無料アクセスカウンターofuda.cc「全世界カウント計画」
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫メニュー■ ■VIPService (VIPサービス)■
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みはできません。。。
HTML化した人:lain.
独裁者「世界平和?何それおいしいの」
1 :以下、あけまして[sage]:2012/01/03(火) 23:15:18.43 ID:bCgECIuN0
オリジナルのSSだけど色々影響受けてるかも
一応書き留め少ししてるけど無くなったらペース遅くなると思われ
地の文多いから苦手な人は注意して読んで
2 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/03(火) 23:19:17.35 ID:bCgECIuNo
村人A「正直、この国の王の独裁には付いて行けない」

村人B「だよな。一揆でも起こすか」



剣士(……この村も終わりか)

この大陸を、統治という名目で支配している国家がある。

その勢力は莫大で、周辺地域はおろか、この大陸全土まで完全に統制されている。

国王は独裁をして、異論を口にする者はいない。何故なら、この国家は『絶対王政』体制なのである。

王に反対意見を出すものは殺され、その家族にまでも被害は及んだ。

勿論、一揆等を企てたとしても、圧倒的な『力』によってねじ伏せられる。

一縷の望みなど、すぐに断ち切られるのだ。

その大半は、実行する前に消される。そして、今回のことも例外ではないのだ。
3 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/03(火) 23:21:04.44 ID:bCgECIuNo
次の日、村中に張り紙が掲示された。

「独裁者を倒せ!!」

達筆な字で題目と、その下に要項が書かれていた。

「村を上げての一揆を行う。力を合わせれば必ず勝てる。未来をつかむための聖戦である。力を貸してくれる同士は、集会場に今晩集合すること」

村人は沸きあがった。待ちに待ったこの時がついにやってきて、興奮を覚えている。

国王に対する不満が高いというのが明らかだ。



―――このときは、皆明るい未来を想像していたに違いない。

しかし、現実は厳しかった。彼らは絶望すら味わうことができなかった。

彼らの未来など、最初から用意されていなかったのだ。



その日の夜、村は地図から消えた。
4 :以下、あけまして[sage]:2012/01/03(火) 23:23:45.84 ID:bCgECIuNo
忘れてたけど固有名詞出るので注意を
5 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/03(火) 23:25:41.69 ID:bCgECIuNo
剣士「早めに村から出ておいて正解だった。こうなることは分かっていたけど、軍は行動が早いなぁ」

暗闇に包まれた舗装路を一人の男が歩きながらつぶやく。

腰に長剣を携えて、軽鎧を装備している外見から、剣士<ソルジャー>であることが伺える。

彼は今、大陸第二の都市『エールハウス』を目指していた。

この大陸『アレスター大陸』には、二つの代表的な街がある。

一つは独裁者の根城『アークライト城』の近辺にある『アークライト城下町』だ。

そして、もう一つはアークライトとは正反対の、大陸南部にある『エールハウス』だ。

この二つの街の間には、大きな平原が存在する。

そこを境界に、北部は『アークライト地方』、南部は『エールハウス地方』と区切られている。
6 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/03(火) 23:27:17.30 ID:bCgECIuNo
現在は大平原『セントプレーンズ』を縦断しているところだ。

早く仲間と合流しなくてはならないのだ。

早朝に『エールハウス』の宿屋で集合と約束していた。

この平原を、夜明けまでに抜けなければならない。

悠長に歩いている場合ではないと悟り、急ぎ足で草原を駆け抜ける。



剣士が村に滞在していた理由、それは軍の動きの把握だった。

村が焼き討ちされたのは一揆の要項が発表されたその日の晩だった。

ここまで迅速に処置が取れたということは、軍の間者が村に潜伏していたに違いない。

そして、偏狭の村にまで軍が張っていたということは、大陸の至る所に軍が配備されていると考えてよさそうだ。

また、村を一瞬にして壊滅させた圧倒的な力、それはほぼ魔法の力と考えていいだろう。

上級の魔導士<ソーサラー>や、賢者<マギ>の少数精鋭で攻めたか、或いは魔術師<メイジ>などの低級の兵士を用いたかのどちらかだろう。

どちらにせよ、アークライトは躊躇いなく村を消し去ることができる。

それは、世界各地に恐怖を植え付け、国に抵抗する意思を摘み取るということを意味していた。
7 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/03(火) 23:29:15.69 ID:bCgECIuNo
―エールハウス・宿屋

剣士「すいません。この宿に戦士という人が来ませんでしたか?」

フロント「戦士様ですか…?貴方は剣士様でしょうか?」

剣士「はい」

フロント「戦士様から手紙を賜っております」

フロントは剣士に手紙を手渡す。

『九番街、路地裏の空き地に来い』

剣士「面倒な……」

エールハウスはこの大陸第二の都市だ。

それ故住民は多く、全部で十四もの住宅街が設営されている。

剣士はこのエールハウスに来るのは初めてではない。

むしろ、まだ慣れている方だといっても良い。

しかし、居住区である住宅街や複雑に入り込んだ路地等を完全に把握している訳ではないのだ。
8 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/03(火) 23:31:08.71 ID:bCgECIuNo
道に迷わないように慎重に街を探索する。

剣士(そもそも九番街ってどこら辺なんだ…?)

地図を見ながら歩く。

中心街から近い順に、一番街、二番街と続いているので、目的地の九番街はかなり遠くになる。

剣士(今三番街だから…まだまだ奥だな)

どんっ

人にぶつかったみたいだ。

剣士「あっ、すいません」

「……」

ポケットに違和感。

ぶつかった人間が走り去っていく。

剣士(……まさか…!!)
9 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/03(火) 23:33:22.08 ID:bCgECIuNo
慌ててポケットを確認する。

財布が無くなっていた。

剣士(あの野郎、スリだったのか…!!)

見失う前に、剣士は盗人を追いかけだした。

剣士「待ちやがれ!」

盗人「待てと言われて待つ奴がどこにいる!!」

盗人との距離が開く。

決して、剣士の体力が無いわけではない。

飛脚<ラピッドステップ>だ。

体内の魔翌力を足の筋力に変換して、脚力を高める。

その結果、地面を蹴る力が飛躍的に上昇して、スピードがアップするのだ。

剣士(こいつ……本業がこれなのか…っ)

飛脚は盗賊<シーフ>の基本的な技能<スキル>だ。

飛脚による加速がかなり大きいことから、奴は盗賊の熟練者だと思われる。

剣士(逃がしてたまるか…ッ!)

剣士の思いは空しく散り、盗賊は闇の中へと消えていった。
10 :以下、あけまして[sage]:2012/01/03(火) 23:35:00.89 ID:bCgECIuNo
今日はここまでで。
恐らく明日は昼には投下できるはず
11 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 01:34:23.87 ID:a497wdkW0
支援
12 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/04(水) 18:15:12.11 ID:JiSg0Brto
戦士「……剣士はまだ来ないのか?」

同時刻、戦士は既に空き地で剣士の到着を待っていた。

確かにエールハウスの住宅街は周辺の小さな町や村と比べると格段に大きい。

しかし、あまりに遅すぎるのだ。

宿屋には夜明け前に到着しているはずだから、そこから九番街に来るのも徒歩で数時間、遅くても日が昇るまでには辿り着くはずだ。

戦士「まさか…道に迷ったか……?」

戦士は憶測を立てる。

剣士は決して方向音痴ではない。

何らかの理由で入り組んだ構造の路地裏に入り込んでしまったと考えられる。

そうなってしまえば、再度自分の知りうる道に戻るのは不可能に近い。

それは戦士とて変わりない。剣士を探しに行きたいのは山々だが、迂闊に動いては剣士の二の舞になる可能性が高い。

戦士「仕方ない、探しに行くか」

痺れを切らした戦士は、どうのこうの言っている場合ではないと判断し、剣士を探しに行ってしまった。
13 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/04(水) 18:16:43.44 ID:JiSg0Brto
剣士は途方に暮れていた。

盗人を見失って以来、ここが何処なのかもさっぱり分からない。

方角も何も分からない状況だ。こんなときに限って、天文学を勉強していない自分に悔しさがこみ上げる。

唯一、街の看板等からここが『十一番街』であることが分かった。

既に通り過ぎているのだ。盗人との鬼ごっこのせいで、数個もの区画を越えてしまっているのが驚きだ。

剣士(確実に九番街へ戻る方法は……)

剣士が思考を巡らす。高速脳内検索の結果、ある一つの施設が引っかかった。

剣士「『酒場<パブ>』だ」

酒場、それはどの地域にも必ずあると言っていいような、大人の娯楽場。

そして、何よりの情報交換の場であった。

その上、このエールハウス地方では葡萄といったワインの原料が特産物となっているため、必要以上に酒場の数は溢れ返っているものだ。

たとえ道に迷っていて、闇雲にそれを探したとしても、見つけ出すのは容易である。

剣士は、一番最初に見つけた酒場に駆け込んだ。
14 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/04(水) 18:18:00.09 ID:JiSg0Brto
バーテン「いらっしゃい。何にするかい?」

