VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/15(水) 23:00:58.94 ID:MSL6grdDO<>禁書目録のSSです
時間軸は新訳2巻から数日後くらいです

《注意》
・新訳2巻までしか読んでません
・話の都合上オリキャラが出てしまう可能性があります。

如何ともしがたいのはこの二点です
口調がおかしいとかとかあったら脳内補完してくれれば幸いです
物理的におかしいとかあったら学園都市すげぇと思ってくれたら幸いです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1329314458(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>麦野「フレンダは…私が殺した」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:03:10.75 ID:MSL6grdDO<> ???「…超遅いですね」

???「まあ、そろそろだろうな」

???「…大丈夫かな」

学園都市のとあるファミレスの一角を3人の女子が数時間占領していた。3人の名は絹旗最愛、滝壺璃后、麦野沈利である。彼女たちは軽食をとったあとはひたすらドリンクバーのみで粘っていた。先ほどから店長らしき人間が何かを促す用に彼女たちの席の近くを行ったり来たりしているが、彼女たちは気にも留めない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:04:48.35 ID:MSL6grdDO<> 麦野「大丈夫なわけないだろ。泣かれて、罵られて…下手すりゃ殺されるかもな」

滝壺「むぎの」

麦野「分かってるよ。ただ、そうされても私はなんにも文句は言えないさ」

絹旗「…」

彼女たちは一人の少女を待っていた。少女は他の3人と違い学校に通っているために遅れて合流することになっていた。ただ、今回は遊ぶために会うわけではない。謝罪するためだった。過去に犯した過ちを、彼女の肉親を殺害したことを。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:06:08.97 ID:MSL6grdDO<> 彼女たちは学園都市の裏社会で暗部として生きてきた人間だった。時には人殺しどころか、依頼内容によっては組織ひとつだって壊滅させてきた。だが、紆余曲折を経て暗部は解散したため、今は自由に生活していた。

絹旗「…あー、浜面、ジンジャー…って」

麦野「アンタそれ今日何回目よ」

絹旗「すいません、超クセってやつで…」

滝壺「はまづらはドリンクバー係だからね」

そして、そのドリンクバー係は今はいない。件の少女を迎えに行っていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:07:51.83 ID:MSL6grdDO<> 絹旗「まったく、一体なにやってんですかねバカ面は。小学校なんて超放課になってていい時間帯なんですがね」

そして、そんな話をしているとふいに声が聞こえた。

???「いやー悪い悪い。遅くなっちまった。」

声のした方を3人が振り向くと、ジャージ゙にジーンズの組み合わせのチンピラがいた。彼こそが彼女たち暗部組織『アイテム』の救世主兼アッシー兼ドリンクバー係、浜面仕上である。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:09:01.94 ID:MSL6grdDO<>
絹旗「超遅いです浜面!一体どこでなにやってたんですか!」

浜面「す、すまん。乗るバス間違えちまって…」

絹旗「文字も読めなかったんですか?本当にバカ面ですね」

浜面「いや、そうじゃなくて同じバス停で路線が複数あって…」

滝壺「大丈夫、そんなおっちょこちょいなはまづらを私は応援してる」

来た早々に浜面はフルボッコにされていた。これも救世主兼アッシー兼ドリンクバー係の肩書きを持つものの業である。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:11:01.72 ID:MSL6grdDO<> 麦野「まあ、その辺にしときな」

放っておくと延々と続きそうな漫才を麦野が制した。そこで他の3人は促されるがままに口を閉じた。

麦野「それで、アンタの後ろに隠れてんのが…」

ヒョコっと浜面の後ろから金髪の少女が姿を見せた。その容姿はかつてこの場にいたもう一人の『アイテム』の仲間を容易に思い出させた。

滝壺「…こうして見ると本当にそっくりだね」

絹旗「超瓜二つです」

滝壺と絹旗が声を発した。その声は先ほどまでとは打って変わって静かな声だった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:12:28.84 ID:MSL6grdDO<> ???「大体この前ツンツン頭の人の家に来た人たち?」

金髪の少女は未だに浜面の後ろから顔だけ出していた。

麦野「あー…たぶんそうね。あそこにいたツンツン頭が家主だっていうのなら」

???「ふーん…」

そこまで喋っても金髪の少女はまだ出て来ないで警戒した顔を見せている。しかしそれも無理はなかった。なぜなら彼女は数日前に見知らぬ集団から訳もわからぬままに命を狙われたのだから。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:15:11.83 ID:MSL6grdDO<> 浜面「えーっとな、フレメア。このお姉様たちはフレンダの仲間なんだ」

フレメア「! お姉ちゃんの!?」

少女の顔から警戒心が消え、一気に笑顔が広がった。

絹旗「え、ええ。フレンダの仲間の絹旗最愛です。」

滝壺「滝壺璃后」

麦野「…麦野沈利よ」

フレメア「私はフレメア=セイヴェルン。大体はじめまして、にゃあ」

滝壺「よろしくね、ふれめあ。ここ座っていいよ」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:16:57.98 ID:MSL6grdDO<> 浜面の後ろから出て来たフレメアはトテトテと空いていた滝壺の隣の席に座った。姉の仲間というだけで警戒心は一気に解けたらしい。

絹旗(仲間って言ってくれるのはありがたいですが、あとのことを考えると…)

麦野(無駄に与えるダメージがでかくなるだろうが…いや…ちゃんとありのままのことを話せってことか)

滝壺(うん、近くで見てもやっぱりふれんだにそっくり)

浜面(…あれ、俺の席なくね?)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:18:14.52 ID:MSL6grdDO<> フレメア「ねえ浜面、これ食べたい」

浜面「ん?ああ、パフェか」

麦野「いいよ。私が奢ってあげる。好きなだけ食べな。」

麦野「ほんと!?ありがと、ええと」

麦野「麦野」

フレメア「麦野、にゃあ」

絹旗「てゆーか浜面、いつまでつっ立ってんですか。超邪魔ですよ」

浜面「だって俺の座る場所ねーもんよ」

麦野「じゃ、浜面。アンタ先帰ってな。」

浜面「ええ!?なんでだよ、俺来たばっかだぞ!」

滝壺「大丈夫、来て早々戦力外通告を出されるはまづらを私は応援してる」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:24:24.83 ID:MSL6grdDO<> 麦野「…浜面ちょっと耳貸せ」

そう言うと麦野は浜面の袖を掴んで強引に顔を近付けさせた。バランスを崩してコケそうになった浜面が何か非難したが気にも留めない。

麦野(いいか?私はこれからあの子にフレンダのこと話すつもりだ)ヒソヒソ

浜面(分かってるよ、そのために連れて来たんだろ?)ヒソヒソ

麦野(じゃあお前、いきなり目の前の人間が「お前の姉ちゃんは私がぶっ殺しました。ごめんなさい」って言ってきたらどうする?)ヒソヒソ

浜面(…どう、だろうな…とりあえず疑って…キレて…っつーかお前上条の家でおもいっきり言ったよな)ヒソヒソ

麦野(お前とあの子がそんなに親しいと思ってなかったしな。…とにかく少なくとも穏便に済まないのは確かだ。それにたぶん一緒にいたやつらは全員殺人鬼の仲間だって思うだろうな。仲良く一緒にお帰りなんてことはまずありえねぇ)ヒソヒソ

浜面(…なるほど)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:27:27.81 ID:MSL6grdDO<>
麦野(だからお前はただ私らにパシられただけで詳しくは知らない、ってことにして店の近くで待っとけ。そうすれば今後もあの子と親しくいられるし、後で慰めてやることもできる)ヒソヒソ

浜面(でもよ…)ヒソヒソ

麦野(言う通りにしろ。これは私のけじめだ。それにあの子に必要なのは殺人鬼の仲間じゃない。ヒーローだ)ヒソヒソ

浜面(…分かった)ヒソヒソ

滝壺「二人とも何話してるの?」

麦野「なんでもないよ。ちょっとばかし秘密のお話さ」

フレメア「大体気になる、にゃあ」

浜面「気にするな。それじゃフレメア、俺ちょっと用事があって帰らないといけないからさ。このお姉様方と一緒でも平気か?」

フレメア「お姉ちゃんの友達なら平気」フンス

浜面「そうか、じゃあ何かあったら連絡くれ。」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:29:45.10 ID:MSL6grdDO<> 絹旗「ちょ、浜面!本気で行っちゃうんですか?」

冗談半分でからかっていたのだが、本当に帰ってしまう様子を見せはじめた浜面を絹旗が引き止めようとした。しかし、その隣で麦野が鋭い目付きで絹旗を射ぬいたため、絹旗はそれ以上なにも言えなかった。

浜面「ああ、立ってると邪魔だしな。別に俺がいなくても問題ないだろ?」

絹旗(問題ないだろっていうか問題しかないんですが!修羅場確定で超心細いんですが!)

そうは思っても口に出すことはできない。隣で学園都市第四位がにらんでいるのだから。

絹旗「そう…ですね…問題ないです」

浜面「ん、じゃあな。」

滝壺「ばいばい、はまづら」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/15(水) 23:32:42.24 ID:MSL6grdDO<> しばらくすると注文していたパフェが運ばれてきた。小学生にしてはかなりの量だったが、余程お腹が空いてたのかフレメアはペロリと平らげてしまった。

フレメア「ごちそうさま、にゃあ」ケフ

滝壺「すごい、完食だね」

絹旗「ちゃんとごちそうさまが言えるあたりフレンダより礼儀正しいですね」

麦野「そうかもね」クスクス

フレメア「そうだ、お姉さんたちはお姉ちゃんとなかよしなの?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:34:29.14 ID:MSL6grdDO<> いよいよ本題に入る流れとなった。【アイテム】の3人の間にピンと緊張した空気が張り詰め、3人の表情は少し強ばった。

麦野「ええ、そうね。とてもなかよしだった」

麦野は『なかよしだった』と過去形にした。もはやなかよしとは呼べる間柄ではなくなってしまったから。
フレメア「じゃあ」

しかし、フレメアはそんなことを気にしなかった。というよりは気付かなかった。まだ小学生ということもあって微妙な言い回しが分からないのだろう。

フレメア「アクトって知ってる?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:36:26.18 ID:MSL6grdDO<>
滝壺「…あくと?」

フレメア「うん、アクト」

麦野「…アンタ知ってる?」
絹旗「知らないですね。聞いたことないです」

フレメア「そっか…」シュン

輝いていた少女の顔は一瞬にして暗い顔になってしまった。ころころと表情が変わるのも恐らく遺伝であろう。

滝壺「その人?もふれんだの友達なの?」

フレメア「うん」

絹旗「なんとフレンダに私たち以外の知り合いがいたとは。超どんな人です?」

フレメア「うーん…大体缶けりが強い」

滝壺絹旗「「缶けり?」」

麦野「んなことはどうだっていいんだよ」

話題が逸れてしまったため、麦野が会話をさえぎった。

麦野「あのね、フレメア。私はあなたに話さないといけないことがあるの。聞いてもらえないかしら」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:38:55.35 ID:MSL6grdDO<> ???「あのー、申し訳ございませんお客様」

いよいよ本題というところで先ほどからテーブル席を行ったり来たりしていた店長らしき人間が話かけてきた。

麦野「あぁん?」

店長「−−ッ。た、大変申し訳ございませんが、店内大変混み合ってまいりましたのでお会計の方お願いしてもよろしいでしょうか?」

学園都市の最恐とも最凶とも敬称できる女に凄まれ、たじろぎながらも店長は言い切った。店内を見渡すと、なるほど、いつの間にか客で席が埋まっていた。どうやら完全下校時刻になる前に、自炊を避けたい学生たちが早めの夕食を済ませようとしているようだった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:40:13.57 ID:MSL6grdDO<> 麦野「あ−、悪いけど私らまだ話が…」

滝壺「いいよ、むぎの。もう出よう」

麦野が店長の意向をガン無視しようとしたところで滝壺が制した。

絹旗「滝壺さん?」

滝壺「みんなでうちに来て。そこで話そう」

フレメア「お姉さんのおうち?」

麦野「待て滝壺。それだと…」

麦野(…いや…むしろ…)

姉を殺した人間(の仲間)の家に妹を招くのはまずいのではないか。そう考えファミレスにフレメアを呼んだのだが、ここで麦野は考えを変えた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:42:21.14 ID:MSL6grdDO<>
絹旗「滝壺さん、それはちょっと…」

麦野「イヤ、そうしよう。なんならそのまま滝壺の家に泊まるか」

フレメア「! お泊まり会!?」キラキラ

絹旗「ちょ、ちょっと麦野!?」

滝壺「大丈夫だよきぬはた。私は問題ない」

絹旗「いえ、そういう問題でなく…」

麦野「なんだ?」

絹旗(いいんですか?こう言ってはなんですけど姉を殺した人間とひとつ屋根の下で寝るなんて超恐ろしすぎると思うんですが)ヒソヒソ

麦野(イヤなら出ていくだろ。外に浜面でも待たせておけば問題はない。それにこんなうるさいところで話すなら家の方がいい)ヒソヒソ

滝壺「今度はきぬはたと?」

フレメア「ヒソヒソ話はよくない、にゃあ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:44:06.67 ID:MSL6grdDO<> 麦野「悪い悪い。それでフレメア、滝壺の家に泊まりでもいいかしら?」

フレメア「うん、一回やってみたかった」

麦野「よし、なら一旦解散してから荷物揃えて滝壺の家に集合ね。フレメアはまた浜面に送ってもらいなさい」

フレメア「わかった」

滝壺「うん」

絹旗「…分かりました」

麦野「じゃあここは私が払って−−」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:45:24.85 ID:MSL6grdDO<>




フレメア「ねえ麦野、お姉ちゃんは来るの?」





<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:47:48.35 ID:MSL6grdDO<> 麦野「…後で話してあげる」
フレメア「? 分かった」

滝壺「行こ、ふれめあ」

滝壺に促されてフレメアは席を立ち、同時に滝壺も立った。彼女たちのテーブルで成り行きを見守っていた店長らしき人間は、なんとか面目躍如だな、と胸を撫で下ろしレジへと向かっていった。

絹旗(今の一瞬ですらあの空気ですか…一晩中となると超先が思いやられますね…)

麦野「どうした絹旗。まだなんか飲みたいの?」

伝票を持ってレジへ行こうとした麦野が未だにグラスを握ってストローをグラスのふちに器用に滑らせている絹旗に声をかけた。

絹旗「いえ、行きますよ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:49:31.13 ID:MSL6grdDO<> レジで会計を済ませてから滝壺、フレメア、絹旗、麦野の四人は一緒に歩いた。

途中でなぜだか目を丸くした浜面が息を切らせて走ってきた。かなりテンパっていて、絹旗に「超キモイです!超浜面です!」と散々言われていたが、今後の予定を説明するとフレメアを連れてフレメアの家へと向かっていった。

またしばらく歩くと今度は滝壺が「私の家はこっちだから」と言って別れた。

最終的に麦野と絹旗が一緒に歩いていた。太陽はすっかり沈み、代わりに街灯がまばらな人波を照らしていた。十一月も半ばを過ぎ、本格的な冬の訪れを予感させるような冷たい風が吹いていた。

麦野「ねえ、絹旗」

ふいに麦野が口を開いた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:51:45.92 ID:MSL6grdDO<> 絹旗「なんです?」

麦野「無理しなくてもいいのよ?」

絹旗「え…」

麦野「これはあの子と私の問題だ。アンタも滝壺も無理に付き合う必要はない。」

絹旗「…」

麦野「それに『アイテム』だって解散したんだ。私とツルんでる必要だって−」
絹旗「麦野」

まだ喋ろうとしている麦野を絹旗が低い声でさえぎった。

絹旗「確かに暗部組織『アイテム』は解散しました。ですが私は麦野がいて、滝壺さんがいて、フレンダがいて、私がいて、浜面がいた、居場所としての『アイテム』が解散したとは思ってません。」

麦野「…そう」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 23:55:27.42 ID:MSL6grdDO<>
絹旗「ええ…では、私こっちなんで」

麦野「ん」

気が付くと先ほどよりも人波が減り、辺りにはほとんど人気がなくなっていた。
麦野「絹旗!」

段々と小さくなっていく小さな背中に超能力者が声をかけた。

絹旗「なんです?」

小さな背中は見えなくなり、代わりに小さな顔が不思議そうに麦野の方を見据えた。

麦野「あー…そのなんだ、アレだ」

絹旗「いや、分かりませんよ。なんなんですか」

麦野「…ありがとう。こんな化け物が居る組織を居場所だと思ってくれて」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:03:03.80 ID:eDH9zsQDO<> 絹旗はポカンした顔を浮かべ、次第にクスクスと笑いはじめた。

絹旗「どうしたんですか麦野。超似合いませんよ」クスクス

麦野「な、テメェ!人がせっかく感謝してるっつぅのに」

絹旗「化け物はこんなすてきな居場所作れませんよ。私だって超感謝してますよ、麦野」

麦野「あ…」

絹旗「では、また後程会いましょう」

そう言うと再び小さな背中が見え、再び小さくなっていき、ついには角を曲がって見えなくなってしまった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:05:18.95 ID:eDH9zsQDO<> 麦野「…超感謝してますよ、か」

麦野はポツリと自分にかけられた言葉を繰り返した。

麦野「あー…ダメね。確かに柄じゃないわ」

だが、悪いものではない。そう思うことができた。そう思うことができただけでで、自分はまだ人間なんだと思うこともできた。

麦野「…行くか」

そして、麦野は歩きはじめた。とりあえずは荷物を揃える。そして、滝壺の家に行く。そして、フレメアに−−−−−
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:06:34.01 ID:eDH9zsQDO<>




そこで、麦野の視界が奇妙に揺れた





<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/16(木) 00:09:16.88 ID:eDH9zsQDO<> 麦野「が…!?」

違う。視界が揺れているだけじゃない。脳も揺さ振られてる。身体もバランスを失っている。
それに気付いてから今度は顎に激痛が走った。

???「今ので倒れへんの。さすがはLevel5の第四位やね」

麦野(声…どこから…!?)

声は聞こえた。しかし、朦朧とする意識のせいかどこに誰がいるのか何も分からない。

???「せやけど、さすがにかなり脳震盪起こしとるやろ。大人しう眠っときや」

そんな声が聞こえた後、麦野の意識は完全に途絶えた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/16(木) 00:35:55.99 ID:eDH9zsQDO<>




麦野(…こ…こは……?)

身体がぐらぐらと揺れている感覚がする。思考が回らない。何もしたくない。もう少し意識を飛ばしてもかまわないだろう。
そんな感情が霞みがかった頭の中で浮かんできた。だが、次の瞬間には自分の身体の異変に気付いた。自分は椅子に座っている。そこまでなら、特に問題はない。だが自分の両足が椅子の足にヒモで括り付けられている。自分の両手が椅子の背にヒモで括り付けられている。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:38:18.59 ID:eDH9zsQDO<> 明らかな異常。そこで意識を失う直前のことをようやく思い出した。

麦野(クソが!なに日和ってやがんだ私は!)

あまりの自分の不甲斐なさに舌打ちをした。これからやらなければならないことがあるというのに…

???「目ぇ覚めたみたいやね」

男の声がした。うなだれていた頭を上げ正面を見ると、学生服を着た青い髪の大きな少年がいた。同時に自分がどこかのマンションと思われる一室に座らされていることが分かった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/16(木) 00:40:09.03 ID:eDH9zsQDO<> 麦野「テメェか、私にこんな真似した馬鹿は」

有無を言わさず能力を使って殺そうとした。学園都市第四位の超能力者【原子崩し】。彼女は例え手足を拘束されていようと、その能力で目の前にいる人間を肉塊にできる。それどころか、その気になれば分子レベルまでバラバラにすることだってできる。
だが、演算をはじめた瞬間、頭に異変を感じた。脳震盪によるダメージではない。もっとなにか別の異変を感じた。

???「やめときぃや」

再び青い髪の少年が口を開いた。よく見るとピアスもしている。

青ピ「AIMジャマーや。だから僕もこうして能力も使わんと姿さらしとる」

麦野「…チッ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:41:55.72 ID:eDH9zsQDO<>
AIMジャマー。能力の暴走を促す、対能力者用の装置である。こんなところで能力が暴走すれば、青い髪の少年と共に自分も自爆して死ぬ羽目になるだろう。

麦野「で?テメェは一体なにがしてぇんだ?私をぶっ殺して研究素体にでもするつもりか!?それともテメェのきったねえ×××で私のこと犯すつもりか!?」

青ピ「[ピーーー]つもりならとうの昔に殺しとる。レイプするつもりなら気ぃ失っとる間に服なんかひん剥いとる。僕がしたいんはそんなんちゃうで」

麦野「…ならなにが目的だ」

青ピ「…そうやね、まずは話でも聞いてもらおか」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:44:11.77 ID:eDH9zsQDO<>
青ピ「学園都市にとあるカップルがおった。知り合うたきっかけは男の不注意で女が入院する羽目になり、男がそれを見舞いにいって、親しくなったことや。なんのことやない。どこにでもあるフツーの話や」

青ピ「お詫びと退院祝いっちゅうことで遊び行って、もっと仲良うなって、また遊び行って、繰り返してくうちに互いに惚れていった」

青ピ「せやけど問題があった。それは片やとある暗部組織の幹部、片や別のとある暗部組織のリーダーで超能力者やったっちゅうことや」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:45:39.01 ID:eDH9zsQDO<>
麦野「…ハッ、黙って聞いてりゃくだらねぇ。テメェみてぇな現実と妄想の区別もつかねぇヤツの相手してやるほど私も暇じゃねぇんだよ」

麦野が青髪ピアスの話をさえぎった。最初は暗部時代に自分がコイツの恋人でも殺して、その逆恨みかなんかかと思った。だが、どういうことか自分が恋人だときた。当然麦野にそんな覚えはない。

青ピ「人の話は最後まで聞いてや。最後まで聞いて僕の妄想話やって言うんやったらその手足の拘束解いたる。AIMジャマーも切る。煮るなり焼くなり好きにすればええ。」

麦野「ああ、そうかい」

麦野はもはや相手にしないことにした。馬鹿の話を聞くよりは自力でここを脱出する手段を考えた方がいいと判断した。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:47:29.94 ID:eDH9zsQDO<> 青ピ「…じゃ、話戻そか」

−拘束を解くには人力では無理だな。ヒモで縛ってあるだけだが相当きつい。

青ピ「問題はあった。それでも二人は付き合うた。」

−だが、幸い左腕は義手だ。力で義手を無理やり外すのもできないわけじゃない。左半身だけならどうにかなる。

青ピ「互いの暗部に関する情報はプライベートなもん…まあ、趣味とかそんなんや。それ以外は絶対に話に出さん。調べることもアカン。そうゆうルール作って絶対に守るようにしたんや。」

−脚は…能力を使うしかないだろうな。どんなに微力で能力を使っても暴走して片脚は吹っ飛ぶ可能性が大だが、ここでこの馬鹿と無理心中なんて結末よりマシだ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:51:24.33 ID:eDH9zsQDO<> 青ピ「片方でもルールを破ってもうたらその暗部組織は壊滅してもおかしないからな」

−たぶんここはどっかのマンションの一室。恐らくはあの青髪ピアスの後ろにある扉がこの部屋の唯一の出入口。

青ピ「そんな危ない綱渡りみたい交際やったんけど、一年ぐらいは続いたんや」

−能力さえつかえれば壁も一瞬で出入口になるが、そんなことができる状況だったらこんなところでおとなしくしていない。…義眼に通信機能でもつけときゃよかったな。

青ピ「せやけど、ある時急に女の方に連絡がつかんようになった。まあお互い暗部組織に所属してんやから長期任務で連絡がとれへんことはようあったんけどな。それでも二週間音沙汰なしなんてことはありえへんかった。」

−なるべく左腕に能力を出すように演算するべきか?それなら能力の推進力で扉をぶち破れる。まあ義手は確実に粉微塵になるだろうが。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:52:44.00 ID:eDH9zsQDO<> 青ピ「せやけど男はそないに心配せぇへんかった。第三次世界大戦の予兆があちこちで起こって男の所属しとる暗部も大忙しやったからな」

−義手のみで済めば恩の字か。下手すりゃ背中にでっかい穴が空くかもしれない。

青ピ「やがて第三次世界大戦も終わり、さらには暗部の解散命令まで出よった。男は大喜びしたもんや。やっと汚い世界から抜け出せて、オマケに彼女とまっとうな人生を送れるんやからな」

−本来なら無茶だろうが、一度だけ能力を自ら暴走させた経験ならある。経験のあるなしで成功率は相当変わるはずだ。

青ピ「それでも女からは音沙汰はない。男はいよいよ心配になり、ルールを侵して女の暗部の情報を調べた」

−能力を使って扉に突進する。扉をぶち破ったら脚の拘束を解く。…五体満足でいられたら奇跡だな。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:54:04.53 ID:eDH9zsQDO<> 青ピ「そして男は絶望した。女は連絡が取れなくなったころすでに殺されていた−−その組織のリーダーの手によって!」

−だが、可能性は低くくてもやるしか…ちょっと待て今コイツはなんて言った?

青ピ「…ここらで人物紹介と一緒に自己紹介もしとこか」

−女はリーダーに殺された?コイツは私と付き合ってるって妄想話をしてたんじゃ…
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 00:55:32.01 ID:eDH9zsQDO<>




青ピ「僕は暗部組織『ウォール』のリーダー。Level5第六位の【隠密行動】(ステルスアクト)や」




−コイツが超能力者!?まさか…





青ピ「そして女は暗部組織『アイテム』の幹部」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/16(木) 00:56:42.06 ID:eDH9zsQDO<>



青ピ「フレンダ=セイヴェルン」





<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 01:50:13.18 ID:58GRY6xDO<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 02:08:01.54 ID:mzFvNT/X0<> 今後の展開に期待

>>1のペースで頑張ってくれ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 02:44:06.86 ID:5gztHICSO<> なにこれ面白い
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)<>sage<>2012/02/16(木) 10:32:12.66 ID:zQ8gwFWKo<> なぜフレンダとフレメアは半角なのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/16(木) 11:48:39.10 ID:eDH9zsQDO<> 麦野「な…」

青ピ「…ホンマ絶望したで。事件の詳細を調べてもっと絶望した」

麦野(フレンダに彼氏が…!?そんな話一度も…)

青ピ「神様っちゅうんはいつも意地悪で、変なところで気がきくんや」

青ピ「フレンダを殺した麦野沈利はその日のうちに下部組織の反乱より殺害された。フレンダが殺される原因になった垣根帝督もその日のうちに一方通行により殺害された」

青ピ「僕の知らんところでフレンダは殺され、僕の知らんところでフレンダの仇はとられてたんや」

青ピ「ホンマ…何してええのか分からんかったで」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 11:49:35.07 ID:eDH9zsQDO<> 青ピ「せやけどな…やっぱり神様っちゅうんはいつも意地悪で、変なところで気がきくんや」

青ピ「何もする気がなくなってふらふらしとったら、なんと殺されたはずの人間が楽しそうに笑うてるやないの!」

麦野「−それが私ってことか」

青ピ「そういうことや。これで生きとるんがフレンダやのうてアンタやっちゅうあたり神様らしいわ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 11:50:54.50 ID:eDH9zsQDO<> 麦野はようやく理解した。自分が狙われた理由を。どうやら、自分の見解は当たっていたらしい。暗部時代にこいつの恋人を殺した。それがすべてだったようだ。

麦野「…なるほど、フレメアが言ってた『アクト』っていうのはテメェの能力名か」

青ピ「…半分正解や。もう半分は暗部組織のリーダーなんかやっとる『悪人』やから『アクト』や。まあ、アンタに比べたら僕なんかよっぽど善人やろうけどな」

麦野「ああ、そうだろうよ。異論の余地もねえ」

青ピ「ホンマや。ようもフレンダのこと殺しといて、フレメアちゃんと僕の名前がでるような会話ができる仲になれるな。どないな神経しとんねん」

麦野「…あの子と親しくなるつもりはない」

青ピ「いやもうなっとるやんけ」

麦野はぶっきらぼうな態度をとっているが、青髪ピアスの言葉は確実に麦野の心をえぐっていった。すでに向かい合い、受け入れたはずの自分の行いは他人を介して再び麦野を苦しめた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 11:52:28.57 ID:eDH9zsQDO<> だが、一方でこれでいいと思っている自分もいた。浜面も滝壺も絹旗も、フレンダのことをあまり弾劾しなかった。自分を気遣ってか、はたまた自分がLevel5の化け物だからか。

しかし、目の前の男は自分を気遣う理由もなく、自分に近い実力をもつLevel5だ。いっそのこと思い切り責められた方がこっちだって気が楽だ。


青ピ「…なあ、ひとつだけ聞かせてくれへん?」

青髪ピアスの声のトーンが変わった。先ほどまでは怒気を含んでいたが、今はまた違う何かを含んでいた。

麦野「…なんだ」

青ピ「フレンダは…ホンマに死んだんか?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/16(木) 11:53:55.56 ID:eDH9zsQDO<> 麦野「−ッ!」

青ピ「資料見た限りじゃアンタは確実に致命傷を負ってたはずや!腕が吹っ飛んで!目ん玉くりぬかれて!どてっ腹に5発も銃弾ぶちこまれて!それでもアンタは生きとる!それやったら…それやったらフレンダやって!」

麦野「…いいや、あいつは死んだ」



麦野「フレンダは…私が殺した」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 11:55:06.94 ID:eDH9zsQDO<> 青ピ「…」

麦野「そこまで調べたならフレンダがどうやって死んだかも知ってるんだろう?胴体真っ二つにされて、上半身はそのまま私が持ち歩いて振り回してたんだ。いくら学園都市の技術でも無理だ」

青ピ「…なんでや」

再び青髪ピアスの声に怒気が戻った。表情すら怒りに満ちあふれていた。

青ピ「なんでそんなマネできるんや!フレンダが何をしたっちゅうんや!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 11:57:09.53 ID:eDH9zsQDO<> 麦野「アイツが仲間を売ったからさ。あの日敵対していた『スクール』の連中にな」

青ピ「仲間を売った!?お前それ本気で言っとるんか!?」

麦野「…実際あの日、私らのアジトにスクールの連中は襲撃してきた。あそこに私らがいることをしってるってことは…」

青ピ「『スクール』に精神感応系の能力者がいるなんて少しも思わんかったんか!?【未元物質】が生半可な手段使うて優しう尋問したとでも思ったんか!?」

麦野「…」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 11:58:17.05 ID:eDH9zsQDO<> 麦野も気づいてはいた。浜面の話で【心理定規】という大能力者いたとも聞いた。しかしあの日の麦野にそんな理性は残っていなかった。

青ピ「…ホンマのことは知らん。すべて知ってるフレンダはもうおらん。話すことも聞くこともできへん。考えることも感じることも、泣くことも笑うことも、フレンダはもうできへんねん」

麦野「…あぁ」

青ピ「僕かてな、お互いが暗部にいる以上どっちかが死ぬかもしれんと覚悟はしとった。せやけど…せやけど!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 11:59:18.82 ID:eDH9zsQDO<>


青ピ「なんでお前に殺されなアカンねん!お前はフレンダの自慢のリーダーやったとちゃうんかい!!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 12:01:16.72 ID:eDH9zsQDO<> 麦野「…ぇ…?」

青ピ「ことあるごとにお前の自慢しとったんや!うっすらとしか話聞いてないだけの僕かて信頼してたことなんて一発で分かった!せやのに……せやのにこんなん……薄情すぎるやろ………」

麦野「…」

最後の方はほとんど涙声だった。麦野はもはや青髪ピアスの顔を見れなかった。信頼していた仲間を裏切ったのは自分だった。仲間との居場所も壊したのは自分だった。かつて自分が背負っていく決めた過去の過ちは、また別の方向からさらなる重みを得て麦野へとのしかかる。自責の念が麦野に責めかかる。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 12:02:16.94 ID:eDH9zsQDO<> 青ピ「…グスッ……もう、ええわ」

青髪ピアスは自身の後ろに右手を回す。再び前に出てきた右手には拳銃が握られていた。チャキっという音とともに拳銃は麦野へと向けられた。

麦野「−待って!私はまだ」

フレメアに謝ってない。そう言うつもりだった。

青ピ「そうやって命乞いしたフレンダを殺したとちゃうんかい!何を今さらガタガタ抜かしとんのや!」

だが言う前にさえぎられた。そしてもう何も言えなかった。

青ピ「…せめてこれから苦しめや。何千回でも後悔せぇ」

パァン、と乾いた音が部屋に響いた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/16(木) 12:06:50.83 ID:eDH9zsQDO<> 一応、ここまでで第一部です。
レスありがとうございます。
フレンダとフレメアが半角なのは名前や能力名なんかは半角のがいいとおもったからです。
はじめてSSなんて書くから勝手が分かりませんが、よろしければお付き合いください。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 12:32:48.19 ID:WX/kK+0f0<> 乙

良スレなので、自信もって最後まで頑張って

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北陸地方)<><>2012/02/16(木) 14:44:53.66 ID:Ke0FpzTAO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/02/16(木) 15:15:56.29 ID:ju/T7m9io<> 乙!
別に全角でもいいんじゃないでしょうか?
能力名はまだしも、名前はその方がみやすいし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/02/16(木) 15:53:18.91 ID:Yar2IW780<> 乙です
青ピのエセ関西弁はキャラ作りのはずだから本気のときは標準語にしてあげてくれ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/16(木) 21:36:06.41 ID:eDH9zsQDO<> レスありがとうございます。
とりあえず、読みにくいなら全角文字で統一しますね。
それと、青ピはまあ、今後もコレです。違和感あるって方は脳内翻訳してもらえると幸いです。

今日は書き溜めがなくなるんで書きませんが、たぶん明日の昼ごろ更新します。
第一部まるっと投下しましたが、たぶん今後はこの半分くらいの投下量です。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/17(金) 10:56:05.45 ID:aqgfwEBDO<> 青髪ピアスはしばらく血を流す【原子崩し】を見つめていた。泣いていたせいか肩が上下に小刻みに動き、それに合わせて息も荒くなっていた。


???「よろしかったんで?」

ふいに後ろから女の声がした。ビクン、と青髪ピアスは身体を強張らせた。しかし、青髪ピアスは振り返らない。それはもう何度も聞いた人物の声だったから。

青ピ「何がや」

???「お前の惚れた女はその行為を許すのか?ということだ。」

低い男の声がした。この男の声も、もう何度も聞いた。

青ピ「許すもなにもないやろ。フレンダはもうおらん。僕がなにしようが知ることもできんし、しゃべることもできん。死んだ人間が許す許さへん言うんは生きとる人間の一方通行な幻想や」

???「相変わらず、現実主義者だな」

また別の男の声が聞こえた。先ほどの男よりは少しばかり高い声だった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 10:57:08.16 ID:aqgfwEBDO<> 青ピ「…ちゅうかな、」

青髪ピアスはようやく振り向いた。そこには深緑の繋ぎを着た、ボサボサ髪に丸メガネの少女。革ジャンに身を包み、片手に牛乳パックを持った赤茶色い髪の長髪の男。ダメージジーンズに迷彩柄のジャケットを着た、いかつい体格をした大男がいた。

青ピ「君らなんでこんなとこおんねん!『ウォール』は解散や言うたやろ!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/17(金) 10:58:11.16 ID:aqgfwEBDO<> ???「私物を取りにきたんで」

青ピ「まだ私物あったんか!?せやったらはよ私物まとめて帰りぃや!ここにおったら襲撃されるかも知れへんねんぞ!?」

???「この【内臓潰し】の横須賀、暗部の女ども相手に遅れはとらん。」

青ピ「そうやのうて…ちょう待て、なんで襲撃してくんのが『暗部の女』やって知っとんねん」

???「…横須賀さん」

少女がジト目で横須賀と呼ばれた大男を見た。しかし、大男は少しも取り繕うとはしなかった。

横須賀「ふん、遅かれ早かれ言う予定だっただろう。」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/17(金) 10:59:20.69 ID:aqgfwEBDO<> ???「悪いなリーダー。俺らアンタが何するか全部知ってるんだ。さすがに【原子崩し】に奇襲かけるとは思わなかったけどな」

青ピ「な…!?」

青髪ピアスは口をパクパクさせた。今回の【原子崩し】への奇襲も、今後のことも全部一人で計画したものだったからだ。

青ピ「…せやったら余計に意味分からんわ。ここが危ないって分かっとってなんで居んねん」

???「私も協力するからに決まってるんで」

青ピ「はあ!?何言うてんの、霧谷ちゃん!」

横須賀「当然、俺と黒妻もだ。」

青ピ「はあああ!?」

黒妻「『ウォール』の幹部が総出で当たれば一晩で粗方終わるだろ。この手の計画は早く終わらせるに限る、って言うのはアンタの台詞だぜ?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:00:26.00 ID:aqgfwEBDO<> 次々に青髪ピアスの予想を裏切る『ウォール』の幹部達。青髪ピアスは自分の背後で血を流して動かない【原子崩し】のことなど半ば忘れていた。

青ピ「…ホンマに言うてんの?」

霧谷「私がいれば、そこの【原子崩し】はもっと効果的に処理できるんで」

黒妻「となると、護衛は必要だろ?」

横須賀「そして、俺がいればお前は計画以上のことを求めることも可能だ。」

青ピ「…せやけど、君らにメリットなんかない。少しでも下手踏んだら学園都市を敵に回す。ハイリスク・ノーリターンやんか」

もっともな話だった。そもそも【原子崩し】を奇襲したことも、今後のこともすべて青髪ピアスの私怨のためだった。だから他人がわざわざ動く意味が分からなかった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:02:26.33 ID:aqgfwEBDO<> しかし、『ウォール』の幹部たちは簡単に答えた。

霧谷「まあ、リーダーの彼女と言ったら間接的に命の恩人なんで」

横須賀「世話になった者のためとあればこの【内臓潰し】の横須賀、惜しみなく力を貸すぞ。」

黒妻「仲間が困ってるなら動く。それだけだよ」

いよいよ青髪ピアスは普段はほとんど空いてない様に見えるを思い切り見開いて驚いた。あろうことか、絆のためだけに今後の人生すら賭けると言っているようなものなのだから。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:03:50.70 ID:aqgfwEBDO<> 青ピ「…分かった、百歩譲って霧谷ちゃんと横須賀はええ。けど、黒妻はんアンタはダメや」

黒妻「おいおい、ツレねぇな」

青ピ「ダメや。気持ちは嬉しいけどな、美偉ちゃんも『ビッグスパイダー』の連中も待ってんねやろ?迎えに行ってあげな」

黒妻「美偉も蛇谷たちももうガキじゃない。ちょっと遅くなっても問題ないさ。それよりも目の前で困ってるアンタの方が問題だ」

青ピ「…せやけど…たかだか2、3ヶ月しか一緒におらんかった僕のために一生を棒に振るようなマネせんでも…」

黒妻「ヒドイな。たかだか2、3ヶ月でも俺にとってはかなり濃い時間だったんだぜ?」

青ピ「…」

黒妻「命救われたこともあったんだ。少しぐらい恩返しさせてくれよ、リーダー」

そう言って黒妻はニッ、と笑ってみせた。

青ピ「…ホンマ…なんやねん君ら…仲間甲斐がありすぎるやろ」

青髪ピアスの目から一筋の涙がこぼれた。かつて、暗部組織に君臨していた『悪人』に、今や立派な仲間がいた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:04:59.08 ID:aqgfwEBDO<> 青ピ「もう一度だけ確認させてや。今回は隠ぺいしてくれる理事会も、給料よこすスポンサーも、後始末してくれる下部組織もおらん。おまけに下手踏んだら学園都市の汚い連中そっくりそのまま敵に回すかも知れへん。それでも僕に協力してくれるんやな?」

霧谷「当然で」

横須賀「まったく問題はない。」

黒妻「ああ」

青ピ「…ほな、甘えさせてもらうわ!みんな、ホンッマにありがとうな!」

こうして、暗部組織『ウォール』は非公式に再び結成された。そして、その夜の内に学園都市統括理事会に混乱をもたらすこととなる。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/17(金) 11:17:33.65 ID:aqgfwEBDO<>



フレメア「大体こっち」ヒョイ

絹旗「くっ…!」

フレメア「あがり、にゃあ」

絹旗「だー、また負けました」

滝壺「大丈夫、8連敗したきぬはたも私は応援してる」

滝壺、絹旗、フレメアの3人は滝壺のアパートに集まっていた。全員パジャマに着替え、今はババヌキに興じていた。

フレメア「そろそろ違うゲームがしたいな」

絹旗「違うゲームですか。滝壺さん何かありますか?」

滝壺「そっちの棚にテレビゲームのソフトが何枚かあるよ」

絹旗「そうですか、どれどれ」

フレメア「どれどれ」

滝壺が示した棚を絹旗とフレメアが物色しはじめた。無造作に放っておかれた滝壺がいそいそと片付けはじめた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:19:03.56 ID:aqgfwEBDO<> 絹旗「懐かしいですね、『アイテム』時代にみんなで超やりこんだゲームばかりじゃないですか」

滝壺「持ってっていいって言われたから全部もらっちゃった。メモリースティックもちゃんとあるよ」

フレメア「む」

絹旗「どうしました?超やりたいゲームでも見つかりましたか?」

フレメア「大体これがいい」
【とある禁薬の生命危機】

絹旗「う…顔に似合わずゾンビ系ですか。そいつカニバリズム満載で余計にグロいんですが」

滝壺「きぬはた」

絹旗「なんです?」

滝壺「ウチのテレビは3D対応だよ」bグッ

絹旗「超マジですか。なんだって立体映像で頭かじってるゾンビシスター見なきゃならないんですか」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:20:49.42 ID:aqgfwEBDO<> フレメア「やりたい、にゃあ」キラキラ

絹旗「うー…そんなパッケージと真逆の顔で迫られても…あ、コレなんてどうです?」

【聖人無双】

滝壺「あ、きぬはたのお気に入り」

フレメア「? これなに?」
絹旗「超パワーを持った聖人が戦場を縦横無尽に駆け回る超アクションゲームです。【三河式徳川誠教】の忠勝さんなんか超最強ですよ」

滝壺「そこの教皇様の動きが遅くてむぎのが本気でキレちゃったけどね」

絹旗「『いつになったらビームぶっ放すんだよクソタヌキが!そんな手順踏まなくても指一本動かさずに千人斬りくらいできるんだよクソがァァァァ!』って言ってテレビに風穴空けてましたからね。さすがにアレは超ヒキました。」

フレメア「むう、なかなか面白そう」

滝壺「大丈夫、どっちもおもしろいし、このエピソードで悩みはじめるふれめあも私は応援してる」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:22:08.17 ID:aqgfwEBDO<> 絹旗「…それにしても超遅いですね、麦野」

チラリと時計に目をやると、既に21時を回っていた。麦野と別れてから既に三時間近くが経過していた。

滝壺「たぶんお風呂じゃないかな。むぎの長風呂好きだし」

絹旗「そうですかね…」

フレメア「唯一の対抗手段【禁薬殺し】(ウィルスブレイカー)、むぅ」

絹旗(…超不安ですね。こうなってくると別れ際のあのセリフも何かのフラグに思えてきます)

フレメア「【薩摩式十字誓教】『我らはお兄、お兄島津ぞ』、にゃあ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:23:06.50 ID:aqgfwEBDO<> 絹旗「私ちょっと外の空気吸ってきますね」

滝壺「外は寒いよ?」

絹旗「超ちょっとですから。さすがにコートはきますけど」

そう言って、絹旗は壁にかけてあった自身の白いコートを着込みはじめた。フレメアは未だに悩んでいるようで、2つのパッケージを見比べている。滝壺はもはや眠いのか壁に寄りかかったままボーッとしている。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:24:06.57 ID:aqgfwEBDO<> 玄関から出ると冷気が一気に突き刺さった。暖かい部屋にいたため、余計に寒さを感じた。

絹旗「さて…」

絹旗は滝壺のアパート敷地から出た。そして、路上に停めてあったワゴン車を見つけ、周りに用心しながらワゴン車の窓をコンコンと叩いた。

絹旗「浜面、ちょっといいですか」コンコン

中に待機しているはずの浜面に声をかけた。彼は本来の計画ならフレメアが滝壺のアパートから出た場合に備えて待機しているはずだった。

しかし、ワゴン車の中から返事はない。それどころか、なんの反応もない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 11:26:09.86 ID:aqgfwEBDO<> 絹旗「…浜面?」

浜面「…zzz」ニヘラ

絹旗「」イラッ

一瞬でも心配した自分と、これ以上ないくらいに顔を弛緩させた浜面を見て、絹旗の無双ゲージは一気にMAXになった。

絹旗「ィよっこいしょォォォ!」

無双奥義を発動させた絹旗は一気にワゴン車を頭上までかかげた。

浜面「どわぁぁあ!?な、なんだ!?何事だ!?」

絹旗「テメェはなンだって毎回毎回イラだたせてくれンですかァ!?アァ!?」

浜面「き、絹旗か!?一体どうし、ヤメロおい!回すな!死ぬ!死ぬ!」

絹旗「いっぺん死にやがれェェェ!」

浜面「ぎゃあああ!縦回転は!縦回転はムリだって!あああああ!」



絹旗「…それで浜面、ちょっといいですか」

浜面「…三半器官が治ってからでいいですか」ゼィゼィ

絹旗「それじゃちょっとお願いなんですが」

浜面「人の話聞いてた?」ウプッ

これがそこらのチンピラと『アイテム』の救世主兼アッシー兼ドリンクバー係との格の違いである。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/17(金) 11:38:32.60 ID:aqgfwEBDO<> 雪で身動きとれなくなったんで開き直って早めの更新です。
第二部ってより幕間に近いです

オリキャラ霧谷ちゃんはアニメ『とある科学の超電磁砲』の鉄装さん(黄泉川先生の後輩)が髪ボサボサで弱冠ヤル気ない感じでイメージしてくれると幸いです。

横須賀さんは画像なかったんで適当です。違和感ある人はイメチェンしたんだなって思ってくれると幸いです。

フレメアの「大体〜」の入れどころが難しい。

次の更新もそんなに遅くならないはずです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 13:47:09.05 ID:Hm7klc4ro<> おつつおつつおつつおつおうおううお <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/18(土) 00:01:36.08 ID:cy5Z2HqDO<> 黒妻は『ウォール』のアジトにいた。アジトと言えば聞こえはいいが、ふつうに高級マンションの一階にある一室である。先ほどまでは『ウォール』の幹部全員が揃っていたが、現在残っているのは黒妻と霧谷の二人である。霧谷の方は奥の部屋で【原子崩し】の相手をしている。その部屋に通じる廊下で黒妻は壁にもたれかかっていた。右側には霧谷がいる部屋。左側には玄関。正面には霧谷がいる部屋とはまた別の部屋の扉があった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 00:02:51.68 ID:cy5Z2HqDO<> 黒妻綿流−『ビッグスパイダー』の創設者であり、元リーダー。二年前に敵対組織の罠にかかりコンクリート建築の屋根が吹き飛ぶほどの爆発に巻き込まれるが、辛くも生存。退院後そのまま少年院へ送られ、9ヶ月ほど前に出所。3ヶ月ほど前に能力者狩りを行う武装集団と化していた『ビッグスパイダー』を素手で叩き潰す。その後、『ビッグスパイダー』の構成員達の暗部下部組織からの解放と固法美偉の過去の黙認を条件に暗部組織『ウォール』へ配属される。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 00:04:38.87 ID:cy5Z2HqDO<> そして、『ウォール』には解散命令が出されたが、今宵『ウォール』は再結成された。黒妻が復帰した理由は仲間の力になるためというシンプルなものだった。

黒妻(『アイテム』か…)

牛乳パックの中身を飲み干しながら考える。自分のリーダーの言葉を。

黒妻(『実はもう下手踏んでもうてん』、っつってが…)

なんと、自分で散々下手踏んだらマズイと言っていたクセに、既に下手を踏んでいたらしい。まあ、だからこそあそこまで協力することに反対してたのかと思えば納得なのだが。

黒妻(『せやけど、学園都市にバレた訳やない。襲撃に来るとしたら恐らく…)

そこまで考えると厳重にロックされている玄関扉からドゴン!、という音がした。見ると扉がありえない形にひしゃげていた。

黒妻「【窒素装甲】や』、か」

黒妻は壁から離れ、ひしゃげた玄関扉と向き合った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 00:07:08.21 ID:cy5Z2HqDO<> もう一度ドゴン!という音がすると、ロックも蝶番も外れて、ドミノように上から玄関扉は倒れた。

黒妻「その扉はそうやって開けるもんじゃなかったんだけどな…」

絹旗「…麦野はどこですか?」

出てきたのはパジャマの上からコートを着た茶髪の少女だった。150cmにも満たないような少女が強引に扉を開けた言えば本来なら驚くことだが、黒妻はこの少女が【窒素装甲】という大能力者であることを知っていた。

黒妻「奥の部屋にいる。なんでここが分かったんだ?」

絹旗「携帯電話のGPS機能なんて学園都市の外でさえ超何年も前の技術です」

黒妻「…俺より初歩的なミスだな。やっぱ平常心じゃなかったか」

携帯電話は常に電波を発している。そのためその気になれば多少手間はかかるが、いつどこにいたかまで調べられるものである。従来なら携帯電話の電源をまったく関係のないところで切断するなり、逆手にとって携帯電話と所有者を別々にして撹乱させたりするのが定石であった。しかし、恋人の仇を見つけた青髪ピアスはそれらの定石を完全に失念していた。そして、気付いたのは【原子崩し】の拘束が済んでからだった。これが青髪ピアスの犯した失態だった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/18(土) 00:08:17.24 ID:cy5Z2HqDO<> 絹旗「麦野を返してください。断るんなら力づくでも返してもらいます」

黒妻「やるのかい?俺ァ相当強ぇぞ?」

絹旗は一度目を閉じて大きく深呼吸し、再び目を開けた。

絹旗「最終通告だァ。麦野を返してください。でなきゃァテメェをブッ[ピーーー]ぞォ!」

黒妻「もう少ししたら返してあげるさ。恐らくすごい見た目になってると思うけどな」

瞬間、絹旗が黒妻に飛びかかった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 08:47:25.42 ID:cy5Z2HqDO<> 黒妻「うおっ!」

いきなり突っ込んでくるところまでは黒妻の予想通りだった。しかし、その速さは完全に黒妻の予想を越えていた。ほとんど反射的に右側にあった部屋の中へとなだれこみ、瞬間、自身のすれすれのところを通過するところだった【窒素装甲】にまったく体重の乗っていない軽い裏拳を苦し紛れに肩に当てた。





そして、決着がつくにはそれで十分だった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 08:50:54.51 ID:cy5Z2HqDO<> 絹旗「うあああッ!?」

絹旗は黒妻の裏拳が当たった肩を押さえ、倒れこんだ。それもそのはずで、肩の骨には軽いヒビが入っていた。

絹旗(何かの能力者!?…違ェ、これは…!)

