SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:15:36.85 ID:4csoBtoQ0<>
美琴と一方通行と上条が幼馴染です。どこにでもありそうなネタですが目を瞑っていてください。
電磁通行です。いやな方は回れ右を。
遅筆なので更新はゆったりしています。
拙い文章なのですが、それでよろしければ、ということで。<>美琴「今日も平和ねぇ」一方「あァ」上条「だな」 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:17:26.36 ID:4csoBtoQ0<> 追記。それから誤字が多いです。





授業終了のチャイムがなったのはもう2時間くらい前だろうか。放課後の誰もいなくなった小学校の中庭で、少女は一人でえぐえぐと泣いていた。
前髪からはバチバチと火花が飛び散り、それに呼応するかのようにぴょんとたったあほ毛が揺れる。

「うぇぇぇ・・・・・・、わたしが、なにかしたのぉ・・・・・・?」

少女はいつも一人ぼっちだった。
クラスメイトが向ける少女への視線は、妬み、悔しさなど、どろどろとした嫌なものばかり。
理由は分かっている。
レベル0ばかりの教室で、彼女だけがレベル2だから。
レベル1だったころはまだ良かった。それでも、ちょいちょい会話ができていた。
だが、少し前のシステムスキャンによって、少女がレベル2だと判定され、ガラリと周りの態度が変わった。
だから、少女は常に一人。
物を隠されたり、悪口をいわれたり、廊下で転ばされたりといじめまがいもうけている。

(わたしは・・・・・・ただ、がんばっただけなのに・・・・・・!)

少女はギリ、と唇を噛む。
そのとき、がさりと後ろから物音が聞こえた。
また、誰か自分をいじめに来たのだろうか、と少女はビクゥ!と肩をすくませ、そろそろと後ろを振り向いた。
しかし、そこにはクラスメイトなどいなかった。
その代わり。

そこには、白くて、白くて、白い。どこまでも”白”の少年がいた。

(おめめも・・・・・・真っ赤だ・・・・・・。綺麗・・・・・・)

少女がその少年に見惚れていると、少年のほうから少女に話しかけた。

「・・・・・・オマエ、何泣いてンの?」

「ふぇ?」

少女と少年の顔を、夕焼けが照らす。
それが、少年と少女の出会いだった。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:17:29.69 ID:wrQ8wVVc0<> 期待だな <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:20:51.15 ID:4csoBtoQ0<>

そして、数年後。

「おー、姉ちゃん面いいじゃねぇか。俺達とあそばねぇ?」

「何時になるかわかんねぇけどよ、ってとこかぁ?」

茶髪の少女がけらけらと笑うガラの悪そうな男達に囲まれていた。
少女は反抗するのでも泣くのでもなく、ただ、ぼーっとあたりを見渡していた。
それが逆に男達をそそるのか、一向に囲むのをやめない理由になっているのに少女は気がついていないのだが。
現在4時半。夕暮れ時である。
仄かに赤く照らされた街中で、少女を救おうと手を差し伸べるものは、いない。
当たり前か、と少女は心の中で思う。
他人よりも自分が大事。それが普通だと少女は理解しているし、助けてほしいとも思っていない。
何より、少女は助けてもらわなくったって、自分でこの程度の状況を打破できる。
昔は恨んだ自分の能力も、今となっては協力な武器である。
ついでに、なぜその力があるにもかかわらず、この状況をさっさと打破しないのかといわれれば、ただ単に腹が立っているからである。
彼女が腹を立てている理由。
それは、

(あー、あの馬鹿ども。さっさと来なさいよね。もう30分も遅れてるじゃない)

約束の時間に、待ち人がこないからだ。
いつもどおりのこととはいえ、腹が立つものは腹が立つ。
なので、“あまりにもしつこいのでしょうがなく使いました”という感じで合法的にこの男達をサンドバック代わりにしようとしている、というわけだ。
自分が苛々しているところに声をかけたこいつらが悪い、と少女は勝手に自分を正当化する。まあ間違っちゃあいないが。

(さぁーてと。そーろそろいいわよねぇ?)

声をかけられてからもう15分ほどたったか。
そろそろ能力を使っても誰からも怒られないだろう。
そう思って、少女がバチィ、と紫電を散らそうとしたところへ、

バフォォン!!という爆音が鳴った。

次の瞬間、彼女を取り囲んでいた男達の半分が吹っ飛んだ。
ふぅ、と少女はその様子を驚くことなく受け止め、ため息をつく。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:21:18.97 ID:4csoBtoQ0<>
「ちょろっとー、一方通行、やりすぎだと思うわよ?」

「うるせェ。どうせオマエも同じようなことするつもりだったンだろ」

「正解だけど。ったく。当麻も止めなさいよね。そのご自慢の幻想殺しで」

「いや、あの殺気を放った一方通行には近づきたくないというかですね・・・・・・!」

男達の半分を爆音とともに吹っ飛ばせた張本人、一方通行はフン、と鼻をならし隣に立つ当麻と呼ばれた男――上条当麻の足を思いっきり踏みつけた。
ぐぎぃいいい!? という奇妙な悲鳴があがるが一方通行は気にしない。彼が視界にいれたのは、茶髪の少女――御坂美琴と残りの男達。
その残りの男達は恐怖に顔をゆがませて彼をみている。

「ひ、ひぃいい・・・・・・! お、お助けを・・・・・・!」

「殺される・・・・・・!」

哀れというか、無様な泣き声に一方通行はその端整な顔をゆがませるほど笑い、言う。
それは、まるで白い死神のようだった、とは周りの野次馬談である。

「ひゃはははははッ! 本気で言ってるんだったらよォ、抱きしめたくなっちまうほど哀れだなァ、格下どもよォ!」

「なら抱きしめてあげなさいよ・・・・・・」

そんな美琴の憎まれ口はとりあえず無視し、彼はたん、と軽く地面をふみつける。
それだけで、アスファルトの地面は大きく抉れた。そんな化け物じみた現象に、さらに男達は震え上がる。

「さァってと、この一応俺の知り合いにちょっかいかけたンだァ、されることは分かってるよなァ・・・・・・?」

一応ってなによー!という声が聞こえたがやはりこれも無視。いいところは邪魔するなというヤツである。
そのとき、男の一人が何をおもったか美琴の背後へ走り、首にナイフを当てる。

「こ、こいつを殺されたくなかったら・・・・・・お、俺達を見逃せ、よ、な・・・・・・!」

ぐちゃぐちゃの泣く寸前の顔で一方通行に要求する男を見て、美琴は「あーあ」と再度嘆息する。

(コイツ、終わったわ)

ちろり、と一方通行に目を向けり――
げ、と声をだした。

(完全にいっちゃった顔だわ、この馬鹿・・・・・・!)

一方通行は、笑うのをやめ、ただ、無表情で男を見ていた。
そして。

ドォオオオオオオン、という無駄な派手な音と共に、

残りの男達を、美琴と回りの人々を巻き込むんじゃないかと思うほどの威力で地面もろとも吹っ飛ばした。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:21:56.42 ID:4csoBtoQ0<>
「うわっと、ちょっと、危ないじゃない!」

「ハイハイ、助けたんだから許せ」

「オイお前ら、とくに一方通行!幻想殺しで周りの人を助けた俺への感謝は!?」

「ご苦労さン」

「心こもってねー!」

「いちいちめんどォなやつ・・・・・・」

一方通行は呆れたのか半眼で上条をみたが、今の場合どう考えても上条が正しい。
と、そこで上条は気づいた。
周りの人はまだ離れていたし、彼が幻想殺しで助けたからいいとして。
美琴は男のすぐ近くにいた。
そして、その美琴は抱きかかえられる形で一方通行に――その原因を作ったのは彼だが――助け出されたわけなのだが。
その、抱きかかえられる形、というのが。

「・・・・・・あのさ、お二人方」

「なンだよ」

「何よ?」

「お姫様抱っこで登場、なんてどこの騎士とお姫様でせう?」

え?と美琴の顔が固まり、そういえば、と一方通行は美琴のほうを見た。
数秒後。

「お、おおおおおおおおおおおおお降ろしなさいよ!!!なによこれぇ!!!」

「知るか!助けてやったンだから感謝こそすれ怒るなんて筋違いだろォが!」

「その原因を作ったのはアンタでしょおおおおお!?」

「うるせェ!俺はオマエをそんな風に育てた覚えはありませーン!」

顔を真っ赤にした美琴が、一方通行に噛み付いていた。
上条はそれを見て、いつもどおりだなぁ、と暢気に思った。
なんというか、今日も平和である。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 22:23:30.22 ID:bxDjczZDO<> >>2
誤字は見直せば少なくなるだろ?
なのに誤字が多いって何?
見直しはしない主義なの? <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:25:26.77 ID:4csoBtoQ0<> >>7 見直しても見落としが多いってことです。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:26:46.97 ID:wrQ8wVVc0<> >>7
遅筆ってことはきっと書き溜めは無いんだろう。即興だな。

即興だと「早く投稿しないと」って焦りから結構見逃すもんだよ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 22:30:38.05 ID:cHEiLcWZo<> 電磁通行ってだけで読者釣れると思ったら大間違いだぜ





期待 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 22:31:57.60 ID:sULlFQNAO<> 最近電磁通行が増えたよな…













期待してまふ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 22:32:44.54 ID:o8Ene0D90<> 幼馴染電磁通行とか!そんなモノでこの俺が釣れるもの……クマァァーーー!! <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:34:53.55 ID:XrgIxwcM0<> 電磁通行と聞いて <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:41:05.78 ID:XrgIxwcM0<> 電磁通行と聞いて <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/23(金) 22:45:41.62 ID:4csoBtoQ0<> なんかつんでれが多い。
後今日はここまでです。眠すぎる。




一方通行の自宅にて。
美琴はうげ、と呆れたようなうめき声を出す。

「うっわ、また缶コーヒーばっか。アンタ体内の液体全部コーヒーなんじゃないの?」

「うるせェ。コーヒーは美味しいからいいンですゥ」

「でもコーヒーって体に悪いよな」

「あァもォオマエらは夫の全てを管理しないと気がすまねェうぜェ妻ですかァ!?」

ぎゃいぎゃいと楽しそうに騒ぐ彼らの頭の中には近所迷惑という言葉はない。
今日は金曜日。
毎週恒例の、3人で必ず集まって晩御飯を食べる日、である。
一方通行のコーヒーとファミレスばっかりの食生活とレベル0の加え常時不幸の上条のジリ貧生活を心配し、美琴が提案した集まりで、そのためか毎回ご飯を作るのは美琴の役目だ。時折上条が作ることもあるが、それはごく稀。
今日はごく稀なほうではなく、いつもどおり美琴が作る。そのために、冷蔵庫を開け、上のような言葉が飛び出した、というわけだ。

「まったく。心配する方の身にもなりなさいよね」

「うるせェ」

「とかいいつつ口元がちょっと緩んでますよってぶげばびちょっとまっでででで」

「・・・・・・当麻も学習しなさいよ。一方通行に関しては結構アンタ自業自得よ?」

一方通行にバカスカやられている上条だが、結局そんなたいした傷をつけられていないところからただのじゃれあいであることが伺える。まあ8割は幻想殺しのおかげなのだが。
美琴がテキパキと晩御飯の作業をしている間、二人はいつもそんなことをしているのだ。仲がいいというかなんというか。

「そォいえば美琴」

「なによ?」

上条を足で踏んづけつつ一歩通行は美琴に話しかけた。
美琴も玉葱を切る手を止めないまま一方通行のほうへむいた。

「今日泊まってくかァ?」

「うーん、そうしようかな。当麻は?」

「俺は課題がありまふぅ」

「・・・・・・踏んづけられたまま答えるのは偉いんだけど傍目からみたらそれただのMよ?」

「うるへぇ!」



<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 22:47:45.35 ID:wrQ8wVVc0<> 微妙な所で切りやがって……キリのいいところにしないとモヤモヤして眠れん


まあ、乙!

ガンバ!


期待 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 22:55:26.07 ID:GL/8aKw50<> なんかいい雰囲気だな
乙、そして期待 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 00:01:34.58 ID:0hcFR9Xb0<> こういうベタ設定嫌いじゃないぜ?
期待して更新楽しみにしてるよ。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 00:03:47.24 ID:nyqCyOwf0<> 凄く眠いけどキリのいいところまでがんばって書いてきました。今度こそ寝ます。



あまりにも会話のほうに意識を割いていたからかもしれない。
ザクリ、と美琴の指に包丁が突き刺さった。

「あ」

美琴は呆けたような声をあげた。
どくどくと流れ続ける大量の血に最初に反応したのは一方通行だった。

「馬鹿かオマエ!」

能力でも使ったのか一瞬で美琴の元へ駆けつけた彼は、何を思ったか美琴の皮膚がぱっくりと割れた指を持ち、

「ひゃうっ!?」

かぷり、と口に持っていった。
彼としては早く血を止めて消毒しなければならないという一心からの行動だったのだが、当然周りはそんなことはわからない。
美琴は顔を真っ赤にして口をぱかぱかと鯉のように開けたり閉じたりと忙しい。
そして、上条は。

「だ、大事な妹の貞操を守るためぇええええ!!」

「かみふぉう?ふぉまえ、なにいってんふぁよ」

美琴の指を口に含んでいるからかもごもごとした一方通行の言葉は無視して、ゆらり、と立ち上がり拳を振り上げた。

「一方通行ァあああああ!!」
「だからはにやっふぇ――ブッ!?」

次の瞬間、一方通行は美琴から離れて吹っ飛んだ。
一方通行の悲鳴を聞きながら、上条はやけにいい顔で言う。

「ふぅ……これで今日も学園都市の貞操は守られたぜ」

そんなヒーロー気取りの彼が怒りに我を忘れた一方通行にボコられるまであと10秒。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 00:47:15.41 ID:G5FGzx7r0<> 上条さんアホやww <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 06:54:05.55 ID:Q+iXbT6m0<> ん? <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 10:18:37.96 ID:IJ4xZ3wDO<> 終わりはちゃんと伝えてくれると嬉しい <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 11:53:51.84 ID:nyqCyOwf0<>

から揚げ、コロッケ、ポテトサラダ、ほかほかのご飯が並ぶ彩りのある食卓に、思わず上条の涙腺は緩みそうになる。上条の健康はこの日に全てまかなわれているといっていい。
そんな様子を美琴と一方通行はいつもどおりなので無視する。
パン、と美琴は手を合わせた。

「いっただーきまーす」

「いただきます」

「・・・・・・いただきますゥ」

一方通行が『いただきます』を言えるようになったのは美琴の教育の賜物だ。なので、毎回これを聞くと昔のように『あーくんいいこいいこー』と撫でたくなる。死んでもしないが。
幼馴染というのは結構な黒歴史を抱えあうものである。特に、自分のほうが年下の場合は。

「オイ美琴ォ」

「何よ?」

「オマエ、友達できたのかァ?」

「ブホッごほごほブブブッ!?」

咳き込む美琴に一方通行と上条は目を合わせ心の中で言い合う。
『あ、こりゃだめだ』と。
美琴は顔を真っ赤にして

「ななななにアンタは父親みたいなこと言ってるのよ!で、できてもできなくてもアンタには関係ないでしょうが!」

「いや関係あるしィ。大事な妹のことは気になるンですゥ」

「なー、気になるんだよやっぱり。お前いつも一人だし。携帯の履歴俺と一方通行と麦野さんとルームメイトの後輩ばっかだし」

「うぐぐぐ・・・・・・」

唸り続ける美琴にはぁ、と一方通行は嘆息して

「そりゃァ俺もレベル5だし友達関係が築きにくいっつゥのは理解してるけどよォ。一人も、っつゥのはどォなんだよ?」

「く、黒子がいるし・・・・・・」

「そりゃァ後輩だろ。同い年で、だよ」

「・・・・・・うう」

美琴は顔を伏せて黙ってしまった。ちょっぴり涙目にもなっている。
一方通行はぽんぽんと頭を撫でて

「ったく。ちゃンと友達つくらねェと困ンのはオマエなんだぞ?」

「ど、努力はしてるもん。それに、同輩どころか先輩まで私を様付けよ!?どうしろっていうのよ!」

「美琴モテるからなぁ・・・・・・いろんな意味で」

「うう、うれしくない・・・・・・」

そんなこんなで、晩御飯は進んでいくのであった。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 12:00:38.18 ID:nyqCyOwf0<> あの、折角今日クリスマスイブだし、昔の3人でクリスマスネタ書いてもいいですか?っていうか書き始めているんですが。
美琴は小3、一方通行と当麻は小5の時のお話なんですけど。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 12:15:48.97 ID:tUy5S9sSO<> いいよいいよー <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 12:19:34.37 ID:0xwSvZgAO<> おK <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 12:25:51.97 ID:nyqCyOwf0<> とりあえずできた所まで。



現在、12月24日のPM6時。

「あーくんあーくん、お空から白いものがふってくるよー!」

「そりゃァ雪だ。っつか去年もそれを言わなかったっけかァ?」

「ゆき? そっか、あーくんきょねんもそんなこといってたね!わたしの火花とおんなじ、きれい!」

少年と少女は仲良く歩いていた。
あーくんと呼ばれた少年の名は一方通行。本名ではないが、今はそれを名にしている。
その一方通行の手を握り締めているのは御坂美琴。やわらかそうなほっぺたは寒さで赤く染まってしまっている。

