◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 00:50:21.78 ID:+aZbIcoAO<>
◆H0UG3c6kjA改め◆2/3UkhVg4u1Dです。


・ヤンデレな右方のフィアンマさんに愛されすぎて夜も眠れない上条さんがタイトル通り頑張るお話

・時間軸曖昧、21巻後半からのスタート

・フィアンマさんの(当スレにおいて本当の)性別を、スレの途中一度だけ安価(女・ふたなり)をとり、決めます→NL・ふたなりスレの可能性有り

・当スレのフィアンマさんは少なくとも男性ではありません(一人称等は変化しません)

・基本はほのぼの(?)進行…だと思われます

・キャラ崩壊注意

・>>1は(安価スレの割に)遅筆


※注意※
安価次第で展開が変わります。
ホモスレになる場合があります。
NLスレになる場合もあります。
ふたなりスレになる場合もあります。
エログロ展開の可能性があります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1339948221(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>上条「ヤンデレなフィアンマを安価で説得して逃げたい」
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 00:51:37.47 ID:+aZbIcoAO<>
辿りついた一室。
赤く、崩落した儀式場で、フィアンマと上条当麻は相対した。
上条当麻は拳を握りしめ、フィアンマの手を見た。
インデックスの遠隔制御霊装が―――無い。
何処に隠したのかと訝る上条に、一瞬油断が生まれた。
その隙を逃す事なく、蜘蛛の糸の様にワイヤーが伸びて上条を拘束した。

上条「!?」

フィアンマ「これでようやく二人きり、という訳か」

のんびりとした語調で、フィアンマが言う。
上条はフィアンマを睨みつけるも、相手にする様子は無く、フィアンマはゆっくりと上条に近寄ってくる。

上条(クソ、消せない…!?)

フィアンマ「名目上はお前の右腕を欲しがっていたこの俺様が、お前の右手の特性を知らないとでも?」

上条「…名目上?」

フィアンマ「物理的な拘束には勝てないだろう。…ん? 名目上で間違いは無いが」

上条「俺の『幻想殺し』を狙ってたんじゃ、」

フィアンマ「いや、そういう訳でも無い。俺様はお前とこうして二人きりになりたかっただけだよ」

悪びれる様子も無くそう囁いて、フィアンマは拘束をよりきついものにしていく。
鬱血しないように、まるで骨董品を磨いて飾るかの様な丁寧な手つきで。
電気椅子に縛り付けられた受刑者のような状態で、上条はどうする事も出来ないままフィアンマを見上げる。

フィアンマ「『禁書目録』の遠隔制御霊装から必要な知識は全て受け取った、故に遠隔制御霊装は壊した。俺様の意識に割り込みをかけるという事は、間接的にお前と過ごすという事なのだからな。あぁ。、この城の中に居る赤い修道女は拘束、加えて…お前に色仕掛けしようとしていたあの汚らしい子供は始末しておいたからな、安心しろ」

上条「何…何言って…」

<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 00:54:00.22 ID:+aZbIcoAO<> フィアンマ「鈍いヤツだな。お前にすり寄る意地汚い女共は…二度とお前に干渉出来ないようにした、ていう事だよ」

上条「……、…」

フィアンマ「…『ベツレヘムの星』は壊されても壊されても自動修復される。大天使は完全に破壊された訳ではないからな、戦争は、じき適当に終わるだろう。だ、だから…死ぬまで、ずっと一緒に暮らそう」

そう強制的に提案したフィアンマはほんのりと頬を赤く染め、恥ずかしそうに上条を見つめる。
そこに敵意や悪意はなく、上条に対しての好意があるだけだった。
冗談ではない。
本気だ。
狂気はあれど、恋情から派生した極めて人間的な行動。
好きな相手を閉じ込めたい、ずっと一緒に居たい、という願いは、誰かを本気で愛すれば自然と出てくるものだ。
普通の人間であれば結婚や同居で縛り付けるものの、フィアンマは尋常でない。
偽りの目的でもって上条を引き寄せ、これから永遠に『ベツレヘムの星』の中で上条当麻と共に暮らすつもりなのだ。
遠隔制御霊装の欠片らしき何かは床に転がっている。嘘ではないようだ。
上条の目的は果たすまでもなく終わっているのだから、この際フィアンマを殴るのは諦めて、何とかひとまず、ここは逃げなければならない。上条の右手がなければフィアンマはこれ以上の凶行を果たせないのだから。
言葉選びを慎重に慎重に、冷や汗をかきながら上条は言葉を返す。



上条「……、…>>5」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 00:55:32.23 ID:B3kuaUpSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 00:55:40.28 ID:akb8FVx8o<> スレタイで大体特定出来るレベル怖い
掛け持ちなのね? ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 00:59:01.89 ID:B3kuaUpSO<> 勘弁してもらえねーですか… <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 01:07:35.77 ID:+aZbIcoAO<> 《>>5様 そんなにわかりやすかったでしょうか…掛け持ちですがどちらもきっちりやり遂げる所存です》



上条「……、…勘弁してもらえねーですか…」

フィアンマ「ん? 何をだ?」

上条の発言を聞き、不思議そうに首を傾げたフィアンマは、攻撃されてはすぐさま修復されていく『ベツレヘムの星』内に視線を走らせる。

フィアンマ「お前は、俺様が守ってやるからな。お前は俺様と二人きりで一緒に居るのが一番の幸せなんだ、何も心配は要らん。ライフラインは用意してあるし、食材も蓄えがある」

何も怖くない、と酷薄に微笑みかけてくるフィアンマを睨み、どうする事も出来ないまま、上条は震える。
コイツはおかしい。
何かが、おかしくなっている。

フィアンマ「さて、暇だな。雪の中寒かっただろう、何か飲み物でも」

上条「……、…」

ふむ、と考えこんだフィアンマは踵を返し、儀式場から一旦消え、ゴブレット片手に再び現れた。中身の液体は見えない。


フィアンマ「口に合えば良いのだが」

上条「何だよ、それ…」




ゴブレットの中身>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 01:09:35.02 ID:B3kuaUpSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 01:09:57.39 ID:akb8FVx8o<> やっぱり掛け持ちなのね? がミスってた。まあどうでも良いた

安価なら、牛乳 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 01:23:05.93 ID:+aZbIcoAO<>
フィアンマ「牛乳だよ、何の変哲も無いミルクだ。腐っていないかどうか確かめてから持ってきた、心配には及ばんよ。しかし、その状態では飲み辛いか」

自分でやっておきながら上条の体勢に同情したフィアンマはゴブレットの中身―――白く甘い香りのする液体を見せ、しばし悩んだ後、ポケットからストローを差し出してゴブレットに突っ込む。多少間抜けではあったが、座ったまま腕の自由すら利かない上条に対しては優しい処置だ。
ただし、心底からの思いやりとはいえない歪んだものだが。
上条はゴブレットを見つめ、口元に当てられたストローを口に含むかどうか迷う。

もし、毒が入っていたら。

自分は死に、抵抗出来ず右手を切り取られて使われるだろう。

もし、毒が入っていなかったら。

フィアンマの怒りを買う可能性がある。

シュレディンガーの猫箱の問いにも等しい状況に上条は閉口し、しばらく悩む。




牛乳を飲むor飲まない>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/06/18(月) 01:23:47.51 ID:4vnMEeHXo<> 飲む <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 01:24:58.96 ID:B3kuaUpSO<> 飲まねェ!!ブラック珈琲を所望する!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 01:31:54.15 ID:AFqTiVzso<> またお前かwwwwwwww <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 01:37:03.16 ID:+aZbIcoAO<>
上条「要らねえ。…あ、…ブラックコーヒーが、良いんだけど、さ。ダメか?」

強く言い切りかけ、フィアンマの表情を窺うと共に提案の形をとった上条は賢かったのかもしれない。
フィアンマは仕方ないといった様子で牛乳を飲み干し、ゴブレットを片付けに、再び儀式場から消えた。
コーヒーを淹れるのにはしばし時間がかかる。
上条にとっては他でもない好機だ。

上条(右手で壊せない…何をすれば良い…どうすれば逃げられる…? 身動きはロクに出来ねぇ、けど…ッ)




フィアンマが居ない間何をする>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 01:38:49.50 ID:B3kuaUpSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 02:04:06.03 ID:J/x8pOuX0<> 諦める <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 02:05:15.90 ID:FdOSovTIO<> すまんNLスレってなんのことか教えてくれ

安価ならなんとか携帯で連絡を取る <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 07:28:12.00 ID:+aZbIcoAO<> 《>>17様 Normal Loveの頭文字を取ってNL、つまり男女間における一般的な恋愛模様の事です》


上条(ダメだ、まったく動けねぇ…ッ、…しばらく耐えてればチャンスは生まれる筈だ)

そう考え、上条が黙したところでフィアンマが儀式場に戻ってきた。
左手にはコーヒーカップが握られており、にこやかに近付いてくる。

フィアンマ「…まさか、逃げようなどと馬鹿な考えを起こしている訳ではあるまい? まぁ、それでも構わんよ。ある程度地の底にも未練はあるだろうからな。しかし、所詮それは些末事。お前もじき気付く、俺様と共に居るのが一番だと」

そう話すフィアンマの目には光があり、何らか信念の元に動いているというのが傍目にもよく分かる。
そんな狂気と歪んだ情熱を帯びた様子とは裏腹に優しく、恋人が病弱な恋人へする様に、親が子にするように、フィアンマはコーヒーカップの中へと息を吹きかけて冷ます。
あくまでも上条本人にカップを持たせ飲ませる、という発想は存在しないからだ。
存在しないというよりも、可能性を割り振らないというべきか。
しばしコーヒーに息を吹きかけ、程良く冷めたカップを上条の口元に当て、上条の喉の動きを見ながらコーヒーを飲ませる様は、さながら介護の様だ。

フィアンマ「もう要らないと思ったら俺様の目を見てくれれば良い」

機嫌良く飲ませ、カップを持っていない手で上条の頭を撫でながら、フィアンマは薄く笑む。
自分には何の非も無いと言わんばかりに。

やがてコーヒーを飲み終わり、カップを片付けに行ったフィアンマが戻ってきた。
上条はフィアンマを睨みながら、言葉を発する。


上条「>>20…!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 08:38:51.49 ID:Rn3KSGfK0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/06/18(月) 09:18:16.21 ID:09w06rkN0<> うまい! <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 09:38:26.78 ID:+aZbIcoAO<> 《記し忘れましたが、『流れが遅いな』と感じた場合、連投は構いません。読者様各々方の良識に沿ってお楽しみいただければ幸いです》




上条「うまい!」

怒らせれば、殺される(と考えられる)。
抵抗の意思さえ見せなければ、その内に解放してくれるかもしれない、と策略を練った上条は、睨むのをやめ、深呼吸する。

フィアンマ「……、…コーヒーが、か?」

上条「あぁ」

フィアンマ「…そうか」

自分の淹れたコーヒーの味を褒められ、嬉しそうに表情を和ませ、フィアンマは上条が縛り付けられている椅子を移動させ始める。
言葉を間違えたか、と冷や汗をかく上条の予想とらまるで違い、向かった先は、儀式場と同じような赤一色にコーディネートされた部屋。
ホテルの派手な一室のように、明るさは違えどカーペットから枕カバーまで赤。
家具も暗い赤色。
そんな空間で椅子をベッド脇に固定した後、フィアンマはベッドに腰掛けた。
体重が軽いのかマットレスが反発しているのか、椅子の様に腰掛けている。
ちょうど、上条と向かい合う形だ。

フィアンマ「何か欲しいモノはあるか? 出来る限り用意するが」

上条「>>23」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/06/18(月) 09:45:07.89 ID:zCTk/T4IO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/06/18(月) 09:48:11.84 ID:cxbPb9nV0<> ふんどし <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 10:03:45.65 ID:+aZbIcoAO<>
上条「ふんどしが欲しい」

突拍子も無い要求をする上条。
フィアンマはしばし考えこむ素振りを見せた後、やや困り顔で頷いた。


フィアンマ「…分かった。しばらく時間はかかるが、縫う」

上条「え、縫うのか?」

フィアンマ「既製品は無い以上、作るしかあるまい」

そう言いつつフィアンマはキャビネットに手をかけ、おもむろにメジャーを取り出す。

フィアンマ「流石にサイズまでは分からんからな。計測するから大人しくしていろ」

そう告げると、フィアンマは上条の下半身のサイズをメジャーで測る。
拘束を一切緩めないまま器用にサイズを測り終えたフィアンマはその数値を(またしてもキャビネットから取り出した)メモに記し、それを元に布を用意し、適度に切って縫い始めた。
意外な事にふんどし用の布は白色で、赤ではない。
手作業、手縫い(しかしミシンの様に早い)でふんどしを縫っていきながら、フィアンマは再び問いかけを口にする。

フィアンマ「他に欲しいモノはあるか?」

上条「……>>26」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 11:50:53.56 ID:uull+ZtIO<> 可愛いペットを猫以外でおまかせ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/06/18(月) 12:30:40.73 ID:zCTk/T4IO<> BL本 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/06/18(月) 13:04:50.76 ID:FT1EZHSDO<> またお前かwwwwwwww頑張れwwwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 15:02:46.18 ID:B3kuaUpSO<> 既製品がないなら作る…つまりフィアンマが書くと? <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 20:18:48.84 ID:/81dLi6S0<>
上条「……BL本」

フィアンマ「……、…何の略語なのかさっぱりわからんのだが」

上条「えー、と…ボーイズラブの頭文字を取ってBL」

フィアンマ「つまり、男性同士の恋愛模様を描いた小説もしくは漫画本ということか」

上条「あぁ、そうだよ」

恐るべき速さで縫いあげた為、出来あがったふんどしを上条の膝の上に乗せ、糸くず等のゴミを捨てた後、フィアンマは本棚を探る。
別段、上条当麻は所謂『腐男子』という訳ではない。
BLという言葉を自分の意思で発したのも初めてだし、知識も青髪ピアスから聞いただけのものだ。
にも関わらず何故このような発言をしたかというと、フィアンマに自分の事を諦めてもらうために他ならない。
あからさまな敵意を向ければ殺されるだろうし、かといって好意的に接し過ぎてもより強く拘束されるだろうと予測出来る。
故に、嫌われるのではなく、変態的発言をする事で引いてもらおう…という魂胆だったのだが、残念ながら、右方のフィアンマは上条に対して心が広過ぎた。
まさかないだろう、という上条の予測を裏切り、フィアンマはブックカバー(白色)のかかった本を差し出し、上条当麻の左手の拘束のみを解いた。
嘘だろ、と背筋に(悪い意味で)ゾクゾクとした感覚を嫌という程味わいながら、上条はフィアンマを見上げる。
フィアンマは肩をすくめ、気分を害した様子は無い。

フィアンマ「俺様の使役していた女…まぁ、ロシア成教から借りた魔術師からもらったものだが、内容としてはお前が望んだものだと思うぞ」

上条「…あり、がとう?」

フィアンマ「気にするな。正直俺様はそんな物要らんからな、何ならやるぞ」

ゆったりとした様子で言葉を紡ぎ、フィアンマは再びベッドへと腰かける。
そのまま上体を倒して中途半端にベッドへ横たわる姿に、警戒や敵意というものは感じ取れない。
少なくとも、上条に対しては。
引かれる作戦は失敗か、と思いつつも、我慢して上条は本を開く。
左手の拘束は解かれたが、これだけでは足掻けない。まだ逃げるには道のりは遠い。
こんな事をしている場合じゃないのに、と思いつつも、上条は本を読み始めた。





BL本の内容(○○×△△等のみでも可)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 20:26:57.00 ID:AFqTiVzso<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 20:29:59.79 ID:B3kuaUpSO<> つっちー <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 20:46:42.93 ID:/81dLi6S0<> 『
青髪ピアスの、そのあだ名に沿った青青しい髪を、元春はそっと撫でる。
青髪ピアスはほんの少し身じろいだ後、ふふ、と小さく笑った。

「カミやんには言えへんなあ、こないな事してるやなんて」
「とか何とか言ってカミやんを引きずりこみたいんじゃないかにゃー?」
「そんな事ないでー? 多分なぁ」
「多分って付ける時点で信憑性ゼロですたい」
「手厳しいわぁ」

情事の跡を艶めかしく残すベッドシーツを取り替える事もせず、二人の高校生は向かい合っていやらしい笑みを浮かべた。
悪友同士の悪ふざけから始まった関係はいつしか泥沼と化し、抜け出せないままで。
ゲームセンターに行くのだと上条に嘘を吐き、こうして安っぽいラブホテルなんぞで身体を重ねる。
そんな非日常もいつしか単調な日常の一部として組み込まれ、二人は新たな獲物に目をつける事にしたの』


パタン、と勢い良く本を閉じる上条に、何事かと首を傾げながらフィアンマは起き上がる。

フィアンマ「どうかしたか?」

上条「……、…返す」

フィアンマ「? そうか」

この短時間で読みきったのだろうか、と疑問に思いつつもさほど突っ込まず、フィアンマは本を受け取って本棚にしまいこむ。
恐ろしい物を見てしまった、と顔面蒼白な上条の額に、フィアンマの右手が触れた。
上条を此処に閉じ込め拘束している張本人とは思えない程の優しい手つきだ。

フィアンマ「大丈夫か?」

上条「…、…あぁ、うん」

世の中には吊り橋効果、ストックホルム症候群などという言葉がある。
人間という生き物は恐怖や痛みに弱く、本能的にどうにかして逃避しようとするものだ。
上条当麻も類に漏れず、ほんの少しだけだが、フィアンマへの敵意が減りつつある。
これではいけない、と唇を噛む上条に何を思ったのか、フィアンマは思いだしたといった様子で問いかけを口にする。

フィアンマ「そろそろ夕飯…といっても空の色は俺様が変化させたが故にずっと夜だが…夕飯は、何が食べたい?」

上条「…」

上条はしばし黙りこんだ後、答える事にした。







何を食べたい、と答える?>>+2 <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/06/18(月) 20:49:06.19 ID:3yGXsS8AO<> トマト <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 20:51:00.47 ID:BEB9AqoAO<> オムライス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/06/18(月) 20:52:23.00 ID:qm6fzNuIO<> ドーピングコンソメスープ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 21:04:14.14 ID:/81dLi6S0<>
上条「オムライスが食べたい」

フィアンマ「オムライスか、分かった。作ってくるから、大人しく待っていろ」

上条「……」

フィアンマ「…大人しく、待てるだろう?」

上条「……」

フィアンマ「返 事 は ?」

上条「わ、かったよ」

にこ、と笑みながら迫るフィアンマの様子に負け、返事をした上条に満足したのか、フィアンマは上条の左手を再び拘束し直した後、一旦部屋を出ていく。
しばらく時間が経過した後、卵や肉の焼ける良い匂いが部屋の中へと入り込んできた。
存外空腹だったのか情けない音を出す自分の胃袋に絶望しながら、上条は思考する。
どうすれば効率的に逃げられるのか。
一つずつ、事柄を整理して状況を把握する。
数独を解くのと同じ、そんなに難しい事ではない。上条はそう自分に言い聞かせる。
そうでもしなければ、今にも緊張と恐怖とに失神してしまいそうだ。

上条(返事をしないと怒るってのは、分かった)

上条(基本的には友好的みたいだ、少なくともアッチは)

上条(多分、拘束を解いて欲しいとか、そういった願いじゃなきゃ聞いてくれるみたいだ)

上条(外部との連絡はとらせてくれないだろうな)



今後の作戦の傾向を決定すべく、上条当麻は思考する。



1.(恋人のように)好意的に接して信頼を勝ち取り、油断させる

2.(宿敵のように)敵意を露わにして挑発して怒らせ、油断させる

3.(友人のように)友好的に接して、ひとまず自分の身の安全を保障する事を一番に考える

4.こんな事をする原因や目的、理由を問い詰める

5.冷静に説得を試みる

6.自分が此処に留まる事を条件に戦争を犠牲無しで終わらせるよう懇願する



判定>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 21:04:51.31 ID:akb8FVx8o<> 3 <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/06/18(月) 21:06:29.53 ID:3yGXsS8AO<> 3 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 21:22:51.14 ID:/81dLi6S0<>
フィアンマ「遅くなったな、すまない」

上条「いや、別にいいよ。美味そうだな」

まずは自らの身の安全を、と考えた上条は、親しい友人にするような気軽な態度でフィアンマに接する。
随分と軟化した態度、疑うより先に嬉しさが先行したフィアンマは柔らかな笑みを浮かべ、上条の向かいに座る。
その手には皿があり、作り物のような、几帳面なまでに焼き色がついていない(つまりは真っ黄色)卵で包まれたオムライスが乗っている。
上条の中でのオムライスの一般的イメージはケチャップのかかった、自分がよく作るソレだったのだが、フィアンマの手にあるのはデミグラスソース、そして少量の生クリームがかかっており、ファミリーレストラン辺りで出ていてもおかしくなさそうな出来だ。
生物的な本能から、空腹にくきゅるると呑気に鳴く胃袋にまたしても情けなさに打ちひしがれながら上条はフィアンマを見る。
友人のように接するとは決めたものの、相手方はそうではないらしい。
拘束を解く様子はなく、銀のスプーンに一口大のオムライスが乗っており、口元に運ばれてくる。

フィアンマ「口を開けろ」

上条「…ぁー」

友人のように接するにしても、無闇に逆らっては何をされるかわからない。
そんな緊張感から、嫌がる事なく上条は口を開ける。
やたらと肉の多いオムライスはデミグラスソースの甘みとコク、生クリームのまろやかさ、薄い卵、中身のバターライス(大量のひき肉入り)、そのどれもが口の中で絶妙に調和し、とてつもなく美味しい。
やたらと脂肪分の多い肉は一体何の肉なのか、ひき肉のため、上条には想像もつかない。

フィアンマ「…口に合うか?」

しおらしい態度で問いかけてくるフィアンマ。
何の肉なのだろうと考え込んでいた上条は一時思考を中断し、答える。
無視をしてしまえばまた恐怖に晒されることになるだろうと判断しての言動だ。

上条「>>41」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 21:25:20.51 ID:B3kuaUpSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 21:26:53.84 ID:3ehNX9A+0<> このオムライスは出来損ないだ。俺が本物のオムライスを作ってやろう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 21:28:54.15 ID:BEB9AqoAO<> 美味しいけど、コレ何の肉なんだ? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 21:43:46.12 ID:/81dLi6S0<>
上条「このオムライスは出来損ないだ。俺が本物のオムライスを作ってやろう。庶民のな!」

キリッとした表情で言い、上条はフィアンマの様子を窺う。
意外にもフィアンマは機嫌を悪くした様子は無く、残念そうな笑みを見せて首を横に振る。

フィアンマ「非常に残念且つ食べたいところだが、断っておこう。今解放したらお前は俺様の下から逃げてしまう」

図星を言い当てられ顔色が変わる上条の頬を愛おしそうに撫でて、フィアンマはくすりと笑う。
そこに嘲りの意図は無い。好意は溢れんばかりに籠められている。
しかし、殺気にも似た威圧感を放ちながら、フィアンマはにこにこと微笑みを浮かべた。

フィアンマ「怒っても良い場面だが、俺様は赦すよ。お前が俺様を好きになるまで、気長に待つつもりなのだから。お前は俺様を好きになる義務がある。まぁ、義務など無くとも運命付けられているのだから、自然とそうなるという方が正しいか。大丈夫だよ、上条当麻。俺様は辛抱強い方だからな。どんなに逃げたいと望んでも逃がしてはやらんし、そこについては譲歩するつもりはない。しかし、代わりといってはなんだが、なるべくお前の我儘を聞いてやるつもりではいるよ。俺様はお前の為に何でもしてやれる。黄金の山を用意する事も、世界を滅ぼす事でさえ躊躇はしない。お前は今までの上体が普通だと思いこまされていたようだが、そんな事は無い。むしろ、今の方が自然な、あるべき状態なんだ。安心しろ、お前が俺様を心の底から愛するようになったその時にはこんな拘束などしない。何を怖がっているんだ? 俺様はこんなにも優しいじゃないか。お前を傷つける人間は全員殺してやろう。もう不幸だなどと言わせはしない。不運なんて真っ平だったろう? 何があっても俺様だけはお前を裏切らないよ。嘘を吐いて引き寄せた事は謝るが、それも過去の事、どうか許してくれ。俺様はこの何百年もの間ずっとずっとずっと気の遠くなる程長い年月お前が産まれ、此処に来てくれるまで待っていたんだ。お前を産んだ母親や育んだ父親には劣るかもしれないが、それ以外の人間よりもはるかに、否、世界で三番目にお前を愛していると自負しているよ。俺様だけがお前を救ってやれる。それだけの力があるのだから。何も心配しなくていい、お前はただ此処に座って、俺様と話したり食事をしてくれていればそれだけで構わない、今はこれ以上何か求めるつもりはない。だから、あまり俺様を困らせてくれるなよ? あまりにも逃げようとした場合、うっかり四肢を切り落としてしまう恐れがあるからな。あぁ、恐怖と緊張に怯えているのか? 俺様は何もしないよ。お前が俺様を拒絶しない限り、酷い事は何もしない。勿論、この生活の中でお前の心が壊れてしまっても、ちゃんと、傍に居る」

上条「……、…」

金の瞳を何か得体のしれない情念で輝かせながらフィアンマはそう言った後、笑顔のまま、威圧感を霧散させて上条の口元にオムライスを運ぶ。
上条は何か心の奥底までを恐怖で揺さぶられながらも、ゆっくりと咀嚼していく。

フィアンマ「食後に紅茶を淹れようと思うのだが、香り等に希望はあるか?」

上条「>>45」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 21:46:00.60 ID:B3kuaUpSO<> そもそもなんでここまで惚れこんだんだ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 22:00:53.29 ID:t6lOjmlM0<> アールグレイで <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/06/18(月) 22:01:26.47 ID:3yGXsS8AO<> ごめんな…機嫌悪くするようなこと言って
好きなの入れてくるといい <>
◆2/3UkhVg4u1D<>sage<>2012/06/18(月) 22:03:36.34 ID:+aZbIcoAO<> >>43
×上体
○状態
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/06/18(月) 22:03:56.85 ID:VIFirr9IO<> マスカット <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 22:25:02.33 ID:+aZbIcoAO<>
上条「アールグレイで」

込み上げる恐怖を咀嚼したオムライスと共に無理やり飲み下し、多少の無理をしつつ順調に食べ進めながら上条はそう答えた。
しっかりとした返答に機嫌を良くしながら、フィアンマは砂糖の量やミルクを入れるかどうか問い掛けてくる。
砂糖がほんの少し入ったミルクティーが良い、と答えた上条の頭を撫で、食事が終わる。
フィアンマはオムライスではなく、上条の目の前で黙々とハンバーグを食べた。
オムライスのバターライス(挽き肉入り)の余りの挽き肉で作ったのか、こちらもやはり脂身が多い。
美味しそうに、でもなく、不味そうに、という訳でもなく。
何か事務作業でもしているかの様に黙々と食事を済ませる様子は、上条にどこか無機質な印象を与えた。
整った容姿も相俟って、フィアンマは黙っているとまるで人形の様だ。


つまらなそうに食事を終えたフィアンマが一度部屋から立ち去り、紅茶を淹れに行く。
上条はどうすべきか、今は考えないようにした。 余計な事を画策しても見抜かれる。

フィアンマ「…」

上条「ん…」

ティーカップ片手に戻ってきたフィアンマは、ブラックコーヒーを飲ませた時と同じように、少しずつミルクティーを上条に飲ませていく。
温めた牛乳で丁寧に淹れた紅茶はほんのりと甘く、口当たりの優しい美味さだ。

フィアンマ「美味いか?」

上条「…あぁ、美味いよ」

嘘を吐かず、思ったままに上条は頷く。
フィアンマは上機嫌のまま飲ませ、やがて飲み終えたカップを片付けたかと思うと、部屋に戻ってきた。
最早定位置と化している上条の向かい側に腰掛ける。
上条はしばし言いよどんだ後、こう問い掛けた。


上条「…>>51?」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 22:26:27.59 ID:AFqTiVzso<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 22:26:44.49 ID:akb8FVx8o<> おかわり良いですか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 22:27:23.72 ID:B3kuaUpSO<> まだ飲みたいんかWWW <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 22:42:26.51 ID:+aZbIcoAO<>
上条「…おかわり良いですか?」

フィアンマ「…淹れてくる」

頼られた事が嬉しかったのか、再びフィアンマは部屋を出て紅茶を淹れた。
先程よりも、より丁寧に、カップもお湯で一度温めて。
程なくして部屋に戻ってきたフィアンマは、上条の表情を見ながら少しずつ飲ませていく。
零してしまわないよう、呼吸の調子を見ながら、慎重に。
上条の世話をするのが楽しいのか、はたまた上機嫌が継続し続けているためか、フィアンマは優し気な笑みを絶やさない。少しばかり気を許しそうになった上条は、どうにか自分の心情をコントロールする。

上条「…ありがとな」

フィアンマ「あぁ、どういたしまして」

先程までの淡白な無機質さは消え去り、はにかむフィアンマの姿は一般的な青年のソレだ。
汚れたカップをそのままにしておくのは嫌なのか、綺麗好きな性格であるフィアンマは再びカップを片付けに行き、上条はそんな後ろ姿を視線のみで見送る。
窓から見える外は真っ暗なまま、焼畑でもしているかのように、ところどころ白色に赤が混じる。ぐ、と唇を噛み締め、上条は再度決意する。
何が何でも逃れなくては。

フィアンマ「…何を考えていたんだ?」

上条「ッ!」

気付けば背後に居たフィアンマが、上条の拘束されている、且つ腰掛けている椅子の背もたれを抱きしめるかの体勢で、そっと囁いた。

上条「あ…>>55」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(空)<>sage<>2012/06/18(月) 22:44:15.87 ID:84RFfxo30<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 22:46:40.55 ID:B3kuaUpSO<> 動けないのが辛いんだよ。江戸時代じゃそういう拷問だってあったんだから <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 22:56:59.70 ID:+aZbIcoAO<>
上条「あ…動けないのが辛いんだよ。江戸時代じゃそういう拷問だってあったんだから」

フィアンマ「そうか。しかし、仕方ないだろう。お前が此処から逃げ出したいと考えている限り、枷を外す訳にもいかん。我慢してくれ」

自分の子供の怪我を心配する親の様な声音でそう囁くフィアンマに悪意は無い。

フィアンマ「先に右手を…いいや、それでは意味が無いか」

ぶつぶつと呟き、フィアンマは上条から離れる。 ふと思い出したように、にこりと笑みつつ振り返って上条を見るなり、首を傾げてみせた。

フィアンマ「なら、俺様と勝負をしよう」

上条「勝負?」

フィアンマ「クイズだよ。出題者は俺様だ。もしも正答出来たのならば、脚の拘束は外すと約束しよう。二問正解したならば、下半身は自由だ」

上条「…負けたら、どうなるんだよ?」

フィアンマ「一問目を間違えればお前の右脚を、二問目を間違えればお前の左脚を切り取る」

恐ろしい提案に、上条は息を呑む。
非常にハイリスクローリターンの勝負だ。

上条「有り得ないようなクイズ出される可能性だってあるだろ」

フィアンマ「そうだな、疑うのならば仕方がない。ならば出題者の立場は譲ろう。正答出来なければ俺様の負け、先程提示したルールを採用する」




クイズ勝負をする?しない?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 22:59:34.19 ID:PoLzN7aM0<> する <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 22:59:38.19 ID:uull+ZtIO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 22:59:52.39 ID:AFqTiVzso<> する <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 23:09:53.01 ID:+aZbIcoAO<>
上条「やってやろうじゃねぇか…!」

フィアンマ「難解な問題は結構だが、答えの無い問題はやめて欲しいものだ」

上条の視線にくすくすと笑い、フィアンマはじっと上条の表情を見つめる。
余裕綽々、といったところだろうか。
上条は暫し悩んで、クイズの内容を決めた。
負ければ脚が切られてしまう。
フィアンマは本気だ。
世界を裏から操っていた人間の頭脳を軽く見ては地獄を見るだろう。
たった二問。
されど二問。

考えろ、上条当麻。

これは絶対に勝たなければならない勝負―――――





一問目の内容>>+3


二問目の内容>>+4 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 23:10:41.61 ID:AFqTiVzso<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 23:11:35.22 ID:I6CB5i8y0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 23:12:19.66 ID:I6CB5i8y0<> レベル5第6位は誰だ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 23:13:37.34 ID:I6CB5i8y0<> 一方通行の本名は何だ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 23:19:43.15 ID:+aZbIcoAO<>
上条「だ、第一問…。…学園都市『超能力者』第六位は一体誰か」

生唾を飲みながら、考え出したクイズを、上条は口にする。
フィアンマは余興を楽しんでいる王の様に笑い、わざとらしく悩んでみせた。

フィアンマ「ふむ…」

上条「……」

フィアンマ「あぁ、さっぱり分からんな。ちなみに誰なんだ? 正答は知っているからこそクイズにしたのだろう?」

存在せず知らないものを、クイズの題にしてはならない。
原則ルールを提示し、フィアンマは問い掛ける。

上条「>>66だよ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 23:21:06.83 ID:I6CB5i8y0<> 時間停止(タイムストッパー)青髪ピアス <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 23:26:41.56 ID:+aZbIcoAO<>
上条「『時間停止(タイムストッパー)』…俺の友人の、通称青髪ピアス だ」

フィアンマ「そうか。ダメだな、まったくもって分からない」

上条「第二問…。…学園都市『超能力者』第一位『一方通行』の本名は何だ?」

フィアンマ「……」

傍らのテーブルに置いてある赤い砂時計をひっくり返し、数秒計画した後、フィアンマは自分なりの答えを口にする。

フィアンマ「……鈴科百合子」

上条「……、…」






>>+1のコンマ以下一桁(例:23:19:43.15の場合は5)で正解不正解判定


0〜4 フィアンマ不正解(上条の勝ち。下半身自由)


5〜9 フィアンマ正解(二問目は上条の負け。左脚切断) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 23:27:28.16 ID:B3kuaUpSO<> 切られないといいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/18(月) 23:27:56.03 ID:AFqTiVzso<> 切られたか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/18(月) 23:28:28.49 ID:I6CB5i8y0<> あーあ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 23:41:51.64 ID:+aZbIcoAO<>
上条「……、…」

フィアンマ「…で、不正解なのか?」

ニヤニヤとした笑みを浮かべ、いやに甘ったるさを帯びた声でフィアンマが問いかける。
上条は血が出そうな程に拳をきつく握り締め、力無く首を横に振った。

フィアンマ「そうか。では残念ながら、左脚とはお別れする事になるな」

上条「テメェは、…」

フィアンマ「ん?」

上条「俺の味方をするって言っておいて脚切るとか、矛盾してると思わねぇのか!」

フィアンマ「…くっ、はは、はははは、っふ、…ははははは!!」

上条の涙声の怒鳴りを愉快に感じたのか、フィアンマは心底楽しそうに狂笑する。
そして、急激に表情が凍り付いた。
完璧な無表情。

フィアンマ「……俺様はお前の味方だ。何からも守ってやる。だから、お前に最早自分の力は必要無い。故に、四肢が無くとも困らない。俺様が面倒を看るのだからな」


無茶苦茶な理論を平然と主張し。
コツ、と靴の音を響かせながら、フィアンマは上条に近寄る。
上条は逃げる事も出来ないまま、フィアンマが壁にかけてあった斧を握る様を見つめていた。
斧を振り上げ、フィアンマは上条の目を見つめる。

フィアンマ「怖がるな。何も心配は要らないから」



―――神様に見放された不幸な少年は、意識を失った。 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/18(月) 23:49:38.90 ID:+aZbIcoAO<>
フィアンマ「…」

ふんふんと鼻歌を歌い、フィアンマは"作業"を済ませる。
激痛と恐怖とに気を失った少年を入浴させ、左脚を繋ぎ直したのだ。
あるべきものをあるべき場所へ。
右手で触れない限り、この奇跡は消えない。
それにしても泣き喚かないよう唇を噛み締め耐えきった少年の姿は凛々しいものだったな、と思い返しながら、フィアンマは上条当麻に惚れ直す。作業を終え、一息つきながらフィアンマはベッドへと腰掛ける。
上条の下半身は無事解放された。
下半身のみ、だが。

フィアンマ「…まぁ、頑張っていたからな」

絶望に満ちた上条の表情を思い浮かべ、フィアンマは欠伸を噛み殺した。 上条は椅子ではなく、今度はベッドに上半身をくくりつけられている。
眠れるように、という歪んだ優しさによる配慮だ。

フィアンマ「……おやすみ」

良い夢を、とまでは言わず。
フィアンマは薄く笑みながら、そう小声で言った。





翌朝、ぼんやりとした表情で上条は目を覚ました。

フィアンマ「目が覚めたか」

上条「…>>74…」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 00:03:25.04 ID:o1zXrr1IO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 00:06:31.18 ID:ChJEpYBSO<> あ、あしが… <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 00:15:13.63 ID:LKjFb4/AO<>
上条「…あ、あしが……」

今にも泣きそうな、震えた声で上条が言葉を漏らす。
フィアンマは慈しむかの様に上条の頭を撫で、そっと抱きしめながら優しい声色で囁く。

フィアンマ「怖い夢を見たのだろう。もう大丈夫だ、俺様が居るからな」

両腕が拘束されているため、何も出来ぬまま、上条はかたかたと震えながらフィアンマを見上げる。
フィアンマは優し気な笑みを口元に浮かばせ、上条の頬や頭を撫でて慰める。
傷を付け、看護して信頼を得る。
嘘を交えたマッチポンプで、上条の心を和らげながら、フィアンマは言葉を続けた。

フィアンマ「全部悪夢だ。怖かったな、もう大丈夫だぞ。俺様が守ってやるからな…」

睦言でも囁くように、フィアンマは言い聞かせ、そっと体を離す。
上条は唯一自由になる下半身すら心因的な理由により動かす事が出来ないまま、再びフィアンマを見上げた。

上条「>>77…」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 00:16:13.68 ID:ChJEpYBSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 00:20:26.10 ID:U3I/WQ9wo<> いい匂いがする <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 00:26:30.67 ID:LKjFb4/AO<>
上条「いい匂いがする…」

フィアンマ「お前が寝ている間に風呂へ入れたからな」

上条「あ、石鹸、か…」

悪夢だと片付ける事で左脚切断のショックから正気を取り戻した上条は、自由に動く下半身を、脚を軽く折り曲げて動かす。
そうして驚いた表情を浮かべてフィアンマを見た。

上条「拘束、やめたのか…?」

フィアンマ「あぁ」

こくり、と頷いたフィアンマは、指先で上条の左脚に触れる。
昨夜切断されたとは思えない、傷の殆ど無い脚だ。
フィアンマは暫し上条の脚に触った後手を引き、にこやかに問いかけた。

フィアンマ「朝だが、朝食に何か希望はあるか?」

上条は『フィアンマから逃げる』という目的が頭から飛んでしまったまま、考える。

上条「…>>80、が…食べたいんだけど、さ。ダメか?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 00:26:51.61 ID:8xtAKnuMo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 00:27:50.73 ID:U3I/WQ9wo<> 日本食 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga !orz_res<>2012/06/19(火) 07:36:34.65 ID:LKjFb4/AO<>
「私はお兄様が好きです、お兄様だけが好き」

「俺様もルーチェだけを愛しているよ」

「ずっと一緒に居ましょうね」

「あぁ、約束だぞ」





「神よ、何故我が妹ばかりに災厄を与うるのか。ルーチェが何をした…!」

「お兄様、私、必ず戻ってきますから…男の方の、…今度は目も見えて、元気な身体に…だから、お兄様。約束してください、必ず私を捜してくれると―――」

「約束する、世界中を捜してでもお前を見つけると」

「きっと、戻ってきた私はまたこんな右手なのでしょうね…」

「見つけ易いというものだ…目を閉じなさい、もう、俺様の事は良いから、」

「お兄様は相変わらずお優しいのですね…、…蘇った後の私がお兄様を忘れてしまっていても、私を愛していただけますか…? 逃さぬよう、縛り付けてでも…」

「勿論だ…、ルーチェ…」

「今度産まれてくる時は他人ですから…お兄様と結ばれる事が出来ますね。また、一緒に暮らしましょう。大きなお城に、住んでみたいです」

「空飛ぶお城は、昔からお前の夢だったか…。…あぁ、そうだな…今度は絶対にお前を守りきってやる。世界を敵に回しても、絶対…絶対に…っう…」

「ふふ、ふ…うふふ…楽しみ、です…っ、」

「ルーチェ…ルーチェっ…嗚呼…!!」



<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 07:45:17.67 ID:LKjFb4/AO<>
上条「…日本食、が…食べたいんだけど、さ。ダメか?」

フィアンマ「あまり得意とは言えないが…まぁ、最大限の努力位は出来るな」

やや困った様子ながらも拒否はせず、頷いてフィアンマは部屋から立ち去る。
しばらくの間の後に、醤油と砂糖らしき甘い匂いが漂い、部屋へと入り込んでくる。
卵焼きか何かかな、と思いつつ、上条は呑気に食事を待つ。
外では未だ戦争が行われているのか、はたまた大天使『神の力』によって終わらせられたのか。
外を見ない上条とフィアンマを取り残して、世界は確実に不幸へなっていく。

出来上がった料理の乗った皿を手に、フィアンマが戻ってきた。
流石に味噌汁等は自分で食べたいだろうと考慮し、且つ自らの箸使いに自信が無い為、フィアンマは上条の拘束を上半身から下半身のみに変える。 上半身が自由になった上条は『いただきます』と呟いて、卵焼き(甘い物、しょっぱい物の二種)と味噌汁、炊かれた白飯、ほうれん草のゴマ和えを順序立てて食べ始めた。

フィアンマ「口に、合うか? 正直、和食は得意ではないからな。少なくとも、見目や大体の味は一般的なソレに似せられたと思うのだが…」

上条「>>84」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 07:49:40.84 ID:Cx2o2OzO0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 08:01:58.93 ID:jv5u+rx30<> 御坂が作ったのよりはイケるな <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 12:29:25.20 ID:LKjFb4/AO<>
上条「御坂が作ったのよりはイケるな」

フィアンマ「そうか。…御坂とは誰なんだ?」

上条「あー…後輩じゃないんだけど、やたら突っかかってくる女子中学生。根はいいヤツなんだけどな。何か『家庭科実習でお弁当作らされたからあげる』とか言われて食ったのは良いんだけど、上品過ぎて味薄くてさ。口に合わなかったんだ」

もぐもぐと食事を頬張りながらそう話す上条の様子を眺め、さほど楽しそうではないと感じ取ったフィアンマは安堵の息を吐き出すと共に、自分も食事の用意をして食べ始める。
ミートオムレツと、カットしたバゲットのみという割と簡素な食事だ。
そんなに沢山挽き肉のストックがあるのか、と首を傾げ、上条はひとまずフィアンマの様子を見る。
ベッドからでは外の様子を見られないからだ。

上条「>>87?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 14:25:21.87 ID:ChJEpYBSO<> まさか人にk…ksk <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/06/19(火) 14:49:32.16 ID:GA4QNrwAO<> ここらへんって肉食文化だよな <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 15:19:40.01 ID:LKjFb4/AO<>
上条「ここらへんって肉食文化だよな」

フィアンマ「ロシアか?」

上条「そうそう」

フィアンマ「人肉食事件があった位だからな。雪ばかりで農業も出来ん土地だし、致し方あるまい」

自分が肉を食べているにも拘わらずのんびりと言い、気持ち悪がる、はたまた食欲が無くなる様子も無く、フィアンマは食事を続ける。
先に食べ始めたが故に先に食べ終わった上条は、フィアンマの様子を眺め続けた。
やる事もやれず、見たい物も見れない少年は、自分を監禁している人間に注目を払って暇を潰すしかない。

フィアンマ「ちなみに、人肉は内臓を食べない限り病気にはかからない。肉はセーフだ」

上条「…やけに詳しいんだな」

フィアンマ「一般常識だよ」

常識とはそんなものだっただろうか、とぼんやり思う上条の様子に頓着せず、フィアンマは食器等を片付けるべく部屋から消えた。





フィアンマの性別決定投票安価区間は>>89-93です。
選択肢は以下のみ。


1.女

2.ふたなり

番号、若しくは文字(女orふたなり)で投票してください。
同IDにつき一票です。
よろしくお願いいたします。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 15:22:00.11 ID:C505qI4u0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 15:25:24.09 ID:cdgSPWVIO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 15:52:20.36 ID:IAGGOL/J0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 16:21:39.94 ID:EUczrspAO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/06/19(火) 16:22:47.47 ID:9PhoTbuGo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/06/19(火) 18:37:39.90 ID:AgzRwiXDO<> 1 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 20:14:29.25 ID:yllvI6I40<> 《投票にご協力いただきありがとうございました。 結果:女(3)、ふたなり(2)の為、当スレのフィアンマさんの本当の性別は女性となります。ふたなりにご投票くださった方には大変申し訳ありませんが、どうかご了承願います。  遅くなりましたが追加の注意→当スレで(モブに等しい)オリキャラが出たり、過去捏造描写がある可能性があります》



戻ってきたフィアンマの頬には血液が僅かに付着しており、上条は自然と身が竦むのを感じる。
上半身が自由とはいえ下半身が動かないのでは、何かされてもあまり抵抗は出来ない。

上条「……、…」

フィアンマ「…あぁ、見苦しいものを見せてしまったな、すまん」

ふと窓を見て自分の頬に血液が付いている事に気付いたのか、フィアンマは手の甲―――服の袖で頬を拭く。
安心させようとしているのか、上条に微笑みかけているが、いつもよりも笑顔が硬い。
怪我をしている様子は見当たらない、とすれば、この血液はフィアンマ以外、そして上条以外の誰かのものだ。

上条「な、んだよ…今の、血」

フィアンマ「…………怪我をしてな。治したので問題は無い。心配には及ばんよ」

そう語るフィアンマの服には、今さっき頬を拭いた際に付着した血液しかない。
もし怪我をしたのであれば、他の場所に怪我の痕跡があるはずだ。
そんな上条の疑いの目に気付いたのか、フィアンマは寂しそうな表情で上条を見つめる。

フィアンマ「俺様を信じてくれないのか?」

上条「……、…>>97」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 20:14:47.58 ID:8xtAKnuMo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 20:17:43.85 ID:EUczrspAO<> 誰の血なんだ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 20:17:49.31 ID:Cx2o2OzO0<> だって、こんな事されてたらさ…… <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 20:33:03.75 ID:yllvI6I40<>
上条「……、…誰の血なんだ?」

フィアンマ「………」

先程の寂しそうな表情は消え去り、フィアンマは無表情で上条の顔を見つめ続けている。
怒っている訳でも、まして殺意を抱いているという様子でもない。
何か大事なものが抜け落ちた、人形の様な無機質な様相だ。
しかし真実が明らかにならなければ安堵出来ない上条は、言葉を取り消す事無くフィアンマを見つめ返す。
やがて、不思議そうな顔で、フィアンマは首を傾げてみせた。
パズルが解けない子供の様に、理解出来ないといった表情だった。

フィアンマ「…どうしてそんな事が気になるんだ? 気にする必要など無いだろう」

上条「…」

フィアンマ「お前には俺様だけが居れば良いんだ。だから、たとえこれが誰の血でもお前は気にする必要なんてない」

皆無、ときっぱり言い切るフィアンマに思わず閉口し、上条は黙り込む。
現状、フィアンマがこの短時間でわざわざ殺しに外に出るとは思えない。
となれば、『ベツレヘムの星』内に侵入した人物なのだろう。
しかし、魔術サイドであれば、外部からどうにかしようと考えるはず。
此処は正にフィアンマの牙城であり、入り込めばすぐさまバレてしまうのだから。
一見セキュリティー等張っていないように見えるが、部下を内部に置かないフィアンマの性格から考えて、何らかの手筈は整えてあるはずだ。
そして魔術サイドの人間であればそれを理解し、派手には動かない。
つまり、恐らく、科学サイドの人物だと考えた方が当たる確率は高いだろう。
一般人が入ってこられるとは思えない。

それはつまり、だから…。

嫌な考えを振り払うように頭を振って、上条は眼前の青年を睨む。
問いかけて尚、沈黙を守り続けているフィアンマを。

フィアンマ「……」

上条「…、…>>101」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 20:34:03.73 ID:8xtAKnuMo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 20:34:23.30 ID:ChJEpYBSO<> まさかみこっちゃんかね?一番この状況を許さなそうだ…ksk <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/06/19(火) 20:52:17.82 ID:GA4QNrwAO<> わかった。気にしないことにする <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 21:16:13.98 ID:yllvI6I40<>
上条「…、…わかった。気にしないことにする」

フィアンマ「そうか。分かってくれたなら良いんだ」

睨んでも沈黙を貫くフィアンマの様子に諦め、上条はため息混じりにそう告げる。
良かった、と言わんばかりにフィアンマの顔に笑みが戻った。
機嫌の良い、柔らかな笑みだ。とても満足そうな。
これで良かったのだろうか、と上条は自分に問いかけつつも、こうして拘束を受けている状態では、なるべく刺激しない方が良い。
まずは生き残る事を最優先に、次にここから逃げ出す事を考えよう。
夢か現実か曖昧だが、あの『クイズ』の様に、無闇に刺激してしまえば、フィアンマは上条を傷つける。
愛していると、万物から守ると、そう言いながらも、フィアンマ本人は上条を傷つけることに頓着しない。
守る為であれば傷つけても構わない。
暴力を振るった事など無い以上他者には言い張れるが、事情を知るフィアンマを糾弾する事は、上条は出来ない。
自分は禁書目録を傷つけたのだから。
だから、フィアンマが自分を愛おしいと、大事に思っているのは嘘ではないのだろう、と上条は思う。
残念ながら、上条自身はそう思っていなくとも、上条当麻と右方のフィアンマとは似ている。
義務感にも酷似した愛を持って、愛する人を傷つけてでも、守ろうとする。
ただ、上条はその『守る』という行為を他人に対しても適用し、フィアンマは上条以外に適用としないというだけで。
その力の真価を引きだせば世界を滅ぼす事も、制する事も、清める事も出来る特別な右腕を持っている二人は、静かに見つめ合う。
何を思うでもなく。
上条は、自分の中にある恐怖感が薄れていくのを感じた。
別段、フィアンマに好感を覚えている訳ではない。
同情にも似ているのかもしれない。

フィアンマ「何か、欲しい物はあるか?」

ベッド上、上条の隣に座り直したフィアンマは横を向き、上条の瞳を見つめながらそう問いかける。
間近のフィアンマから感じる血とワインの混じり合った匂いに酔いそうになりながら、上条は答えた。

上条「>>105」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 21:41:07.97 ID:EUczrspAO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 21:43:25.71 ID:ChJEpYBSO<> 戦争のリアルタイムの状況情報 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 21:55:18.08 ID:yllvI6I40<>
上条「戦争のリアルタイムの状況情報」

フィアンマ「…」

顎に手をあてがい考える素振りを見せた後、フィアンマは立ち上がり、窓に近寄った。
そして、静かに外の様子を眺める。
いやに外が静かなのは、戦況が一時平定しているのか、それとも終戦してしまっているのか。
フィアンマが真実を教えるか嘘を教えるかわからないまま、無防備に一任する形で、上条は報告を待つ。
なるべく死者が出ていませんように、と、上条はありもしない絵空事を頭に思い浮かべる。

フィアンマ「…良いニュースと悪いニュース、どちらが良い? と聞くジョークがあるな。それに倣って問いかけるとしよう。状況は確認した。良いニュースと悪いニュース、どちらから聞きたい?」

上条「…」

こう聞いてくるという事は、フィアンマの機嫌が良いまま、という事は、上条にとってはどちらも悪い内容なのだろう。
自分だけが絶対の安全地帯に居る罪悪感と結局何も抵抗出来ていない無力感に苛まれながら、上条は答えを促す。

上条「>>108(良いニュースor悪いニュース という言葉を使って一文)」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(空)<>sage<>2012/06/19(火) 22:01:09.87 ID:7y+4Pqfq0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/19(火) 22:02:38.69 ID:Bu7mjh2Y0<> 悪いニュースから頼む <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 22:02:53.94 ID:EUczrspAO<> 良い方 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 22:08:51.56 ID:ChJEpYBSO<> 後はフィアンマがウソをつかなければな… <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 22:12:11.40 ID:yllvI6I40<>
上条「悪いニュースから頼む」

フィアンマ「世界中で責任の押し付け合いと騒乱が起こっていると予測される。ついでに言えば、死者の量は夥しいだろうな。少々見づらかったが、魔術的なリンクで視界を広げた俺様にはよく見えた。死体の山が、な」

にこにこと機嫌良さそうに語るフィアンマの様子に、上条は吐き気を覚えた。
どうして死体の山を見て、楽しそうに笑えるのか。

フィアンマ「次に良いニュースを教えてやろう。戦争は終わったぞ。それから、『禁書目録』の居るイギリスは"浄化作業"による損壊は少ない。あの女はきっと生きているよ」

上条「そ、っか」

インデックスが生きているなら良かった、と思ってしまう程に、上条の精神は追い詰められてきている。
自分で求めた結果とはいえ、嘘である可能性があるといっても、それでも、この結果はあんまりだ。

上条当麻は、人と人が争うのが大嫌いだ。
その原因が深淵なものであればある程、死者や怪我人が出そうになる程、強い恐怖と嫌悪を覚える。
自分が傷つく事には頓着しないが、他人が傷つくのはどうしても嫌なのだ。
戦争が始まった時、インデックスに対する心配と嫌悪がこみ上げた事を思い出しながら、上条は腹筋の力で起き上がり、ベッドに座った状態で静かに項垂れる。
現在、どこか人間味の薄い(本人曰く『人の知識は使い分けている』というのだから、記憶のある二重人格状態であるというべきか)フィアンマはそんな少年の様子を眺めた後、そっと上条の髪を撫でる。
慰めるかのような手つきだった。

フィアンマ「可哀想に。だが、もう全て終わったんだぞ。世界が綺麗になるまでまだしばらくかかるが…お前を不幸にする人間は大体死に絶える」

上条「>>112!!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 22:16:27.20 ID:ChJEpYBSO<> 俺が思う不幸と、お前の言う不幸は違う!それに死んで良い奴なんていない!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/19(火) 22:17:42.11 ID:/+AB99cf0<> マジか!やったぜ!フィアンマ結婚しようか <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 22:30:33.86 ID:yllvI6I40<>
上条「俺が思う不幸と、お前の言う不幸は違う! それに死んで良い奴なんていない!!」

フィアンマ「本気でそんな事を言っているのか?」

激昂した上条の言葉に、きょとん、とした後。
フィアンマは幼い子供が言う事を聞かない時の大人の様に困った様な薄い笑みを浮かべ、思わず聞き返した。

上条「本気に決まってんだろうが…何で、わかんねえんだよ」

フィアンマ「…可哀想なヤツだ。不幸を不幸と思ってはいけないと、今に至るまで長らく気を張り、自らに言い聞かせていたのだろう。どうしてそんな綺麗事を口にする? 元はと言えば、あの魔道書図書館がお前に関わりさえしなければ記憶を失う事も無かった。イギリス清教に利用されることも無かったんだ」

上条「そんな事どうだっていい。それに、俺は不幸だなんて思ってない。勝手に決めつけてんじゃねーよ!」

上条は淀みなく、自分の思いを吐露する。
刺激してはいけないとは考えるものの、黙ってはいられなかった。
自分が不幸かどうかなんて、自分にしか決められない。上条当麻は、そう思っている。
むしろ、不運だったからこそ、他の人を助けられたのだ、と。
そう、誇りにすら思っているのだから。

フィアンマは困った様な、優しさを帯びた表情を変えないまま、上条の首に手をかけた。
そのまま、ぐぐ、と力を込める。
当然、首を絞められた上条は息を呑み、抵抗しようと試みた。

フィアンマ「強がらなくて良いんだ、」

上条「が、っ…あぐ…!」

フィアンマ「俺様の前では、無理をしなくて良いんだぞ? ほら、不幸だって言え、言ってみろ。お前はどうしようもなく不運だ、俺様が救わねばならない」

上条「ごっ…ぐ…」

怨念の様な何かが籠った低い声が、上条の耳を打つ。
得体の知れない重圧を与え、且つ、フィアンマは両手で上条の首を絞めていく。
このままでは死んでしまう、と、上条の脳の片隅に『死』『殺される』というイメージが明確に浮かび上がる。
魔術を使われる限りは、右手で打ち消してしまえば何という事も無い。
下半身の拘束はそのまま、上半身しか使えない。




上条はどうする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/19(火) 22:38:51.70 ID:bswnT48Q0<> ksk
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/19(火) 22:39:20.56 ID:bswnT48Q0<> フィアンマをそげぶ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/19(火) 22:58:14.57 ID:yllvI6I40<>
上条「く、っぐ…!!」

フィアンマ「ッ」

酸欠により、意識が途切れそうになりながら、上条は右手を振り回す。
運良くフィアンマの左頬に当たり、その勢いと衝撃、そして痛みにフィアンマは思わず手を離し、床に尻餅をつく形で上条から離れる。
上条は一気に肺の中へと流れ込んできた空気に噎せ、咳き込みながらフィアンマを睨んだ。
睨まれた方のフィアンマはと、いえば。床から立ち上がる事もせず。
偶然にも勢い良く殴られた、上条の右手が当たった、未だじんじんと痛む右頬を自らの右手で抑え、俯いていた。

上条「テ、メェ…っ、げほっ、げほ…!」

フィアンマ「……、…赦して、くれ」

赤いカーペットが、濡れる。ぽたぽたと垂れた滴で。血液ではない。透明な、滴。
上条はフィアンマの表情を窺い知り、思わず動揺した。
殴られた位で泣くような人間だとは思っていなかった。
もしかすると、歯に影響を及ぼす程強く殴ってしまったのだろうか。だとすれば、激痛で涙が出るというのは頷ける。
自分にそこまでの腕力があるとは思えないものの、必死で振り回した腕と意図して殴るのとでは、力加減が違う。
根本的な部分で人を憎めない上条は、今さっきまで自分を絞め殺そうとしていた青年が泣いている様子に長らく動揺しながら、黙り込んで考える。

フィアンマ「…ゆるしてくれ、ルーチェ…俺様は、ただお前が大切なだけなんだ…怒らないでくれ…」

上条を見上げ、しかし上条ではない誰かを視ながら、フィアンマは謝罪の言葉を口にしながら泣きじゃくる。
殴られた頬は僅かに赤くなってはいるものの骨折レベル等ではなく、子供でもなければ泣く程の痛みではないはずだ。
ドメスティック・バイオレンス等にありがちな暴力衝動か、と上条は考えたものの、どうにも違うように感じる。
何が違うのかと問われると明確には言い表せないのだが。
いつもの余裕とプライドの高さは消え去っているのか、大声こそ出さないものの、隠す様子もなくフィアンマはぼろぼろと涙を流している。
腕を伸ばしてベッドのシーツを強く握り、泣く様はまるで心の弱い女の子のようで。

フィアンマ「お前が大好きなだけなんだ…守ってやりたいだけで…」

上条「……」

思いがけず言葉を失う上条。
しかし、何か言った方が良いだろうか、と考え直して、言葉を紡ぐ。


上条「……、……>>119」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 22:59:38.83 ID:8xtAKnuMo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/19(火) 22:59:52.28 ID:ChJEpYBSO<> ルーチェてなんだ…?何それおいしいの?安価↓ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/19(火) 23:01:58.44 ID:Tw7doDi70<> ルーチェ……?良かったら詳しく聴かせてくれないか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/06/19(火) 23:07:11.20 ID:LKjFb4/AO<> >>117
右頬→左頬に統一脳内変換をお願いいたします <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 00:02:35.69 ID:KK+R9Qe60<>
上条「……、……ルーチェ……? 良かったら詳しく聴かせてくれないか」

自分が出せる最大限優しい声で、上条がそっと話を促す。
もしかすると、その物なのか人なのかわからない単語に、フィアンマの歪みの原因があるのかもしれない、と考えたからだ。
フィアンマはしゃくり上げ、今しばらく涙を流した後落ち着きを取り戻し、けほ、と咳き込んでから立ち上がった。
そしてのろのろと歩いて、少し前まで上条を拘束していた椅子に腰かけると、深呼吸して自分を落ちつけてから、上条を見つめる。
人間味溢れる、どこか悲しげな表情だった。

フィアンマ「あぁ、良いだろう。所詮は終わった話だが、俺様がお前を好きで、こよなく愛する理由でもあるのだから」

そう前置きして、完全に冷静さを取り戻したところで、フィアンマは語り出した。
ずっとずっと、昔の話。
まだ自分が『右方のフィアンマ』と呼ばれる前の話。 <> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/20(水) 00:02:37.66 ID:vgoQTNIAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 00:03:09.90 ID:KK+R9Qe60<>
とある地方の街…発展度から言えば、村というべきか。
そんな場所で、後にフィアンマと呼ばれる少女が産まれた。
産まれつき特殊な右手を持ち、絶対的な幸運をその身に宿す少女が。
フィアンマが物心つく頃、既に母親は居なかった。
二歳年下の妹は生まれつき目が見えず、自分と同じように不思議な右手を持っていた。
肉親の欲目無しに村一番といっても過言ではない程美しいその娘は、『光(ルーチェ)』と名付けられた。
目の見えない妹はいつも、何をするにも何処へ行くにもフィアンマを頼り、信じた。
そんな期待に応えようと、いつしかフィアンマは、本で読んだ騎士の様に、男らしくあろうと決意した。
か弱い妹を護る為には、自分が男であると周囲に思わせた方が有効だった、というのもあるのだが。
妹の右手は如何なる魔術さえも打ち消し、魔術を用いて生活するその村の中では逐一気味悪がられた。
そしてそんな右手は幸運等も打ち消してしまうのか、ルーチェはいつも運に見放されていた。
病弱故か流行病には必ずといっていい程かかり、石があれば大抵躓く。
しかも、泥のある場所であったり、水溜りのある場所であったり。
毎日を不運だと嘆く妹を慰めながら、フィアンマは幾度も自らの右手を呪った。
この右手が、妹から幸運を奪ったのだ。だから、妹には不運しかない。
故に、自分は一生を妹に捧げようと、そう決めていた。
そんな妹がある程度育った頃、父親が亡くなった。
その時代には珍しく男手一つでフィアンマとルーチェとを育てていたのだが、歳をとっていたこともあり、病で死んでしまった。
病床にて父親に『ルーチェを頼む』と言われたフィアンマは、もちろんだと答えた。
父親が亡くなってから、食べるにも苦しくなった為、フィアンマは妹を留守番に置いて、仕事に出る事もあった。
それでも幸せだった。
妹と自分さえいてくれればそれでよかった。
それだけでたまらなく幸福だった。
最初は完璧に家族愛だったそれが、血を分けた姉妹(兄妹)同士でいけない事だとは分かっていても、段々とその愛が恋へと変化していくのに、時間はかからなかった。
村の人々からは『奇妙な右手を持つ兄妹』として蔑まれる事もあったが、それでも構わないとフィアンマは思っていた。
仕事をして、疲れて帰ると、妹が笑顔で出迎えてくれる。
たったそれだけの事なのに、何でも出来そうな気がしてきた。

「私はお兄様が好きです、お兄様だけが好き」

「俺様もルーチェだけを愛しているよ」

「ずっと一緒に居ましょうね」

「あぁ、約束だぞ」

隔離されているかのように、村の端の小さな家で、二人きり。
肉欲に溺れる時間は無かったが、毎日口づけを交わした。
村の人間は二人を恐れてか無闇に家へとやってくる事は無く、二人はお互いのみを愛した。
自分達を育ててくれた父親には悪いと思ったものの、互いに恋情を抱かずにはいられなかった。 <> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/20(水) 00:03:11.08 ID:vgoQTNIAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 00:04:10.23 ID:KK+R9Qe60<>

そんな日々に対しての神罰だったの、だろうか。
ある日、フィアンマが家に戻ると、妹はいつものように笑顔で出迎えてはくれなかった。
また病気にかかったのだろうか、と可哀想に思いつつ近寄ると、泣いている。
どうかしたのか、と聞けば、今日、自分が帰ってくるまでの間に、村人がやってきたと。
目が見えないが故に、顔はわからない。恐らく、複数人だった。
とても困った様子だったから開けたのに、次の瞬間に押し倒され、服を剥がれ。
端的に言えば、処女を奪われた。
兄に操を立てたのに、と泣きじゃくる妹を抱きしめながら、フィアンマはどうしようもない世界の不条理に腹が立って仕方がなかった。

「神よ、何故我が妹ばかりに災厄を与うるのか。ルーチェが何をした…!」
「お兄様…ごめんなさい、ごめんなさい…!」

“不運”にも自分が居なかったせいで犯された妹と、”幸運”にも家に居なかったが為にそういったおぞましい行為からは逃れた自分。
こんなにも大切に思っているのに、どうしても妹を傷つけてしまう。
それならばずっと家に居れば良いのだと、フィアンマは考えた。
自分の絶対的な幸運が、妹の絶対的な不運の傍に常にあれば、普通の人間の運であると。
自分が傍に居る事で妹がこれ以上不幸にならなければそれで良いと。
貯金はあった。
だから、フィアンマは仕事を辞めて来る日も来る日も妹の世話をした。
しかし、フィアンマが優しくすればする程妹は落ち込み、自分は汚いのだと考え始め、追い詰められて。





そして、ある日。
果物ナイフで首を切った。
フィアンマが油断した一瞬の隙に自らの首筋を斬り付け、床に倒れたのだ。
妹は力なく微笑みながらこう言った。
『自分は穢れてしまった女だ。加えて、血が繋がった兄妹(姉妹)で結ばれる事は出来ない。だから、死んでやり直したいと思った』と。
回復魔術を行使しようにも、妹の右手は須らく打ち消してしまう。
どうしてこんな事になってしまったのだろう、とフィアンマは悔やむ他無かった。
一度として、妹を穢れた女などと思った事は無かった。
ただ、自分の隣で幸せそうに笑ってさえいてくれれば、良かった。
どんな状態でも、フィアンマはルーチェを愛せたのに。
そう泣きながら言うフィアンマの頬を撫でて、ルーチェは残酷な約束をした。

「お兄様、私、必ず戻ってきますから…男の方の、…今度は目も見えて、元気な身体に…だから、お兄様。約束してください、必ず私を捜してくれると―――」

「約束する、世界中を捜してでもお前を見つけると」

「きっと、戻ってきた私はまたこんな右手なのでしょうね…」

「見つけ易いというものだ…目を閉じなさい、もう、俺様の事は良いから、」

「お兄様は相変わらずお優しいのですね…、…蘇った後の私がお兄様を忘れてしまっていても、私を愛していただけますか…? 逃さぬよう、縛り付けてでも…」

「勿論だ…、ルーチェ…」

最早、呪いのような約束だった。
生まれ変わった後の自分、次代の『幻想殺し』に兄を執着させる、呪いの。

「今度産まれてくる時は他人ですから…お兄様と結ばれる事が出来ますね。また、一緒に暮らしましょう。大きなお城に、住んでみたいです」

「空飛ぶお城は、昔からお前の夢だったか…。…あぁ、そうだな…今度は絶対にお前を守りきってやる。世界を敵に回しても、絶対…絶対に…っう…」

「ふふ、ふ…うふふ…楽しみ、です…っ、」

「ルーチェ…ルーチェっ…嗚呼…!!」

<> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/20(水) 00:04:11.67 ID:vgoQTNIAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 00:04:55.47 ID:KK+R9Qe60<>
やがて力を失ったルーチェの身体を抱きしめつつ、フィアンマは世界を呪った。
この時点で、世界を救うなどという選択肢は頭の中から消え去った。今も無い。
何としても、妹の生まれ変わりを見つける。
十字教徒にあるまじき考えではあったが、フィアンマは本気だった。
目印は、『幻想殺し』と名称すべき特殊な右手。
良くも悪くも、フィアンマには無限にも等しい時間があった。
フィアンマの持つ特殊な右手―――『聖なる右』には、如何なる邪法や悪法も千年の間叩き伏せるという特性がある。
故に、フィアンマは千年の生を約束されている。
自殺をしようとしてもイマイチ死ぬ事は出来ず、フィアンマは生き延びた。
老いる事の無い姿に、村の人間は恐怖を覚えた。
化け物、と石を投げられても、フィアンマは尚、村の人間に、妹を犯した誰かも分からない男達に復讐をする事はなかった。我慢した。
妹を奪ったのは、この世界自体なのだから。



何百年も生きる内、フィアンマは『神の右席』という組織に属する事となった。
名実共に教皇の相談役として、現在では教皇すら圧倒する権力を持った組織として、フィアンマはよく働いた。
世界を操れる立場に居れば、いつか妹の生まれ変わりに出会えるはずだと。
そして何百年も、気の遠くなる程長く待って、諦めかけた頃。
『幻想殺し』を持つ上条当麻という少年がこの世界に産まれた。
産まれた瞬間などわかるはずもなく、フィアンマがその存在を知ったのは、上条が『人助け』をしたからだ。
これぞ運命だ、とフィアンマは思った。
きっと妹の魂が自分に会う為に不幸を生かして目立つ行動を重ねてくれたのだ、と。 <> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/20(水) 00:04:56.77 ID:vgoQTNIAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 00:05:36.39 ID:KK+R9Qe60<>
フィアンマ「…まぁ、そういう訳だ」

上条「…」

そこに、一切上条自身の意思は含まれていない。
フィアンマにとって優先すべきは亡き妹の意志と自らの歪んだ愛情と執着。
上条はそんな長い悲劇の話を聞いて、しばらく黙りこむ。
フィアンマはぼんやりとした表情で、ふと視界に入った蝋燭に人差し指を近づけると、口の中で何事かを呟いたかと思うと、指先から火を点けた。
じりじり、と溶けていく蝋を見ながら、フィアンマはため息をつく。
先程よりも幾分か憑き物が落ちたような表情だった。

