◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/10(土) 23:38:36.79 ID:CXdAdGKN0<>


前々々スレ
浜面「俺は、どんな事してもお前を助けるって誓ったんだよ。インデックス」<br>
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294924727/l20


前々スレ
「――――心に、じゃないのかな?」<br>
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300428329/


前スレ
「――――心に、じゃないのかな?」2<br>
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316465163/



※浜面仕上一巻再構成

※続き物になります。読んでないと話が分かりません。

※全く分からないと言うわけでも無いですが読んでいた方が楽しめるし何より>>1が助かります。

※独自解釈、独自設定、原作と明確な矛盾が多々あります。

※新約1巻、漫画超電磁砲6巻以降の内容は反映しません。

※これが最後のスレです。長くなりましたがお付き合いよろしくお願いします。

ではでは




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1331390316(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>「――――心に、じゃないのかな?」3<br>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/11(日) 03:23:14.82 ID:Qtll8sC10<>



あらすじ


魔術師に追われているインデックスと出会った浜面仕上は、その少女を助ける為に自ら戦いに巻き込まれていく。
驚異的な魔力で襲い来るステイルを咄嗟の機転で倒し、神裂を瀕死の重症を負いながらも撃破。
その後苦肉の策でインデックスに仕掛けられた首輪の霊装を解除し、結果自動書記を倒す事に成功するも、
同時に親友である駒場利徳が殺害された為、駒場の仕事を引き継ぐ事に。

しかし駒場を殺した張本人である麦野に利用価値を見出だされ、
友人である絹旗を人質に取られた事で暗部へと堕ちてしまう。

そして雑用として働くうちに駒場の殺害を依頼した張本人である人物がいる事が発覚し、
その人物によって窮地に追い込まれたアイテムを助けるか助けないかの選択を選び駒場の仇を取る事に成功する。

一旦はそこで事態が落ち着いたかにも見えたが、休む間もなく訪れた垣根帝督の襲撃により、
インデックスのピンチを知った浜面は病院へ駆け付けるが、待ち受けていたのは想像だにしない現実だった。
絶望し全てを諦める事も事も考えたが、そこに現れたの上条当麻の言葉によってかつての
意思を取り戻した浜面仕上は同じ境遇の仲間を集め、学園都市を混乱させる元凶の調査に乗り出す。
が、核心には迫れずに浜面は麦野の命令により再び学園都市の闇へ舞い戻る事となった。

そしてアイテムの面々に降り掛かったのは敵による圧倒的な蹂躙であり、任務は失敗。
麦野は再起不能までに追いつめられ、そこでの目的を果たした敵は真の目的を達成する為に全てを捨ててその能力を解放。
結果的に学園都市は全ての機能を失い、沈黙してしまった。

その中で浜面は任務の最中に知った一方通行による絶対能力進化計画を食い止める為に奔走し、
なんとか実験に介入する事は出来たものの無惨にも目の前で妹達の命は散ってしまう。

生き延びることは出来たがつけられた心の傷は深く、二度目の絶望に屈しそうになった浜面だがインデックスの存在によりギリギリのところで
踏みとどまる事ができ、再び実験を止める事を選んだ浜面は何重もの策を練り学園都市第一位に勝利するもその代償は余りにも大きいものだった。

そして浜面が必死に一方通行に挑んでいた舞台の裏では密かに暗躍する怪しい影が遂にその姿を現し、醜悪な笑みを浮かべる。

木原数多。

その男の存在を浜面はまだ知らない。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/11(日) 03:30:39.56 ID:Qtll8sC10<> 極力ネタバレを回避したあらすじでした。
話長過ぎて書くのがむずかしい……

ストーリーの都合により登場人物、時系列は次回の投下後になります。

あとごめんなさい前スレ>>966で浜面の台詞ミス……一週間前じゃ無くて6日前でした。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2012/03/11(日) 11:47:12.39 ID:evMFFR3AO<> 乙!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/03/11(日) 11:50:04.35 ID:i1aO9zhc0<> 前スレ>>1000
叶うと良いな、その願い
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2012/03/11(日) 12:04:02.04 ID:9ihfiPPAO<> 映画化か <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage <>2012/03/11(日) 17:01:40.82 ID:/V71w0RP0<> ちげー
みんな幸せ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/11(日) 17:03:56.05 ID:39Gx5VSXo<> 打ち止めが思いの外ウザかった
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/03/11(日) 22:04:50.58 ID:ayndjDsW0<> 滝壺... <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<><>2012/03/11(日) 23:13:13.81 ID:evMFFR3AO<> まさか滝壺はこのまま退場……? <> ◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/12(月) 21:46:49.94 ID:NJemHCGb0<> ここに書いたらズレちゃうから物語を分かりやすく理解するための時系列チャート表を作ったぜ!
なにやってんだって話ですよねごめんなさい。
かなり詳細に作ったのでこれで大体の物語の流れが全部掴めると思います。
携帯の人はごめん。諦めてくれ……

暫定版。ストーリー進行によって追加するかも。
http://dl3.getuploader.com/g/3%7Cbl_radio/343/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/03/12(月) 21:57:20.18 ID:9gQlPWDIo<> なんっじゃこりゃ、すっげえな
むしろよくまとめたな>>1乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(京都府)<><>2012/03/12(月) 22:25:15.38 ID:IorePZrvo<> 頑張りすぎだろwwww
凄く分かりやすかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/12(月) 22:33:41.96 ID:LtpCV2fIO<> SS、挿絵、チャートとこの>>1は頑張りすぎだと思う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岡山県)<>sage<>2012/03/13(火) 07:24:36.91 ID:4GGG9NZO0<> 土御門のことなど、そうだったなということを思い出せた。
ありがとう分かり易かった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/03/13(火) 10:57:29.76 ID:nywtmRAG0<> 乙乙
>>1頑張りすぎだろ
ただ禁書さんの昏睡原因は幻想御手だと昏睡時に書いてるけど
一応現在は不明になっているんだから仮としといた方が良いんじゃないの?

まあ、原因は幻想御手だっていう予測はこっちもしているけども <>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 15:10:26.83 ID:+Rbgcgb50<> >>16

うわぁ、本当だ。
気をつけてはいたんですが書き手側だとどうしても情報量の違いで誤記入がでちゃいますね……申し訳ない。
ミサカ10031号が上条と出会ってたりと微妙なミスもしてるし、多分また修正すると思います。

そして今日か明日の23時に投下予定。伏線大回収予定です。
確定ならば今日の9時頃にはレスします。ではでは <>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 19:04:53.10 ID:+Rbgcgb50<> だいぶ早いけど確定。今日の23時に投下開始します。
予告した通り、今回はこのSSの核の部分が明かされます。
リアルアイムで追ってもらえるならば是非是非。

ではでは <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/03/13(火) 19:23:23.15 ID:ytLgsLTT0<> わくわくだな! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/13(火) 19:24:51.93 ID:hY/b65hlo<> 待ってるんだよ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/03/13(火) 22:36:31.37 ID:+Rbgcgb50<> 30分前だー予定通り投下します。追って頂ける方は是非是非。今回は山場です。
区切りいいとこまでいったら5分程休憩を挟みますのでよろしくです。
ではでは
<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 22:37:54.81 ID:+Rbgcgb50<> おっとさが覚え用 <> ◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 22:58:55.37 ID:+Rbgcgb50<>









――九日目――









<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 22:59:25.68 ID:+Rbgcgb50<>



・深層/真相



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:00:07.80 ID:+Rbgcgb50<>



静寂が満ちる学園都市は街としての機能を完璧に失っていた。
明かり一つなく、人の姿が見えないその都市を、
誰が栄華を極めた科学都市だと判断出来るだろう。

ステイル「…………」

少なくとも、暗闇に包まれた街を縫う様に歩くステイル=マグヌスはこの有様を見て、
とてもではないが自身の立つ場所が世界を二分する勢力の一つだという事が信じられなかった。

ステイル「……ふう」

しかし、それも今は都合がいい。

闇に溺れる様な黒衣を纏った少年は、止まる事無く学園都市を突き進む。
来るであろう最後に向けて、無駄な足掻きかも知れないと思いながらも、歩く事を辞めない。

ステイル「……次の学区で最後、か」

言葉と共に、差し込んだのは日の光だった。
夜が、開ける。

ステイル「そろそろ、だな……」

太陽の日が目に染みる。
紛れるべき闇が晴れていき、少年が進んで来た道が照らされる。

そこに埋め尽くされていたのは、何枚万ものルーンのカード。

ステイル「さて、間に合うかどうか」

足掻きながら、少年は歩いて行く。

訪れるであろう終末に向けて。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:01:07.75 ID:+Rbgcgb50<>



―――――――――


登りきった太陽が失った街の明かりを担っていた。

照らす光が差し込む病室に眠るのは一人の少女。
ただし、その眠りが覚める事は、いつまで経っても無かった。

浜面「…………」

ベッドの側に寄り添う少年は、悔しそうにその姿を見つめる。
これで、三人目だ。

吹寄制理。
インデックス。
絹旗最愛。

三人の少女が眠りに堕ちた。
もう、これ以上を被害は出す訳には行かない。

浜面「……待ってろよ絹旗。すぐに、叩き起こしに来てやるから」

呟き、少年は病室を出る。出迎えてくれたのは、一匹の猫。
小さく喉を鳴らすスフィンクスだった。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:01:33.63 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「よう……ぶっ飛ばしてきたぜ。学園都市第一位」

抱き上げたスフィンクスは分かっているのかいないのか、
気持ち良さそうに浜面の懐へと潜り込む。

なんだかスフィンクスと行動するのも、久しぶりな気がした。

浜面「……インデックス」

呟いた名と共に、ポケットから取り出したのは音楽プレイヤー。

浜面「…………」

他でもない、幻想御手がダウンロードされた浜面仕上の音楽プレイヤーだ
そこに書かれた表示が意味するのは、一つだけ。

浜面「……………」

確かめる必要がある。

もし浜面の考えが正しければもう、黒幕は一人しかいない―――



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:02:07.66 ID:+Rbgcgb50<>







訪れたのはまたもや病室だった。
絹旗最愛の、では無い。その病室のネームプレートには名前は書かれていなかったから。

つまり、その部屋の主は、

神裂「こんにちは。少年」

インデックスが眠る病室。

睨み合う浜面と神裂との間で、スフィンクスが小さく鳴いた。







<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:02:40.48 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「なにやってんだよ、お前」

言葉を発したのは、浜面だった。
その目に浮かぶのは、戸惑いの色。

どうして、

浜面「どうして、インデックスが歩く教会を着ている」

どうして、ベッドの上に眠る少女は入院着ではなく、
浜面が昨夜利用した歩く教会を着ているのか。

神裂「昨日で随分と汚してくれましたね。
   お陰で汚れを落とすのに苦労をしました」

浜面「そう言う事を聞いてるんじゃねぇ! どういう事だよこれは!」

はぐらかす様に話す神裂の言葉を一蹴し、問いつめるかの様に乱暴な言葉を投げる。
ベッドを挟んで立つ長身の女は、その言葉に目を伏せどこか言いよどむかの様に間を作る。

張りつめた空気が数秒続き、その言葉を吐き出したのは神裂だった。



神裂「イギリス本国から正式に命令が出ました。インデックスはこのまま連れて帰ります」



浜面「なッ……!!」

浜面の瞳が戸惑いから驚愕の色へと変わる。言葉の理解さえままならない。
インデックスを、連れて帰る? 何を言ってるんだコイツは。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:03:25.13 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「ふざけんなよ……そいつはもう魔術師じゃない! 能力者だぞ!?
   この街がそんな事許すはずが――」

神裂「今の学園都市にそんな力があると思いますか?」

浜面「っ……」

射抜いたのは、冷徹な視線。
かつて対峙した時にも放たれた、殺す覚悟を決めた瞳。

この女は、本気だ。

本気でインデックスをこの学園都市から連れて帰るつもりだ。

浜面「…………」

本来ならば、学園都市側が黙ってはいないだろう。
機密の塊である能力者を、外部に連れ出すなど許すはずが無い。

しかし、今の学園都市はこの有様だ。
この女ならば、魔術師ならば容易に脱出出来る程に今の学園都市は脆い。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:04:01.09 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「…………インデックスはまだ寝たきりじゃねぇか。
   そのままいいイギリスに帰ってどうするって言うんだよ」

神裂「目覚める前に連れて帰らねばならないですよ。
   ……それにもうそんな次元の話ではないんです」

浜面「…………?」

浜面が眉を潜める。どうも会話が噛み合ない。
何が目的なのか、何が理由なのか、推し量ろうにも届かない。

そんな浜面見かねたのか、神裂が言う。
あくまでも冷徹に、残酷に、感情を殺して。

神裂「はっきり言いましょう。
   これは必要悪の教会でもイギリス清教でもなく、イギリス本国からの命令です」

その言葉を言い放った。





神裂「インデックスの処刑命令なんですよ」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:04:50.30 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「ふ、っざけんなッ!!!」

