VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 18:41:55.65 ID:HDKFMiKS0<>ぽつりぽつりと投稿していきます。

拙い文章ですがよろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368178915
<>春香「ドジな私とドジなプロデューサーさん」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 18:42:42.83 ID:HDKFMiKS0<> 朝早く、まだ日も出ていない頃、私は自転車に乗っていた。

もう桜が咲く季節だと言っても、この時間帯は風が冷たく肌寒い。

それでも私はこの時間が好きだった。

なんだか意識が安らいで、穏やかな気分になれるからだ。

暫くすると駅に辿り着いた。

自転車を停め、小走りで改札を通る。

どうやら少しばかりゆっくりし過ぎたようだ。

このままでは電車に乗り遅れてしまう。

「――って、きゃあ!」

何もないところでこけてしまった。

はぁ……またやっちゃった。み、見られてないよね?

膝を地面に着けたまま辺りを見回してみるが、駅の中には私以外姿がない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 18:43:37.26 ID:HDKFMiKS0<> よかったぁ、ほっと息をついて立ち上がる。

ぶつけた膝を見てみるが、何ともない。

怪我をしたら律子さんに怒られてしまうので、また安心。

春香さんは、一日一回以上こけちゃいますけど、怪我だけはしないのです!

そんな風なことを思っていると、電車の発車を知らせる音が鳴り響く。

わわわっ、待ってくださーい!

全力で走ってなんとか間に合い、座席に座る。

「よ、よかったぁ……」

三度目の安心。

ああもう、私のドジの所為で朝から疲れちゃったじゃない。

私のというより、私が、なんだけどね。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 18:44:10.91 ID:HDKFMiKS0<> 「……ふー」

深呼吸して息を整えると、バッグの中から音楽プレイヤーを取り出す。

電車の中では欠かせない、重要なアイテムだ。

流れてくるのは同じ765プロの皆の曲。

皆上手で、楽しそうで、輝いていて。

私の顔は自然に綻んでいた。

私ももっと、頑張らないとね。

早く皆に追いつきたいから。

私が乗ったときはまだ数人だった電車内は、徐々にざわつき始める。

人で溢れかえった電車の中は少し窮屈だ。

それでも私はこの時間が大好きだった。

なんだか意識がはっきりして、一日の始まりを感じるからだ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 18:45:54.59 ID:HDKFMiKS0<> 目的の駅で降りる頃には、眩しい朝日が辺りを照らしていた。

私はその爽やかな日差しを浴びながら、ゆっくりと歩き始める。

今日も一日頑張るぞー、そんなことを考えながら。

……途中で一回転んじゃったけど。




■ ■ ■ ■




「早速だが天海君、君に専属のプロデューサーがつくことになったよ」

社長室に呼び出された私へと、そんな言葉が投げかけられた。

本当ですか!? 私は前のめりになりながら社長に訊く。

「はっはっはっ、本当さ。待たせて済まなかったね」

「い、いえ! そんなことないです!」

本当は少しだけプロデューサーがいないことが不満で不安だったけど、今はそれよりずっと嬉しかった。

漸く私にもプロデューサーが……なんだか、よりアイドルらしくなってきたかも。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 18:54:25.33 ID:HDKFMiKS0<> 「では早速紹介するよ。君、入りたまえ」

そう言うと、一人の男性が社長室へと入ってきた。

眼鏡をかけた優しげな好青年だ。

一目見た瞬間、なんとなくだけど。

あ、この人となら一緒にやっていけそう、なんて思っちゃった。

あずささん風に言うと、運命、だったのかもしれない。

別の言い方をすると……一目惚れ?

い、いや、そういう意味じゃなくて! プロデューサーとしてだから!

……一体私は誰に言い訳しているのだろう。

それくらいに舞い上がってしまったのだ。

プロデューサーさんは私の前に立つと、ぺこりと一礼してみせた。

慌てて私もお辞儀で応える。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 18:56:39.95 ID:HDKFMiKS0<> 「君の専属プロデューサーをちゅとめさせていただきましゅ!」

「ひゃ、ひゃい! よろしくお願いしまひゅ!」

あうぅ……緊張して噛んじゃったよう――ってあれ?

