SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 12:15:16.16 ID:L9FXhDXIO<>児童絵本のような、短くてちょっとほんわかする物語を書く場所があったらいいなと思って立てました。
<>絵本のような短編SSを皆で書くスレ SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 12:22:13.98 ID:aXh8PTPIO<> 199X年…世界は核の炎に包まれた…
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 12:37:28.41 ID:8IRn/Pfxo<> かいていいの? <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 12:50:19.07 ID:L9FXhDXIO<> たのむ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 12:53:17.53 ID:Z9Y9Jc8so<> 期待してる <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 12:53:58.63 ID:8IRn/Pfxo<> がんばって <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 13:09:05.24 ID:kEg+h8xd0<> とりあえず期待 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 13:46:22.48 ID:pD/3++0AO<> つまり絵本っぽい文体で何か書けばいいのかな <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 13:53:34.96 ID:8IRn/Pfx0<> >>2

ああ、なんて暖かい晩餐だろう。
糧米と生き物の血を消化する。形を壊していく。
彼らを殺して得た余生も、今日か明日か、そう遠くない未来に水泡と帰す。

――わたしは攻撃されていた。
この国は戦禍の中枢。人々の血と涙が飛び交う、戦火の地獄。
熾火はぱちぱちとその身を砕き、我々に災厄を知らせる。
飛び交う罵声、熱い世界と凍りつく時間。
生とは苦痛を迫る獄所でしかないと、今更ながらに理解した。
せめてわたしに、弔意の一つでもあればいい。
それだけ思って、わたしは宛のない目的地へと駆け出した。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 13:55:58.46 ID:8IRn/Pfx0<> >>9

戦争だ。
紛れも無く、この場所は戦禍の中心だ。
人々は口々に、戦争を人類の自業自得と厭う。

天災とは天から降る災厄を言う。
けれどこの悪夢だって、誰も望んじゃいない。
神からの、それこそ報復と呼ぶに相応しい。
我々の告解も聞き届けず、彼らはただ、死の雨を呼ぶ。

暖かいお湯に身を沈める。
口許からぷくぷくと泡が立つ。わたしはかろうじて、自己を認識できた。
軽い浮翌遊感と艶やかな肢体、五体満足を幸せと噛み締める。
頬を伝う雫に、歪んでいくこの視界にさえ、わたしは愛おしさを覚えた。
――この身が可愛くて仕方ない。
恥ずかしげもなく、そう呟いた。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 13:59:37.01 ID:8IRn/Pfx0<> >>10

拝啓、おばあちゃん。

あなたがまだ若いころ、焦がれて望んだ、平和な世界。
ようやくそれが叶って、当時は狂喜乱舞したと話していましたね。

しかし、この国はふたたび同じ過ちを犯してしまいました。
199x年。この国は、もう駄目です。

核よりも非道で、悪辣で、愚劣の極み。
あのときより、我々人類は盲目となったのかもしれません。

わたしはこれを、良心痛めつけ戦争と命名したいと思います。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 14:05:24.04 ID:8IRn/Pfx0<> >>11

テーブルの上に、ラップのかぶさった朝食。
時刻は十一時を回っていた。

両親は仕事に出かけたらしい。
わたしは朝食を掻っ込んで、再び布団へ戻った。


――ああ、この国はどこまで腐っているのだろう

そうつぶやき続けて、数時間。玄関から物音がした。
母がわたしを呼ぶ声がする。

行かなければ。
わたしは、自前の自尊心と理論武装を装備して、歩兵のごとく起立、進行した。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 14:05:25.30 ID:GPGNeuYDO<> なんかいっぱい来てるが絵本ってこんな文体だったか……?
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 14:09:30.90 ID:8IRn/Pfx0<> すまん文体は目を瞑ってくれ。中身はたぶん絵本だから

>>12

母に慰められること、数時間。父が帰宅した。

飛び交う罵声。
わたしに突き刺さる憐憫の視線。

目を伏せて黙りこむわたし。

いいのよ、いいんだ、とわたしを抱く両親。


ほら、あなたの好きなハンバーグよ、とにこやかな母。
今日も数々の命が、わたしのために命を散らせていく。
一日中、寝てばかりのわたしのために。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 14:09:43.42 ID:4J7RhbjIO<> ちがうよ
ぜんぜんちがうよ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 14:19:44.28 ID:8IRn/Pfx0<> >>14

おばあちゃん、わたしはもうすぐ三十歳になります。
仕事はありません。

わたしは攻撃されています。
わたしの良心はこんなにもぼろぼろで、傷だらけです。

何一つとして、わたしは社会の役に立っていないというのに、寝てばかりだというのに。
暖かいご飯や暖かいお風呂が無償で提供される。

なんて惨忍な国でしょう。
現在、この国は冷戦より冷めた戦争を行っています。

かの国は、どうしようもない社会不適合者を攻撃しています。
精神を痛ぶり、幾多もの民を自殺へと追い込み、国力の低下を企んでいます。

わたしもそろそろ、ダメかも知れません。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 14:23:38.44 ID:8IRn/Pfx0<> 本当にすまなかったと思ってる。血迷った
出直す <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 14:25:18.96 ID:+VhXIoSGo<> ああ!
このスレはどうなってしまうのでしょうか! <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 15:21:12.31 ID:C0bHn45Yo<> 絵本っぽさが分からなくて家にあった絵本読んでみたけど、けっこう面白いな

書くとして、全部ひらがなでもいいの? <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 15:23:42.23 ID:oxqWHpjAO<> ヤンデルとグレテルは、双子の兄妹。

いつも仲良しで、いつも一緒。

遊ぶときも、寝るときも、お風呂だって二人は一緒。

ヤンデルはとっても人間不信。
グレテル以外は大嫌い。
でも、グレテルのことはとっても大好き。

グレテルはとってもいじわる。
ヤンデル以外は大嫌い。
でも、ヤンデルのことはとっても大好き。


ある日、グレテルが村の女の子を脅して遊んでいるのを、ヤンデルが見ていました。

お兄様に近付く女は許さない。

次の日、女の子は熊に襲われて死んでしまいました。


ある日、ヤンデルが村で一番格好の良い男の子に声を掛けられるのを、グレテルが見ていました。

お姉様に近付く男は許さない。

次の日、男の子は悪い人に襲われ、顔がボコボコになり村一番の不細工になってしまいました。


ヤンデルとグレテルは、双子の兄妹。

いつも仲良しで、いつも一緒。

二人は、兄妹で、恋人で、夫婦。

今日も、二人は裸で一緒に寝ています。
来年は、三人になってるといいね。



即興ではこれが限界だ……
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 15:30:19.80 ID:GPGNeuYDO<> >>20
本当は怖いシリーズを思い出した
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 15:44:48.94 ID:C0bHn45Yo<> むかし、あるところにおんなのこがいました。
おんなのこは、まいにちたのしそうに、おともだちとあそんでいました。
おうちでは、おとうさんとおかあさんといっしょにごはんをたべて、いっしょにねていました。

おんなのこはまいにちがたのしくて、いつも
「ずっとこのままたのしくいたいなあ」
とおもっていました。

それからなんねんも、じかんがすぎていきました。
おんなのこには、おとうとができました。
おかあさんは、おんなのこのからだがそだたないことを、ふしぎにおもいました。