狭い病室で、怒号が鳴った。

声に驚いたスフィンクスが浜面の懐から飛び出し、
眠るインデックスの側へと駆けて行く。

浜面「てめぇ、自分が何言ってるか分かってんのか!!!」

再びの怒声。
息を荒くしながら、殺意を乗せた視線が神裂に突き刺さる。
しかし浜面の脳裏ではその言葉を正しく理解出来てはいなかった。

ネセサリウスでもなく、イギリス清教でもなく、イギリス本国からの命令。
つまりは一国を指導するイギリス女王からの命令だ。そしてそれは、インデックスの処刑。

浜面「なんでだ……」

次第に弱くなる言葉に、神裂は視線を逸らす。
その瞳に映るのは、眠る少女。

頬へ、そっと手を伸ばす。

神裂「自動書記を、知っていますか」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:05:39.80 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「……ヨハネの、ペン?」

神裂「あなたが三日前に、打ち倒したもう一人のインデックスです」

そう言われて記憶に甦ったのは。血に塗りつぶされた様な深紅の瞳。
首輪の制御が効かなくなった事によって現れ、
魔神と称しても遜色の無い程の力を見せつけたもう一人のインデックス。

神裂「あれはインデックスが恒常的に精製する魔力で動き、
   インデックスの脳に仕掛けられた霊装の一種です」

浜面「それが、何だって言うんだよ」

神裂「あなたには簡略して話していましたね。
   この街の能力者は魔力を精製する事が出来ない。この言葉を覚えていますか?」

浜面「……あぁ」

忘れるはずが無い。
その言葉をヒントに浜面は能力開発による首輪の解呪法に辿り着き、
インデックスにこの街で生きて行く事を促したのだから。

神裂「それは正確には正しくありません。能力者でも魔力を精製する事は可能ですし、
   知識を得たならば魔術を扱う事が出来ます。拒絶反応を無視すれば、の話ですが。」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:07:30.43 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「何が、言いたいんだよ……」

神裂「では能力者が魔術を使って起こる際、どの段階で拒否反応がでるのか分かりますか?」

浜面「………………」

沈黙は、答え。
神裂は淡々と話を進める。

神裂「この街に能力者として住む土御門という魔術師によれば、その特殊な人体回路で魔力を精製する瞬間なんです。
   つまり精製済みの余分な魔力が外部にあれば、能力者が魔術を使おうと拒絶反応は起きないんですよ」

浜面「……何が、言いたい」

声が震える。
浜面の中で、一つの可能性が急速に広がって行く。
それは、あってはいけない可能性。
それは、もうどうしようも可能性。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:08:42.88 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「…………」

鼓動が、加速する。
いつの間にか神裂の瞳はどこか憐れみの色に濡れ、浜面に向けられていた。

神裂「インデックスが今眠りに落ちている原因。医者に再三話を聞かせてもらい理解をしました。
   それはあなたが聴かせたあの耳鳴りの様な音ではなく、レベルアッパーと言う別の何かが
   脳に作用を与えた事が原因だと」

神裂「だからインデックスは目を覚まさない」





神裂「――――だからヨハネのペンはこうして目覚める事は無い」





浜面「………あ、」

喉が干上がる。声が紡げない。
カラカラに乾いた声が絞り出したのはたった一言。

浜面「……ま、さか」

神裂「あなたは覚えていますか。あの瞬間、ヨハネのペンが何を言っていたのか」

浜面「まさか―――っ」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:09:27.22 ID:+Rbgcgb50<>




10万3000冊の『書庫』の保護の為非常時に置ける活動用に精製、供給されていた『自動書記』が有する残存魔力を全開放

保有魔力残量から限界活動時間を逆算。

成功。

限界活動時間3000秒内に侵入者の迎撃を開始

なお、今後『首輪』『自動書記』作動に必要な禁書目録の魔力生成、供給が不可能の為、
それに伴い2999秒経過後は『自動書記』は永久休眠に入ります」

それにより侵入者対象を周囲40000Km圏内に拡大、範囲内にいる生命体を『書庫』の保護の為――――

殲滅します



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:09:49.94 ID:+Rbgcgb50<>






『非常時に置ける活動用に精製、供給されていた自動書記が有する残存魔力』







<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:10:29.49 ID:+Rbgcgb50<>



神裂「ええ、そうです。今ここに眠るインデックスの体の中には、
   自動書記が非常時に行動する為に精製された余剰な魔力が溢れています。
   もしも、インデックスを起こしてしまえば」




神裂「――――再びヨハネのペンが顕現する事になるでしょう」




神裂「3000秒と言う無限とも呼べるような時間の中で、この世界を滅ぼすために」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:11:28.02 ID:+Rbgcgb50<>



がくりと、浜面の膝が折れた。
学園都市最強を前にしても決して折れなかったその足が、いとも簡単に床に着く。

神裂「それでも起こしますか?」

冷徹にそう呟いたのは、神裂。
もう断頭台の紐は切ったというのに、それでも彼女は言葉を突き刺す。

神裂「この子に世界を破壊させ、何億人もの人間の命を奪う事をあなたは良しとしますか?」

浜面は応えない。応える事が出来ない。

神裂「3000秒もの間。無能力者のあなたはインデックスを食い止めることが出来ますか?」

そんな事は、決まってる。

神裂「超能力者でもないあなたが、世界を救う事が出来ますか?」

そんな事は、分かりきっている。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:13:01.90 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「…………あ」

ようやく浜面仕上は理解し、自覚した。
自分が、あの少女をどれだけ深い地獄へと突き落としてしまったのか。

最早、誰も辿り着く事の出来ない地獄の最底辺。
浜面が堕ちた地獄の底の、更に底。

深層。

堕ちる事さえ出来ない、そんな場所に少女をつき落としてしまったのだと。

浜面「あ、ぁ………」

ようやく、浜面仕上は思い知った。

浜面「あぁぁぁぁぁああああぁぁxああぁぁあああああっ!!!!!」

インデックスを救う方法など、ありはしない事を。


浜面「足掻くのならばどうぞ足掻きなさい。日が沈む頃に、私達はここを去ります」


冷たい言葉が絶望に濡れた少年に降り掛かる

その言葉に返ってくる声は、遂に無かった。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:13:34.53 ID:+Rbgcgb50<> 前座終わり。五分休憩。 <> ◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:18:07.39 ID:+Rbgcgb50<>



―――――――――


「にゃうー」

いつの間にか足にすり寄って来ていたスフィンクスが、小さく鳴いた。

浜面「…………」

暗く抜け出せない汚泥の中に沈み込む様な経験は、これで何度目だろうか。
劣等感や無力感に打ちのめされ、絶望を味わう事は何度もあった。

そして、その度に浜面仕上は這い上がって来た。

先の見えない暗い道を、たった一人の少女の為に切り開いて来た。

あと一歩だった。

あと一歩で届いたはずだった。

その一歩は、浜面では決して届かない程遠かった。

浜面「……………」

ふらふらと倒れ込む様に腰を下ろしたソファーの肩を落とし、
もう何分が経過しただろう。何十分かもしれない、何時間かもしれない。

吐き出す言葉は、一切無かった。

ただ、時間だけが流れて行く。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/13(火) 23:19:29.27 ID:zZuVEyvAO<> 歩く教会って汚れなくね? <>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:19:45.07 ID:+Rbgcgb50<>



何も、思いつかなかった。

ヨハネのペンに対抗する方法も
インデックスを救う方法も。

ヨハネのペンをどうにかしてインデックスを救い出す方法も、何もかも。

絶望に押しつぶされながらも思考を続けるその姿を、常人ならばきっと称えるだろう。
それほどに状況は、最悪なのだ。

浜面「は……はは、一人の女の子から世界だってよ」

浜面「……話が、でかくなりすぎだっつうの」

最早笑うしかない。
今までなら、何とかなった。なんとか出来た。

魔術師、聖人、学園都市第一位。

無能力者でありながらも、浜面仕上は太刀打ちなんて出来ないはずの化け物達を倒して来た。
思考し、策を練り、ブラフを張り、隙を突き、這い上がり、がむしゃらに突破して来た。

しかし、それは相手が考え、思考し、揺れる、人間であったからに他ならない。

今、立ち向かわなければならない相手は『神』だ。

魔神だ。

10万3000冊の魔導書を操る魔神。

浜面「ふざけんなよ……」

レベル0なんかが、立ち向かえる訳が無い。

そんなもの、考えなくても分かる。

<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:21:26.42 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「ふっざけんなッ!!!!」

突如響いた声に驚いたスフィンクスが、隠れる様に物陰に潜む。
怒りの矛先は、ソファの側に設置されていたゴミ箱だった。

吹き飛ばされたゴミ箱の中身が飛び出し、廊下にゴミが撒き散らかされる。

浜面「ふざけんな、ふざけんなふざけんなッ!!! ちくしょうッ!!
   ここまできて……っ、こんな所で……ッ!!!」

目前まであったのだ。

実を言うとインデックスを救う手立ては、浜面の目の前に『あった』
その為の『切り札』も『奥の手』もあったのだ。
だから、インデックスを救うのを『先延ばし』にしてまで第一位に挑んだ。
だから、その希望に手を伸ばす前に神裂に『確認』までしに行ったのに。

こんな所で、躓くなんて。

浜面「ちくしょう……」

言葉は弱々しく、震えていた。

どれだけ考えても打つ手は無かった。
立ち塞がった壁は、無能力者には余りにも高すぎる。

例え突如レベル5に引き上がったとしても、
勝てる可能性は薄いだろうし、そんな事はあり得ないと知っている

浜面「ふざけ―――――――」

しかし、その瞬間。


<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:22:23.81 ID:+Rbgcgb50<>




浜面「………………」



浜面「………………」



浜面「………………」



浜面「………………」



浜面「………………あった」



見つけた。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:23:01.82 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「……まて、まてまてまて」

立ち上がり、言い聞かせる様に何度も何度もそう呟く。
加熱した思考を冷却する。すり寄るスフィンクスを無視する。

今、自分は何を思いついた。
整理しろ。順序立てろ。何度も何度も組み立てろ。組み替えて発展させろ。

浜面「………滝壺」

思考の最中呟かれたのは、とある少女の名前だった。
驚異的な速度で道筋を立てて行く浜面の脳裏に、
何故少女の名前が出たのか、それは誰にも理解出来ないであろう。

そうして、思考は終わる。

浜面「…………いける、か」

いや、分からない。

もしかしたら無理かもしれない。
もしかしたら不可能かもしれない。
もしかしたら破綻しているかもしれない

けど、それは絶対じゃない。



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:23:48.89 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「……見つけた」

それは絶望の中で足掻いて足掻いて足掻いて辿り着いた、たった一つの可能性。

何の特別も持たない浜面の元に最後に残った道しるべ。

浜面「…………」

ソレを、取り出す。

そのディスプレイに表示されている文字が
指し示しているのは、やはり『再生回数0回』だった。

浜面「…………」

廊下を見渡せば、ゴミが散乱している。
ふと横目をやれば、そこは病室だった。

そのネームプレートには『土御門』と書かれていた。

浜面「…………」

それを見た浜面は歩き出す。

行き先は既に決まっていた。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:24:48.10 ID:+Rbgcgb50<>



―――――――――


浜面仕上が向かった先はさほど離れてもいない、病院の建物内にある研究室の一つだった。
以前一度だけ訪れた事のあるその部屋の扉を、浜面仕上はノックもせず躊躇いも無く開ける。

木山「やあ……二日ぶり、だったかな?」

浜面を迎えたのはそんな言葉だった。

木山「どうかしたのかい?」

相も変わらず眠そうな眼で笑みを浮かべる木山晴生の言葉だった。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:26:02.01 ID:+Rbgcgb50<>



木山「出来れば、動物は入れないでもらえるとありがたいんだがね」

浜面「勝手に着いてくるんだ」

木山「まぁいいだろう。コーヒーでもいれよう」

浜面「いらない」

木山「ならば私が飲むよ」

そういって木山晴美はデスクに置いてあったノートパソコンを畳み立ち上がる。
白衣を纏う痩身はどこか疲れている様に感じられた。

木山「それで、さっきも聞いたがどうかしたのかい?
   少し用があってね、急いでもらえるとありがたいのだが……」

コトコトとコーヒーを注ぎながら、背中越しに木山晴生がそう呟いた。
浜面は一歩もその場を動こうとせず、言葉を投げる。

浜面「二つ程、聞きたい事があってきたんだ」

木山「悪いが、長くなるのなら二つも聞く時間はない、すまないがね」

浜面「なら一つ聞いてくれ。その話に興味が湧いたらもう一つも聞いてもらう。」

木山「……いいだろう。聞こうか」

そう言って、なみなみ注いだコーヒを口に運びながら木山晴生は振り向いた。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:26:57.72 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「……アンタ三日前の昼になにしてた」

そうして浜面が訪ねた言葉に、木山晴生はほんの少し意外そうな顔をした。
振り返る様に目を逸らし、思い出して行く様に言葉を紡ぐ。

木山「まぁ、言っても構わないか……患者を見ていたよ。幻想御手によって意識を失った患者をね」

木山「幻想御手の解析の為に呼び出されたのはいいが、いかんせん患者が多くてね……
   どこも人手が足りないらしい。お陰で調査も進まないよ」

言い終わって、コーヒーを口へ運ぶ。
質問の意図を掴もうとしているのか、真直ぐ浜面の目を見つめながら。

しかし、唐突に話題は変わる。

浜面「ところでよ。二日前に俺に会った事、覚えてるか」

木山「うん? ああ……君が廊下にうずくまっていた所を通りかかったね」

浜面「その時、アンタなんて言った」

木山「……話でも聞こうかと、声をかけたはずだが?」

浜面「あぁ、そうだな」

木山「…………」

浜面「…………」

一拍の静寂が生まれ、コーヒーをすする音が心無しか大きく聞こえる。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:28:04.88 ID:+Rbgcgb50<>



