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HTML化した人:lain.
ミサカ00001号「出来ることなら、あなたとずっと一緒にいたい…!」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/02/05(日) 23:06:08.01 ID:nF4+WQR40


実験開始までの一週間で欠陥通行
鬱かハッピーかはまだ決まってません
ノリとその場の勢いで書いているので矛盾とか出てくるかもしれません

また、受験勉強の合間に息抜きで書くので投下はかなりのスローペースになるかと思います



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1328450767(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/05(日) 23:07:25.75 ID:nF4+WQR40





『あなたに与えられた一週間、好きなように使うといいわよ。 例えば、そうね…被験者と仲良くなってみるとか』





研究者が最後に言った言葉が、なぜかとても素敵な提案に思えた。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/05(日) 23:09:16.70 ID:nF4+WQR40

学園都市に無数にあるコンビニの一つに、学園都市最強が愛用している店がある。
愛用といっても理由はごく普通で、ただ家に近いからというだけだが。
そんなコンビニにひとりの少女が立ち寄った。
彼女は店内に入ると店をぐるっと一周見回る。
そして、ある商品の前で立ち止まった。
研究者から聞いた話によると、被験者はこの【缶コーヒー】とやらに目がないらしい。
少女はそれがどのようなものか知識では知っていたが、実際に飲んだことはなかった。
興味本位で手を延ばし、商品を手に取る。
そこで今、お金を持ち合わせていないことに気づいた。
しかし、缶コーヒーを飲んでみたいという気持ちは止まることはなく、手に入れられないと分かるとますますその気持ちは強くなる。
どうしたものかと少女が思案していると横から不機嫌そうな声がした。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/05(日) 23:10:05.88 ID:nF4+WQR40
「おい、買わねェならさっさとどけ。 邪魔だ」

声の正体は、少女が探していた少年だった。
病的なまでに白く、少し押せば倒れてしまいそうな華奢な体、血のように赤い眼。

「一方通行…」

「あァ?」

少女が少年の通り名をぽつりと口にすると、少年は怪訝そうに眉をひそめた。

「オマエ、確か…」

少し間が空いて、一方通行が少女の正体を口にしようとする。
しかし、最後まで言うことはなかった。
一般人も利用するコンビニで軽々しく口にだすべきではないと判断したからだ。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/05(日) 23:10:57.67 ID:nF4+WQR40
「なンでこンなところに? つーかブラブラ出歩いてていいのかよ」

「その質問に答える前に、ミサカにこの缶コーヒーを奢ってはくれませんか? とミサカは被験者にたかります」

普通の人が見れば裸足で逃げ出すような眼力で睨まれているにも関わらず、少女はあくまでマイペースに返した。
一方通行はじっと少女の顔と彼女の手の中にある缶コーヒーを交互に見ると、ふいに彼女が持つ缶コーヒーを奪ってレジにむかった。
少女は後ろをついていく。
コンビニから少し離れた場所で一方通行が少女に缶コーヒーを投げ渡した。

「………」

一方通行は何も言わず、先ほどと同じように少女を見つめた。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/05(日) 23:11:35.74 ID:nF4+WQR40
「………」

少女はその視線を真正面から受け止めた後、何事もなかったかのように缶コーヒーのプルタブに手をかけた。
一方通行が何かを言いかけるが、それより先に少女はコーヒーを口に含んだ。

「…苦いです、とミサカはまるで泥水を飲んでいるようだと初めて飲む缶コーヒーを批評します」

「そこまでこき下ろすくれェならソレ返せ」

少女のあんまりな物言いに一方通行は若干腹を立てつつ、手を差し出した。
誰だって自分の好きなものを否定されれば良い気分はしない。
しかし、少女はまるで大切なものを取られないようにするかのごとく、一歩後ろに下がった。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/05(日) 23:12:25.26 ID:nF4+WQR40
「折角の好意を無下にする訳にはいきません、とミサカは缶コーヒーを飲み干す決意をします」