黒妻「…俺らのところにも君くらいの胸の女の子がいてさ」

黒妻はゆっくりと【窒素装甲】に近づく。その顔は少しばかりくもっていた。

黒妻「俺ァ無能力者だが、他の二人がその気になればいくらでもプライバシーを侵害できるような奴らでな。その対策のためにそいつらの個室を除いてこの家には至るところにAIMジャマーが設置されてるんだ」

【窒素装甲】は『暗闇の五月計画』により身につけた能力である。一方通行の演算パターンを用いているため、防御の際には自動制御で窒素が瞬間的に収縮し鉄壁の守りとなる。そのため、例え銃弾を浴びようが自身は窒素さえあれば無傷でいられる。

だが、その能力が暴走したらどうなるか。過剰に、しかもかなり通常よりも自分よりに圧縮された窒素は自身にダメージを与えていた。

黒妻(『当然、暴走やからどんな反応が起こるか分からへんし、毎回同じ結果が出るとは限らへんけどな』、か。さすがはLevel5だな)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 08:52:43.53 ID:cy5Z2HqDO<> 黒妻「ちょっと悪いな」

黒妻は倒れた絹旗のコートを探りはじめた。

絹旗「何してンですか!」

黒妻「暴れないでくれよ。また自分にダメージがいくぞ」

絹旗にもはや打つ手はなかった。能力が使えなければただの少女。それどころか、黒妻が打撃を与えさえすれば自動制御で能力は発動してしまう。発動しないように自らで制御することくらいならできないこともないだろうが、それなら黒妻の拳がそのまま絹旗にダメージを与えるだろう。


黒妻「ケータイと財布、液体窒素…か。対遠距離用に何かあると思ったがこんなものか」

絹旗「く…」

『アイテム』全盛期の絹旗であればもっと違う装備もあったかもしれない。だが、暗部組織から離れたためにもはや武器の供給ルートは存在しない。おまけに麦野の異変に気付いてすぐに駆け付けたために新しく武器を集める暇などなかった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 08:54:20.22 ID:cy5Z2HqDO<> 黒妻「…っあぁ〜、できればこれ以上手荒な真似はしたくないんだが」

そこまで言って、黒妻は悪寒を感じた。過去に何度か感じた、自分の人生の何かが懸かる瞬間の感覚。玄関に目をやると、金髪の男が銃に手をかけているのが見えた。

黒妻「チッ!」

黒妻は絹旗のコートをつかんで、再び部屋へと転がりこんだ。間一髪で今まで黒妻がいたところを2発の銃弾が通過し、霧谷がいる部屋の扉に当たった。

黒妻「おい!この子のことを[ピーーー]気か!」

黒妻は見えなくなった敵に向かって叫ぶ。次いで、相手も叫び返してきた。

浜面「絹旗がそのくらいで死ぬわけねぇだろ!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 08:55:39.32 ID:cy5Z2HqDO<> 黒妻「お前には分かんねぇだろうがこの家にはAIMジャマーが設置されている!そんなものが当たったらどうなるか分かんねぇのか!」

浜面「な…」

浜面はハッタリかと一瞬思った。しかし、冷静に考えればなんの仕掛けもないのに絹旗が倒れこんでおとなしくしているわけもない。

浜面「クソ!テメェ『ビッグスパイダー』の黒妻だろ!?こんなところで何してんだよ!」

黒妻「その言葉、そっくりそのまま返すぜ?駒場んとこの金髪くん?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 08:57:49.36 ID:cy5Z2HqDO<> 浜面は玄関から先へ進むに進めなかった。下手に突撃した場合、絹旗がどうなるか分からない。バレないように行くにしても、バレた瞬間に絹旗がやられる可能性もある。

浜面(考えろ!アイツの言ってことが本当ならどっかにAIMジャマーがあるはずだ!)

浜面は必死に突破口を探る。どんな修羅場も困難も、彼は機転と行動力だけで生き延びてきた男だ。

浜面(いや、AIMジャマーだって電気で動いてるはずだ。しかも室内に設置してあるっていうならバッテリーじゃなく直接電源から−)

だが、その思考もむなしく無駄に終わった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:00:35.04 ID:cy5Z2HqDO<> 絹旗「浜面…」

先ほど黒妻に部屋に放りこまれた絹旗が左肩をかばいながら出てきた。

浜面「絹旗!無事か!?」

浜面はすぐに絹旗の元へと駆け付けた。

絹旗「ええ。超ちょっと肩をやられましたが」

浜面「黒妻は…」

絹旗「なんか床に扉があって、そこから超逃げて行きました。ここはヤツの本拠地みたいですし、逃走用のルートも最初から用意してたんでしょう」

浜面「なら、俺もそこに…」

絹旗「恐らく既に遠くに逃げてるでしょうし、無駄です。それよりも超やることがあります」

浜面「なんだ?」

絹旗「麦野の捜索です。さっきの革ジャン野郎が言うには奥の部屋に居るとのことです」

浜面「! 麦野はここに居るのか!?」

絹旗「ええ、革ジャン野郎の言葉を信じるなら、ですが。まあ、どのみち麦野のケータイの発信が超途絶えたのがここですからね。何か手がかりでも見つかれば十分ってレベルでしょう」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:02:19.69 ID:cy5Z2HqDO<> 絹旗と浜面はとりあえずこの家の探索をすることに決めた。麦野のケータイが現在位置を示した最後の場所。ここに何かがあるはずだった。

なぜ急に滝壺の家に来れなくなったのか。なぜこんなところに居たのか。なぜ赤茶色の髪の革ジャン−黒妻綿流がここに居たのか。それらの原因を一から推理する予定だった。

しかし、それらの予定はすべて狂う羽目になる。浜面達は知らなかった。黒妻と交戦している間、その前から、奥の部屋に居た黒妻の仲間の存在を。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:03:57.79 ID:cy5Z2HqDO<> 浜面は奥の部屋へと続く扉のドアノブに手をかけた。そして、絹旗に目配せをする。

黒妻個人の家なのか、それとももっと大きな組織のアジトなのかは分からないが、ここが自分達にとって敵対関係にある者の本拠地。下手に動けば何かのトラップが作動するかもしれない。

慎重に、ゆっくりと扉を開ける。トラップの類はなかった。電気がついた、普通の部屋だった。浜面たちは部屋に入り、ぐるりと部屋を見渡した。この時、絹旗は既に嫌な予感がしていた。その原因はかつてうんざりするほどかいだ匂いだった。そして、すぐに異常を発見し、一気に心臓が飛び上がった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:06:45.61 ID:cy5Z2HqDO<>





義手を折られ、全身に深い切り傷を負い、血まみれになった麦野沈利がぐったりと椅子にもたれかかっていた。






<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:10:43.10 ID:cy5Z2HqDO<> 浜面「麦野!」

絹旗「麦野!」

浜面と絹旗は麦野に駆け寄った。近くで見ると切り傷だけではない。顔にも切り傷があるがそれ以上に腫れあがり、脚には切り傷の他にも青アザも多くある。切り傷の方も服の上から何かで斬られたようであり、服もズタズタになっていた。
そしてなによりおびただしい量の血が麦野全身、そしてその周囲に流れていた。

絹旗「麦野!しっかりしてください!麦野!」

浜面「返事をしてくれ!麦野!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:12:12.23 ID:cy5Z2HqDO<> 絹旗も浜面も麦野に呼びかける。しかし、麦野はなんの反応も見せなかった。相変わらず、ぐったりと椅子にもたれかかっていた。それでも絹旗は諦めず、今度は脈を計った。

絹旗「!大丈夫です!まだ生きてます!浜面、救急車を!」

浜面「ああ!−−−!」

その時、浜面の視界に奇妙なものが映った。それは床から不自然に何かが生えているように見えた。しかし、実際には何かが生えているわけではなかった。それはなぜか床に設置された扉。恐らくは逃走用の通路のもの…
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/18(土) 09:15:21.77 ID:cy5Z2HqDO<> それに気付いた時、浜面は一目散に扉に向かおうとした。

絹旗「待ってください!」

だが、絹旗が浜面の腕を掴み制した。

浜面「放せ!麦野をこんな目に合わせたヤツを逃すわけにいかねぇだろ!」

絹旗「ですから超落ち着いてください!今行ったって追い付けません!」

浜面「関係あるか!地獄の果てまで追いかけてでもブッ飛ばしてやる!」

絹旗「滝壺さん!」

ピタリ、と浜面は抗うのをやめた。

絹旗「さっきの革ジャン野郎は私の能力を既に知っていました。ならば麦野個人が狙いというよりは『アイテム』を狙っている可能性の方が超高いです!」

浜面「−ッ!」

絹旗「救急車には私が連絡して麦野には私が付き添います!ですから浜面は滝壺さんのところへ!」

浜面「クソッ!」

浜面は部屋飛び出した。そして、浜面の心は怒りで満ちていた。ようやく暗い世界から解放されたのに、この世界の闇はいつまでもいつまでもまとわりついてくる。

浜面(統括理事会を退けたと思ったら今度はスキルアウトかよ!いつになったらアイツらは解放されるんだ!)

浜面は知らない。黒妻はスキルアウトとしてでなく、暗部組織『ウォール』として動いていることを。

浜面「クソッタレが!無事でいてくれよ!滝壺!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:24:53.11 ID:cy5Z2HqDO<>




とある路地裏にあるマンホールのふたが動いた。

霧谷「…ぃ、しょっ、と」

マンホールのふたが完全に外れると、中からボサボサ髪の少女が現れた。

霧谷「追ってこない…が、油断は禁物なんで」

少女はいそいそとふたを閉めた。実はこのマンホール、学園都市の水道局の地図にも、下水処理場の地図にも、消防局の地図にも、どの地図にも記載されてないものである。

それもそのはずで、実際には暗部組織『ウォール』の緊急避難通路の出入口である。

本来はあのマンションそのものが学園都市内のVIPが使用するために作られたものである。この逃走用の通路もVIPに万が一のことがあったため作られたもので、そのため上階の部屋よりも高値で取引されていた。『ウォール』はそのうちの一室を借りていたのである。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:27:21.31 ID:cy5Z2HqDO<> 霧谷は偽マンホールのふたを閉めると、今度は大通りに向かって走りはじめた。
大通りに入ると、今度はまばらにいる歩行者に合わせて歩きはじめる。歩道橋を渡り、別の歩道に入ると、また大通りから裏道にスッと入った。

???「よう、無事か?」

少し歩くと声をかけられた。見ると牛乳パックを片手に持った男がいた。

霧谷「無事で。黒妻さんは?」

黒妻「ああ、無傷だよ」

霧谷「流石で」

霧谷は黒妻と合流し、再び歩きはじめた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:29:00.41 ID:cy5Z2HqDO<> 黒妻「そういや仕上がりはどうだったんだ?最後の方はかなり騒がしくしちまったが」

霧谷「問題なく、完璧な仕上がりなんで。チェックするんで?」

黒妻「イヤ、いいや。気分悪くなりそうだ」

霧谷「左様で」

黒妻「…っかし、俺も蛇谷のこととやかく言えねえな…装置使って能力者と対峙するなんてよ」

霧谷「しょうがないでしょう、真っ向からぶつかればリーダーでも無力化させることは難しいんで」

黒妻「そうかもしれねえけどな…」

そう言って黒妻は牛乳パックの中身をごくごくと飲みはじめた。どうにも、自分のやった行為が気に食わないらしい。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/18(土) 09:30:48.43 ID:cy5Z2HqDO<> 霧谷「横須賀さんとリーダーは上手くいってるんで?」

あまり考えさせないために、霧谷は違う話題を振った。

黒妻「−プハッ。イヤ、まだなんにもアクションはないな。まだ接触してないんだろ」

霧谷「左様で…」

黒妻「失敗したら『ウォール』で逃亡生活…それはそれで面白そうだがな」

霧谷「…確かに。そしたら私が一番大活躍なんで」

霧谷は普段のヤル気のない顔に笑顔を浮かべた。

黒妻「ハハッ、確かにな」

黒妻も笑った。実際に逃亡生活が始まったら一番役に立つのは彼女だろうなと思っていた。

霧谷(ほっ…)

一方で霧谷は安堵した。黒妻の機嫌もいくらか戻ったようだった。

そして二人は裏道を進み、夜の帳の中に消えて行った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/18(土) 09:37:52.01 ID:cy5Z2HqDO<> 今回はここまでです。

学園都市のGPS機能は発信源の標高まで示してくれる優れもの。

そして、逃走用の通路から出て、真っ先にコンビニにムサシノ牛乳買い行った黒妻さん(笑 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 09:44:47.27 ID:Sul7gQos0<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/19(日) 17:52:48.17 ID:oqHNOfKto<> 乙
嫁泣かせな人だぜ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/02/20(月) 05:09:00.51 ID:px24/xd7o<> 麦のん全力支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/20(月) 22:05:35.92 ID:eCN9Ug+DO<>



浜面はワゴン車に乗り、ようやく滝壺のアパートに着いた。道中、何度か滝壺の携帯電話に連絡を入れたが滝壺は電話もメールも返さなかった。

浜面(クソッタレ!黒妻の野郎…!)

浜面はワゴン車から降りて滝壺の家へと走る。滝壺の携帯電話には電波も届いているし、電源も入っているからもしかしたら寝ているだけかもしれない。だが、この状況では滝壺の身に何かあったと考えるのが妥当であった。

浜面(滝壺とフレメアだけじゃ戦力は0みたいなもんだ!せめて俺だけでも残っていれば…!)

後悔している間に滝壺の部屋に着く。浜面はドアノブをガチャガチャと回すが鍵がかかっていて開くことはできない。

浜面(まさか滝壺もフレメアも襲われてさっきの麦野みたいに−−−)

最悪の可能性が頭をよぎる。さらに激しくドアノブをガチャガチャと回すが扉はびくともしない。それならば、と浜面はベルトに挟んでいた銃に手を回す。跳弾がどうのこうのと考えている余裕はなかった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:06:58.71 ID:eCN9Ug+DO<>

しかし、ふいにガチャリと鍵を開ける音がした。

そして、眠そうに目こする滝壺が扉を開けて出てきた。

滝壺「どこに行ってたの?きぬはた。私もふれめあももう寝ちゃって…」

浜面「滝壺!」

浜面は出てきた滝壺のことを思わず抱きしめた。

滝壺「ふぇ?はまづら?」

浜面「よかった…!無事だったか…!」

滝壺「? どうしたの?何かあったの?」

浜面「…ああ。実は−」

滝壺「待って。一旦中に入って。寒いしくるしい」

浜面「えっ?あ、悪い」

そういって浜面はようやく滝壺から離れた。滝壺の方はなにがなんだか分からないという顔をしていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:08:46.19 ID:eCN9Ug+DO<>



滝壺「…そんな…むぎのが…」

浜面「…それで絹旗が麦野についてる。多分今ごろ治療中だろう」

浜面は一部始終をすべて滝壺に話した。フレメアの方は別室ですやすやと寝ているらしい。

滝壺「…私も病院に」

浜面「ダメだ。下手に動き回ると黒妻のヤツが狙ってくるかもしれない。それにフレメアを置いていく訳にはいかない」

滝壺「…」

浜面「滝壺を狙うなら、俺と絹旗がいなくなってる間にここを襲撃しているはずだ。襲撃してこないってことは恐らくこの場所は知られていない。ここは安全なはずだ」

滝壺「でも…」

浜面「麦野が心配なのは分かる。でも俺たちが病院に行ったところでできることなんてないだろ?」

滝壺「…わかった」

浜面「よし…じゃあとりあえずこっちの戦力だけでも確認しておくか。なんか武器になりそうなものはあるか」

滝壺「うーん…特には…体晶だってもう捨てちゃったし」

浜面「それはもう戦力として考えるな。それに相手はスキルアウトだし滝壺の能力は…」

そこまで言って浜面は違和感に気付いた。

浜面(…あそこはどう見たって高級マンションの類だったよな…スキルアウトがそんなところを本拠地にできるか?)

滝壺「…」ウーン

浜面(『ビッグスパイダー』は派手に能力者狩りをやりすぎて警備員に一斉摘発されたはずだ。それ以前に蛇谷とかいうヤツが黒妻が消えたあとに【黒妻】を名乗って『ビッグスパイダー』をまとめてたはずだろ)

滝壺「…」ブキ…ブキ…

浜面(でも黒妻本人は腕が立つってのは駒場のリーダーだって認めてた。なら…黒妻は雇われた?敵はスキルアウトなんかよりもっと大きな組織か?)

滝壺「あ」

浜面「どうした?」

滝壺「出刃包丁ならあるよ」
浜面「…ないよりマシ、か?マシだな」ウン
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:10:45.08 ID:eCN9Ug+DO<> 絹旗「…そうですか。超よかったです。…はい。…了解です」

絹旗は病院のロビーで携帯電話で浜面と話していた。先ほどまで医師の診断を受けており、その結果左肩にヒビが入っていることが判明したため、三角巾で軽く固定されていた。

絹旗「ええ、まだ手術中でして…。はい…。あ、私の方は超平気です。…ええ、それでは」

絹旗は携帯電話の電源を切った。どうやら、滝壺もフレメアも無事だったらしい。そして浜面は安全圏であると思われる滝壺の家にとどまり、万が一に備えておくとのことだった。

絹旗(とりあえず、滝壺さんとフレメアの方は大丈夫でしょう。問題は…)

絹旗はロビーから手術室に向かう。そこでは重傷を負った麦野が治療を受けている。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:11:49.70 ID:eCN9Ug+DO<> 絹旗(さっきは超動転してしまいましたが…応急処置をしていた時に感じた違和感、それに駆け付けた救急隊員の反応…)

少々歩くと手術室の前に着いた。【手術中】のランプが赤く光っていた。

絹旗(超楽観的な考えかも知れませんが…もしかしたら麦野は…)

そこまで考えると、【手術中】のランプがフッと消えた。どうやら手術が終了したようである。

絹旗「あ…」

手術室の扉が開き、中から先ほど絹旗が診察を受けた医師とは別のカエル顔の医師が出てきた。【冥土返し】の異名をもつ名医である。

冥土返し「…彼女の付き添いの子だね?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:12:56.51 ID:eCN9Ug+DO<> 絹旗「はい。あの、麦野は…」

冥土返し「心配いらないね。…っと、ちょっと退いてくれるかい?」

冥土返しが自身も端に寄りながら、絹旗に通路を開けるように促した。すると、手術室の中から数人に囲まれ、横になっている麦野が現れた。どうやらこれから病室に運ばれるらしい。

そして、絹旗は驚いた。すれ違い様に見えた麦野の顔はなんと傷ひとつないように見えた。

冥土返し「…もしかしたら、ある意味今までで一番タチの悪い手術だったかもしれないね?僕としたことが危うく麻酔の過剰投与をするところだった」

絹旗「あの…何が…」

冥土返し「切り傷も内出血もすべて偽物…良くできた特殊メイクだったね」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:15:21.30 ID:eCN9Ug+DO<> 絹旗「! そうですか。超よかったです…」

絹旗の違和感は妥当なものだった。大量の出血に対して、安定している脈拍。応急手当てをした後の少なすぎる傷口からの出血。恐らくあの大量の血液は特殊メイク用の鶏の血か、どこからか持ち出した輸血パックでも使ったのだろう。

冥土返し「それだけならまだイタズラで済んだけどね。その中にひとつだけ本物の傷が混じっていた。銃で撃たれたんだろうね」

絹旗「え…」

冥土返し「だが、それも実弾じゃなかった。恐らくは警備員の一部で使われている麻酔ゴム弾。至近距離で撃たれたみたいだけど、急所は外れてたからね。摘出は難しくなかった」

絹旗「…そう、ですか」

冥土返し「彼女には悪いけど、引っかけ問題でもやらされてる気分だったよ。とりあえず、術前に適量の麻酔を打ったから彼女は朝まで目が覚めないだろうね」

絹旗「分かりました」

麦野の安全を聞き、絹旗は安堵した。しかし、同時に混乱もしていた。もはや、麦野を襲った連中の意図が掴めなくなっていた。

絹旗(麻酔ゴム弾を使ったということは少なくともすぐに麦野を[ピーーー]つもりはなかったということ。麦野を気絶させて連れ去り、特殊メイクを施したのでしょうが、そもそも特殊メイクなんて施す意味が超分かりません)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:17:26.53 ID:eCN9Ug+DO<> 絹旗(なにより麦野が至近距離で撃たれたってことが超信じられません。ほんの一月前まで暗部の超前線で活動してた麦野にそんな真似ができる人間がいるなんて考えられませんし…)
 
冥土返し「君の方は入院する必要はないみたいだけど、時間も時間だからね?ベッドの空きならあるから、一晩くらい泊まっていってもかまわないよ」

絹旗「…では、お言葉に超甘えさせてもらいます」

絹旗(とにかく『アイテム』が狙いなら再び麦野を狙ってくる可能性も0じゃありません。ここは麦野の近くいるのが超妥当でしょう)

麦野を狙った敵の規模も、所在地も、その目的も分からない現状ではバラバラになることは得策ではない。滝壺とフレメアの守りに浜面しかついていないことは少し気がかりだが、なんとかなるであろう。あんなのでもLvel5の襲撃を三度も退け、統括理事会の刺客を返り討ちにし、さらには駆動鎧の大軍すら打ち負かしたチンピラ。なんやかんやでチート人間である。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:19:06.64 ID:eCN9Ug+DO<> 看護師「先生!」

そんなことを考えていると通路の奥から看護師が慌てて走ってきた。

冥土返し「どうしたんだい?そんなに慌てて」

看護師「た、大変です!よく分からないんですが、た、大量の駆動鎧が!」

絹旗「…え?」

冥土返し「駆動鎧?…が、どうしたんだい?」

看護師「大量の、駆動鎧が、この病院の敷地の周りにいます!囲まれてます!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:20:05.03 ID:eCN9Ug+DO<> 絹旗「−ッ!」

冥土返し「…警備員じゃあないのかね?」

看護師「暗くてよく見えなかったのですが見たことない形をしてました!敷地内に入ってこないで囲んでいるだけなんですが、もう気味が悪くて…」

冥土返し「警備員に連絡は?」

看護師「しました!すぐに駆け付けると!」

冥土返し「なら、まずは患者が全員いるかの点呼。その後に医療スタッフ、宿直の見回りなどの点呼。敷地内に入ってこないなら、まだ大丈夫だね?」

看護師「は、はい!」

大まかな指示を受け、看護師は来た道を戻って行った。恐らく、今や院内で起きている人間は皆パニックに陥っているだろう。そんな中で、まとも点呼が取れるかどうかは不明である。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:23:50.43 ID:eCN9Ug+DO<> 冥土返し「さて、僕も手伝わないといけないね。君もどこかの部屋に行くといい」

絹旗「いえ、私はヤツらの相手をしてきます」

冥土返し「馬鹿なことを言っちゃいけないね?この病院を囲むと表現できるような数だ。おまけに君もケガをしている」

絹旗「…ヤツらの狙いは私と麦野です。私たちがここに来たからヤツらはここに来たんです」

冥土返し「ケガ人が病院に来るのは当然のことだ。責任を感じることなんてないね?」

絹旗「ですが…」

医師「先生!」

先ほど看護師が消えた通路から今度は白衣を来た若い医師が走ってきた。

医師「大変です!6階の患者さんが一人いません!」

絹旗「!」

冥土返し「本当かね?」

医師「今手が空いてるスタッフで探していますが、まだ発見されてません!消灯時間前にはいましたので、恐らくはあの駆動鎧たちが現れてから…」

絹旗「え?」

冥土返し「分かった。僕もそちらを手伝おう。点呼が終わった人間は院内の捜索にあたるように伝えてくれ」

医師「分かりました!」

冥土返し「…駆動鎧に挑もうとする元気があるなら、こちらに手を貸してほしいんだけどね?」

絹旗「…いいでしょう。超手伝いますよ」

冥土返し「助かるよ」

絹旗は駆動鎧に仕掛けるのをやめた。なぜなら、考えが変わったからだ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/20(月) 22:26:29.85 ID:eCN9Ug+DO<> 先ほど患者が消えたと言われた時、絹旗は麦野がさらわれたのだと思った。しかし消灯時間前にはいたという発言から麦野でないことは分かった。そして、同時に不可解な点がいくつも噴出した。

絹旗(病院に殴り込みにくるなんてことをするくらいなら、麦野をあっさり手放す訳がありません)

先ほどのマンションの守りは明らかに少なすぎた。それでも麦野・絹旗という『アイテム』の主力を無力化できたのに、浜面が出てきた瞬間に一目散に逃げ出した。

絹旗(状況から見て、あの場に少なくとも他にもう一人は革ジャン野郎の仲間はいたはず…あんなに場馴れしたヤツが銃を持った浜面一人に怯えて逃げたとは考えにくい)

AIMジャマーの範囲外から【窒素装甲】の応用で突っ込んだ絹旗に対する対応から見ても素人ではない。銃持ったチンピラを見て怯えるどころか絹旗の身を案じる余裕すら見せていた。

絹旗(てことは…浜面に怯えたんじゃない。ヤツらはあの瞬間に何かを超達成したってことですか)

にもかかわらず、病院の敷地の周りに大量の駆動鎧。そこから絹旗は結論を導き出す。

絹旗(同じ連中か、他の連中によるまったく別の事件に巻き込まれてるのかは超分かりませんが、狙いは麦野ではない)

絹旗(…というより…『アイテム』ですらない?) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/20(月) 22:32:41.62 ID:eCN9Ug+DO<> 今回はここまでです。

レスありがとうございます。嬉しいです。

なんか書き込んでからに誤字脱字に気付きますね。申し訳ない。てか、[ピーー]で凹む。sagaってメール欄に打ち込めばいいんですよね?[ピーー]も書き込んでから気付くんで凹みます。
次回以降もよろしくお願いします。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/02/20(月) 22:36:10.31 ID:0OGa2HpX0<> 乙!
sagaで大丈夫 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 22:51:28.64 ID:qmF5IYYIO<> おつーん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/02/21(火) 18:20:28.29 ID:b93LJsGvo<> 麦のん絶対支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/21(火) 18:25:23.34 ID:LHRH6flw0<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/21(火) 23:36:49.84 ID:9Cze5r9DO<>



???「ハッ…ハッ…」

暗い夜道を一人の男が走っていた。走っていた、というよりは何かから逃げていた。

???(なぜ…一体何が起きている?)

実はこの男、先ほどまで病院に入院していた。にもかかわらず、患者の衣服としては真逆の服装をしていた。身体にピッタリとフィットした黒のスーツである。おまけにヘルメットまで装着している。

端から見ればただの変人だが、分かる人間が見れば特殊な駆動鎧を動かすための装備だと分かる。更に、この装備は駆動鎧に乗らずとも様々な面で身体をサポートしてくれる。おかげで、入院中の身だというのに健常者以上の速度で走ることができた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/21(火) 23:38:38.46 ID:9Cze5r9DO<> ???(分からない…分からないがアレが動いてる以上、恐らく奴らの狙いは私だ。とにかく逃げねば…!)

だが、その逃走も無意味だった。

???「シルバークロース、だな?」

男の前に自分と同じ格好をした人間が現れた。スーツのためにその人間が筋骨隆々の大男であることが分かった。

シルバークロース「ちっ、何者だお前は!」

???「『卒業生』だ。どうにも『新入生』のヤンチャがすぎるようなのでな。わざわざOB自らシメにきてやったぞ。」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/21(火) 23:40:20.81 ID:9Cze5r9DO<> 『卒業生』−第三次世界大戦終結の際に一方通行の宣言により解放された暗部組織の人間たちのことである。彼らは人質や脅迫などで無理やり暗部組織に組み込まれていることが多かった。だが、学園都市は来るべき『ある組織』との戦いに備え、自主的に暗部組織に残る、もしくは加入する人間を集めた。それが『新入生』である。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/21(火) 23:42:00.52 ID:9Cze5r9DO<> シルバークロース「…私の『クローゼット』から駆動鎧を動かしたのはお前か」

???「そうだ。」

シルバークロース「一体どうやって…」

???「敵に一から十まで教えてもらうつもりか?甘過ぎるぞ『新入生』。」

ヘルメットで互いの顔は見えないが、シルバークロースの顔には焦りが浮かんでいた。

対して、大男の方は表情が見えずとも異様なオーラを放っていた。

???「まあ、『卒業生』としてアドバイスくらいくれてやろう。あんな真っ昼間の、しかも地下街なんかで暴れ回れば足が着くのは当たり前だぞ。」

シルバークロースは『卒業生』である一方通行及び『素養格付』を保有する浜面仕上をつなげて危険分子とし、統括理事会に処分の許可を出させようとした。そのラインをつなげるために狙われたのが、両者と係わりをもつ人物、フレメア=セイヴェルンである。

その際に手段を選ばず動いたことが今回のことにつながったらしい。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/21(火) 23:44:06.50 ID:9Cze5r9DO<> ???「おまけにお前が大怪我したせいでまともに下部組織に指令も出せていない。場所もセキュリティも分かれば策も利用法もいくらでも打てるぞ。」

シルバークロース「く…」

???「任務を単発で考えるから雪だるま式に失敗する。何事も繋がっているのだ。」

憮然とした態度で語る大男。対して、シルバークロースは周囲を警戒する。

シルバークロース(駆動鎧はどこに隠れてる…深夜の静けさなら動いただけで音はするはず…)

???「目の前に敵がいるのに他の心配事か?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/21(火) 23:46:16.96 ID:9Cze5r9DO<>
シルバークロース「なっ」

ほんの一瞬のうちに大男の間合いに入っていた。軍人のような体格をした人間が補助まで受けているため、もはや人間離れした速さになっている。

シルバークロース「ガハッ!」

そして、大男のボディブローがシルバークロースの腹に突き刺さる。それだけで、シルバークロースの身体が十数センチ浮いた。速さだけでなく、そのパワーももはや人間のそれとは違っていた。

???「肉弾戦は苦手か?」

シルバークロース「ゲホッ…ク、ソ」

もはや内臓が思い切りシェイクされてまともに息もできず、うずくまる。大男はそれを見下ろしていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/21(火) 23:47:48.44 ID:9Cze5r9DO<> シルバークロース(駆動鎧さえ…駆動鎧さえあれば…!)

???「たらればの話など考えて何になる。駆動鎧ならここにはないぞ。病院の周りに放置してある。」

シルバークロース「!?」

???「駆動鎧に乗っていたのは俺を含めて二人だけだ。移動だけなら大抵の駆動鎧は自動制御で動ける。」

つまり、あの大量の駆動鎧はシルバークロースを釣るためだけのハッタリ。それに気付かず、任務に失敗したため処分されると早とちりしたシルバークロースは慌てて病院を抜け出してしまったのだ。

だが、シルバークロースが驚いたのはそこではない。正確に言えばそこだけではない。

シルバークロース「なぜ、私の、考えが…」

???「何を驚いている。読心系能力者などこの街には掃いて捨てるほどいるぞ。」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/21(火) 23:50:29.41 ID:9Cze5r9DO<>
???「とはいえ、俺には異能力程度しか強度はないがな。さて…」

そう言うと大男はうずくまっているシルバークロースの腹に思い切り蹴りを入れる。

シルバークロース「がッ!…ごボ、ガハッ!」

シルバークロースは身体を吹っ飛ばされ、口から血の塊を吐き出した。いよいよ内臓を損傷したらしい。

???「『卒業生』の優しいご教授の時間は終わりだ。安心しろ。俺の目的はお前の殺害ではない。お前だと分かる程度に原型を保ってお前をズタズタにすることだ。俺にズタズタにされて尚、息があれば先ほどのアドバイスを参考にしろ。」

シルバークロース「ヒ…」

さらりととんでもないことを宣言する大男。もはやシルバークロースに戦意はなかった。

???「この【内臓潰し】の横須賀、幼い少女をダシに使うような根性無し相手に容赦はせんぞ。」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/21(火) 23:57:00.14 ID:9Cze5r9DO<> 今回はここまでです。
次で第三部終了予定です。
レスありがとうございます。レスが増えてきて嬉しいです。


横須賀さん能力者設定ですが、固法先輩だって能力者なのにスキルアウトだったし、明確に無能力者って記述なかったんで許してください。

違和感あるって人は削板と渡り合うために得た横須賀の努力の結晶だと思ってください。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/02/22(水) 00:02:59.33 ID:aCJWWawZo<> ぶっちゃけ、削板のすごいパンチ数発食らって耐えるんだから、他のレベル5とある程度やり合っても不思議はないどころか、
能力にもよるがレベル3くらいまでは圧勝してもいいと思ってる

や、ギャグ補正かも知れないけどさ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/02/22(水) 05:52:37.76 ID:Bn3LfFD9o<> 麦のん熱烈支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/22(水) 23:25:20.95 ID:NZUPxcvDO<>
シルバークロースと横須賀が交戦しているころ、その場とは遠く離れたところで、一人の少女が深夜徘徊を行っていた。パンクロックな格好で、それなのになぜかビニール製のイルカのぬいぐるみが背にくっついている。

彼女もシルバークロースと同じく『新入生』である。名前は黒夜海鳥。そして、彼女は少し前に下部組織から報告を受けていた。『シルバークロースが行方不明』。それを聞いて彼女はこう思う。

黒夜(だからなんだっつーの)

確かに彼女はシルバークロースと共に動いていた。だからと言って別に馴れ合う仲でもない。利用するだけ。むしろ、入院して動けないシルバークロースなど1ミリたりとも興味はない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/22(水) 23:27:04.97 ID:NZUPxcvDO<>
黒夜(そんなことで私の安眠を妨げるな。報告したやつ後でぶっ[ピーーー])

しかし、起きてしまったらなかなか寝付けない。仕方ないしコンビニ行ってなんか買ってくるか、と出歩いてきた次第である。今は人気のない大通りに出ている。深夜なので出歩いている人間などどこにも見当たらない。人などいないのに街灯は数メートルおきに道路を照らしていた。

「なんや、住居不法侵入はせんでよさそうやな」

ふいに声が聞こえた。次いで、右腕に衝撃が走った。

黒夜「あん?」

見ると右腕が二の腕のあたりから吹っ飛んでいた。

「君も義手かいな。なんや今流行っとんの?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:28:31.09 ID:NZUPxcvDO<>
黒夜は素早く頭を働かせる。いや、ほとんど反射的に動く。

黒夜(敵!)

瞬間的に左腕に窒素を収縮。そして、自分の身体に巻き付ける様に思い切り振り回す。それだけでコンクリートに深い亀裂が入り、街灯が真っ二つになった。

「おっかないなあ。気ぃつけてや」

また声が聞こえた。しかし、奇妙な感覚だった。声は聞こえるのにどこから聞こえるのか分からない。どこかから叫んでる訳じゃないのに、相手の姿は見えない。普通の人間ならパニックに陥ってもおかしくない。しかし、黒夜は平然としていた。

黒夜「第六位の【隠密行動】か。『卒業生』がなンの用ですかァ?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:30:10.75 ID:NZUPxcvDO<> 【隠密行動】−Level5第六位の能力名。その能力は自身の存在解像度を著しく下げる能力。視覚的に完全に見えなくなり、さらには索敵レーダー、赤外線装置、サーモグラフィーなどの機器すら感知できなくなる。また、気配などの第六感的分野も感じることはできない。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:31:46.42 ID:NZUPxcvDO<>
「なんの証拠があってそないなこと言うとんねん。そもそも第六位なんてホンマにおるの?」

黒夜「『書庫』のテメェの正規データなんざ暗部くれェのアクセス権限がありゃァ余裕で調べられンだよ。姿も気配も絶って声だけ届けさせるなンてキモイ芸当はテメェしかしねェだろォがよ」

「ふぅん。複数の能力者が補い合ってるって可能性は考えないんやね」

黒夜「ハッ、例えそうだとしてもよォ」

そして、黒夜は先ほどの様に再び左腕に窒素を収縮させる。しかしその量は、大きさは、先ほどの倍以上である。

黒夜「こォしてまとめて吹っ飛ばしゃァなンの問題もねェだろォがよォ!」

左腕を縦横無尽に振り回す。今度は凄まじい轟音と共にコンクリートはぐちゃぐちゃになり、街灯はバラバラになっていった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:33:44.54 ID:NZUPxcvDO<> だが

「せやから危ないっちゅうてるやろ」

ガン!と言う音と共に黒夜の左腕は吹っ飛ばされた。

黒夜「な!?」

「ほんでそっちも義手かいな。もしかしてホンマもんの人造人間か?」

またしても不気味に声だけが聞こえる。確かに黒夜に人を蹴散らした手応えはなかった。それでも、腕を吹っ飛ばされるはずがない。【隠密行動】は見えなくなったり感じなくなったりするだけで、実際にはそこに居るはずなのだ。物質がすりぬけたりする訳ではない。

黒夜(自分でもランダムで腕ぶン回してたのに全部見切ったってのか!?遠距離から狙ったにしてもめちゃくちゃに動き回る腕を正確に狙えるもンなのか!?)

見えない敵の理解できない攻撃。複数人数いるというのももしかしたら本当かもしれない。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:36:57.53 ID:NZUPxcvDO<>
「さて、君の能力…【窒素爆槍】やったっけ?腕なかったらどうにもできひんのやろ?」

黒夜「…」

「早くも詰みやね。何が『新入生』や、あっけない。そら先輩も心置きのぉ卒業できひんわ」

黒夜「ギャハッ」

「ん?」

黒夜「アッはギャハァ!ナメてンじゃねェぞ三下がァ!」

黒夜の背中に張りついていたイルカが黒夜の足元に落ちた。そして黒夜はそれを思い切り踏み潰す。

「な!?」

パァン、とイルカが弾けると中から大量の赤子の手のようなものが黒夜のなくなっていた義手の先に集まった。それだけではない。なぜか路地裏の方からも同じような赤子の手が集まってくる。もはや赤子の手だけで先ほどの義手の何倍もの大きさになっていた。

黒夜「運が悪かったな三下ァ!よりによってこんなところを襲撃ポイントにするとはなァ!」

そう言って黒夜は【窒素爆槍】を噴射して宙に飛ぶ。

そして、10mくらい飛んだところで止まった。

黒夜「もォめんどくせェ、ここいら一帯まとめて吹き飛ばしてやンよォ!」

先ほどは比べものにならない窒素の槍が辺り一帯を薙払う。それと同時に黒夜のバランスも崩れるがお構い無しである。むしろ、グラグラと揺れ回り、動き回りなので例え遠距離攻撃でも捉えきれない。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:39:07.21 ID:NZUPxcvDO<>
先ほどの轟音が倍になり、加えて周りの建造物のガラスが軒並み割れる音がした。コンクリートどころかその下の土までぐちゃぐちゃになり、街灯も離れたところの街路樹もすべて混ぜ合わされていった。

そして、もはや黒夜の武器は【窒素爆槍】だけではない。吹き飛ぶコンクリートも街灯も街路樹も、すべてが散弾銃のように飛び散る。

黒夜「おらおらどうした三下ァ!さっきみたいに腕ぶっ飛ばしてみろよ!余裕たっぷりに見下してみろって!」

黒夜の浮遊しているところは最初の位置とは大分変わっていた。能力の推進力で浮いているのにめちゃくちゃにその能力を振り回したからだ。おかげで何度かもんどりうったが、狙いもへったくれもなくすべて薙払うつもりなのでなんの問題もなかった。

「ぐああッ!」

黒夜「お?」

今確かに聞こえた。あのムカつく声がうめき声に変わっていた。そして、街灯をぶっ壊したせいでよく見えないが、明らかに大量の血の跡。更に、その近くに奇妙に歪んだ空間。

黒夜「見ィィィィィつけたァァァァァァ!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:42:25.49 ID:NZUPxcvDO<> その場所に向かって渾身の一撃を叩きこむ。瞬間、コンクリートは吹き飛び、地面が大きくえぐれた。

そして、再び大量の血が飛び散る。

黒夜「ヒャッハァ!汚ねェ花火だ、ってかァ!?」

確実に仕留めた。どう見たって致死量だ。街灯を粉微塵にしたせいで遺体がよく見えないが、あの血の量なら遺体も粉微塵になったかもしれない。

勝利を確信して、黒夜は地上に降り立つ。

黒夜「ギャハハハ!これなら安心して卒業できンだろォ!あの世でのンびり茶ァすすってろクソボケ!ギャハハハハハハハ!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:45:12.83 ID:NZUPxcvDO<>

「あ〜、死ぬとこやった」

そんな声が聞こえた気がした。そして、見えない鉄の壁ようなものが思い切り身体の前面ぶっ叩いた。

黒夜「ご、があああああああああ!?」

十数メートルはノーバウンドで吹っ飛ばされた。衝撃で赤子の腕は全部ぶっ飛んだ。そのままぐちゃぐちゃになったアスファルトを押し退けながら転がった。

「偽装用の輸血パック。もって来といて正解やったな」

見えない敵はまだ生きていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:47:23.07 ID:NZUPxcvDO<> 「まだ生きとるみたいやね」

黒夜「あ、が…」

黒夜は生きている。しかしもはやほとんど動けなかった。

黒夜(アバラがほとンどイカれてやがる…なにしやがったンだ)

「かなり不快やけど、君も僕と同じ考えやったんね」

見えない敵は語りだす。相変わらずどこから話しているのか分からない。

「学園都市は能力者を生み出す街。それと同時に科学の街や。なら、その街で一番強いんはなにか。簡単や。科学で武装した能力者に決まっとる」

この考えは黒夜とは細部が違うが、根幹は同じだった。だから黒夜は両腕を義手にし、赤子の手も常備していた。

「姿見せへんから分からんやろうけどな。実は僕今駆動鎧に乗ってんねん。」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:49:06.67 ID:NZUPxcvDO<> 今さらだが、この見えない敵の正体は当然青髪ピアスである。

青髪ピアスは横須賀と共に『クローゼット』に乗り込み、制圧。自動制御で動かせる駆動鎧を片っ端から起動させ、自身らも駆動鎧を操り病院へと移動した。

その後、シルバークロースを横須賀に任せ、青髪ピアスは黒夜のもとへと向かった。当初は黒夜の自宅へ踏み込むつもりだったので駆動鎧を脱ぎ捨てたのだが、自宅付近で深夜徘徊中の黒夜を発見し、交戦する。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:50:19.82 ID:NZUPxcvDO<>
黒夜との接触時、青髪ピアスの装備は横須賀と同じく駆動鎧用のスーツとヘルメット、それに衝槍弾頭が装填された拳銃、輸血パック等が入ったバッグだった。青髪ピアス自身体格がいい上に裏社会で生き抜いてきた人間。黒夜の【窒素爆槍】をかわし、義手を吹っ飛ばしたのはこの装備によるものだった。

青髪ピアスの予定ではここで黒夜は打つ手がなくなるはずだった。だが、黒夜が奥の手を発動させたために輸血パックで偽装し一時撤退。再び駆動鎧に乗り込み、油断している黒夜に駆動鎧で思い切り体当たりしたのだ。

「危なかったで実際。下手したら僕まで義手になってまうところや」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:52:04.20 ID:NZUPxcvDO<>
黒夜「バカな…」

「なにがや?」

黒夜「『書庫』のデータじゃテメェの能力は自身にしか効かないとあった。駆動鎧にまで作用するわけが…」

「アホか。誰があない胡散臭い連中に能力丸出しにすんねん。Level5の人間やったら大抵奥の手ぇもっとるもんや。第三位は数十キロの鉄クズでも【超電磁砲】撃てるらしいし、第一位なんかよう知らんけど翼生えるらしいで」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/22(水) 23:53:10.89 ID:NZUPxcvDO<>
黒夜「クソが…」

「さて、すでに虫の息やけど…もうちょいアクセントがほしいな」

そして、黒夜の身体が宙に浮かぶ。

黒夜「く…」

「僕も結構なフェミニストなんやけどね。君と【原子崩し】だけには手加減できひんよ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 00:00:08.38 ID:yM4gLPsDO<> ここまでで第三部終了です。
saga入れたのにダメだった…。もしかしてsageにチェック入れたらアウトなんすか?
そう思って今回途中からチェック入れなかったんですけど


【隠密行動】はダミーチェッカーとかの最終形態だと思ってください

麦のん支援がすごいけど次回も出てきません。次々回でメインです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/23(木) 00:01:01.43 ID:zfdY16ODO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/23(木) 00:06:28.14 ID:jRoTY/8Qo<> 乙!
sageチェック入れると駄目だぜ
作者が投稿してる時はsageなくていいと思うけど
どうしてもsageたいなら「sage saga」と入力すればおkのはず <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/23(木) 00:07:22.96 ID:+sNnr8vYo<> そんな能力なら青ピは女yゲフンゲフン

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:18:45.77 ID:yM4gLPsDO<> −深夜、第七学区の病院を大量の駆動鎧が包囲する事件が発生しました。しかし犯人は発見されず、駆動鎧は放置された状態で警備員に回収された模様です。愉快犯の犯行とは考えにくく、また、開発中の駆動鎧も発見されたことから、警備員は開発局員の犯行、駆動鎧に積み込まれたAIの暴走の両方向から捜査方針を固めてる予定で−


−昨夜未明、第十九学区で能力者の仕業と見られる大規模破壊が行われました。これにより、被害者と思われる重傷を負った少女を現場付近で発見。警備員は詳しく話を聞く方針で−


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:21:46.97 ID:yM4gLPsDO<> 長い夜が明けた。結局、浜面は寝ずに夜を過ごした。滝壺が交代で起きていようと提案していたが、ワゴン車で爆睡していた浜面はこれを断った。そして、朝からこのニュースだ。浜面は慌てて電話をかけた。

絹旗『ふぁい、絹旗です。なんれすかやっと寝れると思ったのに…』

寝呆けた声が返ってきた。麦野と絹旗がいる病院が駆動鎧に囲まれたというニュースを見た時は心臓が縮み上がったが、この様子なら大丈夫そうだ。

浜面「絹旗、無事か?俺今ニュース見て知ったんだが…」

絹旗『ああ、もうニュースになってましたか。大丈夫ですよ。ただ病院の周りに駆動鎧がいただけなんで超被害0です』

浜面「そうか…なあ、これも連中の仕業だと思うか?」

絹旗『…それについて考えたんで聞いてもらえますか。ついでに、麦野の様態も』

浜面「ああ、俺も考えた分は伝える」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:23:26.79 ID:yM4gLPsDO<>


浜面「なるほどな。狙いは『アイテム』じゃない、か。筋は通ってるな」

絹旗『てゆーかあの革ジャン、スキルアウトだったんですか。浜面とえらい違いですね』

浜面「おい、どういう意味だ」

絹旗『浜面の方が超いい男って意味ですよ』

浜面「けっ、まあいいや。とにかく狙いは『アイテム』じゃないなら俺らももう少ししたら病院に向かうわ」

絹旗『ええ、いいですよ。駆動鎧の代わりに警備員が病院囲んでて超鬱陶しいですが』

浜面「なら安心だろ。仮におれらの考えが外れてても、警備員の厳戒態勢の中で襲い掛かるバカもいないだろ」

絹旗『それもそうですね。では、面会時間は9時からなのでその頃に』

浜面「ああ、じゃあな」

そして、浜面は携帯を切った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:25:09.43 ID:yM4gLPsDO<>
滝壺「はまづら?」

浜面「お、おはよう滝壺。もう起きたのか?」

寝室から滝壺が起きてきた。いつものピンクジャージでなく、ピンクパジャマを着ている。

滝壺「おはよう。今しゃべってたのはきぬはた?」

浜面「ああ、どうやら麦野は大丈夫みたいだ」

滝壺「! ホントに!?良かった…」

浜面「ま、殺したくらいじゃ死なないのが麦野だからな。後で見舞いに行こう」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:27:00.75 ID:yM4gLPsDO<>
滝壺「…大丈夫かな?」

浜面「ああ、さっき絹旗と話して出した結論なんだけど、たぶんヤツらの狙いは『アイテム』じゃないんだ。それに今なら警備員も…」

滝壺「それもだけど、そっちじゃなくて」

浜面「え?」

滝壺「ふれめあのこと」

浜面「あー…」

フレメアはずっと寝ていた。なので、浜面が居ることも麦野と絹旗が病院にいることも知らない。

滝壺「さすがに何も教えないわけにはいかないと思う。昨日もずっと不信がってたし」

浜面「そうだよなぁ…最低でも麦野と絹旗が病院にいることくらいは教えないと」

滝壺「…ふれんだのこと、教えるのはまた今度かな?」
浜面「…ひとまず麦野が回復してからだな。アイツが自分で話すって言ってるんだ。俺らが話すべきじゃない」

滝壺「…わかった」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:28:01.55 ID:yM4gLPsDO<>


フレメア「うにゅう…」

浜面「お、起きたか」

滝壺「おはよう、ふれめあ」

しばらくすると寝室からフレメアが目をこすりながら出てきた。

フレメア「あれ?浜面?」

浜面「よっ」

フレメア「なんで浜面がいるの?」

浜面「あー…それはだな」

滝壺「わたしの彼氏だから」ダキッ

フレメア「oh…」

浜面「た、滝壺さん!?」

フレメア「でも、大体答えになってない、にゃあ」

滝壺「…そうだね」ウン

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:29:15.97 ID:yM4gLPsDO<>
フレメア「麦野と絹旗は?結局、昨日は滝壺お姉ちゃんしかいなかった」

浜面「えーとだな。昨日、麦野がここに来る途中に交通事故に遭ってな」

フレメア「え…?」

浜面「それで…絹旗はそれの付き添いで病院にいるんだ。うん」

フレメア「…大丈夫なの?」

浜面「あ、ああ。そんなにひどいケガじゃないんだ。ちょっと入院するくらい」
フレメア「よかった〜」

交通事故というだけでこんなにも心配する。実際は拉致されて銃で撃たれた上から謎の特殊メイクだったのだが、こんなことを伝えたら必要以上に心配するに決まっている。

浜面(こりゃますますフレンダのことは言いだし辛いな)

いずれは伝えなければならない事実。しかし、それを伝えた時この少女はどんな反応をするだろうか。想像するのは容易だが、想像したくはなかった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:30:23.07 ID:yM4gLPsDO<>
フレメア「わたしも大体お見舞いに行く」

滝壺「まだダメだよ」

フレメア「? 絹旗はお見舞いに行ってるんじゃないの?」

浜面「絹旗は昨日の夜からずっと病院にいるんだ。俺たちは9時になったら行っていいみたいだから、そん時に行こう」

フレメア「わかった、にゃあ」

浜面「よし、じゃあメシにすっか」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:31:21.16 ID:yM4gLPsDO<>


午前9時過ぎ、浜面たちは麦野と絹旗がいる病院にワゴン車で向かっていた。

滝壺「…なんかすごい数の警備員だね」

浜面「昨日の夜に駆動鎧が大量に徘徊してたらしいからな。調査と警備で忙しいんだろ」

フレメア「大体怖い…」

フレメアが怖がるのもうなずけた。深夜から駆り出されたせいか、事件の重大さのせいか、警備員は皆険しい顔をしていた。

それに加えて、事件を起こしたのが駆動鎧というのも怖い印象を与えているのだろう。なんせちょっと前に学園都市中を駆動鎧に追いかけ回され、命を狙われたのだから。

浜面「安心しろ。俺がついてる」

フレメア「むぅ」

滝壺「はまづらはいざというときに頼りになるから大丈夫だよ」

フレメア「…知ってる、にゃあ」

浜面「…なんかこそばゆいな。お、着いたぞ」

そして浜面たちは病院に到着し、麦野の病室に向かった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:33:57.07 ID:yM4gLPsDO<>

同時刻の病院付近某所。そこに四人の人影があった。

霧谷「目標発見、病院に入ったんで」

黒妻「だとよ。どうするリーダー」

青ピ「…zzz」

横須賀「おい起きろ。」ビシッ

青ピ「ったあ!?堪忍してや!そこ軽くえぐられてんねんて!」

横須賀「…スマン。」

黒妻「病院行った方がいいんじゃねぇか?」

青ピ「ん?もう来たん?まあでも今行ってしゃあないし、帰り際に接触すればええよ」

霧谷「そうでなく、治療的な意味で」

青ピ「大丈夫やて。応急措置の塗り薬塗っといたし。計画が終わったらちゃんとあそこやない病院行って診てもらうわ」

横須賀「…そして、エクストラステージか。」

青ピ「そうゆうことや。せやから、アイツら出てくるまで寝かせてや…ずっと能力使いっぱなしやったから…脳ミソ疲れまくりで…zzz」

黒妻「…寝たか」

霧谷「…他人の前で寝るなんて、ちょっと前まで考えられなかったんで」

横須賀「それだけ俺たちを信頼しているのだろう。」

黒妻「言ってて恥ずかしくねぇか?」

横須賀「かまわん。事実だ。」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:35:31.48 ID:yM4gLPsDO<>


絹旗「お、皆さんおはようございます」

麦野の病室の前で、絹旗に出会った。

浜面「き、絹旗!?」

絹旗「ん?どうしたんです?」

滝壺「それ、大丈夫なの?」

絹旗「ああ、これですか」

そう言って絹旗は軽く三角巾で固定された左腕を動かす。絹旗は麦野の様態だけ伝えただけで、自身のケガは何も言わなかった。

絹旗「超平気ですよ、こんなの。ちょっぴり肩にヒビが入っただけなんで」

浜面「平気じゃねえだろうが!そういうことはちゃんと言え!」

絹旗「超うるさいですね。病院ですよ」

フレメア「絹旗、大丈夫?痛くない?」

絹旗「…ありがとうございます、フレメア。全然痛くないですよ」

滝壺「きぬはた、みんな心配するから言わなきゃダメだよ」

絹旗「申し訳ないです。余計な心配かけたくなかったんです」

滝壺「気持ちは嬉しいけど、言わなきゃダメ」

絹旗「はい、すいません」

浜面「あ、俺以外だったら謝るのな」

絹旗「超当たり前です」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:36:52.75 ID:yM4gLPsDO<>
浜面「それで、麦野は?」

絹旗「もうすぐ麻酔が切れるはずなんですがね、なにやら超うなされてるみたいで…」

フレメア「麦野、痛いの?」

絹旗「…分かりません。とりあえずここで長話しもなんなんで入りますか」

そして浜面、絹旗、滝壺、フレメアの四人は麦野の病室に入って行った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 17:43:57.31 ID:yM4gLPsDO<> 今回はここまでです。
今日暇だったんで書いちゃいました。
いつもの時間にも更新する予定です。


アドバイスありがとうございます。これからはsageチェックしないで更新します。


学園都市に自分の姿を完全に消せる人間が60人以上いるんだし、どこの更衣室にも簡易AIMジャマーは設置されてると思うんですよね。
じゃなきゃみんなして女yゲフンゲフン <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/23(木) 19:20:15.45 ID:1Re2/kzro<> 乙ゥ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/02/23(木) 21:33:08.99 ID:GUBVLiEPo<> 麦のん爆裂支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:38:42.05 ID:yM4gLPsDO<>




−どこ?ここ…

−私はどこに進んでるの?

