VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sumiyamagenki@live.jp<>2012/11/11(日) 12:09:52.32 ID:G6ODWudA0<>「ねぇ、なんの本読んでんの?」
小学校の図書館で、一人の活発な少年が、一人の白い少年に話かけた。
白い少年は何もいわず、黙って本の表紙を見せた。
「いくなんべくとるとべくとる空間?なんだこりゃ」
「……いくなんじゃなくて幾何。幾何ベクトルとベクトル空間」
「へぇ〜。難しい本読んでんだな」
「……ぼくの能力に関係することだから」
「そのいくなんってのがか?」
「……いくなんじゃなくてき――」
「変な能力だなぁ〜」
「……」
「ところでさ、お前っていつもみんなと違うクラスにいるやつだよな」
「う、うん」
「いつも一人でさみしくないか?」
「え?……」
「いやほら、校庭で遊んでるとたまに見掛けるんだよ。たった一人の教室で、窓越しにこちらを見てるお前が」
「……」
「あとちょっとしたらみんなで野球やるつもりなんだけど、人数一人足んなくてさ。一緒にやんね?」
「……やったことないよ」
「じゃあ俺が教えるって」
「……」
白い少年は少しの間、手に持った本の表紙を見つめていた。
「……わかった」
「うし!じゃあ5分後に校庭な!」
そういうと、活発な少年は慌ただしく図書館から出て行ってしまった。
「……」
白い少年は少しの間、彼の背中を見つめていた。
「…ありがとう」
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<>もし一方通行の精神が脆弱だったら
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/11(日) 12:13:52.47 ID:G6ODWudA0<> 活「いやぁー昨日のお前めっちゃすごかったな!野球でホームラン決めたと思ったら、サッカーもできんのかよ!」
白「✻✻くんが教えてくれたおかげだよ。それに✻✻くんもすごかったじゃないか。風でくるくるーってボールを上げて、オーバーヘッド決めたじゃん」
活「そのあと頭から落ちたけどな…」
白「……い、いやでも、ほら、か、かっこよかったよ、うん……うん……」
活「いや能力を無駄に使うもんじゃないな……こういう生産的なことに使うべきだ」
活発な少年はそういって手を前にだした。
すると、前を歩いていた二人の少女のスカートがめくりあがり――
「きゃーーーーー!」「きゃっ」
白「ちょ✻✻く――」
「ちょっと✻✻!なにすんのよ!」
前を歩いていた二人の少女のうちの一人、猫のように吊り上った目をした少女が憤怒の形相で、白い少年と活発な少年に近づいていった。
活「え?なに?なんのこと?」
猫「しらばっくれてんじゃないわよ!あんたが能力で私達のスカートをめくってきたんでしょうが!」
活「しらないな〜いたずらな風でも吹いたんじゃないの〜」
猫「あ、あんたねぇぇぇぇええええええ!」
「ふぇええええええん!!!」
猫「!」活「!」白「!」
急な声に振り向くと、前を歩いていた二人の少女のうちのもう一人、大人しそうな女の子がわんわんと泣いていた。
慌てて3人が駆け寄る。
猫「××!大丈夫!?ちょっとあんた!」
活発な少年は大きく狼狽していた。
活「お、お、おうふ。あーえーっと……」
大「ヒッグ……ヒッグ」
猫「ちょっと!」
活「なンだようるせェなァ!もともとテメェらがケツ振って歩いてんのがいけねェンだよォ!誘ってやがンのかァ!?」
猫「どこの世界線の誰に影響されたのよその口調!」
猫<ギャーギャー ワーワー>活
白「泣かないで。✻✻くんも悪気があったわけじゃないんだよ。許してあげて」
大「ヒッグ……うん…」
白「……」
白「(まあ悪気はあったね)」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/11(日) 12:22:23.23 ID:G6ODWudA0<> 白「ここはこうしてこうすると……」
大「あ、そっか!わかった!ありがとう○○○くん!」
大人しそうな女の子は何度も白い少年に頭を下げ、華のような笑顔でただ一人のための教室から出て行った。
それと入れ替わるように、反対側の扉から活発な少年が入ってきた。
活発な少年のその顔は、髪の影に隠れ、白い少年からは窺えなかった。
活「おい、○○○」
白「あ、✻✻くん。なに?また宿題?もういい加減自分でやったほうが――」
活「お前、××のことどう思ってんだよ!」
白「え?」
活「どう思ってんのかって聞いてんだよ!」
白い少年は、この時、はじめて悪意というものを感じた。
少年はいつも一人で、周りにいたのは(表面上は)優しい大人たちばかり。
そんな彼は、信頼していたものから受ける悪意に驚き、戸惑い、混乱していた。
白「え?え?何?」
活発な少年は白い少年に近づき、鋭く睨みつける。
白い少年はそれに対し、怯え、戸惑うことしかできない。
活発な少年はしばらく体を震わせていたが、急にふっと無表情になった。
活「絶交だ」
白「……え」
活「もう俺に近づくな」
活発な少年は白い少年に背を向け、離れようとした。
白い少年にとって、活発な少年はこころの拠り所だった。
研究所の大人たちは優しいが、所詮白い少年をモルモットとしかみていない。その冷たさを、彼は子供ながらに感じていた。
そんな彼に話しかけ、友達になってくれた活発な少年。
どんなにうれしかったことか。
どんなにありがたかったか。
パーソナルリアリティ
白い少年は彼を失いたくないと強く願い――その思いは自分だけの現実に影響した。
「あ、あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
チカラ
少年の能力は強すぎた。
逃がさないように、離れないようにと、掴んだ腕を引きちぎってしまうほどに。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/11(日) 13:59:53.33 ID:mKM/7mHwo<> 期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/11(日) 14:06:03.18 ID:EzOih9PIO<> 糞スレだァ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/11(日) 14:08:03.69 ID:G6ODWudA0<> 自分で糞だとおもってhtmlだしちゃいましたが、取り消しました。
ちょっとした書きだめも削除しちゃったのでちょっと時間かかります。
今は小学生編なのでとばしぎみですが、高校生編はよくなると思います <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/11/11(日) 14:53:27.69 ID:KIM4Q/Lr0<> 期待してみよう <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/11(日) 14:59:50.43 ID:G6ODWudA0<> 猫とか大とかは関係なくなります。オリキャラなので。どうしても絡みがみたい方(たとえば猫を超絶美少女ロリでうかべている人)は安価30でありかなしかを
ここからが本番です。続きます。
白い少年は学校にいかなくなった。
研究者達にとってそれはこう都合だった。もともと少年の学力は高校レヴェルだったし、そしてなにより研究の時間が増えることがよかった。
研究者達は少年を慰めるふりをしつつ、しかし決して立ちなおることのないように接し続けた。
そんなある時分。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/11(日) 15:01:09.68 ID:G6ODWudA0<> 「よお少年。今季からお前の能力開発を担当することになった木原だ」
虚ろな目をした少年は応えない。なにかを観察しているかのように、その目は動かない。
「お前の能力のことはよく聞いていた。んで実際の資料みたらよう、能力名がねぇじゃねぇか」
「……」
「だからよう、俺が考えてきた。……その名は、」
木原は大仰に腕を広げ、その名を口にしようとする。しかし白い少年は微動だにしない。
木原はその様子に鼻を挫かれ、腕を所在なさげにあげたまま、少年をみつめた。
そして――
にや
と、口をゆがませた。
(こいつぁ……)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/11(日) 15:03:07.53 ID:G6ODWudA0<>
木原の拳が白い少年の頭をふっとばす。
「?!??」
「なんだぁ?てめえ反射にしてねぇのかよ。自分の能力をなぁ〜んもわかってねぇなぁ!!!」
「あ、あ」
少年の心は腐り始めていて、動くことはなかったが――
アクセラレーター
「てめえの名前は一方通行。何者も近寄れない、一人ぼっちの能力だよ」
――本能的なものが、この男からは逃れられないと、便所の糞のようにこびりついて離れられないと、そう訴えていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/11(日) 15:09:46.42 ID:G6ODWudA0<> 小学生編、終わり。
ん〜なんか自分で見ても間が悪い感じがしますね。改良してみます。初スレなのでどうかお許しを。
っていうか「一人ぼっちの能力」ってダサwwwwwwwwwwww←言われる前に言う
次回更新は三日後に <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)<>sage<>2012/11/11(日) 15:25:04.70 ID:J/YqTCzxo<> 乙
出鼻をくじかれたからって殴る木原くン…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/11(日) 15:26:16.01 ID:G6ODWudA0<> すんません10をみてあまりにも糞だったのでやり直しを。脳内補完お願いします。
今度から見直しをします。しなかったら死にます。うそです。
木原の拳が白い少年の頭をふっとばす。
「?!??」
「なんだぁ?てめえ反射にしてねぇのかよ。自分の能力をなぁ〜んもわかってねぇなぁ!!!」
「?!?!」
「なぁ〜こんな意志の弱そうなガキが統括理事会のおめがねに適うんだろうなぁ!!!」
木原は少年の胸を手繰りよせて、その紅い瞳を睨みつける
少年の心は腐り始めていて、動くことはなかったが――
アクセラレーター
「てめえの名前は一方通行。何者も近寄れない、一人ぼっちの能力だよ」
――本能的なものが、この男からは逃れられないと、便所の糞のようにこびりついて離れられないと、そう訴えていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/11(日) 15:32:27.69 ID:E8yrwXdgo<> なんか読みづらい 改行しすぎだと思う <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/11/11(日) 17:23:54.33 ID:sgDNshOp0<> 別にこれくらいの改行は普通だし読みやすいと思うけど
まだ始まったばかりだし期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 07:36:53.06 ID:oSEOSXpn0<> 今日時間出来たんで投稿します。
一方通行は夜の学園都市を歩く。
手にコンビニのビニール袋をぶら下げ、頭に黒のニット帽を髪がかくれるようにかぶり、黒いパーカーとベージュのズボンを着ている。
二十三夜の月だった。しかしその不完全な円の光は、繁華街の光に食い尽くされ、一方通行には届かない。
その内一方通行は大通りを外れ、人気のない住宅街への道に入っていく。そこは、一方通行が家に帰るためにはどうしても通らなければならない道であった。
一方通行の周りに人の気配が消えた時、建物の影から5、6人の人が出てきて彼を取り囲んだ。
スキルアウトA「おい、こいつでいいのか」
すると、一方通行にどこからかライトがあてられる。
そしてその透き通るような白い肌と赤い瞳を見て、誰かがこう続ける。
B「ああ間違いねぇ。赤い瞳を持つやつなんてめったにいねぇからな」
少年達は一方通行にじりじりと近づいていく。
C「これで髪が白かったら、な」
少年達と一方通行が数歩で接触する距離になった時、
一方通行は垂直に飛んだ。
D「ハア?!」
一方通行はビルの上にスッと降りる。
スキルアウト達は月を眺めているかのように上を見上げ、暫くの間動けないでいた。
まるで一方通行の本来の力など全く知らなかったかのように。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 07:39:23.67 ID:oSEOSXpn0<>
一方「(ちょっと失敗したかな……)」
一方通行は自宅にて、洗い物をしながら先程の逃走劇を反省していた。
一方通行は知られてはいけなかった。己の能力のことを。そして、戦ってはいけなかった。
彼は人を傷つけることを恐れている。
よって、己の目立つ髪を隠し、人通りの多い所を歩き、戦わずに逃げる。
(それでも、第一位っていう肩書きは敵を作るんだよなぁ)
スキルアウトが一方通行を狙うのは単純に能力者が嫌いだというのもあるし、第一位を倒すことで、自分たちの力を能力者たちや他のスキルアウト達に顕示するというのもある。
だが、一方通行は決して力を振るわなかった。なので、報復目的で襲ってくるスキルアウトはいない。
「……カラーコンタクト、買おうかな」
と、そこに
ガチャ
「帰ったぞ〜」
「あ、お帰りなさい
木原先生 」
「ああ、ただいまっと」
一方通行は木原を出迎える。
そして木原は挨拶代わりに一方通行を殴る。
ドカッゴロゴロ
「うし、ちゃんと反射はってはんな。感心感心」
木原は一方通行が転がっていくのを見ながら、グローブが収まっている手を開閉させて手の調子を確かめる。
「(このマイクロマニピュレーターの調子もいいみてえだな。ま、こんなのなくてもいいんだが、念には念をってやつだ)」
「?!!木原先生!」
一方通行は、自分が殴られたことなどどうでもいいかのようにすぐに上体を起き上がらせ、木原を見つめる。
「僕、またなにか先生にご迷惑を…」
その表情には、様々な恐怖がこびりついていた。
「あいやいや。違う、違う。今のは反射の確認をしたかっただけだ。別に怒ってるわけじゃねぇよ」
木原は笑う。
「そ、そうですか。ならよかった〜」
一方通行も安堵の笑顔を浮かべる。
「床の血拭いとけよ。おれぁ風呂入ってくっから」
「はい、わかりました。後、夕食の準備出来てますので」
「おう、ありがとよ」
そういって木原は座っている一方通行の頭をわしゃわしゃと撫でた。
一方通行は気持ち良さそうに目を細める。
そして一方通行が見えない中で、木原はこらえきれないかのように笑いをこぼした。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 07:42:02.90 ID:oSEOSXpn0<>
一方通行にとって木原数多はこころの拠り所だった。
一番大切な人を失い、腐りかけていた所に、木原は甘い蜜を放った。
偽りの愛情を。
木原は一方通行に対して、まるで自分が本当の親であるかのように接した。一方通行は、他の大人達とは違うなにかを感じ、好意をよせるようになった。
それこそ、木原の思惑通りだった。
木原は一方通行と初めて出会った時、小学校に行かなくなった経緯を耳にしていた。
彼はそんな些細なことは気にもとめていなかったが、一方通行の虚ろな姿にピンときたのだ。
こいつは強者としての精神力を持っていない、と。
たった一人の人間を潰しただけでここまで腐るなら、自分がこいつのかけがいのない者になればいいと。
そして、悪意を向ければ、こいつは離れていく俺を掴むだろうと。
こうして木原数多は、学園都市第一位の怪物を操り人形にした。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 07:49:18.37 ID:oSEOSXpn0<> ここまで。
出会い頭に一方さんを殴ったのはアメとムチのムチ一発目ということでした。わかりづらくてごめんなさい……
今日中に続き書くと思います。
>17 はってはんなじゃねぇ!お前は京都人か! スイマセン <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 14:19:54.85 ID:oSEOSXpn0<>
白い壁で統一された、巨大な部屋。一方通行は一人の少女と対峙していた。
少女は銃を構えてみたり、頭のゴーグルを下げてみたりしていた。
「チェックは万全です、とミサカは初の実験に対する意気込みをアピールします」
「……」
一方通行はその姿を眺めながら、木原から聞かされていた今回の実験の内容を思い出してていた。
レベル6シフト
『絶対能力進化』
20000通りの戦闘環境で能力者を20000回『倒す』
(正直戦いなんてしたくないけど、木原先生のいうことだもん。いやでもやらなくちゃ)
その木原は、強化ガラスの向こう側で、一方通行達を俯瞰している。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 14:40:14.72 ID:oSEOSXpn0<> 「ところで、」
少女が一方通行に話しかける。
「貴方への発砲許可が下りているのですが本当にいいのでしょうか」
「ああ、それなら全然かまわないよ」
「……随分と余裕なのですね、とミサカはその言葉を宣戦布告として受け取ります」
「いやいや、そういうわけじゃなくて……っていうかごめんね、僕の実験のために喧嘩みたいなことさせちゃって……本当は僕もこんなことしたくないんだけど、僕の大切な人のお願いなんだ。許してほしい」
「いえいえ、ミサカが生まれてきたのはこの実験のためですから、気にしないでください、とミサカは学園都市第一位なのに予想外に腰が低い貴方に驚きます。さらにいえば大切な女性がいることに恋などしたことのないミサカはあなたに羨望の眼差しを向けます」
「いや……木原先生は男だけど」
「アッー!」
「…?」
「わからないですか、とミサカは最近仕入れたネタが通用しないことに意気消沈します」
「っていうかこの実験のために生まれてきたなんて言わないでよ。親が悲しむよ」
「…?ミサカに親はいませんが」
「あ……ごめん」
「いえ、無理やり親というもの当て嵌めるとすれば、あちらの研究者達がミサカの親なので、気にする必要はないです、とミサカは腰の低い第一位にならって懐を深くします」
「え、親が研究者なんだ〜。誰々?」
「あの変な布を頭に巻いてる女性と、頭の弱そうな女性と…」
(母親が二人……?やっぱ複雑な家庭なのかな)
一方通行がそう思った時、
ビィィーーーー!
と、警報のような音が鳴った。
「おしゃべりはここまでのようですね、とミサカは戦闘モードに移行します」
「……お手柔らかに」
『これより第一次実験を開始します』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 14:46:27.88 ID:oSEOSXpn0<> むむむ、自分で書いてて何か違和感が……
皆さん何か気づいた点があったらこのマゾ野郎に厳しい御教鞭をお願いします。
っていうか誰か見てるのかなぁ。単なる[田島「チ○コ破裂するっ!」]じゃなければいいけど…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/12(月) 15:57:24.69 ID:PUwRlOGGo<> 見てるよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 16:12:55.99 ID:oSEOSXpn0<>
少女は実験が始まると同時、横へ走りながら銃を構え、
「先手必勝です、とミサカは攻撃を開始します」
発砲した。
チュイン!
「!?」
撃った弾丸が上に弾かれ、困惑する少女。
パンパンパン!
チュンチュンチュン!
今度は3発連続して撃つが、すべて上に弾かれる。
「弾道が逸らされているのですか?とミサカは一度距離を取り分析をします」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 16:21:33.06 ID:oSEOSXpn0<>
(銃は勿論、おそらく能力も問題ない)
最初の場から一歩も動かないでいる一方通行は、
(問題はいかに彼女を怪我させることなく倒すか、だ)
少女の心配をしていた。
(銃弾は下手に反射すると危ないから全部上に反射させるとして……能力はどうなんだろうか。例えば、物を分解するような能力だったら壁が崩れて彼女に危険が及ぶ……)
一方通行は少女を見据え、
(まずは彼女の能力を知る!)
駆け出した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 16:44:42.04 ID:oSEOSXpn0<>
「…!」
少女は急にこちらに向かってきた一方通行に対し、バックステップを取る。
(やっと本気を出し始めましたね、とミサカは舐め切っているあの突っ立ていた姿に苛立っていたことを告白します)
少女が回避体制をととのえたとき、
「!!!」
一方通行の姿が、消えた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 16:54:33.49 ID:oSEOSXpn0<>
一方通行は、脚の裏にかかるベクトルを操作し、一瞬で少女の後ろにまわる。
そして、
バキッ
と、本気ではないにしろ、少女の背中に裏拳を放ち、1メートルほどふっとばす。
(彼女から能力を引き出すには、圧倒的な力をみせつけて、焦らせるしかない)
起き上がろうとしている少女へと、一歩で近づく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 16:57:27.66 ID:oSEOSXpn0<>
こちらへ向かってくる一方通行を見て少女は、
にや、
と笑った。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 17:11:58.76 ID:oSEOSXpn0<>
一方通行が少女のもとへ跳び、空中にいる時、
ガバッ
と、少女が一方通行の腰にタックルを決めた。
一方通行は少女の方を心配し、とっさに反射を切ったが、彼の物理現象を解析する能力が、微細な数値の変化を感じとる。
(………ヤバイ!!!)
一方通行は焦りの表情を浮かべる。
(彼女は恐らく能力を使うつもりだ……!どうする!この近距離で下手な方向に逃がせば彼女にダメージがいく!どうすれば……!)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/12(月) 17:14:03.33 ID:eSpV4qgIO<> 何処が面白いのかわかりません
ここが面白いです!ってとこ教えて下さい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 17:20:48.07 ID:oSEOSXpn0<>
少女は躊躇なく、電流を流す。
バチバチバチバチッ
「がっ!」
「………?」
少女は不思議な現象を見た。
一瞬電流が彼の体を流れたと思ったら、あとは全て床に流されていったのである。
「……今ので倒れないのですか。随分とタフなのですね、とミサカは内心で申し訳なく思います」
少女は全くそうは思ってない表情で、膝をつく一方通行を見下ろす。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage saga<>2012/11/12(月) 17:54:20.07 ID:KrfMLs4xo<> せめて、ァィゥェォンは使ってください。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/12(月) 20:51:58.57 ID:ChfrlkDO0<> ァィゥェォンは成長してから使うようになるんじゃね? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage saga<>2012/11/12(月) 20:53:14.12 ID:KrfMLs4xo<> もう、実験しとるがな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/12(月) 21:33:22.21 ID:KKGB8ycIO<> 精神的な成長だろJK <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/12(月) 22:15:04.54 ID:oSEOSXpn0<> すいません飯とか風呂とか色々あって、超中途半端な所で終わってますが、今日はここまでです。
次はある程度まとまって出します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/11/12(月) 22:17:15.11 ID:eSpV4qgIO<> 何処が見所なのさ?
SSというか作文みたいで面白くない <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/11/12(月) 23:00:35.06 ID:h7kLzEbvo<> 期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2012/11/13(火) 08:44:25.13 ID:inF8ZcXAO<> 面白いし好きな文体だー。期待!
ただァィゥェォン語が使われてないのが残念。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/11/13(火) 23:13:27.35 ID:AXDG4qxX0<> >>1乙 結構おもしろいぞ 一通さんが木原先生とか言ってるのは吹き出しそうになる
木原君のクズっぷりもいいな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/14(水) 00:19:58.60 ID:iF9DZzTwo<> 精神が脆弱一方さんならァィゥェォンじゃないだろ
期待してる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:38:53.41 ID:HrT4pUXq0<>
全身が痺れて震えている。
(もし実験に失敗したら……)
芯に熱い鉄の棒を入れられたように、体が重い。
(木原先生は僕のこと、嫌いになるだろうな……)
(……)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:39:41.19 ID:HrT4pUXq0<>
一方通行はフラフラと立ち上がる。
それを見て少女は、銃を捨て、構えを取る。
(どうやら、電流は瞬間的に流れるようですね、とミサカは考察します。ここは弱って動きが鈍くなっているであろう一方通行のスキをついて、一瞬で電流を流すのがベストです、とミサカは冷静に次の行動を選択します)
少女は気を緩めることなく、一方通行と一定の距離をとる――
しかし、一瞬で距離は縮められる。
「がはっ」
今度は少女がタックルを入れられた。
その勢いは凄まじく、肋から嫌な音が聞こえる。
けれど、少女は屈しない。
(これは……チャンスです!)
少女は、体当たりの痛みに耐えながら、演算を開始する――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:40:52.61 ID:HrT4pUXq0<>
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!!
