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精霊「魔王を倒すのは、騎士・盗賊・僧侶・魔法使いの4人です。」 勇者「え?」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:02:51.13 ID:Zq+4nD5+0
〜礼拝堂〜

精霊「封印が解かれ、北の魔法都市が、魔王に制圧されました。」

司祭「なっ……それでは、人類はどうすれば?」

精霊「魔王を倒すのです。封印ではなく、消滅させるのです。」

司祭「そのような大役、一体誰に任せればよいのですか。」

精霊「世界を救う者は、この鉱山都市に4人揃っています。」

司祭「おぉ……ではやはり、封印戦争の英雄の子孫が……。」

精霊「魔法使い、騎士、僧侶、盗賊の4人です。」

司祭「おぉ……お?」

精霊「4人には、すでに夢に出てこのことを伝えてあります。」

司祭「あ、あの、精霊様?」

精霊「何か?」

司祭「え、いや……この町にいる、封印戦争の英雄の子孫、勇者殿は?」

精霊「誰それ?」

司祭「え?」

精霊「え?」

司祭「…。」

精霊「…。」

司祭「あっ、消えた!!……た、たいへんなことになったぞ!!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1337853761(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:04:24.44 ID:Zq+4nD5+0
〜城〜

兵A「おい、見たか?」

兵B「ああ、号外だろ?城中、いや、街中大騒ぎらしいぜ。」

兵A「遠見の水晶で確認しようとしたら、いきなり割れたらしい。」

兵B「じゃあ、やっぱり魔王が復活して…。」

兵A「魔法都市が、陥落したんだ。」

兵B「この鉱山都市は一番遠い位置にあるとはいえ、これからどうなるんだ?」

兵A「それについて、なにやら団長と司祭様が相談しているらしい。」

兵B「どこで?」

兵A「執務室。」

兵B「……行く?ww」

兵A「行く行くww」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/24(木) 19:04:31.34 ID:sVXDeihOo
勇者カワイソス
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:05:04.44 ID:Zq+4nD5+0
団長「それは、まことですか。」

司祭「うむ、精霊様が冗談を言うはずもない。」

団長「まさか、そのような4人が選ばれるとは…。」

司祭「お告げは絶対です。」

団長「うむ…とりあえず、このことは内密に。」

司祭「えぇ…しかしそれは瞬時に街中に噂が広まるフラグですな。」

団長「うむ……え?」

兵A「大変だぁ〜〜〜〜!!」

兵B「あの、勇者が、精霊様に選ばれなかったぞ〜〜〜〜!!」

団長「し、しまった!!」

司祭「まぁ、遅かれ早かれ分かることです。それよりも、4人を集めましょう。」

団長「う、うむ……では、私が呼び集めてこよう。」

司祭「宮殿で、お待ちしています。では。」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:06:36.75 ID:Zq+4nD5+0
団長「とは言ったものの、気になって勇者宅まで足を運んでしまった。」

民A「ばかやろー!!金返せーー!!」

民B「お前も討伐に行けー!!」

民C「なんのために寄付を募ってたんだ、この詐欺師一族めーー!!」

団長「……とても勇者には会えそうにないな。さて、どうしたものか。」

僧侶「困ったわねぇ。」

団長「む、僧侶。いつの間に。」

僧侶「無論、貴殿の気付かぬ内に。」

団長「またわけわからんしゃべり方をしおって。本の影響を受けすぎだ。」

僧侶「乙女は感受性が高い生き物だもの。それはそうと、困ったわね。」

団長「お主も勇者が心配か。」

僧侶「そりゃまぁ、幼馴染だからねぇ。このままだと彼…。」

団長「うむ……」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:07:22.07 ID:Zq+4nD5+0
僧侶「ニート一直線ね。」

団長「うむ。剣を教えていた頃から、心が強い方ではなかったからな。」

僧侶「勇者勇者と言われ育って20年、それが童貞ヒキニート街道まっしぐらなんて。」

団長「乙女が童貞だなんだと言うでない!!」

僧侶「しかも幼馴染の巨乳美女の僧侶ちゃんはちゃっかり選抜されてしまって…。」

団長「じ、自分でそこまで言うか…。」

僧侶「下手したら自殺モノだわ。ゆゆしき事態ね。さて、オジサマ。」

団長「な、なんだ。」

僧侶「他の3人には、もうお会いに?私も誰なのか、知らないのよね。」

団長「いや、まだだ。3人とも見知った仲なのだが…。」

僧侶「あらやだ、身知っただなんて、不潔。」

団長「お前の頭が不潔だ。」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:08:36.82 ID:Zq+4nD5+0
僧侶「それはそうと、全員を集めちゃわない?その様子だと、聞いてるんでしょ。」

団長「うむ…司祭が受けたお告げの4人が誰なのかは、すでに分かっている。」

僧侶「まず、私でしょ。」

団長「うむ。では、次に騎士の詰め所に行くとしよう。」

〜騎士詰所〜

団長「騎士には、ここで待っているように伝えておいたが…。」

僧侶「いないわねぇ。」

団長「うむ…と言うか、お主、なぜここに。」

僧侶「他の3人と仲良くなろうかと。」

団長「なぜ舌なめずりを…そうだお主、仕事はどうした。」

僧侶「神父様に許しはもらったわ。最初は渋られたけど、逆に絞ってあげたr」

団長「騎士!!おらんのか!!」

僧侶「む、早くもスルー。」

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:09:32.45 ID:Zq+4nD5+0
騎士「も、申し訳ありません、団長!!」

団長「なんだ、おるではないか。」

騎士「落ち着かなかったので、少し訓練場で汗を。」

僧侶「あら〜、美人さん。騎士っていうから、男かとばっかり。」

騎士「……男でなければならなかったか?」

僧侶「そんなことないわ。私、バイだかr」

団長「オホン。さて、騎士よ、お告げは聞いたのだな。」

騎士「えぇ、今朝方の夢で、精霊様が。」

団長「どうするつもりだ。」

騎士「……私の剣は領主様に捧げております。命令があれば、旅立ちます。」

団長「うむ、それでよいだろう。お主はお主の使命を全うしなさい。」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:10:00.11 ID:Zq+4nD5+0
騎士「……団長。いえ、父上。」

団長「なんだ。」

騎士「身よりのない私をここまで育てていただいて、本当に感謝しています。」

団長「女としての幸せを願っておったのだがな。」

騎士「それは無用というもの。私の幸せは、剣なしではありえません。」

僧侶「私の幸せも、剣なしではありえません。特に下半身n」

団長「頑固に育ったものだわい。では、次に魔法使いの家へ行くとしよう。」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:10:41.87 ID:Zq+4nD5+0
〜町はずれの塔〜

団長「魔法使い!おるか!」

魔法「はいはーい…あぁ、おじさん。」

団長「久方ぶりだな。」

僧侶「あら、いい男。」

魔法「…そちらは?」

団長「勇者の幼馴染の僧侶と、私の娘の騎士だ。」

魔法「あぁ……噂の。」

僧侶「噂って?絶世の美少女僧侶ちゃん、とか?」

魔法「あ、いや、騎士殿の方。最年少で百人隊長に抜擢された…」

騎士「七光り?」

魔法「……というわけでもなさそうだけどね、その雰囲気じゃ。」

騎士「あなたも名乗られてはどうだ。」

魔法「そうだね。魔法使い、と呼んでください、ご両人。」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:11:37.00 ID:Zq+4nD5+0
騎士「父…いえ、団長とは、面識が?」

魔法「えぇ、少しだけ。騎士殿のお話を嬉しそうになさっていました。」

僧侶「内輪話で盛り上がらないでよねー。あなた、本当にお告げは聞いたの?」

魔法「あぁ…お城の使いの方もさっき来たよ。わざわざね。」

団長「どうするつもりだ。」

魔法「…ま、無視したら反逆罪になりかねないからね。従うよ。」

騎士「栄誉あることなのに、不真面目な…。」

僧侶「私は好きだなー、こういうオ・ト・コ。」

団長「さて、もう一人の盗賊は、街の酒場で落ち合うことになっている。」

騎士「では、行きましょう。」

団長「いや、私は魔法使いと少し話がある。酒場へは二人で行け。」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:12:15.28 ID:Zq+4nD5+0
僧侶「ま、まさかっ!!BL!?」

魔法「俺はヘテロだよ。」

団長「いいから早くいけっ!」

騎士「分かりました。さぁ僧侶殿、行こう。」

僧侶「待って、私も入れて、正確には私にいr」

団長「…あの僧侶にも困ったものだ。あれで能力的には天才の部類だからな。」

魔法「で、話とはなんです。」

団長「ふたつある。騎士のこと、そして勇者のこと。」

魔法「娘をよろしく頼む、ですか。」

団長「そんなに単純な話ではない。実は…」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:12:51.44 ID:Zq+4nD5+0
僧侶「ねぇねぇ。」

騎士「なんだ。」

僧侶「騎士ちゃんってさぁ。」

騎士「なんだ。」

僧侶「いくつ?」

騎士「21だ。」

僧侶「私の方が上、か。……処女?」

騎士「な、ななななな…」

僧侶「あ、もう分かったからいいわ、答えなくて。」

騎士「あ、あなた、神に仕える身でありながら、そそそんな果てしない」

僧侶「はしたない、でしょ。動転しすぎだってば。」

騎士「べべべ、べつに動転などしていにゃい!」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:13:20.92 ID:Zq+4nD5+0
僧侶「はいはい。それに、神に仕えることと純潔を守ることは同義じゃないわよ。」

騎士「え?」

僧侶「精霊は本来愛の女神だもの。そして性交は愛の具体でしょ。」

騎士「そ、そういうものか。」

僧侶「魔法が発達して避妊魔法なんてのが生まれたんだから、命も粗末にしてないし。」

騎士「うむ…そう言われると、その通りなのだが。貞操観念がだな…」

僧侶「そんなに美人なのに、もったいないよー?いい人いないの?」

騎士「私より強い男がいないからな。」

僧侶「んふ、そういうりりしさもステキ。今夜あたり、おねいさんが手取り足取り……」

騎士「こここ、ここが酒場だな。」

僧侶「あら、残念。んふ。」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:14:05.62 ID:Zq+4nD5+0
〜酒場〜

騎士「失礼する、こちらにt」

僧侶「ストッーープ。」

騎士「むぐ……ん…」

僧侶「カウンターに進んで。とりあえず座りましょ。」

騎士「ちょ、ちょっと……もう、急になんだ。」

僧侶「馬鹿正直に聞いたって、ここの連中に足元見られるだけよ。」

騎士「だからって、口に指を入れる必要は…。」

僧侶「あぁ、ごめんごめん、クセで、ついね。」

主人「おう、僧侶ちゃん。久しぶりだな。」

僧侶「久しぶり。子ネコは元気?」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:14:41.48 ID:Zq+4nD5+0
主人「墓地のじじいに可愛がられてるよ。そりゃそうと、大変そうだな。」

僧侶「そうなのよねー。勇者のやつ、いじけてなきゃいいけど。」

主人「僧侶ちゃんは選ばれたんだろ。連れて行かないのか?」

僧侶「さぁ?」

主人「さぁ、って…まぁ、僧侶ちゃんらしいやな。んで、何の用だい。」

僧侶「お告げの盗賊って、誰のこと?」

主人「直球だねぇ。結論から言うと、ここにはいないよ。」

騎士「え!?そ、それは困る!!」

主人「んなこと言ったってな…。やつなら、地下水道だ。」

僧侶「…もしかして、盗賊って、あいつ?」

主人「らしいぜ。」

僧侶「はぁ…こりゃ、勇者は立ち直れないわ。」

騎士「???」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:15:17.63 ID:Zq+4nD5+0
騎士「あの、僧侶殿。」

僧侶「なに?私の性感帯?」

騎士「い、いや、そうではなくて…先ほどの話なのだが。」

僧侶「あ〜、盗賊のこと?」

騎士「ああ。」

僧侶「まぁ、有体に言えば、私と勇者の幼馴染ね。私と盗賊の方が年上だけど。」

騎士「ふむ。」

僧侶「確かに、盗賊の戦闘の才能はすごかったから。精霊から見てもそうだったのね〜。」

騎士「それはその、勇者殿よりも?」

僧侶「たぶん、圧倒的に。」

騎士「では、幼馴染の3人の内、勇者殿だけが。」

僧侶「そ、一番期待されていた勇者殿だけが、ね〜。凡才くんだったわけ。」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:16:07.21 ID:Zq+4nD5+0
騎士「そうなのか?封印戦争の英雄の末裔なのだろう。」

僧侶「そりゃまぁ、そうらしいけど。」

騎士「そうらしい、とは?」

僧侶「証拠なんて、遺物だけでしょ?モノなら、なんとでもなるじゃない。」

騎士「むぅ…。」

僧侶「それに、勇者は本当に戦いの才能がないというか…。」

盗賊「おぅ、来たか。」

騎士「この人が、盗賊。」(確かに、スキがない…。)

盗賊「久しぶりだな、僧侶。」

僧侶「そうね。あんたが旅に出てばっかりいるからね。」

盗賊「俺にとって冒険は呼吸と同意義なのさ…って、そちらさんは?」

騎士「あなたと同じく、精霊に選ばれた者だ。騎士という。」

盗賊「は〜〜、こりゃまた……」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/24(木) 19:16:29.67 ID:FlaL8VKMo
女騎士ちゃんきゃわわ
支援
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:16:44.98 ID:Zq+4nD5+0
騎士「?」

盗賊「世間知らずそうだなぁ。」

騎士「ッッ!!」

盗賊「ハハ、気を悪くしたかい。」

騎士「い、いや…大丈夫だ、自覚はあることだから。」

盗賊「へぇ、美人で自制心もあって、こりゃ上玉だ。」

騎士「じょ、上玉?」

盗賊「美人ってこと。」

騎士「なっ…!!///」

僧侶「駄目よ〜、騎士ちゃん、こういう男にひっかかったら。」

魔法「経験談かい?」

僧侶「わっ、魔法使いじゃない。いつの間に?どうしてここが?」

魔法「秘密。その方が、かっこいいからね。」

盗賊「…ってこたぁ、ここにいるのが、お告げの4人ってわけだ。」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:17:25.66 ID:Zq+4nD5+0
〜宮殿の一室〜

団長「ではあらためて、状況を整理しよう。」

司祭「ここにいる4名が、今朝のお告げで示された、選ばれし者ですな。」

団長「間違いないな、4人とも。」

盗賊「ま、夢で名指しで指名されちまったらな。」

騎士「間違いありません。」

僧侶「私も。」

魔法「そうだ。」

司祭「では、あなた方は、これより愛の女神に選ばれたものとして」

盗賊「酒池!?」

僧侶「肉林!?」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:18:05.75 ID:Zq+4nD5+0
司祭「400Gが与えられます。」

僧侶「よ、よんひゃく?」

団長「……すまん、この鉱山都市は財政難でな。」

騎士「これも試練のひとつということだろう。」

魔法「まぁ、お金ならなんとでもなるよ。問題は他にある。」

団長「その通りだ。……お前達、勇者は連れて行くか?」

僧侶「反対。」

盗賊「反対。」

騎士「どうして。あなたがたは、彼の幼馴染なのだろう?」

盗賊「だから、さ。あいつはな、肩書きほど優秀じゃねぇ。」

僧侶「足手まといになるわ。」

騎士「し、しかし……ち、団長!!」

団長「…私も勇者に剣を教えていた身だ。その言い分も、分かる。」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:18:45.10 ID:Zq+4nD5+0
騎士「しかし、あまりにも…かわいそうではないか。」

魔法「英雄の末裔として期待され続け、育ってきたわけだからね。」

騎士「そうだ!その責任に応えようと、努力を重ねてきたのだろう?」

盗賊「……なぁ、あんた、真面目だろ。」

騎士「む……当たり前だ、騎士なのだから。」

盗賊「仲間が危機に瀕したら、どうする。」

騎士「身を盾にして、みなを逃がす。」

盗賊「危機に瀕する前に逃げるやつを、どう思う。」

騎士「そんな奴は仲間として失格だ!……あ。」

盗賊「そんな奴、なんだよ。勇者ってのは。」

僧侶「私はこんなだけど、魔王討伐に対しては真剣よ。でも、だからこそね。」

盗賊「勇者と言われ育って、あいつはうぬぼれたのさ。自分を磨きもしないで。」

盗賊「才能はあったかも分からんが、内面がダメだ。」

僧侶「幼馴染みだからこそ、彼のダメさが分かるのよねー。」

盗賊「肩書きだけじゃ、魔物には勝てんぜ。」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:19:19.59 ID:Zq+4nD5+0
騎士「し、しかしだな…。」

魔法「俺は連れて行くべきだと思う。」

騎士「魔法使い!」

魔法「封印戦争から100年。その最大の功労者である者の末裔。必ず何かあるよ。」

盗賊「お前、分かってねぇな。遊びじゃねぇんだぜ。」

魔法「それは分かっている。」

魔法「ただ、精霊の言葉をそれほど当てにしなくていいのでは、という意見だよ。」

団長「ふむ……その話を掘り下げると、ここにいる司祭殿の顔色が変わるのでな。」

団長「僧侶と盗賊は、なにか連れて行きたくない根拠でもあるのかね。」

僧侶「昔、強姦された。」

騎士「!!!????」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:19:45.49 ID:Zq+4nD5+0
僧侶「正確には未遂だけど。でも、そういう男よ。」

盗賊「人格は破たんしていて実力もねぇ。それでもつれていくかい。」

魔法「そうだ。」

盗賊「っかーーー…魔法使いってのはみんなこんなかい?よし、わかった。」

僧侶「盗賊?」

盗賊「俺と勝負しろ、魔法使い。」

魔法「?」

盗賊「簡単さ、訓練場で決闘だ。勝った方の結論に、従おうぜ。」

僧侶「ま、いいんじゃない。」

騎士「そ、そんな決め方でよいのか!?」

僧侶「だって、この議論は未来永劫平行線よ。無理矢理でも決めなくちゃ。」

魔法「よし、受けて立とう。」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:20:26.01 ID:Zq+4nD5+0
〜訓練場〜

盗賊「悪いけど、容赦しないぜ。」

魔法「こちらもそのつもりだ。」

団長「男ってのは、殴り合いが一番の語り合いだな。」

騎士「父上まで…。」

僧侶「[ピーーー]までやっていいわよ、どうせ生きかえすから。」

騎士「そ、そんな身も蓋もない…」

団長「……はじめ!!」

盗賊(先手必勝!!)

騎士「短刀を投げた!?」

盗賊(おとりとしてな。)
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:21:08.35 ID:Zq+4nD5+0
魔法「……火炎魔法。(ぼそっ」

団長(一瞬で焼き尽くすとは…)

盗賊「本命は杖だッ!」

僧侶「うまいっ、杖を蹴り飛ばした!!」

盗賊「そしてこいつだッ!」

司祭「あれは、魔封じの粉!!」

団長「知っているのか、司祭!」

司祭「うむ、あれは東の大陸より伝来しt」

団長「とにかく、杖もなしであの状態では、魔法は使えん!!」

司祭「…。」

盗賊「もらったぁっ!!」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:21:54.67 ID:Zq+4nD5+0
魔法「……破ァッ!!」

騎士「け、蹴った?」

盗賊「げ、げふっ…なんだ、てめぇ、魔法使いじゃねえのかよ。」

魔法「魔法も使う。格闘をしない、とは言ってないよ。」

盗賊「は、ははは…こりゃ参った。負けたよ。」

魔法「魔法も剣も格闘も、一通りのことは出来る。これからよろしく。」

盗賊「おっし、よろしくな、魔法使い。」

団長「ふむ、男の友情だな。」

僧侶「はぁ、それじゃ、決まりね。」

騎士「勇者殿の家に、行こう。」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:22:39.82 ID:Zq+4nD5+0
〜勇者宅〜

団長「さぁ、そこの民衆よ、道を開けられよ。」

民A「騎士団長様。詐欺師の家に、いったい何のようで?」

団長「……なに、ちょっとな。とにかく、これ以上この家に厄介をかけるなら…」

騎士「罪に問われるぞ。(スラァッ)」

民B「ひ、ひっ…し、失礼します!!」

魔法「…剣を抜く必要は無かったんじゃないか?」

僧侶「騎士ちゃん、こわ〜い。」

騎士「わ、私は手っ取り早くだな…!」

盗賊「脅迫だろ、それじゃ。ま、入るぜ。お〜い、勇者〜〜!」

僧侶「…」

騎士「…」

魔法「…出て来ないね。」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:23:21.86 ID:Zq+4nD5+0
盗賊「勇者ぁっ!!出て来ねぇと、過去の不埒な悪行三昧についていいふr」

勇者「お待たせしましたっ!!」

僧侶「よっ。」

勇者「げっ……あ、あの件はちゃんと謝っただろ?」

盗賊「よぅ。」

勇者「お、お前…盗賊か!?久しぶりだなぁ!!」

魔法「やぁ。」

勇者「おお!!……誰だ?」

騎士「どうも。」

勇者「おっぱい!!」

騎士「………きゃあああああああああああ!!」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:23:53.90 ID:Zq+4nD5+0
団長「き、騎士っ!!」

魔法「おお、すごい居合。実力もしっかり百人長だな。」

勇者「お、俺の腕がぁぁあぁぁ!!」

僧侶「うぶすぎるのも危険ね〜。はい、回復魔法!!」

勇者「…なにしやがる!!」

騎士「……(チャキ)」

勇者「ゴメンナサイ。」

僧侶「これよ、勇者って。本当に、連れて行くの?」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:25:51.28 ID:Zq+4nD5+0
〜勇者宅〜

団長「話は私からしておこう。」

盗賊「俺も付き合うよ、おっさん。」

僧侶「一応、私も〜。はぁ、面倒くさい。」

・・・・・・

魔法「大丈夫?」

騎士「何がだ。」

魔法「落ち着いたか、ってこと。」

騎士「さっきは気が動転しただけだ。それにしても…」

魔法「ん?」

騎士「君は、何者なのだ。」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:26:29.09 ID:Zq+4nD5+0
魔法「…騎士殿のお父上の知己。」

騎士「というだけでは、納得がいかない。」

魔法「なぜ?」

騎士「どうして、あの男にこだわる。」

魔法「勇者の家系に興味があるから。」

騎士「どうして、その若さでそれほどの武力がある。」

魔法「努力したから。というより、俺、まだ20だけど、あなたと変わらないのでは。」

騎士「私はこの間21になったから、君より上だ。」

魔法「それって生まれた月が違うだけじゃ……」

騎士「い、今は君より上だ。」

魔法「ぷっ……」

騎士「な、なんだ。」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 19:27:21.42 ID:Zq+4nD5+0
魔法「いや、お父上から、あなたが頑固だという話をよく聞かされていたから。」

騎士「ば、ばかにするなっ!!」

魔法「おっと。」

騎士(わ、私より先に柄に手を……)

魔法「みだりに力を振り回すものじゃない。」

騎士「……」

魔法「お父上に、そう教わらなかったかい。」

騎士「ふん……その内、私とも戦ってもらうぞ。」

魔法「え、なんで?」

騎士「強い者と戦えば、それだけ強くなるだろう?」

魔法「…ま、機会があったらね。」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/24(木) 19:37:35.09 ID:Xf+q92fDO
まあ勇者の子孫だから勇者ってのもおかしな話だ。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/24(木) 20:02:37.89 ID:GSFMfPIDo
勇ましい者だからな
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga sage]:2012/05/24(木) 20:22:55.05 ID:Avko5muD0
魔法×騎士
盗賊×僧侶か……勇者があまるwww
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/05/24(木) 21:56:34.90 ID:VdqZNyDRo
勇者→魔王
で解決
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/24(木) 22:38:04.92 ID:Xf+q92fDO
まあ精霊からみたら個人の資質で選んだのに何で前回の子孫の話してんの?だよな。
分かりやすく例えれば遠い親戚の話だされてそいつと自分何か関係あんの?だよな。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 23:19:48.91 ID:Zq+4nD5+0
団長「さて。まぁ、紆余曲折はあったが、勇者は旅に同行させてくれ。」

騎士「仕方ありませんね。」

僧侶「あら、騎士ちゃんすっかりご機嫌斜め。」

騎士「父上の言葉ですから、従います。」

盗賊「勇者、さっきの話の通りでいいな。」

勇者「……わーったよ。主に旅の記録な。」

僧侶「ちょっとは戦いなさいよね。」

勇者「はいよ。」

魔法「それじゃ、先にリーダーを決めよう。」

勇者「え、俺じゃないの?」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 23:20:20.68 ID:Zq+4nD5+0
僧侶「そんなわけないでしょ。魔法使いに一票。」

盗賊「俺も。」

魔法「反対。盗賊に一票。」

騎士「……盗賊殿に一票。」

団長「また意見が割れたな。困ったパーティだ。…勇者は?」

勇者「え?俺は、えっと…盗賊、かな。」

魔法「決まり。ほら、勇者を入れて正解だったろう?」

盗賊「ま、いーけどよ、旅慣れてっからな。」

僧侶「それじゃ、リーダー、いつ出発?」

盗賊「今から1時間後、北門に集合!!返事は!?」

全員「はい!!」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 23:21:12.16 ID:Zq+4nD5+0
盗賊「おう、魔法使い!!」

魔法「あぁ、リーダー。」

盗賊「盗賊でいいぜ、これから長い付き合いになるだろうしな。」

魔法「それじゃ、よろしく、盗賊。」

盗賊「ところでお前、旅、慣れてるだろ?」

魔法「まぁね。古文書求めて西へ東への暮らしだったからね。」

盗賊「騎士は当然、僧侶も実は箱入りだ。だから、荷物調達手伝ってくれ。」

魔法「みんなで行けばよかったじゃないか。」

盗賊「さりげなくやるのが、男のかっこよさだろ?」

魔法「ははは、確かに。で、荷物は全部魔法で圧縮ね。」

盗賊「分かってるじゃん。お前とはうまくやれそうだぜ。」

勇者「お、俺の出番が…。」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 23:21:52.99 ID:Zq+4nD5+0
〜北門〜

僧侶「あ、きたきた。」

騎士「時間ぴったりだな。」

盗賊「ま、いろいろと旅支度をな。」

勇者「同じく。」

魔法「あれ?」

騎士「な、なんだ?」

魔法「……鎧、変えた?」

僧侶「え、どう見てもさっきと同じじゃない?」

騎士「よ、よく分かったな。鎧は同じだが、軽量化の魔法をかけてもらったんだ。」

魔法「あぁ、そういうことか。」

盗賊「おいおい、なんかいい感じだな。」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 23:22:48.37 ID:Zq+4nD5+0
騎士「ああ、装備には気を配らないとな。」

盗賊「いや、そうじゃなくて……。」

魔法「かなりの術者だね。王宮の?」

騎士「ああそうだ、宮廷魔術師に…」

魔法「これだけ高度だと、二重に魔法はかからないね。」

騎士「あぁ、彼もそう言っていた。それで……」

僧侶「うーん、この二人、なかなかいいコンビになりそうだわ。」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/24(木) 23:23:38.31 ID:Zq+4nD5+0
勇者「で、どこに行くんだ!」

盗賊「何すねてんだ…まず、水上都市を目指す。」

僧侶「どうして。」

盗賊「あそこはとにかく世界中の噂や話が集まるからな。」

騎士「どれくらいの行程になる?」

盗賊「えーっと…。」

魔法「ゆっくり行けば、一週間くらいかな。」

盗賊「ま、そんなとこだな。それぞれの腕試しもかねて行こうぜ!」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/05/25(金) 00:59:16.20 ID:rIjMukEwo
ふむ、おもしろい
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/05/25(金) 18:54:11.88 ID:rQE1mCF3o
面白いから放置は止めてね
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2012/05/26(土) 05:16:22.99 ID:g3+IcVoAo
期待
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 12:50:58.49 ID:o5/3P+Y00
レスしてくださった方、ありがとうございます。

たいへん励みになります。

あとで、キリの良いところまで、投下します。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:23:09.21 ID:o5/3P+Y00
〜道中〜

(魔物が現れた!)

魔法「土雨魔法!!」

騎士「…また、出番なし。」

盗賊「魔法使い、そんなに飛ばさなくていいぜ。」

僧侶「楽でいいじゃない。」

勇者「そうだそうだ、楽が一番だ!」

盗賊「俺らが成長しないだろ、特に勇者は鍛えていかねーと。」

勇者「うぐっ…。」

騎士「リーダー、並びを変えよう。」

盗賊「そうだな…よし、これから我々はインぺリアルクロスという陣形で…。」

騎士「…?」

盗賊「ゴ、ゴホン…よし、では俺が先頭で、勇者、騎士、僧侶、魔法使いの順だ。」

勇者「見てろ、俺の剣技を、特に女性陣に見せてやるぜ!!」

僧侶「一応前衛なんだから、いいとこ見せなさいよね。」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:23:56.66 ID:o5/3P+Y00
騎士「……魔法使い、不服か。」

魔法「いや、どうして?」

騎士「男は、力を誇示したがるものではないのか。」

魔法「どこでそんな偏見を…。」

僧侶「ま、あながち間違いでもないんじゃない、ね、勇者?」

勇者「ぐ……。」

魔法「そういう人もいるけどね。俺はどっちかというと、楽したい方だから。」

騎士「今まであんなに活躍しておいてか。」

魔法「戦闘は短いのが一番でしょ。」

騎士(つかみ所のないやつだな…。)
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:24:53.66 ID:o5/3P+Y00
(魔物が現れた!)

盗賊「おりゃっ!!」

勇者「とうっ!!」

騎士「ハッ!!」

僧侶「風魔法!!」

魔法「キック!!」

勇者「待てぃ!!」

盗賊「なんだよ?」

勇者「なんで魔法使いが格闘なんだよ!!補助だろ、補助!!」

魔法「いや、魔翌力を温存しようと思って。」

盗賊「こいつの格闘は俺以上だぞ。」

勇者「そんな魔法使いがいてたまるか!!」

騎士「痴漢する勇者もいるくらいだから仕方あるまい。」

勇者「ぐっ・・・・・・」

魔法「そういうことで。ソバット!!カポエラキック!!クラドラブル!!」

勇者「おい、あれでいいのか!?」

盗賊「お、おー……よし、水上都市まであと少しだぞ、みんな!!」

僧侶「流したわね。」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:25:49.86 ID:o5/3P+Y00
〜水上都市〜

盗賊「よし、ようやく宿に着いたな。」

主人「すみません、あいにく部屋の空きが少なくて……」

盗賊「何部屋だ。」

主人「2人部屋が2つなんです。でも、5名様ですよね。」

魔法「いや、4人だよ。」

勇者「ひどい!!」

魔法「そうじゃなくて。俺はちょっと夜中出かけてくるよ。」

盗賊「おいおい、いきなり単独行動は感心しないぜ。」

魔法「すまない。だけど、時計塔に用があるんだ。」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:26:34.46 ID:o5/3P+Y00
騎士「町の真ん中の、あの塔か?」

僧侶「そんなことより魔法使いの塔を私に…。」

魔法「お、俺の塔って…とにかく、ちょっと調べ物。」

盗賊「ふーん……夜通しか?」

魔法「うーん…。」

盗賊「お前は賢そうだが、嘘は下手だな。」

魔法「…そのようで。」

盗賊「まぁ、そういう気づかいは大事だとは思うけどよ。」

僧侶「どうするの?」

盗賊「こうしよう。女性陣はこの宿、男衆は寝床探し。」

騎士「それではあまりにも…。」

盗賊「いや、実際あんたら二人はへとへとでたどり着いてるからな。」

僧侶「異議なし!さぁ、騎士ちゃん、今夜はふたりでじっくりねっとり…」

騎士「ふ、二部屋にしてくれ!!」

勇者「そう、そして俺が騎士ちゃんの部屋に」

騎士「(スラァッ)」

勇者「サーセン。」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:27:11.74 ID:o5/3P+Y00
盗賊「んじゃ、明日の朝に迎えに来るわ。それじゃ、行こうぜ。」

勇者「あ〜〜、俺の子猫ちゃんたち〜〜!!」

魔法「すまないね、うまく出来なくて。」

盗賊「リーダーには従えって。行くぜ。」

魔法「あ、そうだ。騎士、これを。」

騎士「……なんだ、この黒い…猫?うさぎ?」

僧侶「やーん、かわいい〜〜。」

魔法「使い魔の一種だ。何かあれば、そいつに話しかけてくれれば、俺に伝わる。」

勇者「ま、まさか盗聴!?」

魔法「いや、連絡用の魔法回路を開かないと話は出来ないから、それはないよ。」

盗賊「便利なもんだな。ま、何かあったら知らせてくれ。」

騎士「心得た。」

僧侶「3人とも、気を付けてね〜。」

騎士「さて……。」

僧侶「さっ、騎士ちゃん!!私とくんずほぐれつ……」

騎士「し、しないっ!!」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:27:53.57 ID:o5/3P+Y00
勇者「で、当てはあるわけ?」

盗賊「いや、ないよ。」

魔法「それじゃ、本当に時計塔に行ってみようか。」

盗賊「高い所から見てみるってか。ま、ありかもな。」

勇者「いかにもオバケが出そうじゃないかよ…はぁ。」

男A「おっと、待ちな。」

男B「ここを通るには、通行料が必要だぜ、へへへ。」

勇者「うわ、いかにもなやつらだな〜。」

盗賊「お前ら、どこのギルドだ。」

男A「へへ、余所者の割には詳しそうじゃねーか。」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:28:19.50 ID:o5/3P+Y00
男B「聞かない方がよかったんじゃないのかね。俺達は、闇ギr」

盗賊「闇ギルドだってんだろ?合言葉は?」

男B「へ?」

盗賊「合言葉。闇ギルドには、必ず合言葉があるよな?」

男A「ぐ……。」

盗賊「名を騙って強奪とはなぁ。出るとこ出るか?」

男A「……チッ。」

男B「行こうぜ、興ざめだ。」

勇者「お〜〜…盗賊、お前かっこいいな。」

魔法「さすがリーダー。」

盗賊「まぁ、魔法使いが杖を構えたから、ちょっと怖くてね。」

魔法「眠らせようとしただけだよ。」

勇者「…俺だけダサイ……。」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:28:55.47 ID:o5/3P+Y00
勇者「お、ここ、空き家じゃねーの?」

魔法「ほぼ廃墟だな。まぁ、雨風しのげればいいんじゃないか。」

盗賊「そうだな。よし、とっとと寝るとしよう……ぐー。」

勇者「はやっ!!」

魔法「それなりに疲れていたんだろう。結界魔法(弱)!」

勇者「なにしたんだ?」

魔法「出れるけど入れない魔法。それじゃ、おやすみ。」

勇者「おー、おやすみ……へへ、せっかくの街だ、ちょっとは羽伸ばさないとな。」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:29:27.22 ID:o5/3P+Y00
勇者「ったくよぉ、俺は英雄の子孫なんだぜ?」

嬢A「きゃー、そうなのぉ?」

嬢B「かっこい〜〜!」

勇者「それをよぉ、あいつらと来たら…」

嬢C「ひっどいのね〜。」

勇者「俺の怒りは有頂天だぜ!」

嬢D「キャー、ゆうさーん!!」

黒服「お客様、お時間でございます。」

勇者「おぉ、ちなみに料金いくら?」

黒服「このように。」

勇者「……。」

黒服「このように。」

勇者「……え?」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:30:14.89 ID:o5/3P+Y00
黒服「……お客様、奥にお願いします。」

勇者(やべぇ……!!)