フィアンマ「…俺様は、お前を愛しているよ」

低い声の、どこか悲哀を帯びた呟きに、上条は目を伏せた。


上条「……>>132」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 00:05:53.12 ID:2jOxeXIPo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 00:11:39.38 ID:dhy271Po0<> すまないんだが…………俺はお前の妹じゃない

てゆうかお前男?女?まさか、ふたなり?! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 00:13:17.51 ID:dhy271Po0<> ごめん 二行目無しで <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 00:24:21.29 ID:vgoQTNIAO<>
上条「すまないんだが…………俺はお前の妹じゃない」

上条は感受性の高い人間だ。
たとえどんな事情があるにせよやっていい事と悪い事があるが、事情を知ってしまえば同情してしまう位には、上条は優しい人間だった。
しかし、同情や優しさと甘受は違う。
きっぱりとした否定の言葉に、フィアンマは傷付いた様子もなく、くすりと笑う。

フィアンマ「事実かどうかは、重要じゃないんだよ」

上条「…?」

フィアンマ「お前が記憶を失って尚嘘を吐いてまであの女を大切に思い守ろうとしたように、俺様にとってお前は記憶が無くどんなに否定しても大切に思う妹の生まれ変わりである事に違いは無い。肝心なのは、真実ではない」

上条の発言を肯定しておきながら、それでもフィアンマは意思を変えない。
フィアンマはどこか壊れてしまっているのかもしれない。
大事なものを、長い時間の中で無くしてきたのかもしれない。
やはり何かがおかしいフィアンマを見つめ、上条は深呼吸した後こう言った。

上条「すーっ……>>136」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 00:24:52.03 ID:2jOxeXIPo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 00:25:48.50 ID:C1536ToSO<> この、大馬鹿野郎!!! <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 00:37:44.56 ID:vgoQTNIAO<>
上条「すーっ……この、大馬鹿野郎!!!」

上条は、自分の思いを信じ、フィアンマに怒りを向ける。
自分の置かれている立場へ、ではない。
フィアンマの考えが、あまりにも自分勝手なものだから、だ。

上条「妹に頼まれたから? 右手があれば生まれ変わり? 知るかよ、そんなの。どんな事情があったって、人を傷付けていい理由には、まして、戦争を起こしていい理由になんか絶対なんねえんだよ! 確かに妹さんは…酷い目に遭っただろう、それでフィアンマが悲しんだのも分かる、でも世界が悪いなんてそんなのただの逆恨みじゃねえか!!」

フィアンマ「……、」

上条「妹さんは、お前が長く生きるから、生きる希望を持って欲しくてそう言い遺したんじゃねえのか。何だってお前はそうわかってやらないんだよ!」

フィアンマ「……」

上条「俺はお前の妹じゃない。それでもお前がまだ俺が好きだとか何だとか寝ぼけた事言い続けるなら、そんな下らない幻想は…ぶち壊す」

フィアンマ「…、はは」

ずっと黙って上条の言葉を聞いていたフィアンマが、小さく笑った。
失笑だった。

フィアンマ「下らない幻想、だと? お前には分かる筈もない。俺様の絶望も、ルーチェの願いも」

溶ける蝋燭を見つめ、フィアンマは上条の心からの言葉を、否定する。

フィアンマ「…その幻想が無ければ、俺様は死ぬんだよ。そう簡単に殺さないでくれ。人殺しになりたい訳ではあるまい?」

上条「…>>139」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 00:37:57.65 ID:2jOxeXIPo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 00:40:07.66 ID:dPk11dVX0<> じゃあ、俺が新しくお前が生きる理由を探してやる <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 00:47:34.11 ID:vgoQTNIAO<>
上条「…じゃあ、俺が新しくお前が生きる理由を探してやる」

フィアンマ「ほう、殊勝な事だ」

上条「こんな方法じゃなくたって、俺を閉じ込めなくたって、妹さんに縛られなくたって…お前が幸せになれる方法や生き甲斐は、捜せば必ずある」

フィアンマは興味無さ気な瞳で、無気力な視線を上条に向ける、
期待や希望等どこにもない。
真剣に求めるというよりも、児戯の提案を見守るかのような、どこか一線引いた様子。

フィアンマ「……で、例えば、何だ? その新たな生きる理由とやらは?」

上条「…>>142、とか…>>143」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 00:48:37.85 ID:dPk11dVX0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 00:48:51.78 ID:+4t6DzGY0<> 結婚 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 00:50:01.35 ID:C1536ToSO<> 戦争を止め、妹さんみたいな人がでないようにする <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 00:53:21.68 ID:C1536ToSO<> 間違えた。戦争止まってた。事後処理で頼む <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空)<>sage<>2012/06/20(水) 02:09:52.89 ID:RU8bomkz0<> なんかルーチェとかのくだりサンホラっぽいな <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 11:16:21.53 ID:1zrtWm/y0<>
上条「…結婚、とか…戦争の事後処理をして、妹さんみたいな人が出ないようにする」

フィアンマ「俺様が何をしようと、ルーチェのような被害者は出るさ。人間に備わる悪意や凶暴性とはそんなものだ。正当化出来る理由が自分の中にあればどこまでも残酷な部分を表出化出来る。免罪符さえあれば誰でも殺せる。人間とはそんなものなんだよ。善意はただの付け焼刃、生きる為に、そして自分が他人からよく思われたいがために身につける仮面でしかない。自分が本当に切羽詰まった時は何をしたって悪いとは思えない。人間の心に綺麗な部分等あるものか。事実、戦時中は皆を正直にした。国家、民族、宗教、男女、言語、資金、血統、才能、各々の心の中にあった小さな刺を余す事なく外界へ出力していた。だから、俺様一人が何をしようと世界は何も変わらない。もしルーチェのような純粋な被害者を無くそうと思ったら、世界中の人間を殺して俺様も自殺する他無い。人間が居る限り、そこに必ず悲劇は起こる。青臭い理論で全てを片付けるにはもう遅い。外に出すつもりはないが、仮にお前を外に出せば、恐らく殺されるよ。こんな安全地帯で、首謀者の隣に居ながら黙って見ていたとしかとられないのだからな」

上条の言葉の後者に著しい反応を示し、狂熱の籠った声でそう言うフィアンマに、上条はどう説得したものか悩む。
何を言っても否定され、完膚無きまでに信用されない。

フィアンマ「…結婚という案は、悪くないが」

不意に前者の提案を思い出したのか、フィアンマがはにかみながら頷く。
言われずとも分かる、上条相手であれば、という意味だ。
それでは根本的な解決にならないじゃないか、と思考を巡らせ、上条は慎重に言葉を選んでいく。

上条「>>148」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 11:19:08.37 ID:C1536ToSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 12:01:15.63 ID:wWNOIsZI0<> 俺は……お前を信じてるから、お前も俺を少しは信じてくれないか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 12:08:21.74 ID:C1536ToSO<> 結婚はについてはまだ答えは出せない。あと、確かにルーチェさんみたいな被害者をゼロには出来ないのかもしれない。人間の一面もお前の言う通りかもしれない。
でも、何もしないよりはマシだ!償うという意味もあるし、悲劇を減らす事はできる!
…それに、もし「人間」という物がお前の言う通りなら、お前のルーチェさんへの愛や善意、思いやりも偽物で、良く思われたいだけの仮面かよ!!違うだろ!?ルーチェさんだってこんな事望んでないだろ!燻ってる場合じゃない!!いい加減現実と闘い始めようぜ!魔術師!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 12:09:54.57 ID:C1536ToSO<> ヤベ結構頑張ったのに外したWWW恥ずかしWWW <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 12:25:11.00 ID:1zrtWm/y0<>
上条「俺は……お前を信じてるから、お前も俺を少しは信じてくれないか?」

フィアンマ「…お前を? …無理だ。そもそも、お前が俺様を信じられるとは思えない」

上条は自分を好きになる義務があると言ったり、しかし信じてはもらえないし信じないと言う。
矛盾した言動を上条に向けるフィアンマは情緒不安定の一言で片づけるよりも、自らの中の何か、もう一つの思念と争った結果を言葉として出力しているようだ、と表現した方が正しく感じられる。

上条「信じる。約束する」

フィアンマ「…はは。…お前は、俺様が嫌いだろう」

どろどろに溶けきった蝋燭の蝋を見、上条の目や顔を見ないまま、乾いた笑いを零したフィアンマはそっけなく指摘する。

フィアンマ「あの女から引きはがし、戦争を引き起こし、お前の自由を奪って未だ逃がすつもりのない俺様の事を、お前が好意的に捉えられるとは思えない。嘘を吐くのは感心せんよ。お前は頑張っているのかもしれないが、言葉の一つや二つで傾く程度の覚悟なら、最初からお前を閉じ込めたり等するものか。今のお前は信用ならない。そして今のお前は、俺様の事がさぞ憎らしく、疎ましいはずだ。そんな嫌悪感を抱く相手を信じられる訳がない。……、…どうして嘘を吐くんだ。俺様は頑張っているじゃないか。精一杯努力しているじゃないか。それなのにどうしてお前はこんな事をする。俺様を惑わせ、傷つけて楽しんでいるのか?」

上条「別に憎いとかは思ってねえよ。正当化は出来ないけど、フィアンマが俺を閉じ込めようとした理由は妹さんとの約束を守ろうと思ったからなんだから」

フィアンマ「嘘だ」

フィアンマは、溶け、冷え固まった蝋の塊をおもむろに掴み、ぐしゃりと握り潰す。
そして、手を開く。当然の事ながら、手の中の物は重力に従ってカーペットへ落ちていく。
粉々となった蝋は床にばら撒かれ、まるでフィアンマ本人の心が壊れているのを体現しているかのようだった。
上条当麻は、嘘を吐いている訳ではない。
どんな相手でも、上条は信じる事が出来る。
それがどんなに疑わしい発言でも、相手がどんな人物でも、信じようと思えば信じられる。
だからこそ、ヒーローと呼ばれてきたのかもしれない。
しかし、それでもまだ、フィアンマは拒絶した。
『絶対能力者進化実験』の時の御坂美琴のような、心底ではそれを望んでいながらも否定しているのとは違う。
口先だけの言葉ではなく、奥底の部分で、フィアンマは人間不信なのだ。
根底にある原因は、フィアンマが人間に備わる善意や優しさは作り物しかないと考えているからだ。
上条が敵だろうが何だろうが一発殴るのみで殺しはせず、何もかも救うのが一番だと思うように。
絶対に変えられない、フィアンマという人間を構成する一つの重い考え。
まずは、フィアンマに善意の存在を信じさせなければ、上条が何故フィアンマを信じようと思うのか、そう言ったのか、理解させる事は出来ない。
床に散らばる粉を見下ろし、ぼんやりとした様子のフィアンマを見据え、上条は悩みながらも言葉を紡ぐ。

フィアンマ「何をどうしたら信じられるというのか。偽善を装う必要等どこにもない、素直になれば良い」

上条「>>151」

<>
◆2/3UkhVg4u1D<>sage<>2012/06/20(水) 12:26:37.02 ID:vgoQTNIAO<> 現状を確認していませんでした…

上条の台詞再安価>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 12:28:01.01 ID:C1536ToSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 12:50:13.89 ID:Tj6qCAp10<> 信じてくれないなら……この右腕……くれてやる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 12:51:52.82 ID:C1536ToSO<> 何故だWWW <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 13:03:35.87 ID:1zrtWm/y0<>
上条「信じてくれないなら……この右腕……くれてやる」

フィアンマ「…、…」

上条「お前がどんな手段で切断するかは知らねえけど、耐える。お前が好きなのって、要するにこの右腕を持ってる人間なんだろ。別に俺じゃなくてもいい。右腕を切られて放置されたら死ぬかもしれないけど、それはそれで仕方ないと思ってる」

フィアンマ「それ以前に、その右手を失えば、俺様からの攻撃を防ぐ術は一切無くなるぞ」

上条「良い。お前が俺を攻撃しないって、信じてる」

言葉のみでは伝わらないというのなら、身体を張るしかない。
実際に切られれば言葉通り死ぬだろうと思い冷や汗をかきつつも、上条は淀みなく言葉を発する。
御坂美琴の雷撃を受け、信頼させたように。
たとえそれで自分が傷つく結果になったとしても、フィアンマが自分を、ひいては人間を少しでも信じられるようになったのなら、それで構わない。
上条当麻は人を救う点においては異常であった、だがしかし、それ故にフィアンマの心に、言葉が届いた。
フィアンマはしばし困ったような様子を見せた後、こくりと頷く。

フィアンマ「…分かった。拘束は解かんが、お前が俺様を信じている、という事案は…信用する」

上条「…とりあえず今は、それでいい」

どんなに時間がかかっても、此処から出る事が出来ればそれで良い。
此処を出たいという理由も、インデックスに謝り、そして守りたいから、というその二つしか、上条にはない。
なるべく早く出られた方が良いに決まっているが、まずはフィアンマの歪み―――心の傷をどうにかしなければ脱出は不可能。
原因や事情を知ったからか、上条は外に出る為の手段としてではなく、フィアンマを救う事を主軸に置いて説得する事にした。
目的を先に置いた説得では、言葉が届かないとよく理解したからだ。
ズタズタに引き裂かれているフィアンマの心に上条の、『信じる』という言葉は真実として定着したのか、フィアンマはどこか嬉しそうな様子で蝋燭の粉を片付ける。
部屋掃除を終え、フィアンマは再び椅子に腰かけると、上条の右手を見つめた。
何を考えているのか、その何の感慨すら浮かんでいない表情から読み取る事は出来ない。

上条「…>>158」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)<><>2012/06/20(水) 13:13:17.85 ID:XEZgaDHg0<> 上条「こっちもお面かぶって対応する」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 13:16:21.94 ID:Uw261w5/0<> すまないんだが、……トイレにいきたいんだけど…
紅茶のんだからもよおしてきた <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 13:39:02.73 ID:1zrtWm/y0<>
上条「すまないんだが、……トイレに行きたいんだけど…紅茶飲んだから催してきたというかですね…」

フィアンマ「あぁ、それもそうか。少し待ってくれ」

上条の発言にしまった、と言わんばかりの顔で、フィアンマが頷く。
そして立ち上がったかと思えば、一時部屋から立ち去った。
ちなみに上条当麻は嘘を吐いて追いだした訳ではなく、真面目に催していたりする。
少し待て、と言われた上条は尿意を堪え、下半身を拘束されているために動けないまま、フィアンマを待つ他ない。
もしかして特殊な拘束道具を用意しているのか、という上条の予想とは裏腹に、戻ってきたフィアンマの手にあるのは手錠や足枷ではなく、上条が入院中時々お世話になるアレだった。
言うまでもなく、しかし敢えて記述するとしたならば―――尿瓶。

上条「いっ…いやいやいやいや、トイレに行きたいって言ったよな、俺!?」

フィアンマ「だから排泄出来るようにこうして器具を持ってきただろう」

上条「お前意外と天然さんなの!? 嘘だろ!」

フィアンマ「嘘でも冗談でも無いが…」

恐怖や緊張ではなく、尿意の我慢とフィアンマの行動に対する驚愕に冷や汗を全身から放出し、上条は動揺する。
フィアンマはそんな上条に首を傾げながらも近づいたかと思えば、ベッドの上、上条の脚の間に座ったかと思うと、上条のズボンに手をかけた。
ちなみに現在身につけている上条の下着は、上条が欲しフィアンマが縫った白ふんどしだったりする。
結んだ通りに脱がせば良かったのだったか、と首を傾げつつ考えるフィアンマを見、上条は身を竦ませた。
確かに脚が動かない…骨折した場合などは、看護婦さんや看護士さんにこんな風にお世話にはなった。
しかし、現在の自分は骨折をしている訳でもなければ(拘束されているというだけで)、手が使えない訳でもない。
そして此処は病院ではない。
フィアンマは着せるのはともかく人の衣類を脱がすのは慣れないのか、上条のベルトに触って懸命に外そうとしている。





上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 13:40:14.98 ID:C1536ToSO<> kskkskゥ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 13:58:26.97 ID:gbFvTIcT0<> 自分で外すから!といってなんとか外そうとするも
フィアンマが無理やり外して一緒にふんどし外
れて我慢してたから怒張したアソコがフィアンマの目の前に <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 14:09:58.25 ID:C1536ToSO<> エロ展開か <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 14:21:37.37 ID:1zrtWm/y0<>
上条「い、いいって…っていうか、分かった、自分でやるから!」

フィアンマ「遠慮するな、看護士の技能は無いがこの程度であれば俺様にも出来る」

上条は男性故に上半身裸を見られるのはまだしも、下半身裸を見られるのは流石に恥ずかしいもので。
仮にフィアンマでなくとも抵抗しようと思うのが普通の少年だ。
これは余談だが、上条はドタバタと事件に巻き込まれ続け、ほとんど自慰が出来ていない。
インデックスと同居していたが故に、そもそも自慰を出来る空間が無かったというべきか。
上条の両腕とフィアンマの両腕とで無茶苦茶な方向へ引っ張られたベルトは壊れはしないものの強制的に外れ、引っ張る力が強すぎた為か、不幸にも上条の下着までもがするりと外れる。
性欲が溜まった状態で尿意を我慢していたからか、上条の性器は血液が流れ込み、一言で言い表すのならば、勃起していた。
やや前のめりで、上条の抵抗と戦いつつベルトを引っ張っていたからか、ベルトが壊れた事でフィアンマはバランスを崩す。
転びかけたフィアンマが咄嗟にベッドのシーツへ右手をつき、上条は腰を引く事も忘れて固まる。

上条「あ…」

フィアンマ「…何で勃っているんだ…」

上条「いや、その…」

言葉だけ聞けば冷静なように見えるが、上条よりもフィアンマの方が動揺していた。
何しろ、文字通り目と鼻の先に(まともに考えればおかしな理由ばかりだが)、愛する異性の性器が突きつけられているのだから。
イレギュラーに弱いフィアンマは、想定していた萎えた男性器のイメージとは程遠い上条のソレに対して非常に動揺し、緊張した面持ちで上条を見上げる。
上条の方はといえば、興奮する要素があった訳ではないのに興奮してしまっている自分のソレの状態に対してどう弁解すべきか悩み、もごつく。
上条はフィアンマを(過去の話をする際、フィアンマは自分が女だと言わなかったため)男だと思っているので、まさか自分を監禁するような男に興奮したのだろうか、と考え、段々と気分が落ちこんでいくのを感じていた。
しばらく上条の様子を眺めたまま心を落ち着けていたフィアンマは上条の性器を見やり、脳内から引き出した医学的な知識を元に問いかける。

フィアンマ「…この際、理由はどうでも良い。…勃起していると、排尿は出来ないのだったか」

上条「あ…あー、うん…」

何で他人事みたいな話し方なんだ、朝勃ちで困った経験ないのか、等とフィアンマを問い詰めたい気持ちと尿意、それよりも先行する性的興奮に重きを置き、上条はもごもごと相槌を打つ。
二人の頭には、珍しくまったく同じ思考しか存在していなかった。

『どうしよう』。





上条はどうする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 14:26:38.82 ID:8y/RhFHM0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 14:27:05.81 ID:8y/RhFHM0<> フィアンマが男なのか女のかふたなりなのかとゆう疑問をぶつける <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 14:34:17.04 ID:C1536ToSO<> …別に勃起してても排尿できるよな?普通に。少なくとも俺はそうなんだけど。アレ俺だけ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 14:49:50.23 ID:tg17M0hQ0<> 出来るけど やりづらくない? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 14:51:18.60 ID:1zrtWm/y0<>
上条「よ、よし…落ち着こう。…ちょっと関係無い話をして、落ち着こう。時間が経てば萎えるだろうからさ」

フィアンマ「あぁ」

他人の前で勃起しているという事実による緊張で一時尿意の吹き飛んだ上条は、凛々しい顔をした。
こういった場合の勃起は、放っておけば落ち着くという事を、上条は経験上知っている。
オカズになるようなモノ、エロ本やAV、可愛い女の子の露出した肌等を見ないで落ち着いていれば、いずれ落ち着くはずなのだ。
勃起さえ落ち着いてしまえば、萎えた状態の性器を軽く曲げて排尿が出来る。
血液が集中して硬くなっていて、且つ上向きの状態では、仮に排尿出来たとしても盛大に撒き散らかしてしまう。
しばらく会話をして落ち着こう、という上条の提案に、フィアンマは頷いてようやく身体を起こす。
そして、変わらず上条の脚の間に座り直す。
動揺もだいぶ治まったようだ。

上条「…フィアンマって、性別は男なのか? 女? それとも、何だっけ…ふたなりってヤツ、なのか?」

フィアンマ「ふた…? …それは両性具有という意味か」

上条「そうそう、そういう意味」

多分男だろうな、と思いつつ深呼吸をして自分を落ち着けていく上条の挙動を眺め、フィアンマはしばらく悩む。
本当の性別を話すべきか。
自分が女である事を知っているのは、現在、フィアンマ本人しか居ない。
運命で約束されたやがて結ばれるべき相手なのだから話しても構わないか、と考えをまとめたフィアンマは上条の目を見て答える。

フィアンマ「女だ」

上条「へー、そっか女か…!?」

フィアンマ「?」

えっ、と驚愕の声は出さないまでも今まで以上に著しい動揺を見せる上条に、フィアンマは小首を傾げた。
上条はといえば、頭の中でフィアンマの発言を繰り返し、認識して、途端に動悸が治まらなくなったのを自覚した。
性別の違いとは重要なもので、女ならば可愛い事、もしくは男ならばカッコイイ事などがある。
上条にとって、フィアンマの服装はそれに当たる。
男性だと思っていればどうということも無いのだが、女性として見た場合、そこそこに色気のある格好なのだ。
スカートではなくズボンである為に下半身に関しては興奮させる要素は無いのだが、上半身は別だ。
セーラー服の様に首回りと胸元が見える襟の作り。
そういえばさっき前のめりだった時、胸元が見えた気がする。
要するに、下着は着けていない。
常識的に考えてパンツは穿いていると思うが、上条の知る同級生や女子中学生の様にブラは着けていないのだと思う。
くっきりとした鎖骨と白い肌は意識すればする程に煽情的で、上条は思わずフィアンマから視線を外し、というよりも顔を逸らした。
性的興奮を宥めようと始めた会話中の質問でより一層興奮してどうする。
不幸だ、と口の中で呟き、上条はため息を吐きだす。
性別を告げた途端に顔を逸らした上ため息をついた上条に何を思ったのか、フィアンマは残念そうな顔で落ち込んだ。

フィアンマ「…男の方が良かったか。それとも、両性具有であった方が良かったのか?」

上条「そんな訳ないだろ、別にフィアンマが男でもふたなりでも変わんねぇけど、上条さんは普通に女の子が好きです!」

フィアンマ「ならば何故目を逸らす。俺様が男ではなかったから失望したのではないのか」

上条「…>>169」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 15:01:18.20 ID:ZCB7ThTJ0<> いや……あの今までずっと男だと思ってたから意識しなかったんだけど…
女だとわかっちゃったらなんか…急になんかドキドキしてきた 女性と2人っきりだったんだなぁと <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 15:01:35.81 ID:C1536ToSO<> むしろ萎えてる時より狙いつけやすいんだけど…
安価↓ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 15:03:07.50 ID:ZCB7ThTJ0<> >>170
無駄な力いるじゃんよ
逆にそれすごいじゃん
<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 15:29:15.32 ID:1zrtWm/y0<>
上条「…いや……あの今までずっと男だと思ってたから意識しなかったんだけど…女だとわかっちゃったらなんか…急になんか、ドキドキしてきた。…女性と2人っきりだったんだなぁ、と」

フィアンマ「…ぁ…、…そ、うか」

僅かに顔を赤くしながら、本心をそのまま言葉にした上条の発言により、フィアンマは視線を彷徨わせた。
どう対応すれば良いのかわからない、といった様子だ。
上条はちらりとだけフィアンマを見やる。
恥ずかしそうに、且つ嬉しそうに口ごもる様子は、(年齢を考慮せずに表現するのであれば)実に一般的な恋する女の子だ。
昨日までは照れる様子を見ても何とも思わないどころか気味が悪いと感じていた上条も、女性から好意をもたれ、自分の発言によって照れさせているという状況に良い意味での動機を覚える。
簡単に言い換えてしまえば、ドキドキとした。
悪い部分を上げればキリが無いが、フィアンマは好きな男一人の為に戦争を起こし、人を殺し、ありとあらゆる組織を利用し、城を建て、(左脚の件と首を絞めた事を考慮しなければ)純粋に好意を伝えた上で一緒に住み続けたいと願う、上条を心の底から好いている女性である。
美味しい料理を上条の為に作り、シモの世話までしようと努力している。
上条が抵抗しない限りはなるべく望みを聞き、欲しがる物を用意し、出来なければ作りだしてくれる。
あれ、恋人としては結構理想に叶っているような、等とうっかり考えかけ、上条はその考えを遥か遠くに押しやろうとする。
未だに勃起の治まらない上条のソレをちらちらと見やり、フィアンマは悩む。
何やら考え込むフィアンマに、上条はこう言った。


上条「…>>174?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 15:31:48.64 ID:C1536ToSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 15:33:53.71 ID:z0kp9amQ0<> なんだ?見るのは初めてか?まさか処女?ニヤニヤ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 15:47:23.85 ID:1zrtWm/y0<>
上条「…なんだ? 見るのは初めてか? まさか処女?」

にやにやとやや下卑た笑みを浮かべ、どうにかこの甘ったるいような微妙な空気を打破すべく、上条は問いかける。
ここでフィアンマが笑って見下したような発言をしてくれれば、上条の望む甘さの無い和やかな空気になるし、そんな雰囲気が構成されてしまえば、この『あれ? フィアンマって恋人してはそんなに悪くもないような気がする』などといった馬鹿な考えを消し去る事が出来るのだ。
上条当麻はマゾヒストではないが、今この瞬間、お願いだから短小でも何でもいいから罵ってくれ、でも首絞めるレベルとかまでは怒らないでくれ、と考えていた。
そんな上条の期待に応える事もなく、フィアンマは俯いた。

フィアンマ「…だよ」

上条「…聞こえない」

フィアンマ「…そうだよ。認める。見るのは初めてではないが、俺様は生娘だ」

上条「……」

フィアンマ「お前が求めるのなら、そういった行為も吝かではない。知識はあるが経験がない以上満足させられるとは到底思えないが。…しかし、性交渉に及ぶとしても少々気が早くないか?」

顔を真っ赤にしたまま俯くフィアンマはそう語り、手近にあった予備の枕を抱きしめる。
ぎゅうぎゅうと強く抱きしめながらもごもごと話す様子は、女の同級生が下ネタを振られた時の可愛らしい反応によく似ている。
もそ、と枕から顔を覗かせ、フィアンマは上条を見つめる。




上条はどうする?>>+2


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 15:54:59.43 ID:+4t6DzGY0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 15:55:41.39 ID:+4t6DzGY0<> やだなにこの娘可愛い おいで抱きしめてあげよう <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 16:18:12.14 ID:1zrtWm/y0<>
フィアンマは戦争を引き起こしてインデックスを傷つけたヤツだ。
自分を監禁して自分勝手な理由で縛り付けて離さないヤツなんだ。
とっても悪いヤツじゃないか、と上条は自分に言い聞かせる。
でも、俺の無茶な要求にも応えてくれたし、料理も美味かった。
綺麗好きだし、意外と照れ屋でちょっと抜けてる感じもするけど、俺の為に一生懸命で…。
ダメだ。考えちゃダメだ。
悪く言い聞かせて、考えて、思って…ダメだった。

上条「……」

上条の様子を窺うフィアンマの様子の可愛さに負け、上条は手近な毛布を自分の下半身にかけたかと思うと、ちょいちょいとフィアンマを手招きした。
不可解そうに、枕を置いて近寄るフィアンマの細身の体を、上条は抱きしめた。
上条は座ったまま、フィアンマは上条の身体、下腹部を跨ぎその上に座る形で上条に抱きしめられる。
殴られるだろうか、などとぼんやり考えていたフィアンマは、予想の斜め上をゆく抱擁という上条の行動に固まった。
思考がフリーズしているのか、動かない。
上条はといえば、自分の下腹部(股間から少し上)の場所に触れているフィアンマの身体を意識しないようにしながら、抱きしめたまま離れない。

上条「…可愛いよな、お前って」

フィアンマ「…、別に猫被りはしていないが」

上条「むしろ狙った可愛さじゃないのが可愛いんです」

フィアンマ「……お前の感覚はよく分からんな」

誰でも今の行動とか態度は可愛いと思う、とは言わず、上条は黙したまま抱擁を続ける。
上条にとっては幸か不幸か、フィアンマは貧乳を下回る胸のサイズであり、密着した上半身についてはあまり興奮を誘われない。
意識したら結果は変わるのだろうが、上条はなるべく無心でフィアンマを抱きしめる事にした。
ようやっとフリーズの解けたフィアンマは上条の服を握り、おずおずと抱きしめ返している。
自分が触れるのは特に何も思わなくても触れられるのは恥ずかしいのか、フィアンマは上条の肩辺りに顔を埋める。
上条の首元に、フィアンマの髪が触れる。
肩につくかつかないか位の長さの髪。
そういえば結構髪長かったんだよな、等と思考し、その髪から漂ってくる甘めの石鹸の様な匂いに一層女性を抱きしめている事を意識しながら、上条は黙り込んだ。
沈黙が場を支配する。

フィアンマ「……」

上条「……」




上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 16:26:11.30 ID:nl73uM0A0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 16:26:52.05 ID:nl73uM0A0<> そりゃディープキスの後に愛撫してセックスですよ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 16:54:37.11 ID:6BT2O4E20<>
そっと、腕を伸ばした上条が、フィアンマの背中をぽんぽんと叩く。
顔をあげて欲しいという意図を読み取ったフィアンマが顔を上げたところで、上条はフィアンマに口付けた。
バクバクと高鳴る心臓の鼓動を感じながら、上条はそっと舌を伸ばし、フィアンマの口内をくすぐる。
妹と上条しか愛した事の無いフィアンマにとって、ディープキスは久しい。
驚き目を瞬かせながら、それでも拒否する事無く、フィアンマは目を閉じて受け入れた。
漫画や小説ではレモンの味なんて称されがちだけど、甘いような気がする、等と思いつつ、上条は唾液を少量飲みこみ、舌を絡ませる。
ふる、と震える睫毛を視界に捉え、ドキドキとしながら、上条はフィアンマの服に手をかけた。
内ボタンとなっており意外と厚手な上衣は脱がし辛いものの、幾つかボタンを外せばあっという間に手を滑り込ませられる。
ワイシャツでいえば第三、第四、第五ボタンを外し、その隙間から右手を差し入れた上条は、ほんの僅かな膨らみのある胸に触れた。
手探りで、興奮しつつもなるべく痛みを与えたりしないよう、乱暴にならないよう気をつけながら、まだ柔らかな突起を指先で刺激する。
じれったい快感にフィアンマの唾液分泌量が増え、口端から二人の混じり合った唾液が零れる。
下半身さえ拘束されていなければ恐らく上条はフィアンマを押し倒していただろう。
くちゅくちゅと水音を立て、口付けを交わしえいる内、感覚を思いだしたのか、フィアンマの舌遣いが巧みなものと化し、上条の口内を蹂躙する。
柔らかかった突起は上条の指先による執拗な愛撫によって充血し、弾力を持って上条の指を楽しませる。

上条は頭の片隅で思考した。

このまま、こんな行為を続けていいのか。
自分は、帰ると、逃げると、戻ると、そう決めたのではなかったか。
もしもこのままセックスに及べば、自分はフィアンマから離れられなくなる。良心の阿責によって。
フィアンマが思いこんでいる通り、自分はフィアンマを好きになってしまうのではないか。
というよりも、やや好きになりかけている。
これは過ちなのかもしれない。うまく判断出来ない。
本当に好きでないのなら、子供がデキる可能性があるこんな行為はすべきではない。











今後の展開に関する安価投票区間は>>182-186です。
選択肢は以下のみ。


1.愛撫を続け、セックスをする(『ベツレヘムの星』から帰れないルート。フィアンマと恋人になる)

2.愛撫をやめ、セックスをしない(逃亡すべく抵抗及び説得続行ルート)



番号、若しくは文字(するorしない)で投票してください。
同IDにつき一票です。
よろしくお願いいたします。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 16:55:22.02 ID:IZzaaevjo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 16:57:39.51 ID:flSrHPHm0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 16:58:41.20 ID:C1536ToSO<> なんやかんやで2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 17:29:31.82 ID:Dmhlemai0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 17:42:55.28 ID:CnVHevhdo<> 2だな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 17:56:19.06 ID:mKhhpQC+o<> まだ焦る時ではない…
2 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 18:35:21.64 ID:vgoQTNIAO<> 投票にご協力いただきありがとうございました。 結果:愛撫をやめ、セックスをしない(全員一致)》


よくよく考えた上で、上条は手を引くと共に口を離した。
深い口付けであったが故に息が切れる。
フィアンマの事を可愛いと思い、好きになりかけた事に偽りは無い。
だが、この状況で好きだと認識して、あまつさえセックスをしてしまえば、フィアンマの思惑通りの結果を出してしまう。それはダメだ。
フィアンマを好きになるのは、此処から出た後でも遅くないし、むしろそちらの方が良い。
上条の様子を見、ゆっくりと深呼吸をしながら、フィアンマは着衣を正す。
そして、残念そうに笑った。

フィアンマ「しないのか」

上条「しない」

フィアンマ「何故だ?」

上条「>>190」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 18:36:06.72 ID:IZzaaevjo<> 今の俺は賢者だからな <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/06/20(水) 18:47:04.88 ID:wOEsEIzAO<> 今はまだその時じゃない <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 18:59:19.94 ID:P+GSa9rw0<>
上条「今はまだその時じゃない」

フィアンマ「…、…そうか」

上条「だから、…うっ…」

上条の言葉を都合よく受け取ったフィアンマは薄く笑み、こくりと頷く。
伝う唾液を拭う様が非常にエロティックで、そんな光景を目にした上条は色々と耐えかね…毛布の下で派手にぶちまけた。

フィアンマ「…せっかく格好がついたというのに、最後で台無しだな」

上条「情けない気持ちでいっぱいです上条さんも…毛布は頼む、後は自分でやるからさ…」

しくしくと泣きだしたい気持ちに駆られる上条の様子を見、くすくすと笑いながら排泄器を渡したフィアンマは、精液の付着した毛布を片付けに部屋から出て行った。
出したらこれの処理も頼むのか、とものすごく情けない気分で排尿した後、戻ってきたフィアンマに処理を頼んだ上で、新しい毛布を貰う上条。
どこからこの毛布等は持ってきているのだろうか、と疑問を抱く事でどうにか今の自分の情けなさから目を逸らす上条。
決まりの悪さに他の些事を考える事で対処する上条は実に普通の高校生らしい。
全ての片づけを終えたフィアンマは上条の下に戻り、椅子に腰かける。
男性と違い女性は性的な興奮から元に戻るまでが早い。
気まずさに閉口する上条とは違い、フィアンマは先程までのやりとりが無かった事のように、のんびりとした態度だ。
少し疲れているのか、うとうととするフィアンマの様子を眺め、上条は言う。

上条「>>193」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 19:00:24.20 ID:C1536ToSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 19:01:29.93 ID:IZzaaevjo<> 絶対に逃げ出してみせる……! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 19:02:38.41 ID:C1536ToSO<> フィアンマの目の前で!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 19:14:52.56 ID:dPk11dVX0<> おい


おい <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 19:19:03.30 ID:P+GSa9rw0<>
上条「絶対に逃げ出してみせる……!」

小さな小さな呟き、加えてフィアンマが眠気でうつらうつらとしていたのが幸いしたのか、幸運にもフィアンマは上条の言葉を聞き逃した。
上条は思う。インデックスに謝る事もそうだが、何としても此処から出なければならない。
迷惑をかけた人達にいっぱい謝って、清算出来る事は清算して。
フィアンマの想いに応えるにも、まずはそこまでしなければならない。
上条が居なくなった時、フィアンマがどのような行動に出るか、予想出来ないままに上条はそう思う。
こんな方法で屈してはいけないし、今、"そういう"好意を向けてはいけない。
もしもフィアンマがこんな方法ではなく、最初から、『普通に』上条を好きだと言っていれば、恐らくこんな流れにはならなかったのだろう。
フィアンマは眉を寄せ、やや不快そうな表情を浮かべると共に、上条の上半身も再び拘束した。とはいえ、軽い拘束だ。
恐らく頑張って力を入れれば破れそうな拘束ではある。上半身といっても、左半身だけだ。
まさか先程の呟きを聞かれていたのか、と青ざめる上条の右手を自分の右手で握って、指を絡ませ、所謂恋人繋ぎの形にしてしまうと、フィアンマは椅子に座ったまま目を瞑った。

上条「…?」

フィアンマ「…少し、寝る。…幾らお前でも、妙な事をすれば容赦はしないぞ」

上条「あぁ、うん…」

手を握って欲しい。
そんなお願いさえ、口に出して問いかける形ではなく、こうして拘束して自ら動かなければ叶えられない、力づくの解決しか出来ないフィアンマを、上条は悲しく思った。
言えば良いのに。たった一言言ってくれれば、激しく拒絶なんかしない。
そりゃ、逃げるつもりではあるけれども、フィアンマに嫌悪感を抱いているかといえば、決してそうではない。
感情を意図的にセーブしているが、割と好ましく思っている。
ただ、この状態、状況では駄目だと、思っているだけで。
たとえば、今この瞬間フィアンマが上条を解放したのなら、上条当麻は外に出て方々へ出向き、事の清算を済ませた後、再びフィアンマに会いに行くだろう。
しかし、フィアンマはそんな事を言われてはいそうですかと解放する程、上条を信じてはいない。
やっぱり人間不信なんだな、と思いつつ、上条は小さくため息をついた。
フィアンマは眠っているのか、ゆっくりと呼吸している。
魘される様子も、楽しそうな様子もなく、安置された人形のような。
椅子に腰かけた状態で眠っているから尚更そんな印象が高まるのかもしれない。








上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 19:24:21.19 ID:C1536ToSO<> kskkskゥ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 19:31:45.52 ID:+by6judKo<> 体力温存のために寝る <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 19:44:28.76 ID:P+GSa9rw0<>
上条(無理して起きてる必要も無い、よな…暴れたらすぐバレるだろうし)

手を振り払う事をしないまま、上条は目を閉じる。
体力を温存しなければ、フィアンマと戦う羽目になった時、立ち向かえない。
でも、出来る事なら、フィアンマを傷つけずに此処を出たいな、と上条は思う。
インデックスや、戦争で人を亡くした人の事を思えばせめて殴るべきなのかもしれないが、それにしても、フィアンマは傷ついたのだから、これ以上罰は要らないではなかろうか、と、思う。

上条「…寝よう」

余計な考えを払拭し、上条はゆっくりと呼吸ペースを整える。
多少居心地は悪いが、眠れない程キツい拘束ではない。
朝起きたら全部夢だったら良いのに、などと、眠りに堕ちる前の一瞬、上条は、思った。



フィアンマ「…、」

くしゃみを堪えて、フィアンマは目を覚ました。
片手の指で数えられる程の数時間程度しか寝ていないものの、眠気は晴れ、フィアンマは概ね元気だ。
眠る前か眠っている時にか、上条と繋がれたフィアンマの手は、恋人繋ぎではなく、上条が温めているかのように、手を握りこまれている。
温かいな、と。口に出さないまでも、フィアンマは口元を弛ませながら思う。

フィアンマ「…当麻」

上条「んー…」

もぞり、と身じろぐ上条の様子を見下ろし、そっと手を離す。
自分が間違っている事位、フィアンマも分かっている。
だが、今更どうにもならない。もう遅い。
上条が寿命で死んだ時に自分も死ねれば嬉しいな、と考えつつ、フィアンマは深くため息をついた。



上条「んん…」

目を覚ました上条の視界へ最初に入ったのは、フィアンマが窓を見つめる姿だった。
まだ、自分が起きた事に気づいていない。
窓の外を虚ろな瞳で見つめ、フィアンマは手の中で何かを転がしていた。




上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 19:46:11.15 ID:C1536ToSO<> kskkskkskゥ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 20:04:22.44 ID:+by6judKo<> 何をしているのか訊く <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 20:11:58.15 ID:P+GSa9rw0<>
上条「…何、してるんだ?」

フィアンマ「…、…あぁ、目が覚めたのか。おはよう。特段、何かしている訳ではないが」

手の中で弄んでいた『何か』をポケットにしまいこみ、フィアンマは緩く首を横に振る。
上条を見た瞳は先程の様に虚ろではなく、人間らしい光を灯していた。
立ち上がり、ゆっくりと歩んで近づいてきたフィアンマは上条の目を見つめ、機嫌良く問いかける。

フィアンマ「何が食べたい?」

上条「…、…さっき、だから何をして、」

尚言及を続ける上条を脅迫するように、フィアンマは機嫌を悪くすると共に、壁に掛けてあった斧を蹴る。
がららん、と重い音を立てて倒れる斧。
何かを隠したがっているのか、フィアンマはにこにこと笑みながら首を傾げてみせた。

フィアンマ「俺様が何をしているか、一々報告する義務はないだろう?」

上条「……」

斧を拾いあげ、再び壁に掛けながら、フィアンマは一度深呼吸をした。
緊張に身を竦ませる上条の肩をぽむ、と叩き、上半身の拘束を解いたかと思うと、フィアンマは再度問いかけを口にした。

フィアンマ「何が食べたい?」

上条「>>204」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 20:12:57.11 ID:2jOxeXIPo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 20:13:44.75 ID:C1536ToSO<> まんかんぜんせき <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 20:37:06.78 ID:NBRObskV0<>
上条「…満漢全席」

フィアンマ「…努力はしてみるが、あまり期待はするなよ」

咄嗟に出した注文は流石に無茶だったかと焦る上条を尻目に、フィアンマはしばらく悩んだ後、上条に抵抗されないよう手城や足枷をした上で椅子に移動させ、外し、下半身を括りつけると、その前にテーブルを組み立て始めた。
魔術的に、あっという間に組み立てられたテーブルに目を瞬かせる上条の様子を見、テーブルの強度を確認した上で、フィアンマは部屋を出て行った。
二十分程して、美味しそうな匂いが漂ってくる。
思わず空腹感を誘発されながら、上条は椅子に腰かけ(というよりも括りつけられ)、静かにフィアンマを待つ。
どうして怒っていたのだろう、何を隠そうとしたのだろう、と未だに気にはなるものの、わざわざ呼びもどしてまで問いかければまた脅されるだろうと考え、上条は黙り込む。
三時間程して、疲れた様子のフィアンマが部屋に戻り、往復しては沢山の料理をテーブルの上に並べていく。
祝宴の様に、大きく広いテーブルの上には、大量の料理が並べられていく。
自分で要求しておきながら、『こんなに食べられるのか』と焦る上条。

上条(インデックスならペロリといくんだろうな…)

そんな事を考え、ホームシックに陥る上条。
配膳を終えたフィアンマは上条の隣に立ち、のんびりと問いかける。
机の上には沢山の食事。一人分とは言い難い。

フィアンマ「召し上がれ。遠くにあるものであれば取ってくるが」

上条「…>>207」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 20:51:30.71 ID:C1536ToSO<> インちゃんも呼んでやりたかったな…ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 20:58:19.01 ID:7Y8EJuTZ0<> お前も一緒に食べようぜ……でさ、よかったらあ〜んってやつをやりあいたいんだけど…いいかな <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 21:26:22.60 ID:NBRObskV0<>
上条「…お前も一緒に食べようぜ……でさ、よかったらあ〜んってやつをやりあいたいんだけど…いいかな」

フィアンマ「…良いのか?」

上条「俺がそうしたいんだよ。ダメならいいけどさ」

フィアンマ「…ない」

上条「?」

フィアンマ「…ダメでは、ない」

もごもごと言い、フィアンマはおもむろに虚空から右手で簡素な椅子を、左手で銀のフォークを掴み取る。
何処から出したんだ、と驚く上条に説明をしないまま、上条の隣に椅子を置き、腰かけながら、機嫌良くフィアンマは上条を見る。
心から嬉しいと思っているのか、そわそわと落ち着かない様子だ。
俺ってすごく愛されてるんだな、本当にこんな方法をとられなければ、と非常に残念な気分になりつつ、上条はテーブルの上の食事達を眺め、テーブル上にセッティングされていた箸を使い、肉料理を摘む。
それにしてもやっぱり肉はストック多いのか、なんて、恥ずかしさを堪える為に意味もない考えを巡らせながら、上条はフィアンマの口元へとその一切れを運ぶ。

上条「あ…あーん」

フィアンマ「ぁ…ん、」

あむ、と箸ごと食べ物を口に含む姿はインデックスの様な可愛らしさというよりも、どこか色っぽさを帯びていた。
味見済みの料理とはいえ、上条に食べさせてもらったのが嬉しかったのか、味わうようにゆっくりとしたペースで咀嚼しながら、フィアンマはもじつく。
やがて口の中の物を飲みこんだかと思えば、フィアンマは自らの手にあるフォークで肉を突き刺し、上条の口元へ運ぶ。
過去、妹の世話をしていただけあって、無理な量を詰め込もうとはしてこないし、上条の口元を汚す事なく口内に含ませた。

フィアンマ「…あーん」

上条「ん…」

フォークだけが口の中から出て行き、残る料理をよく味わいながら咀嚼する。
上条の口の中でその一切れの肉はよく蕩け、肉料理特有の脂っ気と甘みが出ている。

フィアンマ「…口に、合うか?」

上条「>>210」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 21:36:45.53 ID:77JfaxYw0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 21:37:17.87 ID:77JfaxYw0<> 美味い!美味い!フィアンマが食べさせてくれたから尚更美味い! <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 22:12:19.82 ID:NBRObskV0<>
上条「美味い! 美味い! フィアンマが食べさせてくれたから尚更美味い!」

実際美味しいのだから、過剰表現しても誤りはない。
『フィアンマが食べさせてくれたから』という部分がよほど嬉しかったのか、フィアンマは僅かに顔を赤くして黙り込む。
何かマズい事を口にしただろうか、と不思議がる上条に(椅子が倒れないようあまり勢いはつけずに)抱きついて、フィアンマは幸せそうに微笑んだ。
上条は驚きつつも拒否はせず、フィアンマの表情を窺う。
照れと喜びと幸福の入り混じった表情。見ているだけで他人をも幸せな気分にさせる、邪気の無いそれ。
無邪気な笑顔に心を和ませながら、上条はそっとフィアンマの頭を撫でて食事の続きを促した。
そんな二人の姿は、悪因を除けば幸せそうなカップルにしか見えない。
促しの言葉にはっとしながら離れ、椅子に座り直したフィアンマはやや決まり悪そうな表情で食事を口にする。
『普通に出逢って、普通に話せていたら、きっと自分は、普通にフィアンマを恋していただろう』。
上条は表情に出さないまでも悲しくそう思いながら、食事を再開する。
大量の食事を半分(といってもものすごい量だ)を食べ、満腹になった二人は食事を明日に回す事にした。
そもそも、満漢全席とは翌日や翌々日に回してでも食べきれない程に沢山の贅沢な馳走なのだ。

上条「ごちそうさま」

フィアンマ「いつか、……」

上条「ん?」

フィアンマ「…いいや、何でもない」

空になった皿や器を片付け、残った料理の保管も兼ね、フィアンマは一時部屋を立ち去る。
上条は椅子に下半身を括りつけられ座ったまま、食事中のフィアンマの表情を思い返していた。
とても、幸せそうな、顔をしていた。
照れて、喜んで、好きな人と一緒に居たいと願い、その為に全力を尽くす。
恋する乙女であれば、誰もがそうする。
ただし、フィアンマは、まともな方法が浮かばなかったのだろう。
『約束』に縛られ、長い年月に狂わされ、歪んだ方法で、確実に愛する人間を縛り付けようとした。
物理的に縛れば縛る程相手の心は離れていってしまうと分かっていて、それでも構わないと努力する様は、被害者である自分としても、最早恐怖を通り越して哀れでしかない。

上条(『……、…どうして嘘を吐くんだ。俺様は頑張っているじゃないか。精一杯努力しているじゃないか。それなのにどうしてお前はこんな事をする。俺様を惑わせ、傷つけて楽しんでいるのか?』、か。…矛盾してるよな。好きなのに、信じられないなんて)

可哀想だ、と思う。
上条には、そんな気持ちは理解する事は出来ない。
裏切られる事が怖くても、相手を好ましいと思うなら信じれば良い。


フィアンマ「…、」

上条をベッドに寝かせ、下半身を拘束すると、フィアンマは変わらず簡素な椅子に腰かけながら上条を見つめた。
何かを伝えようとしているというよりは、何も無い場所を見るよりは好きな景色を見ていたいという、人間らしい衝動からだ。

上条「お帰り」

フィアンマ「あぁ」

上条「…>>213」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 22:15:51.64 ID:hpxkW+yy0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/20(水) 22:16:05.52 ID:C1536ToSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/20(水) 22:16:54.86 ID:hpxkW+yy0<> そうだ……良かったら一緒に寝ないか?
嫌だったら別にいいんだけど… <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/20(水) 23:38:28.00 ID:vgoQTNIAO<>
上条「…そうだ……良かったら一緒に寝ないか?  嫌だったら別にいいんだけど…」

上条の提案に目を瞬かせ、美しい顔立ちを生かした笑みを見せつつ、困惑気味の声音で、フィアンマは聞き返す。

フィアンマ「…良いのか…?」

上条「良くないならそもそも提案してないって」

フィアンマ「ん、…」


上条の拘束を解く事無く、フィアンマは上条の隣のベッド空きスペースに横たわる。
下半身が拘束されて居るために横を向くのが限界な上条はフィアンマの居る方へ寝返りをうち、体を向ける。
フィアンマは上条の服を握り、しばし悩んだ後、そっと上条を抱きしめた。
そして、フィアンマが口の中で何事かを呟きながら指を動かすと、それだけで部屋が暗くなった。



フィアンマ「…おやすみ」

上条「おやすみ…」

真っ暗になった部屋では、目が慣れるまで、家具の位置すら認識出来ない。
おやすみ、と言ったものの、女の子(実年齢を抜かしても、見た目の年齢をはっきり言い切れないので女性というか悩みどころだ)が隣で、今回は手を握るどころではなく自分を抱きしめて寝ているという状況で、上条少年がスムーズに眠れるはずもなく。
寝付けずに部屋の暗闇に目を慣らしていると、段々と周りの状況が見えてきた。
もう眠ったのかは分からないが、眼前のフィアンマは目を閉じている。
どうにも意識して、寝付けない。



上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(空)<>sage<>2012/06/21(木) 00:41:22.29 ID:AQi9gCBv0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 01:04:55.85 ID:nqK4jqtSO<> 現在の部屋内部、得ている情報整理 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 01:18:45.55 ID:E0mhKTCAO<>
上条(状況確認、するか…)

上条は現状を思い描き、辺りを見回し、頭の中で情報をカテゴライズして纏めていく。


<部屋の中>

・クローゼット
・キャビネット
・ベッド
・簡素な椅子
・少し豪華な椅子
・色は大体赤
・燭台
・窓(×2)
・カーテン
・斧


<把握済み情報>

・戦争:終わった
・インデックス:多分無事
・フィアンマ:怒らせなければ問題は無さそう ・死者:沢山出た、らしい



上条(時間とか日付とか、分かんねえな…)

思いつつ、理知的に考える事で落ち着いた上条は目を閉じ、ゆっくりと深呼吸をしてから眠り始めた。

フィアンマ「……」


昼(夕?)寝をした事もあり、寝付けないが故に暇を持て余したフィアンマは目を開け、うたた寝に入った上条の寝顔を見つめる。




フィアンマはどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 01:52:47.94 ID:fF23SMgIO<> 長い間頑張りますな
kskst <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 02:20:13.65 ID:+zUslkGQo<> 舐める <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 07:36:12.22 ID:E0mhKTCAO<>
フィアンマ「…ん、っ…」

上条「ん…こら、スフィンクス…むにゃ」

フィアンマ「…飼い猫か」

ほんの悪戯心から上条の頬を舐めるフィアンマを夢の中で三毛猫と捉えたのか、上条はくすぐったそうにふふふと笑う。
そんな様子に心を和ませながら舐めるのをやめ、フィアンマは上条を見つめる。
良い夢を見ているのだろう、上条の口元は楽しそうに弛み。

上条「イン、デックス…汚く、食べるんじゃ…ありません…よしよし、」

フィアンマ「……、…」

一言。
とある少女を幸せにし、とある女性を絶望に突き落とす寝言を漏らした。フィアンマは黙り込み、ややずり下がると、上条の胸元に顔をうずめる。キツく唇を噛み、その顔立ちに似合う、冷たく殺意を宿した薄い笑みを浮かべ、フィアンマは上条に甘える。

フィアンマ「        」

憎々し気に呪詛の様な何事かを呟いたが、それは誰の耳にも届かない。上条は何も気付かないまま眠り続け、フィアンマもまた、眠りに堕ちるのだった。



朝、上条当麻が目を覚ますと、フィアンマは上条の胸元に顔をうずめたまま眠っていた。
寝てる間に体勢変わったんだな、と納得する上条。
フィアンマは静かに寝息を漏らし、動かない。





上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 08:14:21.39 ID:qbyHDN4Zo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 08:46:47.58 ID:k0sAzkvj0<> フィアンマを抱きしめて二度寝 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 12:59:56.79 ID:E0mhKTCAO<>
どのみち、下半身はロクに動かず寝返りをうつ程度が限界なのだから、暴れても仕方がない。
暇を潰そうにもテレビどころか壁掛け時計すら無い部屋では何も出来ず、どうしようもなく暇を持て余した上条は、二度寝をする事にした。
カーテン越しに部屋の中へと流れ込む光の色は、上条がよく知る陽光ではなく、赤、青、黄、緑の入り混じった感慨深い色合いだ。
一応朝なのかな、とアバウトに考えつつ、上条はフィアンマの体を抱きしめ直す。
女性にしては柔らかみの少ない、細い体躯だ。
もう少し太っても良い…というよりも太った方が 確実に良いだろ、と上条は思う。
カロリーを思考で使い切るタイプなのか食べても体に肉がつかないのか、とぼんやり考えながら、上条は静かに目を閉じた。
再び忍び寄る眠気に意識を明け渡し、先程よりは浅い眠りへと堕ちていく。



次に上条が目を覚ますと、隣にフィアンマは居なかった。
部屋の中で視線をさまよわせ、やがてかの人を見つける。
窓際に簡素な椅子を置き、それに腰掛けながら窓ガラスに向かって、はー、と息を吐き出して白く染めては、そこに指先で落書きをしていた。
彼女なりの暇つぶしなのか、はたまた魔術を使っているのか、上条には分からない。

上条「>>226」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 13:51:41.45 ID:VZKuAL3P0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 13:52:20.43 ID:VZKuAL3P0<> おはよう…フィアンマ 何してるんだ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 15:28:08.66 ID:c3DZ07xb0<> フィアンマの額に落書き <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 15:56:02.29 ID:Rh074Q+J0<>
上条「おはよう…フィアンマ 何してるんだ?」

フィアンマ「ん? 暇つぶしだよ。これといった娯楽も無いからな」

どうやら前者だったらしいフィアンマは上条を見やり、落書きをやめて立ちあがる。
嘘か本当かは分からないものの上条はあまり警戒する様子も無く、近づいてくるフィアンマを見上げた。
怒るツボがよくわからない、と思いつつ、何と言葉をかけようと悩む少年の腹が空腹を訴える。
くきゅるる、と存外可愛らしい音を立てる上条の腹部辺りを見やり、フィアンマは小さく頷くと部屋を出て行ったかと思えば、昨日の残りを並べ始めた。

上条「デザート多めに残っちまったな」

フィアンマ「甘味はさほど作っていなかった筈なのだが…存外多いようだ。無我夢中で作ったせいで調理中の記憶があまりない」

上条「そんな必死に作ったのかよ!?」

フィアンマ「だから、早かっただろう。数時間でこの量は尋常ではないぞ」

自ら『尋常でない』と主張するのはどうなのだろう、と思いつつ椅子に移動させられ、しっかりと手を合わせていただきます、と食前の挨拶をする上条。
生活にもだいぶ慣れたのか、あまり緊張しなくなってきた。
この『慣れ』が良い事なのかどうか、上条自身にはうまく判断出来ない。
昨日と同じく美味しい食事を食べ終え、椅子に座ったままぼんやりと、上条は思考する。
力づくで此処から脱出する事は不可能だろう。少々時間はかかるが、フィアンマに信頼してもらって、出してもらうしかない。
その時がいつ来るかは分からないが、それでも自分は帰らなければならない。
フィアンマが如何に自分を愛してくれているとしても、優しくても、一緒に過ごしていて楽しいと、微かに思い始めてしまいながらも、上条の目的はブレない。
いつまでもこの生活を続けられるとは思えない。
いつか、食材等にも限界が来るだろう。
フィアンマがその時どのような行動をとるかは読めない。
此処ではないどこかへ、無理矢理自分を連れて逃げようとするかもしれない。
そこで許せば、再び閉じ込められる。
となれば、そのタイミングがチャンスだ。
その時までに説得出来るのが一番だが、もし出来なかった時は、『その時』、戦ってでもフィアンマから逃げるしかない。

再び窓際に居るフィアンマを見遣ると、不機嫌そうな表情が見えた。
まるで、楽しんでいるところに水を差されたかのような。

フィアンマ「少し、出てくる」

そう告げて、フィアンマは立ち上がる。
上条は生返事を返して見送るしかない。下半身は椅子に括りつけられており、逃げられないのだから。





『ベツレヘムの星』に入ってきた侵入者(禁書キャラ名)>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 16:07:52.86 ID:EalOhhoq0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 16:08:50.52 ID:EalOhhoq0<> アレイスター <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 16:24:49.00 ID:Rh074Q+J0<>
上条を置いてきた部屋は、生活用の部屋。
フィアンマはその扉から出ると何重もの防御結界を張った上で、トン、と一歩踏み出す。
たったそれだけの動作で、一瞬にしてフィアンマは大広間の様な空間まで来た。
そして立ち止まり、目の前の人物を見据える。
男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える、『人間』。

アレイスター=クロウリー。

学園都市の最大権力者、学園都市総括理事長。
世界最大の魔術師と同名を名乗るが、
かつての大魔術師とは特徴などが科学的・魔術的に一致しない為、
関わりを持つ人間のほとんどには「同姓同名の別人、もしくは偽名」と思われている。
その正体は、魔術勢力から追われ、討たれたとされる大魔術師本人である。
『法の書』を作り出し、「言葉で説明できない」という、次元の違う頂点の領域におり、
その存在は既に0と1だけで表現する事が出来る域にはなく、学園都市に設置されたビーカーに居ながらにして、ロシアや別の場所にも同時に存在することすら可能である『人間』。
かつては世界最高最強の魔術師であり、活躍したのは70年ほど前だが、その70年で数千年を超える魔術の歴史は塗り替えられてしまったと言っても過言ではない。
フィアンマはそんな人物と対峙して尚、怯える様子はなかった。
怒っているという訳でも、嘆いているという訳でもない。
かといって楽しんでいる訳でもなく。
それがどんなにこびりついたカビだとしても、掃除するまでは気が済まない人間の行う風呂掃除の様に、淡々と。
何ら侵入した理由を問いかけず、フィアンマは四大属性の歪みが正され、『原典』の知識を保有したが故にほとんど完成形と化している『聖なる右』を使うべく、右手を振った。
対してアレイスターは、"銀の杖のような曖昧なもの"を振るう。





>>+1のコンマ一桁で勝敗判定(15:56:02.29の場合は9)


0 フィアンマの勝利(撃退成功)

9 アレイスターの勝利(フィアンマの右肩から切断)

1〜8 互角、相討ち(戦闘続行)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 16:25:39.67 ID:h8ImYjG1o<> ふむぅ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 16:35:16.63 ID:Rh074Q+J0<>
『杖のような何か』と、『聖なる右』―――恐ろしい見目をしている猛禽類の如き鋭い爪が、その腕が、拮抗する。
フィアンマは口の中で何事かを呟きながら、アレイスターを見据える。

フィアンマ「何があってもヤツだけは渡さない。アレは俺様のモノだ。何人にも触れさせるものか」

アレイスター「いきり立つのは良いが、"彼"は私のプランにどうしても必要なモノだ。そして君はやり過ぎた。実に余計な事をしてくれたよ。修正が利かない」

緑の手術衣を身にまとい、重力に逆らって空中に浮かぶアレイスター。
眼前の人間から感じ取れる怒りを感じながらも、フィアンマは一切退く様子を見せず、口の中で再び、二言三言、呟いた。
途端、劫火の如き炎が大広間を焼き尽していく。
そんな攻撃を受けて尚涼しい顔をしたまま、アレイスターは『杖のような何か』を再び振った。
霊装か何か曖昧なもの、と認識しつつ、フィアンマは応える様に右手を振った。
必殺の右手と拮抗している時点で、アレイスターのその霊装のような何かは、計り知れない程に強い。








>>+1のコンマ一桁で勝敗判定(15:56:02.29の場合は9)


0・6 フィアンマの勝利(撃退成功)

9・7 アレイスターの勝利(フィアンマの右肩から切断)

それ以外の数字 互角、相討ち(戦闘続行)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 16:38:02.79 ID:7kadE0k20<> どうだ? <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 17:01:25.96 ID:Rh074Q+J0<>
フィアンマ「がッ、…! ぁ、ぐ…あああああああああああああああ!!!」

『聖なる右』の象徴として重要な役目を果たしていた右手を、肩から切り落とされ、ゴトンと重い音を立てて床に落ちる自分の腕を見ながら、痛みよりも先行する熱湯をかけられたかのような熱さに苦悶しながら、フィアンマはその場に膝をつく。

アレイスター「…少し目立ち過ぎたようだ。有り体に言えば、怒りに我を忘れていたと、そういうべきだろうか」

ぽつりと呟き、アレイスターはその場から姿を消した。
その裏側には様々な事情があるのだろうが、今のフィアンマには分からない。そんな事を考える余裕がない。
自分の右腕を拾い上げ、虫の息で、敗れた服袖を引っ張るとその袖で出血の止まらない傷口を抑える。
何の手当てにもならない上に右腕を覆っていたはずの服袖は血に塗れていくだけだが、フィアンマはぜえぜえと肩で息をしながら、一歩後ろに下がる。
『聖なる右』を保つ為の知識は自分の頭に入れてあった事が災いし、術式は無事な為上条の下へと戻る事は出来たが、『聖なる右』の弱体化により、『原典』の一部の知識によって与えられる汚染の痛み、激しい頭痛がフィアンマを襲う。
『聖なる右』で打ち消していた汚染が、本来あるべき状態として、フィアンマの脳を冒しているのだ。

ふらふらとしながら、どうにか上条の居る部屋へと辿り着く。
そして上条の下まで這い蹲るようにして歩み寄ると、咳き込みながら、フィアンマは左手で上条の拘束を外していく。
驚いたのは上条だ。
戻ってきたフィアンマは右肩から先を切断され、大量に出血しており、顔面蒼白で、自分を解放しようとしているのだから。

上条「どうしたんだよ!?」

フィアンマ「……、っは」

フィアンマは、答えない。
意味も分からず、チャンスだと捉える事も出来ず、上条はフィアンマを見つめた。
拘束が解けたにも拘わらず、上条は動かない。

上条「フィアンマ…?」

フィアンマ「…、俺様の、…『聖なる右』が極端に弱体化した以上、此処は崩れる。俺様は良いが、お前を巻き込むつもりは、ない」

痛くない痛くないと、子供の様に自分に言い聞かせながら、フィアンマは自らの右肩から溢れ続ける大量の血で汚れたカーペットに座りこむ。

フィアンマ「短い間、だったが…ひとまず、満足だ。…あぁ、…脱出用のコンテナは、この部屋を…ゲホッ、出て…右に曲がり、進めば、ある。まだ、崩壊はして、いない。行け、」

大量の失血による悪寒に震え、止まない頭痛に蹲り、吐き気に耐えながら、それ故に震えた声でフィアンマは言う。
思いがけず目的が叶った筈の上条は、言葉を失っていた。

フィアンマ「行け、…あの女に、会いたいのだろう。もう、俺様に縛られる必要はない、…っぐ…ぅ…だから、…」

上条「ッ…」




上条はどうする?>>+2

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 17:08:33.65 ID:grcKGZ2F0<> 2人が助かる方法を探す <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/06/21(木) 17:08:44.74 ID:CE09YaMc0<> なんとしてもフィアンマを助ける <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 17:46:23.62 ID:Rh074Q+J0<>
上条「あぁ、分かった。出て行くよ。崩れたらどう考えても死んじまうしな」

フィアンマ「そう、か。それで、良い」

立ちあがり、低い声で、上条が告げる。
ほんの少し寂しそうに、しかし、フィアンマはこくりと頷いた。
フィアンマの心には、今ようやく死ねるのだという安堵感すらあった。
上条を自分勝手な理由で縛り付けた事は間違いだったのだとうっすら再認識しつつ、かといって謝罪をするでもなくフィアンマは項垂れる。
血を出し過ぎた。もう立ちあがる事は出来ない。
一歩歩く事ですら不可能だ。

もう、どうでも良い。
少なくともこの短い期間、楽しかった。
だから、それで良いじゃないか。

自分を無理矢理納得させ、失血により強まっていく悪寒と吐き気に浅い呼吸を懸命に繰り返しながら、フィアンマは上条を見上げて力なく微笑みかける。
死へ限りなく近付いているのか、フィアンマの身体に最早痛みはなかった。
視界が霞み、上条の表情は窺えない。
城と共に崩れ逝くのならばそれも構わないか、と思いつつ、フィアンマは俯き、目を瞑った。

フィアンマ(『神よ、何故私を見捨てたのですか』)

自らの悲しみを体現するに相応しい詩を心中で唱え、『原典』知識の汚染に耐えきった自分を、フィアンマは自分で褒める。
ぐらり、と地震の様に『ベツレヘムの星』全体が揺れた。
崩壊の始まる合図か、と思うフィアンマは、無意味に押さえていた服袖から手を離し、左手で、軽くカーペットを握った。
『ベツレヘムの星』が完全に崩壊すれば、大天使『神の力』は元の座に戻る。
忌まわしい右腕はあの大広間に捨て置いた。上条を失えば、フィアンマには、何も残らない。力も、名誉も、愛する人も。
上条が生まれ変わりでないのなら愛しい妹に逢えるだろうか、等と考えていたフィアンマの身体を、誰かが抱え上げる。
誰か、といっても、此処に居るのは右方のフィアンマと上条当麻のただ二人のみ。となれば。
目を開ける気力すら無く、フィアンマはぐったりと身体を預けた。

フィアンマ「…見捨てて、行かないのか? 俺様は、お前に、謝罪では到底すまない事をした筈だぞ」

上条「確かに出て行くとは言ったけど、一人で出て行くとは言ってねーよ。元々、お前を一発ぶん殴って戦争終わらせて帰るつもりだったんだ」

フィアンマ「……?」

上条「でも、気が変わったから殴らない。やり方は間違ってたし、考えも歪んでると思うけど、それでも、お前は、どんな理由が根底にあったって、俺を好きでいるんだろ。だから、最後まで縛っておかなかった」

フィアンマ「…、すきだよ。嘘ではない」

上条「だろ。俺も、フィアンマの事…嫌いじゃ、ない」

フィアンマ「…、…そういう問題では、無いだろう」

上条「ああもう、いいんだよ。…とにかく、お前には生き残ってもらうからな。外出て、手当てして、インデックスに二人で謝って、そしたら…そしたら、さ」

フィアンマ「そしたら…何、だ?」

上条「…まだ、ここで言う事じゃないな。行こうぜ」

所謂姫抱きでフィアンマを運び、ぐらぐらと揺れる床に苦戦しながらも、上条は部屋から出て走り出す。
辿り着いたのは、脱出用のコンテナの並ぶ部屋だ。数個しか壊れていない。
その中の、大きく、数十人でも乗りこめそうなコンテナへと乗り込み、上条は鍵をかける。
四苦八苦しながらもコンテナの操作をすれば、レールに沿って、コンテナは落ちていく。
斜度のきつくないジェットコースターの様な感覚にビビりながらも、上条は自らが身につけている上着を脱ぎ、寒さにぶるぶると震えながらフィアンマの右肩を上手く縛り、止血行為を行った。
後はしばらく待てば、ロシアの雪原に落ち、無事『ベツレヘムの星』からの脱出は成功した事になる。


フィアンマ「…俺様の事を、怒って、いないのか。どうして、手当を…する。禁書目録に謝るも、何も…それ以前に、…俺様は、死ぬべき人材の、はずだ…生きていて、お前にプラスの要素があるとは…さらさら思えん…」

上条「>>240」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 17:54:08.98 ID:2FRKLWwo0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 17:57:20.13 ID:BRTeIvEI0<> あぁ、怒ってる。だからこそ生きて謝って償って貰うんだ!俺はお前の事を死んでもいいなんて思わない!
プラスにならないなんて事はしょっちゅうだ。だがな
少なくともお前を助けることはマイナスだなんて俺は思わないぜ!むしろプラスだぜ!
もお前より死んだ方がいい奴なんてごまんといるぜ?
お前の妹さんを襲った野郎とかな!
だから助ける!だからお前も生きろ!一緒に世界を見に行こう! <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 18:09:11.52 ID:Rh074Q+J0<>
上条「あぁ、怒ってる。だからこそ生きて謝って償って貰うんだ! 俺はお前の事を死んでもいいなんて思わない!
プラスにならないなんて事はしょっちゅうだ。だがな、少なくともお前を助けることはマイナスだなんて俺は思わない! むしろプラスだぜ!
お前より死んだ方がいい奴なんてごまんといるぜ?…お前の妹さんを襲った野郎とかな。だから助ける! だからお前も生きろ! …一緒に、世界を見に行こう!」