「っがああああああああああああああああああああああ!!!!!」
白い部屋に、青い稲妻と、
少女の叫び声が、響き渡った。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:41:53.95 ID:HrT4pUXq0<>
(ごめん………)
横たわる少女を見下ろしながら、一方通行は思う。
(僕はもう失いたくない。独りぼっちは……………イヤ、なんだ)
(だけど、ほんとにこれで………よかった、のかな)
体の緊張を緩めながら、少女の様子をみる。
「うう…………う」
少女はか細いながらも、息をしていた。一方通行のベクトル変換により、電撃の何割かが空中へ放電されたためである。
一方通行は少女の生存を確認し、ほっと胸を撫でおろした。
(これで今回の実験は終了。この子には大怪我させっちゃったけど、次はもっと上手く立ち回って…)
と、
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:43:10.42 ID:HrT4pUXq0<>
『一方通行。第一次実験はまだ終わっていない。後ろの実験体を処理するまではね』
白い部屋のどこからか、研究者の声が発せられた。
「……え?」
『武装したクローン二万体を処理することによってこの実験は成就する』
『目標はまだ活動を停止していない。戦闘を続けてくれ』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:43:51.79 ID:HrT4pUXq0<>
「……処理って……活動停止って……クローンってどういうことですか……!」
『実験体を“殺せ”ということだ。なに、遠慮はいらんよ』
『相手は薬品と蛋白質で合成された――』
『ただの人形なのだから』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:44:37.58 ID:HrT4pUXq0<>
「…イヤです」
『何?』
「い、イヤです!!!そんなことしたくありません!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:45:46.65 ID:HrT4pUXq0<>
『…………何故かね?』
「そ、それは――」
『一方通行ァ!』
「!」ビクッ
どこからか発せられる声の主が代わった。
木原数多である。
『お前、俺の言いたいこと、わかるよな?あん?今まで俺に逆らったときのこと思い出してみろ。さんざんぼこられたろ?お利口な学園都市第一位ならさぁ、やるべきことわかるよな?』
「……う」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:47:16.53 ID:HrT4pUXq0<>
「…ミサカからも…………お願いします……」
「!!!」
後ろからの声に、一方通行は目を見開き、振り返る。
「…ミサカは……もともと殺されるために作られた『実験動物』です…」
「死ぬことに……抵抗はありません……」
「……でも」
「それにミサカは……あなたを撃ちました」
「撃っていいのは…撃たれる覚悟のあるやつだけだ……と……最近……仕入れたネタを……披露します……」
「……」
「わからないですか……と……ミサカは…がっかり…します…」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:47:52.93 ID:HrT4pUXq0<>
『どうする?一方通行』
研究者の男の声が、沈黙の部屋に響く。
『君を責めるものは誰もいない。むしろ、やらない方がデメリットは大きいだろう』
「…………………」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:48:49.31 ID:HrT4pUXq0<>
「それでも僕は……やりません」
『……』
「死んだら……会えないんです」
「死んだら…会えません。一緒にサッカーをすることもできません。野球だってできない。一緒に勉強をすることも、一緒に帰ることも、ふざけあったり、笑いあったり、喧嘩したり仲直りすることだってできません。そんなの僕は、イヤなんです。もう二度とそんなのはイヤなんです………」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:49:39.35 ID:HrT4pUXq0<>
『…………………………………………………………………………………………………』
場に、静寂が降りた。
誰も何も発さないまま、時間だけが過ぎていく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:50:44.47 ID:HrT4pUXq0<>
『うし、分かった』
静寂を破ったのは木原数多だった。
『実験は中止だ。よかったな一方通行。お前のわがままが通ったぞ』
「!」パァ
一方通行は、顔を輝かせる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:51:21.24 ID:HrT4pUXq0<>
『んでお前ら。今ある在庫数百体のクローン共。あれ全部殺せ』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:52:22.59 ID:HrT4pUXq0<>
「…え?」
白い壁に嵌め込まれた、鋼鉄の扉から、黒ずめの特殊部隊のような恰好をした人間が、2、3入ってくる。
『一方通行。お前とはお別れだ。またこの実験がやりたくなったら、そんときは戻ってきてやるよ』
黒い人間が、銃を構える。
『あと、お前のせいで数百人もの命が生まれてきた目的も果たせずに死ぬことになるが……まあ気にすんなや』
パンパン!!
銃弾は違うことなく、心臓に入ってゆく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:53:27.04 ID:HrT4pUXq0<>
この後、一方通行は自責の念にかられ、世界を拒絶するようになる。
もし彼が、この世界ではないどこかの一方通行ならば、木原の本性を知り、見限るかもしれない。妹達を助けるために、立ち上がることができたのかもしれない。
しかし――
この世界の一方通行の精神は脆弱だ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:54:52.59 ID:HrT4pUXq0<>
彼が立ち上がるためにはきっかけが必要だ。
彼に不純な思いで近づく者でもなく、
彼の逃げる場所を作る者でもない。
一方通行の脆弱な精神を鍛える、仲間
が必要だ――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:55:48.02 ID:HrT4pUXq0<>
――絶対能力進化第一次実験から数年後、一方通行宅
一方通行は、何かに怯えるように、隠れるかのように毛布にくるまっていた。
中に誰もいないかのように、ピクリとも動かない。
そしてその傍らには、一方通行とは対照的な、黒髪の少年がいた。
「一方通行……だっけか。いや突然で驚いただろうが、引きこもってる生徒がいるって話を聞いてさ、いてもたってもいられなくなったんだ」
一方通行は動かない。
その様子に、黒髪の少年は何かを思案する顔になり、次に真剣な顔になって、口を開いた。
「さっそくだが一方通行。お前には圧倒的な何かが足りない。今日はお前にそれを教えにきたんだ」
「お前に足りないものは――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:56:50.15 ID:HrT4pUXq0<>
削板「根性だ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/11/15(木) 00:59:53.71 ID:HrT4pUXq0<>
以上で投下は終わりです。改行が多過ぎた感はありますね…。言われてたのに…。間を表現する手法が圧倒的に足りてないせいです。すいません。
次回投下は、早ければ来週です。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage saga<>2012/11/15(木) 01:00:10.77 ID:dwAlxXo4o<> そぎーおつ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/15(木) 01:22:25.77 ID:2wRdeq5T0<> 面白い
続きが気になるー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/11/15(木) 01:24:43.16 ID:CZJtLMSEo<> 乙
脳筋と豆腐メンタルの邂逅とか碌な未来が想像できないな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/15(木) 19:18:33.45 ID:6y6knzGu0<> 乙です
そぎーと一方さんがメインのって珍しいかも <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/15(木) 20:20:41.10 ID:oLDrfZf3o<> おいおい、ここに来て一気にワクワクしてきたぞ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/15(木) 23:26:00.51 ID:8KGvLjEv0<> >>1乙
これいい感じなんじゃないか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:44:24.85 ID:SQTHXFnU0<> 投下します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:45:09.22 ID:SQTHXFnU0<>
とある5階建ての学生寮。311号室。
その内部はカーテンは一切の光が入り込まないよう完全に締め切られ、
さらに電気は就寝灯さえつけられていない。そのため、視界に入るのは暗闇ばかりである。
その中で、動く気配。
その気配は暗闇の中をまさぐりながら歩いている。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:46:02.55 ID:SQTHXFnU0<>
カチ、
何者かが蛍光灯の電気を付ける。
蛍光が照らし、見えるようになったその部屋は、予想以上につまらないものだった。
木製のテーブル。黒いソファ。いわゆる普通のベッド。液晶テレビ。
目立つものはそれくらいで、圧倒的に物が少ない。
埃が積もっていないので、全く生活していないというわけでは
ないだろうが、それにしても物寂しい部屋だった。
その中で異彩をはなっているのは、テーブルの上に乱雑に積み上げられた、
柄の部分から折れた無数のカッターである。
この部屋にいる何者かは、それがどのような意味を持っているのか、
皆目見当もつかなかった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:46:36.42 ID:SQTHXFnU0<>
その何者かとは、
削板「よう一方通行!今日もまた来てやったぞ!」
削板軍覇、その人である。
彼は、連日、一方通行宅へ通っていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:47:17.08 ID:SQTHXFnU0<>
一方「…………………………」
一方通行は応えない。
彼は毛布にくるまったまま、死んだように動かない。
それは見て削板は考える。これは毎日のように起きていることだった。
削板が来ても一方通行はなんのリアクションもとらない。
(生活の跡があるってことは、一応はこいつ生きてんだよな……全く動かないから
おっちんじまったかと思うぜこりゃ)
それにしても、この男が物を考える様は滑稽である。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:48:01.75 ID:SQTHXFnU0<>
ドッ
削板は勢いよく床に腰を落とす。
削板「なあ一方通行。ちゃんと飯喰ってるか?」
一方「…………」
削板「外出てるか?今日はいい天気だぞ。ほら、昨日雨だったろ。
そのせいで今日蜘蛛の巣が輝いててな。あいつら、一所懸命糸を編んでてさ。
水滴で輝く姿もさることながら、俺は蜘蛛の根性にも美しさを感じたな」
一方「…………」
削板「あんな小さな虫にも根性があんだ。お前だって根性を持てるって」
一方「……」
削板「……なあ一方通行。お前なんかあったのか?」
モゾ
削板「!!」
微かだが、毛布が動いた。
一方「…あの、」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:48:57.23 ID:SQTHXFnU0<>
一方「なんで玄関を壊すんですか………!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:49:52.04 ID:SQTHXFnU0<>
一方「ここんとこ毎日ですよね……?毎度びっくりですよ……毎日直すのも
大変なんですからやめて下さい……」
削板「むしろ俺は木っ端みじんになったドアを1日で直すお前の手腕にびっくりだ」
一方「そんなことはどうでもいいでしょ……?!なんでこんなことするかちゃんとした
説明をして下さい……!」
削板「なんでって……俺が何度もインターフォンを押してるのに、それを無視して
逃げるお前の根性のなさに腹が立ってしょうがなく……」
一方「出ないってことはあなたに関わりたくないってことですよわかりませんか?!…
…………それに僕が本当に部屋ににいなかったらあなたただの空き巣ですよ………!」
一方通行の表情は、毛布に隠れていて窺えない。だがこれだけはわかる。
キレてる。
削板「お、おう……わ、悪かった。今度からはしねぇよ……」
削板も一方通行の怒気を感じ取ったのか、素直に反省する。
一方「っていうか人の家を破壊する行為自体に抵抗を抱いて下さいよ……」ブツブツ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:50:32.53 ID:SQTHXFnU0<>
削板「…ん?でもそうすると、どうやってお前に会うんだ?」
一方「だから会いたくないんです!!ほっといて下さいよ!!」
毛布に隠れているにも関わらず、一方通行の叫びは部屋全体を貫いていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:51:16.53 ID:SQTHXFnU0<>
削板「…そいつぁできねぇ相談だな」
一方「……どうしてですか」
削板「俺はお前を救いだすと決めちまった。そうすることが、正しいと思ったからだ」
一方「……随分と勝手な人ですね。あなたの正しさが、他の正しさに
必ずしも通用するわけではないでしょう……!?」
削板「ああ、確かに俺は自分勝手だな」
一方「それに僕以外にも学校にいってない人だっているはずです……!ここは学園都市
なんだから……能力開発に時間を割かれ、学校にいけない人だっています……あなたが
自分勝手な自己満足を満たしたいだけなら、僕じゃなく他の人に構ってあげて下さい…
……!迷惑なんですよ…………!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:52:14.53 ID:SQTHXFnU0<>
削板「…たしかに、他にも学校にいってない奴はいる。こうやってお前の
所へくることは、お前にとって迷惑だろうな。自己満足だ。…………だがな、」
削板「こんなに悲しそうな声を出す奴を放っておくことはできねぇ」
一方「……」
削板「もし放っておいたら、俺は根性なしになっちまう。……結局は自分のため
だが、まあ俺のためにつきあってくれよ」
一方「……」
削板「今日はお前の声が聞けてよかった。いやあ、お前ドスのきいた声してんな!!
そこらへんの不良なら、声だけでぶるっちまうぜ」
一方「……」
削板「じゃあ、帰るぞ。また明日な、一方通行」
削板は立ち上がり、破壊された玄関から帰っていった…………
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/19(月) 17:53:52.65 ID:SQTHXFnU0<> 今日はとりあえずここまで。
次回は早ければ今週中です。めちゃくちゃ亀でスマヌ…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/19(月) 19:56:35.75 ID:YwUahMDSO<> 乙!
一方と削板の組み合わせは珍しいな。
次の更新も楽しみにしてるよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/19(月) 23:16:57.88 ID:C6/f+o0l0<> 乙
この一方さんは垣根に10秒で捻り潰されそうで心配だ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/20(火) 04:16:15.13 ID:RnzubesSO<> 〉〉81
削板・木原「一方通行に何やってんだこら」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/11/20(火) 04:23:27.29 ID:P1wVsaTNo<> 木原クンは別に庇ってはくれないような…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:53:35.19 ID:7tqCGgmG0<> 更新が空きすぎたんで、とりあえず短いですけど投下します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:54:07.72 ID:7tqCGgmG0<>
翌日。
削板「はっはっはっ」
削板軍覇は学園都市の夕焼けの中を走っていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:54:41.87 ID:7tqCGgmG0<>
といっても誰かに追われているわけでも、追っている訳でもない。
単なるトレーニングである。
能力開発に身体的能力は関係ない。が、彼曰く、
『根性を身につけるためには日々の鍛錬が必要だぁあ!!』
とのこと。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:55:26.82 ID:7tqCGgmG0<>
削板が第七学区の通りを走っていた時、
「オラア!!」「サッサトカネダセヤア!!」
不良達の叫び声が、削板の耳に届いた。
「ふぅ、全く、最近の若者は根性が足りてねぇな」
削板は裏路地へ入っていく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:56:05.49 ID:7tqCGgmG0<>
「おい、兄ちゃん達!」
削板は裏路地の入り口に立って、でかい声を響かせる。
じめじめとした裏路地の奥では、4、5人の不良達と、
長めの茶髪をぼろ雑巾のように掴まれている青年がいた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:56:42.43 ID:7tqCGgmG0<>
「お前達がどんな理由でそんなことしてるかは知らねぇし聞かねぇ」
削板はゆっくりと言葉を放つ。
「ただ、大勢の人間でよってたかって一人を襲うなんてことが道理に適うわけがねぇ」
「よって俺がお前らの根性を叩き直してやるから、覚悟しろよ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:57:25.51 ID:7tqCGgmG0<>
それを聞き、不良達は顔を見合わせ、
「「「ぎゃはははははははは!!!」」」
爆笑した。
不良A「お前馬鹿か?この人数相手に勝てると思ってんの?」
不良B「今時人助けなんて流行らないよ?あ、もしかして昭和の人ですかぁ?」
不良C「ってかwwww格好がwwwwww終わってるwwww何だあの日の丸wwwww」
削板「ム?」カチン
不良D「白ランとか、かっこいいと思って着ているのだろうか」
不良E「お前、もういいから。さっさと帰れって」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:58:28.78 ID:7tqCGgmG0<>
削板「……あったまきた。こりゃあ根性入れなおsふぎゃあああ!!!」
削板の体を炎が包んだ。
見ると、不良Eが手を突き出していた。
不良D「俺達を見てスキルアウトと勘違いする馬鹿がよくいるんだが……あんな出来損
ないと一緒にされるとムカつくんだよな」
不良E「俺は忠告はしたからな……さっさと逃げないお前が悪い」
不良C「ってかwwwwwwさっさとこいつから金とろうずwwww」
不良A「まあ焦るなよ。この昭和男からも金とれるだろ」
不良C「うわっ流石Awwwwwwwwwwwwまさに外道wwwwwwwww」
削板「だあああらっしゃああああああああああああああ!!!!」
不良共「「「!!!」」」
削板に纏っていた炎が、旋風とともに消えた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:59:05.80 ID:7tqCGgmG0<>
削板「お前ら人が話している最中に攻撃するとはどういう了見だああああああ!!」
不良A「……ちっ。風力使いだな。めんどくせぇな」
不良D「あれ喰らって傷ひとつないなら肉体再生かも」
不良A「……いや、あんな風をふかしたってことは肉体強化だな」
削板「ごちゃごちゃと何話てんだああああああああああああああ!!!」
不良A「ぐはっああ!!」
ドシャあああああ
不良Aが路地裏の道をホッケーのように滑る。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 21:59:46.91 ID:7tqCGgmG0<>
不良D「……おい、ずらかるぞ」
不良C「え?wwwwwwwまだ金とってn」
不良D「相手の力量もわからんのかお前は。いままでの奴とは格が違うんだよ」
不良B「俺ら全員レベル4だぜ?」
不良D「そんなに死にたきゃ[ピーーー]よ。……俺は帰る」
不良Dは路地の奥へと歩いていく。
不良C「ええ、え〜……じゃあ俺も帰ろっと」
それに続き、他の不良達も帰っていった……
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 22:00:37.49 ID:7tqCGgmG0<>
削板「…………」
削板「……おい、あんた大丈夫か?」
削板は茶髪の青年に手を差し出す。
茶髪「……あ……はい……大丈夫、です……」
青年はその手を借り、立ち上がる。
茶髪「……ありがとうございました……じゃあ」
ろくに言葉も発さず、立ち去ろうとする。が――
削板「おい待てよ」
削板がそれを制止する。
茶髪「……な……なんですか……?」
青年は覚束ない様子で削板の方へ振り向く。
削板「いやちょっと確認したいことがあってな。間違ってたらスマン」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 22:01:42.04 ID:7tqCGgmG0<>
削板「お前、一方通行だろ?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 22:02:23.53 ID:7tqCGgmG0<>
茶髪「」ピシ
削板「聞いてた限りでは白い髪に紅い目って話だったから違うかもしれんが声が同じだ。
あの声は忘れらんねぇよ」
茶髪「」
削板「その反応を見る限り間違いねぇみたいだな。こうやって顔を合わせるのは初めてか。
んじゃ改めてよろしk」
茶髪「…あ」
削板「? あ?」
茶髪「一方通行ッテ誰デスカ?ボク知リマセン」
削板「今更声変えても遅ぇぞ。っていうかどうやって変えてるんだ?能力か?」
茶髪「……」
削板「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/26(月) 22:02:53.15 ID:7tqCGgmG0<>
一方 ダッ
削板「あ!!おい逃げるな!」ダッ
単なるトレーニングではない、ガチの追いかけっこが始まった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/26(月) 22:05:08.15 ID:7tqCGgmG0<> とりあえず今日はここまで。saga忘れた……ま、いっか。
脆弱な一方さんに死ねという言葉を聞かせるのはきついってことで
次回投下は、早ければ明日です。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/26(月) 22:08:15.47 ID:kVCEj9U2o<> 乙ー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/11/26(月) 22:09:10.42 ID:GAdyWwUG0<> 乙
新訳で一方さん時速750kmで
走ってなかったっけ
すげぇおいかけっこになりそ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/11/27(火) 00:36:23.35 ID:VwElOv3Vo<> おつ、てかなんで一方さんボロ雑巾にされてんだ
攻撃しないまでも尻尾巻いてベクトルとんずらくらいできるだろww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/27(火) 00:40:13.19 ID:T3+eqVIIO<> 一方通行って周りを気にしなければ何キロでも出せるんじゃね?
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/27(火) 00:56:57.05 ID:orttvmsxo<> >>101
逃走するにしろ自分を掴んでる相手を振りきるのに能力使ったら
相手を怪我させそうで怖いんじゃないか?
>>1乙! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/27(火) 20:00:32.75 ID:9Jxi6EXz0<> 投下します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/27(火) 20:01:15.95 ID:9Jxi6EXz0<>
一方通行は、ベクトルを操る能力者である。
普通の人間が走る時、脚力によって地面を押すことによって推進力を得ている。
が、重力に抗するために斜め方向に力を加えるしかなく、力の全てを前方向に向かう
のに割り振ることはできない。空気抵抗を受け流すために手を振るが、全てをいなせ
るわけではない。
しかし一方通行は違う。
一方通行に重力はかからない。空気抵抗はない。おそらく、空間移動を除いた全ての
移動方法の中で最も無駄のない移動が出来るだろう。
一方通行が本気で逃げたらどうなるか。
彼は自転エネルギーを使うことができる。これを使えば彼を追える物など光しかいなく
なる。
例えば、地球の自転を5分遅らせてコンクリート片を投擲した場合、そのエネルギー
はビキニ水爆2100億発分(地面に直撃すれば直径4000m、日本列島がキレイに
消滅するクレーターができる)、速度は光速の99.9999999999998%(こ
の宇宙ではどんな物体も光の速度を超えることが出来ないのに、その限界まで肉薄)。
そんなエネルギーを逃げることに使っても、2秒で地球を15周して結局同じ場所に戻
るだけである。
そしてこの世界の一方通行は人を殺せない。光速で動いたら一体何人が犠牲になるとい
うのか。
よって、一方通行は人にぶつからないように時々止まって周りを視認してから、安全な
ルートを、風圧などで周りに被害が及ばない程度の高速で飛んで逃げる。一瞬見えて次
の瞬間消えるその様は、テレポートと似た要領である。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/27(火) 20:02:06.84 ID:9Jxi6EXz0<>
一方、削板軍覇はどのようにして追いかけているのか。
不明である。
現在彼の速度は音速程度。しかしこれが彼の本気というわけではない。感情が昂ぶった
時は音速の2倍になったり、かといえばトレーニングの時は普通の運動部のエース位の
速さだったり。
ぶち切れた時に彼から謎の爆発が起きたりもすることから、もしかしたら感情が能力に
関係しているのかもしれないが、能力を演算によって行使する学園都市の能力者の理屈
を根本から否定している。
理由を述べれば『原石だから』。ただそれは何もわかっていないことの証明にもなる。
正体不明の力。
説明不能の現象。
彼の能力はそう表すほかない。一方通行が具体的だったのに対して、なんともチープな
説明である。ただ、解らないだけに、彼の力の上限は計り知れない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/27(火) 20:02:49.50 ID:9Jxi6EXz0<>
一方 チラ
一方通行が後ろを確認すると、もくもくとあがる土煙と
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
という擬音が見える。(聞こえるではない、見えるのである)
一方(あれどうなってんの?というかなんで追いつかれそうなの?どうやって人を避けて
るの?)