「ねー、あーくん。あーくんのかみも真っ白だね。ゆきみたい」

「ウサギとか言ったら怒るからな?」

「とーまそれですごくあーくんにおこられてたねー。はやくごはん買っておうちにかえってたべよーね」

“一方通行、お前ってなんだかウサギっぽいよな”と口が滑り、隣にいる少年に半殺しにされていたもう一人の少年を思い出して、美琴はにへら、と笑う。
そんな美琴に同調して、一方通行もわずかに微笑んだ。
そういえば、と一方通行は思い出す。

「クリスマスっつったら、サンタさンかァ」

その言葉に、美琴はきらきらと輝いた瞳を一方通行に向けた。

「え!? さんたさん、来るの? わたしにも?」

「・・・・・・サンタさン、来て欲しいのか?」

「んー・・・・・・うん!きょねんもおととしもこなかったから、ないかなーってがっかりしてたの」

「・・・・・・それを早く言えよ」

「?」

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 12:27:52.00 ID:nyqCyOwf0<>
一方通行が呟いた言葉が聞き取れなかったのか、美琴は首を傾げた。
そんな美琴の頭を握られていないほうの手で撫でつつ、

「オマエは何が欲しいンだ?」

「えとね、えとねー・・・・・・。あう、はずかしいかも」

「・・・・・・? 恥ずかしいのか?」

「うん、はずかしいの」

美琴の言葉に要領が掴めなかったのか、一方通行は眉をひそめたものの特に追求はしない。
・・・・・・いや、本音を言うとさっさと聞き出してすぐにでもそれを買って夜中に美琴の枕元にプレゼントを置いてサンタさんしてー! とは思っていたのだが、いかんせんこの少女は頑固なのだ。この調子だといわないに決まっている。
なので。

「じゃァ、手紙を書くかァ?」

「おてがみ?」

きょとん、と可愛らしく首を傾げる少女に一方通行はああ、と頷いて

「とりあえず、伝えるためには手紙だ手紙。っつか、オマエはどうやってサンタさンにプレゼントを伝えるつもりだったンだァ?」

「え? えとね、・・・・・・こころのなかでおもう」

「サンタさンは読心能力者じゃねェンだぞ・・・・・・」

呆れたようにため息をつく一方通行に、美琴はちょっとむすっとした顔で

「なによう! おにいちゃんのばか!」

「おに・・・・・・っ、ば・・・・・・!?」

上条が現れる前の呼称を呼ばれたことによる懐かしさと、馬鹿といわれたショックさがあいまって言葉が詰まる。
それを見て勝ち誇ったように美琴は笑った。

「えへへ、あーくんのまけー」

「・・・・・・いつから勝負してたンだよ・・・・・・」

そんな二人を微笑ましいものを見るような目で周囲が見ているのは気がつかない。
薄暗くなった景色に、イルミネーションがきらきらと輝いていた。



とりあえずまた書いてきます。
・・・・・・小学3年生にしては幼すぎるかな、とか思ったり。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 13:03:20.22 ID:nyqCyOwf0<> 続き。
・・・・・・書いてると凄く恥ずかしいです。



「ただいま、とーまっ!」

「おっ、おかえり、美琴に一方通行」

「あァ、いろいろと買ってきたぞ」

お留守番係を任されていた上条に美琴は帰るなり飛びついた。
そのことに若干嫉妬を覚えつつ、一方通行はケーキやらなんやらを冷蔵庫に入れていく。

「あのねあのね、ゆきがいっぱいふってたんだよ!それからね、いるみねーしょんがきれいだった!けーきはわたしが好きなしょーとけーきで、上のさんたさんととなかいさんがのっててね」

という美琴の弾丸のようなおしゃべりに、上条はふんふんと頷いている。
家主ということもあってか、食べ物をお皿に載せるのは一方通行だ。
と、美琴は上条にしゃべるのをやめ、とてとてと買い物袋のほうへかけよった。
ごそごそと中を探り、取り出したのは一枚のクリスマスカードだった。

「へぇ、クリスマスカードを買ってきたのか」

「うん!ここにほしいプレゼントを書くの!」

え?と上条の顔が固まった。
カレンダーを見る。今日は12月24日。
・・・・・・プレゼントを用意する時間は?
ズッサァアアと風が巻き起こるスピードで一方通行に近づき、上条はかなりの早口で、しかし美琴には気がつかれないようにこそこそとしゃべる。

『お、オイ!どうせあれ吹き込んだのお前だろ!?プレゼントとかどうするんだよ!いつ買うつもりだ?』

そんな上条に一方通行はにやりとにひるな笑みを浮かべて

『心配するな。金で解決してやるぜ』

こえー!金持ちこえー!と戦慄している上条の服を「ねー、とーまどうしたの?」とくいくいとかけよってきた美琴が引っ張る。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 13:04:01.31 ID:nyqCyOwf0<>

「上条、美琴連れて遊んどけェ。チキンとか温めなきゃいけねェしなァ」

「・・・・・・ハッ! あ、ああ。わかった。美琴、行くぞ」

「はーい」

美琴はテーブルにクリスマスカードをのせ、それからペンをとってくる。
と、そこであ、ときがつき

「とーま、のぞくのきんし!」

「はいはい、わかっていますよーっと」

ほっとしたのか美琴はすぐさまクリスマスカードと向き合う。その顔は真剣そのもの、といった風で、上条は少しほほえましく思った。
数分、きゅっきゅというペンの音と、一方通行が晩御飯の支度をする音だけが響き――そして。

「できたー! えへへ、できたできた」

美琴はクリスマスカードを折りたたむと、数日前に「やーるーのー!」と駄々をこねた末に3人で組み立てたクリスマスツリーの下に置く。
そしてまたとてとてとこちらへ戻ってきて、ぱふんと上条の胸に飛び込んだ。

「今日は抱きつきが多いですねー美琴さん」

「うん!今日はくりすますだからー、でんげきさーびすなんだよー」

「・・・・・・お前が言うとシャレにならん」

一瞬ビリビリをされるのか!? と身構えた自分が悲しい。
美琴は上条から離れると、今度は台所へ向かった。

「あーくんあーくん」

「飯はまだだからちょっと待ってろ」

「そうじゃなくてね、ぎゅーとしていい?」

「はァ? いいけどよォ」

一方通行は持っていたお皿を置いて、美琴に向き直った。それから両手を広げる。
いつでもどうぞー、の形なのである。
美琴はそれを見て顔を輝かせて「わーい」といいながら飛びついた。

「あのねー、あーくん」

「なンだよ」

「だいすきー」

ボフォア!! と彼の顔が赤くなったことに美琴は気がつかない。気がついたのは、リビングからニヤニヤと眺めている親友だけだ。
美琴は返事がないことにもしかして自分が伝えたかった言葉が良く伝わっていなかったのだろうか、と間違った解釈をして

「あいしてる」

「・・・・・・うぐ」

「けっこんして」

「・・・・・・あふぅ」

「あなたはわたしだけのもの・・・・・・ってあれ?あーくん?」

美琴としては、普段ドラマや漫画で女の子が“好きな”男の子に言う言葉を言っただけなのだったが、それは、一方通行にとってかなりの破壊力をもつ。
ついでに、現時点で彼女はこれが自分の盛大な黒歴史になることは知らない。
美琴が顔をあげると、そこには顔を真っ赤にして今にも倒れてしまいそうな一方通行がいた。

「??あーくん顔真っ赤だけど・・・・・・おねつ?」

次の瞬間。

ばったーん!と盛大な音をして一方通行は後ろに倒れた。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 13:29:49.02 ID:nyqCyOwf0<>

「あー、やっと寝たなァ」

「子供パネェ・・・・・」

とかいっている上条もまだ子供なのだが。
晩御飯を食べ、一緒にお風呂に入り、さて寝ようか――としたのが夜の9時。
が、それから美琴が「きょうはくりすます!あそぶの!」と駄々をこね、彼女が疲れて眠るまで遊んでいたというわけだ。そんな現在夜の11時である。

「もうこれじゃおもちゃ屋さんとかあいてんのかなぁ・・・・・・」

「あいてなくても俺が何とかするし金でどうにもならなかったら能力で取りに行けばいいだけだ・・・・・・」

ソウデスネーと上条は同意して、

「じゃ、クリスマスカードを見に行こうぜ」

「あァ」

二人はいったん美琴からはなれ、クリスマスツリーのしたへ行く。
そして、パラ、とクリスマスカードを開いた。

一文。

二文。

三文。

美琴が書いた「ほしいもの」を読んで、一方通行がちょっと目を赤くしながら

「う・・・・・・っ、さすが俺の妹、いい子だぜェ・・・・・・」

「お兄ちゃんちゃんと幸せになるからなぁあああ」

上条にいたっては号泣である。
美琴が書いた「ほしいもの」。
それは、

『さんたさんへ

 とーまは、いつも「ふこうだ」っていっているので、たくさんたくさん「しあわせ」をください。
 あーくんは、いつもごかいされてばかりなので、とーまやわたし以外の、あーくんをりかいしてくれる「ともだち」をください。
 
 そしてわたしには、そんなふたりとずーっといっしょにいれる「みらい」をください』

幼い少女が書いたいじらしい「プレゼント」を、結局サンタさんが届けたのかどうか。
それは、サンタのみぞしる、ということで。




終わりです。ちょっとふざけた終わり方になった、かも・・・・・・?
ついでにこの後、しばらく上条を「しあわせ」にしようと一方通行がその右手を切り落とそうとしたとかなんとか。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 19:30:30.84 ID:w2f9NwXYo<> おつ
可愛い <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 19:55:11.73 ID:issAyUqno<> おかしいだろ電磁通行とか
つれづれぐさの方がまだ面白いわ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 20:56:10.76 ID:HM1ounoto<> 無駄だよあーくん
その右手切っても生えてくるから <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/24(土) 22:09:43.95 ID:nyqCyOwf0<> >>33 はあ。まあ、それは人それぞれだと思います。
   このスレがつまらなかったなら、それは私の力量不足です。ごめんなさい。

今回ちょっと短いですね・・・・・・。っていうか過去編に入ります。
ではちょっとだけ投下です。




晩御飯も終わり、上条はしくしくと大量の課題が積み上げられた家に帰ったので、美琴はお風呂に入ることにした。

「んじゃ、入ってくるわ」

「あァ。感電しやすいンだから風呂で漏電するなよ」

分かってるわよ!とかえってきたがどうなのだろう。先週もなぜか漏電して「うわーあーくんごめんなさいーっ」という悲鳴という名の泣き声が聞こえたのだが。
美琴を風呂へ入らせると、ようやく一人の時間がやってくる。寂しいといえば寂しい。
そんなことを考えている自分は、やはりいろいろとどうなのだろう。ロリコンではないことは確かだ。多分。
ソファーにボスンと座り、目を閉じるとつらつらと眠気が襲ってきた。
そういえば最近あんまり寝てなかったな、とぼんやり思い、そのまま夢の世界へ旅立っていった。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 23:18:58.07 ID:issAyUqno<> ごめん
左端と左から二番目を立てに読んで見てください <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 23:28:25.59 ID:zZXtTpue0<> >>36
おまww二行はわかりにくいよwwww <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 23:35:20.10 ID:issAyUqno<> いきなり徒然草とか不自然だから気付いてくれるかな〜と思ってた <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 07:55:13.24 ID:adg1MuZI0<> >>1に乙とメリ−クリスマスを送らせてもおう。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 11:12:39.62 ID:cPaekyeS0<> >>36 うわぁあ気づきませんでしたっ!ごめんなさい。それからありがとうございます!
   普通に徒然草とか読む文系さんなのかとwwww

>>39 ありがとうございます!メリークリスマスです!!


というわけで過去編。
心理描写が下手なのはつっこまないでください。いや本気で。




夢の中で彼は小さくなっていた。
なぜかわかる。ここは、彼が小学4年生のときの夢だ。
大切な、かけがえのない一ページ目の、記憶だと。


愛しい妹、御坂美琴に出会った、夏の日の、記憶。


御坂美琴に出会ったのは、彼が小学4年生の時だった。
放課後の校庭で一人でうずくまっている少女を見つけ、近づいて声をかけてみたのが始まりだ。
自分が近づくと少女はバッと振り向いた。
幼い少女は泣いていた。
だから、気になって尋ねた。

「オマエ、何泣いてンの?」

「ふぇ?」

びくびくとまるで何かされるんじゃないかと怯えまくったその瞳に一瞬カッとなった。コイツも――コイツも自分が『レベル5』だから、『化け物』だから怯えているのかと、そう思ったからだ。
それが寂しさの裏返しだと、そのときの彼は気がついていなかったが。
しかし、どちらかといえばこの少女は『一方通行』ではなく『他人』を怖がっているような気がする。
その証拠に、少女は

「だ、だれ……? あなたも、わたしをいじめにきたの……?」

「……はァ?」

あなた『も』、というところが気になったが、彼は首を横に降って

「いいや。誰かうずくまってるから、どォしたのかって気になっただけだ」

「……ふぁああ、よかったあ……」

ほっとしたように少女は笑った。
その笑顔に自分の顔が赤くなるのが分かる。
――可愛い。
素直にそう思った。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 11:13:26.24 ID:cPaekyeS0<>
少女は立ち上がって、それから自己紹介をした。

「わたし、みさかみことっていうの。あなたは?」

「……一方通行」

「あくせられぇた?」

変な名前だね、と少女は無邪気に指摘した。
一方通行はムッとなって

「本名じゃねェ」

「ふぇ?そうなの」

「能力名だ」

「のーりょく……なら、おなまえは?」

「……さァな。忘れちまった」

そうなの、と美琴と名乗る少女はそれ以上深追いしなかった。彼に気をつかったとかではなく、単に興味がなかったのだろう。一方通行は少し安堵した。
あまり、自分の本名について触れてほしくはない。それと同時に、過去の記憶がよみがえるから。

「……で、オマエはなンで泣いてたんだ?」

「ふぇ? 」

一方通行の問い美琴はしばし視線をさ迷わせて、

「……うう、その・・・・・・みんなが、いじめるから」

「……、」

泣きそうな顔になって美琴は言った。
自分がレベル2だということ、そのせいでいつも一人なこと、いじめまがいをうけていること。
一方通行は黙ってそれを聞いていた。
なまじ自分も同じような体験をしていたからか、想像がつきやすかった。
醜い嫉妬、それによる迫害。自分は何も悪いことをしていないのに。力がある。皆とは、そこしか違わないのに、それだけで。
少女が受けている迫害は、もしもっと少女がもっと力をつけたとき、それは恐れや拒絶にかわる。そのことを、彼は知っている。

――自分が、そうだったから。

そのとき、温かいものが自分の体を包んだ。優しく、まるで、母親のように。

「だいじょぶ?」

それをしたのは、幼い少女。
少女は見た。彼が、凄く悲しそうな、寂しそうな――泣きそうな、目をしていることに。
だから抱きしめた。
幼いながらにも、母性をくすぐられたからかもしれない。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 11:15:53.65 ID:cPaekyeS0<>

彼は抱き締められたまま数秒固まり、それから先程とは比べ物にならないくらい顔を火照らせて

「おおおオマエなにしてやがる……っ!」

振り払おうともがこうとされて、さらに美琴は強く抱き締めた。

「だって……!」

少女は悲鳴のような声をあげる。

「だって、あくせられぇた、なきそうなかおしてるんだもん……!」

その言葉が、やけに心に突き刺さって。
衝撃波のように、体を貫いた。
少女の体を押し退けようと振り上げられた右手がだらんとおろされる。
ありえない、とでもいうように目を大きく開けた一方通行は、美琴にとってただの弱い少年にしかみえなかった。
異端でも化け物でもなく、普通の、人間。
だから言う。だから叫ぶ。
この少年が、立ち直れるように。
この少年が、救われるように。

「俺、が……泣きそう?」

「そうだよ!すごく、すごくかなしそう!」

「……悲しい……」

少女の無垢な叫びを、震える声で彼は繰り返した。

「ままがね、かなしそうなひとはだきしめてあげなさいっていってたの。だからだきしめるの。それからね

 ――ないていいんだよ、って、いってあげたらいいんだって」

「・・・・・・ッ」

ないていいんだよ。

少女は、今、そう言ったのか?
自分みたいな化け物が。
普通の、人間みたいに。
寂しいときに、
悲しいときに。

――泣いても。

限界だった。
一方通行の瞳から、ぽろぽろと涙が零れ落ちる。
美琴はさらにぎゅう、と抱きしめた。

「い、いいのかよォ・・・・・・、俺、俺・・・・・・っ」

「いいの!あくせられぇた、だいじょうぶ。ないていいの。いっぱい」

「う、ぐ・・・・・・っ、なンで、なンで・・・・・・っ、皆俺から離れていくんだよォ・・・・・・。
 
 近づいただけで、なのに、なンで・・・・・・っ!

