VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:30:51.39 ID:YlmbsJ1Mo<>『……そこで、わが校では麻雀部への募集を行っております!女子はもちろん男子の希望者もどんどん歓迎するわ!』

先程の入学式における議会長の発言を反芻して、金髪が特徴的な少年――須賀京太郎は自分の机の椅子に微妙な表情で座り込んでいた。

「…………」
「よっ、須賀。どうしたよ?放課後だってのに神妙な顔しやがって」
「嫁田」

中学からの知り合いの声に振り向いて目を合わせるも、京太郎はすぐに目線を落とす。

「麻雀部、入らないのか?その表情だと決めかねてるって感じだが」
「察しの良い奴だな、相変わらず」
「付き合いも長いからな。まあお前の問題だしつべこべ言う気もねえけど」
「悪いな」
「いいってことよ。……そういや咲ちゃんはどうした?」
「さあ。俺にだってわからないことぐらいある」
「『俺にだって』とはご挨拶だねぇ。咲ちゃんに聞かせてやりたいぜ」
「お前なぁ」
「ははは。じゃ、俺はサッカー部でも見てくるけど。お前はどうする?」
「……とりあえず、見るだけは見てくる。咲に連絡だけつけてな」
「ふぅん。ま、後悔はすんなよ」
「あぁ。ありがとう」
「へっ」

いかにも爽やかな笑顔を作り、嫁田は去っていった。

(さて)

ここで待っているというのも手だが、咲がここにまっとうにたどり着けるとも到底思えない。
京太郎は早々に鞄を取り出し、咲の教室へと足を運び始めた。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1381062651
<>美穂子「京太郎くん!」京太郎「……美穂子姉」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/06(日) 21:31:32.71 ID:YlmbsJ1Mo<> 「咲」
「あ、京ちゃん!」

京太郎を視認するなり、咲はまるでしっぽをはためかすように駆け寄ってきた。

「よく動かないでいたな。偉いぞ」
「えへへ。よく知らない所で動くと危ないからね、私」

自慢気に顔をほころばせる咲にやれやれと苦笑した。

「ところで、咲はこれからどうするんだ?俺は麻雀部に向かってみようかと思うんだが」
「あー……そっか、そうだよね」
「……で、どうするんだ?帰るなら校門まで送るけど」
「んぅー……それも捨てがたいけど……京ちゃんに付いて行ってもいいかなって」
「お前が?どういう風の吹き回しだ」
「私にだってそういう気分の時ぐらいあるのっ」

なんでそんなに嬉しそうなのかいまいち測りかねたが、そう言われたらそうなのだろうと強引に納得することにする。
咲の了承も得たので京太郎と咲はそのまま麻雀部の部室へと歩を進めていった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:32:34.89 ID:YlmbsJ1Mo<> 「なんで旧校舎に部室があるんだろうね?」
「人が足りないから部屋が取れないのか、単に五月蝿いからか……まあそんなとこだろ」
「なるほど、あったまいいなあ京ちゃんは」
「勝手な推測を事実のように思われても困るんだけどな……」

そんななんの気なしの問答を繰り広げる内に、部室の前へとたどり着いていた。

「じゃあ咲、開けろよ」
「なんで?京ちゃんが開ければいいんじゃないの」
「いや、お前のほうが歓迎されそうだしさ」
「私は別にただの付き添いだよ!?それに私は――」

「おや?今日は千客万来じゃのう」

扉の前でギャーギャーわめいていたから先に補足されてしまったらしい。

「おんしらも入部希望者かの?」
「いえ、そこまでは。ですがひとまず見学したいと思って伺いました」
「ほぅ、若いのに礼儀の出来た男子じゃのう」

親の顔が見てみたいの、と部の先輩と思しきメガネの女性はニヤリと笑った。

(親というか、どっちかというと姉の影響なんだろうけど)

京太郎は反射的に脳裏に金髪で柔和な女性を浮かべ、すぐさまそれを振り払うかのように頭を振った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:33:24.50 ID:YlmbsJ1Mo<> 「ま、こんな所で立ち話もなんじゃ。歓迎するぞえ」
「ありがとうございます」
「お、お邪魔します」

