◆phLlq2zEWI<><>2011/12/23(金) 16:21:10.06 ID:Yaihf2pH0<>初投稿です。
このSSは、とある魔術の禁書目録とイナズマイレブンのクロスオーバーです。
基本は一方通行中心で進みます。
円堂や豪炎寺などのイナイレの方々はこの世界ではテレビの中のキャラという設定です。
あまりクロスオーバーとは言えないかもしれませんがご了承下さい。
拙い文章で誤字脱字のオンパレードになると思いますが、頑張って投下していこうと思います。<>一方通行「超次元サッカーだァ?」
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 16:25:23.50 ID:XaMmvECSO<> 一方さんじゃ身体能力的にキツイ気が…必殺技とか論外だし
期待 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 17:04:27.86 ID:hq5o1ro20<> 30分の能力をどう使うかが鍵だな。能力だけなら最強だし。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/23(金) 17:07:04.61 ID:Yaihf2pH0<> >>1です
スレ立てしたばっかりなのにすみません。
急に仕事で呼び出されてしまったので投下が出来なくなってしまいました。
帰ってきたら投下するので、本当にすいません……。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sagesaga<>2011/12/23(金) 18:03:26.23 ID:aP5BVRHt0<> キーパーは上条さんで必殺技打ち消しかな
禁書のキャラっていくらぐらいいたっけ?サッカー出来るべ?
まあいいや。期待 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 18:13:28.34 ID:56voJzcHo<> 必殺技打ち消しは無理だろ
( <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 18:39:48.56 ID:xyhTtwYto<> 黒子とかゴール内にワープで余裕じゃん <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 18:48:47.97 ID:fenZMhPSO<> アックアとねーちんがdでもないことに <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 19:35:25.74 ID:HLsAdSOn0<> とあるキャラチートすぎるwww <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 19:46:41.02 ID:U+4W7IwH0<> >>6
バタフライドリームのようなキーパーをよけるシュートや
トライアングルZのような純粋に威力のあるシュートならイマジンハンドにも対抗できるかもしれん
それに、効果を打ち消したとしてもシュートを取れなきゃ意味ないしな
(ガニメデプロトンなどのエネルギー系は止められると思うが) <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 20:44:01.30 ID:qy8835LKo<> そして無双する五条△ <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/23(金) 23:04:52.90 ID:/i/6rpMAO<> >>1です。
仕事が終わってようやく家に着きました。
皆様のご期待に応えられるか内心ガクブル状態ですが、やれるだけのベストは尽くす所存です。
……シリアスなパートが初っ端からあるけど大丈夫かな……?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/23(金) 23:06:41.75 ID:/i/6rpMAO<> 〜黄泉川家・リビング〜
「あなたは出来るの? ってミサカはミサカはあなたに聞いてみる」
俺がソファーで横になっていると、突然クソガキが訳の分からねェ事を聞いてきた。
「……オイクソガキ、オマエは一体何が言いてェンだ?」
「だ・か・ら・超次元サッカー!! ってミサカはミサカは物分りの悪いあなたにちょっぴり腹を立ててみたり!」
俺の返事が気に食わねェのか、その場で地団駄を踏ンで不機嫌顏になる奇天烈メトロノーム。
詳細の補足説明を求めてェ所だが、このクソガキは大事な事を見落としていやがる。
それは俺が『スポーツ』なンぞに興味がねェ事ともう一つ、
「物分りが悪いのはオマエだろォが。俺を誰だと思ってやがる? 学園都市最高の――」 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/23(金) 23:11:27.56 ID:/i/6rpMAO<>
「ねえあなた、『言語能力ボッシュート』って単語は聞いたことある? ってミサカはミサカは忠告してみる」
「――打ち止めさンの支配下ですゥ。どうもすみませンでしたー」
「うむ、分かればよろしい、ってミサカはミサカはふんぞり返ってみる」
……最高の頭脳を持ってるハズなンだが、なにバカな事やってンだ俺は。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/23(金) 23:15:52.66 ID:/i/6rpMAO<> 「――とりあえず、あなたがミサカの支配下に置かれている件は置いておいて、」
「むしろそのまま忘却の彼方に捨てとけ、二度と拾ってくンな」
「もしかしてあなたは超次元サッカーの存在を知らないの? ってミサカはミサカは確認をとってみる」
「スルーか? オマエ、俺の発言スルーしてンのかオイ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/23(金) 23:16:40.64 ID:/i/6rpMAO<> 「――とりあえず、あなたがミサカの支配下に置かれている件は置いておいて、」
「むしろそのまま忘却の彼方に捨てとけ、二度と拾ってくンな」
「もしかしてあなたは超次元サッカーの存在を知らないの? ってミサカはミサカは確認をとってみる」
「スルーか? オマエ、俺の発言スルーしてンのかオイ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/23(金) 23:22:03.46 ID:/i/6rpMAO<> 「……うーむ、その様子だと容疑者はこの件を知っていそうにないな、ってミサカはミサカは探偵気分でポーズを決めてみる」
人の話に聞く耳持たず、顎に手を当てて小さくカクカクと頷くクソガキ。
いくら世間や周囲の人間から『天才』だの『第一位』だのと評価されても、経験の少ねェ事柄には苦労するもンだ。
――『平和』なンざ、普通は慣れるモンじゃねェのにな。
「ハァ…………」
俺の口から思わず零れる溜め息と共に、胸に込み上げてくる言葉が一つ。
……アホ毛引き抜くぞ、クソったれがァ。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/23(金) 23:35:28.08 ID:/i/6rpMAO<> >>1です。
とりあえずプロローグのプロローグが終わりました。
短すぎるのには触れないでもらえると助かります……。
(書き溜めはあるので、また1時間後ぐらいには投下する予定です)
本作は最初、台本形式で書こうかしっかり書くか悩んでいました。
しかし必殺技の迫力を出すためには、やはり描写があったほうがいいと思ったので一人称視点で書いてみることになりました。
(……おかげでさっぱり話が進まない)
まあ、いつ完結するのかは定かではありませんが、気長に末永くよろしくお願いいたします。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 00:05:26.65 ID:3CwmyQNAO<> 「それじゃあまずは、あなたに超次元サッカーについて教えなきゃダメね、ってミサカはミサカはやれやれと溜め息をつきながらMNWに接続開始!」
人の気も知らないクソガキはそう口にした直後、コイツのアホ毛が見えない"何か"をやり取りしているかの様に動き始めた。
右に左に、後ろに前に。上と下には動かねェが、その動きは深海に住むチョウチンアンコウのよォだ。
そンなアホ毛のランプを持つこのガキは、現在進行形で世界中に散らばる『妹達(シスターズ)』を束ねる司令塔、通称『打ち止め(ラストオーダー)』。
『妹達』の上位個体であり、『妹達』の指揮も務める生ける制御装置でもある。
……こンなアホ丸出しのクソガキが『妹達』の司令塔の器によく収まるもンだ。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/24(土) 00:10:48.10 ID:3CwmyQNAO<> 「……オイ、そいつはまだ時間がかかンのかァ?」
「むー、ちょっとあなたは静かにしてて!ってミサカはミサカは妹達と熾烈な論争展開中!!」
クソガキ本人の主観で見れば、現在MNW上では激しい言葉の応酬が繰り広げられてるよォだ。
だが俺がクソガキを客観的に見ると、ただ体をウズウズと動かしてるよォにしか見えねェ。
……こりゃ当分終わりそォにねェな。
……ったく仕方ねェ――――――寝るか。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 00:18:38.16 ID:3CwmyQNAO<> …………………………
……………………
………………
…………
「――――て、起き――ば!」
沈み込ンだ意識に語りかけてくる、まだあどけなさの残る少女の声。
「どう――あなたは――――ってに寝ちゃ――の!?ってミサカはミサ――――!!」
その幼いながらも底抜けに明るい声が俺を変えてくれたのは紛れもねェ真実だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 00:21:44.43 ID:3CwmyQNAO<>
――かつてあのクソメルヘンな第二位との死闘で己を見失いかけた時。
――ロシアの雪原で俺を抹殺しに現れた番外個体に心をへし折られかけた時。
――俺が俺でなくなりかけた時、いつもオマエの声が心の抑止力になっていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 00:23:43.09 ID:3CwmyQNAO<>
……だがその声に応えられず、オマエらに痛みと苦痛を与えちまったのも紛れもない事実。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 00:25:20.38 ID:3CwmyQNAO<>
その罪滅ぼしって訳でもねェが、俺はオマエらを守り抜いてみせると決めた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 00:28:05.17 ID:3CwmyQNAO<>
――救いようのねェカス共の集められた地獄の中を、血反吐を吐いて泥水を啜りながら生き延びた。
――闇に染まり過ぎて『光』になれないと悟り、『一流の悪党』を目指して底辺を駆けずり回った。
――固執していた『幻想』を砕かれ、新たに見えた『希望』に手を伸ばして掴み取った『平穏』とかけがえのない『居場所』。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 00:37:10.01 ID:3CwmyQNAO<>
――――もう二度と離さねェ――――
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 00:50:55.68 ID:3CwmyQNAO<>
たとえ目の前に強大な敵が立ちはだかろォが構わず薙ぎ倒す。
分厚い障壁なンざ粉々に打ち砕いてやる。
法だろうが条令だろうが規則だろうが何だろうが知ったこっちゃねェ。
――俺が救えたのはまだたったの二人なンだ。
残り九九六八人を救うまで俺は――――、
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 00:59:19.68 ID:3CwmyQNAO<>
「いい加減にしなさーーい!! ってミサカはミサカはあなたに怒鳴り散らしてみる!!」
「――っ!?」
――突然、落雷の様な怒鳴り声が俺の頭上に降り注いだ。
その衝撃は想像以上に強く、俺がさっきまで見ていた夢を跡形もなく消し飛ばしていた。
「……、なンだクソガキ。いきなり喚いてンじゃねェ、耳障りだ」
「あなたが勝手に眠りに就くからいけないんでしょ!? ってミサカはミサカはあなたの逆ギレに逆ギレで返してみる!」
真っ暗だった視界へ徐々に光が差し込ンでくる。
ピントのボケた視界が鮮明に変化し、クソガキの顏が鼻先10cmの所に映しだされた。
……………………はァ?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 01:07:36.48 ID:3CwmyQNAO<> 「……、何でオマエは俺の目と鼻の先にいやがる?」
「……え、えへへへへ、ってミサカはミサカは本当は目覚めのキッスであなたを起こそうとしてたなんて、口が裂けても言えないかも」
「…………どこからツッコミ入れるべきなンだクソったれ」
そもそも台詞の中に矛盾が生じてンじゃねェか。
何で怒鳴り散らして起こそうとしてたのにキスしようとしてンだ。
滅茶苦茶っつーにもほどがあンだろォが……。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 01:42:43.36 ID:3CwmyQNAO<> 夜中にこのスレを見てくれてる人などいないでしょうが、とりあえずこんばんは。
>>1です。
ハイ、もうやらかしました。
>>15 と>>16 の文章がまったく同じなのは仕様ではありません。
たんなる投下ミスですので、どちらかはスルーして下さると有り難いです。
それか一方通行が『大事な事なので二回言った』と解釈してもらっても構いません。
(本編で華麗にスルーされてますからね)
それと、今回は初めての投下なので、このスレで色々と試させて貰っていたりします。
行の間隔を変えたりして見やすいように心がけてるのですが、なかなか上手くいきません……。
どなたかオススメの間隔の取り方があるならば、ぜひご教授願いたいです。
――さてさて、今日はクリスマス前日のクリスマスイブ。
猛烈な寒波が訪れているようなので、皆様は風邪に気をつけて下さいね。
※リア充の方々は恋の病にでも罹っていて下さい。
(>>1はリア充ではないので罹る見込みはありません、今日も明日も仕事です)
かなり私怨が入ってしまいましたが、とりあえずここまで。
次回の投下は残り22時間以内(だと思う)です。
それではまた後ほど。
…………本当に話進まねぇ、どうしよ……orz <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 01:49:20.22 ID:pAbxe7ZSO<> 夜中に見てるよ
乙 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 04:57:11.21 ID:JWsP1v530<> セロリかっけえ…
wwktkしながら更新まってるわww <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/24(土) 12:55:29.64 ID:SR81Hk2P0<> >>29 続き
「……、」
――――ベシッ!
「――痛ッ! なんでミサカがあなたからチョップされなきゃいけないの!? ってミサカはミサカはあなたの理不尽な怒りに憤りを感じてみたり!」
とりあえずクソガキのアホみてェな行動に対し、俺は無言のまま手刀を振り抜いた。
…………直撃した部分が地味に痛ェ、俺も少しは鍛えねェとダメみてェだな。
「まだ青臭ェガキが色目を使うなンざ10年早ェ」
……ったく、どっからそんな知識を得やがった。MNW内には変態さんでもいやがるンですかァ?
番外個体ならまだしも、オマエに他人を誘惑できる魅力がどこにあるってんだ。
鏡をよく見てから出直しやがれクソガキがァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 13:03:31.74 ID:SR81Hk2P0<>
「い、色目じゃないし、あなた以外にそんな不埒な行為はしないもん! ってミサカはミサカは純粋な乙女心を傷つけられてションボリしてみる……」
叩かれた額を両手で押さえながら、ガックリと肩を落とすクソガキ。
その落ち込み様は周囲まで気を落としちまいそォになるレベルだ。
……ったく、何だ何だよ何ですかァ?
俺がこのガキに少し口を出すだけですぐこれだ。
感情の起伏が激し過ぎてついてけねェンだが、俺は一体どォしたらいいってンだ?
……まあとりあえず考えてみるけどよォ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 13:06:03.20 ID:SR81Hk2P0<> ………………………、
………………、
…………。
――――ああ、何だ、簡単じゃねェか。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 13:11:14.79 ID:PDdYgd1h0<> 支援 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 13:21:40.96 ID:SR81Hk2P0<>
数秒の思考の後、俺は解決策に辿り着く。
――俺が『ガキの話を適当に聞き流しながら相槌を打てばいいだけ』じゃねェかクソったれ。
そいつでおそらくなンとかなるハズだ。
そもそもコイツは最初からただ俺と会話をしたかっただけなハズ。
俺の推測が正しければこれが解に違いねェ。
……ハッ、伊達で学園都市最強を名乗ってる訳じゃねェからな。
どんな事があろォと、アイツらの前では最強でいなきゃならねェ。
俺が他人に従わず、そォ決めたからな。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 13:30:16.58 ID:SR81Hk2P0<>
>>1です。
またまた短いけどキリがいいのでここまでです。
自室が寒すぎて指が青紫色に変色していますww
笑い事じゃないんですけどね……。
書き溜めはまだあるので、時間があればまた投下しに来ます。
それではまたのちほど。
年賀状早く書かなきゃ……orz <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 16:59:12.56 ID:CBieZ0JF0<> 乙
そういえば支部に一方さんとイナズマイレブンの漫画なかったっけ? <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/24(土) 22:03:10.90 ID:3CwmyQNAO<> >>39さん、そんなのあるんですか?
>>1は見かけた事がないのでちょっと分かりません……。
とりあえず今から書き溜めの添削が終わり次第投下します。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 22:26:43.64 ID:3CwmyQNAO<> >>37 続き
「あー……オイ、さっさと用件を言いやがれクソガキ。退屈凌ぎにはなるンだろうな?」
俺は頭をガシガシと掻きながらガキに語りかける。
実際の所、コイツの話が退屈凌ぎになるなンざ思っちゃいねェ。
超次元だかなンだか知らねェが、所詮は球遊びの域に収まる程度のモノのハズ。
プレイヤーから翼が生えたり体が分身したりするってンなら、確かに超次元だがなァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 22:45:43.17 ID:3CwmyQNAO<>
……………………、
………………、
……いやいや待て待て待ちやがれ、それはむしろ異次元過ぎンだろォが。
超次元って言うなら、身体能力が“超人レベル”っての方がしっくりくるンじゃねェのか?
それに翼が生えるとかどこのメルヘン野郎だ胸糞悪ィ……。
――まあ翼生やせるよォになった俺が言えた義理じゃねェンだがな。
……チッ。
ンなくだらねェ事考えてもただ堂々巡りするだけだな。
それより今はクソガキの様子だ、クソガキは――、
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 22:58:11.87 ID:8Ry+jJgZ0<> 能力を使った「自転シュート」は誰に止められないはず・・・・ <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 23:14:13.04 ID:3CwmyQNAO<>
「……、」
――返事がねェ、ただの大人しいクソガキのよォだ。
「……オイ、聞いてンのか?」
「……、」
俺が再び問い掛けても無言を貫くクソガキ。
……チッ、耳の穴でも詰まってンですかァ?
「聞こえませンでしたかァー? オマエが用件言わねェならまた寝ちまうンですけどォー?」
「…………あ、あなた…………」
「あァ?」
――と、ここでよォやく反応を示したクソガキ。
力なく弱々しい声で意識を集中させなきゃ聞き取れねェが、俺は確かに聞き取った。
……ったく、手間かけさせンじゃねェよ。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 23:15:48.44 ID:FyM/2ly5o<> 核爆弾58億2400万個分のシュートとかコート消えるだろ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 23:17:41.52 ID:issAyUqno<> >>43
垣根なら止められそう <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/24(土) 23:45:23.32 ID:3CwmyQNAO<>
「……もしかしてミサカの事を慰めてくれてるの? ってミサカはミサカは驚きのあまり、一瞬思考が停止してしまったり」
呟く様な弱々しい声で話すクソガキは、額を押さえた両手の隙間から俺を見つめてくる。
俺を映すその瞳は僅かにだが潤ンでいた。
「……なンだオマエ、泣いてンのかァ?」
「な、泣いてなんかないもんっ!! ってミサカはミサカは目にゴミが入っただけって必死にアピールしてみる!」
「そンなに必死になって目元擦ってンじゃねェよクソガキ。 それじゃあ“泣いてました”って言ってるよォなモンじゃねェか」
「泣いてないったら泣いてないんだもん!ってミサカはミサカは…………」
「……あァ? よく聞こえねェぞ?」
「……うぅ、…………あなたの…………ばかぁ……っ」
――ヤベェ!? ガチ泣き寸前まで追い込ンじまった!!?
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 23:55:13.42 ID:8Ry+jJgZ0<> >>45
つttp://www.youtube.com/watch?v=qOyVsR7fxME
ゴールネットも一度破れたことがあったけどだんだん強化されていったんだぜ(ボールも) <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 00:30:11.48 ID:gErLMrQAO<>
「うぅ…………ぐすっ、……ミサカは……泣いてなんか…………ぐすっ……」
……オイオイオイどォすンだこの状況。
仮にこの場面を番外個体に見つかってでもしてみろ、クソ面倒な事になっちまうのは明白だ。
……だが幸いアイツはまだ起きてきてねェ、とりあえず今はこのガキを――――、
「――愛穂大変よ、白い悪魔が幼女を泣かしているわ」
「――なにっ!? それは一大事じゃん!! そいつは一体どこの不届き者じゃん!?」
「――あっひゃっひゃっひゃっひゃひゃっ!! ロリコンがいる!! ミサカの目の前にロリコンがいるんですけどォ!!!! 」
「――――何でオマエら揃い踏みで見てやがンだよクソったれがァァァァァァ!!?」
――――泣かせないようにする為に、俺が涙を呑まなきゃならねェみてェだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 00:49:11.37 ID:gErLMrQAO<> >>1です。
ぐあぁ、投下するのに時間がかかり過ぎてしまいました。
……すみません、以後気をつけます。
さて、本編の方ですがやっぱり>>1の文章力が足りないせいかさっぱり話が進みません。
予定なら今頃一方通行が[ネタバレ厳禁]と一緒に[ネタバレ厳禁]しているハズだったのですが……。
ま・だ・序・章・☆・!
すみません、本当にすみません。
じっくりじわじわと、お付き合いしていただけたら幸いです。
さてさて、次回の投下はおそらく今日の18時以降になりそうです。
それではまたのちほど。
>>46さん、帝蔵庫さんもちゃんと出しますので、期待して待っていて下さい。
……その場面までに辿り着けるかが問題なんですけど……。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 16:26:09.44 ID:bbGVQyZO0<> 一方さんはゴットブレイクの条件全て満たしてるな
↓
羽・プラズマ・空中浮翌遊 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 17:20:21.79 ID:P4O1s+5fo<> 乙
楽しみだ <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/25(日) 19:46:40.45 ID:gErLMrQAO<> >>1です。
添削作業に手間取りましたけど、なんとか終わりました。
今から投下していきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 19:51:23.17 ID:gErLMrQAO<> >>49 続き
「――とりあえず、こんな状況になった理由を説明するじゃん? 」
いつもの緑色のジャージに身を包んだ黄泉川は俺に尋ねる。
あの後、――誤解盛り沢山の現場を見られた――俺は速攻で黄泉川に縄で捕縛され、『警備員』御用達の手錠をかけられた。
……誰が緊縛プレイを御所望したっつーンですかァ? 俺にそンな趣味はねェンですけどォ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 19:56:20.80 ID:gErLMrQAO<>
「……、」
「いいからさっさと洗いざらい話すじゃんよ? この家に黙秘権は存在しないから早くするじゃん」
「あっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!げ、現――ぶふっ、場はミサ――くくっ、カがMNWを通じて一部始終を――――ぶはっ! ちょ、ムリムリムリっ!! 今のあなたの状態が滑稽過ぎてミサカの腹筋崩壊しちゃう!!」
「犯行現場の状況は番外個体が知っているそうよ。正直に白状しないと事実を改竄される可能性があるんじゃないの? この子の性格が最悪なのは周知の事実だし」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 20:03:56.57 ID:gErLMrQAO<>
「……チッ」
黄泉川の隣に立ってゲラゲラと下品な笑い声を出す番外個体と、さらにその隣で冷静沈着に立っている芳川。
芳川の野郎は自宅警備員で大半の事に無関心のくせに、こういう時は興味深そォな態度をとりやがる。
……まあとりあえず、黄泉川と芳川は放っておくとするかァ。
――――番外個体のヤツは後でオシオキ決定だ、愉快で素敵なオモチャにしてやる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 20:22:51.10 ID:gErLMrQAO<>
「こらこら、舌打ちして現実逃避を図ろうとしてもダメじゃん。 ちゃんと証人がここにいるんだから言い逃れも出来ないじゃんよ?」
どうやって番外個体を貶めるか計画を立てている俺に、黄泉川は幼児を諭す大人の様に語りかけてくる。
…………いい度胸してンじゃねェかこの炊飯器マニア……!
黄泉川にガキと同一視されたのと作業を妨害された事で、俺の不満が溜まっていく。
「…………クソったれが」
俺は不満のはけ口として言葉に表すと、黄泉川は計画通りと言わンばかりに快活な笑顔を浮かべてこォ言った。
「ストレスが溜まっているなら声を出すのが一番じゃん。……という訳で、ストレス解消も含めて状況説明よろしくじゃん!」
……あークソッ、めンどくせェ……。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 20:34:21.07 ID:gErLMrQAO<>
「……まず最初にクソガキが(中略)して、今に至る訳だ」
俺は仕方なくつい先程までのやり取りをコイツらに洗いざらい話した。
――非常に癪な話だが、言葉を発したことである程度俺の不満は解消されていた。
……ただ番外個体の件は水に流したつもりはねェけどなァ。
「ふむふむ、そんな事があったじゃん」
俺の説明を聴き終えた黄泉川は、顎に手を当てて何度か頷いた。
その動きはさっきのクソガキとまったく同じだったが、漂う雰囲気の違いがあった。
クソガキの動作は漂う大根役者臭がハンパじゃなかったが、黄泉川の場合は一流そのもの。
多少悪ノリも入ってるみてェだが、それでも現場で戦うプロの風格が滲み出ていやがる。
コイツも片手間で『警備員』を勤めてる訳じゃねェンだな。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 20:39:04.64 ID:gErLMrQAO<>
「番外個体、一方通行の説明の中に齟齬はなかったじゃん?」
黄泉川は隣に突っ立ってる番外個体に話しかける。
その隣にいた芳川は、涙目のガキを連れて説明の最中にリビングから出て行った。
……どォせ録画して溜まった番組でも見てンだろォなァ、あのクソニート。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 20:45:27.34 ID:gErLMrQAO<>
「悔しいけど反論の余地なし。……あーあ、せっかくあなたの弱みを握ったと思ったのに」
俺の身の潔白が証明されたのが不満なのか、ジト目を向けてくる番外個体。
「ハッ、そりゃ残念だったな。俺の弱みが握りたかったら、一日中付きっきりで監視でもしてみやがれってンだ」
「ぎゃはっ☆ 何それミサカを誘ってるの? 意外と大胆だねー親御さん」
「……自惚れてンじゃねェよチンピラパンダ。誰もオマエを恋愛対象になンか見てねェよ」
「チンピラパンダってミサカの事!? 言葉責めに慣れてるミサカでも流石にそれは傷つくよ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/25(日) 21:04:23.06 ID:gErLMrQAO<>
「あァ、そんな言葉責めに慣れてて笑い方が下品……っつーか存在そのものが下品なチンピラパンダさンが、恋愛対象に見られるハズがねェ」
「ぐぬぬ……ちょっと形勢逆転したからってあなた調子に乗ってない? ミサカがその気に――、」
「――――俺を“除けば”の話だがなァ」
「――なれ……ば、あなたを……、………………。 ……は? ……ちょっ、ちょっちょっ――え?」
「俺は“恋愛対象”としてオマエを見てる。 なンか文句あンのか?」
「……は、はぁぁぁぁぁああああッッ!!?」
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/25(日) 21:33:09.06 ID:gErLMrQAO<>
キリがいいので今回はここまでです。
いい加減サッカーやろうぜお前ら、いや本当に。
今日職場で『けいおん!』のクリスマスケーキを発見してしまった>>1です。
少しケーキを分けてもらいましたが、あまりおいしくなかったです。
ケーキはやっぱりチョコレートケーキこそ至高。
中にみかんやパイナップルが入ってるのは邪道だっ!
――とまあ、そんな話は放っておいて、少々本編についての設定を話そうと思います。
時系列は原作で言うと、だいたい第三次世界大戦が終わった辺りです。
なので上条さんは北極海で沈んでいます。
(レイヴィニア=バードウェイ率いる『明け色の陽射し』に回収されるんですけどね)
『新入生』も『グレムリン』もとりあえずいますが、目立った動きはしません。
(いたらサッカーどころじゃないですからね)
――とまあこんな感じです。
本編では一方通行が番外個体に告白してますが、これにはちゃんとした理由があります。
……カンの鋭い人にとっては簡単過ぎるかな?
他にもこっそりフラグを建ててるので、探してみるのもいいかもしれません。
とりあえず今日の投下はこれまで。
次回の投下は明日の内に投下する予定です。
それではまた後ほど。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 07:47:43.46 ID:+9oi0wUIO<> あまりみないクロスだからウォッチしてたけど、サッカーに入るの遅すぎじゃねーの見るのやめるわ <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/26(月) 10:19:43.94 ID:k+DVl17AO<> >>1です。
>>63さんすみません、確かに入るの遅すぎですよね……。
これは完全に私の構成ミスです。
見る人がいなくなってしまうのも仕方ないかもしれません。
ただ今回の投下でプロローグが完全に終わるので、また戻ってきてくれたら嬉しいです。
では投下していきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 10:26:01.25 ID:k+DVl17AO<> >>61 続き
「……なんでミサカが第一位に恋心を抱かれてるのさっぱり意味が分からない……けどMNW内の悪意の象徴たるミサカが第一位へ行った行為は殆ど無駄だったことは理解出来る……つまりミサカはもう用済みでいらない子ということになる……そもそもミサカは第三次世界大戦で使い捨てられるハズだったのにそこを殺そうとした第一位に助けられたってことはやっぱり第一位はミサカことを……惚れ……て…………ううぅ、うぁぁぁぁぁぁあああああッッ!!!!」
俺の“ハッタリ”で良い感じにテンパりだした番外個体は、自分の髪の毛をわしゃわしゃと掻き乱して錯乱を始めた。
その隣に立つ黄泉川は俺の意図が読み取れてンのか、口元を両手で押さえて必死に笑いを堪えていやがる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 10:29:21.46 ID:k+DVl17AO<>
……似合わねェ事やってンのに自覚はある。
だがこれくらいやらねェと番外個体には通用しねェンだ。
『悪意』に対してどれだけ耐性があったとしても関係ねェ。
別次元の『好意』をぶつけりゃそんなの簡単に打ち消せンだよ。
――かつての俺もそうされたみてェにな。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 10:33:57.71 ID:k+DVl17AO<>
……まあンな過去の話はどォでもいい、大事なのは今だ今。
さてさて、どォしたどォしたチンピラパンダさァン?
まだまだオシオキは始まったばっかりなンだから、もっと俺を楽しませてくれなきゃ割に合わねェンだが?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 10:39:15.84 ID:k+DVl17AO<>
「――あの時も言ったが悪かった。本当にあの時の俺はどうかしていたとしか思えねェクズっぷりだった」
「ああああ、あれはミサカがそっ、そうにゃるように仕向けたんだから、むしろあれだけで済んだのはあなたのおかげというかなんというか……。……ミサカ、あなたに殺されててもおかしくなかったし」
イイねイイねェ、イイ感じにキャラ壊れてきてンじゃねェか。
…………たが一つ引っ掛かる。
番外個体と会話してると胸の奥底がチリチリと痛むンだが、コイツはいわゆる…………『罪悪感』ってヤツかァ?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 10:44:40.76 ID:k+DVl17AO<>
「いいや、悪いのは全部俺だ。 だからオマエが負い目を感じる必要はねェンだ。俺がいなけりゃオマエは一万人もの『悪意』を抱え込む事にはならなかったハズなンだからな」
……いや、今は気にせず続行だ。
っつーか、そろそろオシオキすンのも飽きてきた。
あと少しコイツをオモチャにしたらネタバラししねェとな。
――それに何だか両腕の辺りが痒くなってきやがった。
まさか蕁麻疹が出てるんじゃねェよなクソったれ? <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 10:47:36.01 ID:k+DVl17AO<>
「〜〜っ! ……で、でもミサカは…………」
モジモジと顔を赤らめながら挙動不審な振る舞いをする番外個体。
前髪の辺りからバチバチと紫電が周囲に放電していて大変な状況になってンだが、コイツは気付いてねェのか?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 10:53:42.07 ID:k+DVl17AO<>
――――ボンッ!
「ぎゃあああああ!? 最近買った多機能炊飯器が爆発したじゃん!!?」
――――メッセージ、メッセージ。電波法に接触する攻撃性電磁波を感知。家屋内に侵入者の存在を確認。至急、警備員への通報を行います。
「今度は防犯用に置いてあった侵入者通報炊飯器が作動したじゃん!? 実際はハッタリで通報なんてしないけど、この後になる警報がかなりの爆音で厄介じゃん!!」
キッチンの方であたふたあたふた忙しなく動き回る黄泉川。
その度にキッチンの至る所で何かが壊れる音が連続する。
……こりゃあとで俺と番外個体はこっぴどく怒られンだろォなァ。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 11:13:14.90 ID:k+DVl17AO<>
「……一方通行と番外個体。ちょっと二人に買い物に行ってきて欲しいじゃん」
俺は警告音と破裂音の最悪なアンサンブルを聴きながらその光景を横目に見ていると、顔に手を当てゲッソリとした表情の黄泉川がそう言ってきた。
「ハァ? ……オイ、まさか炊飯器買ってこいって言うンじゃねェだろォな?」
「そのまさかじゃん。まったく同じ型番じゃないと晩飯抜きにするから、気をつけて買ってくるじゃん」
「……一体何個買えばいいンだよ」
「7――いや、この際新しく欲しいのがあるから10個頼むじゃん。型番はメールで送るじゃんよー」
「あーハイハイ了解了解。……オイ、行くぞ番外個体」
「――ふえっ? …………あ、うん」
…………こんな状態のコイツと出歩いて大丈夫か?
先行き不安だなオイ……。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 11:18:09.50 ID:XGMTy4dLo<> 磯野ォ!いい加減サッカーしようぜ! <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 11:42:15.00 ID:Exp4bSqi0<> >侵入者通報炊飯器
えっなにそれこわい <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/26(月) 12:04:05.38 ID:k+DVl17AO<>
>>1です。
ここで区切ろうか考えましたが、今日は続けて投下してきます。
ただ書き溜めが底をつきかけてるので、更新が遅くなりそうです。
今日中には一方通行がサッカーに触れる場面までいけたらいいなと考えています。
>>73さん >>74さん。
コメントを書き込んでくれると、『ちゃんと見てくれている人がいるんだな』と安心します。
ご期待に応えられるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 13:32:14.06 ID:AEiwmfYSO<> 早くサッカーやろうぜ! <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 14:00:30.84 ID:pLLUm8af0<> 学園都市でチームを組んだら〜(理想)
FW 垣根 一方通行 麦野
MF 美琴 フレンダ
DF 御坂妹 心理定規
あわきん 黒子 黒夜
GK 上条
ベンチ
削板(能力的にはオールだが、本人の性格的にFWまたはGK)
絹旗(MF)
土御門(MFやDF)
婚后(私はどこでも可能ですわよ。オーホッホッホッ)
浜面(器用貧乏基本ベンチ)
隠れプレイヤー・ 風斬氷華(一定の条件のときしかでないプレイヤー。どのポジションもこなす。)
監督候補(GO的に考えて)
木原くん
小萌先生
黄泉川
木山先生
食蜂 操祈
暇があったら、イナズマイレブン風に選手紹介を作りたい。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/26(月) 17:17:05.52 ID:3+cNDTVm0<> >>1です。
書き溜めがちょっぴり潤ったので投下してきます。
ようやく白黒の球体が出てくるぜ……っ! <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 17:24:06.22 ID:3+cNDTVm0<> >>72 続き
?第七学区・公園前の通り?
「……あークソ寒ィ。なんでこんなに寒ィンだクソッたれがァ」
「……、」
切り裂くような凍える冷気が肌を撫でては流れてく。
黄泉川家から(半ば強制的に)追い出された俺と番外個体は、最寄の電気店に向けて歩いていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 17:33:34.93 ID:k+DVl17AO<>
すみません、文字化けと誤字があったのでもう一度同じ文章投下します
>>72 続き
〜第七学区・公園前の通り〜
「……あークソ寒ィ。なンでこンなに寒ィンだクソッたれがァ」
「……、」
切り裂くような凍える冷気が肌を撫でては流れてく。
黄泉川家から(半ば強制的に)追い出された俺と番外個体は、最寄の電気店に向けて歩いていた。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 17:35:53.19 ID:AEiwmfYSO<> >>77
先生、木原くン監督で↑補正かかる選手が見当たりません <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 17:40:17.37 ID:k+DVl17AO<>
「最高気温が1度とかふざけてンじゃねェぞ。どンだけシベリア気団の野郎は頑張ってンだ。芳川を見習いやがれ」
「……、」
まだ11月の上旬だというのに気温は最高1度までしか上がらないという異常気象に、俺の不満は再び上昇していた。
ロシアの雪原に比べたら暖か過ぎて現地のヤツらに笑われるレベルだが、室内との気温差が結構堪えやがる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 17:46:31.93 ID:k+DVl17AO<>
……それに俺は杖をついての歩行を余儀なくされているため、歩行速度がかなり遅い。
歩速が遅いということはつまり、移動に時間がかかるということだ。
だから一刻も早く暖房の効いた店内に入って暖を取りてェと俺は考えてるンだが…………。
「……、」
「なンで杖をついてる俺より歩くのが遅ェンだよオマエは。足首に見えない足枷でも付いてのかよ?」
――何故か番外個体が俺の後ろをポツリポツリとついて来る。
……一体どうなってやがンだクソったれがァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 17:53:31.19 ID:k+DVl17AO<>
「……だって、あなたの後ろ姿を見てないとミサカ何処かにフラフラと行っちゃいそうだし」
俯いたまま決して俺と視線を合わせようともしない番外個体。
常に視線は地面に向けられ、垂れた前髪の隙間から少し目元が覗ける程度だ。
……だがやはりコイツもこの天候は堪えるのか、顔が冷気に当てられて真っ赤になっていやがる。
ロシアの時とは違ってフルフェイの仮面を覆ってねェからな、仕方ねェといえば仕方ねェな。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 18:03:49.84 ID:k+DVl17AO<> >>84の一部訂正
× ロシアの時とは違ってフルフェイの仮面(ry
○ ロシアの時とは違ってフルフェイスの仮面(ry
「オマエなァ……そンな下向いたまま歩いてて誰かにぶつかったらどォすンだよ? ギプスで固定しているとはいえ、オマエの右手は現在進行形で折れてるっつーのを忘れてンのか」
「……今のミサカは下を向いてるけど、お姉様と同じ様に常に発している電磁波の反射波で周囲の空間を把握してるから、誰かにぶつかるなんてありえない」
――――シュルルルル
「……なンだァ? 何かが回転してるよォな音が――――ッ!」
俺はすぐさま、首元のチョーカーの電源を能力使用モードに切り替える。
――――その理由は至極単純。
番外個体の頭を目掛けて球形の物体が飛ンできたからだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 18:17:15.48 ID:k+DVl17AO<>
「頭を下げろ番外個体ォォォォォッ!!!」
「――――仮に突然モノが飛んで来たとしてもミサカ自身で楽に避けられるし――、」
――轟ッ!! という轟音と共に俺の背中に4本の竜巻が接続される。
歩行用の杖を投げ捨て、地面を蹴り、飛来する物体に高速で詰め寄る。
番外個体が何かを言っていたが、演算と危険回避の策を練るのに意識を割き過ぎて、まったく俺の耳に残らなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 18:39:50.66 ID:k+DVl17AO<>
俺はその場からターゲットへは距離が近かった事も助力して、1秒もかからずに到着する。
そこには俺に言われて頭を下げ終えた番外個体と、回転しながら迫り来る謎の白黒の球体。
それが先程まで番外個体の頭部があった場所を通り過ぎようとしていたのに腹が立った俺は、球体を力の限り蹴り上げる。
「――――だから俺を見くびンじゃねェよクソったれがァァァァァアアアアッ!!!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 18:52:08.83 ID:k+DVl17AO<>
球体は爆発物の可能性があったため、能力を使って蹴った衝撃を内側で拡散しないようにベクトルを操作する。
衝撃のベクトルを鉛直上方に変更させて打ち上がった球体は、その数秒後に――――パァンッ! という乾いた音と共に炸裂した。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 18:54:11.33 ID:k+DVl17AO<>
「――――仮に避けられなくても、ミサカの事を守ってくれる第一位がいるから心配なんて無用だしね」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 19:05:41.45 ID:k+DVl17AO<>
「……チッ、一体ドコのどいつだこンな真似しやがったのは」
上空で危険物の破壊を確認した俺は、チョーカーの能力使用モードを通常モードに切り換えた。
それにより背中に接続されていた竜巻は消え、俺はバランスが取れなくなって地面に倒れ込む。
……チッ、杖の存在をすっかり忘れてた。
俺は杖がなきゃ立ち上がる事も出来やしねェのに間抜け過ぎンだろ。
「…………。あれ? ……ねえ、ミサカの話聞いてた?」
しかし、倒れ込ンだすぐそばには番外個体が立っていた。
……丁度いい、コイツに杖を持ってきてもらうとするか。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 19:25:04.99 ID:k+DVl17AO<>
「オイ、番外個体。落ちてる俺の杖持ってこい」
「…………あなたやっぱりスゴイよ。『ミサカの話聞いてた?』って聞いてんのに、それをガン無視で命令するんだからねえ」
「……オマエを助けるのに必死で聞いてねェよ、悪かったなァ」
「〜〜っ! …………ふ、不意打ちすんなよばーかっ……」
「いいからとっとと杖持ってこい。……何ならオマエが俺をおンぶでもするかァ?」
「……絶対イヤ。ミサカはするよりされる方が好みなんだから」
「Mなのかオマエは」
「識別名が『M・I・S・A・K・A・W・O・R・S・T』だから、あながち間違いじゃないかもね☆」
「…………ハッ、くっだらねェ」
――――本当にくだらねェよ、馬鹿みてェにな。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/26(月) 19:43:25.67 ID:k+DVl17AO<>
とりあえずここで休憩を挟みます。
>>1です。
ようやく白黒の球体が出て来たと思ったら、一方通行さんが蹴り上げてゴミに変えちゃいました。
このボールの持ち主は次の投下で出て来ます。
ちゃんとそのキャラを表現できるか不安ですが、頑張って原作に近づけようと思います。
それでは時間があれば今日中にまたのちほど。
>>76さん 「ボールは持ってきたんだけど潰されちまったぜー!」
>>77さん 「 監督が『打ち止め』で選手11人が『妹達』ならノーサインで指示が出せますね」
>>81さん 「木原くンが一方通行に発破をかければ、一方通行が(黒翼Ver.)になるハズです。※ただし監督がその試合以降変更を余儀なくされます」
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/26(月) 23:05:11.66 ID:k+DVl17AO<> >>91 続き
「……そォいえば、さっきの球体って何だったンだ? ロクに確認もしねェで塵に帰しちまったンだが」
杖を番外個体に拾わせてようやく歩行が出来るようになった俺は上空を見上げながら呟いた。
雲一つない寒空に浮かぶのは大型の飛行船。
側面に埋め込まれた大画面には一週間の天気予報と、数日後に第二〇学区にある著名な大学主催による飛び入り参加自由の球技大会があるとの報道だ。
……クソ寒ィ中よくやる気になるなオイ。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 23:12:04.94 ID:8cvPCdhw0<> 上条当麻
道を歩けば糞を踏み、何かを買おうとしても売り切れる等
日々の生活から不幸っぷりが分かる。
しかしその一方で片っ端から女子にフラグを立てまくる無自覚女タラシだったりする。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/26(月) 23:30:16.15 ID:k+DVl17AO<>
「ミサカにも詳しい事はさっぱり。 ミサカのレーダーは簡単に言えば魚群探知器みたいなものだから、その性質までは判別出来ないんだよね」
折れてない左手を肩辺りまで挙げて首を左右に振る番外個体。
「……まあでも、とりあえず考えられる事は危険物ではなかったって事かね。たいした速度は出てなかったし、回転数も回転速度も並。 案外そこの公園で遊んでた子供の蹴ったボールだったりしてね、ぎゃはっ☆」
すっかりいつもの調子を取り戻したコイツは、鼻歌まじりに公園の方を覗き込む。
そこにはクソガキと同じ位の年齢のガキ共が群がって遊ンでいた。
……つい先程炸裂音がしたハズなのに呑気なヤツらだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 00:00:10.11 ID:fHsbupTAO<>
「……だとしても、引っ掛かる点が一つあンだよなァ」
納得のいかねェ俺は先程の光景を再び思い浮かべる。
明らかに不自然な点があった、それは間違いねェ。
「ふーん、例えば?」
俺の話題に心底興味なさそうに相槌を打ってくる番外個体。
早速ガキ共を見るのが飽きたのか、左手で髪の毛のを弄ンでいた。
「まずさっきの球体がボールだと仮定して、そこにいるガキ共の誰かが蹴ったとする。――ここまでは問題ねェ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 00:05:26.95 ID:fHsbupTAO<>
「『ただ、たいした速度が出ていなかったとしても、あのガキ共が高速道路を走る乗用車クラスのスピードを出せるハズがねェ』――そうあなたは言いたいんでしょ?」
「……チッ、またオマエはMNWを使って俺の思考を先読みしやがったな?」
「あなたの頭の中身を見る様な真似はあんまりしたくないんだけどね。過保護が感染しそうだし」
「誰が過保護だクソったれがァ。そもそも『過保護』は感染病のカテゴリに含まれてねェよ」
ったく、躾の悪いヤツにはまたオシオキが必要ですかなァ?
…………いや、蕁麻疹が出るから止めとくか。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 00:25:20.82 ID:fHsbupTAO<>
「……あー、それともう一つ不自然な点があったなァ。あの球体の異常な耐久性の高さだ」
俺がベクトル操作したからってのもあるが、過去に能力使用モードで蹴ったモノは大概衝撃に耐え切れねェで壊れるか形が変形してたハズ。
それなのにあの球体は上空で炸裂するまで形を留めていやがった。
「あなたが天高く打ち上げた空砲の元になったモノのこと?」
「そうだ」
「言われてみればあなたが能力を使ったのにも関わらずすぐ破裂しなかったよね。 ……てっきりミサカを守る為に破裂させなかったもんだと思ったよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 00:42:18.15 ID:fHsbupTAO<>
「それも簡単に破裂しなかった理由だがなァ。けど俺の推測ではもう一つ理由があると考えている」
「……なんだかこの流れで探偵モノの話が出来そうじゃね? んーっと、ミサカはあなたの助手だけど裏切り者的なポジション希望かな☆」
……『妹達』ってのは型番が違くても、どうも思考パターンがソックリみてェだな。
揃いも揃って探偵ネタを引っ張ってきやがる、オリジナルまでこンな愉快な性格してンじゃねェだろォな?
「オマエの場合、女怪盗の間違いだろォが。 っつーか話を脱線させてンじゃねェ、本題に戻ンぞ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 01:45:19.54 ID:fHsbupTAO<>
「あの球体には何かしらの“コーティング”が仕掛けてあったと見て間違いねェ。それが俺の『ベクトル操作』を阻害して球体はなかなか破裂しなかった」
「……その阻害した“コーティング”ってのは、第一位がロシアで最終信号を救った時に使った『未知の法則』ってことでOK?」
「いいや、あの『未知の法則』だったら俺の胸を圧迫感が襲うハズだ。……だがその圧迫感は感じなかった」
「……つまりミサカ達を襲撃(?)した者は学園都市の人間であって――、」
――――ザッ、ザッ。
「――能力を使う能力者。 しかも生意気に俺の『ベクトル操作』に干渉するくらいだから間違いなく超能力者だ」
――――ザッ、ザッ、ザッ。
「……ハァ、俺には思い当たる人物が一人しかいねェよ」
超能力者で俺を直接狙わねェチキン野郎。
背中から羽を生やして馬鹿の一つ覚えみてェにベラベラ喋るチンピラ。
――“あの時”からちっとも変わってねェよな、オマエはよォ――
――――ザッ。
「――――久しぶりだな第一位。ムカつくテメェを[ピーーー]ためにわざわざ地獄の底から帰ってきてやったぞ」
「――――オマエなンかお呼びじゃねェンで地獄に再び堕ちやがれクソメルヘン野郎。冗談は羽だけにしろ」
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/27(火) 01:58:30.47 ID:fHsbupTAO<>
今回はここまでです。
決め台詞が規制されるメルヘンさんまじパネェっス、まじ抱きしめたくなるほど哀れっス。
とりあえず今日はもう眠いので寝ます。
更新は明日の内に必ず来ます。
それではまたのちほど。
>>94さん その上条さんの紹介文は一体……? <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 06:54:52.20 ID:nshS9Qkq0<> 乙
個人的には少し詰めて書く(一行減らす感じで)と読みやすいと思う <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 22:03:38.21 ID:+OikYUTT0<> 何故か浜面がフェイクボールを使う光景が脳内で繰り返されてる
他にも麦野のガニメデプロトンとかサーシャのゴッドノウズとか上条さんの熱血パンチやらetc... <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/27(火) 22:44:18.59 ID:fHsbupTAO<> >>1です。
課題と家庭内の年末の大掃除に追われてたら、いつの間にか23時寸前。
待っていた方々すみません……、今から短いけど投下してきます。
>>102さん アドバイスありがとうございます。 早速試してみますね。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 22:46:49.02 ID:fHsbupTAO<> >>100 続き
「ハッ。テメェの減らず口は相変わらずだな。まだ第一位は『悪党』でもやってんのか?」
俺と番外個体の目の前に現れたのは、地肌にセーターを着用するイカれたファッションセンスを披露する茶髪の男。
――そいつは学園都市の暗部組織『スクール』のリーダー。
――超能力『未元物質』の使い手でありレベル5。
――学園都市統括理事長であるアレイスター=クロウリーの『第二候補』――――垣根帝督だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 22:49:27.48 ID:fHsbupTAO<>
「俺はもう『善悪』には縛られねェよ。 いつまでも成長しねェオマエには理解出来ねェ話だろォがなァ」
俺は一歩だけ歩いてメルヘン野郎との距離を詰める。
そして品定めをするように、メルヘン野郎の全身を視界に捉えた。
――その顔、その髪、その格好、その雰囲気――
どこをどう見ても“あの時”の垣根帝督だ、見間違いようがねェ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 22:52:37.72 ID:fHsbupTAO<>
「テメェはいちいちムカつく野郎だよな。やっぱり“あの時”能力の解説なんかしねぇでテメェを叩き潰しとくべきだったか」
「……ハッ、自分でペラペラ弱点バラしてたンじゃあ世話ねェよなァ。そンなんじゃ学園都市第二位の名が泣くぞ?」
「……ムカついた。無能力者に倒されたテメェにだけは言われたくねぇ台詞だわ」
“あの時”、――学園都市の暗部組織間抗争――時に、俺とメルヘン野郎は文字通りの“死闘”を繰り広げた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 23:00:17.78 ID:fHsbupTAO<>
結果だけ言えば、俺がメルヘン野郎に瀕死の重傷を負わせて勝負は幕を閉じた。
――つまりメルヘン野郎が負った傷は、たかが一ヶ月そこらで完治するレベルじゃなかった訳だ。
……だが瀕死の状態だったコイツは俺の目の前に立ち、今にも俺につかみ掛かってきそうな様子でいやがる。
カエル顔の医者が関わっているなら話は変わってくるが、とりあえずそれを抜きで普通に考えてみるとありえねェ状況だ。
――一体どうやって、誰から何の為にコイツは“修復”されやがった?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 23:43:50.00 ID:fHsbupTAO<>
「………………ねえあなた、ミサカ帰っていい?」
様々な思考を張り巡らせて真相を探ろうとする俺に、隣に立つ番外個体が裾を引っ張って話し掛けてきた。
どうやら番外個体は俺とメルヘン野郎の会話に微塵も興味はないようで、みっともなく大口を開けて欠伸をこぼしていた。
「…………オイ、シカトしてんじゃねぇよ第一位」
メルヘン野郎が俺に振り向いて欲しそうな声を発したが、俺は聞こえないフリをして番外個体に注意する。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/27(火) 23:50:29.65 ID:fHsbupTAO<>
「……馬鹿かオマエは。勝手に帰ろうとしてンじゃねェよ。まだ炊飯器を買ってねェだろォが」
「――ぶはっ!? ……ちょ、プククッ…………。そ、そりゃあ随分と似合わないことやってんじゃねぇか第一位!? テメェが家電を買いに行くとかシュール過ぎんだろ!!?」
俺の(自分でも)似合わねェ発言を聞いて、突然吹き出したメルヘン野郎。
吹き出した際に飛ンだ唾が俺の服の肩辺りに付着する。
――――よォし、リンチ決定だクソ野郎。
俺はすぐさまチョーカーを能力使用モードに切り替えた。
「ぶはははははッ!! エプロン付けて家庭的なテメェを想像したら笑いが止まらねぇ!!ギャハハハハハッ!!」
……さーて、一体どこからイジメてやろうかメルヘン野郎?
とりあえずその醜く歪んだ面をタコ殴りにしねェと俺は気が済まねェぞ?
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/28(水) 00:10:11.85 ID:Dtm88P9AO<>
とりあえず今日の投下はここまでです。
次回の投下は明日の昼と夜辺りですかね。
それではまたのちほど。
>>103さん >>1はフレ/ンダでフェイクボンバー、絹旗で原作19巻挿絵での様なムーンサルトが脳内再生されます。
採用される日はくるのか……。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 01:28:27.93 ID:82NYBHuIO<> んで、サッカーは? <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 08:25:30.13 ID:yn1KzS520<> 乙
期待してる <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 10:00:40.89 ID:NV6IySP80<> イナズマイレブン風選手紹介〜
アクセラレーター
一方通行(風)
学園都市の能力者で最凶の能力者
コワモテだが実は面倒見がいい
カキネテイトク
垣根帝督(林)
学園都市の能力者で未元物質を使うクールな男
イケメンだが少しメルヘンなのが残念
ミサカミコト
御坂美琴(風)
学園都市の能力者で超電磁砲の異名を持つ
いつも強気だが実際は本当のことを言え無い年頃
ムギノシズリ
麦野沈利(火)
学園都市の能力者で電子崩しという能力を操る
見た目と裏腹にかなり自分勝手な性格
ソゲイタグンハ
削板軍覇(火)
とにかく根性でなんでも解決する熱血男
その気持ちは太陽より熱い!
カミジョウトウマ
上条当麻(土?)
幻想殺しを持つ不幸少年
普段は頼り無いがいざという時に力を発揮する
>>77の選手の一部をイナズマイレブン風に紹介。
最近やっていないから間違っているかもしれないけど・・・・・
技紹介もしたい。(3基準かGO基準にするかなやむけど) <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 10:37:56.23 ID:Dtm88P9AO<>
>>1です。
皆さんおはようございます。
気を抜くといつのまにかサッカーから離れていてしまい、申し訳ありません……。
これでも会話パートは削っている方なのにそれでも展開が遅いのは、>>1の構成が下手くそだからなんですよね……。
とりあえず投下は今から2時間以内に開始します。
それではまたのちほど。
>>112さん サッカーはやりますけど、ちょっとその前にメルヘンさんの話があるのであと少し待っててほしいです。すみません……。
>>113さん 応援ありがとうございます。 ちゃんと期待に添えられていますかね……?
>>114さん それが例の選手紹介だったんですね。
個人的には3の方で作ってくれると助かりますが、お任せします。
GOの方はアニメの知識しかないので、ゲームの方が分かりません、……そもそも3DSを持ってない……。
交通費を捻出するのが精一杯で、ゲームになかなか金が回らないんですよね……ハァ。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 10:52:08.84 ID:5lnNhWySO<> 乙!
>>114
コワモテはツンデレに似合うね
あと属性は風林火山だぞ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 11:24:16.36 ID:NV6IySP80<> >>116
スマン、とりあえず修正版
イナズマイレブン風選手紹介〜
アクセラレーター
一方通行(風)
学園都市の能力者で最凶の能力者
コワモテだが実は面倒見がいい
カキネテイトク
垣根帝督(林)
学園都市の能力者で未元物質を使うクールな男
イケメンだが少しメルヘンなのが残念
ミサカミコト
御坂美琴(風)
学園都市の能力者で超電磁砲の異名を持つ
いつも強気だが実際は本当のことを言え無い年頃
ムギノシズリ
麦野沈利(火)
学園都市の能力者で電子崩しという能力を操る
見た目と裏腹にかなり自分勝手な性格
ソゲイタグンハ
削板軍覇(火)
とにかく根性でなんでも解決する熱血男
その気持ちは太陽より熱い!
カミジョウトウマ
上条当麻(山?)
幻想殺しを持つ不幸少年
普段は頼り無いがいざという時に力を発揮する
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/28(水) 12:18:49.13 ID:Dtm88P9AO<> >>110 続き
――――ドカッ、バキッ、メキッ、グシャッ!
「あー、スッキリしたァ」
「…………テ、メェ、いきな……り、顔面集中放火のタコ殴りとか、……ふざけてんじゃねぇぞ……ッ!」
俺の目の前で息絶え絶えに言葉を紡ぐのは、薄汚くボロボロになって地面に膝を着く第二位。
俺の服をメルヘン菌で汚したため、問答無用で叩きのめした結果がコレだ。
特別サービスで鼻血が流れるオマケ付きだ、骨を折らなかっただけでも感謝しやがれ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 12:19:57.54 ID:Dtm88P9AO<>
「俺は別にふざけたつもりはねェよ。オマエが人様の服に唾付けたからだメルヘン野郎。オマエのメルヘンが感染したらどォすンだよクソったれがァ」
「俺のメルヘンがテメェに感染なんざするわけねぇだろ!? そんな思考に至るテメェの頭の構造の方がよっぽどメルヘンチックじゃねぇか!!」
「つまりそうなンだろ。オマエの唾で感染して俺の思考は愉快にメルヘンで染まっちまったみてェだ。――これでオマエの主題は論破だ、クソメルヘン」
「……ッ、テメェ……ッ!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 12:22:01.69 ID:Dtm88P9AO<>
「……。ぎゃはっ☆ なんだかさっきのミサカとあなたのやり取りみたい」
「……あァ?」
そンな俺とメルヘン野郎の愉快な会話に番外個体が割り込ンでくる。
さっきまで興味なさそうだったのに、一体どういう風の吹き回しだァ?
