早く逃げ回っていて、イマイチ命中率が悪い。
ほむら「行くわよ――」
因果がほむらに絡み付いていく。
2倍、4倍、8倍――2048倍――32768倍、65536倍。
未来の自分に至るまでの、脆弱な自分の積み重ね。
然れど片翼のみの、彼女の力が具現した。
ほむら「『バルムンク』――」
ほむらが剣を持ち、地面に擦れる程低くソレを振るう。
斬撃が『斬る』と言う意思を持って、斬り払うソレは――魔女が守っていた薔薇全てだった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:32:37.04 ID:Qy7he5lAO<> 魔女「!?!?!?」
半狂乱になって降りてくる魔女。
愚かにも、背を向けている。
ほむら「杏子!」
杏子「応!」
ほむらの『作楽』と杏子の槍が魔女を鎖で縛り付けた。
魔女は剛力でもがくが、二人がかりなら幾分か動きの制限は出来る。
ほむら「キリカ!」
キリカ「さぁ刻もう!」
キリカの巨大な爪が、魔女を鎖ごと斬り裂いた。
苦しむ魔女が、ほむらの『桐華』によって更に刻まれる。
ほむら「畳み掛ける、ゆま!」
ゆま「おー!」
ゆまのハンマーが魔女の額を撃ち抜き、魔女は身を仰け反らせた。
ほむらの『癒真』は、下から強く魔女をカチ上げる。
ほむら「う――らぁっ!!」
魔女の巨体が僅かに浮いた。
ほむら「――織莉子、マミ!」
そこに追い撃ちを掛けるように、光球と『檻弧』が魔女に当たって爆発を起こす。
ほむらは確認せず、後ろに強く飛んだ。
何かに受け止められる、柔らかい感触。
マミの両腕を肩に、ほむらはしゃがんで『友衛』を構えた。
マミの背中には大量の大砲で組まれた翼が、敵を狙う。
中央の主砲はほむら、副砲たる主砲はマミが。
ソレはさながら戦艦。
「「ティロ――フィナーレ!!」」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:33:08.60 ID:Qy7he5lAO<> 射線はレーザーを錯覚させる程の密度だった。
魔女は穴だらけになり――しかしまだ動く。
マミ「コレでも――!?」
ほむら「くっ!」
だが隙は今だけだ。
ほむらは身を翻して、盾から再び『焔』を取り出す。
ソレは翼の魔力を取り込み増幅して、赤熱しながら激しく振動した。
ほむら「これで――とどめよ!!」
魔女の胴体に深く突き込み――トリガーを引いた。
激しい破裂と共に、魔女は――霧散したと表現出来る程に粉々になる。
結界は、緩やかに消えていった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:35:39.80 ID:Qy7he5lAO<> ――――舞踏、終了。
ほむら「やはり手強かったわ。ただ、性質に変わりはないから弱点は同じようね」フゥ
織莉子「良い連携だったわね。暁美ほむらのお陰で火力二倍だわ」
杏子「アタシらのアイデンティティーないけどな」クククッ
キリカ「いやいや魔女化は真似できないさ」ドヤァ
マミ「真似するものじゃないわよ!?」マミーン!?
ゆま「ケガ治すよ!」ポワー
まどさや「」ポカーン
ほむら「……どうだったかしら。これが魔女と戦うっていう事」
さやか「……かっけぇ」ホワー
マミ「コラコラ。今日はたまたま上手くいっただけよ?」
まどか「ホントにこんな風に、私がなれるの……?」
ほむら「……そうね。そうよ」
キリカ「質問も色々あるだろうけど、今日は疲れたよ」パンパンッ
キリカ「疾くお開きにしよう。ね?」
織莉子「そうね……少し気を張りすぎたみたい。案外魔女にも手こずらなかったし、気疲れが主だけど」
ほむら「そうね……二人とも、今日のところは送るわ」
QB「……暁美ほむら。キミの強さは異常だ」
QB「キミの存在意義は何なのか、非常に興味深いね」きゅっぷい! <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/13(火) 01:36:06.26 ID:Qy7he5lAO<> 投下終了 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 01:36:24.25 ID:2BMm3dUeo<> お疲れ様でした <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 01:40:47.45 ID:Ur6O7+AXo<> エリー戦が怖いな
ほむほむだけでなく、マミさんとかフラッシュバック大丈夫なんか <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 01:42:24.97 ID:cNC+wpAv0<> てこずらなかったって……
全力でないにせよ総力戦だったじゃないか。