フィアンマ「……、…」

上条「俺が、世界の良い部分、見せてやるからさ。お前が思ってる程、この世界は悪い事ばっかりじゃない」

フィアンマ「…良いのか。一緒に、居ても。行っても、良いのか」

上条「良い。まずは謝るのが先だけど、さ」

フィアンマ「俺様は戦争の引き金を引いた張本人、世界中から恨まれる戦犯だぞ? 俺様の味方をしていれば、お前も世界中から恨まれる羽目になるだろう。こうして戦争で荒廃した世界は、悪意を生み出し続けている。綺麗事で片付く程、甘くはない。今からでも遅くはないんだぞ。到着すれば、俺様を捨て置けば良い」

上条に言われて尚、フィアンマは緩く首を横に振る。
フィアンマの中で破綻が見えている未来を迎える位なら、此処で潔く死んだ方がマシだと。
上条はしばし考えた後、抱えているフィアンマを見つめた。
目を閉じているが故に、その絶望は声からしか聞き取れない。
ありのままの心を伝えても青年の心には響いてくれない事に悔しさを感じながらも、上条は、フィアンマを見捨てたくないと、今一度思う。

コイツは世界を知らない。世界の悪い面しか見ていない。
俺が知っているように、友人の温かさも、仲間の大切さも。

そして嘘を言っていないという事も分かる。
確かにフィアンマは戦犯で、追われる立場となっただろう。
最も、どれくらいの魔術師が残ったのかは不明だが、少なくとも、学園都市が残っていれば、追われる。

インデックスに謝りに行っても、上条単身であればあまり咎められない。
しかしフィアンマがどのような処分を受けるのか、一介の男子高校生である上条には分からない。
どうすれば良いのか、いまいち浮かばないままに、上条は信念に基づいて動く。
今までだって、ずっとそうしてきた。自分の思うようにしてきた。
どんな最低最悪の未来だとしても、前を向いて生きれば、何か良い事はある。
こんな不運な自分でも、幸せだと感じる事が何度かあったのだから。
間違った方法で得る幸福以外を、フィアンマにも感じさせてやりたい。





上条はどうする?>>+2


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 18:12:11.37 ID:nqK4jqtSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 18:12:46.72 ID:BRTeIvEI0<> 平手打ちして、また説教して優しくキスをする <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 18:42:49.90 ID:Rh074Q+J0<>
パン、と破裂音にも似た音が鳴った後、僅かに赤くなったフィアンマの片頬がじんじんとした痛みを訴える。
フィアンマは思わず目を開け、上条を見上げた。
止血の効果か、視界はややクリアになっている。依然痛いが、体調も僅かながらマシになった気がする。
険しい表情で、上条はフィアンマを見下ろした。

上条「確かに、お前のやった事は謝って済むレベルじゃない。でも、死んで償うなんてのは間違ってる。…というよりも、俺はお前と生きたい。それじゃダメなのかよ。綺麗事で悪いのか。それでも俺はフィアンマに生きて、普通の幸せを感じて欲しいと思ってる。間違ってないだろ、この思いは」

フィアンマ「…、…先程も言ったが、俺様を庇えば、お前も、世界を敵に回す事に、なるぞ」

上条「構わねぇよ。…そりゃ、ちょっとは怖いけど、でも、俺はインデックスに謝れれば、もうそれで良い。逃げようと思ってた目的もそれ位だった。…インデックスが慕ってくれてたのは、『記憶喪失になる前の上条当麻』だしな」

フィアンマ「……、後悔するぞ」

上条「しない。やりたい事をやってるんだから。お前のお陰で、俺も迷わないって決められた」

フィアンマ「俺様、の…?」

上条「インデックスに嘘をつき続けてきて、本当に良かったのかどうか、迷わされた。でも、俺が謝るのはインデックスだって気付いたし、許されても許されなくても、しっかり謝ってインデックスとさよならすれば良いって」

フィアンマ「…馬鹿なヤツだ」

上条「馬鹿って言うなコラ。…俺は、『戦争首謀者の隣で戦争の行く末を見てただけのヤツ』だしな。ある意味、フィアンマと離れても犯罪者扱いだろ。免罪符…だっけ? 扱いはお断りだ」

フィアンマ「そうなると、決まった訳ではない」

上条「恐れはあるだろ。だから、インデックスに謝って、頭下げて、お前と一緒に謝って、一緒に世界を見る。決めたんだ」

フィアンマ「本当に、良いのか。そこまでして俺様と共に居る理由は何処にも、っん」

無い、と言われる前に、上条は自分の唇でフィアンマの口を塞いだ。
血の味のするロマンチックとは程遠いキスの味に微妙な気持ちになりながらも、上条は数回軽く口付けた。
そっと唇を離して、上条は血で赤黒くところどころ染まっているフィアンマの髪を撫でる。

上条「もう、『ベツレヘムの星』は出たし、良いよな、認めて、言っても」

フィアンマ「…?」

上条「…俺は、さ。フィアンマが、好きなんだと思うよ。…好きなんだ。仕向けられたからじゃない、閉じ込められたからでもない。一緒に過ごして、触れ合って、話して、好きだと思った」

フィアンマが言葉を返せず黙っていると、軽い衝撃と共にコンテナが雪原へ到着し、上条はフィアンマを抱えたまま外へと放り出された。
上着をフィアンマの止血に使っている上条は薄着状態、ガタガタと震え始める。
フィアンマは唇を噛み、幸せそうな笑みを薄く浮かべた。
そして胸元からチョークを取り出し、上条の右腕の何か所かに魔術記号を印した上で、口の中で何事かを呟いて。
その途端に、上条の身体は暖房の焚かれた部屋に居るかの程良く温まっていく。

上条「…? 暖かい?」

フィアンマ「その右手以外に対してだけ、だが。その区別記号は消すなよ。全身適用にしてしまえば、効果が消える」

上条「俺の右手以外に…? 器用、なんだな」

フィアンマ「『幻想殺し』を持つ人間が寒い思いをしないように、と、俺様が創り出した術式だから、な」

上条「そっか。…そうだよな。…ありがとう、頑張れる気がしてきた」

上条はフィアンマの髪を撫でた後、立ち上がる。
どうすれば良いか分からないが、とにかく街まで行かなければ。
無闇に動けば遭難すると聞いた事がある。
勇気を出して一歩踏み出した上条に、遠くから誰かが近づいてきた。
助けの手だと良いが、と思いながら、上条は目を細めて遠くを見ようと心掛ける。




近付いてきたのは誰?(禁書キャラ)>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 19:05:51.97 ID:hHyseeGw0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 19:06:49.52 ID:hHyseeGw0<> 風斬と冥途返しと一方通行 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 19:44:31.25 ID:eMN2XiFn0<>
風斬「あ、あそこ! あそこです…!」

一方「何か抱えてンな…血…?」

冥土帰し「どうやら、僕が来て正解だったようだね? といっても、怪我をしているのは彼ではなく、彼の抱える人のようだが…僕の患者には変わりないね?」

幸いにも、近付いてきたのは、少なくとも、上条の味方だった。
科学サイドの生み出した天使、風斬氷華。
科学サイドの生み出した人間兵器となりうる『超能力者』一方通行。
何人も区別せず、ほぼ必ず治し、最低限でも命は助ける、その奇跡的な腕を持つが故に『冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)』というあだ名さえあるカエル顔の医者。
上条は思わず膝をついて泣きそうになった。
助かった。少なくとも、フィアンマの命は助けてもらえる。

上条「助けてくれ…!」

沢山の人を助けたヒーローは、たった一人の"元"敵を救う為に、仲間に声をかけた。
そして、それを拒む人間は、少なくともこの場には…『幸運』にも、存在しなかったのである。








力尽き眠っていたフィアンマが目を覚ますと、無機質に白い天井が見えた。
何処だろう、と首を傾げたところで、扉が開く。
がらがら、と音がして、フィアンマはそちらを見遣った。
扉の形を見て、ああ病院かと理解する。
現れたのは上条当麻と、かつてフィアンマがその知識を悪用したインデックスの二人。
上条はフィアンマに近寄り、そっと語りかける。

上条「先に、謝った。…赦して、もらえた。今度は、フィアンマが謝る番だ」

その言葉に頷いたフィアンマは起き上がりかけ、右肩から先の無い事を忘れていたためか、無様にぼふりと倒れる。
左手をベッドにつき、手すりを使い、のろのろと再び起き上がると、ベッドに座った状態でフィアンマはインデックスを見た。
上条は静かに病室から出て行った。

フィアンマ「……、…赦せとは言わん。すまなかった」

インデックス「……」

フィアンマ「…申し訳無い。…本当に、すまなかった」

上条を縛り付けた事は、妹との約束を守る為であり、フィアンマ自身にあまり罪悪感は無い。
しかし、利用されたインデックスには何の因縁も無い為、罪悪感がこみ上げた。
頭を下げ、何と言葉を返されるかぼんやりと予想しているフィアンマに向かって、インデックスはこう述べた。


インデックス「>>249」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 19:52:49.92 ID:BAQ8aIRP0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 19:54:24.86 ID:BAQ8aIRP0<> 平手打ちして

私はシスターだから罪を憎むけど人は憎まないんだよ
しっかり生きて罪を償っていって欲しいんだよ
途中で死んじゃったりしたら絶対にゆるさないからね
約束出来るなら赦してあげる 当麻と私と一緒でもいいから頑張ろうね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 19:59:03.66 ID:BAQ8aIRP0<> てゆうか上条さん左足治してもらわなきやばくねぇかな 右手で触ったらアウトじゃないか <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 20:18:17.76 ID:eMN2XiFn0<>
インデックス「私はシスターだから罪を憎むけど人は憎まないんだよ。しっかり生きて罪を償っていって欲しいんだよ。途中で死んじゃったりしたら絶対にゆるさないからね! …約束出来るなら赦してあげる。当麻と、私と、一緒でもいいから頑張ろうね」

フィアンマの頬に平手打ちし、可愛らしい顔立ちに僅かに憤怒の念を浮かばせて叱った後。
インデックスは優しく微笑んでみせた。
フィアンマはインデックスの瞳をしばし見詰めた後、口元を歪ませた。

フィアンマ「敬虔なる子羊の言いそうな事だ。…死にはしないさ。恐らく、この身体でもまだ死ねないだろうからな。……、…しまった、」

悲しげに語るフィアンマにつられて気分を暗くしかけていたインデックスが首を傾げる。

フィアンマ「ヤツの左足は魔術で繋がれているのだが、治療したか?」

インデックス「大丈夫なんだよ、それ位私でも見抜けるかも。丁寧で分かり辛かったけどね。貴方を治したお医者さんが繋ぎ治したんだよ」

フィアンマ「そうか」

安心した様子で力を抜き、背中を壁にもたれて座るフィアンマ。
入っていいか、と上条の声が、部屋の中に響く。
大丈夫だ、と応答するフィアンマの声。

フィアンマ(…さて、と。…俺様と、上条当麻と、『禁書目録』と。…おかしなものだ。俺様だけが異物としか思えん。…当麻には悪いが、…傷も治っているようだし、時間を挟んで…逃げるか。俺様は居ない方が良い。償うにしても、『禁書目録』や『幻想殺し』と共に居る必要は、無い。…恋情等殺せば良い。最早俺様はただの抜け殻だ。俺様には何も無い。『禁書目録』が許した以上、上条当麻は『禁書目録』と二人きりで居たいはずだ。俺様はそこに不要な存在だ。好きだと言ってくれたのも、恐らく気の迷い。『ストックホルム症候群』というヤツなのだろう。そうだ、俺様等、此処には必要ない。死ななければ、約束を守った事にはなる。残り約三百年。呼吸をしていれば、生きている事にはなる。一緒でもいいと、『禁書目録』は言った。裏を返せば、一緒でなくても構わないという事だ。…やはり、俺様には何も残らなかったな。何も、何一つ、たった一人さえ。神は俺様を見捨てた。目的無き生等、心が死ぬのと同義。…まぁ、身体が生きていれば『禁書目録』は満足するだろう。……俺様は、独りぼっちだ。それで良い。…その方が良いに、決まっている)

自分で自分を追いつめ、心を壊す。
上条の言葉と好意と優しさで寄せ集められていた心の破片は、上条とインデックスの和解という事実によって再び撒かれていく。
虚ろな心は、当然表情や様子に現れるもので。しかし、上条が入室した事でフィアンマに背を向けたインデックスは気付かない。
部屋に戻ってきた上条は微笑むインデックスの様子に安心し、そして、フィアンマの無機質な表情に恐れを抱いた。
また、何か間違った方法を取ろうとしているんじゃないか。
予感、前兆、第六感。
そういったものが、強く反応している。

上条「インデックス、ちょっと席外して…あー、いや、先帰っててくれ」

インデックス「? うん、分かったんだよ。積もる話もあるだろうから」

こくり、と頷き、白い修道女は病室から去っていった。
見舞客用の椅子に腰かけ、上条はフィアンマに話しかける。

上条「何か、いつもソッチに居る側だからさ。見舞客側に居ると違和感がある」

フィアンマ「はは、そうだろうな」

上条「…」

自嘲気味な、乾いた笑みを浮かべるフィアンマに、上条は黙り込む。
考えは読めないが、非常に嫌な予感がする。





上条はどうする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 20:26:35.87 ID:zNLJqLcu0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 20:27:44.60 ID:zNLJqLcu0<> お前……俺の前から消えたりしたら絶対に赦さないからな? インデックスは一緒『でも』いいと言った

でもな?俺はお前と一緒に居たいんだ 自分が邪魔な存在だとか思ってんじゃねぇぞ? 
自分の心を!気持ちを!殺してんじゃねぇよ!
いいか!絶対に絶対絶対絶対絶対絶対!俺の前からきえたりしないでくれ!インデックスと一緒に過ごそうぜ!

はっきり気づいたぜ!俺はお前が好きだ!
気の迷いとか、一時的な気持ちとかじゃないからな! <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 20:45:44.93 ID:eMN2XiFn0<>
上条「お前……俺の前から消えたりしたら絶対に赦さないからな? インデックスは、一緒『でも』いいと言った。
でもな? 俺はお前と一緒に居たいんだ。自分が邪魔な存在だとか思ってんじゃねぇぞ? 
自分の心を! 気持ちを! 殺してんじゃねぇよ! いいか! 絶対に絶対絶対絶対絶対絶対!
俺の前から消えたりしないでくれ! …インデックスと一緒に過ごそうぜ!
はっきり気づいた!俺はお前が好きだ!
気の迷いとか、一時的な気持ちとかじゃないからな!」

フィアンマ「……」

そんなに筒抜けになる程顔に出ていただろうか、とフィアンマは思う。
再び無茶苦茶になった心に投げかけられた言葉によって、フィアンマはどうしようもなく追いつめられる。
壊れる事さえも許されないというのは、如何程の拷問だろうか。
上条の愛を信じられなくなってしまったフィアンマは、この状況が火刑にしか思えず、悪意を吐き出した。

フィアンマ「お前は、病気だ」

上条「…は?」

フィアンマ「『ストックホルム症候群』という言葉位聞いた事はあるだろう。監禁等をした相手…加害者に対して、被害者が恐怖や同情を抱く内に恋情や友情に変化する典型的精神病だ。好意的に接しなければ殺されるという無意識の恐怖感から成り立つ唯の諸症状だ。一度精神科を受診してきたらどうだ? 詳しくは知らんが、此処の医者は余程優秀なのだろう? お前は重病人だ。大きな間違いを犯している。お前は俺様なんか好きじゃない、ただ自分の罪悪感を免れる為に悪戯に命を救い、今こうして言葉で追い詰めている。そんなに苦しめて楽しいのか? そうだろうな、自分が逃げたいといっても逃がさずに閉じ込めておいたような人間だ、虐げてさぞ爽快だろう、愉快だろう! …好きにすれば良い。偽善ぶるなよ」

上条「何言ってんだよ、俺は本当にお前の事が」

フィアンマ「『禁書目録』と俺様の存在とを傍らに両立させようとしている時点で、お前は俺様を愛してはいないんだよ」

優しく諭す様な語調で、フィアンマが言う。
確認するように、もう一度言った。

フィアンマ「お前は…、…俺様を、愛しては、…いないんだ」

ぽた、とフィアンマの流した涙が、左手を濡らす。
自分が泣いている事さえ理解出来ないまま、悪意を込めて、フィアンマは言葉を紡ぐ。

上条「好きじゃないなら、キスなんか…しない」

フィアンマ「知っているか? 生物学的に、男は性別が雌、且つ自分の許容範囲から外れていなければ、愛が無くともキスや性行為は出来るものだ」

食い下がる上条に、そう言いながら、フィアンマは窓の外を見やる。
晴れ渡る青空。場違いな程に眩しい陽光。
愛があるのならたった一人を選べる筈だと、フィアンマは言う。
完全に間違っていると、上条は否定出来ない。
完全に正しいかといえば、また微妙なところだが。







上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 20:58:38.35 ID:sMdBbPxn0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 20:59:05.51 ID:sMdBbPxn0<> 診察してきて 診察した後に病気ではなかった
この気持ちは本物だと告げる 

<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 21:18:58.67 ID:eMN2XiFn0<>
上条「…、分かった。そんなに疑うなら、行ってくる。ありのままに話してくる。それで病気だって判断されたら、フィアンマには謝る。もしそうじゃなかったら、逆に謝ってもらうからな」

フィアンマ「好きにすれば良い」

困惑と怒り半分にそう言い放ち、上条は病室から出ていく。
そして、病室で独りになり数分経ってようやく自分が泣いていた事に気付いたフィアンマは、目元を拭ってため息を吐いた。

フィアンマ「…病気かどうかは、重要じゃなかったんだ」

ぽつり、と呟きながら、フィアンマはふらふらとしつつベッドから降りて立ちあがる。
深呼吸して、クローゼットを開ける。
右肩から先の袖は無いが、自分の赤いスーツがそこにかかっている。
誰かが洗濯してくれたのかクリーニングに出してくれたのか、そこに血は着いていない。

フィアンマ「俺様はただ、俺様だけを選んで欲しかっただけなんだ」

誰に言うともなく言いながら自分のスーツを手にし、フィアンマはベッドに腰かける。
上条が戻ってくる前に、此処から消えなければ。
これ以上、優しい言葉は要らない。
醜い独占欲と嫉妬と、絶望と。
様々なマイナス感情の混ざり合った情念を抱きながら、フィアンマは自らが身に纏っている手術衣に手をかける。
しかし、左手だけで脱ぐのは難しく、結局ボタンを幾つか開け、胸元を寛げただけで力尽き、スーツを傍らに置いたフィアンマは、ぼふりと横たわる。

フィアンマ「……」

上条「っは、はぁ…!」

天井を見つめ確実な自殺方法を模索していたところに、上条は戻ってきた。

上条「特に、問題、無かった、ぞ」

息切れしながら病室に入り、そう必死で告げる上条は走ってきたのだろう(病院で走るのは良くない事だが)、肩で息をし、中々治まらない。

上条「謝って、…っは…もらう、ぞ…!」

フィアンマ「そう、か。すまなかったな。病気ではないのなら、お前はただの浮気症だ」

今度こそ怒りが先行してフィアンマに近付いた上条は、フィアンマの傍らにあるスーツと、今にも脱げてしまいそうに中途半端にボタンが開いた手術衣姿のフィアンマの姿に性欲を煽られると共に理解した。
今さっきまで、逃げようとしていたのだと。
状況を気にせず怒鳴りつけようとした上条を見上げ、フィアンマは左腕を伸ばし、上条の頬にぺたりと触れる。

フィアンマ「選べ。『禁書目録』と、俺様。どちらを傍に置くのか。前者を選ぶなら後者を捨て、後者を選ぶなら前者に別れを告げろ。病気ではないのだろう? ならば、本当の愛情だと信じよう。俺様を愛しているのなら、選んでくれ」

上条「な、…」

フィアンマ「…早く、決断しろ」






今後の展開に関する安価投票区間は>>258-262です。
選択肢は以下のみ。2:2:1で被った場合はもう一度投票を行います。


1.インデックスを選ぶ(上インEND)


2.フィアンマを選ぶ(世界を旅するルート)


3.それでも、どちらも選ばない(上条死亡END)



番号、若しくは文字(するorしない)で投票してください。
同IDにつき一票です。
よろしくお願いいたします。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 21:23:43.44 ID:JJ+2bDkR0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 21:43:22.58 ID:zNLJqLcu0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん)<>sage<>2012/06/21(木) 21:46:14.29 ID:cVzhAfM80<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 21:51:34.18 ID:k3TaGuca0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 21:55:58.79 ID:nCs3Evvm0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 22:20:14.53 ID:ZMFDvBrIO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 22:21:05.25 ID:S8uq+lOMo<> 満場一致ですな
まぁ当たり前か <>
◆2/3UkhVg4u1D<>sage<>2012/06/21(木) 22:21:07.35 ID:eMN2XiFn0<> 《投票にご参加いただきありがとうございました。結果:フィアンマを選ぶ(全員一致)
この結果により、スレの趣旨が変わります。変わらずお楽しみいただければ幸いです。
本来であれば一度落とすべきなのかもしれませんが、勿体ないので続けます。
区切りとして少し注意事項を書き直しますが、読まずとも別段今後の展開には影響を及ぼさないので、読み飛ばしていただいて結構です》


スレタイ

上条「ヤンデレなフィアンマを安価で幸せに出来たら良いんだけどな…」




・ヤンデレな右方のフィアンマさんに愛され過ぎて恋人になった上条さんがタイトル通り頑張っていくお話

・当スレのフィアンマさんは女性です

・基本はほのぼの(?)進行…だと思われます

・キャラ崩壊注意

・>>1は(安価スレの割に)遅筆


※注意※
安価次第で展開が多種多少に変化します(ガチホモから百合まで)
メインCPは『幻想右方』、NLスレになりました。
エログロ展開の可能性があります。




《本編再開します》
<> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/21(木) 22:21:10.80 ID:E0mhKTCAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 22:37:21.55 ID:eMN2XiFn0<>
上条「…分かった。フィアンマを選ぶ」

フィアンマ「……、…?」

上条「何だよ、不思議そうな顔して。…インデックスの事は大事だけど、妹みたいな、家族みたいな…とにかく、そういう対象だったから。ただ、インデックスの世話をしてくれるヤツのところに任せたり、学園都市を出るにしても、色々済ませたい事がある。だから、それまで大人しく病院に居てくれよ?」

フィアンマ「…あぁ」

悲しげなインデックスの姿を思い浮かべ一瞬後悔しかけた上条だが、フィアンマの笑顔を見、そんなものは吹き飛んだ。
上条当麻はいつでも、救えるものを全て救ってきた。
でも、救う事と愛する事は切り離して考えなければならない。少なくとも、これからは。

上条「と、りあえず…その、お前、服…」

フィアンマ「疲れた。もうボタンを閉じる気力すら無い」

上条「それ、遠まわしに、俺に着せろって言ってるのか?」

フィアンマ「別にそういう訳ではないが。あぁ、胸元を露出していると風邪を引くかもしれんな」

上条「確信犯だろ!」

フィアンマ「病院では静かにするものだぞ」

上条「誰が叫ばせてるんですか本当にもう…」

まるでベッドに押し倒しているかのようだ、と思いつつ、上条はフィアンマの手術衣のボタンを閉めてやる。
一度だけ触ったフィアンマの胸の感触を思い出し顔を赤くする上条を見上げ、フィアンマは悪戯っぽく笑って首を傾げてみせた。

フィアンマ「流石に病院でそういう行為は如何なものかと思うぞ」

上条「しませんよ! 上条さんはそんな獣みたいな真似しませんっ」

楽しそうに笑う姿に、先程のような絶望感や虚ろさは無い。
良かった、とほっと胸を撫で下ろしながらも、これから先の不安は尽きない上条。
しかし、自分で選んだ事なのだから、と自分を納得させる事にした。








翌々日。
上条当麻は一人、寂しくなった家で一人ため息をついていた。
インデックスはイギリスに帰ってしまった。というよりも、帰ってもらったというべきか。
ステイルにだいたい一任した形だ。
泣きながら噛みつかれたのは記憶に新しく胸が痛むものの、決めてしまった以上は仕方がない。
前向きに頑張ろう、とゆっくり息を吐き出し、上条は立ち上がる。
まだ準備は済んでいないが、フィアンマの見舞いへ行く為である。

上条(この間は謝罪メインだったから何も持っていかなかったけど、今日は何か持っていってやった方が良いよな)

そう考えた上条は、コンビニに寄る。




お見舞い品は何を持っていく?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 22:43:04.53 ID:nqK4jqtSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 22:49:32.35 ID:Tu9GUU1m0<> たまたま、コンビニに売ってた冥途返し&一方通行特製超ハイテクハイスペック義手 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 23:17:09.94 ID:eMN2XiFn0<>
恐ろしく巨額な義手を前にして、上条は悩む。
どうしてこんな物が売っているんだとか、色々ツッコミたい気持ちは抑えて、フィアンマの事を考える。
不便については何も言っていなかったが、右手どころか右腕が丸々無いという状態は非常に不便だろう。
実際、自分だったらとても不便だ。

上条(いや、でも…資金…ええい、頑張れ上条さん、今こそ男を見せる時!)

一般男性で喩えると婚約指輪を買う際程の覚悟を決め、上条はコンビニを後にする。
人の腕っぽくて何か嫌だ、と思いつつも何とか我慢して病院まで向かう。

病室へ入ると、フィアンマはベッド上に座って僅かに開いた窓、そこから吹き込んでくる風で揺れる明るい色合いのカーテンを眺めている。
何を考えているのか読み取る事は出来ない。

上条「フィアンマ」

フィアンマ「…、…あぁ、来たのか」

上条を見やり、見舞い客用のパイプ椅子に座るよう促すフィアンマ。
上条は促されるままに椅子へと座り、コンビニ袋の中から腕のようなものを取り出した。
学園都市第一位と学園都市随一の医者が共同製作した義手。
『読心能力』の応用でも使われているのか、一般的なイメージのそれとは違い、指先まで思うがままに動かせる。
そっと差し出された腕のような物を見、フィアンマは胡乱げな瞳で上条の顔を見た。

フィアンマ「…誰から盗ってきたんだ?」

上条「人聞きの悪い言い方すんなよ、フィアンマじゃあるまいし嘘でも他人から手を切り取ったりしねえよ。義手です、義手」

フィアンマ「…くれるのか?」

上条「これで少しは不自由じゃなくなるといいなー、と思ってさ」

フィアンマ「…そうか」

あまり晴れない表情を見せつつも、フィアンマは義手を受け取ってしげしげと眺める。
やがて決心がついたのか、もそもそと作業を始めた。
何となくグロテスクな光景ながらも目を逸らすまいと我慢する上条。
元々の肌の色よりも義手のソレの方がやけに人間のものらしい色合いで、健康的で、むしろフィアンマの肩の方が白過ぎて人形のそれのようではあったが、一応、はまった。動かせる。
感覚のイマイチ無い指先を動かし、フィアンマは不可解そうな表情を浮かべた。

フィアンマ「義手とはこんなに動くものなのか?」

上条「ものすごくハイテクらしいぞ」

フィアンマ「高かっただろう」

上条「はは、ははは…あはははは…はぁあ」

がくりと項垂れる上条ではあったが、そこに悲壮感は無い。
義手で手遊びをしながら、青年は欠伸混じりに問いかける。

フィアンマ「…で、何処へ行く予定なんだ?」

上条「あー…」

学園都市を出た後、逃亡がてら、二人で何処へ行くか。
フィアンマは枕の下から木の枝と銀のナイフを取り出し、おもむろにゴミ箱の上で削り始める。

上条「何やってんの? 暇つぶし?」

フィアンマ「いや、何というか…簡単に説明するならば…キャッシュカードのような物、かな」

上条「?」

呑気な調子で答え、木の枝から杖を作り出していきながら、フィアンマは肩をすくめ、行く場所を言うよう促す。

上条「とりあえず、>>272に行こうかと思ってる」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 23:23:31.76 ID:Tu9GUU1m0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 23:24:04.88 ID:Tu9GUU1m0<> 実家 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/21(木) 23:24:30.77 ID:nqK4jqtSO<> kskゥ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/21(木) 23:50:31.11 ID:eMN2XiFn0<>
上条「とりあえず、実家に行こうかと思ってる」

フィアンマ「日本国内か」

上条「そうそう。『外』のさ。フィアンマを紹介しなくちゃならないしな」

フィアンマ「…紹、介?」

上条「どっちかっていうと、彼女が出来ましたーっていう報告って感じか。最も、俺も親には違和感あるんだけど、さ」

上条(そういえば『御使堕し』で家ぶっ壊れたんだよな…はぁ)

フィアンマ「……、…」

危うく手が滑りかけながらも、フィアンマは手元へ視線を向けて黙々と作業を継続する。
フィアンマの様子に気づかず、上条はもう既にバレているため臆する事なく記憶喪失故の不便をぼやく。
やがて出来あがった杖の表面のゴミをゴミ箱へ手で払い、一息つくとフィアンマは上条を見た。

フィアンマ「行き先は分かった。目的も。…で、日本貨幣で幾ら程必要なんだ? 学園都市では無いのだから、『外』の、普通の紙幣で良いだろう?」

上条「え? いや、気にしなくて良いぞ?」

フィアンマ「良いから言え。金なら有り余っている。…綺麗な札は用意出来んが我慢しろ」

上条「…じゃあ…二万位?」

フィアンマ「二万か」

上条の言葉を聞き届けたフィアンマは一度頷き、立ち上がるとクローゼットを開け、スーツの胸元に手を入れるとチョークを取り出す。
何処にしまっているんだ、と幾度目かの疑問を口に出さず考える上条に気を払う様子も無く、おもむろに床へ何やら記号を書き、チョークをしまった後、フィアンマは手にしていた杖を軽く振った。
途端に、床の上へ日本円、二万円が現れる。

上条「!? …俺の右手で触ったら崩れたり破れたり、とか…しないよな?」

フィアンマ「陣は壊れるだろうが、札は破れん。人が用意した現金を遠まわしに偽札呼ばわりするな」

上条「ごめんごめん」

やれやれとため息をつくフィアンマはベッドへ腰かけなおし、ナイフと杖をしまう。
魔術師というか魔法使いというか魔女というか、とごにょごにょ呟く上条の様子を眺め、フィアンマは思い出したように問いかけを口にする。

フィアンマ「で、何時行くんだ。お前の実家には」

上条「>>276には着いてるはずだ」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 23:53:46.68 ID:Tu9GUU1m0<> 着いてるはず?
もう移動してんの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/21(木) 23:54:18.94 ID:Tu9GUU1m0<> 明日 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/22(金) 00:06:56.18 ID:u+Q/Csxq0<> 《>>275様 移動はまだしていません。出発予定を聞かれて到着時刻を答えた、という解釈でお願いします》


上条「明日には着いてるはずだ」

フィアンマ「随分と早いな」

上条「午後までには残ってる準備終わらせてくるから、退院準備して待っててくれ。といっても、服着替える位だろうけどさ」

フィアンマ「まぁ、そうだな」

床から二万円を拾い上げ、フィアンマに礼の言葉を述べてから財布にしまう上条。
残る作業はそんなに多くは無い。
今夜までに学園都市を出れば、予定地である上条当麻の実家には明日の午後にでも到着するはずなのだ。

上条「じゃあ、残り、片付けてくる」

フィアンマ「……、…待て」

上条「?」

立ち上がり、病室を出ようとした上条の手を掴み、くいと引き寄せると、フィアンマは上条の手の甲へと口付けた。
童話の王子様にありがちな行動に動揺する上条を見上げ、フィアンマは薄く笑む。

フィアンマ「…気をつけて行ってこい」

上条「…行ってきます」





学園都市を出る用意を済ませたと思えば、時刻は午後五時半。
戦争が終わったとはいえまだバタバタとしている学園都市は、その動乱故に警備の手がやや薄くなっている。
そんな中、無事タクシーにてゲートを抜けた二人は、ぐったりとしていた。
フィアンマは最後の血圧等の検査、上条は休学届(本来は退学届を出す予定だったが、学校側のメンツを少しでも保つ為に休学→退学の流れにしたいそうで)だの何だのといった書類一式の提出。不慣れな苦痛。
慣れない事をすれば、当然疲れる訳で。
上条の肩に軽く頭をもたれ、フィアンマは目を閉じる。
上条は拒否するでもなく、欠伸を堪えた。

上条「寝ても良いぞ」

フィアンマ「……、…ん」






上条の実家に着いたのは(午前or午後)何時?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 00:11:27.72 ID:DBiU56Nr0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/22(金) 00:11:48.20 ID:W1xFcgUSO<> 上条さん将来プー太郎か…フィアンマの出した金の出所が気になるぬーksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 00:12:01.33 ID:DBiU56Nr0<> 正午 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/22(金) 00:52:59.75 ID:QmtysCrAO<>
上条(久々の? …我が家…といっても、記憶は無いし、寮に住んでたし、あの家は儀式場になってたから悲しい結果になったし…ここは借家か? 広そうだし、俺とフィアンマ二人が泊まっても大丈夫そうだな)

フィアンマ「…思考していないでさっさとインターフォンを鳴らしたらどうだ」

上条「あぁ、うん」

上条当麻の実家は、神奈川県某所の借家となっていた。
本来であれば買った家があったのだが、夏休み中…残念な魔術的事件によってお亡くなりになった。
少し緊張しながらインターフォンを鳴らす上条。応対に出てきたのは病弱なお嬢様、といった体の若い女性。
上条詩菜。
上条当麻の母親だ。

詩菜「当麻さん、お帰りなさい。お隣の方は?」

上条「上がったら話すからさ」

詩菜「それもそうね、さぁ、上がって上がって。刀夜さんはお仕事で居なくて、ごめんなさい」

のんびりとした話し方の詩菜に導かれるまま、フィアンマと上条は家に上がる。
テーブルに置かれた四人掛けの椅子には詩菜、詩菜の向かいに当麻、その隣にフィアンマという順番で並ぶ。
礼儀に則った挨拶と上条の現状報告(学校をやめたと聞いた詩菜は流石に驚いたものの怒りはしなかった)を終えたところで、詩菜は再度問い掛けた。

詩菜「それで、当麻さんのお隣の方は何方なの?」

上条「フィアンマっていって、俺の…こ、恋人なんだ」

詩菜「…あらあら当麻さん…そうだったの…私は母親なのに、そうと知らず…たとえ結婚出来なくても、私は当麻さんを応援するから」

上条「母さん、何か勘違いしてないか? フィアンマは女だぞ」

詩菜「あらあら当麻さんたら、冗談が得意になって」

上条「いや、マジで」

<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/22(金) 00:55:44.37 ID:QmtysCrAO<> そんなコントの様な親子の会話を聞きつつ、フィアンマは時計を見やった。
特に意味は無い。

詩菜「…まぁ、色々あったみたいだから…しばらくでも、いつまででも泊まっていっていいからね、当麻さんも、フィアンマさんも」

フィアンマ「……、…はい」

全くの抵抗の無い流れに内心首を傾げるフィアンマ。
しかし、『娘さんをください!』と違い、息子の場合はこんなものなのかもしれない。

詩菜「そういえば、お昼ご飯は?」

上条「あ、まだ食べてなかった」

詩菜「じゃあ作ってこようかしら」

手伝おうと立ち上がりかけたフィアンマの左手を握り、上条が再び座らせる。

上条「…無理すんなよ。利き手使えないんだから」

フィアンマ「少々過保護じゃないか?」

そうこうしている間に詩菜が台所に消え、二人はリビングに取り残される。
上条はふと、気になっていた事を尋ねた。

上条「魔法陣? みたいなヤツから出した金って、何処にあったヤツなんだ?」

フィアンマ「日本のとある場所だよ。世界中に貯金があるものでな。呼び出しただけで、札自体は昔貯めた貨幣だ」

上条「だから本物だったのか」

フィアンマ「そうだよ」

上条「ごめんな、何か…金、」

フィアンマ「お前が望むのならば黄金の山さえ用意すると言っただろう、気にするな」

上条「…あの時は何か魔術師っていうより魔女っぽかったな」

フィアンマ「火の象徴武器が『杖』というだけなのだが…何なら蛙と一緒に煮込んでやるぞ?」

上条「目が据わってるフィアンマごめん。遠慮しておきます」




上条詩菜の本心(抽象的可)>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/22(金) 00:57:58.27 ID:W1xFcgUSO<> 息子が息子が色んな意味で大ピンチ…息子を息子を守らなきゃ− <>
◆2/3UkhVg4u1D<>sage<>2012/06/22(金) 00:58:51.84 ID:QmtysCrAO<> >>282
×利き手使えない
○利き手は義手で使い慣れない

失礼いたしました、安価下です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 01:01:54.26 ID:DBiU56Nr0<> 本当に女の子なのか確認しても構わないかしら? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/22(金) 09:00:11.84 ID:QmtysCrAO<>
詩菜(本当に女の子かどうか、確認しても…)

悩み悩み、調理をする詩菜。
リビングの方の様子を窺うと、いちゃついているのか、息子の幸せそうな、楽し気な声が聞こえてくる。
上条当麻の両親にとって、幼い頃から不運且つ不幸であった息子の幸せは何にも代え難い。

詩菜(…でも、当麻さんを疑うのは良くないわ)

うふふ、とお嬢様然とした上品な笑みを零し、詩菜はやがて調理を終えた。
ほんの少しでも、自分の子供が幸せで、元気なら、それでいい。
必ずしもそうとは限らないが、親とは、少なくとも上条詩菜という一人の母親はそういう考えだった。



詩菜「召し上がれ」

上条「いただきます…大丈夫か?」

フィアンマ「感覚は無いが、恐らく大丈夫だろう」

二人が何の話をしているか分からない詩菜は不思議そうに首を傾げる。
それにしても随分と凛々しい美人な恋人さんを作ったのね、等と詩菜が感心のような何かを抱いていたところ。
唐突に、フィアンマの右腕、肩から先が、ゴトリと床に落ちた。
これは義手であり偶々外れてしまっただけなのだが、事情を知らない者にとっては恐怖の光景でしかない。

幻想右方「「あ」」

詩菜「……>>288?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 09:06:05.63 ID:H7u7BWq00<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 09:06:47.28 ID:H7u7BWq00<> きゃぁぁぁぁぁ!………ふぅっ パタリ(気絶) <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/22(金) 09:28:33.28 ID:QmtysCrAO<>
詩菜「……、…?」

詩菜はきょとんとしながら、フィアンマの肩、続いて床に落ちている(義)手を見る。
そして状況を理解したのか、実に一般的な女性らしくショックを受けた。

詩菜「きゃぁぁぁぁぁ! ……ふ、ぅっ」

椅子の背もたれに身体を預けて失神する詩菜。
この状況を生み出した本人且つ義手を取り落としたにも関わらず、フィアンマはいつも通り落ち着き払った態度で上条を見る。

フィアンマ「事故だ」

上条「分かってる…どちらかといえば事件だけどな。先に話しておけば良かった…」

がっくりとうなだれつつも上条は立ち上がり、ソファーからタオルケットを手にし、詩菜の身体にそっと掛けた。この対応は男子高校生らしくないが、上条当麻も伊達に修羅場をくぐってきた訳ではない。
詩菜は完全に意識を失っているらしく、反応を返さない。
義手を拾い上げ再び取り付けたフィアンマと上条は顔を見合わせ、ほぼ同じタイミングでため息をついた後、食事を始めた。



詩菜「あらあら当麻さんったら…母さんびっくりしたわ」

上条「フィアンマを紹介した時点で言うべきだったよな、ごめん」

しばらくの後に目を覚ました詩菜に、上条が事情の説明(フィアンマは義手をしている事)を行った。
詩菜は納得したのか、ほっと胸をなで下ろしている。

詩菜「そうだ、当麻さんお風呂入る? 彼女さんが先の方が良いかしら?」

上条「んー…」

フィアンマ「お…私は当麻さんに任せます」

上条「!?」

にこ、と作り物の如き上品な笑みを浮かべるフィアンマの取り繕った口調に上条は驚愕を露わにしながらも、しばらく悩む。



上条はお風呂に先に入る? 後に入る?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 09:36:54.54 ID:vpLcxhGJ0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 09:38:15.55 ID:vpLcxhGJ0<> 一緒に入る

ダメなら当麻先 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/22(金) 10:23:31.63 ID:QmtysCrAO<>
うんうんと悩む上条に助け舟を出すべく、純粋な善意から、詩菜は提案を重ねる。

詩菜「そうだ、フィアンマさんは右手が不自由だから身体が洗い難いでしょう。当麻さんと一緒に入れば良いわ」

上条「か、母さん? それはちょっと」

詩菜「母さん若い人の恋愛はよくわからないけど、結婚前に裸を見ても問題は無いと思うわよ?」

上条「いや、でも…」
フィアンマ「そうですね、当麻さんにはご迷惑をおかけしますが、良案だと思います」

上条「俺の意思って…」

にこにことする女性二人に押し切られ、共に入浴する事になった上条とフィアンマ。
『着替えとかタオルは用意しておくから』と言う詩菜の言葉に甘え、風呂場へやってきたのはいいものの、浴槽にお湯が溜まるには、まだしばらくかかる。
先に身体や髪を洗った方が良い。
そんな状況、風呂場の椅子に座り、上条はフィアンマへ視線を向けず黙々とスポンジを泡立てていた。
ちなみに双方、腰にタオルを巻いただけだ。
確かに"量"は殆ど無いとはいえフィアンマに胸を隠す恥じらいや概念は無いのか、とうなだれる上条。

フィアンマ「頑なにこちらを向かんな」

上条「どうして上を隠してくれないんだ…」

フィアンマ「ほんの少々脂肪がついているだけでそこまで見苦しくは「そうじゃない」ん?」

男性のように、男性らしく生きてきたフィアンマに説明しても、上条の気持ちは恐らく理解してもらえないだろう。
胸のカップ数の有る無しのみではない。
まったくの子供の身体であれば上条は反応せず、むしろ直視して問題無いのだが、フィアンマはそれには当てはまらない。たとえ貧乳…無乳の領域であっても、女性の上半身には変わりない。
<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/22(金) 10:25:10.00 ID:QmtysCrAO<> そして上条は女性の身体はたとえ上半身だけでもドキドキとする男子高校生なのだ。

上条「はぁ…」

フィアンマ「…ちょっとした泡の洪水になっているが。ボディーシャンプーの無駄遣いをするな」

上条「だってさ…」

フィアンマ「…で、身体は洗ってくれないのか? 髪でも良いが」

上条「う…」

フィアンマの身体に触ったら勃つ気がする、と考えながらも、身体ごと振り向き、向き合う。
義手は脱衣場に置いてきたため、フィアンマの右肩から先には何も無い。 カエル顔の医者はやはり優秀で。
縫合痕は殆ど無く、滑らかな肌、しかし四肢の内一つを後天的に欠損しているというアンバランスさはどこか倒錯的だ。

上条(可愛い系なら俺だってやたら反応したりしないんだぞ…)

フィアンマの纏う色気が悪い、と結論付けて、上条は一緒に入浴する本来の目的『フィアンマの身体を洗う手伝い』を達成する事にした。




どこから洗う?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 10:39:03.86 ID:Ll948u8s0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 10:39:47.93 ID:Ll948u8s0<> 頭 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/22(金) 10:54:10.18 ID:QmtysCrAO<>
上条「じゃあ、まず頭からな。目閉じてくれ」

なるべくフィアンマの身体を直視しないようにしながら、上条は眼前の長めな髪の毛をシャワーのお湯で濡らしていく。
しばらく濡らしてからシャンプーのポンプを二度程押し、手のひらの上にシャンプーを出すと、フィアンマの髪を洗い始めた。
髪を濡らしたお湯はフィアンマが巻いている腰元のタオルまでを濡らし、白いタオルは当然の事ながら透けてきている。
見えそうで見えない、という表現が正しいだろう。
下を見てはいけないと言い聞かせながら、慣れない手付きで、上条はフィアンマの髪を泡立つシャンプーで洗っていく。

上条「痒いとこあったら言ってくれよ?」

フィアンマ「あぁ」

そのやりとりをしたっきり、浴室は静まり返る。沈黙は思考を促し、思考は上条にとって性的興奮を生み出す。
自分を落ち着けながら、上条は話し掛ける。

上条「…ところで、…右腕、誰にやられたん、だ?」

フィアンマ「…学園都市理事長、といえば分かってくれるかな?」

上条「あぁ、うん…え? 何で、」

フィアンマ「お前の為じゃないか、恐らく」

適当な言葉を返し、フィアンマは欠伸を噛み殺す。
上条はそれ以上しつこくは問い掛けず、フィアンマの髪の泡を洗い流した。
壁にかけてある乾いたタオルで、軽く髪の水気をとり、顔を拭いてやる。

フィアンマ「…すまないな」

上条「大丈夫」

残念そうな顔をするフィアンマに苦笑しながら、上条は首を横に振る。
恋人は頼りあって構わないのだから、と…そんな恥ずかしい事は、口には出さないが。



次はどこを洗う?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 10:59:50.84 ID:Q3JLqJiP0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 11:00:48.44 ID:Q3JLqJiP0<> 背中のあとに覚悟決めて全身を洗ってあげる <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/22(金) 11:56:51.53 ID:QmtysCrAO<>
上条「次は背中洗うから、後ろ向いてくれ」

フィアンマ「…ん」

血行が良くなり浴室は暖かいからか、僅かばかり眠たそうな声音で短く返事を返すフィアンマに小さく笑み、上条は丁寧に背中をスポンジで擦る。上条の程良く日焼けした肌色と違い、フィアンマの、青さを帯びた白い肌は怖い位に透き通っている。
不健康と呼ぶべき肌を泡まみれのスポンジで擦っていきつつ、上条は興奮しないよう神妙な顔をして覚悟を決める。
背中を洗い終わった事を告げ、再びフィアンマと上条は向き合う。
上条はスポンジでフィアンマの胸を含む上半身全体を擦り、丁寧に洗う。 ちなみに頭の中では素数を数えているため、現在非常に神妙な顔付きだ。上半身を洗い終わり、上条はフィアンマの脚をスポンジで擦った後、タオルに手をかける。
無心だ、と自分に言い聞かせながらフィアンマの股間を隠していたタオルを取り払い、繊細な部分だと思い直せばスポンジではなく、手の腹全体、特に指に大量の泡を纏わせ、そっとソコへ指を這わせる。
男性とはまるで違う構造に困惑しながらも、あまり刺激してしまわないよう慎重に指を動かす上条。

フィアンマ「っ…は…ぁ、…ぅ…」

よく分からないままに動かされている指が、数回陰核を刺激し。
苦し気、というよりも、甘さと艶やかさを帯びた吐息を零し、フィアンマはきつく唇を噛む。
痛いのだろうか、と動揺しながら、上条はフィアンマの様子を窺って。




上条はどうする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 12:17:20.71 ID:IhB8mnn/0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/22(金) 12:18:13.80 ID:IhB8mnn/0<> さらに手を激しく動かして わざとじゃないけど

フィアンマをイかせてしまう <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 02:08:02.93 ID:WWPk+yi10<>
痛くは無さそうだと判断した上条は指を動かし、知らず知らずの内に指先での愛撫を続ける。
陰核を集中的に刺激され、思わず上条の肩に爪を立てて唇を強く噛み締めるフィアンマ。
喘ぎ声を堪えていると察する事は出来なかったのか、上条は更に指の動きを速め、結果として。

フィアンマ「ッッ…!!」

性的に絶頂へ達したフィアンマは、思わず左手で上条の横っ面をはたく。
べちん、という音と共に何故打たれたのかもわからないまま上条は困惑した。

上条「何で打たれるんですか上条さんは!?」

フィアンマ「確信、犯…だろう」

上条「何の話かわかんねーよ」

フィアンマ「……」

バツが悪そうにそっぽを向いたかと思うと、身体の泡を自分で洗い流すフィアンマ。
涙目なところを見るとやはり自分が悪いのだろうか、と残念なような不服なような微妙な気分で自分の身体を洗う上条。
後で謝った方が良いのかな、なんて思いつつ、上条は一足先に風呂から出る。
着替えやタオルは詩菜の言葉通り用意されていて、上条はそれを使うだけで良かった。

上条「二階の部屋に居るからなー」

フィアンマ「分かった」

気持ちの整理がついたのか、元々そんなに怒ってはいなかったのか、無視をする事なくフィアンマは返事を返す。
上条はそんな様子に安心したのか、タオルで身体を拭き、やがて脱衣所からも出て行ったかと思うと、詩菜に提供された二階の部屋へ向かう。

辿り着いた部屋は今夜からしばらく過ごす場所で、詩菜が掃除をしてくれたらしい、生活感は少ない(人が居なかったので当たり前だが)ものの、家具一式は揃えてあり、過ごし易そうだ。
難点は、ベッドが一つしかないというところか。

上条「まぁ、俺が布団で寝れば良いよな」

のんびりと呟き、上条はベッドへ横たわる。
十分程経過し、ノックも無しに部屋のドアが開いた。
フィアンマか、と思いつつそちらを見る上条。






上条詩菜がフィアンマに用意した着替え>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 02:09:04.85 ID:lGKWxVVSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 02:10:20.96 ID:T5V4msYD0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 02:10:59.98 ID:T5V4msYD0<> フリフリワンピ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 02:11:46.36 ID:lGKWxVVSO<> パンツ一丁 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 02:58:02.30 ID:WWPk+yi10<>
部屋に入ってきたのは上条が予想していた通りフィアンマ本人だったが、その姿はいつものスーツ姿でもなければ、上条の予想した適当なTシャツ姿等でもなく、柔らかそうなワンピースを纏っていた。
着膨れし易いシフォン素材のやたらふわふわとしたワンピースではあったが、フィアンマの身体つきが極端に細い以上、むしろこういった着膨れする形の服の方が、かえって健康的な、標準体型に見える。
薄手なのか、薄い生地を重ねて作られているのか、どことなく透け感のある白いワンピースはフィアンマの白い肌を透かして上条に見せ、加えて、フィアンマが一歩歩くと可愛らしく揺れる。
詩菜の服なのか、元は丈が長かったと予想されるもののフィアンマの身長の高さ故に丈は少し短くなっている。
膝下ではなく、膝上十センチ程まで見えてしまっている形だ。
ちなみにそんな服を着ているフィアンマはといえば、とてもとても残念そうな顔をしていた。

フィアンマ「まぁ、性別を告げ、着替えを用意すると言われた時点で嫌な予感はしていたが」

上条「……」

フィアンマ「さほど似合わんだろう。通気性は悪く無いからこのままで居るが」

上条「>>309」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 02:58:53.07 ID:lGKWxVVSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 03:20:57.50 ID:lGKWxVVSO<> バオウ・ザケルガー!!!!!!! <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 06:23:31.57 ID:WWPk+yi10<>
上条「ば、バオウ・ザケルガー!!!!!!!」

フィアンマ「幾ら何でもテンパり過ぎだろう。頭から冷水でも被るか?」

上条「いや、だって、その、」

フィアンマ「とはいえ、俺様の属性ではな。あぁ、熱湯であればすぐさま用意出来るが」

上条「要らないからな?」

眼前の光景に感情の制御が追いつかなくなり、呪文を唱える上条。
しかし効果が発揮される訳も無く、ため息と共にフィアンマからあしらわれる事となる。
フィアンマは欠伸を噛み殺すと上条が横たわるベッド脇、空いたスペースへと腰かける。
当然のことながら、ワンピースでも、スカートというものは座れば布が上がるものだ。
つまり、丈が短くなる。
太股を露出したところで少々肌寒くてスースーする、位しか感じないフィアンマは布を引っ張って恥じらう様子も無く、上条を見下ろした。
上条はといえば、傍らにある細く白いフィアンマの太股に反応しない様天井を見上げている。
『ベツレヘムの星』に居た時とあまり変わり無い状態だ。
現在の上条は拘束されていないというだけで。
フィアンマは義手である右手に視線を移したかと思うと生身の左手で触り、感覚が無いにも関わらず動かせる右手に首を傾げながら、右手指先を触った。
触った質感は人間の腕そのもの。
難点は体温が移り辛く冷たいというところか。
不意に、窓に水滴が付着する。どうやら雨が降り出したようだ。

フィアンア「…此処には、いつ頃まで居るつもりなんだ?」

静かに尋ね、義手を触るのをやめたフィアンマは、上条の髪を弄る。
上条は起き上がる事もせず、少しだけ思考して答えた。

上条「>>312」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 07:06:55.66 ID:D703T4x60<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 07:07:36.66 ID:D703T4x60<> そういえばお前の右腕ってどこに行ったんだ?
<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 13:53:31.74 ID:yxbMqziD0<>
上条「とりあえず、考えが落ち着くまで」

フィアンマ「そうか…」

上条「…そういえば、お前の右腕ってどこに行ったんだ?」

フィアンマ「義手でなく、本来あるべき方か? …『ベツレヘムの星』内へ適当に捨て置いてきたからな。今頃は北極海にでも沈んでるんじゃないか?」

言い淀む様子もなく、フィアンマは言葉を発する。
後悔した様子がないのは、元々自らの右腕の存在を疎んでいたからかもしれない。
上条は相槌を打ち、湯冷めと共に訪れる眠気に目を細めた。
フィアンマは風呂から上がった事でむしろ目が覚めたのか、上条の髪を弄り続けて暇を潰す。

フィアンマ「すまんな、俺様の決定に巻き込んで」

上条「俺が選んだ事だしな」

フィアンマ「無理に選択を迫ったのは俺様だろう」

上条「それでも、選択したのは俺だろ」

フィアンマ「俺様のせいにはしないんだな」

上条「他人のせいにして解決するようなモンでもないだろ。もう動いちゃったしさ」

フィアンマ「そんなものか」

上条「そんなものだろ」

のんびりと返答する上条の頬を突っつき、フィアンマが首を傾げる。

フィアンマ「ちなみに、俺様を追う魔術師は多数居るだろうが、見つかったら、どうする?」

上条「んー…>>315」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 14:18:14.41 ID:7rfATefy0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 14:18:35.69 ID:xc2SuvjIO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 14:19:03.97 ID:7rfATefy0<> どうすっかなぁ……

もしもだけど右腕見つかったらどうする?
ひょっとしたらどっかの組織がこっそり回収してるかも
<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 14:35:35.01 ID:yxbMqziD0<>
上条「んー…どうすっかなぁ……。…とりあえず逃げるかもしれない。周りに俺達以外の人が居なかったら」

フィアンマ「安直な回答だ」

上条「仕方ないだろ。…もしもだけど、右腕見つかったらどうする? ひょっとしたらどっかの組織がこっそり回収してるかも」

フィアンマ「どうするも何も、あの右手自体にはさほど価値は無いよ。真価があるのは、俺様の内側に宿る力なのだからな。仮に、あの腕を回収した組織の中に俺様、もしくはお前とまったく同じような体質の者が居たとして、無理矢理に移植してもあまり意味は無い。重要なのは形や相性だ。多少改造して『神の如き者』の加護を受ける霊装にする事は出来ても、あの右腕に籠められる『天使の力』など微々たるモノ。使えん」

上条「?」

フィアンマ「乱暴な言い方をするならば、あの右腕は、俺様の肩から生えている事で価値が芽生えるんだよ。腕自体にあまり効果は無い」

上条「あー…俺とはちょっと違うんだな」

フィアンマ「似たようなものだ。まぁ、お前の右腕の場合は切り落とせばありとあらゆる魔術を打ち消す盾として使えるだろう。あくまで名目上の目的としての行動の中で説明はしたが、俺様の右腕にお前の右腕を取り込めば、器として作用させ、完全なる『世界を救う力』とする事は出来る。だが、それ程の真の活用法が出来るのは…恐らく、あまりないだろう。ちなみに、右腕が見つかるとマズいのは俺様のものよりお前のものの方だ」

上条「俺の右手ってそんなに価値あるのか…」

フィアンマ「今時代は魔術師が多いしな。お前の右腕に魔術的魅力を感じる輩は多いと思うぞ」

上条「そんなヤツ等にモテても嬉しくないな…」

フィアンマ「安心しろ、右手がなくとも、俺様の『聖なる右』はまだある。とはいっても原典の一部からかき集めた知識と『天使の力』で構成された弱い術式だが、その特性は失われておらん」

上条「何だっけ、『偶像の理論』ってヤツなのか?」

フィアンマ「そうだな。俺様の『聖なる右』を扱えるこの身体は、『救世主』―――『神の子』に近い。あぁ、『聖人』とは違う特殊ケースだ」

上条「ありとあらゆる十字教的奇跡を行使出来るって言ってたよな?」

フィアンマ「そうだとも。…『偶像の理論』による恩恵を受ける為によく効果を発揮していた右腕が切り落とされてしまった以上、以前よりも更に制約は強まったが、ある程度の奇跡は起こせるだろう」

上条「難しいな」

フィアンマ「科学でも魔術でも説明しきれんからな。お前の右手と同じく」

上条の短い髪を三つに選り分け編みながら、説明するフィアンマ。
上条はうっすらと理解しつつ相槌を打ってため息をついた。





上条はどうする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 17:48:39.08 ID:xc2SuvjIO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 18:28:36.66 ID:lGKWxVVSO<> 腹筋千回 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 20:54:45.18 ID:73bPpplb0<>
上条「上条さんの髪の毛は玩具じゃありませんことよ!」

フィアンマ「お前は俺様の物だ。となれば、髪の一本すら弄る権利がある」

上条「無いからな? …ちょっと運動するか」

欠伸を漏らし、上条は起き上がる。
フィアンマは残念そうな表情で手を離し、運動とは何かと言わんばかりに首を僅かに傾げる。
上条は視線に応える様に内容を告げると共に協力を要請した。

上条「腹筋やるんだけどさ、脚押さえててもらっていいか?」

フィアンマ「分かった、良いだろう」

おもむろに腕を自分の頭の後ろに回し、脚を軽く曲げる上条。
フィアンマは上条の足元に移動すると、上条の両足を押さえ、上条を見つめた。

フィアンマ「目標回数はあるのか? カウントしよう」

上条「千回が目標なんだけどさ、出来ると思うか?」

フィアンマ「まぁ、無理だろうな。とはいえ、チャレンジ精神は悪い事ではない、精々努力してみる事だ」

上条「よし、頑張ってみますか…」

一、二、三…。
順調だったのは七十回目まで。
せっかく入浴したにも関わらず額に汗してふるふると身体を震わせながら踏ん張って身体を起こす上条の様子を眺めながら、フィアンマは淡々とカウントだけを重ねて行く。
筋トレをした為に眠気が覚めたのか、上条は息荒く、欠伸一つ漏らさずに腹筋を続ける。

フィアンマ「あまり頑張り過ぎると呼吸しただけで痛みを発するようになるが、まだ続けるつもりか?」

上条「>>321」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 21:09:01.45 ID:cJSvqbSC0<> まだまだぁ!まだ終わらんよ! <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 21:36:50.25 ID:73bPpplb0<>
上条「まだまだぁ! まだ終わらんよ! 上条さんはっ、やれば出来るん、ですっ」

フィアンマ「…そうか」

腹筋をやめる様子は無く、諦めを踏みとどまる上条。
フィアンマはそんな上条に対して兄の様な困った笑みを浮かべつつも応援する事にしたのか、手を離す事は無く。
結局、上条が出来た腹筋回数の限界は143回。
アスリートではないのだから、よく頑張った方だ、とフィアンマは思う。

ぜぇぜぇと肩で息をする上条を放置し、部屋から出たフィアンマは、十分程して戻ってきた。
手にあるのは水のペットボトルと大き目のハンドタオル。
起き上がる事の出来ない上条を見兼ね、色気とは別の意味でいやらしくにやりと笑ったフィアンマは、ペットボトルの蓋を緩め、外す。
そしてハンドタオルで上条の首筋や顔の汗を拭きとった後、にこにこと笑んだ。
嗜虐的な雰囲気漂う、にも拘わらず美青年らしい爽やかな笑顔だった。
忍び寄る不幸の予感に、だがしかし腹筋が痛み逃げる事の出来ない上条は涙目でフィアンマを見上げた。

フィアンマ「口を開けろ」

上条「絶対やる気ですよねもう既に傾けてますもんね」

フィアンマ「開けろ」

上条「上条さん頑張ったのにこの仕打ちは酷「早くしろ肉塊」はい…がぼぼぼっ」

涙目で口を開ける上条の口の中へペットボトルの水を勢いよく注ぎ、呼吸を凌辱するフィアンマ。
この光景のみを取り上げて見れば、第三者には『少年を虐げる青年』にしか見えないだろう。
恋人同士にも見えないし、フィアンマが女性であるようにも見えない。
雰囲気って大事だな、と他人事のように上条は思う。
たとえ自分に電撃を放つという暴挙をしていても御坂美琴は確かに少女らしかったし、たとえどんなに噛みついてこようともインデックスは女の子だった。
どの行為にも愛は籠っていたのだが、いかんせんフィアンマの行動には無駄と情が無かった。
かといって上条は眼前の人物を恨むでもなく、感謝しているのだが。
病んだ心をぶつけられた事で、多少は鈍感さが抜けたのかもしれない。

やがて水を飲み終わり、タオルと共に空のペットボトルを片づけに行ったフィアンマは、また十分程して部屋に戻ってきた。
その手にはホカ●ンの対極に位置するヒ●ロンがある。
ストレスをぶつけるようにソレを殴り付けたフィアンマは、上条の首筋へヒヤロ●をあてがった。
筋トレで熱くなっていた身体が、段々と冷やされていく。

フィアンマ「気持ち良いか?」

上条「>>324」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 21:38:14.56 ID:cJSvqbSC0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 21:38:50.78 ID:lGKWxVVSO<> 気持ちィィィ!!!超気持ちィィィ!!!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 21:38:54.31 ID:cJSvqbSC0<> ふぅ……ほぼイきかけました <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 21:54:01.92 ID:73bPpplb0<>
上条「気持ちィィィ!!! 超気持ちィィィ!!!!! あー!」

フィアンマ「大きな声を出すな喧しい」

言いつつも上条の首筋にあてがい続けるフィアンマの表情は柔らかく穏やかで、優しさに満ちたものだ。
妹さんの世話をしていたのって本当だったんだな、と今一度認識しながら、上条はフィアンマを見上げる。
フィアンマは腕を伸ばしてヒヤ●ンを当てている状態に疲れたのか、上条の身体を跨いで、行為を継続する。
上条はといえば、腹部に感じる…下品な言い方をすれば、『付いてない』感触にドギマギとしながら顔を赤らめ、そっぽを向いた。
柔らかな、ふりふりとしたワンピースの短くなってしまった裾からはすらりと白い脚が覗き、上条の視界にどうしても入る。
モデル体型だよな、等と実に少年らしい思考をしながら、上条はどうしようもなくなり、目を瞑る。
一連の長さを冷やし過ぎたととったのか、フィアンマは押しつける手を少し緩め、おもむろに上条の上へと横たわると、上条の首筋にぺたりと頬を宛がう。

上条「…な、何?」

フィアンマ「いや、涼しいと思ってな」

体重が多ければ重い辛いの思考で脳内が埋め尽くされる上条だが、幸か不幸かフィアンマはさほど重く無く、上条の上へ横たわっても何ら支障は無い。
上条は目を開け、フィアンマの横顔を見遣る。
ほぼ常に据わっている金色の瞳は長い睫毛と瞼によって阻まれ見る事が出来ず、故に恐ろしさは伝えてこない。
威圧感や恐ろしさを抜けば、(少なくとも上条にとっては)華奢な女性でしかないフィアンマ。
意識するなしちゃダメだ、と上条は自分に言い聞かせる。
その内ヒ●ロンの効力が無くなり、つまらなそうにゴミ箱へ放ったフィアンマは、上条の上からどかないまま、静かに呼吸する。
まるで上条の心拍数を測っているかのような行動に、少年は気が休まらない。





上条はどうする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 21:55:37.73 ID:9pmX3iLw0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 21:56:04.96 ID:9pmX3iLw0<> おもむろにキスをする <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 22:12:01.66 ID:73bPpplb0<>
上条「フィアンマ、」

フィアンマ「んー? …ん」

暇を持て余していたのか、ぼんやりとするフィアンマの顔を自分の方へ向かせる上条。
緊張する心を押さえこみ、そっと、唇を重ねる。
ふに、という柔らかい感触に目を閉じ、フィアンマは上条の髪を撫でた。
キスには慣れているのか、有り体に言ってしまえば、フィアンマはキスが上手い。
上条から仕掛けたキスではあったが、フィアンマは上条の口内の舌を絡め取り、口内をくすぐる。
圧倒されつつも何とか頑張る少年の姿を眺め、フィアンマは楽しそうに笑った。
感覚にして十分程口付けを交わし、唇同士が離れる。その間には銀糸が引き、ぷつりと切れた。

フィアンマ「どうした、急に」

上条「恋人なんだから、いいだろ?」

フィアンマ「顔が赤いな。恥じらっているのか?」

上条「言っとくけど上条さんは恋人なんて出来たの初めてなんですからね!?」

フィアンマ「…そう、なのか」

目を瞬かせ、何やら考える様子を見せながら、フィアンマは上条から離れ、ベッドに座り直す。
その内に同情するような視線を上条に向け、曖昧な笑みを見せた。

上条「…何だよ、その目は」

フィアンマ「いや、…日本的価値観でいうと、可哀想だと思ってな」

上条「フィアンマの価値観で判断してくれよ! 借り物の判断力で上条さんを憐れむんじゃありません!」

フィアンマ「……」

上条「だからその生温かい目をやめろって!!」

詩菜『当麻さーん、女の子は無闇に怒鳴るものじゃないわよー』

声が大きかったのか、詩菜の心配そうな声が階下から聞こえてくる。
別に喧嘩じゃねえよ、と項垂れる上条の様子を見、フィアンマは腹を抱えんばかりに笑うだけだった。



深夜。
上条とフィアンマとは微妙な言い争いをしていた。

上条「だから俺は床で寝るって言ってんだろ!」

フィアンマ「硬い床で眠る必要性がどこにある。一度は一緒に寝ただろう」

上条「あぁもう…」

フィアンマ「隣合わせでは眠れない理由でもあるのか?」

上条「>>331」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 22:13:36.41 ID:gh04J9h6o<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 22:16:40.03 ID:9pmX3iLw0<> 理性が保つかわからないのです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 22:16:56.52 ID:lGKWxVVSO<> 特にないな、じゃあ一緒に寝るか <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 22:32:38.40 ID:73bPpplb0<>
上条「理性が保つかわからないのです」

フィアンマ「その位、欲望に打ち勝ってみせろ」

上条「あのな、俺は聖職者じゃないんだぞ?」

フィアンマ「…仕方が無いな」

自分と一緒に寝るのは諦めてくれたのか、と胸を撫で下ろす上条。
そんな上条の予想していた言葉とはまるで違う発言をして、フィアンマはベッドへと腰かける。

フィアンマ「ならば、徹夜するしかあるまい。お前が眠らせてくれんのだから」

上条「何か俺がすごい悪いヤツみたいだろ」

フィアンマ「事実、悪いヤツだろう」

上条「別に俺と一緒じゃなくても寝られるだろ? 子供じゃあるまいし」

フィアンマ「俺様は眠れるが、部屋の隅に…」

上条「へ、部屋の…隅…?」

フィアンマ「…いいや、言うまい。知らない方が幸せな事もあるだろう。はたしてお前の右手がどこまで打ち消せるのかは知らんが…まぁ、仕方が無い。俺様の要望をそうまでして頑なに拒むのだから」

まさか幽霊、とビクつく上条を見つめながら、フィアンマは深く深くため息を吐きだす。
忠告を破ったものには恩恵を与えない、というのはローマ正教徒全体の常だ。
こう見えて幽霊を信じる派の上条は震える他無く、無情にも嘘を吐くフィアンマを見上げ、八つ当たりにも近しい言葉をかける事にした。

上条「あ、あのな…上条さんはお前の事を思って言ってるんだからな!?」

フィアンマ「ふん。どうしてもヤりたいならヤれば良い」

上条「……、…まだ早いというか、…その…」

如何にエロい事を好きであろうと、心では婚前交渉否定派の上条。
フィアンマは寂しそうに笑って首を横に振った。

フィアンマ「…どうせ、お前は俺様よりも先に死ぬのだから、好きなようにすればいい。思い出として墓場まで持っていく」

上条「…>>335」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 22:34:34.49 ID:9pmX3iLw0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 22:35:08.76 ID:9pmX3iLw0<> ………我慢できないかも <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/23(土) 22:51:23.43 ID:73bPpplb0<>
上条「…………我慢出来ないかも」

ぽつり、と漏らされた上条の呟きを敢えて聞き流し、フィアンマはベッドへと横たわる。
そのままごろりと寝返りを打つと、上条に背中を向けたかと思えば、思い出したように言葉を紡いだ。

フィアンマ「そういえば、お前の母親から幾つか言伝を預かってきたぞ」

上条「…伝言?」

フィアンマ「『一、あんまり激しくすると母さん寝られないから程々にしてくれると嬉しいです。 二、まだ結婚してないんだから、ちゃんと避妊しなきゃダメよ。ベッドサイドのタンスに避妊器具はあるからね。母さん凄いでしょう? 三、落ち着いて失敗のないようにね、当麻さんおっちょこちょいだから』…の三点だそうだ」

上条「何でその伝言をよりによってフィアンマに託すんだ…メモでくれ、メモで…いや、メモでもらっても別に嬉しい訳じゃないけどさ…」


がくりと項垂れ、僅かに顔を赤くする上条を振り返る事もせず、フィアンマは毛布を自分の身体にかける。
このまま寝てしまうのならそれで構わない、といったスタンスだ。
自分の身体にあまり価値を感じていないのかもしれない、と上条は思う。
やがて電灯を消し、暗くなった空間で、上条は悩む。
非常に不本意ながら『そういう意味で必要な物』をタンスの中に用意してある、らしい。
上条とて、性行為したいかしたくないかと聞かれれば断然前者だ。多感期の少年なのだから。
だが、良いのか、と自分に問う気持ちもある。
悩み、悩んで、結論を出す。