「――互いに反発し合うのは表面上だけで、心の底ではそう思ってないやり取り――」
「――ッ! …………チッ」
「……、」
俺はとりあえず黙って番外個体の話に耳を傾けた。
目の前のメルヘン野郎が突然舌打ちしたが、何か引っ掛かる事でも言われたのかァ?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 12:23:25.27 ID:Dtm88P9AO<>
「現にそこの第二位だって仮にも超能力者でしょ? 本気を出したらミサカを瞬殺出来るほど強いハズだよね」
「……それがどうした」
「――なのに本気を出さずにさっきの第一位の拳の雨に能力なしで受け止める。 ……第二位は筋金入りのドMなのか、それとも別の理由があるのかは知らないけどさ――、」
「……、」
「――あなたはただ第一位と会話をしたいだけなんじゃないの?」
「…………ハァ?」
……オイオイ、何言ってンだこのチンピラパンダ。
あまりにも脈絡なさ過ぎて言ってる意味が訳分かンねェぞ?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 12:24:28.08 ID:Dtm88P9AO<>
「第一位は少し黙っててよ。 これは『悪意』に特化したミサカだから分かる事。口出しはいらない」
「――ッ。……そォかよ」
今までに見た事がねェほどに真剣な顔付きをした番外個体。
下手な茶々を入れる雰囲気じゃねェのを理解した俺はその場から一歩退く。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 12:28:34.27 ID:Dtm88P9AO<>
「それじゃあ第二位。ちょっとミサカとこっちに来て話し合おうか」
そう言って公園の方へ足を向けて歩き始める番外個体。
「……お前、名前は?」
それに引っ張られるように立ち上がり、足元がややふらつきながら歩き始めるメルヘン野郎。
「――識別名『番外個体』。第三次製造計画で造られた『妹達』の一人。あなたは?」
「――垣根帝督。俺の名前だ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 12:34:43.14 ID:Dtm88P9AO<>
「あっそう。それじゃあ第一位の耳に入らない所で楽しくお喋りしようか“ていとくん”?」
「…………第一位、俺コイツ殴るかもしれねぇが勘弁しろよ」
「2発までなら許してやる。それ以降はオマエの肉体を細切れにしてやるから覚えとけ」
「ハッ。分かったよ、2発までだな」
「ちょっ!? 第一位はミサカを守ってくれるんじゃなかったの!!?」
「……さてと、俺は炊飯器でも買いに行くとするかねェ」
「…………シ、シカトすんなぁぁぁぁあああああ!!!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 12:46:44.95 ID:Dtm88P9AO<>
歩き出した俺の背後から番外個体の怒鳴り声が聞こえたが無視した。
「……ハァ。やれやれ、だいぶ道草食っちまったな」
さっさと炊飯器買わねェと黄泉川に文句を言われちまうから急がねェと。
――それとクソガキの言ってた『超次元サッカー』。
あのガキの機嫌を直す為にも、少し調べてみる必要があるみてェだな。
……ならまず向かうのはスポーツ専門店だな、炊飯器買ってからじゃ重たくて歩けねェし。
…………あーあ、めんどくせェなクソったれ。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/28(水) 13:05:35.04 ID:Dtm88P9AO<>
昼の部はここまでです。
……やっぱり展開が遅いですね、すみません。
さて、本編は垣根と番外個体の秘密の会話になりますが、そんなのやってたら展開がまた遅くなりそうなので、カットの方向で考えています。
ほぼ台本形式の会話ですが、もしそれが気になる方がいらしたら投下するかもしれません。
とりあえず夜の部は一方通行がスポーツ専門店に向かう話です。
そこで彼がやっとサッカーらしい事に触れます、お楽しみに。
それではますのちほど。
>>116さん ありがとうございます。 これからもよろしくお願いします。
>>117さん お疲れ様です。もうそれをあらすじに引用したいくらいです。本当にありがとうございます。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 17:12:56.29 ID:2R9t9CfO0<> 五条さんスレかと思ったけど違った
でも期待 <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/28(水) 22:32:41.10 ID:Dtm88P9AO<>
>>1です。
今日は19時から劇場版イナズマイレブンを見てました。 相変わらず超次元すぎてついていけませんでした。
とりあえず今から夜の部を投下していきます。
チンピラコンビの会話は需要がなかったのでカットでいきますね。
>>126で『ますのちほど』って書いてた……、『ますのちほど』ってなんだよ……orz <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 22:35:34.25 ID:Dtm88P9AO<> >>125 続き
〜第七学区・とあるスポーツ店〜
「いらっしゃいませー」
とりあえず俺は電気店に向かう途中に偶然見つけたスポーツ店に足を運ンだ。
「……『超次元サッカー』ならサッカーのカテゴリーに入ってンだろ。っつーか入ってなかったらどこに入ンだよ」
入口付近のレジにいた店員に場所を聞き、サッカーを扱うコーナーへと向かう。
そこには所狭しと並べられた『外』のチームのユニフォーム(説明の入ったポップが貼られてやがった)と、種類豊富なスパイクの壁が目の前に広がっていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 22:36:38.85 ID:Dtm88P9AO<>
「……ハッ、こンな馬鹿みてェに種類があンのかよ。オールマイティのヤツを作ればこンなに作る必要ねェだろが――ってあァ?」
――ちなみにそのスパイクの中には、こンな名前の商品があった――
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 22:38:12.88 ID:Dtm88P9AO<>
『Modeling“accelerator”(モデリング“アクセラレータ”』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 22:41:44.07 ID:Dtm88P9AO<>
貼りつけてあるポップには――、
「学園都市最強の一方通行の能力『ベクトル操作』の一種、『反射』をモデルに開発! 驚異の反発、衝撃吸収力でスピード・シュート・ドリブルのどれもが超能力者クラスに!!」
――という、胡散臭さMAXの説明が書かれていた。
ちなみに価格は15万8900円。
制作会社は『AMAI』とかいう“あの”クソ野郎と同じ名前のメーカーだった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 22:43:47.47 ID:Dtm88P9AO<>
「……なァオイそこの店員」
俺は近くで段ボールから新品のユニフォームを棚に陳列している店員に話し掛ける。
ただのバイトかもしれねェが、とにかくこの店の店長と話がしてェ。
一体どこのどいつが誰の許可を得て、こンなふざけた商品を売りにきたのか確認しねェとなァ。
……めでたくあの天井の野郎だったら会社を突き詰めて『窓のないビル』にぶン投げてやる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 22:45:11.52 ID:Dtm88P9AO<>
「はい、なんでしょうかお客様――って、あ、あああ……一方通行!? なんでお前がここにいんだよ!!?」
俺に声を掛けられて営業スマイルを浮かべたが、一瞬で驚愕の表情に切り替わる店員。
――その顔には見覚えがあった。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 23:00:44.32 ID:Dtm88P9AO<>
「……あァ? なンで俺の事――――ってあァ、馬面か」
「HA・MA・DU・RA!! 浜面だ!! 浜面仕上だッ!! 馬鹿面とかひど過ぎんだろ!!?」
「……誰も馬鹿とは言ってねェだろォが。 キャンキャン喚きき立ててンじゃねェよ、躾のなってねェ犬かオマエは」
「ハァ、ハァ…………あれ? 馬鹿って言わなかったか?」
「馬鹿っつーのは今のオマエの事を言うンだよ」
「馬鹿!? やっぱり馬鹿って言ってんじゃねぇか!!?」
…………オイオイ、一体どォすりゃいいンだよ。 これじゃあ無限ループじゃねェか。
――この薄汚ねェジャージの上にこの店のエプロンを付けて喚く茶髪の男は浜面仕上。
確かどっかの暗部組織の下っ端構成員“だった”ヤツだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/28(水) 23:27:06.17 ID:Dtm88P9AO<>
学園都市の暗部組織は第三次世界大戦終結時、俺が一方的な交渉で解体させた。
――つまりこのチンピラはもう学園都市の『闇』から解放されているハズだ。
だからコイツはこの店で『日常』に溶け込みながら、バイトをしてるンだろう。
……ったく、一人前に平穏を謳歌しやがって。
「オマエは愛しの女の為にせっせと働いてるみてェだな。 ……オマエの女、なンて名前だったっけ?」
「だから俺は馬鹿じゃ――え? 女? 滝壺のことか?」
突然話を振られて一瞬目を丸くしたチンピラだが、なンとか会話についてくる。
……イイ加減その話から離れろよクソ野郎。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 23:28:24.71 ID:NV6IySP80<> 各キャラのイナズマイレブン風必殺技
一方通行
シュート ベクトルシュート[s] 風52
ドリブル ベクトルジェット 風41
ブロック ベクトルストリーム[B] 風36
シュート 黒翼 火67
垣根
シュート ダークマター 林58
ドリブル ジャッジスルー 火25
ブロック サイクロン 風38
スキル イケメンup
美琴
シュート 電撃の槍 風40
ドリブル 電光石火 風36
ブロック 落雷 風42
シュート 超電磁砲[L] 風66
麦野
シュート 電子崩し 火46
ドリブル メルトジェット 火53
シュート シリコンバーン[L] 火62
スキル オフェンスフォース
削板
スキル こんしん
スキル ちょうわざ
キャッチ すごいパンチ 風52
シュート すごいキック[s] 風55
上条
スキル 幻想殺し
スキル やくびょうがみ
スキル セツヤク
スキル ふっかつ
何とかできた一部のキャラの必殺技
ていとくんだけすべて存分のやつなのは許して。(時間が無かった)
技の説明と>>117に書くキャラのポジションを書き忘れたのを思い出したからそれを追加した版は次に。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 00:09:20.83 ID:XP+XkcAAO<>
「あァ、滝壺っつー名前だっかあのピンクジャージ。」
「……滝壺――滝壺理后。性別は女で新生『アイテム』の一人で大能力者で『能力追跡』の使い手で俺のマイスイートエンジェルッ!!」
「オイ、どォした急に」
何いきなりトチ狂い始めてンだコイツ?
「あの普段からボーっとしてて守ってあげたくなる愛らしい性格! 保護欲が掻き立てられて仕方ねぇ!!」
「オイ」
「いつも身に纏っているジャージは俺と被ってるし、もう会った時から付き合うことは運命だったんだんだな!!」
「……オイ、このスパイク借りンぞ」
「加えてお前は知ってるか!? 滝壺ってああ見えて――、」
――――カチッ。
「――試し蹴り第一号だクソ野郎。オマエに地獄をプレゼントだ」
「――隠れきょにゅううううううぅぅぅぅぅ――ぐはぁっ! ……な、ん……だぜ……ッ」
「……なンだ、結構使えンじゃねェか」
デザインも俺の服と似たタイプを使ってやがる。
センスも悪くねェしコイツは――――“買い”だな。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/29(木) 00:28:04.62 ID:XP+XkcAAO<>
夜の部はこれで終わりです。
>>1です、こんばんは。
一方通行がスポーツ店でスパイクを購入しました。
どうやら彼は形から入るタイプの人間のようです。
試し蹴りに手近にあった浜面の体をボールに見立てて蹴ったみたいで、店内はてんやわんや確定です。
あと浜面のクビも確定ですね。
ポッと出てきた浜面ですが、ちゃんと浜面してたでしょうか?
とりあえず今回はここまで。
次回の投下も昨日と同じ感じになりそうです。
それではまたのちほど。
>>127さん 五条さんは登場しないんです、すみません……。ただ、ご期待に添えるよう頑張ります。
>>>137さん ヤバいです、その表を見てるだけでワクワクしてきます。( >>1はそういうのを書かなきゃいけないんですけどね……。)
皆さんのコメントが投下する活力になります。本当にありがとうございます。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/29(木) 02:04:59.00 ID:1udNmBF8o<> これは良スレの予感なんだよ!
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/29(木) 03:09:17.51 ID:kDlnIhH40<> >>1へ参考ついでに
一方通行(風)
シュート ベクトルショット V2[S]風52 ※変更
ドリブル ベクトルジェット 風41
ブロック ベクトルストーム[B]風36 ※変更
シュート ダークウィング G2 火67 ※変更
垣根帝督(林)
シュート ダークマター 真? 林58
ドリブル ダークホール 林47 ※全体変更(未元物質で闇の空間を作り、相手を惑わせてドリブルで抜き去る技。)
ブロック ウィングパック V2 林50 ※全体変更(未元物質の羽を使ってドリブルしてきた相手ごと羽で包み込む。羽の中では未元物質により相手は技が終わるまで行動不能。)
スキル イケメンUP
御坂美琴(風)
シュート エレキランス 改 [C] 風40 ※変更
ドリブル 電光石火 風36
ブロック 落雷 風42
シュート レールガン G2 [L] 風66 ※変更
麦野沈利(火)
シュート メルトダウン V3 火49 ※変更
ブロック レーザーネット 火43 ※全体変更(原子崩しの無数のレーザーでネットを作り相手をハメった隙にボールを奪う技。)
シュート シリコンバーン G2 [L] 火64 ※変更
スキル オフェンスフォース
削板軍覇(風)
スキル こんじょう ※変更
スキル ちょうわざ
キャッチ すごいパーンチ 真 風52 ※変更
シュート すごいキーック 真 [S] 風55 ※変更
上条当麻(山)
スキル セツヤク
スキル ふっかつ
スキル こんじょう
キャッチ イマジンブレイク G3 山60 ※全体変更 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/29(木) 11:18:41.18 ID:ILyY1ypt0<> >>141
>>137だけど意見していいかな?
垣根
ドリブルとブロックをオリジナルにしてくれてありがとう。ただ、イケメンupをゴットブレイクに変えるか。
麦野
レーザーネットは麦野ぽいけど、メルトジェットは原作で使っているからそちらを優先すべきじゃ・・・・?
レーザーネットを採用する場合、GOのハンターネットに似ているから[SB]をつけた方が・・・・
あと、メルトダウナーな。
削板
個人的にはスキル「こんじょう」の効果が気になる。俺の想像力じゃ「こんしん」と能力が被る・・・
※余談だけど、根性さんが火だったのは、風のキャラが多くなりそうと根性さんの能力は全体的に高いのに技の属性一致は強すぎるじゃね?と思ったから。
上条
あずま、おおたにさんみたいに一般人キャラと思って全部スキルにした。(代わりにすべての必殺技をただのシュートに変える「イマジンブレイカー」を入れた)
上条さん的に「やくびょうがみ」や「ネバーギブアップ」や「クリティカル!」を入れるか入れないか?
属性は右手の中の人的に火に変えるか?(一番有説のハディート)
ここまで言ってなんだけど、個人的には書くキャラのレベル99の時のパラメーターも書いてほしい。
一方さんは30分経つとメガネ以下の能力なる感じ。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/29(木) 12:18:19.52 ID:kDlnIhH40<> >>141っす
垣根について
っていうか、全体的に原作技はあまり使わないほうがいいと思ったんでそのままイケメンUPを使わせてもらいました。シュート技の候補があったのですが・・・
麦野について
メルトジェットは迷ったんですが、ベクトルジェットと名前が何かかぶるなあって思ったんで、レーザーネットを考えました。[SB]付け忘れたったwww
メルトダウナーだと何か麦野の通称ってイメージが強くて何かやだな思ったんでダウンにしました。
削板について
まあ正直こんしんでもこんじょうでもどっちで良かった。軍覇君は根性根性行ってるしこんじょうでいっかってことでことでこんじょうにしました。
上条について
もうキーパーでいいだろと思ったんでイマジンブレイカーはスキルではなく技のイマジンブレイクという技にしました。(大体どんな技かわかると思います。)スキルは・・・軍覇のときと一緒でイメージ重視。やくびょうがみは外さんほうが良かったかな・・・
上条さんの中の人については化身にしようかと考えました。でも色んな説があるとは言えはっきりとしていないので保留にしました。
あくまで参考なんで
>>1次第です
>>137は>>1ですか?
<>
技とか考えるよ<>sage<>2011/12/29(木) 12:23:54.84 ID:kDlnIhH40<> ほかにももう考えてあるので後々出していきたいと思います。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 13:24:38.28 ID:XP+XkcAAO<>
>>1です。
こんにちは。
書き溜めを書きつつ、ふとスレを覗いたらいつの間にかガチ討論をやっていて驚きました。
>>1の為に貴重な時間を割いてくれて本当にありがたいです。
そろそろ昼の部を投下していこうかなと思っています。
それではまたのちほど。
>>140さん
そう言ってもらえると本当に嬉しいです。 良スレになるように頑張ります。
>>141さん
オリジナルの必殺技考えてくれて本当にありがとうございます。
ちゃんと『改』や『V』や『G』など細かいところまであって素晴らしい出来上がりです。
>>137さん
>>141さんの設定に深い考えを述べてくれて助かります。
>>1の考えでは
垣根はイケメンupでも大丈夫な気がします。けどイケメンでもメルヘン過ぎて効果は半減しそうですが……。
麦野はほとんど同じ考えです。基本はオリジナル技がいいかなと思っています。
削板は常に『根性』と言ってるので、こんじょうでいいと思います。熱血漢で熱い男なので属性は『火』で大丈夫じゃないですかね?
上条の属性は一方通行や御坂に相性が良いという点から『山』でいいんじゃないでしょうか?。2つのスキル『やくびょうがみ』『ネバーギブアップ』ついては文句なしです。
あとはフラグ建築家なので『イケメンup』もアリかな……?
『イマジンブレイカー』は使ってもまったく疲弊しないからスキルでもいいかもしれませんね。
再び>>141さん
垣根のシュート技の候補があったのですか? 出来れば教えて貰えないでしょうか?
麦野の能力名なので『メルトダウナー』でもいいと思うのですがダメですかね……。
削板は納得です。追加するなら『すごい煙幕』ですかね。背後から赤青黄色のカラフルな煙が出る爆発を起こせるみたいですし。
上条はキーパー確定で構いません。そうじゃないとハンド連発で退場喰らいますからね……。
イマジンブレイカーを技で考えもいいですし、もし別のを追加するなら『竜王の顎』でもいいかもしれません。(ゴッドキャッチみたいに右腕から竜が出現する感じ?)
……長く書いたので誤字が多いのは勘弁して下さい。
>>137は>>1ではないですよー。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/29(木) 13:28:34.30 ID:XP+XkcAAO<> >>138 続き
「ちょっとちょっと浜面君! 何か君が変な奇声をあげたのがこっちまで聞こえてきたんだけど――って、…………何やってんの?」
俺がスパイクから普段の靴に履き替えていると、この店の店長らしき女がやってきた。
どォやらさっきのやり取りの一部が周囲に聞こえていたらしい。
…………まァあンな変態じみた声が聞こえてきたら、駆け付けて来るしかねェよな。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 13:29:59.16 ID:XP+XkcAAO<>
「……痛ッ、…………あれ? 俺……一体、なにや――――はっ! ててて店長!!?」
叩き付けられた壁から身を起こし、ふと顔を上げた途端に顔面蒼白になるチンピラ。
コイツの発言からして、どォやら今ここにいる店員が店長で間違いねェみてェだな。
……さァーて、一体どォやってオマエはこの状況を切り抜けるンだ?
学園都市の暗部と第三次世界大戦を渡り歩いた男の実力、俺が見極めてやろォじゃねェか。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 13:31:08.61 ID:XP+XkcAAO<>
「…………お目覚めですか、はーまづーらさーん?」
いわゆる『顔は笑顔だが目は笑ってねェ』表情を浮かべ、チンピラへと一歩ずつ踏み締める様に近づいていく店長。
――おそらく両者の距離が0になった時、チンピラの首が切られンのが確定だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 13:32:43.94 ID:XP+XkcAAO<>
「……ちょっ、ちょーっと待ってくれ――下さいね店長?」
冷や汗を滝の様に流しながら、慣れない敬語を話すチンピラ。
目は残像が残るほど高速で動いており、おそらく必死に弁明を考えているのだろう。
「…………ほう? 分かった、3分間待ってやる。せめてもの慈悲だ」
――あ、ダメだわコレ。もう死亡確定してンじゃねェか。
勝敗が既に決定している事に気が付かねェ馬鹿は、それから3分間唸り続けた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 13:33:38.19 ID:XP+XkcAAO<>
――そして約3分後、馬鹿は開口一番にこォ言った――
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 13:35:10.68 ID:XP+XkcAAO<>
「――いや違うんですよ店長ォォおおおおおッ!!」
……そンな言葉なら3分間唸り声あげなくてもパッと出て来るだろ普通。
「……何がどう違うって言うのかな、はーまづらぁ?」
ついにチンピラに対して呼び捨てになった店長。
その額にはうっすらと血管が浮き上がっていた。
……完全に火に油注いでンじゃねェか、早く気付けよ馬鹿野郎。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 13:53:16.88 ID:XP+XkcAAO<>
「……あ、あのですね? これには深い事情がありまして決して俺が知り合いに彼女の自慢をしたら吹っ飛ばされて商品をグチャグチャにしたとかそういうことではなくて――、」
「……つまり『俺がこの状況を作りだしました』と言いたいわけか。――よし、分かった」
「――違うって言ってんだろォォおおおおッ!? お願いだから最後まで説明を――、……って、“分かった”? …………も、もしかして――ッ!」
「浜面仕上、君は現時刻をもってクビ。……ああ、あと今日までの給料は全部壁の修繕費に消えるから、さっさとエプロン返して出てってくれない?」
「――た、滝壺とのデート資金がァァあああああああ!!?」
地面に両手両膝を付け、この世の終わりみてェな咆哮をあげるチンピラ。
……本当にこの馬鹿は学園都市の地獄を渡り歩いてきたのか?
どう考えてもコイツじゃ無理だろ、戦争なら真っ先にくたばりそうなタイプみてェだし。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 14:14:32.41 ID:XP+XkcAAO<>
「……オマエは哀れな野郎だなァ。……まァ自業自得っつー事で」
俺はスパイクを手に取り、目の前で戦力外通告を言い渡した女の店長に話し掛ける。
「――すンませン、このスパイクとここで一番値段の高いサッカーボールを買いたいンですけどォ」
「はい、いらっしゃいませお客様! ――ああ、でしたらあちらのサッカーボールが当店で一番値段の高い商品になっております。お一つ3万5000円になりますが、よろしいですか?」
先程の冷徹な声とは打って変わって、快活にハキハキと喋る女店長。
……末恐ろしいほどに仕事への切り替えが早ェなこの女、完璧な作り笑いが気味悪ィ……。
「あァ、構わねェ。それと――、」
「うぅ……、滝壺……ごめんな。俺バイトクビになっちまったよ…………」
……チッ、仕方ねェなクソったれがァ。
「――あの見るに堪えねェ男、10万で借りて荷物持ちにしていいかァ?」
<>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/29(木) 14:25:57.62 ID:XP+XkcAAO<>
昼の部はここで終わりです。
>>1です。
課題が終わらなくて精神的にツライ、冬休みも残り少ないのに……。
ここでちょっとした報告です。
新年開けてからの投下が厳しいかもしれません。
その理由は1日から9日までの内、8日間が仕事だからです。
労働基準法も真っ青な8連勤とか軽く天国に逝けます。
まあ時間を見つけて投下はしたいと考えているんですけどね。
次回の投下は今日の22時以降ですかね。
それではまたのちほど。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/29(木) 19:04:36.23 ID:ILyY1ypt0<> 乙。無理スンナ。
イギリスチームでも考えようと思ったけど、数がたりない。
魔術師チームは誰をどこのポジションにしようか悩む・・・・ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/29(木) 21:13:01.15 ID:+CCU8sA00<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/29(木) 22:56:57.82 ID:XP+XkcAAO<>
>>1です。 こんばんは。
ちょっと予告から遅れてしまいましたが、今から夜の部を投下していきます。
それではまたのちほど。
>>155さん はい、死なない程度に頑張ります。
イギリスチームなら
(新約一巻開始後で)
監督はローラかエリザード。
マネージャーはオルソラかリメエアかヴィリアン。
選手は
『清教派』からねーちん、ステイル、シェリー、建宮、五和、アニェーゼ、ルチア、アンジェレネ。
『王室派』からキャーリサ、騎士団長、アックア。
『その他』でレッサー、フロリス、ベイロープ、ランシス。
で選手は計15人ですかね。
これでイギリスチームの完成――――じゃないなコレは。
日本人が多過ぎるぞ、どうなってんだ。
>>156さん ありがとうございます。 試合をやるのはまだ先ですが、それまで何卒よろしくお願いします。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 22:59:13.43 ID:XP+XkcAAO<> >>153 続き
「まいど、ありがとうございましたー」
レジの店員から商品を受け取った俺はスポーツ店を後にした。
「――お、お荷物をお持ちします一方通行様」
「あァ、ご苦労さン。キッチリ働いたらボーナス付けてやるよ。……ただその心底気持ち悪い喋り方だけはやめろ、虫酸が走る」
「…………あ、やっぱりこの喋り方はやらなくてよかった?」
「オマエの面で執事は死ぬほど似合わねェ。これだけは覚えとけチンピラ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 23:01:06.43 ID:XP+XkcAAO<>
――結局あの後、壁の修繕費(もとい、チンピラのレンタル料)として10万を店に支払った俺は、嬉々とした表情を浮かべた女店長にチンピラの履歴書を渡された。
その際、女店長は俺に――、
「返却は結構ですので、煮るなり焼くなりサンドバックにでも何でも自由にして下さい」
――と言ってきた。
……俺は奴隷を買ったつもりじゃなかったンだがなァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 23:14:11.70 ID:XP+XkcAAO<>
「なぁ、そもそもどうして一方通行はあの店に来たんだ?」
「あァ?」
再び電気店に向けて歩く俺の隣からチンピラが話題を振ってきた。
歩幅は杖をつく俺に合わせて狭くしてるみてェで、少し歩きにくそうに見える。
……変な所で気ィ遣ってンじゃねェよ、俺はオマエのマイエンジェルでもなンでもねェンだぞ?
「ちょっ、そんなに睨むことねぇだろ……。 別に変な事を聞いてるわけじゃないんだからさ、な?」
「……チッ」
こいつはまた随分と馴れ馴れしい野郎だな、黄泉川みてェな態度で接してきやがる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/29(木) 23:48:35.00 ID:XP+XkcAAO<>
「……別に。ただクソガキのヤツが俺に『超次元サッカー』がどうのこうのと言ってきてから、気紛れで調べようとしてただけだ」
「……『超次元サッカー』か……」
「なンだ、何か心当たりでもあンのか?」
「……いや、俺の記憶が正しければの話なんだけどさ。確か昔、絹旗が――、」
「浜面、このゲームは『外』のメーカーの製品なんですが、超オススメなんで仕方ないから貸してあげます。『超次元』のサッカーって超スゴいんですよ!? 私の超お気に入りのC級映画『どぶねずみ小五郎』に匹敵する超大作なんで、絶対やるべきです!』
「――って、えらく興奮しながら話をしててさ。C級映画で興奮するヤツの感性だから、俺はまったく相手にしなかったんだけどな」
……ゲーム、『外』、サッカー、C級映画と同等、大作……。
…………チッ、まだ漠然とし過ぎてて全然分からねェ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 00:23:57.80 ID:bsR+ZWQAO<>
「……オイ、オマエ。その絹旗ってヤツと連絡取れるか?」
「え? ……まぁ取れない事もないけど、仮にも暗部時代に抗争してた間柄だからなぁ。そう簡単に――、」
「――20万出す」
「――連絡出来ないハズがない!! やったぜ滝壺! 今日から俺は大富豪だ、ひゃっほぅッ!!」
……随分と意志の弱ェ野郎だなァ、金に目が眩んで頭がイカれてやがる。
チンピラは慌ただしく携帯を取り出し、絹旗とかいうヤツに電話をかける。
『――もしもし、超何の用事ですか。今日の浜面は確か超バイトじゃなかったんですか?』
「ああ、絹は――なんでその事知ってんのッ!?」
『滝壺さんが超教えてくれました。『能力追跡』を超甘くみんなです』
「そして何故お前が得意げなんだよ!? お前何もしてねぇじゃんッ!! ってか『能力追跡』関係ねぇぇえええッッ!!!!」
『超ナイスツッコミありがとうございます浜面。――で、結局何の用ですか超馬面(笑)』
「……お前絶対に後で泣かすからな……ッ!」
『浜面が私に勝つなんて超不可能です。転生してから超出直して下さい』
「この野郎……ッ!!!」
――結局このクソつまンねェ茶番は、寒空の元で約15分ほど続いた。
……減額決定だクソ野郎。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/30(金) 00:37:20.57 ID:bsR+ZWQAO<>
夜の部はこれまでです。
>>1です。 こんばんは。
本編に絹旗さんが登場しましたが、ちゃんと絹旗さんになっていたでしょうか?
本当はもう少し後に出す予定でしたが、突然襲われたインスピレーションに身を委ねたらこうなりました。
おかげで書き溜めの変更を余儀なくされました。
……まあ書き溜めは微々たる量なんですけどね。
一方通行と絹旗は並々ならぬ間柄なので、ちゃんとその辺りを書けるかが心配です。
まあとりあえずこんなところです。
次回の投下は今日中におそらく1回……もしかしたら2回できるかもしれません。
それではまたのちほど。
<>
技とか考えるよ<>sage<>2011/12/30(金) 02:39:06.34 ID:vhQsJLin0<> >>1へ
新しく考えたので再びキャラと技書きます。参考にしていただければ嬉しいっす。
F 一方通行(風)
シュート ベクトルショット V2[S]風52
ドリブル ベクトルジェット 風41
ブロック ベクトルストーム[B]風36
シュート ダークウィング G2 火67
F 垣根帝督(林)
シュート ダークマター 真 林58
ドリブル ダークホール 林47
ブロック ウィングパック V2 林50
シュート ウィングストライク G2[L]風63 ※変更
F 御坂美琴(風)
シュート エレキランス 改[C]風40
ドリブル 電光石火 風36
ブロック 落雷 風42
シュート レールガン G2[L]風66
F 麦野沈利(火)
シュート メルトダウン V3 火49
ブロック レーザーネット 火43
シュート シリコンバーン G2[L]火64
スキル オフェンスフォース
K 削板軍覇(火)
スキル こんじょう
キャッチ すごいパーンチ 真 火55 ※変更
キャッチ ちょうすごいパーンチ G3 火60 ※変更
シュート すごいキーック 真[S]火55
K 上条当麻(山)
スキル やくびょうがみ
スキル セツヤク
キャッチ イマジンブレイク G3 山60
キャッチ ドラゴンストライク G3 山64 ※変更
M 白井黒子(林) ※NEW
ドリブル テレポートダンス 改 林39
ドリブル テレポート V3 林45
ブロック テレポートスティール 林44
シュート テレポートドロップ V3[SB]林56
D 結標淡希(林) ※NEW
ドリブル ムーブポイント 真 林48
ブロック ムーブスティール 林45
ブロック ムーブハザード V2[B]林55
ブロック ザ・ムーブ V3[B]林56
D 土御門元春(風) ※NEW
スキル うそつき
スキル オートリバース
ブロック 赤ノ式 風52
ブロック 黒ノ式 V3 風53
M 風切氷華(風) ※NEW
シュート ヒューズ・カザキリ G2 風67
ブロック 氷の劔 V3[B]風52
ドリブル ラン・ブリザード 風40
ドリブル スノーアクセル 改 風43 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 21:56:45.11 ID:bsR+ZWQAO<>
>>1です。 こんばんは。
本日の分の投下にきました。
今年中には本格的に一方通行がサッカーを始めると思います。
……時間がかかりすぎですよね、すみません。
それではまたのちほど。
>>164さん 新キャラのパロメータを作ってくれてありがとうございます。 ぜひ参考にさせていただきます。
……ただ作って頂いて言うのもアレなのですが、氷華は『雷光のような力』をヒューズ化した際に使うので、それではガブリエルになってしまうかと……。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:02:05.21 ID:bsR+ZWQAO<> >>162 続き
「――そういう訳だから。じゃ、任せたからな」
簡単な言葉で通話を終わらせたチンピラは、携帯を畳ンで自身のポケットに納めた。
「……よォやく終わったのかよクソ野郎。雇い主を待たせるたァ、イイ度胸してやがる」
近くに建っていた店の壁に寄り掛かっていた俺は、チンピラへとゆっくり近づいていく。
……この馬鹿には言わなきゃならねェ事が山ほどあるが、今はとりあえず一つだけにしといてやる。
「――さっき俺はオマエに20万やると言ったが気が変わった。1万しかやらねェ」
「ッ!? ――ちょっ、なんでそんなにガクッと減ってんだよ第一位!! ちゃんと俺はアンタと絹旗を会わせるようにセッティングしたじゃねぇかッ!!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:05:28.73 ID:bsR+ZWQAO<>
「……何遍も言わせンなよチンピラ。オマエは『雇い主を待たせた』ンだ、これ以上の理由はねェよ」
「――ぐっ。わ……分かった、俺が悪かった。 ……これでいいんだろ?」
「いいや、まだ許せねェ」
「…………ハァ。……なんだよ、一体何をすりゃあアンタは許してくれんだ?」
俺の態度にやれやれと言った感じで深い溜め息をこぼすチンピラ。
……溜め息をこぼしてェのは俺も同じだクソったれがァ。
オマエがもっと短くセッティングを済ませてくれりゃあ、俺はクソ寒い思いをしなくて済ンだンだからなァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:06:39.96 ID:bsR+ZWQAO<>
「……そォだな。とりあえず今からひとっ走り行って炊飯器買ってこい。――あァ、ちなみに10個な」
馬鹿なチンピラと違って聡明な俺は、互いに溜め息を繰り出しても無意味な事を理解し、ひとまずパシリを命じた。
「――へ?」
……どォやら馬鹿なチンピラは耳も悪いみてェだ。
誰かコイツに再教育でも施してくンねェかなァ。
話がなかなか次に移動しなくて困るンだが……。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:08:54.00 ID:bsR+ZWQAO<>
「炊飯器10個、買ってこいっつったンだよチンピラ」
「……え、あ、なんだ、そんな簡単なのでいいのか。てっきり俺はサンドバックにでもされ――って、ん? …………炊飯器10個……?」
「あァ、炊飯器10個だ。 俺の携帯に買ってこなきゃならねェ炊飯器の型番を、懇切丁寧かつ詳細に送ってきたメールがあるからオマエの携帯を寄越せ。今から転送する」
「あ、ああ」
俺はチンピラがポケットから取り出した携帯を受け取りそれを開く。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:09:46.74 ID:bsR+ZWQAO<>
――その待受画面には、4人の少女が写っていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:11:58.32 ID:bsR+ZWQAO<>
待受画面の中央には笑顔を浮かべる金髪と茶髪の少女と、その間に挟まれた無表情な黒髪の少女。
その3人とやや離れたところで無愛想な顔でそっぽを向き、突っ立っているのは第四位。
「……オイ、この待受は一体なンだ?」
「あぁそれ? その写真は俺が初めてあいつらと出会った時に撮った――というか撮らされた写真でさ。
前までは違う待受にしてたんだけど、ついこの前に新生『アイテム』を結成したからその勢いで変えてみたんだ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:14:36.10 ID:bsR+ZWQAO<>
「……そォか。この4人のいる所が、今のオマエが帰る『居場所』なンだな」
「……あー、正確には3人なんだけどな。詳しいワケは聞かないでくれると助かる」
「俺もそこまで野暮じゃねェよ。――あァ、転送終わったから返すぞオマエの携帯」
会話の最中に赤外線通信を済ませ、用済みとなったチンピラの携帯を投げ返す。
「ちょっ、投げんな――っとっと! ふぅ……あっぶねー」
俺が投げた携帯をあわてふためきながら大事に掴ンだチンピラは、それを再び開く。
「…………、お? コレが頼まれた品か。こいつは確かにうんざりするくらい懇切丁寧かつ詳細に書かれてるわ……」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:17:52.30 ID:bsR+ZWQAO<>
「あァ、ついでに俺のアドレスも登録しておいたからなァ。アドレス帳で『001』って表記されてンのが俺だ、くれぐれも悪用すンじゃねェぞ?」
「言われなくても分かってるっつーの。……ってか、報復が恐ろし過ぎて小心者の俺にそんな真似できるハズがねぇ」
「なら結構。――ホラ、30万渡すからとっとと買ってこいチンピラ」
「……どっから取り出したんだよその札束。 ……まぁ別にいいかそんなこと。――そんじゃまぁ、行ってくるからコレは一度返すな」
俺から渡された札束を握り締め、代わりにスパイクとボールの入った袋を返してくるチンピラ。
……確かにコレがあったら、邪魔でロクに買い物出来ねェわな。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:24:08.81 ID:bsR+ZWQAO<>
俺は仕方なく袋を受け取ると、チンピラは颯爽と電気店のある方面へと駆けていく。
「パクって逃げたら黄泉川の野郎に通報してやるから覚悟しろよチンピラァァアアアアッ!!」
俺は念のため釘を刺すように、走り去っていくチンピラの背中に声をかける。
「なんであの巨乳の名前知ってんのッ!!? 第一位の情報網って一体どうなってんだァァああああ!!」
……なンなンだあの馬鹿の慌てっぷり、黄泉川の野郎に捕まった事でもあンのかァ?
そンな事を考えながら徐々に小さくなっていく背中を見送る。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 22:36:22.71 ID:bsR+ZWQAO<>
やがてその背中は人混みにでも紛れたのか、完全に見えなくなった。
「……さて俺は、…………せっかくだからコイツで暇潰しでもするとするかァ」
――右手に持つのは歩行補助用の杖。
――左手に持つのはスポーツ専用の靴と、競技用の球体。
一見すると、この状態の人間が到底スポーツなンざ出来るヤツには見えっこねェ。
傍から見れば怪我をして、運動が出来なくなってしまった哀れなガキだ。
――――だが俺にはそれを可能にする『能力』がある。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/30(金) 23:40:10.70 ID:bsR+ZWQAO<>
『一方通行』――あらゆるベクトルを観測し、触れただけで変換する能力。
それを使えば身体運動の増幅、大気の操作、高電離気体の発生、自転の操作も思いのままだ。
かつては半永久的に継続していた力だが、今は“30分”という時間の枷が存在する。
……だが枷がついて弱体化した所で、『一方通行』という能力に変わりはねェ。
この力が向かう先に行き止まりはねェンだ、ただ真っ直ぐ前に進むのみ。
――俺の辞書に“不可能”の単語は必要ねェ、“可能”の単語が存在してりゃあなンとかなる――
俺の前に立ちはだかる障壁なンざ紙っぺらなンだよ、絶対に乗り越えられるに決まってる。
「……大金払って手に入れたンだ。キッチリ暇潰しになってもらわなきゃ、割に合わねェからなこの白黒野郎」
これから俺が向かうのは、番外個体と別れた公園。
せっかくなら人数は多いに越したことはねェ。
――――“平穏”から掛け離れた3人が“平和”に慣れるには、こンな手段もまた一興なンじゃねェのかァ?
<>
技とか考えるよ<>sage<>2011/12/30(金) 23:46:44.11 ID:vhQsJLin0<> >>1へ
指摘感謝です。電光ですか...
M 風切氷華(風)
シュート ヒューズ・カザキリ G2 風67
ブロック 電光の劔 V3[B]風52
ドリブル ダッシュスパーク 風40
ドリブル ライジングアクセル 改 風43
でどうでしょうか?
またほかのキャラも考えてきます。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/31(土) 00:25:02.77 ID:iQQy+wgAO<>
今回の投下は以上です。
>>1です。 こんばんは。
このスレを見てくれてる方ってどのくらいいるのでしょうかね?
10人くらいですかね、あははははっ……。
次回はメルヘンさんとパンダちゃんと白モヤシさんがサッカーをやります。
次回の投下は今日中に。
それではまたのちほど。
>>177さん 修正ご苦労様です。
ハイ、ほかのキャラも無理をなさらない程度によろしくお願いします。 <>
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 18:00:29.36 ID:7bigDXx6o<> がんばれー <>
◆phLlq2zEWI<><>2011/12/31(土) 23:02:49.55 ID:iQQy+wgAO<>
>>1です。 こんばんは。 今年もあと残りわずかになりましたね。
来年もこのスレを見ていただければ幸いです。
それでは本日の分を投下していきます。
それではまたのちほど。
>>179さん ありがとうございます。精一杯頑張らせていただきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/31(土) 23:04:25.19 ID:iQQy+wgAO<>
〜第七学区・とある公園〜
「――アレイスターのクソ野郎がァァああああああッ!!」
――――ズドォォォン!
「なんで俺が『第二候補』なんだよォォおおおおおおッ!!」
「――あっひゃっひゃっ!! なかなかいい感じだよ第二位! なんでも溜め込むのは体によくないからねえ。なんならミサカが三大欲求の一つも鎮めてあげよっか? ひゃはっはっ☆」
「…………何やってンだオマエら。成人式で暴れる新成人の真似事してるワケじゃねェだろォなァ?」
――俺が手荷物を持って番外個体と別れた公園に着くと、そこは既に“カオス”と呼ぶに相応しい空間になっていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/31(土) 23:06:11.05 ID:iQQy+wgAO<>
「別に俺が『第一候補』でもいいじゃねぇかッ!! ――てかそもそも『プラン』って何なんだよ!? いくつも平行して進んでる計画とかアレイスターの野郎は頭がおかしいんじゃねぇのかッッ!!?」
――まず公園の上空には、何やら錯乱している様子のメルヘン野郎が滞空していた。
メルヘン野郎自身の能力である『未元物質』の発動により、背中から六枚の翼が生えた状態で忙しなく飛び回っていやがる。
……ちなみに頭がおかしいのは今のオマエも同じだからなメルヘン野郎。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/31(土) 23:08:45.20 ID:iQQy+wgAO<>
「ひゃっひゃっひゃっ!! ほらほら第二位! どんどん『コイツ』を蹴り飛ばしてストレス発散といこうぜ☆」
――その空中を自在に飛び回るメルヘン野郎の真下には、額の一点を赤く腫らした番外個体がいた。
どォやら番外個体は自身の『発電能力』を使って地中の砂鉄を引きずり出して球体に纏め、その纏めた物体をメルヘン野郎の元へと渡しているみてェだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/31(土) 23:31:00.14 ID:iQQy+wgAO<>
「うォォおおおおおお!! くたばりやがれアレイスターァァああああああッッ!!!!」
――――ズドォォォン!
腹の底から捻り出した魂の叫びと共に、砂鉄の塊を音速に等しい速度で蹴り飛ばすメルヘン野郎。
爆撃音にも似た音で発射された漆黒の球体は、第七学区では一番有名と言っても過言はねェ『窓のないビル』へと直撃する。
――その直後、空間を揺らす様な凄まじい轟音が第七学区に響き渡ったが、それだけだった。
アレイスターのクソ野郎がいる『窓のないビル』には、例え自転の助力を得たビルの砲撃だろうがキズ一つ入らない。
そンなメルヘン野郎も真っ青な常識はずれな建物内に、学園都市の総括理事長『アレイスター=クロウリー』は存在している。
…………一体どンな建築方法で組み立てたらあンな耐久性が成り立つンだよ。
案外メルヘン野郎の発言は的を得てたンだな、――確かに頭おかしいわ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2011/12/31(土) 23:52:30.94 ID:iQQy+wgAO<>
「オーイ、メルヘン野郎。そんな砂鉄の塊を蹴って楽しいかァ?」
とりあえず俺は天高く飛ぶメルヘン野郎に声をかける。
「――あぁ? ……なんだ第一位、もう帰ってきたのかよ」
俺の声を聞いてやや不満気だが、どこか妙にスッキリとした表情を浮かべるメルヘン野郎は、ゆっくりと下降して地面へと帰還する。
「あれ? やっほう☆ 帰ってきてたんだ第一位――……って何ソレ? ミサカの中の知識が正しければ、ソレはどう見てもあなたには不必要な物じゃない?」
さっき声をかけたのにも関わらず、たった今俺の存在に気がついた番外個体。
……どンだけ夢中でさっきまではしゃいでたンだよオマエは。
……実年齢0歳は伊達じゃねェなオイ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/01(日) 00:17:01.33 ID:N6bx1EAAO<>
そして番外個体は早速、俺の持っている手荷物に興味を示した。
――俺が持っている手荷物は、幾何学模様の描かれたサッカーボール。
……確かにかつて『悪党』を名乗っていた人間には、不釣り合い極まりない物体だなァ。
「――あァ。コイツは確かに俺には不必要で似合わねェ品だが、それは“オマエら”と一緒にやってみねェと本当にそうかは分かンねェ。……なァ、そうは思わねェか?」
「…………“オマエら”?」
「――ッッ! ……第一位、まさかテメェ――!?」
俺はサッカーボールを空中に放り投げ、チョーカーのスイッチを入れる。
――そして重量に従い落下してくるボールを、俺は能力を駆使して天高く蹴り上げた。
「――――オマエら、サッカーやろォぜ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/01(日) 00:31:16.08 ID:N6bx1EAAO<>
少し短いけど、今回の投下はこれで終わりです。
>>1です。 新年が明けましたね。
去年中には一方通行がサッカーを始めてるハズなのに、いまだに始まっていません。
『予告詐欺もいい加減にしろ、このヘタクソ!』と怒られても文句は言えない立場に急降下しつつありますね……、どこで道を間違えたのでしょう。
とりあえず、次回の投下はちょっと未定です。
皮肉にもコレは予告通りで、>>1は新年初っ端から仕事の連勤があるんです。
仕事の合間に投下ができたら投下にきますので、それまで暫しのお別れですね。
それではまたのちほど。
<>
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/01(日) 14:39:39.51 ID:XaYvqnzSO<> 乙!
「サッカーやろォぜ」・・・悪魔の呪文だ・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/08(日) 03:39:50.17 ID:G47wGL3co<> ggrks <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/08(日) 03:40:38.21 ID:G47wGL3co<> >>189誤爆です
すいません <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/09(月) 08:47:39.86 ID:Bd4kn8IAO<>
>>1です。 お久しぶりです。
連勤が終わったので投下していきます。
それではまたのちほど。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 08:50:09.45 ID:Bd4kn8IAO<>
>>186 続き
「…………ねえ、ミサカは別に第一位とサッカーやってもいいんだけどさあ」
「なンだよ、含みのある言い方すンじゃねェか」
「………………いつになったら、あなたが蹴り飛ばしたボールは地上に戻ってくるの?」
「……、」
俺が二人の目の前でサッカーボールを天空に蹴り上げて数分が経過した。
――だが、いまだにボールは地面へ帰還を果たせていなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 08:52:21.13 ID:Bd4kn8IAO<>
「……、知らねェ。もしかしたら大気圏突入でも試みたンじゃねェのか?」
「それ絶対ボール燃え尽きてるよね。そんな力加減無しにボールを蹴り飛ばす第一位って、実は馬鹿だったりする? ……ほら、馬鹿と天才は紙一重って言うしさあ」
「俺はこんな天才的なアホに負けたのか……。なんだか自分自身にムカついてきたぜ……ッ」
「……好き勝手言ってくれンじゃねェかチンピラカップル。そんな天才的なアホで馬鹿に負けたオマエらは一体何なンだァ? あァ?」
「――ちょっ! ミサカは第二位なんか微塵も興味ないんだけどッ!? 誰がこんなメルヘンチック全開な男を好きになんなきゃいけないのさッッ!!?」
「ついでにテメェにもムカついたぞ番外個体。自覚はあるが、他人に言われるとすんげームカつくんだよ……ッッ!」
……俺にはこいつらが夫婦漫才繰り広げてる様にしか見えねェンだが、一体どう対処すりゃあいいンだよ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 08:53:31.41 ID:Bd4kn8IAO<>
――――ゴゴゴゴゴゴゴ!!
「――ン? ……お、ようやく戻って来たみてェだなァ」
夫婦漫才に呆れ果てていた俺の耳が、突如鳴りだした爆音の嵐を捉えた。
その音源は俺達が立つ頭上から降り注いできている。
この情報が意味するのは一つしかねェ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 08:54:28.67 ID:Bd4kn8IAO<>
「……は? 戻って来た――って、嘘でしょォォおおおおッ!!?」
音に引かれて頭上を見上げた番外個体が、目を見開いて驚愕の声をあげた。
「……チッ、常識が通用しないにもほどがあんだろ第一位。俺の存在意義が形無しじゃねぇか」
メルヘン野郎はメルヘン野郎で、額に僅かな冷汗を浮かべながら天を仰いでいた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 08:56:58.57 ID:Bd4kn8IAO<>
「……しっかしまァ、アレだよなァ。流石は『学園都市』で製造された代物、普通は空気との摩擦熱で燃え尽きるハズなンだが、今まで形を保ってるのに驚きだわ。っつーか、ぼったくり商品じゃなかったンだな」
――地鳴りの様な轟音で地面へと落下してくるのは、俺が先程蹴り飛ばしたサッカーボール。
重力の影響で加速し続ける球体が地上へと墜落するまで、残り1000メートルを切っていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 08:58:05.12 ID:Bd4kn8IAO<>
「いやいやいや、のんびりと考察してる所悪いんだけどさ? このままだとミサカ達――っというか、この公園を中心に辺り一帯が吹き飛ぶよ?」
突然の非常事態にあわてふためきながら、その場でバタバタと折れていない腕を振る番外個体。
「……ハァ。やっぱりオマエは抱き締めたくなるほど哀れで馬鹿なヤツだわ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 09:00:13.62 ID:Bd4kn8IAO<>
「――ッ! ちょ……ちょっ、と第一位!? 公衆の面前で何さらっとミサカにセクハラ発言してんのさ、ばっかじゃないのッッ!!?」
「いや、馬鹿はオマエだろォが。……っつーか、ンな事はありえねェンだよ。俺は絶対にそンなアホな真似は起こさせねェし、何なら神に誓ってもいい」
……科学技術の集大成とも言える俺が神に祈るなンざ、滑稽過ぎて腹が捩れちまいそうな話だがなァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 09:02:25.75 ID:Bd4kn8IAO<>
「俺の『ベクトル操作』があれば、隕石だろォが槍の雨だろォが無力化出来ンだ。俺の能力は『救済』にも使えるっつー事を今からオマエらに見せてやる」
「……この状況を招いたテメェが言っても説得力に欠けてるぜ第一位」
「…………うるせェ、いいから黙って見てろメルヘン野郎」
「へいへい、第一位様の仰せのままに」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 09:03:09.11 ID:Bd4kn8IAO<>
――――――――。
――――――。
――――。
――――――パシッ。
――――ぐほァァああああ!!
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 09:04:58.09 ID:Bd4kn8IAO<>
「――どンなもンだ、クソったれがァ」
俺の左手には、摩擦熱で表面が少し焦げたサッカーボールが置かれてた。
『ベクトル操作』の能力を用いて威力を真下ではなく真横に分散させた事により、近くにいたメルヘン野郎が水平に吹っ飛ぶだけで事なきを得た。
……まァ本当なら完全に威力を相殺して衝撃波を生み出さねェ様にも出来たンだが、ノリでこうなっちまった。
恨むンならさっき俺の出鼻を挫いた過去のオマエ自身を恨むンだなメルヘン野郎。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 09:07:03.11 ID:Bd4kn8IAO<>
「……せっかくの見せ場を台なしにした第二位に対しての仕返しがえげつなさ過ぎるけど、流石は第一位だよね。隕石に匹敵する物体にびくともしないなんて、ミサカ惚れちゃいそうだよ☆ …………ってか既に惚れてるケド…………」
「あァ? 何か言ったか?」
「……別に。 んー……ほらほら、それよりやっとボールが返ってきたんだから、さっさとミサカとサッカーやろうよ。確か公園の近くに多目的運動場があったハズだから、サッカーゴールも使ってヤろうぜ☆」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 09:09:15.78 ID:Bd4kn8IAO<>
「卑猥な表現はやめろチンピラパンダ。 ゴールネットにグルグル巻きにされて惨めに藻掻く愉快なオブジェになりてェのかオマエは」
「……なになに? ひょっとして第一位はミサカに緊縛プレイを御所望してる? そういう事ならミサカはいつでもあなたにこの身体を捧げ――――ぐはっ!」
「……ゴールを使いてェならさっさと行くぞ。多目的運動場なら戻って来る時に見かけたから場所は分かる。ゴールが空いてるかは知らねェがなァ」
「痛ッ……。ミサカはこんなんでも一応乙女なのに、顔面狙うとかあんまりだよ」
「自分が酷い事に自覚はあンだな、少し安心したわ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/09(月) 09:10:26.59 ID:Bd4kn8IAO<>
暴走しかけた番外個体の顔面にボールを投げつけて抑止させた俺は、チョーカーを通常モードに切り替えて歩き始める。
向かう先は多目的運動場。
サッカーは場所とボールと体があれば(たしか)出来るスポーツだが、ゴールがあるならないよりはマシだ。
…………蹴ったボールでゴールをぶち壊さなきゃいいケドなァ。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/09(月) 09:21:04.27 ID:Bd4kn8IAO<>
とりあえず今回の投下はこれまでです。
>>1です、普段より若干長い投下になりました。
結局一度も仕事の合間に投下にこれなくてすみません……。
次回の投下予定は今日の夜中か明日です。
それではまたのちほど。
>>188さん ありがとうございます。
80年後の未来での悪魔の呪文が出たので、これを機に『今日の格言』的な物をやってみようかなと考えていたりします。
……多分時間がなくて無理だと思いますが……。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)<>sage<>2012/01/09(月) 09:40:22.49 ID:IVs8vbQT0<> 乙
サッカーボールとコートはこの世で最も丈夫な物の一つだからな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 18:56:23.56 ID:UhWImLkIO<> >>206
ゴールネットもな <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/10(火) 19:41:20.43 ID:7UgzhXcAO<> 冬休み明けの学校がかったるかった>>1です、こんばんは。
今回の投下の量は前より少ないですが、大目に見てもらえると助かります。
それではまたのちほど。
>>206さん >>207さん あれはきっと『窓のないビル』と同じ材質で作られているんだと思います。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/10(火) 19:45:41.03 ID:7UgzhXcAO<> >>204 続き
〜第七学区・多目的運動場〜
――オラ、どけよガキ共!
――痛っ! な、なにすんだよ!?
――ここは俺達がいつも練習してる場所なんだよ。練習の邪魔だからガキ共はその辺の公園で遊んでろ!
――そ、そんなの横暴だよっ! こ、こ……公共施設ってのはみんなの物なんだぞ!!
――そうだそうだ! 言ってやれよナオくん!
――うるせぇなぁ……、消し炭にしてやろうかあぁんッッ!?
――――ゴォォオオオオ!!
――……うぅ、まずいよナオくん、この男の人『発火能力者』だよ。あのすごい電気使いのお姉ちゃんがいたら、どうにか出来るかもしれないけど……っ。
「…………あァ? コートの中央で何言い争ってやがンだあいつら」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/10(火) 19:47:30.92 ID:7UgzhXcAO<>
衝撃波で吹き飛ンだメルヘン野郎を気にかける事なく向かった多目的運動場。
広さは一般的な学校のグラウンドよりやや広い位の敷地面積で、(場所の都合かは知らねェが)縮小されたサッカー場やテニスコート、陸上競技用のトラックがある場所だった。
そしてそこのサッカー場には既に先客がいて、何やら双方で揉めてるみてェだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/10(火) 19:55:35.37 ID:7UgzhXcAO<>
「……あれ? あのお子さん達って、さっきまでミサカ達のいた公園で遊んでたヤツらじゃね?」
隣を並ンで歩く番外個体が、折れてない左手で器用にボールを指先で回転させながら俺に尋ねてくる。
……サッカーボールを手で弄ンでンじゃねェよ。
「いや、ンな事俺に聞かれても覚えてねェよ。クソガキと同じ位の年齢のガキ共がいたのは覚えているがなァ」
「そう、“それ”だよ第一位」
「……、何が“それ”なンだよ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/10(火) 20:15:11.98 ID:7UgzhXcAO<> 「……だ・か・ら、それがあの前時代に取り残された様なヤンキーイレブンに囲まれてるお子さん達ってこと。理解出来た?」
――なにをごちゃごちゃ言ってんだよガキ共! さっさとどかねぇならお前ら全身火炙りにしてやんぞゴラッ!!
――ひぃぃぃっ!?
「……チッ、番外個体。ボールよこせ」
「おっと? あの子供達は最終信号じゃないのに、あなたは助けるつもりなの?」
「あいつらがクソガキじゃねェのは猿でも分かる事実だ。……だが危機に陥ったあのガキ共を助けるのは猿じゃ到底不可能だ」
「……つまり第一位が言いたい事ってなんなのさ?」
「――あの時代遅れの不良共をぶちのめす。なンか文句あンのか?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/10(火) 20:29:20.63 ID:7UgzhXcAO<>
「――まったくございます」
「あ゙ァ?」
「そんなに睨まないでよ第一位。別にミサカはあなたを馬鹿にしようとしてる訳じゃないからさ」
「……、」
「――その勧善懲悪劇にミサカも混ぜてよ。ミサカだって誰かを助けてみてもいいと思わない?」
「……オマエが“人助け”をするって言うのかァ?」
「うん。ほら、第一位とミサカの境遇って似てるしさ、似た者同士だから同じ道を歩みたくなるんだよねぇ」
「…………チッ、勝手にしやがれ」
「それじゃあお言葉に甘えて☆ ――とりあえず、キックオフはあなたに任せるよ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage<>2012/01/10(火) 20:41:43.85 ID:nBfdXEkW0<> ミサワと一方と垣根でまさかの『カオスブレイク』!!? <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/10(火) 20:47:05.44 ID:7UgzhXcAO<>
俺は番外個体からボールを受け取り、チョーカーを能力使用モードに切り替える。
狙う標的は、ここから50メートル程離れたサッカーゴール。
……しかしその間には11体の障害物が立ち並び、この超ロングレンジを沈めるには少々手間がかかりそうだ。
針の穴を通すようなコントロールで11体全ての障害物を避けてシュートを放つのもいいが、今の俺には最適かつ最良な選択と呼べる考えが一つある。
――緻密に練り上げて弾き出した角度でシュートを放ち、11体の障害物を全て薙ぎ倒してゴールネットを揺らす。
「――――さァて、キックオフといこうじゃねェかクソ野郎共。俺の初ゴールの余韻となる呻き声、しっかり奏でなきゃ愉快なオブジェにしてやるから覚悟しろよォ」
「――あ、やっぱりミサカも蹴りたいんだけど」
「……、オマエもボールと一緒に蹴り飛ばしてやろォかオイ?」
……オマエといいメルヘン野郎といい、俺に恨みでもあンのかァ?
ことごとく出鼻挫きやがってクソったれがァ……ッ。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/10(火) 21:03:08.38 ID:7UgzhXcAO<>
今日の投下は終わりです。
次回のちょっとした予告ですが、一方通行と番外個体のコンビとヤンキーイレブンの試合になります。
人数は2人しかいませんが、助っ人が来るのでなんとかなります。
ちなみに本編に出てきた子供達は、超電磁砲で御坂とガチャガチャをしてた子達です。
超電磁砲繋がりで常盤台の女王様も出せたらいいなぁ……。
次回の投下は明日の夜ですかね。
それではまたのちほど。
>>214さん 確かにその面子はいろんな意味でカオスでブレイクしてますね。 シュートの際のポジション取りで揉めるのが目に浮かびます。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)<>sage<>2012/01/11(水) 07:42:22.49 ID:l05sHPkh0<> SSというより議論スレみたいになってるぞ
熱心に必殺技書いてる人いるけど、イナイレ知らないと属性とか数値とか意味分からん
紹介書くにしろ、キャラが登場してから>>1が書けばいいでしょ
あと、読者参加型にしたいのであれば安価使っていくのもいいんじゃね?
とりあえず、キャラ登場前から技議論って、先の展開予想書く奴と大差ないから自重するといいと思うよ <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/11(水) 23:03:44.79 ID:p0Jshd9AO<> >>1です、本日の分を投下に来ました。
それではまたのちほど。
>>217さん 鋭いご指摘感謝します。 確かに技議論を知っている人で展開してても、初見さんはなんのことやら状態ですね。
属性とか魔術関連と被るかもしれませんし……。
しっかりこのスレ内でのルールみたいな物を決めた方がいいなと感じました。
今週中には定めたいと思います。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/11(水) 23:28:32.30 ID:p0Jshd9AO<>
――――ギュルルルル!