おとうとのたんじょうびがくるたびに、おとうとのからだはおおきくなっていきます。
でも、おんなのこはずっとかわりませんでした。

「おねえちゃんはなんでおおきくならないの?」
おとうとは、いつのまにか、おんなのこのしんちょうをこえていました。
おんなのこはねがいがかなったんだとよろこびました。
でも、おんなのこはさみしくなりました。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 15:46:33.31 ID:C0bHn45Yo<>
おんなのことあそんでいたみんなは、おとなになっていました。
おとうとも、おとなになっていました。
おんなのことあそぶひとは、いなくなっていきました。

おとうさんはおじいさんになって、おかあさんはおばあさんになりました。
でも、おんなのこはこどものままでした。

おんなのこは、ひとりぼっちになりました。

でも、おんなのこは、あることにきがつきました。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 15:47:22.16 ID:C0bHn45Yo<>
おんなのこがまいにちみてるまちのけしきは、まいにちちがうかおをしていました。

はるはおはながさいて、ちょうちょはたくさんとんでいます。
なつはむしたちがおおさわぎ。
あきはみわたすかぎりのあかいとんねる。
ふゆはじめんがしろくおけしょうをしています。

おおきなたてものがたくさんできて、まちがむかしのまちでなくなりました。
それでもすこしずつかわっていくまちは、おんなのこにとってはたのしいものでした。

おんなのこはまいにち、かわったところをみては、おどろいて、わらっていました。

おんなのこはいまもこれからも、かわるけしきをたのしんでいることでしょう。


書いてて訳分からなくなった <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 15:49:46.89 ID:auTvbVQv0<> うーむ……
無理にひらがなじゃない方が読みやすいんじゃない? <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:07:15.54 ID:oxqWHpjAO<> せっかくだからもう一個

注文の多い幼馴染

その日、男が幼馴染と遊ぼうと思い家を訪ねると、ドアに張り紙がしてありました。

「どうぞ、ごじゆうにおはいりください」

男は、面倒がなくていいや、と張り紙のとおり勝手にドアを開け家に入ります。

玄関にはまた張り紙があり、次のように書いてあります。

「くつはこちらでおぬぎください。 よこのおしぼりもどうぞ」

男は、気が利いてるな、と靴を脱ぎ、おしぼりで顔と手を拭いて家にあがります。

廊下にもまた張り紙がありました。

「ふくはぬいでそちらのかごにいれてください」

男は、何故服を脱ぐ必要があるのだろう、と思いましたが、結局服を脱ぎカゴに入れました。

階段にもまた張り紙があります。

「こちらのぬれたおるでからだをふいてください」

男は、外は暑かったからなぁ、と全身を濡れタオルで拭きました。

二階の廊下にもやはり張り紙があります。

「これがさいごです。 そのえきたいをこかんにぬってください」

男は、せっかく体を拭いたのに、と思いつつ、ヌルヌルと糸を引く液体を股間に塗りたくります。

いつの間にか膨らんだ股間を揺らしながら幼馴染の部屋に着くと、ドアにはやはり張り紙があります。

「おつかれさまでした。 それではどうぞめしあがれ」

ドアを開けると、裸で股を開いた幼馴染が待っていました。

男は幼馴染を美味しくご馳走になり、満足げに家へ帰ったそうです。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 16:12:55.55 ID:GPGNeuYDO<> 何で俺は興奮したんだろう…
シュールさが好きだ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 16:14:14.60 ID:GPGNeuYDO<>
ルーくんは、ネコのルルと仲良しだ。
ルーくんがルルを撫でると、ルルは「あぁ気持ちいいなぁ」と目を閉じるし、
ルルがルーくんにすりよると、ルーくんは「あぁ気持ちいいなぁ」と目を閉じるんだ。 
ふたりは一番の友だちだったし、ふたりはいつも喜びを共有していた。
それが当然だと思っていたんだ。
あるときルルは言った。
――お庭におうちをつくったんだ。
ルーくんはびっくりして、
「おうちって、あのおうちかい?」
だってルーくんは、おうちは大人じゃないとつくれないと思っていたんだ。
ルルはうれしそうにして言った。
――そうだよ。ルーくんも招待してあげる。
それでふたりはおにわに出たんだけど、ルーくんがいくら見渡してもおうちは見つからない。
「どこにあるんだい?」
ルルは草を掻き分けて、小さなあなぐらをルーくんに見せた。
ルルは自慢げに中にピョンと入ってみせると、続けて「さぁどうぞ」と言ったようにニャアとないてみせた。
ルーくんはそれを見て困ってしまったんだ。
だって、とてもルーくんが入れるようなあなぐらじゃなかったから。
いつまでたっても入ってこないルーくんに気がついたのか、ルルはルーくんに聞いた。
――何で入ってこないんだい?
「だって、とても小さくて入れないんだよ」
そう言ったらルルはびっくりしたように小さなあなの中でビンと尻尾を伸ばしたんだ。
そして悲しそうに言った。
――そっか。ごめんねルーくん。僕のおうちに招待したかったんだけど。
それを見てルーくんも悲しくなってしまった。
ルーくんもルルのおうちでいっしょに遊びたかったのだ。
どうしたらいいのかと考えていると、
「あ!」
――どうしたの、ルーくん。
「そうだ。ルル。僕はとっても素敵なことを思い付いたよ」
ルーくんはそう言うと、ルーくんとお母さんたちのおうちから、ダンボールとクレヨン。
それにハサミとガムテープを持ってきた。
ジョキジョキ。
ペタペタぺタ。
ルーくんはダンボールを切って、貼って、塗って。
――わぁ!
ひとつのおうちをつくりあげた。
「これをルルのおうちと繋げるんだよ」
ルーくんはダンボールのおうちに小さなあなをあけた。
それはルルのおうちの入り口にピッタリの大きさだった。
ルーくんは最後にクレヨンをもつと、ダンボールの入り口に大きく文字を書いた。
――ルーくんとルルのおうち、だって!
ルーくんは笑うと、
「じゃあ僕とルルのおうちに招待してもらえるかな?」
――もちろん!
ルルもうれしそうに笑い返した。


いろいろ書いておいてなんだが難しいなこれ…
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:22:16.01 ID:oxqWHpjAO<> >>28
「だって、とても小さくて入れないんだよ」

から、ルルがノコギリでルーくんの身体を切り刻み「これで入れるね!」と喜ぶ話だと想像したうちはこのスレに居てはいけないようだ。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>saga<>2011/12/30(金) 16:32:46.93 ID:Omb0celZ0<> 午後九時の、静かで心地よいカフェの店内。