剣士「…水で。生憎金は全く持ち合わせていないんだ」

剣士は肩をすくめる。

バーテン「…盗人か?」

剣士「……!?知っているのか?」

バーテン「金が無いなら教えられないなぁ。ほらよ、水道水だ」

剣士の元にただの水が置かれる。

剣士「それより、今は他のことが聞きたいんだ」

バーテン「何だ?」

剣士「ここから九番街への道を教えてくれ」
15 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/04(水) 18:19:29.91 ID:JiSg0Brto


戦士「まだ到着していないってことは、八番街までのどこかにいるんだろうな。虱潰しに探してみるか」

戦士は、迷わないように目印となるものは全て覚えて大通りへと出た。

早朝だからか、出歩いている住民は殆どいない。

戦士は、数少ない人間を頼りに剣士の情報を聞き出そうとした。

黒地の布のフードで頭を覆い隠した人間、見るからに貧相だが、戦士は話しかけた。

戦士「なぁ、すまない。この辺りで軽鎧を身に着けた剣士みなかったか?」

戦士のその問いかけに、明らかにその人間の体が反応した。

戦士は、その奇妙な反応を見て続けた。

戦士「何か知っているのか?」

戦士が肩を掴む。そして、それを咄嗟に人間は払いのけた。

その反動でフードから顔が露になる。
16 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/04(水) 18:20:44.47 ID:JiSg0Brto
盗人「……くっ」

戦士こそ知らなかったが、それは剣士から財布を盗んだ盗人だった。

顔を見られたのをまずくおもったのか、無言で盗人は右拳の人差し指と中指を戦士に突き出した。

盗賊<シーフ>の護身用体術『目潰し<サミング>』だ。

不意の攻撃に戦士は対応することが出来ずに視界を閉ざされた。

すぐさま、盗人は踵を返して走り去ろうとした。

戦士「咆哮<ハウリング>!!」

戦士の雄叫びで、盗人は走るのをやめた。

いや、体が動かなくなってしまったのだ。
17 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/04(水) 18:22:56.25 ID:JiSg0Brto
咆哮<ハウリング>は戦士<ソルジャー>の技能だ。

相手に怒号を浴びせることにより、敵を怯ませることが出来る。

盗人の動きを封じる時間は、戦士の視力が回復するのに十分すぎる時間だった。

戦士「お前、俺のこと知っているか?」

戦士がゆっくりと盗人に歩み寄る。盗人は未だ竦み上がったままだ。

戦士は盗人の首元に剣を当てる。

戦士「俺はこの辺りじゃ少し有名でな……ある組織のリーダーしてんだ。相手が悪かったようだな」

斬りかかろうと、戦士は手に力を込める。

しかし、戦士の手は止まった。

戦士「お前の…そのイヤリング…?」

戦士は盗人の耳元に注目し、そこについている一際目立った耳飾りを手に取ろうとした。

盗人「触るな!!」
18 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 18:26:24.82 ID:JiSg0Brto
書き溜め無くなった\(^o^)/
次の投下は少し遅めになるかも
iPhoneで使えるキーボードが届くのでいつでも速く書けるようになる、はず。
19 :以下、あけまして2012/01/04(水) 19:35:12.97 ID:s5y0AooDO
しえん
20 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 19:39:29.66 ID:a497wdkW0
支援
21 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/06(金) 22:50:06.47 ID:FEVZkXR2o
盗人が戦士の手を払いのける。

戦士「何だよ、これも盗品だろうが」

盗人「違う!これは…昔から、持ってたものだよ…」

戦士「お前のそれ……まぁいいや、それ、大事にしろよ」

戦士は何かを言いかけたが、途中でやめた。

盗人「お前、これについて…何か知っているのか?」

戦士「…何も知らないのか。知りたいなら……俺について来い」


22 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/06(金) 22:50:56.11 ID:FEVZkXR2o



剣士「この道を進めば…九番街の空き地か…?」

バーテンに教えられた通りに剣士は道を通ってきた。

盗人を追いかけた時とは違い冷静だった剣士は、道に迷うことなく空き地にたどり着くことができた。

既に日は登っていて、空気も暖かくなる頃だった。

剣士は待ち合わせた場所で人影を探す。

剣士「戦士ーいるか?」

戦士「遅えよ。どれだけ待ったと思ってるんだ」

煉瓦造りの壁に寄りかかっていた戦士を、剣士は見つけた。

剣士「悪いな。ちょっと道に迷って…ってお前!?」
23 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/06(金) 22:51:38.71 ID:FEVZkXR2o
戦士の横に控えていた人物を見て、剣士は驚きを隠せなかった。

それもそのはず、剣士を迷わせた張本人、財布をひったくった盗人がそこにいたのだ。

戦士「ほら、返してやれよ」

戦士が盗人に促す。

盗人「ちっ…」

ぶっきらぼうに盗人は剣士の財布を放り投げた。

慌てて剣士はそれを受け取る。

剣士「…どうしてお前が戦士と一緒にいるんだよ?」

盗人「……」

黙り込む盗人の代わりに戦士が代弁した。

戦士「まあ、交換条件って訳だ。あいつに秘密を教える代わりに、俺等の計画を手伝ってもらう。盗人はそれで合意してくれたよ」
24 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/06(金) 22:52:09.27 ID:FEVZkXR2o

戦士「まあ、交換条件って訳だ。あいつに秘密を教える代わりに、俺等の計画を手伝ってもらう。盗人はそれで合意してくれたよ」

剣士「……不本意だけど、戦士が言うなら仕方ないな」

盗人「……ねぇ、ずっと気になってたんだけど、その計画って奴、何なの?」

剣士「…戦士、話しちゃ駄目だ。俺はそれを口走って消された人達を見て来た」

戦士「そうか?こいつはそんなに信頼できない奴じゃねぇよ。少し、訳ありなだけだ。そして、確実にこっち側の人間だよ」

盗人「こっち側?」

戦士「反アークライト勢力さ。」

盗人「!?」
25 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/06(金) 22:52:54.47 ID:FEVZkXR2o
剣士「戦士!軽くそんな言葉口走っちゃ駄目だ!どこでアークライト軍が盗み聞きしてるか分からない!!」

戦士「何でこんな空き地選んだと思ってるんだ?こんな入り組んだ所、地元の人間でも来ないよ」

盗人「待て待て!勝手に話を進めるなよ!反乱組織だなんて聞いてないぞ!国軍に殺されるのは嫌だからな!」

戦士「それの秘密、いいのか?」

戦士はイヤリングに目をやる。

盗人「…くっ……」

盗人は何も言い返せない。
26 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/06(金) 22:53:25.63 ID:FEVZkXR2o
剣士「それで、他のメンバーは何処に?」

剣士が話を切り出す。

戦士「先に鉱山へ向かわせてるよ」

盗人「鉱山?また何で」

戦士「下準備だよ。それじゃ、日が上りきる前に移動するぞ」

反乱組織<レジスタンス>が動き始めた。

盗人を仲間に迎えた二人は、仲間の待つ鉱山へと進むことになる。

そこには、新たな試練が待ち構えていた。



第一部 完
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/06(金) 22:57:51.36 ID:FEVZkXR2o
変な所だけど第一部は導入部として切っていいかな…?
第二部は鉱山編にするつもり。
しかしまた投下は不定期で

あと支援ありがとう
出来れば感想とか書いていってくれれば続きを書きやすいかも、とか我儘を言ってみる
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/07(土) 01:42:28.35 ID:3bh5eTSIo
面白いんだが世界観がいま一つはっきりしてないせいか技能に違和感がある
sagaを目欄に入れることをお勧めする
29 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/09(月) 23:43:48.33 ID:EfKukb/Do
アークライト国は独裁者による独裁政治で国が成り立っている。

独裁者の思い通りに何もかもが決定される。

思い通りにならない場合、どんな手を使ってでも成し遂げる。

たとえ、人を殺めてでも。

民による反乱があってもおかしくない。

確かに反乱を企てた民衆も、歴史上は存在する。

しかし、それらはすぐに抹消された。

圧倒的な軍事力によって、組織全体を壊滅させられる。
30 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/09(月) 23:44:37.23 ID:EfKukb/Do
アークライトの特徴は、独裁政治だけではない。

もう一つの特徴は、鎖国だ。

それはアークライトの一方的な方針であり、世界各地は認めてはいない。

貿易を認めてもらうように申し出た国も多数あった。

それらは全て、門前払いにされた。

無理やり独裁者と話し合おうと城に乗り込んだ者もいた。

その者はその場で斬られた。

血も涙もない国家、それがアークライトなのだ。
31 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/09(月) 23:45:37.87 ID:EfKukb/Do

