◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/09(木) 00:50:40.94 ID:e+vTXGbXo<>
ラノベ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の二次SSです
夏なので、鬱展開になるかもしれません
超スローペースの更新ですが、お付き合いいただければ……

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<>【俺妹】桐乃とあやせと俺の妹
◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/09(木) 00:51:20.95 ID:e+vTXGbXo<>
今年も夏休みが中盤を過ぎてからというもの、夜は熱帯夜、昼は猛暑という日が続いていた。
誰が好き好んで炎天下の中を外へ出たいと思うんだ。しかし、俺の妹にそんな常識は通用しない。

「ダッツのラムレーズンだから。……間違ってもチョコミントなんて買って来ないでよね」

「日本の夏って言ったら麦茶で十分じゃねーか」

「つべこべ言ってないで早く買って来なさいよ。ゲームに負けたあんたが悪いんだから文句言わないの」

この先、俺を待ち受けているものと言えば、雲ひとつない青空と灼熱地獄に他ならない。
俺は己の不運を呪い、玄関に腰を下ろしたまま最後の抵抗を試みた。
背後を仰ぎ見ると、そこには両手を腰にあてがい、冷徹な眼差しで俺を見下ろす桐乃が立っていた。

「俺が熱中症で倒れたら、それはおまえのせいだかんな!」

「ずっとそこに座ってるつもりならそれでもいいけど、あんたが買って来ないうちは状況は変わんないから」

「ラムレーズンでいいんだよな!」

この世の不条理を恨んでみてもしょうがない。
気温が下がるわけでもねえし、ましてやコンビニが向こうからやって来るわけでもない。
半ば諦めにも似た気持ちでドアを開けようとしたそのとき、来客を告げるインターフォンが鳴った。
こんな暑いさなかに俺ん家に来るヤツなんて、どうせ飛込みのセールスマンくらいのもんだ。 <>
◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/09(木) 00:51:58.94 ID:e+vTXGbXo<>
俺が玄関のドアを開けると、意外なことにそこに立っていたのはあやせだった。
あやせは俺が家に居るとは思わなかったのか、目が合うと急にうろたえるような素振りを見せた。
夏休みだから俺が家に居たって不思議じゃないだろうに、どうもあやせの様子がおかしい。

「ちょ、ちょうどアイスを買いに行くとこだったんだけど、あやせは何がいい?」

「あ、アイスですか? えっと……」

俺はあやせのためなら、コンビニと言わず駅前のデパ地下だろうと速攻で買いに行ってやる。
クソ生意気な妹と違ってあやせは、灼熱地獄に咲いた瑞々しい一輪の花だ。
あやせは薄っすらと額と首筋に汗を滲ませ、俯き加減で困った顔をしているのがなんとも可愛かった。

「遠慮なんかすんなって。どうせ買いに行くんだし、あやせの分も買って来てやるよ」

「あの、それよりも桐乃はいますか?」

「桐乃ならそこに立って……って、あれ? リビングへ戻っちまったのかな」

「お兄さんのその様子だと、桐乃からまだ何も聞いてないんですね」

「聞いてないって、何を?」

「桐乃、家に居るんですよね? 入ってもいいですか?」

俺が玄関のドアを開けたときには、桐乃は確かに俺の後ろに立っていた。
桐乃の位置からあやせが見えなかったはずはないし、そうだとしても声は聞こえたはずだが……。
考えていてもしょうがない。俺は、先に靴を脱いであやせを家に招き入れた。 <>
◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/09(木) 00:52:35.38 ID:e+vTXGbXo<>
リビングでは桐乃がソファーに座って足を組み、パラパラとファッション誌をめくっていた。
桐乃のそんな姿は、俺にとっていつもの見慣れた光景に過ぎないはずだった。
しかし、そのときばかりは、桐乃の妙に取って付けたような仕草に違和感を覚えざるを得なかった。

