◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:10:26.66 ID:nsKFQtjK0<>
ヒーロー。
このたった四文字の言葉の裏に、一体何が隠されているのだと人々は考えるだろうか。
ヒーローに対し人々は、多くは憧れを抱き、時には恋心を、時には憎しみを。
人一倍、他者からの感情に渦巻かれるヒーローは、人一倍、強く、人一倍、もろい。
ヒーローと言えば、最近、そう、最近。
ニューヨークシティで信じ難い事件が起こったりもした。
……いけないな、"最近"なんて言っておきながら記憶が曖昧だ。
それだけ壮大で、それだけ信じ難い事実だったんだ。
宇宙からの使者、なんてメルヘンチック極まりないモノがテロとしか思えない殺戮行為がニューヨークシティで勃発した……、こんな所だろうか。
あり得ない話だろう?
まるでSFの馬鹿げた設定だ。
……でも、そんな馬鹿げた設定はこれだけで終わりって訳じゃない。
説明し易く、回りくどい言い方になるけど、その殺戮行為はどうやって止んだと思う?
今も続いてる、って言う回答はナシだ。生憎、ニューヨークが滅んだなんてニュースは入ってないからね。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1355659826
<>ほむら「AVENGERS…?」
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:11:39.92 ID:nsKFQtjK0<>
………駄目だね。
やっぱり回りくどい表現は少しばかり苦手みたいだ。
考えさせておいて悪いけど、いきなり結論を言わせてもらうよ。
宇宙からの使者による侵略。
コレを止めたのは、そう。
さっきまで何の気なしに話していたヒーローが止めたのさ。
ニュースでしか見た事はないけど、それはもう凄かった。
圧倒的な数に対しても屈しずに立ち向かっていたそのヒーローたちの姿は、当然輝かしくも見えたが、同時に疎ましくも見えた。
羨ましいよ。切実に。
確かに、ヒーローたちには人とは外れた力を持っている。
それでも、心がないロボットなんかじゃない。ちゃんと、ヒーローそれぞれにも心があるんだ。
…まぁ、ロボットの姿をしたヒーローもいる訳だけど。
心があるって事は、色んな精神状態にだって陥る。
そこには当然、恐怖心だってあるはずだ。
だってさ、宇宙からの使者だよ?
武器を振り回した、人を躊躇なく殺す殺戮マシンだ。
怖くない訳が、ないじゃないか。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:12:16.70 ID:nsKFQtjK0<>
それでも、やっぱりヒーローはヒーローだ。
絶望的な場面も幾つかあったらしい。
実際に見たり、体験したりしてもないから、らしいで留まってしまうけど。
そんな絶体絶命も省みないで、逃げないで、
ニューヨークの戦火に立った六人のヒーローは、見事に使者達から街を守ったんだ。
………輝かしい。
本当に。本当に。
それくらいの、奇跡や魔法にも打ち勝てるような強い心があったら……。
"僕"の腕だって、治るかも、しれないのに………っ。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:12:50.04 ID:nsKFQtjK0<>
「――!――!」
……おっと、いけないね。
感傷的になりすぎたかな、聞き慣れた声なのに、全然気がつかなかったよ。
「僕ならいるよ、さやか」
声にして合図をする。
聞き慣れた、見慣れた幼馴染、美樹さやかに対して。
さやか「恭介…?どうしちゃったのさ?
何回か呼んでも全然反応がないから、何かあったのかと思ったよ」
恭介「ごめんごめん、ちょっと考え事が深くなりすぎてね」
さやか「考え事…?」
恭介「うん、ホラ、さやかだって知ってるだろ?この間ニューヨークであった……」
さやか「あー、アレか!当然知ってるとも!
何たって世紀の大ニュースだからね!」
さやかがこう言うのだって、全然大げさなんかじゃない。
それはむしろ消極的な捉え方で、
同時に、僕には事柄がより大きく見えてしまう。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:13:57.42 ID:nsKFQtjK0<>
さやか「……む、また思いつめた顔」
恭介「そ、そうかい?
おかしいな…、そんな顔したつもりはないんだけど…」
さやか「あ!さやかちゃん分かっちゃったぞ〜?
さては恭介、この見滝原にもあのヒーローたちが来ないかなって思ってるのだな!?」
…そんなに思いつめたような顔してたのかな。
さやかが陽気にああ言ったのだって、その本意は僕にはお見通しだ。
恭介「…そうだね…、ヒーロー…か。
来て欲しくは…あるかな」
でも、僕はより暗い雰囲気に持って言ってしまう。自然的に。
……ごめんよ。さやか。
さやか「……でもさ、」
恭介「……?」
さやか「ヒーローが来る場所ってことは、そこは、ヒーローがいないといけない所なんでしょ?」
恭介「…どういう意味だい?」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:14:51.01 ID:nsKFQtjK0<>
さやか「ホラ、ヒーローがいないと侵略されちゃいそうな街ー!とかさ」
恭介「あ、あはは…なんて言うか…その例え、さやからしいね」
さやか「なっ!し、真剣に言ってんだぞあたしはー!」
恭介「……でも、言ってることは正しいね」
さやか「…あたしだって、ヒーローに憧れは当然あるけど、やっぱり見滝原には、ヒーローが必要な街にはなって欲しくないなって思うんだ」
恭介「さやか……」
さやか「だってそうじゃん?
ヒーローが、正義の味方が必要な場所だったらさ、あたし達が知らない間に何人もの人が襲われてたりするんだよ?」
さやか「私は、そんなの嫌だなって、思うんだよね、馬鹿みたいな話だけど」
恭介「…そうだね、その通りだ」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:15:40.25 ID:nsKFQtjK0<>
………そうさ。
ヒーローがああやって集まらなければならなかったのも、SF映画の如く起こったニューヨークシティでの悲劇があってこそだ。
……結局、コレは僕の完全なエゴ。
ヒーローが目の前に誕生したなら、ヒーローが目の前に現れたなら、
そんな"奇跡"が降りかかる事を、絶対にないと思ってしまう、強く願ってしまう僕のエゴ。
ああ、さやか、やっぱり君は僕の幼馴染だ。
僕の抜け落ちた心の部分部分を塞いで、塞いで、
………そして、
さやか「うん!暗い話はこれまでだね!それよりも……」
さやか「ジャジャーン!
さやかちゃんってばまた珍しいCD見つけてきちゃったんだよね〜」
恭介「………っ」
塞いだ所にまた、穴を開ける。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:16:13.07 ID:nsKFQtjK0<>
〜〜〜?
僕の耳に響く、卓越した音の連鎖。
本当はスピーカーも全開で聴くのが正解なんだけど、ここは病室、そんな真似は出来ない。
イヤホンを通して耳に入る音の行進は、確実に僕を感動させ、楽しませ、妬ませ、悲しませる。
……神様。
やっぱり、僕はどうしても"奇跡"ってヤツに憧れちゃうよ。
世界を救い、世界を湧かせたヒーローたちが………、
……おかしいね、僕、さっきから奇跡の対象に彼らしか上げてないじゃないか。
これじゃあ、ヒーローたちが世界を救ったのが奇跡って言ってるようなモノだね。
…それとも、僕は、人並み以上にヒーローってヤツに憧れを抱いてるのかな?
……駄目だ、考えても分からない。
僕の脳裏に刻み込まれてる彼らは、一体どういう風に描かれてるのか。
……、彼ら、と言うのもどこかよそよそしい気もしてきた。何と言ったって、彼らには彼らの名があるから。
当然、僕だって知ってる。ニュースで何度も聞いたからね。
そう、彼らの名…、チーム名は…。
AVENGERS………。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:16:48.33 ID:nsKFQtjK0<>
THE AVENGERS
推奨BGM http://m.youtube.com/watch?v <>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 21:30:12.54 ID:nsKFQtjK0<>
目の汚しにはなりますが、スレを立てさせていただきました。
まどマギとAVENGERSのクロスです。
更新は不定期です。遅いです。
このレスを最後に失踪する可能性すらあります。
その程度のスレです。
合いの手や意見、批評等は大歓迎ですが、上記の注意が前提にある上でお願いを。
では、次回の投下を出来たらいいな程度に、失礼します。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/12/16(日) 21:45:34.15 ID:TPLpgIvt0<> 失踪なんて悲しいこと言わずに完走してほしいです!
少なくともここに1人は期待してる人間がいますんでw <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 21:50:24.23 ID:rhiRWggJo<> 頑張れ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 22:01:08.74 ID:5QHhIwqlo<> アイアンマン以外に何が居るっけ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 22:10:16.45 ID:6P2FXj9Co<> ホークアイさんが活躍するのを祈っておく、期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 22:21:44.79 ID:ygQuBItuo<> その酉ってかなりありふれてるけどそれでいいの? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 23:02:15.58 ID:geCgfRib0<> せっかく面白そうなんだから頑張って! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 23:14:17.68 ID:zPBca2TX0<> ワクワクする <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 23:20:24.32 ID:Y2sVzd+R0<> マーベルの看板メンバーはスーパーマンやワンダーウーマンみたいなチートスペックがいないからなぁ
パワーバランスはけっこうしっくりきそうだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 23:22:39.03 ID:OJ6GM+6Bo<> >>18
シルバーサーファーとかどうすんだよ <>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/16(日) 23:26:52.82 ID:nsKFQtjK0<>
意外に書き込みがあって草生えた。
とりあえずさっきのレスを最後に失踪ってパターンはありませんでしたね。めでたしめでたし。
次回の投下があった時の為に、ストーリー上での最低限の設定を説明させて下さい。
まどマギとAVENGERSのクロスと申し上げましたが、まどマギはアニメのみ、AVENGERSは映画のみしか見ていないのが>>1です。
糞にわかです。ゴミです。
ですので、この物語のAVENGERSはマーベルコミックスのAVENGERSではなく、映画のAVENGERSである事を言わせておいて下さい。
それくらいかな?