 別に、何もしてないのに・・・・・・っ。

 俺は、ただ、また――」


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 11:16:36.35 ID:cPaekyeS0<>





仲間に、入れてほしかった。





<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 11:17:13.13 ID:cPaekyeS0<>

少年の本音を、少女は聞いた。

ぽんぽんと頭を撫でる。
子供心に思う。この人は、なんて弱いんだろう、と。
守らなきゃ。
少女は思った。
それは、自分が寂しいときに声をかけてくれたお礼のようなものだったのかもしれない。
それは、ただ自分をいじめなかったから、という軽い動機だったのかもしれない。
それでも、少女は思ったのだ。





わたしが、あくせられぇたを守ろう、と。




<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 11:54:30.96 ID:cPaekyeS0<>

「おっさきー、ってあれ? 一方通行?」

美琴がお風呂からあがると、一方通行はソファで寝ていた。
ついでにいっておくと、現在の美琴の姿は男物――一方通行のTシャツ一枚である。昔まちがって上条のTシャツをきてしまったときに彼が一方通行に半殺しにされたのを彼女が知らないのはおいておくとして、美琴がここで自分のパジャマを着ないのは、恥ずかしいからだ。
さすがに幼馴染とはいえ、あのパジャマはみられたくない。蛙マークがいっぱいだとか水玉模様とか、そういうのを着て白い目を向けられるのはルームメイトだけで十分なのである。

「まったくもう。こんなところで寝てたら風邪ひいちゃうぞー」

毛布はどこだっけ、とソファの周りを探す。よくソファで眠る彼のために、前にソファの近くに置いておいた毛布はどこにやったんだっけ。
と、そこで彼女は一方通行の寝顔をみて、ふっと笑った。

「寝顔だけは素直なんだから。いっつもそんな顔してれば誰も怖がらないんだよ? ・・・・・・おにぃちゃん」

昔は私以外は誰もいなかったはずなのにね、と彼女は寂しげに笑う。
美琴は小学3年生のとき、新しい”家族”ができたことを思い出す。
上条当麻。
一方通行のたった一人の親友であり、美琴にとって大好きな兄。
それでも、少し嫉妬してしまう。
自分だけのものだったはずなのに。
寂しいのかなぁ、と思い、苦笑した。
いつまでも、この人に甘え続けるわけにはいかないのに。

「・・・・・・っと、毛布発見!」

白色の毛布を取り出して、一方通行のお腹にかけた。
そして、床に膝をついて、美琴は一方通行の膝に頭をのせた。いわゆる膝枕形式である。

「・・・・・・おにぃちゃんさぁ、ぜったいきづいてないよねー」

誰も聞いてないからか、美琴は少し幼くなったような口調で一方通行にはなしかける。

「・・・・・・かぞくとか、そういうのじゃなくて、さ・・・・・・こっ・・・・・・こいびととして、おにぃちゃんが、だいすきなのに」

上条にもむけない、一方通行だけへの、特別な感情。
それを、この鈍感男はどうせ気づいていないのだろう。
中学1年生のとき、意を決して「だ、っだだだだ大好き!」と告白するも、「あァ、俺も大好きだ。家族としてなァ」とあっさりかわされ。
なんというか、不憫である。

「あーあ、いつになったきがついてくれるのよぉ、おにぃちゃん・・・・・・」

ふぁあ、とあくびをでた。
まだ夜の9時なのに。昔は、いい子は九時に寝るんですゥ!とかいってたなぁ、と美琴は懐かしく思った。
過保護なところは、この男はいつまでたっても変わらない。
妹扱いなところも。

「・・・・・・だいすき」

そこで、美琴の意識は落ちた。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 13:23:44.02 ID:adg1MuZI0<> >>1に乙、そして、クリスマス アップロ−ドに感謝。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 14:36:03.85 ID:GuelKdZT0<> 乙、今後も期待 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 17:56:31.52 ID:U+THz5oB0<> >>1のおかげでこの辛い1日を乗り越えられるわ
乙 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 19:29:01.80 ID:KmYKWfCg0<> 乙 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 19:59:51.15 ID:cPaekyeS0<> またこりずに小ネタを書いてきたわけなんですが、美琴って麦野のことなんて呼ぶと思いますか?
麦野?しずり?むぎのん?

あと皆さんメリークリスマスです。いまさらですが。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 20:09:44.46 ID:F1aA8JADO<> >>50

幼少期に会ってないて話しなら麦野さんじゃないかなー <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 20:09:47.83 ID:JkeTLbk90<> >>1の使った名前をそのまま載せればいいと思う 書いたんでしょ? <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 20:14:13.67 ID:cPaekyeS0<> >>51 出会ったのは小6くらいですね。
>>52 むぎのんに一応して書いてました。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 20:36:26.00 ID:cPaekyeS0<> では、短いですけど投稿です。あと台本形式です。すみません。


美琴が上条と一方通行を「とーま」「あーくん」から「当麻」「一方通行」になった理由


一方「美琴の常盤台合格を記念してェ」

美琴・一方・上条「かんぱーい」

※みんなは未成年なのできちんとオレンジジュースです

一方「いやァ……さすが俺の妹……常盤台なンて屁でもねェってか!くかかかかかか」

上条「なんたって一位で合格だもんな。上条さんは鼻が高いですよっと」

美琴「あはは、とーまもあーくんもありがとう!」

一方「ま、俺は合格するって最初っから分かってたけどな」

上条「よく言うよ。昨日は昨日で全然眠れなくって俺に何回も電話してきたし、今日の合格発表も美琴よりも緊張してたじゃねぇか」

一方「バッ……! テメェ上条!」

美琴「あーくん……」キラキラ

一方「うぐ……」

美琴「あーくん、大好き!」にへら

一方「……チッ」

上条「ハイハイ仲のよろしいことで。じゃ、さっそく食べますか」
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 20:38:42.50 ID:cPaekyeS0<>

美琴「うん! ……あ、あのね二人とも」

上条「ん?」一方「なンだ?」

美琴「私……4月から中学生でしょ?だからね、あーくんととーまっていいかたやめようと思うの」

一方・上条「「   」」

美琴「これからは、一方通行と上条って呼びます」

一方・上条「「   」」

美琴「よろしくね、一方通行、上条」

一方(ヤベェ……泣きそうなンだが……俺……)

上条(俺にいたっては名字だぞ!? うわー!不幸だー!)

一方「な……なァ、美琴」

美琴「ん?何かなあーく……じゃなくて一方通行」

一方(言い直さなくてもいいのにィ!)「なンでそンな急に……?」

美琴「だって……むぎのんが、子供っぽいからやめなさいって」

一方・上条(よしアイツ[ピーーー])

美琴(それに……いつまでも妹扱いになるよって……)チラ

一方「別に子供っぽくなンてねェしィ、今まで通りで、なっ?」

上条「そうだぞ美琴! な、なんていうかよそよそしいしさ」

美琴「……確かに上条はちょっとよそよそしいね。なら、とーまじゃなくて当麻にするね」

上条 ホッ(ひらがなじゃなくて漢字表記になったのか……まあ、名字よりは全然いいな!)

一方(上条ずりィ!)「美琴、お……俺も……ほら、そうだ!昔みたいにおにぃちゃんでも……」

美琴「ヤだ!」

美琴「絶対いや!」ナミダメ

一方(涙目で完全拒否――っ!?)

美琴(だって……もっと妹扱いのまんまになっちゃうよう……)

上条(一方通行カワイソス……)

美琴「じゃあ食べよう!一方通行、当麻」

上条「あ……あぁ」

一方「 」タマシイヌケテル




それから一週間は一方通行は落ち込んでたとかなんとか。



・・・・・・理由なのかはさておき。
短かすぎるwwwwなぜだwwww結構書いたと思ったのにな・・・・・・。
ついでにこれは美琴は小6、上条と一方通行が中2のときのお話でした!
本編かかないとな・・・・・・。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 20:46:32.17 ID:F1aA8JADO<> 乙

こういう小ネタも大好物なんだぜ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 21:04:16.03 ID:2WjS5faIO<> メール欄にはsagaを入れないと

死/ね→[ピーーー]
殺/す→[ピーーー]
デ/ブ→[ピザ]
ドラ/えもん→[たぬき]

になっちゃうぜ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/25(日) 21:07:18.40 ID:cPaekyeS0<> >>56 私も大好きですwwww なんかいっぱい浮かんできちゃうwwww

>>57 今回はギャグっぽかったのでかえってそっちのほうがいいかな、と。
   でもありがとうございます! <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 21:40:33.90 ID:adg1MuZI0<> >>58乙、そして>>1に良い年の瀬を <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 21:42:21.72 ID:NKde4/l1o<> >ついでにいっておくと、現在の美琴の姿は男物――一方通行のTシャツ一枚である。
美琴あの服着てんのかwwwwwwwwww <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/25(日) 22:14:49.42 ID:L8r2uNoAO<> しましまお揃い電磁通行とかたまらんわ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 07:55:18.21 ID:dro5mYnn0<> 今回はちょっとしたすれ違いを書いておきました。
しかし間違ってお酒をのんだ美琴が一方通行を絡んだりとか上条と一方通行が喧嘩して美琴がアタフタするっていう小ネタが浮かんできたりしてうわー!ってなりましたけど本編ですね。はい。
書きながら半泣きでした。2つの意味で。




一方通行が目をさますと、美琴がひざの上で寝ていた。

「・・・・・・あァン?」

そういえばあのまま寝てしまったのか、と思い出す。
なぜか自分のお腹の上に毛布がかけられている。美琴がかけてくれたのだろうか。
美琴はすやすやと心地よさそうに寝息をたてていて、起こすのは忍びない。だからといってこんなところで寝ていては風邪をひいてしまう。
一方通行はしばし迷ってから、お姫様だっこをしてベッドに運ぶことにした。今日はお姫様だっこをよくするな、と微かに苦笑した。
彼女が目を覚まさぬように頭を右手で支えながら体をずらし、左手で足のほうをもった。それからふんぬ、と持ち上げる。

「……重てェ」

本人に言ったらビリビリ混じりの平手打ちを受けそうなことをぼやきつつベッドのある部屋へ歩きだす。
と、もぞもぞと美琴が動いた。

「あー……くん?」

ぽつりと呟かれた言葉。寝ぼけているのか目が虚ろだ。
起こしてしまった自分の失態に怒りつつ、彼は返事をする。

「なンだ?」

「あーくん……だいすきだよ」

ズキ、と胸が痛んだ。
だいすき。
この言葉は、この少女から最も言われたくて、最も言われたくない言葉。
だって、この少女の“だいすき”は家族としての好意で。

「あァ……俺も、大好きだ」

自分の“大好き”は――恋愛感情としての好意だから。
どこまでも残酷に噛み合わない好意。
大好きと言われるたびに胸がかきむしりたくなるほど苦しくて切なくて、どうしようもなくなる。
違うんだ、違うんだよ、と。
自分が欲しいのはそんな大好きじゃない。そうじゃないのだ。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 07:55:45.88 ID:dro5mYnn0<>



どこまでも醜い願望に自己嫌悪して。



どこまでも届かない想いにガリガリと心が削られていく錯覚がして。



この少女が欲しい。


自分だけのものになればいい。


そんなぐちゃぐちゃな思考に頭をかき乱されて。


どうして、どうしてこの少女なのだろう。
なんで、御坂美琴なのだろう。
『妹』じゃなければ、もっと、きっと。


――何かが、変わっていたかもしれないのに。



<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 07:56:12.18 ID:dro5mYnn0<>


「……なンて、馬鹿げた妄想だよな……。馬鹿みてェにくだらねェことかき綴ってる厨二病かっての」

自嘲気味に笑う彼をみて、美琴は悲しそうな顔をした。

「あーくん……また、泣きそうなかお……してる」

「……は、ァ……? 俺は、泣いてなンか……」

「ないてるよ! どぉして……どぉしていつもごまかすの、いつわるの、かくすのよ……っ! ないたって、悪いことなんかない! なのに、なんで……」

「お、落ち着け美琴! 俺は……俺は、た……だ」

言葉の続きは言えなくて。
彼は口をつぐんだ。
数秒して、またすーすーと寝息が聞こえる。また眠りに落ちたらしい。
今度起きたとき、今のやりとりは夢だと思うのだろうか。それとも、綺麗さっぱり忘れてしまうのだろうか。
美琴をベッドへ横たわらせながら思う。

「……あーくん……だいすきだよぅ……」

その言葉は、やっぱり心に突き刺さった。
血を流すこともなく、ただ、静かに。



<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 19:50:38.57 ID:dro5mYnn0<> 上条と一方通行で喧嘩の小ネタの話を書いてて途中まで書けたのはいいけど肝心の喧嘩の内容がいっこうに思い浮かばないです。
なにを言ったら喧嘩になるんだろう、あの二人・・・・・・。
というわけで本編を投稿。むぎのん初登場。




その週の日曜日。
美琴は一人でとある喫茶店で抹茶ミルクを飲んでいた。
ただ飲み物を飲みに来たわけではなく、待ち合わせをしているのだ。

「おーい、美琴ー」

「あ、むぎのん! 遅いよもう」

「ごめんごめん。朝おきたら髪の毛がサイ●人になってたもんで」

「なにそれ・・・・・・」

待ち合わせをしていたのは麦野沈利。年齢は一方通行や上条よりも少し上なだけだろうが、見た目は――

「なんだろう今凄くメルトダウナーぶっぱなしたくなってきた」

「へ?」

突然の麦野の発言にきょとんと美琴は首を傾げた。
麦野はミルクティーを頼むと、「で?」と話を切り出す。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 19:51:23.60 ID:dro5mYnn0<>
「相談したいことってなんなのよ。どうせ一方通行がらみでしょうけど」

「ブッ」

抹茶ミルクを噴出すのを懸命にこらえて、美琴は慌てて言う。

「だ、誰かに聞こえたらどうすんのよ!ってか、私一度もあーく・・・・・・一方通行のこと好きだなんてむぎのんに言ってないし!」

「・・・・・・いや、あんた結構バレバレだから。一方通行は気がついてないでしょうけどもう一人の鈍感男、上条なら気がついてると思うわよ?」

「う、うぅー、むぎのんのばかぁ」

顔を伏せたまま麦野を見上げるのでそれは必然的に上目遣いになる。ちょっぴり顔も赤いし。
それを美琴のような顔のいい子がすると、

(うわー!たまんねー!マジ一方通行殺してェ。なんなんだよ、こんなかわいい子に思われてて不満ってかぁ!?)

となるわけである。
反応がないのを不思議に思ったのか、美琴は麦野を呼びかける。

「むぎのん?むぎのーん?」

「あっ、ああ。で、相談の内容は」

「・・・・・・その、一方通行に、きちんと思いを伝えるにはどうすればいい、かな・・・・・・?」

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 19:51:56.71 ID:dro5mYnn0<>
美琴曰く。
いくら大好きといっても家族としての好意としか受け止めてもらえない。
なので、どうすればこの好意が恋愛感情であるということを分かってもらえるのか、教えてほしい、ということらしい。

「なんていうか、あんたら仲いいわねー・・・・・・」

「??」

麦野の言葉に首を傾げる美琴。
麦野はため息をついて、

「まあいいわ。そうね、確か中1のとき告白したわよね」

「・・・・・・どこでその情報を・・・・・・」

「秘密よ秘密。大人の秘密」

「・・・・・・むぎのん嘘くさいよそれ・・・・・・。まあ、したんだけど」

「で、そのときも駄目だったんでしょ」

こくり、と頷く美琴に麦野はさらりと言った。

「じゃあ無理なんじゃない?」

「んなー!?」

ガタン、と思わず立ち上がった。
麦野はそんなヒートアップしないの、と呆れ顔で注意した。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 19:52:23.37 ID:dro5mYnn0<>
「ま、それは冗談として・・・・・・、なかなかアイツも鈍感ねー」

「・・・・・・うん。あーくん、馬鹿だもの」

「あんた結構酷いわね・・・・・・一応あれでも学園都市最高の頭脳もってるんだけど・・・・・・。それと昔の呼び方になってる」

「あっ・・・・・・だってむぎのんだとつい・・・・・・」

「私は気にしないけどね。いいんじゃない?その呼び方のほうが私もしっくりするし」

「う、うん・・・・・・、むぎのん、ありがと」

「礼を言われるようなことしてないっつの。それより、思いを伝える・・・・・・ねぇ」

麦野の勘では、一方通行も美琴を恋愛感情として好きだと確信している。
美琴を見るときのまなざし、声、態度。
それに。
美琴が「大好き」だというたびに、温かくて、優しそうで、切なそうで、苦しそうな――そんな、顔をするから。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 19:52:54.82 ID:dro5mYnn0<>
(だーっ!!青春してるわねぇ・・・・・・)

みせつけてくれちゃって、と舌打ちする。
微笑ましいことは微笑ましいのだが。

「・・・・・・私、やっぱり、恋愛感情として好かれてないんだろうなぁ・・・・・・」

「はぁ?」

突然のことに麦野はぽかんと口を開ける。
美琴は震える声で続きを口に出す。

「べ、別に嫌われてるなんていわないよ!それはない、何年一緒にいたと思ってるの。それは、それは違う!・・・・・・でも。


 ――私は、『妹』、だから。



 恋人には、なれない、ん・・・・・・だよ・・・・・・!」



<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 19:53:53.58 ID:dro5mYnn0<>


最後は涙声だった。
麦野は黙って、それからぺしり、と頭を叩いた。

「痛っ・・・・・・」

「馬鹿ねあんた。そりゃそうでしょうが。まだ、何も伝えてない。恋愛としての好きって言ってない。なら、そりゃあ向こうだってそういう好きなわけないじゃない。そんなね、自分も好きだから向こうも好きなんて、そんなの少女漫画くらいなのよ。伝えてからが本番。履き違えるんじゃないわよ」

まあ、実際は向こうもあんたが好きなんだけど、とは言わない。心の中に収めておく。
そういうのは、本人達の問題だから。

「あう、ごめん・・・・・・むぎのん」

「いいのよ。別に。乗りかかった船だしね」

「ありがとう、むぎのん! あのねむぎのん。あーくんもとーまも好きだけどね、


 むぎのんも、大っっっっっっ好きだよ!」


美琴は、とびっきりの笑顔で麦野に笑いかけた。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 19:54:38.31 ID:dro5mYnn0<>
「――ッッッ!」

一気に顔が赤くなっていくのがわかる。多分今の自分の顔はゆでダコのように火照っているのだろう。
これだから。
これだから、この少女は侮れない。

(あー、可愛すぎるわよ馬鹿……)

アイツらはいつもこんなのを耐えてるのか、と思うと一方通行と上条に同情したくなってくる。

「むぎのん、私ね……もっと頑張る。あーくんに想いを伝えられるまで、頑張るよ」

少女のひたむきな想いを率直に表した言葉に、麦野は苦笑した。
ばかね、と笑う。

「そういう時は振り向いてもらえるまでって言うのよ」

ぱあっと美琴の顔が輝いた。

「うんっ!」

やっぱりこの少女は――
――侮れないな、と目の前の笑顔を見て、麦野は思った。




<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 22:32:22.29 ID:d1pnYKtx0<> 今日は終わり?