「桐乃、あやせが来たけど……アイスは、また今度でもいいか?」

「別にいつでもいいけど」

「すまねえな。今度、俺の奢りで買って来てやるから」

「そんなことより、あんたがそんなとこに立ってたらあやせが中に入れないじゃん」

リビングの入り口を俺が塞いだ恰好になって、あやせは俺の背後でどうして良いやら判らずに困っていた。
俺は慌ててあやせを中に入れてから、そのままキッチンへ向かった。

「麦茶くらいしかねーけど、すぐに用意すっから座ってくれ」

「お気遣いなく。……お兄さんが、家に居るとは思わなかったものですから」

「何だか、俺が居たら都合が悪かったみてーな言い草じゃねえか」

「別に、そういうわけじゃありませんけど」

あやせは、リビングへ入ってからというもの俺と視線を合わせようともしない。
俺との会話でも、俺に向かって話しているのではなく、桐乃に向かって話していることは明白だった。
一方、桐乃は何も聞こえなかったとでも言いたげに、読んでいたファッション誌を無造作にテーブルに置いた。 <>
◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/09(木) 00:53:25.36 ID:e+vTXGbXo<>
あやせは、テーブルを挟んで桐乃と向かい合うように椅子に腰掛け、そのまま俯いて黙り込んだ。
俺が麦茶の入ったコップをあやせの前に置いてやると、桐乃は、俺にも座るよう目でプレッシャーを掛けた。
桐乃のただならぬ気配に畏怖しつつ、俺は黙ってあやせの隣の椅子に腰掛けた。

「あやせも知っちゃったわけだ」

「昨日の夜、お父さんとお母さんに書斎に来るように言われて……」

「ふたりとも十五歳になったらって、本当のことだったんだ」

「わたしの方が早かったから……お父さんもお母さんも、昨日まで黙っていたらしいの」

「本来なら、あやせの誕生日だったのにね」

「桐乃は、前から知っていたの?」

「あたしが知ったのは偶然。留学するとき、いろいろと提出しなきゃいけない書類があって……」

重苦しい空気が漂う中、桐乃とあやせが何の話をしているのか、俺には皆目見当が付かなかった。
しかし、桐乃が俺に座るよう促したってことは、俺にも関係がある話だということだけは確かだ。

「話の途中で割って入るのもなんだけど、おまえら、何の話をしてるんだ?」

「いつかは、あんたにも本当のこと話さなきゃって思ってたんだけどね。
 今から十五年前のことなんだけど、ある病院の産科で……赤ちゃんの取り違え事件があったの」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。いきなりそんな話されたって――」

「お兄さん、桐乃が言ったこと、本当なんです」 <>
◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/09(木) 00:56:59.31 ID:e+vTXGbXo<>
To be continued <> 僕っ子死ね<>sage saga<>2012/08/09(木) 01:07:03.35 ID:sbwv1qKmo<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)<><>2012/08/09(木) 11:17:24.25 ID:YXEjkA97o<> 夏なので鬱の理論が解らんが期待 <> VIPにかわりましてNIPPERな通りすがりがお送りします<>sage<>2012/08/09(木) 12:50:44.54 ID:vI1aZabL0<> をっとこれわ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/08/09(木) 15:10:06.65 ID:Byuqc0lyo<> 期待しとく <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/09(木) 23:10:57.78 ID:+qiptJTKo<> キン肉マンかよwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/08/10(金) 02:27:09.38 ID:Ys3jrGJj0<> >>11
ちょっと待て、その場合どっちがどっちなんだ
片方下種だから大きな問題だぞ、これwwww <>
◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/18(土) 02:55:38.07 ID:XTFDdzuIo<>
もし、桐乃とあやせが俺をからかうつもりでいるならそれでもいい。
二人のうちどちらかが耐え切れなくなって笑い出せば、その時点で俺が笑い者になっておしまいの話だ。
冗談にしては質が悪いが俺だって鬼じゃねえ、兄貴として笑って赦してやるくらいの度量はある。

「あたしから話した方がいいのかな。……それとも、あやせから話す?」

俯いたまま身じろぎもしないあやせを見て、桐乃はそれを了解の意と受け止めたようだった。
天井を仰ぎ見ながら、桐乃はゆっくりとした口調で話し始めた。

「あたしの誕生日は、本当は昨日じゃなくて先々週だったんだよね」

「先々週って……そりゃ、あやせの誕生日――」

「だからさっきも言ったじゃん、十五年前に事件があったって」

「十五年前の事件なんて俺は知らねえし、おまえから今初めて聞いたんだぞ」

「あたしとあやせが知らなかったのは無理もないけど、あんたは、憶えてないだけかもよ。
 だって、今あたしがここにこうしているのは、元はと言えばあんたにも責任の一端はあるんだから」