−どこかで見たな、この光景

−あれ…これって…


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:40:06.41 ID:yM4gLPsDO<>
麦野「あ゛あ゛クソッ!クソ!クソ!クソッ!」

−!? 何これ… 口が勝手に…

麦野「【未元物質】の野郎ふざけやがって…!ゆるさねぇ…ぜってぇゆるさねぇ!」

−【未元物質】?なんで今さら…

麦野「ぶっ殺してやる!ナメられたままで終われるかよ!」

−ああ、思い出した。これってあの時の…


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:41:36.78 ID:yM4gLPsDO<>
フレンダ「麦野!」

−! フレンダ!?

麦野「フ〜レ〜ン〜ダ〜。テメェ今までどこにいやがった!」

フレンダ「ゴ、ゴメン麦野。私今まで『スクール』連中に捕まってて…」

麦野「捕まってたぁ?ははぁ、なるほどな!」

フレンダ「え…きゃ!」

−待ってやめて!蹴らないで!

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:43:13.62 ID:yM4gLPsDO<>
フレンダ「ゲホ、ゲホ…麦野…何を」

麦野「うるせぇよユダが。この裏切り者がぁ!」

フレンダ「え…」

−違う!違うの!

麦野「たった今『アイテム』のアジトが『スクール』のクソどもに襲撃されたんだよ!せっかく体制立て直して反撃っつータイミングでだ!なんでアイツらはアジトの場所知ってんだ?あぁ!?」

フレンダ「…」

麦野「テメェがゲロったんだろ!?ふざけやがって!」

−やめろ!逃げろ!フレンダ!

フレンダ「…そう私は『アイテム』のアジトを吐かされた」

−しゃべるな!逃げろ!

麦野「は、やっぱそうかよ裏切り者」

−違う!フレンダは裏切り者なんかじゃない!

フレンダ「でも違うの!お願い麦野!話を」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:44:36.36 ID:yM4gLPsDO<>
麦野「テメェのせいで私は【未元物質】に吹っ飛ばされた!絹旗も滝壺も【未元物質】に殺されてるかもしれねぇな!」

フレンダ「…そんな」

−違う!みんな生きてる!生きてるからそんな顔するな!

麦野「クソ野郎が!裏切り者には粛正が必要だよなぁ!」

−やめて!お願いだから!逃げてよフレンダ!

フレンダ「私、は、まだ…」

−ダメ!逃げて!

麦野「じゃあな裏切り者」

−やめて!やめろ!



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:46:55.25 ID:yM4gLPsDO<>




麦野「やめろぉぉぉぉおお!」

ガバリ、と起き上がった。起き上がった?

浜面「び、っくりしたぁ…」

麦野「え?あれ?浜面?」

滝壺もいる。絹旗もいる。なぜか見る顔すべてが驚いた顔をしている。驚いたのはこっちだ。ここはどこだ?なんでみんないるんだ?フレンダは…

フレメア「麦野…大丈夫?」

! うそ、まさか…

麦野「フレンダ!」

フレメア「ふぇ、にゃあ!?」

良かった!生きてる!抱き締めればちゃんと温もりがある!なぜか左腕が動かないけどそんなのはどうだっていい!フレンダは生きてる!

フレメア「ちょっ…麦野…苦しい」

麦野「あぁ…良かった!フレンダ…ホントに…」

フレメア「う…苦しいってば!離して!」

ドン、とフレンダに突き飛ばされた。フレンダに…拒絶された?

麦野「あ…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:48:25.10 ID:yM4gLPsDO<>
フレメア「大体私はお姉ちゃんじゃない。フレメアだよ?」

麦野「え…?フレメア…?」
フレメア「うん」


…そう、そうだよ。この子はフレメアだ。え?なら…フレンダは?

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:50:09.96 ID:yM4gLPsDO<>
−話すことも聞くこともできへん。考えることも感じることも、泣くことも笑うことも、フレンダはもうできへんねん


麦野「あ…」

そう、だ

−こんなん……薄情すぎるやろ………

麦野「ああ…」

フレンダは…

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:51:32.71 ID:yM4gLPsDO<> −そうやって命乞いしたフレンダを殺したとちゃうんかい!何を今さらガタガタ抜かしとんのや!



麦野「あああ…」





私が殺した





麦野「いやああああああああああああ!!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:52:46.07 ID:yM4gLPsDO<>
浜面「お、おい!麦野!?」

絹旗「どうしたんですか!落ち着いてください!」

麦野「フレンダ!フレンダ!あああああああ!」

滝壺「むぎの!落ち着いて!」

フレメア「麦野、どうしたの?」

麦野「う、うう…私、は…私は!うああああああ!」

麦野は手のひらを自分の顔に向けた。そして−

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:54:43.91 ID:yM4gLPsDO<>
絹旗「何バカなことしてんですか!」

絹旗が手を弾く。瞬間、麦野の顔のすれすれのところを【原子崩し】が通過した。そして病室の壁を破壊する。

滝壺「はまづら!ふれめあを連れて外に!」

浜面「待て俺も!」

絹旗「フレメアには危険すぎます!私と滝壺さんで抑えますから早く!」

麦野「離せ絹旗!私は!私は!」

フレメア「麦、野?」

浜面「−クソッ!」

フレメア「わ!」

浜面はフレメアを脇に抱えて病室を飛び出した。そして病院の廊下を疾走する。途中、異変に気付いた看護師がバタバタと走っていた。鎮静剤がどうこう言ってるのが聞こえたが、気にせず走り続けた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/23(木) 23:57:52.48 ID:yM4gLPsDO<> 今回はここまでです。
レスありがとうございます。


短いですが、夕方更新したんで…
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/23(木) 23:58:41.10 ID:zfdY16ODO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/02/24(金) 05:51:45.28 ID:a4I+vuJSo<> 麦のん憐憫支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:05:53.52 ID:dBEgBNiDO<>
一心不乱に走り続け、気付いたら病院の隣のスポーツ公園にいた。

浜面「はあっ…はあっ…」

フレメア「…浜面」

浜面「うん?」

フレメア「大体降ろして」

浜面「お?おお、悪い」

浜面はずっと抱えていたフレメアを降ろした。浜面もフレメアも暗い顔をしていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:07:17.50 ID:dBEgBNiDO<>
フレメア「ねえ、浜面」

浜面「なんだ?」

フレメア「麦野はお姉ちゃんに悪いことしたの?」

浜面「…ああ」

浜面はどうするべきか悩んだ。このままだとどうしたってフレンダの話になる。

その時、フレンダのことを自分から伝えるべきか。麦野が伝える予定だったが、あの様子では無理かもしれない。

フレメア「そっか…でもお姉ちゃんは私が悪いことしても、最後は大体許してくれたから、麦野のことも許してくれると思う」

浜面「…」

フレメア「ねえ、浜面はお姉ちゃんがどこにいるか知らないの?」

言うべきか、否か。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:09:03.54 ID:dBEgBNiDO<>
浜面「…イヤ、分からないな」

フレメア「…そう」

浜面は言わないことにした。例えどんな理由があろうと、これは麦野が乗り越えなければいけない問題。そうでなければ、麦野はまた止まってしまう。

フレメア「なら、アクトは?」

浜面「アクト?」

聞き慣れない単語が耳に入ってきた。

フレメア「うん、アクトなら大体お姉ちゃんのことも知ってるはず」

浜面「イヤ、知らないな」

フレメア「そっか…」

あからさまにしょんぼりとしたフレメア。その姿はもはや見てて罪悪感すら生まれてきた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:10:19.91 ID:dBEgBNiDO<> 浜面「と、とりあえずなんか飲むか?喉乾いただろ?」

フレメア「うん…」

浜面「よっしゃ、何がいい?」

フレメア「じゃあ…あ!」

フレメアの表情が一瞬で明るくなった。そしてその瞬間フレメアは走りはじめた。

浜面「お、おい?」

どうしたのか分からない。とにかくフレメアの走る先を見る。そこには男が三人と女が一人の集団がいた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:11:22.38 ID:dBEgBNiDO<>
最初は先頭にいる青い髪の男に目がいった。だが、すぐに別の男に目がいった。ほんの十数時間前に見た男だ。

黒妻− 一気に頭の中で警戒信号が鳴り響く。

浜面「待て!フレメ−!」

フレメア「アクト!」

そう言ってフレメアは青い髪の男にとびついた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:13:20.97 ID:dBEgBNiDO<>
浜面「え…」

青ピ「久しぶりやな〜、フレメアちゃん」

フレメア「大体久しぶり、にゃあ」

青ピ「アハハ、相変わらずかわいらしい口調やね」

フレメアはずっと青い髪の男に抱きついてる。青い髪の男は腰を落としてそれにつきあってる。

訳が分からなかった。あそこにいるのは間違いなく黒妻だ。黒妻に仲間が複数人いるのは分かってた。だから、目の前の青い髪の男は黒妻の味方で俺らの敵で…?なんでそいつがフレメアと仲良く話してる?アクトって?

フレメアから目を反らして黒妻の方を見る。すると、それに気付いた黒妻は苦笑しながら両手を軽く挙げた。何もしないという意味だろうか?少なくとも左手にもった牛乳パックがなんかサインなんてことはないよな?

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:16:24.15 ID:dBEgBNiDO<>
フレメア「ねえ、アクト!お姉ちゃんがどこにいるか知らない?」

青ピ「え?」

フレメアの明るい声。次いで青い髪の男の疑問の声がした。そして、青い髪の男は浜面に目をやる。対して浜面は状況整理に精一杯で何もできなかった。

青ピ「…僕も知らんねん。フレメアちゃんなら知ってると思とったんけど」

青い髪の男の答えはノーだった。

フレメア「そっか…アクトも知らないんだ…」

青ピ「ゴメンなぁ。僕が分かったらすぐ連絡するさかい」

フレメア「うん…」

また落ち込むフレメア。彼女にしてみれば姉に繋がる最後の望みが途絶えたのだ。無理もないだろう。それを慰める様に青い髪の男はフレメアの頭をベレー帽ごしになではじめた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:17:50.82 ID:dBEgBNiDO<>
青ピ「なあ、フレメアちゃん。僕そっちのお兄さんと話があんねん。せやから、その間僕の後ろにおるお兄さんお姉さんと遊んでもらっててもええ?」

フレメア「…この人たちは?」

フレメアが青髪ピアスの後ろを覗きこむ。するとボサボサ頭の女、霧谷が軽く頭を下げた。

青ピ「僕の仲間でお友達や。僕に負けず劣らず愉快で楽しいで」

横須賀「ぬ…。」

黒妻「ハードルあがったな」

フレメア「分かった、にゃあ」

霧谷「…かわいい」

そして、フレメアは青髪ピアスから離れ、黒妻たちの方に行った。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:19:51.16 ID:dBEgBNiDO<>
そこで浜面の頭の中で警戒信号が再び鳴りはじめた。

浜面「待て!フレメア!」

<フレメアちゃん何がしたい?
<んー。じゃあ、缶けり
<缶なんかないぞ。
<じゃあ、私買って一気飲みしてくるんで

しかし、フレメアはこちらを振り向かない。黒妻をはじめとする他の連中も振り向かない。

青ピ「無駄やよ」

気付いたら背後に青髪ピアスがいた。

青ピ「僕の能力は自分で触れてるもんにも適用されんねん。音かて出力次第じゃジェット機のエンジン音くらいなら余裕や。まあ適用範囲は人一人や駆動鎧でいっぱいいっぱいやけど」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:22:08.11 ID:dBEgBNiDO<>
いきなり背後をとられた。それどころか駆動鎧という単語も出てきた。間違いなく敵である。

浜面「く…!」

とにかくマズイと思った浜面はとっさにベルトに挟んだ銃に手を伸ばす。

青ピ「探してるんはこれかな?」

しかし、銃は青髪ピアスの手の中にあった。絶体絶命。もはや殺されてもおかしくはない。

青ピ「警備員がぎょうさんおんのにこんなん持っとったらアカンよ。ちょっとの間没収や」

しかし、殺されることはなかった。それどころか背後から離れ、浜面の正面に青髪ピアスは出てきた。

浜面「な…?」

青ピ「言うたやろ?話があるて。心配せんでも君にもフレメアちゃんにも手ぇなんか出さへんよ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:23:22.13 ID:dBEgBNiDO<>
浜面「信用できるか!テメェは黒妻の仲間なんだろ!?」

青ピ「そうや。せやけど僕らは【原子崩し】の敵であって、『アイテム』の敵やない。黒妻はんかて十分正当防衛の範囲で【窒素装甲】に応戦したはずや」

浜面「…それでもよ…」

青ピ「…分かった。ほなこないしよ」

そう言って青髪ピアスは腕を挙げた。

青ピ「あそこに屋根のついたベンチあるやろ?あそこ行こうや」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/25(土) 18:30:56.80 ID:dBEgBNiDO<> 今回はここまでです。
いつもより早い時間での更新です。


レスありがとうございます。
毎回レスがあると嬉しいもんなんですね。


それと、先に言っておきますと、この作品は四部構成(三部構成?)です。なのでこの部が最後となります。
でも、エンディングが二回あります。よく分からないですよね。すいません。
まあ何が言いたいかって言うと、最後までお付き合いくださいってことです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/25(土) 19:39:54.46 ID:0BsFq3lSO<> 地獄の底まで付き合ってやろう
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/25(土) 20:05:36.56 ID:H75JbBYDO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/02/25(土) 22:47:22.86 ID:reWrfP7qo<> 麦のん格別支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:48:16.00 ID:bAd5xvXDO<>
<霧谷見っけ!
<げ
<隙ありー!とりゃー!
<スコーン!
<何ィ!?やるなフレメアちゃん!

青ピ「ここやったらフレメアちゃんになんかあってもすぐ駆けつけられるやろ?ほんで」

青髪ピアスはフレメア達と真逆の方向を指した。

青ピ「警備員の視界にもバッチリ入っとる。ここなら問題ないやろ?」

青髪ピアスと浜面は屋根のついたベンチにいた。と言っても二人並んで腰をかけているわけではなく、机を挟んで向かい合ったベンチにそれぞれ腰をかけていた。

浜面「…」

青ピ「あー…うん、たしかに僕が能力つこたら意味ないかしれんけどな?せやけど、他にどうしようもないやろ?」

一人でやたらと話しまくる青髪ピアス。浜面はまだ半信半疑だった。

コイツの能力はいまいち分からない。コイツは敵に違いない。麦野の敵なら俺の敵だ。なのになんでわざわざ自分に不利なところに誘導した?なんで仕掛けてこない?

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:49:20.37 ID:bAd5xvXDO<>
浜面「アクトってのは…お前の名前なのか?」

とりあえず、当たり障りのないところから触れることにした。向こうの目的が分からないなら、こっちから聞き出す。向こうは今すぐ何かをどうにかするつもりはないようだし、大丈夫だろう。

青ピ「うーん。そうやね、『今は』名前のが正しいかな」

浜面「今は?」

青ピ「僕な、自分の名前が分からへんねん。せやから僕の能力【隠密行動】(ステルスアクト)からとったのと、暗部のリーダーやってる『悪人』やから『アクト』や」

浜面「!」

確実に言った。コイツは暗部のリーダー。なら、コイツはあの時の駆動鎧の連中と同じ『新入生』−

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:50:26.94 ID:bAd5xvXDO<>
青ピ「…フレンダが考えてくれたんよ」

浜面「え?」

今なんて言った?フレンダがコイツの名前を?

青ピ「やっと君に言えるな」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:51:37.04 ID:bAd5xvXDO<>

青ピ「ホンマにありがとう。ほんで、ホンマにすまんかった」

浜面「…?」

青ピ「フレメアちゃんを『新入生』のバカどもから救ってくれたんは君なんやろ?ホンマにありがとう」

浜面「あ…」

青ピ「ほんで、君の仲間の【原子崩し】に手ぇ出してすまんかった。理由は知らんけど、今は君ら仲間なんやろ?」

浜面「…」

いきなり頭を下げる青髪ピアス。浜面の頭は再び混乱した。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:52:34.91 ID:bAd5xvXDO<>
浜面「お前はフレンダの…なんなんだ?」

青ピ「なんや、お父さんみたいな聞き方やね」

青髪ピアスはケラケラ笑った。たしかに混乱のあまり変な聞き方になった。

青ピ「彼氏やよ。一年近く前からずっと」

浜面「!」

コイツが…フレンダの…!?

浜面「…なるほどな。フレンダを殺された復讐って訳か」

青ピ「…半分正解や」

浜面「なに?」

青ピ「これ見てや」

そう言って、青髪ピアスは懐から何かを取り出した。それは三枚の写真だった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:53:59.37 ID:bAd5xvXDO<>
青ピ「昨夜この病院を駆動鎧が囲ったんも、第十九学区の大規模破壊も僕らが関わってるんや」

その写真に写っていたのは凄惨な姿になった人間だった。すべて別の人間だが、その姿の凄惨さはどれも同じくらいひどいものだった。

青ピ「昨夜のうちにその写真を統括理事会の連中全員に送りつけてやったんや。『新入生』が誰の管轄で動いてるか分からへんかったからな」

浜面「…じゃあこっちの二人は…」

青ピ「そ。君とフレメアちゃんを追いかけ回したバカどもや。ちなみに、そっちの二人は特殊メイクやのうて本気でズタズタにした」

浜面「…」

青ピ「その写真、見るヤツが見たら一発で分かるやろ。『セイヴェルンの血を二度と流すな』っちゅうメッセージやってな」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:54:56.04 ID:bAd5xvXDO<>
これが青髪ピアスと『ウォール』が動いた理由だった。愛した人間、その親族を守るために動いたのだった。これ以上、この街の狂気に付き合わせないために。

浜面「…なら」

青ピ「うん?」

浜面「なんで麦野は特殊メイクなんだ?お前が一番憎いのは麦野じゃ…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:56:07.51 ID:bAd5xvXDO<>

青ピ「なんや、殺ってええんか?それやったら今すぐにでも殺りに行くで」


浜面「−ッ!」

青ピ「…冗談や」

おそらく、冗談じゃなかった。一瞬感じた殺気は本物だった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:57:38.01 ID:bAd5xvXDO<>
青ピ「…あんなのでもフレンダが慕った女や。僕の自己満足のために殺しとうなかっただけや」

浜面「…」

青ピ「ま、こんな風に考えてる時点で自己満足やねんけどな。それでも殺す自己満足と殺さへん自己満足やったら殺さへん方がええやろ」

青髪ピアスの持論は変わらない。『人間、死んだらそこまで』。死んだ後で仇討ちだのなんだの言っても一喜一憂するのは生きてる人間だけ。死んだ人間は喜びもしないし悲しみもしない。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 22:58:53.50 ID:bAd5xvXDO<>
青ピ「正直、今すぐにでも殺してやりたい。フレンダのこと殺したことも忘れて楽しそうに笑っとったの見た時は血管ぶち切れるかと思ったで」

だが、それはしない。青髪ピアスはそれを良しとしない。彼の持論では、それでは彼自身が納得しないから。

浜面「…違う」

浜面が小さくつぶやいた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:00:24.33 ID:bAd5xvXDO<>
青ピ「あ?」

浜面「忘れてなんかいない。麦野は今だって死ぬほど後悔したんだ。自分で自分の居場所を壊して、それで…」

青ピ「ふん。そんなんしたかてなんも変わらんやろが」

浜面「変わるさ。麦野は自分の罪を受け入れて、また仲間と向き合えた。当然、その中にはフレンダもいる」

青ピ「…」

浜面「麦野はちゃんと謝ったよ。フレンダを含めた『アイテム』全員に。だから、麦野は前に進めるんだ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:01:15.95 ID:bAd5xvXDO<>


青ピ「…はぁ、アホくさ」

浜面「な!?」

青髪ピアスの態度は冷えきっていた。ついさっきまで恩人だと思っていた人間に対して完全に幻滅していた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:02:05.20 ID:bAd5xvXDO<>
青ピ「なぁにが麦野は前に進める、や。フレンダに謝った、や。フレンダがこの世におる訳ないやろ」

浜面「ちゃんと謝ったさ!アイツの墓前でちゃんと!」

青ピ「それはフレンダの『墓』に謝っただけでフレンダに謝ったわけやないやろ」

浜面「…それ、は」

青ピ「そんなんはそこいらの壁に向こうて言葉吐いてるだけや。そんなんでフレンダを殺した罪が軽くなってたまるか。なぁに自己満足に浸っとんねん。ふざけたことぬかすな」

浜面「麦野はそんな風に思ってない!アイツ今だって罪を背負って後悔してるんだ!お前は…お前はさっきの麦野を見てないからそんな風に言えんだよ!」

先ほどの病室での麦野が思い出される。自分の行為に後悔し、自ら命を絶とうとすらしていた。そんな人間が自分の罪が軽くなったなどと思うわけがない。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:03:14.38 ID:bAd5xvXDO<>
青ピ「知らんがな。せやけど、【原子崩し】が何をしようがフレンダには届かん。これだけは絶対覆らん。そうしたのは【原子崩し】自身や」

浜面「…」

淡々と言葉を浴びせる青髪ピアス。それに対して浜面の頭は怒りに燃えそうになっていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:04:28.91 ID:bAd5xvXDO<>

青ピ「ま、そうさせるんが僕の最大の『復讐』やねんけどな」

そう言って青髪ピアスは残酷な笑みを浮かべる。

浜面「…何?」

青ピ「人間、死んだらそこまでや。【原子崩し】は簡単には終わらせん。何千回でも何万回でも後悔して苦しめ」

青髪ピアスの持論はブレない。ここで麦野を殺せばそれで麦野という人間はいなくなる。そんなあっけない終わりなんか青髪ピアスは望まない。何千回でも何万回でも、何年でも何十年でも、後悔し、苦しみ、できることなら自らを呪って死ね。それが青髪ピアスの考える最大の復讐。

もちろん、青髪ピアスが麦野を殺すことはフレンダが望まない。という青髪ピアスにしてみれば自己満足的な考えもあった。だからこそ、この復讐は青髪ピアスの願いをすべて満たしているとも言えた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:05:33.13 ID:bAd5xvXDO<>
浜面「…そうかよ。でも、一つだけ言っておくぞ」

青ピ「なんや」

そして浜面は真っ向から宣言する。

浜面「麦野は強いぞ」

青ピ「…ふん、自己中の間違いやろ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:06:34.75 ID:bAd5xvXDO<>




<横須賀見っけ!
<残像だ。
<スコーン!
<何ィ!?
<黒妻もっかい鬼ー!
<クソッ!ジャケット使ったフェイクかよ!


青ピ「ホンマはフレメアちゃんを助けてくれた人たちのことも聞く予定やったんやけど、もうええわ。そんな雰囲気ちゃうしな」

そう言って青髪ピアスは席を立つ。

浜面「…どっちにしろ、アイツらはお前らみたいな暗部連中に会いたがらないだろうよ」

そして、浜面も席を立つ。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:07:49.67 ID:bAd5xvXDO<>
青ピ「かめへんよ。スキルアウトなら黒妻はんが顔効くから探してもらえるやろうし、第一位は地道に自分で探してお礼言うわ」

そう言って、青髪ピアスは先ほど浜面から奪った拳銃を無造作に返した。

青ピ「ほなな」

そして踵を返し、こちらとは対照的に無邪気に遊んでいる『ウォール』のメンバーを迎えに行こうとした。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:09:00.17 ID:bAd5xvXDO<>
浜面「ちょっと待てよ」

その背中に浜面は声をかけた。次いで、怪訝そうに振り向く青髪ピアスに紙切れを渡した。

青ピ「…なんやこれ」

浜面「フレンダの墓の番号だ。第十学区の墓地に行って、その数字を打ち込めば出てくる」

それを聞いて、青髪ピアスは思い切りため息をついた。

青ピ「あんなぁ、墓なんてただの飾りやろ。そこにフレンダがおるわけやないやん」

先ほど散々言った持論。それがまだ分からないのかと呆れていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:10:34.39 ID:bAd5xvXDO<>
浜面「でも、いないと証明できるもんはないだろ?」

青ピ「証明て…」

浜面「いいから行ってやれよ。フレンダが可哀想だ」

フレンダは墓はただの飾りかもしれない。だがそれは証明できない。

フレンダの墓はただの飾りではないかもしれない。でも、それも証明できない。

なら、行ってやれ。それが浜面の考えだった。

青ピ「…アホくさ」

そう言いながらも青髪ピアスは学生ズボンのポケットに紙切れを突っこんだ。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:11:34.99 ID:bAd5xvXDO<>



青ピ「お〜い、そろそろ行くでぇ」

フレメア「えー、もう行っちゃうの?」

そろそろ帰るとの号令に、開口一番でフレメアが文句を言った。

青ピ「ゴメンなぁ、フレメアちゃん」

そんなフレメアに対して青髪ピアスは再び腰を落としてフレメアの頭をベレー帽ごしに撫でた。浜面はそれを青髪ピアスの後ろから見ていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:12:40.01 ID:bAd5xvXDO<>
フレメア「アクトと浜面も缶けりしようよ!」

黒妻「まあまあ、フレメアちゃん」

尚もねだるフレメアの肩に、ポン、と黒妻が手を置いた。さすがに、もう飲み干したのか牛乳パックは持っていなかった。

黒妻「いいか?遊びってのはちょっと遊び足りないくらいがちょうどいいんだ。そしたら次遊ぶ時に誘いやすいだろ?」

フレメア「! じゃあまた遊んでくれる!?」

黒妻「おう!次はフレメアちゃんの友達も入れてな!」

フレメア「ぃやったー!」

小踊りして喜ぶフレメア。それは見ていて微笑ましいものだった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:13:53.84 ID:bAd5xvXDO<>
霧谷「…だそうなんで」

横須賀「ぬ…。また子どもの遊びに付き合うのか。」

霧谷「イヤ、さっき一番イキイキしてたの横須賀さんなんで」

横須賀「黒妻だろう?」

黒妻「霧谷だって楽しんでたろ。ま、こうゆうのはみんなでバカやるから楽しいんだよ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:14:58.34 ID:bAd5xvXDO<>

フレメア「ね!ね!アクト!それに黒妻と横須賀と霧谷も!」

アクト「なんや?」

フレメア「アドレス交換、にゃあ!」

そう言ってフレメアは目を輝かせながら携帯電話を取り出した。

霧谷「私たちもよろしいんで?」

フレメア「うん!電話帳が増えるのは大体嬉しい!」

青ピ「そやなぁ。そう言えばまだしてへんかったもんな」

青髪ピアスとフレメアも未だ互いの連絡先を知らなかった。だからこそ、フレメアはアクトの居場所を聞いて回っていたのだった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:17:02.79 ID:bAd5xvXDO<>



青ピ「よし、ほなもういくわ。またな、フレメアちゃん」

アドレス交換も終わり、青髪ピアスは笑顔で別れを告げた。

フレメア「うん、私がお姉ちゃんのことなにか分かったら教えてあげるからね!バイバーイ!」

対してフレメアも笑顔で手を振る。

横須賀「では。」

霧谷「これで」

黒妻「っと、そうだ。【窒素装甲】の子にすまなかったって言っておいてくれ」

浜面「…ああ」

笑顔で去りゆく『ウォール』のメンバーに浜面だけが難しい顔をしていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:18:07.21 ID:bAd5xvXDO<>
浜面「…楽しかったか?」

フレメア「うん!みんな大体いい人だった」

浜面「そっか」

フレメア「ねえ、アクトと浜面はなんの話をしてたの?」

浜面「なんでもねえよ。ただの世間話だ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/26(日) 23:22:46.84 ID:bAd5xvXDO<> 今回はここまでです。
結構な量放出しました。

レスありがとうございます。
地獄の底まで付き合ってくれる読者がいる自分は幸せ者です。


やっぱり麦野支援が多いな。
タイトルの割に出番少なくて申し訳ないです。
でも、次でメインです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 23:33:24.39 ID:Pov+d1WDO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/26(日) 23:37:46.36 ID:kNGdbqQzo<> 乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/02/27(月) 00:22:30.15 ID:tI2U4EXMo<> 麦のん瞬間支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/27(月) 09:08:13.24 ID:jKVY2rAXo<> 青ピイケメン <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/02/27(月) 18:04:36.56 ID:Q4K/igYn0<> おつ
>>214
黒妻サンwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:41:24.31 ID:oy9AuJRDO<>



麦野「う…」

とある病室。左腕をなくした少女は再び目を覚ました。

絹旗「起きました?」

滝壺「むぎの、今度は大丈夫?」

麦野「…ああ」

心配そうに覗き込む二人の少女がいた。滝壺は椅子に座っていて、その後ろに三角巾で肩を固定している絹旗が立っていた。

それを確認し、一呼吸おいたところで麦野は先ほどのことを思い出した。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:42:17.26 ID:oy9AuJRDO<>
麦野「悪かったわね。みっともないところ見せちゃって」

起き上がる気力もなく、横になったまま話しはじめる。

絹旗「…かまいませんよ」

滝壺「…ねえむぎの、昨日は一体何があったの?フレンダのことも関わってるの?」

絹旗も滝壺も今回の事件の詳細をほとんど知らない。分かっているのは麦野が何者かに襲われたということだけである。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:43:51.15 ID:oy9AuJRDO<>
麦野「…昨日、絹旗と別れたあとすぐに襲撃されたんだ。Level5の第六位で元暗部のリーダーだそうだ」

滝壺「!」

絹旗「元暗部のLevel5!?」

二人は衝撃を受けた。麦野と同じクラスの怪物が襲撃してきたのだ。うっすらと、『アイテム』が解散するきっかけとなったあの日のことが脳裏に浮かぶ。

絹旗「…でも一体何で麦野を?超下克上でも狙ってきたんですか?」

滝壺「何かの逆恨み?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:45:06.56 ID:oy9AuJRDO<>
麦野「…フレンダの…彼氏だそうだ」

滝壺「えっ」

絹旗「フレンダに彼氏!?聞いてませんよそんなこと!」

一様に驚く二人。どうやら、『アイテム』の人間全員がフレンダに彼氏がいることを知らなかったようだ。

麦野「フレメアが言ってた『アクト』っていただろ?そいつだ」

絹旗「そんな…」

滝壺「…」

麦野「私にも質問させてくれる?私はそいつに撃たれて殺されたと思ったんだけど、どうしてここにいるのかしら?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:46:34.00 ID:oy9AuJRDO<>


麦野「ふうん。ゴム弾で急所を外して特殊メイク、ね」

麦野は話を聞いている最中に起き上がっていた。未だに頭がぼんやりするのは、昨晩の脳震盪のせいか、鎮静剤のせいなのかは分からない。

絹旗「ええ。一体何が狙いだったんでしょうか」

麦野「さあね。何回でも襲撃して何回でも苦しめてやる、とかかしら」

実際は青髪ピアスにそのつもりはない。少なくとも今は。しかし、『新入生』への襲撃の理由どころか襲撃そのものを知らない三人には青髪ピアスの目的は分からなかった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:49:06.92 ID:oy9AuJRDO<>
滝壺「むぎのにそんなことできる様な能力者なの?」

麦野はLevel5第四位。そんな人間に奇襲をしかけたとしても、常に成功し続ける人間がいるとは思えない。

麦野「…表向きの第六位は謎だらけだけど、どんな能力かくらいなら聞いたことがある。確か姿から何から消せるような能力だ。正々堂々のタイマンなら負ける気はしねぇが、奇襲となるときついな」

滝壺「AIM拡散力場も消せるの?」

麦野「さあ?私も前に興味本位で誰かに聞いただけだし」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:50:56.82 ID:oy9AuJRDO<> 絹旗「でも…仮にそうだとして、どうするんです?そいつに警戒しながら過ごすとか超ストレスたまりそうですが…」

相手がは近づいていてもこっちはどこにいるのか分からない。そんな能力者に追われるとなると、四六時中警戒しなければならない。

だが、麦野の答えはシンプルだった。


麦野「別になにもしない」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:52:30.90 ID:oy9AuJRDO<>
絹旗「なにも…ですか?」

麦野「襲いかかってくるなら来ればいい。それならアイツの気も少しは晴れるだろ」

滝壺「…でも」

麦野「こっちも応戦しないわけじゃない。私はアイツにとって悪役だ。なら、悪役は悪役らしくふんぞり返って生きるさ」

麦野は最初から決めていた。フレメアに対してもそうするつもりだった。謝りはすれど、許してもらうつもりはない。だから、第六位が襲ってこようが、後にフレメアが仇討ちにこようが逃げたりはしない。すべて真っ正面から付き合う。

それが麦野の決意だった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:53:26.22 ID:oy9AuJRDO<>
麦野「それと、アンタ達はもう私に近づくな」

絹旗「え…?」

滝壺「どうして?」

麦野「時が過ぎればからめ手に回ってくるかもしれない。そうなったら、一番先に狙うのは『アイテム』だ」

滝壺「…」

絹旗「…」

麦野「向こうが私を苦しめるつもりなら私のことを簡単に殺しはしないだろ。今回みたいにね。でも、アンタ達は別。私に精神的ダメージを与えるつもりならあっさり殺すでしょ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:55:32.32 ID:oy9AuJRDO<>
絹旗「超いい加減にしてください」

絹旗が怒ったような表情で凄んだ。

麦野「…なによ」

絹旗「何回言わせるつもりですか。フレンダに関しては私にだって超責任はあります。麦野に全てを押しつけて私はのうのうと暮らせって言うんですか?」

麦野「だから言ってんだろ!?アンタに責任なんかない!全部私が悪いの!」

絹旗「勝手に人の責任まで奪わないでください!これは私の責任です!」

滝壺「二人とも」

いつの間にか熱くなっていた怪我人二人を滝壺が制した。

滝壺「ここは病院だよ。こんなにうるさくしてたら、また看護師さんが来るよ」

絹旗「…すいません」

麦野「…チッ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:56:53.22 ID:oy9AuJRDO<>
滝壺「それと、二人とも間違ってる」

絹旗「はい?」

麦野「ああ?」

滝壺「仲間の責任とか罪っていうのは一人でもつものじゃない。みんなで背負っていくものだよ?」

絹旗「…」

麦野「あのなあ、滝壺。アンタはあの日、フレンダに関してなにもしてなかっただろ?」

滝壺「それでも、一緒に背負いたい。だって私たちは仲間でしょ?」

麦野「…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:57:52.42 ID:oy9AuJRDO<>
滝壺「あの日『アイテム』はバラバラになっちゃったけど、また一つになれた。でも、フレンダのことで私だけなにも背負わなかったら、またバラバラになると思う」

滝壺はまるで聖人君子の様に諭す。今の滝壺の言葉にはなにか吸い込まれるような力があった。

滝壺「だから、仲間が仲間に犯した罪とその責任はみんなで背負うべきだと思う」

そこまで言って滝壺は二人を見回す。二人表情からは毒気が抜けた様だった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/27(月) 23:58:54.23 ID:oy9AuJRDO<>
絹旗「そう…ですね」

麦野「はぁ…相変わらず、お人好しね。自分のこと殺そうとした人間を受け入れて、挙げ句そいつの罪まで背負うなんて」

本当にどうかしてる。きっと自分にはそんなことはできない。

麦野「でも」

そんなお人好しが自分の周りにいるから、自分はあの時本物の化け物にならずにすんだ。まだギリギリ人間でいられた。

麦野「ありがとう。本当に…」

麦野の目から涙がこぼれた。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 00:00:21.18 ID:CugdWOsDO<>


浜面「お、起きてたか。」

しばらくすると、浜面がフレメアを連れて病室に入ってきた。

麦野「ええ」

フレメア「麦野、もう大丈夫?」

麦野「…ええ、大丈夫。でもね、フレメア。私はあなたに心配してもらえる資格なんてないの」

フレメア「?」

心配したフレメアに麦野は向き直った。そしてその顔は神妙な面持ちをしていた。

麦野「フレメア、あなたに話さなければいけないことがあるの。あなたのお姉ちゃん…フレンダのことよ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 00:02:07.24 ID:CugdWOsDO<>

フレメア「そう言えば、麦野は大体教えてくれるって言ってた」

今思い出した。そんな風な顔をしたフレメアを浜面を含む『アイテム』全員が見ていた。

フレメア「ねえ、お姉ちゃんはどこにいるの?」

麦野「…あなたのお姉ちゃんは…フレンダは…」

そこで、麦野は目をつぶり深呼吸する。そして、意を決した様に目を開ける。






麦野「…私が殺した」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 00:03:30.52 ID:CugdWOsDO<>

フレメア「え?」

何を言っているのか分からない。そんな風にフレメアは首をかしげた。

麦野「…許されることじゃないことは分かってる。それでも−」

フレメア「ちょ、ちょっと待って!」

フレメアは慌てて両手を振る。もはや完全に混乱していた。

フレメア「大体、何を言ってるの?」

麦野「…」

フレメア「嘘…だよね?だって麦野は私にパフェをおごってくれて…お姉ちゃんの仲間で…」

たった今聞いたことを否定もらおうとフレメアは必死だった。しかし、幼い少女には辛すぎる現実が逆にそれを否定した。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 00:05:23.28 ID:CugdWOsDO<>
麦野「…ごめんなさい、変な真似しなければよかったわね」

フレメア「嘘…」

麦野「私はたしかにフレンダの仲間だった。でも、私はフレンダを殺したの」

フレメア「…」

麦野「…許してもらおうなんて微塵も思ってない。でも謝らせて。本当に−」

フレメア「−ッ!」

浜面「あ…おい!」

フレメアは病室から飛び出した。その瞳いっぱいに涙をためて。

浜面「フレメア!」

出ていくフレメアを浜面は追い掛けようとした。しかし、病室から出るとすでにフレメアの影は消えていた。



麦野「…ま、こうなるわよね」

分かってはいた。覚悟もしていた。それでも麦野は自嘲した笑みを浮かべた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 00:09:43.01 ID:CugdWOsDO<> 今回はここまでです。


レスありがとうございます。
毎回レスがもらえて、しかも増えていくもんだから嬉しいです。


物語も佳境に入って参りました。
このペースのまま最後まで行きたいです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/28(火) 00:13:43.45 ID:o8yQomZDO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/28(火) 00:15:14.36 ID:51ULTFDZo<> 乙

大丈夫だ。
姉一人どころか、姉妹一万人近く殺した男に懐いている幼女だってその街にいるんだからな


と、酷い冗談は置いて……
頑張れ浜面。お前が繋ぐんだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/02/28(火) 19:59:17.63 ID:yFTZLepdo<> 麦のん全開支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:17:25.85 ID:CugdWOsDO<>
−嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ。

幼い少女は病院の廊下を駆ける。まるでなにかから逃げる様に。

−あの優しいお姉ちゃんが死ぬ訳がない。しかもお姉ちゃんが仲間に殺されるはずがない。嘘だ嘘だ嘘だ。

看護師が、医師が、彼女を咎める。しかし少女は駆け回る。たった今聞いた懺悔から逃れる様に。

−大丈夫!お姉ちゃんは生きてる!きっと…きっとなにかトラブルがあって会えないだけ!

しかし、それを否定する材料が揃いすぎている。

−ただのトラブルならなんで電話に出ないの?なんでメールも返してくれないの?今までどんな忙しくても会いに来てくれたのに、なんで会いに来てくれないの?