まぁいつ失踪するか分からないような糞スレですし、名前上だけの設定に関してはその度その度に説明する形になると思います。
ではでは。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 23:29:00.15 ID:5QHhIwqlo<> フェアウェルの設定くらいはおさえといたほうがいいとだけ言っておこう
それ以外はアニメ見てたら十分じゃないのかな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 23:36:34.86 ID:Y2sVzd+R0<> 「魔法少女大勝利!希望の未来へレディゴー!」
こうなります。ついでにQBの母星まで攻め込んで魔法少女システム自体もなんとかします
まあ、キャップやスタークを長寿アニメの主人公とすると全裸サーファーは劇場版のゲストみたいなもんだから勘弁してくれ
あいつはアベンジャーズにも入ってないし、クロスオーバーでも(強すぎて)ハブられ気味だし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 23:38:32.45 ID:Y2sVzd+R0<> あ、>>22は>>19宛てね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 23:49:57.28 ID:JnwfMA/DO<> >>ついでにQBの母星まで攻め込んで魔法少女システム自体もなんとかします
ギャラクタス「」ガタッ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/16(日) 23:56:07.38 ID:O7FfIx4J0<> 恭介はヒーローになるのか、ヴィランになるのか、はたまたリック・ジョーンズ的なポジションになるのか
その辺りちょっと気になる。ともかく期待 <>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:28:12.03 ID:bMYKYgF60<>
予想外の合いの手に少なからずも書き溜めちゃってる俺、気持ち悪すぎィ!
てな訳で、やったね!二回目の投下だよ!
数レスですがお付き合いいただけたら幸いです。
数分後に参りまーす。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:34:31.84 ID:bMYKYgF60<>
―――――。
『休暇、とやらは終わったか?』
声が響く。
その辺りは、幾つかのモニタが広がる会議室を模したような一室。
何と無くで分かるかもしれないが、声の主がモニタに映っている訳だ。
と、言っても、モニタに映っているのはその声の主一人、という訳ではない。
初老。
この共通点を持った男女が、それぞれのスーツ姿でモニタに顔を晒しているのだ。
モニタから発せられた言葉。
それには、当然向けるべき人物がいる。
幾つかのモニタに囲まれながら、ただ一人、地に足をついた大男が、ソレである。
「随分と急かすのですね、何か急な用でも?」
大男はモニタ越しの声に応答する。
冷静沈着な声をもつその大男の名は、
ニック・フューリー。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:35:20.80 ID:bMYKYgF60<>
フューリー「いきなり呼び出すから何事かと思いましたが、」
『四次元キューブが特殊な反応を受けていた。
との報告を聞いているのだが?』
フューリー「…流石。と言うべきでしょうか?
随分とお耳が早いようで」
双方それぞれが所有する独特な雰囲気が、一気にこの部屋を支配していく。
声を一切発していない、モニタに映る者もまた、独特な雰囲気でフューリーを囲んでいた。
『君は……、君の自慢のチームに対してもそうだが、隠し事が多すぎる。
まして、私たちに隠し事など――』
フューリー「どこまでが隠し事。ですか?」
『……………』
言葉とは、色々な表面を持つ。
状況的には、"隠し事"と言われる所を突かれているフューリーの方が部は悪い。
が、数多の戦いを知るこの男は、決して動じる事はない。
眉一つ動かす事なく、モニタ越しの声の主の顔を見つめる。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:36:33.03 ID:bMYKYgF60<>
だが、
モニタ越しの声も、フューリーと言う人間を熟知していた。
この程度では揺るがない事も、逆に、何をすれば揺るぐかも、熟知している。
『……ならば、』
フューリー「ならば?」
『君の自慢のチームに、この件を任せようじゃないか』
フューリー「!!」
ほら、やっぱり。
モニタ越しの顔には、まるでそうと言わんばかりの表情。
そして、フューリーの不動の眉が、わずかに動いた瞬間でもあった。
フューリー「…何を言い出すかと言えば、あんな小さな街、しかもこの国ですらない、JAPANの街ですよ?
そんなモノのために―――」
『君の意見は聞かない。これは、チタウリ軍によるテロ行為が成されたあの日にも言った事だ』
『大体、皮肉な話だな。世界的にヒーローの集まりとして有名に成り果てたAVENGERSの頭が、たかが一つの街、と来たモノだ。
これを知った時の世界の声が、私は聞いてみたい気がするよ』
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:37:07.89 ID:bMYKYgF60<>
フューリー「……………」
フューリーは、ただ黙る。
何を言おうが正解などない。
この純粋な事実を知っているから、ただ黙る。
『君は行動が早いからな。
悪いが、こちらも君を見習って早めの行動を取らせてもらったよ』
フューリー「…まさかとは思いますが、彼らにあの街に行け、と催促を…?」
『私は君のそういう所――。
つまりは物分りのいい所も見習いたいと思えてね。
と、言っても、催促を促したのは二人に対してだが』
フューリー「二人……?」
『我々の話し合いの末の人選だ。
結果的に、"鉄"と"目"を送り込む事に決めたよ』
フューリー「…馬鹿な!エージェントであるバートンならともかく、彼が人の命令を素直に聞くなど―――」
『君が懸念する所も理解できるが、あっさりと承諾してくれたよ』
フューリー「………ッ!!」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:39:26.83 ID:bMYKYgF60<>
『確かに、彼は自由を模したような男だ。
君が、彼は私の言う事を聞かないと予想したのは、実際に彼は君の言う事を聞かない節があったからだ』
『簡単な話だ。言ってやったんだよ。
君の隠し事を、知りたいか?とね』
フューリー「…………」
『それに、あの街には彼の会社製の機会を多く輸出させている。
これも君の差し金なのだが、裏目に出たな。
異国の地で、兵器以外の自分の産物が使われているのかを知りたいそうだ』
フューリー「……いつから、ご存知で?」
『ロキだよ』
フューリー「……成る程」
ここで、会話は終わる。
完全な第三者からすれば、全く意味が分からずに終わってしまう今の流れには、其れ相応の内容が詰め込まれていた。
声の主と、その他の男女を映していたモニタはプツンと切れ、モニタにはSHIELDの文字が光るのみ。
そして、部屋に残されたフューリーは何とも言い難い感情を表情に残しながら、静かに、ただ呟いた。
「mitakihara………」
彼が統括(?)するチームの、次なる戦火となる、小さな小さな街の名前を。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:40:32.93 ID:bMYKYgF60<>
―――――。
声が、聞こえる。
頭をよぎるように、守りたいと、どれだけ願ったか分からないあなたの声が。
『ごめんね』
嗚呼、駄目。行かないで。
あれだけ願って、願って、願って。
それでも、私を待つのはその願った分だけの絶望だけ。
どうして?何で?
疑問詞だけが頭の中に浮かぶ。
答えなんて、当然、ない。
嫌だ。
私はただ、あなたとの約束を、果たしてあげたい。
ただ、それだけなのに―――。
「――――っ」
目が、覚める。
目の前に広がるのは、私の見慣れた色。
言うなれば、白。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:41:25.90 ID:bMYKYgF60<>
目が覚める、なんて表現をしたけれど、少し訂正をしましょう。
目が、覚めてしまった。また、ここで。
それがどういう意味を持っているのかは、私が一番知っている。
逆を言ってしまうと、私にしか分からない。
……嗚呼、また、駄目だったのね。
呟く事もせず、頭の中でそんな言葉を浮かべる。
もう、感情らしい感情なんて、あるものか。
悲しい?
そんな感情、幾度と繰り返していくあまり、私は忘れてしまった。
嬉しい?
そんな感情、幾度も感じていないあまり、私は忘れてしまった。
寂しい?
そんな感情、幾度も………。
孤独………、友達…………、
…………まどか…。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:42:09.78 ID:bMYKYgF60<>
「…………」
深呼吸をする。
錆び付いた、心の奥底から。
病室の隅に掛かっているカレンダーが、今日というこの日を16日と差している。
今日から、"また"、私の戦いは始まるんだ。
ゆっくりとベッドから起き上がり、長い黒髪を縛っている二つのゴムをとり、
病室に設備されていた鏡台の前で私の足は止まり、眼鏡を取って、額に"石"を当てる。
紫色の光が私を包み、戦いの幕開けが、私の中で切って落とされた。
学校が始まるのは25日。
今からその日までの9日間を、今回は有効に使ってみせる。
イレギュラーなんかには頼らない。構いもしない。
私だけの力で、約束を成し遂げてやる。
今度こそ。絶対に。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/17(月) 22:47:30.89 ID:bMYKYgF60<>
今日はここまで。
自分で言うのもなんだが、すっくねぇwwww
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/17(月) 22:52:08.22 ID:xozCtl/DO<> まずは鉄と目か・・・
目の方はともかく鉄が何やらかすか不安だ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 01:17:00.20 ID:Vbzy5mKl0<> 鉄の人がやらかす…女子中学生口説いたりとかか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 01:28:50.92 ID:P/e4Eyht0<> 乙っす
鉄の人がまどママと呑み比べとな!? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/19(水) 11:51:53.23 ID:0U2ic45lo<> 乙 <>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:20:15.48 ID:ut/Y7gzC0<>
早くも落ちると思った?
残念!来ちゃいました!
