VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/11/01(木) 19:16:18.24 ID:tXZDbIga0<> それは新学期を迎え、新しいクラスメイトの顔と名前をを覚え始めた頃……担任の佐々木なみえ先生から唐突に告げられました。

佐々木「ええ。妙な時期だと思うかもしれないけれど、とにかく転校生が来ます」

 たしかにとても奇妙なタイミングで転校生がやってきたと思いました。が、私はそれよりも新しいクラスメイトが増える喜びを感じていました。

佐々木「それで青木さんには転校生のことをお願いしたいのだけど……いいかしら?」

れいか「はい。お任せください」

佐々木「そうそう、その転校生の名前と顔なんだけど……はい、これ」

 一枚の用紙を受け取るとそこには特徴的な髪色と髪形の女の子の写真がありました。名前は……星空みゆきさん。写真からはとても明るくて元気そうなイメージを受けました。
 そして以前在籍していた学校は……私立アリア学園中学校、その前に私立明堂学園、さらにその前に公立四つ葉中学校、サンクルミエール学園等々……まだあります。
 驚くくらい転校を繰り返してきたみたいですね。これだけ転校を繰り返してきたとなるとあまり心配することはなさそうですね。私はこの学校の紹介をすることが役目になりそうですね。そうと決まればさっそくどういう経路をたどって説明をしていくか考えましょう。


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<>れいか「転校生ですか?」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/11/01(木) 19:22:11.39 ID:tXZDbIga0<>  そうして、月曜日を迎えました。日課となっている水やりを忘れずに行い、段取りを確認して不備がないか入念に確認します。準備万端です。さて、それではクラスに行きましょう。
 
クラスメイト「青木さん、おはよう」

れいか「おはようございます」

 入学式から一週間、このクラスの生徒たちもすでに顔なじみです。一年の時に仲良くなった人同士、部活で仲良くなった人同士、形は様々でも、仲がいいことはいいことです。

なお「れいか、おはよう」

れいか「なお、おはよう」

 彼女……緑川なおは私の幼馴染です。小さな時からずっと一緒にいたとても大切な、家族のような存在です。
 なおには教えてもいいかしら? 転校生のことを。

れいか「なお。ちょっといいかしら?」

なお「ん、なに?」

れいか「実は、今日転校生が来るのよ」

 私は声のトーンを下げて話しました。

なお「こんな時期に? 普通はもっと早いものじゃないの?」

れいか「なんでもご両親の都合だと言ってたわ」

なお「へぇー……それよりもさ、それ言ってもいいの?」

れいか「なおなら誰にも言わないと信じているわ」

なお「まあ誰にも言うつもりはないよ。でも転校生かーどんな子なんだろ」

れいか「うふふ、それは流石に内緒にしましょうか?」

なお「そうだね。そのほうがドキドキするしね」

 なおと話していると佐々木先生がやってきました。

れいか「それじゃあなお、またね」

なお「うん」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/11/01(木) 19:41:07.00 ID:tXZDbIga0<> 佐々木「……今日は皆さんにうれしいお話があります。2年2組に新しい仲間がきます」

 先生の言葉にクラスのみんながざわつきます。みんな口々にどんな人なのか、男の人なのか、女の人なのかしゃべります。転校生、という単語に弱いものですね。かくいう私も何も知らなければみんなと同じようにしていたでしょう。
 
佐々木「皆さん静かに……それでは、転校生をお呼びしましょう。星空さん、入って」

 教室の扉が開き、クラス全員の視線がそちらに向かいます。
 彼女は……星空さんは緊張した面持ちで、ぎくしゃくした動きで入ってきました。
 そして、教壇に立ち、震えた声で自己紹介を始めました。ところどころ何を言っているのかわからないのでクラスの中に微妙な空気が漂いました。
 何回転校をしていても緊張しやすい人だったのですね、何とか私がフォローをしなくては……と、立ち上がりかけたところで赤い髪のクラスメイトが立ち上がり、星空さんに話しかけます。
 彼女は日野あかねさん。昨年転校してきた、今の星空さんの気持ちを一番理解している方です。
 日野さんが言葉巧みにみんなを笑わせ、それを機にクラスに和やかなムードが戻ります。
 それに緊張をほぐされた星空さんもさっきとは打って変わって、はっきりとした声で自己紹介をしました。
 
 ――これが、みゆきさんとの出会いでした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/01(木) 19:42:47.48 ID:tXZDbIga0<>   <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>saga<>2012/11/01(木) 19:44:11.20 ID:tXZDbIga0<> ミスなんも書き込んでないのに…ついでに勝手にみゆきがめっちゃ転校してた設定にしてごめん。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/01(木) 20:05:55.09 ID:tXZDbIga0<> れいか「星空さん、少しよろしいでしょうか?」

 放課後、緊張の朝を終え、日野さんと打ち解けた星空さんに声をかけます。

みゆき「え、え〜と、青木さんだったよね? 何かご用事?」

れいか「はい。この学校のご案内をと思いまして。お時間よろしいですか?」

みゆき「うん! 大丈夫だよー」

れいか「それでは、私の後についてきてください」

 星空さんを連れて校舎内を一周します。最後に、屋上へ誘いました。

みゆき「うわー、すっごくきれーい!」

れいか「この学校は坂の上にありますから、ここからは町全体を眺めることができます」

 そして、私のひそかなお気に入りの景色です。
 
みゆき「こんなにきれいな景色が見られてウルトラハッピー!」

れいか「なんですか? そのウルトラハッピーというのは?」

 彼女の口癖か何かでしょうか?

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/01(木) 20:32:57.42 ID:tXZDbIga0<> みゆき「うん! とっても素敵なことに出会ったらこう言うようにしているの。今のは、屋上から見えるこーんなにきれいな景色にウルトラハッピーって」

れいか「なるほど」

 ウルトラハッピーですか。いい言葉ですね。彼女の明るい表情にはきっとこういう素敵なことに対する喜びや感謝があるのでしょうね。

みゆき「それとね、もう一つ言わなくちゃいけない人がいるんだ」

れいか「?」

みゆき「この場所に連れてきてくれてありがとう。青木さん」

れいか「いえ、学校を案内するためですから」

みゆき「それでも、ここで青木さんとこの景色を見られてウルトラハッピー!」

 そう言う彼女の表情は星空のように、キラキラと輝いていました。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/01(木) 20:53:32.67 ID:tXZDbIga0<>  星空さんが転校して1週間。彼女は持ち前の明るさですでにクラスのみんなと打ち解け、もうすっかり人気者となりました。
 日野さんともいつの間にか名前で呼び合う関係になり、うれしく思う反面、なぜかさみしさを覚えます。

 しかし、そんなことを気にしている余裕は私には与えられませんでした。今、私たち生徒会は毎年恒例の読み聞かせ会の話を何にするのか、その他必要な材料、経費、準備期間など様々な問題を抱えながら日夜話し合いを繰り返しています。
 そして今日もまた、話し合いに向かいますが、その前にクラスの委員としての仕事もこなさないといけません。
 校内清掃キャンペーンの啓発ポスターの製作を引き受けてくれる人を決めないといけません。これはすでに1週間ほど話しているのに誰も挙手してくれません。
 指名することができるのならすぐにでも頼みたい方がいるのですが、お願いすることくらいしか許されていません。
 私が頼みたい方というのが黄瀬やよいさんです。彼女はあまり社交的な性格ではなく、友人もあまりいないらしく自己主張もあまりしないらしいのです。そんな彼女が褒められることがあるのが絵なのだそうです。
 私としては今回のキャンペーンポスターを機に自分に自信を持ってもっと周囲の方々との交友を深めてほしいのです。
 ですが、黄瀬さんは乗り気ではないようです。一度頼みに行ったことがありますが、難色を示し、「わたしなんかには出来ない」と断られてしまいました。
 このままでは何も始まりません……学級委員として、生徒会副会長として何とかしなければ……。
 そう思っていたところに、鶴の一声が入りました。

