◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:18:18.16 ID:L8tPcodJ0<>再立てです、前にいろいろ失敗したので


--------------------勇者の家--------------------


勇者「魔王が?」

兵士「そうなんです、ご覧下さい」

勇者「・・・」ピラッ


我が愚友、勇者へ

現在魔界は、人間季節で言う春を迎え、我が同胞たちもみな陽気な気持ちである
一方でそちら人間界は、きっと相変わらず退屈な生活を送っているに違いない
なんとも憐れむべきである

そこで!

この度、魔王城地下にて春のボーリング大会を開くことにしたのだが
お前たち人間の短い寿命に少しでも華を与えたいなら、参加を勧める
せいぜい誘い合わせの上、ありがたく楽しんでもらいたい
返事を待っている

崇高なる我、魔王より


勇者「・・・・・」

兵士「いかがなさいますか?」

勇者「そうだな、適当に誘ってみるか、返事もしないといけないし」

兵士「わかりました、ご自分で行かれますか?」

勇者「ああ」


--------------------教会--------------------


勇者「ん・・」キョロキョロ

勇者「あ!いたいた」

僧侶「え?」

勇者「おい、いま暇か?」

僧侶「いえ、あの・・」

勇者「ちょっと来てくれ」グィ

僧侶「え!?あ・・・!」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1352564298
<>魔王「・・うまい、酒だな」
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:19:03.03 ID:L8tPcodJ0<>

僧侶「なんですか?」

勇者「あの、ボーリング好きか?」

僧侶「いえ、あまり・・男性はよくやるようですが」

勇者「そうか、実はな、魔界でボーリング大会が開かれるんだ」

僧侶「え・・まさか・・」

勇者「ああ、誘われてるんだ魔王に」

僧侶「え〜」

勇者「この通りだ」スッ

僧侶「・・・・・・・・・・」

僧侶「いつもの、パターンですね・・」

勇者「ああ、今回は流石に断れない」

僧侶「はい、前みたいなことになったら厄介なので・・」

勇者「うん・・・」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:19:33.84 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------去年・忘年会--------------------


ワイワイ


魔王「はっはっは!では早速乾杯から・・」


魔王「ん?勇者たちは?」

悪魔「あ、あの・・それが・・」

魔王「?」

悪魔「勇者一行は・・一人も来ませんでした」

魔王「な・・・!!」

死体「お、おちついてください魔王様!!我々がいるではありませんか!」

人虎「そうです!盛り上がりましょう!」

人虎「おい!!お前たち、盛り上がっていこうぜ!!!」


「おおおおおお!!!」

「おおおおおお!!!」

「おおおおおお!!!」

「おおおおおお!!!」


悪魔「ほらほら、皆の者も盛り上がって・・」


魔王「黙れェェェイイ!!!」


悪魔「!!?」

人虎「ひ!」

死体「!?」

魔王「おのれぇ・・来ると言っていたにも関わらず、欠席だとぉ!?」

悪魔「あ、あの!魔王さま・・・!」


魔王「ゆるさんぞぉ!!勇者ぁあああ!!!」


グワォォォオオオオオ


死体「ひぇえええええ!!!」

人虎「ひぇえええええ!!!」


ガシャァァン

ドガガァン


ワァァアア

ギャァァアア
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:20:08.48 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------人間界--------------------


村民「ん?」


「うわあああ!!!」

「「ああああ!!」

「ああああ!!」


村民「わああ!魔物だぁ!!!」

村民「助けてぇええ!!」


ワァアアアア

ギャァァアアアア


魔王「うぉおおおおおおお!!!!!」ドドドド

勇者「な、なんだ!!」

魔王「勇者ぁぁああああ!!!!」

勇者「え!!!?」


ワァァアアアアア

ギャァアア





勇者「・・・・」

僧侶「・・・・」


勇者「お前には来てもらう、いいな?」

僧侶「はい・・」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:20:55.54 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------酒屋--------------------


戦士「ん〜、おいしいお酒だなぁ」


勇者「いたいた」

戦士「ん?」

勇者「よう」

戦士「ああ、ひさしぶりだなぁ!」

勇者「今度魔界でボーリング大会が開かれるんだけど、くるよな?」

戦士「え?魔界で?」

勇者「ああ、魔王がまた誘ってきたんだ」

戦士「え〜・・」

勇者「断れないんだ、頼むよ」

戦士「やだな・・行きたくねぇ」

勇者「おい!断ったらどうなるか知ってるだろ!」

戦士「だって、あんなとこに行ったって・・可愛い子もいないしさ〜」

勇者「いいから来い!いいな」

戦士「・・・うん」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:21:35.30 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔界・魔王城地下--------------------


魔王「・・・・」スッ


タッ

魔王「・・!」タタタッ

グンッ


魔王「ハッ!!!」ブン


ゴゴォン

ゴロォォォォォオオオ

魔王「・・・・・・」

ォォォオオ

ォォオ

魔王「・・・・」ニィ


ォオオ


バガァアン

ガァン


ガララララ

ガゴゴォ

ゴォ


魔王「ふっふっふ・・・・!」


斧豚「おんみごとでございますぅ〜〜!!!」パチパチ

「・・・」パチパチ

「・・・」パチパチ

「・・・」パチパチ

魔王「はっはっは!この程度・・」ニィ

斧豚「この調子なら優勝間違いなしでございますね!!」

魔王「当たり前だ!私が負けるはずなかろう」

斧豚「勇者たちの悔し顔が浮かんできますよぉ〜〜!!ひひひ!」

魔王「まあまあ、楽しみは当日までとっておけ」

斧豚「ええ!もうワタクシ、ワクワクして夜も眠れませんよぉ〜!!」

魔王「はっはっは!結構だ!!」

スッ


スタスタスタ

スタスタ <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:22:15.62 ID:L8tPcodJ0<>
斧豚「・・・・・・」

斧豚「おい、お前!」

「はい!」

斧豚「ダークデビルの奴は、もう行ったのか?」

「はい、昨日人間界へ発ちましたので・・」

斧豚「そうか・・」

「うまく、誘えているでしょうか?」

斧豚「うまくも何も!連れてくるしかあるまい!」

斧豚「でなければ、また去年のようなことになるのだぞ・・!」

「そ、そうですね!」

斧豚「頼むぞ勇者・・来てくれ!!」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:22:45.08 ID:L8tPcodJ0<>
斧豚「・・・・・・」

斧豚「おい、お前!」

「はい!」

斧豚「ダークデビルの奴は、もう行ったのか?」

「はい、昨日人間界へ発ちましたので・・」

斧豚「そうか・・」

「うまく、誘えているでしょうか?」

斧豚「うまくも何も!連れてくるしかあるまい!」

斧豚「でなければ、また去年のようなことになるのだぞ・・!」

「そ、そうですね!」

斧豚「頼むぞ勇者・・来てくれ!!」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:23:50.00 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔法図書館--------------------


勇者「あの・・ちょっと」

司書「ん?」

勇者「賢者はいるかな?」

司書「ああ、勇者さまですね」

司書「賢者様なら、奥の禁書庫におられます」

勇者「わかった」


--------------------禁書庫--------------------


ガチャ


勇者「失礼しま〜す・・」

勇者「うわぁ・・びっしりじゃないか・・・」

勇者「・・・」キョロキョロ

勇者「なんだこれ、本なのか?」


ゴソゴソ

ゴソゴソ


「ん?誰か入ったんですか?」


勇者「!」

勇者「賢者か?」

「その声は・・勇者ですか」

勇者「ああ」

勇者「・・ていうかお前、どこにいるんだ?」キョロキョロ

「ああ、今行きます」

勇者「?」


シュルルルルル

スタッ


勇者「ああ・・」


賢者「久しぶりですね」


勇者「うん」

賢者「こんな所までいらして、なにか急用でも?」

勇者「いや、急用ってほどでもないんだが・・」

賢者「まあそちらへ、飲み物でもお持ちしましょう」スッ

勇者「ああ、悪いな!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:24:20.61 ID:L8tPcodJ0<>

賢者「・・魔王が、ですか」

勇者「うん・・」カチャ

賢者「・・・」ズズズ

勇者「前断ったときエラいことになったろ?だから今回は行かないと・・」

賢者「そうですね、まずいでしょうね」スッ

カチャ

賢者「わかりました、行きましょう」

勇者「おお!ありがとう!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:24:50.82 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------数日後・勇者の家--------------------


勇者「え!国王が!?」

兵士「ええ、面白そうなので見に行きたいと」

勇者「・・お気楽だな、まったく」

兵士「そこで、勇者さま達に、大会に向けた練習場を用意したそうです」

勇者「え?」

兵士「せっかくだから、腕を上げてから参加して欲しいとのことで」

勇者「勝手なことを・・」

勇者「ってことは、施設を作ったってことか?」

兵士「はい」

勇者「・・な・・・」

兵士「かなり楽しみにしているようです、是非いらしてください」

兵士「もちろん、賢者さまたちを連れてこられても尚よろしいです」

勇者「・・ううん」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:25:26.52 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------王城・地下--------------------


国王「ほっほっほ!よく来てくれた勇者たちよ!」

国王「どうじゃどうじゃ!?すごいじゃろう!!」


勇者「う、うん・・」

僧侶「・・・」


国王「無理して作ったんじゃ、たぶん来年の税金は倍になるのう」

側近「こ、国王様・・!」

国王「さぁ!存分に練習したまえ!ほっほっほ!」


戦士「・・・・」

賢者「どうします?」

僧侶「練習といわれても・・」

賢者「勇者」

勇者「ん?」

賢者「どうしますか」

勇者「そ、そうだな・・」

国王「おいおいどうした!早く投げてみよ!」

勇者「・・わかった!じゃあ俺から」

国王「よろしい!」


ガコォン


勇者「・・・」スッ


兵士「みなさんはこちらに座ってお待ちください」

僧侶「あ、はい・・どうも」スッ

戦士「俺飲み物欲しいな」

兵士「お持ちします」

賢者「・・・」スッ

国王「勇者が投げるぞぉい!」

賢者「?」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:26:01.75 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「・・・!」タッ


タタタ


勇者「それ!」ブン


ゴゴォン

ゴロロロロロ


賢者「・・・・・・」

賢者「(!)」


ガゴッ


勇者「あ」


ガガッ

コロロロロロロロロ

ロロロ


賢者「・・・・・」


ゴゴ


ウィィィイン

ウウン

ウィィイイン


勇者「・・・・・・・」

国王「・・・・・・・」


賢者「・・・・・」

僧侶「・・・・・」

戦士「・・・・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:27:16.85 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「ははは・・意外と難しいな!ははは・・」

国王「ぬぅ!何をしておるのだ!まったく」

勇者「す、すいません」

国王「おい!早速次だ!次!」

国王「おぬしがゆけ!おぬしじゃ!」

戦士「俺?」

国王「そなたならこういうのは得意じゃろう!」

戦士「え、いや・・」

僧侶「行ったほうが良さそうですよ」

賢者「そうですね、行きましょう」

戦士「お前ら・・」


勇者「・・・・」トボトボ


戦士「大丈夫か勇者?」

勇者「あ?うん・・」

賢者「気になさらないでください、初めてなのですから」

僧侶「そうですよ、ドンマイですよ」

勇者「うん、ありがとう」

国王「ほれ!ほれ!」ササッ

戦士「わかってるって!やるよ!」

賢者「・・・・」モグモグ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:28:13.97 ID:L8tPcodJ0<>

戦士「・・・」スッ

タッ

タタタ


戦士「そりゃ!」ブン


ゴゴォン


賢者「(!)」モグ


ガゴッ


戦士「あ」


コロコロコロ

コロコロ


ウィィイイン

ウゥン

ウィィィイン


国王「こぉれ!何やっとんのじゃぁ!!」

戦士「すいません・・・」

勇者「はっはっは!早いな!」

勇者「見たか、今の?ははは!」

賢者「・・・」モグモグ

僧侶「・・・」ゴクゴク

勇者「おい・・・」


戦士「・・・」トボトボ


勇者「おかえり」

戦士「うん・・」

僧侶「ダメでしたね」

賢者「そうですね」

戦士「ダメって言うな!」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:28:49.77 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「見てください二人共、あの国王の姿を」

勇者「・・・?」パッ

戦士「・・・?」パッ


国王「・・・・・・」ムスッ


勇者「ああ・・」

戦士「なんか機嫌悪くなってないか?」

賢者「あなた達のせいでしょうが」

戦士「え!なんで!」

賢者「失敗するからですよ、ねえ?」

僧侶「そうですよ」パクッ

勇者「そんなこと言ったって・・難しいんだぞあれ?」

戦士「そうだそうだ!やってもいないくせに!」

賢者「できますよ、あれくらい」

勇者「なに!」

戦士「ホントか!?」

賢者「ふふふ」スッ

賢者「男性では力まかせになるからダメなんです」

スタスタ

戦士「なんだと〜!」


賢者「私のパーフェクトスローを見せてあげます」


国王「ん?今度は賢者か」

賢者「はい、ご覧に入れましょう!」

国王「大丈夫なんだろうな?」

賢者「もちろんです」


スッ


勇者「パーフェクトスロー・・」

戦士「まさか、ストライク取るつもりか!?」

僧侶「・・・」モグモグ <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:30:14.44 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「・・・・・」スッ


勇者「・・・」ゴクリ

戦士「・・・」ゴクリ

国王「・・・」ゴクリ


賢者「・・・・・・・・」


賢者「そぉれ!」ブン


ガゴッ


賢者「あ」


コロコロコロロロロ

コロロロ

ウィィィイイン

ウゥン

ウィィィイイン


勇者「・・・・・・」

戦士「・・・・・・」

国王「・・・・・・」

僧侶「・・・」グビグビ


スタスタスタ


賢者「いやあ、まあね、その」スッ

勇者「・・・・」

戦士「・・・・」

賢者「おかしいですよあれ、磁石付いてますよ絶対」

賢者「私のだけ変ですもん、持ったときから感じてました」

賢者「あれ?なんか重いなぁって思ってましたから」

賢者「ひどいですよね私だけ、ホントに」

僧侶「・・・・」ゴクゴク

賢者「だから絶対に無理だったんですねぇあれは、しょうがないです」

戦士「何が、だったんですねぇ、だ!」

勇者「そうだ!レーンにすら乗ってないじゃないか!」

賢者「知りません、終わったことごちゃごちゃ言わないで下さい」

勇者「お前が言うな!!」

賢者「同じ0本組じゃありませんか」

戦士「お前と一緒にすんな!!」

賢者「まったく・・僧侶、次はあなたの番ですよ」

僧侶「・・・」ゴクゴク

戦士「無理に決まってるだろ・・というか飲みすぎだお前」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:31:06.91 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「おい、国王の顔見てみろ」

賢者「?」パッ


国王「・・・・・・・」デロォン


戦士「死ぬほど退屈そうだな・・いや、死んでる」

賢者「はい、限界まで好奇心を吸い取られた人間の顔ですね」

勇者「ああ・・」

賢者「まったくかわいそうに、お二人のせいですよ」

勇者「だからお前が言うなって!」

戦士「そうだ!トドメさしたのはお前だぞ!」

賢者「ふふん、さあ僧侶、こんな人たちに構わず・・」


僧侶「・・・ああん?」ポワァン


賢者「え?」

僧侶「へへへ・・」ユラッ

勇者「どうした僧侶、早く次を投げ・・」

僧侶「るっせぇ!命令すんなタコ!!」

勇者「え!?お前・・!」

戦士「こいつずっと飲んでたから・・だから止めろっつったのに」

僧侶「だらしねぇ奴らだ!!オレがやってやる!!」ブラッ

勇者「お、おい・・」

賢者「まったくその通りです、見せてあげなさい僧侶」

僧侶「お前が言うなアホぅが!!!」

賢者「・・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:31:35.65 ID:L8tPcodJ0<>
スッ


僧侶「へへぇん」ヒョィ

僧侶「ボールごとぶっ殺してやるぜ」


国王「・・・・・・・」グデェン


兵士「国王様!国王様!」

国王「・・・ん」

兵士「あの、僧侶様が投げられますが・・」

国王「?」チラッ


僧侶「・・・・」フラフラ


国王「あんなフラフラでヒョロヒョロの女に何ができる」

兵士「・・・」

国王「こいつらに期待したワシが馬鹿じゃったよ・・はぁ・・」

兵士「しかし一応ご覧になられてないと、ご本人たちの・・」

国王「うるさい、もういいんじゃ・・はぁ・・」


賢者「・・・」モグモグ

戦士「はぁ、こんなんじゃ当日恥かくだけだな」

戦士「ああ、やっぱり行くのやめるか?」

賢者「そうですね、よく考えたら面倒ですし」

戦士「だよな、出来もしないのに行く必要ないよな」

勇者「お、おい・・」

賢者「返事だけしておいて、当日は休みましょう」

戦士「そうだな、そうしよう・・」モグモグ

スッ

戦士「なあ、南の島行かないか?」パクッ

賢者「いいですね・・」ゴクッ

勇者「おいお前ら!行かないと前みたいに・・」


バガァアアン


勇者「!?」バッ

賢者「え?」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:32:04.85 ID:L8tPcodJ0<>

STRIKE!!ピコピコーン

STRIKE!!ピコピコーン


国王「およ!!?」ビクッ

兵士「国王様!ストライクです!!国王様!!」

国王「わかっておる!どういうことじゃ!」


僧侶「へぇ〜ん・・」ポワァ


戦士「あ、あいつ・・やりやがった!」

勇者「馬鹿な・・僧侶がそんな・・!!」

賢者「信じられません・・」


国王「ほっほっほ〜!!!」タタッ

僧侶「ん?」

国王「よくやった!よくやったぞ僧侶殿!!ほほほ!」グッ

僧侶「・・・・?」グッ

国王「いやぁ〜そなたなら出来ると思っておった、うむ!」

僧侶「へへ、そんなに言うなよ・・へへ」

国王「なぁにを言っておる!さ、続きを投げておくれ!!」

僧侶「でも次は勇者じゃ・・」

国王「あんなアホウどもは放っておけ!ここはおぬしのものじゃ!!」

僧侶「へへ、そうかい」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:32:31.40 ID:L8tPcodJ0<>
スタスタ


勇者「そ、僧侶!」

僧侶「たっだいまぁ〜」

戦士「お前すごいな、バッチリストライクだ・・」

僧侶「お前らとは出来が違うんだ!」

賢者「・・・」

戦士「すげぇよホント、本番で活躍間違いなしだ!」

僧侶「はは!」


ハハハハハ

ハハハ



悪魔「・・・」チラチラッ

「・・・」チラチラッ


悪魔「ふむむ、順調のようだな」

「ええ、これなら、陛下も退屈せずにいられると思います」

悪魔「ああ、実力はお互いに高いほうがいいに決まってるんだ」

「でも・・万が一陛下がお負けになったら・・・?」

悪魔「アホゥ!!そんなはずあるか!」ポカッ

「し、失礼しました!」

悪魔「それに、向こうだってまともにできたのは僧侶ただ一人・・」

悪魔「こちらが手を抜いてもおつりがくるってものだ!」

「そうですね!」

悪魔「うむ!あとは当日の準備だけだな・・よぅし」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:33:00.36 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------大会前日・魔界--------------------


悪魔「おい、調子はどうだ」

人虎「ああ!ダークデビル!お前帰ったのか」

悪魔「うむ」

人虎「勇者達の様子はどうだった?」

悪魔「どうやら来てくれるそうだ、練習もしていた」

人虎「よし・・心配なさそうだな」

悪魔「デスタイガー、陛下はどちらに?」

人虎「ああ、今は村に降りて住民に話をしているな」

悪魔「そうか」

人虎「ゾンビマンたちも一緒だ、行ってこいよ」

悪魔「わかった、ではな」

人虎「ああ」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:33:57.49 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔界・村--------------------


魔王「さて!!いよいよ明日に迫った春の大会だが・・!!」

魔王「今回も勇者一行を招いての盛大な催しとなる予定だ!」

ザワザワザワ

ザワザワ

魔王「諸君らも我と勇者の真剣勝負の見たくば、是非参加願おう!」


ワァァアア


死体「年に一度のスーパーイベントだ!お前たちも奮って参加しろよぅ!」


ウォオオオオ


魔王「ワハハハ!!」


死体「・・・・」

悪魔「おい!」

死体「ん?ああお前、戻ってたのか」

悪魔「うむ、こっちも問題なさそうだな」

死体「ああ!もうバッチリさ!陛下もこのとおりノリノリだ」


魔王「ふはははは!!」


悪魔「ははは、なによりだ」

「あら、あんたここに居たの」

死体「ん?」

妖魔「わたしよ」スッ

悪魔「ウィッチーか、お前こそ、こんな所にいたのか」

妖魔「何言ってんの」スッ

妖魔「あんた、勇者たちはちゃんと連れて来られるんでしょうね?」

悪魔「お前に言われるまでもない、大丈夫だ」

死体「ああ、それは心配ないみたいだぞ!」

妖魔「ならいいんだけど、前みたいになったら面倒だしね」

死体「ああ・・」

悪魔「もうあんな事は繰り返さんさ」

妖魔「・・うん、頼むよ」

悪魔「ああ!」キリッ

妖魔「(・・・)」ドキッ

悪魔「ん?どうした?」

妖魔「え!あ!?いや、なんでも・・!!」

死体「へへへ・・」ニヤァ

悪魔「?」


ワイワイ <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:34:41.57 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「そういえばお前、この大会が終わったあと婚礼式だったな?」