使者「私はアルバニア国からの使者です。独裁者様、アークライトとアルバニアの国交を回復させてください」

今日も、他国からの使者が独裁者と無理矢理立ち会っていた。

独裁者「君、馬鹿なの?命を捨ててまでそんなことを言いに来たのかい。これだから低脳は……」

使者「アルバニア王は言っています…これ以上取り合う気が無いのなら、武力介入も厭わない、と」

独裁者「それはこっちの台詞だよ。アルバニア王の我儘でまた尊い命が一つ減るんだよ……ごめんね、恨むならアルバニア王を恨むがいいよ。剣将軍、殺って」

剣将軍「はい」

剣将軍と呼ばれた人間が両腰の剣を抜く。

それを使者の目の前で交差すると、使者の体から鮮血が噴き出し、そのまま使者は絶命した。
32 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/09(月) 23:46:08.48 ID:EfKukb/Do
ーーエールハウス・商店街

剣士「何か食料は買っておいた方がいいか?」

戦士「いいや、すぐ終わるつもりだから特に必要ない」

盗人「……」サッ

剣士「おい!盗むな!」

盗人「ス…スマン、手が勝手に…」

剣士「言い訳するんじゃない!」
33 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/09(月) 23:47:01.52 ID:EfKukb/Do


剣士「所でさ、盗人は何で盗賊<シーフ>してんだ?」

盗人「一番金に困らないじゃん。盗めばなんでも手に入るし」

剣士「汚い考えだな…」

この世界で人間は、職業<ジョブ>に就いて生計を立てている。

この大陸には強力な軍があることもあって比較的魔物は少ないが、他の地域には大量の魔物が溢れかえっている。

それらを狩って報酬を得たり、毛皮を剥ぎ取ってそれを売ったりして生活するのだ。

勿論それらを加工して装備を作ることも出来る。

多くの職業がある中、評判はあまり良くないが人気のある職業、盗賊<シーフ>は物を手に入れるのに長けている。

ある時は敵の持ち物を盗み、ある時は不意打ちを仕掛ける。

生活する上でも不便は無く、戦闘でも心配することは無い。

まずまずバランスの取れた職業と言ってもいいだろう。
34 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/09(月) 23:47:38.96 ID:EfKukb/Do
盗人「それじゃ、剣士は何で剣士<ソルジャー>なんだ?」

剣士「俺の家系はずっと剣士なんだよ。家は伝統を大事にしているからな」

職業の決め方に決まりは無い。

一般的には家族の後を継いで同じ職に就いたり、尊敬する者に憧れて就いたりする場合が多い。

そして、それになる方法も特段難しくは無い。

なりたいと思った職業を役所に告げ、儀式を受けるという簡潔な方法で就くことが出来る。

就職試験も無くどんな人間でも一応就くだけ就くので、ニートの様な堕落した生活を送る者は少ない。
35 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/09(月) 23:48:11.18 ID:EfKukb/Do
盗人「戦士もさ、そんなに実力があるなら中級職の試験受ければいいのにさ」

剣士「そうだよな、俺等の中で一番強いのは戦士のはずだけど」

戦士「いや、俺は実技は狂戦士<バーサーカー>とか竜騎士<ドラグーン>並なんだけど、筆記がな……」

職業に就いても、中級職や上級職になる、所謂出世をするためには試験を受けなければならない。

その基礎となる職業に関する知識を試す筆記試験、そして魔物を討伐して実力を試す実技試験。

その二つを採点して、満点中六割を取れば合格となる。

合格すれば晴れて上の職業に転職が出来るのだ。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/09(月) 23:49:40.06 ID:EfKukb/Do
今回は世界観の説明的な感じで
まだ不明瞭な所はぼちぼち明かしていきます
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/10(火) 00:25:29.13 ID:AZwKBIiDO
シエンタ
38 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/13(金) 00:52:09.02 ID:EcC/DyA7o
戦士「さて、今から向かう鉱山『ジン』はここから南東、街を出てしばらく歩いた所にある」

盗人「歩くのかよ〜」

剣士「贅沢言うな!馬借りるほど金は無いんだよ」

盗人「盗めば…フゴッ」

剣士のパンチが入った。



街の門を出ると広大な平原、セントプレーンズ程ではないが、開けた景色が広がっていた。

奥には山が見える。あれがジン鉱山なのだろう。

盗人「結構あるぜ……」

戦士「一日位歩けば辿り着くだろう」

剣士「そういえばあっちで待機してる仲間って…?」

戦士が先程話していた時、鉱山で仲間が待っていると言っていた。
39 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/13(金) 00:53:02.62 ID:EcC/DyA7o
戦士「ああ、僧侶のことか?」

剣士「一人で大丈夫なのか?」

戦士「あいつなら大丈夫だろ。退魔魔法<プルーフ>があるからな」

盗人「……この組織って人数多いの?」

戦士「うーん……そんなに多くは無いな。俺等合わせて八人ってとこか?」

盗人「そんなんでアークライトに乗り込むつもりか!?ふざけすぎだろ!」

戦士「俺に言われてもなー。計画は全部参謀役の僧侶に任せてるからな。あいつに直接聞いてくれ」

盗人「馬鹿げてる…この連中…」

盗人がこう思うのは臆病だとか、そういう物ではない。

アークライトに対抗意識を持つということがあり得ないのだ。

今まで破られなかった物を破るのは不可能に近い。

だからそんなことをしようと言い出す者はいなかった。

それを簡単に言い出す者がいたら驚くのも無理もない。

戦士「お前だって分かるようになるさ…剣士がそうだった様に。そして、お前もまたそういう運命にある」
40 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/13(金) 00:54:06.21 ID:EcC/DyA7o

全く到着する気配も無い道を延々と歩く三人。

盗人は、精神的に限界が来ていた。

盗人「……なあ、休もうぜ…」

戦士「そうだな。日も暮れてきたし、魔物に遭遇しないうちにテント張るか」

戦士の一声で、野宿の準備を始める。

この大陸には、魔物は比較的少ない。

アークライトの軍が街を警備するため、都市近辺には魔物は殆ど存在しない。

しかし、街から遠く離れた、人気の無い場所なら話は別だ。

軍の手も大陸全土には行き渡らないので、魔物の巣窟となる場所もある。

その中の一つが、現在の目的地『ジン』鉱山だ。

戦士「!?」

テントを張る途中、戦士は何者かの気配に気づいた。

盗人「おい!魔物の気配だ!」

盗人も気配を感じた様だった。

三人は設営を一旦停止し、迫り来る敵との戦闘準備を整える。

夕闇に染る大地の向こうからやってきたのは、飢えを潤しにきたのであろう、人狼だった。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/13(金) 00:56:52.61 ID:EcC/DyA7o
ちょっとずつだけど投下していく。
話は全然進まないけどエターナることは恐らく無いと思うので見捨てないでくだしあ

でも来週一週間は私情で投下する時間が無いと思われ。
気長に待ってて下さい
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2012/01/14(土) 00:02:08.92 ID:TixM2W3Q0
支援
43 : ◆2UMTgm51i2[sage saga]:2012/01/20(金) 19:34:37.36 ID:Nhj+Ww2to
戦士「二人とも臨戦体制をとれ!」

剣士「言われなくても分かってるよ!…って盗人は!?」

戦士と剣士が構える中、盗人だけ姿が見当たらなかった。

剣士「逃げやがったのかあいつ…!?」

戦士「いいや、心配ないさ」

人狼が戦士に向かって突進して来る。

戦士は逃げる素振りを見せない。

迎え撃つどころか攻撃を受ける様にも見える。

剣士「あぶな…」



盗人「不意打ち<バックスタッブ>」



戦士に爪を立てた人狼は剣士を切り裂くまえに悲鳴を上げた。
44 : ◆2UMTgm51i2[sage saga]:2012/01/20(金) 19:35:24.60 ID:Nhj+Ww2to
盗人が行ったのは不意打ち。

姿を隠して背後から攻撃する。

戦法さえ分かってしまえば攻撃を防ぐのは簡単だが、初見の相手には大打撃を与えることが出来るだろう。

戦士「一気に畳み掛けるぞ!」

不意打ちにあい怯んだ人狼に向かい戦士が水平に剣を薙ぐ。

剣閃<ホライゾナル>だ。

人狼の腹部に切り傷が生まれ、そこから鮮血が飛び散る。

剣士「はぁっ!」

最後は剣士が人狼の首を刎ね、戦闘は終了した。
45 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/20(金) 19:36:54.10 ID:Nhj+Ww2to
スマン、鳥間違えてたけど◆2UMTgm51i2は俺です
46 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/20(金) 19:37:38.55 ID:Nhj+Ww2to
戦士「人狼程度の敵なら、楽に進めそうだな」

盗人「なあ、一つ教えてくれ」

盗人は、疑問を抱いていた。

盗人「お前、何者だ?」

戦士を睨みつけて言う。

盗人「お前の『剣閃』、あの技が使えるのは限られた奴だけだ」

『剣閃』は、戦士の<ウォーリア>中で最も難易度の高い技能の一つだ。

抑も、技能とは威力の強い攻撃や、特殊な能力を持った職業特有の行動の事を指す。

それら一連の動きに名称を決めたものが『技能』<スキル>なのだ。

剣士「余計な詮索をするな」

剣士が一喝する。

盗人「何でお前が止めるんだよ!」

剣士「こいつが転職しないのには理由があるんだよ!」

盗人「理由…?」
47 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/20(金) 19:38:18.26 ID:Nhj+Ww2to
それを話すために戦士が口を開く。