簡単に足元掬われそうで怖いぞ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 01:57:32.21 ID:hq71sn8ao<> エリーってワルプルクリヒル除けば最強の魔女だよな
引っかかれば瞬殺で魔女化に追い込める <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 02:06:37.21 ID:FIboj5EDo<> ほむほむの過去をフラッシュバックさせようとした時点でエリーがパンクするだろ多分 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 02:09:04.62 ID:C2p0NvqZo<> おつおつ
神話や伝説の武具はベアトちゃんに倣って西欧圏の物が主体なのかな
宝貝や金剛杵や日本の神剣を振り回すのも見てみたいかもしれない <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 02:12:27.08 ID:G427fTvjo<> おつー
>>949
前は数珠丸とか鬼切とか赤兎馬とか使ってたよ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 02:48:32.83 ID:C2p0NvqZo<> >>950
乗ってた馬って赤兎馬だったのか、これはテンション上げられる <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 14:36:32.86 ID:HxcUj0nAO<> >>951
恋姫世界の恋が赤兎馬に乗ってない理由がほむほむが理由の可能性が出てきたな(マテ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 19:15:33.82 ID:cLRt6YZYo<> >>940
>マミの両腕を肩に、ほむらはしゃがんで『友衛』を構えた。
>マミの背中には大量の大砲で組まれた翼が、敵を狙う。
>
>中央の主砲はほむら、副砲たる主砲はマミが。
>ソレはさながら戦艦。
ベクターキャノンしかイメージできないんだが
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/14(水) 05:42:48.36 ID:YfzWbdOIo<> そろそろ次スレですかね?
乙乙 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:11:38.40 ID:pCCsqoRAO<> いつもの『長い』の倍くらい長い。
投下開始。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:12:48.81 ID:pCCsqoRAO<> ――――学を終え、病院へと
ほむら「お見舞いの品は果物で良かったかしら?」ホム
さやか「気を使わなくてもいいのに……」
ほむら「そういう訳にもいかないわ」ホムッ
まどか「着いた。この病室が上条君の部屋だよ」
カラッ
さやか「よ、恭介。元気してる?」ヤッホー
上条「さやかか……それに鹿目さんと、誰かな?」
ほむら「初めまして、暁美ほむらよ。僭越ながら、お見舞いに来させて頂いたわ」ペコリ
上条「ありがとう。お見舞いに来る人も少なくなって、退屈していたところさ」ニコ
ほむら「それは上々。これ、良かったら……」スッ
上条「ありがとう。後で食べる事にするよ」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:14:07.95 ID:pCCsqoRAO<> さやか「転校生なんだけどさ、バイオリン弾いてるんだって。話相手にはぴったりじゃん?」
上条「キミもバイオリンを?」
ほむら「えぇ。趣味程度に、日々少々触る程度だけれど」ホムッ
上条「へぇ。なら――は――だと思うんだけれど」
ほむら「分からなくもないけれど――は――と言う側面も――」
上条「ふむ。なかなか――」
ほむら「このくらい――」
上条「――――」ペラペラ
ほむら「――――」ペラペラ
まどか「……さやかちゃん?」ポカーン
さやか「……何?」
まどか「二人が何を話してるのかさっぱりなんだけど……」
さやか「奇遇だね。アタシもだよ」
上条「――――」ハハッ
ほむら「――――」アラアラ……
さやか「(……あんな顔、アタシと一緒にいる時はしないじゃん)」ムゥ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:15:21.37 ID:pCCsqoRAO<> ――――
上条「――いやぁ驚きだ! こんな高次の視点で話せる人が、よもやボクの同年代に居るとは思わなかったよ!」ハハハッ!