上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/23(土) 22:52:23.03 ID:lGKWxVVSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 22:52:28.47 ID:9pmX3iLw0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/23(土) 22:52:54.46 ID:9pmX3iLw0<> ヤる <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga  !orz_res<>2012/06/24(日) 19:47:25.61 ID:+GbOvKcA0<> 悩んで出した結論は、自らの欲望に従う事だった。
電灯の消えた暗い部屋の中、上条はフィアンマに近寄ったかと思えば、その身体にかかる毛布をそっと剥いだ。
そしてベッドへと乗り、フィアンマを押し倒した形になると、上条は視線を合わせようとフィアンマの顔を見下ろした。
眠る体勢をとってはいたものの眠ろうという努力はしていなかったらしいフィアンマは、まるで猫の様に、暗闇の中で光る金の瞳から放つ視線を、上条に向ける。

「……、…良いか?」
「…好きなようにすればいいと、言ったはずだが。聞いていなかったのか?」

その耳は飾りか、と言わんばかりに笑うフィアンマ。
そこに嘲弄の色が入るのは、羞恥故か、緊張故か。
その程度で上条の気持ちも性器も萎える事は無く、少年はフィアンマの服に手をかけた。
首後ろで引っかかっているフックを外し、そのままチャックに指先をやり、スムーズに下していく。
ジジジ、と焦れったい音と共にチャックは、幸いにして布を噛む事無く、フィアンマの背中と腰の間まで下がる。
上条は緊張した面持ちで、最早服の形を成していないワンピースを脱がせた。
上の下着を着けていないのは予想通り。
下には、新品だと思われるややフェミニンな白い下着を着ていた。
フィアンマの私物とは思えない(そもそも私物を買っていないし、持ってきていない)以上、詩菜が用意したものなのだろうとは思うが。
視覚的に性欲を一層煽る(所謂エロ下着過ぎない方が純真さのアピールになるというものだ)下着に胸をときめかせ、上条は一度手を止めると慣れないながらもフィアンマへ口付けた。
柔らかな唇の質感の後、甘いような唾液の味。
しばらく口付けを続行しながら、上条は手を動かし、ほんの少し柔らかみのあるフィアンマの胸を触る。
確かめるように二度、三度と揉んだ後、突起を指先で刺激する。
異性と性的接触を(上条以外とは)した事の無いフィアンマの身体は存外敏感なもので、ふるりと身体を震わせ、甘くくぐもった喘ぎ声を唇の隙間から漏らす。
性行為の経験など無い上条は、予想もつかないまま手探りでフィアンマの性感帯を探していく。
なるべく焦らないように、傷つけないように、とは思っていても、十代で童貞である少年がそこまで気を払う行動が持続するはずもなく。
我慢出来ずに下着へ手をかけ、さほどの躊躇無く引き下ろすのも当然の行動といえようか。
フィアンマは拒むでも怯えるでもなく、上条を見上げる。

「あ、あのさ…痛かったら、言ってくれよ? 俺、よくわかんないから」
「分かっ、た」

気遣いの問いかけに一度頷き、フィアンマは目を瞑る。
上条はそっとフィアンマの首筋へと口付けながら陰核への刺激を始め、安心させるように抱きしめる。



―――この後は、ぎこちないセックスのソレでしかないので、省略する。
<> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/24(日) 19:51:44.23 ID:5LyqZxpAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/24(日) 19:52:02.76 ID:+GbOvKcA0<>
翌朝、上条は注がれる視線で目を覚ました。
目を開けると、フィアンマがじっと自分を見つめている。
身に纏う衣服はワンピースではなく、いつもの赤いスーツだ。
じー、と注がれる視線に耐えかね、上条は首を傾げつつ、ひとまず朝の挨拶を投げかけた。

上条「お、おはよう?」

フィアンマ「おはよう。遅かったな」

上条「何かあったのか?」

フィアンマ「まぁ、色々と。お前に伝えなければならない事がある」

そう言ったかと思えば、上条に服を着せるフィアンマ。
義手があるからか、あまり不便は無さそうだ。

上条「伝えるって、何をだよ?」

フィアンマ「>>344」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 20:02:59.88 ID:zoGGZE+20<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 20:03:38.87 ID:zoGGZE+20<> 妊娠した 魔翌力の流れでわかる <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/24(日) 20:35:54.25 ID:+GbOvKcA0<>
フィアンマ「妊娠した。…魔力の流れで分かる」

上条「嘘だろ…?!」

フィアンマ「嘘だよ。俺様の胎は子を宿す事は出来ない」

思わず言葉を失う上条の様子を見、くつくつと喉を鳴らして笑う様は童話にありがちな悪い魔女だ、と上条は思う。

フィアンマ「…真面目な話をすると、お前が学園都市に居ない事で魔術サイドが…簡単な言い方をすれば、『心配』している」

上条「…捜索って事か」

フィアンマ「名目上は保護だろうな。俺様と共に居るのだから、それも当然だと言えよう」

フィアンマはそう言い、スーツ(今更ながらの記述になるが、何をどうしたのか、元の両袖ある状態へと戻っている)の裾についた汚れを手で払い、立ちあがったかと思えば、のんびりと伸びをした後、上条を見下ろす。
『ベツレヘムの星』に居た頃とよく似た、冷酷且つ感情に乏しい瞳だ。

フィアンマ「俺様は、お前を渡すつもりはないぞ。たとえ何人殺す事になっても、な」

上条「…」

フィアンマ「…さて。お前の母親が用意している朝食を頂きに行くか」

何人殺す事になっても。
ゾッとする程冷めた声での宣言に、嘘や冗談は混じらない。
フィアンマは明るく笑み、階下へと降りて行った。
上条はしばし閉口し、黙って考えた後、着衣をしっかりと正し、リビングへと降りる。


上条(俺を護る為だって、何だって、殺させるか。これまで何人殺したかは知らねえけど、これ以上、フィアンマに人殺しなんてさせるかよ)


そんな事を、考えながら。


食後、フィアンマと上条とは外へ出ていた。
フィアンマの右手と上条の左手とは恋人らしく恋人繋ぎで握りあっており、後ろ姿は恋人同士そのものだ。
外に出ている理由は散歩という事だが、実際の理由は別のところにある事を、上条は何となく察している。
うっかり襲われても、詩菜を巻き込まない為だ。
ほんの少しでも他人を思いやれるようになったのは、フィアンマの精神的進歩といえようか。
ふと、歩いていて気付く。いくらなんでも、人通りが少な過ぎるのではないだろうか。

フィアンマ「『人払い』か。初歩的だな」

上条「……」





上条を回収しようとする人物(禁書キャラ且つ魔術サイドの人物。アレイスター以外)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 20:42:21.60 ID:aQb6x+BE0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 20:42:52.29 ID:aQb6x+BE0<> ローラ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/24(日) 20:54:14.81 ID:+GbOvKcA0<>
目の前に現れたのは、一人の女性の聖人だった。
それと同時に、インデックスの友人でもあった、『必要悪の教会』の一人。
またの名を、天草式十字凄教の『女教皇(プリエステス)』。

神裂火織。

上条は思わず小首を傾げた。
しかし、次の瞬間、フィアンマの手が離れた事に気付き、恐る恐る横を見た。

神裂「彼から、離れてください。これは『イギリス清教』の方針です」

フィアンマ「なるほど、なるほど。指示をしたのは『最大主教』か」

神裂「もう一度忠告します。今すぐ、彼から離れてください」

七天七刀の切っ先が、フィアンマへと向けられる。
個人的な怒りと、組織的な任務。
ローラ=スチュアートから直々に命を受けた身としても、上条を大事に思う一人の人間としても、右方のフィアンマは、神裂火織にとっての敵だ。
強い敵意を向けられながらも、一切緊張する様子は無く、フィアンマは上条に微笑みかける。
酷薄で。殺意はあれど、悪意の無い笑みを。

フィアンマ「さて。俺様が相手をするか、お前が相手をするか、選んで良いぞ? ただし、俺様が立ち向かった場合の結果と、お前が敗退した場合の結果は同じもの、どのような内容かは言わずとも分かるだろう」

上条「ッ、…」

恐らく、フィアンマに任せれば、神裂は殺されてしまうだろう。可能性は高い。
となれば、自分が出た場合、そして負ければ確実に神裂は殺される。
要するに、神裂を説得して追い返すか、自分に殺させるか、フィアンマは好きに選べと言っているのだ。


上条「…>>350」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 20:59:46.42 ID:uLz1TEmZ0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 21:00:29.64 ID:uLz1TEmZ0<> 神裂……帰ってくれ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/24(日) 21:18:16.38 ID:5LyqZxpAO<>
上条「…神裂……帰ってくれ」

絞り出す様な声で、上条は言う。
真剣味を増すように、神裂を見て、もう一度同じ言葉を紡いだ。
言葉をかけられた神裂は目を瞬かせた後に、上条を見つめる。
心から心配している顔だ。
見れば、上条にも、分かる。
恐らくここで上条が助けを求めれば、神裂個人としても、助けてくれるのだろう。
回収命令は建て前で、神裂は上条が心配で、フィアンマから助けたくて、来てくれたのかもしれない。

神裂「弱味を握られているの、ですか…?」

弱々しい声で、神裂が、上条に問い掛ける。
間違ってはいないが、それだけではない。
故に、上条は首を横に振った。


上条「…そういう訳じゃねえよ」

神裂「貴方の隣に居る人間がどんな人物か、貴方が一番よく分かっているはずです! 何故拒むのですか…?」

『救われぬ者に救いの手を』。
その信念に従い、苦しそうに神裂火織は問い掛ける。
右方のフィアンマという強大な魔術師から、一人の少年を救いたい。
ただそれだけの、純粋な善意。
上条は、僅かに視線の先をズラす。
傍らに居るフィアンマの表情は、見えない。
何を考えているのか、読めない。


上条「……、…>>353」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 21:24:01.14 ID:xa2rqn1k0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 21:24:52.09 ID:xa2rqn1k0<> 俺は……フィアンマと生きていくと決めたんだ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/24(日) 21:38:13.44 ID:+GbOvKcA0<>
上条「……、…俺は……フィアンマと生きていくと決めたんだ」

神裂「…、…貴方を誰よりも傷付けた、その男と…?」

上条「俺を傷つけたヤツなんて世界には沢山いるだろ。そんな事どうだって良い。俺は、フィアンマを守るって決めたし、世界を見せてやるって、幸せにするって決めたんだ。だから、神裂がそれを邪魔するってんなら…俺だって全力で戦う」

神裂はしばし黙り、七天七刀を握りしめる。
刃の部分を握りしめてしまったからか、ぱたぱたと少量の血液が地面へ落ちた。
淡い恋心を、強く裏切られた気分だった。
実際、神裂はそんな醜い感情等抱いてはいないが、しかし、上条を好きであった事は確かだ。
確かに守りたいと思った。傍に居たいと、少しでも、考えた。
それが駄目なら、彼を守りたいと。何者からも守ってあげたいと、そう祈った。
それなのに、実際に彼が望むのは、彼の右手のみを狙った冷酷な男で。
女は浮気した男を恨まず、その浮気相手を憎む生き物だと最初に言ったのは、誰だったか。
神裂は再度七天七刀を構え、魔法名を口にした。
フィアンマは楽しそうに、くすりと笑ってみせる。
まるで地面に這う虫を虐げる子供の様な、残酷で嗜虐的な笑い声。
神裂はフィアンマを睨み、敵意を露わに突っ込んでくる。
フィアンマはといえば、のんびりと、死神が鎌首を擡げる様に、右手を構え。






上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 21:41:27.05 ID:6fbCTYvu0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 21:41:55.16 ID:6fbCTYvu0<> 神裂の前に立ちはだかる <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/24(日) 21:55:23.43 ID:+GbOvKcA0<>
上条は、フィアンマを止めるでもなく、逃げ出すでもなく、ただ、フィアンマの前へ出、神裂の前へと立ちはだかった。
すんでの所で、神裂は七天七刀の切っ先を直撃させる事無く、上条の首筋一センチ手前で止める。
流石に今のはヤバかった、と冷や汗をかく上条。
フィアンマは上条の行動に驚いたのか、右手を振り下ろす事はせず、黙っている。

神裂「して…どうして!」

上条「…言っただろ。俺は、フィアンマを守りたいんだ。幸せにするまで、死ぬ訳にはいかねぇけど、フィアンマにも死なれたくない」

神裂「第三次世界大戦を引き起こした戦犯ですよ!? そこに居る人間のせいで、どれだけの人間が犠牲になったのか、苦しんだのか、貴方には分かるはずでしょう! 完璧に理解する事は出来なくとも、戦争の爪痕はいたるところに遺されています。傷つかなくて良かった人間が、何人も傷付けられた! 全て、右方のフィアンマのせいでッ」

上条「……」

神裂の言葉に、上条は黙り込む。
あの戦争で誰が悪かったかといえば、フィアンマが一番悪かったのかもしれない。
でも、フィアンマ一人の力で戦争が起きるとは思えない。
『ベツレヘムの星』でフィアンマは言った。
人には悪意しかない、善意は全てお飾り。
大義名分さえあれば何でも傷付けられる残酷な生き物、それが人間だと。
そう言いきったフィアンマに、自分は綺麗なものを、世界の良い部分を見せようと決意した。
だからこそ、ここで神裂の言い分を受け入れる訳には…いかない。

上条「全部がフィアンマのせいだとは、俺は思わない。大きな原因と、戦争の引き金を引いた人間だってのは認める」

神裂「……」

上条「個人に責任を押し付けるのは、楽だろうさ。目立つもんな。でも、それがまかり通っていいって道理はないだろ」

神裂「真実じゃ、ないですか」

上条「事実だけど、真実じゃない。神裂がフィアンマを斬ろうっていうのなら、俺はバラバラにされても立ちはだかるぞ」

七天七刀の切っ先が、微かに震える。
何らかの激情を堪えているかのような震えだった。

神裂「その男の何が、そんなに貴方を自己犠牲へと導くのですか…私には、分からない」

上条「>>359」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 21:57:56.94 ID:tTz9yxqO0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 21:58:23.44 ID:tTz9yxqO0<> 神裂……フィアンマ女だぞ? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/24(日) 22:09:27.37 ID:+GbOvKcA0<>
上条「神裂……フィアンマ、女だぞ?」

神裂「…え…?」

思わず七天七刀を鞘へと収める神裂。

フィアンマ「それは今言う事なのか?」

上条「いや、さっきから男男言われるとさ…こう、誤解を解きたくなるだろ」

フィアンマ「空気を読むのは日本人の特技ではなかったか?」

上条「俺が空気読めてないって遠回しに言うなよ!」

考えがまとまったのか、一歩下がり、神裂は上条を見つめ、恐る恐る問いかけた。

神裂「…、…つまり、貴方は彼…ではなく、彼女を愛していると、だから守ると」

上条「…何か恥ずかしいけど、そういう事になるな」

言う間に後ろ手を回し、フィアンマの右腕を自らの右手で握る上条。
『聖なる右』を使われてしまうと元も子もない。
上条は出来るだけ暴力を振るわずに場を治めたい人間なのだから。
神裂は納得いったように数度頷き、フィアンマを見る。
上条は依然警戒を解かず(神裂は素手の格闘術でも十分強い為だ)、フィアンマの前からは退かずに神裂の様子を窺った。

神裂「…>>361」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 22:12:23.43 ID:tTz9yxqO0<> ………わかりました……私は身を引きます

ですが、他の魔術師のことは保証できませんので
ご理解ください <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/24(日) 23:13:55.12 ID:5LyqZxpAO<>
神裂「…………わかりました……私は、身を引きます。ですが、他の魔術師のことは保証できませんので、ご理解ください 」

上条を、ひいてはその向こうに居るフィアンマを見据え、静かに神裂が告げる。

フィアンマ「心配には及ばんよ。どうやらコイツが守ってくれるらしいからな」

上条「俺任せかよ…まぁいいけどさ」

和らいだ空気の中、フィアンマの発言に上条は苦笑しつつも、どこか幸せそうで。
それはインデックスと共に過ごしていた時の上条の笑みと酷似していて、しかしそれ以上に幸福そうな笑顔。
そんな様子を眺め、軽い敗北感と、彼が幸せならばそれで良いかと結論付け、神裂は薄く笑むと深く頭を下げ、やがて立ち去っていった。
上条はそっとフィアンマの右腕から手を離し、ここに来た当初と同じように握り直す。

フィアンマ「…ほんの少しだけ格好良かったぞ。愚劣な程に勇敢で」

上条「褒められてるんだか貶されてるんだか…ん。母さんからメールだ」

上条はポケットから携帯電話を取り出し、文章を眺める。
要約すれば、後でお金は渡すから、買い物してきて欲しい、という内容のメールだった。
ご丁寧に買う物やスーパーマーケットの場所まで書いてある。

上条「何処に居たって危険なのは変わりないし、二人で居た方がまだ安全だよな。スーパーはこの近くにあるみたいだ」


フィアンマ「近いのか?」

上条「んー…こっちだな」



買う物(複数可)>>+2>>+3>>+4
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 23:20:55.06 ID:zoGGZE+20<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 23:21:37.95 ID:zoGGZE+20<> コンドーム
赤間虫ドリンク
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 23:24:14.31 ID:zoGGZE+20<> 豪華絢爛焼き肉セット

ドクターペッパー

ボジョレーヌーボー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/24(日) 23:31:52.83 ID:zoGGZE+20<> たまごクラブひよこクラブこっこクラブ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 09:21:58.92 ID:MxmkbkWAO<>
手を引き、てくてくと迷いなく歩いていく上条の様子を眺め、ついて行きながら、フィアンマは疑問を口にする。

フィアンマ「ところで、何を買うんだ?」

上条「あー…これ」

やや困った様子で、表情で、上条が携帯電話を差し出す。
画面には買う物がリストアップされていたの、だが。

<買ってきて欲しい物>

・豪華絢爛焼き肉セット

・コンドーム
・赤間虫ドリンク
・ドクターペッパー
・ボジョレーヌーボー
・たまごクラブ
・ひよこクラブ
・こっこクラブ


上条「一部おかしいよな」

フィアンマ「量が多いな」

上条「突っ込み所そこじゃないからな?」

フィアンマ「? この3つのクラブは雑誌だと思われるが、スーパーに売っているか危ういのに注文してくるな、というところか?」

上条「そこでもない!」

フィアンマ「もうすぐ冬とはいえまだボジョレーヌーボーは販売していないだろう、というところか」

上条「上条さん分かったぞ、お前は完全に天然さんだって」

フィアンマ「俺様は人工物で無い以上確かに天然とも呼べるが人間に対してその言い方はどうかと思うぞ」

上条「そうじゃない…はぁ…」

上条の求める箇所を意図してか無意識か連続で外すフィアンマに軽くため息を吐きながら、上条はスーパーへと入り、テキパキと買い物を始めた。 フィアンマはというと、スーパーマーケットに親しみが無いのか、きょろきょろと辺りを見回している。
インデックスもこんな風にきょろきょろ(その度に何が食べたい何が飲みたいと強請られたものだ)してたな、等と思いつつ、上条はフィアンマの様子に笑みながらそっと問いかけた。

上条「何か欲しい物あるのか?」

フィアンマ「>>369が欲しいのだが」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 09:29:29.86 ID:Vs5THKf/0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 09:31:00.20 ID:Vs5THKf/0<> アルコール96%のスピリタス <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 09:47:45.74 ID:MxmkbkWAO<>
フィアンマ「アルコール96%のスピリタスが欲しいのだが」

上条「ダメに決まってんだろ」

フィアンマ「何故だ? アレは料理酒、消毒用、ジャムなどの漬物用、水割り等様々な活用、聖水の代用として術式に用いる事も出来る」


<スピリタスとは>
蒸留を繰り返すこと70数回。
純度を極めたポーランド産ウォッカ。
高いアルコール度が印象的な味わいを残す世界最強の酒と謳われるお酒。 そのあまりの度数の高さに、日本では工業用の分類に区分けされがち。


上条「多分フィアンマの見た目だと通るかどうか怪しい。若いからさ。もし年齢聞かれて証明しようにも、身分証明書なんか無いだろ。俺は見るからに未成年だからダメだし」

フィアンマ「そういえば日本では飲酒は二十歳になってから、だったな」

上条「そうです。だから諦め「躊躇は要らない。俺様が欲する物を阻害する原因等取り除けば良いのだから、考える必要は無い」手に取るんじゃありません!」

フィアンマ「…どうしても、ダメ…なのか?」


『酒瓶を抱きしめ、首を傾げる美人』は、目に優しい分類に入る。
入るのだが、現実問題、金銭的な問題はクリアしているものの、購入は難しい。
フィアンマの事だ、何か策があるのかもしれないが。

上条「…>>372」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 09:50:13.81 ID:Xq8s6q4j0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 09:50:40.88 ID:Xq8s6q4j0<> 何か策があるならいいぞ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 10:02:11.09 ID:MxmkbkWAO<>
上条「…何か策があるならいいぞ」

上条の言葉にこくりと頷き、どこか誇らし気な表情でフィアンマは胸元からチョークを取り出す。

フィアンマ「まず俺様だけレジ周りに行く」

上条「…」

フィアンマ「それで、魔術記号を書いてくる」

上条「…で?」

フィアンマ「結界を作る。で、店員客問わず俺様を崇め譲り奉る『狂信者』へと変える。これで問題は無い。小規模で効果も弱いかもしれんが、酒を買うまでの短時間であれば構わんだろう」

上条「響きがどう考えても不穏だろうが!」

フィアンマはチョークを胸元へしまい、深く深くため息を吐き出す。
失望した、と言わんばかりの表情だ。

フィアンマ「何が気に食わないんだ。仕方ないだろう、これ以上老いる事は出来ないのだから」

上条「…なら諦めろって」

フィアンマ「お前だけは俺様の味方でいてくれると、そう思ったのだが…期待した俺様が愚かだったようだ」

上条「>>375」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 10:35:55.74 ID:Bya+Ik4s0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 10:36:27.39 ID:Bya+Ik4s0<> はぁ……ちょっと父さんに電話して今来れるか頼んでみるよ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 11:53:42.25 ID:MxmkbkWAO<>
上条「はぁ……ちょっと父さんに電話して今来れるか頼んでみるよ」

フィアンマ「お前の父親に?」

上条「買い物内容から考えて帰って来そうだなって思ってさ。母さんにメールして…お、早。やっぱりそうか。ちょっと待っててくれよ」

スーパーの中であればマナー的にはギリギリセーフだろう、と考えつつ、フィアンマから少し離れて携帯電話を操作し、通話を始める上条。
放置されたフィアンマはひとまず酒瓶をカゴに入れ、きょろきょろと辺りの売り場を見回した。
視線を引きつけられたのはお菓子売り場。
近付けば、当然の事ながら試食の売り子に巻き込まれる訳で。
上条が通話を終えて再びフィアンマを目撃した時、彼の人は女性店員(と便乗した女性客)に囲まれ、ちょっとしたハーレムを築いていた。
(見た目は)優しそうな美青年なのだから、当然の事態とも言えようか。

店員「どうぞどうぞ」

客「お兄さん、おっ、お名前は?」

フィアンマ「ファルソだ」

さらりと偽名(Falso=偽(伊語)を名乗りながら、差し出される数々のお菓子を食べるフィアンマ。
わざわざ酒を買えるよう父親を呼んだ俺って…と、上条は静かにうなだれる。
ふとフィアンマは上条の様子に気付いたのか、ちらりと視線だけを寄越してきた。



上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/06/25(月) 12:07:48.00 ID:AH9Ea7bj0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 12:11:04.24 ID:u696k8Lb0<> やぁどうしたんだい?僕の可愛い可愛いマイハニー
と言って周りをドン引きさせるつもりが
女性客が腐女子 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 14:40:28.91 ID:MxmkbkWAO<>
フィアンマの視線に気が付いた上条は顔を上げ、間違った方向へ頑張る事にした。
上条はフィアンマを取り囲むハーレム集団に滑り込むようにして、近寄る。
そして、引きつり気味な笑顔を浮かべてみせた。

上条「やぁ、どうしたんだい? 僕の可愛い可愛いマイハニー」

フィアンマ「……、…」

フィアンマがまず思ったのは、『上条当麻は壁に頭でも打ったのだろうか』、だった。
上条はといえば、何の意図も無くそう言ったのではなく、周囲の女性をドン引きさせる事でフィアンマから引き剥がそうとしたの、だが。
"不幸"にも、周囲に居る女性の内、客は所謂『腐女子』であった。
美青年をマイハニーと呼ぶ少年。
良くも悪くも、想像を煽ってしまうのは不可抗力だ。
ドキドキとし、二人に熱っぽい視線を送りながら一歩下がる女性客と、引き気味に下がる女性店員。
フィアンマは困惑しながらもそれはおくびにも出さず、にこりと笑み、上条の手を引き、そのまま腕を組んだ。
どうやらフィアンマは、悪ノリする事に決めたらしい。

フィアンマ「ずっと待っていたんだぞ? 遅かったじゃないかダーリン」

上条「コッチにも事情があったんだよ、ごめんなハニー。さ、行こうか」

アメリカンホームドラマの様なやり取りを交わし、上条はさり気なく酒瓶をカゴから棚へと戻し、腐女子方の熱っぽい視線を背に、会計しに行くのだった。

<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 14:41:27.90 ID:MxmkbkWAO<>


フィアンマ「で、何だったんだ、あの下らん茶番は」

上条「ノッておいて蒸し返すなよ。あのままだとフィアンマ出られなそうだったからさ。あ、酒は父さんが買って来てくれるらしいから安心してくれ」

右腕が義手且つ線の細い女性に荷物を持たせる気にはならなかったのか、上条はずっしりと重いスーパーのビニール袋を手に、帰り道を歩く。
荷物と同じく、足取りも重い。
フィアンマはといえば、手伝う素振りも見せず、上条の様子を眺めながら残念そうなため息を漏らした。

フィアンマ「…何だ。てっきり嫉妬による行動かと思ったのだが、見当違いだったという訳だな」

上条「>>382」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/06/25(月) 14:55:16.90 ID:AH9Ea7bj0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/25(月) 15:11:34.60 ID:YnStgU+SO<> ち、ちげーしゅ!!!! <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 15:47:44.37 ID:MxmkbkWAO<>
上条「ち、ちげーしゅ!!!!」

フィアンマ「何を動揺している。まさか図星か?」

上条「んな訳無いだろ。別に妬いて…妬いては…」

やきもちは女の子が妬くから可愛いのだ、という先入観のある上条はもごもごと言い淀む。
フィアンマはそんな上条の様子を眺めつつ、くすりと笑った。

フィアンマ「まぁ、お前が妬いてくれずとも、俺様は困らんが。少しばかり寂しいというだけで」

上条「……」

フィアンマ「お前が妬かないと言うのなら、今後もああいった状況で静観していても構わんな?」

上条「ダメ」

フィアンマ「何故だ?」

上条の持つビニール袋の内、軽い物ばかりが入った袋を浚い、ぷらぷらと揺らし持ちつつ、フィアンマは問い掛ける。

上条「困るからだよ」

フィアンマ「何故困るんだ? 女性恐怖症という訳でもあるまい」

上条「>>385」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 16:27:03.72 ID:ikBwbex90<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 16:27:33.20 ID:ikBwbex90<> 他のやつにとられたらやだもん <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 16:50:44.30 ID:MxmkbkWAO<>
上条「他のやつにとられたらやだもん」

ふい、とそっぽを向きながら上条が答える。
子供の様な言い方にくすくすと笑い、フィアンマは上条の髪を撫でる。
無意識に、妹と重ね合わせているのかもしれない。

フィアンマ「そうか。では、次からは気をつけるとしよう」

上条「そうしてくれ」

フィアンマ「だから、そんなに拗ねるな。可愛らしいだけだぞ」

上条「拗ねてません!」

フィアンマ「分かり易く盛大に拗ねてるじゃないか」

柔らかな笑みを浮かべつつ上条の様子を眺め、家路につくフィアンマの様子は幸福そうで。
少しは幸せに出来てるのかな、と上条はほんの少し、誇らしく思った。 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 16:51:44.94 ID:MxmkbkWAO<>


上条「ただいまー」

詩菜「お帰りなさい当麻さん、フィアンマさん。あらあら、刀夜さんとは入れ違いだったみたいね」

刀夜「お帰り、当麻。酒なんて何に使うんだ? 隣に居るのは彼女だってな? …おぉ、また美人を捕まえたな。父さんに似たか」

詩菜「あらあらうふふ、刀夜さんたら…」

上条「はいはい、買い物してきたぞ。少しフィアンマを休憩させてやりたいんだけど、良いかな?」

詩菜「そうね、当麻さんと刀夜さんは積もる話もあるだろうし、フィアンマさんはゆっくり休んでいてくださいな」

フィアンマ「お気遣いありがとうございます」

ぺこ、と45度丁度に頭を下げたフィアンマはビニール袋を上条へ託し、二階の、昨晩眠った上条の部屋へ。
上条は荷物一切を詩菜に任せ、詩菜は台所へ。
後に残された男衆はリビングへと移動した。

刀夜「いやしかし、久しぶりだな、当麻。まさか学校辞めるとは思わなかったぞ」

上条「…ごめん」

刀夜「人生は存外やり直しの利くものだ。学び直したくなった時にやり直せば良い」

上条「…ん」

刀夜「ところで、フィアンマさん…だったか? ハンディキャップは当麻が支えてや…ん゛ん、説教はやめておくか。物静かな外国美女に見えるが、何処でどうやって捕まえたんだ。ほら、父さんにだけちょっと話してみろ。誰にも言わないから」

上条(物静かとは程遠いというか、結構喋るけどな)

上条「>>389」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/25(月) 16:53:27.32 ID:w3N7KIYIO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/25(月) 16:54:26.97 ID:YnStgU+SO<> 捕まえたっつーか捕まえられ… <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 19:29:13.29 ID:MxmkbkWAO<>
上条「捕まえたっつーか捕まえられ…うん」

事情が複雑過ぎるが為に黙り込んだ息子に照れているのだと感じたのか、刀夜はにやにやとしつつ問い掛ける。

刀夜「逆ナンパか。やるなぁ、当麻」

上条「別にそういうんじゃ…そういう感じ、なのか…?」

刀夜「馴れ初め話とか、自慢しても良いんだぞ?」

上条「うー…」

そっくりそのまま話すのは非常にマズい、という事位、上条にも分かる。深呼吸して落ち着いた後、上条は掻い摘んで語った。

上条「知り合いの知り合いで…(俺が産まれる)以前から俺の事が好きで、興味があったって言われてさ。(監禁生活中に)しばらく飯作ってもらったり、過ごしてる内に、(主に精神的に)支えてやりたいって思ってさ。(簡単に他人に言えないレベルで)トラウマ抱えてて、人間嫌いみたいなんだ。世界を憎んでるっていうのかな。そんな話聞いて、様子見てたら、守ってやりたいと思うようになって。でも、(フィアンマは戦犯だし)学園都市に居たら(俺も危険だろうし)フィアンマの事守って、支えてやれないな、と思って、学校やめて出てきたんだ。後悔が無いかって言うと嘘になるけど」

刀夜「あの真っ白い服着た女の子はどうしたんだ?」

上条「インデックス? …浮気は(したらフィアンマは一人で逃げるって言うし下手したら自殺されたりインデックス殺されそうだから)、というより浮気を疑われるのは良くないな、と思って、(ある意味)親元に帰ってもらった」

刀夜「愛に生きてるな、当麻。男としては輝いてると思うぞ」

上条「否定は出来ない…かな。フィアンマが幸せならそれで良いと思ってるしさ」

うんうん、とどこか感心した様子の刀夜に、何だか騙した気分だとため息を呑み込む上条。
事実、別に脅されたからフィアンマと一緒に居る訳ではないのだが。

刀夜「少し母さんに似た雰囲気があるな。品が良いと言うか、優しくて恐ろしいというか」
上条「あぁ、うん…当たってる」
刀夜「ま、男は母親に似た女性を好きになると言うからな。仲良くやれよ」
上条「そのつもりだよ」 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 19:29:58.69 ID:MxmkbkWAO<>


食事と入浴を終えた上条とフィアンマは、部屋へと来た。
フィアンマはベッドの上へ怠そうに横たわっている。

上条「体調悪いのか?」

フィアンマ「腰が痛いんだ」

上条「……、…何か、ごめん」

フィアンマ「責めている訳ではないが」

上条「……でも、俺のせいには違いないだろ」

フィアンマ「そんなに気負うのならば何かしてくれても良いんじゃないか?」

上条「んー……」




上条はどうする?>>+2 <>
◆aSQx.z3IE/pB<>sage<>2012/06/25(月) 19:31:15.08 ID:613oMAse0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/25(月) 19:32:11.55 ID:YnStgU+SO<> 首筋をエロく舐めてみる <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 19:47:07.22 ID:MxmkbkWAO<>
しばらく考える素振りを見せた上条は、おもむろにベッドへと上がり。

フィアンマ「っ、ふ…」

上条「…ん、…」

フィアンマの首筋へ舌を這わせたかと思うと、数度、唾液のぬるつきを利用して舐める。

上条「は、ぁ…いだだだだだ!?」

フィアンマ「普通そうはならんだろう」

フィアンマの右手から乖離した腕…ともつかぬ、もやのような何かの指先らしき何かが、上条の左頬をぐいぐいと引っ張る。

上条「なん、何で怒ってんの!? いだいいだい痛いッ!!」

フィアンマ「ふざけやがって、クソッたれが。どうだ? お前の左頬の『限界の痛みを自動的且つ最適に出力』する俺様の『聖なる右』は」

上条「活用どころが違っだだだ」

ぱ、と指のような何かが離れ、上条は涙目でフィアンマを睨む。
フィアンマは反省する様子も無く、つん、とそっぽを向いた。



上条はどうする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 20:24:00.14 ID:Vs5THKf/0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 20:24:56.19 ID:Vs5THKf/0<> 親父が買ってきたスピリタス渡して謝る <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 20:39:37.39 ID:MxmkbkWAO<>
上条(機嫌損ねちまったかな…あ、そうだ)

ふとスピリタスの事を思い出した上条はフィアンマから離れ、階下へと下る。
そして父親から酒瓶を受け取った後、再び部屋へ戻ると、それをそっと差し出した。
フィアンマはちらりと酒瓶を見やり、しばらく悩む素振りを見せた後、それを受け取ってそっぽを向いた。
酒瓶を抱きしめてふてくされる様子は、少女がお気に入りのぬいぐるみを抱きしめて眠る時に雰囲気が似ている。
しかし、その身から放たれている威圧感に可愛らしさは無いが。

上条「…ごめんって」

フィアンマ「…呑んでやる」

上条「…それ、せめて水で割らないと不味いんじゃないのか?」

フィアンマ「ストレートでも呑める」

言うなり、起き上がってベッドに座ったかと思えば、フィアンマは酒瓶の蓋を開け、口こそ付けないものの、お猪口にして二杯分を飲み下す。
そして蓋を閉めるとベッドへ放置した。
一見水を呑んだ様にしか見えないが、その度数は工業用アルコールレベルで、酔わない人間等居ない。
如何にフィアンマが酒に強いタイプであろうとも、絶対に酔っ払う。



フィアンマの酒癖>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/25(月) 20:41:47.56 ID:YnStgU+SO<> 苗木ふぃあんまくんと同じでも見てみたいかもしれぬ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/25(月) 20:58:24.71 ID:YnStgU+SO<> ドS全開 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/25(月) 21:23:53.52 ID:MxmkbkWAO<>
泣き上戸になったりしないかな、等と少しそわそわしていた上条の期待とは裏腹に、フィアンマはベッドに腰掛けたまま右足を上にして脚を組み、上条を冷徹に見下ろした。
目が、据わっている。

フィアンマ「座れ肉塊」

上条「はい?」

フィアンマ「耳は飾りか? 毟ってやっても構わんぞ」

上条「! はい」

やや条件反射気味に、フィアンマの足元で正座をする上条。
フィアンマはそんな上条の従順な反応でもまだ不満なのか、太股に肘をついて傲岸不遜に見下しながら言う。

フィアンマ「頭を下げろ」

上条「何で上条さんがこんな目に…酒癖なのか、これ…」

ぶつぶつと愚痴りながらも土下座のポーズをとってあげる上条。
それでもまだ不服らしいフィアンマは足裏で上条の頭をぐいぐいと床へと押し付けながら鼻で笑った。

フィアンマ「俺様に謝罪しなければならない事は無いのか?」

上条「うぐ…痛い痛い…いくら初めてヤったからってフィアンマの腰に負担かけてごめん」

フィアンマ「様を付けろ」

上条「フィアンマ様の腰に負担をおかけしてごめんなさい…」

フィアンマ「申し訳ありませんでした、だろう。正式な謝罪の仕方も分からんのか無能の雄豚が。あまり俺様を舐めるなよ?」

上条「舐めてませんん…うぐ…うぅ…フィアンマ様、の、お腰に負担を、おかけして、申し訳ありません、でし、た」



上条の心情

1.何だ、この気持ち…虐げられてるのに、何かドキドキして…

2.くっそ、もう怒ったぞ…!(こちらの場合は直後の行動内容も)


判定>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 21:25:53.97 ID:NNTKGD400<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/25(月) 21:25:54.88 ID:YnStgU+SO<> M条さんか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/25(月) 21:26:21.73 ID:NNTKGD400<> 上条さんも酒飲んでフィアンマ襲う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/25(月) 21:33:17.15 ID:YnStgU+SO<> 一応1って書いてみたり <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 07:29:53.52 ID:Il2uLKGAO<>
上条(何だ、この気持ち…虐げられてるのに、何かドキドキして…も、もしかして俺ってマゾだったのか…)

ドキドキと胸を高鳴らせる上条。
可能性が出てくれば真実を確定しようと努力するのが人間が人間たる所以。
上条もまた類に漏れず、床に顔を押し付けられながらも要求し、確かめようとする。

上条「ちょっとぶってもらってもいい、か? こう、平手で」

フィアンマ「顔を上げて座れ」

今現在完璧な酔っ払いであるフィアンマは他人を虐げられればそれで良いのか、足を退けて再び組み直しながら、上条へカーペット上に座るよう告げる。
自分から要求した事なので、カーペットに正座し、フィアンマを見上げる上条。
と、次の瞬間小気味良い破裂音が部屋に響き、上条はあまりの勢いにカーペットへばたりと倒れた。
忘れられがちだが、フィアンマは細いというだけで握力も腕力も人並みを少し上回る位にはあるのだ。
上条の右頬をひりひりとした感覚を伴う強い痛みが支配する。




打たれた上条の感想>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 08:58:10.80 ID:iyRSgPUK0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 08:58:37.85 ID:iyRSgPUK0<> か・い・か・ん…/// <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/06/26(火) 12:39:20.56 ID:FE61qRbl0<> SMか……
上条さんはSもMもイけると信じてる <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 16:41:50.20 ID:Il2uLKGAO<>
上条(か・い・か・ん…///)

打たれて倒れた上条は床に這い蹲る形で倒錯的な快感に頭をくらくらとさせながら恍惚と浸る。
そんな心情が表に出ていたのか、上条の表情を見るなりフィアンマはベッド上で僅かに後退った。 上条は顔を上げ、さながらシンデレラ―――悲劇のヒロインのようなポーズで、性的興奮により頬を紅潮させ、フィアンマを見上げる。
そしていやらしい笑みを見せた。
欲望にまみれ、下卑た笑みだ。

上条「も…もっと打ってくれ」

フィアンマ「…寄るな。気色が悪い」

マゾヒストに目覚めてしまった以上、フィアンマからの罵倒の言葉でさえ、上条には心理的快感となる訳で。
嫌がらせを楽しんでいたフィアンマとしては、酔いが醒める程に、そう、簡単に言ってしまえば、上条は非常に気持ち悪い。

上条「うぅ…あぁ、ダメだ、何かドキドキする」

フィアンマ「……、…Dio」

フィアンマはこの時、妹が死んで以来久しく、居もしないであろう神に助けを求めたのだった。
<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 16:43:25.30 ID:Il2uLKGAO<>


翌朝、身体の何ヶ所かに痣を作って満足気な寝顔を浮かべる上条を見つつ、二日酔いでやや痛む頭を手で押さえながら、フィアンマは起き上がった。

フィアンマ「…」

ぶつぶつと何やら呟き、フィアンマは酒瓶の蓋を開け、中身であるスピリタスを聖水に見立てながら自分の右手(義手)に振り掛けたかと思うと、『神の子』の如く、その飛沫を自分の頭へと振り掛ける。
端から見れば酒の臭いが部屋中、髪から強く漂わせ二日酔いを自ら助長させようとしているようにしか見えないが、『右方のフィアンマ』が『偶像の理論に依る聖水』を用い、『魔術』を使ったと考えれば、むしろこれで頭痛が治まらない方が不可解というものだ。
部屋もフィアンマの髪も義手も、酒臭くはなっていない。

フィアンマ「…『右手に備わるべき奇跡』はまだ有効か。当たり前と言い切ってしまえばそれで終いだが」

頭痛が治った事を知覚しつつぽつりとそんな事を呟き、欠伸をかみ殺しながら、フィアンマは上条を見つめる。
何か開いてはならない扉を開かせてしまった気分であった。
酔っている間の記憶はあまり無いが、上条を蹴り飛ばしたような記憶と、上条に暴力行為を強請られたような記憶が、うっすらとフィアンマの脳内にはびこっている。
もしかすると、上条も気化した酒で酔っ払ってしまっただけで、戯れだったのかも分からないが。




フィアンマはどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 17:26:04.50 ID:X50Q6vp+0<> 起こしてもう一回ぶってみる <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/06/26(火) 17:36:47.31 ID:OU4QhwVAO<> たてたてよこよこまるかいてちょんちょん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 19:01:52.82 ID:xpeGEwTK0<> >>412

意味不 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 19:06:25.68 ID:v4pG3UXIO<> 確か顔ぐりぐりする奴だよね?
お茶目さんだな <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 19:25:41.91 ID:Il2uLKGAO<>
フィアンマはおもむろに上条の両頬を両手でそれぞれ摘み、おもむろに引っ張り始めた。
酔いが醒めている以上、これは悪戯の部類である。

フィアンマ「縦、縦」

上条「むぐっ、う」

フィアンマ「横、横」

上条「むむ、ぐ」

フィアンマ「丸書いて…」

上条「んむ…」

言いつつ、右手と『第三の腕』をすり替えてぐいぐいと引っ張る。

フィアンマ「…ちょんちょん」

上条「!!!?? 痛っ!」

左頬へ連続で訪れた(耐えきれる限界ギリギリの)痛みに飛び起きながら、上条はフィアンマを睨む。
やはり気化した酒に酔ってマゾヒストになっていたようだ。
少なくとも、昨晩の、あの気味の悪い熱や雰囲気は纏っていない。
睨まれたフィアンマはにっこりと笑み、首を傾げてみせる。
まるで自分は何ら悪い事をしていないかのように。

フィアンマ「おはよう。良い寝顔だったな」

上条「>>417」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 19:43:09.30 ID:KPfnQwYSO<> ブルァァァァァァァァァァァァアアアアアアアア <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 20:03:23.21 ID:KPfnQwYSO<> 昨日の事は忘れてつかぁさい <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 21:11:46.26 ID:XZhEUBvR0<>
上条「昨日の事は忘れてつかぁさい」

手を離し、ベッド上に座ったままにこにこと笑むフィアンマを睨んでいる内に昨晩の大失態を思い出した上条は向かいに座りながら、頭を下げて謝罪をする。
冷や汗をだらだらと垂らす哀れな少年の髪を撫で、フィアンマはにこにことした明るい笑みをニヤニヤとしたものへと変化させ、含み笑いすら交えて言葉を返す。

フィアンマ「いや、忘れられんな。蹴る事をやめろと言われるのであればまだしも、もっと蹴ってくれと強請られるのは初めての経験だった。乙女である俺様としては、体験は忘れ難いものだよ」

上条「どの辺りが乙女なんだよ!? どう考えても性悪だろうが!」

フィアンマ「俺様のどこが性悪なんだ? こんなに優しいじゃないか」

上条「本当に優しいヤツは自分で優しいなんて言わないんだからな?」

フィアンマ「ほう、言うようになったじゃないか。やはり引き千切っておくべきだったかな?」

上条「恐ろしい事を言いながらさりげなく脅迫するんじゃありません! その背中の後ろにある腕を消せ!」

フィアンマ「メインディッシュを食べる前には下準備をしなくてはな」

上条「すげぇやる気だなオイ!」

咄嗟に右頬を右手で覆いながら涙目で腰を引く上条。
フィアンマはそんな様子を観察しながら、楽しそうに『第三の腕』を消滅させる。
『聖水の代用品』の残りが多少の効果を発揮したのか、もやのような何かではあったものの、まずまずの形を保っていたように思う。
これは案外右腕が無くとも『聖なる右』を以前の状態にくらいなら戻せるのではないか、と考えつつ、フィアンマは立ち上がる。
上条も立ち上がり、フィアンマと共に階下へと降りていく。
言うまでもなく、朝食を摂る為だ。



詩菜「はい、召し上がれ」

上条「いただきまーす」

刀夜「頂きます!」

フィアンマ「いただきます」

上条「…なぁ、お祈りとかってしなくて良いのか?」

ふと気になった上条がひそひそと問いかける。
フィアンマは面倒臭そうな表情でひそひそと答えた。

フィアンマ「救いもしない神を敬ってどうする。食事はお前の母親が提供してくれたもので、食材に感謝しこそすれ、神に祈る気力は無い」

上条「……、…」

フィアンマ「俺様は別に敬虔な訳ではない。勿論、それなりに信じてはいるが」

上条「それで良いのか?」

フィアンマ「困った事は無いからな。別に構うまい」

刀夜「そういえば当麻、婚約はしないのか」

上条「ぶっ!?」

詩菜「あらあら刀夜さん、気が早いわ。でも、婚約なら結婚ではないし、良いかもしれないわね」

唐突な提案をする父親と、のんびり同調する母親。
フィアンマが何か言ってくれないかと期待した上条だが、隣に座るフィアンマは何もコメントすることなく食事を続けている。

上条「>>420」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 21:33:42.79 ID:KPfnQwYSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 21:42:21.30 ID:bf1i/ri50<> よし、フィアンマ結婚してくれ(キリッ) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 21:43:46.73 ID:KPfnQwYSO<> 上条さんはまだ18才ではないのでできません <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 21:58:47.00 ID:XZhEUBvR0<>
上条はしばらく考える姿勢を見せ、食べ終わったがために箸を皿の上へと乗せ、フィアンマの方へ体を向ける。
調度食べ終わったのか、フィアンマもフォークを皿の上へと乗せて上条を見遣る。
上条はいつになく凛々しい(それこそ『ベツレヘムの星』脱出時にフィアンマを説教した時と同じ位に)真面目な表情で、効果音を付けるとするならばキリッとでもいいそうな、そんな顔つきで言う。

上条「よし、フィアンマ結婚してくれ」

フィアンマ「……、…その是非を、私に答えろと?」

取り繕ったかのような丁寧な口調で、フィアンマが聞き返す。
上条はうろたえる事なく頷いた。
両親が婚約に賛成している以上、むしろこのまま結婚しても良いじゃないかと、上条は短絡的に、高校生らしく思考する。
あまりにも家族揃って浅慮ではないかと考えつつ、フィアンマは頷いた。

フィアンマ「少し時間をください。一時、当麻さんは席を外していただけますか」

上条「? あぁ、うん」

返事をし、フィアンマの分含め二人分の食器をシンクへ置きに行ったその流れのまま、二階の部屋へと消える上条。
上条の動向を見送ったフィアンマは、刀夜と詩菜を見据えて、丁寧に頭を下げる。

フィアンマ「…少し、説明…お話しなければならない事が、あります」

詩菜「? 何かしら?」

刀夜「少し慣れ慣れしいかもしれないが、自分の家族だと思って話してくれて構わないぞ」

フィアンマは少し言い淀んだ後、話し始める。
流石にショックを与えてしまう内容は伏せて、ぼかして、だが。

自分は千年間生きる、『化け物』と呼ばれても仕方の無い人間であり、これ以上歳をとらない事。
(流石に戦犯だとは言えなかったので)前述の特殊体質の為、多数の人間から狙われているという事。
過去、上条当麻を心身共に傷付けたという事。
彼の右手と、その優しさに救われている事。
どんなに愛する資格が無いとしても、愛しているという事。

それから、それから。

泣き出しこそしないものの激情を押さえ込むように淡々と語り、フィアンマは二人―――上条当麻という人間を産み育んだ両親を見つめ、問いかけた。

フィアンマ「結婚という形をとれば、当麻さんだけでなく、お二人…当麻さんのご両親にもご迷惑をおかけする事になろうと思います。それでも構わないというお考えでしょうか」

刀夜「…」

詩菜「…」

フィアンマ(拒絶されるのであれば、それでも構わん。此処ではないどこかで過ごすだけだ)

顔を見合わせ、詩菜と刀夜は考える素振りを見せる。
そして、答えとして、言葉を紡いだ。

刀夜「>>423」

詩菜「>>425」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 22:00:59.98 ID:KPfnQwYSO<> 親として、申し訳ないが認められない。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 22:03:36.55 ID:AYKW2rdS0<> 全然大丈夫だよ 恋愛には年齢は関係ないからね
当麻が決めた女性だ 君は家族なんだ
家族は迷惑かけあってなんぼだよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 22:05:23.05 ID:AYKW2rdS0<> 私はかまわないけど〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 22:05:42.21 ID:gktqnIZE0<> 全く構わないし
そもそも迷惑だなんて思わない <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 22:25:38.30 ID:XZhEUBvR0<>
刀夜「親として、申し訳ないが認められない」

詩菜「私は構わないけど〜…ううん…」

予想通りの反応に、フィアンマは残念そうな笑みを浮かべ、静かに頭を下げた。

フィアンマ「お二人の反応もご最もです。短い間でしたが、お世話になりました」

刀夜「……」

詩菜「結婚が厳しいというだけで、当麻さんとのお付き合いを続ける分には別に「いえ」」

詩菜の言葉を遮り、フィアンマは綺麗な笑顔で首を横に振る。

フィアンマ「ご迷惑をおかけするのは、心が痛みますから」

恐らくこの場に上条が居れば、両親を説得するなり、フィアンマの『あまりにも綺麗過ぎる』笑顔の意図に気付くなりしただろう。
だが、上条の両親にとってフィアンマの笑顔は何の画策も含まれていない悲しみを湛えた笑顔にしか見えず、それ以上の言葉はかけられなかった。
最後に御挨拶をしてきます、と言い、何故か自分の靴を持って、フィアンマは二階の部屋へと上がっていった。

部屋の中で、上条はぼんやりとベッドに横たわって考えていた。

上条(話って何だろ。俺の誕生日まで待って16歳にならないと結婚出来ないとかそういう)

思考を無理矢理中断させるかのように、フィアンマが入室してきた。
おもむろに胸元からチョークを取り出しつつ持ってきた靴を、靴底を上にして汚さないようカーペットへと置く。
そしてチョークで、周囲の家具にかりかりと記号を書き始めた。
一般人が見ても意味のわからない落書きにしか思えないが、上条には何となくわかる。
少なくとも、魔術の術式を構成しているのだろう。何をする気なのかは分からないが。

フィアンマ「お前の両親に拒否の意を示されたからな。さて、何処が良い? 日本でなくとも構わんぞ、俺様がお前を運んでやる。住処は現地調達すれば良い」

上条「ちょ、ちょっと待てよ。反対されたにしても、出て行く事無いだろ」

フィアンマ「ところどころぼかしつつも真実を話した結果がこの拒絶だ。世界とはやはり醜いものだったぞ、上条当麻。お前の言葉を嘘だとは思わんが、真実だとも思えなくなった」

上条「何言って、」

フィアンマ「元々期待等していなかったが。人間など、こんなものだしな。で、どうするんだ? 家具を移動させる準備は既に出来たが」

上条「>>429」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 22:31:16.06 ID:bos4+k5H0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 22:32:58.96 ID:bos4+k5H0<> 結婚を決めるのは親じゃない 俺たちが決めるんだ
だけど反対されちまったなら仕方ないさ
次はどこに行く? <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 22:43:26.59 ID:XZhEUBvR0<>
上条「結婚を決めるのは親じゃない、俺たちが決めるんだ。…だけど、反対されちまったなら仕方ないさ。次はどこに行く?」

フィアンマ「移動先は特に決めていないのだが…ひとまず、イギリスやロシアは避けたい。出来れば暑いところよりも寒い方が好きなのだが」

上条「んー…」

考えてはみるものの、特段地理が得意な訳でもない上条に候補地はそうそう浮かばず。
確かにイギリスやロシアは不味いだろうと予測はつくのだが、魔術師の息のかかっていない場所…ハワイだろうか。
しかし、ハワイは暑いと聞く。フィアンマは今さっき寒い方が好きだと言ったばかりだ。
ふと、思い出したように上条は問いかける。

上条「…嫌な事思い出させるようだけどさ、フィアンマが昔妹さんと住んでた…村? 街? って、まだ残ってるのか?」

フィアンマ「恐らくは残っていると思うが…森の中だしな、家も残ってはいるだろう」

上条「……」

真面目に悩む上条。
そんな上条を横目で見やりつつ、フィアンマは窓を開ける。
そして窓際に自分と上条の靴を置いた。

フィアンマ「まさか、そこに行く、住む等と言い出さないだろうな? 確かに涼しい気候で冬には雪も降るが、家は、…家は、血や埃で汚れているぞ」

上条「ん、…んー…」

フィアンマ「…まぁ、しっかりと掃除をすれば良いというだけの話なのかもしれんが」

上条「…>>432に行こう。それか、>>433」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 22:44:56.99 ID:bos4+k5H0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 22:45:41.86 ID:bos4+k5H0<> フィアンマが昔妹さんと住 んでた村 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 22:47:36.14 ID:KPfnQwYSO<> ハワイ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 23:13:28.24 ID:XZhEUBvR0<>
上条「…フィアンマが昔妹さんと住んでた村に行こう。それか、ハワイ」

フィアンマ「……」

上条の発言に少し悩み、フィアンマは靴を履きながら、窓の外、屋根の危うい位置に立つ。
飛び降りのような姿勢に焦りながら追おうとし、靴を履いて『不幸』にも躓いてしまい、靴は履けたものの前へとつんのめった上条を抱き止め、そのまま姫抱きにしながら、尚もフィアンマは悩む。
やがて結論を出したのか、上条の瞳を見つめてこう告げる。

フィアンマ「目を閉じていろ。俺様が良いと言うまで、だ」

言われるがままに、目を閉じる上条。
それにしても情けない体勢だ、と思い嘆く上条の心を慮る様子も無く、フィアンマは一歩後ろへと下がった。
誰にも目撃される事無く、一瞬で上条とフィアンマはその場から消え去った。

まったくもって揉める様子の無い二人を不審に思った上条の両親は、上の部屋へと上がる。
そこには、最早誰も居なかった。





二人の行き先>>+1のコンマ一桁で判定


0〜4 ハワイ

5〜9 フィアンマが昔妹と住んでいた村のような街 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 23:14:04.91 ID:+Trq9kWTo<> おう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 23:14:08.38 ID:bos4+k5H0<> か <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 23:36:03.99 ID:XZhEUBvR0<> 方向を変えて、一歩。
更に方向を変えて、また一歩。

フィアンマ「もう目を開けて良いぞ」

上条を降ろし、立たせてやりながら、フィアンマはそう呼びかける。
選んだのは上条から提示された内、後者の方。
僅かに暑いのか、手でぱたぱたと自分の顔を扇ぎながら、フィアンマは上条の手を引いて歩きだす。

上条「何処行くんだ?」

フィアンマ「ひとまず、ホテルを探しに行く」

てくてくと歩くフィアンマはどこか自信のある様子だ。
ハワイに詳しいのだろうか、と首を傾げる上条。

フィアンマ「先に言っておくが、食べ物は不味いと思うぞ。日本人の感覚ではな」

上条「そんなに酷いのか?」

フィアンマ「ハンバーガー一つとっても差は顕著だ。まずこちらでは玉葱の塩揉みをしない」

上条「辛いだろうな…」

眉を潜める上条と、暑いのかだるそうに語るフィアンマ。
やがて二人はとあるホテルに辿り着くと、フロントに足を踏み入れた。
冷房の効いた室内はとても涼しく、からっとした暑さにかいていた汗があっさりと引いていく。
受付スタッフと話すのが面倒だったのかどうかは不明だが、フィアンマはポケットから山のようなドル札を取り出してどさりと受付に置く。
スタッフは目を瞬かせた後、フィアンマと一言二言(イタリア語と英語混じりの会話のため上条には分からない)言葉を交わし、ルームキーと思われるカギを渡した。
フィアンマは慣れた様子で受け取り、上条を連れてエレベーターへと乗り込む。
順調に動く箱の中、上条はやや申し訳なさそうに言う。

上条「ごめん…というより、あんな金何処から出したんだ?」

フィアンマ「ポケットだが。貯金のほんの一部だよ。正にポケットマネーといったところか」

上条「……」

世界を裏から動かす仕事というのはそんなにお金が貯まるものだったのか、などと上条が考えている間にエレベーターのドアが開き、二人で部屋へと入る。
ちなみに上条家を出たのは午前9時。
ハワイは現在午前四時である。スタッフがすんなり通してくれたのは、多量のチップがあったからかもしれない。
しっかりと鍵をかけ、フィアンマはベッドへと腰かける。
上条もフィアンマの隣へ腰かけ、ゆっくりと長く息を吐き出した。

上条「…人心地ついたな」

フィアンマ「疲れた」

上条の肩に頭をもたれ、フィアンマもため息を吐き出す。

上条「あの金の量でどのくらい泊まれるんだ?」

フィアンマ「チップも含んでいたしロクに計算していないが…二か月居ても文句は言われないだろうな」

上条「そっか」

ぼんやりと壁を見つめ、上条にもたれたまま、フィアンマは何かを考える様子を見せる。







上条はどうする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 23:36:34.80 ID:+Trq9kWTo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 23:37:46.04 ID:erHCzMlV0<> フィアンマをなでなで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 23:37:52.30 ID:KPfnQwYSO<> 親に理解されなかった事を泣く <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/26(火) 23:38:15.07 ID:bos4+k5H0<> 何故ハワイにしたか聞く <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/26(火) 23:51:34.84 ID:XZhEUBvR0<>
上条はふと手を伸ばし、フィアンマの頭を撫でる。
伸びもせず切ってもいないセミロングの髪はあまり傷んでおらず、さらさらとしていて柔らかな質感だ。
フィアンマは不快でないからか、抵抗するでも何をしているのかと言及するでもなく、ただ暇そうに壁を見つめる。

フィアンマ「…よく文句を言わないで耐えられるものだ」

上条「文句?」

フィアンマ「此処まで連れ回されれば文句の一つも出ようものだが」

上条「いや、別に俺も望んでお前に付いてきた訳だしな…文句なんて言う気無いけど」

フィアンマ「…そうか」

上条「…どうして、ハワイにしたんだ?」

フィアンマ「…掃除が面倒だったからだ」

嘘だ、と直感的に上条は思う。
やはり、他人に踏み込まれたくはないのだろうか、とも考え、少し寂しく思った。
フィアンマは本当に疲れているのか、眠そうに目を閉じる。

上条「…眠いのか?」

フィアンマ「…一応、人間なものでな。眠くもなるというものだ」

上条「寝ても良いぞ」

フィアンマ「…ん」

目を閉じたまま僅かに頷く素振りを見せ、穏やかに呼吸を繰り返すフィアンマ。
やがて浅い眠りに入ったのか、寝息を立て始める。
共に過ごして多少は慣れたのか、心臓が破裂しそうな程に緊張する事もなく、上条はフィアンマの髪をしばらく撫でた。
どことなく甘い匂いがする。





上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 23:51:53.20 ID:+Trq9kWTo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/26(火) 23:55:00.45 ID:KPfnQwYSO<> 泣く <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 00:06:29.58 ID:QjZvAOHW0<>
上条(後悔は、そんなにしてねぇけど、…フィアンマの事、拒絶したのか、俺の…父さんと、母さんは)

フィアンマを撫でるのをやめ、上条は黙り込んで思考する。
『世界とはやはり醜いものだった』、『人間など、こんなものだ』。
もう二度と言って欲しくない言葉を、よりによって自分の両親(記憶喪失のためあまり実感は無いが)によって、フィアンマの口から言わせてしまった。
綺麗な世界を見せたいと、良い部分を知ってほしいと願った。
少しずつでも、フィアンマの人間不信を直せてきていたと、そう思っていたのに。

上条「…っ」

上条の目元から、ぽた、と滴が落ち、上条の腿を、ズボンを濡らす。

上条(父さんや母さんが悪いんじゃないって事位、分かってる。多分、フィアンマは自分が千年生きるとか、そういう事しか説明してないんだろう。でも、拒否された。『お前の言葉を嘘だとは思わんが、真実だとも思えなくなった』、そう、俺に言う位には、また失望したんだ。世界に)

悔しさと、不甲斐なさ。それによる苦しみ。
ぼろぼろと涙を流しながら、上条は一人唇を噛み締める。
しゃくりあげたり等しないようしっかりと黙って泣いていたのに、気付いたのか、目を覚ましたフィアンマが上条の目元を指先で拭った。

フィアンマ「…どうした。何故、泣いている」

上条「ふ、っぅ…」

フィアンマ「何かあった訳ではあるまい。ホームシックか?」

上条「ち、がう…」

フィアンマ「…では何だ。どうかしたのか?」

淡々と問いかけて追い詰めているようにも見えるが、フィアンマは心底から心配して上条に声をかけている。
未だ止まらない涙を自分の手の甲でも拭い、息を詰めて上条は言葉を返す。

上条「>>447」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 00:07:35.49 ID:otV14t2SO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 00:09:05.98 ID:cxHmWycn0<> 俺は……情けねぇよなぁ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 00:09:22.70 ID:k7DjLMpk0<> フィアンマに辛い思いをさせたから <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 00:28:15.67 ID:cKlTvcKAO<>
上条「俺は……情けねぇよなぁ…」

フィアンマ「…何の話だ」

悔し涙を流し、上条は歯を食いしばる。
うまく、言葉が、出てこない。

上条「フィアンマに、世界の良いところとか、知って欲しいだなんて言ったクセに…実際は、何も見せられてなくて…むしろ、また失望させちまって、さ…口だけ野郎も、いいとこだ…」

フィアンマ「…お前が悪い訳ではないだろう。失望も何も、お前の両親に希望など抱いていなかったぞ? 事情さえ知らなければ普通の人間は表面上微笑むだろうし、事情を知ってそれが害なすモノであれば敵意を露わにする。お前の両親は、むしろよく善意が身に付いていたよ。だから殺さなかった。どうせなら、化け物扱いして欲しかったのだがね、つまらん結果に終わったものだ」

化け物と呼ばれて嬉しい人間など居るか、と、上条は思う。
普通の人間として、一人の女性として接するフィアンマの姿が、魔術師らしい時より何より一番素敵だと、上条は知っている。
冷酷に嘲って見下すのは、期待しないよう自制しているからではないのか。
つまらなそうに評価を下すのは、誰も彼も裏切ると、やはり善意は偽りしかないと思っているからではないのか。
上条の想いに気付く事もなく、フィアンマは悪意や嘲弄の意図を籠めた声音で言う。

フィアンマ「この世界で俺様にとって美しく価値のあるものは、やはり今は亡き妹と、お前だけだ。世界は醜い、汚い、善意は仮初めで只の仮面。信用には値しても信頼には到底及ばん。だからそんなに気負うな、俺様はお前さえ居てくれればそれで良い。…もう、いい」

上条「>>451」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 00:30:19.21 ID:cxHmWycn0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 00:33:26.50 ID:cxHmWycn0<> ごめん……ごめんなぁ……うぅぅ…… <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 00:44:55.47 ID:cKlTvcKAO<>
上条「ごめん……ごめんなぁ……うぅぅ……」

ぼろぼろと大粒の涙を流し、上条はフィアンマの身体を抱きしめる。
フィアンマは特別落ち込んだ様子もなく、どちらかといえば困惑の様相で、上条の背中をさすりつつ抱きしめ返した。

フィアンマ「お前が謝る事ではない。俺様は余計なものは望まん。お前が死ぬまで、精々七十年程、共に居てくれれば良い。お前の次に現れる『幻想殺し』と出会う事は無いだろう。世界などどうでも良い。お前以外の人間など死んでしまって構わない。どうせ俺様を傷付ける事しか出来ない、能無きこんな世界など、」

自分で立てた誓いを破りつつある、と情けなさに涙が止まらないまま、上条はフィアンマの髪を撫でる。
そして首を横に振った。

上条「そんな事、ない。俺は、まだ諦めない。フィアンマに、俺以外の人間も、友達とか作って、…大切に、思って欲しいんだ」

フィアンマ「…お前以外に大切な人間を沢山作って何になる。百年後、俺様は一人になるんだ。誰も残らない。そうして孤独な年月を過ごしてきた。お前が死んでしまえばまたあの年月を過ごす事になる、ただそれだけの事だ。こんな差別だらけの汚らしい世界に救いなどあるものか、価値などあるものか。仮面を着けなければ愛し許す事すらままならない人間という生き物は、お前以外俺様にとって価値など無い。絶対に、無い。好きになどならない、大切などとは思わない。お前が居なくなった後の世界は、俺様も含め、人間ごと滅びてしまえば良い」

『世界を救える程の力』をその身に宿した青年が悪意を吐く。
上条はその言葉を聴いた上で、こう返した。

上条「>>454」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/06/27(水) 00:45:49.43 ID:cKlTvcKAO<> ×人間ごと
○人類ごと <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 00:48:47.04 ID:otV14t2SO<> …なぁ、お前が妹や俺に向ける愛も仮面なのか?