戦士「…俺は昔、アークライトの衛兵だった。当時から俺は独裁者の政治のやり方に不満があったんだ。そして、俺は国軍内で反乱軍を作った」

戦士は表情も変えずに眈々と話すが、盗人は驚きを隠せずに聞いていた。

戦士「結果は大失敗。無残にも敗れたよ。……でも俺は生き残ったんだ。他の反乱軍の皆が処刑された中、俺だけ逃げたんだ。それから俺は国軍に目を付けられている」

盗人「それじゃ、街中を歩くことさえ危ないんじゃ…?」

戦士「それは大丈夫だ。単身じゃ何も出来ないと国軍も思っているのだろうか、指名手配にはされてない。俺を狙っているのは国軍だけだ」

盗人「路地裏に集まったのもそういう理由があったからか…」

剣士「とにかく、転職は国軍のいる元であるから出来ないんだよ」

転職を行う役所は国家機関であるため、国軍の衛兵が配備されている。

役所に入る時に顔を見られるため、戦士は役所に入れない、つまり転職できないのだ。

盗人「成る程な……元国軍の戦士か、通りで強いわけだ」

戦士「まあ、過去のことなら盗人の方が凄いんだけどな……」ボソッ

盗人「ん?」

戦士「何でもないよ」

それ以上戦士は話すのをやめ、再びテントの設営作業に戻り、就寝した。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/01/20(金) 19:40:07.55 ID:Nhj+Ww2to
空いてた期間と書き溜めの量が比例してないけど忙しかったんで許してください(-。-;
次の投下からは通常営業でいく
49 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/23(月) 20:50:22.62 ID:BKXV5eP7o
盗人「ふあ〜〜よく寝たー」

盗人が寝袋から体を出し、大きく伸びをする。

テントの入口から零れる朝の日差しが眩しい。

戦士「皆起きたか?」

剣士「おう」

戦士「さっさと行く準備しようぜ」
50 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/23(月) 20:50:54.71 ID:BKXV5eP7o
ゆうべはあれ以来敵の奇襲は無かった。

そのお陰でゆっくり睡眠を取ることができ、体力も大分回復したはずだ。

剣士「もうすぐじゃないか」

街を出てすぐの時は遠くにあった鉱山も、今はすぐそこに見えていた。

盗人「そういやさ、僧侶って人、どんな人なの?」

戦士「う〜ん……俺らの中では参謀役。頭脳明晰冷静沈着……作戦担当だな」

剣士「正直、戦士とあの人に任せていれば何でも上手くいくからなぁ。凄い人だよ、僧侶は」

盗人「へぇ……」

戦士「口で説明するより会った方が早いんじゃないのか?ほら、ここが入口だぞ」

鉱山内部への入口がそこにはあった。
51 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/23(月) 20:51:24.37 ID:BKXV5eP7o
足を踏み入れると、一瞬にして空気が冷たくなった。

外の世界とは違う、ひんやりと張り詰めた空気。

それが自然と一行の警戒を強化させる。

鉱石を採取した跡であろう穴が至る所に存在する。

盗人「ここに来たってことは、鉱石を取りに来たんだよね?見た感じ、もう既に全部取られてそうだけど」

戦士「だから面倒なんだよ。その分奥まで進まなきゃならないからな」

戦士に付いて、一行は奥まで進む。

剣士「瘴気が濃くなってきたな…」

鼻につく臭いがだんだん強くなる。

それは魔物が発する独特の臭いだ。

戦士「多そうだな……」

盗人「とか言ってる間に…」

戦士、盗人、剣士が各々背中を合わせる。

彼らは、蝙蝠の魔物に取り囲まれていた。
52 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/23(月) 20:51:58.76 ID:BKXV5eP7o
盗人が短刀で蝙蝠を斬りつける。

蝙蝠は地に落ちるが、魔物の数は一向に減らない。

盗人「数が多すぎる…」

剣士「これじゃ、キリがない……」

斬っても斬っても増え続ける。

戦士「このままじゃイタチごっこじゃねぇか!!」

流石の戦士にも疲労が見え始めていた。

盗人「がっ!」

盗人が肩に攻撃を受ける。

蝙蝠の攻撃方法は主に噛みつき。

相手の血を吸う恐ろしい攻撃だ。

噛みつき単体では対した威力は持たないが、血を吸うことで多大なダメージを受けてしまう。
53 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/23(月) 20:52:40.79 ID:BKXV5eP7o
剣士「振り払えっ!!」

盗人「くっ…!はぁ…はぁ…」

蝙蝠を振り払ったものの、盗人の体力も限界に近づいていた。

戦士「ぜぇ…ぜぇ…さぁ、どうする…?」

剣士「神に祈るしか無いな……」

三人とも、全てを諦めかけていた。

その三人に、眩いほどの光が降りかかる。



「悪魔祓い<エクソサイズ>」
54 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/23(月) 20:53:10.27 ID:BKXV5eP7o
聖なる輝きは、蝙蝠の群れを照りつけて、その身を焼きこがせた。

一瞬にして、戦士達の周りに蝙蝠はいなくなった。

盗人「助かったのか…?」

戦士「やっと来てくれたか」

剣士「もっと早くきて欲しかったが……まあ、助けてくれただけありがたいか」



僧侶「ふふっ、危ないところだったですね。私が来たからにはもう安全ですよ」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/23(月) 20:55:41.65 ID:BKXV5eP7o
今日の分は終わり。
全体的にもっと書き溜めて投下した方がいいかな?
あんまり間を開け過ぎるとそれはそれで嫌だからなぁ
56 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/01/23(月) 21:55:36.99 ID:BKXV5eP7o
>>僧侶「ふふっ、危ないところだったですね。

日本語がおかしかったので訂正。
×危ないところだったですね
○危ないところでしたね
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/23(月) 22:35:33.37 ID:w300B9gDO
>>1に任せる
58 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/26(木) 00:46:11.09 ID:8oUrI6AAo
辺りに散らばるは先ほどまで一行を取り囲んでいた蝙蝠達の死体。

血生ぐさい臭いが辺りに立ち込める。

僧侶「皆、大丈夫ですか?治療魔法<ヒーリング>」

僧侶、という女性の魔法によって、蝙蝠との戦闘で負った傷がみるみるうちに回復してゆく。



先程、蝙蝠を一瞬にして亡き者にしたのは彼女の魔法だった。

悪魔祓い<エクソサイズ>は僧侶<プリースト>の魔法である。

邪悪な気を纏った生き物、所謂魔物を一瞬に光の中に掻き消す上級魔法だ。

その代わり、毛皮などの戦利品は残らず、自分より弱い魔物にしか効果を発揮しないので、あまり使う機会は無いと言ってもよい。
59 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/26(木) 00:46:59.81 ID:8oUrI6AAo
僧侶「あなた、見ない顔ですね。新入りなの?」

三人の治療を終えた僧侶は盗人に対して問いかける。

盗人「あ、俺は盗人。盗賊<シーフ>だ。よろしく」

僧侶「どういう経緯で私達に加わったのか知らないですけど、何かしら理由があるから加わったんですよね。私は僧侶<プリースト>の僧侶です。これからもよろしくお願いしますね、盗人さん」

二人は挨拶を簡単に挨拶を交わす。

それから、僧侶はすぐに本題へと移った。

僧侶「……ここで立ち止まっていてもまたすぐに魔物が来ます。早く最深部へと進みましょう。『あれ』を取りに行かなければなりませんから」

盗人「『あれ』?」

僧侶「盗人さんは知らないのですね。この反乱の鍵を握るもの、それはこの鉱山『ジン』の最深部にある炎の魔石です」
60 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/26(木) 00:47:40.26 ID:8oUrI6AAo
盗人「炎の魔石?」

剣士「炎の力を宿した鉱石さ。それがあれば爆薬を作ることが出来る」

戦士「しかもそんじょそこらの火薬とは訳が違うからな。威力が並じゃない」

盗人「それを使うってのか…おっかねえな」

僧侶「そういうわけで、進みましょうか」



外部からの光が全く入ってこないので、対策も何もしなければ、真っ暗闇の中を進むこととなる。

しかし、用意周到な戦士は携行品から松明と火打石を取り出した。

手慣れた様子で火打石で火を起こし、松明を灯すと周囲を見渡せる程度に明るくなる。

盗人「何か息苦しくない?」

盗人は違和感を感じていた。そして、それは勘違いなどでは無かった。

戦士「奥に進むにつれて酸素が薄くなってるんだろう。その上松明を灯すとなると酸素の消費は激しいだろうな」

剣士「それじゃあ早く魔石を手に入れてすぐに外に出る必要があるな」

時間を無駄に出来ない一行は、鉱山最深部へと急いだ。
61 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/26(木) 00:48:13.91 ID:8oUrI6AAo