ほむら「貴方がそう思ったのなら、私の知識も満更では無いようね」クスッ
上条「あぁ。古き楽曲を生で聞いてきた人の様な、そんな錯覚すら覚えたよ」イヤー
ほむら「お上手ね」
まどか「(実際生演奏を聞いた事があるんじゃないかな)」
さやか「(シューベルトと知り合いだったの、とか言われても違和感無いわ)」
上条「是非君の弾く音楽に触れてみたいね」
ほむら「ほとんど我流だから、拙いモノよ?」
上条「それでも構わないよ。良ければ、僕が教えてあげてもいいしね」ハハハ
ほむら「あら。天才少年に教われるなんて恵まれているわね。楽しみにしているわ」ホムッ
上条「……ふむ。不思議な人だね。大人びているかと思えば、急に年相応になったり……」
ほむら「そういう貴方はデリカシーに欠けるわよ、上条恭介」フフッ
上条「あ、いや……済まない。そんなつもりは無かったんだけれど」
ほむら「えぇ、分かっているわ」ホムッ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:16:15.80 ID:pCCsqoRAO<> ほむら「……さて、彼に負担を掛け過ぎるのも悪いし、私はそろそろお暇しようと思うのだけれど」
さやか「あ、そ、そうだね。じゃあ、これで……」
まどか「上条君、またね」バイバイ
上条「あぁ、ありがとう。暁美さん、何時でも歓迎するよ!」
ほむら「…………」ニコ
――パタン
上条「暁美ほむらさん、か」
上条「楽しみだな、彼女のバイオリンを聞けるのが……」
上条「僕も早く身体を治して、バイオリンを弾きたいものだよ……」ハァ <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:17:24.44 ID:pCCsqoRAO<> ――――帰りたい? 帰さないよ。
ほむら「今の時代にしてはなかなか話せる子だったわね。珍しい。彼の演奏を録音したモノがあれば、戯れに聞きたいくらいだわ」ホムホム
さやか「……いいな。転校生は」
ほむら「? 何を急に?」ホム?
さやか「あんな風にさやかちゃんは話せない訳なんだよ」ハァ
ほむら「……だけれど、貴女には貴女の特権がある。幼なじみ、なんて椅子はなかなか空いていないわ」
さやか「でもさ……」シューン
ほむら「気に病まないの。貴女が素敵な女の子だっていうのは、私が保証するわ」ホムムッ
さやか「……根拠は何さ?」
ほむら「統計よ」ホムッ
さやか「さいですか……」ハァァ……
まどか「アハハ……っ、ほむらちゃん、アレ!」
ほむら「――グリーフシード。随分お早い出勤だこと」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:20:28.91 ID:pCCsqoRAO<> ――――お菓子の国へご案内。行きは楽しい帰りは首無し。
ほむら「――孵化する寸前!? 貴女たち、出来るだけ遠くへ!」
グリーフシードに近寄って分かる異変。
もう結界が張られようとしていたのだ。
まどか「え、えぇっ!?」
さやか「どういう事――」
ほむら「走れっ!!!」
怒鳴ったのは後で許して貰おう。
二人は一瞬身体を震わせて、それからがむしゃらに走って逃げた。
――そう、それでいい。
結界が、ほむらを包んで異界を造り出す。
魔女の広間までは、少しばかり距離があるだろう。
ほむら「……さて、と。援軍が来るまでは気付かれないようにしないと……」
変身せず生身のままで、暁美ほむらは歩き出した。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:21:08.07 ID:pCCsqoRAO<> ――――逃げ出した二人。運命を変えられる者たち。
さやか「はぁ、はぁっ……」
走り疲れて歩みを止めるさやか。
どうやら結界の範囲ではないようで、一息吐く。
まどか「ほ、ほむら、ちゃんが!」
まどかの切々な言葉でも、さやかには伝わった。
いくら強いと言っても、一人では勝てない。
ならば。
まどか「ま、マミさん達を呼ばなきゃ!」
さやか「あ、アドレスも番号もアタシ知らないよ!?」
まどか「私も……そうだっ!」
手をこまねくまどかが、ある手段を閃く。
まどか「キュゥべえ!」
QB「なんだいまどか?」
まどかの呼び掛けに数秒のラグも無く現れるインキュベーター。
見張っていたのか、なんて文句は後に回して。
まどか「マミさん、織莉子さん、キリカちゃん、杏子ちゃん、ゆまちゃんにテレパシーを送らせて!」
QB「それがキミの願いかい?」
まどか「えっ」
今、この小動物はとんでもない事を口走ったのではないか?
