VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 13:49:52.15 ID:ROaGA6hS0<>VIP同名スレの焼き直し+続き
http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1337343334/

注意事項:スマプリなのにノマカプ

前スレ支援してくれた人には申し訳なかった
この場を借りて一応完結はさせておこうと思います

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1337402992(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>なお「入江会長ってかっこいいよね」れいか「!?」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 13:50:40.49 ID:ROaGA6hS0<>
【いつもの場所でランチ中】


キャンディ「クル?」バクバク

みゆき「んえ?」モグモグ

やよい「なおちゃん、もしかして……!?」キラキラ

あかね「おーおー。修学旅行のみゆきに続いて、今度はなおくんが好みのタイプを暴露してくれるん?」ニヤニヤ

れいか「…………」

なお「いやいや、単なる一般論だって。ウチの学校の男子じゃあ、多分人気ナンバーワンだよね?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 13:51:33.49 ID:ROaGA6hS0<>
やよい「そりゃあもう、見かける度にあちこちから黄色い悲鳴が聞こえてくるもん。ダントツだよダントツ」

みゆき「前に私たちがここでお弁当食べてる時、なおちゃんと一緒に助けてくれたことあったよね」

あかね「ほほーう、さてはあの時からすでに気になってたりしたんかー?」ニヤニヤ

れいか「…………」

なお「やだなぁ、だからそんなんじゃないってば」アハハ

なお「だいたいあの時だって、タイミング的に一緒に割って入ったってわけでもないし」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 13:52:04.10 ID:ROaGA6hS0<>
やよい「あの時会長、美化週間の見回りだって言ってたよね。うーん、そんなところも爽やか成分多目でカッコイイなぁ」

やよい(まあ、南光太郎の『男』ぶりには負けるけど)

あかね「これでもか、ってほどわっかりやすいイケメンやし」

やよい「優しいし! 背も高いし!」

なお「女子受けがいいのに男子からも人望厚いって、もはや反則だよね」

れいか「…………」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 13:52:44.54 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「へぇぇぇ……なんか完璧な人なんだね、生徒会長って! 王子様みたい!」キラキラ

あかね「ピーターパンが王子様のみゆきは黙っとき」

みゆき「えっ」

キャンディ「メルヘンランドには王子様がいっぱいいたクル!」キャッキャッ

あかね「あー、特に理由はないけどキャンディもついでに黙っとき」

キャンディ「えっクル」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 13:53:46.93 ID:ROaGA6hS0<>
なお「みゆきちゃんの言うとおり、いわゆる完璧超人なんだよね、入江会長って」

なお「だからさ、こう言っちゃなんだけど……何か一つぐらい欠点があったりしないのかな、ってふと思ったわけで」

あかね「せやなぁ。人間何かしらの欠点がないと、言い方悪いけどちょっと不気味やわ」

れいか「…………」

みゆき「私たちが朗読会のお手伝いした時は、病気してたんだよね?」

やよい「病弱属性……!」ハッ

あかね「アカン、それは欠点やなくて美点や。完全プラス要素やん」

なお「いやその理屈はおかしい」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 13:54:28.16 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「実は勉強が苦手だったりして!」

やよい「うーん」

あかね「それはないやろな」

みゆき「へ、なんで?」

なお「前回の定期テストじゃ、会長は確か全校一位だったはずだよ」

みゆき「ほえぇ……うう、私とは縁遠い言葉だなぁ……」ガクリ

キャンディ「キャンディもお勉強苦手クル……」ガクリ

あかね「ハイハイ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 13:55:35.47 ID:ROaGA6hS0<>
なお「そうだよね、れいか」

れいか「…………」

なお「れいか?」

れいか「……え、あ。そ、そうですね。入江会長はご入学以来、すべての定期テストで学年一位を取り続けていると伺ったことがあります」

みゆき「? それって、本人から直接聞いたの?」

やよい「だとしたら、ちょっと自慢しいだなぁ」ボソ

れいか「いえ、会長は謙虚な方ですから。今のお話は、生徒会の顧問の先生からの伝聞です」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 13:56:24.53 ID:ROaGA6hS0<>
あかね「わーお、こんなところでもミスターパーフェクト継続かいな。イケメンイケメンアンドイケメン、ってかぁ? そないな漫画の主人公みたいな」

なお「なんかここまでくると、意地でも短所見つけたくなっちゃうね」

みゆき「っていうかよく考えたら、会長のことなられいかちゃんに聞くのが一番早いに決まってるじゃん!」

あかね「うむ。みゆきにしてはええところに目を付けたな」ウムウム

みゆき「あかねちゃんヒドイ!」プンプン

やよい(ピーターパン事件以降、みゆきちゃん相手に恋バナ持ちかけにくいんだよね……もっとアレな発言が飛び出しそうで)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 13:56:59.29 ID:ROaGA6hS0<>
なお「れいかは、会長と一緒に仕事するようになって結構長いよね」

れいか「ええっと、まあ。確かにそうですね」

なお「……?」

あかね「それやったら表には出されんような会長の弱点の一つや二つ、押さえてるんとちゃうかれいかちゃーん?」サスリサスリ

れいか「そうですね……」フム

やよい「れいかちゃんが珍しく考えこんでる……やっぱり何もないの?」

れいか「いいえ。そういうエピソードがない、というわけではありません」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 13:57:28.92 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「おおっ!」

あかね「来た来た来たーっ!!」

なお「さっすが、付き合い長いだけのことはあるね」

れいか「……ただ」

みゆき「ただ?」

キャンディ「ただクル?」

れいか「会長本人のいらっしゃらない場所でこういったことを暴露してしまうのは、陰口のようであまり気が乗りません」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 13:57:59.18 ID:ROaGA6hS0<>
なお「うっ……それを言われると弱いなぁ」グサ

あかね「なんなん、ケチケチしとらんで教えてくれてもえーやんかー」ブーブー

やよい「れいかちゃん、お願い! ここまで聞いちゃったら、気になって夜も眠れないよー!」

れいか「……軽々しく口外しない、と約束してくれるなら」

やよい「します!」

みゆき「指きりげんまんしまーす!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 13:58:37.65 ID:ROaGA6hS0<>
キャンディ「針千本はやだクルー!」

あかね「角野卓○じゃねーよ!」

なお「そっちのハリセ○ボンじゃないでしょ!?」

れいか「ふふ……まあ、会長ご本人も隠しているような素振りではありませんでしたし、本当は目くじらを立てるようなことではないのかもしれませんが」

みゆき「ふむふむ」

れいか「それではお話しましょう。あれは、先学期の終業式が終わった後のことでした……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 13:59:27.74 ID:ROaGA6hS0<>
【生徒会室】


ガラガラ


れいか『失礼しま……まだ誰も来ていないようですね』

れいか『あら? 確かこれ、会長のカバン……一度来てから、どこかに行ったのでしょうか』

れいか『!』

れいか(開けっぱなしの口の隙間から、見覚えのある白い紙切れ。あれはもしかして、会長の通知表?)

れいか(……ちょっと、興味があります)

れいか『って、い、いけません青木れいか! このような行動は、副会長にあるまじき……!』フルフル
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:00:02.74 ID:ROaGA6hS0<>
れいか『…………』キョロキョロ

れいか『……少しくらいなら』ソーッ


ガラッ


会長『ん……やあ、もう来てたのかい』

れいか『!? かか、会長! おはようございます!』アセアセ

会長『おはようというには少し日も高くなってきたけどね。おはよう、青木さん』ニッコリ

れいか『うぅ』カァ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:00:31.36 ID:ROaGA6hS0<>
会長『ははは、いつも完璧な青木さんにしては珍しいね』

れいか『お、お恥ずかしいところを……』

会長『いやいや。たまには隙の一つも見せてくれないと、会長である僕の立つ瀬がないよ。それで、青木さん』

れいか『はい?』

会長『僕の通知表なんか手に持って、いったいどうかしたのかな?』ニコニコ

れいか『!!!』ハッ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:01:00.54 ID:ROaGA6hS0<>
れいか『あああ、ここ、これは……』ワタワタ

会長『ちょっと落ち着いて、青木さん』

れいか『も、申し訳ございません! つい、魔が差して!』ペコリ

会長『別に謝ってほしいわけじゃないんだけどね。純粋に、どうしてそれが君の手にあるのか気になって』

れいか『……言い訳にしかならないのですが、その……会長のカバンからこれが覗いていたので』

会長『ああ、そういうことか。さっき職員室に書類を届けてきたんだけど、それを出す時に閉じるのを忘れてたんだね、きっと』
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:01:29.77 ID:ROaGA6hS0<>
れいか『あの、本当に申し訳ございませんでした』ペコ

会長『いや、非は僕の方にこそある。気にすることはないよ』

れいか『しかし……』

会長『まあ確かに、誰かに見られると恥ずかしいものには間違いないんだけどね』ハハ

れいか『え?』キョトン

会長『せっかくだから、見てみるかい?』

れいか『え……ええええ!?』
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:01:58.52 ID:ROaGA6hS0<>
会長『泰然自若を画に描いたみたいな副会長にも、声を荒げるような日があるんだね』ホンワカ

れいか『それは、会長が突拍子もないことばかりおっしゃるからで』

会長『でも、見たいんだろう?』ニッコリ

れいか『…………う』

会長『だからこそ、それを手に持っていたわけだしね』

れいか『……闊達自在を画に描いたような会長にも、こんなに意地悪になる日があるとは存じ上げておりませんでした』ジトー

会長『これは、明日は雪が降るかもしれないね』ニコニコ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:02:24.60 ID:ROaGA6hS0<>
れいか『コホン、では失礼して』

会長(やっぱり見たかったんじゃないか)クスクス

れいか『国語5、数学5、社会5、理科5、英語5……さすがです、会長』

会長『青木さんだって学年一の秀才なんだ、このくらいの評点は得ているだろう?』

れいか『えっと、まあ。それは確かに、そうなのですが(というか、一応オール5ですし)』

会長『問題はその先でね……実技教科を見てごらん』

れいか『実技、実技、と…………あら』
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:02:51.22 ID:ROaGA6hS0<>
会長『技術家庭5、美術5、音楽5ときて』

れいか『…………体育、3?』

会長『ははは、そうなんだよ。僕は昔から、どうにも身体を動かすのが苦手でね』

れいか『それは……とても意外、ですね』

会長『そうかな? 君は真面目だから授業中に窓の外なんか見ないだろうけど、今度機会があったらよそ見をしてみるといい』

れいか『はあ』

会長『グラウンドで汗だくになってヒーヒー言ってる、飛びきりの運動音痴にお目にかかれるかもしれないからね』
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:03:23.47 ID:ROaGA6hS0<>
れいか『会長のそんなお姿、とても想像がつきません』

会長『いやいや、我がことながらひどいものだよ、実際。今年の体育祭なんて、「入江を勝負どころの競技に参加させるな!」が我がクラスの基本戦略だったぐらいさ』

れいか『まあ』

会長『先学期は筆記試験でカバーしたからどうにかこうにか「4」を貰えたけれども、今回はどうやらぐうの音も出ないほどに実技が悪かったらしいね』ヤレヤレ

れいか『ふふ……もう、会長ったらご冗談を』クスクス

会長『ははは。これが冗談だったらどれほど良かったことか』クスクス
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:03:50.08 ID:ROaGA6hS0<>

ガラガラ


書記『失礼します……あれ。二人とも早いですね』

会計『ホント。なんだか楽しそうですけど、なんの話してたんですか?』

れいか『あ、こんにちは。それが聞いてください、会長ったらおかしいんです』

会長『おいおい青木さん、恥ずかしいことは恥ずかしいんだから、あまり言いふらさないでくれよ……』ハハ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:04:15.85 ID:ROaGA6hS0<>
【現在】


れいか「ということがあったんです。おかしいでしょう?」クスクス

みゆき「…………」

あかね「…………」

やよい「…………」

なお「…………」

キャンディ「…………」

れいか「みなさん?」キョトン
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:04:44.11 ID:ROaGA6hS0<>
やよい「これって、どっちかっていうと」

みゆき「会長さんがどうっていうより、れいかちゃんの恥ずかしい話だよね」

れいか「……あ、あら?」

あかね「ちゅーか、なんかいちいちイヤミな話やわ。オール5が当然みたいに言いよって、これだから秀才サマは」ブーブー

れいか「ご、ごめんなさい……」ションボリ

あかね「あああ、なんでもかんでも本気に取らんでも、軽い冗談やて。れいかはホンマにマジメやなぁ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:05:33.80 ID:ROaGA6hS0<>
なお「でも、あたしたちにしてみれば雲の上の話には変わりないよね……はは」ズーン

みゆき「…………」←アベレージ2〜3の低空飛行

やよい「…………」←5は美術だけ

あかね「…………」←5は体育と家庭科だけ

なお「…………」←だいたいあかねと同じ

キャンディ「クル?」←?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:06:00.21 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「……なんというか、ごめんなさい」

あかね「謝らんといてー! 余計惨めになるだけやんかー!」ウワァァン

なお「でもまあ、面白い話だったね。お昼ご飯のお供にはちょうど良かったよ」ゴチソーサマ

やよい「会長のクラスの体育の時間、今度調べてみよっか」ウキウキ

みゆき「さすがやよいちゃん、悪よのう」ニヤニヤ

キャンディ「悪いのはいけないクル!」

あかね「ハイハイ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:06:28.00 ID:ROaGA6hS0<>

キーンコーンカーンコーン


なお「っと、予鈴だ」

あかね「アカン、話しこみすぎたわ!」バクバクモグモグゴッソーサン

みゆき「次の授業なんだっけ?」

やよい「えっと……あ、そうだ! 移動教室だよみんな!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:06:55.07 ID:ROaGA6hS0<>
あかね「うおう、そーいやそーだったわ! 急がんと廊下に立たされるでー!」

やよい「あの先生厳しいもんね……」

みゆき「キャンディ、カバンの中入って!」

キャンディ「えー! まだご飯食べたいクルー!」

みゆき「そんなの放課後にしてよ! ほらほら、急いだ急いだ!」


ワーワーギャーギャー


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:07:22.65 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「…………」

なお「れいか? れいかも急がないとマズイよ?」

れいか「あの、なお。少し聞きたいことが」

なお「ん?」

れいか「今日は、どうしてあんな話題を振ってきたの?」

なお「……あー。やっぱ、れいかにはわかっちゃう?」

れいか「ええ。なおの口から特定の殿方の話題なんて、今まで滅多に出なかったもの。何かあったんじゃないか、って疑うのは当然です」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:07:51.05 ID:ROaGA6hS0<>
なお「聞きたい?」ニヤ