妖魔「え?あ、ああ・・」

死体「(・・・)」

悪魔「魔王様のご子息と結ばれるなんて、一族の栄誉になることだろう」

妖魔「・・う、うん」

悪魔「婚礼には俺も出るからな、楽しみにしているぞ!」

妖魔「お前など来なくとも私は十分だ・・」

悪魔「ははは!そう照れるな、嬉しいのだろう?」

妖魔「・・・・」


「ダークデビル様!」バッ


悪魔「む?」

「勇者さま一行が魔界に到着した模様です」

死体「え?もう?」

悪魔「どういういことだ、大会は明日なのだぞ?」

「はい、明日遅れぬように今日はこちら魔界で宿泊したいそうです」

悪魔「なるほどな」

「いかがいたしましょうか?」

悪魔「そうだな、近くの村に泊まらせるか・・奴らは今どこにいる?」

「案内いたします、こちらです」バッ

悪魔「よし!」バッ

妖魔「あ・・」


バササッ

バサッ


悪魔「では行ってくる!あとは任せたぞ!」

死体「ああ!よろしくな!」


バササッ

バサッ

バサッ


妖魔「・・・・」

死体「・・・」チラッ

妖魔「なんだ?」

死体「いいのか?このままで」

妖魔「なにがだ!」

死体「あいつにホントのこと言わな・・」

妖魔「黙れ!」プィッ

スタスタスタ

死体「・・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:35:35.17 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔界・玄関--------------------


悪魔「このあたりか?」バサッ

「はい、もうすぐ見えるかと・・」

悪魔「ん?」


ワイワイワイ


悪魔「あれか?人間が集まってるぞ」

バサッ



勇者「いやあ、久しぶりだな魔界は」

賢者「ええ、一年半ぶりでしょうか」

戦士「相変わらず陰気臭いところだよなぁ・・」

僧侶「・・・・」


悪魔「お前たち!」バッ


勇者「あ!」

戦士「お前は、ダークデビルか?」

悪魔「来るなら前に言っておけ、急に来られても困るのだ!」

勇者「はっはっは!悪いな、でも昨日思いついたんだ」

賢者「大会の準備は進んでますか?」

悪魔「ああ、バッチリだ」

勇者「聞いてると思うけど、俺たち明日まで・・・」

悪魔「ああ聞いてる、近くの村で一晩過ごしてもらおう」

僧侶「村・・」

悪魔「たしかエルフ達の村があったはずだが・・」

「はい、確かに彼らは近くに住んでいます」

悪魔「そうか」

僧侶「エルフ?」

悪魔「奴らなら人間の事情にも詳しいから、生活しやすいだろう」

賢者「そうですね」

戦士「ああ!」

悪魔「村の責任者に伝えておく、お前たちはまっすぐ村へ向かえ」

勇者「わかった、で、どこなんだ?」

悪魔「ああそうか、場所を知らないんだな・・むむ」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:36:17.65 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「仕方ない、俺が案内する」

戦士「おう、頼むぜ」

悪魔「まったく、事前に言ってくれればこんなことには・・」

勇者「そう言うなって」

賢者「はい、早く連れて行ってください」

悪魔「こっちだ、飛べるか?」バサッ

勇者「あ〜俺と賢者は飛べるけど・・」

戦士「俺と僧侶は飛べないぞ」

僧侶「・・・」

賢者「なら歩いて来てもらいましょうか」

勇者「そうだな、はは」スッ

戦士「え!?おい待てよ!」

悪魔「そういうわけには行くまい、勇者」

勇者「ふふ、冗談だよ」

戦士「冗談だと!?」

悪魔「おい」

「は!」

悪魔「この二人を乗せて行け」

「はい」

戦士「え?いいのか?」

悪魔「仕方なかろう、おい、さっさと乗るんだ」

戦士「はは、じゃあ失礼してぇ〜」

スッ

「・・・・」

戦士「おい!僧侶も来いよ」

僧侶「あ、はい・・」スッ

ヨジヨジ

僧侶「とと・・!」

戦士「ちゃんとつかまれ」

僧侶「・・・」ガシッ

「大丈夫か」

戦士「ああ!」

僧侶「はい・・」

悪魔「よぅし、では行くぞ!」バッ

勇者「・・!」バッ

賢者「・・!」バッ

「・・!」バッ


ヒュゥゥウウウ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:37:04.85 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


妖魔「・・・」

「おい、ウィッチー」

妖魔「?」

魔王「こんなところで何をしておる」

妖魔「ああ、陛下」

妖魔「大会の準備は順調とのことで・・?」

魔王「うむ、大会も重要だが、お前にはもっと大切なことがあろう」

妖魔「・・はい」

魔王「婚礼式は盛大に行う、私はもちろん、国中の者が注目するのだ」

魔王「準備にぬかりは許されない、よいな?」

妖魔「はい」

魔王「ふふふ、喜ばしいことじゃないか、そうだろう?」

妖魔「・・は、はい」

魔王「我が一族として、恥じぬふるまいを頼むぞ、では」スッ

妖魔「は」

スッ

スタスタ

妖魔「・・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:37:45.09 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔界・妖精の村--------------------


悪魔「ここだ、降りろ」バサッ

勇者「着いたか」パッ


ヒュゥゥウウウ


スタタタッ

スタッ


勇者「・・・」キョロキョロ

賢者「ここがエルフの村ですか?」

戦士「よっと!」

僧侶「・・!」


ザワザワ


勇者「ん?」


妖長「な、何ごとですかなデビル様!?」

「・・に、人間だ!」

「本当だ、人間がいるぞ!どういういことだ?」

ガヤガヤガヤ


悪魔「静かにしてくれ、説明する」

妖長「ええ、お願いいたしまする!」

悪魔「あすの大会まで、勇者たちをここに泊めてもらいたい、いいかな?」

妖長「な!」

「なんだって!勇者!?」

「泊めるって、ここにか!?」

ザワザワザワ

勇者「・・・」

戦士「なんか無理そうだぞ?」

悪魔「・・・」

妖長「で、デビル様、その様な事を急におっしゃられても・・」

悪魔「うむ、すまないな、無理を言ってるのはわかる」

悪魔「しかし彼らを追い返すわけにもいかんのだ、ここしかない」

妖長「・・・・」

「村長、どうするんです?」

妖長「仕方あるまい、デビル様の頼みなのだからな」

「村長・・・」

「村長が言うなら仕方ないな・・」

「あ、ああ・・そうだな」

悪魔「申し訳ない」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:38:11.17 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「で」ズィ

悪魔「?」

賢者「良いんですか?無理なんですか?」

妖長「お主は・・?」

賢者「私は賢者です」

戦士「おれは戦士だ!」

僧侶「わ、私は僧侶で・・」

勇者「おれが勇者だ」

妖長「はえ??」

賢者「良いんなら、そこをどくなり、案内するなりして下さい」

妖長「・・わかった、案内しよう」

戦士「おお!」

悪魔「では頼んだぞ」

妖長「はい」

悪魔「じゃあな、お前達も」

勇者「ああ」

バサッ

バササッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:38:37.88 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------村・広場--------------------


ザワザワ

ザワ


妖長「うむ、ではお主ら、適当にくつろいでくれ」

勇者「ああ」

賢者「はい、そうさせていただきます」

戦士「あ〜腹減った、飯食いてぇな」

妖長「食堂はあっちだ」ピッ

戦士「おう!」

賢者「私も行きます」

戦士「ん?」

賢者「ご一緒させてください、戦士」

戦士「ああ、いいぜ!」

僧侶「お酒はどこにありますか?」

妖長「酒場はあっち」ピッ

僧侶「どうも」スッ

勇者「・・・・」

妖長「勇者殿はどうなされますかな?」

勇者「ん〜そうだな、適当に休めるところはないか?」

妖長「むむ、そうですな・・」

「あ、じゃあ私の家へどうぞ!」

勇者「?」

妖長「ああ、そうだな」

勇者「誰だお前は?」

妖長「こやつはエルフの中でも勉強熱心でな、人間に興味津々なのだ」

妖学「はい!よろしくおねがいします!」

勇者「いいのか?」

妖学「ええ、もちろんです、お話も聞きたいですし・・」

勇者「じゃあ案内してくれ!」

妖学「は、はい!こっちです!」

スタスタスタ

妖長「・・・」

妖長「よし、とりあえず大丈夫そうじゃの」

妖長「さ〜て、ワシは昼寝といこうかの〜」


ザッザッザ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:39:05.93 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------学者の家--------------------


勇者「ここか」


妖学「はい!散らかってますけど・・!!」

勇者「いいよ、気にしないで」

妖学「はい!」

妖学「あ!そこ空いてるんで座ってください!」

勇者「うん」ニコ

妖学「いま飲み物持ってきますから!」

タタッ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:39:58.73 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------食堂--------------------


ガヤガヤ


妖飯「だから!んなもん作れねぇっつってんだろ!」

賢者「なぜですか!それでもコックですか!」

妖飯「ああん!?」

賢者「ええ!?」


ワヤワヤ


戦士「・・・」モグモグ

戦士「うめぇな、これ、何だ?」

妖食「ああ、これは魔界だけで取れる特別なキノコなんですよ」

戦士「キノコなのかこれ?」

妖食「はい、カサが小さいのが特徴です」

戦士「へぇ〜」


妖飯「文句言うならとっとと出てけ!!こら!!」

賢者「それが客人に対する態度ですか!!」

妖飯「てめぇなんか客じゃねぇ、クソガキが!!」

賢者「なんですって!」

戦士「なにやってんだお前」

賢者「戦士!あなたからも言ってくださいこのダメコックに!」

妖飯「誰がダメコックだ!!」

「ど、どうしたんだオヤジ!?」バッ

戦士「ん?」モグモグ

賢者「(!)」


妖男「あれ、あなた達は・・」


妖飯「勇者の連れだ!態度が悪ぃんで説教してたんだ!!」

妖男「勇者の!?」

賢者「(・・・・)」

妖男「ああ、すいません、何か不手際でも・・?」

賢者「・・・」ニヤ

妖男「え?」

賢者「あなた、さっきオヤジと言いましたが、息子さんですか?」

妖飯「ああそうだ!俺の息子に何か用でも・・」

賢者「あなたに話しかけていません、黙っていなさい」

妖飯「な・・!!?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:40:40.83 ID:L8tPcodJ0<>
戦士「お、おい・・」

妖男「はい、店長の息子ですが・・何か」

賢者「なら料理はできるんですか?」

妖飯「ったりめぇだ!!!」

賢者「静かにしなさい」

妖飯「・・・!!!」ブチ

妖飯「このガキぃ!!」バッ

戦士「あ・・」

妖男「やめろってオヤジ!!」ガッ

妖飯「はなせぃ!!こいつはトッチめてやるんだ!!」

賢者「ふふふ、私を?あなた程度では何も出来ませんよ」

戦士「おい賢者!やめろって!」

妖男「すいません!すいません!」

戦士「お前は悪くないって!全部賢者がわがままなだけで!」

妖男「いえ、お客様を満足させられない僕たちが悪いんです・・!」

賢者「(・・・)」

妖飯「ぬぅぉおおお!!」


妖男「オヤジ!!!!」


妖飯「!?」

妖男「そうやって客を大事にしないから繁盛しないんだよ!!」

妖飯「なんだと!」

妖男「せっかく来てくれたのに、怒鳴ったらだめだよ!!」

妖男「しかも・・相手は子供じゃないか!」

妖飯「ガキだからって関係ねぇ!!食う気がねぇなら消えやがれ!!」

賢者「『食う気』ならありますよ」

妖男「・・え?」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:41:09.03 ID:L8tPcodJ0<>
妖飯「あ?」

賢者「確かにわがままが過ぎました、申し訳ありません」

賢者「私はただ、自分の要望が拒否されたのが許せなかっただけなんです」

戦士「・・賢者?」

妖飯「・・・」

賢者「息子さんの言うことも正しいですが、私も最低限の礼儀を失っていました」

賢者「悪いのは私です、申し訳ありませんでした」

妖飯「何言ってやがんだ、お前ぇ・・」

賢者「・・・」

賢者「さようなら、失礼します」

スッ


妖男「待ってください!」


賢者「・・?」

戦士「?」

妖男「お腹すいてるんでしょう?どうして帰るんですか!」

賢者「迷惑をかけたからです、もうここには居られません」

妖男「僕が作りますから!」

賢者「?」

妖飯「お前・・」

賢者「どういうことですか?」

妖男「僕が作るので、食べてくれますか?」

賢者「・・・」

妖男「ダメ・・ですか?」

戦士「(・・・)」モグモグ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:42:14.21 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「何が作れますか?」

妖男「!」

賢者「何が作れるのか、と聞いてます」

妖男「あ、あの・・えっと・・」

妖男「・・オムライス、くらいなら!」

賢者「オムライス?ははは、バカにしないでください」

賢者「私があなたの父に何を要求していたか知ってますか?」

妖男「な、何を?」

賢者「シチューです」

妖男「し、シチューですか・・」

賢者「無理でしょう?」

妖男「・・・・」

賢者「ふふふ、失礼します」


妖男「できます!!」


賢者「・・・」

妖男「できます!シチューなら作れます!!」

妖飯「お、おい!お前シチューなんて・・」

妖男「オヤジは黙っててくれ!」

妖飯「・・!」

賢者「・・・」

妖男「賢者さん!!」キッ

賢者「!」

妖男「今すぐ作ったら、食べていただけますか?」

賢者「・・・・」

賢者「はい、わかりました」

妖男「!」

賢者「少しだけ待つので、早く作ってくださいね」

妖男「は、はい!わかりました!!少々お待ちください!!」

ババッ

妖飯「あ・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:42:40.73 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「・・・・」

戦士「おい賢者」

賢者「?」

戦士「なんのつもりだよ」

賢者「ふふ、まぁ・・」ガタッ

スッ

賢者「暇つぶしですね」

戦士「・・お前、ホント性格悪いな!」

賢者「そんなことはありません」

戦士「・・・」

戦士「俺、先出てるからな」スッ

スタスタスタ

賢者「・・・」チラッ


妖男「・・ええと!」

妖男「(シチューだから、まずは・・!!)」

セカセカセカ

ワタワタ


賢者「(・・・)」

賢者「ふふ」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:43:12.21 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------酒場--------------------


戦士「たしかここが酒場・・・」

戦士「ん?」


僧侶「はぁ!」プハァ

戦士「あ、お前また飲んでるのか」

僧侶「ん?ああ、戦士さぁん・・」

戦士「飯食わなくていいのか?食堂ならあっちに・・」

戦士「あ、今それどころじゃないか・・」

僧侶「何言ってるんですか?」

戦士「いや、なんでもない・・」

戦士「俺も飲もうかな!」ドカッ

僧侶「あ、じゃああれがいいと思います・・」

戦士「どれどれ・・」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:43:55.83 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


バサッ

バサッ


悪魔「・・よぉし、着いた」

スタッ

悪魔「ふぅ〜、今日は疲れるな・・明日も早いし早めに休んで・・」ググッ


妖魔「デビル」


悪魔「ん?ああ、お前」スッ

悪魔「どうした?そんな顔して」

妖魔「・・いや、別に」

悪魔「そんなハズはあるまい、その顔は、悩みを抱えている顔だ」ピッ

妖魔「え?」

悪魔「ワハハ!何年一緒にやってると思う、俺には全てお見通しなのだ!」

妖魔「デビル・・」

悪魔「ははん、さては婚礼の時に着る服で迷ってるんだな〜?」

妖魔「・・・」

悪魔「よぅし!ならば俺の知り合いの奴に頼んで作らせよう」

妖魔「いや・・その!」

悪魔「遠慮するな!俺からの、ホンの祝い品だ」

悪魔「そうだなぁ・・今から頼めば、婚礼の日には間に合うように・・」


妖魔「そんなことじゃない!バカが!!」


悪魔「ぬ!?」

妖魔「・・・・」キッ

悪魔「ど、どうしたのだ!」

妖魔「お前は・・お前は!」

悪魔「・・??」

妖魔「もう知らん!!」バッ

悪魔「ああ!おいウィッチー!!」


タタタタ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:44:25.68 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「な、なんだというのだ・・」

「デビル様?よろしいでしょうか?」

悪魔「ぬ?ああ、いたのか」

「はい」

悪魔「なんだ」

「当日の城周辺の警備配置について、会議があるそうですので・・」

悪魔「おおっと!!忘れていた、すまない!!」

「はい、既にタイガー様たちがお待ちですよ」

悪魔「おお!今行くぞ!」

「こちらです!」

悪魔「うむ!」


ザッザッザ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:45:04.97 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------妖精の村・食堂--------------------


トントントン

モワモワ


賢者「まだですか?帰りますよ?」


妖男「はい!できました!!」


ササッ

賢者「・・・」


妖男「は、はい!どうぞ・・召し上がってください!」


コトッ

賢者「・・・・」


グツグツ


妖飯「あ・・・」

妖男「ど、どうぞ!」ササッ

賢者「・・素手で食えとでも言うんですか」

妖男「ああ!?す、すいません!!」バッ

タタタッ

賢者「(・・・)」


妖男「えっとぉ・・!!」カチャチャ

妖男「あった!」


タタタ


妖男「はい!どうぞ!」スッ

賢者「はい」

グツグツ


スッ

パクッ


妖男「・・・」ドキドキ


賢者「・・・」モグモグ


妖男「あ、あの・・」

賢者「・・・・」モグモグ

妖男「いかがでしょうか、僕のシチューは・・」

賢者「・・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:45:33.67 ID:L8tPcodJ0<>
妖男「あの、賢者さ・・」


カシャァン

カララン


妖男「!!」

賢者「・・・・」

妖男「ああ!どうしたんですか!?」

賢者「ひどいですね、まずいです」

妖男「え・・」

賢者「これなら原材料をミキサーに掛けて飲んだほうがマシです」

賢者「あなた、本当に料理人の息子ですか?」

妖男「・・・・」

賢者「待って損しました、最低です」

ガタッ

妖男「ああ、あの・・!」

賢者「二度と来ませんこんな店、どいてください」

妖男「・・・・」

賢者「何してるんですか、そこをどい・・」

妖男「これ、持ってってください!」スッ

賢者「?」

賢者「スプーン?なんのつもりですか」

妖男「これを持って、またここに来てください!」

賢者「・・は?」

妖男「今度こそあなたの満足のいく料理を作って、待ってますから!!」

賢者「・・・」

妖男「どんなに客が混んでても!一番にご馳走しますから!!」

妖男「この僕が作った料理を、あなたのために作った料理を・・!!」

妖男「お願いします・・!!」ガバッ

賢者「・・・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:46:06.24 ID:L8tPcodJ0<>
妖男「・・・・・・・」

賢者「ふ」ニヤ

妖男「?」

賢者「どんなに混んでてもって、大して繁盛していないんでしょうが」

賢者「それに、あなたの料理を食べにわざわざここに来るとでも?」

妖男「来てください!!」

賢者「・・・」

賢者「来てくださいってあなた、ただ頼めばいいってものじゃ・・」

妖男「わかってます!」

賢者「?」

妖男「でもこのままじゃカッコ悪くて引き下がれません!!」

妖男「きっとあなたを満足させます、だから・・!」

賢者「・・・・・」

妖男「うう・・」


賢者「・・ふん!」バッ


妖男「あ!」

スゥ

妖男「あの・・」

賢者「こんな汚いスプーンが引換券だなんて、大して期待はできませんね」

賢者「まあ、せいぜい人間の口に合う料理を作りなさい、いいですね」

スッ

妖男「・・はあ!」ニコッ

妖男「はい!わかりました!!」


ガチャ

パタン


妖男「・・よ、よっしゃああ!!」

妖男「こうしちゃいられない、早速特訓だ!!」

妖飯「おい!」

妖男「オヤジはいい!俺ひとりでやるから!!」

妖飯「ええ!?」


タタタッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:46:39.08 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------外--------------------


賢者「・・・・」


勇者「あ、賢者!」

賢者「?」

勇者「お前ずっとメシ食ってたのか?」

賢者「・・ええ、まあ」

勇者「なあ、図書館があるらしんだけど、行ってみないか?」

賢者「図書館?」

勇者「ああ、お前本好きだろ」

賢者「はい、そうですが・・」

賢者「・・・」

勇者「??」

勇者「どうした?何か具合悪いのか?」

賢者「いえ、大丈夫です、行きましょう」

勇者「おお、こっちだ!」


スタスタ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:47:13.86 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------酒場--------------------