そんな事すら思ってしまった。
酷く狡い。
「意地の悪い奴だな。ムカつくから殺すな」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:21:37.19 ID:pCCsqoRAO<> キュゥべえに槍が突き刺さって破裂した。
肉片が其処らに飛散する。
まどか「ひっ」
さやか「わっ!?」
赤い魔法少女が、二人の側に降り立った。
杏子「巡回してて正解だった。一匹追加だぜ、ほむら」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:22:04.02 ID:pCCsqoRAO<> ――――全員集合、いざ蹂躙。
一同が、結界の端に介する。
杏子「さて、予めほむらの考えていた作戦通りに行くぞ」
キリカ「ある程度の深度までは変身せず、身を隠しながら進むんだったね」
織莉子「暁美ほむらも中にいるだろうから、連絡を取り合いながら進む事が出来るわね」
ゆま『ほむらおねーちゃーん!』
ゆまがほむらに対して広範囲のテレパシーを飛ばすと、間もなく返事が帰ってきた。
ほむら『来てくれたみたいね。私の場所は分かる?』
キュゥべえが案内してくれたあの時とは違って、深層が何処にあるのかは簡単には分からない。
マミ『いえ、分からないわ。どうしたら良いかしら?』
ほむら『……なら、私の魔力を感じる方に進んで』
瞬間、強い魔力爆発を感じた。
暁美ほむらが力を解放したという事実。
だがそれは、ほむらの存在を使い魔全てに知らしめる行為だ。
織莉子『――なんてバカな事を!?』
ほむら『このまま時間が経って魔女とにらみ合うよりは、まだマシよ。そう思うなら早く来て――』
テレパシーは唐突に途切れる。
使い魔の襲撃は免れられないのだから、つまりはそうなのだろう。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:22:32.14 ID:pCCsqoRAO<> マミ「急ぎましょう、みんな!」
キリカ「あぁ。使い魔もみな暁美ほむらに引き寄せられているみたいだ。道中で交戦する事はなさそうだ」
杏子「悪いが、二人とも」
まどか「っ」
さやか「……何?」
杏子「死ぬ気で走れ。着いてこいよ」
杏子はさやかを、マミはまどかの手を取って走り出した。
彼女らが暁美ほむらの元に辿り着くまで、後10分。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:27:56.68 ID:pCCsqoRAO<> ――――ほむらと敵と敵と敵と。
ほむら「さて、と」
ほむらを一様に取り囲む、縞模様の丸い使い魔たち。
以前と違うのは、かつてより更に強力な攻撃性。
弾丸の様に襲いかかってくる使い魔達を、撃ち抜き弾き返して――切り裂けない事に気付く。
ほむら「硬すぎよっ……『鬼人大王波平行安』!」
『斬る』特化の日本刀を持ってして、漸く裂ける使い魔。
この連中をまともに相手取っていては、無傷では済まないだろう。
しかし、同時に疑問でもある。
薔薇園の魔女は、強化と言っても倒せる範疇でのモノだった。
しかしコレは――暁美ほむらが居なければ確実に敗北してしまうだろう、因果である。
何か、別の要因が増幅されているのだろうか――
18匹目で刀が真っ二つに割れてしまった。
ほむら「まずいっ――『蜘蛛切』!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:28:22.21 ID:pCCsqoRAO<> 現存すれば国宝級の刀を、惜しみなく使わなければ殺されてしまう。
ほむらの刀捌きは見事なモノだ。
であるが故に、敵のイレギュラーさが伝わる。
使い魔「――――」
ほむら「随分楽しそうじゃないの――」
ほむらの羽の容量は現在4096倍。
そこまでしか増幅出来なかったのだ。
それほどまでに、使い魔は迅速極まりない。
一匹が弾丸の様に突貫して、ほむらの武器を弾き飛ばした。
新しいソレを出す間も無く、二匹三匹四匹――
ほむら「しまっ――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:29:14.57 ID:pCCsqoRAO<> ――――急げ!
マミ「くっ……何でこんなに入り組んでいるのよ!」
マミは先の見えない通路の長さに苛立ちを覚えている。
拙速だろうと早く到着しなければ、暁美ほむらの命は無くなってしまうかもしれないというのに。
キリカ「……いや、多分近い。私たちも惹き付けるべきだ」
ゆま「……何を?」
織莉子「使い魔よ。暁美ほむらの負担を減らすと共に、流れてきた方向から彼女の位置を再び割り出す……」
織莉子が目配せすると、キリカとマミが息を大きく吸い込んだ。
キリカ「愛は無限に有限だ……ソレはとテもステきナ事」
マミ「死にたくない……イキタイ……」
魔女としての力を開放し、変身する。
その呪いは奔流となって、魔女の結界を駆け巡った。
――使い魔の気配がする。
杏子「ほら起きろ!」
杏子が幻惑魔法を応用して、気付けを行う。
二人の精神が、表面ながら魔法少女のモノへと戻った。
半魔女化はそのままに、他の魔法少女も変身している。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:29:56.38 ID:pCCsqoRAO<> 使い魔が飛び込んできた。
さやか「わ、わぁっ!?」
ガントレットがソレを掴み取り、頑強なはずの使い魔を握り潰す。
マミ「邪魔しないで……今の私は加減が効かないわよ!!」
杏子「やるな! ほら、さやか……掴まってくれ。飛ぶぞ」
杏子がさやかを抱き抱え、マミもソレに倣ってまどかを抱いて飛んだ。
マミ「使い魔は向こうから来たわ、急ぎましょう!」
キリカ「極力戦闘は避けよう。何だか様子が変だしね」
魔法少女たちが結界の中をひたすらに駆けていく。
彼女らが暁美ほむらの元に辿り着くまで、後8分。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:30:43.55 ID:pCCsqoRAO<> ――――もっと急げ!