「目の前で嫌そうに飲まれたら気分悪いっつってンだよ」

「嫌…ではありません、これはミサカが初めて誰かから貰ったプレゼントですから、とミサカはあなたに取られる前に強行手段に出ます」

言うやいなや少女は中身を一気に飲み干した。

「んぐぇ…!! ごほっ、ごほっ…」

途中で気管に入り、むせる。
それを見た一方通行は呆れたように一言つぶやいた。



「オマエ、馬鹿だろ」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/05(日) 23:14:53.80 ID:nF4+WQR40
とりあえずここまでです
短くてごめんなさい
次は書き溜めを微修正するだけなのでもう少し投下量を増やせると思います
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2012/02/05(日) 23:26:38.29 ID:JRggGdQW0
楽しみにしてる
頑張れ
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/05(日) 23:27:03.46 ID:+vo85URS0
期待してる
最初から好意的すぎる感があるが
すでに布束の感情プログラムをインスト済と妄想してみる
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2012/02/06(月) 02:28:33.61 ID:eJYOGm1f0
期待する
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/06(月) 03:47:48.67 ID:eMqknAMno

期待してる
13 :名無し[sage]:2012/02/06(月) 04:22:45.57 ID:scCijHWSO
期待大! できればハッピーエンドがいいな。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]:2012/02/06(月) 22:31:48.06 ID:kbMH2t7p0

たくさんのレス、ありがとうございます
とりあえずもったいぶるほどでもないので書き上がっている書きだめの残りを投下します
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:32:46.01 ID:kbMH2t7p0



「研修、ねェ…」

自分から聞いたくせに一方通行はどうでもよさそうな反応をした。

「はい、芳川桔梗の計らいでせめて一週間だけでも普通に過ごすといいと言われました、とミサカは懇切丁寧に説明します」

「このミサカの他に、00002号、00003号、と続いて00010号までの個体が現在研修中です、とミサカは補足します」

少女は一方通行に詳しく説明した後に、ミサカは00001号です、と慌てて付け足した。

「で、そのクローンが一体俺に何のようだ? 実験の開始が一週間後ならわざわざ今会いにくる必要はねェだろ」

「それは…」

ミサカは質問にすぐには答えられず、口をモゴモゴとさせる。
一方通行はその様子を一瞥すると、オモチャに興味をなくした子供のように歩き出した。

「ま、待ってください、とミサカは最後まで人の話を聞かないあなたに憤慨します!」




16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:34:01.00 ID:kbMH2t7p0
気づけば前方を歩く一方通行を急いで追う。
大通りから大分逸れた脇道に入る。
壁には下品な落書きが描かれ、ゴミが地面に転がっていた。
少しして、一方通行が立ち止まる。

「おーおー女引き連れてこんな陰気な場所に洒落込むたぁいいご身分だなぁ? 最強さんよ」

下品でドスの聞いた声が投げかけられた。
女、の部分で一方通行はようやくミサカが己の後をついて来ていたことに気づいた。
彼は珍しく驚いた顔をしたが、すぐにいつもの仏頂面に戻る。
にやにやと下品な笑みを浮かべたゴロツキたちが一方通行の行く手を塞いでいた。
一番体格が良く、口ピアスをいくつもつけた男がおそらく彼らの統率者だろう。
後ろから覗き込んだミサカはそう判断した。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:35:25.56 ID:kbMH2t7p0



「この人数には流石のお前も対処できまい!」

リーダー格の男のかけ声をきっかけに、前後左右からわらわらとネズミのように柄の悪い男たちが湧いてくる。
ざっと数えて十人以上はいる。
その内の数人が、ミサカを人質にしようと襲いかかる。
ミサカはこれといった抵抗はせず、大人しく捕まった。

