SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 13:16:09.61 ID:tsC+ncogo<>幾度の死線に頭を抱え、後悔し、泣き、それでも諦めず、乗り越え、勝ち、決心した、もうこんなことはうんざりだと。
決心した筈がまたそれと似たような状況を自身で作りだしている。
俺は俺以外のクズの為に苦労し、そしてその苦労に耐えきれず俺の為に、またこの危険なジャンブルに身を投じた。
正直者がバカを見る、まさにその通り。俺はバカなんだ、もう俺は俺の為にしか動かない、絶対に。

カイジ「あんたが主催者か」

紬「ええ」

俺は今晩、人生を賭けたギャンブルをしにこの豪邸へと足を運んだ。
何度人生を賭けたことか、指折り数えるのも億劫だ。
俺はそれだけ死線を乗り越えてきたんだ。
今度は負けるものか、俺は絶対的で圧倒的な自信、確信を持ってこのギャンブルに望もうとしている。
良い、今夜の俺は悪魔だ。これでいいんだ。

紬「人数が少ないのですごく助かりました、その分あなたが勝つ可能性も高くなりますね」<>カイジ「あんたが主催者か」紬「ええ」 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 13:18:03.97 ID:sGzEUKsAO<> ざわ… ざわ… <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 13:32:44.59 ID:tsC+ncogo<> 主催者とぬかすこの金髪の女はどうみても子供、いや大人になりかけ、いやもしかするとそこらの大人よりも大人。
かなりおっとりとした表情だが、本体は悪魔、所詮ギャンブル主催の人間。

カイジ「何人なんだ・・・」

俺は極めて冷酷な視線をとばして、参加数を聞いた。

紬「7人ですよ、どうですか?簡単でしょう?」

カイジ「な・・・七人だって・・・?」

動揺した、そして疑った、これは大したギャンブルではない。
俺のような人間はごまんといる筈、しかしこの大一番勝負に参加したのはたったの七人・・・。
把握が甘かったか・・・!勝ちたいというキモチが先走って、参加することだけが頭を巡って、肝心な内容、賞金額を聞きそびれたか・・・!!
またも俺は俺の間抜けな行動で自らの首をしめた!!

紬「賞金は最高で7億円です」

カイジ「けっ・・・だれがそんなちっぽけな金の奪い合いをす――」


ざわ・・・


カイジ「――えっ?」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 13:49:58.78 ID:tsC+ncogo<> な・・・ななな・・・七億・・・?
そんなバカな金額久々に耳にした、耳にするものそう簡単じゃない。
なにかの聞き間違えに違いない。

紬「七人全ての方、一人ずつにまず一億円をお貸しいたします」

カイジ「なっ――!!!!」

聞き間違えじゃない!!真実!!俺の耳は正しかった!!
そうだ、冷静に考えろ、ここは何百坪という豪邸、そしてこの女の風貌、だれが見ても貴族、現代的貴族!
俺は勝つことだけを熱心に念じ、冷静さを欠いて、この目の当たりにするだけで仰天せざるを得ない状況を把握できずにいた!!
なんという愚行!!二つの目はついていないも同然!!

紬「それに今回はどうしてでも頂点にたつ必要はないのです、ルールを簡略化しますと「相手から奪った分−1」億」が貴方の賞金となります」

カイジ「――!!」

それには驚愕したが、あろうことか俺はそれ以外の事にさらなる驚愕をした。
すべてがうまくいけば俺は七億という大金を手に、この世に君臨することができる。
しかしすべて負け果たした場合1億!!1億という大金を借金として背負わねばならない!!
そしてもう一つ疑問が・・・

カイジ「ちょ、ちょっと待て!!俺が勝った場合の最高金額がなんで7億なんだ!?俺が借りた1億をあんたらに返済して、6億じゃないのか!?」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 14:04:03.98 ID:VUwTBSiDO<> 本当にできそうな所が怖いな <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 14:05:23.03 ID:tsC+ncogo<> 紬「あら、それはごめんなさい、私としたことが肝心な事をいいそびれていました」

優雅に微笑みやがる・・・。
そのむかつくお嬢様は明らかに故意、故意でもってその事を説明しなかった。
さらなる壁を用意して、慌てふためくこちらのリアクションを楽しもうってわけか。
こいつは正真正銘の悪魔、人間は権力をもってしまうとこうなってしまうのか!
手中で遊ばれてたまるか、いくらでも壁を用意しろ、おれは驚かんぞ、それだけ死線を乗り越えてきたんだ。

紬「参加者は8人でした――私です」

ざわ・・・


              ざわ・・・

カイジ「――っ」

驚きはしなかった、いや驚くそぶりをする余裕すらなかった。
ということはそれだけ驚いたという事か、いやそんな事はもうどうでもいい。
この金髪が口にした途端感じたもの、それは紛れもなく覇気、やさしくほほ笑みはしているが覇気、圧倒的覇気、いやもはやそれがあっての覇気。
それは死線を乗り越えたものだけがわかる、覇気、苦労して登りつめた者だけが有する覚悟、経験。

紬「頑張りましょうね、お互い目指すは――」

紬「7億円――」ニコッ



このお嬢様――強者――ッッ。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 15:06:45.98 ID:JWsiGXT2o<> 地の文には「っ・・・!」をつけなきゃカイジじゃないだろ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 20:44:41.67 ID:8+ITya2Fo<> いったい何の得があって…と思ったが
これ紬ちゃんが勝っても損得なしじゃなくて7億手に入れられるわけか
庶民の俺だったら7億も持ってたらもう他には何もいらないが、
7億持ってても更に倍欲しいのがブルジョアなんだな
その執念があるからブルジョアになれたんだな

怖すぎる <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 22:29:30.41 ID:uwSZhxsSO<> カイジの心情は( )にして、地の文を立木さんのナレーションにした方がカイジっぽくなるな <> 色々なとこは脳内変換おねがいします<>sage<>2011/12/30(金) 22:57:52.62 ID:tsC+ncogo<> カイジ「……」

時は午後10時、俺は主催者である女に待機の指示をされ、こうして煙草をふかしている。
このうんざりするほど広い豪邸の一室、まるで牢獄の幻想が目の前に映し出されるかのような狭き部屋。
待機室といったがここはどう見ても物置だ。参加者にこの待遇……。エスポワールの時のほうがまだマシだった。

執事「ご案内いたします」

カイジ「……」

薄暗い部屋を出て、際限なきレッドカーペットの上を歩く。
その真っ直ぐな廊下の果てには俺の伸長をゆうに超える、大きな扉が聳えていた。

ぎぃ・・・

カイジ「う……」

扉が開いた、まぶし過ぎて思わず目を細める。
その先はどんな鈍感な野郎でも想像がつくだろう、命がけの戦場、ギャンブルの開催地だ。

カイジ「……え」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 23:02:19.00 ID:tsC+ncogo<>
ざわ・・・



律「え?」

カイジ「……え」

子供、子供、子供。

カイジ「ん……おい……ここは……」

見渡すが子供、参加者が見当たらない。

カイジ「お、おい、部屋間違えてんじゃないのか?」

執事「いえ、ここで間違いありません」

カイジ「なに・・・?」

数えてみた、1、2、3・・・

ざわ・・・

     
      ざわ・・・

カイジ「俺含めて……七人……」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 23:27:32.88 ID:tsC+ncogo<> まさか、まさかそんな事……。
こいつらが参加者?全員子供、どうみても子供。
まずあり得ないと確信できた、俺は生死のギャンブルを繰り返し、連中に勝利してきたんだ。
その連中は死に物狂いだ、一目でわかる、それはなぜか、すべて表情にでているからだ。
それなのになんだこいつらは。その振る舞いはまるで今後の保障が約束された赤子同然、すっとボケた顔してやがる。
こいつらのわけがない、はやくここから追い出せ、目障りだ。

紬「みんなおまたせー」

唯「あ、ムギちゃん遅かったー、ねぇねぇ、だれこの人?お客さん?」

律「ムギにこんな知り合いいるのか……?」

カイジ「……」

どんな神経をしてやがるんだこいつは。
プライベートを主催の大会に晒すなんて常識のないことをぬけぬけと……。

紬「ええ、この人は色々な事情があってここにきてるのよ」

カイジ「なっ……!!」

カイジ「なに言ってんだよ!!はやくそいつら追い出しやがれ!!」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 23:35:38.06 ID:tsC+ncogo<> 唯「ひっ……」

梓「む・・・・・・」

その場が静まりかえる、無理もない、この餓鬼共はなにも知らないんだ、おそらく。
金髪の女は俺をまるで、反抗期の子供を諭す先生のような目でみつめ、

紬「みんなごめんね、ちょっと隣の部屋にいってくれる?」

発声後、餓鬼共はこちらに不審な視線をおくりつつ退場した。
腹立たしい、実に腹立たしく俺は、

カイジ「ふ、ふざけんなよ!!あいつらに知られたらどうするんだ!?」

紬「なにが?」

カイジ「くっ、つくづくふざけるんだな!!今宵行うのは生死を賭けたギャンブルだ!俺はそのつもりでここに来たというのに!!」

紬「ええ、そうね、それがどうしたの?」

カイジ「なっ……!!」


殴りたい――という衝動。
これが女へむけられたのは生まれて初めてのことであった。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/30(金) 23:43:34.93 ID:tsC+ncogo<> カイジ「ぐっ……!ぐっ……!」

抑えろ!!ここで騒動したら俺自身が苦しむことになるんだぞ!!
りんごを握りつぶす握力など存在しないと信じていた、しかし自信があった、今の俺なら潰せる。
握りしめた拳は音がなるものだと初めて知った。

ググググ――。

紬「ふふふ」

カイジ「!?」

紬「むかつくでしょうね、そう、貴方はそれだけ苦労をしたんだものね」

カイジ「し、知ったような口をきくな!!俺は――」

言いかけたその時、

紬「伊藤開司、貴方のことは熟知していますよ」

カイジ「な、何っ……?」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 23:47:36.39 ID:sGzEUKsAO<> ざわ… ざわ… <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 23:51:05.17 ID:uwSZhxsSO<> カイジって推定21歳だけど、実写映画は26歳なんだって

さわ子より年下なんだな <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 23:56:19.85 ID:tsC+ncogo<> さっきとは全く違う眼光――それはまるで獲物との距離を測る獣の目。
放出される気――錯覚と思えないほどリアリティな、青白い気、煙、奴を囲む。
こいつは誰だ、さっきの金髪はどこへいった。

カイジ「あ――あ――」

言葉を失った者――俺はただただ黙る事ができず、かといって発言する余裕もなく、言葉を、いや、音を発して。
かろうじて理解した事――それは金髪の女が変貌したという事だ。悪魔に。

紬「あなたのような頭のきれる人が疑問に思わないわけないでしょうが、一応説明しておきますと」

紬「貴方は募集数500人の中から指名で選ばれた――選ばれし者」

カイジ「ご、ごひゃ、500!?」

そうだ!!おかしいと思っていた!!
このおいしい話が、いやおいしいかどうかはさておき、この人生を変えるかもしれんイベントに参加が7人のわけがないんだ!
しかしまさか500人も応募していたとは……その中の俺は一人、しかも”選ばれた”一人。

カイジ「な、なにが目的……なにが目的なんだ……」

紬「ふふふ、面白い人、貴方に勝組になってほしいからですよ」

カイジ「なんだと……?なってほしいだと……?」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 00:02:22.22 ID:lF+q3XMAo<> 紬「そもそも貴方に目的があるのでしょう?大金を手にして人生を変えたい、そうでしょう?」

カイジ「……ぐっ」

覇気が消えた――さっきの金髪だ。

紬「私は貴方の事をずーーーーっと見てきましたから貴方の苦労は理解しています」

カイジ「見てきた?」

紬「生死の綱渡りお疲れ様でした」

カイジ「あっ!!」

こいつ!!!こいつこいつこいつ!!!
みてやがったんだ!!あの安息の地で!!俺らの生死の綱渡りを!!
糞だ!!決定的!!!圧倒的!!圧倒的クズ!!こいつはクズだ!!クズが!!