一方通行の移動速度は削板のそれより速いのだが、いかんせん一方は周囲の安全のため
に一瞬静止する分、削板に近づかれていく。
削板は高速で動いているにも関わらず、一方通行のように行先を確認している様子はない。
しかし、ざっと見たところ悲劇に見舞われている人もいない。
一方(いくら能力がすごくて速く動けても、動体視力や反応速度が人の限界を超えることな
んてありえない。っていうかあのどどどどって一体……ハッ)
一方通行は悟る。
一方(あの人、人間じゃないんだ。たぶん宇宙人かなんかだ。行き過ぎた人間の科学に興
味をもって、僕をキャトルミューティレーションする気なんだ)
ずれた方向に。
一方「う、うわあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
勘違いの恐怖が、炸裂する。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/27(火) 20:03:31.78 ID:9Jxi6EXz0<>
削板「む?」
削板は、一方通行が急に速くなったことに気付いて疑念の声をもらす。いや、先程までも
一方通行は十分過ぎるほどに速かったのだが、なりふり構わなさが格段にあがったよう
に感じていた。
削板「ほう……そうか」
削板は、笑う。そして、理解する。
削板「この俺と根性勝負したいってか。……いいぜ……その勝負、受けて立ってやらあ
ああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
間違った方向に。
かくして、二人のレースは更に加速する。
そして被害は、ヒーロー、ヒロイン達をも巻き込む。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/27(火) 20:04:19.02 ID:9Jxi6EXz0<>
御坂美琴、白井黒子、初春飾利、佐天涙子は、クレープ屋のケータリングカー
の近くにたむろしていた。
佐天「御坂さんがチョコバナナで初春がストロベリー&ブルーベリー、白井さんが納豆
クリームスペシャルですね!解りました!あたし買ってくるんで皆さんは食べるとこ探
しといて下さい!!」
御坂「悪いわねー」
初春「お金は後で払いますねー……今月厳しいなぁ……」
白井「佐天さん。一人で4人分持つのはつらいでしょう。わたくしもご一緒しますわ」
佐天「え?白井さん本当ですか?てっきり御坂さんからは片時も離れたくないのかと」
白井 ハッ
佐天「あ、すいません……あたし、勝手に白井さんの御坂さんへの愛を過大評価して
ました……そりゃそうですよね。白井さんはガチで御坂さんを愛してるわけじゃn」
白井「わたくしのぉおおお゙ぉおォおんねえしゃまへのぉおお愛は絶対れしゅぅぅぅのぉおおおおおおおおおお!!!!」ガバッ
御坂「来るな変態!!」バチバチッ
白井「あばばばbばばばっばば」バチバチバチバチ
御坂「ちょっと佐天さんも余計なこといわないでよー」バチバチバチ
佐天「ウェヒヒ、すいませーん」
初春「じゃあ私達、あの辺にいますねー。いきましょう御坂さん」
御坂「あ、うん……ところで黒子、あんたよく納豆クリームなんて食べられるわね」バチバチ
白井「あrららいいいがいととtとととととおおおおいしししいんででですすのよよよよよyよよ」バチバチ
佐天(電撃翌浴びながらしゃべってる……)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/11/27(火) 20:04:56.73 ID:9Jxi6EXz0<>
御坂「ところで初春さん、今月お財布厳しいの?」トコトコ
初春「そうなんですよ〜。全くないわけじゃないんですけど、今度PFPの次世代機を買
ったらすっかりすっからかんになっちゃうんです〜」トコトコ
と、そこへ
ビューーーーーーーーーーン!
御坂「うわっ!!」初春「きゃあ!!」
一陣の風が吹いた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/27(火) 20:05:37.00 ID:9Jxi6EXz0<>
――通りすがりの紳士なカメラマンの記憶より抜粋
二人の名も知らぬ少女のスカートが、大きくまくれあがった。
頭に花飾りをつけた少女。少女は決して垢抜けてはいない感じのセーラー服を着て、ス
カートは長くして、いかにも地味な少女だ。センターを飾るには似合わない。
しかし、その地味な少女の秘密のデルタフォースが、世界に曝け出される。そのギャッ
プが、僕の情熱を駆り立てる。
風に揺らめくロングスカートが空へ向かって高くその手をのばし、そのひだが優しく波
打つ。このスカートを自然に例えるならば、南アジアの美しい海中から見える穏やかな
波の動きと、揺らめく光を放つ太陽へ感動と同じだ。
淡い水色の、柔らかそうな生地。ちりばめられた花の模様も非常にGOOD。このパンツ
を生き物例えるなら、青い空の中を、美しい羽根を散らせながらとぶ鳳凰のようだ。
気付いた時、僕は完璧な角度と光加減でシャッターをきっていた。
この間0.5秒。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/27(火) 20:06:33.68 ID:9Jxi6EXz0<>
シャンパンゴールドの髪を持つ猫目の少女。先程のような地味な少女が魅せる芸術も僕は
好きだが、いかにも遊んでそうな少女が魅せる芸術はもっと好きだ。
僕の気持ちは先へ先へと急ぎ、捲れあがるスカートを鑑賞するのも忘れ、古のピラミッド
へと目を向ける。
そこには、絶望があった。
「なんだ……あのパンツは……」
視界にあったのは半ズボン。ピッチリと形を魅せるスパッツでもなく。かの伝説のブルマでもない。
・・・・・・・・
ただの半ズボンだ。
「こんなの……こんなの僕は認めないッ!!こんなのは芸術なんかじゃあないッ!!!」
「認めない………僕は認めないぞッ!ショウジョ!!そんな粗末なもんは取っ払ってや
るッ!!」
ポンポン
「だれだッ僕の肩を叩くのはッ!!気安く僕に触れるんじゃあないぜ!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/27(火) 20:07:26.33 ID:9Jxi6EXz0<>
黄泉川「そのカメラ、没収じゃん」
「……」
黄泉川「あと、ちょっと詰所までご同行願うじゃん。いいじゃん?」
「……はい」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/27(火) 20:07:57.16 ID:9Jxi6EXz0<>
御坂「いやあ凄い風だったのよ、ほんと」モグモグ
初春「うう……ただでさえいつも佐天さんにやられてるのに……」ションボリ
佐天「え?そんなあたし頻繁にめくってる?」モグモグ
初春「めくってます!」
御坂「下に短パンを履いていた私に死角はなかった」
白井「お姉様……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/27(火) 20:08:33.51 ID:9Jxi6EXz0<>
御坂(にしても、)
御坂はクレープを頬張りながら、思う。
御坂(風が通ったとき人間の生体電気のようなものも感じたけど……どういうことなのか
しら?まさか人間が高速で動いてるわけじゃあるまいし)
御坂「うーん……」
白井「? どうしたんですのお姉様?」
御坂「! え?何?」
白井「いえ、なにか悩んでいるご様子でしたので……黒子にお手伝い出来ることなら…
…いえ、たとえ出来ないことでも、なにかありましたらおっしゃって下さいな」
御坂「……うん、大丈夫よ、黒子。ありがとうね」ナデナデ
白井「!!! お、お姉様こここれはいいったいいいいくぁwせdrftgyふじこlp」
御坂(ま、学園都市なんだから、どんなことが起こっても不思議じゃないわよね。いちいち
細かいこと気にしてたら、この子に心配させちゃうわ)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/27(火) 20:09:16.33 ID:9Jxi6EXz0<>
上条当麻は、いわゆる貧乏学生である。
この学園都市では、超能力のレベルが高ければ高いほど奨学金がもらえる。逆に低けれ
ばそれなりにしかもらえない。
その学園都市で、レベル0。
さらに彼はその不幸体質によって財布を落とし、ATMは止められ、大食いニートに消費
され尽くす。
そんな彼にとって、
上条「やった……やった……!!!」
棚から落ちる牡丹餅は、
上条「お米券を、手にいれたぞーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
最高級の幸福である。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/27(火) 20:09:54.10 ID:9Jxi6EXz0<>
上条「スーパーでもらった福引券。溜めに溜めてもどーせティッシュすら当たらないだ
ろうけど、希望を持って頑張って集めていたら……」
上条は体を歓喜で震わせる。
上条「とったどーーーーーーーーーーーー!!!!」
ビューーーーーーーーーーン!
上条「あ」
お米券は、桜の花びらように、遠く高くとんでいった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/27(火) 20:10:30.26 ID:9Jxi6EXz0<>
上条「」
上条は、『とったどーー』のポーズのまま動かない。
上条「」
上条「」ブチッ
上条「な、め――やがって」
上条「そりゃ裏を返せばお米券を諦めろってんだろ?俺が幸福になる権利を、死に物狂
いで手に入れたお米券を、捨てろっつってるだけじゃねぇか!!」
上条「いいか、分かっんねーようなら一つだけ教えてやる。
俺はまだ諦めちゃいねぇ。
いや、何があっても諦める事なんか出来るか!
一〇〇回無くしたら一〇〇回当てる、一〇〇〇回飛ばされたら一〇〇〇回当てる!
たったそれだけの事を、テメェらにできねぇ事を果たしてみせる!!」
上条「いいぜ……てめえが何度でもお米券を奪うっていうなら……」
上条「その幻想をぶち殺す!!」
イン(見なかったことにするんだよ)
インデックスは空中に向かって叫ぶ痛い少年の姿を見て、踵を返した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>saga<>2012/11/27(火) 20:13:12.22 ID:9Jxi6EXz0<> とりあえずここまで。点ずれました。すいません。
試験的にギャグ要素入れてみましたが、面白かったかな……?
次回は、早ければ明後日です。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/11/27(火) 20:18:07.94 ID:RBKDCe+n0<> お米券vs上条さん
多分お米券の逃げ切りと予想 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/27(火) 21:32:38.34 ID:T3+eqVIIO<> 上空に逃げれば何とかなりそうだな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/27(火) 21:37:19.01 ID:v5FC3WYYo<> 空想科学読本乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:18:38.19 ID:1XVbs2VV0<> 遅くなりましたが、投下します <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:19:24.64 ID:1XVbs2VV0<>
一方(ここで……一気に距離をとる)
一方通行は、周りに建造物がない、長い一本道の土手に逃げていた。ここは、御坂美琴
と上条当麻が勝負し、上条が負けたふりをして御坂を切れさせた、あの河原の土手である。
一方(この直線上なら、僕は一瞬で駆け抜けられる)
一方通行に速さの上限はほぼない。つまり、周りを考慮する必要性がなければどこへで
も刹那の速さで行くことができる。
一方 チラ
後ろを確認すると、削板の姿はなかった。が、音の近さからじき追いつかれることが予想
される。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:20:06.93 ID:1XVbs2VV0<>
一方通行は、迷わず加速する。
その数秒前――
重福「……♪」シュン
一方(な……! 急に空中から……! 間に合わn)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:20:58.78 ID:1XVbs2VV0<>
削板「根性ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:21:28.05 ID:1XVbs2VV0<>
0秒
一方通行、重福省帆との距離、1000m
削板軍覇、一方通行との距離、500m
削板 秒速345m
0.1秒
一方通行、重福省帆との距離、100m。
削板軍覇、一方通行との距離、1365.5m。
秒速345m
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:22:12.82 ID:1XVbs2VV0<>
0.11秒
一方通行、重福省帆との距離、10m
削板軍覇、一方通行との距離、1448.6m
秒速690m
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:22:49.38 ID:1XVbs2VV0<>
0.11111秒
一方通行、重福省帆との距離、0.01m。
削板軍覇、一方通行との距離、0m。
秒速1315km
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:23:20.05 ID:1XVbs2VV0<>
ばーーーーーーん
河からどでかい水飛沫、いや、飛沫というより河全体の水が、上空へ飛ぶ。削板が、一方通行を捕まえた後、重福へ勢いあまってぶつからないように、河へと方向転換したためだ。
河には巨大な窪みができ、水がその空隙を埋めようとなだれ込み、渦を巻く。
その渦の中心に、削板と一方通行が浮いていた。
削板「はあー、はあー、はあー」
削板の呼吸は荒く、水に浮かぶのが精一杯のようだ。能力の酷使が関係しているのか。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:23:49.47 ID:1XVbs2VV0<>
一方「ぶはっ……あの子は!!?」
一方通行が勢いよく水面から顔を出し、土手の方向へ顔を忙しなく動かす。削板も、そ
れにならって土手の方へ振り向く。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:24:15.82 ID:1XVbs2VV0<>
重福「……!?? ???」
重福は、突然の突風に尻餅をつき、目を丸くして周囲をキョロキョロとみていた。
どうやら大きな怪我はないらしい。訝しげにしながらも、立ち上がって歩いていく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:24:57.88 ID:1XVbs2VV0<>
一方通行と削板はほっと胸を撫で下ろした。
一方「よかった……本当によかった……」
削板「ふう、背筋がひやっとしたぜ。ギリギリだった」
一方通行と削板は顔を見合わせて笑う。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:25:24.54 ID:1XVbs2VV0<>
一方「ってぎゃああああああああああ!!!!キャトられるうううううううう!!!」
削板「なぬ?! なぜまた逃げ出す?!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:25:58.37 ID:1XVbs2VV0<>
〜〜5分後〜〜
削板「俺が宇宙人ってか。お前どういう思考回路してんだ」
一方「いやいやいやあなたも大概ですよ?!今までの自分の行動省みて!!」
削板「う〜ん……根性溢れる行いだったな!!」
一方「……」(あ、こいつ池沼だ)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:26:31.86 ID:1XVbs2VV0<>
削板「っていうかお前外に出れないわけじゃなかったんだな!いやあ安心したぜ」
一方「いや、壊れた玄関の材料を買いに」
削板「……」
一方「……」
削板「と、ところでなんであんなチンピラ共にあんな風にされてたんだ?お前第1位なんだろ?」アセアセ
一方「……話題替えたのバレバレですよ」
削板「あいやあなんというかそのあれというかほんといやすんませんっしたー!」
一方「もういいですよ……これ以上壊さなければ」
削板「さあせんっしたーー!!まじさあせんっしたーー!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:27:07.46 ID:1XVbs2VV0<>
一方「いや、というよりむしろもうこないで下さい……」
削板「む、それはできねえな。俺は――」
一方「『お前を救うと決めた』、ですか? それとも『こんな悲しい声を出す奴は放
っておけねぇ』、ですか?」
削板「お、おう」
一方「はあ……別に僕は救われたくありませんし、悲しい声なんか出してるつもりはあ
りません。だからもう僕には関わらないで下さい。それでは」
削板「お、おい」
一方通行は歩いていってしまう。が、削板もそれについていく。先程のような逃走劇は
繰り返さない。お互い無駄で危険だとわかっているからだ。
削板「ちょっとまて、お前今救われたくないと言ったな?ってことは今お前は自分が泥沼
の中にいるってわかっているってことだな?」
速足の一方通行の横を歩きながら、削板は一方通行に問う。
一方「……変な所で鋭いですね……でも残念ただの言葉のあやですよ。それに、十分な
幸福の中にいる人でも救いがほしいだのなんだのいうじゃないですか。勝手に人の位置
を決めないで下さい」
一方通行は決して削板に目を合わせず、淡泊に歩いていく。
削板「……無理すんなよ」
一方「なにが無理してるって言うんですか?いい加減にして下さいよ。別に僕は何も困
ってません。何も望んでいません。こうやってあからさまに拒否しているのに、あなた
が僕に構ってくるのは、何か裏があるんですか?こんなに意味もなくしつこいと、そう
疑ってしまいますよ」
削板「……」
削板はそれを聞いて、暫くの間黙っていた。一方通行は足早に歩く。削板も、そのスピ
ードに合わせて動く。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:27:42.74 ID:1XVbs2VV0<>
削板「……知ってんだ。俺」
削板の沈黙からの第一声は、そんなものだった。
削板「俺、お前の過去のこと、知ってんだ」
一方「……!!!」
削板「学校のダチでな。いろんな情報持ってるやつから、お前と……お前の過去のことを
聞いたんだ……勝手に人の過去を知るなんて根性なしなことだって分かってる。だがな、
それを聞いて放っておけなくなったんだよ……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:28:11.42 ID:1XVbs2VV0<>
一方「……軽蔑しましたか?」
一方通行は、興味がなさそうな、それでいて感情がそこに集約されているような、そんな
声色で、言葉を発した。
それに対して、削板は、
削板「んなことあるわけねぇだろ」
力強く、否定した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:29:09.14 ID:1XVbs2VV0<>
「俺はな、根性がない奴は見過ごせねぇんだ」
削板は、言葉を続ける。
「根性ってなにか、解るか?人によっては“強さ”とか、“諦めない気持ち”とか言うか
もしれねぇな。“勇気”と言うかもしれねぇ。まあ謂わば“物事を成し遂げる力”、“物事
に立ち向かう力”っていうもんだろうな」
「この力は老若男女、誰もが必要だと思うんだ。皆、誰しも理想がある。成し遂げたい
ことがある。だから、いい学校に行きたい奴は能力を磨くし、強くなりたいやつは鍛錬
する。スキルアウト達だって、やってることは鷹揚にして間違っているにしろ、能力に
恵まれないやつらにも権利が与えられるように努力しているんだ。“俺はなんにも頑張っ
ていない、努力したくない”っていってる奴だって、自分の理想を持っている。歩き始
めてはいないが、歩きたい道は分かっているはずなんだ」
「本当に何も目指す道をもってない奴でも、最低限“生きる”ってことを頑張ってる。
死にたいって言ってる奴でも、いざとなったら生きようと必死になるもんさ。生存本能
ってのは普通人が思ってるよりも強いもんさ」
「話を戻すぞ。まあ俺の持論では、人は皆全てどこかへ向かってる。それが正しい場所
へかどうかはさておいてな。で、そこで大抵の奴は壁にぶつかるんだよな。それは自業
自得であったり、外からの影響だったりする」
「そんな時、根性がない奴は諦めちまうんだな」
「“もう疲れた”“俺のせいじゃない”“仕方ないか”“しょうがない”“どうしようもなか
った”“ここまでで十分だろう”“皆そうだから”“誰もせめはしないのだから”」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:29:35.77 ID:1XVbs2VV0<>
削板「……」
削板はそこで言葉を切り、虚空へ目を向けた。一方通行もそちらをみると、沈みかけの
夕日が、ビルの群れの間から最後の強い光を放っていた。
削板「……でもなぁ、絶対後悔しちゃうんだよ」
「その時は納得しても、その諦めた分は絶対帰ってくる。物理的にしろ、精神的にしろ
、なにか、残滓が残るんだよな、心の奥に。その残り滓は前向きな行いをする心意気の足
をひっぱる。強い光を見た時のように、目の奥に、頭の奥に焼付く」
「すげぇやなんだよな……それって。なんあだかなぁ……ほんとに、」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:30:06.04 ID:1XVbs2VV0<>
「悔しいんだ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:30:34.46 ID:1XVbs2VV0<>
削板と一方通行は、一方通行の家のすぐ近くまできていた。が、二人の足は大分前に止
まっていた。
削板は、まだ遠くの夕日を見続けていた。その顔は、険しく、虚しそうで、
悲しそうだった。
「だから俺は、根性がないやつを放っておけねぇ。あんな思いを、もう誰にもさせたくね
ぇ」
削板はそう言うと、一方通行の方へ顔を向けた。
「お前が、過去にどんなことをしようが、俺に咎められる権利はない。そして、もう一度
立ち上がる根性を失ったお前を、俺は放っておくことはできない」
削板は一方通行へ手を伸ばす。
「俺達は、もう一度立ち上がることができるんだ。歩いていい道があるんだ。だから――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:31:03.76 ID:1XVbs2VV0<>
「俺と一緒に、走り出さないか?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:31:33.04 ID:1XVbs2VV0<>
一方通行はその手を、
一方「……」
とらなかった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:31:58.69 ID:1XVbs2VV0<>
一方「……本当、自分勝手ですね。あなたは」
一方通行は、地面と話す。
一方「自分の過去を話して、それで同情してもらおうってわけですか。自分も頑張るから、
お前も一緒に頑張れ、と。フン、そんなの僕には一ミリたりとも関係ないですよ」
削板「……」
一方「でも、あなたのこの真剣な言葉を無視したら、僕はまた後悔すると思います」
「決して雰囲気に流されたわけじゃないですが――」
「わかりましたよ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:32:26.86 ID:1XVbs2VV0<>
最後の了承の言葉をいい終えても顔を上げない一方通行に、削板は、
削板「……ハハッ……ハハハハハハハハハハッ!!!」
笑い声を上げた。
二人を照らす夕日は、沈みかけではあるが、その分強い光を放っていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/07(金) 18:33:47.02 ID:1XVbs2VV0<> 以上で今日は終わりです。内容的に好き嫌い分かれそうですね……
次回は早くて再来週です <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/07(金) 19:26:47.86 ID:Db0Tgu3y0<> 乙
えらそうに言っても削板さん
人んちのドア破壊してますよ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/08(土) 00:18:05.32 ID:pAsMAKEIO<> おつ
この2人は能力的に相性良さそうだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/09(日) 00:23:30.92 ID:fj/ofagA0<> おっつ
再来週が遠いわ… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/15(土) 23:32:32.78 ID:MjbvfQmfo<> 投下します <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/15(土) 23:33:38.51 ID:MjbvfQmfo<>
チュンチュン…チュン
殆ど音のない朝の第七学区で、雀の声だけが聞こえる。
時刻は4時20分。朝練をする学生も、他学区に勤める大人達も、まだ目覚めてはいない。
そんな静寂の中で。
ピンポーン
無機質な機械音が流れる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/15(土) 23:34:11.15 ID:MjbvfQmfo<>
削板「おーい一方通行―。俺だー削板軍覇だー」
削板は、とある5階建ての学生寮、311号室のチャイムを鳴らしていた。決して器物
損害は起こしていない。
暫くの間、再び静寂。
ガチャ
一方「……おはようございます……」
玄関から出てきた一方通行は、髪はボサボサ、目は半開きで、いかにも『今起きました』
といった格好だった。
削板「お前毎朝眠そうな顔してんな。根性が足りんぞ!!」
一方「朝低血圧って前にも言ったじゃないですか……」
ふわあああぁ……
小さく欠伸。
削板「んじゃ、とっとと着替えて走りにいくぞ!」
一方「はいはい……削板さんは朝から元気ですねぇ……」
二人は部屋の中に入っていく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/15(土) 23:36:50.77 ID:MjbvfQmfo<>
削板「おい一方通行。ちょっと走ってのど渇いちまってな。コップと水道借りるぞ」
一方『冷蔵庫の中にヤシの実サイダーあるんでそれでもいいですよ』
一方通行の声はくぐもって削板に聞こえる。扉をしめた脱衣所でジャージに着替えてい
るからだ。
削板「いや、水でいいわ。走った後に炭酸は疲労回復にいいんだが、これからまた走るし
な。走る前に飲む呼吸が弱くなるんだよ」
一方『へぇ〜。そうなんですか』
シャー……
水道の高い音が、朝の澄んだ静けさの中に混じる。
一方『いやぁ……まさか『走り出さないか?』っていうのが物理的な走りの誘いだとは
思いませんでしたよ』
削板「ははは、お前さんの根性を鍛えるにはまず体を鍛えなきゃな!病は気からとも言
うし」
一方『それ意味違う……』
削板「ゴクゴクゴク……ぷはぁ!体中に染み渡るぜ!」
一方『ただの水道水でしょう……そんな酒飲んだおじさんみたいな台詞言って……』
一方(全く……策士なんだか馬鹿なんだか……『分かりました』っていった手前、走ること
も断れない……)
本当にこんなことして意味があるのか、なんのためにやっているのか、一方通行は甚だ
理解していないが――
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
一方(信じるしかない。そして、僕を認めてくれた人を離したくない)
――とりあえず、削板の言うことを聞いている。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/15(土) 23:37:22.97 ID:MjbvfQmfo<>
削板「前々から思ってたんだが」
一方『はい?』
削板「なんでお前脱衣所で着替えてんだ?」
一方『……なんだっていいでしょう、そんなの』
削板「……鍛えれば力はつくもんだ。今は貧相な体でも、一か月たった頃にはきっと――」
一方『あなた失礼ですね!別に痩せてるのを気にしてるわけじゃありません!っていう
か誰が貧相ですか!ちょっとはありますよ!』
削板「……ほう、どれどれ。俺が確かめてやろう――」
一方『えっちょっ』
ガラッ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/15(土) 23:38:56.03 ID:MjbvfQmfo<>
削板(あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「おれは 脱衣所の扉を開けたと
思ったら 黒しか見えなかった」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
おれも 何をされたのか わからなかった…
頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/15(土) 23:40:11.95 ID:MjbvfQmfo<>
カシャン
一方通行は、上半身が壁にめり込んでいる削板を無視して、玄関を閉めた。
もちろん、静かな朝を乱さないように、音は立てていない。ドアも打撃も。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/15(土) 23:44:26.11 ID:MjbvfQmfo<> ここまで。百合子っていいですよね。まあ関係ないんですけど。
更新は早ければ明日です。スーパー冬休みタイムに入ったので正月明けまでは連投できると思います。
ところで、区切り方は今のままでいいですかね?一応、起・承・転・結ごとにやってるんですが……
アドバイスお願いします>< <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 00:04:55.84 ID:7CtqqOeuo<> 百合子だと!?