戦士「ワッハッハッハッハ!!」

僧侶「ワッハッハッハッハ!!」


僧侶「もっと・・もっとお酒を!」

戦士「かわいこちゃぁ〜ん!」

妖美「うふふ、お兄さん飲むわねぇ」

妖乳「ほぉら、たくさん飲んで!」

戦士「いーひっひ!」デレレェン

僧侶「・・!」ムッ

僧侶「すいません!男の人は居ないんですか!!男の人は!!」


「失礼します僧侶様!」


僧侶「!」


妖山「わたくし、マサハルと申します」


僧侶「おお!?」

妖山「ご一緒してもよろしいですか?」

戦士「うわすげぇいい男!」

僧侶「こっちこっち!こっちですぅ!」キャキャ

妖山「失礼します」ニコ

僧侶「かっこい〜ですね〜あなた〜〜ふふふふふ」

妖山「ありがとうございます」

僧侶「私、もっと飲んじゃおうかなぁ・・」

妖山「どうぞ」スッ

僧侶「うふふ・・ふふふ」ジロジロ

妖山「あはは・・」ゾッ


「おうおうおう!!!」


戦士「!」

僧侶「!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:47:48.56 ID:L8tPcodJ0<>
妖漢「勇者だか患者だか知んねぇが!そこは俺様の席だ!どきやがれい!!」

戦士「ああ!?」

妖漢「てめぇらじゃ酒に負けてどうせ寝ちまうだろうからよ!」

妖漢「そうなる前ぇに、とっとと消えやがれ!!」

戦士「んだと!」

妖美「ちょっと何よあんた!せっかくのお客さんなのよ!」

妖乳「そうよそうよ!」

僧侶「・・・」ゴゴゴ

妖山「?」

僧侶「マサハル、どいてください」

妖山「え?あ・・はい!」


スッ


戦士「?」

妖漢「ああん?何だてめぇは」

僧侶「ふふふ!」ズィ

妖漢「何だ!」

僧侶「ズータイの割に頭からっきしなお前の方が酒にもすぐ負けんじゃねェか!?」

妖漢「ああ!!?なんだとぉ!?」

戦士「え!?」

僧侶「どいて欲しけりゃ、飲み比べでもやろうじゃないか!」

妖漢「おう!!いいぜ!勝負だ!!」


ドドン


僧侶「おい!酒だぁ!!!」

妖漢「おい!酒だぁ!!!」


戦士「お、お前ら!」

妖美「僧侶さんて、よくわからないわ・・」

妖乳「あたしも・・」

妖山「僕も・・」


妖漢「へっへっへ!てめぇなんかにゃ負けねぇぜ!!」

僧侶「こっちのセリフだ!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:48:14.58 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------図書館--------------------


賢者「大きいですね・・」

妖学「はい!国一番の場所ですから!」

勇者「どうだ賢者、面白そうか」

賢者「ええ、まあ・・」スッ

勇者「ふぅん、どんな本があるんだ?」

妖学「ほとんど歴史書です」

勇者「歴史か・・」

賢者「・・・・」キョロキョロ

賢者「(?)」

勇者「どうした?」

賢者「いえ、ただ・・」

スッ

賢者「・・・」キョロキョロ

勇者「??」

妖学「どうしましたか?」

賢者「・・・・」

賢者「本はここにあるもので全てですか?」

妖学「はい、奥にもう少しありますが、ここの物でほとんどです」

賢者「そうですか・・」

勇者「なんだよ、何か変なことがあるなら言えよ」

賢者「・・いえ、本当に直感的な事なんですが」

勇者「うん」

妖学「(・・・)」

賢者「なんだか少し、足りなくはありませんか?」

勇者「足りない?」

賢者「はい、まあ本当に直感の話ですが」

賢者「どうですか?学者さん」

妖学「・・・はい、足りないのは事実です」

勇者「え?そうなのか」

妖学「はい」

賢者「なぜ?」

妖学「・・こちらに来てください、理由をお話します」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:48:49.66 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------学者の家・地下--------------------


スタスタスタ

スタスタ


勇者「地下があったのか、お前の家」

妖学「はい」

賢者「何があるんですか?」

妖学「本です」

賢者「本?わざわざ地下に?」

妖学「はい、人に見られるとまずいので」

勇者「見られるとまずい本なんてあるのか?」

賢者「(・・・)」

妖学「ここです」

スッ

勇者「?」

勇者「本って、これほとんど巻物じゃないか」

妖学「はい」

賢者「・・まさか、発禁ですか?」

勇者「?」

妖学「え、ええ・・!その通りです!」

勇者「??」

賢者「・・・」スッ

クルルッ

パラッ

勇者「なんだ?ハッキンって」

妖学「書物などが、内容によって政府から発行禁止になることです」

勇者「これがか?この巻物が?」スッ

賢者「正確にはこの内容が書かれた本が処分されたんでしょう」スルルッ

勇者「え?」

賢者「彼は発禁を察知し、該当する本を写し書いた、そうですね?」

妖学「はい」

勇者「え!!本を!?本を写したのか、丸々全部!?」

妖学「は、はい」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:50:08.39 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「すごいな・・」

妖学「本当は、いけない事なんですけど・・」

賢者「そんなことありません」スルルッ

妖学「?」

賢者「少なくとも、ここに書かれてる内容は発禁に値しません」

賢者「正当な歴史の記述です、何の問題もありませんよ」スルッ

妖学「はい!そうなんです!」

勇者「な、なんのことかわかんないな・・」

賢者「つまり」スクッ

賢者「魔王は、歴史を隠そうとしたってことです」

勇者「え、なんで?」

賢者「さあ」

妖学「あのぉ、僕、考えてみたんですが・・」

賢者「はい」

妖学「じ、実はすごいことがわかったんです!」

賢者「言ってください、何ですか?」

妖学「はい・・」

妖学「発禁された本に書かれているのは、およそ1300年以前の事」

妖学「つまり、歴代で最も凶悪だった魔王が居た時代です」

賢者「はい、確かにそうです」

賢者「その魔王はあらゆる人物に乗り移り、世界を苦しめたとか」

妖学「そうです!まあ、乗り移ったかどうかは正確には不明ですが・・」

勇者「よく知ってるなお前・・」

賢者「続けてください」

妖学「はい」

妖学「他の本は、さらに間を開けて、2000年以前の事」

賢者「ということは・・」

妖学「はい、初代魔王が誕生した時です」

賢者「(・・・)」

勇者「そんな前だったっけ・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:50:50.30 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「なぜそんなに年代に間が?」

妖学「そうなんです、そこで考えてみたんです」

妖学「もしかしたら、この二人の魔王の間に関係があるんじゃないかと」

賢者「・・そうなるでしょうね」

勇者「え?なんでだ?」

賢者「突然その二つの年代の本が消されたんです、誰でもそう思うでしょう」

勇者「ああ〜・・俺は思わなかったけどな」

賢者「あなたはニブすぎです」

勇者「そ、そうかな・・はは、ごめんごめん」

賢者「続けてください」

妖学「はい・・そして、あることを思い出したんです」

賢者「あること?」

妖学「初代魔王が亡くなった後数十年にわたり、奇怪な事件が続いたこと」

賢者「(・・・)」

妖学「ご存知ですか?」

勇者「わからん」

賢者「・・『集団狂気』ですか?」

妖学「そうです!!」

勇者「なんだそれ」

賢者「強力な魔物たちが、突然気が狂ったように暴れだすんです」

賢者「そして破壊を繰り返し、疲れたようにして命を落とす病気」

妖学「はいそれです」

妖学「実は、似たようなことが1300年前にも起きていたんです!」

賢者「え?」

勇者「乗り移る魔王のやつか」

妖学「当時の魔王の死後、確かにこのような記録があるんです」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:51:44.08 ID:L8tPcodJ0<>
妖学「ええと・・ここに・・」ササッ

勇者「?」

妖学「これです!」

クルルッ

賢者「・・・」

妖学「ここを見てください!」



703年

魔王・没

704年

大鬼の村で番人が突然病に掛かり、苦しみから村人を襲い、全滅

708年

魔王の幹部が発狂し、魔王の子供を殺害、本人も死亡



賢者「・・・」

妖学「歴史的には些細な出来事ですが・・・似ています!」

勇者「何と?」

賢者「初代魔王の死後の出来事、つまり『集団狂気』です」

妖学「はい、そして現在の魔王にも異変が起きていたんです」

勇者「今の?」

妖学「ええ、ある日を境に、とても・・暴力的になったんです」

妖学「些細な事ですぐに怒ったりして、暴れてしまうんです」

賢者「去年も・・」

妖学「はい、忘年会であなた達が一人も来なかった時も・・」

勇者「ははは、あれは大変だったなぁ」

妖学「これも、似ていませんか?」

賢者「・・・」

賢者「本が発禁されたのも・・?」

妖学「はい!魔王様が乱暴になってからしばらくのことです」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:52:23.17 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「(・・・・)」

妖学「わかりましたか!」

勇者「全然わからないな」

賢者「まさか・・・」


賢者「亡霊?」


妖学「はいそれです!!亡霊!!!」

勇者「え?」

勇者「亡霊って、それおとぎ話じゃないか」

妖学「おとぎ話?」

勇者「あるよな賢者?おとぎ話で」

賢者「はい」

賢者「死んだ王の亡霊が民を苦しめる話、『鬼這神話』です」

勇者「ああ、それだ」

妖学「それは知りませんが、近い話ですよ」

賢者「はい、この神話は『集団狂気』が元になってますから」

勇者「あ、そうなのか!」

妖学「つまり、一連の事件はすべて初代魔王の亡霊の仕業ではと・・!」

賢者「亡霊の、仕業・・」

勇者「お化けってことか・・おっかないな」

妖学「亡霊が次々と人に乗り移り、狂気などを引き起こした・・」

妖学「そして今の王がおかしくなったのも・・亡霊が!」

賢者「・・・」

勇者「それってまさか・・・・!」

勇者「・・あー・・つまりどういういことだ?」

賢者「もし今の王に亡霊が乗り移っていて、心を支配してるなら」

賢者「自分の正体を隠すために、本を・・処分した」

妖学「はい」

勇者「・・でも、亡霊って言っても、流石にな?賢者?」

賢者「・・・」

勇者「言ったっておとぎ話だからな、それはちょっと無理が・・」

賢者「ですが彼の話だと色々つじつまが合いますよ、面白いです」

勇者「う〜ん・・そっかな」

妖学「こんなことみなさんにしか言えないんです」

妖学「きっと、みなさんがこの村に来たのも、何かの縁なんです!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:52:51.87 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「うん、でも亡霊だったとしてどうするんだ?」

妖学「え?」

勇者「その・・おハラいみたいなことってできるのか?」

賢者「まあそのあたりはこれから詳しく考えればいいでしょう」スッ

賢者「少なくとも急に歴史書が発禁されるのはおかしいです」

妖学「・・・」

賢者「しばらく様子を見ましょう、詳しくは大会が終わってから・・」

妖学「はい、でも・・・」


「おやおや、こんな所で何をしてるんだね」


賢者「!」

勇者「!」

妖学「村長!!」


妖長「上にいないから探したんだぞ」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:53:18.98 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「(・・・)」

勇者「(・・・)」

妖長「おお?なんじゃその書物は」

妖学「こ、これは・・!」

妖長「ん?」

妖学「あの・・その・・」

妖長「どぅれ、ちょっとくれんかのう」

妖学「え?」

妖長「ええと・・・」スッ


勇者「来るな」


妖学「!」

妖長「おや?勇者さん、あなたもこんなところで何を?」

勇者「そこを動くな、おとなしくしろ!」

妖学「え?なに言ってるんですか勇者さん!」

賢者「下がっててください」スッ

妖学「え?賢者さんまで・・」

妖長「そうじゃよ、一体どうしたのじゃ?」

賢者「・・・」

勇者「お前は村長じゃないな?誰だ」

妖学「??」

妖長「何言っとるんじゃ、村長じゃよ、案内しただろうに」

勇者「・・・」

妖学「みなさんどうしたんですか!何言ってるんですか!?」

賢者「下がってなさい!」

妖学「だっておかしいじゃないですか、なんで・・!」バッ


シャッ


妖学「えっ?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:53:56.73 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「!?」


勇者「ハッ!!」

ドカァン


ドン

ドサッ


賢者「勇者!」バッ

勇者「大丈夫だ!」

妖学「村長・・!!」

妖学「!?」


妖長「クケケケケ」シャシャ


妖学「・・・村長・・!?」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:54:22.89 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「言ったろ!こいつは村長じゃない」

賢者「誰ですか、あなたは」


妖長「ケケケ」クィ

妖長「クケケケケケケケ」シャシャ


賢者「・・・口の聞けるタイプじゃなさそうですね」

妖学「村・・・長・・」フルフル

勇者「村長じゃない、バケモノだ」

賢者「一体どこから来たんだ、この・・」


妖長「『怨念の結晶は』」


勇者「!!」

賢者「!」

妖学「!」


妖長「『怨念の結晶は、全てを包み込み、絶望へと帰する』」

妖長「『お前たちに未来はない、何もかも食い尽くしてくれる』」


賢者「『怨念の結晶』・・?」

勇者「誰だお前は!正体を明かせ!!」

妖学「ああ・・」ガクガク


妖長「『怨念の結晶は、全てを、怨念の結晶は、全てを包み』」

妖長「『怨念の、何もかも、絶望へと、何もかも』」

妖長「『お前たちに未来、未来、怨念の結晶は、全てを包み込み』」

妖長「『怨念の』」


賢者「が、ガラクタめ!」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:55:17.79 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「・・こいつは本体じゃないな」

賢者「?」

勇者「こいつは何かに操られてる、いわば人形だ」

賢者「操られて・・私たちになにかしようと?」

勇者「ああ」

賢者「な、何を?」

勇者「さあ、たぶん殺そうとしてるんだろう」

賢者「・・・・」

妖学「ひい・・!」ガクガク

勇者「落ち着け、こんなやつじゃ何もできないさ」


妖長「クケケケ」


勇者「とりあえず正体が知りたいが・・」

賢者「難しいでしょうね」

勇者「ああ」


妖長「・・グハハハハハ」


賢者「!!」

妖学「うわああ!!」ビクッ

勇者「今度は誰だ・・」


妖長「このワシに、血を与えるのだ」


勇者「血?」


妖長「ワシは血を欲しておる」

妖長「優秀な血と肉が・・栄光の世界を作り出すのに必要なのだ」

妖長「さあワシを、ワシを満たしておくれ、ワシは欲しておる」


賢者「何を・・わけのわからぬことを!!」

勇者「落ち着け賢者!」


妖長「・・・クケケ」

サッ


妖学「あ!」

勇者「待て!!」バッ

妖長「ケケケケケ」ササササ

賢者「勇者!」

妖学「勇者さん!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:55:47.19 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「この・・!」バッ


妖長「ケーケケ」サッ


勇者「!!」


バタン


妖学「・・え?」

賢者「扉を・・まさか!」バッ


勇者「・・・くそ!!」ドン


賢者「勇者!!」パッ

勇者「やられた!!扉を閉じられた!!!」

賢者「開きませんか!」

勇者「・・・はぁ!!」ググッ


ググッ

グッ


勇者「ダメだ、不思議な力で閉じられてる・・!」

賢者「同時にやりましょう!」

勇者「よし・・行くぞ!」


勇者「ハッ!!!」

賢者「ハッ!!!」


ドガァアアン


妖学「・・!」


勇者「・・・ダメか!」

賢者「並の魔法じゃありませんね・・これは」

勇者「まずいな・・おい!他に出口は!!」

妖学「ありません!す、すいません!」

勇者「くそ・・」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:56:51.41 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「私たちを閉じ込めて、どうするつもりでしょうか!?」

勇者「わからん・・」

賢者「奴はいったい何者なんです!!」

勇者「わからん!」

賢者「なぜ!?あなたわかると言ったでしょう!」

勇者「操られてるって言っただけだ!それも多分の話だ!」

賢者「多分!?そんなのアテにならないじゃないですか!」

勇者「仕方ないだろ!どうしようもないんだから!」

妖学「お二人共、落ち着いて・・!」

賢者「・・ふん!」

勇者「・・・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:57:21.36 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「そういえば、『怨念』がどうとか言ってましたね」

勇者「ああ、『怨念の』・・・『結晶』?」

賢者「『怨念の結晶は』・・なんとか・・」

妖学「やっぱり、『亡霊』のことじゃないですか?」

賢者「!」

勇者「『怨念の結晶』が『亡霊』ってことか」

妖学「はい」

勇者「それが、『全てを包み込』む・・」

妖学「やはり全て『亡霊』のせいです、間違いありません」

勇者「・・ああ」

賢者「では、あの村長に化けていたのは・・?」

勇者「多分、手下だ」

妖学「では本物の村長はいったいどこへ?」

勇者「本物はもう生きてない、多分殺されてるだろう・・」

妖学「そ、そんな!?」

賢者「私たちが村に来た時は普通でしたから、その後でしょう」

妖学「そんな、村長が・・・」

勇者「待てよ・・」バッ

勇者「戦士たちが危ない」

賢者「!」

妖学「え・・?」

勇者「もしあいつが『亡霊』の使いだとして」

勇者「その『亡霊』が俺たちをこの世界に呼んだ理由が、殺す為だとして!」

勇者「俺と賢者を閉じ込めた上で、あとは戦士たちだ」

賢者「・・・」

妖学「!」

勇者「あいつら酒を飲んでたな・・」

勇者「まずい・・寝込みを襲われたら終わりだ」

賢者「どうしますか?」

勇者「出るしかない、あのクソ野郎が!!!」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:58:14.37 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


魔王「いよいよ今晩明ければ大会か」


人虎「はい、楽しみでございますね」

死体「そりゃそうだ、あれだけ準備してきたのだからな!」

魔王「うむ・・・」

死体「どうしました?」

魔王「いや、なんだか頭痛がしてな・・」

死体「え!大丈夫ですか!?」

魔王「数日前からなのだが、あまり良くならない」

人虎「きっとお疲れになっているのです!今日はもうお休みになった方が!」

魔王「しかし・・」

死体「あとのことはおまかせください!我々で何とかします!」

魔王「そうか」

人虎「はい!」

魔王「うむ、ならばその言葉に甘えて、休ませてもらおうか」

死体「は!どうかごゆっくり!」


スタスタ


人虎「・・頭痛か、陛下は大丈夫だろうか、明日だというのに」

死体「なぁに、ちょっと休めばよくなるさ」

人虎「それにしても不吉だ、何もないといいが」

死体「そんなはずあるか!陛下がぶっちぎりで勝つに決まってるだろ」

人虎「ははは、そうだな」

死体「あたりめぇだ!」


ハハハ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:59:07.49 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------城門--------------------


悪魔「よぅし、このあたりの警備はこれでバッチリだな」

「はい、明日もこの形でよろしいと思われます」

悪魔「うむ」

「・・デビル様、もうそろそろ休まれたほうが良いのでは?」

悪魔「なに?」

「あなた様はこれまでずっと働き詰めだったと思うので・・」

「今日くらいは休まないと肝心の明日に支障をきたすかと!」

悪魔「ううむ、だがまだ確認したいことが・・」

「あとは私たちでできますよ、ご心配なく」

悪魔「・・そうか?なら先に戻っていようか」

スッ

悪魔「あとは任せたぞ!」

「は!」

スタスタスタ


悪魔「・・ん?」

人虎「お、デビルか」

悪魔「陛下はもう休まれたか?」

人虎「ああ、なんだか頭痛がするとか言ってな」

悪魔「頭痛?」

人虎「そうだ、数日前かららしい」

悪魔「そうか・・やはり陛下も無理をされていたのか」

人虎「ああ・・」

悪魔「そういえば、ウィッチーは?」

人虎「ウィッチー?あいつなら・・」


妖魔「ここだ!」


人虎「!」

悪魔「?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 01:59:37.07 ID:L8tPcodJ0<>
妖魔「・・・・」

人虎「あ、あー・・じゃあ俺はこの辺で」

悪魔「ん?」

人虎「おやすみ〜」

タタタッ

悪魔「ああ!」

妖魔「・・・・」

悪魔「・・・」

悪魔「お前、昼間はどうしたんだ?」

妖魔「・・話がある、来い」スッ

悪魔「ああ・・わかった!」


--------------------屋上--------------------


ヒュゥゥゥウウ


悪魔「おお、涼しいなここは」

妖魔「そうだな・・」

悪魔「で、話っていうのは何だ?」

妖魔「陛下のことだ」

悪魔「魔王様の?」

妖魔「そうだ、何か違和感を覚えたことはないか?」

悪魔「・・・なんのことだ」

妖魔「感じているはずだ、皆恐れて口にしないが、私は実際に・・」

悪魔「やめろ!何を言ってる」

妖魔「デビル!目をそらすな、よく考えろ!」

悪魔「目をそらしてなどいない!お前はおかしいぞ!」

妖魔「・・違う、おかしいのはみんなだ」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:01:00.02 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「お前・・」

