VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:28:17.00 ID:lYSIuYDqo<>
魔王・勇者「さてどうしたものか……」
<>男「勇者と魔王、捕まえた」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:29:06.11 ID:lYSIuYDqo<>
<魔王城.廻りの間>


 ドバタガッシャァッ!


勇者「おうおうおうおう! 勇者様のご登場だぜ!」

魔王「来たか勇者、待ちくたびれたぞ!」

勇者「面倒な御託は嫌いだ。覚悟はいいか!?」

魔王「我輩随分待たされた! さっさとかかってこないかこのド阿呆が!」

勇者「いい返事だ! 早速行くぜ!」ダンッ!

魔王「来い!」グッ

勇者「うおおおおおおおお!」

魔王「ははははははははは!」


 ――ズドッ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:30:20.04 ID:lYSIuYDqo<>
勇者「……」

魔王「……」

男「痛い」

勇者「えっ」

魔王「は?」

男「発生場所が悪すぎた。なんで出てきて早々痛い目にあわにゃならんのだ」

勇者「だ、誰だお前!?」

魔王「いつの間に我輩らの間に!?」

男「うん。それより先に刺さった剣と拳を抜いてくれないかな」

勇者(こいつ……)

魔王(なぜこんな、平然としていられるのだ……?)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:31:00.47 ID:lYSIuYDqo<>
 ――ズルリ


男「ありがとう。おかげで痛くなくなった」

勇者(傷がない?)

魔王「貴様は何者なのだ? いつの間に現れた? それにここをなんと心得る」

男「ぼくか。ぼくのことは好きに呼んでくれていい。ゴーストあたりが適当だと思うけれど」

勇者「?」

男「いつの間に現れたとの質問には今ここに生じたとしか言いようがないな。そしてここは魔王城だろう?」

魔王「生じた?」

男「説明がめんどくさい。省かせてくれ」

勇者「なんなんだお前は」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:32:42.35 ID:lYSIuYDqo<>
魔王「まあいい。いやよくないが。だがまあとっとと出ていけ、邪魔するな」

勇者「今なら見逃してやってもいいぜ。さっさと消えな」

男「それはありがたい。でもぼくのほうが見逃すわけにはいかないだなこれが」

魔王「なに?」

男「確認だけど、君たちは魔王と勇者だよね」

魔王「……」

勇者「……俺たちを知らねえのか?」

男「間違いないようだね。だったら……」



男「――ちょっと眠ってもらおうか……!」ゴゴゴ……



魔王・勇者「!?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:33:30.20 ID:lYSIuYDqo<>
男「……」カツ……

勇者(な、なんだこの威圧感!?)

魔王(一歩踏み出しただけで圧迫感が……)

男「……ヒュゥゥゥゥゥ」

勇者(だが、なんだこの違和感)

魔王「我輩にたてつくなら容赦せんぞ!」ズダンッ!

勇者「待――」

魔王「喰らえ!」ブン!


 ガキン!


男「……」

魔王「な……障壁!?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:34:32.92 ID:lYSIuYDqo<>
勇者「の、ノーモーションで……?」

魔王「く! "貫拳"!」シュッ!

男「……」ガキン!

魔王「"爆連拳"――からの"崩拳"!」ジャジャジャッ――ボッ!

男「ふん」ガキン!

魔王「ば、馬鹿な……我輩の古式魔王拳法が……」

男「ふっ!」ズギャッ!

魔王「!?」


 ドゴゥッ! ――ズサァ……!


魔王「がふぅ……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:35:30.26 ID:lYSIuYDqo<>
勇者「え……は?」

男「次は君だ」

勇者「ちょ、え……今、いったい……?」

男「……」カツ カツ

勇者(な、なんだかわからねえがこれは"不味い"! 逃げないと……殺される!)ダッ!

男「殺しはしないさ。眠ってもらうだけ」シュン――

勇者「!? いつの間に回りこんで……」

男「ぼくはゴースト。とあるシステムの影みたいなもんだ。これぐらいは朝飯前さ」

勇者「ち、ちくしょう!」バッ!

男「そうだ、かかってこい!」キィン……!


 ――ドゴゥッ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:36:04.13 ID:lYSIuYDqo<>

     ・
     ・
     ・

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/17(木) 19:36:33.26 ID:lYSIuYDqo<>


 title:男「勇者と魔王、捕まえた」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/17(木) 19:37:17.81 ID:lYSIuYDqo<> 一区切り
今回はローペースで行く予定 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/17(木) 19:37:34.92 ID:aH027ihSO<> スレタイでお前かと思った

期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/17(木) 19:38:33.65 ID:lYSIuYDqo<> あと、待っている人がもしいたら本当にごめんだけど、異形使いはまだまだかかりそう
今年中に完成するかどうかも怪しいです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/17(木) 19:41:37.30 ID:aH027ihSO<> >異形使い
今まさに聞こうと思ってたんだwwwwww
把握 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/17(木) 19:55:30.71 ID:lYSIuYDqo<> >>14
お久しぶり
異形使いについては本当に申し訳ない、怠慢が過ぎたよ
頑張る <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)<>sage<>2011/11/17(木) 21:46:55.01 ID:aHwD5Ni0o<> 続編かと思ったらそんなことはなかったでござる
でもいつも通り期待してるよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 05:41:06.82 ID:KTsrxaEko<>
<魔王城.地下牢>


勇者「『アカシア』」

  魔王「『赤紫斜めマダラ接続式ゾウガメ』」

勇者「なんじゃそら……め、め、『綿花』」

  魔王「『カゲスズミノコギリコバト』」

勇者「と、と、『問い合わせ』」

  魔王「『栓抜き付き回転振り子ガニ』」

勇者「……」

  魔王「どうした。次は『に』だぞ」

勇者「お前って、変な動物に詳しいのなぁ……」

  魔王「そうか?」

勇者「ああ」

  魔王「……もうそろそろ飽きてきたな」

勇者「同感だ」

  魔王「そっちの居心地はどうだ?」

勇者「快適そうに聞こえるか? 聞こえるならもうそんな耳落としちまえ」

  魔王「そうだな」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 05:42:25.81 ID:KTsrxaEko<>
勇者「……」

  魔王「……」

勇者「何考えてやがる?」

  魔王「お前と同じことだろうよ」

勇者「……アイツ、なにもんだ?」

  魔王「分からん。が、魔王と勇者を苦もなく生け捕りにするところから見て相当な使い手だろう」

勇者「魔術士?」

  魔王「さて。しかし、あんな魔術見たことがない。いや障壁自体は珍しくも何ともないが、あれを予備動作なしでとなるとな」

勇者「ううむ」

  魔王「お前、頭はいい方か?」

勇者「別に。良かったら勇者なんぞやめてるし、悪かったら今頃生きちゃいねえよ」

  魔王「あれはなんと名乗っていたか」

勇者「ゴースト」

  魔王「妙なことも言っていたな」

勇者「今ここに生じたとかなんとか」

  魔王「ふむ……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 05:43:19.99 ID:KTsrxaEko<>
勇者「何かわかったのか?」