カイジ「お前それでも人間か!!!」

紬「まあまあまあまあ」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 00:10:29.49 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「ふーっ!ふーっ!」

紬「私は人が落ちて喜ぶような真似できません、貴方だけを見ていた……」

紬「他人の死という悦楽を求めてあの席から貴方を見ていたわけではないのです」

カイジ「言い訳はよせ!!見苦しいぞ!!せめて開き直りやがれ!!」

紬「あらあら、私は心から貴方の出世を願っているのに……」

紬「貴方のような人間がこの世で一番必要とされている事に貴方自身気づいていないのね」

ざわ・・・



       ざわ・・・




カイジ「……なっ」

俺が――必要とされている? <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 00:20:30.01 ID:lF+q3XMAo<> 紬「優しい貴方はきっと出世しても自我に乗っ取られることなく、以前同じ境遇だった人間の救済をするでしょう」

紬「最初貴方を見たとき、申し訳ありませんが、偽善者だと見下してしまいました……申し訳ありません」

カイジ「ちょっ……」

下げた――頭を――深々と――この俺に対して。
例え形だけの敬礼だとしても、敬礼である事に変わりはない。
心から、なんて言葉自体嘘なんだ、敬礼という形がもはや敬意の顕れ。謝罪の顕れ。

紬「それから化けの皮が剥がれるのをわくわくして見させていただきました、結果剥がれることなく」

ようやく頭をあげた――直立――視線が合う。

紬「貴方はここに、剥がれにきたというわけです」

カイジ「なn……!」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 00:35:38.29 ID:lF+q3XMAo<> 紬「まってください!落ち着いて!」

カイジ「ッ!?」

紬「私は貴方に足りないものをここで差し上げたいのです、このギャンブルで」

カイジ「……」

さっきからこいつは俺の味方のような、親のような口をききやがる。
騙されるな、これは奴の罠だ、そんな事は重々承知だ。
こいつも参加者である時点でそれすら考える必要はない。

紬「貴方は優しい、しかし優しすぎた、これがすべての敗因、貴方がいまだに地を這っている原因」

カイジ「ぐっ……」

紬「信じるわけないでしょうね、私が味方だなんて、しかし後に貴方は身をもって体験するのです、あのときの女は俺の味方だった、と」

カイジ「さ、さっさといえっ……」

紬「貴方の悪魔を引っ張り出すのよ」 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 00:43:04.85 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「悪魔……を……」

紬「悪い気持ちでしょう、聞こえはわるいですね、しかしこの悪魔が人間を勝ちあげてくれる、言ってしまえばこの悪魔がいない限り勝つなんて不可能」

一理ある、というか俺自信以前から思っていた。
だからこそ俺は悪魔になりきってここへやってきた。
悪魔的な心でないと勝てないと、わかっていた。

カイジ「ち……くそっ……」

紬「貴方も気づいてますね?さてどうしますか、ここで悪魔になれず、また帰って不毛な日々を消費しますか?それとも」

奴は懐に手をいれ、なにかを掴み、勢いよくその掴んだものを天へ。
それは瞬く間に拡散、まるで木の葉――しかし葉っぱじゃなく、金。
そして今にも消えそうな声で囁く、

カイジ「……か、金っ」

紬「ふふふ」

ふてきにほほ笑んだ悪魔は、

紬「貴方次第よ」

と。 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 00:53:16.97 ID:lF+q3XMAo<> 明日時間できたら書いていく
見てくれてるなら見てるアピールお願いしますね <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 03:15:00.18 ID:7L3zRto2o<> 別に他人のSSなんだから外からギャーギャー言うことじゃねぇと思うが地の文おかしすぎるだろ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 05:24:58.91 ID:I3RpKXT3o<> かまわん、つづけろ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 06:27:51.56 ID:VZ6pnP0Zo<> 見てるぜ 続け給え <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 10:23:29.43 ID:lF+q3XMAo<> 紬「覚悟はできましたか?」

カイジ「ああ……」

あれから30分の時間が経過した。
長かった、この30分は俺にとって永久と思えるほどに長く。
それは俺の優柔不断、逃げれる状況であれば逃げたいという欲求があと一歩の決断の邪魔をした。
ならば俺はなにをしにここへやってきたんだ、恥晒し?違う!俺は俺自身の為にやってきた!金を掴むためにやってきた!
それが実現するのであればなんですら構わない、たとえ俺が世間のクズ、金髪の女のようなクズ同等になろうとも……。

紬「ではルールを」

カイジ「お、おい、待てよ」

紬「はい」

カイジ「他の参加者は?俺一人にルール説明かよ」

紬「そうですよ?」

カイジ「はぁ?」

紬「貴方にしかルールは説明しません、あの子たちはなにも知らなくていい」

カイジ「あの子……?」

ざわ・・・

カイジ「はっ!」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 10:36:49.73 ID:lF+q3XMAo<> 待て待て待て!!あの子ってまさか!!
俺は動かずにいられなかった、前傾姿勢、これでもかというほどの前傾姿勢、前のめりになって――いやもう突進していた。
発汗し、金髪の両肩をわし掴みし、揺さぶった。まさかお前――。

カイジ「あ、あの餓鬼共が参加者とでもいうのか!?」

紬「……」

間もなく聞こえた、

紬「ええ」

と。

カイジ「ど、どういう事だ……」



この事実。
騒ぐ段ではない。
これは考え込んでしまう。
とても信じがたい。
しかしこの期に及んで嘘などつく必要はない筈、まずこの金髪が無意味な嘘を吐くような幼稚な人間に見えない。
優秀だ――そう、優秀なんだ、ならば必然的に考えつく先――これは罠。

罠か! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 11:00:30.12 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「て、てめぇ……大概に……」

紬「究極のハンデキャップ」

カイジ「!?」

金髪は設定時刻外にけたたましく騒ぐ目覚まし時計のような唐突さ、そして動かざること山の如く、平坦な調子で口にした。
ハンデキャップ――。

ハンデ――。

違う、これは罠じゃない。いや罠ではあるが――。

”俺への”罠ではない――!

なんて野郎だ――!!



カイジ「お前!!まさか!!」

紬「うふふ……」



この女――本当に悪魔だ! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 11:10:32.19 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「あいつらはお前の何なんだ!」

紬「友だちよ、高校3年間を共にした友だち」

カイジ「友だちを……と、友だちを……」

カイジ「何故、友だちを地獄へ落とす真似をするんだ!!今すぐやめだ!!こんなギャンブル!!」


このギャンブルは、確かに金髪の言うとおりだった。俺の為であった。
参加者はなにも知らない餓鬼共6人。
餓鬼になにも知らせないままゲームスタートすれば、なにも知らないわけだから餓鬼は隙だらけ。
ルールを知っている俺はその隙に餓鬼共の1億ずつを奪う。

俺が悪魔になれば可能――悪魔になれば即7億はいかなくとも1億以上は手に入る――!
ルールはさておきすべては俺次第、俺の意気込みしだい!

究極のハンデキャップ――!
俺の為、俺が大金を手にするために企てた所謂、俺の為のギャンブル! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 11:19:59.02 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「なぜそこまでする必要がある!?3年を共にした友だちを捨ててまで何故!!」

紬「クズだからよ、石だからよ」

カイジ「石だと……」

紬「おそらくあの子たちは死ぬまで死ぬ気でなにかを成し遂げる事はないでしょう、もう石ころ同然、川の流れに身をまかせて、削れて削れて、消える無意味な命」

紬「そんなクズでゴミな人たちより、貴方を勝たせたいわ、死ぬ気で生きてきた貴方に」

カイジ「……ッッ!!」

紬「わかっていただけたかしら?私の良心」

カイジ「俺から一億奪われた餓鬼共はどうなる!?借金背負うのか!?契約すらしていない人間に借金を背負わせるなんて不可能だ!!」

紬「世の中は権力、権力で世の常を変えることができるのよ」

カイジ「ぐっ……!!」


きたねえきたねえきたねえ!!!
俺の為俺の為俺の為とぬかしやがって!!

カイジ「本当はお前が楽しみたいだけなんだろ!!!切羽詰まった人間でもてあそぶのがそんなにおもしろいか!!」ポロポロ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 11:28:52.91 ID:lF+q3XMAo<> 紬「ごめんなさい、そうではないのよ」

カイジ「ぬかせ!!お前のギャンブルにだれが参加するか!!」

紬「もう後戻りはできません」

カイジ「なにっ?」

ゴオン――!!

カイジ「なんだっ!?」

入口のどでかい扉が大地を揺るがす咆哮をし、かたく閉ざされた。
これで逃げれない。
いや開ければいいじゃないか――違う、それが不可能だと見てわかった。
こんな鉄の厚い扉、人力であけるなんてどうかんがえても不可能、トラックで追突を繰り返してもあかないと予想!

つまるところこれで参加は決定的――。
強制参加――。

カイジ「ぐぐぐ……」

紬「時間がないわ、ルールを説明します」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 11:41:34.31 ID:lF+q3XMAo<> どうやらこの金髪、本当に俺の出世を望んでいるらしい。
俺の出世が世に必要とされていると、本気で思っているらしい。
人を蹴落として、初めて勝てるという事を実践で学ばせたいらしい。

だが無理だ!
あんな無邪気な餓鬼共に1億の負担を背負わせるなんて無理だ!

カイジ「ぐっ……ぐっ……無理だ……無理だ……!」ポロポロ

跪いて泣いた、これは一体なんの涙なのだろうか。
悔しさ――違う。
悲しさ――違う。
同情――ちg

ざわ・・・



        ざわ・・・


いや、同情――!
同情の涙!!
これから1億を背負わねばならん餓鬼への同情の涙か!?

カイジ「この悪魔めが!!!」ゴッゴッ

紬「斎藤、やめさせなさい」

俺は俺を殴った。
鎖をちぎり段々と浸食してくる悪魔を。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 11:49:53.37 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「ふーっ、ふーっ」

紬「落ち着いてください、説明しますよ」

もうこの勝負勝たなくていい。
終了時に手持ちの一億返せばいいだけだ。
餓鬼共はこの金髪に喰われるかもしれんが、俺は知らん!
とにかく俺は俺の手を汚したくない!そんな手段で大金を手にいれたくない!

紬「ルールは簡単」

カイジ「……」ゴクリ

紬「題して――」

紬「鬼ごっこ、です」

カイジ「鬼ごっこ……」

追いかけっこ……か……?

紬「この屋敷内を逃げ回り、自分の一億を死守し、貴方は相手の一億を奪えばいいんです」

カイジ「そ、それだけ……?」

紬「ええ」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 12:02:39.45 ID:lF+q3XMAo<> つまり、俺が奪われず、奪いさえしなければ良い話。
こんな簡単なギャンブル――いやギャンブルとは言わないな、単なるゲームだ。
なるほど、つまりこのゲームはどれだけ自分の欲を抑えることができるかってものだ。
俺を試すつもりだな。

紬「期間は一週間です」

カイジ「い、一週間!?一週間も追いかけっこをしなきゃならないのか!?」

紬「ふふふ、無理ですよね、わかってますよ、だから一億返済さえすれば途中で抜ける事ができるのです、ただしその規定は開始24時間後に有効」

カイジ「ほ、本当か!?嘘じゃないな!?」

紬「ええ」


つまりだ、つまり俺は24時間このくそ広い屋敷を逃げ回ればいいんだ。
そしてこの鉄の扉の前で一億を返済しておさらば。


紬「それでいいんですか?」

カイジ「えっ――?」

紬「聞こえましたよ……貴方の心の声……」

カイジ「ッ……!」

紬「いいんですか……?その考えでは骨折り損のくたびれ儲けではありませんか?貴方はなにをしにここへやってきたんですか?それに」

カイジ「……」

紬「私は貴方の一億を狙いますよ……?」

カイジ「ぐ……!!」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 12:11:20.59 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「うるせぇ!!ほらさっさとゲーム開始しやがれ!!」

紬「ふふ……」

紬「じゃあ始めますか、位置についてください」

カイジ「あ……?」

紬「よーい……」

カイジ「お、おおお、おい!」

紬「なんですか……もう……」

カイジ「な、なんですかじゃねぇよ!!なに唐突に始めようとしてやがる!!」

紬「だってあなたが開始しろと言ったのではないですか」

カイジ「あのなぁ!ふざけるのもいいかげんにしろ!まだ身支度整ってねぇんだよ!っていうかまだ一億もらってねぇだろ!」

紬「いえ、もう貴方は一億を所持していることになってますが?」

ざわ・・・



         ざわ・・・



ざわ・・・


カイジ「は……?」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 12:16:53.38 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「な、なんだ、なんだっ……?」 バッバッ

なにか俺に仕掛けがついてるのか?
いや服にも体にもついていない、まず仕掛ける隙すら与えていない筈。
どういうことだ、どういう……。

紬「甘いんですよ……カイジさん……」




ゾクッ――・・・・・・…………。



この覇気……。
さっきの悪魔……。



カイジ「ッッ……」ダラダラ

紬「貴方は素晴らしい……しかし覚悟が足りていません……臆病者……」

カイジ「な、なにいいやがるっ……!」

紬「その覚悟を貴方は早急に身につけるべき……他人を……陥れる覚悟……踏み台にする覚悟……」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 12:27:26.08 ID:lF+q3XMAo<> 紬「しかし、その覚悟は簡単に身につくものではない……それはよくわかっています……」

ざわ・・・

     ざわ・・・

紬「私がそうでしたから……」

カイジ「ッ……!」

やっぱりこいつ!死線をいくつも越えてきてやがる!
いくつだ、こいつ!18?19?17?過去になにがあったんだ!

紬「私はとても苦しい思いをした記憶があります……その覚悟を手にするのに……どれだけの涙を流したことか……」

カイジ「……ッ」

紬「でもやってしまえばそれでおしまい、やるまでが苦しいだけで――」

紬「ヤッてしまえばもうなにも怖くないんですよ――?」

カイジ「ひっ……」ゾッ

紬「仕方がない事です……この短時間で貴方を覚醒へ導かなければならない……」

紬「ならばどんな手段でも構わない――思いつく限り覚醒率の高いもの――私と同じ――」

ざわ・・・



        ざわ・・・


紬「――殺人という覚醒儀式を」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 12:32:03.09 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「さ、さ、」





殺人――!!!!