みゆき「黄瀬さんがいいと思います!」

 その一言で、クラスの意見が彼女に一任するという流れに変わり、ついには私の説得にも応じなかった黄瀬さんも承諾しました。
 すごい……私がどれだけ言葉を並べて説得しても一向に首を縦に振ってくれなかった黄瀬さんが書いてくれる気になってくれるなんて……!
 星空さん……あなたは一体何者なのですか?  <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/01(木) 21:12:59.82 ID:tXZDbIga0<>  予想よりもはるかに早く終わったクラスの話し合いのおかげで私は生徒会の話し合いに早いうちから参加することができました。
 クラスの話し合いのようにゆけばよいのですが、現実はなかなかそうはなってくれません。議論が白熱し今日も何も決まりませんでした。
 
 話し合いはまた後日ということでお開きになりました。
 私は部活に出ることにしました。その途中、星空さんたちが屋上に向かう姿を見つけました。
 黄瀬さんのことも心配ですので、失礼ではありましたが後をつけました。
 
 屋上では黄瀬さんの描くポスターの話をしていました。どうやら引き受けてくれはしましたが、まだ心の中にはわだかまりが残っているようです。
 
みゆき「わたし、黄瀬さんの絵とっても好きだよ!」

 その一言で黄瀬さんもその気になってくれたようで、3人でさっそく製作に取り組み始めました。
 やはり、みゆきさんには何か力があるのですね……私にもその力があれば、何の問題もなくすべてが解決するのに。
 悔しい気持ちと、尊敬の念が芽生えました。
 星空さん……不思議な魅力のある方です。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/01(木) 21:13:42.47 ID:tXZDbIga0<> 今回はここまで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/11/01(木) 21:42:08.86 ID:NawB3GUAO<> 天才vs秀才 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/11/01(木) 22:40:18.10 ID:DePOfuW80<> 期待乙
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/02(金) 18:07:05.72 ID:HM3CIy+h0<> みゆき「あかねちゃーん、聞いてよー昨日キャンディがね……」

あかね「なんや、またやらかしたんかみゆき」

みゆき「はっぷっぷー。さすがに毎日何かあるわけじゃないもん」

やよい「それでキャンディがどうかしたの?」

 キャンペーンポスターの受賞者発表の日から黄瀬さんとも仲が良くなった星空さん。最近は日野さんと、黄瀬さんの三人でいる姿がよく見られます。
 よかった……黄瀬さんにも安心してそばにいられる友人ができたようですね。

 黄瀬さんのことも落ち着き、あとは読み聞かせ会の問題を残すばかりですね……しかし、こればかりはどうも容易に進んではくれません。毎日同じ話題を繰り返しては同じ場所で止まってまた後日……この流れを何度見たことでしょう。流石に疲労も蓄積します。

れいか「ふぅ……」

 思わずため息も出てしまいます。

入江「お疲れのようだね、青木さん」

れいか「会長、申し訳ありません! このような場所でため息なんて……」

入江「疲れているのはお互い様だよ。僕だってついさっきまでため息ついていたからね。君の気持ちもわかる」

れいか「お気遣い、ありがとうございます」

入江「ああ、そうだ。一杯どうだい? 疲れた頭にはこれがいい」

れいか「よろしいのですか?」

入江「もちろんさ。がんばっている青木さんに、せめてもの感謝の気持ちだよ」

れいか「ありがとうございます。いただきます」

 入江会長の手に握られていたのは暖かいココアでした。会長の優しい気持ちがすっと体の緊張をほぐします。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/02(金) 18:07:48.73 ID:HM3CIy+h0<> れいか「あら、会長……会長はコーヒーなのですか?」

 てっきり私と同じものを飲んでいると思ったのですが彼の手を見ると違いました。それによく見るとあれはパックのコーヒーで私の缶のココアに比べるといささか値段の低いもののはずです……。
 私がそのことを指摘すると会長はあわてた様子でそれを隠すように手を後ろに回しました。

入江「いやぁ……実はこれ以外が売り切れていてね……はは、困ったものだよ」

れいか「そうだったのですか……では、売り切れていることを報告しましょうか? どこの自動販売機ですか? まずは確認してから報告に……」

入江「いや! 僕が行こう」

れいか「いえ、私が行きます」

入江「もう僕は戻るからね。もののついでだ。青木さんはもう少し休みたまえ。こういう時にしっかりと休息をとってくれ。君は普段から頑張ってくれているからね。それじゃあ」

 行ってしまいました……なんだかあわてた様子でしたがどうしたのでしょうか? 
 その後、話し合いを終え帰り際、気になっていた自動販売機を見に行きました。しかし、どういうことでしょうか?  入江会長は売り切れていたというのですがどれも売り切れてなどいません。業者の方が来たという話は先生も言っていませんでした。

 不思議なことがあるものですね。あまり気に留めずに帰ることにしました。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/02(金) 18:31:05.02 ID:HM3CIy+h0<>  ある晴れた休日のことです。朝に学校へ寄り水やりを終え、部活動に参加します。
 弓道はいいものですね。精神が研ぎ澄まされていく感覚が何とも言えない安らぎを与えてくれます。この道着もいいですね。体をきゅっと引き締めるので背筋もぴんと伸び、すべてがまっすぐに正され私もまっすぐな人間になれたように感じます。
 的の中心を射ると周りの部員の皆さんが私を褒め称えます。みんな口々にすごいすごいと囃し、先輩たちからも同じように褒められます。
 私はいつも通り礼をし、また練習に戻ります。
 
 しばらくし、日が暮れ始めた頃約束していたなおの家に向かいます。時折手が足りないときに私が彼女の家に行き家事を手伝います。
 ですが、この日はいつもと様子が違いました。整頓されてはいるのですが、普段私が直す場所に直されていないものが多くありました。なおに聞けば星空さんが来て整理してくれたようです。彼女が大半の家事をしてくれたらしいので私の仕事はどうやらなくなっていたようです。

なお「夕飯はこっちで食べていきなよ。せっかく来てくれたんだし」

 そうですね。星空さんの話も聞きたいですし……。

れいか「それじゃあ、電話を借りるわね」

なお「うん。いいよ。れいかなら勝手に使ってくれてもいいのに」

 何度も言われたことですが、こういうことはちゃんと家主に許可を得なければいけません。いくら親しい仲といえどもなすべきことはなさないといけません。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/02(金) 18:41:30.67 ID:HM3CIy+h0<>  母の許可も無事に得て、緑川家のお夕飯に参加します。
 それにしても……どうしてお母様も一報入れることはよしとしても、あまり礼儀正しくあり過ぎてもいけないと言うのでしょう? なおも同じように言っていましたが、大切なことなのではないのですか?

なお「れいかー。ちょっと手伝ってくれない?」

れいか「ええ。今行くわ」

 なおの呼びかけに立ち上がり、にぎやかな時間を過ごしているとさっきの疑問もいつの間にか気にならなくなっていました。

なお「それでさ、みゆきちゃんってすごくおっちょこちょいなんだー。そこがかわいいんだけどね。初めは私も驚いたよ。だってあんまり仲良くなかったクラスメイトが突然家に来ようとしてたんだから」

れいか「? 家には来なかったの?」

なお「迷子になってたんだよ、みゆきちゃん。そこに買い物帰りの私が通りがかってね。家に連れてきたわけ」

れいか「そうだったの。それで星空さんはどういった用事でなおを訪ねたのかしら?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/02(金) 19:02:35.99 ID:HM3CIy+h0<> なお「あー……ごめん、それはちょっと言えないかな」

 なおが隠し事をするなんて……今までどんなことだって私に秘密にしたことはなかったのに。何か、星空さんとなおの間には言えないつながりが生まれているのですね。
 ? なぜでしょう……胸が苦しいです。体の調子が良くない……というわけではないのですが、これはいったい?