  魔王「何も。分かっている事実は、見た目は人間であること、全く傷を負わないこと、そして強い魔力の持ち主であるということだけだ」

勇者「人間じゃなかったりしてな」

  魔王「魔物である可能性も十分ある」

勇者「勇魔を簡単にひねる魔物? 馬鹿言っちゃいけねえよ」

  魔王「もしくは」

勇者「もしくは?」

  魔王「名乗った通り、本当に幽霊なのかもしれないな」

勇者「……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 05:44:01.98 ID:KTsrxaEko<>
<魔王城.尖塔の一部屋>


男「出力補助回路は全て正常に働いている、か」

男(ぼくが発生したのは明確な原因があってのことじゃないらしいな)

男「……いや」

男(明確な原因はないかもしれない。でも明確な理由はある)

男「これは、きっと奇跡だ。起こりえるはずのなかったことが今、ここに起きている……」

男「ならばぼくは、ぼくにできることをしようじゃないか」

男「この愛すべき世界のために、だ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 05:44:49.75 ID:KTsrxaEko<>
<魔王城.魔王の部屋>


メイド「……」

メイド「……」

メイド「……」ソワ

メイド「ああもう、魔王のやついったいいつまで待たせるのかしら!」

メイド「勇者ごときになにを手こずって……ご飯が冷めちゃうじゃない」

メイド「……」

メイド「まさか負けたなんて事は……」

メイド「ないわね。魔王はああ見えて戦闘に関してだけは世界最強だし」

メイド(でも……油断して、ってことはあり得るかしら)

メイド「……しかたないわね。本当は勇魔の決闘は二人きりでって掟だけど。ちょっとくらいいいでしょ」スク


     ・
     ・
     ・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 05:45:52.46 ID:KTsrxaEko<>
<魔王城門前>


銃士「……」

銃士「……」

銃士「……はぁ、いったいあたしゃいつまで待ちゃいいんだろうねえ」

銃士「勇魔の決闘は余人の立ち入りを禁ず。
   そういうものらしいけど、どうにもまあ待たされる相方の都合ってもんをないがしろにしてるよこりゃ」

銃士「はぁ…………うん」

銃士「拳銃の手入れもすっかり終わっちまったし、ちょっと魔王城探検としゃれこみますか」スク


     ・
     ・
     ・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 05:46:20.70 ID:KTsrxaEko<> 一区切り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 06:20:08.31 ID:jSH3E77IO<> 支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 07:51:02.52 ID:qZ+SEj7SO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 08:03:05.44 ID:vxyR4WH60<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 19:15:55.50 ID:KTsrxaEko<>
<魔王城.廻りの間>


メイド「おかしいわね。ここにいるはずなんだけれど」

メイド「片方しかいない、ならわかるわよ。命を賭けた勝負なんだから」

メイド「でも、どっちもいない、となると……」

メイド「……分からないわねー」

メイド「ちょっと他を当たってみますか」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 19:16:22.21 ID:KTsrxaEko<>
<魔王城内部>


銃士「おかしいねえ、魔族もいないしがらんとしちゃって」

銃士「まさか勇者一人に怯えて逃げ出したわけでもなし」

銃士「勇魔の決闘は余人の立ち入りを禁ず。まさかここまで徹底してるってことかい」

銃士「魔族のくせに変に律義にふるまっちゃってまあ」

銃士「それにしても勇者は一体どこにいるんだい……まったく」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 19:17:00.18 ID:KTsrxaEko<>
<地下牢>


勇者「ふぎぎぎぎ……っ!」グググ!

  魔王「見えんが何をやっているかは分かる。無駄だ、やめておけ」

勇者「はあっ、はあっ……丈夫だな、これ」

  魔王「魔王城の特別強力な魔物・魔族をとらえておく檻だ。当たり前だろう」

勇者「じゃあどうすんだよ。あいつが変な気まぐれ起こして俺たちを解放しようと思い付くまで待てってのか?」

  魔王「無駄に体力を使うなということだ」

勇者「……チッ、気取りやがって」


  「あ、いたー!」


魔王・勇者「?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 19:17:26.97 ID:KTsrxaEko<>
メイド「ちょっとちょっとちょっと! あんた何牢屋に入ってんのよ馬鹿じゃないの!?」

勇者「なんだ?」

魔王「メイドか」

メイド「こっちには勇者っぽいのもいるじゃない。訳わかんないどうなってんの?」

魔王「勝手に部屋を出たのか」

メイド「仕方ないじゃないご飯冷めちゃうし。探しに来てやったんだからむしろ感謝してほしいわよ」

魔王「ふむ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 19:18:04.21 ID:KTsrxaEko<>
勇者「どうでもいいから出してくんね―かな」

メイド「なにあんた、勘違いしてない? わたしは魔王を探しに来たの。あんたなんかどうでもいいわよ」

勇者「……んだと?」

メイド「あらその歳でもう耳が遠いのかしら。あんたを出してやる義理はないっつってんの」

勇者「表出ろ」

メイド「あんたからどうぞ」

勇者「この……!」

魔王「いいから出してくれ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 19:18:31.22 ID:KTsrxaEko<>
メイド「……仕方ないわね。別にあんたのためじゃないわよ。ご飯が冷めちゃうから仕方なくなんだからね!」

魔王(ツンデレ乙)

勇者「うぜぇ……」

メイド「ええと、確かここに鍵が……」ジャラ


 ジャキ……!


「動くんじゃないよ。動けばドタマに風穴が空く」

メイド「!」

勇者「銃士か。遅かったな」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 19:19:09.37 ID:KTsrxaEko<>
銃士「助けに来てやったのになんだいその口の聞き方は。あたしの相方のくせして捕まってやがるし、まったく」

メイド「い、いつの間に……」

銃士「別に何の気もなく入ってきたよ。あんた鈍すぎるんじゃないかい?」

メイド「言わせておけば!」


 タァンッ!


メイド「……!」

銃士「たるい口喧嘩は好きじゃないよ。さっさとそれを渡しな」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/18(金) 19:19:42.45 ID:KTsrxaEko<>
メイド「……」ジリ

銃士「……」ジャキ

魔王「盛り上がっとるところ申し訳ないが」

勇者「俺たちを外に出せ。両方だ」

メイド「え?」

銃士「……あんた何言ってんだい? 変な物でも食った?」

魔王「いいから急げ」

勇者「もたもたしてんじゃねえよ愚図」

メイド「な……!」

銃士「チッ、仕方ないね。出たらちゃんと説明するんだよ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 19:20:23.06 ID:KTsrxaEko<> 一区切り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 19:32:39.35 ID:KTsrxaEko<> 訂正
「風穴が空く」→「風穴が開く」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 20:37:15.63 ID:jSH3E77IO<> 支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 22:05:58.14 ID:qZ+SEj7SO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 02:40:10.53 ID:uksSMhyOo<>
<混濁する渦の中>



「――フシュウゥゥゥ……」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 02:40:40.88 ID:uksSMhyOo<>
<魔王城.ふたたび地下牢>


メイド「……」

銃士「……」

勇者「――とまあ、こういうわけだ」

メイド「怪しい男、ねえ……」

銃士「にわかには信じられないね」

魔王「だが」

メイド「分かってるわよ。そうじゃないと自分で牢屋に入ったことになっちゃう」

銃士「けど、魔王と勇者を二人同時に相手にできる化け物かい……空恐ろしいじゃないか」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 02:41:14.37 ID:uksSMhyOo<>
勇者「同時じゃない」