妖魔「魔王様は、明らかにかつての温厚な魔王様ではない」

妖魔「いつの間にか尊大になり、頻繁に暴力も振るうように・・」

悪魔「ウィッチー!!」

妖魔「!?」

悪魔「お前、自分が何を言ってるのか分かってるのか!」

妖魔「デビル!私は・・・!」

悪魔「魔王様が尊大だと!?そんなはずはない!」

悪魔「陛下は・・陛下は少し疲れているだけだ!その内、かつてのような・・」

妖魔「かつてのような?」

悪魔「・・!」

妖魔「デビル・・やはりお前も感じていたのだな?この違和感を」

悪魔「く・・・」

妖魔「デビル、もういい、現実をみよう!」

悪魔「・・・」

妖魔「本当はあんな大会など開いている場合ではないはずだ!」

妖魔「なぜ陛下があのようになったか調べるのだ、そして・・」

悪魔「だ、黙れ!!」

妖魔「デビル!!」


悪魔「陛下は狂気に晒されてなどいない!!タワゴトを抜かすな!!!」


妖魔「違う、デビル!目を覚ませ!!」

悪魔「目を覚ますのはお前だウィッチー!デタラメばかりを・・!」

妖魔「デビル、お前・・!」

悪魔「もういい!お前などとはもう口も聞かぬ!!」

妖魔「デビル!!」

悪魔「ふん・・!」バッ

ヒュゥゥウウ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:01:27.55 ID:L8tPcodJ0<>

妖魔「・・・・・」

悪魔「・・・・・」


妖魔「お前だけは・・お前だけはわかってくれると思っていた」

妖魔「お前はいつでも困ってる私を助けてくれた、だからお前が・・!」

悪魔「黙れ・・!」

妖魔「私は、あのような者の息子と結ばれるつもりはない!」

悪魔「黙らんか!!」

妖魔「私は!私は本当は・・!!」


悪魔「・・!!」パッ


妖魔「!!?」


グググ


妖魔「う・・!!」ググ


悪魔「頼む、それ以上しゃべるな・・!」キッ

妖魔「!」

悪魔「お前を、反逆で捕らえねばならなくなる、それだけは・・!」

妖魔「・・・!」グググ

悪魔「・・・」

パッ

妖魔「あ・・!」スルッ

悪魔「・・じゃあな」


スッ


妖魔「!」

妖魔「待て!ダークデビル!!待・・!!」


バサッ


妖魔「デビル!!!」


バサッ

バササッ


ヒュゥゥウウウ


妖魔「・・デビル・・・」

妖魔「なぜだ、デビル・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:01:54.47 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------翌朝・妖精の村--------------------


僧侶「・・・zzZZZ」

戦士「・・・zzZZZ」


ユサユサ

ユサ


戦士「・・ん?」


妖長「起きなされ、勇者のお連れ様」


戦士「ああ、村長さん・・ここは」

僧侶「・・・?」ムニャ

妖長「酒場じゃよ、昨日飲みすぎて疲れたんじゃな」

戦士「そっか、寝ちゃったのか・・」

戦士「・・!!そうだ大会は・・!!!」

妖長「心配せんでもいい、ちょうどこれからじゃ」

戦士「ああ、そうか!ありがとな!」

僧侶「勇者さま達は?」

妖長「彼らなら先に向かったぞ」

戦士「え!置いてったのかよ!ひでぇな」

僧侶「私たちも早くあとを追いましょう、遅刻しますよ!」

戦士「おう!じゃあな村長!」バッ

僧侶「失礼しました!」


タタタタ


妖長「・・・・」

妖長「ケケ」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:02:20.65 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------学者の家・地下--------------------


賢者「・・・!」ピクッ


バッ


賢者「戦士達が動いた・・勇者!」

勇者「・・zzzZZ」

妖学「・・zzzZZ」

賢者「勇者!!」

勇者「・・ん」ムニャ

勇者「ここは・・?」

賢者「戦士達が出発したようです、大会が始まります!」

勇者「・・あ!!そうだったな!」

妖学「??」ムニャ

賢者「彼らは無事で済んだようです・・どうやら」

勇者「(・・・)」

勇者「そうだな、まだあの人形野郎の気配がする」

妖学「・・そ、村長!」

賢者「どういうつもりでしょうか、我々を閉じ込め、彼らだけ・・」

勇者「きっと俺たちさえ押さえれば問題ないってことだろう」

勇者「あいつらだけじゃ、強い相手に太刀打ちできないからな・・」

賢者「く・・!」グッ

賢者「何とかしてここを出なければ・・本当に方法はないんですか!?」

勇者「・・・」

賢者「勇者!」

勇者「わからん、魔法で飛ぼうとしても力がかき消される」

勇者「誰かが外から封印を解きでもしない限り無理だ」

賢者「・・そんな」

妖学「・・・」

勇者「くそ、一体何が起こるって言うんだ!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:03:47.55 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城・周辺--------------------


ワイワイワイ


「さぁ〜〜!!春のスポーツ大会開始間もなくとなりました!!」

「皆さんご存知のとおり!今回は人間界より!あの勇者一行が参加とのこと!!」

「なお地下の試合の模様は、こちらの大型デーモンミラーでお伝えします!!」


ワイワイワイ

ワイワイ


「さあさあ!名物ドクロまんじゅうはいかがかなー!!」

「魔王幹部なりきりセットだ!!ダークデビルにデスタイガーに・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:05:01.62 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔界・北部--------------------


ヒュゥゥン


悪魔「・・・」バサッ

悪魔「ん?あいつら!」バッ


バササン


戦士「・・・ん?」

僧侶「・・?」

悪魔「何をしている!!大会はまもなく始まるのだぞ!!」

戦士「ああ済まない、寝坊しちゃって・・」

悪魔「まったく、何のために昨日から泊まったのだ・・!」

僧侶「あはは・・」

悪魔「・・ところで、勇者と賢者は?」

戦士「え?」

悪魔「え、ではない!奴らはどうした!」

僧侶「お二人は先にお城の方へ向かったと聞きましたが・・」

悪魔「なに?」

戦士「ああ、あいつら俺たち置いて先に行きやがったんだよ」

悪魔「先に城へ?そんなはずはない、奴らとは会っていないぞ」

戦士「・・え?」

僧侶「だって、村にはいらっしゃいませんでしたよ?」

悪魔「なんだと・・!?」

戦士「ああ」

悪魔「まさか、入れ違いになったのか?」

戦士「そうだろうな、ははは」

悪魔「(・・・)」


「デビル様!!」


悪魔「む!」

「あなた達は・・!?」

戦士「おう!遅れてすまん!」

僧侶「ははは・・」

「お急ぎください!もうまもなく開会式が・・!」

悪魔「おい、勇者は来ているのか?」

「いえ!ですので私が飛んできたんです!」

悪魔「何!来ていないのか!?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:05:31.89 ID:L8tPcodJ0<>
「は、はい!なので急がなければ・・!」

戦士「おい、じゃあ勇者はどこ行ったんだ?」

僧侶「まさか道に迷っているんじゃ?」

戦士「いや、賢者が一緒ならそれは無いな」

悪魔「・・・・・」

「デビル様!」

悪魔「よし、お前たち二人はこいつに乗って城へ急げ」

戦士「え?」

僧侶「勇者さま達は・・」

悪魔「俺が探す、早く行け!」バッ

バササッ

戦士「あ、おい!!」


ヒュゥゥウウウ


戦士「ああ、行っちまったよ」

僧侶「どういうことなんでしょう、二人は一体・・」

戦士「さあ・・」

「さあ乗れ、遅れてしまうぞ!」

戦士「お、おう!」スッ





バササッ


悪魔「・・・・・」キョロキョロ


悪魔「(勇者と賢者の気配が極端に小さい)」

悪魔「(人間界に帰ったのか、それとも死んだのか・・)」

悪魔「(どちらもありえん、どういうことだ!)」


バサッ

ヒュゥゥウウ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:06:16.83 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城・開会式--------------------

「これより開会式を執り行います!まずは陛下の挨拶をたまわります!」

ワァァァアア

「魔王様ー!」

「魔王様ーー!!」

ワァァア


魔王「おはよう諸君、我だ!」

ワァアアアアア

魔王「本日はまさにスポーツ日和な日となったな、嬉しく思う・・さて!!」

魔王「諸君も知っての通り!この度は勇者たちを招いての大会だ」

魔王「あいにく本人たちはまだ到着していないが!きっと素晴らしい大会になるだろう!」

ワァァアア


魔王「ハッハッハ!さあて!実はメデタいことはこれだけじゃあない」

魔王「ウィッチー!!」パッ

妖魔「はい」

スッ


ザワザワ

ザワザワザワ


「なんだなんだ?」

「ウィッチーさんだ!ウィッチーさーん!!」

ワイワイ

人虎「(・・・・)」

死体「(・・・・)」

霊鎧「なんだ?おい、お前ら知ってるか?」

人虎「ん?」

死体「知らねぇのか、てめぇら?」

霊鎧「ああ」

牙鬼「俺も知らねぇ!こんなの聞いてねぇぞ!」

人虎「はは、まあ見てなって」



妖魔「みんな、おはよう」

妖魔「今日はみんなに聞いてもらいたい話がある」

魔王「ふふ・・!」ニィ


「・・・・」

「・・・・」

霊鎧「・・・・」

牙鬼「・・・・」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:06:44.00 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------妖精の村--------------------


ヒュゥゥウウ


悪魔「・・・」バサッ


スタッ


悪魔「むむ・・・」キョロキョロ

悪魔「かすかに気配を感じる、ここに居るのか?」

タタッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:07:11.54 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


魔王「さあウィッチー、早く皆に知らせてやるのだ!」

妖魔「・・みんな、聞いてくれ」


人虎「・・・」

死体「・・・」


妖魔「・・いや、やはりダメだ!」

魔王「・・!?」


人虎「え・・?」

死体「おい!何言ってんだあいつ!」

霊鎧「??」


ザワザワ

「ダメって・・何がダメなんだ?」

「さあ、ウィッチーさん?」


魔王「きさま、ダメとは何なのだ!!」

妖魔「皆・・やはり本当のことを言わなければならない!!」

人虎「ウィッチー!?」

死体「おいウィッチー!おめぇ何を・・・!」


妖魔「ここにいる魔王様は、今!病に犯されている!!」


魔王「!?」


人虎「!!」

死体「!」

「!!」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:07:53.68 ID:L8tPcodJ0<>
「病気だって!?魔王様が・・!?」

「一体どういうことだ!!」

霊鎧「やつめ・・!!」ギリッ


ガヤガヤガヤ

ガヤガヤ


霊鎧「おい!!誰かやつを止めろ!ウィッチーを止めろ!!」

「・・・!!」ババッ


妖魔「・・・!」


「ウィッチー様!お止めください!!」

「今すぐそこを降りてください!!さあ!」


妖魔「・・・降りぬ!!」

魔王「・・!」


霊鎧「何をしてる!!奴を捕らえよ!!反逆者だ!!!!」

「は!!」

「は!!」

バッ

妖魔「・・!!」

バババッ

ババッ


人虎「ああ!」

死体「ウィッチー!?」


妖魔「・・く!」



ヒュゥゥウ

戦士「・・!」

戦士「お!そろそろじゃないか?」

僧侶「はい、あれがきっとお城・・」

僧侶「!」

「む!なんだあれは!?」

戦士「どうした!?」

「わからん、何か騒ぎが起きているようだ!!」

戦士「急げ!早く行くぞ!!」

「言われなくてもそうする!!」バッ

ヒュゥゥウウウ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:08:41.14 ID:L8tPcodJ0<>
霊鎧「どういうつもりだウィッチー!!なぜ陛下が病だなどと!?」

妖魔「・・・」

霊鎧「答えろ!!さもなくば貴様は反逆者だ!!」

妖魔「貴様も気づいてるはずだ!陛下の異変に!!」

霊鎧「・・・異変だと!?」

妖魔「そうだ!!」バッ

霊鎧「!?」


妖魔「みんなも聞け!!陛下はかつての陛下ではない!!」

妖魔「いにしえの怨念にとり憑かれ・・魔の物へと変貌しようとしてる!!」


「怨念!?」

「ウィッチーさん、どういういことですか!!?」

人虎「あ、あいつ・・!」


霊鎧「な、何してる!黙って見てないでこいつを取り押さえろ!!」

「・・・!」バッ

妖魔「・・!」

「おとなしくしろ!!」


妖魔「ハッ!!!」


バシシィン


「うわ!!」

「うぐ!?」

霊鎧「!?」

ドサッ

ドササッ

霊鎧「お、おんのれぇ〜!!」グググッ

妖魔「・・はぁ、はぁ!」

死体「やめろウィッチー!!何があったんだお前!?」

妖魔「みんな、聞いてくれ・・!」

霊鎧「く・・!」ギッ

霊鎧「かくなる上は・・この俺が牢に送ってやる!!!」


「その必要はない・・」スッ


霊鎧「!」

妖魔「!」


魔王「ここで殺せばよいのだ、ファントムよ」


霊鎧「へ、陛下・・!?」

妖魔「!!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:09:07.05 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------妖精の村・学者の家--------------------


ギィ


悪魔「・・・」

悪魔「ここだ・・ここから気配が・・」


スタスタ


ギィギィ


賢者「・・・!」

勇者「・・・!」


賢者「誰かが来ました!!」

勇者「この気配は・・あいつだ!!ダークデビルだ!」

妖学「デビル様が・・?」

勇者「そうか、来ないもんだから迎えに来たんだな・・よぉし!!」

勇者「おい賢者!」

賢者「はい!」

バッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:09:36.71 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「うむ・・」スタスタ

悪魔「!」ピクッ

悪魔「この気配は・・魔法使い、勇者か!」

ダダッ

悪魔「どこだ勇者!!」


「ここだ!」


悪魔「!」パッ

「ここだ!聞こえるか!!デビル!!」

悪魔「ああ!聞こえる!!」

「よ、よし!そこの扉を開けてくれ!!」

悪魔「ここか!?閉じ込められたのか!?」スッ

ギィギィ

「そうだ!不思議な力で閉ざされてる!!開けてくれ!!」

悪魔「・・く!!」ググッ

「急いでくれ!」

悪魔「ぬぅ・・この・・・!!!」


妖長「どうしたんじゃ?」スッ


悪魔「!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:10:26.48 ID:L8tPcodJ0<>
妖長「デビル様、こんなところで何を?」

悪魔「お前は・・!なぜ奴らを閉じ込めたのだ!」

妖長「おやや、そんな記憶はございませんが・・」

悪魔「いいから、早くこいつらを出すんだ!」

妖長「ふむ・・」

「なんだ!誰としゃべてる!?おい!!」

悪魔「お前たちは気にするな!!とにかくこの扉を・・」


ザクッ


悪魔「・・・!!!?」


ポタッ

ポタッ


「おい・・どうした!デビル!!おい!!」


悪魔「な・・あ・・・ああ・・・」

ドサッ


妖長「クケケ」シャシャ


タタタタタ

タタ


悪魔「・・・・・・・」



賢者「どうしたんです!」

勇者「わからん・・!急に返事がなくなった!」

賢者「(・・・・)」

賢者「まさか、あの人形が!」

勇者「!?」

妖学「!」

勇者「・・くそっ!!」バッ

勇者「おいデビル!!どうした何があったんだ!!!」

勇者「デビル!!デビル!!!」


「・・・あ・・勇・・者!」


勇者「!」

勇者「デビル!!大丈夫か!?どうしたんだ!」

悪魔「なぜかわからんが・・そ、村長に・・刺された!!」

勇者「!!」

賢者「やはり・・」

妖学「そんな!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:11:02.41 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「うぐ・・!あああ・・!!」ズキッ

勇者「よく聞けデビル!そいつは村長じゃない!何かの使いだ!」

悪魔「・・・!?」

勇者「心当たりはないか!」

悪魔「(・・・)」

悪魔「わからん・・何が・・・起こっているのか・・・」

勇者「とにかく、何か不吉なことが起ころうとしてるんだ!」

悪魔「そ、そのようだな・・ぐ・・!」

勇者「開けられるか!」

悪魔「・・すまない、できそうにない」

勇者「くそ・・まずい・・」

賢者「デビル!そこでじっとしてなさい!!」

悪魔「?」

勇者「賢者、何をするつもりだ!?」

賢者「私とデビルの位置を変えます、そうすれば私は出られます!」

勇者「そうか!その手があった!!」

悪魔「・・・」


賢者「ハア!!」ズズッ


バッ


悪魔「・・!!」バッ


勇者「!」

妖学「!」


賢者「・・よし、成功した!」スタッ


悪魔「ぐ・・」

勇者「あ!大丈夫かお前!」

妖学「後ろから刺されてますね・・深いです!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:12:32.32 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「俺のことは良い、とにかく魔王城へ向かえ、嫌な予感が・・」

悪魔「うぐ・・!?」ズキッ

賢者「勇者!どうしますか!」

勇者「まず扉を壊す!両側から一気に行くんだ!」

賢者「はい!」バッ

勇者「離れていろ・・!」

妖学「は、はい!」


賢者「ハァッ!!!」

勇者「ハァッ!!!」


ズォォオオオ


賢者「く・・!?」ォォオ

勇者「ぐぅっ!!」ォォオ


バチィイン


勇者「・・あ!?」ドサッ

賢者「く!!」バッ


ドサァ


妖学「ああ!?」

悪魔「大・・丈夫か・・!」

勇者「チクショウ、なんて魔法だ!」

賢者「どうしますか!」

勇者「・・くそ!」スッ

勇者「賢者!!お前は魔王城へ向かえ!何かわかるかもしれない!」

賢者「わかりました・・!」


ダッ


勇者「・・・はぁ」

悪魔「一体・・何が・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:13:14.15 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------村・広場--------------------


タッ


賢者「??」キョロキョロ

賢者「村人が見当たらない、まさか・・」


「け、賢者さん!」


賢者「!?」バッ

妖男「ああ!やっぱりまだ居たんですね・・!」

賢者「あなた・・」

妖男「・・・」

賢者「他の村人たちはどこへ行ったんですか?」

妖男「ああ・・大会を見に行きました!」

賢者「なるほど、それで・・」

妖男「残ってるのは僕くらいですね、あはは・・」

賢者「なぜ行かないんですか」

妖男「だって約束しましたから!美味しい料理を作るって!」

賢者「・・あ」

妖男「まさか、忘れてました?」

賢者「はい」

妖男「そ、そうですか・・」ガクッ

賢者「・・・・」

妖男「でも!今特訓中なんです!絶対作ってみせますから!!」

妖男「大会が終わったら来てくださいね!待ってます!!」

賢者「・・・」

バッ

妖男「あ!」


ヒュゥゥゥウウ


妖男「ああ・・いってらっしゃい!!」バイバイ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:13:41.86 ID:L8tPcodJ0<>
ヒュゥゥウ


賢者「・・・!」キキッ


妖男「?」

クルッ

賢者「あなた、まさかまたシチューを作る気じゃ無いでしょうね」

妖男「え、だってあなたがシチューが良いって・・・」

賢者「冗談じゃありません、あなたのシチューなんか食べません」

妖男「・・・」

賢者「・・作るなら、オムライスにでも変えて下さい」スッ

妖男「え?」

賢者「いいですね、では」

妖男「ああ、待って・・!!」


ヒュゥゥゥウウ


妖男「あ・・・」

妖男「・・オムライスで、良いんだ」

妖男「むむ・・ようし!予定変更だ!」

タタタッ

妖男「シチューじゃなくて、オムライスの特訓だ・・!!」

タタタタタ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:14:26.16 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


ガヤガヤガヤ


人虎「ああ・・あああ!」



魔王「・・・・」グググ

妖魔「あ・・・ああ・・・・!」グギギギ


「魔王様お止めください!!ウィッチー様が死んでしまいます!!」

「魔王様!!魔王様ーー!!!」


ワヤワヤワヤ

ワヤワヤ


霊鎧「ま、魔王様!いくらなんでも国民の前で・・そのような!」

魔王「ふふふ、何を言っておるファントム、これは反逆者なのだ」

妖魔「あ・・・」グギギ

霊鎧「しかし、それ以上やると本当に死んで・・!!」

魔王「フハハ!」ニタァ

霊鎧「!?」


人虎「魔王様!!」バッ

死体「魔王様!!」バッ


魔王「・・・」

人虎「おやめください!!なぜ同胞を苦しめるのです!!」

死体「そうです!!ご子息の妻となる者なのですぞ!!」

魔王「・・同胞?妻?」

人虎「魔王様!」


ブンッ


人虎「!」


妖魔「あぐ・・!」ドサッ


人虎「ウィッチー!!」バッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:15:07.04 ID:L8tPcodJ0<>
死体「大丈夫か!しっかりしろウィッチー!!」

妖魔「あ・・うう・・・」

魔王「反逆者をかばうのか?貴様ら」

人虎「!」

霊鎧「魔王様!?」


魔王「ならば、まとめてあの世に送ってくれる」ズズズッ


妖魔「!」

人虎「!」

死体「!」


「ひぃいい!!!魔王様ぁー!!!」

「逃げろぉぉおお!!!!」


ワァアアア

ワァァアアアア


霊鎧「魔王様、お気を確かに!!」

霊鎧「そんな魔法をここで使えば、国民にも被害が・・!!?」

魔王「気にするな、いずれ全て飲み込まれるのだからな・・」ズズ

霊鎧「は・・?」

魔王「全てを破壊し、新たな世界を作り出すのだ・・・ふふ!」ニヤァ


ズズッ


霊鎧「!」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:15:33.53 ID:L8tPcodJ0<>
妖魔「・・逃げろ、お前たち!!」