「燃え尽きろガキど――――もがぁぁばばばばばばッ!!?」
――ぐあッ!
――痛ッ!
「ちょっ、リョウ君ッ!? なにやってん――だぶっ!!?」
――げぼらっ!?
――ひでぶっ!?
「……え? なななな、なに……ごと?」
「――チッ、二人で蹴ったからストライク取れなかったじゃねェかクソったれがァ」
「――いやいや、それでも半分は倒したんだから別にいいんじゃね? 幸いお子さん達にはかすりもしてないし」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:29:53.04 ID:p0Jshd9AO<>
「俺がガキ共をケガさせねェ様に風を操ってすぐさま軌道を修正させたンだから当たり前だ。……オマエがボールに電撃を付加させなきゃ絶対にストライクは取れてた」
「ひゅーッ☆ さっす――、……労いの言葉をかけようと思ったけど、あなたさらっとミサカにミスを押し付けてない? ねえ、押し付けてるよね?」
「……、――さァて、残った残党狩りといくかァ」
「…………ハァ、うん。シカトするのは予想してたよ、だって第一位が素直じゃないのは周知の事実だし、最終信号の記憶を介してMNW内でも話題になってるし」
「あァ?」
「なんでもないよ、ツンデレ第一位☆」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:31:35.89 ID:p0Jshd9AO<>
――出鼻を挫かれた直後、俺と番外個体は二人同時に不良達に向けてサッカーボールを蹴り飛ばした。
番外個体は折れた右腕を考慮してボールの右側に立たせ、俺はその反対側に立った。
ボールの軌道を頭に思い浮かべ、右足を振り抜く際に『ベクトル操作』を使用して放たれた一撃は、狙いを澄ました様に真っ直ぐ飛ンでいく。
そしてそこから連鎖的に11人へと直撃するハズだったのだが、番外個体が付加させた電撃により結果は半減。
不良共が6人地面に伏しただけで、生き残った5人は俺達に憎悪の視線を向けて吠え始めた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:33:10.56 ID:p0Jshd9AO<>
「…………い、いきなり何しやがんだてめぇらッッ!!?」
「……おォおォ、威勢のイイ不良共で結構結構。戦意喪失されたらこっちはクソつまンねェからなァ。もっと敵愾心剥き出しにしてくンなきゃ面白くねェぜヤンキーさンよォ?」
「……こ、の野郎……ッ! イイ度胸してんじゃねぇか!!」
「そりゃあミサカはお姉様とは違って育ちがいいから、胸には自信あるよ? 妹が“コレ”なのに本家のお姉様ときたら……」
「誰もお前の胸の話なんかしてねぇよッ!? ――ああもうイライラすんなぁ!!」
俺達の挑発にすンなりと乗り、ストレスを募らせる不良A。
……なんだか喋り方があのチンピラと被るンだが、気のせいだよな。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:35:06.48 ID:p0Jshd9AO<>
〜第七学区・とある電気店〜
「――へっくしっ!」
「……なんだなんだ? 誰か俺の噂でもしてんのか?」
「はーまづらぁ、こんな所で一体何やってるのかにゃーん?」
「おわッ!? むむむ、麦野ッ!? なんでお前がこんな所にいるんだよッ!!?」
「――はまづら、私もいるよ」
「滝壺もッ!? なんでッ!!?」
――あっ! 超見つけましたよ浜面ッ!!
「絹旗が来たのは驚かねぇけどなんで電気屋で『アイテム』が勢揃いしてんだよ……!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:49:52.78 ID:p0Jshd9AO<>
「はまづら、コレを見て」
「……? なんだコレ、どっかの防犯カメラの映像?」
「さて、おバカな浜面に問題。この映像に映ってる白髪と茶髪の人影、どこかで見覚えないかにゃー?」
「馬鹿とか言うな。……えっと、白髪の人影は杖みたいなのを持ってるから……一方通行か? 茶髪の方は…………ダメだ、女って事しか分からねぇ」
「この映像は私がこの『義眼』を通じて見てた監視カメラの映像なんだけど、なんだかかなり愉快な事になってんのよ」
「……西南西から信号がきてる……」
「浜面のくせにわざわざ足を運んだ私に労いの言葉が一つもないとは、超いい度胸してますね? 超フルボッコ確定です。浜面が超泣くまで私は殴るのをやめません」
「……なぁ、なんでお前らこんなにまとまりないの?」
「実はこの第一位様が――、」
「……西南西からの信号が途絶えた……」
「――超フルボッコ開始します」
「話も聞かねぇしもう勘弁してくれ――――ぐはっ!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:53:19.76 ID:p0Jshd9AO<>
〜第七学区・多目的運動場〜
「……ぐっ、お前……ら、俺達が……誰、だか……分かってん……のか……?」
そンなどうでもいい事を考えていると、最初にボールが直撃したリーダーらしき男が足をふらつかせながら立ち上がる。
電撃のダメージが後を引いているのか、言葉は途切れ途切れで膝はカクカクと小刻みに揺れていた。
「……『チンピラブラザーズ』だろ?」
「そんなダサい名前じゃねぇ!! ――いいか? 俺達はこの辺りでは有名なサッカーチームなんだよッ! その名も――、」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:54:26.18 ID:p0Jshd9AO<>
「「「「――『不死鳥(フェニックス)』だ!!!」」」」
……うわァ、かなりダセェぞこいつら。
「あっひゃっひゃっ!! その面構えで『腐人(ゾンビ)』じゃなくて『不死鳥(フェニックス)』ッ!? …………ぶはっ、超ダサいッ! 超ダサいよぉぉぉおおおおッッ!! ぶひゃっひゃっひゃっ!!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:55:40.44 ID:p0Jshd9AO<>
「……う、うるせぇッ!!」
「わ、笑ってんじゃねぇよ!!」
「そんなに笑ってて、後で痛い目みても知らねぇぞ!?」
「喧嘩吹っ掛けてきたのはお前達からだよな?」
「……いいぜ、それならお前達もサッカーやってるみてえだし――、」
「「「「「ここはサッカーで勝負といこうじゃねぇか!」」」」」
……ああ、確かにこいつら『不死鳥』だわ、復活すンのが馬鹿みてェに早ェ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:57:54.96 ID:p0Jshd9AO<>
さっきのシュートはベクトルを操作してコンクリの壁が粉々に砕ける位の威力があったハズなンだが、立ち上がってきたのは予想外だった。
漏れ無く地に伏した不良共6人が全員立ち上がり、俺達二人にガンを飛ばしてくる。
ちなみにこいつらに絡まれてたガキ共は、どさくさに紛れて俺達の後ろに隠れていた。
間に割り込ンで不良共の気を逸らした俺達を、どうやら『ヒーロー』か何かと勘違いしたみてェだ。
……『ヒーロー』はあの三下の役目なンだが、今回は特別に俺が名乗らせてもらうとするかねェ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/11(水) 23:59:25.15 ID:p0Jshd9AO<>
「……分かった、受けて立とうじゃねェかヤンキーイレブン。不死鳥だろうが何だろうが所詮は鳥だろ? そンなの俺が翼をもいでこんがり焼いて喰ってやるから、下拵えは済ませておけよォ?」
……さてと、いきなり試合とか大丈夫かよ俺。
そういや全然ルールとか確認してなかったなァ、番外個体に聞きゃ分かるか?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/12(木) 00:14:23.92 ID:7c/KVKhAO<>
「……このッ、絶対吠え面かかしてやるからな! 絶対だぞ!!」
不良Aが俺に人差し指を突き立てながら、空いている片面のコートへずかずかと後ろ歩きで進ンでいく。
……悲しくなるほど哀れな野郎だな、負けるのはオマエらって決まってンのによォ。
「――よし、早くアップしろお前ら! 俺は少し休んでおくが、ちゃんとベンチから指示は出すからその通り動けよ!」
「「「「おー!!!」」」」
不良のリーダーはまだ動くのは無理らしく、不良Bの肩を借りてコート脇に置かれているベンチへ座り込む。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/12(木) 00:17:30.83 ID:7c/KVKhAO<>
「……俺もベンチに向かうか」
「あっひゃっひゃっひゃっ!! 意外と本格的じゃんチーム不死鳥(笑)!! 人は見かけによらないねえ!!」
「オマエはいい加減にしやがれ」
――――ゴスッ!
「痛ッ!?」
放っておいたらいつまでも笑い続けていそうな番外個体に拳を落とし、俺はベンチへと向かってそこへ座る。
座った俺の目の前には、ガキ共がわらわらと群がっていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/12(木) 00:48:23.98 ID:7c/KVKhAO<>
「……あ、あの、ありがとうございました」
目の前のガキの内の1人、髪を二つに縛った少女がおどおどしながら俺に礼を言った。
「……チッ、別にたいした事じゃねェよ。 オマエらはまだ『守られる側』だ、間違っても『守る側』になろうとすンじゃねェ。人を『守る』ってのは時に命を懸けなきゃならねェ程危険なンだ。生半可な覚悟じゃ守ろうとしたヤツすら危険に巻き込みかねねェ」
「……? ナオくん今のお話分かる?」
「えっと…………ごめん、ぼくも分からないや」
……チッ、まだガキじゃ俺の話は理解出来ねェみてェだな。
――だが、逆にそれでいいのかもしれねェ。
世の中には知らなくていい事だらけだ。
真実を知りすぎた者にはそれ相応の苦痛や地獄が返ってくる。
学園都市の『闇』に堕ちたヤツらは殆どがそれに当て嵌まる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/12(木) 00:55:20.50 ID:7c/KVKhAO<>
「…………えっと、おにいさんの話はむずかしくてわたしにはよく分からなかったけど――、」
――ただ、地獄に堕ちたと言うことはそれ以下に落ちる事はもうないとも言える。
「――わたしたちが困った時は、おにいさんがわたしたちを助けてくれるんだよね?」
「……あァ、助けてやる。あのガキが住む『この世界の住人』は、俺が1人残らず助けてやる」
――そしたら世界の最下層から、『光の世界の住人』を支えられる。
考え方次第で『地獄』は『裏方』に変換出来ンだよ、『裏方』がいなきゃ『表舞台』は始まらねェからなァ。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/12(木) 01:03:33.77 ID:7c/KVKhAO<>
今回はここまでです。
>>1です、ごめんなさい。
試合までいけませんでした……。
でも相手チームのアップは始まったし、助っ人も動き出しているので試合はちゃんと出来そうです。
次回はこのスレでのルールと、作品内のサッカーにおいてのルールを説明をしたいと思います。
時間があればキックオフを……。
次回の投下は昨日と同じくらいの時間帯ですかね。
それではまたのちほど。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/13(金) 00:18:53.78 ID:slO3m9xAO<> >>1です、真夜中にこんばんは。
今回の分を投下していきます。
それではまたのちほど。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:22:33.49 ID:slO3m9xAO<> >>233 続き
「よかったぁ! それじゃあおにいさんはわたしたちの『ゴールキーパー』をやってくれる?」
俺がガキ共に教育を施したのもつかの間、髪を二つに縛った少女は俺の手を軽く握ってはにかみながら尋ねてきた。
「……ハァ? まさかオマエら、この試合に混ざるつもりじゃねェだろォな?」
「だってアンタと腕の折れた姉ちゃん2人じゃサッカーは出来ないぜ? 最低でも7人いないと試合は出来ないんだって」
俺の疑問へ間髪入れずに切り返した黒髪短髪の少年の言葉に、周りのガキ共は無言のまま首を縦に振る。
……ルールを詳しく知らねェ俺が言えた義理じゃねェけどよォ、別にンな事気にしても無駄じゃねェか?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:25:20.10 ID:slO3m9xAO<>
「それがどうしたってンだ。別にこの試合は公式でも何でもねェのに、わざわざ人を集める理由がどこにあるってンだ」
「えー? だってそうしたらアンタと腕の折れた姉ちゃんしかサッカー出来ないじゃん。そんなのオレたちが暇でつまらねぇよー」
ちなみにその『腕の折れた姉ちゃん』こと番外個体は、何人かのガキ共の前でポンポンと連続してボールを地面に落とさず蹴っていた。
……素人目で見ても意外と上手じゃねェか、少し見直したわ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:33:50.52 ID:slO3m9xAO<>
「――つまりオマエらは、『ただ試合を見てるだけでは退屈だから、オレたちも一緒にサッカーやらせろ!』って言いたい訳かァ?」
とりあえず番外個体は放置しておいて、さっきのガキの発言から俺は推論を立ててみる。
「そういうこと! やられっぱなしで終わりたくねぇもん!!」
俺の問いに黒髪短髪の少年は、鼻の先を人差し指で擦りながら快活な声で答えを述べた。
迷いがなくブレもない芯の通った言葉に、思わず俺の考えが揺れ動かされる。
……まァこのガキ共はサッカーをやりにこの場所まで来たンだから、当然といえば当然の言い草だな。
――ったく、仕方ねェなァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:35:27.69 ID:slO3m9xAO<>
「……チッ、転ンでケガしてもいい覚悟があるヤツだけコートに立たせてやる。――だがオマエらが同時に出ていいのは2人までだ」
「たった2人!? なんでだよ!?」
……素直に納得しねェのがガキのめんどくせェ所だよな、いちいち説明すンのがかったるくてしょうがねェよ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:36:33.05 ID:slO3m9xAO<>
「……、助っ人を呼ぶからオマエらは2人しか出られねェンだ。おそらく人数は俺を合わせて7人しか揃わねェが、最低限の人数はいるからこれで文句は言わせねェ。――っつーか、コート内に人が多いと俺が自由に動けねェし」
「…………ぼっちだ、このお兄さんぼっちだ」
この黒髪ストレートガール……、随分ハッキリした物言いをしやがるなクソったれ……ッ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:37:59.49 ID:slO3m9xAO<>
「あわわっ、サキちゃんそんなヒドイこと言っちゃだめだよ!」
「だってホントのことじゃない」
「ううっ……だ、だいじょうぶだよおにいさんっ! わたしはそういう人をなんて言うか知ってるよ! そういう人のことって『ここうのいっぴきおおかみ(孤高の一匹狼)』って言うんだよねっ!?」
「…………ハァ、ガキに慰められる様じゃあ俺も終わりだなァ……」
確かにこの黒髪ストレートの少女が言うとおり、俺には『友達』がいたという過去は存在しねェ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:39:43.10 ID:slO3m9xAO<>
……だが『友達』っつー生温い繋がりは皆無だが、かつて共に地獄を渡り歩いた『仲間』はいた。
――まァ『仲間』と言っても、お互いにとっての損得だけで繋がってたドライな関係だがなァ。
――――元学園都市暗部組織『グループ』の構成員、土御門元春、結標淡希、海原光貴。
……まァあいつらなら呼べばすぐ来ンだろ、暗部は俺が解体させたから暇を持て余してるハズだしな。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:42:49.72 ID:slO3m9xAO<>
とりあえずメールで召集かけてみるか。
土御門の野郎には『今すぐ第七学区の多目的運動場に来い』――っと。
海原の野郎には『第七学区の多目的運動場でオリジナルを見かけたぞ』――っと。
結標のヤツには…………『第七学区の多目的運動場でショタが駆け回ってるぞ』――っと。
……あいつら、あと5分も待ってりゃ姿見せンだろ。
それまでに俺は番外個体からルールでも教わっておくとするか、事前の知識ってのは結構重要だからなァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:43:48.35 ID:slO3m9xAO<>
「――番外個体」
俺は周囲に群がるガキ共の前でアクロバットなボール捌きを魅せる番外個体に声をかける。
「――ん? どしたの第一位? お子さん達へのお説教はもう終わったのかい?」
俺の声に気がつき、何やらニヤニヤとした表情を浮かべ、蹴っていたボールをガキ共の1人に渡して番外個体はこちらに歩いてくる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:45:50.32 ID:slO3m9xAO<>
ボールを番外個体から受け取ったガキは、それを空いている片面のコートへ蹴って走り出した。
そしてそれを追うように、周囲のガキ共が一斉に地面を蹴って駆け出していく。
……絶対にボールなくすンじゃねェぞオマエら?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:47:14.26 ID:slO3m9xAO<>
「……別に、俺はあいつらに説教してた訳じゃねェよ。ただガキ共に釘を刺して心の傷を抉られただけだ。 ……っつーかンな事はどうでもいいから、ご自慢のMNWを使って俺にサッカーのルールを教えろ。学園都市内の公式ルールだ」
「……あれあれ? もしかしてミサカだけが頼り?」
「あァ、今はオマエしか頼りにならねェ」
「…………“今は”ってのが余計だけど…………、分かったよ第一位」
「あァ、出来るだけ手短に頼む」
「ハイハイ、ミサカに任せといてよ。 ――――それじゃあ早速、『ミサカの3分で分かるサッカールール教室☆』始めようかねえ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:48:42.43 ID:slO3m9xAO<>
『能力使用可能のサッカーにおけるルール説明』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:50:08.88 ID:slO3m9xAO<>
【ルールその一】
基本のルールは通常のサッカーと同じとする。
出場可能な選手は1チーム最高11名までで、試合続行可能な最低人数は7名。
負傷や退場処分により、1チームの選手が7名以下になった時点でそのチームは敗北となる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:51:04.91 ID:slO3m9xAO<>
【ルールその二】
選手の能力使用に対して特に制限は設けない。ただし例外は存在する。(下記を参照)
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:56:40.90 ID:slO3m9xAO<>
【例外その一】
『空間移動系能力者』はボールを相手ゴール内に転移させてはならない。
転移させた時点で、使用者の所属するチームのプレイヤー全員にイエローカードを1枚与え、使用者は退場処分とする。
『空間移動系能力者』は相手選手をフィールド内からフィールド外に転移させてはならない。
転移が確認された時点で、使用者にイエローカードを1枚与える。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:57:22.63 ID:slO3m9xAO<>
【例外その二】
『精神系能力者』が同時に操る事の出来る選手は4名までとする。
それ以上操ってしまった場合は使用者にイエローカードを与える。
審判員を操作した場合、その使用者の所属するチームの敗北とする。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 00:58:12.75 ID:slO3m9xAO<>
【ルールその三】
サッカーにおけるポジションの1つ『ゴールキーパー』は、最大3名まで配置可能とする。
もちろん3名とも定められた範囲内ならば、手の使用が認められている。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 01:00:55.98 ID:slO3m9xAO<>
【ルールその四】
フィールド内にはサッカーに不必要な物の持ち込みは禁止とする。
身体に障害のある選手の場合は、統括理事会に申請を出せば許可する。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 01:01:28.60 ID:slO3m9xAO<>
【ルールその五】
選手交代は基本何回でも可能とする。
ただしイエローカードを与えられた選手の交代は一度だけとする。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 01:34:44.07 ID:slO3m9xAO<>
「――――、という感じなんだけど、理解出来た?」
「あァ、オマエの的確な説明で9割方理解出来たわ。あとは実践で補完するから問題ねェよ」
番外個体主催によるルール教室により、俺は今まで殆ど知らなかったサッカーの知識を身につけた。
これで今からの試合で俺が恥をかく可能性はほぼゼロになったし、クソガキへの土産話にもなった。
……ただ、俺は未だに『超次元サッカー』が何たるかは理解出来てねェのだが、それは試合後にでもチンピラが絹旗とかいうヤツを連れて現れるだろうから、この際放っておいても問題ねェと思う。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 01:45:11.15 ID:slO3m9xAO<>
――――GAGAGAGA Noisy ミミヲフサイダラ-
「――ッ!? 何かどこからかあなたの声がするんだけど!?」
「あァ、そりゃ俺の着信音だから気にすンな。――――もしもし」
『――あ、一方通行か!? 俺だ、浜面だ!!』
「……チッ、耳元で大声出すンじゃねェよチンピラ。炊飯器は買えたのかよ?」
――突然鳴り響いた俺の携帯電話。
その通話先の相手は、俺が先程パシリに行かせたチンピラだった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/13(金) 01:58:45.01 ID:slO3m9xAO<> >>1です。
今回はこれまでとなります。
次回の投下も今回と同じ時間帯になりそうです。
それではまたのちほど。
『このスレでのルール』
・sageは付けても付けなくても構いません、お任せします。
・読み手同士での喧嘩は御法度です、絶対にやめて下さい。
・展開予想はしても構いませんが、あまり他の方の迷惑にならない程度でお願いします。
・イナイレの専門用語は出来るだけ控えた方が良さそうです、衝突の原因になりかねません。
・読み手の皆さんが考えてくれたアイデアは、せっかくなので取り入れようと思いますが、必ず使うとは限らないのでその辺りはご了承下さい。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/14(土) 00:57:26.90 ID:ksX2tXgAO<> >>1です、こんばんは。
投下した文章を一から読んでいたら、無駄が多いと痛感しました。
だけど今回の投下も結構無駄が多い……、完全に悪循環してますねコレ。
とりあえず今から投下していきます。
それではまたのちほど。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/14(土) 00:59:12.42 ID:ksX2tXgAO<>
『――あ、ああ、炊飯器はちゃんと買ったぜ。 だけど今はそれどころじゃねぇんだ、こっちは今かなりマズイ状況なんだよッ!!』
「……オイオイ、オマエは一体何をそンなに慌ててやがンだ? とりあえず状況を説明しやがれ」
かなり切羽詰まった状況なのか、チンピラの声はさっきの会話の時と比べて上擦っていた。
そして携帯のスピーカ越しからは、何やら時折打撃音や何かを擦る様な音が聞こえてくる。
……おそらくこのチンピラはその辺の『スキルアウト』に絡まれたりでもしたか、もしくはその現場に遭遇したのかもしれねェ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/14(土) 01:00:55.81 ID:ksX2tXgAO<>
…………ハァ、せっかく買った品をブチ壊されたらたまったもンじゃねェな。
頼むからまた買い直しっつーことは――、
『――――第二位が路地裏で大量の『スキルアウト』と1人で乱闘してんだよッ! たまたま通り掛かっただけで詳しくは知らねえけど、かなり荒れまくってて俺達だけじゃどうにもならねえ!!』
「…………、はァ?」
なンでメルヘン野郎が路地裏でゴミ掃除してやがンだ。
さっき俺に吹っ飛ばされ時に思考回路も一緒にショートしやがったのかァ?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/14(土) 01:04:12.99 ID:ksX2tXgAO<>
「一つ質問すンぞチンピラ。メルヘン野郎は今、能力は使ってンのか?」
……チッ、試合まで時間が少ねェのに手間かけさせやがってクソったれがァ。
あっちのゾンビ共はもう準備が仕上がりつつあンのに、俺達はまだ何もしてねェとか最早ギャグだろ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/14(土) 01:06:52.56 ID:ksX2tXgAO<>
『……メルヘン野郎――?』
「学園都市第二位の垣根帝督の事だ。能力を使用する際に背中から6枚の翼を生やすのが特徴だ」
『――ああ、なるほどね。えっと……、アンタの話を元に俺の見た感じで言わせてもらえば、能力は使ってないみてえだ』
「つまりアレか。オマエの携帯電話のマイクが銃の発砲音等を拾わずになンかの打撃音を拾ってやがるから、メルヘン野郎は我が身一つで格闘してンだな?」
『ああ、第二位はたった1人で十数人近くを相手に圧倒してやがる。……正直な所、俺もう帰りてぇぜ……ッ』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/14(土) 01:11:00.35 ID:ksX2tXgAO<>
――なーに1人でブルッてんのよはーまづらぁ。 ってか、さっきから誰と電話してんのよ?
『……なんだよ麦野、別に俺が誰と電話しようがお前には関係ないだろ?』
――ふーん、そんな事言っていいのかにゃーん? その言い方だと、浜面が何か疚しい事を隠してる様に聞こえるんだけど。
――は・ま・づ・ら・? 浮気・ダメ・絶対……ッッ!
――……おかしいですね、今の私には滝壺さんが超修羅に見えるんですが。
『……安心しろ絹旗、俺にも見えてる。やっぱり滝壺は怒らせるとこの3人の中で一番厄介だったか……ッ』
「…………オマエら、茶番劇をする余裕があンなら結構大丈夫そォだな」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/14(土) 01:13:09.18 ID:ksX2tXgAO<>
こちとら暇じゃねェンだよ、俺達は今から試合をするンだからなァ。
人がしっかり集まるかは微妙な所だが――――って、そォだ。
こいつらもこの際、今からの試合の助っ人として呼ンじまうか。
――そうと決まれば“善は急げ”だな。
有無を言わせる前に条件とエサを提示すりゃあ、チンピラは必ず実行するハズだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/14(土) 01:15:48.90 ID:ksX2tXgAO<>
「メルヘン野郎をどうにかしてェなら、注意をオマエらに引き付けて第七学区にある多目的運動場に連れて来い。
5分以内に連れて来れたら俺が責任を持って対処してやるよ。それが達成出来たらたっぷり報酬も出してやるから、頑張りやがれクソったれ共」
『は? え、なんだって? 報酬がもらえ――、』
「――じゃあな、チンピラ」
『――ちょッ!? まだ話は終わっ――――ッ!』
俺はチンピラの返事を待たずに通話を強制的に終わらせ携帯を折り畳む。
――ハッ、我ながらなかなかの機転の良さだったな。
『グループ』のヤツらが全員来なくても人数の方は何とかなりそォだ。
……まァ来るに越した事はねェンだけどなァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/14(土) 01:20:01.51 ID:ksX2tXgAO<> 短いですが今日はここまでです。
次回予告はもう止めときますね。
嘘予告になるのが殆どなので……。
次回の投下は今日中にもう一度。
それではまたのちほど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 11:17:03.80 ID:oEUt+gCP0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/01/14(土) 16:16:55.48 ID:ok+TIuzAO<>
能力無しで圧倒するとか垣根強すぎwwwwwwwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(徳島県)<><>2012/01/14(土) 22:39:51.87 ID:GxylRKbZ0<> GK一人で充分じゃね <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 02:49:59.13 ID:sYBNUYJAO<> すみません、昼寝してたらいつのまにか夜中になっていた>>1です。
今から昨日の分を投下していきます。
それではまたのちほど。
>>267さん ありがとうございます、コメントを励みに頑張ります。
>>268さん 怒りに身を任せた人間ほど怖いものはないということですね。
>>269さん GK3人は、レベルの低い選手が多いチームへの救済措置の様なものです。
大能力者クラスは1人でも十分に対応出来ますが、異能力者だと1人では対応が間に合わない事が多いだろうと思ったからです。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 02:52:57.02 ID:sYBNUYJAO<> >>265 続き
――――シュンッ!
それから5分後、俺が簡単な準備運動を済ませた直後、空間を切り裂く音が響いた。
「――待たせたわね。小萌の家にいても特にやることがなかったから、暇潰しに来てあげたわよ。
……べ、別に私は子供と遊びたくてここに来たわけじゃないんだからねッ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 02:54:09.63 ID:sYBNUYJAO<>
「――自分はこの場所で御坂さんを見かけたという知らせを受けて足を運んだのですが、御坂さんは一体どちらに? 第三次世界大戦の終結以降、体調が優れていないと小耳に挟んだもので、心配になって駆けつけてみたのですが」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 02:55:29.56 ID:sYBNUYJAO<>
「――わざわざこんな所に呼び出して何の用だ一方通行。
……まさかアレイスターが『秘密裏に解体された暗部の人間を集めて、それを再結成させた』という情報を掴んだとか言うんじゃないだろうな?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 02:58:00.28 ID:sYBNUYJAO<>
「……オマエら揃いも揃ってツッコミ所があり過ぎンだろ。
人の言葉をそのまま鵜呑みにしてンじゃねェ、常に『疑う』事を忘れてンのは平和ボケしてる証拠だぞ」
――今まで何もなかった空間に突如として現れたのは、1人の女と2人の男。
まず、長髪をお下げのように2つ縛った女の名前は結標淡希。
その実態は大能力者で『座標移動』という学園都市内では珍しい空間移動系能力を使うショタコン。
格好はいつもの胸元にサラシを巻いた制服姿ではなく、黒を基調とした上下ジャージ姿だ。
……遊ぶ気満々じゃねェかこのショタコン女がァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 02:58:50.61 ID:sYBNUYJAO<>
そして男2人の内、いかにも優男っぽい野郎の方は海原光貴。
生意気なクソガキを司令塔とした『妹達』のオリジナルにあたる『超電磁砲』に想いを募らせるストーカーでもある。
……どうせその小耳に挟ンだ情報とやらも、オリジナルの『身辺警護』という名目を借りたストーカー行為によるものなンだろォな。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 02:59:55.19 ID:sYBNUYJAO<>
最後に俺へ見当違いも甚だしい事を問い掛けてきた男の名前は土御門元春。
金髪にグラサン、学ランの内側にアロハシャツを着るという、メルヘン野郎にも引けを取らないファッションセンスの持ち主。
……学園都市の『闇』は俺が徹底的に潰したからその考えはありえねェよ。
『闇』を解体した事実に不満を持つ様な馬鹿が出て来ねェ限り、ンな事は起こらねェから安心しろ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:01:13.42 ID:sYBNUYJAO<>
「……、ねえ。もしかして私はあなたに騙されたのかしら?」
「もしかしなくてもオマエは俺に騙されたンだよショタコン。 ……まァ、俺がさっき知り合った生意気なガキならそこのコート内でボール蹴って遊ンでるがなァ」
「――っ!? それを早く言いなさ――げふんっげふんっ!……ちょ、ちょっと私はあの子達の遊びに付き合ってくるわね」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:07:13.48 ID:sYBNUYJAO<>
「……能力使ってお持ち帰りとかするンじゃねェぞ?」
「私は絶対にそんな真似しないわよ。
――そ・れ・と、私はショタコンじゃないッッ!!」
顔を怒りで真っ赤にしながら俺に叩きつけるようにそう言った結標は、そのままガキ共の遊ンでいるコート内へと踏み込ンで行った。
…………いくらなンでもちょろ過ぎンだろショタコン……ッ。
オマエは絶対悪い男に引っ掛けられて、痛い目見る事になるタイプだぞ?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:08:05.52 ID:sYBNUYJAO<>
「……ふう、どうやら自分達は貴方に一杯食わされたようですね」
ガキ共の元へ向かった結標を見ながら、海原が溜め息と共に言葉を漏らす。
「こうでもしねェとオマエらは集まらねェと思ったからなァ。俺に騙された気分はどォだ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:09:19.29 ID:sYBNUYJAO<>
「別にオレは騙された事に対して気にはしないにゃー。
……ただ、お前がオレ達を騙してまで召集をかけたかったのは、一体全体どうしてなんだぜい?」
先程の冷淡で冷静な声とは打って変わって、極めて軽い口調で話す土御門。
……コイツは飄々としてて本質の掴みにくい野郎だよなァ。
一体どれだけ『仮面』を持ってやがンのかが気になる所だが、今は別にどうでもいいか。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:10:23.80 ID:sYBNUYJAO<>
「オマエらを呼ンだのに深い意味はねェよ。
ただ今からサッカーすンのに人手が足りなかったから呼ンだまでだ」
「――あ、あの冷酷非道の塊のお前がサッカー……だと――ッ?」
「…………まさか貴方もやるとか言わないですよね?」
「……何でオマエらはそンなに戦慄してやがンだァ?
っつーか俺もそれに参加するに決まってンだろォが、寝ぼけた事言ってンじゃねェぞストーカーがァ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:11:35.32 ID:sYBNUYJAO<>
「……、自分は夢でも見ているのでしょうか?」
「なンなら『自転砲』喰らわせて目覚めさせてやろォかオイ?」
「一方通行、それは逆に永遠の眠りにつくことになっちまうにゃー」
「……それはそれで構わねェンじゃねェの? ストーカーがくたばればオリジナルも安心すンだろ」
「にゃー。それもそうかもしれないぜい。変装して想い人に近づこうなんて、男の風上にも置けない野郎はくたばるべきだにゃー」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:12:16.41 ID:sYBNUYJAO<>
「……、ロリコンとシスコンにそれを言う資格があるんですか?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:13:18.12 ID:sYBNUYJAO<>
「――一方通行ッ! この故郷に妹を残しておきながら常盤台の中学生に惚れてるクソ野郎に『自転砲』を喰らわせてやるんだにゃーッ!!」
「――任せろ、アッパーカットで大気圏まで吹き飛ばしてやる」
「――ショチトルはこの話に関係ないですよねッッ!!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:14:28.61 ID:sYBNUYJAO<>
俺は土御門に促されて首元のチョーカーの電極を能力使用モードに切り替え、『自転砲』を繰り出す為の演算を開始する。
――――だがその演算を終える直前、俺が無意識に周囲に展開している『反射』の膜に何かが触れた。
――――ズガガガガガッッ!
「…………、あァ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:16:37.25 ID:sYBNUYJAO<>
「――――いやー、流石は第一位様だ。私の『原子崩し』じゃ傷一つつかないのね」
「――ちょっ、いきなり何してくれてんだよ麦野ッ!?」
「大丈夫だよはまづら。あくせられーたのAIM拡散力場の変動が確認されてるから『反射』は発動してる」
「むしろ麦野の放った『原子崩し』の反射されたヤツの方が超危険でした。……まあ麦野は『反射』される事を前提に、超攻撃したみたいですが」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/15(日) 03:19:23.60 ID:sYBNUYJAO<>
「――ハッ。テメェら如きじゃどう足掻いてもあの第一位には届かねぇよ。
まず最低でもこの俺に並ばねぇと話にならねぇからな」
「……、確かに俺は『連れて来れば責任を持って対処する』とは言ったけどよォ?
そンな一辺に来られると流石に処理しきれねェよクソったれがァ」
――多目的運動場に突如現れた、メルヘン野郎と愉快な仲間達。
周囲の空気がガラリと変わり、肌を突き刺す様な鋭いモノとなって空間を支配する。
……これはどう考えても今からサッカーをやる雰囲気じゃねェぞ?
俺はどうやってこの状況からサッカーの試合へ導けばいいンだクソったれ……ッ。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/15(日) 03:24:13.35 ID:sYBNUYJAO<>
今回の投下はこれで終わりです。
次の投下は今日か明日の内に必ず来ます。
それではまたのちほど。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 17:45:27.31 ID:UYnV8D8n0<> 乙!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)<>sage<>2012/01/15(日) 18:31:16.05 ID:VdMAsWrR0<> 乙です <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/16(月) 22:01:18.24 ID:pvmsmRvAO<> >>1です、こんばんは。
今回はちょっと番外編です。
最後までちゃんとお付き合いしていただけると幸いです。
それではまたのちほど。
>>289さん >>290さん 応援ありがとうございます。
おそらくこのスレだけでは終わらないと思うので、末永くよろしくお願いいたします。
それと>>287の 一方通行の台詞の「そンな一辺に〜」の部分は「そンな一遍に〜」の間違いです、すみません。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:05:39.19 ID:pvmsmRvAO<>
>>287 続き
〜第七学区・窓のないビル〜
世界とは完全に切り離されて独立した空間内に、とある『人間』は存在している。
その『人間』は男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える、世界最高の科学者で世界最強の魔術師。
――学園都市総括理事長、アレイスター=クロウリー。
その全身を緑の手術衣で纏い、生命維持槽のビーカー内に逆さまで浮かぶ人間は、眼前に映る光景をじっくりと観察していた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:07:17.28 ID:pvmsmRvAO<>
『――ハッ。テメェら如きじゃどう足掻いてもあの第一位には届かねぇよ。
まず最低でもこの俺に並ばねぇと話にならねぇからな』
『……、確かに俺は『連れて来れば責任を持って対処する』とは言ったけどよォ?
そンな一遍に来られると流石に処理しきれねェよクソったれがァ』
モニタが表示している映像には、2人の少年がピックアップされている。
彼らは世界最高クラスの頭脳を持った、学園都市の第一位と第二位の超能力者。
――すなわち、アレイスターの所持する中での最大戦力と呼んでも過言はない人材達だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:08:05.34 ID:pvmsmRvAO<>
しかし、そんな軍事国家が渇望する生物兵器を保有するアレイスターの心境は、不服と疑問に満ちていた。
「――――何故こうなった」
己の疑問をぽつりと独り言の様に漏らす人間の表情は、ほんの僅かにだが困惑の色が滲み出ている。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:08:58.77 ID:pvmsmRvAO<>
アレイスターはつい先日に終結した第三次世界大戦において、自身が進行している『プラン』の大幅な修正を行う為に、外界への『現出』を余儀なくされた。
そしてアレイスターはこの世界に700秒程度『現出』し、その際にローマ正教の暗部『右方のフィアンマ』を難無く撃破している。
それでようやく『プラン』は元の軌道に再び乗るものだとアレイスターは考えていたのだが、現実は無情にもそれを許さなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:10:48.59 ID:pvmsmRvAO<>
――――『右方のフィアンマ』という男と、彼が引き起こした第三次世界大戦は、さらに『プラン』へと深刻な影響を及ぼし、許容できない誤差を生み出す原因となってしまったのだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:11:47.51 ID:pvmsmRvAO<>
それにより、流石のアレイスターでも修正方法が分からなくなり、下手に行動を動かせない状況に自ら陥ってしまう。
――――加えてアレイスターが『現出』していた隙を突かれ、瀕死の状態だった垣根帝督が姿を消してしまう事件も発生していた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:13:39.09 ID:pvmsmRvAO<>
現在は普通に五体満足の垣根帝督だが、彼は暗部同士の抗争の最中に一方通行との死闘を経て瀕死の重傷を負い、とても『人』とは呼べそうにない肉塊になっていた“はず”だった。
しかし、現在進行形でモニタに映し出されている茶髪の少年は、どの角度からどんな手段を用いて見ても『垣根帝督』である。
能力者の誰かが創り出した立体映像と言うわけでもないし、仮に『垣根帝督』の立体映像がその空間に存在していたとしても、制作者にメリットは存在していない。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:14:48.06 ID:pvmsmRvAO<>
垣根帝督は学園都市の『闇』に堕ちた人間であり、表の世界の住人が彼を見ても特に抱く感情は何もないのだ。
彼を知る人が一目見れば、畏怖の念を抱かざるをえない『怪物』だが、彼をまったく知らない人が見れば、『垣根帝督』という人間はその辺りにいそうな『チンピラ』なのである。
一方通行が子供達を見て胸中で抱いた感情には、この意味が含まれていたのかもしれない。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:15:47.71 ID:pvmsmRvAO<>
「――――何故こうなったも何も、今の“この”状況は君自身が『プラン』を勝手に『焦って』進めた結果だろう。
――どこに疑問を抱く余地がある?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:17:27.79 ID:pvmsmRvAO<>
――そしてふと唐突に、先程のアレイスターの独り言に反応するかのように、建物内に反響するもう一つの声。
「……エイワス」
「だから私はあれほど言っていただろう。
――――何があっても“絶対”に『焦るな』と」
――その声の主は学園都市の機密中の機密、『ドラゴン』の符丁を冠する存在。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/16(月) 22:18:06.03 ID:pvmsmRvAO<>
金髪の光り輝くような長身を持ち、ゆったりとした白い装束を身に纏い、極めてフラットな顔つきをしている。
――――かつてアレイスター=クロウリーに必要な知識を必要な分だけ授けた者――――『エイワス』がそこにいた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:19:38.11 ID:pvmsmRvAO<>
「……、私が私の独断で動いた結果は真摯に受け止めるつもりだ。
――ただ一つ気に食わないのは、あなたがあなたの独断で垣根帝督を『再生』させた件についてだ」
喜怒哀楽の全てを内包するアレイスターの表情には、普段の表情と全く同じだがどこか怒りを感じさせるものがあった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:20:58.89 ID:pvmsmRvAO<>
「別に垣根帝督を『再生』させても君の『プラン』に問題はないだろう。
……それに私はあくまで彼の肉体を『再生』させただけであって、彼をbgjvn化させてcxugdするつもりはないよ」
そんなアレイスターを宥めるように言葉を紡ぐエイワスだったが、その途中の一部の言葉がブレた。
これは人外の聖守護天使曰く、『この言葉を表現するためには世界のヘッダが足りない』ためらしい。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:22:33.95 ID:pvmsmRvAO<>
これを簡単に例えるなら、圧縮されたファイルを開く際に専用の解凍ツールがなく、無理矢理ファイルをこじ開けた状態である。
文字化けの酷い文章の話し言葉版みたいなものだ。
ちなみにこのブレは『黒翼』を発動中の一方通行、地上に堕とされた天使『ミーシャ=クロイツェフ』にも該当する。
ただし彼らはエイワスに比べてノイズの割合が圧倒的に多く、せいぜい会話が成立する人間は『右方のフィアンマ』と『アレイスター=クロウリー』ぐらいである。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:24:55.94 ID:pvmsmRvAO<>
「あなたの意図が仮にそれだけだとしても、たったそれだけの理由で『ホルスの力』を行使しないで頂きたい。
世界に再び歪みが生じれば、私の『プラン』は根本からの改革を余儀なくされてしまう」
「ふむ。アレイスター、君が冗談を抜かすのは珍しいな。
これはいわゆる『天変地異の前触れ』と呼ばれるモノか」
「『天』も『地』も統べる力を持つあなたがどの口でほざく。道化を演じるのも大概にしてくれないか」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:28:53.90 ID:pvmsmRvAO<>
『そうか。口が駄目ならば君とは思念による会話をするしかないようだな。
わざわざ口から言葉を発して意思の疎通を行う事に価値を見出だしていたのだが仕方がない』
「……、」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:32:51.77 ID:pvmsmRvAO<>
『――――さて。アレイスターが機嫌を損ねたことだし、私はそろそろ『幻想殺し』の様子を見に行くとするかね。
いまだに彼は北極海に沈んでいるようだが、生命反応は確認されているのだから、死んではいないのだろう?』
「……、」
『――――このまま『幻想殺し』を放置しておけば“彼”が目覚める。
しかしその可能性は決して高くもないが、低くもない。
“彼”が完全に目覚める前に対処しなければ、君は『プラン』と共にこの世界から消え失せてしまうだろう。
――“彼”はそういう存在だ』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/16(月) 22:38:15.66 ID:pvmsmRvAO<>
「……私は私の目的を達成するまで、消えるわけにはいかない」
――――たとえ目の前に立ち塞がる相手が“穢れた神を浄化し討つ力を秘めた魔人”だとしてもな。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/16(月) 22:40:58.94 ID:pvmsmRvAO<> 今回の投下はここまでです。
次回の投下は明日以降ですかね。
それではまたのちほど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 03:44:50.38 ID:kPJKokoDO<> こういう禁書の世界観全面に出したシリアスパートはいらないと思う。全くサッカーと関係ないじゃん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/01/17(火) 17:38:03.13 ID:Q14borzAO<> 乙
好きなようにやればいいと思う <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 20:08:50.73 ID:KUDP3sPP0<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/17(火) 22:38:48.82 ID:nnDnKMtAO<> 物理の授業でベクトルが出てきてテンションのあがった>>1です、こんばんは。
今回の投下に来ました。
それではまたのちほど。
>>311さん 貴重な意見感謝します。 しかしこの物語のベースは『禁書』なので、シリアスが出てきてしまうのは仕方のないことなんです……。
お望みならばギャグ満載での路線変更も考えますが……。
>>312さん ありがとうございます。 >>1の好きなようにやってもいいんですかね? 批判が集中したりしないでしょうか……。
>>313さん ありがとうございます。 これを励みに頑張ります! <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:41:32.03 ID:nnDnKMtAO<> >>309 続き
〜第七学区・多目的運動場〜
「一遍に来なかったらいつ来たらいいんだよ第一位。
テメェはわざわざ個別の二者面談でも希望してんのか?」
メルヘン野郎を先頭にこちら側へ歩み寄って来る5人の集団。
その内の男2人はメルヘン野郎とチンピラで、女の方は第四位とピンク色のジャージを着たヤツとニットのワンピースを着たヤツの3人。
チンピラの話から推測するに、確かジャージを着ているヤツが『滝壺』だったから、ニットのワンピースのヤツは『絹旗』でいいのかァ?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:42:45.01 ID:nnDnKMtAO<>
「別にそォいう意味で言ったンじゃねェよ。
っつーか俺はオマエとは面会謝絶で結構だ、顔も見たくねェ」
確証のない考えを浮かべながら、俺はとりあえずメルヘン野郎の会話に付き合う。
俺のすぐそばにいた土御門と海原は突然の状況を上手く認識出来ていないのか、口を半開きにして5人を呆然と眺めていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:45:39.80 ID:nnDnKMtAO<>
「――ド・ラ・ゴ・ン……クラーッシュ!!」
「――ちょっ、こらっ! お姉ちゃんは的じゃないのよッ!?」
「えー?だって、アンタがさっき自分で『私に向かって思いっきり来なさい!』って言ったんじゃないかよー」
「私がさっき言ったのは『私に向かって思いっきり(飛び込んで)来なさい!』って言ったのよッ!!
そういう意味での『来なさい』じゃないの!!」
「わ、わけわかんねぇよこの姉ちゃん……ッ」
――しかし、少し離れた所にいる結標のヤツは、こちらの事態に全く気が付いてねェようだ。
…………あのショタコン、警備員に通報した方がいいンじゃねェのかァオイ?
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:50:09.83 ID:nnDnKMtAO<>
「テメェは本当にムカつくほどつれねぇ野郎だな。
下の者の言葉に耳を傾けない王は、いつか必ず寝首を掻かれるぞ?」
「……さっき攻撃を仕掛けてきた第四位みてェにかァ? ――ハッ。オマエら程度の実力じゃ、俺には束になっても敵わねェよ。
現に俺はオマエと戦い、完膚なきまで叩き潰した。今さらオマエが俺に――、」
「――それは違うぜ第一位」
「――、……あァ?」
俺の言葉を遮るように一歩前に踏み出し、どこか得意げな表情を浮かべるメルヘン野郎。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:51:04.32 ID:nnDnKMtAO<>
「確かに俺と第四位がコンビを組んでテメェと戦っても、勝ち目はねぇだろうよ」
「――私は第二位と端から組む気はさらさらないけどね」
「――チッ、そりゃそうだ。俺だってこんな『化け物』女はお断りだ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:53:47.84 ID:nnDnKMtAO<>
「……ふーん、うら若き乙女に随分と心ない事を言ってくれるじゃない。
私だってこんなホストみたいな男はオ・コ・ト・ワ・リ・よ」
「…………オイ、そりゃ喧嘩売ってんのか第四位?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:54:39.37 ID:nnDnKMtAO<>
「ハッ。私は第二位に喧嘩を売る気はさらさらないっての。
――“過去”は所詮“過去”に過ぎなくて、“今”もやっぱり“今”でしかない。
私達がここに来るまでの間に第二位と交わした『約束』、まさかもう忘れたのかしら?」
「……チッ、忘れたつもりはねぇよ。
――そして破るつもりもねぇ。俺は必ず“変わる”って決めたんだからな」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:55:37.12 ID:nnDnKMtAO<>
「……変わる変わらないかはどォでもいいからさっさと話を進めろよメルヘン野郎。
こちとらもうすぐサッカーの試合が始まンだよ、思い出話がしてェなら手短に済ませやがれ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:57:03.76 ID:nnDnKMtAO<>
「…………ハッ。自分で気付けなくてテメェに気付かされたのが気に食わねぇが、ようやく得心がいったぜ。
確かに“これ”をされるとムカつくわ……ッ」
「……? 俺にはオマエが一体何を言いてェのかがサッパリ分からねェンだが」
「テメェが分からないなら分からないままで別に構わねぇよ。
……ってか俺はどこまで話したっけ? ――ああ、コンビがどうのこうのって辺りまでか」
「……思い出したンなら早くしやがれメルヘン野郎。
せっかく上がってきた体温が逃げちまうだろォが」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 22:58:37.40 ID:nnDnKMtAO<>
俺達はこうして平然と会話を繰り広げてはいるが、この場所は遮蔽物も何もないサッカーコートのベンチ付近。
それに加えて最高気温は氷点下に迫りつつあるたったの1度。
……正直なところ、早く黄泉川のマンションに帰ってあったけェコーヒーを飲みてェ気分だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 23:00:10.97 ID:nnDnKMtAO<>
「ハイハイ、分かったからそんなに急かすなよ第一位。
……さっきテメェは言ったよな?
『オマエら程度の実力じゃ、俺には束になっても敵わねェ』、って」
何かを悟った仏の様に、今までのどこか腑抜けた表情から真剣な顔つきに変わる第二位。
周囲に広がる空気が張り詰め、俺は辺りの喧騒が徐々に小さくなっていくような感覚に陥った。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 23:01:34.09 ID:nnDnKMtAO<>
「……、それがどォかしたのか?
俺が『オマエらじゃ俺に挑戦するだけ無駄だ』と言ってやっただけだろォが」
「――――それは“普通の戦闘だったら”の話だろ?」
「……チッ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 23:05:09.94 ID:nnDnKMtAO<>
「テメェに酔ってんじゃねぇぞ一方通行。
仮に俺達がテメェより格下だろうと、力量の差を思い知って戦闘意欲が削がれようとも、考える事まで放棄したつもりはねぇぞ」
「…………それで、自ら俺より格下と認めたオマエが考えに考え抜いた先で、一体何に辿り着いたンだよ?」
「――――『サッカー』だ」
「……、」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 23:06:05.59 ID:nnDnKMtAO<>
「テメェはさっきの公園で俺と番外個体に『サッカーやろォぜ』って言ったよな。
……俺はあの時テメェに返事をし損ねたから、今ここで言わせてもらうぜ」
「――――俺もテメェと共に『サッカー』をやってやるよ。
……ただし、やるからには絶対に俺はテメェより上を行く。
――それが俺の辿り着いた『答え』だ。 文句はねぇよな?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 23:09:00.09 ID:nnDnKMtAO<>
「…………あァ、イイぜ。オマエの心意気はよォく伝わった。
――そしてオマエは幸先の良いことに、早速これから試合なンだが、もちろんオマエはそれに出るンだよなァ?」
「――ハッ。そりゃ愚問だな第一位。
例え両腕が折れてようが肋骨にヒビが入ってようが“出る”に決まってんだろ?
『常識』が通用しねぇのは何も机の上の理論だけじゃねえって事を教えてやるよ」
――そう言って“垣根”は俺の前へ、そっと左手を差し延べる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 23:09:51.54 ID:nnDnKMtAO<>
「……ハッ、オマエが俺より先に立つなンざ100年早ェよ。
俺がオマエの『道標』になってやるから、オマエは黙って後ろからついて来やがれ。――遅れたら承知しねェからな」
発動中だった能力のデフォルトである『反射』を解除し、俺は差し延べられた左手を握り返す。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/17(火) 23:11:09.98 ID:nnDnKMtAO<>
――――――パァン!
垣根との握手の瞬間、空砲にも似た乾いた小気味のよい短い音が運動場に響き渡る。
「――よろしく頼むぜ、一方通行」
「――ああ」
――――打ち止めや番外個体の柔らかく優しい手とはまた異なり、垣根の細く長いその手は暖かく、なにより力強かった。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/17(火) 23:20:58.49 ID:nnDnKMtAO<>
『かきねていとく』がチームに加わった!
今回の投下は以上です。
麦野が書くのが難しい……、なかなか脳内再生してもピンと来ない……ッ。
ところで皆さんは、垣根の脳内再生はどの声優でやっているのでしょうか? ちなみに>>1は中村悠一さんで再生されています。
早く禁書の3期をやってくれないですかね、画面の中を動き回るていとくんが早く見たいです。
次回の投下は明日以降ですね。
それではまたのちほど。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 02:28:26.56 ID:HYifX8Rh0<> 垣根は宮野真守だな <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/20(金) 00:03:32.30 ID:qyYcBuRO0<> 今日姉から不要になったノートパソコンを譲り受けた>>1です、こんばんは。
今までは携帯で打ち込んでて大変だったんですが、これでようやくスムーズに作業が出来そうです。
とりあえず、禁書(電磁含む)の登場人物でチームを8つほど結成しておきました。
全部が日の目を見るのはまだだいぶ先の事になりそうです。
――さて、今回の投下は書き溜めの移植作業があるのでかなり少ないです、すみません……。
……で、では少ないながら、今から投下していきます。
それではまたのちほど。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/20(金) 00:05:41.96 ID:93DNUNPAO<> >>331 続き
「――――よし、準備はいいかオマエら?」
俺が垣根と握手を交わした直後、どうやら俺達の初陣の相手であるチーム『不死鳥』のアップが完了したらしく、早速試合を始めることになった。
こちら側の準備不足感は否めないが、それはまァ能力の差で補えるハズだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/20(金) 00:06:42.99 ID:93DNUNPAO<>
――そしてベンチの前に立つ俺を中心に半円の陣を描いて並ぶのは、これから試合に挑む戦士達。
「――ミサカは問題ないよ。さっさと悪霊退治といこうぜ、ぎゃははっ☆」
「――俺達はあの不良共を文字通り“蹴散らせ”ばいいんだろ?
点は俺が奪ってやるから、テメェはあんな格下共に1点も取られんじゃねぇぞ」
俺の呼びかけに頼もしい返事を返す番外個体と垣根。
番外個体の折れた右腕が少し心配だが、こいつは怪我を悪化させるようなヘマはしねェと思うから大丈夫だろう。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/20(金) 00:07:46.36 ID:93DNUNPAO<>
「……にゃー。未だに上手く状況を理解出来ないが、とりあえずオレも頑張るぜい」
「自分も『サッカー』というものをやったことはないですが、自分にやれる事があるならそれを全力で尽くすつもりですよ」
「私も右に同じよ。とりあえずやれる事はやってあげるわ」
「オレもオレも! 力いっぱいガンバルぜッ!!」
「わ、わたしはおにいさんたちをいっしょうけんめいおうえんしてる!
……ふぁ、ふぁいとーっ!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/20(金) 00:10:26.36 ID:93DNUNPAO<>
俺が呼び付けた“元”『グループ』の面々とガキ共も準備は万端みてェだ。
だがその中で1人、土御門の野郎がまだ納得のいってねェ表情を浮かべてやがる。
…………チッ。この試合の終わった後にでも、これまでの状況を説明しといてやるか。
「――とりあえず、このチーム内において作戦は存在しねェ。
強いて作戦を言うなら『各々で状況を判断し、最善と思えるプレーをやれ』、――――以上だ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/20(金) 00:11:49.88 ID:93DNUNPAO<>
「…………オイ、テメェら何私達を華麗にスルーしてやがんだ?」
「私達の存在は超端から認識してないんですか第一位?
――ほら、滝壺さんも第一位に何か超言ってやってくださいよ」
「きぬはた、私達はまだあくせられーたに挨拶もしてないから無視されても仕方ないよ」
「…………滝壺、それは絶対関係ねぇよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/20(金) 00:14:06.39 ID:93DNUNPAO<>
「――――あァ? 何離れた所でボサッと突っ立ってンだオマエら。
――オマエらも試合に出ンだぞ?」
「「「ッ!!?」」」
「――――なにやらミサカは面白そうな光景を見かけてしまったようです、とミサカは少し離れた物陰からあの試合をひっそりと観戦してみようと思います」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/20(金) 00:20:19.92 ID:qyYcBuRO0<> 今回の投下は以上です。
次回の投下は今日か明日の内には必ず来ます。
それではまたのちほど。
>>333さん なるほど、宮野さんというのも結構アリですね。 劇場版で出たりしないですかね……。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage saga<>2012/01/20(金) 06:02:45.39 ID:F+6iVGck0<> 上条さんの必殺技
イマジンブレイク
幻想壊し(キーパー)
竜王砕き(抜き技)
ビッグヘディング(ヘディング)(アックア) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)<>sage<>2012/01/20(金) 14:22:06.50 ID:nPTLj5a90<> >>1乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/01/20(金) 18:46:14.54 ID:kbdTMi7AO<> 乙
ここのていとくんはカッコイイ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/01/20(金) 20:03:01.31 ID:go2q+xyF0<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/21(土) 01:45:47.56 ID:IIQJYRe+0<> >>1です、こんばんは。
短いですが今回の分の投下にきました。
それではまたのちほど。
>>342さん 必殺技の案ありがとうございます。 でも上条さんは当分出番がないので使えないです、すみません……。
>>343さん ありがとうございます。 その一言が制作意欲に直結していくんです。
>>344さん おお、ていとくんにお褒めの言葉をいただきました。 彼もようやく報われる時がきたんですね。
>>345さん ありがとうございます。 寒い部屋の中で頑張って小説を書いた甲斐がありました。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/21(土) 01:48:41.58 ID:IIQJYRe+0<> >>340 続き
〜第七学区・多目的運動場(サッカーコート)〜
「――この試合は前後半15分のロスタイムはなし、ルールはもちろん学園都市内限定の方だ。審判はいないからフリージャッジで頼むぜ」
「――あァ、正々堂々と勝負しよォぜ。それで、キックオフはどっちが取る?」
「キックオフはガキのおもりが大変そうなお前達に譲ってやるよ。
お前障害者で他にも怪我してるヤツもいるみてえだし、丁度いいハンデだろ?」
「……オーケー。俺達にハンデを寄越した事を後悔させてやる」
「――ケッ。俺達の実力を見てから謝っても、もう遅ぇからな」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/21(土) 01:51:55.22 ID:IIQJYRe+0<>
コートのセンターラインで相手チームのリーダーと言葉を交わし、俺は自陣のゴール前へと移動する。
俺のこの試合でのポジションは、チームの“守護神”とも呼ぶべき『ゴールキーパー』。
俺の能力には時間制限の枷が存在している為、むやみやたらに能力を使用していたらあっという間にバッテリーが切れ、言葉もロクに理解の出来ねェ“廃人”が出来上がっちまう。
それを避けるために俺はこのポジションに自身を配置し、状況を見て攻撃にも参加しつつ、隙があったら超ロングシュートを相手ゴールにぶち込むつもりだ。
……さっきはヘマしちまったが、今度こそ決めてやるよクソったれがァ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/21(土) 01:54:30.17 ID:IIQJYRe+0<>
〜ポジション〜
GK 一方通行
DF 土御門 海原
MF 絹旗 麦野 浜面
ナオ 結標 ケン
FW 番外個体 垣根
控え 滝壺 サキ ナナ カナコ リュウ レイ ミユ
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/21(土) 01:56:45.82 ID:IIQJYRe+0<>
「――――はまづら、頑張って」
「ああ、任せとけって。滝壺はベンチで俺の活躍をしっかり見といてくれよ」
「……滝壺さんはベンチスタートですか、超羨ましいです」
「滝壺は元々体を動かすのは得意な方じゃないし、まあ妥当な判断なんじゃないの?