なお「まあ、とにかくさ。今日一日一緒にいてみゆきちゃんと友達になったんだよ。とってもいい子だよ。れいかも友達になれば……れいか? どうかした?」

れいか「あ、なんでもないわ。大丈夫。ちょっとぼーとしちゃって……」

なお「そっか。れいか忙しいしね。ごめんね、長く引き止めちゃって」

れいか「いいのよ、なお。だって私が話を聞きたいって言ったもの」

なお「いやでも……」

れいか「なおは何も悪くないわ。気にしないで」

なお「こういう時、れいかって絶対に引かないよねぇ……頑固というかなんというか」

れいか「なお?」

なお「ごめんごめん。わかってるって。ところで、もう帰ったほうがいいんじゃない? 時間大丈夫?」

 言われて時計を見ました。あら、もうこんな時間……。

れいか「ごめんなさいね、こんなに長居してしまって……」

なお「れいかだったら一日ずっと一緒でも構わないよ。まあ、明日は学校もあるし止まるわけにはいかないよね」

れいか「ええ。だから変えるわ。なお、おやすみなさい。また明日学校で」

なお「うん。お休み」

 胸の中のもやは晴れることはなく……いつもの帰り道が時間のせいか、重く、暗く感じました <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/02(金) 19:03:10.44 ID:HM3CIy+h0<>  一旦離れます。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>saga<>2012/11/02(金) 21:44:46.40 ID:HM3CIy+h0<>  星空さん……どうしてかしら? 最近は彼女のことばかり考えてしまいます。授業中も、思わず彼女の事を考えていたり、外を歩く姿を無意識に追っていたり。自分がこんなに情けない性格をしているとは思いませんでした。学級委員として、生徒会副会長としてしっかりして、生徒を導かないといけないのにこんなことでは……。
 こんな時は、水やりをしましょう。お花を見ていればきっと気持ちも晴れるに違いありません。
 綺麗ですね……花は。毎日のお手入れは手間ですが、こんなにも綺麗なのですからそれくらいの苦労は厭いません。

みゆき「あ、青木さんだー! おはよー」

 物思いに耽りながら花を見ていると渦中の人物から声をかけられました。

れいか「はい。おはようございます」

 驚きを隠し、表面上普通に応対します。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/02(金) 23:17:45.89 ID:HM3CIy+h0<> みゆき「なにしてるの?」

れいか「お花に水をあげているんです」

みゆき「あ、そっかー。花壇だもんね。きれいなお花さんだねー」

 純粋な瞳で私の育てたお花を見つめる星空さん……その横顔に思わず目を奪われます。
 もう見慣れているものにいつも新しい出会いのように目を輝かせる彼女の幼いようで素晴らしい感性が彼女の魅力なのでしょうか? そうすればすべてのものに真摯に取り組めるのでしょうか?

みゆき「毎日やってるの?」

れいか「ええ。お花は日々のお手入れが大切なのです。ですから、一日だって忘れません」

みゆき「すごーい! 青木さんってまるで水の妖精さんみたい!」

 水の妖精……それはどのようなものなのでしょうか? 謎です……。
 ですが、星空さんにどのような形であれ褒められたことがうれしくて、気分がよくなります。こんなに単純な性格をしていたのでしょうか、私は?
 戸惑い、ふと見上げた時計の針に注目しました。8時……28分!

れいか「星空さん! 遅刻してしまいます、急ぎましょう!」

 私は星空さんの手を取り、教室へ急ぎました。まさかこんなに時間が過ぎているなんて……!
 朝から星空さんに会えた嬉しさと、焦りの気持ちが入り混じった初めての感情を味わいました。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/02(金) 23:18:17.57 ID:HM3CIy+h0<> よーし、今日はここまで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/05(月) 19:42:09.45 ID:yPFNl3RH0<> 乙。
これはみゆきが転校してきてから、れいかがプリキュアになるまでを、れいか視点で描いたものって事でいいのかな? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/05(月) 22:01:26.71 ID:XyUmUag10<> 基本的にはそのつもりでした。でも続きが書きたくなったのでいろいろ書いて、恋愛に発展させて、百合百合させようと思うんだ。ちょっと長くなりそうで、その上遅筆だけどよろしければお付き合いください。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/05(月) 22:08:04.24 ID:dow6C3TDO<> 百合と聞いて(地面から登場

れいか視点ってだけで俺得なのに更に……頑張って <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/05(月) 22:18:44.55 ID:XyUmUag10<> 支援感謝です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>saga<>2012/11/05(月) 23:08:31.94 ID:XyUmUag10<>  お昼のことです。精神統一のために弓道場へ来ました。
 どうして朝はあんなことをしてしまったのでしょう……勢いとはいえ、手を取るなんて、はしたないです。
 煩悩は打ち消さなければ……。

 ですが……そうしようと思えば思うほどあの時の情景が瞳の奥にちらつきます。
 いけません、無心に……無心になればどうもないはずです。
 悶々とした心中は現実に影響を及ぼします。さっきからまともに的に矢が当たってくれません。

みゆき「青木さーん」

 いけません、幻聴まで聞こえてきました。
 そう、いるはずがないのです。彼女はきっと今頃、昼食をとっているはずなのですから……。

なお「ちょっと、れいか。聞こえてるんでしょ」

れいか「な、なお? どうしてここに?」

 いえ、よく見ると星空さん、日野さん、黄瀬さんもいます。
 一体何があったのでしょう? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/05(月) 23:28:40.55 ID:XyUmUag10<> れいか「プリキュア……ですか。にわかには信じがたいお話ですね」

 皆さんのお話をまとめると彼女たちはプリキュアという特殊な設定で集まっているのですね。
 彼女たちの正気を疑うわけではありませんが、現実的に考えてそのような存在があるはずがありません。
 ともかく、今考えるべきは彼女たちが私を誘う真意です。
 そうして私なのでしょうか。

みゆき「わたしはね、五人目のプリキュアは青木さんがふさわしいと思うの。だからお願いします」

な・か・い「「「お願いします」」」

れいか「そんな、土下座なんて、やめてください」

 彼女たちの真剣味は伝わりますが、やはり付き合えませんね。

れいか「大変申し訳ないのですが、お断りいたします」

 私が断ると、皆さん疑問の言葉を口にします。
 私は今、生徒会で忙しいことを一通りお話ししました。

みゆき「そうだったんだ。青木さんって生徒会だったんだ」

あかね「いや、知らんかったんかい!」

みゆき「あはは……ねぇ、青木さん。私たちに手伝わせてくれないかな?」

れいか「え? ダメではありませんが……ご迷惑では?」

みゆき「そんなことないよ! そうだよね、みんな?」

なお「そうだね。今日のことがなくても忙しいれいかの手伝いはしたいよ。この前のこともあるし」

れいか「皆さん……ありがとうございます」
 
 そんなわけで、皆さんが生徒会の活動へ参加することになりました。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/05(月) 23:42:20.81 ID:XyUmUag10<>  しかし、どうしたことでしょう。今日に限って会長が不在です。理由は風邪でお休みとのことです。
 ということは、私がこの場をまとめなければなりません。

 読み聞かせ会の話は以前の話し合いの中でようやく決まりましたが、その後のことが決まりません。
 白雪姫を演じるのですが、その役割や話し手、人員の少なさ、また、キャラクターをどのように作るのかなど……まだまだ話さなければいけないことが多数あります。

みゆき「それだったら、こうすればいいんじゃないかな? たとえば――」

 なるほど……キャラクターは段ボールに絵を表裏に貼り付けることで一人が担当する数を増やせます。材料費もかからずに本来ごみとなるものの再利用もできる。素晴らしい案です。流石は星空さんです。

やよい「それに、絵だったら……恥ずかしいけどわたしが描くよ」

 黄瀬さんも、人に絵を見せることに抵抗が少なくなりつつある、いい傾向です。彼女たちが黄瀬さんにいい影響を与えてくれたのですね。

 こうして、星空さんたちの手を借りて読み聞かせ会に向けて準備が進みます。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/05(月) 23:54:15.25 ID:XyUmUag10<> みゆき「できたー!」

 あの日から二日、なんとか間に合いました。
 途中、いろいろありましたが本番までに間に合いました。

れいか「皆さん。本当にありがとうございました。皆さんの力添えがなければ間に合いませんでした」

あかね「気にせんとって。うちらかて、副会長が頑張ってんの知ってて部活に励むんは心が痛むからな」

なお「そうそう。れいかは自分のつらいことを人に話さなさすぎ」

 とは言われましても……これは本来私たちがなさなければいけない問題なのですから。今回は手伝っていただきましたが。

みゆき「明日が本番だね、がんばろう青木さん!」

れいか「あっ……」

 手を握られました。あの日のことが思い出され、不意に顔が熱くなってきました。

みゆき「大丈夫!? 青木さん、顔赤いよ」

れいか「いえ、何でもないんです……大丈夫です」

 恥ずかしくなり、私は顔をそむけました。どうして、こんなに熱いのでしょう? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/06(火) 00:20:51.44 ID:A9ckGChu0<> これくらいにしるかな……お休みー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>saga<>2012/11/11(日) 16:22:12.70 ID:PVRxFt370<> 来週のプリキュアが楽しみすぎる・・・!五話からみゆれい待機していた私に死角はなかったのでここにキマシタワーを建てよう(提案

