1<>saga <>2012/07/10(火) 10:50:14.86 ID:qwPIkQm/0<>


 ―――世界は喜びすらも哀しみを含む。僕らはそれを知りつつも、今日も喜びを求めて闘い続ける。


とある国の演習場。

勇者「・・・・・・っ」ハァハァ

勇者(なんだよっ、演習場の配置変えてるなんて聞いてないぞ)クッ

騎士「まったく私は堂々と正面から挑んでいるというのに、君はいつまでコソコソとしてるつもりだ」テクテク

勇者(ご冗談を! 後ろで100人の魔術師があらゆる補助魔法をあんたにかけてるじゃないかっ!)

騎士「来ないなら私から行くぞっ!」バッ

障害物「」パカッ

勇者(おいおい、こんな巨大な岩が真っ二つかよ)

騎士「どうした。そんなことでは勇者の名が泣くぞ」

勇者「・・・・・・っ」

勇者(誰が・・・なりたくて・・・)

騎士「隣国から紹介された勇者がこんなに役立たずだったとは・・・」ハァ

勇者(そのまま、あきらめてくれれば・・・)

騎士「“勇者として生んでくれた両親が泣くぞ”」

勇者「・・・・・ぐっ!!」ドクン

騎士「さぁ、勇者の実力を見せて・・・くれたまえ」ニヤリ

勇者「・・・・・・」ハァハァ

騎士「そうでなくては」スッ

勇者「うぉおおおおおお!!」ダッ

騎士「正面から突っ込んでくるなんて愚策の極み!!」ダッ

勇者「・・・ふっ!」ドンッ

騎士(空中を蹴って軌道を変えた!?)

勇者「くらえっ!」ズパッ

騎士「くっ、やるな。しかしっ!」ブンッ

勇者「・・・・・くっ!」ドンッ

騎士(また“空”を蹴って体勢を!?)

勇者「終わりだっ!」チャキ

騎士「・・・・・・参りました」ガシャッ

勇者「はぁはぁはぁ・・・」


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<>勇者「涙はとっくに枯れ果てた」騎士「後は血を流すだけ」 1<>saga <>2012/07/10(火) 10:55:06.48 ID:qwPIkQm/0<> 水の国王「ほうほうほう、お主が負けたとな?」

騎士「はっ、完膚なきまでに」

勇者「・・・・・・」

水の国王「はっはっは! さすがは風の国の勇者! 噂に違わぬ実力よな!」

勇者「いえ・・・」

水の国王「謙遜するな勇者よ。あれでも騎士はこの国で最強と謳われているんだ。お主の価値が下がればこやつの価値も下がる」

騎士「・・・・・・」

勇者「・・・はい」

水の国王「それでは勇者よ。後は火の国へ行けば儀式は終了だな?」

勇者「はい。準備が整い次第、向かいます」

騎士「・・・・・負けるなよ」

勇者「・・・・・・」スッ <> 1<>saga <>2012/07/10(火) 10:58:29.63 ID:qwPIkQm/0<> 草原。

勇者(勇者即位の儀。風、雷、水、火の四大国へ向かい、それぞれの代表戦士と戦い勝つこと)

勇者「要はお披露目会だろっ」クソッ

勇者(あの騎士だって実力の10分の1も出してなかった。おそらく“そういうこと”なんだろう)

勇者「さっさと終わらせて、抜け出してやる・・・」ダッ <> 1<>saga <>2012/07/10(火) 11:00:28.95 ID:qwPIkQm/0<> 火の国。

門番「誰だお前?」

勇者「風の国の勇者だ。国王に会いに来た」

門番「・・・・ちっ、しかたねぇ、入りな」ギィ

勇者(・・・なんだあの態度・・・)タッ

門番(なんで“今”くるんだよ)クソッ <> 1<>saga <>2012/07/10(火) 13:35:39.92 ID:qwPIkQm/0<> 勇者(なんだこれ・・・)

民衆「「うぉおおおおお!!」」

勇者(空が割れんばかりの怒号と、唸るような人々の波。向かう先は・・・城?)