そこで、少女はつまづいた。膝から落ちてゴロゴロ転がった。いつの間にか病院の外にいたのでコンクリートで膝を擦り剥いた。

フレメア「ふ…ぅ…うぅ…」

そして、また涙が出てくる。どうしようもなく深い悲しみが少女を襲う。

−…そうだ。知らせてあげなきゃ

少女は涙をこらえて使命感を思い出す。そして携帯電話を取り出した。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:18:48.31 ID:CugdWOsDO<>

携帯電話の相手はすぐに出てくれた。

青ピ『もしもしフレメアちゃん?どないしたん?』

相変わらず、おかしな関西弁。それだけでほんの少しだけ気持ちが和らいだ

フレメア「あの、ね。お姉ちゃんのこと、分かったの」

どう声を出しても震えてしまう。だが、しゃべるだけで精一杯だった。

青ピ『! ホンマか?』

フレメア「うん。それ、でね?お姉ちゃんは、お姉ちゃんは…」

ダメだ。また涙が出てくる。

青ピ『…フレメアちゃん。今病院か?』

フレメア「? うん。大体病院の前」

青ピ『ちょっと待っとって。すぐに行くさかい』



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:20:26.46 ID:CugdWOsDO<>


ほんの数分で来てくれた。さっきの友達も来てくれた。

青ピ「フレメアちゃん!」

フレメア「う、アクト…アクトぉ!」

もう限界だった。さっきまで堪えてた全てのものがあふれ出た。

フレメア「うわああああああああん!!!」

思わずアクトに抱きついた。アクトはとっさに腰を落として受けとめてくれた。

青ピ「フレメアちゃん…」

そして、抱きしめ返してくれた。

フレメア「ヒグッ!…お姉ちゃんが…お姉ちゃんが…うぅ…!」

青ピ「…無理にしゃべらんでええ。思い切り泣いてええよ」

フレメア「うぅ…うああああああああん!」

結局、伝えられなくて、いつまでも泣いていた。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:23:00.31 ID:CugdWOsDO<>


青ピ「…落ち着いた?」

フレメア「グスッ…大体、落ち着いた…」

あれからフレメアはずっと泣いていた。何回か泣き止みそうになったのだが、フレンダのことを伝えようとする度に悲しみがこみあげて大泣きした。

青髪ピアスはその間ずっとフレメアを抱きしめていた。また、フレメアの気が済むまで誰にも邪魔させないために能力を使って誰にも気付かれないようにしていた。

霧谷「フレメアちゃん」

霧谷がウェットティッシュをさしだした。フレメアの顔は涙や鼻水でグシャグシャだった。

フレメア「ありがとう、にゃあ」

ティッシュをもらい、顔中を拭う。なにやら少しだけさっぱりした気がした。

青ピ「大丈夫そうやね」

フレメア「うん。アクトも、それにみんなも、来てくれてありがとう」

ペコリ、とフレメアは頭を下げた。

それに対して黒妻は笑って手を振り、横須賀は軽く顔を背けた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:24:20.47 ID:CugdWOsDO<>
フレメア「それでね、アクト。お姉ちゃんのことなんだけど…」

青ピ「そうやったね…」

フレメア「あの、ね…」

再び涙がこみあげてきた。しかし、それをこらえて少女は真実を告げる。


フレメア「お姉ちゃん…殺されちゃった、って…」


青ピ「…そう、か…」

フレメア「…」

先ほどまで少しだけ明るかった空気は一気に暗くなった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:25:13.55 ID:CugdWOsDO<>
フレメア「アクトは…」

青ピ「うん?」

フレメア「お姉ちゃんのこと聞いてショックじゃないの?」

フレメアは純粋に疑問だった。自分は姉が殺されたと聞いて、世界が崩壊したと錯覚するくらいショックを受けた。でも、目の前の男はそれほどショックを受けていない様に見えた。

青ピ「…ショックやよ。めちゃめちゃ。せやけど、フレンダと連絡つかんようになってから、もしかしたらって思うてたんや」

フレメア「…そっか…」

しかし、青髪ピアスのそれは嘘だった。正確にはそれはフレンダのことを調べる前の状態。調べた後はフレメアと同じく、世界が崩壊したように感じていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:26:57.27 ID:CugdWOsDO<>
フレメア「ねえ、アクト。お願いがあるの」

青ピ「なんや?」

フレメア「えっと…お姉ちゃんを…殺したって言う人がね、この病院にいるの」

青ピ「…うん」

フレメア「それで…私はその人とお話がしたいの。でも、ちょっとだけ怖いから…だから、大体ついてきてほしい」

青ピ「…それでええんか?」

青髪ピアスは思わず聞き返した。やっつけてくれ、とかそんな感じのことを頼まれると思っていたのだ。だが、フレメアはついて行くだけでいいと言う。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:28:00.34 ID:CugdWOsDO<>
フレメア「うん。大体それでいい、にゃあ」

青ピ「…分かった」

この時、青髪ピアスは再び【原子崩し】に怒りを覚えた。姉を殺した人間と話がしたいなど、こんな少女が自分から思う訳がない。

だが、フレメアは話がしたいという。これは【原子崩し】とフレメアが浅からぬ関係になっている証拠に違いない。フレンダを殺しておいてよくも、と青髪ピアスは心中で毒づいた。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:29:33.76 ID:CugdWOsDO<>

横須賀「ちょっと待て!」

不意に横須賀が青髪ピアスの肩を掴んだ。

青ピ「−ッ!だからそこ痛いんやって!」

横須賀「ああ、スマン。じゃない!」

そう言って横須賀は頭をぶるんぶるんと振った。

横須賀「正気か!?なんの策も無しに【原子崩し】の前に立つなど愚の骨頂だぞ!」

何せ相手はLevel5の第四位。おまけに明らかに敵である青髪ピアスを見て何もしない訳がない。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:31:02.03 ID:CugdWOsDO<>
青ピ「大丈夫やって。心配しすぎや」

横須賀「普段のお前なら考えなくもないが、そんなボロボロの状態だぞ!?まともに逃走すらできんだろ!」

青ピ「戦うんならな。せやけど、ここは病院やで?自分の入院してる病院を自ら血まみれの戦場にするヤツがおるか?」

横須賀「しかし…!」

青ピ「安心してや。なんも起こらへん。起こっても、フレメアちゃん連れてちゃんと帰ってきたる」

横須賀「…勝手にしろ。」

尚も反論しようとした横須賀だったが、これ以上は無駄だと判断し、引き下がった。

青ピ「…ほな、行こか」

青髪ピアスはフレメアの手を取り、病院に入って行った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:32:57.13 ID:CugdWOsDO<>
フレメア「大丈夫」

青ピ「ん?」

フレメア「大体、麦野はそんなことしない」

青ピ「…そうか」

この時、フレメアにしてみれば青髪ピアスたちがフレンダを殺した人間を知っているのはおかしいはずだった。しかしフレメアはそれに気付かない。フレメアの心中はそれ以外でいっぱいだったから。

そして、青髪ピアスはフレメアが【原子崩し】を信用している口振りを見て、再び思う。

青ピ(【原子崩し】め…)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/28(火) 23:39:24.52 ID:CugdWOsDO<> 今回はここまでです。


レスありがとうございます。
安定の麦のん支援ですね。

さて、次回エンディングです。
まだ書ききってないから明日投下できるか分かりませんが。
つっても前に宣言した通りなんで。
では、最後までよろしくお願いします。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/02/29(水) 00:21:41.72 ID:R0FQ7d8do<> 麦のん全弾支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/29(水) 02:56:14.35 ID:0C5tXrdDO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/29(水) 07:48:42.44 ID:F0OTml8No<> 青ピ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/03/02(金) 20:23:52.38 ID:ufjP5aGDO<> エンディング直前にして>>1は力尽きたか…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/02(金) 23:17:13.69 ID:W73DJ5oDO<>
病院のエレベーターを使い、目的の階へと到達する。そして、エレベーターから降りて目的の病室へと向かう。だが、その間にフレメアが青髪ピアスの手を握る力が徐々に増していった。

青ピ「大丈夫か?フレメアちゃん」

フレメア「…うん。大体、平気」

だが、フレメアの顔色は明らかに悪かった。それでも、病室に向かう足を止めようとはしない。

そして、目的の病室にたどり着く。その病室は個室で、今は扉が閉まっていた。

ギュッ、と握る力が強くなる。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:18:36.20 ID:W73DJ5oDO<>
青ピ「…ええか、フレメアちゃん」

フレメア「なに?」

青髪ピアスは腰を落とし、目の位置をフレメアと同じ高さにまで落とした。そして、フレメアの両肩を優しく掴んだ。

青ピ「なんかあっても絶対僕が守ったる。せやから、自分の好きな様にしたらええ」

一度は守り切れなかった。病室の向こうにいる死神はいとも簡単に人の命を奪う。でも、今度は守ってみせる。例えすべてを貫通する力が襲い掛かってきても、絶対に。

フレメア「…わかった」

その言葉を聞いて、フレメアは少し安堵したようだった。そして、扉の前で一度深呼吸し、その扉を開けた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:19:49.44 ID:W73DJ5oDO<>



絹旗「フレメアは大丈夫でしょうか…」

滝壺「はまづらが探してるから大丈夫だよ」

麦野「その浜面が拒絶されなければ、ね」

滝壺「…」

病室は暗い空気に包まれていた。それもそのはずである。

フレメアが出ていってからすでに何十分も経過していた。もしかしたら、もう二度と会うことはないかもしれない。

覚悟はしていたが、仲間の妹、それもかなり打ち解けていた子とこれ以上ないくらいに最悪の別れとなった。

病室にいるだれもがうつむいていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:20:51.92 ID:W73DJ5oDO<>

ガラッ、と病室の扉が開いた。おそらくは浜面が戻ってきたに違いない。

絹旗「浜面、フレメアは…」

しかし、現れたのは浜面ではなかった。

一人はもはや二度と会うことはできないと思ってた少女。そして、もう一人は−
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:22:45.18 ID:W73DJ5oDO<>
麦野「テメェは…」

麦野はすぐに警戒心をあらわにした。ほんの十数時間前に自分を拘束して発砲した男だ。当然である。そして、絹旗と滝壺はフレメアの連れてきた謎の大男にポカンとしていた。

青ピ「安心してや。僕はフレメアちゃんに頼まれて一緒に来ただけや。フレメアちゃんに手ぇ出さん限りなんもせぇへんよ」

ポケットに手を突っ込み、薄っぺらな笑顔で青髪ピアスはしゃべる。

フレメア「アクト、麦野のこと知ってるの?」

フレメアはようやく青髪ピアスと麦野が面識があったという事実に気付いた。

滝壺「! あくと…?」

絹旗「! こいつが…!」

アクトという名前を聞き、滝壺も絹旗も一気に警戒心を強める。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:23:42.49 ID:W73DJ5oDO<>
青ピ「…そうやね、ちょっとばかし前にケンカしたっちゅうとこかな」

それに対してなんの反応もせずに青髪ピアスはフレメアの質問に答えた。

フレメア「そう、なんだ…」

それを聞いてフレメアは困ったような顔をした。だが少しばかり考えた後、意を決した様に麦野に話しかけた。

フレメア「麦野、ちょっと話がしたいの」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:26:46.02 ID:W73DJ5oDO<>
麦野「…かまわないわ」

滝壺「ふれめあ、これ座っていいよ」

そう言って滝壺は自分の座っていた椅子をフレメアに差し出した。少なくとも、滝壺の方はフレメアの意志を汲み取ったらしく少し警戒を解いたようである。

フレメア「ありがとう」

そしてフレメアは自分には少しだけ大きい椅子に腰をかけた。

フレメア「麦野」

麦野「…なにかしら」

そこでフレメアは大きく深呼吸をした。もう一度、辛い現実と向き合うための準備である。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:28:01.44 ID:W73DJ5oDO<>
フレメア「麦野が…お姉ちゃんを殺したっていうのは…本当なの?」

震えた声で、途切れ途切れにフレメアは話した。

麦野「…ええ、そうよ」

瞬間、フレメアはまた少し泣きそうになった。さらにその後ろで青髪ピアスの表情がピクリと動いた。

フレメア「…じゃ、じゃあ…麦野たちがお姉ちゃんのの仲間っていうのも本当?」

泣きそうになりながらもフレメアは言葉を紡ぐ。

麦野「…そう、ね。フレンダは今も仲間だなんて思ってくれないでしょうけど」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:29:38.11 ID:W73DJ5oDO<>
青ピ「…」

青髪ピアスは一瞬口を挟みそうになった。しかし、思いとどまる。今はフレメアと【原子崩し】の時間。自分の出る幕ではない。

フレメア「…じゃあ」

フレメアはしゃべりはじめる。両手を握りしめて。

フレメア「なんでお姉ちゃんを殺したのか教えて」

決意を新たに、フレメアは言い放った。その決意はしっかりと言葉にも表れていた。

麦野「…それは」

麦野は口をつぐんだ。自分の行為をしゃべりたくない訳ではない。ただ、幼い少女には刺激が強すぎること、この街の一番汚いことに触れること、そしてその汚いことにフレンダが手を染めていたこと。それらを考慮した上でどこまでどのように話すべきか悩んだのだ。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:32:04.71 ID:W73DJ5oDO<>
青ピ「吐け。洗いざらい全部や」

青髪ピアスが強い口調で言い放った。

麦野「…」

青ピ「お前は姉を殺した人間の前に出てでも真実を知ってみせるっちゅう少女の決意まで殺す気なんか?」

いくらフレメアが見知った人間でも、その人間が姉を殺したと知った上でその人物の前に姿をさらすことは簡単にできることではない。

しかし、それでもフレメアは自らの意思でここに来ると言ったのだ。そこまでしたフレメアには当然全てを知る権利がある。青髪ピアスはそう思っていた。

麦野「…分かったわ」

その一言で麦野も踏ん切りがついた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:33:16.13 ID:W73DJ5oDO<>




麦野「…これで全部よ」

麦野は話した。学園都市の裏のことも、『アイテム』のことも、『スクール』と対峙したことも、どうして、どうやってフレンダを殺したのかも。そしておそらく、いや、確実にそれが間違っていた行為で許されない行為であることも。

フレメア「…」

フレメアの顔色は完全に悪くなっていた。異様に発汗もしている。体も震えている。絹旗も滝壺も麦野も、後ろに立っていて顔色が伺えない青髪ピアスすらも、一旦中断した方がいいのではないかと思っていた。

フレメア「…お姉ちゃんはね」

だが、フレメアは話しはじめる。体は震えていても、しっかりした口調で。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:34:50.87 ID:W73DJ5oDO<>
フレメア「私に会いに来ると一緒に遊んでくれたの。私たちにはお父さんもお母さんもいなかったから」

麦野「…」

フレメア「えっと…私は『置き去り』で…最初はお姉ちゃんと違う施設にいたんだけど…えっと…今は『置き去り』の施設にいて…」

言葉がまだうまくまとまっていないようだった。それでも話し続ける。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:36:01.65 ID:W73DJ5oDO<>
フレメア「それで…『置き去り』の施設に移った時にお姉ちゃんは一緒に来なかったの。住むところが見つかったからって。私も一緒に行きたかったけど、まだ小さいから来ちゃダメだって…」

絹旗「…そうだったんですか」

フレメア「うん。でも、よく私に会いに来てくれた。何してるのか聞いても教えてくれなかったけど…大体問題ないって言ってた」

滝壺「…」

フレメア「それでね、いつも話すことは…大体友達のことだった」

麦野「!」

フレメア「強くてカッコいい友達と、マイペースでのんびり屋さんの友達と、小さくて元気な友達のお話。」

麦野「…」

滝壺「…」

絹旗「…」

フレメア「大体、みんなのことだよね?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:37:20.78 ID:W73DJ5oDO<>
そういえば不思議だった。他人にあれだけ警戒していたフレメアが、フレンダの仲間と言っただけで疑いもせずにあそこまですんなりと心を開いたのだ。おそらく、フレンダから話を聞いていたのだろう。

フレメア「友達のお話をする時、お姉ちゃんはいつも楽しそうだった。自分の居場所だ、ってちょっと自慢してた。お姉ちゃんがアクトと出会うまでは大体その話だった」

滝壺「…」

フレメア「だから…みんなが本当はいい人だっていうのは大体分かる」

絹旗「…そんな」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:38:20.59 ID:W73DJ5oDO<>




フレメア「…でも、麦野はお姉ちゃんを殺した」

麦野「…」

フレメア「お姉ちゃんの、仲間なのに」





<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:40:52.51 ID:W73DJ5oDO<>
絹旗「超待ってください!」

絹旗が耐え切れずに叫んだ。

絹旗「悪いのは麦野だけじゃありません!フレンダを切り捨てて自分だけ脱出した私にも超責任はあります!」

滝壺「私も…自分だけ悪くないなんて思ってないよ」

二人ともフレメアに向かって主張する。きっとそれは麦野を庇うという意味もあるのかもしれないが、きっと本心で主張しているのだろう。

絹旗「麦野だけの問題じゃありません!」

滝壺「私たち『アイテム』全員に責任はある」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:42:12.76 ID:W73DJ5oDO<>
フレメア「…わかった」

そして、フレメアはそんな三人を見つめて神妙にうなずく。フレメアは自分の姉の顔を思い出していた。

フレメア「お姉ちゃんのお墓はあるの?」

麦野「…ええ、第十学区に」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:43:47.50 ID:W73DJ5oDO<>



フレメア「…なら、みんなお姉ちゃんのお墓の前でお姉ちゃんに謝って。私とアクトの前で。そして、お姉ちゃんのお墓の前で私とアクトにも謝って」




三人の謝罪の気持ちはフレメアに届いていた。そして、フレメアは自分が悪いことした時、ちゃんと素直に謝ったら姉はどうしてくれたかを思い出していた。

その上で思う。こんなにも申し訳ない顔でひたすらに訴えかける仲間のことを姉が許さないはずがない、と。

フレメア「それでも私自身は許すことはできないと思うけど…えっと…」

青ピ「…少しだけ納得はできる、か?」

フレメア「うん、大体それ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:45:20.66 ID:W73DJ5oDO<>

麦野「…分かったわ。土下座でもなんでもする」

絹旗「超当然です」

滝壺「…でも、今も謝らせて。ふれめあ、あくと、本当にごめんなさい」

次いで絹旗も頭を下げる。

絹旗「本当に申し訳ありませんでした」

そして、麦野も

麦野「ごめんなさい…本当に、ごめんなさい…!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:46:25.74 ID:W73DJ5oDO<>

フレメア「…じゃあ、私はそろそろ行くね」

そう言って、フレメアは椅子から降りた。

青ピ「もう、ええの?」

フレメア「大体いい、にゃあ」

そう言って、フレメアは青髪ピアスの手をとった。

滝壺「フレンダのお墓に行く時はまた連絡するね」

絹旗「ええ、その時はサバ缶でも買ってきます」

麦野「…さようなら、フレメア」

フレメア「うん、またね」

そう言って、フレメアと青髪ピアスは病室から出て行った。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:47:45.35 ID:W73DJ5oDO<>




トンッ、と扉の閉まる音がした。

フレメア「…っはぁ…」

一気に緊張の糸が切れたのか、フレメアは軽く息を吐いた。

一呼吸おいて、二人は病院の廊下を歩き始めた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:49:03.82 ID:W73DJ5oDO<>
青ピ「フレメアちゃん」

フレメア「…なに?」

青ピ「フレメアちゃんは強いなぁ」

フレメア「え…?」

青ピ「あんな話聞いて泣きださんどころか立派にしゃべれるなんて誰にでもできることやない」

フレメア「…」

青ピ「せやけど、な」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:50:06.12 ID:W73DJ5oDO<>



青ピ「泣きたい時は泣いたってかめへんよ」



フレメア「うっ…うぅ…うわああああああん!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:51:48.89 ID:W73DJ5oDO<>



麦野「またね、か…」

滝壺「…」

絹旗「…」

麦野「これで本当によかったのかしら…」

絹旗「どう、でしょうね…」

滝壺「…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:53:19.07 ID:W73DJ5oDO<>
だが、その時遠くから慌ただしい足音が聞こえた。

絹旗「…何ですか一体」

バタバタと足音は段々と近づいてくる。そして、その音が麦野たちの部屋まで来た時…


ドバ−−ン!という音とともに扉が開いた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:54:26.38 ID:W73DJ5oDO<>
浜面「た、大変だ!フレメアが見つからねぇ!」

麦野「」

浜面「ケータイの電話もつ繋がらねぇ!」

絹旗「」

浜面「もしかしたらまた変なヤツらに追われてんのかもしれねぇ!」

滝壺「」

浜面「…おい!何だよそのリアクション!フレメアの一大事かもしれねぇんだぞ!?お前らフレメアがどうなってもいいってのかよ!」

滝壺「ふれめあなら今の今までここにいたよ?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:56:15.68 ID:W73DJ5oDO<>
浜面「見損なったぞお前ら!お前らにとってフレメアは…滝壺さん今なんて?」

滝壺「ふれめあなら今の今までここにいたよ?」

浜面「え?で、でもケータイが繋がらなくて…」

絹旗「大方、電源切ってたんじゃないですか?ここ病院ですし」

『アイテム』は知らない。先ほども、そして今も、フレメアが泣いている間は青髪ピアスが能力を使ってその姿を見られない様にしていることを。

そして、【隠密行動】はどんな機器もスルーできる能力。当然、電波もフレメアのケータイを探してさ迷い、発見できなかった。繋がるはずもない。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:57:48.97 ID:W73DJ5oDO<>
浜面「え、えぇー…」

麦野「…ったく、なぁにやってんだよ、はーまづらぁ」

麦野の笑みと共に、青白い球体が出現した。

浜面「ちょっと待て!それだけは!」

絹旗「…まったく、相変わらず浜面は超浜面ですね」クスクス

浜面「うるせぇ!前から思ってたけどそれすげぇパワーアップしてんじゃねぇか!別に人造人間との最終決戦ために普段から金髪状態な訳じゃねぇよ!」

滝壺「大丈夫、最期は恩師とそのペットを巻き添えにして死ぬはまづらも私は応援してる」

浜面「滝壺さん何言って」

麦野「はぁーまづらぁ!」

浜面「うおわ!大人しくしてろよ怪我人!」

こうして、病室での喧騒は再び看護師が鎮静剤を持ってくるまで続いてしまった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/02(金) 23:58:56.09 ID:W73DJ5oDO<>





病院はすでに消灯時間になっていた。麦野も他の部屋に倣い、部屋の電気を消した。

片腕が未だになくてバランスが悪いし、動くと傷口が疼く。

個室だからある程度は自由にできるが病院であることには変わりはない。特にやることもないので麦野は布団に潜りこんだ。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:00:18.22 ID:Sd6hYfzDO<>
布団に入って今日のことを順に思い出す。
自分のケガの具合を聞いた。
滝壺も絹旗も私の罪を背負うと言ってくれた。
フレメアにフレンダのことを告白した。
フレメアと第六位が来てフレンダのことを話した。
フレメアはフレンダの墓でフレンダとフレメアと第六位に謝れと言い、去って行った。
肝心なところでいなかった浜面を(ちょっとキツめに)からかった。

だが、ここまで思い出して肝心なことを忘れていることに気付いた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:01:19.39 ID:Sd6hYfzDO<>
今朝起きる前に見た夢のこと。

フレンダが出てきて、フレンダは必死に懇願して、最期は絶望に顔を染めて…

麦野「…フレンダ…」

そっと、自分が殺した仲間の名前を呟いた。

麦野「…ごめんなさい…フレンダ…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:02:46.28 ID:Sd6hYfzDO<>

その時、コンコン、という音が扉からした。

すでに消灯時間は過ぎている。遅くまで電気が付けっ放しになっていたり、こちら側から呼ばない限り、看護師が訪れることはない。

麦野は不思議に思ったが、ベットから上半身だけを起こした。

麦野「どうぞ」

ガラリ、と扉が開いた。しかし、人の気配はしない。既に暗闇に慣れている麦野の目にも誰も写らない。

しかし、病院の夜の静寂の中、ほんのわずかにだけ足音がした。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:05:40.46 ID:Sd6hYfzDO<>
麦野(そういえば…)

ここで麦野は思い出した。

ロシアから戻って聞いた、フレンダの遺体の行方。

フレンダの遺体は一度この病院に預けられたと聞いた。というのも、上半身と下半身の発見時間が異なり、発見者も異なったからだ。

上半身は麦野が放置したあとから、暗部組織が回収した。しかし、下半身はそれよりも前にビル爆発の野次馬に発見されていた。そして、野次馬は警備員に連絡。警備員は身元確認までの一時的な安置場に困ったためにこの第七学区の病院に預けた、と。

ならば、今耳にしている音は?見えない訪問者とは?

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:07:37.79 ID:Sd6hYfzDO<>

しかし、麦野は冷静だった。

麦野「なんの用かしら?第六位」

すると、なにもなかったところに急に青髪ピアスが現れた。だが、昼間に会った時と違い、患者着だった。

青ピ「ふん、さすがにビビったりせぇへんか」

麦野「当たり前だろ。いい趣味してんじゃないの」

青ピ「そうやな。仲間の上半身引きずり回すよりずっとええ趣味やわ」

麦野「…」

青ピ「フレメアちゃんはああ言ったがな、僕は少しも許す気も納得する気もあらへん。お前が何をしようがな」

麦野「…ええ、もともとそのつもり。許されることじゃない。フレメアと、私の仲間が甘過ぎるのよ」

青ピ「ふん…」


麦野「それで、なんの用かしら?また襲撃するつもりならノックする必要もないし、わざとらしい足音も消してたはずだけど」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:10:40.75 ID:Sd6hYfzDO<>
青ピ「釘を刺しにきたんや。お前の義務をな」

麦野「義務?」

青ピ「今後、何があろうともフレメアちゃんを守れ」

麦野「…」

青ピ「本来なら、フレンダが守るはずやったんや。せやけど、フレンダはお前が殺した。なら、お前はフレメアちゃんを守り続ける義務がある」

青髪ピアスは統括理事会に脅迫的なメッセージを送り付けた。そもそもフレメア自身は特異な能力を持ち合わせていないため、今後統括理事会が無理を通してまでフレメアに手を出すことはないだろう。

だが、フレメアを狙うのはなにも統括理事会だけではない。誰でもいいから金ヅルを探しているスキルアウト、研究素体を探している科学者、他にもろくでもない連中はごろごろいる。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:12:05.17 ID:Sd6hYfzDO<>
麦野「…フレメアがそれを許すと思う?」

青ピ「なら気付かれへんように守れ」

麦野「…」

青ピ「…本来なら僕かてこんなこと言いたない。せやけど、僕はまだやることがあんねん。もうしばらくフレメアちゃんのそばにはおれん」

麦野「…お前は暗部を抜けたんじゃねぇのか?」

青ピ「こっちにもいろいろあるっちゅうことや」

麦野「…そう」

青ピ「…お前がホンマにフレンダのことを後悔してるんやったら、アイツの置き形見くらい守ってみせぇ」

その言葉だけ残して、青髪ピアスは再び消えた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:13:34.70 ID:Sd6hYfzDO<>

麦野「…言われるまでもねぇ」

麦野は決意する。

麦野「私は学園都市第四位の【原子崩し】。『アイテム』のリーダー麦野沈利だ」


麦野「ガキ一人守れないなら学園都市第四位の看板なんて下ろしてやる。仲間の宝の一つも守れないならリーダーなんて肩書きもとっぱらってやる」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:15:50.88 ID:Sd6hYfzDO<>


−フレンダ



−できることなら、もう一度会いたい



−会ってちゃんと謝りたい



−自分で殺しておいて何を今さらって思うけど…



−それでも謝りたい



−アンタは許してはくれないでしょうけど



−ならせめて、アンタが自慢に思ってくれた『麦野沈利』を最後まで貫き通す



−もう二度と狂ったりはしない



−居場所も仲間も守ってみせる



−アンタの大事なものも守ってみせる



−だから、アンタが自慢に思ってくれた『麦野沈利』らしく、身勝手に言わせてちょうだい



−今までありがとう



−本当にごめんね



−フレンダ

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 00:30:13.98 ID:Sd6hYfzDO<> 麦野「フレンダは…私が殺した」本編はここまでです。

>>249
いまさらだけど浜面はこんな扱いでした
レスくれた時に返そうと思ってたんですけど、
ネタバレしたくねーなー、って
ごめんなさい

あと、俺スゲーいっぱいの人が麦のん支援してると思ったら同一人物だったw
イヤ、毎回ありがとうございます

青ピ…このスレくらいでしょうね、こんなシリアスな青ピ

あと、力尽きてませんよ!
ラストだけちょっと間が空いて申し訳ないです!


さて、以前申しました通り、この話には二回エンディングがあります
次は外伝みたいなモンすかね
後日談…とはちと違います
てか、こんだけ青ピ率いる『ウォール』出しといてこのまま終われないんで
もう少し、お付き合い願います。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/03/03(土) 00:51:06.00 ID:mEXp9UEdo<> 乙でした! この数日間、楽しませていただきました! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/03/03(土) 01:05:24.67 ID:IpTPcW/vo<> 乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県)<>sage<>2012/03/03(土) 01:25:39.71 ID:btiLgOJ30<> 乙

外伝も期待して待ってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:25:46.41 ID:Sd6hYfzDO<>
青ピ「ここか…」

第十学区にある墓地に患者着の青い髪の少年がいた。

墓地と言ってもビル内にある墓地である。いくつもの墓が収容されているが、それらの墓が点在している訳ではない。普段は見えないところに収容されており、番号を入力すると墓が出てくるという方式だ。

青ピ「言われるままに来てもうたけどな…」

青い髪の少年の正体はとある高校のデルタフォースの一角。元暗部組織『ウォール』のリーダー。学園都市に七人しかいないLevel5第六位【隠密行動】である。

彼は自分の彼女の墓参りに来ていた。彼女の名前はフレンダ=セイヴェルン。暗部組織『アイテム』の幹部であった。二月程前に『アイテム』のリーダー、Level5第四位【原子崩し】麦野沈利により殺害されていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:27:54.98 ID:Sd6hYfzDO<>
青髪ピアスは紙切れで確認しながらフレンダの墓の番号を入力する。

この紙切れはフレンダの部下だった浜面という男からもらったものだ。

青髪ピアスは現実主義者である。『人間、死んだらそこまで』。だから、墓参りに行く意味なんてない。そう思っていた。

だが、件の浜面という男に促されたことと、後日『アイテム』の幹部全員とフレンダの妹のフレメアと共にフレンダの墓を訪れることになっているために、先に自分一人で来たのだった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:29:06.03 ID:Sd6hYfzDO<>
青ピ「…僕も大概に夢想家やな。先に一人で墓を見たいと思うなんて」

やがて、フレンダの墓が出てきた。墓石ではなく、白くやや小さめの十字架であった。そこには、横書きの英語でフレンダの名前が刻まれていた。

青ピ「…ま、こんなもんやろ」

青髪ピアスはため息を吐く。それも、落胆したように。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:30:57.28 ID:Sd6hYfzDO<>
青ピ「こんなんバッテンにフレンダって書かれてるだけや」

−………


青ピ「こんなんがフレンダな訳あるか。あってたまるか」


−………



青ピ「ようは幻想や幻想。残された人間が自分を慰めるために作っただけのモンや」



−……ト




青ピ「…せやけど」




−…クト





青ピ「だけど、この思い出は…」





−アクト






青ピ「幻想なんかじゃないよな……」






−「結局、アクトは私に惚れてるって訳よ!」






青ピ「フレンダ…」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:32:25.90 ID:Sd6hYfzDO<>




一年前、九月−


「に、逃げろ!俺らの手に負えねぇ!」

「ボス!早くこち…ガ…」

「クソ!怯むなてめぇら!時間稼ぎに撤しやがれ!」

とある操車場。学園都市のとある組織と外部のとある組織間で深夜に機密情報と2000万ドルの取引が行われる。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:33:33.23 ID:Sd6hYfzDO<>
「アシやられました!逃げられません!」

「何やってんだバカども!」

取引の最中、暗部組織『ウォール』が襲撃。取引現場を押さえる。学園都市のとある組織がこれに抗戦。

「ボス!アシ確保できましたこちらへ!」

「! でかした!」

現場に来ていた学園都市のとある組織、見えない敵を前に壊滅。数名が死亡、十余名が重傷。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:35:53.90 ID:Sd6hYfzDO<>
「ふぃ〜、生きた心地がしなかったぞ」

「危ないところでしたな。」

「まったくだ。危ない橋はもっと慎重に渡るべき…おい、何で止まったんだ?早く出せ!」

「いやいや、あなたには組織のことを残らず全て吐いてもらわねば。影武者殿。」

「! き、貴様!裏切るのか!?」

「何を言っている。もともと仲間ではない。」

「クソが!五年も組織に属していながら…!」

「五年?俺は三日前に初めて貴様を見たのだがな。」

「何を…」

「特殊メイクだ。お前の仲間はとうの昔に塀の内側だ。」

「!? バカな…」

「さあ、全部話してもらおうか。内臓を全て人工臓器にしたくなければ早く吐くんだな。」

学園都市のとある組織、後日『ウォール』の急襲を受け完全に解体。首領及び幹部は全員葬られる。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:37:21.01 ID:Sd6hYfzDO<>
「ヒ、ヒィ…」

「アンタが外部とのパイプ役か」

「ど、どこだ!どこにいる!」

「教えるわけないだ…ろ!っと」

「グハッ!?」

「ほ〜れ、とっとと降参しないともっと痛い目みるぞ?」

「わ、分かった!降参だ!」

「潔いなぁ。ほな、サイナラ」

「グァッ!?」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:38:22.15 ID:Sd6hYfzDO<>


「あ、霧谷ちゃん?こっち終わったで」

『了解で。横須賀さんも終わったようなんで』

「さよか。外部とのパイプ役は手足縛っとるさかい、適当に尋問したあとどっかの研究所回すように下部組織に言っといてや」

『了解で』

「僕このまま直帰するわ、ほなな」

外部のとある組織、以後学園都市との一切の関わりを絶つ。なお、仲介人は学園都市の闇へと消える。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:40:12.66 ID:Sd6hYfzDO<>
学園都市の裏路地、とあるビルの非常階段下に姿の無い少年はいた。

青ピ(ここなら誰にも見られないだろ…)

姿の無い少年は周囲を見渡す。当然、人の気配は無い。

青ピ「能力解除、と。あぁ〜疲れ…」

???「ウソ!?ちょっとどいてぇ!」

青ピ「ん?うお!?」

急に女の声、次いで上から何かが降ってきた。

???「ったぁ〜…」

青ピ「い、一体なにが…ん?」

青髪ピアスは目を丸くする。暗がりでよく見えないが、自分の上に降ってきたのは…

青ピ「女の子?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/03(土) 23:58:01.69 ID:Sd6hYfzDO<> 麦野「フレンダは…私が殺した」外伝スタートです。

レスありがとうございます。
本編をご愛顧いただきありがとうございます。
楽しみにしてもらって嬉しいです。

さて、今回の外伝ですが、ほぼ麦のんの出番なしです。
読んでの通り青ピ主体です。
タイトル詐欺とか言わないで
だいたい原作だってタイトルのわりにインデックスさん出てこnゲフンゲフン <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:36:56.67 ID:sxxswmxDO<>
−第七学区、病院

<コンコン

???「はーい、どーぞー」

<ガララ

青ピ「…ども」

???「あぁ、アンタか」

青ピ「ホンマすまんかったなあ、完全に僕の不注意やわ」

???「いやいや別にアンタが悪い訳じゃないって!結局、病院まで運んでもらった訳だし!」

青ピ「せやけど、足にヒビ入ってんねやろ?」

???「あー…まあうん。けど、ちゃんと連れてきてくれた訳だし」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:39:07.79 ID:sxxswmxDO<>
青ピ(まさか一般人と接触してケガさせるなんてな…下手すりゃ巻き込んでるぞ)

昨晩、青髪ピアスの上に落下してきたのは金髪の少女だった。おまけに、ぶつかった際に打ち所が悪かったのか足にヒビが入ってしまったと言う。そのためにギブスをはめ、さらには検査入院となってしまった。


青ピ(こーゆーかわいくて明るい娘は暗い世界に来るべきじゃないよな)

青髪ピアスは深く反省した。もし、昨日の抗争に彼女を巻き込んでいたら彼女もタダではすまない。最悪この街の最下層へまっ逆さま。そんな目にあわせる訳にはいかない。

青ピ「ホンマすまんかった。僕にできることがあったらなんでも言ってや」

???「だからいいって…まさかオシオキ代わってなんて言えないし…」ボソッ

青ピ「なんて?」

???「わ、いやいやなんでもないなんでもない!」

青ピ「?」

少女は何かを呟いたが青髪ピアスには聞き取れなかった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/03/04(日) 22:42:06.33 ID:sxxswmxDO<>
???「そ、そう言えばアンタ名前は?結局、まだ教えてもらってない訳よ」

青ピ「え?あー」

青髪ピアスは少しだけ間を空けた。

青ピ(【隠密行動】は裏の通り名みたいなモンだしな…伏せといた方がいいか)



青ピ「山田太郎や」

???「…ホントに?今時そんな名前の日本人なんている訳?」

青ピ「そう思うやろ?僕も気に入っとらんねん。せやから僕のことは青髪ピアスって覚えといてや」

???「アハハ、なにそれ。じゃ、略して青ピって訳よ」

青ピ「かめへんかめへん。ほんで、君の名前は?」



???「私はフレンダ=セイヴェルン。よろしく」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:43:52.33 ID:sxxswmxDO<>


青ピ「ほえー、やっぱ外人さんやったんか」

フレンダ「そういう訳よ。見た目通りでしょ?」

青ピ「まったくや。せやけど、なんで学園都市に?日本語ペラペラやさかい日本育ちかいな」

フレンダ「あー…」

すると、フレンダは何か困ったように目を反らした。

青ピ「…言いたないんやったら言わんでええよ」

フレンダ「あ、そう?」

青ピ「うん。誰でも言いたないことの一つや二つあるモンや」

フレンダ「そ。アンタやっぱいいヤツね」

青ピ「そんなんちゃうて」

青ピ(たぶん言いたくないことはこっちのがいっぱいあるし。こう言っておけば向こうも詮索しないだろ)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:46:23.52 ID:sxxswmxDO<>
青ピ「それよかホンマに僕ができることあらへんか?とりあえず治療費くらいなら僕が出すさかい…」

フレンダ「だからアンタが気負うことなんか…あ、そうだ」

フレンダは何かを思い出したらしく、ベッド脇の大きな紙袋をガサゴソとあさりはじめた。

青ピ「なんや?」

フレンダ「結局、治療費払うくらいならこれに付き合ってほしい訳よ」

そう言ってフレンダは紙袋からピッ、と何かのチケットを取り出した。カラフルな色彩がやたらと印象的なチケットだった。

青ピ「…遊園地?」

フレンダ「そ。本当は妹と休日に行く予定だったんだけど、結局これだからね」

青ピ「…すまん」

フレンダ「あ、違う違う今のはそーゆーのじゃなくて…ま、いいや。とにかく、脚のギブスが外れる予定日とこの招待券の有効期限が一致してる訳よ」

青ピ「…ほんで?」

フレンダ「もったいないから一緒に行こって訳よ」

青ピ「うぇ!?妹さんはええの!?」

フレンダ「結局、平日だから学校な訳よ。ま、アンタも学校かもしれないけど付き合ってくれるでしょ?」

青髪ピアスだって学校になんか通っていない。だから別に世間的に平日だろうが休日だろうが問題はない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:47:37.93 ID:sxxswmxDO<>
だが…

青ピ「…僕でええの?ケガさせた張本人やで?」

フレンダ「だーかーらー、別にいいっての。結局、関西弁なんて聞いてるだけで楽しいし。なんでもするんじゃない訳?」

青ピ「…お供します」

フレンダ「ニャハハ!よろしい!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:49:47.57 ID:sxxswmxDO<>
−後日、遊園地前

青髪ピアスは遊園地の前にいた。例のフレンダをエスコートするためだ。

相手がなんのかんの言っても、下手したら相手の人生をメチャクチャにする可能性だってあったのだ。なら、その償いはしっかりせねば。青髪ピアスはそう思っていた。

青ピ(てか、遊園地なんてはじめてだけどな)

青髪ピアスが物心ついた時には『置き去り』の施設にいた。8つのころには研究所に回された。13になるころには暗部デビューだ。遊園地なんてところに行けるわけもない。

なので、実は青髪ピアス自身それなりにワクワクしていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:51:16.44 ID:sxxswmxDO<>
青ピ「お」

フレンダ「ん。待ち合わせの時間より早く来てるわね。かんしんかんしん!」

青ピ「もちろんや。こんなかわええ娘ぉエスコートすんねんから」

フレンダ「ニャハハハハ!よい心がけじゃ!誉めてつかわす!」

青ピ「ははー」

フレンダ「よっし、それじゃ早速攻めかかるぞー!」

青ピ「おー!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:52:22.90 ID:sxxswmxDO<>


フレンダ「いや〜いい景気付けになった訳よ」

青ピ「フリーフォールやったっけ?初っぱなから攻めるなぁ」

フレンダ「平日だからなんでもやりたい放題な訳よ!この後もガンガン行くから覚悟しときなさい!」

青ピ「望むところや!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:53:31.42 ID:sxxswmxDO<>


フレンダ「いや〜、流石は学園都市!」

青ピ「ジェットコースターってあないな角度で縦スクリューしながら降下するんな。はじめてやったわ」

フレンダ「スリル満点って訳よ!」

青ピ「…酔ったりせぇへんの?」

フレンダ「? 全然?」

青ピ「…さいでっか」

フレンダ「さ、次行くわよ、次〜♪」

青ピ「おーう」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:55:13.51 ID:sxxswmxDO<>


フレンダ「結局かなりの代物だったわね!」

青ピ「一回転はおろかほぼ減速なしで高速二回転半して逆さまで止まるバイキングってなんやねん…」

フレンダ「さっすが新装開店って訳よ!」

青ピ「…化け物ばっかや…」ウプッ

フレンダ「さ〜て次は…」

青ピ「ちょ、ちょおタンマ!」ガシッ

フレンダ「?」

青ピ「あ、あのアレや!同じ絶叫系でも趣向を変えへん!?」

フレンダ「趣向?」

青ピ「アレや、アレ」

フレンダ「…お化け屋敷ね。結局、小休止の意味合いも兼ねて丁度いいって訳よ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:57:20.81 ID:sxxswmxDO<>


フレンダ「ん〜、結局可もなく不可もなくってとこね」

青ピ「そうか?昔人体実験しとった研究所なんて学園都市らしい思ったんがなぁ」

フレンダ「学園都市に幽霊って時点で学園都市らしくないって訳よ。結局、あの手のは『どれだけ怖いか』じゃなくて『どれだけ驚いたか』が基準な訳」

青ピ「ふーん、てっきり怖なって腕にしがみついてくる思とったんけどなぁ」

フレンダ「ふふん、私はそんなテンプレ通りの女じゃないって訳よ」

青ピ「む…」

フレンダ「そんじゃ次は…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 22:58:23.95 ID:sxxswmxDO<>
従業員「すいませーん」

フレンダ「ん?」

従業員「ただいまカップルでお化け屋敷に入った方は生還記念でお写真撮らせていただいているのですが…」

青ピ「!」ピーン

フレンダ「あ〜、私ら別にカップルじゃ…」

青ピ「ええやん撮ろ撮ろ!」ガシッ

フレンダ「え!?ちょっ…」

青ピ「せっかく来たんやから隅々まで楽しまな、やろ?」

フレンダ「…ま、それもそうね」ニコッ

従業員「それじゃいきますねー!ハイ、チーズ!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 23:01:51.41 ID:sxxswmxDO<>

フレンダ「あら?撮ったその場で現像される訳?」

青ピ「ポラロイドってヤツやね。しかも学園都市製の」

従業員「詳しいですね。デジタルじゃ嫌だって人のために早く現像する方向で技術が進んだんですよ」

フレンダ「へー、意外な豆知識が増えたわ」

従業員「と、言ってる間に仕上がりました!さ、どうぞこちらが…え?」

フレンダ「…?何?どうしたの?」

従業員「え?え!?」

青ピ「いやぁ〜、なかなか怖いお化け屋敷やったんけどなあ…」

従業員「ヒ…」

青ピ「ちょおっとわざとらしすぎるなぁ。僕がおったころはもっと床とかはキレイd」

従業員「うわああああああああああ!」ダダダダダダダダ…

フレンダ「え!?結局どういう訳よ!?」

青ピ「こーゆー訳や」つ写真

フレンダ「ん?」


 楽しそうに笑ってるフレンダ

足がなくて全体的にうっすらしてる青ピの写真

フレンダ「…え?」

青ピ「…あの夜…僕なにもないとこから急に現れたやろ…?」

フレンダ「…ま、まさか…」

青ピ「いやぁ、まさかかわええ女の子にとり憑けるなんてなあ」

フレンダ「ふ…」

青ピ「…実は僕…さっきの研究所で数年前に死んd」

フレンダ「ふにゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああ!」ピューッ!

青ピ「あはは!脚ホンマに完治したみたいやな!」

<ふに゛ゃ!

青ピ「あ、コケた」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 23:03:25.95 ID:sxxswmxDO<>


青ピ「もお機嫌直してぇな」

フレンダ「…」 ムッスー

青ピ「イヤ、恐がらせよ思ったんは僕が悪いよ?せやけど走ってコケたんは自己責任やん」

フレンダ「ずっと一緒に遊んでた人の足が写らなかったら動転くらいするでしょうが!」 ウガー!

青ピ「スマンスマン。ほらっ、はよ次行こ、次」

フレンダ「…結局、この心のムカムカを取りのぞくには絶叫系しかないって訳よ」

青ピ「え゛」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 23:05:22.50 ID:sxxswmxDO<>


フレンダ「あ〜楽しかった〜」ホクホク

青ピ「…アカンふらふらする。これ僕ちゃんとまっすぐ歩けてる?」

フレンダ「もーまんたいもーまんたい」ニヤニヤ

青ピ「結局、絶叫系のオンパレードやったわ。あ、移ってもうた」

フレンダ「でも、ちゃんとファンタジー系でコーヒーカップに乗った訳だし」

青ピ「あない遠心分離器みたいなモンがファンタジーな訳あるか」

フレンダ「細かいことは気にしない♪結局、青ピも楽しんでた訳だし」

青ピ「…せやなぁ。こんな楽しかったんいつぶりかな」

フレンダ「でしょ?結局、来てよかったって訳よ」 ニシシ

青ピ「まったくや」 アハハ

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 23:07:36.95 ID:sxxswmxDO<>
フレンダ「…ね、よかったら晩ご飯も一緒に食べない?結局、ここまで来たら一人で食べるのも味気ない訳よ」

青ピ「せやなぁ。僕もそっちのが…っとスマン、メールや」



青ピ(出揃った、か) ハァ

フレンダ「?どうした訳?」

青ピ「スマン、用事できてもうた」

フレンダ「えー…」

青ピ「堪忍なあ、今すぐ行かなアカンねん」

フレンダ「せっかくの締めくくりがパァな訳よ」 ハァ

青ピ(…恨むぞ。横須賀、霧谷ちゃん)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 23:08:37.60 ID:sxxswmxDO<>
フレンダ「んじゃ、次は青ピのおごりでご飯って訳ね」

青ピ「…へ?」

フレンダ「最高の一日の締めくくりを台無しにした罪は重いって訳よ」 ニシシ

青ピ「…なんやまた会えるんか」 ハハ

フレンダ「そういう訳よ。ま、結局私も忙しい身だからいつになるかわからないけどね」

青ピ「いやいや、全然かめへんよ」

フレンダ「そ。じゃあまたね青ピ」 フリフリ

青ピ「うん、ほななぁフレンダ」 フリフリ



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 23:10:23.49 ID:sxxswmxDO<>



横須賀「ようやく来たか。」

霧谷「遅かったんで」

青ピ「…ああ、スマン」

横須賀(…素直に)

霧谷(…謝った?)

青ピ「…なあ、霧谷ちゃん」

霧谷「はい?」

青ピ「男と外食行くんやったらどんなとこ行きたい?」

霧谷「」 ゾワッ

青ピ「…なんや?」

霧谷「…いや、気味悪すぎてサブイボ総立ちになったんで」

青ピ「シバかれたいんか、おどれコラ」 ビキビキッ

横須賀(…精神感応系能力者による精神汚染ではない、か。) フィー
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/04(日) 23:14:33.42 ID:sxxswmxDO<> 今回はここまでです。

フレンダとの絡みは地の文なくしていこうかなと思ってます。
外伝は短くするつもりが…長くなるかもです。

…書き終わったら切なくなってきた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)<>sage<>2012/03/05(月) 08:24:02.80 ID:uF1vju6AO<> 乙なんだよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/03/05(月) 09:24:20.88 ID:80EMHqGa0<> 青ピ学校通ってないのか…
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/05(月) 10:20:30.18 ID:JEelHfiIO<> 乙
空から降ってきた可愛い女の子との出会いイベントに青ピがらしくない言動してるのは違和感ある
と思ったけど学校通ってないってことは青ピに関しては原作と環境が全く違うってことなんかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/05(月) 16:28:14.97 ID:rr/mra0vo<> フレンダと関わった事で今の青ピになった・・・とかだったら切ないな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:42:03.75 ID:fFGwtYLDO<>
−11月上旬


青ピ「あちゃー」

フレンダ「久しぶりに遊べる訳なのに遅い」 ムスッ

青ピ「スマンなぁ、あのアレ…バイトが長引いてもうてん」

フレンダ「結局、そんな風にどもられたら言い訳にしか聞こえないって訳よ」

青ピ「いやいや、ちゃうねん!ホンマやって!」

青ピ(ただバイトじゃなくて暗部ってだけで)

フレンダ「ま、いいや。私も遅れ気味だった訳だし」

青ピ「あ、ホンマ?」

フレンダ「うん!さっ、早く行こ!」

青ピ「よっしゃ!今日は映画やったな!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:43:41.05 ID:fFGwtYLDO<>


フレンダ「…」グス

青ピ「いやぁ〜、ええもん観れたわ」ホクホク

フレンダ「結局、ハッピーエンドって訳よ…」ハゥ

青ピ「あはは、確かに感動したけど泣くほどかいな」

フレンダ「私こーゆーA級映画なんて見たの久々だったから…」

青ピ「あー、友達がB級C級映画しか観ないんやったっけ?」

フレンダ「結局、こないだ観せられた腕が三本ある人間による世界救済映画に比べればクオリティが段違いな訳よ」

青ピ「もう設定からして意味分からんわ」

フレンダ「アハハ、私もって訳よ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:45:34.37 ID:fFGwtYLDO<>
青ピ「…ホンマ、コロコロ表情変わるなぁ」

フレンダ「ん?そう?」

青ピ「うん、退屈せぇへんわ」

フレンダ「…私も青ピといると退屈しない」

青ピ「…ホンマ?」

フレンダ「うん、むしろもっと一緒に…」

青ピ「!…スマン、ちょお、トイレ」

フレンダ「は?」

青ピ「すぐ、戻るさかい!」ダッ

フレンダ「え、ちょっ……ハァ…結局、男なんて大抵KYな訳よ」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:47:13.89 ID:fFGwtYLDO<>


???「む。やはりマズったか。」

「おいこら」

???「!」

「何してんだ横須賀テメェ」
横須賀「たまの自由時間を謳歌していたら、見慣れた顔が見慣れない表情をしてたのでな。」

「それでなんで俺に読心なんてしてんだ」

横須賀「アレが今度のターゲットだと思ったのでな。確認しようと思ったのだ。というか早く姿を現せ。」

青ピ「…」

横須賀「っと、そっちか。」

青ピ「あの娘は学園都市の裏側なんて知らん。妙な真似すんな」

横須賀「そうか。なら、ほどほどにしておけ。」

青ピ「あ?」

横須賀「自分の立場を忘れるな、という話だ。」

青ピ「…」

横須賀「…では。」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:49:08.87 ID:fFGwtYLDO<>


フレンダ「…どこまでトイレ探しに行ってた訳?」

青ピ「スマンなぁ、結局、大って訳や」

フレンダ「サイッテー」 ウワァ

青ピ「あはは、冗談や冗談」

フレンダ「結局、冗談でもそーゆーことを女の子の前で言う時点でアウトって訳よ」

青ピ「堪忍やって。それとな、今度からまたしばらく会えなくなるかも分からへん」

フレンダ「えー?また例のバイトな訳?」

青ピ「そーゆーことや。あんまり連絡つかんくなるかもしれんけど堪忍な」

フレンダ「…そ。結局、寂しくなるわね」

青ピ「…そんな顔しないでくれよ…」

フレンダ「え?」

青ピ「…っとスマン。なんでもないわ」

フレンダ「今…なんて?」

青ピ「あー、なんでもないわ!ほ、ほなな!」ダッ

フレンダ「待っ…行っちゃった…」

フレンダ「…青ピのヤツ標準語じゃなかった?」ウーン



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:51:43.93 ID:fFGwtYLDO<>


青ピ(…これでいい)

青髪ピアスは大通りを歩いていた。世間的に休日なだけあって街は賑わっていた。

青ピ(…肝心なのは住み分けだ。表社会は表社会。裏社会は裏社会。ほいほい交わっていいモンじゃない)

横須賀による忠告。それは自分に関わったがために他人の人生を破綻させるという示唆であった。

青ピ(フレンダはもっとふさわしい男と遊ぶべきだ。…少なくとも後ろ暗い男と付き合うべきじゃない)

一旦そう考えると嫌な考えがどんどん出てくる。

もし、自分と関わったばかりに裏社会の連中に巻き込まれたら?自分と親しいという理由で人質にでもされたら?逆恨みした連中が自分の周りに手を出してきたら?