カイジ「あ――あ――あ」




紬「1億、つまりあなたの首です」

紬「7億ほしかったら私含めあの子たち7人の首を持ってこの扉の前へ放り投げればよい話……」

紬「単純明快、ややこしい話では一切ない、ギャンブルより簡単ですね」ニコッ






首が1億の代わり――!! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 16:08:14.84 ID:NuPd6qq30<> なにこれ、期待 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 17:22:50.27 ID:pebxeZMyo<> なんだ鬼ごっこかと思ったら実質デスゲームとは。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 20:03:51.88 ID:GmxfSah40<> 福本顔の紬を想像させないでくれよ 吐くかと思った <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 20:19:30.94 ID:lF+q3XMAo<> なんとか平静を取り戻した、あの金髪が殺人鬼ごっこと口にしてからもう1時間経っている。
今回の内容はこの屋敷内すべてを使った生死の鬼ごっこ、なにを使っても構わないそうだ。
鬼ごっこと違うのは、参加者すべてが鬼だという事。追いかけられれば逃げてもよし、立ち向かってもよし……。

カイジ「くそっ……」

煙草の味がしねぇ……。
間違いなく俺は絶対絶命だ、なぜならせまられているからだ――。







――死ぬか、それとも人を殺して生きるかの究極の選択。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 20:28:10.00 ID:lF+q3XMAo<> 1億円相当の”物”であればそれを奪ってここから退散すればいい、しかし!
その1億円相当のものが人の頭ではな……。
この屋敷であのいかれた金髪と1週間鬼ごっこなんてとても無理だ、考えたくもない。

なら参加者のどれか一人を殺し、頭を?ぎ取り、あの固く閉ざされた扉に提出する他生き延びる術はない。
俺は生きたい、生きたい!生きたい!くそっ!

カイジ「くそっ……」

カイジ「……」

餓鬼どもと知り合っちまったら情が移っちまう。
開始早々俺はすぐにどこかに身をひそめ、通りかかった餓鬼を無条件で[ピーーー]――[ピーーー]っ――。

それか。

カイジ「……」チラッ

紬「……」ニコッ

カイジ「……」



こいつを開始早々ぶち[ピーーー]か……。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 20:33:59.10 ID:lF+q3XMAo<> ・





執事「いちについて」

カイジ「っ」

執事「よーい、どん」

カイジ「ッッ!」

紬「始まりましたね」

カイジ「っく!っく!」

紬「どうしました?」

カイジ「っっ!!」

カイジ「くううう……ぅぅくぅぅぅ!」

カイジ「うわああああ」ダダダダッ



無理だった!!やっぱり無理だ!!人を[ピーーー]なんて!!



カイジ「無理だああああああ!!!」ポロポロ

紬「ふふ……なにも恥じることはないわ……誰だってみんなそうよ……」


俺は開始早々あの金髪に情けない背中をみせ、泣き叫び、逃げた、とにかく逃げた。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 20:41:03.26 ID:lF+q3XMAo<> カイジ「はぁっ……はぁっ……」

この屋敷には狭い廊下から広い廊下まであって、俺は無意識に狭い廊下を選びそこを突き進んだ。
死角が少ないとみたからだ、ここはいわば金髪のテリトリー、領域、どこにどんな仕掛け、罠があるかわからない。
一概に言えないが、あまり広いと随所に気が行き届かず不利だと考える。俺の選択は間違っていない、いない筈……!

カイジ「ぐっ……」ピタッ

間違っていない!!間違っていない!

間違って……!

カイジ「……くそぉ……っ」

あの餓鬼共が気になる……。ちくしょう……。
一目散に逃げたくせしてあの餓鬼共が気になりやがる、俺の優柔不断野郎!!

カイジ「しらねぇ!しらねぇよ!くそっ!」

俺は再び、身をひそめる場所を探し求め走りだした。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/31(土) 20:52:11.45 ID:lF+q3XMAo<> ・





紬「みんなおまたせー」

唯「あ、むぎちゃん!」

澪「どうしたの……?」

本日、桜ヶ丘高等学校けいおん部のメンバー全員が紬の別荘に招待された。
平沢唯、秋山澪、田井中律、中野梓。
その他にも直接的に関係していないが3年間のバックアップを務めた2人がここへ招き入れられた。

紬「みんな、なにしてるの?」

唯「あ、和ちゃんに宿題教えてもらってたの〜」

和「こら、唯、新しい学校への提出あさってまでなんでしょ?」

憂「はい、お姉ちゃん、飲み物」

真鍋和、平沢憂。

紬「ふーん、偉いわね〜」



卒業祝いのお泊り、思い出作り、その紬の提案に一抹の不信感を抱くことなくここへやってきた、3年間の付き合い、かたい信頼関係がそうさせた。
まだこのメンバーは紬の考える恐ろしい計画を把握していない。伝えていないのだから、伝えたとしても冗談でしか扱われないだろう。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2011/12/31(土) 21:06:49.00 ID:lF+q3XMAo<> 澪「鬼ごっこ?」

紬「夢だったの〜」

律「なんだムギのやつ鬼ごっこもした事ないのか〜?」

紬「そうなのよ〜、ここでしてみたいわぁ〜」


結果からいうと鬼ごっこ開催決定、拒む者なし。
時刻はもう12時近いが友人の家でのお泊りで早寝など禁物、それは各々心得ていたようだ。
紬の口車にのせられ、お遊び感覚で逃げる桜高生徒諸君。

鬼はもちろん、

紬「さて……誰から……」

琴吹紬。

無論、この琴吹紬、捕まえた暁には殺人を犯すつもりでいる。
メンバー段々と気づくのだろう、なにかがおかしいと、不穏な空気を察知し、亡骸となった首なし死体と対面、発狂。
この平和的な現代では想像しがたい惨事にまきこまれ、冷静さを失う。

紬「ふふ……ふふ……」

カイジの為、そういったがこれは紬自身がそれを楽しむ目的も少なからずあっただろう。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/01(日) 18:28:53.04 ID:uN0BhEcUo<> ・





カイジ「ふーっ、ふーっ」

彷徨い続けても、彷徨い続けても落ち着いて身を隠す場所がみつからない!
それもその筈、この敵の屋敷に安息の地なんてあるわけないんだから。
おこがましい、なんておこがましい考え、俺は逃げてるだけだ、この行動を戦略と称して逃げているだけ……。

カイジ「あーっ、埒があかねぇ!」

カイジ「……」

行き着いた先、気がつけば俺はかなり広い部屋の中央に立っていた。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/01(日) 22:18:50.22 ID:H4qoeYTQ0<> 面白いっす
支援 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2012/01/02(月) 00:27:00.46 ID:r81Wuixqo<> カイジ「……なんだ……ここ……」

広い、かなり広い、一体なんに使うんだ、会議室?
にしては無造作にテレビが設けてあったり、本棚があちこちに、カーペットもふざけた色彩してやがる、しまいにはキッチンか、その隣には俺の伸長をゆうに超える貯水900リットルと記されたタンクがある。

カイジ「み、水……」ゴクリ

忘れていた、あまりの緊張にのどの渇きさえも、かなり喉が渇いていた。
でも……!

カイジ「ここは敵の要塞……相手にとっては圧倒的有利、罠なんてかけ放題だ……」

あの水がもし毒薬入りだったら……。
いや考え過ぎか、このゲームは俺達の殺害を目的としていない、あの手の人間だ、どうせ楽しみたいんだろ、俺達が強大な力の前に恐れ慄く様を……。
そんなあっさり殺してしまうような事はしない筈だ。

カイジ「大丈夫だよな……大丈夫……」

タンクの貯水ゲージは満杯だ、ここから直接水をくむことが可能。

キュ――。

カイジ「で、出る……んっ!」ゴクッゴクッ

うまい!大丈夫だ、そうだよ、長期戦となれば食料が必要だ、それくらい配慮するさ、ここの人間も。

カイジ「さて……ここで長居は避けたい……」スタスタ

カイジ「えっ……?あれ……?」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2012/01/02(月) 01:05:57.31 ID:r81Wuixqo<> カイジ「な、なんだこれ……?」

箱――乱反射する虹――カラフルなリボンを装飾する――。
プレゼントボックス――受け取るものを高翌揚させ、期待度を膨らませるコーディネート。

カイジ「ゆい……ちゃん……へ……?誰だ……ゆいって……」

キッチンに悠々と佇むプレゼント箱、そのリボンには紙が、そして『唯ちゃんへ』と宛名が記してある。
なんと大胆な、なんと隙だらけな――

罠――!
餓鬼がこのゲームのほんちゃんを知らないからと調子こいた真似しやがって……!

カイジ「くそっ、こんなものっ……!」

カイジ「……ッ!!」

いや待て、これに手を出して俺が負傷でもしたらどうする……!
冷静に考えろ、これは唯という名の餓鬼に向けられた罠、仕掛け……。
俺が痛手を負う必要は全くないんだ、この唯とやらが喰らえば俺は無害……。

カイジ「ふふ……そうだ……」





悪魔になれ……悪魔に……。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:09:18.48 ID:r81Wuixqo<> ということは、ということはだ、俺はかなり甘いんだ!
なんの用心もせずこのキッチンへやってきて水を飲んで……。
罠はこんな近くに仕掛けられていた、これがもし俺あてでしかも隙のない、気づきようのないものだったらどうする……!
俺はここで一度死んだも同然――!意識を改めなければ……!

カイジ「とにかくここから出t……」

カイジ「……」

カイジ「え」

カイジ「……」

カイジ「……」







えっ――? <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:12:40.99 ID:r81Wuixqo<> カイジ「えっ、えっ?」

なんだここ……。

カイジ「えっ?な、なんだよここ……」

なんだここ……!

カイジ「……な、なんだここ」

四角形のこの部屋、側面全面の中央に扉が、計4つの扉が、しかしよく目を凝らすと……。
エレベーター――4つすべてエレベーター。

カイジ「な、なんだって……4つすべてエレベーターだと……」

俺が使った細い廊下の出入り口以外のこのメインドアがすべてエレベーター。
この会議室と思えないアットホームな部屋にエレベータの集合、一体なんのため。

明快――わかりやすすぎる罠――仕掛け。

カイジ「や、やべぇ……!!」ダッ


なにがおこるかわからねぇ……!!
とにかくここからにg



ダッダッダッダッダッ――。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:14:17.25 ID:r81Wuixqo<>



ざわ・・・





カイジ「い゛っ……!」



なんてこった



なんてこった!!!



唯一の出入り口――俺が来た道から音が――。




足音が――!! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:17:04.95 ID:r81Wuixqo<>
だれ――いったい――。

カイジ「っくううう……!!」



どうするどうするどうする。


隠れる――とりあえず――なにもかんがえず――とにかく。



隠れろ!!!!



カイジ「っく!!!!」



唯一の隠れ場所、爆撃を受けずにすむ所、防空壕――。




キッチン――。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:20:58.99 ID:r81Wuixqo<> カイジ「っく、ここしかねぇ……!」



走れ、走れ、走れ!!!!!



ダッダッダッダッ――。



カイジ「っくっっっ……!!」



得体のしれない者の足音がどんどん近づいてくる、俺はこの見るからに怪しいエレベーターにのりこむことができず……。



極めて危険度の高い――徘徊されたらお終いのキッチンへ――。


カイジ「っ!」




身を隠す……!! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:22:30.03 ID:r81Wuixqo<> カイジ「……ッ」



だれだ――。



ダッダッダッダッ――。



誰だ――!




ダッダッダッダッ――。



誰だ――!!






ガチャ――! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:27:55.73 ID:r81Wuixqo<> 唯「ふー」

カイジ「っ……!?」

唯「ここまで走れば大丈夫……かなっ」

カイジ「が……が……」




餓鬼っ――!
良かった!!餓鬼だ!!



カイジ「っ……よかった……よかったっ……!」ボソッボソッ



もしあの金髪だったら、俺はまんまとはめられたことになっていた。
すべてフェイクだって事もあり得る、あのプレゼントもフェイク、俺の安心をさそうもの。
でも違った、あの餓鬼がここにきたということは……。もしかすると……


唯「ひろーい……あっ!」

唯「わー、プレゼント!?私の名前だー」タッタッタッ



や、やっぱりだ――! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:32:23.21 ID:r81Wuixqo<> 唯っていうのはこの餓鬼の事だ――!
工作――スタートからなんらかの工作によりこいつをこの部屋へおびき寄せたんだ!
この部屋は、この不自然すぎる部屋はよって唯をはめるためのいわば――。

唯堕としの部屋――!

唯「なんだろ〜へへ〜」バリバリ

カイジ「あっ――!」

唯「え?」

カイジ「んっ……」



し、しまった、声が……!



唯「……」

カイジ「……」

唯「気のせい気のせい、ふふーん」バリバリ

カイジ「っっっ」



だめだっ――その箱を開けてはだめだっ――!!! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:37:42.21 ID:r81Wuixqo<> カイジ「っ……っ……!」

唯「なんだろ〜♪」



どうする……!このままではこの餓鬼が!!この餓鬼がはめられる!!
へたするとここにいる俺も巻き添えに……!あってたまるかそんなこと!!
しかし!!しかし!!



カイジ「ぐっ……!ぐっ……!」



どうしようもできない!!ここで出るのも危険だ!!なぜならここは唯堕としの部屋!!
必ずと言っていいほどあの金髪の管轄下!!どこかでみている筈!!この餓鬼を!!
この餓鬼が罠にはめられ、信じていた友情を打ち砕かれ、失望して死にゆく様を見届けに!!



カイジ「く……そ……ぉぉぉぉ……!」ボソッ



唯「なーんだーろ、なっ!」パカッ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:40:39.22 ID:r81Wuixqo<> カイジ「っっっ!!!」


  ざわ・・・



                ざわ・・・

        ざわ・・・

唯「……」

唯「わーっ!」

カイジ「っ!?」

唯「時計だー!かわいいー!腕時計ー!」

カイジ「う、腕時計……?」

唯「私あてだよね!?間違いないよね!?やったーむぎちゃんありがとー!」

カイジ「……」





腕時計……? <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 01:56:15.99 ID:r81Wuixqo<>
予想外のプレゼント――普通にプレゼント――普通に良いプレゼント。
腕時計だと……?