と、言う事で、数レスではありますが、汚らしい投下にどうか目を瞑って下さい。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:21:15.02 ID:ut/Y7gzC0<>
―――日本、羽田空港。
vip。
この空港をずかずかと歩く二人の男……いや、一人と断定しておこう。
その男にはこの三文字のアルファベットしか浮かばない、まさにゴージャスな出で立ちをしていた。
「まさかあなたが男二人で歩く事を進んで決めるとは思わなかった」
先に言葉を発したのは、vipの象徴であるかのような男―――ではない方の男だ。
声の先は、勿論vipを模したような男に対して。
「やめてくれ、それじゃ俺がゲイみたいに聞こえる。
悪いが俺は両方イケる口じゃない」
「日本語が分かるんだな。これも意外、いや、予想外だ」
「そうか、君の中での俺のイメージは全部を全部ポッツに任せてたって印象かな?」
「いや、」
「ほう?」
「そんなモンじゃない、もっと酷いな」
「…その自慢の目玉、くり抜いてやりたいな」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:22:16.58 ID:ut/Y7gzC0<>
物騒な話を交えながら歩いて行くこの二人の足は止まり、その先にはリムジン級の高級車とスーツを着た男がいた。
「お待ちしておりました。
トニー・スターク様、クリント・バートン様」
スーツを着た男はこの二人を歓迎する形で名前を呼ぶが、これにvipを模した方の男が反応する。
「…おいおい、歩く世界遺産である俺の名前ならまだしも、お前の名前が知られてるってのはどうなんだ?バートン?」
バートン「何も驚く事はないSEIELDからの派遣なんだ。
スターク、あなたが日本に来る事を決断させた組織だよ」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:23:05.24 ID:ut/Y7gzC0<>
スターク「………これだから野郎はやりにくい」
バートン「羨ましいな、どこまでの嘘と事実を吹き込まれたのかは知らないが、気にならないと言えば嘘になる」
スターク「バートン、君だってある程度は聞かされている筈だ。
そのためのサポート役なんだから」
バートン「歩く世界遺産にサポート役との評価を頂いたのは非常に光栄だが、これだけは最初に言っておくぞ」
スターク「だいたい言わないでも分かるからいい。
殺し屋の雰囲気に駆り立てられるのはもうウンザリだ」
バートン「…その表情を見た限りじゃ心配は無用、か」
スターク「何言ってんだか、さっき自分だって言ってたじゃないか。
ココに座っているトニー・スタークは歩く世界遺産だってね」
バートン「…そうだな」
こんな様なイマイチパッとしない会話をしているこの二人が、
人々の記憶にも新しいテロ事件を解決したヒーロー達の一角と知れたら、人は一体どんな顔をするだろうか?
それでも事実は事実。
駄弁るだけ駄弁って時間を潰し、無事に目的の地域にあるホテルまで辿り着いたこの二人の男は、正真正銘AVENGERSのメンバーである。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:23:58.29 ID:ut/Y7gzC0<>
スターク「wake up、ジャーヴィス」
ホテルの一室。
馬鹿馬鹿しいくらいに高級臭が立ち込めるこの部屋で、スタークの声が響いた。
「Good morning. Mr.stark」
スタークの声に反応してなのか、部屋にはスターク以外の声が響くが、この部屋にはスターク一人しかいない。
スターク「あー、ジャーヴィス、音声を日本語に切り替えろ。
Do you understand?Japaneseだ、Japanese」
ジャーヴィス「音声を日本語に切り替え完了。
おはようございます。トニー様」
言うなれば、機械の声。
この一室に響くスターク以外の声の主は、スタークが作り出した"生きるコンピューター"である。
到底信じられる話ではないが。
バートン「仕事が早いな、もうソレを組み込んでいたとは」
スターク「…覗きか?二度は言わないぞ、俺はゲイでもバイでもない」
バートン「しかも音声を日本語に切り替えている辺り、結構な姿勢じゃないか」
スターク「……スルーかい」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:24:47.92 ID:ut/Y7gzC0<>
バートン「…で?明確な期日はいつにするつもりだ?」
スターク「んーそうだな、確か今日が…」
バートン「18日だ」
スターク「そうそう18日、だから…一週間開けた25日くらいだろうな」
バートン「…意外だな、時間と女にはせっかちな性格だと踏んでいたんだが」
スターク「生憎、どっちにも余裕を持たせて生きるのがモットーでね。
日本の教育現場とやらをもっと頭に入れておかなきゃいけない訳だし」
バートン「…成る程な」
スターク「質問されただけじゃ俺は納得しないぞ。アンタはどうする?」
バートン「明日、と言っておこうか」
スターク「…成る程ね」
仮にも世界を救った、まさに歩く世界遺産と称すべき所であるこの二人なのだが、イマイチ分かりにくく話を進めるのが癖なのだろうか。
しかし、
今の話の流れの"期日"とやらが、
一日でも遅れていたり早まっていたりしたら、
一体、どうなっていたんだろうか…?
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:25:38.67 ID:ut/Y7gzC0<>
「……気のせいか、この時間軸の"アイツ"はいままでに増して積極的に動くわね」
靡く黒髪。
無表情。
一見した特徴はこれくらいである少女は、この見滝原を一望できる高層ビルの最上階で一人、呟いた。
「19日…もうすぐ20日、25日まで、悠長に構えられる時間はない」
彼女の名は、暁美ほむら。
ただひたすらに願い、ただひたすらに絶望する少女。
ほむら「―――!」
そして、
ほむら「魔女…!」
メルヘンチック極まりない、魔法少女と名乗れる一人の少女。
ほむら(グリーフシードのストックはある…けど、不味い、魔女の気配……)
ほむら(あの娘の家に近い!)
座った体勢から立ち、ビルから足を離して雑草と目的の場所まで向かう。
"この時間軸でも"、彼女は戦い続ける。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:26:29.23 ID:ut/Y7gzC0<>
ほむら「…………」
もう直ぐに日付すら変わる時間の道には、規則的な足音のみが響いている。
ほむらの表情は動かず、ただ前を歩いている。
ほむら「この付近……?」
彼女の掌には、紫色に光る石があった。
一見すれば輝かしい宝石なのだが、彼女からすればコレは命。
命が光を強く示している場所で歩くのを止め、辺りを見渡す。
ほむら(…まだ結界は張られてない…でも、これじゃあ時間の問題って所かしら)
スッと目を閉じ、その"時間"を待っていた彼女に、
声が、届いた。
バートン「こんな時間に子供が出歩いている所を見ると、ニッポンの治安も存外良いもんじゃないらしいな」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:27:53.14 ID:ut/Y7gzC0<>
ほむら「…………」
バートン「怖い目だ、子供のソレじゃないな」
ほむら「サングラス越しに言われると不快度が増すモノなのね」
バートン「そうだな、子供はそれくらい毒を吐いているのが丁度いい」
無表情を突き通しながら言葉を発する私。
が、それに返答するこの男もまた、無表情。
目元の筋肉すら微動だにせず、悠長な日本語だけを話す。
ほむら「見た所日本人じゃないらしいけど、何かしら?あなたの国じゃこの時間にふらついている子供にホイホイと声を掛けるのが常識?」
バートン「違うな、仕事上そうしている」
………、
アイツ以外と話していて予想だに出来ない感情に陥るのは何時ぶりかしら。
ほむら「本格的に気味が悪いわね。
もしかしてストーカーか何かかしら?」
バートン「悪いな、君を一見して目が着く所と言ったらその見慣れない衣装くらいだよ」
ほむら「そう、なら消えて頂戴。
こんな時間に私みたいな子供が――、
なんて言葉は聞かないわ」
バートン「勘違いか?ストーカーは否定するが、仕事上と言った事を否定するつもりはないぞ」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:28:33.09 ID:ut/Y7gzC0<>
ほむら「……」
やっぱり、不快だ。
こんな程度、イレギュラーにすら相当するものじゃないのに、
何度も同じ時間を繰り返したせいで、少しでも違う展開があると、ソレをイレギュラーと錯覚してしまう。
ほむら「仕事上……ね。さしづめ、巡回中のお巡りさんか何かかしら?
それにしたら結構そぐわない格好だけど――――」
頭に、電流が走る。
この感覚は間違いない。
だってほら、私の手の中に収まってるソウルジェムの光が、いきなり強くなったもの。
ほむら(魔女が――動く!)
結界が張られるのはもう秒単位の問題。
一般人がいるこのタイミングは最悪だけど、もうそんな事を言ってられる余裕は――――
バートン「どうした?凄い顔だな。
まるで獲物を見つけた時の狩人のソレだよ」
ほむら「そんな事はどうだっていい!あなたは早くココから――」
バートン「――出たんだな?"獲物"が」
ほむら「―――――!?」
男の意味深な言葉を最後に、とうとう刻限が私たちを迎える。
電灯が道を照らす夜の風景は一瞬でその面影すら消え失せ、その代わりに待ち構えるのは絵本に出て来そうな幻想的な世界。
そう。
これが、"結界"。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2012/12/31(月) 22:47:23.17 ID:ut/Y7gzC0<>
はい、この程度です。はい。
また都合とやる気が重なった時にお会いしましょう。
あ、批判も合いの手も受付中でございます。
ソレデハ、ヨイオトシヲー。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/31(月) 22:57:26.00 ID:4hsYXtNw0<> 乙
最初のチームアップはほむほむとクリントさんか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/01(火) 01:03:49.73 ID:b7xr8ntno<> 鉄一人でなんとかなりそうだよな実際
乙! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/01(火) 16:20:51.58 ID:niz/GSgDO<> 次回はホークアイのとんでも弓術お披露目か
鉄一人でなんとかなりそうだけど、これに雷と緑が加わったらまず心配ない
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/01(火) 23:56:02.64 ID:dj4o+92Yo<> トニー「ワルプルギスの夜バスター作りました」 <>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/02(水) 00:09:14.23 ID:/jkeu68c0<>
>>52,>>53
(ヒント)>>1は虚淵ワールドが大好物。
さて、書き溜めをやろうかなと思い始めたので少々質問を。
素質のない一般人からは魔女は見えない。
↑はわかるんだけど、使い魔はどうなの?