人虎「ウィッチー!」

妖魔「もう魔王様は、もう・・!!」ズズッ

死体「逃げるって、そんな!」


魔王「逃げるだと?」


人虎「!」

魔王「間に合うと・・・いいな!!」バッ

妖魔「!」

死体「!」


「ハ!!!」バッ


魔王「!?」グラッ


バシュゥ

ズォォオオン


人虎「!」

妖魔「!!」

魔王「誰だ」ギロッ


賢者「ひさしぶりですね、魔王!」


死体「お、お前は!」

魔王「・・貴様は、賢者?」

賢者「ええ、賢者です」

人虎「賢者!」

霊鎧「なに!?」

賢者「ふふふ、どうやらずいぶんと乱暴が過ぎるようで?」

魔王「グハハ・・・よくぞきたな人間の魔法使いよ」ニタァ

賢者「?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:16:22.82 ID:L8tPcodJ0<>

「た、助かったぞ!!誰だ!?」

「人間だ!!人間が助けてくれたんだ!!」

「ありがとうーー!!人間の子供ーー!!!!」


賢者「・・・・」

妖魔「き、気を付けろ賢者!!そいつは魔王じゃ・・!!」

賢者「わかっています」

妖魔「・・え?」

スッ

賢者「魔王、最近調子はどうですか?」

魔王「・・フフ・・・フフフ」ニヤァ

賢者「どうやら、絶好調みたいですね・・」

賢者「(感じる気配は確かに魔王だが、何かが混じってる・・)」

賢者「(中にいる何かが魔王の意思を支配してるようだ)」

魔王「グフフ・・」

賢者「(もしあの学者の言う通りなら、亡霊が宿っているのか・・)」

賢者「(とにかく、被害が大きくなる前に、避難を・・)」


「賢者ぁーー!!!」


賢者「!」


戦士「お〜い!賢者!!」

僧侶「賢者さぁ〜ん!!」

賢者「あなたたち!無事だったんですね」

戦士「ああ!何かよく分かんねぇけどすごい事になってんな!」

僧侶「私たちに出来ることはありますかぁ〜!」

賢者「はい、みんなを避難させてください!城の遠くへ!」

戦士「あいよぉ!!」

僧侶「わかりましたぁ〜!」


ワヤワヤ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:16:51.04 ID:L8tPcodJ0<>
霊鎧「・・・・」

賢者「あなた達も」

霊鎧「!」

賢者「幹部なら国民の安全を守りなさい、いいですね」

霊鎧「・・・」

霊鎧「きさま、魔王様をどうするつもりだ」

賢者「・・さあ、なんとかして正気に戻したいですが」スッ

賢者「できなければ、倒すしかありません」

霊鎧「なに!そんなことは・・」

賢者「ならどうするんです!犠牲者が増えるだけですよ」

霊鎧「く・・!」

人虎「おい!賢者!」

賢者「?」

人虎「俺たちはみんなを避難させる!お前は魔王様を頼むぞ!!」

賢者「はい、そうしてください!」

妖魔「・・・」


魔王「フフフ・・・」


スッ

賢者「魔王」

魔王「?」

賢者「いや、古の亡霊でしょうか」

魔王「フフフ・・・よくあの扉から出られたなぁ?」

賢者「!」

魔王「・・・」ニヤ

賢者「やはり村長の偽物は、あなたが操っていたんですね?」

魔王「フフ・・・」

魔王「何も知らないお前たちは、ただ抵抗することしかできないんだ」

賢者「?」

魔王「黙って見ていればいいのだ、私の偉大な行為をな・・」

賢者「なんだと・・」

魔王「お前も」スッ

賢者「?」


魔王「消え失せるがいい!!!!!」ギュン


賢者「!!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:17:44.08 ID:L8tPcodJ0<>
魔王「ハァ!!!」ブンッ

賢者「・・!」サッ


賢者「ハッ!」


ガッ


魔王「!!?」

賢者「ハァ・・!!」ズ


ボァアアン


ボゥゥゥウン

ボォォオ


賢者「・・・」スタッ

霊鎧「魔王様!!」


メラメラメラ

メラメラ


賢者「(・・・)」


「・・・フフ」メラメラ


賢者「!」

魔王「さて、我もこの肉体から解放される時が来たようだ・・」メラメラ

賢者「解放?」


「クケケ」


賢者「!?」

妖長「クーケケ!」シャシャ

賢者「お前は!」

魔王「さあ・・解放しろ!!!」

妖長「ケーケケ!!!」バッ


ブスッ


賢者「!」

妖魔「!?」


魔王「ああ・・・あああああ!!」ググ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:18:21.74 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「な、何を・・!?」


魔王「グォォォオオオオオ!!!!」ズググ


賢者「!!」

妖魔「ま、魔王様!!」

霊鎧「!!?」

人虎「!!」


魔王「グゥワァアアアアアア!!!」


カァアア


--------------------妖精の村・地下--------------------


勇者「!」ピクッ

悪魔「!」ピクッ

妖学「どうしました?」


勇者「な、なんだこのおぞましい気配は・・!?」

悪魔「・・魔王様だ・・・これは・・!」

勇者「魔王!?これが・・!?」

悪魔「やはり、恐れていたことが起きたのだ・・」

悪魔「魔王様は、狂気に犯されて・・うう・・・!」

勇者「どういうことだ」

悪魔「我々は知っていた、魔王様が、少しずつ変化していくのを・・」

悪魔「だが俺を含む幹部たちは、目を・・逸らしてたんだ・・」

勇者「・・・」

悪魔「信じていた・・魔王様は、きっと・・いつか・・・」

悪魔「かつてのような・・すばらしい王にもどると・・・!!」

勇者「そうだったのか・・」

悪魔「だがもう遅いんだ、もう・・手遅れ・・だ・・」

妖学「・・・」

勇者「あきらめるのはまだ早い、方法はあるはずだ」

悪魔「・・・!」

勇者「な?そうだろ!」

悪魔「・・そうだな」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:19:07.77 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


賢者「・・そんな」


魔皇「グハハハハハ!!いい気分だァ・・!!!」フシュゥウ


妖魔「あ・・ああ!」

人虎「こ、こんな・・馬鹿な・・!」

霊鎧「魔王・・様・・」

賢者「・・・!!!」キッ


魔皇「グハハ!!」


賢者「ダァ!!」

ギュゥゥゥン


魔皇「!」


賢者「喰らえぇ!!!」バッ


キィィイイン

ボォォアアアアアアン


妖魔「!?」

霊鎧「うわ・・!?」ブワッ


ボァァァァアアン

アァァァアン


賢者「・・・ハァ」


シュゥゥウウウウ


賢者「・・・・」

賢者「!」


「人間の魔法使いなら、これが限界か」シュゥウ


賢者「・・・ふん」


魔皇「フハハ!」ボワッ


妖魔「無傷・・!」

魔皇「どうした、痛くもかゆくもないぞ」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:19:37.78 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「ふん!この程度でくたばられては私が参ります」

賢者「久しぶりに、楽しめそうな相手に会えたようです・・」キッ

魔皇「フッフッフ・・・随分な自信じゃないか、人間の子供よ」

賢者「子供ではない・・」フッ


賢者「賢者だッ!!!」バッ


魔皇「フフフ・・!」


賢者「ハァアアア!!」ギュウ


賢者「ヤッ!」

ズゴウッ

賢者「・・・」

賢者「!?」


魔皇「・・・ハハ」ニヤ


賢者「・・・!」バッ

賢者「ウァアッ!!」

ガシッ

賢者「あ・・!?」

魔皇「ハッハッハ〜!!」

賢者「うう・・う!!」バタバタ

妖魔「賢者!」

魔皇「ハァアアアア〜〜・・・!」


魔皇「ウェアアア!!」

バギィィィイイッ


賢者「・・!!!?」


ヒュゥゥゥウウウン

グァアン


妖魔「け、賢者!大丈夫か!!」


ガァン

ガラララッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:20:03.61 ID:L8tPcodJ0<>
妖魔「くそっ!」バッ


魔皇「?」


妖魔「貴様いい加減にしろ!!陛下の体から出てゆけ!!」

魔皇「グハハハハ・・!」ニヤ

霊鎧「ウィッチー、手伝おう!!」バッ

魔皇「ハハハ、さあ来い!!」

妖魔「この!!」

霊鎧「はぁああ!」

ババッ


魔皇「・・・ふふ」ニィ


--------------------魔王城・北部--------------------


僧侶「みなさん!こっちですぅ!」

戦士「急ぐんだ!!」


ザッザッザッザ

ザッザッザ


「急げ!!魔王様の戦いに巻き込まれるぞ!」

「子供を先に行かせろ!いいな!」

「こっちだ!こっちだー!!」


ザッザッザ

ザッザ


「まさか魔王様が病に犯されるなんて・・信じられない」

「大丈夫だ!幹部たちが何とかしてくれるさ!」


僧侶「賢者さん、大丈夫でしょうか?」

戦士「ああ、あいつがやられるわけねぇ!大丈夫さ!」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:20:46.82 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


魔皇「グラァ!!」


ドガガッ


妖魔「う・・!?」

霊鎧「があ!!」


ガァン

ドォン


魔皇「ふふふ・・雑魚どもめが」

妖魔「うう、くそぉ・・!」

妖魔「デビル、お前は今どこに・・!」

魔皇「くたばれぃ!!」バッ

妖魔「!」


賢者「調子に乗らないことです!」


魔皇「!?」

ボガァン


メラメラメラ


賢者「・・・・」キッ


妖魔「賢者!?」

魔皇「まだ生きていたか、子供」メラッ

賢者「賢者と言ったでしょう」

魔皇「ふん、たかが人間に何ができる、貴様などお呼びでないのだ」

賢者「なに・・」ムッ

魔皇「黙って岩に隠れていれば苦しまずにあの世へ行けたのになぁ・・」

魔皇「まったく、人間の戦士には道理外れな者が多いな」

賢者「道理外れだと・・!」

魔皇「フハハ!!」

妖魔「賢者!」バッ

賢者「!」

妖魔「二人で一気に魔法で攻撃するぞ、そうすれば・・・!」

賢者「あなた、逃げてなかったんですか」

妖魔「逃げるものか!国の一大事なのだ!!」

賢者「・・・」

魔皇「何をしようと無駄だ・・ワシを倒すことはできん!!!」

賢者「そうでしょうか?」

バッ <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:21:49.98 ID:L8tPcodJ0<>

魔皇「!」


賢者「ハァア!!!」


ズグォォォオン

ゴゴゴォォウン


妖魔「・・・・」

賢者「・・・・」


モワワワワ


魔皇「ハァ!!」バフゥン


妖魔「!」

賢者「!」


ガッ


妖魔「・・く!」グググ

魔皇「ハハハ・・!!」ググ


賢者「ダッ!!」


ガァン

魔皇「う!?」グラッ

妖魔「・・・!」パッ

妖魔「ソォラ!!」

ドズゥ

魔皇「おお・・」


バッ


妖魔「今だ!!」サッ


賢者「ハァアア!!!」

妖魔「ハァアア!!!」


ズォォォォオオン


魔皇「!!?」


ゴォォォン

ボガァァアアアン


ガァァアン

ガラララ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:22:16.79 ID:L8tPcodJ0<>

妖魔「ハァ!ハァ!!」ガクッ

賢者「・・・」


モクモクモク


妖魔「・・やったか?」

賢者「いえ、ですがかなり効いたはずです」


モクモクモク

モクモク


賢者「・・・」

賢者「!」


「フフフ・・!」モクモク


妖魔「!」


魔皇「こうでなくては、こうでなくては面白くない!」


妖魔「そんな・・ほとんどダメージが無いじゃないか!」

賢者「・・・・」

魔皇「ハハハ!」


霊鎧「どけ!お前たち!!」バッ


妖魔「ファントム!?」

賢者「やめなさい!」


霊鎧「はぁあああ!!」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:22:42.46 ID:L8tPcodJ0<>
霊鎧「でや!!」

バキィ

霊鎧「・・!?」

魔皇「ふふ・・・・」

霊鎧「ハッ!!」

ガガン

ドカッ

ズドドッ

霊鎧「・・!」バッ


魔皇「・・・・・」


霊鎧「おのれ・・!」

魔皇「ふん!」ジャ

バキィ

霊鎧「ぐわっ・・!?」


ドサッ


賢者「・・!」

妖魔「ファントム・・!?きさまぁ!!」バッ

魔皇「フフ」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:23:08.30 ID:L8tPcodJ0<>

妖魔「ヤッ!!」


ガシィ


妖魔「!?」

魔皇「フハハ!」


賢者「この・・!」バッ


魔皇「ん」チラ

魔皇「・・!」ブン


賢者「な!?」

妖魔「・・・!?」ギュン


ドカァアン


賢者「う!?」ズキィ

妖魔「う!?」ズキィ


魔皇「消えろぅ!!」


ドァアア


賢者「!」ワッ

賢者「うああああああ・・!!!」


ドガァアアン


妖魔「賢者!!」

魔皇「貴様もだ!!」ブン

妖魔「!?」ギュン


妖魔「ウワァァアア!!」ヒュゥゥゥウウウン


ドボォォォオオン

ゴゴゥ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:23:41.14 ID:L8tPcodJ0<>
妖魔「・・ああ・・く・・!」ムクッ

賢者「・・・・・・・・」

妖魔「け、賢者・・大丈夫か・・・?」

賢者「・・・・・あ・・ぐ・・」


魔皇「ん」チラッ


ワァァアアア

ワァァアアアア


魔皇「・・・・はっ」ニヤァ


妖魔「賢者・・」

賢者「・・う・・・」


魔皇「ウィッチー」

妖魔「!」

魔皇「貴様は確か、エルフの村出身だったな・・」ズズ

妖魔「・・?」

魔皇「ちゃんと家族に、別れは告げてきたんだろうな」ズズズ

妖魔「ま・・まさかお前・・!」

魔皇「ワシに逆らう一族には、制裁を加えねばならん・・・」ニタァ

賢者「?」

妖魔「や、やめろぉ!!!」


魔皇「ドゥアアアア!!!」ズォオ


妖魔「!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:24:06.31 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔界・西部--------------------


戦士「・・・ん?」ザワッ

僧侶「?」


カッ

ドォォォアアアアアアアアアン


戦士「!?」

僧侶「!?」

「!!」

「!!!」


グォォアアアアン

ズゴォォオオオオオオ


「な、なんだぁ!!?」

「爆発か!!?どこだ!!!」

戦士「あそこは・・たしか!?」

僧侶「ま、まさか!」

戦士「・・エルフの村だ!!!」

「そんな!!村が!!エルフの村がぁ!!!」

「俺たちの村が消えちまったァ!!うわあああ!!!」

僧侶「!?」

戦士「・・・・!」


ワァァアアアア

ワァァアアアアア
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:27:37.44 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


妖魔「あ・・あああ・・」

妖魔「私の・・・故郷が・・・」ガクン


魔皇「ハッハッハッハッハッハッハ!!!いい気分だ!!!!」


妖魔「・・ああ・・・・・」

賢者「エルフの・・村・・・?」

賢者「しまった!勇者が・・」

賢者「(!!)」


(賢者「なぜ行かないんですか」)

(妖男「だって約束しましたから!美味しい料理を作るって!」)

(妖男「今特訓中なんです!!絶対作ってみせますから!!」)

(妖男「大会が終わったら来てくださいね!待ってます!!」)


賢者「(あ、あいつ・・!!!)」


魔皇「はっはっは!!!!」


賢者「ぐ・・ぐぅううう!!!」ギリッ


バッ


魔皇「!」

妖魔「!」


賢者「うぁぁあああああ!!!!」


魔皇「な・・!」


賢者「アッ!」ギュン


ズゴゥウン

魔皇「オオぅ!!?」

賢者「はああ!!」

バギィ

賢者「ヤッ!!!」

ドズゥン

魔皇「が・・・!?」


ガシッ


ブンブンブンブン

ブンブンブン

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:28:05.68 ID:L8tPcodJ0<>

賢者「ウダァアア!!」パッ


魔皇「オッ!!?」キュン


ヒィィィィィイイイイン


賢者「この・・」キッ


魔皇「ぐ・・・」ヒィィィイイン


賢者「このクズヤローが!!!」ズッ


魔皇「(!)」

グァォォオオオオン

ドォォアアン


妖魔「あ・・!」


ゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゥ


賢者「ハァ・・!!!ハァ・・!!!」

賢者「・・・!!」キッ

賢者「さあ起きろ!!キサマはこの私が倒してやる!!!!」


魔皇「・・・・」ガララッ


賢者「よくも・・よくも・・・!!!」

賢者「絶対に許さん、絶対に・・・絶対にだ!!!」ギィン
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:28:33.00 ID:L8tPcodJ0<>

魔皇「・・・!!」ギロッ


魔皇「コムスメが・・!いい気になりおって!」

賢者「・・!!」ギッ

魔皇「このワシの肉体を・・・傷つけおったなァ!!!」

賢者「ほざけ!!今にバラバラにしてやる!!!」

魔皇「なァんだとぉおお!!!」ブチィ

賢者「さあ来いッ!!」


バッ


魔皇「グォォォオオアアアア!!!」

賢者「ハァァァアアアアア!!!!!」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:29:07.10 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔界・南部--------------------


戦士「何だこの雰囲気は・・どんどんまずいことになってねぇか!?」

僧侶「はい・・もう、おぞましいです」

人虎「おいお前たち!」

戦士「!」

人虎「お前たちは民を連れて遠くへ行ってろ!」

戦士「タイガー!」

人虎「中央は危険すぎる、いいな!」

戦士「お前はどうする!」

人虎「我々幹部は魔王様の・・いや、怨念のバケモノの対処をする!」

戦士「え・・お前ら!」

人虎「もういいのだ・・あの者はもう、魔王様ではない」

人虎「民のために、我々幹部はそう判断を下したのだ・・!」

僧侶「・・・・」

人虎「行ってくれ、これ以上貴様らに迷惑をかけるわけには行かん」

人虎「さあ行け!」バッ

戦士「待て!!」

人虎「!」

戦士「俺たちを誰だと思ってる!勇者の仲間だぜ!」

僧侶「は、はい!」

人虎「・・・?」

戦士「戦わねぇで何が勇者だ!俺も行くぜ!!」

僧侶「私も!」

人虎「・・だ、だが!」

戦士「気にすんな!それに、下手すりゃ人間界も危ねぇ・・!」

人虎「・・・・」

僧侶「私も、傷の治療くらいはできますから・・」

人虎「う・・ほ、本当にすまない!!」

戦士「礼は後だ!行くぞ!!」

人虎「ああ!」


ババッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:29:40.85 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


ゴゴォオン

ズガガガガガ

バジィイイン


賢者「ダァァアアアア!!!」

魔皇「ウェアアアア!!!!!」


妖魔「け、賢者!頑張れ!!」

「行けぇ!!賢者ぁあ!!」

ワァァアアア

ワァアアア


賢者「・・・アア!」

ガンッ

魔皇「ぬゥッ!?」


「いいぞ!賢者!!」

「いけぇ!!」


賢者「ハアア・・!」

賢者「うッ!?」ズキッ

魔皇「(!)」


妖魔「賢者!危ない!!」


魔皇「グハァ!!」


賢者「!」

バギィ

賢者「う・・!」

賢者「この!」ブン

スカッ

魔皇「フッハッハ!」バッ

ガッ

賢者「・・うぶ!」

グググッ

賢者「・・!!・・!!?・・?!!!」

ミシミシ

賢者「ぐ・・!!?・・!!・・ぐぐ・・!!」

魔皇「フハハハハ・・」グググ

ミシミシミシ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:30:15.97 ID:L8tPcodJ0<>
「ああ!賢者が!賢者がやられる!!」

妖魔「くそ!!」バッ

魔皇「!」


妖魔「やめろぉ!!」


魔皇「ふん!」ゲシッ

妖魔「うッ・・!?」


ヒュゥゥン

ドサァ


「ウィッチーさん!?」

妖魔「ぐぐ・・」

霊鎧「おのれ・・」ギラン

妖魔「ファントム!」

霊鎧「ハッ!!」ダッ

魔王「ん」


霊鎧「喰らえぇい!!」ビャッ


ギッシェィン


霊鎧「・・!?」ググ

魔皇「・・・・」ニッ

霊鎧「なに・・・!?」

魔皇「まさか、こんなものでワシを斬り裂けるとでも?」

霊鎧「こ・・!!」


ズギャァアン


妖魔「!」

「あ!」


霊鎧「・・・・・・・」ヒュゥゥウ


ザンッ


妖魔「ファントム!!」バッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:31:16.83 ID:L8tPcodJ0<>
妖魔「しっかりしろファントム!ファントム!!」

