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HTML化した人:
dos
★
のそのそくまと小さいうさぎ
1 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:15:37.80 ID:lPZ/acPAO
昔々、あるところにうさぎとくまがおりました。
その年はとても寒く、木の実などもない厳しい冬でした。
こまったこまった。
このままでは飢え死にしてしまうとくまは悩んでいました。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1372018537
2 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:17:24.51 ID:lPZ/acPAO
くまが淋しい森の中をのそのそと歩いていると、罠にかかったうさぎがおりました。
これは運が良い。
飢え死にせずにすんだ。
くまがそう思って手を伸ばしてみると、まだまだ小さいうさぎでした。
3 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:19:59.16 ID:lPZ/acPAO
しばしくまは考えました。
そうだ。穴ぐらでで大きく育ったら食べよう。
くまは罠を壊してうさぎを冬眠用の穴ぐらに連れていきました。
満足すると動き回った疲れから眠ってしまいました。
すーすーと寝息をたてて大きな身体が揺れました。
4 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:21:38.46 ID:lPZ/acPAO
しばらくしてうさぎが起きました。
うさぎはとてもびっくりしました。それはそれは大きなくまが目の前にいたからです。
あぁ、私は食べられてしまうのか。
そう考えてうさぎは逃げようとしましたが、怪我が痛い。あぁ、痛い。
なかば諦めてうさぎは眠ってしまいました。
それから二匹は穴ぐらの中で厳しい冬を越えました。
5 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:23:32.78 ID:lPZ/acPAO
あぁ、よく寝た。
くまが起きるとうさぎはまだそこにいました。
死んだのかな、と思ったけど、小さな身体は上下しています。
うさぎは生きていました。
6 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:25:59.66 ID:lPZ/acPAO
うさぎを食べてしまおうか。
でも、もう春だ。
魚達もいるだろう。草木も芽吹いただろう。
うさぎはそのうちどこかに逃げるだろう。
そう考えたくまは、大きな身体を起こすとのそのそと川に向かって行きました。
7 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:26:57.06 ID:lPZ/acPAO
のそのそ、のそのそと川に向かう大きなくまの姿を猟師が見つけました。
ターン。
ターン。
ターン。
三回の大きな音が森に響きました。
8 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:29:56.72 ID:lPZ/acPAO
うさぎは飛び起きました。
足はもう治っていました。
穴ぐらから飛び出て、足跡を辿るとそこには大きなくまが倒れておりました。
あぁ、くまさんどうして。
私を助けてくれたくまさんがどうして。
9 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:31:49.51 ID:lPZ/acPAO
うさぎが駆け出します。
そして、くまに近づく猟師にうさぎは泣きながら噛みつきました。
痛い。痛い。
猟師はあまりの痛さに泣いて逃げ出しました。
10 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:33:46.36 ID:lPZ/acPAO
小さい耳をぴょんと立ててもくまの吐息は聴こえない。
あぁ、くまさん。あなたのご恩は忘れません。
うさぎは必死に大きな穴を掘ろうとしました。
うんしょ。うんしょ。
でも身体の小さなうさぎにはとても大変なことでした。
11 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:34:44.00 ID:lPZ/acPAO
そこに森の神様が現れました。
小うさぎや、墓を掘るのを手伝ってあげようか。
いいえ、私の恩人は私が弔います。
うんしょ。うんしょ。
12 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:35:46.74 ID:lPZ/acPAO
ならば小うさぎや、お前の身体を大きくして楽に掘れるようにしてあげようか。
いいえ、小さい私が救われた身を削ってこそ、くまさんも安らかに眠ってくれるでしょう。
うんしょ。うんしょ。
13 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:37:25.25 ID:lPZ/acPAO
森の神様はその健気さと意志の強さに心を打たれました。
ならば、くまを生き返らせてあげよう。
そういうとくまの身体が光輝きました。
うさぎがびっくりしながら見ていると、くまのがのそのそと起き上がりました。
14 :
◆ea43ELrW7g
[saga]:2013/06/24(月) 05:39:55.69 ID:lPZ/acPAO
はて?私は死んだはずじゃ?
きょとんとしたくまに、うさぎは良かった良かったと泣いて、心から喜びました。
それから、うさぎとくまは森の中でひっそり仲良く暮らしましたとさ。
おしまい
15 :
◆gO9QdRWdUw
[saga ]:2013/06/24(月) 05:57:19.86 ID:0U2NjYFR0
乙
こういうの好き
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/24(月) 07:55:24.45 ID:mwthfEF80
童話っぽくて好きだわ
乙
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/24(月) 18:39:15.64 ID:yEGqZNl1o
ああ、絵本っぽくていいなぁ
俺、こういうの本当に大好き
乙乙
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/25(火) 08:55:20.59 ID:rXPI2FVAO
これは絵本になってもおかしくないレベル
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/26(水) 13:05:57.20 ID:FzD08KHAO
乙 良かった。
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/26(水) 19:46:14.91 ID:FsGZ461N0
素敵じゃねーか
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