あ、あと、結界は中に入れられたら見えてしまう。
という独自の設定を使用させて下さい。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/02(水) 00:11:56.35 ID:JP4PkhPGo<> 素質が無いからなんか変なものに見えるんじゃないかな
よくわからないけど <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/02(水) 00:19:42.30 ID:F0RLyYeNo<> あいつらなら、視覚連動センサーくらい作りそうな気がする <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/02(水) 02:15:36.70 ID:gi7LSkFDO<> トニー「誰でも魔女を見れる装置を作った」
原作もこんな感じだから困る <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/05(土) 00:50:10.89 ID:36cGn9QC0<> いいじゃない、とにぃだもの <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/05(土) 04:21:30.80 ID:DeuldmFAO<> トニーさんがきっとなんとかしてくれるさ
あとハルクがぶちギレたらそれでなんとかなる
マーベルのメジャー級にチートスペックはいないと言うが、そもそもパワー最大時のハルクは数回のジャンプでアメリカを横断し、物理干渉を無効化するバリアを殴り飛ばす化け物。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/05(土) 10:54:59.94 ID:2PS412zWo<> だけど、トラウマ抉られたら魔女化(魔法少女じゃないけど)しかねん連中
そこで、キャップですよ。精神的に一番超人だからな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/05(土) 12:05:07.97 ID:DeuldmFAO<> ロールシャッハ「精神的超人と聞いて」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/05(土) 13:01:52.25 ID:31rjx3nDO<> >>60
マジ切れ状態で尚且つ理性を保ってた時は他のマーヴルヒーローをフルボッコ出来たりするのがハルクさんだからな
>>61
気分によってトラウマがあったりなかったりする赤タイツ呼ぼうぜ
>>62
あなたはDC社でしょうが
青魚がシャッハさん見たらどういう反応するやら <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/06(日) 21:03:51.69 ID:CSFmyFo40<> >>62
パニッシャー「マーベルならそこ俺の席だから」 <>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 19:00:45.05 ID:aBQj4VNH0<>
アケオメー。
Blu-ray見ながらなんとか投下分溜められたんで、今日中に投下したいと思います。
亀スペースにも程があるね、うん。
まぁ、何時でもエタる自信もあるんで、本気にならず、気軽に見てやって下さい。
あ、設定の方は使い魔のみ、人間からも見る事が可能という勝手な解釈で書かせてもらいましたが、話が特に大した方向に傾く訳でも無いのでご了承をば。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/07(月) 19:04:49.48 ID:ZdnSaQn+0<> デッドプール「トラウマあったかな俺チャン?」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/07(月) 19:29:22.67 ID:sub4VZ8DO<> ホクアイと黒未亡人さんは実際役に立たn……
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:05:46.47 ID:ex4AWakV0<>
投下ー。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:06:32.35 ID:ex4AWakV0<>
バートン「………」
男は喋らない。口を動かしもしない。
当然だ。
この男は一般人、私たち、魔法少女なんかじゃない。
夜道の面影すらない結界内には魔女がいる。
でも、ソレが見えるのは私たち魔法少女だけ。
つまり。
この男からする今の状況は、現実からしたらあり得ない摩訶不思議な空間に放り込まれた、意味不明の塊。
そして、私からする今の状況は果てしなく面倒で、思わず眉間にシワを寄せてしまう。
魔女は一般人を襲う。
それも直接危害を加えるのではなく、魔女の口づけ―――、いわゆる印を刻み込み、様々な角度から危害を加える。
普通は結界を張り巡らせる時には既に一般人に口付けをしているのだけど……、今回はまだ運が良い。
私のやる事は、簡単。
この男が魔女の口づけを刻み込まれる前に、この魔女を片付ける。
シンプル極まりない、本当に簡単な事。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:07:15.71 ID:ex4AWakV0<>
ほむら「ほんの一つでいいから、頼ませてもらえるかしら?」
少女が俺に声を掛ける。
大方、逃げなさい、隠れなさい、ソレに準ずる事だろう。
バートン「聞くだけならいくらでも」
ほむら「幸いこの付近には隠れられる場所が幾つかある。
だから、隠れなさい」
ほら。
まぁ一般的な判断だ。
能力者の類である者は、先ず真っ先に一般人と思われる人間を戦場から遠ざける。
一般的な判断だし、正しい判断でもある。
だが、
バートン「断る」
生憎俺は能力者の類ではないが、殺し屋としてのプライドくらいはあるつもりだ。
"敵"の姿は見えない。
自分の全く知らない空間。
意味不明。
それだけの状況だ。
腰を抜かすにはまだ早い。
いや、早すぎる。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:07:48.39 ID:ex4AWakV0<>
バートン「断る」
私に返って来た言葉はこの四文字だった。
………いけないわね、今までにない経験をしているだけなのに、その一つ一つが、確実に私を突き動かす。
ほむら「……何?いたいけな少女に心配される言われはないと?」
バートン「分かってるんだったら話をする必要はないな」
………面倒な事になった。
この際、予想外の事態だとかはもう関係無い。
とにかく、今この場で私がすべき事は、この男も私も無傷で結界から抜け出す事。
私には分かる。
この男の目、何を言おうが下がる意思は絶対に見せない。
だったらそれでいいわよ。
別に、この場すら上手く切り抜けたのなら、それで構わない。
この男の記憶を多少消す事くらい、魔法でなんとかなるのだから。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:09:22.07 ID:aBQj4VNH0<>
ほむら「分かったわ、あなたの主張は覚えておく。
見たところ、物騒な武器を備えてるみたいでもあるからね」
でも、と。
私は一つ付け加え、補足する。
ほむら「あなたが出来る事なんて一つもない。これも、頭に入れておいて欲しいわね」
そうよ。何一つ出来っこない。
この男がどれだけ平然を装おうが、人間には限界がある。
この結界を張った魔女本体こそは人間には見る事が出来ない。
けれど、その魔女の手下である使い魔は、その未熟さ故に人間にも視界に捉えられてしまう。
未熟とは言ったが、化け物は化け物。
危ない職業を担ってる匂いがしようがなんだろうが、そんな化け物を真っ向から見て普通でいられるなんて―――――。
銃声が聞こえた。
いや、それだけじゃない。
何かが、続け様に倒れて行く音も聞こえた。
バートン「…なんだ、感触からして大したモノでもないんだな、もっと手こずると思ったんだが」
……、ちょっと待って。
オーケイ、少し落ち着きましょう私。
少しだけよね?私が思考回路に身を浸してたのは?
おかしい。
私の目の前には、数十匹にも連なる使い魔の死体。
いや、まだそれだけなら納得いかせる事も出来る。
あくまでも使い魔は、人間の視界でも捉える事が出来るのだから。
問題は、後者。
数十匹の使い魔の死体、
その全てよりも断然に目を持ってかれる、一つの、大きな死体。
魔女の、死体。
…………………は?
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:09:50.05 ID:aBQj4VNH0<>
気がついたが最後。
全く状況が理解出来ない私を置いて、異空間と化していた結界は解かれ、平凡な夜道が展開してゆく。
ほむら「…………」
言葉が出なかった。
簡単に今の心情を文字にするのだったら、そうね、理解不能、と言った所かしら。
バートン「呆気ないにも程がある。
いや、殺気をまるで隠そうともしないんだ、呆気ないのも当然か」
それをこの男は、何もなかったかのように、平然と、銃を懐にしまっている。
…イレギュラー。
私の頭の中に、真っ先にその言葉が浮かんだ。
今さっき、この男の記憶を消せばなんら問題はないと考えていたが、私のその思考はことごとく粉砕される。
このまま記憶を消すのが妥当策なんでしょうけど、それで終わらせてしまうには余りにも短絡的すぎる。
視界に捉えない魔女を、狙って殺しているのだから、なんらの話を聞かない事には――――。
バートン「会った瞬間から思っていたんだが、少し長考が過ぎないか?暁美ほむら」
ほむら「――――」
やっぱり。
簡単に引き下がるには、少し危険が過ぎるじゃない。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:10:29.42 ID:aBQj4VNH0<>
ほむら「…少し興味が湧いてきたわね。
あなたの言うお仕事がどんなモノか」
私の名前を知っていて、尚且つ結界に取り込まれても表情一つ動かさなかった、
要約すれば、魔法少女の存在もおそらくは……。
バートン「AVENGERS」
まともな答えなど期待していなかった問いに帰って来たのは、その一言。
ほむら「……?」
アベン、ジャーズ…?
バートン「……そうか、君は知らなくても無理ない。
暇があるのならインターネットを利用して調べてみるといい」
ほむら「…何?健全な中学生が知らない如何わしい職業って所かしら?」
バートン「厳密には職業ではなく所属しているチームだがな。
いや、チームかどうかも怪しい所か」
ほむら「………どこまでを、知っているの?」
はぐらかしはきかせない。
どの方向で質問しようが、コイツの余裕は崩せそうにないから。
バートン「君が予想している事より上を知っている」
ほむら「……へぇ」
バートン「かもしれない、が、その逆も然りだ」
ほむら「少なくとも、あの異常に驚く程の常識はないって事は分かったから十分よ」
バートン「そうか、おまけついでに、少し忠告をしておこう」
……忠告?