普通に男だと思ってたわ
性別を踏まえた上でもう一周してみると全く違う意味に見えてきそうだな、色々と <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 00:33:33.43 ID:xXgFbNwyo<> なん…だと…!?
色々と続きが楽しみです、乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 04:12:27.19 ID:9dCpZstIO<> そういえば丁度現行で削百合やってるよね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 04:15:45.81 ID:Ig4zt2YGo<> >>162
kwsk <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 08:04:46.31 ID:NIT+XgSL0<> 乙
まさかの百合子展開wwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 10:25:57.78 ID:4EQZfv+vo<> いやいや、読んでる途中で
「何か女の子にも思えるよね」
って感想入れようとしたらこの展開
乙
区切りはコレでいいと思う <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:47:06.33 ID:Ig4zt2YGo<> >>163
でsage忘れてごめんなさい。「やべぇかぶった!」と焦ってしまって……
投下します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:48:08.90 ID:Ig4zt2YGo<>
削板「はっはっはっは」
一方「ぜはぁ、はぁ、ちょ、ちょっと、待って、はぁ、はぁ」
二人は、第七学区の中でも第五学区側の端にある公園を走っていた。公園にある時計塔の
針は7時38分を示している。
削板「なんだ、もうへばってるのか。根性が足りんぞ!!」
一方「そ、そんなこと、言ったって、かれこれ3時間――」
削板「根性だ!根性で乗り切れ!!」
一方「はへぇ、はぁ」
削板「この公園を抜けたら終わりだ。最後の根性見せてみろ!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:48:40.83 ID:Ig4zt2YGo<>
――……
一方「はひゃあ」
ドサリ
一方通行は、気の抜けた声を出して、その場にへたり込む。
削板「うし。今日はこれで終わりだな。腹も減ってきたし、休憩したら飯でも食うか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:49:39.20 ID:Ig4zt2YGo<>
「「いらっしゃいませー!!」」
一方「朝から、しかも走った後に牛丼屋って……」
削板「力つけるには肉喰わないとな!!」
一方「はあ…さいですか。あ、朝定食っていうのもあるんだ。これなら食べやすいかも…」
店員「ご注文はお決まりでしょうかー!」
削板「俺は牛丼特盛で。一方通行は?」
一方「はわわわ、えーと待って下さい。えーとえーと」アセアセ
削板「はは、そんなに焦んなくていいぞ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:50:11.18 ID:Ig4zt2YGo<>
一方 モグモグモグ……
削板 ガツガツ!!
一方「削板さん、すいません、僕足遅くて……削板さんはもっと速いペースで走れるの
に……」
削板「何いっふぇんだ。お前のふぁめのトフェーニングなんふぁからふぃふぃひゅんな」モグモグ
一方「……すいません」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:50:54.01 ID:Ig4zt2YGo<>
削板「ゴクン、なんかお前はよそよそし過ぎんだよな。いつも丁寧語だし自分のこと僕って
言うし」
一方「べ、別に『僕』って言ったっていいでしょう?」
削板「いや、男なら『俺』だろ。喋り方からでもなよっちいのは変わるぜ?」
一方「………………またなよっちいって馬鹿にした……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:51:35.96 ID:Ig4zt2YGo<>
一方「あの……僕は学校に行くべきなんでしょうか」
削板「ん、別にいいんじゃねぇか?俺はお前の立ち直るきっかけになると思って学校を
勧めただけだし。今のお前、明るいしな。ほとんど学校にいってない奴だっているし、俺
もちょくちょく休んじまうからなぁ……根性ない奴を見かけてなぁ……」
一方「……僕、明るいですか?」
削板「おう。少なくとも悲しそうな声はしてねぇな」
一方「そうですか……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:53:14.99 ID:Ig4zt2YGo<>
・ ・
一方「……僕、以前削板さんみたいに接してくれる人が二人いたんです」
削板「ほう、そうなのか」
一方「その二人とも僕のせいで離れていったんですけどね……」
削板「……」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
一方「長い間、今まで僕に歩みよってくれた人が、僕を認めてくれた人がいなかったから
……僕は、うれしいのかもしれませんね……」
削板「………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………」
一方「あ、あれ?僕、何か変なこと言いました?」
削板「……いや、そんなことないぞ」
一方「そ、そうですか……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:53:54.02 ID:Ig4zt2YGo<>
削板「ところでさ、さっき学校の話があったけど、お前と俺の学校……まあ長点上機なん
だが、今日、野球部の練習試合があるんだよ。これから見にいかないか?」
一方「……え……それはなんか気まずいというかなんというか……」
削板「大丈夫だって。遠くから観戦するだけだからさ」
一方「はあ……それなら、まあ……」
削板「うっし、じゃあお茶のみ終わったらいくか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 13:54:27.76 ID:Ig4zt2YGo<> ここまで。次回は早ければ今日中です。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 19:15:47.18 ID:9dCpZstIO<> >>163
削板「久し振りだな、百合子!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1349606218/ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/16(日) 19:23:18.71 ID:Ig4zt2YGo<> >>176
ありがとですー……ネタかぶんないようにしないと <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 19:25:45.05 ID:Ig4zt2YGo<> ってまたsage忘れた……すまんです
今日は更新出来そうにないので明日投下します <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 19:47:50.24 ID:2tEDA21y0<> 最初に少年っていってるけど設定変えたの? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 20:02:29.39 ID:Ig4zt2YGo<> >>179
すいません、今後の展開に関わるので詳しくは言えないです。
ただ性転換したとかそういう超展開ではないのであしからずwww
本文以外のスレを考慮しないで読んでいただけるとありがたいです。つまり、まだ謎ってことで。推理してみて下さい。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 20:47:17.02 ID:Ig4zt2YGo<> スレじゃない、レスだ。ほんと今日はぼけてるなぁ…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:48:40.14 ID:M24e92uWo<> 投下します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:49:44.13 ID:M24e92uWo<>
一方「…ここが、長点上機ですか?」
削板「いや、ここは相手側のチームの学校だよ。うちの学校はそこらじゅうにセキュリ
ティロックが掛けられてて、IDカードがなきゃ通れないからな。他の学校の生徒にID
カード貸すってのも危険性が高いし、遠征に行くことの方が多いんだよ」
一方「へぇ〜、そうなんですか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:50:22.60 ID:M24e92uWo<>
一方「なんか、口ぶり的に野球部のことを知ってるみたいですけど、お知り合いがいる
んですか?」
削板「ああ……そいつとは3年位前にあってな。なかなか腐ってたんだが、今は大した
根性ある奴になってるよ。さらに言えば俺はそいつと一緒に野球部に入ったんだ。俺は
その時の果たすべき目的を果たしたから、今はほとんど幽霊だけど」
一方「……削板さんは、色んな人に声をかけるんですね……」
削板「言ったろ?俺は根性ない奴は放っておけないって」
一方「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:51:03.31 ID:M24e92uWo<>
一方「ここみたいですね」
削板「お、もう試合始まってるみてぇだな。んじゃ遠くからでも見られるとこ探して――」
???「あ、軍覇!!」
削板「ん?」一方「?」
削板と一方通行が声の方を向くと、小柄な少年がこちらへ駆け寄ってきているのが見て
とれた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:52:17.07 ID:M24e92uWo<>
???「来てくれてたのか」
削板「おう、ちっと遅くなったけどな」
???「いやいや、気にしねーよ」
一方「……」
???「んで軍覇くんよ、早速だが試合に出てくれないか?」
削板「はあああ?!どういうことだそりゃあ?!」
???「どういうことってプラン通りなのだが?お前は人の頼みを断れねーしな。俺が
さんざん来てくれって頼んどけば、そん時は断ってても、こうして遅れてでも来てくれる。
お前はそういう奴だよ」
削板「……相手は格下って話だったろ。俺が出る必要はないんじゃないか?」
???「ああ、だから今日は補欠メンしか試合に出てないんだ。レギュラーは練習してる」
削板「お前それは相手を舐め過ぎだろう……」
???「何を言ってるんだ?相手チームの作戦の傾向や個々の身体能力、人間関係まで
調べあげた俺というブレインがいて負けるとでも?」
一方「……」
削板「!ああ、紹介が遅れたな。こいつがさっきいってた俺のダチで――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:53:16.98 ID:M24e92uWo<>
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
工山「工山規範です。よろしくお願いしますね。……学園都市第一位の一方通行さん」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:53:56.90 ID:M24e92uWo<>
一方通行は結局、ベンチに入って野球を観戦することになった。
球場では、削板が次打席の場所で、バットをブンブンと振りまわしている。こちらに風
が届くほど。
一方(………………気まずい)
削板が野球部員達に姿を見せたとき、彼らは削板をアイドルのごとく持て囃していた。
偉大な結果を残した英雄のように。
だがその英雄に金魚の糞のようにくっついてる自分はどうだろう?相手もどう距離をと
っていいかわからず、こちらは緊張して口が動かず、削板が間をとりもつ直前に審判に
試合開始を促された。
部員達は球場に向かって『削板先輩ファイトー!!』『兄貴ィ!!一本見せてくれぇ!!』
などと、黄色い(野太い?)声援を送っている。
しかし、一方通行は声を張って景気よく応援するタイプではない。というか長年声を出
していなかったせいで声が張れない。
よって、同じベンチ内にいるのに空気が違うという、なんともいたたまれない状況が出
来上がってしまった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:54:35.36 ID:M24e92uWo<>
工山「飲みます?スポーツドリンクなんすけど」
一方通行の前に簡易水筒が差し出される。
工山は他の部員達のように盛り上がることはなく、落ち着いているようだった。
一方「あ……おかまいなく……」
一方通行が水筒を受け取ると、工山は一方通行の隣に座った。
工山「髪染めたんですか?目は……カラーコンタクトかな?白髪紅眼っていう情報で聞
いてたんで一瞬わかりませんでしたよ」
一方「……あの」
工山「ああ、試合のことなら気にしないで下さい。軍覇が来た時点で勝ちは決まってる
んで」
一方「そ、そうですか……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:56:18.33 ID:M24e92uWo<>
そして暫く二人とも黙って試合を見ていたが、唐突に一方通行が話し始めた。
一方「……あなたが、僕のことを削板さんに伝えたという話だったんですが……僕の情
報は最重要機密ではないにしろ、一般の人が調べられることじゃなかった筈……あなた
、一体何者なんですか?」
工山「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:57:57.81 ID:M24e92uWo<>
工山は何かを考えこむような仕草をして、言葉をはなった。
工山「僕は昔、ハッカーだったんですよ」
スリーアウトを取られ、チェンジ。ベンチにいた部員たちは球場に出ていく。
ベンチはとたんに静かになった。
工山は球場の方を見ながら、さらに言葉を続けた。
工山「クラッカーでなく、ハッカー。いわゆるネット犯罪者ですよ。当時の俺は目的も
なく、ただいたずらにネット上のあらゆるセキュリティにハッキングし、盗んだ情報を
見ては悦に浸っていました」
「いや、目的はあったのかもしれない。自分の力を試したい、自分の力を証明したいと
いう欲望が」
「でも軍覇と出会って、変わりました」
削板が大きくジャンプし、ホームランコースの球をとった。これでワンアウト。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 10:58:37.29 ID:M24e92uWo<>
工山「……軍覇は俺に目的をくれました」
一方「……」
工山「それも中身のないものじゃない、ちゃんと意味のある目的を」
「僕は、軍覇のことを尊敬し、感謝してるんです」
「だから、俺も軍覇のように、誰かのために頑張りたかった」
「でも俺は、軍覇のようにがむしゃらに前へ進めない。軍覇のように力を持っているわ
けじゃない」
「俺が持っているのは、ハッキングの技術と、それを使って得たさまざまな情報だった」
スリーアウト、チェンジ。部員達がこちらへ走ってくる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:00:04.86 ID:M24e92uWo<>
「俺は、貴方の事件のことを入手していました……そしてスキルアウト達の貴方への評
価も」
ベンチ内は再び騒々しさを持ち始めた。が、一方通行には工山の声が近く感じられた。
「スキルアウト達の、ちゃんと現実を把握している奴らは、貴方のことを『優しすぎる』
と言っていました。……それで、俺は貴方の背景が見えてきたんです」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「そして、俺は現在の貴方の居所を調べました。そうすることが正しいと思ったからです。
……自分の勝手な基準だということもわかっています。貴方にとって、もしかしたら悪
影響になるのかもしれないとも思っていました」
工山は一方通行を見る。
「でも、今の貴方を見る限り、やって良かったと思っています」
そして、笑った。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:01:00.13 ID:M24e92uWo<>
「本当は俺が貴方の所へいくべきなんですけどね」
工山は再び視線を前に戻し、苦笑気味に笑って言う。
「俺じゃ役者不足なんですよ。俺は元々、強い人間じゃない。自ら輝くことが出来る人
間じゃない。俺では、たぶん貴方の今の顔を作ることはできない」
「だから、今の俺の役割は削板の歩みを助けることなんです。……でもいずれは、強く、
なりたいと思っています」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:01:31.00 ID:M24e92uWo<>
一方「……そう、ですか」
工山「貴方とは前々から話したかったんですよ。でも、結局自分だけがなんか一方的に
喋っちゃって……何か勘違いしてたらごめんなさい。何か思う所があれば俺に言って下
さい。俺は――」
「貴方の、味方ですから」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:02:00.33 ID:M24e92uWo<>
一方「……ひとつだけ、聞きたいことがあります」
一方通行は、ポツリと、小さな声を漏らす。
工山「なんですか?」
工山は一方通行の言葉を真摯に待つ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:02:33.24 ID:M24e92uWo<>
一方「貴方は……僕のことを軽蔑しないんですか?」
一方通行は、このことをずっと考えていた。工山が自分のことを知っていると聞いた時から、工山が喋り終わるまで、ずっと。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:03:01.85 ID:M24e92uWo<>
工山「……それは、ないですよ」
工山はきちんと応えた。一方通行の質問に。
一方「……!」
その答えは一方通行の心を激しく動かし、居場所を見つけた喜びで満たした。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:03:30.37 ID:M24e92uWo<>
「確かに、人一人殺した罪は重いと思います。ですが、僕はそれが事故だったと知って
います。貴方を軽蔑することなんてしませんよ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:03:57.13 ID:M24e92uWo<>
一方通行は学園都市第一位の超能力者だ。超能力は演算によって成り立っている。つまり、
一方通行は学園都市第一位の頭を持っているということだ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:04:23.89 ID:M24e92uWo<>
その頭は、工山の言っている意味を瞬時に理解した。
彼は、否、彼らは、あの実験を知らない。
自分が多くの人間の命を摘んだことを、知らない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:05:08.89 ID:M24e92uWo<>
一方(そりゃそうだよね……あのレベルの闇を、学園都市が漏らすわけがない)
バッターが打席に立つ。削板軍覇だ。
一方(何を浮かれていたんだろう。僕が許されるわけないのに)
カキーン……
球は、高い音を出して、高く、高く飛んでいく。
一方通行はその音を聞いて、自分が初めて野球をした時のことを思い出していた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 11:07:52.18 ID:M24e92uWo<> ここまで。工山はくっさい台詞をいっていますが、明らかに削板と違う点があります。それが、彼の今の位置を決めたのでしょう。
次回投下は今日明日で。次回は暗めなので注意。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/12/17(月) 11:50:33.84 ID:BKl1WBPWo<> おっつ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:49:14.65 ID:M24e92uWo<> 投下します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:50:05.94 ID:M24e92uWo<>
野球部員A「流石削板先輩!!あの大事な場面でホームランを打つとは!!」
野B「お前戻ってこいよ!!お前がいればこのチームは敵なしだぜ!!」
削板「はっはっはっは!!我が長点上機軍は最強ってか!!!」
削板と野球部員達は高らかに笑いあいながら帰路を進む。さしずめ凱旋の気分といった
所か。
その後ろに工山と一方通行、マネージャー達が続く。
工山「本当はもっと押されると予測していたんですがね。思ったより、補欠メンが頑張
ってくれました。うれしい誤算ですよ。これなら、レギュラー陣が怪我した時も大丈夫
ですし、次の代に安心して任せられます」
一方「そうなんですか。…………」
工山「? どうかしましたか?」
一方「あ、いえ、何でもないです。あはははは……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:50:57.71 ID:M24e92uWo<>
野C「工山先輩!!」
工山「ん?」
前のお祭り集団の中から一人部員が出てきて、工山の所に来た。
野C「今皆で、お祝い銭湯行こうって話になったんすけど、いいっすかね?!」
工山「お祝い銭湯ってなんだよ……普通焼肉とかそういうのだろ」
野C「……総じて能力レベルが低い補欠メンの俺らのお金なんて、雀の涙っすよ……」
工山「……すまん」
野C「で、いいっすかね?!」
工山「まあいいんじゃないか?だがなあ、お前らあの程度の敵に勝ってお祝いとか先が
思いやられ――」
野C「みんなーー!!監督にOKもらえたぞーー!!」ピュー
野A「よっしゃあ!!よくやったC!!」
野D「これでマネージャーの裸のぞき放題だぜ!!」
野E「ばっかおめぇ、ここは年上のお姉さんだろ!!」
野F「てめえマネージャーdisってんじゃねーーぞ!!」
野G「……銭湯にいるのはババアばかりだと思うが」
野球部員&削板「「「「テンション下がること言ってんじゃねーーー!!!」」」」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:51:25.53 ID:M24e92uWo<>
工山「……人の話は最後まで聞け……っていうか汚ねぇ欲望がまる聞こえだ」ピクピク
後ろのマネージャー達は工山のようにキレず、涼しい表情だ。慣れたのだろうか。
工山「はあ……一方通行さん、あなたも行きますか?猿山の如く煩くなるでしょうけど」
工山は諦めたような溜息をつき、一方通行に問いかける。
一方「銭湯……ですか……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:52:10.18 ID:M24e92uWo<>
一方「……すいません、今回は遠慮させて頂きます」
一方通行は、静かにそう言った。
工山「そうですか。まああいつら煩いですもんね。一方通行さんには居づらそうだ」
工山は苦笑気味に言う。
一方「……じゃあ僕はこれで」
工山「あ、解りました。また今度の機会に、軍覇もいっしょに三人で遊びましょう」
一方「……はい。ではまた」
一方通行は、誰にも気づかれないように、集団からそっと抜け出した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:52:37.93 ID:M24e92uWo<>
削板「…………」
野A「? どうしたんすか?あらぬ方を向いて」
削板「……すまん急用を思い出しちまった。悪ぃが銭湯にはいけねぇわ」
野C「えええ!!削板さんが来なけりゃ祝う意味ないっすよ」
削板「ほんと悪ぃな!!今度またいっしょに祝おうぜ!!」
ダッ
野B「あっ、ちょっと!!」
削板は、部員達の制止の声も聞かず、走っていく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:53:09.28 ID:M24e92uWo<>
カア……カア……カア……
時刻は4時50分。この季節は日が落ちるのが早く、夕日が低く差し、そこらじゅうに長
い歪な影が這っている。
子供達は仲良く騒いで帰り、カラスの声も幾つも聞こえる。
そんな音が、急ぐ削板には遠くから聞こえるように感じられた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:53:52.60 ID:M24e92uWo<>
とある5階建ての学生寮、311号室。削板はその前に立った。
あたりには微かに夕食の匂いが立ち込め、いくつかの笑い声も聞こえる。しかし、削板に
はその平和な要素をそのままの意味で受け取ることが出来なかった。
削板(…………)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:54:19.96 ID:M24e92uWo<>
ピンポーン
削板はチャイムを鳴らす。
しかし、玄関が開く様子はない。
待っていても、埒があかない。仕方なく玄関を壊そうと、ドアノブに触れるが――
削板「ん? 鍵が掛かってねぇな」
削板はドアノブをひねり、部屋に入っていく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:55:14.64 ID:M24e92uWo<>
削板「……」
部屋は電気がついておらず、カーテンも閉め切られ、巨大な暗闇を形成していた。カ
ーテンの隙間からもれる紅い光も、何も照らしてはくれない。
削板「……いねぇな」
ベッドにも、台所にも、人の気配はなく、ただ空虚さだけが静かに場に広がっている。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:55:41.82 ID:M24e92uWo<>
手を顎にあて、思考していると――
スー……
という微かな音が聞こえた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:56:10.37 ID:M24e92uWo<>
削板(この音は水道を弱くひねった時に聞く音だな。ってこたぁ水場にいるのか?台所にい
ないとすると……脱衣所か風呂だな)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:56:52.15 ID:M24e92uWo<>
削板は、脱衣所の前に立ち――
―― 一切の迷いなく、開く。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 16:57:19.14 ID:M24e92uWo<>
削板「……どういうことだ」
脱衣所には、一方通行がいた。
削板「……どういうことだ、これは」
一方通行は、上半身を生まれたままの姿にし、洗面台に何かを吐いているかのようにつっ
ぷしていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:01:09.59 ID:M24e92uWo<>
その体には、袈裟切りを受けたように紅い線が走り、手には柄の部分から折れたカッターが収まっていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:01:38.47 ID:M24e92uWo<>
削板の中で、様々なことが繋がった。
机の上にあった大量の折れたカッター。
不良達に無防備に攻撃されている姿。
体を見られたくないかのように、脱衣所での着替え。
全ての不自然が、繋がった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:02:08.57 ID:M24e92uWo<>
一方「……削板さん。どうかしましたか?」
一方通行はゆっくりとこちらに振り向いて、そう言った。
その頬に、ゆっくりとよだれが流れる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:02:37.98 ID:M24e92uWo<>
削板「……」
削板軍覇は、基本、迷うことのない男だ。
何が正しいから、とか何が間違ってるとか、そういう理論理屈で動いているのではなく、
先に体が信念に基づく行動をとってしまうのだ。
だから、彼は命の救いを求められた時、その人が例えおおいに間違っている人だとしても、
迷わず助けてしまう。
そんな削板は、今、目の前の理不尽に対し、何も動けないでいた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:03:06.68 ID:M24e92uWo<>
一方「……はは、僕はこういう人間なんですよ。こういうことをしなければならない人間
なんです。僕は、罰を受けなければならない」
削板「……」
一方「削板さん知っていますか?僕は524人の人間を殺したんですよ」
一方通行は薄く笑いながら、立て続けに言葉を零していく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:03:35.23 ID:M24e92uWo<>
「削板さん知っていますか?人間の生存本能ってほんとすごくて、死のうとしても、能力
が邪魔するんですよ」
「削板さん知っていますか?僕の能力って、カッターも首吊りも電気ショックも防いじゃ
うんですよ」
「削板さん知っていますか?人間の腕をもぎ取るあの感覚を」
「削板さん知っていますか?罪悪感は脳味噌を引っ掻き回したくなるくらいにぐちゃぐち
ゃに、真っ黒に濁らせることを」
「削板さん知っていますか?痛みが頭をスッキリさせることを」
「削板さん知っていますか?この世には救いようがなく、救われるべきではない人間がい
ることを」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:04:03.60 ID:M24e92uWo<>
削板「……」
一方「僕は、どうかしてましたよ」
「誰かが僕を認めてくれたことが、罪の許容に繋がる、なんて思ってたんです」
「でもそんなわけない。罪は永遠に消えることはない。僕は、贖罪を続けなければならな
い」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:04:49.11 ID:M24e92uWo<>
「……僕は、死ぬことが出来ないのは、一度の死では僕の罪は贖えないからだと思いまし
た」
「でも、あなたは僕を救ってくれると言った。僕は勘違いして、前に進んでいいんだと思
ってしまいました。でも違う。多分、僕が救われるというのは死ぬことなんだと思います。
死んで、罪の清算が終わることなんだと思います。あなたは、神様が僕にくれた最後の救
いなんだと思います」
「だから――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:06:28.26 ID:M24e92uWo<>
「僕を、殺してくれませんか?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:06:57.02 ID:M24e92uWo<>
削板「……な」
一方「……」
削板「……けるな」
一方「……」
削板「ふざけるな!!!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:07:25.83 ID:M24e92uWo<>
「人の愛情を舐めてんじゃねぇぞ!!!!馬鹿野郎ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/17(月) 17:07:54.55 ID:M24e92uWo<> ここまで。次回投下は明日です。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/17(月) 17:37:53.15 ID:L13EGVPJ0<> 乙
一気に鬱な展開に… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/17(月) 19:07:33.99 ID:FW7DYFFvo<> 乙
脳内補完するから別にいいけど一応役者不足じゃなくて力不足だと思うぞ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 00:33:08.79 ID:TZvqalpDO<> 乙
痛々しいなあ
頑張れソギー
>>232
どっちでも意味は通るけど役者不足の方が妥当じゃね?