黒服「どうぞ。」

男A「おやおやぁ、お前はさっきの…。」

勇者「げっ、さっきのいかにもな奴ら!」

男B「へへへ、こいつは面白ぇ……で、こいつの料金は?」

黒服「このように。」

男A「は〜、よくもまぁこんなに飲み食いしたもんだ?」

勇者「ぼ、ぼったくりだろーが!!」

男B「料金表を見てないアンタの責任だろうが。ちゃーんと書いてるぜ?」

勇者「なにぃ?……一言10000G? アホか!!」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:30:49.14 ID:o5/3P+Y00
男B「うるせぇっ!!」

勇者「ぐへっ!!」

男B「あの嬢達が、お前みたいなクズと無料でしゃべるわけねーだろうが。」

勇者「ぐっ……。」

男B「それに、分かってるんだぜ、お前達が女連れの旅人ってこともな。」

勇者「!!」

男A「さて、お連れさん達の宿は俺達のナワバリだ。意味は分かるか?」

勇者「な、何をするつもりだ。」

男A「そりゃお前、多くの人が期待する流れだよ。」

勇者「や、やめろ!!……あ、今の勇者っぽいな。」

男B「黙ってろ!!」

勇者「ぐほっ!!」

男A「さて、使いを出すか……。」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:31:17.90 ID:o5/3P+Y00
主人「すみません、お客様。」

騎士「なんだ?」

僧侶「私達、これからお互いの体について勉強するんだけど…。」

騎士「しない!!…で、なんだ?」

主人「こちらを、どうぞ。」

騎士「遠見の水晶?」

僧侶「やーな予感。」

男A「映ってる?」

男B「おぉ、大丈夫だ。」

男A「よし、さて、お嬢様方、ご機嫌うるわしゅう。」

騎士「なんだ、お前たちは。」

男A「へへ、ちょっとこいつと友達になりましてね。」

勇者「はーい。」

騎士「勇者っ!!」

僧侶「はぁ…。」

男A「さて、ものは相談だが。」

騎士「断る。」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:31:52.52 ID:o5/3P+Y00
男A「え?ちょ、お前ら、こいつの仲間じゃないの?」

騎士「共に旅をしてはいた。」

僧侶「短い旅だったわねー。じゃ。」

勇者「おおおおおおぉぉぉぉぉい!!」

男B「待て待て待て待て、助けに来ないのか!?」

騎士「はぁ……僧侶、ちょっと話を聞いていてくれ。」

僧侶「おっけー、ちゃんと伝えておいてよ?」

男A「ちょっと冷静になれや、お嬢さん。」

僧侶「はいはい、それで?何が望み?」

男A「へへへ、まずはだな…。」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:32:27.77 ID:o5/3P+Y00
魔法「なるほど、確かに俺達が会った男達のようだね。」

騎士「どうする?」

盗賊「ま、一応助けには行きますかね。」

騎士「意外だな、切り捨てるかと思ったが。」

盗賊「助けに行くというよりは、連中を懲らしめに行く感じだな。」

騎士「なるほど、それなら合点がいく。」

盗賊「それで、場所は?」

騎士「今頃、僧侶が聞き出していると思うが…。」

魔法「その必要はないよ。」

盗賊「ん?」

魔法「彼にはあらかじめ探知魔法をかけておいた。それを辿れば店に行ける。」

盗賊「げっ、まさか俺にも!?」

魔法「違うよ、なんとなく危なっかしい人にだけ。」

騎士「では、彼くらいか。」

魔法「…………さて、まずはそっちで合流しよう。」

騎士「待て、なんだ今の間は?」

盗賊「一応戦闘準備をしとけよ、10分後に行く。」

騎士「ちょっと、質問に答えろ!!」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:33:24.24 ID:o5/3P+Y00
僧侶「確かにここね。」

騎士「魔法とは便利なものだな。」

盗賊「ま、とりあえず入ってみっか。たのもー。」

勇者「ひんは!!」

僧侶「おぉ、SMプレイ?」

男A「違う!!ったく、妙な連中だぜ…。」

男B「さぁて、こいつの命が惜しければ…。」

騎士「惜しくはないな。」

僧侶「そうね。」

盗賊「そうだな。」

男A「んなにぃ!?てめぇ、一体どんだけ人望ねぇんだ!!」

勇者「すひはへん……。」

男B「ったく、しかたねぇ、こいつはやっちまうか…なっと!!」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:34:01.41 ID:o5/3P+Y00
勇者「ひぃっ!!」

騎士「(シュアンッ!!)」

盗賊「(ヒュンッ!!)」

男A「へへへ、やっぱり得物を出しやがったな。」

男B「言うほど軽い仲でもねーってわけだ。」

盗賊「ちっ。」

騎士「そ、僧侶は何も反応しなかったような…。」

僧侶「キャー、ユウシャ、ダイジョウブ〜?」

男A「な、なんて棒読み…。」

盗賊「にしても、随分人数を集めたもんだな。」

男B「楽しいことはみんなでやらなくっちゃぁなぁ。」

男達「へっへっへ…。」

騎士「下劣な…!!」

男B「さて、それじゃぁ……へへ、まずはお嬢さん達に楽しませてもらうかな。」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:34:39.03 ID:o5/3P+Y00
僧侶「ざっと30人くらいかぁ…最初はみんなフェラ?」

騎士「!!」

男A「え?」

僧侶「お尻?」

男B「は?」

僧侶「私は最大5人までかなぁ。 騎士ちゃんは? 3人?」

騎士「…!…!!」

男A「えーと……?」

男B「な、なんで俺達が手玉に取られてるんだ?」

僧侶「ここにいる一達の相手だけでいいの?」

男A「え、あ…バ、バカ言うんじゃねぇ、これから部下が集結してだな。」

僧侶「期間は半年くらい?避妊魔法はおっけー?」

男B「お、おぉ…。」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:35:14.82 ID:o5/3P+Y00
僧侶「全部は飲まなくていいわよね? 一人何回くらい出来るの?」

盗賊「やれやれ、この会話は騎士ちゃんには刺激が強すぎるな。」

騎士「……!!///」

盗賊「おいっ、魔法使いっ!!もういいぜっ!!」

魔法「呪縛魔法!!」

男達「!!」

勇者「みゃひょうふはい!!」

魔法「いつの間に、って聞きたそうだから答えると、最初からいたよ。」

僧侶「私は時間稼ぎにしゃべってただけよ〜?」

魔法「姿を消して、君たち全員に呪いの種をつけてまわっていたんだよ。」

盗賊「髪の毛がついているだけだから、わからんだろ?」

男達「う…ぐっ…」

魔法「さて、と……勇者、大丈夫かい?」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:35:49.91 ID:o5/3P+Y00
勇者「お、おぉ…ありがとよ。さ、はやく縄もほどいて…」

盗賊「さて。ふんっ!!」

勇者「いてぇっ!!」

盗賊「んじゃ、一人一発な。」

僧侶「はーい。とぉっ!!」

勇者「ぐへっ!! な、なんでだよっ!!」

魔法「迷惑料。 加減はするからさ…コークスクリュー!!」

勇者「加減してねげはぁぁっ!!も、もう解放してくれっ!!」

騎士「(スラァッ)」

勇者「なななな、なんで抜くんだよ!!」

騎士「生きる苦しみから解放してやる。」

勇者「なんでそうなるんだよっ!!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:36:27.55 ID:o5/3P+Y00
盗賊「と、いうわけで。」

勇者「サーセンっしたぁ。」

騎士「(スラァッ)」

勇者「大変申し訳ありませんでしたぁっ!!」

魔法「まぁ、災い転じて、ってこともあったからね。」

僧侶「なになに、あの店でいいもの見つけた?」

魔法「壁にかかっていたものを、頂戴してきたよ。」

盗賊「こりゃまた、古い地図だな……北西の要塞跡?」

魔法「古代語で、『忘れられた者の秘宝ここに眠る』とある。」

勇者「忘れられた者?」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:37:16.43 ID:o5/3P+Y00
騎士「えーと、たしか……神竜?」

魔法「ご名答。博識だね。」

騎士「えっ、いや、えと……。」

盗賊「はいはい、ごちそーさん。んで、神竜の秘宝って?」

魔法「具体的には分からない。」

勇者「んだよ、そんなら価値あるかもわからねーじゃん。」

魔法「そうだ。だけど、おそらく魔王討伐の役に立つものだ。」

騎士「随分な自信だな。根拠はあるのか?」

魔法「封印戦争よりももっとずっと古い時代の話になるけど……」

僧侶「なにがあったの?」

魔法「精霊の内乱があったそうだ。」

盗賊「聞いたことねぇや。」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:38:06.46 ID:o5/3P+Y00
魔法「古文書に書かれているくらいだからね。」

勇者「んで、その秘宝はなんだっつーんだよ。」

騎士「態度が悪いな・・・・・・。」

勇者「ちょ、ちょっと、手を剣にやらないで…。」

魔法「その内乱の際、人間の戦士が片方の精霊に加担したそうだ。」

盗賊「人間じゃ勝ち目がないだろうよ。」

魔法「そうなんだけど、その人間は神竜の力を借りて精霊と互角に戦ったそうだよ。」

騎士「それはたんに、神竜が強いと言うだけではないか。」

僧侶「わかった! その神竜の力って、秘法によるものだったのね?」

魔法「あたり。」

僧侶「景品は? 肉棒?」

魔法「ま、まぁ、とにかく、かなりの力を秘めたものである可能性が高い。」

盗賊「どんなものかも分からんが、確かに探す価値はあるな。」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 13:38:33.76 ID:o5/3P+Y00
騎士「ではリーダー、指示をくれ。」

盗賊「よし、そんじゃあ、明後日の7時、水上都市西門から出立!!」

一同「はいっ!!」

僧侶「…ん?」

勇者「なんだよ?」

僧侶「あれ、そういえばさっき騎士ちゃんフェラって言葉に反応してたよーな?」

騎士「!!」

僧侶「ははーん、さては結構興味は…。」

騎士「ししし、知らん!!早く宿に帰るみょ!!」

僧侶「んふ、い〜いコト知っちゃったぁ。」

騎士「行くからら!!」

僧侶「言えてないぞー?」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/26(土) 16:14:31.09 ID:cLE9qrQGo
ほしゅ
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/05/26(土) 17:18:54.29 ID:m0k4Fre5o
勇者はパーティー内で最弱だとは思ってたけど
町のチンピラより弱いのかよww
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2012/05/26(土) 17:43:00.15 ID:6xrPzMZqo
>>74
ss速報は時間経過で落ちないから保守要らんよ

77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 21:52:46.92 ID:o5/3P+Y00
たった一言の書き込みでも、読んでもらえていると感じ、励みになります。

レスありがとうございます。

投下します。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 21:55:07.74 ID:o5/3P+Y00
〜道中〜

僧侶「魔物もいないし天気もいいし、旅日和ね〜。」

勇者「こんな日は青姦だよなぁ〜〜……。」

騎士「刺すぞ。」

僧侶「あら、どちらかというと刺すのは女の仕事じゃなくて…」

騎士「も、もういいっ!!」

魔法「盗賊、あとどれくらいなんだ?」

盗賊「あと2時間ってとこじゃないか。あのうっすら見えてるのが、そうだ。」

魔法「それなら、この辺で一度食事にしよう。」

盗賊「早くね?」

魔法「廃墟は魔物の巣窟になっていることが多いから。」

勇者「だから、食える時に食っておこうと!!」

僧侶「あんたが言うといやらしく聞こえるわ。」

騎士「僧侶も人のことは言えないだろう。」

盗賊「ま、一理あるな。よし、ちょっくら腹ごしらえするか。」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 21:55:48.89 ID:o5/3P+Y00
僧侶「ねぇねぇ、盗賊は旅慣れてるんでしょ?」

盗賊「魔法使いもな。」

僧侶「じゃあさ、二人で料理勝負してよ?」

勇者「おっ、いいねぇ〜。」

魔法「普通、メンツで言ったら僧侶と騎士じゃない?」

騎士「わ、私か?」

勇者「まぁ、女がやるイメージはあるな。」

盗賊「まぁ、いいじゃねぇの。なんでも楽しんでやった方がいいさ。」

魔法「手加減無しね。」

盗賊「上等だ、この野郎。」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 21:56:48.74 ID:o5/3P+Y00
盗賊「んで、次は、と…」

魔法「……。」

盗賊「そんでこいつをいれて〜。」

魔法「……。」

盗賊「仕上げはこれで〜。」

魔法「……。」

二人「出来た!!」

二人「むっ…。」

僧侶「あはは、なんだかいいコンビになってきたじゃない。」

騎士「ふふ、そうだな。」

勇者「んじゃ、いっただっきまーす!」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 21:57:47.38 ID:o5/3P+Y00
僧侶「!!このカエルのパテの味は…!!」

騎士「……ヨモギがこんなにおいしくなるなんて…。」

盗賊「魔法使い……お前、やるじゃねぇか。」

魔法「いや、今回は負けたよ。絶妙な味加減だ、盗賊。」

盗賊「へっ…。」

勇者「な、なんて友情オーラ…!!」

僧侶「あぁ、この二人と結婚したら、家事しなくて済みそうだわー。」

騎士「そ、そうだな……。」

盗賊「おっ…もしかして、惚れた?」

僧侶「残念、まだポイント不足!あ、騎士ちゃんは魔法使いポイントたまったかも?」

魔法「え?」

騎士「べ、別にそういうわけではない!」

勇者「……おーい……。」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 21:58:35.52 ID:o5/3P+Y00
〜要塞跡下層〜

勇者「は〜、次から次へと……。」

盗賊「ったく、こいつで何体目だよ?」

魔法「妖獣が6体、妖霊が2体、魔獣が4体、かな。」

僧侶「下層でこれじゃ、先が思いやられるわね〜。」

騎士「しかし、実りもあったぞ。」

勇者「ほんとほんと、財宝って残ってるもんだな。」

盗賊「今日び、こんな探索してるやつなんざいないからなぁ。」

僧侶「まだ色々あるかも知れないわよ。」

魔法「そうだね、秘宝らしいものはまだ無いし…」

盗賊「っし、中層へ進むぞ!!」

全員「おうっ!!」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 21:59:27.08 ID:o5/3P+Y00
〜要塞跡中層〜

僧侶「下層に反して、宝がないわね。」

騎士「魔物も少ないな。」

魔法「・・・・・・。」

盗賊「どう思う?」

勇者「差し引きゼロで嬉しくはない。」

盗賊「お前じゃねーよ。 魔法使い?」

魔法「……少し、危険だ。」

勇者「な、なんだよ。びびらせんなよ。」

騎士「なぜ、そう思う?」

魔法「下層が雑魚ばかりで、中層はガラガラ。ということは、上層に、多分…。」

僧侶「多分?」

魔法「強力な魔物がいる。しかも、かなり強力な。」

盗賊「あー、つまり、こういうことか。2層分が、そいつのなわばりだと。」

勇者「げ〜〜……実りはあったし、引き返さね?」

僧侶「勝てないレベルかしら。」

魔法「そこまでは…分からない。」

盗賊「…行くだけ行ってみるか。」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 22:00:14.16 ID:o5/3P+Y00
〜要塞跡上層〜

盗賊「ストップ。」

勇者「いいいい、いたのか?」

盗賊「たぶん、あれだ。」

騎士「あれは……竜?」

僧侶「魔翌竜ね。鱗が赤いから、中位ね。」

魔法「上位なら厳しかったけど、あれならなんとかなる。…よし、耐性魔法。」

盗賊「お?」

勇者「お〜〜…。」

魔法「炎を遮断する空気の盾を作ったよ。」

僧侶「んじゃ、私も、先に回復魔法〜。」

騎士「……疲労感が、消えた。」

盗賊「よ〜し、いっちょ突撃と行くか!」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 22:01:30.24 ID:o5/3P+Y00
勇者「おりゃぁっ!!」

魔翌竜「グォォォッ!!」

僧侶「効いてないわ!下がって!!」

勇者「くぁ〜〜、固ぇ! 勝ち目ねぇって!!」

盗賊「そうでもねーよ!! 魔法使い!!」

魔法「雷撃魔法!!」

盗賊「おまけに爆弾!!」

魔翌竜「クアァァァァ!!」

騎士「危ないっ!!!」

僧侶「ナイスブロック!!」

魔法「ありがと。」

騎士「君が後衛、私が前衛。守りは任せろ。」

勇者「俺もいるぜっ!!」

僧侶「あてにしてないわよ。」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 22:02:22.86 ID:o5/3P+Y00
盗賊「もういっちょう!!」

勇者「い〜い攻撃だなぁ。」

魔法「負けてられないな……勇者に攻撃補助魔法!!」

勇者「おっ?」

魔法「それなら十分効くはずだ。」

勇者「よっしゃぁっ、俺もいいとこ見せるぜっ!!」

魔法「よし、俺も行くか……魔法剣生成!!」

騎士「そんなことまで出来るのか。」

魔法「便利でしょ?」

騎士「ふっ。私も攻める。合わせろっ!!」

3人「はぁ!!」

魔翌竜「クオオォォォ……ォォ……。」

僧侶「いやったぁっ!!」

騎士「ふう……。」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 22:03:13.44 ID:o5/3P+Y00
盗賊「!! まだだっ!!」

勇者「尻尾がっ!!」

騎士「しまっ」

魔法「騎士っ!!」

騎士「なっ……魔法使いっ!!」

盗賊「この……てめぇは寝てろっ!!」

僧侶「ちょ、ちょっと!! 魔法使い、大丈夫!?」

勇者「うっわ、痛そ……。」

騎士「ま、魔法使いっ!!」

盗賊「僧侶、回復を頼む。おら、勇者、行くぞっ!」

勇者「お、おう。」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 22:04:02.65 ID:o5/3P+Y00
僧侶「回復魔法、大っ!!」

騎士「後衛が、前衛をかばってどうするっ!!」

魔法「ぐはっ、いや、つい……がはっ!」

僧侶「ちょっと、安静にしてってば!!」

騎士「す、すまん……。」

魔法「だ、大丈夫……自分でも使えるよ。回復魔法……ッ!」

僧侶「自分にはほとんど効果無いでしょっ!しっかり休む!!」

魔法「は〜、い……。」

騎士「……。」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 22:13:30.86 ID:o5/3P+Y00
文章を貼り付けた際に「魔翌竜」がなぜか「魔翌翌翌竜」という謎生物になってしまいました。

「翌」は見なかったことにしてください。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/26(土) 22:16:43.11 ID:o5/3P+Y00
ドウイウコッチャ orz

忘れてください。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/26(土) 22:21:02.10 ID:xh77CUI/o
メール欄にsagaっていれたらいける
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/26(土) 22:32:12.07 ID:o5/3P+Y00
>>91 ありがとうございます。勉強になります。
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/05/27(日) 00:12:48.10 ID:zBUWQE8+o
勇者は相変わらずだなあ
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/05/27(日) 07:44:31.20 ID:1Fh4Xc14o
翼のこと?
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/05/27(日) 11:11:50.53 ID:pVVUqw8to
俺も魔翌翌翌力って何のこっちゃって思ったよ
ググれば直ぐ分かったけど一般的な言い回しでは無いと思う
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)[sage]:2012/05/27(日) 11:31:31.28 ID:WE0fpJe2o
この板には[ピーーー]とか[ピザ]とか変換するフィルタがあってな、
wwを2倍にするってのもその1つなんだが
文字コードの関係上魔翌力とか、から揚げとかにも反応しちゃうんだ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)[sage]:2012/05/27(日) 11:32:50.48 ID:WE0fpJe2o
唐翌揚げ
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/27(日) 12:24:01.91 ID:RNFng+JOo
あんまり気にしてないけど
「……。」だったら読点いらないぞ?
違和感あるし
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/27(日) 13:32:43.64 ID:HqyDyv4Jo
括弧の中末尾の句点気にする人多いけど、べつにそういう決まりは無いんだなこれが
ただ無い方が圧倒的多数派ってだけ
作者が好きな方でいいと思う

あと、自分も時々うっかり間違えるが、【。】は句点な
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 15:27:41.40 ID:Bsh3s2TH0
様々なご指摘・ご指南ありがとうございます。

励みになります。ほんとに。

後でまた投下します。
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:18:23.73 ID:Bsh3s2TH0
〜水上都市・宿屋〜

盗賊「調子はどうだ。」

魔法「おかげさまで。」

勇者「たいしたもんだな〜、回復魔法ってのは。」

魔法「僧侶の魔力が強いからだよ。」

騎士「まぁ、切れた腕をくっつけるくらいだからな。」

勇者「…斬ったのは誰だよ。」

盗賊「でもまぁ、大事を取って2・3日は休みだ。」

魔法「申し訳ない。」

僧侶「あんたもおとなしくしてなさいよ?」

勇者「わ、わかってるよ!!」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:19:33.51 ID:Bsh3s2TH0
騎士「それにしても、神竜の秘宝とおぼしきものは見つからなかったな。」

魔法「まぁでも、色々財宝が見つかってよかったじゃないか。本もあったし。」

盗賊「財宝の処分は俺の方でやらせてもらっていいか?」

魔法「任せる……あ、本は売らないでね。」

盗賊「はは、分かったよ。んじゃ、みんなでもう一回、確認してくれ。」

僧侶「私はいいわ、使えそうなものなかったし。」

勇者「俺も現金がいいな。」

騎士「……。」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:20:17.32 ID:Bsh3s2TH0
盗賊「騎士ちゃん、あんたは?」

騎士「え、ああ……いや、私も大丈夫だ。処分してきてくれ。」

盗賊「んじゃ、ちょっくら行ってくるわ。」

僧侶「立派なリーダーね〜、抱かれてもいいくらい。」

勇者「げっ、ま、まじで!?」

僧侶「冗談よ、じょーだん。」

騎士「あとは私が看ているから、僧侶も休んでいいぞ。」

僧侶「あ、そう?それじゃ、よろしくね。」

勇者「え、みんなで看病した方がいいんじゃね?」

僧侶「いいから来る!」

勇者「いでででで、腕がもげる、また!!」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:20:56.27 ID:Bsh3s2TH0
騎士「…。」

魔法「……そんなに気に病まないでよ。」

騎士「べっ、別に気に病んでなどいにゃい!!」

魔法「はは……。」

騎士「……父に、何か頼まれているのか?」

魔法「命をかけて守れ、とは言われてないよ。」

騎士「では、なぜあんな無茶をしたんだ。」

魔法「とっさに体が動いたんだ。それだけだよ。」

騎士「そうか……。」

魔法「…ごめん、勝手なことをして。」

騎士「あ、謝らないでくれ!!それを言うのは、私の方だ…。」

魔法「……。」

騎士「……そ、それなら…。」

魔法「ん?」

騎士「わ、悪いと思っているなら、ひとつ頼まれてくれないか。」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:21:27.83 ID:Bsh3s2TH0
魔法「何?」

騎士「君の身のこなしは、勉強になる。今度、手合わせしてくれ。」

魔法「あぁ、前にも言っていたからね、こちらこそよろしく。」

騎士「二言はないな?」

魔法「もちろん……ごめん、少し、寝ていいかな?」

騎士「あ、ああ。私はここにいるから、安心して寝てくれ。」

魔法「ありがと……。すーすー……。」

騎士「早いな………ふふ、こうして見ると、戦っている時とは別人だな。」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:21:55.17 ID:Bsh3s2TH0
騎士(……それにしても。)

騎士(そもそも、魔法を頼りにして戦う職種のはずではないか。)

騎士(とっさに補助魔法を使うなら分かるが、身を挺して仲間をかばうとは……。)

魔法「騎……士…。」

騎士「な、なんだっ?」

魔法「すーすー……」

騎士「…う、うわごとか。」

騎士(しかし、私が守られるとは……もっと強くならないとな……。)
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:22:45.93 ID:Bsh3s2TH0
〜宿屋〜

盗賊「さて、ぼちぼち水上都市とはお別れだ。」

勇者「お、次の冒険だな。」

僧侶「次はどこに向かうの?」

盗賊「山越えをして、南西の城塞都市に向かう。」

騎士「南西?北の魔法都市を目指すのではないのか、逆方向だぞ。」

魔法「…。」

盗賊「情報によると、今、城塞都市ではかなりの規模でキャラバンが来ているらしい。」

勇者「キャラバン?けど、先立つもんはあるのかよ?」

盗賊「ふっふっふ…要塞跡の財宝は、なんとこれだけの金を生んだ!!」

勇者「…すげ。」

僧侶「ちょっとちょっと、とんでもない金額じゃない!!」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:23:19.43 ID:Bsh3s2TH0
盗賊「神竜の秘宝とやらは結局見つからなかったが、実りは多かったな。」

魔法「穴場だったんだな〜。」

盗賊「んで、この金はこう分ける。俺が2。」

僧侶「私が2。」

騎士「私が3?」

魔法「俺が3。」

勇者「俺が1…もねぇじゃねぇか!!」

盗賊「なくはないだろ。ほれ。」

勇者「そ、そうだけどよ……。」

魔法「俺はこんなにいらないよ、古文書をもらったから。半分、はい勇者。」

勇者「……お前、本っ当にいいやつだな〜〜〜。」

盗賊「一応、働きに合わせて均等に分けたんだがな。」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:23:46.62 ID:Bsh3s2TH0
騎士「それなら、私はこれに見合うだけ働いていないと思う。」

盗賊「ああ、騎士ちゃんのそれはお祝いだ。」

騎士「何の?」

盗賊「初めてなんだろ? 実戦で失敗したの。」

騎士「う、うむ…。」

盗賊「俺もあんたの親父さんから話は何度か聞いてるからさ。」

勇者「それなりに場数は踏んで来てるのに、失敗なし?」

騎士「多少はあったが、人に守られたのは初めてだったな…。」

僧侶「けっこう落ち込んでるんだ?」

勇者「メシ食わなくなるくらいだもんなー。」

騎士「(スラァッ)」

勇者「なんで俺ん時だけ抜くんだよっ!!」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:24:18.50 ID:Bsh3s2TH0
盗賊「誰にだって、失敗はある。」

僧侶「うんうん。」

盗賊「そして、失敗は、糧になる。」

魔法「いいこと言うね。」

勇者「っつったって、つらいもんはつらいだろうが。」

盗賊「そう。だから、嫌なことがあったら、いいこともあったほうがいいんだ。」

騎士「し、しかし……騎士団だったら、あれは…。」

盗賊「騎士団なら懲罰だろうが、俺たちの中ではお祝いだ。」

騎士「……。」

魔法「失敗したら、お祝い。面白い考え方だね。」

僧侶「かっこい〜。」

盗賊「リーダーの決定には従わなくちゃ、だろ?」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:24:52.52 ID:Bsh3s2TH0
騎士「……わかった。ありがとう、大切に使わせてもらう。」

勇者「泣くほどのことかよ。」

騎士「(スラァッ)(チャキッ)」

勇者「わわわ、悪かった!!」

盗賊「さて、話を戻すが、俺たちの装備はお世辞にもいいとは言えない。」

魔法「まぁ、路銀もなかったくらいだからね。」

盗賊「このまま魔王を倒しに行っても、返り討ちされて終わりかも、だろ?」

騎士「だからキャラバンで装備をととのえよう、と。」

勇者「なるほどな。」

盗賊「そういうことだ。それじゃ、各自支度をして、出発するぜ。」

全員「おう!」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:25:21.90 ID:Bsh3s2TH0
主人「あの……。」

盗賊「ん?」

主人「今朝方届いた情報で、あなた方、精霊に選ばれたとか…。」

僧侶「そうよ。」

主人「お、おもてなしも出来ずに、申し訳ありませんでした!」

僧侶「信心深いのね〜、ご主人。」

盗賊「でも、ここは良くも悪くも自由な街だ。かしこまるのも似合わないって。」

僧侶「どういうこと?」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/27(日) 16:25:53.47 ID:Bsh3s2TH0
盗賊「各自自衛、そして自治。国の影響の弱い、特殊な街なんだよ、ここは。」

騎士「そういえば、騎士団の類もまったく見なかったな。」

主人「今、街中の者が、皆様に会いに来ると思いますよ。」

勇者「俺たち人気者!?」

魔法「……どうする?」

盗賊「よし、急いで離れよう!!」

勇者「なんでだよ!」

騎士「人気を求める旅ではないし、のんきにしていい旅でもなかろう。」

僧侶「それじゃ、騒ぎになる前に行きましょ!」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/27(日) 19:16:16.99 ID:sunNJwUIO

頑張ってくらはい
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/28(月) 17:50:46.40 ID:w1gwS36Co
続きが気になるなぉい
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:48:55.04 ID:PebzSfPE0
>>114 >>115

レスありがとうございます。

励みになりすぎて鼻血が出ます。

少ししたら投下します。
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:51:13.51 ID:PebzSfPE0
〜山〜

魔法「氷結魔法!!」

騎士「ハァッ!!」

魔竜「ギョエエェェェッ!!」

僧侶「お〜、息ぴったり。」

盗賊「下位の魔物なら、二人だけで瞬殺だな。」

僧侶「盗賊の指示がいいんじゃない?」

盗賊「はっはー、誉めても何も出ないぜ?」

勇者「…なんかお前らも、仲良くなってね?」

盗賊「ん?俺達は前からだぜ。」

僧侶「ね〜?」

勇者「……。」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:51:49.56 ID:PebzSfPE0
僧侶「そんなことより、勇者、あんたもっと頑張りなさいよ?」

勇者「るっせーな、これでも頑張ってるよ!」

僧侶「さっきから全然攻撃が通ってないじゃないの。」

勇者「最初の奴には効いてたよ!」

騎士「魔法使いの補助魔法のおかげだろう。」

勇者「ぐ……。」

僧侶「魔法も半端なのしか使えないしさぁ。」

勇者「仕方ねーだろ、才能ねーんだから!」

魔法「自分に合った魔法については、習得は早いはずなんだけどね。」

僧侶「どうせそんなのないんじゃないの。」

騎士「あっても、埒のないものばかりだろうな。」

勇者「っんだよ!!」

盗賊「おいおい、ケンカすんじゃねーよ…魔法使い、今どのへんだ?」

魔法「これで中腹くらいかな。」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:52:26.88 ID:PebzSfPE0
盗賊「しかし、あっついな〜。」

騎士「そうか?私はそうでもないが…」

勇者「おう、俺も平気だな、そういや。」

魔法「実は、鎧の人限定、装備を冷たくする魔法を実施中。」

僧侶「え〜、ひいきだわ、ひいき!!女性限定にしてよ!!」

盗賊「それもひいきだろうが。」

僧侶「……あれ?」

騎士「どうした?」

僧侶「なーんか違和感。 なんだろ?」

勇者「ブラずれたんじゃね?」

騎士「(ヒュッ)」

勇者「おわっ!!ああ、鼻に傷がっ!!」

騎士「いつもいつも下劣なことばかり…!」

勇者「だ、だからってなぁ!」

魔法「待て、新手が来たっ!!」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:53:01.55 ID:PebzSfPE0
盗賊「今度は怪鳥だな!!」

勇者「下位の怪鳥……。」

僧侶「ねー、こいつ、崖からたたき落としていい?」

騎士「どうぞ。」

盗賊「全力で。」

魔法「急いでね。」

勇者「ま、魔法使いまで……。」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:53:46.11 ID:PebzSfPE0
〜城塞都市・城門〜

勇者「は〜、くったくただぁ〜〜〜…。」

僧侶「だらしないっ!……って言いたいけど、山越えはきつかったわ〜。」

盗賊「はは、旅慣れてないと山はつらいわな。」

騎士「魔法使いは大丈夫か?」

魔法「だ、大丈夫だって。そんなに気を遣わなくていいよ。」

盗賊「やれやれ、わかりやすい子だな。」

騎士「ん?」

盗賊「さて、城塞都市について簡単に説明して、あとは解散にする。」

勇者「宿はどうするんだ?」

盗賊「まぁ、聞けよ。まず、ここには1週間滞在する。」

僧侶「長いわね。」

盗賊「そんだけの金はあるだろ?」

魔法「理由は?」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:54:14.26 ID:PebzSfPE0
盗賊「理由その1、全員が旅に慣れるため!」

僧侶「もう、慣れたつもりだけど?」

盗賊「俺が仕切ってるからな。実際、宝をさばく自信があるやついるか?」

一同「・・・・・・。」

盗賊「変な話、この先、俺が無事で居続けられる保証はないだろ?」

騎士「まぁ、確かに……。」

盗賊「ってことで、とりあえず全員旅人修行だ。宿取りから頑張ってみな。」

勇者「ひ〜、なんか緊張してくるな。」

盗賊「お前は今度は問題おこさねぇようにな。」

勇者「…起こさねぇよ。」

盗賊「…?」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:54:44.24 ID:PebzSfPE0
魔法「それで、その2は?」

盗賊「自分の時間をもつため!」

僧侶「自分の時間?」

盗賊「僧侶、お前いつからローブに穴空いてた?」

僧侶「あれ?えーっと……いつだろ?」

盗賊「勇者、お前、いつまでほつれた手袋してるんだ?」

勇者「ん…げっ!!」

盗賊「騎士ちゃん、あんた、自分のブーツの紐が切れかけてるの知ってたか?」

騎士「え?……あっ。」

盗賊「魔法使いは…まぁ、なんもないんだけどよ。」

魔法「まぁね。」

盗賊「な?鉱山都市を出て結構経つ。激しい戦いで意外とガタが来てるもんさ。」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:55:10.84 ID:PebzSfPE0
騎士「なるほど。よく見ているものだ。」

盗賊「リーダーだし、物を見るのが俺の仕事だからな。ってことで、1週間。」

魔法「何かあった時は?」

盗賊「ここは治安も良いし、昔から自警団がいるから、なんとでもなるさ。」

僧侶「それじゃ、それぞれ個人行動ってことね?」

勇者「それじゃ、1週間後な?」

盗賊「まぁ、町中で会うことはあるだろうが、1週間後の正午に酒場に集合だ。」

一同「おー!!」

勇者(一週間ね…。)
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:55:42.07 ID:PebzSfPE0
騎士「とは言ったものの、初めての街で勝手が分かるわけもなく……。」

使魔「…。」

騎士「そう言えば、これ、預かりっぱなしだったな。」

騎士(魔法使いはどうしているんだろう?)

