◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 00:20:20.32 ID:lCWb7lZI0<>貴音「んもぐもぐ……」

P「ちーっす。って貴音のやつ、何食べてんだ?」

貴音「ほはははま、ほはへりははいはへ(あなた様、おかえりなさいませ)」

P「口にものを入れてしゃべらないの!」

貴音「んぐ。失礼いたしました。お帰りなさいませ」

P「ただいま。これ、ケーキか。随分甘そうだな」

貴音「収録後にお土産としていただいたものです。嗚呼、ぐるめれぽーととは、なんと素敵なお仕事なのでしょうか! わたくし、そのためなら週7日働けます」

P「気に入って貰えたようで何よりだけど、最近食べ過ぎじゃないか? 甘いもの」

貴音「これもなかなか美味ですね。据え膳喰わずは何とやら、頂きましょう」

P「おーい、聞いてる?」

響「無駄だぞ、プロデューサー。貴音は一度食べ始めたら、こっちの話を聞かないからね」

P「しかしラーメン好きってのは知っていたけど、今時の女の子らしく、甘いものも食べるんだな」

響「プロデューサー知らないの? 最近はラーメンだけじゃなくて、ホテルのバイキング、スイーツショップ巡りと色々手を出してるんだよね」

P「マジか? そう言えば前は100円のドーナツを買い占めてたっけか」

貴音「あーむぐっ!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358263220
<>貴音「虫歯になってしまいました……」
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 00:23:53.72 ID:E+Mn0Ngz0<> P「どうした? 舌でも噛んだか?」

貴音「い、いえ……。今のは一体なんだったのでしょうか? 気を取り直してあーんがっ!?」

P「また噛んだのか?」

響「いや、この反応は……」

P「響?」

響「ちょっと貴音! 口の中見せて!」

貴音「はい?」

響「ほら、口を開けて。あーん」

貴音「あーん?」

響「あー、やっぱり。プロデューサー、これ舌を噛んだんじゃないぞ」

P「へ? だったら何だ?」

響「ただの虫歯だよ、これ」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 00:29:26.32 ID:E+Mn0Ngz0<> P「む、虫歯? 貴音が?」

響「うん。さっき口の中見たけど、奥の方に有ったよ」

貴音「虫歯、ですか? わたくしが?」

響「うん。見た感じ結構進行してるかも」

P「えっと、貴音。もっかい口開けてくれるかな?」

貴音「あーん」

P「あれま、本当だ。良くここまで放っておいたな。ちゃんと歯を磨いているのか?」

貴音「ええ。芸能人は歯が命、三食の後は欠かさず行っています。ですが……」

P「ですが?」

貴音「空腹で眠れぬ夜は、菓子を食べていたため、そのせいかもしれません」

P「それだな。それに最近甘いものを取りすぎてたみたいだし、虫歯になるのも仕方ないか」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 00:34:59.96 ID:E+Mn0Ngz0<> 貴音「あ、あなた様……。と言うことは、ぐるめりぽーとのお仕事は……」

P「治さなきゃダメだな。食べるたびに苦悶の表情されたら、リポートになりゃしないし。幸いこれからオフだし、すぐに歯医者に」

貴音「いやあああああああ!」

P「のわっ!! なんだ!?」

貴音「そ、それだけは! それだけはご勘弁を!!」

P「は、はぁ?」

貴音「歯科医だけは! 殺生ですからそれだけは!!」

P「き、急にどうしたんだ!?」

響「貴音がこれほど取り乱すなんて、珍しいぞ」

貴音「あなた様ああああああ!!」

P「だあああ! とりあえず落ち着け!」

貴音「ぜぇ、ぜぇ……。失礼致しました。わたくしとしたことが、取り乱してしまうとは」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 00:39:16.93 ID:E+Mn0Ngz0<> 響「ひょっとして貴音、歯医者が怖いのか?」