れいか「……できれば」

なお「それが、さぁ」

れいか「…………」ゴクリ



なお「はるにね、小学校で好きな子ができたんだってー!」キャーキャー



れいか「………………はい?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:08:16.26 ID:ROaGA6hS0<>
なお「あれ、忘れちゃった? はるって、あたしの3つ下の妹なんだけど」

れいか「いえ、それはもちろん、覚えていますけれど」

なお「昨日浮かない顔して晩ご飯残したから、何事かと思って問い詰めたら……これがもう大当たり! 一つ上の、小六の男の子を好きになっちゃったんだって!」キャーキャー

れいか「はあ」

なお「それでさ、話を聞けば聞くほど、その好きな男の子ってのがウチの入江会長にそっくりなんだよねー。まあ、その子は運動もできるらしいんだけど」

れいか「はあ」

なお「だからまあ、深い意味はなかったんだよ。はるのことばっか考えてたら、連想ゲームっぽく会長の名前が口をついてたっていうか」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:08:45.26 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「……ほ、本当に、それだけ?」

なお「本当にも何も、他に理由なんてないよ」

れいか「本当の本当に?」ズイッ

なお「あたしが今まで、れいかにウソついたことあった?」

れいか「…………いいえ。そうよね、なおはいつどんなときだって、直球勝負ですものね。深い意味は、ないのよね」ホッ

なお「……?」

あかね「おーい! 何しとんねん幼馴染コンビー! ホンマに授業遅れてまうでー!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:09:21.52 ID:ROaGA6hS0<>
なお「やっば。ほら、急ごうれいか!」

れいか「あ、はい! 今行きますね、みなさーん…………ふぅ」



やよい「……おや? れいかちゃんのようすが……?」キラーン

みゆき「へ? やよいちゃん、なんか言った?」

やよい「これはもしかすると、生徒会長の時間割よりも優先すべき調査事項ができたかも……!」メラメラ

みゆき(ダメだ。やよいちゃんがなんだか遠い世界に行ってしまわれた)

キャンディ(うう、全然食べ足りないクルー)グーグー
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:09:49.63 ID:ROaGA6hS0<>
【放課後 会議室】


ザワザワ


れいか「……時間です。ご静粛に願います」


シーン


れいか「はい、ありがとうございます」ニコ

れいか「それでは○○年度第三回、委員長定例会議を執り行います。僭越ながら本日の議事の進行を務めさせていただきます、副会長の青木です。どうぞよろしくお願いいたします」ペコ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:10:17.14 ID:ROaGA6hS0<>

パチパチパチ


れいか「皆さんのお手元に進行表は行き届いているでしょうか?」キョロキョロ

れいか「……はい、大丈夫のようですね。ではそれに沿って、各委員会のご意見ご要望に会長が応答する、という形式で進行して参ります」

会計(さすが青木先輩、堂々としてるなぁ)ヒソヒソ

書記(もしかしたら会長よりよっぽど会長らしいかも)ヒソヒソ

会長「…………」ニコニコ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:10:46.51 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「それではまずは、放送委員会から……」


【20分後】


美化委員長「……というわけですから、校門前の花壇の世話は現在、有志の生徒にお願いするという形になってしまってます。全校生徒の花壇だという意識を改めてもらうためにも、各クラスに当番制を導入するべきだと思います」

れいか「美化委員、ありがとうございました。では会長」

会長(……花壇の世話か。そういえば以前)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:11:16.75 ID:ROaGA6hS0<>

シャー


れいか『♪』ミズヤリチュウ

会長『やあ、青木さんじゃないか』

れいか『ああ会長、おはようございます』

会長『どうして君がこの花壇の水やりを?』

れいか『実はクラスの美化委員の方が、部活の朝練が入ってしまったとかで』

会長『それで君が引き受けちゃったのか……青木さんらしいね』

れいか『いえ、そのようなことは』

会長『どれ、僕も手伝うよ』

れいか『え? そんな、会長のお手を煩わせるほどのことでは』

会長『副会長のお手を煩わせてるのに、猫より暇な会長の手を借りていけない道理はないだろう?』

れいか『まあ、会長ったら』フフ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:11:44.76 ID:ROaGA6hS0<>
会長(あれからも何度か、花壇の世話をしている青木さんを見かけたな。本人は好きでやってるんだろうけど)ジー

れいか「……あ、あの、会長? 美化委員への回答を……その、できればお早めに……」モジモジ

会長(とは言え、事は全校生徒に関わる問題……と言ったら大げさだけど、私情を優先させるのもな……)

会長「ああすまない、副会長。お話はわかりました」ガタ

れいか「…………」ホッ

会長「生徒への意識づけという点で、美化委員の提案には僕も賛成です」

会長「しかし前触れもなく義務付けという手法を取っては、納得できないクラスも出てくるでしょう」

会長「そこで、玄関口の掲示板を使って本件の内容を掲示し、合わせて目安箱を設置することで全校生徒の意見を募る、というワンクッションを挟むのが適切なのではないでしょうか」

会長「美化委員、どうですか?」

美化委員長「あ、はい。その通りに進めてもらえると助かります」

会長「それでは生徒会の方で、掲示板の使用許可を取ります。掲示内容は生徒会と美化委員で個別に詰めていきましょう」


パチパチパチ


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:12:12.19 ID:ROaGA6hS0<>
会長「ふう。君はこれでも良かったのかな、青木さん」

れいか「それはもう。見事なお裁きでした、会長」

会長「……そういうことじゃあないんだけどね」ハハ

れいか「?」

会長「なんでもないよ、進行を頼むね」

れいか「……? それでは続いて、文化委員お願いします」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:12:43.39 ID:ROaGA6hS0<>
【一時間後】


れいか「……はい。それでは本日の会議を終了いたします。皆さん長時間お疲れさまでした、ご退出くださって結構です」


パチパチパチパチパチ ガヤガヤガヤ


会計「充実した会議になりましたね」

書記「その分、書記は腕がパンパンになるほどペンを走らせましたけど」ハハハ

会長「みんなお疲れ。それじゃあ生徒会は、残って会議室の後片付けだ」

会計「はーい」

書記「うう、もうひと踏ん張りかぁ」

れいか「…………」チラッ

れいか(4時50分。時間があったらひみつ図書館でみんなと合流する予定でしたけど……この分では無理そうですね)

会長「青木さん」

れいか「……あ。申し訳ありません、すぐに取りかかります」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:13:18.95 ID:ROaGA6hS0<>
会長「ああいや、そうじゃなくてだね」スタスタ

れいか「? 会長、ドアがどうかいたしましたか?」

会長「遠慮せずに入ってきてくれて構わないよ、君たち」ニッコリ


……ガラ


みゆき「…………たはは。あっさりバレててはっぷっぷー」

あかね「ムリに『呼ばれて飛び出て』のノリに合わせへんでも」ビシ

やよい「くっ……気配を悟られた!? やはり生徒会長、タダ者じゃあない!」クワッ

なお(時々やよいちゃんのノリについていけない)

れいか「み、皆さん? どうしてここに?」

みゆき「いや、ただなんとなく……れいかちゃん何してるのかなーって」

あかね「会議が長引いとるっちゅーから外で待っとったんやけど」

やよい「委員長さんたちがゾロゾロ出てきたからそろそろ終わりなのかな、って思って」

なお「はは……中に入ろうか入るまいか、迷ってるうちに会長にバレちゃったってわけ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:13:56.02 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「……もう。生徒会は遊びの場じゃないんですよ?」メッ

みゆき「あ! 倉田くんに寺田さんだっけ? ウルトラハッピーしてるー?」ノシ

会計「ど、どうも」

書記「お久しぶりです」

れいか「人の話を聞いてくださいみゆきさん……会長、重ね重ね申し訳ありません」ハァ

会長「君が気にすることでもなければ、彼女たちになんらかの非があるわけでもないと思うけどね」

れいか「しかし……」

会長「それよりも。今の話を聞く限り、彼女たちが朗読会を手伝ってくれた……?」

みゆき「2年2組の星空みゆきです!」

あかね「同じクラスの日野あかねゆーもんですー」

やよい「お、同じく黄瀬やよいです」

なお「緑川なおです、はじめまして」

会長「ああ、やっぱりそうか。以前、昼休みに中庭の東屋で会ったね」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:14:25.36 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「あんなに前のこと、覚えてるんですか!?」

会長「別にそんな、驚くようなことでもないと思うけれど」

あかね「いやー、ウチやったら忘れとるやろな」

やよい「うんうん。現に私、あの時絡んできた先輩の顔覚えてないし」

なお「Oh……今日もやよいちゃんのジョークはきついぜ……」

れいか「……コホン。皆さん、話が脱線していますよ」

会長「おっと、青木さんの言うとおりだ。改めまして、生徒会長の入江です。先日の読み聞かせ会では生徒会のみんなが大変お世話になったようで」

あかね「いやぁそれほどでも」

やよい「ありますけどね!」フフン

あかね「ってオイ!」ビシッ

会長「ははは。僕の体調管理の悪さを押し付けるようなかたちになってしまって、本当に申し訳ない」

なお「そんな、謝ってもらうことなんてないですよ。私たちが好きでやったことですから」

みゆき「そーそー。それに、れいかちゃんと仲良くなるいい切っかけになったし! 結果オーライですよー!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:14:51.57 ID:ROaGA6hS0<>
会長「そう言ってもらえると助かるよ。僕の方からお礼に伺うべきだとは思っていたんだけど……結果的に、そちらに足を運ばせることになってしまったね」

れいか「……皆さん、会長はここのところとてもご多忙だったのです。どうかご寛恕いただけないでしょうか」

みゆき「いやいや、だから私たち気にしてなんか……っていうか、『ゴカンジョ』って何? カンノワノナノコクオー?」ハテ

れいか「それは後漢書東夷伝です」

会長「青木さん、そんなのは言い訳にもならないよ。この場を借りて、しっかりと筋は通しておかないとダメだ」

れいか「はあ」

なお「そうですね! それはすっごく大事なことだと思います!」

あかね(なおがイキイキしはじめよった。『筋』に反応しよった)

やよい(初登場時の超絶イケメンぶりが今となっては懐かしいなぁ)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:15:19.60 ID:ROaGA6hS0<>
会長「……コホン、では。星空さん、日野さん、黄瀬さん、緑川さん」

みゆき「は、はい!」ビシィ

あかね(うおっ、なんやこの声で名前呼ばれると背筋伸びるわ)キリッ

会長「それに倉田くん、寺田さん、青木さんも」

れいか「…………」

書記「あ、え」

会計「は、はい?」

やよい(あ、そういえばいたんだっけこの二人)

なお(ねえそのキャラで通すつもりなのやよいちゃん? 黒瀬やよいなの? 口に出さないことだけが唯一残された良心のかけらなの?)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:15:54.57 ID:ROaGA6hS0<>
会長「ありがとう、みんな。七色が丘中学生徒会長として、今回の不始末について、心からのお詫びと感謝を申し上げます」ペコリ

みゆき「どどど、どういたひまして!!」ペコリ

あかね「噛んどる噛んどる」

なお「か、会長に頭下げさせちゃったよ……」アセアセ

会長「特に青木さんにはあの時期、迷惑の掛け倒しだったね。大変だったろう?」

れいか「会長……私は、副会長として当然の責務を果たしたまでで……そんな、そんなことは……」モゴモゴ

やよい(……ほほう?)キラーン

みゆき「でもでも、会長の代理で先頭に立ってるれいかちゃん、すごくカッコよかったよ!」

れいか「みゆきさん……」

会長「だろう? それに引きかえ僕は、大事な時にノックアウトされて、本当に情けない生徒会長さ。これは次代への交代についても、真面目に考える時期に来ているのかも……」

れいか「!!」


ガタッ


れいか「そんなことはありません!!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:16:21.27 ID:ROaGA6hS0<>
会長「あ、青木さん?」

れいか「会長は誰よりもご立派に職務を務め上げておられます!」

れいか「強きをくじき、弱きを助け、上下の意を扼し、陋習に囚われず、常に向上心を抱く!」

れいか「上に立つ者の何たるかを満身で体現なさっていること、私は誰よりもよく知悉していると自負しています!」

れいか「私は、私は……!」



れいか「会長のお側にいられることを、誇りに思っています!」 
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:16:55.30 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「……はぁ、はぁ……あら?」


シーン


れいか「……………………………………っ!? わ、私、今何を……!?」ダラダラ

あかね「」ポカン

なお「こんなれいか、初めて見たよ……」ポカン

みゆき「なに言ってるのかほとんどわかんなかった……」ポカン

れいか「あ、ああ、ああああ」カァァァァァ

やよい「ふむ、ふむふむ! ふむふむふむふむ!!」メモメモ

れいか「何をメモメモしちゃってくれてるのですかやよいさん!?」

会長「……はは」

れいか「え?」

会長「こんな風に、いつでも僕のことを立ててくれるんだ。本当に、僕には過ぎた副会長だよ」ニッコリ

れいか「あ、え、あ、いやその………………ふふ、またまた会長ったら、謙遜なさって」ニッコリ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:17:36.21 ID:ROaGA6hS0<>
あかね(絶妙なタイミングで絶妙なフォロー行ったぁぁぁ!!! サンキューイッリ!)グッ

会長「でも、今のは少しお世辞が過ぎるかな。あれじゃまるで僕は、完全無欠のスーパーヒーローか、はたまた教科書の中の治天の君じゃあないか」

みゆき(チテンノキミってなんだろな、ものすごく頭がいいのかな)

会長「ちょっとどころじゃなく、僕には荷が重すぎるよ青木さん」ハハハ

やよい「そ、そうですよねー。会長はスーパーヒーローって柄じゃないですよねー」アハハ

会長「おっと。女の子の口からはっきり言われてしまうと、それはそれで男として忸怩たるものがあるね」ハハハ

なお「……運動音痴、ですもんね」クス

れいか「なおっ!!」

なお「おっとしまった」

会長「……青木さん、バラしちゃったんだね?」

れいか「ご、ごめんなさい、ごめんなさい!」ペコペコペコペコ

みゆき「今日のれいかちゃんはなんか色々おかしいなあ」

れいか「誰のせいだと思ってるんですか!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:18:09.00 ID:ROaGA6hS0<>
会長「だから気にしなくてもいいんだって。なあ、倉田くん?」