メガネの女性に促されるように京太郎と咲は部室へと足を踏み入れると、そこには3人の女性がまた居た。

「新入生!?」

ダッと効果音が付きそうな勢いでその中の1人が駈け出して来ると、少し前に立っていた俺を素通りして咲の正面へと向かっていった。

「見た?まこ!私は賭けに勝ったのよ!」
「まだ何もわかっとらんじゃろうに、とんだ皮算用もあったものよな」
「あ、あの……?」

件の目を光らせる明るい茶髪の女性――すなわち議会長の剣幕にメガネの先輩は頭を抱え、咲はあわあわと反応に困っている様子だった。

「……咲が5人目だってことでしょう?要するに」
「あら、察しがいいわね。ひょっとしてこの子の彼氏?」
「か、かれ……」
「彼氏違います。ただの中学からの付き合いです」
「う」

議会長がいたく詮索したがっている様子だが、生憎俺たちには掘り下げうるような関係では決してない。
京太郎はひとつ大きく溜息をついて、不敵な笑みを崩さない議会長へと視線を向け直す。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:34:03.38 ID:YlmbsJ1Mo<> 「それに、俺はともかく咲はただの付き添いです。な?」
「う、うん……私、そんなに麻雀は……」
「大丈夫よ、初心者でも手取り足取り教えてあげるし。それに今年は大型新人もいるわけだしね」
「大型新人?……あぁ」

議会長が視線を向けた先の桃色の長髪を誂えた女子へと同じく目線を向け、京太郎は得心したように目を細めた。

「ほぅ?おんし、原村の事を知っとるのか?」
「TVで見たことがあるぐらいには」
「……はじめまして。原村和です」
「初めまして、須賀京太郎です」

ぺこりと恭しくお辞儀をする少女に対し京太郎も同様に礼を返す。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:34:43.32 ID:YlmbsJ1Mo<> 「こらーっ!勝手に二人の世界に入っとるんじゃないじぇ!」
「「「……はぁ?」」」

京太郎と和、まこの言葉が第三者の突っ込みに対してユニゾンを起こす。
その声の主は和の横のまだ中学生……いや小学生とも形容しうるような少女であった。

「そうよ、そのまさかだじぇ!こののどっちに並ぶ逸材、片岡優希様を忘れてもらっては困るじょ!」_

何がまさかなのかはさっぱりわからんが、向こうがどうであれまず礼を尽くすというのは京太郎の体に染み付いた習性であった。

「……片岡優希さんか。さっきも言ったけど須賀京太郎です。片岡さん……って呼んでいいのかな」
「じょっ!?」

ちょっと堅苦しすぎたかな、と思いながら一度目線を落としてから片岡の顔を見直すと、妙に顔を赤らめた姿が京太郎には珍妙に映った。

「ゆ……」
「ゆ?」
「優希でいいじぇ!ちょ、ちょっとトイレ!」
「……あ」

文字通り脱兎のように駆け出していった優希の姿に京太郎は思わず頭を掻く。

「……彼、いつもこうなの?」
「まぁ……そうですね。京ちゃんったらまったく……」

先程にも増してニヤニヤを崩さない議会長と、いかにも面白くなさそうな咲の姿を横目で見ながら、メガネの先輩がこちらへと近づいてきた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:35:26.55 ID:YlmbsJ1Mo<> 「挨拶が遅れてすまんな。わしが染谷まこ、ここの副部長をやらせてもらっとる。そんでアレが」
「議会長の竹井久先輩……部長……ですよね?」
「アレとか疑問符つけたりとかご挨拶ねぇ。れっきとした乙女なのよ、これでも」
「乙女ってのは和みたいなのを言うんじゃがのう……」
「なんにせよ、覚えてもらってたのは光栄ね。それで、お二人さん」

おどけたような表情から一転、今日一番と言えるほど凛とした表情に思わず京太郎はおろか咲さえドキッとした。

「知っての通り、私は女子の団体戦に出て、全国制覇を目的としているの」
「で、でも私は……」
「……姉さんに逢いたくないから、か?」
「えっ……!?」

こっちを振り返って目をかっと見開いた咲を見て、京太郎の想像は半ば確信へと変わった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:36:37.18 ID:YlmbsJ1Mo<> 「そういえば自己紹介してませんでしたよね。こいつの名前は『宮永』咲」
「みやなが……あの!?」
「…………」
「悪いな咲。俺も正直確信はなかった……というより下手に詮索したくなかったからだけど。
 でもこうでもしないと部長は引き下がってくれないと思ったから」
「京ちゃん……」
「咲に会ったのは中2の時だったから、昔何が会ったかは知らないけどさ」