ージン鉱山・最深部

剣士「ここが最深部か……?」

そこは、今まで通過してきた層と比べると明らかに開けていた。

自然に出来たものとは思えない。しかし、人の手が加えられているわけでもない。

偶然が重なって出来た、自然の神秘と言えるだろう。

僧侶「何これ…気持ち悪い……」

僧侶の目の先には幾つもの骸。

試しに話しかけてみるが、返事が無い。ただの屍の様だ。

松明で岩壁を観察すると、一際反射の違った場所がある。

盗人「!!ここ……」

戦士「ああ。恐らくそうだろう」

戦士は予め用意していた鶴橋を手に取り、壁に打ち付ける。



予想と反して、魔石と思われしものは採取出来ない。
62 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/26(木) 00:48:49.77 ID:8oUrI6AAo
本来ならば、壁から魔石だけが砕けてそれを持ち帰ることが出来るのだが、どうもこの壁はおかしい。

どの壁面を叩いても傷一つ付かない。

剣士「どういうことだ?」

横から見ていた剣士も違和感に気づく。

戦士「何だ、これ……?まるで石化皮膚<ストーンスキン>みたいだ……」

石化皮膚ーそれは騎士<ナイト>の技能で、皮膚を石のように硬くして防御力を高める技だ。

そして、戦士の例えは強ち間違いでは無かった。


壁の内部から唸り声の様なものが聞こえる。

盗人「この音……何の音だ…?」

壁面が揺れる。

鶴嘴では傷一つ付かなかった壁面にぴしぴしと罅が入る。

中から聞こえている篭った音がだんだん漏れてきて、壁面が完全に砕け散ったときには張り裂けんばかりの咆哮と化していた。
63 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/26(木) 00:49:20.16 ID:8oUrI6AAo
崩れ落ちた壁面から現れたものは、歪な形の石像だろうか。

左右非対称の体がのそりのそりとこちらに向かう。

それ歩く毎に起こる地響きはこの層全体を揺るがせ、一行の動きを制限していた。

盗人「何だ、こいつ!?こんな巨大な敵が出るなんて訊いてないぞ!!」

僧侶「計算外だわ……まさか魔石の守護システムが存在するなんて……あ、まさか……」

僧侶の頭の中に先程の光景が思い浮かぶ。

幾つもの屍。

恐らく自分達と同じ様に魔石を狙った者たちがこの石像の餌食となったのだろう。

そして、気を抜けば自分達もその仲間となってしまう。

戦士「………全力で迎え撃つぞ!!」

石像<ゴーレム>との戦いが始まった。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/26(木) 00:52:38.27 ID:8oUrI6AAo
本日の分終わり。
小一時間只管書いてもこれだけにしかならないんだな。
やっとまともな戦闘シーンが書ける……!

ところでこれ人見てるのかな?
ちょこちょこ付く支援レスがとても嬉しいです
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/26(木) 01:05:49.86 ID:c7nN7BX6o
見てるよ
如何せん説明が多すぎる
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/26(木) 11:45:04.76 ID:shdXwy5Oo
まだ様子見してる
世界観は好き
67 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:14:31.88 ID:RaF2ADMJo
戦慄。

目の前に対峙するは一体の巨大像。

嘗てない強大な敵を前に、一行は慄く。

それは当然の反応であり、彼らは決して臆病ではない。

奇妙なオブジェは地面を鳴らす。

盗人「くっ…!」

それだけの行為なのに、恐るべき威力。

立つ事さえ許されない一行に、勝機など殆ど無いに等しかった。
68 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:15:03.85 ID:RaF2ADMJo
剣士「だあぁっっ!!」

力を振り絞り剣を叩きつける。

しかし、それは鉱石の体を持つゴーレムにとって無意味なことだった。

石像の反撃で、拳が飛んでくる。

剣士はそれを躱しきれず、正面から攻撃を受ける形となった。

轟、という風を切る音を引き連れて、剣士に石の拳が直撃する。

剣士「ぐっ…がはっ…!!」

その一撃の重みは、明らかに重すぎる。

剣士はその一撃で意識を失い、地面に倒れこんだ。
69 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:15:32.34 ID:RaF2ADMJo
僧侶「大丈夫ですか!?」

僧侶が剣士を覗き込む。

先程の一撃で肉が千切れ、血が溢れ出している。

床に血だまりが出来、このままでは出血多量に陥って下手すれば死んでしまう。

僧侶「治癒<ヒーリング>」

僧侶の両手から発せられる仄かな光が剣士の身体の傷口を癒してゆく。

少しずつ、少しずつだが傷口は塞がって行った。

僧侶「……でも、これじゃあ時間が掛かりすぎる……!」
70 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:16:07.49 ID:RaF2ADMJo
僧侶が剣士の治癒に専念する間、戦士と盗人は二人だけで石像に立ち向かっていた。

戦士「お前は後ろから攻めろっ!」

盗人「了解!飛脚<ラピッドステップ>」

盗人が脚力を強化し、石像の股を通り抜ける。

盗人が石像の背後に回り込んだことで、挟み撃ちの陣形を作り出した。

戦士「だあぁっ!!」ガァン

盗人「てりゃ!」ガキィン

同時に攻撃を繰り出すも、その攻撃は硬い岩石に防がれる。

打つ手が無くなった二人は、一旦後方へと下がる。

コオオォォォ……

石像が声の様な音を出す。

それは、如何にも効いていない、この程度か、と挑発しているかのように聞こえた。
71 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:16:48.36 ID:RaF2ADMJo
戦士「剣が効かないとなると…盗人」

戦士が盗人を呼ぶ。

盗人「何だ?」

戦士「石像の注意を引きつけてくれ」

盗人「囮になれってか?」

戦士「ああ」

盗人「……分かった」ダッ

不服そうな顔をした盗人だったが、反論はせず、石像の元へと走っていった。

戦士「……切替<スイッチ>」

戦士の剣が形状を変える。

一定の条件下でしか使えない技能、切替。

それは職業が戦士を元とする者、且つ特殊な武具を装備する者しか使うことは出来ない。

そして、戦士の場合、三種類の武器を使い分けることが出来た。
72 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:17:31.36 ID:RaF2ADMJo
一つは剣。

そして今、戦士が切り替えた武器は、斧だった。

戦士「闘突進<ブルクラッシュ>」

狙うは石像。

刃の部分をそれに向け、力を溜める。

ゴオォッ

比類ない加速で、石像目掛けて突進する戦士。

彼の攻撃は、石像に直撃する。

ゴゴゴゴゴ……

石像から発せられる音は先程より淀んだ声になる。

攻撃が当たった点から、罅が生じる。

それは微かだが、確実にダメージを与えることは出来た。
73 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:18:17.51 ID:RaF2ADMJo
盗人「やった!!……って!?」

盗人は気付いた。

あの石像にダメージを与えた。

そのためには、それ相応の力を消費した、ということだ。

盗人の目には、身体中から血を噴き出した戦士の姿が映っていた。

盗人「!?大丈夫なのかよ!!」タッ

盗人は駆け寄ろうとする。

戦士「来るな!」

盗人「っ!」
74 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:18:58.50 ID:RaF2ADMJo
戦士「これは技の反動だ……単に全身の血管から血が漏れてるだけさ。……それより早くとどめを」

ザッ…

僧侶「戦士の言うとおりです。あの石像に止めを刺すのが先決です」

僧侶は剣士の治癒が終わったみたいだ。

僧侶に続いて、剣士も来た。

剣士「俺が倒れてたせいで、戦士にあんな目にあわせてしまったみたいだ。すまなかった」

剣士は剣を構える。

先程とは違う、洗練された集中力。

盗人「俺が奴を引きつける。」

盗人の脚元に微風が起こる。

飛脚を使用したのだろう。

僧侶「!!石像が動きます!散開してくださいっ!」
75 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:19:32.20 ID:RaF2ADMJo
僧侶の一声で四人は散らばる。

石像は無作為にその歪な拳を突き出し続ける。

盗人「こっちだぜ!」

盗人は素早い動きで石像の周りを駆け回る。

石像の攻撃は、一撃一撃は重いものの、巨体故に動きは素早く無い。

盗人にとって、攻撃を躱すことは造作でも無いのだ。

盗人「腹がガラ空きだぜ……ッ!!」

盗人は石像の懐に潜り込む。

狙いを定めたのは、戦士が死力を尽くして作った腹部の罅。
76 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:20:12.98 ID:RaF2ADMJo
盗人「はああぁぁっ!!」

短刀が石像へと突き刺さる。

すると、一点の罅が石像の全身へと広がった。

もう既に石像の守りは見せかけにすぎない。

盗人「剣士!今だ!!」

剣士「だああああっっ!!」

力を溜めていた剣士が、その全てを解き放つ。
77 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/01/31(火) 21:20:48.70 ID:RaF2ADMJo


ストン


それは、余りにもあっけなかった。

剣に込められた力が石像を一閃した。

集中力を最大限に研ぎ澄ませた剣士は、石像の脆い部分を見抜き、一刀両断した。


ゴガガガガ……


石像が断末魔らしき音を立てて朽ちてゆく。

砂と化したその跡には、紅に輝く大きな「魔石」だけが残った。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/31(火) 21:24:10.14 ID:RaF2ADMJo
>>65,66
感想ありがとう。出来るだけ改善するようにする