書記「会長が中一のとき50メートル走で奇跡の12秒台を叩き出したって話なら、僕もとっくにクラスで広めちゃいましたけど」

れいか「倉田くん!?」ガビーン

みゆき「私より遅い……!?」

やよい(言えない……計測の度にこけて転んで転がって、前代未聞の『測定不能』を叩き出してしまったことなんてとても言い出せない……)

会長「ははは」

れいか「笑いごとではありません、会長……」



会計「私も。仲の良い子に『ここだけの話』って念押しした上で、会長が跳び箱三段を三連続でミスったってアレ、喋っちゃいました」テヘ

れいか「寺田さんまで!?」ガビーン

なお「ちなみにそれ喋ったのって、いつの話?」

会計「おとといの昼休みです」

あかね「あー、そりゃもうクラス中に広まっとると見て間違いないわな。学年中に感染するまでもって四日や」

会長「ははは、それはいい」

れいか「だからちっともよく……はぁ、もういいです」ガックリ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:18:48.44 ID:ROaGA6hS0<>
会長「そうそう。肩とほっぺたの力を抜いて、自然体で。その方が青木さんらしい」ニッコリ

れいか「……え」ドキ

会長「君がいつもみたいにおっとり笑ってくれないと、七色が丘中学生徒会は締まらないよ。なあ君たち?」

会計「ええ、私もそう思います。青木先輩が会長の隣でほんわかしてるの見ると、ほっとしますもん」

書記「ときどきですけど、会長よりも頼りになるなー、なんて思ったり思わなかったり」

会長「これはキツイなぁ」


ハハハハハ


みゆき「入江会長って、けっこう面白い人なんだね」ヒソヒソ

あかね「そらまあ、高級官僚じみたバッリバリにお堅いのを想像しとったわけやないけどなぁ」ヒソヒソ

なお「これまた、ちょっと意外な一面だったね」ヒソヒソ

やよい「…………」ジー



れいか「……会長」ポワーン



やよい「……ふふふのふ。これは面白いことになりそう」ニヤニヤ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:19:30.56 ID:ROaGA6hS0<>
【バッドエンド王国】


マジョリーナ「……ふふふのふ。なかなか面白いことになってるだわさ」ニヤニヤ

アカオーニ「どーしたオニかマジョリーナ?」

ウルフルン「元から気色ワリィ面がますますひどいことになってんぞ」

マジョリーナ「失礼な口を利くオオカミだわさ! これで敵情視察してただけだわさ」つ水晶玉

アカオーニ「おっ、俺様のポータブルテレビみたいオニ」

ウルフルン「あーん? お前こんな特技あったのかよ。アホみてえなアイテム作るだけが能じゃなかったのか?」

マジョリーナ「初使用回で青っ鼻を速攻役立たずに変えたアホオオカミに言われたくないだわさ」

ウルフルン「ああん!?」ガルルルル

アカオーニ「ホントのことだから仕方ないオニ。しかもその日のうちにしっかり対策までされて帰ってきて、後に続いた俺様たちは苦労させられたオニ」

ウルフルン「ぐ……」クーン

アカオーニ「それで? マジョリーナも朝のニュースを見る習慣がついたオニか? 世情を把握しておくのは今日日、悪役にとっても大事なことオニ」

マジョリーナ「アンタの右から左に抜けるだけのちくわ耳に、どれだけ朝のニュースが詰まってるのか怪しいもんだわさ……敵情視察っていったろう」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:19:56.61 ID:ROaGA6hS0<>
ウルフルン「敵……プリキュアか」

マジョリーナ「そう。今回はプリキュアの一人に目を付けて、その弱点を丸裸にしてやるべく情報収集中だわさ」

ウルフルン「はっ、まだるっこしいことを。んなことしなくても、真正面から八つ裂きにしちまえばいいんだ」

マジョリーナ「それでことごとく返り討ちにされてるくせに」

ウルフルン「んだとゴラァ!!」

アカオーニ「まあまあ。で、何かめぼしい手掛かりはあったオニか」



マジョリーナ「………………ま、それはこれからのお楽しみさ。ひーっひっひっひ!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:20:25.01 ID:ROaGA6hS0<>
【翌日 ひみつ図書館】


ドタドタ


やよい「あ、なおちゃん」

なお「ごめんごめん、洗濯物干してたら遅れちゃった……あれ、れいかは?」

みゆき「二階でキャンディと一緒に……」ユビサシ

あかね「……おかしなことやっとる」ユビサシ

なお「? どれどれ」ヒョイ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:20:52.54 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「……はぁ」クルクル

キャンディ「れいか! 机がビーズの海になってるクルー! メーカーを一度止めるクルー!」ワップウップ

れいか「…………はぁぁぁぁ」グルグルグルグルグル

キャンディ「れいかさぁぁぁぁんんん!?」クルー



なお「どうしたの、あれ」

あかね「さあ? ウチらが来たときにはもうあんな調子やってん」

やよい「ねえみんな、ちょっと試してみたいことがあるんだけど」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:21:19.37 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「……ふぅ」

キャンディ「」ピクピク

れいか「あら、キャンディ。そんなところでビーズと戯れて、イタズラはいけませんよ」フフ

キャンディ(もはや何も言うまい)ピクピク



あかね「なーなーやよいー。ウチこないだ、ひっさびさにドラ○エ7始めてんねんけどな」

なお(チョイスに年季を感じるなぁ)

やよい「それがどうかしたの、あかねちゃん?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:21:48.55 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「あかねさんにやよいさん……? 階段の真下で、なんのお話をしているのでしょうか?」ハテ



あかね「七色のしずくっちゅーアイテムがどこにも見当たらへんねん。アレ、どこに行けばええの?」

やよい「ああ。あれはね、最初の島の七色の“いりえ”ってところに行けばいいの」



れいか「!?」ブーッ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:22:32.69 ID:ROaGA6hS0<>
なお「みゆきちゃん、ミルキィローズの中の人ってなんて名前だったっけ」

みゆき「せんだ ”いりえ”さんだよ」



れいか「!?!? けほっけほっ!!」



やよい「……ふ」ニヤ

あかね「やよいがものっそワルの顔しとる」

なお「お茶の間の女児たちにはとてもお見せできないね、こりゃ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/05/19(土) 14:22:53.21 ID:Jmd6k3550<> こっちに来てたか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:22:54.78 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「えーっと、つまりどういうことなの?」

なお「ここまでやってわかってないみゆきちゃんも大概だよね……」

あかね「やよい、この後のプランは?」

やよい「ふふふ……私に良い考えがある」キリッ

あかね「アカン、それ失敗フラグや」

みゆき「ねーだからどういうことなのー? 私だけ置いてきぼりなんですけどー?」オーイ

やよい「まあ、それは明日のお楽しみということで」フフン
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:24:04.89 ID:ROaGA6hS0<> >>60
誘導もできずに申し訳なかったです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:24:37.77 ID:ROaGA6hS0<>
【次の日 いつもの場所でランチ中】


ペチャクチャペチャクチャ


れいか「…………」ポー

なお「あのさー」

みゆき「んー? どーかしたー?」

れいか「…………」ポー



なお「入江会長って、なんかこれといった長所がないよねー」

れいか「!?」

みゆき「あー、わかるわかる」

れいか「え、ちょ、みゆきさん? あなた昨日」

やよい「うんうん、なんていうか……イケメンはイケメンなんだけど、これといった特徴がないよね。没個性?」ププ

あかね「男のくせになよなよしくさりよって、ああいうのはウチ好かれんわ」ペッ

みゆき「運動音痴の男の人ってカッコ悪いよねー」ハン
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:25:08.18 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「な……な……?」

れいか(いったい何が起こって……?)

あかね「本人も言うとったけど、ホンマにれいかが会長やった方がええんとちゃう? あんなんいざっちゅー時に頼りにならへんって」

れいか「!!」


ガタッ


れいか「いい加減に、してくださいッ!!!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:25:39.39 ID:ROaGA6hS0<>

シーン


れいか「……あ」

れいか(ま、またやってしまいました……)カァ

なお「ねえれいか」

れいか「は、はい?」

なお「会長さんを馬鹿にされるの、イヤ?」

れいか「そんなの、当たり前です」

みゆき「じゃあ、会長さんを褒められたら?」

れいか「我がことのように嬉しいに、決まっています」

やよい「じゃあ、じゃあ。褒めてるのが全員、会長さんのこと好きな女の子だったら?」

れいか「? よくわからない条件の追加ですが、別にこれといって……」

れいか「…………」

れいか「…………え?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:26:05.54 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「え。え、え。えええ?」キョトン

やよい「わかった? わかっちゃったれいかちゃん? 私たちが何を言いたくて、れいかちゃん自身が何考えてるのかわかった?」

あかね(やよいウキウキすぎやろwwwww)

れいか「わ、わかったような、わからないような……」

なお「ごめんねれいか、騙すような真似して。今のはれいかに、自分の気持ちに気付いてほしくてやったことなんだ」

みゆき「全部ジョーダンだよ、ジョーダン!」

れいか「……は、はぁ……」

やよい(私としては、冗談を言ったつもりはなかったんだけどなー)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:26:38.77 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「な、なんなんですかこの状況……はっ、まさかこれが音に聞く孔明の罠!?」ガーン

なお「いやそれは違う」

みゆき「おのれディケイド!」

やよい「いや、むしろここはゴルゴムの仕業で!」

キャンディ「新手のスタンド使いかァァァーーーーッッ!!!!」

あかね「新井が悪い」

なお「ツッコミ追いつかないぃぃぃぃ!!!!!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:27:20.74 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「すぅぅぅ……はぁぁぁ……ちょっと落ち着きました」

れいか「ええと、その。私が会長をどうこう、などというアレは置いておくにしても、です」

れいか「声高に陰口など叩いていて、会長を慕う先輩方や会長ご本人の耳に入ったら、大変なことになるとは思わなかったのですか?」メッ

あかね「ふふふ。ウチらにそのへんの手抜かりはないで」

れいか「?」

みゆき「キャンディに周りの見張りを頼んでおいたからね!」

れいか(そういえば、さっきの雄叫びはいやに遠くから聞こえましたね)キョロキョロ



キャンディ「……中庭の片隅、一人ポツンと隠れながら食べるお菓子も、オツなものクル……」シクシク



れいか(どおりで今日はクルクル聞こえてこないな、と思ったら)

みゆき「だから、もしも誰かが近づいてきたらその時は」

やよい「プランBで行こう! で、プランBはなんだっけ?」

なお「あ? ねぇよんなもん」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:27:52.94 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「……あなたたちは、いったいどうしてその労力を他のことに……主に勉学などに向けられないのでしょうか」ハァ

みゆき「たはは……ん?」チラ

キャンディ「」ノシ

みゆき「…………」

れいか「このような些事……私が会長を、その、どう思っているのかなどということを確かめるためだけに、こんな手の込んだ真似を」ブツブツ



会長「僕がどうかしたかい?」ヌッ



れいか「ひゃああああっ!!!?」ビクッ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:28:23.34 ID:ROaGA6hS0<>
あかね(ひゃあ言うた! 今れいかがひゃあ言うたで!)ヒソヒソ

なお(あたしが断言する! これはレアだよ! 超レアな光景だよ!)ヒソヒソ

れいか「かか、かかか、かい、会長! どうしてここに!?」

会長「どうしてってほら、美化週間の見回り。君も知っているだろう?」

れいか「……そ、そういえば、そうでしたね」アハハ

会長「それで、今度はどの話を言い触らしてたんだい? 僕が小六の時、運動会本番の徒競争で足をもつれさせて全校の笑い者になってしまったアレかな?」

れいか「そのようなエピソードは私も初耳なのですが!?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:28:53.11 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「ぷっ! だ、ダメだ、笑いをコラエキレナカッタ……!」

やよい(全然笑えない。身に覚えがありすぎてちっとも笑えない)

れいか「みゆきさん! もう、会長には関係のないお話ですから、あっちに行っててください!」

会長「いやでも、今確かに『会長』って……青木さん? なんだか顔が赤いよ?」ズイ

れいか「え、あ、ちょ……顔、近……」カァァァ

会長「少し熱っぽいんじゃないのかい? 早めに保健室に行った方がいい」ピタ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:29:23.97 ID:ROaGA6hS0<>
やよい「……あ! それじゃあ、会長がれいかちゃんを連れてってくれませんか?」

れいか「やよいさん!?」

あかね「せやせや、その方がええ。次の授業までに戻ってこんかったら、先生にはウチらから言っときますさかい」

会長「ふむ。青木さん、立てるかい? 僕でよければ保健室まで送るよ」

れいか「いえ、私は別に」

会長「……やはり付き添いは、同じ女の子に頼んだ方が」

れいか「そ、そういうことではありません!」

会長「じゃあ行こうか」ニッコリ

れいか「うぅ……はい、承知いたしました……」ガックリ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:29:55.04 ID:ROaGA6hS0<>

スタスタ フラフラ


みゆき「なんかれいかちゃん、本当に具合悪そうだったね……」

あかね「や、アレは初めて自覚したアレなアレ、いわゆるアレに戸惑ってるだけとちゃうか」

やよい「あれだけわかりやすくしてて自覚がなかったなんて、ちょっと驚きかも」

なお「昔かられいかの周りには、不思議と“そういう話”は一度も湧いてこなかったからなぁ。正真正銘の“初”だろうから、本人もよくわかってなかったんじゃないの」

やよい「……なおちゃんは、れいかちゃんが“そう”だっても聞いてもあんまり気にしてないんだね」

なお「いやあ、ショックはショックだよ? “そういうアレ”とは縁遠かった幼なじみが“そう”だって話になると、なんか遠い世界の人みたいに感じちゃって寂しいね」

やよい「ふーん……ちなみに、女の子同士ってどう思う?」

なお「」ブッ

あかね「なんややよい、一番ノリノリでれいかの恋路を暴こうとしとったくせに、急にそういう方向にシフトするん?」ニヤ

みゆき「ここ最近のやよいちゃん、れいかちゃんから精気を吸い取ったのかってくらいイキイキしてたよね」

やよい「まあ、NL方面に話が進んでも面白いは面白いんだけど、ちょっとがっかりしちゃったっていうのも本音で」

なお「なにおかしなこと言ってるのかなぁこの子は!?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:30:24.13 ID:ROaGA6hS0<>
やよい「『なおれい』か『れいなお』か、残る問題はそこだけだと思ってたのに」ガックリ

なお「やよいさぁぁぁぁん!?」

キャンディ「マジョリティはキャンディが推し測るに多分『れいなお』クル」

なお「キャンディぃぃぃぃぃ!!!??」

あかね「(『あかなお』を候補に加えても)ええんやで」

なお「ねえ今()の中にとんでもないワード略さなかった!? 言っとくけどあたし至ってノーマルだからね!?」

みゆき「えっ!? マーチ総受けがトレンドなんじゃあ……!?」

なお「みゆきちゃああああんんん!? 私のことなんだと思ってたの!?」ガビーン

あかね「ほな次は、自称至ってノーマルな緑川なおくんの告白タイムと参りましょー」

やよい「いぇーい」パチパチ

みゆき「いやっほーい」パチパチ

キャンディ「イェイイェイイェイ!クルー」パチパチ

あかね「ほれほれ白状せいや。ノーマルちゅーことは好きな男子の一人や二人おんねんやろー?」ニヤニヤ

なお「なにこの高度な誘導尋問! ああもう、れいかを行かせるんじゃなかったなぁ……」ガックシ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:30:54.14 ID:ROaGA6hS0<>
【渡り廊下】


会長「…………」スタスタ

れいか「…………」スタスタ

会長「だいぶ足取りも軽やかになってきたね」ニコ

れいか「え?」

会長「顔色は……まだ少し赤いけれど。一時的なものだったのかな。どうする? 教室に戻るかい?」

れいか「あ、いえ……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:31:22.85 ID:ROaGA6hS0<>
れいか(私が、この人を……? 本当の、本当に?)