客はルーシアと小町の二人しかいない。

「小町。私、殺されるわ」

ルーシアはひどく辛そうな顔でそう呟いた。

小町はルーシアのそのような発言に慣れているのか、面倒だといった表情で、どうしてなの? と訊ねた。

「カレーが来ないのよ」

「ご愁傷さま」

「マスターは私を空腹によって殺す気だわ。彼は殺人犯になるのね。誰も知らない秘密の殺人犯よ」

「来ないのはね、ルーシア。理由があるのよ。だってあなたカレーを注文していないのだもの」

「そう、なら私はハヤシライスが食べたいわ」

「パンが無いのならケーキを食べればいいわって言ったお姫様以上に理不尽で世間知らずね、貴方は」

「あら、パンが無いのなら開き直ればいいわ」

ルーシアはそう言ってクスクスと笑い始めた。それを見ていた小町もなんだか可笑しくなって
二人で楽しそうに笑い始めた。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>saga<>2011/12/30(金) 16:33:15.33 ID:Omb0celZ0<> 店を出て、二人は手をつないで散歩をする。

ねえ、どこに行きましょうか。とルーシアが小町に訊ねる。

小町は、分からない。とぶっきらぼうに応える。

私たちは一体どこに行きたいのだろう。私たちはどこに向かっているのだろう。小町にはそれがだんだんと分からなくなっていたが、しかしどうでもよかった。

「じゃあ、月を目指しましょう」

ルーシアがそう言って、つま先立ちで一生懸命に月を指さしていた。

「そうね、素敵な意見だわ」

「ねぇ、なんで人類は月を目指すのだと思う?」

「TSUTAYAに行くより夢があるからよ」

ルーシアは小町のその返答に嬉しくなって、ぴょんぴょんと二回ばかし月へ向かって跳ね上がった。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>saga<>2011/12/30(金) 16:33:42.12 ID:Omb0celZ0<> 流れていく夜と、孤高を持て余す寂しがり屋の月は漂う。

無数に存在するクレーター。月の兎が、地球からやってきた奴を落としてやろうと、幼い悪戯心のために開けた穴。

それは無情にも月の住人の墓穴になり、そして誰もいなくなった。

「これが真実よ」

ルーシアは得意げにそう言った。

「真実は一人ひとり違うものよ。月はただの惑星よ」

「小町にはロマンがないわね。」

「だって想像でしょう。人々は自分に触れられないものに夢を持ってしまうのよ」

「触れられない……かぁ。人はなんで月にいけないのかな」

「あら、もう辿り着いてるわよ」

「えっ、本当に?」

「猿の惑星」

「それこそ想像じゃない。そういう悪意のある冗談は嫌いだわ」

小町はにっこりとほほ笑みながらゴメン、ゴメンと謝る。

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>saga<>2011/12/30(金) 16:34:10.33 ID:Omb0celZ0<>
「月は遠いわね、小町」

「そうね、隠し事をして嘘をつく友人との心の距離ぐらい遠いわね」

「遠すぎて見にくいわね」

「ええ、遠すぎて醜いわ」

「物が溢れすぎて見えにくくなってしまったのかしら」

「そうよ、者が溢れすぎて見えにくくなってしまったのね」


12月の妖精が遊び始めたこの季節の風は、彼女らの肌を滑って、内側へと浸み込んでいく。

ひとしきり寒さを味わい、それから白い息を吐く。

煙草を吸ったみたいにふわっと白い息が飛び出して、なんだか少し大人になったような気分がしたけれど、煙草を吸ったことがない小町たちは結局、白い息ではしゃぐことのできる純粋な少女のままなのだ。

月へ向かって何度も空を見上げながら歩いていく。

けれど、それはもしかしたら空ではないのかもしれない、とルーシアは思う。

空は海の色を反射しているだけで、自由もなにもないのかもしれない。

空は思ったより楽じゃないぜ、木々に止まる鳥たちがそう囁いたような気がしてルーシアはほほ笑む。

それを見ていた小町が一言

「一人で笑うのって、あまり良くないらしいよ」

<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>saga<>2011/12/30(金) 16:34:36.89 ID:Omb0celZ0<> 「ねえ、月にエスカレーターをかけたらどうかしら」

ルーシアは突然そう言って、手と手をこすり合わせた。

「ねえ、ルーシア。それはズルよ、反則なのよ。宇宙にあるのは”天”だけ。空の上には”天”しかないの。生身の人間が簡単に行ってはダメなのよ。天は死者が行くところでしょ? それで死っていうのは無になること。つまり空の上には無しかないのよ」

「そうなの? 浮かれあがった景色なんてものは無いのね」

「そうよ。まるで不思議の国のアリスに出てくる時計ウサギのように、彼らはね、月のウサギは理不尽でパラドクスな地下世界へと私たちを陥れるだけだわ。落とし穴へとうまく誘導してね」

「じゃあ、月は危険なところなのね」

「そうね。だけど夢はあるわ」

「Down,Down,Down.Alice went down a big hole.」

「えっ?」

「私たちは今からアリスになるのよ。この世は不思議なことばっかだわ。不思議の国」

「穴の中に、深く、深く、深く、落ちていくのね」

「そうよ、コンビニに行くより夢があるでしょう」





「この星にメロディーを」

「月にロックンロールを」
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 16:48:34.62 ID:8IRn/Pfx0<> 『ほしとゆめ』


流れ星が綺麗な夜でした。
わたしは暖かな腕に抱かれています。
黄色くんと青くんが踊って、きらりと、またひとつ。
青い空は広がって、流れ星はどんどん生まれていきます。

「ひとになりたいな」

あまりに綺麗なので、流れ星に願い事してみました。。
やがて、黄色くんと青くんはいなくなってしまいました。


すると次の日、わたしは人になりました。
けれど、あんなに仲のよかった肌色くんが見当たりません。
となりには女の子がいます。
いつもわたしを抱いてくれている子です。
わたしは女の子に、肌色くんのことを訪ねてみました。

「はだ色くんはねがいごとを叶えてくれたの」

次の日になっても、夜空の流れ星は消えません。
わたしはもう一度、流れ星に願い事してみました。

「さみしいよ。もっとともだちが欲しいな」

わたしは期待を胸に踊らせながら、明日になるのを待ちました。


すると次の日、わたしの足元には可愛い子犬さんが走り回っていました。
首を撫でるとくぅんと鳴きました。
けれど、あんなに仲のよかった白色くんが見当たりません。
わたしは女の子に、白色くんのことを訪ねてみました。

「しろ色くんはねがいごとを叶えてくれたの」

ともだちが増えて喜んでいたけれど、
わたしはとうとう悲しくて泣いてしまいました。


その次の日になっても、夜空の流れ星は消えません。
わたしはもう一度、流れ星に願い事してみました。

「みんなとまた遊びたい!」

わたしは期待を胸に踊らせながら、明日になるのを待ちました。


その次の日、わたしは笑顔になっていました。
まだ夜は明けないけれど、暗くなんてありません。
青々しいはらっぱに、色とりどりのお花がたくさん咲いています。
夜空にはとりさんが沢山いて、たいようとつきが仲良く並んでいます。

まんなかに、わたしと女の子と子犬が笑っていました。
みんなのいた小さなかごの中は、からっぽです。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>saga<>2011/12/30(金) 17:53:35.89 ID:auTvbVQv0<> 投下してもいいかな?
1レスもらいます。 <> 北風と太陽<>saga<>2011/12/30(金) 17:54:23.50 ID:auTvbVQv0<> 『北風と太陽』
 