まどかは浮遊感を体験しながら、マミの顔を見上げていた。
酷く焦りを見せる、余裕の無い表情。
まどか「マミさん……落ち着いて、ほむらちゃんならきっと大丈夫ですよ」
マミ「分かっているわ。だけど……」
マミ「だけど、もし――もし今、私たちが暁美さんを失ったら……いや、違うわ」
マミ「――私が壊れてしまう。この身体だって、いつまた魔女になるか分からないというのに」
地面を蹴る感触が、柔らかくまどかに伝わる。
激しい行軍のはずなのに、不思議とまどかに負担は無かった。
いや、震えている。
マミ「彼女が居なくなってしまったら、きっと私は一人ぼっち」
マミ「あの時間を生きていたのは、彼女だけだもの」
マミ「あの時と違う誰かしか居ない世界で……私だけが――」
その姿が、とても弱々しいモノに見えて――まどかは思わず声を掛ける。
まどか「マミさんは一人じゃないです。私が例えマミさんの知っている私じゃなくても……私はマミさんと居ます」
まどか「マミさんは、ひとりぼっちじゃないです」
マミ「――――っ」
それは、いつか何処かで聞いた言葉だった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:32:39.16 ID:pCCsqoRAO<> 愚かだった。
彼女は、紛れもなく彼女だったじゃないか。
マミ「ありがとう……鹿目さん」
震えは止まって、心は動き出した。
マミ「私、負けないわ。必ず魔女を倒して見せる」
前を強く向いて、彼女は自らに宣誓する。
マミ「暁美さん――」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:33:13.21 ID:pCCsqoRAO<> ――――合流。
新しいソレを出す間も無く、二匹三匹四匹――
ほむら「しまっ――」
だが、飛び掛かってきた使い魔たちは全て弾丸によって撃ち抜かれた。
ほむらは援軍に感謝し、そしてソレを見て――拭いきれない違和感を心に刷り込まれた。
マミ「暁美さん……間に合ったわ!」
確かに半魔女化してはいるが、彼女にしては火力が高すぎる。
あの使い魔は、ほむらでも手こずるソレだというのに――ああも容易く。
ほむら「助かったわマミ、それに皆」
マミに続いて他の全員が飛び降りてきて、揃い踏みする。
さやかとまどかは物陰に降ろされた。
杏子「ここを動くなよ」
さやか「わ、解った」
まどか「マミさん――」
マミ「何かしら?」
まどかはマミに、静かな声援を。
まどか「頑張って」
だから、微笑し、背中を向けて言った。
マミ「勿論」
それは強く彼女の背中を後押しする。
マミ「もう、何も怖くない――」
銃の翼は光を湛えていた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:34:09.81 ID:pCCsqoRAO<> 使い魔は侵入者に対して距離を取り――そして今生まれ落ちんとする主を迎える。
ほむら「――来たわよ!」
お菓子の魔女が、可愛らしく椅子に座っていた。
さぁ、幕は上がり役者は集う。
QB「……見せてもらうよ。キミたちがどう戦うのかを」
舞台装置は動き出した――因果を纏ってグルグルと。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:34:36.59 ID:pCCsqoRAO<> ――――静かな戦場。
ほむら「……どういう事? 使い魔の動きが止まった?」
魔女は以前と変わらず、小さい身体の時にはじっとしているだけだった。
故に使い魔を警戒していたのだが、急に大人しくなってしまう。
主の邪魔はしないとでも言うのか、はたまた何か企んでいるのか。
織莉子「嫌な空気ですわね……」
ほむら「えぇ……だけど、好都合ね。あの使い魔を相手にしていたら日が暮れてしまうわ」
キリカ「……本体に、仕掛けるかい?」
こちらから打てる策も、確かにソレしか無かった。
火力を魔女に集中させて一気に決めるしか、そもそも出来ないのだから。
ゆま「どうするの?」
ほむら「あの魔女はある程度のダメージを受けると、中から蛇のような使い魔を召喚するから……ソレを相手にせずに小さい本体を始末しないといけないわ」
マミ「なら、一気に決めましょ。あの魔女は一撃入れるまで無抵抗だから、取って置きをお見舞いしてやるわ」
マミが足の長い椅子の根本に立つ。