駆け足で戦闘パート書いたけど、こんなもんなのかな
全部で10レス分にしかならなかった……
他のSSとか見てるといかに凄いかが分かる
79 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:16:04.95 ID:zJ1S4jgLo

盗人「これは……?」

戦士「これが炎の魔石さ」

先程まで満身創痍だった戦士が解説する。

剣士「身体は大丈夫なのか?」

戦士「ああ、僧侶が治癒してくれたよ」

戦士の傍には僧侶がニコニコして立っていた。

盗人「結構重傷だったんじゃないのか?」

戦士「破裂した血管繋げて貰ったから大丈夫だよ」

皮膚にも目立った外傷もないみたいだった。
80 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:16:35.67 ID:zJ1S4jgLo
戦士「それで、この魔石のことだが…」

戦士が魔石を手に取る。

盗人「触っても大丈夫なのか?」

炎の魔石、という位だから直に触れば火傷でもすると思ったのだろうか、盗人はそのような質問をする。

戦士「ああ。この魔石単体ではなにも反応は起きないよ。これは火薬の威力強化版みたいなものだから火種がないなら安全だよ」

盗人「へえ……」

僧侶「ここで話し込むのもいいですけど、そろそろ酸素が薄くなってますよ。そろそろ出た方がいいんじゃないですか?」

僧侶の言葉に頷き、四人は鉱山を後にした。

81 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:17:48.72 ID:zJ1S4jgLo


ーアークライト城

剣将軍「……」

城のバルコニーに出て夜風に当たる剣将軍。

その横顔は、何とも哀愁に満ちた顔だった。

???「こんな所で何してるの?」

陰から一人の女性が歩いてくる。

剣将軍「……弓将軍か」

弓将軍「何か悩み事?」

剣将軍「…別に」

弓将軍「私たち三将軍は家族みたいなものでしょ」

剣将軍「俺がやってることは正しいのだろうか……」

剣将軍は先程の使者を斬り殺したことを言っているのだろう。

弓将軍「私達の任務は独裁者陛下をお守りすること。陛下に仇なす
勢力は全て消さなければならないわ」

剣将軍「そう…だよな…それ以外に道は無い……」

弓将軍「ふー寒いっ、こんな所に長くいたら風邪引いちゃうわよ!早く戻って来てね!」

剣将軍「ああ」

弓将軍は城内に戻っていった。

しかし、剣将軍は彼女の言葉に従わず、夜の風景を眺めていた。
82 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:18:17.38 ID:zJ1S4jgLo


ーエールハウス・十一番街

鉱山より帰還した一行は、エールハウスの十一番街へ戻ってきた。

盗人「どうしてここに…?」

戦士「仲間皆に招集かけておいた」

戦士が歩みを進める先に、剣士は見覚えがあった。

剣士「まさか……酒場<パブ>か?」

戦士「おお、よく分かったな」

剣士「道に迷った時に寄ったんだよ。……でも、民間の店で集合なんかしていいのか?下手すれば国軍にチクられるぞ」

戦士「その事か、大丈夫だ、問題無い。彼も『此方側』だ」

『此方側』とは、反乱軍の味方というらしい。

戦士「とは言っても直接加担はしないらしい。場所を提供するだけだと」

戦士はいつそこまで根回しをしているのだろう、と盗人は思う。

ガチャ…ガラガラ

バーテン「いらっしゃい……ああ、戦士君か…おや?あの時の…」

剣士「どうも」

バーテン「ふーん、そういうことだったのか。あ、他の皆はそこに座ってるよ」

バーテンはテーブル席の方を見る。
83 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:18:54.41 ID:zJ1S4jgLo


格闘家「おっ、やっと来たか」

魔導師「そうみたいやね」

弓使い「小一時間は待ったわ」

吟遊詩人「遅かったじゃないか。何かあったのかい?」


戦士「ちょっと敵に手こずってな」

盗人「この人達は…?」

魔導師「あっ、新入りさん?ウチは魔導師。魔導師<メイジ>なんよ〜」

格闘家「こいつは地方の出だから少し訛ってるんだよ。俺は格闘家。職業は格闘家<モンク>だぜっ」

弓使い「私は弓使い。弓使い<アーチャー>なのよ。よろしくね」

吟遊詩人「僕は吟遊詩人。吟遊詩人<バード>さ」


盗人「盗人です…職業は盗賊<シーフ>。」

見知らぬ人間達を前に、盗人は緊張しているようだ。
84 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:19:24.06 ID:zJ1S4jgLo
魔導師「緊張せんでいいとよ。楽にしぃ」

魔導師がラフな態度で接する。

盗人「お…おう……」

戦士「自己紹介も馴れ合いも好きなだけしていいが、先に作戦の説明をさせてくれ」

一気に一同の顔が引き締まった。

それ程まで、戦士の言葉は重要で頼れるということであろう。

戦士「それじゃ、僧侶、説明してくれ」

僧侶「了解です」

参謀役の僧侶が話し始める。

僧侶「今回の作戦はまず、四つのグループに分かれてもらいます」

剣士「四つ?編成は?」
85 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:19:48.42 ID:zJ1S4jgLo
僧侶「まず、最初に戦士、吟遊詩人、弓使い。三人にはアークライト城の裏……」

吟遊詩人「黒い森かい?」

僧侶「はい。そこに向かってもらいます。具体的なことは現地で戦士から聞いてください。……次に剣士。貴方には一人で行動してもらいます」

盗人「一人!?幾らなんでも……」

剣士「構わん、続けろ」

僧侶「……貴方の任務は……アークライトへの潜入です」

剣士「!?……何をすればいいんだ?」

僧侶「城内の兵士を装って軍内、出来れば独裁者の情報を掴んでください」

剣士「……尽力する」

剣士は難しい顔をしていたが、賛成せざるを得なかった。
86 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:20:23.19 ID:zJ1S4jgLo
僧侶「次、盗人、格闘家の二人です。各地の反乱組織の残骸から生存者を探してもらいます」

格闘家「反乱組織の残骸って……国軍に潰された組織か?結構あるんじゃないか?」

僧侶「はい。できるだけ多く、人員を確保してください」

格闘家「そんなにうまくいくかな……まあ、よろしく頼むぜ、盗人」

盗人「ああ」

僧侶「最後に、魔導師と私は爆薬の精錬をします」

魔導師「炎の鉱石を使うんよね?」

僧侶「魔導師なら魔石の扱いには慣れてると思ったので」

魔導師「全然大丈夫ばい!一緒に頑張ろうねっ」

僧侶「任務が終わったり、何かあったりした場合はここに来てバーテンさんの指示に従ってください」

バーテン「別に俺が手を貸すわけじゃなくて戦士に言われたことを伝えるだけだけどな」
87 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:20:57.06 ID:zJ1S4jgLo
戦士「………大分簡単に説明したが、理解したか?」

一同は頷く。

戦士「この任務を達成しないと独裁者は倒せない。皆、気合入れてけよ?」



こうして、作戦会議が終わった。

魔導師と盗人が戯れている。盗人は迷惑そうだ。

こうして反乱軍<レジスタンス>メンバーが全員揃い、駒を進め始めた。

彼らは、独裁者を倒し、勝利を手に入れることが出来るのだろうか……
88 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:21:25.93 ID:zJ1S4jgLo




ーアークライト城・王の間

槍将軍「……何か不穏な臭いがします、陛下」

独裁者「ふーん、ま、どうにかなるっしょ」

槍将軍「いざという時は私が陛下をお守り致しますのでご安心ください」

独裁者「そういうの取り越し苦労っていうんだよ。だってこの大陸、いや……」

独裁者の口元が緩み、不吉な笑みを浮かべる。
89 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/02/08(水) 23:21:53.98 ID:zJ1S4jgLo


独裁者「この世界は僕の物だからね」



第二部・完
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/08(水) 23:24:29.90 ID:zJ1S4jgLo
大分やっつけだけど第二部終わり。
第三部は準備編です。
また長い戦いになりそうだ……
投下スピード気にしない方はついて来てくださいっ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/26(日) 22:37:50.43 ID:sdTccwN1o
舞ってる
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/05(月) 22:05:56.63 ID:uCyZgAxDo
>>1です
投下出来なくて本当にごめん
待ってくれてる人がいるのが本当にありがたい
結構間が空いてるけど、やめる気は毛頭ないからもう少しだけ待ってください
頭の中にプロットはある。後は書くだけ
暇な時間にちょくちょく書き溜めます
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/06(火) 00:52:37.66 ID:GdQXuV3Xo
良かったまだ生きてた
94 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/03/09(金) 19:23:45.86 ID:td9mkuk4o
ーアークライト北・黒い森