 ある日太陽は言いました。
 
 「なあ北風、お前俺に負けたままで悔しくないのか? お前がその気ならいつでも相手になってやるぜwww」
 
 それを聞いた北風は少し怒って、
 
 「暇なんですか? いいでしょう。前の勝負は納得してなかったんです。もう一度やりましょう」
 
 と言いました。
太陽は内心、ださっ! 何こいつwwwwと思いましたが口には出しませんでした。
そして太陽は問いかけます。

 「……で、勝負方法はどうすんだよ? しょうがないからてめえに決めさせてやるよww」
 
 北風はさらに怒りを増して言います。

 「何を余裕面しているのですか。勝負方法なんてなんでもいいです。前と同じでいいじゃないですか」
 
 「馬鹿だこいつwwwwwwwwまたかよwwww学習しろwwww」
 
 太陽は思わず噴き出しました。


 
 そして勝負の日。北風と太陽は都市部の真上に来ました。
 
 「それではまずマントを着た旅人を探しましょう」
 
 と北風が言うと太陽は、

 「うはwwwwマジかこいつwww旅人(笑)とかwwwwいつの時代だwwww」

 と、思いっきり笑いました。北風はまた馬鹿にされたと顔を真っ赤にして怒ります。
 
 「じゃあどうやって勝負決めるって言うんですか!!」

 「旅人じゃなくても適当にひんむいていけばおkwww」
 
 ……勝負方法が決まりました。


 「じゃあまず私から行きましょう。」
 
 「逝ってら(笑)」
 
 「……前の時は風の力が足りなかったから悪いのです。今度はもっと……」
 
 北風は大道りめがけて思いっきり冷たい風を飛ばしました。
びゅうううう! と音が鳴り響き、たくさんの人が吹き飛ばされて行きました。
……そうです、北風は馬鹿なのです。
 
 「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
 
 太陽は10分ほどおなかを抱えてうずくまりました。
 
 そして次は太陽の出番です。意気揚々と向かっていき、
 
 「要はあいつらの服がなくなればいいわけよ。全部燃やしてやんぜ」

 と、言いました。
  
 「そんなのダメですよ! 人に迷惑をかけるなんて……」
 
 「 お ま え が 言 う な 」

 太陽は思いっきり炎をまき散らします。しかし北風も負けじと冷たい風で対抗しました。
 
 「させません!」
 
 冷たい風は一瞬で水に状態変化を起こし、そして都市部を水蒸気爆発で吹き飛ばしました。
 
 ……どうやら今回は引き分けのようです。
 
 おわり <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 19:07:49.69 ID:L9FXhDXIO<> >>35
これおもしろい <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 19:25:55.82 ID:8IRn/Pfx0<> おかしかったので修正
>>38ありがとうリベンジできた

『ほしとゆめ』


流れ星が綺麗な夜でした。
わたしは暖かな腕に抱かれています。
黄色くんと青くんが踊って、きらりと、またひとつ。
青い空は広がって、流れ星はどんどん生まれていきます。

「ひとになりたいな」

あまりに綺麗なので、流れ星に願い事してみました。
やがて、黄色くんと青くんはいなくなってしまいました。


すると次の日、わたしは人になりました。
けれど、あんなに仲のよかった肌色くんが見当たりません。
となりには女の子がいます。
いつもわたしを抱いてくれている子です。
わたしは女の子に、肌色くんのことを訪ねてみました。

「はだ色くんはねがいごとを叶えてくれたの」

次の日になっても、夜空の流れ星は消えません。
わたしはもう一度、流れ星に願い事してみました。

「さみしいよ。もっとともだちが欲しいな」

わたしは期待に胸を躍らせながら、明日になるのを待ちました。


すると次の日、わたしの足元には可愛い子犬さんが走り回っていました。
首を撫でるとくぅんと鳴きました。
けれど、あんなに仲のよかった白色くんが見当たりません。
わたしは女の子に、白色くんのことを訪ねてみました。

「しろ色くんはねがいごとを叶えてくれたの」

ともだちが増えて喜んでいたけれど、
わたしはとうとう悲しくて泣いてしまいました。


その次の日になっても、夜空の流れ星は消えません。
わたしはもう一度、流れ星に願い事してみました。

「みんなとまた遊びたい!」

わたしは期待に胸を踊らせながら、明日になるのを待ちました。


その次の日、わたしは笑顔になっていました。
まだ夜は明けないけれど、暗くなんてありません。
青々しいはらっぱに、色とりどりのお花がたくさん咲いています。
夜空にはとりさんが沢山いて、たいようとつきが仲良く並んでいます。

まんなかに、わたしと女の子と子犬が笑っていました。
みんなのいた小さなかごの中は、からっぽです。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 20:09:42.57 ID:OHZQ7MsSO<> 何故今までなかったって感じのスレだな <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 22:43:37.50 ID:6fIn5C7AO<> ぱっと思いついたものを一つ。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 22:45:45.82 ID:6fIn5C7AO<>

『なんだかとっても悲しいの』




わたしね、なんだかとっても悲しいの。

お気に入りのシールがなくなっちゃった。

大好きなあにめが終わっちゃった。

サンタさんがいないって知っちゃった。

でもね、そんなことじゃないの。


くまさんのぬいぐるみが汚れちゃった。

ピアノの発表会で上手に弾けなかった。

お友達とケンカしちゃった。


でもね、そんなことじゃないの。



わたしがね、本当に悲しいのはね―――



わたしとおんなじとしの子や、
わたしよりもっとずっとちっちゃな子が。

もしかしたら、お友達になれたかもしれない子が。
もしかしたら、同じあにめをみていたかもしれない子が。

将来、わたしのお母さんのような優しいお母さんになるかもしれない子が。
将来、わたしのお父さんのようなかっこいいお父さんになるかもしれない子が。

わたしのように走るのが苦手な子が。
わたしのように幸せかもしれない子が。

もしかしたらまだ愛を知らない子が。


たくさんのかのうせいをもつわたしたちが。


理不尽に命を奪われることが。

わたしはとっても悲しいの。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 22:49:37.52 ID:oxqWHpjAO<>
100万回死んだ男


その男は、死ぬ度に何故か生まれた時に戻り生き返ってしまいます。

一回目は、事故でした。右腕と左足が千切れ、苦しみながら死にました。

十回目は餓死しました。子供のうちに育児放棄され、何も食べることなく飢えて死にました。

百回目は殺害されました。ナイフで内臓を抉られ、苦しみながら死にました。

千回目は自殺しました。苦しくないよう睡眠薬を飲みましたが、嘔吐した吐瀉物が喉につまり苦しみながら窒息死しました。

一万回目は病死でした。投薬の副作用で苦しみ、病魔に苦しんで死にました。

十万回目は老衰でした。年を取って体の節々に痛みを感じながら朦朧として死にました。

99万9999回目に生き返ったとき、男は考えました。

もし死ななかったらどうなるんだろう?

男は繰り返した人生を上手に活用し、手に入れた財産で自らの不老不死を求めました。

ついに死ななくなった男は、長い年月の末気付きます。

自分が死にたくても死ねないことに。

ついに自分以外の生命が死に絶え、たった独りになっても死ねません。

そうして、ついに男の心は死んでしまいました。

良かったね、もう生き返ることは有りませんよ。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 23:24:28.09 ID:rk7TWA4qo<> >>43
ブラックだなぁ良いね <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 23:32:22.91 ID:5SDMTHmTo<> そんなことより俺のイチモツをみてくれ

どうだ?立派だろ?