魔女は呑気にソコに座っていた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:35:34.06 ID:pCCsqoRAO<> ほむら「……ならお願いするわ。黒いのが出た後のサポートは任せて」
原因は分からないが、今のマミは絶好調のようだ。任せるに限る――
ほむら「……『原因が分からない?』」
ほむらの違和感がパズルを組み上げるように繋がっていった。
原『因』は分からない――だが結『果』は分かっている。
過去、この魔女と戦って、私の身に起こった結果とは――
それは。
それは。
喪失だったじゃあないか。
ほむら「マミ、下がって!!!」
マミ「え?」
マミがマスケットを振りかぶろうとして、動きを止める。
奇しくも、魔女が体内から蛇を出すのと同時だった。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:39:07.53 ID:pCCsqoRAO<> ――――死ぬ運命。
キリカ「飛べ!!」
誰よりも早く反応したのは彼女。
時間遅延の魔法を常に自分に掛けている故に、それが可能だった。
マミ「くっ!!?」
マミが遮二無二翻り、一瞬前に居たソコに蛇のコミカルな顔面がぶつかった。
マミとその他が分断されてしまう。
杏子「マミ!――なっ!?」
その瞬間に、空中から降り注ぐ大量の使い魔。
10や20じゃない。目算しても軽く数百は存在していた。
ほむらとキリカが使い魔に体当たりされて、壁に押し付けられる。
キリカ「がっ!」
ほむら「くっ――離しなさい!!」
万力を籠めるが、使い魔はびくともしなかった。
杏子たちにも使い魔は襲いかかる。
杏子「くそっ、こんなに沢山……隠してやがったのか!?」
織莉子「キリカ――くぅ、数が多すぎるわ!」
ゆま「ど、どぉりゃっ!」
三人とも自分の身を守るだけで精一杯、どころか手に余っているようだった。
ほむらがマミに視線を向けると、蛇の使い魔に木っ端の如く吹っ飛ばされる彼女が。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:39:54.43 ID:pCCsqoRAO<> ほむら「マミ!――くそ、離せ、離してよ!」
キリカ「暁美ほむら――コイツら、知ってる」
ほむら「――え?」
キリカ「私たちを封じるのが、一番手っ取り早いと知っているぞ!」
まさか。使い魔にそんな知識が有るわけ無い。
使い魔「――――」
いや、撤回しよう。
今、コイツらは、確かに私を嘲笑った。
『無能な魔法少女め』と、嘲笑ったのだ。
マミ「ぐ……うぅ……」
衝撃が身体を蝕んでいる。
目の前の腹立たしい顔の使い魔に向けてマスケットを構え――足元の可愛らしい魔女を見て捉えた。
マミ「――?」
魔女はよちよちと幼い挙動で、動けないマミに抱き着く。
マミ「ひっ――」
敵に取り付かれる恐怖が背筋を駆け巡り――
マミ「あっ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
――追って、ハラワタを食い破られる激痛が、彼女を襲った。
ほむら「マミ、マミっ!!?」
ほむらが暴れ、身体中の間接が悲鳴を上げるが、ソレでも使い魔はほむらを離しはしない。
まるでそうするように『歪められた』かのように。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:41:08.86 ID:pCCsqoRAO<> マミ「うわぁぁぁぁぁぁ!! やめてっ、離してっ、退いてぇっ……っ!」
引き剥がそうとしても、魔女の――触手のように伸びて巻き付いた――手はしっかりマミの腰を捉えている。
魔女「――――♪」
魔女はゆっくりと、マミの内蔵を咀嚼していった。
腹を裂き、腸を引きずり出し、子宮を食い破って、血を啜る。
マミの叫び声が、だんだんと力を失っていった。
マミ「かっ……はぐっ……あ、暁美、さん……たすけ――」
ほむら「ああ、ああぁぁぁぁ……」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:41:54.19 ID:pCCsqoRAO<> 私は、間違えた。
私がこの時点で増幅した因果は『巴マミの死』だったのだ。
『巴マミが死ぬ』という結果の元に、ソレに至る原因が発生した。
使い魔の異常な強さも、マミの好調も、全てが私の所為。
マミ「やめ……しにたく――」
故に。
故に!!
私が『私』である限り!
圧倒的に増幅された因果は覆らない!