それに、俺の子を産んでくれればお前は一人にならないんじゃないのか <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 12:53:30.76 ID:cKlTvcKAO<>
上条「…なぁ、お前が妹や俺に向ける愛も仮面なのか? …それに、…俺の子を産んでくれれば、お前は一人にならないんじゃ、ないのか」

フィアンマ「妹への愛情が確かであった事は認める、あの時は悪意の意味も知らずありとあらゆる意味で純粋だったからな。だが、分からなくなってきた。自分でも、お前を心底から愛しているのかどうか。エゴで縛り付けているだけで、理性の部分では、俺様と一緒に居てお前が不幸だという事位、もう分かっているのに…それでも、手放したくない。本当に愛しているのなら、お前から離れるべきだとは分かっている。……初夜の翌朝に話したと思うが、俺様は子を孕む事の出来ない身体だ」

上条「どうしても、無理なのか?」

フィアンマ「無理だ。『右方のフィアンマ』として、身体を"調節"したからな」

上条「そっ、か」

調節、という何か不穏な響きに、上条は学園都市の超能力開発を思い浮かべた。
『神の右席』に座するべく、犠牲にしたものの内の一つなのだろう。
上条はその考えを端に追いやり、フィアンマの発言の内、前半を思い返す。

上条「俺は、お前と一緒に居るから不幸だなんて、思ってない。…決め付けるな」

フィアンマ「…そう思わないようにしているだけだろう。客観的に自分を見つめ直したらどうだ」

上条「…お前はどうしたいんだよ」

フィアンマ「…当麻と、ずっと一緒に居たい」

上条「なら、それでいいだろ」

フィアンマ「……」

上条の服を握り、フィアンマは黙り込む。

上条「…」

フィアンマ「…お前は、子供が欲しいのか。叶えてやれんぞ。確認して、失望したか?」

上条「>>457」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 13:00:59.41 ID:YVKtAU790<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 13:06:23.75 ID:otV14t2SO<> 代理母とか…いや、別に子供が欲しいんじゃなくてお前にせめて誰かを愛して生きて欲しいだけなんだ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 14:30:25.74 ID:+b8Krxg30<>
上条「代理母とか…いや、別に子供が欲しいんじゃなくてお前に、せめて誰かを愛して生きて欲しいだけなんだ」

フィアンマ「…俺様は、お前が好きだよ」

言い聞かせるような語調で、フィアンマは言葉を返す。

フィアンマ「好きだ、……愛している」

上条「……」

聞けば聞く程、危うい声音だ。
自分に必死で言い聞かせているかのような声だと、上条は思った。
ぐらぐらとバランス悪く、そして高く積み上げた積み木をつついてしまったかのような気分が、上条の心を覆う。
もしフィアンマが上条に言っている程愛していないとすれば、意味無く戦犯になったという事だ。
上条を手に入れる為に行った努力は、妹との約束を果たしたというだけになってしまう。
ここまで上条を連れて逃げてきた事は、全て水の泡。
見目以上言動以上力量以上に割とメンタルの脆いフィアンマは、これ以上この事について思考していれば、また『壊れる』。
上条はそこまで考え予想し、思考を中断させるべくフィアンマの頭を撫で、ぽんぽんと背中を叩いた。

上条「俺も好きだよ、大好きだ。だから、ここでこの話は終わり。な?」

フィアンマ「……、……あぁ」

思考の海から強制的に意識を引きあげられたのか、こくりと頷き、上条の肩に頭をもたれ抱きしめ返したまま、再びフィアンマは眠り始める。
既に泣きやんでいる上条は深呼吸した後、服袖で自分の目元や顔を全体的に軽く拭い、小さくため息をついた。

上条(やっぱり、何かおかしいよな。…治して、やれんのかな、俺。…治してやるんだ)

うん、と頷き自分を一喝し、上条は視線を横にやって、フィアンマの寝顔を窺う。

上条(座ったまま寝るなんて器用…と思ったけど、俺も学校じゃたまにそうやって寝てたっけな)

懐かしみつつ、上条は暇そうに寝顔を眺め続ける。
長い睫毛は緩やかな寝息に合わせて僅かに上下し、寝顔は相変わらず死人の様に無機質で美しい。




上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 14:55:24.04 ID:otV14t2SO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 14:58:10.43 ID:Px1KHoHIO<> 寿命を伸ばす方法を探す <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 14:59:32.53 ID:otV14t2SO<> そして上条さんはアレイスター化するのか <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 15:26:50.24 ID:+b8Krxg30<>
上条(『…当麻と、ずっと一緒に居たい』、か。…何で、俺の右手は寿命延びたりしないんだよ。せめて、フィアンマと同じ位生きられたら良いのに)

体温が元々低いのか、寝顔と同じく死人の如く、冷たいフィアンマの頬を温めるように右手で触り、上条は心の中でぼやく。
今まで生きてきて、永遠の命が欲しいなんて思った事は無かった。今この瞬間までは。

上条(『俺様は一人になるんだ。誰も残らない。そうして孤独な年月を過ごしてきた。お前が死んでしまえばまたあの年月を過ごす事になる、ただそれだけの事だ』…ただ、それだけで、なんて片付けられないから…フィアンマは、きっと言葉にしたんだ)

どうにかしてやりたいと、思う。
殺されかけるより何より、世界の全てが自分を残して、自分の知る全てが無くなってしまう方が、きっと辛くて寂しいのだろう、と上条は思う。
友人も、家族も、誰一人居ない。
どんなに頑張っても、百年後には一人ぼっちになると、分かっている。
他人からは化け物と呼ばれ、誰からも手を差し伸べられる事なく、フィアンマは生きてきたのだろう。だからこそ、何かがおかしくなってしまっている。
人の温かみ等、分からなくなってしまっている。
生き地獄だ、と、上条は、思う。

上条(地獄で好きなヤツが苦しんでるなら、引っ張り上げてやるしかない。でも、それはフィアンマに…『普通』に、死んで欲しいって願う事だ。そんなのあり得ない。だったら、同じ地獄に堕ちてやるしか、ないよな)

世界の良い部分を、『自分はどうせ一人になるから希望を抱きたくない』という理由でフィアンマが拒むのなら、自分がその理由を無くしてやればいい、と上条は考える。
百年と言わず、フィアンマが死ぬまで、自分が生きれば良い。
三百年でも、四百年でも、フィアンマが心の底から、『壊れていない状態』で、笑える日がくるまで、一緒に居てやればいい。
頑張っても努力は無駄になるなんて現実は、幻想にして、殺してしまえばいい。
ただし、その覚悟は自分も孤独になる事を示している。
フィアンマ以外、上条の傍に誰も寄り添わないという事をも。
もしかすると、フィアンマと同じように上条もどこかおかしくなってしまうかもしれない。

上条(構うかよ、そんなこと)

どんな障壁があったって、自分が傷ついたって、構わない。
他人を切り捨てる冷酷さこそ備わっていないものの、上条は、強く、そう思う。
そうだ、インデックスとの生活を捨ててフィアンマを選び学校を辞め学園都市から出た時点で、自分は元の生活になど戻れないのだから。
後戻りは出来ない。だから、する必要性はない。可能性すら存在し得ないのだから。




寿命を伸ばす方法>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/06/27(水) 15:28:25.84 ID:cKlTvcKAO<> >>462
×右手は寿命伸びたり
○右手は寿命延ばしたり <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 15:46:17.18 ID:otV14t2SO<> 全身を機械に置き換える、カエル医者にアレイスターの延命装置を作ってもらう、垣根の未元物質と細胞を融合させる、ローラに聞く <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 16:09:14.14 ID:+b8Krxg30<>
上条(思い当る方法としては…全身を、機械にする、とか。…『冥土帰し』…はもう会えないかもしれねぇけど、コンタクトを持って、聞いてみるとか…後は、誰かの能力で…そんな便利な能力ある訳ないか。…後は、…魔術サイド…聞けねえ、な。一番手っ取り早いのは全身機械でサイボーグみたいになる事なんだろうけど…フィアンマと会話出来なかったら意味無いもんな…)

思いつく内容の数々は、だいたいが実現不可能か、可能性が低すぎるものだ。
上条が暗部に関わって等いればもっと他に浮かんだり、確証が得られたかもしれないが、現状それも難しい。

上条(くそ…でも、諦める訳にはいかない)

先程泣き出した際のものとは方向性の違う悔しさに唇を噛み締め、上条は考える。
選択してきた事を後悔しないためにも、フィアンマを孤独にしないためにも、上条は思考する。
結果、どうしたかといえば。
フィアンマを起こす事にしたのだった。

フィアンマ「…『黄金練成』であれば実現可能かもしれんが」

永遠の命を手に入れる方法、と問われ、フィアンマは簡潔にそう可能性を提示した。
上条は『三沢塾』での出来事を思い返し、ぶんぶんと首を横に振る。
フィアンマは上条の髪を弄り、ため息混じりに他の可能性を口にした。

フィアンマ「…後は、その右手」

上条「俺の右手?」

フィアンマ「それを霊装にする…造り変える事が出来れば、道具の一部として、お前の身体全体も生かされるかもしれん。ちょうど、俺様の身体が『右腕に備わるべき十字教的奇跡』…『世界を救える程の救世主たる力』の付属品として千年の生を確約されているようにな。そうそう簡単にはいかないだろうが」

上条「それって、フィアンマには出来ないのか?」

フィアンマ「…知識が足りん。幾つかの宗教の知識を束ねて準備をし、且つ術者が魔神クラスの魔術師であればどうにかなるかもしれんが…」

上条「そっか…」

フィアンマ「ついでにいえば、産まれつきの俺様と違い、後天的に人体を霊装にしようとすれば、激痛を伴うぞ。簡単に喩えるならば…そうだな、科学サイドにわかりやすいよう言えば、麻酔をかけずに開腹手術をするようなものだ。まして、お前の右手はその神聖さ故に魔術を打ち消す。…厳しいだろう」

上条「………」

フィアンマ「ところで、どうして急にそんな話を?」

上条「いや、…何でもない」

残念そうに落ち込み、肩を落とす上条。
最も現実的な可能性を提示したフィアンマは、上条の様子に首を傾げる。

フィアンマ「そう悲観せずとも良いだろう。お前は『普通』の人間なのだから、『普通』に一生を終えれば良い」

上条「>>467」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 16:17:23.22 ID:otV14t2SO<> つまり、インターネットさんとオッレルスを呼んでこいと…? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 16:28:06.07 ID:WrSZCaZB0<> 嫌だ フィアンマと添い遂げると決めたんだ

まずはオッレルスとオティヌス、インデックスを探そう <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 16:46:49.03 ID:+b8Krxg30<>
上条「嫌だ。フィアンマと添い遂げると決めたんだ」

フィアンマ「…ふん、馬鹿な事を」

上条「何とでも言えよ。俺はもう決めたんだからな」

フィアンマ「……まぁ、俺様は止めんよ」

上条「知識…、んー…いや、メール…返事くれるかな…厳しいか。…魔神クラスの魔術師? って、知ってるのか?」

フィアンマ「完全な魔神は…オティヌス、だったか。後は、なり損ないが一人居た筈だ。その二人で魔神の座を争ったと聞いたが…オッレルス、だったかな?」

上条「じゃあ、まずはオッレルスとオティヌス、インデックスを探そう」

フィアンマ「『禁書目録』は何事も無ければイギリスに居る事だろう。…先に言っておくが、魔神の知り合い等居ないぞ。呼び名を知っているというだけだ」

上条「魔神クラスは手掛かりゼロか…」

フィアンマ「ご本人と偶然にも出会える、などという事は無いだろうな。流石に俺様の『幸運』でもそこまでは難しい」

上条「うー…」

にっちもさっちもいかず、頭を抱える上条。
やがて上条はフィアンマから離れると、ベッドから降りて立ちあがる。
インデックスは恐らくイギリスに居るだろう。
捜すまでもなく、イギリスに行けば…そしてどうにか単身で『必要悪の教会』に交渉出来れば、きっと(個人的に)協力を得られるはずだ。
インデックスは優しいと、上条は信じている。
問題は、残りの二人。
フィアンマの口振りでは、魔神クラスの術者は一人で事足りるらしい。
儀式による激痛の勧告等心配する事もなく、自分の身などそっちのけで考え込む上条。
やがて一つの結論に達したのか、フィアンマを見つめて言葉を発する。

上条「そのどっちかでいいんだろ、捜すのは」

フィアンマ「あぁ」

上条「より交渉し易いのってどっちだと思う?」

フィアンマ「…分からん。会った事が無いからな。…まさか、外に出て虱潰しに『貴方はオッレルス、もしくはオティヌスさんですか』等と一々街頭インタビューよろしく問うつもりではなかろうな?」

上条「>>470する」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 16:57:13.55 ID:otV14t2SO<> 探知系魔術とか?つっちーがやってたみたいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 17:02:34.36 ID:otV14t2SO<> とりあえずネットで検索 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 17:09:01.55 ID:+b8Krxg30<>
上条「とりあえずネットで検索する」

フィアンマ「そうか。やる気が無いのなら無理しなくても良いんだぞ?」

上条「違ぇよ、やる気あるからな!? …ほら、そこにパソコンあるし、何か手掛かり位は掴めるかもしれないだろ」

フィアンマ「…"運が良ければ"、の話だが」

上条「うぐ…」

上条の『不運』にかけた嫌みにたじろぎながらも、ホテルの部屋に備え付けのパソコンの前に座り、電源を入れる上条。
フィアンマがあまり協力的でない理由は、期待をしたくない事、そして麻酔無しの開腹手術の如き苦しい思いをして欲しくないから、という理由があるのだが、上条はそれを知らない。
カタカタとキーボードを打ち、四苦八苦しながらもどうにか検索する上条。
英語は読めないながらもどうにかアバウトに把握していき、手さぐりで打ち込む。


検索結果>>+1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 17:11:25.76 ID:qedd5vVn0<> オティヌス&シルビア&オッレルス&インデックスの
魔術教室 

場所シベリア 日時24時間
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 17:11:59.13 ID:otV14t2SO<> いきなりビンゴじゃねーかWWW <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 17:12:15.51 ID:qedd5vVn0<> 日時じゃねぇよ
営業時間的なあれで頼む <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 17:24:53.26 ID:+b8Krxg30<>
検索結果はたったの三件。
しかし、そこに上条の求める情報はあった。

上条「……英語分かんねえけど、ちょっと該当したっぽいぞ」

フィアンマ「ん?」

フィアンマを手招く上条。
きょとんとしながら近寄ったフィアンマは、パソコンのディスプレイを覗き込み、数秒見つめた後、ぐしぐしと目元を擦って、もう一度ディスプレイを見つめた。

フィアンマ「…不運が一周巡って幸運に繋がったらしいな」

上条「何て書いてあるんだ?」

フィアンマ「…デンマーク語か…ん、…『オティヌス&シルビア&オッレルス&インデックスの魔術教室 場所:シベリアのとある小屋 営業時間:24時間 定休日:水曜日』…だそうだ。…こう言っては何だが、時代の変遷が激し過ぎてついていけそうにない」

上条「ちょっと上条さんハイタッチしたい気分なんだけど、付き合ってもらってもいいか?」

フィアンマ「構わん」

へい、とハイタッチをした後、フィアンマはどこからか世界地図を取り出す。
そして自分達の居るホテルの部屋の座標を計算し、フィアンマはこくりと頷いた。どうやら現在位置と、何歩『歩いて方向転換すれば』到着するのか、計算が済んだようだ。
嘘のような展開に自分はここで今度こそ運を使いきったなと感じつつ、上条は現在の自分の体勢に文句を言う事にした。

上条「せめて俵担ぎとかにならないもんなのか? …上条さんも男の子なので、お姫様抱っこは非常に恥ずかしいというかですね」

フィアンマ「俵担ぎは半身に重みが集中してバランスが悪い。恨むなら、体重の軽い自分を恨むんだな」

軽く言い返したフィアンマは、上条に目を閉じさせた上で、五歩『進んだ』。
非常に寒いシベリアの土地で、どうにか、『ベツレヘムの星』脱出時と同じ術式を施した上で、小屋へと近づく。
そして、軽くノックをした。二回程。
間違っていたならそれでも構わない、と、二人は思う。
術式を行使しても、寒いという事実は変わらず、死にかけはしないものの、白い息は出るし、呼吸まで凍りついてしまいそうだ。




ドアを開けてくれたのは?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 17:26:52.71 ID:JLdTiHRw0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 17:27:20.84 ID:JLdTiHRw0<> インデックスに噛みつかれているオティヌス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 17:28:25.66 ID:otV14t2SO<> 上条さんポジはもうオッレルスの物なのか… <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 17:45:37.55 ID:+b8Krxg30<>
木製(に見える)ドアを開けて出迎えてくれたのは、二人の少女だった。
一人は眼帯をしており、物々しい威圧感を纏い、鍔広の帽子を被っている。
その姿は正に魔女、というよりも、魔法少女(昨今のアニメにありがちな可愛らしい方ではなく、魔女見習いという意味で)のようだった。
この少女はオティヌス。完全なる魔神である。
そんな彼女の腕には、可愛らしい白いシスターが噛みついていた。
真っ白な、ティーカップの如き修道服と、端正な顔立ち。
上条の、よく見知った顔。
改めて説明するまでもなく、彼女こそがイギリス清教『必要悪の教会』所属の『禁書目録(インデックス)』だ。

オティヌス「…客か」

インデックス「オティヌス? まだお話は終わっていないんだよ!」

オティヌス「お前は食事が欲しいだけだろうに」

インデックス「ちっ、ちち違うもん! あ、とうま! …フィアンマも一緒なんだね?」

オティヌス「聞け、白羊。…『幻想殺し』に、『右方のフィアンマ』か。どうやら魔術を習いに来た訳ではなさそうだが、入ると良い」

インデックス「白羊!?」 

オッレルス「騒がしいな。シルビアが起きてしまうだろう」

小屋の中に招かれた上条とフィアンマは、勧められるまま、暖炉の前のソファーに並んで腰かける。
一見狭そうな小屋の見目以上に部屋数があるらしく、隣の部屋から金髪の青年が出てきた。
このシベリアには相応しくない(そもそもフィアンマや上条含め全員相応しくないのだが)薄着で、瞳の色はインデックスと同じ緑の色。
彼の名はオッレルス。魔神になり損ねた、人間味溢れる男である。
そんな彼はどこか鬱鬱とした様子で、青年は二人の少女を宥めながら、バタン、とドアを閉める。

オッレルス「さっきからドタバタと騒がしいと思っていたら、やはりお前か」

オティヌス「なり損ない風情が、私に指図出来る立場にあるとでも思っているのか? 思い上がりも甚だしい」

オッレルス「やめておけ、決着がつかない」

オティヌス「やはり潰しておくべきだったようだな」

どうやら青年と少女は仲が悪いらしく、睨み合いながら互いを言葉で攻撃している。
そんな二人を放っておいて、インデックスは二人の言い合いに慣れているのか何もなかったかのようににこっと笑みを浮かべてみせる。

インデックス「久しぶりだね、とうま、フィアンマ」

フィアンマ「……、…俺様を恨んでいないのか。お前から上条当麻を盗った人間だぞ」

インデックス「…別に、盗られてなんかいないんだよ。とうまは物じゃないもん。今の私は、オティヌスと一緒に居られればそれで幸せなんだよ。…魔術を習う必要の無い二人が此処に来たって事は、何か困ってるってことでいいの?」

上条「>>480」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 17:53:35.14 ID:otV14t2SO<> せやで <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 18:03:11.34 ID:+b8Krxg30<>
上条「せやで」

インデックス「ちょっと会わない間にとうまの言葉遣いが変わった気がするんだよ?」

フィアンマ「只の緊張だろう。…お前と、あちらで争っている内のどちらかでも良い、頼みがあるという事だ」

上条「その先は俺が自分で言う」

インデックス「私と…オティヌスか、オッレルスに?」

上条「どっちがオッレルスさんでどっちがオティヌスさんかは分からないんだけど、インデックス。知識を貸してくれ」

インデックス「一○万三○○○冊、っていう意味、だよね?」

上条「…ごめんな」

インデックス「とうまの為に役立てるなら構わないかも。どこまで出来るかはわからないけど、何をしたいの? とうまの右手は、術式を乱しちゃうから、あんまり意味が…」

上条「俺の右手…『幻想殺し』を、霊装にしたいんだ」

上条がそう希望を告げた途端、隣で言い争っていた魔神(一部なり損ない)コンビが、黙した。

インデックス「…とうま、…ほ…本気で、言ってるの…?」

上条「その為に此処まで来たんだ。…頼む」

一人一人と交渉をして直接問題を片づけていくタイプの上条は、じっとインデックスの目を見つめてお願いをする。





インデックスの返答内容>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 18:06:12.17 ID:JLdTiHRw0<> ksk
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 18:06:38.61 ID:JLdTiHRw0<> 余裕なんだよ任せてほしいかも <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 18:09:24.39 ID:otV14t2SO<> つーか上条さんの右手霊装にしちゃったらほぼ世界中の魔術師に狙われ続けるな…命とらなくて済むから倫理的にも問題無くなるし、悪用すればいくらでも…


てか右手とれてもまた生えるから意味がなくなったり…その辺は>>1的にはどうなん?ksk <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 18:28:13.04 ID:+b8Krxg30<> 《>>484様 現存している上条さんの右手を霊装に出来ても、依然狙われている事自体は変わりないと思います。ただし、『幻想殺し(霊装)』は一般的な霊装と違い、中条さん(仮)の魔力でないと反応しません、というよりも中条さんにしか扱えません。原作の方で中条さんについての言及がまだなされていないので、自由に解釈しようと思います。個人的に中条さんと上条さんは別物のような気がするので…中条さんが右手(霊装)に魔力を籠め、上条さんがそれを霊装として使えば問題ないかと。右手首から先を霊装に変える事によって強い変化は出ません。切られた場合は…中条さんと上条さんの問答(22巻参照)の結果によって生えるなり竜王の顎が右腕から出てくるなり、変化するかと思います。上手く説明出来ず申し訳ありません。 簡単に説明すると、『聖なる右』がフィアンマさんにしか扱えないように、『幻想殺し』も上条さん(+中条さん)にしか扱えません》


インデックス「知識を混ぜ合わせて提示する事になりそうだね。余裕なんだよ、任せて欲しいかも! でも、私は魔術を直接扱えないから…やっぱり、オティヌスかオッレルスにお手伝いしてもらうしか、無いと思う」

上条「…ありがとな、インデックス」

インデックス「…とうま、とっても痛いんだよ? きっと、ショック死しかねない程に、痛いと思う」

上条「良いんだ。もう、決めた事だしさ」

言うと、上条は立ち上がり、黙っている魔神コンビに近寄る。
インデックスは上条の代わりであるかのようにフィアンマの隣へ腰かけると、回復術式について補強がてら知識を口頭で教える。
金髪の青年と、少女は黙って上条を見据える。

上条「…どっちがオッレルスさんでオティヌスさんなんだ?」

オッレルス「…私がオッレルスだ。…そこに居るオティヌスのせいで魔神になり損なった男だよ」

オティヌス「腰抜けが。…私はオティヌス。完全なる魔神だ」

上条「聞いてたと思うけど、二人にも頼みがある…あります」

オッレルス「君の右手を霊装に、か」

オティヌス「特殊な霊装になりそうだ」

上条「…お願いします。そうしないと、俺は、…俺は、フィアンマの傍に、ずっと居てやれないから、」

深く頭を下げ、頼み込む上条。
対して、魔神と青年はこう答えた。


オティヌス「>>487」

オッレルス「>>489」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 18:41:09.26 ID:otV14t2SO<> 何度もすまんが、脱着式ではない感じ?後、右手を霊装にして、140年以上経過(人間が本来生きられる最大年数)、あるいはその前に右手(霊装)が壊されたら、道具の付属品としてだからこそ生き長らえてる上条さんも死んでまうん? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 20:03:08.02 ID:v5fJ8gTD0<> 任せておけ 報酬は何か美味い物喰わせろよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 20:03:38.47 ID:v5fJ8gTD0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 20:05:34.10 ID:otV14t2SO<> 二度と人に戻れなくなるぞ?……………本当に後悔しないな? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 20:44:29.04 ID:3aX49Sk00<> 《>>486様 脱着式でなく、体内に組み込まれている(正確には接続されている)状態の霊装です。厳密に霊装と言えるかどうかは微妙なところですが。新約4巻にてフィアンマさんが『上条当麻の右肩から生えている腕こそが今代の『幻想殺し』』と推測しているので、それが正しいとすると、右手が壊された場合、上条さんが死ぬ可能性は大いにあります。ただ、『幻想殺し(=神浄になりうる程の力)』が上条さんの内に宿る力と仮定すると、上条さんの身体全体を『幻想殺し(霊装)』にする事で死なないように…要領を得ない説明で申し訳ありません。 『世界を救える程の救世主の力』は"千年間"人々が迷わぬよう導く為(偶像の理論)、フィアンマさんは千年の生を先天的に確約されていますので、上条さんの体質をそれと同じように作り出すには『神浄(幻想殺し)の力』は"永遠に(もしくはXX年間)"民を導く為(偶像の理論)を作らなければなりません。なので、右手を霊装にではなく、頭から下を『偶像の理論による恩恵(=神浄化)を受けられるように』作り替える提案をします》


オティヌス「任せておけ。報酬は何か美味い物喰わせろよ、私ではなくそこの白羊にだが」

オッレルス「二度と人に戻れなくなるぞ? ……………本当に後悔しないな?」

上条「構わない。…俺は、そのために選んできたんだ、何もかも」

覚悟を示す少年と、鼻で笑う魔神。心底から慮る青年。
了承を得られた、と安心する上条の肩を、後ろからぽんとフィアンマが叩いた。

フィアンマ「…お前に、期待する事にした」

上条「…」

フィアンマ「…右手だけでは、足りんだろう。霊装が壊れれば、付属品であるお前も壊れる。文字通りな」

上条「…そう、なのか」

フィアンマ「平和な日々であれば良いが、俺様達はそんな身分ではないだろう。せっかく魔神クラスの魔術師が二人に『禁書目録』まで力を貸してくれると言っているんだ、もう少し欲張ってみろ」

上条「欲張って?」

フィアンマ「聖人の仕組み位は知っているだろう。先程、俺様が『幻想殺し』についての知識を『禁書目録』に教えた」

インデックス「右手を霊装にするよりももっともっと痛いけど、…神様の領域に、とうまなら至る事は出来るんだよ」

上条「…は? 神様?」

フィアンマ「俺様と同じような身体にするという事だ。体質改善といえば聞こえは良いか」

上条「…全身を『幻想殺し』にするって事か?」

インデックス「そういう事なんだよ。取り立てて表現するとちょっぴりシュールだけど、フィアンマと話し合って、術式の形位は見えたから…手探りのゲカシュジュツ? みたいになるけど…で、でも安心して、『禁書目録』の名に誓って、絶対にとうまを死なせたりしないから!」

オッレルス「本にまとめてくれさえすれば詠唱も実行も出来るが」

インデックス「ちょっと待っててね!」

頷き、インデックスは隣の、そのまた隣の部屋へと消える。
元気な少女を見送った魔神の少女は、上条とフィアンマを見やって肩をすくめた。

オティヌス「…やる気十分は構わないが、好きに決めろ。とりあえず、準備は明日までに間に合わせる」

オッレルス「そこの扉を出て、五番目の扉の部屋を好きに使ってくれ。客室だ」

上条「……」

フィアンマ「…すまないな」

一人事情が読み込めず思考する上条の手を引いて、フィアンマはオッレルスに言われた部屋へと向かう。

多少埃っぽさは拭えないものの、ホテルの部屋のようなそこで、上条とフィアンマは並んでベッドに腰かける。
再度説明を受け、上条は悩んだ。
どちらにせよ激しい痛みは伴うらしい。

上条「…明日までに、決めないと、な」








上条当麻の処置内容決定投票安価区間は>>492-496です。
選択肢は以下のみ。


1.右手のみを『幻想殺し(霊装)』化して生きていく(切り落とされれば死ぬ可能性がある)


2.『神浄』状態の身体で生きていく(若干病み条ルート。ヤンデレ的な意味で)



番号、若しくは文字(右手or全身)で投票してください。
同IDにつき一票です。
よろしくお願いいたします。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 21:10:41.80 ID:otV14t2SO<> 全身で。
ありがとうございますゥ。最強に近いわけか…聖人クラスの丈夫さとはいえ、相変わらず銃や薬、爆弾、環境には弱いっぽいけど。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 21:23:52.29 ID:k7DjLMpk0<> 全身 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 21:25:11.98 ID:libomypD0<> 全身 <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/06/27(水) 22:02:40.72 ID:ftcZJtdD0<> 全身で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/27(水) 22:25:09.45 ID:tt2ReWT70<> 全身 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 22:36:56.22 ID:CeRnXkUo0<> 全身 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 22:53:26.97 ID:zqqshIwn0<> 《投票にご協力いただきありがとうございました。 結果:『神浄』状態の身体で生きていく(全員一致)》


上条「俺、さ。神様なんて、信じた事、無かったんだよ」

フィアンマ「…急だな。…神を信じずとも、生きてはいける」

上条「……神様とやらになれば、ずっと、フィアンマと一緒に、居られるよな」

フィアンマ「…右手ではなく、全身を?」

上条「…あぁ」

上条は目を伏せ、こくりと頷く。
フィアンマは聞き返し、上条の首の動きを見た後、しばし黙り込んだ。
一時間程の沈黙と静寂の後、フィアンマがおずおずと口を開く。

フィアンマ「…怖くは、ないのか」

上条「別に、身体が変わったって、俺は俺だろ。右手が義手だって、フィアンマがフィアンマであるみたいに」

フィアンマ「激痛の一言では到底済まされん苦痛を伴うぞ」

上条「良いよ。今までだって、痛い思いなんて何度もしてきた。だからって慣れた訳じゃねえけど、必要なら仕方ないだろ」

フィアンマの手を握り、指を絡ませてぷらぷらと振りながら、軽い調子で上条は言う。
天井を見上げる少年が何を考えているのか、フィアンマには理解出来なかった。
自分の為ではなく、他人の為に永遠の命を願い、その為にどんな苦しみすら背負うというその気持ちが。
そこが、同じような気持ちを持っていても、フィアンマはあくまで『神の右席』、上条当麻は『ヒーロー』へと至った違いなのだろう。

上条「フィアンマがたとえ、思ってるより俺の事を好きじゃなくても、俺はフィアンマが好きだから、後悔しない」

フィアンマ「……」

上条「俺にとっても、フィアンマが笑ってる世界の方が良い。悲しみでもう逆に笑うしかないとか、そんなんじゃなくて、幸せで堪らないって笑みが浮かぶ位の世界の方が」

フィアンマ「……」

上条「まぁ、神様ってのは例えなんだろうけど…人を救える救世主を救えるのって、神様だけなんだろ?」

宗教とかよくわかんないけど、という一言を付け加えて尚、その発言は、『世界を救える程の力』を持った人間にとって、その言葉は心を揺さぶる文句だった。

上条「俺は、フィアンマを救いたいって思う。だけど、この身体じゃ寿命が足りない、ただの人間じゃ。なら、必要な状態にするまでだろ。インデックスや、オッレルスさん、オティヌスさんには面倒とか迷惑をかけるけど…それでも、俺はフィアンマの為に、自分の持ってるモノは捨てるよ」

フィアンマ「…犠牲を厭わないのか」

上条「だって、フィアンマは俺の為に、色んなものを犠牲にしてきたんだろ。詳しく聞かなくても、アバウトに予想位はつく。なら、俺だってフィアンマの為に色んなものを犠牲にして当たり前だって思うんだ。お前が見返りを求めてるかどうか、そんなことはどうでもいい」

握っているのとは逆の手で、上条はフィアンマの頭を撫でる。
そして、優しく微笑んだ。

上条「…だから、俺を信じてくれ。そうそう死なない身体になったら、百年だって、二百年だって、その先もずっと、二人で居ような」

フィアンマ「…信じる。絶対に死ぬなよ」

<> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/27(水) 22:53:28.52 ID:cKlTvcKAO<> + <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/27(水) 23:04:43.30 ID:otV14t2SO<> 上条さん………(´;ω;`) <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 23:54:24.94 ID:zqqshIwn0<>
翌日、上条が目を覚ましたのは翌日の夜中だった。
時差ボケで疲れていたのかもしれない、と思いつつ身体を起こす。
辺りを見回しても、隣で寝ている筈のフィアンマは居なかった。
何処行ったんだ、と思いつつ、上条は少しばかり埃っぽいベッドから降りて立ちあがる。
昨日ドアから入ってすぐのリビング(と言っていいのだろうか)へ来た上条の視界には、難解な記号の示された天井や床が目に入った。
描いているのはフィアンマとオティヌス、それに金髪の女性が一人。
時々目配せしながらもテキパキとチョークやペンキで記号を記していく。
多分儀式場(科学サイド風に言い換えれば手術室)を作っているんだろう、と解釈し、なるべく壁や床に触らないようにしながら、上条は暇そうにクッキーを頬張るインデックスと、黙々と本を読むオッレルスとが向かい合って座るテーブルへと近寄り、椅子に座った。

インデックス「おはようとうま、もう少しで準備も完了しそうなんだよ!」

上条「ありがとな」

オッレルス「……」

インデックス「オッレルスは私が昨日書いた術式の手順とか、解釈とかの本…ううん、魔術書を読んでるから邪魔しないであげて欲しいかも」

上条「あぁ、分かった」

インデックス「とうまもクッキー食べる? はいっ」

上条「さんきゅー」

インデックスからクッキーを受け取り、ゆっくりと齧る上条。
ふと思い出したかのように、問いかけを口にする。

上条「あの金髪の女の人は?」

インデックス「シルビアの事? とっても優しい人なんだよ。ちょっぴり言い方はキツいかもしれないけど」

上条「シルビアさん、って言うのか」

インデックス「言わずもがな、魔術師、そして聖人なんだよ」

上条「何か心強いな、この家の住人って」

インデックス「何ていったって魔術教室だからね!」

近況報告をしながら上条とインデックスがクッキーを食べている内に儀式場の構成が済んだのか、金髪の女性―――シルビアはオティヌスに一言二言告げて部屋に引っ込んだ。
顔色が悪かった辺り、体調不良なのかもしれない。
オッレルスはパタリと本を閉じ、頭痛を振り払うかのように頭を軽く横に振った。
インデックスはオッレルスを見上げ、その可愛らしい顔立ちに心配の色を浮かべる。

インデックス「…大丈夫なの?」

オッレルス「あぁ…」

オティヌス「死にかけに見えてしぶといから大丈夫だろう」

オッレルス「減らず口だな…」

オティヌス「ふん」

昨日と同じように言い合いをしつつ、オッレルスとオティヌスとは術式行使の用意をしている。
リビングの中央にはベッドがあり、本当に手術室のような構成だ。
ただし、脇に置いてあるのはメスや消毒液ではなく、よく分からない霊装や本、杖だが。 <> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/27(水) 23:54:27.23 ID:cKlTvcKAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 23:54:49.21 ID:zqqshIwn0<>
オッレルス「……準備は済んだ」

オティヌス「心の準備が済んだのなら、横になるんだな」

インデックス「不測の事態が起きてもすぐ対処出来るように万全の準備をしたから、安心して欲しいかも」

上条「…本当に、ありがとう」

何だか、手術前の最期の会話みたいだな、等と、呑気に上条は思う。
緊迫感ある考えが出来ないのは、本当の意味でじわじわと命の危機に向かっているからなのか。
上条はオッレルス達に頭を下げ、フィアンマを見る。
この二人の間では、最早言葉は必要無かった。
昨晩に言いたい事は全て言い合った。
上条は死ねない。死なない。死ねない理由がある。
死ぬ為にこの身を危険に晒すのではない。
愛する人間と生きる為に、この身を危険に晒すのだ。
何を犠牲にしても、絶対に、フィアンマと共に生きる。
深呼吸してようやく決心のついた上条は、リビング中央のベッドへと近づき、もう一度だけ深呼吸して横たわった。

オッレルス「叫んでくれて構わない。ただ、嫌だと泣かれても途中で中断する事は出来ない。それこそ死ぬだけだからな。もう一度だけ確認を取らせてもらうぞ。本当に、良いんだな?」

上条「お願いします」

全身からどっと冷や汗が出る。
刃物を近づけられた訳でもないというのに。
ただ、ベッドに拘束されたというだけで。
かつてフィアンマが施した、ある程度の自由度があるものではない。
まるで精神病患者を括りつけるかのようにきつい拘束だ。

オティヌス「お前は何もしなくて良い。目を閉じても、ひたすらに絶叫しても構わない。好きに振る舞えば良い」

上条「…はい」

目を閉じ、上条は『その時』が来るまで、緊張感に耐え忍ぶ。
人間の言葉では説明の出来ない詠唱と共に、激痛は訪れた。 <> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/27(水) 23:54:50.68 ID:cKlTvcKAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 23:55:14.49 ID:zqqshIwn0<>

痛い。苦しい。辛い。助けてくれ。痛い。痛いんだ。
叫ぼうとする喉が激痛のあまり引き攣る。
意思とは無関係に身体が魚の様に跳ねる。
痛すぎて呼吸すら出来ない。これが、身体の内外を組み替えるという事。
本来神が与える才覚溢れる肉の器を、既存のソレから作り替えて再現しようという愚かな試みへの天罰。
舌を噛み切って楽になってしまおう、そんな考えが過る前に、口の中へ何かが詰め込まれる。
舌は噛めない。死に逃避する事は出来ない。
身体の中から、外から、刃物で突き刺されかき回され毒を塗られ…そんな言葉では表現出来ない程の痛み。
痛みを司る神経をエレキギターのように激しく弾いたら、恐らく上条が今与えられている痛みに少しでも近い激痛を感じられるのではなかろうか。
いっそ意識が飛んでしまえばいいのに、何故だかそれも許されず、上条は悶え苦しむ。
叫び過ぎて喉が潰れてしまったのか、激痛で最早叫び声等出せていないのか、分からない。
明滅する視界の中、上条は世界の全てと神を呪う。
そもそも神様が、こんな世界がフィアンマに長い生を与えなければ、自分はこんなにも苦しむ事はなかったのに。
そんな八つ当たりでしかない支離滅裂な悪意の籠った獣の如き叫び声を出して暴れ、やがて体力も気力も失った上条は、意識を失った。

<> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/27(水) 23:55:15.97 ID:cKlTvcKAO<> + <> 自殺の定義 
◆2/3UkhVg4u1D<>saga  !orz_res<>2012/06/27(水) 23:56:22.74 ID:zqqshIwn0<>
白い羽がふわふわと舞っている。
走馬灯か何かか、と首を傾げる少年の下に、一人、誰かが近付いてきた。
少年よりは少し幼い、何ヶ月か前の『上条当麻』。

「…インデックス、救えたんだな、俺。良かった」
「…誰なんだ?」
「俺? 上条当麻だよ」
「上条当麻は俺だろ」
「あぁうん、記憶は薄いから、俺は前の上条当麻って名乗った方が良いのか」

ツンツン頭でワイシャツ姿の上条は、のんびりと伸びをして、欠伸を漏らす。
先程の痛みのみが支配する空間から解かれ意識の奥に来たのだと、そこまで明確には分からないまま、少年は心の奥底で理解する。

「『かみじょうとうま』が二人居るなんて、おかしいもんな。そろそろ潮時かな、とは俺も思ってたんだけど」
「アンタは記憶を失う前の上条当麻で、俺は記憶を失って、インデックスに嘘を吐き続けてきた上条当麻って事か」
「そうそう」

こくりと頷いて、上条は少年の言葉を肯定する。
明るいのに、元気そうなのに、どこか虚ろな様相の上条。
少年がふと横に視線をやると、二本のナイフが落ちていた。
包丁に見えなくもない。切る分には殺傷力は低そうだが、突き刺す分には問題無さそうだ。
今何を考えた、と少年は自問自答する。
上条はナイフに近寄って二本拾い上げ、一本を少年に手渡す。

「…俺は、別に死んだっていいんだ。大切なものなんて無かったし、きっとこれからも無い。でも、お前は違うだろ。インデックスに一言何か言えなかったのは残念だけど、俺よりもお前が生きた方が良いって思うから」
「何言ってんだよ、…何だよ、コレ。何なんだよ」
「これ以降の身体じゃ、一人の『かみじょうとうま』しか生き残れないから、殺し合えって事だろ。現実じゃ昏睡状態か何かじゃないのか? 俺達…んー、俺の身体って」

さらりと重い内容を言い、上条はナイフを床に置く。
少年は戸惑いながらも、ナイフの持ち手を強く握った。

「アンタを殺さなきゃ、此処からは出られないって事か」
「そうなるな。で、俺…『上条当麻』っていう人間は、昏睡状態のままだ」
「殺したく、ない」
「綺麗事ばっかり言ってられないだろ、そんなの」

自分が殺されると分かっていて尚、上条は―――『偽善使い』は、楽しそうに笑う。

「最後まで偽善者で居させてくれよ」
「………」

他人を殺す訳ではない。理解はしている。
これで良いのか、と、上条は思う。
それでも、フィアンマと生きたい。此処でずっと『眠っている』訳にはいかない。
一人しか選ばれないというのなら、自分ではなく、フィアンマの為に選ばれなければいけない。
殺すしか方法が無いのなら、殺すしかない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何を犠牲にしても、絶対に、フィアンマと共に生きる。

その為には、自分の何を犠牲にしたって構わない。問題はない。
そう、決めたのだから。



―――『法の書(Ozの書)』より

『各人は以下の権利を有する。自分自身の法によって生き
自分の意志するやり方で生き、自分の意志するままに働き、
遊び、休息し、自分の意志する時に自分の意志する方法で
死に、自分の意志するものを飲食し、自分の意志するとこ
ろに住み、自分の意志するままに地上を動き回り、自分の
意思するままに考え、話し、描き、塗り、彫り、刻みつけ
、型取り、建て、服を着、自分の意志する時に、意思する
ところで、意思する人を愛し、これらの権利を邪魔する者
らを殺す権利を有する。

          

            ―――汝の意思することを行え』
<> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/27(水) 23:56:25.81 ID:cKlTvcKAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/27(水) 23:57:10.56 ID:zqqshIwn0<>

上条当麻が二度目の死を迎えた、後。
もはや神浄討魔と呼んで差し支えない少年は―――上条は、声を聞いた。
泣きそうな、否、泣いている声だった。
身体中が熱くて、何だか重くて、痛くて、瞼すら開けられない。

「れ、さまは…ただ、」

泣いて欲しくない人が泣いている。
それしか、分からない。

「だけ、なのに…」

手を伸ばして涙を拭ってやりたいとこんなにも心の底から思うのに、腕が上がらない。
うまくいったのか失敗したのか、自分はまだ昏睡状態なのか、いやそうであれば意識があるはずがない。

「して、いつも…」

俺は大丈夫だよ。起きてる。
そう言ってやりたいのに、唇が思うように動いてくれない。

「だ…ひと…もう…さみし…」

出来る事は、シーツをほんの少し、微かに、弱い力で引っ掻くだけ。
本当なら、起き上がって抱きしめてやるべきなのに。

「当麻、」

ようやく、身体の熱が引いてきた。
口の中を舌で舐めて潤し、口を開く。

そして、ようやく、一言言葉を発する事に成功した。


「>>510」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 00:01:54.85 ID:7lGKCH/SO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 00:04:04.50 ID:Z34aVcSJ0<> ……ただいま……フィアンマ…… <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 00:27:33.92 ID:fVWqZqrAO<>
上条「……ただいま……フィアンマ……」

この三日三晩寝ずに待ち続けた声が、掠れきったものながら、フィアンマに向かってかけられた。 フィアンマは泣き過ぎた事と睡眠不足のせいで赤みがかっている目を瞬かせ、上条の顔を見つめる。
上条はのろのろとした動きで瞼を持ち上げ、つまりは目を開け、フィアンマの姿を捉える。

上条「……ただいま」

フィアンマ「…、…おか、えり。…お帰り、…当麻」

改めて現実と上条の様子を確認した上で、先程までとは違う心情で、フィアンマはぼろぼろと涙を流した。
様々な感情が入り混じり、整理出来そうにない。げほ、と噎せて目元を服袖で乱暴に拭い、フィアンマは上条を抱きしめる。
壊れ物を扱うように、本当は強く抱きしめたいという気持ちを抑えて、そっと。
時間の経過と共に体調が良くなっていく上条は、フィアンマの髪を丁寧に撫でる。

フィアンマ「…待って、いたんだ。お前が、目を覚ますのを」

上条「…ん」

フィアンマ「やはり止めるべきだったかと、悔やんだ。お前を失う危険性があるのなら、死に物狂いで止めれば良かったと。短い安息のみを求めるべきだったと」

上条「…俺は…ちゃんと、帰ってきた、だろ」

フィアンマ「…あぁ」

上条を抱きしめ、会話をした事で落ち着いたのか、フィアンマはそのまま眠りに堕ちた。
三日三晩仮眠すら取らずに、神へ祈ったり上条の傍を離れなかったのだから、仕方ないというべきだろう。

上条(埃っぽさは無くなったけど、オッレルスさんが貸してくれた客室か、此処)

視線をさまよわせ、上条はそう認識する。
不意に、ガチャリと部屋のドアが開いた。




入ってきた人物>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 00:27:51.15 ID:TgMvQVNbo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 00:29:13.57 ID:Gne69eYK0<> インデックス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 00:29:32.89 ID:7lGKCH/SO<> 上条さんを学園都市に連れ戻しに来たアレイスター <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 00:43:40.13 ID:fVWqZqrAO<>
インデックス「フィアンマ、流石に仮眠位とらないと身体が保たな…!? …と、うま…とうま、おはよう…!!」

心配そうに顔を覗かせ入室してきたのは小柄で華奢な白いシスター。
目を覚ました上条に気付き、喜びのあまりやや叫びそうになるものの、眠るフィアンマに気が付いたのか、ぱっと口を両手で抑えてひそひそと言う。

インデックス「とうま、ずっと寝ていたんだよ。フィアンマはとうまが寝てる三日三晩、とうまの手を握ったり、頑張って神様にお祈りしていたの」

上条「そ、っか…」

インデックス「もちろん、数時間でも寝た方が良いよ、って言ったんだけど…とうまが起きた時言葉をかけたいからって、無理して起きていたんだよ。だから、起こさないであげて欲しいかも」

上条「…ん、言葉のやりとりは…したし、な。ありがとな、インデックス。…それから、ごめん」

インデックス「? とうまが何に謝っているのか、分からないんだよ。あ、シルビアにオモユを作ってもらってくるね」


たたた、とやや慌ただしく部屋から去っていくインデックス。

上条(ごめん、なんて言うなら、最初から刺し殺すな、って話だよな)

独り言として呟いたところで誰にも理解されないであろう事を思いつつ、だいぶ体調の良くなった上条は静かに起き上がる。
そして眠るフィアンマを起こしてしまわないようそっと抱き上げ、自分の隣へ横たわらせた上、毛布を身体にかけた。

上条(三日三晩、か。すごい寝てたんだな、俺)

上条はぼんやりと思いつつ、体調は良くなってきたといえど身体の芯に残るだるさにぐたりと、脱力した。
ガチャリと再びドアが開き、訪問者が声を掛けてきた。

オッレルス「上条当麻。体調はどうだ?」

上条「>>517」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 00:44:55.08 ID:7lGKCH/SO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 00:47:53.40 ID:iSorT9F10<> 最悪だ めちゃくちゃ身体痛い <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 07:38:17.07 ID:fVWqZqrAO<>
オッレルスの問いかけに、笑いすら出ないまま脱力したままに上条は答える。
どこか八つ当たり気味な敵意が見え透く語調。

上条「最悪だ…めちゃくちゃ身体痛い」

オッレルス「まぁ、そうだろうな。喉が潰れていないようで安心したよ。さて、君の身体についての説明だが、今始めても大丈夫か?」

上条「起き上がれないけど、大丈夫です」

フィアンマの髪を二度撫で、寝返りを打つとオッレルスの方へ身体と顔を向ける上条。
オッレルスはベッド脇に簡素な簡易椅子を置いて腰掛けつつ、上条を見つめた。
そして、静かに上条の身体の説明を始める。

何年生きられるかは分からないが、ひとまず人の形を保っているに過ぎない人智を超えた身体になっている。
だから、人間の寿命は軽々と越えて生きるだろう。
副作用として、右手以外(=全身)も『幻想殺し』と同様の効果を発揮する。
右手含め、今までとの最大の違いは『幻想殺し』が任意発動になった事。
魔術的な攻撃は、上条が認識して『消す(=殺す)』と考えた時点で消え失せる可能性がある。
強大・複雑な術式は今まで通り触れなければ消せないと思われる。
学園都市で受けた能力開発を上書きする形で身体の内外を"調整"したので、威力は一般人よりも弱まるものの『弊害』無しに魔術を行使出来る(習えば、の話だが)。
物理的な攻撃は異能が絡んでいなければどうにもならない。
だが、恐らく銃で撃たれても(=異能の絡んでいない武器による攻撃を受けても、)中々死ぬ事は無い。
つまり、特別頑丈になった訳ではない。

ショック死しかねない程の痛みを越えて得た数々の『恩恵』に、上条は少し黙り込んだ後、感想をぼやいた。

上条「…>>520」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 08:41:19.62 ID:NDces8kU0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 08:47:21.08 ID:NDces8kU0<> 最高だ………
よし試しに魔術教えてくれ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 12:56:23.13 ID:fVWqZqrAO<>
上条「最高だ………」

払った犠牲と感じた痛みに相応しい程度の『恩恵』だ、と上条は思う。
オッレルスは上条の様子を眺め、ふと一度だけフィアンマを見やった。

オッレルス「彼に感謝すると良い」

上条「彼?」

オッレルス「『右方のフィアンマ』と言えば、語弊は無いだろう。熱に苦しむ君を看病し、その『右手に備わるべき奇跡』…特に『神の子』―――『救世主』の性質を用いた術式で、君の痛みを軽減していたんだ。ショック死してしまわないように。自分に痛みを移していた」

上条「………」

魔力とは生命力である、という事を、上条は知っている。
文字通り死力を削ったのか、フィアンマは心底ぐったりと、傍らで眠り続けている。

上条「…ありがとう、フィアンマ」

『あの空間』で痛みを感じなかったのは、フィアンマが打ち消して(代わりに引き受けて)くれていたのかもしれない、と上条は考える。

上条「俺、魔術使えるんだよな?」

オッレルス「あぁ」

上条「…よし、試しに魔術教えてくれ。横になったままでも出来る術式って無い…んですか?」

オッレルス「敬語で無くて構わないよ。…一応ある事にはあるが、どういった系統の術式が知りたいんだ?」

上条「系統…」

魔術師に対する対処法は心得ても、上条は魔術自体に詳しくない。



上条が習いたい魔術の傾向>>+2 <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/06/28(木) 13:01:20.41 ID:ycoizNNAO<> そういえば、どっかの研究所に延々生き続けてるガ…何でもありま加速 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 13:38:42.72 ID:7lGKCH/SO<> 逃亡系 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 14:23:32.48 ID:fVWqZqrAO<>
なので、アバウトに頼む事とした。

上条「逃げるのに有用な魔術を教えて欲しい」

オッレルス「…となると、空間移動、目くらまし、陽動、サーチ混乱、証拠隠滅か。そういった内容はむしろ『右方のフィアンマ』の方が詳しそうではあるが…まぁ、俺が知っている内容で良ければ、教えよう」

そう言葉で応えたオッレルスはポケットからボールペンを取り出し、キャップを外し背に装着した状態で、上条に握らせる。
訳も分からずボールペンを握り、見上げてくる上条を見下ろし、オッレルスは微かに柔らかな笑みを見せた。
そして、一枚の紙を差し出す。
戸惑いつつも受け取って目を通す上条。
書かれていたのは英語の文章。
一部にカギカッコがついており、この箇所を声に出して読めと言わんばかりの文面。

オッレルス「日本語はよく分からなくてな、すまない。内容としては初歩の初歩だ。まずは正式な詠唱を覚えて、それから簡略化していけばいい。人の名前を覚えて、あだ名をつけるのと同じだ。…そうだな、魔力の精製は説明し難いが…全身で力を高め、その塊を吐き出すように、この紙を燃やしてやる、という気概で詠めば良い。そうすれば紙が燃える。燃やすという行為は証拠隠滅に繋がるからな、まずはそれをやってみると良い」

上条「うぅ…」

英語の方が親しみがあるといっても上条は日本の高校生(且つ成績は悪い方)であったのだから、当然すんなり出来る筈も無く。
<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 14:25:08.60 ID:fVWqZqrAO<>
上条が紙を見つめてうんうんと唸っていると、隣で眠っていた筈のフィアンマが上条に後ろから抱きつき腕を伸ばす形で、指先で該当箇所をなぞりながら、紙の文面を和訳する。

フィアンマ「…懐かしい、内容だ。…『ただ唱えれば良いという訳ではない。地獄の業火を想像しても構わない。まずは火のイメージを強く思い描きなさい』」

オッレルス「随分と短い睡眠時間のようだが」

フィアンマ「自己治癒術式をかけてから眠る位の余裕はあった…問題は、無い」

オッレルス「そうか。なら、後の講義は君にも手伝ってもらおうか。寝てしまっても一向に構わないが」

フィアンマ「出来る限りの助力は、する」

自分を挟んで行われる二人の会話を余所にフィアンマの和訳を思い返し、どうにか『火』のイメージを思い描く上条。
ガスコンロの火、焼き畑の火、マッチで擦り点けた火…。

上条「次は、どうすれば良いんだ?」

フィアンマ「『思い浮かんだ火を点ける為の道具のイメージを捨てなさい』……『純粋な"火"のイメージが見えてきたら、詠唱して燃やしたいモノの一部分に息を吹きかけなさい』」

ただ、そこに在る火。
蝋燭の火の、蝋だけを抜き取ったイメージ。上条は火だけについてだけ思い考え、呪文の短い言葉をぎこちなく読み上げると共に、今握っている紙へと軽く息を吹きかけた。




息を吹きかけた紙はどうなった?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 14:43:15.99 ID:arCnjcTl0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 14:43:41.70 ID:arCnjcTl0<> イノケンティウスなみに燃えた <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 15:37:37.18 ID:ZoPTQl6i0<>
息を吹きかけた途端、紙は熱風を発生させて大きく燃え上がる。
上条の現在の体質を考えればこれでもだいぶ威力は一般人のソレより落ちているはず、なのだが。
それでもここまでの大きく燃え盛る炎が発生するという事は、上条当麻という人間が、『火』の魔術と相性が良いのかもしれない。

フィアンマ「…『火』を幾つか混ぜたな」

ぼやき、フィアンマが先程の呪文に一言二言付け加えたような言葉を紡ぐと、部屋を埋め尽くさんばかりに燃え盛った火が消える。
オッレルスはしまった、と言わんばかりの表情で苦笑する。
もしかすると、オッレルスもフィアンマと同じように呪文で対処していたのかもしれない。

オッレルス「危うく火事になるところだったな。すまない、本来であれば分かりやすい火のイメージを提示すべきだった。君は炎について才能があるようだ、顕著に」

フィアンマ「『右手』に因縁のある者は皆そうだろうな。まして、『幻想殺し』は言い換えれば悪霊をも追い払う事が出来る力―――『神の子』に等しい性質だ。神聖過ぎたのだろう、これでは火による洗礼も同じ」

オッレルス「火に関する内容はやめておくべきだったか。初歩の方が良いかと思っただけなんだが…相性の問題らしいな」

上条「…すいませんでした」

いきなり燃え盛った業火に閉口して冷や汗をかきながら硬直していた上条はようやく我に返ったのか、かたかたと震えながら謝罪する。
オッレルスは緩く首を横に振り、休めと一言言い残して部屋を出て行った。
あんなにも燃えていたにも拘わらず、部屋の中は焦げ臭くない。

フィアンマ「…あの男が咄嗟に対処したんだろう。まったくモーションが見えなかったが、魔神クラスの主軸術式とはそもそも手順等不明だったか」

上条「…俺、向いてないのか…? 魔術…」

フィアンマ「簡単な魔術自体に向き不向きは無いと思うが。元々、才能の無い人間が才能のある人間へ追いつくために生み出したモノだからな。むしろ、お前は才能があり過ぎたんだよ。『火』に対して」

上条「水とか、風なら違ったと思うか?」

フィアンマ「少なくとも、威力が通常より弱まる体質である以上、問題は無いだろうな。次に今行った術式を実行する時は、火のイメージを混ぜずに一種類だけ思い浮かべろ。危険だ。それから、失敗した時にはすぐさま『幻想殺し』を使え」

上条「はい…」

しょんぼりとする上条の頭を撫でるフィアンマ。
二人揃って時間の経過と共に元気が出たため、向かい合ってベッド上に座る。

上条「良かったら…何か魔術、教えてくれよ」

フィアンマ「お前は魔術師になるつもりなのか?」

上条「…>>530」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 15:41:48.38 ID:ayXkpYLc0<> ksk
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 15:42:15.99 ID:ayXkpYLc0<> あぁ、そうすれば守る手段が増えるからな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 15:44:11.03 ID:ayXkpYLc0<> 五大元素の魔術をとりあえず教えてくれを追加で頼む <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 15:52:25.86 ID:ZoPTQl6i0<>
上条「…あぁ、そうすれば守る手段が増えるからな」

至極真面目な表情で、上条が答える。
あくまで自衛手段としての、知的意欲。
フィアンマはため息をついて聞き返した。

フィアンマ「守る? 一体誰を。自分か?」

上条「俺は別に魔術なら受けても問題無いだろ。フィアンマを、守る為だ」

フィアンマ「俺様はお前に守られずとも問題は無い。むしろ、お前は俺様に守られていればそれで良い。極東の聖人にお前が守ってくれるなどと言ったのはほんの冗談だ」

素っ気ない様子で言われ、先程のフィアンマ以上にため息をつく上条。
そんな事を言われた位で諦めるのなら、そもそも魔術を学ぼう等とは言い出す筈が無い。

フィアンマ「…無茶をするな。せっかく寿命が延びたというのに」

上条「別に無茶だとは思ってねぇよ。俺にも物を燃やす位なら出来るってさっき分かった」

フィアンマ「…止めても無駄だという事位分かっている。故にもう何も言わん…ところで、魔法名は決めてあるのか?」

上条「やっぱり決めた方が良いのか?」

フィアンマ「俺様と違い、お前はあくまで普通の魔術師だからな。名乗らなければうまく使えんだろう。ルールというか、マナーというか、そういうものだ。一般的には、信念をそのまま名乗りにする事が多いな」

上条「んー…」






上条の魔法名(ラテン語『例:Miraculum001』のみ・意味のみ『例:この奇跡は全てを救う』可)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 15:57:34.84 ID:ayXkpYLc0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 16:03:50.83 ID:ayXkpYLc0<> 超越する人の理 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 16:04:58.11 ID:ayXkpYLc0<> Miraculum001 この奇跡は全てを救う

やっぱりこれでお願いします <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 16:26:02.08 ID:ZoPTQl6i0<>
上条「神裂のとかしか、意味は知らないんだけど…ラテン語だっけか、あれ。『この奇跡は全てを救う』なんて、どう思う?」

フィアンマ「ラテン語を充てるとすれば、『Miraculum001』…といったところか。確か001は被っていなかったはずだぞ」

上条「あの番号って被り防止だったのか」

フィアンマ「そうだよ。というよりも、それ以外に何かの役割があると思っていたのか?」

上条「いや、よく分からないってだけだ。魔術師を知ってるのと魔術を知ってるのとは違うだろ」

フィアンマ「まぁ、そうだな」

上条「…ちなみに、さ。フィアンマが普通の魔術師だった時、魔法名ってあったのか?」

フィアンマ「無論、あったが。知りたいのか?」

上条「……」

こくり、と頷く上条の瞳を見つめ、フィアンマは二言三言口にした。

上条「…そう、なのか。…重いな」

フィアンマ「魔法名に籠められた想いは大体が重いものだ」

上条「そっか。…魔術って、どんな括りがあるんだっけ? 五大元素?」

フィアンマ「あぁ、『火』『水』『土』『風』『エーテル』の五大元素だ。…エーテルは非常に難しい。万物に当てはまる以上、モノにしてしまえば大変万能だとは思うが」

上条「なら、その五大元素の魔術…をとりあえず教えてくれよ、火以外も、少しずつ」

フィアンマ「俺様の得意分野は名が示す通り、あくまで炎だ。全てを詳しく教える事は難しい。…一番は、あの完全な魔神と『禁書目録』に習う事だ」

上条「…頑張ってみる」

フィアンマ「精々努力してみる事だ」



空腹を覚えたところで上条は立ち上がり、フィアンマの手を引いてリビングへ向かう。
何だか良い匂いがしている。料理の匂いだ。

インデックス「ごめんねとうま、お米無かったからスープで我慢して欲しいんだよ、でもとっても美味しいからね! …むむむっ」

上条「ん、ありがとう」

台所には金髪の女性…シルビアと、オッレルスが並んで立っており、インデックスはチェスの盤面を見つめてむむむと唸っている。
そんなインデックスの向かいで余裕の体を披露しているのは完全なる魔神にして見た目は少女の、オティヌスだ。
食事が出来上がるまでもうしばらくかかるらしく、この家の中で最も暇を持て余す上条とフィアンマ。
その内のフィアンマが、ふと提案をする。

フィアンマ「賭けをしようか。どちらを応援する?」

自分たちが賭けの題材にされている事は構わないのかチェスに熱中しているのか、対戦中の二人は何も言わずに盤上をじっと見つめている。

上条「チェスはよく分かんないからな…というか、何を賭けるんだ?」

『クイズ』の時のような狂気は感じられないため、上条は気軽に問いかけた。
そもそも、元手となる物品があまりないのだが。

フィアンマ「そうだな…互いに>>538を賭ける」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 16:40:25.78 ID:pPCQ0t7g0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 16:40:54.48 ID:pPCQ0t7g0<> 今日のご飯 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 16:46:27.95 ID:ZoPTQl6i0<>
フィアンマ「そうだな…互いに今日の食事を賭ける」

それ、食い意地の張っていないフィアンマにはメリット無いんじゃ、と思いかけ、上条ははたと気付く。
フィアンマが自分に得の無い賭け事をするとは思えない。
という事は、何か裏がある訳で。もしくは思いやり。
しかしきっと負けるんだろうな、と染みついてしまっている不幸根性で頷き、上条は賭けを受ける。
盤面を眺め、どうにかチェスのルールを思い出そうとする上条。
どちらが有利かと言われれば、五分五分というところ。
壊れてしまってはいるが『自動書記』を思えばインデックスも魔神の領域に入るのだから、実力差はそんなに無いのだろう。
インデックスはむむむと可愛らしい声で唸り考え込み、オティヌスは優雅に紅茶を啜る。

フィアンマ「さて、お前はどっちに賭けるんだ? 俺様はお前が賭けたのと反対の方に賭けよう」

上条「うーん…」



上条が賭ける方(インデックスorオティヌス)>>+1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 16:50:43.98 ID:pPCQ0t7g0<> インちゃん <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 17:41:03.79 ID:ZoPTQl6i0<>
上条「じゃあ俺はインデックスを応援する」

フィアンマ「ならば俺様はこちらを応援しよう」

上条はインデックスの後ろ、フィアンマはオティヌスの後ろに立ち、盤上を眺める。
どちらかといえばオティヌス優勢の盤面。
インデックスはそれを理解しているのか、ちらりと上条を見上げる。

インデックス「とうま、どうしたらいいかな」

上条「抽象的な振り方をするなよ…んー」

頼られたとはいえ、上条もチェスがとてつもなく強いという訳ではない。
対してオティヌスもフィアンマを見、退屈そうに問いかける。

オティヌス「お前ならこの局面、どう動く? 一応、私の夜食がかかっている勝負なんだ」

フィアンマ「俺様なら、少なくともこの盤面で派手に動いたりはしないな。動くにしてもc-4からf-5までの範囲にする」

オティヌス「攻撃こそ最大の防御だとは思わないのか?」

フィアンマ「防御はあくまで防御であり、攻撃は攻撃だ。別のものだと思っているが」

上条「が、頑張れインデックス…上条さんは陰ながら応援してるぞ!」

インデックス「ま、丸投げなの!? やっぱり相変わらずとうまは頭を使うのは苦手なんだね?」

上条「上条さんがすごい馬鹿みたいに言うんじゃありません!」


そう言いながらも駒を進め、いよいよ大詰めの段階まで来ている。



>>+1のコンマ一桁でチェスの勝敗決定

0〜4 インデックス・上条の勝ち

5〜9 オティヌス・フィアンマの勝ち <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 17:46:51.29 ID:TOoBPmpM0<> イン <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 18:10:35.99 ID:ZoPTQl6i0<>
インデックス「うぅ…私の夜食が…」

オティヌス「そもそもお前の夜食ではない」

上条「…元気出せよインデックス…」

インデックス「元気だもん…うぅうう…」

フィアンマ「危ういところだったが、どうにか勝利を治めたな」

オティヌス「この『無限の可能性』のせいで、負ける恐れが否めないからな。さて、敗者からは存分にむしり取るとしようか」

そう話し、立ちあがったかと思うと、おもむろにインデックスの身体をくすぐり始めるオティヌス。
こうして口実を作って、噛みつかれている分の仕返しでもしているのだろうか、とフィアンマは思う。
くすぐりに笑いながらも落ち込むインデックスの様子を微笑ましそうに眺め、次いでフィアンマを視界に捉えた途端、しょんぼりとする上条。

フィアンマ「食事をいただくだけというのもつまらんな。お前の手で食べさせてもらうぞ」

上条「…それで良いのか?」

フィアンマ「…その方が良い」

ふい、とそっぽを向くフィアンマの様子を見、インデックスの様子を眺めていた先程以上に表情を弛ませる上条。
食事の準備が済んだ為、そのままの雰囲気で食事を摂り始めた。




気付けば、しばらく世話になるという話に落ち着き。
上条が魔術を学ぶにも此処はそれなりに落ち着き、安全な場所の為、いつまでかは未定でこの家に世話になる事となった。
条件としては、何か困った時に手を貸してくれさえすれば、それで良いらしい。と、家主たるオッレルスが言っていた。
そんな流れの中で、体調もすっかり万全となり、シャワーを浴びた上条とフィアンマとは、ベッドに並んで座り、暇潰しがてら会話をしていたのだが。
コンコン、とノックの音がして、返事をすると白いシスターが入ってきた。
どことなく顔が赤い。何かを恥ずかしがっているかのような様子だ。

上条「何かあったのか?」

インデックス「えっとね、相談があるんだけど、良いかな?」

フィアンマ「時間はあるからな。で、相談内容とは何だ」

インデックス「えっと…ひとまず、魔術の事じゃないんだよ」

魔術関連ではない。
顔を見合わせて首を傾げるフィアンマと上条。

上条「えーと、何に困ってるんだ? 悩んでる事、簡単に話してくれよ。俺達で良かったら力になるからさ」

インデックス「>>545」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 18:16:35.84 ID:GjbtIIlV0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 18:17:24.50 ID:GjbtIIlV0<> お股から血が出て止まらないんだよ
私…死んじゃうの? <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 18:49:31.54 ID:fVWqZqrAO<>
インデックス「お股から血が出て止まらないんだよ。…私…死んじゃうの?」

今にも泣き出してしまいそうに、丸っこい瞳に涙を溜めて相談するインデックス。
正確な年齢は分からないが、12(?)歳相当の少女が股間から出血しているといえば、自ずと頭に浮かぶのは漢字二文字。 性別が違うためうまく説明出来る自信の無い上条は、ちらりとフィアンマを見やる。
フィアンマは優しい笑みを浮かべると、泣きそうなインデックスを手招いた。

インデックス「うぅ…何もしていないのに、」

フィアンマ「今はどうやって対処しているんだ?」

インデックス「ひとまず紙を当てているんだよ…」

フィアンマ「怖がる必要は無い。病気では無いし、死にはしない」

汚れる恐れを気にせず、インデックスを自分の膝の上へと座らせた上で、フィアンマは優しく諭す。

インデックス「でも…じゃあ、病気じゃないとしたら、何なのかな…?」


フィアンマ「汗をかいたり、涙が出るのと同じく、生理現象だ。女はある程度歳を経ると、そういった生理現象が訪れるようになる。今日はひとまず明後日までに治まるだろうが、来月からはほぼ必ず一週間程この状況になる」

インデックス「お腹痛いけど、本当に大丈夫なの…?」

フィアンマ「大丈夫だ。ただ、俺様と当麻では完璧に対処してやれん。だから、オティヌスかシルビアに再度相談すれば、何とかしてくれる」

インデックス「…うん。ありがとう、フィアンマ。何だか大丈夫な気がしてきたんだよ」

言うとインデックスはそっとフィアンマの膝から降り、のろのろと部屋から出て行った。
ぱたん、とドアが閉じ。

上条「…」

フィアンマ「役立たずが」

上条「仕方ないだろ、俺は男なんだぞ?」

フィアンマ「…」

どっと疲れたのか、先程のインデックスへの柔らかな笑みは消え失せ、ぺしぺしと上条の頭を叩いて八つ当たりするフィアンマ。




上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 18:50:55.26 ID:Gxvu2a5p0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 18:51:31.50 ID:Gxvu2a5p0<> 大人しく叩かれる <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 18:56:53.95 ID:fVWqZqrAO<>
素手で叩かれている為特に激痛が走るという訳でもなく、上条はのんびりと受け入れた。
この世で普通に生きていればまず経験する事は無い猛痛を乗り越え、痛覚が鈍った可能性もあるが。
しばらくぺしぺしと叩いて気が済んだのか、フィアンマは上条の肩に頭をもたれて目を閉じた。
かといって寝息に移行する訳でもなく、目を休ませているに過ぎない。

フィアンマ「…結果的に諦めさせておいて何だが」

上条「?」

フィアンマ「将来の夢、とやらはあったのか?」

上条「んー…>>551」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 19:00:29.81 ID:xtX7SWOJ0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 19:02:10.78 ID:xtX7SWOJ0<> 人を守る仕事に就けたらなって思ってたけど
今はフィアンマのお婿さんかなぁ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 19:16:13.99 ID:fVWqZqrAO<>
上条「んー…人を守る仕事に就けたらなって思ってたけど、…今は、フィアンマのお婿さんかなぁ」

フィアンマ「結婚は出来んだろうに」

上条「上条さんを馬鹿だと思って見くびるなよ、事実婚って言葉位知ってるんだからな」

フィアンマ「住民票等で証明出来なければ事実婚にはならん、ただの同棲だ」

上条「………」

フィアンマ「…まさか三年程一緒に暮らせばそれで事実婚、だと勘違いしていたのか?」

上条「…その通りです…」

フィアンマ「馬鹿だなと思い見くびって構うまいな?」

上条「…はい」

ずーん、と落ち込む上条の背中をぽんぽんと叩き、フィアンマは思い出したかのように言葉を付け加える。

フィアンマ「…まぁ、最低でも二百年程経過してしまえば、俺様達の素性を知る人間は皆無に等しいだろう。戦争の爪痕も消えている。その時、結婚でも何でも、やれば良い」

上条「…そうだな」

照れくさそうな笑みを浮かべ、上条はフィアンマを抱きしめる。
そしてタイミング悪く、居心地の悪さに口ごもるフィアンマの腹部から、きゅるると可愛らしい音が聞こえた。

上条「…>>554?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 19:28:42.94 ID:q1Mb/E/E0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 19:29:15.16 ID:q1Mb/E/E0<> 可愛い音だな、ご飯食べるか <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 19:47:46.22 ID:fVWqZqrAO<>
上条「…可愛い音だな、ご飯食べるか?」

フィアンマ「…腹の虫に可愛いも何もあるものか。…許可が取れれば、夜食の欲しいところだが」

上条は微笑ましく思いながら離れ頷き、立ち上がる。
そして最早定番パターンの如くフィアンマの手を引いて、台所があるリビングへ行くのだった。

リビングに居たのはオティヌス。
何やら疲れた様子でワインを飲み、ビスケットをかじっている。
威圧感は無いものの、何となく近寄りがたい雰囲気ではある。

上条「オティヌスさん」

オティヌス「ん?」

上条「台所と食材使う許可って誰に取れば良いんですかね?」

オティヌス「あぁ、なり損ないじゃないか? 私が言っておいてやる。何か作るなら四分の一程くれ」

言っておく、というオティヌスの好意に甘える事にした上条はこくりと頷いて了承し、台所まで来た。

フィアンマ「…お前の作った料理が食える、のか」

上条「いつか作るって話になったもんな。やっと、って感じがする」

そんなに昔の話でもないというのに、何故かずっと過去に感じる『ベツレヘムの星』においての日々を思い返しながら、フィアンマと上条は言葉を交わす。

フィアンマ「…何を作るのかは知らんが、出来る範囲で手伝ってやる」

上条「ありがとな」

さて何を作ってあげようか、と悩む上条。




夜食に何を作る?(最大三つまで可)>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 19:50:47.02 ID:TgMvQVNbo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 20:00:47.93 ID:7lGKCH/SO<> カレーライス、ハンバーグ、冷奴 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 20:10:45.81 ID:fVWqZqrAO<>
悩み悩み冷蔵庫や戸棚を覗き、材料を抜き出していき、上条は内容を告げた。

上条「カレーと、ハンバーグと…後冷奴にしようと思う。炊飯器…は無いんだな、レトルトご飯お借りしよう。あ、フィアンマは野菜の皮剥いてくれ」

フィアンマ「分かった」

インデックスの空腹に備えてか、存外食料は多い。
フィアンマはのんびりとした様子で人参等を剥き始める。
上条は慌ただしく冷奴を用意し、ハンバーグのタネを作り始めた。
十分程して、ワイン等を平らげ暇だったのか、オティヌスが台所を覗きに来た。