唯「やったーやったーかわいいなー!ふふ、むぎちゃんどこだろぉー」

唯「あっ!もしかしてこの鬼ごっこってこれを探させるためのものかも!みんなにもプレゼントが用意されてるんだよ!」

カイジ「っ……」


ち、ひとり言のおおい餓鬼だぜ……俺も人のこと言えねぇが。
だがこいつの言うとおり餓鬼全員にプレゼントが用意されているとよんで正解かもな。
その中に一つ、ランダムに爆弾のような罠が仕掛けられており……っていう楽しみ方かもしれねぇ。
ってことはここはセーフか……?この餓鬼は安全だったってことか……?

唯「探そう!みんなを!どこいったんだろ〜?」スタスタ

カイジ「っ……!」

まずい、エレベーターの方に歩きだしやがった……普通の出入り口だと勘違いして……気づいてねぇのかこの鈍感……まあ無理もねぇか。
餓鬼共はなにも知らされちゃいねぇ筈……俺のこの警戒心をもってして初めて炙り出せる炙り絵……罠……。
ここは大丈夫か……金髪がこの唯って餓鬼に絞り込む確立は今までの因縁も絡んでくるだろうが公平にみて7分の1。
限らねぇだろ……!こいつをマークしてるなんて限らねぇだろ!金髪が!!

カイジ「っぐ……!っぐ……!!」



飛び出すか……飛び出すか、俺……! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 02:04:47.98 ID:r81Wuixqo<> カイジ「……っ!」

もう時間がねぇ!飛び出しちまえ!見殺しになんかできねぇよ!
あの餓鬼がエレベーターに乗りこんでしまう前に!救ってやるんだ!

カイジ「まt」

紬「唯ちゃん」

カイジ「agっhhh!!!!!!」














唯「あーっ、むぎちゃん!見たよこのプレゼント!ありがとー!」

紬「あ、もう開けちゃった?もー、私が捕まえてから開けてほしかったのにー」

唯「へへ、我慢できやせんでした……」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 02:07:06.53 ID:r81Wuixqo<> 紬「はい、タッチ」

唯「へ?」

紬「つーかまーえたー♪」

唯「あ!忘れてたぁ!」











カイジ「ふーっ!!!ふーっ!!!ふーっ!!!」ドキドキドキドキドキ








きづ――かれて――ない――っっっ!!
気づかれてないっ!!俺、きづかれてないっっっ!!! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 02:15:07.52 ID:r81Wuixqo<> やっぱりだ!!!やっぱりこの金髪!!!この唯って餓鬼を仕留めるために!!
そうか!!あのプレゼントはおとり!!プレゼントで鬼ごっこの状況を打ち消す!!
おとり作戦っっ!!そうすれば逃げることはなくなる!!唯って餓鬼は勘違いする!!

鬼ごっこの本命はこのプレゼントを自ら探させるためのものだったと!!

じゃあ次は……おそらく……!!

唯「じゃあ私鬼ね!いーち、にーい」

紬「うふふ、鬼ごっこ終了よ、これが目的だったんだもの」

唯「む、むぎちゃん……なんて良い人……」ウルウル

紬「よしよし、泣かない泣かない」

紬「とりあえず――」


カイジ「っ……!」



紬「出ようか、ここ」



カイジ「っっっ!!!!」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 02:22:25.97 ID:r81Wuixqo<> やっぱりだ!!この一見普通のドアにしか見えない、エレベーターに乗り込み、殺害!!
この金髪はそれが狙いだった!!ここにおびき寄せてそれが狙い!!

唯「うんっ」

紬「さあ、行こう」

カイジ「っっ!」

紬「みんなの場所へ――」

カイジ「っっっ!!!」

1歩――1歩と――あの悪魔と一緒に餓鬼はへらへらと――エレベーターに吸い込まれていく。
その中でなにが待ち受けるか、何が待ち受けるか!!それは死!!絶対死だ!!絶対的に死だ!!

カイジ「っっっ!!!」

死ぬ!!死ぬ!!死ぬ!!あの餓鬼はこのままでは絶対的絶命!!絶命!!!!
わかっている!!それは重々承知!!なのに俺は――





――傍観!!!!ただただ見殺し!!! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2012/01/02(月) 02:32:37.68 ID:r81Wuixqo<> 死ぬんだぞ!!人が一人!!17、18年間の歴史が!!ここで尽きる!!
悪魔的な人間の欲望ただ一つにより尽きる!!あんよから始まり二足歩行、色々な感情が芽生え、学問を習得し、哲学的な思考を得て、今に至る18歳、青春真っ只中!
あまりにも残酷!!無慈悲!!どうかこの命、救えないものか!!どうにかしてでも!!どうにかしてでも!!



カイジ「っぐぅぅぅ……!!!!!」




可能!!!それができる!!できる!!
できるんだ!!!今ならまだ間に合うんだ!!!

俺の手でその命を救う事ができる!!

俺の手で!!俺の手で!!

カイジ「っぐぅうぅぅぁぁぁぁ――できるできるできるできる……っっ!!」

救え!!今すぐ立ちあがれ!!立ちあがれ!!

カイジ「っぐあああああああ……!!!」

立て!!!救え!!!救い出せ!!!できる!!!まだ間に合う!!


ガチャ――。






カイジ「う゛ああああああああああ!!!!!!」ダッ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 02:35:18.11 ID:r81Wuixqo<> あいさつ遅れました、あけましておめでとうございます
これ続くかわかりませんが、見てるの一言で励みになりますのでどうか見てくださっているのであればご声援を
幸運なことに見てくれてる人いるみたいでほんとうれしいです、不定期更新ですがよろしくおねがいします <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 04:05:10.01 ID:JVYEJOZUo<> 面白い <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<><>2012/01/02(月) 04:16:49.05 ID:zMIQ8wlZo<> まだいるぜ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 04:17:35.80 ID:6HfAc2Pl0<> 乙 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 08:41:14.32 ID:Yv+L4gkQo<> 見てるよ〜 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 11:08:12.83 ID:VyPWVWAIO<> おもしろいぜ
期待してる <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 11:24:45.67 ID:r81Wuixqo<> 紬「……っ?」

唯「え……?」






カイジ「ふーっ……ふーっ……!」





飛び出した、飛び出した。
間違いなく、俺は――金髪の前へ。
奴の表情、予想だにしないと言っているようなものだ。
計算外か、この俺がここで登場するなんてよ!






カイジ「へっ、悪かったな!台本通りにはいかねぇよ!!」

紬「っ……!」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 11:36:01.36 ID:r81Wuixqo<> 唯「ひっ……あの人……」

カイジ「うっ……」

あの餓鬼の目、まるでだらしないチンピラを見下すような、そんな冷たい視線。
餓鬼共にとっての俺の初登場は確かに不気味なものだったかもしれん、いきなりわめき散らしたわけだからな。
しかしそれがお前らゆとり世代のふざけているところ!平和的な世界でしか生きた事のないお前らはこれしきのことでびびり、異観といい、とことん甘える!
ここはそんな一筋縄じゃいかねぇ、甘えは通用しねぇんだ……。

紬「あなた……いたの……?」

カイジ「ああ、いたさ!悪かったな、居てよ」

飛び出してくるつもりはなかったけどな。
隙を見て奴の首を掻っ切ることだって可能だった。
俺もとことん甘い人間、しかしやはりそれでこそ人間!このぬくもりは人間らしさ!

紬「……ああそう、で?」

カイジ「ああ?」

紬「あなた……」

紬「なにがしたいの?」

カイジ「――っっ!!」




そうだ――これは圧倒的不利な状況――! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 11:46:03.17 ID:r81Wuixqo<> 俺の状況をわかりやすく例えるならば泥棒!相手家族に発見された泥棒!自ら飛び出てきた泥棒!
唯とかいう餓鬼は金髪をなんの疑いもなく信用し、金髪も友人を演じている。3年間の日常の光景。
そこに俺!意味不明な俺の登場!餓鬼からしたら非日常!非常事態!

カイジ「っっっ!!」

紬「なにか用かしら……?」

唯「む、むぎちゃんっ……だ、だれぇ?」

俺がいくら助けに来たと叫んでも、餓鬼からしたらただの発狂にしか見えず……。
餓鬼は逃げる、俺から、そしてあの悪魔のエレベーターで殺害される……!

紬「いこう……怖いわ……」

唯「う、うんっ」スタスタ

カイジ「だ、だめ!だめだめだめ!だめだっ!!」スタスタ

唯「ひいいっ!」

カイジ「う、うぅぅ!」ピタッ

くそくそくそくそ!!!こんなことなら堂々と登場せずこそこそと後ろから死角をつけばよかった!!

カイジ「っっっ……!!」

紬「……」ニヤ

カイジ「……へっ、仕方ねぇ……」ボソッ <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 11:54:13.04 ID:r81Wuixqo<> こうなれば策を練るなんて時間のかかることできねぇ、強行突破!
強引にこの状況にあわせ、奴の思惑をねじ伏せる!!
俺が悪を演じるしかねぇ……。

カイジ「くっくっくっ……ふふふ……」

紬「……」

カイジ「ふふふ……」



奴らはあと何歩かでエレベーターに手が届く……。
ここで普通に近づいても、逃げられるにきまってる……。
じゃあ説得……無理すぎる……じゃあどうする……じゃあどうする……。
とにかく動かせぬこと、奴ら、いや餓鬼一人でいい、動かせぬこと。

じゃあ動けぬほどの――腰を抜かすほどの――悪を――。

カイジ「ふふふ……」ゴゴゴ

威圧を――ここ一番の瞬間に――。

カイジ「う゛あああああああ!!!」ダダダダダダッ





爆発させる――!!!! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 12:03:04.03 ID:r81Wuixqo<> ものすごい形相、走り方をした者が、いきなり、ほんといきなり突進してきたら、相手はただ驚くに精一杯。
動けないのだ、威圧に、回避という反射ですら無視をする。

唯「ひや゛あぁぁっ!!」

カイジ「っぐ!!!」

首根っこ!!捕まえた!!このまま引きずれ!!引きずれ!!

カイジ「ふーっ、ふーっ!」

唯「いやああ!!たすけて!!たすけてー!!」

カイジ「ふーっ、ふーっ!ふふふ!ふははは!!」

紬「……」


よしよしよし!!餓鬼確保!!羽交い絞め!!
金髪もあまりの事に立ち尽くすのみ!!
助けた!!助けたぞ!!ふふふ!よっしゃよっしゃ!!


カイジ「お、おい!心配するな!俺はなにもしねぇ!なにもしねぇよ!」

唯「やだあ!!やだやだ!!たすけて〜〜〜!!」

カイジ「お、おいっ!聞けっ!きけっ!!おいっ!!」

唯「ひゃああああ!!やだよ゛ぉ〜!!」

カイジ「っっっ!!くそっ!」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 12:10:58.64 ID:r81Wuixqo<> まぁいい、しょうがねぇ、こいつは後で説得しまくるしかねぇ。
とにかくこいつから逃げろ!餓鬼を連れて金髪から逃げること優先!

カイジ「悪かったな!さらっていくぜ!」

唯「びいぃぃぃ……むぎちゃあぁぁぁん……」ヘナヘナ

紬「……」

よしっ、出ろ、出ろッ……。
あの細い廊下を、廊下を使って!



ざわ・・・


カイジ「……?あれ……」




紬「”あとぜき”という方言をご存知ですか?」

カイジ「っ……あとぜき……?」

紬「扉は開けっぱなしではいけません、マナーとして――」





紬「開けた扉はちゃんと戸締りをしましょう――という意味ですよ?ご存じでない?ふふ」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 12:15:20.86 ID:r81Wuixqo<> カイジ「あああっ……あああああっ……!!」

紬「私、各地方の言葉が好きでして……方言さえ学べばどこの方とも楽しく会話ができますものね」





閉められた――!!しまった――!!




カイジ「っぐ!っぐ!!」

紬「あの扉、少々かたく閉め過ぎたかもしれません、すみませんね、ふふふ」





閉じ込められた!!閉じ込められた!!
じゃあ残るは――残る逃げ道は――





4つの扉――正確には――4つのエレベーター!! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 12:21:23.65 ID:r81Wuixqo<> カイジ「エレベーター……!!」

紬「さて、唯ちゃん」

唯「むぎちゃああん!!」ポロポロ

紬「大丈夫よ、安心して」

カイジ「!?」

紬「この部屋、不審者退治のおまじないがしてあるの」スタスタ

カイジ「く、くるな!!くるなっ!!」

紬「椅子に腰かけるだけですよ、そんなにあわてなくても」

カイジ「っっ……」

カイジ「お、おまじないってなんだよ!言え!!」

紬「それを悪者の貴方に言う事はできませんよ」

カイジ「……っ!」

紬「まぁ警戒心を煽るために言ってもいいですが――」

カイジ「……!」

紬「落とし穴――4つのなかのどれかに落とし穴がある――」

カイジ「ちっ……罠か!!」 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 12:26:49.15 ID:r81Wuixqo<> 紬「ええ、そうですよ、悪者を退治するための罠……」

紬「あっ、落とし穴といいましたがこれはあくまで例え……なにかは開けてのお楽しみです……」

カイジ「……!!」

なにが悪者を退治するための罠だ!!てめぇが悪者だろうが!!
やっぱりこの屋敷隙がねぇ!!いたるところに罠が!!俺らを陥れる罠が!!