バートン「25日、君が転校する日だったか」
ほむら「…成る程ね、あなたの所属しているチームってのはタダのストーカーチームなのね」
バートン「"また"君の知らない展開が起きる、が、真面目に突っ込んでると身がもたないから気をつけろ」
ほむら「…なんですって?」
バートン「それだけだ、では、夜道には気をつける事だ、せいぜい生きて17、8年って所だろ?」
ほむら「失礼ね。私まだ14歳なのだけど」
バートン「そうだったな、そういう事にしておこう」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:11:17.46 ID:aBQj4VNH0<>
ここで会話は途切れ、特に気を抜いていた訳でもないのに、気が付けば男の姿を私は見失っていた。
ほむら「外国の殺し屋って、日本よりも素っ気ないのね」
ボソッと呟き、空を見上げ、私も、家に帰る事にした。
――――25日。
あの男と遭遇したあの夜から今日まで、特に大したイレギュラーは現れずに、私はいつもの如くアイツの接触を邪魔し続け、そして、今日になった。
ただ一つあるとすれば、私が今まで知識として知り得なかったAVENGERSなるチームの存在。
…特に大したイレギュラーは現れずに、と言ったけど、撤回しましょう。
この時間軸、明らかに今までと違う。
ついこないだあったとされるNYでの大規模テロなど、今までの時間軸には有りはしなかったのだから。
AVENGERSに関するニュースはどれもこれもが似たような記事内容だったけど、やっぱり私にとってはイレギュラーでしかない。
あの殺し屋の男に、見た目からしてその男と同じ空気がする女。
派手な衣装を着た金髪に、時代遅れの衣装を着た青いの。
極め付けは緑色の怪物に、空飛ぶ近未来ロボット。
…どうかしてる。
しかも、近未来ロボットの本性は有名とされてる大企業の社長ですって…?
コレをイレギュラーと言わずして何と言うのよ…。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:12:21.13 ID:aBQj4VNH0<>
早乙女「――――!――!」
生徒「「「「アハハハハハ!!」」」」
賑やかな教室の会話。
転校生である私は廊下で先生に呼ばれるのを待つ。
何度も、何度も経験したこの光景。
「―――、――。――――!」
ほむら「………?」
気のせいかしら?
教室の中から、聞きなれない声がする。
何度と繰り返したこの光景の中で、生徒の声でもなければ、女性である早乙女先生の声でもない、男性の声が。
HRが始まって、時間的にそろそろ私が呼ばれるだろう頃合いになって、この違和感が気になった私は、少し集中を高めて耳を澄ませる。
「教育実習、まぁゲストとしてやって来た私が、ちょっとここで予想をしよう」
教育実習…?
おかしい、今までの時間軸にそんな流れはない筈…。
「そこの廊下にいる転校生、んー、女だな?」
中沢「転校生?女?マジかよ!」
「いいねその反応。健全たる男子学生の鏡だな」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:12:54.40 ID:aBQj4VNH0<>
「それで、その女の子の容姿や特徴を予想してみようと思う」
女生徒「えー、教育実習の先生なら転校生さんと顔くらい合わせてるんじゃないんですかー?」
「oh…、残念ながら私の着任は今日からだ、だから同じく今日からの転校生とは顔を合わせてはいないよ」
さやか「(…ね、ねぇ、まどか、今更だけどさ、すっごい違和感ない?)」
まどか「(だ、だよね〜、やっぱり緊張が全然抜けないよ…)」
「そうだな…、彼女は…うん、美人だな。長い黒髪で、凛とした、クールな感じだな」
中沢「マ、マジっすか!?」
女生徒「中沢、ちょっとうるさい」
……どうなってるの?
これはただの茶番?何の気ない、イレギュラーに値しないモノなの?
声からして、あの男ではなさそうだけど……。
「これが予想通りなら、とても好機なチャンスと思わないか?男子諸君。
……ただ、予想すると、欠点もあるな…」
中沢「欠点…ですか?」
「スレンダーだ。
意味は、言わなくても分かるな?」
……………、殺してやろうかしら。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:13:58.89 ID:aBQj4VNH0<>
「―――ん?おっと、早乙女先生に少し叱られてしまった、私はこの辺で黙るとしよう」
早乙女「は、はぁい!じゃあちょっと時間も押し気味だし、そろそろ紹介しようかな〜?」
中沢「え?マジで転校生いんの!?」
早乙女「それじゃ暁美さん?いらっしゃい?」
……25日のこの時点で、こんなに不愉快極まりないのも珍しいわね。
取り敢えず、その教育実習に来てるって人には、時間を止めて何かしらの悪戯でも――――。
窓を、空けて、前を見て、
思わず絶句する。
普通なら、奥の方で私を見るなり驚いた顔をしているあの娘に目を向けるのだろうけど、今はそれが一向に叶いそうにない。
「ほら、当たった」
<す、凄ぇ、本当に黒髪ロングの美人じゃねぇか……。
<なん……だと…?
<さ、流石は一流企業の社長様だぜ!そこに痺れる憧れるゥ!
早乙女「あ、やっぱり驚いてる?
そうよねぇ、いきなりじゃあ、ねぇ…」
早乙女「じゃあまぁ、暁美さんの自己紹介の前に、暁美さんにも向けて、もう一度自己紹介お願い出来ますか?スターク先生」
トニー「OK、今日から教育実習としてこの学校にお邪魔しているトニー・スタークだ。
呼び方には拘らない、アイアンマンと呼んでくれても構わないぞ?」
………やっぱり、イレギュラー以外の何物でもないわ、この時間軸。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/07(月) 22:25:09.81 ID:ex4AWakV0<>
はい、以上です。
相変わらず短い、ゴメンネ!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/07(月) 22:26:57.99 ID:OiTf1pHJo<> あれ? 映画見てないんだけど、アイアンマンの正体って明かしちゃってるのか
乙
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/07(月) 23:47:35.02 ID:vSkBQAJo0<> 映画ではすでに正体明かしているから問題なし 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/09(水) 00:38:47.95 ID:lhmA1mQ80<> 今追いついたけどすっげぇおもしろい。
キャップの活躍に期待。乙。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/09(水) 00:54:02.20 ID:0DjRSt2/o<> 乙
社長本人は天才だけど人にもの教えるなんて出来るのか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/09(水) 02:01:03.83 ID:AVv4t3JAO<> 乙、正直先生なら青タイツかハルクの方が良いんじゃないかな
一部先生と生徒からの受けが良いのは間違いなく鉄だがwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/09(水) 12:58:20.29 ID:FgEIC0LDO<> 社長が先生か・・・何を教えるか知らないが退屈はしなさそうだな。何だかんだで人を引き付けるぐらいトークはうまいし
キャップなら道徳もしかは倫理、ブルースは物理かな
ただブルース先生の場合、怒らせた場合、体育の授業に変わるけど <>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 22:37:16.47 ID:zrbVIbTR0<>
合いの手が嬉しい。
お陰で書き溜めれたじゃないか!
と、言ってもいつも通り少ない上、大した内容でもないので、しつこい様ですが気軽に見てやって下さい。
それでは、数分後に投下ー。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:02:43.81 ID:RrAjhHrD0<>
結構かかってしまった。
それでは投下ー。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:03:24.69 ID:RrAjhHrD0<>
いつもより長く、そして何より不愉快に感じたHRが終わり、ようやく多少の休憩時間に入る。
いつもなら突然の転校生を珍しがる多くの生徒に質問攻めに合ってる頃合いなのだけれど、今回はそんな事はなかった。
「スターク先生スターク先生!質問いいですか!?」
「あ!私も私もー!」
…まぁ、当然と言えば当然か。
トニー・スターク…アイアンマン。
疑問しか浮かばない頭をなんとか整理して、私は自分に説明づける。
ほむら(私の名前すら知ってるあの男と同じ、この男だってAVENGERSのメンバー、教育実習と言うのは勿論作為的な口実。
…必ず、何らかの形で私に接触してくる筈)
今までの時間軸にはなかった、学校の電子机にあるSTARKの刻印。
――成る程、この軽薄な男が企業を担う人物だと言うのは、やっぱり理解し難い…いや、したくないわね。
ほむら(そんな事より―――)
横目で、あの娘に目をやる。
なるべく早く釘を打つために、接触を図りたいのだけれど…、
何せこの教室にはトニー・スタークがいる。
保健室へ〜、の下りだと、コイツの目に止まる可能性がある…。
でも、幸いトニー・スタークの周りには興味本位で意味も無い質問ばかりをしてる生徒だらけ。
……ゆっくり椅子から腰を上げ、あの娘、まどかの元まで近づいて行く。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:04:04.02 ID:RrAjhHrD0<>
ほむら「あの」
まどか「ふぇ?」
…いちいちトニー・スタークの目を気にしながらいけないのは不快だけれど、"約束"を果たすためなら私に迷ってる暇は無い。
さやか「ん?どったの転校生、転校生はスターク先生に質問いかないん?」
ほむら「そういうあなたはどうなのかしら、美樹さん」
さやか「ありゃ…私、名乗ってたっけ?」
ほむら「いいえ、久しぶりの学校生活が楽しみすぎて、このクラスの人の名前は全部覚えちゃったわ」
仁美「あ…、そういえば暁美さんは…」
ほむら「ええ、ようやく退院してね。
だから楽しみでしょうがなかったのよ」
さやか「む、無表情で言うセリフじゃないよ?転校生…」
ほむら「転校生は余所余所しいわよ。
暁美ほむら、呼び方はあなたに任せるわ」
さやか「…うん!そうだね!じゃあ…ほむらって呼ばせてもらうよ!」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:05:26.13 ID:RrAjhHrD0<>
――よし。
AVENGERS側に私という魔法少女の存在がバレていたとしても、この三人は何の気ない中学生だと判断する筈。
たとえ美樹さやかとまどかが魔法少女の素質があるからって、素質の有無はあの淫獣にしか判断出来ない。
そう、知り得る筈が無い。
だからこそ、魔法少女だとバレていようが、私はあくまで普通の転校生を装う。
こうやって美樹さやか達とのくだらない談笑も、新しい友達を見つけるための行動として見られて然るべきだもの。
それに、まどかばかりを気にかけていて忘れかけていた。
もう誰にも頼らない。
コレを忘れたつもりはない。
ただ、利用できる駒はいくらだって利用する。
そのための駒を上手く動かすために、こうして形上だけでも親しくなっておく事は悪い事じゃない。
イレギュラーだらけのこの時間軸。
下手に転ぶとしたら、かつてない程の地獄まで。
上手く転ぶとしたら、私が望む最善の未来まで。
単純計算でこの二つを前頭に置く。
これから先は、今までと別の展開が予想されるのだから、なんとか冷静に対応を施さなきゃいけないものね。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:06:38.49 ID:RrAjhHrD0<>
まどか「え、えっと……」
……しまった。
美樹さやかに気を取られすぎたせいでまどかを蚊中の外に放り込んでいた事に気がつく。
……あくまでもまどかに釘を打つのが目的なのだから、二人きりにならない事には下手な方向に転がってしまう。
さやか「おー!ごめんまどか!