お疲れシャース <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/26(月) 22:50:19.86 ID:HfF7Ki640<> 乙

むぎのんかわいすぎる <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 23:18:27.91 ID:fe73f/38o<> 乙

仲良し物は大好きなんだが、美琴がぶりっこすぎないか?
なんか小学5年生くらいに見える <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 00:22:06.05 ID:fMQH38Vb0<> 美琴がひらがなを使い始めたら、幼児モードに切り替わったんだと脳内補完して読んでる
実際にはALLひらがなで思考するなんて幼稚園までだと思うけど、>>1の好みで書いてくれたらいい 
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 00:23:57.25 ID:kWF5fPFIo<> >>1
愛してるぞ/// <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 00:30:14.81 ID:9S3rvaHAO<> 可愛いからええんよ乙 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 00:43:39.11 ID:oHGQAP5/0<> >>74 ちょっと加減が分からないんですよね・・・・・・。
   むぎのんの場合は頼れるお姉さんってことなので『妹』を存分に発揮してるんだと思います。

>>75 あれ!?私本編もひらがなALLでしたっけ?漢字も使ってたような・・・・・・。寝ぼけたときと番外編は幼児化してますが。寝ぼけているときはともかく番外編はまだ小さいですしいいかなーとか。
<> 75<>sage<>2011/12/27(火) 01:27:35.94 ID:fMQH38Vb0<> >ALLひらがな
過去編と寝惚けてる時のことです
いいんですよ、思うままに書いてください <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 05:40:31.80 ID:E9IIDMbA0<> >>1乙

年の瀬らしく、あったかい話である。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 12:28:11.94 ID:oHGQAP5/0<> ちょっとエロい他の方の上琴ssを読んでたら無償にエロいのが書きたくなってくるという・・・・・・。どうしよう。
今日の分投下です。




上条から電話が来たのは麦野と別れた数十分後のことだった。
美琴はすっとんきょうな声をあげる。その裏に、心配を滲ませて。

「はあ?おにぃちゃんが風邪ひいた!?」

『ああ、今日遊びにいく予定だったんだけど、ドタキャンの電話きてなんでだって聞いたら風邪だって。あとお前ナチュラルにおにぃちゃんになってるぞ』

「うっうるさいわね!むぎのんとさっきまで会ってたから……、つい」

『むぎのん……麦野さんか……。あの人怖いんだよな……』

「それはいつもアンタが余計なこといってるからでしょうが。とっとにかく、一方通行が風邪って何よ?アイツ病原菌とか全部反射してるんじゃないの?」

『さあ……、とにかく風邪だとさ。美琴今暇か?」

「うん、暇よ」

『なら、俺冷えピタとか買っていくからお前おかゆとか作ってやってくれねぇ?』

「言われなくても。ありがと、じゃあね」

ピッと電話を切る。
確かまだ彼の家には米や梅干しが残っていたはず。
美琴は色々計算しながら一方通行の家へ急いだ。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 12:28:45.99 ID:oHGQAP5/0<>
「39度か……結構高いわね……」

美琴は一方通行の脇から取り出した体温計を見て顔をしかめる。
一方通行は少し困ったような顔をして、

「すまねェな……ゴホッ、……ぐっ」

「こーら、何謝ってんのよ。病気になったって悪いことなんかないのに。アンタって昔っからそうよね。いっつも自分が悪いと思い込んで。馬鹿みたい」

「馬鹿って……なン、だよ……」

いつもより覇気のない声に内心心配しつつ顔には出さない。病人の前では気丈に。それが看病の大前提だと美琴は心得ている。

「にしてもなんで風邪なんか……」

美琴の視線につい、と彼は目をそらした。
これは何かあったな、と美琴は確信した。嘘が下手すぎるのだ、この男は。

「なにやらかしたの?」

「そのォ、さァ……オマエらいっつも俺のこともやしとかセロリとか言うじゃねェか……」

「……」

思い当たる節があるのか反論しない美琴だった。

「だから……見返してやろォと筋トレして……汗かいて……そのまま床で寝ちまったら……その、この様だ……」

「・・・・・・プッ」

美琴は噴出した。

「あっあははははははっ!!なにそれっ!なにそれぇ!!心配した私が馬鹿みたい!あははははっ!」

「わ、笑うなっ!そもそもオマエらが俺をセロリとかもやし呼ばわりするからそォなるンだろォが!」

「だ、だからって・・・・・・っ!ひー、おかしーっ!」

「ふ、ふン」

どうやらご機嫌を損ねたらしい一方通行はむくれて顔を背けた。
美琴は子供ねぇ、と呆れて嘆息する。
ま、そういうとこが好きなんだけど、とはいわない。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 12:29:26.91 ID:oHGQAP5/0<>
「こら、こっち向きなさいよ」

「・・・・・・」

「まったくもう、そんな子にはお粥がなしねー。せっかくアンタが好きな梅干入りなのに」

「・・・・・・、」

「あーあ、もう帰っちゃおっかなー。熱出してるときに一人ってきっついのよねー。どーしよっかなぁー」

「・・・・・・・・・・・・、」

美琴のわざとらしい言い方にちろ、とようやく一方通行が少しだけ振り向いた。
そして、小声で、ぼそりと。



『行くな』



きちんとそれを聞き取った美琴は優し気に笑い、一方通行の頭を撫でた。
嫌がるように眉をひそめたが彼女はやめない。

「行かないわよ。ずっとそばにいるから」

一方通行は布団から左手を出してきた。
それを見つけて、美琴は握り締めてあげる。

「・・・・・・うン」

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 12:30:03.08 ID:oHGQAP5/0<>
どこまでも寂しがり屋で、
でこまでも素直じゃない一方通行が、

――こうやって甘えてくれるのは、こういうときだけ。

たとえば彼女になったら。
誰よりも、今よりももっと深い関係になれたなら。
いつもこんな風に、甘えてくれるのかもしれない。
隠すことなく、全部、さらけ出してくれるのかもしれない。

そう思って、恋人になりたいと思ったのが始まりで。
一度そう思ってしまうと、やめられなくて。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 12:30:42.88 ID:oHGQAP5/0<>

自分が心配をかけたときにする怒った顔も、



時々だけれど、温かく笑った顔も、



誰にも話さないで一人で泣きそうになっている顔も、



何故だか苦しそうに、切なそうにしている顔も、



全て、自分の中の何かをかき混ぜていって。



いてもたってもいられなくて。



――『大好き』――



何度も伝えた言葉は伝わらなくて。


それでも何度も伝えたくって。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 12:31:39.92 ID:oHGQAP5/0<>

大好きだよ。


あなたが一番大好き。


だから全てさらけ出してほしいの。


隠さないでほしいの。


辛いこと、苦しいこと、嫌なこと、泣きたいこと。


それから、嬉しいこと。


泣いたっていい。


笑ったっていい。


感情を表していい。もっと、もっと。


昔から、そうだった。


感情に身をまかしてしまったら、誰かを殺してしまうかもしれない。


そんな思いに囚われて。


「・・・・・・優しすぎるのよ、馬鹿・・・・・・」


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 12:32:11.04 ID:oHGQAP5/0<>

絶大な力を持つには、不釣合いなくらいに。


残酷なほど、優しすぎる。


寝てしまった彼の頬を握っていないほうの手でさする。
愛しい、愛しくてたまらない。


「ねえ、大好きだよ・・・・・・」


震える声で、何回目になるかもわからない言葉を、美琴は言う。



「だから、気づいてよ、あくせら、れぇ・・・・・・たっ・・・・・・!」



その言葉を、壁一枚向こうで、誰かが聞いているのを知らずに。
必死で。



<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/27(火) 13:33:26.08 ID:oHGQAP5/0<>

美琴と一方通行がじゃれあうすこし前。
上条は冷えピタや果物など病人に必要そうなものを一通り買うと、一方通行の家へと向かっていた。

「先に美琴行ってるかなー、行ってるよな・・・・・・アイツのことだし」

かなりの心配性な幼馴染のことを思い出して、くく、と笑う。
それと同時に、苦い思いも生まれるのだが。

(・・・・・・? なんでだ?)

美琴の心配性は今に始まったことではない。
昔っからそうだったし、これからもそうだろう。
なのになぜ、苦い思いが生まれるのだ?

(・・・・・・わっかんねぇな)

思考を放棄して一方通行の家まで足を急ぐ。
そういえば、少し前からこういう気持ちを抱くようになったような気がする。
苦しいような、なんだか、どうにもやりきれない気持ちを。
いつからだったっけ。

(たしか、美琴が中学に入った・・・・・・もう少し、後くらいから、だっけな・・・・・・?)

首を傾げながら階段をのぼる。
じゃあ、どういうときにこんな気持ちになるんだっけ。

(・・・・・・よくわかんねぇけど、美琴と一方通行が仲いいときとか・・・・・・?って、あれ・・・・・・?)

ピタリ、と思考と足が玄関の前で止まる。
もしかして、
もしかして、自分は――。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/27(火) 13:34:40.75 ID:oHGQAP5/0<>
「・・・・・・なーに変なこと考えてんだ」

はは、と乾いた笑いを浮かべて上条は一方通行が寝ているかもしれないと考えてそろ、と音をできるだけ立てずに玄関を開ける。
と、一方通行の部屋の扉の向こうから、声が聞こえた。

「・・・・・・優しすぎるのよ、馬鹿・・・・・・」

美琴はやはり先に来ていたのか。
上条は早く一方通行に会おうと、一方通行の部屋の扉に手をかけて、




「ねえ、大好きだよ・・・・・・」



止まった。


(――――ッッッ!!!!!)


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/27(火) 13:35:10.21 ID:oHGQAP5/0<>

気がついていないわけではなかった。
美琴にとって一方通行が特別な存在であると、わかっていないわけではなかった。
だけど、
だけど、それでも、

どこか、自分は甘かったのだと思い知らされた。

自分が聞いたこともないような声で。
泣きそうな、切なそうな、愛しそうな、そんな声で。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/27(火) 13:35:40.21 ID:oHGQAP5/0<>




「だから、気づいてよ、あくせら、れぇ・・・・・・たっ・・・・・・!」





<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/27(火) 13:36:19.22 ID:oHGQAP5/0<>


少女の叫びを、上条だけが聞いていた。
だったら、と歯を食いしばる。


だったら、俺の気持ちも、気づいてくれよ。


そこまで思って、ようやく分かった。
そうだ、そうだった。


自分は、御坂美琴が好きだった。


だから嫌だった。
一方通行に優しくする彼女を、
一方通行を心配する彼女を、
見るたびに、苦い思いを抱いたのは、そのせいだった。


(はは、馬鹿みたいだな、俺って・・・・・・)


少女の呻き声を聞きながら、上条も静かに心の中で泣く。
絶対に、誰にも悟られることがないように、ひっそりと。


(・・・・・・俺の初恋、終わっちまったなぁ・・・・・・)




<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 15:39:33.28 ID:hwm7nUeJ0<> てっきり上条は美琴のこと妹として好きなんだと思ってた <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 16:00:00.98 ID:RuR6xOLSO<> 上条さんが失恋するSSって意外と少ないよな

たいていのSSでは他カップルの話でも誰かと付き合ってるし <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 16:11:38.79 ID:ugarAvFDO<> この上条さんは保護したい <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 16:22:16.97 ID:Z0GoiHsIO<> 上琴で一方通行が片想いのなら見かけるけど逆パターンは珍しい。
一気に物語が加速しそうな気配がしますね、乙です。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/27(火) 17:47:30.23 ID:oHGQAP5/0<> 少ないですけど投下。
誰も一方通行に悶えてないのに泣いた。いやいいんですけど。でも甘えた一方通行は可愛いと思います。はい。
>>96 加速・・・・・・するんですかね?





十分後。
美琴が一方通行の頭を撫でていると、がちゃり、とドアが開いた。

「美琴ー、かって来たぞー」

「あ、当麻。ありがと、私お粥作ってるから冷えぴたとか張っておいてね。あとそれから、結構汗かいてるから拭いてほしいのと、それから――」

「ストーップ!なんだか美琴さんいろいろと母性全開になっていますことよー!?」

そんないつもどおりのやりとりに上条が安堵していることを美琴はしらない。
美琴はててて、と部屋からでるとキッチンへ向かう。

「さてと」

気合をいれて、美琴は宣言する。

「世界で一番美味しいお粥を作ってやるんだから!」



<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 19:52:48.44 ID:E9IIDMbA0<> >>1乙、そして、なんとも可愛い美琴なのである。

この美琴なら、男達がほれるのも納得できる。

一方さん、嫉妬の炎で焦げてしまうのでは。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 20:23:09.89 ID:suG6D3yIO<> 上条…五和がまってるよ… <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) <>sage<>2011/12/27(火) 21:48:59.25 ID:z7jWREdm0<> 小さい頃の一方通行と上条、どちらも抱えてる負が美琴の母性を刺激したと思うけど、やっぱり先に出逢った方が勝者になるんだろーね
上条さんは失恋かみしめつつふたりを見守ってたらいいと思う <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 21:54:29.63 ID:yLMKmI6o0<> 上条さんは年上好みだけど年下にモテて、一方さんは年下好みだけど年上にモテそうだよね。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/27(火) 22:30:42.97 ID:ugarAvFDO<> 一方さんと上条さんどっちが好きかと聞かれたら上条さんだけど上条さんと一方さんどっちかと付き合うなら?って言われたら一方さんなんだよな

というか禁書に出てくる男でまともに付き合えそうなのって…あれ?いない… <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/28(水) 11:58:30.63 ID:ADkK0QuM0<> >>99 しかし残念。インデックスさんが出てこないので必然的に五和ルートもないのです。
   あるとしたらむぎのんだけど望みは薄ですね。

>>102 吹いた。


おお!ようやく100超えちゃったよいいのかな? とか考えつつ投下!
やっぱ少ない!っていうかスランプに陥りそうな今日この頃。




「おォ、うめェ」

「あったりまえでしょ!私が作ったんだもの」

美味しいと言われ頬がゆるみっぱなしでもそれを素直に言葉に出せない自分の口が憎い。
数時間後、一方通行が起きたのを見計らって美琴はお粥を温めなおし、一方通行にあーんをしていた。
それが恥ずかしいことだと素で二人は気がついていないのだが。見せ付けられるこっちの身にもなってほしい、と上条はぼやく。

「熱は何度だったの?」

「俺か!?」と急に話題を振られたことにびびりつつ、「38.5度。ちょっと下がってたな」ときちんと答える上条。
美琴はうーん、と唸り

「冷えピタのおかげかしら」

「お前結構冷えピタ好きだよな・・・・・・」

何気にさっきから冷えピタを強調する彼女に呆れ顔を向けつつ。
ほう、とため息をつく。
自分の初恋が終わったなら。
親友の初恋を応援しよう。
それが、数時間の間に必死で固めた覚悟だった。
というより、結局のところ分かっていたからかもしれない。


御坂美琴は一方通行が好きで、
一方通行は御坂美琴がすき。


それが分かっていたから、自分は結構すんなりとあきらめられたのだろう。
まだ、チクチクと胸が痛むことは痛むが、大丈夫。

(それが俺、だろ・・・・・・?)