 それじゃそろそろぼちぼち再開していきますね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鳥取県)<>sage<>2012/11/11(日) 16:38:17.32 ID:lOdZeYLP0<> よっしゃこい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage<>2012/11/11(日) 17:08:55.95 ID:OZv+0TWyo<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>saga<>2012/11/11(日) 17:10:19.03 ID:PVRxFt370<> みゆき「い、いっぱい来てるね〜」
 
 本番を迎え、舞台袖で出番を待つ星空さんは緊張した表情に見えました。

れいか「大丈夫ですよ、星空さん。あなたなら出来ます」

みゆき「本当に?」

れいか「はい。自信を持ってください。人に笑顔を与えることができるのは星空さんにしか出来ません」

みゆき「そ、そうかな?」

れいか「はい。私はこの目で確かに見ていました。あなたにはその力があることを」

みゆき「青木さんにそう言ってもらえると……とってもうれしいな。勇気が湧いてくるよ」

 そう言った星空さんの目にはもう、緊張も何もありませんでした。いつもの、元気と明るさに満ちた笑顔で眩しく見えます。
  <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/11(日) 17:49:43.98 ID:PVRxFt370<>  読み聞かせ会が始まり、子どもたちが舞台に注目します。舞台では星空さんたちが懸命にキャラクターを動かしています。私も読み手として台本の読み間違いなどはないように気をつけます。

 と、その時――一人のおばあさんが舞台に上がってきました。

 子どもたちのご家族の誰かでしょうか? そう思い近づき話しかけました。 
 
 いいえ、それは違いました。

 一体、何が……そう思った瞬間体から力が抜けすべてがどうでもよいもの変わり果ててしまいます……
 
 ――――――――

 なぜ……こんなに必死にならなくてはいけないのでしょう?
 
 こんなことをしても意味がありません……

 ――――――――

 暗雲のような思考は泥沼に沈み――心を蝕みます。

 努力に意味などなく、明日は変わらずに今のまま……何事もなせずに埋もれてゆくばかりで。

 私はきっと……こんな私で終わるのですね。

 肩書に身を寄せ、羽ばたかない鳥として、生を全うできないできそこないのような私のままで……

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/11(日) 18:00:19.04 ID:PVRxFt370<>  このまま、終わってくれれば……どれほどよいでしょうか。

 ああ、まどろみに抱かれ落ちる感覚は抗いがたく――理性は吹き飛ばされそうになります。

 夢か現か……どちらでもいいんです。

 すべてがどうでも。読み聞かせ会なんて……白雪姫なんて。


 −−−白雪姫?−−−


 視界がぼんやりして、はっきりとは見えませんが……ここは、先ほどの体育館?
 
 そう、判断してもよさそうです。子どもたちがぐったりとしていますが、恐らくはそう。

 見慣れない物体に不審な老婆、その前には四人、見慣れない人? でしょうか?

 
?「白雪姫? こんなもの、くだらないだわさ!」

 老婆が、白雪姫の紙人形を踏みつぶし蹴飛ばします。

 その瞬間、突然電源を入れられた機械のようにはっと我に返ります。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/11(日) 18:09:57.49 ID:PVRxFt370<> れいか「これは、一体……?」

 非現実的な光景に取り乱してしまいます。とくにあの老婆の周りの鏡のような、おかしな生き物たちと、その前の4人のコスプレのような集団は一体?

れいか「あなたたちは?」

?「と、通りすがりのスーパーヒーローです」

 そういえばそのような事を以前黄瀬さんが言っていたような……いえ、ですがまさかそのようなことが?

 唐突に押し寄せる不可思議な現象に頭が理解を拒みます。

?「あんたかい? こんなくだらないことをしているのは?」

 老婆が私に何事か言っています。無駄なこと、くだらないこと。私たちの努力を、この読み聞かせ会にかける思いを踏みにじります。この、紙人形の白雪姫のように……。

みゆき(青木さん! 明日の読み聞かせ会絶対に成功させようね!)

 許せません。がんばる人を馬鹿にすることを。その思いを否定することを。

 走馬灯のように蘇る今までのことがわたしの中で熱い怒りに変わり、足を動かします。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/11(日) 18:30:51.52 ID:PVRxFt370<>  〜〜以下アニメに同じなのでキングクリムゾンさせていただきますm(_ _)mお許しください〜〜


 読み聞かせ会も無事に終わり、私は一つの決意がありました。それは一度は断ったプリキュアへの参加です。このようなわがままが通るとは思いませんが、もしかしたら……という気持ちがあり、それに……彼女たちと、もっとずっと一緒にいたいと思いました。
 彼女たちといると小さな私が変わるような、そんな感じがしたのです。
 それ以上に……もっと、星空さんを見ていたい。
 私の強い思いです。

 そして、そのことを星空さんたちに話すとみなさん、快く受け入れてくれました。

れいか「本当に、こんな私でよろしいのですか?」

みゆき「青木さんがいいの! だって、わたし青木さんのことが……れいかちゃんのことが大好きだもん!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/11(日) 18:37:22.87 ID:PVRxFt370<>  名前で呼んでくれる……たったそれだけのことで、心臓が大きく跳ねて、体が熱くなります。
 嬉しいという感情が止まりません……これは星空さん、いいえ、みゆきさんの言葉を借りるとウルトラハッピーということなのですね?
 
れいか「みゆきさん、みなさん……よろしくお願いします!」

 名前を呼ぶ時、少し恥ずかしかったですが、思い切って呼んでみました。

 みゆきさんも、上気した顔で私を受け入れてくれます。皆さんも。
 初めて、なお以外の人と親しくなりました。友達はいても、こんなに胸を熱くさせる人はいません。

 新しい日々の、始まりの予感です。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/11(日) 18:38:03.16 ID:PVRxFt370<> ちょいと抜けます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>saga<>2012/11/11(日) 21:31:44.05 ID:PVRxFt370<>  みなさんとプリキュアの仲間として、良き友として過ごすようになって私はよく言われるようになったことがあります。それはよく笑顔で過ごすようになったと。
 そんなに以前の私は笑わなかったのでしょうか? 気になって弓道部員に聞いてみたところ、前は誰かに褒められても一礼するだけで笑ったりしていなかったようです。先輩には柔らかくなって話しかけやすくなったと言います。それは別に私の態度が悪いわけではなく生真面目すぎたらしいのです。
 部活動ですから、まじめに取り組むのは当然だと思います。
 思うのですが、最近は心から楽しむようになったと自分でもそう思います。

 誰かにいい影響を受けているのだと、よく言われます。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/18(日) 19:00:14.75 ID:pjRzIQo10<>  私は……どうしても最近、みゆきさんのことが頭から離れません。思えば、転校してきたあの時からこうして意識をすることが増えたように思います。

 授業中も、お昼御飯も、会議の間も……いまではもう、家にいても集中できないほどに彼女のことを考えます。

 大切な友人です。

 大切な友人なのです。

 なのに……なのにどうして?

 こんな気持ちは初めてです。

 今まで、多くの行事も、困難もともに乗り越えてきた言葉では語りつくせない関係にあります。

 しかし、それを言えばなおも、あかねさんも、やよいさんも、キャンディも同じはずです。

 不思議と彼女たちのことを考えても暖かな気持ちになるだけです。ですが、みゆきさんだけはなぜか体が火照ったように熱くなります。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/18(日) 19:06:43.03 ID:pjRzIQo10<>  答えが見つからぬまま……私はクリスマスを過ぎ、お正月を皆さんと迎えました。

 今まではこういったことは家族やなおのご家族と過ごすことが主でした。ですから、とてもわくわくして過ごしました。初めてのことで思わず普段の私とは程遠いはしゃぎようだったと後からなおに教えてもらいました。
 
 そんなはしたない姿を見られたのだと思うとまた顔が熱くなります。

 プレゼントを交換していただいたピンク色のかわいいもこもこの手袋を手に取り、彼女を思います。

 −−星空は、とても輝いています。

 ちょうどあの笑顔のように。

 会えない時間がこんなにも苦しいだなんて……どうしてかしら?