戦士「さて、お前ら。何でここに来たか分かるか?」

戦士が連れの二人に問いかける。

吟遊詩人「…裏からの侵入ルートを確定させる、とかかい?」

弓使い「私もそうだと思ったけど……」

戦士「ま、普通ならそう考えるのが妥当だよな」

弓使い「普通なら?」

戦士「ああ。だが、俺らがここに来た本当の理由、それは違う」
95 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/03/09(金) 19:24:26.79 ID:td9mkuk4o



アークライト城北部を覆い尽くす巨大な森林『黒い森』

空気中に含まれる瘴気によって木々が黒ずんでいる。

森の中に生息する魔物の鳴き声が、海の波の音に似ていることから、『樹海』の異名がある。



戦士「考えてみろよ。敵は奇襲なんて予測済みだぜ?ただ単に裏をかくだけでは意味が無いんだ」

吟遊詩人「それもそうだね。奇襲する側なら誰でも考えうる事だ」

弓使い「でもさ、いくらなんでも黒い森はノーマークじゃないかな?」


弓使いがそう言うのにはちゃんとした根拠があった。

『黒い森』は、なぜ『黒い森』なのか。

それは、森に蔓延る魔物を退治していないためだ。
96 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/03/09(金) 19:25:02.48 ID:td9mkuk4o

国軍は、それを放置している。いや、放置せざるを得ないのだ。

その理由は至って自然、魔物が『強すぎる』のだ。

そして、国軍では手に負えない魔物が棲息する森、それをアークライトは利用した。

受刑者を追放する場所、他の地域の強力な魔物を引きつける場所。

様々な『黒い』理由でその森を利用した。

それ故、一般人は勿論、国軍でも緊急の用が無い場合には黒い森には立ち入らない。

そう考えることが納得のいく解釈だった。



戦士「それは凡人の考えだ」

戦士はそう言い放った。

弓使い「何で?他に何か理由があるの?」

戦士「もしも、弓使いの言う説が、根本から違うとしたら」

吟遊詩人「……どういうことだい?」

弓使い「……」

戦士「真実を見届けろ」

三人の周囲が、魔獣の雄叫びに包まれた。
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/09(金) 19:27:00.94 ID:td9mkuk4o
遅筆&少量ながら、第三部開始です!
待たせてごめん。そしてまた待たせることになるかもしれない。
この位少しずつだったらちょこちょこ投下できそうだから暫くこの方針でやってい
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/09(金) 19:28:34.27 ID:td9mkuk4o
途中で書き込んじゃった

この位少しずつだったらちょこちょこ投下できそうだから暫くこの方針でやっていこうと思う。
三日坊主にならない様気を付ける
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/10(土) 00:30:13.59 ID:/TFGbNt5o

期待して待ってる
100 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/03/13(火) 00:40:47.61 ID:KSNKKA2no


ーアークライト城・兵舎

剣士(乗り込んだはいいが……どこから情報を得ようか…)

国軍の甲冑を見にまとった剣士は、アークライトの兵士の扮装をして潜入していた。

剣士(そもそも、兵士はいつもどんなことをしているのだろうか)

周りの兵士を見渡すと、いそいそと支度をしていてどこかへ行こうとしている。

そして、一人の高官と思しき兵が此方へ向かって歩いてきた。
101 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/03/13(火) 00:41:22.71 ID:KSNKKA2no
班長「おいお前!何チンタラしている!」

剣士「へっ?」

剣士に対して憤慨しているらしい。

班長「見ない顔だが新入りか?もう集団訓練の時間だぞ!遅れたら俺の責任になるから急いで訓練所へ行け!」

剣士「はい…」

訓練所が何処にあるのか知らない剣士だったが、周りの兵士を追っていって無事に訓練所に辿り着いた。
102 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/03/13(火) 00:42:26.33 ID:KSNKKA2no


ーー「点呼終わったな。これより、本日の集団訓練を始める」

班ごとに整列した中、一人の高官が前で話を始める。

剣士「誰だ?あいつ…」

兵士「お前、知らないのか?」

剣士の呟きが聞こえていたらしく、隣の兵士が剣士に話しかける。

兵士「あの人は『剣将軍』。三将軍の一人だよ」

剣士「!?」

剣士でも、三将軍は知っていた。

三将軍とは、アークライトを代表する三人の戦士。

剣将軍、弓将軍、槍将軍の三人である。
103 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/03/13(火) 00:43:02.01 ID:KSNKKA2no


剣将軍「そこ、何を話している」

兵士「やべっ…!ばれた!」

剣将軍が此方に来る。

剣将軍「訓練中の私語は禁止ということは知っているな」

兵士「はい…!すいません…」

剣士「俺は新入りだからその辺りは知らないんだ。許してくれ」

剣士がそう言った途端、辺りがざわめき始めた。
104 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/03/13(火) 00:43:58.01 ID:KSNKKA2no
「あいつ…剣将軍さんに向かってタメ口だと…?」

「やっちまったな」

「可哀想に」

剣将軍「お前高官に対して敬語を使うというのもわからないのか?」

剣士「…どうしてそんな必要が?」

剣将軍「…各班今日は自主訓練だ。お前、此方に来い」

剣士だけが呼ばれる。

剣将軍「私に歯向かうとどうなるか、教えてやる」

連れられた先で、彼は双剣を抜いた。
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/13(火) 02:29:11.06 ID:xN8APcelo
いくらなんでもアホ過ぎるだろ…
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/13(火) 15:14:26.96 ID:K/1Uv16ro

変装して潜入なのに点呼でばれないのか
ぼっちと入れ替わったのか?
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/26(月) 20:27:34.19 ID:LfkKQGeIO
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
108 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/03/27(火) 23:05:30.68 ID:34n2CvqNo
プロット書いてる紙紛失したww
何とか頭の中で再構築するから一週間以内に一回投下する
109 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/02(月) 01:31:14.53 ID:xeKCZoSKo
剣将軍「新人だからと手加減はしないぞ」

剣将軍は顔の前で、二つの剣を十字に交差する。

剣士「くっ…」

剣将軍「十字閃<クロスエッジ>」

そのままの体勢で前方へ突撃する。

剣士「ーーっ!」

剣士は咄嗟に剣を顔の前に出す。

剣将軍「中々な反射神経だな。凡人なら八つ裂きになっていたぞ」
110 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/02(月) 01:32:05.28 ID:xeKCZoSKo
剣士(こんなことでばれてしまったら元も子もないな…)

剣士は攻撃をいなすだけで反撃をしない。

剣士は謝罪のタイミングを見つけることが出来ずに困っているが、剣将軍は気づく由もない。

剣士「くっ……!旋回斬<ワールウィンド>!!」

剣士はつい反撃してしまった。

剣士の回転しながらの斬りに剣将軍は後方へ押しやられる。

しまった、と剣士は心中で思う。

完全に火に油を注いでいる。

剣将軍「……」

剣将軍の怒りを鎮める方法は完全に無くなった、そう思われた。
111 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/02(月) 01:32:39.00 ID:xeKCZoSKo
剣将軍「お前、いい太刀筋してるな」

剣士「へ?」

剣将軍「態度は気に入らないが、腕前は中々良い。……強い者は嫌いではない。特別にこの件は水に流してやろう」

剣士「は、はぁ…」

剣士は状況を掴めないまま、剣将軍の処刑を免れた。

それどころか、剣将軍のお気に入りとなってしまったのだ。
112 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/02(月) 01:33:25.29 ID:xeKCZoSKo



ーーセントプレーンズ・村跡

盗人「酷い有様だな……」

格闘家「こんな所に人が残ってるとは思えねぇぜ…」

盗人たちが来た村跡は、数日前に剣士が訪れた村の跡だ。

村民が反乱を企てたのを軍が嗅ぎつけて即時に崩壊させられた。

戦士曰く、そこに生き残りがいるだろうということだ。

格闘家「そういやさ、お前は何でレジスタンスに入ろうと思ったの?」

格闘家が唐突に質問する。

盗人「特に理由は……。ただ、戦士が俺の秘密を握っている。それを知りたくて、戦士について来た」

格闘家「それじゃ、お前はそんなに悲惨じゃないんだな」
113 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/02(月) 01:33:59.81 ID:xeKCZoSKo
盗人「悲惨?」

レジスタンスの加入理由に悲惨という言葉が出ると思いもしなかったのか、盗人は驚きの表情を表す。

格闘家「あ、別に皆が皆そういうわけじゃないんだぜ。俺の場合な、こんな感じに町ごと壊されたんだよ、独裁者に」

盗人「そんな過去が…」

格闘家「ちっさい頃だったからあんまり覚えてないんだけどさ、はっきりと見たんだ。両親の殺される所」

盗人「!?」

格闘家「俺は物陰から覗いてたんだが、国軍に両親が斬られた。俺は怖くなって無我夢中で逃げ出した。その時さ、戦士に会ったのは」

盗人「戦士に…」
114 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/02(月) 01:34:33.26 ID:xeKCZoSKo
格闘家「俺は殺されると思った。けど、戦士は優しく抱き上げて、『仇を取りたくないか?』って声を掛けてくれた。それからすぐに戦士が反乱して軍を抜けたんだ」