どのパターンもあり得るし、どのパターンも最悪の結末にしか繋がらない。

青ピ(だからこれでいい。…けど…)

ハァ、と大きなため息をつく。

青ピ(…せめて今日くらいもっと遊べばよかったな)

もはや会わないようにすると決めたとたんに、先ほどまでの楽しい時間がよみがえってくる。

青ピ(あんな楽しい娘は表社会の人間だからもう二度と会わない。でも、裏社会の人間にとってはそんな娘だからこそ楽しい、か。やっぱり神様は意地悪だな)

青ピ(…表社会、か。憧れはあるけど現実的じゃないな)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:54:09.20 ID:fFGwtYLDO<>

−11月下旬

青ピ「−っちゅう感じや。他に質問は?」

横須賀「特にないな」

霧谷「私もで」

青ピ「ほな、最終確認はこんなモンやな」

とある研究施設の近くに『ウォール』を乗せたキャンピングカーが駐車していた。

依頼内容は借金に困った研究所による技術・利益の違法な外部提供の阻止及び研究所そのものの解体。

阻止には機材やデータなどを消すもよし、首謀者を消すもよし、手段は任せるとのことだった。

解体などは利権書類などを片っ端から盗み出せとのことだった。おそらくは身ぐるみはいで借金返済に充てさせるつもりだろう。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:55:28.40 ID:fFGwtYLDO<>
青ピ「あ、それからもう一つ」

そして、更に変なオーダーが入っていた。

横須賀「なんだ?」

青ピ「女は殺すな、やって」

霧谷「…フェミニズムこじらせたんで?」

青ピ「ちゃうわボケ」

横須賀「いつもみたいに、苦しませずに殺せ、じゃないのか?」

青ピ「せやから今回は僕のポリシー云々ちゃうっての。上からのお達しや」

横須賀「ふむ。珍しい注文だな。」

霧谷「上の人間がフェミニスト…だったらこんなにコキ使わないで欲しいんで」ハァ

横須賀「ん?お前女だったのか?」

霧谷「ぶっ殺されてぇんで?」 ピキッ

横須賀「冗談だ。ホラ、頼む」

霧谷「ったく…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:57:49.98 ID:fFGwtYLDO<>
そんなやり取りが交わされた後、霧谷は手近に置いてあった大きいジュラルミンのケースを開けた。中には特殊メイク用の道具類がきちんと整理されている。

本人曰く、必要最低限ならこの大きさでなんとかなるんで、とのことだ。

今回は大きな陽動の隙に横須賀か青髪ピアスのどちらかが目的を果たすという手筈になっている。潜入捜査ではないので、必要最低限で十分なのだろう。

霧谷のメイクが終わるまでに青髪ピアスはケータイに目をやっていた。

青ピ(あれからほぼ一月…さすがにメールも来なくなったな)

あれから何回かフレンダからメールが来ていたが、青髪ピアスはメールを返さなかった。そうする度に後ろ髪ひかれる思いに駆られたのだが、ことごとくその思いを封じた。

青ピ(これでいい。このまま自然消滅で元通り…)

自分は正しい選択をした。これで何も悲劇は起きない。可能性から根絶やしにした。学園都市第六位の頭脳は自身の行動を褒め称えていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 22:59:09.50 ID:fFGwtYLDO<>
しかし、心の方は

青ピ(…やっぱり連絡したいなぁ) ハァ

頭と真逆のベクトルに向かっていた。

青ピ(あ〜、フレンダに会いたい)

日が経つにつれそんな想いが増していった。メールが来なくなってからは二倍速で増していった。

オマケにただでさえつまらない任務が余計につまらないものになった。

青ピ(なんだこのモヤモヤ…絶叫マシーンでも乗ったら消えるかな)

フレンダとはじめて遊びに行った日を思い出して表情がほころぶ。そして、すぐ自己嫌悪に陥る。

青ピ(だからダメだっての!フレンダのことは忘れろ!)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 23:02:42.36 ID:fFGwtYLDO<>
横須賀「ん、バッチリだな。」

霧谷「横須賀さんのガタイのせいで全然研究者っぽくないんで」

横須賀「これでもあの研究者で一番デカイ人間なのだがな。この顔の持ち主は。」

霧谷「どんだけタッパがあっても所詮はインテリなんで。ムキムキの横須賀さんじゃムリがあるんで」

横須賀「なに、要はパニック状態の中でバレなければいいのだ。これで十分。」

霧谷「私のプライドの問題なんで」

横須賀「と言っても、結局これ以上はどうしようもないのだろう?」

霧谷「…まあ、どんなにスゴ腕でもガタイだけはどうしようもない訳で」 ハァ

青ピ「結局とか訳とか言うなや」 イラッ

霧谷「へ?」

横須賀「?」

青ピ「…なんもないわ。準備できたんやったらとっとと行くで」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/05(月) 23:08:41.96 ID:fFGwtYLDO<> 今回はここまでです。


レスありがとうございます。
今は原作より一年前の話。ですんで上条さんともつっちーとも出会ってません。
まだ高校生じゃありません。
どうやってあの青ピになるのかも作中で出そうと思ってます。


書き溜めストックが切れました。
この更新スピード維持できないかもしれません…
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/03/05(月) 23:49:50.66 ID:wl84OLYI0<> おつおつ
作者のペースで構わないよ
ただ、最悪2ヶ月に1回作者が来ないと強制html化らしいのでご注意を <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/06(火) 00:04:56.13 ID:gl493s/Io<> 3ヶ月じゃなかったっけ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/06(火) 00:07:07.13 ID:reIg7ubVo<> 3ヶ月落ちとかいつの話だよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/06(火) 06:25:30.95 ID:eBpZ54ADO<> もう今は1ヶ月落ちだっけ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/03/06(火) 19:36:39.15 ID:9zvazCrJ0<> SS速報VIPのトップには2ヵ月と書いてある <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:09:47.05 ID:Z/7z1W6DO<>
−同日、夕方

研究所から一人の研究者が出てきた。入れ違いで防弾チョッキを着た青髪ピアスが能力を行使して中へ入る。

【隠密行動】は物理的に閉まっていなければどこにでもフリーパスで入れる。

物理的に閉まっていたら扉なり壁なりを壊さなければいけない。だが、そのための道具も一緒に隠すことができ、ものによっては解体作業の音も消せる。

そのため、青髪ピアスはほぼどこにでも行けるのだ。

「…そんじゃ」

誰も見ていないが、誰も聞いていないが、青髪ピアスは研究所に入ってすぐのロビーで言葉を発した。

「ゲームスタートや」

ピンッ、と青髪ピアスは旧式の手榴弾の安全ピンを外し、更に手榴弾を10個ほどばらまいた。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:12:43.30 ID:Z/7z1W6DO<>


横須賀「…始まったか。」

研究所の敷地内に変装した横須賀はいた。先ほどの爆発音は開戦の合図だ。続いて警報を知らせるアラームが鳴りはじめた。

本来ならもう少し控え目にやりたいところだが、急に舞い込んできた依頼だ。正面突破もやむを得ない。

横須賀「行くか。」

そう呟くと、横須賀はとある部屋の窓ガラスを思い切り割った。

普段ならこれだけでアラームが鳴るだろうが今は正面での爆発でとっくの昔に鳴っている。おそらく、爆発事件の犯人はパニック状態の人混みをすいすいと通り抜けてすでに研究所の奥深くに侵入しているころだろう。パニックになって人々が行き交えば扉も開く。それが自分のところのリーダーの狙い。

横須賀も似たようなものだった。パニック状態ならばすれ違う研究者の顔など一々確認しない。ガタイの大きさもデカめの白衣でも着ておけばじっくり見られない限りバレやしまい。


窓ガラスから侵入した部屋は、更衣室だった。そこから内側のロックを外して研究所の廊下に出た。アラームに紛れて人の怒声が聞こえてくる。大半の人間は自分たちのしでかそうとしていることがバレたと感付いているのだろう。

半狂乱なら好都合。こっちもとっととやることをやってしまおう。図面はバッチリ頭に入っている。首謀者のリストもバッチリ頭に入っている。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:15:13.63 ID:Z/7z1W6DO<>
???「お、見ぃつけた」

走り出そうとした瞬間、女の声がした。次いで、背筋が凍った。ほとんど反射的にバックステップを刻んだ。目の前を青白い光が通過?した。その判断は正しかった様で、光が当たったと思われる奥の方の壁は跡形も無く消し飛んでいた。

???「へぇ。今のを躱せんのか…研究者の割に動けるじゃねえの」

声のした方向を見ると二人の女がいた。一人は茶髪のロングヘアー。その後ろにいるもう一人は黒髪のショートカット。

???「さっきからひょろひょろのモヤシばっかでつまんなかったからなぁ。テメェは少しくらい私を楽しませろよ?」

どうやら、この研究所の研究員だと思われているらしい。変装が裏目に出たようだ。

横須賀(コイツらもこの研究所が狙いか…?借金の取り立てにしては物騒過ぎるな。)

だが、考えている暇はなさそうだ。なんせ、向こうはヤル気満々だ。その証拠にさっきと同じ色の光の球体がロングヘアーの周りに浮かんでいる。

???「フレンダのバカがアホみてぇにドッカンドッカンやったせいでイライラしてんだよ。だからテメェでこのストレス解消させてくれ」

横須賀「…よかろう。対能力者戦闘のエキスパートの実力を見せてやる。」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:17:08.31 ID:Z/7z1W6DO<>


「お、見ぃつけた」

「ガッ…!」

たった今、研究所の三階で首謀者の一人を捉えた。そんでもって鳩尾をぶん殴った。身構えてすらいない人間に鳩尾への打撃。死にはしないだろうが、しばらく立てはしないだろう。

「さぁて、質問タイムです」

研究員「クソ…どこに…」

「この研究所の利権書類を持ち出せる人間は何人いる?」

研究員「だ、誰が…」

「ふぅん、言わないんなら殺すしかないか」

研究員「どの道そのつもりだろ…クソッタレ」

「いやいや、言ったら殺さないって。今回はお前らの違法提携の阻止が目的。機材とデータと利権書類をまるっと出してくれたら命まで奪う必要性なんか無いし」

研究員「…ホ、本当か?」

「もちろん」

研究員「…な、なら案内しましょう。利権書類は金庫の中です。持ち出せる人間は所長である私だけですから…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:19:25.54 ID:Z/7z1W6DO<>

研究所内を首謀者の後ろについて歩くことになった。あちこちから怒号と悲鳴が聞こえてくる。この分だと横須賀は随分派手に暴れているようだ。

(アイツ暴れまくったら変装の意味ねぇだろ。殺害現場でも見られたか?)

味方のアホっぷりに首を振ったが別に気にしない。それが原因で横須賀が殺されても自業自得だ。助けに行く義理はない。

研究員「あ、あの…ついてきてますか?」

「おお、とっとと歩け」

研究員「は、はい…」

首謀者である研究員は未だに鳩尾を抑えて歩いている。おかげでかなりノロノロと歩く羽目になった。

研究員「こ、ここです」

「そうか。じゃあな。」

研究員「へ?ぎゃふ!」

研究員の後頭部を思い切りぶん殴った。多分意識を取り戻すにはかなりの時間を要するだろう。

「約束通り殺しはしない。ま、お前もこっちの仲間入りだけど」

そう言って『所長室』と書かれた部屋の扉を開けた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:24:47.29 ID:Z/7z1W6DO<>
「…おーおートラップ三昧。まあ、ピアノ線以外は【隠密行動】の前じゃ無意味なんだけどな」

ヒョイ、と足を上げてピアノ線を跨いだ。おそらく、イタチの最後っ屁というやつだ。所長を狙ってきた人間をトラップで仕留めて少しでも追っ手を減らそうとしたのだろう。

「…コイツか」

すぐに金庫は見つかった。部屋の片隅に1メートル半はある頑丈そうな黒い金庫があった。

「さぁて、コイツの出番やな」

そう言って青髪ピアスはポケットから修正テープの様なものを取り出した。そのテープで金庫の側面を縁取る様に長方形を描き、さらに対角線同士を結んでバツ印を描いた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:26:48.65 ID:Z/7z1W6DO<>
「そんでちょっと離れて…ほいっと」

仕上げにテープにナイフのようなものを投げつけた。

シュゴッ!、っと言う音とともにテープに沿って爆発が起きた。そして、金庫の側面にはテープの跡に沿って切れ込みが入っていた。

「頑丈だな…オラッ!」

青髪ピアスが側面の上の方に思い切り蹴りを入れた。

ガンッ!、という音とともに上の方から金庫の側面が崩れた。自分の足の上に落ちないように、青髪ピアス急いで飛び退いた。

「…ビンゴ。各種利権書類の方はこれでいいな」

金庫の中身を確認して呟き、右腕に抱える。あとは機材とデータ。場所はあらかた見当ついてるし適当な人間を−−

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:27:42.31 ID:Z/7z1W6DO<>
研究員「う…ク、ソがぁ!」

突然研究員の声がした。意外にも早く意識が戻ったらしい。見ると手には拳銃が握られていた。

【隠密行動】を使っている以上、青髪ピアスの場所は正確には分からない。だが、これだけ金庫に手を出していればおおよその場所は分かる。

パァン!という乾いた音が響いた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:29:28.94 ID:Z/7z1W6DO<>
「ぐぁ!」

弾丸は青髪ピアスの左腕に命中した。学園都市製の防弾チョッキに当たってくれれば強く押されたと感じる程度で済んだのに、よりにもよって腕に当たってしまった。

青ピ「っの野郎!」

書類をバラまき、右手に拳銃を握る。

再びパァン!という音が部屋に響いた。それとほぼ同時に、研究員は声も出さずに絶命した。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:31:27.87 ID:Z/7z1W6DO<>
青ピ「っつ〜…止血しないと」

左腕の袖を肩口から口と右手を使って破く。そして、今度は防弾チョッキの裏から塗り薬を取り出した。学園都市の止血薬は強力で塗ればとりあえず大半の血は止まる。塗り終えた後、破いた袖を撃たれた箇所にキツく巻き付けた。

青ピ「クソ、油断した…」

傷口から見て、弾は貫通している。動かない方が出血量は減るだろう。だが、大絶賛暴れまくり中の横須賀が来る訳ないし、純粋な戦闘員でもない霧谷がここまで来れる訳もない。残りの仕事はキャンピングカーに戻りながらできる範囲でこなすとし、本格的な仕事は横須賀に託すとしよう。

青ピ(ったく、つまらないからって気ぃ抜きすぎだろ)

床に広がった書類をまとめながらそんなことを考えていた時−

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:33:15.85 ID:Z/7z1W6DO<>


???「………青ピ?」


聞き覚えのある声がした。


青ピ「…えっ?」


そこには…



青ピ「…………フレンダ?」


いるはずのない金髪の少女がそこにいた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:35:12.34 ID:Z/7z1W6DO<>

死体のそばで呆然と立ち尽くすフレンダ。それに対して書類を集め終えた体制で顔だけ振り向いたまま固まった青髪ピアス。しばらく二人とも周りの喧騒を忘れて固まっていた。

青ピ(しまった!撃たれた時から演算してねぇ!)

青髪ピアスはなんで自分がバレたのかに先に気付いた。だが、その前に疑問がいくつもある。

フレンダ「…コイツを殺ったのはアンタな訳?」

先に口を開いたのはフレンダだった。

青ピ「…あぁ」

どうしよう。完全にバレた。自分が最低の人間だと。そんな思いで青髪ピアスの頭は軽く絶望の淵まで行った。

青ピ「せ、せやけどなフレンダ…」

なんとか弁明しようと立ち上がる青髪ピアス。

フレンダ「!ちょっとアンタその腕!」

腕の出血に驚いたフレンダが部屋に入ってこようとした。

しかし−
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:37:12.44 ID:Z/7z1W6DO<>
青ピ「!伏せろ!」

フレンダ「え?キャッ!」

間一髪、部屋のトラップであるボウガンの矢がフレンダのベレー帽を射ぬいた。

フレンダ「あ、あっぶな…」

「ちょっと待ってろ、俺がそっち行くから」

フレンダ「え?あれ?青ピ?」

「動くなって!」

いきなり消えた青髪ピアスを探そうとしたフレンダを、【隠密行動】を使った青髪ピアスが制した。

青ピ「…ふぅ」

フレンダ「あ、青ピ!アンタそれ大丈夫な訳!?」

青ピ「大丈夫、とは言い難いな。とりあえず、はよこっから離れよ」

フレンダ「え、ええ。でもえっと…」

青ピ「なんや」

フレンダ「言いたいコトも聞きたいコトもいろいろありすぎるんだっての!」

青ピ「こっちもやっての!せやからひとまずここから…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:38:47.02 ID:Z/7z1W6DO<>
フレンダ「!待って危ない!」

青ピ「うぉ!?」

フレンダが青ピの巨体を押し倒した。瞬間、さっきまで二人がいたところを青白い光が通過した。さらに

青ピ「痛だだだだだだ!」

フレンダ「わ、ゴ、ゴメン!」

フレンダが青髪ピアスの左腕を圧迫していた。それに気付いてフレンダはバッと離れた。その服には血がついていた。

青ピ「な、なんだ今の…」

フレンダ「…アンタは早く病院に行って。話すのも聞くのもその後。」

そう言ってフレンダは立ち上がる。

青ピ「ちょっと待て!危険すぎるだろ!」

フレンダ「大丈夫」

フレンダはクスリと笑った。


フレンダ「結局、今のは私の仲間って訳よ」


青ピ「は…?」

それだけ残して、フレンダは走り去った。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:40:29.08 ID:Z/7z1W6DO<>


青ピ「…とりあえずここに居てもしょうがないな」

青髪ピアスも立ち上がり、研究所の一階を目指した。

おそらく、裏口は逃げ惑う研究員でごった返してる。正面入り口はさっきの手榴弾で瓦礫だらけ。なら、入り口という概念なんてとっぱらって窓から脱出するのが一番手っ取り早い。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:44:25.95 ID:Z/7z1W6DO<>
そんなコトを考えて移動していると、無線から音がした。

???『ザザッ…おい!聞こザ゙ッるか?』

青ピ「どした?横須賀」

横須賀『仕事は終わったか!?』

なぜだか、普段冷静な横須賀の声は荒らぶっていた。

青ピ「利権書だけな」

横須賀『それもう土地の利権書以外いらんぞ!下手すりゃこの研究所、物理的に潰れちまう!』

青ピ「お前どんだけ暴れとんねん。つーかさっきビームみたいなん飛んできたけど新兵器か?」

横須賀『俺じゃない!サザッ女だ!うぉザザザザザザッお!』

青ピ「女?」

横須賀『ああ!ロングヘアーのな!めちゃくちゃな能力者だ!対能力者戦闘のエキスパートである俺が逃げるだけで精一杯だ!』

青ピ「お前それ自称やろ」

横須賀『違うわ!とにかく、機材の方もコイツの能力でとうの昔に木っ端微塵のはずだ!俺は離脱すっから首謀者の連中はお前が…』

青ピ「イヤ、僕弾丸一発くらってもうてん。せやから抜けるわ」

横須賀『な、なあ!?ザザッじゃあ首謀者ザザザザザザザザ!?ぜぇ、ぜぇ!』

青ピ「データ潰して終わりでええやろ。多分そいつの能力で今ごろ木っ端微塵やって」

横須賀『そんな不確実な感じでいいのか!?』

青ピ「どの道裏口から逃げたんやったら霧谷ちゃんがやっとるて。まあ、一人は潰したさかいあと二三人位なら脱出ついでに…」

横須賀『つーかあのババァの相手変わってくれっつってんだよ!ザザビブルチじゃザザザザザザね…ぷぎゃああザザザザザザザザザザザザザザザザザザザーーーーーーーーーーーーープッ』

青ピ「…アーメン」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/07(水) 21:49:48.37 ID:Z/7z1W6DO<> 今回はここまでです。
1レスあたりの配分に悩まされますね。


レスありがとうございます。
とりあえず、そんな何ヶ月空くコトはないんで大丈夫です。


横須賀さんマジいいわ…
横須賀さんも黒妻さんも再登場しませんかね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/03/07(水) 22:02:16.07 ID:Jl5GqRCw0<> 乙
次回も楽しみにしてるよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/07(水) 22:05:17.70 ID:G51BF0nDO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2012/03/08(木) 12:47:26.72 ID:eZPY8aFAO<> 横須賀さんマジ横須賀 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:36:05.58 ID:979ADOjDO<>
−後日

青ピ「おいこら」

???『なんですか?そんなケンカ腰に』

青髪ピアスは病院から電話をしていた。電話の相手は『ウォール』と学園都市上層部を繋ぐ、正体不明の『電話の男』。

青ピ「どういうことだあの現場は」

???『どう…と申しますと?』

青ピ「…明らかに報告にない勢力がいたぞ。おまけに横須賀をバカみたいに狙ってやがった」

???『…もしかして横須賀君、変装してました?』

青ピ「ああ」

???『あ〜、だからですかね。一応「デカい男は殺すな」って指示行ってるハズですが』

青ピ「…っつーことは、やっぱり上層部の勢力か?」

???『ご想像にお任せしますよ。慰謝料として全員に報酬は5割増しで出しますから』

青ピ「8割や」

???『急に関西弁…分かりましたよ』

最後にため息をだけを残して、電話は切れてしまった。

青ピ「…」

横須賀「どうした、浮かない顔して」

青ピ「…お前なんで生きとんねん」 ハァ

横須賀「ふん。言っただろう、対能力者戦闘のエキスパートである、と」

「ハイハイ、どーでもええわ」

そう言って青髪ピアスは姿を消した。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:40:47.69 ID:979ADOjDO<>
青髪ピアスは昼間の大通りを患者着の上からコートを着て歩いていた。今日は平日なので人通りも少ない。

青ピ「…」

コートの上から左腕を三角巾で吊しながら歩く。奇跡的に骨へのダメージはなかったが、筋繊維がズタボロだし、太い血管にも傷が入っていた。

そんな大ケガでも翌日には往来を歩けるから学園都市の技術はズバ抜けている。本当は入院中のハズなのに、能力を使って抜け出してきたのだが。

青ピ「上層部の部隊、か」

青髪ピアスは先ほどの電話を思い出していた。

青ピ(あんな化け物じみた能力だ。上層部が管理してない方がおかしい…けど)

ひとつだけおかしい。というか納得できない



−「結局、今のは私の仲間って訳よ」



普通に受けとめれば、フレンダはあの化け物能力者の仲間ということだ。しかし−

青ピ(…信じられないな)

どう見たってフレンダは明るい女の子だ。学園都市の裏社会に生きてるような人間じゃない。

青ピ(…一人で妄想しても仕方ないな)

そして青髪ピアスは再び携帯電話を取り出した。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:42:20.10 ID:979ADOjDO<>
長いコール音の後、相手は電話に出た。

フレンダ『も、もしも〜し』

青ピ「何どもっとんねん」クスッ

意外な対応に、青髪ピアスは思わず笑ってしまった。

フレンダ『だ、だってずっと連絡してきてくれないのに急に電話がきたら…』

青ピ「…すまん」

フレンダ『…うん。でも結局、青ピの考えてたことも分かったし』

青ピ「…そうか」

フレンダ『…ねぇ、結局私たちはお互いに話さなきゃいけないことがあると思うんだけど』

青ピ「あぁ、僕もそう思う」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:44:41.99 ID:979ADOjDO<>


−夜、第七学区病院脇スポーツ公園

青ピ「お」

フレンダ「今日はお互いピッタリって訳ね」

青ピ「せやな」

暗い中、公園の電灯だけが二人を照らしていた。もう12月に入るということもあり、かなり寒かった。

フレンダ「…ねぇ、その腕大丈夫な訳?」

かなりの寒さなので、二人とも厚着をしていたのだが、青髪ピアスは昼間と同様コートの上から三角巾で左腕を吊していた。

青ピ「こんなんかすり傷みたいなもんや」フンス

フレンダ「アハハ、かすり傷で腕吊すの?」

青ピ「僕虚弱体質やねん」

フレンダ「そんなデカい身体して何言ってんだっての」クスクス

一時、場が和んだ。二人でふざけて笑って…なんとも居心地のいい時間。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:46:21.76 ID:979ADOjDO<>


しかし、やがて沈黙が訪れる。



青ピ「…なぁ」

しばしの沈黙の間、青髪ピアスが切り出した。

フレンダ「なに?」

青ピ「もっかい自己紹介せぇへん?」

フレンダ「…そう、ね。そうしましょ」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:49:39.16 ID:979ADOjDO<>



青ピ「俺はLevel5第六位の【隠密行動】。本名は自分でも分からない。歳は15。暗部組織『ウォール』のリーダーだ」




フレンダ「私はフレンダ=セイヴェルン。学園都市の六割を占める無能力者よ。歳は14。暗部組織『アイテム』の幹部って訳」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:51:41.50 ID:979ADOjDO<>
青ピ「…」

フレンダ「…」

青ピ「…やっぱり暗部だったんだな」

フレンダ「青ピもね。しかも超能力者でリーダーって…」

青ピ「そない立派なもんちゃうわ。悪人の代名詞みたいなもんや」

フレンダ「そう、それも聞きたかった訳よ」

そう言って、フレンダはニヤリとしながら指を指した。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:52:54.79 ID:979ADOjDO<>
青ピ「ん?」

フレンダ「その関西弁と標準語の使い分け」

青ピ「ああ、これか。なんちゅうか…こっちのが和むやろ?」

フレンダ「まあね」

青ピ「それだけの話や。仕事やない時とかはふざけた感じで心に余裕持たせたいっちゅうか…」

フレンダ「…ねぇ、なら今から標準語にして」

青ピ「なんでや?」

フレンダ「結局、真面目な話なのにふざけられちゃ困る訳よ」

青ピ「そらそうy…そうだな」

流れで関西弁で喋りそうになったところで、再び標準語に戻した。

フレンダ「よしよし。…それでね?さっきの自己紹介、もう一文足したい訳よ」

青ピ「…なんだ?」


そしてフレンダは大きく息を吸い込む。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:54:02.42 ID:979ADOjDO<>



フレンダ「…私は目の前にいる青ピが大好き」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:55:00.94 ID:979ADOjDO<>
青ピ「…」

フレンダ「連絡がとれなくて…メールも返って来なくて…スゴい淋しかった」

その顔は暗い中でもはっきり分かるほど紅潮していた。そして恥ずかしそうにほほえんでいて…



青ピ(ああ、神様はやっぱり意地悪で、変なとこで気が効くな)



フレンダ「気付いたら青ピに夢中になってた訳。だから−」

青ピ「ダメだ」

まだフレンダが話しているというのに、青髪ピアスはバッサリ切って捨てた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:56:28.09 ID:979ADOjDO<>
フレンダ「…え?」

フレンダの表情が一瞬で変わる。さっきまでほほえんでいたのに、今は一気に真顔に戻っている。

青ピ「互いに違う暗部組織に所属してるんだ。片方の情報がうっかり漏れたら…」

フレンダ「それがどういう訳!?結局私はそんなことしないし!」

激昂するフレンダ。しかし青髪ピアスは動じない。

青ピ「うっかりって言ってるだろ。そうなった場合、その暗部組織は壊滅したっておかしくない」

フレンダ「で、でも…」

青ピ「…むしろこうやって会ってるだけでもマズいだろ。もう会わない方がいい」

青髪ピアスは現実主義者だ。淡い幻想よりも現実を見る。

フレンダ「…なんで」

青ピ「仕方ないだろ。それが裏社会って…」

フレンダ「違う」

青ピ「…え?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:57:11.01 ID:979ADOjDO<>


フレンダ「なんでそんな顔して言ってる訳?」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 21:58:42.97 ID:979ADOjDO<>
青ピ「…」

黙り込む青髪ピアス。自分の表情は自分では分からないが、大方予想はついた。きっと考えてることじゃなくて思ってることが顔に出てる。

フレンダ「暗部がどうこうなんて、結局どうでもいい訳よ!アンタだってそう思ってんでしょ!?」

青ピ「だけどな…」

踏ん切りがつかない。現実は甘くないと、頭は理解しているからだ。

フレンダ「…そう。そうよね。結局アンタはリーダーな訳だしね」

青ピ「…」

フレンダ「アンタの判断は正しい。…もう会わない方がいい」

全てを諦めきったように、フレンダは青髪ピアスの考えを肯定し始めた。その顔には仕方ない、という気持ちが見てとれた。

青ピ「…あぁ」

フレンダ「…じゃあね、青ピ。今まで楽しかった」

そう言ってフレンダは背を向けて歩き始めた。小さな背中に淋しさがはっきりと映っていた。

青ピ「…待ってくれ」

フレンダ「…何?」

青髪ピアスの呼び掛けにフレンダは振り向く。

青ピ「…俺も自己紹介にもう一文足していいか?」

フレンダ「え…?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 22:00:01.27 ID:979ADOjDO<>



青ピ「俺は目の前にいるフレンダが大好きだ」




フレンダ「え…」

青ピ「…だから」




青ピ「ずっと一緒に居てくれ」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 22:01:06.10 ID:979ADOjDO<>
フレンダ「…〜〜〜〜っ!」ダキッ

青ピ「うおっ、と」

フレンダは顔を真っ赤にして、走って青髪ピアスに抱きついた。反動で青髪ピアスは倒れそうになったがなんとか持ちこたえた。

フレンダ「…ヒグッ…ホントに…ヒッ…一生会えないと、思ったじゃないのよ、バカァ!」

青ピ「ゴメンな」

青髪ピアスの胸で泣きながらに喋るフレンダの言葉が青髪ピアスに突き刺さった。そして、青髪ピアスはそんなフレンダを右腕だけで抱き締めた。

フレンダ「うぅ…」

青ピ「…俺だって一生会えないなんて嫌だから、さ」

フレンダ「…罰としてもうちょっとこのままでいさせて」

青ピ「あぁ、気が済むまでいつまででも」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 22:03:12.69 ID:979ADOjDO<>

フレンダ「ね、今さらだけど左腕大丈夫な訳?」

フレンダが青髪ピアスに抱きついた時、三角巾で吊されてる腕は思い切り圧迫されていた。

青ピ「せやからかすり傷やって。気にせんでええ」

フレンダ「さすがは暗部のリーダー。規格外な訳よ」

青ピ「関係あんの?」

フレンダ「あるわよ。ウチのリーダーだって…」

青ピ「ストップ」

フレンダ「おっと」

青ピ「…お互いの暗部の情報は漏らさない。これが大前提だろ」

フレンダ「そうね、危ないところだったわ」

青ピ「それに、付き合ってんのも隠した方がいいな」

フレンダ「結局、誰かに知られたらマズイことにしかならない訳だしね」

青ピ「綱渡りになるで、こりゃ」 ハハ

フレンダ「いいじゃない?危険な恋。結局、普通に恋愛するより燃えるって訳よ」

青ピ「…せやな、こんな悪人と恋愛しとるんやさかい。危険やわ」

フレンダ「別に悪人だからといってコンプレックスを感じる必要なんかない訳よ。それで言ったら私も悪人だし」

青ピ「…なるほど、悪人同士っちゅうのもええかもな」ニヤッ

フレンダ「ふふん、結局ベストカップルな訳よ」ニヤッ

青ピ「せやな。これからもよろしうな、フレンダ」

フレンダ「こちらこそ、青ピ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/08(木) 22:12:21.07 ID:979ADOjDO<> 今回はここまでです。
00:00ごろもっかい来ようと思ってます。

レスありがとうございます。
今回も楽しんでいただけたら光栄です。
ホント横須賀さんオールマイティー。原作でも将来は絶対強い(はずだ)もん。マジ横須賀w


外伝短くするはずがムチャクチャ長くなるかもです。
本編の続編のつもりだったのに…
とりあえず次回からしばらく地の文消えます。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/08(木) 22:16:42.37 ID:aObC5n4Jo<> 切なさがヤバい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:40:26.22 ID:n1pN+XnDO<>
−12月下旬、日暮れ

フレンダ「うぅー、さっぶいわ」

青ピ「もうすぐ一年終わってまうからなぁ」

フレンダ「その前にメインイベントな訳よ」

青ピ「せやな。お、雪や」

フレンダ「…結局、ロマンチックな訳よ」

青ピ「ホワイトクリスマスやな」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:41:40.48 ID:n1pN+XnDO<>


青ピ「ほれ、寒いんやったら」

フレンダ「ん?」

青ピ「手ぇ繋ごうや。ほんで僕のポケットでよければ貸すで」

フレンダ「…ニャハハ、おっじゃまっしまーす!」

青ピ「うわっ!冷たっ!ホンマに寒かったんやな」

フレンダ「そーそー、寒くてしょうがない訳よ。だからもっと暖めて」ダキッ

青ピ「うおぅ!そない腕に抱きつかんでも…」

フレンダ「だーかーら、寒いんだっての♪」

青ピ「…ま、ええか」ニコ

フレンダ「♪」ニコニコ

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:42:45.78 ID:n1pN+XnDO<>
青ピ「…にしても」

フレンダ「うん?」

青ピ「こーゆー抱きつきイベントってもっとこう…男を惑わせるような…」

フレンダ「な〜にが言いたい訳?」ピキッ

青ピ「じょ、冗談や冗談!せやから何も取り出さんといてや!」

フレンダ「ふん!結局、厚着してるせいな訳よ!これが夏ならアンタだって…」

青ピ「肋骨の感触が楽しめる?」

フレンダ「よろしい。ならば戦争だ」 スチャ

青ピ「ちょっと待て!往来でそいつはbbbbbb!」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:43:36.81 ID:n1pN+XnDO<>

フレンダ「結局、見せたいものって何な訳?」

青ピ「ん〜、暗なってきたしそろそろええか。あそこや」

フレンダ「?高層ビル?」

青ピ「そ、学園都市で一番高いところや」

フレンダ「…最上階の高級レストラン、とか?」

青ピ「ハズレ〜。最上階ってのは近いな」

フレンダ「?」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:44:32.42 ID:n1pN+XnDO<>

青ピ「よっしゃ。フレンダ、もっかい手ぇ繋ご」

フレンダ「?ハイ」

「よっ」

「え!?わ!スゴい私も消えた!」

「なんか僕の『自分だけの現実』が変化しよったみたいでな。人一人ぐらいまで適用範囲広がっててん」

「そうなんだ。なんか変な感じ」

「こっからは音も消すで。しゃべりかけても聞こえへんから堪忍な」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:46:01.58 ID:n1pN+XnDO<>
−屋上


青ピ「能力解除、と」

フレンダ「ふわぁ〜」キラキラ

青ピ「どうや!『立ち入り禁止の屋上から見る学園都市の夜景ver.クリスマスイルミネーション』や!」

フレンダ「うん…スゴい…」

青ピ「ほい、これ」

フレンダ「ん?」

青ピ「寒いやろ?さっき自販機で買っといたんや」

フレンダ「あ、ありが…」

【いちごおでん】

フレンダ「」

青ピ「ん?どないしたん?」

フレンダ「結局、台無しな訳よ」ハァ

青ピ「何ィ!?」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:47:06.10 ID:n1pN+XnDO<>

青ピ「ほい、これ」

フレンダ「何?またいちごおでん?」

青ピ「ちゃうちゃう。クリスマスプレゼントや」

フレンダ「お!ありがとっ♪開けてもいい?」

青ピ「かめへんよ」

フレンダ「…ベレー帽?」

青ピ「ほら、あの日ダメになってもうたやろ?」

フレンダ「そうね。結局、思い切り貫通してたわ」

青ピ「せやから新しい帽子をって訳や」

フレンダ「ありがと…どう?似合う?」

青ピ「めちゃめちゃかわええわ!買うた甲斐があったで!」

フレンダ「ニャハハ、大事にするわ♪」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:48:04.83 ID:n1pN+XnDO<>

フレンダ「結局、私からもある訳よ」

青ピ「おお、彼女からクリスマスプレゼントなんてはじめてやわ!」

フレンダ「私も彼氏からクリスマスプレゼントなんてはじめてだっての。ハイこれ」

青ピ「おおきに!開けてもええ!?」

フレンダ「もちろん!」

青ピ「んー…シルバーのネックレス?」

フレンダ「そ。裏組織のリーダーっぽいでしょ」

青ピ「確かにな…ん?なんか彫って…Act?」

フレンダ「それがもう一つのクリスマスプレゼントって訳よ!」

青ピ「へ?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:49:18.79 ID:n1pN+XnDO<>
フレンダ「アンタの名前よ。『アクト』」

青ピ「…アクト?」

フレンダ「そう。アンタ『記憶装置』の弊害で自分の名前が分からなくなったんでしょ?だから私が考えたの」

青ピ「…」

フレンダ「アンタの能力と悪人をかけて『アクト』って訳よ!」

青ピ「…うぅ」グスッ

フレンダ「え!?ゴ、ゴメン!そんなに気に入らなかった!?」

青ピ「…違う」

フレンダ「え?」

青ピ「あの、な…うれしくて…グスッ」

フレンダ「…」

青ピ「【隠密行動】としか、呼ばれてこなかったから…こんな…グスッ人並みな名前が、もらえるなんて…」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:51:41.31 ID:n1pN+XnDO<>


フレンダ「…落ち着いた?」

青ピ「ああ、ちゅうか急にに恥ずかしうなってきてもうた」

フレンダ「結局、恥ずかしがることなんかない訳よ。そんなに喜んでもらえるなら考えた甲斐があったわ」

青ピ「…せやけど、僕だけ2つもプレゼントもらうのは申し訳ないな」

フレンダ「…じゃ、じゃあ、さ」

青ピ「ん?」

フレンダ「こ、ここに、ちょうだい?」

青ピ「唇?…も、もしかして!?」

フレンダ「ん。アクト、のファーストキスが、欲しいって、訳、よ…」プシュー

青ピ「そ、そんな顔真っ赤にすなや!そんなんされたら僕かて緊張して…」

フレンダ「口調」

青ピ「へ?」

フレンダ「こーゆー時は標準語にしてほしい訳よ」

青ピ「な、なんで?」

フレンダ「そっちのがムード出るでしょ?」

青ピ「…うまくできるか分からないぞ…」

フレンダ「結局、それがファーストキスな訳よ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 00:57:04.67 ID:n1pN+XnDO<> 今回はここまでです。
短いですがさっき更新しましたし。


レスありがとうございます。
書いててもちょっと切ないです。
でも、できる限りフレンダを幸せにしてあげたいです。


フレンダの歳とか能力とか…
このスレではこれでいくんで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)<>sage<>2012/03/09(金) 03:40:04.15 ID:sRUfaX4AO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)<>sage<>2012/03/09(金) 08:13:48.46 ID:rUijobRAO<> 横須賀さん素敵 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/03/09(金) 11:08:44.13 ID:Yrqa8OMd0<> ホクホク
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 23:44:52.74 ID:n1pN+XnDO<>
−1月下旬

青ピ「お、あけおめやな」

フレンダ「あけおめね。っつーか結局、正月なんてとうの昔に終わってるけど」

青ピ「しゃあないやん。2つの暗部が同じ日に休日になるなんてめったにないんやさかい。クリスマスが奇跡的やったんや」

フレンダ「ま、それもそっか」

青ピ「この分やとバレンタインやホワイトデーも危ういやろな」

フレンダ「ま、結局会えなかったら送ればいいって訳よ」

青ピ「期待してええの?」

フレンダ「当然!とびきりのヤツあげて悶死させちゃうって訳よ!」

青ピ「またえらいハードル上げたな。ホンマに期待しとくわ。…とりあえず寒なってきたし、はよ行こか」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 23:46:58.35 ID:n1pN+XnDO<>

−ゲーセン


青ピ「らっ!」

<ズドン!
<250Kg!

フレンダ「お〜、さすがね」

青ピ「ふふん、どんなもんや」 ドヤッ

フレンダ「でもあんなテレフォンパンチじゃ結局実戦では…ってそっか」

青ピ「そ、能力使てれば丸分かりの隙だらけパンチでも大丈夫なんや」

フレンダ「結局、超能力者なんて大概チートな訳よ」

青ピ「言うても僕はギリギリやけどな。自分だけ石ころ帽子状態なんて学園都市にしてみれば誰得やろうし」

フレンダ「ギリギリ?序列的にはアクトの下にもう一人居るんでしょ?」

青ピ「聞いた話やとアレは強力やけど意味不明すぎて第七位らしいで。現段階じゃ解明できへんねんて。けど、言い換えればそんだけ未知の法則を持っとるっちゅうことや。たぶんその未知の法則が解明されて、実用性があれば今の第三位みたいにごぼう抜きで第二位くらいに上がるんとちゃう?」

フレンダ「…なるほど」

青ピ「その能力の測定と観測及び監視っちゅう無期限任務をウチに回されて今どないしy」

フレンダ「ストップ」

青ピ「おっと」

フレンダ「結局、大前提を忘れてんのはアクトな訳よ」ハァ

青ピ「…申し訳ない」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 23:48:36.42 ID:n1pN+XnDO<>


フレンダ「…いけっ」

<ウィーン
<ストン

フレンダ「イェイ!4つ目ゲット!」

青ピ「経費600円で早くもぬいぐるみ4つか。店員さん泣くで」 ケラケラ

フレンダ「いいの。結局、他の客から十分ふんだくってるだろうし」

青ピ「それもそやな。でも、こんな腕もっとるんやったらすでに部屋とか景品だらけちゃう?」

フレンダ「まあね、しかもほとんどぬいぐるみ」

青ピ「こない集めてどないすんねん」

フレンダ「ふふん、ぬいぐるみって意外と万能な訳よ。鑑賞できるし、モフモフできるし、プレゼントできるし、爆弾にできるし」

青ピ「なるほどなあ。って爆弾?」

フレンダ「そ。結局ぬいぐるみに爆弾が仕込まれてるなんて誰も思わないから殺りやすい訳よ」

青ピ「またエッグイなあ〜」

フレンダ「この話はこの辺にしときましょ。せっかくのデートだし」

青ピ「せやな。…ってまたUFOキャッチャーやるんかいな」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 23:52:39.32 ID:n1pN+XnDO<>


フレンダ「ニャハハ、楽しかったわ〜」

青ピ「最後のアレめっちゃおもろかったな!っちゅうか大尉おもろすぎるでアレ!」

フレンダ「すっごいカッコつけてたのに結局トラップで振り子状態だったからね。でも、あのタフさは下部組織に欲しいわ」

青ピ「既にウチの幹部にいrっとマズイか」

フレンダ「別にそんくらいいいんじゃない?結局、私もかなり喋っちゃってたし」

青ピ「え?それいつや?」

フレンダ「いろんな時。結局、友達の話は全部幹部の話な訳」

青ピ「…ホンマか?」

フレンダ「ホンマよ」

青ピ「え?暗部の連中とプライベートで遊んどんの?」

フレンダ「うん。ってゆーかほとんど共同生活に近いかな?結局、自宅よりアジトにいる方が多いし」

青ピ「へー…」

フレンダ「アクトはそーゆーのないの?」

青ピ「一切ないな」

フレンダ「なんで?」

青ピ「なんでって…馴れ合うもんちゃうやろ。暗部って」

フレンダ「結局、それじゃつまらない訳よ。いつ死ぬかも分からないならいっぱい遊んでおいた方がお得な訳!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 23:54:20.41 ID:n1pN+XnDO<>
青ピ「…なるほどなあ」

フレンダ「でしょ?」ニシシ

青ピ「イヤ、そっちやのうて」

フレンダ「え?」

青ピ「ずっと疑問やったんや。なんで暗部におんのにフレンダはこんな明るいんやろな、って」

フレンダ「アクトだって明るいわよ?」

青ピ「フレンダの前でだけや。最初会うた時はそうでもなかったやろ」

フレンダ「んー…、言われてみれば…?」

青ピ「そんで、なんとなく疑問が解けたわ。暗部のヤツらと遊んでるからやな。…ちょっとうらやましいわ」

フレンダ「じゃ、アクトも遊べばいい訳よ」

青ピ「…暗部組織の超能力者やで?」

フレンダ「関係ないっての。結局、私のリーダーだって超能力者だし」

青ピ「言うてええんかそれ」

フレンダ「結局、私はアクトがリーダーって知ってるからこれでイーブンな訳よ」

青ピ「そう…かぁ?」

フレンダ「そうなの。で、結局私はそのリーダーと仲良くやってるし、頼りにしてる訳よ」

青ピ「…そうか」

フレンダ「うん。こないだだって危ないところで私を助けて」

青ピ「ストップ。さすがに任務内容はアカン」

フレンダ「っとと。まあ何が言いたいかって言うと、最初から決め付けちゃいけないってこと!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 23:55:50.36 ID:n1pN+XnDO<>
2月上旬−

青ピ「ん。これでええな。下部組織呼んで後片付けさせといてくれ」

霧谷『了解で』

横須賀「では、これで解散だな。俺は下部組織の連中と第七位対策の打ち合わせだから残るぞ。」

青ピ「さよか」

横須賀「ああ。」

青ピ「…」

横須賀「…?」

青ピ「なあ、横須賀」

横須賀「なんだ?」

青ピ「…お前…好きなん何や?」

横須賀「」 ゾワッ

青ピ「…なんや」

横須賀「お前…確かに俺は立場を考えろと言ったが…」

青ピ「は?」

横須賀「だからって俺に切り替えんでm」

青ピ「本気でシバくぞ、おどれコラ」 ビキビキビキッ



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 23:58:02.34 ID:n1pN+XnDO<>
−2月下旬

霧谷「…いったいどーゆー心境の変化で?…ケホッ」

青ピ「…」

霧谷「任務でドジった人間なんていつもなら見捨ててるはずなんで。それをわざわざ前線から駆けつけて助けるなんて…」

青ピ「…なあ、霧谷ちゃん」

霧谷「はい?」

青ピ「ちょっと前に『ウォール』でカラオケ行ったやろ?」

霧谷「…あの横須賀さんが『モ○娘。メドレー』で満点出したヤツで?」

青ピ「そや。霧谷ちゃんが『恋○メガラバ』歌いながらトランスしたヤツや」

霧谷「忘れてほしいんでっ!」

青ピ「あはは、まあええやん。…ほんでアレ楽しかった?」

霧谷「…ええ、まあ」

青ピ「僕もやねん」

霧谷「…で?」

青ピ「イヤ、せやからもっかいみんなで行きたいし、死なせたなかったんや」

霧谷「…似合わないんで」

青ピ「お前な…」

霧谷「でも、助かったんで。ありがとうございました」ペコリ

青ピ「…さよか。じゃ、今度は霧谷ちゃんおごりな」ハハ

霧谷「左様で」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/09(金) 23:59:30.06 ID:n1pN+XnDO<>
青ピ「あ、そうや。もう一つ聞きたいことあったんや」

霧谷「はい?」

青ピ「バレンタインのお返しって何あげたらええかな?」

霧谷「」

青ピ「…なんや?」

霧谷「…え?私義理チョコなんてめんどくさいもの渡してないはずなんで」

青ピ「?分かっとるわ。違う娘にもろたんやて」

霧谷「」

青ピ「…何ケータイ取出しとんねん」

霧谷「…あ、横須賀さん?なんかリーダー錯乱したみたいなんで読心して調べてもらいたいんで」

青ピ「錯乱ちゃうわ、こんボケ」 イラッ



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 00:00:42.18 ID:Fof1aD1DO<>
−3月中旬、フレンダ宅

フレンダ「お、おお?」

青ピ「…」

フレンダ「…手作りクッキー?」

青ピ「…すまん。手作りが送られてきたさかい手作りで返そ思て…」

フレンダ「…結局こうなった、と」

青ピ「い、イヤ、形はアレやけどな?ちゃんと味見はしたさかい…」

フレンダ「…ん、おいし」

青ピ「せ、せやろ!?」ホッ

フレンダ「でも、こんなに歪な形じゃ食べる場所によって味が変わっちゃう訳よ。火の通り具合とかで」

青ピ「…来年までに精進します」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 00:02:00.42 ID:Fof1aD1DO<>


フレンダ「それで?前に言ってたのは結局どうだった訳?」

青ピ「…暗部のヤツらと、ってやつ?」

フレンダ「うん」

青ピ「キチガイ扱いされてもうた」

フレンダ「え゛」

青ピ「でも、まあ前よりは仲良うなった気ぃするわ」

フレンダ「あ、そう。よかった〜」ホッ

青ピ「なんや仲良うなってからの方が連携取りやすくなった気もするしな」

フレンダ「当然よ。結局、意志疎通しやすくなるって訳」

青ピ「それに…ちょっと楽しうなったしな」

フレンダ「ふふ、勧めて良かったわ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 00:03:14.04 ID:Fof1aD1DO<>


青ピ「…小腹空いてきよったな」

フレンダ「ん?じゃあ、ちょっと待ってて」

青ピ「お?今度は手作りおやつかいな」

フレンダ「そんな手間のかかるもんないっつの」




フレンダ「ハイ、これ」

【サバ缶】

青ピ「」

フレンダ「ん?」

青ピ「…いちごおでんのが絶対マシやで」

フレンダ「はぁ!?あんなゲテ物と一緒にされちゃたまらない訳よ!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 00:04:28.74 ID:Fof1aD1DO<>
青ピ「そもそもこれプルタブないやん。缶切りは?」

フレンダ「あ、持ってくるの忘れちゃった」

青ピ「まあいいわ」サッ

フレンダ「?何それ?修正テープ?」

青ピ「コイツを…こう、ふちどってやな…よっ」

ボンッ

フレンダ「おおー!」

青ピ「どや!」

フレンダ「そんな缶切りツールがあったとは…」 ゴクリ

青ピ「イヤ、缶切りツールちゃうわ。本来は鉄板とか焼き切るモンや。これはちょいと威力控え目やけどな」

フレンダ「いいわねそれ!応用効きそうだわ!」

青ピ「実際重宝するで、コレ」

フレンダ「」ジーッ

青ピ「…いる?」

フレンダ「いいの?」

青ピ「まあ、上に言えば支給してもらえるしな。かめへんよ。ホワイトデーやし」

フレンダ「じゃ、ありがたくいただくって訳よ♪」

青ピ「次からは上に言うてな。たぶん型番言えば分かるやろ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 00:07:14.49 ID:Fof1aD1DO<>


青ピ「さて、帰ろかな」

フレンダ「え!?帰っちゃうの!?」

青ピ「?結構ええ時間やろ」

フレンダ「まあ…でも彼女の家に来た訳だし、さ」

青ピ「…もしかしてなんか期待しとった?」

フレンダ「へ!?な、なんのことかな〜?」

青ピ「」ニヤニヤ

フレンダ「〜〜〜っ!」プシュー

青ピ「あはは!やっぱかわええなぁ!」

フレンダ「るっさい!」

青ピ「すまんすまん。せやけど今日は帰らなアカンねん。明日試験やし」

フレンダ「へ?試験?」

青ピ「そ、高校入試」

フレンダ「え!?学校通うの!?」

青ピ「そうや。もっといろんなヤツと仲良うなった方が人生おもろいと思ってな」

フレンダ「…なんか急にポジティブになっちゃったね」

青ピ「フレンダのおかげや」ニッ

フレンダ「でも、暗部のリーダーこなしながら学校なんて大丈夫な訳?」

青ピ「大丈夫や。上に頼んで『書庫』に適当なデータ上げてもろうたし、授業出れんでもええようにバカ学校選んだし」

フレンダ「…バカ学校なら入試勉強なんていいじゃん。結局、学園都市第六位なんだし」

青ピ「念のためや。今日まで一秒も勉強しとらんし。だから」グイッ

フレンダ「わ、ん」




青ピ「…今日はこれで勘弁してくれ」

フレンダ「…意地悪」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 00:16:42.82 ID:Fof1aD1DO<> 今回はここまでです。
アレ?俺シリアスなSS書いてたよな?