 私の悩みはまだ、解決しそうにありませんでした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/18(日) 19:16:55.35 ID:pjRzIQo10<>  三学期も始まり、入江会長たち三年生がいよいよ学校でも姿を見かけることが少なくなってきました。

 さびしい季節がやってきたのですね……ですが、悲しむ時間はありません。卒業式の送辞の文章を考えないといけません。それに向けて学年をまとめた式の練習も必要になりますし……ここ最近はバッドエンド王国の方々もあまり見かけませんから、この間にこちらの仕事は片づけておかないといざという時困ります。
 しかし、あれだけ日々進攻を繰り返していたあの方々が息をひそめているのは嫌な予感がしてなりませんが、今は気にしている場合ではありません。

 それに、期末試験もあります。実はどんなことよりも試験が気になっているのは内緒です。
 というのも私以外のプリキュアの皆さんの成績はお世辞にもいいとは言えません。このままでは高校へ行くことも難しいです。
 特に厳しいのがみゆきさんです。一学期、二学期とずっと見てきましたがいつも試験前はかなり危ないです。宿題も忘れがちで授業中に当てられてもまともに答えた例がありません。そしていつも私に泣きつくというのがお決まりになりました。そのときのみゆきさんがとてもかわいいのですが……いえ、それはなんでもいいのです。

 とにかく、今回は一度しか試験がありませんから失敗は許されません! 早い段階からしっかりと計画を立ててしっかりと勉強しましょう。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/18(日) 20:52:39.47 ID:pjRzIQo10<>  そんなわけで秘密図書館で勉強会です。

 みなさん不得意分野を頑張ります。なおは社会を。あかねさんは英語を。やよいさんは数学を。みなさんには私が簡単にまとめた試験の対策ノートを配布しています。
 難しい顔をして問題に取り組む皆さんに時々手助けして、一番手のかかるみゆきさんの勉強を教えます。驚いたことにみゆきさんは全教科が苦手なのです。ひとつくらいは得意分野があるのではと思っていましたがそんなことはありませんでした。さらに復習もしないというのですから、この理解度は納得です。

みゆき「もうだめーこれ以上は入らないよー! はっぷっぷー」

れいか「では、休憩にしましょうか」

 まだ二時間ほどしか勉強していませんが、仕方ありません。

  <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/18(日) 21:14:18.01 ID:pjRzIQo10<> みゆき「ちょっと、トイレ行ってくるねー」

 みゆきさんが席を外し、姿が見えなくなります。

あかね「みゆきはいったな、ほなれいかに質問や!」

れいか「はい? なんでしょうか」

あかね「れいかはみゆきのこと好きなんか?」

れいか「!?」

 突然の質問にむせてしまいました……、あかねさんはいきなり何を言い出すのでしょう?

あかね「いや、前から気になっとったんやけど中々聞き出す機会なくてなー」

れいか「は、はぁ……」

やよい「わたしも実は気になってましたー……なんて」

れいか「私は……みゆきさんを……」

 どう思っているのでしょうか……考えてみてもわかりません。いつもの症状が出てくるばかりで答えはどこにあるのでしょうか?

 みゆきさんが戻ってきたので質問の答えは有耶無耶のままでした。

 ですが、いつまでもこのままでいいとは思いません。いずれはしっかりとした答えにたどり着かなくては…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/18(日) 21:41:29.96 ID:pjRzIQo10<>  バレンタインの季節です。

 教室の中が甘く、普段とは違う景色に塗り替えられています。しかし、教室の中に悲しい顔の人は誰もいませんでした。なぜなら、みゆきさんがクラスの皆さんに渡しているからです。それ自体はよいのですが、胸の奥を針でちくりと刺すような痛みが襲います。

 みゆきさんはただ、みんなにあげたくてそうしているだけなのです……そこには特別な思いはなくて、”友達だから”というだけのはず……。

 邪悪な念に駆られ、頭を振ります。いけません、みゆきさんの好意に水を差しては……。

みゆき「はい! 豊島君にもチョコあげる!」

豊島「お、おう。ありがとな!」

 今日一番の痛みに胸が締め付けられます。

 やめてください……そんな笑顔を向けないでください、みゆきさん。

 そこにいられなくて、走り去りました――

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/18(日) 22:42:26.80 ID:LaSZrSRDO<> 今週が良いみゆれいだったので
こちらのみゆれいスレを思い出して来た。何度読んでもイイヨー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/19(月) 00:33:17.13 ID:n66G9DXn0<>  がむしゃらに走っている内に、屋上に来てしまったようです。

 心臓がこんなに早いのは走ったからではありません。さきほどの光景が網膜に焼き付いて離れません。二人の隣り合う姿がとても似合っていたので、見ていたくありませんでした。

 なんてことはないはずの光景がこんなにも胸を締め付ける理由はなんですか? この頬を濡らす涙の理由はなんですか?

 誰も、教えてくれません。私にしかわからないのですから……。

みゆき「れいかちゃん?」

れいか「みゆきさん……どうしてここに?」

みゆき「何となく、ここかなーって思って。だってここはわたしがれいかちゃんとの初めての思い出の場所だもん」

 そうです。ここは転校したてのみゆきさんと初めて思い出を作った場所です。私にとって、とても思い入れのある場所。
 どうしてここにすぐにきたのか、思えばこうしてみゆきさんに見つけてほしかったからなのでは……?

みゆき「すごく気持ちいよね〜ここ。風も吹いてて……はっくしゅん!」

 くしゃみをするのも当然です。とても寒いですから。私も落ち着いてきた今寒さを感じてきました。

みゆき「いや〜誰かがわたしを噂してるのかな〜」

れいか「我慢しないでください、みゆきさん」

みゆき「あっ……」

 鼻の先を赤くして、寒さをこらえるみゆきさんの姿に私は……体を動かしていました。

みゆき「れ、れいかちゃん?」

れいか「ごめんなさい……今はこうするしかありませんでしたから。いやですか?」

みゆき「ううん。れいか、とってもあったかいね」
<> うわあーさっきのラストでみゆきが呼び捨てテル<>saga<>2012/11/19(月) 00:45:06.43 ID:n66G9DXn0<> れいか「みゆきさん……私があなただけにチョコをもらってほしいと言えば……どうしますか?」

みゆき「ええ? う〜ん……もちろんもらうよ」

れいか「本当ですか?」

みゆき「うん。だってわたし、れいかちゃんのこと大好きだもん!」

 大好きという言葉に、思わず涙が出る思いでした。私の、今一番ほしい言葉です。どんな言葉でもこの一言には敵いません。ですが……ですが、わかっているのです。この先にどの言葉が出てくるのか。わからない私ではありません。

みゆき「あかねちゃんも、やよいちゃんも、なおちゃんも! みーんなが大好き!」

れいか「そうですね。その通りです」

 みゆきさんはとても素敵な方です。きっと誰か一人だけ、なんていう考えができないのでしょう。でも、それが彼女の彼女らしさであり魅力なのです。そういう贔屓のできない性格も私の惹かれた理由です。

みゆき「あ、見てれいかちゃん! 雪だよ! きれいだね〜」

れいか「はい。とってもきれいです」

 今は、彼女の大切な人の中にいられるだけでいいのです。それが最高の喜びなのですから。

 ですが、いつかは――きっと。 <> 間違いは私の責任だ<>saga<>2012/11/19(月) 00:57:00.76 ID:n66G9DXn0<>  しんしんと降り積もる雪は心を覆い、あなたは足跡を残す。

 無邪気な笑顔の女の子が、名もない雪に残すそのあとを。

 踏み外さないように、間違えないように追いかける。

 それは繊細で。

 それは大胆に。

 向こうに何があるのだろう――?

 知りたい、知りたいよと。

 はやる心を押さえて。

 平静を装い、冷静な振りをして。

 熱い気持ちが溢れ出しそうで怖くて。

 震える、震える。

 ぷるぷる震える。

 ――ねぇ、あなたはだぁれ?

 星の瞬きのようなその笑顔に。

 また、会いたいです。 <> だが私は謝らない<>saga<>2012/11/19(月) 01:05:07.42 ID:n66G9DXn0<> れいか「……夢ですね」

 とてもおかしな夢を見た気がします。

 でも、あれはきっとみゆきさんですね……ついに夢の中にまで彼女の存在を求め始めてしまいました。

 この部屋の中で一際目立つピンクの手袋と、ピンク色の包み紙を手に取り、彼女を思います。

 この気持ちは一体なんでしょう……?