オティヌス「何を作っている?」

フィアンマ「ハンバーグ、カレーライス、冷奴だそうだ。心配せずとも、お前の分もある」

オティヌス「心配して来た訳じゃない。暇だから来たんだ」

フィアンマ「そうか。手伝うつもりはあるのか?」

玉ねぎのみじん切りで涙目になっている上条を見やり、オティヌスは答える。

オティヌス「>>560」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 20:16:31.37 ID:7lGKCH/SO<> 目が、目がァァァァァ!!!!!!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 20:19:20.66 ID:fQFC+Ddu0<> クソワロスwww <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 20:59:11.28 ID:fVWqZqrAO<>
オティヌス(クソワロスwww)

オティヌス「くっ…ふ…っはは…、…まぁ、良いだろう。無様なモノは間近で眺め嘲笑うものだ」

自分より遥かに神の領域へ至った人間が、たかが玉ねぎに泣かされているという状況に笑いのツボを押さえられてしまったのか、くつくつと笑いながらもオティヌスは手伝いを了承する。
そして毛皮のコートの前を止め、丁寧に手を洗った後、フィアンマの隣でジャガイモの皮を剥き始めた。
『右方のフィアンマ』と『オーディン』が並んで戦闘するのならばまだしも片やジャガイモ、片や人参の皮を剥いているという状況は、二人の素性を知る…特に魔術サイドの人間にとっては、何ともシュールなものだ。


中々お湯が湧かない為のんびりと剥きながら、オティヌスはふと、考えついた様に言葉を紡いだ。

オティヌス「…時に、右方のフィアンマ」

フィアンマ「何だ?」

オティヌス「お前と『幻想殺し』の仲睦まじさを見ている内に、苦悩が晴れ、悩みが生まれた。相談に乗れ」

フィアンマ「俺様の意見はあまり参考にならないと思うが」

オティヌス「判断は私自身がする事だ。…お前達を見ていると、同性愛もおかしくはないと思うようになった。それを踏まえて言う」

フィアンマ「…何だ」

自分は女であると訂正する必要性も特に無い為、悩み内容の予想がつきながらもフィアンマは聞き返す。

オティヌス「白羊が好きなのだが、どうすべきか。告白等という手段は取れない」

フィアンマ「…アプローチの手段を考えろという事か。…>>563をしてみてはどうか」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 21:04:16.76 ID:ae6utdw90<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 21:10:52.76 ID:T0jwDGcSo<> 手料理を振る舞う <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 21:22:08.62 ID:fVWqZqrAO<>
フィアンマ「…アプローチの手段を考えろという事か。…手料理を振る舞ってみてはどうか」

オティヌス「…一から十まで出来るレシピはあるが…あまり美味そうには出来上がらない」

フィアンマ「重要なのは、姿勢だろう。心底好かれたいなら、自信の有無は別にして、努力出来る限界までやるだけだ」

オティヌス「ふん、実体験か」

フィアンマ「…否定はせんよ」

野菜を剥き終わり、切っては湯の沸いた鍋に入れるという作業に移りながら、上条に近寄るオティヌス。
上条はハンバーグのタネにフィアンマからパン粉を適度に入れてもらいよく練りながら、注がれる視線に首を傾げた。

上条「?」

オティヌス「白羊…『禁書目録』に好かれるにはどうするのが有効か、お前はどう考える。家族愛的な人間としてではなく、恋愛相手として。…あぁ、料理を作る以外だ」


上条「と、言われてもなー…」

上条(実質俺アプローチした事無いしな…)

自慢になる為に口には出さず、上条は考える。
インデックスが、恋愛相手として意識するような…。

上条「…>>566してみるとか、どう…ですか?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 21:23:29.31 ID:Ciy9LEJt0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 21:38:08.99 ID:Ciy9LEJt0<> わざとラッキースケベを連発 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 21:49:43.56 ID:fVWqZqrAO<>
上条「…わざとラッキースケベを連発してみるとか、どう…ですか?」

オティヌス「ラッキー…何だって?」

右手を握り潰すぞ、と言わんばかりの眼光にびくりとしながらもフィアンマと暮らして無言の脅迫に慣れた上条は揺るがない。

上条「性的に意識させるって大事だと思うんです。インデックスに少しでも女性の身体にドキリとする瞬間があれば、意識されるような気がするんですけど」

オティヌス「…一理ある、か。…完成を楽しみにしているぞ」

話しつつ野菜を鍋に入れ終わり、オティヌスは台所からリビングへと消える。
フィアンマはパン粉を定位置にしまい、上条を後ろから抱きしめたかと思えば、顎を上条の肩に乗せて問いかける。

フィアンマ「…で、お前は同性のラッキースケベとやらに遭遇して意識した事が「無いです」そうか」

上条の頬を突っつくフィアンマは、ハンバーグを成形して焼き作業に入った為汚れた手をようやく洗える上条の為にお湯を用意する。
お湯と石鹸でよく手を洗った上条はじっくりとハンバーグが焼けるまで待ち、清潔な手でフィアンマの頭を撫でる。

フィアンマ「魔神と『禁書目録』、うまくいくと思うか?」

上条「>>569」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 21:53:16.18 ID:Ciy9LEJt0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 21:54:23.03 ID:Ciy9LEJt0<> 愛に性別は関係ないからな、仲良さそうだし
大丈夫だろ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 22:06:15.30 ID:xlGjZLtE0<>
上条「愛に性別は関係ないからな、仲良さそうだし…大丈夫だろ」

軽い口調で答える上条。
フィアンマは少し考え込む様子を見せた後、上条の頬を再び突っつきながら、良い匂いの発生源であるフライパンを見つめつつ問いかける。

フィアンマ「そうか。…ちなみに、お前は俺様が男でも好きになっていたと思うか?」

上条「……」

上条は、ふむ、と考え込みながら、カレーの方の鍋のアクを取っていく。
性別は関係ないと言ったが、自分はどうだっただろうか。
女なら理想的、と思ったりしていた気がする。
仮に、フィアンマが男だったと仮定して、考えてみる。
取られた行動は同じで、同じように監禁されて。
そしたら、一緒に出ようと思っても、その後一緒に世界を見て回ろう等と、思っただろうか。
フィアンマが綺麗な言葉だけを求めているのか真面目な回答を期待しているのか分からず、後者を口にしようと上条は思い悩む。
カレールーのパックをパキパキと軽く折り、上条は答える。

上条「>>572」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 22:08:50.58 ID:Ciy9LEJt0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 22:09:17.11 ID:7lGKCH/SO<> 無理。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 22:10:13.48 ID:Ciy9LEJt0<> 親友としてなら好きになったかもな
上条さんはノーマルですの <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 22:28:11.83 ID:xlGjZLtE0<>
上条「無理」

フィアンマ「そうか。……」

適度に折れ目の入ったカレールーを鍋の中へ入れてお玉で溶かす上条は、不穏な空気に思わず振り返る。
フィアンマは上条の肩に顎を乗せたまま、何やら考え込んでいた。

フィアンマ「…まぁ、結果的に俺様が女で良かったな。恐らく、男でもお前に執着していて同性である事を理由に拒絶された場合、お前を女にしていたと思うぞ。切り落とす的な意味で」

上条「物騒な事言わないでくださいっ!」

フィアンマ「何、想像したら非常に残念な結果になっただけだ」

上条「考えんなそんな事!」

フィアンマ「鍋に集中しろ」

上条「…良いですか? 男にとって股間は非常に大事なんだぞ、そんな簡単に切り落とすとか言うなよ背筋冷えるから」

フィアンマ「知らんよ」

上条「本当に素っ気ないなもう…たまに話聞いてないだろ」

フィアンマ「そうだが」

上条「嘘でも聞いてるって言えよ!」

フィアンマ「『隣人に偽証してはならない』」

上条「敬虔じゃないのにこういう時だけ…」

上条がカレーに集中している間に焦げかけたハンバーグを引っ繰り返し、焼ける様子を眺めながら悪びれずにフィアンマは肩を竦める。
むすっとする上条の頬を軽く引っ張り、フィアンマは小さく笑った。

フィアンマ「……まぁ、性格や立ち居振る舞いが女らしくない事には目を瞑れ」

上条「別に気にしてねぇよ。何したってフィアンマはフィアンマだしな。人を殺したり傷つけようとする事以外、俺は基本的に本気では止めない」

カレーが出来上がり、火を止めたところで、フィアンマが離れる。
温めたご飯を皿へと移し、冷奴等と一緒にテーブルへと並べると、日本にありがちな食卓だ。
夜食というより、夕飯レベルの量と出来。
ようやく焼きあがったハンバーグに生の部分が無いかどうか確認してからよそい、テーブルに並べると、上条、フィアンマ、オティヌスの三人で席に着いた。
ちなみに上条は腹が減っていないので、食べるのはフィアンマとオティヌスだけだ。

上条「はいどーぞ」

オティヌス「……」

フィアンマ「…」

もぐもぐと食べ、フィアンマは美味しいとはっきり言わないまでも美味しい物を食べた人間特有の幸せそうな表情を浮かべる。
良かった、と安心した上条は次いでオティヌスを見遣った。
彼女は評価を口に出すタイプのようだ。

オティヌス「>>576」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 22:33:34.14 ID:+mFcvyil0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 22:34:20.63 ID:+mFcvyil0<> 貴様……………なんだこの料理は……


うまいじゃないか!!これからも作れ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 22:34:46.10 ID:7lGKCH/SO<> なんか異常に辛いんだけどなんかいれた? <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 22:49:42.90 ID:xlGjZLtE0<>
オティヌス「貴様……………なんだこの料理は……」

上条「?!」

ちなみに上条は幾度か味見をした。
とてつもなく美味しいと自画自賛する程ではないが、余計な物は入れなかったし、しいていえばいつも入れている隠し味だけだ。
オティヌスはスプーンを持つ手をふるふると震わせ、いつも以上に物々しい雰囲気を醸し出しながら、顔を上げる。
実に少女らしい笑顔だった。美味しい物を食べた人間特有のそれである。

オティヌス「美味いじゃないか!! これからも作れ!」

バンッ、と何か『見えない力』がテーブルを叩いた。
感動の余りついやってしまったのか、オティヌスははっと我に返って落ち着きを取り戻し、食事を再開する。
フィアンマは笑いを堪えているのか口元が震えていた。
上条は褒められた事に一層和やかな気分になりつつ、二人の食事風景を見守るのだった。


夜食を終え、深夜。
寝つけない上条とフィアンマはベッドでごろごろとしていた。

フィアンマ「…暇だな」

上条「食休みにしては長すぎるけど、寝れないしなー…」

フィアンマ「何かするか?」

上条「んー…やりたい事無いしな…」

フィアンマ「ちなみにトランプやらチェスの類は発見した」

上条「絶対負けるだろ」

フィアンマ「分からんぞ? 幸運の女神が微笑みかける方をうっかり間違えるかもしれん」

上条「いくら似た体質になったからってそれはないだろ。上条さんには運なんて無いんですよー」

フィアンマ「拗ねるな」

上条「別に拗ねてない。ないったらないっ。…それにしても、寝れないな」

フィアンマ「何か暇潰しを考えろ」

上条「うーん…」




上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 22:52:38.00 ID:+mFcvyil0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 22:54:40.92 ID:7lGKCH/SO<> お話を5個位語る <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 23:06:35.83 ID:xlGjZLtE0<>
上条「じゃあ…とりあえず、俺が話するよ。知ってる限りの話。童話とか適当に」

フィアンマ「ほう。期待させてもらおうか。…あぁ、ヨーロッパ系統の童話は聞き飽きたからやめてくれ」

上条「じゃあまずは桃太郎からな」


上条「次は…んー、…鏡の国のアリス」

フィアンマ「もう既に疲れているようだが、大丈夫なのか?」

上条「大丈夫大丈夫」


上条「次は親指姫でいいか?」

フィアンマ「考察交えて話しているが、よく疲れないな」

上条「まだ眠くならないんだよ」


上条「次は百万回生きた猫だな」

フィアンマ「…親近感を覚える」

上条「…しんみりするな、何か」


上条「次は…何か希望あるか? そろそろ上条さんのストックも切れてきましたことよ」

フィアンマ「野薔薇姫」

上条「『眠り姫』で良いんだよな?」


多くの話を語っている内に、寝つけたのは上条だけで。
相も変わらず眠気の湧き起こらないフィアンマは上条の寝顔を見つめ、退屈にため息をつく。
長く生きる者にとって退屈や面白みの無い惰性は、最早毒だ。

上条「ん…すー…」

フィアンマ「…つまらん」





フィアンマはどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 23:08:03.63 ID:+mFcvyil0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 23:08:31.88 ID:+mFcvyil0<> 顔に落書き <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/28(木) 23:55:14.30 ID:xlGjZLtE0<>
暇を持て余したフィアンマは上条から離れベッドから降り、部屋の中のクローゼットやキャビネットを漁った後、細いペン先の水性ペンを見つけ出す。
きゅぽ、と呑気な音を立てて蓋を開け、上条の顔をじっと覗き込んだ後、おもむろに上条の頬へと落書きを始めた。
元々フィアンマという人間は悪戯心溢れる人間なのだ。
退屈を紛らわせるためなら何でもする。
きゅっきゅ、とペンを動かし、上条の頬には三本線が引かれる。
両頬に三本線の引かれた間抜けな様はまるで猫のようだ。

フィアンマ「…猫条当麻」

ぽつりと呟き、満足したのかフィアンマはペンの蓋を閉め、元あった場所へとしまう。
その後何事も無かったかのように上条の隣に横たわり直すと目を閉じて、静かに呼吸ペースを整えて。
浅い眠りに、就いた。


翌朝、目を覚ました上条は、何やら頬のかさつく違和感に首を傾げつつ起き上がった。
フィアンマは未だ眠っているらしく、すやすやと穏やかな寝息を漏らしている。

上条「…おはよう、フィアンマ」

こそりと言い、それにしても興奮しないよう自分を抑えられるようになったものだと自画自賛しながら、上条はのんびりと伸びをする。
家…というよりもこの小屋の中はいたく静かで、まだ誰も起きていないのだろうと分かる。
上条は暇な為ぐしぐしと目元を擦り、ぼんやりと天井を見上げる。
人ならざる身体になった割には、本当に変化が無い。
出血や痛み無く、というよりも『幻想殺し』が作用せず魔術を使えた事には驚いたが、顕著な変化はその位だ。
むしろ、こんな普通の人間と大差ない身体で無味乾燥な人生を過ごしていたフィアンマの事を考えると悲しくなってくる。
ドタバタとした日常は辛いが、それなりに楽しいものだ、と上条は思う。

フィアンマ「……」

少し寒いのか、もぞりと身じろいだフィアンマが毛布にしっかりとくるまる。





上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 23:58:23.34 ID:+mFcvyil0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/28(木) 23:58:55.94 ID:+mFcvyil0<> 顔を洗いに行く <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 08:51:07.63 ID:PfUQwyTAO<>
上条(起こさないであげた方が良いよな。顔洗ってくるか)

怠いような眠気を振り払うべく、上条は洗面所へと向かい。
鏡を見て自分の顔を見た瞬間、げんなりとうなだれた。

上条「何だこれ…不幸だ…」

昔から変わらぬ口癖を漏らしつつ、上条はばしゃばしゃと顔を洗った。
幸いにも水性ペンで書かれていた為、予想したよりもずっと早く消えていく。
恐らくフィアンマがやったのだろうと見当付け、深くため息をつく上条。完全にインク猫髭が落ち無くなった時、洗面所にもう一人入ってきた。




洗面所に入って来たのは誰?(禁書キャラ名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 11:02:43.51 ID:9JVOrz+80<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 11:03:35.11 ID:9JVOrz+80<> アレイスターに間違って空間転移させられた佐天さん(空力使い) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/29(金) 12:23:06.11 ID:HSP3Tb6SO<> 佐天さん不幸ってレベルじゃないな… <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 16:19:00.90 ID:PfUQwyTAO<> 《佐天さん書き慣れないので酷く間違っている場合はご指摘ください》


入って来たのはおろおろとした様子の、元気そうな、黒髪長髪な東洋人の少女。
何処かの学校の制服なのだろうか、膝丈のスカートに、上はセーラー服だ。
以前の上条にどこか似た(つまりいたって平凡そうな)様子の少女は、上条を見るなり瞳を潤ませた。

佐天「よ、良かった…人が居た…」

上条「えー、と…?」

状況が読み込めない上条はひとまず顔を拭き、おずおずと問い掛ける。

上条「お客さん、なのか? だったら、俺じゃなくて他の人が必要だし、起こすけど」

佐天「お客…? 何か、家で能力使いこなす訓練してて、気付いたらこの小屋の中に居て、外は寒いし何処なのかわからないっていうかあたしはどうすればいいの!?」

上条「お、落ち着いてくれよ、上条さんにも何が何だか…」

同じく動揺しながら、この事情が読み込めていない少女を心配しつつ考えこむ上条。
ふと、思い出して問い掛ける。

<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 16:19:43.15 ID:PfUQwyTAO<>
上条「能力…って、君、学園都市の子なのか?」

佐天「あ、佐天でいいですよ。そうなんです、無能力者時代の努力がようやく報われて『空力使い』になれたもんで、使いこなしてやるー…ってハイテンションに演算してたら、急に視界が揺れて」

上条「気付いたら此処に居た、と」

佐天「うぅ…」

助けて初春、だか何だか言いながら落ち込む少女をリビングへ移動させ、ひとまず上条は対策を練るべく、元よりこの家に居る住人を起こす事にしたのだった。

上条「とりあえず、椅子に座って深呼吸しててくれ」

佐天「はい…」



誰を起こしに行く?

1.オッレルス

2.オティヌス

3.インデックス

4.シルビア

5.フィアンマ


判定>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 16:24:45.88 ID:FW+H5Uh20<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 16:25:40.84 ID:FW+H5Uh20<> インデックス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/29(金) 16:52:38.38 ID:HSP3Tb6SO<> キャラの違和感てか今までの流れブレイカー過ぎて違和感パネェWWW <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 19:25:24.42 ID:f/sA/R8p0<>
昨夜と同じように具合悪いだろうか、と、女性の仕組みに詳しくない上条はそう危惧しながらもインデックスの居る部屋をのドアを叩く。
流石に何度も遭遇していれば着替えを目撃しないための用心位は覚えるもので。

上条「…インデックスー、起きてるかー?」

インデックス「……」

上条「……」

着替えで手が離せない、という事を考慮し、ひとまず二十秒ほど立ち尽くす上条。
何の音沙汰も無い為もう一度ノックして確かめてから中に入ると、優しくインデックスを揺さぶり起こした。
恐らくあの少女は魔術と関係無い学園都市の学生だと思いたいが、もし嘘を吐いている魔術師の場合、すぐさま判別出来るのはインデックスだろう。
それにしても、『空間移動系』でない能力者が何の訳でどのようにしてこの場所へ来てしまったのだろうか、と上条は首を傾げる。

インデックス「うぅ…もう朝なの…?」

上条「朝だよ。お祈りしたいかもしんねーけど、ちょっと助けてくれ」

インデックス「しゅ、襲撃!?」

上条「ある意味な」

警戒するインデックスを連れてリビングに戻り、座っている佐天からアバウトに事情を説明してもらった上で、インデックスはしばし黙り込んで状況を把握した。

インデックス「…一番の対処法は、学園都市に戻る事なんだけど…私は魔術を扱えないから…うーん」

佐天(マジュツ?)

上条「じゃあ俺が、って言いたい所だけど、まだ見習いもいいとこだしなぁ…」

インデックス「うーん…オッレルスを起こしてくるね。起きてくれなかったらオティヌスにお願いして連れてくるんだよ」

そう告げ、やはり少し体調は悪いのかいつもより元気の無い様子でリビングから消えるインデックス。
そんな少女を心配そうに見送った後、インデックスを信じようと決めた上条は佐天の向かい側に座る。

佐天「すみません…何か、あたしのせいで迷惑かけちゃって…」

上条「俺は別に家主じゃないしどっちかっていうと居候だから何とも言えないけど…誰かの能力の暴発か何かだろ。元気出せよ、ええと…佐天ちゃん?」

佐天「…はい…」

はぁあ、と深くため息を吐き出し、はっと気付いたように顔を上げる佐天。

佐天「口ぶりからして、もしかして学園都市の…うーん、学園都市に住んでたんですか?」

上条「>>598」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 19:33:22.80 ID:kGcv053f0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 19:33:29.32 ID:y6RvNOwR0<> あぁ、訳あって今はここに住んでる
俺都市伝説にもなってんだぜ?
聞いたことないか?どんな能力も効かない能力を持つ男ってやつ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 19:53:27.20 ID:f/sA/R8p0<>
上条「あぁ、訳あって今はここに住んでる。あ、俺、都市伝説にもなってんだぜ? 聞いたことないか? どんな能力も効かない能力を持つ男ってやつ」

笑い混じりに言う上条。
佐天は驚いたのか目を瞬かせた後、きらきらと瞳を輝かせてずいと身を乗り出してきた。

佐天「まっ、まさか都市伝説発祥の本人に会えるだなんて! じゃあもしかして第一位を倒したっていうのも?」

上条「あー…うん、本当」

佐天「!! みっ、御坂さんとのご関係は!?」

上条「? あー、アイツは…んー…俺は友達みたいなもんだと思ってるんだけど」

佐天「すごい…あ、あの、私の『風』がちょっと効くかどうか確かめてみても良いですか?」

上条(全身で効果出るかどうか、まだ試して無かったもんな…)

しばしの思考時間を取った後、上条はこくりと頷く。
佐天はドキドキとした様子で身を乗り出したまま、何か考える素振りを見せる。

佐天「ちょ、ちょっと待っててくださいねっ!」 

どうやら大慌てで演算しているらしい。
上条が目撃する能力者は高レベルが多くあっという間に演算を済ませて能力を行使してしまうため、何となく物珍しい光景だ。
どうか死にませんように、と願う上条。

佐天「ちなみにですね、あたしは自分のふーっていう吐息を軽い竜巻に出来るんです。ミニ竜巻みたいなものですけどね」

上条「結局最後まで無能力者だった上条さんとしては何だか感動しますことよ…って、大丈夫か?」

佐天「大丈夫です!」

ぐっ、とサムズアップをし、思考が済んだのか、なるべく距離を短く詰め失敗しないようにと考え上条の顔に真剣な表情で唇を近付ける佐天。
その姿は少女が勇気を出して上条にキスを仕掛けようとし、上条が微笑ましく待っているようにも見える。
演算に集中する為か、佐天は静かに目を閉じる。
音も無くドアが開いた。インデックスが戻ってきたのかな、と呑気に考えつつちらりと後ろに視線をやる上条。
にこ、と素敵な笑顔を浮かべる青年と目が合った。果てしない殺意のような何かを感じる。

フィアンマ「…おはよう」

上条「あ…いや、これには…その…」

佐天「か、上条さん? 動かれるとやりにくいんですけど」

フィアンマ「………」

まずい、と上条は思う。
怒りの矛先はひとまず自分に向いているが、この光景は恋人であるフィアンマにとってひどく傷つくものだろう。
自分の恋人である上条と同じような東洋の少女が、今まさに上条へ口付けようとしているのだ(その実は違ってもそう見える)。
しかも、上条は拒絶せずに受け入れようとしていた。
全身にびっしょりと冷や汗をかきながら一度佐天の肩をぽんと叩いて制止し、中断を告げた上で上条は立ち上がり、フィアンマに近寄る。
じりじりと肌を突き刺すような殺意を感じる。無論、目の前のフィアンマからだ。

フィアンマ「…まぁ、悪戯が良い事だとは思っていないが、それにしても復讐内容が酷過ぎはしないか? お前の貞操観念がそんなに低いとは思っていなかったぞ」

傷ついた様子よりも怒りが先行しているらしい。
恋人の不貞行為を目撃したのだから、このような態度になるのも致し方ないと言える。




上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/29(金) 19:57:54.39 ID:/BViSpavo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 20:00:16.05 ID:kAHNf74H0<> 佐天に説明を求める <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 20:17:38.23 ID:f/sA/R8p0<>
どうすべきか迷った上条は、後ろできょとんとしている少女へと説明を求める事にした。
ここで無駄に慌てると、フィアンマの勘違いを加速させかねない。

上条「さっき何しようとしてたのか、ちょっと説明してもらってもいいか?」

佐天「? あっ、はい。超能力でミニ竜巻を起こして上条さんが打ち消せるかどうかちょっと試してみようというお話になりまして。吐息を竜巻に出来るので、失敗しないように顔を近づけてたんですけど…はっ、もしかしてその、キ…う、あの、そんなんじゃないですよ!!」

フィアンマ「……」

上条「…そういう訳なんだ。ちなみにこの子は学園都市の子らしくて、多分他の能力者の暴走か暴発で飛ばされちゃって此処まで来ちゃたらしくて、今インデックスにオッレルスさんかオティヌスさん呼んでくるようにお願いして待機してたんだ」

フィアンマ「…そうか。早く解決すると良いな」

上条「……」

先程まで上条を責め立てていた殺気と殺意とが混じり合ったものがぱっと霧散する。
良かった、と安心する上条へ酷薄に笑いかけながら、フィアンマは首を傾げてみせた。
そして佐天には聞こえず上条に聞こえる程度の音量且つ地を這うような低い声で言葉をかけた。

フィアンマ「後で落し前はつけてもらう」

上条「ふ…不幸だ…」

かつてローマ正教徒二○億人を顎で使っていた人間の恐ろしい声に、上条はがくりと項垂れるのだった。





その後リビングへやってきたオッレルスとインデックスの協力により、佐天は無事学園都市付近へと戻れたらしい。
今頃は『ゲート』の人間に『書庫情報照合確認』でもしてもらって、無事『中』へと戻っている事だろう。
そして今現在、朝食を終えた上条はオッレルスに魔術を習おうと考えていたの、だが。

オティヌス「私に料理を教えろ」

上条「料理…って、インデックスが好きそうなモノでいいんですか?」

オティヌス「むしろその方が良い」

恋する乙女とは強いもので、男性は往々にして勝てないものだ。
オティヌスと上条は台所に立ち、並んで調理をする事になった。
ちらりと視線をやった先のフィアンマはオッレルスと向かい合ってチェスをしている。何やら楽しそうだ。
『落し前』が何なのか恐ろしくて考えたくもないが、少しでも気が晴れる事を祈ろう、と上条は思い願う。
……あまりにも楽しそうなので嫉妬した、というのは、今は言わないでおこうとも、思う。

上条(インデックスが好きそうな料理…は美味しいもの全般だろうし、だからつまりインデックスが大好きなメニューで、且つ難し過ぎないヤツかー…)





教える料理の内容>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 20:20:59.97 ID:oZaOayCh0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 20:22:03.61 ID:ijyHcFKOo<> ハンバーグ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 20:22:11.06 ID:oZaOayCh0<> 野菜炒めを教える 
でインデックスが泣き出す(当麻に初めて作ってもらった料理だから) <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 20:39:23.90 ID:f/sA/R8p0<>
上条「じゃあハンバーグを…焼く時に気をつけてれば簡単な内容ですし」

オティヌス「お前が昨夜に作ったもので良い」

上条「上条当麻秘伝のソースまでお教えしませう!」

ハンバーグについて教える事に決め、上条はにこにことしながら頷く。
上条としても、インデックスやオティヌスには幸せな気分になって欲しいのだ。
今まで以上に強くそう思えるのは、自分が幸せだからだろうか、と上条はふと思う。


〜上条当麻流ハンバーグの作り方〜

<材料>

合い挽き肉 400g

玉ねぎ 1個半

パン粉 1/2カップ

牛乳 大さじ2

卵 1個

塩 小さじ1/2

胡椒 少々

ケチャップ 適量

ウスターソース 適量

バター 適量

<手順>

1.玉ねぎをみじん切りにして、バターで炒め、冷ましておく。

2.パン粉に牛乳を混ぜてふやかす。

3.1.のたまねぎ、2.のパン粉、ひき肉、卵、塩、こしょうを合わせて、手でよく捏ねる。この時XXを入れます。

4.火がよく通るよう小さめに丸める。この時ハンバーグの中にとろけるスライスチーズ(分量外。適量)を折り畳むか千切って入れ込む。

5.フライパンにサラダ油を熱し、4.のたねを並べる。並べるときに真ん中をへこませる。

6.片面に美味しそうな焦げ目がついたら、裏返して引き続き焼く。

7.裏面にも焦げ目がついたら、蓋をして蒸し焼きにする。

8.つまようじをさしてみて肉汁が透明だったら、できあがり。とりあえずハンバーグを引き揚げる。

9.フライパンにケチャップとソースを入れて弱火〜中火で熱し、フライ返しなどで肉汁や肉のかけらを全部集める。

10.ソースがぐつぐつと煮立ったらできあがり。ハンバーグの上にたっぷりかけて召し上がれ。


オティヌス「隠し味とは本当にほんの少ししか入れないものなんだな」

上条「だから『隠し』なんだ。目立ったら美味しくないから」

オティヌス「…礼を言おうか」

上条「いやいや、この身体の件でお世話になりましたから」

のんびりと教えながら、出来あがったハンバーグ。
それをインデックスにおやつとして振る舞うオティヌス。

インデックス「とっても美味しいんだよ! ありがとね!」

オティヌス「…ふん」

微笑ましいやり取りをする少女達から視線を先程チェスをしていた二人に移す上条。 <> イーモバイル対策<>sage<>2012/06/29(金) 20:39:51.40 ID:PfUQwyTAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 20:50:14.25 ID:f/sA/R8p0<>
チェスをしていた筈のオッレルスとフィアンマのテーブルの上は、何時の間にやらチェス盤ではなく、モノポリーに変わっていた。
二人では優勢劣勢の差が早めに付き易く、どうやらオッレルスが圧しているらしい。
モノポリーのルールについて上条はいまいちよくわかっていないものの、二人の様子でどちらが勝っているかは大体分かる。
それでもサイコロを振る度にフィアンマはその時々で最も良い目を出すのか、オッレルスはむむむと眉を寄せる。
何かを賭けているらしい、とてつもなく真面目な様子だ。

オッレルス「…買収する。ついでにホテルも建てよう」

フィアンマ「……、…俺様の、負けだ。もう金が無い」

オッレルス「敗者は勝者の言う事を聞くものだ」

フィアンマ「分かっているさ」

残念そうに片づけを手伝うフィアンマ。
オッレルスは立ち上がり、珍しく少しばかり人の悪い笑みで告げた。

オッレルス「『あれ』を着てもらうぞ」

フィアンマ「どうしても、か?」

オッレルス「危うく俺が着るところだったからな。どうしても、だ。持ってくる」

そう言うとオッレルスは一時リビングを出て行き、片づけを済ませたフィアンマはため息をついて項垂れる。
完敗してしまった事が悔しいのか、それとも賭けに負けてしまった事が悔しいのか、はたまた勝てると見込んでいたのか、フィアンマは暇そうに時計を見遣る。

フィアンマ「…時には挫折も必要だろう」

自分に言い聞かせるように一人ごち、オッレルスが戻ってくると、フィアンマは立ち上がる。
そして紙袋をオッレルスから受け取ったかと思うと、上条とフィアンマが寝室としている部屋へと消えた。
魔術を習う気力が料理した事で少し減ってしまったのと紙袋の内容が気になるのとで、上条は寝室へとフィアンマを追う。
そんな後ろ姿を見、オッレルスは薄く笑んだ。いつも通り、お人よしそうな笑みだった。


上条「…フィアンマ、入っていいか?」

フィアンマ「もう少し待て。少々今の状態は見栄えが悪い」

どうやら着替えているらしいフィアンマはかったるそうに答える。

上条(ものすごく気になる。罰ゲーム的な趣旨だったのか? 賭けの内容…)




オッレルスがフィアンマに手渡した紙袋の中身(衣服)はどんな服(小物も可)?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 20:51:30.54 ID:ijyHcFKOo<> >>1乙

出来れば今アレイスターのプランがどのくらい狂った的な設定ってあります? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/29(金) 20:53:04.38 ID:HSP3Tb6SO<> 面積少なめスリングショット <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/29(金) 21:11:38.05 ID:HSP3Tb6SO<> むしろ順調だったりして <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 21:16:46.86 ID:f/sA/R8p0<> 《>>609様 本来アレイスターが上条さんの身体を素材として使って『神浄』になるはずだったのが、上条さん本人が『神浄』化(天界という位相の向こう側ではなく現実世界に『一人で』普通に、複数でなく存在している時点で『オシリス』の時代に生きていて不完全ですが)してしまったので、どう動くか迷っているようです。修正出来そうに無い致命的な事案の為、あみだくじの線を引き直すようにひとまず『プラン』を修正しているようです。本来であれば上条さんを『回収』しに行った方が良いのですが、今の上条さんの実力ですと拮抗して(オッレルスとオティヌスの勝負のようなものです)連れ帰れない為誰も派遣していない・回収に向かっていない状況です》



それから数分程経過してから上条が部屋に入ると、身体を隠すというより少し肌寒いといった様相で、フィアンマは毛布にくるまっていた。
赤いスーツは綺麗に折り畳まれ、傍らに置いてある。

上条「やっぱり賭けやってたのか?」

フィアンマ「そうだよ。まさか負けるとは思わなかった。ヤツの恥ずかしがりながらの事後報告が見たかったのだがね」

上条「恥ずかしがる?」

フィアンマ「水着を着る着ない、という賭けでな。着替えた状態を恋人に見せるという趣旨だったのだが」

水着、と聞き実に少年らしくドキドキとした様子でフィアンマの身体を見つめる上条。
フィアンマの手招きに誘われるままにベッド上に座り、向かい合った上条は、依然心臓をバクバクと言わせながらそっと毛布に手をかけ、剥いだ。
控えめな胸は本当に僅かな布で突起しか隠れておらず、下の方は見るまでも無く軽く布が食い込んでいるのだろう。きっと見たら勃ってしまう。
スリングショットと呼ばれるこの水着は男性が着るとギャグに、スタイルの良い女性が着るとその身体の線がとても生える水着だ。
真っ白な肌に白いスリングショットは裸体を見るより余程色気があり、想像を掻き立てる。
控えめ過ぎる胸も水着の形状故に強調され、細い腰のくびれにも自然と視線を向けさせる。
上条は眼前のフィアンマの容姿を見た後、唐突に鼻頭を手で押さえ、視線を逸らした。

フィアンマ「どうした? いくら似合わんからといってその反応は良くないと思うが」

上条「いや、似合ってる」

フィアンマ「そうか。あまり嬉しくは無いが」

上条「すごく似合ってるのでもう一回毛布を纏ってください」

フィアンマ「?」

上条「鼻血が出そうなんだよ!」

うぅ、と鼻頭を指で押さえたまま顔を真っ赤にする上条の様子を眺め、フィアンマは恥ずかしがる事無く更に近寄った。
どうして毛布を巻き付けないんだ、と思わず叫びそうになりながら口ごもる上条の様子を観察するフィアンマに、逃げようとする姿勢は無い。
恥ずかしがられて女性に殴られるいつものパターンの方がマシだ、と上条は思う。
視覚的な刺激が、強すぎる。




上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/29(金) 21:19:19.07 ID:/BViSpavo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/29(金) 21:19:19.86 ID:HSP3Tb6SO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 21:22:24.79 ID:AOh3bzdt0<> 転けて水着を剥ぎ取ってしまう <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 21:35:04.28 ID:f/sA/R8p0<>
上条「うぅ、もう駄目だ、ティッシュくれ、っうわ」

いつもの不幸パターンというべきか、上条はシーツの波で転び、運悪くフィアンマの水着に手をかけ、ぐいと引き下ろす。
ごめん、と謝ろうとして顔を上げた上条はほんの少し顔を赤くしているフィアンマの顔を見、とうとうベッドを血液で汚す事となったのだった。

どうにか必死で(主に日常生活用とされている術式をオッレルスから習いつつ)洗濯し、上条がシーツを洗っている間に元の服へ着替えたのか、いつも通りスーツ姿のフィアンマが寝室にて再び上条を出迎えた。
上条に鼻血を出させた原因という自覚がありながらも、まったくもってフィアンマは謝罪する素振りを見せない。
椅子に腰かけ脚を組み、優雅に時計を見つめるという余裕っぷりだ。
日常にも生かせる魔術を学べて助かったやらフィアンマが恨めしいやらしかし原因の大元を作ったのはオッレルスで何とも言えない気分で、上条はシーツをベッドへ引き直した。
フィアンマは暇を持て余しているらしく、上条を見つめる。
そして、ふと不穏な宣言を思いだしたのか、口を開いた。

フィアンマ「さて、落し前をつけてもらうと言ったな」

上条「俺は悪くないだろ」

フィアンマ「勘違いさせるような状況を構築した罪がある」

上条「うぐ…でも、」

フィアンマ「返事は『はい』か『YES』か『Si』しか認めん」

上条「そんな横暴な!?」

フィアンマ「文句があるのか?」

上条「あるに決まってんだろ! 俺は別にそういうつもりはなかったし、誤解したフィアンマの方が…」

フィアンマ「………」

上条「俺は…」

フィアンマ「………」

上条「…俺が悪かったです」

フィアンマ「分かれば良い」

無言の威圧感に耐えかねてぐすんと俯く上条。
惚れた弱味とは恐ろしいものだ。

上条「で、何をすればいいんだ?」

フィアンマ「>>618」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/29(金) 21:42:51.71 ID:/BViSpavo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 21:45:41.75 ID:kAHNf74H0<> 禁術をお前に、教えてやるから覚えろ
俺様には無理だった <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 22:14:23.61 ID:f/sA/R8p0<>
フィアンマ「禁術をお前に、教えてやる。だから覚えろ。…俺様には無理だった」

上条「…禁術?」

フィアンマ「所謂生命の尊厳を脅かす性質のものだ。死体を生き返らせ手駒として扱ったり、人の肉から意思の不明な泥人形を作ったり、な。道徳的に褒められた内容ではない術式だよ」

不穏な響きだ、と上条は思う。
フィアンマが扱えなかったという事は、よほど難しいのか、本人の性質に左右されるのか。
上条は少し迷った後、フィアンマの言葉に頷いた。
その力でフィアンマを守れるのであれば、それで構わない。
あくまで上条が魔術を学ぶのは人を守り自衛するためであり、権力がある訳ではないのだから。



その(禁術の)具体的な内容(術式を使った結果のみも可)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 22:17:01.44 ID:H4aO85kI0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 22:17:27.61 ID:H4aO85kI0<> ルシファーの完全なる使役 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 22:18:18.61 ID:H4aO85kI0<> ルシファーとゼウスの完全なる使役にしてください <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/06/29(金) 22:21:24.75 ID:PfUQwyTAO<> >>619
×権力がある
○権力のため <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 22:40:05.97 ID:f/sA/R8p0<>
上条「どんな内容、なんだ…?」

おずおずと、といった様子で上条が問いかける。
フィアンマは暫し黙ってどう説明するか考えた後、口を開いた。

フィアンマ「『全能の神(ゼウス)』と『妨げる者(ルシファー)』の完全なる使役、だ。…とある原典を修得しなければならないが、いつでも取り出せる」

上条「ルシファー…って、悪魔だっけ?」

フィアンマ「元は『光を掲げる者(ルシフェル)』が堕天した結果。魔王サタンの言い換えでもあるから、その解釈で間違いは無い」

上条「…ゼウスってやつは?」

フィアンマ「天界の中の王だ」

上条「つまり、地獄の王様と天界の王様を使えるようにする、って事か?」

フィアンマ「そういう事になるな。正確には、俺様が『神の力』を使役したように、道具として扱うというべきか」

上条「『神の力』、か…。…でも、そんな事人間に出来んのか?」

フィアンマ「お前のみが出来る、と俺様は考える。その身体と、性質から考えてな」

上条「……」

一介の天使である『神の力』でさえ、戦争を文字通り終わらせる恐ろしい力があるというのに。
地獄の王、天界の王と呼ばれるモノを使役すれば、どれだけの被害が出るのだろうか。
しかし、意思でセーブする事も出来るのだろう。
そして、実際上条にはその大魔術が可能だった。
『神上』を上回る『神浄』は、その神聖さ故に、神よりも高い位置へ君臨出来る。
そう説明されずとも、きっとその術式は頑張れば扱えるのだろう、と想像した上で、上条は思考する。
そんなに莫大な力は、果たして必要なのか。
神を統べ、世界を脅かすどころではすまない、『神浄』の力の、その一端。

『全能の神』は、弱者の守護神、正義と慈悲の神、悪者を罰する神としてあらわされる。

『妨げる者』は、神が創造せし被造物の中で最高の能力と地位と寵愛を神から受けていたため、自分が神に成り代われると傲慢になり、神に反逆し、堕天した。

どちらも強大で仰々しい破壊の力だ。
神様が作ったルールを破りインデックスを救った時点で、上条当麻という人間は『妨げる者』とよく似通っている。
そして、現在の上条は『全能の神』と似通っている。

地球等軽く粉々に出来る程の力。
手に入れれば、上条は上条らしくいられなくなるかもしれない。
肉体だけでなく、精神までほぼ人間でなくなってしまう恐れすらある。

やがて長い思考を終え、上条はフィアンマの瞳を見つめてこう言った。



上条「…>>626」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 22:42:32.06 ID:H4aO85kI0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 22:42:58.73 ID:H4aO85kI0<> わかった!やるよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 22:47:09.23 ID:H4aO85kI0<> これはまた魔神トリオの協力いるか? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 22:56:53.25 ID:f/sA/R8p0<>
上条「…分かった! やるよ」

フィアンマ「原典を宿すには痛みを覚えるが…俺様が半分肩代わりしてやる。だから、『幻想殺し』は使うな。…"覚え"ても、必ず使役出来るという保証は無いが、才能ある者がその原典を得れば、出来るようにはなっている」

上条「……原典って、精神が荒廃するんだっけか」

フィアンマ「…オッレルスやオティヌスを見ているとそうは思えないが、かなり『分厚い』ものである以上、お前はなるかもしれんな。否定は、出来ん。ただ、『壊す力』とは、適切に扱えば『救う力』にも『守る力』にもなる。俺様は正しい使い方を最近まで久しくしていなかったが」

上条「ん、…痛みを肩代わりするって、無理しなくても」

フィアンマ「俺様は別に良いんだよ。『聖なる右』はその為の『救う力』だ」

上条「…ありがとな」

上条の返答を聞き、床にチョークで陣を描き、フィアンマは目を伏せる。
やがて陣から一冊の古臭い紫色の本を取り出すと、フィアンマはそれを抱えてベッドに座った。
上条も隣に座り、きっとまた痛いのだと考えつつ深呼吸する。
フィアンマは義手である右手で上条の右手を握り、本を上条の膝上へと乗せた。

フィアンマ「…心の準備が済んだのなら、開け」

上条「……分かった。…フィアンマ」

フィアンマ「…ん?」

上条「もしうまくいったら、この力はフィアンマの為に使う。後は俺の為」

フィアンマ「……そうか」

上条「…『幻想殺し』は原典の知識も消しちまうから、原典に対して使えないん、だよな。だから、『汚染』の影響はモロに受ける」

フィアンマ「…そうだな」

上条「…もし、俺が『汚染』でおかしくなっても、…一緒に居て、くれるか?」

フィアンマ「当たり前だろう。…お前の傍にしか居場所は無い。そうでなくとも、俺様はお前を選ぶよ。世界を犠牲にしても、お前を手に入れたかったのだから」

上条「そっか」

取り組む内容を思わせぬ明るい声で、上条は相槌を打つ。
そして、本の形を保っている原典を開き―――『視た』。










数時間後、どうなった?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 22:57:43.51 ID:H4aO85kI0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 22:58:10.60 ID:H4aO85kI0<> 大成功 呼び出し使役問題なし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 22:59:24.26 ID:H4aO85kI0<> すまん 精神異常いっさい無しも付け加えて <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 23:18:42.17 ID:f/sA/R8p0<>
ぐらぐらと揺れる頭と、明滅する視界。
未だ残る身体中の内側から押し寄せていた痛みの残滓にけほ、と軽く咳き込みながら、上条は隣で同じようにベッドへと倒れこんでいたフィアンマを見遣る。
うつ伏せで肩を上下させているが、痛みを半分に分かち合った為か、上条と違い『汚染』は無いからか、別段苦しそうではない。

上条「…うまくいった、みたいだな。何か頭の中が気持ち悪い」

フィアンマ「『原典』を得るとはそういうモノだ。…痛みは?」

上条「フィアンマのお陰でそんなには酷くねぇよ。ただ、何でだろうな。何となく、寂しい。何かが抜けたような気がする」

フィアンマ「……『汚染』の影響だろう。あからさまな精神異常が無いだけマシというものだ。よく錯乱せずに済む、と褒めたいところだが、特殊な身体なのだから『内側』からの影響に強いのは当然といえようか」

上条「ちょっと外で試してみたいんだけど、良いか?」

息絶え絶えに問いかける上条に頷き、フィアンマはベッドへ手をついてのろのろと起き上がった。
そして、そっと手を離す。
家の中でやる訳にはいかず、少し出かけてくるとオッレルスに言い残し。
一度家を出ると、寒さから身を守る防御術式をかけた上、雪の中で上条は頭の中の知識に従って作業を始めた。
一度陣を築いた上で後は簡略化を覚えれば良い。
基礎もそこそこに大魔術の術式を会得した上条は、自分が人間らしからぬ事に改めて失望したように笑った。
痛みに恐怖を感じていないというのは、おかしい。
使役をする必要までは無い為、上条はその身に一時的に『全能の神』の力を流用する。
一定の陣を描き詠唱しただけで、あれほど吹雪いていた雪が止む。
天候を操るのが『全能の神』の力。上条がその気にさえなれば、天罰の如く、何の前触れも無く雷を人に直撃させる事も可能だろう。
魔術記号を散らし、魔力を精いっぱい練り上げ、上条が一言口の中で詠唱すると、山のように積もっていた雪が、突如地面から湧きだした溶岩のような何かで溶けた。
言葉では説明のつかない現象。
フィアンマは素直に驚きつつ、『全能なる神の奇跡』と『地獄の王の災厄』を眺める。
上条の意思のままに流れを変える溶岩のような何かは、上条の意思によって消え去った。
既に簡略化ができたのか、上条は最早何もする事無く、雷を雪に直撃させて焦がす。
動かず、話さず、指先一つすら触れぬまま。最早魔術というよりも、神が直接使う力。
恐ろしい程に絶対的な裁きの力を振るって尚、それが目的ではない上条は驕らない。
上条自身は、神になりたい訳ではない。ただ、今傍らで自分を見つめてくる彼女と、いつまでも安全に過ごしていたいだけだ。

フィアンマ「…感想は?」

上条「うーん…>>634」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 23:21:43.10 ID:mrtt+eJN0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 23:23:32.62 ID:mrtt+eJN0<> 素晴らしいな、これってさ神様の王のや悪魔の王力なんだよな?
だったら他の神様や天使や悪魔の力って使えるのかな? <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/29(金) 23:33:02.33 ID:f/sA/R8p0<>
上条「うーん…素晴らしいな。これってさ、神様の王とか、悪魔の王の力…なんだよな? だったら、他の神様や天使、悪魔の力って使えるのかな?」

フィアンマ「それらの力を得て何とする。…驕るな」

上条「別に調子に乗ってるって訳じゃない。…ただ、俺はいつも、…無力で悩んできた、から。確かに、無力でも必死に足掻いて掴み取ったものには価値がある。だけど、俺の目の前でフィアンマが少しでも傷をつけられるのは我慢ならない。もっと力があれば、安心出来るかと思ったんだ」

フィアンマ「…そんなに心配せずとも良い。…それに、他の神、天使、悪魔の力は向いていないと思うぞ。各々の体質や向き不向きがある」

上条「そ、っか。…欲張るのもよくないよな」

フィアンマ「そんなに不安なのか」

雪がやんでいるため、小屋の壁に寄り掛かるようにして、フィアンマは地面に座る。
上条が近寄り隣に座ったところで、フィアンマは小さい雪だるまを作り始めた。

上条「人って欲張りだろ。少し食べたら、もう少し食べたいって気持ちになる。…フィアンマと一緒に生きてられればそれで良いと思ってたのに、完璧に守りたいって思うようになった。我儘だけど、仕方ないだろ」

フィアンマ「……」

不思議な事に手袋もせず雪に触れているフィアンマは冷たさにびくつく様子は無く。
丸い雪玉を二個重ね、三つ目の雪玉を作りながら、少しの自惚れを覚えつつ、フィアンマは問いかける。

フィアンマ「……そんなにも、俺様の事が、好きか」

上条「>>637」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 23:34:31.98 ID:oZaOayCh0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/29(金) 23:35:11.48 ID:oZaOayCh0<> 好きじゃなかったらこんな痛い思いしないって <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 00:04:07.02 ID:EDC2h4Qz0<> 上条さん最強じゃね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/30(土) 06:12:27.00 ID:zqjZ460SO<> デュフォーさんが、強い力を得ると変わってしまうものもある的な事を言ってたけど上条さんはどうなるかね…? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/06/30(土) 12:48:54.50 ID:0sFpi2sNo<> 幻想どころか生命ごとぶち殺せるもんな… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 17:28:44.63 ID:LEAUBOug0<> ルシファーとゼウスって強いの?強いとしたらどれぐらい強いの? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/30(土) 20:18:56.15 ID:CNnFTBRL0<> 《>>641様 ルシファーは創造神(ミカエル率いる天界の軍)に負けてしまったのでものすごく強くはないかと ちなみに解釈+死傷者数の比較→最大規模の洪水(天罰)>最大規模の噴火(災厄) なのでゼウスの方が強いかと思われます》




上条「好きじゃなかったらこんな痛い思いしないって」

フィアンマ「それも、そうか」

口元を弛ませ、三つ目の雪玉を重ねながら、フィアンマはこくりと頷く。
上条はそんなフィアンマの手元を眺めつつ同じように、サイズの大きい雪玉を作っていきながら問いかける。

上条「…やっぱり、魔術を使うなら、宗教を知ってた方が良いよな」

フィアンマ「曖昧にでも信仰しておけば『宗教防壁』が張れるからな。精神が蝕まれる事が多少抑えられる」

まるでゲームかルールのように雪玉を積み、小さな雪山を作っていきながら、上条はフィアンマの言葉を聞く。
まず自分が扱っている術式、神の事、奇跡と災厄。
宣教を心得ているからか、フィアンマによる『神様とやら』の説明はとても分かりやすいものだった。
上条は話を静かに聞き、それを信仰する事で『宗教防壁』を張る事に成功した。

上条「まぁ、そんな話を聞いても、魔術が手段だって事には変わりないんだけどな」

フィアンマ「主に俺様と自分を守るべく神を利用するとは、流石『妨げる者』と相性が良い人間といえるか」

上条「…もしかして馬鹿にしてるのか?」

フィアンマ「いや、感心しているだけだ。俺様には出来なかったからな」

二つ寄り添っているかのような形の雪だるまを作り、上条はぺたぺたと雪玉をより丸くしてから手を引く。
雪遊びに飽きたのかフィアンマは立ち上がり、手を差し伸べ上条を立たせて欠伸を噛み殺した。

上条「神罰の力と悪魔の災厄、か」

フィアンマ「人間の捉え方とタイミングで解釈が多少ブレる以上何が天罰で何が災厄か言い切れないからな。お前の扱う術式はその曖昧さを利用したものだ」

上条「同じ地震でも人間が偶々悪事を働いた後に死ねば天罰で」

フィアンマ「善行を目標としている正しい人間が死ねば災厄だ」

上条「結構勝手なんだな」

フィアンマ「宗教とはそんなものだよ」

困った時の神頼み、は日本でもありがちだ。
人は勝手に神へ成功を祈っておきながら、それが聞き届けられなければ失敗は悪魔の仕業と捉える。
そんな神にも悪魔にもなれる力を手にした少年はだからといって特別気負う様子もなく、ふと誰かが近づいてきている事に気付いた。







近づいてきた人物(一名。禁書キャラ名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/30(土) 20:21:42.90 ID:zqjZ460SO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/06/30(土) 20:21:51.19 ID:CSQGkOev0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/30(土) 20:22:39.62 ID:zqjZ460SO<> 学園都市に戻ってくるよう説得しにきたつっちー <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/30(土) 20:33:55.62 ID:CNnFTBRL0<>
土御門「久しぶりだな、カミやん」

上条「……、…土御門」

近づいてきたのは、金髪の一人の少年。
いつも通りのサングラスに、アロハシャツを内側に着こんだ学ランとコート。
土御門元春。
多重スパイと自ら上条に名乗った、親友の一人。
一応はイギリス清教所属だという事に思い至った上条はフィアンマを庇う様に、隠すようにして一歩踏み出す。

上条「久しぶりだな」

土御門「本当に久しぶりですたい、元気だったかにゃー?」

上条「そこそこって感じだな」

土御門は困ったように笑って、上条の顔を見つめる。
警戒半分、戸惑い半分といった様相の上条を。

上条「わざわざシベリアまで偶々通りかかったって訳じゃないだろ? 何か俺に用なのか? それとも、」

土御門「カミやんそんなに怖い顔する事ないぜよ。…俺はただ、友人として説得しに来ただけだ」

上条「……友達と、して?」

ひとまず自分の方が狙いだと聞いて安心したのか、ほんの僅かに身体の力を抜く上条。
今の上条の現状を知ってか知らずか、学校の教室で話しかけていた時のように、軽い様子で、土御門は話しかける。

土御門「カミやん、学園都市に戻ってくる気はないかにゃー? …その後ろに隠れてるヤツも一緒に」

上条「……、…無理だろ。俺にだってそれ位分かる」

高校をやめただけの上条は戻れるかもしれない。
が、フィアンマは別だ。戦犯であり、魔術サイド出身の人間が無事に居られるとは思えない。
それに加えて、フィアンマ曰く、右腕を切り落としたのは学園都市統括理事長だと聞く。
もう今まで通りの生活に戻れないだろうと覚悟を決めてここまできたのだ。
しかし、土御門は本当に嘘をついていないように見える。
もしかしたら何らかに根回しや手回しをしてくれているのかもしれない。
ただし、それはあくまで可能性だ。

上条「……>>648」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/30(土) 20:35:25.12 ID:zqjZ460SO<> 学園都市 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/30(土) 20:52:12.81 ID:zqjZ460SO<> 俺が戻れたとしてフィアンマはどうなるんだよ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/30(土) 21:00:01.37 ID:CNnFTBRL0<>
上条「……俺が戻れたとして、フィアンマはどうなるんだよ」

上条当麻という人間の中で、自分の安寧は割と二の次にある。
むしろ、右方のフィアンマという人間が上条の傍らに居なければ、上条の精神的幸福は保証されないというべきか。
現在の上条にとってフィアンマはかつてのインデックスと同じ、『何を犠牲にしても守るべき人間』であり、且つ、心から愛する人間だ。
土御門は慎重に言葉を選んでいるのか、口ごもっている。
フィアンマは警戒しているのか、上条の左手を後ろから手を伸ばして握る。いつでも攻撃に移れる、といった体だ。
諌めるかの如く、きゅ、と軽く握り返した上で、上条は要望を口にした。

上条「もし、フィアンマと一緒に学園都市に戻ったとして、一緒に学生寮に住めるなら、加えてフィアンマの身の安全が保障されてるなら戻っても良いかとは、思うよ。でも、そんな簡単にいく訳ないだろ」

その言葉に対して、土御門は静かに言葉を返す。

土御門「>>651」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 21:03:12.10 ID:PQ57sH0S0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 21:03:58.36 ID:PQ57sH0S0<> ところが簡単に行っちゃったんだにゃー ニヤリ
アレイスターがプランを破棄したらしい
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/30(土) 21:04:54.93 ID:zqjZ460SO<> 頼む。何も聞かずに戻ってくれ。じゃなきゃ、ローラとアレイスターが総力戦を仕掛ける気なんだ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/30(土) 21:16:46.61 ID:CNnFTBRL0<>
土御門「ところが簡単に行っちゃったんだにゃー」

にやり、とやや不敵な笑みを見せ、土御門はそう言葉を返した。
上条には理由が分からず、詳しく話せとばかりにじっと見つめる。

土御門「…アレイスターと言って、今のカミやんには分かるかにゃー?」

上条「統括理事長だろ」

土御門「そうですたい。…で、そいつがカミやんを利用して立てていた計画があったんだが…それを破棄した。組み立てるのに長い年月がかかるそうで」

上条「………」

フィアンマ「信用するな。相手は学園都市側の人間だろう」

土御門が嘘をついているかどうか、上条には分からない。
正確な情報かどうかを確かめる術は無い。
フィアンマは未だ疑い、上条に後ろからそっと囁いた。
『計画』とやらに上条が関わっていたのなら、今連れ戻して何かする気なのかもしれない。
上条は土御門を信じたいと願うも、完全に信じる事は出来なかった。
フィアンマに今諭されたからではなく、デメリットが大きかったからだ。
土御門に上条を傷つける意図が無くとも、もしかしたら脅されて、上条を連れ戻すよう言われているのかもしれない。
どうすればいい。どの選択が、フィアンマと自分を一番安全な状況へ導いてくれる。
混乱する頭で、深呼吸して落ち着いた後、上条は学園都市に戻るか否か、答えを口にした。


上条「>>>>655」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 21:17:53.66 ID:EDC2h4Qz0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 21:18:35.14 ID:EDC2h4Qz0<> …わかった 今回は信用してやるから戻ってみる

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 21:19:20.04 ID:EDC2h4Qz0<> 戻ってみるじゃないよ

戻ってやる で頼む <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/30(土) 23:13:21.12 ID:k9LLt3w80<>
上条「…わかった。今回は信用して…戻ってやる」

土御門「色良い返事に一安心ですたい」

フィアンマ「…当麻」

上条「もし危険を感じたらすぐ出る」

良かった、と心底から笑む土御門の様子を見、判断に狂いが無かったかどうかまだ自信は持てない上条に対して、フィアンマがやや攻撃的な、窘める様な声を出す。
上条は安心させるべくそう言い切って、重ねて要望を口にする。

上条「戻るけど、能力開発は受けられない」

土御門「…?」

上条「…魔術師になった以上、能力開発を受けると弊害が出るだろ。それじゃ困るんだ」

土御門「カミやんが、魔術師に…なった? そいつはちょいと無理がある話だ」

上条「無理を通したんだ。身体を"弄った"からな」

土御門「……」

上条「もしその条件を呑めるなら、今すぐにでも戻る。でも、学園都市に戻れば能力開発を受けないと生徒としてはいられない。そうだろ?」

以前よりも冷めた様子だ、と土御門は思う。一般人の頃に比べ、目に光を感じられない。
魔術を学んだにしろ、元は一般人であり、土御門の友人である事に変化はない。
だから、土御門自身は特にそこ(=魔術師になった事)を注視する事は無かった。
上条の発言ももっともだ、と思う。魔術師が能力開発を受ければ自分のようになるのだから。
どう身体を『弄った』のか、土御門は知らない。目的も、過程も。
無理矢理連れ戻す必要はあるのか、と、土御門は考える。

土御門「…>>659」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 23:18:13.96 ID:Tl57/6BV0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 23:18:40.79 ID:Tl57/6BV0<> ……わかった、手配しておくから安心しろ

それはそうとマジで魔術師になったのかにゃー?
幻想殺しは? あとどんな魔術使えるか見せてくれないかにゃー? <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/30(土) 23:32:43.24 ID:k9LLt3w80<>
土御門「………わかった、手配しておくから安心しろ」

上条「…悪いな」

冷静なやり取りを済ませ。
今の今まで保っていた真面目な雰囲気を和ませ、土御門は明るく笑ってみせた。

土御門「それはそうとマジで魔術師になったのかにゃー?」

上条「色々理由もあってさ」

土御門「『幻想殺し』は?」

上条「身体を『弄った』影響で任意発動になったんだ。まだ使えるけど、魔術と同時使用しなければ問題ない」

土御門「そうですかい。あ、あとどんな魔術使えるか見せてくれないかにゃー? ちょっとでいいですぜい?」

上条「あぁうん分かっいだだだ!!」

分かった、と返事をしかけた上条の背中を唐突にフィアンマが抓る。
涙目で振り返った上条を睨み、フィアンマは手を伸ばして頬を引っ張る。
唐突な暴力行為に動揺しながら痛がる上条の耳に、低い声が届く。

フィアンマ「容易に手の内を見せるな、馬鹿」

上条「痛い痛い痛い、ちょっとだけにするから!」

無意味に魔術を使う事は承服しかねるのか、フィアンマはどうやら怒っているらしい。
そう認識した上条は頬を掴む手をそのままにフィアンマを抱きしめて宥める。
土御門はというと、友人が男を抱きしめて宥める様に引いていた。
宥める行動に多少の効果はあったのか、ようやく頬から手を離される。
うぅ、と涙目のまま土御門に向き直る上条に、土御門はおずおずと声をかけた。

土御門「……カミやん?」

上条「…大丈夫。上条さんはこんな事じゃめげないんだからな。…んー…」

上条はしばらく悩む素振りを見せた後、雪に足で陣を描き、二言詠唱する。
次の瞬間、一瞬だけ炎が燃えあがり、雪は水に変わった。
土御門は目を瞬かせた後、ぱちぱちと呑気に拍手してみせる。

土御門「『副作用』、本当に無いみたいだにゃー」

上条「あぁ」

敢えて『妨げる者』等の術式を見せなかったのは、そこまで手の内を見せる気になれなかったからだ。

上条「…いつ頃戻るのがベストなんだ? 手回しもあるだろ。後、学校にはそんなに行けないと思う。フィアンマが心配だ」

土御門「あ、学校の事なら大丈夫ですたい。フィアンマも学校に行けば良い」

上条(その発想は無かった)

土御門「>>662(日時or〜日・時間後)頃に来てくれれば問題無いようにしておきますたい」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 23:34:30.92 ID:Tl57/6BV0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 23:35:46.92 ID:Tl57/6BV0<> 1日後だ 世話になった奴等に、お礼もあるだろ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 23:43:12.87 ID:Tl57/6BV0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 23:44:25.06 ID:Tl57/6BV0<> やべえkskした記憶がないのにkskされてる怖い <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/06/30(土) 23:50:06.51 ID:k9LLt3w80<>
土御門「明日の今時間…1日後に来てくれれば問題無いようにしておきますたい。世話になった奴らに、お礼もあるだろ?」

上条「分かった。…わざわざありがとな、土御門」

土御門「水臭いにゃー、土御門さんはカミやんとデルタフォースを築いた男ですぜい? 気にしなくて良い」

それでは準備があるから、とその場から去った土御門を視線で見送り、上条は振り返る。
フィアンマは面倒臭そうな顔をしていた。

フィアンマ「…学校、か」

上条「…ひとまず、好意に甘えようぜ。書類とか制服とかはやってくれそうだし。…フィアンマと学校かー」

フィアンマ「そもそも学ぶ必要性を感じないが。…ま、学校は一度通ってみたかったからな」

上条「行った事無かったのか?」

フィアンマ「日々のパンにも困っていたような人間が、学校にかかる費用を払えると思うのか? 学校に行かずとも勉強は出来たしな」

上条「そっか。…あ、オッレルスさん達にお礼言わないと」

フィアンマの手を引き、小屋の中へ入る。
偶然にも全員リビングに揃っていた。やっている事は皆バラバラだが。

上条「突然ですが、フィアンマと一緒に此処を出ることにしました」

オッレルス「本当に急だな。構わないが」

インデックス「とうま、もう出ていっちゃうの?」

オティヌス「魔術を学ぶという目的はどうした」

上条「ある程度学ばせていただきましたから、もう大丈夫です。…もしかしたら、またお邪魔するかもしれませんけど」

シルビア「事情は知らないけど、またいつでも来れば良い」

上条「ありがとうございます」

フィアンマ「…世話になった」

オッレルス「今生の別れでも無いんだろう、生きていればまた会う事もある」

上条は頷き、深く頭を下げた後、世話になった部屋へと二人で消える。
持っていくものは身一つ、代わりに部屋掃除をした。
この短い間の生活へ、精一杯の感謝を籠めて。







そして、翌日の午後。
学園都市に無事戻った上条の学生寮のとある部屋は、出てきたままの様相だった。
少々普段着が足りないのは否めないが、困ったのはそれ位で。
ちなみにフィアンマの着る制服(既製品なのかとても早い)が届いたの、だが。

上条「何で学ランなんだよ!」

フィアンマ「何か問題があるのか?」

上条「男子用制服…俺の夢が…」

フィアンマ「夢?」

上条「上条さんは放課後デートしたかったんです。どうせ戻ってきたんなら、手を繋いで通学とか…ちくしょう…」

届いたのは当たり前というべきか、男子用制服だ。
サイズ的には問題無いのだが、上条の心に押しかかる『残念』という感情。
流石に男子用制服を纏った完全男性スタイルのフィアンマと手を繋いでいれば他者からどんな評価を受けるか、上条には予想がついている。
そんな折。

ピンポーン

誰かが、訪ねてきた。



訪ねてきたのは誰?(一名・禁書キャラ名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 23:51:34.12 ID:Tl57/6BV0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 23:52:24.90 ID:Tl57/6BV0<> 佐天さんがお礼を言いに来たが何故か美琴初春黒子も居る <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/06/30(土) 23:53:54.90 ID:NBtfE05Xo<> エイワスとアレイスター <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 00:09:42.74 ID:5fSn/ojR0<>
上条「はいはーい、今出ますよー」

まさか敵が来たにしてもインターフォンは鳴らさないだろう、と見当づけた上条はフィアンマから離れ、玄関へ向かう。
ガチャリ、とドアを開けると、そこには黒髪の少女。佐天涙子が居た。

上条「あ、何か久しぶりな感じするな。佐天ちゃん、だっけ?」

佐天「お久しぶりです! 上条さんのお陰で無事帰れたのでお礼をと思って…良かった、居てくれて」

上条「わざわざ気にしなくても…」

佐天「あ、そうだそうだ、これどーぞ!」

佐天が差し出してきたのはいちごみるく大福、と可愛らしいパッケージに包まれた一つの大きな箱だ。
所謂菓子折り。
あくまで直接佐天を学園都市に帰してあげたのはインデックスとオッレルスのため、自分が受け取っても良いのだろうか、と悩みつつも、上条はひとまず受け取る事にした。
と、そこで背後に後三人少女が居る事に気付く。
常盤台中学の制服を着た、御坂美琴と、白井黒子。
そして佐天と同じセーラー服を身にまとっている初春飾利。
初春だけが分からず、誰だ、と首を傾げる上条に、初春はぺこりと頭を下げた。

初春「あの、初めまして。私、初春飾利っていいます」

上条「あぁ、これは丁寧にどうも…」

思わずつられて頭を下げる上条。
そういえば落ち込んだ佐天が『ういはる』だか何だか言っていたが、この子なんだろうか、と上条は思う。
都市伝説の男に会えた、とテンションの上がる初春と、お礼を出来た事で満足したらしい佐天は、二人連れたって出て行った。
残る白井は御坂を心配そうに見やった後上条に軽く頭を下げ、『空間移動』で二人を追った。
御坂は怒りか何かだろうか、顔を赤くして上条を睨む。

御坂「ッ、アンタ!」

上条「な、何だよ…何怒ってんだ?」

御坂「…お帰り。…アンタに、二人きりで話があるんだけど、良い?」

上条「ちょっとコレ置いてきて良いか?」

御坂「良いわよ」

話とは何だろう、と首を傾げつつ、部屋の中に一度戻る上条。
フィアンマはというと、学ランを眺めて暇を潰していたらしい、戻ってきた上条へ即座に視線をやる。
上条は菓子折りをフィアンマの隣へ置き、おずおずと言った。

上条「友達が、俺に話があるって言うんだ。ちょっとだけ、すぐ帰ってくるから、待っててもらっても良いか?」

フィアンマ「構わんが」

上条「すぐ戻る」







上条と御坂は、公園へ来た。
また勝負とか何とか言われないよな、と考えている上条と向かい合い、御坂は真剣な表情を浮かべ、こう言った。

御坂「……、…私は、…アンタが、好き」

上条「…す…?」

御坂「何も、見つからなくて。アンタは、帰ってこなくて。ようやく帰ってきたって聞いてお見舞いに行こうと思ったら、またいなくなってて。気付いたのよ。…わ、…私は…アンタが、好きなんだ、って」

泣きそうな顔で、羞恥に顔を真っ赤にしながら、御坂美琴は告白を口にした。
上条はその言葉に対して、真剣に答える。

上条「>>671」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:11:11.53 ID:+d/gNB7j0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:11:33.26 ID:jjbpcHHio<> ksk

こーなるかもしれないからエイワスあたりにしたかったのにorz <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:12:00.90 ID:+d/gNB7j0<> すまない御坂…俺にはもう将来を誓って一生を添い遂げると決めた相手が居るんだ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 00:25:30.77 ID:5fSn/ojR0<>
上条「すまない、御坂。…俺には、もう将来を誓って、一生を添い遂げると決めた相手が居るんだ」

御坂「……、……」

上条「……」

御坂「…その人の事が、…好き、なの?」

唇をきつく噛んで俯く少女に希望を与えない為に、上条は柔らかな言い方ではなく、はっきりと答える。

上条「あぁ、大好きだ。俺はアイツと一緒に居られるなら何も要らない」

御坂「そ、っか。…そう。…私じゃ、ダメってこと、か」

上条「誰も代わりになんかならない」

ごめん、と上条は言わない。
そう言えば、御坂はより傷つき、惨めになるに決まっているからだ。
御坂を傷つけるのは、上条としても心苦しい。
しかし、ここで安易に受け入れて浮気などする方が(もしフィアンマが御坂を殺さないにしても)、御坂に対して失礼だ、と上条は思う。
『俺様を愛しているのなら、選んでくれ』。フィアンマは前にそう言った。
だから、上条は迷わず選択する。
御坂はしばらく黙りこんだ後、ふふ、と笑った。

御坂「…この御坂美琴をフるなんて、アンタ惜しい事してる」

上条「………」

御坂「いきなりコクるって言うのもおかしな話だったわ。じゃ、またね」

上条に背を向け、歩く御坂の後ろ姿は細くて、弱い一人の少女で。
ふらふらと歩く姿に声をかけようか悩み、ぐっと堪えて、上条も踵を返す。
なあなあで済ませて全てが丸く収まるのなら、この世界に傷つく人間などいないのだから。




上条「…ただいま」

フィアンマ「お帰り」

上条は家に帰ってきた。
フィアンマは制服を片付けて暇だったらしく、のんびりとした調子で出迎える。
上条の表情は、晴れない。

フィアンマ「…何かあったか」

上条「いや、何でもない」

大丈夫、と首を横に振る上条の様子を眺めた後、フィアンマはそれ以上問いかける事は無く。
気付けば夜になっていた。

上条(…俺は、間違ってないよな)

言い聞かせるのではなく、確認を取る形で、上条は思う。
フィアンマの居るシャワールームを見やり、今一度、自分は間違っていないと再認識した。
何かを選べば、何かを切り捨てるべき。
嫌な言葉だが、実に、それは真実だった。





上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:26:52.19 ID:+d/gNB7j0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:26:53.74 ID:jjbpcHHio<> 後方のアックアに連絡をとる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:27:09.70 ID:+d/gNB7j0<> 土御門に会いに行く <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:28:02.68 ID:+d/gNB7j0<> ヴェントが省かれた… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:29:17.31 ID:jjbpcHHio<> >>675
すみません神の右席全員でもおkです <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 00:32:23.82 ID:5fSn/ojR0<>
シャワールームのドア越しに聞こえてくるお湯の音にぼんやりと思考していた上条は、おもむろにテーブルへ放置されていたノートに手を伸ばし、かりかりとボールペンで何かを記し始める。
盗聴の可能性など機密性はやや低いが、個人向けの通信用霊装だ。
魔力を練り上げながらかりかりと記し、上条は一人の傭兵に連絡を取る。
かつて『後方のアックア』と呼ばれ、上条に敵対し、そして協力した、一人の芯が通った男性。
本名をウィリアム=オルウェルというが、上条はそれを知らない。
うまく繋がるだろうか、と考えつつ、しばらく待つ。
やがて、応答があった。静かな声だ。
時差の関係で夜なのかもしれない。雑音が入らない辺り、そこが戦場でないことは分かる。

アックア「何者であるか」

上条「上条当麻、で分かるよな?」

アックア「…何用である」

上条「>>679」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/07/01(日) 00:33:46.32 ID:s1qnV6wAO<> >>679
×夜なのかも
○深夜なのかも <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:35:54.80 ID:jjbpcHHio<> 本当に危険な時のためにアックアを雇う <> ◆2/3UkhVg4u1D<><>2012/07/01(日) 00:36:17.07 ID:s1qnV6wAO<>
安価>>683でお願いします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:36:21.93 ID:+d/gNB7j0<> フィアンマが可愛すぎて辛い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:37:08.40 ID:+d/gNB7j0<> やっぱり>>681で頼む <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 00:42:24.28 ID:s1qnV6wAO<>
上条「理由は色々あるけど、狙われてるんだ。…傭兵として、雇われて欲しい」

アックア「…そもそも何故貴様が通信用霊装を扱えるのであるか」

上条「魔術師に、なったんだ。…不可解だと思うかもしれねぇけど、色々あって」

アックア「そうか。しかし、私に最早特別な力は無い。大戦中、『神の力』を止めるべく…こちらも"色々"とあってな。並の魔術師程度の力しか無い私に、傭兵が勤まるとは…」

困ったような声だった。上条はしばし迷った後、言葉を続ける。

上条「>>687」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:44:00.25 ID:+d/gNB7j0<> あ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:44:13.06 ID:Uyk+osjM0<> 分かんね、後は任せた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:44:16.05 ID:+d/gNB7j0<> ……そうだったのか…悪かったな、おやすみ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:44:42.86 ID:jjbpcHHio<> もしかしたら・・・・もしかしたらお前の力を取り戻せるかもしれないぞ?