レスありがとうございます。
残念ながら次回は横須賀さんおやすみです。てか麦のんファンの方の次は横須賀さんファンの方が…wありがとうございます。
今回もホクホクしていただいたら幸いです。


てか大尉のネタ分かる人居ますかね?数年前のシューティングなんですが…
タイムクライシス4だか3だかです。
友達とゲーセン行って、めちゃめちゃ笑ったな…懐かしい…
学園都市ではリメイク最新版ってコトで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/10(土) 00:21:35.97 ID:f4w80QMIo<> 横須賀先輩マジクール <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/10(土) 00:26:07.95 ID:/fAdSkwDO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/10(土) 00:28:09.64 ID:PbI91M0eo<> 何故加速したし
どうでもいいが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:37:19.86 ID:Fof1aD1DO<>
−4月上旬、とある高校


青ピ「はじめまして!田中亜久人言います!青髪ピアスて呼んでもろうて結構や!よろしう頼んます!」

小萌「はーい、青髪ちゃんですねー。元気があって大変よろしいのですよー」

青ピ(まさかアレが教師だったとは…やっぱ学校は新鮮だな)

小萌「んー!今年も元気な新入生ちゃんばかりで先生はものすごーくハッピーなのですよー!みなさん不安もあるとは思いますが、充実した高校生活を送ってくださいね!先生相談ならいくらでも乗ってあげちゃうのです!」

青ピ(…なんかめちゃめちゃいい人っぽいな)



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:38:54.75 ID:Fof1aD1DO<>


???「よう、青髪ピアスくん」

青ピ「ん?えーと君は…土御門くんやったっけ?」

土御門「おーっ!早速覚えてもらってるなんて嬉しいぜよ!」

青ピ「そらそうやろ。学校でグラサンなんかかけとったら」

土御門「ハッハッハ、お互い覚えやすい外見だぜい」

青ピ「外見だけやないで。口調もやろ」

土御門「まったくだにゃー。気が合いそうですたい」

青ピ(やっべ、俺以上に口調がスゴいぞコイツ)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:40:11.58 ID:Fof1aD1DO<>
土御門「ついでに俺のお隣さんも紹介するぜい」

青ピ「お隣さん?」

土御門「おーい!上やーん!」

青ピ「上やん?」

上条「ハイハイ、上条さんですのことよ」

青ピ「ああ、上条くんか。なるほど」

上条「えーと、田中…だっけ?」

青ピ「青ピでええよ青ピで。そっちのが覚えやすいやろ?」

上条「あ、そうか?」

青ピ「ああ。僕も上やんて呼ぶさかい」

青ピ(つーか田中って偽名だし)

上条「そっか。じゃあよろしくな青ピ」

青ピ「こちらこそや、上やん」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:42:45.63 ID:Fof1aD1DO<>
土御門「いやー、しっかし入学早々ビックリしたぜよ!まっさかあんな幼稚園児みたいな人が先生だったとはにゃー!」

青ピ「せやなぁ。まあけっこうかわえかったけど」

上条「かわいいって…まさかロリコン趣味が?」

青ピ「イヤ、そんなんちゃうわ!」

土御門「じゃあ青ピのストライクゾーンはどこぜよ?」

青ピ「僕か?んー…」

青ピ(フレンダとの出会いを考えると…)

青ピ「…落下型ヒロイン。…!」ハッ


−それに、付き合ってんのも隠した方がいいな

−結局、誰かに知られたらマズイことにしかならない訳だしね


上条「あんなの二次元限定だろ。ちなみに上条さんは年上の…」

青ピ「…−のみならず」

土御門「ん?」




青ピ「義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブクセっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウエイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様二ーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性が僕のストライクゾーンやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




青ピ「」ハァハァ

上条「」


土御門「」



クラス一同「」




青ピ(やっちまった…)ズーン


上条「え、えーと、結局ロリk」

青ピ「ロリだけやない!ロリも好きなんやでぇぇぇ!」(もうヤケクソだちくしょー!)



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:45:27.76 ID:Fof1aD1DO<>
−4月下旬、青髪ピアス宅


フレンダ「ーっ!ーーっ!」バンバン!

青ピ「どんだけ笑とんねん…イヤそら笑うかぁ」ズーン

フレンダ「ヒーッ!死ぬ!死ぬ!っぷははははは!あははははははは!」バンバン!

青ピ「ホンマ…何考えてんねやろ僕…」

フレンダ「テンパりすぎでしょ!学園都市第六位の思考回路ぶっ飛びすぎてるわ!あっははははははは!」ヒーッヒーッ

青ピ「ホンマやなぁ…別に一般人にバレたってかめへんのに…何やってんねやろ」ハァ

フレンダ「あはははは!腹筋切れちゃうってば!」

青ピ「…それ以来僕の評価ドン底やし…さすがの小萌先生も反応に困っとったわ」

フレンダ「そりゃ自分の生徒が史上最強の変態だって分かったrあはははははは、ダ、ダメだわ!発作が!あっはははははは!」

青ピ「変態…せやなぁ…気付いたら僕オタクでドMっちゅう設定になっとったしなぁ」シミジミ

フレンダ「あっはっはっはっはっはっはっはっ!や、やめ!死ぬってば!あっはははははは!」バンバン!

青ピ「…人間テンパると信じられん行動するんやなぁ。最終的に僕新しい動き身につけてん。見てホラ」クネクネ

フレンダ「ーっ!あ、あんたわざと笑わせnっはっはっはっはっ!はははははははは!軟体動物か!あっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」ヒーッヒーッ



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:47:03.18 ID:Fof1aD1DO<>

フレンダ「」ピクピク

青ピ「大丈夫か?おい」

フレンダ「だ、大丈…っぷ」クスクス

青ピ「大丈夫ちゃうやん」ハァ

フレンダ「しょ、しょうがないじゃん。そんな話されたら」プルプル

青ピ「…」

フレンダ「…」プルプル

青ピ「」クネクネ

フレンダ「」ブッフー! バンバン!


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:48:26.70 ID:Fof1aD1DO<>


フレンダ「にしても、なんで未だに青ピって呼ばせてる訳?せっかく私が名前考えてあげたのに」

青ピ「大事な大事なファーストネームや。知り合ってすぐのヤツに呼ばせたないんよ」

フレンダ「ふーん…」

青ピ「名前がないから青ピって呼んでもらうのと、名前があるけど青ピって呼ばせるのじゃえらい違いなんやで?アクトって名前は僕ん中じゃ宝物や」

フレンダ「…ホント?」

青ピ「もちろんや!名前もアクト=セイヴェルンしよか本気で迷ったしな。感づかれそうやからやめたけど」

フレンダ「…んふふ、嬉しいわ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:50:04.88 ID:Fof1aD1DO<>


フレンダ「ま、結局その感じじゃ浮気の心配はいらないみたいね」

青ピ「どのみちフレンダがおるのに浮気なんてする意味あらへんわ」

フレンダ「結局、男はみんなそうやって言う訳よ」

青ピ「どこ情報や、それ」

フレンダ「友達情報」

青ピ「…さよか」

フレンダ「だから学校ではそのキャラでいてね」

青ピ「嫌や…って言いたいとこやけど案外楽しいしな…でもさすがに…」

フレンダ「いいの。その代わり来年から私もアクトの学校通うって訳よ」

青ピ「お?ホンマ?」

フレンダ「もち!話聞いてみたら結局面白そうだし」

青ピ「よっしゃ!僕ホンマのこと言うと制服デートってしてみたかったんや!」

フレンダ「ニャハハ!いきなり青春街道まっしぐらな訳よ!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:51:36.25 ID:Fof1aD1DO<>


フレンダ「ねえ」

青ピ「ん?」

フレンダ「ホントに浮気しない?」

青ピ「せぇへんて!」

フレンダ「ホントにホント?」

青ピ「…あんなぁ、フレンダ以上の女の子なんか僕ん中におらへんの」

フレンダ「…そう、なの?」

青ピ「…あたりまえだろ?なにがそんな不安なんだ?」

フレンダ「…ョ…」ボソッ

青ピ「ん?」

フレンダ「…プロポーション」

青ピ「…なるほど」

フレンダ「結局、一瞬で納得いっちゃうほど乏しい訳よ…」ニャハハ…

青ピ「別にかまわない」

フレンダ「え?」

青ピ「結局、大事なのは中身って訳だ」

フレンダ「…ありがと」

青ピ「…そんなに気になるなら大きくしてやろうか?」

フレンダ「ふぇ?」

青ピ「よく言うだろ?揉むといろいろ大きくなるらしいぞ」ガバッ

フレンダ「え?ちょっ、まっ、キャッ!」ドサッ

青ピ「…つーか、フレンダ脚キレイだからそれだけでも十分だし」

フレンダ「うぅ…」

青ピ「…やっぱかわいいし」

フレンダ「…ねえ、アクト」

青ピ「ん?」

フレンダ「キス…して…」

青ピ「…いつもの?」

フレンダ「どっちも…いっぱいキスして…」

青ピ「…ああ」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/10(土) 21:58:15.03 ID:Fof1aD1DO<> 今回はここまでです。
やっと上条さんもつっちーも出てきた。

レスありがとうございます。
アレ?横須賀さんファンが増えたw
嬉しいことです。ありがとうございます。


次回からちょっとずつ地の文復活です。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/03/11(日) 00:07:30.49 ID:UEBgLzpAO<> このブラックコーヒー甘いンですけれどォ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/11(日) 03:16:57.40 ID:iBWCAKSDO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/11(日) 03:32:23.43 ID:9WNNDXx1o<> 横須賀さんマダー? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/03/11(日) 04:34:07.23 ID:r2FSbg1AO<> このあとわかってるだけにつらいな… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/03/11(日) 20:10:47.43 ID:0VVemS7J0<> こういう経緯を経ての変態か…
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:07:26.54 ID:y/xxJs6DO<>
−5月中旬、第十三学区とある小学校前

ガヤガヤ ガヤガヤ

フレンダ「んー…、そろそろなんだけどな」

青ピ「いやーみんなちっこいのばっかやな」

フレンダ「そりゃそうでしょ、小学校なんだし」

青ピ「そうやな。みんなかわええわ」

フレンダ「結局ロリコンな訳?」クスクス

青ピ「そーゆーかわええちゃうわ!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:08:32.90 ID:y/xxJs6DO<>


フレンダ「あ、いたいた」

青ピ「ん?アレか?」

???「!お姉ちゃん!」

フレンダ「おーう、お疲れフレメア」

フレメア「お疲れ、にゃあ」

青ピ「この娘がフレメアちゃんか?フレンダそっくりやな」

フレメア「?お兄さん誰?」

フレンダ「結局、私が連れてくる男って言ったら一人しかいないって訳よ」

フレメア「!じゃあ、この人が大体いつもお姉ちゃんが話してる『アクト』って人!?」

青ピ「せや、アクトや。はじめまして」

フレメア「フレメア=セイヴェルンです!はじめまして!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:09:53.72 ID:y/xxJs6DO<>

−公園

フレンダ「じゃ、私なにか飲み物買ってくるわ」

青ピ「僕行くよ?」

フレンダ「結局、意地悪して【いちごおでん】買ってくるような人には行かせられないって訳よ」

青ピ「バレたか」ハハ

フレンダ「そんじゃ、ちょっと待っててね」 タタタ

青ピ「…美味しいと思うんやけどなあ、【いちごおでん】」

フレメア「」ジーッ

青ピ「ん?なんや?」

フレメア「アクト大きいね」

青ピ「まあ180越えとるからな」

フレメア「でも、大体駒場のお兄ちゃんのが大きい」フフン

青ピ「ほぅ、僕より大きいとなるとかなり大きいな」

フレメア「♪」

フレンダ「おまたせー」

青ピ「お、何買うてきたん?」

フレンダ「はい、【椰子の実サイダー】」

青ピ「まともやな。【サバ缶】かと思ったわ」

フレンダ「自販機に売ってねーっての」

フレメア「お姉ちゃん」

フレンダ「ん?」

フレメア「大体私の勝ち、にゃあ」フフン

フレンダ「は?」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:11:21.63 ID:y/xxJs6DO<>


青ピ「おや?」

少年「おーい、フレメアー」

フレメア「あ、どうしたの?」

フレンダ「友達?」

フレメア「うん。学校の」

少年「あのさ、俺たち今から缶けりしよう思ってたんだ。だからそれ飲み終わったらくれよ」

フレメア「ん、いいよ」

少年「サンキュー!フレメアもやる?」

フレメア「やる!にゃあ!」

少年「よし!じゃあ行こうぜ!」

フレメア「うん!お姉ちゃんとアクトも行こ!」

フレンダ「え?イヤ私たちは…」

青ピ「よっしゃ行こ!」

フレンダ「え゛、マジ?」

青ピ「ええやん!楽しそうやし!」

<早くー!

フレンダ「…ま、たまにはいっか」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:12:29.18 ID:y/xxJs6DO<>


フレンダ「よーし、後はアクトだけって訳ね」

フレメア「お姉ちゃん大体強い…」

少年「アレ、フレメアのお姉ちゃん?スゲーな、カッケー」

フレメア「ふふん♪」

フレンダ「さーてどこに…」

「ここや、ここ」

フレンダ「え?」

<スコーン!

青ピ「ホラみんな逃げろー!」

ワアアアアアアア!

フレンダ「ちょっとアクト!結局、能力なんて卑怯な訳よ!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:13:40.84 ID:y/xxJs6DO<>


少年「」ジーッ

少年(…今なら…行ける!)ダッ

青ピ「ほい、最後の一人見っけ」

少年「うわぁ!」

フレメア「また何もないとこから出てきた、にゃあ」

フレンダ「結局、大人気ない訳よ」ハァ

少年「ビックリしたぁ…お兄さん空間移動の能力者なの?」

青ピ「ちゃうちゃう。能力者ですらないわ」

フレンダ「ん?」

フレメア「え?でも今も何もないとこから出てきて…」

青ピ「僕の足見てみ」

フレメア「…!?」

少年「う、わ」

青ピ「そう…実は僕…幽r」

フレンダ「やめんか!」バキッ

青ピ「あだっ!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:16:14.77 ID:y/xxJs6DO<>
−6月上旬、第三学区とあるホテル


暗部組織『アカデミー』によるテロが発生。フランス大使及びSP・通訳等を人質にホテルを占拠。

30分後、暗部組織『ウォール』が現場に急行。フランス大使ら人質の奪還に成功。

フランス大使等、武器を奪い返したSPの護衛のもとホテルを脱出。この時点で暗部組織『アカデミー』は半数が脱落。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:17:22.64 ID:y/xxJs6DO<>
「横須賀、そっち何人か行ったで」

横須賀『了解。捕縛する。』

「さあ、お前らももう終わりや」

三階ロビーにてどこからともなく声がする。アナウンスではない。確実にロビーにいる。だが、どこからするかは分からない。

そんな敵に怯えるように、『アカデミー』の残党はロビーの片隅に追いやられていた。下部組織の人員も全て武装しているが、それでも半数が脱落しているのだ。無理もない。

幹部「ふん、終わるのはお前だ」

だが、『アカデミー』の幹部はまだ諦めていない。急場を凌げば、別のプランだってある。たった一つの策のみで学園都市を相手取れるとは思っていない。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:18:40.36 ID:y/xxJs6DO<>
そして、今回のプランを完遂させるにあたって下準備は整えてきた。

ガシャン!と言う音と共に、ロビーを囲うように設置されていた全ての防火シャッターが降ろされた。

「な!?退路が!?」

フランス大使らを奪還されたのはたしかに誤算だった。しかし、ここで固まったのは誤算ではない。相手を潰すための策だ。

幹部「このロビーにいることが分かれば見えなくても関係ねぇんだよ!撃て!撃ちまくれ!」


ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:20:09.87 ID:y/xxJs6DO<>


青ピ「制圧終わったでぇ。下部組織よこしたって」

霧谷『了解で』

横須賀「…また一段とチートだな。駆動鎧ごと消せるとは。」

青ピ「おかげで仕事がはかどるで。30ミリガトリングでも平気なんよ、コレ」

横須賀「そこまで能力が向上するとはな。ここまで適用範囲が広がれば序列も上がるんじゃないか?」

青ピ「イヤ、上の連中には見せへん。今さら序列なんてどーでもええし。もっと大事なモンがあるしな」

横須賀「駆動鎧支給を頼んだ時点で上の連中も気付いているのではないか?」

青ピ「大丈夫やろ。コレお前が使っとることになっとるし」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:22:11.64 ID:y/xxJs6DO<>
−キャンピングカー


霧谷「お疲れで」

横須賀「おう。」

青ピ「ほな、帰ろか。出したってやー!」

<ヘイ

ブロロロロロロロロロロロロロロ…

横須賀「そういえば気になったんだが。」

青ピ「ん?」

横須賀「お前なんで最近任務中もエセ関西弁なんだ?」

青ピ「え?」

霧谷「あ、それ私も思ったんで」

青ピ「あー、そういやそうやったか。別に大した理由やあらへんよ。標準語使う条件が変わったんや」

霧谷「…?」

横須賀「…それで『自分だけの現実』が変わって、能力の範囲が広がった。と?」

青ピ「そんなん関係な…イヤ、どうやろな?自分でも分からへんわ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:24:20.89 ID:y/xxJs6DO<>

霧谷「それと、なんで最近は全員捕縛なんで?」

横須賀「…そういえばそうだな。殺しはあまりないな」

青ピ「せやったら聞くけど、君ら人殺ししたいか?」

霧谷「…私は殺人狂じゃないんで」

横須賀「同じく、だな。」

青ピ「僕もや。ほんで、それが理由や」

横須賀「それでいいのか?」

青ピ「殺すんも無力化させんのも似たようなモンや。かめへんやろ」

霧谷「左様で」

青ピ「ちゅうても、ムリやったら殺してもええで?特に拘る必要もあらへんわ」

キッ

<着きやした!

横須賀「ご苦労。」

青ピ「さ、風呂入って続きやろか」

霧谷「桃鉄48年目…まだひっくり返せるんで」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:26:41.65 ID:y/xxJs6DO<> −6月下旬、とある高校

青ピ「なんや上やん。お疲れやね」

上条「あー…最近いろいろあってな。不幸なのは最近に限らずだけど…」

青ピ「いろいろってなんや?」

上条「…お前には言わねえよ。たぶんめんどくさいコトになる。とにかく不幸なコトだよ」

青ピ「なんやねん薄情やなー。僕と上やんの仲やないの」

土御門「おやぁ?果たしてかわいい女子中学生に迫られるのは不幸って言えるのかにゃー?」

上条「土御門てめえなんで知ってんだよ!」

青ピ「なんや上やん!そんなん不幸どころか幸福の極みやん!」

上条「迫られるってそーゆー迫られるじゃねーんだよ!好意じゃなくて敵意剥き出しで迫られてんの!」

土御門「敵意剥き出しって…」

青ピ「何したんや、上やん…」

上条「なんもしてねーよ!助けようとしただけだって!」

青ピ「…分かったアレや。きっとまたなんかの拍子に胸でも触ったんやろ?」

上条「ねーよ!つーかまたってなんだ!?」

土御門「そしてキメ台詞に「不幸だー!」って言ったんだぜい。そりゃ女の子もキレるぜよ」

上条「だから違うっつってんだろ!話聞けてめえら!」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:28:04.09 ID:y/xxJs6DO<>

−放課後

青ピ(フレンダのヤツ遅いな…)

青髪ピアスはとある本屋の前に立っていた。フレンダとの待ち合わせのためである。

久々に2つの暗部の休日が重なったのだし、学校をサボって遊ぼうと思ったのだが、
「青髪ちゃん、そろそろ追加課題だけじゃ補いきれなくなりますよ?出席日数的に」
だそうだ。

それでもサボろうとしたが、
「結局、まだアクトの学ラン姿見てない訳よ」
だそうだ。

青ピ「ん?」

フレンダはまだ来ないだろうか。そう思いながら往来を見渡すと、見覚えのあるツンツン頭が大通りを横切って路地裏に飛び込んで行くのが見えた。

青ピ(なんだ?あんな血相変えて…)



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:30:05.08 ID:y/xxJs6DO<>

−路地裏

ツンツン頭が飛び込んだ路地裏に入ると、腰を抜かした女子高生と思われる女が一人、孤軍奮闘するツンツン頭が一人、意気揚々と暴力を振り回すスキルアウトが四人いた。

路地裏に入る際、青髪ピアスは能力を使っていた。なのでケンカしている五人も腰を抜かした女子高生も青髪ピアスに気付かない。

(…穏便に済ませるか)

青髪ピアスは一人ずつ能力を使って脱出させようとした。

なんだか分からないが、気が付いたら助かっていた。そう思ってもらおう。フレンダと遊ぶ前に余計な体力も時間も使いたくない。まずは既に満身創痍のツンツン頭だ。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:31:23.06 ID:y/xxJs6DO<>
狭い路地裏で周りの人間に当たらないように器用に彼の背後に回り、左肩を掴んだのだが

(ん?なんで消えないんだ?)

ツンツン頭は消えずにそこにいた。彼の右手におかしな力が宿っているのは重々承知である。だが、右手以外なら能力は適用される。そう思っていたのだが、どうやら違うらしい。

上条「!?くっそ!なんだ新手かよ!?」

スキルアウト「ああ!?何言ってんだてめえ!」

どうやら肩を掴んだら、敵の新手だと思われた様だ。気配すら感じとれないスキルアウト達には何のことだか分からないだろうが。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:32:51.43 ID:y/xxJs6DO<>
(しょうがない。普通にやるか)

めんどくさいが仕方ない。能力を使いながらなら瞬殺だが、上条に味方だと分からせるには能力を解いた方がいいだろう。めちゃくちゃに拳を振り回されてこちらに被害が出るのも難儀だ。

青ピ「さすがに四対一は卑怯やで」

スキルアウト「!?誰だてめえ!?」

上条「青ピ!?いつ来たんだ!?」

青ピ「質問なんてあと回しや上やん。女の子にええとこ見せんのが先やろ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:35:03.31 ID:y/xxJs6DO<>


上条「…ふう、助かったぜ青ピ。ってて」

青ピ「大丈夫かいな。っちゅうかなんで四対一なんて無謀な真似したんや?」

上条「イヤ、この娘が囲まれてたから…」

青ピ「それやったらまずは風紀委員か警備員やろ」

上条「そんな悠長な感じじゃなかったんだよ。いてて…」

女子高生「あ、あの!」

上条「ん?」

青ピ「なんや?」

女子高生「助けていただいてありがとうございました!」

上条「あー、別にかまいませんよ。それよりケガないか?」

女子高生「は、はい!おかげさまで…」

上条「そっか。そりゃ良かった」

青ピ「上やんは自分の心配すんのが先やで」

女子高生「す、すいません。私のために…」

上条「あー、大丈夫大丈夫。上条さんはタフネスだけが取り柄ですから」

青ピ「…ええヤツすぎるで上やん」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:36:54.96 ID:y/xxJs6DO<>
フレンダ「結局、どーゆー状況な訳?」

上条「へ?」

青ピ「おお、遅かったなフレンダ」

フレンダ「こっちのセリフだっての。私のコトほっといて何してる訳?」

上条「あ、あの〜どちらさまでせう?」

フレンダ「私?私はアクトの…」

「秘密や」

「ムグッ」

上条「あれ!?青ピ!?」

女子高生「消え、た?」

「ほなな、上やん。また学校でな」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/12(月) 21:48:56.77 ID:y/xxJs6DO<> 今回はここまでです。
フレンダ成分も横須賀成分も少ないですが。


レスありがとうございます。
そのコーヒーは多分かき回すとジャリジャリ言いますよ。砂糖で。
てか、もう横須賀さんが輝くシーンあんま無いかもです…
…自分もです。だからこそ、です。
シリアス青ピからの変態青ピ。シスコン土御門からのシリアス土御門。みたいな感じです。


次回から原作とちょっとずつリンクしていきます。また地の文消えますが…
黒妻さん出せるかな…ムリだな… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/12(月) 23:35:04.98 ID:KRvQ5jnDO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/03/12(月) 23:47:30.35 ID:3Z8fOvMY0<> おつ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:00:51.30 ID:CMHImC9DO<>
−7月上旬、第十九学区


霧谷「やっぱり所持してたんで」

青ピ「…またかいな」

霧谷「なんというか…裏社会もちょろいんで」

横須賀「俺は楽しいがな。」

青ピ「【幻想御手】使うた武装集団の暴走…これで何件目や」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:02:13.26 ID:CMHImC9DO<>


横須賀「そういえば、『アカデミー』の連中も使っていたな。」

青ピ「あ、そうなん?」

霧谷「あそこの幹部5人中3人が使ってたんで。まあうち2人は能力使う間も無く捕縛したんで」

青ピ「…あー、能力使て後ろから一発で仕留めたさかい」

横須賀「相変わらずチートだな。で、残る一人が俺のところに回ってきた訳だ。」

霧谷「と言っても、横須賀さん少し危なかったんで」

横須賀「何を言う。結果無傷だっただろう?」

霧谷「ビブルチ寸前だったんで。私の援護のおかげなんで」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:03:26.90 ID:CMHImC9DO<>
青ピ「一番ヤバいのは高位能力者が【幻想御手】を使うコトやな」

霧谷「高位能力者が【幻想御手】に手を出すコトなんてめったに無いんで」

青ピ「僕が一番最初に対峙した使用者が大能力者やってん」

横須賀「…いつの話だ?」

青ピ「先々月の終わりくらいやろか?とある学校の優等生だから穏便に頼むっちゅうコトで単独任務やったんよ」

霧谷「でもそれってほとんど超能力者だったんじゃないんで?」

青ピ「せやから危なかったで。【量子変速】の大能力者や言うてな?そいつが大幅に能力向上したモンやから疑似ブラックホールとか作りだしてたで」

横須賀「…よく勝てたな。」

青ピ「なんや知らんけど、粘っとったら勝手ぶっ倒れよった。きっと脳が追っ付かなかったんやろな」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:05:42.08 ID:CMHImC9DO<>
−7月下旬、プールサイド


青ピ「」

フレンダ「」ドキドキ

青ピ「…」

フレンダ「ど、どう?」

青ピ「かなりええな」

フレンダ「YES!」グッ

青ピ「せやけど…ちょっと際どすぎひんか?」

フレンダ「結局、水着なんて魅せるために着るんだからちょうどいいの」

青ピ「さよか」

フレンダ「じゃ、早く行こ!ウォータースライダー!」

青ピ「…もうちょい待ってもらえへんやろか」

フレンダ「?お腹でも痛いの?」

青ピ「…せやな、うん。せやから、前屈みの状態から動けへんねん」

フレンダ「…大変ね」ジトー

青ピ「…スマンな、たぶんもう少ししたら治るさかい」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:07:08.72 ID:CMHImC9DO<>

バッシャーン!


フレンダ「っぷは!」

青ピ「ぷあっ!」

フレンダ「ふぃー、気ん持ちいい!」

青ピ「気持ちええなコレ!ただの滑り台やと思っとったわ!」

フレンダ「訳が違うっての。ホラ、早く退かないと体当たりされるわよ」

青ピ「っと、アカンアカン。そうやった」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:09:39.31 ID:CMHImC9DO<>

フレンダ「よーし、もう一丁!」

青ピ「ええけど、そろそろ普通に泳がへん?」

フレンダ「えー、結局泳ぐだけならプライベートプールのがいいしなあ」

青ピ「プライベートプール?そんなんあんの?」

フレンダ「うん、暗部のみんなで借りてるの」

青ピ「…稼いどるなぁ」

フレンダ「ウチのリーダーの自腹だけどね」

青ピ「ガチでか」

フレンダ「結局、超能力者ともなると収入が段違いな訳よ。アクトもそんくらいもらってるんでしょ?」

青ピ「まあな。せやけどそんな使わないしなぁ」

フレンダ「そうよね。結局、今まで一緒にいてアクトがお金をばらまくとこなんて見たことないし」

青ピ「中の上の生活ができればそれで十分やん。プラスかわええ彼女が居れば天国やで」

フレンダ「…ニャハハ、相変わらず急に嬉しいこと言ってくれるね」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:11:32.38 ID:CMHImC9DO<>

−プールサイド

青ピ「いやぁ久しぶりに泳いだで!」

フレンダ「結局、最後の方は一人で泳いでたもんね」

青ピ「ゴメンな、テンション上がって限界目指してもうたわ」

フレンダ「まあ、楽しかったからいいけどね」

青ピ「ならよかったわ。そろそろ着替えよか」

フレンダ「…ねえ」

青ピ「ん?」

フレンダ「この水着似合う?」

青ピ「なんや今さら。最初僕がどうなっとったか覚えてへんの?」

フレンダ「じゃあ…」スッ

青ピ「ぶっ!?」

フレンダ「結局、アクトが能力使ってくれれば周りには気付かれないし」

青ピ「な、なに急にスイッチ入れとんねん!」

フレンダ「ふふ、結局ここんとこアクトが襲ってこないから自分からって訳よ」

青ピ「…」

フレンダ「ホラ、早く能力使って…」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:13:13.09 ID:CMHImC9DO<>
青ピ「ダメだ」

フレンダ「えー」

青ピ「だって能力使ったら周りに見えなくなるけど、俺らもお互い見えないし」

フレンダ「あ、そっか」

青ピ「それに今ゴムもないしな」

フレンダ「ちぇっ」

青ピ「まあ…でも今日はフレンダの家に泊まろうかな」

フレンダ「ホント!?」

青ピ「あぁ。ぶっちゃけ性ありきの関係にしたくないってだけでさ…俺も限界なんだ」

フレンダ「じゃあ今からずっと標準語ね」

青ピ「なんで?」

フレンダ「あの日言ったでしょ。結局、私の中では関西弁よりも標準語の方がアクトはカッコいい訳よ」

青ピ「最初の頃は関西弁の方が楽しいって言ってたけど」

フレンダ「楽しいのは関西弁。カッコいいのは標準語って訳よ」

青ピ「ははっ、了解です」

フレンダ「それと…」

青ピ「標準語はフレンダの前でだけ、だろ?」

フレンダ「…ニャハハ、結局私ってば独占欲が強いのよん♪」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:14:34.44 ID:CMHImC9DO<>
−8月上旬

青ピ「やっぱアロハ似合うなあ」

土御門「ハッハッハ、こんなクソ暑い日にはアロハしかないぜよ」

青ピ「入学式ん時から学ランの下はアロハやなかったっけ?」

土御門「アロハシャツは基本的にオールシーズンで着れるんだぜい?」

青ピ「いやいやあらへんやろ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:15:38.54 ID:CMHImC9DO<>


青ピ「しっかしこのクソ暑い中ナンパしに行くメリットなんてあんのかいな?」

土御門「知らんのか?青ピ。夏は女を開放的にさせるんだぜぃ?」

青ピ「あー…たしかに」

土御門「…なんぜよそのリアクションは…まさか経験あるのか?」ゴクリ

青ピ「…秘密や」

土御門「何ィ!?ま、まさか青ピに先を越されただと!?」

青ピ「よう言うわ。舞夏ちゃんおるクセに」

土御門「まあな」キリッ

青ピ「あはは、腹立つわ〜」イラッ



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:16:25.09 ID:CMHImC9DO<>


青ピ「しかし、コレやったらなんでナンパしに来たのか本格的に意味不明やん」

土御門「…でも、面白いモンが見れたからOKだにゃー」

青ピ「面白いモン?」

土御門「ホラ、アレぜよ」

青ピ「…上やん?と…誰やアレ」

土御門「…シスターっぽいぜよ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:17:12.07 ID:CMHImC9DO<>


青ピ「中々に素敵な交渉中なんやけどな〜上やん」

土御門「ちなみにその娘誰ぜよ」

上条「…え?あ…」

青ピ「どした?暑さで記憶飛んでんのかいな」

上条「…」

青ピ「冗〜談やがな。記憶喪失なんて不思議系電波少女の特権やでぇ?」

土御門「実際その娘誰ぜよ?」

青ピ「もしかして女装少年?女の子にしてはペッタンコすぎるし」

???「」ムカッ

上条「お、お前ら!言っていいコトと悪いコトが…。いくら幼児体型だからって…!」

???「とうま」ピキピキピキッ

上条「はい?」

???「私はイギリス正教に属する修道女です。悔いがあるなら今のうちに聞いてあげてもいいんだよ」


その後、上条の奢りでファーストフード店に行き、食い倒れた巫女さんに会ったりしたのは余談である。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:18:29.64 ID:CMHImC9DO<>
−8月中旬、第七学区病院

<コンコン

???「はーい、どーぞー」

<ガララ

青ピ「…ども」

???「あぁ、アクトか」

青ピ「…大丈夫なん?フレンダ」

フレンダ「うん。結局大したことないし」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:19:21.71 ID:CMHImC9DO<>

青ピ「ホイ、コレ。お見舞いの品や」

フレンダ「ん、ありがと。…まさかとは思うけど」

青ピ「【いちごおでん】やないから安心してや。定石通りに果物や」

フレンダ「よかった。結局、いらない心配だったか」

青ピ「なんなら今リンゴの皮ぐらい剥こか?」

フレンダ「できるの?」

青ピ「それなりにな」スチャ

フレンダ「じゃ、お願いするわ」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:20:16.18 ID:CMHImC9DO<>

青ピ「しかし、元気そうで何よりやわ。入院したなんてメール来たから焦ったで」ショリショリ

フレンダ「ニャハハ、結局メールが打てるんだから重体な訳ないんだって」シャグシャグ

青ピ「それでも焦るもんなんや」ショリショリ

フレンダ「ゴメンね。さすがのフレンダ様もLevel5を相手するのは」

青ピ「ストップ」

フレンダ「っと」

青ピ「…詮索はせぇへん。けど、Level5相手取って五体満足なら大したもんや」

フレンダ「結構ギリギリだったけどね…」ニャハハ…



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:21:23.61 ID:CMHImC9DO<>

青ピ「なあ」

フレンダ「何?」

青ピ「…もう、やめにしないか?」

フレンダ「…なに、を?」

青ピ「…暗部の活動」

フレンダ「…ビックリした〜」

青ピ「え?」

フレンダ「一瞬フラれんのかと思ったわ」

青ピ「はぁ!?ありえねぇよ!誰が手放すか!」

フレンダ「結局、あんな切り出し方じゃ勘違いしてもおかしくないっての」

青ピ「…言われてみればそうか…?スマン」

フレンダ「一瞬脳が機能停止しちゃったわ」

青ピ「スマン…でも、あんな告白しといてフったりしないよ」

フレンダ「…ずっと一緒にいてくれ」

青ピ「ヤメロ、ハズイカラ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:22:44.13 ID:CMHImC9DO<>

フレンダ「で、なんで急にそんな話になった訳?」

青ピ「…フレンダにケガしてほしくないんだよ」

フレンダ「…」

青ピ「それに、さ。なんつーか…殺しとかもあんまりしてほしくないし」

フレンダ「現実主義者のアクトとは思えない意見ね」

青ピ「…」

フレンダ「結局、そんな簡単に辞められたら誰も暗部になんか残らない訳よ」

青ピ「だよなぁ…」

フレンダ「それに、別に殺しが悪いコトだとも思わないし。結局、人間誰でも何かの犠牲の上に生きてる訳よ。牛なり豚なり。私たちはプラス人間ってだけ」

青ピ「そのプラスがマズいんだろ」

フレンダ「それ兵隊と傭兵って職業全否定してるわよ?」

青ピ「…」

フレンダ「ま、命懸けでお金稼ぐよりはもっと楽に稼ぎたいってのはあるけどね」

青ピ「だったら…」

フレンダ「ムリだっての。アクトは最悪自分で解散宣言すればなんとかなるかもしれない。Level5でリーダーだしね。でも私は別。結局、組織の情報をほとんど知ってる私が抜け出そうとしたら粛正されちゃうって訳」

青ピ「…これ以上ないくらい正論だな」

フレンダ「それにそうなったらフレメアに何されるか…考えたくもないわ」

青ピ「…フレメアちゃんと一緒に暮らしてないのはそういう理由か」

フレンダ「…半分正解。もう半分は私と一緒に暮らして襲撃なんてされたらフレメアを守り切れないから」

青ピ「そう…だな」

フレンダ「あそこの『置き去り』の施設なら大丈夫。セキュリティしっかりしてるし。まあ、アクト相手なら話は別だろうけどね」

青ピ「…」

フレンダ「そんな顔しないの。結局、らしくないよ?」

青ピ「…ああ、そうだな」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:25:09.79 ID:CMHImC9DO<>


青ピ「明日も休みの予定やしまた来るわ。フレメアちゃんも連れてこよか?」

フレンダ「あの子が来たら無駄に心配するからいい…って言いたいとこだけど、結局黙ってたら余計に心配するのよね」ハァ

青ピ「二人きりの姉妹なんやから当然やろ…っとそう言えば僕フレメアちゃんの連絡先知らんわ」

フレンダ「じゃ、私から連絡しとくわ。結局、施設の責任者にも許可もらわないといけない訳だし」

青ピ「頼むわ。ほな、お大事にな」

フレンダ「…ねえ」

青ピ「ん?」

フレンダ「…」ジー

青ピ「…」クスッ





青ピ「これでいいか?」

フレンダ「ニャハハ、よろしい!」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/14(水) 21:32:27.55 ID:CMHImC9DO<> 今回はここまでです。
投下数が本編超えそう…。
ま、まあ、本編の方が一回当たりが濃いし。うん。


レスありがとうございます。
てか、レスの返し方が微妙ですいません。


次回でようやく黒妻さん登場。
横須賀さんはオールマイティーだけどカッケーのは黒妻さん。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)<>sage<>2012/03/14(水) 21:35:40.06 ID:oHt3zpHAO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:18:24.14 ID:NlLT6s3DO<>
−8月下旬、とある廃墟

黒妻「今日付でここに飛ばされた黒妻だ」

霧谷「霧谷で」

横須賀「横須賀だ。」

青ピ「そんで僕が『ウォール』のリーダー。Level5第六位の【隠密行動】や」

黒妻「!Level5か…」

青ピ「そうや。話は聞いてるで?武装集団やったスキルアウトの『ビッグスパイダー』を素手で潰したんやろ?」

黒妻「…ああ」

青ピ「大層腕が立つんやな。せやけど、こっちの世界はもっとハードな案件がゴロゴロあるで」

黒妻「そうかよ。だからなんだってんだ」

青ピ「頼もしいな。ところで…」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:19:10.55 ID:NlLT6s3DO<>
青ピ「黒妻はんカラオケとか行く?」

黒妻「…は?」

青ピ「カラオケや、カラオケ」

黒妻「…なんかの隠語か?」

横須賀「言葉の通りだ。」

黒妻「…イヤ…まあ行くけどよ」

霧谷「何歌うんで?」

黒妻「…QUEENとか」

青ピ「洋楽か!ええな!」

横須賀「たしかにそのジャンル歌うヤツはいなかったな。」

青ピ「せやな!時々僕がうろ覚えでチャレンジするくらいやしな!」

横須賀「そして惨めな気分で中断のパターンだな。」

青ピ「うっさいわ!お前かてちょっと前のアイドルグループ以外やったらそうなるやん!」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:20:31.23 ID:NlLT6s3DO<>
黒妻「」ポカーン

霧谷「どうしたんで?」

黒妻「…人質と脅しを使われて、学園都市の裏側、しかも殺しまでやるっつうところに追いやられたハズなんだが…」

青ピ「よっしゃ、歓迎パーティーや!カラオケ行くで!」

横須賀「そうだな。平日ならどこも空いているだろう。」

黒妻「…コレが学園都市の闇で暗躍するっつう暗部か?俺がスキルアウト時代に聞いてたモンとはかけ離れてんだが…」

霧谷「ほんの数ヶ月前までは殺伐とした感じだったんで。でも今は殺しもめったに無いんで」

黒妻「へぇ…」

<おお!なんやこの単車!
<ほぅ、RXか。

黒妻「…案外楽しそうだな」

霧谷「…否定はしないんで」

<おーい、はよ行くでぇ!
<俺も久々に転がすか。

黒妻「おう!今行く!」

霧谷「…にしてもまたガチムチ系…もっとインテリ系もいないとメイクの幅も任務の幅も広がらないんで」ハァ


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:22:03.09 ID:NlLT6s3DO<>
−9月上旬、第十一学区


上からの情報によると、第十一学区のとある廃墟にて外部の人身売買組織と学園都市の研究所間で人身売買が行われる模様。

『ウォール』にはその取引の阻止及び売買される人間達の保護が依頼された。

青ピ「ほい、コレ」

作戦決行前のキャンピングカー内で青髪ピアスは黒妻に黒い拳銃を渡そうとした。

黒妻「いらねぇよ、チャカなんて」

だが、黒妻はそれを見るなり顔をしかめて断った。

青ピ「なんでや?」

黒妻「俺ァ人殺しなんかするつもりはねぇ。暗部だろうがどこだろうが自分のルールは守るって決めてんだ」

青ピ「ああ、ほんなら大丈夫や」

黒妻「あ?」

青ピ「コレに装填されてるんは警備員が暴徒鎮圧用に使うてる麻酔ゴム弾や。頭にぶっ放さん限り死ぬコトはあらへん。けど二発ぶち込めばバッファローかて昏倒するで」

黒妻「…」

青ピ「ええから持っとき。どいつもこいつも接近戦に付き合ってくれる訳ちゃうんや」

黒妻「わあったよ」

黒妻は渡された拳銃を渋々受け取りベルトに差し込んむ。青髪ピアスはそれを見ると満足そうに笑って少し離れ、黒妻の他にやり取りを眺めていた横須賀と霧谷とも向かい合った。

青ピ「ほな行こか。いつも通り僕が突っ込む。逃げ回った連中を横須賀が捕縛。黒妻はんは退路確保と同時に霧谷ちゃんの護衛や。霧谷ちゃんは後方支援な。終わったら売買される人間達の確保」

横須賀「おう。」

霧谷「了解で」

黒妻「ああ」

青ピ「ま、たぶん僕と横須賀でコト足りるさかい心配せんでええで」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:25:09.56 ID:NlLT6s3DO<>


黒妻「はぁー、終わった終わった」

霧谷「…流石で」

黒妻の周りには屈強な男が何人も倒れていた。中には銃やナイフを持った人間もいる。しかし、黒妻は多少の手傷を負い、息を切らしているだけだった。

霧谷「じゃ、私行ってくるんで」

そう言って、霧谷は下部組織の人間を数人引きつれて売買されるはずだった人間達の保護に向かった。

黒妻「おう、気を付けてな」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:27:02.06 ID:NlLT6s3DO<>

青ピ「あはは…ホンマに拳銃使わへんねや…」

すると、どこからともなく青髪ピアスが姿を現した。

黒妻「お、居たのかよリーダー。つーコトはこいつらわざと仕向けたな?」

青ピ「堪忍してや。伝説のスキルアウトの実力を生で見たかったんや」

黒妻「…良く言えば、だろ?ストレートに新人の力量を計りたかったって言やぁいいじゃねぇか」

青ピ「あはは、お見通しかいな。堪忍してぇな」

黒妻「それで、俺は何点だい?」

青ピ「んー…70点やろか」

黒妻「ハッ、学園都市に来てはじめての高得点だよ」

青ピ「ちょっと詰めが甘いかな。例えばコイツとかな」

すると、青髪ピアスの足元に何かが現れた。しかし、何かという表現が不適切であることがすぐに分かった。

黒妻「!最初に倒したヤツか…」

それは黒妻のところから先頭切って逃げ出そうとした男だった。その男の襟首を青髪ピアスが掴んでおり、男はぐったりと四肢を放っていた。

青ピ「こいつらも必死やからね。物陰から狙っとったで」

黒妻「…スマン。恩に着る」

青ピ「気にせんでええて。僕も詰めが甘くて撃たれた経験あるさかい。むしろ初現場でここまでやれる方が驚きやで」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:29:19.16 ID:NlLT6s3DO<>  


霧谷『売買される人達の保護完了したんで』

横須賀『外部組織の連中も粗方連行させたぞ。残りは研究者の護衛もどきだけだ。』

次々に無線から声がした。どうやら、どこも滞りなく各自の役割を果たしたようだ。

青ピ「了解や」

黒妻「…なあ」

怪訝そうな顔で黒妻は青髪ピアスに話しかける。

青ピ「うん?」

黒妻「どうもキナ臭ぇんだよ」

青ピ「…さすがやね。気付いてたんか」

初任務にもかかわらず、黒妻は既に疑問を感じていた。暗部組織の在り方云々という倫理的なものではない。事前情報と現場の差異だ。

黒妻「俺が相手した連中はおよそ研究者と言える人種じゃなかった。このゴツいヤツらが研究者の護衛だと思ったんだが…それなら先に研究者を逃がそうとするだろ?それとも力量計るためにゴツい連中だけを回したのか?」

青ピ「そういう訳とちゃう。僕が倒したのも似たような連中や。せやけど、ここまで上の連中…もっと言うと上の連中と研究所の予定通りや。研究者やないただの下っぱのコイツらは知らんのやろうけど」

そして、青髪ピアスも気付いている。おまけにその疑問に対する答えまで出していた。

黒妻「…どういうことだ?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:31:16.13 ID:NlLT6s3DO<>
青ピ「要するに金を払わずに素体と奴隷を確保したいっちゅうことや。僕らが保護して上の連中に任せたら研究所に回されるやろな」

黒妻「な!?」

青ピ「…もちろんそんな真似させへん。霧谷ちゃん、どんな感じや?」

霧谷『20代3人、10代5人、一桁が7人で』

青ピ「…多いな」

横須賀『14歳以上は下部組織に回せ。俺が面倒見る。』

霧谷『日本語喋れないと思いますがよろしいんで?』

横須賀『構わん。ここは学園都市だ。バウリンガルの機器くらいあるだろう。』

霧谷『左様で。…残り9人で』

青ピ「9人か…」

黒妻「…多分俺の方で何人か捌けるぞ」

青ピ「あ、ホンマ?」

黒妻「たしか美偉の後輩に『置き去り』の施設とパイプ持ってる子がいたはずだ。多分なんとかなる」

青ピ「美偉…あぁ、あの写メの風紀委員の娘ぉかいな。ええんか?」

黒妻「俺の勝手な意地と子供の安全なんて比べるまでもねえよ。このために会うならかまわねえ」

青ピ「さよか。助かるで」

黒妻「だが全員いけるかは分からねえぞ?」

青ピ「大丈夫や。僕も『置き去り』の施設とのパイプがない訳やないし」

黒妻「へぇ、意外だな」

霧谷『とりあえず、無線じゃ相談しにくいんで私のとこまで来てほしいんで』

横須賀『こちらは全員移送終わった。もうすぐそっちに下部組織が行くはずだ。引き継いでから来い。』

青ピ「了解や」

黒妻「…しっかしホントにイメージしてたモンとかけ離れてるな」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:34:37.46 ID:NlLT6s3DO<>
−9月下旬、セブンスミスト

フレンダ「これなんてどう?」

青ピ「んー、ええんやない?」

フレンダ「…もうちょっと具体的なコメントない訳?」

青ピ「そない言うても女の子のファッションなんて分からへんもん」

フレンダ「えー、アクトってけっこうセンスいいから期待してたのに」

青ピ「え?ホンマ?」

フレンダ「うん。なんだろう…場所に合わせて溶け込めてるっていうか…」

青ピ「あー…まあこれくらいならいいか?衣装合わせが…うん、好きなヤツが僕の仲間におってな?暇潰しにそいつのメモ帳読んでたらいつの間にか覚えてたんや」

フレンダ「じゃあ、女の子のファッションも分かるでしょ?」

青ピ「実用的なモンしか興味沸かなかったんや」

フレンダ「現実主義者め…じゃあアクトがかわいいと思う服を言ってよ」

青ピ「フレンダなら何着てもかわええもん」

フレンダ「むー…」

青ピ「なんや?」

フレンダ「かわいいっていうのは嬉しいけど…めんどくさがってない?」

青ピ「本心やがな!誓って!」

フレンダ「…結局、それはそれで張り合いがない訳よ」

青ピ「どないせぇっちゅうねん…」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:35:41.47 ID:NlLT6s3DO<>


フレンダ「そういえばさ」

青ピ「うん?」

フレンダ「大覇星祭の開会宣言の話って回ってこなかった?」

青ピ「あー、そないな話あったな。仲介役からの話断ったら素人丸出しの追跡で直接交渉しようとしとった学生おったわ。能力使うて雲隠れしたけど」

フレンダ「結局やらなかったみたいだけど、なんで?」

青ピ「僕がLevel5やって分かったら学校中に激震走るで」

フレンダ「あ、そっか」

青ピ「それに暗部に居る人間が全世界規模で顔晒すっちゅうのもマズいやろし」

フレンダ「…やっぱそう?」

青ピ「やっぱって?」

フレンダ「うちのリーダーも同じ理由で断ったからさ〜」

青ピ「まあ、そらそうやろ」

フレンダ「代わり私がやるって言ったんだけどね。結局めちゃくちゃキレられたわ」

青ピ「当たり前やん」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:37:42.02 ID:NlLT6s3DO<>


フレンダ「♪〜」ニコニコ

青ピ「けっこう買うたなぁ」

フレンダ「結局、こーゆー大衆向けブランドでも探せばいいものがあるって訳ね。侮ってたわ」

青ピ「せやろ?ブランドもんがええのは当然やけど、こーゆー買い物っちゅうのもおもろいモンやで」

フレンダ「それも例のメモ帳から?」

青ピ「ちゃうちゃう。こーゆーところで馴染むにはここで売ってるような服着るのが一番やろ?せやから前にそのための服探してたんやけど、そん時にそれとは別にええモンみつけてな。それからや」

フレンダ「ふーん…私もまた来ようかな。今度は仲間と」

青ピ「アハハ、僕みたいなヤツがおらんといいなぁ」

フレンダ「? アクトみたいなって?」

青ピ「女の子のファッションがわからんようなヤツや」

フレンダ「…アレ?言ってなかったっけ?」

青ピ「なにを?」

フレンダ「私の組織に男なんていないわよ?」

青ピ「…え?そうなん?」

フレンダ「うん」

青ピ「…ゲームにブチ切れてテレビに風穴空けたっちゅうのも女?」

フレンダ「うん」

青ピ「…一年中ジャージ着てるっちゅうのもムシャクシャして廃車を素手で粉々にしたっちゅうのも女?」

フレンダ「うん」

青ピ「…アカン…僕フレンダの仲間イメージできひん」

フレンダ「結局、私もアクトの仲間のデデデ大王とビブルチ大尉が未だにイメージできないんだけど」

青ピ「最近また増えたで。ミルクヤンキーや。略してミルキー」

フレンダ「ママの味でもする訳?」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:38:36.26 ID:NlLT6s3DO<>


フレンダ「あっ」

青ピ「ん?」

フレンダ「ねえアクト!アレ撮ろっ!」

青ピ「…プリクラ?」

フレンダ「そ。結局、前にゲーセン行った時は撮らなかった訳だし」

青ピ「…せやったら、僕が撮るの嫌がった理由も覚えておらへんか?」

フレンダ「見つかったら決定的な証拠になるから、でしょ?結局、見つからなければいいって訳よ」

青ピ「万が一ってあるやろ?アカンって」

フレンダ「えー、アクトは撮りたくないの?」

青ピ「イヤ、撮りたくない訳ちゃうわ。せやけどやな」

フレンダ「ダメなの?」ウルウル

青ピ「う…そ、そんな顔したかてな!ダメなモンは」

フレンダ「」ウルウル

青ピ「〜〜〜〜ッ!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:40:16.60 ID:NlLT6s3DO<>


青ピ「撮ってもうた…」ズーン

フレンダ「ニャハハ、な〜に凹んでる訳?結局、アクト最初のショットからノリノリだったし」ニヤニヤ

青ピ「だからこそや…賢者タイムってヤツやろか?」

フレンダ「楽しければいいの!ホラ、落書きするわよ!」

青ピ「落書き?そんなんあるんか?」

フレンダ「うん、こっち来て」

青ピ「ん、分かっ…!?」ピシッ

フレンダ「ニャハハハハ!結局、全部いい感じね!至近距離の笑顔、変顔、ハグ、そしてキスショット!」

青ピ「」

フレンダ「いや〜やっぱり撮って良かったって訳よ!ね、アクト!」

青ピ「」

フレンダ「…アクト?」

青ピ「め…」

フレンダ「?」

青ピ「めちゃくちゃ恥ずかしい…」プシュー

フレンダ「」

青ピ「な、なんやねんコレ…コレ…うわぁ…」プシュー

フレンダ「…プ」

青ピ「…往来でキスしたコトもあったよな…こんな風に見られ…うわぁ…」プシュー

フレンダ「あはははははははははは!あっはっはっはっはっはっはっ!」バンバン!