国民「あ、あんたっ、この国の人間じゃないな?」

勇者「・・・」コク

国民「悪いことはいわねぇ。さっさと逃げな。これからこの国は火の海になる」

勇者「・・・・・・?」

国民「俺たちは革命を起こすのさ」ジャキッ

勇者(火の国は昔から強烈な絶対王政だったはず・・・)

国民「俺たちは我慢の限界なんだ。あんたみたいな明らかな余所者でも殺しちまうだろう」

勇者「・・・・・・」

国民「じゃあな」ダッ <> 1<>saga <>2012/07/10(火) 13:45:22.14 ID:qwPIkQm/0<> 火の城。

火の国王「勇者よ、よく来たのぅ!」

勇者「はっ」ザッ

火の国王「わしの国が最後だなんて光栄じゃのぅ」ガハハ

剣士「・・・・・・」

火の国王「さっそくじゃが、お主の戦いが見たい! こいつと手合せしてくれんかの」

勇者「はい」スッ

剣士「・・・・・・」ジャキ

火の国王「この男、寡黙じゃが内心ではおぬしの首を狙っておる。油断はせぬことじゃ」

勇者「大丈夫です」ジャキ

勇者(そんな奴はいっぱいいたからな)スッ

火の国王「お主も、勇者殿は風の代表にして雷と水を制した強者。油断するでないぞ」

剣士「・・・・・・はい」

火の国王「それでは、はじめよっ!!」バッ <> 1<>saga <>2012/07/10(火) 17:15:07.17 ID:qwPIkQm/0<> 剣士「えい」グサッ

国王「ぎゃぁ!」ドサッ

勇者「・・・は?」

剣士「利用して悪かったな、勇者」ザンッ

勇者(国王を殺して、自害・・・だと?)

兵士「やったー! 解放されたー!」ワァァァァ

兵士「勇者様! ありがとうございます!!」

勇者「・・・・・・」

兵士「勇者様がよければ、しばらくの間この城にいませんか!?」

勇者「・・・いや、行かなければならない場所があるので」スッ

兵士「・・・・・ちっ、まぁいいや」ボソッ <> 1<>saga <>2012/07/10(火) 17:18:04.65 ID:qwPIkQm/0<> 火の城下町。

勇者(死体と建物の残骸の山・・・)

勇者「いともたやすく革命は押さえつけられ、押さえつけた国王は即死・・・」

勇者(・・・いったい、誰の勝利だというんだ・・・)

僧侶「・・・・・・・」

勇者「・・・あなたは?」

僧侶「・・・・・・・」

勇者(死体の山を前に祈りを捧げる少女。・・・光の国の僧侶か?) <> 1<>saga <>2012/07/10(火) 17:28:32.06 ID:qwPIkQm/0<> 僧侶「・・・あ、ああ・・・あぁああああ!!」ボロボロ

勇者「・・・・・っ!?」ビクッ

勇者(突然泣き出した!?)

僧侶「神よ。なぜ彼らは死ななければならなかったのです。彼らには何の罪もない」ボロボロ

勇者「あ、あの・・・彼らとは?」

僧侶「・・・っ!? あ、す、すみません! 彼らとはこの目の前で苦しみながら死んでいった者たちです」

勇者「彼らは自ら望んで革命の道を選んだんじゃないのか?」

僧侶「それは、彼らです」チラッ

生き残りたち「やほほーい!!」

勇者「あいつらは僕が入国した時にいた国民?」

僧侶「そう、彼らは火の国の民です。しかし、ここで死んでいる者たちは土の国の奴隷達です」

勇者(土の国・・・発展途上国で闇の国が食い荒らしてるって噂は聞いていたけど・・・)

僧侶「今回、彼らはパン以下の値段で売られました。そしてこの仕打ち・・・」ググッ

勇者(すごい怒りだ・・・。彼女から放たれる魔力が赤く輝いている・・・)

僧侶「光の国が土の国ともっと近ければ・・・」

勇者「どちらにせよ、土の国の前には闇の国がある」

僧侶「・・・そうですよね」

勇者「それじゃあ、僕、行きますね」

僧侶「あ、はい。こんな未熟者の話を聞いてくださってありがとうございました」ペコリ

勇者(・・・うなじに傷?)

勇者「あ、いや・・・じゃあ」タッタッタ

僧侶「・・・・・本当に憎い・・・」グググッ



 ――――能無しの勇者



勇者「・・・・国に帰らないと」タタタッ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/07/15(日) 22:11:58.69 ID:tXYiQxcDO<> 続きはよう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/19(木) 01:07:39.21 ID:hJD8+7YOo<> マダー? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage<>2012/07/22(日) 01:52:31.98 ID:hHPoK4Bvo<> まだー? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<><>2012/08/19(日) 10:07:17.24 ID:9sQj1jyuo<> まだー? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/20(月) 08:58:11.98 ID:yEPHWH7ao<> 久しぶりに上がってたから期待してみたらこれだよ <>