銃士「?」

魔王「負けたには負けたが、我輩もその言われ方は納得いかん」

メイド「何よ?」

勇者「不意打ちされたようなもんだしな。完敗したとみなされるのは癪ってことだ」

銃士「あんたまさか」

魔王「いくぞ勇者」ザッ

勇者「共同戦線は一時的なもんだからな。あれの次はお前だ」ザッ

メイド「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 話が本当なら何か作戦を……」

勇者「作戦? 舐めてんのか?」

銃士「うん?」

魔王「そんな小手先の技に頼るくらいなら死んだ方がマシだ。無駄に時間を使うな」

メイド「……」ムカ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 02:41:40.89 ID:uksSMhyOo<>
<魔王城.大広間>


男「……」カツカツ

男(そろそろ……)

男(そろそろ、あれが動くはずだ。防御機構、安全装置……なんて呼ぶべきかはわからないが)

男(ぼくが現出して、あちらが現出しないなんて考えられない)

男「……」

男(まあ、せいぜいあがいて見せようじゃないか。どこまでやれるかわからないけれど)

男「でもま、その前に――」


 ガキン!


勇者「チッ!」

男「君たちの始末をつけなくてはならないね」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 02:42:07.11 ID:uksSMhyOo<>
魔王「おおおおおおお!」ダダダ!

男「何度来ても無駄だよ」

魔王「はッ!」ブン!

男「……」ガキン!

魔王「今だ勇者!」

勇者「"穿牙"!」ヒュッ!


 ガギョ!


男(! 障壁を抉ったか)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 02:42:38.42 ID:uksSMhyOo<>
魔王「まだまだ! "貫拳・透"!」カァァァン!

男(透過衝撃……)ビリビリ!

勇者「気を取られたな――終わりだ!」

男「!」



勇者「"断影"!」ジャッ!



 スパアァァァァン!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 02:43:05.30 ID:uksSMhyOo<>
勇者(よし、手応え十分)

男「……」

勇者(――だったんだが)

魔王「やはり傷を負わないか。何のための障壁なんだか」

男「趣があっていいじゃないか」

勇者「お前の趣味なんか知らねえよ」ジリ

男「古来よりバリアとドリルは男のロマンなのさ」

魔王「そうか」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 02:43:45.41 ID:uksSMhyOo<>
勇者「仕方ねえな、あんましこっちは得意じゃねえんだが」ポゥ……

男「心剣か。確かにそれならアンデッドは斬れるだろうね」

勇者「お前だって切れるさ」

魔王「フン!」ズズ……

男「そっちは魔拳、と言ったところかな?」

魔王「好きに呼べ」

男「どちらも魔力素子使用法の奥義だね」

勇者・魔王「?」

男「いいだろう。試してみるがいい」

勇者「……」チラ

魔王「……」コク



勇者・魔王「……はッ!」ズギュゥゥゥゥ!


     ・
     ・
     ・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/19(土) 02:44:52.64 ID:uksSMhyOo<> 一区切り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/19(土) 05:32:23.06 ID:IKnR3SbSO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 08:24:14.39 ID:uksSMhyOo<>
勇者「――勇者になって以来初めてだな」

魔王「奇遇だな。我輩も魔王になってから初めてだ、こんな気分は」

男「立ちなよ、手加減したんだから。牢屋まで引きずるのは骨だ」

勇者「いやだね。俺はここで死ぬ」

魔王「我輩もそうするか」

男「ふてくされないでよみっともない。二人とも十分強かったよ」

勇者「チッ!」

魔王「くそが……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 08:24:53.19 ID:uksSMhyOo<>
男「まあ仕方ないって。ぼくは魔王勇者システムの権化だからね」

勇者「訳わかんね……」

魔王「本当に何者なのだ……」


  メイド「ちょっとちょっと!」


男「お。彼女さんたちの登場か」

メイド「魔王! あんた何負けてんのよ!」

銃士「ふぅむ……」

メイド「相手は一人じゃない。それも腕とかめちゃくちゃ細いし! あんたの筋肉は何のためについてんの!?」

魔王「言うな。我輩今めたんこへこんどる」

メイド「シャラップ! 仮にも魔王なら今すぐ立ちなさい! あんたが負けるのを見るのは嫌なのよ!」

銃士「へえ……」

メイド「あ……べ、別に変な意味じゃないわよ、勘違いしないでよね!」

男「ツンデレ乙。でいいのかな?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 08:25:16.80 ID:uksSMhyOo<>
男「さて、君たちはどうする? ぼくの相手でもしてみる?」

メイド「!」

銃士「あたしはパスで。どう考えても敵う相手じゃないしね」

男「賢明だよ」

メイド「ちょっとぉ!」

男「君はやるの?」

メイド「あなたレディに手上げる気!?」

男「まさか。そんな趣味はない。まあどうしてもっていうならやぶさかでもないけど」

メイド「お断りよ!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 08:26:13.05 ID:uksSMhyOo<>
男「じゃあ、ほらみんな歩いた歩いた。牢屋は待ってくれないよ」

勇者「くっ――つじょくだ」ムクリ

魔王「惨め過ぎて死ねる」ハァ

男「はい、鍵。牢屋に入ったら自分で閉めて外に投げといて。ぼくはちょっと忙しい」

銃士「忙しい? なんだいそりゃ」

男「君たち、特に女性陣には関係ないよ。気にしている暇があったらさっさと出て行ってほしいんだけど」

勇者「……」ムカ

魔王「せめてそれぐらいは聞く権利があるだろう」

男「時間がないんだ。ほら早く――」クル


  ??「……」


男「……」

メイド「!?」

銃士「えっ」

勇者「なんだ……?」

魔王(黒い鎧? いつの間に?)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 08:26:34.55 ID:uksSMhyOo<>
男「……」

??「フシュゥゥゥゥゥ…………」

男「ついに来たか。随分早かったね」



男「――システムの、番人さん」



番人「コフォォォ…………」ギン!



     ・
     ・
     ・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/19(土) 08:28:41.10 ID:uksSMhyOo<> 一区切り
これで主要登場キャラ?が全てそろったぜ

あと、細切れな変な投下でごめん
この方がやりやすいだけで他意はないんだ
毎回区切りのいいとこまでは投下するので許してください <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/19(土) 08:58:34.24 ID:uksSMhyOo<> おっと忘れてた
もちろん一日の終わりにまとめて投下もできるので、その方がいいという人は言ってくださいね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/19(土) 09:18:06.72 ID:IKnR3SbSO<> お前に任せる

乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/19(土) 11:21:52.38 ID:EoX5t80Go<> すきに投稿してくれればいいよ乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/19(土) 17:09:10.30 ID:uksSMhyOo<> ありがとう
続ける <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 17:09:37.78 ID:uksSMhyOo<>
<database>


・魔王勇者システム:この世の"運命の流れ"を制御するために魔力素子理論を応用して考案された機構


・魔王&勇者:魔王勇者システムを展開するためのユニット


・番人:魔王勇者システムのエラー除去・修正を行うプログラム


     ・
     ・
     ・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 17:10:04.84 ID:uksSMhyOo<>
<魔王城.大広間>


勇者「……番人?」

魔王「なにやら良くわからんのが次から次へと……」

男「……」

番人「……」

男「みんな、下がって」

メイド「え?」

男「早くッ!」


 ドゴォッッッ!!!