カイジ「悪党が……っ!!」

紬「ふふふ、貴方に言われたくありませんよ、ねぇ唯ちゃん」

唯「ひぃ……ひっ!!」

カイジ「っ……」

この餓鬼、意識が朦朧としてやがる……。
人攫いにあうなんて経験初めてだもんな、誰だってパニックは必至。
くそ、この悪党から逃れる方法はねぇか……方法……。

カイジ「……」

ざわ・・・

     ざわ・・・

ざわ・・・

カイジ「ん……」




悪者退治の――仕掛け――? <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 12:38:47.55 ID:r81Wuixqo<> 待てよ、第三者からみて悪者は俺だ……。
あいつじゃねぇ筈……金髪じゃ……。
この4つの部屋のどれかは俺を陥れるための部屋……。
なら……。



入ろうとするわけがねぇ――!自ら罠の部屋に――!!



カイジ「へっ!甘いな!お前の計画破綻が解答を導かせた!」ズルズル

紬「……」



そうだ!やつは餓鬼と二人きりの時、エレベーターで殺害を試みた。
もちろん俺がここで登場するなんて計算外、あの表情からして計算外!俺の錯誤をまねくものじゃねぇ!
じゃあ迷うことねぇ!あいつがさっき入ろうとしたあのエレベーターはなんの仕掛けもされてないはずだ!
だってそこで自らの手で[ピーーー]んだからな!



カイジ「ふっ、あばよ!お前もその程度の人間さ!ちったぁそっちの頭はきれると思ったがとんだ期待外れ!」


よしっ、乗り込んだ!なにもおきねぇ!落とし穴じゃねぇ!


カイジ「なにもおきねぇな!俺の勝ちだ!お前みたいな子供に弄ばれるほど俺は低能じゃn」



ガシャン――! <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 12:44:28.59 ID:r81Wuixqo<> カイジ「あっ――!?」

なんだこの音――あれ?




閉まった――扉が――入った瞬間――閉鎖ボタンはまだおされていない筈なのに――勢いよく――。



カイジ「っ……!ボタン!」



ある!このエレベーターには確かに!1〜9までのボタン!そして閉め、開け、のボタン!



カイジ「あっ?1から9って……」


ざわ・・・


      ざわ・・・


ざわ・・・


1から9って――!?
ここはそんな高層ビルじゃねぇ!外から見た感じせいぜい4、5階建て……。 <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 12:48:59.64 ID:r81Wuixqo<> 紬「ふふふ……」

カイジ「……ああ」

紬「その程度の人間でしたか……」

カイジ「や、やべぇ……やb」



ザアアアア――!!



カイジ「ひっ!!!」

紬「とんだ期待外れ――」

カイジ「う、うわああ!うわあああ!!!」





水!!!噴き出す!!一つの噴射口から!!水が噴き出してきやがる!!
なんで!!!ここは普通のエレベーターの筈!!なんで水なんかが!!なんで水なんかが!!





あれ――これってもしかして――このままじゃ――。


カイジ「あ……ああ……」ガクガク <> SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)<>sage<>2012/01/02(月) 12:56:05.13 ID:r81Wuixqo<> 死ぬじゃん!!溺死!!溺死!!
ここは水牢!!はなから水牢!!

カイジ「な、なんで……なんで……」

なんでだよ……奴はこのエレベーターに入ろうとしたじゃないか……この入った瞬間水が噴き出すエレベーターに……。
どうして……どうして……!もうなにがなんだか……!

唯「ひいいい!!やだああ!!やだあああああ!!」

カイジ「お、おおお、お、落ち着けっ!!黙れっ!!落ち着け!!」

唯「ひぎいいいい!!やだぁぁぁよぉぉぉぉ!!冷たい!!冷たい!!」

カイジ「ううううう……!くっ……ぐっ……!」ポロポロ

紬「ふふふ……」



あかねぇ……この扉……びくともしねぇ……。
どうすればいい……こうしているうちに水のかさは増す……。
時間がねぇ!時間がねぇ!!くそっ!!

カイジ「ふうっ、ふうっ!はっ!ボタン!ボタン!!」

この1から9の不自然なボタンっっっ!!これだ!!!これが脱出のカギ!!

カイジ「で、でもっ……!!」



これをどうしろと……!!これをどうしろっていうんだよ……!! <> 以下、あけまして、おめでとうございます<>sage<>2012/01/02(月) 23:06:43.51 ID:yg30mpKSO<> 面白い

けど、この二作品をクロスさせた意図が分からんなぁ
紬の金持ち設定と、けいおんの知名度を利用したいだけなのかも知れないが <> 以下、あけまして、おめでとうございます<><>2012/01/02(月) 23:46:05.28 ID:r81Wuixqo<> カイジ「ふーっ、ふーっ!」

冷てぇ、かなりつめてぇ、扉と平行の面からかなりの冷水が噴き出してくる!
狭いこの部屋、エレベーターに満杯になるのは容易い、10分もいらない!
あと10分で溺死!この餓鬼を救ったが為に!俺はまた俺以外の為に血を流す!

カイジ「っぐぐぐっ!!ちくしょぉ!!」

ごんっ!!

殴った!!もうなにも考えず殴った!!壁を!!
いたい!!手がいたい!!しかし感じない!!いたくない!!
それどころではない!!もはや!!もはや!!

唯「やだっ!やだっ!助けて!うわ゛あああ!!」

カイジ「うるせえ!黙ってろ!!」

やけになる!ただただやけになって怒鳴る!
策が思いつかない、詰んだ、さっそく詰んでしまった!!!

カイジ「っっ――!!」

ざわ・・・

カイジ「はっ……!こ、これ……ぼたんっ!!」








みつけた――可能性――生還への糸口!! <> 以下、あけまして、おめでとうございます<>sage<>2012/01/02(月) 23:53:35.21 ID:r81Wuixqo<> 1から9の数字が記されたボタン、そして開け、閉めのボタン。
なんの違和感も感じない、普通のボタン、エレベーターにはなくてはならないボタン。
しかしこれだけ見ては、生還への糸口とは限らない――


が――。


カイジ「ここは……はっ……9階もあったか!?ない!!せいぜい4、5階!!」



確かに違和感、不自然、みつけた、これは糸口!!
そうだ!冷静に考えてみろ、金髪があのままあの時に餓鬼とこのエレベーターに乗り込んでしまったとして……。

カイジ「万が一の脱出口を作らないわけがない!自分の為に!」

しかし金髪がこの罠のエレベーターに乗り込もうとした理由がわからない!何故だ!?
いやそんなことはあとで考えろ!とにかく今は生きろ!生きてこそ、考えれる!死んでしまっては無だ!

カイジ「っっっ!!」

しかし――。

カイジ「う……!うぅ……!」

しかし――わからない――!

カイジ「う……!うぅぅ……!」ポロポロ





これをどうしろと……!このボタンをどうしろと……! <> 以下、あけまして、おめでとうございます<>sage<>2012/01/03(火) 00:14:09.74 ID:FRLptMTPo<> なんだぁ……なんなんだこれ……?
このボタンが怪しいのはわかる……けど……けど……。
これを……その……どう……どうやって……どうれば……。
わからない……どうしたらいいのかまったく……。
いや、ある!ある筈だ!なに弱気になってるんだ!
探せばある!探せばある!探せば……探せば……。
はっ……!み、水が!水がもう膝まで!ひっ!ひいっ!
時間がねぇ!時間がない!やばいやばい!
き、きっとあれだ!!そうだ!!なぞなぞ!なぞなぞだ!おそらく!
エレベーターに関連するなぞなぞ……なぞなぞ……。
エレベーターエレベーター……ええと……あああ……。
わからん……エレベーターがなんだぁ……数字がなんだ……?
えっ……数字関係ない……エレベーターと数字が……えっ……?
意味不明……じゃあなぞなぞじゃない……?じゃあ何……?あれ?
ない……ない……!ないないない!糸口!ほかに方法はないのか!?
ある!!あるんだ!!あるのはわかってる!!あるんだろ!?あるんだ!
絶対あるけど!!わからん!!あるのはわかるんだ!!もういいだろ!!
もう出してくれても!!あるのはわかってるんだから!!えっ!?!?
違う違う違う!!おいおいおい!こんがらがってる!!なにがなんだか!!
っていうか数字関係ない!?!?!?ボタン関係ない!?!?!?
じゃあ何!?これなに!?なにこれ!?俺今なにしてるんだ!?
つめたっ……あっ……ああああ……水が……水があああああ!!!
もう腰あたりまで!!腰あたりまできてやがる!!あっちいけ!!まだ時間をくれ!!
わかるんだよ!!あともうちょっとだ!!あともうちょっとだけでいいから時間をくれ!!
急くな!!急くな!!お前らはちょっと厳しすぎるんだ!!条件が厳しすぎる!!
無理だっつーの!!こんなの!!こんな短時間でやれなんて無理無理無理!!
あり得ない!!あり得ない要求!!こんなことしてなんになる!!やめやめ!
こんなのやめだ!!俺は放棄する!!やってられるかこんなこと!!
あーあ、しんど、疲れた、疲れ損だ……なんでいつも俺ばかりこんな役回り……。
人生の勝ち組は俺みたいな経験一度もしたことがないんだろうな、負け組はとことん負け負け負け……。
もううんざりだぜ、誕生した瞬間神様が無差別に負け組を決定するんだろ?じゃあこんなの無理だ。
はなっから無理だったんだ、いくら俺が頑張っても無理だったんだ、なんで今頃気づく俺。
バカか?ばかだ……でもこのバカは俺のせいではなく、神様のハンデのせいだ。俺はわるくない。
ならいっそ死んだ方がまし、勝ち組が生き残る世界。俺はこのまま生きてても無駄ってこった。
あいつみたいな勝ち組が生き残る世界だったんだ。 <> 以下、あけまして、おめでとうございます<>sage<>2012/01/03(火) 00:18:14.14 ID:FRLptMTPo<> カイジ「はは……はは……そうだ……」ボソッ

紬「ふふふ……」

カイジ「あぁ……?」

カイジ「なに笑ってやがる……くそ野郎……」

紬「ふふふ、負けですね、貴方の」

カイジ「ああ、そうだよ?だからなんだ?あぁ?」

紬「こほん、いえ、別に」

カイジ「あぁ?」

紬「はい?」

カイジ「あぁ?んだお前、[ピーーー]ぞ……」

紬「ふふっ、ご自由に」

カイジ「なんだよ……なんか用かよ!?なんだ?言いたいことがあるなら言え!言え!」

紬「じゃあ言いますが」

紬「また負けましたね――ふふっ」

カイジ「っっっ!!!!!!」

カイジ「く・・・く・・・く・・・」



くくくくくくくく!!!!!!!!!!!!!! <> 以下、あけまして、おめでとうございます<>sage<>2012/01/03(火) 00:20:28.06 ID:FRLptMTPo<> 負け組でいいや――だと?








良くない!!!!!!!!!!!!!!!
良くない!!!!!!!!!!!!!!!
良くない!!!!!!!!!!!!!!!
悔しい!!!!!!!!!!!!!!!!
悔しい!!!!!!!!!!!!!!!!
負けたくない!!!!!!!!!!!!!
負けたくない!!!!!!!!!!!!!









カイジ「っっっ!!!!!」 <> 以下、あけまして、おめでとうございます<>sage<>2012/01/03(火) 00:26:54.66 ID:FRLptMTPo<> カイジ「っっっ!!!」

負けるかよ!!ふざけんな!!なんで俺がこの糞野郎に負けなきゃいけない!!
人の命を簡単に消すほどのゴミ虫野郎になんで俺が負ける!!
理不尽!!!それは理不尽!!俺は間違っていない!!!
間違いが正義なんて俺は納得しない!!勝つんだ!!っていうか正義は勝つ!!勝つんだ!!

カイジ「ああああああ!!」



生きたい、俺は生きるぞ!!
なんとしてでも!!



カイジ「――もう迷ってられるか、このボタンだ!」



賭ける、俺は賭けてきた、今まで決死の覚悟で賭けてきて。
勝つ!勝ってきた!負けるわけがねぇ!俺の賭けは間違ってねえ!
違ってたらその時はその時!俺が間違っていたら負け!ただそれだけだ!
だが俺はまけねぇ!負けるかよ!