「ははっ! 捕まえたぜ。 おい、この女がどうなってもいいのかぁ!?」

人質を取ることが出来たゴロツキたちは勝利を確信した笑みで一方通行に言い放つ。
しかし、一方通行に気にした様子は無い。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:36:22.28 ID:kbMH2t7p0
彼らが怪訝に思ったのもつかの間、気づけば捕まえたはずの人質に組み伏せられる仲間が視界にうつった。

「な!? クソッ!!」

ミサカは軍用クローンだ。
相手が上手く捕まえられたと油断した一瞬を利用した。
無駄な抵抗をして不利になるよりも、一度懐に入れてからの方がやりやすい。
人質という手段が消えたゴロツキたちに残された選択は無様にしっぽを巻いて逃げるか、怪物相手に何の策もなく特攻するかだった。
彼らのリーダーは愚かにも後者を選ぶ。



「死ねぇええエエエ!!!!」


19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:37:06.96 ID:kbMH2t7p0
リーダーの掌に人の顔ほどの大きさの火の玉が出現する。
火の玉は一方通行に真っ直ぐ飛んでいった。
リーダーに続けとばかりに様々な武器、能力を手にした少年達が二人に攻撃をしかけた。
黒髪の少年が生み出した鋭い強風が吹き荒れ、念動能力者によって持ち上げられた車が上から落ちてくる。
だが、一方通行はただ立っているだけだった。
その猛攻にミサカは表情には出さなかったが焦っていた。

(さばき切れない…!)

しかし、攻防の結果はミサカの予想を裏切るものとなる。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:38:13.07 ID:kbMH2t7p0
火の玉はテニスラケットで打ち返されたかのようにリーダー格の男の元へ戻る。
暴れる風は掻き消える。
車は一方通行に当たった瞬間ひしゃげて潰れた。
ミサカの感情を灯さない瞳が大きく見開く。
今、起きた出来事は一体なんなのか。



「ぐあぁあぁアァア!?」



リーダー格の男は自身の炎で身を焼かれ、苦悶の声を上げた。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:39:57.76 ID:kbMH2t7p0



(まただ…)



男が一方通行を襲うのはこれが初めてではない。
前回も、相手に攻撃は全く当たらず、気づけば自分の能力によって死にかけた。
仲間も似たようなものだった。

(どうなってやがる…!!)

いくら最強と言えど、数で押せば少しくらいは勝機が見えるはずだ。
彼はそう信じていた。
だからこそ、持っているコネを全て使って大能力者だって用意したのだ。

(だが、その結果はどうだ。 誰一人、指一本も触れることすら出来なかった)

超能力者とそれ以下の者には絶対的な差がある。
そんなものは嘘だと証明したかった。

(化け物………)

ゴロツキたちのリーダーは、薄れゆく意識の中で一方通行の規格外の強さを再度認識した。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:40:47.92 ID:kbMH2t7p0








普通の感性をした人間なら、ここで終わるはずだ。







23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:42:00.40 ID:kbMH2t7p0


襲いかかって来た不良グループは半数以上が満身創痍で、中には背中を向けて逃げはじめている者もいる。
もう彼らに攻撃してこようという意思はとうに消えていた。

しかし、一方通行は普通ではない。


(…………)



一方通行はリーダーを助けに向かって来た一人に向けて、地面に落ちているゴミを蹴飛ばす。
ゴミに脅威的な力が付加され、ぶつけられた少年は近くにいた仲間も巻き込んで数メートル先まで吹き飛ばされた。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:42:46.56 ID:kbMH2t7p0


「ひ、ひぃい! あ! あぁ…!」

痛みに転がる男の足を容赦なく踏みつぶす。

「悪かった!! もう関わらねぇから! ぎゃあぁああああ!!!!」

助けを請おうが関係ない。

まさに阿鼻叫喚。
あるものは足を砕かれ、あるものは腕をへし折られる。
奇怪なオブジェがいくつも転がった。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:43:38.88 ID:kbMH2t7p0



(これが第一位……)