男「ぐっ!」

番人「……」キュィィィィン……

銃士(は、速!? 一瞬で距離を詰めた!?)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 17:10:39.26 ID:uksSMhyOo<>
番人「ォォォォォォォ……」ズガガガガ!

男「くぅっ!」ガキガキガキガキン!

  勇者「!?」

  魔王「な……」

番人「……ッ!」ギン!

男「がッ!」ボゴォッ!

  銃士「通った……?」

  メイド「勇魔でも破れなかったのに……!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 17:11:13.04 ID:uksSMhyOo<>
番人「フシュッ!」ドゴゴゴゴ!

男「あああああああ!」バキドゴドゴォッ!


  勇者「お、おい……」

  魔王「よくわからんが好機だな」

  勇者「確かにそうだけどよ……」

  魔王「行くぞ」ダッ

  勇者「ま、待てよ!」ダッ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 17:11:39.33 ID:uksSMhyOo<>
男(や、やはりイレギュラーのぼくより数段強い……)

番人「……」スッ

男(終わりか……早かったな)

魔王「おおおおお!」

男(魔王まで……はは、ぼくにはお似合いの最期か)

魔王「セイッ!」ブン!

番人「……!」バックステップ

勇者「?」

男「え?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/19(土) 17:12:25.66 ID:uksSMhyOo<>
魔王「何を驚いておる。早く立たんか」

男「ぼくを倒すんじゃないのか?」

魔王「お前を先に倒してしまってはあの黒鎧は誰が始末するのだ。
   我輩らも狙われんとは限らん。
   お前は番人とやらを片付けたあとで料理すればいい」

男「……合理的だ」

魔王「そういうわけだ、ガンガン行くぞ勇者」

勇者「チッ、命令するんじゃねえよ。それは俺の特権だ」

魔王「シッ!」ズダン!

勇者「フッ!」バッ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/19(土) 17:12:53.09 ID:uksSMhyOo<> 一区切り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/19(土) 17:53:50.15 ID:EoX5t80Go<> 乙
深い話になりそうだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 06:48:17.41 ID:f9kXu5/Ao<> でも短く終わりそうです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 06:48:45.97 ID:f9kXu5/Ao<>
勇者「うらああああッ!」ヒュッ!

番人「……」ガキン

魔王「おおおおおおッ!」ジャッ!

番人「……」ガキン

勇者「もういっちょ――」

番人「フシュッ!」カッ!

勇者「がッ!」ドサ

番人「ッ!」ジャッ!

魔王「うおっ!?」バキィ

番人「……」ガシ グググ

勇者(首が……)

魔王(我輩らの喉を握りつぶすつもりか……!)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 06:49:26.00 ID:f9kXu5/Ao<>
  銃士「"魔弾・貫穿"!」ズキュゥゥン!


番人「!」ドス!

勇者「うお!?」ドサ

魔王「ぬ!?」ドサ


  銃士「大丈夫かい!?」


勇者(……攻撃が通った?)

魔王「もしや」ズズ……

魔王「はッ!」ブン!

番人「……」バックステップ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 06:49:47.77 ID:f9kXu5/Ao<>
魔王「やはりだ! 魔力を込めた攻撃ならば効くということか!」

勇者「なるほどな」ポゥ……

魔王「行くぞ!」シュッ!

勇者「"心剣・断影"!」ビュッ!

番人「……!」


 ――ズガアァッ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 06:50:46.90 ID:f9kXu5/Ao<>
勇者「……」

魔王「……」

番人「……」



勇者「がはっ……」ズルズル

魔王「ぐぶ……」ドサリ

番人「ォォォォォ……」


  メイド「魔王!」

  銃士「勇者! ……チッ!」ジャキ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 06:51:15.39 ID:f9kXu5/Ao<>
番人「……」

銃士「まずいね……勇魔でも敵わないとなると……」

メイド「逃げないわよ! 魔王を置いて逃げられるもんですか!」

銃士「あたしだってあいつを置いて逃げる気はないね」グッ

男「出るな。もう終わる」

銃士「え?」

男「準備は整った。行くぞ!」

番人「……」



男「"失せろ"!」カッ



     ・
     ・
     ・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 06:51:42.93 ID:f9kXu5/Ao<> 一区切り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 07:10:47.69 ID:LuOmUUkIO<> 見てる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<><>2011/11/20(日) 08:42:38.30 ID:97npOv1Ko<> おっつ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 09:53:23.27 ID:TIV7Zj+SO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 15:26:47.06 ID:f9kXu5/Ao<>
 かつて――


 かつて、はるか遠い昔。人が決定的に神を殺した時代があった。
 栄え、力に溺れた時代があった。

 新エネルギーの模索のさなか発見された謎の素子。
 それが、全ての引き金。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 15:27:44.73 ID:f9kXu5/Ao<>
男「旧文明が発見したそれは、この世に存在する物質ではなかった。この世界と極めて近く重なる別種の世界のものだ」

勇者「……それが、魔力素子?」

男「便宜的にそう呼ばれているね。
  この世界に明確に存在はしないが、それを特別な方法でやりくりすることでこの世に物理現象を引き起こすことができる。
  今の時代では魔術と呼ばれているのがそれだ」

魔王「それではこの世に存在しているのとほぼ同じではないか?」

男「そうかもしれないね。でも定義はどうでもいい」

銃士「……」

男「その素子の発見は当時のエネルギー問題を根こそぎ駆逐した。夢のエネルギー抽出法としてもてはやされた。
  そこまでは何の問題もなかった」

メイド「それとあのバケモノと何の関係があるのよ」

男「……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 15:28:37.01 ID:f9kXu5/Ao<>
男「人は強欲だ」

勇者「は?」

男「一つ手に入るともうひとつ欲しくなる。全てを手にれるまでは決して止まらない」

魔王「……」

男「魔王勇者システムは、そんな人間の性質の体現だったと思うよ」

銃士「もったいぶらないで早く説明しな」

男「"運命"を信じるかい?」

メイド「は?」

男「この世には何らかの流れがあることを、知っているかな?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 15:30:01.09 ID:f9kXu5/Ao<>

『魔力素子蒸着確認』

『"魔王ユニット"安定』

『"勇者ユニット"発生ルーチン確立』

『……運命操作機構"魔王勇者システム"、始動』

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 15:33:42.19 ID:f9kXu5/Ao<>
男「魔力素子のポテンシャルは、物理現象を引き起こすにとどまらなかった」

魔王「まさか」

男「この世の物事、その移り変わりにすら影響を与えることが分かったんだ」

勇者「???」

男「隕石……ってこの時代でもわかるのかな?」

銃士「当たり前だよ、馬鹿にしてんのかい?」

男「いや、ごめんよ。まあ、その程度の災害、というか不運はキャンセルできる。簡単に言えばそういうシステムだ」

メイド「……随分と大雑把ね」

男「他にも文明の存続を脅かす災害、不運は緩衝される。人の精神にも魔力素子は関与するから、人災もある程度は減る
  それがなければ人類はもっと早く滅びていただろう」