カイジ「……っっっ」




暗号を入力、そして開けるボタンを押す。
これだ、これで決まりだ、じゃあ暗号はなんだ……。 <> 以下、あけまして、おめでとうございます<>sage<>2012/01/03(火) 00:32:19.78 ID:FRLptMTPo<> カイジ「暗号はなんだ……」

唯「し、死んじゃう!死んじゃうよぉ!助けて!助けて!」グッグッ

カイジ「あ、ああ?」

唯「助けて!お願い!溺れる!溺れるよ!」

カイジ「し、死にたくなきゃ黙ってな」

唯「いや!死にたくないよぉ!死ぬのは、い、い゛やぁ!」

カイジ「じゃあ黙ってろ、離せ、考える……!」

唯「やだぁああ!!いやあああ!」グッグッ

カイジ「っっ……」

唯「たすけてぇぇぇぇ!!!」グッグッ

カイジ「っっ……!」

唯「しにたk」

カイジ「うじうじうじうじうるせぇ野郎だ!!!!女なら男らしくしてやがれ!!!女だーろが!!!」

唯「……」

カイジ「あっ……えっ……」

唯「……?」

カイジ「……」

よ、よしっ、とりあえず黙った!黙らせた! <> 以下、あけまして、おめでとうございます<>sage<>2012/01/03(火) 00:45:34.75 ID:FRLptMTPo<> 水のかさは俺の腹あたり、餓鬼はもっと深刻な状況下におかれている。
時間の問題だ、いかにはやく見つけ出すか、冷静になればみつかる。

カイジ「……頼むぜ……ヒントをくれ……」

神頼みなんて性にあわねぇが、こればかりは仕方ない、それしかねぇ……。
神が俺を生かすと判断したら俺に知恵を、逆にこれまでの愚行が目に余るのであれば死。
まあいいさ、俺は確かにクズだ、俺は落としてもらってかまわねぇ、だがな。

唯「ふっ……ふっ……」ブルブル

この餓鬼はどうるすよ!?ええ!?神様、この餓鬼も連れてくか?
完全に被害者だぜ、この餓鬼は。俺のせいで餓鬼も死ぬか?そんなことするかよ?
許されない、そんなこと絶対にな、俺がゆるさねぇ。神失格だぜ。

それでもあんたが無理というなら――。


カイジ「救うまでだ!この俺が!」

唯「……」



水――もう俺の胸元まで迫る――。
水が――。



水――。 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 00:51:08.18 ID:FRLptMTPo<> 水――。


カイジ「どうした!?すくわねぇか!?やっぱりあんたは見捨てるか!?」


水――水が出る――。


紬「だ、だれと話してるの……?気でも狂ったかしら……」


カイジ「あっていいのかよ!そんなこと!こんな超悪人にはめられ堕ちていく善人がいていいのか!?」


水が出るんだ――どこから――水の出どころは――いや――。


カイジ「あっていいわけがねぇ!!失望した!!失望だ!!なんて不幸な世界!!こんな奴にすべてが決められちまうんだからよ!」


水――あった――確か――タンク――貯水タンクに――。


カイジ「あんたも結局ぐるってわけか!!どうしようもねぇ世界だ!!」





貯水タンク――。 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 00:56:24.63 ID:FRLptMTPo<> カイジ「はっ」

ざわ・・・

     ざわ・・・

ざわ・・・

         ざわ・・・

貯水タンク――。伸びてる。貯水タンクから管が。こっちに向かって……。

カイジ「ああああああっ!!!」

減ってる!!!ゲージが!!!確実に減ってる!!
俺があそこで飲んだ時は満タンだったゲージがへってる!減少してる!
この水はあの貯水タンクからきてる!ということは事前に抜いておけば……!それが正解か!?

カイジ「ていうことは……!ていうことは……!」

いや違う!そんなわけない!なんて初見殺しゲームだ!
まだ正解へいきついてない!だからなんだという話!こっから先が肝心!
あそこにヒントがヒントがある筈!なにかしらの!ヒントが!

ざわ・・・

     ざわ・・・

ざわ・・・

        ざわ・・・ <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 01:01:38.88 ID:FRLptMTPo<> カイジ「……!!」

紬「……」

カイジ「っっっ!!!」

カイジ「ふふ!!ふふふ!!」

紬「……」



紬(やっと気づいたかしら……?)



カイジ「ありがとよ!神様!」ポチッポチッ

紬「……っ」




おすっおすっおすっ!!
はやくっ!!もっとはやく!!正確に!!
暗号を!!暗号を!!明らかな正解!!みつけたみつけた!

カイジ「とまれっ!!とまれっ!!」




あの糞でかい貯水タンクの容量が900リットルのわけがねぇ!!
決まった!!これが暗号だ!! <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 01:04:00.99 ID:FRLptMTPo<> もういい、休む、休む
おやすみ

>>88
カイジのオリジナルエピソード書きたかったけどオリキャラって萎えそうだからけいおんを使った <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 01:25:46.30 ID:bKbWlxiEo<> 面白いです
支援 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 01:45:06.61 ID:jorsECHBo<> いいよいいよ〜
続き待ってるよ〜
<> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 03:23:17.98 ID:lb3cymDzo<> すっげえ面白いww
続き期待! <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 09:52:46.30 ID:7A2PvFnSO<> 乙。
クソおもしれぇ…。 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 12:04:37.89 ID:4SlX3pEY0<> これ面白すぎだろ… <> 以下、あけまして<><>2012/01/03(火) 14:12:41.79 ID:Y4/sCUFn0<> うじうじうじうじうるせぇ野郎だ!!!!女なら男らしくしてやがれ!!!女だーろが!!!
何気にいい言葉だな
<> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 14:33:32.32 ID:mi+WmYRE0<> ぱねぇ・・・
期待 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 18:10:58.84 ID:cSPur0MTo<> オモロー! <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/03(火) 21:14:17.95 ID:LQJGXepW0<> カイジssって結構珍しいよな <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 00:42:22.64 ID:yuiXTRyuo<> このまま唯は泣き虫ハナタレ娘で終わるのか、
それとも見せ場があるのかという意味でもハラハラドキドキだぜw <> 以下、あけまして<><>2012/01/04(水) 16:59:14.29 ID:9icZTSD7o<> カイジ「かった!!かったぞ!!」



みつけた!!確信!!絶対的な確信を掴んだ!!勝った!!
もぎとった!!勝利!!諦めなかった!!俺は諦めなかった!!



カイジ「とまれっ!とまれっ!」

紬「っ」


何度も、何度も確認する、あの貯水タンクが900リットル容器に見えない。
確かに900リットルと書かれてある、みれば見るほど、みればみるほど不自然に。


カイジ「負けるか!!俺は負けるか!お前なんかに!お前なんかに!」ポロポロ


涙ながら!涙ながらに俺は扉ひとつで隔たる悪魔サイドへ勝利を宣言した。
かった!はやく開け!開いてくれ!

唯「やあっ!やだあああ!ひいいい!」

カイジ「大丈夫だ!落ち着け!落ち着け!」

カイジ「おちt」 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 17:09:43.86 ID:9icZTSD7o<> 唯「ひやあああ!!ひいいいい!!」

カイジ「……」

カイジ「お、落ち着け……」

なにかがおかしい。
とりあえず今、なにが起きているのか把握できない。
ただわかる事、頭で理解できる事は、”なにかがおかしい”という事のみ。
切った筈、傀儡を操る糸、傀儡であった俺達をもてあそぶ者はもういない筈。
じゃあなにをびびってる?臆面を晒すな、堂々と勝利宣言だ。

カイジ「あ……」

待て!待て待て!水のかさが増えている!圧倒的に!なんだこれ!
こんな切羽詰まった状況に俺はたたされていたのか!あぶねぇ!あともうちょっとで……

カイジ「いや……!」

違う!バカバカバカ!ちがうだろーに!
はやく止めろ!はやくこの水の増量を!

カイジ「え、いや……!!」

止めただろ!止めただろ!900の暗号!間違いなく正解だった、暗号を入力し終えた!
じゃあもう止まれ!もういいからとまれ!とまれ!

カイジ「え……え……」

ザアアアアア――。




カイジ「と、とまれ!!もういいからとまれ!!もういい!!おい!!」 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 17:18:10.54 ID:9icZTSD7o<> カイジ「え……え……」

ザアアアアア――。

カイジ「お、おい……おい……」

ザアアアアア――。



何故……?何故止まらない……?えっ……?



ザアアアア――。

カイジ「あああ……ああああああ……!!」ブルブル

カイジ「とまれ!!もういいだろ!!とまれって!!まじで!!」ウルウル

手でおさえる、噴出口を、空気を読まず出続ける水を、手で止めようと試みる。
実感する、何と小さな手のひら、なんと無力な手のひら、なんと無意味な手のひら。
そして我にかえる、同時に聞こえてくる、周囲の音、雑音、ノイズ……しかしその雑音は今の俺に必要不可欠なものを、情報を、含んでおり……。
それはやっと届く、俺の耳に、心に――。

唯「み、水が!!4つも!!4つも水うううううう!!」

カイジ「――っっっ?」



4つの水――。
耳をこらす――。
ザアアアアア――水の音だ。
それがどうした……? <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 17:22:09.52 ID:9icZTSD7o<> カイジ「あ」

ざわ・・・

    ざわ・・・

ざわ・・・

    ざわ・・・


ザアアアアア――。
ザアアアアア――。
ザアアアアア――。
ザアアアアア――。



ザアアアアアの音×4つ。
水の音が増えてる、4つに、ああなるほど、そういうことか。
だから4つの水ってわけか、なるほどな……。





カイジ「はっ!?!?!?!?!?!?」

カイジ「えっ!?ああ!?うわああ!?」




噴出口が3つ増えてる。
そして噴き出している――水が。 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 17:36:39.81 ID:9icZTSD7o<> カイジ「う、う、うわああああああ!!??」



なんだこれなんだこれなんだこれ!!!噴出口が増えてる!!
4倍速!!つまりこれからは4倍速!!4倍の速さであの世に急接近!!
あるかこんな事!!正解を出したのになんだこの仕打ち!!

カイジ「きたねぇぞおおおおおお!!!!!おい!!!!!!おい!!!!!!」

紬「……」

カイジ「ぐぐぐ!!!ぎざまぁああああ!!![ピーーー]気だったか!!!俺達をはなから!!!くそやろう!!!」

紬「はぁ……」

カイジ「ぐぎ……!!ぐぐぐ!!!」ポロポロ

正解を出しても、負け。
究極で最強の理不尽、もうヤクザ思考、犯罪者の思考。
自分の気に入らない展開に遭遇すると強引にねじ伏せる。
汚い、本当に汚い。死んだら怨む、絶対怨む。

唯「あggg……!!あぐ……!」

カイジ「ああっ!!っぐ!!」

餓鬼が水に呑まれた、完全に呑まれた。
つま先立ちしても、鼻呼吸と口呼吸は完全に不可能な状態。

カイジ「っくぅぅぅ……!!!」ポロポロ


無であるあの世に地獄などない。
現世に地獄が存在した――この瞬間だ――。 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 17:48:01.11 ID:9icZTSD7o<> 餓鬼なんかに構ってる余裕はなく、ただ涙で、悔しさで途方に暮れる。
今までのベスト10に入る勢いで今回、頑張ったが、無駄だった。
しかもそれだけでなく溺死というおまけ付き、最悪だ。終わってしまう。
どうせ終わるのなら……この俺の命がなんの意味も成さず終わるのなら……もうどうにでもなれ。
プライドなんか知った事か。どうせ後世に名は残らないんだ。

カイジ「出してくれぇっ!!頼む!!頼む!!俺が悪かった!!悪かった!!」ポロポロ

紬「……」

カイジ「助けてくれ!た、助けてくれたら一生奴隷でいよう!!本当だ!!ずっとただ働き!!本当に!」

紬「はぁ……」

カイジ「溺れちまう!!いや゛だああっ!!死にたくないっ!!死にたくない゛いいっ!!」ドンドンドン

紬「裏の裏を読んだ結果がそれ、人を疑いすぎた貴方の傲慢な態度が今回の死を決定した」

カイジ「あ……あ……」ポロポロ

紬「死線を乗り越えたって言ったけどいくつ乗り越えたの?貴方は乗り越えていない、だからここでジタバタしてる、違う?」

カイジ「そ、そうです!そうです!その通り!!反省する!反省する!!」

紬「情けない、本当に情けない、[ピーーー]価値すらない」

カイジ「はは……じゃあ、じゃあ……」ポロポロ

紬「いや、貴方はここで死ぬのよ」

カイジ「……!!」 <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 23:17:34.84 ID:GVrhZmWAO<> 半端に終わったな… <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 23:20:17.23 ID:9icZTSD7o<> すいません・・・時間が空いてるときに即興で書いているので
中断してしまう事が多くなると思います、どうかご理解を <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 23:26:07.97 ID:MZNtDfXYo<> これを即興でやるとは・・・ <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/05(木) 01:33:41.30 ID:PveD5A6AO<> >>118 別にいいんだが書きためなしかよwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)<><>2012/01/08(日) 02:10:02.69 ID:tH/yvtfKo<> カイジ「……!!」

紬「貴方はここで死ぬの」

カイジ「……っ」

絶望した。
圧倒的脱力感、目の前がリアルに真っ暗になるような感覚。
そしてあろうことかホッとした、安心を抱いてしまった。
積み重なる苦悩、苦労、苦痛から解放される、それが快楽、つまり安楽死。
人類みなの最終目的、最終にして最大の願望、安楽死。
人類のどれだけが安楽死できただろうか、その希少な枠の中に俺が入れた、なんという幸運。
結果オーライという言葉を考えた奴を讃えたい、そうだ、結果よければすべて良しなんだ。
楽な気持ちで[ピーーー]るなら俺はもう構わない。

カイジ「……」

紬「……」

紬「はぁ……」

紬「これでお終いにする気なの?うそでしょう……」

カイジ「……」

紬「上の空……諦めたみたいね……」

紬「つまらない……」

カイジ「――っ?」



ガコンガコンガコン――。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 02:12:25.27 ID:tH/yvtfKo<> 終わった――。
もう完全に終わった――。
視界が――歪んでいく――変化していく。
水に呑まれる――しかし心地良い――このまま身を任せろ――。

吸い込まれていく――。

水の中に――。















ざわ・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 02:18:22.13 ID:tH/yvtfKo<> ザッパアアアアアン――!

カイジ「っ!」



吸い込まれた――そして叩きつけられた。
水の中になにが待っていたんだ?俺をいじめる奴は誰だ……。
あの世でも負け組かよ……。

カイジ「……っ……?」

俺を叩きつけたもの――いや、俺が自ら叩きつけられにいった?
だって目の前には――。

カイジ「地面……」

大地――あの世にも大地があったのか。
にしても妙にリアルな感触、まるで夢の中のようなリアル感。

カイジ「……」

カイジ「あ……」

唯「……」

カイジ「餓鬼……お前もかよ……」



うつ伏せになって餓鬼が倒れこんでいた、全身はびしょ濡れ、生きている気配がない。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 02:26:50.61 ID:tH/yvtfKo<> カイジ「……」

死んでいるのか生きているのかわからない状態、俺はどうしていいかわからない。
もしかしたら死にかけていて、俺がなにかしらの救命行為をすることで蘇生したり……っておいおい。
ここはあの世だぜ、なんで生死について考えてるんだよ、あの世には死ぬって概念がねぇ筈。

カイジ「……?」

っていうかここどこだ、かなり暗いが視界をふさぐほどでもない、まるで地下のでっかい用水路……。

カイジ「……!?」

カイジ「は、は……?」

目を疑った、そして還ってくる――死者が――死んでいた心が。

この世に。

カイジ「……か、カイジ……さん……?」



ざわ・・・

   ざわ・・・


壁には大きくこう書かれてあった。



『地下帝国へようこそ カイジさん』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 02:35:54.27 ID:tH/yvtfKo<> カイジ「地下……帝国……?」



地下帝国……?
それって……地獄……のこと……?