霊鎧「・・・・ぅ・・」ガクッ

妖魔「ああ・・!」


魔皇「フフフ・・・」

魔皇「!」


ボガァアアアアン


妖魔「・・!!」


賢者「ハァ!!ハァ!!!」ゼェ

妖魔「賢者!」


ボァアア

ボォウ


賢者「・・はぁ・・・」

賢者「!」


魔皇「・・・・・・」シュゥウ


賢者「そ、そんな・・・!」

魔皇「・・!」グッ

賢者「うあ・・!」ミシミシ

魔皇「このまま頭を潰してやる!」グググ

妖魔「賢者ぁ!?やめろぉ!!」

魔皇「人間の血は、美しい赤色だそうだな・・ハハ!」

賢者「・・・ぅ・・」ミシィ


魔皇「しねい!!!」


ガゥン


魔皇「うっ・・!?」

パッ

賢者「・・あ・・・」スルッ

妖魔「!」

魔皇「き、貴様!!」


勇者「大丈夫か、賢者」ガシッ


賢者「・・・・・勇者・・・」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:31:46.96 ID:L8tPcodJ0<>
バササッ


悪魔「ウィッチー!!」バッ

妖学「わあ!」グララッ


スタッ


妖魔「デビル・・!」

悪魔「ウィッチー!大丈夫か・・その傷は!?」

妖学「おそらく魔王ではないでしょうか・・」

妖魔「・・・」

悪魔「・・そうか、やはり思った通りのようだな」

妖魔「!?」

妖魔「デビル!お前も、その傷・・!」

悪魔「心配するな、この程度何でもない」

悪魔「・・それより」スッ


勇者「・・・」スタッ


悪魔「勇者!」

勇者「賢者を頼む、治療して遠くへ」

悪魔「うむ!」

賢者「・・・勇者」

勇者「あまりしゃべるな、もうお前は・・」

賢者「あいつは・・あいつは、村を・・・!」

勇者「知ってる、それで出てこられたんだ」

賢者「・・あいつは・・・あいつ・・は・・・」

勇者「大丈夫、村のやつらは皆こっちに出ていたから無事だ」

賢者「違う・・あいつ・・あいつが・・・」

勇者「?」

賢者「う・・・ううう・・!勇者・・」

勇者「ああ」

賢者「あいつを、倒して・・・くれ・・」

賢者「・・」ガクッ

妖学「ああ!賢者さん!」

勇者「・・・・」

悪魔「行くか」スッ

勇者「頼む」

ススッ

悪魔「ウィッチー、飛べるか?」

妖魔「・・う、うん」スクッ

妖学「勇者さん・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:32:12.94 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「・・・!」キッ


魔皇「ハハ・・」ニヤァ


悪魔「勇者、あとは任せたぞ」

勇者「ああ」

バサッ

バササッ

妖魔「勇者・・」

勇者「なんだ」

妖魔「・・・・」

勇者「?」

妖魔「じゃあな」バッ


ヒュゥゥウウウ


魔皇「逃がすか!」スッ


勇者「待て魔王」パッ


魔皇「?」

勇者「お前の相手は、この俺だ!」

魔皇「・・・・」

魔皇「フッフッフ、仲間思いなのは結構だが、早死するだけだぞ」

勇者「そうかな・・」ニヤ



ヒュゥゥゥウ

バサッ

悪魔「・・・」

悪魔「(陛下・・)」

賢者「・・・・・・・・」

ヒュゥゥウウ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:32:38.54 ID:L8tPcodJ0<>

勇者「・・・・」

魔皇「・・・・」


魔皇「賢者を助けたまではいいが、仲間を逃がしたのは賢くないな」

勇者「ん?」

魔皇「貴様一人では絶対に勝ち目がないのだからな、ハハハ!」

勇者「・・・」

魔皇「まあ、何人いたところで結果は同じだがな・・フフ」

勇者「そうか?」ニッ

スッ

魔皇「?」

勇者「それにしては、賢者が逃げるときエラく焦ってたように見えたけどな」

勇者「賢者が復活して、俺と二人で来られた時のことを考えたんだろ?」

魔皇「・・・・」

勇者「本当は、今から追いかけてでもトドメを刺したいんじゃないか?」

魔皇「・・ふふ」ニィ

魔皇「ガキが・・ずいぶんホザいてくれるじゃないか」

魔皇「言っておくがお前たちに勝利はない・・死、のみだ」

勇者「ふふ・・」

勇者「知ってるかバケモノ」

魔皇「?」

勇者「勇者とか賢者っていうのは、ただの人間じゃないんだ」

勇者「特別な力を持った、別の生き物・・」

魔皇「・・・・」

勇者「お前なんかを前にして、くたばるようなタマじゃない」

勇者「この俺も・・そして、賢者もだ」

魔皇「ふふ・・・」クク

魔皇「それで?どうするつもりだ」

勇者「村を吹っ飛ばしただけでなく、賢者まで・・」ギリッ

勇者「お前だけは、生かしておくわけには行かない!」

魔皇「ハッハッハ!」グワッ

魔皇「ご立派なセリフじゃないか!逃げた奴らにも聞かせてやりたいぞ」

勇者「・・・・」

魔皇「それが貴様の・・遺言なのだからな!!」

バッ


勇者「・・!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:33:05.65 ID:L8tPcodJ0<>
魔皇「喰らえ!」ズッ


ボカァアン


魔皇「・・・・・」


魔皇「?」キョロキョロ

魔皇「どこへ逃げた・・」

魔皇「!」バッ


勇者「セヤァ!!」ブン


ガシッ


勇者「あ・・」


魔皇「フン!」ギュン

ヒュゥゥウウウン

勇者「おおおお!!!?」ヒュゥゥウウウ

魔皇「・・・・・」ヒュゥゥウウ


魔皇「・・・!!!!」ブン


ビュゥゥゥゥウン


ズガガァン

ガァン


魔皇「・・・・」


ガララ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:33:31.56 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「ああ、くそ・・!」ムクッ

勇者「絶対当たると思ったんだけどな、速いなあいつ」

魔皇「さあどうした!まさか、もう疲れたのか?」

勇者「・・ああ、正直疲れた!」

魔皇「なに?」

勇者「いや、正確に言えば・・」バッ

スッ

勇者「お前を倒す頃には、だいぶ疲れてるだろうなって感じだ!」

魔皇「・・・ふふふ、本当に口の達者なやつだ貴様は」

魔皇「そういう奴ほど、大した活躍も出来ずにクタバるんだ」

勇者「そんなことないさ!俺は強いからな、賢者なんかよりも」

魔皇「ほ〜う!でかい口叩くじゃないか・・」

勇者「ふふ、じゃあそろそろ本気で行くかな!」


勇者「ヤッ!!」ドッ


魔皇「!」

魔皇「フン!!!」ブン

勇者「アア!!!」ブン


ガチィィィイン


勇者「・・・・・」ググググ

魔皇「・・・・・」ググググ


勇者「ダッ!!」

魔皇「グァ!!」


ガチィィン

ガチィィイイン

ズグォォオオン

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:33:58.83 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔界・北・山間部--------------------


賢者「・・・・・・・・」

賢者「・・・う」


悪魔「!」

僧侶「賢者さん!」

戦士「賢者!大丈夫か!」

賢者「ここは・・」

賢者「!」

賢者「魔物は!!魔王はどうなったんです!?」

戦士「勇者が戦ってる、すごいぞ・・」

僧侶「加勢したいですが、危なすぎて近づけないんです」

僧侶「なので私たちも早く避難を・・」

賢者「・・向こうか」キッ

戦士「け、賢者?」


賢者「・・!!」バッ


戦士「待て!!」ガッ

賢者「!」

戦士「お前が行っても無駄だ!!邪魔になるだけだ!!」

僧侶「そ、そうですよ!傷は治っても体力は・・!」

賢者「離せ、離すんだ!!」

戦士「賢者!!」

妖魔「お前は充分戦った、あとは勇者に・・!」

賢者「違う・・あいつは・・!」

賢者「あのバケモノは、この私が倒さないとダメなんだ!!!」

戦士「何言ってんだお前!」グィ

賢者「離せ!!行かせろ!!!」

僧侶「賢者さん!」

賢者「離せ!!離せえ!!」ググッ


悪魔「俺も行こう」


賢者「!」

戦士「え!?」

妖魔「デビル?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:34:25.53 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「陛下の『病』が悪化したのには、私たち幹部の責任が大きすぎる」

悪魔「このまま勇者達の世話になっていては、面目もあったもんじゃない」

僧侶「・・・」

賢者「・・・・」

悪魔「私からも頼む、行かせてくれ」

戦士「・・わかった」

悪魔「済まない、戦士」

賢者「・・・」スッ

戦士「無理すんなよ」


悪魔「ああ」

賢者「はい」


スッ


バサッ

ヒュゥゥウウウ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:34:52.98 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城--------------------


勇者「・・・ダッ!!」ギャ

魔皇「ハハ!」サッ

勇者「・・ハッ!」

ガッ


魔皇「ふふ」グググ

勇者「う・・!」グググ


「勇者!!!」バッ


勇者「!」

魔皇「?」


賢者「・・・!」バッ

悪魔「・・・」バッ


魔皇「お、お前たちは・・!」

勇者「賢者!?なぜ戻ってきた!!」

賢者「・・そいつは、私が倒す」

勇者「やめろ!!怪我は治っても、今のお前じゃ足手まといだ!!」

賢者「大丈夫です、戦えます」

勇者「ダメだ!」バッ

勇者「おいお前!!なんで連れてきたんだ!」

悪魔「・・・」

勇者「おい!」

魔皇「おやおや・・本当に貴様らは命知らずだな」

勇者「!?」

魔皇「プライドだの仲間だので、結局無駄死にするのがオチなんだ」

魔皇「さっさと逃げて生き長らえば、いくらかの幸せは・・」


賢者「プライド?」


魔皇「?」

勇者「!」

悪魔「賢者・・」

賢者「そんな物は、とうの昔に捨てました」

魔皇「?」

賢者「私は、ただ・・」

スッ


賢者「貴様をこの手で、殺してやりたいだけだ!」


魔皇「なに?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:35:19.44 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「陛下!!」

魔皇「?」チラッ

悪魔「陛下!!正気を取り戻してください!!!」

悪魔「陛下は、あなたは同胞を傷つけるような方ではないはずだ!!」

勇者「やめろデビル、こいつはもう・・」

悪魔「陛下!!私のこともお忘れか!?」

魔皇「・・・」

悪魔「陛下!!!」

勇者「やめろ!お前の声は、もう魔王には届かないんだ!」

悪魔「そんなはずはない・・この方は魔王様、われらが陛下なのだ!!」


魔皇「ふっふっふっふっふ」


悪魔「!」

魔皇「貴様らにどんな目的があろうと、それは敵わない」

魔皇「口先で張り合う前に、まずは生き残ることを考えたらどうだ」

悪魔「陛下・・・」

勇者「言っただろう、コイツはもうただの化け物だ」

悪魔「・・・く!」


魔皇「・・・・・・・」


賢者「・・・」

勇者「・・・」

悪魔「・・・」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:35:58.81 ID:L8tPcodJ0<>

魔皇「ハァッ!!!」


グォォオオオオン


勇者「く・・!」ブワッ

悪魔「・・!」ブワッ

賢者「う・・・」ブワッ


ゴゥゥゥウン


魔皇「!」バッ


賢者「え!?」

バキィ


勇者「け、賢者!!」

悪魔「!?」


賢者「・・あッ・・・」クラッ


勇者「くそ!!」バッ

魔皇「ハハハハ!!」

ガシッ

ガシッ

勇者「・・・!?」

賢者「・・・!?」


魔皇「ハァァアアアアア!!」グルルッ

勇者「う・・!!」ギュルル

魔皇「ハァ!!」パッ


ヒュゥゥウウウン


勇者「・・!!」キキッ

勇者「は!?」


賢者「・・・・・」ヒュゥゥゥウウ


勇者「賢者ぁ!」バッ


ドズゥ


勇者「オぅッ・・!?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:36:28.82 ID:L8tPcodJ0<>
魔皇「はぁ!!」

バキッ

魔皇「ハッハァ!!」

ドゴゥン

勇者「あ・・・」

ヒュゥゥゥウン


ドサッ


魔皇「ハッハッハ!どうした!口ほどにも無いなあ!!」


勇者「う・・!!」

勇者「賢者、大丈夫か!?」

賢者「・・・・・・・・・」

勇者「く・・くそぉ!」バッ


勇者「喰らえ!!!」ズッ


グァアア


魔皇「!」

魔皇「グァア!!」ズゥ


勇者「え!?」


グォォオ


勇者「アア・・!!?」ブワッ

賢者「・・・・・・」ブワッ


悪魔「勇者!!」


グォォォオン


魔皇「ふふふ・・さあて、止めだ」


悪魔「く、くそ・・!!」

悪魔「・・・ん?」


コソコソ


妖長「・・・」コソソ

悪魔「(・・あいつ!!)」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:37:05.95 ID:L8tPcodJ0<>

妖長「クケケ・・」キラン


悪魔「(あれは・・なんだ?)」

妖長「・・・クケ!」ギラッ

悪魔「(!!)」


魔皇「ハァア!!」ズッ


勇者「賢者!!」ガシッ

賢者「・・・」グィッ


ドグォォォオン

ゴォォン


妖長「ケケケ・・!!」


悪魔「(・・・)」

悪魔「(そうか・・わかったぞ!!)」

妖長「ケーケケーー!!」クィッ

悪魔「(あいつが・・あの魔物があれで魔王様を操っているのか・・!)」

妖長「クケ!!」キラン

悪魔「よぅし!!」バッ


妖長「ケ?」パッ


悪魔「きさま!そいつをよこせー!!!」

妖長「・・・ケケ」ニヤ

悪魔「ハァァア!!」


悪魔「!?」ドガァン


ヒュゥウウン

ズゴォン
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:37:32.89 ID:L8tPcodJ0<>
悪魔「ぐ・・な・・なぜ・・?」クラッ

魔皇「ふふふ」スタッ

悪魔「!?」

魔皇「自分だけ逃れようとでも言うのか?魔物の戦士よ」

悪魔「逃げるだと・・・?」

勇者「デビル!!大丈夫か!?」

悪魔「と、とりあえず大丈夫だが・・・賢者は?」

勇者「賢者は・・」パッ

賢者「・・・・・・・・・」

勇者「ダメだ!完全に気絶してる!!!」

悪魔「く・・そうか」

悪魔「やはり、連れてきたのは間違いだったか・・」

魔皇「フフフ・・」

悪魔「(!)」

悪魔「それより勇者!!聞けぇ!!!」バッ

勇者「?」

悪魔「あれを見ろ!!」


妖長「ケッケッケ!!」


勇者「あ、あいつ!!いつの間に!?」

悪魔「やつの持ってるステッキのようなものがあるだろう!!」

妖長「・・・」キラン

勇者「ああ!!それがなんだ!!」

悪魔「それを奪え!!それで奴は陛下を操って・・」


妖長「ケェ!!」キラッ


勇者「!」


魔皇「ハァ!!」バッ


ドガァン

悪魔「オァア・・!!」


ドサァン


勇者「デビル!!」

悪魔「わ・・私のことは気にするな!!行け!!」

勇者「・・あのステッキだな、よし!!」

バッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:38:13.22 ID:L8tPcodJ0<>
妖長「ケッ!」キラッ

勇者「!」

魔皇「ハッハー!!!」

バキッ

勇者「うッ・・!?」


ドサァ


妖長「ケーーケッケー!!!」

勇者「ぐ・・くそ・・」

悪魔「勇者・・!」

妖長「ケケケ」


妖長「ケァアア!!!」ギラッ


勇者「(!)」

悪魔「まずい!!」


魔皇「フゥウアアア!!」ズゾゾゾ


魔皇「・・・・」ガクン


勇者「!?」

悪魔「なんだ!?」


戦士「ハッハー!勇者!!助けに来たぜ!!!」


勇者「戦士!!」

戦士「お前だけにイイカッコさせねぇぞぉ〜!」

妖魔「・・!」バッ

僧侶「・・!」バッ

悪魔「ウィッチー!!?」

妖魔「デビル・・!」


妖長「ケ、ケェ・・!?」

戦士「へへぇん、このステッキが欲しいんだろぅ?」

妖長「クケ・・」

妖長「ケァアア!!」シャシャ

戦士「ふぇ〜ん!んなもん効くかよぅ」ササッ

妖長「ケェー・・・!」


勇者「よぉし!いいぞ戦士!!」

悪魔「これで・・陛下は・・・!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:38:59.87 ID:L8tPcodJ0<>

戦士「ハハハ!さあどうする!偽村長さんよ!!」

妖長「・・・・」

戦士「?」


妖長「ケァ!!」バッ


ブチッ


戦士「え!?」

僧侶「あ!」


妖長「ケ〜キャッキャ!!」タタタッ


勇者「おい!!どうした!!!」

戦士「わかんねぇ!!ステッキの先端の球とられた!!!」


魔皇「・・・・む」ピクッ


勇者「!」

悪魔「!」

魔皇「ハァ!!」バッ

勇者「危ない戦士!!!」


戦士「げ・・!?」ギクッ


魔皇「グァアアア!!!」


戦士「うわあ来んなぁああ!!?」ワタワタ


ガッ


魔皇「!?」

戦士「!」


妖魔「・・・・」ググ


悪魔「ウィッチー!!」

妖魔「僧侶!!今のうちにそいつから球を奪え!!」

僧侶「え・・!!」

妖魔「コイツは私と戦士が抑える!早く!!」

戦士「え、俺もか・・」

僧侶「はい!分かりました!!」タタッ

妖長「ケ?」

僧侶「待ちなさい!!!」

妖長「ケー!」タタッ

僧侶「こらー!!」タタッ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:39:44.72 ID:L8tPcodJ0<>

魔皇「ハハ・・!クズどもが」


妖魔「行くぞ戦士!!」

戦士「お、おう!!」


魔皇「ドァア!!」グワッ


戦士「えっ」

ガァン

妖魔「戦士!!」

戦士「あ・・・・」ザザッ

妖魔「くそっ!!」バッ

妖魔「これでも喰ら・・」

魔皇「ハハッ!!」フッ

妖魔「え・・」

バキィ


悪魔「!!」


妖魔「・・・う」ズザザ


悪魔「ウィッチー!」

勇者「この・・!」バッ

悪魔「勇者!」


勇者「ハァアアア!!」

魔皇「ハッハッハー!!」


ドガッ

ズガガッ


悪魔「俺も行かねば・・!!」ムクッ

悪魔「う!?」ズキッ

ドサッ

悪魔「・・・チクショウ!体が・・動かん!」


ドガガガガ


勇者「ま、まだか僧侶!!?」ガガッ


妖長「ケッケッケー!!」

僧侶「ごめんなさい!!すばしっこくて・・!!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:40:12.94 ID:L8tPcodJ0<>
妖長「ケケ・・」

妖長「ケェア!!?」グラッ

ドサァ

ポロッ

僧侶「・・!」

コロコロコロ

妖長「ケ、ケ・・!」

僧侶「そ、それください!!!」バッ

妖長「!」

妖長「ケケーーー!!!」シャシャ

僧侶「キャア!!?」

妖長「ケッ!!」バッ

スッ

僧侶「・・あ!」

タタタッ


勇者「何してる僧侶、早くしろ!!!」

僧侶「ごめんなさいー!!」

勇者「!」


バギィ


勇者「う・・!?」

魔皇「ふふ・・!」


魔王「ハァア!!!!」


ズドォォォオン


勇者「・・・!!!?」

魔王「・・・」ニヤ

勇者「・・か・・ああ・・!」

ストン

勇者「う・・・!!」ドサッ

魔皇「はっはっは、そろそろあの世が見えてきたんじゃないか?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:40:48.67 ID:L8tPcodJ0<>

悪魔「まずい・・勇者が!!勇者が危ない!!」

妖魔「勇者!」

戦士「!」

僧侶「!」

妖長「ケッケー!!」キララッ

魔皇「お前が最初に死ぬとはな・・皮肉だったな」

勇者「ああ・・・」

戦士「や、やめろ・・!やめろーー!!!」


魔王「くたばれい!!!」バッ


賢者「誰か忘れていませんか・・・」スゥ


魔皇「!!」

賢者「・・!」バッ


ドォウ


魔皇「!!?」


ドガァアン

ガァアン


賢者「・・・・」

勇者「け・・賢者!」

賢者「言ったはずです、コイツは私が倒すって・・」


魔皇「くそぉ・・!」ガラッ


賢者「ふふふ・・」ニィ

魔皇「貴様、不死身か!?」

賢者「かもしれませんね、もう、痛みも無くなりました」

魔皇「はぁ!?」

賢者「どうやら神は・・あなたの命と共に来て欲しい様です」

魔皇「なんだと・・!」

勇者「賢者やめろ!!それ以上やれば死ぬぞ!!!」

賢者「・・・・」

賢者「(・・・)」チラッ


僧侶「待てーー!!!」

妖長「ケケー!!」キララッ


賢者「(・・・)」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:41:14.63 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「(あの魔物さえ捕まえればいいのなら、私だけで十分もつ)」