ほむらとは友達になった弾みではしゃいじゃったけど、私の嫁はまどかだけだから心配ご無用ー!」
……この女は本当に、気分の浮き沈みが激しい人間ね。
仁美「い、いけませんわお二方!
たとえ純粋なモノだとしてもそれは許されぬ愛―――」
まどか「も、もお二人とも〜!
私にも喋らせてよお!」
さやか「アハハ、ごめんごめん。
それで?どったのさ?」
まどか「うん、あ、暁美さんになんだけど―――」
ほむら「ほむらでいいわよ。美樹さんが呼んでるように呼んでくれて構わないわ」
さやか「おいおいほむらくん、コッチが下の名前で呼んでるのに美樹さんってのは冷たいじゃんかよー……って、もしかして知ってるのは苗字だけだったり?」
ほむら「いえ、大丈夫よ、さやか」
仁美「ズ、ズルいですわ!三人だけで盛り上がっちゃって!」
さやか「可愛いの〜仁美、大丈夫大丈夫!仁美もちゃんと仲間だよん!」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:07:11.89 ID:RrAjhHrD0<>
ほむら「それで、どうしたのかしら?鹿目さん」
まどか「あ、うん…え、えっと、その前に、私の事もまどかって呼んでくれないかな?ほむらちゃん」
……一番最初、あなたと会った時の事を思い出す。
懐かしくて、嬉しくて、悲しくて、苦しい、一番最初の時間軸。
ほむら「分かったわ、まどか」
まどか「え、えっと、それでね?
ほむらちゃんが話しかけてくれた時、なんとなくなんだけど、私に何か言いたげな感じがしたから――」
……イレギュラーが多い事を除けば、案外この時間軸は上手くいってるのかもしれない。
なんとかして、この友好な関係を続けたい所だけど。
……美樹さやかも、巴マミも、佐倉杏子も、含めて。
さやか「なぬ!?もしや、まどか目当てで近寄ったな〜?
渡さん!私のまどかは誰にも渡さんぞ!」
…………巴マミと、佐倉杏子も含めて。
ほむら「え、ええ、実は…やっぱり体調が優れてないみたいで…、早乙女先生から、まどかが保健委員だと言うのを聞いたから保健室に連れて行ってもらいたくて…」
仁美「ま、まぁそれは一刻も早く…」
さやか「あ、あれ、それって私、体調の良くないほむらを無理矢理私のペースに付き合わせちゃった感じ…?」
ほむら「あら、あなたにしては随分と他人を気遣うじゃない。さやか」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:07:44.32 ID:RrAjhHrD0<>
さやか「な、なにをー!?それは一体どういう意味だー!!」
ほむら「まぁ、冗談を飛ばせる余裕くらいはあるんだけど、念のため少し、ね」
まどか「う、うん!分かった!
大きい病気だったんだもんね。付き添うよ!」
まどか(…やっぱり、どう見てもほむらちゃんと夢の中に出てきた女の子は同じ…。
でも全然違和感なんてないし…、う、うーん、私おかしくなっちゃったのかなぁ)
さやか「お、おし!ほむらのため!ここは私も付き添おう!」
まどか「え?で、でももうすぐ一時間目始まっちゃうよ…?」
さやか「な、何を言ってるんだ!大事な友達の大事をまどか一人だけに任せる訳にはいかーん!」
ほむら「…それ、ただ単にさやかが授業をサボりたいだけよね?」
さやか「うっ」
仁美「さやかさん?ほむらさんが心配なのは分かりますが、ここは潔くまどかさんに任せましょうね?」
さやか「う、うわー!何をする仁美ー!離せー!」
まどか「あ、あはは…じ、じゃあ私ほむらちゃんに付き添う事先生にお願いしてくるね」
ほむら「私も一緒に行くわ、あ、あと、出来ればスターク先生ではなく早乙女先生の方にお願いしたいのだけど……」
さやか「あー…もしかして聞こえてた?
スレンダーがどうのこうの…のスターク先生の話」
ほむら「ええ、殺したくなったわ。
ついでに、胸元を見ながら話をするあなたもね、さやか」
さやか「ご、ごめんごめん!他意は無いよ!」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:08:24.30 ID:RrAjhHrD0<>
―――廊下。
まどか「ほむらちゃんの名前ってカッコいいよね〜」
ほむら「そうかしら?私はまどかみたいな可愛い感じの名前の方が良かったわね」
美樹さやか達との談笑もあり、まどかとは今まで以上に自然な空気で廊下を歩く事ができている。
釘を打つ分には打つのだけど、この良好な空気を壊してはいけない。
なるべく柔らかく接する事を私は心掛ける。
まどか「か、可愛いって…、そ、そうかなぁ」
ほむら「ええ、もう少し誇ってもいいと思うわ。
それに、嬉しかったわよ?私がまどかに話しかけたって事を気づいてくれて」
まどか「えへへ、そんな大した事じゃないよ。
私には今日から転入してきたほむらちゃんといきなり友達になれた事の方が、ずっと嬉しいよ?」
―――やっぱり、この娘は変わらない。
初めて私に対して気さくに話してくれて、
私を危険から守ってくれて、
だから、だからこそ、私は絶対に約束を果たさなきゃいけない。
ほむら「まどか」
まどか「ん?」
ほむら「まどかは、友達や家族を大切にしてる?
さやかであったり、仁美であったり、両親であったり、兄弟であったり」
まどか「―――ふぇ?」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:08:50.74 ID:RrAjhHrD0<>
ほむら「…ごめんなさい、変な質問をしてしまって」
まどか「…う、ううん」
ほむら「ただ、私の事を友達と言ってくれた事が嬉しくて。
どうしても聞きたくなってしまったのよ」
まどか「わ、私は――」
ほむら「………」
まどか「大切――だよ。
家族も、友達の皆も、大好きで、とっても大切な人達だよ。
勿論、ほむらちゃんもね」
ほむら「……私も、大切にしたい。
せっかく初日から出来た、大切な友達だから」
まどか「うん!勿論だよ!」
ほむら「だから」
まどか「………?」
私のこの三文字で、まどかの表情は一変する。
明るい表情から、一瞬の困惑へと。
それ程までに、私の言葉には力が篭ってしまったのでしょう。
…だって、当然じゃない。
あなたが……本当に大切なんだから…。
ほむら「だから、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないで欲しい」
まどか「ほむら…ちゃん?」
ほむら「……ごめんなさい、また変な事言ってしまって。
…経験があるから、変わろうとして、死んじゃった友達が……、だから、どうしても…」
…そうよ。
何回も止めたけど、叶わないで、あなたは死んじゃったじゃない。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:09:22.17 ID:RrAjhHrD0<>
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「あなたをその娘に当てはめるのは失礼だと分かってるわ。
…分かってても、重なってしまうのよ。
あなたの、私に一瞬見せた表情が、その娘の表情に」
まどか「…ごめんね、私、ほむらちゃんにそんな事情があったなんて知らなくて…」
ほむら「いいえ、謝るのは私の方。
ただ覚えておいてほしかったの。
自分を大切にしないことが、なによりも家族や友達を傷つけることに繋がるって事を」
まどか「…うん、分かった。私―――」
トニー「見事な寸劇だ、が、それだけの寸劇をこなせるってことは体調は大丈夫なんだろ?ほむら」
…………。
誰にも聞こえない、自分にしか聞こえない強さで、思わず舌打ちをしてしまう。
ほむら「すみません、鹿目さんとの会話がつい弾んじゃって。
お陰で胸の違和感は消えました」
トニー「それは良くないな。
少しの違和感でも大切にした方がいい。
胸など気にしなくてもいい美人ではあるが、成長する事に越した事はない」
まどか(せ、先生っ…)
……やったわねQB、私の殺意対象が本当に久しぶりに変わったわよ。
ほむら「ご忠告ありがとうございます。
でも本当に大丈夫なので、授業に戻ります。
まどか、わざわざ付き合わせちゃってごめんなさい」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:10:13.08 ID:RrAjhHrD0<>
まどか「う、ううん、私は全然大丈夫だよ」
ほむら「それでは失礼します。
あ、そう言えば教室同じだったんでしたっけ」
まどか(うぅ…気まずいよぉ…)
…まどかの様子的にも、毒を吐くのはこの辺でやめておきましょう。
どうせ、コイツにとっては計算の内に入ってるんでしょうし、何もここで牙を――――。
トニー「―――――用事は終わったんだな?」
………………コイツ…。
ほむら「…ええ。……今の授業は数学でしたっけ、先生の出番はあるんですか?」
トニー「ああ、得意科目は物理と保健だが、国語と音楽以外ならなんとかなるな」
ほむら「そうですか、楽しみにしてます。
まどか、行きましょう」
まどか「う、うん」
………AVENGERS、
予想以上に面倒な集団かもしれない。
アイツがまどかに接触してしまう前に、なんとかしてコイツらの情報量も分かっておきたいわね………。
まどか(ほ、ほむらちゃんが怖いよぉ……)
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/01/09(水) 23:18:09.19 ID:RrAjhHrD0<>
以上でーす。
短い?ごめん!聞こえるけど無視!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/10(木) 11:11:31.72 ID:7BVK8nODO<> 社長が教える保険・・・
何故か男子が狂喜乱舞するシーンが浮かんだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/10(木) 19:52:05.37 ID:p62IiPI70<> >>99
ヒューッ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/10(木) 21:00:20.29 ID:ymYJQsQg0<> そういや中沢ってジョジョの取り巻きAだったなぁ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/10(木) 23:58:23.54 ID:UUgGkScpo<> アメリカンな下ネタジョーク満載の保健の授業とか教育に悪そうww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/11(金) 00:10:22.97 ID:DnSoD5Zj0<> トニーの保健の授業はキャップが見たら絶対怒りそう <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/12(土) 01:32:47.11 ID:eXP9y7bP0<> 男の子受けがよさそうなのが社長。
女子から好かれそうなのがキャップ、だと思った。
日本のアニメに影響されて社長がロケットパンチとかブレストファイヤーあたりに目覚めないといいけどw
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/12(土) 10:16:16.08 ID:UnFcvBKoo<> コミックだとデンドロビウム持ってるけどな、社長w <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/13(日) 13:28:30.87 ID:++uGxgK4o<> よし、カミジョーにはヒーリングファクターを移植して新たなX-MENになっつもらおう <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/14(月) 21:30:39.21 ID:Fx76tcJc0<> ついでに骨格にアダマンチウムを!二度と骨折しないようにさ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/15(火) 12:33:26.35 ID:XmQ+NUGDO<> そしてヒーリングファクター移植は成功したけど細胞変異が起こって二度と人前に曝せないぐらい醜い体になり精神がイカレて見えちゃいけないものまで見えるようになると <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/16(水) 22:09:04.48 ID:TIs+V3aQ0<> ワンダがいればすぐに解決するんだが映画版か <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/19(土) 14:41:25.09 ID:FCjd+8Kz0<> その人は危ないぞ、ハウス・オブ・M(まどか)になりかねん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/19(土) 15:41:19.00 ID:iM399Kneo<> じゃあ、フランクリン・リチャーズで <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/27(日) 11:19:39.22 ID:FFmZD5UL0<> 》110
ハウス・オブ・まどかwwwwどんな世界になるんですかねぇ・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/02/09(土) 01:52:52.23 ID:ny3A7mYL0<> 先生・・・続きが欲しいです・・・! <>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:04:27.23 ID:frsYrECm0<>
意外!それは投下ッ!