P「歯医者が怖い? そんな小学生じゃあるまいし……」

貴音「も、もちろんですともぉ! こ、怖いだなんてなっしんでございます!」

P「明らかに動揺してキャラがおかしなことになってるぞ」

響「ついさっき歯医者だけはご勘弁をって言ってたのにね」

P「えっと、質問しよう。これまで歯が痛いなと感じたことは? 歯医者に行ったことは?」

貴音「とっぷしぃく」

P「何でもかんでも『とっぷしぃくれっと』って言ってりゃいいと思うなよ?」

響「あんまり使い過ぎると安っぽくなるさー」

P「素直に答えなさい」

貴音「は、歯の痛みは有ったような無かったような……」

P「成程、今日ほどじゃなくとも有ったと。歯医者に通った経験は?」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 00:44:40.23 ID:jgcNVUYY0<> 貴音「ありません」

P「一度も? いくら謎の多いキャラとは言え、一度もないなんてことはないだろうに」

貴音「わたくしの故郷には万能薬と言うものがあって……」

響「じゃあその万能薬は今あるの?」

貴音「……ありません」

P「はぁ、つまり貴音は生まれてこの方歯医者に行ったことが無い、と」

貴音「ええ、お恥ずかしながら」

P「でも今、歯が痛くて痛くて仕方ないと」

貴音「これぐらい我慢できます」

P「ほう? それじゃあ水、飲んでみな」

貴音「水? はぁ……」

P(水を飲んでる喉の動きがちょっとエロい)

響「何見てるんだ?」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 00:48:39.48 ID:aYLP2ONY0<> 貴音「ズキッときました……」

P「こりゃダメだな。良し、早速歯医者に」

貴音「そ、それだけは!!」

P「そ、そんな涙目で俺を見ないでも」

響「でもいくらなんでも怖がり過ぎだぞ。昔にトラウマが出来たとかいうのならまだ分かるけど、今まで行ったことが無いの歯医者が怖いなんて」

貴音「あ、あのような映画を見たのがいけないんです。小鳥嬢が見ていたあの映像作品を」

P「映画?」

響「あー、あれのことかな?」

P「あれって?」

響「アウトレイジ」

P「……そりゃトラウマになるわな」

貴音「ああ! 思い出しただけでも身の毛がよだちます!」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 00:54:14.85 ID:EucSXCL20<> P「つーか仕事中に何を見てんだあの人は」

響「なんか借りたDVDの中に間違って入ってたんだって。返すのも勿体ないからって、事務所の皆で見てたんだ。雪歩が気絶するし、亜美真美は泣き出すしで大変だったんだよ?」

P「あれ年齢指定あるだろ!」

響「自分もあの映画は2度と見たくないさー」

P「しかしあの映画を見たら、ラーメンも食べれなくなりそうなもんだが」

響「食欲>恐怖なんじゃない?」

貴音「目をつぶっても浮かんでくるのです。あの恐怖の表情が、口の中の肉を切り裂く音が……」

貴音「そのような場所に、行けと言うのですか!?」

P「いや、あんな歯医者はいないっつーの。俺がいつもお世話になっている歯医者を紹介するからさ」

貴音「いいえ、あなた様とて信じるわけにいきません。わたくしはあの瞬間より、全ての歯科医に恐怖を感じるようになってしまったのですから!」

P「んな得意気に言われても。それに、虫歯って放っておくと大変なことになるぞ?」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 01:01:57.20 ID:tyZbitN+0<> 貴音「大変なこと?」

P&響「「教えてー、律子せんせーい!!」」

律子「ハァイ! 寸胴系女医のリッチャンって何を言わせるんですか!!」

P「いや、寸胴までは言ってないよ?」

律子「で、貴音が虫歯になったんですね。何と言うか意外と言うか……」

響「でもアウトレイジを見たせいで歯医者に行きたくないって言ってるんだ」

律子「なんちゅう映画を見てんのよ」

P「そこで、律子に是非とも虫歯の恐怖を教えて欲しいんだ」

貴音「あなた様、人類の自然治癒能力を侮ってはいけません。虫歯とて、放っておけば……」

律子「あー、治らないわよ」

貴音「はい?」

律子「全部が全部ってわけじゃないわよ? 一応初期の虫歯なら、再石化して治癒するけど、どうにもあんたのは手遅れだから、放っておいてもきつくなる一方よ?」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 01:07:52.98 ID:P/kq8oMC0<> 貴音「手遅れなど……」