賢者「(魔王の体が解放されれば、全て解決する・・はずだ)」

賢者「(だとしたら、勇者達にこちらを任せるべきか)」

賢者「(しかし・・)」


勇者「うう・・け・・賢者・・!」

悪魔「ぐ・・・」

妖魔「・・・・・・・・」

戦士「うぐ・・」


賢者「(やはり、私がやるしかない・・・!)」グッ


魔皇「どうした、やっぱり辞めとくか?」

賢者「あなたがそうしたいなら、そうしましょうか?」

魔皇「ふざけるな、貴様を・・貴様をなぶりごろすまで辞めん!!」

賢者「それはよかった」スッ

賢者「僧侶!!!急いでください!!!」

僧侶「はいわかってますぅ!!!」タタタッ

賢者「・・・」

魔皇「さあ、続きをやろうか」

賢者「はい」バッ

魔皇「ハァ!!」バッ


ドカァ

ガァアアン


賢者「アアアア!!」

魔皇「グォオオ!!!!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:41:41.12 ID:L8tPcodJ0<>
僧侶「待ってください!!お願いします!!」

妖長「ケッケ〜!」タタッ

僧侶「その球を!!球を下さい!!お願いしますから!!」

僧侶「球だけでいいんで!!よろしくお願いします!!」


勇者「くそ、僧侶の奴・・」

戦士「く・・」

ポロッ

戦士「・・?」

カラン

カララン

戦士「(!)」

戦士「(これだ!!!)」ガッ


戦士「おい!僧侶!!!」

僧侶「!」

戦士「受け取れ!!!」ポィッ


ヒュゥゥゥン


僧侶「わ!」パシッ

僧侶「な、なんですかこれ!?」

戦士「酒だ!!飲め!!!」

僧侶「!?」


勇者「さ、酒!?」

悪魔「何を考えてる!?こんな時に・・・!!」


僧侶「せ、戦士さん!!?」

戦士「いいから飲め!!!グイっと!!!!」

僧侶「でも・・!」

戦士「さっさとしろぉ!!」

僧侶「う、ううん・・・」

僧侶「じゃあ・・・失礼します!」


グィッ


僧侶「・・・」ゴクゴク

僧侶「・・・・・」ゴクゴクゴク

ゴクゴク


勇者「・・・???」

戦士「へへぇ・・もうこの手しかねぇ・・・!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:43:01.98 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「ハァ!!」ズッ

ボォォオオウ

魔皇「ふっふっふ!!」ブワン

賢者「・・く!」


勇者「賢者ぁ!!」

勇者「僧侶!!!何してるんだとっとと追いかけろ!!」

僧侶「・・・・」ゴクン

勇者「・・・!?」

戦士「はは・・」ニヤ

悪魔「?」


僧侶「・・・・・・・」


僧侶「・・?」チラッ

妖長「ケッケ〜!!」

僧侶「あそこか・・」

僧侶「・・・」キョロキョロ


勇者「僧侶!!おい!!!!」


僧侶「・・・」スタスタ

スッ

僧侶「・・・・・・」


勇者「何考えてる!?アイツ!!」

戦士「いいから黙って見てろ!!!!」

勇者「!?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:43:36.17 ID:L8tPcodJ0<>
僧侶「・・・」

僧侶「あったぞ・・これくらいでいい・・・」ヒョイッ

僧侶「・・・・・」スッ


賢者「・・・うぐっ!?」

魔皇「はははー!!終わりだぁーー!!!」


勇者「!!」

戦士「賢者・・!」

悪魔「・・くそ、もう・・ダメか・・・」


戦士「僧侶ー!!」


僧侶「!」


戦士「やれーーーー!!!!!!」


勇者「!!」

悪魔「!!」

妖魔「!!」

賢者「!?」

魔皇「!?」

妖長「!!」


僧侶「・・・」グン


僧侶「ソォラァ!!!!」ブン


キィィィイイイイイン


勇者「!」

戦士「!」


妖長「ケ?」


バガァアアアアン


妖長「・・・!!!?・・?!・・!!?!」


魔皇「!?」

賢者「!?」

妖魔「な!?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:44:10.78 ID:L8tPcodJ0<>

妖長「・・・ケァ・・・アア・・・・」


ポロッ

コロロロッ


妖長「・・・ケ」クラッ

ドサッ


妖長「・・・・・・・・・」


僧侶「・・・・!」ニィ


勇者「ああ・・」

戦士「ほらな?」

賢者「・・・・」

悪魔「なんという・・」


魔皇「・・・・・・」ォオ


僧侶「・・・」スタスタ

スッ

僧侶「ふふん」キラン

僧侶「こいつは、頂いとくぜ」

妖長「・・ケ・・・」ピクッ

僧侶「!」ズムッ

妖長「ゲ!!」ベシャ


勇者「よし、これでとりあえずは・・・」


魔皇「う・・うぐぐ・・・!!」ググ


勇者「!」

賢者「!」

戦士「な、なんかやばいぞ!?」

勇者「まずい賢者!!トドめをさせ!!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:44:49.79 ID:L8tPcodJ0<>

賢者「・・!!」バッ


ドガッ

魔皇「う!!?」

賢者「はぁああ!」

バギィ

賢者「ダッ!!!」

ゴォオン


魔王「・・・・」ドサッ


悪魔「(!)」

妖魔「(!)」


賢者「よし・・これで終わりだ!!」パッ

悪魔「待て!!」

賢者「!」

悪魔「見ろ!!様子が戻ってる!!元に戻ったんだ!!!」

賢者「なに・・!」

勇者「!」

戦士「おお?」


魔王「・・う・・・」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:45:42.82 ID:L8tPcodJ0<>
戦士「ほ、ホントだ!!戻ってるぜ!!!」

妖魔「魔王様ぁ!!!!」

悪魔「陛下!!」

魔王「・・・ここは?」

スタタッ

妖魔「魔王様!大丈夫ですか!!お気を確かに!!!」

魔王「ウィッチー、お前・・・」

悪魔「陛下!」

魔王「デビル・・私は、私は一体・・・?」

悪魔「うう・・陛下!」

勇者「ははは、とりあえず・・助かったな」

戦士「ああ・・」

僧侶「ふふ」グビグビ

賢者「・・・」



「助かっただと・・・?」



勇者「!!」

賢者「!?」

悪魔「何!?」


恨霊「グハハハハ・・・」ユララッ


妖魔「お、お前・・まだ生きて!」


恨霊「ハァ・・・!!」ギュゥウン


勇者「!」

戦士「!」

魔王「!」

悪魔「!」

妖魔「あ、危ない!!」


賢者「え?」


恨霊「グッハッハ!!」ギュア


ズゥン

賢者「・・!!!」ビクン

ズズズズズ

ズズズ


戦士「あ!!賢者!!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:46:13.04 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「しまった!!」

妖魔「ああ!!!」


賢者「・・・」ズズズ


ズズ

ズゥ


賢者「・・・・・・・」


勇者「・・け、賢者!」

戦士「・・・・」


「ふふ・・!」


賢皇「フッハッハッハ!!素晴らしいぞこの体は!!!」


勇者「!!」


賢皇「魔力が・・魔力が溢れてくる!!これが賢者の力なのか!!」

賢皇「このワシのパワーに、賢者の知力が・・フハハ・・・!」

賢皇「これぞ究極の肉体!!ついに手に入れたのだぁあ!!!」


賢皇「アッハッハッハッハッハッハ!!!!」


戦士「て、てめぇ!!汚ねぇぞ!?」

賢皇「フッフッフッフ!!!」

賢皇「何とでも言いなさい、私は、勝てばいいのです・・フフフ」

勇者「賢者・・!?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:46:39.74 ID:L8tPcodJ0<>
賢皇「・・しかし、この体は今疲れきってますね」

賢皇「まあそれも、暗黒界に戻ってゆっくり回復すればいい・・」

勇者「暗黒界だと!?」

賢皇「ふふ!あなたの知ったことじゃありませんよ」

バッ

勇者「!」


ヒュゥゥウ


勇者「待て!!賢者ぁ!!!」

戦士「おい!何やってんだ賢者!!」

魔王「ぐ・・何だ、何が起こっているのだ・・・!」


賢皇「この程度の体力でも、この世界を葬ることはできます」

賢皇「まあ、見ていなさい・・」ニヤ


賢皇「!?」ガクン


勇者「!」

賢皇「だ、誰ですか・・!」


妖魔「・・・!」キラン


賢皇「あなた、まだ生きて・・・」

妖魔「動くんじゃない!この球があるかぎり、お前は自由には・・」

賢皇「自由には?」バッ

妖魔「え・・!」


ヒュガッ


悪魔「ウィッチー!!」

魔王「!!」


ドサッ


賢皇「ふふふ、馬鹿な女だ・・」キラン

妖魔「・・・・・・・」

賢皇「ではまずあなたから、暗黒界に招待してあげます」パッ

賢皇「他の者もよぉ〜く見ていなさい、これが・・」


賢皇「新世界だ!!!」グッ


勇者「・・!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:47:05.88 ID:L8tPcodJ0<>

賢皇「ああああああ・・・」ズズズ


ズゥン


勇者「!」

戦士「見ろ!!空が!!!」


ズゥン

ズゴゴゴゴゴ


悪魔「なんだ、あれは・・・」

魔王「まさか・・暗黒界が降りてくるというのか・・」


賢皇「ああああ・・・・!!」ズグググ


勇者「く・・!」バッ

戦士「勇者!」


賢皇「・・!」


勇者「・・・」スッ


賢皇「・・・勇者」

勇者「賢者、やめるんだ・・!」

賢皇「何を言います、これから素晴らしい世界を作るんですよ」

勇者「素晴らしい世界?」

賢皇「その通り」

賢皇「争う必要のないほど、全てが束縛される世界・・」

勇者「なに!」

賢皇「とうとうこの時が・・来たのです!」キッ

賢皇「全てを完全に支配する、万物の王となるに相応しい肉体を手にした・・」

賢皇「勇者に滅ぼされてより数千年!!私は待っていたのです!!!この時を!!!」

勇者「!?」

賢皇「もう魔界も人間界も必要ない、全てが一つとなり、私に管理される!!」

賢皇「全人が互いに素な、完全な世界だ!!!フハハハハ!!!」


悪魔「・・なんだと!?」

魔王「・・・・」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:47:33.84 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「寝ぼけたことを言うな賢者!!目を覚ませ!!!」

賢皇「・・・・」

賢者「・・勇者?」フッ

勇者「!」


戦士「!?」

妖魔「あ!」

悪魔「何・・?」


賢者「・・・」

勇者「賢者・・なのか?」

賢者「はい」

勇者「よし賢者!!今すぐあの雲を止めろ!!!」

賢者「・・・・」

勇者「賢者!!!」

賢者「勇者、よく聞きなさい」

勇者「・・え?」

賢者「あなた達は、間違っています」

賢者「複数の国を持ち、そのくせ人同士の干渉がある社会なんて、不完全です」

勇者「賢者・・?」

賢者「そんなオカシイ世界を、私が直そうと言うんです」

勇者「・・直す?」

賢者「そうです!」バッ

賢者「国は一つでいい・・人は人に無関心であればいい!」

賢者「そうすれば!争いや憎しみは一切生まれなくなるんですよ!!」

勇者「・・・」

賢者「初代魔王様のこの偉大な思想は、あなたの祖先によって折られた・・」

賢者「今こそ!その償いをする時なんです、わかりますか?」

勇者「・・・」

賢者「さあ勇者!こちらに来なさい!ともに、最高の世界を創るんです!!」

勇者「・・・・・・」

スッ

戦士「!!」

勇者「・・・・」

戦士「何やってんだ勇者!!そっち行くな!!!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:48:16.81 ID:L8tPcodJ0<>
妖魔「ああ・・」


勇者「・・・・」

賢者「ふふふ」ニコッ

賢者「あなたなら分かってくれると思っていましたよ、勇者」

勇者「・・・」ニィ

賢者「ふふ、さあ・・」


バギィィイ


戦士「!?」

魔王「!!」

悪魔「!!」


賢者「・・!!!!?」


勇者「・・・・」スッ

賢者「あぐ・・・!?何をするんです!!!」

勇者「賢者は・・」

賢者「!?」

勇者「確かに賢者は、頭でっかちで、少し残酷な所もある」

勇者「だが・・」キッ

賢者「・・!?」

勇者「世界を創るだの・・・そんなイカレたことは・・」


勇者「言わねぇんだッ!!!」ギロッ


賢者「!!」

勇者「初代魔王だか何だか知らねぇが!!とっとと出てきやがれ!!!」

勇者「先祖に変わってこのオレが今度こそ完全に消してやる!!」

賢者「く・・!?」ギッ

勇者「出ねぇなら、この俺が叩き出してやるぜ!!!」

賢皇「なに!?」

勇者「ハァッ!!」グワッ

戦士「勇者!!」


賢皇「ふん・・バカが!!」ズッ


戦士「!」

悪魔「!」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:49:02.05 ID:L8tPcodJ0<>

バッ


勇者「ウラァアア!!!」

賢皇「ウォオオオオ!!!」


ガジィィン


勇者「・・!」

賢皇「・・ハハハ!!」ニィ


勇者「デヤァ!!」ブンッ

賢皇「・・・!」パシィ

勇者「ダッ!!」グルッ

賢皇「・・ふ」サッ

勇者「ヤッ!!」


ズドォン


勇者「・・・・・」

勇者「!?」


賢皇「だから私には勝てぬといっただろう!!!」


勇者「う・・!?」

賢皇「ズェア!!!」


「待ってくださぁい!!!」


勇者「!?」

賢皇「?」


タッタッタ


妖男「賢者さん!!やめてください!!」タタッ


勇者「・・??」

戦士「お、お前!!」

賢皇「何だ・・?」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:49:54.76 ID:L8tPcodJ0<>
妖男「賢者さん何してるんですか!!ダメですよそんなの!!」

賢皇「・・誰ですかあなたは」

妖男「え、覚えてませんか・・?」

賢皇「(・・・)」

勇者「おい!お前エルフだな!?」

妖男「ああはい!!勇者さん!!」

勇者「危ないから離れてろ!!巻き添えを・・・」


賢者「・・・・」スッ


勇者「!」

妖男「あ!賢者さん!!」

スタッ

賢者「お久しぶりですね」

妖男「久しぶり?ああ・・まあそうですね」

賢者「いかがなさいました?」

妖男「あの、もう戦いをやめてください!!」

賢者「?」

妖男「何かすごいことになってるじゃないですか!賢者さんのせいでしょ!?」

賢者「はい、ですがこれは仕方のないことなんです」

妖男「仕方のないこと?」

勇者「おいエルフ!!そいつは賢者じゃない!」

妖男「え?」

勇者「離れろ!!危ないぞ!!!」

賢者「あの人のことは気になさらないでください、罪深いバカな人間です」

妖男「・・・・」

妖男「あの、修行するって言ってたんですけど・・」

賢者「?」

妖男「大会でお腹空くと思って、お弁当作ったんです!ホラ!!」

スッ

賢者「・・あ」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:50:21.59 ID:L8tPcodJ0<>
戦士「な、なんだアイツ?」

妖魔「・・・?」

妖男「これを渡したくて、あの・・修業抜けてここに来たんです」

妖男「そしたら村が吹っ飛んじゃって・・もう何が何だか・・あはは」

賢者「・・・」

妖男「もしかして・・賢者さんじゃないですよね?」

賢者「まさか?うふふ・・」

妖男「ですよね!あはは・・!」


賢皇「そのまさかだ!!!」ズゥ


妖男「・・え?」


悪魔「ま、まずいぞ!!」

戦士「危ねぇぞおい!!!」

勇者「く!!!」バッ

妖男「ああ・・」

賢皇「しねぇ!!!!」シャ


勇者「(間に合わない・・・・!!!)」


ドグッ


勇者「!!」

戦士「・・!」


妖男「あ・・・」ドサッ


ゴトッ

ボロボロッ

ボロロッ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:50:47.37 ID:L8tPcodJ0<>
妖男「あ・・お、お弁当・・せっかく作ったのに・・・」

賢皇「フッフッフ!あなたのように非力な人間は、新世界に不要だ」

賢皇「ここで、死になさい!」

妖男「・・・・・あ・・・」

妖男「何で・・賢・・者・・・さん・・」


勇者「貴様ァア!!!!」


賢皇「・・・・・」

賢皇「ふん!」

バキッ

勇者「・・!?」

ドサッ

勇者「・・・う・・賢者・・・やめろ!!」


ズゴゴゴゴゴ


賢皇「・・・」ニィ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:51:48.85 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔界・各部--------------------


人虎「な、なんだあの雲は・・・!?」

死体「!?」


ズゴゴゴゴ


「うわああ!!なんだあれ!!あの黒いの!!?」

「終わりだ!!!何もかも終わりなんだぁあ!!」

「うそだ・・魔王様が!!魔王様がぁあ!!!」


ズゴゴゴ

ズゴゴゴゴゴゴ






賢皇「・・ふふふ」

賢皇「いよいよですね、新世界の降臨も!!」

勇者「・・!」

妖男「賢者・・さぁん・・」

賢皇「?」

妖男「う・・!」ズズッ

賢皇「・・・・・」

妖男「賢者さん・・・なんで・・・」

妖男「なんで・・こんなこと・・・するんですか?」

賢皇「言ったはずです、新世界を作るんですよ、ははは!」

妖男「僕の料理・・そんなにおいしくない・・ですか?」

賢皇「はい?」

妖男「僕頑張ったんですよ・・き、昨日から寝ないで・・」

妖男「あなたに・・賢者さんに・・おいしいって、言って欲しくて・・」

妖男「あなたの・・ため・・に!」

賢皇「・・ふ」

賢皇「ハッハッハッハ!!何を馬鹿げたこと言ってるんです!」

賢皇「そもそも!その誰かの為だとかいう思想が元凶なんです」

賢皇「他人に興味などもつから憎しみが生まれる、苦しみが増える!!」

妖男「・・・・」

賢皇「私はこんな間違った世界を変える、そのために・・・」

妖男「ダメなんですか・・・?」ムクッ

賢皇「?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:52:24.00 ID:L8tPcodJ0<>
妖男「他人に興味を持っちゃ・・ダメなんですか・・?」

賢皇「はい、その通りです」

妖男「そんな事ない!!」

賢皇「・・・?」

妖男「誰かの・・誰かの為になれることは・・大事なことだ・・!!!」

妖男「お前はそんな事もわからないのか!!」

賢皇「なんだと・・!」


勇者「や、やめろ・・無駄だ!そいつは賢者じゃない!」

戦士「チクショウ・・!」


ズゴゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゴ


妖男「賢者さんは、俺に料理への情熱を与えてくれた・・」

妖男「だから僕は・・賢者さんの為に・・・!!」

賢皇「私は、あなたに何も期待していませんよ」

妖男「・・・・」

賢皇「あなたが私の為にやったことは、全部あなたの勝手です」

賢皇「相手が期待もしない迷惑な善意など、これこそ災いの元!」

賢皇「一方的な気持ちの衝突は、争いを招く!」

賢皇「私は、このような争いをなくすために・・・」

妖男「違う!!」

賢皇「?」

妖男「お前は・・怯えてるだけだ!!」

賢皇「・・なに」

妖男「自分が求めても・・相手は答えてくれないかもしれない・・」

妖男「気持ちが浮つく間に、孤独にさらされるかもしれない・・」

妖男「そんな不安・・誰だって持ってるさ!!」

賢皇「そうだ!だからその不安を消し去って・・」

妖男「消し去るだと!!?そんなことできない!!!」

賢皇「できる!!!」

妖男「無理だッ!!!!」

賢皇「な、なんだと!?」

妖男「なぜなら、その奥に・・その奥に・・!!!」


妖男「愛があるからだ!!!!」


賢皇「!?」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:52:50.85 ID:L8tPcodJ0<>
妖男「俺はその愛が欲しくて!!賢者さんのためにガムシャラになった!!」

妖男「不安だった!!でも俺はまっすぐに賢者さんのことを見続けた!!!」

妖男「だから迷わなかった!!!今でも気持ちは同じだ!!!」


賢皇「何を言ってるんですかあなたは!?ははは・・!」


戦士「あいつ・・」

勇者「・・・」

妖魔「(・・・・)」


ゴゴゴゴゴ



(妖男「お腹すいてるんでしょう?どうして帰るんですか!」)

(賢者「迷惑をかけたからです、もうここには居られません」)

(妖男「僕が作りますから!」)

(賢者「?」)


(賢者「少しだけ待つので、早く作ってくださいね」)

(妖男「は、はい!わかりました!!少々お待ちください!!」)

(ババッ)


(賢者「・・ふん!」バッ)

(妖男「あ!」)

(賢者「こんな汚いスプーンが引換券だなんて、大して期待はできませんね」)

(賢者「まあ、せいぜい人間の口に合う料理を作りなさい、いいですね」)

(スッ)

(妖男「・・はあ!」ニコッ)

(妖男「はい!わかりました!!」)



(賢者「なぜ行かないんですか」)

(妖男「だって約束しましたから!美味しい料理を作るって!」)

(賢者「・・あ」)

(妖男「まさか、忘れてました?」)

(賢者「はい」)

(妖男「そ、そうですか・・」ガクッ)

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:53:35.68 ID:L8tPcodJ0<>
妖男「きっと賢者さんもそうなんだ・・・臆病な人なんだ・・」

