◆b.oHBDqN/s<><>2012/07/24(火) 15:45:25.25 ID:GChI5nA2o<>メイド「男様!!お急ぎ下さい!!」

男「分かってる!」

以前から兆候はあった。
ただ、まだ大丈夫だと、時間はあると思っていた。
今朝だって一緒に食事をして楽しそうに会話していたのだ。

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<>森の中の洋館
◆b.oHBDqN/s<>sage<>2012/07/24(火) 16:02:11.14 ID:GChI5nA2o<> 男「はぁ…はぁ…」

大部屋へ入ると家に仕えるメイド達がベッドへ導くように並んでいた。
先程俺を呼びにきたメイドも同じように並んでいる。
ベッドに寄り添っていたメイド長が俺を呼んだ。

メイド長「男様、こちらへ」

先程のメイドとは違い、静かに哀しみを含ませた声で俺を呼んだ。

男「……」

無言でベッドに近付く。

メイド長「旦那様、旦那様、男様が来られましたよ」

僅かに口を動かす父。
その口に耳を近付けた。
しかし、何も聞こえない。

男「悪いけど、頼む…」

メイド長「はい、お任せを」

メイド長が父の口に耳を近付けた。
メイド長の瞳から涙が零れた。

男「…父さんは何と?」

メイド長「すまない……と」

男「父…さん……」 <>
◆b.oHBDqN/s<>sage<>2012/07/24(火) 16:13:12.94 ID:GChI5nA2o<> 母親はいなかった。
生まれたころからこの屋敷で父とメイド達と共に暮らしていた。
父は勉強に対しては厳しかったがそれ以上に優しい人だった。
幼いころ川辺でよく遊んで貰ったりしたのを憶えている。 <>
◆b.oHBDqN/s<>sage<>2012/07/24(火) 18:43:54.00 ID:GChI5nA2o<> 俺はこの屋敷から出た事がない。
正確には"外の世界"に出た事が無い。
屋敷周辺の森や川などには行く事があるが、外の街には行ったことが無かった。
そもそも外の世界がある事を知ったのが確か16の頃でまだ実感が湧かなかったし今もそうだ。 <>
◆b.oHBDqN/s<>sage saga<>2012/07/24(火) 18:51:26.57 ID:GChI5nA2o<> この屋敷には時々"客"が訪れる。

その何れの"客"も人間では無い。

最近訪れたのはアルプだった。

見た感じ紳士のような男性だったが事あるごとにメイドをナンパしようとしてメイド長に辛辣な言葉を投げ掛けられていたのを憶えている。

そしてこの瞬間。俺の父親が死んだこの瞬間にも一人の客が訪れようとしていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/25(水) 16:15:38.47 ID:+OoizF/DO<> 何だか幻想郷みたいな雰囲気だ。 <>