れいか(しかしここ最近の己を顧みるに、的を射ているようにも思えます)

れいか(今この場で見極めておかなければ……今後のあらゆる行動に支障が出かねません)

れいか(はっきり、させておきましょう。今、この場で)

れいか「あの、会長……」

会長「おや、弓道場がここから見えるね。懐かしいな」

れいか「え?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:31:53.07 ID:ROaGA6hS0<>
会長「僕と青木さんが初めて会ったのは、あの場所だよ。覚えてないかい?」

れいか「…………申し訳ありません。あまり、記憶が鮮明ではないようで」

会長「廃部寸前だった弓道部の予算編成で揉めて、当時副会長だった僕が折衝に赴いたんだ。あの頃の弓道部は部員も少なかったし、サッカー部みたいな強豪に押されてだいぶ予算が削られてたんだね」

れいか(そういえば、そんなこともあったような)

会長「正直な話、最初から削減ありきで僕は交渉の席に着いた。譲歩するつもりなんかなくて、弓道部の説得が僕の仕事だと思っていた」

れいか「…………」

会長「しかしそこで、毅然と声を張り上げる一人の女子部員に出会ったんだ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:32:21.86 ID:ROaGA6hS0<>
会長「彼女は弓道部の置かれた立場を正確に理解した上で、滔々と当該処分の理不尽さを、丁寧に、客観的に指摘した」

会長「何度も粘り強く話し合った結果として、ついには副会長――――つまりは僕の意見を翻させることに成功し、予算の増額を勝ち取った」

会長「それが、当時一年生だった君さ。青木さん」

れいか「…………」

会長「その後君が生徒会室の扉を叩いたときは、内心飛び上がって喜んだものだよ。彼女のような実直な人が生徒会に加わってくれれば、七色が丘中学も向こう三年は安泰だ、ってね」

れいか「そう、だったのですか」

会長「そうそう。だからこのまま行けば、次代の生徒会長は青木さんに決まりだ。対抗馬も出ないだろうしね」

れいか「…………」

会長「……どうしたんだい? 浮かない顔だね」

れいか「今の、予算のお話についでですが。どうして私が覚えていなかったか、おわかりになりますか?」

会長「いや、皆目見当もつかないけれど」

れいか「私にも、たった今理解できたことなのですが……それはきっと、本当に私がやりたいことではなかったからなんです」

会長「ふむ?」

れいか「弓道部も、生徒会も、プ……コホン、クラス委員も。どれもこれも、私が確固たる自己を持った上で始めたことでは、ないんです」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:32:54.01 ID:ROaGA6hS0<>
会長「…………」

れいか「祖父に、クラスメイトに、先生に。“誰か”にやるべきだと言われたから」

れいか「私の行動の大半には、そのような機械じみた、ぎこちない義務感が染みついているんです。やりたいからやった、というわけではないんです。私は、自分が何をしたいのかも、よくわかっていないんです」

れいか「そんな私が、果たして入江会長の跡を継いで良いものかと……少し、考えてしまいました」

会長「…………」

会長(自分が本当は何をやりたいのか、なんていい大人でもほとんどわかっていないことだ。だからそういう悩みは、青木さんだけに特有のものじゃあ決してない。ごくごく、普通のことなんだ)

会長(そういう一般論でお茶を濁すのは簡単だけれども……)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:33:24.15 ID:ROaGA6hS0<>
会長「青木さん。僕がどうして生徒会長になったのか、知ってるかい?」

れいか「……い、いえ。皆目見当もつきません」

会長「本当かな? 君は知っていると思ったんだけど」

れいか「それは買いかぶりというものです。私ごときが会長のお心を測るなど」



会長「正解は、『他に誰もいなかったから』さ」



れいか「え?」キョトン

会長「去年の生徒会長選は、対抗馬が誰もいなくて信任投票だった。覚えてるだろ?」

れいか「はい、それはもちろん」

会長「実は、おととしの副会長選も同じことだったんだ。誰も副会長になりたがらなかったから、当時書記だった僕のところにお鉢が回ってきて、そのままずるずると惰性で、ね」

れいか「まあ」

会長「その上、卑しい打算が脳裏をまったくよぎらなかった、と言えばウソになる。生徒会の活動をしていれば、高校受験で有利になるしね」

れいか「……打算……」チク
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:33:54.55 ID:ROaGA6hS0<>
会長「青木さん、僕はね。切欠も結果も大事なことだとは思うけれど、もっと大事なものがあると思うんだ」

れいか「それは、いったいなんでしょう?」

会長「過程だよ。人が何かを為そうとする過程には、結果や切欠よりも如実に、目に付きにくい過程であればあるほどに、誤魔化しようもなくその人の意志が表れる」

れいか「過程……」

会長「結果が無駄になったり、きっかけがちっぽけとしか思えないことだったとしても。過程でその人が何を為し、何を思ったのか。それはその人の内側に残るものなんだ」

れいか「…………」

会長「青木さんのこれまでの『過程』はどうだった?」

会長「充実したこともあったろう、辛いこともあったろう、やって良かったと思ったことだって当然あっただろう」

会長「だったらそれでいいんだ。何も恥じることなんてないんだよ」

会長「もちろん、君が生徒会長などやりたくないというなら。それは君の“これから”への切欠であり、“これまで”の結果であり、そして人生の過程なんだから、尊重されて然るべきさ」

れいか「……会長」

会長「……少しどころじゃなく、説教臭くなってしまったかな」ハハ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:34:30.91 ID:ROaGA6hS0<>

キーンコーンカーンコーン


会長「っと、予鈴だ。どうする? 保健室には行くかい?」

れいか「いえ、このまま教室に戻ろうと思います」

会長「そうか。それじゃあ、また今度生徒会室で会おう」

れいか「……あの、会長」

会長「ん?」

れいか「どうも、ありがとうございました」ペコリ

会長「どういたしまして」ニッコリ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:35:30.28 ID:ROaGA6hS0<>

スタスタ


れいか「……ああ、なるほど。みゆきさんたちが言っていたのは、きっと、こういう気持ちのことを指すのですね」

れいか「…………」ハァ




れいか「殿方をお慕いする、というのは……どうにも、難儀なものです」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:36:02.90 ID:ROaGA6hS0<>

【一週間後 ひみつ図書館】


キャンディ「zzz」

れいか「…………」ドクショチュウ

やよい「あれから一週間、れいかちゃんはすっかり元の落ち着きを取り戻してしまいました」

みゆき「そんな元に戻らなかった方がよかった、みたいな言い方はどうかと思うけど」

あかね「せやかて、つまらんもんはつまらんしー」

れいか「……あの、全部筒抜けなのですが」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:36:32.94 ID:ROaGA6hS0<>
やよい「ねえねえれいかちゃん、あれから何か進展あったの?」ズイ

あかね「ちゅーか、話の前提として、認めるんか?」ズイ

れいか「認める、とは何をでしょう?」

みゆき「またまた惚けちゃって、とっくにわかってるくせにー! れいかちゃんが、会長さんを……っていう話だよもー!」キャーキャー

あかね(みゆきに理解させるのには丸一週間かかってもうたけどな)シラー

やよい(恐るべし、脳内ネバーランド娘)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:37:03.88 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「ああ、そのことですか」

あかね「他に何があんねん」

やよい「で? で?」ウキウキ

れいか「…………私は」

みゆき「わた、しは?」ゴクリ



れいか「青木れいかは、入江会長を、一人の男性として、お慕い申し上げております」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:37:35.02 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!」

やよい「い、言い切った……!」

あかね「アカン眩しい! れいかの後ろから光が射しとる!」

れいか「大げさですよ、皆さん」

みゆき「ぜぇんぜん大げさじゃないよぉ!! スマイルプリキュア史上、屈指の一大イベントだよこれは!」ウキウキ

やよい「告白! 告白はいつするの!?」ウキウキ

あかね「あるいは、もうしとったりなんかしちゃったりしてー!」ウキウキ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:38:10.04 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「いいえ、それはまだ、というか」

あかね「ま、まだなんか……せやろな、れいかは慎重派やもんな。ちぃとウチらが先走りすぎたわ」

れいか「……実は、恋文、のようなものも書いてみたりしたのですが」

やよい「ひょええええ!!」

みゆき「ラブレター……都市伝説じゃなかったのか……!」

あかね「まーた古風な! 今日日携帯メールやなくて、手紙かいな!」

みゆき「い、いつ渡すの!? 今持ってる? カバンの中!? ねーねー見せて教えて触らせてー!」

れいか「ちょっと皆さん、落ち着いてください。確かに書くことは書いたのですが……ただの呼び出し状のようなもので、肝心の内容はそれほどでもないんですよ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:38:38.59 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「な、なーんだ……ちょっとガッカリはっぷっぷー」

れいか「それに……」

あかね「? それに?」

れいか「この手紙が役目を果たす日は、きっと永遠に訪れはしないでしょう」

やよい「……へ? それ、どういう意味?」

れいか「そのままの意味です。この手紙が入江会長の手に渡ることはありません。なぜなら」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:39:09.39 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「今しばらく、この想いを秘めておくべきだ、と思い定めましたので」ニッコリ

みゆき「…………」

あかね「…………」

やよい「…………」

れいか「いずれ、折を見て焼き捨ててしまおうかと……あの、皆さん?」




「「「ええええええええ!!!???」」」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:39:51.58 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「なな、なんで、どーして、どういうわけで!?」

れいか「会長は現在、高校受験を前にとても大切な時期を迎えています。会長の志望先は県下最難関の名門私立高なのですから、なおさらです」

やよい「で、でもそんなの」

れいか「私にしても、後期からは生徒会長とプリキュアの二足のわらじ……加えて私は学業も部活もおろそかにするつもりはありません。正直なところ、余力がないんですよ」

みゆき「そんな、もののついでみたいな言い方って……」

れいか「いいんです。私自身が、これでいいと思えているのですから」

あかね「……ふん。ウチには、れいかの言い分は、臆病もんの逃げ口上に聞こえるで」

れいか「まあ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:40:21.22 ID:ROaGA6hS0<>
あかね「せやけど、れいかは口が達者やからなぁ。ぶっちゃけ、ウチが何言うてもれいかを翻意させる自信がないわ」

やよい「…………」

みゆき「あかねちゃん……」

れいか「申し訳ありません、あかねさん。でも、もう決めたことですから」

あかね「はーあ。こないなときこそ、なおの出番や思うんねんけどなぁ」

れいか「……なお、ですか」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:40:56.29 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「そういえば、今日はなおちゃん来れないんだっけ?」

やよい「大会が近いから部活が忙しいんだって」

れいか「…………」

あかね「? れいか?」

れいか「え。わ、私がど、どうかしましたか?」

あかね「どうって自分…………ははぁん」

れいか「なんですかあかねさん、そのしたり顔は」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:41:40.72 ID:ROaGA6hS0<>
あかね「べっつにー? ただな、そもそもの事のはじまりは、ランチ中のなおの何気ない一言やったわ、って思い出しただけやねん」

れいか「……!」

やよい「む、むむむ! もしかしてれいかちゃん、心配なの? 実はなおちゃんが、割と本気で会長さんのことを……なんじゃないかって!」ウキウキ

れいか「じゅ、述語を的確に述べてくださらないと、何をおっしゃってるのかよくわかりません」

みゆき「えーっ!! もしかして、なおちゃんとれいかちゃんとで恋のウルトラトライアングル成立!?」ガビーン

れいか「違います! そのようなことは、あ、あり得ません! 断じて、決して、絶対に!」

あかね「とかなんとか言いつつ、額に玉のよな汗が浮いてますでお客さーん?」ニヤニヤ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:42:09.93 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「違うと言ったら違うのです! だいたい、なおの好みのタイプなら良く知っています!」

れいか「日本のWカップ優勝を衒いなくメディアの前で断言できるような、野性味あふれる気概を持つ殿方がなおのストライクゾーンど真ん中です! 会長は180度真逆、もっともかけ離れたタイプであって……!」

あかね「れいかれいか、それただの好きなサッカー選手や」

れいか「え」

みゆき「そういえば、今ごろ会長は何やってるんだろうね」

やよい「休んでた時の穴埋めとか言って、一人で密かに書類仕事してたりして」

れいか(あ、あり得る……!)