辺りを見渡すと常人ならすぐ気付く異様な雰囲気が漂っており、それはこの地下のうす暗いフィールドが原因であると判明した。
明らかな違和感、異常事態、だってここは地下、さっきまで俺達はエレベーターにいた。

カイジ「っ?」

振り返るとエレベーターが大きな口を開けて毅然と居座っている。
その周辺にはエレベーターの唾液、大量の水のジュータンが敷かれており……。
そうか!さっき叩きつけられたのはエレベーターの扉が開いて、水に押し流されたのが原因か!

でも何故こんな地下に……。

カイジ「……」




”ガコンガコンガコン――”




カイジ「はっ!」

うごいた!あのエレベーターが下の階、この地下フィールドに移動したんだ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 02:46:52.37 ID:tH/yvtfKo<> 死ぬ間際に聞こえた音、それはエレベーターの稼働音だった。
つまり、俺達は助かった、あの金髪の罠で死にかけ、あの金髪の救いの手により助かった。

カイジ「ぐ……!」

なんという……!なんという……!
もうこのまま殺せよっ……!くそっ……!

カイジ「っ!っていうかこのメッセージはなんだ……?地下帝国へようこそ……」

カイジ「あっ!いや!まさか……!そんなはずはない……」

まさかあいつとのゲームにやぶれて俺は地下帝国行きを余儀なくされた……?
なんて犯罪的だ!両者の合意を得てこういう条件は成しえるんだろうが!俺は知らなかったぞ!

カイジ「っ……!え……!?」

小さく追記があった。
それは

『意気込み次第で脱出可、でなければ地下帝国逝き』

カイジ「っ!!ふざけんなよ!!くそっ!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 02:51:30.17 ID:tH/yvtfKo<> 俺達を弄びやがって!!弄ばれないと誓ったはず!!しかし弄ばれている!
くそっ!!俺はどうしていつもこうなんだ!!くそっ!!
あいつと俺のどこが違うからこんな差が……!

カイジ「……っ……っ……」

カイジ「……?」

カイジ「あ、あれ……?なんでこのメッセージ……俺の名前が……?」



不自然な事はない、俺あてのメッセージであるから、それが答えだ。
しかし不自然だった、今までの一連の流れからすると不自然。

カイジ「……っ……」

ざわ・・・

   ざわ・・・

ざわ・・・  
 
    ざわ・・・

カイジ「っ……!」



やばい――とにかくやばい事が起きてる――それはわかっている。
しかし頭が追いつかない――。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 03:03:57.69 ID:tH/yvtfKo<> ひとつずつ整理していこう。
このメッセージ、おそらく防水のペンキでもって書かれたもの、かなり落ちにくいのは一目瞭然だ。
メッセージは壁の結構高いところに位置している、おそらくハシゴかなにかで登って行われた作業。
ということは……結構時間のかかる作業……。

カイジ「っ……っ……!」

金髪はこのメッセージを事前に用意していた……。
俺がここに来るのを計画していたって事だな。

カイジ「っ!」

おかしい!!そこからしておかしいんだ!!
だってあの時!!餓鬼がプレゼントの腕時計をはめて……!
金髪は一緒にエレベーターに入ろうとしていたじゃないか……!
俺の存在に気付いてないのになんで……!

カイジ「はっ!」

違う!奴は俺が居る事に気がついていたんだ!!
俺の良心を信じて、あのギリギリの場面で登場するのを予想していやがった!!
だからわざとあのエレベーターに乗り込むふりをした!はなっからエレベーターにのるつもりはなかった!

カイジ「なんて野郎……なんて野郎だ……!」

いや待て、俺があの部屋、あのエレベーターの集合する部屋にくるとは限らないじゃないか。
開始直後、俺は誰の干渉も受けず自らの意思でこの部屋にきた。
奴はどうやって俺をあの部屋におびきよせたんだ……どんな細工を……。

ざわ・・・

  ざわ・・・

カイジ「あ……ああ……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 03:12:28.57 ID:tH/yvtfKo<> カイジ「っ……!」

カイジ「そ、そういうことかっ……!くっ……!」

違うんだ、だれがどうのこうのじゃなく……!

俺!!俺自身がそうした!!俺自身が自らそうしたんだ!!
今思い返せば数ある廊下の中で一つだけ狭い廊下があった。
俺はその廊下を危険度が少ないというちゃんとした理由で選び、突き進み、結果あのエレベーターの集合する部屋にたどりついた。

そこ!!!そこが最大のミス!!
心理学!!奴は俺の性格を分析し、シュミレーションし、狭い通路を選ぶだろうと予想した!
すべてはここから始まり、エレベーターの件、そしてこのメッセージと対面!
すべては計画通りだった!奴の計画通り!

カイジ「化け物だ……!化け物……!」

奴と俺の違うところ……それは才能!
率直に才能!才能の違いだった!

カイジ「っっ……!」

待てよ……俺が溺れて死にかけるのも計画のうちか……?
あの顔……あの金髪の顔は……。

”つまらない……”

そう呟いた金髪の表情は落胆していた……。
つまり計画通りじゃなかったのか……。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 03:15:19.60 ID:tH/yvtfKo<> カイジ「……」

カイジ「……ん」

餓鬼の腕になにか散らばっている……。
ゴミ……破片……プラスチックまたはガラスの破片……。

カイジ「っ、時計……」

腕時計が破損していた。
エレベーター開口の拍子で破損したのか?
いやしかしこの破損の仕方は内側から爆発したようn








ざわ・・・







カイジ「――」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/08(日) 03:16:56.19 ID:tH/yvtfKo<> プロットのようなメモはありますが書きためはありません、すみません
推敲できないので打ち間違いや矛盾点が生じるかもしれませんがそこは大目にみてやってください
おやすみなさい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/08(日) 09:56:18.70 ID:VIot2PlIO<> oh....
まさか腕が…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/01/08(日) 19:18:35.87 ID:FHYgznyI0<> 乙、めちゃ面白いです
推敲無しでこのクオリティはすごい
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/01/09(月) 02:35:03.92 ID:/tYeVkCRo<> >>132
ち…ちがうよ、きっと本来大爆発のはずのものが水のお陰で不発に終わったんだよ!
カイジもすべてを間違えたわけじゃなかったんだよ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<><>2012/01/10(火) 19:24:22.04 ID:KVuTjy3qo<> カイジ「かっ……」

唯「……」

まるで夜空にきらめく星のように、破片が散乱していた、時計の。
時計……それは外部からの衝撃によって破壊されたようではなく……。
まるで意図的……誰かの企てが関与しているように……。

カイジ「……っ!」

もっと近くで時計をみつめた、すると見えてくる、答えが。
俺のたどりつけなかった答え。

カイジ「スイッチ……!スイッチ!?」

破損した時計の内部にスイッチが仕込まれてあった。
間違いなくスイッチ、そしてそのスイッチは押された状態でへこんだままである。

カイジ「そ、そういえば……あいつ……」

あいつが失望の末に発言した「つまらない」の直後、エレベーターは動きだした。
ということはあいつが俺達を生かす”何か”をしたって事だ。
この時計、スイッチ、このタイミング、合致する。

カイジ「……」

唯「……」

カイジ「答えは……腕時計にあったってわけか……」



不覚。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/10(火) 19:41:51.65 ID:KVuTjy3qo<> 俺は初め、このプレゼントが罠であると確信していた。
この状況、俺だけが知るデスゲームだからこそだ、至る所に罠が仕掛けられていると読んで正解。
しかし違った、いや正確にはここで勘違いをした。
あのプレゼントで鬼ごっこの状況をぼかし、プレゼント探しが目的だったと認識させ、そのままエレベーターに連れ込むのだと。

だがこれがとんだ勘違い、冷静になって考えてみれば考え過ぎ、愚かな深読み。
とりあえず全てのパターンを想定し、疑るくせがついてしまっているのだろう。
何故、あのプレゼントが怪しいと確信しなかった、確信していれば……。

カイジ「あのボタンもただのフェイクかよ……貯水タンクの数字も……」

今思えばあの貯水タンクの数字、かなり視界に入りやすい色、でかさで表記してあり、あのエレベーター内でも確認できた。
「900」この三つの数字、これをおしてしまい噴出口が3つ増えた、俺が思うに1から9の数字いずれをおしても噴出口開口につながっただろう。
なにもかも深読みで読み間違え、死にかけた、というかもう死んだ、あいつに生かされた……。

でもな……。

カイジ「きたねぇ……あいつ……これじゃ俺らが圧倒的不利……死にかけるのも無理はない……」

あんな仕掛け解決できるかよ!!
ここまで解釈した俺はすごい方!絶対!
普通の人間、修羅場をくぐっていない人間ならこの餓鬼みたいに慌てふためき死ぬのがオチだ!

カイジ「やってられるか……こんな……ふざけたゲーム……」

死なせなかったという事は、これからも俺達であそぶつもりだという事。
結局それかよ……金持ちは……くそっ……!

唯「っ……ん」

カイジ「っ?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/01/10(火) 21:27:51.22 ID:r9jUpL0I0<> 面白い
支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/10(火) 22:24:58.12 ID:KVuTjy3qo<> どれだけの時間俺は考え事をしていたのか、餓鬼は自ら意識を取り戻した。
せき込む度に水を吐き、かなり衰弱しきった様子であった。
俺は、

カイジ「おい、大丈夫かよ」

良心的な言葉をかけてやる事しかできず、しかし、

唯「え?あっ、やっ!ひいい……!」

カイジ「あっ……」

餓鬼にすれば恐れを抱く存在、俺の印象は最悪のままであり、

カイジ「ま、まて、落ち着け、俺はなにもしない」

唯「っ……」

カイジ「落ち着け……落ち着け……」

それでも和解を試みた、尻もちついて引きずり後ずさる餓鬼との距離を徐々に縮めていきながら。
どうやらさっきより落ち着いているようだ、エレベーターの俺の様子を見てちょっとは誤解が解けたか。

カイジ「いいか、俺達はあの金髪の……女に殺されかけている」

唯「……?」

カイジ「信じれねぇよな、でもこれからわかる」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/10(火) 22:49:51.50 ID:KVuTjy3qo<> 熱心な説得を餓鬼は黙って聞いていたが、頭に風穴があいているようだった、ぜんぶ聞き流しって感じ。
ほけーっと呆けてさっきの絶体絶命の経験にまだひたっているらしい。
とりあえず埒が明かないと判断した俺は餓鬼を誘導してこのでかくうす暗い地下トンネルを進むことにした。
歩けば歩くほどこの存在に驚かされる、まるで異世界、4次元の扉が開いて俺達は遠く離れた異境の地へ飛ばされた。
こんなものが日本にあっただなんて、こんなものがこの豪邸の真下にあっただなんて……。
しかもここはどうやら『地下帝国』が絡んでいるようだ、24時間共同生活、強制労働、生活制限……。
ふざけるな、思い出したくもない、あんな地獄に放りやられるんならそれこそ死んだ方がまし。

カイジ「……」

唯「……」

一定の距離、物理的距離、結構な差が感じられる、心の距離あらわれ。
話しかけるにも話題がないし、そんな状況ではないし、じゃあ俺はどうしたいんだ。
この距離が気になって仕方がない、このままではまた死にかけてしまう、ここでの一致団結は必至条件。
なにか策を考えて一緒に協力し、脱出を試みる仲間が必要、俺はこの餓鬼とそういう意味で近づきたい。
流石に自分の生命が危険にさらされるという一銭の得もないこのゲームで、俺を裏切るやつはいないだろう。
生きたければ俺に力を貸す、こいつらは生きたいはず、俺も生きたい。そうだろ?