盗人「なんか…俺が場違いみたいだな。そんな過去を背負って、必死なのに…俺なんて興味本位で…」

格闘家「だから、皆そんなわけじゃないんだって!特に俺のは酷いほうだし、他は剣士くらいだぜ?」

盗人「剣士も?」

格闘家「あいつも、国とか家絡みのことがな…」

盗人「あいつにもそんな過去がな…」

格闘家「無駄話はその位にして、反乱民の生き残り探そうぜ」
115 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/02(月) 01:35:12.86 ID:xeKCZoSKo
盗人「…ああ」

ーー「誰かいるのか…?」

格闘家「!?」

物陰から、何者かの声。

盗人「誰だ!?」

村人A「ああ、私は村人だ。反乱軍の人みたいだから声を掛けた。盗み聞きして悪いが、おおまか話は分かったよ。ついて来てくれないか?」

盗人は格闘家に目配せする。

盗人「わかった。案内してくれ」

村人A「国軍の攻撃も想定して、隠れてシェルターを作っていたんだ。そこに他に数人いる」

この村人が話しているのは、恐らく探している残存兵のことだろう。

早くも目的を果たすことができそうな二人は、期待してついていった。
116 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/02(月) 01:35:59.21 ID:xeKCZoSKo




ーーエールハウス・工房

魔導師「そんで、ウチらは何作ればいいん?」

僧侶「簡単に説明しますと、敵の迎撃且つ、味方への合図となるような爆発兵器ですね」

魔導師「うわ〜、結構物騒なもんつくるんやね!」

僧侶「そうですね…通常の爆薬より数倍火力の高いものを作りますので、危険ですよ」

魔導師「設計図とかあるん?まさか、一から考えて作れとかじゃないよね?」
117 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/02(月) 01:36:41.65 ID:xeKCZoSKo
僧侶「…そのまさかです」

魔導師「……どないして作れちゅうねん!…でも、そういうよくできてそうで実は天然で、ツッコミすら促させるっていうキャラ、ウチ好きよ〜〜」

ぎゅーっっという擬音が聞こえそうな勢いで魔導師が僧侶を抱きしめる。

外からみたら、危なっかしくて見ていられないコンビ。

しかし、その二人は紛れも無くその分野のエキスパートでもあるのだ。

魔導師「じゃ、ちゃっちゃとつくるばい!!」

僧侶「はいっ!」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/02(月) 01:39:47.31 ID:xeKCZoSKo
これだけ待たせてこの量とは本当に申し訳ない
あと少し早足になって分かりにくい箇所もあるかもしれないけど、勘弁してください

次回の投下も未定です
一週間後くらいには少し投下したい
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2012/04/04(水) 21:04:18.65 ID:RjDyWKioo
120 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/10(火) 22:12:12.37 ID:pHJwWTBoo

ー黒い森

突如戦士達の周囲で雄たけびを上げた魔獣達。

戦士「迎え撃て!!」

弓使い「ええ!」

吟遊詩人「精密刺突<エイミング>!」

吟遊詩人が槍を突き出す。

それは正確に敵の急所を貫き、一撃で魔獣を葬り去る。

弓使い「っ!!」

弓使いが矢を射る中、一匹の魔獣がそれを潜り抜けて飛び掛かってきた。

弓を使う者としては、懐に潜り込まれると弓矢で対処することは難しい。
121 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/10(火) 22:12:57.67 ID:pHJwWTBoo
しかし、それは一般の弓使いの話だ。

弓使い「零距離射撃<クロスショット>」

迫り来る魔獣の口元に弓矢を構える。

そして、矢を射た。

ゴウッ

魔獣の体内で爆発が起こり、それは内側から砕け散った。

戦士「いい調子じゃないか!」

戦士が敵を薙ぎつつ笑いながら叫ぶ。

弓使い「まだまだこれからよ!!連写<ラピッドファイア>!!」
122 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/10(火) 22:13:31.28 ID:pHJwWTBoo
弓から連続で何本もの矢が放たれる。

それらが迫り来る魔獣の大半を射止めた。

吟遊詩人「キリがないね!!」

弓使い「ええっ…一体どれだけ湧いているの!?」

戦士「…もう分かっただろ?」

吟遊詩人「ああ。分かったよ」

弓使い「ここは魔物のねぐらってことね」

戦士「…80点だ」

吟遊詩人「焦らさないで教えてくれよ!」
123 : ◆YpM7bOCIf2[sage saga]:2012/04/10(火) 22:14:13.20 ID:pHJwWTBoo
戦士「そうだな。もういいだろう……魔物の根源となっているのはここだけじゃない」

戦士の真剣な語りに二人は生唾を飲み込む。


戦士「諸悪の根源、それは、アークライト城だ」


木々の間から垣間見れるアークライト城。

聳え立つその姿は邪悪に黒ずんで見えた。
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/10(火) 22:15:31.40 ID:pHJwWTBoo
投下はここまでで。
戦士パートだけですまん
リアルが忙しすぎて書く時間が無い…
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2012/04/10(火) 22:38:56.57 ID:KZU94xmJo
126 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/05/20(日) 00:50:35.38 ID:g/yTawpco
ーーーアークライト城・訓練場

剣士の噂はすぐに軍内に伝わった。

冷酷な剣将軍を認めさせた。

それは前例の無いことだった。

「おっ……あいつじゃね?剣将軍とやりあった奴?」

「へー…今から何するんだろ?」

「何でも剣将軍とマンツーマンで戦闘訓練らしーぜ」

「すご……俺ら底辺兵士とは才能が違うな……」

剣士(一時はどうなるかと思ったが……軍の要人に近づけたのは快挙だな。結果オーライだ)
127 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/05/20(日) 00:51:06.19 ID:g/yTawpco
軍内部で一躍有名になってしまった剣士だが、剣将軍に近づくことが出来たようだった。

剣士は元々入隊する予定だった下級兵の情報を改竄して軍に居るため、疑われることもない。

剣士の行動は危なかったものの、結果としては良い方向へと向かっている。

剣将軍「剣士、来たな」

剣士「はい。で、訓練はどの様なもので?」

剣将軍「まあまあ、そう焦るな。独裁者様がお前に会いたいらしい」
128 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/05/20(日) 00:51:35.11 ID:g/yTawpco
剣士「!?」

剣将軍「まあ驚くよな。国家のトップが直々に顔合わせしたいと言っているんだからな。お前に断るという選択肢は無いぞ」

剣士「…いつです?」

剣将軍「今は会議があっている。それが終わり次第だな…応接室で待っていろ、会議が終わったら知らせる様に言っておく」
129 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/05/20(日) 00:52:01.26 ID:g/yTawpco
剣士「…了解であります」

剣士が独裁者に会うのは初めてだった。

名前こそ有名なものの、顔など一切の情報は一般にら公開されていない。

悪事だけが噂として流れているのだ。

剣士(しかし会うチャンスがあるからといって、迂闊に行動するのは危ないな…ここはちゃんと謙るか…)

剣士は独裁者との応対を如何にするか考えながら、応接室に向かった。

130 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/05/20(日) 00:52:27.31 ID:g/yTawpco
ーーー村跡・シェルター

村人A「君達はこのことは公にしていないみたいだね?」

このことというのは、反乱のことを指しているのだろう

格闘家「ああ、あんた達みたいな例もあるからな」

村人A「そうかい。まあ、それが賢明だな」

格闘家が辺りを見渡す。
131 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/05/20(日) 00:53:04.75 ID:g/yTawpco
そこには、女子供、そして老人達。

村人Aのような若者は数人しかいなかった。

村人A「他の若い人達は皆死んだよ。

あいつらバカだから、仇を取るとか言って出て行った。

そのまますぐ殺されただろうね」

盗人「……」

村人A「でも僕だってこのまま引っ込んでる気はないよ」

盗人「どうする気だ?」
132 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/05/20(日) 00:53:32.85 ID:g/yTawpco
村人A「様はタイミングさ。

君達みたいな人が現れるのを待っていた。

僕も、連れて行ってくれないか?」

格闘家「勿論だ、一緒に独裁者を潰そうぜ」

盗人「そこの子供達はどうするんだ?」

村人A「少し位なら戦えるんじゃないのか?」

盗人「それはあまりに酷すぎる…」
133 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/05/20(日) 00:54:00.61 ID:g/yTawpco
格闘家「俺等の任務は人員の確保だ。

人数さえいれば、それでいいんだ」

盗人「でも…」

格闘家「戦士だって、そのことは想定しているだろう」

盗人「…分かった」

彼らは、任務を遂行し、バーテンの店へと戻ることになる。

しかし、そう甘く任務を成功させることは出来なかった。

134 : ◆YpM7bOCIf2[sage]:2012/05/20(日) 00:56:13.64 ID:g/yTawpco
一ヶ月以上空いてしまった…
完結までは頑張るから気長に待ってくれ
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2012/05/20(日) 11:07:12.05 ID:SopUQyHgo



Pastlog.cgi Ver2.0
Powered By VIP Service
Script Base by toshinari