俺はジョニーと違って、チンクワットとちん筋を毎日欠かさずにやってるからな

しかしこれだと君のアナルに入るか心配だ

だから君は今日からアナルに水筒を突っ込んで生活してくれ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 01:19:47.05 ID:3UwkF6eIO<> ある日、村はずれの森で、男の子が迷子になってしまいした。
男の子は、昼でも薄暗い森と、動物たちの鳴き声に怯えて、助けを呼びました。
「おおーい、誰かー! たすけてよー!」
すると、返事がありました。
「どうしたんだい。迷子になったのかい?」
男の子が振り向くと、大きなシルクハットを目深にかぶり、口まで覆う大きなコートを着た、男の人が立っていました。
「ここは危ないよ。どうだい、もう暗くなるし、私のお家においで。暖かいスープと、あまぁーいお菓子を食べさせてあげるよ」
男の子は、森に迷って心細かったのと、やっと人に会えたことで安心して、男の人について行きました。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/31(土) 01:20:17.54 ID:3UwkF6eIO<>

「わぁ! すごくおいしいよ!」
「それはよかった」
男の子の前には、暖かいスープと、おいしいご飯、それに、あまぁーいお菓子がたくさんたくさん並んでいました。
男の子が美味しそうに食べているのを、男の人はテーブルの反対側で楽しそうに見ていました。


<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/31(土) 01:20:46.26 ID:3UwkF6eIO<>

朝になって、男の子は森の入り口まで案内してもらって、お別れの時間になりました。
「さあ、お別れだ」
男の人は男の子の頭をつかむと、今までかぶっていた、大きなシルクハットを脱ぎました。
そこに現れたのは、大きな目と、大きな口と、大きな耳!
そう、男の人の正体は、狼男だったのです!
「怖いだろう、私が怖いだろう! 今からお前を食ってやる! 森に入ったことを、後悔するんだな!」
でも、男の子は、キョトンとして言いました。
「ぜんぜん、こわくないよ?」
「ええっ!?」
「だって、僕のお母さんが言ってたもの。本当に美味しい料理は、本当に優しくて、人のために何かをできる人じゃないと作れないって」
男の子は、笑顔で続けます。
「あなたのお料理、とってもとっても美味しかったよ! 優しくしてくれてありがとう!」
狼男は、男の子の言葉を聞いて、大声で泣き出しました。
そして、男の子に言いました。
昔から村の人に怖がられて、ずっと一人ぼっちだったこと。
森に迷い込んだ子供にごちそうをふるまっては、二度と森に近づかないように脅かしてからお別れをしたこと。
ずっとずっとさみしくて、友達が欲しかったこと。
たくさんのことを、泣きながら話しました。
男の子は、狼男の頭を撫でながら、じっと話を聞いていました。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/31(土) 01:22:36.47 ID:3UwkF6eIO<>

狼男がやがて泣き止むと、男の子は言いました。
「ここで待っていて!」
そして、村に向かって一目散にかけていきました。
狼男は、大きなシルクハットを目深にかぶり直すと、男の子を待ちました。
やがて、狼男は遠くに男の子の姿を見つけました。
いや、それだけではありません。
子供から大人からおじいさんやおばあさんまで、大勢の人が男の子と一緒にやってきたのです。
そのうちのひとりが、狼男にかけよってきて言いました。
「あのときはありがとう! あなたがいなければ、私は今生きてはいないでしょう」
クマに食べられそうになっているのを助けた人。
「わたしもだ! あなたのおかげで、こうして妻も子供もできた! ありがとう!」
崖から落ちそうになっているのを助けた人。
「あなたが薬草をとるのを手伝ってくれたおかげで、子供がすっかり元気になりました!」
森の奥にしかない薬草を探す手伝いをした人。
たくさんの人が、狼男の手をとっては、ありがとう、ありがとう、とお礼をいいました。
そして、狼男は、それをみんな覚えていました。
「みんな、私のことが怖くないのかい?」
「もちろん」
「だって私たちは」
「あなたが自分の正体を言う前から」
「あなたの正体を知っていたんだもの」
狼男は驚いてたずねました。
「ええっ!? そんな、どうしてだい!? けむくじゃらの体はコートで見えなくしてるし、口も目も耳も、ちゃんと隠していたのに!」
村人たちは、顔を見合わせて、また、笑顔で言いました。
「だって、大きな尻尾が、いつも見えているんだもの」
「げぇーっ!」
村人たちは笑い合い、狼男も、恥ずかしくなって、でも嬉しくて、一緒に笑いました。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/31(土) 01:23:04.88 ID:3UwkF6eIO<>

こうして、ちょっとだけドジで、でも、とてもとても優しい狼男は、村人たちと、ずーっと、幸せに暮らしましたとさ。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 01:23:44.27 ID:3UwkF6eIO<> おわり
結構繁盛しててよかった
これからもなにとぞよろしくお願いします <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 09:16:32.27 ID:S4/Q0mJAO<> これだけ短い作品が集まると読み応えがあるなぁ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/31(土) 10:38:18.24 ID:IH4viK0AO<> 他の書いてる間の息抜きにいいよね、メインより筆が進む進む……

さて、今日の一作

夢の遊園地


幼女ちゃんのおうちはお父さんと二人で貧乏。

毎日おかずを分け合って、二人でなんとか暮らします。

でも、幼女ちゃんは辛くなんてありません。

なぜなら、夜眠ると夢の遊園地に行けるんです!

昼間は一度も行ったことがない遊園地、 でも夢なら毎日何度でも。

今日も幼女ちゃんは夢の遊園地を訪れます。


入り口では、着ぐるみがお出迎え。

今日はクマさんとライオンさん!

ギュッとハグして、顔をペロペロお出迎え。


あはは、くすぐったいよ!


いつも、お父さんの代わりに一緒に遊んでくれるんです。


二人と手を繋いで早速遊具へ。

最初はコーヒーカップです。
二人と乗り込み、両手でハンドルを握ってグイグイ動かします。
二人もとっても楽しそう!


次はメリーゴーランド。
向かう間にも着ぐるみたちが高い高いして幼女ちゃんを楽しませてくれます。


あはは、イタズラしないでよぅ!


おやおや、クマさんがくすぐったりしたようですね?


そうしているうちに到着!
早速幼女ちゃんはクマさんとメリーゴーランドに乗り込みます。

ゆっくり動き始めたと思ったら、不思議な音楽に合わせて次第に速く。
あんまり勢いがついて、幼女ちゃんは振り落とされそう。
でも、クマさんがしっかり支えてくれるから大丈夫だよ。

降りるとライオンさんがジュース片手にお出迎え。
あまーいジュースをストローで飲むと、幼女ちゃんはニッコリ。
つられてライオンさんもニコニコしています。

さぁ、次はどんな乗り物に乗ろうかな?


楽しい時間はあっという間におしまい。
幼女ちゃんもおうちに帰る時間です。

クマさんとライオンさんも寂しそう。

大丈夫だよ、また遊びにくるからね?