勇者「騎士ちゃん。」

騎士「む、なんだ、勇者か。」

勇者「一人じゃ不安だしさ、宿とるとこまで一緒に行かない?」

騎士「……まぁ、そうだな。宿までな。」

勇者「はいよ……へへへ。実はさっき、そこそこの宿を見つけたんだ。」

騎士「ほう、早いな。それなら、私と一緒に動く必要も無かったろうに。」

勇者「まま、なんかあったら困るしさ。ほら、ここ。」

騎士「ふむ…きれいなところだな。失礼。」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:56:10.58 ID:PebzSfPE0
主人「はいよ、いらっしゃい。」

騎士「1週間、滞在させていただきたいのだが。」

主人「二人部屋ひとつでよろしいですか?」

勇者「もちろ……いや、2部屋で。」

主人「かしこまりました、金額はこうなりますが。」

騎士「構いません。」

主人「では鍵をお渡しします。」

騎士「……なんのことはないな。」

勇者「そうだな〜。」

騎士「それじゃ、これからは別行動だな。」

勇者「まぁまぁ、せっかくだから、少しは一緒に見て回らない?」

騎士「…なにか企んでいるのか。」

勇者「めっそうもない!旅は道連れ、っていうじゃない。」

騎士「まぁ、少しならな。」

勇者(見下しやがって……。)
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:57:01.66 ID:PebzSfPE0
〜街はずれの高台〜

魔法「……。」

僧侶「やっ。」

魔法「僧侶。」

僧侶「なーにたそがれてんの?」

魔法「ちょっと、考え事。」

僧侶「騎士ちゃんのこと?」

魔法「それもある。」

僧侶「あらら、否定しないんだ?」

魔法「仲間だからね。僧侶こそ、こんなところで何を?」

僧侶「私?私はね、いい男を尾行してただけよん?」

魔法「はは、俺よりも盗賊の方がいい男だろう。」

僧侶「ふたりはいい勝負かなー、私の中では。」

128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:58:09.07 ID:PebzSfPE0
魔法「…。」

僧侶「……本題に入っていい?」

魔法「どうぞ。」

僧侶「城塞都市、初めてじゃないでしょ?」

魔法「どうして?」

僧侶「入りたくなさそうだったし。」

魔法「……そんなことないよ。」

僧侶「何かあった街なの?」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 20:58:45.67 ID:PebzSfPE0
魔法「秘密。」

僧侶「悩みがあるなら、聞いたげるよ?」

魔法「いや、大丈夫だよ。」

僧侶「あらら、アプローチしたけど、ふられちゃった。」

魔法「……どこまで本気なんだよ?」

僧侶「秘密。」

魔法「はは。」

僧侶「んふ。ま、話したくなったらいつでも聞いたげる。じゃね。」

魔法「やれやれ、鋭いなぁ…。」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 21:02:36.03 ID:PebzSfPE0
〜中央通り〜

盗賊「あれ、珍しいペアだな。」

騎士「リーダー。」

勇者「いやぁ、騎士ちゃんも、ついに俺の魅力に……。」

騎士「元から無いものに気付けるはずもなかろう。」

勇者「う…。」

盗賊「はは、宿でも探してるのか?」

勇者「残念、さっきもう予約してきたもんね。」

盗賊「へ〜…同じ宿に?」

騎士「うむ。」

盗賊「大丈夫か、こいつと同じ宿で?」

騎士「む…言われてみれば。」

勇者「騎士ちゃんに手を出せるほど強くねーよ。」

盗賊「お前も危険だけどさ…俺が言いたいのは…。」

勇者「なんだよ?」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 21:03:04.36 ID:PebzSfPE0
盗賊「おっ、魔法使い!!」

騎士「えっ?どこに!?」

盗賊「へ〜、いーい反射神経じゃん。」

騎士「な…!」

勇者「ガキくせー…。」

盗賊「はは。健全な反応だぜ。」

騎士「か、からかわないでくれ。」

盗賊「でもまぁ、男女がひとつ屋根の下ってのをよく考えろよ、騎士ちゃん?」

騎士「む…。」

勇者「余計なこと言うなっつーの……。」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 21:03:36.93 ID:PebzSfPE0
騎士「何か言ったか?」

勇者「いやいや、どっちにしたって手を出したら命が無いだろうねー、ってさ。」

盗賊「ははは、ま、そりゃそーだ。」

勇者「どうせ俺は弱いっすよ。 さ、行こうぜ、騎士ちゃん。」

盗賊「よし、俺もついてくかな。」

勇者「なんでだよ!」

盗賊「旅は道連れ、って言葉、知らないのか?」

勇者「ぐ……。」

騎士「はは、もっともだな。」

勇者(……。)
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 21:04:11.20 ID:PebzSfPE0
〜中央広場〜

騎士「わぁ……。」

盗賊「かわいい反応するね〜、騎士ちゃん。」

騎士「ちょ、ちょっと驚いただけだ!」

盗賊「まぁ、実際これだけの規模のキャラバンにはそうそう巡り会えないからな。」

騎士「どんなものが売っているのだ?」

盗賊「なんでもあるぜ〜、武器に防具に魔法の道具、日用品から夜のお供まで!」

勇者「おもちゃみたいなもんまであるな。」

盗賊「高位の魔具もあるが、ガラクタもある。目利きは慎重にな。」

僧侶「あっ、あんたたち。」

勇者「げっ、また邪魔者が……。」

僧侶「何よ、文句でもあるー?」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 21:04:48.32 ID:PebzSfPE0
勇者「べっつにー。」

僧侶「ったく、ガキなんだから…。」

勇者「るっせーな…どうせ俺は選ばれた者じゃねーよ。」

僧侶「そこまで言ってないでしょ!」

騎士「その理由も、おのずと知れようものだがな。」

盗賊「っかー、騎士ちゃんも言うね。根に持つタイプ?」

勇者「たった一もみくらいでさ〜…。」

騎士「(スラァッ)」

勇者「ぐっ…。」

僧侶「まぁまぁ、とにかく今は買い物を楽しみましょうよ?」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/28(月) 21:05:19.18 ID:PebzSfPE0
盗賊「そういえば僧侶、魔法使いと一緒にいたんじゃないのか?」

僧侶「ふられちゃった。」

騎士「え!?」

僧侶「じょ、冗談よ、じょーだん。 そこまで驚くかなー?」

騎士「え、いや……。」

盗賊「はっはっは!!」

騎士「わ、笑うな!!」

勇者「結局俺だけ除け者かよ…」

僧侶「なんか言った?」

勇者「別に…。」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/28(月) 21:07:39.02 ID:kbsIn0q3o
勇者は魔王(女)という相手がいるではないか
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/05/28(月) 21:36:30.85 ID:LTuJrkG/o
ひねくれる所に親近感の湧く勇者だよなww
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/29(火) 01:52:36.03 ID:zUrt2QjSO
でもまぁ一々女騎士はうざったいわな
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/05/29(火) 04:22:50.32 ID:ufESrk3Go
勇者が一番好きだわ
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/29(火) 08:11:45.90 ID:zkQquGeIO
何度も言いたくないが句点は除こうぜ
。が最後に入ってると違和感が半端ない
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/05/29(火) 08:23:00.45 ID:nhnhN/pWo
言われるまで気付かなかったよ
読んでるうちになれるんじゃね
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/29(火) 08:34:18.70 ID:Ixsmukego
>>140
何度も言う必要ない
ただの癖だろ
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/29(火) 12:22:37.18 ID:xi6c7s5IO
勇者が女騎士に何かゲスいことをしそうで怖いんだが
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/29(火) 14:02:34.15 ID:yHndafL/o
勇者は何だかんだでいいやつ…

と信じてる
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/05/29(火) 19:36:08.79 ID:1N6U67fR0
〜これは本編とはまったく関係ありません〜

盗賊「なぁ、魔法使い…ちょっといいか?」

魔法「なに?」

盗賊「>>140の指摘は、>>98でもしてくれてたのに、作者は何で意固地に『。』つけてんだ?」

魔法「意固地になっているわけではなくて、>>99を見て安心しただけじゃないかな。」

騎士「…にしても、違和感を感じながらも読んでくれるというのは本当にありがたいな。」

僧侶「そうそう! 指摘してくれるのも、読んでくれてるからこそよね!」

盗賊「…句点をつけてることに、こだわりはないのかね?」

魔法「特に無いみたいだから、外してもらってもいいんじゃない。」

騎士「それもそうだな。」

僧侶「初SSだし、どんどん指摘してもらわなくっちゃねー。」

勇者「なぁなぁ、そんなことより、俺についての書き込み多くね!!??」

騎士「(スラァッ)」

勇者「ちょ、調子に乗ってすみませんでした……」


思いつきで書いてしまいました、こういうのが嫌いな方いたら申し訳ありません。
本編の続きは、もう少ししたら投下します。
お話の予想や人物評も含めて、レスはすべて励みになります。
本当にありがとうございます。
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/05/29(火) 19:54:33.74 ID:ELC7yI/2o
>>145
乙!
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/29(火) 20:31:14.35 ID:1N6U67fR0
〜夜〜

勇者「ようやく夜がやってきたぜ……」

勇者「さて、キャラバンで買った魔法の鍵を使って……」

勇者「騎士ちゃんの部屋の扉を………おし、開いた……!」

勇者「月明かりに照らされた騎士ちゃん…ん〜、絵になるね〜〜。」

勇者「ひひ、寝てる寝てる……お、おおおお……!!」

勇者「普段の甲冑姿からは見ることが出来ない抜群のスタイル……!!」

勇者「くあぁぁ、俺はもう辛抱ならん……!」

勇者「さてと、俺の使える魔法の数少ない一つ、無音魔法を……」

勇者「騎士ちゃんに。」

勇者「……と、この部屋に。」

勇者「さーて、これでこの部屋の音が漏れることはない。」

勇者「さらに騎士ちゃんに、脱力魔法。」

勇者「では……いただきます!」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/29(火) 20:31:55.94 ID:1N6U67fR0
勇者「騎士ちゃ〜ん!!」

騎士「ん……なん……!!……お前、勇者!!」

勇者「へへ、遊びに来たよん!」

騎士「こんなことをして、ただで……くっ、ち、力が!?」

勇者「無駄無駄、一応魔法も使えるからね、俺は。」

騎士(け、剣を……)

勇者「おっと!」

騎士「!!」

勇者「剣も魔法も半端。 つまりどっちもそこそこは出来るってことさ。」

騎士「き、さ、ま……!!」

勇者「だーいじょうぶだって、優しくするからさ。」

騎士「やめ、ろ……!!それ以上、顔を、近づけ、る、な……!!」

勇者「へへ、キスもしたことなさそうだな?」

騎士「貴様には、関、係、ないっ!!」

勇者「そりゃそうさ、これから関係するんだからさ?」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/29(火) 20:32:38.46 ID:1N6U67fR0
騎士「だ、誰が……っ!!」

勇者「ちっ、それじゃ、先に……こっちを!!」

騎士「うわぁっ!?」

勇者「うーん、最高の揉み心地!!」

騎士「や、やめろっ!!こんなことをして、ただで済むと……」

勇者「思ってないよ?」

騎士「!?」

勇者「旅を続けるつもりもねーし。」

騎士「な、なんだと……?」

勇者「俺はここでおさらばさ。あんたの金と処女をいただいてな。」
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/29(火) 20:33:40.16 ID:1N6U67fR0
騎士「ほ、本気か……!?」

勇者「この旅に、俺が必要かよ?」

騎士「な、なんだと?」

勇者「旅立ってすぐに足手まといでさ……俺の存在価値って、何?」

騎士「……そんなもの、自分で考えろっ!!」

勇者「考えたさ!!」

騎士「!?」

勇者「考えて答えが出るのは、一握りの人間だけだっ!」

騎士「そんなことはないっ!」

勇者「その、一握りの人間が、俺を否定するんじゃねぇっ!!」

騎士「……」

勇者「……変わろうとしたって、無理な奴だっているんだ……」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/29(火) 20:34:14.33 ID:1N6U67fR0
騎士「なに……?」

勇者「英雄の末裔だとかなんとか……俺はもうこりごりなんだよっ!!」

騎士「くあっ!!」

勇者「おっとっと、つい殴っちまった。」

騎士「仲間を、裏切るつもりか!?」

勇者「……仲間じゃねーよ。」

騎士「仲間だろうっ!」

勇者「違うっ!!」

騎士「……勇者?」

勇者「俺は、選ばれてねぇ!!」

騎士「……」

勇者「選ばれた奴には、選ばれなかった奴の気持ちなんか分かるわけねぇ!!」

騎士「そ、それは……」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/29(火) 20:34:53.21 ID:1N6U67fR0
勇者「俺はここまでさ。あとはあんたの、選ばれた英雄様の純潔を奪って終わりだ。」

騎士「き、貴様……!」

勇者「これが俺の、復讐だ!!」

騎士「うあぁぁぁぁっ!?」

勇者「へへ、かわいいじゃん、騎士ちゃん?」

騎士「はぁっ、はぁっ……」

勇者「脱力魔法がかかった状態で、その身のこなし……たいしたもんだぜ。」

騎士「貴様なぞに、許してたまるかっ……!!」

勇者「けっ、誰に操を立ててやがる?盗賊か?……やっぱ、魔法使いか?」

騎士「貴様には関係ないっ!」

勇者「盗賊だってろくなもんじゃねー。国中遊び歩いて、女遊びの噂ばっかだ。」

騎士「!」

勇者「魔法使いだって、素性不明で、街からはぶられた変人野郎だろうが!!」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/29(火) 20:35:37.34 ID:1N6U67fR0
騎士「……貴様ぁっ!!」

勇者「はい、ひっかかったー。」

騎士「な……!!」

勇者「ほい、硬直魔法!」

騎士「く、くそっ……!」

勇者「へへ、魔法使いみたいに大勢にはかけれねぇけどな……」

騎士(動かない……!!)

勇者「脱力魔法を受けた女一人くらいなら、動きを止められるぜ?」

騎士(こ、声まで……!!)

勇者「あえぎ声が聞けねーのは残念だが……寝たままじゃ、やりにくいんでね。」

騎士(くっ……みんな……)

勇者「はらんじまったりしてな?」

騎士(父上……)

勇者「産んでくれよな、落ちこぼれの英雄をさぁ!!」

騎士(魔法使いっ……!!)
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/29(火) 22:41:12.39 ID:H5ZBoGfGo
やはり勇者はクズだったか…
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/29(火) 22:44:10.99 ID:Fyc9218xo
勇者GJ
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/29(火) 23:08:45.83 ID:zUrt2QjSO
GJだな
力で捩じ伏せるからこうなる

なってほしい
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/29(火) 23:12:16.17 ID:Ixsmukego
勇者はクズだけど、なんだかな
応援したくなるな
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/05/29(火) 23:36:32.01 ID:rl70eenAO
勇者はマジでクズだな
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 00:06:16.40 ID:/IXD4/jyo
勇者は周りにも問題あるからなぁ
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 06:47:14.82 ID:E33GXLn40
勇者への人物評が様々ですね

少しだけ話を進めます
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 06:47:59.83 ID:E33GXLn40
魔法「転倒魔法っ!!」

勇者「ぐえっ!!」

騎士(魔法使いっ!!)

魔法「はぁっ、はぁっ……!!」

勇者「て、てめぇ……なんで分かった!?」

魔法「はぁ、はぁ……つ、使い魔だ。」

騎士(……え?)

魔法「水上都市で騎士に渡したままだった。」

使魔「……」

勇者「だが、騎士はお前に向かって話してねぇっ!」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 06:48:44.27 ID:E33GXLn40
魔法「理屈は俺にも分からない、ただ……」

騎士(魔法使い……!!)

魔法「君達の声が俺に聞こえてきた。」

勇者「く、くそったれ……」

魔法「だから、急いで、走ってきたんだ。」

勇者「ちっ……」

魔法「解除魔法!!」

騎士「……!! よし、動ける!!」

勇者「ちくしょうっ!!」

魔法「……」

勇者「そんな目で、見るんじゃねぇっ!!」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 06:49:24.60 ID:E33GXLn40
魔法「どんな思いで……」

騎士(そうだ、勇者を同行させたのは、魔法使いだ……無念だろう……)

魔法「俺たち一族が、どんな思いで……!!」

騎士(……一族?)

勇者「な、なに言ってやがる?」

魔法「……消えろっ!!」

勇者「……くそったれっ!!」

騎士「待て!!」

魔法「騎士っ!!」

騎士「止めるな、奴は!!」

魔法「服っ!」

騎士「へ?・・・・・・きゃあああああっ!!」

魔法「つあっっ!!」

騎士「あ、すまん、魔法使いっ!!」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 06:50:25.01 ID:E33GXLn40
魔法「落ち着いた?男と向かい合って座って、怖くない?」

騎士「あ、いや、大丈夫……さっきは、その、すまなかった。」

魔法「あ……」

騎士「……見えたか?」

魔法「……少し。」

騎士「……まぁ、いい……」

魔法「……」

騎士「ありがとう。」

魔法「え?」

騎士「助けてくれて。」

魔法「ああ、いや……間に合ってよかったよ。」

騎士「……さっきの、あれはどういう意味だ。」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 06:50:54.81 ID:E33GXLn40
魔法「あれ?」

騎士「俺たち一族が、って。」

魔法「……」

騎士「あ、いや、話したくないなら、いいんだ。」

魔法「……少し、長い話になるよ。」

騎士「……構わない。」

魔法「俺は、この街で育ったんだ。」

騎士「……」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 06:51:57.34 ID:E33GXLn40
魔法「母が聖騎士で、父が魔術師だった。」

魔法「12歳の時だ。ふたりとも、病で倒れた。」

魔法「……ふたりとも立派だったのに、何故か人と関わろうとせず、貧しかった。」

魔法「父も母も、貧しさに殺された……そう思った。」

魔法「両親からはあらゆることを学んでいたから、旅に出ることにした。」

魔法「本当に、世界中まわった。」

魔法「6大都市……水上都市、湾岸都市、魔法都市、王都、全て行った。」

魔法「そして辿り着いたのが、鉱山都市だった。」

魔法「英雄の末裔っていうのに、興味があってね。」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 06:52:32.92 ID:E33GXLn40
魔法「15の時だ。森のはずれの塔で、地下施設を見つけた。」

魔法「強力な封印がかけられていて、ようやく開くことが出来て。」

魔法「そこは、驚く内容の資料にあふれていた。」

魔法「封印戦争よりもずっと昔、精霊の内乱があったこと。」

魔法「人間が加担したこと。」

魔法「その人間は英雄扱いされ、政治に利用され、人生が狂ってしまったこと。」

魔法「英雄には、子孫がいたこと。」

魔法「その子孫は、封印戦争で活躍したこと。」

魔法「……子孫は、先祖の二の舞になるのを恐れ、すぐに姿をくらませたこと。」

魔法「ただの伝記書きが、その名声をかすめとって鉱山都市に居着いたこと。」

魔法「……記録を書いた人は、亡骸になって数カ月が経っていた。」

魔法「そして、その人は家系図も残していた。そこには、母の名前があった。」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/30(水) 08:29:22.83 ID:HErnUqn+o
乙?

勇者頑張ってくれ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/05/30(水) 11:00:03.11 ID:7sjGZ38Wo
勇者だって凡人でも何かしらの補正さえあれば……
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 11:10:11.40 ID:G8WZJlBSO
おつ
やっぱ魔法が邪魔しやがったか
何かしら痛い目見ればいいのに騎士と盗賊
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 14:35:31.99 ID:sZtu4FRDO
勇者かばってる奴が謎だな

弱くて口だけで努力する気も無い他人を僻み更にレイパーといいとこなしなのに
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)[saga]:2012/05/30(水) 15:05:33.99 ID:SMzbRnv60
血反吐吐くくらい努力しても才能ある奴に勝てないってんなら妬んだり僻んだりしてもある程度同情できるけど、驕りに驕ってろくすっぽ努力してこなかった奴が努力してきた奴を妬んでも、笑い話にもなりゃしないな。

勇者も今からでも遅くないからちょっと根性叩きなおして頑張りゃいいのに。
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 17:02:05.12 ID:ICRQ+gaDO
これは勇者、主人公補正がないのがきもな話じゃね?
勇者というだけで補正はたらくようなら萎える。
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/05/30(水) 19:06:33.15 ID:MDIFZBKAO
それだ( ゚Д゚)

175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2012/05/30(水) 19:19:44.50 ID:ZBqEa7ly0
というか、「勇者」の名声を掠め取って鉱山都市に居ついたのが勇者と書いてレイパーと読む、例の男じゃないの?
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:08:55.24 ID:8URN1bN60
みなさんの考察や感想に対して、返事を書きたい衝動に駆られますが、
作品を通して語るべき、とグッとこらえて、
もう少ししたら、投下します。

同じことばかり書きますが、文の長短に関わらず、レスは本当に励みになります。
レスして下さっている方、本当にありがとうございます。
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 20:09:29.34 ID:6XCGXL5IO
才能も度胸もないのに親の威光で期待されて耐えきれなかったただのチンピラ一般人
そんなんが魔王討伐なんぞに駆り出されりゃこんなもんだろ。地がクズなのは変わらんけど
なにはともあれ展開に期待
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 20:10:52.78 ID:Q3ehcHsDO
スレタイからいって主役は勇者の筈だろうしこのまま終わらんと思いたい

>>175
それはジジババ以前の先祖だろ封印戦争とやらがあったのは百年も前らしいし
勇者本人はその先祖が吹いて回ったもんだから「優秀な人間だって勘違いしちゃったじゃない!」ってヤツだ
とはいえ天狗になろうにもそんなに才能もなくてガチで優秀な幼馴染が身近に二人もいたり
ついでに未だDTらしいしあんまり美味しい想いも出来てないっぽいけどな
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:19:33.26 ID:8URN1bN60
騎士「それじゃあ、あの男は、伝記書きの末裔に過ぎない?」

魔法「記録によればね。」

騎士「……ん? 君の母親が、英雄の子孫?」

魔法「記録によればね。」

騎士「そ、それじゃあ、君も……いや、君こそが、英雄の子孫?」

魔法「記録によれば……そういうことに、なる。」

騎士「……勇者一族の豊かさは、本来は君たち一族のものだということではないか。」

魔法「……俺も、そう思った。」

騎士「貧しさが両親を殺したと言ったな。見方によっては、勇者一族は仇ではないか。」

魔法「……」
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:20:12.01 ID:8URN1bN60
騎士「勇者達一家が、憎くはなかったのか?」

魔法「……憎かったよ。両親が死んだのに、なぜこいつらはのうのうと生きてるのかって。」

騎士「……何も、しなかったのか?君の実力なら……」

魔法「しようとしたよ。けど、騎士団長に、止められたんだ。」

騎士「父に?」

魔法「まさに、屋敷に入った時に。」

騎士「……」

魔法「事情を話したら、自分のことのように泣いてくれた。」

騎士「父上……」

魔法「そして、言われたんだ。それは一族の名誉になるのか、って。」
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:20:39.88 ID:8URN1bN60
騎士「納得、したのか……?」

魔法「そりゃ、最初はしなかったよ。だけどずっと見張られることになって……」

魔法「仕方なく、その施設を残したその人について調べ始めた。」

魔法「俺とは別の流れの、英雄の末裔が、どんな人だったのか。」

魔法「正しい歴史を残すため、一人で戦った人だった。そして、これがあった。」

騎士「ペンダント?……古代語だな。え、と……?」

魔法「『汝の魂に安寧を』。我が血に連なる者へ、と書かれた手紙と置いてあった。」

騎士「……きれい。」

魔法「……不思議なペンダントだよ。見てると、怒りや憎しみが薄れる気がするんだ。」

騎士「言葉の通りだな……その人も、それに救われていたのかもな。」

魔法「うん。俺が復讐をあきらめられたのも、この石の力かも知れない。」
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:21:09.21 ID:8URN1bN60
騎士「……けど、そういえば、勇者を連れて行こうと頑なだったのは、君だった。」

魔法「君の父上に言われたんだ。」

騎士「どんなことを?」

魔法「勇者を真の英雄にすることで、復讐の達成にしなさいと。」

騎士「父上が、そんなことを……」

魔法「憎しみの連鎖を作るな。憎しみの元凶をこそ、断ち切りなさいと。」

騎士「勇者を英雄に……しかしそれは……君にとっては……」

魔法「つらかった。けど、こらえることにした。だって……」

騎士「だって?」

魔法「同じ血に連なる子孫が、真実と向き合い、歴史を残そうとしたんだ。」

魔法「片割れが、復讐に走って、名誉を汚すなんて、かっこ悪すぎるからさ……」
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:21:39.70 ID:8URN1bN60
騎士「泣いて、いるのか……?」

魔法「え?……はは、初めて人に話したからね。」

騎士「……隣に行っていいか?」

魔法「え…うん。」

騎士「……」

魔法「寒いの?」

騎士「……怖いんだ。」

魔法「……大丈夫だよ。」

騎士「魔法使い……」

魔法「英雄の子孫が、ここにいるからね。」

騎士「ばか。」

魔法「……冗談だよ。」

騎士「分かってる……今日はこのまま、そばにいてくれないか。」

魔法「……怖くない?」

騎士「君を、信じてるから……」
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:22:26.99 ID:8URN1bN60
〜翌朝・城塞都市・北側〜

盗賊「研〜げ〜よ〜、研げ、研げ〜、あーめの日―はー…」

盗賊「錆びをよ〜せるーな、曇りをう〜む〜な〜……っと、あれは……?」

勇者「はぁっ、はぁつ……っ!」

盗賊「勇者か……傘もささずに血相変えて、どうしたんだアイツ?」

盗賊「いっちまった……ま、いいか。自分の時間をもてっつったのは俺だしな。」

僧侶「あ、いたいた!!」

盗賊「おぅ、僧侶じゃん。どうした?」

僧侶「いいからちょっと来てよ!!」

盗賊「ん〜?……魔法使いと騎士じゃん。」

僧侶「相合い傘!」

盗賊「だな。」

僧侶「でしょ?」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:23:04.19 ID:8URN1bN60
盗賊「はーん、進展あったかな、こりゃ。」

僧侶「でしょでしょ?」

盗賊「んじゃ、俺はこれで。」

僧侶「え〜? 気にならないの?」

盗賊「一緒に戦ってりゃあ、好いた惚れたもあるし、固い友情もあるだろうが。」

僧侶「そりゃ、そうかもしれないけど。」

盗賊「心境ってのは変化するもんだ。お前もそうだろ?」

僧侶「……まぁね。」

盗賊「それぞれ思うところがあって戦ってるんだ。こういう時間はそっとしとけ。」

僧侶「なんか、変わったわね。」

盗賊「そうか?」

僧侶「なんていうか……大人になった。」
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:23:42.18 ID:8URN1bN60
盗賊「ま、これでもいろいろあったんでね〜。」

僧侶「ふ〜ん……なんかつまんないの。あ、そういえば勇者は?」

盗賊「さっき、街の外に走ってったよ。」

僧侶「なんかみんな色々やってんのね〜。」

盗賊「あ、そういやお前、ローブ直したのか?」

僧侶「ぎく。」

盗賊「……お前、まだなんにもしてねーだろ。」

僧侶「明日からやろうかと思って。」

盗賊「んなこと言ってるやつの明日は来ねーよ!俺が店に連れてってやる!」

僧侶「あーん、騎士ちゃ〜〜ん!!」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:24:10.68 ID:8URN1bN60
騎士「うっ……!」

魔法「ん? そのスープ、おいしくなかった?」

騎士「い、いや、なにか悪寒が……ときに、勇者のことだが。」

魔法「二人に話す?」

騎士「当然だ。あの悪行を黙っているわけにはいかない。」

魔法「……俺のことは、どうする?」

騎士「……話したければ、話したらいい。」

魔法「……?」

騎士「私は、別に英雄の子孫として君を見ているわけじゃない。」

魔法「え?」

騎士「あとのふたりも同様だろう。」

魔法「……そう、かな。」

騎士「それに、話しても話さなくても、君への気持ちは変わったりしない。」

魔法「え?」

騎士「あ、いや、その……とっ、とにかくっ!」

魔法「ああ、二人と合流しよう。」
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:24:40.11 ID:8URN1bN60
〜城塞都市・北側の酒場〜

僧侶「ッッッッタマ来るわね、あのバカッ!!」

盗賊「やれやれ、そこまでだとはな……」

騎士「……」

魔法「どうする?」

僧侶「当然、とっちめてやらなきゃ!!」

魔法「しかし、居場所は分からない。」

盗賊「あれ、そういや、探知魔法かけてるんじゃなかったか?」

魔法「昨晩、解除魔法を広範囲でかけてしまったから……。」

盗賊「そうか……」

騎士「ということは、私の武具にかかっていた魔法も……」

僧侶「あーーーーっ!!」

盗賊「どした?」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 20:25:13.77 ID:ICRQ+gaDO
本家と分家どっちが名を残しても同じだと思うけどな。
本家が英雄になってもいいし分家が英雄になっちゃだめな理屈はない。
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:25:16.59 ID:8URN1bN60
僧侶「二重魔法!!」

盗賊「なんだ、そりゃ?」

僧侶「物質への魔法の重ねがけは出来ないと言う原則よ。だけど、山で、ほら!」

盗賊「そういや、涼しくなる魔法?とかいうのをかけてたな。」

僧侶「なーんか変だと思ったのは、それだったんだわ!」

盗賊「……どういうことだ、魔法使い?」

魔法「……俺の魔力の方が、圧倒的に強いってだけだよ。」

騎士「あっ……」

盗賊「つまり?」

騎士「そ、それはともかく、勇者をだな……」

魔法「俺は、英雄の子孫なんだ。」

僧侶「えっ?」

魔法「だから、魔力は宮廷魔術師なんかより、はるかに強い。」

騎士「魔法使い……」

魔法「いいんだ、嘘は苦手だから。」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:25:48.30 ID:8URN1bN60
僧侶「ふぅん。」

盗賊「へぇ。」

騎士「え……それだけか?」

盗賊「崇めたてまつろうか?」

魔法「それは困るよ。」

僧侶「でしょ。別にいいじゃない、家系図見て仲間になったわけじゃないし。」

騎士「そ、それはそうだが……」

盗賊「ってことは、アレか。勇者は、実は英雄の血筋じゃなかったと。」

魔法「そうなんだけど……驚かないね。」

盗賊「うーん、むしろ納得したというか、安心したというか。」

僧侶「道理で才能がなかったわけだ、って感じね。」
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:26:17.12 ID:8URN1bN60
盗賊「だが……だからこそあいつのバカが許せねぇ。」

僧侶「くっだらないことにとらわれちゃってさ!」

盗賊「俺達は、あいつを血筋で選んで組んだんじゃない。」

盗賊「家系だとか血筋だとか、それがそんなに重要か?」

盗賊「旅立つ前に、あいつが言った『変わりたい』って言葉の方が大事なんだ。」

騎士「そんなことを言っていたのか……」

僧侶「血筋を重視しないからこそ、最初に私達は反対したのよ。」

僧侶「でも、考えて、考えて、一緒にいくことにした。」

僧侶「……あいつのことだって、大事だからさ。」

僧侶「血筋が大事だなんて思ってないわ。あいつが、大事なのよ。」

僧侶「そりゃ……きつく、当たりすぎたかもしれないけどさ……」
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:26:44.83 ID:8URN1bN60
盗賊「大切なのは、今、これからどうするか、だ。」

騎士「しかし、今の奴が私の寝込みを襲ったんだぞ。そんな男と旅なんて……。」

僧侶「強姦するような奴、って話、最初にしたわよね。」

騎士「あっ……」

僧侶「気持ちは分かるわ、騎士ちゃん。」

騎士「すまない、私は……なんにも分かっていなかった。」

僧侶「許してやって、なんて言わないわ。だけど、分かってはやって。」

僧侶「あいつもね、結構、きついんだ。」

魔法「……さすが、幼馴染だね。」

僧侶「まぁね……でも、ここまで追い詰めたんだから、失格かな。」

騎士「……確かに、あそこまで追い詰めたのは、私達の方だな。」

僧侶「とりあえず、あいつを探しましょ?」

魔法「異議なし。」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:32:03.70 ID:8URN1bN60
〜2日後・同所〜

盗賊「で、このザマと。」

僧侶「ね〜、魔法でなんとかならないの〜?」

魔法「遠視魔法も探索魔法も試したけど、まるで駄目だ。」

騎士「すでに城塞都市を離れたのでは?」

魔法「それすら分からない。隠密魔法の類を使っているらしくて。」

自警「あの、もし。」

僧侶「どちら様?」

盗賊「自警団長だ。俺が、勇者の捜索をお願いしてたんだよ。」

騎士「ということは、見つかったのか?」

自警「いえ、そちらはまだ……今は、お願いに、参ったのです。」
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:32:34.18 ID:8URN1bN60
盗賊「お願い?」

自警「ええ、なんでも、聞けばあなた方は精霊に選ばれたとか。」

僧侶「あら、情報が早いわね。」

盗賊「水上都市の情報ギルドが動いてるな。」

自警「……実は、南の谷で、魔物が群れを成しているところがあるのです。」

魔法「どれくらい?」

自警「100以上です。」

僧侶「んなっ……!」

騎士「なぜ、そんなになるまで放っておいたのだ?」

自警「もちろん討伐には赴きましたが、親玉が強すぎて完全に駆逐出来ず……。」
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:33:08.37 ID:8URN1bN60
僧侶「そうこうしている内に、魔王の影響で、一気に膨れ上がっちゃったわけか。」

魔法「親玉は、どんなやつなんです?」

自警「巨人です。濃い緑色の……」

魔法「上位だ。確かに、それは厳しいものがある……」

盗賊「いや、そうでもねぇよ。」

僧侶「そうなの?」

盗賊「そうなの。自警団長、その件は俺達に任せてくれていいぜ。」

騎士「なっ……上位巨人と魔物100体だぞ!?」

自警「よ、よろしいのですか?」

盗賊「あぁ、任せとけって。その代わり、連れの捜索を頼むぜ。」
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/30(水) 20:39:40.95 ID:8URN1bN60
今回の投下は、ここまでにしようかと思います。
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 20:44:11.75 ID:SjX1x2Gf0
おつ!
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 20:45:18.29 ID:V4Wl652ho


あれだけいじめておいて今更いい人ぶる盗賊と僧侶が早く氏にますように
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 21:33:33.17 ID:WgZnfJpTo
勇者は力も無いのに血筋だけで祭り上げられた挙げ句
近くに優秀なの二人も居るとかそりゃやさぐれるわな
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/30(水) 21:43:46.49 ID:48reh73oo
魔法使いが実は…とかいうのもなんかなぁ
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2012/05/30(水) 21:58:06.97 ID:xO9+WLnro
勇者を主人公と見るか魔法使いを主人公と見るか

203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)[saga]:2012/05/30(水) 22:39:30.97 ID:SMzbRnv60
こりゃ勇者が1人で魔物の群れに向かってるってフラグだな。

>>199
本当に嫌いでどうでもいい奴の事なんて、誰も気に留めたりしないものさ。
だから、盗賊や僧侶が勇者にキツく当たるのもある意味当然。
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/30(水) 23:21:06.89 ID:G8WZJlBSO
おつ〜
ネジ曲がった性格だと分かっていて追い詰めるとかないわー
こんなん、アレルギー持ちに根性で治せ!とか言ってアレルギー元をくっつけたりするのと一緒。単なる虐め

騎士に至っては刀振り回して脅しかけてるし
初めの揉み揉みはともかく、あとは反撃されて殺されても文句言えんぞwwwwww
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 00:21:51.15 ID:3MUZ8ryJo
たしかに騎士に関しては多少は自業自得ではあるな
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 01:30:54.93 ID:74+UGQcIO
騎士は勇者のバックボーン知らないだろ
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 01:41:11.91 ID:t+BWbL1DO
えっ、なんで勇者に寛容なのかがわからん

勇者って英雄の子孫だから町から金の面で援助してもらったりチヤホヤされて来て才能ないのに努力をする訳でもなく名声に胡座をかいてきてこんな性格なんだろ?