役不足と勘違いしてないか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:53:23.28 ID:eyoTnL0Vo<> >>232
ぐぐったら、
http://ayk5.exblog.jp/554921
ということでした。すいません。
投下します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:53:50.19 ID:eyoTnL0Vo<>
この扉の前に立つのは、もう何度目になるだろうか。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:54:16.90 ID:eyoTnL0Vo<>
最初は、ほんと無計画だったと思う。
あいつのことを聞いて、じっとしてられずに勢いだけで来ちまって。扉の前に来た時に、
初めてどうすればいいのかわかっていないことに気付いた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:54:43.51 ID:eyoTnL0Vo<>
俺は勿論、生きてきた誰もが罪を犯したことがあると思う。騙しや集団行動の中の失敗、
暴力、脅迫、踏み倒し、虚言、などなどだ。
『は?脅迫とかしたことねぇし』と思うよな?だがなあ、お前、誰かに『〜〜貸して』と
言ったことがあるよな?ない奴は読み飛ばしてくれていい。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:55:10.66 ID:eyoTnL0Vo<>
相手がお前に親切心を持って『いいよ』と言ったなら何も問題はない。美しい友情だな。
だが、相手が『嫌われたらやだな……』と思って貸したなら、それは『友情の崩壊』をち
らつかせた『脅迫』になっちまう。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:55:37.57 ID:eyoTnL0Vo<>
『そんなの相手の頭がおかしいんじゃねーかwwwww』と思う奴が多数だと思う。しか
し、世の中にはいつも『自分はこの世界から嫌われているんじゃないか』と思ってしまう
奴は、少なからずいるんだ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:56:04.30 ID:eyoTnL0Vo<>
ちょっとおおげさに話過ぎたかな。おおげさに言うと価値観がおかしくなる。『じゃれあい』
が『暴力』になり、ギャグで『俺sugeeeeeeeeeeee!!!』が『虚言』になる。
『そんなこと誰が罪だと思うんだよ』って?だからおおげさに言ったっていっただろう。
まあ最後まで話を聞けよ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:56:34.43 ID:eyoTnL0Vo<>
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
罪の重い軽いなんて、誰が決めてるんだ?
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:57:01.10 ID:eyoTnL0Vo<>
国か?世間か?それとも神様か?
罪の重さなんて、誰が決めてるんだ?
誰が決められるんだ?
神様が決めた罪の定義なんてしらん。わかるわけがない。
では、法律で決められているのか?
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:57:40.52 ID:eyoTnL0Vo<>
最近はかわいい犬っころをみとめて写真をとったら盗撮犯と言われちまうような御時世だ。
お前が友達にふざけてどついたら、『傷害罪』で捕まるかもしんねぇぞ?
まあ結論をいうと、何が罪で何が罪じゃないかは、人間は決めらんねぇってことだ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:58:22.38 ID:eyoTnL0Vo<>
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
そのことを踏まえた上であえて言おう。殺人は大罪だ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:58:48.90 ID:eyoTnL0Vo<>
これはもう理論理屈じゃない。人間の本能レベルで思ってることだと思う。思わない奴は
十中八九サイコパスだから、病院に行くことをお勧めする。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:59:20.13 ID:eyoTnL0Vo<>
その大罪人に、俺はどう声をかければいいのか。
さらなる罪の厚みが発覚した今も、その答えは出せないでいる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 12:59:48.10 ID:eyoTnL0Vo<>
でも、やるべきことはわかってる。やりたいことはわかっている。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:02:03.53 ID:eyoTnL0Vo<>
ガチャリ
扉が開く音が聞こえた。
その音は、地獄の門が開く音なのか、天使のラッパの音なのか、僕にはどちらとしてもと
れた。
スタスタスタスタ…
トン
「……」
「…」
僕らは無言で対峙する。さながら宮本武蔵と岩流の気分かな?
まあ僕としては、一方的に虐殺されたいのだけれど。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:02:32.17 ID:eyoTnL0Vo<>
「先に言っておきます」
「…」
「僕を殺す気がないなら、もう僕の前に現れないで下さい。殺してくれるなら、今すぐに
でも殺して下さい。あなたなら出来るでしょう?」
「…」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:02:58.96 ID:eyoTnL0Vo<>
「……条件がある」
「……なんですか?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:03:25.42 ID:eyoTnL0Vo<>
「俺と勝負しろ。お前が勝ったら、俺はお前を殺してやる。だが、俺が勝ったらお前は生き続けろ。最大の幸せを得ながら、生き続けろ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:03:52.27 ID:eyoTnL0Vo<>
「――……なるほど。そうでましたか。でもわかっていますか?貴方は第七位、僕は第一
位。さらに、第二位以上と第三位以下の間には圧倒的な壁があるんですよ?勝てると思っ
てるんですか?」
「御託はいい。場所は用意した。ついてこい」
「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:04:29.32 ID:eyoTnL0Vo<>
二人が歩みを止めた場所は、列車の操車場だった。
別の世界線で、第10032次実験が行われた、あの場所だ。実に奇妙な因果の流れ
である。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:05:59.62 ID:eyoTnL0Vo<>
「……で、『負け』の定義は?」
「降参するか、気絶するかだな。あと、お前手ぇ抜いてわざと攻撃受けて死のうとするな
よ?これはお互いの主張を懸けた戦いだ。そんな汚ぇ手を使ったら死んでやる」
「人に死ぬなって言う癖に、自分は簡単に死んでやるって言うんですね……全く、いつも
貴方は論理も理屈もn――」
「俺は、お前のためなら命だって賭けてやる」
「……」
「んじゃ、始めるか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:06:46.14 ID:eyoTnL0Vo<> __,,:::========:::,,__
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ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
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`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙i|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:07:13.35 ID:eyoTnL0Vo<>
巨大な爆発が起こった。
二人を中心として核爆弾の如き爆発が起き、周囲のコンテナは飛ばされる前に余波のエネルギーによる熱で溶け、巨大なクレーターが出来た。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:07:39.88 ID:eyoTnL0Vo<>
粉塵が晴れた。
二人は、休み時間にクラスメートと談笑しているかのような距離から、互いに互いの目を
見ていた。
削板「……」
一方「……」
削板「……俺の右腕が折れ、お前は無傷、か。こりゃあなかなかに根性が必要だな」
再び、激突。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:08:16.06 ID:eyoTnL0Vo<>
一方(おいかけっこで捕まえられた時から、思っていたのだけれど…)
音速以上の戦いの中、一方通行は思う。
一方(ベクトルの成分、動き、法則が定義できない。解析しようとしても、毎回全ての要素
が違う……まるで『オメガシークレット』を解いてる気分だ)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:08:53.49 ID:eyoTnL0Vo<>
ドギャッ
一方「がっ」
一方通行は、数十メートルをバウンドせずに飛ばされる。
削板「……ほう、今の感じだと攻撃が通るのか。だんだん解ってきたぜ」
一方(……前言撤回だ、『オメガシークレット』より難しい)
一方通行は倒れた姿勢のまま、立ち上がる動作も見せず削板に突撃する。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:09:20.39 ID:eyoTnL0Vo<>
数時間が過ぎた。
二人がいる場所は、創世記の地球のごとく何もない。
そして、創世記の地球のごとく、雨が降っていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:09:47.11 ID:eyoTnL0Vo<>
サア―……
一方「……もう、やめましょうよ」
一方通行は、無数の水滴を落とす空を見上げて、ポツリとつぶやく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:10:14.20 ID:eyoTnL0Vo<>
地に臥した、削板に対して。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:10:41.14 ID:eyoTnL0Vo<>
一方「……貴方の能力を解析し終わった時点で、勝負は決まっていた」
空は黒く濁っている。
一方「数発に一回攻撃が通っても、貴方は自分の能力を把握しきれていないから、思う攻
撃をすることが出来ない。もし出来ても、それを解析すれば同じ」
削板は応えない。否、応えられない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:11:08.45 ID:eyoTnL0Vo<>
一方「……貴方の能力は、本当に異質だった。まるで超能力と、それに似た別のなにかの
法則を織り交ぜ、それに極めて相似なものを異界から放っているようだった。……さらに
またある一つの要素が外殻を固めていたけど、それを僕は完全に理解することができなか
った……貴方が本当に自身の能力を理解することができれば、レベル6に辿りつけるかも
しれませんね」
削板「」
一方「……それじゃあ、約束通り、明日、殺しにきて下さいね」
削板「」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:11:35.70 ID:eyoTnL0Vo<>
一方通行は、視線を下げ、倒れて動かない削板を見ていた。
僅かの間、見ていた。
そして踵を返し、歩き始めた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:12:03.02 ID:eyoTnL0Vo<>
「……ねぇ」
一方「……」
一方通行は、聞こえてくる声に、振り返ることはなかった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:12:29.38 ID:eyoTnL0Vo<>
「……けられねぇ」
「……」
ただ、淡々と歩く。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:12:56.52 ID:eyoTnL0Vo<>
「絶対ぇに負けられねぇんだ……!俺はこの勝負に負けちゃだめなんだ……!」
「……」
もう、動くことはない。変わることもない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:13:23.10 ID:eyoTnL0Vo<>
「いいからこっち見ろよぉぉおおおお!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:13:49.85 ID:eyoTnL0Vo<>
一方「!!」
一方通行は何かに肩を掴まれ、強制的に振り向かされた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:14:16.65 ID:eyoTnL0Vo<>
強い少年は、泣いていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:14:43.34 ID:eyoTnL0Vo<>
顔をぐしゃぐしゃに歪め、涙を流し、洟をたらし、こちらを見ていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:15:10.37 ID:eyoTnL0Vo<>
「俺が弱いなら……もっと強くなるから……!行かないでくれ……死なないでくれ……も
う一度チャンスをくれないか……!頼む、頼むよ、絶対にお前を死なせたくない……!!
もう一度戦ってくれ……!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:15:36.87 ID:eyoTnL0Vo<>
弱い少年は、強い少年が泣いていることが信じられなかった。
強い少年は己の信念を貫き、決して屈せず、輝く存在だと思っていた。
その彼が自らの信念を曲げ、自分にすがり頼んでいる。根性のない要求を。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:16:03.54 ID:eyoTnL0Vo<>
「……なんで……なんでそこまで僕に拘るんだよ!!」
「……僕はどうしようもない人間だ!!!524人の人間を殺し社会に役立つこともせず
家にこもり自傷に逃げ今もこんな救いの手を伸べてくれる人を蔑ろにしているんだ!!!
そんな人間になんの価値がある?!!!そんな人間を救ってどうなる??!!!僕は世界
のゴミだ!!!君の信念を曲げてまで僕が救われる必要なんかあるものか!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:16:30.56 ID:eyoTnL0Vo<>
「……もう、僕を殺してくれなんか言わない。殺さなくていい。君は、もう僕を見捨てて
いいんだ……」
弱い少年は、肩に置かれた強い少年の手を払う。
「……本当にありがとう。こんなに人の愛情を感じたのは初めてだった。でも、もう十分
だよ。この思い出だけで、僕は贖罪を続けることができる」
「さようなら……君のことは、永遠に忘れない……本当に、ありがとう……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:17:32.42 ID:eyoTnL0Vo<>
「……どうでもいい」
「……え?」
「お前の罪なんかどうでもいい!!!お前の贖罪なんかどうでもいい!!!お前がど
んなことをしてきたか、どんな運命をたどってきたか、どんな結論を出したかなんてどう
でもいい!!!!」
「……え」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:17:58.93 ID:eyoTnL0Vo<>
「お前を見捨ててたまるか!!!!お前を死なせてたまるか!!!!俺はお前が笑うまで、
お前を諦めない!!!絶対に見捨てることは出来ない!!!!お前を――――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:18:26.26 ID:eyoTnL0Vo<>
「愛しているからだっっっっ!!!!!!!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:18:53.36 ID:eyoTnL0Vo<>
僕はもう、意地をはることはできなかった。戦うこともできなかった。抗うこともできなかった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/12/18(火) 13:19:20.65 ID:eyoTnL0Vo<>
泣き崩れてしまったから。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/18(火) 13:21:22.07 ID:eyoTnL0Vo<> ここまで。冷静に見るとなんて恥ずかしくてキモい文章なんだ……ぜったいホモォが出てくる……
次回は今日か明日中です。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 18:01:34.50 ID:eyoTnL0Vo<> \ /
\ /
\ /
\ /
\ /
\∧∧∧∧/
< 俺 >
< 予 し >
< か >
─────────< 感 い >──────────
< な >
< !!! い >
/∨∨∨∨\
/ \
/ ∧_∧ \
/ ( ・ω・) \
/ _(__つ/ ̄ ̄ ̄/ \
/ \/ / \
 ̄ ̄ ̄
誰か……レスを……
だめなのかどうかも解らない…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 18:29:47.34 ID:O449a8Bvo<> >>279の真意というか、その辺りが出てくるまで何ともいえん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 19:42:17.11 ID:fX173AjVo<> rom専は意外と多いぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 21:55:07.52 ID:eyoTnL0Vo<> >>284
すいません、そのセリフの真意について、この章で書くことは出来ないです。
おそらく、一方通行はどんな意味でその言葉をいわれたのか、わかっていると思うので。
流れを読んで、一方通行の気持ちになってみて下さい><
次章(内容が日常ギャグに変わり、あまりの変化にスレを変えざるをえないため、次スレになります)
ではギャクの中で匂わせるかも……?
あと、気に入らないことがあったらドンドン書いて下さい!!それを考慮して展開を軌道修正します。
質問も待っていますが、作品の空気や展開上、応えられない場合があります。御容赦を。
あ、あとシリアスだからって書き込みを尻込まなくたっていいんだからね!!べ、別に寂しいわけじゃないんだから!!!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 21:56:16.60 ID:Q/1d0DWIO<> ソギーいい奴だよな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 21:56:24.50 ID:eyoTnL0Vo<> 次にお前は『つまんねーから書きこまねぇーんだよ』、と言う。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 21:59:16.59 ID:VBZTiANIO<> >>288
WRYYYYYYY <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 22:27:27.66 ID:VNfTf4Pno<> 一気読みヒャッハァアア <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/19(水) 00:20:39.14 ID:lzs8tzK50<> 乙おつ
ソギーかっこいいよソギー
ちゃんと読んでるから完結させろよな! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:14:04.77 ID:EsEWRVBro<> 投下します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:14:45.60 ID:EsEWRVBro<>
昼間から降っていた雨が晴れ、凛とした夜をつくる学園都市。
その街の第七学区、とある5階建ての学生寮前の道路で、一人の少年が、もう一人の少年
に肩を貸しながら歩いていた。
一方「……削板さんよく立ってられますね。その異常な治癒力も能力に関係しているんで
すか?」
削板の体を支えながら、不思議そうな顔で問かける。
削板「いや、根性だな!!根性があれば痛みも乗り越えられる!!」
削板は片足を引き摺っていたが、それ以外はこれといって外傷が見えないように見える。
一方「……ハハッ、そうですね」
削板「お前絶対信じてないだろ!その顔は!!」
二人の体はお互いにボロボロだが、心からの笑いを浮かべ、ゆっくりと歩いた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:15:13.27 ID:EsEWRVBro<>
一方「今日は家で休んでいって下さいよ。そして朝一番、病院に行きましょう」
削板「何言ってんだ、この程度の傷、一日経てば治る!!」
一方「いえいえダメですって。あなた最後の言葉を言った後気絶しちゃったじゃないです
か。体の限界が来てるんです!」
削板「むう、そうは言っても――」
一方「言うこときかないならもう一度再起不能にしますよ?」
ニコリ、
と、一方通行は笑う。
削板「お、おう」
一方通行の恐ろしいまでの力を体感している削板は、頷くしかなかった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:15:40.47 ID:EsEWRVBro<>
一方「それじゃあちょと鍵開けますね」
一方通行は、自室の前で、ポケットから鍵を取り出す。
一方「……あれ」
削板「……どうした?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:16:07.82 ID:EsEWRVBro<>
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
一方「鍵が開いている……!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:16:34.59 ID:EsEWRVBro<>
削板「おいおいどうした?ただの閉め忘れじゃねぇのか?」
一方「い、いや……確かに僕は鍵を掛けました……!! 一体どうして……!!」
削板「……空き巣か……それともそれ以上の何か、か?」
一方「!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:17:01.12 ID:EsEWRVBro<>
削板「……」
一方「……」
二人は、目の前の扉を見ながら、押し黙る。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:17:28.02 ID:EsEWRVBro<>
削板「……俺が行く」
一方「…え?」
削板「俺が先に中に入って、様子を見てくる。お前はここで待ってろ」
一方「い、いや……アンチスキルを呼びましょうよ!どんな奴がいるのかもわからないの
に中に入るなんて危険です!!」
削板「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:17:54.42 ID:EsEWRVBro<>
削板「……」
削板は、何かを考えるように押し黙り、そして口を開いた。
削板「……いや、もしかしたら、お前を実験に連れ戻そうとする連中かもしれねぇ」
一方「!!!」
削板「……さっきのお前の話からすると、その実験は学園都市の深い闇の部分に関わって
いる。そいつらが、アンチスキル如きにやられるか?」
一方「……じゃあ僕が」
削板「奴らの標的はお前だ、お前がのこのこ入っていってどうする?本当は今すぐにでも
逃げて欲しい所だが、お前はそれじゃ納得しねぇだろ?ここで待てってのは妥協の案だ」
一方「……」
削板「それじゃあ、行ってくる。危険な音がしたら、すぐに逃げるんだ」
一方「あっ、待っ」
バタン
削板は一方通行の声も聴かず、部屋に入っていく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:18:21.13 ID:EsEWRVBro<>
5分程経った。
一方「……」
削板は、依然、帰ってこない。
クローゼットや風呂場に隠れていないかを確認しているだけだとわかっているが、
一方「…」ギュ
不安は、収まらない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:18:47.94 ID:EsEWRVBro<>
「ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:19:15.06 ID:EsEWRVBro<>
一方「軍覇!!!」
一方通行はその声を聴いた瞬間、扉を開け、中へと身を繰り出していた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:19:42.16 ID:EsEWRVBro<>
パンパンッ パンッ
「主賓、入場〜!!!!」
「「「「いえええええええええええええい!!!」」」」
削板「それでは開催するぜ!!!一方通行&練習試合勝利を祝う会!!!!」
ドンドンぱふぱふ!!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:20:09.30 ID:EsEWRVBro<>
一方「……は?」
野A「いええええええええええええええええい!!!!!!!!」
野B「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!111」
野C「WWWWWWWRRRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!」
野D「ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
工山「うるさいっ、黙れっ」
ばしばしばしばしっ
ばしっ
削板「って何故俺まで!!」
工山「今何時だと思ってんだ!クレームが来て会が終わったら台無しだろうが馬鹿共!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:20:36.22 ID:EsEWRVBro<>
野&削板「……」
猿共は顔を見合わせ、
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:21:02.61 ID:EsEWRVBro<>
「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!111」」」」
工山「ケンカ売ってんのかお前ら!!」
工山 野球部員&削板
人間と 猿 との戦いが始まった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:21:29.72 ID:EsEWRVBro<>
一方「」ポカーン
一方通行は目の前の乱痴気騒ぎに唖然としていた。
マネ「ちょ、ちょっとみんな主賓が置いてかれてるよ!!落ち着いて!!」
野all「」ピタッ
工山「てめぇらまじでぶっとばすぞ!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:21:56.52 ID:EsEWRVBro<>
削板「はっはっはっは、驚いたろう、一方通行。お前を外に出したのは、このためだった
んだぜ」
削板は、一方通行に向かって笑う。
そして首を回し、部屋全体を見る。
そこには、いたる所になされた飾付けと、料理と、仲間がいた。
削板「みんな、お前のために集まってくれたんだ。お前を思ってる奴はこんなにたくさんいる。お前は、もう――」
「一人じゃ、ないんだ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:22:22.91 ID:EsEWRVBro<>
一方「……」
皆が一方通行の方に笑顔を向け、その言葉を待つ。
一方「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:22:49.85 ID:EsEWRVBro<>
一方「ふぇ」ポロ
「「「「!!!!!」」」」
一方「ふぇええええええええええええん!!!」
本日二度目の涙。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:23:17.10 ID:EsEWRVBro<>
削板「はっはっは、泣くなよ一方通行!!そんなにうれしかったのか!!」
削板は泣いている一方通行の背中を叩きながら笑っている。そのせいでさらに一方通行がむせていることには気付いていない。
野A「……なあ、あの一方通行って子、泣き方かわいすぎじゃね?女なんじゃね?」ヒソヒソ
野B「だとしたら超美人だなぁ」ヒソヒソ
野F「いや、マネージャーの方が可愛いな。あの子には胸がない」ヒソヒソ
野G「……どっちにしてもババァじゃねーか」ヒソヒソ
野E「やはりお前、ロリコンか」ヒソヒソ
工山「お前らの頭の中はそれしかないのか……!」ヒクヒク
マネ「ちょっと〜皆残りの料理運ぶの手伝って〜」
「「「YES,SIR!!!」」」
工山「……」(もう、マネージャーが監督でいいんじゃなかろうか)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:23:43.69 ID:EsEWRVBro<>
一方通行も落ち着き、工山がいじけてるのを宥めた所で。
工山「それでは、改めて一方通行&練習試合を祝う会を初めます。では――」
「「「かんぱーい!!」」」
カンカン、カン
宴が、始まった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:24:10.48 ID:EsEWRVBro<>
「「「ぶうううううう!!!」」」
工山「これ酒じゃねーか!!誰だ買ってきた奴!!」
工山の突っ込みから。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:24:37.05 ID:EsEWRVBro<>
削板「いやあ、バレるんじゃないかとヒヤヒヤしたぜ。お前がアンチスキルを呼ぼうって
言った時はまじびびった」
一方「全然わかりませんでしたよ。というかどうやって開けたんですか?」
削板「ああ、それは野Cが鉄を操る能力でな。ちゃちゃっと」
一方「……なんですか。削板さんやその周りの人は軽犯罪に対する意識が皆無なんですか?