手を振ってお別れすると、幼女ちゃんは夢から目覚めます。


いつもの狭い部屋。でも、お父さんが笑顔で待ってます。

たくさん遊んで汗かいちゃった!
お父さん、一緒にお風呂入ろうね! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/31(土) 10:42:28.31 ID:IH4viK0AO<> 投下してから思った、今年最後の日に何てもの投下してるんだ、うちは……

来年は良い年になりますように <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 10:54:27.66 ID:4U+SCexgo<> コーヒーカップがなんの寓意か分からん……
全裸待k……じゃなくて、こんな絵本があってたまるかーGJ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 11:28:18.11 ID:IH4viK0AO<> >>55
コーヒーカップは二人のおじさんのハンドルを握って動かすイメージです。

イメージぴったりな遊具思いつかなかったんだよね…… <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 11:34:57.56 ID:n/2901HPo<> ゴーカートとかか? <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>saga<>2012/01/01(日) 12:43:45.42 ID:+ekYX5SAO<> 干支にちなんだ一作を投下

「うさぎちゃん、お疲れさま!」

今日は元日、お釈迦様の下で働く干支の子が交代する日です。

去年はウサギ年だからうさぎちゃん。
今年は辰年だから龍子さん。

たくさんお仕事があるので、毎年この時期は大忙し!

「うさぎちゃん、身体は大丈夫?」

「……はい。 でも、汚れた私では大国主さまには会えないですね……」

「うさぎちゃん……」

お釈迦様は大変人使いが荒く、その下で働く一年は大変なようです。

「おーい、うさぎちゃーん!」

「みんな、来てくれたの!」

いつの間にか、他の干支っ子も迎えに来てくれたようです。

「大丈夫だった?」
「頑張ったね……」
「龍子さん、身体を壊さないで下さいね……」

他のみんなも一年の辛さはわかっているので、行く年をねぎらい来る年を涙ながらに送りだします。

「……うさぎちゃん」

「……ネコちゃん!」

おずおずと声を掛けたのは、干支から外れた猫でした。

「……どうして来たの?」

「……みんなが辛い目に遭ってるのに、私だけ見ない振り出来ないよ!」

猫は泣きそうな顔で叫びます。すると、ネズミが前に出て言いました。

「アンタね、そんなんだからアタシに騙されるんだよ?」

「辛い目? アタシたちは楽しんでやってるの!」

「干支にも入れなかったアンタはさっさと帰りなよ!」

「……」

猫は、干支を決める時ネズミに騙されて集合時間に遅れたんです。

「……ごめんなさい」

「ネコちゃん……」

とうとう猫は泣き出して、トボトボ帰って行きました。

「……ネズミちゃん、良かったの?」

「うん……あの子は親友だもん。 苦しむのはアタシだけでいい」

「あの子は、こんなとこに居ちゃいけないんだよ……」

ネズミはそう呟くと、肩を震わせて泣き出しました。

「さ、それじゃ行こうかね!」

重い空気を振り払うかのように龍子さんが言いました。

「心配すんな! アタイは身体が丈夫さ、多少乱暴にされても大丈夫!」

「それじゃ、また来年会おうな!」

そう言うと、龍子さんはお釈迦様の待つ寝室へ向かって行きました。


皆さんが一年健やかに過ごせるのは、干支たちが一年頑張っているからなんですよ?

皆さんも、負けずに一年頑張って良い年にしましょうね! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/01(日) 12:47:36.40 ID:tOxFotjyo<> ありがとう龍子おねえさま! <> 以下、あけまして<>saga<>2012/01/04(水) 10:30:27.73 ID:qVMe9D7AO<> 人がいなくても諦めずに投下


さやのうた

さやちゃんは、お勉強が大好きな女の子。

でも、醜い外見のせいで皆に嫌われとっても傷付いています。


ある日、さやちゃんは素敵な男の子に出会います。

男の子の名前はふみのりくん。

ふみのりくんは友達思いの優しい子。

だけど、綺麗が醜いになっちゃう病気のせいでとっても傷付いています。


醜くて嫌われ者の女の子と、醜いが綺麗に見える男の子。

さやちゃんが好きになるのはふみのりくんだけ。

ふみのりくんが好きになるのはさやちゃんだけ。

会ったとたんに二人はお互いを好きになってしまいました。


とっても仲良しの二人。

ずっと一緒に居られるといいね!


こうして書くとほんわかハートフルストーリーに見えなくもない? <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 12:32:26.35 ID:wUbXgjQAO<> >>60
元を知っているせいか別の狂気を感じるぜ…… <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/05(木) 03:27:00.10 ID:iu2b4e4IO<> 「勝って嬉しい花一匁」
「負けて悔しい花一匁」

ああ、梅ちゃんがいっちゃった

「勝って嬉しい花一匁」
「負けて悔しい花一匁」

ああ、竹ちゃんがいっちゃった

「勝って嬉しい花一匁」
「負けて悔しい花一匁」

ああ、松ちゃんがいっちゃった


みんな、みんな、いっちゃった

じゃあ僕は?

僕はどこへいくの?

花一匁でも勝てない僕は?

僕はいったい
どこへいくの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)<>sage<>2012/01/05(木) 21:30:58.61 ID:3aWRqtBAO<> >>62
そういえば花一匁はどうなったら終わりだったっけ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/07(土) 14:21:33.91 ID:S/itN1HIO<> >>63
確か花一匁って単位じゃなかったけ?
3.75gが匁で、子供を売って金を貰う時に使われた単位だから
売る子供がなくなった親は死ぬって意味じゃなかったけ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<><>2012/01/07(土) 23:50:51.17 ID:wiQksl3t0<> 『キリギリスとアリ』

キリギリスさんはいつもこうです。

ギターをひいて遊んでばかり。

ようきな歌をうたってはさわいでばかり。

でも、アリさんはいつもせっせっせっせとしごとをしています。

「アリさん、僕といっしょに歌おうよ」

「いい。僕は道を作るのにいそがしい」

アリさんはキリギリスさんといっしょに歌うことはありません。

「アリさん、僕といっしょに踊ろうよ」

「いい。僕はたくさん歩かなきゃダメだから」

アリさんはキリギリスさんと少しだけ話してどこかへ行ってしまいます。

「アリさん、僕といっしょにご飯でも食べようよ」

「いい。今のうちにご飯をあつめないとダメだから」

アリさんはキリギリスさんの食事のさそいもことわります。

なぜなら、いそがしいからです。

「なぁ、アリさん。君はいつも大変そうだ」

「君は何を急いでいるんだい?」

「冬を越すためさ」

「じゃあ、たくさん歩いているのも?」

「そう。食べものをさがすため」

「じゃあ、道を作るのも?」

「そう。食べものをはこぶときの道を作ってる」

「でも、食べものをはこんでるの見たことないよ」

「そうだね。でも道はもうできてるんだ」

アリさんの家から伸びるキレイな道。

「冬は越せそうかい?キリギリスさん」

その道はキリギリスさんの家までつながっています。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/01/08(日) 00:45:08.70 ID:03njrDEN0<> 今後も書いていきたいです。
でも、ブラック系はあまり書かない方がいいのかな?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国・四国)<>sage<>2012/01/08(日) 00:55:53.38 ID:/GmHbbpAO<> >>66
ブラックしか書いてないうちはどうすれば……