……ってか今の私の服装、どう見ても運動には対応してないからベンチで座ってていいかにゃーん?」
「昔は能力を駆使して超凄まじい速度でスカートを翻しながら移動してた人のセリフとは思えないですよ麦野。
私もギリギリ見えない角度でこの服を超着こなしてますが、流石に足を振り抜くとなると超アウトです。
――このままいくと、私を狙って超変な男共が争奪戦を開始する恐れがありますね」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/21(土) 01:58:43.12 ID:IIQJYRe+0<>
「――にゃー。目の前でなにやらオレにとって興味をそそられる会話が繰り広げられてるぜい。
……でもその前に、あの1人場違いなリア充が木っ端微塵に爆散してほしいのにゃー」
「……やれやれ、世の中とは不思議なモノですね。なぜ自分より色々な面で劣った彼の方が女性と恋仲になれるのでしょうか……ッ」
「――アンタら……、俺に聞こえてないと思ってるんだろうがちゃんと聞こえてるからなッ!?」
「「わざと聞こえるように言ってるんです(だにゃー)」」
「初対面の相手に対してひどすぎねぇかッ!!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/21(土) 02:00:36.72 ID:IIQJYRe+0<>
「うぅ……きんちょうするなぁ」
「ダイジョブだってナオくん! オレやみんながついてるぜ!!」
「そうよ、お姉ちゃんもついてるから安心しなさい。
――いざとなったら私が身を挺してあなたたちを守ってあげるから、ね?」
「…………うん、そうだねっ。 ぼく、がんばってみるっ!!」
「(――――あ、マズイ、あまりの可愛いさに興奮して鼻血が出そうだわ)」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/21(土) 02:02:13.99 ID:IIQJYRe+0<>
「――番外個体、テメェならまず始めに一体どんな攻め方でいく?」
「うーん、ミサカ的には超能力任せのゴリ押しでもいいと思うけど、やっぱり最初は様子見でしょ?
ひとまず相手の出方を見るために――――、」
「――――、ハッ。……おもしれぇ、テメェのその考えに乗ってやるよ番外個体。
常識にとらわれねぇイイ思考回路してんじゃねぇか」
「そりゃあ1万人もの“悪意”を集中して拾う規格外のクローン人間ですから。
――――まあとにかく、この冬空に超弩級の『花火』の打ち上げといこうか、ぎゃはっ☆」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/21(土) 02:04:49.78 ID:IIQJYRe+0<>
番外個体と垣根がセンターサークルの中心にボールをセットし、敵陣に立つ11人の兵士を見据える。
こちらの準備は整った、相手の下拵えも十分、――ならすることは最早1つのみ。
「――――さァて、『不死鳥』の調理の時間だぞオマエら。 学園都市の『闇』を生き抜いたのは“伊達”じゃねェって事をみせつけてやれ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/21(土) 02:08:40.69 ID:IIQJYRe+0<> 今回の投下は以上です。
子供たちの名前は適当につけたので、あまり深く考えないで結構ですよ。
次回の投下は今日以降ですね。
それではまたのちほど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 10:53:28.50 ID:Sz2ed1uY0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/01/21(土) 19:15:59.69 ID:+UbkFTKAO<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/23(月) 23:41:17.53 ID:heYuG8Rs0<> こんばんは、>>1です。今回の分の投下に来ました。
なにやら1月25日に東海沖で大地震が来ると風の噂で聞きましたが、正直勘弁してほしいです。
せっかく頑張って稼いだバイトの給料がもらえないのはあんまりですよ……ッ。
――……とまあ、つまらない世間話はこの辺で切ります。
それでは今から本編を投下していこうと思います、視点が三人称視点に切り替わるのでご注意ください。
それではまたのちほど。
>>356さん >>357さん 応援ありがとうございます。このコメントが本当に励みになります。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/23(月) 23:45:57.85 ID:heYuG8Rs0<> >>354 続き
「――それじゃあ早速いくよ第二位。ちゃんとミサカに合わせてよね」
番外個体が停止したボールを前に小さく蹴り出し、試合が始まった。
「……バーカ、テメェが俺に合わせんだ――――よッ!!」
セカンドタッチでボールに触れた垣根がそれを足先で掬い上げ、上空に向けて大きく蹴り上げる。
ボールをロケットのように打ち上げた垣根の背中には、すでに純白の六枚の翼が生えていた。
その翼で生み出した烈風を推進力に垣根は高さ数十メートルまで急上昇し、少し遅れて上がってきたボールを器用に右足の先に乗せる。
「――こっちは準備できたぜー! テメェはさっさと“コーティング”しやがれ!!」
「ハイハイ、それじゃあいくよ第二位。――――“砂鉄”まみれになってもミサカを恨まないでね☆」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/23(月) 23:49:14.75 ID:heYuG8Rs0<>
番外個体がそう言葉を発した直後、地面から謎の黒い物体が地上へと湧き出てくる。
それはまるで不可視の糸で引っ張られているかのように、垣根の足元にあるボールへと集まっていく。
天へと這うように伸びていく蛇の如き動きをするその正体は、地面の中に存在する砂鉄である。番外個体が自らの能力を使って地中に存在する砂鉄を自在に操っているようだ。
そして集束した砂鉄がボールの表面を完全に覆い隠すと、垣根は背中から生えた翼をさらに大きく展開し、そしてまるで歌うように言葉を紡いだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/23(月) 23:51:04.71 ID:heYuG8Rs0<>
「――雲は皆無、広がるのは晴天の寒空、俺の背後に位置するのは『太陽』。俺の『未元物質』で出来た翼で回折すれば、『太陽光』すら兵器になるんだぜ?」
「熱せられた鉄球を蹴り飛ばすなんてあんまりだと思うけど、しっかり受け止めてあげてよ不死鳥さん。
――――まあ第二位の“想い”を受け止められるのは、ミサカを変えてくれた『あの人』じゃなきゃ無理なんだけどね、ぎゃはっ☆」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/23(月) 23:53:23.03 ID:heYuG8Rs0<>
「――――ってなわけで、これは俺からテメェらに送る『プレゼント』だ。
生身で触れても軽めの火傷で済むように手加減を加えておいたから、思う存分楽しんでくれよ不良共」
垣根は左腕を広げて右手を下げ、腰を捻りながら『鉄球』を右足で蹴り飛ばす。
――――――ズドォォォォン!
そのあまりの衝撃に纏わりついていた砂鉄の一部が剥がれ落ちるも、すぐさま番外個体が欠損部分を修復する。
砂鉄は粒子状のために金属特有の甲高い音は鳴り響かなかったが、代わりに腹の奥底まで震えるような轟音が炸裂した。まさしくその音は、番外個体の言っていた『花火』のようだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/23(月) 23:55:06.84 ID:heYuG8Rs0<>
「「「――ッ!」」」
チーム『不死鳥』の選手の表情が、上空から蹴り落とされた垣根のシュートを見てガラリと変わる。
しかしその変わった表情には、誰1人として恐怖の色は感じられない。 むしろ喜々としている感じが見受けられ、その中には笑みを浮かべている者もいる。
「――――思ったよりやるじゃねぇかお前達。……だがまだまだ甘いな、そんなシュートで俺達から点を取れると思ったら大間違いだ」
チーム『不死鳥』の誰かがそう呟くと、敵陣の中心に突如巨大な土の円柱が地面から這いずり出てくる。
それは相手ゴールへと一直線に進んでいた鉄球の進路を強引に変更し、垣根と番外個体が協力して打ち出した鉄球はあらぬ方向へと飛んでいく。
「――――なにッ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/23(月) 23:56:30.77 ID:heYuG8Rs0<>
鉄球の衝撃に耐え切れずガラガラと音をたてて瓦解していく土の円柱を見下ろしながら、上空に浮かぶ垣根は驚愕を隠せないでいた。
いくら垣根自身が本気を出していなかったからとはいえ、まさか相手がいとも簡単に己のシュートを受け流すとは思ってもいなかったのだ。
――――加えて垣根は過去の一方通行との死闘の際に『未元物質』の“本質”を理解して成長を遂げていたのにも関わらず、である。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/23(月) 23:58:28.11 ID:heYuG8Rs0<>
一部の例外を除けば、一般的に“成長を遂げる”という事は、“ステータス全体の底上げ”を意味している。
――つまり先ほどの“手加減を加えた一撃”は、成長を遂げる前の“手加減を加えた一撃”よりは明らかに威力が高いのだ。
しかし現実問題、一方通行と戦った時より強力になった筈の“最低威力”でのシュートは不発に終わっている。
数字の序列ゆえに明らかに自分より格下の相手にしてやられたとなれば、このままでは学園都市第二位としてのプライドが黙っていない。
「(……チッ。たかが一般人に俺の一撃が防がれちまうなんてありえねぇ、かなりムカつくぜ……ッ!)」
――――だがそれと同時に、彼は胸の奥底で沸々と湧き上がる“怒り”ではない別の“何か”を感じていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/23(月) 23:59:57.71 ID:heYuG8Rs0<>
「(…………だけどまだ試合は始まったばかりだ、いちいち腹を立ててたらキリがねぇ。
俺はあの不良共に比べたら青二才も当然だということを自覚する必要がある、まずはそこからだな)」
その湧き上がってくるモノの正体は、――――純粋な『好奇心』。
気に入らないモノは粉砕し、目の前に立ちはだかるモノも薙ぎ倒し、その場の気分で敵を見逃したりしていた男が抱いた“それ”は、かつて努力や希望を信じていた頃の自分が持っていた物だった。
「(――チッ。自ら変革を求めたのはいいが、まさかこんなに早く“変化”が生じるなんて思ってもいなかったぜ)」
瓦解して崩れ落ちた際に発生した砂埃を翼で起こした風で吹き飛ばし、そして地上へと素早く降り立った垣根は自陣のゴールを守る一方通行にこう言った。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/24(火) 00:03:05.44 ID:Xz51K+D00<>
「――ハッ。俺もテメェも世間様から見たらまだヒヨっ子だったみてぇだな一方通行!
俺達はある分野では『最強』だが、それ以外の分野ではまったく話にならねぇようだぜ!!」
「――何をいまさら当たり前の事を言ってやがンだメルヘン野郎。俺達は決して全知全能の『神』なンかじゃねェ、可能な事しか出来ねェ『人間』なンだ。
……っつーか“不可能”な事はこれからじっくり“可能”に変換していけばいいンだよ、焦って得られるモンなンざ一つもねェンだからなァ」
垣根は一方通行との短くも深い会話を終え、再び敵陣へと視線を向ける。
晴れた砂埃の先には、試合開始時からほとんど動いていない敵兵11人。
先ほど垣根が蹴り飛ばしたボールは、いつの間にかチーム『不死鳥』のキーパーが自身の足元にセットしていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/24(火) 00:05:48.38 ID:Xz51K+D00<>
次はあのキーパーが再びボールを蹴り出したところから試合が再開される。
「(……ハッ、そうだよな一方通行。確かに焦って手に入るモノはなにもねぇ、まずはちゃんとスタートラインに立たなきゃいけねぇよな)」
今まで甘い考えをしていた腑抜けの自分に喝を入れるため、垣根は自らの頬を外気に触れて冷えきった両手で思いっきり二度叩く。
――――――バチンバチンッ!
「――ッ。…………よし、ムカつくほどキッチリ目が覚めたぜ。テメェら“先輩”方の動きを隅々までこの眼で見て解析し、必ず俺の技術の糧にしてやる」
――――そして垣根帝督は、今から“未知の領域”へと足を踏み入れる。
こことは違う世界における無機を抱える彼は――神が住む天界の片鱗を振るう者は――次元を超えた蹴球遊戯に引き込まれていく。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/24(火) 00:17:26.41 ID:Xz51K+D00<> 今回の投下はこれで終わりです。
気がつけばこのスレを立てて1ヶ月がたち、そしてようやく試合が始まりました。
展開が遅いのは出来るだけ早めに直したいと思います。 無駄なく何事もテキパキ作業のこなせる大人になりたいものです。
えっと次回の投下は3日以内に必ず来ます。
それではまたのちほど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)<>sage<>2012/01/24(火) 12:51:06.90 ID:okUutIQr0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 16:57:26.57 ID:UebQTJal0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 17:12:28.20 ID:lntvoDlSO<> 乙!
面白くなってきた <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/01/24(火) 18:34:05.73 ID:G9xx3g2AO<> 乙
ていとくん最高! <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/26(木) 00:31:00.11 ID:Ndu+2G9a0<> こんばんは、>>1です。 今回の分の投下に来ました。
コメントがあるとやっぱり嬉しい気持ちになります。 これからも何卒よろしくお願いしますね。
それではまたのちほど。
>>370さん >>371さん >>372さん >>373さん 応援ありがとうございます。本編は現在三人称視点で展開していますが、一方通行の一人称視点よりこちらの方が読みやすいですか? 率直な感想がいただけるとありがたいです。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 00:43:06.97 ID:Ndu+2G9a0<> >>368 続き
「……よし、俺達のターンだ。これまでに培ってきた“技術”と“必殺技”であいつらをフルボッコにしてやろうぜ!!」
「「「「おおー!!」」」」
「いくぜシンジ!」
「――アスカ!」
「――ユウト!」
「――カズヤ!」
「ッ! 何なんだこいつらのパスワークは!?」
「……息ピッタリ過ぎて正直気味悪いね、ミサカ達みたいに脳内ネットでも構築されてるんじゃないの?」
そう口々に驚きと詠嘆が入り混じった言葉を紡ぐ垣根と番外個体。
――試合再開直後、意気揚々と意気込んでいた垣根を嘲笑うかのような高速パスが、垣根と番外個体の目の前で繰り広げられていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 00:44:40.61 ID:Ndu+2G9a0<>
チーム『不死鳥』のゴールキーパーから蹴り出されたボールは、一寸の狂いもない正確なパスで前線へと運ばれていく。
ボールを持った選手に近づこうとした瞬間には次の選手へ、そのボールを追いかけて選手に迫ってもまたボールは次の選手へ渡る――の堂々巡りである。
そのため、チームの最前線に立つ垣根と番外個体は完全に相手チームの手駒に取られていた。 その状況を一言で表現するならば“籠の中の鳥“状態だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 00:46:13.29 ID:Ndu+2G9a0<>
――――ちなみに、そんな圧倒的キープ力に翻弄されている二人から離れた後衛に位置する新生『アイテム』の面々は――――
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 00:47:27.55 ID:Ndu+2G9a0<>
「(……スゲー、あの第二位が完全に遊ばれてやがる。人は見かけによらないんだな……)」
「――そもそも麦野って、私みたいにあまり足を超露出させる格好ってしませんよね。何か超深い理由でもあるんですか?」
「――度々忘れられがちだが、私はこれでも『お嬢様』だからね。絹旗みたいに体の面積のほぼ半分を露出するっつー“はしたない”格好なんてしないのよ」
「……それは麦野なりの超ボケですか? テンションがハイになると超下品な事を言いまくる女性は、とてもじゃないけど『お嬢様』とは超言えないですね」
「――喧嘩売ってんのか絹旗ぁぁぁぁあああああッ!!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 00:48:36.54 ID:Ndu+2G9a0<>
「(…………にゃー、『オンナ』って生き物はやっぱり怖いぜい。あれは年齢に疑惑を持たれた時のねーちんに通じるものがあるにゃー)」
「(――今思えばあの御坂さんをあと数年成長させた様な女性はどちら様なんでしょう。自分の見立てでは『妹達』と関連のある方に思えるのですが……?)」
――――そのすぐ後ろに位置する土御門に妙な納得をさせ、サッカーとは全く無関係な会話に花を咲かせていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 00:50:38.09 ID:Ndu+2G9a0<>
「――――シュウヤさん! さっきのシュートのお返しに“あれ”をぶちかましてやってください!!」
「――――ああ」
ボールはあっという間にセンターラインを越え、一方通行の待ち構えるゴールへと攻め上がるチーム『不死鳥』のパスが1人の少年の足元へ伝わる。
その少年は仲間から受け取ったボールを天高く蹴り上げると、自身の足の裏から紅蓮の炎を噴出して上空へと舞い上がる。
そのまま空中で体を捻らせながら炎を左足に集中させた少年は、重力に従い自由落下してきたボールを自身の紅い煌きを放つ左足で振り抜いた。
「―――――ファイアトルネード!」
螺旋の力を得て威力を増したボールがその全身を能力の焔で紅く染め、触れたモノを焼き焦がす弾丸となって一方通行の守るゴールへと突き進む。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 00:52:28.74 ID:Ndu+2G9a0<>
「――ッ!イイねイイねェ、なかなか愉快な技を使ってくンじゃねェかオマエ。『発火能力(パイロキネシス)』の応用かァ?」
対する一方通行は、繰り出された炎の弾丸に臆する事なく素早くチョーカーの電源を能力使用モードに切り替え、彼はその右手で『大地』を掴み取る。
「オマエらのさっきやった事を真似させてもらうぜェ。――――ただし、俺とオマエらとでは“次元”が違うがなァ」
一方通行は不敵な笑みを浮かべてそう言うと片膝を地面に着け、右手で掴んだ『大地』を目の前に引きずり出す。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 00:53:55.64 ID:Ndu+2G9a0<>
――――――ゴゴゴゴゴゴゴッ!
地震の地鳴りにも似た轟音を鳴り響かせて出現したのは、縦2メートル、横5メートル、高さ10メートルという巨大な土の壁。
もちろんそれは一方通行の右手に突き刺さったままの状態で、彼は己の能力をフルに活用して軽々と持ち上げている。
おそらく土に掛かっている重力加速度のベクトルを“持ち上げる”という力のベクトルを増幅させて相殺しているのだろう。
相変わらず『怪物』の名前を欲しいがままにした、『絶対王政』並みの強力かつ暴力的な力を秘めた能力である。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 00:55:12.46 ID:Ndu+2G9a0<>
「「――――ウォォォォォォオオオオオオオッッ!!!」」
――そして“炎のストライカー”と“学園都市の怪物”の咆哮が真正面からぶつかり合う。
炎に包まれたボールは螺旋の力で強固な土の楯を採掘機のように削り、砕き、抉り、今にも貫かんとしている。
一方通行はこの状況で『反射』を使用すれば赤子の手を捻るよりも簡単にこのシュートを封殺できるのだが、彼の頭の中にはそのような考えは一切なかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 01:03:22.43 ID:Ndu+2G9a0<>
「(――ハッ。なンだなンだよこの全身が沸騰しそォになりそうなほど血の滾る勝負は、今までの俺は寝惚けてたのかァ?)」
一方通行はその生まれ持った“才能”が高過ぎた故に、彼と対等の位置に存在する人間はほとんどいない。
自ら歩み寄ろうとしてもその圧倒的な能力のために人々は彼へ“恐怖”を抱き、誰も彼に近づこうとはしなかった。
――そして一方通行もまた、周囲に抱かれた“恐怖”が“憎悪”へと変わらないように外界との繋がりを全て『反射』したのだ。
『反射』してしまえば自分は誰とも関わらなくて済み、結果として誰も自分に“恐怖”を抱くことはなくなるはず。
“憎悪”の集合体とも呼べる争いが起こらないように、誰よりも繋がりを欲していた一人の心優しい少年は、自ら茨の道を選んで進んでしまった。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 01:04:56.08 ID:Ndu+2G9a0<>
戦おうとした者の意志さえ奪うほどの絶対的な力を手に入れる為に、一方通行は何人もの“同じ”人間の血でその両手を紅く染めた。
人として許されない行為を二万回繰り返すその実験――――『絶対能力進化』。
それはとある“ヒーロー”が一方通行の前に立ち塞がるまで続いたのだが、それはまた別のお話――――。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 01:06:41.28 ID:Ndu+2G9a0<>
「(――目の前には全力を尽くして俺にぶつかってくるヤツがいる。
それをまた『反射』して逃げちまったら、それこそ終わりの見えないエンドレスループに迷い込ンじまう。
……俺はあの“ヒーロー”からハッキリと現実へ目覚めさせられたンだ、クソッたれな悪夢へ二度寝するのは地獄に堕ちてもお断りなンだよォォォオオオオッ!!)」
――――一方通行が心の内で魂の咆哮をあげたその刹那、彼の背中より白雪のような純白の翼が爆発的に噴出した。
白い翼は絶え間なく湧き出る泉のようにその全長を伸ばしていき、やがて高さ数十メートルに達するまでそれを展開する。
――しかしそれでも“まだ”足りないのか、さらに天上へと伸びようとした翼は先端部分から霧散し、やがて白い翼は根元の部分まで粒子と成り、空間へ溶けるように消えてしまう。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 01:08:34.71 ID:Ndu+2G9a0<>
――そして無情にも螺旋の一撃は強固な障壁を貫通し、一方通行のすぐ真横を通り過ぎていく。
「――――ハッ、面白いなアンタ。今までオレはサッカーをやってきたが、こんなに胸躍る相手に巡り逢えたのは生まれて“二度目”だ」
「――――奇遇だなァ。俺は今までサッカーなンざやったことがなかったが、こンなに心の底から“愉しい”と思ったのは生まれて“初めて”だ」
一方通行が装備した『土の楯』を貫き、ゴールへと吸い込まれていく炎の弾丸。この場にいた誰もが得点は確実と疑わなかったこの一幕。
――だがそのボールがゴールネットを揺らすことはなかった、なぜなら――――
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 01:10:13.71 ID:Ndu+2G9a0<>
――――――バシュゥゥゥゥゥゥッ!
「――――威力の超軽減されたシュートなら、この私でも吹き飛ばされることなく超簡単に受け止められます。『窒素装甲』の使い手である私を甘くみたら、超痛い目を見ることになりますよ?」
――――ふわふわしたニットのワンピースを着用した茶髪の大能力者、絹旗最愛がその右手でボールを握り締めていたからだ。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 01:12:03.55 ID:Ndu+2G9a0<>
「この試合には審判が超不在なので少々ためらいましたが、ルール上『キーパーは三人まで配置が可能』なので、ここは私が手を使った件は超見逃してくれると助かります」
掴んだボールを地面に置いて右足の裏で踏み止め、ぺこりとお辞儀をする絹旗。
そんな彼女の所持する『窒素装甲』という能力は、空気中に存在する『窒素』を自在に操ることが出来るという極めて強大な力である。
圧縮した窒素の塊を制御下に置けば、自動車は軽々と持ち上げられ、拳銃から放たれた弾丸すら易々と受け止めることが可能だ。
しかしその効果範囲は掌から数センチと非常に狭く、さらに弾丸を受け止めた時の反動は無かったことには出来ないという欠点を持つ。
そのため、絹旗は威力の軽減したこの瞬間を狙ってゴールの間に割って入ったのだ。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 01:13:16.31 ID:Ndu+2G9a0<>
――――――“学園都市最強の怪物”に臆することなく“ファイアトルネード”を放ち、獅子のように逆立った髪を持つ少年と話をするために。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/26(木) 01:20:34.60 ID:Ndu+2G9a0<>
「――――まあそんなことより超久しぶりですね“豪炎寺”さん。学園都市の『外』にいたハズのあなたは、どうしてこんな超小さなフィールドに立ってるんですか?」
「…………“あの時”以来だな、絹旗。――――とは言っても、まだ3週間くらいしか経ってないがな」
――――“炎のストライカー”と呼ばれ、彼の中学時代の母校を全国制覇へと導いた原動力。
百獣の王のように凛々しく逆立つ髪と、鋭利な刃物の様な切れ長の瞳、『外』のサッカー界においてその存在を知らぬ者はほとんどいないとされる天才の名は――――豪炎寺修也。
――――――学園都市“外部”の人間ながら『炎』を自由自在に操る彼のことを、学園都市の暗部に関わる者たちはそれを『原石』と呼んだ。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/26(木) 01:22:53.43 ID:Ndu+2G9a0<> 今回の投下はこれで終わりです、ありがとうございました。
次回の投下は今日以降ですね。
それではまたのちほど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/01/26(木) 16:10:58.16 ID:r2ug0Uih0<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/29(日) 01:43:52.64 ID:3GesDBP50<> >>1です、こんばんは。
今回の分の投下に来ましたが、前回ではだいぶぶっ飛んだ話になりましたが大丈夫でしょうか?
イナイレのキャラがテレビの中のキャラという設定ですが、>>1は『実在しない』とは書いてないので大目に見てくれると助かります。
今回の話は再び番外編……というか設定を文章化したものですね。 こんな裏話があるのか程度に目を通していただけると幸いです。
ではでは、今から投下していこうと思います。
それではまたのちほど。
>>393さん 応援コメントありがとうございます。今回はいつもより増量してお届け致しますのでお楽しみに。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 01:46:18.83 ID:3GesDBP50<> >>391 続き
――現状報告――
『ベツレヘムの星』と共に北極海へと墜落した『幻想殺し』の生命反応を確認。
しかし同時に、北極海周辺へ展開中の英国魔術結社、並びに『必要悪の教会』所属の魔術師数名を衛星による上空写真により視認。双方に認識されずに『幻想殺し』を回収するのは非常に困難を極めるものと思われる。
第三次世界大戦の首謀者『右方のフィアンマ』の生存を確認。『北欧王座』と英国所属の聖人により、アレイスター=クロウリーによって切断された『右腕』と共に保護された模様。
なお、その後の足取りは不明。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 01:48:31.18 ID:3GesDBP50<>
――『超能力者』の現在の所在とその状況――
第七位:削板軍覇は現在、第七学区の裏通りにて『スキルアウト』へ『“根性”とはなにか?』の議題を提示し、彼による一方的な論争を展開中。普段の説教時間の平均から、あと一時間はかかる見込みである。
第六位:現在地不明。『滞空回線』による捜査網を用いても発見できず。
第五位:食蜂操祈は現在、第七学区の常盤台中学内の校内にて派閥の側近と共に休息中。年頃の女子にしては珍しく、とある一人の少女がエクレアの早食いに挑戦中である。
第四位:麦野沈利は現在、第七学区の多目的運動場にて第一位を筆頭とした曲者揃いの面々と共に『サッカー』の試合中。さらにその周囲に『妹達』検体番号ミサカ10032号の存在を確認、どうやら試合の行く末を見守っている様子。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 01:50:48.40 ID:3GesDBP50<>
第三位:御坂美琴は現在、常盤台中学学生寮の自室にて睡眠中。その閉じられた両目の周りは赤く泣き腫らしており、眠っている彼女の傍に置かれた一枚の紙には
『ゆっくりお休みになってくださいですのお姉様。昼食はこのわたくしが、責任をもってお姉様の元へお届けしますの』
と書かれていた。
第二位:垣根帝督は現在、第七学区の多目的運動場にて第一位を筆頭とした以下第四位と同文。つい数十分前に路地裏にて第四位と一触即発の雰囲気になったものの、第四位の一言により最悪の事態は免れた。
第一位:『――――』は現在、第七学区の多目的運動場にて第二位を筆頭とした曲者揃いの面々と共に『サッカー』の試合中。つい先程、二〇日前に回収した『原石』の内の一人、『豪炎寺修也』との対決が繰り広げられた。『豪炎寺修也』については別ファイルのデータを参照。
十一月三日 午前十一時五十七分三〇秒『滞空回線』より。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 01:52:55.52 ID:3GesDBP50<>
【氏名】 豪炎寺修也 通称『炎のストライカー』
【性別】 男
【所属】 “元”木戸川清修高校二年生、サッカー部所属。
“現在”第二〇学区のとあるスポーツ強豪校の二年生、サッカー部所属(休部中)。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 01:54:38.89 ID:3GesDBP50<>
【備考】
・“とある事件”により『原石』と判断され、学園都市の『外』から連れてこられた少年。歳の離れた妹が一人いる。
・現在は学園都市内の第二〇学区に存在する『とあるスポーツ強豪校』に在籍しているが、そこのサッカー部の部員と自分の意見にズレを感じたようで、転校してきて二日目からは学校にも通わず適当に街中をふらついていた。
三日目、街中で偶然サッカーをしていた(その辺に落ちてあったボールを蹴っていただけ)の不良たちに成り行きでサッカーを教えることとなる。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 01:56:08.43 ID:3GesDBP50<>
その翌日、『なにごともまずは形から入らねぇと!』と豪語する不良たちのリーダーに気圧され、チーム『不死鳥(フェニックス)』(命名は不良たちのリーダー)を結成する。
――以降、第七学区の多目的運動場にて朝から晩までサッカーに明け暮れる日々を過ごしている。
・性格は基本クールで物静かだが、サッカーにかける情熱は誰よりも熱いモノを持っている。しかし『外』とはかけ離れた学園都市内での慣れない生活環境のせいか、かなりストレスが溜まっている模様。不良たちにサッカーを教えたのも、実はストレス解消のためだったりするものと推測できる。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 01:57:26.46 ID:3GesDBP50<>
・彼は物心が付いた頃から自在に『炎』を操る能力を所持しており、その特異性を知っている人間は『外』の世界において彼だけである。
その『炎』を操る能力は人前に決して見せることなく、親友でもある円堂守にもその事は打ち明けていない。
しかしその能力はただ人に『見せない』だけであって、実際は気付かれないように能力を使い(例を挙げるなら、不可視の炎で身体の運動性能を高め、超人染みた俊敏性を発揮するなど)、彼の母校である雷門中学サッカー部を二度の全国制覇に導いた張本人である。
その実績を買われて『外』のU−14のサッカー日本代表にもキャプテンとして選出されており、その知名度は世界規模にまで広がっている。(しかし学園都市内は除く)
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:00:32.24 ID:3GesDBP50<>
・そして彼の超人的なサッカーに魅了された『外』の日本のゲーム会社『LEVEL5』が、彼とその周りの人間を題材にした『育成・収集サッカーRPG』【イナズマイレブン】を販売し、世界中で大ヒット。現在はシリーズ4作目の【イナズマイレブンG0!】という初代から10年後の世界を描いた作品が販売されている。
ちなみにその作品内では、登場キャラ全員が現実には実現不可能な必殺技を使用しており、豪炎寺は『ファイアトルネード』や『爆熱ストーム』といった必殺技を代表とした『炎』を扱うキャラとして定着している。
ゲーム内において主役は豪炎寺ではなく彼の親友である円堂が務めている。円堂が主役に抜擢された理由は豪炎寺が制作会社に「オレより適任のヤツがいる」と自信満々に推薦したからである。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:01:36.30 ID:3GesDBP50<>
・これらは完全に余談だが、【イナズマイレブン】シリーズはゲームだけに留まらず、アニメやコミックなどの各方面にも展開しており、アニメの劇場版もこれまでに二度公開されている。
登場人物に男キャラが多いことから大きなお姉さん方に大人気とネット上ではもっぱらの噂だが、あくまで噂の域を出ないので真相は闇の中である。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:02:40.14 ID:3GesDBP50<>
〜第七学区・とある高校(食堂)〜
「……まったく、何時になったらあの馬鹿は帰ってくるのかしら」
「待っていれば。あの人は必ず帰ってくる。だから私たちは。待つしかない」
「…………信じる気持ちは確かに大切だが、私はそれを実行に移さなきゃいけないと思うのだけど?」
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:03:45.12 ID:3GesDBP50<>
「……、あの馬鹿並みの負のオーラを漂わせて一体どうしたんですか?えっと、名前は確か――、」
「…………雲川芹亜。まあ私を呼ぶなら『へそ出しカチューシャ』か『先輩』にしてくれるとありがたいけど」
「――『先輩』と呼ばせてもらいます。……で、そんな先輩は一体どうなされたんですか?あたしの見た感じで言わせてもらえば、傍からみてもその落ち込み具合はあまりにも異常ですね。あたし達まで気が滅入りそうなほどです」
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:05:17.87 ID:3GesDBP50<>
「…………私はただ一人の人間を救えなくて落ち込んでいるだけ、もういっそこのまま自堕落モードを続けていきたいと思っているのだけど。……でもそう簡単にはいかないのが現役JKの私の抱える大きな悩み……」
「落ち込んだ時は。甘いものを食べるのが得策。気分転換は。結構重要」
「…………、私は甘味を貪るより惰眠を貪るほうが好きなのだけど。……まあ私の可愛い後輩の提案だ、ここは折角だから乗らせてもらうけど」
「……そうね、今は『一端覧祭』の準備で忙しい時期だけど、たまにはこういう息抜きも必要かもしれないわね」
「そうと決まれば。膳は急げ。――善意の“善”ではなく。食膳の“膳”であるのがミソ」
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:07:08.77 ID:3GesDBP50<>
〜第七学区・多目的運動場(サッカーコート)〜
「……なンだよオマエら、顔見知りなのか」
颯爽とゴール前に登場しチームの危機を救った絹旗に、一方通行はやや怪訝な表情を浮かべて問いかける。
一方通行の表情が曇っているのも無理はない。なんと言っても純粋に心の底から“愉しい”と感じていた真剣勝負に水をさされたのだから。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:08:32.99 ID:3GesDBP50<>
「私が現場復帰して『外』での初仕事を終えた帰り道で、超偶然に遭遇しただけです。“赤の他人”以上、“友達”未満の面白くもなんともない超平凡な関係です」
そんな一方通行の心情など露知らず、絹旗は彼の質問に対して淡々と返事を返す。
「……、」
こうも普通の返事を返されてしまったら、さすがの学園都市最高の頭脳を持つ彼も黙らざるをえない。
変な居心地の悪さを感じた一方通行は無言のまま、つい先程自身に向かって強烈なシュートを放った豪炎寺の方を見る。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:09:38.47 ID:3GesDBP50<>
「……そうだな。オレがピンチだった時にコイツが突然助けに入ってきた程度の関係だ、それ以上でもそれ以下でもない」
豪炎寺は一方通行の無言の圧力を察したのか静かに首肯で応じ、こちらも淡々と言葉を紡ぐ。
その目は決してぶれることなく一方通行を見据え、彼に対して微塵も恐怖や怯えを抱いていない。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:11:26.86 ID:3GesDBP50<>
「……ハッ、そォかよ。オマエらは久々の再会で積もる話もあるみてェだが、とりあえず今は試合中だ。華々しい会話を楽しみてェならこの試合が終わった後にしやがれ」
一方通行はそう言うと絹旗の足元にあったボールを右足で強引に奪い取り、それを前線に向けて大きな放物線を描くように蹴り飛ばす。
「――なっ!? いきなり超なにするんですか第一位!! せっかく私が自陣の最後尾からの華麗な『11人抜き(イレブンスルー)』に超挑もうとしていたのに!!?」
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:12:30.14 ID:3GesDBP50<>
「……ハァ? 『ドライブスルー』に挑みてェとか馬鹿なこと言ってンじゃねェよ。オマエはまだ車も運転出来ねェガキだろォが、あと10年経つまで大人しく補助輪付き自転車にでも跨って風を切って遊ンでやがれ」
「…………私はこれでも超中学生なンですがァァアアアアッ!!?」
一方通行に煽られた絹旗は鬼のような形相を浮かべ、地面が浅く陥没するほど力強く蹴って一方通行の胸倉に掴みかかろうとする。
――――が、しかし
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:14:33.49 ID:3GesDBP50<>
「――馬鹿正直に直線で迫って来る物体ほど、避けやすいモノはねェンだぞクソチビ。こンなアホに『反射』なンざ使うだけ無駄無駄ァ」
「――なっ!!?」
目前まで接近していた絹旗を、一方通行はまるで熟練の闘牛士のような動きで華麗に後方へと(ちなみにすれ違いの際に『ベクトル操作』で速度を加速させながら)受け流す。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:15:39.76 ID:3GesDBP50<>
「――ちょっ!?なぜ自分の方に来るのですか!!?」
「不満はあの第一位に超言ってくださ――――ぎゃぁぁああああ!!?」
「――鳩尾にクリティカルヒットッッ!!?」
そして静止を忘れた『絹旗砲』が衝突したのは、海原光貴の姿を借りた“アステカの魔術師”エツァリのちょうど鳩尾の部分。
奇妙な奇声をあげて吹き飛ぶ彼の姿は、かつて“常盤台の超電磁砲”にタックルをかまされた世界で一番不幸な人間と酷似していた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:16:30.76 ID:3GesDBP50<>
「(…………小さな子供でこの威力。御坂さんに真正面からタックルされたら自分は死ぬかもしれません……ッ)」
『絹旗砲』に『ベクトル操作』が掛かっているとは全く知らないエツァリは、衝撃で吹き飛ばされながらそんな事を考えていた。
おそらく仮に御坂が海原の姿をしたエツァリにタックルをかましたとしても、彼は死にはしないだろう。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/01/29(日) 02:17:35.54 ID:3GesDBP50<>
――――だがその後に迫り来る“心も体も切り刻んで再起不能にする最悪の腹黒空間移動能力者”に対しては、その限りではない。
学園都市第三位の『超電磁砲』――御坂美琴――に心酔し、禁断の領域に片足どころか全身を1000数えるまで浸かっている『空間移動』の大能力者、白井黒子。
彼女は恐らくエツァリがたとえ地球の反対側へと逃げても追いかけて来るだろう。敬愛するお姉様に有害な類人猿をこれ以上近づけさせないために――。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/01/29(日) 02:20:25.81 ID:3GesDBP50<> 今回の投下は以上です。
次回の投下は三日以内に来ます。
それではまたのちほど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/29(日) 09:36:38.02 ID:XXqdq2790<> 乙
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/01/29(日) 09:56:46.15 ID:0ttMntnAO<> 乙
会ったとき麦野が垣根に何言ったか気になるな <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/01(水) 00:31:22.94 ID:VuQNIuW90<> >>1です、こんばんは。 短いですが今回の分の投下に来ました。
>>418さんの気になる話は今の試合後にでも投下しようと考えています。
さらにそれと同時に安価というものを計画しています。
計画名は『とある安価の仲間探し』ですね。選択肢をいくつか用意しておくのでそれに読者の皆様方が答えてくれると嬉しいです。
それではまたのちほど。
今回から個別のコメントは可能な限り控えます。でも書き込まれたコメントを無視しているわけではないです。ひっそりと執筆意欲の源にさせていただきますので、これからもよろしくお願いします。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:36:29.29 ID:VuQNIuW90<> >>415 続き
「――おいおい、あんまり蹴り上げ過ぎんじゃねぇよ一方通行。また性懲りもなく大気圏まで届かせるつもりか?」
一方通行が前線へと蹴ったボールは綺麗な放物線を描いてセンターラインを超え、失速することなくその飛距離を伸ばしていく。
現在は能力で構成された翼を生やさずに地上からボールを見上げていた垣根は、余計な手出しはせずにその行方を見守っていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:38:55.76 ID:VuQNIuW90<>
――――――シュンッ!
――だがそのボールが最高点に達して落下しかけた直後、まるで神隠しにあったかのようにボールは忽然と姿を消してしまう。
「――……まったく、少しはこの子たちのことを考えなさいよあなたたち。超能力者が好き勝手に暴れていたら、もうこれは“サッカー”ではなく“戦争”じゃない」
嘆息混じりにそう呟いたのは、いつもの胸元にサラシを巻いて露出狂染みた格好――ではない結標淡希。
普段は露にしているスラリと伸びた足は濃い黒のジャージで包まれており、彼女の足元には先程姿を消したボールがピタリと静止していた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:41:30.27 ID:VuQNIuW90<>
結標の所持する能力は『座標移動』と呼ばれる学園都市内でも珍しい空間移動系能力である。一度に飛ばせる距離は800m以上、重量は最大4520kgという、おそらく学園都市内における空間移動能力者の『頂点』と呼んでも差し支えない能力だ。
そして結標はその能力を使い、上空を翔るボールを瞬き程度の一瞬で自身の足元へと転移させたのであった。
「(……ふふっ、どうよあなた達?この場は超能力者が多すぎて私の存在が霞んで見えるけど、私だって“魅せる”時は“魅せる”女なのよ)」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:42:18.82 ID:VuQNIuW90<>
――――先程から試合に置いてきぼりにされている子供達に、少しでも自身の良い所を魅せる為に。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:46:03.52 ID:VuQNIuW90<>
「…………スゲェ!ただの変な姉ちゃんと思ってたら、実はカッケー姉ちゃんだった!!」
「(……あら?褒めてくれるのは嬉しいことだけど、“変”って思われていたのは少しいただけないわね)」
そして結標の(ほぼ)思惑通り、すぐ隣にいる黒髪短髪の少年が突如目の前で繰り出された彼女の能力に感動していた。
しかし、彼から見たら『座標移動』の能力は“虚空から物体を出現させる”マジックと同程度としか思われていない様子である。
一方通行のような『ベクトル操作』などの応用性の高い能力に比べてぶっちゃけた話、『座標移動』は所詮『空間移動』しか出来ないのだ。ただの『マジック』という淡白な感想を持たれるのも無理はない。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:47:11.03 ID:VuQNIuW90<>
「(うーん……、『もっと褒めてもいいのよ』ってこの子達に言いたい所だけど、まずは私に対する不可解な印象を払拭するのが優先よね。せっかく褒められたのだから、マイナスイメージは出来るだけ潰しておきたいわ)」
だがそれでも結標は純粋に(小さな子どもから)自身を褒められた事がなにより嬉しかったのか、『オマエその表情ずっとしていたらトップアイドルも夢じゃない』と言われそうなほどにこやかな笑みを浮かべて――――
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:48:27.31 ID:VuQNIuW90<>
「こらこら、“変な”とか言わないの。……そもそもお姉ちゃんのどの辺りが変なのかしら?」
「え? 姉ちゃんの変なところ? うーん…………、その気持ち悪いしゃべり方かな?」
「(――き、気持ち悪いッ!!?)」
「……えっと、うん。ぼくもそう思うかな」
「(まさかの二人目ッ!?)」
「――――がんばれーっ! しゃべり方が変だけどかっこいいおねえさーんっ!!」
「やめて!その純真無垢さが私を傷つけているのに早く気が付いて!!?」
――――その笑顔が『世界の理不尽な運命に虐げられ、この世の全てに絶望した人間』のそれと同等に変わるのには、そう時間はかからなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:49:58.51 ID:VuQNIuW90<>
「(……、なに馬鹿なことやってンだあのショタコン。この世の終わりみてェな雰囲気醸し出しやがって)」
「(……、完全にアホだなあの女)」
「(……、空間移動系の能力者ってたしか“変態”が多いって噂があった気がするわ)」
そして三者三様の反応を見せる学園都市の超能力者達は、自身の惨めさに耐え切れずに両手で顔を隠してうずくまる結標へ哀れみを含んだ眼差しを向けた。
その視線を感じてなのか、テンションの下降に比例するかのように結標の姿がみるみる小さくなっていく。……このままでは自身を転移させて本当に消えてしまうかもしれない。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:51:18.32 ID:VuQNIuW90<>
「――――おやおや、こいつはちょうどよかった。このボールはミサカがもらっていくよ、高度が高すぎて手出しが出来なくて少し困っていた所だったんだよね☆」
だがそんな状態の結標を気にかけることなく、他人の心に平気な顔をして土足で踏み込むことの出来る番外個体は静止していたボールを華麗に奪い去る。
もはや誰が味方で誰が敵なのかが分からなくなってきているが、結標や番外個体、垣根に一方通行や麦野とその他面々は同じ“チーム”であるという事実を忘れてはならない。
ただ、同じチーム内でボールの奪い合いをしている時点で、チームワークは壊滅的という結論は言うまでもないが。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:52:21.44 ID:VuQNIuW90<>
「あっ! ズリーぞ腕の折れた姉ちゃん!! オレにもボールを触らせろよ!!」
「ぎゃははっ☆ このボールに触りたかったらミサカからボールを奪うことだね。――――ま、お子様じゃ到底ムリだろうけど」
「なんだとッ!? そんなのやってみなきゃ分からないだろ!!」
「ふーん、このミサカに対して威勢の良さは70点。……だけど覇気が微塵も感じられないね、覇気がないならせめて“力”を持たなきゃダメでしょ。――――こんな風にさ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/01(水) 00:54:26.75 ID:VuQNIuW90<>
――――――バチチチチチチッッ!!
「うわっ!!?」
「お姉様のような『超電磁砲』は出力が足りなくてミサカには出来ないけど、それの劣化版に相当する『磁力狙撃砲』なら射出できるんだよね、ぎゃはっ☆」
全身から目の眩む程の青白い火花を散らし、足元にあるボールへ視線を落とす番外個体。
地面に影を落とした彼女は嗜虐的な笑みで口角を最大まで吊り上げ、その両目はなにやら怪しげな鈍い光を宿していた。
「――――さて、音速を超える速度でボールを放ったらどうなるか検証実験といこうか。ソニックムーブで鼓膜が破れる可能性があるから耳は塞いでおいたほうがいいかもね☆」
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/01(水) 00:56:43.51 ID:VuQNIuW90<> 終わりです、ありがとうございました。
次回の投下は金曜までに1回来れたらいいなと考えています。
それではまたのちほど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2012/02/01(水) 00:58:38.68 ID:3epOoFK4o<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 17:43:13.43 ID:mCPCVfo10<> 乙
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/01(水) 18:22:31.78 ID:vhcNSc7AO<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/03(金) 23:08:22.68 ID:A7A3B80m0<> 風邪を引いたけど1日で治った>>1です、こんばんは。今回の分の投下に来ました。
今回はいつもよりほんの少し多めです、けど話はあんまり進みません。(多めの意味がない…)
まあとにかく投下していきます。
それではまたのちほど。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/03(金) 23:11:33.09 ID:A7A3B80m0<> >>430 続き
「……く、くそっ! これくらいでオレはあきらめないぞ、絶対にアンタからボールを取ってやる!!」
「――――甘い甘いね甘すぎる。そんな速度じゃ100年経っても遅いよ。 ――以下『あの人』の過去の台詞より抜粋。ぎゃはっ☆」
味方であるのにも関わらず、果敢にボールを奪いに来た黒髪短髪の少年を番外個体は容易く引き離し、そのまま華麗なボール捌きで前線へと駆け上がる。
途中で目の前に立ち塞がる不良少年達には、弱い威力の電撃を浴びせて全身を痺れさせて動きを封殺。電撃を奇跡的に避けた者には、能力の応用で莫大な高圧電流をもって空気を爆発させ、驚異的な加速を得て瞬時に振り切る。
試合開始までは“パフォーマンス向き”の技術しか持ち合わせていなかった番外個体だが、現在は着実に“競技向け”の技術を身に付け始めていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:12:51.71 ID:A7A3B80m0<>
その他の追随を許さない圧倒的な成長スピードには、現在進行形で『ミサカネットワーク』で話題沸騰中のとある個体の記憶映像が深く関わっている。
その映像が発端となり、現在『ミサカネットワーク』上では『サッカー』に関する様々な情報が飛び交っていた。
『初心者でも簡単に相手のディフェンスを突破するテク』やら、『サッカーの本場「ブラジル」にいるミサカ17403号が現地の住民から教えてもらったフェイント技「エラシコ」のやり方』やら、『サッカーを極めると背後から魔人が出現する』などなど――。
一部明らかにこれはガセネタだろうと疑わざるを得ない話題を時折散りばめながら、『ミサカネットワーク』は現在“お祭り”状態だった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:13:33.93 ID:A7A3B80m0<>
『一方通行がどうやらサッカーをしているようです、とミサカ10032号は冷静を装いながら実際は内心驚愕で目を点にしつつ、その映像の「ミサカネットワーク」上への配信を開始します』
『まさか。彼がサッカーをするはずが――――なん、だと……? とミサカ14829号は10032号の配信した映像に対し、驚愕した際の常套句を述べて頬をつねってみます』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:14:22.33 ID:A7A3B80m0<>
『そういえばつい2時間程前に上位個体から緊急の呼び掛けがありましたよね、とミサカ15865号は唐突に思い返してみます』
『たしか議題は「超次元サッカーを“あの人”に伝えるには、まずどうしたらいいかな?」だった気がします、とミサカ13886号はおぼろげな記憶を頼りに発言します』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:15:24.11 ID:A7A3B80m0<>
『2時間前のミサカは「調整中」でミサカネットワークから一時的に切断されていた状態にあったのですが、その時一体何があったのですか? とミサカ17329号は状況の説明を要求します』
『それならば記憶のバックアップを見たほうが早いのでは? とミサカ12730号は17329号に助言します』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:16:27.60 ID:A7A3B80m0<>
『最初はお互い真剣に議論を交わしていましたが、途中から「好きなキャラは誰か?」にシフトしていましたよね、とミサカ14600号は“ブリザードの吹雪”を思い浮かべながら状況を簡単に説明してみます』
『二重人格などありきたりな設定に興味はありません、自ら“神”と呼称するイタイ彼をミサカは推薦します、とミサカ10603号はあの絹の様な金髪を弄びたい衝動に駆られそうになりながらなんとか平然を装います』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:17:22.26 ID:A7A3B80m0<>
『……10603号にツッコミを入れてはいけない……、……10603号に“微塵も隠せていない”というツッコミを入れてはいけない……、とミサカ19234号は自らの心に言い聞かせます』
『どうやらここにいるミサカの殆どが上位個体の記憶映像を通じて「超次元サッカー」に関連する知識を保有しているようですね、とミサカ10032号は現在ミサカネットワークに接続しているミサカに確認をとります』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:18:14.87 ID:A7A3B80m0<>
『「普通のサッカー」に関連する知識もミサカは保有していますよ、とミサカ12700号は自身の記憶の一部分をミサカネットワーク上に公開します』
『ミサカはサッカーの本場「ブラジル」仕込みのフェイント技を現地の研究員から教えてもらいました、とミサカ17403号はその時の記憶をミサカネットワーク上に公開します』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:19:02.34 ID:A7A3B80m0<>
『さっきから何の話題で盛り上がっているの?ってミサカはミサカは颯爽と風の様に現れてみたり!』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:20:15.04 ID:A7A3B80m0<>
『――――上位個体が現れたのでここらで一度解散にしましょう、とミサカ10032号は上位個体を除く全ミサカに同意を促します』
『『『『『『『異議なし』』』』』』』
『――一万弱の人間による仲間外れはもう「いじめ」ってレベルじゃねーぞ?ってミサカはミサカは「司令塔」たるミサカを怒らせた全ミサカに対しての復讐を開始してみる』
『(半分)冗談ですよ上位個体。ちょっとした“悪戯心”に駆られてしまっただけですから、とミサカ10032号は上位個体により奇抜極まりないポーズを強制させられながら真実を包み隠さず白状します』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:22:22.43 ID:A7A3B80m0<>
『……、』
『――――こ、これは非常に危険な状況です。このまま上位個体が機嫌を損ねたままでは全ミサカが全世界の警察に逮捕されてしまうかもしれません、とミサカ15432号は奇抜なポーズで固まる外部研修の為に外出していたミサカに迫り来る黒服警棒装備の筋骨隆々の男性がこちらに警笛を鳴らしながら凄い速度で――――――ッ!』
「(……ミサカの体内に『シート』や『セレクター』が埋め込まれていて助かった。“あんなポーズ”をやらされてたら、こう見えて感情表現豊かなミサカは一生の“トラウマ”を負うところだったよ)」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:23:22.23 ID:A7A3B80m0<>
なんの前触れもなく“元”『怪人チビ毛布』こと『アホ毛大帝』打ち止めの登場により、祭りで盛り上がった熱がいっきに冷めるどころか凍える監獄に強制連行されそうになってしまった妹達の面々を、番外個体は背筋にうすら寒いモノを感じながら傍観していた。
もちろんそれを番外個体は静かにただ見聞きしていたのではなく、ボールを奪いに迫り来る不良少年達の相手をしながらである。 そんな“余裕”が生まれてしまうほど、彼女の成長速度は異常だった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:25:02.61 ID:A7A3B80m0<>
「くっそ……! ――このアマぁぁああああ!!」
「調子に乗るんじゃねぇぞぉぉおおおお!!」
純粋な腕っ節で勝る男がひ弱な女に手駒に取られるのが気に食わなかったのか、二人の不良少年が番外個体へ地面を抉るようなスライディングを仕掛けてきた。
「んー? 別にミサカは調子に乗ったりしてないけどさ、それでもそう感じるなら単にあなた達の実力が足りてないだけじゃないの? ――――嫉妬乙、ぎゃはっ☆」
「「――なにッッ!!?」」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:27:01.90 ID:A7A3B80m0<>
砂埃を巻き上げながら襲い掛かってくるスライディングを、蝶のようにヒラリと舞って避ける番外個体。
そのあまりの呆気なさに驚きを隠しきれない不良少年達だが、別になんら不思議なことではない。“現在”の番外個体はそんじょそこらのアマチュア選手にボールを奪われるほど“弱く”ないのだ。
その実力は『外』のサッカー界の用語で表現するなら『女子日本代表候補』レベルである。
凡人より少しだけボールの扱いに長けていただけの番外個体が、この短時間で急激に成長出来た理由は一つしかない。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:28:23.83 ID:A7A3B80m0<>
――突然だが、一万人の並列した脳内による情報処理能力は、某忍者漫画の主人公の『多重影分身』という忍術と仕組みがよく似ている。
某忍者少年の方は本人と遺伝子レベルで同じ人間を『チャクラ』によって出現させ、その出現した分身が“経験した事”は分身が消えると同時にオリジナルへと還元される方式だが、『妹達』の場合は似て非なるものだ。なぜなら『妹達』の場合はその“経験した事”を伝えるのに消える必要がないからである。
『妹達』の最大の特徴である『ミサカネットワーク』は、現実の物で表すなら巨大な並列コンピュータだ。『樹形図の設計者』にはさすがに劣るが、その情報処理能力は並大抵のモノではない。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:29:24.61 ID:A7A3B80m0<>
そして『球技』にしろ『競技』にしろ、そのどちらに対しても有効なトレーニング方法として挙げられるのは『シミュレーション』である。場所も道具も必要ない、ただ正常な頭脳があれば可能なトレーニング。
――――そのトレーニングを約一万人もの人間が同時に行えば一体どうなるのか?
――答えは今の番外個体の成長速度が物語っている、つまりそういうことである。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:30:21.64 ID:A7A3B80m0<>
「さっきの第二位のシュートが不発に終わったってことは、ミサカが“本気”を出しても問題ないよね?――――うん。自問自答終了、射出まであと2秒ってとこかな☆」
そしてそんな“反則的”成長を続ける番外個体は、既に相手ゴールの射程圏内へと突入していた。
彼女は先程垣根の放ったシュートをコーティングした時と同じように地中から砂鉄を引きずり出す。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:31:37.69 ID:A7A3B80m0<>
番外個体はそれを慣れた手つきでボールの周囲に纏わりつかせる。一部の隙間もなく漆黒に彩られたその球体に彼女は自身の電撃を付加させ、反射的に目を瞑ってしまいそうなほどの光量を周囲に散らす。
その強烈な閃光は視界を潰すのには最適だったようで、ボールの周辺にいた何人かの不良少年達は一時的に視界を奪われてしまった。
そしてもちろん番外個体は彼らへ一言も謝罪の言葉を述べることなく、自身の左足を軸にその場でバレエ選手のように一回、二回と回り始め――――
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/03(金) 23:33:42.56 ID:A7A3B80m0<>
「――――――カウント1――――0」
回転しながらもきっちり二秒を数え、その三回転目でボールを正面に捉えた瞬間、番外個体の右足が唸りをあげた。
「――――――――ビリっとな☆」
番外個体に似合わない可愛らしい声と共に放たれた音速を超える雷の一撃は、莫大な音をコートに轟かせながら不死鳥の心臓へと突き刺さった。
不死鳥の心臓――――つまり、チーム『不死鳥』のゴールへと。
「ぎゃははっ、先制点もーらいっ☆」
――試合開始から12分が経過。先制点を決めたのはチーム『一方通行(仮)』に所属する『妹達』の一番末の妹、番外個体であった。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/03(金) 23:38:59.05 ID:A7A3B80m0<> ちぇいさー! 今回の投下は以上です、ありがとうございました。
左足を軸に蹴るフォームは電撃姫が自販機に食らわせる例のアレを想像してもらえると簡単かと思います。……下手な文章から読み取れましたかね……?