そこで京太郎は意図的に言葉を切った。
それ以上のことは麻雀雑誌で知っている程度でしかない以上、俺も部長も大差はないからだ。
そのまま京太郎は口を噤んで咲の言葉を待っていると、

「……勝っても、いいんですか?」
「え?」
「私は、勝ってもいいんですか?」
「…………ええ。もちろんよ。大歓迎だわ」
「わかりました。ねえ京ちゃん」
「ん?」
「私と一緒に、入部してくれないかな?不安なんだ、私」

何が、と聞き返すのも憚られたし、何より咲にこうして頼られて断る理由もなかった。

「ああ、わかった。後先になっちまったな」
「なんか良くわからないけれど……入部、ってことでいいのよね?
 歓迎するわ。よろしく、宮永さん」
「……はいっ」

部長が差し出した手を咲が両手で掴む様子を微笑ましく眺めながら、京太郎は脳裏で今後のことへと思いを馳せていた。
ここ清澄で……というよりは、長野で麻雀をやっていくならばきっと避けては通れないであろう女性の存在を。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:37:07.04 ID:YlmbsJ1Mo<> ――――――――――――
―――――――――
――――

シャワーを浴びて体を清めた私は、女子寮の自室へと戻り早々に寝る支度を始めた。
明日もまたコーチの厳しい朝練が待っているのだから、早めに休んでおくのがここに入ってからの習慣だった。

「まったく、華菜ったら子供みたいに色んな所触ってくるんだから……」

だがコーチに目をかけられて絞られている華菜を労ってやれるのは上級生の自分しかいないのだ。

「私が守ってあげないとなんにも出来なかったあの子も、もう高1なのよね」

今年の正月に会った時にも随分シャイだったものね。
麻雀をやってるとは聞いたけれど、携帯をまともに扱えない私ではろくに確認する手段もない。
けれど今年も部活動として続けてくれてるのなら、もしかしたら……

「……なんて、考え過ぎかしらね。
 明日も頑張るからね。おやすみ、京太郎くん」

ベッドの脇に拵えられた互いが中学生の時の金髪を両目でしばらく見据えながら、私は電気を消してすぐさま眠りへついたのだった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:39:41.90 ID:YlmbsJ1Mo<> やっとヒロイン出てくるところまで書けたので立てました
今日はここまで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:43:59.51 ID:JasXKAiJo<> 乙ー
ようやくキャプスレが立ったか。でもこのまま清澄だとまた雑用の日々のような <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:45:23.84 ID:awYzHIhOo<> 乙ー
遂に単独スレが……
期待します! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 21:57:02.53 ID:NjTaQwLs0<> 乙
キャップ以外にも京太郎が麻雀経験者で咲も初日から入部と色々変わってるし期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 22:07:37.98 ID:iwHeVPDuo<> 乙ー
キャップ単独かー
まあ今後の動きに期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/06(日) 22:48:20.53 ID:9XiJ19NlO<> 乙乙
このスレでは咲ちゃんはサブヒロイン的なアレかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/07(月) 00:17:51.80 ID:5Nt0ki10o<> 前々から思ってたが節操ねぇな
つーか美穂子と咲の姉妹モノのパクリか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/07(月) 01:09:54.21 ID:CrDNGjQv0<> 乙!
キャップ単独、待ってました! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/07(月) 06:03:43.04 ID:A9itM7kc0<> 速攻で咲のトラウマ部分に触れているのはそこまで長期的に書く気がないからかしら?
期待する <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/07(月) 13:51:41.19 ID:ozZqWmPp0<> いつにもまして京太郎イケメンだな
期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/07(月) 15:38:05.42 ID:4ps+5HHP0<> 京キャプスレと聞いて
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/07(月) 23:36:04.11 ID:ozZqWmPpo<> 今日は休みかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/10(木) 00:56:05.00 ID:DBOTMS5/0<> 続き待ってるぞ! <> 1<>sage<>2013/10/11(金) 09:29:27.38 ID:6/ItY2a2o<> 今日中には投下したいと思っていたら急に社内の飲み会に捕まってしまったのでちょっと厳しいかも <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/11(金) 11:38:02.07 ID:lmwAbcPx0<> エタらなきゃ問題ないし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/11(金) 11:42:40.85 ID:zA/9RHyQ0<> 気長に待ってるでー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/11(金) 20:50:39.77 ID:ZNu3BUMxo<> 京キャプ貴重すぎるから何とか完結までこぎつけてくれ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/12(土) 00:01:13.24 ID:0tRXR9ero<> 続き待ってるぞ〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2013/10/13(日) 19:17:40.88 ID:rQkF7mT30<> 総合スレで話題に上がってた頃から期待してて、いざたって喜んでたら凄いじらされるこの感じ