自分に決意を言い聞かせて、上条当麻は一歩踏み出した。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/28(水) 14:50:21.64 ID:ADkK0QuM0<>

美琴がぱたぱたと門限がー門限がーといいながら帰った後。
上条は一方通行と向き合っていた。

「なぁ」

「なンだよ」

一方通行は不思議そうに上条を見る。
上条は見たこともないくらい真面目な顔をして自分を見ていた。
しばしためらったようなそぶりはみせたものの、キッと一方通行に視線を向ける。

「風邪引いてるときにこんな話をするのもなんだけどさ・・・・・・。今言わないと、その、決意が揺らぎそうだし」

「・・・・・・?」

一方通行は上条の言いたいことが分からなくて眉を顰めた。
何のことだろうか。

「あのさ、お前――


 美琴のこと、好きだろ?」


数秒、言っている意味が飲めこめなくて。
次に、言っている事を理解して頭が真っ白になって。
そして、思いっきり咳き込んだ。

「ブゴッゴホッ!?!?!?!?」

目を白黒させて上条を見る。
上条はやはり、真面目な顔をして自分を見ていた。

「きちんと、答えてくれ」

「・・・・・・、」

「お前は、美琴が、好きなんだろ?」

中途半端にかわすことも、にごすことも許されない。
一方通行は直感する。
だから、いう。
きちんと、上条に首を振る。

「ああ、好きだ」

それを聞いて――
上条はほっとしたような、辛そうな、苦しそうな、複雑な表情を浮かべて。

「そっか」

それだけを、つぶやいた。
上条の心の中を知るものは、誰もいない。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 17:40:44.99 ID:JhXaG7ZHo<> >>1乙
応援してる <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 20:06:43.60 ID:7PmcraRp0<> >>1乙、心理描写が美しい。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 22:03:33.51 ID:kC4be8Lr0<> 美琴と一方通行はツンデレキャラじゃないのか
逆にカップル成立させんの大変そうだね乙乙 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 20:39:59.81 ID:Et7NDVTR0<> 本当は結構な量を書いてたんですけど、なんか時系列的にもう少し後ろなんで次回に回します。
相変わらず少なくてすみません・・・・・・。




7月19日。
学園都市の中では終業式が各学校で行われ、1学期の終わりを告げる日であり、待ちに待った夏休みの前日である。
それは、エリートお嬢様学校の常盤台中学でも違わない。
なので、美琴だけではなくほかの子たちも学校から昼間であるものの下校している。

「おっねえーさまーん」

「ああ、黒子。どうしたの?」

いつも通り自分に抱きつこうとした後輩――白井黒子を引き剥がしつつ、美琴はたずねた。
白井は白井で引き剥がされないように抱きしめる力をこめつつ、

「お姉様! せっかく午前て授業が終わったのですから、遊びにいきましょうですの!」

「あー、ごめん。先客あるから」

んなー!? と驚愕した白井をほっといて美琴はさきさき急ぐ。
終業式が伸びてしまったせいで、間に合わせの時間がぎりぎりなのである。
白井の相手をする暇は正直いってないのだが、その程度のつれない態度でへこたれないのがこのとある白もやしに言わせるところの変態少女だった。

「ま、まさかまたあの白もやしたちと!!」

「またっていうか幼馴染なんだししょうがないじゃない」

「黒子と白もやし、どちらが大切ですの!?」

“私と仕事どちらが大切なの?”とヒステリック気味に夫にといつめる妻のようなせりふを吐く白井に美琴は嘆息して、

「今度埋め合わせするから、ねっ?」

本当にすまなさそうに謝る美琴に「・・・・・・わかりましたの」と白井は渋々承諾した。
白井が立ち尽くした横を、美琴は駆け抜けていった。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 20:55:35.67 ID:Et7NDVTR0<>

「ごめーん待ったー? 終業式が伸びちゃ、って・・・・・・」

待ち合わせ場所である上条の家に合鍵を差し込んであけつつ美琴は言葉を放ち、


止まった。


「あ、あぁ・・・・・・? え、あぅあ・・・・・・?」

「美、琴・・・・・・?」

一方通行が、下はジージャンをはいているものの、上はというと何もきていなかった。
脱いでいた途中なのか、前方に差し出された腕にはまだ服がかかっている。
相変わらず憎らしいほど細くて白い腰。
肋骨がうっすら浮き出ている胸板。
綺麗なカーブを生み出している鎖骨。
それらをキチンと目に焼き付けた後、

「ふ、ふにゃぁ・・・・・・」

バチバチバッチーン!! と紫電がスパークした。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 21:12:37.42 ID:Et7NDVTR0<>
「ったく・・・・・・普通こういうお色気イベントって逆なンじゃねェの?」

「うぅ、ごめん・・・・・・」

「まーまー、別に見られてもへりゃしねぇよ。どうせ男子のだしなー」

数分後。
顔を赤らめて正座をしている美琴に、一方通行は呆れた声を、上条はフォローを投げかけていた。
一方通行によると、上条の家に来る途中で汗をかいたので上条の服を貸してもらっていたらしい。
先ほど上条がいなかったのは、その服をとりにいっていたからだそうだ。
と、美琴は先ほどの一方通行の言葉を心の中で反芻する。

(ちょっと待って・・・・・・、お色気イベント逆って言った!こいつ逆っていった・・・・・・!ってことは、え・・・・・・?もしかして、こ、コイツ・・・・・・!)

「ああああああアンタ!!」

「あァ? なンだよ」

さらに顔を真っ赤にして指をこちらへ向け立ち上がった美琴に一方通行は怪訝な顔を向ける。
まさか熱でもあンのかァ? と心配しはじめた彼の耳をありえない言葉がつらぬいた。

「もももももしかして!わ、私の裸みたいとか言うんじゃないでしょうね!?」

「・・・・・・、はァ!? はァ!? 何いってやがるンですかオマエ!? どこをどうやったらそんな結論に至るんだよォ!?」

「だ、だだだって!!さ、さっきお色気イベントは逆だって!!それって、つまり、つつつまりその・・・・・・!」

「そォいう意味じゃねェェェェェェ!!世間一般の常識をいっただけだろォが!!」

仲良く喧嘩を始める二人を見ながら上条は少し離れてお茶をすすっていた。
この程度の喧嘩、日常茶飯事なのである。だからといって能力を使って家を壊さないでほしいのだが。

(・・・・・・家、壊れないといいなぁ)

バチバチとやっている二人を再度見て、でもどうせ壊してもレベル5の財力でどうにかしてしまうんだろうな、と上条は嘆息した。



<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 21:26:04.56 ID:fbOvTJLB0<> 乙
応援してます <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 21:27:55.72 ID:Et7NDVTR0<>
「じゃあ、今日はどうする?」

落ち着いた美琴が上条に話題を振った。
ついでに今回はあまり家が壊れずにすんだ。ところどころ焦げた後があるが、その程度である。

「そうだなぁ、別に俺んちにはなにもねーし・・・・・・」

「じゃあさ、げ、ゲコ太の映画とか・・・・・・!」

「却下」

美琴の提案を即座に打ち消したのは一方通行だった。
美琴はぷぅ、と頬を膨らませる。

「なんでよぅ」

「子供趣味から離れろって前々からいってるだろォ?」

「げ、ゲコ太は子供趣味に入らないもん! っていうかなんで人の趣味に口出すの!?」

「妹だからに決まってンだろォが!」

「妹だからって趣味に口出しして言い訳ないじゃない!!」

「はいはい、喧嘩はそこまで。じゃあゲーセン行くか」

「なンでだよ・・・・・・」

「ゲーセンでゲコ太フェアやってんのみたからさ」

「オマエが甘やかすから美琴の子供趣味が治らないンじゃねェの!?」

一方通行の叫びを受け流し、上条は美琴に笑いかけた。

「じゃあいくか」

「うんっ!! ありがとう当麻!! ゲコ太フェア♪ ゲコ太フェアー♪」

そんな本当にうれしそうに笑う美琴をみて、
一方通行は舌打ちをした後――「さっさと行くぞ」と立ち上がった。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:10:39.03 ID:Et7NDVTR0<>
数時間後。
美琴と一方通行は二人きりで家にいた。
・・・・・・別にあっはーんやうっふーんな展開があったわけではなく。
上条はゲーセンの帰路の分かれ道で別れ、美琴は「今日は泊まるわ」といったために、一方通行の家に二人っきりなのである。

「今日は鍋にしよっか」

「なンでこンなく糞暑い中鍋なンだよ・・・・・・」

「いいじゃないの、クーラーガンガンの部屋で食べる鍋!贅沢じゃない?」

「・・・・・・まァ作るのはオマエなンだしいいけどよォ・・・・・・」

一方通行は嘆息して、ソファに腰掛けた。
美琴はふんふん鼻歌を歌いながら白菜を刻んでいる。
と、美琴がそういえば、と呟いた。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:11:08.14 ID:Et7NDVTR0<>
「そういえばさ・・・・・・」

「ン?」

「・・・・・・この季節にさ、私たちって出会ったよね」

「・・・・・・ふン。そォだなァ」

美琴と出会ったのは一方通行が小学4年生の夏。
上条に出会ったのは一方通行が小学5年生の春。

忘れられないし、忘れたくない――大切な記憶だ。

「私ね、思うの。ああやって出会ってなければ・・・・・・アンタも、・・・・・・私も、レベル5っていう孤独にとりこまれてたんじゃないかって」

「・・・・・・、」

「ま、これはレベル5になっていた、って前提だけどね。・・・・・・良かったな、って。神様が本当にいるのなら、私は感謝するわね」

「・・・・・・、」

「おにぃちゃんに会わせてくれて、ありがとうございます・・・・・・ってね」

にっこりと一方通行に笑いかけた。
そして、「あ、もちろん当麻もだけど」と加えつける。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:11:38.95 ID:Et7NDVTR0<>


一方通行は、思う。


例えば、御坂美琴に、あの時出会っていなければ。


例えば、上条当麻に、あの時出会っていなければ。


――自分は、あのまま、闇の中に堕ちていったのだろう。



<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:12:13.72 ID:Et7NDVTR0<>

御坂美琴は、一方通行の元に現れた、いうなれば“希望の光”だった。
同じ孤独を抱え。
だけど、彼女は自分を照らす。

仄かに光る灯火は、いつもいつも、自分の心を温めてくれた。

上条当麻だって、彼にとって大切な人間だ。
自分のクラスというものが存在せず、同い年の友達ができなかった自分に、「遊ぼうぜ」と声をかけてきたツンツン頭の少年。
最初は「俺のことを知らないからそうやって馴れ馴れしくできンだよ」とひねくれていた彼も、上条の純粋な瞳にいつしか心を打ち解けていって。

どちらも大切で、どちらも大事。
たった二人の――『家族』だ。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:13:08.39 ID:Et7NDVTR0<>
「・・・・・・ねぇ、おにぃちゃん」

いつの間にか後ろに来ていた美琴が、ぎゅっと一方通行を抱きしめた。
一方通行は抵抗しない。
ただ、それを受け止めた。
受け止めるだけの強さを、彼はこの少女からもらった。

「大好きだよ」

いつもの言葉。
何度もいわれた言葉。
繰り返される言葉に、自分はやっぱり傷ついて。
だというのに、『それはどういう意味でか』とたずねることはできない。
この関係が壊れたくない。
失いたくない。

(ハッ・・・・・・臆病者ってことかよォ・・・・・・)

だから、一方通行は美琴の言葉に、こう返した。

「俺もだ」

自分も、どういう意味での好きかを伝えずに。
思いはすれ違い、決して交差することはない。





しもやけが痒いなか頑張っていました・・・・・・。ほんと痒い!ずっと痒い!
キーを打つだけで大変です・・・・・・。もうヤダ・・・・・・。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:14:43.64 ID:Et7NDVTR0<>
1週間後。
一方通行は暇つぶしがてら散歩をすることに決めた。別に学校というものがないので外に出歩く必要のない彼に、持ち前の心配性から『ちょっとは外で歩きなさいよこの馬鹿!』というメールが連日送られてくるからではない。絶対にない。
いつもどおりコンビニでコーヒーを買い、ちびちびの飲みながら歩いていると、聞きなれた声が耳に届いた。

「くーろーこー? いい加減にしなさいって言ってるわよねぇ……?」

「美琴……?」

声のする方に目を向けると、公園のベンチの近くでたしか美琴のルームメートである変態少女とじゃれあっている美琴がいた。
そして、その二人を美琴とは違う制服をきた少女逹が呆れたようにみていた。

(へェ……アイツ、ちゃんと友達づくり頑張ってンじゃねぇか)

ほっと一息。前々から心配だった美琴の孤立も、あの様子だったら大丈夫か――と、

「あら、白もやしじゃありませんの」

自分に気が付いたらしい変態少女がそんな失礼な言葉を投げ掛けてきた(しかし一方通行も一方通行で変態少女呼ばわりである)。変態少女の言葉にあれ、と美琴は一方通行に気が付いた。

「一方通行、何してんの?」

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:15:16.20 ID:Et7NDVTR0<>
「散歩だ散歩。あと変態、オマエ後で説教な。目上に対する態度っつのを教えてやる」

「この程度の挑発にのるとは、白もやしもダメダメですわねぇ」

「なン……だと?」

ぴく、と一方通行の目元がひきつる。
ついでに言っておくが、一方通行はこの変態少女に変態呼ばわりはしているものの敵意などは抱いていない。むしろ美琴のルームメートで友達(以上の何かを持ってはいるが)なので、好意すら抱いている。
だが、だからといって白もやし白もやしと――そう言われて堪忍袋が切れないわけではない。

「へェェェェンンンンンたァァァァいィィィィ?スクラップの時間だぜェェェェェェェェ!!!!」

一方通行が右手を振り上げた瞬間、バシコーンと頭を叩かれる。

「一方通行!アンタ年下の子に何しようとしてんのよ!」

「……ぐゥ」

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:15:48.61 ID:Et7NDVTR0<>
いや向こうが挑発してきたンだしィ、というせめてもの反抗をすると、美琴は溜め息をついて

「黒子も挑発しない」

「ごめんなさいですの、お姉様……と白もやし」

わざとらしく素直な変態少女にいらっとしつつ美琴に無理やり頭を押さえつけられて渋々謝る。

「……ごめンなさィ」

一方通行が謝るとよくできました、と言うように頭をくしゃくしゃと撫でられた。一方通行は顔が赤くなり、変態少女は発狂した。

「おおおお姉様っ!?黒子が謝ったときは何もしてくれませんでしたのに……っ!おのれ白もやし……!!」

と、先程まで変態少女を呆れ顔で見ていた少女逹が駆け寄ってきた。

「その……白もやしって呼ばれてる人、御坂さんのお知り合いですよね?」

「え? うん、一方通行っていうの。ほら、アンタ自分で自己紹介する!」

バン、とおもいっきり背中を叩かれ美琴を睨むも完全スルー。後で絶対に仕返ししてやる、と心に誓いながら渋々自己紹介した。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:16:14.77 ID:Et7NDVTR0<>
「一方通行だ。そのォ、妹が世話になってる」

「へ? 妹? 御坂さんお兄さんいたんですか?」

パッツン少女(と一方通行は呼ぶことにした)の素朴な疑問に美琴は首をふって、

「いや、全然血が繋がってないわよ。なんていうか……そう、幼なじみ?」

「へぇ! こんなカッコいいお兄さんが幼なじみなんて御坂さん羨ましいですね」

「カッコ!?]

美琴はあたふたとして、それから真っ赤な顔で一方通行から顔をそらしつつ、もごもごと言う。

「ま……あ、そうね。顔だけはいいかもね、顔だけは!」

「なンだよその顔だけはってのは。つゥかオマエに言われたくねェ」

ぎゃいぎゃいと「どういう意味よ!」「そのまんまの意味ですゥ」と“仲が良いほど喧嘩する”を体現したかのような喧嘩をしはじめる二人にパッツン少女となずけられた佐天は初春に苦笑した。
初春はそういえば、と一方通行に疑問を投げ掛ける。ついでに美琴の右頬は一方通行に引っ張られて一方通行の左頬は美琴に引っ張られているという二人とも端正な顔立ちを凄いことにしているが佐天たちはつっこまない。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:16:55.65 ID:Et7NDVTR0<>
「一方通行さんって、本名じゃない……ですよね」

そんな純粋な疑問に、一方通行が返した言葉というと。

「妖怪フラワー人間がいる……ッ!!」

その瞬間美琴にぶん殴られた。
が、彼は世界の終わりを見るような(だけどちょっぴり嬉しそう)顔をして美琴に必死で言う。

「美琴、ジャッジメント……いや、アンチスキルを呼べェ!!マジかよ……さすが学園都市……オカルトにまで手を出していたなンてなァ……!」

美琴はやっぱり完全スルーである。

「一方通行ってのはコイツの能力名。皆名前じゃなくて能力名でよんでるから、佐天さんたちもそう呼んで」

「……いいんですか? あの人」

「いいのいいの。コイツ変なとこで純粋だから」

美琴は笑いながら一方通行の頭をバチコーン! と叩いた。

「おゥ!? 何すンだオマエ!!」

一方通行の抗議は右から左へ流して、

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:17:27.04 ID:Et7NDVTR0<>
「こっちの花飾りがたくさんついてるのが初春さん。こっちは佐天さん」

「えと、よろしくお願いします」

「おっ、お願い……します」

なんだかんだで構図がハーレムっぽくなっているのを白井以外が気がついているのかどうか。
一通り自己紹介を終えると、佐天と初春は美琴の小さい頃のお話を聞きたがった。

「御坂さんって小さいころどんな感じだったんですか?」

「一言でいやァ・・・・・・寂しがり屋だったなァ」

「んな!? ちょっとアンタ、勝手なこと言わないでよ!!」

「あァ?雷とかなるとすぐに人呼び出して一緒に寝てェとか泣きついたのはどこのどいつでしたっけェ?」

「う、ぐ・・・・・・!」

悔しそうに歯噛みする美琴をまあまあとなでめつつ、初春も興味津々といった様子でたずねる。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 22:22:02.39 ID:Et7NDVTR0<>
「御坂さんのはずかしーい失敗談とかあります?」

「ちょっ初春さん!?」

慌てる美琴をにやにやしながら一方通行はそォだなァ、と思い出す。

「俺ン家に泊まった時にお漏らししたこととか?」

「あ、アンタ・・・・・・! それは忘れる約束でしょ!?」

「なンのことかなァ、美琴ちゃーン?」

初春は初春でカルチャーショックを受けたのか「御坂さんがお漏らし・・・・・・御坂さんがお漏らし・・・・・・」とぶつぶつ呟いていてなにやら怖い。
ついでにさっきから会話に入ってこない白井はというと、

「・・・・・・ふふふふふふ、黒子は認めない、黒子は認めない・・・・・・白もやしなんて認めない・・・・・・」

と頭をガンガン地面にぶつけている。こっちもこっちで怖い。
なんだかカオスだなぁ、と佐天が呆れはてる。
そんなこんなで、1日は過ぎていくのだった。







今日の投下分終わりです!疲れた!
『実験』で最後の20000号の代わりに実験に行って、20000号だけ生き延びる話とか妹達が美琴を憎んでる話とか一方通行と美琴で妹達の実験であーだこーだする話とかいっぱいかきたいなぁ・・・・・・。アイデアがとまらない・・・・・・。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/29(木) 23:22:12.13 ID:xSO8g5ZT0<> 次は妹達のお話になるのかね

とりあえず乙 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 00:07:31.44 ID:l/T84i9c0<> 乙

>>1のやりたいようにね <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 00:35:17.04 ID:ihFa/qcIO<> 乙
一方さんはジージャン履いてるのか… <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 10:47:34.99 ID:0QZ/GBtj0<> 質問っていうか、その、質問です!
この3人とかむぎのんとかで、やってほしいことってありますか?
水着イベントとか、お風呂とか、色々・・・・・・。
あ、あと、妹達編っていります、かね?
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 11:21:50.14 ID:ZjBjsasSO<> >>1が書きやすいように書いて(^ω^) <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 11:22:44.26 ID:SO8XUJTno<> >>128
なんか滾った <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 23:32:01.36 ID:yigMKwZzo<> しずりんの選択肢がなかったことに泣いた
むぎのんとのお泊りとか見たいなー

下にジージャンを履く一方さんのセンスはマジレベル6クラス‥‥‥ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 14:47:29.31 ID:a7AxJY9A0<> >>128
三人で
(1)上条さんの実家へ
(2)御坂さんの実家へ

<> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 19:37:50.12 ID:1FhTNXeS0<> >>127 >>131 うわぁああ間違えた、え、ちょっとまって吊ってきます違う本当はジーパンって書きたかったんです!うわぁあ恥ずかしい

>>131 >>132 ネタ提供ありがとうございます!!むぎのんお泊り会と美琴の実家もやらせていただきます!!