次回の投下は今週中にもう一度来れたら来ます。来れなかったら月曜日です。
それではまたのちほど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 09:56:04.05 ID:N6E/ADTf0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/05(日) 22:09:11.99 ID:KYYJnhbSO<> 乙だってばよ <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/07(火) 00:32:18.99 ID:Y2/wC7BA0<> >>1です、遅れてすみません…。 とりあえずこんばんは。 今回の分の投下に来ました。
今回は最後に『とある安価の仲間探し』の選択肢を用意しておきます。次章のお話はその安価で選ばれたキャラがメインになる予定です。 可能であれば複数回やっていきたいと思います。
それではまたのちほど <>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:41:23.96 ID:Y2/wC7BA0<> >>454 続き
「(……いやー、あまりにも呆気なかったね。相手は所詮人間、視界を潰して反応すら許さない速度でシュートを打てば初心者のミサカでも点取れるのに。『馬鹿正直に真正面から挑んで勝つ』とかこのミサカが考えるハズがないじゃん、ぎゃは☆)」
「……う、嘘だろ……?」
「俺達が、先制点を、取られた……?」
あまりの一瞬の出来事にうまく事態を飲み込めていない不良少年達は、酸欠の金魚のように口をパクパク動かしながら、自分達のゴール内で青白い電気を帯びて転がるボールを見る。
どの角度から見てもその球体は確実にゴールラインを越えていた。サッカーを知るどの人間が見ても、チーム『不死鳥』の失点は明らかである。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:42:37.93 ID:Y2/wC7BA0<>
「(ちょろいちょろい☆ この分ならミサカ、ハットトリックを狙えそうだね。よっぽどの異常事態でも起こらない限りは――――)」
番外個体が額にうっすらと浮かんだ汗を左手で拭い、その場から自陣のコートへと戻ろうとしたその時だった。
――――――バチンッ! というブレーカーが落ちた時とよく似た音が、番外個体の脳内で鳴り響いた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:43:35.57 ID:Y2/wC7BA0<>
「(――ん?…………、ヤバイヤバイこれはマズイマズイマズイマズイ最終信号が計り知れない量の『怒り』の感情をネットワーク上に伝播してそれが『妹達』に伝わってそれを抽出しやすいミサカに一万弱の感情の波が――――!!)」
誰に対しての状況説明なのか、現在進行形で起こる現状を簡略に伝えようとする番外個体。
そんな『妹達』の第三次製造計画で作られた彼女には、他の『妹達』にはないある特別な調整がいくつか施されている。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:44:34.04 ID:Y2/wC7BA0<>
一つは『妹達』の上位個体である打ち止めからの上位命令の拒否。これにより番外個体は様々な行動において制限をかけられることはほとんどない。
そしてもう一つは『ミサカネットワーク』の『負』の感情を拾いやすいということ。そのため根元から『悪意』に満ちた番外個体は、基本的に周囲の人間へ“好意”を向けることはほぼ皆無である。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:45:52.37 ID:Y2/wC7BA0<>
ちなみにこの二つの特徴は対『一方通行』用に施された特別な調整であり、手綱の握れなくなった一方通行の身も心も完全に破壊する為に学園都市の暗部が準備したものであった。
しかし現在では、一方通行と番外個体は手を組んで学園都市への反逆を誓い合っている。調整された事自体が無駄になりつつあるが、それが希薄になったからといって調整された値が変動するわけでもない。
――――つまり何が言いたいのかというと、『負』の感情を拾いやすい番外個体は打ち止めに操作はされないが、大量の『負』の感情には流されやすいというわけである。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:46:56.97 ID:Y2/wC7BA0<>
『ミサカを除け者にした罪は重いからね?ってミサカはミサカは悪魔の微笑みを浮かべながら、聞こえていないだろうけどあの人と番外個体に告げてみる』
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:47:59.76 ID:Y2/wC7BA0<>
今までに類を見ない莫大な一万人もの『負』の感情を一気に抽出してしまった番外個体の自我意識はそこで途切れ、本来操作されることのないその身体は『感情』の波の制御下に堕ちた。
――この感情の八割を占めるモノは打ち止めによる『嫉妬』、これによりヤンデレワーストちゃんの爆誕である。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:48:59.09 ID:Y2/wC7BA0<>
「ねぇねぇ第一位、さっきのミサカのシュートに惚れ惚れしたでしょしたよねしてないはずがないよね?」
「……オイ、いつからオマエは暗黒面に堕ち―――……。いや違ェ、“元”がそンなンだったなオマエは」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:50:24.52 ID:Y2/wC7BA0<>
「イエス!生まれも育ちも闇の中、『妹達』の『悪意』の象徴、番外個体ちゃんでーすっ!!ミサカはあなたの事が世界で一番大好き。ミサカはあなたの事以外考えられない。あなたしかミサカの事を癒せない。あなたはいつもミサカと一緒にいなきゃダメなの、いてくれなきゃミサカはあなたを拉致・監禁してでも傍にいさせるんだから。それでもあなたがミサカの傍にいてくれないなら、その時はあなたの両手両足を切断して自由を奪うしかないよね。でも安心して、ミサカはそんなあなたの手足になるんだから生活には困らないもん。他にも――――」
「オーイ、誰でもいいから常盤台の第五位つれて来い。番外個体の頭のネジが3000本ぐらい吹き飛ンでやがる」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:51:18.26 ID:Y2/wC7BA0<>
「一方通行。お言葉ですが、おそらく番外個体さん……でよろしかったですか? とりあえず彼女に精神操作系の能力は効かないと思われます。御坂さんの周囲には無自覚に電磁バリアが形成されており、基本的に精神操作系の能力に干渉されません。彼女が自ら遺伝子レベルで同じ『妹達』と名乗ったのならば、おそらく御坂さんと同じ結果になるのでは?」
「……チッ、相変わらず『オリジナル』関連の話題になるとベラベラ喋るよなオマエ。
じゃあ一体どォすりゃいいンだよ。俺は未だかつて、こンな悪寒の走る気持ち悪い喋り方をする番外個体なンざ見たこともねェンだぞ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:52:22.12 ID:Y2/wC7BA0<>
「うふふふふふミサカによる鮮やかなミサカが放ったミサカの華麗な電撃シュートうふふふふふふふふふふふふふふ」
「オイ一方通行! 番外個体が本格的にぶっ壊れてきてんぞ!? あとなんか周囲に漏電してやがる!!」
「…………あーもォ、どォなってやがンだチクショウ。――とりあえず垣根は番外個体が暴れださねェようにオマエの翼でアイツを包み込め。ただし俺の指示があるまで拘束するンじゃねェ」
「……なんであいつをさっさと拘束しねぇのかが疑問だが、テメェが言うからにはその選択で間違いはねぇんだろうな。――まあ、とりあえず任せろ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:53:36.26 ID:Y2/wC7BA0<>
「結標はガキ共をご自慢の能力で連れて出来るだけ遠くへ避難しろ、ついでにそこの不良共もだ。一般市民を巻き添えにしちまったらクソ面倒な事になるからなァ」
「…………私って変なのかしら、私って変なのかしら、私って変なのかしら…………」
「オイ姉ちゃんしっかりしろよ! オイってば!!」
「しっかりしてお姉ちゃん! お姉ちゃん!!」
「オイオイ、オマエもかよ……ッ。この緊急事態にホント使えねェなショタコン露出狂……!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:54:27.47 ID:Y2/wC7BA0<>
突如暴走を開始した番外個体に翻弄される一方通行たち。もはやサッカーの試合どころではなくなってしまった。
垣根は一方通行の指示で『未元物質』で構成された翼を展開し、いつでも番外個体を拘束できるように準備を整える。背中から生えた神秘的な光をたたえた翼の最長は数十メートルに達しており、彼は全力全開で超能力を使っているのが窺えた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/07(火) 00:56:17.10 ID:Y2/wC7BA0<>
そしてそれを上空ではなく間近で見た不良少年達は、その神々しさすら感じられる静かな威圧感に圧倒されてただ生唾を飲み込む事しか出来なかった。
異なる世界の掌握者はそんな少年らに視線を向けることなく、ただ番外個体を両目で見据えながら淡々と言葉を紡ぐ。
「一流の『悪党』ってのは、一般人を巻き込んじゃいけねぇんだよな?だったら俺はテメェらを守らなきゃならねぇ。
番外個体の電撃で消し炭にされたくなかったら俺の後ろに隠れてろ、蟻の子一匹通さねぇ自信はある」
「……………………ヤベェ、俺が女ならたぶん惚れてる」
「「「「「なに言ってんのリョウ君ッッ!!?」」」」」
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/07(火) 01:23:38.86 ID:Y2/wC7BA0<> キリが悪いですが、今回はここまでです。
短かった上に予定時刻を過ぎてしまい申し訳ございません…。
次回の投下はたぶん今日みたいな感じになると思います。
時間が間に合えばまた今日中に、間に合わなかったら日付の変わったあとになりそうです。
さて、今回はあと少しだけコメントを書かせていただきます。
内容は安価の選択肢です。次の中から選んでもらえるとありがたいです。
・その1 『とある根性さんと華奢な九つ子達』
・その2 『とある常盤台の女王と取り巻き達』
・その3 『とあるお嬢様とジャージ娘と怪力JCと世紀末帝王』
・その4 『とある電撃姫と露払い』
・その5 『とある軍曹と追跡者と露出狂』
・その6 『とある暗部の新入生』
・その7 『とある正体不明の人工天使』
以上の7つです。 そのうちそれぞれの簡単な予告をつくるかもしれません。
それではまたのちほど <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/07(火) 01:33:20.44 ID:Y2lUU9PAO<> 乙
ていとくんマジイケメン
その3が見たいかな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/02/07(火) 18:46:44.00 ID:6LifAj1Z0<> 乙
3がいい
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/07(火) 22:31:36.00 ID:V01nXc3fo<> 3 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/08(水) 00:36:14.74 ID:g3VKUojA0<> >>1です、こんばんは。今回も短いですが投下にきました。
安価の反応がちゃんとあって安心しました。でもまだ決定ではないのでしばらく安価は続きます。
とりあえず今回の分を投下していきますね。
それではまたのちほど。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/08(水) 00:40:11.21 ID:g3VKUojA0<> >>472 続き
「――――で、私達は超どうします麦野? なんだか試合どころでは超なくなってしまいましたが?」
そんな垣根と不良少年達から離れること数メートル。一方通行の傍を離れて『アイテム』の元へ戻った絹旗は、麦野と今後についての話し合いを始めた。
「そもそも私達はただの成り行きで参加していたに過ぎないし、別にいなくなっても問題はないでしょ」
「むー、そうですか。私はもう少しこのまま試合を超続行したかったのですが、麦野がそう言うなら仕方ないですね」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/08(水) 00:42:24.21 ID:g3VKUojA0<>
「……ふーん?なにか腑に落ちない様子ね絹旗。アレならそこにいる第一位様にでも『私を仲間に超入れてください!球拾いでも何でもやりますので超お願いします!!』って言って、このイザコザが終わった後に一緒に『球遊び』でもしてくれば?」
「なんで私が第一位に超低姿勢で仲間に入れてもらおうとしなきゃいけないんですか!頭を下げるのは浜面の超専売特許なので、私は絶対に頭なんて超下げませんよッ!?そもそも私は浜面と同じレベルにまで堕ちるつもりは超ありませんから!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/08(水) 00:43:41.76 ID:g3VKUojA0<>
「あっそ。まあ確かに絹旗の意見には同感、浜面以上に頭を下げるのが似合う男はいないわね。……っつーかそれよりまずは――、」
「…………滝壺、俺活躍するどころかボールに触れてすらねえんだが……ッ」
「大丈夫だよはまづら。そんな無能で無力なはまづらの事を、私は大好きだから」
「……ごめん滝壺、それは俺へ好意を“突き放している”のか“寄せている”のかどっちなんだ?」
「両方」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/08(水) 00:44:53.82 ID:g3VKUojA0<>
「……、じゃあアレか滝壺。これはいわゆる『ツンデレ』というやつですか?」
「そういうことに……なるのかな?」
「(ぐはっ!今のが『ツンデレ』かどうかは関係なしに、可愛らしく小首を傾げて上目遣いとか凶悪すぎるぜマイエンジェル!! 滝壺がいれば世界は平和になるぞいや冗談抜きで!?)」
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/08(水) 00:46:12.54 ID:g3VKUojA0<>
「――はーまづらぁ?猿みてぇに鼻の下伸ばしてる所悪いんだけどさ、今からシャケ弁買ってきてっつーか買って来い。不味かったらテメェの腕に一生関節技極めて耳元で『愛してるよ浜面』って連呼してやる」
「何いきなり物騒なこと言ってくれてんの麦野ッ!? ――ってか俺に『ヤンデレ』の趣味はねぇぇええええ!!」
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/08(水) 00:48:30.45 ID:g3VKUojA0<>
「じゃあそうなりたくなかったらさっさと買って来いっつーの。――ほら、絹旗と滝壺はどうする?」
「へ? あ、えっと、私はチョコロールパンを超希望します。売ってなかったらメロンパンで超我慢してあげます」
「私は大丈夫だよ麦野、今はお腹空いてないから」
「それじゃあ私のシャケ弁に絹旗のチョコロールパン追加でさっさと行きなさい浜面。帰り道で頼んだ品を転んでブチ撒けたら、テメェの腸もブチ撒けてやるからそのつもりで」
「昼飯一つで猟奇的殺人が起こるとかふざけんなよチクショォォオオオオ!!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/08(水) 00:51:34.39 ID:g3VKUojA0<>
滝壺とのラブラブ空間から一転し、麦野にいいように弄ばれ、絹旗から上から目線でお使いを頼まれた世紀末帝王HAMADURA。
第三次世界大戦を渡り歩いたのは、『実は浜面のそっくりさんだった』と言われても妙に納得できてしまうほど、彼から滲み出る小者臭が半端じゃない。
「…………あーもうクソッ、なんで俺ばっかり……!」
そしてそのまま彼はぶつくさ文句を垂れ流しながら、渋々買い物へと出掛けていった。世紀末帝王の本日のお使いはこれで二度目、『二度あることは三度ある』とよく言うが、彼の三度目のお使いはあるのだろうか。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/08(水) 00:52:50.95 ID:g3VKUojA0<>
「――――さて。あの無能な馬鹿面もいなくなった事だし、私達も動こうかしら」
浜面がコートから離れ、声の届かない距離まで彼が移動したのを見計らって麦野は『アイテム』の面々にそう告げた。
「? 『私達も動く』って、これから超何をするつもりですか麦野?」
「……、あのアオザイを着ている第三位そっくりの女を見ると、“昔”の私と被る所があってなんかイヤなのよ。なんて言うか――同属嫌悪? よく分からないけど見ているこっちがイライラすんの」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/08(水) 01:16:56.04 ID:g3VKUojA0<>
「はぁ、つまり私達は今からあの目つきの悪い女の鎮圧に超努めるわけですか?」
「あんまり気乗りはしないけどそういうこと。分かったらさっさと行くわよ、滝壺は無理しない程度に私の演算補助をお願い。あと危険と思ったらすぐに戦闘から離脱、仮に攻撃が飛んで来たら私を呼びなさい」
麦野は肩に掛かった自慢の長髪を手で軽く撫で、優雅にそれを後ろに払い除けて言葉を紡いだ。
「――――まだ本調子とは言えないが、あなたの『楯』ぐらいにはなれるわよ。誰がなんと言おうが、私はあなた達『アイテム』の“リーダー”だからね」
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◆phLlq2zEWI<><>2012/02/08(水) 01:18:54.56 ID:g3VKUojA0<> 終わりです、ありがとうございました。
次回の投下は金曜日までに来れたら来ます。
それではまたのちほど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/08(水) 19:35:02.25 ID:gcJR2YRe0<> 乙‼ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/10(金) 20:33:23.07 ID:GQ0sfu1AO<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/13(月) 01:22:28.21 ID:B+LtcWdV0<> >>1です、こんばんは。
諸事情が重なり投下に来れずにすみません、本日中には投下に来ますので……。
それで安価の作戦は3番になりました。次章の題名は『とあるお嬢様とジャージ娘と怪力JCと世紀末帝王』 になります。すでに本作で彼らは交流しているので、あんまり時間はかからないと思います(実際はどうなるかは分かりません)。
そして本日の投下の時間はおそらく夕方過ぎ頃になります。お待たせした分、今回は大増量(台本形式多い)でお届けさせていただきます。
それではまた夕方過ぎあたりに。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/13(月) 19:58:48.65 ID:B+LtcWdV0<> >>486 続き
「――ったく、結標のアホが役に立たねェから俺がガキ共を避難させる羽目になっちまった。……あの役立たず、あとで『荷物持ち』として使ってやる」
結標が子供達に軽いトラウマを植え付けられて再起不能に陥った直後、一方通行の行動は(愚痴を洩らしながらも)的確かつ適切で迅速だった。
ひとまず行動不能になった結標は土御門に任せ、一方通行はまず子供達をコートから数十メートル離れた場所へと連れて行く。
そこで彼は先程試合で見せたときと同じように『土の壁』を地面から引きずり出し、それを子供達の前に置いて万が一の事態の為の障壁に応用してみせた。
連続して地面から土をごっそり使用するこの技の影響で、コートやその周辺が穴だらけになっているのは言うまでもないだろう。とりあえずこの公園の責任者が今の光景を見たら、頭を抱えて悩むか最悪の場合は卒倒するのは間違いなしである。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:00:04.21 ID:B+LtcWdV0<>
「おいおい一方通行、テメェの避難ぐらい自力でさせろよ。なんでもテメェがやっちまったら、あのガキ共はちっとも成長できねぇだろ?」
「……確かにオマエの言うとおり、ガキ共が自力で避難するのを待つのも重要だ。だが今は状況が状況だ。大能力者クラスの電撃を万が一にでもあのガキ共が喰らってでもしてみろ、一瞬でこンがり焼き上がっちまうンだよ」
「――ハッ、テメェも面白い冗談を言うようになったじゃねぇか。ガキ共をそんな目に遭わせるつもりはさらさらねぇくせに」
「念には念を入れるモノなンだよ。二重三重の策を張り巡らせとけば保険が効いて動きやすくなるのを知らねェのかオマエは」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:01:19.94 ID:B+LtcWdV0<>
「あーへいへい、ありがたい御高説どうも。――それで、テメェの隣に立つ“アンタ”はどうしてここにいやがる? 一般人のアンタがこの戦線に立つのは、お門違いにもほどがあるぜ?」
垣根は訝しげに眉根を寄せながら、一方通行の隣に並び立つ少年に声をかける。
学園都市『最強』の隣に臆することなく並ぶのは、獅子のように髪を逆立たせた“炎のストライカー”こと豪炎寺修也。
いくら豪炎寺が炎を操る『原石』である能力者であったとしても、彼はつい数週間前までは『外』の一般人だった。そのため本来なら彼も避難していなければならないのだが、豪炎寺はそんなことはお構いなしに堂々と一方通行らと同じ戦線に並び立っていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:02:18.99 ID:B+LtcWdV0<>
「細かいことは気にするな。それにオレは試合中に狂い始めたヤツの『対処法』を知っている。少しは力になれると思うのだが、ダメか?」
豪炎寺は垣根の問いに淡々と答えながら自身の足元に視線を移す。そこにはいつの間に取ってきたのか、表面がだいぶ傷んでボロボロになったサッカーボールがあった。
「……、ちなみにその『対処法』っていうはなんだ?まさか『サッカーボールを混乱しているヤツ目掛けてブチ当てて正気に戻す』とか言わねぇよな?」
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:03:43.84 ID:B+LtcWdV0<>
「――フッ、アンタもなかなか見所があるな。まさか一発目でこの答えに辿り着くとは」
見事一発で答えに辿り着いた垣根に、豪炎寺はどこか満足気に腕を組んで頷いた。
実は彼、今までに二回ほどその療法を使用したことがあるのだが、それはまた別のお話である――。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:04:59.53 ID:B+LtcWdV0<>
「――――いや、待て待て待てよ待ちやがれ。その理屈はどう考えてもおかしいだろ。どういう経緯を辿ったらそんな原始的な解決策に到達できたんだよ、むしろテメェの方が狂ってんじゃねぇのか?」
なにやらこのまま会話がフェードアウトしかけたのを、垣根はすかさず強引に割り込むようにしてその流れを断ち切った。
垣根がこの会話を終わらせたくなかったのは、別に豪炎寺が澄ました態度で受け答えしていたからとかではなく、ただ自身が適当に言った“まさか”が真相であった為だ。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:05:56.97 ID:B+LtcWdV0<>
豪炎寺の述べた『対処法』を身近なモノで例えるなら『調子の悪い電化製品を叩いて直す』のと同じ原理である。それを人間に対して実行しようとするのだから、豪炎寺が垣根から『狂っている』と思われても仕方がない。
だが、そんな些細な周囲の評価に流されないのが豪炎寺修也という男である。
「オレは別に狂ってなどいない。……そもそも、アンタにだけは『狂っている』と言われたくないな」
はっきりと明確な意志を胸に秘め、彼は学園都市の第二位に自身の考えを告げていく。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:06:58.63 ID:B+LtcWdV0<>
「その目も眩むような六枚の白い翼。どうやらアンタ自信の『力』のようだが、それは人間の常識を逸脱しすぎじゃないのか?『ここは学園都市だから』と言われたらそれまでだが、とにかくそれは“普通”じゃない。まるでアンタは人の皮を被った『天使』か『なにか』だ」
「――ハッ、まさか俺を『天使』と表現するやつが現れるとはな。……だが残念ながら、俺はれっきとした『人間』なんだよ。そもそも『天使』ってのはアレだろ? ほら、背中から翼が生えて頭上にリングを浮かべた存在のあいつ。俺に翼は生えてはいるが、頭上にリングはねぇ。いくらあらゆる常識が通用しねぇ俺でも、そいつはさすがにメルヘンすぎるぜ」
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:08:17.76 ID:B+LtcWdV0<>
「…………オイ垣根、それだとオマエは一般常識の欠けた社会不適合者になってンぞ?常識が通用しねェのはオマエの超能力であって、オマエにある程度の常識はちゃンと通用すンだろォが」
と、ここで今までの会話を黙って聞いていた一方通行が二人の間に口を挟む。
とある条件の元ならば、純白の翼と同色の小さな輪を頭上に出現させられる垣根以上のメルヘン野郎は、“不機嫌”を顔に貼り付けて垣根の言葉の誤りを指摘する。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:09:16.86 ID:B+LtcWdV0<>
「ああ? …………、やっべ。ホントじゃねぇ――」
そんな垣根が一方通行の指摘に気が付いた直後だった。
「――――緊急事態発生、緊急事態発生。『ミサカネットワーク』の脳波リンク接続に異常を確認。――繰り返す、『ミサカネットワーク』の脳波リンク接続に異常を確認」
「「「ッ!?」」」
暴走を始めた番外個体の口から突然紡がれる機械的で平坦な声。その声には彼女特有の人の神経を逆撫でするような感じは含まれていない。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:10:17.30 ID:B+LtcWdV0<>
「――異常の原因は上位個体による大規模な『妹達』の強制操作により、脳波リンクが一時的に混線した為と思われる。現存する検体番号10032号から20000号までは非常時の事項に伴い『強制停止』を発動。――しかし、現行するナンバリングから外れた『第三次製造計画』の個体には『セレクター』により『強制停止』は無効。このままでは暴走の危険あり、このままでは暴走の危険あり――」
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:12:44.94 ID:B+LtcWdV0<>
「……オイオイ、ンだァ今のふざけたアナウンス? あのクソガキが変な事しでかしてこォなったって言いてェのか」
「“暴走の危険あり”っつーか、すでにキャラ崩壊が起こってやがるがな」
「……『シスターズ』だの『セレクター』だのよく分からない単語が出てきたが、とりあえず彼女が危険な状況に陥っているのは分かった。早く助け出さないと手遅れになるぞ?」
自我の切り離された番外個体から紡がれるのは、現在起きている『ミサカネットワーク』上での事態の報告だった。
本来混線が起こることなど決してありえないのだが、現在の『ミサカネットワーク』にはとある『イレギュラー因子』が存在している。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:13:39.50 ID:B+LtcWdV0<>
『量産型能力者計画』で製造された個体ではなく、打ち止めからの上位命令も受け付けない、『妹達』の負の感情を拾いやすい特別な個体――――番外個体。
今回の番外個体の暴走は、偶然と不運とイレギュラーが複雑に絡み合って起きた不幸な出来事であるのだが、その事実に気が付いている者はもちろん誰一人としていない。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:14:40.26 ID:B+LtcWdV0<>
「……あァ、そンなのは今のアイツを見れば百も承知だクソッたれ。詳しい理由はあのクソガキが深く関わってるみてェだが、この場にいねェヤツの事を話題に出しても意味はねェ」
番外個体は現在、周囲に膨大な量の電撃を放出しており、とても生身で近づける状況ではなかった。
その上、自我意識を失った番外個体の表情は酷い熱病に罹ったかのように苦痛に歪み、額には大粒の汗がびっしり浮かんでいる。その症状は、かつて天井亜雄が打ち止めにウイルスコードを仕込んだ際の状況と酷似していた。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:16:11.26 ID:B+LtcWdV0<>
「――それよりまずは現状の整理だ。今の俺達がするべき事は目の前で苦しンでいる番外個体を『正気に戻す』事、ただそれだけだ。それ以外に俺達に出来ることはねェンだ、だったら俺達はそれに全身全霊を懸けて挑まなきゃならねェ。」
一方通行は首元のチョーカーの電源を能力使用モードに切り替える。今日は頻繁に能力を使用しているため、バッテリー残量はあと残り10分を切っていた。
だがその『学園都市“最強”』でいられる10分間があれば、目の前に救える人間が一人いる。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:17:21.18 ID:B+LtcWdV0<>
電撃の渦に生身で近づくことすら出来ないのなら、核を打ち込まれても平気な鎧を纏えばいい。彼の『ベクトル操作』の能力の前では、『幻想殺し』などの一部の例外を除けばどんな強力な攻撃も無力化出来るからだ。
それならば一方通行が迷う必要はどこにもない。彼の強大な力は“これまで”にたくさんの人間を傷つけてきたが、“今”は違う。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:18:24.17 ID:B+LtcWdV0<>
一方通行の力は誰かを“救う”ことが出来る。己の持つ力はただ壊すだけしかないと思っていた『幻想』は、とある無能力者との戦闘で完全に打ち砕かれた。
そして彼には自分の命に代えても守りたいと思えるものが出来た。それを守り抜くためなら彼はどんな現実から目を背けることなく立ち向かうと決めたのだ。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:20:26.49 ID:B+LtcWdV0<>
「――なら第一位、私もそれに混ぜなさいよ。私は昔、『超電磁砲』に余計な借りを作っちゃっててさ、ようやくそのデカイ負債を返す時が来たの。……借りたモンは倍返しにしなきゃ気が済まない性格って、自分で言うのもアレだけどホント面倒だわ……ッ」
「まだ麦野は研究所での任務の帰りの際に話していた“例のアレ”を超気にしてたんですね……。私は敵にそんなことを気にかけたことは超ありませんが、それって実際のところ超どうなんでしょうか滝壺さん?」
「…………『借りたモノは返す』だよ、きぬはた」
そしてそんな彼を中心に集うのは、『アイテム』の構成員である麦野、絹旗、滝壺の女子三名。
見た目は全員とても可愛らしく、今をときめく華の十代女子――なのだが、それは彼女達のあくまで表面上でしかない。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:21:32.91 ID:B+LtcWdV0<>
一人は学園都市に七人しかいない超能力者の第四位、『原子崩し』の使い手――麦野沈利。
一人は『暗闇の五月計画』の元被験者で大能力者、『窒素装甲』の使い手――絹旗最愛。
一人は“八人目”の超能力者に至る可能性を秘めた『能力追跡』の使い手――滝壺理后。
学園都市内における『女性陣(ガールズサイド)』の『表』の代表を担うのが常盤台のお嬢様方なら、その『裏』の代表を担うのは彼女達である。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:22:37.56 ID:B+LtcWdV0<>
「オリジナルと番外個体に直接的な繋がりはねェぞ第四位。借りを返してェならちゃンと本人に返すンだな」
一方通行は背後に立つ彼女達を肩越しに見ながら話しかけた。だが、意識の大半は番外個体の行動の注視に割かれているため、どこか棒読みのような印象を受ける。
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◆phLlq2zEWI<>sage<>2012/02/13(月) 20:23:51.96 ID:B+LtcWdV0<>
麦野はその棒読み感を感じ取ったのか、僅かに不快な表情を浮かべて、
「ふん、別に構わないわよ。どうせこれは私の自己満足でやろうと思った事なんだから。私が『超電磁砲』に借りを返せたと思えたならそれでいいの。そもそも『妹達』とやらは遺伝子レベルで『超電磁砲』と同じ存在なんだから、どの個体に借りを返そうがどれも“一緒”よ」
――――なんの躊躇いもなく、彼女は一方通行の地雷を踏み付けた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:28:07.63 ID:B+LtcWdV0<>
「…………ゃねェ……郎……」
「……はぁ?」
「……、だから、“一緒”じゃねェンだよ馬鹿野郎。オマエは間違ってンぞ第四位。『妹達』を全て同一視するンじゃねェ、あいつらには各々に個性がキチンと存在してンだ」
「……。――へぇ、あの『人形』にも個性ね。『妹達』は『人間』の真似事しか出来ないたかが『人形』のくせに、第一位様はそいつらに個性があると言いたいわけだ」
「あァ、『妹達』にも個性はあンだよ。趣味嗜好のパターンは似たよォなモンだけどなァ」
「……、」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:30:01.28 ID:B+LtcWdV0<>
「それと、あいつらは『人形』でも何でもねェ、俺達と同じ『人間』だ。そいつらを一万人もぶっ壊した張本人の俺がいまさら何言ってンだとオマエは考えるかもしれねェが、そう考えたきゃ勝手に考えてくれて構わねェ。だがなァ、」
「――――あいつらにだって選ぶ権利がある。あいつらにだって知る権利がある。訊く権利も、調べる権利も、求める権利も、否定する権利も、望む権利も、断る権利も、人を好きになる権利も、人を嫌いになる権利もだ。その無数の権利を選択してあいつらは今を生きている、そういうヤツらを俺達は『人間』と呼ぶンじゃねェのか?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:31:22.70 ID:B+LtcWdV0<>
「……、(――『未元物質』があんな必死になるのも頷けるわね、これが第一位か)」
「それでもオマエはそれを認めねェってンなら、俺はオマエに分かってもらえるまで何十でも何百でも説いてやる。たとえその行いがどンなに醜く、どンなに恥知らずの行為だろォが構わねェ」
一方通行は己の右手に力を込める。胸中に抱く想いを拳の一点に集中させるように、強く、力強く握り締める。
「俺は俺の『居場所』を守る為なら、何だってやってやる。世界にひとりしかいない番外個体を、こンなクソみてェな事で失ってたまるか」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:32:17.74 ID:B+LtcWdV0<>
一方通行は歩き出す。目の前で苦しむ一人の少女の為に。
荒ぶる電撃を意に介さず、彼は一歩づつ歩み寄っていく。
――――そして一方通行は、最大限に広げた両手で番外個体を優しく抱きしめる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:33:41.16 ID:B+LtcWdV0<>
「…………あ……、……あ……な、…………た…………?」
「――よォ、お目覚めですかお嬢様ァ?」
彼は番外個体の全身に触れた途端、彼女を中心に放出される膨大な量の電撃を『ベクトル操作』で四方に拡散して力を衰えさせていく。
空気の詰められた風船が破れて萎んでいくように、瞬く間に縮小していく電の障壁。それに反比例して、彼はその繊細な両腕に力を注いでいく。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:35:04.80 ID:B+LtcWdV0<>
「…………ッ、……ちょ、……と、……痛いん……だけ…………ど……」
「そンくらい我慢しろ。俺はオマエを失う事の方が痛いンだ」
「…………。……ハズかしい、こと……、さらっと、言わないでよ……っ」
「――ハッ。残念だが、これは事実だからどォしようもねェンだわ」
「………………………第一位のばぁーか」
「ふン、何とでも言ってくれて結構ですゥ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:36:10.99 ID:B+LtcWdV0<>
「…………バーカバーカ、第一位のとーへんぼくバーカ」
「……、もう元気そォだなオマエ。離すぞ?」
「――ッ! ……あ、あともう少しだけこのままでいさせてよ第一位!その…………、」
「……ハァ? もう電撃も収まったし、生体電気の流れにも異常は見られねェのに、なンでオマエを抱きしめ続けなきゃならねェンだよ」
「………………最終信号とはあんなに長く抱擁し合ってたのに、ミサカとの抱擁はこんなに短いんだね、このロリコン」
「それは今関係ねェだろォォォォオオオオオオ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:38:00.58 ID:B+LtcWdV0<>
一方通行の叫びにも似た咆哮が虚しく寒空へと響き渡る。彼の力で番外個体は自我を取り戻し、彼と軽口を叩き合える程度には回復した。乱れていた生体電気の流れを『ベクトル操作』で調整を施したおかげだろう。
そして彼は再び守る事が出来た。かけがえのないただ一つの『居場所』を。
自らの犯した罪の清算の為、彼はこれからも守り続けていくだろう。自分の『居場所』に住む住人達と、その世界を失わない為に――。
「…………あれ?私達ってまだ超なにもしていませんよ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:40:05.85 ID:B+LtcWdV0<>
「あくせられーたが一人で片付けちゃったね」
「やっぱりオイシイ所は全部テメェが掻っ攫うよなー。……、とりあえず俺が翼を展開した意味を寄越せクソ野郎」
「まぁ落ち着け、『短気は損気』とよく言うだろう?」
「……はぁ、仕方ないわね、この借りはやっぱり直接『超電磁砲』に返すとするか」
「麦野が出番を削られたのにも関わらず、超アッサリとしている!?」
「絹旗、私は別に目立ちたがり屋でもなんでもないんだけど?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:44:21.97 ID:B+LtcWdV0<>
「――ロリコンロリコン、ロリコンロリコン。ロリロリコンコン、ロリコンコン☆」
「よォし、イイ度胸してンじゃねェかクソ野郎。 ――オイ炎野郎! そのボールを音速で俺に寄越せ、この恩知らずに手痛いオシオキをしなきゃ俺の気が収まらねェ!!」
「……ん? 炎野郎とはオレのことか?」
「オマエ以外に『炎』は使えねェだろォが! イイからさっさとボールを寄越せ!!」
「ちょっとあなた!? ミサカに対してその華麗な手の平返しっぷりはどうなの!!?」
「……“音速”、試したことはないがやってみるか。――――――マキシマムファイア!」
「――誰も『炎』を一緒に頼ンだ覚えはねェぞ馬鹿野郎がァァアアアア!!?」
――――後日、第七学区の多目的運動場で大規模な火災事件が発生したと告げるニュースが学園都市中を駆け巡ることとなるのを、この時の彼らはまだ知らなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/13(月) 20:53:01.43 ID:B+LtcWdV0<> 今回の投下は以上です、ありがとうございました。
やや駆け足気味ですみません、とりあえずこの投下で第一章は終わりです。
次章は安価の『とあるお嬢様とジャージ娘と怪力JCと世紀末帝王』になります。(長いなこのタイトル……)
そしてせっかくなので、次回予告的なモノを作ってみました。このコメントの次に書き込んでおくので、その予告を見て少しでも期待していただけたら>>1は大変満足です。
次回の投下は水曜日までにはもう一度来たいと考えています。
それではまた。 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/13(月) 20:56:28.58 ID:B+LtcWdV0<>
【次回予告】
突如『火の海』と化した第七学区の多目的運動場。一方通行達は必死に燃焼を食い止める為に奮闘していた。
垣根が翼で烈風を生み出し、一方通行がそれを『ベクトル操作』で掌握して炎を巻き込みながら圧縮し、豪炎寺がそれを上空に向けて蹴り飛ばす。
完璧なコンビネーション、無駄のない統率された連係により次第に弱まっていく炎の勢いに、その場の全員が胸を撫で下ろしたその時だった。
「――火遊びも大概にするじゃんよー? とりあえず詳しい話は支部で訊くから、テメェら大人しく投降するじゃん」
――――彼らの目の前に、次世代兵器で全身を包んだ『警備員』の軍勢が現れた。
NEXT 『とあるお嬢様とジャージ娘と怪力JCと世紀末帝王』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 21:07:11.83 ID:bxYETIrAO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/14(火) 10:46:54.67 ID:i7RP/Xdi0<> 乙
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/15(水) 23:45:13.06 ID:a5Ccov+D0<> >>1です、こんばんは。今回の分の投下に来ました。
それでは今から投下していきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:47:32.01 ID:a5Ccov+D0<> >>521 続き
――――時は遡ること数十分前、黄泉川家・芳川の自室にて
「――もう怒った!!ってミサカはミサカは憤慨のあまり、『妹達』の司令塔たるミサカの権限で全ミサカに面白ろ可笑しいポーズを強制させてみる!!」
「ちょっと、いきなりどうしたのよ最終信号?あなたがこの『トンデモサッカーアニメ』を見たいって言うから、私はわざわざあの子から離れた自室に連れてきたというのに」
「ミサカはヨシカワに怒ってる訳じゃないの!ってミサカはミサカはこの表現しようのないキモチをミサカネットワークに流し続けてみたり!!」
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:48:48.86 ID:a5Ccov+D0<>
「あらそう、それなら別に構わないんだけど。……でも、あなたのその『表現しようのないキモチ』を表現できる『妹達』がいるかもしれない可能性を考えると、そうそう看過出来る話じゃないのよね」
「………………。えっと、それってもしかして下手したらとんでもないことになる可能性があるってこと?ってミサカはミサカは冷や汗を流しながらヨシカワに訊ねてみる」
「あなたの説明が抽象的過ぎて詳しい事情は分からないけど、あくまでそのような可能性があるというだけの話よ。あなたがその行動に至った詳しい経緯を教えてくれれば、ある程度の推測は――――」
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:49:43.14 ID:a5Ccov+D0<>
「あの人が番外個体と一緒に仲良くサッカーしてるの、ってミサカはミサカはついさっき知った情報を報告してみる」
「……………………………………え?」
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:50:58.01 ID:a5Ccov+D0<>
「あの人と番外個体がサッカーをしてるの、ってミサカはミサカは間抜け面を浮かべたヨシカワにもう一度説明してみる」
「……………………ごめんなさい最終信号、もう一度言ってくれるかしら? あの子が、一方通行が、誰と何をしているの?」
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:52:35.10 ID:a5Ccov+D0<>
「だからあの人が番外個体と――――、」
「――ちょっと『警備員』で急用が入ったから出掛けて来るじゃんよー! もし外出する時は戸締りよろしくじゃーん!」
――――――ミサカを除け者にしてサッカーを楽しんでるの!!
第二章 『とあるお嬢様とジャージ娘と怪力JCと世紀末帝王』
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:53:58.72 ID:a5Ccov+D0<>
――――雲一つない寒空の下、第七学区に存在する多目的運動場は異常な熱気に包まれていた。
それは白熱したスポーツの対戦が行われているとか、夥しい数の人間が一同に集結しているとかの理由からでは説明出来ない状況だった。――では、その答えとはなにか。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:55:01.64 ID:a5Ccov+D0<>
正解は、『サッカーコートが“文字通り”燃えている』である。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:56:03.96 ID:a5Ccov+D0<>
「――――第四位は地面を伝って燃焼する炎を地面を抉ってでも防げ!クソチビはその辺で腰を抜かしてる不良共を連れて避難しろォ!ジャージ女は番外個体と一緒に後方待機だァ!!」
白に白を塗りつぶしたような白髪と鈍い煌きを放つ紅い瞳を持つ少年は、この場にいる少女達に迅速な指示を飛ばす。
彼の名前は一方通行、あらゆる『ベクトル』を操ることが出来る学園都市最凶の超能力者だ。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:57:03.44 ID:a5Ccov+D0<>
「……ったく、めんどくさいわね」
その指示を受けてスラリとした長身で茶髪の少女が、地面に向けて不健康的で真っ白な光線を掌から射ち放つ。砕石専用のドリルで岩石を削る様な音と共に地面の土は抉り取られ、その綺麗な軌跡に轟々と燃え広がる炎が落ちていく。
彼女の名前は麦野沈利、とある事情で義眼や義手装備の超能力者だ。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:58:04.55 ID:a5Ccov+D0<>
「何で第一位が私に超命令してんですか!?――あと『クソチビ』って言うなァァァァァアアアアッ!!」
一方通行の指示に不満全開ながらも、茶髪でボブの髪型をした少女はキッチリとその使命を遂行する。その細腕からは信じられないことに、片手で見るからに素行の悪そうな少年三人の襟首を掴み、燃え盛る炎から全力で避難していた。
彼女の名前は絹旗最愛、可愛らしい顔をして実は怪力(正確に言えば超能力)の大能力者だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/15(水) 23:59:49.99 ID:a5Ccov+D0<>
「私たちは後方待機みたいだね。みさかわーすと、大丈夫?」
「まだ少し頭がクラクラするけどへーき。…………とりあえずあとで最終信号は泣かす、ミサカの必殺『バストプレス』で悶絶させてやる」
ピンク色のジャージに全身を包んだ少女が、アオザイを着て右腕に医療用のギプスを装着した少女に肩を貸しながら、未だ衰えをみせない炎から離れていく。
ジャージを着た彼女の名前は滝壺理后、アオザイを着た彼女は番外個体、どちらも学園都市の大能力者だ。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/16(木) 00:01:39.64 ID:BAw6UEkM0<>
「――垣根はその翼で烈風を炎に向けて巻き起こせ!俺がそれを『ベクトル操作』で炎と共に圧縮して一つの球体に纏め上げる!炎野郎は圧縮したモンを上空に蹴り飛ばしやがれェ!!」
「……、確かに俺は『翼を展開した意味を寄越せ』とは言ったけどよ、なんでこの俺が扇風機みてぇな事をしなきゃいけねぇんだ?…………まあ、テメェが『やれ』って言うならやるけどよ」
天使のような六枚の白い翼を背中から生やした少年は、一方通行の言われたとおりに自動車すら易々と吹き飛ばせる烈風を炎に向けて巻き起こす。その影響で大きく波形状に揺らぐ焔は、次第に渦を巻いてボウリング玉サイズの球体に変化した。炎が球体に変化したのは、一方通行が烈風の進むベクトルを操作した為だろう。
背中から翼を生やす彼の名前は垣根帝督、一方通行に次ぐ天才的な頭脳の持ち主で、『この世に存在しない』物質を操る超能力者だ。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/16(木) 00:02:55.30 ID:BAw6UEkM0<>
「…………オレがこの『炎』を操れば、とりあえず燃焼は食い止める事が出来るんじゃないのか?」
頭上に疑問符を浮かべながら髪を獅子の様に逆立たせた少年は、利き足である左足に目も眩む程の輝きを放つ炎を纏い、空中に滞空している深紅に染まった球体を上空に蹴り飛ばす。
彼の名前は豪炎寺修也、元々は学園都市の『外』の住人であり、現在は世界に50人程度しか存在の確認されていない『原石』として学園都市に保護されている天才ストライカーだ。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/16(木) 00:05:14.68 ID:BAw6UEkM0<>
「オマエらごちゃごちゃ喋る前に体を動かしやがれ体を!このままじゃこのコートが全焼しちまうンだぞ!?」
どうも一方通行の指示に不満だらけの少年少女らに、彼は明確な苛立ちを自覚しながら怒鳴り散らす。
そうこうしている間にも、炎の勢いは鎮火と呼ぶにはまだまだ程遠く、彼らを嘲笑っているかのようにメラメラと燃え続けている。
「「「へーい」」」
「なンなンですかァその気の抜けた返事はッ!? 必死こいてる俺が馬鹿みてェじゃねェか!!?」
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/16(木) 00:06:46.62 ID:BAw6UEkM0<>
「いやー、実際あなたがこの現状を引き起こしたと言っても過言はないわけだし、第一位は少なくとも必死にならなきゃダメでしょ。……そもそも、あの時あなたが大人しくミサカを抱きしめていれば、こんな事態にはならなかったと思うよ?」
「さらに元はと言えばオマエが俺をおちょくったのが原因だろォがァァァァアアアア!!」
「――おい一方通行!演算忘れてんぞ演算!!テメェが烈風を制御しねぇとこの一連の動作が滞っちまうんだぞ!?」
「……――――ッ!学園都市第一位のこの俺を舐めてンじゃねェぞ三下共がァァァァァアアアアアアアア!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/16(木) 00:08:05.94 ID:BAw6UEkM0<>
もう色々と対応に疲れた一方通行は、第七学区中に響き渡りそうな勢いの咆哮を炸裂させた。
一方通行はその右手で大気を掴み取り、木の枝に実った果実を強引に毟り取る様な動作でこの場に流れる僅かな風を増大させる。冷たいそよ風が一瞬にして北極などの極寒地域で観られるブリザードに変貌し、それはまるで蛇のように炎をぐるりと巻き込むとその刹那、燃え広がっていた炎は一点に凝縮された。
「…………もォストレスを溜めンのも限界だ、冗談抜きで大気圏まで蹴り飛ばしてやる。――――垣根と炎野郎、オマエらも手伝いやがれ!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/16(木) 00:09:51.49 ID:BAw6UEkM0<>
「あ?なんだよ一方通行、俺は一体テメェの何を手伝えばいいんだよ」
「…………。――ああ、なるほど。オレたちはアンタと一緒にそいつを蹴りだせばいいんだな?」
「――――――ご名答だ炎野郎、三人同時にコイツを大気圏まで蹴り飛ばす。分かったらさっさと準備しろ、10秒で終わらせる」
そしてその圧縮された炎球は、学園都市が誇る最強の2トップと、世界が誇る孤高の天才との豪華な共演で、夜空に輝く星となる。
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/16(木) 00:14:19.99 ID:BAw6UEkM0<> 今回の投下は以上です、ありがとうございました。
新章突入という訳で、あんまり意味はないですが簡単なキャラ紹介を交えながら進めてみました。 前章では無駄が多かったので、テンポよく進めるのを心がけて頑張ります。
次回の投下は今週末までにはもう一度来たいと思います。
それではまた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/16(木) 00:22:29.61 ID:IvA6YprAO<> 乙
おもしろい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 17:23:25.44 ID:qKKp1dAy0<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/20(月) 00:33:01.80 ID:3sRNvWyM0<> >>1です、少し遅くなりましたが今回の投下に来ました。
今から投下していきます、それでは。 <>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:35:46.15 ID:3sRNvWyM0<> >>543 続き
「――よォし、いくぞオマエら。くれぐれも俺の足をあの炎球と間違って蹴るンじゃねェぞ?炎を圧縮する為の『ベクトル操作』と打ち上げの為の演算で『反射』に割く余力はねェンだ、やらかした際の報復から逃れてェなら細心の注意を払えよ」
「ハッ、テメェの足は簡単に折れそうだからな。仕方ねぇからガラス細工を扱うつもりでやってやるよ」
「オレは何度か三位一体のシュートの経験はあるから安心してくれ。……、ちなみに味方の足を蹴るなんてヘマは一度だけしたことがある」
「……オマエら俺を不安にして愉しいかオイ?――あと垣根、そいつは俺に喧嘩を売ってるって事でいいンだな?」
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:36:39.42 ID:3sRNvWyM0<>
一方通行の『ベクトル操作』により球状へ圧縮されて空中に浮かぶ炎を中心に、半径10メートルの位置にある三箇所へ立つ三人の少年達。
一方通行の背中には四本の竜巻が、垣根の背中には六枚の翼が、豪炎寺の背後には得体の知れない禍々しい炎の塊がそれぞれ出現していた。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:38:43.22 ID:3sRNvWyM0<>
「別に。俺は喧嘩を売ってるつもりはねぇよ、ただ事実を述べたまでだ」
「その何気ない一言が『喧嘩を売る』って言うンだよ、このクソメルヘンロマンチストでホスト風情のチンピラ予備軍」
「テメェも俺へ明確に喧嘩売ってんじゃねぇかよッ!? あとなんだそのムカつく単語のオンパレードはッ!!」
「……無駄話をしている所悪いが、もうすぐ10秒になるぞアンタら」
「――……チッ、…………あとで覚えてろよ一方通行?」
「オマエが一方的に覚えてろクソメルヘン野郎。――――10秒過ぎた、行くぞ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:40:42.53 ID:3sRNvWyM0<>
一方通行のその一言で、三人の少年は同時に地面を蹴った。
脚力のベクトルを操作した一方通行は、その場から音速に匹敵する速度で射出され、竜巻の推進力を得てさらに加速する。
六枚の白い翼を最大限に広げた垣根は、後方へ大型トラックを軽々吹き飛ばす程の烈風を放ち、爆発的な加速で炎球へと迫る。
両足から炎をスペースシャトルのブースターの様に噴出した豪炎寺は、莫大な熱量で地面を焦がしなら、空中に浮かぶ炎球へと跳躍する。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:42:03.35 ID:3sRNvWyM0<>
彼らは常人の目には映ることも許さない圧倒的な速度で一つの球体に集い、そして三人が衝突する寸前ギリギリで、互いの利き足が一点に交わる。
まるで熾烈な戦を交えた戦士達が、互いの健闘を称えて己の武器を天高く交叉させるように。
「「「――うォォォォおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」」」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:43:40.69 ID:3sRNvWyM0<>
三方から小さな街一つを跡形もなく破壊しかねない理不尽な威力を受けた炎球は、耳を劈く様な爆音と共に一瞬で上空1000メートルの高さまで打ち上げられる。
『地球』という惑星に掛かる重力など最初から存在しないかのように、どんどん飛距離を伸ばし際限なく速度を増す紅球。途中から距離が離れた影響か、一方通行の圧縮が綻び始めて炎が一部分から流出するも、それは止まることを知らない球体の『尾』を引くような形で伸びていく。
――――――そして数十秒が過ぎた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:44:56.81 ID:3sRNvWyM0<>
炎球は大気圏に到達できたのか、はたまた途中の激しい発熱で圧縮された風と共にプラズマと化したのかは分からない。だが――、
「………………く、くかかっ、くかかかかかッ!」
「――……おいおい、今度は一方通行が壊れ始めたんだが、こいつは一体どうしたらいいんだよ?」
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:47:10.16 ID:3sRNvWyM0<>
全力で超能力を使用した反動か、妙に疲れたような表情を浮かべて地面に座り込んだ垣根は、突如奇妙な笑い声をあげた一方通行を見た。
杖をついて立つ一方通行の首元のチョーカーは、能力使用モードからすでに通常モードに切り替わっている。決して彼のチョーカーのバッテリーが切れ、言語機能を失ってこのような奇怪な声を出しているのではない。そもそもバッテリーが切れたら、彼は杖で立っていることすら出来なくなる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:48:57.69 ID:3sRNvWyM0<>
「さあ?ミサカでも初めて見る症状でちょっと困惑してるけど、放っておいても大丈夫そうじゃない?」
と、垣根の傍に少し足元をふらつかせながら近づいてきた番外個体は、ゆっくりとした動作で地面に胡坐をかいて座り込む。
そして下から覗き込むように一方通行の表情を窺った番外個体は、だって、と言葉を区切って、
「――あんなに清々しい表情をした第一位なんて、ミサカ初めて見たし☆」
心の底から、まるで自分の事のように、彼女は快活そうな微笑みを浮かべて呟いた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:49:58.61 ID:3sRNvWyM0<>
「……イイねイイね、最ッ高にイイねェ! 心ン中に溜まっていた黒いモンが全て開放された気分だァ!」
一方通行は天を仰ぎ見る。そこに広がるのは雲ひとつない綺麗な青空と、学園都市の上空をゆっくりと漂う電光掲示板のような役割を兼ねた飛行船。
その飛行船の側面に埋め込まれた大画面には、第七学区の多目的運動場が燃えている旨を知らせるテロップが流れていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:53:34.84 ID:3sRNvWyM0<>
「…………あァ?」
そして一方通行がその事に気が付いた直後。ここから少し離れた所に数台の車が慌しく停車する音と、彼にとってはとても訊き慣れた声が拡声器越しに響き渡った。
『――あー。こちらは警備員第七三支部所属の黄泉川愛穂。たまたま通りかかった善意ある少女三名の通報を受けて颯爽登場じゃん』
その声の主は現在、一方通行や打ち止めや番外個体といったかなりワケありの子供や、研究者であり、昔馴染みであり、現在無職の芳川桔梗を居候させている肝っ玉女性体育教師。
「…………、黄泉川?」
強能力者相手に武器を使わず、防具やヘルメットで捕縛が可能というトンデモおねえさん――黄泉川愛穂――がそこにいた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:54:50.67 ID:3sRNvWyM0<>
「――――火遊びも大概にするじゃんよー?とりあえず詳しい話は支部で訊くから、テメェら大人しく投降するじゃん」
その全身を次世代兵器に包んだ彼女と警備員の軍勢が、休む暇すら与えないと言わんばかりに一方通行達を取り囲んだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/20(月) 00:57:02.06 ID:3sRNvWyM0<> 今回の投下は以上です、ありがとうございました。
次回の投下は水曜日までにもう一度来る予定です。
それではまた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/20(月) 17:35:48.86 ID:7qd+jKsAO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<><>2012/02/20(月) 19:16:35.14 ID:DOk7RHBW0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)<>sage<>2012/02/20(月) 20:06:59.53 ID:TEe7UKXD0<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/22(水) 23:26:12.78 ID:4WAYmZCe0<> >>1です、こんばんは。今回の分の投下に来ました。
今回は普段より多めの投下になります、それと引き換えに『サッカー』が出てこないのであらかじめご了承ください。
それでは今から投下していきますね。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:28:34.04 ID:4WAYmZCe0<> >>559 続き
警備員は止まらない。
「――A班は周囲の道路を封鎖、B・C班は一般市民の保護と誘導避難、D・E班は潜んでいる可能性のある爆発物の捜査及び解体、残りは私と一緒に放火魔の逮捕じゃん!」
人体の最大の弱点である頭をヘルメットで完全に覆い隠し、黄泉川は同僚の警備員に指示を飛ばす。
「「「「了解」」」」
それを受けて四方八方へ蜘蛛の子を散らすように駈け出していく警備員の軍勢。地面を蹴る度にガシャガシャと装備品であるゴム弾搭載のアサルトライフルが体に当たり、空間に無機質で静かな威圧感を放つ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:29:39.95 ID:4WAYmZCe0<>
「……あっれー、これはちょっとヤバくない? もしかしてミサカ達誤解されてる?」
「残念だが、誤解もクソもねーよ番外個体。そもそも今のこの現状を見て、爆心地みてぇな所に平然といる俺達を“疑う”以外にあいつらが切れる『手札』はねぇ」
現在進行形でこちらへと迫り来る警備員を見た番外個体と垣根は、渋々といった感じで重い腰をあげる。服に着いた砂を軽く叩き落としながら、垣根は銃口をこちらに向けて前進する警備員を一瞥すると、ハァ、という深い溜め息を一つこぼした。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:30:56.85 ID:4WAYmZCe0<>
「嫌になるよなー、ムカつくほど嫌になるぜ。基本的に警備員で実弾は使わねぇが、それでも銃を突きつけられんのだけは勘弁してほしいな、――意味もなく“殺意”が沸いてくる」
「……テメェはホントに変わる気があるのかよ『未元物質』。そんなんじゃ一生かかっても無理そうね、もう一度地獄に堕ちて出直してきたほうがいいんじゃない?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:32:14.80 ID:4WAYmZCe0<>
垣根の独り言にそう反応を示したのは麦野だった。麦野は両腕を胸の前で組みながら、横目に警備員の大群を視界の端に捉えると、つまらなそうに両目を瞑って首を左右に小さく振る。
「うるせぇよ第四位、ムカつくモンはムカつくんだよ。それにテメェにだって“殺意”を抱く時ぐらいあるだろうが?」
「…………………………そりゃあるわよ、人間だもの」
「どこの『みつを』だテメェは」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:33:06.10 ID:4WAYmZCe0<>
麦野の軽い冗談に垣根の額にうっすらと青筋が浮かぶ。彼は元々くだらない冗談や自身がからかわれることをあまり好まない。ましてこの緊迫した状況、そのマイナス要因は普段の三割り増しくらいに芳しくない方向へ動いていた。
「はいはい、勝手に言ってなさいよ『未元物質』。……っつーかこの状況は、どこぞの馬鹿が“音速”に匹敵する速度で燃える球蹴ったのが原因で、私達が爆発物を使ってこうなったとかじゃないでしょ?確かにあいつらは私達に銃口を突きつけてこちらに向かって来てるけど、発砲許可が下りない限り私達が被弾することはないわよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:34:02.15 ID:4WAYmZCe0<>
しかし、そんなことを気にも掛けない麦野は淡々と現在の状況を整理していく。
徐々に迫る両者の距離は、約30メートルほどである。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:34:53.04 ID:4WAYmZCe0<>
「……………………くそっ、足に……チカ、ラ……が入ら…………ない……ッ」
――――ちなみに『どこぞの馬鹿』は、先程の慣れない能力全開の一撃で気力を使い果たしたのか、地面にうつ伏せになって倒れていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:36:16.30 ID:4WAYmZCe0<>
「まあそれでも、私達が『標的』にされるのはどうしようもないかもね。今は炎が消えたとはいえ、ここが燃えていた光景はその辺の防犯カメラが拾っているだろうし。どちらにしろ、私達が『放火魔との共犯者』であるという構図に変わりはないのよ」
「――む?私が戦線から超離れていた間に、どうして周囲に警備員が超展開するような状況になってしまったんでしょうか?麦野、私は簡潔な説明を超要求します」
そしてここで、先程まで不良少年達を遠く(近くの自動販売機の傍にあるベンチ――の隣にあるゴミ箱)へ運んで行った絹旗が、『コート』という名の戦場に帰還した。
絹旗は走って戻って来て乱れた呼吸を整えながら、やや慌てた様子で麦野に訊ねる。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:37:54.69 ID:4WAYmZCe0<>
「ハッ、なんだよテメェ、突然いなくなったと思ったら戻ってきちまったのか。俺達を大人しく遠巻きから見てりゃいいものを、わざわざこんな危険地帯のど真ん中までごくろーさん」
だが、その問いに答えたのは麦野の隣にいた垣根であった。垣根はあからさまに皮肉を込めた物言いで絹旗に詰め寄っていく。
警備員と少年少女達の距離は、20メートルを切る。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:38:58.20 ID:4WAYmZCe0<>
「……、私は『アイテム』の超一員なんです。仮に麦野が100人強の敵に超囲まれていようが、滝壺さんが理性を失った浜面に超襲われそうになってようが、構わず私は飛び込んで行きますよ」
きぬはた。人の恋路を邪魔するヤツは馬に蹴られてなんちゃらかんちゃら――、と滝壺が絹旗の言葉に物申すが、どうも絹旗の意識は垣根に集中しており、彼女の話は絹旗の右の耳から左の耳へと素通りしていった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:40:23.72 ID:4WAYmZCe0<>
「ふーん、随分と大層な意気込みじゃねぇか」
まるで親の仇を見るような鋭い目つきで睨んでくる絹旗に、垣根は鼻で笑って言葉を続ける。
“憎しみを込められた目で見られるのはもう慣れている”と言外に語る垣根は、絹旗へ非常に現実的で残酷的な事実を宣言する。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:41:18.56 ID:4WAYmZCe0<>
「……だがな、大能力者“程度”のテメェのチカラじゃ、そいつらは絶対に守り切れねぇよ。かえって怪我を負わせちまうだけだ」
「ッ!」
「テメェのチカラは近接戦闘に特化しちゃいるが、中・遠距離に対しては話にならねぇ。いくら自動で全身に超能力を展開できるとはいえ、所詮は薄っぺらの装甲一枚。その程度の防壁で守れるのはテメェの命だけなんだよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:42:10.95 ID:4WAYmZCe0<>
絹旗最愛の所持する能力は『窒素装甲』と呼ばれる窒素を操作する超能力である。それは彼女を守る強固な『盾』であり強靭な『矛』であると同時に、彼女以外にその恩恵を受けられないリスクを伴っている。
その強大な超能力が付加される対象は『絹旗最愛』という一人の少女のみ。周囲の人間にはなにも効果が及ばない。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:43:23.18 ID:4WAYmZCe0<>
「…………。そん、…………って……ないと…………ませんよ……っ」
「あん?」
しかし、その事実は何も彼女が『無力』だと言っているのではない。
確かに絹旗はその能力では自分しか守れない。たとえば無抵抗な仲間に向けて放たれる弾丸の掃射を受けて生き残れるのは、おそらく能力を自動展開可能な絹旗だけだろう。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:44:05.43 ID:4WAYmZCe0<>
――――彼女自身が、その身を『仲間』の『装甲』にしない限りは。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:46:00.58 ID:4WAYmZCe0<>
「……そ、んなの……、やってみなきゃ――――超分からないじゃないですか!!」
絹旗は垣根へ噛み付くように吼える。かつて自分を完膚なきまで倒した敵に、そしてかけがえのない『居場所』を壊した憎い男に。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:47:10.68 ID:4WAYmZCe0<>
「私の『窒素装甲』では確かに自分しか超守れません、それは認めます。……それでも、それでも『仲間』がピンチの時は私が身を挺してでも超助ける、『仲間』が笑っている時はそれに負けないくらい大きな声で超笑ってやるって私はもう決めたんですから!!『仲間』のいない第二位には超理解できないことでしょうがね!」
「……、」
「そもそも第二位に超言われるまでもなく、私は私が『弱い』ことは超自覚しています。……ええ、仲間の窮地になにも出来ず、歯を食い縛ることしかできなかった私は超弱いですよ!――――でもそれが何だって言うんですか!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:48:04.07 ID:4WAYmZCe0<>
十月九日、学園都市の独立記念日に彼女は大切なモノを壊された。
学園都市の『闇』に堕ちた彼女の唯一の支えとなっていた『居場所』を。
それを画策した『スクール』の少年と、同じ組織のリーダーである少女の手によって。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:48:55.10 ID:4WAYmZCe0<>
「『強いチカラ』がなかったら、私は敵に立ち向かっては超いけないんですか?目の前で崩れていく『繋がり』を、私はただ指を咥えて超見てないといけないんですか!?」
「…………、」
「――なンなら超答えてみてくださいよ第二位ッ!!私より『強い』あなたなら、こンなの超簡単な問題ですよねェ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:49:42.23 ID:4WAYmZCe0<>
「(……やっぱりそう簡単には忘れられないわよね、たぶん私達『アイテム』の中で一番辛い想いをしたのは絹旗だろうし)」
絹旗の『居場所』を壊した張本人とも呼べる麦野は、ただ黙って彼女の悲痛な叫びを静かに聞いていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:51:50.84 ID:4WAYmZCe0<>
確かに麦野は十月九日、彼女をリーダーとする四人の少女と一人の男でワンセットの『アイテム』を壊滅寸前まで追い込んだ。
だが、麦野も好きで組織を壊滅させようとしたのではない。
麦野沈利を突き動かしたのは、組織のリーダーとして不始末を働いた部下を『粛清』するというある意味での『忠誠心』、ただそれだけなのだ。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:52:59.52 ID:4WAYmZCe0<>
彼女だって誰も傷つかないハッピーエンドがあるなら、それを迷わず選んで行動していただろう。
しかしどの選択肢を選んでもハッピーエンドに辿り着けないのなら、誰かが“偽物”のハッピーエンドを迎える為の犠牲にならなければならなかった。
今回はその役を担ったのが、フレンダという少女であったという話である。時と場合によっては彼女や滝壺、そして絹旗が犠牲になっていたかもしれないのだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:53:58.72 ID:4WAYmZCe0<>
「(…………確かに私は取り返しのつかないことをやった。それでも後悔と自責の波には呑まれない、そんな事をしていてもフレンダが戻って来る訳じゃないんだし)」
自分で自分を納得させるように言い聞かせる麦野だが、彼女の両肩はほんの僅かにだが震えていた。
いくら学園都市の暗部を渡り歩こうが、数多くの善人の皮を被った悪人を闇に葬ろうが、麦野はそこら辺にいそうな普通の女の子なのだ。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:55:18.22 ID:4WAYmZCe0<>
“元”『お嬢様』という一般から少し離れた経歴を持ってはいるが、それを差し引いてもその本質は変わらない。
麦野沈利という少女は、実は『ボロボロのぬいぐるみを抱いていないと寝れない』といった側面を持つごく普通の人間なのである。
「――――ジャマだ第四位、どけ」
そしてその少女の肩に軽く手を触れて、絹旗と垣根の間に狂ったように白い少年が割って入る。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:56:08.87 ID:4WAYmZCe0<>
「…………オイ、クソチビ。さっきからオマエの話を聞いていたンだが、あンまり調子に乗ってンじゃねェぞ?」
彼らは既に警備員に包囲された。周囲360度に等間隔に並んでアサルトライフルを構える光景に、常人なら尻込みしてパニックに陥る所だが、この場に立つ少年少女らはこれといって慌てた様子もみせなかった。
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◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:57:51.47 ID:4WAYmZCe0<>
「……なンですか第一位、あなたは超引っ込ンでて下さい。これは私個人の問題なンです、余計な口は超挟まな――、」
「オマエ個人の話だァ?――ふざけンなクソったれ!『仲間』がボロクソに言われてるのを黙って見過ごすほど、俺は人間出来ちゃいねェンだよッ!!」
一方通行は、絹旗と垣根の深い因縁について知らない。
だから彼に迷う必要はなかった。『仲間』が劣勢に立たされているのなら、それを救うのが彼の役目だ。
「一方通行……」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/22(水) 23:58:58.73 ID:4WAYmZCe0<>
「――――ん?……一方通行じゃん!お前一体こんなところでなにしてるじゃんッ!?ってか頼んでおいた炊飯器はどうしたじゃん!?炊飯器がないと我が家は今日からレトルト食品のオンパレードになってしまうでもそれはそれでありかもしれないから必ずしも困るわけではな――、」
「黙ってろこのクソ炊飯器マニア!今からちっとばかし大事な話をすンだから、ジャマすンじゃねェエエッ!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/23(木) 00:00:16.19 ID:byskmfpO0<>
「……おー、また随分と不機嫌指数が高い状態のようじゃん。…………分かった、お前に免じて3分間だけ待ってやるじゃん」
「そいつはどーもォ」
一方通行はたった今、ようやく彼の存在に気が付いた黄泉川と寸劇のような会話を繰り広げる。
交わされた言葉は短い。時間にして10秒にも満たない心と心のキャッチボールだが、今の彼にはそれで十分だった。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/23(木) 00:01:46.78 ID:byskmfpO0<>
「――ちょっと黄泉川さん!?なにを突然言ってるんですか!?」
「んー?まあまあ、落ち着くじゃん才郷。ここは若人の話に耳を傾けるのもまた一興じゃんか?」
「で、ですが黄泉川さん!」
「そんなに慌てなくても私にだってちゃんと『考え』があるじゃんよー。……そもそも、衛星写真で確認した炎が消えてるって事は、もしかしたらあの子たちが消火してくれたかもしれないじゃん?」
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/23(木) 00:03:04.84 ID:byskmfpO0<>
「――――さァて、話が逸れちまったが、続きといこうじゃねェかクソチビ」
限られた3分という時間の中、一方通行は自身が誇る最高の頭脳をフル回転させて話を纏める。
語る言の葉は多くなくていい、伝えるのは“量”より“質”が優先だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>sage saga<>2012/02/23(木) 00:05:45.24 ID:byskmfpO0<>
「俺はオマエらの会話にただ『仲間』のためにみっともなく出しゃばったに過ぎねェ。……だが、オマエと違って『強い』俺はオマエに言うぜ」
「……、」
「――――『仲間』を守るのにチカラの“強弱”なンざ関係ねェ、たとえ無能力者でも“守る”と決めたモンは命に代えても守るンだ。そいつは都合のいい『ヒーロー』のように颯爽と現れて、ボロボロになりながら『怪物』を打ち倒しちまうほどだからなァ」
<>
◆phLlq2zEWI<><>2012/02/23(木) 00:07:47.04 ID:byskmfpO0<> 今回の投下は以上です、ありがとうございました。