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:05:13.31 ID:frsYrECm0<>
―――一時間目、数学。
トニー「じゃあ、ここの問題をほむらいってみるか」
ほむら「……はい」
さやか「(ね、ねぇ、さっきからほむらばっかり当てられてない?)」
まどか「(う、うぅ〜、ほむらちゃんの目が怖いよ…)」
数学教師「ス、スターク先生、先程から暁美さんばかりに問題が…」
トニー「あー気にしないでください。
リハビリついでにもなるでしょうし、仮病を使う余裕すらあるんだから大丈夫大丈夫」
さやか「そ、それにしてもほむらも凄いよね…。
今んとこ当てられた所全部合ってるよ」
トニー「余裕かましてるがさやかー、次お前だぞー」
さやか「ふぇえ!?アタシ!?」
まどか「あ、あはは…」
―――四時間目、体育。
さやか「す、すっげー!ほむら運動も出来んじゃん!」
まどか「す、すごい…」
体育教師「て、てか、これ記録塗り替えちゃってない…?」
トニー「……なぁ、あの美人さんの教師の名前、教えてくれないか?」
中沢「!?」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:05:47.45 ID:frsYrECm0<>
―――昼休み。
さやか「いやー!今日はほむらに驚かされてしかいないよ…、ははは…」
午前の時間割を終え、私は美樹さやか、志筑仁美、まどかの三人に囲まれ昼食をとろうとしている最中。
何度も繰り返して繰り返して、嫌になるくらい繰り返して来た時間の中でも、
こうしてまどか達と一緒に昼食をとるなんてのは、本当に久しぶりで。
束の間の瞬間だとわかっていても、どうしても、今までとは違うこの時間軸に色々な感情を覚えてしまう。
期待、不安、焦り、安心、喜び、
仁美「ええ、本当に。ほむらさんってば何でもこなしてしまうんですもの。
流石に敵いそうにありませんわね…」
まどか「ほむらちゃん、燃え上がれー!って感じでカッコ良かったなぁ〜」
さやか「あはは!も、燃え上がれって…ま、まどか…ププッ」
まどか「さ、さやかちゃん!?
あ、あれ?今私変な事言ったかな〜?」
そう。
この時間軸は、今までの時間軸とは違うんだ。
AVENGERS、トニースターク…、
恐らく、"魔法少女"にも何らかの干渉はしてくる。
それが駒なのか、それとも敵対するべき相手なのか…。
……やっぱり、考えた所でまとまりがつく訳でもなく、
それでもただ、目的だけは、約束だけは果たしてみせるとだけ、私は……。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:06:25.68 ID:frsYrECm0<>
さやか「あーそうだ!折角だしさ!
ほむらの転入祝いも兼ねて、放課後ファミレスでも行かない?」
ほむら「……へ?」
突然の声に、思わず腑抜けた声を出してしまう。
なんとか平静を保とうと頭を回転させる。
放課後……。
まどか「いいねそれ!ほむらちゃんが良ければ行かない?」
仁美「ええ。親睦を深めるためにも、私ももっとほむらさんとお話がしたいですわ〜」
ほむら「…え、ええ、私は特に予定は入ってないから大丈夫。
こちらからもお願いしたいくらい」
……これは思わぬ好都合。
統計的に、この日にアイツがまどかに接触する可能性はかなり高い。
今まではまどかと知り合ってもいないただの転入生として動いていたから色々な誤解もありはしたけど、今回は状況がまるで違う。
これなら何の疑いもなくまどかと一緒に行動が可能。つまりはアイツを敬遠するかなりのチャンス。
……少しでも、
少しでも、打開できる展開に持っていければ良いのだけれど…。
トニー「………」
トニー「ジャーヴィス」
ジャーヴィス『はい。携帯電話からの会話は初めてではありませんか?』
トニー「悪いな、未来に生きる人間なもんだから良く覚えていない」
ジャーヴィス『存じ上げた上で言いましたから』
トニー「まぁ良い。1時間前に暁美ほむらに取り付けた盗聴器を午後15時に起動させろ」
ジャーヴィス『……トニー様、盗聴は日本ですと犯罪として重く…』
トニー「ジャーヴィス、存じ上げてるんだろ?
このトニースタークは未来に生きる人間だって」
ジャーヴィス『……了解しました』
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:07:07.39 ID:frsYrECm0<>
―――。
仁美「それでは、私はこの辺で」
さやか「また明日ね、仁美!」
まどか「習い事頑張ってね。仁美ちゃん」
結果から言ってしまえば。
この時間軸、私は中々に有効な道へ進めているという実感を得た。
放課後、何の違和感もなく友人として話に交じり、何の誤解もされないでいる。
まどかとの良好なコンタクトはもちろん、美樹さやかとの接し方も良好に越した事は無い。
仁美「ええ、頑張って参りますわ。
ほむらさんも、また明日、ですわ」
ほむら「ええ。また明日」
ただ、
統計的にこの日、ヤツがまどかとの接触を図ろうとすると踏んだのは少し考えが早すぎた。
冷静にもなってみれば、私が繰り返してきた最近の時間軸でのヤツの手口は、私の追撃の助けをまどかに訴えること。
そして今。当然私がヤツを追撃することは不可能。
…まぁ当然、私が追撃しようがしまいがまどかに接触するのは確実でしょうけど、最早アイツの行動を統計で見計らうのは危険。
とは言っても、良好な人間関係の代償にしては小さな事だから別に構わないのだけど。
まどか「この後どうしよっか?」
さやか「あー、CDショップ寄っても…いいかな?」
まどか「ふふ、また上条くん?」
さやか「ま、まぁね」
やはり、まどかや美樹さやかの人間性には大した変化はないみたいね。
余り会話は好かない方だけど、少しでも後の自分に有利になるように話を持っていこう。
ほむら「上条…、そういえば、名簿にそんな名前があったような…」
まどか「うん。さやかちゃんの幼馴染なの。
今は、ちょっとした事情で学校にこれてないんだけどね…」
ほむら「事情?」
さやか「交通事故でさ、ハハ、ドジな所は相変わらずでさ……」
ほむら「…ごめんなさい。少し、いえ、かなり軽率だったわ」
さやか「ううん、ほむらが気にすることじゃないよ。
それで…、CDショップ…いいかな?」
まどか「私は大丈夫だよ」
ほむら「私も平気よ。
差し支えなければでいいのだけれど、上条くんは音楽を?」
さやか「うん。バイオリンをね」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:07:48.09 ID:frsYrECm0<>
…美樹さやかのこの見舞いが、上条恭介にとっての一番の苦痛。
今すぐにでもやめさせて、少しでも美樹さやかにかかる因果を減らしたいのだけど…。
…いけないわね、巴マミの言い回しがうつったのかしら。
…ともかく、上条恭介を知らないとなっている以上は直接的に見舞いをやめること言う事は不可能。
……なんとか関節的に、上手く根回しできればいいのだけど。
―――CDショップ。
ほむら「上条くんへの見舞い品?」
さやか「そんな所かな、交通事故って言ったじゃん?そのせいでアイツさ、ちょっと今バイオリンが弾けない状況なんだよね」
ほむら「…成る程、それでプロの演奏を聞かせて奮起させようと」
さやか「うん。私がこう言うのも変なんだけどさ、アイツの演奏ってスゴイんだよ!