マミは死ぬ。
絶対死ぬ。
必ず死ぬ。
今死ぬ。
此処で死ぬ。
間違い無く死ぬ。
例外無く死ぬ。
迅速に死ぬ。
残酷に死ぬ。
辱しめられて死ぬ。
ほむら「――いやぁぁぁっ!! 誰か、誰かマミを助けて!!」
今、身体を動かせるなら、私は鬼にだってなれるというのに。
さやか「ちょ――ヤバいヤバいヤバい――ヤバいって!」
まどか「ま、マミさんっ……! キュゥべえ!」
まどかが悲鳴にも似た声を挙げると、待っていた様にインキュベーターは現れた。
QB「契約する気になったかい、まどか?」
まどか「うん、私――」
杏子「止めろまどかっ!!」
まどか「っ」
使い魔相手に苦戦しながら、杏子はまどかを叱咤する。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:42:52.68 ID:pCCsqoRAO<> さやか「な――マミさんを見捨てるって言うのアンタ!?」
杏子「違ぇ!」
赤色の格子が杏子を囲い、今しばらくの猶予を産み出した。
杏子「アタシらはほむらを信じてるんだ――だから、簡単には諦めない」
杏子「見てな……奇跡を起こすのが魔法少女なんだよ」
杏子のソウルジェムが急速に濁り始める。
彼女の分身が、12体現れた。
杏子「このくらい、何とかしてやるさ――」
織莉子「そうですわ――暁美ほむらは勝つ為に、勝つべくして、勝つから此処にいる」
織莉子「なら私たちは――戦うだけ」
織莉子の光球が使い魔を打っていく。
数に対して、彼女は強かった。
ほむら「そんな――」
そんな事は無い。
現に今の私は無力だ。
このままでは全滅は必至。
以前の自分なら、きっとマミを捨てていただろう。しかし。
ほむら「そんなことっ……出来るわけが……」
無力に泣くのは随分と久しぶりで、懐かしさすら感じた。
だが、マミは助からない。
弱々しかった叫びも、もうない。
有るのは、魔女がマミを咀嚼する水音と、使い魔の戦闘音のみ。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:45:07.81 ID:pCCsqoRAO<> 暁美ほむらに、多量の因果線が巻き付いていた。
それは太く強靭で、斬ることに容易くない。
誰でもいい。
何だっていい。
この因果を。
この因果を断ち切って。
因果の外から、奇跡を起こして――
「何だ。随分と苦戦してるじゃあないか……暁美、ほむら」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:46:18.58 ID:pCCsqoRAO<> ――――彼女の奇跡が、今叶う。
乱入者。
新たな魔法少女が、高台に立ってこちらを見下ろしていた。
その魔法少女は飛び降り様、手にした魔法拳銃を乱射する。
使い魔たちが貫かれていく。
他ならぬ『因果の外れ』によって。
蛇がその魔法少女に向かって巨体で飛び掛かった。
「アハハッ、呪い方が温すぎるよ!」
しかしソレは、地面から突如生えてきた茨の蔓によって絡め取られて――魔法少女が召喚したであろう『十字架』に磔にされる。
「キャハハ、燃えろ――『イル・トリアンゴロ』!」
その黒い身体が、煉獄の業火によって真に黒く染まっていった。
ほむら「あ、貴女、何故。一体、どうして――?」
ほむらは自らの左手を見る。
指輪が一つ、無くなっていた。
「『借りを返す』っつった。忘れてしまったか?」
魔法少女が闘牛を召喚し、ソレはキリカとほむらを拘束している使い魔を薙ぎ払った。
魔法少女たちを取り囲んでいた使い魔たちが怯む。
何故なら――魔法少女に見えるソレは、魔女の性質を併せ持っていたから。
織莉子「貴女は――?」
魔法少女は高らかに言った。
「ここに御座す皆さまは、随分と――」
ユウリ「――このユウリ様の事が気になるご様子で!」 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:47:12.16 ID:pCCsqoRAO<> ――――運命の歯車は止めた。回すのは、キミだ。
杏子「ユウリ……?」
キリカ「確か、暁美ほむらの話に出てきた魔法少女だけど……」
ユウリ「細かい話は後回しだろうが。今はあの黄色、助けるんじゃないの?」
使い魔が一斉に襲いかかってくる。
因果を執行しようと、躍起になっているようにも見えた。
ほむら「――っ」
時間停止。
しかし、通り抜ける隙間の無いほどに、暁美ほむらを襲う使い魔は念を入れて多かった。
ほむら「……良いじゃない、やってやるわ」
ほむらは『友衛』を構えて、時間停止を解いた。
ほむら「突っ込むわ!! 援護して!」
使い魔を片っ端から撃ち抜く。
自分の攻撃でも、使い魔に傷をつけられる様になっていた。
走る。
ただ走る。
後ろから光の球が飛んできているのは分かった。
後の皆も、私を守ってくれているのだろう。
ほむら「退けぇぇぇぇ!!」