木山「随分回りくどいな。意図も分からない。君は一体何を聞きたいんだい?」

お手上げだ、と言わんばかりに木山晴生がため息をつきながら肩を下げる。
振り向いたと思えば、再びコーヒーを注ぎにその足は向かっていた

浜面「アンタ、自分の癖ってわかるか」

木山「また、唐突に話題が変わったな」

浜面「どうなんだ」

木山「……いや、パッと考えたが思い浮かばないな。
   君は知っているのかい? 私の知らない私の癖を」

浜面「あぁ」

ほう、と呟き振り向いた木山晴生の目は先ほどよりも、
面白みのあるものを見つけた様な視線で浜面に向けられる。

木山「君と私はさほど付き合いが長いわけでもないが、
   言ってもらって構わないかな……?」

しかし、その視線は次の言葉で塗り変わる。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:28:30.63 ID:+Rbgcgb50<>







浜面「アンタ、誰かと会った時に何日振りに再会したか言う癖があるだろ」







<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:29:37.56 ID:+Rbgcgb50<>



木山「………………」

その瞬間、確かに木山晴生の目の色が変わった。
興味の視線が焦りの色に塗りつぶされるのを、浜面は見逃さない。

浜面「ソレを踏まえてもう一回訪ねるぞ。木山春生」

その隙を、浜面は見逃さない

浜面「アンタ、二日前俺と会った時なんて言った?」

木山「……覚えていな――――」

浜面「昨日振り。アンタはそう言ったんだ」

木山「…………」

浜面「なぁ、教えてくれよ。ずっと患者を見ていた木山先生は、
   三日前のあの日。いつ、どこで俺に会ったんだ?」

木山「……………………」

またもや一拍の間が生まれるが、コーヒーをすする音は聞こえない。

木山「答えにくいなら言ってやるよ」

だから、浜面は切り込んで、

浜面「MAR。あの日、俺たちが施設に乗り込む前にお前はあそこにいたんだ」

その皮を、剥いだ。





浜面「学園都市暗部を敵に回して施設を潰して回っているイレギュラー。
   それがアンタの正体だ、木山春生」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:31:49.40 ID:+Rbgcgb50<>



実際のところ、浜面が言い放った先の言葉には確証が無かった。

木山晴生の癖を覚えていたのは偶然だったし、二日前に聞いた言葉は単に間違いの可能性もあった。
それでもたった一つ知っていたのは、三日前に木山晴生はこの病院にいなかったという事だけだ。
あのカエル顔の医者は、どうやら患者だけではなく臨時に雇った職員の行動も把握しているらしい。

そうして、浜面が展開したのは余りにも酷いこじつけ。
笑われてもしょうがない程の、推測。

それはどちらにしろ、全てこの後の為の足止めでしかなかったのだが、

しかし、

浜面「…………」

最早、敵意を隠す必要はなくなった。
睨みつける様に鋭く目を光らせた浜面に対し、木山春生の表情は変わらない。
ただその隈の出来た目だけは、部屋に入ったときとは違っていた。

木山「………」

浜面もよく知る人殺しの目だった。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:32:32.30 ID:+Rbgcgb50<>



浜面「もう一つの話は、聞く気になったかよ」

木山「あぁ……そうだな。聞かせてもらおうか」

とっくに冷めてしまったコーヒーを、木山晴生はもう一度口へ運ぶ。

浜面「…………アンタなんだろ」

そうして浜面はまるで探偵の様に、一つ一つのキーワードを紐解いて行く。

まるでばらまかれたピースを嵌めて行くかの様に



浜面「アンタが幻想御手の配布人で、この街の学生に幻想御手を聴かせたんだろ」



全てを巻き込んだ真相へと近づいて行く。



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:33:19.81 ID:+Rbgcgb50<>



その言葉を聞き、くすりと木山晴生が笑った。

木山「……面白い事をいうね」

しかし、その瞳に笑みはない。

浜面「どう考えてもアンタしかいないんだよ。
   自然を装ってこの街の学生に幻想御手を聴かせられる人間なんて」

木山「ミステリー物の小説でも読んでいる様だよ。
   いいだろう。続けたまえ、どうしてそう思う」

余裕そうに言って、またも一口コーヒーを口に運ぶ。
笑みを浮かべたその姿は、本当にこの状況を楽しんでいる様にも見えた。

浜面「140万。この数字がなにか分かるか?」

木山「……学園都市の6割弱の人間の数だね。
   それと共に幻想御手の被害者の数でもある」

浜面「あぁ、その通りだ」

木山「それで? 君は私がこの事件をどうやって引き起こしたと考える?」

浜面「……そもそも、考えてみればおかしいところがいくつもある」

そう。一つ一つを整理して考えてみればこの事件は呆れる程に不自然だ。
たった一つの不自然が大きすぎて、それだけで真相に辿り着ける程に、



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:34:23.19 ID:+Rbgcgb50<>




例えば、インデックス。

神裂はインデックスは幻想御手によって意識を失ったと断言した。
ならば、何故インデックスが聴いたはずの幻想御手は『再生回数が0回』なのか





例えば、土御門元春。

なぜ土御門と言う『能力者であり魔術師』は幻想御手を聴いてしまったのか。





例えば、140万人と言う『人数』

インターネットにアップロードされていたからと言って総勢230万人の学生で占められたこの街で、
『被害者が140万人もいるのはいくら何でも多すぎる』





例えば、上条当麻と浜面仕上。

『何故140万人もの被害者がいる中で、アイツと俺は無事なのか』




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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:36:04.62 ID:+Rbgcgb50<>





浜面「そもそも、俺は自分でこの話をややこしくしていただけだったんだ。
   あの日、幻想御手なんてダウンロードしてなきゃもっと早くアンタに辿り着いていた」

何故、インデックスの音楽プレイヤーは一度も再生されていなかったのか
答えは簡単だ。
インデックスはあのプレイヤーで幻想御手を聴いていなかったから。





浜面「吹寄に幻想御手なんて渡してなければ、こんなに遅くならなかった。」

何故、140万人もの学生が幻想御手に手を出したのか
答えは簡単だ。
吹寄生理も、佐天涙子も、土御門元春も、140万人の学生全員が聴かされたから。





浜面「なんで上条と俺が無事なのかを真剣に考えれば、すぐに解決出来た話だった。」

何故、140万人も犠牲者がいる中で上条と俺は無事だったのか
答えは簡単だ。
幻想御手が流されたその場にいなかったから





<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:37:08.10 ID:+Rbgcgb50<>




軽く笑いながら、浜面は訪ねる。

浜面「なぁ木山先生。この街にいる無能力者って全体の何割いるか知ってるか」

木山「……6割弱だね」

木山晴生はあくまでソレに平坦な声で答えた。





<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:38:18.52 ID:+Rbgcgb50<>




浜面「そう6割弱。これにさっさと気付いていたら、手遅れになるとこだった。」

140万人という人数は何を意味しているのか。
答えは簡単。
この街にいる無能力者の数だ。





そして、共通点。

上条が言った様に『無能力者にだけ』共通する点が一つだけある。





浜面の二度目の問いかけは、笑ってはいなかった。

浜面「なぁ、木山先生。数日前から全学区で執り行われていた無能力者強制参加型脳開発補習。
   あれはどこの機関が行っていて、責任者は誰だった?」


木山「…………執り行っていたのは水穂機構病院。責任者は――――」


それに対し、木山晴生は笑みを浮かべこう答えた。






<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:38:45.48 ID:+Rbgcgb50<>









                  木山「――――私だね」










<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:39:28.60 ID:+Rbgcgb50<>



ぞわっ!!

その瞬間、明らかに研究室の空気が異質な物へと変化する。
見えない重圧が襲いかかる錯覚を感じ、しかしそんな物は気にもならない

木山「見事だ。たったそれだけのヒントでここまで来れたのは賞賛に値する」

浜面「ふ、ざけんなよ……」

最早、感情を隠す必要も無い。
その表情は怒りに染まり、怒りは敵意と殺意に昇華される。

浜面「てめぇ、やりやがったな…………」

こうして、浜面仕上は遂に真相へ辿り着いた。
全ての事件を絡め全ての事件を巻き込んだ黒幕と突き止めた。



浜面「あの『脳開発補習』に、レベルアッパーを仕込みやがったなッ!!!!!!」



小さな研究室で怒号が飛ぶ。

全てを聞きを得た木山晴生はそれでも表情を崩す事無く小さく笑った。




http://dl3.getuploader.com/g/3%7Cbl_radio/346/ <>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/03/13(火) 23:40:40.14 ID:+Rbgcgb50<>



いつの間にかミステリー書いてた不思議!
そしてインデックスさんヒロインから一転まさかのラスボス候補へ大出世。

というわけでここまで。なかなか新スレ一発目の投下としてはいいスタート切れたと思います
ずっと拾いたかった無能力者強制参加の脳開発補習が回収出来てほっとした感じ。
一見首輪解放の為に取り入れたかと思われがちな補習設定でしたけどかなり重要な二重伏線でした。
どうでしょう。ヒントは沢山ありましたが予測出来てた人はいるかなー
あ、でも木山先生の癖よりかは多いとおもう。

絵の浜面が誰だこれ状態。
多分次登場する時はもっとらしくなっていると思います。

次回は更に重要な伏線回収だー是非お付き合いください。
ではでは!



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/03/13(火) 23:42:06.60 ID:IWnUAkTE0<> いやはや面白い
乙でした! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/13(火) 23:44:18.12 ID:Z91KstoMo<> 乙ー
補修は読めたけど研究所は絶対美琴だと思ってた、ミスリードに完全に引っ掛かったけどそうでもないのかな?
あと魔翌力の下りって原作設定だっけ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/13(火) 23:46:04.28 ID:DJWKBf2l0<> 乙
浜面の推理に鳥肌たった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/13(火) 23:47:06.59 ID:FJJrIlJ1o<> いろいろすごすぎて乙としか言いようがない

ラスボスは木山先生じゃなくてインさんかよ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2012/03/13(火) 23:50:42.90 ID:fyAnpXwAO<> おい滝壺生死不明じゃねーか……どうすんだよ浜面 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/03/14(水) 00:01:09.89 ID:dewlD2Jg0<> ペンデックスさんはまじでどうするんだろうか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/03/14(水) 00:55:28.81 ID:BLDqoFl1o<> 浜面よ、あんたの切り札は果たして生きているのか……?
てかどうやって切り抜けるつもりなのか全くわからんな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岡山県)<>sage<>2012/03/14(水) 05:38:31.54 ID:r2bCR0Tg0<> 面白い。マジで最初から読みなおすわ。
ただ230万に対して140万の場合、6割弱じゃなく6割強なのでご注意を。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <><>2012/03/14(水) 20:25:06.43 ID:DqgO6lVh0<> 読み直して来たらマジで木山先生が何日振り云々てちゃんと言ってた。すげえ。
どこまで構想練り込んでいるんだこの>>1は
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/14(水) 20:37:34.56 ID:9JjINwbIO<> >>40
>浜面「足掻くのならばどうぞ足掻きなさい。日が沈む頃に、私達はここを去ります」
>>54
>木山「答えにくいなら言ってやるよ」

>>1頑張りすぎで疲れているんじゃないか
休憩とかしっかりとってくれよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/15(木) 03:24:20.45 ID:VJ30eOIC0<> レベルアッパー使用者の中に第三位超電磁砲が組み込まれている
ということはAIMバーストがパワーアップ
しかも停電でワクチンが使えん
これどうすんの… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2012/03/15(木) 07:25:17.79 ID:1Ptm5XUAO<> そもそも原作の140倍だもんな
たぶんゴジラみたいの出るぜ

電力は妹達がなんとかしてくれるさ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/15(木) 08:30:58.14 ID:hHBfbLSf0<> 二重伏線…だと……!