いや、別に責めてるわけじゃないんですけど……」
マネ「じゃ〜ん、七面鳥の丸焼き〜」
野A「流石マネージャーッ!俺達に出来ないことを平然とやってのけるッ!!」
野B「そこに痺れる憧れるゥ!!」
皆は料理を楽しみ、会話を楽しみながら、会を進めていく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:25:29.46 ID:EsEWRVBro<>
その中に、不穏な会話をする三人が。
野E「なあ野G、お前、あの子の胸触ってこいよ」
野G「な、なぜ俺がそんなことを」
野F「お前ロリコンだろ?感触だけならほぼいっしょだぜ。見ろよあのすべすべで真っ白な
肌。お前の好きなコッポラちゃんにクリソツだろ?」
野G「アナちゃんと言え!!可哀想だろ!!」
野F「お、おうふ」
野E「んなことどうでもいいから早く触ってこいよ」
野G「そんなこととはどういうことだ!!お前はアナちゃんを馬鹿に」
野E「うるせぇ!!」
野G「へぶっ」
おおげさな声を出してはいるが、実際は右頬を軽くはたかれただけである。
野G「おま、何すん」
野E「シャアラップ!!」
野G「グハッ」
今度は左頬を軽くはたかれただけ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:25:56.31 ID:EsEWRVBro<>
野G「に、二度も殴ったね!!親父にm」
野E「お前のヲタネタなんてどぅでもぃんだよ!!お前が本当に望んでるのはなんだ!!読
者が本当に望んでるのはなんだ!!!」
野G「!!!」ハッ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:26:23.31 ID:EsEWRVBro<>
野E「百合子ちゃんの恥ずかしい描写だろうが!!!」
※酒は工山さんに禁止されたため、酔っているわけではありません。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:26:50.11 ID:EsEWRVBro<>
野G「……ごめん、野E。俺、間違ってたよ。実年齢がババァだからって、男だからって、
挑戦することを諦めてた」
野Eはその言葉に、深くうなずく。
野G「でもちがった。真の長点上機野球部部員は――」
「目先の欲望にとらわれるべきなんだ!!!!」
※酔ってません。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:27:16.67 ID:EsEWRVBro<>
野E「わかってくれたか、野G!!お前なら分かってくれると思っていたよ!!!」
野G「うう……ありがとう、野E……」
野F「あのお二人さん、熱くなってるとこ悪いんだけど……」
野EG「「あん?」」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:27:43.01 ID:EsEWRVBro<>
彼らには、視線が向けられていた。
マネージャーは、絶対零度の視線。削板は、灼熱の視線。
削板の後ろには、一方通行が涙目でプルプルしている。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:28:09.87 ID:EsEWRVBro<>
「……アウト。よって退場」
監督の決定権が発動された。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:28:36.81 ID:EsEWRVBro<>
野F「ちょちょっとまって俺は途中から話に参加してなかったでしょだからセー」
バタン
削板「……行き過ぎることは、いかんことだな」
工山「お前がわかってくれて本当に良かった」
一方「あの……大丈夫でしょうか彼らは……」
工山「大丈夫大丈夫。あいつらは簡単にへたばりはせんよ……それがいつもいい方向に向
けばいいのに……」
マネ「……」
削板「……」
工山「……」
一方「……あ、あの、えっと…………なんでも、ないです……」
野A「……」(おい、どうすんだよこの空気)
野B「……」(知るか。どうしようもねーだろ)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:29:04.16 ID:EsEWRVBro<>
マネ「……!」
バッ
All「!??」
皆が、急に立ち上がったマネージャーを注目した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:29:30.99 ID:EsEWRVBro<>
マネ「私、マネージャー、お酒いっき飲みしますっ!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:29:57.94 ID:EsEWRVBro<>
工山「!!お、おいそれは――」
野C「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
野A「盛り上がってまいりましたあああああああああああああ!!!」
野B「姉さんこちらを!!」
野Bが酒を差し出す。
工山「おい!それはダメだろ!いくら盛り下がってたって酒はもごもごもg」
野Dが工山の口を押える。
「「「いーっき!!! いーっき!!」」」
マネ「……」
マネ「……」スゥ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:30:48.02 ID:EsEWRVBro<>
数時間後。
工山「……だから俺はダメって言ったんだ……」
その言葉を最後に、一方通行の部屋は完全な静寂となった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:31:14.59 ID:EsEWRVBro<>
部屋は死屍累々の体を為していた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:31:41.53 ID:EsEWRVBro<>
チュン……チュンチュン……
一方「う…うう」
一方通行は痛む頭を押さえて起き上がる。
下手をすると罪悪感を感じた時におきた痛みよりも酷いかもしれない。
一方「……みんな、まだ寝てるな……」
周りを見て、呟く。
一方「……風、あたりに行こう」
一方通行は、死体の山を乗り越えて外に出る。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:32:08.76 ID:EsEWRVBro<>
キイ……
一方通行は、寮の屋上の扉を開けた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:32:35.73 ID:EsEWRVBro<>
太陽が丁度東から出る所で、一方通行は目を細めた。
その光に照らされ、影を見せる人物が一人。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:33:02.37 ID:EsEWRVBro<>
「……おはようございます」
一方通行は、影に近づく。
影は振り向き、声を発する。
「おお、おはよう。もう起きたのか?」
影の顔は、逆光で見ることは出来ない。
「ええ。参りましたよ。お酒があんなに恐ろしいものなんて……」
「ははははは、ちゃんと工山の言うこと聞いてりゃよかったな」
「ほんと、そうですよ……ふふっ」
一方通行の口から、笑いがもれる。
「……どうした?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:33:29.50 ID:EsEWRVBro<>
「いや、ホント楽しかったなって。本当に――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:33:55.94 ID:EsEWRVBro<>
「楽し……くて……うれしいなぁ……って……」
涙が、光でキラキラと輝く。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:34:23.21 ID:EsEWRVBro<>
「……こんなにも……人といるのが楽しいなんて……心が通ってる人がいるのが……幸福
なことなんて……知らなかった…から」
嗚咽することもなく、俯くこともなく、一方通行は影を見据えて言葉を紡ぐ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:34:49.90 ID:EsEWRVBro<>
「そして何より……君がいてくれた……それが……うれしい」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:35:16.37 ID:EsEWRVBro<>
「僕は……君がいる……この世界に…生きていたい……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:35:43.11 ID:EsEWRVBro<>
一方通行には、影の表情は見えない。
だが、見えなくても、わかっていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:36:17.52 ID:EsEWRVBro<>
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
わかっていると思っていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:36:44.27 ID:EsEWRVBro<>
「……前から思っていたんだが」
「…?何?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:37:10.84 ID:EsEWRVBro<>
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「お前のその考え方は間違っている」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:37:38.77 ID:EsEWRVBro<>
「……え」
「お前のその考え方は危険だ。なぜなら――」
マネ「ちょっと二人とも来て!!!」
太陽はこんなにも眩しいのに、明るく感じられない。
どうしてだろう?
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:38:06.01 ID:EsEWRVBro<>
ダダダダダダ……
ガチャ
一方通行は、部屋の扉を開けた。
そして――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:38:32.72 ID:EsEWRVBro<>
その中にいた何かが一方通行にしがみつく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:38:59.89 ID:EsEWRVBro<>
90号「ミサカを……助けて下さい!!!!とミサカは…………!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/12/19(水) 18:40:36.02 ID:EsEWRVBro<> 気持ち悪い奴は気持ち悪いと言われ、弱いやつは弱いといわれるべきなのです。
甘やかされただけで、人は変わることはできません。
次回投下は明日です。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/12/19(水) 19:54:53.83 ID:c4j4mCmVo<> ┌(┌^o^)┐おつ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/19(水) 22:29:29.35 ID:FXxHlBuPo<> 乙!
まさかのミサカ登場か… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/19(水) 23:50:57.02 ID:ZqvgQ7aIO<> おつ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/20(木) 10:42:06.13 ID:l/UHVvMYo<> >>1です。今日中に出来そうにないです。すいません。
おそらく、次の投下でこの章は終わりです。そしてそれが、一番僕が伝えたいことになると思います。
しばらく推敲をするので、しばしお待ち下さい。今年中には投下する予定です。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/24(月) 00:00:16.10 ID:BtMY6ihio<> 待っとるでー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:48:02.56 ID:8/flNvtVo<> これから僕が投下する内容はひとりよがりな自慰行為であり、ゆえに論理が破綻している部分が多々あります。
それでもいいなら、お読み下さい。
投下します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:48:36.32 ID:8/flNvtVo<>
学園都市という物について、もう一度考察しよう。
“世界の二大勢力の一方たる科学サイドを支配する総本山。東京西部に位置する完全独立
教育研究機関。あらゆる教育機関・研究組織の集合体であり、学生が人口の8割を占める
学生の街にして、外部より数十年進んだ最先端科学技術が研究・運用されている科学の街。
また、人為的な超能力開発が実用化され学生全員に実施されており、超能力開発機関の側
面が強い。”
物理的な概要としては、この答えで完璧だ。これで、大体の事情が把握出来ると思う。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:49:04.30 ID:8/flNvtVo<>
では、その世界の子供達が持つ超能力のことを考えてみよう。
常識では考えられない、物理現象、超常現象。この力を持つ子供達を、こちらの世界がい
る僕達は、羨望していると思う。
テレポートがあれば毎日満員電車に乗らなくて済む。クレアボイアンスがあれば、覗き放
題だ。パイロキネシスがあれば気に入らない奴を屠ることが出来る。
こんな便利な力、欲しくないわけがない。超能力も、“頭がいい”とか、“足が速い”とか、
そういう人生をイージーモードにする一種の“力”だからだ。皆人生楽に生きたいと思っ
ている。
しかし、この世は相応に出来ている。
毎日勉強を十時間やった奴は東大にいけるし、毎日十キロ走った奴は都大会に出れる。よ
うは根性もって努力した奴が成功するっつー世の中だ。
そういう相応で出来ている世の中で、そんなチートが人間如きに与えられるわけがない。
相応じゃなくなり、世界のバランスがくずれるからだ。こういう言い方が嫌いなら、科学
的に言い直そう。生物が進化するのは周りの困難な環境でも生き抜くためだ。超能力を持
つようになる進化をするってどんな過酷な環境だよっつー話だ。まあこれが世界のバラン
スで、相応で出来ているっていうことだ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:49:31.33 ID:8/flNvtVo<>
次にお前は『相応?そんな単純な話じゃない。世界はそんなに平等じゃない』、と言う。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:49:58.09 ID:8/flNvtVo<>
そりゃそうだろう。もしボルトと同じ生まれ、同じ育ち、同じ努力をしても、彼より速く
走れるわけがない。
才能や好い運命の有無っていう残酷な仕分けは確かにこの世の中にあって。皆それにもが
いている。皆それに対抗し、能力を渇望している。その仕分けはこのssの原作、とある
魔術の禁書目録の中にも存在している。素養格付という明確な数値を持って。
じゃあ何で相応だと言うのかって?なぜって、この世の因果はこの世界だけで決まってい
るとは限らないからだ。
別の世界線からの干渉の可能性は?輪廻転生の内に何かを得た可能性は?原罪を背負って
いる可能性は?
僕達は、それがある可能性を否定できない。人は視認出来ないものを信じない傾向がある
が、発見出来ない=存在しないではないからだ。自分達の物を数値化する技術が完璧だと
いう慢心から、その傾向が出来ているんだ思う。この世には、まだ僕達が到底思いつかな
いような、次元が違うレベルの不可思議な法則がたくさんあって。その法則を理解してい
る連中がいるならば、彼らは、現状の位置で慢心を抱いている僕達を嘲笑していると思う。
まあだからってあるって決まってるわけじゃないんだけどね。お前は魔術サイドかって言
われるような話だ。
そういう僕達には到底理解出来ないような因果がある、かどうか知らんけれども。僕達が
観測出来ないなにかの力によって、僕達の人生のモードは相応にイージーかハードに分け
られているんだと思う。結局はわからず終いだってことだな。
だけど、この話が本当だったとしても、どうしようもないことで、不平等で、理不尽だ。
糞喰らえ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:50:56.99 ID:8/flNvtVo<>
でも降ってくる試練やターニングポイントも、その人に相応なものが降ると思うんだ。乗
り越えられない困難は、ないんだと思う。
絶対無理だと思うことでも、それに誠実に向き合うことが出来れば、僕達はまた一歩進む
ことが出来るんだと思う。そう、信じたい。それくらいの酌量があったっていいだろう?
さて、『もうお前の下らない前書きはいらんからさっさとミサカさんがどうなったかを書け』って
思ってるだろう。だが、この話も関係してるんだよ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:51:29.49 ID:8/flNvtVo<>
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
なぜなら一方通行は己が最強の能力に相応じゃないからだ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:51:56.27 ID:8/flNvtVo<>
与えられた物に相応しくない位置にいる者には、世界からの強制力が働く。
須らく、彼は彼相応の試練を受けることになる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:52:23.49 ID:8/flNvtVo<>
――――a.m.6:12 とある5階建ての学生寮、311号室
部屋の中にあるのは、木製のテーブル。黒いソファ。いわゆる普通のベッド。液晶テレビ。
木製のテーブルの上には食器や食べ滓がちらばり、フローリングには大量の空き瓶、ベッ
ドはその上でプロレスでもしたのか、グチャグチャになっている。壁などに銀紙の花など
がつけられているが、何分電気をつけず、カーテンだけを開けているので、雲に翳る太陽
の光を鈍く反射しているだけだ。テレビの上枠には、小さなカエルの人形が、微笑をもっ
て佇んでいる。
そのにぎやかさを醸す部屋には、今は三人の人間しかいない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:52:50.61 ID:8/flNvtVo<>
90号「……」
床に座り、足を抱えて小刻みに震え、虚空を見つめている者。
一方「……」
顔を青ざめさせ、力なくソファに座っている者。
削板「……」
床にぶちまけられた吐瀉物や汚物を処理している者。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:53:17.63 ID:8/flNvtVo<>
削板「どうだ?少しは落ち着いたか?」
とりあえずの程度で処理した削板は、90号の前に座り、優しい声色で問いかける。
90号「……」
震えは、止まる兆しを見せない。
削板「……落ち着いた時でいいから、事情を話してくれな」
削板は立上がり、一方通行の所へ向かう。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:53:44.37 ID:8/flNvtVo<>
削板「おい一方通行、しっかりしろ」
一方「……………………………………………………………………………………」
削板「……おい、一方通行?」
一方「…………………あ、はい……すいません………混乱、しちゃってて…」
削板「……そうか。だが、今は混乱している暇もないと思う。おそらく、あの子はその実
験の関係者に追われている。もしかしたら、発信機かそれに代わる特殊な何かをつけられ
ているかもしれない」
一方「!!!」
削板「今すぐ、お前の能力で何かされてないか調べてくれないか?」
一方「…」コク
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:54:10.76 ID:8/flNvtVo<>
一方「……そういうのはないみたいだよ」
削板「そうか。そりゃあ不幸中の幸いってやつだな……」
削板「だが、どちらにしてもここに居るのは危険だろう。可能性ある場所を虱潰しにされ
たら終わりだ」
一方「……うん」
削板「だから、俺の家に行こう。奴らも、お前と俺との接点まで知らんだろう」
一方「……監視カメラがはってる所も、危険かもしれない」
削板「! そうだな。……工山に、発見されないルートを聞くか。あいつの彼女、風紀委
員の凄い奴らしいし、調べてくれるだろう」
削板は、振り返り、目に光が灯らない少女に問いかける。
削板「嬢ちゃん。移動するんだが、動けるか?」
90号「……」
体は震えているままだったが、彼女はしっかりと頷いた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:54:37.11 ID:8/flNvtVo<>
――a.m.7:21 スキルアウト達が使う裏通り
削板「……」
削板はビルを見上げ、監視カメラの有無や空を覆うようにビルとビルの間に張られたビニールシートの有無を目視し、
削板「…」クイ
後ろに合図を送る。
一方「行くよ、ミサカさん」
90号「……」
一方通行は、90号の手をとり、走っていく。
その手に、彼女の恐怖を感じながら。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:55:03.77 ID:8/flNvtVo<>
――a.m.8:05 スキルアウト達すら使わない廃屋
削板「ここなら、監視カメラも、人工衛星からも映らないらしい」
削板は、危険な廃材をどかしながら、二人に告げる。
削板「だが、逆説的にそういうポイントは絞られているはずだ。だから、ここに長い間い
ることは出来ないが……」
一方通行は、90号のそばに寄り添い、雑多な意味を持つ眼差しを向けている。
削板「今日はここに泊まろうと思う。食糧やその他に必要な物は、俺が買ってくる。長期
戦になるだろうが、まずは逃げることが大事だ。相手の力は未知数だ、もしかしたら学園
都市自体が、俺達の敵なのかもしれない。……だが、逃げ続けるわけにもいかない。逃げ
ている間に、どうするかを考えよう」
削板は顔を上げ、言葉を締める。
そこには、簡易な睡眠スペースが出来ていた。
削板「じゃあ俺は必要なものを買ってくる」
そして削板は、一方通行の方を向く。
削板「もし敵が来ても、お前は戦わなくていい。お前はもう誰も傷つけなくていい」
一方「……」
削板「敵が来たら、次の隠れ場所に逃げろ。場所は――」
一方通行と削板は具体的な策を決めていく。
その様子を見ていた少女は、
90号「……」
その震えを、少しだけ、小さくした。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:55:32.05 ID:8/flNvtVo<>
――p.m.7:57 スキルアウトすら使わない廃屋
削板「……やっぱ昼間はこねぇか。来るとしたら夜だな……そうならなきゃいいんだが」
削板は、夕食を取りながら、長い沈黙を破る呟きを漏らした。
一方通行も、90号も、削板と同じく、もくもくと食べている。
一方「……ミサカさんが夕食を食べれて安心しました。朝も、昼も何も食べてなかったの
で」
削板に続くように、一方通行が呟く。
しかし、一方通行のこの言葉は僅かに歪曲されていた。実際は、90号は食べようと試み、
吐き出してしまったのだ。
今も、時折えずくような動作を見せながら、食べ進めていた。
しかし90号はその手を止めて――
90号「……ミサカは、絶対に生きなければなりません」
一方「……」
削板「……」
90号「だから……飢餓で死ぬような愚行は犯しません、とミサカは宣言します」
90号はこのようにして、長らく閉ざしていた口火を切った。
削板「……なあ、何があったんだ?」
削板は問いかける。
削板「俺達に、何があったのか、教えてくれないか?」
90号「……」
90号は手にもっていたペットボトルを置き、
90号「ミサカは……ミサカ達最後の生き残りです」
鬱々と喋りだした。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:55:58.40 ID:8/flNvtVo<>
90号「ミサカ達はあの実験が終わってすぐ、在庫522体全てを処分することになりまし
た」
一方「…………………………」
90号「でも、ミサカ達は誰一人として、人間らしい恐怖や怒りを覚えていませんでした」
90号「あるとすれば、『ああ、ミサカ達は役目を果たせずに終わってしまうのだな』という
軽い落胆だけでした」
「このミサカもその例に漏れず、ただただ目の前で死んでいく姉妹達を見て、その感情を
共有して、『死ぬとはこういうことなのか』と淡泊に思っていました」
「ですが、私はある一人の研究者に呼び止められ、こう言われました」
「『あなたのAIM拡散力場が、他の個体と大きく異なり、能力レベルが4に達している。
この原因を調べるから、あなたはこれからやる新しい実験が終わるまでは、処分は見送り
だ』」
「ミサカはその指示に従い、その人についていきました。その時のミサカは、姉妹達が歩
く道を行かず、遠回りすることに少し不安を覚え、『他の姉妹とは違うんだ』という優越感
を感じていました」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:56:25.29 ID:8/flNvtVo<>
「でも、行き着いた先は一般的なアパートでした」
90号は、過去を語る老人のような、葬式の場で泣きながら別れを告げる娘のような、そん
な声で言葉を続けていく。
「流石にミサカも気付きました。ミサカは、まんまとその人に乗せられていたのだと」
「『何故騙したのか。私が何をしたのか』」
「ミサカはその人を責めました。そしたら――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:56:52.18 ID:8/flNvtVo<>
「――その人は泣き出してこう言ったんです。『ごめんね。あなただけしか助けられなくて
ごめんね。弱くてごめんね』」
「『私はこの実験が間違っていることを解っていた。貴方達が自分の命の価値を知らないと
解っていた。解っていたのに…………上からの言葉だからと、貴方達も肯定しているから
と、言い訳を並べて、私は戦わなかった』」
「『そして私は……また逃げた。貴方一人を助けたのだからいいと、独善的な免罪符をつく
って、戦うことをしなかった』」
「『ごめんね。本当にごめんね』」
「『甘くて、ごめんね』」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:57:19.10 ID:8/flNvtVo<>
ぽた ぽた
廃屋の汚れた床に、いくつかの雫が落ちる。
「『私は、あの子のように、強くなれなかった』」
一方「……」
「『あの子は、貴方のために、世界に立ち向かった。あの子は本当はすごく弱い子なのに、
あの子は自分を捨てて、貴方を救った』」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:57:45.63 ID:8/flNvtVo<>
「『だから、貴方はあの子の意思を汲んで、精一杯生きなさい。自分の命の重さを、わかりなさい』」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:58:12.24 ID:8/flNvtVo<>
「……その後ミサカは、その人と共に暮らしながら、人として大切なことを学んでいきま
した」
ひっ……ひっ…
言葉の合間に、嗚咽が混じる。
「その人はミサカに、普通の人間が食べるもの、普通の人間が着る服、普通の人間が住む
家を与えてくれました。単価18万の実験動物として生まれた、普通なら気味が悪いと思
うクローン体の、ミサカに」
ひっ…
「…ある時には、実験関係者に見つからないよう、家で過ごしているミサカが退屈しない
ようにと、ある漫画を全巻買ってきてくれたんですよ。……でも内容は特徴的な絵柄の少
年漫画で、『ミサカの趣味をなんだと思っているのですか』って抗議したんですが、『いい
から見てみなさい。その漫画は人間賛歌よ』ってわけのわからないこと言ったり……」
「……お互いの価値観をぶつけ合いながら、心を通わせながら、ミサカとその人は同じ人
間として同じ位置で生きていました」
「ミサカは、彼女に感謝し、尊敬し、愛を抱いていました」
「ミサカにとって彼女は、ミサカ達の知るよしもなかった、“母”と言う……もの…だと…
思って、いて」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:58:39.17 ID:8/flNvtVo<>
「それなのに!それなのにっっ!!!今朝っ……黒い服を着た奴らにっ……私を庇って……!!!」
言葉にならない声が、叫びが、薄汚い廃屋の中に響く。
「……」
「……」
二人の少年は、口を開くことができない。少女の慟哭を、宥めるべきなのかもわからない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:59:05.57 ID:8/flNvtVo<>
「ミサカはっ……」
激しい慟哭の中に、彼女の言葉が混じる。
「……ミサカはっ!!」
呼吸もままならず、元の可愛い顔はぐしゃぐしゃで。
「ミサカはっ……ひっ………絶対にっ……死にません!……ひっ………………あの人を…
悲しませたくないっ!!…あの人の意思をっ……無駄にはしないっ!!!」