あかね「ちゅーことは。なおちんと入江会長が放課後の学校で出くわす可能性が、微粒子レベルで存在している……?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:42:55.26 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「っ!」ガタ

れいか「が、学校にお弁当箱を忘れてしまったのを、今……たった今、思い出しました」コホン

れいか「申し訳ありませんが、今日はここまでということで。お暇させていただきますね、みなさん」ニッコリ


スタスタスタ ギーガチャ バタン


「「「…………」」」


タッタッタッタッ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:43:27.80 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「……ドア閉めた途端に猛ダッシュ始めたね、れいかちゃん」マドノゾキ

やよい「ちょっとからかいすぎたかなぁ」

あかね「えーねんえーねん、臆病もんにハッパかけてやったゆーふうに思えば」

キャンディ「ふわぁぁぁぁ……あり? れいかはどこに行ったクル?」

みゆき「あ、おはよーキャンディ。れいかちゃんならもう帰っちゃったよ」

キャンディ「…………」

みゆき「キャンディ?」

キャンディ「なんだか、イヤな感じがするクル……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:44:57.88 ID:ROaGA6hS0<>
【グラウンド】


れいか「…………」キョロキョロ

れいか(……私はなおの練習を見学に来ただけ。別に、他意などありません)

れいか(第一、私は思い定めたはずではありませんか。この恋慕は己が内だけに秘めようと)

れいか(ならば、万が一なおが会長にそういう気持ちを抱いていたとしても、私に口出しする権利など……えっ?)



会長「すまないね、緑川さん。部活終わりで疲れているだろうに、無理を言って」

なお「いえ。これでも体力には自信ありますから、気にしないでください。えっと、それで……二人きりで話って、なんの用ですか?」オソルオソル



れいか「!!!」

れいか(え……? あんな、人目につかないグラウンドの隅で、二人きりで、いったい、何、を?)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:45:36.48 ID:ROaGA6hS0<>
会長「緑川さんは、青木さんと幼なじみなんだってね」

なお「あ、なんだ。れいかの話ですか」ホッ

会長「ん?」

なお「いえ、こっちの話です。それで、れいかがどうかしましたか?」

会長「ここのところ青木さんが少し調子を崩しているように、僕の目には見えてならなくてね。親しい友人である緑川さんの意見を聞きたかったんだ」

なお「……そうですね、会長の見立ては正しいです。でも、この一週間でだいぶ持ち直したようにも思えますね」

会長「ああ、そうなのか! それはよかった」ニコニコ

なお(原因のど真ん中にいるのはあなたです……ってのは、いくらなんでも直球すぎるよね)ハハ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:46:24.26 ID:ROaGA6hS0<>
会長「はは、取り越し苦労だったならそれでいいんだ。青木さんはもともと、困難を独力で乗り越えられる強い子だしね」

なお「よく見てるんですね、れいかのこと」

会長「それはもちろん、生徒会の大事な仲間のことだからね」

なお(仲間、かぁ)

会長「それに、ここ数カ月はなんというか……殻を破ったかのように生き生きしているんだ、彼女」

なお「え?」

会長「人が変わった、というわけではないんだけれど。年齢相応の素振りもしばしば見せてくれるようになってね」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:46:54.85 ID:ROaGA6hS0<>
なお「そういえば修学旅行のときなんて、れいかったら枕投げにノリノリで参加したあげく、私たちと一緒になって先生のお説教受けてましたよ。あれは近年珍しいレアれいかでしたね」

会長「あっはは、それなら僕も本人から聞かせてもらったよ。先生に叱られてしまった話を面白おかしく語り明かす彼女の表情を見て、正直僕はほっとしたな」

なお「どういう意味ですか?」

会長「青木さんは、僕よりもよほど完璧な人だ。以前彼女は僕を評して、『強きをくじき、弱きを助け、上下の意を扼し、陋習に囚われず、常に向上心を抱く』なんて褒めちぎってくれたけれど……その言葉が誰よりふさわしいのは、実は彼女自身なのさ」

なお「……ああ、なるほど。会長の言いたいこと、あたしにもわかる気がします」

なお(言葉の意味はさっぱりわかんないけど)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:47:29.70 ID:ROaGA6hS0<>
会長「彼女には隙がまるでない。いや、なかったと言うべきかな。老婆心ながら、それが逆に心配でならなかったよ」

なお「で、本人はごくごく自然体ですからね……もうちょっと肩の力抜きなよ、って言いたくてもなかなか言えなくて」

会長「そう、そうなんだ。なのに僕が気が付いたときにはもう、いい意味で抜けてたんだよ、肩の力。その理由が、この間君たちに会ってやっとわかった」

なお「みゆきちゃんたち、ですね」

会長「もちろん緑川さん、君もね。彼女は心を許せる素敵な友人に恵まれた。それも、奥底で通じ合っているような深くて強い繋がりを、4つも」

会長「これは得がたいことだと思うよ、僕は」ニッコリ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:48:21.48 ID:ROaGA6hS0<>
なお「そう、ですね」

会長「……? 何やら歯切れが悪いね」

なお「はは、ははは」

なお(そこにあなたも加わってほしいんだって、れいかは思ってると、あたしは思いますよ)

なお(……なーんて私の口から言っちゃうのは、やっぱ筋が通ってないような気がするね)


ヒュルルルルル……


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:48:53.22 ID:ROaGA6hS0<>
緑川「って、え? 会長、危ない! そこ避けて!」

会長「へ?」


……ヒュルルルル ガツーン!!


会長「あいっ、たぁ……!? や、野球ボール?」フラフラ

なお「ああもう、だから言ったのに……へ、ちょ」


ドターン!!


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:49:30.68 ID:ROaGA6hS0<>
会長「ご、ごめん緑川さん、どうにも、とっさに身体が動かなくてね。今どくよ……っつつ」

なお(うわ、顔近い)

会長「よっこらせ、っと」スク

なお(掛け声ジジくさっ! まあ、そのあたりれいかとお似合いかもね)

会長「いたた……本当にすまない、大丈夫かい?」

なお(うーん。あんなことがあった後なのに、びっくりするほど『キュン』とこないなぁ。整った顔立ちだとは思うけど、やっぱりあたしの好みじゃないね)ウンウン
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:50:04.83 ID:ROaGA6hS0<>
会長「緑川さん? もしかして、どこか痛めたかい?」

なお「あ、いえ! なんでもないです!」

なお(会長も会長でちっとも動揺してないし……それはそれで傷付くなあ)


スイマセーン!! ダイジョブデスカー!!!


会長「野球部の居残り練習か。これは不運だったね」ハハハ

なお「これを不運の一言で笑い飛ばせるあたり、会長の大物ぶりもれいかに負けず劣らず相当なもんですよ」ハァ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:50:33.92 ID:ROaGA6hS0<>

どさっ。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:51:10.56 ID:ROaGA6hS0<>
なお「え?」

会長「おや、誰かのカバンが落ちて……?」

なお「……あ」




れいか「………………………………」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:51:48.48 ID:ROaGA6hS0<>
なお「れい、か?」

れいか「…………」

なお「もしかして今の、見てた?」

れいか「…………」

れいか「…………」

れいか「…………」


ダッ


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:52:29.79 ID:ROaGA6hS0<>
なお「れいか!?」

会長「青木さん!? 緑川さん、青木さんはいったい……!?」

なお「あ、ええ、えぇぇぇっと、その、ですね、これは」

なお(れいかが何考えてたのか、わかるような、わからないような……ええい!)

なお「とにかく、れいかの後を追いかけましょう! 話はそれからです!」

会長「……! そうだね、君の言うとおりだ。青木さんは校舎の中に入ってしまったから、手分けして探した方が効率がいいだろう」

なお「はい!」


タッタッタッタッ


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:53:25.88 ID:ROaGA6hS0<>


「…………」

「ふふ、案の定面白いことになったようだ」



「……おやぁ? こりゃあ、あのお嬢ちゃんの」

「ふむ……いいね。いいねぇこれは」

「こいつは、最後の仕上げに使えそうだ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 14:54:05.37 ID:ROaGA6hS0<>



「待っておいで、シンデレラ。今にこの魔女が、とびきり素敵な魔法をかけてあげるからね……ひひひひひ、ひーっひっひっひ!!」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 14:55:05.97 ID:ROaGA6hS0<>
さすがに疲れたのでいったん打ち止め
またあとで来ます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/05/19(土) 14:58:43.19 ID:Jmd6k3550<> 乙
少女漫画の王道が詰まってるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/05/19(土) 15:44:35.29 ID:VthoGprP0<> なにこれおもしろい
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/19(土) 18:15:38.69 ID:e7Vs9snco<> ノマカプと聞いて……えーーー、プリキュアは百合だろ。あるいは、ウルみゆかアカやよ
 ↓
ん? 少しは面白いのか
 ↓
……どうなるんだ、れいか、なお、会長……
 ↓
うおおお、続きが気になるーーーっ  ← 今ココ

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)<>sage<>2012/05/19(土) 18:21:49.49 ID:3qCYDDXAO<> あかやよのどこがノーマル? と思ったがオニやよのことか、SSでは見かけたことないな

途中までしか読んでないが、会長やっぱり好きだわ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 19:18:36.27 ID:ROaGA6hS0<>
私はいったい何をしているのでしょう。

弓道場の隅で膝を抱えながら、青木れいかは自問する。
肩の上にしんしんと降り積もっていくのは、他ならぬ自分自身への失望感だった。

わかっていたはずなのに。
覚悟を決めたはずだったのに。
目の前にどんな光景が広がっていようと、口出しする権利などないと確認しなおした、まさにその矢先の出来事だったというのに。

いざ“その瞬間”が訪れると、覚悟のすべてが塵芥のごとく吹き飛んだ。
頭の中が真っ白になって、気が付いたら逃げ出していた。
どうしようもなく一人になりたくなって、鞄も放り投げ駆け出していた。
なんと、情けない様なのだろう。

首を二度三度と振って俯かせていた頭を持ち上げると、視界の先で見慣れた霞的が夕陽を照り返していた。
今の自分が射ったところでかすりもしないだろう、となんとなしに考える。
弓は己の心を映す鏡だ。
そしてれいかの心は今現在、千々に乱れ切っているのだから。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:19:05.81 ID:ROaGA6hS0<>

「おやおや、元気がないねぇシンデレラ」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:19:54.42 ID:ROaGA6hS0<>
外形だけを取り繕った、薄ら寒い厚情の声がれいかの背筋を怖気立たせた。
弾かれたように振り返ると、濃緑のローブが涼風に靡いていた。


「バッドエンド王国……!」

「身構えるんじゃないよ。今日はあんたに話があって来たのさ、ガラスの靴を拾われなかったシンデレラ」


皺くちゃの顔の前で立てた人差し指を振りながら、魔女が陰湿な笑みを浮かべた。
パクトを取り出そうとポケットに潜りこんだ指が、寸前で止まる。
今この場には、自分一人しかいない。


「アンタはプリキュアどもの中でもとびきり頭がよくて、冷静な子さ。だからわかってるんだろう? あたしが今、この手に持っているコイツ」


魔女の枯れ木のような掌の上に、ゾッとするほど蒼く、禍々しい球体。


「この青っ鼻を使っちまえば、アンタ一人じゃ手の打ちようがないんだってことを、ねえ」

「くっ!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:21:13.49 ID:ROaGA6hS0<>
唇を噛んで悔しがったところで、今さらどうにもならなかった。
青い鼻から生まれたアカンべェには、五人揃わねば太刀打ちできない。
それが、動かしがたい現実というものだ。


「そこで交換条件だ。アタシはコイツをしばらく使わずに、温存しておくことにした。代わりにアンタはその間、ちょいとアタシの話を黙って聞いててほしいんだわさ」

「な……?」


当惑の色を隠しきれず、れいかはたたらを踏んで一歩後ろに下がった。
板張りの床が軋み、寒々しい沈黙が場を支配する。

魔女の思惑がまったく読めなかった。
さりとて後先考えずに蛮勇を奮うという選択肢も、れいかの性格上無理な相談である。
魔女はしばらくののち、沈黙を肯定と受け取ったのか口の端を醜悪に歪めて哄笑した。


「ひーっひっひっひ!! あたしゃ頭の良い子は好きだよ、青木れいかちゃぁん? それじゃあ、始めようか……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:21:51.31 ID:ROaGA6hS0<>
出来の悪い生徒に言い聞かせるように、魔女は滔々とした語り口調で言の葉を紡ぐ。


「さっきの青っ鼻の一件からもわかるように、アンタはプリキュアの中でも珍しい頭脳派だわさ。鬼と狼の馬鹿さ加減に日々頭を悩ませてるアタシと、相通ずるものがあるかもねえ」

「仲間を平気で乏しめる貴女のような方と比べられても、嬉しくはありません……!」

「お黙り。この絵の具を潰して、今すぐ学校中を真っ暗闇にしてやってもいいんだよ?」

「……っ!」

「アンタが口を開いていいのは、アタシが許可した時だけだわさ。わかったら、その薄汚いお口にチャックをおし」

「…………」

「そうそう、やればできるじゃないか。ひひ、ひひひひっ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:23:03.82 ID:ROaGA6hS0<>
目を伏せて、拳を固く固く握る。
腹立たしかった。
声高に卑劣を体現する魔女が、ではない。
困窮した状況に心を折られ、反撃への糸口を探そうともしない無気力な己が、だ。


「アンタは間違いなくお利口な子だ。でもそれは、裏を返せばアンタの狡っからい計算高さの証明なんじゃないのかい?」


心臓が一つ、大きく大きく跳ねた。


「生徒会に入ったのは、みんなからちやほやされたかったからかい?」

「違います」


反射的に言い返してしまってから、慌てて口許を掌で覆う。
しかしれいかの口答えを咎めるでもなく、魔女は鷹揚に頷いて、次なる疑問符を投げかけてきた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:24:07.54 ID:ROaGA6hS0<>
「おーおー、自信満々じゃないかい。そうだね。それならきっと、“その理由”は違うんだろう。じゃあ、学校を自分の思い通りにしたかったからかい?」

「違います」

「声に迷いがないね、ウソはついてないらしい」

「貴女の目的は存じ上げませんが、何をおっしゃっても無駄なことです。私は、そのような俗な動機では――――」



「あの坊やの側に、いたかっただけなんだろ?」



「――――っ!!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:25:13.55 ID:ROaGA6hS0<>
「わかったかい? 理解が追いついたかい? アタシが何を言いたいのか、もうわかっただろう? とどのつまり、アンタはそういう――――利己的で打算的な、強欲極まりない女なのさ」