女に未遂とはいえ2回も強姦したりセクハラしたり同情の余地がないんだが

騎士も至って普通の対応だろ
出会い頭に胸揉むような奴なにされても文句言えんよ

性格悪いのを人のせいにされてもなぁ……
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/31(木) 01:48:06.15 ID:b5rw5b2go
>>207
英雄だ英雄だと言われ続けて大勢からの重圧を受ける
しかし、盗賊や僧侶という幼なじみの方が才能、実力ともに上回っている
そこから、周りからもそういう事で陰口とかあったんだろうな、と考えられる
そういったこともあって勇者はどんどんひねくれていく、鍛錬もしなくなる

多分勇者頑張れって思ってる読者はこんな感じの考えじゃないかな
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 02:12:58.48 ID:t+BWbL1DO
>>208
違う考え方あるだろうし言ってる事も解るんだけどそこで勇者頑張れ!とか思えるのがわからん


過去に一度でも努力したけど周りとの差から挫折したとかならわかるがそういう描写がないし、ただ才能を羨んでるようにしか見えん

盗賊や魔法使が1人旅したりなど才能だけで強くなった訳じゃないしな


まぁこれからどうなるか続きが楽しみだ
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/31(木) 02:54:43.38 ID:b5rw5b2go
>>209
>違う考え方あるだろうし言ってる事も解るんだけどそこで勇者頑張れ!とか思えるのがわからん

まぁそこは感性の違いというか、好みの問題というか
そういう物でしょ
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 03:54:28.84 ID:hhQgFhSDO
勇者が誰も自分の事知らない町で一般人として暮らすのが互いに最良の道だろうな。
この世界血筋とか幻想なのわかったのにパーティーメンバーまだ幻想みてるし。
駄目な奴は駄目と言うのも優しさ。
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 07:59:38.81 ID:xYx9KtgSO
他愛ない事でも、気に食わなければ人に刃物向けて脅しても良いのか
どこのチンピラですか
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/05/31(木) 10:59:39.44 ID:iWgb24bAO
親ってか先祖の七光りだけでちやほやされて、ろくな努力もせず
才能はあったかもしれないけど、努力してきた幼なじみをレイプしようとしたり、仲間をレイプして金を奪って逃げようとしたり
やっぱただのクズじゃん

ってか、こんな嫌われる勇者も珍しいなww
改心しなくていいから、クズっぷりを最後まで貫いてほしい
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 11:57:52.12 ID:3MUZ8ryJo
勇者なのに才能ないとか周りから言われ続ければ努力もする気無くなるとは思うがな
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 19:10:08.32 ID:RDsCB0Vo0
皆さんのレスを読む度に、読み手によって登場人物に対する印象の差異はあっても、
5人が読み手の中で生き生きと動いていることを感じ、嬉しく思います。
いろいろな読みとり方を見せていただいて、ありがたいです。
本当に励みになります。

では、また少ししたら投下します。
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 19:43:52.83 ID:hhQgFhSDO
楽しみにしてる。
一番嫌なのがこのままずるずるついていって何も活躍せずもしくはちょろっと活躍してさすが勇者だとかなるの。
他のパーティーは名誉は欲しくないとかいって勇者功績かっさらうの。
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:14:03.55 ID:RDsCB0Vo0
〜南の谷〜

騎士「あらためてすごい数だな……」

僧侶「ここまでにもそれなりに倒してきたのね。」

騎士「……あの、中心にいるのがそうか?」

盗賊「ああ。大木そのものを武器にするというとんでもない奴だ。」

魔法「そして自然治癒力も脅威だぞ。どうするつもりなんだ?」

盗賊「……巨人族は、最後の最後まで自分では戦わない。そこが狙い目だ。」

騎士「つまり?」

盗賊「最初は油断してるから、群れをかいくぐって、巨人を暗殺する。」

僧侶「こりゃまた……大胆な作戦ですこと。」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:14:40.29 ID:RDsCB0Vo0
魔法「分担は?」

盗賊「魔法使いが囮、俺が暗殺だ。」

僧侶「大丈夫なの?」

盗賊「勝算のない戦いはしないって。」

騎士「私はどうすれば?」

盗賊「魔法使いの盾になってくれ。今度は大丈夫だろ?」

騎士「ああ。」

僧侶「私は?」

盗賊「ごにょごにょごにょ……」

僧侶「わ、分かったけど……大丈夫なの?」

盗賊「だから、巨人を仕留めたら、すぐに俺を回復してくれ。そんで、ずらかる。」

騎士「駆逐するのではないのか?」

盗賊「厄介なのは巨人だけさ。奴さえやれば、あとは蜘蛛の子だ。」

魔法「まぁ、囮とはいえ、可能な限り殲滅させてみせるよ。」

盗賊「頼むぜ、英雄。」

魔法「みんなが英雄だよ、これからのね。……みんなに、防御補助魔法。」

盗賊「おぉ、ありがてぇ。それじゃ、行ってくるぜ。」
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:15:08.78 ID:RDsCB0Vo0
魔法「爆発魔法!!」

魔竜「ギョアアアアアァ!!」

魔法「竜巻魔法!!」

幻獣「キェェェェェッ!!」

魔法「烈風魔法!!」

妖鳥「キョエェェェェッ!!」

盗賊「おーおー、派手にやってくれてるね……」

巨人「ぐほっ、ぐほっ!!」

盗賊(下半身は鋼鉄の毛皮、上半身は鉄の皮膚、だっけな……)

盗賊(ふーっ……やるか。)
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:16:02.91 ID:RDsCB0Vo0
盗賊「おいっ、デカブツ!!」

巨人「ぐほっ?」

盗賊「鬼さんこちらぁっ!!」

巨人「ぐほううっ!!」

盗賊「……で、わざと捕まって、と……」

盗賊(さぁて、この捕まる瞬間が……っ!!)

盗賊「っっっっってぇぇぇぇぇ!!!」

巨人「ぐほっほほほ!!」
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:16:33.41 ID:RDsCB0Vo0
盗賊「つあ〜〜〜……でも、いつものパターンだぜ。……ほらよっ!!」

巨人「あむん!?」

盗賊「捕らえたら大笑い。お決まりだな。」

巨人「ぐ、ぐっ?」

盗賊「お前が飲み込んだのは爆弾だ、キャラバンで買った高級品。」

巨人「ぐ、ぐぐぐ……」

盗賊「勝負ってのは、先に油断した方が負けなんだぜ?」

巨人「ぐおごっ!!????」

盗賊「……体内までは治癒できない。だよな?」

巨人「……」

盗賊「……ふーっ、痛ぇ。何本か折れてるな……適材適所とはいえ、嫌な役だぜ。」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:18:45.81 ID:RDsCB0Vo0
僧侶「大丈夫っ!?」

盗賊「おぉ、大丈夫大丈夫。」

僧侶「回復魔法(大)!……無茶なことするんだから。」

盗賊「いやぁ、これが最善策さ。相手の油断を鋭く突く。それが勝負だからな」

魔法「お見事。」

騎士「まったくだ、華麗な戦略だな……」

僧侶「でも、勇者が使える脱力魔法?ってのが効いたらさぁ。」

魔法「……確かに、もっと簡単に倒せたかも知れないね。」

騎士「魔法使いには、使えないのか?」

魔法「使えるには、使えるんだけど……」

盗賊「囮がいなきゃ、作戦自体変えなきゃならんからな。」

僧侶「どうせ、派手じゃないからとか言って隠してたんでしょ……バカね……」

盗賊「……さ、帰ってそのバカを探そうぜ。」
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:19:15.55 ID:RDsCB0Vo0
〜出発の日・前日・酒場〜

盗賊「結局勇者は見つからず、か……」

僧侶「どうする?」

盗賊「……よし、あきらめる。」

騎士「……それで、いいのか?」

盗賊「よかぁないさ。でも、時間を無駄にするわけにもいかねぇ。」

魔法「発つのか?」

盗賊「明日、約束の時間に約束の場所に集合だ。」

僧侶「来るかしら?」

盗賊「さぁな。とにかく、ここから北東、王都に向けて出発だ。準備しとけよ。」

魔法「……騎士、ちょっと付き合ってくれないか。」

騎士「えっ、あ、ああ……」
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:19:52.34 ID:RDsCB0Vo0
〜墓地〜

騎士「ここは……?」

魔法「見ての通り、墓地だよ。俺の両親が、眠ってる。」

騎士「どうして私をここに?」

魔法「一人だと、足を運びにくくてね。」

騎士「ふふ……魔法使いにも、そんなところがあるんだな。」

魔法「はは……それで、これが、二人のお墓。」

騎士「……」

魔法「母さん、父さん、ただいま……いろいろあったよ。」

騎士「私も何度も救われた。ご両親も、鼻が高いだろう。」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:20:23.98 ID:RDsCB0Vo0
魔法「でも……ごめんね、復讐は果たせなかった。」

騎士「……それは違う。」

魔法「騎士?」

騎士「まだ、終わったわけじゃない。勇者を救うことが、君の復讐なのだろう?」

魔法「騎士……」

騎士「きっと、また共に歩む時が来る。」

魔法「騎士は、彼を許せるのかい?」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:20:53.61 ID:RDsCB0Vo0
騎士「勇者の愚行は許せないが、彼が全て悪いとも言えないと、今なら思う。」

騎士「勇者への私の態度は、とても誉められたものではなかったから……」

魔法「それは、全員に言えることだよ。ちゃんと、仲間になれてなかった。」

魔法「今回の勇者の件は、俺たちみんなの失敗だった。」

騎士「……誰にでも、失敗はあるものだろう?」

魔法「そして失敗は、糧になる?」

騎士「その通りだ。いや、糧にしなければならないんだ。だから、信じよう。」

魔法「明日、か……」
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:21:35.60 ID:RDsCB0Vo0
〜約束の時間・約束の場所〜

盗賊「……時間だ。出発する。」

僧侶「あんの、バカ!!」

魔法「……気持ちを切り替えて行こう。北に近づくと言うことは……」

騎士「魔物も強くなる、ということだな。」

盗賊「深まった絆もある、が……」

僧侶「あれ、そういえば皆、買い物は済んだ?」

騎士「当然だ。装備は全て新調してきた。」

魔法「俺も、今後必要になりそうなものは揃えてきたよ。」

盗賊「へへ。俺は秘密兵器がたっぷりだぜ。」

僧侶「じゃ、忘れ物はひとつだけ、か……ねぇ、魔法使い。」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:22:01.26 ID:RDsCB0Vo0
魔法「ん?」

僧侶「メッセージを残していく魔法とか、ないの?」

魔法「ちょっと難しいな……」

僧侶「そっか……」

盗賊「魔法都市を目指すなら、王都には必ず立ち寄るはずだ。そこで、また……」

騎士「会えるかも知れない?」

盗賊「……あいつが、来ればな。」

盗賊「事情は複雑になってきたが、こうしている間にも魔王は侵攻してるはず。」

僧侶「次の王都は、どんな街なの?」

盗賊「6大都市の中ではもっとも魔法都市に近い。」

騎士「!」

盗賊「まぁ、何かあってもおかしくないってことさ。気を引き締めていこうぜ。」

3人「おう!」
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:25:09.12 ID:RDsCB0Vo0
城塞都市編はここまでです。引き続き、王都編に入ります。
長めの投下になって申し訳ないですが、お付き合い下さい。
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:25:34.23 ID:RDsCB0Vo0
〜王都・西門〜

盗賊「平原続きで楽な旅路だったな。」

僧侶「私は疲れた〜。お風呂入りた〜い……騎士ちゃんと!」

騎士「え、遠慮する!」

魔法「とりあえず宿を探そう。」

騎士「そうだな……手分けしようか?」

盗賊「いや、多分すぐに見つかるだろ……ん?」

使者「あなた方は……」

盗賊「旅のもんだけど、何か用かい?」

使者「精霊が示された4人ではありませんか?」
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:26:10.33 ID:RDsCB0Vo0
騎士「その通りだが……」

使者「お待ち申しておりました。すぐに宮殿へお越し下さい。」

僧侶「宮殿?」

使者「お姿を見つけ次第、宮殿で歓迎せよとの命が出ておりますので。」

魔法「どうする?」

盗賊「まぁ、お呼ばれしますか。」
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:26:42.83 ID:RDsCB0Vo0
〜王都・宮殿〜

大臣「よくぞお越し下さいましたな、英雄の皆様。」

僧侶「いや〜、英雄だなんて、ねぇ?」

騎士「我々はまだ何も成し遂げてはおりません。」

大臣「いえいえ、未来の英雄ですからな。国のために、頑張ってくだされ。」

魔法「国王陛下は?」

大臣「すまんな、国王陛下は別件で公務の最中で、まだ会わせられんのだ。」

盗賊「いえ、お構いなく。それで、魔法都市の情報は?」

大臣「それが、まったく情報がないのだ。頼みは精霊の予言のみで……」

僧侶「深刻そうね。」

魔法「100年以上昔とはいえ、世界を荒廃させたという魔王だからね。」
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:27:09.14 ID:RDsCB0Vo0
騎士「……民は、大丈夫なのだろうか。」

大臣「わからん……しかし、あまり悠長に構えてもいられぬようです……ん?」

騎士「?……私が、なにか。」

大臣「あなた、どこかで……」

兵士「大臣、大変です!」

大臣「なんだ、騒々しい。」

兵士「ら、来客中でしたか、申し訳ありません!!」

大臣「まったく……して、どうした。」

兵士「東区に魔物の群れが突如出現、被害が出ております!」

大臣「なんだと……すぐに兵を出せ!!」

兵士「はっ!!」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:27:43.60 ID:RDsCB0Vo0
盗賊「大臣さん、それ、俺たちも行っていいですかね?」

大臣「いや、しかし、君たちは客人として……」

盗賊「ただメシ食らうわけには行きませんて。な?」

魔法「リーダーに従うよ。」

騎士「民を守るのが、本来の私の役割だ。」

僧侶「え〜、めんどk」

盗賊「はい、決まり!行くぞっ!!」

大臣「……ふむ、精霊に選ばれし者、か。」
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:28:47.23 ID:RDsCB0Vo0
〜王都・東区〜

女A「きゃああ!!」

女B「わ、私の子どもはどこっ!?」

老人「この世の終わりじゃ、王都も終わりじゃぁ!!」

盗賊「ちぃっ、随分入り込んでやがるっ!」

魔法「盗賊、どうする?」

盗賊「魔法使いと騎士は東門で進入経路を塞いでくれ! 町中はさ…二人でやる!!」

騎士「心得た!」
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:29:19.18 ID:RDsCB0Vo0
盗賊「僧侶! 妖霊がぞろぞろいやがるから、魔法で動きを止めてくれ。」

僧侶「よっし……浄化魔法!!」

妖霊「キェェェェェェ……」

僧侶「行って!!」

騎士「かたじけない!!」

魔法「加速魔法!!」

盗賊「さーて、いっちょ暴れますかね。」

僧侶「兵士の皆さんも到着したみたいよ。」

盗賊「なら、なおさら、いいとこ見せてやろうぜ。」

僧侶「未来の英雄、だもんね!」
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:29:49.37 ID:RDsCB0Vo0
〜東門〜

騎士「ハァッ!!」

魔法「火炎魔法!!」

騎士「そこだッ!!」

魔法「雷殺斬!!」

騎士「ふうっ……思ったほどの数はいなかったな。」

魔法「てっきり、この門から大挙しているのかと思ったが…」

騎士「すでに入り込まれたあとだったのだろうか。」

魔法「うん……よし、ここは兵士の人達に任せて、戻ろう。」
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:30:16.98 ID:RDsCB0Vo0
騎士「わかった……それにしても、剣の扱いも、かなりのものだな。」

魔法「聖騎士直伝の魔法剣だからね。」

騎士「剣も、業物だな。」

魔法「もう素性を隠す必要もなくなったから、キャラバンで買ってきたんだよ。」

騎士「本領発揮、というわけか。」

魔法「多少はお役に立てるはずだよ。」

騎士(多少、というレベルではないな…大した技の冴えだ。負けられないな!!)

魔法「さあ、行こう!」

騎士「ああ!!」
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 20:33:15.79 ID:RDsCB0Vo0
今回はここまでにしたいと思います。

読んで下さっている方、本当にありがとうございます。
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2012/05/31(木) 20:34:02.47 ID:8JiauDpSo
ぬおおお

241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 21:09:48.55 ID:7Kg72TYDO
はぁ…騎士と盗賊と僧侶と魔法使いさっさとタヒねよ
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/31(木) 21:25:16.55 ID:b5rw5b2go
4人の調子が良すぎる
勇者が屑だって言ってたのはこいつらなのに、失踪+勇者の真実を知って同情でもしたのか?
盗賊と僧侶の考えがいきなり勇者擁護に変わってて、ちょっと無理を感じた

騎士についてはかける言葉すらないわ、性格悪いな


乙、面白い
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/05/31(木) 21:46:55.37 ID:xuWOw7SKo
>>242
気持ちはわからなくも無いがそーゆーレスは
全部終わってからか、ある程度区切りがついてからレスしたほうがいいと思うぞ
"あそこではこうだと思った"みたいな?
>>1が書きづらくかもしれないぞ
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/05/31(木) 21:49:00.36 ID:b5rw5b2go
>>243
書きづらくなったらダメだな、申し訳ない
ああ書いたけど、このまま>>1の書きたいように書いてくれ
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)[sage]:2012/05/31(木) 21:59:01.67 ID:MQlurXb+o
勇者を更生してやろうなんて上から目線で言われているような気がして気持ち悪い
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/05/31(木) 22:25:23.43 ID:RDsCB0Vo0
>>244

1です。
「書きづらくなる」という部分は心配なさらないでください。
実際は、既に物語は最後まで書き終えていて、
書きためたものを見直し・修正しながら投下しています。
(その修正が大幅なものになることもあるのですが)

作品が書き手の元を離れた時点で、読み手は自由に解釈していいと思います。
意図した通りに表現しきり、その意図が完璧に伝わればいいのかもしれませんが、
意図と解釈が違うからこその面白さもあると思うのです。

読みにくさや展開の無理があるかもしれませんが、5人の物語は必ず最後まで投下します。
またいろいろとレスいただければと思います。

毎度同じことを書いていますが、ここまで読んで頂いて、ありがとうございます。
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 23:11:51.50 ID:PiQMKO7DO
乙〜楽しみに待ってるよ
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/31(木) 23:12:10.12 ID:OY6BYh9Ro


>>242
こんな救いようもないクズみたいな連中だから
勇者が切れたという流れは自然だと思うぞ
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2012/05/31(木) 23:38:18.57 ID:mpkr3Ucfo
こんなクズ勇者放置しとけよ四人とも…

努力せずに名声だけで生きて力もなく挙げ句の果てに仲間に強姦未遂とか普通にクズじゃん、良い印象皆無だろ
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/05/31(木) 23:45:27.43 ID:iWgb24bAO

もちろん最後まで付き合うよ
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 01:25:57.51 ID:rBIJK1U8o
勇者もヒドイが他の四人もクズだろ
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)[saga]:2012/06/01(金) 08:55:11.33 ID:iDP+kQA20
勇者はともかく、他4人はクズと断ずるにはまだ早いと思うがね。
少なくとも各々が自分の役目を全うしようと努力してるし、チームの和を乱すような行動するわけでもなく、明らかにお荷物な存在がいてもそれを気にかけるくらいの余裕もある。大人としてはある意味及第点じゃね?

勇者は…パーティ裏切って魔王につくとかしなけりゃいいんじゃない?ただでさえ低い周囲の評価を更に下げるようなことしかしてないんだもの。クズ呼ばわりされてもしゃーない。
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/06/01(金) 09:45:46.66 ID:IhYR3vgQo
>>252
しそうwwwwwwww
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/01(金) 10:05:16.00 ID:86uT9C5+o
魔法使いの恨みは勇者本人に対してだとお門違いだし
騎士なんか少し気にいらないと剣抜いて脅すし
他の二人は幼なじみだとか言ってる癖に責め立てるのみだし酷すぎだろ
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 10:09:05.62 ID:IBSHmI88o
>>254
んだな
騎士はなんかもう魔法使いのイエスマンになっててやばい
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 12:24:36.78 ID:lTt/XCcIO
>>254
幼馴染だからこそズケズケと言える事もあるんじゃない?
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 13:03:09.58 ID:uTTPPtvSO

登場人物の人隣りをあれこれ妄想しちゃうSSは久しぶりだわ。読むのが楽しい
既にあらかた仕上がってる様だけど頑張って下さい

>>256
確かにまだ二人は幼馴染み補正できちんと謝れば許してくれそうだな
今の性格?から変わりたいと思っている人にする事じゃないが。てかしちゃいけない事
だがしかし、魔法は逆恨み、騎士はおっぱい以外は自業自得で論外

騎士だけは刺されろ。若しくは性的な意味で刺されろ
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 13:30:52.07 ID:Omr06qoIO
いや騎士は仕方ないだろ。ヤられかけたんだから
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 13:52:35.34 ID:o98xLOlro
ヤられかける前から脅しまくってたじゃん
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 13:54:40.90 ID:R1+9TOquo
>>258
それは日頃勇者にだけきつい態度とってたからだろ
自業自得とまではいわんが全面的に被害者とは思えないな、俺は
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 14:00:32.53 ID:z7uhc0ODO
勇者って今の性格変わりたいとか言ってないだろ?
成長いっさいないし

それに幼なじみだからって昔を知ってるだけで仲が良いとは限らない
腐れ縁だろ


魔法だって逆恨みというが実際騎士をレイプしようとするまでは普通に対応するだけだったし、むしろ絡まれてるとこ助けられてるし


自分の近くに勇者みたいな奴いたら殴り飛ばすかシカトだわ
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/01(金) 15:27:58.74 ID:86uT9C5+o
周りにあんな扱いされてたら変わろうにも変われないだろ
幼馴染みだって今までの話的に腐れ縁てことは無いだろ

それに魔法使いだって自分の都合で旅に適さない人間連れてきてるのにそいつが問題起こしてもフォローしないとか酷いだろ
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2012/06/01(金) 16:41:09.53 ID:1Y50kAuxo
世界観次第だが、努力も何もせず魔法なんて使えるんだろうか?

努力アピールだせぇw うぜぇw
みたいな考えで幼馴染みにも隠してそれなりに努力していたが、周りの才能差を見せつけられてメンタルぽっきん

そこから努力しなくなり、残っていたのは薄っぺらいプライドだけ

……なーんて

誰かが不幸になる話は愉しいですね
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2012/06/01(金) 17:46:52.23 ID:zYWk1N120
勇者は小技的な魔法が上手そうだと勝手に思ってしまった。
本人は勇者っぽくないからって周りに隠すだろうが・・・
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 17:48:09.18 ID:uTTPPtvSO
盛り上がってるね
>>261
>勇者って今の性格変わりたいとか言ってないだろ?
>>192のこれ
>盗賊「旅立つ前に、あいつが言った『変わりたい』って言葉の方が大事なんだ。」
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 19:18:09.94 ID:GMZLy2+8o
4人はともかく、勇者はクズと断ずるにはまだ早いと思うがね。

旅の記録メインでPTに参加したはずなのに
さんざん剣を突きつけられたりパワハラを受け続けた上に
いざ稼ぎを分ける段になったら「出来高制です(キリッ」って
どこのブラック企業だよ

おてんと様が許しても労基署が許さねーだろ

こんな扱いを受けて金を持ち逃げしたり嫌がらせしたりするのはおかしい話じゃないわな
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 19:48:20.78 ID:x9XayvOS0
投下間のレスの数が多くなってきていることに深く感じ入り、鼻血が出そうです。
読んで下さっている方、ありがとうございます。
読みながら不快感を感じている方、登場人物に代わってお詫びします。

展開についての予測レスは、どれも楽しく読ませて頂いています。それに対しても、また、
物語上の疑問点に対しても、お答えしたいのですが、やはり作品でのみ語ることにします。

では、また少ししたら投下します。
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:14:00.89 ID:x9XayvOS0
〜東区〜

盗賊「おっ、早かったな。」

魔法「数が少なくてね。」

騎士「王都の兵士の練度も高くて、助けられたよ。」

僧侶「こっちも片付いたわ。ちょっと、けが人の手当に行ってくるわね。」

騎士「気をつけてな。」

僧侶「んふ、ありがと!」

盗賊「……どう思う?」

魔法「何が?」

盗賊「ざっと20体以上、急に入り込むことなんて可能なのか?」

魔法「転移魔法、かな。ちょっと規模が桁外れだけど。」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:14:30.74 ID:x9XayvOS0
盗賊「……魔王ってやつの仕業かね。」

魔法「だとすると、とてつもない魔力だ。」

騎士「勝てると思うか?」

魔法「……」

盗賊「おいおい、黙るなよ。」

魔法「考える材料が少なすぎるかな。転移魔法の種類にもよるし。」

騎士「種類?」

魔法「うん。一方的に送りつけるのは難しいけど、受け手がいれば簡単になるんだ。」

盗賊「へぇ……適正といい条件といい、魔法ってのも、いろいろなんだな。」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:14:59.73 ID:x9XayvOS0
兵士「皆様方!」

盗賊「あぁ、あんた、さっき大臣の部屋に来た……」

兵士「はっ、皆様を宮殿にお連れするよう仰せつかりました。」

騎士「後始末は手伝わなくてよいのか?」

兵士「それは我々にお任せ下さい。さ、宮殿へ。」

盗賊「んじゃ、お言葉に甘えますか……僧侶―、行くぜー?」

僧侶「回復魔法!!……先に行ってて、けが人が多くて……」

老婆「すみません、あちらにもけが人がたくさんおりまして……」

婦人「他にも旅の方が手伝ってくれているのですが……」

僧侶「はいはい、今行くわ。」

魔法「俺も手伝ってくる。先に行っててくれ。」

盗賊「分かった、頑張れよ。」

騎士「宮殿で待ってるぞ。」
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:15:30.39 ID:x9XayvOS0
〜宮殿・夜〜

大臣「さぁ、ささやかながらのおもてなしです、楽しんで下さい。」

盗賊「こ、これでささやかなのか?」

大臣「えぇ。街を救ってくれた英雄には、失礼かも知れませんが……」

騎士「滅相もありません、ありがたく頂戴いたします。」

僧侶「騎士ちゃん、慣れてるわね〜。」

盗賊「育ちがいいんだろ……今日は宮殿で泊まってくれとさ。」

魔法「いいのかな?」

盗賊「いいんだろ、宿代も浮くし、甘えようぜ。」
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:16:03.39 ID:x9XayvOS0
僧侶「よーし、立食パーティなんて初めてだから、お姉さん張り切っちゃうぞ〜!」

騎士「それにしても、城内の兵も参加させるとは……粋な催しだな。」

盗賊「今の国王は名君で通ってっからな。この辺も、お人柄ってやつかね。」

僧侶「最近即位したんだっけ?確か、すごく若いのよね。」

盗賊「前王が5年ほど前に、50歳の若さで逝去したせいだ。現国王は30歳。」

魔法「詳しいね。」

盗賊「俺らの職種は知識と情報が命。他に王様情報は、発想が奇抜、性格は豪快、とかな。」

魔法「しかし、魔王との戦乱が間近に迫っているのに、こんなので大丈夫なんだろうか?」

騎士「まぁ、それだけ防衛力に自信があるのだろう。さ、魔法使い、食べに行こう。」

魔法「え、ああ……」

盗賊「うーん、騎士ちゃんはどんどん積極的になっていくなー。」
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:16:38.08 ID:x9XayvOS0
盗賊(さて……宮殿とはいえ油断はしないほうがいいかな。酒は飲まないでおくか……)

大臣「おぉ、盗賊殿、楽しまれていますか。」

盗賊「あぁ、大臣。楽しんでますよ、美人も多いし。」

大臣「はっはっは、手を出すのは、ほどほどにしてくださいよ?」

盗賊「いやぁ、据え膳があれば、そうも行かないかも知れませんけど?」

大臣「はっはっは……時に盗賊殿、折り入ってお願いがあるのですが……」

盗賊「はい?」

大臣「此度の魔物共の進入、真に由々しき事態。その原因を探っていただけませぬか。」

盗賊「ウチの物知りは、転移魔法だと言ってましたけど。」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:17:05.45 ID:x9XayvOS0
大臣「それならばそれで、痕跡を見つけて頂きたいのです。」

盗賊「まぁ……でも、どうして城のもんに任せないんです?」

大臣「……ここだけの話ですが、宮殿内に魔物と内通しているものがいるようなのです。」

盗賊「なんとまぁ。」

大臣「そこで、その調査も重ねてお願いしたいのです。」

盗賊「なるほど……転移魔法を『受けた』やつがいるかも、ってことですか。」

大臣「その通りです。」

盗賊(魔法使いがいれば、なんとかなっかな。明日の朝にでも相談するか。)

大臣「お願いできますか。」

盗賊「3日くらい、もらっていいですかね。」

大臣「おぉ、ありがとうございます!では、たっぷり食べて下さい!!」
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:17:41.99 ID:x9XayvOS0
僧侶「は〜、もーお腹いっぱ〜い……もう、飲めな〜い……」

騎士「まったく、女性とは思えない食事量だったな。」

盗賊「給仕さんが驚いてたぜ、料理の減りが早すぎるっつって。」

魔法「はは、僧侶らしいと言えば僧侶らしかったね。」

盗賊「絶対太るぜ、こいつ……とと、この部屋だな。」

騎士「え?」

盗賊「俺と僧侶がこっちの部屋、お前らはそっちの部屋だ。」

騎士「ななな、何故だ、男女で分ければいいだりょ!?」

盗賊「いや、だって城塞都市でも俺たち一緒に寝てたし。」
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:18:11.80 ID:x9XayvOS0
騎士「え?」

魔法「し、知らなかった……」

盗賊「言わなかったっけ?」

騎士「ふふふ、不潔な……」

盗賊「ま、そういうことだからさ、二人も仲良くしろよ?」

騎士「な、な、仲良くって……!!」

盗賊「じゃ。」

魔法「あ、ちょ……!」

騎士「……」

魔法「と、とりあえず入ろうか。」
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:18:44.97 ID:x9XayvOS0
騎士「……」

魔法「……そ、そう言えば、鎧、随分軽そうだったね。」

騎士「ま、魔法鉱物で鍛えられた薄い物だ。旅向きのものにしたんだ。」

魔法「け、軽量化の魔法もいらなそうだね。。」

騎士「うむ……」

魔法「……」

騎士「……」

魔法(……な、何を話したらいいんだろ。)

騎士「……魔法使い。」

魔法「ん?」

騎士「頼みがあるんだが……」

魔法「頼み?」
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:19:13.86 ID:x9XayvOS0
騎士「私と、一太刀交えてほしい。」

僧侶「きゃー、ひとタチ交えるなんて、騎士ちゃん大胆!!」

盗賊「バカ、声がでかい!!……あ。」

騎士「……何をしているんだ、扉の前で?」

盗賊「あ、いや、こいつが……」

僧侶「だってさー、今夜が二人の旅立ちかと思ってさー。」

騎士「(スラァッ)」

盗賊「だ、だからやめろっつったろ!!ほら、行くぞっ!」

僧侶「あーん、私の騎士ちゃんなのにぃ〜〜!!」

騎士「……まったく、何を考えているんだか!」
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:19:43.01 ID:x9XayvOS0
魔法「はは……それで、一太刀、って?」

騎士「ち、違うぞ!! 手合わせに付き合ってくれという意味だ!」

魔法「なんでまた急に?」

騎士「君の剣を見て、自分の未熟さを思い出したんだ……ダメか?」

魔法「……いや、俺からもお願いするよ。剣の感覚が、まだ完璧には戻ってないから。」

騎士「それでは、明日、宮殿の中庭を借りよう。」

魔法「わかった、お手柔らかに頼むよ?」

騎士「こちらこそ。……さ、さて、寝るか!」

魔法「そ、そうだね……おやすみ。」

騎士「お、おやすみ……」
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:20:10.11 ID:x9XayvOS0
〜朝〜

盗賊「おーい、起きてるかぁ?」

魔法「あぁ、二人とも起きてるよ、どうぞ。」

僧侶「……」

騎士「な、なんだ?」

僧侶「……なーんだ、なんにもしなかったのかぁ。」

騎士「ななななんで分かっ……! じゃなくてっ!!」

僧侶「まぁ、まだチャンスはあるからね。頑張ってよ、ふたりとも!」

魔法「な、何を言っているのかよくわからないな。で、どうしたんだ?」

盗賊「ああ、実は昨晩大臣から………かくかくしかじか。」
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:20:38.11 ID:x9XayvOS0
魔法「……なるほど、内通者ね。」

盗賊「どう思う?」

魔法「まぁ、転移魔法の痕跡を見つけるのは簡単だ。」

僧侶「ふむふむ。」

魔法「媒介にしたものはその場に張り付くからね。ただ……」

騎士「問題があるのか?」

魔法「その持ち物が誰の物かということまでは、魔法では探しきれないと思う。」

盗賊「あぁ、そこまで行ったらあとは俺の仕事さ。んで、媒介ってのは?」

魔法「基本的には、鏡だね。魔力を帯びた、魔鏡があるはずだ。」
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:21:06.93 ID:x9XayvOS0
盗賊「んじゃ、手分けして探しに行くか……今度は男女で分かれようか。」

騎士「へ、部屋割も男女でいいだろうっ!」

僧侶「あ、ようやく私と大人の階段をのぼる気になった?」

騎士「あぅ……と、とにかく、探しに行くのだろう!」

魔法「あ、騎士。」

盗賊「ん?」

魔法「体を動かすのは、夕方でいいかな?」

僧侶「も〜、お盛んなんだから〜!」

騎士「ち、違う!!」
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:22:15.22 ID:x9XayvOS0
長い投下になってしまいますが、もう少し進めさせて下さい。
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:22:50.77 ID:x9XayvOS0
〜東区〜

盗賊「なぁ、魔法使い。」

魔法「なんだい?」

盗賊「騎士ちゃんのこと、好きか?」

魔法「なっ、なんだよ、急に!」

盗賊「まぁ、言わなくてもいいんだけどよ。ただな。」

魔法「ただ?」

盗賊「女の子ってのは、基本、待ってるもんだぜ。」

魔法「何をさ。」

盗賊「ナニをだよ。」
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:23:20.23 ID:x9XayvOS0
魔法「き、騎士がそんなはずないだろう。」

盗賊「まぁ、行動起こすのは男から、ってことさ。」

魔法「そんなものかな……」

盗賊「それに、騎士ちゃんは今、そういう意味では傷があるだろ。」

魔法「そうだね……。」

盗賊「処置が遅いと、傷ってのは化膿するんだぜ?」

魔法「……」
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:23:51.27 ID:x9XayvOS0
盗賊「まぁ、強制はできねぇけどさ……」

魔法「いや、言いたいことは分かるよ。」

盗賊「……そういやお前さん、騎士ちゃんに対して妙に遠慮してるところあるよな。」

魔法「……」

盗賊「ま、言いたくないなら聞かねぇけど。」

魔法「こういうのに、慣れてないだけだよ。」

盗賊「……ま、最後は気持ちだからな。自分に素直になれよ。」

魔法「……うん。」
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:24:29.37 ID:x9XayvOS0
〜一方その頃〜

騎士「……盗賊とは、いつからそういう関係だったんだ?」

僧侶「体の関係?」

騎士「う、うむ……いや、こ、恋人、というか。」

僧侶「……その話をしたら、私のこと、嫌いになるかもよ〜?」

騎士「ならない。」

僧侶「ほんとかな……私ね、盗賊とは、一度も恋人になったことはないの。」

騎士「え?」

僧侶「でも、体を重ねた事はある。」

騎士「どうしてそんな……?」

僧侶「盗賊だけじゃない。いろんな男と寝ちゃってるんだ、私。」
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:25:01.13 ID:x9XayvOS0
騎士「……」

僧侶「不潔だ!!……って言わないの?」

騎士「……理由は? それも、精霊の教えなのか?」

僧侶「ううん、それは関係ない……いつか、性交は愛の具体って言ったの覚えてる?」

騎士「出会ったころの話だな。」

僧侶「うん、でもね、あれはただの自己弁護。」

僧侶「私ってバカでさ。求められたら、すぐ応じてたの。これは愛だ!!ってね。」

僧侶「なんてことない、ただの快楽主義の言い訳よね。」
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:25:32.87 ID:x9XayvOS0
騎士「……しかし、勇者に求められたら、拒んだのだろう?」

僧侶「18の時かな。逆に、それからまったくそういうことしなくなったなぁ。」

騎士「怖くなって?」

僧侶「あいつの時だけ、ドキドキしたんだよね。恥ずかしいって、思ったんだ。」

騎士「どういうことだ?」

僧侶「今更乙女を気取るつもりはないんだけど、まぁ、あいつが好きだったみたい。」

騎士「え!?」

僧侶「意外でしょ? 私もそう思う。」

僧侶「昔から放っておけなかったけど。まさかね〜……」

僧侶「もっと早く気付けばよかったのに、めちゃくちゃよね。」
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:26:22.66 ID:x9XayvOS0
僧侶「それでも、素直に出来ないんだよね……騎士ちゃんがうらやましい。」

僧侶「ま、私の性格が悪すぎるってだけか……あはは。」

騎士「し、しかし、城塞都市で盗賊と……」

僧侶「あれはうそ。 あいつ、嘘つくのうまいわよね。さらっと言うんだから。」

騎士「さ、昨晩は?」

僧侶「何もしてないわ。騎士ちゃんと魔法使いにいたずらしただけ。」

僧侶「……ねぇ、騎士ちゃん。」

騎士「なんだ?」
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:26:50.94 ID:x9XayvOS0
僧侶「体を重ねることだけが愛の表現だなんて、私は思わないけど……」

僧侶「気持ちって、表現しなきゃ伝わらないからね?」

騎士「……うん。」

僧侶「私みたいに失敗しないでね。」

騎士「まだ、失敗と決まったわけじゃないさ。」

僧侶「ありがと……あ、この話、女同士の秘密ね?」

騎士「ふふ、わかってるさ。」
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 20:34:32.39 ID:x9XayvOS0
今回の投下はここまでにしようかと思います。
王都編は、切りどころが難しくて困っています。
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga sage]:2012/06/01(金) 20:46:58.32 ID:3XMlRmgA0
乙!
なんか、勇者が知識だけ多いテイルズの序盤ルークに似てる気がする……。
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 21:00:12.69 ID:Iq39dHdio
他の男が迫ったら受け入れてるから勇者も迫ったのにレイプとか言われて拒まれた挙げ句それ言われ続けるとか勇者が可哀想すぎんだろ
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 21:18:38.33 ID:LV1SVJbUo
僧侶ってその辺にいるメンヘラに見えてきた
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2012/06/01(金) 21:28:36.62 ID:HsFuhvz90
実は好きだったとか今更急に言われてもなんというかポルナレフ状態
勇者いなくなったあたりから妙に取って付けた感じの勇者擁護展開になってるような……
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/01(金) 21:34:54.81 ID:GMZLy2+8o


このビッチが身近にいたせいで勇者が性的にゆがんだってことだな
そうすると騎士のレイプ未遂もビッチのせいになるのか


>>296
それだけ僧侶が異常なんだよ
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/01(金) 21:40:12.79 ID:XQP/otNYo
要するにこういう事?
誰でもバッチコイな昔の僧侶に、じゃあ俺もと勇者が迫る↓
僧侶、自分でも気付かなかった勇者への思いに気付きまさかの拒否↓
話と違うじゃねーかと思っていたらなんかレイプ魔扱いされる↓
勇者の捻くれ具合に更に拍車がかかる

わお、その一件に関しては七割がた僧侶が悪いんじゃん
その後他の村娘とかに無理矢理迫ったりしてなければ、勇者は強姦魔ってほどでもなくただ捻くれてるだけの可哀想なやつじゃね?