魔王「……」

男「最終的には、不老不死とならんで運命の完全掌握を達成するつもりだったらしい。でもそれは成らなかった。
  いや、もし文明が存続していれば成ったかもしれないが、その前に文明自体が滅びた」

銃士「ん? そのシステムとやらに守られていたんだろう? なんでだい?」

男「守られていようがいまいが、滅ぶときは滅ぶ。
  でもぼくが思うに、人間として、生物として大事な"受け継ぐ"ってことを忘れてしまったことが一番の理由だよきっと」

勇者「ふぅむ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 15:34:41.50 ID:f9kXu5/Ao<>
男「システムの仕組みとしては、ざっくり説明すると、全ての魔力素子の廻りを制御してやるんだ。
  そのための中心というか軸を用意しなければならない」

魔王「……我輩か」

男「正確には歴代魔王ね。
  魔力素子を肉体感覚で操れるよう遺伝子をいじくられた者――現在の魔族だね――のうち、特別魔力素子感応が強いやつだ。
  魔王城はそのまま魔王の力を増幅する一個の装置で、これで操作する」

勇者「じゃあ、俺は一体?」

男「次の魔王候補さ」

勇者「は!?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 15:35:47.58 ID:f9kXu5/Ao<>
男「ねえ、君は魔王になる前は何をしていた?」

魔王「……それを聞いてどうする?」

男「記憶がないだろう。君はそれが始まった時からずっと魔王だったはずだ」

魔王「……」

男「魔王という機構の心臓部は、それでもやはり摩耗する。取り替えなければならない。
  交換部品の候補が勇者だ」

メイド「なんですって……?」

男「運命操作のプログラムには、勇者発生から魔王交代までのルーチンも刻まれている。
  魔王と勇者は廻りの間にて戦い、勇者が勝った場合その部屋ごと一時凍結される。
  その後数十年ほどの書き換え時間を経たのち、元勇者は魔王として目覚める。
  これの繰り返し。心当たりはあるだろう?」

メイド「……!」

銃士「勇魔の決闘に、余人の立ち入りは禁ずる……」

男「それはシステムの都合上生まれた掟だね」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 15:36:41.47 ID:f9kXu5/Ao<>
男「旧文明の記録、技術は全て失われたが、皮肉にもこのシステムだけは残った。
  受け継ぎを否定するようなそれが、受け継がれてきたってことだ」

勇者「で、でもよ、そのシステム? に異常が出た場合はどうするんだよ?」

魔王「……番人」

勇者「あ」

男「そうだ。あれはシステムの修正人だ。大抵のことはあれが出てくれば片付く。
  今回はぼくがシステムの邪魔をしようとしたから出現したというわけだ」

魔王「お前はなぜシステムを阻害するのだ?」

男「それがぼくの存在意義だからだ」

銃士「?」

男「システムは長い時間を経て、もはや崩壊に進んでいる。
  それはこの世界を丸ごと引きずり込みかねない。
  ぼくはシステムの軋みの音より生れし者。システムの影、過去の亡霊」


男「"ゴースト"だ」


     ・
     ・
     ・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 15:37:08.61 ID:f9kXu5/Ao<> 一区切り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(長屋)<>sage<>2011/11/20(日) 15:42:05.10 ID:msU3BmFDo<> おっつ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 15:42:33.66 ID:TIV7Zj+SO<> ふぅむ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 19:37:20.45 ID:fmygVjkIO<> 難しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/20(日) 20:44:24.27 ID:hlVHGjlgo<> 若い頃は寝るまえにこういうの妄想したなー
既存のストーリーに最強キャラとして自分を乱入させるパターンはみんなするよな
今となっては黒歴史だな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 20:51:54.57 ID:fmygVjkIO<> >>89
自分で体を動かし口で効果音を発してたころが俺にもありました <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 21:30:09.28 ID:8HCLm/iIO<> 勇者になるのも魔王になるのも妄想するよな?

あとマトリックスみたいなのは誰でも考えるよな

俺の場合コンピュータのパターンと超高速で大工さん達が見える範囲の大道具を準備してる2パターンに浸ってたなぁ
振り返ると大工さん達が大慌てでうわー急に振り返るなー!とかいって風景のハリボテを瞬時に作り上げてぜーはーいってるみたいなwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 23:56:58.70 ID:f9kXu5/Ao<>
<魔王城.魔王の自室>


メイド「"癒しよ"」ポゥ

魔王「すまんな」

メイド「怪我してたならもっと早く言いなさいよ、まったく」

魔王「次からそうする」

メイド「あんたねえ」

魔王「はは」

メイド「……」

魔王「どうした?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 23:57:25.68 ID:f9kXu5/Ao<>
男『番人は今回は一応撃退できた。でも、あれは、またやってくる。今度こそぼくを消去できるように何かしら準備をして』

男『次こそはあれを、システムを停止させなければならない』

男『――うん、勝ち目は薄い。君たちにも協力してほしい』

男『でも強制はできない。システムの仕様から逆算すれば、番人が再び現れるのは二日後の夕の刻。それまでに……』

男『ぼくに協力するにしろ逃げるにしろ、もしくは番人の側につくにしろ何でもいい』

男『答えを出しておいてくれ』
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 23:57:59.21 ID:f9kXu5/Ao<>
メイド「――って言ってたじゃない」

魔王「……」

メイド「……あんたはどうするの?」

魔王「さて」

メイド「はっきりしなさいよ!」

魔王「そんな簡単に決められる問題か?」

メイド「それは……そうだけど」

魔王「お前はどう思う?」

メイド「世界の危機でしょ? だったら迷う余地なんて」

魔王「あれが嘘をついている可能性は? もしくは間違った認識で申告をしている可能性は?」

メイド「う……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 23:58:25.53 ID:f9kXu5/Ao<>
魔王「あれはどうも胡散臭い。我輩は好かん」

メイド「じゃあ」

魔王「かといってとんずらこくのも違う」

メイド「なら」

魔王「あの黒鎧につくのはさらにないな。得体が知れん」

メイド「どうすんのよ!」

魔王「様子見だ」

メイド「様子見?」

魔王「場には立ち会う。だが手出しはしない」

メイド「なるほど」

魔王「いざとなったら逃げることを優先するつもりだ」

メイド「分かったわ」

魔王「ん?」

メイド「え?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 23:58:54.40 ID:f9kXu5/Ao<>
魔王「……お前、もしかして一緒に残るつもりか?」

メイド「ちょっと! わたしだけ逃げろっていうの!?」

魔王「勇者との決闘のときは残りたいというお前に我輩が折れた。今度はこちらの言うことを聞いてもらう番だ」

メイド「で、でも」

魔王「別に我輩は危険を冒すつもりはない。安心しろ」

メイド「……」

魔王「な?」

メイド「……わたしが治癒魔術しか使えないから?」

魔王「……」

メイド「そうなんでしょ?」

魔王「違う」

メイド「分かってるわよ。わたしが残っちゃうと足引っ張っちゃうものね」

魔王「違う」

メイド「でもわたしは――」

魔王「話を聞け」ポコ

メイド「あいたっ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/20(日) 23:59:43.90 ID:f9kXu5/Ao<>
魔王「我輩が魔王として目を覚ましたときの事を覚えているか?」