「俺にも責任があるって、余計にわけがわかんねーよ」

「だから説明してあげるっての。……と言っても、あたしだってお母さんから聞いただけなんだけどね」

俺の隣りに座っているあやせが、ミニスカートの裾をギュッと握り締めた。 <>
◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/18(土) 02:56:20.27 ID:XTFDdzuIo<>
「お母さんが産んだ赤ちゃんは、お腹にいたときから順調で、生まれたときも何の問題もなかったの。
 だけど、あたしが生まれたときは、本当なら予定日はずっと先で……結構危なかったらしい。
 体重もかなり少なくて……しばらく保育器に入ってたんだって」

「いや、それはねーよ。俺は、おまえが生まれた日に親父と病院に行ったんだから」

「だから、それはあやせなんだって。――ていうか、あんたが横から口出すと話がおかしくなるじゃん」

「お兄さん、わたしも桐乃の話が聞きたいので……。
 わたしもお父さんとお母さんから聞いた話は後で話しますから、今は黙っていてください」

「ほーら、あやせから怒られた。そういうわけだから、あんたは黙ってなさいよ」

いつだったか、嘘を吐かれるのが大嫌いだと、あやせが激昂しながら言ったことを俺は憶えている。
それは、嘘を吐かれるのと同じくらい、あやせ自身が人に嘘を吐くのは嫌だと言っているようにも聞こえた。
現にあやせの口振りからは、微塵の嘘も感じられなかった。

「あたしが保育器に入ってたのは二週間くらいらしいんだけど、そのあと新生児室に移されたんだって。
 ちょうどその日、あやせが生まれたんだよね」

「保育器の話は、わたしもお母さんからそう聞いた」

「あやせがどこまで聞いてるかあたしには判らないから、取り敢えずあたしが聞いたことを先に話すね」

「うん」

あやせは、俺が出してやった麦茶をようやく口にした。 <>
◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/18(土) 02:57:16.05 ID:XTFDdzuIo<>
少し落ち着きを取り戻したのかもしれないが、それに比べて俺の頭は混乱の真っ只中だった。
桐乃の話が本当なら……いや、とてもじゃねえけど信じられねえ。

「な、なぁ……黙ってろって言われたけど、一つだけ聞いてもいいか?」

「どんなこと?」

「おまえとあやせが赤ん坊のとき取り違えられたって言うけど、どうしてそうだと判ったんだ?
 ていうか、いつそれが判ったんだよ」

俺は出来るだけ平静を装い疑問を投げかけることで、この馬鹿げた話の綻びを見つけようとした。
あまりにも話が唐突で信じられなかったし、何よりも俺自身が信じたくなかったからだ。

「あたしたちが三歳のときだって。……病院から知らせがあったんだってお母さんが言ってた」

「生まれてから三年も病院は気付かなかったってのかよ」

それまで桐乃の話を黙って聞いていたあやせが、ふと怪訝そうな顔で口を開いた。

「それに関してはわたしが話します。……ねえ、桐乃、なんでそんな他人事みたいな顔で話せるの?」

「別に、あたしは他人事だなんて思ってないけど」

「……そっか、そういうことなんだね」

「そういうことって、どういう意味? あやせは何が言いたいのよ」

「じゃあ言ってあげる。桐乃にとっては、これ以上ないほど都合が良いんでしょ?」 <>
◆Koneko/8Oc<>sage saga<>2012/08/18(土) 02:58:13.78 ID:XTFDdzuIo<>
To be continued

一週間でこれだけかよ……って、申し訳ありません <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/18(土) 08:58:03.78 ID:+oh7+WcAo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/18(土) 09:11:29.31 ID:Ebsgp6OXo<> 乙。続きが気になる… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福島県)<>sage<>2012/09/07(金) 01:20:24.20 ID:lCQUxUBLo<> 血滴り肉弾ける壮絶な展開を期待! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)<><>2012/09/17(月) 22:49:22.79 ID:BB083Liho<> 今日で1ヶ月放置だぞふざくんなよ!
超スローペースにも限度ってもんがあるわ
とっとと書け太郎 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/10/14(日) 01:24:24.72 ID:tSOc1zUDO<> 二ヶ月放置か… <> ????????????<>sage<>2012/10/14(日) 23:02:46.35 ID:6wKVdseeo<> いいよもうこんな駄スレ以後放置して落とそうぜ <>