以下、大晦日ネタ。
ほのぼのを通り越してぐだぐだ。
若干作者大晦日のテンションででっぱってる。
その他もろもろが許せない方は閲覧しないほうがいいです。

後時間があったら美琴の実家でお正月を越すネタをやるつもり。できなかったら大晦日ネタじゃなくてやつるもり。です!



「年越しそば作ったよー」

「おォ、サンキュー」

「すげぇうまそう!!」

年越しそばをトレイに載せて持ってくる美琴に、こたつの中に入りながら一方通行と上条は返事をした。
ほかほかと湯気を立てている年越しそばは本当に美味しそうである。でもそばってやっぱり冷たいのが一番美味しいと思うんです。

「えへへ、今年も3人で年越しだねー」

「まァそォだなァ。集まらねェ道理はねェし・・・・・・」

「習慣っていうか、なんていうか・・・・・・そういうものだよなー」

出会ってからこの方こういうイベントごとに集まってきたせいか(しかも大抵一方通行の家)、むしろ集まらないことで実感がわかないレベルにまで達している3人であった。

<> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 19:51:15.28 ID:1FhTNXeS0<>
「紅白つまんねェ」

「こらこら、日本の大晦日を代表するテレビ番組にいちゃもんつけるんじゃありません」

「ぶっちゃけ紅白ってただの音楽番組だよね」

「お前、言ってはならないことを・・・・・・っ!」

確かにそうなのだが、それをつっこむのは野暮ってものである。

「今年はなでしこジャパンがでたね」

「今目の前で出てきたしな」

※この文章を書いているときにちょうどなでしこジャパンが出てきたのでなんか会話に織り交ぜました。

<> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 20:08:43.58 ID:1FhTNXeS0<>
「どうでもいいけど今回何気に>>1が調子乗ってるわよね」

「大晦日だからな」

「作者が出っ張るssって存在意味あるの?」

「大晦日だからな」

「でもそれをいったら結構某狼少女の作品も」

「大晦日だからな」

「・・・・・・あーくん?」

大晦日だからなで全てを終わらせようとする少年にじとめを向ける。
一方通行はそしらぬ顔でテレビを見ていた。

「・・・・・・なんでそんな機嫌悪いのよ」

「だってよォ、大晦日番組ってつまンねェじゃん。そしてここから正月番組もつまンねェじゃん。もォ最悪じゃねェか」

「うんそれはそうなんだけど。っていうかそれじゃ私ただのやつあたりじゃん!」

少女の切なる叫びすらも右から左にいくこの大晦日から正月にかけての魔翌力。パナイですね。

「テレビを見ながらまったりするこの時間を享受しようぜ・・・・・・」

「とーまはとーまでいきなり何をいいだすのよ・・・・・・」

そんなこんなで大晦日の夜は進んでいくのでした。



というわけでこれで大晦日ネタは終わりです!実家編verかけるかな・・・
皆さん、良いお年を!です <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 21:32:00.21 ID:w8uoB2oF0<> >>1乙です
良いお年を迎えて下さい <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 21:37:22.43 ID:nH6BgH0IO<> 乙!
良いお年を <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 22:39:32.54 ID:P+1rwCnIo<> いつにもまして時系列が不明だけど乙なんだよ
続きも期待して待ってます <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/01(日) 06:51:40.16 ID:nKMljI+f0<> >>1乙そしてあけましておめでとうございます。

今年は、良い年でありますように。

ちなみに、美鈴通行は好物です。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<><>2012/01/06(金) 20:17:14.78 ID:1b3h832w0<> ≫1です!お久しぶりです。
MAD製作もひと段落ついたので、また書いていこうと思います。
美鈴通行とかも頑張ります・・・・・・はい。
もしできたら今日投稿しますけど無理だと思います <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)<>sage<>2012/01/06(金) 21:49:56.84 ID:e2qxxTPL0<> きたあああああああああああ

まってたよ

てかMAD作ってたんやね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/01/07(土) 05:24:25.08 ID:SUhCDqwt0<> >>140いえいえ、こちらこそ連絡感謝です。

MAD、なるほど、感性のいる作業ですね。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/07(土) 19:49:07.58 ID:z/z0V5rP0<> >>141 >>142 mad製作楽しかったです(キリッ あいもかわらず禁書MADでしたけど

あ、あと!ですね!
1 上条に会う前の美琴と一方
2 上条と出会った話
3 麦野と出会った話
4 上条と一方の喧嘩

の、どれがいいですか?
あと今日の分投下です! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/07(土) 19:49:48.74 ID:z/z0V5rP0<>
「おはようございます御坂様。先日行われた2学期の中間のシステムスキャンも素晴らしい成績を納めたそうですわね」

「いや……あはは、ありがとうございます……」

表面に愛想笑いを浮かべながら内心溜め息。畜生、何で先輩にまで様付けされなきゃならんのだ。
分かっている。それは自分がレベル5で、この学園都市の広告塔だから。
反対にいえば、皆“そういう風”にしか見てくれない。
皆“第三位”としての自分しか見てくれなくって、“御坂美琴”を見てくれる人なんて、極々少数だ。両の指で足りるんじゃないだろうか。
その中でも、真の意味で“自分”を分かってくれるのは――たった一人。
一方通行。

(あはは……おにぃちゃん……)

泣きそうになりながら、心の中で今は隣にいない大好きな人に話しかける。

(私……今も昔も、おにぃちゃんだけだね)

同じレベル5で、同じ孤独を抱える少年。
佐天や初春はおろか、白井や上条でさえ“自分”は理解できないだろう。
この孤独を体感しなければ。
力持つ故の孤独を――知らなければ。
その時だった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/07(土) 19:50:18.81 ID:z/z0V5rP0<>
「あらぁ? 御坂さんじゃなぁい」

「うげ……」

美琴は声をかけてきた人物を見てうめき声をだす。
無理もない。自分が常盤台の中で一匹狼なのに対し、目の前の人物――食蜂操祈は最大規模の派閥に君臨する女王。そりが合わないに決まっている。

「……わざわざ人に声をかけるなんてどんなご用件なのかしら?」

いかにも“アンタ苦手です”というオーラびんびんの美琴に操祈はくすくすと笑って

「用がなかったら話かけちゃ駄目かしらぁ? せっかく同じ学校の同じレベル5なんだモン、仲良くしましょうよ」

ふん、と美琴は鼻をならした。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/07(土) 19:50:47.85 ID:z/z0V5rP0<>
「無理に決まってんじゃない。私とそりが合わないってことくらい理解してるでしょ?」

「喧嘩から始まる友情ってのもぉ……いいかもねぇ……」

「……ちょっと、聞いてる?」

なにやらぶつぶつ呟きはじめた操祈に美琴は呆れたように聞いた。勿論答えはかえってこない。
はあ、と嘆息し、美琴は「さようなら」と踵をかえそうとして腕を掴まれる。

「……何?」

「せっかくだからぁ、お茶していきましょうよぉ」

「……そんなの取り巻きとやりなさいよ」

いいからいいからぁとずるずると引っ張られていく美琴。
操祈の顔がいつになく嬉しそうなのを美琴は気が付いていない。
操祈は美琴を引っ張りながら歌うように言った。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/07(土) 19:52:22.99 ID:z/z0V5rP0<>
「精神操作系の能力者って孤独なものよぉ。みーんな騙して偽って……嘘だらけ。私の周りにはあとどれだけの“真実”が残っているのかしらぁ?」

「……」

「だからね、御坂さん。貴女みたいな私の能力が一切通じない相手って……いわば、救いなのよぉ。ふふ……」

なぁんてね、とおどけてみせる彼女が寂しそうに見えたからかもしれない。
簡単に振りほどける手を振り払わなかったのは、そういうことなのだろう。






あれ・・・・・・?少ない。なんでだ・・・・・・。
みさきちを出したのは完璧自分の趣味です(キリッ
みさきち、顔は好みです!ああいう顔大好き! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/07(土) 20:09:49.65 ID:Z+5VQHvto<> 2とか4とか読みたいれす <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/07(土) 21:51:42.45 ID:29XqX+SSO<> 2かなあ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/08(日) 02:50:32.07 ID:vUH0WFBSO<> 2か3かな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/08(日) 03:22:59.54 ID:uohGD2Qno<> 乙
5 みさきちの一方NTR <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/01/08(日) 06:36:32.76 ID:+GIEaTgz0<> 1が読みたいです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/08(日) 09:55:59.13 ID:92ELfYLIO<> おつ!3かな…
みさきちかわええ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/08(日) 19:25:27.41 ID:RQjU4g/IO<> 乙レルス

見事に分かれてるなー
1で! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/08(日) 22:28:43.18 ID:DDYcra2v0<> とりあえず1からで!!
分かれてはいますけど2が人気ですね。さすが原作主人公。
>>151 笑わせないでくださいwwwwwwww麦茶吹いたwwww

上条が現れる前のお話。
美琴小2、一方通行小4。
秋くらいの話です。






「おいみさか。おまえまたびりびりしたんだってなー!」

「れべる2なのにのうりょくせいぎょもできねーのかよ」

数人の男子が教室の片隅で女の子を取り囲んでいた。女の子はふるふる震えて、涙目で反論する。

「あれは……びっくりしちゃって……」

「なっさけねーの!あぶねーやつ!だれかにあたったらどーすんだよ!」

「お、おどろかせたのはあんたじゃない!」

「れべる0なんだからそれくらいのはんではひつようだろ?」

「……っ。れべるなんて……っ」

女の子は俯いて歯ぎしりをした。
いつもいつも。
どいつもこいつも。

(れべるれべるって……!!)


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/08(日) 22:29:23.09 ID:DDYcra2v0<>
そのころ。

(チッ……ガキがこねェ……)

基本的に下級生のほうが上級生よりも授業が終わるのが早い。だからいつもは待ち合わせ場所である中庭の隅っこで先に美琴がいるものだが、今日は何故か彼の方が先にきていて、しかも何分待っても来ない。

(……めンどくせェ)

一方通行は嘆息して、ランドセルを肩にひっかけ、立ち上がった。
とりあえず美琴の教室へ行こう。
彼が歩き出すと自然と人だかりは開かれる。――どいつもこいつも自分が怖いから。
5人しかいないレベル5の第一位。
学園都市最強の能力者。
そんな彼を唯一物怖じしないで接してくれるのは――美琴だけだった。
そう、美琴は彼にとって唯一だった。
誰よりも大切で、手放すことなんかできない、大事な人間。
だから、だからこそ。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/08(日) 22:30:08.91 ID:DDYcra2v0<>
「みさかってさあ。俺らとちがってのうりょくしゃなんだろ?」

「だから、俺らなんてすぐにたおせるよなあ?」

「た、たたかうのなんて、やめようよ……。のうりょくなんて、ひとにむかってつかっちゃだめって、せんせいもいってたじゃん!!」

美琴を意地悪そうに笑ってとり囲む数人の少年達。
涙目になっている美琴。
それを見て――理性がブツリと切れた。


バッキィィィイイイイイイン!!!!


ド派手な音がして、少年達の一人の顔のスレスレにランドセルが飛んできた。

「……え……?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/08(日) 22:30:37.45 ID:DDYcra2v0<>
ようやくそれで彼の存在に気が付いたのか、美琴は一方通行にあわてた声をかける。

「おにぃちゃん!!」

たしなめともとれる言葉に一方通行は「黙ってろ」とだけ返し、

「テメェら……[ピーーー]ぞ、いいな?」

「……ひっ……」

「こいつ、知ってる……!れべる5だ!」

「あ、あの……っ!?」

怯えたような声の少年達にさらに苛々を募らせる。
バッと振り上げた右手を抱きついて止めたのは美琴だった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/08(日) 22:31:14.11 ID:DDYcra2v0<>
「だめだよおにぃちゃん!!」

「……ヤメロ、コイツらは俺が始末する」

「のうりょくはひとにむけちゃだめなんだから!」

「……うるせェ。テメェには関係ねェだろ」

「あるよ!ひとをきずつけたら――おにぃちゃんがきずついちゃうもの!!」

美琴の必死な声に、一方通行はぴく、ととまった。
そして、忌々しそうにチッと一方通行は舌打ちする。
相変わらず、善人すぎる。馬鹿馬鹿しいくらいに。

「感謝するンだな、テメェら」

それだけ吐き捨てて、彼は教室から出た。美琴も慌てて自分のランドセルをひっつかみ、ぱたぱたと追い掛けていく。
教室には、ただ静寂だけが残った。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/08(日) 22:31:46.13 ID:DDYcra2v0<>

「おにぃちゃんおにぃちゃん」

「……なンだよ」

腕を絡めてくる美琴にしかめ面しつつも振りほどこうとはしない。
美琴はルンルン顔で一方通行にさらに腕を絡めていく。

「さっきはあんなこと言ったけどね――たすけに来てくれてありがと。うれしかったよ!」

にへら、と無邪気に笑う少女に今日何度目になるのかも分からない舌打ちをして、それから軽くデコピンをした。

「ばァか、いつも俺が駆けつけてやれるなンて限らねェンだぞ?ちったァ自分の身を自分で守りやがれ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/08(日) 22:32:12.29 ID:DDYcra2v0<>
「んー……でもねー」

美琴は笑う。
唯一、自分に笑いかけてくれる。

「おにぃちゃんはわたしのひーろーだから、いつだってたすけてくれるって、しんじてるもの」

純粋な瞳に、一方通行は言葉が詰まった。
数秒して、ようやく彼は返す。

「勝手に言ってろ」

「うんっ!」

小さく彼が笑ったのを、美琴は見逃さなかった。
もう冬が近いと言うのに、なぜだか心はぽかぽかと温かかった


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/08(日) 22:34:35.13 ID:DDYcra2v0<> あ、sagaいれるの忘れてました。
1は終了!ちょっと短いかな・・・・・・?
依存してるねーって話でした。2でも依存していることが結構わかります。
美琴にとっても、一方通行にとっても、お互いがお互いに唯一なんですよね。
だからこそ、上条当麻という存在が必要になってくるわけです。
「唯一」をぶち壊し、「大切」な人にしてくれたわけですから。
「依存」から「大事」にかわれた、っていうのは結構大きいことだと思うのですよ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)<>sage<>2012/01/08(日) 23:25:02.65 ID:NOgCzD720<> でも上条が報われないことには変わりないんだよ…(;ω;)

せめて誰かとくっつけてほしいの <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/01/09(月) 21:55:40.73 ID:LHK5LA3C0<> >>1乙

大寒に向かうなかでの、暖かい話、感謝 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/10(火) 21:47:02.28 ID:sXZvAYXN0<> >>163 んー、今のところ予定はないですが、みさきちも予定がなかったのに出てきたので、もしかしたらあるかもしれないですね・・・・・・。まあ選べる人間がかなり限られてきますが。

それでは、途中までですが2を投稿です! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/10(火) 21:48:01.67 ID:sXZvAYXN0<>


一方通行は中庭の隅っこでぼんやり空を眺めていた。
先程、一方通行が待ち合わせ場所に来たとき美琴が忘れ物に気が付き、忘れ物をとりに行っているのを待っているのだ。
ひまだ……と彼はため息をつく。
……と。

「なあ、サッカーしねぇ?」

「……はァ?」

突然かけられた声に、いぶかしげに彼は眉をひそめた。
声をかけてきたのは、ツンツン頭が特徴の同い年くらいの少年だった。
その少年は、彼を怖がることもなく、気楽そうに話しかけてくる。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/10(火) 21:48:31.90 ID:sXZvAYXN0<>
「人数がちょうど一人足りなくてさー、なんかひまっぽいし」

「いや、俺は……」

彼は口ごもる。
それは突然声をかけられた戸惑いと、待ち人である美琴と、それから目の前の少年に対する不審からくるものだった。
どうして――と彼は疑問に思う。
白髪赤目。
周りに引かれる風貌に加え、人すら楽々殺せる学園都市最強の能力者。
そんな自分にどうして軽々しく声をかけられたのだろう――と、そう思ったのだ。
"普通の人間”なら、まず彼に近寄らない。畏怖べき対象として距離をとる。
"研究所の人間”なら、彼とコンタクトをとろうと怪しげな笑みを浮かべる。
"自分を狙う人間”なら、彼に攻撃してそのまま自分の攻撃が跳ね返ってお陀仏である。
だけど、この少年はどれとも違った。
いうなれば、美琴に近かった。物怖じせず、対等に自分を見てくれる彼女に。
だけどこの少年は美琴じゃない。
だから――。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/10(火) 21:48:59.67 ID:sXZvAYXN0<>
「あれ? もしかしてひまじゃなかったのか?」