賢皇「・・・・・」

妖男「だからあんなにわがままになって、他人を突き飛ばすんだ!」

賢皇「・・・」

妖男「僕みたいにバカな人じゃないと!!あの人は幸せにできない!!」

妖男「あなたを闇から救い出せるのは!!僕だけなんだ!!!」

賢皇「!」

妖男「うぁああああ!!!」


賢者「・・・!」ガッ


妖男「・・あ!?」

ドサッ


賢皇「・・・・」


ゴゴゥ


賢皇「薄ら寒いです、あなたの話は」

妖男「・・・」

賢皇「愛だの幸せだの・・下らないお飾りだ」

賢皇「そんなモノは2000年も前にとうに腐っていた、それを見ていた」

賢皇「あなたのような人間が、馬鹿を見て崩れ去るのを・・」

賢皇「そんなことはもう・・あってはならない!」

妖男「賢者・・さん・・・」


賢皇「・・・」バッ


ヒュゥゥゥゥウ


ゴゴゥ

ゴゴゴゥ


賢皇「・・・・・・・・」


賢皇「いい、眺めだ・・」

賢皇「もうすぐ・・もうすぐ出来る・・私の世界が・・!」


勇者「まだ寝ぼけてるのか」


賢皇「・・勇者」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:54:02.39 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「あいつの言うとおりだ、お前は不安になってるだけだ!」

賢皇「・・・・」

勇者「もうやめるんだ、魔王・・!」

ゴゴゴゴ

賢皇「無駄だ」

勇者「?」

賢皇「私がここで手を引けば、また機会を逃すことになる」

賢皇「今しかない、今しかないのだ!お前たちは失敗したのだ!!」

勇者「・・・・」

賢皇「見ていたぞ、生き物が醜く傷つけ合い、地上を血で汚す様を!」

賢皇「変わってない・・2000年前と何も変わってない!!」

賢皇「いつまでたっても殺し合い!!せめぎ合いだ!!!」

賢皇「そして私は決心した!!全てを整理し!!そして作り直そうと!!!」

勇者「・・・それが・・」

賢皇「そうだ!!そして人々は私を魔王と呼び避難した!!!」

賢皇「私をまるで異界の化物のように扱い、徹底的に排除した・・!!」

賢皇「許せなかった・・・私はただ平和を作ろうとしただけなのに!!」

賢皇「汚らしい貴様ら地上の者共は!!私を拒否した!!」

勇者「・・・」

賢皇「そしてかの忌まわしい暗黒界に私を・・封印した・・・!」

賢皇「どうだ勇者!!これでも私は間違っているか!?ええ!!」

賢皇「私が何をした!?平和を求めただけだ!!それなのに・・・!!」


賢皇「それなのにッ!!!!!!」グワッ


ズゴゴゴ

ゴゴゴゴゴォォオ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:54:38.19 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「・・・」

賢皇「間違ってる・・この世界は間違ってる!!!」

賢皇「わかってくれるだろう?お前は賢いからな・・!」

勇者「賢い・・?」

賢皇「そうだ、優秀なお前なら、私とともに最高の世界を作れる!」

勇者「・・・」

賢皇「余計な義理なんて捨てろ!大きな正義のためなら、それくらい・・!!」


勇者「間違ってるのはお前だ魔王」


賢皇「!?」

勇者「何が大きな正義だ・・このバカ野郎が」

勇者「賢者に乗り移っといて何の知恵も使えてないな」

賢皇「なに・・!」

勇者「人の関係ってのはな、小さな義理の集まりで出来てるんだ」

勇者「そして正義は、それらの途方もない積み重ねの上にできる物だ」

勇者「個人の意思で、そして多くの犠牲を得て叶えられる正義なんて存在しない!」

賢皇「・・・・」

勇者「お前の主張は、倫理も論理も伴ってない・・ただの、意固地だ」

賢皇「・・く!」ギッ

勇者「今度は力ずくか!」

賢皇「・・!?」

勇者「お前は自分で言った、争いのない世界を作りたいと・・」

勇者「誰だってそうだ、戦争なんて起こって欲しくないんだ!」

勇者「でも・・」

勇者「ときどき人は、誰かを受け入れられなくなる」

勇者「そして戦いが始まってしまう」

勇者「戦えば、お前の言うとおり多くの者が傷つくんだ」

賢皇「何を・・偉そうにしゃべりやがって!!」

勇者「でも!傷つくからこそ痛みがわかる」

勇者「同じ苦しみを繰り返さないように努力する」

勇者「その努力の結晶が、国家だ!」

賢皇「!」

勇者「少しずつ少しずつ、人は争う回数と被害を小さくしてきた」

勇者「でも、それが大きくなってしまいそうになることもある」

勇者「だから一方で、それを止めようとまた努力する者がいる!」

賢皇「・・・・」

勇者「お前のやろうとしてることは、そういう努力を踏みにじる事だ!!」

賢皇「!」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:55:13.62 ID:L8tPcodJ0<>
賢皇「何を馬鹿な!そんなわけは・・!」

勇者「ここまで言っても分からなければ、このまま世界を消し去るといい」

賢皇「!?」

勇者「そしていつか・・何年、何十年、何千年後でもいいさ」

勇者「自分が間違っていた事に気づいて後悔しろ、永遠にな!」

賢皇「・・・・」

勇者「・・・」


ズゴゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゴ



妖男「・・・・うう・・」

戦士「・・賢者・・・・!」

悪魔「・・・」

妖魔「・・・・」


「もうだめだ・・終わりなんだ・・あああ・・」

「何言ってる!終わりなもんか!!」

「そうだ!!そう簡単にくたばってたまるかよ!」

「希望を捨てるな!!絶対生き延びるんだ!!」


ワァアアアア

ワァアア


賢皇「・・・・・・・」


勇者「・・見えたか?」

賢皇「(!)」

勇者「お前のせいで先を見失い、戸惑う人たちを」

勇者「そして、生きようとする人たちを・・」

賢皇「・・・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:55:40.67 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「変わってないなんて、適当なことを言うな」

勇者「人は変わってるんだ、限りなく、平和に向かってな・・!」

賢皇「・・・平和に、向かって」

勇者「ああ」

賢皇「・・・」

賢皇「これからも、変わるのか?人は・・」

勇者「・・見ていてくれ」

賢皇「?」

勇者「俺たちが平和へたどり着くまで、見ていてくれ」

勇者「もし、道を逸れそうになったら・・」

賢皇「・・・」

勇者「お前がまた、警告の鐘を鳴らしてくれ」

賢皇「そんなものが聞こえるのか?」

勇者「俺が聞く」

賢皇「!」

勇者「お前の声は、俺が必ず聞いてやる」

勇者「そして国中、いや、世界中の奴らの耳元で叫んでやる・・」

勇者「魔王が・・来るぞってな」ニッ

賢皇「・・・」

賢皇「・・・ふ!」キッ


賢皇「ハッハッハッハッハ!!!」


賢皇「聞いてやるだと?貴様、誰に向かって口を利いている!」

勇者「?」

賢皇「フッフッフ!」

賢皇「・・・はぁ」

勇者「魔王?」

賢皇「『魔王』ではない!私の名は・・・・」


フッ


勇者「!」

ヒュゥゥウ

勇者「賢者!!」ガシッ


賢者「・・・・・あ・・」


ゴゴゴゴゴゴゴ

ゴゴォン

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:56:38.98 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「!」

勇者「そ、空が!!」


ゴゴゴゴ

ゴゴ


ゴォォオ


勇者「空が、晴れて・・・」


戦士「ん?」パッ

戦士「あ!!見ろ、空が!!!」

悪魔「あ・・」

妖魔「・・・・!」

魔王「天が、晴れてゆく・・・勝利だ」



ザワザワザワ

ザワザワ

「おい!!雲が晴れてくぞ!!」

「やった!!助かる!!助かるんだァ!!はっはー!!」

「だから言ったろ!!大丈夫だって!!」


人虎「・・勇者!」

死体「いっひっひ!あいつ、うまくいったんだな!!」

霊鎧「これは・・」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:57:09.06 ID:L8tPcodJ0<>

勇者「・・・・」スタッ


戦士「・・勇者!」


勇者「・・・」スッ

賢者「・・・・・・・・」

戦士「賢者は・・!」

勇者「大丈夫、気絶してるだけだ、時期に目が覚める」

タタッ

悪魔「勇者!うまくいったではないか!!」

妖魔「すごいよ、お前!!」

勇者「ふふふ・・」

魔王「勇者」

勇者「!」



僧侶「ほらよ」

妖男「あ・・?」

僧侶「治してやったからとっとと行きな、皆待ってる」

妖男「あなたは?」

僧侶「・・いいから行きなボウヤ」

妖男「あ、ありがとうございます!」タッ

僧侶「へん・・」グビグビ


妖長「・・いてて」ムクッ

妖長「あれ・・ワシは、今まで何を・・・?」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:57:36.04 ID:L8tPcodJ0<>
魔王「勇者、すまない、何と言って詫びれば良いか分からぬ」

勇者「気にするな、もう終わった」

魔王「・・・・」

魔王「全ては私の責任だ・・私が弱かったのだ」

勇者「え?」

魔王「人間界との友好は未だ築けず、状態が進歩しないのに焦っていた」

魔王「そんな自責と焦燥とで揺らいだ私の心に、奴は漬け込んだのだ」

勇者「・・・」

魔王「そして私は奴の力に負けた・・弱かったのだ・・・」

悪魔「・・・」

魔王「何度も悪夢を見た」

魔王「目の前で同胞が苦しむのに、手が届かないのだ」

悪魔「・・・」

妖魔「・・・・」

魔王「そして気づいた、彼らを傷つけているその手こそが、私のものだった」

魔王「何度もそんな悪夢を見た・・怖かった・・・」

悪魔「陛下」

魔王「?」

悪魔「ご無事で、何よりでございます」スッ

妖魔「・・・・」スッ

魔王「やめろ二人共」

魔王「私はもう王を位を退(ひ)く、私にその資格はないのだから」

悪魔「・・・陛下」

魔王「もういい、私はもう・・みなの前には立てぬ」

勇者「魔王」

魔王「?」

勇者「みんなお前に苦しめられたなんて思ってないさ」

魔王「だが・・」

勇者「みんなが戦えたのは、怨念の奥にあるお前の心を救いたかったからだ」

勇者「せっかく元に戻れたのに、やめるなんて言ったらみんな残念がるぞ」

魔王「・・いやダメだ、私はやはり」

「陛下!」

魔王「!」

勇者「はは・・!」ニコッ


霊鎧「ご無事で!!」ザッ

人虎「ご無事で!!」ザッ

死体「ご無事で!!」ザッ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:58:14.31 ID:L8tPcodJ0<>
魔王「お前・・たち・・・」

悪魔「皆の者待っております、早くあなた様の無事を知らせねば」

妖魔「そうです、魔王様!帰りましょう!」

霊鎧「壊れた国は、我々で共に立て直せばよいのです」

死体「そうですよ!!あなた様がいれば大丈夫!」

人虎「無事で、本当に良かった・・」

魔王「・・・」

勇者「・・じゃあな」スッ

魔王「待ってくれ勇者」

勇者「?」

魔王「こんな時に、とても図々しいことを頼みたいんだが」

勇者「なんだ?」

魔王「国の復興を手伝って欲しいんだ、お前たちに」

勇者「え・・?」

魔王「お前たちを橋に、人間界と関係を取り戻したい、いいか?」

勇者「・・・」

勇者「ああ、よろこんで!」

魔王「ありがとう・・」

戦士「え、まだ働くのかよ・・」

僧侶「黙ってな」ゲシッ

戦士「ウェア!!?」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:59:04.73 ID:L8tPcodJ0<>
賢者「・・・」


妖男「賢者さん!」タタッ


賢者「・・・・」

妖男「大丈夫ですか?怪我は!?」

賢者「・・あなたこそ、何で生きてるんですか」

妖男「言ったじゃないですか!お弁当を・・」

妖男「って、お弁当こんなんなっちゃったんですけど」グチャァ

賢者「ふん・・・何しに来たんですか、とんだ足手まといでしたよ」

妖男「すいません・・」

賢者「村も食堂も潰れて、どうするつもりですか?」

妖男「ああ・・その・・・」

賢者「・・・」

賢者「その弁当は、どうするんですか?」

妖男「え?」

賢者「捨てるんですか?」

妖男「あ・・ほとんど中身落ちちゃったんで、こんだけしか・・」チョロッ

賢者「よこしなさい」
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 02:59:39.05 ID:L8tPcodJ0<>
妖男「え?」

賢者「よこしなさい」

妖男「あ・・いや!僕が食べますよ!こんな汚いの・・」

賢者「・・・」

妖男「・・・?」

賢者「・・・・」

妖男「・・ああ、はい、どうぞ」スッ

ガガッ

賢者「・・・」ガツガツ

モグモグ

ゴクゥン

賢者「・・・う」ゲプ

妖男「うわ、全部一気に・・ちゃんと噛みました?」

賢者「相変わらずひどい味ですが、今となっては貴重な食料ですね」

妖男「え?」

賢者「こんな状況ではもう食べ物が十分に供給されないでしょうから」

賢者「今のは、あなた、勿体ないことをしましたね」

妖男「え!」

賢者「当然これからも、見つけた食べ物はすべて私に渡すこと、いいですね」

妖男「ええええ!!!!」

賢者「ええ、じゃありません、誰のおかげで助かったと思ってますか」

妖男「そんな、僕死んじゃいますよ・・」

賢者「死になさい」

妖男「ひ、ヒドイ!」

賢者「死になさい」

妖男「二回も言うな!!」

賢者「『言うな』!?」

妖男「あ・・!!」

賢者「あなた、もう一回殴られないと分からないみたいですね」

妖男「う、うわああ!!」

賢者「ふふ・・待ちなさい!」

タタタタタッ



僧侶「ふふん・・若いね」キュポン

僧侶「ま、一件落着サ!」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 03:00:06.20 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------数週間後--------------------


ガヤガヤガヤ

ガヤガヤ


勇者「・・・・」

妖学「勇者さん!」

勇者「ん?ああ!」

妖学「お手伝いご苦労様です!」

勇者「はっはっは!気にすんなって」

勇者「それより、大分直ってきたじゃないか村も」

妖学「ええ、元はもう、完全にまっさらでしたから・・」

勇者「うん・・」

勇者「図書館もなくなったけど、お前どうするんだ?」

妖学「ああ!そうなんですよ!」

勇者「?」

妖学「人間界からいくらか本を貸してくれる事になったんです」

妖学「それでまた勉強が続けられます!うれしいです!!」

勇者「ははは!良かったな」

妖学「はい!」

妖学「あ!実は僕の家ちょっとできてるんですよ、来てください」

勇者「お!いいのか」



戦士「いんや〜、一時はどうなるもんかと思ったけど・・」

戦士「まさか、俺が魔界を救うことになるなんてなあ〜」

「おいおい!もっと聞かせろよ!」

「どうやって魔王様を元に戻したんだ!?なあ!!」

戦士「まあまあ焦るなって!!要するに俺が・・」

ワイワイワイ

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 03:00:33.49 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------魔王城・屋上--------------------



悪魔「今回は本当に世話になったな、賢者」

賢者「・・・いえ」

悪魔「お前たちがいなかったら、陛下はおろかこの世界が無くなっていたかも知れぬ・・」

悪魔「いつか、正式に礼をしたいな!」

賢者「そういうことは勇者に言ってください、私は・・」

悪魔「何を言ってる!!お前の活躍があってこそだったのだぞ!!」

賢者「・・・・」

悪魔「お前には、そうだな・・・・」

賢者「?」

悪魔「俺の知り合い特注の着物をやろうか!」

賢者「・・い、いえ、結構です」

悪魔「なぁに遠慮するな、それはもうボロボロだろう!ハッハッハ!」

賢者「・・・・」

賢者「大会はどうなったんですか?やはり中止?」

悪魔「いいや、復興か進みしだい開催するそうだ、延期だな」

賢者「やるんですか・・」

悪魔「ああ、せっかく準備もしたしな、出てくれるか?」

賢者「そうですね・・勇者が出るといえば出るでしょう」

悪魔「そうか!」

賢者「勇者が出ればの話ですよ」

悪魔「いやあ勇者なら出てくれるさ、きっとな!」

賢者「・・それより」

悪魔「ぬ?」

賢者「例の怨念はどこへ行ったんですか?」

悪魔「・・あ!」

賢者「奴が私の体から出てゆき、そしてまた何者かへと移ったのでは?」

悪魔「確かに気になるが、勇者の奴は当分大丈夫だって言ってたぞ?」

賢者「当分・・か」


死体「その通りだ!」スッ


悪魔「ゾンビマン!」 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 03:01:01.95 ID:L8tPcodJ0<>
死体「チマタじゃ俺たち幹部が追い払ったってことになってるが・・」

死体「本当は勇者の奴がやっつけてくれたんだよな?」

悪魔「ああ、そうだが・・・」

死体「倒したヤツが大丈夫って言ってるんだから、大丈夫だろ、んな?」

賢者「・・ふふ、そうだといいですね」

死体「なに?お前俺の言うことを信じてないなぁ〜!?」

賢者「信じてますよ?」キョロ

死体「信じてない!いいか、俺様はこう見えても幹部の中じゃピカイチで・・」

悪魔「ははは!」

死体「何笑ってる!お前からも言ってやれよ!!」

悪魔「ん?」

死体「ん、じゃない!」

賢者「?」

悪魔「やめておけ賢者、コイツは信用ならん」

賢者「そうですね」

死体「なんだとぉー!!」フガッ

賢者「あはははは!」ケタケタ

コノー!

ハハハ
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 03:01:54.77 ID:L8tPcodJ0<>
--------------------丘--------------------


魔王「・・・・・」


魔王「先祖よ、あなたの意志を叶えるには、私では未熟だった・・」

魔王「だからこそ、わざわざ私の背中を押しに来てくれたのですな」

魔王「しかし、今の私には力の使い方などわからぬ・・」

魔王「もしかすれば、再びあなたが蘇らねばならぬときが・・・・」

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 03:02:24.08 ID:L8tPcodJ0<>
勇者「何言ってる」スタッ


魔王「・・・・」

勇者「アイツはもう来ない、俺が言っておいたんだ、任せろって」

魔王「・・ふふふ、それもそうだな」

勇者「ああ」

勇者「・・ほら、これ!」スッ

魔王「これは?」

勇者「エルフのやつらが復興祝いで作った酒だそうだ、飲めよ」

魔王「・・自分が破壊した村だ、私が飲むのはまずかろう」

勇者「いいから!」

魔王「結構だ」


戦士「お〜い勇者!!!」


勇者「?」

戦士「村のお祭り行かねぇのか!!すげえぞ!!」

勇者「え?」

戦士「見ろこの肉!人間界じゃ食えないぞ〜〜!!」

勇者「な、なんだそれ!どこにあるんだ!」

戦士「へへ〜んやんねぇよ!!」

勇者「どこだ!まだあるだろ!」

戦士「こっちだ!」ダッ

魔王「ああ、おい!」

勇者「じゃあな魔王!」ダッ


タタタッ


魔王「・・・・」

魔王「まったく、やつは・・」


スッ

カパッ


魔王「・・・・・・」ゴクッゴクッ

魔王「・・ん」ゴク

魔王「・・・・・」


魔王「・・うまい、酒だな」




<<終わり>>

<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 03:13:38.42 ID:L8tPcodJ0<> このssは今書いてる長編勇者ssのPRのために書きました。
本編ではこのssの勇者と賢者などが登場します、なのでいわばこれは番外編のssです。
本編完成の目処は立ってませんがそのうち発表します、よろしくお願いします!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/11/11(日) 06:28:52.30 ID:Csy0SIwxo<> 乙!

バトルが長くて少しダレ気味だったけど、それ以外は面白かった!!
また期待してます。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福島県)<>sage<>2012/11/11(日) 17:49:32.36 ID:vBQ4wyybo<> 戦闘は何をしているのか
分からなかったので、トバして
読み進めました。
完結お疲れ様でした。 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/11(日) 18:51:23.36 ID:L8tPcodJ0<> 読んでくれてありがとうございます!
何でもいいんで批評をどんどんお願いします! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/11(日) 20:46:18.95 ID:jlloivjDO<> 戦闘は擬音だけだとわからないかも <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(京都府)<>sage<>2012/11/11(日) 22:15:31.00 ID:IGYVKBw0o<> 戦闘が「多分作者の中で絵があるんだろうなぁ、さっぱりどんな絵か伝わらないけど」って感じだったけど
話の筋がとても楽しかったからとても良かったよ。
楽しみにしています <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/11/12(月) 00:18:33.60 ID:cIIxJceTo<> 乙でした <>  <>sage<>2012/11/17(土) 00:29:57.62 ID:dwYA6Q7/P<> 地の文が無いからサッパリイメージが浮かばなかったわ…

話の流れは面白かっただけにもったいないと思った。 <>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/17(土) 00:45:32.77 ID:Tr8X/41F0<> みなさんご意見どうも!
依頼を出したので、そのうち閉じられますと思います
読んでくれた方々ありがとうございました!
<>
◆aec3.rfLtA<>saga<>2012/11/17(土) 00:46:23.83 ID:Tr8X/41F0<> sageにしてませんでした、失礼! <>