VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<><>2012/03/26(月) 01:38:40.34 ID:BN2r+rtG0<>エーベルージュ のSS総合スレです。
短編長編SSなんでも来い!振るって書き込んでください
また、SS投下の他にエーベルージュSSについての雑談、質問等に用いていただいても結構です

――――【当スレのルール】――――
・SS投下の際は全て書き溜めてから投下してください。
 また、投下に費やす時間が少なくなるようご協力願います

・他の人が投下している際はSS投下及び雑談、質問は控えましょう
 また前のSSが終わった後のSS投下は、30分程度間隔を開けて投下しましょう

・見ている人が不快になる可能性のある描写(エロ・グロ・鬱展開等)のあるときは
 注意書きをお願いいたします

・安価作品は控えましょう

・荒らしは全力でスルー。また、注意もなるべく柔らかい口調でお願いします

・認知度うpのためage推奨です

・ルールを守って楽しくSSを楽しみましょう

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1332693503(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>エーベルージュSS総合スレ VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2012/03/26(月) 01:40:25.87 ID:BN2r+rtG0<> 最初に服を選ぼう。
なるべくいつもと違って見えるようなものがいい。
あの人が見て驚くような服がいい。
タンスの中を引っかきまわして、とりあえずいい線行ってそうな服を見つけた。
念のために鏡の前で合わせてみる。うん。悪くない。これで行こう。

その次に髪型。
生来の癖毛は早めに起きたくらいじゃ直らない。
でも今日は、その跳ねたところをさらに強調する感じにブラシでセットしてみた。
男は意外性に弱いからだ。

化粧はしない。ありのままの自分が一番だ。

服も髪もバッチリ。昨日練習した笑顔を忘れないようにしないと。
さあ、手紙で呼び出しておいたあの人のところへ急ごう。
恥ずかしくて差出人の名前は書けなかったけど、字を見ればきっと分かってくれているはず。

「悪いカレナック、待った?」
「お前かスタンベルクぁぁぁぁぁぁッ!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2012/03/26(月) 01:42:11.97 ID:BN2r+rtG0<> 今日は二人っきりのデートなのに、ナック君遅いですね……
 ひょっとして、何かあったんでしょうか?
「フェルデン!」
「あっ、ナック〜君。 こっちですよ〜」
「はぁっ、はぁっ、はぁ……
 さ、フェルデン、遅れてごめん」
「ナック君が遅れて来るなんて珍しいですね。
 何かあったんですか?」
「いや、今日デートだと思ったら緊張して、昨夜なかなか寝付けなくてさ……
 寝坊しちゃって……」
「はぇ〜、ナック君もですか」
「フェルデンも、あまり眠れなかったの?」
「いえ、私は全然眠れませんでした」
「だ、大丈夫なんですか?」
「私はこう見えても体力あるんですよ〜」
「はぁ…… でも、ごめんなフェルデン。
 学校帰りじゃない、初めてのデートなのに遅刻しちゃって……」
「ふぇ?
 確かにナック君は待ち合わせの時間に遅刻してきましたけど、デートには遅れてませんよ」
「えっ、それってどういう……?」
「ナック君。 待ってる時間もデートなんですよ♪」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2012/03/26(月) 01:44:20.60 ID:BN2r+rtG0<> ナックくんは犬に似ている。
 マルチーズのような愛玩犬じゃなくて、律儀にあたしに付き従う、例えば忠犬ハチ公に。

 そう思いついたその日の夜、当のナックくんに言ってみた。
「わん、って言って」きょとんとしているから、じぃっと睨んでみる。しばし言葉に詰まっていたナックくんだけど、大して時間も経たないうちに「わん」と小さく呟いた。
 噴き出したのはほぼ同時。ソファーで笑い転げるあたしと、舌打ちしながら苦笑うナックくん。
「まったく、お姫さまには敵わねーな」
 カーペットから立ち上がったナックくんは、執事がよくやるような、うやうやしい仕草であたしの手を取る。

 そのまま、引き寄せられて、くるりと回され落とされて、ナックくんの胡座の中にぴったり着地。いつのまにやらいつものポジション。文句を言う間もなく、後ろから首筋にキスされた。
 恋愛に主従関係があるとするなら、もちろん主人はあたしのはずだけど。「当たり前じゃないか」 そう、よね?
 それじゃ、あたしたちの周りに、あたしの服だけが、あたしの意志じゃなしに、散らばっていくのはなんでだろ。


「わん、って言ってみ」
「……わんっ、わんッ」

 なんでだろ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2012/03/26(月) 01:45:06.07 ID:BN2r+rtG0<> リンデルを見つけるにはどうしたらいいって?
そんなの簡単さ。
例えば、彼女と駅前での待ち合わせ。
ほんの30分ほど遅刻したとしよう。
こんなに慌てて、寝癖も直さず、雪に滑る足場にも負けずに駆けてきたってのに。
うんざりするような人ごみの中に、彼女が居る筈の場所だけがぽつん、と空白になっている。
それでも俺なら慌てない。
ふれあい橋なんていう恥ずかしい名前の歩道橋を駆け上がり。
群集に向かって、たった一言。
「リンデル!」
視界に入る、すべての人に聞こえるように。
それで終わりさ。
何事だろう、と、みんなが振り向く中、そっとうつむき、素知らぬ顔。
そんな天邪鬼がきっとリンデルだ。
「リンデル! あいし――」
「あんまり恥ずかしいマネしないでよっ!!」
彼女は文字通り飛んでくる。鉄拳と共に。
ほら、簡単だろう? <>