今の展開だと勇者がどう戻ってくるのか想像つかん
こっからどう転ぶのか楽しみだ
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 21:49:25.78 ID:dyT+PXQu0
しかも幼馴染の男二人で片方とは寝てて自分は拒否の上レイプ扱いだからなー
そりゃ、盗賊や僧侶が何言った所でまともに聞く方がおかしい
それで縁を切るならまだしも、半強制的に旅に連れられてその上扱いは最悪だもんな
しかも、そんな経緯を説明せず他の仲間二人からも白い目で見られて……

そりゃ、羽目も外したくなるし逃げたくもなるわ
むしろそれだけされても命がけの戦闘に参加してたってのがある意味凄い
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/01(金) 22:11:58.60 ID:p0tcAxKxo
どんどん4人の屑さかでてくるな
今回は僧侶回だったな
勇者レイプしてねぇじゃんwwwww
勇者がレイプ未遂してから僧侶の性的な観念がゆがんでビッチになったんじゃなくて、やりまくってたから俺もいける物だと思って求めたら拒否られてレイプ認定て
しかも、それについて勇者に弁解無し+今回の旅の始まりに言う必要ないのに魔法と騎士にレイプの件を話す
なんかもう上でも書かれてるけど、そりゃ勇者もこうなるわな

>>267
さんざん4人が屑だって書いてるけど、めっちゃ面白い
不快感は感じてないです
それ以上におもしろい、おもしろいから色々考えてしまうっていう感じ
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 22:13:44.34 ID:z7uhc0ODO
正しくは勇者が僧侶に迫る→僧侶断る→勇者我慢できなくなりレイプだろ

現実で考えればどんなヤリマンでもレイプされたら加害者は犯罪者だよ


盗賊にヤラしたから勇者にもヤラさないのはおかしいの?

お前らどんな人生送ってきたんだよwwwwww
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/01(金) 22:19:56.01 ID:ztZULECEo
>>301
え・・・あの・・・
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/01(金) 22:20:56.40 ID:86uT9C5+o
>>301
いくらなんでも考え過ぎじゃないですかね
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/01(金) 22:21:46.00 ID:GMZLy2+8o
>>301
もしかして盗賊さんっすか?
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 22:23:08.61 ID:XUCRwFEmo
こういう人種を叩きたがる人は根っこが同類だったりする
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 22:37:01.59 ID:uTTPPtvSO
投下乙!
もうSSだけでなく、ROMってる皆のレスも含めて面白いわwwwwww

そしてまさかのメンヘラそーりょ
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/06/01(金) 23:08:59.86 ID:ChurI+8e0
なんかこのスレの勇者庇ってる人たち見てぞくっとしてしまった
ここまで一方的に4人屑とか言ってるのみたらなぁ…
>>301と同意見だわ
僧侶はメンヘラだと思うけど更生してるだけまだましメンヘラだけど
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/01(金) 23:18:04.78 ID:1ro7GN7zo
僧侶は別に更正してる訳ではないと思うよ
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/01(金) 23:18:50.54 ID:x9XayvOS0
1です。
寝る前に見に来たら、たくさんレスがあってびっくりしています。

>>306のような読み手の方もいるのだなぁと思い、
あらためて、反応を頂くことのありがたさに気付かされた次第です。

ここまで5人の物語に付き合って下さっている方、本当にありがとうございます。

明日、何時になるかはわかりませんが、投下はします。
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sagesaga]:2012/06/01(金) 23:26:00.38 ID:MFWGjCc80
英雄とか正義の味方って呼ばれる人種はどこかしら歪んだ人間なのかもね。某聖杯戦争におけるセイバーのマスターとか。

ぶっちゃけ>>305の意見はもっともだと言わざるを得ない。
他者をクズ呼ばわりする人間は、どこかで誰かにクズと陰口を叩かれてると思わないといけない。
他者を否定することは簡単でも、認めることは難しいよな。
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/02(土) 00:00:28.78 ID:QonaljYio
>>307
勇者応援してる派だけど、勇者は屑だと思うよ
だからこそ庇いたくなると言うか、応援したいというか

あと、勇者が屑になった理由に周りの影響も少なからずあったんじゃないかって思う
4人の屑さを見てるとそう感じるから4人は屑だって主張してるわけで

なぜ盗賊は勇者の変わりたいという声を聞いて力を貸そうと思ったのに何もしてやらなかったのか
せめてその変わりたいという言葉を他のメンバーに伝えてやるくらいはしてやってもよかったんじゃね?とか
勇者自信が変わらなきゃ云々だとしても、周りからの支援なしに立ち直れるくらいの屑さならこれまでに治ってただろうと、それも考慮して力を貸そうと思ったんじゃないのかと
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 00:01:00.72 ID:v/h5rb+DO
奇麗事は言うなよ

陰口一切言わない人間なんていないだろ

むしろそんな人間だったら4人よりレイプ未遂痴漢男の方が許せない気がする

人間辛くて何があっても越えちゃいけない一線はあるだろうよ
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 00:12:27.06 ID:x20V3F53o
超えちゃいけない一線を行わず自らの中で限界まで貯めこんで苦しんだ結果辿る先は自殺だと思うのですがどうでしょう
そうなればきっと何もしなかった、寧ろ悪化させる方に持っていった四人は悪いってことになるんじゃありませんかね、宛ら虐めっ子と虐められっ子の関係のように
だからって言ってレイプを許容するわけではありゃせんけど

全部を押し付けるってわけではないけど勇者が環境のせいでこうなってしまったのは確か
んでそれを考慮しても勇者が屑なことも確かだし、四人が普通の人間よりも遥かに屑なことも確か、だろ
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 00:25:49.88 ID:qYwUK+2no
勇者の屑っぷりは同情の余地がなくもないが
4人の屑っぷりは弁護のしようもないからな

ふだん刀突きつけてるくせに
立場が逆転したとたんに仲間()とか言っちゃうのはもうDQN確定でしょ
315 :307[sage]:2012/06/02(土) 00:30:17.45 ID:MuzNLALK0
>>311
まず勇者が周りからの支援なしに変わろうとしなきゃ到底無理だと思う
差がついてる上で変わりたいと思ったのにかかわらず周りとの差を感じて結局は屑行動

周りが優しくしてくれると甘やかしてくれると期待してた結果だろ
他人の手を期待しないで自分から這い上がる気持ちがないと不可能だと思うんだけどなぁ

第一勇者を更生させる旅なら飴と鞭使い分けて育てていけばいいけど魔王討伐の旅だろ?
甘えは許されないと思うんだ

まぁこれから勇者がどう更生するのか楽しみにしておく
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/02(土) 01:32:57.58 ID:QonaljYio
>>315
だからそれなら最初から連れて行かなければよかったんだよ
でも連れて行く事になったんだから更正させるつもりだったんだろ、少なくとも盗賊は
そして、そのつもりならもう少し支援してやってもよかったんじゃ?って思ったって事
変わりたがってる事をこうなる前に伝え、幼なじみである僧侶ともう少しサポートをしてやるとか

サポートするつもりがあったのかは知らんが、事情をしりながら4人は追いつめ過ぎだろうと
なんにせよ、勇者失踪によって態度が変わりすぎて4人が寒いわ
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 01:39:29.62 ID:qYwUK+2no
>勇者失踪によって態度が変わりすぎて
失踪するまでいじめてる自覚がなかっただけじゃね

もともとサポートなんてするような連中でもないでしょ
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)[sage]:2012/06/02(土) 02:16:24.76 ID:U+OKLiR3o
この後勇者が更生して魔王倒してやったねエンドなありがち糞展開
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/02(土) 09:28:43.02 ID:Ju0wvH6ho
勇者の強姦未遂がどうの言ってる人いるけど
それより騎士の脅迫、殺人未遂の方が問題な気がするんだが
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2012/06/02(土) 09:32:45.93 ID:N02QOVOio
正直こんなスレは見たこと無いから楽しみ
ぶっちゃけ四人だけの方がバランス良いよな…勇者がいたらまたレイプ未遂とかがありそうでどんどん険悪になっていくと思われ

外野の意見も「こんな考え方をする人もいるんだ」って感じでびっくりする時あるわ、>>1乙!
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/02(土) 09:35:43.54 ID:QonaljYio
たしかにたまに雰囲気が危ういけど、これだけレスしあってて荒れないのは珍しいな
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2012/06/02(土) 10:51:00.81 ID:qnu2dlLU0
そもそも魔法使いの復讐だの仇だのって完全な逆恨みだよね

俺たち一族がどんな思いでー、とか言ってるけど
先祖は英雄としての名声を自ら捨てたわけだし、魔法使いの親だって他人と関わろうとしなかったのは自分たちの意思でだろう
勇者の先祖が魔法使いの先祖を陥れたならわかるけど、捨てられた物を拾っただけでなんかしたわけじゃない

一族の思いってなにさ? 天涯孤独になった恨みを勇者に八つ当たりしてるだけじゃね?
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 12:25:25.79 ID:qIJ6hinIO
みんなレス長すぎ
邪魔臭い
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 13:17:25.27 ID:mx1Dqr9To
おまえレス臭すぎ
餓鬼臭い
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 13:19:05.05 ID:/TBi6MD5o
落ち着けよ
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 14:41:29.39 ID:vONQqn2+0
作者「ハハッ、落ち着きの無い、悪い子はどこかなぁ?」(高音)
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 14:44:19.23 ID:vONQqn2+0
↑のレスは思いつきでやってしまいました。
大至急、記憶から消して頂けるようお願い申し上げます。

落ち着きの無い1です。

もう少ししたら、投下します。
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 14:54:27.02 ID:FYdBTeHvo
>>327
おいwwww
投下まってる
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 15:02:02.97 ID:v/h5rb+DO
ぶっちゃけ勇者派の奴ら騎士がレイプされるのが見たかっただけだろ
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 15:09:10.44 ID:FYdBTeHvo
>>329
騎士レイプ未遂事件よりも前、最初から勇者擁護派はいた
俺もだけど
擁護する理由は、勇者が歪んだ理由に少なからず周囲の影響があったのではないか
僧侶の件 騎士が勇者にだけ殺しにかかる とか
あと、ただ単純に屑な奴を読者としては応援したくなる
もしも現実で勇者みたいな奴がいたらむしろ嫌いになってるかもしれんが、これはSSだしな
騎士レイプ見たい奴はいるかもしれんが、俺個人はどうでも良いな
やればやったで屑さに拍車がかかるけど
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:14:07.49 ID:vONQqn2+0
〜宮殿・夕方〜

盗賊「んで、こんな手鏡が、魔鏡なのか?」

魔法「ああ、間違いない。魔力を使わなければ、引きはがすことが出来なかったからね。」

騎士「そう言われて見るせいか、禍々しいものを感じるな。」

僧侶「今は大丈夫なの?」

魔法「うん、封印魔法をかけたから、転移魔法には使えない。」

騎士「封印? そんなことまで出来るのか。」

魔法「本来は手間暇がすごくかかるけど、小さな封印なら、すぐ出来るんだ。」

盗賊「よし、ちょっと時間はかかったが、物は見つかった。大臣に話してくるわ。」

魔法「まだ、体力はある?」

騎士「もちろんだ。」
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:14:33.36 ID:vONQqn2+0
僧侶「見ててもいいかしら?」

二人「構わないよ。」

僧侶「んふ。じゃ、見学させてもらおっかな。あ、でも死ぬまでやらないでよ?」

騎士「あれ、いつだったか、生き返すようなことを言っていなかったか?」

僧侶「あ〜、実際は、半殺しなら蘇生させられるけど、魂が離れたら無理だからね。」

魔法「さすがにそんなところまではやらないよ。」

騎士「やっても、腕を飛ばすくらいだな。」

魔法「わぉ……」

騎士(さて……本気で打ち込んでみるか。)

魔法「それじゃ、手加減しないよ。」

騎士「フッ……望むところだ。」

僧侶「よーい……はじめっ!」
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:15:09.64 ID:vONQqn2+0
盗賊「……おー、やってるやってる。」

僧侶「あら、もう終わったの?」

盗賊「ただの報告だからな。」

僧侶「なんて?」

盗賊「とりあえず首尾をおほめ頂いたよ。」

僧侶「で?」

盗賊「とにかく、内通者を知りたがってるな。」

僧侶「あてはあるの?」

盗賊「任せとけ、こういうのは俺の得意分野だからな。」

僧侶「……あれ? 結局、鏡は持ってきたの?」

盗賊「よく分からんが、肌身離さず持っていてくれってさ。」

僧侶「まぁ、普通は怖いわよね……あ、終わったみたい。」
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:15:33.41 ID:vONQqn2+0
騎士「ふ〜〜……ありがとう、勉強になったよ。」

魔法「いや、こちらこそ……勝てるつもりだったんだけどなぁ。」

騎士「剣の分野は私の方が専門だからな。負けるわけにはいかない。」

魔法「……今度、またやろう。」

盗賊「おっ、珍しく魔法使いが熱入ってるじゃないか。」

魔法「負けず嫌いなんだよ、こう見えて。」

僧侶「さすが男の子ね。」

騎士「ふふ、望むところだ。」

魔法「次は魔法剣ありでいいかな?」

盗賊「負けず嫌いすぎだろ!!」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:16:04.65 ID:vONQqn2+0
大臣「おぉ、ここでしたか。」

盗賊「大臣。まだ、なにか?」

大臣「いえ、今度はそちらの、騎士殿に用事が。」

魔法「……」

大臣「失礼ですが、ご出身はどちらで?」

騎士「みなしごです。鉱山都市で拾われ、育ちましたが……」

大臣「……こちらの肖像、どう思われますかな?」

騎士「!?」

僧侶「これって……騎士ちゃん?」

大臣「うり二つですな。」

盗賊「どういうことか、説明してもらわなくちゃな。」

騎士「わ、私にも、なんでこんな絵があるのか……」

盗賊「騎士ちゃんじゃねぇよ。話してくれるよな、魔法使い。」

魔法「……分かった。」
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:16:40.24 ID:vONQqn2+0
〜鉱山都市・町はずれの塔〜

魔法「騎士殿の出生?」

団長「うむ。」

魔法「……騎士殿自身は知らないこと?」

団長「話しておらん。」

魔法「では、なぜ、俺に?」

団長「守る力を、持っているからだ。」

魔法「守る理由は?」

団長「……あの子は、王家の血を引いている。」

魔法「なんだって?」

団長「不義の子だ……宮殿に勤めていた私の妹が、前王と密通を交わしたのだ。」
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:17:10.74 ID:vONQqn2+0
魔法「なんとまぁ……」

団長「当時騎士団長だった私は職を辞し、妹ともに鉱山都市へ来た。20年前だ。」

魔法「妹さんは?」

団長「体の弱い子だったからな。出産の時に、命を落とした。」

魔法「……では現国王と騎士殿は、異母兄妹だと?」

団長「その通りだ。」

魔法「たいへんな話だな……しかし、俺にそこまで話す必要があったのかい?」

団長「現国王は、勇猛果敢な方だ。此度の戦乱で、命を落とすかも知れん。」

魔法「……そうなった時には、名乗り出させろと?」
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:17:40.68 ID:vONQqn2+0
団長「跡継ぎがいなければ、国は乱れるのだ。」

魔法「娘を、国の保険として見てたのかい?」

団長「……」

魔法「……すまない、今のは忘れて。」

団長「……いや、いいのだ。むしろ、父として、お前に託したい気持ちもある。」

魔法「いきなり託されても困るが、仲間として出来る限りのことはする。約束するよ。」

団長「すまぬな、勇者のことだけでお前はつらい心持ちだというのに。」

魔法「あなたには、恩があるからね……」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:18:09.18 ID:vONQqn2+0
魔法「……俺が聞いたのは、以上だ。」

大臣「私は騎士殿のお顔をどこかで見たと思い、この絵を思い出しました。」

騎士「その絵は……?」

大臣「前王が、宮廷画家に言って書かせたものです。地下に保管してありました。」

僧侶「騎士ちゃんそのままよね。」

大臣「いったい誰を描いたものか、誰にも明かされることはありませんでした。」

盗賊「まぁ、侍女が消えて察したんだろうな。んで、想像で子どもの絵を描かせたと。」

僧侶「どうして女の子を描かせたのかしら?」

大臣「予言です。生まれれば一人目は男児、二人目は女児だろうと言われていたのです。」

僧侶「王妃様や他のご家族は?」

大臣「前王が亡くなるよりも前に、病で。現王には、まだ子はありません。」
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:18:35.58 ID:vONQqn2+0
盗賊「とんでもねぇ話になったなぁ……」

大臣「この話は、くれぐれも内密にしてください。」

盗賊「もちろんです。ただ……騎士ちゃんは、どうしたらいいんです?」

騎士「……」

大臣「現王は、前王の唯一の子だということで支持を受けております。ですので……」

僧侶「名乗り出られては困る、ということね。」

大臣「ええ、騎士殿には申し訳ありませんが。」

騎士「……いえ、そうあるべきです。私の父は、団長です。他の誰でもありません。」

魔法「……すまない、みんなに隠し事ばかりで。」

盗賊「ま、気にするこたぁねぇよ。おおっぴらにすることじゃないのは確かだし。」

大臣「万が一の時は、あらためてお話しさせて下さい。」

騎士「……分かりました。」
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:19:11.58 ID:vONQqn2+0
〜夜〜

騎士「……もう、寝たか?」

魔法「いや、起きてるよ。」

騎士「……そっち、行っていいか?」

魔法「え、あ……うん。」

騎士「……あの時以来だな。」

魔法「うん……」

騎士「あったかい……」

魔法「騎士……」

騎士「……全然、実感がない。私が、王家の人間だなんて。」

魔法「いきなりのことだからね。」

騎士「私を守ってくれるのは、そのせいだったのか?」
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:19:40.62 ID:vONQqn2+0
魔法「最初は、その意識はあったんだけど。」

騎士「けど?」

魔法「……いつからか、その意識がなくなって。」

騎士「……それで?」

魔法「君が、大切な存在になってたんだ。」

騎士「……大切な存在、って?」

魔法「だ、だから……」

騎士「……すまない。意地が悪かったな、私。」

魔法「いや、そんなことないよ……ちゃんと、言うから。」

騎士「……」

魔法「…………好きだ。騎士のことが。」
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:20:08.40 ID:vONQqn2+0
騎士「魔法使い……」

魔法「王家の人間だと知りながら、こんな気持ちをもっていいのか、分からなかった。」

騎士「……」

魔法「でも、騎士が俺に言った『英雄の子孫として見てるわけじゃない』って言葉。」

騎士「あ……」

魔法「俺も、王家の人間として君を見てるわけじゃない……」

騎士「うん……」

魔法「これが、素直な気持ちなんだ……君が、騎士のことが、好きだ。」

騎士「わ、私も……」

魔法「……」

騎士「私も、魔法使いが好き、だよ……」
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:20:39.86 ID:vONQqn2+0
魔法「んぅ……」

騎士「ん……」

魔法「……好きだ。」

騎士「ふふ……なんだか、ちょっと照れるな。」

魔法「はは……」

〜隣〜

僧侶「すごい子達だったのね、考えてみれば。」

盗賊「そうだな〜、英雄の末裔とお姫様だもんな。ある意味お似合いだよな。」

僧侶「そう考えたら、変なパーティね、私たち。」

盗賊「狩人の息子と商人の娘に、英雄とお姫様か、確かに変だな。」
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:21:13.20 ID:vONQqn2+0
僧侶「一人、忘れてる。」

盗賊「……英雄の末裔と信じられていた一家の男、か。」

僧侶「……どうしてるんだろ、あいつ。」

盗賊「次に会ったら、ちゃんと気持ちを伝えてやれよ。」

僧侶「気付いてたの?」

盗賊「ま、幼馴染みだからな。」

僧侶「……また、会えるかな。」
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:21:42.81 ID:vONQqn2+0
盗賊「会えるさ。にしても、お前を抱けなくなるのは残念だな。」

僧侶「……そういう、都合の良い女は卒業するの。」

盗賊「ああ……その方が、絶対いい。」

僧侶「うまくいかないかもしれないけどね。」

盗賊「応援してる。」

僧侶「ありがと……!!?」

盗賊「爆発音……!?」

僧侶「中庭からだわ!」
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 15:26:59.91 ID:vONQqn2+0
>>328
作品以外の部分にまでレスしていただき、なんだかほっこりしました。
ありがとうございます。

ここで一度切ります。
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 15:32:03.94 ID:KmoK6NjIO
勇者ソスが加速した…だと……
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 15:41:34.43 ID:FYdBTeHvo

次もまってる
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sagesaga]:2012/06/02(土) 15:50:21.67 ID:C60GBER60
いやはや、盗賊と僧侶も言ってた通り、すごい面子のパーティーよな。
精霊はそういうのお見通しでパーティ選んだんじゃね?
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 15:52:06.02 ID:angspyFVo
乙です

>>329
別にそんな事思ってないよ
勇者より他の4人の酷さが目立つから言ってるだけだし
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2012/06/02(土) 16:00:17.23 ID:o4fK9/vk0
勇者を擁護する気はさらさらないが四人を批判したくはなる
というか勇者はメインキャラじゃなくて、魔法使いと騎士の絆を深めるための踏み台的ちょいキャラとか程度でよかった気もする

>>350
これでもし盗賊や僧侶にもなんか血筋的なアレがあったら……勇者への完全なトドメになるな
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/02(土) 17:19:09.06 ID:Ju0wvH6ho
勇者が主役じゃなかったらただの補正持ちサクセスストーリーだから
たぶんここまで楽しめてないわ

てか盗賊が居る限り僧侶と勇者がくっつくのは無理じゃね?
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 18:54:37.72 ID:HdIOV5JSO
そりゃ最初から勝手に期待されて勝手に失望され続けたら嫌だわな
何やっても周りと比べられるし
勇者の末裔だから出来て当たり前
一番勇者って肩書き嫌いであえて汚してやれみたいな一種のやけっぱちが見えるな
家庭内でも肩身狭そうだし唯一の幼なじみ達もあんなんだし誰1人個人として扱ってなさげだ
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 19:13:25.51 ID:rz9uTF0qo
僧侶と勇者をくっつけそうな気配がなんだかな〜
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 19:25:10.97 ID:qYwUK+2no


>>329
レイプなんてしょっぱいことしてないで
さっさと騎士を殺せと思ってた
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:50:27.08 ID:vONQqn2+0
1です。

投下第2弾いきます。
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:51:21.13 ID:vONQqn2+0
〜中庭〜

魔法「盗賊っ!」

盗賊「来たか……あれ見ろ。」

騎士「……魔物!?」

僧侶「見たことないやつだわ。まるで、人間みたい。」

魔法「……魔人だ。」

騎士「魔人?」

魔法「魔王軍の主力兵……なぜ、いきなり……?」
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:52:00.02 ID:vONQqn2+0
大臣「あなたたちを消すためです。」

盗賊「大臣っ!?……その手に持っているのは……それも、魔鏡か?」

僧侶「どういうこと?」

大臣「どうもこうも、実は、国王は、既に我々の手中にあるのですよ。」

大臣「今は魔法都市で、ゆっくりと我々に従うよう呪いをかけているところです。」

魔法「……王都は、すでに魔物に侵入されていたのか。」

盗賊「へっ、なにが内通者だ。てめぇ自身じゃねぇか。」

大臣「その通り。」

騎士「なんてことだ……」
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:52:35.68 ID:vONQqn2+0
大臣「王を魔法で傀儡にして、悪政を行わせる。」

大臣「それを、我々が糾す。」

大臣「そして人々は、喜んであの方について行く……そういう計画です。」

僧侶「それであんたが国を牛耳るって筋書き?」

大臣「ふふ……まぁ、本来あなたたちはどうでもよかったのですが。」

盗賊「……騎士ちゃんの存在が、邪魔になったか。」

大臣「その通り。王族が反乱を起こしては、民衆がそちらになびくかもしれん。」

魔法「だが、いきなりお仲間を呼び寄せるとは、逸ったんじゃないか?」

大臣「いえいえ、そんなことはありませんよ……ところで盗賊殿、魔鏡はありますか。」
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:53:11.74 ID:vONQqn2+0
盗賊「?……ああ、これだろ。」

大臣「そう、それですよ……魔物だっ!魔物が出現したぞぉっ!!」

兵達「だ、大臣っ、何事ですか!?」

大臣「み、見よっ、あの4人が魔法で魔人を召喚したのだ!!」

盗賊「なっ……!!」

兵達「し、しかし彼らは精霊に選ばれた者達だったのでは……?」

大臣「よく見よ、奴らはあの魔鏡を持っているではないか!!」

盗賊「……やられた。」

大臣「先日の魔物も貴様らが来た日だったな……ひっとらえよ!!」
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:53:41.89 ID:vONQqn2+0
魔人「ゲッゲッゲッゲッゲ。」

兵達「き、消えた!!」

兵達「あの4人が操っているのか……?」

兵達「捕らえろっ!!」

兵達「おーーーっ!!」

騎士「ちっ、違う!!」

僧侶「ちょ、ちょっと、どうするのよ!!」

魔法「この人達を傷つけるわけにはいかない……!!」

盗賊「……いったん、捕まるしかねぇ……」

大臣「ふふふ……」
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:54:12.04 ID:vONQqn2+0
〜王都・地下牢〜

盗賊「ちっ……」

僧侶「ねぇ、どうすんのよ!!4人とも縛られちゃって……」

騎士「しかも、随分下らされたぞ……魔法でどうにかならないのか?」

魔法「……魔封じの粉を付着させられている……魔力が練れない。」

盗賊「……転機を待つしかねぇな。」

騎士「そんなもの、あるのか……?」

盗賊「……」

獄卒「へっへっへ、こいつらを好きにしてもいいんで?」

大臣「ああ、かまわん。一生外に出すことはない。」
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:54:40.67 ID:vONQqn2+0
盗賊「てめぇ、大臣っ!!」

大臣「やぁ、みなさん。今日からここでお過ごし下さい。ここも宮殿ですから。」

騎士「ふざけた真似をっ……!!」

大臣「はは、その威勢も今だけですよ。さぁ、どうぞ。」

獄卒「へへ、誰からいただこうかなぁ?」

大臣「彼はとても優秀でね、男にも女にも恥辱を与えられる天才なんですよ。」

盗賊「変態野郎が……」

獄卒「生意気。」

盗賊「ぐっ…!」

魔法「盗賊っ!」

大臣「……では、ごきげんよう。」
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:55:11.45 ID:vONQqn2+0
獄卒「へへ、なんで全員が同じ牢だか、分かるか?」

魔法「……分かるはずがないだろう、変質者め。」

獄卒「生意気。」

魔法「うぐっ!」

騎士「魔法使いっ!!」

獄卒「なんかお前の顔、気に入らないな。」

魔法「ぐっ、がっ!!」

牢番「生意気、生意気。」

魔法「ぐ、げほっ……」

騎士「魔法使い……魔法使いっ!!やめて、やめてくれっ……」
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:55:49.19 ID:vONQqn2+0
獄卒「へへ……最初はお前に決めた。」

騎士「……?」

獄卒「お前達、恋人だろ? 目の前で恋人が犯されているのは、つらいぞ〜?」

魔法「や、やめろ!!」

獄卒「生意気。生意気。生意気。」

魔法「ごふっ!!……や、め、ろ……。騎士……!!」

獄卒「へへ、凄んだってダメ。この女食べるから。ひひ、たまらねぇ〜〜。」

騎士「ひ……!」

僧侶「やめなさいよ! 私が相手してあげるからっ!!」
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:56:44.30 ID:vONQqn2+0
獄卒「生意気。」

僧侶「ぐっ!」

盗賊「僧侶っ!!……てめぇ〜〜〜っ!!」

??「硬直魔法。」

獄卒「ひひ、超たのし〜……さ、さっそ、く……あ、あれ?」

盗賊「……?」

獄卒「か、体が……?」

??「解除魔法……よぅ。」

全員「勇者っ!!」

獄卒「……!!?」
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 19:57:09.71 ID:vONQqn2+0
勇者「……解錠魔法。」

盗賊「お前、どうしてここに……?」

勇者「話は後だろ。早いとこ、この街から出た方がいい。」

盗賊「そ、そうだな……魔法使い、なんか魔法は?」

魔法「……よし、粉は取れた。まず、音を消そう。消音魔法。次は……」

勇者「隠蔽魔法。」

魔法「!」

騎士「どうした?」

魔法「姿を完全に隠す最高位魔法だ。これなら、楽に街を抜けられる。」

盗賊「よし、それならとっととずらかるぞ。荷物を取り戻して、東へ向かう。」
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 20:05:00.32 ID:vONQqn2+0
本日の投下は、ここまでにしとうございます。
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 20:05:52.16 ID:angspyFVo


勇者こそジョブが盗賊だよな
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/02(土) 20:13:27.32 ID:vONQqn2+0
人物描写や相関関係についてのレスに返答できずに、申し訳なく思っています。
下手に発言してしまうと、5人の物語に水を差す可能性が高いので、控えています。

レスはちゃんと、全て読ませて頂いています。
前にも書きましたが、文の長短に関わらず、修正・投下の活力になっています。

5人の物語(久しぶりに5人揃いました)に付き合って頂いていること、
本当にありがとうございます。
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 20:29:42.86 ID:1z3YlkjSO

脱力魔法に硬直魔法、ステルスと来たら、盗賊と言うよりアサシン
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/06/02(土) 20:34:25.66 ID:vxZnlUyX0
何気に方向違うけど勇者は優秀じゃないか
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)[sage]:2012/06/02(土) 20:51:00.94 ID:K+TEXsc80
勇者は勇者としての魔法の才能よりも暗殺者向けの才能だなこれ
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/02(土) 21:00:18.82 ID:slf54KHOo
勇者の役目自体が暗殺に近いとはよく言われてるが、ここまでガチ暗殺特化の勇者キャラは見た事ないな
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 21:26:12.68 ID:qyx4tfE1o
これはあれかな努力して使えるようになったけど
勇者に相応しくないとかで認めてもらえなかったのかな
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2012/06/02(土) 22:00:41.62 ID:cTMaf5fWo
性欲の赴くままに習得したんだろ
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/02(土) 22:25:23.67 ID:QonaljYio
どうして勇者はこんなに魔法が得意なのか…
前の方であった適性があれば云々っていう僧侶の言葉が伏線だったのかな
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/02(土) 22:25:25.65 ID:Ju0wvH6ho
性欲でこんな魔法習得したならいまだに童貞なわけないだろ
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/02(土) 23:51:03.16 ID:aYMyJqbNo
勇者にはこのまま一行のピンチに現れるだけの存在になってほしい
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/02(土) 23:54:17.23 ID:QonaljYio
>>376
それか、自分で相応しくないと思って隠してたとかな
自分の得意分野が盗賊系のスキルだとばれたら大変な事になりそうだしな
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)[sage]:2012/06/03(日) 00:55:48.22 ID:tl1wTWD+o
>>380
助けたらさっさと消えろよってことか
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 05:40:42.78 ID:fw7blVvDO
変だな
勇者が騎士をレイプしようと部屋に入るときは、店でこっそり買った魔法の鍵使ったのに今回は開錠魔法使ってる
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 06:33:39.54 ID:LfGf2SZFo

楽しみにしてる
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:03:11.32 ID:44ITDhFb0
1です。

「あれ、そういえばあんなことなかったっけ?」というレスにニヤリとしてしまいます。
細かい部分まで覚えてくださっていることを、本当にありがたく感じています。

久しぶりに余裕のある一日なので、朝から投下します。
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:05:30.85 ID:44ITDhFb0
〜王都から東側の森〜

盗賊「ここまで来れば大丈夫だろう。」

魔法「解除魔法……それと……結界魔法(強)」

盗賊「さて、と……まず、勇者。」

勇者「ああ、ちゃんと話すよ……俺、あれからすぐ城塞都市を出て……」


〜鉱山都市〜

勇者(帰ってきちまった……)

勇者(このまま家に帰っちまおうか。)

勇者(だけど……帰ったら、俺、本当に……)

勇者(やべっ!!)
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:05:58.67 ID:44ITDhFb0
男性「そういやぁ、魔王討伐ってどうなったんだろうな。」

女性「実際、王都の軍隊で十分よね。大体、騎士って、あの七光り百人長でしょ。」

男性「なぁ。戦闘では全然役に立たなかったりしてな。」

勇者(へっ、魔物相手に大活躍してるっつーの……)

女性「そもそも、精霊の人選って、どういう基準なのかしらね。」

男性「死んでもいいやつだけ選んでるんじゃね。魔法使いとか、そうじゃん!!」

勇者(んだとぉ……!?)
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:06:28.06 ID:44ITDhFb0
女性「そうね。他にも、まとまりそうにない連中だしね。」

勇者(はぁ……!? 魔竜を倒した時は、みんな一致団結して……)

勇者(……なんで腹立ててんだ、俺? もう終わったことじゃん……)

団長「む、そこのお主……?」

勇者「あ……!」

団長「ま、待ちなさいっ!!」
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:06:58.85 ID:44ITDhFb0
〜魔法使いの塔〜

勇者「はぁ、はぁ……なんでこんなとこに来ちまったんだか……」

勇者「……そういや、あいつ、ここでどんな生活してたんだろ。」

勇者「すげー本の数……もの知りになるわけだ。」

勇者「魔法の本ばっかりだな……あとは、歴史書か? 真面目なのばかりだな。」

団長「勇者っ!!」

勇者「せ、先生っ!?」

団長「お主、なぜ鉱山都市に?」

勇者「そ、それは……」
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:07:31.10 ID:44ITDhFb0
団長「ふむ……逃げてきたのか。」