貴様何者DA!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/03/15(木) 20:39:44.19 ID:jOTiM+lF0<> 美琴の能力による索敵や窒素装甲によるオート防御まで使えるようになってるし原作みたいな不意打ちも効果なしか
つかこの木山先生の目的は何なんだろうね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/03/15(木) 21:33:59.95 ID:Mbkguh/40<> 乙乙
また予想の上をいかれてしまったぜ
言われてみればそうだよ。なんで気づかなかったんだよってついリアルで言っちまった

>何枚万ものルーンのカード
ステイル、あなた疲れているのよ
でも空気で終わるなんてことはなさそうでよかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2012/03/17(土) 17:23:47.22 ID:51awFMWAO<> 木原くン登場→インさん処刑→黒幕登場の衝撃展開で頭から抜けてたけどここの滝壺って木山先生の生徒だったんだよな。
木山先生の行動もそれに関係あるのかも。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/03/17(土) 20:21:58.38 ID:cLbdU7iu0<> >これにさっさと気付いていたら、手遅れになるとこだった
つまり木山先生が健在の今の状況こそが浜面にとって都合がいいってことで…


………10万3千vs140万とか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/03/19(月) 21:16:29.27 ID:Dg4pY+RQ0<> レスを使っての展開予想はやめようず <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2012/04/01(日) 02:51:54.77 ID:A/O61h/u0<> 続きマダー? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2012/04/01(日) 02:51:54.78 ID:A/O61h/u0<> 続きマダー? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2012/04/01(日) 02:52:22.10 ID:A/O61h/u0<> 続きマダー? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/01(日) 16:07:40.46 ID:mrSc+72to<> [ピーーー]よ長屋 <> ◆v2TDmACLlM<>sage<>2012/04/03(火) 17:17:44.55 ID:43SnZpdj0<> 今週中にはなんとか。
こんかいは投下予告出来ないです申し訳ない。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/03(火) 18:30:55.07 ID:JZzk2NMOo<> キター <>
◆v2TDmACLlM<>sage<>2012/04/04(水) 14:32:11.78 ID:DVX3XUy80<>


 
・奪還



<>
◆v2TDmACLlM<>sage<>2012/04/04(水) 14:32:44.03 ID:DVX3XUy80<>




異質と化した小さな研究室で、かつんと靴音が響いた。
その音に反応し、少年の体は後方へと大きく跳ねる。

ふっ、と木山晴生が笑った。対して、浜面は笑わない。
笑ってなどいられるハズも無い。目の前にいるのは学園都市崩壊を招いた女なのだ。
学生140万人を巻き込み、学園都市暗部を出し抜き、この街を殺した真の元凶。

木山「…………」

浜面「…………」

氷河の様に冷徹な瞳と業火のように獰猛な瞳が交差し、交わす言葉も無いまま時計の針は進んで行く。
今も放たれる威圧感によって研ぎ澄まされた浜面の精神は、木山晴生から目をそらす事を良しとしない。

経験が告げていた。

目をそらした瞬間に訪れるのは自分にとっての最悪。
かつて相対した聖人よりも、最強よりも、この女は危険だ。

そして、木山晴生はまたも笑う。

木山「そこまで警戒しなくてもいいだろう……別にとって喰おうなどとは考えていない」

浜面「信用するとでも思うのかよ」

木山「思わないよ。言ってみれば君の目の前にいるのは仇敵みたいなものだろう?
   ……あの白い少女も、どうやら聴いてしまったいたようだしね」

木山「それにしても自分の代わりに外の人間に能力開発を受けさせるなど、
   随分思い切ったものだな……正直驚いたよ。どんな事情があったのかな?」

浜面「…………」

木山「嫌われた物だな。まぁいい」



<>
◆v2TDmACLlM<>sage<>2012/04/04(水) 14:33:16.33 ID:DVX3XUy80<>



手に持っていたコーヒーを飲み干し、木山晴生が一歩を踏み出した。
コツコツと、靴音を鳴らし向かってくるその姿に浜面は身構えるが、
あっそりと木山晴生はその横を通り抜け、背後、ドアノブに手をかける。

浜面「ッ……どこに――」

木山「ついて来たまえ。君もいろいろと知りたい事はあるだろう?
   せっかくここまで辿り着いたのだから真相ぐらいは対価として得るべきだとはおもうが」

それとも、と木山春生は続ける。

木山「知る必要はないかい? 私が140万人もの学生を昏睡に追いやった理由、
   学園都市暗部を敵に回した理由、あとはそうだな――」

木山「幻想御手によって昏睡した患者を回復させる手段、なんてものは」

その言葉に、浜面の体が僅かながらに反応したのを木山晴生は見逃さない。
だから静かに、しかし歪に微笑んで、木山晴生は浜面に告げる。

木山「来るといい。歩きながら話そう」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:33:46.96 ID:DVX3XUy80<>



そう言って扉を抜けた木山の背を、浜面はゆっくりと追い後ろを歩く。
足下にスフィンクスを引き連れ、しかし警戒だけは怠らない。

研究室から出たそこは日常の広がる通路。
看護士や医師達が昏睡した患者を慌ただしく運び行き交う廊下を、
木山と浜面はまるで何事も無いかの様に歩いて行く。

木山「何から知りたい?」

静かにそんな言葉が投げ掛けられた。
少し早歩きで歩幅を緩めようとはしない木山晴生の背を追いながら、浜面は沢山ある中の疑問を一つ選ぶ。

それは、たった一言。シンプルな問い。

浜面「目的は、なんだ」

木山「随分と直球な質問だ。焦る気持ちは分からなくはないが、その問いはまだ早いな。……まぁいい」

木山「あるシュミレートをする為に樹形図の設計者の使用申請をしたんだがどういう訳か却下されてね。
   アレの代わりになるような演算機器がどうしても必要なんだ」

浜面「ツリーダイアグラム……?」

木山から飛び出して来た単語に浜面が眉を潜める。
樹形図の設計者、学園都市が保有する超ド級の量子演算機器。

しかし、軌道衛星上にて公転し続けているハズだったそのスーパーコンピュータは
二日前に御坂美琴の逆雷によって貫かれ、既にこの世から消失したはずだ。

浜面「…………」

木山「わからない。と言う顔をしているな」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:34:13.39 ID:DVX3XUy80<>



不敵な笑い声が聞こえた。そしてその言葉の通り浜面にはわからない。繋がらない。
木山晴生が言った様な目的があったとして、それでどうして幻想御手を使って
こんな事件を引き起こしたのかが見えてこない。

そもそも、

浜面「そもそも、幻想御手ってのは一体なんなんだ」

木山「まぁ、それも知らずに本当によく私に辿り着いたものだな。
   ……あれは共感覚性を利用して使用者の脳波を一定に同調させる音楽ファイル。
   複数の脳を繋げる事によって高度な演算を可能にする物さ」

浜面「脳を……繋げる?」
   
木山「少し難しいかな。分かりやすく言うと複数のコンピューターをいくつも繋げて
   ネットワークを構築し処理速度を向上させるようなものだ」

浜面「…………」

つまりは個々によって単一であるはずの脳波を同一にし繋げる事でネットワークを作り、
複数の人間で演算の処理を行い能力の底上げしたという事だろうか。
突拍子のない話で、しかも無能力者の浜面とっては理解しがたい話ではあるが、
しかしその話を聞いて浮かんでくる単語が一つだけあった。

浜面「……ミサカネットワーク」

木山「これは驚いたな。あれを知っているのか」

浜面の言葉に初めて木山が振り返り、少し意外そうな表情をしながらそう呟く。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:34:49.77 ID:DVX3XUy80<>



木山「あぁ、そう言えば妹達の一人と君は知り合いだったね。
   正直に言うと幻想御手は君の言ったミサカネットワークを下敷きにした物だ」

そう、アレも確か同一の脳波を電気信号に変えてネットワークを構築し
意識の共有や記憶のバックアップを行える仕組みだったはずだ。

結論から言うと幻想御手は木山の言う共感覚性を利用し脳波を同調させ脳によるネットワークを
構築する為だけの道具なのだろう。脳波を無理矢理同調させられた人間がどうなるかなど、想像は容易い。

レベルアッパー。能力を引き上げる夢の様なアイテムの正体は暴いてみればそんなものだった。

木山「元々私がばらまいたもので1万人。第三者がばらまいた分でもう1万人。
   最後にこの街の無能力者138万人。これでおおよそ140万人程集まったよ。
   ……樹形図の設計者には遠く及ばないが、演算機器としては十分すぎる人数だ」

浜面「自分の研究の為に、140万人も犠牲にしたのか……!!」

木山「人聞きが悪いな、殺してはいない。用が済んだら解放するはずだったさ」

浜面「そう言う事をいってるんじゃねぇ!!!」

涼しげに放たれたそんな言葉に、浜面は声を荒げ糾弾する。
他人に糾弾出来る程の人間でない事は、自分だって理解している。
しかし、それにだって限度がある。

余りにも。傷ついた人間が多すぎる。

浜面「アンタのせいで、この街が今どんな事になってるのか分かってるのかよ!!!」

放たれた怒号に幾人かの人間が振り向くも、気にしてはいられないという風に過ぎ去って行く。
止まる事無く動いて行く。だと言うのに、廊下の窓から眺める事の出来る街は全てが静止していた。

あるはずの喧噪がなく、あるはずの光がない。いるはずの人がおらず、存在するはずの日常が失われていた。



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:35:44.80 ID:DVX3XUy80<>



木山「……そうだな」

そんな景色を眺めながら、木山晴生はポツリと呟いた。

木山「ソレに関しては私の予想通りでもあったし、予想外でもあったよ。
   まさか彼女が……レベル5がこれに手を出すなど、想定もしていなかった」

浜面「……御坂美琴か」

その言葉に浜面は確信を得る。
やはり御坂美琴は体晶など使用していなかった事を。
衛星を貫き、23学区を消し去り、学園都市を殺したあの異常なまでの能力の強さは幻想御手によるものだったのだと。

そして、木山にとって唯一の誤算はソコなのだろう。

本来ならば、浜面のような無能力者に付け入る様に作られたはずの装置を
最上位であるはずの超能力者が使用した事によって起こった悲劇。

たまたま、重なってしまったのだ。

木山晴生の目的と、御坂美琴の惨劇が。

木山「おかげで台無しさ。学園都市が機能を失った事で全てが狂った。目的も達成出来たのは半分だけだ」

浜面「……半分?」

木山「以前、君に言わなかったかな。ある実験で私の生徒が被害を受けたんだ。
   ……何年も眠ったままでね。この学園都市であっても目覚めさせる事はできないでいる」

浜面「……その生徒達を助ける為に」

木山「そう、演算機器を求めたのはその子達を目覚めさせる方法をシュミレートする為だ」

浜面「…………」

過ったのは、数日前。あの研究室での木山春生の言葉。
意思の込められた言葉。助けられなかった生徒達、助からなかった一人の生徒。

怖気さえ感じた全てを敵に回してもと言い放ったあの時の言葉。

浜面「なら、もう半分ってのは……」

返って来た短い声に、浜面はその言葉の意味を理解する。

木山「復讐さ」

少し振り向いた木山晴生の瞳は、とても冷たかった。



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:36:18.85 ID:DVX3XUy80<>



木山「これも言っただろうが……被害を受けた生徒の一人は死亡しているんだ。
   経歴すらも書庫から抹消されて、存在さえも殺された。優しい子だったよ」
   
浜面「その……復讐か」

木山「あぁ。わかっていながら生徒達を実験台にした研究者。
   今も置き去り達を使って表沙汰には出来ない実験をしている研究施設。
   私を止めようと躍起になる学園都市暗部……随分壊したし、殺したよ」

浜面「…………」

半ば予想通りの言葉に、浜面は声を失う。
木山晴生が言ったあの言葉は比喩でもなんでもなく、ただの事実だった。

例え学園都市を敵に回したとしても生徒達を回復させ、その元凶を復讐の炎で焼き払う。

140万人の人間から得た力を使い、この女はそうしたのだろう。

学園都市を追い込み、決して表舞台には出てこない何かを焼き払ってきたのだ。

浜面「MARを襲撃したのも、そう言う事か」

木山「あぁ、あれは別の目的もあったんだ。
   子供達を助ける為にどうしても必要なものがそこにあってね」

体晶。

真っ先に思い浮かんだのはその二文字だった。MARに入り込んだもう一人の襲撃者。
結局、自分や滝壺の読みは大きく外れていた訳だ。

木山「しかし、この大停電でなにもかもが止まった。街も、機能も、私の足もね。
   後一歩踏み出せれば全てが終わるというのに、今の私は何も出来ない」

浜面「どういう……」

木山「そのままの意味さ。シュミレートで得た結果を行おうにも手元に残ったパソコン一つでは何も出来やしない。
   それこそ幻想御手のネットワーク調整ぐらいだ。その幻想御手の患者を解放しようにも、
   街の機能が回復しない限り全員を目覚めさせる事は不可能さ」

木山「思えば復讐など考えた事が間違っていたのだろうな。さっさと生徒達を助けていればここまで大事にはならなかった。
   生徒の回復だけを目的に動けばこんな状況にはならなかった。…………これもシュミレートした確定結果だ」

浜面「…………」



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:37:21.63 ID:DVX3XUy80<>



交わしていた言葉はいつしか途切れ、無言のまま浜面は木山の後を追う。
歩き続け、開けっ放しになった病院の入り口をくぐり、とうとう二人は外に出た。
丁度頭上にのぼった太陽が熱波を放ち、静まり返った街のせいだろう、心無しかいつもより草木のざわめきが大きく聞こえた。

木山「さて」

がら空きになった駐車場で立ち止まった木山が振り向く。

木山「私から話す事はもう何も無いが、何か聞きたい事はあるかい」

浜面「……あるさ」

短く答えた浜面の言葉に、木山春生は薄く笑みを浮かべ言葉を待つ。

浜面「俺は別にアンタの正体を暴きたくて訪ねた訳じゃない。
   アンタの目的も聞きはしたが、別にソレを知る為について来た訳じゃない」

木山晴生の目的は知った。得た情報から分かった事は、全てが幻想御手というもので繋がっていた事。
誰もが間違っていた事。自分も、この女も、御坂美琴も、一方通行も。誰もが全て間違いを犯した結果、今がある。