P「まぁ素人の響が見てわかるぐらいなんだから、よっぽどなんだろうな」

響「あれは誰が見てもそう思うって!」

貴音「んぐっ……」

律子「どうやら、貴音は虫歯の真の恐怖を知らないみたいね」

響「真の恐怖?」

律子「ええ。まぁ分かりやすく、フリップを用意したわ」

P「準備が良いな、おい」

律子「備えあれば嬉しいな! ですよ」

響「デデデ?」

P「懐かしいな、土曜日の朝見てたわ」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 01:13:56.67 ID:y9Ha5j5g0<> 律子「本当は怖い! 虫歯劇場の始まり始まりー」

P「どんどんぱふぱふ!」

律子「はい! ここに甘いものが大好きな涼ちゃんがいます!」

響「あっ、涼だ」

P「折角男の子アイドルとしてデビューしたのに、女の子の絵ですか」

律子「いつものように涼君はお菓子を食べていました! するとどうでしょう、歯に電流が走ったかのような痛みが! そう、虫歯です! だけど涼君は無視して甘いものを食べ続けました! そして次のページで……」

律子「死にましたー」

貴音「なんと!?」

響「わずか1ページで死んじゃったぞ!?」

P「律子は彼に恨みでもあるのか……?」

貴音「む、む、虫歯で人が死ぬなど……」

律子「直接の原因じゃなくても、虫歯がトリガーになって命を落とすって例も、無いことは無いのよ」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 01:22:33.22 ID:sc5lhsz50<> P「本当は怖い家庭の医学か?」

律子「そんな所ですかね。江戸時代は虫歯が死因の上位だったって言うぐらいですし、虫歯が痛すぎて自害した侍もいたとかいなかったとか。有名な事例では、新撰組二番隊隊長、永倉新八。彼の死因は斬られたわけじゃありません。虫歯なんです」

P「永倉新八って言ったら俺でも知ってるぞ?」

律子「ドラマに出たり、某銀の魂でも似た名前のキャラがいますからね。新撰組の大志の中でも、そこそこ有名な方ですね」

律子「まぁ当時の医学のレベルならば、仕方のないことかもしれませんが、虫歯が悪化し、骨膜炎になって、菌血症、敗血症とどんどん悪化していって、その77歳の生涯を終えたんです」

響「何を言っているかさっぱりだぞ」

P「後でWikiを見ておくか」

貴音「ですが、それは100年近く過去の話。現代の医術の進歩では、そのような死は」

律子「歯医者に行けばね。だけど、放っておくと……」

P「大変なことになりますよ、か」

律子「あの手の番組は、必要以上に脅している節もありますが、そういうことも、実際に有り得るんですよ。」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 01:28:32.95 ID:EVV8nVkn0<> 律子「にしても、正月の間に発症しなくて良かったわね。正月に痛みが来たら、当分我慢しなくちゃいけないのよ?」

貴音「うぐぐ……」

律子「そうね、熱いお茶を飲んでみて」

P「熱いお茶?」

律子「冷たいもので染みるってだけなら、まだ大丈夫なんですけどね。熱いものでもじわじわと来たら」

貴音「っ!」

律子「こりゃヤバいわね。ふんじばってでも歯医者に行くべきですよ!」

P「だな。良し、貴音! 歯医者に行くぞ!」

貴音「ひっ!」

響「貴音ー、怯えてても仕方ないぞ? そのまま放っておいたら、大変なことになっちゃうし、なにより美味しいものも美味しく食べれないぞ?」

貴音「そ、そうです! あなた様、わたくしは妙案を思いつきました!」

P「妙案?」

律子「一応聞いておいてあげる」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 01:34:30.62 ID:prGxjFVS0<> 貴音「古来より、風邪を引いたときは接吻をすることで、移したと言われています」