「……そ、そォだ」

いつものふてぶてしい態度には似合わず、彼はおどおどしながら答える。
こうやって一対一――しかも対等に誰かと話すなんて、今まで美琴くらいしかいなかったから。
だから彼は知らなかった。どうやって美琴を除いた他人と対等に話すのかを。
そしてそれは、他人のことを一切理解できない、ということ。
つまり――言ってみれば、怖かった。宇宙人の集団の中に投げ込まれたようなものである。

(――っ、美琴は……)

情けないとは知りつつもどうしても美琴に頼ってしまう。一瞬彼女を残して先に帰ってしまおうかと思ったが、さすがにそれはできない。それをして、嫌われたくない。
どこまでも依存し、される歪な関係――それこそが、一方通行と美琴の関係だった。

「んー、今日何があるんだ?せっかく話しかけたんだしさ、遊びたいじゃねぇか、やっぱ」

知らねぇよ! と言い返しそうになるのを抑えて彼はただただ無言で美琴を待つ。
――と。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/10(火) 21:49:39.38 ID:sXZvAYXN0<>
「おにぃーちゃーん!!ごめんね、またせちゃっ……てあれ?」

駆けよってきた美琴の姿に思わず涙腺が緩む。
当の美琴は一方通行と見知らぬ少年を見比べて首を傾げていた。

「なるほど、お前、この子を待ってたんだな。おにぃちゃんってことは、兄妹か?」

「え、えと、おにぃちゃんのお友達……?」

きょとん、とアホ毛を揺らして少年に尋ねる。少年が何か言う前に一方通行は美琴の腕を引っ張り、

「知らねェよそンなやつ。さっさと帰ンぞ」

「わわっ引っぱらないで〜っ」

一方通行と美琴がぱたぱたと中庭から去っていくのを、少年はぼんやりと見ていた。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/10(火) 21:51:51.81 ID:sXZvAYXN0<>

ここまでです!短い!
美琴が一方通行に救われる(または依存している)以上に、一方通行は彼女に救われています。
だから必然的に依存をしてしまうわけなんですが。
学校が始まったので更新が遅くなると思いますが、ご了承ください。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 23:14:08.72 ID:nYy+6H/Wo<> おつおつ
もうこの際三人でくっついちまえばいいじゃねぇかと思わないでもない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 23:55:32.64 ID:kqKz5olbo<> 上条さんカワイソス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 00:31:56.00 ID:GYEguSvIO<> 乙レルス

いいこと考えた
上条さんは俺とくっつけばいんじゃね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 00:52:23.50 ID:7toOUrto0<> いや、たまには失恋する上条さんがいていいと思うのよ? いつもは女の子達が泣いてるんだし(救済措置もないし) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 01:40:45.83 ID:rD3No5QYo<> 乙ー
上条さんは黒子とくっついちゃえばいいと思うんですの <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/01/11(水) 06:50:25.09 ID:VBPzcsEP0<> >>1乙、そして三人の平穏を願っている。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)<>sage<>2012/01/11(水) 18:35:34.98 ID:YGsqe+iu0<> 幸せになれるならいいのよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 10:21:16.60 ID:cqAHFSvSO<> くっつくにしてもくっつかないにしても上条さんの気持ちを分かってくれる人がいてもいいと思うんだ
恋心は二人とも知らない訳だし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/01/14(土) 05:54:35.95 ID:B6s8aP/s0<> そんな>>178に黒子推奨 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 19:58:08.59 ID:hixf0+pl0<>

お久しぶりです。
どうしてもスランプに陥って過去編の続きが思うようにかけないので、本編の続きを。
……それでもやはりどこか納得できないのですが。
色々な意見がありますが、上条さんは多分色々報われないかと……。自分の気持ちを押し殺して恋のキューピット役をやる予定……多分。
でもみさきちもでる予定なかったのにでましたし、もしかしたら上条さんもだれかと結ばれるかもしれませんね。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 19:58:50.89 ID:hixf0+pl0<>


操祈と別れ、美琴は一人で歩いていた。
門限はいつのまにやら過ぎていて、あたりはすっかり暗い。

(どうしよっかなぁ……黒子に迎えに来てもらうのもいいんだけど……ここからだと当麻の家が近いよね、そういえば)

今日は寮監のチェックがない日のはずだし、上条の家に泊まるのなんて久方ぶりだ。
美琴は携帯電話をとりだして、るんるんとボタンを押し始めた。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 19:59:18.08 ID:hixf0+pl0<>
「やっほー、とーまー!」

「お、美琴早いな」

上条は焼きそばを作っていた手をとめて、玄関まで迎えにきてくれた。
そういう分かりにくい優しさが一方通行に似てるんだよね、と美琴は心の中で思う。

「悪いわね、急で」

「はは、一方通行なんかなにも連絡せずに人の家にあがって……はぁ」

「……アンタも苦労してるわねー」

適当に雑談しながら美琴は家の中に入った。
上条の家は、多分いつもどおりの不幸によって割られてしまっているCDなどを除けば、相変わらず男の一人暮らしとしてはかなり高いレベルで整理整頓がされている。
そこらへんに適当に座ってて、といわれたのでちょこんと座り、美琴はきょろきょろとあたりを見渡す。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 19:59:49.58 ID:hixf0+pl0<>
「さて……」

にやり、と意地悪い笑みを浮かべ。

「エロ本探しをはじめま――」

「なあああにしてるんですかねぇえええ? 美琴ちゃぁあああん?」

背後から発せられる殺気に、ビクゥ!! と肩をすくませた。

「とととととと当麻!? だ、台所にいったんじゃあ……」

「上条さんは馬鹿じゃないですからねえ、美琴ちゃんが何するか大体わかるっつゥンですよォォ!!」

「く、口調!うつってる!!うつってるからーっ!!」

二人は楽しげな悲鳴をあげながらわーわー騒ぐ。
プリントやらなんやらがぐちゃぐちゃになっているのはいいのだろうか。
数分後。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 20:00:20.88 ID:hixf0+pl0<>
「さて、やきそば食べるか」

「おお、美味しそう!」

先程の騒がしい喧嘩から一転、和やかなムードで食事を始める二人。
なんというか、これが幼馴染パワーである。
上条はしばし焼きそばを食べることに集中していたが、ぽつりと、小さく聞いた。

「美琴……お前さ」

「何よ」

「一方通行のこと、やっぱ好きなのか?」

ブホッと盛大に吹き出した。いきなり何を言うのだこの男は。
しかも、そんな真剣な顔で。

「べべべ別に嫌いじゃないけどっ。そ、そりゃあまあ、付き合い長いからね。それだけよ、それだけ!」

最後はまくしたてて、それからビシィ!と人差し指を突き刺す。
上条ははー、と心底呆れたように溜め息をつく。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 20:00:48.59 ID:hixf0+pl0<>
「お前さあ……」

「な、何よ」

「なんで本人目の前だと結構大胆っつーか素直なのに他人にはそんな挙動不審なの?」

「ど、どういう意味よ……」

びくびくと震える様はまるで猫の様だ。可愛らしいといっちゃあ可愛らしい。

「『気付いてよあくせられぇた』」

上条の茶化すような言い方(もしくは台詞そのもの)に美琴の顔が一気に赤くなる。

「き、きき……聞いてたの……?」

「はっはっはー、美琴さん、寝てる時に告白しても意味な――痛い!!無言でティッシュ箱投げんな痛いって!!俺が悪かったからあああもう痛えええ!!」

「し……し……死にさらせぇえええ!!」

「ふ、不幸だー!」

いや、どう考えも上条の自業自得である。
そんな訳で、(いろんな意味で)眠れぬ夜を過ごす二人だった。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 20:01:59.66 ID:hixf0+pl0<>

「ほォ、それで二人で熱い一夜を過ごしたと?」

「あ、あああ熱い一夜!? ふ、ふにゃー」

「語弊のある言い方すんじゃねぇ!!あと美琴は赤くなんな!!こんがらがるから!!」

「上条くゥゥゥゥン? そろそろ腹ァ割ってもらおォか?」

「ああもう不幸だー!!!!」

事は数分前。
一方通行はどうやら暇だっらしく、上条の家になんの連絡もなく遊びに来た。
ここまでならいつもいつも通り。いつもの様に馬鹿やるだけである。
――が、昨日は運悪く美琴が遊びに来ていた。
そこまでなら、まだいい。幼馴染みだしあり得なくはない。
しかし。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 20:02:49.66 ID:hixf0+pl0<> 何故だか美琴と上条は一緒に一つのベッドで寝ていた(いつもなら上条はバスルームで寝るはずだ)。
多分、昨日夜中まであーだこーだしたせいで疲れていてバスルームまで行くのがめんどくさかったのだろう。
しかも、そのあーだこーだでいい感じに“事に及んだ”風にシーツがぐちゃぐちゃだった。
一方通行じゃなくても、勘違いはする。

「あ、一方通行、わた、私……っ」

ようやく我に返った美琴が弁解しようとあたふたしだした。……戦力になりそうな気がしない。
というより、どうせ自分だけが怒られるのだろうけど。

「……はあ……不幸だ……」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 20:03:15.28 ID:hixf0+pl0<>

数分後。
ようやく上条の説明を聞き入れた一方通行は、

「そォいうことならさっさといいやがれ」

「上条さんは何度もきちんと説明しましたからねぇ!?」

呆れたようにため息をつく一方通行に思わず上条はつっこむ。
ついでに、上条の体は色々とぼろぼろだ。ご愁傷様。

「あ、あはは……わ、私学校に行かないと!」

ダッシュで逃げようとする美琴の首根っこをひっつかまえて、一方通行は笑う。
……はっきりいって怖い。

「つゥかなンでオマエはコイツン家に泊まったンだよ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 20:03:43.45 ID:hixf0+pl0<>
「え、近かったから」

「…………」

さらりと言ってのけた美琴に、なんとも気まずそうな顔を浮かべる一方通行。
そんな二人(主に一方通行)を見て、上条は呆れ果てる。

(……こいつどれだけ独占欲強いんだよ……)

まあ今に始まったことではないが。
美琴はそれを"過保護”だと認識しているようだが、実は違う。
馬鹿馬鹿しいくらいにすれ違ったカップル手前だった。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>saga<>2012/01/16(月) 20:09:25.05 ID:hixf0+pl0<> 本日の投稿は終わりです。
できるだけ早めに更新します <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/16(月) 20:15:50.23 ID:4LoTowmFo<> 機体 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/16(月) 20:39:27.56 ID:SB2rc6b10<> 乙
>>1の思うままに書いていって欲しい  続き楽しみにしてる   <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/01/16(月) 23:19:27.92 ID:JmnIFiVJo<> 期待 <> 絹旗「御坂美琴と超仲良くなりたいです!」 <><>2012/01/27(金) 22:17:44.68 ID:6l9y1EGs0<>
不幸にも憂さ晴らしとしてまた殴られた上条は家に放置して、美琴の腕をひっぱり一方通行は上条の家からとびだした。

「ちょ、ちょっと、一方通行、早いわよ!っていうか痛い!痛いから!」

後ろから聞こえる文句は無視して彼はずかずかと歩く。
いつもならチッとかなんとか舌打ちをしつつも離してくれそうなものだが、全然離してくれる気配がない。
不審気に彼を見るも背中からは何も伝わらない。――いや、なんとなく怒っている風なのはわかるのだが。

「……ねえ、一方通行、私……なにかした、かな」

心当たりは一切ないものの、おずおずとそう尋ねてみる。
と、一方通行は止まった。
わっと、その背中にぶつかりそうになる。

「……オマエ、危機感ねェの?」

「……え?」

「……はァ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/27(金) 22:18:17.70 ID:6l9y1EGs0<> うわぁああミスった。
もう一回投稿です!




不幸にも憂さ晴らしとしてまた殴られた上条は家に放置して、美琴の腕をひっぱり一方通行は上条の家からとびだした。

「ちょ、ちょっと、一方通行、早いわよ!っていうか痛い!痛いから!」

後ろから聞こえる文句は無視して彼はずかずかと歩く。
いつもならチッとかなんとか舌打ちをしつつも離してくれそうなものだが、全然離してくれる気配がない。
不審気に彼を見るも背中からは何も伝わらない。――いや、なんとなく怒っている風なのはわかるのだが。

「……ねえ、一方通行、私……なにかした、かな」

心当たりは一切ないものの、おずおずとそう尋ねてみる。
と、一方通行は止まった。
わっと、その背中にぶつかりそうになる。

「……オマエ、危機感ねェの?」

「……え?」

「……はァ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/27(金) 22:18:54.86 ID:6l9y1EGs0<>
長いため息。
なんだか、疲れきったサラリーマンみたいだった。

「男と泊まるつゥのがどォいうことか、分かってンのかって言ってンだよ」

「……な、なにそれ。分かってるわよ」

一応もう中学生だし、と小さく付け足す。
今時の中学生は中々"そっち側”に敏感なのだ。

「じゃあなンでアイツの部屋に泊まったンだよ」

「たまたま近かったし……門限破っちゃいそうだったから……」

「そォじゃねェ!男の家に泊まることを良しとした理由だ!」

「お……幼馴染だし……当麻だし……そ、それにアンタの家にだって泊まってるじゃない!」

「……っ」

美琴の反論に、一方通行の息が詰まる。
美琴はばっと一方通行から腕をふりほどいた。

「……なにが言いたいのか、ハッキリいいなさいよ」

悪癖である漏電が発生した。
ばち、と恐ろしいほどの高圧電流が散る。
それをみて、一方通行はすこしだけ視線をさ迷わせて、それから、舌打ちした。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/27(金) 22:19:32.79 ID:6l9y1EGs0<>
「帰る」

次の瞬間には、もう姿は見えなくなっていた。
能力でも使ったのだろう。
どさ、と地面に座り込んだ。

「……何よ……」

美琴は一人呟く。
だって、だってあんなことを言われたら。

「アンタが、私を好きなみたいじゃない……っ!!」

どうせ妹のくせに。
どうせ恋人としてみてくれないくせに。
なんで――期待ばかり、させるのだろう。

「……馬鹿みたい」

あはは、と力なく笑った。
そして、携帯電話に手を伸ばした。




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/27(金) 22:20:07.56 ID:6l9y1EGs0<>


麦野沈利は家でごろごろしていた。
彼女の通う長点上機学園は今日は休みなのだ。

「……暇」

大抵のレベル5がそうであるように、麦野もまた友達が少なかった。
だから、休みというのもただの暇な時間。いや、とっても暇な時間なのである。
常盤台が休みだったら、美琴と遊びに行くのに、と麦野は退屈そうに欠伸をした。

「長点上機学園の知り合いで遊びに誘える奴……いや、あのむかつくレベル5は除外だっつの」

(いや、むしろ美琴がどう想ってるかさりげなく匂わせるチャンスか?)