この人と一週間後、戦闘する。
その圧倒的力が自分に降り掛かる。
そこまで理解してもなお、どこか欠けているミサカにはまだ、迫りくる死の恐怖を実感することはなかった。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:44:22.99 ID:kbMH2t7p0
「この人たちはどうしますか? とミサカは意識のないゴロツキたちを見下ろしながらあなたに指示を仰ぎます」

すべてが片付いた後、死屍累々の真ん中でごく普通にミサカはたずねた。

「ほっとけ」

一方通行はそっけなく返した。
さすがに死んではいないだろうから、誰かが病院に連絡する。
彼はそう判断すると無言で歩き始める。
ミサカもまたその後ろについて行こうとすると、ぎろり、と鋭い目で睨まれた。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:45:29.25 ID:kbMH2t7p0


「オマエいつまでついてくる気だ?」

「?」

突然問いかけられてミサカは反応出来なかった。

「折角与えられた時間をもっと有効に使えよ。 つーか、金魚の糞みたいに後をつけられるとうぜェ」

一方通行は顔をしかめつつ、苛立った口調でミサカに告げた。
どうして、こうもイライラしているのかは分からない。
あの惨状をみても普通に接して来るミサカに、何を考えているか分からない薄気味悪さを感じているからだろうか。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:46:20.96 ID:kbMH2t7p0


「あなたを不愉快にさせてしまったのならすみません、とミサカはしおらしく頭を下げます」

少し考えてそう言ったミサカはしおらしくもなければ頭も下げていない。
感情を全く出さない、いや、出し方を知らなかった。



「ですが、一つ訂正させてください」



「ミサカは時間を無駄遣いしているつもりはありません」



29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:47:00.34 ID:kbMH2t7p0


一方通行は面食らった。
ミサカの言葉はつまり、自分といる時間が有意義だ、ということだ。
研究者たちのようにそこに下心はなく、ただ純粋に。

「と、ミサカはハトが豆鉄砲をくらったかのようになっているあなたに告げましたが、どうしたのですか?」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:47:45.13 ID:kbMH2t7p0


一方、ミサカは何故一方通行が固まっているのか分からない。
彼女からすれば、一方通行は研究者以外で話せる唯一の人間であり、今まで研究所から出れなかった彼女に未経験の貴重な体験を経験させてくれる。
また、ある研究者の提案で誰かと仲良くなってみたいという欲求があった。
だからこの時間はミサカにとって決して無駄ではない。

「別に。 何でもねェよ」

一方通行はミサカに聞こえるか聞こえないかというぐらいの大きさで言葉を吐き出した。



なぜか胸の辺りがチクリと痛んだ。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/06(月) 22:51:39.38 ID:kbMH2t7p0

次の投下は少し日が開きます

魔術側がチートなだけで一方さんも書いてみるとまじチート
とはいえ戦闘描写とかろくに書いたこと無いんであまり強そうに見えませんが
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/02/07(火) 10:05:27.72 ID:aHaUsnXl0
>>1
欠陥通行とかマジで俺得
是非、完結まで行ってほしい
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/07(火) 15:41:03.23 ID:w5y1oklv0
期待
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/07(火) 23:33:37.10 ID:YsuZlGGJ0
少し日が開くと言いましたが…ごめんなさい
短いですが少し進めようと思います
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/07(火) 23:34:14.58 ID:YsuZlGGJ0


「偏食はどうかと思いますよ、とミサカは肉しかないテーブルを見ながらあなたの健康状態を心配します」

「好きなモン食って死ぬなら本望だ」

二人はファミレスを訪れていた。
もともと一方通行にそのつもりはなかったのだが、ミサカに押し切られた形だ。
無視しようとしたら部屋までついてきそうな勢いだったので、しぶしぶといった具合に。

「オマエこそ人のこと言えねェだろ」

一方通行は向かい合ったミサカのテーブルの上をフォークで指し示す。
ミサカの前にはパフェやケーキが計五種類、鎮座していた。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/07(火) 23:35:08.10 ID:YsuZlGGJ0