次回の投下は今週中にもう一度来れたらいいなと考えています。
それではまた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)<>sage<>2012/02/23(木) 00:12:13.56 ID:3bz5OhYF0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/23(木) 00:51:14.44 ID:9htku1XAO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/23(木) 06:25:04.75 ID:l1jn0MQy0<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/02/27(月) 00:30:28.43 ID:YydWUpAP0<> お久しぶりです、>>1です。少し遅くなりましたが、今回の分の投下に来ました。
それでは今から投下していきますね。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:32:46.36 ID:YydWUpAP0<> >>595 続き
――――同時刻、北極海
「――――上条さん!上条さーん!!」
「返事をするのよな上条当麻ーッ!お前さんはいつまでこの極寒の海を漂うつもりなのよー!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:33:59.46 ID:YydWUpAP0<>
「……ッ、この呼びかけに早く答えろ上条当麻ッ!いつまで“あの子”を一人にしておくつもりだ!“あの子”にこれ以上辛い思いをさせるようなら、僕はこの海水を全て蒸発させると同時に、君の全身を骨まで焼き尽くすからなッ!!」
「落ち着いて下さいステイル。あなたが仮にこの北極海の海水を全て蒸発させても、それでは本末転倒です。私達は『上条当麻の捜索、及び保護』の任務を任されているのですよ?」
「…………分かっているさ、そんな事は、分かっている……ッ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:34:46.56 ID:YydWUpAP0<>
「……。それにしても、なかなか見つかりませんね。もしかしたらこの海域からは既に姿を消してしまったので……、――――ッ!」
「ッ!? と、突然どうなされたのですか女教皇様!?」
「――たった今、水中を漂う人影の様なものを捉えました。ただの海洋動物の可能性も考えられますが、私はとりあえず潜水術式を用いて目標の追跡を行います」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:47:14.17 ID:YydWUpAP0<>
「……、…………はぁ……」
「なンだその深い溜め息は、せっかくの幸せが逃げてくぞクソチビ」
「…………私は別に幸せが逃げても超構いませんよ。『幸福』なんてモノは所詮『幻想』に過ぎないですし」
肺の中にあった空気を全て押し出すほどの溜め息をこぼした絹旗は、目の前に立つ真っ白な少年を見る。
学園都市最強であり学園都市最凶でもある周囲の人間から怖れられる怪物は、そこにはいなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:48:37.03 ID:YydWUpAP0<>
そこにいたのは、一人の少年。暴虐を尽くしている者では決して纏うことの出来ない微かな“優しさ”を備えた一人の人間。
昔の彼では、人に何かを諭すような事は考えもしなかっただろう。
だが少年は変わった、変わることが出来た。
この世界に一人しかいないの少女の為に、幻想を打ち砕く一人の少年が導いてくれた事によって。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:50:27.95 ID:YydWUpAP0<>
「(…………こんなの超変です、こんなの私が植え付けられた第一位の『人格』とは超一致しません)」
その劇的な変化に、絹旗の心境は揺れていた。
彼女はとある過去に一方通行の『思考パターン』を植え付けられており、それまで絹旗は彼の事を『血も涙もない残虐非道の怪物』という印象しか持っていなかったのだ。
しかし実際にこうして面と向かってみると、決してそんなことはなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:51:15.71 ID:YydWUpAP0<>
試合が始まる前に垣根帝督と交えた握手。
急拵えのチームを纏める為にメンバーの先頭に立つ。
サッカーの試合中に垣間見せた愉しそうな表情。
突如暴走を始めた番外個体をいとも簡単に救った。
これらを行う者を『最凶の怪物』と呼ぶのなら、『平凡な人間』の定義はどうなってしまうのだろうか。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:52:07.01 ID:YydWUpAP0<>
「(第一位があの『くそったれな計画』の時とは超変わってしまったのは、今までの状況を鑑みれば分かります。……それでもここまで、まるで『ゼロから生まれ変わるような』事って超ありえるんですか?)」
そして身長差から見上げる形になった絹旗を見て、一方通行は眉根を寄せて彼女を見下ろす。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:52:47.05 ID:YydWUpAP0<>
「なンだよクソチビ、何か言いたい事でもあンのかァ?」
「……言いたい事は確かにありますが、第一位に超反論してもすぐさま超論破されそうなので止めときます」
「ハァ?」
絹旗の返答を受けて一方通行の表情がさらに険しいものとなるが、彼女はそれに構わず思考の渦に没頭していく。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:53:59.46 ID:YydWUpAP0<>
「(…………第一位が変われた背景に超存在するもの。周囲の人間、周囲の環境、人間関係、趣味嗜好、それらの中で超大きく影響を及ぼしそうなものとは……、――――ハッ!)」
仮にも大能力者である絹旗の頭脳を甘く見てはならない。
超能力者である一方通行達には及びはしないが、それでも普通の人間よりは遥かに高い。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:55:05.28 ID:YydWUpAP0<>
「(……超分かりました、超分かりましたよこの『名探偵』絹旗最愛!第一位を超変えたモノ、それは――――、)」
「『サッカー』ですねッ!!?」
「………………急に何言ってンだオマエ?」
だが、その頭脳が間違った方向に働くことは、普通の人間と大差はないのだが。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:56:10.10 ID:YydWUpAP0<>
「っ!…………あ、あれ?私の超推理、もしかして口に出てました?」
「もしかしなくてもはっきり出てましたァ。急に『サッカー』とか脈絡なさ過ぎンだろバーカ」
「……っ、ば、馬鹿ってなんですか馬鹿って!私の超どの辺が馬鹿に見えるって言うですか!?」
「あァ? ンなモン、会話ン中に『超』『超』付けて話す時点で馬鹿丸出しだろォが。なンて言うか、オマエには品がねェ。そもそもその露出した両足が気に食わねェンだよ」
「(…………百歩譲っても口調の話は超分かりますが、なにをいきなり私の超外見にケチつけ始めてんですかこの第一位?もしかしてそれも私の事が馬鹿に見える超要素だって言いたいんでしょうか?)」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 00:57:04.51 ID:YydWUpAP0<>
顔を真っ赤にして一方通行の言葉を必死に否定したり、打って変わって今度は頭を冷して冷静に考え込んだりと、忙しない事この上ない様子の絹旗。
完全に一方通行にペースを握られているという事実に、彼女はまだ気付かない。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 01:00:35.54 ID:YydWUpAP0<>
「あー、そういやオマエは小学生だったっけかァ?」
「私は超・中・学・生・ですよッ!!――ってか、第一位は私のことを超さり気なく馬鹿にしていませんか!?」
「現在進行形でしてンじゃねェか、オマエはそンな事も理解できねェのか」
「………………」
「……ン?」
「………………う」
「…………あァ?」
「…………ううッ」
「……なンだよ突然唸り始めて、腹でも冷えたのかァ?」
「……うううッ」
「……ったく、仕方ねェな。ホラ、コート貸してやるからこれ着て暖ま――――、」
「うがァァァァアアアアアアアアッ!!」
「っ!?」
そして絹旗はその事実に気付かないまま、彼女の怒りゲージが怒髪天を抜く勢いで爆発した。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 01:01:59.47 ID:YydWUpAP0<>
「……あ、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う!超なンなンですか第一位!?人の揚げ足取るのがそンなに愉しいンですか!!?」
絹旗は地団駄を踏み、顔を茹蛸の様に真っ赤に染め上げて涙目を浮かべながら一方通行に怒鳴り散らす。
「ぎゃはっ☆ミサカは揚げ足取るのも好きだけど、そういう表情見るのも結構好きだよ。まあ一番は第一位の困った表情だけどね☆」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 01:03:11.01 ID:YydWUpAP0<>
「……はァ?超うるせェですよ年増! ババアは超大人しく引っ込ンでろ!!」
「ちっちっち、残念だったねおチビさん。ミサカの肉体年齢は〇歳でさ、実はミサカはあなたより確実に年下なんだよねー☆」
「…………ちょ、超ムカつく……、その妙に勝ち誇った表情が超ムカつく…………ッ!」
そんな赤ん坊のような癇癪を起こす彼女は番外個体にとっては格好の獲物だったらしく、絹旗は簡単に番外個体の掌で踊らされてしまう。
そしてさらに、絹旗の受難は続く。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 01:04:13.61 ID:YydWUpAP0<>
「………………年増? ババア? ……オイ絹旗、今なんつった。誰がババアだって?」
怒りで我を忘れた絹旗の暴言を茶化して返した番外個体とは異なり、麦野は額に青筋をハッキリと浮かべて絹旗を睨み返す。
麦野沈利と神裂火織という少女に対して年齢関係の話題を出すことは、死亡フラグ成立の意味を持つ。
麦野は『蛇に睨まれた蛙』の『蛇』すらも怯えてしまいそうな程の殺気を含んだ眼光で絹旗を睨む。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 01:04:59.01 ID:YydWUpAP0<>
「落ち着け第四位ッ! テメェ警備員が見てる中で『原子崩し』なんて代物を人間にぶっ放したら、いろんな意味で終わりだぞッ!?」
そしてそんなブチ切れ寸前の麦野を背後から羽交い絞めし、なんとか抑えようとする垣根。
垣根は自身の能力に対して『常識は通用しねぇ』と常に言っているが、その本人は喧嘩の仲裁に入ろうとしている所から、彼はこの中で一番の常識人なのかもしれない。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 01:06:48.07 ID:YydWUpAP0<>
「止めんじゃねえよ『未元物質』! オンナにはやらなきゃいけねえ時があんだからよォッ!!」
「あァン!?そっちがその気なら超上等ですよ麦野ッ! なンならこの場でさくっと超ケリをつけようじゃありませンか!!」
「…………いい気になってんじゃねえぞ絹旗ぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」
「…………オマエら、喧嘩すンなら余所でやれ余所で」
「ちょっと待て一方通行!テメェがあいつを焚きつけたのが原因だろうが!?テメェが収拾つけねぇとこいつらもう止まらねぇよ!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 01:14:15.44 ID:YydWUpAP0<>
「――超勝敗を決するのは『PK勝負』といこうじゃないですか!ゲームで得た知識を超フル活用して、麦野なンか超打ち負かしてあげますよッ!!」
「――ハッ、ゲームの知識如きにこの私が負けるわけねぇよ!テメェに私の『原子崩し』が止められるモンなら止めてみやがれ!!」
「……いやー、あいつらかなり物騒な雰囲気を醸し出してるが、それでもあれも青春じゃんねー」
オンナ同士の不毛な争いの火蓋が切って落とされる中、寒空の下に黄泉川の独り言が虚しく響いた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/02/27(月) 01:18:08.08 ID:YydWUpAP0<> 今回の投下は以上です。
それと>>1は今週からテスト一週間前になるので投下量がかなり減りそうです。
時間を見つけて投下に来ようとは思いますが、投下に来れなかったらすみません…。
それではまた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/27(月) 01:21:43.20 ID:psh+K5WAO<> 乙
テスト頑張れ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/27(月) 19:23:03.01 ID:8FNK/Ii60<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:10:15.62 ID:i5t4c/mi0<>
お久しぶりです、>>1です。
かなり短いですが、今回の分の投下にきました。
こんな状態が来週も続きます。待っている読者の皆さん、本当に申し訳ございません…。
コメントがあるとやっぱり嬉しいですね、>>1の身に染み渡ってエネルギーに変換されています。
嫌いなテストも頑張る気になってきますよ。
ではでは、今から投下していきますね。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:12:37.94 ID:i5t4c/mi0<>
>>620 続き
「――ハッ、オイオイどうした絹旗ぁ!まだまだテメェはこんな程度で潰れるほど貧弱じゃないわよねぇッ!?」
「……ぐっ。麦野の事ですから、初っ端から超全力で来たのには驚きませんでしたが、その後に蹴ったボールがことごとく私目掛けて飛んでくるのは超予想外でしたよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:13:31.71 ID:i5t4c/mi0<>
「う、うるせぇ!私のシュートがまっすぐにしか飛ばない事の何が悪いってのよ!?」
「いえ。麦野のシュートが超単調で止めやすい分、私に勝機が見えてきているのでむしろ超最高ですよ」
先程の垣根による羽交い絞めから強引に抜け出した麦野は、絹旗と向かい合いながら爆心地のようなコートの上に立っていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:14:46.77 ID:i5t4c/mi0<>
「――――いい加減、超決着をつけましょうか麦野」
「……、」
「サドンデス10本目。『これを私が止めたら麦野の負け、麦野が決めたら私の負け』の超特別ルールでいきましょう」
警備員の静止を振り切り(黄泉川が止めさせた)、フィールドで相対する二人の少女の戦闘は、互角と言っていいのか分からないほど微妙なモノだった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:15:43.76 ID:i5t4c/mi0<>
まず『PK勝負』で先行を取ったのは麦野で、彼女は『原子崩し』をボールとのインパクトの瞬間に爆発的に放ち、とてつもない威力を秘めた一撃を蹴り飛ばした。
その一撃はいとも簡単にゴールネットに突き刺さり、豪快な先制点を決めてみせる。
だがその裏であっさり絹旗に点を取られてしまい、これでスコアはイーブンに戻る。
――――ここまではよかった、だが次からがダメだった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:16:33.99 ID:i5t4c/mi0<>
その次に麦野が放った一撃はまだ本調子でない為に『原子崩し』が不発に終わり、普通の威力で遅めのシュートは絹旗に易々とキャッチングで防がれてしまった。
絹旗は絹旗で変なプライドの為か、攻撃の際に四隅を狙ってシュートを放つもことごとく外れ、それが両者共にズルズルと続いて延長10回目。
この対決が、実質的な彼女達の最終決戦だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:17:18.67 ID:i5t4c/mi0<>
「麦野が超勝利するためには、私から点を奪う以外に方法はありません」
「…………ふっ、は、はははははッ!……上等、上等よ絹旗。これで決着――ね、イイじゃないそのルール。最初からそうしておけばよかったんじゃないの?」
麦野は目の前に置かれたサッカーボールを足の裏でぐりぐりと地面に押し付ける。
彼女の『原子崩し』を1発食らっているためか、そのボールの表面はボロボロ、形も綺麗な円形から潰れた饅頭のような楕円形へと変化していた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:17:59.57 ID:i5t4c/mi0<>
しかし、それでも流石は学園都市で製造されたボールだ。これまで先程の試合開始後から様々な衝撃を受けてきたのにも関わらず、ボールはまだ一度も破裂していない。
ちなみにこの超豪華な顔触れの中で、唯一サッカーボールを木っ端微塵に変える事が出来たのは、学園都市最強の一方通行、ただ一人だけである。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:18:51.63 ID:i5t4c/mi0<>
「それは超ごもっともな意見ですが、短時間で決着が着いても超面白みに欠けます。麦野にはこのギリギリの“緊張感”こそが、超快感だと思いませんか?」
「……ハッ、そんな“緊張感”ギリギリどころか、それより恐ろしい“生死の境”ギリギリなら、――――暗部時代に散々味わってきただろうがよォッ!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:20:26.80 ID:i5t4c/mi0<>
麦野は咆哮と同時にその右足を振り抜いた。
彼女の代名詞である『原子崩し』は使わない、必要ない。
その右足に込めるのは『チカラ』ではなく『ココロ』だけで十分。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:21:52.73 ID:i5t4c/mi0<>
「(『いきなり不意打ちとか超卑怯です!』って、絹旗は今頃考えているでしょうね。……まあ実際、反論の余地もないわよ)」
ただまっすぐに、回転もロクに掛かっていない直線状の一撃は絹旗の真正面へと飛んで行く。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:22:45.99 ID:i5t4c/mi0<>
「(それでも私には『自分』を表現するのに今はこれくらいしかなかったのよ。……優しくなくて意地っ張りで、短気で気分屋で、思い込んだら直情的で、そのあとで死ぬほど後悔して、それでも死ねなくて)」
絹旗はそれを見て中腰になり、胸の前で小さな三角形を作って待ち構える。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:23:38.53 ID:i5t4c/mi0<>
「(さっきの言葉だって、あんな挑発的に出る必要なんてなかった。もっと他にいい言葉を選べば、こんなクソ面倒な葛藤なんてしなかったでしょうね)」
「――っ!」
絹旗はボールに麦野の『蹴り』以外に何も付加されていない事に気が付いたのか、地面を力強く蹴って迫り来る球体との距離を縮める。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:25:06.04 ID:i5t4c/mi0<>
「――――はぁぁぁぁあああああああッ!!」
その距離は一瞬にして狭まり、絹旗は『窒素装甲』で包まれた右手で、思いっきりボールを地面に殴りつけた。
いきなり向きを直線から直角に曲げられたボールは地面に衝突すると、中に空気の入っている性質上、ボールに弾性力が働き再び勢いよく跳ね上がろうとする。
だが絹旗はそれを強引に押し潰すような形で上から押さえ込み、ボールの動きを完全に沈黙させた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:26:09.38 ID:i5t4c/mi0<>
「…………超、……何やってるんですか、麦野……?」
目線はボールに向けたまま、絹旗が蚊の鳴くような小さな声で麦野に訊ねる。
「……ハァ?何って、さっきの一瞬を思い返せば分かるでしょ?私があなたに不意打ちしただけよ」
「……超違います、私が言いたい事はそんなことでは超ありません」
「……?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:27:21.69 ID:i5t4c/mi0<>
「――――どうして、どうして麦野は、超涙を流してるんですか?」
「は――?」
その時、麦野の左目から一筋の涙が頬を伝って地面に落ちた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/04(日) 16:38:50.17 ID:i5t4c/mi0<> 今回はここまでです。
かなりキリの悪い部分ですみません、サッカーの描写少ないなぁ……。
次回の投下はまた来週以降です。
テストが終わるのが3月14日ですので、それまではたぶんずっとこんな感じです。
それと気が早いですが、もう早めに次章のストーリーを決めておこうと思います。
次のコメントにまた選択肢を用意しておきますね。
それではまた。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga sage<>2012/03/04(日) 16:48:38.38 ID:i5t4c/mi0<>
・その1 『とある根性さんと華奢な九つ子達』
・その2 『とある常盤台の女王と取り巻き達』
・その3 『とあるお嬢様とジャージ娘と怪力JCと世紀末帝王』 ←選択不可
・その4 『とある電撃姫と露払い』
・その5 『とある軍曹と追跡者と露出狂』
・その6 『とある暗部の新入生』
・その7 『とある正体不明の人工天使』
・その8 『とある幻想殺しと魔術師』 ←NEW
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/04(日) 17:21:29.94 ID:uQ9I5tJOo<> 2 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/03/04(日) 17:35:55.66 ID:q3+BNpDAO<> 乙
1 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/04(日) 17:55:23.91 ID:jpT77NGi0<> 乙
2 <>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:11:52.29 ID:BRHB7Dts0<>
>>1です、お久しぶりです。
また短いけど今回の分の投下に来ました。
新約の4巻を買ったのはいいんですが、テスト勉強で全然読めない…。
ただパラパラと見たら、とある冷蔵庫さんの名前が出ていました。
でも『帝』が『提』になっていて、とても可哀相でした。
とりあえず世間話はこの辺で、今から投下していきます。
ではでは <>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:13:45.99 ID:BRHB7Dts0<> >>639 続き
「…………は?え、ちょっ――、あれ、なん……で?」
自分でも一体なにが起こっているのかが理解できない麦野は、彼女にしては珍しくおろおろと狼狽する。
「……くっ、なんなのよこれ!? 目にゴミでも入ったっていうのか!?」
必死に目元を擦ってこぼれ出す涙を拭く麦野。左目からは今も決壊したダムのよう涙が流れ落ちるが、義眼である右目からは一滴も流れない。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:15:10.66 ID:BRHB7Dts0<>
「……、麦野」
「……なに、……よ、…………絹旗……っ」
「麦野は、麦野は今も何か『ココロ』に超溜め込んでませんか?」
ボールを小脇に抱え込み、絹旗はゆっくりと地面から立ち上がる。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:16:16.69 ID:BRHB7Dts0<>
「麦野の蹴るボールからは、漠然とし過ぎて超詳しくは分かりませんが“辛さ”が伝わってきました」
小さな少女が見据えるのは、球体は球体でもボールではなく義眼の少女の瞳。
「スポーツというものは、その人間の本質が超色濃く反映されると言われています。ただ、それはあくまで言われているだけであって、それの明確な根拠というものは超存在しないのですが」
「……、」
絹旗は麦野の無言を確認すると、薄い笑みを浮かべて言葉を続ける。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:17:08.19 ID:BRHB7Dts0<>
「とりあえずそれをサッカーで超例えてみましょう。『積極的な人間』なら味方にパスをせずにドリブルで持っていく、『消極的な人間』ならドリブルで持っていかずに味方へパスをする」
「ほら、もうこんなに超明確な違いが生まれましたよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:18:41.95 ID:BRHB7Dts0<>
「…………消極的な人間だって、必ずしもそうとは限らないでしょ……?」
「はい、あくまでそれは超例え話なので“必ず”とは言い切れませんね」
「表面と裏面で見せる表情が超異なる麦野みたいな感じです」
「………………どういう意味よそれ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:19:40.81 ID:BRHB7Dts0<>
「どういう意味もなにも、私は超事実を述べたまでですので」
「…………………………はぁ?」
「――――表では浜面を超奴隷のように扱う麦野様は、裏ではボロボロのぬいぐるみを抱いてないと寝むれないという超キュートな沈利ちゃんである、って事ですよ」
「〜〜〜〜〜ッ!!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:20:40.11 ID:BRHB7Dts0<>
ニヤニヤと意地の悪い笑顔を浮かべた絹旗の爆弾発言を聞いた直後、麦野の両頬が一瞬にして真っ赤に染め上がる。
「…………き、ききき絹旗テメェ! なに公衆の面前でとんでもない事言ってくれてんのよ!?」
「別にいいじゃないですか、超減るモノじゃありませんし」
「減ってるっつーの!私の積み上げてきたプライドとかその辺りが一瞬にして水の泡になっちゃってんのよ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:21:20.47 ID:BRHB7Dts0<>
「私は痛くも痒くもないので超どうでもいいです」
「完ッ全に他人事だなオイッ!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:22:21.32 ID:BRHB7Dts0<>
そんな絹旗に喚き散らす麦野を少し離れた所から見ていた能力者の面々は、みなそれぞれ似たような印象を受けていた。
一つはあの冷静沈着(と言えない時もある)第四位にも、女の子らしい一面があったという事実に対しての驚愕。
そしてもう一つは、学園都市の超能力者にはやはりどこか常人と離れた個性を持っているという事実の再確認。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:23:16.21 ID:BRHB7Dts0<>
一方通行の独特の口調然り、垣根帝督の独特のファッションセンス然り、御坂美琴のゲコ太好き然り、食蜂操祈の女王様気取り然り、削板軍覇の熱血漢然り、そして今回の麦野沈利の裏の面。
“いくらなんでもこれはやりすぎだ”と思われるレベルでないと、超能力を使えるレベルの『自分だけの現実』は獲得できないのだろう。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:24:10.13 ID:BRHB7Dts0<>
圧倒的個性こそが、自身の強力無比なチカラとなる。
これが仮に本当の話だとしたら、とある高校の黒髪少女は涙目である。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:25:48.85 ID:BRHB7Dts0<>
「――へっくしっ」
「大丈夫?今日は特に冷えるから風邪の可能性もあるし、えっと風邪予防のサプリメントは……」
「ずずっ。ただのくしゃみだから。特に薬は必要ない」
「……今日は本当に冷えるな、誰かにこの寒波を完膚なきまでに壊してきて欲しいんだけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:26:34.09 ID:BRHB7Dts0<>
「あと少しだから我慢してください先輩。――ほら、見えてきましたよ」
「…………ここがそうなの?どう見ても廃れた廃屋にしか見えないんだけど」
「大丈夫。味は私が保障する」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:27:19.38 ID:BRHB7Dts0<>
「あたしも前に来ましたけど、結構美味しかったですよここのお店」
「汚い店。でも美味しい。見た目に惑わされたらダメ。ゼッタイ」
「…………なんか犯罪防止の呼び掛けみたいになってるんだけど?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:28:59.66 ID:BRHB7Dts0<>
「うーん、なんかよく分からないけど、問題は解決したみたいじゃん。――よし、『警備員』は全員撤収じゃん!」
「「「「ええッ!!?」」」」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:29:55.36 ID:BRHB7Dts0<>
「衛星写真で裏が取れているから分かっているとは思うが、目撃情報にあった炎は確認されてないし、爆発物の存在も確認されない。あいつらを縛り上げても得られる情報は『書庫』を見たほうが正確じゃん」
「……し、しかし黄泉川さん!この爆心地の様な惨状は、一体どのように説明したらいいんですか!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:30:38.40 ID:BRHB7Dts0<>
「才郷、あいつらはこの学園都市の『超能力者』じゃん。そんなのあいつらに順位を付けて好き勝手に弄んでいる『上』がどうとでもしてくれるじゃんよー」
「そ、それは…………、」
「はいはい、納得したならさっさと撤退の準備をするじゃんお前ら。いやー、いい訓練になったじゃん!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga <>2012/03/11(日) 16:37:35.06 ID:BRHB7Dts0<>
今回はここまでです。キリがいいんだか悪いんだか…。
次回の投下は来週の水曜日以降になります。
テスト勉強で書き溜めが出来ないのがつらい…。
>>641のルート選択は継続中です、一人何回でも選択してオッケーですよ。(ただし連投は禁止です!)
それではまた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/03/11(日) 23:07:43.48 ID:LCYsOR9AO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/03/12(月) 20:21:59.73 ID:0WTfV32+0<> 乙
6 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:26:46.31 ID:VXxaUYd60<>
こんばんは、>>1です。今回の分の投下に来ました。
今回はぶっちゃけ垣根パートです。主人公の一方通行と主題のサッカーどこいった状態ですが、毎回こんな感じなんですよね……。
今回は端折るにも端折れない意外と重要な話です。現在の世界の状況がちょろっと出てきます。
それではいきます。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<><>2012/03/15(木) 23:32:38.74 ID:VXxaUYd60<> >>662 続き
黄泉川の一言により、少女の通報を受けて駆けつけた警備員はぞろぞろとこの場から引き上げていく。
やれやれと重い溜め息を零しながら各々の支部へと戻っていく同僚の背中を見送りながら、黄泉川は番外個体達の正面に立つ。
「まったく、もうくれぐれもこんな馬鹿騒ぎは起こすんじゃないじゃんよ?」
「馬鹿騒ぎっていうか、ミサカ達はただサッカーをしていただけなんだけどね☆」
「すこし白熱し過ぎちゃった」
黄泉川の忠告に、小さく舌を出しておどけてみせる番外個体と、無表情で答える滝壺。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:33:27.02 ID:VXxaUYd60<>
番外個体の言うとおり、一方通行達はこの場でただサッカーをしていただけである。
ただコート内で戦う選手のチカラが強すぎたせいで、フィールドの方がその強大なチカラに耐え切れなくなってしまっただけの話だ。
ここの公園の管理者も、まさか超能力者が一同に集結してサッカーをするなど考えもしなかっただろう。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:34:26.97 ID:VXxaUYd60<>
「……、」
そんな彼女らの前で保護者の様な立ち振る舞いをする黄泉川を見て、垣根はジリジリと後退りをしていた。
垣根帝督にとって黄泉川愛穂とは、過去の彼自身が傷付けた一般人の一人だ。
一方通行と垣根帝督の『邪魔』をした黄泉川愛穂を躊躇なく傷付けてしまった彼は、出来る事なら今すぐこの場から離れたかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:35:21.40 ID:VXxaUYd60<>
しかしそんな一人不自然な行動を取る垣根を黄泉川が見逃すはずもなく、彼女は垣根に釘を刺す。
「そこで私から少しずつ距離を取ろうとしている少年もじゃん。――いや、ここは垣根帝督って呼んだ方がよさそうじゃんよ?」
「……チッ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:36:30.91 ID:VXxaUYd60<>
「“あの時”に受けた傷、跡は残らなかったけどすごく痛かったじゃん。お前にも“あの時”にやろうとしていたことがあったのかもしれないが――――、」
「とりあえず、一発殴らせろじゃん」
「え」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:39:05.57 ID:VXxaUYd60<>
突然の暴力宣言に呆気に取られる垣根に構うことなく、黄泉川の固く握り締められた右拳が彼の顔面を目掛けて襲い掛かる。
そして瞬く間に拳は垣根の頬に触れ――、
バキィィ! という鈍い音が炸裂した。
「――ぐあッ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:40:04.37 ID:VXxaUYd60<>
垣根は受身もロクに取れずに背中から地面へと倒れ込む。
そして殴られて真っ赤に染まった左頬を摩りながら、垣根は上体だけを起こして黄泉川を睨みつける。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:41:22.57 ID:VXxaUYd60<>
「…………い、いきなり何しやがんだクソババアッ!!?」
「はいはい、私はお前から『クソババア』って思われても別に結構じゃん。それでも、これでお前にも理解出来たはずじゃんよ」
「……あん?何が理解出来たって言うんだよ」
「そんなのはもちろん、――――『殴られたら痛い』って事じゃん」
「…………………………はぁ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:42:30.29 ID:VXxaUYd60<>
当然の事実を改めて口にした黄泉川に対して垣根は、何言ってんだコイツ? という表情を浮かべて彼女を見る。
周りの人間も黄泉川の突拍子もない行動と言動に呆気に取られていたが、番外個体だけは地面に倒れた垣根を指差して必死に笑いを堪えていた。
「“あの時”のお前は私に“これ”をしたじゃん。『殴られたら痛い』ってのは、当たり前の様で実際はそんな深く考えてる事実じゃないじゃんよ」
「……、」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:44:04.28 ID:VXxaUYd60<>
「『何かをぶつけられたら痛い』ってのは、幼稚園児でも理解出来る常識じゃん。けど幼稚園児は『何かを相手にぶつけても気にしない』のが普通じゃんよ。まだ『罪悪感』が芽生えてないからじゃん」
「でも、今のお前は無知で無邪気な幼稚園児でもなんでもない、学園都市の超能力者で第二位、垣根帝督じゃんよ。『罪悪感』もちゃんと持っているハズだし、さっきので意味も理解出来たハズじゃん」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:45:09.74 ID:VXxaUYd60<>
「…………チッ」
垣根は一つ舌打ちを鳴らすと、口の中の唾を地面に吐き捨てた。
地面に落ちた唾液は赤みを帯びており、どうやら先程の拳で口の中が切れてしまったようだ。
「――あーあ、何で女は偉そうに説教ばっかりしてくんだよ。いい加減飽きたっつーの」
垣根はげんなりとした表情を浮かべてゆっくりと立ち上がる。
服に付いた砂を叩いて落とす彼の脳裏には、路地裏で第四位と遭遇した時の光景が映し出されていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:46:09.27 ID:VXxaUYd60<>
〜第七学区・とある路地裏〜
『――ぐぁっ!』
『――がはっ!?』
『おら、かかって来いよ雑魚共!無能力者のテメェら相手にわざわざ俺が能力を封じて戦ってやってんだッ!!もうちっと愉しませてくれねぇと割に合わねぇぞ!!』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:46:59.82 ID:VXxaUYd60<>
『…………こ、この野郎……ッ!』
『――――そこまでにしときなさいよ「未元物質」。格下相手にみっともないったらありゃしない、学園都市第二位の名が泣いてるわよ?』
『………………あん?』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:47:44.90 ID:VXxaUYd60<>
『――って、ちょ……、麦野!?』
『――超なにしてるんですか!?』
『二人とも落ち着いて、むぎのなら大丈夫だよ』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:48:42.18 ID:VXxaUYd60<>
『……チッ、なんだよ第四位。テメェが俺のサンドバッグにでも立候補してくれんのか?今の俺はかなりムカついてるから加減は一切できねぇぞ』
『断る。何が愉しくてテメェのサンドバッグにならなきゃなんないのよ、っつーかテメェは死んだんじゃなかったっけ?』
『……おい、喧嘩売ってんのか第四位?テメェはかつて俺に手も足も出なかったくせに、口だけは大層ご立派だったよな』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:49:43.58 ID:VXxaUYd60<>
『――そのムカつく減らず口を大人しくさせるには、やっぱりテメェを潰すのが一番楽だよなぁオイ?』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:50:33.71 ID:VXxaUYd60<>
『…………ハァ、一体何に苦しみもがいているかは知らないけど、テメェも素直になったら? 色々とスッキリするわよ』
『……っ、それは一体どういう意味だ?』
『別に、ただ今のテメェを見て私が感じた事を言っただけ。どうしようもない気持ちがあるなら私に話してみなさいよ、少しくらいなら力になれるかもしれないし』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:52:28.66 ID:VXxaUYd60<>
『――ハッ、テメェが人生相談の真似事をするなんざ随分と愉快な話じゃねぇか。なにか心境の変化でもあったのかよ?』
『自分自身が“変わらない”と見えてこないモンもあるからね。テメェも“変わって”みれば分かるわよ』
『……ふん、格下の第四位如きが一丁前に俺へ説教か』
『テメェより格下なんて、この学園都市には腐るほどいるんだけど?』
『ハハッ、そりゃそうだな。っつーか俺より上に存在する人間なんざ、俺より序列が上の第一位様しかいねぇよ』
『…………あのクソったれの、第一位様しかいねぇんだよ……っ』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:53:23.70 ID:VXxaUYd60<>
『………………………………あー、そういうことね』
『……ああ?何が“そういうこと”なんだよ?』
『テメェがスキルアウト相手に憤っていた理由が分かったのよ。――第一位と喧嘩でもしたのか』
『…………喧嘩じゃねぇ、ただあのクソ野郎が俺の事をどうでもいいように扱うのが気に食わねぇだけだ』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:54:14.58 ID:VXxaUYd60<>
『ふーん、要するにテメェは「第一位様と仲良くなりたい」って事でいいのよね?』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:55:12.06 ID:VXxaUYd60<>
『ッ!?……ば、馬鹿な事言ってんじゃねぇぞ第四位!俺があの「白くてひょろひょろのモヤシみてぇな第一位と仲良くなりたい」とか考えてるわけねぇだろ!!?』
『そう。だったら、――なんでテメェはそんなに苦しんでるのよ?』
『――ッ、それは……、』
『つまらないプライドなんて捨てなさい……とは言わないけど、やっぱりテメェも変わるべきね。第三次世界大戦は終結して、それと同時に世界各地の争いも沈静化してきている』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:56:23.23 ID:VXxaUYd60<>
『いまや「世界」も変わろうとしているのに、その中でテメェはたった一人で「過去」に囚われるつもり? 常識のない「世界」なんて「未来」にしか存在しないでしょうが』
『……、』
『“変わらない”で何かを掴もうなんて無理なのよ。テメェは“変わって”新しいモンをその手で掴み取ってみなさい。この“私”にだって出来たんだから、格上のテメェにならこんなの造作もない事でしょ?』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:57:54.11 ID:VXxaUYd60<>
『…………チッ。いいぜ、そこまでテメェにボロクソに言われたら俺も黙ってなんかいられっかよ。――――“変わって”やろうじゃねぇか』
『じゃあその手始めに「過去」の事は忘れなさい。蒸し返されたらたまったもんじゃないし』
『あん?「過去」っていうと…………ああ、「フレンダ」とかいうガキか。テメェらを裏切ったあいつは結局どうなったんだ?』
『私が粛清したわ、そしてそれっきり。これ以上踏み込んで来る様なら、私はテメェをブチのめさないといけなくなる』
『ふーん、なら踏み込まねぇよ。俺もそこまで野暮じゃねぇ』
『そう、助かるわ』
『――ハッ、礼を言われるほどの事でもねぇよ』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:58:38.00 ID:VXxaUYd60<>
「…………それでもテメェは俺にこうして説教するって事は、俺を正しい方向へ導こうとしてんだよな」
「ん?まあ私は警備員だけど、その本職は教師じゃん。間違った方向に進もうとした生徒を正してやるのも、教師の立派な役目の一つじゃんよ」
二ィっと白い歯を見せてはにかむ黄泉川を一瞥し、垣根は雲一つない天を仰ぐ。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/15(木) 23:59:30.99 ID:VXxaUYd60<>
「さっきの俺はテメェを見た時に逃げようとしたが、アレじゃあダメだったんだな」
――垣根は路地裏で麦野に“変わる”と宣言した。
――垣根はコートで一方通行と“変わった”片鱗を見せた。
――垣根は目の前に立つ黄泉川から“逃げよう”とした。
――垣根はそれではいけないと気付いた、気付かされてしまった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/16(金) 00:00:27.14 ID:fWCeHr210<>
そして少年は、何かを決心したように両目を閉じる。
真っ青な寒空に向けられていた視線を黄泉川に移して正面に立ち、垣根は腰から直角に上体を前方に折り曲げて言った。
「――――“あの時”は本当に悪かった。なんならあと10発位殴ってくれても構わねぇ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/16(金) 00:01:24.20 ID:fWCeHr210<>
「んー…………、よし。お前の真摯な気持ちを汲んで、この件は水に流してやるじゃんよ」
「まったまたー、ホントは最初っから水に流すつもりだったんじゃないの?――それより第二位が深々と頭下げてるのが超ウケるんですけど!!ぎゃはははっ☆」
「ぐっ、……あとで覚えとけよ番外個体……ッ!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/16(金) 00:02:06.56 ID:fWCeHr210<>
「まあまあ、番外個体もそう言うなじゃん。男がこうして深々と頭を下げるのは、結構つらいモノなんじゃんよ?」
「ウチのはまづらは、いつも平気で深々と頭を下げてるよ」
「「「それはプライドがないだけだ(じゃんよ)」」」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/16(金) 00:03:34.28 ID:fWCeHr210<>
「――まあそんな馬鹿な浜面の事より、そろそろ遠慮なく殴らせてもらうじゃんよ。『クソババア』って言ったのも含めて、あとプラス10回で勘弁してやるじゃん♪」
「は?」
自分で黄泉川にそう言っておきながら、一瞬間抜けな表情を浮かべた垣根の顔は、間髪入れずに繰り出された『黄泉川スペシャル Ver.〜右フックからの左アッパーメドレー〜』でボコボコにされた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/16(金) 00:05:17.28 ID:fWCeHr210<>
そしてその光景を、いつの間にかコート傍に置かれたベンチに座って見ていた一方通行は、大きな欠伸と共にポツリと呟く。
「……………………………………腹減ったなァ…………」
――現在時刻は十二時三十分、これから少し遅れた『昼食会』が始まろうとしていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/16(金) 00:12:15.84 ID:fWCeHr210<> 今回の投下は以上です。 なんだか垣根が主人公の物語のように思えますが、主人公は一方通行です…。
この話で>>418さんの疑問は解消されたと思います。 皆さんのコメント次第で色々とスポットを当てていく事もあるので、気になったことがあったら書き込んでみて下さいね。
次回の投下は今週中にもう一度来れたら来ます。
それでは。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/03/16(金) 00:15:15.17 ID:xv7D9y1AO<> 乙
垣根と麦野の組み合わせいいな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/16(金) 16:39:03.14 ID:Gfh8tfE00<> 乙
いいな <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 01:26:11.48 ID:Yw4m/DlP0<> >>1です、こんばんは。今回の投下に……と言いたい所なんですが、投下は少し待ってください。
この書き込みは>>641のルート選択についてです。
もうそろそろこの章のエンディングを迎えるので、もうルートを決定しておこうと思います。
選択の締め切りは今日の15時までです。それで次回のルートが決まります。
現在の最多がその2の2票 次にその1とその6の1票です。
>>696の続きを16時過ぎから投下するので、その時点でルートが確定します。
説明は以上です。 少しでもコメントで反応があれば幸いです。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)<>sage<>2012/03/21(水) 02:01:22.77 ID:gGK8IP9Do<> その2に一票 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/03/21(水) 03:56:32.43 ID:lxhysRKUo<> 7に一票 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/03/21(水) 07:28:12.97 ID:dDp0Aip+0<> 7に1票で
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/21(水) 08:28:03.18 ID:ZaMKDSRSO<> 逆転は無理そうだが5で <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:11:54.52 ID:Yw4m/DlP0<> こんにちは、>>1です。 16時になったので決定したルートの発表を行いたいと思います。
次章は『とある常盤台の女王と取り巻き達』 となりました。 精一杯、キャラが崩壊しないように頑張りたいと思います。
さて今回の投下の方ですが、今から投下していきます。
量はそこまで多くはありません、もっと書くスピードを速めないと…。
それではいきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:14:42.94 ID:Yw4m/DlP0<> >>696 続き
「オマエら、腹減ったから昼飯食いに行くぞ」
一方通行はベンチから立ち上がり、番外個体達の元へ向かった直後、開口一番にこう言った。
「お、ミサカは第一位の提案にさんせーい☆ やっぱり運動するとお腹が減るよね」
彼の提案にお腹をさすりながら愉しそうに返事を返す番外個体。サッカー経験者相手に圧倒的なボールコントロールを披露した彼女の運動量はかなりのもので、お腹が空くのも無理はない。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:16:01.52 ID:Yw4m/DlP0<>
「そういえばむぎの、はまづらが買出しに行ったきりだけど?」
「………………別にいいでしょ、浜面だし」
そして腹ペコな番外個体の隣でパシられた世紀末帝王の名を出す滝壺だったが、絹旗と決戦を繰り広げたコートから重い足取りで帰ってきた麦野に一蹴される。
現在の浜面は麦野が望んだシャケ弁を手に入れる為に学園都市を走り回っているのだが、当の頼んだ本人はそれどころではなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:17:20.00 ID:Yw4m/DlP0<>
「やれやれ、麦野は、いつまで、超テンションを、落としたまま――っと、なんですか。超いい加減に――、切り替え、ましょうよ」
まるでお通夜のような雰囲気を醸し出す麦野の隣で、絹旗は何事もなかったようにケロッとした表情でリフティングをしていた。
つま先で蹴り上げたボールを太股に、太股で打ち上げたボールを額で受け止めて首の後ろに流しながら踵で前に持ってくる。彼女はこの一連の動作を、自身の能力である『窒素装甲』を応用して行っていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:18:28.96 ID:Yw4m/DlP0<>
「私のテンションを落とした原因のテメェがそれを言うか普通ッ!?」
テンションを落とした張本人である絹旗に、麦野は堪らず怒鳴り散らす。
「ほら、――っとっと。それだけ、怒る気力が、あるなら、超大丈夫――、そうですね」
「ッ……!」
しかし逆にそれを上手く利用されてしまった麦野は、大人しくギリギリと歯噛みする事しか出来なかった。先程の一件で彼女達の上下関係に大きな変動があったようだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:19:50.28 ID:Yw4m/DlP0<>
「ん? そういえばもうそんな時間になってたじゃん?いやー、全然気が付かなかったじゃんよー」
「…………こ、この、女……ま、じり……っ気、なしの、本気……で殴り……やがって……ッ!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:20:29.82 ID:Yw4m/DlP0<>
そして彼女達から少し離れた所で行われていた鉄拳制裁(という名の暴力行為)を終えた黄泉川は、手に付着した返り血をハンカチで綺麗に拭き取りながら会話に混ざってくる。
彼女の背後に立つ、顔面だけを集中的に殴られ鼻血をダラダラと垂れ流した垣根は、虎すらも臆する様な眼光で黄泉川を睨みつけるが、当の彼女は意にも介さない
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:21:36.21 ID:Yw4m/DlP0<>
「……黄泉川、オマエ本当にそれでも教師か? いくらなンでもそいつはやりすぎだろ」
「ちっちっち、これくらいやらないと腐った性根は直らないじゃんよー」
「…………絶対オマエの受け持つ学級には入りたくねェわ」
「私はお前みたいな不良少年はいつでもウェルカムじゃん。ウチのクラスは優等生ばっかりで毎日が退屈なんじゃんよー」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:23:19.69 ID:Yw4m/DlP0<>
「ふン、この俺がオマエみてェな暴力教師が教員を勤める高校に通えるような人間だと思うか? 仮に通う事になっても、どォせ特別学級に入れられてオシマイだろォが」
「ふーん、もしそうならないとしたら、お前はどうするつもりじゃん?」
「そォならなかったら、喜ンでオマエの勤める高校に登校してやるよ。まァ、無理な話だと思うけどなァ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:24:12.74 ID:Yw4m/DlP0<>
「…………その言葉、ちゃんと覚えておくじゃんよ…………?」
「あァ?」
「なんでもないじゃん。――さて、ところで一方通行。頼んでおいた炊飯器は一体どこにあるじゃんよー?」
「炊飯器だァ?…………チッ、ちょっと待ってろ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:25:03.89 ID:Yw4m/DlP0<>
一方通行はポケットから携帯電話を取り出すと、現在この場にいない世紀末帝王に電話をかける。
そして三回目の呼び出し音のあと、電話が繋がる。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:26:25.07 ID:Yw4m/DlP0<>
「オイ、炊飯器はどこにあンだ」
『え?炊飯器?――あ、ああ、炊飯器なら第一位達が集まってたベンチの下に置いといたぜ』
「そォか。用はそンだけだ、もう切るぞ」
『ちょ、簡潔すぎねぇか!?――ってか、一方通行!俺達結局5分以内に着いたんだがその報酬は――――!』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:27:44.99 ID:Yw4m/DlP0<>
一方通行は最後まで粘ろうとした浜面を無視し、問答無用で通話を切った。
役目を終えた携帯電話をポケットに入れると、彼は再びベンチの置いてある方向へと歩き出す。
「炊飯器はそこのベンチの下にある、今から持ってくるからそこで大人しく待ってろ」
「――あ、ちょっと待ってよ第一位。ミサカも一緒に行くよ」
杖をつきながら歩き出した一方通行へ寄り添うように、その隣へ番外個体が駆け寄る。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:29:18.30 ID:Yw4m/DlP0<>
「悪ィがオマエは来るンじゃねェ。放電起こして炊飯器が爆発したら、洒落になンねェからなァ」
「ぐぬぬぬぬ……、あなたの言う事はいちいち正論だからむかつく……ッ」
しかし放電現象に二回ほど前科のある番外個体を警戒してか、一方通行はその申し出を断った。元はと言えば番外個体が炊飯器を壊したのが原因なので、当然といえば当然の対応である。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:30:49.37 ID:Yw4m/DlP0<>
「……とは言っても、俺一人で10個も炊飯器を運ぶとなると、クソ面倒なンだよなァ」
だが一方通行は現在、身体を満足に動かす事は能力の補助がない限り不可能な状態だ。
それに加えて彼は全盛期の運動の殆どを能力に頼っていた為、全身の筋肉量が一般人に比べて極端に少ない。
そんな状態の彼が炊飯器を10個も運ぶ事など、幼稚園児に『40kgのベンチプレスを持ち上げろ』と言っているようなものである。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:31:29.99 ID:Yw4m/DlP0<>
「!ほ、ほら、ここはやっぱりこのミサカが手伝ってあげ――――、」
そんな彼の呟きにいち早く反応する番外個体だが、彼女の抱いた淡い期待が叶う事はなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:32:27.20 ID:Yw4m/DlP0<>
「だからクソチビ、手伝え。オマエの『窒素装甲』……だったか?ソレを使えば楽に運べンだろ。俺が能力で運ぶのがベストなンだが、今はバッテリーが少ねェから無駄に消費したくねェンだわ。……チッ、あのショタコンが使えればもっと楽なのによォ……ッ」
「…………まーた第一位は超性懲りもなく私を『クソチビ』って言いましたね? あなたは私に何回言わせれば超理解してくれるんですか!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:34:04.16 ID:Yw4m/DlP0<>
「あーハイハイ、どォもすみませンでしたァ。ちゃンと運ンだらこの後で何か奢ってやるから大人しく言う事を聞きやがれ」
「………………っ、……そ、その言葉は超嘘じゃないと言い切れますか?」
「(…………人間ってのは『強欲』な生き物なンだよなァ。すぐに金で目が眩みやがる)」
「あァ、何でも買ってやるから手伝え。学園都市第一位の財力を舐めンじゃねェぞ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:35:23.55 ID:Yw4m/DlP0<>
「! ――品物は自分で買うより誰かに奢ってもらうことに超意義があるんです! ここで超待ってて下さい第一位! 私がここに全部の炊飯器を超持ってきてあげますよ!!」
一方通行のチラつかせた餌にまんまと引っかかった絹旗は、地面を思いっきり蹴ってベンチへと向かう。
絹旗自身も大能力者のため多くの奨学金を与えられているハズなのだが、どうやら彼女は奢ってもらう行為に価値を持っているようだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:36:28.98 ID:Yw4m/DlP0<>
あっという間にベンチに到着した絹旗はその下に置かれていた(炊飯器の入った)ダンボールを抱えると、今度はゆっくりとした動きで戻ってくる。
間違って炊飯器を落として壊さないように、慎重な足取りで進む絹旗。
そして無事に落とす事無く一方通行の前まで持ってくると、彼女はそっと地面にダンボールを置いた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:37:46.35 ID:Yw4m/DlP0<>
「いやーすごい怪力じゃん。超能力はやっぱり便利じゃんよー」
「えっと……、今の私の行動は超正確には怪力じゃないんですけどね。あれは『掌から数センチの位置で窒素を操作して、圧縮された窒素の上に置いている』だけなんで、手で持ち上げている様に超見えるだけなんです。その能力がなかったら、むしろ私は超非力なか弱い乙女ですよ」
「……ふーん、なんだか第一位と似通った性質じゃん。あなたも能力の補助がなかったら、ひょろひょろのモヤシだよね、ぎゃはっ☆」
「…………チッ、黙ってろチンピラパンダ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:39:07.23 ID:Yw4m/DlP0<>
絹旗の説明を聴いて、先程の不満も込められた口撃を一方通行に喰らわせる番外個体。
そんな二人を横目に見た絹旗は、不承不承といった感じの『諦め』を含んだ溜め息と共に、自ら封じていた禁忌を口にする。
「ええ、それもそうでしょうね。私はあの超くそったれな計画――――『暗闇の五月計画』の被験者ですから。第一位と似通った所があるのは、超不思議でもなんでもないですよ」
「………………あァ?」
――邂逅してはならない、開口してはいけない深い『闇』が現れようとしていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/21(水) 16:47:36.67 ID:Yw4m/DlP0<> 今回の投下は以上です。
再びシリアスな空気になってきましたが、この問題をクリアしないと窒素姉妹は攻略出来ないのでご勘弁を……。
『アイテム』の面々の中で、一方通行にとって一番の難関である絹旗を攻略すればこの章の終わりは見えてきます。
それまでは暫しのお待ちをよろしくお願いいたします。
次回の投下は出来れば今週中にまた来ます。
それではまた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/03/21(水) 17:53:21.49 ID:8hRRvipAO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/21(水) 19:03:15.65 ID:5TftdxMF0<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:33:27.89 ID:UaHGOiRy0<> >>1です、こんばんは。 今回の分の投下に来ました。
今回は過去最大のボリューム(たぶん)の投下です。台詞が多いのは気にしないでください。
これで第二章のクライマックス直前まで突っ走ります。投下量が多いので誤字が多いのが気になりますが、チェックをしたので大丈夫だと思います。
それではいきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:36:19.97 ID:UaHGOiRy0<> >>726 続き
「……オイ、オマエまさか――――」
「まさかもなにも、今まで気が付かなかったんですか? 頭脳は学園都市随一のキレ者のくせに、意外と第一位って超鈍感なんですね」
「ひゅーっ☆ これはこれは、ミサカはとんでもない地雷を踏んじまったねこりゃ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:37:19.05 ID:UaHGOiRy0<>
――――『暗闇の五月計画』。それは学園都市の社会現象の一つである『置き去り』を使った非人道的プロジェクト。
学園都市最強の超能力者である一方通行の演算パターンを参考に、各能力者の『自分だけの現実』を最適化し、能力者の性能を向上させようという計画。
『一方通行の精神性・演算方法の一部を意図的に植え付ける』この実験は、一定以上の成果は上がっていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:38:51.50 ID:UaHGOiRy0<>
しかし、一方通行の思考パターンの一部を植え付けられた関係上、『能力使用時に感情が高ぶると、一方通行の思考が持つ攻撃性に本来の人格が引き摺られてしまう』というデメリットが存在していた。
それが災いしてか、この計画は目標としていたレベル5に届く前に、凶暴化した『黒夜海鳥』という名の少女の手によって破綻してしまった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:39:37.16 ID:UaHGOiRy0<>
そんな実験の『優等生』とされた絹旗最愛は、その計画によって『防護性』を付与された被験者である。
彼女の『窒素装甲』に備わっている『自動防御能力』は、一方通行の持つ『反射』を擬似的に再現したものだ。攻撃を受けた際に本人の意思に関係なく『窒素の壁』が自動展開される仕組みになっている。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:40:38.41 ID:UaHGOiRy0<>
「…………そのクソみてェな実験のレポートに目を通した事はあったが、その『生き残り』が俺の目の前にいるなンざ夢にも思わねェよ」
「それは私も超同感です。私も“あの”第一位が善良な一般市民と一緒にいる光景を見た時、自分は超夢でも見ているのかと思いましたよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:41:28.45 ID:UaHGOiRy0<>
「ハッ、やっぱり俺が『日常』に溶け込もうとすンのは似合ってねェンだな」
「それはもう。第二位の生やす翼と超同レベルで似合っていませんね」
「そいつはヤベェな、早く改善策でも練らねェといけねェ深刻な問題だわ」
「……っ、……オイ。さりげなく俺を馬鹿にしてんじゃねぇぞテメェら……?」
このように軽口を叩き合うほどの余裕はありそうな両者だが、その間に流れる空気はかなり重苦しいものだった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:42:14.44 ID:UaHGOiRy0<>
『暗闇の五月計画』は一方通行が実験に直接関与していた訳ではないのだが、それでも彼が実験に関して全くの無関係というわけではない。
少し乱暴な言い方になるが、一方通行はこの実験のサンプル提供者なのだ。
もっとも彼自身、『自分の精神性・演算方法』がこのような形で悪用されるとは思ってもいなかっただろうが。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:43:08.09 ID:UaHGOiRy0<>
ちなみにこの境遇は、学園都市の第三位である御坂美琴の『量産型能力者計画』の状況と酷似している。
『妹達』と呼ばれる国際法で禁じられた人間のクローンを生み出すという、彼女の知らぬ間に進められた秘密裏な計画。
学園都市でも数少ない超能力者の強大なチカラとなると、本人の善意を踏みにじってでも悪用する価値があるというのだから非常に残酷な話である。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:44:17.27 ID:UaHGOiRy0<>
「……、」
そしてその空気にとうとう自分自身が耐えられなくなってしまったのか、それともさっきの軽口はただ無理をしていただけなのか、絹旗は口を一文字に塞いで視線をあちこちに彷徨わせる。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:45:03.89 ID:UaHGOiRy0<>
「急に黙り込むンじゃねェよ。先に話を振ってきたのはオマエだろォが、俺に話題提供を求めようとするンじゃねェ」
だが、それを一方通行は許さない。口を開いた『闇』が場の空気を気まずくしたからまた封じてしまおう、という甘い考えを彼は認める事が出来ない。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:45:46.19 ID:UaHGOiRy0<>
「…………そうでしたね、これは超失礼しました」
絹旗は素直に一方通行へ謝ると同時に、必死に現状の打開策を思索する。
しかしどんな話を切り出そうとしても、絹旗には必ずこの場の空気が重苦しくなるのは容易に想像できてしまった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:46:36.00 ID:UaHGOiRy0<>
それもそのはず、話の導入部分から大きな『闇』を出してしまった以上、どうしてもその話が印象深く根付いてしまっているからだ。
第一印象でその人物の輪郭というものが決まってしまうのと同じように、話の流れもまた始まりが肝心なのである。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:47:22.65 ID:UaHGOiRy0<>
「ところでさ、なんであなたはミサカ達にその秘密を打ち明けたのさ? いっその事、この国の憲法で定められている『黙秘権』を行使してたら良かったんじゃないの?」
そんな八方塞がりで困り果てた絹旗に助け舟を出したのは、なんと意外にも番外個体だった。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:48:05.50 ID:UaHGOiRy0<>
「――え? あ、そ……それはですね」
絹旗は突然差し伸べられた救いの手に一瞬思考が停止しかけたが、なんとか持ち直して言葉を紡ぐ。
「私もそれを少し考えましたが、超結局はいずれバレてしまう問題ですからね。黙っていてズルズル引き摺るくらいなら、今この場で暴露した方が後々で超楽だと思ったからですよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:49:00.35 ID:UaHGOiRy0<>
「ふーん、それで少しは楽になったのかい?」
「……楽になれば超ハッピーだったんですけどね。この胸の内にある超不愉快なモヤモヤは消えてくれませんでしたよ」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:49:46.20 ID:UaHGOiRy0<>
絹旗最愛にとって一方通行は、その身も凍るような恐るべき人格で己の人格を捻じ曲げた『憎むべき相手』だ。
しかしそれとは逆で一方通行にとって絹旗最愛は、自分が知らない所で進められた実験の被験者である『赤の他人』だ。
これを簡単に言い換えてしまえば、絹旗が憎んでいるのは親の仇である人間の子供を憎んでいるという事になる。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:50:31.18 ID:UaHGOiRy0<>
憎むべき相手は本当に一方通行なのか、矛先を向ける相手が間違っているのではないか。
しかしその実験のサンプル提供者は一方通行なのだから、彼を憎むのは当たり前だ。彼がサンプルを提供しなければ、自分は本来あるがままの人格を保てたハズだ。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:52:46.28 ID:UaHGOiRy0<>
相反する二つ考えが絹旗の頭の中をグルグルと渦を巻いて絡み合い、形容し難い感情を生み出していた。
精神的にもまだまだ未熟な中学生という年頃の少女が抱え込むモノとしては、それは許容量を完全に越えてしまっている。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:53:36.92 ID:UaHGOiRy0<>
「そんなに人生甘くない、ってか。ミサカの人生もお先真っ暗だからねえ、色々と大きな障害が立ち塞がってくるんで困ったモノだよ」
その一方通行関連で似たような状況である番外個体もまた、彼女なりの様々な問題を抱えている。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:55:08.02 ID:UaHGOiRy0<>
元々は一方通行を殺害する事だけを目的に作られた個体の彼女には、それ以外の使い道は存在しなかった。
『第三次製造計画』の中でも正式にネットワークが構築される前に死亡する予定だった番外個体はいわゆる『捨て駒』だ。ボタン一つで製造される『人形』に感情移入する研究者などいない。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:56:25.55 ID:UaHGOiRy0<>
「……そういえばあなたは第三位のクローンでしたね。そもそもクローンはこの世界において存在する事すら認められない存在、あなたに比べたら私の問題なんて超些細な事なんですかね」
それに加えて『妹達』の『負の感情』を拾い上げやすいように脳を調整されている番外個体は、一方通行に対しては勿論の事、他人に対してあまり良い印象を与えない。
人の神経を逆撫でするような調子で喋る彼女の周囲に人が集まってくることなどありえないのだが、
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:57:28.01 ID:UaHGOiRy0<>
「――ま、そんなのは第一位が全部取り払ってくれるから、ミサカはそこまで深く悩んだりしないんだけどね☆」
番外個体には一方通行がいた。
かつて彼女の抹殺対象だった人間が、今は自分の傍で存在意義を示してくれている。
その存在意義に示されているのは、『暗闇の五月計画』を用いて彼女を代用不可能な人材にする事なのだが、この件でその変更が余儀なくされても彼はすぐに新しい道を用意してくれると番外個体は信じている。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 22:58:17.86 ID:UaHGOiRy0<>
「第一位が…………ですか?」
「オイやめろ、そンな疑惑に満ちた目で俺を見るンじゃねェ」
「………………そんなの超想像出来ません――と言いたい所ですが、先程の救出劇を見た後では超容易に想像できてしまう自分がいます」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:00:05.06 ID:UaHGOiRy0<>
「ふふーん♪ どう?ミサカの…………か、彼氏である第一位様は? あなたが惚れても絶対に譲らないけどね☆」
「……………………ハァ? なに寝言言ってやがンだオマエ、俺がオマエの彼女なワケねェだろォが」
「え」
ビキリッ、と番外個体の全身が凍り付く音がした。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:01:03.97 ID:UaHGOiRy0<>
「……まさかオマエは俺が『“恋愛対象”として見てる』って言ったハッタリを、本気にしてたンじゃねェだろォなァ?」
一方通行の口から黄泉川家で番外個体に告げた“ハッタリ”のネタばらしが、『今更かよ!?』とツッコミが飛んできてもおかしくないレベルで暴露される。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:01:48.69 ID:UaHGOiRy0<>
「ッ!? ――ほ、ほほほほ本気にしてたわけないじゃん!? ミ、ミサカは最終信号みたいに嘘を鵜呑みにするような馬鹿じゃないし! そんなのとっくの昔に気付いていたんですけどぉおおおおおーっ!?」
『はい、本気にしてました』と素直に言えないツンデレ属性も備えた番外個体。湯気が出てきてもなんら不思議はないほど顔を真っ赤に染め上げて盛大にテンパる。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:02:33.91 ID:UaHGOiRy0<>
「俺にはとてもじゃねェがそうは見えねェンだが? 絶対に今気が付いたろオマエ」
「一方通行、番外個体はこれで結構純粋な子じゃんよ。…………この際だから番外個体も学校に通わせて、『世間』の学習をさせてみるのもよさそうじゃんよ…………」
そんな番外個体を哀れんだ目で見つめるのは、打ち止めの保護者(仮)とその保護者の保護者(体育教師)。独り言をぶつぶつと呟く黄泉川は、なにやら計画を進めようとしているが……、
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:03:24.27 ID:UaHGOiRy0<>
「――ぷっ、あははっ! なんですかそれ! 超なんですかそれは!? “あの”第一位が『恋愛』!? しかも騙していたとかもう超相当の場数を踏んでるじゃないですか!!」
まさかそこに食い付いてくるとは、目の付け所が一般人のソレとは異なる絹旗は女子特有の甲高い笑い声を周囲に響かせる。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:04:17.99 ID:UaHGOiRy0<>
「オイオイ、なに愉快で豪快な自己解釈をしてくれちゃってンですか絹旗ちゃンよォ。 この俺が『恋愛』っつー甘ったるいモンに興味があるような人間に見えると思うか、あァ?」
「「「ぶっちゃけ超見えないです(ねぇ)じゃん」」」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:05:11.25 ID:UaHGOiRy0<>
「……そもそも第一位があそこまで徹底的にミサカのアプローチを無視していたのは人目に付くのが恥ずかしいからだと思ってたのになんなのさこの掌返しはねえ一体どうしたらいいのミサカの行動を思い返すとかなりイタい言動もペラペラ喋ってたしもうこうなったら第一位に責任とってもらうしかなさそうだけど第一位は何食わぬ顔で『騙される方が悪いンだ(キリッ)』とか言ってきそうだしそれならもう最終信号に喰らわせる予定だった『バストプレス』で悶絶させてや――」
「そォだろ?自分で言ってて悲しくなるが見えねェよなァ。…………それより長ェンだよチンピラパンダ! オマエ本当にめンどくせェ性格してンだなァ!? 改めて認識したけど本当にめンどくせェ!! もう月(?)に帰れェェエエエエエッ!!」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:06:41.75 ID:UaHGOiRy0<>
念仏のように言葉を呟き続ける番外個体と、それを止めさせようと声を荒げてキレる一方通行。
番外個体の中に存在する乙女心を弄んだ結果なので一方通行がキレるのはお門違いのような気がするが、これは元々彼女が一方通行を馬鹿にして笑い転げた結果なので仕方ないと言えば仕方ない。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:07:39.52 ID:UaHGOiRy0<>
「なんだか二人は兄妹みたいだね」
「……ふん、騒々しいったらありゃしないケドね」
そんな二人を少し離れた所で見ていた滝壺と麦野は、ぽつりと率直な感想を洩らした。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:08:21.06 ID:UaHGOiRy0<>
「………………あれ? 今、私の事を超名前で呼びましたか?」
絹旗は小首を傾げ、先程の一方通行の言葉を思い返す。彼はさっき自分の事を『クソチビ』ではなく、自分の苗字である『絹旗(ちゃン)』と呼ばなかったか?