立ち塞がる使い魔達をマスケットで殴り飛ばし、マミの元へ飛ぶ。
と、その時蛇の拘束が解けた。
一目散に、焦げた身体でほむらに襲いかかる。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:48:00.60 ID:pCCsqoRAO<> ほむらは一瞬止まって――8096倍。
『焔』を抜き放ち、トリガーを強く握り込む。
増幅され溢れた魔力が巨大な剣となって、その使い魔を叩き上げる。
斬れない――斬れない、が。
ほむら「構わないっ!!」
勢い良く振り抜き、蛇はその巨体を横倒しにした。
『焔』の回路が赤熱してオーバーヒート寸前になる――盾に収納した。
ほむらとマミの間に邪魔はもう無い。
マミのボロボロの身体――その肩を持ち、ソウルジェムを確認する。
辛うじてまだ生きているようだ。
だが急がねば――
ほむら「魔女はどこ……見失ってしまった――!」
辺りを見回すが、魔女の姿は何処にも無かった。
いや、今はそれよりマミの治療を優先しなければ。
ほむら「――――」
両腕が、吹き飛んだ。
魔女の触手のような両手が、ほむらの肩から端を切り落としたのだ。
あろう事か、魔女は――空洞になったマミの、腹の中にいた。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:50:02.16 ID:pCCsqoRAO<> 魔女「――――♪」
あぁ、分かる。
コイツは今、笑っている。
目の前で犯してやったと、得意気になっている。
殺す。
コロス。
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!
ほむらの翼が徐々に極彩色に染まっていく。
両腕が無くて、武器が握れない。
――だから、どうした。
ほむら「ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ほむらはマミのハラワタに顔を押し当て、中の魔女の腕に食らい付いた。
背中を反らして、魔女をソコから引きずり出す。
魔女「――!?」
ほむら「ふぅ、ぅぅぅぅぅ!!」
そのまま、顔面ごと魔女を地面に叩き付けた。
魔女がひしゃげて、マミ以外の血に塗れる。
ほむらは顔と両足で起き上がり、獣が獲物の肉を千切るように身体を、頭を振り回した。
魔女の腕を食い千切り、魔女の身体は勢いそのままに壁に叩き付けられる。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 16:50:36.30 ID:pCCsqoRAO<> 杏子「な、なんだよアレ……」
杏子が蛇を鎖で抑えながら、ほむらを見た率直な感想だった。
ユウリ「流石暁美ほむらだ、そうでなくっちゃ」
使い魔を殲滅しながら、ユウリはその『呪い』に感服する。
ほむら「――マミ」
ほむらは無様に転びながらも、マミの身体まで這いずって近寄った。
襟首を噛んで、身体で彼女を引き摺っていく。
ほむら「(早く、早く――マミを死なせる訳にはいかない)」
だが、その右足に魔女が食い付いた。
ほむら「がぁっ――邪魔よ!!」
ほむらが身体を起こし、地面に強く背中を叩き付ける。
腰から下が浮き上がり――そのまま身体を捻って一回転。
魔女を、右足が折れるのも構わずに力強く叩き付けた。
まともに有るのは左足のみ。
ソレでもほむらは彼女を必死に連れていこうとした。
魔女は最後の足に噛み付く。
どうしても、此処で巴マミを殺さなければ、世界は気が済まないらしい。
「――――」
小さな声が聞こえた。
それに従って、ほむらは魔女を振り払い、その身体を這いずりながらではあるが踏みつけた。
その魔女を狙って、マスケット銃が構えられる。
マミ「ありがとう……暁美、さん――」
マミ「ティロ・フィナーレ――」
結界は、消滅した。 <>
伊吹 ◆LPFQRD/rxw<>saga<>2011/12/15(木) 17:02:02.76 ID:pCCsqoRAO<> 投下終了
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SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/15(木) 17:07:50.62 ID:cuIkf/Lq0<> 乙! <>
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SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/15(木) 17:09:30.03 ID:2zIbVbUCo<> 状況を知らずに遠目に見たら生えてるマミさんをフェラするほむほむになる不思議 <>
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