P「おいおい、まさか」

貴音「それは虫歯菌も同じこと! わたくしが接吻をして、移せば問題ないのです!」

P「いやいやいや!!」

響「いくらなんでもそれは無いぞ!?」

P「そりゃキスできるなら嬉しいけどさ! むしろ虫歯で済むなら大歓迎だ! キスミー!」

響「プロデューサー?」

律子「キルミーって言ったのかしら?」

P「こ、コホン! あのな、貴音。いくら病院に行きたくないからって、そんなことをしなくても」

響「なー、律子。虫歯菌ってキスで移るのか?」

律子「一応移ることは移るみたいよ?」

P「マジ?」

律子「大マジです」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 01:39:52.15 ID:R1zdb/X40<> 律子「まぁフレンチキスぐらいなら移らないみたいだけど、デ、ディープなのをすると、移るとか……」

貴音「それでは、でぃぃぷきすをしましょう! さぁ、早く!」

P「ちょっと待て!! それで良いのか!?」

貴音「確かに、初めての接吻は運命を共にする人、そう考えていました。ですが、このままでは耐えられそうにありません!」

律子「なら今すぐ歯医者行きなさいよ!」

貴音「そうなるぐらいなら! 今ここで、でぃぃぷきすを!! 覚悟!!」

響「ええ!? じ、自分!? ちょ、ちょっとタンマ」

ずきゅぅぅぅぅん

P「どうしてかな、一瞬黒井社長の顔がよぎったのは」

律子「奇遇ですね、私もです」

響「ぽー」

貴音「美味しゅうございました」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 01:47:41.99 ID:R0dxYF4C0<> 貴音「これで虫歯菌は響に移りました。これで心置きなく食事を」

律子「ねぇ、もしかして虫歯菌を移したら終わりと思ってる? んなワケないでしょうが!」

P「まぁ、常識的に考えて、既に虫歯になっている歯が治るわけじゃないもんな」

貴音「いだっ! そ、そんなことな……」 

響「じぶんきすされぞんだぞぉ」

P「響、ちゃんと歯を磨くようにな」

律子「言っておくけど、もう病院に行く選択肢しかないわよ?」

貴音「し、しかし……」

響「ふぅ。そう言えば、正露丸を詰めたら痛みが治まるとかって聞いたことあるぞ?」

P「それ、迷信じゃないのか?」

律子「いいえ、パッケージにも虫歯通にって書いていますし、正露丸に含まれているクレオソートと言う成分に鎮痛作用があるので、効果はありますよ」

貴音「それは真なのですか!? ならば、今すぐ正露丸を! 確か救護箱に……有りました!」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 01:55:00.17 ID:jgcNVUYY0<> P「うわっ、瓶を開けただけで部屋中に匂いが……」

響「これだから正露丸はあまり使いたくないぞ!」

律子「さっき説明した、木クレオソートの匂いね」

貴音「良薬は口に苦しと言います。故に、このような匂いにたじろいではいけません! それでは、参ります」

律子「そうそう、言い忘れてたけど。歯に詰めるのは良いけど、舌にあてないようにね?」

貴音「へ?」

律子「あら、遅かったかしら?」

貴音「あぎゃああああああああああ!?」

響「た、大変だ! 貴音がとてもじゃないけど見せられない顔に!」

P「女の子の断末魔じゃないぞこれ!?」

貴音「ひ、ひははひひへ(し、舌が痺れ)……」

律子「はい、水。すぐにうがいなさい」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:02:46.48 ID:jgcNVUYY0<> 貴音「ふぅ、生き地獄を味わってしまいました」