今、プロデューサーさんも……。

「君ぃ……少し落ち着いたらどうだい?」

「す、すみません! 緊張しちゃって……噛んじゃいまひた」

ぷっ、と私は吹き出してしまった。

プロデューサーさんを見ていると、なんだか可笑しくなってきたのだ。

「わ、笑わなくてもいいだろう!」

「あはははは、ごめんなさいっ。でも可笑しくって」

「君も噛んだじゃないか!」

「ええ。だから可笑しかったんです」

なんだか息がぴったりだなぁ、って。

ううむ、そうなのか……? プロデューサーさんは首を捻っているけれど。

私たち、きっと相性がいいですよ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/10(金) 19:01:04.70 ID:+50X4J5DO<> 2828 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 19:08:21.52 ID:HDKFMiKS0<> 「改めまして、天海春香です。趣味はお菓子作りと長電話、一日一回転びます、いぇい!」

「おいおい、自信満々に言うことじゃあないだろう、えーと、春香……でいい?」

少し慎重になりながらも名前で呼んでくれたことが、なんだかとても嬉しい。

うんうん、やっぱり私たちは最高のパートナーになれそうですね!

だったらいいけどな……うん、きっとなれるさ。

そうして二人で笑い合う。

丁度その時、小鳥さんが社長室へとお茶を運んできた。

「あ、音無さん、手伝います――って、うわぁ!」

どんがらがっしゃーん!

足をもつれさせたプロデューサーさんが倒れこんだ。

慌てて駆け寄る私、だったけど。

「大丈夫ですか――ってきゃあ!」

どんがらがっしゃーん!

足をもつれさせてしまいプロデューサーさんの上に倒れこんでしまった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 19:10:16.82 ID:HDKFMiKS0<> うう、今日三回目だよ……。

こんなペースで転んだのは久しぶりだ。

「ドジなアイドルとドジなプロデューサー、か。不安だが、良いパートナーかもしれないね」

社長と小鳥さんが苦笑いしている。

良い日なのか、悪い日なのか、よくわからない日だなぁ。

お互いの顔が近くにあることに気づくまで、私はプロデューサーさんの上でそんなことを思っていた。




■ ■ ■ ■




プロデューサーさんと行動することになった私。

独りきりじゃない、それだけでこんなにもやる気が溢れてくるなんて思わなかった。

レッスンもなんだかうまくいっている気がするし、トレーナーさんにも褒められちゃった。

あまり大きなものではないけどお仕事も増えてきたし、ようやくアイドルを始められたんだなぁ、なんてちょっぴり感動してみたり。

ドジは、相変わらずなんだけどね。もちろん、プロデューサーさんも。

「おはようございまーっす!」

今日も元気に765の扉を開く。

春香! と待ち構えていたようにプロデューサーさんが傍に寄ってきた。

どうしたんだろう? 何だか嬉しそうだけど……。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/10(金) 19:15:20.34 ID:YR8MzplXo<> このP…まさかユウキ・リト病にかかってるんじゃあ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 20:30:55.43 ID:HDKFMiKS0<> 「テレビ出演が決まったぞ!」

その言葉を聞いて、私はバッグから手を放してしまった。

頭が真っ白になるけれど、ドサリとバッグが床に落ちる音で我に返る。

「て、てれびしゅつえん……本当ですか!?」

「ああ、本当だ!」

やったーーっ! 嬉しくなってついプロデューサーさんに抱き付いてしまう。

いきなりの行動にも関わらず、プロデューサーさんは優しく抱き留めてくれた。

「嬉しいです! 私……本当に、嬉しいです!」

「地方の小さな番組だけどな」

「それでもですよぉ!」

まさかテレビに出れるようになるなんて……!

アイドルだったら当たり前なことだけど、私にはたまらなく嬉しかった。

いつも皆がテレビの中で輝いているのが羨ましくて。

私も頑張らないとって、いつも思っていたけれどなかなか上手くいかなくて。

それでもようやくチャンスを掴めたんだ。

プロデューサーさんのおかげで。

プロデューサーさんと二人で。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 20:33:50.08 ID:HDKFMiKS0<> それからしばらくして、少し落ち着きを取り戻した途端顔が熱くなる。

わ、私……プロデューサーさんに抱き付いてる……!?

今更恥ずかしさを感じて体を離す。

少しだけ、名残惜しかったけれど。

「喜ぶのもいいけど、春香? 大変なのはこれからだぞ?」

「わ、わかってまひゅ」

あうぅ……恥ずかしくて、まともに顔が見れないよう!