麦野は数秒考えて、まあいっか、と結論を出す。そういうのは、本人達も問題なのだ。
自分が下手な横槍をいれてしまったら、むしろ悪いほうへ転がってしまうかもしれないし。
溜息をついて、テレビのリモコンを手にする。
テレビのチャンネルを次々に変えていくも、この時間帯はニュースばかりでつまらない。

「はぁ……二度寝でもすっかな……」

そういって、立ち上がろうとしたとき、ぷるるるる、と電話がかかってきた。
誰からだろう、と手にとって、麦野は目を見開いた。

『一方通行』

同じ長点上機の、もう一人のレベル5だった。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/27(金) 22:20:40.55 ID:6l9y1EGs0<>


「まったく、お姉様ったら私のテレポートがなかったらどうするおつもりでしたの?」

「あはは、ごめんごめん」

はい、と渡された鞄を受け取り、美琴は苦笑いで謝った。
白井に連絡し、鞄をとってこちらに来てもらうよう電話で頼んだら、すぐに駆けつけてきてくれた。どうやら、最初からそうするつもりだったらしい。
いい後輩を持ったなぁ、としみじみ思う。

(一方通行のことは考えてもしょうがないよね・・・・・・。はぁ・・・・・・)

美琴はため息をつき、空を仰いだ。
夏という感じはかなり息を潜め、すっかり秋らしくなった空は憎らしいほどよく晴れていた。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/01/27(金) 22:22:19.63 ID:6l9y1EGs0<> 久しぶりなのに少なくてすみません!!
そろそろくっつける頃が来た……いやまだなんでしょうか、どうなんだろう
今度こそ、もっと量多く!あける期間短く! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 09:16:52.32 ID:IzFKHREP0<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2012/01/29(日) 21:16:44.31 ID:9JKLuTwH0<> 乙
Lv5は友達がいないのか... <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2012/02/05(日) 10:06:32.57 ID:N1HzVljAO<> いつも楽しみにしてます
別のスレの方も読んでるぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/02/07(火) 22:29:47.10 ID:RLBr7D030<>


次の日の朝。

「じゃあね、また、放課後!」

それぞれの教室に行く途中の別れ道でいつものように別れると、彼はため息をついて歩き出した。
彼だけのために用意された彼専用の特別教室へ。

(……チッ)

せめて美琴がいればいいのに、と一方通行は無茶苦茶を言う。
美琴だけが自分の全てで。
美琴だけが自分の世界にいれば、それでいい。
自分の世界には、昨日の少年のような異物――見知らぬ他人は必要ない。
自分はそれだけで満足だし、それ以上を望む気もないし、それを守るためだけに命すら惜しまない。
そう考えて、
そう思って、
それだけで、良かったのに。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/02/07(火) 22:30:21.23 ID:RLBr7D030<>
「あ、お前昨日のやつじゃねぇか!」

「……――っ」

運命に悪戯をしたのは神か、学園都市を作った理事長か、はたまたただの偶然か。
少年――上条当麻は一方通行と美琴の世界に入り込んできた。
ずかずかと、物怖じせずに。

「そういや名前聞いてなかったよなー。ってか何組だ?俺は4組なんだけど――」

べらべらべらべらべらべらべらべら。
鬱陶しい。
昨日とは違い多少他人に慣れた一方通行がまず思ったのはそんなことだった。
自分に話しかけるのは美琴だけでいいのに。
と、そこで彼はこの少年が自分に話しかけている理由を思い至った。
多分――コイツは自分の正体を知らないのだ。
学園都市第一位――最強のレベル5。
だから話しかけてくる。
何も知らないから、こうやって、踏み込んで。
どうせ自分の正体を知れば、他の奴らと同じようにビビって尻尾巻いて逃げていくに違いない。
彼は自嘲気味に笑って、少年に初めて話しかけた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/02/07(火) 22:31:07.12 ID:RLBr7D030<>
「なァ、オマエ」

「ん? なんだ?」

「この学校には白髪赤目の学園都市最強がいるっつゥ噂、知ってるよなァ?」

「あー……聞いたことある、かも。それが?」

ここまで言って分からないのか、と一方通行は少々呆れる。
彼は嘆息し、

「それさァ……この俺なンだよねェ!!」

ついでに足を軽く踏んで校舎にひびをいれた。バキリという音が下から聞こえる。
それをみて、それまで一方通行の周りにいた児童達が泣きそうな顔でいっせいに距離をとる。
これが普通だ。
これが普通の対応だ。
これで誰に話しかけてるか状況を理解してビビって逃げるだろう、とたかをくくっている彼の予想を、しかし目の前の少年は打ち砕いた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/02/07(火) 22:31:32.32 ID:RLBr7D030<>
「へー、凄いんだなお前。それよりお前なんて名前?」

「……!? それ、より……?」

驚愕で目を見開く一方通行。
自分の力を見て、怯えもせず、さらりと流していったのはこの男が初めてだ。まあ、至極当然のことなのだが。

『おにぃちゃんののーりょく、すごーい』

そう言って喜んだ美琴を一瞬だけ思い出して、頭から振り払う。
今はこいつの対処が先だ。
さっさと追い払って、縁を切ってしまいたい。
自分のそばにいるのは、美琴だけでいいのだから。

「……どっかいけよ」

「?」

一方通行は低く、唸るように言った。
聞こえなかったのか、目の前の少年はきょとんと首をかしげる。
一方通行はぐ、と歯を食いしばり――

「どっかいけっつってンだよォォおおお!!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/02/07(火) 22:32:00.99 ID:RLBr7D030<>
刹那、バキン!!という音がして周りのガラスが粉砕された。
幸い児童たちは先程遠くに行っていたので、ガラスで怪我するものはいなかったが、一歩間違えれば大惨事になるような事態だ。
ふー、はー、と息をあがらせて自分を睨む一方通行に、少年ははぁ、と嘆息した。

「お前、何がしたいんだよ」

「……?」

「さっきの窓ガラス、下手したら誰かを傷つけるかもしれねぇだろ」

「ハッ、そォいうもンなンだよ、俺は。だから近づくな。目障りなンだよ」

「……昨日の子もか?」

「……っ」

一方通行の呼吸が止まる。
数秒たって、「……関係ねェだろ」とだけようやく返した。

「お前さ、さびしいんじゃねぇの?」

「……はァ?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/02/07(火) 22:32:29.56 ID:RLBr7D030<>
怪訝そうに眉をひそめる一方通行に、少年は物怖じせずに言う。

「俺はお前のことよくしらねぇし、お前になにがあったのかもしらない」

でも、もしかして、と少年は続けた。

「傷つけたくないから、そばにおかねぇんじゃないのか?」

「……っ」

あの子は別みたいだけどな、と少年は付け足す。
一方通行は忌々しげに顔を歪ませ、

「……うるせェ、何もしらねェくせに」

「そうだな、俺はなにもしらねぇ。だけど、そうじゃねぇかなって思っただけだ。そういうの、やめたほうがいいぜ。あの子も悲しむぞ? お前が一人でいたら」

「……うるせェ!!」

一方通行は思わず叫んだ。
その目に浮かぶのは、怒り。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/02/07(火) 22:33:00.83 ID:RLBr7D030<>
「オマエごときがアイツを語ってンじゃねェよ!!」

独占欲。
依存。
そういったドロドロと醜い感情が一方通行の内側から溢れ出す。
だめだ、だめだと叫ぶ自分がいた。
また、あの日みたいになってしまうぞ、と。
大人たちが総動員で自分を殺そうとしたあの日――に。
それでもとめられなかった。
彼には美琴しかいなかった。
だから。
だから――。

「ッッッ!!!!!」

風が吹き荒れた。
窓ガラスがさらに大破した。
廊下に地割れのようなものができた。
そして、それをやってのけたであろう彼の顔をみて、

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/02/07(火) 22:33:36.81 ID:RLBr7D030<>
「……いいぜ」

少年は、拳を固める。
まるで弱くていまにも折れそうな一方通行とは違う、強くて太い芯のようなものが彼にはあった。

「お前が、どうしてもいぞんするしかできないってんなら……」

少年は言う。

「まずは、そのげんそうをぶち[ピーーー]!!」







<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<><>2012/02/07(火) 22:35:47.20 ID:RLBr7D030<> saga忘れてたーっ!!なんかしまらない……
お久しぶりの投稿でした。過去編がようやくまとまってきたので投稿。
どこまでもどこまでも美琴に依存してますねー。美琴のほうは逆にそれをみて守ってあげたいと思うのでしょうが……。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/08(水) 10:43:31.18 ID:PTHP7Nbto<> どっちもイカれてやがるぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)<>sage<>2012/02/09(木) 16:09:40.34 ID:GYleA7990<> え
上条さん普通じゃない? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/02/12(日) 18:33:59.05 ID:49LqtZ280<> >>213能力的にって意味か?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/12(日) 22:43:51.15 ID:CYFaZcSRo<> いやいや、よくある表現だろ「イカれた野郎だ」って
マジレスすんなよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/12(日) 22:59:03.08 ID:I+UqaOS90<>

「まったく、お姉様ったら私のテレポートがなかったらどうするおつもりでしたの?」

「あはは、ごめんごめん」

はい、と渡された鞄を受け取り、美琴は苦笑いで謝った。
白井に連絡し、鞄をとってこちらに来てもらうよう電話で頼んだら、すぐに駆けつけてきてくれた。どうやら、最初からそうするつもりだったらしい。
いい後輩を持ったなぁ、としみじみ思う。

(一方通行のことは考えてもしょうがないよね・・・・・・。はぁ・・・・・・)

美琴はため息をつき、空を仰いだ。
夏という感じはかなり息を潜め、すっかり秋らしくなった空は憎らしいほどよく晴れていた。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/12(日) 22:59:30.68 ID:I+UqaOS90<>

「‥‥‥成程ねぇ」

「‥‥‥アイツ、何か言ったりとか」

「ないわよ、あったら言ってるっての」

はぁああああああ、と長いため息を出す目の前の友人とは言い難い人物に、麦野は呆れた。
電話で『相談事がある』と言われて家にあげたらただの惚気だった。ちょっと切れそうになる。
暇ではなくなったものの、馬鹿馬鹿しい。馬鹿馬鹿しすぎる。
そんな相談事にのってあげるのは、麦野がやさしいからということでは一切なく、ただ単に美琴絡みだから。

「気になるんなら自分で動けばいいじゃない」

「‥‥‥だってェ、気まづいしィ」

「媚声だしたって気持ち悪いだけだっての。つーか気まづいとかアンタはあれか、思春期の中学生か」

あほらし、と彼女は心の中で笑う。
一方通行はぐでー、と机にぶっつぶした。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/12(日) 23:00:00.54 ID:I+UqaOS90<>
「……俺さァ……嫌われたかなァ……」

らしくもない弱音にはあ? と首を傾げる。

「彼氏でもねェのに……あンなこと、言っちまって……」

ぱこん、と一方通行は頭を叩かれた。
頭をあげると、麦野が馬鹿馬鹿しい、とでもいうような顔をしている。

「何すンだよ……」

「馬鹿ね、あんた」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/12(日) 23:00:28.46 ID:I+UqaOS90<>
麦野は笑った。
それはまるで、無垢な子供の遊んでいる姿を見るような、そんな温かい何かを伴っていた。

「あんたたちの無駄に長い付き合いは、そんな程度で崩れるものじゃないでしょうに」

麦野にとって、美琴と一方通行の関係はとても……とても羨ましいものだった。
ほとんどのものが家族のいない学園都市で、まるで家族みたいな絆があるからだ。
しめ縄みたいな絆――とでも言おうか。本物のしめ縄と違うのは一本一本がそれだけで太いこと。元々太いくせに、さらにそれを手繰り寄せ大きな一本へと、太い、固い――そんな絆を作っている。
本当の家族では決してないけれど。
誰よりもどこよりも、二人は家族だった。

(っていうかこいつらが結婚したら本当の家族になるじゃねぇか……、かーっ!!羨ましいわね、こいつらも、その子供も)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/12(日) 23:00:57.51 ID:I+UqaOS90<>
選択肢に幸せしかないのなら、どれを選んだところで幸せになる。
そういうものなのだ、傍目からみてこの二人は。
ただ、その選択肢が見えていないだけで。

「……とりあえず、美琴に今日あんたに会うようにいっておくからね」

「……ありがてェけど、今日ははやすぎねェか?」

「馬鹿ね、こういうのはさっさと解決するべきなのよ。無駄に先延ばししたら変にこんがらがるかもしれないでしょ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/12(日) 23:01:37.72 ID:I+UqaOS90<>
そンなもンか? と首をかしげる一方通行。
麦野は携帯を操作して、美琴にメールを送った。
送信されました、と表示され、ぱたんと携帯を閉じる。

「さ、じゃあ帰った帰った」

「ェー」

「……なんで不満そうなのよ。早く自分の家に帰って懺悔の言葉でも考えてな」

ぐいぐいと渋る一方通行の背中をおして、麦野は無理やり追い出した。
ぱたんと玄関をしめ、はぁ、とため息。
まるで手のかかる妹達の面倒を見ているようだ、と彼女は思った。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/12(日) 23:02:36.60 ID:I+UqaOS90<> いきなり本編に戻ったりみにくいですよね、ごめんなさい。
本日の投稿終わり!むぎのんまじお姉さん!
<> sage<><>2012/02/12(日) 23:48:50.48 ID:bfXGy4at0<> イイモンダナ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/12(日) 23:50:13.87 ID:C/hQ5esg0<> ローマ字入力の弊害だろうけど一応、気まずい だよ
    <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/02/12(日) 23:58:49.23 ID:SxE9fp550<> 乙です!!むぎのんがカッコ良過ぎる!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/02/13(月) 05:18:31.07 ID:jhY0xqyg0<> >>1乙

面白い。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/23(木) 00:53:15.81 ID:E3DpXLFIO<> まだですCAR <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/02/25(土) 13:49:26.38 ID:yhHD8Uhp0<>

美琴はすぐに、これは夢なんだと理解した。
確か、これは――、

「あのね、あくせられぇたっていいにくいの」

「あっそォ」

「だからね、おにぃちゃんってよぶことにしたんだぁ、えへへ」

「なンでだよ」

確か、出会って二日目か、三日目のことだったと思う。
お布団の中で、真剣に考えた呼び名。
おにぃちゃん。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>saga<>2012/02/25(土) 13:50:02.86 ID:yhHD8Uhp0<>
「だってね、がくえんとしだと、ずっとひとりぼっちだし」

「…………」

「かぞく、ほしいなぁって」

「……勝手にしろォ」

一方通行はそういって、ぷい、とそっぽを向いてしまったけれど。
私は知っているよ、と美琴は思った。
そのとき、すっごく、嬉しかったんだよね――、




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>saga<>2012/02/25(土) 13:50:29.80 ID:yhHD8Uhp0<>

「――ん、御坂さん!」

「……うぇ……?」

ハッと目を覚ますと、教師が美琴を呼びかけていた。
慌てて垂れかけていた涎をぬぐって、しゃんと背を伸ばす。

「貴女が授業中に居眠りとは珍しいですね、何かあったのですか?」

「……い、いえ……何も」

美琴は頭を垂れると教師はすたすたと教壇のほうへと戻っていった。
急にあんな夢をみてどうしたんだろう、と彼女は首をかしげる。
疲れているのだろうか。

(って、あれ? メールきてる)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>saga<>2012/02/25(土) 13:51:04.32 ID:yhHD8Uhp0<>
『今日、放課後一方通行ん家にいきな 麦野』

(むぎのん……? アイツ、むぎのんのとこにいるのか……)

了解、と返信し、美琴は少し頬を緩ませた。
つまり、むこうは仲直りしてほしいっておもってるってことだよね、と。
携帯を閉じ、窓から空を見上げる。
朝みたときと同じはずの青空は、断然輝いて見えた。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>saga<>2012/02/25(土) 13:51:39.48 ID:yhHD8Uhp0<>



「「ごめん(ン)なさい」」

「わわわ私、売り言葉に買い言葉って感じで、その……うわぁああんごめんなさぁあいっ」

「お、俺こそォ……!!その、兄貴面でいろいろいっちまってェ……その、すまねェ」

ぺこり、と同時に頭を下げる二人。
その後、二人とも悪い、ということでこの件は片付いた。

「はーあ、なんていうか、上条さんは殴られ損かよ……」

仲直りをしたということで、呼び出された上条ははぁ、とため息をついた。
美琴は苦笑して、その肩をぽんぽんと叩く。

「あはは、ごめんね……。今度の金曜日はアンタの好物たっくさん作ってあげるから」

「じゃァ俺肉ー」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>saga<>2012/02/25(土) 13:52:06.75 ID:yhHD8Uhp0<>
「お前はちょっと反省しようか一方通行!」

いつもどおりの毎日。
いつもどおりの風景。
その様子に、ふっと美琴は微笑んだ。

「肉料理も作ってあげるわよ」

「よっしゃァ!ハッざまァみやがれェ!」

「おい美琴!お前完璧一方通行に甘いよなぁ!!」

「えー、ソンナコトナイヨー」

「嘘付け!!片言だし!!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>saga<>2012/02/25(土) 13:52:41.55 ID:yhHD8Uhp0<>

ぎゃあぎゃあと騒ぐ3人。
あまりにも楽しすぎて、
あまりにも幸せすぎて、
手放すことのできない、大切なもの――。
美琴は言う。

「……今日も平和ねぇ」

そして、一方通行と上条も返す。

「あァ」

「だな」







<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/25(土) 17:55:27.36 ID:F+0b/Won0<> ていとくんがまだ出てない… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/25(土) 20:30:26.96 ID:AypcCTgIO<> 乙
えっ、てか終わり? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>saga<>2012/02/25(土) 22:01:41.53 ID:yhHD8Uhp0<> あーっと、一応これで終わり……です。
結局くっつかなかったですね。この距離が一番いいかなーって。でもいちゃいちゃ電磁通行も書きたいから別スレ立ててかこう。うん。
ただ、続きを書いたほうがいいなら……時間があったらかくかもしれません。
でわ、ありがとうございました
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/25(土) 23:38:06.73 ID:DZ3gIhVDO<> 乙!

物語を書きやすい方にすればいいと思う。
どちらにせよ期待。電磁通行は大好物です。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/02/26(日) 05:46:20.76 ID:op0SlWoF0<> >>235スレタイ 回収乙

楽しく読ませてくれて>>1に感謝 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 13:06:18.67 ID:8/y2AL0Z0<> 続きを書くも書かないも自由だけど、これだけ余ってるんだからここで新しい話書いてもいいんじゃ?


 

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>saga<>2012/02/29(水) 18:34:50.67 ID:cHgyfVAf0<>
御坂美琴はその様子を見ていた。
昨日、一方通行に話しかけていた少年と、一方通行が殴り合っているのを。

「……おにぃ、ちゃん……?」

そう。
一方的にいたぶるのではなく、――“殴り合っている”のを。
あり得ないことだった。
彼の反射は、彼女以外を全て拒絶するはずなのに。
あの少年の拳は、確かに一方通行に届いていた。

「おにぃ、ちゃん……」

美琴は呟いた。
驚歎 、驚嘆 、驚異 、感歎――それのどれなのかは分からなかったけれど。
美琴は、ただ瞠目して、その様子を眺めていた。
止めるべきなのか、見守るべきなのか、判断がつかなかったから。
喧嘩というにはあまりにも強烈な余波を出しつつ、二人の少年は何度も交錯する。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>saga<>2012/02/29(水) 18:35:27.30 ID:cHgyfVAf0<>
「……おにぃちゃん」

睨みあって、
雄叫びをあげながら、
何度も何度も、立ち上がって。

「……あ、は」

美琴は――笑った。
良かった、と思う。
美琴には理解できた。
誰よりも一方通行をみてきたからこそ、分かった。

「……ともだちに、なれるかもしれないね」

一方通行と近づくには、一方通行に触れるようにならなくてはならない。
なぜだか、あの少年はそれができるようだった。

一方通行は悪意しか返さない。
善意は決して、反射しない。

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