だから、さ、なんとか元気になってもらおう、って」
まどか「さやかちゃん、上条くんの事になると前が見えなくなるもんね〜」
さやか「な!?まどか〜、それはどう言う意味かな〜?」
ほむら「……優しいのね」
さやか「ふぇ!?…あ、そ、そうかな……」
ええ。優しいわ。本当に。
そして、同時に、美樹さやか、やっぱり貴方は馬鹿よ。
ほむら「…でも、」
さやか「?」
ほむら「それはもしかしたら、上条くんにとっては元気どころか、逆の感情を与えてしまうかもしれない」
さやか「……え?」
まどか「ほ、ほむらちゃん…?」
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:08:34.06 ID:frsYrECm0<>
さやか「ど、どういう…意味、かな?」
一瞬、美樹さやかの私に対する感情が、思い切り揺れた。
…やっぱり、いくら装うとしても、どうしても毒は抜けきれないみたい。
ほむら「気を悪くしたのならごめんなさい。
それと同時に、これは、あくまで私の考えなのだけど――」
なんとか毒を抑えて、美樹さやかに伝えようとする。
少しでもいい、これで美樹さやかの考えが改まるのなら、美樹さやかが精神的に追い込まれる事も――、
まどか「―――――ッ!?」
一瞬。
その一瞬。
私が明確に、美樹さやかに伝えようとした瞬間に、まどかの表情に急激な変化が訪れる。
まどか「……え?」
そして、上の空な状態で、何かに問いかけている。
―――間違いない、アイツが、接触している…。
ほむら「…え、えっと…まどか?どうかした…?」
さやか「ち、ちょっとほむら、さっきの話は一体―――」
まどか「ふ、二人は、聞こえないの…?」
………やっぱり。
ほむら「聞こえ…え?」
さやか「…え、えーっと、何が?」
まどか「"助けて、助けて"って……」
―――助けて?
…アイツの接触は目に見えた。別にそこには驚かない。
……でも、おかしい。
さやか「声?や、やだなぁまどか、そんなの何も……」
まどか「…ううん、聞こえる…私の名前を、呼んでる…」
確認するように呟いて、
まどかは足を運ぶ。
さやか「ち、ちょっと!まどか!?」
ほむら「さやか、私達も行きましょう。
…話はその後でも構わないでしょう?」
さやか「…うん」
助けてって…一体どういう事?
私はアイツに何もしていない、この状況じゃ、何もできない。
…ただの演技とふむか、それとも……。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:09:11.38 ID:frsYrECm0<>
ほむら「…ここからその声が?」
まどか「う、うん…」
さやか「デパートの地下ってだけあって…ちょっと暗いね…」
まどか「…あ!」
その一声の後、まどかは走り出してある方向に向かって行く。
…生憎、ソウルジェムの魔力を得ている私の視力は並のソレではないから、まどかより先にアイツを見つけてはいたのだけど。
さやか「ま、待ってってば!」
急いでまどかについて行って、
それと同時に、アイツがハッキリと目に映って、
まどかと美樹さやかの感じる驚きとは別の驚きを、私も感じてしまう。
「ハァ……ハァ…」
コイツ…確かに怪我を負ってる…。
さやか「な、何だよこのぬいぐるみ…。
傷だらけで…て、てか、息してるし…」
まどか「ひ、酷い傷……」
まどかと美樹さやかがコイツに近づいて様子を伺っている間に、私は頭を回転、深い思考の世界に入る。
―――どういう事?
今私の視界に入っているコイツは、間違いなく、本物の傷を負っている。
コイツに故意で危害を加えるなんてのは、それこそ私しか存在しない。
…まどかとの接触のために、何かしらの手段を使ってわざと傷を負った…?
何にしろ、今の状況はありがたくもあり、そして非常に不味くもある。
私はまだこの時間軸で、コイツと直接顔を合わせていない。
確かにこの時間軸でもコイツの邪魔は何度かしたけど、それはあくまで遠方からの攻撃。
つまり、今、私とコイツは初めて会った事になる。
そして、当然、コイツには私が魔法少女だと分かる。
ただしコイツ自身が私と契約した記憶はない。つまりはイレギュラーとして見られる。
…これから先のコイツとの接し方次第で、
この時間軸での進め方が大きく変わって来る―――。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:09:50.65 ID:frsYrECm0<>
―――――――。
思考が、止まる。
理由は、簡単。
ほむら「こんな時に――ッ」
風景が変わるのは一瞬だった。
まどかと美樹さやかは当然訳も分からず周りを見渡す。
まどか「え…?な、なに…これ…?」
さやか「い、いや…私が聞きたい…ハハハ…」
まどかの腕に抱かれているコイツは、その傷からか荒く呼吸をしているだけで何も喋らない。
魔女の結界が私達を包み込むのは本当に一瞬で、私は早くも窮地の選択に追い込まれる。
…ここで魔法少女になって、まどか達を助けるか。
…魔法少女になる事を避け、巴マミが来るまでなんとか時間を稼ぐか……。
……簡単だったわね。そんな質問。
ここで魔法少女にならずとも、どうせコイツにはバレるし、巴マミにも認知できる。
誤解が誤解を呼んで、余計にややこしくなるだけ。
だったら―――。
ほむら「ごめんなさい、2人とも」
ほむら「―――今から起こる事全て、クラスの人達には内緒にしておいてもらいたいわ」
さっさと、片付ける。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:10:33.73 ID:frsYrECm0<>
まどか「ほむら…ちゃん?」
さやか「な、何がどうなって……」
今まで学生服を着ていた私が、魔法少女の衣装に包まれている事に当然ながら2人とも驚きを隠せていない。
……なるべく物騒なモノは見せたくないから、手っ取り早く時を止めて――――。
轟ッ!!!!!!!
ほむら「――!?」
広がったのは、私の魔術でもなんでもない。
大きな大きな爆発音。
それは結界内でうろつく使い魔を迎撃する攻撃。それも、東と西、その両方から。
爆発音に連れて結界内も振動し、まどかと美樹さやかの困惑はより一層増す。…かく言う私も。
一つだけなら分かった。
その爆発の正体は、私の前に立つ、金髪の魔法少女のモノだと察しがつけるから。
「危ない所だったわね…」
おそらく私に向けてではない。
その後ろでたじろぐ2人に向けられた言葉だろうけど。
「――貴方は?」
ほむら「暁美ほむらよ。一応、お礼は言わせてもらうわ」
「…そう。私は巴マミ。
……まぁ、貴方に対しても、後ろの子が抱えてる私の友達に対しても色々聞いておきたいけど、その前に―――」
巴マミの視線が違う方向へ向けられる。
私も意図的にその方向へ向く。周りの使い魔など関係ない。
マミ「そろそろ姿を現してくれないかしら?
見事な攻撃だったけど、流石に目に見えないモノと共闘する気にはなれないの」
そう。
巴マミではない、もう片方の攻撃。
私も、こればかりは察しがつかずに巴マミの言葉には同意の意を隠せない。
…可能性としては、私の知らない新手の魔法少女か、又は、……。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 21:12:21.16 ID:frsYrECm0<>
「お褒めいただきありがたく思う。
ただ、猿芝居?とにかく、そっちのやり取りが終わるまでは出ようと思えなくてね。うん?終わったってことでいいの?」
輝く鋼鉄からの声、
ブーストをかけ、浮いた状態からの声。
………確か、アイアンマン、で良かったかしら。
ほむら「まさかとは思っていたんだけどね……」
まどか「先、生…?」
アイアンマン「驚く気も分からなくはないが。
―――そんな時間、悪いがないみたいだぞ」
まどかと美樹さやかにはその言葉の意味は分からないかもしれないが、当然ながら、私と巴マミは別。
私も巴マミも、アイアンマン…トニースタークの向く方向に視点を変える。
大きさはそれほどでも無い、魔女。
―――魔女?
ちょっと待って、今、アイツは、魔女が既に姿を見せているという意味で時間がないと言った…?
だ、だとしたら……、
巴マミ「貴方…魔女が見えてるのね……」
アイアンマン「不可能な事を可能にする男も多い」
トニースタークが言った途端に、場の空気が凍りつく。
魔女の明確な殺意が見えたと共に、トニースターク、巴マミもまた、戦闘体制に入る。
ジャーヴィス『半径50m内の敵の数を確認……300以上。
――追加情報。本丸の迎撃さえ完了すればこの異空間は消え去るとのデータが入りました』
アイアンマン「ご苦労ジャーヴィス」
アイアンマン「それじゃあ改めて、戦う少女お二人さん?」
アイアンマン「Shall we dance?」
戦闘への準備確認。
巴マミは口で答える事なく、行動で。
………仕方ない、事を進めるため、私も行動で答える事にする――。
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 22:32:13.02 ID:xKqHVM6J0<>
少ないけど以上です。
スタークに魔女が見える、コレにはそれらしい設定を考えてみたので、いつになるかはともかく、SSの中で説明したいなと思っています。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/13(水) 22:37:34.98 ID:vGwpF5eIO<> 乙。 かがくのちからってすげー!
<>
◆jPpg5.obl6<>saga<>2013/02/13(水) 22:41:44.40 ID:WQGD+CDt0<>
>>126さん、
まぁそう受け取りますよね。
大した設定でもないんですけど、科学の力ではありません、という事だけは言及しておきます。
ではまた、時間とやる気が合った時に。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/13(水) 22:53:35.24 ID:dFESMJSwo<> 少し人から外れてるし見えててもいいよね
乙! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/13(水) 23:49:40.35 ID:4O2RzlF60<> 更新乙!やっぱアベンジャーズカッコいい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/14(木) 09:50:54.75 ID:JyUEZqU2o<> 見えないアベンジャーズもいるってことか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/07(木) 00:06:21.56 ID:/VFt2HxP0<> とりあえず保守しときます。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/29(金) 17:01:19.77 ID:Yp9iqamA0<> 続きはまだかね。待ちきれぬ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/04/05(金) 20:01:32.05 ID:GMqYSVZPo<> おいおい、更新はないのか?
待ちくたびれちゃうよ <>