勇者「!!」

団長「……はっはっは、お主らしいなぁ。」

勇者「な、なんでっすか!」

団長「剣術を習っている時も、すぐに投げ出しておったろう?」

勇者「う……」

団長「……そして必ず、戻ってきた。」

勇者「!」

団長「僧侶が魔法を覚えた時も、盗賊が新たな剣技を閃いた時も、お主は目を背けた。」

団長「一度逃げて、そして、必ず戻ってきた。」

団長「……旅から一度抜けるというのも、まこと、お主らしいなぁ。」
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:08:12.87 ID:44ITDhFb0
勇者「お前らしいって、なんだよっ……! なに嬉しそうにしてんだよっ……!」

勇者「俺は英雄じゃなくちゃ駄目なんだ!! 英雄の末裔なんだから!!」

勇者「こんなの、こんなの、全然英雄らしくねぇっ!!」

団長「……では聞くが、英雄らしさとはなにかね。」

勇者「え……そ、それは……」

団長「剣士らしさ、魔道士らしさ。そんなものは、幻想だ。」

団長「そんなものに囚われて何になる。お主は、お主らしくあればよいではないか。」

団長「私は今までに一度だって、お主に英雄らしくあれと言ったことはない。」

団長「……周囲に、それを押しつける者は、確かにあったかもしれんがな。」
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:08:50.47 ID:44ITDhFb0
勇者「で、でも、俺は、英雄の末裔だから、そうならなくちゃいけなくて……」

勇者「英雄の末裔は、立派で、かっこよくなくっちゃ駄目で……」

団長「…………これを見なさい。」

勇者「これは……英雄の家系図? こんなもん家で何回見せられたか……」

勇者「え……違う!? これ、どういうことなんすか?」

団長「……真実だ。お前の家は、英雄の家系ではない。」

団長「お主も知っているように、魔法使いが住む前、ここには老人が住んでいた。」

団長「彼が、孤独に記録を残し続けていたらしい。真の英雄の、歴史を。」

勇者「お、俺は英雄の血筋じゃ、ない……?」
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:09:35.16 ID:44ITDhFb0
勇者「……もしかして、ここに住んでたってことは、本当は魔法使いが……?」

団長「……うむ。彼は、英雄の血をひいている。」

勇者「……はは、なんだ、そうだったのかよ……」

団長「勇者……」

勇者「よかった……俺、英雄じゃなかったんだ……!」

勇者「俺、かっこよくなくて、いいんだ……!」

勇者「よかった……よかった……!!」
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:10:09.46 ID:44ITDhFb0
団長「お主の良さは、別に血筋なんぞじゃありゃあせん。」

団長「挫けても、立ち上がる。お主のそんなところが、私は好きだなぁ。」

団長「らしさ、という言葉は目を曇らせる。もっと早く言うべきだったかもしれんな。」

団長「何々らしい、等というのは、存外、気にしなくて良いことだ。」

団長「はっはっは、娘を女らしく育てていない私が言えば、説得力があるだろう!」

勇者(騎士……! そうだ、俺、先生の娘を……)

勇者「せ、先生、俺……俺……」
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:10:39.73 ID:44ITDhFb0
勇者(言えねぇ……)

勇者「……次は、胸張って帰ってきます!!」

団長「……みなの元に、戻りなさい。きっと、待っている。」

団長「帰ってきたついでに、魔法の本を借りて行ってはどうだ、足しになるだろう?」

勇者「でも、俺、さんざん練習したけど攻撃魔法も回復魔法も、からっきし……」

勇者「待てよ、そういえば魔法使いがなんか言ってたな……」
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:12:28.49 ID:44ITDhFb0
盗賊「それで、隠密系の魔法の練習をして来たのか。」

魔法「かなり難しい魔法ばかりだったはずだけど。」

勇者「前に言ってたろ、自分に合った魔法は習得が早いって。」

魔法「うん。」

勇者「だから、俺、隠れるとか逃げるとか、そんな魔法だけ練習しながら来たんだ。」

騎士「また、ふっきれたものだな。」

勇者「はは……だって俺、英雄の子孫じゃないからさ、かっこ悪くていいんだぜ!!」

魔法「それにしたって、習得が早いね。」

勇者「卑怯な魔法については、たぶん俺は才能の塊だろ?」
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:13:02.50 ID:44ITDhFb0
盗賊「はは、いいんだか悪いんだか……」

騎士「我々を救う力になったんだ、いいに決まってる。……顔つきも、随分変わった。」

勇者「すげースッキリしたよ。あぁ、俺は何者でもなかったんだぁ、って。」

盗賊「何者でもなかった、か。普通は落ち込む所なんだろうけどな。」

勇者「救われたんだよ。英雄の肩書きが消えたんだぜ。笑っちゃったよ、俺……」

騎士「ふふ……」

盗賊「で、王都には、いたんだろ? 今まで何してたんだよ。」

勇者「そんで、実は王都の入り口からずっと、隠れてお前らの側にいたんだ。」

勇者「情けないけど、なんて言って出てっていいか分からなくてさ。」
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:13:41.78 ID:44ITDhFb0
騎士「よ、夜は……どうしてたのだ?」

勇者「の、のぞいてなんかねーよ。空いてる客室で寝た。飯はパーティのやつ食ったし。」

盗賊「じゃあ、宮殿の出来事は、一部始終知ってんのか。」

勇者「あぁ、だから焦ったよ、地下牢に連れて行かれた時は……」

魔法「でも、無事に助けてくれたね。」

勇者「へへ……でも、あらためて、やっぱ言っておかなきゃダメだ。」

魔法「?」
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:14:29.73 ID:44ITDhFb0
勇者「あの日俺がやったこと……みんなの元を離れたのは、人生最大の失敗だった。」

勇者「ごめん!!……心配と迷惑かけた分だ。思い切って、バキッとやってくれぃ!」

盗賊「……よし、わかった。じゃあ、遠慮しねぇぞ?」

勇者「おお、おぅ!!」

盗賊「代表して、僧侶。ガツンとやってやれ!!」

僧侶「……分かった。」

勇者「……や、やれよ、覚悟はしてきたから。」

僧侶「この、バカッ!!」

勇者「ひっ……んむ!?」
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:15:07.15 ID:44ITDhFb0
魔法「えっ!?」

騎士「ふふ。」

盗賊「はは。」

僧侶「……ばか。」

勇者「へ?キス?なんで……?」

僧侶「……さぁね。」

騎士「……僧侶、気持ちはちゃんと表現しなければならないのだろう?」

僧侶「だって……。」

盗賊「はいはい、その話は二人っきりの時にな。それじゃ……」
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:15:36.49 ID:44ITDhFb0
騎士「いや、ちょっと待ってくれ、勇者に渡すものがある。これを。」

魔法「あ、俺も。はい。」

盗賊「なんだ、お前らもかよ……ほれ。」

勇者「盾に、剣に、腕輪……?」

騎士「竜の鱗でつくられた盾だそうだ。炎の類はすべて弾いてくれる。」

魔法「それは、魔力をそのまま切れ味に変換する宝剣。希少なものだよ。」

盗賊「腕輪は、身に付けた武具の重量を半減する魔法がかかってる。高級品!!」

勇者「みんな……なんで……俺、あんなことしたのに?」

3人「失敗したら、お祝い!」
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:16:09.53 ID:44ITDhFb0
騎士「それと……今まで、すまなかったな。」

魔法「お詫びもかねて、ってことで。」

盗賊「だが、もう、勝手にいなくなるんじゃねーぞ!!」

僧侶「……はい、これ。」

勇者「……手袋?」

僧侶「壊れない魔法がかかってるんだって……おかえり、勇者。」

勇者「うっ……俺……こんな……!!」

勇者「みんな……俺なんかのために……っ!!」

騎士「ふふ、『泣くほどのことかよ』、だったか?」

勇者「うるせぇっ!! 泣くほどのことだよっ!!」
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 08:19:58.29 ID:44ITDhFb0
王都編終了です。

今回の投下はここまでにしておきます。

404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/03(日) 08:48:09.77 ID:wuA4rtvwo


なるほどそう来るか
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga sage]:2012/06/03(日) 09:22:57.57 ID:ZG2+uxmG0
やっとこさ勇者がまともになったかぁ…乙
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 09:42:52.83 ID:3HiNKZcm0
イイハナシダナー
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 10:20:19.39 ID:xvUPo/c2o


なんかすごいモヤモヤとするな
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/03(日) 10:35:14.23 ID:geMd7PMXo
おつー
モヤっとしない事もないが、勇者が捻くれる原因となってた血統という名の枷が外れたから突っ張る必要がなくなったと考えればまぁ
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/03(日) 10:42:09.76 ID:fXnpVvnwo
乙です

勇者にもだがそれ以上に四人に対してモヤっとするんだけど
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 11:40:45.84 ID:b2LvE3MSo
勇者騎士に謝らんと
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 11:56:56.23 ID:4E7pi9FDO
なんかいじめられっ子の多いスレだな
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 11:57:27.36 ID:l+7iczUoo
このまま勇者と僧侶くっつきそうでなんだかなー
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:19:06.26 ID:lroko5rU0
1です。


投下します。
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:19:35.71 ID:lroko5rU0
盗賊「さて、今後のことについて、相談がある。」

騎士「次の目的地だな。」

盗賊「そうだ。王都から北に抜けて、まっすぐ魔法都市に入る予定だったが……」

魔法「おそらく、俺たちを捜し回っているだろう。引き返すのは危険だ。」

僧侶「他のルートは?」

盗賊「かなり遠回りになるが、湾岸都市を経由するしかない。」

勇者「湾岸都市?」

魔法「ここからずっと東に行った、海に面した街だね。」

盗賊「そう。そして船を使い、魔法都市がある陸へ向かう。」
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:19:59.22 ID:lroko5rU0
騎士「すまない、基本的なことを聞いて良いか?」

盗賊「ん?」

騎士「魔法都市とは地続きになっているわけではないのか?」

盗賊「陸は離れてるよ。ただ、王都から北上すれば、北端から橋を渡って行けたんだ。」

魔法「逆に言えば、陸路はそれしかない。あとは、船で渡るしかないんだ。」

盗賊「……さらに言えば、船で渡ってさらに洞窟を抜けて、ようやく魔法都市だ。」

僧侶「無駄な消耗を避けるためにも、陸路で突っ切りたかったのね。」

騎士「なるほど……」

僧侶「まぁ、でも、次の目的地は湾岸都市で決まりね。」

盗賊「それしかないな。」

勇者「んじゃ、しゅっぱーつ!!」
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:20:43.47 ID:lroko5rU0
〜湾岸都市・西門〜

魔法「特に、手配書の類はなさそうだね。」

勇者「そうだな、兵士共の姿もないし、落ち着いた街だぜ。」

騎士「……」

魔法「どうした?」

騎士「いや、君はともかく、勇者が魔法で活躍しているというのが不思議で。」

勇者「へへーん、覗見魔法はかなりの範囲で使えるぜ?」

僧侶「自慢にならんっ!」

勇者「ってぇ!」
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:21:14.82 ID:lroko5rU0
盗賊「はいはい、痴話ゲンカはそこまでな。……あ、そうだ。」

魔法「?」

盗賊「確認しておくことがある。」

騎士「なんだ?」

盗賊「大きな街は、ここで最後だ。」

僧侶「そっか……魔法都市は、魔物に制圧されているんだもんね。」

盗賊「そこで、宿屋で部屋は3つとる。俺が個室、あとはふたり、ふたりだ。」
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:21:45.73 ID:lroko5rU0
魔法「俺と……」

騎士「私。」

勇者「俺と?」

僧侶「……私?」

盗賊「3日滞在したら、船で出立する。それぞれ、有意義に過ごしてくれ。」

勇者「お、おう……」

僧侶「……」

騎士「わ、わかった。」

魔法(盗賊……?)
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:22:22.54 ID:lroko5rU0
〜夜・酒場〜

魔法「隣、いいかい?」

盗賊「……よく、ここだって分かったな。」

魔法「探知魔法。」

盗賊「悪趣味な奴……昼間の俺の話、聞いてなかったのか? 有意義な時間は?」

魔法「聞いてたよ。だから来た。」

盗賊「騎士ちゃん一人にして……今頃寂しがってるぜ?」

魔法「かもね……盗賊、どうしたんだ?」

盗賊「何が?」

魔法「なんていうか……様子が変だ。」

盗賊「いつも変だろ?」

魔法「茶化すなよ。」
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:22:48.41 ID:lroko5rU0
盗賊「……色々あったな。」

魔法「……そうだね。」

盗賊「お姫様と一緒に旅をしてるとは思わなかったな。」

魔法「はは……」

盗賊「お前にも驚いたが……あ、でもお前は最初から全部知ってたのか。」

魔法「うん、最初から話せば良かったかも知れないね。」

盗賊「まぁ、過ぎた話だ……」

魔法「それじゃ、今後の話でもする?」

盗賊「ったく、真面目なやつ……魔王ってのは何者なんだろうな。」
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:23:25.52 ID:lroko5rU0
魔法「記録によれば、魔物の力をすべて凝縮させた存在らしいけど。」

盗賊「魔法都市は陥落、王都も内側はすでに制圧。大したもんだぜ。」

魔法「……盗賊?」

盗賊「……ハァ。勝ち目があるのか、それが知りてぇ。」

魔法「……?」

盗賊「大陸中を旅して、知らないことはほとんどなくなった。だからリードできた。」

魔法「そうだね、本当にみんな助けられてばかりだ。」

盗賊「だが、未知の相手に、俺の知識なんざ、なんの役にも立たん。」

魔法「……」

盗賊「弱点はどこだ? 何が効く? 相手はどんな攻撃をしてくるんだ?」

盗賊「笑ってくれよ。土壇場になって俺は、リーダーとして機能できないんだぜ。」
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:24:01.92 ID:lroko5rU0
魔法「そんなことはないさ。」

盗賊「……?」

魔法「盗賊がそこにいる。それだけで、いいんだ。」

盗賊「それじゃ、リードしてねぇだろう。」

魔法「してるさ。これまでリードしてくれた存在感が、俺たちの背中を押すんだ。」

騎士「その通りだ!」

盗賊「騎士ちゃん!?」
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:24:33.38 ID:lroko5rU0
騎士「すまない、魔法使い。部屋で待ってろと言われたが……」

魔法「いや、いいよ。こうなると思ってたから。」


勇者「つまり、こうなるってか!?」

盗賊「勇者まで……てことは。」

僧侶「はぁい!」

盗賊「ったく……結局、誰も俺の指示なんざ聞いちゃいねぇんじゃねぇか。」

魔法「俺たちは、指示がなくちゃ戦えないわけじゃないよ。」

僧侶「そうそう。いつだって指示を待ってたわけじゃないでしょ。」

勇者「お前がなんか言ってくれるだけで、俺たちは戦えるのさ。」

騎士「死ぬな。頑張れ。なんでもいい。盗賊の一言で、私たちは勇気が出るんだ。」
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:25:03.40 ID:lroko5rU0
盗賊「言っても聞いてねぇじゃねーか、俺は有意義な時間を、って……」

騎士「ちゃんと指示を守ってるさ。」

僧侶「仲間で飲む。これ以上に有意義な時間の過ごし方がある?」

勇者「一人で晩酌するより、ずっと有意義だろ?」

魔法「……ってこと。」

盗賊「……よしっ、俺の負けだ!今日はおごり!!」

4人「ごちそうさまでーす!!」
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:25:30.41 ID:lroko5rU0
盗賊「あれ……なんか、はめられてねぇか?」

僧侶「ずっと私にハメてきたんだから、一回くらいはめられなさい?」

勇者「わ、わかってたとは言え、はっきり聞きたくなかった……!」

騎士「(スラァッ)」

魔法「お、久しぶりの抜刀。」

勇者「い、いまのは僧侶がっ……!!」

騎士「ふふっ、冗談だ。」

盗賊「はっはっは、こりゃ、魔王倒した後の酒もうまそうだ!!」
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 13:28:22.16 ID:lroko5rU0
ここで一度切りたいと思います。

一日で一気に投下しすぎると、読んで下さっている方が面倒にならないかが心配です。

ここまで読んで下さっている方、本当にありがとうございます。
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2012/06/03(日) 13:38:22.77 ID:b2LvE3MSo
乙です
初めてリアルタイムで遭遇した
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/03(日) 13:48:55.85 ID:wuA4rtvwo
うーん、このまま仲良く進んでいくのかな
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県)[sage]:2012/06/03(日) 13:53:37.88 ID:ZeI++9hpo

こうなると精霊のお告げが4人だったのが気になるな
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 16:01:13.49 ID:hYFNj0h7o

てっきり勇者が実は魔人化したから魔法の種類が強化されたのかなと思ってたのに
それぞれの関係複雑なようでここに来てわりとあっさりしてしまったので、もう少し複雑なのかと思っていたぶん何だかしょぼく感じてしまった
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 16:13:41.47 ID:/NTm4i4p0
割とプロットがしっかりしててびっくり
頑張って
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 16:15:19.95 ID:YhEMGu54o
盗賊と僧侶の性格悪すぎだろw
体の関係あったの勇者の前で冗談で話すような事じゃないと思うんだ
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga sage]:2012/06/03(日) 17:01:11.49 ID:ZG2+uxmG0
まあ勇者も勇者で以前が酷かったからな…

勇者の相手は魔王か精霊のどっちかだと思うよ(無根拠)
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 17:21:00.08 ID:xy9OiVw0o
勇者は大人だな
それに比べて4人は何の成長もない
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/06/03(日) 17:35:34.79 ID:5RzZmieAO
>>429
それを言ったら、勇者が盗賊系スキルばっか覚えるのが気になる…
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/03(日) 17:53:32.60 ID:fXnpVvnwo
騎士が剣抜くのは冗談にしても質悪すぎるよな
あんな事あったのに反省してないのかよ
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:24:19.21 ID:lroko5rU0
※ R18注意報発令 ※

 次からの投下は、多分に成人向け要素を含んだ内容になっています。

 物語の展開上は読み飛ばしても差し支えありませんので、
 不健全で真面目な読者諸氏は、注意報が解除されるまで文章を飛ばして下さい。

 健全で不真面目な読者諸氏は、大いに想像などをふくらませてお読み下さい。
 ただ、魔×騎なので、両者を嫌う方も精神衛生上、読むのは避けてください。

 なお、作者は登場人物の好き嫌いはなく、かつ、とても健全です。
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:24:46.18 ID:lroko5rU0
魔法「はー、飲んだ飲んだ……」

騎士「あ、あんなにお酒を飲んだのは私、初めてだ……」

魔法「大丈夫?」

騎士「ちょ、ちょっと……気持ち悪い……」

魔法「……治癒魔法(弱)。」

騎士「ん、ありがと……でも、どうして(弱)?」

魔法「……酔ってる顔が、可愛いから。」

騎士「ばっ……ありがと。」

魔法「騎士……」

騎士「うん……?」

魔法「君を、抱きたい。」

騎士「え……!!……う、うん……いいよ……」
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:25:24.93 ID:lroko5rU0
魔法「ん……」

騎士「ん……んん……」

魔法「……」

騎士「あっ……」

魔法「柔らかい……」

騎士「む、胸はやわらかいものだろう……ばか……あ……ん……」

魔法「…………」

騎士「あっ……ちょ、ちょっと待って!」

魔法「?」

騎士「ま、真っ暗だと、その……怖い……」

魔法「照明魔法(弱)」

騎士「また、(弱)?」

魔法「雰囲気。」

騎士「ふふ……あ、きゅ、急に……な、なめるなん、て…!!」
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:25:48.74 ID:lroko5rU0
魔法「気持ちいい?」

騎士「ば、か……気持ち、いい、よ……」

魔法「騎士……」

騎士「うん、いい……脱がせて……」

魔法「……濡れてる。」

騎士「だ、だって……」

魔法「だって?」

騎士「だって……魔法使い、意地悪だ……」

魔法「ごめんごめん……もう、行くね?」

騎士「え……私まだ、何もしてあげてないぞ……?」

魔法「我慢、出来ないから……!」
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:26:14.17 ID:lroko5rU0
騎士「う、くぅぅぅぅ……!」

魔法「んく……き、つ……だ、だいじょうぶ?」

騎士「へい、き……!」

魔法「か、回復魔h」

騎士「だ、だめ!」

魔法「え?」

騎士「……いやだ。」

魔法「で、でも……」

騎士「痛い方が、君を、感じてる気がするから……お願い。」
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:26:45.75 ID:lroko5rU0
魔法「……分かった。」

騎士「んうっっ……!……平気だ、から、もっと……して……っ!」

魔法「騎、士っ……!」

騎士「魔法……使いっ!! もっ、と……!!」

魔法「そ、そんなに締、締めたら……っっっっ!!」

騎士「あ……な、中で、すごい……うねって……」

魔法「ご、ごめん、中に……」

騎士「……避妊魔法って、出来るの?」

魔法「……使ったことはないけど、知ってる。」

騎士「それじゃ……もう一回……?」
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:27:14.32 ID:lroko5rU0




※ R18注意報解除 ※




444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:27:45.40 ID:lroko5rU0
僧侶「……ねぇ。」

勇者「……おぅ。」

僧侶「私のこと、どう思ってる?」

勇者「……」

僧侶「……怒ってる?」

勇者「何を?」

僧侶「散々嫌なことして、いきなりキスなんてして……変な女よね、私。」

勇者「……ずっと、子どもの頃から、僧侶のことがずっと好きだったよ。」

僧侶「……」

勇者「でも、お前の変な噂聞いて、なんか変に焦って、バカやって……」

僧侶「バカだったのは、私だもん……」
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:28:24.08 ID:lroko5rU0
勇者「それで、お前は盗賊と仲良くなって、周りからもお似合いって言われてさ。」

僧侶「……」

勇者「なんかもう、あきらめが肝心、みたいな?」

僧侶「や、やっぱり私、別の部屋借り……」

勇者「でもさ! 俺、今だから思うんだ。 過去じゃねぇな、って。」

勇者「大事なのって、今と、これからじゃん?」

僧侶「でも私、けがれてるもん……騎士ちゃんみたいには、んぅ……!」

勇者「……」

僧侶「……」

勇者「泣いてるトコ、初めて見たかも。」

僧侶「だって……だって……」
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:29:48.55 ID:lroko5rU0
勇者「比べる必要なんてねーよ。俺だって、魔法使いみたいにはなれねぇし。」

僧侶「ならなくていいよ……」

勇者「だろ?……俺はさ、僧侶にふさわしい男に、なるよ。」

僧侶「……なんか、男の子って、急にかっこよくなるのね。」

勇者「へへ、かっこ悪さを自覚した途端誉められるようになるってのも、変な話だよな。」

僧侶「あのさ……ど、どうする? す、する?」

勇者「……しない!」

僧侶「……」

勇者「そんな顔すんなよ!嫌いとかそういうのじゃねーって。」

僧侶「……」
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:30:20.16 ID:lroko5rU0
勇者「ったく……はい、おやすみのちゅう。」

僧侶「勇者……」

勇者「……俺、やっぱお前のこと好きだよ。」

僧侶「なら……」

勇者「でも、だからする、ってのが気にいらね。」

僧侶「え?」

勇者「俺、お前のこと、大事にしたいもん。」

僧侶「どういうこと?」

勇者「なんつーか……今は、しないのが愛、みたいな……」

僧侶「勇者……」

勇者「旅が終わってから、ゆっくりすりゃいいさ。」

僧侶「……なんか、ありがと。」

勇者「おう!」
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:30:55.07 ID:lroko5rU0
〜船〜

魔法「治癒魔法。」

魔法「治癒魔法…」

魔法「治癒魔法……」

魔法「治癒魔法………って、どうして盗賊まで船酔いしてるんだ!」

盗賊「お、俺、船はダメなんだって……」

僧侶「うぅ……」

騎士「………ぐ。」

勇者「こ、こんな状態で海賊なんかが来た日には……」

盗賊「よけいなこと言うんじゃねぇ……」

魔法「まったく……」
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:31:26.87 ID:lroko5rU0
船長「がっはっは、大丈夫じゃなさそうだな!」

魔法「えぇ、見ての通りで。」

盗賊「おぅ、船長……悪いな、こんな時期に出してもらって。」

船長「盗賊には世話になったからな……それに最近の海は面白いから、気にするな!」

勇者「盗賊は顔が広いな〜。」

船長「なにやら精霊のお告げがあったとは聞いていたが、盗賊が入ってるとはな。」

盗賊「俺が一番驚いたけどな。」

船長「いやいや、そうでもないさ。親父さんに似ず、立派になったもんだ。」

僧侶「盗賊のお父さん?」

船長「まぁ、狩りの下手な狩人でな…こいつは反発して、俺と悪さしてたのさ。」

盗賊「そのおかげで、いろいろと器用になったんだけどな。」
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:31:53.61 ID:lroko5rU0
魔法「へぇ、盗賊も苦労してるんだな。」

盗賊「おぉ……でも、この船酔いが一番の苦労だぜ、ほんと……おえっ。」

勇者「しっかりしろよ、リーダー?」

船長「これさえなきゃ、ウチで船乗りになってほしかったんだがな〜。」

騎士「それにしても、精霊のお告げの情報は、こんな遠方まで来ているのだな。」

船長「あぁ、5人の英雄が魔王討伐に向かってる、ってな。」

魔法「5人?」

船長「違ったっけ? 現に5人じゃねぇか、あんたら。」

勇者「……どういうこと?」

魔法「案外、後世に伝わる話なんてそんなものかもしれないね。」

騎士「予言よりも、結果の方が大切なのは、確かだからな。」
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:32:21.98 ID:lroko5rU0
勇者「……」

僧侶「無言で泣かないでよね、みっともない……ほら。」

勇者「おぅ、あんがと……」

魔法「それにしても、僧侶が勇者を好きだとは思わなかったな。」

騎士「僧侶にも、いろいろあるからな。」

魔法「なにか知ってるの?」

騎士「女同士の秘密。」

僧侶「ねー?」

騎士「ねー。」

魔法「??」

盗賊「さて、と……ぼちぼち、陸が近づいてきたな。」
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 19:37:18.61 ID:lroko5rU0
本日の投下はここまでにしとうございます。

ここ何回かの投下で、
「やれやれ、こいつは期待はずれの展開だぜ……」
という思いの方がいらっしゃるようで、なんだか申し訳ない心持ちです。

「ま、せっかくだから、最後まで付き合ってやるよ」
という方がまだいらっしゃれば、今後も5人の物語にお付き合い下さい。

ここまで読んで頂いて、ありがとうございます。
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/03(日) 19:56:33.00 ID:qZil8UUXo
おもろい
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2012/06/03(日) 20:00:29.27 ID:cUSWNAFBo
すげーな、あとどのくらいあるんだ?
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/03(日) 20:09:03.26 ID:NDBwNHsCo
僧侶盗賊辺りに魅力がないのが残念
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)[sage]:2012/06/03(日) 20:09:35.21 ID:tl1wTWD+o
俺はそっとスレを閉じ履歴を消す
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 20:14:04.40 ID:lroko5rU0
>>454
聞かれたらどうしよう と思っていた質問が、ついに来てしまいました。

残りの文章量を伝えてしまうと、展開が予想できてしまうのではないか……と思い、
必死にうまい切り返しを考えていたのですが、ついに何も思いつきませんでした。

正直に言うことにします。

あなたの書き込みが454ですので、1000−454で、

スレの残りは、「あと546」ということになります。
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 20:18:49.40 ID:abwsCEdao
おつ

なんか勇者の離脱から勇者は兎も角として全員キャラ変わりすぎじゃね?
てか勇者が僧侶にとって都合良すぎでキメェ
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 20:20:32.56 ID:lroko5rU0
↑のレスは、大至急記憶から消して頂けるよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

真面目にお答えします。

「物語」「エピローグ」「あとがき」を含めた、文章全体で見ると、

「王都編」で半分を過ぎています。ちょっとぼかした言い方なのは、許して下さい。
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/03(日) 20:24:14.92 ID:lroko5rU0
>>459 の「↑のレス」は、決して>>458 を指しているのではなく、>>457 を指しています。

>>458さん すでに気分を害されているようですが、重ねてお詫びします。
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 21:57:05.25 ID:shri2slIO
このSSで一番かわいいのは>>1かもしれない
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 22:14:39.48 ID:isjHFhjr0
勇者の性格が屑だったら良かったのに
ただのゆとりDQNだったのが惜しい所

このまま普通に僧侶とくっ付いて終わるのかな?
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/03(日) 22:15:33.58 ID:NDBwNHsCo
盗賊って好きでもないのに僧侶抱いてたんだろ?
そこらへんの売女を抱くならともかく、大切な幼馴染を好きでも無いのに抱くとか……
そういう行為が後々僧侶を傷つけることになるって分かってんだろ?
描写見る限り何の葛藤も無く気楽に抱いてたっぽいけど
僧侶のことを大切に考えてるなら、都合の良い女にするとか、絶対に有りえないはずなんだが。
なんか口では常識ぶってるけど、相当性根が腐ってないとこんな真似できないよな
こいつが今の所一番人格破綻してるドクズだわ。
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/06/03(日) 22:21:41.43 ID:pnXdArLCo
なんというか、人間が全員完璧でないと偉業をなしえてはならないと思ってる子供が多いな。
そんな細かいことで子供みたいな揚げ足を取らずに気楽に読んで楽しめないの?
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 22:35:01.93 ID:LfGf2SZFo

創作物の登場人物に何言ってんだって気もするけどな
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/03(日) 22:51:39.64 ID:LZowzUr8o
作品内で勇者だけクズ扱いだけど他の奴も変わんないって話してるだけだろ

それに作品の楽しみ方なんて人それぞれなんだからこういう人がいても良いじゃん
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/06/03(日) 23:36:22.48 ID:5RzZmieAO
最後まで続けてくれるならそれでいい
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/04(月) 02:27:06.28 ID:8op8cHMDO
というか過去の男女の関係にそこまで言及せんでもいいと思うが…

現実でも関係の価値観は結婚してて浮気してるとかでない限り人それぞれだろ


勇者ウゼーと思ってた俺は問題なく楽しめてる


団長に正直に話せなかったのは惜しいが成長は良いな
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/04(月) 03:59:15.08 ID:XUOjHHXDO
>>1

こうでなきゃならないをおしつけるのはやめようず
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/04(月) 04:14:54.22 ID:28ReOb+co
お前らの感想とかどうでもいいから
正直気持ち悪い
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/04(月) 04:37:12.23 ID:rWRLejAXo
>>470
掲示板でそれ言うと滑稽よ…
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:32:02.23 ID:zXDkJgrP0
>>470 >>471

それらに点に関しては

妄想してはニヤリとしている点で、気持ち悪さも
レス見てはニヤリとしている点で、滑稽さも

まず 間違いなく作者の圧勝で間違いないと思います。参りましたでしょうか?