カイジ「生きたいか」

唯「え……」

カイジ「生きたいのなら俺の言うとおりにしろ、死にたいのであれば勝手にしろ」

唯「……」

カイジ「強制しない、好きなように勝手にしろ」

唯「……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)<>sage<>2012/01/11(水) 00:51:07.55 ID:ZjkzafKto<> また屑ムギか
期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<><>2012/01/14(土) 14:57:10.50 ID:e+AUh8dzo<> ただ進む、脱出の糸口を見つけるべく、ただ漠然と前へ。
しかし見えてこない、いつまで経っても見えてこない、見つからない策。
焦る、つのる焦燥感、不安、このまま地下帝国行きという絶望感。
逃げたい、すべてを忘れて逃亡したい、俺だけが助かりたい。

カイジ「……」

唯「……」

俺はまだ気づいていなかった、気づくはずがない、いや気づこうとしなかったのか。

カイジ「……」

鎖を少しずつではあるが、痛めつけ、着実に脱出へ近づく、封印されし悪魔。
それの存在に気がつかなかった。
俺は段々と自我を忘れ、この悪魔に取りつかれていくのである。
いや違うのかもしれない、自我を忘れゆくのでなく偽善を振り払うのかもしれない。
もとの姿はみな、悪魔、それが真実なのかもしれない。
では人間らしさはすべて偽善、偽善は良い事ではない、なら間違い……。

カイジ「……」

唯「……」

カイジ「……」




ここで……[ピーーー]かっ……? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/01/14(土) 15:05:12.24 ID:e+AUh8dzo<> カイジ「……」

考え込んだ。
[ピーーー]か否かではなく……。
どうやったら楽に殺せるか。
もう[ピーーー]気まんまんじゃねーか!と誰かが言ってくれなきゃ俺は目が覚めない。
俺は悪魔の囁きに耳を貸し、もはやそれしか聞こえていない状況。

コツ――コツ――。

他は雑音、というかここには二人分の足音しかない、他に俺を説得する者など何処にもいなかった。

カイジ「……?」

しかし、それは間もなく――。

コツ――コツ――”コツ”――。

カイジ「っ?」ピタッ

唯「わっ」

カイジ「待て……誰だっ……?」

唯「??」

聞こえた、間違いなく余分な足音、歩くリズムをキープしていたがゆえ気づけた余分な足音、そしてあり得ない方向から。

カイジ「前から誰かがくるっ……!」

唯「……!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)<>sage saga<>2012/01/14(土) 18:30:03.18 ID:Orgthcif0<> メ欄に[saga]って打つと殺すとかそういうのが[ピーーー]ってなんないよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)<>sage<>2012/01/15(日) 22:39:52.62 ID:TAoLJWqZo<> すいません、初めて知りました
自分でいうのもあれですが多忙です、すみません・・・
時間が空いたら書きたいけどどうもそうはいかなくて・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)<>sage<>2012/01/16(月) 16:34:50.84 ID:+HgUxDEGo<> はよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/01/21(土) 11:07:28.24 ID:3Mczhl9d0<> 乙、面白いです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/01/22(日) 07:01:59.16 ID:Ucb+j3ixo<> のんびり待ってるよー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)<>sage<>2012/01/29(日) 12:58:52.60 ID:omX6ucvmo<> もうここ廃れ気味ですがそろそろ更新し始めます、最近忙しすぎた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)<>sage<>2012/01/29(日) 13:41:52.14 ID:tqk/W+zvo<> 廃れてなんかいないぞ!
読者はここにいるぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/01/30(月) 20:17:33.94 ID:59SXYtLy0<> 把握した
楽しみにしてる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)<>sage<>2012/02/01(水) 16:07:58.74 ID:pUzvCsZao<> まだか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)<><>2012/02/01(水) 22:39:41.29 ID:yz8T08GQ0<> 気長に待つぜー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)<><>2012/02/01(水) 23:19:04.76 ID:+rR9d+8n0<> >>152
おい












おい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)<>sage<>2012/02/01(水) 23:20:19.94 ID:+rR9d+8n0<> 上はいろいろ忘れてくれ
本当にすまんかった
半世紀ROMって来る <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<><>2012/02/13(月) 22:16:31.02 ID:gzFR1u7uo<> カイジ「……っ!」

唯「……!」

くるっ、前方の闇に蠢く、至って平常な足音を鳴らしながら。
この異空間、気味の悪いトンネルに俺と餓鬼二人以外の者、生き物が存在しているという確かな事実。
焦燥は時を止め、視界に入る周囲の動きを停止させる、全ての関心は前方から現れると予想される”もの”に集中された。

カイジ「……っっ」

唯「……っ」

コツ。

唯「あっ」

カイジ「ん?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/02/13(月) 22:25:13.56 ID:gzFR1u7uo<> 現れたのは人の姿、想定の範囲内であった。
しかし、

唯「う、憂!」

憂「お姉ちゃん!?お姉ちゃん!?」

カイジ「なにっ?」

ここで姉妹の再会を誰が予想しただろうか。
てっきり悪い方向に流れは傾いていると思っていた、しかし間違い、帆は真逆の方向からの風をひろい、そして。

カイジ「……っ」

連中はけたたましく感嘆の叫びを満喫し、俺はそれをほけーと傍観。
良いことだけれど。

カイジ「おい」

憂「?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/02/13(月) 22:34:16.03 ID:gzFR1u7uo<> カイジ「喜びのところ申し訳ないが、あんたなんでここに?」

憂「は、はい?だ、誰……?あっ!」

カイジ「はぁ……」

またこのくだりか、いちいちこの誤解をとく作業をあと何回繰り返せばいいんだ。
結局説得開始。
慎重に言葉を選び、できる限り最良の印象を得るべく、努力した結果、

憂「ほ、本当お姉ちゃん?」

唯「う、うう」

カイジ「お、おいっ、まだ目がさめねぇのか?」

唯「だって……」

カイジ「た、たしかに初めはおまえ等からしたらキチガイさながらの振る舞いを見せつけたが、違うって!」

唯「……」

憂「……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/02/13(月) 22:49:03.55 ID:gzFR1u7uo<> カイジ「はぁ……」

そう思うようにいかず、不審者のレッテルは貼られたままのようだ。
実際こんな事をしている暇はない、このゲームの脱出ルートを勘考する時間にあてたいのだが。
まあいいか、いずれわかるさ、狂気に満ちたあの金髪を目の当たりにするのが一番の特効薬。

カイジ「まあいい、とにかく進もう」

憂「どこにですか?」

カイジ「前さ」

素のクエスチョンマークが餓鬼の顔面にあらわれた。
俺も素で顔を歪める、そして次の瞬間気づく。
この餓鬼にとって俺らの進むは戻る、なんだ。

カイジ「ど、どっからこのトンネルに侵入した?」

憂「紬さんに捕まってしまって螺旋階段を降りるよう指示されたんです」

カイジ「も、戻ろうと思わなかったのか!?怪しいだろどうみてもここ!」

憂「このトンネルの入り口が自動ロック式で……えっ、お姉ちゃん捕まっちゃったからここにきたんだよね?」

カイジ「違う!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/02/13(月) 22:58:50.54 ID:gzFR1u7uo<> いや、待てよ、俺たちは捕まったのか?
この餓鬼のいうとおりここがケイドロでいう牢屋だとしたら。

試行錯誤、俺の脳内パターン機能がフル稼働する、今までもこうして裏を読んできた。
そして浮かび上がる可能性。
まさか捕まえた者を全員ここに閉じこめ、地下帝国逝きにするのでは。
じゃあゲームのルールは口実?地下へおくって俺らを換金するのか?
そうなると不正とかの騒ぎではない、犯罪だ!

カイジ「……ぐっ」

しかし敵のテリトリーのど真ん中で反違法行為運動をしてなんになる!
犯罪?だからどうした?という考えだろどうせ!
っていうかこのゲームはルールからして初めから犯罪じゃねぇか!なにを今更!

カイジ「っ、わ、わかった、じゃあ俺らは閉じこめられたってわけだな」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/02/13(月) 23:09:06.54 ID:gzFR1u7uo<> 整理しよう、俺達はこの空間に閉じこめられている。
さて次の手をうつとしたら、いったい?
とても思いつかない、出入口で息を潜めこの屋敷の連中の様子見を狙うくらいしか。

カイジ「とにかく進んでみよう」

餓鬼の妹が入ってきた入り口へ向かって走った、がしかし見事なまでの施錠。
現代のテクノロジーを駆使して人力ではあかないような仕組みになっていた。
俺の浅はかな計画は望み薄、よくよく考えてみると監視カメラがないわけがない。
このトンネルには監視カメラがいくつも張り巡らされてあり、常に俺達は監視のもとにあるに違いない。

カイジ「くそっ、完全にはめられた!」

唯「……うぅ」

憂「……」

カイジ「……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/02/13(月) 23:17:43.89 ID:gzFR1u7uo<> カイジ「っ……」

憂「ど、どうなってるの?」

カイジ「……」

最悪のパターンの可能性が高い。
このままでは成す努力すらすることなく負けてしまうのが見えていた。
今までに色々な修羅場を乗り越えたが、もう絶望の色しか見えない、このままでは。

カイジ「……っ」

あくまで”このままでは”

カイジ「こいっ……こいっ……」

唯「っ?」

憂「な、何……?」




このままではダメだ。
だがくるはず……今はひたすら待て……っ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/02/13(月) 23:19:19.57 ID:gzFR1u7uo<> 一段落かとおもいきや残業カーニバルでした
今度こそ一段落だと思うので、ちょこちょこ更新始めます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)<>sage<>2012/02/13(月) 23:19:50.65 ID:10S2NBVI0<> お願いします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/02/14(火) 00:33:26.06 ID:If2VaW5mo<> 待ってますから <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/14(火) 00:43:25.04 ID:2GD3izhDO<> 未来で待ってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage<>2012/02/16(木) 02:17:01.56 ID:6/NauBTgo<> 未来は>>1の手の中ー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/28(火) 19:51:34.71 ID:n+s86x/DO<> こない……だと? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/03/08(木) 00:30:14.72 ID:d2bnUz8eo<> 追いついた





追いついてしまった… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(空)<>sage<>2012/03/10(土) 18:07:50.02 ID:fG1OctrYo<> 完全に忘れとるじゃないですかヤダー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/03/10(土) 23:54:13.79 ID:QXscOZy5o<> ↑空ってなんだよww飛行機か宇宙ステーションか天国から書き込んでんのかww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/12(月) 13:02:09.03 ID:zUmByFkyo<> マジレスすると自家用ジェットから書き込んでる富豪 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)<><>2012/03/14(水) 14:03:12.21 ID:DPvAWeU2o<> カイジ(これでおしまいかよ?違うだろ金髪!)

カイジ(あいつの事だ、ああいうキチガイは壊れるまで玩具で遊ぶ)

カイジ(このまま俺達を殺したりすることはしねぇ、やつは必ずまたなにか仕掛ける)

カイジ(それまで待てっ!)

餓鬼が俺になにかを話しかけている、しかし聞こえてこなかった、今は”待つ”に徹したかった。
しかし待つだけではなにも起きない場合もある、こちらから仕掛けろ。

カイジ「大丈夫大丈夫、ここで待とう!ここにいる間は安全だ」

唯「そ、そうだよ……!安全……」

カイジ「奴等がここに来たときに返り打ちにしてやるさ!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/03/14(水) 14:10:11.01 ID:DPvAWeU2o<> 大丈夫じゃない!本音はぜんぜん大丈夫じゃない。
この閉鎖空間に閉じこめられたままで、なんの抵抗もできず地下帝国逝きというケースが一番の懸念。
それより金髪サイドからなにか仕掛けてくれたほうがまだ助かる見込みはある。
だからそれを催促する、どうせ奴等は監視カメラ等でこっちをうかがってるだろう。
わざと安心した素振りを見せるんだ、すると金髪はどうするかな?

カイジ「ここにいる間は大丈夫だ、今のうちに策を練るぞ」

カイジ(こいっ、こいっ!)

「そういうわけにはいきません」

カイジ「!!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/03/14(水) 14:17:13.25 ID:DPvAWeU2o<> 待ちに待った声がトンネルに響きわたる、スピーカーからの出音のようだ。
それは若干歪みがかかっているが金髪の声であった。

カイジ「だ、だれだ!?」

「もう忘れたんですか、紬です」

カイジ「っ!」

きたきたきたきたあああ!!!
まんまとひっかかりやがって!!
安心した俺達をさらなる絶望に突き落とそうとしてまたなにかを仕掛けるつもりか!?
バカめ、俺はそれより直で地下帝国逝きが一番怖いよ!
しかし慌てる演技をして、

カイジ「な、なんだおまえ!ここからだせ!」

唯「む、ムギちゃん!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/03/14(水) 14:22:17.18 ID:DPvAWeU2o<> 「唯ちゃんごきげんはいかが」

唯「ムギちゃんだよね!?いつもの!」

「ええそうよ」

カイジ「だまされるな!」

憂「あなたのいうことが一番信用できません!」

カイジ「あぁ!?」

よしよし、これでいい。
まもなく金髪の本性がしれるさ。
それよりどう仕掛けてくる。

カイジ「なんの用だ!」

「なにか安心していたようなのでちょっと試練を与えようかと」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/03/14(水) 14:27:28.14 ID:DPvAWeU2o<> 唯「な、なんのことなのムギちゃん!?」

「んん、唯ちゃんおしゃべりね」

カイジ「試練?」

「ええ、そうよ、このままあなた達を殺してもつまらないし」

唯「えっ……」

憂「そ、そんな」

カイジ「……」

さすがに気の毒だ、友達の変貌に絶望し、ただ立ち尽くすのみ。
しかしこういうものなんだ世の中は。今回は極端だが。

カイジ「はやくいいやがれ!」

「このなかから一人、地下帝国へいってもらいます」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/03/14(水) 14:31:54.89 ID:DPvAWeU2o<> カイジ「……」

「そしてあとの二人はこの鬼ごっこに参加させます」

カイジ「そうきたか……」

金髪は間をあけず言い放った。

「今から三人で殺しあってください、殺してもかまいませんができれば動けなくなる程度で」

カイジ「なっ……」

殺し合いだと……。

唯「……」

憂「……」

カイジ「……」



こ、これって…… 。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/03/14(水) 14:32:51.45 ID:DPvAWeU2o<> 管理職は腹がいたい
書くつもりですがスーパースロー進行なのでご容赦を <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/03/14(水) 15:45:25.07 ID:epGnKKSHo<> 待ってたぜ!
ゆっくりでもいいから完結させてくれ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/03/19(月) 21:47:51.01 ID:bnFBDlgk0<> 管理職……>>1は利根川さんだったのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/13(金) 17:19:30.62 ID:WzDlc8X3o<> まだー? <>