メイド「……忘れるわけないじゃない」

魔王「皆に盛大に迎えられ称えられ、初めて入る自室にお前はいた」

メイド「……」

魔王「第一声は『誰よあんた』だったな」ククッ

メイド「し、知らなかったものは仕方ないじゃない!」

魔王「数十年ぶりに誕生した魔王を? 馬鹿言うな。ふふ」

メイド「なんで今その話をするのよ!」

魔王「あれから十数年だが、いまだに我輩に正面切って楯突くのはお前くらい」

メイド「悪かったわねじゃじゃ馬で」

魔王「そんなお前にもしものことがあっては困る」

メイド「っ!?」

魔王「我輩と真に対等な友人はお前だけだからな」

メイド「え、あ、友人……?」

魔王「さて……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/21(月) 00:00:15.65 ID:V7eLnsFno<>
魔王「何はともあれ、今回は我輩の言うことを聞け」

メイド「……分かったわよ」

魔王「それでいい」

メイド「でも! これだけは約束しなさい。絶対に危険は冒さないこと!」

魔王「我輩はもとよりそのつもりと言ったはずだが」

メイド「言うのと約束するのは違うの」

魔王「……分かった、約束する」

メイド「絶対だからね」

魔王「ああ……もちろんだ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/21(月) 00:13:22.99 ID:V7eLnsFno<>
<魔王城.食堂>


勇者「――と、言うわけで俺は様子見のために残る。お前は逃げろ」

銃士「分かったよ」

勇者「……」

銃士「?」

勇者「お前、そこは少し粘ったりするもんじゃねえのか?」

銃士「何を?」

勇者「……まあいいや」

銃士「冗談だよ。でも、あたしが残ったところで何になる? 足を引っ張るのだけはごめんだよ」

勇者「分かってんならいいんだ。気持ちの問題だ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/21(月) 00:14:31.67 ID:V7eLnsFno<>
銃士「まあ、足を引っ張るのもそうだけど」

勇者「ん?」

銃士「受け継ぎ、だっけ。それはあんたたちの役目だと思うからね」

勇者「……」

銃士「主役はあんたたちだ。あたしは脇役」

勇者「おい」

銃士「勘違いしないでおくれ。不満はないよ。むしろあたしはその役に誇りすら覚える」

勇者「?」

銃士「あたしはちょっと逃げる。けど、あんたの仲間をやめるつもりもない。
   安心しな。どんな時もあたしはあんたの味方だよ」

勇者「……」

勇者「……!」ハッ

勇者「ば、馬鹿言ってんじゃねえよ。そんな言葉だけじゃなんの足しにもなんねえよ」

銃士「あたしの言葉、忘れないでよ?」

勇者「……おう」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 00:14:55.02 ID:V7eLnsFno<> 一区切り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(長野県)<>sage<>2011/11/21(月) 00:30:37.23 ID:REw1yjSPo<> おつつ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 00:38:16.93 ID:8tXjlbXSO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 06:31:11.42 ID:V7eLnsFno<>
<二日後.夕刻.魔王城.城門前広場>


勇者「……」

魔王「……」

男「……」

魔王「なあ、勇者」

勇者「ん?」

魔王「先代勇者については何か聞いているか?」

勇者「聞きたいのか?」

魔王「我輩の前世だ。気にもなる」

勇者「前世じゃないだろ……まあいいか」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 06:31:39.97 ID:V7eLnsFno<>
勇者「まず、生まれて三カ月にしてもう立って歩いていたという逸話がある」

魔王「ほう?」

勇者「五歳にして武におけるあらゆる領域でその筋の達人をうならせ、魔術の師匠のプライドを折って泣かせたらしい」

魔王「ふむ」

勇者「十六歳のとき既に人格は完成しており、その徳は天に届き、神の祝福を余すところなく受けた彼は、それまでの勇者の中で最も早く当時の魔王を降したらしい」

魔王「なるほど。さすが我輩、勇者時代からして最強だったのだな」

勇者「――というのが表向きの口伝」

魔王「ん?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 06:32:13.79 ID:V7eLnsFno<>
勇者「話を盛ってるのさ。それに武の面以外の彼はあまりいい噂は聞かない」

魔王「……」

勇者「やれ働きたくないやれ面倒くさい。彼のゆくところ怠惰の嵐が吹き荒れたそうだ」

魔王「う、ううむ……」

勇者「地位の高い人間には誹謗中傷も多い。他にも女癖が悪かったとか酷い乱暴者だったとかあるらしいが、まあ噂だ。気にすんな」

魔王「聞かなければ良かった気もしてきた」

勇者「だな」


男「……」サッ


勇者・魔王「!」

男「おでましだ」



番人「……」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 06:33:01.71 ID:V7eLnsFno<>
勇者「俺たちは下がるぜ」

男「ああ」

番人「……」ザッ

男「……」ザッ

番人「……」

男「……」


 ――ズダン!


番人「フシュウゥゥ……!」ズオ!

男「おおおおおお!」ジャッ!


 ズガァッ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 06:34:07.74 ID:V7eLnsFno<>
勇者「!」

魔王「これは」

男「な……な……」パクパク

番人「<Catch>」

勇者「一撃で槍に串刺し……」

男(こんなに強化されているなんて……想定外だ!)

番人「<ready...>」ピピピ……

魔王「なんだ?」

番人「<...Delete>」

男「ぁ……」


 ――ピシュン ……ブツ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 06:34:36.21 ID:V7eLnsFno<>
 それがゴーストの最期だった。

 どれだけ力を持っていようが関係ない。
 消えて終わりだった。

 これ以降、世界は彼というジョーカーなしで話を進めることになる。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 06:35:21.69 ID:V7eLnsFno<> 一区切り
あと一、二回で終了予定 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 07:04:57.13 ID:8ERX7+58o<> 朝からおつ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 08:04:36.22 ID:8tXjlbXSO<> はええwwwwww
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 13:10:49.91 ID:V7eLnsFno<>
番人「ォォォォ……」

勇者「……」

魔王「……」

勇者「……どうする?」

魔王「どうするも、なにも……」

番人「……」

勇者「次の狙いは俺たちか……?」

魔王「そんなはずはない。我輩らはシステムの重要な部品だ」

番人「……」カツ

勇者「だ、だがこっちにくるぞ!?」

魔王「……?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 13:11:16.96 ID:V7eLnsFno<>
魔王(おかしい、我輩らまで消すつもりか……? それでは理屈に合わんぞ)

勇者「くっ」ジャキ

魔王(いや、違う? 相手の目的はあくまでも――)


 ズブシャ……!


勇者「ぐぶ……っ!」

魔王「勇者!?」

番人「<Catch>」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 13:11:50.44 ID:V7eLnsFno<>
番人「<rewrite-ready...>」

魔王(やはり! 狙いは次の魔王の生成か! 強制的に引き継ぎを行う気だ!)

魔王「やめんか!」バッ

番人「……」ブン!

魔王「がッ!」バキィ! ドサ

番人「<5.4.3...>」

勇者「あ……あ……」

勇者(俺が……俺じゃなくなっていく……)

魔王「勇者!」

勇者(死ぬのか……)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 13:12:19.98 ID:V7eLnsFno<>
「いいや」



 ガシャ!



銃士「それはないね」



 ――ズキュゥゥゥン!