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:08:54.80 ID:UaHGOiRy0<>
「ハァ、ハァ……、……あン? それがどォかしたのかよ」
肺の中の空気を全て吐き出して言い放った事により、やや息遣いが荒い状態で絹旗を見る一方通行。 鋭かった目つきがさらに細くなり、それはもはや獰猛な獣に近い。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:09:38.51 ID:UaHGOiRy0<>
「い、いえ。第一位の事ですから超てっきりまた『クソチビ』と言ってくるんじゃないのかと思ったんですが……、」
それに気圧されたのか、全身を小さく身震いさせて答える絹旗。発する声も段々小さくなっていく。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:11:01.23 ID:UaHGOiRy0<>
「……バーカ。俺もそこまで理解力に乏しいわけじゃねェよ、むしろかなり聡明な方だっつゥの」
そんな変化を一方通行は感じ取ったのか、少し声の棘を控えめにしながら絹旗に語りかける。
とことん小さな子供には甘い一方通行だが、これは決して彼が『ロリコン』だからとかそういうわけではなく、彼の中に存在する『保護欲』の比率が圧倒的に大きいだけである。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:11:53.84 ID:UaHGOiRy0<>
「……さりげなく自慢とは超憎いです第一位、別の意味で超憎いです」
一方通行の嫌味の含んだ自慢に、絹旗は頬を膨らませてむすっとした表情を浮かべる。
しかしそれは一方通行にとって想定済みだったのか、『計画通り』といった感じの笑みを浮かべて彼は言い放った。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:12:36.38 ID:UaHGOiRy0<>
「つーかよォ、これから深く関わっていく相手の名前ぐらい、キチンと覚えておかねェとダメだろォが」
「……………………へ?」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:13:37.00 ID:UaHGOiRy0<>
「学園都市の『闇』に潜むクソ野郎共が企てた計画で俺は一切関係ねェンだが、それでもオマエは間接的にだが俺に巻き込まれた一人なワケだろ? だったら俺がオマエを巻き込んでもなンの問題もねェよな、既に巻き込まれてるンだからよォ」
「……え、ちょ、ちょっと待って下さい? 超意味が分からないんですが?」
あまりの唐突な出来事に、絹旗の情報処理が追いつかない。しかし一方通行はそれに構わずにつらつらと話を続ける。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:14:31.33 ID:UaHGOiRy0<>
「俺はもう既に『一万人弱の人間を救う』って決めてンだ、いまさら一人二人増えた所でなンの問題もねェンだよ。むしろ近場に居てくれた方が助けるのが楽だしなァ、地球の裏側にいる奴を助けに行くのはちっとばかし時間がかかり過ぎる」
「…………すみません、理解力の超乏しい私に噛み砕いて説明してくれませんか?」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:15:21.46 ID:UaHGOiRy0<>
「ハイハイ。……えっとだなァ、『俺が騎士でオマエはお姫様』だ。これで分かるだろ?」
「それは超端折り過ぎじゃないですかッ!?」
「うるせェなァ……。今のが噛み砕いて説明した結果だ、文句言うンじゃねェよ」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:16:08.26 ID:UaHGOiRy0<>
絹旗の頭をぽんぽんと左手で軽く叩き、宥めようとする一方通行。この光景を打ち止めが見たら、湧き上がる『嫉妬』で再び番外個体の暴走が起こってもおかしくない。
「……っ。それより私を超馬鹿にする態度は変わらないんですね、てっきり呼び方と一緒に止めてくれると思っていたんですが?」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:17:04.09 ID:UaHGOiRy0<>
「ふン。馬鹿にされたくなかったら、その類の話から一番遠い位置に居るこの俺を見て『立ち振る舞い』ってのを学習しやがれ。『馬鹿成分』が抜けたらオマエを馬鹿にすンのを止めてやるよ」
「あなたの言う『馬鹿成分』が抜けてしまったら、私は個性もクソもない超平凡で無個性な人間になってしまうんですが!?」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:18:04.33 ID:UaHGOiRy0<>
「…………はァ? オマエは何言ってやがンだ、外見的特徴や言動を矯正したオマエにもまだ残るモンはあるだろォが」
「???」
「……ついさっきまで俺達が何やってたのか覚えてねェのかオマエは、――サッカーだ、サッカー。オマエはそれなりの知識も持ってるみてェだし、そこで新たな個性を見つけりゃイイだけの話だろォが」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:19:06.33 ID:UaHGOiRy0<>
「…………、『外』のゲーム仕込みの知識ですよ? そんな知識でも第一位は超必要なんですか?」
「何事もあるに越した事はねェからなァ。『外』の知識と触れ合う機会なンざそうあるモンじゃねェし、それにソイツが知識である事に変わりはねェだろォが。そンな知識でも今の俺達には必要なンだよ」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:19:45.46 ID:UaHGOiRy0<>
「…………私が……必要…………?」
「あァ、今の所は俺と垣根と番外個体の三人だけだが、オマエが入れば四人になる。後は元『グループ』の三人を無理矢理連れてくれば最低人数が集まるから、試合をすンのも夢物語じゃねェ」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:20:43.02 ID:UaHGOiRy0<>
「………………ふふっ、なんですかそれ。私はただの超『人数合わせ』って事ですか」
「さァな。ただ『人数合わせ』で終わるかどうかはオマエ次第だ。オマエが本気で取り組めばオマエをチームのエースに置く可能性もあるし、やる気がねェなら抜けてくれても構わねェ。“来る者拒まず去る者追わず”ってなァ」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:22:31.11 ID:UaHGOiRy0<>
「…………………………はあ、分かりました。超分かりましたよ第一位」
「ふーン、何が分かったンですか絹旗ちゃンよォ?」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:23:36.12 ID:UaHGOiRy0<>
「――――私を、私をあなたの超仲間に入れて下さい」
「……なによ絹旗、結局自分で言ってるじゃないの」
「ッ! い、いいじゃないですか超別に!? それに台詞は超違いますし頭も下げてないので“あの”発言とは超無関係です!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:24:31.38 ID:UaHGOiRy0<>
「ふーん? ……ま、絹旗がそう言うならそういう事にしといてやるか」
「と、ともかくっ! 私が第一位のチームに入る前に先に超言っておく事があります! 私は決して『人数合わせ』で終わるつもりはありませんから!! そこんトコ、超覚悟しといて下さいねッ!!」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:25:27.06 ID:UaHGOiRy0<>
「あァ、上等だ。絹旗も辛くなって逃げ出すンじゃねェぞ?」
「ふふん、逆に私が第一位を超裸足で逃げ出させてやりますよ」
「……やれるモンならやってみろ、愉しみに待っててやる」
「ええ、愉しませてあげますよ。――――私の超美麗な妙技の数々でね」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/26(月) 23:35:31.52 ID:UaHGOiRy0<>
『きぬはたさいあい』がチームに加わった!
はい、これでようやく4人目です。 11人が揃うのに一体何スレ必要なんでしょうね…。
この大量投下で書き溜めがごっそり減った(というかほとんどない状態)ので、月末までに充填してきます。
スレが終わりかけてきた現在でようやく早い書き方を見つけられたので、これからも投下量を増やせればいいなと思います。
次回の投下は充填が早ければ今週中に、遅かったら来週です。
それではまた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/27(火) 10:15:19.21 ID:o8FY80sG0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/03/27(火) 12:51:36.07 ID:nW53uj5AO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/03/27(火) 20:04:00.18 ID:93CS2y9E0<> 乙
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:25:27.03 ID:pPfXVXKY0<> >>1です、こんばんは。今回の分の投下に来ました。
充填満タンとはいかないものの、ある程度は溜まったので投下しますね。 ただ前回より少ないのは確かです…。
今回でようやく一方通行たちのいる場所が移動します、『昼食会』の始まりが近いようです。 このスレが終わるまでには次章に行きたいですね。
そして『サッカー』の存在が皆無になりつつある現状……、どうにかして打破しなければいけないのに…>>1の馬鹿野郎っ。
まあとりあえず投下していきます。
それではいきますね。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:29:00.67 ID:pPfXVXKY0<> >>781 続き
〜北極海・とある船の医務室〜
「――――っ、……」
「ッ! か、上条さん!!」
「……っ、ようやく目を覚ましたのか上条当麻。だが今は大人しく休んでいろ、君はまだ動いていい状態じゃないんだ」
「水温二度の海中を漂っていたあなたが、こうして五体満足でいられるのはまさしく“奇跡”です。……まあしかし、何らかの『加護』があったと私は推測しているのですが……」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:29:47.68 ID:pPfXVXKY0<>
「あー、そんな堅苦しいお仕事モードは必要ないのよな女教皇様。今はこうして上条当麻が無事だった事を喜ばないといかんのよなぁ」
「……………………」
「……君は僕の話を聞いていなかったのかい?いいから大人しく寝て――、」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:30:42.80 ID:pPfXVXKY0<>
『―――残念だが、この「上条当麻」は偽者だ。わざわざご苦労だったな「必要悪の教会」の諸君。君たちが北極海に部隊を展開していたおかげで、アレイスターに邪魔立てされる事なく「回収」を行う事が出来たよ』
「「「「ッ!?」」」」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:31:31.88 ID:pPfXVXKY0<>
『そもそも常識的に考えてみろ。三日間も「聖人」でもなんでもない普通の人間が、北極海を生身で漂って無事でいられるわけがないだろう』
『確かに「上条当麻」という人間は北極海に沈んではいた。だがそれは所詮魔術で作られた精巧な偽者だ。本物は現在、我々のそばにいる。――まだ意識は戻っていないがな』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:32:37.80 ID:pPfXVXKY0<>
「くっ!まさか僕達が先を越されていたと言うのか!? ――魔力探知部隊! 至急、この通信用の霊装の逆探を――!」
『ああ、言っておくが通信用の霊装から我々の居場所を割り出そうとしても無駄だからな。この霊装は発動してから約六〇秒で完全に効力を失う。繋がれた魔力の糸もまた然りだ、痕跡すら残らんよ。――ふむ、残り時間はあと十五秒といったところか』
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:33:32.19 ID:pPfXVXKY0<>
「あ、あなたは一体……ッ?」
『この状況で馬鹿正直に名乗る奴がいると思うか? ……まあ、魔術で出来たこの偽者を見つけた報酬に、私が所属する結社名だけでも名乗っておくとしよう』
『――――我々は「明け色の陽射し」だ。この魔術結社の名前を訊いてそのボスの名前が分からないような魔術師は、「無知」という烙印を押されたのと同義だからな』
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:34:29.98 ID:pPfXVXKY0<>
〜北極海・???〜
「――――『無知』という烙印を押されたのと同義だからな」
「……ぶぇぇぇくしゅんッ!! ボ、ボス!『必要悪の教会』の連中が偽者を発見したなら早くここから去りましょうぜ!? いくら『幻想殺し』が打ち消す地脈・龍脈の量を相手のサーチ術式に引っ掛ける為の工作の為に北極海をプチ漂流するのは過酷すぎやす!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:35:21.97 ID:pPfXVXKY0<>
「ずいぶんと長い説明口調だが、それは一体誰に向けて話しているんだお前は」
「どこかの誰かにです!!」
「そうか、お前は北極海のガチ漂流をしてみたいようだな。それなら私達に構わず一人で逝ってこい、そしてホッキョクグマの餌になってしまえ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:37:16.33 ID:pPfXVXKY0<>
「コメントがかなり辛辣ッ!? 我々の存在隠蔽用の術式を不眠不休で展開してたの――に、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!」
――――ザパァァァァァン!
「…………おい、誰か助けて来い。私は操縦用の術式で手一杯で無理だ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:38:42.34 ID:pPfXVXKY0<>
「イヤだ!」 「まだ俺は死にたくない!」 「ボ、ボスに蹴られるなら……っ」
「なら助けて来い」
「――がふっ!?い、いってきまあああああぁぁぁぁすぅぅぅぅ…………!」
――――ザパァァァァァン!
「ちょっとボス!これ以上犠牲者(?)を増やさないでくれませんかッ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:39:40.42 ID:pPfXVXKY0<>
「うるさいぞマーク、それより私は喉が渇いた。いつものを作れ、カクテルのシンデレラだ」
「今の私は絶賛操縦中なんですが!?」
「構わんよ。どうせもうこの船は廃棄処分だ、思う存分氷河にぶち当ててしまえ」
「……誰か、ボスにこの星の環境問題について説明してやってくれ……ッ!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:40:44.34 ID:pPfXVXKY0<>
〜第七学区・多目的運動場〜
「――私はおなかが超空きましたよ第一位! ほら、さっそく学園都市第一位の財力とやらを私に超見せて下さいよ!!」
「財力を見せるのは別に構わねェンだけどよォ、まず場所を決めねェといけねェだろォが場所を。っつーか、オマエらは一体どこに行きてェンだ?」
一方通行と絹旗の関係にひと段落が着いた事によって場の空気が穏やかなモノへと変化していく中、彼らはこの後の『昼食会』についての話し合いを始めた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:41:29.70 ID:pPfXVXKY0<>
「私は超甘いデザートが食べたいです!」
「私はシャケ弁が食べられる場所ならどこでもいいわよ」
「はまづらが帰ってこない……」
「…………とりあえず俺はゆっくり休みてぇんだが…………」
「……ミサカって恥ずかしい娘、なに一人で舞い上がってたんだか……」
「一方通行、私はパスじゃんよー。支部に戻ってこの件の報告書を書かないといけないじゃん」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:42:16.51 ID:pPfXVXKY0<>
甘いデザート、シャケ弁、浜面が帰ってこない、休息、後悔、諸事情による拒否。このキーワードで選択肢として有効なのは最初の二つに絞られる。
「甘いデザートとシャケ弁が食える場所ねェ、……………………コンビ二でいいか」
そんな微妙な返事しか返ってこなかったせいか、一方通行は深く考えるのをやめて『コンビ二』という考え得る中で一番適当な案に辿り着く。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:43:08.06 ID:pPfXVXKY0<>
「いやいやいや!? それは流石に超あんまりな選択じゃないですか第一位!!?」
しかし絹旗はすかさず雛壇芸人張りのオーバーリアクションでその意見に否定的な姿勢を見せる。
せっかく一方通行と奢ってもらう約束をしたのに、それがコンビ二の安い300円程度のデザートで済まされてしまったら虚しいにも程がある。せめて3000円程度の品は奢ってもらいたい所だ。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:44:01.57 ID:pPfXVXKY0<>
「……、まあ妥当な判断ね。意外とコンビ二の弁当でもアタリはあるし」
だがそんな絹旗とは正反対に、麦野は納得したように腕を胸の前で組んで首を縦に小さく振る。
麦野は過去に『コンビ二で買ってきたシャケ弁をファミレスで食べる』という、常人には到底出来そうもない(というか人としてのモラルの問題で出来ない)偉業を達成している。彼女はシャケ弁さえ目の前にあれば、場所など二の次なのだ。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:44:50.67 ID:pPfXVXKY0<>
「…………俺の意見は華麗にスルーすんだなオイ…………っ」
「オマエが店に入ったとしても、店員に『救急車を呼ばれて病院に直行』ってオチが既に見えてンだよ。――オイ黄泉川、こいつをカエル顔の医者ントコに連れて行けるか?」
蚊の鳴くような小さな声で喋る垣根にキッチリ返事を返す一方通行。
やはり学園都市第一位の異名は伊達ではなく、様々な状況のシミュレートを瞬時に済ませた後に発言しているので、会話の内容の殆どが正論である。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:45:34.75 ID:pPfXVXKY0<>
「うーん、そうしてやりたいのは山々なんだが、同僚から『早く帰れ』って催促の連絡が来てるから無理じゃんよー」
困り顔でそう言う黄泉川は、左手で握っている無線機を一方通行達の前に見せる。
しかしその無線機に備え付けられている小さな液晶画面には、『618123211494』という意味不明な数字の羅列が浮かんでいた。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:46:16.99 ID:pPfXVXKY0<>
「…………なンだこの数字の羅列は、暗号文か?」
「ん? あ、メンゴメンゴじゃん。そうそう、暗号文であるのをすっかり忘れていたじゃんよー」
自身のうっかりミスにあっはっはっ、と快活に笑う黄泉川に対し、ややウンザリとした表情を浮かべる一方通行。彼はこの女が先程まで警備員の陣頭指揮を執っていた同一人物だと思うと、その落差に驚きを通り越して呆れてしまっていた。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:46:53.91 ID:pPfXVXKY0<>
「まあという訳で、私はお前達と一緒に食事は行けないし、病院にも行けないじゃん」
ただ暗号文を見せただけでちゃんとした理由になっているのかは不明だが、黄泉川的にはそういう訳になっているのだろう。
左手に持った無線機を腰にぶら下がっているポーチの中に収めた彼女は、踵を返してスタスタと歩き始める。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:47:40.56 ID:pPfXVXKY0<>
「――しかーし!今回は特別出血大サービスで、お前たちに私の“オススメ”の店を紹介してやるじゃんよー!」
と思いきや、彼女は急に180度の方向転換を行い、一方通行達の前に右手の人差し指を勢いよく突き立てた。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:48:22.03 ID:pPfXVXKY0<>
「…………出血したのは俺だけどな…………っ」
「はいそこうるさい黙れじゃん」
「ひでぇなオイ!?」
細かい指摘をした垣根を返す言葉でバッサリ切り捨てた黄泉川は、今のやり取りなど最初からなかったような涼しい顔をして言葉を紡いでいく。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:49:05.80 ID:pPfXVXKY0<>
「外観は廃れた廃屋で、内観もお世辞でも綺麗とは言えない店だが、料理はその辺の高級レストランに劣らないレベルのお店じゃん。デザートや飲み物の種類も豊富で、とりあえず注文すれば基本なんでも出てくるじゃんよ」
「へェ、イイ店知ってンじゃねェか。その店は一体どこにあるンだよ」
「場所は第五学区の――口で説明するのが面倒じゃん。お前の携帯に地図を送るからそれを頼りに行くじゃんよー」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:49:54.06 ID:pPfXVXKY0<>
「……、本当にオマエは『オン』と『オフ』の切り替えが極端だよなァ」
「“女”という生き物は大体そうじゃん。――あ、もしお前が“女”に対して淡い『幻想』を抱いていて、それを私が今ぶち壊したっていうなら謝るじゃんよ」
「いらねェよそンなモン。オマエの家にいるクソニートを見た瞬間に淡い『幻想』なンかとっくの昔に壊されてるっつーの」
「はははっ、それは……納得してはいけないけど妙に納得してしまう自分がいるじゃん……」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:51:02.35 ID:pPfXVXKY0<>
「…………さっさと自立しねェのかねェ、あのクソニートは」
「うーん、しばらくは無理そうじゃんよー」
「……、だよなァ」
ハァ……、と話題の『クソニート』こと芳川桔梗の同居人である二人は、同時に重苦しいため息を吐いた。
現在の彼女は打ち止めと一緒に先ほどの『番外個体暴走事件(仮)』の後処理に追われているのだが、この二人はまさかそんな事が行われているとは夢にも思っていない。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:51:48.06 ID:pPfXVXKY0<>
「ちょっといきなり二人揃って超落ち込まないで下さいよ!? ……ほ、ほらここは食事で超テンション上げていきましょう! お店はそこで超構いませんから!!」
そんな二人を見て絹旗は、なんとか気分を明るい方向へ持っていこうと無理矢理自身のテンションを上げて会話に切り込んでいく。 自身が空気を暗くした場合はどうしようもなくなるが、他人の場合はなんとか対処が出来るようだ。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:52:50.07 ID:pPfXVXKY0<>
「シャケ弁も注文すれば出てくるのかしら……、」
黄泉川の話を聞いていた麦野は『とりあえず注文すれば基本なんでも出てくる』というワードが少し気になっているのか、少しそわそわした感じでぽつりと言葉を洩らした。
「…………第四位、テメェはシャケ弁の事しか頭にねぇのかよ…………」
「ふん。私にとってシャケ弁こそ至高、シャケ弁の存在しない世界なんて地獄よ」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:53:25.93 ID:pPfXVXKY0<>
「…………ハッ、そうかよ。ただそいつはテメェだけの常識だから俺に当て嵌めようとすんじゃねぇぞ…………」
「言われなくてもテメェになんか当て嵌めようとも思わないわよ」
「…………そいつは結構…………」
なんだかんだでこの二人、いがみ合いながらも結構いい感じの雰囲気を放っているのだが、その事を切り出そうとすればおそらくその人間は愉快なオブジェに変えられてしまう事間違いなしである。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:54:22.87 ID:pPfXVXKY0<>
「…………なんか、本当に俺ら超能力者って残念な奴らばっかりだよな…………」
「なによ、テメェもその“残念な”超能力者の一人でしょうが」
「…………安心しろ、自覚はある…………」
その自覚はあるほうがいいのか、ないほうがいいのかはさておき、その“残念”
な超能力者の『八人目』と有力視されているジャージ娘は、
「はまづら、メールすれば戻って来るかな?」
いまだに帰ってこない彼氏の動向が気になっているようで、右手には彼女の携帯電話が握られていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:55:26.53 ID:pPfXVXKY0<>
「……どうしようかなこれからのミサカは。ぶらり愉快痛快爽快スキルアウトフルボッコツアーにでも参加してこようかな……」
そして滝壺からやや離れた所で膝を抱えて地面に『第一位のアホ』とラクガキをしながら落ち込んでいる番外個体は、スキルアウトからしたら傍迷惑な計画を練っている最中だった。
もしこのツアーが決行されたらその翌日のニュースは『恐怖! 路地裏で大量に転がる黒焦げのスキルアウト!!』とかいった感じの話題でもちきりになるだろう。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 18:56:44.33 ID:pPfXVXKY0<>
「あなたはまだ超引き摺っていたんですかッ!? ――――はっ! そういえば豪炎寺さんは超どこに消えたんですか!? 豪炎寺さーん! 豪炎寺さーんッ!!」
「……………………フッ、……地面が、冷たいな……………………」
――――その三十分後、道中で全身汗まみれの世紀末帝王と合流した一方通行御一行は、第五学区にあるとあるお店『骨董屋(キュリオディーラー)』と呼ばれる料理店に無事到着した。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/03/31(土) 19:07:44.25 ID:pPfXVXKY0<> 今回の投下は以上です。
なんだかぶつ切り感がハンパないですが、気にしないで下さい。
魔術サイドの動きもチラホラ見られた今回のお話、いかがでしたか? 楽しんでいただけたなら幸いです。
そういえばこのスレって終わったら誰かにまとめられたりするんですかね?
もしまとめてくれる心優しいお方がいらっしゃったら、どうか投下の度に挟む>>1のコメントは全て排除でお願いします。
さて、次回の投下は来週ですかね。 次回も今回と同じ位の量の投下が出来たらいいなと思います。
それでは、また。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/31(土) 19:26:16.77 ID:lS4JCBJM0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/03/31(土) 22:33:54.04 ID:0+AO58Ia0<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 22:54:04.52 ID:roIEsXBA0<> >>1です、こんばんは。 なかなか投下に来れずにすみませんでした。
今から今回の分を投下していきます。
まず皆様に言っておかなければならないのですが、この『昼食会』では殆どが台詞になります。 あらかじめご了承下さい。
それではいきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 22:59:37.00 ID:roIEsXBA0<>
〜第五学区・『骨董屋』〜
歴史を感じさせるどころではなく、もはやその先の未知なる領域に達しているお店『骨董屋』。 店の名前から勘違いされやすいが、この店は世界各地で古くから伝わる骨董品を扱う店ではなく、世界各地の様々な料理を扱う総合料理店だ。
そしてこの店が開業したのは長い年月感じさせる外観とは裏腹に、ほんの数ヶ月ほど前である。
もともと取り壊される予定だった廃屋をそのまま譲り受け、そこを料理店に大改造してしまうというトンデモ発想。食品衛生法的にアウトかどうか訊かれたら、三重殺のトリプルプレー級だ。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:00:40.65 ID:roIEsXBA0<>
「――いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」
そんな“元”廃屋に足を踏み入れた一方通行は、にこやかな笑顔を浮かべて人数を訊ねてくるスラっとした細身な男に「八名」とだけ告げた。
すると店員はやや困り顔を浮かべて、おそるおそるといった感じで一方通行にこう訊ねた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:01:34.32 ID:roIEsXBA0<>
「誠に申し訳ございませんお客様。ウチはご覧の通り狭い店でございまして、八名様の内の二名様は別のお席になってしまうのですが……」
そう言われて一方通行が店内を見渡すと、確かに店は一般のファミレスなどに比べると格段に狭かった。
まず六人掛けのテーブルが二台と喫茶店に置かれていそうな一人掛け用の丸テーブルが三台。それと五人掛けのバーカウンターがあるだけで店の営業フロアは一杯一杯だった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:02:16.49 ID:roIEsXBA0<>
「一人掛けのテーブルを移動させる事は出来ねェのか?」
「すみません、どの席も完全固定になっておりまして……」
「……チッ、なら仕方ねェな。――オイ、俺達の中で栄えある二名サマはカウンターテーブルにご案内だとよ」
一方通行が心底面倒臭そうに後ろを振り返ると、そこには何やら醜い争いを繰り広げる少年少女らがいた。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:03:00.17 ID:roIEsXBA0<>
「だから俺が悪かったってさっきから言ってるじゃねぇか! だって仕方がねぇだろ!? 普通走って弁当運んできたら中身が多少片寄っちまう事ぐらいあるっての!!」
「それでもこの片寄り具合はあんまりじゃないのかなはーまづらぁ? テメェがシャケ弁を激しくシェイクしたせいで、シャケの切り身がボロボロになってフレーク状になってるんだけど?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:04:11.80 ID:roIEsXBA0<>
「いやいやそんな事よりこれは超どういう訳なんですか浜面! 麦野の弁当の重みでチョコロールパンが超プレスされて見るも無残な形に変形を遂げてしまったじゃないですか!?」
「あ、悪い悪い。お前なら別に怒られても怖くな――、」
「――――超『ジャッジスルー』!」
「――ぐほぉッ!?」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:05:28.21 ID:roIEsXBA0<>
「……いきなり鳩尾にローリングソバットとか末恐ろしいなあのチビ……」
「……そうか? オレが非公式の対外試合の時は毎回のようにアレを喰らっていたが……」
「……、確かにそりゃ非公式だわ。普通なら反則を取られるレベルだろ……」
「……てか、なんでミサカがこの二人に両肩を貸さなきゃいけないの……?ミサカも一応怪我人なんだけど……、」
「大丈夫だよ、私はそんなみさかわーすとを応援してる」
「……いや、応援してくれるなら肩を貸してよ……」
「〜〜っ、……俺だけカウンターテーブルで頼む。あいつらと一緒だと落ち着いてメシも食えそうにねェわ」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:06:15.95 ID:roIEsXBA0<>
ここが料理店である事など最初から頭にないのか、ぎゃあぎゃあと騒ぎを起こす彼女らに一方通行は酷く頭を悩ませた。
絹旗に蹴り飛ばされた浜面は床に後頭部を強打して気絶しかけているし、さらにそのほぼ無抵抗な状態の彼の鳩尾に麦野の足の爪先がグリグリと押し付けられている。ここは暴力や血の臭いの蔓延る路地裏ではないのだが……。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:06:50.40 ID:roIEsXBA0<>
「(……なんだか。騒がしい人たちがやって来た。でも関わるのは止めておく。早く二人共戻ってこないかな)」
だが幸い(店側にしてみればいい迷惑)店の中に一方通行達以外の客はほとんど居らず、六人掛けのテーブルに一人ぽつんと巫女服がとても似合いそうな少女が黙々と食事をしているだけだった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:07:50.05 ID:roIEsXBA0<>
「はあ、それだと六人掛けのテーブルに七人が座る事になりますがよろしいでしょうか?」
一方通行の後ろでリンチ真っ最中の浜面の様子が気になるのか、少し落ち着かない様子で店員は彼に確認を取る。
「ああ、問題ねェ。あの馬鹿共の中で横に長ェ奴はいねェし、無理矢理詰めればなンとかなンだろ」
一方通行はそう答えながら背後を少し振り返って見てみると、そこにはいつの間にか血の海に沈んでいる世紀末帝王の姿があった。
鼻から泉水のように湧き出す大量の血液は、ローアングルから麦野のデルタゾーンが覗けてしまったからであるのだが、その事実を知るのは静かに逝く彼一人だけである。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:09:15.20 ID:roIEsXBA0<>
「かしこまりました。――ではあなた様はこちらへどうぞ」
一方通行は店員に指示されたカウンターテーブルの丁度真ん中の席に腰掛ける。
「こちらが本日のオススメメニューになります。ご注文がお決まりになりましたら私をお呼び下さい」
店員はそう言って一方通行の前にメニュー表を出そうとするが、
「注文はもう決まってる、とりあえずホットコーヒーを寄越せ。銘柄はなンでも構わねェから出来るだけ早くな」
彼はそれをキッパリと断った。
既に黄泉川から『注文すればなんでも出てくる』と教えられている為、今更メニューを表示されてもただ無駄に時間を浪費するだけだと思ったからだ。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:10:15.92 ID:roIEsXBA0<>
「か、かしこっ、まりました。ミルクやシュガーは如何なさいますか?」
一方通行の唐突な切り返しに慌てながらも、なんとかマニュアル通りの対応を見せる男性店員。噛んだことによる気恥ずかしさ故か、顔がうっすらと赤くなっていた。
「ブラックだから必要ねェ、なンでもいいからさっさとしてくれ。――あ、あとフライドチキンを六ピースな」
「つ、追加でフライドチキンが六ピースですね、ありがとうございます」
店員は一礼してカウンターテーブルの奥にある厨房フロアへと引っ込んでいった。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:11:13.49 ID:roIEsXBA0<>
「(……、この昼食で腹四分目ってトコだなァ。帰りにコンビ二にでも寄ってクソガキにプリンでも買っていくか)」
華奢な体格の割に意外と大食いである一方通行にとって、この程度の量で腹は満腹にはならない。
身体に必要ではない紫外線といった有害物質を代理演算により『反射』している一方通行は、常に無意識の内に能力を行使している。これを維持するために彼は高カロリーな食べ物やコーヒーに含まれるカフェインの覚醒作用で、脳のエンジンを回し続けているのだ。
栄養の殆どが全て脳の燃料使われている事が、一方通行が華奢な体格であるいくつかの理由の一つであると言えよう。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:11:56.42 ID:roIEsXBA0<>
「……ああもうイヤだ、私のこの自堕落モードは続くぞどこまでも。何か愉しい出来事が目の前に現れない限りだけど」
「ほら、しっかり自分の足で歩いて下さいよ先輩。せっかく気分転換に来たのにまったく効果がないと、あたし達の苦労が報われません」
突然、一方通行の鼓膜が二人の少女の会話を拾う。彼がそちらに興味本位で視線を向けると、そこには紺系のセーラー服を着た二人の学生がいた。
おでこと巨乳がチャームポイントの少女が、カチューシャでさらに巨乳の少女を介抱している。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:12:42.59 ID:roIEsXBA0<>
「(……、普通の学生も利用すンのかこの店)」
そんなごく普通の感想を抱いた一方通行は視線を元に戻そうとするが、
「……おや、そこにいるのは一方通行。学園都市の第一位様がどうしてこんなボロい店にいるのか、少し話を伺ってみたいんだけど」
カチューシャを付けた少女、雲川芹亜に話しかけられた事によってそれは叶わなかった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:13:40.76 ID:roIEsXBA0<>
「……、学園都市の第一位サマが学園都市の中に居て何が悪いってンだ。っつーかオマエは誰だ?」
いきなり見知らぬ人間から話しかけられた事で警戒心を露にする一方通行。左手はいつでもチョーカーに届く位置にある。
「……そんなに私を威嚇する必要はないと思うけど? まあとりあえず、君は席に戻っていてくれ」
「え、あ、はい」
雲川は自身が肩を借りている少女、吹寄制理を自分達の座っていた席に戻るように指示を出す。吹寄が席に座ったのを確認すると、雲川は一方通行に面と向かってこう言い放った。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:14:20.69 ID:roIEsXBA0<>
「私はとある高校に通う謎の美人な先輩だけど」
「ふざけンな」
一方通行は雲川の台詞を問答無用で叩き切る。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:15:06.42 ID:roIEsXBA0<>
「さっきのデコには隠しているみてェだが、この俺は誤魔化せねェぞ。オマエはただの学生じゃねェ、俺と『同類』だろォが」
「……、出来ればそういう学園都市の『闇』関連の話は控えたいのだけど」
「ああ、俺もあンまり一般人には訊かせたくねェ話ばかりだ。それでも、素性の知れねェオマエの事を知る権利ぐらい俺にもあるはずなンだがなァ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:15:57.17 ID:roIEsXBA0<>
「――――雲川芹亜」
「……、はァ?」
「私の名前だけど」
「…………、学園都市統括理事会の貝積継敏とかいうジジイの『ブレイン』か」
「さすがは学園都市最高峰の頭脳。その豊富な知識が少し羨ましいと感じる私がいるのだけど」
「オマエも最高峰とまではいかねェが、少なくともこの店にいる人間の中で俺の次に高いのはオマエだろ。あー、後ろの馬鹿共と比べられるのは癪だったか?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:16:39.52 ID:roIEsXBA0<>
「……、超能力者が二人に大能力者が二人。それと第三位のクローンと『原石』の豪炎寺修也か。統括理事会の人間が見たら震え上がる光景だ――――、待て」
「急になンだ」
「どうして垣根帝督が“そこ”にいる?彼は君から瀕死の重傷を負わされたと訊いていたけど」
「俺も詳しい事は分からねェが、『地獄の底からテメェをブチコロスためにわざわざ戻ってきた』ンだとよ。まあ色々あって、今は俺と『サッカー』をする為に心機一転頑張るようだがなァ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:18:09.43 ID:roIEsXBA0<>
「………………………………」
「なンで今度は急に黙り込むンだよ」
「……いや、まさか君の口からそんな単語が飛び出すとは思いもしなかっただけなんだけど」
「俺をよく知る人間は、毎回そンな感じで面食らった表情を浮かべるよなァ。俺は青春を謳歌しちゃいけねェのか、そうなンだな?」
「いや、何もそこまでは言ってないけど。私もバレないように青春を謳歌しているし、君が『サッカー』をやろうとしても何もおかしな話ではないと思うけど」
「………………“バレないように”だァ?」
「あ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:18:59.87 ID:roIEsXBA0<>
「……、オマエは許可もなくとある学校の制服を着て勝手に校内へ侵入し、そこで青春を謳歌しているってワケか?」
「…………、その素晴らしすぎる推理力は賞賛モノだけど、とりあえずさっきの話は訊かなかった事にしてほしい」
「断る、って言ったらどうすンだオマエは?」
「第一位は『ロリコン』であるという情報を、学園都市中のネット掲示板にコピペで貼り付けるつもりだけど」
「もうそれ報復のレベルを超えてンじゃねェか、ヘタな公開処刑より性質が悪ィなオイ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:20:08.65 ID:roIEsXBA0<>
「ふふっ、流石に冗談だけど。……だがさっきの話は本当に訊かなかった事にしてほしい。――私はあのいろんな刺激に溢れている学校と、そこでの生活を愛しているから、それを壊されたくない」
「…………、こうも堂々と『愛』とか語る人間が学園都市の『闇』に関わっているのを知ると、つくづく学園都市のクソったれ共が憎たらしく感じるな」
「おや、まさか一方通行は私の為に学園都市の上層部へ怒りの矛先を向けているのか?」
「別にオマエの為でもなンでもねェけどな、ただ俺は思った事を口に出しただけだ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:20:46.10 ID:roIEsXBA0<>
「…………ふむ。流石に第一位を完全に誘導するのは難しかったようだけど、まあなかなかの手応えだったから及第点としておこう」
「ッ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:21:26.36 ID:roIEsXBA0<>
「とても有意義な時間になったよ一方通行、おかげで自堕落モードから少し脱却する事が出来た。――感謝の印に私が君の専属マネージャーに変身してあげるけど?」
「チッ、オマエお得意の『話術』………………って、あン? オマエが専属マネージャーだァ?」
「君と『サッカー』という異色のコラボに興味が湧いた。私の“軍師としての才”と君の“強大な才”が力を合わせれば、学園都市内の頂点を獲る事など容易いと思うけど?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:22:27.38 ID:roIEsXBA0<>
「…………、俺ら超能力者が周りからなンて言われているのか知らねェのか? 『隠しても隠しきれない人格破綻者』だぞ。俺でも手に余る奴らをオマエが制御出来るっていうのかよ?」
「それはもちろん無理だけど」
「オイ」
「安心しろ、今の“無理”は私には“無理”と言っただけだ。それに学園都市の常盤台中学には、その手のスペシャリストがいるのだけど。その心当たりは?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:23:12.28 ID:roIEsXBA0<>
「……あるに決まってンだろ。――――第五位の食蜂操祈、能力は精神操作系の『心理掌握』。今年の大覇星祭の裏側で散々やらかしてくれたクソ生意気な星目だ」
「圧倒的な知識量を誇る学園都市第一位には愚問だったな。――ちなみに私は大覇星祭中、実況解説を務めていたけど」
「知るかそンなモン。俺はそもそも参加すらしちゃいねェ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:24:15.86 ID:roIEsXBA0<>
「超能力者で参加したのは第三位と第五位と第七位だったか。ところでその期間中に第五位との接触は……、」
「ああ、『妹達』を使って何か企ンでいやがったから、とりあえずクソ星目の顔面を殴っておいた」
「その泣く子をさらに泣かす暴君っぷりは流石、学園都市最凶の怪物――と言いたい所だけど、それはあんまりだ。乙女の顔面を容赦なく殴るとは、彼女は仮にも常盤台における派閥の『女王』として君臨している者だけど?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:25:16.95 ID:roIEsXBA0<>
「ふン、『女王』だろうがなンだろうが俺には関係ねェよ。俺から言わせりゃアレはただの駄々をこねるガキだ。能力がなきゃあの人格では側近も出来やしねェだろォし、だから『女王』の地位を求めたンだろ」
「“能力による友達作り”といった所だな。能力の制御下に置かれた人間にとってみれば、甚だ迷惑な話だけど」
「……“表面”だけの人間関係か、俺にはそれのどこが愉しいのかが理解できねェな。自分が世界の中心に居れば落ち着くとかそンな感じなのかねェ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:26:13.39 ID:roIEsXBA0<>
「基本的に我の強いお嬢様の集う常盤台中学で『女王』を目指す辺り、その性格が滲み出ていたようだけど。まあその関連した話で彼女からしてみれば、第三位は気に食わない存在だったのだろうな」
「あー、そういえばオリジナルも常盤台だったなァ」
「話によると第三位は派閥をあまり好まない性格だったそうだけど」
「そうだろォな、ウチの騒がしい馬鹿共を見りゃなンとなく分かる」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:27:33.47 ID:roIEsXBA0<>
「しかし『学園都市の第三位』、『常盤台のエース』としての肩書きに惹かれて寄ってくる後輩が多かったらしく、その動きを第五位は『派閥を作っている』と勝手に解釈してしまったようだ」
「……、その流れでいつか自分の取り巻きがオリジナルに奪われるとでも思ったのかねェ。どンだけ被害妄想が激しいンだよ」
「その真相は本人しか知る由もないが、私達では到底理解の出来ない領域であるというのは確かだけど」
「まったくだな、お嬢サマの思考回路は一体どうなってやがンだ」
「(………………コーヒーが渡しづらい………………)」
学園都市の第一位と『ブレイン』の第五位考察はまだまだ続く。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/05(木) 23:36:53.28 ID:roIEsXBA0<> 今回はここまでです。
今回の本文中にある
「私はとある高校に通う謎の美人な先輩だけど」
「ふざけンな」
の一節だけ見ると、どこかのスレタイの様に見えてきます。
残念ながらこのスレでのスレタイは回収されないのですが…。
さて、次回の投下はおそらく来週です。来週の月曜日が振り替え休日なので、その日に投下出来ると思います。
それでは、今回はこの辺りで失礼します。
コメントを増やす為にもっと頑張らないと……っ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/04/05(木) 23:42:52.18 ID:ZCKc6MvYo<> 乙
このスレは監視されています <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/05(木) 23:57:16.32 ID:K18fPfop0<> 乙
おもしろい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/06(金) 15:37:06.06 ID:jfMIrmtv0<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:42:54.58 ID:f396YrCk0<> >>1です、こんにちは。今回の投下に来ました。
すみません、今回は諸事情が重なって投下量があまり多くありません。だいたい前回の半分程度になります。
今回もほとんど会話でお届けします。 そして垣根サイドの人間が一人出てきます、お楽しみに。
コメントが二つから三つに増えました、すごく嬉しいです。 次の目標はこの数のキープですね。
>>854さんのコメントになにか薄ら寒いものを感じるのは気のせいですよね、…………気のせいですよね?