それでも少女は言葉を紡ぐ。
泣き崩れて終わることはせず、言葉を紡ぐ。
90号「だからっ!!!!……ミサカを――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:59:32.83 ID:8/flNvtVo<>
「助けて下さいっっ!!!!!!!!!!」
そう叫んで、少女は、深く、深く、汚れた床に旋毛がつくほどに、頭を下げた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 04:59:59.92 ID:8/flNvtVo<>
削板「あたり前だっ!!!お前を死なせるかっ!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:00:26.22 ID:8/flNvtVo<>
削板は、少女の願いに、至大な声で応えた。
その声が、廃屋全体を揺るがしたのは、言うまでもない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:00:53.27 ID:8/flNvtVo<>
――p.m.11:40 スキルアウトさえ使わない廃屋
一方「……もう、完全に寝ちゃいましたね」
90号「」スー……
一方通行は、90号の顔を眺めながら、穴開いた天井からのぞく空を見ている削板に話しか
けた。
削板「……寝れるようなら、良かった。……なんも良くねぇけど」
削板の顔は、廃材の影に隠れて、一方通行からは見えない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:01:19.96 ID:8/flNvtVo<>
一方「……強いですよね。この子」
削板「ああ、強いよな。大した根性持ってるぜ、ほんと」
一方「……僕も、彼女のような強さを持っていたら、違う未来があったんでしょうか……」
削板「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:01:46.42 ID:8/flNvtVo<>
削板「でも、その子の強さのきっかけを作ったのは、お前なんだぜ?」
一方「……」
削板「お前だって、元々はそれをもってたんじゃねぇか。色々なことがあり過ぎてそれを
忘れてしまっただけで、本来お前は強さを持ってるはずだったんだ」
一方「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:02:13.50 ID:8/flNvtVo<>
一方「…僕があの時立ち向かったのは、自分のためなんですよ」
一方「『この子を死なせない』というよりも、『自分はもう人を殺したくない』っていう思
いから立ち向かっただけなんです」
削板「……それでも、絶対どこかでその子を助けたいって思ってたんだろ?」
一方「思ってたら、僕は木原先生と戦ってましたよ」
削板「…木原先生?」
一方「……長いこと僕の面倒を見てくれた人です」
削板「? じゃあ戦うってどういうことだ?」
一方「……木原先生は、あの実験の考案者の一人なんです」
削板「はああああ?!」
ガバッ
削板は起き上がって、素っ頓狂な声をあげる。
削板「え?お前を育ててて、え?実験をやらせた?どういう関係なんだ?……あっこの子
の育て親のように、上に言われたとかか!……ん?発案者だっけか?んんん??」
一方「はは……削板さんには、理解できないことですよね」
削板「む、待て待て俺だって馬鹿じゃないぞ!今わかr――」
一方「木原先生は、人の感情より絶対的な結果と証明を重んじてるんです」
削板「……じゃあ言葉通りの意味なのか?どういう神経してんだそいつ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:02:40.32 ID:8/flNvtVo<>
一方「僕も疑問に思って聞いたことがあるんです」
一方「ラットを使った実験の時のことです。子供だった僕はその実験の目的も知らなくて、
そして子供故に、動物を殺すことに抵抗があったんですよね。その時に、僕は実験を反対
したんです」
削板「おお、それで?」
一方「いつも僕がだだをこねると怒られちゃうんですけど、その時は本当にやりたくなく
て、殴られてもいいやって思ったんです」
削板「……」
一方「それでくるだろう攻撃に身を固めていたら……先生はこう言ったんです」
一方「『お前がここで頑張ることで、科学が進歩し、未来が大きく変わるのかもしれねぇぞ。
時代の先駆者や革新者はいつもその時代の価値観によって裁かれちまう。それが後世にと
ってどんな結果をもたらすかもわからねえのにな。お前は今目の前の罪に捕らわれている
が、未来の人類のためを思うなら、やってみるべきじゃあねえか?お前が時代を変えるん
だ。お前の力が、世界を変える……俺達で世界を変えるんだぜ?それって凄くおもしろく
ねぇか?素晴らしいことだろぉよ、なあ?』」
削板「………………………………………」
一方「……僕だって、木原先生がどういう人なのかはわかっています。ただ、木原先生は
この世界を僕らとは違う角度で見ているのかもしれません。先生は時折こういうことを言
うから、僕は先生を悪く思えないんです」
削板「……お前も、そいつと同じ考え方なのか?」
一方「僕は、先生のようには思いませんし、わかることもないと思います」
削板「…じゃあよ、お前に人殺しをさせるような人間が、お前を大切にしない人間が、お
前に真摯な言葉を向けるか?その言葉は、その思いは真実だったのか?」
一方「……わかりません。先生はいつも僕を殴っていましたが、悪意を感じたことはない
んです。僕は、先生の感情を読めた試しがありません。もしかしたら僕を納得させる虚言
なのかもしれないし、本当にそう思っているのかもしれません。僕には、判断がつかない」
削板「……」
一方「そして僕が先生を嫌いになれない一番の理由は――」
「僕を、認めてくれたことなんです」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:03:07.31 ID:8/flNvtVo<>
削板「………………………………………」
「先生は、僕と最初に会った時こう言いました」
「『てめえの名前は一方通行。何者も近寄れない、一人ぼっちの能力だよ』」
「そしてこう続けました」
「『だが、俺がいればそうなることはない』」
「『俺は、俺の血筋は根っからの研究者だ。だから、俺はお前の能力を磨き、磨き、磨き続
ける。その研究成果が、俺を満たし、能力を磨かれたお前は、その絶大な力で、全てを手
に入れることができる。金も勝利も友達もな。Win‐Winの関係だ』」
「『俺達は一心同体だ。俺達が組めば全てが手に入る。気に入らないことなんてありはしね
ぇ。過ちも起きねぇ』」
「『俺達で世界を――』」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:03:33.62 ID:8/flNvtVo<>
「『喰ってやろぉぜ。なあ一方通行』」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:04:00.82 ID:8/flNvtVo<>
一方「……僕は、この人のいうことを聞いて、力を手に入れば、過ちも、孤独も、失うこ
とも、なくなるんだ。そう思い、先生を信じることにしたんです」
一方「そしてなにより――」
「先生は僕を必要としてくれた」
「僕は必要とされているんだ。僕はこの世界にとって価値のあるものなんだ。……そうい
う自分を肯定する気持ちが、先生の存在によって保たれたんです」
削板「……」
一方「先生がいたから、僕はこの世界にいてよかった。今も、削板さんがいるから――」
削板「…ちげぇ」
一方「え?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:04:27.91 ID:8/flNvtVo<>
削板「その考え方は違う。間違ってるって言ってんだ」
一方「……どうしてですか?」
削板「お前は人が認めてくんなきゃ生きられないのかよ?そんな根性なしな考えは許せね
ぇな」
一方「? なぜですか? この世の中で誰にも必要とされず、される見込みもない人間は、
消えるべきじゃないですか?」
削板「……お前それ、寝たきりで動けない人間にも言えんの?」
一方「…別に、人にこの考え方を当て嵌めるつもりはありません。ただ、自分が生きてい
く理由としては、誰かに必要とされることだと思ったんです。だって、ものの価値ってそ
のものが持っているものに由来するじゃないですか。だから、僕達レベル5は多くの奨学
金をもらえるわけですし、長点上機という学校に在籍出来ているんです。……凄く冷たい
ことを言っているってわかってます。だけど、これが世界の真実じゃないですか」
「『愛情』とかで認めてくれるのは……削板さんだけですよ」
「だから、僕は一生削板さんに着いていきます。嫌って言ってもだめですからね?」
一方通行は、そう言って笑った。
そして削板は、
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:04:54.82 ID:8/flNvtVo<>
「はあ……」
深い、溜息をついた。
そして再び、横になって空をみあげる。
一方「……どうして溜息なんかつくんですか?そんなに僕のことが嫌いですか?」
削板の顔は、廃材の影に隠れて、一方通行からは見えない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:05:21.75 ID:8/flNvtVo<>
「お前は、何時になったら自分の足で立つんだよ……」
その呟きも、届かない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:05:48.66 ID:8/flNvtVo<>
――p.m.8:04 風紀委員活動第一七七支部
ピンポーン
間の抜けた音が澄んだ空気を持つ学園都市に響き、そして俺は彼女を待ち、手持ちぶたさ
に手を動かす。なんとなく、いつものキーをなぞる感覚で。
ガチャ
「はいはーい、あ、工山さん!!」
目の前に花飾りが咲き乱れる。……あいかわらず理解不能なファッションである。どうい
う心理状況でそれを被る結論に至ったんだ?
工山「……だから敬語はやめろといっとるだろーが」
初春「…えへへ…すいません、工山くん」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:06:15.18 ID:8/flNvtVo<>
初春「で、ですね。今回の目標、『学園都市にも気づかれない逃走ルートと隠れ家の確保』、
なんですが」
飾利はスプリングがよくきいたオフィスチェアに腰掛けながら、本題を切り出した。
飾利は、普段はぼんやりしていて頼りないのに、モードが入ると別人のように目が爛々と、
かつ氷の如く冷静になってしまう。まあ飾利はゲームやる時もいつもそうだし、彼女は熱
中していることを極めてしまう性分なんだろう。
俺としては、クリスマスなんだし、もっとイチャイチャしてたかったんだがな……
※工山死ねレスは後で受け付けます。怒りを抑えて下さい
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:06:42.06 ID:8/flNvtVo<>
初春「工山くん、聞いてます?」
工山「ん、ああ。波状検索していくうちに、妙な足跡が見つかったんだろ?」
初春「です。なんてことのないバグや誤字なんですけど、どうも怪しいんですよね。工山
さんのお友達の身の安全がかかってるなら、それも徹底的に――」
工山「うそつけ。本当は飾利が追及したいだけなんだろ?」
初春「……えへへ、ばれました?」
工山「当然。俺はもうお前の知らないとこなんてないからな。俺の情報収集能力を舐める
な」
初春「工山くん……」
工山「飾利……」
※抑えなくていいです。まじむかつくんで。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:07:08.87 ID:8/flNvtVo<>
初春は、先程初春が見つけた波状検索のログのバグを調べ、謎を解析するプログラムを構築していく。
工山はそのプログラムを最適化し、もし何かが起こっても俊敏に反応できるようにキー設定と数値設定をしていく。
そして二人のハッカーは、4時間たらずで、学園都市の真実を肉薄した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:07:35.19 ID:8/flNvtVo<>
初春「………………………」
工山「………………………」
そして、口を開くことは出来ない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:08:01.71 ID:8/flNvtVo<>
と、そこへ、
ガチャ
御坂「こんばんはー!夜分遅くすいません、黒子いますかー?」
御坂美琴が、支部のセキュリティを突破して中へ入ってきた。
御坂「すいません、携帯壊れちゃって黒子と連絡できなかったんですよー。……あのバカ……いつか倒す…」
御坂は虚空へ怒りの視線をぶつけながら、二人に近づいていく。
そしてハッと気づく。
御坂「あれ? そこにいる彼氏さん……? ハッ! 私、二人の邪魔を――」
初春「御坂さん」
御坂「え? え? いや、まじで?! ああほんっとごめんすぐ帰」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:08:28.36 ID:8/flNvtVo<>
初春「今すぐ……空気中の電波を調べてください……!!!」
御坂「……ほへ?」
初春「それも、ナノ単位の小さな発信機から出ているものです!!今すぐ調べて下さい!!!!」
御坂「……別にいいけど……どうして?」
初春「いいから早く!!!」
御坂「う、うん」
御坂は初春の勢いに驚きつつも、演算を開始する。
普通に生きていればは見つけることの出来ない、小さな監視者を探すように――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:08:54.89 ID:8/flNvtVo<>
――p.m.11:39 スキルアウトすら使わない廃屋
おい おい
僕はまた拒絶されてしまった。やはり、僕は世界から嫌われるような存在なんじゃないだろうか。
おい あくせら ―
別に僕の全てを認めてもらえるなんて思ってない。それこそ、おこがましいことだ。
○○○
でも、軍覇なら、わかってくれると思っていた。なのに――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:09:21.72 ID:8/flNvtVo<>
「おい起きろ!!」
バシッ
「??!!?」
頬を叩かれ、目覚める。
「今すぐ学園都市の外に逃げろ!!工山からの情報が入った!!!!学園都市に、安全な
場所なんてなかったんだ!!!!」
「え? え?」
「もうやつらはそこに来ている!一刻も早く逃げるんだ!」
「……ど、どういうことですか??!」
「話は後だ!!いいからお前はあの子を連れて学園都市外に逃げろ!!時間がないん
だ!!」
「削板さんはどうするんですか??!!」
「俺は出来るだけ時間を稼ぐ!!だかもいk」
「ダメです!!!削板さん一人残すわけにh」
「ああ??!!俺なら大丈夫だ、俺が簡単に死ぬはz」
「そういうことじゃないんです!!!ここで別れたら!!!もう削板さんに会えないじゃ
ないですか」
「……!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:09:48.98 ID:8/flNvtVo<>
削板が、一方通行の体を殴り飛ばす。
一方通行は、廃材をなぎ倒しながら、部屋の奥へとすべっていく。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:10:16.23 ID:8/flNvtVo<>
がらがらがらがら……
必要とされなくなった価値のないものたちが、音を立てて崩れる。
一方「……やっぱり…なんだ」
削板は、倒れて、何かを呟く一方通行に近づいていく。
一方「やっぱり削板さんも同じなんだ!!!僕を見捨てていってしまうんだ!!!やはり
僕は世界から拒絶されているんだ!!!!!!」
小さく、しかし張った声で、一方通行は叫ぶ。
削板はその胸倉をつかみ――
「今はそんな場合じゃねぇだろ!!!人の命がかかってんだぞ!!!!」
「削板さんの命だってかかってるじゃないですか!!!僕は削板さんを絶対に失わな
い!!!!!」
「お前……!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:10:43.31 ID:8/flNvtVo<>
「敵襲です、とミサカは荒ぶる二人に冷静に報告します」
「「!!!!!」」
バッ
二人は一瞬で入口を振り返り、目を血走らせる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:11:10.45 ID:8/flNvtVo<>
そこには、誰もいなかった。
「ジョークです、とミサカは結構きついジョークだったなあと反省します」
90号は、身支度を整えながら、独特なあの喋り方で言葉を繋ぐ。
「二人とも、冷静になって下さい。じゃないと、ミサカは生き残ることはできません」
小荷物を脇に抱え、二人に向き直る。
「ミサカのために、怒りを鎮めてくれませんか?とミサカは懇願します」
全く懇願しているようには見えない無表情で、90号は言葉を告げる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:11:37.46 ID:8/flNvtVo<>
削板「……俺もお前らと一緒にいく」
先に折れたのは、削板だった。
削板「…全員で生き延びよう。絶対に、捕まらない。絶対に、死なない」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:12:04.02 ID:8/flNvtVo<>
その声に、他の二人も頷く。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:12:30.33 ID:8/flNvtVo<>
――a.m.2:05 繁華街の道
「工山!!次の逃走経路はどこだ??!!」
『その道を抜けて右。そのあと100m直進……でもなあ、意味ないと思うぜ?相手はこ
の学園都市内全てを監視しているんだ。人通りの多いとこ歩いたって、結局はどこかで…
…だからこそ、俺と飾利はそれをのっとることに尽力しているわけだが』
「だってそれ以外に道がねぇだろ!!今できることをするしかない!!!!」
『お前ら高速で動けんだろ?それでいっきに――』
「俺もそれは提案したんだが、もう一人の子はそれじゃ体がもたない」
90号「……すいません」
一方「…大丈夫。平気だよ」
『……あとさあ…』
「? なんだ?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:12:56.97 ID:8/flNvtVo<>
『今までその子は隠れて過ごしてたんだろ?でも、それさえ見られてたはずだぜ?』
「!!!」
『……俺達は、遊ばれてるんだと思う。学園都市の掌で、踊らされてるだけなんだ。俺達
のところへ襲ってこないのも、そういうことなんだろう』
「……」
『だけどよ、』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:13:24.19 ID:8/flNvtVo<>
『あきらめるつもりは、毛頭ねぇよな?軍覇くんよ』
『相手がどれだけ強大で、圧倒的だろうが、俺達は戦うよな?』
「……あったりめぇだ!!!」
削板は、三年前、工山と知り合えて良かったと、彼を変えることが出来てよかったと、心
からそう思った。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:13:51.13 ID:8/flNvtVo<>
――a.m.2:08 窓のないビル
「……」
そこにいる人間(人間)は、水中で逆さまになりながら、目の前に浮かぶ幾つもの画面をみつ
めていた。
と、突然、
『数多っす。今回のターゲットは?』
声がどこからか聞こえてくる。
「一方通行、削板軍覇、第三位クローン体90号だ。バックアップとして工山規範、初春飾
利、御坂美琴がいるが、そちらは無視していい」
『……』
『了解』
プツン、という音もなく、通信は消える。
「……さて、彼は変わることが出来るのかな?」
男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』は、実に『人間』ら
しい笑みを浮かべて、誰もいない虚空へ言葉を放った。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:14:17.98 ID:8/flNvtVo<>
――a.m.3:13 第七学区の一角
削板「……」
一方「……」
90号「……」
明らかに、奇妙だった。
コンビニも開いている。遠くから車の足音も聞こえる。何も問題はない、いつもの夜のは
ずなのに――
何物も生きている気配がしない。
三人は、自分達がいる場所だけが、世界から切り離されたような、そんな不安を感じてい
た。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:14:44.35 ID:8/flNvtVo<>
とぅるるるるるるるる とぅるるるるるるる
着信音が、いやに大きく聞こえる。
削板は携帯を取り出し、耳にあてる。
「…どうした?なんかわかったか?なんかこっちは奇妙なんだ。何故かはわからんが、ど
うもおかs――」
『やばいぞ削板!!!今、まだ第七学区なのか???!!』
「…ああ」
『交通や通信が第七学区に入らないように規制されている!!!傍目ではわからねぇほど
の工作だが、これは絶対――』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:15:11.62 ID:8/flNvtVo<>
『やあ第七位。はじめまして、だね?』
突然、声が変わった。
「…誰だお前」
『学園都市統括理事長、アレイスター・クロウリーだ。今回は、君にお礼をいいたくてね』
「…人の会話をぶった切って、顔もあわざず礼を言うような根性なしの言葉は聞きたくね
ぇな」
『…ふふっ……根性、か。それがあの少年にあったら、この世界は存在していなかったか
もしれないな』
「…何が言いたい?」
『だからお礼だよ。あの少年を成長させてくれたことに対するお礼。そして――』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:15:38.89 ID:8/flNvtVo<>
『もう必要ないという、報告かな?』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:16:06.15 ID:8/flNvtVo<>
どぎゃうううううううううううううううううう!!!!!!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:16:33.48 ID:8/flNvtVo<>
ありえない音と光が、三人を包んだ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:17:00.15 ID:8/flNvtVo<>
砂埃の隙間から、声が聞こえる。
「どおだったかなあ一方通行ァ!!!H‐KL5001の威力は!!!!」
あたりの建築物は一つの例外なくなぎ倒され、人々によって守られてきた街は、一気に荒
廃していった。
一方「」
一方通行は、何の怪我も負っていない。
「まあつってもよう――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:17:26.55 ID:8/flNvtVo<>
「これの標的は、お前じゃねぇがな」
削板は90号に覆いかぶさるように、血だらけの体を預けていた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:17:53.48 ID:8/flNvtVo<>
絶望。
絶望だ。また繰り返された、絶望。
僕は、やはり世界から嫌われて――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:18:19.80 ID:8/flNvtVo<>
気付いた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:18:46.61 ID:8/flNvtVo<>
「きィィィィィィィィはァァァァァァァらァァァァァァァアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:19:13.66 ID:8/flNvtVo<>
「……あ?」
「きィィィはらせンせェよォ!!!!!!いつまでも俺が黙ってると思ったらォオ間違い
だぜェ!!!!!!」
一方通行は、目は激しく吊り上げ、瞳孔を開き、犬歯をむきだしにしながら、木原数多に
近づいていく。
「…は?」
「テメェは間違ってンだよォ!!!何が目的か何がしたいのか知らねェが、間違ってんだ
よォォォォォ!!!!!」
「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:19:40.00 ID:8/flNvtVo<>
「人を殺していいわけあるか!!!!!糞ったれェェェェェェ!!!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:20:06.78 ID:8/flNvtVo<>
「く……ふ」
木原数多は、びびらない。
「くはははははははははははは!!!!!最高だぜ一方通行ァ!!!それでこそ最強
だ!!それでこそ学園都市第一位だぜぇ!!」
崩れた第七学区に、下婢た笑い声が響く。
「いいぜ。たっぷりと殺しあおうぜ。なあ、一方通行」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:20:33.69 ID:8/flNvtVo<>
――a.m.3:16 荒廃した第七学区の一角
木原は部下であるハウンドドッグを連れてこなかった。邪魔だからだ。
一方通行に能力制限があるならまだしも、彼は正真正銘学園都市第一位のアクセラレータ
ーだ。普通の人間が戦っても足をひっぱるだけ。
普通の人間ならば。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:21:00.02 ID:8/flNvtVo<>
一方「……チッ」
木原「おいおいおいおいいつから舌打ちなんかしちゃうようになっちゃたかなぁ??!前
はお前、動物も殺せないほど臆病な性格だったのになぁ??!」
一方「…」シュンッ
一方通行高速で木原に近づく。しかし――
ドカッ
一方「ぐはっ」
いとも簡単にいなされ、のされる。
木原「馬鹿になったなぁ一方通行。お前が速く強く動けば動くほど、お前はダメージを受
けるんだぜ?」
一方「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:21:27.14 ID:8/flNvtVo<>
木原一族には、能力者の力の流れを読んで、その隙をつく、という戦い方がある。
といっても、木原数多には能力を感知し、乗っ取ることもできる『能力追跡』などなく、
AIM拡散力場と、その力の流れそのものを「見て」「触る」ことができる、自分と同じ親族
の少女が持つ能力などもない。
あるのは長い経験と勘と圧倒的なセンスだ。
木原は一方通行の性格や、演算パターンを読み取り、高速でくる攻撃さえも予測する。あ
きらかに以前とは違う、一方通行のパーソナルリアリティの変化まで考慮して。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:21:57.69 ID:8/flNvtVo<>
一方「……糞がァァァアアアアア!!!!!」
一方通行は、あらゆる攻撃パターンを繰り出していく。
今まで人を傷つける手段など考えてこなかった頭を、無理にフル回転させて、攻撃をする。
風を操り、嵐を起こす。
ぴー
間の抜けた音だけで、風は霧散する。
思い切り地面を踏みつけ、地盤そのものを崩す。
木原は数歩歩き、何事もなかったかのようにこちらを見る。
コンクリート片を、音速を超える速度で投擲する。
木原は、まるでそれが存在しないかのような調子で、こちらへ近づいてくる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:22:24.00 ID:8/flNvtVo<>
一方「…!!!」
そして何の抵抗もできずに、ひたすら痛めつけられる。
ドカッ
グシュッ
バキッ
木原「おらおらどおしたあ!!!第一位の名が泣くぞお!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:22:50.51 ID:8/flNvtVo<>
一方通行は、昔のことを思いだしながら、木原からの暴力を受けていた。
(木原先生には……僕の攻撃は届かない。先生は僕を知り尽くしてるから……僕の考えは、全て読まれる…………もう…)
瞼がだんだんと重くなっていく。意識が、強がりが、薄れていく。
その閉じていく視界の中で、あるものを発見した。あまりにも幸運すぎる発見。
(なんだ……あるじゃないか……!木原先生が知らない僕が!僕が新たに得たものが!!)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:23:16.92 ID:8/flNvtVo<>
一方「く……ふふふふふふ」
一方通行は、殴られ、蹴られ、いたぶられながら、笑いを零した。
木原「どうしたマゾ太クン?殴られすぎておかしくなっちゃたかな?目覚めたからってい
っちまうじゃねぇぞ臭くなるから」
一方「ふふ……ふふふふ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:23:43.84 ID:8/flNvtVo<>
一方通行は、
一方「」スゥ
息を吸い込み、
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:24:10.92 ID:8/flNvtVo<>
「根性ォォォォォオオオオオオオオオオオ!!!!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:24:37.72 ID:8/flNvtVo<>
どっかーーーん!!