しかし、そんな事はどうでもいい。見据えなければ行けないのは、この先。
どうにかしなくてはいけなくて、もはや絶対に間違える事が出来ないのは、今だ。

浜面「幻想御手が音によって効果を発揮するって言うなら、
   その効果を打ち消すものも当然音って考えるのが自然だ」

木山「……まぁ、そうだね」

そして浜面仕上の目的はまだ達成されてはいない。

浜面「持ってるんだろ。幻想御手のワクチンプログラムを」

木山「あぁ、だがそれを渡す事は出来ない」

浜面「…………」



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:38:09.44 ID:DVX3XUy80<>



木山「悪いがまだこの力は必要なんだ。それとも力づくで奪ってみるかい?」

挑発するかの様に、木山晴生が両手を広げる。
浜面ならば一瞬で組敷く事が出来そうな細い体だが、奪われないという絶対の自信があるのだろう。
どこまでも不敵に笑いながら、木山晴生は余裕を崩そうとはしない。

浜面「……俺はただの無能力者だ。暗部を出し抜く様な――
   ましてや140万人分の能力を使える様なデタラメな存在に力づくなんて無駄な事はしねぇ」

そして、当然ながら浜面はそんな絶対的な力を持つ相手に無策で挑む程愚かではなかった。

木山「ほう、気付いていたのか」

浜面「あぁ。信じられないけど、暗部を出し抜くって時点でこれしか考えられない」

そう、木山晴生に追求する以前より疑問であって、答えを導きだせなかったのはその手段だ。
一体どんな方法で木山晴生は学園都市の追撃を躱し、返り討ちにしたのか。

それだけがどうしても分からなかったが、木山晴生のその絶対的な自信。
幻想御手の正体。MARで起こった出来事。その事実をまとめてしまえば答えは一つしか浮かんでこない。

浜面「ネットワークに繋いだ人間の能力を使用出来る。それが幻想御手のもう一つの機能って訳か」

木山「その通り。今の私は少し洒落にならない程強いぞ?」

パチ、と木山春生の毛先から紫電が弾ける。
同時に他方向から冷たい風が押し寄せ、大地には小さな亀裂が走った。

本当に140万人の能力を行使出来るらしい。
今の木山晴生は実在不可能と称された多重能力者という事になるのだろう。

浜面「…………は、はは」

背筋に寒いものが走る。思わず、笑みがこぼれた。
目の前の存在が余りにも巨大で、強大で、強力で、強靭で、

そして――




余りにも都合が良すぎて、笑いが止まらない。




浜面「確かに力づくなんて無謀な事は出来ない。けどな、俺にだって考えが無い訳じゃないんだ」



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:39:10.88 ID:DVX3XUy80<>



続く言葉に、僅かながら木山が眉を潜めた。
ただ、その余裕の笑みはまだ引きはがせない。

だから、浜面は武器を取る。
実力に関係なく誰もが持ち、誰にでも突き刺さる事が出来る見ない刃を。

浜面「なぁ、木山先生。アンタ、MARに探し物があったって言ったよな?」

言葉と言う武器を。

木山「あぁ、一人で走って行く君を見かけたのは、私が施設を抜け出す直前だったね」

侵入者がいた事は知っていたが、君だとは思わなかったよ。と木山が思い出した様にくすりと笑う。
多分、それはフレンダと二手に分かれたあの瞬間だったのだろうが、今はそんなものはどうでもいい。

追求するべきは、ソコではない。

浜面「体晶のファーストサンプル。もしかしてそれを探してたんじゃないのか?」

木山「……あぁ、そうだ。」

体晶。

暴走能力者から産み落とされた負の結晶。
麦野達が求め、そして手に入れられなかった貴重なアイテム。

何故手に入らなかったのかは簡単だ。自分達より先に侵入していた誰かが持ち去っていたから。

そして、その人物は当然浜面の知っている人物であることには違いない。

しかし、





浜面「みつからなかったんだろ? それ」


木山「……あぁ、見つからなかった」





その人物は、木山晴生では無かった。



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:40:05.83 ID:DVX3XUy80<>



そして、浜面は今度こそ確信する。

浜面「まぁ、当然だろうな。見つからないのも当然だと思うぜ、木山先生」

麦野も、滝壺も、絹旗も、フレンダも、浜面仕上でさえも、誰もが勘違いをしていた。

体晶を持ち去ったのは自分達より先に忍び込んだ侵入者だと思い込んでいた。

その前提条件から間違っている事も気付かず、愚かにも踊っていた。

バカだと、今更ながらに浜面仕上は痛感する。

自分はどれだけ愚かなのかと、殴りつけたい衝動をぐっとこらえる。


そう、誰もが知らない事実を、浜面仕上だけは知っていた。


知っていたというのに、ソレを活かす事の出来なかった自分の愚かさが恨めしい。

知っていた。知っていたのだ。





浜面仕上は、木山春生より先にMARへ侵入した人物がいる事を知っていた。





六日前にテレスティーナ自身が言っていたのに。
研究所に侵入者が入り込んだと、あんなに叫び散らしていたというのに。

そして、その人物すらも浜面は知っている。
いや、知っているどころではない。そいつは常に身近にいた。

身近にいて、笑っていて、誰よりも飄々と生きていた。

言っていたではないか。





『設計図とか色々盗んでまじで超電磁砲撃てるくらいに改造したんだぜ……?
 まぁ、結局撃ったら銃が保たないから使えないみたいだけどさ』





MARが作った演算銃器の設計図を盗んだと。
MARの施設に侵入したと、余りにも堂々とそう言っていたそいつの名は――



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:40:44.63 ID:DVX3XUy80<>









                       服部半蔵。









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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:42:01.12 ID:DVX3XUy80<>



浜面「取引と行こうぜ、木山晴生」

木山「そ、れは――!!」

浜面が取り出したのは、ガラスケースで覆われた小さな円筒状の筒だった。
『戦利品』だと、半蔵から受け取ったそれの中央には小さな宝石の様なものが埋め込まれていた。

木山「なぜ、君がソレをッ…………!!」

それはまぎれも無く、体晶のファーストサンプル。

とうとう、木山晴生から余裕の笑みが引き剥がされる。
子供達を救う為に必要不可欠なそれは、喉から手が出る程求めていたものだろう。

なんの因果か、盗まれたはずのそれは浜面の元にあった。
始めから、浜面達の手の届くところにあったのだ。

笑うしか無い。
必死に駆け巡ったあの襲撃戦はとんだ茶番でしかなかった訳なのだから。

浜面「幻想御手のワクチンプログラムを寄越せ。そいつがこれをやる条件だ」

木山「…………ッ」

手に持つ体晶を突きつけ、浜面仕上は言い放つ。
そして、その言葉は刃となって、確かに木山晴生へと突き刺さった。



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:42:29.21 ID:DVX3XUy80<>



浜面「…………」

木山「…………」

睨み合いが続く中、無言の応酬が続いて数分が経っただろうか、
その中で先に言葉を発したのは木山晴生だった。

木山「…………いいだろう」

それは取引の成立を承諾する言葉。
内心、浜面は胸をなで下ろす。

取引と言う対等の立場でしか成立しないその行為を木山晴生相手に持ちかけるのは、
浜面にとっては一種の賭けだった。相手がその気になれば奪う事も、殺す事も出来たはずだ。

木山晴生の良心に賭けた浜面の選択は、正解だったと言えよう。

これで、浜面仕上は目的のものを手にする事となる。
インデックスを救う為に必要不可欠なソレを手にできれば、一歩前に進める。

これで、あの少女に手が届く。




――――はずだった。



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:42:56.78 ID:DVX3XUy80<>









          「ところがそう簡単にもいかねんだよなぁ!!!!!」









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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:43:28.04 ID:DVX3XUy80<>



響いたのは、酷く醜悪な男の声。
ソレと同時に頭上から振って来たのは叩き飛ばされたかの様な数台の乗用車。

浜面「なッ!?」

木山と浜面の間に割って落ちたそれは同時に爆散
爆風と粉塵をまき散らし、視界を黒煙が覆う。

浜面「な、何だよこれッ!!」

叫びは新たな爆発に遮られる。煙から逃れようと必死に駆けた浜面の腕を誰かが掴んだ。
それは、力強くゴツゴツとした男の腕。聞こえたのは、嫌悪感を催す声。

木原「はろー?」

目の前に迫っていたのは。見た事も無い顔面刺繍の男。

浜面「な、……がっ!!」

言葉を発する前に、その膝が浜面の体に叩き付けられる。
走るのは激痛。ただでさえ一方通行との戦いで極限まで痛めつけられた体が悲鳴を上げる。

そうして浜面の手から転がり落ちたそれを男は拾い、ニタニタと笑う。

煙を掻き消す強烈な烈風が吹いたのは、その瞬間だった。



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◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:44:29.10 ID:DVX3XUy80<>



浜面「痛……ぐ」

気付けば、浜面は先ほどとは違う位置で倒れ伏せていた。
目の前で自分を見下していたハズの男が立つ位置は遠く、側に立つのは木山春生。

気付けば煙は晴れており、落ちたはずの車も見当たらなかった。
テレポートだろうかと薄い意識の中でぼんやりと思考するが、
手の中にあるはずのものが無い事に気付くとその意識は覚醒する。

浜面「てめぇ……それを、返せッ!!」

膝を付き、胃液をまき散らしながら浜面は吠える。
向かうのは白衣を着てはいるがとてもそんな類の人間には見えない男。

その手には浜面が持っていたはずの体晶が握られている。

木山「き、さまは……」

隣に立つ木山晴生が震える様に拳を握りしめた。
充血した様に右目を赤く染めた木山は激情を宿し言葉を放つ。

木山「木原数多……ッ!!!」

木原「く、……ぎゃははははははッ。なんだなんだよ! もうちっと苦労するかと思って来てみたが
   ぜんっぜん楽な仕事じゃねえか!!! こりゃ俺が対策を練った意味も無かったりすんのかねぇ! 木山ちゃんよぉ!!!」

愉快だと言わんばかりに木原と呼ばれた男が空を仰ぐ。
荒々しい言葉使いはどれもこちらを煽る様に、言い放たれる。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:45:31.28 ID:DVX3XUy80<>



浜面「こ、の……っ」

木原「おーっと、動くなよボケ共。ガキと仲間が死ぬぜ?」

木山「……どういう事だ」

木原「大事なもんは手元に置いとくべきだ。そう思わねえ? 例えば意識不明の生徒とかよぉ。
   本来テメェがいるはずの水穂機構病院。今大変な事になってるぜ?」

ニタニタと、木原が醜悪な笑みを浮かべる。その言葉の意味は、誰にだって分かるだろう。
木山晴生が全てを敵に回してでも救うと誓った生徒達を握られた。つまりはそう言う事か。

浜面「………っ」

木原「だから動くなっつってんだろボケ。テメェも無関係じゃねぇんだよクソガキ
   ピンクジャージの女の命。惜しいだろ?」

浜面「ッ!! てめぇッ!!!!」

木原「あーうるせえうるせえ。少しは静かに出来ないのかよ」

そう言って気怠そうに頭を掻く木原の元に訪れるのは黒塗りのワゴンカー。
乱暴な運転で段差を突っ切り、それは木原の丁度真後ろに止められる。

木原「あー、逃がしたくないなら攻撃しても構わねえぜ?
   俺が戻らなかったらガキ共も殺す様に言ってあるからよぉ!! ぎゃははははッ」

木山「き、さまぁッ!!!!」

咆哮と共に、木山晴生の感情が爆発する。烈風を巻き起こし、
大地が裂けたもののそれらは全て木原数多には届かなかった。

木原「利口だねぇ。シュミレートでもしたのかよ。一発でも擦ればガキが死ぬってか?」

木山「…………」

木原「そう睨むなよ。こっちも悪いとは思ってんだぜ?
   だから一応、詫びも用意してやったんだ。おい、出してやれ」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:46:06.93 ID:DVX3XUy80<>



その言葉と共に、ワゴンカーの扉が開け放たれる。
後ろ手を縛られ突き飛ばされたのは、衰弱した一人の少女だった。
虚ろな瞳は何も捉えておらず、意識があるのかさえもわから無い。

思わず叫んだのは、浜面だった。

浜面「滝壺ぉっ!!!」

そしてその声に誰よりも早く反応したのは、

木山「そ、んな……」

意外にも。浜面の隣に立つ木山晴生だった。
次いで、木原に捕われた滝壺がぴくりと肩を震わせる。
うなだれた頭を前に向け、瞳に捉えたのはたった一人。

滝壺「きやま……せんせ、い?」

木山「そんな……まさか……生きて、いたなんて」

震えた声で、木山晴生が手を伸ばす。
あるはずの無いものを目にしたかの様に、突き動かされる様にゆっくりと一歩を踏み出す。

その姿を見て、もうこらえるのは無理だとでも言いたげに木原が笑った。

木原「死んだと思ってた教え子との感動の対面だ。く、ははは。気に入ってくれたかぁ?」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/04(水) 14:46:23.99 ID:8NZygQWF0<>









                       ワクワクしてる、俺。










<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 14:52:57.41 ID:DVX3XUy80<>