 わかっているような、わからないような。不安になる気持ちは。でも、暖かくてくすぐったいこの気持ち。そろそろ決着をつける時ですね。

 こういう時は、誰か頼れる人の力を借りるべきでしょう。以前から人を頼らない癖をなんとかしたほうがいいというので、これを機に直してみましょう。
 しかし、誰を頼ればいいのか……悩みます。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/19(月) 01:11:53.95 ID:n66G9DXn0<> なお「それで、私のとこにきたんだ」

れいか「ええ。こういう時、なお以外に思い浮かばなくて……突然押しかけて迷惑よね」

なお「まさか。うれしいよ。やっぱ幼馴染としては選んでもらえて」

れいか「そう?」

なお「うん。だってれいか最近みゆきちゃんのことばっかだからさー。今日もそのことでしょ?」

れいか「すごいわね、なお。どうしてわかるのかしら?」

 そんなに私はわかりやすいのかしら……?

なお「多分二人以外は気づいてると思うよ。二人とも自分のことには鈍感だから」

れいか「そうなの……ところで、本題に入っていいかしら?」

なお「いいよ。どんときて」

れいか「私の気持ちを教えてほしいの」

なお「−−はい?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/19(月) 01:12:43.51 ID:n66G9DXn0<>  今日は以上。寝ます。たぶん次は明日の朝くらい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage<>2012/11/19(月) 07:46:33.00 ID:I34JAR4No<> 乙
みゆれい最高だわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/19(月) 10:43:40.52 ID:n66G9DXn0<>  今まで、心の中にあった気持ちを包み隠さずに話すと胸のつかえがすっと落ちたようです。

なお「まさかこれほどなんて……」

れいか「どうかしたの?なお」

なお「ああ、大丈夫。ちょっとれいかの鈍感さに今更驚いただけ」

れいか「私、そんなに鈍いのかしら」

なお「まあね。改めて聞くけど、みゆきちゃんのこと好き?」

れいか「ええ。好きよ」

 友人として当然の感情です。

なお「どういう風に好き?」

れいか「どうって……明るい笑顔がかわいくて、ドジだけど前向きな笑顔で、よく笑ってて……」

 気づけば、私は彼女の笑顔のことばかり話していました。初めは、私にできないことを簡単にやってのけるすごい人だと思って見ていたはずですが……いつも見ているみゆきさんは笑顔ばかりでした。

なお「みゆきちゃんの笑顔のことばっかだね」

れいか「おかしいのかしら?」

なお「おかしくはないと思うよ。普通ではないと思うけど」

れいか「どうして?」

なお「普通は友達の笑顔のことばっかり見ないよ。私も人のこと言えないけどね」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/19(月) 11:03:39.45 ID:n66G9DXn0<> れいか「なおも、誰かの笑顔を見ているのかしら?」

なお「ぅえ!? いや、さすがにそれだけじゃないけど」

れいか「じゃあ、どんなことを見ているの?」

なお「その子はね、とっても頑張り屋さんで、たまにちょっとずれてるけど芯の強い子でね。自分のことにとっても真剣なんだ。なんだか、ああいう姿見てると私も負けられないなぁって思って……いつの間にか、その子ばっかり見てるようになってたんだ」

 頑張り屋さん……芯の強い人。というと私たちの周りには当てはまる人ばかりですね。まさか、なおもみゆきさんのことを……? 
 そう思ったとき、また胸に痛みが走りました。

なお「れいかも同じだよ」

れいか「え?」

なお「れいかもみゆきちゃんのことをいつの間にか、本当に気づかない内に見てるようになったんだよね」

れいか「ええ、そうね……」

なお「私の話はとにかくね、普通じゃないのは女の子が男の子にチョコ渡して嫉妬してるのがおかしいの」

れいか「私、嫉妬なんて……」

 いえ、しています……あの時の痛みがそうなのだとしたら今も……。

れいか「なお、ごめんなさい」

なお「いきなりどうしたの? 何か謝られることないと思うけど」

れいか「私、なおの話を聞いていてなおの見ている人がみゆきさんだったらと考えたら胸が痛くて……これが嫉妬という感情なのね……ごめんなさい、なお。でも私は」

なお「ああ、そういう……私は気にしてないよ。むしろれいかが自分の気持ちに気付けてよかったと思う」

れいか「怒ってないの?」

なお「うん。れいかの手助けになったんならむしろよかった」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/19(月) 11:12:31.57 ID:n66G9DXn0<> れいか「なお、ありがとう」

なお「いいって。それで、れいかはどうしたいの?」

れいか「どう、って?」

なお「だから、れいかはみゆきちゃんとどうなりたいのかなってこと」

れいか「そんな……今まで通りよ。私はこの気持ちが知りたかっただけ」

なお「本当に? 本当にこのままでいいの?」

れいか「ええ……だって、これ以上何があるの?」

 なおが何を言おうとしているのかわかりません。この気持ちがわかった今、悩みはもうありません。

なお「だってさ、れいかはみゆきちゃんのこと好きなんだよね?」

れいか「ええ、勿論よ」

なお「だったらさ、付き合いたいとか思わないの?」

れいか「つ、付き合う!?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/19(月) 11:26:10.73 ID:n66G9DXn0<> れいか「そんな、付き合うだなんて……私たちは女の子同士なのよ?」

なお「え、そんなおかしいのかな……結構うちのクラスでも、学校でもほかの学校でもいるって聞くけど」

れいか「同性同士で付き合うなんて……おかしいと思うわ」

なお「でも、れいかも同じだと思うよ?」

れいか「違うわ。私はみゆきさんをそんな風に見たことはないもの」

なお「だったらどうして嫉妬するわけ?」

れいか「それは……心配だから」

なお「何が? れいかの言うとおりだったら別に普通だよ。異性同士、いい関係になるのは。豊島はみゆきちゃんのこと好きだし、みゆきちゃんだって多分嫌じゃないと思うけど」

れいか「……」

なお「結構二人お似合いだと思うよ? 豊島もいいやつだし、みゆきちゃんを安心して送り出せるよ」

れいか「やめて!」

なお「どうかした? 私は普通のこと言ってるだけだよ」

 わかっているの……だけど、どうしても考えたくない。そんな未来は見たくないです。

なお「れいかは別にみゆきちゃんと付き合いたいわけでもないんだしいいじゃない」

れいか「……そうなのだけど。でも、嫌なの」

 普通ではない道。私はそんなの嫌です。でも……この痛みは消えないどころか、大きくなるばかりです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>saga<>2012/11/19(月) 11:32:25.25 ID:n66G9DXn0<> れいか「なお……私はまだ、自分の気持ちがわからないみたい」

なお「みたいだね。また何かあったら来てよ。話聞くくらいなら出来るから」

れいか「ええ……ところで、一つだけ聞いていいかしら」

なお「なに?」

れいか「女性同士が付き合うこと……なおは気持ち悪いと思わないの?」

なお「私は別にどうとも思わないよ。むしろ肯定的かな? 今はそうだと思う」

れいか「そうなの……ありがとう、私の話を聞いてくれて」

なお「うん。また明日学校で」

れいか「ええ、また明日」

 また、新しい悩みができてしまいました。どうすればいいのでしょう……?

 私はまだ、道に迷うばかりです。

 右にも、左にも行けずに立ち尽くしてしまいます。

 私はどちらへ行けばいいのでしょう? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/23(金) 01:51:31.28 ID:zuH/y1l10<> みゆれい支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/04(火) 22:28:44.17 ID:qN2Mjhg+o<> 珍しいタイプのれいみゆだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/08(土) 17:33:01.41 ID://QE1etlo<> おもしろい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/15(土) 12:01:25.86 ID:Zj6ddpqj0<> まだー? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/15(土) 23:59:02.97 ID:a0MrVReP0<>  大変長らくお待たせしました。続きです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 なおの言葉が本当だとすれば私のこの気持ちは恋ということになります。

 ですが、それはいけないことです。

 同性に特別な気持ちを持つだなんて……普通ではありえません。

 人としての道を大きく踏み外しています。

 私は……正しい道を歩みたいです。

 では、正しい道とは何かと考えるとそれは異性との恋愛ということになります。

 私はクラスメイトの男の子顔を何名か思い浮かべてみました。

 みんなそれぞれの持ち味を持っていて素敵な方々です。

 ですがみゆきさん以上に心を乱されるようなことはありませんでした。

 ……もしかすると、私のこの気持ちはただの勘違いなのでは?