「あ……」

「世の為人の為、学校の為生徒の為。小ぎれいな仮面を被りながら、無意識のうちに自分に見返りのある行動ばっかりとってる」

「ち、が」

「ああ可哀想に、自分を責めることなんてないんだよ。無意識だったんだ、しょうがない。あの坊やが好きだったなんて、つい最近まで自覚してなかったんだからしょうがない! 無意識のうちにどれだけ浅ましく見える行動をとっていたところで、アンタはなーんも悪くなんかない」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:25:51.11 ID:ROaGA6hS0<>
「坊やが美化週間の見回りを買って出るほどにきれい好きなのを知っていたから、花壇の世話を一人で始めた。もしかしたら坊やが通りがかって、自分を褒めてくれるかもしれない」

「ちが……違いますっ!」

「いけないことと知りつつ、通信簿を盗み見ちまった。彼のことならなんでも知りたかったから」

「そんな、そんなの、詭弁、です」

「そうだね、詭弁だね。でもアンタならわかってるはずさ。この詭弁を論破するに足る証拠が、自分の内側には一つだってありゃしないんだ、ってことをね」

「っ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:26:44.00 ID:ROaGA6hS0<>
「挙句の果てに、さっきのアレさ」

「あ、れ?」

「わかってたくせに。最初から見てたんだから、アンタはわかってた」

「ひ……」


声にならない声が、カチカチと鳴る歯列の隙間から漏れては消える。
魔女がこれから“何”を指弾するつもりなのか、はっきりとわかってしまった。


「坊やがお友だちを押し倒したのは、偶然以外のなにものでもなかった。アンタ、それを知ってたよねぇ? ボールが坊やの頭に直撃した、まさにその瞬間も含めて、片時もあの二人から目を離さなかったんだから、さぁ?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:28:09.24 ID:ROaGA6hS0<>
「それなのにアンタは傷心のお姫様を気取って、傷付いたふりをして、彼の気を引こうとした。ああ浅ましい。ああ、醜いったらありゃしない」

「や、め……やめて、ください……」

「おやおやぁ? 震えてるよ、寒いのかいシンデレラ?」

「シン、デレラ?」

「そうだよ、アンタは卑しいシンデレラ。絵本の中のあの子と同じさ。わざとガラスの靴を落として、王子が迎えに来てくれるのを内心ほくそ笑みながら待っていた、薄汚くて狡賢い灰かぶり」

「ガラスの靴なんて、私、そんなもの」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:29:05.51 ID:ROaGA6hS0<>
「またまた、とぼけるんじゃないよ。あるじゃないか、アンタだけのガラスの靴が。王子様を自分の元にやってこさせるための、ギラギラ光る誘蛾灯が」

「え?」

「手紙だよ、て・が・み。アンタ、あのラブレターに何を書いた? 肝心要の思いの丈をぶちまけることを怖がって、“何”を書くことで誤魔化した?」

「…………あ」


呼び起こされる、ほんの半刻前の自身の発言。


『ただの呼び出し状のようなもので、肝心の内容はそれほどでもないんですよ』
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:30:04.64 ID:ROaGA6hS0<>
「そうさ。アンタはまず、坊やをどこかに呼び出そうと思い立った。なるべくなら思い出深い場所がよかった。生徒会室でもいいが、それじゃあちょっと味気ない。その時のアンタにはまだ、浮かれた戯言を夢想するだけの余力があった」

「あ……あ……」

「そうして、書いた。『私と貴方が、初めて出会った場所でお待ちしています』。……いやはやどこなんだろうねぇ、この『初めて会った場所』ってのは、さぁ」

「そ、んな……」

「ひひひ、ひひひひひ、ひひひひひひひ…………そうだ、この場所さ!! 『一人になりたいから』、なんて自分すらも騙して膝を抱えて泣きベソ掻いてた、まさにこの、弓道場のことじゃあないかい!!!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:31:14.35 ID:ROaGA6hS0<>
「くふ、くふふ。アンタ、自分がどういうことをしてたのか、そろそろ客観視できるようになってきたんじゃないのかい」


耳を塞ぐ。
魔女の声は鼓膜に染みついたように消えてくれない。


「親友と想い人の衝撃シーンを目の当たりにして、悲劇のヒロイン気取りで逃げ出した大根役者。ガラスの靴をわざと落とした挙句、チラチラ振り返っては王子が追いかけてこないか期待していた、計算高いシンデレラ!」

「わたし、わた、わたしは、わたしはっ」


目を瞑る。
瞼の裏側の闇に、醜い襤褸姿で意地汚くほくそ笑む、自分自身の虚像が映った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:32:18.65 ID:ROaGA6hS0<>
「ああ浅ましい。こんなアンタに、果たして王子様は振り向いてくれるのかねぇ? アンタのお友だちが坊やとイイ感じになっちまったら、アンタに勝ち目はあるのかねぇ?」

「――――――っっっ!!!」


その瞬間、頭の中で張り詰めていた一本の、か細い糸が切れた。
名前のわからない糸だったが、何かとてつもなく大事なものだった、ということだけは辛うじて理解できた。


「…………い」

「ん?」

「私なんかが、なおに勝てるわけない……いつも真っ直ぐで、男性からも女性からも等しく愛される、ヒーローみたいに凛々しいなお……会長だって、なおみたいな子の方がいいに決まってる……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:34:10.93 ID:ROaGA6hS0<>
なにもかも、見るに堪えない予防線だったのかもしれない。
低く重苦しい呻きを漏らす己をどこか遠くに感じながら、頭のもう片方の隅でそんなことを思った。

今回の事件、そのすべての発端となった緑川なおという少女は、あらゆる意味でれいかの理想だった。
なおとの競い合いになったら、自分が勝てる道理などないと、少なくともれいか自身はそう思い込んでいた。
だからあれやこれやと言い訳を重ねて、この恋路から逃げ出すことにしたのだ。

傷付くのが怖かった。
恋に破れるかもしれないという、これまでの生涯でまったく体験したことのない1%を、きっとれいかは恐れてしまった。
そんな自分を、許せそうになかった。

己の弱さ、浅ましさ、醜さ。
それらすべてを否応なく目の当たりにさせられて、青木れいかは絶望した。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:35:56.42 ID:ROaGA6hS0<>
「でもね。その点、一つだけ心配しなくてもいいことがあるだわさ」


魔女の狂笑が近くて遠い。
耳を塞いでいた手は無気力に垂れ下ろされていた。


「アンタが置いてきたガラスの靴なら、ちゃーんとアタシが拾っといてあげたからね。ああ、かわいそうなシンデレラ! アンタの醜い所業はこのアタシが、魔法でなかったことにしてやったよぉ?」


どさりと音を立てて、カバンがれいかの膝元に投げ出された。
これがここにあるということは、要するにそういうことだ。


「アンタの本性を知るヤツなんて誰もいない。アンタが何を考えて行動していたのかなんて、誰にもわかりっこない。なぜなら」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/05/19(土) 19:36:37.09 ID:Jmd6k3550<> バッドエンド王国がちゃんと悪役やってるSSも珍しいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:37:08.77 ID:ROaGA6hS0<>
「アンタはひとりぼっちになるんだから」


しわがれた囁きが、今だけはなぜか耳に心地よかった。


「ガラスの靴を落とさなかったシンデレラのもとに、王子様はやってこない。めでたしめでたし、アンハッピーエンド」


視界がじわりと滲み、歪む。
生涯で二度目のこの感覚。
それでいて一度目よりも遥かに暗く黒く、狂いたくなるほどに苦しい、圧倒的な絶望。
魔女の右手が高く掲げられ、握り締めた絵の具もろとも、青木れいかの白紙の未来を――――


「さあ。それじゃあ、心おきなく」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:38:22.78 ID:ROaGA6hS0<>



「バッドエンドに染まろうか」


――――完膚なきまでに、黒々と塗り潰した。




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:39:33.98 ID:ROaGA6hS0<>
【一方その頃】


なお「どうだった!?」ハァハァ

やよい「ううん、まだ……!」フゥ

みゆき「本当に学校の中にいるの……?」ゼェゼェ

なお「それは間違いないと思うんだけど……」

あかね「…………」ソワソワ

あかね「な、なぁ? その、れいかが目撃してもーたゆう、衝撃のシーンのことなんやけど」

なお「こんなときになんだよ、もう!」

あかね「せ、せやな。その、ホンマもんの事故だったんか、なんて今は些細なことやろな」アハハ

なお「だーかーらー! アレは本当に」

キャンディ「! バッドエナジーの気配クル!」


「「「「!!!!」」」」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:40:48.40 ID:ROaGA6hS0<>
みゆき「キャンディ、それ本当!?」

キャンディ「間違いないクル! この感じ……きっとマジョリーナクル!」

やよい「うう、こんな時にぃ!」

キャンディ「あっちクル!」つ

あかね「って言われてもなぁ、れいかがおらんことには……ん? あっちって、確か」ハッ

なお「弓道場! そういえば、まだあそこは探してないかも!」

みゆき「! 急ごうみんな!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:41:57.18 ID:ROaGA6hS0<>
【弓道場】


れいか「わたし、わたしは、そんな、そんなこと」

マジョリーナ「くふふふ……ひひひひひひ…………ひゃはは、ひゃははははははっっ!!!!」

マジョリーナ「予想通り! いーい、いや悪ーいバッドエナジーがわんっさか出てるだわさ!! 目盛三つ分ぐらいにはなるかねぇ……その上」


バァン!!


なお「れいかっ!!!」

マジョリーナ「ほーら、お出ましだ。ホント、単純で助かるよ」ククク
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:43:04.09 ID:ROaGA6hS0<>
キャンディ「た、大変クル! れいかからもの凄い量のバッドエナジーが出てるクル!!」

みゆき「プリキュアになってからの私たちに、あの黒い絵の具って効いてなかったよね……!?」

あかね「……アンタ。れいかに何したん?」ギロ

マジョリーナ「おーコワイコワイ。なんでもかんでも人のせいにするんじゃないよ」

やよい「で、でもこれはあなたのせいでしょ!」

マジョリーナ「さあ? そいつは一考する余地のある問題だと思うがねえ」

なお「何が言いたいんだよ、アンタッ!!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:43:57.68 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「たった今、そこのピンク色のお嬢ちゃんが言っただろう? プリキュアからはバッドエナジーが回収できないって」

みゆき「そ、それがどうしたの?」

マジョリーナ「そこらへんの理屈に関しちゃ、正直アタシもお手上げだわさ。ただここで大事なのは、今まで効いてなかったはずの絵の具の効果を、そこの青い嬢ちゃんがモロに喰らっちまってるっていう、その事実だよ」

あかね「いちいち回りくどいやっちゃな……!」イライラ

マジョリーナ「その子はねえ、アタシが何をするでもなく、最初からバッドエンドに染まってたんだよ」

やよい「え……?」

マジョリーナ「そしてその原因は……なあ、もう自分でわかってるんだろう? アンタだよ、緑川なお」

なお「――――!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:44:43.62 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「さて、御託は終いだ。今日という今日こそ、始末させてもらうよ、プリキュア!」サッ

キャンディ「!」

マジョリーナ「出でよ、アカンべェッ!!」


ズゴゴゴゴゴ


やよい「弓道の的が!」

アカンべェ「アーカンベェー!!(どうもこんちは)」ウガー
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:45:34.28 ID:ROaGA6hS0<>
あかね「け、結構強そうなんとちゃうん?」タラー

なお「れいかの日頃の努力の象徴を、あんな風に……許せない!」

みゆき「行くよ、みんな!」


「「「「プリキュア、スマイルチャージ!!」」」」


ハッピー「きらきら輝く、未来の光! キュアハッピー!」バァーン

サニー「太陽さんさん、熱血パワー! キュアサニー!」ドッカーン

ピース「ぴかぴかぴかりん、じゃんけんポン♪ キュアピース!」キャピッ

マーチ「勇気りんりん、直球勝負! キュアマーチ!」ブオオオッ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:47:14.70 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「……い、やもう」ブツブツ

サニー「れいかをこんな風にしよって! どうせアンタが追い詰めたに決まっとんのや、絶対許さへんで……! プリキュア! サニー……」ゴゴゴゴ

キャンディ「! ダメクルサニー! アカンべェの鼻をよく見るクル!」

サニー「へ?」スカッ

アカンべェ「アーカンベェー(ヤッホ^^)」

ピース「あ……青い鼻のアカンべェだよ、これ!?」

ハッピー「ええええっ!? つまり、それって!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:48:24.44 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「ひーっひっひっひ!! 今頃気づいたのかいこのトンチキどもが! 青い嬢ちゃんがあのザマな以上、アンタたちに青っ鼻を倒す手段なんざないんだよ!!!」

マーチ「そんな……!?」

マジョリーナ「さあ、やっておしまいアカンべェ!」

アカンベェ「アーーーーッカンベェーー!!!(あーメンドクセ)」


シュシュシュシュシュシュシュ!!!!