律子「正露丸ってああ見えて劇薬なのよ?」

響「なおさら使いたくなくなったぞ!」

P「ああ、恐るべし、正露丸」

貴音「しかしこれでは全く効果が有りません。うがいするだけでも、歯に痛みが」

律子「結局流れちゃったから良かったけど、場合に寄っちゃ正露丸を詰めたせいで、却って歯が痛くなるなんてこともあるから、一概に使えるとは言えないのよ」

律子「それに、これはあくまで応急処置よ。一時的に痛みを取り除くけど、歯髄が壊死して痛みが治まったように感じるだけなの。そのまま放っておいたら、感染が根尖部に広がって悪化しちゃうわ」

P「なぁ貴音、そろそろ観念して歯医者に行かないか?」

貴音「で、ですがわたくしは歯医者に行くと命を落としてしまう病に……」

P「どこのウソップだ」

響「貴音がここまで怯えるとはなー」

律子「確かに、始めて行ったときは怖かったけど、今じゃ慣れたもんよ? これもアイドル活動の一環と思って、言って来なさいよ」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:07:37.23 ID:EucSXCL20<> 貴音「うう……」

P「貴音、そうだな。虫歯を無事治療したなら、一緒に美味しいもの食べ廻らないか? もちろん、俺のおごりだ」

貴音「あなた様?」

P「なんでもいいぞ? ラーメンでも、ケーキでも。高すぎるのは、ちょっと相談がいるけど、貴音が食べたいもの、なんでも食わせてやる。だから、その虫歯、治そうな?」

響「自分もこんな貴音は見たくないさー! いつもの貴音なら、もっと余裕綽々だぞ!」

律子「芸能人は歯が命、何でしょ?」

貴音「律子殿、響……」

貴音「そうですね、虫歯1つに取り乱し過ぎましたね。このような姿をお見せしてしまい、申し訳ございません」

貴音「いざ、歯医者へと参らん!!」

P「よし、じゃあ行きつけの歯医者に予約を……。あれ? 今日は休み?」

貴音「あなた様?」

P「いや、いつも言っている歯医者が休みみたいでさ。そう言えば近くに有ったかな。そこに行こうか」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:12:05.74 ID:EucSXCL20<> 響「……」

律子「……」

貴音「こ、ここですか?」

P「だ、だな……」

82歯科医

響「や、藪さんって大丈夫なのか?」

律子「それに見た感じもボロっぽいですし、名前の通りなんじゃ」

P「でもどういうわけか、他の歯医者は予約が一杯だったり、休業日だったりでここしかないんだよな」

響「日を改めた方が」

貴音「いいえ。そうしてしまうと、私の決心は揺るいでしまいます」

律子「それに、治るならちゃっちゃと治した方がいいわ。ここにそれだけの技術が有ればだけど」

P「おいおい、そんな縁起でもないことを……」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:20:00.74 ID:9vkpRppL0<> ??「うわあああああ!!」

P「な、なんだ!?」

響「今誰か病院から出て行ったぞ!?」

律子「ってあの姿、黒井社長じゃ……」

P「あっ、ホントだ。後姿でも分かるわ」

響「まさか黒井社長、歯医者が怖いのか? 案外お子ちゃまだな! って貴音?」

貴音「や、やはり大の大人でも恐ろしい世界なのですね歯科医院と言うのは。きっとわたくしも悲鳴を上げて逃げることになるのでしょう」

P「い、いやいや。偶々だろ」

律子「はぁ、どうしますか? 痛いのを耐えるか、怖いけど我慢するか?」

貴音「あっ、そう言えば宿題が……」

P「行くか」

響「だね。律子、逃げないように捕まえてて」

律子「りょーかい」

貴音「しゅ、宿題がああああ!」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:24:08.67 ID:9vkpRppL0<> 響「何と言うか、内装も趣があるね……」