 プリキュアとしての使命を果たす戦いの中で、リーダーとして活躍する彼女の姿に、底知れない魅力を放つ友人の彼女の姿に、憧れているのではないのでしょうか?

 そう考えれば辻褄が合います。

 思えば、初めて会ったあの時から言葉に出来ない感情を抱いていたように思います。

 しかし、プリキュアとして、友人としての想いなら他のみんなにも同様の感情を持っていないと、やはりみゆきさんと
は区別がついてしまいます……。

 私にない魅力を誰もが持っているのに、その中でどうしてみゆきさんにだけ……。

 本当の答えが見えてきません……私に答えを教えてくれるのならこの際バッドエンド王国の誰かでも構いません。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:01:23.15 ID:ws3PgAhm0<>  卒業式当日……無事に式も終わり三年生がこの学び舎から旅立ってゆきます。

 遠ざかる背中を見送り、感慨に耽っているところに入江会長がやってきました。

 最後に私に言いたいことがあると告げてそそくさと生徒会室へ行きましたが、何事かあったのでしょうか?
 
会長「やあ、来てくれたんだね青木君」

れいか「会長、お話とは……」

会長「ああ……そのことなんだけど……なんて言えばいいのかな」

 言いにくそうに顔を背けて何事か考えている様子の会長の姿が、何故か不意に私と重なって見えました。

会長「今更未練がましいと自分でも思うんだけど……言わないで卒業したらきっと後悔したままで、僕は嫌なんだ。だから、ちゃんと言わせてほしい」

れいか「会長……?」

会長「青木君、僕はずっと君のことが好きだったんだ! 君の気持ちが知りたい……」

 会長の突然の告白に、私は何も言葉が出ませんでした。

会長「ごめん……聞くまでもないことだったね。君は僕のことをどうとも思っていないはずだ」

れいか「そんなこと、ないです」

会長「いいや、わかるんだ。君を見てきたからね。君にはとても大切に思っている子がいるんだろう? 恐らく、あの4
人の中の誰かだ」

れいか「会長……どうして?」

 そこまで? と言えば答えてくれたのでしょうか……会長は最後に気持ちが伝えられてよかったと言って去ってしまいました。

 少し見えた横顔がやけに印象的で、私の未来が映っているようでした。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:17:37.40 ID:ws3PgAhm0<>  春休み……すべてが終わり、すべてが始まる季節に私は……。
 
 気持ちを落ち着けるために昨年度の復習をしていましたが、それも終わりついにするべきことが無くなりました。
 
 プリキュアの使命を果たした私たちの足並みは、何となく揃わなくなってしまいました。
 
 合わせようと思えば出来るはずなのに……簡単なことが出来ません。
 
 私たちの1年の絆がそんな簡単に崩れることがあるとは思いません。
 
 そんなはずは……ありません。
 
 きっと、多分そうだと、私は信じています。
 
 弱気になってはいけません。
 
 そう、もう一度会いましょう。そうすればまた昔のようにみんなで会えるはずです。
 

 しかし、それはとても難しいことになってしまったのです……。
 
 どういうわけか、全員が同じ日に会うことができないなんて。
 
 失意の内に私は、秘密図書館へと足を踏み入れていました。
 
 あの時の姿をそのままに、寂しそうな空間になっていました。
 
 主を失い、いずれは忘れられ、捨てられる運命にあると知れば……受け止められるのでしょうか?
 
 普段私が座っていた場所ではなく、みゆきさんがよく好んで座っていた場所に腰を下ろし彼女が見ていたかもしれない風景を目に焼き付けました。
 
 何を想い、何を見ていたのでしょう。
 
 ここからは、全員が視界に入ります。
 
 みゆきさんはきっと、みんなの姿が見えるこの場所が大好きだったのでしょう。
 
 ここにいると、みゆきさんを身近に感じるようです。
 
 そんなはずはないのに……こんなことをして、私は未練がましいのですね。
 
 まだ自分の気持ちにはっきりとした名前も付けていないというのに……。
 
 もう一度、会えばわかるのでしょうか?
 
 この気持ちと向き合いたい……でも、怖い。
 
 未だに決着のつかない気持ちにやきもきし、考えをあれこれと巡らしていると何故だかとても眠くなり、いけない、いけないと思っているのに……瞼が……落ちてしまう……。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:19:39.18 ID:ws3PgAhm0<>  1時間か、2時間か……ここは常に日が射しているため外の時間がわかりません。
 
 なんだかぽかぽかとしていい気分です。
 
 それに柔らかな枕のようなものを頭の下にしているので余計に眠りを誘います。
 
 今までの不安な気持ちを全部取り払ってくれたような、束の間の幸せです。

みゆき「あ、れいかちゃん起きた?」
 
 え? みゆきさんの声が……これは夢なのですか?
 
 きっとそうなのでしょう。視線を上に持っていけばそこには……。

れいか「……みゆきさん?」

みゆき「? うん、そうだよ」
 
 状況を理解する頭が残っておらず、しばらく無言でみゆきさんの顔を見ていました。
 
 そして、ようやく思考のピントが合ったその時、すべての出来事が繋がり、急に顔が熱くなりました。

れいか「ご、ごめんなさい!」
 
 恥ずかしくて、みゆきさんの顔が見られません……。
 
 何か、おかしなことなどなかったでしょうか?

みゆき「れいかちゃん、大丈夫? 顔赤いけど……」

れいか「だ、大丈夫です……それより、みゆきさんはどうしてここへ?」

みゆき「どうしてかな……何となくここに来たら誰かがいるような気がして。そしたられいかちゃんが寝てたからつい……あんまり気持ち良くなかった?」

れいか「いえ、それについては心配いりません。むしろ……」

みゆき「むしろ……?」

 失言です。つい口を滑らせてしまいました。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:21:11.71 ID:ws3PgAhm0<>
れいか「何でもないです……」

みゆき「そっかぁ。そういえばれいかちゃんはどうしてここにきたの?」

れいか「私は……」

 みゆきさんに会いたかったから、と言えればどれほどよかったでしょうか。

 臆病な私にはそんな言葉が出せませんでした。

れいか「少し、寂しくて」

 だから、代わりに私のもう一つの本音を口にしました。

みゆき「れいかちゃん、さびしいの?」

れいか「はい。プリキュアとして過ごしている間はずっと一緒にいられると思っていたのですが……今では離れてしまっ
ていることがとても辛いのです」

みゆき「そっか……だかられいかちゃんわたしたちを」

れいか「ずっと一緒なんて、そんなことは出来るはずがないとわかっています。でも、それでもなんとかして少しでも長い間いられればと思ってしまうんです」

みゆき「大丈夫だよ!」

 みゆきさんが私の手を取ります。

みゆき「私たちがみんなで一緒にいたいって思えば、絶対に大丈夫だよ! だってわたし、まだみんなと一緒にいたいん
だもん」

 真剣な目でそう言いました。

 それはいつも私が傍で見てきたいつものあの目です。

 私たちを支えてくれた、強い目。

 途端に、不安は吹き飛び、大丈夫だという安心感が生まれました。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:22:23.33 ID:ws3PgAhm0<> れいか「みゆきさん……そうですよね。絶対に大丈夫ですよね」

みゆき「だってわたしたち、プリキュアだもん!」

 スマイルパクトを取り出して、印籠のようにして胸を張るみゆきさんにならい私もスマイルパクトを取り出しました。

 もう私たちに変身する機会はないでしょうけれど、手放したことは一度もありません。片時も離したくありません。

 同じ時を過ごした大事な証ですから……。

みゆき「れいかちゃん、明日暇?」

れいか「え? はい、特に用事はありませんが……」

みゆき「じゃあわたしと遊びに行こうよ! ここで会えたのも何かの縁だし!」

れいか「いいんですか?」

みゆき「うん、わたし今何もすることなくって……」

 そんなこんなで、みゆきさんと遊びに出かけることになりました。

 行く先は特に決めていません。行き当たりばったりですが、とても楽しみです。

 こんなに胸が熱く、踊っているのは久しぶりのことです。

 ああ、早く明日になればいいのに……。



 翌日、天候は快晴。

 最高のお出かけ日和です。

 出かける前に所持品に不備がないか昨夜から何度も確かめたはずなのに直前になってもまた確認している家族に苦笑されてしまいました。

 いつもの私らしくない落ち着きのなさでした……ですが、今日はみゆきさんとのお出かけです。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:24:15.14 ID:ws3PgAhm0<>  今日を全部楽しむつもりでいます。
 