1です。

今週で5人の物語を完結させたいと思いますので、
朝からですが、投下させて頂きます。
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:32:59.62 ID:zXDkJgrP0
〜坑道〜

魔法「盗賊、そろそろ一度休憩しないと。」

僧侶「もぅ、くったくた……」

盗賊「……そうだな、昨日から歩きづめだ。」

勇者「……待て、もうちょい進んだら、開けた空間がある。」

騎士「魔物は?」

勇者「いや、なんかでかい人形があるだけだな。」

盗賊「よし、そこで休憩しよう。」

盗賊「……おっ、ここか。確かに随分広い空間だな。」

騎士「人形とは、あれのことか?」
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:33:36.62 ID:zXDkJgrP0
勇者「そうそう、像っつったほうがよかったかな?」

騎士「なんというか……いびつな形をしているな。」

盗賊「これは……なんの像だ?精霊ってこんなだっけ。」

僧侶「ぜーんぜん。美しい女神よ、一般的に信仰されている精霊は。」

魔法「……これは、始祖の像だ。」

勇者「葉っぱか?」

僧侶「それは紫蘇でしょ。」

魔法「魔の始まり、至高の存在……だが、なぜこんなところに。」

盗賊「小難しい話はあとにしようぜ、まずは休憩だ。」
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:34:04.93 ID:zXDkJgrP0
勇者「く〜〜、この干し肉うまいな!」

僧侶「食糧は、まだあるの?」

魔法「湾岸都市で補給できたから、大丈夫だよ。」

盗賊「圧縮魔法様々だな。」

騎士「ところで魔法使い、始祖とはなんなのだ?」

魔法「えぇと……そう、魔法の源は何か、というところから話さなくちゃいけない。」

盗賊「手短に頼むぜ?」

魔法「うーんと……魔力は、精霊郷の空気なんだ。」
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:34:37.87 ID:zXDkJgrP0
騎士「精霊郷?」

僧侶「あ、それは私の専門ね。精霊や妖精が暮らす理想郷のことよ。魂の故郷。」

魔法「俺たちは自分の魂を窓にして、精霊郷から空気を取り込んで、魔法を使う。」

勇者「そうだったのかぁ。」

盗賊「知らなかったのかよ。魔法を使う奴がみんな理解してるわけじゃないのか。」

魔法「様々な道具だって、起源や原理を知らなくても使うことは出来るだろ?」

騎士「確かに……それで、それと始祖がどう関係しているんだ。」

魔法「その窓の開き方を人間に教えたのが、始祖と呼ばれる精霊だったんだ。」
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:35:04.62 ID:zXDkJgrP0
僧侶「あれ、もしかして始祖って、『誘惑者』のこと?」

魔法「教会はそう呼んでいるね。教会は魔法自体をよくは思っていないからね。」

勇者「神官が使ってるのだって、魔法じゃん。」

盗賊「理屈は一緒なんだろうけどな。まぁ、神職の特権としておきたいんだろうさ。」

魔法「そして、前に話した精霊の内乱における敗者とは、始祖のことなんだ。」

騎士「人間が加担したのは今の精霊の側だったか?……おかしくないか?」

勇者「だな、なんで魔法を教えてくれた奴を倒すんだよ。」

魔法「始祖が、その後、序列を作って世界を管理しようとしたから。」

盗賊「序列?」

魔法「精霊、魔物、人間、という序列。」
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:35:36.84 ID:zXDkJgrP0
勇者「魔物が上かよ。そりゃ反発されるわ。んで、始祖はどうなったんだ。」

魔法「前に話したように精霊と神竜の力を得た人間によって、負けたらしい。」

騎士「……魔法を授けた始祖から見れば、恩を仇で返されたようなものだな。」

魔法「そう。だから、魔導師の中には、始祖を神聖視する人もいる。」

盗賊「なるほどね……てことはここは、始祖様バンザイ教の神殿跡地ってとこか?」

魔法「おそらく。」

勇者「ふぅん……ま、今となっては関係ない話だな。」

僧侶「邪教の神殿……うぅ、なんだか、寒くなって来ちゃった。」

盗賊「火をおこして、睡眠を取ろう。明日の内に、坑道を抜けるぞ。」
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:36:08.54 ID:zXDkJgrP0
〜坑道出口〜

勇者「おい、光だぜっ!!」

僧侶「は〜〜、長かったわね〜!」

盗賊「坑道を抜けたら、魔法都市は目と鼻の先だ……さて、どうするかな。」

魔法「まず、国王を助けだそう。」

盗賊「そうだな、将来的にはお前の義理のお兄さんになるわけだからな。」

騎士「ん?……な、何を言っちぇるんだ!」

魔法「それもあるけど、そうじゃなくて。」

盗賊「ああ、大臣の話が本当なら、危険な状態だろうからな。」
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:36:57.69 ID:zXDkJgrP0
僧侶「でも、勝手の分からない街で、そんなこと出来るかしら?」

勇者「へへーん、偵察隠密は俺の専門だな?」

魔法「俺も行こう。……魔王の実態を掴みたい。」

騎士「き、危険すぎるっ!!」」

勇者「魔法使いの時にだけ反応してね?」

僧侶「はいはい、よしよし。」
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:37:27.48 ID:zXDkJgrP0
魔法「大丈夫だよ。いざとなった時に転移魔法で逃げられるからね。騎士、あれは?」

騎士「使い魔か?……ほら、ちゃんと私といるよ。」

使魔「……」

魔法「それ自体が転移魔法の扉になるから、そのつもりでいてくれ。」

騎士「うむ、わかった。」

僧侶「あんたも無理しないでよね。」

勇者「分かってるよ、まだ本番してないからな!」

騎士「(スラァッ)」

勇者「ほ、ほら、魔法使い、早く行くぞっ!!」
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:37:59.60 ID:zXDkJgrP0
〜魔法都市・正門〜

勇者「くあ〜、本当に魔物だらけだぜ……」

魔法「魔法で隠れているからいいが、まさに地獄だな……」

勇者「人間はまるっきり奴隷扱いかよ……どうする?」

魔法「……まずは国王の居場所を突き止めることを優先しよう。」

勇者「そうだな……んじゃ、宮殿に入るか。」
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:38:29.63 ID:zXDkJgrP0
〜魔法都市・宮殿〜

魔法「……結界は張られていないようだ。」

勇者「こんだけ魔人がいれば、結界なんざいらないんだろうぜ。」

魔法「確かに……」

勇者「普通に考えりゃ、地下牢かね?」

魔法「そうだね……」

勇者「見るだけ見てみようぜ……透視魔法。」

魔法「どう?」

勇者「……違うな。魔法都市の兵隊さん達でぎゅうぎゅうだ。」
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:39:00.44 ID:zXDkJgrP0
魔法「あの塔は?」

勇者「……ビンゴ。」

魔法「確かかい?」

勇者「さすがの俺も、国王の顔は知ってるさ。」

魔法「それじゃあ、魔王について、少し調べていこう。」

勇者「どこにいるんだろうな?」

魔法「まぁ……玉座とか?」

勇者「……いや、玉座の間は空っぽだ。」

魔法「とりあえず、上の方に行ってみようか。」
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:39:30.20 ID:zXDkJgrP0
〜魔法都市・宮殿・上階〜

勇者「がらんどうだな。」

魔法「……ちょっと危険だが、検索魔法を使おう。」

勇者「なんだそりゃ?」

魔法「条件をつけて特定の者を察知する魔法だよ。ただ……」

勇者「ただ……?」

魔法「気付かれる可能性が高い。」

勇者「……転移魔法の準備だけはしといてくれよ。」

魔法「ああ。検索魔法。条件は、強大な魔力を秘めた者……」
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:40:00.41 ID:zXDkJgrP0
勇者「……」

魔法「……」

勇者「……」

魔法「……?」

勇者「どうした?」

魔法「該当する者が、いない。」

勇者「どういうことだ? 魔王ってのは、魔力がメチャクチャに強いんだろ。」

魔法「わからない……とりあえず、一度、みんなのところへ帰ろう。」
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 06:45:20.89 ID:zXDkJgrP0
ようやく6大都市の全てを訪れました。

夜にまた投下する予定です。

ここまで読んで頂いている方、ありがとうございます。
感想・意見・批判、レスはすべて励みになっています。
これまでに書いて下さってくれた方、ありがとうございます。

では、また。
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/04(月) 08:11:38.83 ID:MamY3aOOo
朝から上がってた
うれしい
今日も頑張れる気がする
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/04(月) 12:47:17.03 ID:xLAJHox7o
勇者が屑ではなかった…プレッシャーに負けていただけなのか…

>>1乙!続きも楽しみにしているぜ
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)[saga]:2012/06/04(月) 17:30:00.77 ID:loMqJPnW0
生まれ付きのクズなんているものか。
本人が努力しなかったり、周りの環境のせいでクズに堕ちる人間は掃いて捨てるほどいるけど。
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/04(月) 18:26:33.96 ID:DByad8vqo
そういやこの勇者、努力してないとか言われてたけど能力伸びなかっただけで
努力してなかったわけじゃないよね
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:01:55.76 ID:w+T/+F9S0
>>488見て舞い上がってた
うれしい
2作目も頑張れる気がする
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:02:30.03 ID:w+T/+F9S0
1です。

↑の通り、
>>488に感動して2作目を書き出したら、マッハで一万字超えました。

ええ、分かってます。
いいから投下しろって話ですよね。

もう少ししたら、投下します。
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:04:44.77 ID:w+T/+F9S0
〜テント〜

魔法「……という具合だった。」

僧侶「国王は塔、ね。」

勇者「地下牢には、兵士達が詰め込まれてたよ。」

盗賊「暴動を起こさせれば……都市ごと解放できるかな?」

魔法「かく乱しながら全員解放できれば、出来るんじゃないかな。」

勇者「それよりも、問題は魔王の方だぜ。」

僧侶「本拠地のはずなのにいないなんて、謎ね〜。」

盗賊「……魔王ってのは、いったいどんなやつなんだろうな?」

勇者「悪い奴?」
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:05:13.75 ID:w+T/+F9S0
盗賊「なぜ、そう言い切る?」

騎士「名前からして、そうだろう。」

盗賊「じゃあ、騎士ちゃんは、お姫様らしくドレスを着てるか?」

騎士「む……」

魔法「似合うと思うよ。」

騎士「!!」

盗賊「はいはい、ごちそーさん……しかし、魔王。魔王ってなんだ?」

僧侶「精霊によれば、魔法都市を制圧した悪い奴?」

魔法「そして今回は倒さなければならない相手、か。」

騎士「……実際、魔王を倒せなければ、どうなるのだろうな。」
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:05:53.02 ID:w+T/+F9S0
盗賊「また封印、になるのか?」

勇者「封印魔法って、簡単に出来るもんなのか?」

魔法「いや、ものすごい手間と時間がかかるよ。」

騎士「ふうん……それなら、倒した方が、手っ取り早いのではないのか?」

魔法「え……?」

騎士「じょ、冗談だ、私は魔法のことはよくわからないから……」

魔法「いや、確かに言われてみれば、変だ。」

騎士「な、なに?」

魔法「なぜ、百年前は『封印』だったんだろう。倒した方が早いのに。」

騎士「そ、それは……なぜだろう?」
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:06:32.00 ID:w+T/+F9S0
盗賊「うーん……そもそも、封印戦争ってのは、どんな戦争だっけ?」

勇者「魔王があらわれて、人間がそいつを封印した戦争?」

僧侶「精霊の力を借りて、倒せなかったけど北の大地に封印は出来た、だっけ。」

魔法「うーん、やっぱりおかしいな……」

騎士「何がだ?」

魔法「なぜ、倒せなければ封印なんだろう? 逆なら、分かるんだけど……」

盗賊「……考えても、分からんな。とにかく、国王を救うことに専念するか。」

僧侶「そんな行き当たりばったりで大丈夫なの?」

勇者「どうすんだよ、いきなり魔王が現れて大変なことになったら。」

盗賊「策を講じられない時は、行動してみるってのが一番だ。」

騎士「賛成だ。……勝手な意見だが、一応兄だから……早く、助けてやりたい。」

魔法「よし、国王救出について、作戦を決めよう。」
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:07:03.13 ID:w+T/+F9S0
〜魔法都市・宮殿・地下牢〜

勇者「ったく、盗賊の奴、無茶を押しつけやがって……」



盗賊「勇者、地下牢の解放がお前の仕事だ。」

勇者「おいおい、あれだけの数を一人でやれって!?」

盗賊「姿を消していけば大丈夫だろう?」

勇者「ひとつ開けた時点で異変に気付いた魔人が解除魔法、それで終わりだろ。」

盗賊「無理か?」

勇者「……」

盗賊「無理なら無理でいいんだぜ。別の作戦を考えりゃいいんだ。」
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:07:54.33 ID:w+T/+F9S0
勇者「いや、待て、待てよ……」

盗賊「……?」

勇者「……よし、分かった。やってみせる。」

盗賊「……頼むぞ。」



勇者「さて、魔人が……3。牢は…………20か。」

魔人「フシュゥゥルルル……」

勇者(怖ぇ……でも、俺は変わったんだ……!!)

勇者(それに、俺は勘違いしてた。てっきり声が出なきゃ魔法にならないって。)

勇者(魂が窓なんだろ……てことは、音が出なくても……硬直魔法!!)
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:08:25.64 ID:w+T/+F9S0
魔A「……!?」

勇者(よし、いけた!!硬直魔法!!)

魔B「!?」

勇者(硬直魔法!!)

魔C「?!」

勇者「急げ〜〜……!解錠魔法!解錠魔法!解錠魔法!………よし、これで最後だ!」

兵達「こ、これは一体……?」

勇者「解除魔法!!」

兵A「あ、あなたは……何者?」

勇者「何者でもねぇ!!あんたらを助けに来たんだ!!行くぜ、反撃だっ!!」
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:09:00.14 ID:w+T/+F9S0
〜宮殿・入り口〜

魔法「中が騒がしくなったな……勇者、やったのか。」

魔法(もう、俺の目的は果たされたようなものだなぁ……)



盗賊「次の段階は、魔法使いだ。」

魔法「敵を引きつければいいんだな。」

盗賊「……一番、危険な役だ。」

騎士「……わ、私も……」

魔法「任せてくれ。」

騎士「魔法使いっ……!」
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:09:30.61 ID:w+T/+F9S0
魔法「騎士、リーダーに従おう?」

騎士「……」

魔法「俺はきっと、その時は晴れ晴れとした気持ちで戦えてるはずなんだ。」

騎士「どうして?」

魔法「……きっと、勇者は役目を果たしてくれるから。」

騎士「信頼しているのだな。」

魔法「仲間だからね……そして、俺はようやく、自分のために戦えるんだ。」
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:10:01.92 ID:w+T/+F9S0
騎士「魔法使い……」

魔法「あ、訂正。」

騎士「?」

魔法「自分『達』のため、だね。」



魔法「解除魔法。」

魔人「グォ!?」

魔法「そんなに驚くなよ、さっきからずっといたんだから。」

魔人「グオォォォッ!!」

魔法「さぁ、かかってこい……全員、俺が相手をしてやるからさ。」
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:10:33.05 ID:w+T/+F9S0
〜宮殿内〜

騎士「始まったな……」

僧侶「大丈夫、二人とも、ちゃんと生きて帰ってくるって!」

盗賊「あぁ、その通りだ。俺たちは俺たちの仕事を果たす。」

騎士「……そうだな、塔に急ごう!」

盗賊「この通路を抜ければ一直線だ、行くぜっ!!」

魔将「グルルウァァァ!!」

僧侶「なんて禍々しい……!こいつ、ただの魔人じゃないわ!」

騎士「魔人の将といったところか……だが、負けるわけにはいかん。」
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:11:04.36 ID:w+T/+F9S0
盗賊「……騎士、僧侶。これ持って、行け。こいつは、俺がやる。」

騎士「これは……?」

盗賊「俺が勇者から没収した魔法の鍵だ。それで王様を助けろ。そして……」

僧侶「私が、呪いを解けばいいのね。」

盗賊「そういうこと。打ち合わせ通りにな。」

僧侶「こんなやつ、一人でなんとかなるの?」

盗賊「だーじょうぶだって、魔法使いに色々聞いてきたからさ。」

騎士「分かった、任せるぞ……死ぬなっ!」

魔将「グルルッ!……!?」

盗賊「追わせねぇよ。」
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:11:34.30 ID:w+T/+F9S0
魔将「ルグゥゥ〜〜……!」

盗賊「縛られるのは嫌いかい?こんなところでお留守番とは、お前も寂しいねぇ?」

魔将「グルァッ!!」

盗賊「っとと……魔法の綱が、ちぎれちまった。……すげーな、力に頼るタイプか?」

魔将「フシュルルルル……!」

盗賊「んじゃ、こいつはっ!!」

魔将「グルァッ!!」

盗賊「あらら、縛鎖も駄目か。高かったのに……どうすっかなぁ。」

魔将「グルルゥルルルル……」

盗賊「ま……寂しい一人モン同士、ゆっくり遊ぼうぜ?」
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:12:01.56 ID:w+T/+F9S0
〜宮殿・離れの塔〜

騎士「……」

僧侶「大丈夫よ、騎士ちゃん。魔法使いも、王様も。」

騎士「勇者も、盗賊もな。」

僧侶「んふ、そうね。」

騎士「……よし、この扉だな。」

僧侶「……開いた!」

騎士「陛下……?」

国王「……」

僧侶「……体はなんともないわね。呪いか。」
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:12:31.21 ID:w+T/+F9S0
騎士「大丈夫なのか?」

僧侶「任せてよ。……解呪魔法!!」

僧侶(とは言ったものの……つあ〜〜、こりゃ骨が折れる呪いだわ!)

僧侶「……!!!!」

騎士「僧侶……頑張ってくれ……!!」

僧侶「!!……ふうっ。」

国王「う……こ、ここは……君たちは、いったい?」

僧侶「私は僧侶と申します、国王陛下。あなたを救出に来ました。」
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:13:03.52 ID:w+T/+F9S0
国王「き、君たちだけで、ここへ!?」

騎士「いえ、素晴らしい仲間達も一緒です。」

国王「君は……?」

騎士「騎士、と申します。鉱山都市の、一介の、剣士でございます……これをどうぞ。」

国王「これは……?」

騎士「無銘ですが、名刀です。陛下には、安物かも知れませんが。」

国王「ふっ、ありがたい……!では、魔物共に思い知らせてやろうぞ!!」
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 19:20:34.52 ID:w+T/+F9S0
ここで一度切りたいと思います。

気が付けばスレも半分を消化していますね。
随分長い旅になってしまいました。
お付き合い頂いている方々に、あらためて感謝申し上げます。
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2012/06/04(月) 19:27:20.55 ID:3uODBFgJo
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/06/04(月) 19:29:33.09 ID:DzVcAG3Xo
べ、別に待ってないんだからね
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:31:06.52 ID:w+T/+F9S0
〜宮殿・中庭〜

国王「これであらかたは片付いたようだな…。」

勇者「僧侶っ!!」

僧侶「勇者ぁっ!!!!」

勇者「お、おい、みんなが見てるだろ!?」

僧侶「勇者ぁぁ〜〜〜!!」

騎士「……」

魔法「……お疲れ様。」

騎士「ボロボロじゃないか……」
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:31:37.84 ID:w+T/+F9S0
魔法「守ってくれる人がいなかったからね……俺たちも、あれ、する?」

騎士「こっ、ここで出来るはずないだろうっ。」

国王「この二人が、素晴らしい仲間、か。」

兵A「陛下、この勇者殿、まことの英雄です!」

兵B「単身、我らを解放し、反撃の狼煙をあげてくださりました!!」

勇者「へっ?……いや、俺だけの力じゃねーんだけどな……」

騎士「いや、仲間はもう一人いるのですが……」

魔法「あれ……そう言えば、盗賊は?」
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:32:09.29 ID:w+T/+F9S0
魔将「グルァァァァァッ!!」

国王「まだ残党がいたか!」

僧侶「……盗賊っ!!」

盗賊「……」

勇者「お、おいっ……息してんのかよ、あれっ!!」

騎士「魔法使いっ、何か助言を与えたのではなかったのかっ!!」

魔法「魔人の将についての情報は何も残されていないんだ、だからそんな話は一度も……」

僧侶「……あの嘘つきっ!!」

魔将「グゥルルルルル……」
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:32:37.42 ID:w+T/+F9S0
魔法「……やるしかない……雷雲剣っ!!」

魔将「ギルッ!!」

魔法「止められたっ……!?」

騎士「陛下、下がってください!!」

兵達「お守りいたします!!」

騎士「勇者、頼む。」

勇者「……分かった、でもすぐに加勢にくるからなっ!!」

王様「しかしっ……!」

騎士「……大丈夫です。………魔法使い、行くぞっ!!」
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:33:04.18 ID:w+T/+F9S0
魔将「ギルァッ!」

騎士「!!」

魔法「パリィ!」

騎士「なんだ、君が守り役か?」

魔法「いや……二人とも攻め役だよ! 強化魔法!!」

騎士「よし……ハァッ!!」

魔法「烈風剣っ!!」

魔将「グゥッ……!!」
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:33:33.71 ID:w+T/+F9S0
僧侶「盗賊っ……息がない、心臓は……弱い……!……回復魔法(強)!!」

盗賊「う……」

僧侶「死なせるもんですかっ……!」



魔将「ググルルル……」

魔法「あと少し……だと思いたいね。」

騎士「あ、ああ……こちらの消耗が、激しいな……」

魔法「やつはさっきから心臓部を守っている、そこさえ突ければ……」
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:34:01.76 ID:w+T/+F9S0
魔将「グアァッ!!」

騎士「しまった、ブレス……っ!?」

魔法「騎士っっ!!」

勇者「おっとぉっ!!」

騎士「!?」

勇者「見えない盾、参上っ!! へへ、炎は効かない、だろ?」

騎士「勇者か……!?」

魔将「グッ!?」

魔法「……よし、束縛魔法!!」
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:34:36.08 ID:w+T/+F9S0
魔将「グルァッ!?」

騎士「さぁ、こっちだ!!」

魔将「ググ……」

魔法(頼むぞ、勇者……!)

魔将「グッ!?」

勇者「……姿を隠して後ろからは卑怯、なんて言うなよ?」

魔法「一撃で、しとめた……?」

勇者「ふぅ……よし、解除魔法。」

騎士「勇者の剣と腕輪が……光っている……」

魔法「腕輪の魔力そのものを、剣に転化させていたのか!そんな使い方があるなんて……」
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:35:01.44 ID:w+T/+F9S0
兵達「オォォォォーーーーー!!」

兵達「あの怪物を、倒したぞっ!!」

兵達「英雄だっ、英雄だぁ〜〜〜!!」

勇者「へへ、お前らにもらった宝物だ、しっかり使わなくっちゃな。」

騎士「フッ……たいしたものだ。」

魔法「鼻が高いね。」

盗賊「……つぁ……」
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:35:33.12 ID:w+T/+F9S0
僧侶「盗賊っ!!」

盗賊「えーっと……こりゃ、あれか。俺だけ活躍しなかった感じか?」

僧侶「ばかっ、焦ったんだから!!」

騎士「よかった……」

魔法「回復魔法(全)!!」

兵士「町中の魔物達は、ちりぢりになって去ったようです!」

盗賊「ふーっ……一段落、か?」
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:36:05.01 ID:w+T/+F9S0
〜宮殿・執務室〜

国王「……なるほど、大臣が。」

盗賊「えぇ。最悪、王都は、魔物だらけになっているかも知れません。」

国王「ふむ……そういえば、精霊のお告げは4人の英雄だと聞いていたが。」

勇者「……」

魔法「世界を救うのは、たった一人の英雄なんかじゃない。」

騎士「魔法使い?」

魔法「俺の好きな絵本の言葉。」

僧侶「そ、そうよね、英雄は何人いたっていいじゃない!」

国王「そうだな、勇者殿は紛れもなく英雄の働きをしてくれた。」

勇者「……あ、ありがとうございます!!」
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:36:34.24 ID:w+T/+F9S0
盗賊「ときに、陛下。魔王はどこです?」

国王「それが、わからんのだ。」

魔法「分からない?」

国王「うむ……私はお告げのあった夜、何者かに連れ去られた。」

騎士「……それは、大臣の手引きによる魔物でしょう。」

国王「おそらく。しかし、この街で、魔王とおぼしき者を一度も見なかった。」

僧侶「あの、強い魔人は? あれが魔王なんじゃないの?」

魔法「いや、魔王は魔法中心に戦うはず。やつは、武器攻撃が中心だった。」
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:37:03.51 ID:w+T/+F9S0
勇者「でもよ……北の魔法都市で魔王を倒せって予言だったんだろ?」

魔法「いや、正確には『封印が解かれ』『北の魔法都市が制圧された』だ。」

僧侶「魔法都市の解放=魔王討伐、とは言ってないか……」

勇者「でもよ、肝心の魔王がいないってのは、どういうことだ?」

盗賊「……答えを聞くしかねぇな。」

騎士「誰に?」

盗賊「大臣さ。」

魔法「そうか……奴は魔王と接触しているはずだ。」

国王「では、明日にでも王都に向けて出発しよう。」
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/04(月) 21:39:13.12 ID:w+T/+F9S0
今日はここまで。

魔法都市編も、これで終了です。
いよいよ、5人の物語も終わりに近づいてきました。
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2012/06/04(月) 22:08:56.13 ID:3uODBFgJo
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/06/04(月) 23:38:49.69 ID:eeiBlmiio
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:52:58.79 ID:k9wdZnPj0
〜王都〜

僧侶「これまでの移動で一番楽な旅路だったわね。」

勇者「そりゃお前、国王陛下が馬貸せっつったら、貸すしかないし……」

魔法「泊めてくれって言われたら、泊めるしかないからね。」

国王「はは、まぁ、どこでも驚かれるのは面白かったな。」

騎士「国の主がふらっと訪れるなど、夢想だにしませんからね。」

盗賊「……見たところ、王都の様子は変わってないな。」

国王「そなたらの手配書があるくらいか。」
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:53:39.83 ID:k9wdZnPj0
民A「おい……あそこにいるやつら、手配書の!!」

僧侶「やばっ!!」

民B「たっ、大変だ!衛兵をよb」

国王「静まれいっ!!」

民衆「え……?」

民衆「……へ、陛下だ!」

民衆「国王陛下だーーーーっ!!!」

国王「その手配は即刻取り消せ!」

民衆「お、おいっ、みんな、手配書はずせっ!!」

盗賊「はー……すごいもんですね。」

国王「はは、なかなか慕われているだろう?」

魔法「素晴らしいご威光です。」

盗賊「さ、大臣殿に会いに行きますか。」
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:54:12.40 ID:k9wdZnPj0
〜宮殿〜

大臣「……こ、国王っ!?」

国王「陛下をつけぬか、うつけ。」

大臣「な、なぜ……?」

盗賊「俺達だよ。」

大臣「貴様ら……!死んでいなかったのか!!」

僧侶「死んだ、なんて報告、あったのかしら?」

大臣「……ふん、まぁいい。どうやらここまでのようだな。」

魔法「……観念したか。」

大臣「あぁ、観念したよ。こんな回りくどいやり方は駄目だった。」

勇者「やれやれ、黒幕って意外とこんなもんだよなぁ。」
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:54:49.14 ID:k9wdZnPj0
大臣「……やはり、正面切って戦争をすべきだったな!!」

騎士「勇者、下がれっ!!」

勇者「うぉっ!!」

魔法「腐食魔法………なんて魔力だ。」

大臣「ふっふっふ、あなたがたの精霊ではここまでの力は出せないでしょう?」

僧侶「あなたがたの、精霊……?」

魔法「……始祖の信奉者か。」

大臣「様をつけんか、無礼者がっ!!」

盗賊「随分、物腰が変わってきたじゃねーの。」

大臣「ふん、始祖様こそが唯一にして絶対の存在なのだ。それを……っ!」
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:55:17.95 ID:k9wdZnPj0
僧侶「な、何が絶対の存在よっ!こっちには精霊の加護が……」

大臣「黙れっ!!」

僧侶「……!!」

大臣「いつも人間を煽動してばかりいる売女が!! なにが加護だ! 何が予言だ!!」

大臣「反吐が出る……だから祈りを捧げ続けたのだ、北の神殿でな。」

魔法「……あの坑道の神殿が封印の地だったのか。」

盗賊「……そういうテメエも、人間を煽動するろくでもねえ計画立ててるじゃねぇか。」

大臣「ふん、それは精霊へのあてつけをしてやろうとしたまでのことだ。」

勇者「あてつけ?」
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:56:28.62 ID:k9wdZnPj0
大臣「いつの時代も人間を煽動して始祖様を苦しめる、忌まわしき精霊……」

大臣「逆に、その人間どもに信仰されなくなれば、さぞ苦しかろうよ!」

大臣「悪政は精霊の導きの結果!!……ふん、そのような流れだったのだがな。」

盗賊「性格の悪い野郎だぜ。」

大臣「ふん、なんとでも言え…さあ、始祖様よ、わが肉体をお使い下さい!」

僧侶「か、体が……」

騎士「魔人のように……!?」

魔王「ふふふ……はじめまして、かな。」
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:56:57.29 ID:k9wdZnPj0
魔法「なるほど……そういうことか。」

騎士「どういうことだ?」

魔法「始祖の魂を受け入れた者、それこそが『魔王』だったんだ。」

魔王「その通り。」

魔法「あの始祖の像こそ、魔王が封印されたとされる場所だった……」

魔王「さて、こうなってしまっては君たち人間に勝ち目はないぞ。」

魔法「これでは、大臣の肉体を滅ぼすことは出来ても、魂まで滅ぼせない……!」

盗賊「それで、封印ってか……っ!!」

魔王「はっはっは、解を出しても、救いはなかったな!!」

魔法「……だが、少なくともお前はこの場で倒すぞ。」
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:57:24.33 ID:k9wdZnPj0
魔王「ふん、それでは盛り上がりに欠ける……よし、こうしようではないか。」

国王「む……?」

魔王「ここより北西に、古代に栄えた都がある。私はそこに陣をしこう。」

国王「……戦争をしようというのか。」

魔王「そうだ、第二次封印戦争だよ。ただし、今度封印されるのは、精霊の方だがね。」

盗賊「この状況で、逃げられると思ってんのか?」

魔王「思っているとも、ほら、このように。」
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:57:58.90 ID:k9wdZnPj0
魔法「!?……転移魔法か。」

魔王「開始は1週間後だ、せいぜい束の間の自由を味わうがよい……」

勇者「おい、逃がしていいのかよっ!!」

騎士「おめおめと魔物を終結させるのか!?」

盗賊「……こっちの準備も必要だ。」

魔法「魔王を……始祖を倒す方法を、見つけなければ。」
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:58:27.43 ID:k9wdZnPj0
〜宮殿〜

神官「うーん……はっ、ここは?」

魔法「みんな、魅了魔法をかけられていただけだったようだね。」

国王「みな、大丈夫か?」

軍師「おぉ、陛下……!?」

盗賊「記憶もないようだな。あのよ、実は……」

官僚「なんと……あの大臣が。」

国王「皆の者、すぐに会議を開きたい。執務室に集まってくれ。盗賊殿。」

盗賊「はい?」

国王「そなたの方から、旅の首尾を皆に教えてはくれまいか。」

盗賊「分かりました。」
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:59:01.56 ID:k9wdZnPj0
〜執務室〜

盗賊「……というわけで、魔法都市は解放しましたが、決着は着いていません。」

神官「大変なことになりましたな。」

軍師「すぐに伝令を飛ばして、各都市に応援を要請しましょう。」

官僚「うむ……しかし、今の話からすれば、魔王を倒すことは不可能なのではないか。」

国王「盗賊殿、どう思われる。」

盗賊「……ウチの物知りが、なんとかします。」

魔法「……はい。」

神官「なんと頼もしい!さすがは、精霊に選ばれし英雄だ!!」
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 21:59:44.35 ID:k9wdZnPj0
官僚「では、1週間後に向けて、民衆にも注意を促そう。」

軍師「私は軍備を整えます。」

国王「うむ、頼んだぞ。」

盗賊「俺達も、出来ることはやろう。」

魔法「……陛下、宮殿内に古文書はありますか。」

国王「うむ、禁書保管庫に蔵されておる。」

官僚「陛下、あそこは王族以外立ち入り禁止ですぞ!」

国王「国の存亡の危機に、そのようなことを申すな。魔法使い殿、お願いしますぞ。」

魔法「分かりました。必ず、始祖を滅ぼす方法を見つけてみせます。」
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:00:32.52 ID:k9wdZnPj0
盗賊「僧侶、お前は精霊に交信を試みてくれないか。」

僧侶「え?……でも、お告げってのは、一方的なもので……」

神官「いえ、そんなことはありません。あなたほどの者なら、可能かと。」

盗賊「まぁ、駄目でもともとさ。何かヒントがもらえれば、と思ってな。」

僧侶「……やるだけ、やってみる。」

盗賊「勇者と騎士ちゃんは………とりあえず、待機だな。」

騎士「心得た。」

勇者「おう……でも、ちょっと街に行ってみないか?」

盗賊「なんで?」

勇者「この間は、お互い全然出歩けなかったろ?」

騎士「私は、宮殿に残るよ。」

盗賊「んじゃ、二人で町の様子を見てくるか。」
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:01:04.90 ID:k9wdZnPj0
〜翌朝・王都・中央通り〜

男A「なぁ、聞いたか?」

女A「聞いた聞いた、戦争が始まるって。」

男B「でもよ、国王が実は誘拐されてたって話もあるぜ。」

男C「本当かよ……魔法都市が解放されたってのは?」

女A「それは本当らしいけど……でも、今の王様で、勝てるのかしら?」

男A「精霊に選ばれた英雄ってのは?」

男B「強いらしいけど……でも、魔物の数も相当だろ?」

男C「大丈夫なのかな……?」
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:01:43.18 ID:k9wdZnPj0
女B「ねぇ、聞いた聞いた?実は、前王に隠し子がいたって!!」

男A「本当かよ?そんな王家で大丈夫かぁ?」

男B「ますます、心配になってきた……」

盗賊(……こりゃあ、よろしくねぇなぁ。)

勇者「……なんで話が広まってんだ? このことは、俺達と大臣しか…。」

盗賊「その大臣……今は魔王か、なんかやってんだろ。いい性格してるぜ。」

勇者「なんのために?」
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:02:15.84 ID:k9wdZnPj0
盗賊「大方、俺達の内部混乱を狙ってるんだろうさ。」

勇者「効果はてきめん、ってか。くそっ!!」

盗賊「……」

勇者「魔法使いと僧侶も、難航しているようだし……俺たちは勝てるのか?」

盗賊「さぁな。」

勇者「おいおいっ!」

盗賊「とにかく、今は信じて待つしかない。」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:02:44.58 ID:k9wdZnPj0
〜宮殿・練兵場〜

軍師「おお、盗賊殿、いいところに! 相談したいことがある。」

盗賊「はい?」

軍師「士気についてだ。」

盗賊「低いですね。」

軍師「この調子では、魔王以前に魔物共に負けてしまいかねん。」

盗賊「……ですね。」

軍師「うむ……しかも、根も葉もない流言まで飛び交っているらしい。」

盗賊「前王の隠し子、ですか。」

軍師「そなた、何か心当たりがあるのではないか?」

盗賊「……その件、ちょっと俺に任せてもらっていいですかね。」

軍師「うむ……」
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:03:48.13 ID:k9wdZnPj0
〜宮殿・禁書保管庫〜

騎士「魔法使い、いるか?」

魔法「……。」

騎士「なんだ、いるじゃないか。それなら返事くらい……」

騎士「!!」

騎士(この本、全て読んだのか……!?)