青ピ「!?」

フレンダ「あ、アクト顔真っ赤じゃん!あはははは!か〜わいい!」

青ピ「か、かわっ!?せやかて、だっ、おま、コレぇ!」プッシュー

フレンダ「あっはっははははは!もう耳まで!あはははは!」

青ピ「な!?そんな…嘘だろ!?なんで!」ブッシュー

フレンダ「よ〜し燃えてきた!もっとラブラブにしてやるわ!」

青ピ「も、もっとって…やめぇや!そんなデカいハートマーク書くな!おい!」アタフタ

フレンダ「結局、さっきから口調がチャンポンになってるよ〜ん、と」

青ピ「うわ、フレ、おま、うわああああああああああああああああああ!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:41:30.86 ID:NlLT6s3DO<>


フレンダ「ニャハハハハ!あ〜楽しかった!」

青ピ「おま…コレ…どこのバカップルやねん」

フレンダ「結局、どうせならおもいっきり恥ずかしいものにしようとした結果って訳よ!」

青ピ「『アクト・フレンダ』『ず〜っと一緒(はぁと)』…うわぁ…」プシュー

フレンダ「ニャハハハハ!顔真っ赤だってば!」

青ピ「当たり前やろが!…絶対見せられん…いろんな意味で絶対見せられん…!」

フレンダ「ニャハハ、さて、コレどこに貼ろうかな〜」

青ピ「貼る!?貼るんかコレ!?」

フレンダ「結局、好きな人とのラブラブショットだしね。かといって見られる訳にいかないし…定石通りにケータイの電池パックのふたの裏側に」ピト

青ピ「好きな人との…」

フレンダ「アクトにも貼ってほしいな〜」ニヤニヤ

青ピ「…よっしゃ!じゃあコレの裏側や!」

フレンダ「あ、私のクリスマスプレゼント。結局、首から下げてシャツの下に入れてた訳ね」

青ピ「せや!寝る時と風呂以外はずっと着けとるからな!ここならバレへん!」ピト

フレンダ「…そんなに大切にしてくれてるんだ」

青ピ「当たり前や。フレンダかてベレー帽気に入ってくれてるやん」

フレンダ「…ありがと」ニシシ


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:42:31.53 ID:NlLT6s3DO<>

青ピ「そうや」

フレンダ「ん?」

青ピ「今日はフレンダがやり残したモンをやった訳やろ?」

フレンダ「ゲーセンでってこと?まあ、そうね」

青ピ「次は僕がやり残したモンをやりたいねん」

フレンダ「? なにかやりたいゲームあったの?」

青ピ「ゲーセンでやり残したんとちゃうねん。遊園地や」

フレンダ「…遊園地?」

青ピ「僕らまだ観覧車乗ってないやろ?」

フレンダ「! なるほど。そう言えば結局乗ってないわ」

青ピ「誰かさんがアホみたいに絶叫マシーンに乗っとったからな」

フレンダ「アホって!遊園地って言ったら絶叫系でしょ!それに、あの頃はまだ付き合ってなかったし!」

青ピ「まあな。せやから一緒に乗ろうや。観覧車」

フレンダ「…いいわよ。だけど、観覧車って言ったら最後の締めくくりな訳よね?」ニヤッ

青ピ「…せめて観覧車の中でいい雰囲気を出せる体力くらいは残させてください」

フレンダ「ニャハハ!考えておいてやろう!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/03/18(日) 00:45:07.42 ID:NlLT6s3DO<>


青ピ「ほな、ここらでお開きにしよか」

フレンダ「えー」

青ピ「しゃあないやん。僕夜から任務やって言うたやろ?」

フレンダ「それはいいんだけどさー、たまには家まで送ってくれない訳?」

青ピ「ええけど途中からは能力使いながらやで?」

フレンダ「…ヤダ。普通に家まで送って」

青ピ「アカンて。一緒に家まで行ったらバレるかもしれへんやろ?」

フレンダ「結局、そのくらいじゃバレたりしない訳よ。だから…」

青ピ「ダーメーや」

フレンダ「むぅ」ブスッ

青ピ「今日はプリクラも撮ったし堪忍してや」

フレンダ「じゃあ」

青ピ「ん?」

フレンダ「キスして。お別れのキス」

青ピ「…」

フレンダ「それくらいならいいでしょ?今なら人通りも少ない訳だし。ちょっと小道に入れば…」

青ピ「…ヤダ」

フレンダ「え?キスも?いつもしてるじゃん」

青ピ「…ぃ」ボソッ

フレンダ「え?」

青ピ「…ハズい」

フレンダ「…ぷっ、なにをいまさら」クスクス

青ピ「せ、せやかて傍から見たらあんなんなんやと思うとやな」

フレンダ「よーし、じゃあこのフレンダ様がとっておきの策を授けて進ぜよう!」

青ピ「策?」

フレンダ「そ。だからちょっとしゃがんで耳貸して」

青ピ「? これでええ…ン!?」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:46:08.43 ID:NlLT6s3DO<>  



フレンダ「…っぷは」

青ピ「」

フレンダ「ニャハハ!不意討ち大成功〜、って訳よ!」

青ピ「フ、フレンダお前…誰かに見られたら…!」

フレンダ「だ〜いじょ〜ぶ!『結局、私の母国じゃ軽いスキンシップな訳よ』ってね!」

青ピ「イヤ、言い分はそれでいいけどさ…」

フレンダ「私ね、結局アクトとキスしてる時が一番幸せなの。普通のキスでも濃〜いキスでも、どんなキスでも」

青ピ「…」

フレンダ「別にキス魔って訳じゃないわよ?アクトだから幸せなの」

青ピ「…そうか」

フレンダ「アクトはどう?」

青ピ「…俺も幸せだ」

フレンダ「でしょ?だから、キスくらい躊躇わないでほしいって訳よ!」

青ピ「分かった…ってこれじゃあプリクラどおりのバカップルだな」ハハ

フレンダ「結局、アクトは私に惚れてるって訳よ!」ニシシ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/18(日) 00:52:06.58 ID:NlLT6s3DO<> 今回はここまでです。
いつもより遅い更新ですが。


レスありがとうございます。
外伝もそろそろ終わりますので最後まで応援していただけたら幸いです。


最近めちゃめちゃ忙しいので書き溜め作る暇がございません。
ちょっと間が空くかもしれませんが勘弁願います。
できれば3月中に終わらせたいのですが… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/03/18(日) 01:15:28.18 ID:HFDUQ2JP0<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/18(日) 01:48:25.83 ID:wy34de3DO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:06:17.75 ID:1vdeP2NDO<>
−10月中旬

青ピ「や、みんな。昨日ぶりやな」

横須賀「…数時間ぶりの間違いだろう。」

霧谷「眠いんで…」

黒妻「ったく、毎日毎日…今日はどんな仕事だ?」

青ピ「なんやあからさまに元気ないなぁ。ま、しゃあないか。今日も今日とて面倒な仕事や」

現在、学園都市はにわかに浮き足立っている。『0930事件』以降、世界は学園都市とイギリス、フランスとロシアに別れ、一触即発の状態となっている。このまま行けば第三次世界大戦が勃発してもおかしくはない。

そんな中で学園都市にはこれを期に今の学園都市の機構を壊そうとする勢力がいくつかある。それ以外にも通常通りにあくどいことに手を染めている組織もあるし、今だからこそ外部に情報を流して巨額の富を得ようとする者もいる。

そんなこんなで現在裏社会に属している人間は大絶賛大忙しだ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:07:29.56 ID:1vdeP2NDO<>
霧谷「内から外から…学園都市も業が深いんで」

黒妻「ハッ、一介のスキルアウト崩れからすりゃあ、何を今さらって感じだけどな」

横須賀「それで?具体的な内容は?」

青ピ「名門常盤台中学を襲って学生の回収運動の激化を狙っとるバカども約50人の排除や。上層部連中に首切られたやつらの反乱やと」

黒妻「! 常盤台だと?」

横須賀「どうした?知り合いでもいるのか?」

黒妻「美偉の後輩がな…俺も面識がある子たちだ」

青ピ「…そら手ぇ抜く訳にもいかへんな」

霧谷「でも、私たちが出張る必要があるんで?あそこにはLevel5が二人もいる上に全員Level3以上の能力者のはずなんで」

横須賀「そいつらが全員俺たちの様に戦闘に慣れていればいらないだろうな。しかし、あそこはお嬢様しかおるまい。実戦に慣れている者などほぼ皆無だろう。」

霧谷「…左様で」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:09:43.72 ID:1vdeP2NDO<>
黒妻「…それに全員が能力者ってのは必ずしも有利って訳じゃねえ。現に俺はそのLevel5の子が対能力者用の機械で苦しんでいる姿を見てる」

青ピ「常盤台を狙っとるんならそのくらいの準備はしとるやろな」

横須賀「…相手の襲撃日時は分かっているのか?」

青ピ「不明や。せやから、早いとここっちから動いた方がええやろな。いつもの手段でいきたいとこやけど…ちょっと難しいやろ」

『ウォール』には定石の手段がある。潜入である。誰かがメイクと変装で敵対勢力の下部組織や用務員などに成り済まし、内情を探るというものだ。

青髪ピアスなら話術で情報を引きずりだしたり、能力を行使してデータを盗める。

横須賀なら読心により情報を得る。異能力ほどしか強度はないが、表層心理くらいなら読める横須賀は適当に話をチラつかせれば大まかな情報は得られる。そこからあたりをつけて更に十分な情報を得るのだ。

しかし、今回はその手は使えない。すでに警戒態勢に入っているであろう敵対勢力が新しく人員を増やす訳もなく、誰かに成り済まそうにもその人物のクセ等を把握する時間もない。完璧に把握する必要もないが、さすがに何も分からずに潜入するのは無謀だ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:10:37.38 ID:1vdeP2NDO<>
黒妻「…となると、カチこみか」

青ピ「…そうやね。ただ、AIMジャマーくらいならなんとかなんねんけど、キャパシティダウンが出てくると僕と横須賀はなんもできへん。それどころか、下手すればもっとドぎつい兵器が出てくるかも知れん。黒妻はんが主体になるかもしれんけどかめへんか?」

黒妻「ああ。こっちもようやくドーグの扱いに慣れたころだ」

そう言って黒妻はニヤリと笑う。最初は武器に頼ることをよしとしなかった黒妻だが、ケンカ殺法だけでは効率が悪すぎるので今は最低限の武装をしている。

横須賀「とはいえ、変装はした方がいいだろう。混乱させるにはちょうどいい。」

霧谷「相手組織のデータはないんで?」

青ピ「ほな、一応全員の端末に送っておこか」

そう言って青髪ピアスはケータイを取り出す。そして、上から送られてきた情報を全員の端末に再送信した。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:11:53.74 ID:1vdeP2NDO<>
青ピ(しっかし…)

青髪ピアスはそのままケータイの画面を見つめる。

青ピ(フレンダのヤツ大丈夫かな…)

ここ数日、フレンダからの連絡は途絶えていた。最後にメールが来たのはもう一週間近く前のコトだ。

青ピ(まあ、ここまで忙しければ仕方ないけど…)

先ほども述べたように、今の学園都市では様々な勢力が暗躍している。『ウォール』もその勢力のひとつ。となれば、フレンダが所属している暗部組織だって忙しいに違いない。

青ピ(まあ今までもこのくらい連絡来ないことはあったしな。おまけに向こうにもLevel5がいるらしいし。それも確実に序列が俺より上の能力者。そりゃいろんな仕事が舞い込んでくるか)

横須賀「…ぃ。おい。聞いているのか。」

青ピ「ん?ああ、スマン聞いとらんかったわ」

黒妻「おいおい、大丈夫かリーダー」

霧谷「疲れてるのはみんな一緒なんで」

青ピ「まったくやね。シャキっとせな」

青ピ(ま、フレンダだってLevel5を相手にしてちょっとの入院するくらいで済むようなヤツだし、平気だろ。その前に俺は自分の心配をするべきだな)



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:13:22.61 ID:1vdeP2NDO<>
−10月下旬

青ピ「はあ?霧谷ちゃんをロシアに回せやと?」

???『ええ、彼女の力が借りたいものでして』

10月18日、ロシアは第三次世界大戦を宣戦布告。翌19日、第三次世界大戦が勃発。大まかな情勢としては学園都市・イギリス連合 対 ロシア・フランス連合の構図となっており、学園都市がロシアと、イギリスがフランスと争っている。

だが、学園都市とロシアの戦争は開戦当初から学園都市がロシアを圧倒していた。学園都市の技術は他国の技術より二〜三十年は進んでいる。それだけで、一都市対一国の戦争は一都市が勝っているのだ。

そんな情勢の中で青髪ピアスに『電話の男』から電話がかかってきた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:14:41.23 ID:1vdeP2NDO<>
青ピ「誰よりも先に僕が呼ばれると思っとったんやけどな。荷造りして待ってたんやで?」

青髪ピアスの能力は【隠密行動】。潜入から斥侯まで完璧にこなすことができ、戦争で一番肝心な『情報』をほぼノーリスクで完全に入手できる。

???『こちらとしてもそのつもりだったのですが、なにぶん想定外の事態が乱発してましてね。すでに戦場に向かったLevel5が数人いまして…これ以上外部に送り出すのは避けたいのですよ』

青ピ「ふぅん。なんや意外と苦戦しとるんか」

Level5という存在の認識としてあるもののひとつが『軍隊と対等に戦える』。

青髪ピアスも戦争仕様の装備で能力を行使すれば軍隊と対等に戦うこともできるだろう。なにせ見ることも感じることも、機器に反応することもない敵に次々と味方がやられれば、パニック状態に陥って壊滅すること請け合いだ。

戦闘向きでない第五位も、もしかしたら軍隊全体を洗脳で操り味方にできるかもしれない。そうでなくとも半数以上操ることができれば文字通り『軍隊と対等に戦える』。

そんな存在がすでに数人戦場に送り込まれているのだ。『能力開発技術の外部流出』というリスクを孕んでいるというのに。もしかしたら、ロシアを圧倒しているというのは学園都市が内部に向けたプロパガンダかもしれない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:15:57.62 ID:1vdeP2NDO<>
???『…ご想像にお任せしますよ。それに、こちらの指示通りに動いてもらえない人間を送りこんでも仕方ないですし』

青ピ「何言うとんねん。ちゃんと任務こなすどころかお前らの手間が省けるようにアフターケアまでしとるやんか。残業代が欲しいくらいやで」

???『そのアフターケアが余計なんですよ。とにかく、霧谷さんにはロシアに向かっていただきます』

青ピ「…まあ、特殊メイクの腕が目当てなんやろ?僕を使わないとなると霧谷ちゃんが居った方が内部潜入の成功率は上がるさかいな」

???『その通りです。彼女が、というよりは彼女も、ですが』

青ピ「後方での仕事ならかめへんが…危険に晒すような真似はさすなよ」

???『…いつのまにかお優しいリーダーになりましたね。なにも霧谷さんを前線で働かせるようなことはしませんよ。そんなことしてもデメリットしかありませんから。では』



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:18:30.29 ID:1vdeP2NDO<>


青ピ「…やってさ」

霧谷「…正気なんで?」

横須賀「まあ無能力者なら外部に出しても差し支えないということだろう。」

霧谷「一応私も開発自体は受けてるんで」

黒妻「ロシアか…10月でも向こうは相当寒いんじゃねえか?」

青ピ「場所にもよるやろうけど、氷点下はいってるやろな」

霧谷「…若干鬱になってきたんで」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:19:47.89 ID:1vdeP2NDO<>
横須賀「霧谷の心配もいいが、自分たちの心配もした方がいいのではないか?」

黒妻「俺たちの?」

横須賀「霧谷がいなくなれば後方支援の人間がいなくなるだろう。」

青ピ「…せやな」

霧谷はなにも特殊メイクの腕だけが取り柄ではない。監視カメラの映像などから敵の配置等を割り出したり、下部組織の人員の手配をしたりなど、様々なサポートの面でも動けるのだ。

黒妻「…スキルアウト崩れにインテリ分野での活躍を求めるなよ?」

横須賀「俺もさわり程度にしかできん。下部組織連中は黒妻と似たようなもんだ。」

霧谷「…そんなに難しいことでもないんで」

黒妻「るっせえ」

横須賀「ふん。」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:21:17.84 ID:1vdeP2NDO<>
青ピ「僕はできるで。せやけど、そうなると戦闘そのものがキツくなるしなぁ」

青髪ピアスは学園都市第六位の頭脳を持っている。サポート面でも動けることは間違いないが、そうなると青髪ピアス主体の今までの戦術を改める必要がある。

青ピ「しゃあない。横須賀、お前に僕の駆動鎧貸したるわ」

横須賀「…駆動鎧など乗ったことないが、動けるものなのか?」

青ピ「マスターせえ。基本は普通に動くんとそないに変わらん」

横須賀「…わかった。」

霧谷「横須賀さんがマスターしたら、もはや【内臓潰し】レベルじゃなくなるんで」

黒妻「…なあ、俺も乗っていいか?」

青ピ「ん?せやけどあの一台しかないで」

黒妻「…そうか。イヤ、駄目ならいいんだ」

霧谷「? なんかあるんで?」

黒妻「特になんにもねえよ。ただ、いっぺん乗ってみたいと思っただけさ」

横須賀「気持ちは分かるぞ。」

黒妻「だろ!?こう…なんつうか…ロマンがあんだよ!」

霧谷「よく分からないんで」

青ピ「せやけど、あの駆動鎧サイズが合わんのやないかな。横須賀はちょっとキツいくらいで済むやろうけど、黒妻はんやとたぶんブカブカやで」

黒妻「う…やっぱサイズとかあんのかアレ」

青ピ「タイプによるんやないかな。僕もそないに詳しい訳ちゃうけど」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:23:04.27 ID:1vdeP2NDO<>

霧谷「と言うか、私がロシア行くって話はどこに行ったんで?」

横須賀「…どっかの店でボルシチでもテイクアウトしてこい。」

黒妻「俺実物のマトリョーシカって見たことねえんだよな」

青ピ「僕はクレムリン宮殿の最奥部の写真見たいなあ」

霧谷「てめえら揃いも揃ってぶっ殺されてぇんで?」ブチブチブチッ

横須賀「冗談だ。気をつけて行け。」

黒妻「ま、最悪の場合「非戦闘員だ」っつって両手上げてれば死なないだろ」

霧谷「ロシア語なんて喋れないんで」

青ピ「そないに心配せんでも危険なことなんてあらへんて。Level5が数人居る現場やで?」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:25:10.92 ID:1vdeP2NDO<>


−10月下旬、ロシア国内学園都市陣営某所

???「ここで潜入用の特殊メイクしてくれるのかしら?あんたちょっと頼めるかにゃーん?」

霧谷「え…は、い?」

霧谷(…え?目からビーム出てる?腕からビーム生えてる?)

???「こいつそっくりにしてくれる?」

霧谷「…え?この人でよろしいんで?」

???「ええ」

霧谷「でもこの人日本人…」

???「関係ねぇ!カァンケイねぇぇぇんだよ!メイクすんのか死ぬのか選べオラァ!」バヂヂヂヂッ!

霧谷「は、はい!します!メイクします!」

霧谷(めちゃめちゃ危険な現場なんで!つーかコレ義眼と義手ちゃんとつけられるんで!?どんな素材ならビームに耐えられるんで!?)

???「待っててね♪はぁぁぁぁぁまづらぁ!!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/22(木) 21:31:49.93 ID:1vdeP2NDO<> 今回はここまでです。
大分間が空いてしまいました。


レスありがとうございます。
外伝もいよいよ終盤です。最後までお付き合いいただければ幸いです。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/03/23(金) 01:18:06.38 ID:ga6Jw32So<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:07:06.21 ID:5xXl8CPDO<> どうも>>1です。


今から投下しますが、これからラストまで一気に行かせてください。
と言っても、今回の投下でラストまでいく訳ではありません。
いつもの「今回はここまでです。」がなくなるってだけです。なんかそれやると雰囲気崩れる気がしたんで。
とはいえ、途中でいくらでもレスくれてもらって構いません。っていうかくださいwラストまでいったらまとめて返信させてください。


いきなり変なこと言い出してすいません。では、投下。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:08:39.66 ID:5xXl8CPDO<>
−11月上旬

青ピ「…は?」

???『ですから解散ですよ、解散。『ウォール』はもう用済みということです』

第三次世界対戦はほんの十数日で終戦を迎えた。だが、終戦にあたって不思議な現象が多々起きた。

世界中の教会関連の物が合わさりラピュタになった。
空が金色になった。直後、金色の空を飛ぶ白い天使が世界を戻した。
世界中に加工不能な粗大ゴミが一斉に不法投機された。
等々、およそ理解不能な現象だらけである。

ともあれ、戦争は終結した。学園都市の人的被害は0だと言われるほど、一方的な展開で。

世界中の人々が戦争の終結を以て安堵したころ、学園都市の裏社会では激震が走っていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:09:50.45 ID:5xXl8CPDO<>
青ピ「…そうか。や、よう知らせてくれたな。感謝するで」

???『はい?』

青ピ「要するに、こっから『ウォール』は学園都市に狙われる立場になったっちゅうことやろ?奇襲かけられる前に言うてくれて助かったで」

上から見限られる心当たりならいくらでもある。特にここ最近は。上からの任務をこなしつつ、上の利益を損なうような真似ばかりしてきた。今までは黙認されてきたが、いよいよ堪忍袋の尾が切れたのだろう。

???『ああ、そういうことですか。心配しなくても襲撃も暗殺もありませんよ。『処分』ではなく『解散』ですから』

青ピ「はあ?機密情報を知りすぎてる僕らをみすみす逃がす訳ないやろが」

なにせ暗部には非合法な仕事ばかり回ってくる。それを白日の許に晒されるだけでもこの上なくマズいが、それ以上に暗部の人間は任務の都合上、機密情報も多く知ることになる。それを広められると学園都市が立ち行かなくなるような情報もある。そんな人間たちを野放しにする訳がない。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:11:17.26 ID:5xXl8CPDO<>
???『…こちらとしてもそう思いますがね。なにぶん上が決めたことですから』

青ピ「…どういうことや」

???『学園都市の仕組みが変わった、というよりも変えられたとでも申しましょうか。どのみちあなたは、イヤ、あなた方はもはや暗部が性に合わないようですし、青春を謳歌してみてはいかがですか?』

青ピ「今まで人の青春片っ端から奪って散々コキ使ってきたヤツのセリフかいな」

???『私の仕事は仲介役。実際にコキ使っていたのは上層部の方々ですよ。奇襲や暗殺を警戒するのはかまいませんが、特になにもいたしませんから。こちらからあなた方に暗部関連での接触はアジトや支給品の回収などを追って連絡するくらいですので。それでは』



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:13:09.25 ID:5xXl8CPDO<>



青ピ「…っちゅう電話が来たんが一昨日の朝や」

霧谷「…」

横須賀「…」

黒妻「…」

青ピ「…まあ、そうなるわなぁ」

『ウォール』のアジト、そのリビングのソファーに座っていたメンバーは全員ポカンとしていた。無理もない。今まで使い捨てのように過密スケジュールで働かせてきた学園都市が急に手のひらを返してきたのだから。

霧谷「ロシアから帰ってきたと思ったらリストラ…どうなってるんで?」

黒妻「本当だってんなら嬉しいが…」

横須賀「にわかに信じがたいな。」

青ピ「そう思ったさかい、この二日間皆をアジトに泊まらせて様子見してたんやけど…なーんもアクションないんや。任務の依頼も奇襲の動きも」

霧谷「…となると、本当なんで?」

横須賀「一体なにがあったんだ?」

青ピ「それが分かったら苦労せえへんて。『電話の男』は曖昧なことしか言わへんかったし、あの番号はもう繋がらんし」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:14:21.28 ID:5xXl8CPDO<>

黒妻「なあ、前に話したと思うんだが…」

横須賀「なんだ。」

黒妻「俺は昔のスキルアウトの仲間を人質に取られて、更に美偉の過去をダシに脅されて暗部に来たんだ」

霧谷「左様で。まあ、暗部に堕ちた人間なんて皆似たようなもんなんで。人質なり過去の汚点なり」

黒妻「この場合…そう言ったもんはどうなるんだ?」

青ピ「…特になんにもならんのとちゃう?向こうから来い言うたのに向こうから消えろ言うてるんやし」

横須賀「となると、ここにいる全員はお咎めなしで表社会に完全復帰、ということか。」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:15:30.20 ID:5xXl8CPDO<>

霧谷「…実感無いんで」

黒妻「たしかにな…」

青ピ「ちゅうか皆『ウォール』が解散しても居場所とかあるんか?僕は学校行っとるし…他にもあんねんけど」

黒妻「…蛇谷たちに走り屋グループとしてまたバカやろうとは誘われてるが…」

横須賀「ほう、面白そうだな。」

黒妻「なんなら、横須賀も一緒にやるか?」

霧谷「私も高專行けばそれなりに友達はいるんで」

青ピ「霧谷ちゃんそんなとこ通ってたんか?」

霧谷「ええ、まあ。横須賀さんは?」

横須賀「俺は…削板と原谷達だな。」

青ピ「削板って…第七位か?」

霧谷「監視対象じゃなかったんで?」

横須賀「最初はそうだったのだが…一緒にいるうちに、な。アレは退屈しないぞ。なんせ根性がある。」

黒妻「根性?」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:16:36.06 ID:5xXl8CPDO<>

青ピ「とにかく、みんな解散しても大丈夫っちゅうことやな?」

横須賀「…そうだな。」

霧谷「とはいえ、あんなにダルかった任務がなくなったのに…寂しいものがあるんで」

黒妻「…つっても、別に解散したからって会わなくなる訳じゃねえだろ?」

青ピ「…せやね。またみんなでカラオケ行ったりツーリング行ったり…むしろ危ないこともなくなってええんとちゃう?」

横須賀「むしろ、というか普通にな。」

霧谷「…なら構わないんで」

黒妻「ハハ、楽しみじゃねえか」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:18:32.12 ID:5xXl8CPDO<>

霧谷「でも…下部組織の人員はどうするんで?」

青ピ「あー…」

黒妻「訳アリの連中は下部組織に回してたからな…」

横須賀「かまわん。引き続き俺が面倒見る。」

霧谷「よろしいんで?」

横須賀「ああ、しばらくはスキルアウトまがいの集団になると思うが…職さえ見つければ問題あるまい。」

黒妻「…お前自身は大丈夫なのか?」

横須賀「ふん。なんとかなる。この【内臓潰し】の横須賀、言ったことに対して責任くらいは持つ。」

青ピ「…スマン。金ならいくらでも出すさかい」

横須賀「ほう、守銭奴のお前が珍しいな。」

青ピ「もともと上の連中に嫌がらせがしとぉてふんだくってた金や。それにLevel5ともなると暗部の他からもガンガン金が入ってくるんよ」

黒妻「…景気のいい話してんな」

霧谷「うらやましいんで」

横須賀「とはいえ、おそらく残るのは最近下部組織に回した連中くらいだろう。大した人数にはならん。」

青ピ「さよか。ほな、最後にそのふんだくった金で解散パーティーでもやろか」

黒妻「お!いいな!」

横須賀「そうしてくれ。ボスニアの連中もお前らに礼を言いたがっていたぞ。」

霧谷「…ボスニア?」

黒妻「…ああ、人身売買の」

横須賀「最近少しずつ日本語を覚えてきてな。IDの方もなんとか発行できたし、人並みの生活ができるようになったと喜んでいたぞ。」

青ピ「下部組織生活が人並みの生活かいな…」

黒妻「…それなら、これからもっと楽しい人生にしていけばいいさ」

霧谷「違いないんで」

青ピ「…せやね。ほな、今日は思い切りパーっとやろか」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:19:41.51 ID:5xXl8CPDO<>
翌日、青髪ピアス宅

青ピ(…さて)

昨日は思い切り騒いだ。焼肉屋を貸し切り、飲める人間は酒も空けた。飲めない人間も飲んだ。誰かさん特製ミルクジュースと言う名のカルーアミルクをがぶ飲みして誰かさんがビブルチした。

それはそれは盛り上がり、それはそれは楽しかった。だが、青髪ピアスは少しばかり気がかりがあった。

青ピ(なんで連絡くれないんだろ…フレンダ)

あれからフレンダからの連絡は未だに一切ない。携帯も繋がらない。ようやく繋がったと思ったら『現在使用されておりません』ときた。

青ピ(ケータイぶっ壊したか?まあ、任務中に壊れたなら納得もいくけど…)

なんせ、暗部の現場はほとんどが戦場。携帯電話が壊れるのも日常茶飯事だ。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:20:56.19 ID:5xXl8CPDO<>
青ピ(…家でグズグズしてても仕方ないか)

そう思い、青髪ピアスは学生服に着替え始める。とりあえずは学校だ。ここのところは任務続きでまともに学校に行けてなかったので、行ける時には行かなければならない。

青ピ(…終わったらフレンダの家でも行ってみるか)

着替え終わり、学生カバンを引っ提げて、早くも放課後の予定を立てる。携帯電話が壊れているなら、こっちから出向いた方が早い。

青ピ(じゃないと俺の方が干からびそうだし)

ローファーに足を突っ込んでドアノブを回す。もうかれこれ一月以上会ってなければ、声も聞いていない。いい加減恋しくて仕方なかった。

青ピ(『青春を謳歌してみてはいかがですか?』か…そうだな、もう命のやり取りをする必要もケガの心配もしなくていいんだ。フツーの学生なんだ)

ドアを開けると肌寒い空気が広がっていた。しかし、だからこそマンションの三階から見た空はより青く見えた。これからは暗部の仕事のせいで会えないということはなくなる。好きな時に会えて、好きなだけ一緒に居られるのだ。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 00:22:43.21 ID:5xXl8CPDO<>
青ピ(フレンダに会ったら思い切りイチャついてやろ)

そして、シャツの下に着けているネックレスを取り出し、そこに貼ってあるプリクラを見た。緑の下地と大きなピンクのハートを背景に幸せそうな笑顔でキスしている自分と金髪の彼女。その周りに赤く小さなハートが踊っており、極めつけには丸っこいかわいらしい文字で『アクト・フレンダ』『ずーっと一緒(はぁと)』と上下二文に分かれて書かれている。

あまりにこっぱずかしくて、それでいて甘くて、感情が昂ぶって、気付けば自分でも分かる程に顔が真っ赤になっていた。

青ピ「…あ、アカンアカン!まずは学校が先やって!」

自分に言い聞かせるように声に出し、頭を振る。ネックレスを大切にシャツとシャツの間にしまい込んで、学校に向かって走りだした。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:01:25.54 ID:5xXl8CPDO<>
−同日夕方、学園都市某所

青ピ「♪〜」

ようやく学校も終わり、フレンダの家へと向かった。学校自体はつまらない訳ではないのだが、なにせやってる授業の内容が簡単すぎて退屈なのだ。10秒あれば解けそうな問題をノロノロと解説されれば嫌気も差す。

しかし今はそんなものから解放され、愛しの彼女の家に向かっているのだ。自然と鼻歌でも歌いたくなる。

青ピ(そう言えばカラオケデートってまだしたことなかったな)

『ウォール』のメンバーとは散々行ったカラオケもフレンダとは行ったことはなかった。あの薄暗い空間でフレンダと二人きり…考えただけで言葉じゃ表せない感情がどんどん沸いて出てきた。

青ピ(よーし、次のデートはカラオケだな。フレンダって何歌うんだろ)

フレンダの家に向かいながらも次のデートプランを立てていく。もう頭の中は一人の少女のことでいっぱいだ。久々に聞ける彼女の声に、久々に感じることできる彼女の温もりにしばらく思いを馳せていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:03:09.22 ID:5xXl8CPDO<>
(っと、忘れてた)

フレンダの住むマンションまであと少しというところで、青髪ピアスは能力を使った。理由は簡単。見られたくないから。フレンダの家に行く時はいつもそうだった。もし見られて、勘ぐられてしまったらどんな結末が待っているのか…

(ん?でももう見られてもいいのか?)

しかし、それは暗部にいた時の話。もはや暗部でない青髪ピアスはフレンダの彼氏ということを胸を張って宣言しても構わない。

だが、

(学園都市の仕組みが変えられた、ってのが分からないよなぁ。暗部組織について何かが変えられたってのは間違いないはずだけど…完全消滅なのか、規模の縮小なのか)

なにせ与えられた情報が少なすぎる上に曖昧すぎる。これではさすがに判断がつかなかった。

(…念には念を、だ。使い勝手のいい駒を完全消滅させる可能性は低いし。びっくりさせるのも面白いしな)

結局、能力を使いながらマンションに入ることにした。

オートロックの解除番号を打ち込みエントランスに入る。本来住人以外は知らない番号なのだが、青髪ピアスはフレンダから番号を教えてもらっていた。そして、エレベーターに乗るころにはフレンダの驚く顔を思い浮かべてニコニコと笑っていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:11:50.60 ID:5xXl8CPDO<>
(さーて、どんな顔するかな)

青髪ピアスは能力を使ったままフレンダの家の扉の前にたどり着いた。フレンダを驚かせようとするイタズラ心からか、久々にフレンダに会えるからか、心臓はいつもよりも高鳴っており、顔のニヤニヤはどうやっても直せない。

とはいえ、能力を使った状態なら誰かに心音を聞かれることもなく、表情を見られることもない。だからそのままの状態でマンションの一室のインターフォンを鳴らした。

ピンポーン、というお決まりの音が響く。そこからの間、青髪ピアスの心音はさらに高鳴り、ワクワクした気持ちで心は踊った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:12:51.23 ID:5xXl8CPDO<>
しばらくして、ガチャ、っという音がインターフォンからした。

『…』

だが、音がしただけでなんの反応もない。確かに出たはずなのだが…

「僕や、僕」

仕方ないからこちらから呼びかける。向こうから見えてるなら、きっと驚いたはずだ。なんの連絡も無しに急に彼氏が訪れたのだから。

???『…Well、どちら様?』

「…は?」

だが、返ってきた声からは驚きよりも疑問の色が強く聞き取れた。というより声の高さも違うなら質も違う。

「あはは、変な真似せんでええがな。ええから出てきてや」

きっとこっちのイタズラにいち早く気付いて悪ノリしてるんだな。青髪ピアスはそう思った。

(まったく、テンプレ通りにいかないなぁ。初めてデートした時もそんな風に笑って言ってたっけか…)

ガチャリ、と扉が開いた。ようやく1ヶ月間恋い焦がれた彼女との対面。青髪ピアスの鼓動が高まる。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:14:46.09 ID:5xXl8CPDO<>
だが

「うぉわあ!?」

???「」

出てきたのはかわいらしい金髪の彼女ではない。ギョロ目の黒髪ゴスロリ女だった。

???「…Well、人の家に押し掛けて失礼な態度をとった人の顔を一目拝みたいのだけれど」

「え、え…あ…す、すんません」

期待していた状況とのあまりのギャップに狼狽していたが、とりあえず能力を切った。まさか驚かせるつもりがこっちが驚かされるとは。

???「…Alas、さすがにあなたにローリングソバットはできないわ」

青ピ「へ?僕のこと知っとるんか?もしかしてフレンダの知り合いか?」

???「フレンダがどなたかは知らない。However、あなたは知ってる。Level5第六位の【隠密行動】。Add、暗部組織のリーダー格」

青ピ「! なにもんやアンタ…」

青髪ピアスを【隠密行動】として認識している以上、ただの一般人ではない。そして暗部の存在を知ってるあたり明らかに裏社会の住人だ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:17:09.19 ID:5xXl8CPDO<>
???「元研究者で…元とある組織の構成員、かしら」

青ピ「元…?」

???「研究者としては首になった。Then、構成員としても首になった。あなたも同じはずだけど」

青ピ「…学園都市の仕組みが、っちゅうやつか?」

???「Exactly、その通りよ」

どうやらこのギョロ目女もどこかの暗部に所属しており、青髪ピアスと同様に追い出された様だ。となると、フレンダと同じ暗部に所属しているのかも知れない。もしかしたら、青髪ピアスよりも事態を把握しているかも知れない。

だが、今はそんなことはどうでもいい。

青ピ「ちゅうかなんでアンタがここから出てきてん?フレンダは?」

???「だからそのフレンダっていうのはどちら様?」

疑問を疑問で返された。青髪ピアスはだんだんイライラしはじめた。ようやく会えるはずの彼女に会えず、訳の分からない問答をしているのだ。ムリもない。

青ピ「だーかーら、この家の住人や。アンタの組織におったやろ?金髪の女の子」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:18:12.93 ID:5xXl8CPDO<>
???「…私はつい先日ここに越してきた。私が所属していた組織に金髪はいなかった。Because、私はそんな人物は知らない」

青ピ「…はあ?」

つい先日ここに越してきた?何を言っているんだこのギョロ目。

???「私が越してくる一月程前からここは空いていたわ。少々言いづらいけど…前の住人は引っ越したのでは?」

青ピ「…んなアホな…」

青髪ピアスは完全に混乱していた。この女が嘘をついているとは思えない。というか、嘘をつくメリットが見当たらない。ならば、フレンダは本当に引っ越した?何も告げずに?

???「Well、そろそろいいかしら?精神的に不安定になってきた裏の人間の前に立っていたくはない」

青ピ「ちょ、ちょお待ってくれ。なんか私物とか残っておらへんかったか?こう…ベレー帽とか、缶詰とか」

???「私が下見に来た時から備え付けの家具以外は無かったわ。Beside、私を探っても私は前の住人について本当に何も知らない。Because、これ以上の問答は無意味よ」

青ピ「…」

???「…そんな顔されても…申し訳ないけど、あなたの力になれることは何もない。お引き取り願えるかしら?」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:20:23.84 ID:5xXl8CPDO<>


青ピ(…なにがどうなってんだ…)

青髪ピアスはマンションを出て大通りを歩いていた。ほんの30分前までは同じ道をこれ以上ないほど上機嫌で歩いていたのに、今は微塵もそんな感情はなかった。

青ピ(…フレンダに何かあったのか?連絡も取れないし、家にも居ないなんて…)

青髪ピアスはいよいよ本格的にフレンダの心配をしはじめた。今までも心のどこかで心配してはいたが、それ以上にフレンダとフレンダを取り巻く環境に対する信頼があったために安心しきっていたのだ。

青ピ(…フレンダについて調べるべきだけど…調べていいものか?)

フレンダのことを調べるとなると、フレンダの所属している暗部組織について調べることにもなる。今までは互いの暗部に関する情報はプライベートなものだけに限ってきた。そうでなければ、万が一の場合、どちらかの暗部組織が崩壊してもおかしくはない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:22:19.27 ID:5xXl8CPDO<>
青ピ(…関係ない。俺はもう『ウォール』のリーダーじゃないんだ。仮にフレンダの組織が活動してたらそのままその組織で活動すればいいか)

青髪ピアスはLevel5の第六位で今まで暗部組織のリーダーをやっていたのだ。『ウォール』解散の事実を証明した上でならフレンダの組織が青髪ピアスの加入を拒むことはないはずだ。

青ピ(フレンダといるためには再び裏社会に逆戻りの可能性もある、か。やっぱり神様は意地悪で、変なところで気が効いてるな)

そもそも今の青髪ピアスの名前は『悪人』。その名付け親と一緒に再び裏社会に舞い戻れと言われている様なものなのだ。

青ピ「やったるか。情報収集」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:24:04.81 ID:5xXl8CPDO<>
−同日夜、第十七学区某所

青髪ピアスは今までのルールを侵し、フレンダが所属している暗部組織の情報収集をすることにした。

だが、今の青髪ピアスはただの学生。正攻法で暗部の情報が得られる訳がない。ここは科学の街、学園都市だ。ネット上のセキュリティも通常のものとは段違いである。そんな街だから【守護神】の存在まで噂されている。電撃使いの高位能力者や、相当腕に自信のある者などでなければハッキングなど不可能だ。

青髪ピアスは学園都市第六位の頭脳を有しているが、だからといってハッキングが上手くいく理由にはならない。ことハッキングにおいて必要なのは頭脳よりも技術。そしてセンスだ。

しかし、そもそも青髪ピアスはハッキングなどしない。青髪ピアスが欲しいのはフレンダに関する情報。ならば必要なのはハッキングの技術ではなく、情報収集ができる環境。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:25:06.07 ID:5xXl8CPDO<>
(またここを使うことになるとはな…)

青髪ピアスは能力を行使してとある小さなビルに潜入していた。実はこのビル、学園都市統括理事会の一人の隠れ家である。今は初老の管理人を除いて誰もいないが、いつでも利用できるようにきっちりと手入れはされている。

学園都市で最高の権限を持つ者のパソコンからならば、ネット上合法的にあらゆる情報を調べられる。青髪ピアスはすでにここを何回か活用している。過去にこのビルの護衛任務が回ってきたことがあり、その際に護衛ついでにセキュリティや勝手について把握していた。

以後、上からの任務に疑問を感じた時などはちょくちょく利用して内情を調べていた。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:26:10.06 ID:5xXl8CPDO<>

先ほどこっそり拝借したマスターキーを使い、とあるフロアの扉を開ける。もちろん、監視カメラはとうの昔に封殺している。能力も使っているので、万が一にも直接見られることはない。

暗い部屋にはデスクとパソコンが一台、それと椅子だけがおいてあり、両脇にはびっしりと本棚が並んでいた。一歩踏み入ると先ほどまでの固い廊下と違い、柔らかいじゅうたんの感触がした。

(さて…)

早速パソコンを起動させる。最初に簡単なパスワード入力の画面が表示されたが難なく突破する。すると、シンプルな背景といくつかのアイコンが表示された。

(はじめるか、情報収集)

青髪ピアスはカタカタとパソコンを操り始めた。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:28:14.46 ID:5xXl8CPDO<>

キーワードは『フレンダ=セイヴェルン』、そして彼女の口から一度だけ聞いた組織の名称『アイテム』。それだけを頼りに『書庫』を初めとするあらゆるデータベースから情報を検索する。

(…あった。暗部組織『アイテム』…構成員、麦野沈利、滝壺璃后、絹旗最愛、フレンダ=セイヴェルン…)

目当ての情報はすぐに見つかった。そこには『アイテム』の構成員と写真、簡単なプロフィールが記載されていた。

(やっぱり組織は活動を停止して解散…ん?解散したのは10月9日?)