どうしてプロデューサーさんは普通に話ができるのだろう。

少しも動揺していない辺り、ひょっとすると私は女の子としての魅力が欠けているのだろうか。

……お、落ち込んでも仕方ないよね! 今は仕事の話に集中しないと!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/10(金) 20:34:53.70 ID:SgdQRs4x0<> しえんしえん。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 20:36:30.52 ID:HDKFMiKS0<> 「それで、どんなテレビなんですか?」

「ああ、料理番組だよ。作るものはアイドル自身で決めていいそうだ」

お料理、かぁ。

たまにお母さんの手伝いはしているけれど、本格的にとなるとちょっぴり不安だ。

うーん、学校の調理実習で作ったのじゃあ物足りないし……あっ。

ふと、私の頭にひとつのアイデアが浮かぶ。

「お菓子じゃ駄目ですか?」

お菓子作りは私の趣味で、それなりに自信があったりする。

たまに事務所の皆に食べて貰っていて、好評なのだ。

プロデューサーさんはなるほど、と言った風に手を叩いた。

「それは春香にぴったりだな。ああ、問題ないよ」

やった。お菓子作りなら手馴れているのできっとドジもしないだろう。

何を作ろうかな、頭に色々なお菓子を浮かべていると。

「そういえば俺、まだ春香のお菓子食べたことないな」

プロデューサーさんがポツリと呟いて、私は驚く。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 20:38:10.72 ID:HDKFMiKS0<> 「そうでしたっけ!?」

「あ、ああ」

「ごごごごめんなさい!」

そういえば最後に作ったのはプロデューサーさんが765プロに来る前だったような……。

さ、最近忙しくて作る暇がなかったんだもん!

プロデューサーさんだけにあげてない訳じゃないですから!

必死に弁明すると、プロデューサーさんは苦笑いで応える。

わかってるよ、今度作った時によろしくな?

そう言うプロデューサーさんの顔を見ると、すぐに食べて欲しい、なんて思った私は、

「じゃ、じゃあ今から作りましょう!」

そんなことを声高々に言った。

事務所に調理器具はあるし近くで材料は買えますし、今日はスケジュールに余裕がありますから!

「確かにそうだけど……いいのか? なんだか催促したみたいで……」

「いいんですよ。ほら、撮影に向けての練習にもなりますし」

プロデューサーさんに作るところを見てもらいたいというのも、理由のひとつだ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 20:43:17.42 ID:HDKFMiKS0<> 私の勢いに気圧されたのかぎこちなく頷くプロデューサーさん。

「じゃあ、お願いするよ」

「任せてくださいっ」

というわけで。

始まりました、はるるんクッキング!

今日のゲストはプロデューサーさん。頑張って作っちゃうぞー!

……なんて、張り切ってみたものの。

「あれ?」

卵を割るのに失敗してしまった。

「あれれ?」

分量を量り間違えてしまった。

「あれれれ?」

ボウルから零してしまった。

「あれれれれ?」

な、なんで!? いつもは上手くいくはずなのにぃ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 20:48:20.93 ID:HDKFMiKS0<> プロデューサーさんも心なしかそわそわしてるし……うう。

なんだかプロデューサーさんに見られてると思うと緊張しちゃってドジばかり。

おかしいなぁ、私、どうしちゃったんだろう?

「よし、俺も手伝うよ」

見ていられなくなったのか、プロデューサーさんが腕まくりをして手を洗った。

お菓子作り、できるんですか?

そんな疑問に誇らしげに頷いて見せる。

「独り暮らしだと時間が余ってな。学生時代、よく作ってたよ」

おお、それは頼もしい。

最初の予定と違うけど、一緒に作るのも楽しいし、いいか。

それに、なんだかこうやって二人並んでキッチンに立っているとふ、夫婦みたいだなぁ――とか思っていると。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 20:58:49.98 ID:HDKFMiKS0<> 「あれ?」

プロデューサーさんが卵を割るのに失敗していた。

「あれれ?」

分量を量り間違えていた。

「あれれれ?」

ボウルから零していた。

「あれれれれ?」

「あ、あの、プロデューサーさん?」

「な、なんでだ!? いつもは上手くいくはずなのにぃ!」

さっきまでの私と全く同じ反応のプロデューサーさんを見て、つい噴き出してしまう。

あはははっ、全然駄目じゃないですか!

「は、春香だって同じだろう! ああ、もう! 笑わないでくれよ!」

そんな風に顔を赤くして反論するのが余計に面白くて、また声をあげて笑ってしまった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/10(金) 20:59:17.55 ID:/dC6O2vAO<> はるるんが恋する乙女過ぎて可愛い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 21:13:17.99 ID:HDKFMiKS0<> 本当、私とプロデューサーさんは似てるなぁ。

特に、ドジなところとか。

私、自分のドジなところが嫌で、なんとか直したいって思っていたけれど。

プロデューサーさんと二人でコケるのなら、それも悪くないかな、なんて。

結局出来上がったクッキーは、どこで間違えたのかしょっぱくなってしまったけれど。

それでも私は、苦笑しながらしょっぱいクッキーを口に運ぶプロデューサーさんを見るだけで、心がいっぱいになる。

こうしてリハーサルは散々な結果だったけど、私の初めてのテレビ出演は上手くいったのだった。

撮影直後嬉しくなって、プロデューサーさんに抱き付いた所為で二人して転んで笑われたのは、いい思い出……かな?