謎の爆発が、一方通行を中心として発生した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:25:04.69 ID:8/flNvtVo<>
パラパラ……パラ
木原「…ケホッ……おい、なんだ今のは?特撮じゃねぇんだぞ?」
木原は起き上がりながら、一方通行に問う。
一方「テメェにゃ一生わかんねェ技だよ。強くありながら、誰も殺めることのない、この
技を」
一方通行は、その口を左右へ引き裂きながら、言葉を続ける。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:25:31.76 ID:8/flNvtVo<>
一方「……この技はふざけているようでそうじゃねェ。悪に対して、それを上から裁くこともなく、否定することもなく――」
「根性を直してそいつを変えさせる、最高に甘ったれた拳だよ」
一方通行は、そう言いきって、拳を構える。
木原(なんだ……? あんなわかりやすい攻撃のモーションを見て、躱せないわけねぇだろ
……?)
木原は、己のセンスと経験を持って、一方通行の行動を否定する。しかし彼の研ぎ澄まさ
れた勘は、彼の脳に警告のサイレンを鳴らしていた。
木原がそれを受け入れ、決断する前に、
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:25:58.44 ID:8/flNvtVo<>
「すごォォォォいパァァァァァンチ!!!」
正体不明、理解不能な打撃が木原を貫き――なんとも滑稽な終わり方で、戦闘は終了した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:27:22.49 ID:8/flNvtVo<>
どざっ ずざざざざざざざ!!
確かな手ごたえを感じながら、一方通行は跳ねていってしまう木原を見る。
一方(でも、それでいい。殺伐とする必要はない。もう、生き死にを賭けた戦いなんて、し
なくていい)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:27:48.92 ID:8/flNvtVo<>
一方「……」
親友を、みつめる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:28:15.72 ID:8/flNvtVo<>
ゆっくりと歩いていく。
彼のもとへ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:28:42.67 ID:8/flNvtVo<>
そして、倒れ伏す彼の、傍らに膝をつく。
一方「でも……また、失っちまったな」
少年の顔をなぞり、言葉を続ける。
一方「……俺は、気付くのが遅すぎたのかもしれねェ。お前がこうなる前に、気付いてい
れば……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:29:09.12 ID:8/flNvtVo<>
「……こんなことを言う俺を、お前は心配するかもしれねェ。いつもみたいに、『根性が足
りねぇな!』って言うかもな。でも――」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:29:35.58 ID:8/flNvtVo<>
「今だけは……泣くことを許してくれ。そしてこれからは、泣くことなんてない。僕は強くなる」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:30:02.57 ID:8/flNvtVo<>
削板「勝手に殺すな馬鹿」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:30:30.00 ID:8/flNvtVo<>
パチリ
削板の目が開き、その眼球が一方通行をとらえる。
一方「……え?」
削板「俺が簡単に死ぬはずねぇって言ったじゃねぇか。何をお墓に語りかけるようなニュ
アンスで……って、なんだ?お前、泣いてんのか?」
一方「…はは……なンであんなの喰らって生きてんだよ………僕じゃないンだから………」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:30:56.59 ID:8/flNvtVo<>
ガバッ
一方「愛してる」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:31:53.37 ID:8/flNvtVo<>
90号「……とはならないのですか?とミサカはアッー!な展開を期待しています」
一方「! ミサカさン! 無事だったンですね!」
削板「おい、こいつを守るのが目的だったのに、お前見てなかったのかよ」
一方「…正直木原先生しか見てなかった」
90号「ミサカもただぶるぶると怯えていたわけじゃないのです。削板さんがミサカに覆い
被さった時、まだ筋肉の電気信号が感じられたので、ミサカは救急車を呼びました。もう
すぐここへくると思います…………べ、別に次元が違うバトルにびびったわけじゃないん
だからね!地面が割れた時点で協力を放棄したとか、そんなのないんだからね!とミサカ
はツンデレます」
一方「……言い訳お疲れェ」
90号「むっ!!あなた口調が変わったと思ったら急に性格悪くなりましたね!!モヤシの
くせに!!!」
一方「俺は貧弱じゃねェェェェェエエエエエ!!!」
削板「いや、そこは否定できんだろ」
一方「ああ?!」
90号「鏡って知ってますか?便利だからあなたも使ってみてね、とミサカは毒をぶちまけ
ます」
一方「あああ?!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:32:31.74 ID:8/flNvtVo<>
削板「まあでも――」
削板は一方通行の肩を抱き、
削板「根性もって鍛えれば強くなるさ!!なあ一方通行!!」
一方通行は、
一方「……ああ、そうかもしンねェな」
苦笑しながら、肯定する。
90号「……やっぱり二人はそういう関係なんですか?とミサカは戦慄します」
削板「? そういう関係ってなんだ?」
90号「いや……男同しで…お互いを好むっていうか……愛し合ってるっていうか…」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:32:59.55 ID:8/flNvtVo<>
削板「……」
一方「……」
二人は、お互いを見合わせ、
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:33:26.82 ID:8/flNvtVo<>
一方「」ズザザザザザザザ
削板「おい、なぜあとずさる」
一方「え? なンで疑問に思うの?」
削板「……」
一方「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:33:54.07 ID:8/flNvtVo<>
一方 ダッ
削板「また逃んのか!!誤解したまま行くな!!」ダッ
単なるトレーニングではない、(貞操をかけた)ガチの追いかけっこが始まった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:34:22.04 ID:8/flNvtVo<>
*
目を開けたそこは、見知らぬ天井だった。
まわりを見れば様々な機械が体に繋がれていて、ピッ、ピッ、という音がやけに耳に響い
た。
「お目覚めだね?」
男の声が、その機械音にまじって聞こえてきた。いや、男は医者だろう。ここは病院で、
体に繋がれているのは医療器具。なぜなら俺は――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:34:56.66 ID:8/flNvtVo<>
木原「おい!!!なんで俺が生きてんだ??!!」
「……それは、あの子が君を殺したくなかったからなんだね?」
「なんだそりゃ。…あ?笑うべきかここ?あいつが俺を殺さないわきゃねえだろ」
「……どうしてそう思うんだね?」
「あったりめえだろ。俺は彼奴の身体と心をぼろ雑巾の如く扱ってきたんだぜ?そして彼
奴は強者の精神をもっていた。俺を殺すことに躊躇う理由なんかねぇはずだ。因縁の相手
を殺さず生かすなんて甘い展開はお子様アニメで十分なんだよ。ここは現実だ。敗者は勝
者に喰われる世界なんだぜ?」
「……君が死なず、今も生きている理由はここに書いてある」
医者は、懐から一つの便箋を取り出した。
「言っておくけど、読む以外の選択肢はないんだね?僕は今君の命を握ってるんだ」
医者の横には、何かどでかい機械が置いてある。本気だとすれば医者の風上にもおけない
奴だが、医者の表情からは真意が掴めない。
便箋を受け取り、のりづけをはずす。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:35:52.97 ID:8/flNvtVo<>
*
木原先生へ
先日の数々の非礼をお詫び申し上げます。また、しばらくぶりの再会をあのような形にし
てしまい、申し訳ございません。
今回は、お手紙で、先生にここ数週間で僕が気付いたことをお伝えしたく、筆を執った次
第です。
僕は数か月前、ある少年と出会いました。
彼は僕のように弱くなく、先生が持つ強さとは違う強さを持つ人です。僕は彼から様々な
ことを学びました。
一つ目は、歩き出すことの重要さです。
僕は上手く行かない現実から、逃げ、自分の殻に閉じこもって、誰の言葉にも耳を塞いで
いました。
しかし、それではなにもかわらなかった。ただ、自責の念が積もるばかり。
それもそのはずです、自分が出すことの出来る結論は自分の中にしかないからです。僕は
自分の真っ暗な考えだけで結論をだそうとして、でも出せるわけがなく、その内自暴自棄
になってしまいました。
でも、彼は僕が閉じこもっていた殻を壊してくれたのです。
そして僕は歩きだしました。そして、周りの声や現象が僕の中へ入っていき、様々なこと
を気付いていったのです。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:36:20.30 ID:8/flNvtVo<>
そして次に気付いた二つ目のことは、自分の命は自分だけの物ではないということです。
僕は524人の人間を殺しました。これは絶対に贖わなければならない大罪です。
その贖いは、自らの命を絶つことで出来ると、僕は本気でそう思っていました。でもそん
なわけなかった。
自分を傷つけることで、周りがどう思うか、僕はそれを考えていなかった。
罪は消さなければならない。でも、自分を傷つけるような自己満足な行為では、それを消
すことはできない。そう、気付きました。僕はこれから、これとは異なる贖いの方法を考
えていかねばなりません。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:36:47.19 ID:8/flNvtVo<>
そして三つ目は、自分の足で歩くということです。
僕は今まで、様々な人に依存してきました。自分を認めてくれる人を見つけては、その人
を自分の存在の保証にしていたのです。僕は先生にも依存していましたし、彼にも依存し
ていました。
でも、それは裏を返せばその人に自分の人生の責任をなすりつけていることになるのです。
その人に嫌われたくないから、無理矢理掴もうとした。その人が言うから、動物を殺した。
その人が死んだから、絶望し、動くことを放棄した。
彼が先生にやられた時、僕はまた絶望し、考えることを、歩くことを放棄しようとしまし
た。
でも、それでは彼のためにならない。
僕が出来ることは、先生を倒し、これ以上彼が傷つかないようにすることだと思いました。
決して、絶望して動かなくなることが、彼を思うことの証明にはならない。
僕は、彼や、先生や、××に寄っかかっていたんです。その人を思っているふりをして、
実際はただ甘えているだけだった。
僕は、苦難が来た時、強さをもってなんとかしようとするべきだった。
絶望なんかしてる暇などなく。僕は世界に立ち向かわなければならなかったんです。もう
手遅れだったとしても、誠意をもって動くことはできたはずなんです。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:37:14.08 ID:8/flNvtVo<>
先生が離れて行ってしまった後、僕はなにかを求めるように、聖書や仏典などの本を読み
漁りました。そこに何かを求めて。
聖書の一説に、次の言葉がありました。
『救え、然らば救われん』
僕はこの言葉を最初は、「自分が救われるために人を救うなんて汚れた発想だ」と思い、気
にとめていませんでした。
しかし、この『救われん』が、罪を贖えることだとするとどうでしょうか。
キリスト教では、人類全員が原罪を背負っているといいます。そのキリスト教での『救わ
れ』とは、罪からの解放を意味するのではないか、と。
そうだったらいいなあ、と思います。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:37:41.18 ID:8/flNvtVo<>
なぜなら、僕は絶対に先生を救いたいからです。
僕の中には、血塗られた道を進む先生を救いたいと思う思いが、溢れ出てくるんです。
何故かはわかりません。ですが、やはり僕は彼のおかげで変わり、彼に近づいたんだと思
います。それが、僕にこの思いを抱かせるのだと思います。
僕は先生に依存して、盲目になってこう書いているわけではありません。きちんと自分の
判断で、自分がそうしたいと、そうするべきだと思ったから、こう決断したんです。
先生が僕をどう思っていようが、どんなことをしてきたか、そんなの関係ないんです。た
だ、この溢れ出す思いが、止まらないだけなんです。
溢れ出しているのは、僕と一緒にいてくれた皆さんへの感謝も同様です。今度皆に何か御
礼をしようと思っています。ですが、物理的な御礼だけでなく、本当の御礼になるのは、
僕が変わることなんだと思います。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:38:08.50 ID:8/flNvtVo<>
また、今度必ず会いに来ます。
○○○
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:38:35.68 ID:8/flNvtVo<>
*
「……」
木原の、手紙を持つ手は震えている。
「……」
目には涙が浮かぶ。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:39:02.95 ID:8/flNvtVo<>
「ぷっ」
「ぎゃはははははははははははははははははははははは!!!!!あーはっはっはっはっ
は!!!!!!」
笑いをこらえて溜まった涙が、枕に落ちる。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:39:29.38 ID:8/flNvtVo<>
「なんだこりゃあ??!なああああんだこりゃああ!!!お笑いにしても気持ち悪すぎん
だろぉ!!!もう、ああ、だめだ。つっこみどころが多すぎて捌き切れねぇよ!!!!は
はははははははははは!!!!」
「……」
医者は何も言わず、病室から出て行った。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:39:55.99 ID:8/flNvtVo<>
医者は夜の病院を歩く。
ここは彼の棲家であり、戦場だ。
この病院のあらゆる場所に、あらゆる思い出がつまっている。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:40:23.20 ID:8/flNvtVo<>
医者は、紙コップを使う方式の自販機の前に立ち、コーヒーを購入した。
そして、自販機の向かいの窓に顔を向ける。
確かな腕を持つ医者は、安いコーヒーを飲みながら思う。
空中に漂う無数のアンダーラインは、外道の道を歩くしかなかった狂犬の眼光の僅かな変
化を、正確に捉えることができたのだろうか、と。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:41:46.20 ID:8/flNvtVo<>
夜が明けていく。空の星は太陽に喰われて、たった一つしか視えない。
目を離せばもう見つけることができない、そんな小さな光を、医者は安いコーヒーを飲み
ながら眺め続けていた。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:42:16.61 ID:8/flNvtVo<>
*
第七学区の繁華街を、黒髪の少年と白髪の少年が歩いている。
二人はいろんな店を冷やかしながら、街を歩いていく。
こんな会話が聞こえてきた。
「お前、雰囲気変わったな。……でも、前のお前より、今の方がなんかしっくりくるぜ」
強い少年は、笑って語りかける。
「ああ、」
もう一人の強い少年も、笑ってそれに応える。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:42:43.87 ID:8/flNvtVo<>
一方「俺もそォ思うンだ」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:43:10.81 ID:8/flNvtVo<>
第一章、終わり。次章は『もし一方通行の精神が脆弱だったら2』でお送り致します。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:43:54.48 ID:8/flNvtVo<>
さて、ここまで読んできた皆さんはおわかりでしょうが、次スレは日常ギャグです。
『え?何?あのスベってるギャグやんの?お前ジョジョネタと下ネタしかやんねーじゃん』
と思うでしょう。
ですが、皆さんを後悔させることはありません。させない、はず……
なぜなら、一方通行のキャラが安定したからです。もしこの章でやったら、
モブ「お前バカだろwwwwww」
一方「……」(そうか……僕は馬鹿なのか……じゃあいままで、何人の人を、僕の愚かさで不快にし、迷惑をかけてきたのだろう……死にたくなってきた)
となり、一気に鬱展開です。シリアスまっしぐらです。
さらに、今は笑いの申し子、ミサカがいます。こいつがふざければ、ギャグは回せるはず
でしょう。
そして全てがギャグというわけではありません。ちゃんとこの章のテーマも引き継ぎます。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:44:21.01 ID:8/flNvtVo<>
だからどうか見捨てないで……!
次スレも読んで………!
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 05:44:47.82 ID:8/flNvtVo<>
最後に、余ってるレスについて。
余ってるレスは、質問、呟き、叫び、次章でやってほしいネタ、罵りを全て承ります。そ
の様子から頃合いを見て、html化依頼を出したいと思います。
では、また次スレでお会いしましょう(ARIA風味に)
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/12/26(水) 09:13:41.61 ID:EOaPnscco<> おつなんだよ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/12/26(水) 10:23:01.90 ID:fwdiUfzwo<> 乙
工山死ね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/26(水) 10:49:57.43 ID:pj8u14hn0<> 乙
百合子だったか否か、それが問題じゃね? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/26(水) 10:57:50.07 ID:pj8u14hn0<> それと工山爆発 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/26(水) 11:03:30.46 ID:O29EVn3Eo<> おつんぽ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/26(水) 11:41:39.12 ID:X/GRVSqf0<> 書き手のコメントが無粋で邪魔すぎる
ぶっちゃけキモい
話自体は面白いのに勿体ない <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/12/26(水) 12:47:33.72 ID:tDNfhUXko<> >>475
だから初めに断り入れてたじゃんw <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/26(水) 17:09:16.53 ID:uEr9JR64o<> 乙乙
工山爆発しろ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/26(水) 20:06:20.92 ID:66QbiXn80<> 乙
2も期待
工山爆発もよろしく <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/26(水) 22:28:36.44 ID:Nfx8q3YRo<> 乙、次章からはパパ木原君登場するんだろうか
まだ500以上残ってるんだし、新スレにしないでこのまま続けるんじゃダメなのか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga <>2012/12/26(水) 22:38:11.32 ID:8/flNvtVo<> >>475
すいません、修正します。
あの……先の投下の一番最初もキモいってことですか……?
だとしたら自分の力量不足です。キャラに言わせるべきでした。どちらにしてもキモいんですが。
>>479
次章からはサザエさん形式をとり、内容も大分ゆるくなるので変えたいと思います。
あと、もう宣伝スレに出してしまったあとでしたので……すいません <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/26(水) 22:38:53.53 ID:8/flNvtVo<> しくった。さげ忘れた。すいません… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/27(木) 01:04:58.19 ID:t/GQ1YR/0<> 工山[ピーーー] <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/30(日) 21:58:40.38 ID:v/rnbL7IO<> 乙
たまに出て来るJOJOネタにニヤニヤしてしまう。 <>