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 13:12:50.05 ID:V7eLnsFno<>
番人「……!」ドス!

勇者「うっ!」ドサ……

魔王「……狙撃?」

勇者「銃士……」ハァハァ


  銃士『どんな時もあたしはあんたの味方だよ』


勇者「そう……そうだったな」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 13:13:16.84 ID:V7eLnsFno<>
銃士「もう一発」ガシャ!


 ――ズキュゥゥゥン!


銃士「あたしの目から逃れられると思うんじゃないよ!」ガシャ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 13:13:55.51 ID:V7eLnsFno<>
番人「……!」ドス! ドス!

勇者「効いてる!」

魔王「今のうちだ。力ずくで止めるぞ」スッ

番人「<anti snipe mode>」キュィィン……

勇者「? なんだ」

番人「<fire>」カッ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 13:15:08.48 ID:V7eLnsFno<>
銃士「もういっぱ――」


 ――カッ!


銃士「……チッ、ここまでか」

銃士(後は任せたよ、勇者)


 ――ッドゴオォォ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagasage<>2011/11/21(月) 13:15:33.36 ID:V7eLnsFno<>
勇者「……銃士?」

魔王「……」

勇者「…………こ、の」

魔王「待て、抑えろ!」

勇者「クソ野郎がァァァッ!」ズダン!

番人「……」キュイィィィン……


 ――ドス!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 13:16:10.93 ID:V7eLnsFno<> 最後の一区切り <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 14:22:05.99 ID:/JSiugjIO<> おいついた
C <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:18:25.72 ID:V7eLnsFno<>
勇者「っ……!」ドサ

魔王「が……っ」ダラリ

番人「<Catch>」

勇者「ばっ……お前! なんで俺をかばった!」

魔王「ぐ……が……」

勇者「……くそ! "断影"!」ジャッ!

番人「……」バックステップ

魔王「……っ」ドサ……
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:18:51.99 ID:V7eLnsFno<>
勇者「ちくしょう、掴まれ」ガシ

魔王「……」

勇者「逃げるぞ!」ダッ!

番人「……」キュイィィン


 タッタッタッタ……


勇者「ハッ、ハッ……」

魔王「……」


「止まりなさい!」


勇者「っ……?」

メイド「こっちよ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:19:18.42 ID:V7eLnsFno<>
 ――ドサ……


魔王「ぐ……」

メイド「魔王……!」

魔王「……」ゼィ ゼィ……

勇者「……悪い」

メイド「……あいつは?」

勇者「来る。俺が止める」

メイド「時間を稼ぎなさい。魔王はわたしがどうにかする」

勇者「分かった」ダッ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:19:51.77 ID:V7eLnsFno<>
メイド「"癒しよ"」ポゥ

魔王「……」

メイド「"慈悲よ"」ポゥ

魔王「……」

メイド「……"恵みよ"」ポゥ

魔王「……」

メイド「……あんた、危険は冒さないって約束したじゃない。危なくなったら逃げるって言ってたじゃない……」

メイド「なのに何よこれ! なに死にかけてんのよぉ!」

魔王「……」

メイド「ふざけんじゃないわよ。必ず約束は守らせんだからね……!」グス


     ・
     ・
     ・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:20:31.61 ID:V7eLnsFno<>
魔王「……っ!」ゴボ!

魔王「うっ、がは……!」

魔王「ゼィ、ゼィ……」

魔王「……我輩は、一体」ムクリ

メイド「――」

魔王「メイド?」

メイド「――」

魔王「おい、メイド」ガシ

メイド「――」ズルリ……ドサ

魔王「メイド! お前まさか!」

メイド「――」

魔王「馬鹿者! 自分の命を削る奴があるか! なぜ逃げなかった! なぜ、こんな無茶を!」

メイド「――ま、おう……」

魔王「メイド!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:20:58.75 ID:V7eLnsFno<>
メイド「……これ、で、おあいこ、ね」

魔王「っ……」

メイド「また、ね……」

魔王「……」

メイド「――」

魔王「……すぐ追いつく、から。待ってろ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:21:24.97 ID:V7eLnsFno<>
勇者「はあああッ!」ジャッ!

番人「フシュ!」カッ!

勇者「うぐッ」ドサ!

番人「……」キュィィィィ!

勇者(まず――)

魔王「"崩拳"!」バッ!

番人「……!」バックステップ

勇者「魔王! 大丈夫か!?」

魔王「……いや、傷だらけだ」

勇者「……そうか」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:21:51.43 ID:V7eLnsFno<>
番人「――ォォォォ……」

勇者「……どうする。逃げるか?」

魔王「我輩にはもうその選択肢はない」スッ

勇者「奇遇だな。俺にもだ」チャキ

番人「……」カツ

勇者「策は?」ポゥ……

魔王「『ガンガンいこうぜ』」ズズ……

番人「フシュゥッ!」ズダン!

勇者「オラァッ!」ギュン!

魔王「セイッ!」ズオ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:22:17.95 ID:V7eLnsFno<>

 ――交錯の瞬間に


勇者「――!」

魔王「――!」

番人「……」


 ――それは起きた


 ッドゴゥ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:22:46.09 ID:V7eLnsFno<>
番人「ッ!」グラ……

勇者「"断影"!」

魔王「"崩拳"!」


 ――ズザシュゥッ!


番人「――!」

勇者「……」

魔王「……」

番人「っ……っ……」


 ――ドサ ガシャン……
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:23:29.66 ID:V7eLnsFno<>
勇者「……ぷはぁ!」

魔王「ふ、はあ……」

番人「――」

勇者「……なんだ、さっきの爆発」

魔王「分からん。番人の内側からのものに見えたが」


  『どんな時もあたしはあんたの――』


勇者「あ」

魔王「ん?」

勇者「……いや」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:23:55.87 ID:V7eLnsFno<>
番人「――」

勇者「これで、終わりなのか?」

番人「<...secondform-ready>」

魔王「ぬ!?」


 カッ――!


勇者「な、なんだ?」

魔王「さ、下がれ!」


 ズオゥッ――!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:24:22.43 ID:V7eLnsFno<>
「キシャアアアァァァァァァッ――!」


勇者「ドラゴン……?」

魔王「大きい……!」


「<...target lock on>」キュイイイィィン!


 ゴゥッッ!!


     ・
     ・
     ・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:24:59.39 ID:V7eLnsFno<>
勇者「ぁ……」

魔王「ぅ……」


「<second-attack ready...>」キュイィィン!


魔王「ゆ、うしゃ……立てる、か?」

勇者「うぐ……」

魔王「どちらかが、立たねば、ならん……」

勇者「けど……」

魔王「お前が、立て……」

勇者「むりだ……っ」

魔王「お前に、託す……」ポゥ

勇者「……」

魔王「……受け継いで、くれ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:26:42.59 ID:V7eLnsFno<>
「<――fire>」


 ――ドゴゥッ!