       【次回予告】



「いや……いやっ!! ……こないで」

            能力追跡・滝壺理后



「最悪だ。……全員、攫われた」

            多才能力・木山春生



「させねぇよ。そんな事俺が絶対にさせない」

            無能力者・浜面仕上



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/04/04(水) 15:01:59.22 ID:DVX3XUy80<> ここまで。ちょっとスランプな難産。おそくなってすまぬ。
全体的に説明と茶番が露見するな回でした。お前らどんだけニアミスしてんねんって突っ込みたい。
とりあえず半蔵がおいしいとこもっていったけどもうちょっと上手く書きたかった。

これで大事な伏線は大体消化。
という訳で前スレ>>623もそろそろ伏せ字の答え合わせをすべきである。

ではでは。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2012/04/04(水) 15:16:30.10 ID:dbxqUd7AO<> 木山春生な <> ◆v2TDmACLlM<>sage<>2012/04/04(水) 15:29:11.59 ID:DVX3XUy80<> >>112やらかしてた。すまぬ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)<>sage<>2012/04/04(水) 16:01:38.57 ID:dbxqUd7AO<> どんまい、乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/04(水) 18:04:15.91 ID:oNkgn8JAo<> 乙乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県)<><>2012/04/04(水) 23:09:36.01 ID:MoJAapxj0<> お
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/04/04(水) 23:44:39.37 ID:Ok1kAodAO<> 名前間違いよりもシュミレートのほうが気になる
そんな単語はない
正確にはシミュレート
英単語で覚えたほうがいい

次回も期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(和歌山県)<>sage<>2012/04/04(水) 23:48:47.51 ID:MoJAapxj0<> 縺翫▽ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/05(木) 20:37:12.64 ID:z0cesdzr0<> やっちまったな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2012/04/05(木) 22:49:01.49 ID:Po61oruAO<> 次で頑張れ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/05(木) 23:54:20.24 ID:YM/vn0x5o<> 春に生まれたから春生、と覚えよう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/04/07(土) 21:06:53.21 ID:ptn5+Sc70<> はる…さめ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/08(日) 00:48:44.24 ID:0T3aZ2joo<> はる……お? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/08(日) 21:51:06.48 ID:j9yIk0Oso<> 乙!
いつか演算銃器が火を噴くとは思っていたが、そっちは忘れてた

しかし、木山先生め
探知系の能力なんて腐るほど持ってるだろうにな
油断かわいい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/04/16(月) 09:09:28.49 ID:mgvtte5P0<>
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/19(木) 13:11:57.44 ID:94wT2LEE0<> 待つ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/04/20(金) 12:54:29.79 ID:ugvDBPLao<> たけ <> ◆v2TDmACLlM<>sage<>2012/04/25(水) 14:27:38.05 ID:RSP5vrcAO<> 終わりそうだけど今月は忙しすぎて多分これない。
GWにまとめて一気に投下予定。ろくに4月は更新できなくてすまん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/27(金) 11:13:54.26 ID:3tS29P6IO<> 待ってるぜい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/29(日) 05:13:16.91 ID:N5fvPjjAo<> ぜーい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/05(土) 21:28:33.70 ID:2at0Cdzu0<> そしてGWは後一日 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/06(日) 16:16:36.15 ID:pnw3177Uo<> GWなんてなかったんや <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)<>sage saga<>2012/05/06(日) 16:38:57.68 ID:CiZdvbpZ0<> まだGWは終わっていない
まだ慌てる時間じゃない… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/05/06(日) 19:40:27.88 ID:fSuplBxT0<> マジで楽しみにしてたのに…たのに… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/05/06(日) 22:14:00.08 ID:O1eVOnFIo<> >>1は今年とは指定していない… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<><>2012/05/06(日) 23:15:46.14 ID:KOmuR1yAO<> とことん松 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2012/05/07(月) 22:38:27.45 ID:A2JXuQkE0<> や、やっと追いついた・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/05/09(水) 00:28:04.43 ID:p09nwNx10<> 前スレ>>623です
申し訳ない。最近来ることも出来なかったので名指し指名されてるのに答えられなかった

つかこれは浜面アレ(幻想御手と木山先生の協力の約束)持ってるしアレ()も持ってるから更にアレ(体晶ファーストサンプル使用)出来るしあそこにあるアレ(歩く協会)も使ったりするかもしれないし
ヘタするとL6御琴よりマズイ怪物にもなりかねないんだよな
というのが正解でした。

以下ある程度の考え

多才能力(マルチスキル)
木山春生が使用した疑似的な多重能力。
多重能力とは別の方式で動いているため、使用者である木山本人は多才能力と呼称している。

脳波ネットワークを構成するプログラム幻想御手が生んだ副産物であり、
能力者約一万人を取り込んだ脳のネットワークを「一つの巨大な脳」として扱うことで、
一人(個人の脳)では負荷が大きすぎて不可能だった複数能力の使用を実現している。

使える能力はネットワーク内に取り込んだ能力者が所持しているものに限られるが、
一度に一つの能力しか使えないといった制約はなく、
複数の能力を同時に使用したり、組み合わせて使用することもできる。
また、「一つの巨大な脳」を操る必要こそあるものの、
パーソナルリアリティはネットワークに取り込まれた能力者持ちのため、
能力開発を受けていない人間でも使用可能な超能力である。

幻想御手の能力上昇の理屈
同じ脳波のネットワークに取り込まれることで能力の処理速度が向上し、
その幅と演算能力が一時的に上がること、また同系統の能力者の思考パターンを共有する事で、
より効率的に能力を扱えるようになることから結果的に発現する能力が増大する。


この理屈なら自分の能力に囚われないでやれることさえ知ってれば使えるように読み取れる。
自分の能力の内容さえさっぱりだった浜面なら自分のパーソナルリアリティゆかりでない他者の能力使えるんじゃね? 
しかもどれもこれも140万人超の性能(風斬は180万AIMらしい)
やり方は木山先生への一つだけのお願い使えばよくね?

かつ体晶ファーストサンプル持っててその各種能力全部原作麦野の体晶使用と同様の超出力アップ可能
浜面体晶適正あるし、麦野と違ってある程度の継続も可能なはず。多分出来る。

自宅に超電磁砲も撃てる演算銃器がある。キャパシティダウン等対能力者用兵装への対策の懐刀として十分すぎるほど優秀
能力解析や上条的イレギュラーにもある程度対応可能

服の下に歩く協会着込む事だって出来る(浜面はその性能をインデックスを落下させることで知っている)
幻想御手による自身の能力だってレベル3あっても意味ない能力でも5,6なら?
等と言う攻守共に非常に強力な性能。体晶副作用と脳波の影響さえ我慢すれば極短時間なれど幻想御手美琴以上の怪物だって夢ではない筈。

長文でごめん
この作品が大好きだ。何時まででも待っています。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/09(水) 00:48:42.50 ID:2UAp8M+IO<> >>138
おまえバカだろ?そういう空気読めない余計な事すんなよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(富山県)<>sage<>2012/05/09(水) 03:26:19.08 ID:PfqdjqB6o<> 誰か3行で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/05/09(水) 03:31:56.12 ID:f7zAJl6Bo<> >>140
読む
必要は
皆無 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/09(水) 07:08:01.93 ID:14EWJpgNo<> うわあ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2012/05/10(木) 13:51:05.66 ID:hFJTEpYAO<> 酷いネタ潰しをみた…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)<>sage<>2012/05/10(木) 18:49:13.21 ID:2HqRcnRAO<> >>138
あのさぁ…
皆少なからず展開予想はしてるよ。でも話が進行するまでは書き込みはできるだけ控えてるんだ。
なんで考えなくてもわかるような事がわからないの? 頭おかしいんじゃないのか。
レス貰えて嬉しかったのか知らんが、それ書き込む前に手を止めて考えろよ胸糞悪い。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)<>sage saga<>2012/05/10(木) 19:16:44.92 ID:T+45mYd80<> 流れ的に>>138読んでないけど読まなくて正解くさいな
フルボッコ過ぎてかわいそうとは思いつつも、完全に>>138が悪いから擁護出来ないな

作者さんへ
おれは>>138読んでないので思ったままに書いて欲しいです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/10(木) 19:17:51.07 ID:S9hQWwFwo<> なんという亀レス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/05/10(木) 22:33:01.07 ID:j8yPj0mio<> もう>>144で終わってるのにこれ以上叩く必要はないと思うの <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/10(木) 23:28:50.58 ID:S9hQWwFwo<> すまんこ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/05/11(金) 00:06:16.81 ID:GTKw9e4O0<> >>138です
皆に不快な思いをさせて本当に申し訳ない
反省して完全にROM専になります
ご迷惑をかけました <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/05/11(金) 00:13:34.25 ID:AQDBkOwEo<> べつにROMまではしなくていいのよ?
投下があれば感想書きたくなる気持ちは分かるし
ただ、今回みたいな行き過ぎた展開予想とか超長文とかはやめてね、マジで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/05/11(金) 17:30:02.67 ID:J8snSq7n0<> いやROM専で頼むマジ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/05/11(金) 18:13:37.15 ID:2Lrx8hymo<> 視界に入った瞬間にスクロールした俺は流石だった
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2012/05/12(土) 17:07:40.32 ID:J4Xt819AO<> GWっていつから始まるの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/13(日) 03:41:00.99 ID:ighzgH820<> 俺達のGWはこれからだ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/13(日) 10:22:39.19 ID:kumljcw0o<> GWまでまだ350日近くあるしな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/14(月) 02:07:33.80 ID:7tVfTm0Yo<> 350日くらい、黙って待てよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/05/14(月) 02:09:40.50 ID:E3VKmeN0o<> ワロタ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/05/16(水) 00:42:08.03 ID:znEDzdD/0<> リアルにそれぐらい待機したSSとかあるから一年ぐらいどうってことない
完結さえしてくれれば…! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)<>sage<>2012/05/16(水) 13:28:33.02 ID:3QyYxKOL0<> 久しぶりに来たら止まっているだと……?
いや、GWって大型連休のことだろ?
今でも俺は大型連休だからまだGWってことだよな
待ってるぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)<>sage saga<>2012/05/16(水) 20:19:04.01 ID:b7TZVayc0<> 他スレの名前出すべきじゃないんだろうけど
今更年上スレとか同じくらい待ってるからもう慣れた
更新されるだけすばらしい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<><>2012/05/16(水) 23:55:08.98 ID:0m1bDHxAO<> どうか続きを…! 最近のとあるSSの唯一の楽しみでござる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<><>2012/05/17(木) 11:26:38.11 ID:50/6/jLk0<> おつ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2012/05/23(水) 21:12:43.81 ID:XpY0M4rH0<> そろそろ続きが欲しいなって <> ◆v2TDmACLlM<>sage saga<>2012/05/24(木) 00:47:32.94 ID:FReWHgCe0<>



――――――



きやませんせいは?

それが、目覚めた私が最初に呟いた言葉だった。……と思う。

起き上がるとそこは知らない場所で、周りにいたのは知らない人間だった。

『ッ』

ズキリと、額に熱が走る。触れてみると何重にも包帯が巻き付けられていた。
なんでだろう? 私は不思議にそう思い、霞がかった記憶をぼんやりと思い出して行く。

けど、結局は痛みに負けてその日はそのまま寝てしまった。

次の日、ぼんやりする事がおおい私でも、異変に気付く。

『みんなは?』

見覚えの無い研究員らしき人にそう訪ねたが、答えてはくれなかった。
たった一人で連れて行かれた先は、知らない研究所。

今日からはここに一人で住めと言われ、私は勇気を出してみんなに会いたいと言う。

万里ちゃんや先生に会いたかった。

あの場所に戻りたかった。

その願いは結局、叶う事は無かったけど。

後から知らされたのは、もう私の仲間だったみんなはこの世にはいない事。

私は、この街に住む大人達にとって道具以下の実験動物にしか見られていなかったという事。

先生の言葉や優しさは、嘘だったのだろうか。

どのみち私にそれを知る術は無かった。追い求める力はなかった。

地獄としか言いようの無い実験生活の中で、私は次第にただ生きているだけものへとなっていったから。

唯一残ったのは、ちいさな疑問。

どうして、先生は私たちを助けてくれなかったんだろう。

どうして、先生は私達を使い捨てたのだろう。

あの日々は、嘘だったのだろうか。

『……………』

そうして、いつしか私は道具になる。

新しい拠り所に辿り着く。

そして、今――――



――――――



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:49:09.34 ID:FReWHgCe0<>




木山「そん、な……」

明らかに狼狽した様子の木山春生から漏れたのはそんな弱々しい言葉だった。

そこに浜面と対峙した時に見せた威圧感など欠片もない。

あるのは目の前の光景を容認し難いような、
そんな表情を浮かべながら幽鬼のように足を踏み出す女の姿だ。

しかし、その一歩は響いた激鉄の音に阻まれる。

木原「おっと止まれだ。それ以上近付くと『ガキ共』が死ぬぜ?」

言葉と共にバンから飛び出したいくつかの黒い影がその手に持つ銃身を身動きのとれない滝壺へと向ける。
木原数多の言葉とその部下であろう戦闘員の動きだけで、全てを人質にとられた木山春生の動きは封殺された。

滝壺「せん、せ……」

木山「滝壺……っ、どうして」

木原「ぎゃはははは。大方幻生のジジイから死んだとか聞かされてたんじゃねぇーの?
   あぁ、んだよその顔は当たりか。そう、この街で生きてたんだよお前の教え子はよぉ!!」