(ゼウスの力かなんかで出来たら) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:51:41.50 ID:+d/gNB7j0<> 上ヤン自分から電話しといてそりゃないぜ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 00:56:03.55 ID:s1qnV6wAO<>
上条「それは、分からない。後は、アックアの意思に任せる」

一人でも味方を多く得ようと画策する上条ではあったが、やはり運は悪く。
ちなみに、普通の魔術師よりも、今の上条の方が確実に強い。
アックアはしばらく悩んだ後、断りの言葉と共に上条へ応援の言葉を残した。
フィアンマはまだ出てきそうになかったので、そのまま世間話へと移行する。

上条「最近、調子はどうなんだ? …復興、とか、さ」

アックア「各地を回って復興の手伝いをしているが…」

上条「困った事でもあるのか?」

アックア「>>693」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:56:46.38 ID:jjbpcHHio<> そういやここのアックアってヴィリアンとはどんな感じなの?イチャッてるの?それとも普通の関係?

もしこのまま雇えたらイギリス国内へのパイプができるかと思ったんだが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:57:00.44 ID:+d/gNB7j0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>AA<>2012/07/01(日) 00:57:14.36 ID:IzSld0v60<> やらないか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:57:26.31 ID:jjbpcHHio<> ヴィリアンが何かと一緒にいたがるのだが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:57:28.10 ID:+d/gNB7j0<> 雨が降らないのだ このままでは干ばつしてしまう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:58:28.04 ID:jjbpcHHio<> >>694
おい・・・・・おいいいいいいいちょ、おまやめい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 00:59:00.31 ID:+d/gNB7j0<> 復興の手伝いをしているのだがやらないかって意味不 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:02:29.11 ID:jjbpcHHio<> >>698
すまない。

アッーになるかと思ってちょっと焦りすぎたらしい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:03:19.57 ID:+d/gNB7j0<> 一緒に復興をやらないかになるかもしれない <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 01:03:51.38 ID:s1qnV6wAO<> 《>>692様 聖人も何もかも失ったアックアさんはイギリスには(彼自身の意思で)まだ帰れないような気がします。ヴェントさんと行動なさっているかと》

アックア「やらないか」

上条「?」

アックア「と、誘われる事が多くてな。男にモテても嬉しくないのである」

上条「あー…」

可哀想に、と上条は思う。
アックアが今どこの国に居るのか上条には分からないが、そういった愛情の形態に抵抗の少ない場所なのだろう。

上条「…気をつけてな」

アックア「言われるまでもなく気をつけるしかあるまい」

はぁ、とため息をつくアックアに慰めの言葉をかけ、互いに了解の上で通信を終えたところで、フィアンマが出てきた。

フィアンマ「通信用霊装か。誰と会話していたんだ?」

上条「>>702」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:05:09.03 ID:+d/gNB7j0<> アックアに傭兵としてやとわれてくれないかなーと <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:08:25.14 ID:jjbpcHHio<> そういえば一方通行と浜面は今どんな感じかそういう系の設定ってあります? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 01:11:32.50 ID:s1qnV6wAO<>
上条「アックアに、雇われてくれないかなー、と」

フィアンマ「…ふん。アックアか。まだ生きていたんだな…なかなかどうして、しぶといヤツめ」

つまらなそうな表情で役目を終えた通信用霊装を破り丸め捨て、フィアンマは上条にシャワーを浴びるよう促す。
素直に従った上条がシャワールームに消えた事を確認した後、フィアンマはぽつりと呟く。

フィアンマ「…俺様は他人の人生を奪い過ぎているな」

別段それを重く感じる事無くぼやいて、いちごみるく大福を勝手に一つ口にくわえながらフィアンマは立ち上がり、台所へ行く。
戸棚の中にあった缶詰めの数々と上条が御坂からの告白を受けた帰り(フィアンマは上条が告白を受けたなど知らないが)に購入してきた多少の材料を使って夕飯を作る為だ。

フィアンマ(…甘い)

苺ジャムに練乳というべたべたとした甘さに僅かに眉をひそめ、フィアンマは戸棚を漁る。





夕飯に何を作る?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:12:23.45 ID:+d/gNB7j0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:12:51.28 ID:+d/gNB7j0<> 久々に外食 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:12:55.84 ID:jjbpcHHio<> 肉じゃがなどの和食 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 01:20:35.61 ID:s1qnV6wAO<> 《>>703様 一方通行さんも浜面さんも原作通りの人生を歩んでいそうです。ただ、『グレムリン』が無い以上とても平和かと》


フィアンマ(努力しようにも、これではな)

発見したのは、ツナコーンにコンビーフ、焼き鳥(塩)の缶詰め。
頑張れば一応お粗末な食事は作れそうだが、それならばむしろ、諦めてしまった方が得策だろう。 幸いにも、まだファーストフード店やファミリーレストランは開いている時間だ。
大福をむぐむぐと食べつつ片付けを済ませ、フィアンマはシャワールームを見やり、近寄る。
と、タイミング良く上条が出てきた。
そのまま外に出られそうな格好だ。

上条「どうかしたのか?」

フィアンマ「空腹だ。作るにも材料の在庫上厳しい。故に外食を提案したいのだが」

上条「あぁ、悪くないな。何か食べたい物あるのか?」

フィアンマ「特に無いが…お前はあるのか?」

上条「>>690」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:21:21.21 ID:+d/gNB7j0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:21:47.40 ID:+d/gNB7j0<> ステーキが食いたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:26:18.62 ID:jjbpcHHio<> すき焼き <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:28:19.15 ID:jjbpcHHio<> そういえばプランそのものが消滅したということだけどそうなると学園都市の目的はどうなるのでしょうか? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 01:28:56.15 ID:s1qnV6wAO<>
上条「ステーキが食いたい」

フィアンマ「そうか。といっても、俺様は学園都市の地理に詳しくないからな。行く場所はお前に任せる。一番良いのはファミリーレストラン辺りじゃないか?」

上条「俺もそう思う。ちょっと待っててくれ」

上着を羽織り、出掛ける準備を済ませた上条はフィアンマの手を握って外へ出る。
上条や真実を知る者からすればフィアンマは女性だが、『右方のフィアンマ』しか知らない人間は男性だと思い、フィアンマの事をまったく知らない人間にとっては女性にも男性にも見える。
つくづく不思議だよな、雰囲気か、等と思いながらファミレスまで来ると、運が良い事に空いていた。
二人掛けの席に、向かい合って座る。
注文したのは、上条がステーキ、フィアンマがカルボナーラ。
そして上条は今現在、ドリンクバーコーナーで悩んでいた。
何故だかキワモノが非常に多いのだ。

上条(まぁ、俺が飲むんだから良いんだけどさ…)



何を飲む?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:30:04.97 ID:+d/gNB7j0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:30:32.17 ID:+d/gNB7j0<> 無難にコーラ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 01:42:23.04 ID:s1qnV6wAO<> 《>>712様 予定や内容が大幅に崩れてズレた為、アレイスターはあくまで『直し』ています。アレイスターの中では、プランは完全に消滅した訳ではありません。練り直しているので時間はかかっています。学園都市は壊す必要性が感じられないので留保しています。『学園都市』自体の目的は表向きのものが沢山あるので、放っておいてもあまり問題はありません》

上条(よし、これにしよう)

コーラならば大丈夫、と謎の自信を持ちながら上条はコップにコーラを注ぎ、席に戻る。
ちびり、と飲むと、甘い苺の様な味がした。
フレーバーコーラか、と理解しつつ、上条はフィアンマの様子を眺める。

上条「…疲れてるのか?」

フィアンマ「いや、そういう訳でもないが」

気にするな、と首を横に振り、調度運ばれてきた料理に手をつけながら、フィアンマは窓の外を見やる。
料理を食べる動作に無理が無いのは、義手に慣れてきたからだろうか。




食事を終え、買い出しを遂げ、上条とフィアンマは帰ってきた。
現在、明日学校へ持っていく弁当の下準備をしている真っ最中だ。
上条は再編入の為問題は無いが、フィアンマの場合編入生扱いなので苦労する事になるだろう、と上条は予測する。

上条「何か困ったら言ってくれよ」

フィアンマ「何か困るとも思えんが。ところで、」

上条「ん?」

フィアンマ「学生生活としては偽名を通そうと思うのだが、どんなものが良いと思う?」

上条「んー…>>718」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:43:41.77 ID:jjbpcHHio<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:44:31.85 ID:mlyt0PPO0<> ラインハルトとか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>AA<>2012/07/01(日) 01:45:02.70 ID:IzSld0v60<> ひゅうか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 01:46:26.75 ID:mlyt0PPO0<> あ ミカエラにしてミカエラ

ミカエラ=上条 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/01(日) 02:26:30.04 ID:IVbig6o9o<> ○○にして、とかってありなの?
安価の意味無くね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 07:06:36.88 ID:VYNoTHRS0<> 安価取った人ならいいんじゃないの

>>1が書きたいように書けばいいんだよ




<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 07:57:41.11 ID:+lGIK3uK0<>
上条「んー…ラインハルトとか…」

フィアンマ「ラインハルト…ドイツ人か。冷酷さで有名な軍人だったか」

ふむ、と考え込むフィアンマの様子を見、上条は急いで訂正する。

上条「響きのイメージで言っただけだし、別に特別な意味は無いぞ?」

フィアンマ「何だ、冷酷繋がりかと思ったのだが」

上条「俺に対しては冷酷じゃないだろ。あーん」

フィアンマ「…、…ん」

半ば誤魔化す形で甘い卵焼きの余りをフィアンマの口元に運び、上条は考える。
外国人の名前に上条は詳しくないが、考える事だけは出来る。
やがて一つの結論に至ると、どことない恥ずかしさに視線を漂わせた。

上条「…後はミカエラとか…その、…ミカエラ=上条なんてどうだ?」

フィアンマ「……ミカエラは女性形だからな。男子制服を着ている人間が女の名前を名乗るというのも違和感がある」

上条「う、そっか…」

いたく残念そうな顔をする上条の様子を観察し、フィアンマは肩を竦めると咀嚼した卵焼きを飲みこみ、こくりと頷く。

フィアンマ「ま、上条という名字は名乗るつもりだが」

上条「! …へへ」

フィアンマ「気持ちの悪い笑みを浮かべているように見えるが」

上条「酷い言い方だなオイ! …何かほら、…新婚さんみたいだろ?」

フィアンマ「…、……」

上条の発言が嬉しかったのか恥ずかしかったのか、口ごもりながら出来あがった弁当を冷蔵庫にしまうフィアンマ。
そんなフィアンマの様子を見、上条はときめきながら抱きしめるのだった。




翌日。
朝上条が起きた時には既にフィアンマは制服に(といってもまだワイシャツ姿だが)着替えており、のんびりと朝食を作っていた。
ますます新婚のようだ、等と思いつつ調理を手伝った上条は、二人で席に着き、食事を摂る。

上条(久々の学校だな…)

フィアンマ「俺様は少しやる事があるので早めに行きたいのだが」

上条「やる事? ん、分かった」

果たして何をやりたいのか読めないままに、上条は頷いてさっさと身支度を済ませて制服を着た。
学ランを着たフィアンマはどこからどう見てもイケメンと言われて差異の無い姿だ。
やっぱり手は繋げないな、と項垂れる上条を見やり、フィアンマは小さく笑った。

フィアンマ「不服分は家で取り返せば良いだろう」

上条「……そうだよな」

嬉しそうに表情を和ませ、上条は機嫌よく学校へと向かった。 <> イーモバイル対策<>sage<>2012/07/01(日) 07:58:52.49 ID:s1qnV6wAO<> + <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 08:09:20.46 ID:+lGIK3uK0<>
学校に到着して一時間程、フィアンマは何やら教師と話し合ってから出てきた。
早めに行っても一時間経過すれば当然学校の始業時間になる訳で。

小萌「うぅ、お帰りなさい上条ちゃん…それにしても先生、上条ちゃんに兄弟が居たとは初耳なのですよ!」

上条「最近日本に来たんで一緒に住んでるんです。な?」

フィアンマ「あぁ」

小萌「なるほど、わかりました。はーい、今日は新しい転校生ですよー!」

先に小萌が教室に入り、程良く生徒を賑わせた上で、上条達も教室に入る。
そして、お決まりの自己紹介を始めた。

上条「俺は…言うまでもないよな?」

土御門「お帰りカミやん、一時期は不良街道まっしぐらかと思ったぜい」

小萌「はい、ではもう一人の上条ちゃんをご紹介するのですよー」

生徒は上条に数度それぞれ声を掛けた後、本当の意味で転校生(編入生)であるフィアンマに期待の視線を向ける。
フィアンマはチョークを手にすると、手慣れた様子で黒板に偽名を綴った。
『Mikhail=上条』、と。

フィアンマ「ミハイル=上条です。ミハイルでも、ミーシャでも、好きに呼んでください。これからよろしくお願いします」

にこ、と笑みを浮かべるフィアンマの姿はとても親しみやすそうだ、と上条は他人事のように思う。
どうか女子生徒が反応しませんように、と祈る他無かった。

小萌「では転校生に質問タイム許可を出しますねー」

どうぞ! と明るく提案する小萌に、生徒は悪ノリする。

青ピ「カミやんとはどないな関係なんですか!」

フィアンマ「双子の兄です」

土御門はどうにか吹き出すのを堪える。
言われてみれば雰囲気は似ているかもしれない、と一般生徒に思わせてしまうのは、フィアンマ本人に備わっているカリスマ性によるものだろうか。





他の(生徒→フィアンマ)質問内容>>+2>>+3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 08:39:26.97 ID:TkyTH02IO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 08:40:05.46 ID:5shjEnmX0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 08:41:08.90 ID:5shjEnmX0<> 女生徒(腐女子) 
ふ、ふふ、2人は付き合っちゃったりしてるんですか!? むしろ突き合っちゃったりしてるんですか!?ハァハァ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 08:45:56.04 ID:5shjEnmX0<> 女生徒(鋭い)ミハイルさんは外国の方っぽいのにほんとに双子の兄弟なんですか?むしろフィアンマさん女の人っぽい気がします <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 08:57:41.31 ID:+lGIK3uK0<>
女生徒「ふ、ふふ、2人は付き合っちゃったりしてるんですか!? むしろ突き合ったりしてるんですか!?」

ガタン、と勢い良く立ちあがりやや荒い息での質問に、フィアンマは困ったような微笑みを見せて首を傾げる。
横に居る上条としては質問内容フィアンマの振る舞い共に不安要素しかない。

フィアンマ「…ちょっと日本語が分からないのですが、産まれついての付き合いなので、付き合いは長いと思います」

日本語が分からない、に上条は思わず吹き出しそうになった。
土御門も吹き出しそうになったようだが、二人してどうにか堪える。
顔の筋肉がどうにかなってしまいそうだ。
フィアンマの解答で何か満足したのか、女生徒はぺこっと頭を下げて着席する。
次に、別の女生徒が手を挙げた。小萌はのんびりと指名する。

女生徒2「ミハイルさんは外国の方っぽいのに、本当に双子の兄弟なんですか? むしろ女性の方っぽい気が…」

フィアンマ「諸事情で当麻と離れて生活していました。日本に戻ってきたのもつい最近なんです。だから、兄弟らしくない、似ていないと言われてしまうと否定出来ません。女顔とはよく言われるので、女に見えるかもしれませんね」

笑顔でしれっと嘘を吐くフィアンマに今度こそ上条は唇をきつく噛んで死ぬ思いで堪えた。
ここで笑ってはいけない。

小萌「ではそろそろ授業ですから席に着いてくださいねー。上条ちゃんは前の席で…ミハイルちゃんはそのお隣に座ってください」

先程質問した女生徒はフィアンマの笑顔で疑念が和らいだのか、顔を真っ赤にしてそっぽを向いている。
諸事情、については生徒それぞれで解釈したらしく、一部はものすごく気の毒そうな表情だ。
男子生徒の何人かは『上条がモテるのは兄弟共通か』等とひそひそ言っているが、上条は気にしない事にした。
言われた通りの席に着き、上条はちらちらとフィアンマを見遣る。
本当であれば話しかけたいものの、あまりベタベタするのもおかしいか、しかし外国人の兄弟であればセーフだろうか、などとうろうろ考えている。




一時間目の授業(科目名)>>+2

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 09:27:34.47 ID:TkyTH02IO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 09:39:01.59 ID:pM6F6BMK0<> 特別授業 オカルト関連(魔術とか神話とか) <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 10:17:16.51 ID:s1qnV6wAO<>
そうこうしている間に一時間目が始まったのはいいものの、なかなか教師が来ない。
連絡の為に来たのは歴史の教師。
今日は特別講師による特別授業で、内容としては世界史から派生―――つまり、ギリシャ神話について、だそうだ。
何かトラブルでもあったのか、なかなかその特別講師とやら来ず、十分経過。
生徒は暇を持て余した自習状態で、後ろの席や隣席の人等と方々で会話している。

上条「神話か」

フィアンマ「習うまでもないな」

上条「フィ…ミハイルはそうだよな」

かくいう上条もその一人で、フィアンマと会話をして時間を潰していた。

唐突に、ドアが開く。




神話講座の講師(禁書キャラ名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 10:23:31.95 ID:Dvj1mIj40<> シベリア魔術教室の皆様方 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 10:24:06.97 ID:Dvj1mIj40<> シベリア魔術教室の皆様方 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 10:34:55.18 ID:s1qnV6wAO<>
入ってきたのは、まず、金髪の青年。
それから、金髪の女性だ。
数日前まで上条とフィアンマが見慣れていた顔だ。
オッレルスとシルビア。 ちなみに、インデックスは例の如くお留守番、オティヌスはその世話(兼アプローチ)で同じく留守番である。
オッレルスはフィアンマと上条を見、目を瞬かせた後何やら納得したような表情を見せた。

オッレルス「…私の名前はオッレルス。今回君達に講釈させてもらう」

シルビア「私はシルビア。…ま、コイツの助手ってところか」

名乗り、プリントを配り始めるオッレルスの姿は確かに教師の様に見える。
そして、授業が始まった。





フィアンマ「間違いは無いが単調な講座だったな」

上条「楽しかったと思うけど」

授業が終わって開口一番、フィアンマのぼやきに上条はすぐさまフォローした。

フィアンマ「事実だろう」

上条「いやいや」

のんびりとプリントを片付ける上条。
本来であればオッレルスと少し会話したかったが、すぐ消えてしまったためそれは叶わなかった。



二時間目の内容(科目名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 10:40:54.39 ID:2RvwYwcH0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 10:41:14.62 ID:+xE3hJrJ0<> 保健体育(教師 黄泉川) <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 11:17:45.42 ID:s1qnV6wAO<>
二時間目は、保健体育で。
上条はフィアンマの着替えが他の男子生徒に見られないかどうか気が気でならないのだが、そんな上条の予想斜め上をいき…フィアンマは、着替える素振りが無い。

上条「体操服、無い訳じゃないよな?」

フィアンマ「気管支に病を患っているんだ、運動は出来ない」

絶対サボりたかっただけだろ、と突っ込んだところ、『もう歳だからな』とさらりと返された。
結局フィアンマは学ランのまま上条は体操着に着替え、外に出る。

黄泉川「はいはい、まずは校庭二週じゃんよー」

フィアンマ「まぁ、頑張ってこい」

上条「釈然としない…」

とはいえ、上条が何と言ってもフィアンマは動かないだろうし、上条は体育が得意なので一人で頑張る訳なのだが。

フィアンマ「頑張れー」

上条「どうせ送られるなら元気の良い黄色い声援が欲しい…」

青ピ「見学に女子居らへんもんなー」

木陰の涼しい場所から、涼やかな様子で上条を(やる気無く)応援するフィアンマの姿は細い体躯というのも手伝って、確かに病弱そうだ。
角度によっては女の子にも見える(そもそも女性だからか)ため、上条以外の男子生徒(土御門を除く)もちらちらとそちらを見やって落ち着かない。
昨今の男の娘ブーム故か、可愛いとか美人なら男でも良いか、と考える男子が増えたからである。上条は嫉妬しないよう我慢して走る。




授業内容(種目名。例:陸上)>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 11:36:33.67 ID:RZqAlYer0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 11:37:04.68 ID:lcuTvKwH0<> 100メートル走 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 13:32:17.77 ID:UUW+sW/G0<>
黄泉川「さて、準備体操も終わったし、誰か白線引くの手伝って欲しいじゃんよ」

男子「俺やるわー」

黄泉川「反対側は…んー、お願いしても良いじゃん?」

フィアンマ「はい」

本日の授業内容は陸上、その中でも記録を残すという事で、100メートル走らされるらしい。
かりかり、と慣れない様子で白線を引く小さい滑車のようなものを使いつつこれは何の材質による構成だと首を傾げるフィアンマに、同じく白線を引きつつ近寄った男子生徒が話しかける。

男子「ミハイル君ってどこか悪いのか?」

フィアンマ「肺含む気管支が弱くてあんまり走れないんだ」

男子「そっか。困った事があったら言ってくれよ?」

フィアンマ「学校に行って無かった分何か頼るかもしれないが、助けてくれると嬉しい」

男子「あ、そうなのか。何でも頼ってくれよ。俺じゃなくても助けてくれると思うけどさ」

フィアンマ「…ありがとう」

作り物のように完璧な、その顔立ちを最大限に生かした笑みに明るく笑顔を返して、男子生徒はフィアンマが手にしていた滑車を手に取る。
一瞬手が触れ合ったが、フィアンマは気にした様子が無い。
代わりに片付ける、といった様子だ。

男子「休んでた方が良いだろ」

フィアンマ「お言葉に甘えて」

病弱でか弱いキャラクターで通す事に決めたのか、フィアンマは軽く頭を下げて木陰に戻る。
男子生徒はどこか浮足だった様子で体育倉庫へ片付けに消える。
一部始終見ていた上条はというと。

上条(…俺のフィアンマに、触りやがって)

不必要に自分の恋人へ触れた男子生徒へ怒りを燃やしていた。
ここまで嫉妬した事は、上条の人生において今まで一度たりとも無かったのではなかろうか。
どうにか魔術を使うまいと我慢し、まずは女子が100メートル走をやる為時間を持て余した上条は、フィアンマに近寄った。
そして全身から怒りのオーラを出しつつ隣に座る。

フィアンマ「…何を怒っているんだ?」

上条「>>744」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 13:35:37.37 ID:7049yVjGo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 14:34:50.53 ID:mXT6yykO0<> 俺以外の奴に触られた ムスッ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 14:47:47.80 ID:UUW+sW/G0<>
上条「俺以外の奴に触られた」

怒りと不満とを織り交ぜた、どこか怨念の籠った声で、むすくれながら上条は言う。
我慢していても上条の精神に反応して誤作動を起こしやすい術式は、ゴゴン、と空を暗く曇らせている。
雨が降りそうで降らない、降れば確実に雷雨になるであろう空模様だ。先程まで晴天だったというのに。
フィアンマは空模様と上条の様子を見やり、くすくすと笑った。

フィアンマ「何だ、嫉妬か」

上条「…別にそんなんじゃないですけど」

フィアンマ「嘘を吐け」

上条「………」

上条の怒りを肩代わりするかのように、黒い雲は不穏な音を出している。
フィアンマは上条の頭を数度撫で、苦笑してみせる。

フィアンマ「そんなに気に入らないのならば、家に帰った後上書きすれば良いだろうに。他ならぬお前の手で」

上条「…あんまり他の奴に不用意に触るなよ」

フィアンマ「善処はしてやる」

フィアンマの発言に多少機嫌を直したのか、空模様は元の晴天へと戻っていく。
原典が上条の精神状態に反応して引き起こすのはあくまで『準備』であり、上条が意図しなければ発動する事は無い。
裏を返せば、何も悪い事をしていなくとも、上条の気に障れば落雷に見舞われマグマに呑み込まれる訳だが。

黄泉川「次は男子じゃんよー」

上条「…行ってくる」

フィアンマ「足首を捻らないよう気をつけないようにして行ってこい」

ひらひら、と呑気に手を振るフィアンマの様子に心が解れたのか、上条は機嫌を良くして運動場へと戻る。

上条(今のタイミングで雷を落としておけば…いやいや、それじゃ意味無いよな。別にフィアンマが傷つけられた訳じゃないんだから、そんな事しちゃダメだ)

機嫌を良くしたとはいえ、未だこうして蟠りが残るのは、力があるからこそだろうか。
どうにか自制心で不満を抑え込み、上条は学生らしくタイムを計測すべく走り出すのだった。





三時間目の内容(科目名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/07/01(日) 14:50:43.34 ID:s1qnV6wAO<> >>745
×気をつけないように
○気をつけるように <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/07/01(日) 14:54:52.12 ID:4fRVTmNAO<> 数学 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>AA<>2012/07/01(日) 15:13:59.09 ID:IzSld0v60<> 上条の方が病んでる <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 15:15:39.06 ID:UUW+sW/G0<>
体育の授業が終わり、着替え、再び教室の席に着いて五分。
数学の授業が始まって、二十分経過。
そんな現在、上条は頭を抱えていた。
今日は珍しく板書内容をノートに移すスタイルではなく、プリントをこなしていき、提出したらそれで自習(という名の自由時間)という何とも嬉しいプログラム構成だったのだが。

上条(さっぱり分からない…)

せめて仲間意識を作ろうと横を見やれば、青髪ピアスは既に気力なく、教師にバレないよう携帯電話をいじっており、土御門はのんびりと問題を解いていく。
悪い意味合いでの期待と共にフィアンマへ視線を向けると、既にやり終わっていたらしく、頬杖をついたフィアンマと目が合った。

フィアンマ「ん?」

上条「…何で分かるんだ?」

フィアンマ「俺様を誰だと思っているんだ?」

がくり、と項垂れる上条の様子に意味が分からないと言いた気な表情を浮かべるフィアンマは、上条の手元を見やり、横から公式だけを書きこんでやる。

上条「…ごめん」

フィアンマ「公式さえ分かれば解けるだろう」

もしかしなくても自分の恋人は完璧なんじゃなかろうか、と落ち込みながら、フィアンマの記してくれた公式を元に、上条は解答を導き出している。
どうにか終わった頃チャイムが鳴ってしまったため、結局のところ、上条に自由時間など存在しなかった。




残りは四時間目と五時間目。
その間にお昼休みが入るので、上条とフィアンマとは弁当を取り出していたの、だが。

女子生徒2「一緒にご飯食べましょうよ!」

男子「一緒に飯食おうぜ」

フィアンマは数人に囲まれていた。
どことなく困惑した様子に見える。
こういった『慣れ合い』にフィアンマはあまり親しみが無い。
上条は人の輪に近付き、少し悩んだ後こう言った。

上条「>>750」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 15:25:26.98 ID:civHZAze0<> 俺も一緒にいいかな?(しれっとフィアンマの横に座って他の人を横に座らせない) <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 15:43:06.85 ID:UUW+sW/G0<>
上条「俺も一緒にいいかな?」

言うが早いか、フィアンマの隣へ滑り込むようにして座り、にこやかに言う上条。
フィアンマとしては上条が隣に座る分には構わず、ただ首を傾げて流れに沿うままだ。
男子生徒は僅かに悔しそうな表情を浮かべながらフィアンマの向かい、つまりは前の席を使って座り、女子生徒は残念そうな表情で男子生徒の隣に座る。
にこやかな割に上条が放つ雰囲気はどこか仰々しいというか神々しいというか、得体のしれない恐ろしさを含んでいる。
夫婦は共に暮らすと似ると言われるが、フィアンマと上条も段々似てきたのかもしれない。
義手で食べる事に慣れたのか、フィアンマは困る事無く一定のスピードで食事を始める。
女子生徒の方は上条にも好意を抱いているのか、のんびりと話しかけるのだが、男子生徒はフィアンマの方しか見ていない。
上条はどうにか女子生徒と会話をする事で気を紛らわそうとするも中々うまくいかず。

フィアンマ(…女と楽しそうに話しやがって)

上条(フィアンマに気易く話しかけてんじゃねえよ…)

互いに顔には出していないものの、どこか病んだ執着の入り混じる愛情を向けている当人同士としては、互いに嫉妬から派生した怒りを感じる。
しかしそれを態度には出さずに食事を続け、どうにか事件は起きないまま、昼休みは終わった。




四時間目の内容(科目名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 15:49:02.30 ID:7049yVjGo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 15:54:32.96 ID:civHZAze0<> 能力開発

フィアンマ&上条は免除

教師は小萌 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 16:07:30.76 ID:UUW+sW/G0<>
四時間目の内容は能力開発。
今日は主に薬物投与と電極を使用するらしい。
といってもフィアンマと上条は(能力に関する勉強という意味合いでの能力開発は須らく)免除の為、かといって教室に居れば確実に非難されそうなためにカモフラージュの意味で保健室へと来ていた。
小萌は非常に残念そうな顔をしていたものの、事情があるのならば仕方が無いと二人を見送って。
保健の先生は事情を知っているのか、のんびりと出迎える。
ついでにいえばフィアンマが身体が弱いと信じているらしく、それを支える上条含め、とても優し気だ。

保健教師「クッキー食べる? 紅茶も飲んでいいよ」

フィアンマ「頂きます。ありがとうございます」

上条「すみません…」

保健教師「良いの良いの、ウチって健康優良児ばっかりでしょう? 暇なのよ」

ポットのお湯で淹れてもらったレモンティーを啜り、バタークッキーを食べ、上条とフィアンマは暇を持て余す。
途中保健教師は何事か用事を思い出したのか、上条に鍵を預け、施錠して出て行った。
不用心だな、と二人して思うものの、そもそも医療道具を盗んで得になる人間も居ないだろう。

フィアンマ「暇だな」

上条「だよな…まだ三十分もある」

時計を見やれば、教室に戻れる時間にはまだほど遠く。
二人きりで居るという状況は落ち着くものの、消毒液の臭い漂う保健室ではあまりロマンは無い。






上条はどうする?>>+2 <> 名無しNIPPER<>sage<>2012/07/01(日) 16:21:16.28 ID:4fRVTmNAO<> しりとり <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 16:26:49.87 ID:sSO2n9DSO<> フィアンマに学校の感想を聞く <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 16:36:58.03 ID:UUW+sW/G0<>
上条「…今日、まだ五時間目は残ってるけど…一日過ごしてみて、学校、どうだ?」

フィアンマ「どう、というのは?」

上条「いやほら、楽しいとか、さ。行った事、無かったんだろ?」

フィアンマ「…そうだな。子供の情操教育には良い環境なんじゃないか? 他者との共同生活を知る機会を充分に提供してくれているしな」

他人事のような煮え切らない解答。
含みを持たせるでも、かといって言い切るでもない常のフィアンマらしくない言い方に首を傾げ、上条は細かく突っ込む形で問う。

上条「…楽しかったのか?」

フィアンマ「…悪くは無い。…ただ、それと同時に不快な事も多い」

呟き、紅茶を飲み終わったフィアンマは、上条の手を握る。
此処には二人以外誰も居ない。邪魔する者も、冷めた視線を向ける者も。
上条はそっとフィアンマの手を握り返し、聞き返した。

上条「…不快?」

フィアンマ「他人と強制的にでも関わらなければならんだろう。…お前が他人と話しているのは不快だ」

上条「…そっか。…後者は俺もだけどさ」

しかし、ある程度嫌な思いをしなければ人間は成長しないもの。
上条は苦笑しながらフィアンマを諭し、握った手、指を絡ませる。

フィアンマ「卒業までこの学校に居るつもりか? というよりも、学園都市に、というべきか」

上条「んー…>>759」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 16:48:31.07 ID:RZqAlYer0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 16:48:48.98 ID:2RvwYwcH0<> なんだかんだでここが住みやすいからなぁ…

なるべくなら卒業してもここにいたいとおもってる <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 17:00:42.77 ID:UUW+sW/G0<>
上条「んー…なんだかんだでここが住みやすいからなぁ…」

フィアンマ「そうか」

上条「なるべくなら、卒業してもここに居たいと思ってる。学園都市で有用な職業に就かないと追い出されるだろうけど」

フィアンマ「定住するのか?」

上条「そのつもり、…何か心配な事でもあんのか?」

フィアンマ「お前も俺様も見目が老けんぞ。妙だろう。自分と同い年だった人間が三十年後、まったく同じ姿だったら」

上条「……」

上条は黙って未来を予想する。
たとえば、教師になったとして。
フィアンマを家に待たせる形で日々を過ごす。これはおかしくない。
でも、それが何日、何カ月、何年、何十年と続いて。
きっと自分はフィアンマと同じような見目(十代か二十代かは分かりづらい青年期の若い姿)で成長も老化もしなくなるのだろう、と思う。
確かに、常識的に考えれば変だ。
若く見える見えないの問題ではないだろう。三十代までは何とかそれで通用するかもしれないが、それ以降は厳しい。
化け物と罵られるだけならばまだマシだが、研究室に捕らえられて解剖される羽目になどなればたまったものではない。
ましてここは学園都市。研究及び発展の為なら悪事の一つや二つ、もみ消されるのだろう。
実際、もみ消す力のある事を、上条はこれまでの生活の中で知り得ている。

フィアンマ「…まぁ、お前がどうしてもと言うのならば止めはせんが。永住出来るとは考えない事だ。学園都市のみではなく、どこの地においても…事情を受け入れがたい、或いは興味や好奇の対象とする人間は必ず居る。定住は勧められん」

上条が『この身体』になる前からずっとずっとそうして不安定に生きてきたフィアンマの言葉には経験が下地になっている分、重く響く。

上条「…でも、とりあえず、二十代後半位までは通るだろ。それまでは、居られたら…良いな、と思ってる」

フィアンマ「…お前の好きにしろ」

ぎゅ、と一度強く握り、握る力を弱めて、フィアンマはそう言うと時計を見遣った。
まだ、もう少しだけ時間が余っている。







五時間目の内容(科目名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 17:02:50.62 ID:7Y4jXCX7o<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 17:07:22.04 ID:oTrYKE5q0<> オカルト2 250年法について <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 17:15:38.93 ID:UUW+sW/G0<>
保健室で時間を潰し、教室に戻ってきた上条とフィアンマは席に着く。
クラスメートの言葉を適当に受け流し、時々土御門に援護を受ける事でどうにか誤魔化しきれた。
五時間目の内容は、250年法についてのオカルト的解釈。
今日は特別授業が多いな、とクラスがざわめく中やってきたのは真面目そうな一人の青年だった。

上条「…知り合い?」

フィアンマ「…いや、知らんな」

上条「そっか」

どことなく魔術師の匂いを嗅ぎ取った上条だが、特に敵対される事も無く。
オカルトが絡んでいて詳しい為かやはりフィアンマはつまらなそうに、そして少し眠そうに授業を受け、どことなくダレた雰囲気で授業は終了した。
短いHRを挟み、諸連絡を終えた後、解散という流れになるのは学校生活の常だ。
再編入した上条やフィアンマに補習は無く、予定も無い為すんなりと帰れるのだが。

男子2「なぁ上条、今日暇だろ? ゲーセン行こうぜ」

男子3「久々に会ったしさ」

帰る支度を済ませた上条に声が掛かる。
フィアンマは帰り仕度を済ませ、どうするのかとばかりにちらりと視線を寄越す。

上条「>>765」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 17:21:26.74 ID:7Y4jXCX7o<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 17:25:34.20 ID:+xE3hJrJ0<> ミハイルも一緒でいいなら <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 17:30:57.36 ID:UUW+sW/G0<>
上条「ミハイルも一緒でいいなら」

男子2「別にいいぜ」

男子3「何か世の中知らない雰囲気するしな、ゲーセンの面白さ教えてやろうぜ」

世の中を知らないというのは間違っていないかもしれない、鋭い、と上条は思う。
何故俺様を巻き込む、と言わんばかりの表情を一瞬浮かべたフィアンマに苦笑しながら、どうにか提案が通った上条は一安心しつつフィアンマを手招く。
手招かれるままに鞄を持ったまま近づいてきたフィアンマを見、上条はのんびりとゲームセンターについて説明する。
よくわかっていないながらもフィアンマの了解を得られた為、四人で近場のゲーセンへ向かう事にした。



上条「何か懐かしい」

男子2「お前何処行ってたの?」

上条「内緒です。何やるかなー」

男子3「何か興味あるやつあるか?」

フィアンマ「そもそもよく分からないというか…」

同級生に対してどのような口調で接するか悩んでいるらしいフィアンマはいつになく口ごもりがちだ。
上条はそんなフィアンマの様子を見、何か一つやらせてみれば楽しさが分かるだろうか、と考える。





ゲーセン内のゲーム、何をする?(orフィアンマにやらせる?)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 17:39:31.33 ID:mXT6yykO0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 17:39:51.73 ID:E4EDYFNK0<> UFOキャッチャーとガンシューティング <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 17:55:26.00 ID:UUW+sW/G0<>
まずは手本を見せよう、と考える上条は、フィアンマに希望を聞く事にした。
どうせクレーンゲームに挑戦するならば、欲しい物に挑戦したい。

上条「フ…ミハイル、何か欲しいの無いか?」

フィアンマ「景品の中で、か?」

上条「そうそう」

周囲には女の子が好むような可愛らしいぬいぐるみ、趣味を疑うセンスの悪いストラップ、お菓子の大袋や、ゲームセンター限定のアニメキャラフィギュア等、様々なものが入っている台がある。
男子生徒二名もどちらかといえばゲーセンよりフィアンマの反応を(馬鹿にする意味では無く見守って)楽しむ事に決めたのか、のんびりとした態度を取っている。
フィアンマはしばらく辺りを見回した後、チョコプレッツェルの、緑の箱が目につく台を指差した。
上条は既に両替を終えている為、百円玉を数枚投入してボタンを押す。
まずは横に移動するボタン。押しこむ。指を離す。位置は、悪く無い。
次に縦に移動するボタン。押しこむ。指を離す。位置は悪く無い。
ゆっくりと下がっていったクレーンはやがて緑の箱の端っこに引っかかり、少しだけ揺らして緩やかに元の場所へと戻っていった。
残念そうに項垂れる上条。フィアンマは操作方法を理解したのか、原理を解析しつつ上条のプレイ風景を見ている。

結局最終的に男子生徒の内一人が取ってあげたので、上条はしばらく落ち込むのだった。



落ち込んだ気分を暴力的に晴らすべく、ガンシューティングゲームをやる事にした。

上条「今回の上条さんはちょいとバイオレンスですよ…!」

男子3「頑張れー」

男子2「兄貴に良いとこ見せろー」

やる気の少なめな応援に何とも言えない気分で脱力しつつ、フィアンマに操作方法を軽く説明した後、上条はゲームの開始ボタンを押した。
今回選んだものはゾンビとの戦いがテーマとなっている。
最初こそリロードの仕方に手間取ったものの、もうモノにしたのか、フィアンマは黙々と敵を打ち倒していく。
上条はというと、運悪く敵方の投げた爆弾が当たってはゲームオーバー。

上条「こうなるのは分かってましたけどね! 不幸だーっ!」

男子2「いつも通りだな」

男子3「いつも通りだわ」

フィアンマ「動きに無駄が多いだけだと思うんだが」

上条「俺はそんなにスマートに動けないんだよ…」

ガンシューティングを終えたが、帰るにはまだ早い。
フィアンマはある程度楽しみを感じられたのか、興味深そうに辺りを見回している。






ゲーセン内のゲーム、何をする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 17:58:45.01 ID:sSO2n9DSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 18:16:38.29 ID:oTrYKE5q0<> 格ゲー <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 19:16:15.54 ID:8MSVSUAr0<>
上条「よし、次は格ゲーやろうぜ!」

男子2「おー、久々にいいかもな」

男子3「ミハイルは格ゲーの経験…無いよな。ちょっと練習してからやるか?」

フィアンマ「…? あぁ」

カクゲーとは何だろう、と首を傾げるフィアンマを連れ行く形で格闘ゲームの並ぶコーナーへやってきた四人。
格闘ゲームにも色々とコンセプトやストーリーがある中、男女入り混じるゲームを選択する事にした。
ちなみにこのゲームはタッグが組める為、上条とフィアンマ対男子生徒二人で対戦する事になる。
フィアンマが操作に慣れるまで少し待ち、トレーニングモードが練習してから対戦開始。

男子2「また魔法かよ! ダメだってうぉわ!」

フィアンマ「コマンドさえ暗記してしまえば難解ではないな」

フィアンマが選択したのは数多あるキャラクターの中でもどじっこ的な魔女っ娘キャラなのだが、戦い方に容赦が無い。
完全なガードと投げ抜け、空中に打ち上げてからの魔法追撃。
魔力ゲージを消費する事で瞬間移動を効果的に使っては遠距離から攻撃。
実にえげつないやり口で勝利したフィアンマは、にこ、と笑顔で上条を見上げた。
実戦でもゲームでも容赦の無いフィアンマに、上条はぎこちない笑顔を浮かべるしかなかったのであるが。
上条はしばらく善戦をしていたもののガードクラッシュして以降叩きこまれ、完敗。
結果としては引き分けの為、何かを奢る事は無かった。




男子2「じゃあまた明日な」

男子3「気ぃつけてなー」

上条「あぁ、また明日ー」

フィアンマ「…、」

完全下校時刻が近付いてきたため二人と別れ、上条とフィアンマはスーパーへと来ていた。
言うまでもなく買い出しの為である。

上条「何か食べたいものあるか?」

フィアンマ「>>774が食べたい」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 19:17:39.06 ID:crNVjNymo<> お前 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 19:18:40.96 ID:sSO2n9DSO<> いつぞやのまんかんぜんせき <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 19:18:44.80 ID:GwE9vR0f0<> 約束していたオムライスが食べたい <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 19:31:45.68 ID:8MSVSUAr0<>
フィアンマ「いつぞやの満漢全席が食べたい」

上条「今度は俺に作れって事か…あんまり量作れる自信無いけど、いいか?」

フィアンマ「構わん。ひとまず中華が食べたい」

冷凍のむき海老や青梗菜をカゴに入れつつ、フィアンマはのんびりと言う。
上条は抱きしめたくなったもののどうにか我慢して、カゴに材料を入れ、会計を済ませる。
そしてどっさりと重い袋を両手に持った。

フィアンマ「…大丈夫なのか? 腕の筋肉がひきつっているように見えるが」

上条「い、いいんだ…フィ、アンマに…持たせる訳にはいかないし、な」

フィアンマ「すまんな」

軽い物が入った袋を左手に持つフィアンマとゆっくり会話しながら家に着く。
幸せだな、と上条は思った。
好きな人間が隣に居て、一緒に会話が出来て、暮らせて。
フィアンマを遠ざけるチャンスなら何度もあったのかもしれないが、それでも他人を切り捨ててフィアンマを選んできてよかった、と上条は思う。
なあなあで済ませていたら、こういった至福を感じる事は無いだろう。

上条「今から作るから待っててくれ」

フィアンマ「分かった」

台所に立ち、早速調理にとりかかる上条の後ろ姿を見やり、フィアンマはベッドに座る。
二人で並んで眠る事も、一緒に食事を摂ることも、随分と慣れてしまった。
今上条を喪ったらそれこそ(肉体は死なずとも)心が死んでしまうだろう、とフィアンマは思う。
これが弱味を持ったということなのか、むしろ大切なものを持てたという強みなのかは、分からないが。

フィアンマ(…暇だ)






フィアンマはどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 19:34:18.33 ID:R+G7qWsM0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 19:34:28.55 ID:oTrYKE5q0<> ベッドの下をあさる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 19:36:44.09 ID:sSO2n9DSO<> 上条さん聖人並の防御力はあっても身体能力的には普通なのかね? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 20:27:12.48 ID:1enSDGAR0<> 《>>779様 普通です。術式を組みでもしない限り特別走る速さが上がったりはしませんが、『前兆の予知』能力が更に上がっている可能性はあります。加えて言うと上がったのは防御力というよりも耐久力です》



そういえば男性はベッドの下に見られたくないものを隠す傾向にあるのだったか、と思い出したフィアンマはおもむろにベッドの下を漁る。
捨てる気分で上条が以前置いていった、所謂18禁の本を発見し、ベッドの上に引っ張り上げると、フィアンマは暇そうに眺め始めた。

上条「はい出来ましたよー、って、ぅえ!?」

フィアンマ「早過ぎるな。この調理時間では満漢全席というより中華料理フルコース程度の量といったところか」

上条「ッ…違うからな、これはフィアンマと出会う前の物でッ!」

フィアンマ「一般人ならともかく、こういった雑誌で興奮する分にはいたしかたないと思っているからな、特別な弁解は必要ない」

自分が以前お世話になっていた18禁の本を興味深そうに眺める恋人の姿、というのは悪い意味で刺激的なもので。
がくりと項垂れながら本を片付けるように言い、元気なく上条は料理の数々を配膳するのだった。



フィアンマ「美味だったぞ」

上条「ん、そっか」

食事を終え、シャワーを浴び、ベッド上にうつ伏せに横たわった上条の上へうつ伏せに横たわったフィアンマの言葉に対して相槌を打ち、落ち込む上条。

フィアンマ「何をそんなに落ち込んでいるんだ。俺様は気にしていないと言っただろうに」

上条「俺は気にするんだよ」

フィアンマ「?」

上条「>>782」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 20:41:54.74 ID:pM6F6BMK0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 20:42:41.35 ID:ZKsQXiu50<> 俺の性癖がバレるだろorz <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 21:04:24.76 ID:1enSDGAR0<>
上条「俺の性癖がバレるだろ」

いたく落ち込み続け、深くため息を漏らす上条の様子を眺め、つんつんと頬を突っつきながらフィアンマは首を傾げる。

フィアンマ「性行為をしておいて、性癖がバレるも何もあるものか」

上条「女の子が性行為しておいてとか言うんじゃありません!」

フィアンマ「男女差別はいかんと思うぞ」

上条「そういう事じゃ…うぅ…」

恥ずかしいやら気まずいやら辛いやらでもごつく上条の首筋に舌を這わせ、フィアンマはややつまらなそうな声で言う。

フィアンマ「それにしても冊数が少ないな。学生だからか」

上条「お前は男に対してどんなイメージ持ってるんだよ」

フィアンマ「騎士か聖職者か娼館のオーナー、それに通う客の男しか知らんからな」

上条「人生経験に対してあんまり人と触れ合ってないのか…」

フィアンマ「長く付き合えば化け物呼ばわりされるからな」

上条「これからは呼ばせない」

フィアンマ「頼もしい事だ。なら、俺様を傷つける人間全てを生命ごと駆逐するとでも言うつもりか? その力で」

試すかのような発言にしばし閉口し、腕を伸ばしてフィアンマの髪を数回撫でた後、上条は言う。


上条「>>785」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 21:06:48.18 ID:jEmd+8d20<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 21:07:14.89 ID:jEmd+8d20<> やろうと思えばできるかもしれないが そんなことはしないしさせない ただ本当に命がやばくなった時は容赦はしないつもりだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 21:09:00.28 ID:sSO2n9DSO<> 今まで昏倒させるくらい殴る事はあっても命までは奪わなかった上条さんが…結局ころしちゃうのねWWW <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2012/07/01(日) 21:09:03.26 ID:NaidiuDq0<> もっと撫でてくださいお願いします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 21:12:30.50 ID:jEmd+8d20<> 若干病んでるしな <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 21:18:01.06 ID:1enSDGAR0<>
上条「やろうと思えば出来るかもしれないが、そんなことはしないし…させない。…ただ、本当に命がやばくなった時は、容赦はしないつもりだ」

フィアンマ「…ふん、俺様を批判していた頃と、変わったな」

上条「…フィアンマが言う通り、…俺のやり方も、フィアンマのやり方も、変わりなかったんだろうな。俺が動いた事で、救った事で傷ついた人も沢山居るし、苦しめられた人も居る。俺はただそれから目を背けて、ずっと正当化してきた。『ヒーロー』なんて呼ばれて当たり前だよな。一見可哀想な方を救って、もう片方の気持ちなんて、ロクに考えた事も無かった。俺が殴った事で、長年かけて積み上げてきた努力が壊された人も居る。分かってて、俺はそれを認めるのが怖かったから、目を逸らした。だから、フィアンマに言われた時、ショックを受けたのかもしれない。インデックスを傷つけているかどうか、そんなのは、こんなエゴまみれの男じゃなくて、インデックス自身が決める事で、要するに、俺は"偶々"善人だと思われてるだけだ」

フィアンマ「ただし、お前は俺様と違って他人の為に動くだろう」

上条「……、…それだって、純粋にソイツを助けたかったかって聞かれると、難しいなって、思う。俺がそう思い込みたいだけで、本当は自分の周りに不幸な人間が居るのが我慢ならなかっただけかもしれない。俺はさ、きっと臆病なんだ。自分が思ってるよりずっと臆病で、怖がりで。ヒーローって呼ばれる度に、そうやって頼られる度に、そしてその度に動く自分に怖さを感じてた。断れないんだ。理屈を抜きにして、助けに行かないとって、思っちまう」

フィアンマ「病的だな」

上条「そう思うだろ。…でも、あの頃の俺はきっと、病的だなんて思ってなかったんだ。それこそが俺の本質だって思ってた」

身体を作り替えた『あの日』。
上条は一度自殺した。
そして同時に、一人の人間を刺殺した。
誰に告げても理解されない場所で、どう殺しても完全犯罪の成立する場所で。

上条「一人殺した時点で、もう後戻りなんて出来ないんだよ」

フィアンマ「…お前は殺人等犯していないだろう」

上条「いや、…一人だけ、殺したんだ」

フィアンマ「…後悔しているのか?」

上条「>>790」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 21:19:53.74 ID:jEmd+8d20<> いいや…後悔なんてしていない…しちゃいけないんだ
あいつに失礼だからな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 21:20:10.56 ID:sSO2n9DSO<> 正直に言えば。でも、俺達はもう選んじまったからな <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 21:32:07.61 ID:1enSDGAR0<>
上条「いいや…後悔なんてしていない…しちゃいけないんだ。『あいつ』に失礼だからな」

フィアンマ「…選択した以上後戻りなど、どちらにせよ出来ないのだから、後悔しても無駄なのだが」

上条「ん。…だから、ありがちな言葉だけど…俺は、殺したそいつの分まで苦しんででも生きる。勿論、フィアンマと一緒にさ」

上条の上から退き、隣に横たわったフィアンマは、上条を抱きしめる。

フィアンマ「…俺様は他人の人生を奪い過ぎているな」

昨日と同じ文句をぼやき、フィアンマは上条を強く抱きしめた。
上条はその力に応える様に、同じく強く抱きしめ返す。

上条「俺も、きっとフィアンマと同じように人の人生を奪ってきたんだ」


ヒーロー
英雄とは、味方の為に、大勢の為に敵を多数犠牲にした人間を指す。上条当麻はそれに当たる人間だ。
それでも仕方がない、と上条は思う。
割り切っている訳ではない。申し訳無いと思う気持ちが無い訳でもない。
だからといって、生きている事くらいしか贖罪になりえないのだ。
だって、自分が仕出かした事によるその後の他人の苦しみは、謝ったって金を積んだって取り消しになるものではない。

フィアンマ「俺様のせいにしても良いんだぞ? お前は『狂わされた』側の人間なのだから」

上条「どうかな。狂わされたのと同じ分、もしくはそれ以上に狂わせてきたんだと思うし、俺だけ被害者面なんて出来ない」

フィアンマ「そうか」

元々、どこか似ている部分の多い二人だ。
違いは、狂いや歪みが生じているかしていないか、それ位なもので。

上条「…やたら後悔してるかどうか聞くのは、フィアンマが後悔してるからじゃない、のか?」

フィアンマ「後悔等するものか。何もかも焼き払い、切り捨て、殺し、お前をだけを求めたのだから」

上条「そっか。…俺も、後悔はしてない。後ろ指指されたって構わない」

それが俺の生き方なのだから、とぼやいて、上条は目を閉じる。
外は雨が降り始めていた。
しとしと、という水の音が妙に耳につく。

フィアンマ「…考えるな。忘れろ。明日の朝になれば、それなりに頭から考えは飛んでいる」

上条「…おやすみ」

フィアンマ「…、…おやすみ」











翌日、元気よく学校へ来た上条とフィアンマは席に着き、寒さに脱力していた。

フィアンマ「何か身体が温まる方法を考えろ。魔術は使いたくない」

上条「うー…>>794なんてどうだ?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 21:39:04.62 ID:dawrRSGq0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 21:39:31.89 ID:dawrRSGq0<> 俺に抱きつけば? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 21:47:54.62 ID:1enSDGAR0<>
上条「うー…あれなんてどうだ?」

フィアンマ「あれ?」

上条「俺に抱きつけば?」

フィアンマ「良いのか?」

上条「寒いからって事でスキンシップだと思われるって、もし見られても」

元来体温が低いのか、ふるふると小さく震えながら上条にくっつき、抱きつくフィアンマ。
髪からどことなく香る甘い良い匂いに反応しないよう我慢している内に、むしろその反応こそが上条の身体を温める。

フィアンマ「風邪を引かなければ、良いのだが」

上条「温度差おかしいよな、真冬とはいっても」

上条はフィアンマを抱き寄せる形で、フィアンマは上条に強く抱きつく形で互いに暖をとりながら、二人揃って深いため息を吐き出す。
あくまで寿命が長い事、幾つか人間離れしている以外は、割と普通の身体をしている二人。
当然の事ながらインフルエンザが流行してしまえばかかってしまうし、風邪だって引けば肺炎まで発展したりもする。
ただ、死ぬ思いをするというだけで死に至る事は無い。
どんな病気にかかっても死なない、死ねないというのも、なかなかに辛いものだ。

フィアンマ「…椅子は、よく燃えるだろうな。何しろ木で作られているのだから、良い薪になりそうだ」

上条「ダメだからな、それはダメだって」

結局小萌が教室に来てストーブを点けてくれるまで、二人は離れずに居たのだった。







一時間目の内容(科目名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 21:49:04.96 ID:sSO2n9DSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 21:50:28.24 ID:/Bu4oMPt0<> 英語 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 22:05:32.52 ID:1enSDGAR0<>
一時間目の授業内容は英語。
英語の教科書通りに読み進め、リスニングを行い、プリントに活用形を書き込む、という割と簡単な内容なのだが。

上条「…あ…てぃす…?」

土御門「カミやんはやっぱりカミやんだにゃー」

青ピ「安心するわぁ」

上条「だ、黙らっしゃい! …う…でぃす…と…」

格好悪い、という自覚はありつつも、読めないものは仕方が無く。
噛み噛みに英文を読む残念な様子を眺め、フィアンマは楽しそうに笑った。
地獄の読み上げ指名タイムを終え、ぐったりと疲れながら座席に座る上条に、フィアンマはのんびりと提案した。
悪気しかないと思われる一言だった。

フィアンマ「家に帰ったら一日英語で話すか? 身に着くかもしれんぞ」

上条「別に良いです、お気づかい無くっ」

フィアンマ「安心しろ、俺様も英語はそんなに得意な方じゃない」

上条「嘘吐け」

フィアンマ「砕けた話し方が出来ん」

上条「上条さんの中で英語は英語で、砕けた話し方も形式ばった話し方もないんだよ…」

がくり、とより一層肩を落とす上条の様子を見つめて、フィアンマは笑む。
これはこれでコミュニケーションなんだろう、と思う事で、上条は納得する事にした。





二時間目の内容(科目名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 22:06:57.36 ID:/Bu4oMPt0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 22:07:26.92 ID:/Bu4oMPt0<> 保健 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/07/01(日) 22:22:56.50 ID:NaidiuDq0<> 体育 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 23:43:21.85 ID:s1qnV6wAO<>
二時間目の内容は保健。本日の内容はいたってありがちな『怪我人の手当て』について。
何度も病院にお世話になり過ぎている上条としてはよく心得ている内容であり勉強する必要が無く、魔術で無理なく治癒する方を好むフィアンマとしては退屈この上無い内容だ。
よほど暇なのか、フィアンマはノートの端っこに落書きをしている。
何を描いているのかは読めない。
しばらく丁寧に書いた後、フィアンマは思い直したようにざかざかと消しゴムで消してしまったため、終ぞ上条はその筆記内容を知る事は叶わなかった。


三、四、五時間目と特に問題は無く一日の学業専念時間が終わり。
今日は誘いが無かった為フィアンマと上条はゆっくりと、自宅である学生寮に向かって歩いていた。




風邪を引いたのはどちら?


1.右方のフィアンマ

2.上条当麻


判定>>+1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 23:43:57.46 ID:sSO2n9DSO<> フィアンマ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/01(日) 23:51:49.49 ID:s1qnV6wAO<>
歩いていたのだが、段々とフィアンマの足取りだけが怪しくなってくる。 千鳥足、という訳ではなく、病人―――特に発熱症状を起こしている人間にありがちな顔色の悪さと、ふらつき。
上条はフィアンマを支えつつそっと問い掛ける。

上条「具合、悪いのか?」

フィアンマ「多少の頭痛と、…悪寒だけだ」

問題は無い、等と言うフィアンマの顔色は時間の経過につれ悪化していく。
どうにか自宅まで辿り着き、フィアンマの学ランの上着を脱がせてベッドに横たわらせながら、上条は慌てて押し入れから毛布を引っ張り出した。そして、毛布をそっと重ね、フィアンマの身体を温めるべく尽力する。
そんな必死な上条の様子を眺め、怠そうにフィアンマな目を細めた。

フィアンマ「たかが風邪だ、そんなに気負う事もあるまい…放っておいても治る」

上条「そういう問題じゃないんだよ。出来るだけ早く治って欲しいだろ。何か欲しい物、あるか?」

フィアンマ「…>>806が欲しい」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 23:53:15.11 ID:rO8/i3Ko0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/01(日) 23:53:50.51 ID:rO8/i3Ko0<> オムライス食いたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/01(日) 23:55:03.74 ID:sSO2n9DSO<> 体調悪いのにガッツリ食わす気かWWW <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>AA<>2012/07/01(日) 23:57:16.81 ID:IzSld0v60<> 俺もそうしたいんだが・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>AA<>2012/07/02(月) 00:01:12.19 ID:is29VsDO0<> 家族を守らなきゃいけない <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 00:07:00.38 ID:6RjaLWbAO<>
フィアンマ「…オムライスが欲しい。食べたい、」

上条「…消化に悪いぞ?」

フィアンマ「微熱だ、嘔吐はしない…一口、二口で良いんだ」

上条(『非常に残念且つ食べたいところだが、断っておこう。今解放したらお前は俺様の下から逃げてしまう』…って言われて、あの時は作れなかったもんな。俺も逃げる事しか考えて無かったけど…俺が逃げないって分かったから、強請ってるっていうのは…考え過ぎか)

コンソメスープを使ったお粥の様なオムライスならば食べられるだろう、と考えた上条は数回フィアンマの頭を撫で、離れてから台所に向かう。

一時間と経たずに部屋へと戻ってくると、上条は一口掬ってフィアンマの口元へと運んだ。
スープで米が柔らかくなっているからか、病人に優しいとは言えずとも、それなりに食べやすい。

上条「…『あの時』とは、何もかも正反対だな。オムライスの豪華さ含め」

フィアンマ「そう、だな」

余計な情報を付加せずとも、二人にはそのやり取りだけでわかる。
むしろ、二人にしか分からない。
ほんの少し泣きそうな顔をして、それから三口食した後、フィアンマは緩く首を横に振った。
もう満腹だ、という意思表示。

フィアンマ「…美味かった」

上条「…良かった」

上条は小さく笑み、皿を片付けた後、再びフィアンマの下に戻る。
やるべき事は残っていないため、思う存分看病出来るからだ。

上条「…何か、して欲しい事…ある、か?」

フィアンマ「>>812」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 00:08:09.40 ID:epA4/3sz0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 00:08:40.88 ID:XgLsPTUSO<> 一緒に寝てくり <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 00:08:59.53 ID:Urniug5z0<> 手を握って欲しい <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 00:15:48.31 ID:6RjaLWbAO<>
フィアンマ「一緒に…寝て、くれ。…風邪が感染る可能性は、大いにあるが…」

上条「その時はその時だろ。感染るならもう感染ってる」

フィアンマの要求に頷き、上条はベッドへそっと潜り込む。
上条にとって二枚重ねの毛布、そんなベッドの中は暑い位なものの、発熱に見舞われているフィアンマはむしろまだ寒い位なのに、悪寒により僅かに震えながら上条を抱きしめる。
上条はフィアンマの身体を温める様に抱きしめ返し、優しく頭を撫でた。いつもはさらさらとしている髪が、汗でどことなく濡れている。

上条「風邪引いたの、久しぶりなのか?」

フィアンマ「基本的に、他人とは会っていなかったから、な…何年ぶりか、数えるのも面倒だ」

どうしようもなく震える手で上条の服を握り抱きつき、小刻みに震えた呼気を吐き出しながら、極めて冷静に言葉を発するフィアンマは、やや無理をしているように窺える。

フィアンマ「…迷惑を…かけて、…すまんな」


上条「>>816」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 00:16:33.70 ID:epA4/3sz0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 00:19:09.30 ID:epA4/3sz0<> 大丈夫だから今は寝ろ…な? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/07/02(月) 05:50:24.57 ID:6RjaLWbAO<> >>814
×寒い位なのに
○寒い位なのか <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 07:08:07.64 ID:6RjaLWbAO<>
上条「大丈夫だから今は寝ろ…な?」

フィアンマ「…ん」

ただ寒いのとは訳が違う、対処出来ない悪寒に痙攣の様に身体を震わせつつも、フィアンマは目を閉じて眠ろうと努力する。
上条は、子供をあやすようにフィアンマの背中を緩やかな鼓動の様にぽむぽむと軽く叩いて寝かしつけようとした。

フィアンマ「…情けないな」

上条「何がだよ?」

フィアンマ「それが相手方の善意から発露しているにしても、面倒をかけている、という現状だ」

上条「別に、情けなくなんて無いだろ。一人だったら自力で何とかするのが当たり前だけど、恋人に頼って、病気の時に甘えて、何かダメなのか? …むしろ、恋人っていうより、俺としては夫扱いの方が嬉しいけど」

フィアンマ「…面倒、だろう」

上条「…俺が病気になったら、フィアンマは面倒だけど嫌々看病するのか?」

フィアンマ「いや、…面倒だとは思わんし、嫌々でもない」

上条「同じように、俺だってそんな風には思わない。嫌々でもないし。…ほら、寝ちまえって。病気の時は心細いから後ろ向きになるんだよ」

フィアンマの身体を抱きしめたまま背中をさすり、そう優しく諭した上で上条も目を閉じる。
フィアンマは一度小さく頷き、一時間程後にようやく眠りへと堕ちた。

上条(後ろ向きなのか前向きなのかよく分からないよな。前向きが一周して後ろ向きって感じ、なのか?)