まあとりあえず、それではいきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:46:41.17 ID:f396YrCk0<> >>852 続き
一方そのころ、雲川とひたすら語り合っていた一方通行の後ろで好き勝手騒いでいた少年少女らは、いつの間にか六人掛けのテーブルに腰掛けていた。
ちなみに座席はこのような具合になっている。
豪炎寺 垣根 番外個体 ■■
―――――――――――――― ――――――――――――
テーブル テーブル
―――――――――――――― ――――――――――――
絹旗 麦野 滝壺 浜面 吹寄
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:48:07.06 ID:f396YrCk0<>
「……い、いらっしゃいませっ! ご、ごごご注文がお決まりになりましたらわたしをお呼び下さい! そそ、……それでは失礼します!」
小柄な少女はテーブルにメニューを置いて、そそくさと厨房の方へと逃げ帰っていく。
「……なんだありゃ、新人だからあんなにテンパってたのか……?」
「違うわよ、テメェのその全身血塗れの姿に怯えていただけでしょ」
「……オレは所々服が焦げているからな、仕方ないさ……」
「いや、それは超関係ないと思いますよ豪炎寺さん」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:48:59.43 ID:f396YrCk0<>
「……ミサカ的には、そこで鼻血を出して眠るブサ男も含まれてると思うんだけど……」
「はまづら、例えむぎのでもさっきのはアウトだよ?」
「……ううっ、何か……おそろし、い、化け物……が、……ぐぉぉぉぉっ」
「……、彼女は何をしているんだ……?」
「滝壺さんが超無能な浜面から発せられる微弱なAIM拡散力場に干渉している最中です。無能力者でもAIM拡散力場は常に超放出されていますからね。正直、AIM拡散力場について私は詳しく知らないので、超純度一〇〇パーセントの推論ですけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:49:36.72 ID:f396YrCk0<>
「……流石は『八人目』としての素質がある女だな。過去に俺の能力を乗っ取ろうとした事があるし、その応用で精神操作系に似た能力も使えんのかよ……」
「(…………やっぱり浜面が滝壺の能力に与える影響は大きいわね。『自分だけの現実』に“浜面”が欠かすことの出来ない『ピース』として組み込まれつつあるのかしら?)」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:50:35.75 ID:f396YrCk0<>
「……ふむ、エーアイエムカクサンリキバとは一体なんだ?」
「……、豪炎寺さん。学園都市に超連れてこられてから今まで何をしてきました?」
「……オレが今に至るまで何をしてきたか、だと?」
「はい」
「…………オレは、初日は学校に向かったが、そこで初めて顔合わせした部員達と意見が合わなくてな。少し頭にきて二日目からは適当に街中をふらついていたんだ」
「『外』の人間と学園都市の人間の価値観は超大きく異なりますからね。それはきっと仕方のない事ですよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:51:15.89 ID:f396YrCk0<>
「それから成り行きでアイツらにサッカーを教える事になってな。……それにしても、アイツらの成長速度は恐ろしいほど早かった。まるでスポンジのように技術を吸収していったのは一種の感動を覚えたほどだ」
「……あの時代遅れ感が超ハンパない男共があれだけの技術を持ち合わせていたのは、豪炎寺さんの超おかげだったんですね。何人かは異能力者(レベル2)程度の超能力を持っていたようですが」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:52:02.47 ID:f396YrCk0<>
「……確かリーダーのリョウが大能力者(レベル4)のパイロキネシスト“だった”と聞いたな。あとは皆、異能力者程度のテレキネシストだそうだぞ」
「……、“だった”とは超どういう意味ですか?」
「……レベル……あ、……アッパー? と呼ばれる代物を使って能力が強まっていた時期があったそうだ。今はその時に演算のコツを掴んで強能力者(レベル3)の位置にいるようだがな」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:58:00.89 ID:f396YrCk0<>
「……確かそれって、ミサカ達『妹達』を参考にして人間の脳を使った演算機器を作るためのプログラムだっけ? そこから発展して『幻想御手(レベルアッパー)』事件とか言われたのがあったっけ。 ……まあミサカネットワークを使って手に入れた情報だから、あんまり詳しい事は知らないケドね」
「そういやいつものファミレスで、臨時のリクエストだか何だか知らないけど不思議な曲が流れた事があったわね。今思えばアレは、それに関連した出来事だったのかしら」
「ああ、確かにそんな曲が超流れていましたね。なんかこう……五感に直接訴えてくるというか、筆舌では超表現のしようがない曲だったのを覚えていますよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 14:59:08.50 ID:f396YrCk0<>
「……俺はそいつを知らねぇな。聞き覚えがねぇって事は寝てたのか……?」
「知らないわよそんなの。テメェをよく知る人間にでも確認してみればいいじゃない」
「……ん? そいつもそうだな。……えっと携帯は…………。そういや俺、携帯持ってねぇじゃん
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:00:18.32 ID:f396YrCk0<>
「はぁ? 『スクール』のリーダーだったテメェがなんで携帯を持ってないのよ?」
「……持ってないというか、壊されてそのまんまだったな。 まず俺財布すら持ってねぇし」
「……じゃあ何? 第二位はミサカ達に奢ってもらうつもりなの? ミサカだってお金持ってないよ?」
「……んな事は一方通行がどうにかしてくれんだろ、金銭面で心配する必要はねぇよ。それより第四位、テメェの携帯を貸せ。あいつに電話をかける」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:00:56.73 ID:f396YrCk0<>
「イヤ」
「んなっ!?」
「なんで私の携帯を薄汚い血で汚れたテメェに貸さなきゃならないのよ。冗談は羽だけにしなさいっての」
「……オイ、それつい最近言われた記憶があるんだが?」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:01:43.08 ID:f396YrCk0<>
「そう、よかったじゃない。それはテメェの認識はみな同じって事実の裏付けでしょ?」
「……、そんな絶望的な一言をさらっと言ってんじゃねぇよ。いつから俺の共通認識に『羽』が用いられるようになったんだ?」
「フツーにテメェが暗部にいる頃からでしょ。――ハイ、一問一答終了。一発ギャグでもやるなら考えなくもないけど?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:02:30.98 ID:f396YrCk0<>
「……、」
「そんなに流血の量を増やしながら怒るな、冗談だっての。――ん、私の携帯よ。通話以外の事をしたら鼻フックね」
「……、そりゃクソつまらねぇギャグだな。――まぁありがとよ、第四位」
「……っ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:03:27.60 ID:f396YrCk0<>
――――ピ、ピ、ピッ ……プルルルルッ、プルルルルッ ――ガチャ
『――はい、もしもし?』
「……俺だ。この声を忘れたとは言わせねぇぞ」
『ごめんなさい、忘れたわ』
「……よーし、ムカついた。お前の居場所はどこだ? 今から俺が向かうからそこで往復ビンタ一〇〇回な」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:04:18.89 ID:f396YrCk0<>
『あなたのその翼で? やめてよ、ドレスがあなたから抜けた羽だらけになったらどうするのよ』
「ならねぇよ! っつーか俺の事忘れてねぇじゃねぇか!!」
『お約束だと思って』
「そんなバラエティ番組みてぇなノリは頼んでねぇ! ……ったく、視界が真っ赤に染まってきやがった……っ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:05:59.89 ID:f396YrCk0<>
『で、知らない人間の携帯を使って、私の携帯に電話をかけてきたその理由は?』
「……別にお前じゃなくてもよかったんだけどな。だが『スクール』の人間の生き残りはお前しかいねぇし、この学園都市内で俺の知り合いはお前だけだし」
『哀しいわね、あなたは私がいなかったら“ぼっち”じゃない』
「……、うるせぇよ。選ばれた存在ってのは人の輪の中心に立つ事はできても、輪の中に混ざる事はできねぇんだ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:07:10.77 ID:f396YrCk0<>
「さりげなく自分を自慢するのがあなたの短所よね。あとはその独特なファッションセンスも」
『……服装についてはお前にとやかく言われたくねぇな。年中ドレスを着たお嬢さんよ』
「私は別にいいじゃない。素肌にセーター着用のあなたより、素肌にドレス着用の私の方が一般的な常識に当て嵌まってるわよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:07:45.17 ID:f396YrCk0<>
「……なにお前、着けない派なの?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:08:45.72 ID:f396YrCk0<>
『変態ね、とんだHENTAIよあなた。必要ないからに決まってるじゃない、言わせないでよ恥ずかしい』
「……ふーん、そうか。まあ俺は第一位みてぇな『ロリコン』趣味はねぇからな、お前なんか端から眼中にねぇから安心しろ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:09:19.97 ID:f396YrCk0<>
「――おっと、手が滑った」
――――――ベチャッ!
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:10:10.16 ID:f396YrCk0<>
「――熱ぃぃぃぃぃいいいいいッ!? ちょ、テメェ一方通行! そんな離れた場所からコーヒー投擲して俺にぶちまけるんじゃねぇよ!! シミになっちまうだろうが!!」
「悪ィ悪ィ、なンかオマエに侮辱された気がしてなァ。思わず身近にあったコーヒーぶン投げちまった」
「(ああ言いながら超ご丁寧に『ベクトル操作』で衝撃を一点に集中させてますよ。超抜かりないですね第一位)」
「(……『未元物質』のセーターの色ならそこまでシミは目立たなくない?)」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:11:18.10 ID:f396YrCk0<>
『……ねえ、あなたは今どこにいるの? それに『一方通行』って“あの”『一方通行』よね。どうしてあなたがその名前を呼ぶ必要があるの?』
「近くにいるからに決まってんだろ! っつーかダメだわこのままだと火傷しちまう!! もう面倒だから上半身脱ぐしか――」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:12:12.83 ID:f396YrCk0<>
「――――ぎゃあぎゃあ五月蝿い! ここは飲食店なんですよ!? 大人しく食事が出来ないのなら出て行って下さい!!」
「落ち着いて。その理屈だと。私達も出ていかないといけなくなる」
「……ひゅー☆ イマドキこんな正義心に満ち溢れた人間っているんだね。ミサカはてっきり絶滅したモンだと思ってたよ」
『昼食会』の盛り上がりは徐々にピークを迎える。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:22:16.69 ID:f396YrCk0<> 今回の投下は以上です。
座席の■■は姫ナントカさんです。 完璧にネタ要因になってしまっている…。
短い内容でしたがいかがでしたか? 楽しんでもらえたのなら幸いです。
一方通行、ドレスの少女、青髪ピアス。原作で名前の明かされていないキャラが多いのが禁書の特徴でもありますよね。
ご想像にお任せしますといった感じなんでしょうか?
まあそんなつまらない独り言はこの辺で。 次回の投下は出来れば今週中にまた来ますね。
テスト勉強がかったるくてやってられません、誰か『学習装置』を開発してくれませんかね……。
それではまた。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/09(月) 15:31:11.70 ID:f396YrCk0<>
あとミスが多くてすみません…。
>>874は
「さりげなく自分を自慢するのがあなたの短所よね。あとはその独特なファッションセンスも」
『……服装についてはお前にとやかく言われたくねぇな。年中ドレスを着たお嬢さんよ』
「私は別にいいじゃない。素肌にセーター着用のあなたより、素肌にドレス着用の私の方が一般的な常識に当て嵌まってるわよ」
ではなく、
『さりげなく自分を自慢するのがあなたの短所よね。あとはその独特なファッションセンスも』
「……服装についてはお前にとやかく言われたくねぇな。年中ドレスを着たお嬢さんよ」
『私は別にいいじゃない。素肌にセーター着用のあなたより、素肌にドレス着用の私の方が一般的な常識に当て嵌まってるわよ』
でした、いつのまにか電話で話していたのが垣根になってしまった……。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/04/09(月) 19:52:32.32 ID:U+KixFP90<> 乙
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/10(火) 17:34:55.50 ID:2x+2tVX80<> 乙
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2012/04/15(日) 01:00:07.70 ID:wKf67WULo<> 乙 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:45:55.43 ID:IggqzAo10<> お久しぶりです、>>1です。 今回の投下に来ました。
テストやら何やらで投下に来れずに申し訳ございませんでした、一週間も間を空けてしまった…。
このスレもあと2〜3回の投下で終わると思います。次スレを建てる時はスレタイを変える予定です。
予定では『とある第一位の超次元蹴球』となります。 このスレタイを見かけたときは、スレ内を覗いていただけたら幸いです。
それでは今回も会話オンリーのパートでお届けいたします。
今回からは台詞の頭にキャラ名を入れたので、誰が話しているのかが分かりやすくなっていると思います。
ではいきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:47:58.91 ID:IggqzAo10<> >>880 続き
吹寄「そもそもなんですかその血塗れの顔は!? 最低限の身だしなみは整えてから外出しなさい!!」
垣根「うるせぇ! タオルとか持ち歩いてねぇんだから仕方ねぇだろ!!」
吹寄「それでも服の袖で拭いたりする事ぐらいは出来ますよね!? どうしてそのままでいられるんですか!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:48:54.66 ID:IggqzAo10<>
垣根「……っ、いちいちうるせぇ女だな……ッ。 テメェは俺の姑かよ!」
吹寄「しゅ、う――!? ……ば、馬鹿にするのも大概にしなさい!! あたしはまだ結婚どころか異性と付き合ったことすらない純潔よ! その辺のビッチと一緒にしないでほしいわ!!」
垣根「そういう意味で言ったんじゃねぇんだけど! ってかテメェは思考が硬過ぎじゃねぇか!? 冗談とか絶対に通用しないタイプだろテメェ!!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:49:45.29 ID:IggqzAo10<>
ドレスの少女『……今度は何? というかだいぶ賑やかね。ちょっと私もそこに行ってもいいかしら』
番外個体「……、その前にミサカの前で口論を繰り広げるのはやめてくれないかな。二人の唾が容赦なくミサカの顔面にぶっかけられてるんだけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:50:26.75 ID:IggqzAo10<>
絹旗「――あ、超すみません。注文お願いしたいんですけど」
女店員「……は、ははははいっ! えっと、あっと……ほっ、本日のオススメはこちらににゃります!!」
麦野「(……テンパりすぎでしょ。こんなんでこの先、店員としてやっていけるのかしら?)」
絹旗「ふむ、結構バリエーションが超豊富ですね。和・洋・中に…………民族料理? ……うげっ、コオロギの唐揚げとか超寒気がします……っ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:51:32.93 ID:IggqzAo10<>
一方通行「オイ、コーヒー追加」
男店員「か、かしこまりました」
雲川「コーヒーを受け取ったと思ったら、いきなり第二位に向かって投げつけたときは何事かと思ったけど」
一方通行「ふン。バッテリーは温存しておきてェ所だが、躾をする場合はやむを得ねェからなァ」
雲川「その発言、第二位は一方通行の狗ということで解釈するけど?」
一方通行「狗というか、出来の悪い弟だな。……あンなのが弟とか、もはや悪寒しかしねェがな」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:52:19.03 ID:IggqzAo10<>
雲川「私にも妹がいるが、妹は私とは似ても似つかない体育会系だけど。私が『頭脳』なら妹は『肉体』。二人で一つ――とまではいかないが、ステータスの示す値はほぼ逆方向だな」
一方通行「……、なンか俺達の話って脱線ばかりしてンな」
雲川「話題がなくて沈黙するよりはマシだと思うけど。――ほら、そこで取り残されている『原石』二人がその顕著な例なわけだが」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:53:19.19 ID:IggqzAo10<>
豪炎寺「(……今頃夕香は何をしているだろうか、ちゃんと昼食は摂っているだろうか…………ああ、お兄ちゃんは心配になってきたぞ……っ)」
姫神「(……うふふふっ。どうせ私は影の薄いオンナ。なんだかついさっきも。誰かから認識されなかった気がする)」
一方通行「……、ありゃ取り残されているンじゃなくて、何か考え事でもしてンだろ。放っておいてやンのも選択の一つじゃねェのか?」
雲川「ふむ、なら放置の方向でいこうか。では話の主題をそろそろ変えるとするけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:54:38.08 ID:IggqzAo10<>
一方通行「あン?『第五位の年齢詐称疑惑』はどォした、少し興味があったンだが」
雲川「それはまた次の機会だ。……もっとも、翌日には第五位と接触を図るのだから、そんなに長いお預けではないけど」
一方通行「……あの星目と接触ねェ。“浸蝕”されねェように対策を練らねェと、知らぬ間に喰われるぞ」
雲川「それは要らぬ心配だけど。一見すると無敵に見える第五位の能力だが、それを封じる手段はいくつか存在する。――まずは君の能力による『反射』が第一だ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:55:39.16 ID:IggqzAo10<>
一方通行「ふン、バッテリーが切れたらオシマイだけどなァ」
雲川「次に第五位の所持する大量のリモコンの破壊。第五位は能力をリモコンによって制御しているが、あれは複雑で面倒な演算を簡略化するための手段だ。もちろんリモコンがなくても能力は使用可能だが、その分演算には多少時間が必要だろうけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:56:39.50 ID:IggqzAo10<>
一方通行「そォいや大覇星祭中に街中の大型液晶画面に、息を切らしながら走る星目の姿が映し出された時があったなァ。そン時のアイツは何も持たずに必死の形相で走っていて、酷く滑稽だったのを覚えてる」
雲川「たしかリモコンの収められたバッグを審判員に没収されたんだったか。……あんまり詳しくは覚えてないけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:57:21.51 ID:IggqzAo10<>
一方通行「ともかく、リモコンをどォにかすりゃ能力は封殺したも同然ってワケか」
雲川「そういうことになるな。他の対処方法としては第三位の『電磁バリア』による自動迎撃、それと発電能力系と根幹が同じ『原子崩し』を持つ第四位も能力の応用で対処は可能そうだけど」
一方通行「垣根は『「未元物質」を操る俺に洗脳は通用しねぇ』(笑)とか言いながら無力化しそうだしなァ。超能力者(レベル5)に洗脳の類は通用しねェか」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:58:24.95 ID:IggqzAo10<>
雲川「いや……」
一方通行「なンだ?」
雲川「――――超能力者の中で一人だけ、不安を拭えない人物がいるんだけど」
一方通行「…………、第七位か」
雲川「あらゆる意味で説明不能の怪物、噂では第三位の『超電磁砲』のメダルを歯で受け止めたと訊いているけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/16(月) 23:59:18.06 ID:IggqzAo10<>
一方通行「……、俺は会ったことのねェ第七位だから実態はさっぱり知らねェが、少なくともオリジナルより戦闘能力は高そうだな。超能力者の順位は『能力研究の応用が生み出す利益』が基準だ、第七位の超能力は説明の出来ない力で応用がまったく出来ないンだったか」
雲川「仮に超能力者同士の乱戦が発生すれば、意外と第七位が勝ち残ってしまいそうだけど」
一方通行「第六位の存在を忘れンな、アレもアレでかなり厄介だぞ」
雲川「学園都市の捜査網を掻い潜る逃走能力とあの超能力…………。……まったく、末恐ろしい怪物ぞろいだな超能力者(レベル5)という存在は」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:00:12.55 ID:otBo05ER0<>
一方通行「だから『隠しても隠しきれない人格破綻者』って呼ばれてンだろォが。もはや俺達超能力者は人外の領域に一歩足を踏み入れてるよォなモンだ。人外に近い怪物に普通の人格が宿るわけがねェ」
雲川「……ふふっ、そうだったな。『隠しても隠しきれない人格破綻者』――か。その最底辺の評価をこれから最大限に引き上げるのが、君と私のチームにおける方針だな」
一方通行「いつから俺とオマエだけのチームになったンだ。っつーか勝手に方針を決めンな、暫定的なキャプテンはこの俺だぞ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:01:08.55 ID:otBo05ER0<>
雲川「ならキャプテン、早速このチームの方針を決めて欲しいんだけど」
一方通行「…………チッ、ちょっと待て。今考える」
雲川「それとついでにチーム名も決めておいた方がいいと思うけど」
一方通行「………………」
雲川「あと各個人の守備位置もだけど。私が戦略を組み立てるのに必要不可欠だからな」
一方通行「……………………」
雲川「それから選手の超能力の再確認、短所に長所、利き足といった細かな情報の収集。……まあこの辺は私があとで『書庫(バンク)』を統括理事会の権限を行使して調べ上げれば問題ないけど」
一方通行「…………………………」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:02:03.55 ID:otBo05ER0<>
雲川「他には――」
一方通行「――――チーム方針は『とにかく愉しめ』、チーム名は『レジスタンス』、チーム名には“世間から下された最低の『評価』に抗う”という意味が込められている。それと原則として、俺のチームは“来る者拒まず、去る者追わず”で無理強いはしない。“元”『グループ』の奴らは例外だがなァ」
雲川「――……、チーム内における規則は既に決定していたか。それなら課題はあらかた片付いたようだけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:02:44.68 ID:otBo05ER0<>
一方通行「……残念だが全く片付いてねェよ、まず試合に必要な最低人数が揃ってねェ」
雲川「ふむ、現在の総数は?」
一方通行「今いるメンバーが俺と(了承は得てないが)番外個体、垣根に絹旗の四人だ。オマエはマネージャーでフィールドには立たねェし、仮にオマエを『人数合わせ』で頭数に入れたとしても、最低でもあと二人は必要だ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:03:51.34 ID:otBo05ER0<>
雲川「第四位と滝壺理后は誘わなかったのか? 彼女らは『アイテム』に所属しているのだから、絹旗最愛からの繋がりで引き込めそうだけど」
一方通行「……『友達』の『友達』を引き込むのはさすがに俺でも気が引けるンだよ。ジャージ女の方は過去に偶然会った事があるがそれだけだ、さっき蹴り飛ばされたチンピラ――――あ」
雲川「第一位の間抜け面とはかなりのレアモノだけど、この光景を写メったらどうなる?」
一方通行「その携帯ごと手首を握り潰す」
雲川「いい反応だが返事の内容がエグいな。せめて携帯を粉砕するだけで止めるべきだと思うけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:04:34.38 ID:otBo05ER0<>
一方通行「携帯を粉砕するのもどうかと思うがなァ。――いや、今の論点はそこじゃねェな。……そうだ、あのチンピラがいたじゃねェか、なンで今まで気が付かなかったンだクソったれが……っ」
雲川「まさに灯台下暗しだな。たしか君と浜面仕上は第三次世界大戦中に接触があったそうだけど」
一方通行「……どこから調べたそンな情報、人工衛星で俺の動きでも追跡していやがったのか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/04/17(火) 00:04:53.74 ID:oXf8rvl/0<> 円周ちゃんや削板さんがいれば大丈夫だね。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:05:15.49 ID:otBo05ER0<>
雲川「情報源について詳しい事は話せないが、私は立場柄そういった情報に目を通す機会が多いんだよ。先ほど君自身が言っただろう、私は学園都市統括理事会の貝積継敏の『ブレイン』だ。学園都市の“表”と“裏”の素性は知り尽くしているけど」
一方通行「……底知れねェなオマエ、だったらどこまで学園都市の『闇』について知ってやがる」
雲川「少なくとも、かつての君がいたさらに奥底までは知っているつもりけど」
一方通行「……、」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:05:57.08 ID:otBo05ER0<>
雲川「……でも、知っていても止められない悲劇はいくつもあったよ。かつての君が行った『実験』とかが顕著な例だ、私は本当に何も出来なかった」
一方通行「ハッ、あれは俺が自ら進ンで行った実験だ。だからオマエが気に病む問題じゃねェだろ」
雲川「それもそうだけど、傍観している者の身としては居た堪れなかったよ。君の心の歯止めとなる存在がいれば、今の君はこのように苦悩することもなかったのかもしれないのに」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:06:55.40 ID:otBo05ER0<>
一方通行「――――苦悩、ねェ。今のオマエには俺が苦しみ悩んでいるよォに見えンのか」
雲川「…………君自身はそうじゃないと?」
一方通行「……くっだらねェ。苦悩も何も、嬉しい悲鳴だクソボケ」
一方通行「あの『実験』があったから、俺は何もない人生に目的を見つける事が出来た。あの『実験』が凍結されてから、初めて心の底から人を守りたいと思った。許されない事をしていたのに自覚はある。だがなァ、あの『実験』が全て“悪”と決め付けるンじゃねェ」
雲川「……、」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:07:32.16 ID:otBo05ER0<>
一方通行「たしかに俺が犯した罪は醜悪の極みだ。それでもその『実験』で生み出された『妹達』は違ェ、アイツ等に罪はねェからな。俺の実験に付き合わせちまった、言うならば『妹達』は被害者だ、罰を受けるのは加害者である俺だけで充分だ」
雲川「……、全ての罪を引き受けて、それを清算するための『救済』か。まるでどこかの聖人のような話だけど、第三位にはどうするつもりだ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:08:28.49 ID:otBo05ER0<>
一方通行「オリジナルにも謝らなきゃならねェとは考えている。だがアイツにもこの罪を負担してもらう事になっちまうのは確かだ。言い方が乱暴だがオリジナルも加害者だからな。どォいう意図でDNAマップを提供したのかは知らねェが、『妹達』を製造する基盤を作ったのはオリジナル――」
雲川「――『筋ジストロフィーを治療するといった“名目”でDNAマップを騙し取られた第三位』は、本当に加害者なのか?」
一方通行「――、…………なンだと?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:09:09.50 ID:otBo05ER0<>
雲川「ご自慢の頭脳で考えろ一方通行。なぜ第三位は君と初めて相対した際に、理不尽とも呼べる怒りをぶつけてきたのかを」
一方通行「オリジナルが俺に……………………チッ。……そォだな、確かに自分のクローンが製造されるのを知っていたら、俺に突っかかってくるわけがねェ。製造されるのと同時に使い道とかは知らされるハズだからなァ」
雲川「だが第三位はその真相を知らされなかった。この事実が示すのは……、私が言うまでもなさそうだけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:09:59.12 ID:otBo05ER0<>
一方通行「……、オマエの言う『騙し取られたDNAマップ』の話が真実ならオリジナルは加害者じゃねェ、――――被害者だ。……何が“罪を負担してもらう事になっちまう”だクソッたれ、騙されたオリジナルにも罪はねェじゃねェか……ッ!」
雲川「学園都市に蔓延る『闇』は並大抵のモノではない。それは例え相手が幼い子供にでも、容赦なくその牙を剝いて喰らい尽くすのだからな」
一方通行「………………クソッ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:11:19.43 ID:otBo05ER0<>
雲川「君はその『闇』から一時的に抜け出したとはいえ、いつまた引き摺り込まれるかはわからない。時には君のその行動を気に食わない『暗部』が目の前に姿を現すこともあるだろう」
一方通行「…………」
雲川「だいぶ現状を楽観視していたが、現実を見詰め直すとこんなにも問題が山積みだったのは驚いたな。……まあまだ第三次世界大戦が終結して日が浅い、さすがに『暗部』が動く可能性はそこまで高くはないだろうけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:12:54.09 ID:otBo05ER0<>
一方通行「…………ハッ、それじゃあこのチーム名は二重の意味での『レジスタンス』になっちまったなァ」
雲川「“世間から下された最低の『評価』への抗い”と“学園都市に蔓延る『闇』への抗い”か」
一方通行「そォだな。だからこのチームが結成するという事は、俺達は学園都市の敵対勢力と同等の意味を持つ事になる」
一方通行「表面上では学園都市の第一位と第二位がボールを蹴って戯れてるよォに見えるが、学園都市の上層部から見たらそういう風には見えねェンだろォな」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:13:48.55 ID:otBo05ER0<>
雲川「差し詰め『反逆者』だな。学園都市の『闇』という名の鎖から解き放たれた狂犬二匹が、飼い主である学園都市に牙を剝くと表現すればいいのか?」
一方通行「“犬”じゃまだまだ生温いな、せめて“狼”ぐらいじゃねェと俺と垣根は表現出来ねェよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:14:43.98 ID:otBo05ER0<>
雲川「……ふむ、“狼”か。――――北欧神話には『フェンリル』という“狼”の怪物がいるのだけど、それをチーム名にするのはどうだろうか?」
一方通行「…………『フェンリル』ねェ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:15:32.93 ID:otBo05ER0<>
雲川「君の考えたチーム名も捨て難いが、それではあまりにも露骨過ぎると思うのだけど」
一方通行「……、オマエの考えも一理あるな。確かに俺の案のままだと自分から堂々と正体をバラしているよォなモンだ。頭隠して尻隠さずってレベルじゃねェぞ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:16:42.64 ID:otBo05ER0<>
雲川「……では、異論はあるか?」
一方通行「――――異論はねェ。現在より俺が率いるチーム名は『フェンリル』で確定だ」
雲川「この組織……いや、チームだったな。このチームのキャプテンは君として、副キャプテンは第二位で問題ないと思うけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:25:00.46 ID:otBo05ER0<>
雲川「それと目下の最優先事項として人員不足をどうにかしないといけないのだけど、…………少し待っていれば頼れる副キャプテンがどうにかしてくれるだろうな」
一方通行「あン? ソイツはどォいう意味――」
雲川「ほほはほおひのおひひはへほ(言葉通りの意味だけど)――ごくんっ」
雲川「……とりあえず今の私達は、店員がいつの間にか置いていったフライドチキンでも食べてのんびり待つべきなのさ」
一方通行「――ッ! オマエなに人様の昼食を勝手に食ってやがンだ!?」
雲川「うむ。なかなかいけるけど」
一方通行「誰も食った感想を言えとは言ってねェンだが!?」
ぺろりと一方通行の頼んだフライドチキンの一つを胃の中に収納し、雲川は遠慮せずに二個目へ手を伸ばす。
果たして一方通行は残りのフライドチキンを死守する事ができるのだろうか。 ――結果は次回のお楽しみ!
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/17(火) 00:31:20.36 ID:otBo05ER0<> 今回の投下は以上です。いかがでしたか?
新約の第三巻で一方通行と美琴のそっけない会話ですが、あれは一方通行が真相を知らなかったから(+ツンデレ成分)があったからだと>>1は考えております。 ……まあ推測の域を出ないただの妄想なのですが。
次回の投下は出来れば金曜日までに来たいと考えております。 このスレでのラストスパートだ!
それではまた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/18(水) 14:54:08.60 ID:IF5ezBR30<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/04/18(水) 22:12:02.88 ID:1GHsg6aA0<> 乙
おもしろい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/04/20(金) 07:05:57.04 ID:dTStZNnAO<> 追いついた
乙です <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:08:20.82 ID:GNClUxYn0<> >>1です、こんばんは。 今回の投下にきました。
まず初めに、前回の引きの部分は次回と書きましたが、今回の一方通行は出番なしです。 なので次々回になります、すみません…。
ではでは、そろそろ投下していきますね。 今回は垣根のターンです。
それではいきます。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:11:53.29 ID:GNClUxYn0<> >>920 続き
垣根「――いい加減にしろよこの巨乳デコッ! テメェは俺を誰だと思ってやがんだ!!」
吹寄「サラッとセクハラ発言する貴様の正体なんて、このあたしが知るわけないでしょ!! 人に名前を訊ねる時はまず自分から名乗りなさいよ、この売れない三流ホストッ!!」
垣根「……よーし、表に出ろクソ野郎。二度とそんな舐めた台詞を吐けないようにたっぷり可愛がってやるよ……!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:13:07.00 ID:GNClUxYn0<>
吹寄「ほう、それはあたしを誘っているの? 売れない五流ホスト見習い風情が、このあたしを、ふーん?」
垣根「…………五流とか俺、生まれて初めて言われ――じゃねぇよ。……ハッ。その余裕の態度、いつまで崩すことなく保てるのか見物だな」
吹寄「……貴様、自分から進んで死亡フラグを建てているけど大丈夫なの?」
垣根「うるせぇ。他人の心配する前にテメェの身の安全を気にしろよクソボケ、いつまでも俺を甘くみてんじゃ――」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:13:52.33 ID:GNClUxYn0<>
〜しばらくお待ち下さい〜
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:15:27.47 ID:GNClUxYn0<>
吹寄「――――――ふんッ!」
垣根「ぐほぁぁぁあああッ!?」
吹寄「……で、貴様はさっきあたしになんて言っていたかしら? たしか『他人の心配をする前にテメェの身の安全を気にしろ』だったような気がするけど、真相はどうだったかしらね」
垣根「(クソッ、なんなんだあの女の鉄みてぇな額の強度は!? 頭蓋骨を守る為に鉄板でも仕込んでるんじゃねぇだろうな!!?)」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:16:22.18 ID:GNClUxYn0<>
吹寄「貴様は怪我人のようだし、今回のところはこれで許してあげるわ。……でも、次はないから覚悟しておきなさいよ」
垣根「……っ」
吹寄「さてと、運動したら少しお腹が空いたわね。あんまり必要量以上の食事は健康に良くないから控えるべきなんだろうけど、別に今日くらいは構わないわよね」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:17:32.07 ID:GNClUxYn0<>
番外個体「あっひゃっひゃっひゃっひゃっ!! 普通の学生に! しかもあろうことか、女子にヘッドバッドくらって悶絶する第二位とか、ミサカ的にはかなりメシウマなんですけどッ!!」
垣根「ゲラゲラと下品に笑ってんじゃねぇよ番外個体!! テメェも“今”のを喰らえば俺の――――ッ、…………やっべ、また視界が……っ」
番外個体「いやー“人の不幸は蜜の味”って揺らぎのない真実だよね。ミサカは今最高の気分だよ、今のミサカならくたばりかけの第二位を特別に見逃してあげられる気がする」
垣根「……そこは普通見逃す場面じゃねぇだろ……!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:18:26.87 ID:GNClUxYn0<>
番外個体「ふっふーん♪ この光景を忘れる前にミサカは腹一杯食事してこようっと☆」
垣根「……ちょっ、待てテメェこらオイ待て待てよ待ってくれよオイッ!」
番外個体「〜〜♪ 〜〜♪」
垣根「(……あ、あのクソ野郎……ッ! 華麗にスルーして軽やかにスキップ踏んでんじゃねぇよボケが!!)」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:19:30.27 ID:GNClUxYn0<>
麦野「まったく、テメェが一体何をしたいのか私にはさっぱり分からないわね」
垣根「……第四位……」
麦野「っつーかテメェはよっぽどの大馬鹿者ね、なんで闘う前からオチが見えていたのに無理するのよ?」
垣根「…………うるせぇ。あとオチが見えていたとか言うな、悲しくなんだろ」
麦野「ふん。薄々思ってたんだけど、テメェはかなり高性能な死亡フラグ製造機よね。無謀にも第一位に喧嘩を売るわ、さっきみたいに無駄にかっこつけて失敗するわで、傍から見ればかなり滑稽よ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:20:14.57 ID:GNClUxYn0<>
垣根「……チッ。なんだよ、テメェらは俺を虐めてそんなに愉しいか?」
麦野「それはテメェの受け取り方次第でどうにでもなるでしょ。本当の意味での“イジメ”ってのは、相手から何も感情を抱かれない事よ。……まあ悪ふざけがエスカレートすれば、それも立派な“イジメ”なんだけどさ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:21:27.21 ID:GNClUxYn0<>
垣根「……じゃあなんだ、さっきの番外個体はただ俺をからかっていただけっていうのかよ?」
麦野「多分そうでしょ、テメェはからかいやすい人間だから仕方のない事よ。恨むなら自分の性格を形成した周辺環境を恨みなさい」
垣根「……――ハッ、恨むも何も、俺の周りに人がいたことなんてほとんどねぇよ」
麦野「……、」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:22:42.08 ID:GNClUxYn0<>
垣根「……テメェも超能力者(レベル5)なら理解出来るだろ? 俺達を理解してくれる人間なんてのは、230万人もいるこの学園都市内でほんの僅かしかいねぇんだ」
垣根「しかもその僅かな人間に限って、人体実験を平気な顔で繰り返すクズな科学者共とかなんだぜ? 腐っているのにも限度があればよかったんだけどな」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:23:34.64 ID:GNClUxYn0<>
麦野「私は冴えないテメェとは違ってお嬢様だったけど、ある意味ではテメェと私は同じ境遇なのかもね」
麦野「――お嬢様なんてのはくだらない幻想の塊で、そんな肩書きはなんの意味も持たない。無駄に広い豪邸には歳の離れた使用人がうじゃうじゃいて、同年代の友達なんて結局一人も出来なかったし」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:24:54.38 ID:GNClUxYn0<>
垣根「…………テメェも、“ぼっち”だったんだな……っ」
麦野「オイ、なんなのよその憐れみを込めた両目は? 同情するくらいなら死んでくれない?」
垣根「……死なねぇよ、たとえ死んだとしてもまた何度でも地獄の底から舞い戻って来てやるよ。――アレイスターのクソ野郎に一泡吹かせるまで、俺は死ぬつもりは毛頭ねぇ」
麦野「……、そうは言うけどテメェに何が出来るっていうのよ? 今後は第一位様と一緒に球遊びをするのは知ってるけど、それで何かを変えられるとテメェは本気で信じてるの?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:25:45.24 ID:GNClUxYn0<>
垣根「――――ハッ、そんなの愚問だな第四位。信じる信じないの問題じゃねぇ、“変える”って決めたからにはなにが何でも“変える”んだ。そう俺に教えたのは紛れもないテメェ自身だろうが」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:27:05.17 ID:GNClUxYn0<>
麦野「…………、ふーん?」
垣根「……あー、だから俺はこれでもテメェには感謝してるんだぜ? テメェが道を示してくれたおかげで俺は一方通行に認めてもらう事が出来たし、慣れない事にも行動を移せるようになった。テメェが俺を“変えた”のは紛れもない事実なんだ」
麦野「……、」
垣根「だからよ、テメェにはこれからもっと劇的に変わっていく俺を見ててほしいんだ――――俺のすぐ傍でな」
麦野「――っ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:28:11.47 ID:GNClUxYn0<>
垣根「一方通行の野郎が道を示してやるとは言ったが、あいつは色々と抱え込んでるモノが多くて俺まで順番が回ってこなそうだからよ、な?」
麦野「………………チッ」
垣根「? どうかしたか?」
麦野「……なんでもないわよ。要するにテメェは私に、超多忙でお節介な第一位様の代役を頼んでいるわけね?」
垣根「ああ、俺にはテメェ以外に信用できる人間に心当たりがねぇからな。今の俺にとって、第四位だけが頼りだ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:29:50.60 ID:GNClUxYn0<>
麦野「………………、一つだけ条件があるわ」
垣根「なんだ?」
麦野「私の事を『テメェ』とか『第四位』って呼ばないことを約束しなさい」
垣根「…………なんだよ、そんな簡単な事でいいのかよ?」
麦野「なら『全裸で学園都市の上空を翼生やして飛び回る』に変更する?」
垣根「心の底から前者で頼む、社会的には死ぬのは流石に回避できねぇ……!」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:30:57.76 ID:GNClUxYn0<>
麦野「あぁン? テメェはそんな非常識なら通用するんじゃなかったかしら?」
垣根「常識が通用しねぇで非常識なのは、俺じゃなくて能力の方だっつーの。これでも最低限の常識は弁えてるつもりだぜ」
麦野「あっそ。………………不意打ちで人を変な気分にさせる発言をしたテメェが何言ってんのよ………………」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:32:00.64 ID:GNClUxYn0<>
垣根「???」
麦野「……下から私を見上げるな変態、いい加減汚い地面から立ち上がったらどうなの?」
垣根「うわ、ひでぇ言われようだな。っつーか今まで気にしてなかったのに急にどうしたんだよ?」
麦野「……、うるさい黙りなさい死になさい」
垣根「流れるように罵倒してんじゃねぇよ第四位ッ!?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:33:43.41 ID:GNClUxYn0<>
麦野「…………第四位?」
垣根「――チッ、ミスった。第四位じゃねぇや、えっと………………麦野?」
麦野「……、私の事は『沈利』って呼びなさい。私はテメェの事を『帝督』って呼ぶから」
垣根「……なんで苗字じゃなくて名前なんだ? いや、別に構わねぇんだけどよ」
麦野「私とテメェは他人行儀でいる必要がないからよ、そのくらい察して理解しなさい」
垣根「いや、わからねぇよそんなモン。俺は読心能力者(サイコメトラー)じゃねぇし」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:34:36.52 ID:GNClUxYn0<>
麦野「低脳の帝督」
垣根「おいこらテメ――」
麦野「…………、」
垣根「――、……沈利。いちいち俺を馬鹿にすんな」
麦野「ふん。私はただからかっているだけよ、本心では馬鹿にしてないわ」
垣根「……お、おう。ならいいんだけどよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:39:23.82 ID:GNClUxYn0<>
麦野「……」
垣根「……」
麦野「――――ん、掴まって」
垣根「ああ、サンキュー」
麦野「……で、具体的に私は何をすればいいのよ? 帝督の傍にいるってことは、私も球遊びに参加しなきゃいけないってことになるのよね?」
垣根「そういうことになるな。……でもまあウチのチームには『アイテム』のチビもいるし、いっそのこと『八人目』を含めた『アイテム』全員が参加しちまってもいいんじゃねぇか?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:42:05.36 ID:GNClUxYn0<>
麦野「ふーん、そういう考えね。……いいわ、私が滝壺と浜面には話をつけといてあげる」
垣根「ありがとな、本当に助かるぜ」
麦野「……ふん、どういたしまして。この私が直々に動くんだから、帝督はちゃんと劇的に変わってみなさいよ?」
垣根「任せとけ、沈利の期待は絶対に裏切らねぇよ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/20(金) 21:44:09.53 ID:GNClUxYn0<>
『むぎのしずり』がチームに加わった! はい、なんだかあっさりしすぎているような気がしますが、レベル5の偶数コンビはこれくらいが丁度いいんだと思います。
『数字のコンプレックス』、『暗部組織のリーダー』、『「負の遺産」で復活』という風に似たような点がいくつか存在するお二人ですが、このさき一体どうなることやら……。
あ、麦野が垣根から苗字で呼ばれるのに抵抗を感じたのにはちゃんとした理由があるのですが、それはまた別の機会にということで。
次回の投下でこのスレでの本編投下は終了になります。その後でスレが少し余っていたら、なにか本編の短い番外編でもやろうかなと考えているのですが、誰にスポットライトを当てたらいいでしょうかね?
とりあえず次回の投下は明日の昼、もしくは来週ですね。
それではまた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/04/20(金) 22:25:35.32 ID:RnhHHeKp0<> 乙
垣根と麦野いいな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/21(土) 09:55:13.66 ID:GQSGEjsA0<> 乙
いいぞいいぞ <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:40:59.05 ID:G4xaMj2/0<> >>1です、こんばんは。 このスレ最後の投下に来ました。
とりあえずこの場は簡潔にいきます。 長いあとがき(という名の反省会?)はこの投下が終わって書くので、暇な時にでもよんで下さい。
それではいきますね。
久しぶりに地の文が復活しますよ。 <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:44:26.34 ID:G4xaMj2/0<> >>948 続き
一方通行「――人様の食いモン全部平らげてタダで済むと思うなよクソ野郎がァァアアアア!!」
雲川「そんなに怒るな一方通行、また頼めば問題ないと思うけど」
一方通行「そォいう問題じゃねェンだよ! そォいう問題じゃねェンだよッ!! なンなンだよオマエ、普通は全部食い尽くさねェだろ!?」
雲川「ふむ、固定概念に囚われているようではまだまだだな。世の中というのは常に進化を繰り返している、一方通行はそれに適応しきれていないようだけど」
一方通行「…………オイ。なら俺が今からオマエを問答無用で殴っても、固定概念から脱却したって事で処理するンだが?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:45:49.90 ID:G4xaMj2/0<>
雲川「残念だがそれは違うな。君が行おうとすることは立派な『傷害』という事件で処理されると思うけど」
一方通行「ンなモン『金の力』で揉み消してやンよクソッたれが!」
雲川「そういえば『警備員』へ通報する際の番号は何番だったかな……」
一方通行「本気にすンなよ!? そンなの冗談に決まってンだろォが!!」
雲川「? いや、私はただ“突然”『警備員』への連絡手段が気になっただけなんだけど」
一方通行「………………オマエ、頼むからもォ帰ってくンねェかな……ッ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:46:33.30 ID:G4xaMj2/0<>
雲川「そうだな。そろそろ私達は帰るが、その前に君へ“渡しておくモノ”があるのだけど」
一方通行「……なンだよ、俺に“渡しておくモノ”って?」
雲川「私の連絡先だけど」
一方通行「……、俺の携帯渡すからオマエが適当に済ませとけ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:47:45.36 ID:G4xaMj2/0<>
雲川「――――、よし。無事交換し終えたけど」
一方通行「そいつはどォも。……変な機能とか組み込ンでねェだろォな?」
雲川「もちろん。待ち受け画面を私のドヤ顔にしただけで、あとは何もしてないけど」
一方通行「誰が得すンだよその画像。っつーかなンで自分のドヤ顔の画像とか持ってンだオマエは」
雲川「さっきのは全部冗談だけど」
一方通行「……、」
雲川「チョーカーの電源に手をかけるな、そして空の皿を握り締めようとするな。いくら私が君を言葉で手駒に取っても、さすがに君の攻撃は避けられないけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:48:35.92 ID:G4xaMj2/0<>
一方通行「……チッ」
雲川「君の煽り耐性の変動は著しいな。適当にあしらう時もあれば本気で真に受ける時もあるけど、それでは精神的に疲れないのか?」
一方通行「……ごちゃごちゃうるせェな。ちゃンとバランスを考えてンだから構うなクソったれ」
雲川「そうか。なら訊かない事にするけど」
一方通行「……、」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:49:52.35 ID:G4xaMj2/0<>
吹寄「――すみません。この『脳細胞を活性化させる一五の栄養素が入った能力上昇パスタ』の大盛りを一つ下さい」
女店員「か、かしこまりました」
女店員「(……まさか料理長が適当に書いたオススメ品を頼む人がいるなんて……)」
番外個体「そこのお嬢さん、ミサカも注文していいかな?」
女店員「は、はひッ!? しょ、少々お待ちください!」
番外個体「えっと、カレーにオムライスにハンバーグにアップルパイに宇治金時に――」
女店員「(言葉が通じてない!? 私さっき“待って”って言ったのに!!?)」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:50:42.03 ID:G4xaMj2/0<>
姫神「また。そんな怪しい料理を頼んでる」
吹寄「い、いいじゃない別に。あたしが食べたいと思ったから頼んだのよ」
姫神「それに。大盛りを頼んだけど。一人で食べ切れるの?」
吹寄「うーん、……無理ね」
姫神「え」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:51:51.13 ID:G4xaMj2/0<>
吹寄「だ、大丈夫よ、あたし達は三人いるんだから。 大盛りでも三人で食べれ――、」
雲川「さて、そろそろ帰るとするけど」
吹寄「」
姫神「時間切れ。タイムアップ」
雲川「今日は君達のおかげでとても有意義な一日になった。まあこの埋め合わせはいつかさせてもらうけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:52:55.60 ID:G4xaMj2/0<>
吹寄「……ちょ、ちょっと待ってくれませんか先輩? あたしさっき注文したばっかりの料理があ」
雲川「今日は一五時から『一端覧祭』の会議なのだけど。君はそれを放って食事に時間を費やしていいのか?」
吹寄「…………くっ、そう言われると何も反論が出来ないわ……ッ」
姫神「でも。一口も手につけないで帰るのは。食材に対して失礼」
雲川「ふむ……? それならば一方通行、その料理は君に食べてもらうとしよう。これでさっきの件を水に流してほしいのだけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:53:53.69 ID:G4xaMj2/0<>
一方通行「……あン? なンでこの俺が残飯処理みてェな真似をしなきゃならねェンだ、寝言は寝てから言いやがれ」
吹寄「(……一方通行って、もしかして学園都市の第一位『一方通行』の事? …………まさか、ね)」
雲川「悪いが君に拒否権はないけど」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:55:19.18 ID:G4xaMj2/0<>
一方通行「はァ? オイ、ふざけンのもイイ加減にし――」
雲川「――――“三十六計逃げるに如かず” 私は逃げる為ではなく勝つ為に逃走するけど」
吹寄「え?ちょ、急になに言ってる――――きゃっ!」
姫神「――――!?」
雲川芹亜は、少女達の手首を掴んで逃げ出した。
一方通行「…………………………はァ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:56:16.84 ID:G4xaMj2/0<>
「……さてと、そんじゃ店の中に戻るとするか」
「そうね。いつまでも店の外にいる理由もないし、さっさと店に――」
――――――ガンッ!
「がふっ!?」
垣根が店の扉を開けようと手を伸ばすと、突如扉が垣根に襲い掛かってきた。
扉は吸い込まれるように垣根の顔面に直撃すると、その陰から三人の少女が飛び出してくる。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:57:08.13 ID:G4xaMj2/0<>
「ちょ、先輩! いきなりどうしたんですか!?」
「うぇっぷ。……このままでは危険。食事後の走りは。吐きそうになる」
「おや第二位。突然で申し訳ないのだが、後処理は君に任せたけど」
扉の陰から現れた三人の少女のうち、二人の少女の手首を掴んで強引に引っ張って走る少女はそう言って、自身の頭を大きく縦に振った。
すると少女の頭に装着されたカチューシャが地面に落ちる。そしてそのカチューシャが地面に触れた直後、白い煙幕が辺り一帯に噴出する。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:58:56.12 ID:G4xaMj2/0<>
「――ッ!? チッ!」
麦野は両腕で顔を覆い隠して気体を浴びないような格好をするが、それは背後から吹き荒れる突風で意味を為さなかった。
「――――待ちやがれ雲川ァッ!!」
その突風の発生源は一方通行である。 彼の右手には、歩行補助用の杖ではなく一枚の紙切れが握られている。
「こンな白昼堂々と食い逃げしてンじゃねェぞクソッたれがァァァァアアアアアアアア!!」
一方通行の怒りに比例するかのように突風は次第に強まっていき、白煙のカーテンはあっという間に取り除かれる。
鮮明になった空間には、誰もいなかった。
ただ地面にカチューシャが落ちているだけで、三人の少女の姿は完全に消失した。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 19:59:53.29 ID:G4xaMj2/0<>
「チッ! 一丁前に逃げ足は立派じゃねェかクソッたれが!!」
目標を見失った一方通行が地面を軽く蹴ると、その周辺が能力の影響で深く陥没する。
「…………は? 食い逃げ?」
いまだに状況が理解できない麦野は、頭上に疑問符を浮かべて一方通行を見る。
「鼻が……! なんでこうも連続してくるんだっつーの……!」
その傍で垣根は強打した鼻頭を押さえて蹲っていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:01:24.62 ID:G4xaMj2/0<>
「……あァ、どォいう意図か知らねェが食い逃げしやがったンだよあのクソ野郎は……!」
自身の純白の髪を乱雑に掻いて、一方通行は地面に落ちたカチューシャに視線を向けながら事情を簡単に説明する。
――――その直後、
…………ミシッ……メキメキ…………
「……オイ第一位様、なんか建物の亀裂が増えてきてるんだけど」
「……あン?」
…………メキッ……バキンッ…………
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:02:39.39 ID:G4xaMj2/0<>
この店は『骨董屋』と呼ばれる世界各地の料理を扱う総合料理店である。
元は取り壊される予定だった廃屋を改装して完成したこの店は、根本的な部分での耐久性は限りなく低い。
よって先ほどの一方通行が軽く地面を蹴った『震脚』が引き起こす結果というのは――――
……バキッ ベキッ パキパキパキ…………ベキンッ!
――――建物の倒壊である。
「…………………………」
目の前で崩れ去っていく建物に、一方通行の顔面が蒼白になる。
店の中にはまだ従業員がいた。 男の店員と女の店員、そして厨房を担当する人間で最低でも三人は確実に。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:05:15.44 ID:G4xaMj2/0<>
だが――
「――うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!」
そんな原始的な咆哮が響いた直後、崩落して瓦礫の山と化した建物から紅蓮の炎が吹き荒れる。
その炎の中心点、そこには一人の少女と少年が立っていた。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:05:58.03 ID:G4xaMj2/0<>
「……なんでミサカが即興で作った防空壕をぶっ壊すかな、ホント信じられないんだケド」
「む? そうだったのか、それはすまなかったな」
「ひっ、あ……私は……助かったの…………?」
「大丈夫だったかいお嬢さん?」
「……えっと、その、は……はい! 大丈夫なんですけど、その……腰が抜けちゃって……」
「あちゃー、やっぱそうなるか。 まあこの状況で平気な顔して立っていられるのは、相当な精神力が必要だからねぇ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:06:47.55 ID:G4xaMj2/0<>
「――こっちも超無事ですよ! 男性店員と厨房フロアにいた人間は私が超救出しました!!」
「……あ、ありがとう。君のおかげで助かったよ」
「いえいえ、超お安い御用です」
「……突然、何事かと思ったぞ」
「その意見には超同意しますよ。なんだったんでしょうかね、さっきの超短い地震は?」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:08:08.46 ID:G4xaMj2/0<>
崩落する建物内で起こった救出劇の一連の動きはこうだった。
まず落下してくる天井に対して番外個体が磁力を操り、金属を含む建物の素材を掻き集めて即席の防空壕を生成する。
その隙に絹旗が少し離れた位置にいた男性店員を肩に担ぎ、その流れで厨房フロアへ突入してガスの元栓を閉めていた長身の男を脇に抱えて裏口から外へ脱出。
最後に豪炎寺が防空壕の天頂部分を蹴り飛ばして今に至る。
こうしてみると豪炎寺の行動がいかに蛇足であるかがよく分かるのだが、当の本人は無駄だったとは思っていないのだろう。
「ぎゃああああ!! そんなの無理に決まってんだろぉぉぉぉおおおおおお!!」
「はまづら、まだまだこれからが本番だからね?」
ちなみにそんな危機迫る状況でも、世紀末帝王への精神攻撃は継続していた。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:09:30.68 ID:G4xaMj2/0<>
「……、」
一方通行は仲間と店員の無事を確認すると、瓦礫を踏みしめながら彼女達の元へと近づいていく。
「……悪いなオマエら、迷惑かけた」
そう言って彼は頭を下げた。
仲間を危険な目に遭わせてしまったこと。
一般人に危険が及びそうになったのを助けてもらったこと。
(故意ではないが)自分が引き起こした件の尻拭いをさせてしまったこと。
その謝罪には様々な意味が込められていた。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:10:29.77 ID:G4xaMj2/0<>
しかし、
「ぎゃはっ☆ なにいきなりミサカ達に頭下げてるのさ? それはあなたの新手のパフォーマンスか何かかにゃーん?」
「……あン?」
「だっていきなり謝られてもミサカにはさっぱり意味が理解できないよ? …………さっきの件の謝罪ならもっと別のカタチでしてもらいたいし」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:11:55.59 ID:G4xaMj2/0<>
「……だから俺は今オマエらに――、」
「だってミサカ達は、あなたの『仲間』なんじゃないの? 『仲間』ってのは“持ちつ持たれつ”の関係の事を言うんだから、あなたが謝るのは筋違いだと思うんだケド?」
「――――。……ハッ、そォだな。今の俺がしなきゃなンねェのは“謝罪”じゃなくて“感謝”だったみてェだな」
「そうだね。流石は学園都市の第一位、理解が早くて助かるよ☆」
「…………、オマエら――――――ありがとよ」
かくして、かつて人肌に飢えていた少年は、『仲間』の意義を理解して新たなるステージへ踏み込む。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:12:36.12 ID:G4xaMj2/0<>
「そうそう、あなたもそれくらい普段から素直ならミサカ的には……いや、やっぱりそのままでいいや」
「ふン、俺はオマエがその性格を180度変えてくれたら最ッ高に愉快な気分になれるンだけどなァ」
「だったら“ミサカ”の悪意を全て消してくれないとそれは無理だね、『個の意志』で『全の意志』は抗えないし」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:13:18.74 ID:G4xaMj2/0<>
最高神すら喰らう怪物の名を冠するチーム。
そしてそのトップに君臨するのは学園都市最強の超能力者。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:14:03.43 ID:G4xaMj2/0<>
「……、クソ長ェ道の終着点で待ってやがれ。――――必ず辿り着いてやるからよ」
彼の紅い双眸は、これから一体どんな光景を映していくのだろうか――――。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:15:01.87 ID:G4xaMj2/0<>
「………………とてもいい雰囲気のところ申し訳ないのですが、ひとまず壊れたウチの店をどうにかしてくれませんかね?」
「……、」
――――――だがその前に、大量の数字の羅列を見ることになりそうだった。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:16:02.94 ID:G4xaMj2/0<>
次スレを建ててきます。 まだ埋めないで下さい。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:34:32.56 ID:G4xaMj2/0<>
次スレ建てました
『とある第一位の超次元蹴球』 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1335180759/ <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/23(月) 20:51:35.27 ID:G4xaMj2/0<> >>1です。 少しオチが弱い気がしますが、まだまだ続くのでこれくらいでも大丈夫だと思ったんですが如何でしたか?
まあ兎にも角にも、ようやく2スレ目に到達できました。
これは読者の皆様の暖かい声援コメントがあったからだと>>1は実感しております。 ここまで見てくださった読者の皆様方、本当にありがとうございました!!
>>1自身初めての投下作品ということで、不安いっぱい恐怖いっぱいの本作品の【一章】と【二章】、お楽しみいただけたでしょうか?
第三章の『とある常盤台の女王と取り巻き達』も引き続き読んで頂けたら幸いです。
それと長い反省文でも書き連ねてみようと思いましたが、誰得なんだと気が付いたのでやめておきます。
もうひとつ、番外編の話ですが、出来そうなので皆様に安価で訊いてみます。
これより↓2のキャラの短い番外編をやりますので、もしよければコメントお願いします。
ではまた次スレで会いましょう。
それでは。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/04/23(月) 21:26:38.23 ID:52pVNhIc0<> 乙
おもしろい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/25(水) 16:37:36.58 ID:7ypAsHpAO<>
乙
ところで誰も安価取らないのか?
なら打ち止めで <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:08:21.35 ID:s3pOqOxt0<> >>1です。安価が出たので打ち止めの短い番外編をやりますね。(番外編といっても本編の裏側のお話です)
台本形式でいきます。
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:10:11.53 ID:s3pOqOxt0<>
打ち止め「…………お、終わった、ってミサカはミサKaifvmn;xhz;fvn,mc kjzfnd」
芳川「しっかりしなさい最終信号、言語が成立してないわ」
打ち止め「……cfjdfhavhdmbfjdvsjdhと一緒に遊びたかった、ってミサカはミサカはしょんぼりしながら独り言を呟いてみる」
芳川「(ツッコミを入れるべきなのか、そっとしておくべきなのか迷ってしまうわね)」
打ち止め「うぅ……、どうしてミサカじゃなくて末の妹が優遇されるの、ってミサカはミサカは……っ」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:10:50.84 ID:s3pOqOxt0<>
芳川「……、ねえ最終信号」
打ち止め「……? どうしたのヨシカワ? ってミサカはミサカはヨシカワの方を向いてみる」
芳川「あなたは精神年齢だけで言えば『妹達』の中で最も幼い存在よ。それは間違いないわね?」
打ち止め「……うん」
芳川「それでもあなたは、番外個体の“姉”なのよ? お姉ちゃんが妹に嫉妬してどうするの」
打ち止め「……」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:11:33.64 ID:s3pOqOxt0<>
芳川「たしかにあの子は番外個体と仲良く遊んでいたのかもしれないわ。でもその事にいちいち目くじらを立ててたらキリがないわよ」
打ち止め「でも……、」
芳川「でも、じゃないわ。たしかにあの子はあなたを守ると誓ったようだけど、なにもあなた“だけ”を守るわけじゃないのよ」
芳川「あの子は私や愛穂、あなたは勿論そのほかに残存するすべての『妹達』と番外個体を救済しようとしているわ。もし番外個体に目くじらをたてるようなら、あなたはあの子に食事を与えている愛穂も同じ条件に合致しているということを認めなくてはならないのよ?」
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:12:22.10 ID:s3pOqOxt0<>
打ち止め「……だったら、ミサカはどうしたらいいの? ってミサカはミサカは訊ねてみる」
芳川「簡単な話ね、もっとあなたが寛容になればいいのよ」
打ち止め「……かん……よう?」
芳川「ええ、男女問わずに嫉妬は本当に醜いモノよ。だからそんな自分の評価を落とすような真似は絶対にタブーなの」
打ち止め「……恋愛経験値ゼロのヨシカワが言っても説得力は皆無かも、ってミサカはミサカは断言してみる」
芳川「くっ……、」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:13:15.87 ID:s3pOqOxt0<>
打ち止め「…………でも、ありがとねヨシカワ、ってミサカはミサカはぺこりと小さくお辞儀してみたり」
芳川「……ふふっ、恋愛経験ゼロの戯言に感謝されても、ねえ?」
打ち止め「あ、あれ……? さっきのは結構深刻なダメージだったの? ってミサカはミサカはまだまだ人生これからだって某CM風に芳川を励ましてみたり!」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:14:43.66 ID:s3pOqOxt0<>
芳川「……そうね、まだまだ人生これからよ。第二の人生を歩み出すためにまず丈夫な縄を買ってこないといけないわね」
打ち止め「待て早まるな!! まだ死ぬのは早いってミサカはミサカはヨシカワの下腹部目掛けて『ロケット頭突きー』!!」
芳川「――ごふっ」
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:15:40.66 ID:s3pOqOxt0<>
黄泉川「ふー、黄泉川サンはただいま帰ったじゃんよ――――て、うわぁぁぁぁあああああ!? よ、桔梗がソファーで死んでるじゃんよ!? あ、『警備員』! 早く『警備員』に通報しないとダメじゃんよ!?」
打ち止め「その『警備員』はヨミカワだよ、ってミサカはミサカは極めて冷静なツッコミを入れてみたり」
結局この茶番の幕は、数十分後に一方通行が帰ってくるまで降りなかったという――――。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:19:54.14 ID:s3pOqOxt0<> >>1です。
番外編はこれにておしまいです。 最後の最後に変換ミスがあって申し訳ございませんでした…。
それでは、また次スレにて。
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◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:20:21.84 ID:s3pOqOxt0<> 埋めてます <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:21:02.70 ID:s3pOqOxt0<> 埋めてます <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:21:42.66 ID:s3pOqOxt0<> 埋めてます
<>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:22:44.95 ID:s3pOqOxt0<> 埋めてます <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:23:50.99 ID:s3pOqOxt0<> 埋めてます <>
◆phLlq2zEWI<>saga<>2012/04/25(水) 21:24:20.08 ID:s3pOqOxt0<> 埋めました
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