■ ■ ■ ■




料理番組の出演以来、私はすっかり忙しくなっていた。

あの番組がどうやら好評だったらしく、テレビや雑誌、ラジオなどのオファーが増えたのだ。

今日も、雑誌のインタビューのお仕事。

記者さんの質問ににこやかに答える。

「天海さんのの特技のひとつに、よく転ぶ、とあるのですが……」

「あ、はいっ。私、昔からおっちょこちょいでよく転ぶんです。だから特技ですかね、生まれた時からの」

ちらりと背後に視線を向けるとプロデューサーさんが苦笑していた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 21:28:34.56 ID:HDKFMiKS0<>
誇らしげに言うなよな、なんてことを伝えおうとしているのだろう。

そんな顔したって、これはプロデューサーさんの所為なんですからね?

一緒に転んでくれるプロデューサーさんのおかげなんですからね?

ドジな自分を、好きになれたのは。

インタビューが終わった後、そう伝えると。

「……そうか」

プロデューサーさんはよくわからない表情を浮かべた。

どうしてそんな顔をするんだろ?

その時の私はそれ以上何も言わなかったけれど、でも。

私はもっと考えるべきだったのだ。

どうしてプロデューサーさんがそんな顔をしたのかを。

どうして私がドジな自分を好きになったのかを。

数日後、私はオーディションに落ちてしまった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/10(金) 21:40:28.72 ID:HDKFMiKS0<> 絶対勝てるオーディションだったはずなのに、負けてしまった。

いや、この世に絶対なんかないってことはわかってるし、負けた理由もわかっている。

ダンスの途中で転んでしまったのだ。

油断、慢心、そして何よりも。

甘え。

「……春香」

「ごめんな、さい……」

何か言いたげなプロデューサーさんを遮って、謝罪。

私は一体何のことで謝っているのだろう。

オーディションに落ちてごめんなさい?

期待に応えられなくてごめんなさい?

違う、そうじゃない。

そんなことを謝りたいんじゃない。

「私が……」

私がドジな所為でごめんなさい。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/10(金) 21:48:28.91 ID:eUPIRzjxo<> >>1は不器用な私と~の人? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/11(土) 07:46:10.64 ID:hz6SwQJC0<> 「やっぱり私、ドジな自分が大嫌いです」

好きだと思っていたのは、勘違い。

ただ私は甘えていたのだ。

私と同じ、ドジなプロデューサーさんに。

私が転んでも、きっとプロデューサーさんも一緒に転んでくれるから。

何かドジをしても、それは二人のドジだから。

私ひとりだけの、ドジじゃないから。

そんな風に、甘えていた。

独り言のように口を開いても、プロデューサーさんは何も言わなかった。

どうして怒ってくれないのだろう。

ひょっとして、もう見捨てられちゃったのかな。

ひょっとして、失望されちゃったのかな。

ひょっとして、ひょっとして――

もう、プロデュース……してくれないのかな……。

「俺も同じだからな」

真っ白になった私の頭に、プロデューサーさんの声がするりと入り込んだ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/11(土) 07:48:26.26 ID:hz6SwQJC0<> >>24いえ、それは違う方の作品ですね。
でもまともにSSを書くのは二回目です。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/11(土) 07:55:10.39 ID:hz6SwQJC0<> 「俺もドジな自分が嫌いだったけど、春香のおかげで好きになれたんだ」

だから春香と同じなんだよ、そう言うプロデューサーさんの声は震えていて。

顔を上げると、彼は悔しそうに歯を食い縛っていた。

「でも、それじゃ駄目だったんだ。アイドルと一緒に転ぶんじゃなくて、転んだアイドルに手を差し伸べるのがプロデューサーだからな」

俺はプロデューサー失格だ。

胸がズキリと痛む。

「……あ」

なんだかプロデューサーさんがどこかに消えて行ってしまうような気がして。

もう一緒に笑ってはくれないような気がして。

それが堪らなく嫌で、嫌で。

「プロデューサーさん……!」

プロデューサーさんの体にしがみついて、胸に顔を埋める。

駄々っ子のように、離すまいと力を込める。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/11(土) 07:58:27.08 ID:hz6SwQJC0<> 「私が悪いんです……私が、甘えちゃったから……だから!」

「いや、春香は悪くない。俺がもっと春香をしっかり導かなかったから……」

「だったら!」

私の瞳から流れた涙がプロデューサーさんのシャツに染み込んでいく。

それがじわりじわりと広がるとともに、私の言葉は弱々しくなっていった。

「だったら……これからもプロデュースしてください……!」

プロデューサーさんが導いてくれる道を一生懸命進みますから。

途中で転んでも自力で立ち上がりますから。

私には、プロデューサーさんが必要なんです……!