律子「ドラマのセットを3年ぐらい放置したら、こんな感じになりそうですね」

P「よく黒井社長はここに来たな……。大丈夫か貴音?」

貴音「宿題が……」

P「お前何歳だよ」

藪「四条さーん」

貴音「呼ばれていますよ、あなた様」

P「人を勝手に婿養子にするな!」

貴音「では、わたくしが嫁げば……」

P「そこまでするほど治療が嫌なのか!?」

響「ほら、行かないと!」

律子「もう逃げ場なんかないわよ?」

貴音「あなた様ぁ……」

P「行って来い」

貴音「いけずです……」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:31:08.10 ID:OgMMniRc0<> 響「プロデューサー、行ってあげたら?」

律子「そうですね、その方が貴音も安心するでしょうし」

P「はぁ、そうだな。ちょっと行って来るわ」


藪「ふーむ、そうですねー。虫歯がねー、2つほど有りますねー」

貴音「それは、見間違えと言うことは」

P「ねーよ!」

藪「でもまぁ、これぐらいなら今日だけで出来そうですね。しかし四条さん、いけませんね。ちゃんと歯を磨いていますか?」

貴音「あなた様、言われて」

P「くどいぞ」

藪「ただシャカシャカするだけではいけませんよ? ちゃんとした方法が有りますから、後で教えます。それでは……」

貴音「ひっ! あ、あの映像が……」

P「いよいよ来たか……」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:35:16.50 ID:ToAciGI80<> 藪「それでは、歯を削りますねー。口を開けてくださいね」

貴音「お医者様! か、確認しておきたいのですが、手が滑るなんてこと、有り得ませんよね?」

藪「はっはっは。そんなことを心配しているのですか? 歯医者になって20年、これまでそんなミスをしたことは……あ、ありませんよ!」

P「何で今溜めたんですか!?」

藪「安心してください! これでも地元じゃ負け知らずなんですから!」

P「いやそれに歯医者と何の関係が!?」

貴音「奇遇ですね、わたくしも地元じゃ右に出る者はいませんでした」

P「張り合うなよ!! はぁなんだこりゃ……」

藪「四条さん、痛かったら手をあげてくださいね」

貴音「ふぁい」

P「いや、まだ始まってないのに手をあげるなよ」

藪「それじゃあ、行きますよー」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:43:04.95 ID:y9Ha5j5g0<> 貴音(ああ! どりるが! どりるが!!)

貴音「――!!」

貴音(これほどまでに痛いとはあああ!!)

P「耐えるんだ! これを耐えたら何でも奢ってやるから!」

藪「私にですか?」

貴音「!?」

貴音(あわわわわわ!! お医者様、よそ見をしないでください!!)

P「歯を削りながらこっちを向かないでください!!」

貴音(痛ければ手をあげる、ですね! いざ挙手!)

藪「我慢しましょうねー」

貴音(なんと!? 止めてくれるのではないのですか!? なぜほくそえんでいるのですか!?)

律子「歯医者で良く言われる、『痛かったら手をあげてくださいね』というのは、痛かったら止めるよと言う意味もあるけど、実は痛みの様子を参考にしているのよ。手をあげて貰ったところが痛いと! かそんな感じね」

響「へぇ〜。物知りだなぁ」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:49:33.97 ID:aYLP2ONY0<> 貴音(あ、ああ……。わたくしはこのまま、あの映画と同じように……)

貴音(手が、暖かい?)

P「悪い貴音、俺はこうするしか出来ない」

貴音(あなた様の手が、わたくしの手を握ってくれているのですね)

P「その痛みを共有することも出来ない。だけど、貴音の不安を取り除くことは出来る」

貴音(不思議です。あれほど怖いと思えたことも、あなた様がそばにいるのなら……)

貴音「んんん!!}

P「貴音えええええ!!」

貴音(それでも痛いものは痛いです!! その上、何ですかこの音楽は!!)