サニー「ぬおおおっ! 弓矢の嵐ぃぃ!!」

ハッピー「避けきれな……いやぁぁぁ!?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:49:33.43 ID:ROaGA6hS0<>
・・

・・・・

・・・・・・


マジョリーナ「ふふふのふ……呆気ないもんだわさ」

アカンべェ「アッカンベェー(俺TUEEEEEEEE)」

キャンディ「み、みんな……」

マーチ「ち、くしょう……!」ボロッ

ピース「も、もうダメだよ〜」ボロッ

サニー「あ、アカン。これ、詰みなんとちゃうんか……?」ボロッ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:51:16.32 ID:ROaGA6hS0<>
ハッピー「ダメだよ、みんな! まだ、諦めちゃあ……!」ボロッ

れいか「…………みなさん」ボソ

ハッピー「!! れいかちゃん!」

サニー「れいか! ウチらの声聞こえるんか!?」

ピース「れいかちゃん、大丈夫!?」

マーチ「れいか……」

れいか「みんな……なお……」チラ

マーチ「っ!」

れいか「………………ごめんなさい、みなさん。私、ダメなんです。こんな私にプリキュアの、いえ、みなさんと一緒にいる資格なんて、ないんです」

サニー「なに言うとんねん、このダァホ!」

ピース「れいかちゃんがいなかったら、私たち……!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:52:23.38 ID:ROaGA6hS0<>
マーチ「……れいか、あたしのせいなの? あたしが、れいかを傷付けちゃったの?」



サニー「コラぁ! マーチまでザレゴト垂れ流しよってからにぃ!」ウガー

マーチ「だって、れいかがバッドエンドに染まっちゃったって言うなら、それはきっとさっきのあたしのせいで」

れいか「……それは違うわ、なお。悪いのは、私。私が、弱いんです。醜いんです。だから、そんな自分が、嫌になったの」

マーチ「れいかっ!」

キャンディ「だ、ダメクル……あれじゃ、ちょっとやそっとじゃバッドエンドからは抜け出せないクル! もしかしたら、マジョリーナを追い払っても……」

ピース「そんなぁ!?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 19:53:53.27 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「無駄無駄。この狡っからいシンデレラに、アンタたちの声なんざ届くもんかい」

ハッピー「シンデレラ?」

マジョリーナ「そうさ、この子はシンデレラ。王子様に迎えに来てもらえずひとり寂しく死んでいった、バッドエンドの灰かぶり」

ハッピー「…………」

れいか「ガラスの靴を、落とし損ねてしまったんだそうです。ふふ……だから私は、きっともう、みんなの元には……ハッピーエンドの向こう側には、戻れないんだわ」

ハッピー「……それは、違うよ」

れいか「え?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 20:00:48.81 ID:ROaGA6hS0<>
ハッピー「れいかちゃんは間違ってる。絶対に、間違ってるッ!!」

れいか「は、ハッピー?」

ハッピー「私ね。昔、夜寝る前に考えたことがあるんだ。シンデレラに出てくる王子様は、本当にガラスの靴なしじゃあ、シンデレラを探せなかったのかな、って。手掛かりがなかったら、王子様はシンデレラを諦められたのかな、って」

れいか「…………」ポカン

ハッピー「私には、れいかちゃんが落とし損ねたガラスの靴っていうのが、なんのことだかよくわかんないけど」

れいか「…………」

ハッピー「れいかちゃんの王子様は、そんな簡単に物事を諦めちゃうような人なの? ガラスの靴がなかったら、泣いてる女の子一人、見つけられないような人なの?」

れいか「…………」

ハッピー「私は、違うと思う。私はこう思ってる」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga sage<>2012/05/19(土) 20:02:58.03 ID:ROaGA6hS0<>



「王子様は、シンデレラがガラスの靴を落とさなくても、絶対にシンデレラを見つけてた。何年経っても、どんな困難があっても諦めなかった!!」

「――――!!」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 20:05:02.33 ID:ROaGA6hS0<>
なんかもう会長いらない気がしてきた
もっかい休憩挟んで、今日中に終わらせます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/19(土) 20:10:48.61 ID:e7Vs9snco<> レイカさんの心のタネが枯れてしまう…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/05/19(土) 20:12:27.82 ID:Jmd6k3550<> マジョリーナさんがヘドリアン女王のようだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:02:44.93 ID:ROaGA6hS0<>
ハッピー「だから、ね? れいかちゃんも、諦めないで?」ニッコリ

れいか「…………みゆき、さん……」



マジョリーナ「――――そこまでにしとくだわさ」

ハッピー「!」

マジョリーナ「かなり良質のバッドエナジーを放出してたが、いい加減出涸らしってところかねえ。そろそろアンタは用済みだ」

れいか「…………」

サニー「アンタぁぁぁっ!! もういっぺん言ってみい!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:03:28.74 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「吠えたいだけ吠えな、ボロボロで身動き一つ満足に取れない負け犬どもが。遠吠えしたところで、アタシの耳を心地よくするだけだがね」

ピース「う、ううっ!」

マジョリーナ「何かの拍子に、万が一復活なんかされても面倒だわさ。アカンべェ! にっくきプリキュアの一人を、今ここで再起不能にしてやりなッ!!」

アカンべェ「アーカンベェー(らじゃ)」コクリ

マーチ「や、め」

れいか「…………」

マーチ「やめろおおおおおおおおおっっっっ!!!!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:04:31.64 ID:ROaGA6hS0<>

バァン!!


会長「君たちっ!! 何を弓道場で暴れている」

ハッピー「…………」

サニー「…………」

ピース「…………」

マーチ「…………」

マジョリーナ「…………」

会長「ん……だ……?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:05:24.01 ID:ROaGA6hS0<>
会長「え、っと……………………なんなんだい、この状況?」ポカン

マーチ「……ホントなんなんだろ、この……ピンチで現れてくれたってのに、ぜんぜん頼りにならないこの感じ」ヒソヒソ

ハッピー「一般人乱入って初めてのケースじゃない?」ヒソヒソ

ピース「もしかして、プリキュアフラグかも!」ヒソヒソ

サニー(アカン)

れいか「…………かい、ちょう……?」

マーチ「!! れいか!」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:05:52.68 ID:ROaGA6hS0<>
会長「青木さん、かい? こんなところで何を」

ハッピー「会長さん! れいかちゃんを連れて遠くに逃げてください!」

会長「君たちは……それに、この怪物は……」

ピース「細かいこと言ってる暇ないんです! とにかく、れいかちゃんを!!」

会長「……! ああそうだ、君たちの言うとおりだ! 青木さん、ちょっと失礼!」ダキッ

れいか「あ……」ポッ
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:06:30.93 ID:ROaGA6hS0<>
サニー「女の子の憧れ、お姫様抱っこキター!」

ピース「やだ、カッコいい……!」

マジョリーナ「…………」ポカーン

アカンべェ「アカンベェ?(ねえねえ、なんもしなくていいの俺? マジ楽な仕事でラッキーwwww)」

マジョリーナ「はっ!! し、しまった、予想外の事態に我を失ってただわさ! アカンべェ! その二人を逃がすんじゃあ」

会長「うっ、く、つ……ああっ!?」


ドテーン


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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:07:04.87 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「……はい?」

会長「あい、あいたたた……ごめん青木さん、怪我はないかい!?」

れいか「…………」

マジョリーナ「…………」



ハッピー「う……」

マーチ「運動音痴ぃぃぃぃぃ!!!! こんな場面でもぉぉぉぉ!?」

ピース「ああ、そういう伏線だったんだ」ナットク

サニー「メタなこと言うとらへんで、アレどうにかせんと!」

ハッピー「で、でも、身体が動いてくれない……!」ボロッ
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:08:11.72 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「は、はは。よもや、王子の方までポンコツとは思いもよらなかっただわさ。よしアカンべェ、プリキュアの前にその二人から始末しておしまい」

マーチ「!!」

アカンベェ「アーカンベェー!!(逃がさねーよ!)」ズドーン

サニー「あああ、出口塞がれてもーた!」ガーン

会長「……すまない、君たち。どうやら僕には、青木さんを安全な場所まで逃がせそうにない」

れいか「……あ……」

会長「せめてもの償いとして、体を張るぐらいのことはさせてもらうよ……ははは」

れいか「!!」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:10:11.78 ID:ROaGA6hS0<>
アカンベェ「アカン、ベェー(へっへっへ、覚悟しなリア充ども)」ジリジリ

マーチ「くそ、動け! 動けよ、あたしの身体ぁぁっ!!」

れいか「なお……」

会長「……やっぱりあれは、緑川さんなのか。夢だと思い込めたら楽なんだろうけど、どうやら夢じゃあなさそうだな」クス

れいか「……会長、もういいんです。どうか、私のことなど捨て置いて、一人でお逃げになってください。私のような、二本の脚で立つことさえ叶わない足手まといさえいなければ、あるいは」

会長「それはできない相談というものだよ、青木さん」

れいか「…………あぁ、もう。会長は、本当に、いつ何時でも、みんなのよく知る会長なんですから……困ったものです」

会長「困った会長ですまないね、と言いたいところだが……関係ないよ、そんなこと」

れいか「え?」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:11:19.16 ID:ROaGA6hS0<>
マーチ「れいか! 会長っ!!」

ピース「逃げて! 少しでもいいから遠くにぃっ!!」

キャンディ「こ、こうなったらキャンディが……!」

サニー「アカン! アンタが行っても怪我人が増えるだけや!」

キャンディ「でも、でも、このままじゃれいかとあの男の子が! キャンディだって役に立つクル!」

ハッピー「キャンディ……私たちが、もっとしっかりしてれば……!」

マジョリーナ「ひっひっひ、アンタたちからもいい具合にエナジー搾取できそうな状況だが……今はプリキュアを一人減らすのが先! さあ、アカンベェ!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:12:21.18 ID:ROaGA6hS0<>
アカンベェ「アーッ、カーン……(アカンベェ……)」ゴゴゴゴ



会長「僕が七色が丘中学生徒会長であることなんて、関係ない」



れいか「かい、ちょう?」



会長「どうしようもないヘタレで、いざというとき役立たずの運動音痴でも関係ない」



アカンベェ「ベェーッ!!!(パーンチ!!!)」

れいか「!! あ、ああ……!」

マーチ「れいかぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:13:20.23 ID:ROaGA6hS0<>
「震える女の子を放り出して逃げるなんて、どんなに懸命で賢い判断だったとしても」


トンッ。


「え?」


れいかの身体が、軽く突き飛ばされた。





「一人の男として、絶対にやっちゃいけないことなんだよ」




茫然と後ろに傾いでいくれいかの目の前で、少年の笑顔が巨大な拳に薙ぎ払われた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:13:57.87 ID:ROaGA6hS0<>

ズッ、ドオオオオオンンッッ!!!


れいか「――――ぁっ!!!!!」

ハッピー「か、会長さぁぁぁん!!」

会長「…………」ガク

ピース「ひっ……ま、まさか、死……」



マジョリーナ「ちっ、当たりどころが良かったか。いや、私にとっちゃあ悪かったというべきかねぇ」

ピース「え」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:15:54.02 ID:ROaGA6hS0<>
会長「ぅ……」

マジョリーナ「こりゃあ気絶してるだけだね。まったく、悪運の強い坊やだよ。その上」チラ


ボヨヨヨーン


サニー「へっ!? ぱ、パンダぁ!?」

マーチ「パンダのお腹が、クッションになってる!? っていうか、なんでパンダ!?」

パンダ「…………」ノシ

ハッピー「あ、消えた」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:16:50.78 ID:ROaGA6hS0<>
キャンディ「パンダデコルクル! 間に合ってよかったクル!」

ピース「あ、私のスマイルパクト」

ハッピー「おお、おおおお、おおおおおおお、キャンディー!」

サニー「やるやんかキャンディ!」

マーチ「……それ、まだ番組に登場してないヤツじゃ」

キャンディ「市販のラインナップの中にこれしかクッションになりそうなのがなかったクル!」

マーチ(そういう問題じゃない)
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:18:05.09 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「あ、あああ………………よかった、本当に、よかったぁ」ヘナヘナ

マジョリーナ「ふん! しかし結局のところ、状況は何も変わっちゃいないだわさ」

アカンベェ「アッカンベー(YES)」

マジョリーナ「役立たずの王子にできたのは、ちょいとバッドエンドを先延ばしにすることだけ。お笑いだわさ、まったく」



れいか「――――」



マジョリーナ「ま、無能な男どもなんざどいつもこいつも変わり映えしやしない、所詮こんなもんだわさ。さあ、トドメだよお嬢ちゃ」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:18:38.35 ID:ROaGA6hS0<>




「お 黙 り な さ い ッ ッ ! ! !」





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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:20:15.19 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「!! ……ほぉう?」ビリビリ

マーチ「れ、れいかの全身から出てたバッドエナジーが……」

ピース「吹き飛んじゃった……」

キャンディ「すごいクル! さすがれいかクル!」キャッキャッ

サニー「すごいっちゅーか、アレはどっちかゆーと」



れいか「…………」ドドドドドドド



アカンベェ「」ガクガクブルブル

ハッピー「……怖いね、普通に」

サニー「アカン、見てるだけで土下座しとうなってくる」

ピース「まあ、地面に突っ伏して口動かしてるだけの、私たちの現状もあんまり変わらないけど」

マーチ「それ言わないで泣けてくるから」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:21:05.73 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「覚悟は、よろしいですか」

マジョリーナ「……やれやれ、まさか本当に復活を果たされるとはねぇ。とんだ誤算だったよ」クツクツ

れいか「……?」

マジョリーナ「作戦失敗の前に聞いておこうか。一度目とは較べものにならないほど極上の、一級バッドエンドの甘美な世界はどうだったいぃ?」

れいか「……底なし沼に沈んでいくような心地よさと、氷漬けにされる冷たさが同居したような、とても悲しい世界でした」

マジョリーナ「でも、気持ちよかったろう?」

れいか「……否定はしません」

マジョリーナ「じゃあいかにしてアンタは、その凍ったぬるま湯を脱出できた?」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:22:15.01 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「色々と、理由は考えられます。たとえば……」

マジョリーナ「……たとえば?」

れいか「私には、とても素敵な友人がいたんだと、思い出せたこと」

ハッピー「れいかちゃん……」

れいか「私の浅ましい悩みを、砂上の楼閣のごとく笑い飛ばしてくれるであろう、素晴らしい、本当に素晴らしい友人が」

マーチ「れいか……!」

れいか「みなさん。この件が終わったら私の醜さを、浅ましさを、卑怯さを。汚らしい懺悔を、恥ずかしい告解を……つまらない悩みごとを。あますことなく聞いて、受け入れてくれますか?」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:24:16.84 ID:ROaGA6hS0<>
キャンディ「もちろんクル!」

サニー「熱烈歓迎や! 大船に乗ったつもりで、ドンと来んかい!」

ピース「笑ってほしいなら笑ってあげるし!」

マーチ「叱ってほしいなら、いくらでも叱ってやるさ!」

ハッピー「だって、それが――――友だちってものだもんね!」



れいか「……ありがとう、みんな」ニッコリ
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:25:10.60 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「そして、もう一つ。どうしても許せないことがあります」

マジョリーナ「…………」

れいか「これはプリキュアとしてではなく、七色が丘中学生徒副会長としてでもなく、青木れいかとして、ですらない」ゴゴ

マジョリーナ「……なんだか、さすがに背筋が寒くなってきただわさ」



れいか「一人の女としての、怒りです」ゴゴゴゴゴゴ



アカンベェ「あ、アカ、アカン(アカン)ガクブル
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:26:16.20 ID:ROaGA6hS0<>




「私の大好きな人を傷付けた挙句、馬鹿にしてくれたこと――――絶対に、許しはしませんッ!!」





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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:27:25.32 ID:ROaGA6hS0<>
【十分後】