嘲笑らう声が白衣の男から撒き散らされる。
その言葉で、ようやく地に伏せた浜面にもこの突飛な状況の一端が垣間見えてきていた。

浜面「……まさか、まさか滝壺がそうなのかよ!」

復讐だと。木山春生は140万人もの学生を巻き込んで作り上げたこの惨状の目的をたった一言で済ました。

全ては自分達の生徒達を貶め、殺された生徒の仇を取り、救う為に仕組んだ事だと。

しかしその殺された生徒は生きていて、それは滝壺だった。
だとするならばこの復讐劇の半分は、とんだ茶番劇へと成り代わる。

木山「間違えるものか……間違えるわけがない……!」

返された言葉に含まれるのはうろたえる声。
その声に木原が笑う。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:50:05.87 ID:FReWHgCe0<>



木原「そうさ、間違えるわけがねぇ。
   自分が主導した実験に巻き込んだ生徒の顔だ。忘れるわけがねぇよなぁ?」

木山「貴様……ッ」

留まっていた木山の足が一歩踏み出される。
共に放たれた暴風のような威圧感は木原数多の嘲笑によって現れた木山春生の感情そのものだろう。

しかし、だというのに木原数多は尚も笑い、

滝壺「…………来ないで」

この瞬間、今にも殺されてもおかしくない少女は拒絶の言葉を放つ。

矛先は、

滝壺「いや……いやっ!! ……こないで」

木山「……ッ!」

歩みより自らに手を伸ばすかつての恩師に対して向けられていた。

木原「く……ぎゃははははははははははははははははははははははははは」

それは何度目の嘲笑だっただろう。木原の目にはここで起こる事全てが最高に笑える喜劇に見えているに違いない。

対する木山春生は悲劇でも目の当たりにしたかのような瞳で、恐怖に見開いた瞳で震えていた。

小動物のように怯え、後退る滝壺の視線をうけながら。

木山「たき……つぼ……」

纏った怒気も威圧感も全てが全て霧散する。たどたどしく踏み出した一歩に応するかのように滝壺の足が一歩、下がった。

黒に濡れた髪を揺らす少女が震えているのは、
その背に突きつけられた銃口のせいでは決してないだろう。

教え子だった少女との間に隔てるのは崩しようのない壁。拒絶の意。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:51:37.91 ID:FReWHgCe0<>



木原「なんで自分はかつての教え子にこんな顔を向けられているのかわかんねぇって顔だな。
   ひでぇ話だぜ? 本気で人でなしじゃねえかテメェは」

ニタニタと、動けない木山春生を嘲る木原はどこか白々しくそう言い放つ。

木原「当たり前じゃねぇか。テメェは自分の実験に巻き込んで生徒を殺し、
   生き残ったたった一人のガキを実験場送りにしたんだからよ」

木原「なぁ?」

滝壺「っ……」

その言葉は木山春生がこれまで何をしてきたかなど、
一切知らないであろう滝壺に言い聞かせるように放たれていた

浜面「テメェ……、まさかッ」

情報操作。

木山春生の言葉と木原数多の言葉の齟齬。
そして滝壺の反応を見ればそれは部外者である浜面にも一瞬で察する事が出来た。

生徒を目の前で奪われた木山に滝壺は死んだと情報操作が行われたように、
生き残り秘密裏に暗部へと送られた滝壺にも情報操作が行われていたのだろう。

お前の仲間はもういない。全ての原因は木山春生だと。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:52:27.41 ID:FReWHgCe0<>



滝壺「きやま、先生……」

そう呟いた少女の瞳には、一人しか写っていなかった。
滝壺にとって黄金の時代であった色褪せない過去。自分にとって全てであった仲間、居場所。

そして――

木山「…………滝壺」

滝壺「……どうして」

向かい合う二人に、その場にいる誰もが注視する。
なんとか言葉を割り込ませようとも、銃身を向けられていては浜面でもそれは叶わなかった。

浜面「…………ッ」

ここまで木原数多の行動を見ていればバカでも分かる。
どうして目の前の男はわざわざ滝壺を目の前に出し、こんな回りくどい事をするのか。

木原「く……ははっ」

ただ単に、面白いからだ。

仕組まれた喜劇。露になった茶番。
目の前の男はただ楽しむ為にこうして二人を引き合わせたとしか考えられない。

滝壺「先生は……私達を使い捨てたの?」

木山「ッ……!」

少女の揺れる瞳が、木山春生を写し込む。

滝壺「きやま先生は……私達をモルモットにしたの……?」

少女の震える唇から漏れでた言葉が、木山春生に突き刺さる。

木山「違う……違うんだ……私は……」

その視線に、言葉に木山春生は耐えられない。
二度と会えないと思っていた、二度と言葉を交わす事は出来ないはずだった少女が今目の前にいる。

あと少しを踏み出せば触れる事だって出来るかもしれないのに、なのに二人の距離は余りに遠い。

簡単な言葉では越えられない溝が、そこにはあった。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:54:12.60 ID:FReWHgCe0<>



滝壺「辛かった……あのあと一人ぼっちで、本当に辛かったんだよ?」

それも当然、木山春生は知らない。

今まで滝壺がどう生きてきたのか、どんな気持ちで生きて来たのか、
想像はついても決して知りえない。

滝壺「好きだったのに。みんなも、あの場所も……先生も」

木山「……わ、私だって」

滝壺「じゃあ! じゃあどうして助けてくれなかったの……?」

木山「っ、あ……!」

少女と女が振り返るのは、もう取り戻しようもない過去。
たった一人の思惑によって全てが台無しにされた木漏れ日の様な世界。

滝壺「あの時、苦しくて痛くて、それでも助けてって呼んだのに……」

少女の意識が過去へと潜る。
棺のような実験機に繋がれ、頭が割れるような痛みに襲われたあの悪夢へ、

思い出さないようにしていた痛みが、感情が、膨れ上がる。

滝壺「あの時、きやま先生を呼んだのにッ――!!」

瞬間、大気が小さく爆ぜた。

パチパチパチと、断続的に弾けるような音が途切れる事なく滝壺の周囲から鳴り響く。
巻き起こった小さな風圧は、滝壺の能力によるものだろうか――それはまるで積もりに積もった怨唆の声のようで、
静かに放たれるのは、あの日々を奪った者へ対する怒りでしかなかった。

浜面「やめろ滝壺! 少し考えれば――つッ」

木原「まぁもう少し待てやクソガキ。今止めたら興醒めだぜ?」

浜面「テ、メェ……」

叫んだ言葉は鼻先を掠めた銃弾によって遮られる。
どうあっても木原数多はこの茶番を続けさせるつもりらしい。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:55:36.62 ID:FReWHgCe0<>



浜面「滝壺……」

目の前に対する少女に普段の穏やかな面影は窺えない。
周りすら見えていない少女の胸にはかつての恩師に対する敬愛と憎悪と疑問が全て混ざりあっていた。

そして能力が自身の周囲に影響を与える程に感情を昂らせながらも、
表情に残るのはどこかその感情に全てを委ねきれていない戸惑い。

きっと本人でさえ目の前の状況をどう処理していいのかわかっていないのだろう。

冷静に考えてしまえば今の状況がどれほどおかしいかわかりそうなものなのに、
それほど滝壺にとって木山春生という人間は重いものだったようだ。

そうして、また大気が音をたて弾け飛ぶ。

滝壺「みんな……みんな死んだんだよ? きやま先生が……殺し……っ」

木山「滝壺っ」

滝壺「こないでっ!」

ぐらりと、滝壺の細い体が大きく揺れる。
御坂美琴との戦闘でその体は既に満身創痍だと言うのに、しかし少女は決して膝を折ることはしなかった。

額を押さえながら痛みを堪え、真っ直ぐに視線を伸ばし、空気の振動が加速する。
それは次第に大地を揺らし、風を生む。

滝壺「いやだよ……いやだ……どうして、先生……」

呟いた少女の瞳に僅かながら浮かぶのは、涙。

そして――――



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:56:09.34 ID:FReWHgCe0<>









パァン








<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:57:00.62 ID:FReWHgCe0<>


鳴り響いたのは、一発の銃声。

浜面「……な、」

木山「あ、……」

大気を震わしていた音が、大地が、ピタリと鳴りやんだ。
新たに生み出されたのは一瞬の静寂。

木山春生も、浜面仕上も、咄嗟に声すら吐き出せず、ただ呆然と見ている事しか出来なかった。

滝壺「……え?」

少女の膝が再び折れ、力なく崩れ落ちていくのを黙って見ている事しか出来なかった。

木原「そろそろ種明かしの時間だ。嬢ちゃん」

滝壺「……あ、や」

木原「テメエが自前でAIM拡散力場に干渉出来るのが分かったなら、もうここにいる意味もねえんだよ」

パァン

二発目が放たれる。

少女の背後から至近距離で撃ち込まれたそれは、
一発目と同じ様に正確に膝を撃ち抜き滝壺を地面に縫い付けた。

木山「き、さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

咆哮と共に大地が割れ、木山春生が跳躍する。
雷撃を撒き散らし1秒とも経たずに木原の眼前まで距離を詰めたが、
しかしそれ以上木山春生の怒りの矛が目の前の醜悪そのものの笑みを浮かべる男に届く事はなかった。

理由は、簡単だ。

滝壺の頭部に向かって突き付けられた何丁もの銃身。
それだけならまだなんとかなったものの、未だ余裕を崩さない木原数多の手の中には十数人もの生徒達がいる。



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:58:01.63 ID:FReWHgCe0<>



木原「セーフ、間一髪だなぁ木山ちゃん。一瞬でも触れたら三人程ハジこうと思ってたんだがよぉ」

木山「……ッ」

木原「オラいつまで睨んでんだ、よッ!!」

木山「ぐ、あッ……!」

木原「おー、わざわざ能力切ってんのか。そんなにガキ共が大事か! あぁ!?」

殴り飛ばされ倒れ伏す木山春生に対し、ニタニタと唇を吊り上げた木原数多はその細い体躯を蹴り続ける。

滝壺「……せ、んせ?」

その光景をどこか他人事のようにぼんやりと見つめる滝壺は、未だに現状が理解出来ないでいた。
じわりじわりと焼ける様な熱が脚部を襲い、桃色のジャージは次第に赤に染まっていく。

ぬるま湯に浸かったような感覚に浸らせる生温い液体が大地にしみ込んでいき、次第に感じるのは痛み。

痛い。動けない。どうして。

滝壺「……っ」

声にならない激痛が襲う中、ほんの少しだけ冷めた脳裏では慌ただしく言葉が駆ける。
欠片ほどの冷静さを取り戻した少女は、この状況を理解する為に思考する。

思考して、浮かぶのは疑問ばかり。

どうしてきやま先生がここにいて、どうして私がここにいる?
そもそも、ここはどこだ? 私は誰に連れてこられた? 
なぜ今になって目の前にきやま先生が? どうしてきやま先生は怒っているのだろう。
煽る様に私の後ろで言葉をまき散らしていたのは誰だろう?

滝壺「……つ、ッ」

分からない。

木原「お前もこの女も幻生のジジイに騙されてたんだよ。バーカ」

木山を蹴るのにも飽きたのか、いつの間にか少女の目の前にまで迫ってきていた
顔面刺繍の男は嘲る様にそう言い放ち腕を振りかぶる。

滝壺「あ……」

木原「最後にいい夢見れたか? 嬢ちゃん」

ズドンと、鈍い音が頭の中まで重く響いた。

そこで滝壺理后の意識は再び途切れた。


<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 00:59:26.72 ID:FReWHgCe0<>


木原「オイ、運べ」

脚部を血に濡らしぐったりと意識が抜けた少女に目もくれず、
木原数多は黒に包まれた自分の部下達に命令する。

木原「つー訳でこのガキと……はッ、コイツも貰ってくからよ」

そう言って手の中で玩ぶ様に転がしたのは、今や唯一残った能力体結晶。
浜面が所持していた体晶のファーストサンプル。

浜面「……こ、の」

それは浜面仕上にとって最早無くてはならない物で、それは目的の為の最後の一手だ。
後一歩でインデックスに届くというこの場面で易々と奪われる訳には行かない。

行かない、が。

木原「おー、動けよ。死にたいなら奪いにこい」

言葉と共に殺意すらない機械的な動きで浜面に突きつけられたのは細い銃身。
能力も歩く教会もない身一つの浜面にとっては、それは一発撃たれたら終わる致死の武器。

浜面「……っ」

動けない。

木原「かーっ、無様だよなぁ木山ちゃん。結局テメェはまーた奪われるって訳だ。
   100万人巻き込んどいてなんの為の多重能力だよ全く。俺ならもうちっと上手く使うぜぇ?」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 01:00:12.36 ID:FReWHgCe0<>