「<...error>」


勇者「その内部爆発。なんでか分かるか?」

勇者「――俺の相棒。その魔弾だよ……!」ムクリ


「<error...>」


勇者「俺がなんで今立てるかわかるか?」

勇者「――メイドと魔王の、おかげだよ!」チャキ


「……キシャアアァァァァァッ!」


勇者「俺がなんで戦うか分かるか?」スッ

勇者「受け継ぐためだよッ!」ズダン!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:27:09.42 ID:V7eLnsFno<>
勇者「おおおおおッッ!!」

「<attack ready...>」

勇者「おせえッ!」ポゥ



勇者「"心剣・断月影"!」



 ――ズンッ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:27:37.56 ID:V7eLnsFno<>

     ・
     ・
     ・

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:28:28.24 ID:V7eLnsFno<>
勇者「――以上が、事の顛末です。俺が見聞きしたことの全てです」

王「…………御苦労で、あった」

勇者「……」

王「旧文明の遺物、魔王勇者システム……そのような真実が、この世界の裏側にあったとは」

勇者「……」

王「世界を救ってくれたこと、誠に感謝する」

勇者「陛下」

王「なんだ?」

勇者「俺はもう疲れました」

王「これはすまない。すぐに部屋を用意させよう」

勇者「いえ、ここで少し座って楽にさせてもらうだけでいいんです」

王「? まあ、かまわないが」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:29:00.15 ID:V7eLnsFno<>
勇者「ふぅ……」ペタン

勇者「……」

勇者「終わったよ、銃士」

王「……」

勇者「務めは果たしたぜ、魔王、メイド」

王「……」

勇者「これでよかったんだよな、ゴースト」

王「……勇者?」

勇者「陛下」

王「ああ」

勇者「この世界を頼みます」

王「わかった」

勇者「……すみません。ちょっと休みます」

王「……おい?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sagesaga<>2011/11/21(月) 19:29:54.93 ID:V7eLnsFno<>
勇者「――」

王「……」

勇者「――」

王「……勇者の死によって、システムは真に停止する」スク

王「……確かに、受け継ぎました」ペコ


 ――ズズン……!


王「……」

兵「じ、地震! 陛下、ご無事ですか!?」

王「ああ」

兵「大きい!」

王「問題ない。じき静まる」

兵「……?」

王「心を平静に。これからは不運に対し我らが自ら戦わねばならないのだから」

王「……だろう、勇者」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/11/21(月) 19:30:27.17 ID:V7eLnsFno<>
title:男「勇者と魔王、捕まえた」



      〜了〜
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 19:30:53.17 ID:V7eLnsFno<>
以上です。支援・乙等ありがとうございました
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 19:32:21.22 ID:V7eLnsFno<>
それで、なんですが
今回色々婉曲ながらも指摘された通り(実は指摘されるまで気付かなかったこともいくつか)不備が多いので、加筆修正したものを数日以内にvipに再投下しようと思います
多少のマナー違反を感じますが、大幅変更を加えて仕切り直すつもりです。また、封印していた地の文も解禁します。台本戦闘もやり尽くした感がありますので
もし何かアドバイス、加えてほしい・加えた方がいいエピソードなどあれば教えてください
<> vip再投下時の本人確認用トリ→
◆JO9VFxAlUU<>sage<>2011/11/21(月) 19:34:30.59 ID:V7eLnsFno<>
○今後の予定

・異形使い:年末年始の休み中に完成させて一月中には
・「捕まえた」:あともう一本だけ構想があるので十二月中には。"少女「魔王と勇者、捕まえた」"で
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(長屋)<>sage<>2011/11/21(月) 19:56:17.51 ID:2zihtyMto<> 乙!
かなり短めではあったけど楽しかった
ゴーストもうちょっと活躍させてあげてもよかった気もする

んでちょっと疑問なんだけどさ
システムが起動した後って旧文明はどこにいたの?
いずれは滅亡したとはいえその辺がよく分からん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 20:19:39.15 ID:V7eLnsFno<> 感想ありがとうございます

ゴーストは確かに退場が早すぎでした
書き直しでは、もう全く別のキャラになっちゃう予定ですが、もう少し活躍してもらいましょう

旧文明はシステム起動後も一応同じ場所、同じ地上に生きていた、という設定だったんですがもしかして変なところがあったでしょうか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 20:38:38.03 ID:8tXjlbXSO<> 乙
期待してる

結局ゴーストってなんだったんたんだ?
人間? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 20:53:38.13 ID:jrFKyoFIO<> 乙
もうちょう説明が欲しかったかも <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(長屋)<>sage<>2011/11/21(月) 20:54:06.54 ID:MuLB3fTio<> >>149
んー、なんと言うか「勇者と魔王が闘う」と「旧文明の現存」が同時に起こっているのにイメージがわかない
現代社会でドラクエやってるみたいな違和感かな?
勇者がどこから出てくるのか、も分からんからそれもイメージが出てこない一因かもしれない
その辺もうちょっと膨らませて欲しかったかな
いや半分ぐらいは俺の読解力不足のせいなんだけどね、ごめん。面白かったよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/21(月) 21:10:50.20 ID:V7eLnsFno<> ゴーストは、システムにエラー?がたまって(魔翌力素子の物理現象に影響を与える性質によって)生まれた疑似人間、みたいな感じだったんですが、
説明が全然足りませんでした、すみません

それにしてもゴーストが意図しなかったものの思い切りメアリー・スーだったり、設定がありきたりかつ説明不足だったりやはり改善点は多いですね
説明力がなく、独りよがりに陥りやすいことは以前指摘されていますので、書き直しでは上手くやりたいです

>>152
なるほど確かに……
書き直しでは近未来の雰囲気とファンタジーの雰囲気も上手にすり合わせられたらいいなあ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(大阪府)<>sage<>2011/11/21(月) 21:29:48.82 ID:etsP8CF9o<> ブルースクリーンになるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/22(火) 03:39:43.24 ID:8cl/tq5mo<> ドラクエ的な世界観に「システム」って設定は新鮮に思えた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<><>2011/11/22(火) 19:13:00.64 ID:/X/rmmpHo<> 良スレだった乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<><>2011/11/23(水) 12:27:06.28 ID:OArz/j+SO<> おつ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/23(水) 13:13:33.23 ID:j4DyWLTSO<> 修正版荒れすぎワロタ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/23(水) 17:44:29.91 ID:Yao++WH1o<> >>1が数日以内に作者総合スレに泣き付く姿が目に浮かぶ <> あ<><>2011/11/24(木) 03:17:59.78 ID:JlkpXRhAO<> vipで凄まじい叩かれ方してたな。
つまらなかったから仕方ないけど。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/24(木) 03:20:18.60 ID:2sqsQhKlo<> VIPのほう教えて <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/24(木) 07:04:00.94 ID:IU5eRenSO<> >>161
スレタイの男を黒鎧にすれば幸せになれる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/24(木) 12:13:26.86 ID:XTniDTcIO<> VIPの荒れようは異常だった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/24(木) 12:18:26.09 ID:QGQgAdXbo<> むしろ、こっちのほうがぬるいわけで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(沖縄県)<>sage<>2011/11/24(木) 12:30:48.96 ID:w7Y22tIvo<> まあ、別に荒れて欲しい訳じゃ無し、ここが平和なのは良いことさ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank)<>sage<>2011/11/24(木) 20:33:37.78 ID:X+pKsvWlo<> そもそもVIPでSSやること自体が嫌われてるからな
結果この板が出来たんだし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(神奈川県)<>sage<>2011/11/26(土) 08:59:23.47 ID:hVfA8pRBo<> >>162
遅くなったけどありがと <>