あかね「ちゅーわけで、戦闘シーン割愛ー」

なお「どういうわけさ」

やよい「そこは察しようよなおちゃん」

みゆき「テレビの前のお友だちにお見せできるような代物ではありませんでした」

れいか「な、何もそこまで言わなくてもいいではありませんか!」カァァァ

あかね「いやいや、そこまで言うほどのもんやったで、アレは」ウンウン

みゆき「変身するや否や怒りのビューティブリザード13連発でアカンベェをカチンコチンの氷漬けにして」

なお「うずくまる私たちを無理矢理立たせて」

キャンディ「レインボーヒーリングすら連発して完膚なきまでに浄化しきったクル」

やよい「仮面ライダーB○ACKもびっくりの容赦のなさだったよ」

れいか「……もう終わったことです。そのあたりにしておきましょう? ね?」ニッコリ
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:28:32.75 ID:ROaGA6hS0<>


会長「……う、ううん……」



れいか「! 会長!」ソソクサ

会長「つっ、青木さん? ここは、弓道場……んん?」

れいか「ど、どうかされましたか? 何か、その、腑に落ちないことでも……?」オソルオソル

会長「さっきまでここに、見たこともないような奇怪な怪物がいた気がするんだけれど」キョロキョロ

れいか「ゆっ、夢でもご覧になっていたのではないでしょうか!」

会長「はあ……まあ、そうだね。あんな化物が現実にいるわけがない。星空さんたちがこれまた奇矯な恰好で立ち向かっていた気もするけれど、きっとそれも夢だったんだろう」ハハハ

れいか「うっ」グサ
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:30:11.40 ID:ROaGA6hS0<>
会長「ところで僕は、どうしてまた弓道場なんかで眠っていたんだろう」

れいか「そ、それは……会長は本日、弓道部の見学にいらしていたのです。覚えてらっしゃいませんか?」ニッコリ

会長「うん、さっぱり」

れいか「ぐ」

会長「でもまあ、青木さんが言うならそうなんだろうね」

れいか「ううっ」グサグサ

会長「でもそれだと、眠りこけていたことの理由にはならないな。なんだか無性に後頭部が痛いし」サスリサスリ

れいか「野球のボール! 野球ボールがぶつかったんです!!」アセアセ
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:31:16.73 ID:ROaGA6hS0<>
会長「ああ、それはなんとなく記憶にあるなぁ。避けろって言われたのに、僕ときたらドンくさくて避け損ねたんだ」

れいか「ほっ」

会長「でも、グラウンドからここまで飛んでくるなんてよほどの大ホームランだったんだね」ハハ

れいか「うううっ!」グサグサグサ

会長「青木さん?」キョトン

れいか「み、みなさん! みなさんからも会長にご説明……を……?」



四人「…………」コソコソ
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:31:43.73 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「……みなさん? どちらに行かれるおつもりで?」

あかね「やーん、そんなんウチらの口から言わせるつもりなんー?」ニヤニヤ

やよい「お邪魔虫は退散しようかなー、って思っただけですぅー」ニヤニヤ

キャンディ「キャンディは虫じゃないク……モガモガ」

会長「? 今なにか妙な声が」

みゆき「なんでもありませーん! それじゃあ私たち、お先に失礼しまーっす!」ニヤニヤ

れいか「ま、待ってくださ」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:33:06.13 ID:ROaGA6hS0<>
なお「あ、そーだ。最後に一つ、いいですか」

会長「ん? 緑川さん、どうかしたかい?」

れいか(なお……?)



なお「会長って女の子にモテますよね」

れいか「!?」



会長「いやいや、そんなことはないと思うけどね。しょせん僕なんて」

なお「まあまあ謙遜なさらず……でもですね」

会長「?」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:34:10.77 ID:ROaGA6hS0<>
なお「はっきり言って、“あたし個人としては”ちょっと好みのタイプじゃないんですよ」ニヤニヤ



れいか「〜〜〜〜っ!!!」カァァ



なお「あたし、野性味あふれる男の方が好きなんで」

会長「ははは。それじゃあ僕とはまったく別世界の住人だね。これは参ったな」

なお「それじゃあ失礼します。れいかのこと、よろしくお願いしますね」ニヤ

れいか「」パクパク

会長「よろしくお願いされるべきはむしろ、前後不覚でふらついてる僕の方なんだけど…………行ってしまった」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:35:44.72 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「…………」

会長「なんだったんだろうね、今のアレは。告白もしないうちにふられるっていうのは、なかなか新鮮な体験だったけど」アハハ

れいか「…………」

会長「緑川さんのような美人に眼中にないなんて言われると、わかってたことだとしても残念だなぁ」

れいか「! ざ、残念……なのですか……」シュン

会長「…………」

れいか「あ、いえ、なんでもありません」シレッ

会長「……残念といえば、もう一つ」

れいか「?」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:36:57.71 ID:ROaGA6hS0<>
会長「いやね、さっき夢を見たと言ったろう? 信じられないような怪物が出てきて、僕は何もできずにやられて、無様に気絶してしまう。そういう夢だったんだけど」

れいか「そのようなことはありません! 会長は、会長は私を……!」

会長「ん?」

れいか「んっ、けほっけほっ! その……どうぞ、お話をお続けになってください」ゴホン

会長「ふむ。それで、怪物に吹っ飛ばされてしまった僕なんだが。実はその後も、おぼろげながら意識が残っていたんだ」

れいか「……え?」

会長「そして、朦朧とする視界と、霞む音響の彼方で」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:39:13.62 ID:ROaGA6hS0<>
会長「女の子が一人、聞き覚えのある凛とした、しかし聞いたことがないような迫力ある声を張り上げて、とても嬉しいことを言ってくれた気がするんだ」

れいか「――――!!」

会長「あれが夢だったなんて本当に惜しいなぁ、と僕は思う次第なんだけれど」

れいか「あ、い、わた、私その、えと、それは、ゆめ……」

会長「……ねえ、青木さん?」

れいか「ひゃ、ひゃいっ!!」



会長「僕の見た夢について、君はどう思うのか。是非とも、君の意見を聞かせてほしいな」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:40:14.98 ID:ROaGA6hS0<>
【七色が丘上空】


マジョリーナ「……ちっ。あーあ、つまらないハッピーエンドだわさ」フヨフヨ

マジョリーナ「ま、バッドエナジーだけは大量に集まったし、これでよしとするしか……ん?」


シュン


ジョーカー「はっあ〜〜い♪ 偉大なるすわぁん幹部の一角、マッジョリーナさぁ〜ん? 御機嫌はいかがですかぁぁ〜?」

マジョリーナ「……たった今、最悪になったところだよ」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:42:23.86 ID:ROaGA6hS0<>
ジョーカー「いぃ〜やぁ、本日はたいっっへんな戦果を挙げられたようで、お慶びのおん言葉をお申し上げに参った次第でしてぇ〜?」

マジョリーナ「はん。こんぐらい、アタシが本気になりゃ楽勝だわさ」

ジョーカー「すっばらしーんっ!! 我らが皇帝ピエーロさま復活の暁には、必ずや! マジョリーナさんのお働きに、それはそれは莫大な恩賞が与えられることでしょうねぇ〜ん!」

マジョリーナ「お世辞はいらないよ。今日はなんの用だい」

ジョーカー「いーえぇ、大した用事じゃあないんですよぉ。ただねぇ……」

マジョリーナ「ただ?」



ジョーカー「あの『セイトカイチョー』とかいう彼。 奇しくもあのプリキュアの言うとおり、ガラスの靴なしでシンデレラに辿りついてしまった、幸運の女神に愛された王子。彼の乱入を許したのは、痛恨のミスでしたよねぇ?」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:43:44.15 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「何かと思えば人の粗探しかい。お暇なこって」

ジョーカー「そぉぉんんなぁぁ、めっせーもございませぇん!!」

マジョリーナ「どうだか」フン

ジョーカー「しかし、結果的には彼の介入がプリキュア打倒大作戦失敗の決定打になってしまったんだと思うと、口惜しいものがあるなぁ〜とお〜もいましてぇ〜?」

マジョリーナ「…………」

ジョーカー「ねえ、マジョリーナさん? どうして――――あの坊やの侵入を、防げなかったんでしょうねぇ?」

マジョリーナ「……さあ? 運が悪かったんだろうさ」

ジョーカー「そうですかぁ? 予めバッドエンドに染める範囲を、校舎の方まで意図的に伸ばしておけば。今回の事態は起こらなかったんじゃなぁいでぇすかぁ?」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:44:57.90 ID:ROaGA6hS0<>
マジョリーナ「結果論だよ、そりゃ」

ジョーカー「そうですかぁ〜ん……やはり運の問題ですかぁ。そうそう、悪運といえばもう一つ」

マジョリーナ「ん?」

ジョーカー「あの妖精が、デコルでクッションを出したときのことですが」

マジョリーナ「……アンタ、そこまで見てるんならちったぁ手伝おうとか思わないのかい」

ジョーカー「助けてほしかったですかぁ?」

マジョリーナ「いいや、ちっとも」
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:46:26.26 ID:ROaGA6hS0<>
ジョーカー「んっふふ、まあ話を戻しましょう」

マジョリーナ「あたしゃ話を打ち切りたい」

ジョーカー「妖精はクッションを出しました→アカンベェが坊やを殴り飛ばしました→ちょうどその先に、パンダのお腹がジャストフィィィット!!」

マジョリーナ「…………」

ジョーカー「……大した偶然ですねぇ」

マジョリーナ「……大した偶然だね、こりゃあ」

ジョーカー「…………」

マジョリーナ「アンタ。要するに、このアタシの作戦と戦果にケチつけるためだけに、人間界くんだりまで来たってのかい?」ギロ
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:54:41.11 ID:ROaGA6hS0<>
ジョーカー「んっふふ、そう血管を浮かせないでくださいな。ただ、結果として。結果として、キュアビューティが精神的に一つ、高いステージに上ってしまったのは事実ですよねぇ?」

マジョリーナ「……そうだね。まあ、そこだけはヌケサクだったと認めてやっても構わないよ」

ジョーカー「ヌゥ〜ケサクだなんてそんなぁ! わたくしめはそぉぉんなつもりで申し上げたわけではぁ!!」

マジョリーナ「ま、どのみちプリキュアはアタシがいつか仕留めるんだ。ケツの青い小娘がどう成長したところで、ピエーロ様の威光とアタシの知略の前じゃあ、赤子の手を捻るようなもんさ」

ジョーカー「んさぁすがすわぁん幹部きっての切れ者、たぁっのもっしぃ〜〜〜!!! ……ところで、もう一つだけ質問が」

マジョリーナ「急にテンション変えんじゃないよ鬱陶しい……変えなくても鬱陶しいけどね」

ジョーカー「シンデレラ、って私昔に一度読んだきりなんですけどね、細かい内容忘れちゃいまして」

マジョリーナ「無視かい」

ジョーカー「結局あの話って、魔女はどういう役割をこなすんでしたっけぇ? ねぇねぇマジョリーナすわぁ〜ん?」

マジョリーナ「…………」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:57:20.58 ID:ROaGA6hS0<>


「悪役じゃない魔女が出てくる話なんざ、この世にあっていいはずがない。それだけの話だわさ」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:58:04.46 ID:ROaGA6hS0<>
【翌日 屋上でランチ中】


みゆき「こうしてシンデれいかちゃんは、王子様と末永く幸せに暮らしましたとさ」パタン

やよい「いぇーい」パチパチ

キャンディ「めでたしめでたしクル!」キャッキャッ

れいか「暮らしません! 私の決意は、先日お伝えしたとおりです!」プンプン

あかね「なんや結局そういうことになるんかい、つまらん」ブーブー

なお「せっかく私たちがお膳立てしてあげたってのに……女らしくないよ、れいか!」ビシッ
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(チベット自治区)<>saga<>2012/05/19(土) 23:59:18.55 ID:ROaGA6hS0<>
れいか「いいんです。会長の見た夢を現実にするのは、目の前の戦いを乗り越えてから。そう決めたのですから」キリッ

あかね「悠長やなぁ。ま、本人たちが納得してるゆーなら好きにしたってええんやけど……ん?」


キャーキャー


なお「おっと。噂をすれば、中庭に面白いものが見えるね」ニヤニヤ

みゆき「七色が丘中学名物、『昼休みに女の子に囲まれる会長』の開演時間だぁ」ニヤニヤ

やよい「あれ、ほっといていーのかなーれいかちゃーん?」ニヤニヤ

れいか「…………」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/20(日) 00:00:04.98 ID:zQfIGP0D0<>
女子1「会長! お昼一緒にいかがですか!?」

女子2「いいえ私と!」

女子3「私たちのお弁当、よかったら……!」

会長「ははは、ごめんね。今日……というか、今日からしばらくは、ちょっと無理なんだ」

女子1「えー!?」

女子2「なんで!? どうしてですか!?」

女子3「……! ま、まさか……!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/20(日) 00:03:44.11 ID:zQfIGP0D0<>


「あいにく、身柄をキープされてしまっていてね。半年ほど先まで、待っていてほしいと言われたものだから」



「ふふふ、構いません。先約は、もう取りましたから」



END
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>saga<>2012/05/20(日) 00:05:04.06 ID:zQfIGP0D0<>
というわけで、昨今のなおれいブームに斜め45度ぐらいから喧嘩を売ってみました
明日のれいかさん回の前にワンチャンで片付けておきたかった代物です
真面目な話スマプリは、この会長が影薄いままだったらノマカプ要素皆無で終わりそうですよね
何かあるとしたらシリーズの傾向的に、ボーイッシュなNISSANコンビあたりが怪しいでしょうか

まあ、何が言いたかったかというと
たまにはノーマルCPもいいんじゃない?みたいなアレです
機会があったら赤鬼さんやげんきくんやかずやくんや宗本くんがリア充な話にも挑戦してみたいですね

それではお付き合いいただきありがとうございました
HTML化は一週間ほどののちに出そうと思います
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/05/20(日) 00:07:02.69 ID:gYqytVfAO<> 乙
良い少女マンガだった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/20(日) 09:48:44.00 ID:G7jRPckA0<> あえて乙じゃなくてサンキューイッチと言っておこうww
れいかちゃん可愛かったよ〜!

それにしても、サニーはなんJ民だという風潮
一理ある? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/23(水) 00:22:25.62 ID:MuU1XGmHo<> 乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<>sage<>2012/05/24(木) 01:15:25.55 ID:MFIZ+Thh0<> もう(続き)ないじゃん…… <>