こう、メルヒェンな表現でエロスやバイオレンスを書くのって背徳感というか、何かを感じるよね。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/08(日) 00:56:53.26 ID:OL4H6FNZo<> >>66
需要ならここにタップリと <> 二つ目1<>sage<>2012/01/08(日) 01:12:19.62 ID:03njrDEN0<> 『ブドウさんせいちょうき!!』

ブドウさんたちはこまっていました。

じぶんたちのすぐ下をうろつくこぎたないキツネ。

すでに多くの仲間たちが食べられています。

「こまった。こまった。どうしようか」

「ねえ、知ってる?キリンさんは高いところの葉っぱを食べるために首をながくしたらしい」

「ほんとう?すごいね、キリンさんは」

その話をきいたあるブドウさんが考えました。

キツネからのがれる方法を。

「僕たちも大きくなろう」

「キツネがとどかないたかさまで!」

それからブドウさんたちは背を大きくするどりょくをしました。

いっしょうけんめいどりょくしたけっか、キツネさんにはとうていとどかない高さまでせいちょうしました。

「へへーん、どうだ。とどかないだろー」

ブドウさんたちがしょんぼりと帰っていくキツネさんをみおろしていると、

バクン!

鳥さんがブドウさんを食べてしまいました。

背をのばしすぎたせいで、こんどは鳥さんにねらわれるようになってしまいました。


<> 二つ目2<>sage<>2012/01/08(日) 01:26:04.04 ID:03njrDEN0<> 「だったら、鳥さんがとどかない高さまで!」

ブドウさんたちの木はぐんぐんぐんぐんのびていきます。

昔からいる大きな木をこえて。

丘も山もこえていきます。

そして、雲と同じ高さまで。

「まだだ、もっと大きく!大きくなろう!」

雲をこえたブドウさん。安心してすごしていると……

バクン!

「これは美味しい実だ。そうだ!これでお酒を作ろう」

雲の上にすむ人に食べられてしまいました。

どんなにせいちょうしても、どんなに大きくなっても食べられてしまいます。

「僕たちはどうしたらいいの?」

泣き出してしまったブドウさんたち。するとお酒を作ろうとした人がこういいました。

「君たちが食べられてしまうのは、その実がおいしいからだよ」

「その実が酸っぱくなったら良いんじゃないかな」

「ほんとう!?」

「ああ、それに、鳥さんに食べられたくないなら、実を葉っぱの下につければいい」

「ふんふん」

「キツネに食べられたくなかったら、えだをうんと横に生やせばいいんだよ」

「ありがとう!」

「それと……」

雲の上にすむ人はかんがえました。

お酒を作るためにちょうどいい高さ。

「木の高さはこのぐらいがいいと思うよ」

と、頭のちょっと上をさしました。

「うん、ありがと!」

それからというと、ブドウさんは背をのばすのをやめました。

ポカポカとあたたかい光をあびてゆっくりすごしています。 終わり <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国・四国)<>saga<>2012/01/08(日) 02:10:30.36 ID:/GmHbbpAO<> 盛り上がり始めたので記念に一つ

賽銭泥棒


むかしむかし、まだ神様と人が身近に暮らしていた頃の話です。

あるところに、一年にひと月しか仕事をしない男がおりました。

男の仕事は賽銭泥棒。
しかし、今までどんな神様にも見つかったことがありません。

なぜなら、男が仕事をするのは10月だけ。
そう、神無月です。

男が堂々と賽銭を盗んでも、神様は留守で気付かれなかったのです。

男は10月になると神社を巡っては賽銭泥棒を繰り返していました。

「今年は調子がいいなあ」

今年は飢饉や争い事もなく、穏やかな一年だったので賽銭も多く手に入りました。


ある日。

「さて、今日の神社は……これはすごい! こんなに賽銭があるなんて!」

他の神社の数倍の賽銭を前に、男は喜びを隠せません。

早速男は賽銭を袋に詰め始めました。

周りを囲む影にも気付かずに……


翌日、付近の人たちの間では男の話が持ちきりです。

「バカな男だねぇ」

「よりにもよって10月に賽銭泥棒するなんて」


賢い泥棒は、もう少し考えるべきだったのです。

なぜ10月に神様が居ないのか、そして自分がどこに居たのか。

こうして、一人の男は居なくなってしまいましたとさ。


おしまい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2012/01/08(日) 03:04:53.89 ID:ZkN47qwCo<> 神在月の地域にでも行ったか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/01/08(日) 13:25:51.22 ID:7Ei6aHd40<> 出雲だっけ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)<>sage<>2012/01/08(日) 14:46:26.18 ID:/GmHbbpAO<> >>71
出雲大社のある島根県の一部地方では、他地方で神無月と呼ぶ旧暦10月を神在月といいます。

日本中の八百万の神様が縁結びの神様である大国主命を祀る出雲大社に集まって、一年の縁結びの組み合わせについて相談する為だそうです。

つまり、おまいらがどんなに頑張っても神様が組み合わせてなけりゃ彼女なんて(ry

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/01/08(日) 17:35:42.34 ID:NrWOkg2lo<> >>65
いいねー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/09(木) 01:21:31.31 ID:VND/O3zL0<> ほ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国・四国)<>sage<>2012/02/11(土) 19:24:17.17 ID:EtEVAQYAO<> なにかを美しいなぁ。
と思った。

でもみんなは『それはおかしい』って言うんだ。


いじめられている子を見て、
助けたい
と思った。

でもみんなは『近づくな』って言うんだ。

子猫を見て、
かわいいな
と思った。

でもみんなは『触らないでくれ』と言った。


数年ぶりに自分の親に会いに行った。

みんなは『可哀想に』と親に言った。
親は死んでいた。


墓参りに行った。

みんなは『おまえのせいだ』と言った。


妻と子供に会いに行った。
でも、引っ越しをしていた。

みんなは『あたりまえだ』と言った。


妻と子供を探した。
見つかった。

みんなは『やめろ』と言った。


子供とバッタリ会った。
嬉しかった。

みんなは『やめろ』と言った。


子供は泣いていた。怪我を沢山していた。
『お母さんがやったんだ』
『いじめられてるんだ』
といった。

みんなは『全ておまえのせいだ』と言った。




僕は数年前、罪を犯した。という事にされた。
冤罪だ。とみんなに言った。
みんなは言った『嘘はやめろ』




僕には居場所がない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2012/02/24(金) 23:42:44.82 ID:y3s5IG03o<> これはまっすぐに解釈していいのか? <> 77<>sage<>2012/03/02(金) 23:50:04.75 ID:vRWjrh/AO<> 自由に解釈していただきたい
<> 1/4<>saga<>2012/04/15(日) 01:21:53.73 ID:7feE9Cop0<>
あるところにとても勉強熱心な娘がおりました。
女のくせに家の仕事もせずに学問などしおって、とやかましく言っていた父親も今は亡く。
母と娘だけの2人暮らし。一人娘が家の仕事をしなくても、母親は止めませんでした。

ある晩、娘がいつものように蝋燭の火のもとで黄ばんだ辞書をめくっていると、
母親が部屋に入ってきて娘に言いました。こういうとき、娘はうしろめたさに縮こまってしまいます。