 まずみゆきさんの家に向います。
 
 育代さんにお家へ上げてもらい、話しながらしばらく待っていると慌ただしい足音が聞こえてきました。

みゆき「れいかちゃんお待たせー! ごめんね、支度に手間取っちゃって」

れいか「大丈夫ですよ。時間はいっぱいありますから」

みゆき「ありがとー、それじゃいこっか。お母さん、行ってきます!」

育代「はい、行ってらっしゃい」

 育代さんはいつも穏やかで、とても暖かな方です。将来みゆきさんもこんな素敵な女性になるのでしょうね……。

育代「れいかちゃん」

れいか「はい、なんでしょう?」

育代「みゆきのこと、しっかり見ててあげてね。あの子おっちょこちょいで落ち着きがないから。特にあなたの前だとね」

れいか「? どういうことでしょうか」

育代「うふふ、どうしてかしらね」

みゆき「れいかちゃ〜ん? どうしたのー?」

 みゆきさんが私を呼んでいます。

育代「呼び止めちゃってごめんなさいね、行ってらっしゃい」

れいか「はい。行ってきます」

 育代さんの言葉の意味について少し考えましたが、みゆきさんとお話をしているとその内に気に留めなくなりました。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:25:36.16 ID:ws3PgAhm0<>  街に繰り出し、様々なところを歩きました。
 
 住み慣れた街でも、みゆきさんと一緒にいると何もかもが新しい発見に繋がります。

 みゆきさんの好きな絵本を多く取り扱っている本屋ではみゆきさんが黙々と、しかし表情は喋々としていました。

 その姿をよく知っているのは私だけではなく、ここの店員やお客さんもみゆきさんを見守っていました。

 何だか、私だけのみゆきさんではないことが妙に不満に感じられて、どこか虫の居所が悪いです。

 そうしている内に辺りが暗くなり、人の影も少なくなっていきました。

れいか「みゆきさん。帰りましょうか」

 名残惜しいですが、帰らなければいけない時間です。

みゆき「れいかちゃん……今日は一緒じゃダメかな?」

 遠慮がちに袖口を掴んで、私を引き留めるみゆきさんはどこか儚げで私の目を離しませんでした。

 その小動物的な行動に胸がギュッと締め付けられ、私の理性を揺さぶりました。

 ……気が付けば私は、再びみゆきさんの家にお邪魔していました。

 お夕食もいただき、みゆきさんの部屋で一緒に過ごしました。

 そういえば、家族への連絡を怠っていました……。

 お電話を借りようと育代さんに話したところ、すでにその話は私の代わりにしてくれていたみたいです。

育代「みゆきが待っているから、早く行ってあげて」

 感謝して、みゆきさんの部屋に戻ります。

 一年間あったことを話していると、時間はあっという間に過ぎ去っていきます。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:27:02.53 ID:ws3PgAhm0<> れいか「本当に、一緒に眠るのですか?」

みゆき「うん。今日はれいかちゃんとずっと一緒だからね。あ、狭いよね。ごめんね」

れいか「いえ、大丈夫です。それではお休みなさい」

みゆき「うん。おやすみ」

 しかし……鼓動が大きくてとても眠れません。

 この音が聞かれていないかが心配で目が覚めてしまいます。

 少し目を開ければ目の前にはみゆきさんの顔があって……。

 少し手を伸ばせばすぐにみゆきさんに触れられて……。

 その衝動にも耐えないといけないのです。

 やっぱり私はおかしいのでしょうか?

 異性でなく、同性にドキドキしてしまうなんて……。

 もやもやしていると、いつの間にか眠気がやって来て眠りに落ちていました。

 …………。
 ……。

 近くにみゆきさんがいません……。

 ふと目覚めた時手を伸ばすとそこには誰もおらず冷たくなった布団があるだけでした。

 一瞬夢かと思いましたが、ここは確かにみゆきさんお部屋ですから、それはあり得ません。

 私は掛け布団を上げて、みゆきさんを探すことにしました。

 が、その本人はすぐにみつかりました。

 窓の傍に立っていました。

 髪を下ろした彼女の姿を見たのは確か修学旅行の時以来ですね……月の光に照らされ、星の光を浴びるその姿は異国の人間のように彼女を仕立てあげていました。

 まるで触れてはいけないような、静かな圧力があります。

 ですが、私は意を決してみゆきさんの肩をぽんと叩きました。

 みゆきさんは目を見開いて私を見ました。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:28:45.02 ID:ws3PgAhm0<> れいか「どうかしたのですか? みゆきさん」

みゆき「れいかちゃん……実はね、今日れいかちゃんを遊びに誘ったのはれいかちゃんと同じだったからなの」

れいか「同じ……」

みゆき「うん……わたしも最近、みんなとの距離が開いてきてるような気がしてずっと怖かった。今まであんなに一緒だ
ったのに、みんなが遠くに行っちゃうみたいな感じがして」

 私と、同じ気持ちだったのですね……。

みゆき「昨日あそこに行ったのも、みんなとの思い出を忘れたくないから。そしたら先にれいかちゃんがいて……わたし嬉しかったんだよ。れいかちゃんがみんなとまた遊びたいって言ってくれたこと。秘密図書館を忘れてなかったこと」

れいか「そんな……私は」

 私も、忘れたくなかった……みんなとの思い出も、あなたとの思い出も全部。あそこにはたくさんの思い出が詰まっていますから。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:30:15.97 ID:ws3PgAhm0<> みゆき「――でも、みんな忘れちゃうんだよね」
 
 みゆきさんの声が、ずんと重くなります。

 冷たい、氷のように重く、冷たく。

みゆき「いつか、大人になったらプリキュアだったことも、楽しかった思い出も、大事な人も……わたし、失くしたくないよ……あかねちゃんを、やよいちゃんを、なおちゃんを、れいかちゃんを……みんなを」

 震えるみゆきさんの体を、私はそっと抱きます。

 すっかり冷え切った体に私の体温が奪われていきます。

 ですが、そんなこと気にしていられません。

れいか「大丈夫です、みゆきさん。あなたが言ったことですよ、みんなで一緒にいたいと思えばいつまでも一緒にいられると。その一人は、今ここにいます」

みゆき「れいかちゃん……ありがとう。わたし、れいかちゃんといると、すっごく胸があったかくなるの……」

れいか「私も同じですよ……私たち、意外に似ているのかもしれませんね」

みゆき「うん、そうなのかも……」

れいか「そうですよ、きっと……さあ、寝ましょう」

 布団に入り、今度はさっきと違い手を握り合って眠ります。

みゆき「れいかちゃん……ずっと一緒だよ」

れいか「はい。一緒にいましょう。ずっと……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:31:15.90 ID:ws3PgAhm0<>  あなたが望むなら……

 私がそう望むから……

 一緒にいたいのです。

 ああ、はっきりとしました。

 これはきっと――いえ、絶対に。


 「恋」しているのですね。

 
 おかしいのでしょう、道を外れるのでしょう、けれど、私は失いたくない人がいます。

 この手を放したくない。

 心からそう思えます。

 明日も、明後日もこれからもずっと……。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/16(日) 00:32:00.91 ID:ws3PgAhm0<> 今はここまで。おやすみなさい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 00:50:34.13 ID:WqsGTjcY0<> 乙
いつでも待つよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 03:12:32.43 ID:L3am+BrIO<> 乙
みゆれいは最高だな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/29(土) 00:04:59.69 ID:vi2VJwTY0<> 支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/16(水) 20:05:18.80 ID:wD0VPEjL0<> ドキドキプリキュアが目の前に… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/02/04(月) 02:27:06.24 ID:tC1bTRvw0<> これはもう続き書く気が無いって判断でいいんだよな? <>