『ウォール』が解散されるよりも早く『アイテム』は解散されていた。より詳しい情報を知るべく、青髪ピアスは収集を続ける。

(暗部組織同士の抗争!?…『スクール』が学園都市統括理事長との直接交渉権を求めて反乱…『アイテム』『メンバー』が抗戦…)

更なる情報を求めて青髪ピアスはその事件の一連の流れが記載されたページをスクロールしていく。だが、途中で信じられない文字が並んでいた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:29:17.10 ID:5xXl8CPDO<>



−その際、フレンダ=セイヴェルンは麦野沈利により殺害され−




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:31:02.94 ID:5xXl8CPDO<>

青ピ「…は?」

頭が真っ白になった。思わず演算も中断した。世界中の何もかもが止まったように思えた。

青ピ「いやいや…んな訳あるか…フレンダやで?」

自分以外にも見えない人間がいるかのように、問いかける。しかし、当然誰も同意しないし否定もしない。ただ、暗い部屋で光るディスプレイには無機質で残酷な文字が変わらず映っていた。

青ピ「ないだろ…だって…一月前まで…一緒に買い物行って…プリクラ撮って……キス……して…」

いくら否定しても文字は変わらない。ずっと同じ文字が映されている。

そして、逆にその文字を肯定するように、次々に個々の情報が繋がる。

連絡がつかなくなったタイミング、解約された携帯電話、マンションの新しい住人…

青ピ「そんな…そんな…」

青髪ピアスの中で様々感情が混ざり合い、ぐちゃぐちゃになる。数分の間、青髪ピアスは微動だにしなかった。できなかった。自分の中で整理が追い付かず、ただただ無機質な文字を見ていた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:32:02.35 ID:5xXl8CPDO<>
そして、最後に出てきた感情は…

青ピ「−っざけんな!!こんなことがあるか!!」

怒りだった。

青ピ「許さへんぞ!!絶対に許さへん!!何万回でも苦しめたる!!!『麦野沈利』も!!『垣根帝督』も!!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:33:11.59 ID:5xXl8CPDO<>




−麦野沈利、下部組織の人員、浜面仕上により殺害される。これを以て『アイテム』を解散とし−





−垣根帝督、『グループ』構成員、一方通行により殺害される。これを以て『スクール』を解散とし−





<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/24(土) 22:34:04.90 ID:5xXl8CPDO<>
青ピ「…は、」

苦しめるべき相手はすでにこの世にいなかった。青髪ピアスのいないところで彼の一番大事な人は殺されて、彼の一番大事な人の仇は取られていた。

青ピ「あはは」

彼の感情は行き場を失い

青ピ「あははははははははは!あはははははははははははははははははははははははは!あはははははははははははははははははははははははは!あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!」

彼自身を破壊した。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 21:51:07.31 ID:ED1qtdBDO<>
−11月中旬朝、学園都市某所



この世に救いはない。青髪ピアスはそう感じていた。

青ピ「…せっかく…二人で…なのに…」

いつまでもぶつぶつと呟き、ふらふらと学園都市を徘徊していた。完全に無気力だった。今は平日で人もまばらな大通りを歩いていた。

最初のころは携帯電話が何回か振動していた。おそらくは『ウォール』のメンバー、上条や土御門、担任の小萌先生あたりだろう。だが、ろくに確認もしなかった。そんな気も起きなかった。最近では電池が切れたのか振動もしなくなった。

ようやく汚い世界から抜け出せたのに、一緒にいてくれるフレンダはいない。もう命懸けの任務なんてないのにフレンダはいない。ちゃんとした別れの言葉も告げられずに、フレンダはこの世界から居なくなってしまった。

青髪ピアスは現実主義者である。だからフレンダの霊なんて存在しないと思っているし、弔おうとも思わない。だからこそ、フレンダの死はより一層の絶望を青髪ピアスにもたらした。

ただただ残酷な現実だけが青髪ピアスに残った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 21:52:46.57 ID:ED1qtdBDO<>
青ピ「フレンダ…」

もう何度呟いたことか。しかし、二度と返事が返ってくることはない。もう二度とコロコロ変わる表情を見ることはできない。楽しそうな笑顔も、ふてくされた顔も、恥ずかしがって赤面する顔も、嬉しそうに微笑む顔も、もう二度と見ることはできない。

青ピ「…フレンダ…」

もはや、頭は正常に機能していない。何かをしようにも脳にも心にも大きな穴が空いていて、すべてその穴の中に落ちては消えていくような気がした。しかし、その穴がふさがることは決してない。

もはや、青髪ピアスの目には世界がまともに映っていない。色素が抜けた訳ではないが、世界を構成している何かが消滅した気がした。そのせいか、何を見ても心が動かない。フレンダを捜すかのように、フレンダとデートしたところもいくつか訪れたが、空しくなるだけだった。

ただただ何をするでもなくふらふらと学園都市の街並みを歩いていく。何を見ても、もはや何も感じないのに、いくら捜しても、もはや想い人はいないのに。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 21:54:20.51 ID:ED1qtdBDO<>

ふいに、どこからか声がした。

「…ぁ!」

「−!−−−ぉ!」

どこかのカップルだろう。女の声、次いで男の声がした。何やらはしゃいでいることだけは分かった。

今の青髪ピアスにとって、その楽しそうな声は苦痛でしかなかった。自分にはもうそんな風にはしゃげる相手はいないのだから。踵を返して声のする方とは反対の方向に向うことにした。

だが、不幸にもそのカップルの声はこちらに近づいてくる。それもすごい速さで。どうやら、テンションが上がりすぎておいかけっこが始まったようだ。しかも、青髪ピアスいる歩道の角の先で始まったようだ。仕方ないので、少しでも離れられるように大通りを横切り反対側の歩道に移った。

???「だから悪かったって!勘弁してくれ!」

???「あぁ!?テメェこっちが何分待ったと思ってんだコラァ!」

どうやら、カップルの痴話喧嘩のようだ。しかし、それすらも苦痛でしかない。とっとと離れようと再び歩きはじめる。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 21:57:42.12 ID:ED1qtdBDO<>
だが、その時青髪ピアスは視界の端に異様なものを見た。それは青白い閃光だった。普通に学園都市で生活していても見ることのできない現象だった。

青ピ「…え?」

ふいに、青髪ピアスの記憶が呼び覚まされる。ちょうど一年程前、青髪ピアスはその閃光を見たことがあった。

青ピ(…ちょっと待て)

急に頭にエンジンがかかる。その閃光はどこで見た?どんな状況だった?あの時彼女はなんて…



−「結局、今のは私の仲間って訳よ」−



青ピ「…まさか!」

青髪ピアスはカップルを追い掛けるために走りはじめる。そして、走りながら能力を行使し、誰からも見られないようにする。


そして、そのカップルに追い付いた。ちょうど、金髪の彼氏の方が諦めたように頭を下げて謝っているところだった。

???「分かった!次は遅れないしなんでもお前の言うこと聞いてやるから!」

それを受けて、茶髪の女のテンションがさらに上がる。

???「ほー、言ったなテメェ!なんでも言うこと聞くんだなあ?」

青髪ピアスはその女の顔を確認するために男の後ろ、女の前に回りこんだ。そして、その顔は見たことのある顔だった。もう何日前か覚えていないが、確かにディスプレイにはそいつの顔が表示されていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 21:58:30.56 ID:ED1qtdBDO<>


(馬鹿な…)



???「ああ!だからもう勘弁!な!?」



麦野「今の言葉忘れんじゃねぇぞ、はーまづらぁ♪」


殺されたはずの【原子崩し】麦野沈利が笑顔でそこにいた。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 21:59:29.84 ID:ED1qtdBDO<>
青ピ(…)

青髪ピアスはしばらく動けなかった。【原子崩し】の顔を確認した後も、【原子崩し】と金髪の男が去った後も。目の前で起きた現実を信じることができなかった。

青ピ「なんで…?なにが…」

今月に入って何度思ったことか。青髪ピアスの頭を、学園都市第六位の頭脳ですら計り知れない事態が次々に起こる。

青ピ「…はは、何言っとんねん。簡単な話やろ」

青髪ピアスの目に生気が戻る。気力が戻ってくる。

青ピ「…続きがあるんや。あの情報収集だけじゃ足りひんかったっちゅうことやろ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 22:01:33.45 ID:ED1qtdBDO<>
−同日昼、第十七学区某所

青髪ピアスは再び学園都市統括理事会の隠れ家に来ていた。

すぐにパソコンを起動し、再び情報収集をはじめる。今回のキーワードは『フレンダ=セイヴェルン』『アイテム』、そして『麦野沈利』

(…【原子崩し】の損失は学園都市にとって大きな損害となるため、【冥土返し】の技術を用いて蘇生を試みる…結果、蘇生に成功…むちゃくちゃだな)

どうやら、【原子崩し】は完全に致命傷だったのに無理矢理生き返されたようだ。これは学園都市の超能力者に対する異様な固執をはっきり表わしていた。

(…現在は義眼と義手を用いて社会に復帰…なるほどな…)

青髪ピアスの目に異様な光が宿る。

(確定だ。コイツは死ぬまで苦しめる。フレンダに手ぇ出しておきながらあんな顔しやがって!)

青髪ピアスは怒りに燃えた。あの女はフレンダのことなど少しも考えていなかった。じゃなきゃあんなに楽しそうに笑っている訳がない。

(…なんであんなヤツを慕ってたんだ…フレンダ…)

しかし、それでもフレンダは【原子崩し】を慕っていた。強くて頼りになると自分で言っていた。今でも自慢気に語っていた顔は忘れられない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 22:02:12.77 ID:ED1qtdBDO<>
(…待てよ?)

【原子崩し】は殺されたはずなのに生きている。なら、フレンダは?確かに【原子崩し】は学園都市の宝とも言える超能力者だ。だからこそ生かされた。一方でフレンダは無能力者だ。学園都市にしてみれば価値などないかもしれない。

(でも…でも死んだはずの人間が生きてたんだ。フレンダだって)

青髪ピアスはさらに『フレンダ=セイヴェルン』の情報を探し始めた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 22:08:35.55 ID:ED1qtdBDO<>

しかし、いくら探しても前回以上の情報は出てこない。それでも青髪ピアスは諦めなかった。そして、その執念は違う形で実を結ぶ。

(…フレメア=セイヴェルン…なんだこの機密ランクの高さ)

いくら探しても出てこないため『セイヴェルン』の部分にヒットしたフレメアの情報が出てきた。しかし、出てきた情報の機密ランクは完全にただの『置き去り』の子どもに対するものではなかった。


(は!?フレメア=セイヴェルンと共にいた浜面仕上が一方通行と接触したため両者及びフレメア=セイヴェルンの殺害を許可!?)

出てきた情報はフレメアを使って重要人物を殺すというものだった。前回同様、その事件の一連の流れが記載されていた。

(『学園都市の機構は変えられた』んじゃないのか!?なんでこんな連中がフレメアちゃんを…)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 22:10:40.89 ID:ED1qtdBDO<>
そこまで考えて、青髪ピアスは悟った。そして、自分の頭を思い切りデスクに叩きつけた。

ゴン!という鈍い音が響き渡る。

青ピ「アホか…神様が、この街が、この世界が、そんなに優しい訳ないやろっ!」

そもそも自分で一度思ったはずだ。『使い勝手のいい駒を学園都市が完全消滅させる訳がない』。

青ピ「…殺害は失敗した、か。感謝せなアカンな、第一位。浜面仕上とその一味。そんで、覚悟せえよ『新入生』のバカ共」

青髪ピアスは立ち上がる。とにかくやらなければならないコトは見つかった。麦野沈利、新入生、統括理事会、思い知らせる必要がある。ことフレメアに至ってはまだ確実に生きているのだ。これ以上自分の世界を奪わせやしない。

青ピ「相変わらず、神様っちゅうのは意地悪で、変なところで気が効いとるな。フレンダを殺した悪魔の生存が、僕がもう一度生きる気力を取り戻すきっかけになるなんてな」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 22:12:12.61 ID:ED1qtdBDO<>
−同日夕方、第七学区某所

見つけた。【原子崩し】…アレは…【窒素装甲】か…

絹旗「では、また後程会いましょう」

【窒素装甲】と別れたか。ちょうどいい。あの娘がいると厄介だしな。

麦野「…超感謝してますよ、か」

ああ?何言ってやがる?

麦野「あー…ダメね。確かに柄じゃないわ」

…おい、なんて顔してやがる。そんな幸せそうな顔で笑うな!

麦野「…行くか」

ふざけやがって!フレンダを殺しておきながら!そんな顔してんじゃねぇよ!

麦野「が…!?」

…! へえ。

「今ので倒れへんの。さすがはLevel5の第四位やね。せやけど、さすがにかなり脳震盪起こしとるやろ。大人しう眠っときや」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 22:13:43.72 ID:ED1qtdBDO<>
−同時刻、第十七学区某所

管理人「…おお、これはこれは。親船さま」

親船「ご無沙汰しております。最近は伺うことができずに申し訳ございません」

管理人「いえいえ、隠れ家に頻繁に訪れては隠れ家ではなくなってしまいます故。…ご使用でしょうかな?」

親船「ええ。見ての通り体調を崩してしまいまして。使用できますか?」

管理人「常に万全でございます。喉か鼻をやられましたかな?そういえばいつもとお声が違いますな」

親船「ええ、まあ」

管理人「…失礼ですが、そちらのお二人は?」

親船「…おや、この二人を連れてくるのははじめてでしたかしら?大戦の間はなにかと物騒でしたので、新しく増やしたのですよ」

黒服A「お初にお目にかかる。」

黒服B「…どーも」

管理人「…いつもの秘書様はいかがなされました?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 22:14:50.68 ID:ED1qtdBDO<>
親船「…ぁー…大戦中は働かせすぎましたので休暇をとらせました。頑なに必要ないと申しておりましたが、あの者は有事の際にこそ必要な存在。休ませることができるうちに休ませねば」

管理人「なるほど、左様でございますか」

親船「ええ」

管理人「でしたら…おや?」

親船「い、いかがなさいました?」

管理人「いえ、マスターキーの方が…ああ、ありましたありました。」

親船「あ、そ、そうですか」

管理人「いやはやお恥ずかしい。いい加減年ですかな」

親船「おやおや、まだまだ現役でいてもらわなければ困りますよ」

管理人「これは手厳しい。後程、精のつくものでもお持ち致しましょうか?」

親船「いえ、少し休んだら行きますので。お気になさらずに」

管理人「左様でございますか。では、ごゆるりと」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/25(日) 22:15:53.67 ID:ED1qtdBDO<>


親船「…っはあー、固苦しかったんで。ったく、なんで私が親船最中に変装しなければいけないんで」

黒服A「俺か黒妻にやらせる気か?」

親船「…キモすぎるんで」

黒服B「だろうな。つーかコレ脱いでいいか?スーツなんてそれこそ固苦しいんだが…」

黒服A「用心のためだ。着ておけ。」

黒服B「マジかよ…にしても、自分で自分に特殊メイクなんてできるもんなんだな」

親船「高專の友達に頼んでやってもらったんで」

黒服B「…お前どんな学校通ってるんだ?」

親船「今はそんなことどーでもいいんで。さっさと済ませるべきなんで」

黒服A「そうだな。まったく、何をしているんだウチのリーダーは。」

黒服B「大丈夫だとは思うが…ずっと音信不通で家にも居ないからな。Level5で元暗部のリーダーならどんな組織から狙われてもおかしくねぇ」

親船「それもここで調べれば分かるはずなんで」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 22:56:00.19 ID:FgFjHOyDO<>


黒服A「この部屋だな。」

親船「ええ」

黒服B「うし、じゃあ頼むぜ。霧谷」

親船「あ、やっぱ私が調べるんで?」

黒服B「適役だろ?」

黒服A「だな。」

親船「まあ構わないんで。…? このパソコン、電源付けっ放しなんで」

黒服B「…前に使った時に消し忘れたんじゃねえか?」

黒服A「それなら管理人が気付くだろう。ここまで手入れされているのだぞ?」

親船「親船最中がここ最近この隠れ家を使った記録もないんで。管理人の反応を見てもそれには違いないんで」

黒服B「じゃあ、ほんの数時間前に誰かがこっそりこの隠れ家を使った時に消し忘れたってことか」

黒服A「…誰かは察しがつくがな。」

親船「ここが親船最中の隠れ家だと知っていて、管理人にも気付かれずに潜入でき、ログインのパスワードも知っている人間…」

黒服B「あの管理人もマスターキーが所定の場所になくて探してたからな…何してんだリーダー」

親船「こうなってくると、リーダーがこのパソコン使って調べていたものを洗った方が早そうなんで」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 22:57:29.84 ID:FgFjHOyDO<>


親船「キーワードは4つ。『フレンダ=セイヴェルン』『アイテム』『麦野沈利』『フレメア=セイヴェルン』」

黒服B「…フレンダ?」

親船「心当たりあるんで?」

黒服B「ああ、確かリーダーの彼女の名前じゃなかったか?」

親船「は?」

黒服A「」

黒服B「え?違ったか?」

親船「違うもなにも…リーダーに彼女なんている訳が…」

黒服B「いやいや、思い切りキスしてるプリクラ見たしよ。チュープリってやつか?」

親船「」

黒服A「お前…それいつ知ったんだ?」

黒服B「こないだの解散パーティーの時だな。まあそん時お前はビブルチしてたし」

黒服A「お前がジュースだと言って酒など飲ませるからだろうが!」

黒服B「ジュースだろ、カルーアなんて」

親船「解散パーティー…あの日のこと全然覚えてないんで」

黒服B「お前はお前でデスボイスでヘドバンしてたしな」

親船「…マジで?」

黒服B「マジだ。まあリーダーもそれなりに酔い回ってたから覚えてないかもしれねえけどよ」

黒服A「とにかく、アイツは自分の女のことをわざわざこのパソコンで調べていた、と。霧谷。」

親船「了解で」カタカタ

黒服B「なんでもその娘も暗部の人間らしくてな。その娘と付き合いはじめてから人生観変わったって言ってたよ。『ウォール』が解散したからこれからは一緒に居られるっつって嬉しそうに…ああ、そう、その娘だ。金髪の」

親船「…レベル高いんで」

黒服B「ん?無能力者って書いてあっけど?」

親船「…そのレベルじゃなくて女子としてのレベルなんで…」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:11:02.22 ID:FgFjHOyDO<>

黒服A「! この女…」

親船「知ってるんで?」

黒服A「…ああ。一度アイツとこの女が一緒いたところを見たことがある。」

黒服B「じゃあ、やっぱ彼女に違いねえな」

黒服A「だが、俺はこの女は裏のことはなにも知らないと聞いたぞ。」

親船「…? どういうことなんで?」

黒服B「…今は暗部だって知ってたから…どっかでカミングアウトしたんだろ」

黒服A「…あの頃は知らなかった、ということか」

親船「…それで、この彼女さんの所属している暗部の名前が『アイテム』。私たちと同様に現在は活動を停止…あれ?」

黒服B「どうした?」

親船「! そんな…」

黒服A「なんだ。」

親船「…この人…一月前に殺されてるんで」

黒服A「!」

黒服B「な!?」

親船「…任務中に…粛正?殺害人は麦野沈利…この暗部のリーダー」

黒服A「麦野沈利…!」

黒服B「…マジかよ…じゃあリーダーはさっきそれを知って…お礼参りにでも向かったのか?」

親船「…いえ…それが麦野沈利もこの日殺害されていて…」

黒服A「殺害された?」

黒服B「…マジかよ…」

親船「ええ…」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:12:22.71 ID:FgFjHOyDO<>

黒服A「麦野沈利とは…【原子崩し】の名前ではなかったか?」

黒服B「【原子崩し】?」

親船「なんでしたっけ、それ」

黒服A「Level5の第四位だ。」

黒服B「…そーいやどっかで聞いたことあるような…」

親船「でも、それがどうしたんで?」

黒服A「仮に第四位が殺されたとなれば…うちの第六位は順位が繰り上がるのではないか?そんな一報が届いてもいいはずだ。」

黒服B「!」

親船「言われてみれば…」

黒服A「単純に上の連中が事を荒げたくないだけかも知れぬが…もっと調べてみる価値はあろう。」

親船「了解で…個人データ出たんで。ってアレ?」

黒服A「」

黒服B「どうした?」

親船「…私この人にロシアで会ったんで」

黒服B「! じゃあやっぱまだ生きてるのか?」

親船「ええ、でも目からビーム出てて腕からビーム生えてたんで」

黒服B「…ビームって生えるもんなのか?」

親船「…それ以外に形容のしようがなかったんで」

黒服A(あの時のロングヘアー…道理で歯が立たぬ訳だ。)




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:14:11.42 ID:FgFjHOyDO<>



親船「…っとまあ、ここまで要約すると『アイテム』は『スクール』交戦。『アイテム』は当時二人が戦闘不能、二人が死亡。うち片方は無理矢理生き返された、ってとこなんで」

黒服B「…ここまで最後のキーワードが出てきてねえけど」

黒服A「『フレメア=セイヴェルン』か…」

親船「ああ、それなら一番最初に調べはついてるんで」

黒服B「は?」

黒服A「どういうことだ?」

親船「このパソコンに触れた時に開かれていたページ…そこに『フレメア=セイヴェルン』のことがつらつらと書かれてたんで」

黒服B「…どんな内容だった?」

親船「詳しくはまだ…なんなら全員で読んだ方が早いんで」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:15:52.51 ID:FgFjHOyDO<>


黒服A「ふむ…」

親船「…どうやらリーダーの彼女の妹みたいなんで」

黒服B「…ッカヤロ…」ボソッ

黒服A「? どうかしたか?」

黒服B「…イヤ、なんでもねぇ」

黒服B(あんのバカゴリラ…だからやめろっつっただろうが!)

親船「…とにかく、問題なのは妹ちゃんが『新入生』に狙われたページを見て、うちのリーダーがこの部屋を去ったってことなんで」

黒服A「そうだな。…途中で出てきた『多数の駆動鎧』『シルバークロース』はあの時の連中で間違いないな?黒妻。」

親船「なんの話で?」

黒服B「…俺と横須賀でツーリング行こうって日に地下街で駆動鎧の暴動があったんだ。見たことねえキモい形した駆動鎧だったし、どう見ても警備員の正規装備じゃなかった」

黒服A「裏社会は抜けたが、裏社会の事情については知っておいて損はないだろう。かなりおざなりな撤退だったので単車で追跡するのも簡単だったぞ。まあその理由も今分かったが。」

親船「左様で」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:17:06.62 ID:FgFjHOyDO<>

黒服A「…ここまでくれば、アイツが何をするかも予想がつくな。」

黒服B「お礼参り…イヤ、それだけじゃないか」

親船「リーダーなら…【原子崩し】すら殺すかどうかも怪しいんで」

黒服A「…殺しもせずに裏社会にどんどん引きずり込んできた、優しくて残酷なうちのリーダー様ならな。で、俺たちはどうする?」

黒服B「おいおい、聞くまでもねえだろ?」ニヤリ

親船「リーダーの人生観がこの人と付き合うことで変わったのなら…きっと間接的に恩人なんで」

黒服A「…行くか。準備を整えるなら第三学区のアジトだろう。」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:18:45.01 ID:FgFjHOyDO<>
−同日夜、第三学区『ウォール』アジト


麦野「…なるほど、フレメアが言ってた『アクト』っていうのはテメェの能力名か」

青ピ「…半分正解や。もう半分は暗部組織のリーダーなんかやっとる『悪人』やから『アクト』や。まあ、アンタに比べたら僕なんかよっぽど善人やろうけどな」

麦野「ああ、そうだろうよ。異論の余地もねえ」

青ピ「ホンマや。ようもフレンダのこと殺しといて、フレメアちゃんと僕の名前が出るような会話ができる仲になれるな。どないな神経しとんねん」

麦野「…あの子と親しくなるつもりはない」

青ピ「いやもうなっとるやんけ」

青髪ピアスは【原子崩し】を捕縛した。姿を消しながら思い切り顎を殴り、それでも倒れなかったのでもう一発いれて完全に気絶させた。

近くで見る恋人の仇はそれはそれは憎らしく、目が覚めてもその態度はやはり憎らしかった。青髪ピアスは今すぐにでもこの女をズタズタにしてやりたい衝動に駆られていた。しかし、それはしない。それ以上に聞きたいことがあった。

青ピ「…なあ、ひとつだけ聞かせてくれへん?」

たった一筋の…どうしても捨てきれなかった希望…

麦野「…なんだ?」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:19:46.72 ID:FgFjHOyDO<>


青ピ「フレンダは…ホンマに死んだんか?」



麦野「−ッ!」

青ピ「資料を見た限りじゃアンタは確実に致命傷を負ってたはずや!腕が吹っ飛んで!目ん玉くりぬかれて!どてっ腹に5発も銃弾ぶちこまれて!それでもアンタは生きとる!そんなら…そんならフレンダやって!」

フレンダはまだ生きている。ほんの僅かな希望だった。希望、というよりも青髪ピアスの願望だった。あの声も、あの表情も、あの温もりも、諦めることはできなかった。

到底、現実主義者と言える思考回路ではない。どう見てもフレンダは死んでいる可能性の方が高い。だが、青髪ピアスはその現実だけは受け入れたくなかった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:21:28.11 ID:FgFjHOyDO<>

そして、やっぱり青髪ピアスのそれは願望だった。


麦野「いいや、あいつは死んだ」



麦野「フレンダは…私が殺した」



やっぱり、この世界はそんなに優しくはなかった。


青ピ「…」


麦野「そこまで調べたならフレンダがどうやって死んだかも知ってるんだろう?胴体真っ二つにされて、上半身はそのまま私が持ち歩いて振り回してたんだ。いくら学園都市の技術でも無理だ」


そして、青髪ピアスが思っているよりも残酷だった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:22:29.28 ID:FgFjHOyDO<>
青ピ「…なんでや…なんでそんなマネできるんや!フレンダが何をしたっちゅうんや!」

麦野「アイツが仲間を売ったからさ。あの日敵対していた『スクール』の連中にな」

青ピ「仲間を売った!?お前それ本気で言っとるんか!?」

それだけはあり得ない。あるはずがない。他人と付き合うことを、仲間の大切さを教えてくれたフレンダが仲間を売る訳がない。

麦野「…実際あの日、私らのアジトに『スクール』の連中は襲撃してきた。あそこに私らがいることをしってるってことは…」

青ピ「『スクール』に精神感応系の能力者がいるなんて少しも思わんかったんか!?【未現物質】が生半可な手段使うて優しう尋問したとでも思ったんか!?」

麦野「…」

押し黙る【原子崩し】。まさか本当に気付かなかったのか?自分よりも序列が上の超能力者が?

青ピ「…ホンマのことは知らん。すべて知っとるフレンダはもうおらん。話すことも聞くこともできへん。考えることも感じることも、泣くことも笑うことも、フレンダはもうできへんねん」

麦野「…あぁ」

青ピ「僕かてな、お互いが暗部にいる以上どっちかが死ぬかもしれんと覚悟はしとった。せやけど…せやけど!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:24:00.26 ID:FgFjHOyDO<>



青ピ「なんでお前に殺されなアカンねん!お前はフレンダの自慢のリーダーやったとちゃうんかい!!」



麦野「…ぇ…」

青ピ「ことあるごとにお前の自慢しとったんや!うっすらとしか話聞いてないだけの僕かて信頼してることなんて一発で分かった!せやのに……せやのにこんなん……薄情すぎるやろ………」

麦野「…」

いよいよ青髪ピアスは涙を堪えることができなかった。そもそも、今の青髪ピアスがあるのは全てフレンダのおかげだ。フレンダが自分の自慢のリーダーを例に挙げてくれたから青髪ピアスは『ウォール』のメンバーに対して一歩踏み出せた。そのリーダーにフレンダが殺されるなど理不尽でしかない。

青ピ「…グスッ…もう、ええわ」

アジトに保管していた黒妻の銃を握る。チャキ、と銃口を【原子崩し】に向けた。

麦野「−待って!私はまだ」

命乞いする【原子崩し】。それは青髪ピアスには許せないものだった。

青ピ「そうやって命乞いしたフレンダを殺したとちゃうんかい!何を今さらガタガタ抜かしとんのや!」

【原子崩し】は口を閉じた。こんな悪魔でも道理は通じるらしい。

青ピ「…せめてこれから苦しめや。何万回でも後悔せぇ」

パァン、という乾いた音が部屋に響いた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:25:44.61 ID:FgFjHOyDO<>
青髪ピアスはしばらく血を流す【原子崩し】を見つめていた。泣いていたせいか肩が上下に小刻みに動き、それに合わせて息も荒くなっていた。

???「よろしかったんで?」

ビクン、と青髪ピアスは身体を強張らせた。後ろから急に声がしたためだ。しかし、振り返らない。

青ピ「何がや」

???「お前の惚れた女はその行為を許すのか?ということだ。」

…まったく、どこで調べてきたのやら。

青ピ「許すも許さないもないやろ。フレンダはもうおらん。僕がなにしようが知ることもできへんし、しゃべることもできん。死んだ人間が許す許さへん言うんは生きとる人間の一方通行な幻想や」

???「相変わらず、現実主義者だな」

青ピ「…ちゅうかな、」

そこで青髪ピアスはようやく振り向く。いつものメンバーがそこにいた。

青ピ「君らなんでこんなとこおんねん!『ウォール』は解散や言うたやろ!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:26:47.06 ID:FgFjHOyDO<>


黒妻「悪いなリーダー。俺らアンタが何するか全部知ってるんだ。さすがに【原子崩し】に奇襲かけるとは思わなかったけどな」

青ピ「な…!?…せやったら余計に意味分からんわ。ここが危ないって分かっとってなんで居んねん」

霧谷「私も協力するからに決まってるんで」

青ピ「はあ!?何言うてんの、霧谷ちゃん!」

横須賀「当然、俺と黒妻もだ」

青ピ「はあああ!?」

黒妻「『ウォール』の幹部が総出で当たれば一晩で粗方終わるだろ。この手の計画は早く終わらせるに限る、って言うのはアンタの台詞だぜ?」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:27:28.19 ID:FgFjHOyDO<>


青ピ「…せやけど、君らにメリットなんかない。少しでも下手踏んだら学園都市を敵に回す。ハイリスク・ノーリターンやんか」

霧谷「まあ、リーダーの彼女と言ったら間接的に命の恩人なんで」

横須賀「世話になった者のためとあらばこの【内臓潰し】の横須賀、惜しみなく力を貸すぞ。」

黒妻「仲間が困ってんなら動く。それだけだよ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:28:26.19 ID:FgFjHOyDO<>


青ピ「…ホンマ…なんやねん君ら…仲間甲斐がありすぎるやろ」

青髪ピアスの目から一筋の涙がこぼれた。かつて、暗部組織に君臨していた『悪人』に、今や立派な仲間がいた。

青ピ「もう一度だけ確認させてや。今回は隠ぺいしてくれる理事会も、給料くれるスポンサーも、後始末してくれる下部組織もおらん。おまけに下手踏んだら学園都市の汚い連中そっくりそのまま敵に回すかも知れん。それでも僕に協力してくれるんやな?」

霧谷「当然で」

横須賀「まったく問題はない。」

黒妻「ああ」

青ピ「…ほな、甘えさせてもらうわ!みんな、ホンッマにありがとうな!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:29:16.83 ID:FgFjHOyDO<>




黒妻「やんのかい?俺ァ相当強ぇぞ?」





霧谷「追ってこない…が、油断は禁物なんで」






???「この【内臓潰し】の横須賀、幼い少女をダシに使うような根性無し相手に容赦はせんぞ。」






「僕も結構なフェミニストなんやけどね。君と【原子崩し】だけには手加減できひんよ」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:31:16.42 ID:FgFjHOyDO<>
−後日、第十学区墓地


計画は成功した。そして、青髪ピアスはフレンダの墓の前にいた。


青ピ「フレンダ…」


青髪ピアスの身体が震える。


青ピ「なんでお前が殺されなくちゃいけないんだよ…」


青髪ピアスの目から涙が零れる。


青ピ「来年は、まともなクッキー渡すって、言っただろ…ヒグッ…まだ…観覧車にも……乗って、ないだろっ……うぅ……!!」




青ピ「ずっと…ヒック……一緒に、いて、くれって、言っただろうがぁ…!フレンダぁ!」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:34:14.47 ID:FgFjHOyDO<>




青ピ「…グスッ……出会うて……別れて………僕の『自分だけの現実』はもうめちゃくちゃや…」



青ピ「ホンマ…一体僕のことどないしたいねん…」



青ピ「『アイテム』の連中…フレメアちゃんの言う通りなんやろうけどな…俺は絶対許さん。お前を殺したヤツを許せるほど、俺は善人じゃない。『悪人』だ」



青ピ「そんな連中にフレメアちゃんのこと託しちまったけど…もう少しだけワガママさせてくれ。俺はまだ納得してないんだ」



青ピ「本当は諦めるつもりだったんだけどな…フレンダがあの時勧めてくれたおかげだよ」



青ピ「…何言うてんやろな…ただのバッテンの前で…」



青ピ「…また来るわ…ほなな、フレンダ」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:36:05.14 ID:FgFjHOyDO<>
−同日、第十学区某所

青髪ピアスは墓地を出た。うっすらと開かれた細目は泣き腫らして真っ赤だった。顔にも泣いた跡が見てとれる。

患者着のまま廃れた寒い路地をゆっくり歩く。ちょうど一年近く前も同じようなことをしていた。あの頃も今も、頭の中は一人の少女のことでいっぱいだ。

そんなことを考えるとまた涙が溢れてくる。寒さとは別に身体が震えてくる。喉に鼻の奥に奇妙な感覚が訪れる。再び声を上げて泣きたくなる。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:37:02.43 ID:FgFjHOyDO<>


だが、青髪ピアスは泣かなかった。泣けなかった。


青ピ(…ほらな)



どんなに『自分だけの現実』を崩されようと、破壊されようと、この考えだけは変わらないと思った。




青ピ(いつだって神様は意地悪で、変なところで気が利いてるな)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/27(火) 23:38:13.05 ID:FgFjHOyDO<>



青ピ「や。久しぶりやね、つっちー」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:12:01.00 ID:6ibdM/fDO<>
土御門「…お、青ピじゃねえか!奇遇だにゃー!」

相変わらず、このクソ寒い中でも学ランの前を全開にし、下にアロハシャツを着て、サングラスをかけている。そんな金髪のクラスメイトは比較的気さくに話しかけてきた。

青ピ「そうやね。第十学区の、人一人殺しても誰にも気付かれへんようなところでばったり会うなんてホンマに奇遇やね」

土御門「…」

黙り込むクラスメイト。見えないはずのサングラスの奥で輝きが消えた気がした。

青ピ「お互い時間の無駄やし、妙な演技はやめよ…僕のことを『処分』しに来たんやろ?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:14:11.02 ID:6ibdM/fDO<>
土御門「…驚いたな、いつから俺が『こっち側』の人間だと気付いていた?」

土御門を纏っていた空気が変わる。単に話し方が変わっただけじゃない。いつもチャラチャラした男がここまで変わるものかと内心少し驚いた。

青ピ「出会って3日で怪しいと思ってたんやけど、確信したんは学園都市がアビニョンに奇襲しかけた時やね」

土御門「アビニョンだと…?」

青ピ「あん時の罰則草むしり…僕はアビニョン侵攻の偵察任務が入ってきてたんや。せやから草むしりに行かへんかったんけど…後で上やんに謝りに行ったら、もう一人来なかったヤツがいたって言うてたんや」

土御門「…なるほどな。確かにあの罰則の時間帯、俺は理事会の一人から依頼が回ってきていた」

青ピ「僕からも質問ええか?統括理事会の差し金が来た理由は想像つくんやけど…なんでバレたんや?実行時は全員、監視カメラはおろか監視衛星にすら顔を晒しとらんはずや」

【原子崩し】を狙った時は能力を使っていた。『ウォール』のメンバーは監視衛星に映らない非常用通路から応援に駆け付けた。黒妻と霧谷は屋内、『クローゼット』襲撃時は横須賀ごと姿を消していた。移動には駆動鎧を使い、戦闘時には横須賀は特殊スーツ、青髪ピアスは常に能力を使い続けていた。映像に『ウォール』のメンバーが映り込むはずがない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:15:16.44 ID:6ibdM/fDO<>

土御門「ああ、その通りだ。統括理事会は今も混乱しているよ。連中の中でお前らは容疑者の一部ではあるが犯人ではない」

青ピ「ならなんでお前がここに来とんねん」

土御門「俺は統括理事会の差し金じゃない。統括理事長の差し金だ。アイツはこの街の全てをお前の知らない方法で把握している」

青ピ「…理事長はんか…。暗部のリーダーになった時に一回だけ会うたんやけど、どっからツッコんでええのか分からんかったわ。つーかツッコんでええのか分からんかったわ」

土御門「ハッ、だろうな」

不適に笑う土御門。統括理事長の情報網がどんなものかは分からないが、今はそれは重要ではない。重要なのは、『処分』にきた土御門をどう躱すか。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:17:01.38 ID:6ibdM/fDO<>
青ピ「…悪いけど、僕はまだ殺される訳にいかんねん。僕にはまだやることがあんねん」

そう、青髪ピアスにはまだやることがある。そのために恋人の妹を恋人の仇に預けてきたのだから。

土御門「…【心理定規】、か?」

青ピ「…ホンマになんでも知ってるんやね。その通りや。【心理定規】は『スクール』唯一の生き残り。フレンダを捕らえた後で『スクール』がフレンダに何をしたのか全て知っとるはず。僕が知りたいのは真実や。僕がやりたいのは復讐や」

これこそが青髪ピアスの計画以上の望み。エクストラステージの内容だ。なぜフレンダは仲間の居場所を吐かされたのか。そして、それ以上に【心理定規】はフレンダが殺されるきっかけになった組織の一員である。

土御門「どうやって真実を知るつもりだ?【心理定規】がまともに真実を吐くとでも?」

青ピ「せやから僕も諦めるつもりやった…せやけど、僕は一人じゃないんや。僕なんかのために動いてくれる仲間がおるんや」

『ウォール』構成員、横須賀。彼の能力は読心である。ならば、例え嘘をつこうとも真実は知ることができる。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:18:55.82 ID:6ibdM/fDO<>
土御門「…異能力者程度の横須賀が大能力者の【心理定規】に対して読心ができるとでも?」

対して、【心理定規】は精神感応系の大能力者。精神系に関するエキスパートの彼女なら当然、自分の精神を防衛するくらいの術は十二分に心得ているはずだ。

青ピ「まともにやったらできへんやろな。せやけど、ふん縛って自白剤ぶち込めば質問に対するYES・NOくらいは分かるはずや」

そもそも、自白剤とはそこまで万能ではない。ここが学園都市であったとしてもだ。せいぜいが意識を朦朧とさせる程度。

だが、朦朧とした意識の中で、【心理定規】が圧倒的不利な状況下でなら?【心理定規】に対して横須賀が読心することも不可能ではないはずだ。

土御門「解せんな。故人のためにそこまで動いて何になる」

青ピ「…それでも動かな気が済まんのや。きっとお前も舞夏ちゃんが殺されたら分かるで」

瞬間、土御門を纏っていた空気が更に変わる。なるほど、この殺気はただの学生に出せるものではない。裏社会で生きる者にしか出せないものだ。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:20:37.66 ID:6ibdM/fDO<>
土御門「…お前何か勘違いしてないか?」

青ピ「…なに?」

土御門「俺はすぐさまお前を殺せという指令を受けた訳じゃない」

青ピ「すぐさま、ね」

あんまりの言い方に青髪ピアスは苦笑した。しかし、目の前の金髪は構わず続ける。

土御門「『ウォール』の暗部復帰。それを条件に今回の件を不問にする。これが学園都市統括理事長からの伝言だ」

青ピ「…ええんか?なんで『学園都市の機構が変えられた』か、もう僕は知っとんねんぞ」

麦野沈利について、アイテムについて、フレンダについて一から調べている時、青髪ピアスは暗部に関する情報を片っ端から調べ上げていた。終戦の折、第一位が統括理事会に向けた脅迫。それが暗部解散の理由の全てだ。

土御門「知った上でなら自業自得だろう。開発中の駆動鎧まで晒しやがって」

土御門の言うことも的を得ている。これを一方通行が許すかは分からないが、口実の材料としては悪くはない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:22:59.42 ID:6ibdM/fDO<>

しかし、青髪ピアスの答えは決まっている。


青ピ「承知できへんな。僕はともかく、他の連中は暗部なんかにおるべきちゃうんや。そもそも、僕のワガママに付き合ったからもっかい暗部に堕ちろ、なんて言える訳ないやろ」


再び、土御門の殺気が膨れ上がる。サングラスがギラリと光ったように見えた。

土御門「…本気で言ってるのかテメェ。お前がLevel5の第六位だと分かっていて、俺がなんの策も無しにお前の前に立つとでも?」

土御門は両手を自身の後ろに回す。恐らくはその両手には武器が握られていることだろう。

青ピ「この街ができて何年経つと思とんねん。いつまでも科学者が大人やお前ら無能力者の味方やと思うなよ?」

対して青髪ピアスも臨戦体制に入る。患者着で、まともな装備もないが、ハッタリだけでもかます。一触即発の空気が瞬時に出来上がった。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:24:51.88 ID:6ibdM/fDO<>

土御門「…なあ、青ピ」

ふいに土御門がその体制のまま話しかけてきた。

青ピ「…なんや」

土御門「さっきお前は『妙な演技はやめよ』って言ったな」

青ピ「それがどないしたんや」

土御門「学校で俺や上やんと居た時のお前は…全て『演技』のお前か?」

ほんの少し、殺気がしぼんだ気がした。そして、土御門の声には少しばかり悲しみが感じられた。

青ピ「…ちゃうわ。そりゃ、変態でオタクでドMっちゅうのは演技やけどな。それでも、お前らとおる時は楽しかったで」

青髪ピアスの言葉に嘘偽りはない。実際、学校は楽しかった。友達もたくさんできた。デルタフォースという不名誉なくくりも青髪ピアスにとっては居場所の一つだった。

土御門「…そうか。なら言い方を変えよう」

土御門の両手が再び現れる。その両手にはなにも握られていなかった。それでも青髪ピアスは警戒を解かなかったが、次の土御門の言葉で、行動で、一気に解いてしまった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:27:25.24 ID:6ibdM/fDO<>


土御門「頼む。上やんのために、お前の力を貸してくれ」


『処分』に来た学園都市のエージェントは青髪ピアスに対して深々と頭を下げた。



青ピ「…は?」

青髪ピアスは一瞬で混乱した。なぜここで彼の名前が出てくる?混乱している中で土御門は頭を上げた。そこにはもう殺意も戦意も無かった。

土御門「上やんは少し前からある勢力に狙われている。世界規模でな」

青ピ「世界規模?どういうことや」

土御門「お前も知ってるだろう。あの右手だ。そのために第三次世界大戦が勃発したと言っても過言ではない」

青ピ「は…はあ?」

余計に混乱した。確かにあの右手は全ての能力を無に帰す力がある。だが、それだけだ。言わば学園都市内のみで有効な力。世界規模で狙われる意味が分からない。

まして、第三次世界大戦が個人レベル、しかも一学生を狙って引き起こされたとも思えない。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:28:48.11 ID:6ibdM/fDO<>
土御門「おかしいとは思わなかったか?上やんが不自然なまでに入退院を繰り返していたことに。全部が全部とは言わんが、アイツはお人好し故にその勢力と戦い続け、ケガをしていたんだ」

青ピ「…信じられへん。って言いたいとこやけど、上やんならあり得そうやなぁ…」

なんせ、困っている人間を見たらどんなに形勢が不利だろうと自分の手で助けようとする人間だ。それが雪だるま式で大きな問題になっていっても不思議ではない、ような気はする。

土御門「嘘だと思うなら上やん本人に聞いてもらっても構わん。その代わり、上やんを助けてやってくれ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:30:28.84 ID:6ibdM/fDO<>
青ピ「…その勢力がなんの勢力か知らんけど…ええんか?統括理事長が望んだのは『ウォール』の暗部復帰やろ?上やんの…僕の親友のためだけに『ウォール』をまた暗部組織として活動させることなんかできへんぞ」

土御門「構わないさ。Level5が手元に残るとなれば、アイツも承諾するだろう。それよりもアイツ自身が上やんを利用しようとしていることが問題だ。今はまだギリギリ大丈夫だが…」

青ピ「ちょお待ってや!理事長はんはこの街のこと全部知ってんねやろ?そんなこと言ってええんかいな?」

土御門「俺はアイツの前でもこんな感じだ。今さら機嫌取りに回る気もない」

シレッと言ってのける土御門。そもそも、統括理事長を『アイツ』呼ばわりしている時点で普通ではない。

土御門「それで、力を貸してくれるか?もちろん、貸してくれるなら【心理定規】の情報も把握している限りは全て教えてやる。今後、フレメア=セイヴェルンを狙う勢力があれば真っ先に教えてやる」

土御門の言ってることは確かに魅力的だ。提案を呑めば、あの事件の真実を知ることができる。フレメアを守ることができる。親友を助けることができる。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:32:13.15 ID:6ibdM/fDO<>

ここまで言われて、青髪ピアスは苦笑した。


青ピ(やっぱり神様は意地悪だ。どんだけきれいごとを並べてもまた裏社会に逆戻り。そして変なところで気が利いてる。俺にまた大事な人を守るチャンスをくれたんだからな)


青ピ「ええやろ。大事な親友のためや。一肌脱いだる」


土御門「…スマン。恩に着る」


青ピ「気にせんでええよ。お前のためでもあるんやで、親友」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:35:10.78 ID:6ibdM/fDO<>


−フレンダ



−もしかしたら、俺はこの先の人生で他のヤツを好きになるかも知れん



−俺は現実主義者だ。亡くなった人間のために目の前の人間を避け続けることが難しいことくらい、今なら分かってるつもりだ



−それでもフレンダからもらったもんは今後一生、全部宝物だ



−そして、俺がお前を愛したことは事実だ。お前が俺を愛してくれたことも事実だ



−これから死ぬまで俺の心から消えないことは確実だ



−恥ずかしがらないでもっと思い切りイチャついてやればよかったな。もっといっぱいキスしてやればよかった



−…もしホンマにあの世ってものがあるなら、また会いに行くわ



−ヨボヨボのじーさんになってても引かんでくれな



−今までありがとな。愛してるぞ



−ほなな



−フレンダ



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:38:38.49 ID:6ibdM/fDO<>




麦野「フレンダは…私が殺した」




これにて終幕





<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/03/28(水) 23:44:13.21 ID:6ibdM/fDO<> このSSはここまでです。
ここまで読んでくれた皆さま、本当にありがとうございました。


途中で変なこと言い出して申し訳ありませんでした。
おかげさまで一気にいけました。


外伝が長くなってしまいましたが、最後まで読んでもう一度本編を読んでもらっても面白いかなと思います。


数日経ったらhtml化依頼を出したいと思います。
皆さま本当にありがとうございました。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/03/29(木) 00:01:35.77 ID:O1wHnyCmo<> 乙

いい話だった、本当に <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/29(木) 00:32:14.40 ID:7dWyGrxio<> 一ヶ月半もの間お疲れ様でした
このSSに出会えて感謝ですな
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東日本)<>sage <>2012/03/29(木) 00:36:44.75 ID:ewcRD3GYo<> 乙かれさまで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2012/03/29(木) 19:53:06.11 ID:yOLP5VwY0<> 乙過ぎる
こんなに素敵なフレンダは初めてだ フレンダが好きすぎてやばい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/29(木) 21:32:38.11 ID:W9/uIpqWo<> 外伝と本編できっちり落として終わった、素晴らしい・・・・
乙であります <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/03/29(木) 22:04:19.29 ID:tr9Skb/k0<> 今まで読んだ中でも最高のSSだった
>>1乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/30(金) 07:24:56.45 ID:NChOUftwo<> 乙
鰈 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/04/01(日) 11:30:25.84 ID:2kMuDeoDO<> html化依頼出す前にもう一度だけ書き込ませてください。

完結に当たって暖かいレスありがとうございます。本当に感謝です。
レス見て震えました。いろんなのが。

オリキャラが出るって時点で読むのをやめた方もけっこういたと思いますしね。『アクト』ってなんだよ、って。
青ピは半オリキャラだし霧谷ちゃんは完全にオリキャラ…
暗部の女で青ピ付近の年齢で無能力者キャラがほしくて、吹寄だと学校での態度がアレだし婚后さんは大能力者だし。いっそオリキャラ入れちゃえ、と。
今思うと佐天さんの親友三人の誰かでもよかったかな。でも、霧谷ちゃんは書いてて楽しかった。

読み直すとやっぱり脱字や改行ミスだらけ…
一番後悔したのはフレンダの墓の前で制服デートの件入れ忘れたことが…
あと最初の方の『無造作にほうっておかれた滝壺』って…トランプを、ね。トランプを。

新約二巻の麦野の態度があまりに雑だったので書いたSSでした。目指してたベターエンドにたどり着けてよかったです。ハッピーエンドなんか書ける気しないんで。

次はとある×ネウロ
HAL「学園都市…」
ってのを考えてますが…いつかは分かりません。
そん時はこっそり『ウォール』のメンバーを出してみようかな。

では、html化依頼出してきます。レスくれた皆さま、ここまで読んでくれた皆さま、本当にありがとうございました。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/04/01(日) 11:37:13.54 ID:8f78nwa10<> ネウロとか俺得
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東日本)<><>2012/04/01(日) 11:57:57.97 ID:DI7NZz4Xo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)<>sage<>2012/04/01(日) 11:58:44.50 ID:DI7NZz4Xo<> 忘れスマン <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage<>2012/04/01(日) 12:24:28.73 ID:zZD+DCiAO<> 乙、ちょっと涙出たぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2012/04/01(日) 13:04:45.75 ID:Xa8e3H5S0<> オリキャラとかそんなことどうでもいいんだよ
フレンダが可愛ければ… フレンダが幸せなら… (´;ω;`)ブワッ  <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/04/02(月) 00:23:22.07 ID:w3p9LOyjo<> 霧谷さんは結構好きなキャラだった
オリキャラだったけど喋り方の特徴とか他の禁書からと似た空気だったし、
主張し過ぎてない感じがいいバランスに思えたよ

それにしてもいいフレンダだった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/02(月) 23:34:13.86 ID:zron/mwzo<> まあ、結局横須賀がこのSSの全てだったわけだが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/04/04(水) 12:29:14.49 ID:J3EBLQb70<> 横須賀wwww
否定できないな
横須賀がこんなにかっこいいSSなんかないもの <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/04/04(水) 16:49:33.90 ID:6VzQZVT70<> ここまでやるなら、青ピ使わず普通にオリキャラで良かったと思うけどね
ま、乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/04/05(木) 21:09:18.82 ID:jPOfZ8YD0<> 青ピの落下型ヒロインのくだりがフレンダのことだったなんて、胸熱過ぎるだろ?
オリキャラ×フレンダとかありえないわ
霧谷さんはオリキャラだったんだな…こんな喋りのキャラいたような気がしててスルーしてたわ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/04/06(金) 22:08:51.86 ID:euZWiUqA0<> フレンダねぇ…超電磁砲見る限り救いようの無い悪党だったけどなぁ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/06(金) 23:06:45.79 ID:hiJB/aIro<> 悪党とて人間だよ

罰は下ったわけだしな <>