「お前は本当に勉強が好きだね」

これは嫌味で言っているのではないのですが、娘はますます縮こまってしまいます。
それでも、いくらうしろめたくても、やはり娘は勉強が大好きでどうしようもないのでした。

「……はい、お母様」

「他のどんなことよりも?」

「はい、勉強をしていると気持ちがいいのです……」

「ふむ。ならば、どうだろう。……学校に行ってみては?」

いきなりの提案に、娘は驚き、目を丸くしました。

「まあ、そんなの、いけません」

「どうして」

「それは……」

娘は辞書をパタンと閉じ、なにか言いづらそうにうつむいてしまいました。
しかし、母親にはすべてお見通しです。

「まさかお金の心配をしているのかい?」

「……はい」

「それなら心配いらないよ」

母親は笑って請け合いました。
母親が言うには、学校に入るためには厳しい試験に合格しなければならないが、
合格さえしてしまえば、学費は国からの援助で無料同然だということでした。

それどころか、これは娘も母親も分かっていないことでしたが、
実はこの頃学校を出る人間というのはとても少なかったので、
もし学校を出るなんてことが出来れば、将来巨万の富を約束されることは間違いないのでありました。

「……そういうことでしたら」

娘はあまり乗り気ではありませんでしたが、勉強の為と思って受け入れました。

そしてその日から、娘の試験勉強が始まったのです。 <> 2/4<>saga<>2012/04/15(日) 01:23:25.13 ID:7feE9Cop0<>
母親は次々に父親の遺産である土地や物品を売り払って、娘の勉強道具を買いそろえて行きました。
ペンとインクはもちろん、手に入りにくい紙も毎日のように取り寄せています。
そして、それを片っ端から娘が使っていくのです。母親は苦労が絶えませんでした。

半年が経った頃、娘の家の庭先に人だかりが出来ました。
彼らが見つめる先には、庭先に積み上がった紙の山がありました。
風が吹いてその中から飛んできた一枚の紙を、小さな男の子が拾いました。

「なにこれー?」

「どれ、見せてみろ……ん??」

そこに書かれていたのは難しい数学の証明でした。男の子のお父さんにもちんぷんかんぷんです。
娘の書いたものでした。娘は使い終わった紙を2階の窓から庭に捨ててしまうので、いつしか小高い山が出来たのでした。

やがて、その紙の価値に気付いた人たちが、山積みの紙を丁寧に積み直しはじめました。
雨の日にはみんなそれぞれ家に持ち帰って、濡れないように守りました。
そして、晴れの日には2階の窓の下に丁寧に積み直すのでした。
窓からそれを見た娘も面白がって手伝いました。すぐに山のてっぺんは2階の窓まで届きました。

「もっと勉強すれば、いつか雲まで届くわ」

娘は毎日街の人と話しながら、楽しく勉強をしていました。しかしそれが良くありませんでした。
ある日のこと、娘が勉強しながら窓際で、街の人と話していると、

「そういえば娘さん。その、大事な試験っていうのはいつやるんだい」

「あら、そういえばもうすぐだったはずですのに……って、あっ!!」

娘は、試験のことをすっかり忘れていたのでした。
すっかり落胆した娘は、なぜお母様は教えてくれなかったのだろう、と思いました。

「まあまあ、いいじゃないか。それより勉強だ。試験は来年も受けられるからね」

「試験はもういやです。お母様にこれ以上迷惑をかけられないわ」

「そうか。じゃあ試験はもういい。でも、勉強は続けなさい」

「よろしいのですか!」

「無駄口叩いてる暇に勉強おし」

「――わ、私! がんばります!」 <> 3/4<>saga<>2012/04/15(日) 01:24:45.16 ID:7feE9Cop0<>
母親は父親の遺産である車を売りました。お金はまだまだ尽きませんでした。
娘は試験に縛られることが無くなって、勉強にますます精を出しました。

それから数年が経った頃、また娘の家の庭先に人だかりが出来ました。
街の人だけではなく、遠い土地からやってきた旅人たちもいました。
彼らは娘の家の庭で紙を読み、来る日も来る日も議論に明け暮れました。

「おおっ、来たぞ!」

娘が窓から新しい紙を投げるたびに、みんながどよめきます。
我先にと紙を読み、それが新たな議論を巻き起こすのです。
しかしこの頃の娘は、前のように会話に混ざらず、黙々と勉強するようになっていました。

「――今日はもう終わりです。みなさんおやすみなさい」

「おやすみなさい、娘さん! 明日もよろしく!」

「……」

「……」

「……ホントだったとはな。これを投稿すりゃ俺も……」

「まったくバカな娘だぜ……頭はいいのにな」 <> 4/4<>saga<>2012/04/15(日) 01:26:20.58 ID:7feE9Cop0<>
娘はいくら勉強をしても全然山が高くならないことに気付いていました。
むしろ前よりも低くなっているような気さえしています。

「……これじゃ、雲まで届かないわ。もっともっと勉強しなくてはいけないわ」

娘はベッドの中で毎晩そう誓うのでした。

しかし、本当は分かっていたのです。山が高くならないのは、誰かが紙を持ち去っているからだと。
娘は悲しんでいました。みんなは山を積み上げることなんて、もう忘れてしまっているのです。
娘ではなく、娘の書いた紙にしか興味がないのです。娘は議論に参加する気などありませんでした。

そして、さらに数年が経った頃、娘の家の隣に学校が出来ました。
学校の図書館には、娘の書いた紙がギッシリと詰まっていました。
たくさんの学生が集まり、娘の書いた紙を読んで勉強に明け暮れました。

娘は窓から紙を投げるのをやめました。
窓際で勉強するのもやめました。学校の校舎が日差しを遮ってしまったからです。

「お母様」

「言わなくていい。それにどの道もうお金がない。紙が買えないんだ」

「お母様、違います。私はバカじゃないから。ちゃんと残しておいたんです」

「それは……」

「私の書いた論文。これの権利を売れば、お金になります。そのお金でどこか遠くに行きませんか」

「バカもの。お前は勉強が好きなのか、金が好きなのか、どっちなんだ」

「勉強とお母様が大好きなのです。そのためのお金なのです」

「お前はやっぱりバカだ……頭はいいのに」

二人はその論文を売って莫大なお金を手に入れたといいます。
そのまま二人はその街を出たきり、忽然と姿を消してしまったのでした。

案外いまでも、どこかの山奥で、娘の紙が風に吹かれて舞っているのかも……?


〜おわり〜

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/15(日) 01:43:26.61 ID:+W4N9WxQ0<> 久しぶりにこのスレ上がったね。
うちも久しぶりに書いてみようか。

>>83
面白かった。
最後、娘が紙を落とさなくなって学校がさびれていく、とかあるとスカッとしたんだけど、
そこはかとないやるせなさでこれもアリですね。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/15(日) 01:47:15.68 ID:7feE9Cop0<> 俺はこのスレ初投下だったけど、新鮮で面白いから落とすにはもったいないスレだと思う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/06(日) 00:52:33.49 ID:brAZuWSIO<> >>83
面白かった

良作が結構あって良いスレになってきた <>