上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 07:16:32.70 ID:kjwX/BDN0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 07:17:02.50 ID:kjwX/BDN0<> 寝る <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 07:35:01.26 ID:6RjaLWbAO<>

上条(俺も寝よう…浅く寝て、何かあったら起きれば良いよな)

目を閉じたままそう考え、上条はゆっくりと深呼吸した後、眠りに就く。ただ、隣で眠る彼女の体調が気掛かりなため、眠りは目論見通り浅く。

フィアンマ「…くれ」

上条「…ん」

隣から聞こえてきた呻き声の様な、寝言の意味合いを内に含む譫言を耳にして、上条は目を覚ました。
眠っていたのは正味三時間程だが、治りかけているのか悪化してしまったのか、フィアンマはその身に纏う服が濡れ透ける位に汗をかいている。
悪寒から熱へ意向したのか、毛布を邪魔そうに、無意識に腕で除ける。

フィアンマ「許して、くれ…」

上条「……、」

誰に謝っているのだろうか、と予想しながら、上条はフィアンマよりは体温の低い手で、フィアンマの頬にぺたりと触る。 体感的には冷たくて心地良いのか、猫が人の手に頭を押し付けるかのように、頬を押し付けてきた。
病気の時、特に熱を出している時は、体調の苦しさにつられて苦しい―――悪夢を見る場合が多々ある。

フィアンマ「…ゆるして、くれ…頼む、から…」

上条「……、…>>823」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 08:00:14.80 ID:Ms6+lezu0<> >>1おはようございます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 08:00:58.56 ID:Ms6+lezu0<> 大丈夫だ…大丈夫だよ、だから安心しろ… <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 09:03:43.68 ID:6RjaLWbAO<> 《>>822様 お早うございます》


上条「……、…大丈夫だ…大丈夫だよ、だから安心しろ…」

頬をしばらく触り、しっかりと抱きしめ直しながら出来る限り優しい声を、眠りの内へ届くようそっと囁き、上条はフィアンマの背中をさする。

フィアンマ「…俺様は、…もう…当麻、本人が…好き、なんだ…」

上条「……」

妹さんに謝罪をしているのだろうか、と上条は思う。
"『幻想殺し』を持っている(妹の生まれ変わりの可能性がある)人間"だから愛しているのではなく、"『幻想殺し』の有無すら関係無い上条当麻という一人の人間"として今は愛してくれているのなら上条にとっては嬉しいものの、フィアンマにとっては妹への裏切りに等しいのかもしれない。
『幻想殺し』は移動する能力のようなものだったが、上条の身体へ定着する事が成功した以上、『幻想殺し』のある事が妹の生まれ変わりだという確証には、最早成り得なかった。
悪い言い方をすれば、『加工』出来るものは絶対の証明にはならない。
それでも、上条と触れ合い、笑い合い、分かり合い、フィアンマ一個人として、上条当麻を好きになってしまった。

上条「…例え妹さんが蘇ったとしても、俺はフィアンマを渡さない」

低い声で宣言し、上条はフィアンマの首筋を撫でる。
上条当麻も、フィアンマを心から愛している。
愛とは、優しさと思いやりを伴った強い執着だ。


上条「絶対に渡さない」

再度言い、上条はフィアンマの身体を拭くなどの介抱を始めるのだった。 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 09:04:55.03 ID:6RjaLWbAO<>

翌日、フィアンマの熱は下がっておらず、無理をする必要性も無い為、今日は休む事にした。

フィアンマ「…お前は学校へ行け。昨日よりも症状は治まった、案ずる事は無い」

ぐらぐらとして重く、痛む頭で一語一語考えてははっきりと言葉を話して登校を促すフィアンマは少しでも元気に見せようとしているのか、無理やりに起き上がってベッドに座っている。
上条はフィアンマの向かい、同じくベッド上に座り、様子を眺めてから、自分はどうするのか…判断を下した。

上条「>>827」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 09:50:10.42 ID:rjcOiRuY0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 09:50:47.98 ID:rjcOiRuY0<> いいや、俺も学校やすんで看病するよ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 11:07:20.16 ID:6RjaLWbAO<>
上条「いいや、俺も学校休んで看病するよ」

フィアンマが反論しないよう有無を言わせぬ語調で言い切り、上条はフィアンマをベッドに寝かせながら担任へと電話をかける。
担任の月詠小萌は心から心配そうに了承し、何か困ったら個人的に連絡してくるよう言ってくれたため、上条は礼の言葉を述べて電話を切る。
ふと視線をやると、フィアンマはふてくされたような態度で毛布にくるまっていた。

上条「何拗ねてるんだよ」

フィアンマ「……大丈夫だと言っただろうに」


精神的には男性に近い事を考慮すれば、体調がやや良くなり思考の余裕が出来た今、(たとえ今更だとしても)格好つけたいのかもしれない、と上条は予想する。
仕方ないな、とため息をつき、敢えてそこには触れない事にした。

上条「…何か食べたいものあるか?」

フィアンマ「>>830」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 11:24:54.96 ID:WZor5TUa0<> ks <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 11:25:26.74 ID:WZor5TUa0<> 体力つけたいから肉 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 12:00:18.24 ID:6RjaLWbAO<>
フィアンマ「…体力をつけたい。だから、肉料理ならば何でも良い」

上条「そっか。ちょっと作ってくるから、待っててくれよ」

フィアンマから離れて台所に行き、五月蝿くしないよう気をつけながら、上条は調理を始める。
幾ら肉料理を所望されたといえど油っこい物はやめよう、と判断した上条は鶏肉を茹で、脂を抜いた上でお湯を捨て、再度お湯を沸かすと親子煮を作り始めた。

上条(あ、和食苦手かどうか聞いてなかったな…冷奴食える位だし、大丈夫だとは思うけど)

溶き卵を投入し、余熱でふんわりと仕上がるまで待った後、器によそって部屋へと持って行く。
眠気は無いのか、顔色は悪いながらも起きていたフィアンマは未だややふてくされた様相で上条の方へ身体を向ける。

フィアンマ「…もう出来たのか」

上条「単品だからな。あーん」

フィアンマ「…、ん」

お粥の様に蓮華へ救って口元に運ぶ。

上条「…大丈夫か?」

フィアンマ「…少なくとも、俺様の口には合う」

そう答えたフィアンマが完食するまで見届けた後、上条は食器を片付け、部屋に戻る。
フィアンマは体調の悪さ故に暇を潰す事も出来ず、ただ退屈を持て余しながら上条を見上げた。

フィアンマ「…暇だ」

上条「>>833」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 12:15:13.53 ID:90FFrQw40<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 12:15:42.85 ID:90FFrQw40<> じゃあ久々にクイズでもするか <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 13:46:54.99 ID:6RjaLWbAO<>
上条「じゃあ、久々にクイズでもするか」

フィアンマ「懐かしい、な」

けほ、と軽く咳をして、フィアンマは小さく笑い、上条の左足を見る。
そして上条の顔に視線を戻すと、静かに問い掛けた。

フィアンマ「…あの出来事が、夢で無かった事位、分かっているのだろう?」

上条「まぁ、な。…でも、今なら…あの時のフィアンマの気持ちが、少し、解らない訳でもないんだ」

あの時は完全に理解出来なかったが、と付け加えながら、上条はフィアンマの額に触れる。


上条「人を好きになるって、怖いな。だから、俺があの時フィアンマを怖いと感じたのは、フィアンマがそれだけ俺を好きだったから、なんだろうな」

フィアンマ「…理解してもらおうとは思っていなかったのだが」

上条「分かってる。ただ、フィアンマを好きになった今なら、手足切り落としてでも自分の傍に置きたいって気持ちが理解出来るようになったってだけだよ」

フィアンマ「そうか。…今回は俺様が出題する。何を、賭けようか」

フィアンマの額に触るのをやめ、傍らに座って見つめあいながら、上条は言葉を返す。

上条「>>836」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 13:53:57.31 ID:rzI8ur0O0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 13:54:56.93 ID:rzI8ur0O0<> 答えられなかったら休みの日にデートしてやるよ

答えられたらチューしてくれ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 14:07:34.71 ID:6RjaLWbAO<>
上条「答えられなかったら、休みの日にデートしてやるよ。答えられたら、チューしてくれ」

フィアンマ「どちらも捨て難いが、……どうせやるのならば、勝利したいものだ」

かつてとは何もかも正反対な、同じ題材のやり取りに笑って、フィアンマは毛布を自分の身体から剥いで丸め、抱きしめる。
そして少し考える素振りを見せた後、クイズを一問出した。

フィアンマ「ゼウスは、弱者の守護神、正義と慈悲の神、悪者を罰する神としてあらわされる…これは良い面だ。しかし、人間の様に、悪い面もある。…さて、その有名な悪い面とは、何だ?」

頭の中の知識を総浚いして、上条は答える。

上条「>>839」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 14:09:11.41 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 14:28:40.57 ID:IhTCFha00<> 浮気ばかりしていて なんとかバレないように
あらゆる手段を講じていた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 15:42:03.55 ID:XgLsPTUSO<> …そう、まるでどっかのウニ頭のひとみたいだな?ニヤリ






とかだったらおもろいのぬ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 18:43:22.34 ID:u27dffpF0<>
上条「浮気ばかりしていて、なんとかバレないように…あらゆる手段を講じていた」

フィアンマ「そうだな、解釈としてそれで正解だ。これで二勝二敗になった訳だ」

上条「引き分け、だな。でも、賭け自体には負けたんだから、約束は守ってもらうからな」

フィアンマ「今度こそ風邪が感染っても知らんぞ」

上条「別に良い。ほら、馬鹿って風邪引かないって言うし?」

フィアンマ「自虐的だな。あれの本来の意味は、あまりにも馬鹿なせいで風邪をひいている事に気付かないという意味だ」

上条「てっきり本当に引かない事が多いっていう統計の話かと…」

フィアンマ「この分では風邪は感染らなそうだ」

のろのろと起き上がるフィアンマを支える上条の髪をフィアンマの細い指先が撫で、そっと頬へと口づける。
僅かに不満そうな表情を浮かべる上条の様子に笑って、今度は唇を重ねた。
ぴちゃ、と水音が部屋に響き、甘いような酸っぱいような曖昧の唾液の味が、両者の間で交わされる。
風邪をひいていて本調子ではないからか、いつもの様な舌技を披露する体力の無いフィアンマの口内は、上条によって蹂躙されていく。
凌辱するかのようにやや乱暴に口内を舌でかき回され、息苦しさから、フィアンマは唇の隙間より甘い吐息と同時に喘ぎを漏らした。
呼吸がままならないのか、ベッドシーツを握って息を弾ませる。
そういえば相手は病人だと思いだした上条は唇を離し、フィアンマの身体を抱きしめながら、咳き込むその背中をさすった。

フィアンマ「、げほっ…ぅ」

上条「ごめんごめん…大丈夫か?」

フィアンマ「…問題は無い」

ぼんやりとした表情で上条に身体を預けながら、フィアンマは小さくため息のような吐息を零した。

フィアンマ「……『全能の神』のように振る舞ってくれるなよ」

上条「しねーよ」

きっぱりと言い切り、上条はフィアンマの髪と背中を撫でさする。

フィアンマ「…ふん。…どうしてもと言うのなら、止めはせんが。俺様は胸が無いからな」

上条「>>843」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 19:09:36.81 ID:gPWDTYVJ0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 19:10:16.02 ID:gPWDTYVJ0<> 上条さんは胸の有る無しはきにしませんよ〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 19:11:24.49 ID:gPWDTYVJ0<> フィアンマさんまさかどうしてもって言ったら
浮気許可ですか? <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 19:22:13.23 ID:u27dffpF0<>
上条「上条さんは胸の有る無しは気にしませんよ〜」

のんびりとした言葉にもいまいち信用がおけないのか、フィアンマは上条の髪を弄る。
くい、と馬の手綱でも引くような気軽さで引っ張りながらふてくされた態度を取るフィアンマに、上条は首を傾げた。

上条「…何だよ?」

フィアンマ「いや。…嘘を吐く位なら普通に話した方が良いぞ」

上条「嘘じゃないっての…というより、どうしてもって言ったら浮気許すのかよ?」

フィアンマ「相手さえ分かっていれば、な。あくまでお前の戻る場所は、相手は、俺様しか選べんぞ」

上条「…仮に、もしも、の話だけどさ。…浮気して、その女の子に俺の子供がデキちゃったら「非常に残念だが子供には犠牲になってもらう形で殺す」ですよね、そんな気してたもん上条さん」

髪の毛から手を離し、むに、と上条の頬を引っ張りながら、フィアンマは首を傾げる。
そして、悪意の無い、どこか優しげな笑みを浮かべた。

フィアンマ「赦してやるぞ。お前が俺様を傷つけた時、その傷が分かるよう、何処でも切ってみせる。お前の皮膚から四肢に至るまで、俺様の心に傷がついた分だけ」

上条「全然許してないだろ、それ」

フィアンマ「そう感じるか? ならば、しなければ良いというだけだ。ただ、どうしようもない嘘は吐くなよ。すぐにバレるのだからな」

自分から話を振っておいてそれか、と上条は思わないでもなかったが、フィアンマがもとより心配性な事は分かっている。
故に、何も言わない。心配しても無意味な事だと、じきに理解してくれるはずなのだから。
再び暇を持て余したフィアンマは上条に体重を(といっても軽いの重荷にならないのだが)かけてもたれたまま、だるそうに脱力した。

フィアンマ「…退屈だ」

上条「暇に弱いよな」

フィアンマ「長く生きていればこうもなるさ」





上条はどうする?>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 19:25:32.46 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 19:32:24.10 ID:tej2/9DU0<> なんかゲーム買ってくる <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 19:59:01.87 ID:u27dffpF0<>
上条「じゃあゲーム買ってくる。機械に慣れる練習にも良いだろうしさ」

フィアンマ「…ゲーム?」

上条「携帯用ゲーム。有名なのはPTPとか…だったかな。手軽に遊べる電子機器」

フィアンマ「そうか。行くのなら防御結界を張りたいのだが…気力が無い。代わりにやってもらっても良いか」

上条「あぁうん、ちょっと待ってくれ」

上条はフィアンマをベッドに寝かせて離れ、壁の端に鉛筆でかりかりと十字架に似た魔術記号を記すと防御結界を張った。
これは『全能の神』が浮気を妻から隠す為に行った努力―――ギリシア神話に感化されたローマ正教の『献身的な子羊を守り狼(異教徒)を拒絶する』術式。
その役割は排除。と同時に、術式にとっての神(術者)には、この結界を破壊された事が伝わる。フィアンマに危険が及べば上条がすぐさま気付けるという事。
並大抵の攻撃で神の加護を受けた教会が壊れてしまわないのと同じく、この効果はフィアンマを守る為のものだ。
体調が悪くなければフィアンマとてすぐさま対応するのだが、魔術を行使するにあたって『うっかり』『頭が回らなくて間違える』は致命的なのだ。
戦闘中に怪我をした、などの事情で無い限り、魔術は万全の状態で行使するのが最適である。

上条「じゃあ、行ってくるな」

フィアンマ「あぁ」

上条「すぐ帰ってくるから」

フィアンマ「ん」

毛布にくるまり、フィアンマが頷いたのを確認してから上条は外に出る。
鍵をかけて少し迷った結果、財布の中身を見、視認した後、電子機器一切を扱う大型電気店へ向かった。




上条(随分一杯あるな)

携帯用ゲームなど久しくやっていない上条としては、何かお勧めなのかさっぱりわからない。
どこを見ても人気作と評されてばかり。そもそも店側のPOP情報が正しいとも思えない。
暇を潰すのなら頭を使う系統の方が良いだろうか、と悩みながら、上条はゲームソフトの棚を眺める。





買うゲーム>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:02:49.23 ID:epA4/3sz0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:03:17.44 ID:epA4/3sz0<> ハードはPS3とPSP

ソフトは新作ディスガイアとコープスパーティーと桃鉄 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 20:09:38.75 ID:u27dffpF0<>
上条(ちょっと重いけど多めに買っていくか。入院しなきゃそんなに上条家も貧乏じゃありませんことよ)

そう心中でぼやきながら、上条は新作コーナーにあるものを幾つか手に取っていく。
もちろん、ソフトだけではプレイ出来る筈もないのでハードも、据え置きのもの一つとポータブルのものを二つ。
どっさりと重い紙袋に反してだいぶ軽くなってしまった財布に悲しみを覚えながらも、上条はゆっくりと家へ向かって歩く。
術式の破壊や損傷は感じられない。故に、フィアンマに危険は無いと考えられた。
誰も手伝ってくれるはずもないので、重さを耐え忍びながらてくてくと俯き気味に歩く上条の目の前に、不意に人影が差した。
フィアンマの看病という事で休んでいる人間がゲーム機を持っていれば、教師からの評価は良い子→身内をダシにしたサボりに変換されてしまう。
どうか教師じゃありませんように、と密かに祈りながら、上条は顔を上げた。







上条に用事がある人物>>+2


用事の内容>>+4 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 20:09:40.41 ID:XgLsPTUSO<> 何か連投多いなー…OKとは言え取り敢えずはkskに留めときなよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:18:23.74 ID:rjcOiRuY0<> 佐天 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:20:41.16 ID:rjcOiRuY0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 20:22:44.17 ID:XgLsPTUSO<> ごめんなさい上条さん死んで下さい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:26:22.04 ID:epA4/3sz0<> 佐天何があった! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:28:31.81 ID:epA4/3sz0<> わかった魔術師に操られてるんだ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 20:31:22.33 ID:XgLsPTUSO<> 実は佐天さんは某安価スレのサテンサン、暗部入りしてた



らいいのに <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 20:32:17.94 ID:u27dffpF0<>
顔を上げ、視界に捉えたのは涼やかな色合いの髪飾り。
それから、黒くて長い髪と、セーラー服。
正統派の着方をされているそれは、学生らしい清純さを醸し出している。
上条は少女に見覚えがあった。というよりも、あり過ぎる位だ。
のんびりと笑みを浮かべながら、上条は言葉をかける。

上条「あぁ、佐天ちゃんだよな。何か用か?」

佐天「ごめんなさい」

上条「?」

何か謝られるような事をしただろうか、と首を傾げ、上条は一時袋を地面に置く。
少女―――佐天涙子の顔色はどことなく悪く、何かに緊張しているかのようだ。

上条「調子悪そうだけど、どうかしたのか?」

俺で良ければ相談に―――等と言いかけて、上条は佐天の手の内にある物に気付いた。
物騒なものだ。サバイバルナイフだなんて。
キャンプ場でも無いこんなただの街中の人気の少ない道で、抜き身のナイフを持っているという事は、何かよからぬ事を考えているのだろう。
佐天はもう一度『ごめんなさい』と謝罪の言葉を口にした後、上条の目を見つめる。

佐天「上条さん…ごめんなさい。死んでください」

長らく(とはいえそんなに長い間でもないのだが)戦いから遠ざかっていた上条は耳を疑う。
魔術師や明らかな能力者ならばわかるが、自分が佐天に殺されなければならないいわれや因縁は無い。

上条「……、…理由は?」

佐天「>>861」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:32:36.92 ID:epA4/3sz0<> あの神佐天? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 20:33:27.78 ID:XgLsPTUSO<> ここまでに進化したあなたは私の計画にとっても邪魔者なんで♪ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:33:30.16 ID:epA4/3sz0<> 初春と春上さんを人質に……上条を殺せば解放するって… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:39:32.27 ID:epA4/3sz0<> 佐天さんがくろい… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 20:43:54.80 ID:XgLsPTUSO<> >>860yes <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:45:01.60 ID:epA4/3sz0<> 上条さんでも勝てないかもな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 20:50:34.37 ID:XgLsPTUSO<> チート過ぎなのはつまンねェンだよ。某安価スレのごとく。そろそろドラマ欲しいし。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 20:51:18.73 ID:epA4/3sz0<> 佐天さん不死身っぽいしな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 21:05:43.08 ID:XgLsPTUSO<> てかここまでの佐天さん押し…長屋、お前まさか日むr <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 21:07:28.83 ID:epA4/3sz0<> ちげーよwwwwww



  


設楽です  ってかこのやりとりなんかデジャヴ <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 21:13:06.77 ID:LlNBrHu/0<> 《>>859 ×明らかな能力者 ○明らかな恨みを持たれる筋合いのある能力者》


くす、と笑って、佐天は楽しそうに首を傾げる。
ただ、その笑顔は楽しげな様相を装っているというだけに過ぎず、どこか歪んだ―――そう、たとえば、怒りを無理矢理抑えこんでいる時のような笑顔。

佐天「ここまでに進化したあなたは私の計画にとっても邪魔者なんで♪」

語尾に音符でもつきそうな、軽い調子の言葉だった。
少女らしいといえばそうなのかもしれないが、得体のしれない威圧感を感じる。
上条はしばらく迷った後、その迷いを捨て、付近に数度落雷を落とした。
佐天を怯えさせるという役割もあったが、その実の目的は『人払い』。

上条「計画? もしかして、お前がアレイスターってヤツなのかよ」

佐天「>>872」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 21:27:24.41 ID:epA4/3sz0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 21:27:51.38 ID:epA4/3sz0<> 違うな こいつは私の気まぐれでたまたま捕まえた一時体を借りているだけだ 本当の私は別にいる ではな(佐天気を失う) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 21:31:18.57 ID:XgLsPTUSO<> ぷふぅっっ(笑)あんな三下と一緒にしないでくださいWWWWWW

言っておきますが、私、あなたよりも強いですよ?安心して下さい。術式壊すだけですから <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 21:32:14.27 ID:XgLsPTUSO<> にしようかと思ってたが長屋ァァァァ!!!!! <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 21:38:25.87 ID:LlNBrHu/0<>
佐天「違うな。…こいつは私の気まぐれで偶々捕まえた…一時身体を借りているだけだ。本当の私は別にいる。……ではな」

『人払い』の術式を構成するための魔術的記号を地面に刻み、一般人を遠ざけた上での問いかけにつまらなそうな表情を浮かべ、佐天はそう答えてその場にばたりと倒れる。
上条は特に悩みもせず佐天の身体を支えた。
完全に気を失っているのか、ぴくりとも動かない。
幸いにして脈拍は正常そのもので、生きてはいるようだ。

上条(『本当の私は別に居る』。…俺の質問に対してそう答えたんだから、アレイスターって事で合ってるんだろう。…俺一人で良かった)

ちらり、と先程地面に置いたゲーム等などを見遣る。
ホラーゲームやらアドベンチャーのソフト、据え置きのハード…それらもろもろが一つに入った紙袋は…不幸にも、落雷の影響を受けただの炭と化していた。一応中を覗いても見たが、真っ黒で。やはり、炭。
佐天が取り落としたナイフを拾い上げ、のろのろと警備員の居る詰め所へ向かいながら、上条は呟いた。

上条「…不幸だ」

自分の命を狙われた事ではなく、ゲームが自分の不手際で真っ黒になってしまった事に対してそのコメントが出るのだから、上条はやはりどこかおかしいのだろう。誰も気づかないし、気付けないのだが。
再度落雷を落とす事で魔術記号をぐしゃぐしゃに消し、只の焦げ跡とした後、佐天を『道端で倒れていたんです』と詰め所へ送り届け。
自宅に到着した上条は深く深く落ち込みながら結界用の魔術記号を消しゴムで消した。
フィアンマはだいぶ本調子らしく、立ちあがって上条の様子を窺ってくる。

フィアンマ「『ゲーム』とやらはどうした」

上条「色々あってお釈迦になりました。ご冥福をお祈りしてあげてください。上条さんの心もお陀仏です」

フィアンマ「意味が分からんな。先程落雷が不自然に数度見えたが、お前によるものか。襲撃にでも遭ったか?」

上条「……>>877」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 21:39:22.06 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 21:40:13.59 ID:epA4/3sz0<> アレイスターに会った <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 21:46:28.37 ID:LlNBrHu/0<>
上条「……アレイスターに会った」

フィアンマ「…そうか。…直接?」

上条「いや、…知り合いが、操られてた。計画の邪魔だから殺す、って、そう言われた」

フィアンマ「で、一応は逃げてきた形か」

上条「というより、あっちが操るのを解いたって感じかな。その子は警備員にお願いしてきたし、今頃目を覚ましてるんじゃないかと思う」

フィアンマ「その『身体』を計画に生かせず、むしろ危険視するものとして排除、か。…まぁ、気持ちは分からんでもないが」

上条「……約束通り、学園都市から逃げた方がよさそうだな。土御門も納得してくれるだろ」

フィアンマ「『安全が保障されている限り学園都市に居る。危険を感じたらすぐに出る』という約束だったからな。…だから、信じるなと言ったんだ」

上条「信じた事は後悔してない。あっちも、事情が変わったんだろ」

静かに話し、上条は結界の撤収作業を終え、ベッドに座る。
どこまで行けば逃げ切れるかは分からないが、少なくとも学園都市はアレイスターの手の内と言って間違いない。
この場合はどこかの魔術組織に属してしまった方が守ってもらえるのかもしれないが、フィアンマがお尋ね者である以上そういう訳にもいかない。
上条の実家に行く事は叶わない。微細ながらも身元をバラし、且つ拒否されてしまったのだから。
となれば国外逃亡しかないだろうか、と二人で考える。

上条「…>>880に行こう」

フィアンマ「…>>880?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 21:48:00.27 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 21:48:30.41 ID:XgLsPTUSO<> 窓の無いビル <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 21:48:33.05 ID:epA4/3sz0<> また、オッレルスの小屋 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 21:49:56.96 ID:epA4/3sz0<> アレイスターと戦闘なるか!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 21:52:11.71 ID:XgLsPTUSO<> もう逃げるより再起不能にしちまった方がいいだろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>saga sage<>2012/07/02(月) 21:53:14.56 ID:epA4/3sz0<> どうすれば殺せるかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 21:57:47.58 ID:XgLsPTUSO<> ぬっころすのはまずい。学園都市の表向きの意味、統括、その他政治的判断や抑止力として生かす必要はある <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 21:57:58.62 ID:LlNBrHu/0<>
上条「…窓の無いビルに行こう」

フィアンマ「…窓の無いビル?」

上条「都市伝説で、さ。全然マスコミにも姿を現さないウチの統括理事長は、窓の無いビルに居るんだって。不確かな情報だけど、信じてみる他無いだろ」

フィアンマ「…勝てると思っているのか?」

上条「分からない。勝率は多分低い。でも、いつまでも逃げてたってどうにもならない。なら、もうぶち壊し…いや、ぶち殺しちまった方が楽だろ、そんな幻想(しょうがい)は」

フィアンマ「………」

上条「相手はわざわざロシアの『ベツレヘムの星』まで来て、フィアンマの右腕を斬ったんだ。だったら、どこまでも追ってくる。そして俺を殺そうとする。加えて言えば、フィアンマも殺される羽目になる。俺は嫌だ、そんなのは」

フィアンマ「…逃げ回っていれば勝てる、という相手でも無いだろうしな。恐らく、ヤツは俺様や当麻のように少し特殊な体質か…まぁ、その類。だとすれば寿命も長い…殺されたと聞いていたが、生きていた位だしな。…逃げていても、ダメ、か」

上条「…そこで、フィアンマにお願いがある」

フィアンマ「何だ? 何かの霊装が必要なら数日程で作れるが」

上条「オッレルスさんのところで待っていて欲しい。あの人たちのところに居れば、多分フィアンマ一人なら大丈夫だろうから。狙いは俺なんだし」

フィアンマ「一人で行くつもりなのか」

上条「…もう、フィアンマに傷ついて欲しくないんだ。我儘だと思う、けど」

頼む、と頭を下げる上条に歩み寄り、フィアンマは静かに答える。

フィアンマ「……>>887」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 21:58:55.92 ID:XgLsPTUSO<> やなこった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 21:58:57.23 ID:epA4/3sz0<> 死ぬなよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:00:27.96 ID:epA4/3sz0<> >>885

そういわれりゃそうか……

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 22:06:06.64 ID:XgLsPTUSO<> 多分一番理想的なのは、生存に必要な内臓ユニットを残して他の細胞を吹き飛ばし、杖の破壊、アンダーラインの機能停止で、まだやるなら潰すと脅す、かね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:06:57.74 ID:epA4/3sz0<> 日本の天皇みたいにすればいいか <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 22:10:20.32 ID:LlNBrHu/0<>
フィアンマ「……やなこった」

上条「…?」

フィアンマ「と、現代の若者で言えば軽く言うのだろうな。…ふざけるなよ」

上条の髪を掴みあげ、無理矢理に視線を合わせてフィアンマは言う。
その姿は一人の女性として普段上条に接しているものとは違い、実に『右方のフィアンマ』らしいもの。

フィアンマ「この俺様を戦力に加えずして、待っていろ? みすみすお前が死ぬ恐れを高めろと言うのか」

上条「……、…フィアンマ」

フィアンマ「…もう二度と、…喪うものか。何も、誰も、何一つ」

上条「……」

フィアンマ「お前はやはりエゴから脱しきれていない。『禁書目録』が心配をしていたのも頷ける。だがな、俺様は『禁書目録』のような、魔力精製すらままならぬか弱い人間ではない」

上条「俺は、」

フィアンマ「お前の居ない場所で死ねと言うのか。違うだろう。お前は、俺様と一緒に生きると言ったはずだ。なら、最後まで自らの言葉に責任を持て」

上条「……分かった」

フィアンマ「…即日行くのは勧められん。…霊装を作る必要がある。保険としてだが、…意味を為さないかもしれん」

上条「出来るだけの準備をして、行こう。…あんまり事を大袈裟にすると、アレイスターを倒して、…勢い余って殺した後、傀儡として生かせなくなるな」

フィアンマ「味方を作るのはやめておけ。寝返る可能性がゼロに等しい人物だとしても、操られてしまえば一たまりも無い」

フィアンマはそう言いながら壁に陣を描き、カーペットに座ると幾つかの材料を取り出す。
作業を開始し、上条を見上げて言う。

フィアンマ「お前は精々相手方を殺す方法でも考えていろ。頭の中の『原典』の読み直しでもして、な」

上条「…ありがとな」






それから、二日後の事。
体質に合わせて作った霊装である『杖』を片手に、上条とフィアンマは窓の無いビルを見上げていた。
恐らくアレイスターは二人が乗り込んでくる事を理解しているだろう。

上条「…絶対に死なせないからな」

フィアンマ「…その言葉、そのまま返すとしようか」

短く言葉を交わし、特殊な方法で、二人は窓の無いビル内部へと入る。
常の中がどんな空間かは知らないが、長く、螺旋階段が上へと続いている。
足音を余り立てないよう静かに登っていくと、やがて上に一人の人影が見えた。






人影は誰?(禁書キャラ名)>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:11:35.70 ID:epA4/3sz0<> 怒りのアレイスター <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 22:13:29.02 ID:XgLsPTUSO<> 安定の佐天さん(真の力解放) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:13:34.30 ID:epA4/3sz0<> どこからか噂を聞いた味方の一方通行(天使モード) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:14:14.44 ID:epA4/3sz0<> >>894

貴様は佐天さんに何の恨みがあるんだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 22:16:06.40 ID:XgLsPTUSO<> 恨み?まさか。佐天さんは大好きです。だから単に倒されるんじゃなくて今は案内人。そして裏ボスになって欲しいんだよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:17:40.28 ID:epA4/3sz0<> 佐天さんを裏の統括理事長にしてアレイスターを傀儡にすればいいんだな

ただ佐天さんと上条さんは仲良くしていただきたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 22:20:45.81 ID:XgLsPTUSO<> 賛成したいけど、スレの主旨と書き手の気持ちからは外れるよ?後間違いなくフィアンマさんがぶち切れるし、みこっちゃんはヤンデレールガン化するね。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>saga sage<>2012/07/02(月) 22:22:06.25 ID:epA4/3sz0<> 仲良くとゆうか喧嘩はするけど殺し合わないで欲しいだけ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 22:23:29.11 ID:LlNBrHu/0<>
佐天「上条さん♪ 久しぶりって程でもないですよね」

上条「…佐天ちゃんに何の恨みがあるってんだ…クソ、…」

佐天「…さて、上条当麻に、右方のフィアンマ。始めようか。互いの生をかけての勝負を。少しは楽しませてくれると、私の天使が喜んでくれると思うのだが」

フィアンマ「…『エイワス』か」

佐天「やはり君程の人間ともなれば知り得ているようだね」

銀色のような、杖のような。
そんなもやもやとした、幻覚の如き何かを握って、少女は歪に微笑む。
上条は胸が痛んだが、まずは佐天を解放する事が最優先だ。
彼女は何も悪くないのだから。ただ、この戦いに巻き込まれてしまっただけなのだから。
上条は霊装を一時フィアンマへ放り預け、魔術師としてではなく、『幻想殺し』として佐天を見つめた。
ねじくれた銀の杖が、ぐにゃりと歪む。それでも強大な魔力が圧迫感を与えてくる事には変わりないが、佐天とアレイスターを繋ぐパイプの役割をしている術式が『幻想殺し』によって阻害されているのか、佐天の身体は電池の切れたロボットのような動きを見せる。
上条はその隙を狙い、佐天の方へと突っ込んだ。
単身で突っ込み、そして非常に申し訳ないと思いながらも、伸ばした掌で―――佐天の頬を、打つ。




>>+1のコンマ一桁で消去残存判定


0〜8 『幻想殺し』によって佐天解放

9 『幻想殺し』の力及ばず、佐天反撃
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:24:14.52 ID:epA4/3sz0<> あ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 22:24:14.77 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 22:29:24.43 ID:LlNBrHu/0<>
上条「ご、めんっ!」

その幻想をぶち殺す、というお決まりの言葉は呑み込んで。
打たれた衝撃で魔術的なリンクが外れた為気を失う佐天の身体を支え、階段上、壁に寄り掛かるようにして横たわらせ、上条は再度謝罪する。
そして、フィアンマが投げ寄越した『杖』を受け取り、螺旋階段を登る。

上条「今度は普通に話そうな、」

フィアンマ「あれが知り合いか」

上条「あぁ」

両者共杖を脇に抱える形で、どうにか階段を登っていく。
中々果てが見えずどこの部屋にも辿り着かないのは、これが魔術的な仕掛けだからなのか、実際に長さがあるのか。
懸命に走る二人に、再び人影が見えた。思わず立ち止まる。

上条「誰、だ…?」



人影は誰か(禁書キャラ名)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 22:30:40.72 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:30:58.40 ID:epA4/3sz0<> どこからか噂を聞いた味方の一方通行(天使モード) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 22:31:44.54 ID:XgLsPTUSO<> 木原家謹製ファイブオーバー「鈴科百合子」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん)<>sage<>2012/07/02(月) 22:39:01.77 ID:72Wuzq4F0<> 美琴(ヤンデレ) <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 22:43:07.99 ID:LlNBrHu/0<>
一方「…よォ、ヒーロー」

上条「…一方通行…!」

現れたのは、真っ白で細身の少年。
背には対になっている白い翼を生やし、頭上には天使の輪のようなものがある。
ただ、上条の知る『天使に乗っ取られた人間』と違い、そこには明確な意思がある。

フィアンマ「…人工天使、とはまた違うようだが」

一方「一方通行。学園都市第一位…って言えば、『外』の人間にも分かンだろ」

上条「もしかして、味方しに来てくれた、のか?」

一方「そォいう訳じゃねェ。単なる利害の一致だ。…そろそろ、俺も飽き飽きしたンでな。『あのガキ共』を苦しめる大元にも、うんざりだ」

時々、ほんの少しノイズのようなものが混じるが、心得ているのか、会話を阻害するには至らない。
『神の力』と五感をリンクさせた経験のあるフィアンマには、何のノイズすらなく聞こえるのだが。

一方「いい加減階段登るのも飽きただろ? ほらよ」

一方通行は、勇気を振り絞った様子で、手を差し出す。
上条は、過去の一方通行の姿と、大戦中の一方通行の差異を、知っている。
だからこそ、信じられる。今度こそ、何も変わる事は無く。




一方通行と少しだけ迷い、辿り着いたのは暗い一室。
部屋の中央には大きなビーカーのような何かの装置。
その中には、一人の人間が入っていた。
聖者のようにも愚者のようにも悪人にも善人にも見える、『人間』―――アレイスターが。
一方通行は『魔術』による胸の圧迫感に眉を寄せながら、アレイスターを睨む。
上条は敵意をむき出しにし、フィアンマは冷徹な視線を装置へ向けた。
そんな三者三様の反応を意に介す様子も無く、アレイスターは三人へ話しかけた。

アレイスター「…よく辿りつけたものだ。流石は『幻想殺し』、私の『第一候補』」

上条「…約束してもらうぞ。そのご大層な『計画』とやらをやめて、もう誰も傷付けないって」

アレイスター「応える事は出来ない」

一方「…オマエは、…何が、目的なンだ」

アレイスター「…簡単に言えば、>>911と、いったところか」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:46:59.59 ID:epA4/3sz0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:47:27.39 ID:epA4/3sz0<> 愛した人の復活 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 22:55:22.64 ID:LlNBrHu/0<>
アレイスター「…簡単に言えば、愛した人の復活と、いったところか」

一方「はン、下らねェ」

フィアンマ「……、…」

この中で、アレイスター=クロウリーの気持ちを最もよく理解出来るのはフィアンマだろう。
とてつもなく愛した人を喪えば、世界を呪い、恨み、思い出に浸るだけでは飽き足らず、復活させようと思うのは極めて人間的な衝動だ。
フィアンマは妹の遺言故に生まれ変わりを待つ事が出来たが、遺言が無ければアレイスターと同じような行動を取っていたかもしれない。
だが、理解出来ることと、それでも許容できる事とは別だ。
たとえどんなにアレイスターが愛する人間に焦がれていようと、その為に上条を殺すというのなら。

そんな最低の幻想(ゆめ)は―――

上条「『Miraculum001(この奇跡は全てを救う)』…!」

上条は魔法名を名乗り、杖を構える。
杖自体はさしたる凶器ではない。上条当麻という人間が持つかどうかが重要なのだ。
建物内だというにも拘わらず、大きな雷撃の槍がアレイスターの居る装置へ向かっていく。
アレイスターは指先一つ動かさず、雷撃を打ち消した。神の雷を、だ。




一方通行はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 22:56:47.65 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 22:57:19.76 ID:epA4/3sz0<> 羽根で殴る <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 23:02:45.42 ID:XgLsPTUSO<> もう少し能力を有効に使えやWWW原始的過ぎるわWWW>>1も絶対さっきから苦笑いしっぱなしだぞ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 23:06:20.68 ID:LlNBrHu/0<>
上条が次の手を考えている間に、一方通行が動く。
科学とも魔術とも区別のつかないこの曖昧な力によって築かれた長い羽を、硬いソレを、凶器として用い、装置を殴りつける。
だがしかし、あまり効果は無い。
精々ほんの少しだけ装置の表面に傷がついただけ。
上条は再び『杖』を構えて詠唱する。地獄の王が用いる災厄の焦土の訪れ。
これもアレイスターが杖を軽く振るうのみで消える。
しかし上条とアレイスターとは対等なのか、どうにも勝負がついていないような、消化不良感が残る。
フィアンマはといえばまったく動いていない訳ではなく、壁や床の要所要所に魔術記号を杖の先端にて綴っている。
アレイスターも恐らくそれは止めたいところなのだろうが、上条や一方通行の攻撃に追われるせいで間に合わない。

アレイスター「この地を大きな儀式場として、君たちを使い、私は妻も娘も蘇らせてみせる」

上条「ッ!」

前兆の予知、とでもいおうか。
咄嗟に上条が『幻想殺し』を適用させた右手を前に突き出すと、ガラスが割れるかのような甲高い音と共に何やら飛んできた『何か』が消える。

上条「ふざ、けんな!」

アレイスターを睨み、上条はかつての彼自身のように、説得を行おうとする。
心からの言葉で、自然と出る言葉で。
そこに明確な論理性は無い。無いからこそ、人の心に響く。

上条「テメェがそんな事して蘇らせて、テメェの娘も妻も、喜ぶ訳ねぇだろうが!!」

アレイスター「>>918」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 23:07:23.00 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 23:08:53.29 ID:epA4/3sz0<> 私が良ければいいんだよ!クソガキ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 23:09:37.62 ID:XgLsPTUSO<> 喜ぶ訳ない?当然だ。これはあくまで私のエゴだ。どんなことをしても、誰を地獄に突き落として、踏み潰してでも、ただ、もう一度会いたい……フィアンマ、お前なら少しは理解できるんじゃないか? <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 23:20:05.51 ID:LlNBrHu/0<>
アレイスター「私が、っ、良ければ…それで良いんだよ、ッ! クソガキ」

『衝撃の杖』が、ぐらりと、ふらりと揺れる。
ビル自体が揺れる錯覚に陥った。
科学の力を扱っていた一方通行は部屋の外へと投げ出され、螺旋階段を落ちて行く。

上条「ッ、一方通行!」

死んではいないだろう、と理解しつつも、真っ青になる上条。
その油断を狙う為だったのか、否か、再び上条の方へ『何か』が飛ぶ。
だが、上条がそれに気が付く事は無く。
もう少しで直撃する、というところで、もやもやとした霧のような何かが、それを弾き落とした。
右方のフィアンマの『聖なる右』。本来あるべき右手が無い以上不安定だが、使えない訳ではない。

アレイスター「『Perdurabo000(われ耐え忍ばん)』!」

魔法名を口にしたアレイスターは、杖ではなく指先を上条へ向ける。
フィアンマはどうにか時間を稼ぐべく、『聖なる右』を再び用いた。
そして、どうにか陣を完成させる。


フィアンマ「当麻!」

上条「わか、ってる!」




呼び出すのは、

1.『全能の神(ゼウス)』

2.『悪魔の王(ルシファーorサタン)』




判定>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 23:21:51.48 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 23:22:04.90 ID:IhTCFha00<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 23:22:30.41 ID:IhTCFha00<> ゼウス <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 23:28:14.34 ID:LlNBrHu/0<>
部屋全体に陣を敷いた上で呼び出したのは、『全能の神』。
上条が流用している力等ちっぽけなものに見える程の強さ。

アレイスター「『全能なる神』…!」

フィアンマ「曲がりなりにも本物の神だぞ? さぁ、思い知ってもらおうか」

上条「……正しい力ってヤツをな」

『全能の神』と五感をリンクさせている上条は、かつてのフィアンマとは対極に、左手を振るう。
その軽い一撃で、床が断裂し、アレイスターの居る装置にぴしぴしとヒビが入っていく。
死神の鎌の如く左手を掲げたまま、上条は諭す。

上条「…約束しろ。もう二度と計画に他人を巻き込まないって。そしたら、殺さないでおいてやる」

アレイスター「…>>926」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 23:30:30.99 ID:XgLsPTUSO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 23:30:59.38 ID:XgLsPTUSO<> [ピーーー]…………?フハハハハハハハハッ!!!!!何をいってる?自分達が罠にかかってる事に気付けないとは、かなりの間抜けっぷりだな!?幻想殺し!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 23:34:23.37 ID:IhTCFha00<> さすがアレイスターちゃんとラスボスしてるな <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 23:39:19.65 ID:LlNBrHu/0<>
アレイスター「…殺す…………? フハハハハハハハハッ!!!!! 何をいってる? 自分達が罠にかかってる事に気付けないとは、かなりの間抜けっぷりだな!? 『幻想殺し』!!!」

上条「何、…? っな、」

フィアンマ「ッ、」

まるで、リバーシの対戦のように。
白から黒へ、一瞬にして引っ繰り返されてしまうかのように。
アレイスターは狂乱したように笑い声を零し、二人は唐突に、そして別々に穴の中へと堕ちた。
さながら不思議の国のアリス、といったところだろうか。
暗い暗いうさぎの洞穴に、堕ちていく――――。


アレイスター「……」

正直、アレイスターにとって、あれは賭けだった。
うまくいくかどうか、確証は無かったのだ。
先程の術式は、『落とす』という繋がりから、フィアンマと上条それぞれが最も絶望する状況へ堕とし込む事。
出てくるには、その絶望に打ち勝たねばならない。が、自らに勝つ等という事は、まず難しい。
精神に異常を来して居心地の良さを覚えるのであれば、それはそれで構わない。

アレイスター「…『エイワス』?」

ただ、アレイスターの計画と、賭けの結果予想と違った事は。
異質なあの『天使』が、二人に興味を持ってしまった事だった。










どしん、などという可愛らしい音ではなく、尻に痛みを覚えながら、上条は着地した。





上条の絶望を体現した世界の内容(アバウト可)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 23:41:09.34 ID:IhTCFha00<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 23:41:37.11 ID:IhTCFha00<> 絶望なんてなかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 23:42:33.28 ID:XgLsPTUSO<> それはねーよ…… <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 23:48:52.61 ID:LlNBrHu/0<>
上条が一人落ちた世界は、何もなく、どこまでも空虚だった。
怖くもないが、楽しくも無い。
一切の空白。
誰も居ない。
叫んでみても、声は誰にも届かない。
この広そうに見える世界のどこに、フィアンマが居るだろうか、と上条は考える。
フィアンマが無事ならそれで良い。そう思ってやまない。

上条「…誰か、居ないのか?」

呼びかけても、自分の声が少し寂しくこだまするのみで何ら意味を為さず。

上条「フィアンマは別の場所、なのか?」

誰にともなく問いかけながら、上条はゆっくりと歩く。

上条(何も、無いな)

果ての無い白い床。
絶望の代わりに提示されたのは、ひたすらな虚無。






上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/02(月) 23:50:09.73 ID:XgLsPTUSO<> 別にどんな安価しようが自由だし、連投OKだからあんま言えんけどちったあ自重しろ。協調性なさすぎ。連投はkskしても流れ遅いな、って時だろ?余りにも長屋がとるから俺も少しやったけどまだわからんか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/02(月) 23:52:03.86 ID:IhTCFha00<> とりあえず幻想殺し <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/02(月) 23:56:25.39 ID:LlNBrHu/0<>
上条(魔術的な空間なら、俺の『幻想殺し』で壊せる、か?)

そう考えた上条は『幻想殺し』を発動させ、床に触る。
ガラスが割れたかのような音は鳴るものの、特に変化はない。
いや、実際にはあるのだ。
だが、壊しても壊しても、すぐに再生されるため、どうにもならない。

上条「フィアンマも同じような所に居ればいいけどな…ん?」

ふと、上条は誰かが床に座っている事に気付く。
少し遠いので、警戒しながら近づいた。

上条「…誰だ、」

エイワス「『ドラゴン』『エイワズ』『エイワス』…まぁ、好きに呼べば良いと私は考えるが」

上条「何しにきやがった」

エイワス「興味が湧いたからな。『助言』だよ」

上条「助言?」

エイワス「>>937」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:01:54.82 ID:G1ZFQLxg0<> ksk! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:03:23.58 ID:WYIbbx1SO<> 彼女の事は忘れろ。恐らく、もう「戻って」これない。この空間から出たいなら、「何もしない」事だ。時間がたてば戻れるさ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:04:00.73 ID:WYIbbx1SO<> 長屋、お前ならわかってくれると信じてたぜ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:05:01.81 ID:G1ZFQLxg0<> フィアンマさん消滅ですか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:05:57.07 ID:WYIbbx1SO<> まさか。さすがにそれはないだろ。てかさせんし。 <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 00:12:16.78 ID:cU7nQv+20<>
エイワス「彼女の事は忘れろ。恐らく、もう『戻って』これない。この空間から出たいなら、『何もしない』事だ。時間がたてば戻れるさ」

上条「無理に決まってんだろ。……というより、ここはどういう空間なんだ」

エイワス「此処に閉じ込められた人間の絶望を映し出し具現化する会わせ鏡のようなものだ。恐らく、君が最もあって欲しくない出来事を用意するのだろうが…」

上条「俺はフィアンマが居ればそれで満足だからな。悪いが、アンタの助言とやらには従えない。…まぁ、無理に動いてもダメだって事は分かってる。何もしないけどさ」

エイワスと同じように座る事はなく、上条はため息をついた。
神の力と悪魔の王の力をもってして、あくまで上条当麻は一人の少年だ。

上条「しっかし、俺の心って何も無いんだな」

エイワス「願望が少ないか、空虚なのだろう。金欲に溺れる者であれば、貧乏この上ない空間へと招待される」

上条「………フィアンマ、」

フィアンマの絶望とは、何だろう、と上条は考える。
過去の回想、だろうか。





フィアンマの絶望を体現した世界(アバウト可。何も無しは不可)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:15:03.56 ID:050N8+yO0<> 妹のレイプシーンと上条さんが目の前で殺される幻を見る 自分は一切関与できない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:15:38.16 ID:WYIbbx1SO<> 大事な人が目の前でころされる→今まで自分に恨みをもつ人達が順に現れ責める。→友人に殺されかける <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:16:05.16 ID:WYIbbx1SO<> すまんかった次はなるべく踏み台になるわ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:16:38.19 ID:050N8+yO0<> >>943

なかなかの絶望 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:20:10.47 ID:WYIbbx1SO<> つか、アレだよな。上条さんは、本当はフィアンマを愛してないんだな。もし、本当に愛しているなら、フィアンマが寝取られるとかしんじゃうとかある筈なのに、絶望が無いってのは、裏を返せば………

ああ、これが上条さんの絶望か <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:21:22.93 ID:050N8+yO0<> 絶望がない絶望か <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:23:51.95 ID:WYIbbx1SO<> いや、今現在の上条さんの行動理念で、心の拠り所、自分にとって最も大事な何かが嘘っぱちだった、自分の愛が本当は違う物だと気付いてしまう事かな <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 00:30:33.02 ID:cU7nQv+20<>
フィアンマは、一人でぼんやりと座っていた。
自らの意思で座っているのではなく、硬い針金で身体を玉座に縛り付けられているのだ。
そして、目の前では妹がハラワタを引きずり出されて殺されている。
何度もやめろと叫んだし、暴れてもみたが、逃げられない。この拘束から逃れる事は出来ない。
やがて妹は内臓をぶちまけたまま放置され、何人もの人が現れた。

『人殺し』
『化け物』
『アンタさえいなければ』
『返してよ』
『大嫌い』
『どうしてあなたが死ななかったの』

とめどもなくかけられる責めの言葉に耳を塞げる訳もなく、フィアンマはただぼんやりと聞き流す。

フィアンマ(恨まれても構わないと、そう思っていた。故に辛くは無い)

幾度も精神を苛まれ、甚振られ、それでも崩壊せぬままどうにか、フィアンマは堪える。
やがて一人の少年が現れた。学校に通っている時、優しくしてくれた友人である少年。
少年は手に銀のナイフを持ち、フィアンマを睨んでいる。

フィアンマ「…俺様を、殺すのか。…好きにすれば良い」

どうせ死ねないのだから、と笑うフィアンマの左胸へ、ナイフが突き刺さる。
激痛と、熱湯をかけられたかのような熱さが皮膚を、内部を、内臓を支配する。
肺に血が流れ込んだのか、呼吸が苦しい。
一人ぼっちの王様。
ただ一人、長い間『右方のフィアンマ』と君臨してきたフィアンマには、その玉座はよく似合っている。
嫌になるほどに、似合っている。

フィアンマ「…当麻」

妹は、妹に似た誰かの死体だと自分に言い聞かせ、どうにか精神状態をまともなものに保つ。
夢のようなこの空間は、フィアンマの怪我もすぐさま治してしまう。痛みはあるのに。

フィアンマ「当麻、」

指先一本動かす事すらままならないまま、フィアンマは上条の名前を呼ぶ。
来て欲しいとは思っていない。そもそも同じ空間に居るとも思っていない。
此処はフィアンマの世界。フィアンマを絶望させるために、フィアンマ自身の心が用意した最低最悪の世界。
そこに上条などという救いの手は差し伸べられない。

ルーチェ「お兄様、たすけ、ぁぐ、」

フィアンマ「…俺様は、…俺様に、どうしろというんだ」

どうしようもなく鑑賞しながら、フィアンマは、呟く。
此処に上条当麻は居ない。フィアンマにとって、彼の存在自体が、たとえ殺されても、彼が希望になってしまうから。
フィアンマには、与えられない。






ところかわって、空虚な空間。
未だ閉じ込められたままの上条は、どことなく友好的なエイワスに頼ってみる事にした。
か細い打開策。しかし、必要な知恵・知識を必要なだけ与える天使は、上条の言葉のままに知恵を引きだす。

上条「フィアンマが居るこういった世界に乱入するにはどうしたらいい。全然出れねーぞ」

エイワス「>>952」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:32:41.00 ID:050N8+yO0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:34:05.16 ID:WYIbbx1SO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/03(火) 00:34:27.44 ID:hN+QykX4o<> 同じ絶望を想像すればいい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:37:03.94 ID:050N8+yO0<> フィアンマの絶望を想像して同じ空間に行けるかどうか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:39:42.90 ID:WYIbbx1SO<> というか不可能に近いな。推測は出来ても、完全一致は無理だろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:42:15.97 ID:050N8+yO0<> 出来たら愛だな <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 00:42:46.86 ID:cU7nQv+20<>
エイワス「同じ絶望を想像すればいい」

上条「フィアンマの絶望、か」

人なんて信じない、嫌いだ。
善意は全て仮面で、付け焼刃で、どうしようもない生き物、それが人間。
そう語ったフィアンマにとっての絶望は、あまりにも多くて、うまく想像出来ない。
きっと、妹さんが虐げられている夢だろう、くらいにしか、曖昧にしか、推測出来ない。

上条(…俺、…フィアンマの事、全然知らないん、だ)

そして、ふと思ってしまう。考えてしまった。
こんなにもフィアンマを愛しているのは何故だろう?
本当に心の底から愛しているのなら、本物かどうかは別として、ここにフィアンマが居るのではないか?
どうして居ないのか。
答えは簡単だ。
心底奥底深層心理の部分では、フィアンマを愛して、いないから。

上条「あ…嘘、だろ。だって、俺は、」

フィアンマの為に、こんな『身体』にした、あの痛みに耐えた。
フィアンマと一緒に居て楽しいと感じる。幸せだとも。
でも、フィアンマはそもそも自分を監禁して、脚を切り落としたような人間なのに?

考えてはいけない。いけないのに。

もう、フィアンマの世界を、絶望を想像するどころではなかった。
心の中が、真っ黒な悪意で満たされる。
どうして、俺はあんなヤツを愛したのか。
どうして。

そんな上条の様子を見て、エイワスは悲しそうに微笑んで、呟いた。

エイワス「だから、彼女の事は忘れろと告げたのだが…」






上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:44:33.98 ID:050N8+yO0<> 死んだはずの一人目の上条に説教される <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:44:53.56 ID:WYIbbx1SO<> しばらく自問自答 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:46:37.76 ID:050N8+yO0<> エヴァのゲームの心の迷宮みたいだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:48:03.43 ID:WYIbbx1SO<> ぶっちゃけそれ想像したWWW

上条さんの心は上条さんにしかわからんから整理して欲しいんだよWWWそしてつい衝動にかられてとっちまった……… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:50:44.92 ID:050N8+yO0<> >>960

あれ初めてやったとき連続で迷宮入れてたらゲームオーバーになってポカーンとなったwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:53:15.11 ID:WYIbbx1SO<> 俺もや。エヴァは心の補完、自身の在り方を探す作品だからそれはそれでアリだと思った <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 00:53:23.17 ID:cU7nQv+20<>
上条(俺は、フィアンマが好きだと思い込んでるだけで、本当は、違う、のか?)

上条当麻は思考する。
本当に愛しているのなら、空虚な空間というのはおかしい。
どうすれば良い。
考えろ、上条当麻。
思考を止めれば悪い結論しか出ない。

上条(ならどうしてフィアンマはここにいないんだ。たとえ偽物でも、フィアンマが殺されてしまうとか、俺の絶望になりえる事が…あるはず、だろ)

答えは中々出ない。
むしろ、答えを出してしまわないための自問自答。
思考を止めてはならない。

上条(……フィアンマ、)

犠牲にしてきたものではなく、フィアンマ個人の事を、考える。
笑った顔、泣いた顔、怒った顔、しおらしい表情。
自分に向けてくれた言葉、自分にしか見せた事の無い表情。
確かに守りたいと思った。その感情に嘘は無い。
でも、そのためにどこまで自分は覚悟を貫き通せる?
フィアンマの為に、世界を敵に回せるのか。
答えはイエスなのか、ノーなのか。

上条(…イエスだろ。既に回してんだから。馬鹿らしい事で悩んでんじゃねーよ、上条当麻。しっかりしやがれ)

エイワスは、天使は、ただ興味深そうに上条の様子を眺める。

上条(たとえフィアンマがどんな人間だって、俺に何をしてたかなんて関係ないって、神裂にも自分で言ったんじゃねえか。何を迷ってんだよ。迷う必要なんか、これっぽっちもねぇだろ!)

壁を殴り、上条は一度大きく深呼吸をした。

上条「俺は―――フィアンマを愛してる」

宣言ではない。
宣誓ではない。
誰かに聞かせる為の言葉ではない。
自分に言い聞かせるための言葉ではない。
ただ、自分を愛してくれる一人の女性を同じように愛し、守りたいと、上条は自らの手で選んだ。
相手の事を知っているか知らないかなんてどうだって良い。
元々考える事は得意じゃない。なら、余計な事なんか考えなくたって構わない。

上条「待ってろよ、フィアンマ。お前の幻想(ぜつぼう)なんか、ばらっばらのグシャグシャにぶっ殺してやる」

上条当麻にしては珍しく、暴力的な態度だった。





(上条当麻が居る)変貌した世界の内容(アバウト可・空虚不可)>>+2
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 00:55:45.85 ID:050N8+yO0<> フィアンマと同じ世界 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 00:59:12.58 ID:WYIbbx1SO<> つまり、上条さんからはフィアンマを知覚できず、同じ目に遭うのか…。上条さん耐えきれるか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 01:00:26.80 ID:050N8+yO0<> これは安価どうなるんだ

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 01:02:24.24 ID:050N8+yO0<> じゃあ安価なら>>964で

<>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 01:07:10.88 ID:cU7nQv+20<>
気付けば、上条は玉座に腰かけていた。
自らの意思ではなく、針金で括りつけられる形で。
隣には空席の玉座がもう一つある。
目の前では、柔らかそうなワンピース(昔のドレスだろうか?)を纏った、どこかフィアンマに似た、面影のある少女が周囲の憲兵のような何かに殺されていた。
ただ殺されるだけでは飽き足らず、ハラワタまで引きずり出され。
泣き叫ぶ少女はやがて力尽き動かなくなり、次いで沢山の人が現れた。
年齢も背格好も纏う服も、時代が皆バラバラ。
その民衆は、隣の空の玉座(こちらにも針金が巻いてある)に向かって何かを責め立てている。
イタリア語や英語、ロシア語など色々と混ざっていて上条には一部しか分からないが、それがとにかく悪意で構成された悪口である事位、雰囲気から読み取れる。
そしてしばらくの後、上条も顔を見知っている少年が現れ、二言三言暴言を吐いた後、玉座の背中にナイフを突き立てた。
そして、少年が消えたかと思うと、数秒してまた少女が現れ、殺される。
まるで壊れたビデオテープを何度も再生しているかのように、終わらない。
見ているだけでも鬱鬱としてしまうのに、血の臭いも、臓物の臭いも、暴言も、少しずつ違って聞かされる。

上条(何だよ、コレ)

エイワスは、何故か見当たらない。
どこからか見ているのかもしれないが。








上条はどうする?>>+2

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 01:08:04.57 ID:050N8+yO0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 01:08:49.16 ID:WYIbbx1SO<> 上条さんの絶望とは違うから適用されないのかksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 01:10:41.19 ID:050N8+yO0<> 中条さんの力を借りてフルパワー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 01:10:55.68 ID:WYIbbx1SO<> フィアンマの絶望が自分に適用され、心折れそうになる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 01:17:45.69 ID:WYIbbx1SO<> 上条さんにはフィアンマさんの絶望も分かち合って欲しいな… <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 01:21:31.79 ID:cU7nQv+20<>
隣の空白の玉座に何かあるのかもしれない、と上条は考えた。
どうすれば良いかは分からないが、ひたすらに身動いても、針金は歪まない。
とてつもない馬鹿力を出せば歪むのかもしれないが、魔術を何故か使えない以上、難しい。

上条(難しいけど、諦める訳にはいかねえんだよ!)

振り切るように、腕を動かす。
激痛で、全身が傷ついていくのがよく分かった。
痛い。苦しい。辛い。
でも、この世界がフィアンマの絶望を体現している世界だとして、あの少女が妹さんだったとしたら、躊躇してはいられない。
一刻も早くフィアンマを助けなければ、また、喪わせる事になる。

上条(ダメだ、そんなの。一緒に出て、これからも普通に、一緒に生きる。そのためにここまで来たんだ)

鼓動がやたらと脈打つ。

上条(…なぁ、頼むよ。脳のリミッターのせいで力が出ないなら、外してくれ。後先なんてどうでもいい。フィアンマを救えたらそれでいいんだ。頼むよ、今だけで、いいんだ)

??(…了承した)

力み過ぎて最早吐きそうになりながらも、針金を、外せた。
玉座から解放され、ふらふらとしながら、上条は立ちあがる。
そしておぼつかない足取りで隣の玉座へと歩み寄ると、右手で、触れた。
と、『空間移動』でもしてきたかのように、フィアンマの姿が現れる。
虚ろな目をして終わらない悪夢に苛まれ、涙すら枯れかけていたフィアンマは、のろのろと上条を見上げた。
そして、不思議な動物を見たかのような表情を、浮かべる。
信じられない、とばかりに。

フィアンマ「…当、麻?」

上条「そうだよ。他に誰に見えるって言うんだ?」

フィアンマ「どうやって、此処に」

上条「方法なんてどうでも良いだろ」

フィアンマの身体を拘束する針金を素手で折り曲げ、はぎ取っていきながら、上条は答える。
そして、フィアンマの視界を覆うように、血を服裾で拭いた後、その手でフィアンマの目元を覆った。

上条「俺は俺の世界の方で『エイワス』に会った。で、助けてもらった。後は何も考えなくていい。出られるから、大丈夫だ」

フィアンマ「……夢じゃ、ないのか」

上条「今までのが、夢だったんだよ」

フィアンマ「…そう、か」

上条「…ごめん」

フィアンマ「…何に対して、謝罪しているのか、読めんのだが」

上条「>>976」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 01:23:00.24 ID:WYIbbx1SO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 01:24:06.83 ID:050N8+yO0<> 俺には……最初何も絶望が無かった……無かったんだ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 01:26:21.12 ID:WYIbbx1SO<> GJ <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 01:31:30.84 ID:cU7nQv+20<>
上条「俺には……最初何も絶望が無かった……無かったんだ……」

赤い儀式場の様な部屋で、玉座に座るフィアンマの目元を覆っている内に、壊れたビデオのような景色や行動は消え失せた。
上条は悔しそうな表情で言う。
もう何もフィアンマを苛めるものがないことを確認してからそっと手を引き、上条はフィアンマを抱きしめて謝った。

上条「此処は、絶望を体現する世界で、なのに、俺、フィアンマの事考えてたらお前が出てきたはずなのに、ごめん」

支離滅裂だ、と思いつつも、言葉だけが先行する。
フィアンマは縛られていたため痺れる左腕を伸ばし、上条の頭を撫でた。

フィアンマ「…俺様のこの空間にも、今の今まで、お前は居なかったよ」

上条「……、…」

フィアンマ「…たとえどんな姿でも、お前が傍に居てくれれば、それが希望になったからだろう。少々気味の悪い話だと思うが、俺様としては、お前の死体でも、腐敗して消えるまで共に居られるならば良いと、そう思う位、お前を愛している。だから、出てこなかった。『希望』だったから、だろう」

上条「……」

フィアンマ「だから、きっと、お前が絶望するのはむしろ、俺様という存在が無い世界…故に、空虚だったんじゃ、ないのか」

上条「…>>980」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 01:32:47.24 ID:050N8+yO0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 01:35:14.70 ID:WYIbbx1SO<> そうかも、知れない……でも、俺も少し解らなくなっちまったんだ……愛してると思ってて、思いたいのに、嘘っぱちなんじゃないかって…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 01:35:58.23 ID:050N8+yO0<> 次スレキター <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 01:43:42.37 ID:cU7nQv+20<> 《皆さまおわかりかと思われますが次スレこちらです→http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341246863/》


上条「…そうかも、知れない……でも、俺も少し解らなくなっちまったんだ……愛してると思ってて、思いたいのに、嘘っぱちなんじゃないかって……」

泣きそうな顔で、上条は言う。
フィアンマは馬鹿にするように鼻で笑って、上条の身体を強く抱きしめ返した。

フィアンマ「…馬鹿なヤツだ」

上条「……」

フィアンマ「…今のお前が俺様を愛していないというのなら、この世界の誰もが人を愛していないよ。…嘘なんかじゃない。事実、お前は俺様を、こうしてわざわざ助けに来てくれただろう」

上条「…フィアンマ」

フィアンマ「それだけでは証拠不十分なのか。わざわざ、如何なる方法を用いてかは知らんが、俺様一人を救う為に、必死で努力したのだろう。なら、お前の気持ちは嘘じゃない。行動の伴う感情は、虚偽など微塵たりとも混ざりえない」

上条の頭を撫で、背中をさすり、フィアンマは深呼吸した後で、言う。

フィアンマ「助けに、来てくれて…ありがとう、当麻」

上条「…うん」







気付けば赤い儀式場のような空間では無く、上条とフィアンマは牢屋のような場所の中に居た。
看守や、それらしいセキュリティーは見当たらない。

上条「…幻覚見てるんだから、こういう場所で充分ってことか」

フィアンマ「そうだな。クソッたれが」

暴言を吐き、上条と共に立ちあがったフィアンマは数度咳き込み、考える素振りを見せた。
現実でどれだけ時間が経過してしまったかは分からない。
が、ここで諦める、まして死ぬ訳にはいかない。






上条はどうする?>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 01:44:39.54 ID:WYIbbx1SO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 01:46:48.23 ID:050N8+yO0<> 全力でゼウス&ルシファー呼び出してみる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 01:51:37.90 ID:WYIbbx1SO<> なんかもう>>1の捌きっぷりに脱臼だわWWW <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 01:57:43.27 ID:cU7nQv+20<>
上条「フィアンマ、陣書くの手伝ってくれ」

フィアンマ「どちらを呼び出すつもりだ?」

上条「『全能の神』も、『地獄の王』も、両方だ」

フィアンマ「…負担がかかるぞ」

上条「いいよ。どちらにせよ、死ぬ思いでやらないとな」

杖はもう手元に無い。
故に、フィアンマが胸元から取り出したチョークにてかりかりと陣を二人がかりで綴っていく。
共同でこのような芸当が出来る魔術師もそうそういないだろう。
しかも、二人という少人数で。

上条「……出来た」

陣の真ん中に立ち、上条はやや長い詠唱を始める。
大量に魔力を消費するため額に脂汗が浮かんだが、フィアンマがその『右の奇跡』で緩和する。
漆黒の外套のようなものを纏った死神のような細い生物と、ただならぬ威圧感を放つ白髪の人外が呼び出された。
前者はルシファー。後者はゼウス。
そんな化け物を引き連れ、フィアンマの手を引き、上条は螺旋階段を登った。
そして、再びアレイスターと対峙する。

アレイスター「おや…まさか、脱出するとは」

装置のヒビは多少直っているように見える。
上条は、首を傾げた。
今度こそアレイスターは、上条の触れてはいけない琴線へと、触れてしまった。
すなわち。
フィアンマの心を、傷つけるという事を。

上条「お前の身勝手で、フィアンマを傷つけても構わないって言うんなら―――まずは、その幻想を…」

殺す。
言い切り、上条は絶対的な力を振るった。
暴力と暴虐と凌辱と残虐と虐殺。






『人間』アレイスターは、天井を見上げていた。もう、指先一つ動かせないし、あまり物事を考えられなかった。
呼吸がやや苦しい。もうすぐ死んでしまうのだろう。装置と同じ設備の中に居なければ、死んでしまう。

アレイスター「私の、…夢が…プランが…」

フィアンマ「…妻と娘に、会いたいか」

アレイスター「…?」

フィアンマ「蘇らせる事は不可能でも、会話位なら、させてやれる」

自らに似た人間の終末に少しでも救いを与えるべく、冷やかな視線を送る英雄(ヒーロー)の横で、救世主(メシア)は提案する。

アレイスター「>>988」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>AA<>2012/07/03(火) 01:59:56.86 ID:d9m4UG+y0<> フィアンマを女にする <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 02:00:14.87 ID:XpSfTI1Oo<> 興味は無い。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 02:00:55.28 ID:050N8+yO0<> ……頼む…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 02:01:54.27 ID:WYIbbx1SO<> いらんよ自我の連続性がない偽者との会話など。

どんなことをしても、誰を地獄に突き落として、踏み潰してでも、ただ、もう一度会いたかっただけ…なんだがな……… <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 02:03:35.02 ID:cU7nQv+20<>
アレイスター「興味は無い」

フィアンマ「そうか」

アレイスター「蘇らせられないのならば、最早どうでも良い」

ぼんやりとした表情で、アレイスターは話す。
内臓のほとんどは潰されていた。辛うじて残されている生。
上条は冷酷な視線でアレイスターを見下ろしつつ、少し考えた。
殺してしまうのは簡単だが、完全に殺してしまうのは、少し困る。
学園都市という存在自体に強い影響を及ぼすからだ。
装置は何とか残ってはいる。復旧しようと思えば、可能だ。




アレイスターの処遇(どうする?)>>+2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 02:05:07.74 ID:050N8+yO0<> 偶像統括理事長とする 
理事長は理事長だけど実は権利はない
権利を持つのは佐天涙子ただ一人 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 02:05:58.79 ID:XpSfTI1Oo<> もう休ませる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 02:07:09.14 ID:WYIbbx1SO<> アレイスターは生かす。但し、垣根のように脳味噌だけの状態にして、政治的判断を下すだけの存在にする。 <>
◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 02:10:30.44 ID:cU7nQv+20<>
上条「…一応は生きてもらうけど、傀儡になってもらう。装置の中で動けないようにする。経済とかの流れは、統括理事会全体でやれ」

アレイスター「…死も、与えられない、か」

フィアンマ「そんなに楽な処遇があるものか」

装置の復旧をし、アレイスターは虚ろな意識で入れられた。
絶対的な力で心を折られたアレイスターがプランに着手することは恐らくもう無いだろう。
上条当麻と右方のフィアンマは、これより日常へと戻る。
少なくとも、一般的な恋人同士のやりとりが出来る環境に。





そして、神となり驕りし者を浄化して討ち、悪たる魔を滅ぼした上条当麻は―――。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/07/03(火) 02:11:06.00 ID:QA/w+YgAO<> + <> ◆2/3UkhVg4u1D<>saga<>2012/07/03(火) 02:14:00.93 ID:cU7nQv+20<>
絶賛入院中だった。
フィアンマは精神にしか傷がついていないものの、上条は無理に魔力を使ったせいでありとあらゆる内臓器官が疲弊しているため、病院で休ませるのが効果的だと判断されたのだ。
上条達が何をしたのか、どうなったか。
それは、一方通行しか知らない。
一般人の時の流れは、いつも通り続いていく。
何事も無かったかのように。
日々は、普通に、続いていく。

上条「何で林檎買おうとしたら梨になるんだよ!」

フィアンマ「何故だろうな。気付いたら梨になっていたんだ、仕方あるまい」





物語は、続く―――――。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/03(火) 02:16:55.91 ID:WYIbbx1SO<> >>1乙!!!いつも通り最高に面白かった!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/07/03(火) 02:17:27.17 ID:050N8+yO0<> 乙です <> ◆2/3UkhVg4u1D<>sage<>2012/07/03(火) 02:17:39.65 ID:QA/w+YgAO<> 長い間お付き合いいただきありがとうございました。
次スレでも、出来れば、ご助力の程、よろしくお願いいたします。 <> 1001<><>Over 1000 Thread<>       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       | アパム!アパム!次スレ建てて来い!アパーーム!
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   / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄|  (´д`; ||┘ _ユ_II___ | ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|
   / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄|( ” つつ[三≡_[----─゚   ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|
  / ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄| ⌒\⌒\  ||  / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|   SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
 / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄] \_)_)..||| | ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|     http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/


<> 最近建ったスレッドのご案内★<><>Powered By VIP Service<>A雑楽しいです @ 2012/07/03(火) 02:16:12.13 ID:pc/ULTmJo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1341249371/

咲「野球って楽しいよね。安価でいっしょに楽しもうよ!!」 四本場 @ 2012/07/03(火) 01:35:10.24 ID:9/4otQfAo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341246910/

神浄「ヤンデレデレなフィアンマを、安価で心から愛し続ける」 @ 2012/07/03(火) 01:34:23.50 ID:QA/w+YgAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341246863/

スマブラX安価でリンクかピットを幸せ?にさせるSS @ 2012/07/03(火) 01:21:09.31 ID:wfhKOPgAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341246069/

小鳥「765プロ対抗!」 律子「山手線すごろくー!」 @ 2012/07/03(火) 00:15:12.03 ID:7oV8m4l1o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341242111/

木原数多「見滝原だと?」 ほむら「あなたは誰?」 @ 2012/07/02(月) 23:31:46.26 ID:VOe8WAps0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341239505/

菫「おねえちゃんのおたんじょうびパーティー」 @ 2012/07/02(月) 23:21:38.63 ID:ZWXG7I060
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341238898/

ケータイ各社「 夏割りはじめました! 」 @ 2012/07/02(月) 23:14:51.72 ID:k8MHDRvto
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