撤退の準備を始める部下達を無視し、今も倒れる木山春生を見下しケラケラと木原が笑う。

木山「き、さまは……何の為に、あの子達を」

木原「何のため? 読心系の能力でも使えよんなもんはよぉ!!」

木山「ぐ、ぅッ!!」

一撃。重い蹴りが木山の腹部へと放たれる。
どうやら能力は全解除しているらしい。殊勝な事だ、と木原は更に笑う。

木原「まぁその『読心能力で読めたらの話』だけど、なッ!!」

くつくつと小さな声を漏らし、更に暴力は加速する。
苛立を晴らすかの様に執拗に何度も何度も蹴り続け、対し木山はなんの抵抗も出来なかった。

抗う力はこの場にいる誰よりも持っているはずなのに。

それでも子供達を一人も傷つけずにこの男を殺す事は出来ないと、
すでに木山春生は得た超演算による結果は導きだされていた。

木山「ぅ、あッ……!!」

なら、今はもう何もする事が出来ない。嬲られ続ける事しかできない。

少しでも抵抗の素振りを見せれば……言ってしまえばここで何かを口にしただけでコイツは
ワンアクションでどこにいるやも知れない子供の頭を撃ち抜くかもしれないのだ。

痛感する。木原数多、学園都市最高峰の研究者。

コイツを敵に回すには、自分は大切な物を余りに多く奪われすぎた。

木原「あー、飽きたわ」

嬲り続けるのも単調に感じたのか、木山の白衣が朱に染まり始めた頃ようやく暴力の雨は止む。

木原「そろそろ行くか。たくッ、140万人のガキ道連れにしたっつうから
   どんな外道かと思いきやこれだぜ。嫌になるねえ」

木原「せっかく仕込んで来た『対策』も無駄になるってんなら
   苛つきすぎてガキなんざ皆殺しにしてる所だ」

何がこうまで木原数多の逆鱗に触れたのかは、本人にしか知り得ないだろう。
内に溜まる不快感を隠す事無く、木原数多は毒の様な言葉をまき散らし黒塗りのワゴンに乗り込む。

滝壺理后を乗せたその車両に。

木原「まぁそう言う事だからよ。返して欲しけりゃ自力で来いよ多重能力者。
   俺の気分次第じゃ一匹ぐらいならまだ見れる形で引き渡してやるよ。ぎゃはははははははははは!!!」

<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 01:00:41.29 ID:FReWHgCe0<>


――――――――――――


浜面「……」

取り残されたような静けさと喪失感だけがそこにあった。

持っていかれた。

インデックスにたどり着く為の手段を、何もかも奪われた。

体晶のファーストサンプルも、滝壺も、全て。

浜面「く、そぉッ!」

まるで八当たるように、力に任せて大地を叩く。
応じるかのように鈍い熱がじわりと拳に返ってきた。

浜面「なんなんだ……なんなんだよアイツは!!」

大地が陥没し、樹木が倒れ、荒れ果てた駐車場で吠えたそんな叫びに答える物は誰もいない。
まるで災害にでも遭ってしまったかの様に全てを巻き込み全てを台無しにされてしまった。

悔しさと無力感がこみ上げる中、呟いたのはその場に倒れるもう一人。

木山「木原……数多」

浜面「……なん」

木山「木原数多。その頭脳ならこの街にでも右に出る者は誰一人としていない。
   学園都市で最も優れた研究者さ……」

あれほど暴力に晒されたのが嘘の様にすんなりと起き上がった木山春生は、
血塗れた白衣を脱ぎ捨て乱れた髪を掻き上げる。

浜面からはその小さな背しか見えなかったが、
染み付いた血の痕があったものの、体に傷などは一つもなかった。

木山「…………」

浜面「……アンタは、これから」

浜面「…………」

僅かながらに、声が途切れる。
訪ねたい事は沢山あったが、その震えた背に言葉を投げるのは少しばかり躊躇われた。
掠れる様な声が返って来たのは、数十秒後。

木山「……水穂機構病院へ戻る」

浜面「……追わないのか」

言って、浜面は後悔する。
瞬間、木山を中心に巻き起こったのは烈風。
熱を持つ余波が浜面の体を叩き、振り向いた木山春生との視線が交差する。

木山「追うに決まっているだろう……ッ!!!」



<>
◆v2TDmACLlM<>saga<>2012/05/24(木) 01:02:04.69 ID:FReWHgCe0<>

浜面「……悪い」

視線に込められた威圧感を当てられただけで、萎縮してしまう程の眼光。
そう、生徒の為にこの女は人生を賭けて来たのだ。

諦める訳が無い。

木山「すまない……君に当たる事ではないな。今は、追っても無駄なのさ……
   木原数多を真っ先に殺そうとしても、子供達を真っ先に助けようとしても、必ず犠牲を出してしまう」

浜面「…………」

木山「今は、戻るよ……もしかしたら助かった生徒がいるかもしれない」

いるはずも無いだろう。なんて言葉は言えなかった。
そんな事は、本人が一番分かっているはずだから。

木山「君は……待っているといい。
   滝壺の事や、いろいろと聞きたい事も多いが、それは全て終わってからにしよう。」

浜面「…………」

木山「必ず、取り戻す」

そう呟いて、女は一歩を踏み出す。
次の瞬間には、その姿はまるで始めからいなかったかの様に掻き消えていた。

おそらくはテレポートだろう。

浜面「…………」

木原が去り、木山が去り、そこに取り残されたのは浜面だけだ。

手元には、もう何も残っていない。
切り札も、手がかりも、道しるべも、なにもない。

浜面「…………」

言われた様にこのまま待っていれば恐らく木山春生は無事に滝壺を、子供達を救い出し戻ってくるだろう。
いくら組織を率い学園都市で最も優れている研究者と言えど、
今の木山春生には先ほどの様な搦め手でも使わない限り敵いはしないはずだ。

そうすれば恐らく幻想御手のワクチンプログラムも無事手に入る。

待ってさえいれば、それで――

浜面「……取り戻すさ。待つだけ何ざごめんだ」

誰に言うでもなく少年は立ち上がる。
そう、例え無事に救い出せたとしても、それが夕刻を超えてしまえば意味が無い。

インデックスは今日、限られた時間の中で救い出さなければいけないのだから。

浜面「こんな所で、ここまできて諦めてたまるかよ」

その為に必要なものならば、何が何でも取り戻す。
決意を固め一歩を踏み出した少年は次第に駆け足となって走り出す。

向かう先は決まっていた。

向かう敵も、決まっていた。

浜面「木原、数多……っ!!」



<>
◆v2TDmACLlM<>sage<>2012/05/24(木) 01:09:52.83 ID:FReWHgCe0<>

おわり。予告ぶっちになってごめんね。gwなんてなかったよ。

予定じゃあと半分ぐらい書きたかったんだけど流石に
これ以上期間空くとあれんなんで今回は予告無し……いろいろすまん。

滝壺と木山せんせーは体晶繋がりで捏造満載。
過去話挟もうともしたけどちょっと洒落にならんぐらい長くなったのでカットです……
アニレーで脳内補完してくれると嬉しいなって。

ちょっと説明不足で「?」状態多いかもだけどそれも次回で……

おやすみ

では
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/24(木) 03:36:44.46 ID:pf2xuvmIO<> ウォォォオオオォォオオォォォオォォォオオォオォオォォオォォォツ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/24(木) 08:41:05.73 ID:Wnm3BtjXo<> 乙
万里じゃなくて絆理な <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<><>2012/05/24(木) 11:43:42.86 ID:zrEmSU8AO<> 乙!! 木原クン外道安定してて良かた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/05/25(金) 07:05:59.80 ID:AiG/vi3Ko<> 乙

>>180
絆の理は万里を隔てても喪われることはない―――いい名前だな
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/26(土) 03:35:10.03 ID:laJN2Ot50<> 作者、超乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<><>2012/05/30(水) 20:32:39.24 ID:fhx+VLyA0<> 乙乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<><>2012/06/08(金) 07:10:13.80 ID:yVBlGgbAO<> 待つぜよぜよ…! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/08(金) 07:35:25.19 ID:ySPg8QiG0<> まだかな? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/13(水) 22:54:00.67 ID:ewLdsqqNo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<><>2012/06/14(木) 17:57:01.47 ID:oUFOGUJAO<> 主どのー!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<><>2012/06/24(日) 13:35:26.21 ID:pXhfMK9AO<> あれから1ヶ月か…! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/24(日) 15:16:11.33 ID:7rvm/XjXo<> なんなのお前

なんなの <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/24(日) 16:54:28.99 ID:mZLSqreY0<> 確かにおかしいとは思ったんだけど本当にやめてくれ、頼むから <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/06/24(日) 18:17:38.81 ID:+M7lX2t1o<> 関西・北陸に何回反応してんだお前ら <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/07/03(火) 00:00:41.86 ID:fBRrRuXx0<> >>1だと思った?残念!木原くんでした☆

スン↓ マセ―――――ン↑!!!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(富山県)<>sage<>2012/07/03(火) 00:08:45.55 ID:JFWHzgxKo<> 反応したら負けな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/07/03(火) 00:14:40.79 ID:V8E0wmlVo<> >>194
いの一番に反応しちゃってる件
……まあ>>1もそのうち来るでしょ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<><>2012/07/03(火) 11:14:58.47 ID:3gXB3f1m0<> まってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チリ)<><>2012/07/05(木) 16:19:14.09 ID:XF2psyHD0<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/05(木) 17:33:00.92 ID:T3/oRwug0<> 多彩能力意味ねーな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/10(火) 07:14:57.78 ID:L3XRlqzc0<> ああ、いみねーな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>life-leave-to-chance@i.softbank.jp<>2012/07/10(火) 13:31:55.88 ID:hi9OdECIO<> 最初から一気に読んだ
何これめちゃくちゃ面白い
これからも頑張ってください <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/10(火) 14:39:07.89 ID:Xh0l7i8IO<> おい、メ欄にはsage以外入れるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(四国)<>sage<>2012/07/10(火) 15:17:49.62 ID:fCskDrcAO<> >>200
って!お前の携帯のメルアドモロバレになってんぞ!凸してるのいるんじゃねぇ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/07/11(水) 13:16:58.56 ID:mfPjY8ZL0<> やっちまったー
どうしよー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 11:45:28.60 ID:m7Qs7O0zo<> 目欄って言い方がよくないのかねえ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/16(月) 11:12:10.21 ID:RLYztzte0<> 待ってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/17(火) 07:00:00.70 ID:UtRr/Cw30<> 名前は間違っちゃいけんな

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(四国)<>sage<>2012/07/17(火) 18:16:05.68 ID:qLXqVK2AO<> 生存報告だけでもしないとそろそろヤバいのでは <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<><>2012/07/18(水) 00:21:06.10 ID:kJTX2i560<> 2ヶ月音沙汰なしか… <> ◆v2TDmACLlM<>sage<>2012/07/18(水) 00:21:19.08 ID:JFCbX8EAO<> あーまじか。いやすまんいまちょっと本気で書く時間とれない状態続いてるからまだ更新できない。

再開する一周間前ぐらいにはアナウンスいれるからそれまでなんとかなんとか……

申し訳ない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/18(水) 03:00:59.48 ID:mUbV2MLIO<> 押忍 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/18(水) 07:12:16.14 ID:G+LrSm5Oo<> 把握 <> VIPに代わりましてVIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/07/19(木) 15:50:52.49 ID:mphH7rre0<> ちくしょう、期末テスト悪かったよ・・                                こういう時はssをみるに限る <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/21(土) 05:37:54.23 ID:t+bXzgpv0<> 待ってるぜ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2012/07/30(月) 00:44:49.99 ID:/xAIbsMj0<> いつまでもwktkして待ってる <> 214<>sage<>2012/07/30(月) 18:07:24.65 ID:/xAIbsMj0<> ごめんなさい。ageてしまいました。半年ROMります。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/30(月) 22:09:06.30 ID:5zBKbqZDO<> 一気読みした
いままでこんな名作をスルーしていたなんて…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/08/03(金) 13:47:11.56 ID:o8Bi2w7K0<> 再構成、エタ律高いな
心肺 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/08/04(土) 17:56:26.17 ID:ZgqTcy0n0<> 俺はおまえの誤字が心配 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/08/05(日) 23:49:22.37 ID:r7KTFfuT0<> >>217 何が熾き手光綯った <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/08(水) 15:32:28.83 ID:vsUgC3a80<> >>219 落ち着け <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/15(水) 14:30:51.12 ID:pky0GoHRo<> Z <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/18(土) 16:30:29.30 ID:HYJDkHzE0<> のんきに待ってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/29(水) 22:58:19.44 ID:HasKtMC5o<> 99 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage<>2012/09/03(月) 12:52:00.99 ID:xY1p0YdAO<> もうこないよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2012/09/03(月) 21:20:58.69 ID:oO4OtNbs0<> いつまでも待ち続ける……ッ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/03(月) 21:23:06.99 ID:c2ATpW/Jo<> もう再構成スレも下火かね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国四国)<>sage<>2012/09/03(月) 22:01:41.37 ID:mzgmhUpp0<> 気長に待つさ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)<>sage<>2012/09/08(土) 18:56:01.23 ID:NUiEaSKAO<> 前回の生存報告から2ヶ月まで後10日 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/08(土) 19:18:42.90 ID:QNN6wzcFo<> またひとつ、禁書再構成スレが死んだか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)<>sage saga<>2012/09/09(日) 19:42:42.00 ID:mTmkp6890<> もともと>>1はゆっくりな方だから気長に待ってます。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/13(木) 17:28:17.74 ID:CsXpwZEJo<> 淡はくっついたらつまらんキャラになりそう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2012/09/14(金) 22:35:39.95 ID:lx7l3coR0<> 何かと思ったら白糸台の誤爆か <>