「……あれ? でもこれも甘えてるってこと、なのかなぁ……」

「そんなことない」

ぎゅっと温かく包み込まれる。

プロデューサーさんが抱きしめてくれていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/11(土) 10:10:18.41 ID:hz6SwQJC0<> 「ありがとう。担当アイドルを泣かせるような、ドジなプロデューサーを必要としてくれて」

「こちらこそ、こんなドジなアイドルでいいんですか……?」

お互い様だからな、そう言ってプロデューサーは笑った。

つられて私も笑う。

落ち着いたか? はい。

なあ春香。 なんでしょう?

「春香はドジな自分が嫌いかもだけど、俺は好きだからな」

ボンッ、と頭が沸騰したように熱くなる。

す、すすす、好きって……ええ!?

それってそれってプロデューサーさんが私のことを……あうぅ!

「だ、駄目ですよ! 私はアイドルで……プロデューサーさんはプロデューサーなんですから!」

で、でも嫌じゃないっていうか、プロデューサーさんがそれを望むんだったら寧ろ私は――ってあれ?

プロデューサーさんの顔を見ると、きょとんと首を傾げていた。

まるで、言っていることが理解できない、とでも言うようなその表情に。

「〜〜〜〜っ!?」

ようやく自分のドジに気づいたのだった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/11(土) 10:20:43.81 ID:hz6SwQJC0<>
私ひとりで勘違いして舞い上がっちゃったよぉ!

プロデューサーさんはきっと、アイドルとしてって意味で言ったのにぃ!

顔が熱いよう……ああう!

「な、なんだかよくわからないけど大丈夫か?」

「ひゃう!」

プロデューサーさんの手が肩に触れ、びくりと体を震わせてしまう。

そのまま飛び退って距離を空けてしまった。

――って、こんなことしたらプロデューサーさんに誤解されちゃうよぉ!

「え、ええと別に触られたのが嫌という訳じゃなくて……あーもう! 私のバカバカぁ!」

「お、落ち着け春香! そんなに慌てたら……」

「きゃあ!」

プロデューサーさんの制止むなしく、私は足をもつれさせてしまう。

でも、それでもなんとか。

「……おっとっと」

踏みとどまることができたのだった。

ふぅ、なんとか転ばずに済んだ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/05/11(土) 10:28:59.25 ID:hz6SwQJC0<> 今までは踏みとどまることなんてしてこなかったけれど。

プロデューサーさんの隣を歩いていく為に、頑張っていこう。

「大丈夫か?」

それでも、私が転びそうになったその時は。

その時は、こんな風に私に手を差し伸べてください。

「プロデューサーさん、私、頑張りますね」

差し伸べられた手にゆっくりと触れると。

「だから、これからもプロデュース、よろしくお願いします!」

私の胸に温かな光が灯るのだった。

この光はきっと、私にとって大切なものだから。

いつまでも大切にしていこう。

「ああ! ドジなプロデューサーだけど、よろしくな」

笑顔で頷くプロデューサーさんの顔を見ながら、そんなことを考えたのだった。




おわり <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/11(土) 10:32:29.81 ID:hz6SwQJC0<> というわけで終わりです。

ちょっと短いかもですが、あんまり長すぎるのもだらけそうなので……。

前に書いたSSも読んで頂けると嬉しいです。

雪歩「一緒に歩く道」http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365343598/


次も何か書きたいけれど、ネタがなぁ……。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/11(土) 11:49:58.11 ID:umLumZrRo<> 乙
読み易くて良かったよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/11(土) 13:22:13.37 ID:AfGPc2Y80<> 乙、ちょうどいい長さではるるんの魅力いっぱいで良かった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/11(土) 20:48:20.98 ID:SO1fMcQJo<> おつー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/11(土) 21:12:52.51 ID:f6uKRI35o<> 乙乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/05/12(日) 00:03:14.75 ID:n7Pq4Anw0<> おつなの
この2人の関係がすごくあったかくて好き <>