あーのー日くれーたー僕らのーおもーいーがー

藪「ギガドリルブレエエエエエエエイク!!」

貴音(……もうどうにでもなってください) <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:54:07.11 ID:tpAIVkWy0<> 藪「ふぅ、終わりました」

貴音「わ、わたくしは生きているのですか?」

P「ああ、治療は終わったんだ!」

貴音「ほ、本当ですか? 水を、水を!」

P「そら!」

貴音「んん……、は、歯に染みません!」

藪「まぁ今日はこんなので済んだけど、最悪麻酔とかも掛けなきゃいけないからね。麻酔は良いよ? 痛くて痛くて、歯の痛みなんか忘れちゃうから。試してみる?」

貴音「ご遠慮願います」

P「しかし無事に終わってよかったな。さて、すぐにってわけに行かないけど、食べ歩きツアー、どこに行きたいか考えておいてくれ」

貴音「はい、わたくしはあなた様となら、どこへでも……」

藪「そうだ! 折角だし、君もチェックしようか?」

P「は? 俺ですか?」

藪「そう、君。特別に無料にしてあげるから」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 02:57:44.36 ID:tpAIVkWy0<> P「あーん」

藪「うーん、ちょっと危ないのが有りますねー。おや、これは?」

貴音「いかがいたしましたか?」

藪「親知らずが有りますね」

貴音「親知らずですか?」

藪「上下4本子。これのせいで、歯並びも悪くなってるし……、抜いちゃうか」

P「ふぁああ!?」

貴音「あなた様?」

P「ちょ、ちょっと待って! 俺は別に親知らずでも気にしな」

藪「良いじゃないですか、減るもんじゃ無しに」

P「減りますよ! 知ってますよ? 親知らず抜くのって、滅茶苦茶痛いんでしょ!?」

貴音「なんと、それは難儀なことですね」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 03:02:55.45 ID:OEbbOIil0<> 藪「でもね、親知らずは抜いた方がいいよ?」

P「い、いや大丈夫です! ほら、貴音、帰る」

貴音「いけません!」

P「ええ?」

貴音「あなた様は、私の手を握ってくれました。ですが、このような恐怖を感じたのも、歯科医に来たからです! わたくしの受けた恐怖、あなた様にも受けて貰います!」

P「ちょ、貴音ぇ!?」

藪「さぁ、全身麻酔をしましょうねー」

貴音「あなた様、ご武運を」

P「そ、そうだ! 俺、宿題が残ってええええええええ!!!!」


律子「寝る前にはちゃんと歯を磨きましょう!」

響「虫歯かなって思ったら、歯医者にいくんだぞ!」 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 03:06:11.63 ID:OEbbOIil0<> アウトレンジビヨンドDVD&Blu-rayは4月12日発売。誰かがアウトレイジピヨンドを書いてくれることを願います。
以上で終わりです、お目汚し失礼いたしました。 <>
◆CiplHxdHi6<>saga<>2013/01/16(水) 03:10:56.54 ID:OEbbOIil0<> アウトレンジ×
アウトレイジ○
ですね。失礼いたします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/16(水) 03:55:22.29 ID:VepUIeAIO<> アウトレイジピヨンドって何だ?
どこぞの事務員主演の映画かw? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/16(水) 04:34:37.20 ID:+Zj70IrB0<> おつ
一応指摘しておくとフレンチキスってディープキスのことだぞ <>
◆CiplHxdHi6<>saga sage<>2013/01/16(水) 12:23:51.42 ID:jgcNVUYY0<> 訂正点

>>12 貴音「ですが、それは100年近く過去の話。現代の医術の進歩では、そのような死は」×
貴音「ですが、それは100年近く過去の話。現代の医学の進歩では、そのような死は」

>>15 律子「まぁフレンチキスぐらいなら移らないみたいだけど、デ、ディープなのをすると、移るとか……」
律子「まぁバードキスぐらいなら移らないみたいだけど、デ、ディープなのをすると、移るとか……」

HTML化依頼は夜にでもします。 <>