魔法「…………あれ、騎士。いつからそこに?」

騎士「あ、すまない、邪魔をしたな。」

魔法「いや、いいんだ、ちょうど休もうと思っていたから。」
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:04:16.65 ID:k9wdZnPj0
騎士「何か、分かったか?」

魔法「役に立ちそうなことは、少しだけだけど。」

騎士「……例えば?」

魔法「魂は、一つの肉体に複数は存在できないこと。」

騎士「では、大臣の魂はどうなったんだ?」

魔法「始祖に取り込まれたはずだ。」

騎士「大臣の肉体を倒しても、意味は無いのか?」

魔法「魂は全て精霊郷に流れ着く。肉体を滅ぼしても、始祖は元の場所に戻るだけだ。」

騎士「……どうしたらいいんだ。」

魔法「魂だけを、攻撃する方法があれば……」
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:04:42.51 ID:k9wdZnPj0
盗賊「邪魔するぜ……あれ、騎士ちゃんもいたのか。」

騎士「あ、あぁ……なんだか、一人でいると不安で……」

盗賊「魔法使いに相談があったんだが……まぁいい、手間が省けた。」

魔法「何かあったのかい?」

盗賊「あぁ……ところで、始祖殺しの方法は、見つかったか?」

魔法「……いや、まだ、はっきりとは。」

盗賊「……悪いな、いつも一番厳しいことばかり押しつけちまって。」

魔法「大丈夫、なんとかするよ。……それで、相談って?」

盗賊「……騎士ちゃんの素性を、公開しようと思う。」

騎士「なっ……!?」
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:05:10.16 ID:k9wdZnPj0
盗賊「国王と民衆に、ちゃんと名乗り出よう。」

騎士「なっ……それが、何の意味があるというのだ!」

盗賊「……」

騎士「そんなことをしたら、私は……っ!」

盗賊「魔法使いといられなくなるかも知れない。」

騎士「……分かっているなら、どうして!」

盗賊「国王が魔物にさらわれたという話は、すでに広まっている。まずいことにな。」

魔法「……それで?」

盗賊「民衆の気持ちはこうさ。そんな王様についていって、大丈夫なのか?」

騎士「……」

盗賊「王族が駄目なら、誰に頼ればいいんだ?……民衆は、救世主を求めている。」
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:05:38.15 ID:k9wdZnPj0
魔法「……騎士に、偶像をやれって言うのか。」

騎士「私は秘された子だ、反発されるだけだろう。」

盗賊「俺はそうは思わない。王家の人間が、精霊に選ばれて登場するんだから。」

騎士「だからと言って……っ!」

魔法「……それで、本当に士気が上がるのか?」

騎士「魔法使い?」

盗賊「……少なくとも、民衆の疑心は晴れる。それだけで、随分変わるはずだ。」
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:06:06.99 ID:k9wdZnPj0
魔法「……分かった、それで行こう。」

騎士「……っ!」

盗賊「ありゃ……お前な、言い方ってもんがあるだろうが。」

魔法「……」

盗賊「……」

魔法「……」

盗賊「早く追いかけろ、バカ!!」
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/05(火) 22:07:25.56 ID:k9wdZnPj0
今日はここまで。
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/06(水) 00:01:27.60 ID:SMj99DFJ0

楽しかったけど、正直な話勇者が下衆かった時の方が楽しかった
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2012/06/06(水) 19:04:02.24 ID:saBGu8ago

お子様な俺は主人公が下衆なのは嫌なんだな
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 19:51:45.96 ID:iZSeDnq/0
>>553 >>554

両方の意見がある、というのがこの物語に関してのレスの特徴だったように今は思います。
楽しみにしている展開と大きく離れた、という方が多かったのだろうな、と反省しています。

1です。

もう少ししたら投下します。
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/06(水) 19:54:45.27 ID:Vh9fp1Lno
>>555
だからと言って、内容を変えてしまうのは違う気がするから今回色々レスあったけど内容を変えてないのは正解だと思うぞ

自分の予想してたのとは違ったけど、じゅうぶん面白い
投下待ってる
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:14:07.08 ID:iZSeDnq/0
〜中庭〜

魔法「……騎士?」

騎士「……なんだ。」

魔法「聞いてほしい。」

騎士「……」

魔法「もう、国王の力だけでは、国はまとまらないみたいだ。」

騎士「……それはさっき聞いた。」

魔法「魔王を倒すためには、人間が団結して、追い詰めることは絶対条件だ。」

騎士「そんな言葉を聞きたいんじゃないっ!!」

魔法「騎士……」
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:14:38.06 ID:iZSeDnq/0
騎士「……そんな、そんな言葉じゃ……」

魔法「……英雄の血族だからといって、王家と婚姻するのは、無理かも知れない。」

騎士「分かってるなら、どうしてっ!」

魔法「そうなったら、君を奪いに行く。」

騎士「!」

魔法「魔王が勝利を収めれば、始祖の序列に従った世界を作る。そうなったら……」

騎士「……」

魔法「だから、この戦争で、負けるわけにはいかないんだ。」
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:15:51.51 ID:iZSeDnq/0
騎士「……約束しろ。」

魔法「……?」

騎士「ちゃんと、奪いに来る、って。」

魔法「……分かった。」

騎士「……」

魔法「……?」

騎士「ち、誓いのキ、キスは……?」

魔法「……ん。」

騎士「ん……」
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:16:20.46 ID:iZSeDnq/0
〜執務室〜
国王「……まさか、私に妹がいたとはな。」

盗賊「この絵が何よりの証拠です。」

騎士「……」

軍師「確かに、盗賊殿の言う通り、一時的に士気は上がるかもしれん。」

神官「精霊に選ばれた者ですからな。」

官僚「しかし……陛下の権威が地に落ちるぞ。」

国王「……」

官僚「こ、言葉が過ぎましたっ……」
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:16:48.86 ID:iZSeDnq/0
国王「いや、良い。だが、まずは、勝つことだ。」

魔法「……その通りです。」

騎士「……」

官僚「では、触れを出して、演説を……」

僧侶「失礼しますっ!!」

勇者「僧侶、お前、今までどこにっ。」

僧侶「ずっと礼拝堂にいたの! とにかく、みんな来てっ!!」
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:17:18.79 ID:iZSeDnq/0
〜礼拝堂〜

精霊「……お待ちしておりました。」

盗賊「まさか、直々にお目にかかるとは思わなかったな。」

僧侶「わ、私が一番驚いてるわ……!」

神官「お告げの時は、声だけだったのに……しかし、美しい……」

精霊「魔王の正体を、つかんだのですね。あなた方に感じた希望は、確かでした。」

盗賊「えぇ。」

精霊「しかし、残念ながら、僧侶の問いに対する答えを、私はもっておりません。」
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:18:02.74 ID:iZSeDnq/0
盗賊「なんて聞いたんだ?」

僧侶「魂を滅ぼす方法はないのか、って。」

騎士「そもそも、最初の戦いの時、始祖は倒したのではないのですか?」

精霊「倒したはず、でした……しかし、限りなく弱めただけだったようです。」

盗賊「そして力を付けて、百年前に復活し、戦争を起こしたのか。」

精霊「百年前は、なんとか肉体を滅ぼし、封印することが出来ましたが……」

神官「ま、また封印を狙ってみては……?」

精霊「始祖は、復活の度、力を強めています。もう、私の封印は効かないでしょう……」
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:18:35.17 ID:iZSeDnq/0
勇者「せ、精霊様が戦って滅ぼしたら……だめ?」

精霊「私の力は守りの力。攻撃を司る始祖には敵いません。」

軍師「どうするのだ、われわれには勝ち目がないのか!」

盗賊「……神竜の力ってやつは?」

精霊「……確かに、神竜の力なら魂に攻撃を与えられます。しかし……」

官僚「神竜など、おとぎ話の存在だろう。」

精霊「はるか古の時代に、滅びてしまいましたから……」

盗賊「内乱の時の、神竜の力、ってのはなんだったんです?」
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:19:06.31 ID:iZSeDnq/0
精霊「石です。」

勇者「石?」

精霊「正確には、最後の神竜が流した涙です。」

盗賊「そういや、いつだったか、神竜の秘宝とやらを探したっけ。」

僧侶「どのようなものなんですか?」

精霊「神竜の魂が安らかに眠ることが出来るよう、力を秘めた宝石です。」

騎士「魂、安らぎ……そ、それって、まさか!!」

魔法「まさか……?」

精霊「!! 神竜の涙……まさに。おぉ……失われたとばかり……」
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:19:36.60 ID:iZSeDnq/0
盗賊「お前、そんなもんいつの間に?」

魔法「……親戚から、もらったんだ。形見として……」

僧侶「あの時見つからなかったわけね、もう持ってたんだから。」

勇者「さすが、英雄の一族、って感じだな!!おいおい、勝ち目が出てきたぜ!」

精霊「あとは、その力を引き出せるかどうかですね……」

盗賊「それは、大丈夫ですよ、なぁ、魔法使い!!」

魔法「あぁ、必ず見つけてみせる。」

盗賊「さぁ、それじゃ、街のみんなを勇気づけようぜ!!」
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:20:07.94 ID:iZSeDnq/0
〜翌日・中央広場〜

民衆「なんなんだろうな、大切な知らせって?」

民衆「さぁ……隠し子のことじゃね?」

民衆「戦争についての話だろ、徴兵されるかな。」

盗賊「……すごい人だな。」

勇者「ひえぇぇ、緊張してきた……俺も出なきゃだめなのか?」

僧侶「あんたも、もう立派に英雄でしょ、しゃんとしなさいよ!」

騎士「……」

魔法「大丈夫?」
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:20:35.46 ID:iZSeDnq/0
騎士「……」

魔法「……(ちゅっ)」

騎士「……っ!?」

魔法「落ち着いた?」

騎士「う、うん。」

民主「おぉ……国王陛下だ。」

国王「民よ、聞いてくれ。」

国王「すでに知っているように、我が国は存亡の危機にある。」

国王「魔王が復活し、北西に陣を敷いている。」
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:21:01.46 ID:iZSeDnq/0
国王「魔法都市は解放されたが、危機は去っていない。」

国王「……かく言う私も、魔物に捕らわれ、そして、英雄たちに救われた。」

国王「精霊に選ばれし英雄たちから、話がある。聞いてくれ。」

騎士「……先に、皆さんに、話さなければならないことがあります。」

騎士「私は、王家の人間です。」

騎士「父は前王、母は……侍女の一人でした。」

騎士「そんな私が、精霊に選ばれたことには、不思議な巡り合わせを感じます。」

騎士「みなさんに、王家を信じて欲しいとは、私には言えません。」

騎士「私自身、自分が王家の人間だなどとは思ってもいなかったから……」
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:21:30.20 ID:iZSeDnq/0
騎士「でも、出自や家系が、それほど大切でしょうか。」

騎士「……私達は、魔法都市解放の際に、魔人の将と戦いました。」

騎士「凶悪な敵を打ち倒したのは、ここにいる、勇者殿でした。」

民衆「俺、あいつ知ってるぞ! 封印戦争の英雄の末裔だ!!」

民衆「じゃあ、結局、家系が大事だってことじゃないか……?」

勇者「違うんだ!!」

勇者「俺は……英雄の子孫なんかじゃない、それは、ねつ造だったんだ。」

勇者「うちは、ただの伝記書きさ……だから、精霊は俺を選ばなかった。」
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:22:01.22 ID:iZSeDnq/0
騎士「……大切なのは、今です。」

騎士「勇者殿は、精霊に選ばれたわけでもなければ、英雄の家系でもありません。」

騎士「でも、魔法都市を解放したのは、勇者殿でした。」

兵士「そうだ、勇者殿が俺達を解放してくれたんだ!!」

兵士「魔将をやっつけたのだって、勇者殿だったんだっ!!」

勇者「ま、魔法都市の兵士達……!!」

兵士「誰がなんと言ったって、あなたは英雄だっ!!」

兵士「胸を張ってくれ!!」

兵達「勇者っ!! 勇者っ!!」

兵達「勇者っ!! 勇者っ!!」
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:23:24.95 ID:iZSeDnq/0
盗賊「……応えてやれ。」

勇者「えぇっ!んなこと言われたって……!」

僧侶「思いつきでいいから、早くなんか言いなさいよっ。」

勇者「あ、え〜〜と……」

勇者「……」

勇者「俺は、精霊に選ばれて、ない。」

勇者「英雄の血筋でも、ない。」

勇者「当然、王家でもなければ、貴族でもない、どこにでもいる男だ。」

勇者「……間違ったことも、あった。」

勇者「逃げたことも、あった。」
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:23:59.66 ID:iZSeDnq/0
勇者「そんな俺が、ここまで来れたのは……みんながいたおかげだ。」

勇者「仲間が教えてくれた……必要のない人間なんていないって。」

勇者「誰でも、自分を変えられるって。」

勇者「忘れないで欲しい、俺達はみんな、自分の人生の主人公だ。」

勇者「みんな、自分の可能性に気付いてないだけなんだ!」

勇者「俺達は、一人ひとりが、英雄なんだ!!」

兵士「勇者っ!! 勇者っ!!」

民衆「勇者っ!! 勇者っ!!」
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:24:26.74 ID:iZSeDnq/0
国王「……みな、聞いて欲しい。」

国王「私も、此度の戦、国王としてではなく、一人の人間として参戦する。」

騎士「……私も、同じです。王家ではなく、選ばれし者ではなく、人として、戦います。」

騎士「力を貸して、いただけますか。」

民衆「もちろんだっ!!」

民衆「勝つんだっ!!」

騎士「……ありがとう。」

勇者「みんなっ!! 戦おうっ!!!!」

英雄「おぉぉーーーーーーー!!!!」
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:25:01.83 ID:iZSeDnq/0
魔法「生成魔法……はい、お水。」

騎士「ありがとう……ふぅ、喉がカラカラだ。」

魔法「かっこよかったよ。」

勇者「まだ、足が震えるよ……」

僧侶「立派だったわ、勇者!」

盗賊「大したもんだよ、ふたりとも。」

勇者「みんなのおかげだよ。」
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:25:29.84 ID:iZSeDnq/0
騎士「その通りだ、一人では、あの舞台に立つことも出来なかったろう。」

盗賊「うれしいこと言ってくれるじゃん。」

国王「みな、まことに大義であった。」

軍師「兵達の士気は極めて高い状態です。これで負けるはずがない!!」

官僚「民衆の混乱もおさまりました、陛下への忠誠は前より高くなっているようです。」

神官「精霊の加護が、感じられるようですな。」

国王「今夜はゆっくりしてくれ。具体的な軍略は、明日にしよう。」
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/06(水) 20:31:58.39 ID:iZSeDnq/0
今日はここまでです。

次回の投下で、終わりになるかも知れません。

>>556 あたたかい激励ありがとうございます、しみました。
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2012/06/06(水) 20:36:13.67 ID:saBGu8ago

俺も>>1が好きに書いてるの読むのが楽しい
>>1が誰より楽しくなきゃ意味ないと思うし
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/06/06(水) 20:38:00.31 ID:Vh9fp1Lno
>>577
乙乙!!
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/06(水) 21:05:39.66 ID:hdKcd34eo

勇者の成長っぷりがパネェ‥
王道の少年漫画のようだ
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)[saga]:2012/06/07(木) 00:54:25.88 ID:5czu2cN60
ダメな人間が立派に成長した所を見れば、他の人間だって「自分だって変われるかも」と希望を持つようになる。
だから、王道ってのはいつの世も愛されるものなのかも。
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/07(木) 09:17:38.34 ID:KVCWZ5EIO
読んでて思ったけどもう誰も最初の性格の奴がいないな。
僧侶とか別人だろ
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/07(木) 12:37:36.82 ID:1S6457MIO
>>582
旅のなかで成長したのさ
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:24:42.41 ID:2ntD6Z4I0
投下します!
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:25:21.09 ID:2ntD6Z4I0
〜夜・宮殿・テラス〜

魔法(一人ひとりが英雄、か……すごかったなぁ、勇者。)

魔法(目的は、完全に果たされたな。)

魔法(……)

魔法(神竜の涙、か。)

魔法(汝の魂に安寧を……神竜の力とは、魂へ直接作用する力のことだったのか。)

魔法(でも、その作用の質は、癒しだ。)

魔法(癒しでは始祖を倒せない。)

魔法(古の戦いで、最初の英雄はどうやって戦ったんだ?)

魔法(……分からない……)
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:25:50.98 ID:2ntD6Z4I0
勇者「ちょっと、いいか。」

魔法「勇者……何かあったのか?」

勇者「いや……お前と、ゆっくり話したことなかったなぁ、と思ってさ。」

魔法「……そう、かもね。」

勇者「……あのさ。」

魔法「ん?」

勇者「感謝してる。」

魔法「何に?」

勇者「色々さ……家のこととかな。」
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:26:18.09 ID:2ntD6Z4I0
魔法「そんなことか。もういいんだよ……昼間の演説は、まさに英雄の姿だった。」

勇者「英雄にしてくれたのは、お前だよ、魔法使い。」

魔法「何かしたっけ?」

勇者「何もかもさ。旅の最初から、魔法のコツ、この宝剣……全部、お前のおかげだ。」

魔法「勇者の力だよ、特にその宝剣の使い方なんて……ん!?」

勇者「な、なんだよ?」

魔法「勇者は、腕輪の魔力そのものを切れ味に転化させた……」

魔法「神竜の力そのものも、攻撃に転化させられるんじゃないか?」

魔法「それなら、体を傷つけないで、魂だけを攻撃できるんじゃないか?」
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:26:49.07 ID:2ntD6Z4I0
勇者「で、でも、この剣は魔力を変換するもんなんだろ? 神竜の力なんて……」

魔法「……いや、方法はある。」

魔法(魔法剣生成の要領で………っ!)

魔法(神竜の涙から、神竜の力を引き出して……っ!!!)

魔法(っ……!!!)

魔法「出来た……!!」

勇者「おいおい、秘密兵器、完成か!?」

魔法「は、ははは……勇者、君は本当に英雄だよ!!」
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:27:16.85 ID:2ntD6Z4I0
騎士「何を騒いでいるんだ?」

勇者「騎士、見ろよこれ、この剣!」

騎士「これは……?」

魔法「見てよ騎士、これ、が、神竜の、ちか、ら……」

騎士「魔法使いっ!!」


〜寝室〜

魔法「う……ん……?」

僧侶「よかった、目を覚ましたわ。」

盗賊「おいおい、心配しちまったぞ。」

魔法「あぁ……ごめん。」
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:27:44.14 ID:2ntD6Z4I0
勇者「さっきの顛末はみんなに話しといたけど…どうなんだよ、体は。」

魔法「大丈夫だよ。」

騎士「……本当に?」

魔法「だ、大丈夫……」

騎士「本っ当に!?」

魔法「……え、と……」

騎士「……」

魔法「だ、大丈夫……じゃない、です。」

騎士「負けず嫌いの強がりめ……」
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:28:34.07 ID:2ntD6Z4I0
僧侶「どんな感じ?」

魔法「とにかくだるいな……でも、疲れが出ただけだよ?」

騎士「……ちゃんと正直に、言え。」

魔法「はい……神竜の力で長時間戦うのは、無理そうかな……。」

勇者「俺たちには出来そうにないのか?」

魔法「……無理、だと思う。制御が難しすぎるから。」

勇者「やれやれ、じゃあ、結局お前に頼るしかないってのか?」

騎士「そんな……!」

盗賊「いや、そんなことないんじゃねーか?」
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:29:01.45 ID:2ntD6Z4I0
僧侶「どういうこと?」

盗賊「要は、その神竜の力でとどめをさせればいいんだろ。」

魔法「そう、だと思う。」

盗賊「ぎりぎりまで追いつめて、とどめは神竜の力でザクッ!……どうだ。」

騎士「……それしか、ないだろうな。」

僧侶「結局、みんなで協力しなきゃ勝てないってことね。」

勇者「仲間らしくていいじゃん!」

盗賊「さ、まずはゆっくり休もうぜ。明日からはまた忙しくなる。」
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:29:28.79 ID:2ntD6Z4I0
〜決戦〜

盗賊「ヒューッ、壮観だなぁ……!」

船長「おぉ、大活躍みてぇだな!」

盗賊「船長!!」

自警「すべての都市から、援軍が来ていますからね。」

盗賊「城塞都市の……!」

軍師「6大都市の戦士が終結していますからな。」

僧侶「心強いわね……でも、勝てるかしら……」
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:29:56.71 ID:2ntD6Z4I0
神官「精霊の加護は、我らにありますよ。」

魔法「だが、向こうには始祖の加護がある。」

団長「考えても、答えは出んぞっ!」

騎士「父上っ!!」

団長「我々も推参した……魔法使い、目的は果たしたようだな。」

魔法「はい。」

団長「盗賊、僧侶、そして……勇者。今まで、よく頑張ったな。」

盗賊「まだ終わったわけじゃないでしょうが。」

僧侶「そうそう、もうひと頑張りしなくっちゃ!!」

勇者「……そうだ、俺たちは、凱旋するんだからさ!!」
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:30:27.74 ID:2ntD6Z4I0
団長「そして、騎士よ……まだ、父と呼んでくれるか……」

騎士「当然です……父上。」

騎士「すまぬ……しかし、魔王を倒す算段はあるのか?」

勇者「大丈夫だ!!」

僧侶「ったく、なんにも考えてないみたい……でも、そう。なんとかなる!」

国王「頼もしいな。まぁ、そなたらに不安そうにされては困るがな。」

軍師「……では、陛下、号令を。」

国王「……いや、そなたがかけよ、勇者よ。」
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:30:55.90 ID:2ntD6Z4I0
勇者「お、俺…じゃなくて、私が!?」

国王「あの演説で、お主が民衆の心の支えとなっておる。」

騎士「王家の者が号令をすべき戦いではない。」

僧侶「みんなが英雄だってことを、もう一回確認しましょ?」

魔法「はい、拡声魔法。頑張って。」

勇者「頑張って、たって……」

盗賊「そのでかさで情けない声出すんじゃねぇっての!」

勇者「……よし。」
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:31:21.57 ID:2ntD6Z4I0
勇者「んん!!」

盗賊「咳払いがでけぇよ!!」

勇者「俺達には、精霊がついている!」

英雄「おぉーーー!!」

勇者「英雄達よ、剣をとれ!!」

英雄「おぉーーーーーー!!」

勇者「勝利は、我らの手に!!!!」

英雄「おぉぉーーーーーー!!!!!!」
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/07(木) 20:34:09.36 ID:2ntD6Z4I0
すみません、最後の投下にはなりませんでした。
ちょっと長くなりすぎるので……

決して新しい作品を書くのが楽しいからとか、
そっちに時間を費やしたいとか、そういうことではないんです。

明日で必ず終わります。

次回、最終回!!
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2012/06/07(木) 21:33:36.69 ID:115ARGcXo

600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/07(木) 21:59:54.12 ID:S4TLU7IN0
おつ
楽しみにしてる
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/06/07(木) 23:09:34.24 ID:ws0ByBsUo
明日か!
楽しみにしているよ!
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/08(金) 02:06:49.39 ID:R10NoOgDO
最終回短すぎと思っていたから良かった
楽しみにしてる乙
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:13:03.33 ID:lyIQJ2iS0
〜引き続き、戦場〜

盗賊「右翼、出過ぎだ、止まれっ!!」

盗賊「魔法隊、前へ……準備……撃てっ!!!」

盗賊「続けて、弓隊用意!!……まだだ、引きつけろ……撃てっ!!」

軍師「まったく迷いのない……みごとな指揮能力ですな、盗賊殿っ!」

盗賊「あいつらに鍛えられたんでね。」

船長「敵は後退を始めたようだぜ。」

盗賊「んじゃ、あとはお任せしますね。」

軍師「……武運を!」

盗賊「はいよっ!!……そうだ、船長。」

船長「なんだ?」

盗賊「ひとつ、頼まれてくれないか?」
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:13:41.47 ID:lyIQJ2iS0
僧侶「回復魔法(全)!!」

神官「おぉ……なんという威力!!」

司祭「僧侶、お主、ここまで力をつけていたとは……!」

僧侶「私、もう、弱い女じゃなくなったからさ……」

僧侶「でも、私、行かなきゃ。」

司祭「行ってきなさい……本当に大切な者のために。」

僧侶「うんっ!!」
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:14:11.47 ID:lyIQJ2iS0
勇者「隠密魔法……解除!!」

魔人「ギル!?」

勇者「かかれっ!!!」

兵達「ウォォォーーーー!!」

勇者「へへ、頭を使って戦えよ、魔物ども?」

兵達「勇者殿、次はどうしますかっ!」

勇者「よし、一度退いて本隊と合流だ……俺は前線へ行く。」

兵達「勝ったら、みんなで祝杯をあげましょうね!!」

勇者「おうっ!!」
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:14:41.29 ID:lyIQJ2iS0
騎士「……」

国王「行きなさい。」

騎士「でも……作戦では、私はここに残らなければ。」

国王「なに、どうせ負けたら魔物の世になる。王家の血がどうのと言ってられん。」

騎士「……」

国王「生きて帰ってきなさい……そして、お祝いをしよう。」

騎士「陛下……」

国王「家族の再会と、妹の祝言のね。」

騎士「……はいっ、兄様!!!」
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:15:07.97 ID:lyIQJ2iS0
魔法「………」

魔王「いるのだろう、そこに。」

魔法「気付いていたのか。」

魔王「不遜だな、英雄の末裔よ。」

魔法「……分かるのか。」

魔王「私は始祖だぞ?どんな魔法も使いこなす存在だ…このように!!」

魔法「!!反射魔法っ!!」

魔王「ほう、やるな…?」

魔法「ここで負けるわけにはいかない……お前を倒せば、戦いも終わる。」

魔王「ふっ……まぁ、その前に、すでに劣勢になっているようだがな。」
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:15:37.18 ID:lyIQJ2iS0
魔法「観念したか?」

魔王「何を馬鹿な……この戦争は余興に過ぎん。元々、私一人で十分なのだ!」

魔法「……っ!!」

魔王「ほう、雷撃魔法にも反応するとは、大したものだ。」

盗賊「その余裕も、今の内だけだぜ。」

魔王「む……?」

勇者「悪いけど、容赦しないからな。」

魔王「……」

僧侶「精霊の力を、思い知らせてあげるわ。」

魔王「ぞろぞろと……数が揃えば勝てると思っているのか。」

騎士「思ってるさ。」

魔法「みんな……騎士っ!?」

騎士「ただの数じゃない……私たちは、仲間だっ!!」
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:16:03.28 ID:lyIQJ2iS0
魔王「下らん……ふん、まぁいい、遊んでやる!……腐食魔法!!」

盗賊「っとぉっ!!……僧侶、下がって補助!!」

僧侶「了解!……防御補助魔法、それと、耐性魔法!!」

勇者「くらえっ!!……!?」

魔王「……魔法剣生成。ふんっ!!」

勇者「やべっ……っ!!」

魔法「斥力魔法!!」

魔王「ちっ……」

盗賊「勇者、踏み込みすぎるな!!間合いを保てっ!!」

勇者「お、おうっ!!」
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:16:36.14 ID:lyIQJ2iS0
魔法「強化魔法、加速魔法……くらえっ、疾風剣っ!!」

魔王「ぐくっ……!!」

騎士「そこだっ!!」

魔王「グゥッ!?」

騎士「……どうだっ!?」

魔王「ウォォォォォッ!!」

騎士「うっ!?」

僧侶「ぼっ、防御魔法!!」

盗賊「随分元気だな………効いてない、のか?」
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:17:08.07 ID:lyIQJ2iS0
騎士「いや、効いてはいる。」

勇者「まだまだ、これからだぜ!! 脱力魔法で……魔法剣っ!!」

僧侶「魔法剣なんて、いつの間に……!」

勇者「人間、頑張れば何でも出来んだよ!! くらえっ!!」

魔王「くっ、こざかしい真似を……っ!!……魔力収束。」

盗賊「まずいっ、離れろっ!!」

魔王「爆裂魔法っ!!」

魔王「……ふん、やりすぎたか?……ぐふっ!?」
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:17:34.72 ID:lyIQJ2iS0
魔法「……どうだっ。」

騎士「私たちの、勝ちだ。」

魔王「き、騎士の盾の後ろに、さらに、魔法使い……っ……くっ!!」

騎士「……消えた。」

僧侶「ぃやったぁ!!」

勇者「よっしゃぁ!!」
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:18:07.18 ID:lyIQJ2iS0
騎士「魔法使い……大丈夫だろうか。」

使魔「……」

盗賊「魔王は、絶対に油断してるはずだ。自分が滅びるはずが無いってな。」

勇者「あっちは、信じて、任せようぜ。」

僧侶「さ、戻って勝鬨をあげなくちゃね、英雄さん?」

盗賊「みんな、お前を待ってると思うぜ。」

勇者「おうっ!!」
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:18:39.60 ID:lyIQJ2iS0
魔王「ぐ……こ、この肉体もここまでか……」

魔法「いや、お前の長い生そのものが、ここで終わりだ。」

魔王「貴様……そうか、追尾魔法か。ふ、ふふふ……」

魔法「……なにがおかしい。」

魔王「それほどの魔法を使いこなす身ならば、魔法の知識もあるだろう。」

魔法「それがどうした。」

魔王「分からんのか、私には勝てないということが!」

魔法「……魂を滅ぼすことはできない。」

魔王「その通りだ、この体を消滅させても、私は精霊郷に戻るだけだ!!」
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:19:10.91 ID:lyIQJ2iS0
魔法「いや、違う。お前は精霊郷には帰れない。」

魔王「ふん、封印の準備もしていないくせに、偉そうなことを……。」

魔法「封印も、するつもりはない……っ!!!!」

魔王「そ、それは……し、神竜の力!?」

魔法「……言い残すことはないか?」

魔王「ひっ……わ、私と組もう、そうすれば、世界のはんぶぎゃふっ……」

魔法「汝の魂に、安寧を。 ふーっ……終わった……」

魔法「騎士、聞こえる?」

騎士「あぁ、聞こえる。終わったのか?」

魔法「うん……それじゃ、帰るよ。転移魔法!!」
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:19:37.84 ID:lyIQJ2iS0
〜宮殿・礼拝堂〜

精霊「始祖は、完全に消滅しました。4人とも、本当にお疲れ様でした。」

僧侶「4人って、誰のことかしら?」

精霊「……そうですね、私は間違っていたようです。みなさん、お疲れ様でした。」

盗賊「ま、人間みんなでつかんだ勝利ってことで、認めて下さい?」

勇者「へへ、本当にみんな、頑張ったんだからさっ。」

精霊「えぇ……私はまた、精霊郷で皆さんを見守ることにしましょう。」

国王「……さて、ここで大切な話をしておきたい。」

官僚「……」
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:20:03.24 ID:lyIQJ2iS0
盗賊「なんです、あらたまって?」

国王「今日をもって、王制を廃止しようと思う。」

騎士「え……?」

国王「出立の前に、重鎮には話しておいたことなのだ。」

官僚「今回の戦いで、各都市同士の絆は深まり、自治力も認められました。」

国王「血筋という考え方の象徴である王家は、いつか人類の弊害になる。」

国王「……私は、そう思うのだ。」

国王「此度の戦で、血や家にとらわれぬ大切さを、皆が知った。」

国王「魔王が消えたことを機に、真の意味で、民の国にしたいのだ。」
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:20:32.43 ID:lyIQJ2iS0
官僚「このことは、明日にでも全国民…いえ、全ての人に伝えられます。」

国王「いろいろと困難はあるだろうが、私の挑戦だ。」

盗賊「……最後の王様として歴史に残るってのも、いいんじゃないですか。」

国王「ふっ……さて、騎士よ。」

騎士「はい?」

国王「もう、王家かどうか、そんなことにとらわれる必要はなくなったぞ?」

騎士「え……?」

国王「兄として、妹の幸せを願っているよ。」

騎士「そ、それって……」
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:20:58.86 ID:lyIQJ2iS0
勇者「おっ、そういや、都合良く礼拝堂じゃん。」

僧侶「あらら、先を越されちゃったかな?」

盗賊「よし、それじゃあ……神官さん、お約束、やってくれよ?」

神官「では、僭越ながら……」

騎士「ちょちょちょ、ちょっと、みんみゃっ?ま、魔法使い、こんな、急に……!」

魔法「どっちにしても、奪いに来る約束だったでしょ?」

騎士「だ、だからって……」
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:21:29.59 ID:lyIQJ2iS0
盗賊「こんなに贅沢な式はないぜ、なぁ、精霊さん?」

精霊「あら、私、目の前で誓いを立てられるのは初めてです。」

騎士「せ、精霊様まで……っ!」

神官「……では、二人とも。精霊に、永遠の愛を誓いますか?」

魔法「誓います。」

騎士「……ち、誓います。」

神官「では、誓いの口づけを……」



精霊「すべての人が、なりたい自分になれますように……」

おわり      ?
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:21:57.54 ID:lyIQJ2iS0
〜エピローグ〜

兵A「なぁなぁ、今回の戦争の立役者たちが、なにやら会議してるらしいぜ。」

兵B「どこで?」

兵A「執務室。」

兵B「……行く?w」

兵A「行く行くw」


勇者「どう?」

魔法「時間がない中で、ちゃんと書いていたんだね。」
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:22:23.14 ID:lyIQJ2iS0
僧侶「まぁ、内容的にはうまいことまとめた、って感じね。」

騎士「誰も失態がなかったことになっているが、いいのか?」

盗賊「まぁまぁ、赤裸々すぎるとまずいって……で、これからどうするんだ?」

魔法「俺たちは、一度鉱山都市に帰って、神竜の涙を返してくるよ。」

勇者「えーっ、もったいねぇ。」

僧侶「ふたりの結婚記念品にしちゃったら?」

騎士「ふたりで決めたことなんだ。」

魔法「……きっと、これを手に入れるために、あの人はすごく苦労したはずだから。」

騎士「だから、その魂に、安らぎを与えなければな。」
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:22:50.30 ID:lyIQJ2iS0
盗賊「なるほどね……で、そのまま仲良く新婚旅行ってわけだ。」

魔法「ま、まぁね。」

騎士「僧侶たちは?」

勇者「まずは、俺達も帰るよ。そんで、街のみんなに謝罪する。」

騎士「もう立派な英雄じゃないか……そんなこと、もう、いいんじゃないのか?」

僧侶「英雄の子孫ってのは嘘だからね、筋は通さなきゃ。」

勇者「そんで、それが終わったら、いよいよ僧侶の筋に……」

騎士「(ヒュッ)」
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:23:20.49 ID:lyIQJ2iS0
勇者「うおっ、あぶねっ!!」

盗賊「おぉ、避けた!」

魔法「うーん、成長したね。」

騎士「む……では、これならどうだっ!!」

勇者「うおぉっ!! ひ、人で遊ぶなっつーの……あれ、盗賊はどうすんだよ?」

僧侶「また旅に出るの?」

盗賊「あぁ、俺は……」

船長「おぉ、ここにいたのか。準備は出来てるぜ。」

盗賊「……てことで、俺は海を渡るわ。」
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:23:51.04 ID:lyIQJ2iS0
魔法「海を……」

騎士「渡る!?」

勇者「そんなこと、出来るのかよ。」

船長「最近、海の向こうから色々なものが流れ着くようになったんだ。」

盗賊「それで、きっと向こう側に、別の陸地があるんじゃないかと思ってさ。」

僧侶「船酔いするじゃない!」

盗賊「心配はそこかよ……失敗するかもしれないけど、何でもやってみなくちゃな。」

魔法「失敗したら、いつでも歓迎してあげるよ。」

騎士「あぁ、もちろんだ。」

勇者「誰かが失敗したら、またすぐ集まろうぜ。」

僧侶「それでお祝い、ね!!」
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/08(金) 23:24:33.65 ID:lyIQJ2iS0
終わりに

 5人の物語は、これで終わりです
 せっかく書くのだからと、だいぶ試行錯誤しましたが、いかがだったでしょうか。
 本編、気が付けば、ワードファイルで100ページを超えていました。

 読みながら「はぁん?」となった方、表現力不足で申し訳ありませんでした。
「あーあー、こういう展開にした方がいいのにな〜」「わかってねーなー」
 という方もいらっしゃるとは思いますが、未熟さを一笑に付して頂ければと思います。

 あとがきとして、登場人物ごとのテーマなどを語ろうかとも思っていましたが、
 理屈っぽくなるのでやめときます。長くなるし。

 最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございました!
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/08(金) 23:33:49.39 ID:+VO/wuqSO

SSも読み手のレスも面白くて楽しかったです


ただ魔王とは何だったのかwwww始祖()wwwwww
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/06/08(金) 23:35:20.60 ID:jZ03SdCmo
魔王が小者すぎるwwwwwwwwwwww
なんのギャグなんだとwwwwwwww
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/06/08(金) 23:55:17.01 ID:43akz+3s0

面白かったよ〜
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2012/06/09(土) 00:00:40.46 ID:MpwQnt5Lo
魔王さんは慢心してたんだよ
本気だせば勇者たちなんて…(´・ω・`)
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/09(土) 00:43:35.83 ID:oas3j5Nio
まぁ、魔王を倒す事より5人のあり方がメインだったんだからあんなもんでいいんじゃね
乙乙!!
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/06/09(土) 01:16:25.34 ID:d3R2ePg70
乙です
旅のトラブルの原因の一つの精霊の予言が間違ってました。で終わってしまったのがなぁ
てっきり勇者は魔王戦での犠牲になるとか、途中リタイアになると思ってたのに
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2012/06/09(土) 01:31:42.88 ID:+Yq0mVz10
なんか打ち切り漫画の最終回を読んでる気分になるのはなぜだろう
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/09(土) 01:37:38.45 ID:OduBOsevo


そこは精霊の膝下から人間が巣立ちつつあるとでも解釈しとこうぜ
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/06/09(土) 01:56:39.40 ID:gEgoDMoro
面白かったぜ!
乙乙。
しかし>>1の文がこれからは読めないのが残念だ
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/06/09(土) 02:43:18.53 ID:hRwCvBpAo
最後の戦い、騎士ほとんどなーんにもしてない…
なんで選ばれたんだろう…。
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/09(土) 03:59:34.82 ID:p81L1L/DO
乙かれさん
楽しく読ませてもらったけどあっさりしすぎで薄っぺらく感じてしまった
次楽しみにしてる
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/09(土) 04:22:04.79 ID:04iiae470
1です。

物語は終わり、作品で語るということも出来ませんので、
直接皆さんのレスに対してお応えします。
これまでに返せなかったお詫びも含めて。

レスもすぐになくなると思いますので、
落ち着いてからHTML化をお願いしたいと思います。
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/09(土) 04:22:45.71 ID:04iiae470
>>627 >>628
「魔王=始祖が弱い」という点は、>>631 の通りです。
ラスボスなのでRPGなら3回くらい変身したほうがいいと思うのですが、
この作品の場合は、強くある必要性を感じなかったので、あんな感じでした。
「描きたいキャラ」というより「展開上必要なキャラ」ですので……
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/09(土) 04:23:34.35 ID:04iiae470
>>632 >>636
後の記録には、精霊のことはほとんど書かれないでしょうね。
決戦で精霊が役に立たなかったことから分かるように、人間は精霊から親離れしています。
>>634 の通りです)

湾岸都市で船長に「あれ、5人じゃなかったっけ?」と言わせたのは、
精霊の啓示が実はそれほど重要な意味をもっていないことを示唆させたかったためです。

実際、王様に選ばれたり神様に選ばれたりすることよりも、
自分でどうなりたいかという意志のほうがよほど重要だと思うのです。

そういう、ファンタジーの「当たり前」につっこみたいなぁ、というのが、
この物語を書いた動機のひとつでした。(それだけでもないのですけど)
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2012/06/09(土) 04:24:02.80 ID:04iiae470
>>633
「もうちょっと読んでいたかった」という内容だと解釈させていただきます。
またどこかでお会いしましょう。

>>635
「次の作品を待ってるぜ」という内容だと拡大解釈させていただきます。
ありがとうございました。

>>637
「ねぎらい→批評→激励」という息もつかせぬ3連携に感服しました。
またどこかでお会いしましょう。
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)[saga]:2012/06/09(土) 09:49:42.77 ID:vcTih8Ba0
お疲れ様でした!
最初の頃の「勇者がクズ」だの「4人がクズ」だのという感想ばかりの頃は完走してくれるのだろうか?この感想のせいで投げ出してしまうのでは?とか心配していたのですが、杞憂だったようで。

それにしても、旅の記録係として連れてこられた勇者、なんだかんだ言ってキッチリ記録付けてたってことは屑だ屑だ言われてた頃からちゃんとやることはやってたんですかね。自分のやるべき事をキッチリやってる人間はクズじゃないですよね。
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/09(土) 10:15:28.66 ID:PUc9sF/Go
お疲れ様でした。
正直、勇者離脱からの四人の変化が唐突だったりなど
気になる点はいろいろありましたが面白かったです。
また次の作品楽しみにしてます。
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/12(火) 00:16:18.13 ID:xVo/NNjIO
おつ!久々にSSらしいSSで胸厚だったぜ



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