「甘い物は別腹です、とミサカは女の子の常套句を口にします」

そう言いつつミサカは生クリームがたっぷり乗ったスプーンを口に運ぶ。
心なしか、生気を感じられなかった瞳が輝いているように見えた。

「残しても食わねェからな」
甘い物が苦手な一方通行にはその幸せを理解することは出来ない。

「欲しいと言ってもあげませんよ、とミサカは心配は無用であることをあなたに言外に伝えます」

「言外になってねェぞ。 難儀な語尾だな」

「ミサカのアイデンティティです、ふ、ふふ」

ミサカは自身の笑いのツボに入ったようだったが、目は全く笑っていなかった。
水を足しにきた店員が若干引いているのを尻目に、一方通行はまだ湯気の立つステーキを切り分ける。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/07(火) 23:35:52.71 ID:YsuZlGGJ0


「ミサカたちの食事は必要最低限の栄養素を詰め込んだ固形物でしたので、しっかりと味のついたものを食べるのはこれが初めてなんです、とミサカはスイーツの素晴らしさを噛み締めます」

「そりゃ、良かったな」

ミサカが食べていた固形物は一方通行も食べたことがある。
学園都市でも一二を争う非人道的な研究所をたらい回しにされていた頃、食事をさせる時間も惜しいと出された記憶が蘇る。
味付けも何もされてないそれにさすがの一方通行も少し堪えた。
それ以来、一方通行は食べたいものが食べれる時は好きなだけ食べることにしている。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/07(火) 23:36:49.35 ID:YsuZlGGJ0
二人で黙々と食事を進めていると、ミサカが一方通行に話しかけた。

「そういえば、あなたはどうしてこの実験を受けたのですか? とミサカは純粋な好奇心に従ってあなたに質問します」

「はァ?」

一方通行はステーキの切れ端をフォークで持ち上げた状態で一瞬固まった。
が、すぐにそのまま口に含むとゆっくりと噛み締め、飲み込んだ。

「どうして実験を受けたか、だァ?」

「はい、先ほどの戦闘を見る限りあなたは十分力を持っているのでは? とミサカは自分の考えをあなたに伝えます」

「俺が、学園都市最強なのはオマエも知ってるよなァ?」

「学習装置で既に記録されていますね、とミサカは一方通行に関する情報の一つに含まれていることを肯定します」

もったいぶった調子で言葉を発した一方通行にミサカは機械が読み上げるように返す。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/07(火) 23:38:07.46 ID:YsuZlGGJ0



「それじゃ、駄目だ」




ミサカに真っすぐ射抜くような視線を向けながら、一方通行はつぶやいた。

「駄目なンだよ。 最強はあくまで最強どまりだ」




「さっきのスキルアウトどもみたいにもしかしたら…なンて儚い幻想を抱いて馬鹿みたいに挑戦して来やがる」

一方通行はやれやれと肩をすくめる。

「つまり……?」

ミサカは無意識にごくりと喉を鳴らした。
一方通行がどこか演技がかったように語る。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]:2012/02/07(火) 23:38:55.70 ID:YsuZlGGJ0


「俺が目指してンのはその上の無敵」


人差し指を上に立てながら一方通行は口角を上げた。







「書いて字の如く、だ。 幻想すら抱けないほどの強さを手に入れたい」





41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]:2012/02/07(火) 23:43:06.12 ID:YsuZlGGJ0
投下終了です
ほんと短いなぁ…

食べてる所は例のファミレス
どれも初めてだから素直な反応する妹達はほんとかわいいと思うけど自分の文章力で表現出来ないもどかしさ
原作を読み返してみると一方さんって結構おしゃべりでした
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/15(水) 18:32:59.55 ID:wqqw2jPD0
>>1
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/27(月) 18:58:27.15 ID:sBUOPbvao
まだか
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/11(日) 08:52:10.31 ID:pOgp/X+zo
待ってるよ



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