嫌いじゃないわ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:04:39.37 ID:N/2HyJ//o<> 入学式から1週間が過ぎた土曜日。
麻雀部の上級生二人は肩を並べて部室へと歩を進めていた。

「今年は本当に大豊作の年ね。
 原村さんはもちろん、片岡さんも始めの勢いはかなりのもの。
 そして宮永さんの底知れない実力……今年は波乱を起こせるかもしれないわね」
「……まったくだのう」
「あら、まこともあろう人が随分な生返事ね」
「少し、思うところがあっての。もう1人のことでな」
「あぁ、須賀君のこと?」

話に出てきた6人目の男子の存在を久は脳裏で思い浮かべた。

「彼も、もう少し麻雀が上達すればいいんだけれどね」
「……」
「……?」

まこの思案面に久はどうにも要領を得ず、そうこうする内に二人は部室の前へとやってきていた。
ドアを開けると、和を除く3人はもうやって来ていて、優希は至福といった面持ちでタコスを頬張っている。

「あぁ〜……まったく京太郎のタコスは最高だじぇ!」
「お気に召したようなら嬉しいな。何せあんまり作り慣れてないもんでな」
「きょ、京太郎の作ったものなら別に……」
「ん?何か言ったか?」
「な、なんでもないじょ!あは、あははは……」

顔を逸らしてかつ小声だったのと、横から振りかかる圧迫感が優希の背筋を凍らせた。
目線すら向けていないものの、そのページを読む手は先程から動いていなかった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:05:16.29 ID:N/2HyJ//o<> 「いったい何を……って、何、その冷蔵庫?とレンジ?」
「優希がタコスをもっとこまめに補給したいっていうものですから、家にある小型のものを持ってきたんです」
「……わざわざ、ここまで持ってきたの?」

呆れた声の久に向けて京太郎ははいと首を縦に振る。

「料理するのは好きですし、案外作り置きが効くようなので」
「あぁ……うん、そう。それならいいんだけど」

何が良いのか自分でもよく分かっていないが、好きでやっているというならむざむざ止める理由も久にはなかった。

「それに、これらがあれば飲み物を冷やしたりおしぼりを用意したりも出来ますし」
「……おんし、本当に高校生か?
 うちの雀荘の店員に今からでもスカウトしたいぐらいじゃ」

久共々苦笑を貼り付けたまこの顔を見て、京太郎もつられたように頭を掻いて笑った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:05:57.75 ID:N/2HyJ//o<> そう答えたのは咲だ。

「じゃあ、とりあえず始めましょうか。時間は有限ですもの」
「……それじゃあ、わしが先に抜けておくな。京太郎入ってくれ」
「俺?ですか」
「あぁ」
「……はい」

基本、京太郎は入部してからも頭数が揃っている時は進んで卓に着くことはほとんどなく、大抵雑事をこなしているかネトマに興じているかのどちらかだった。
曰く、『俺はその方が性に合ってますし、大した実力でもありませんから』とのことで、久もそれを認めていたのだが。

「ああ、あと京太郎がその2半荘で一度でも三着以下だったらわしが皆にジュース一本奢る」
「なっ」
「本当に!?」

まさかのまこの言に京太郎と優希は正反対の態度を取る。
優希の態度が京太郎が以下に振るわない成績かを顕著に表しているようだったが、

「ま、そういうわけじゃ。頑張ってくれな」

まこは京太郎の肩をポンと叩いて、ニッと不敵な笑みを浮かべた。

「……金ドブでも知りませんよ?」
「おう、気にするな。おんしは気にせず堂々と打ちゃあよろしい」
「…………わかりました」

京太郎は深く大きな溜息を一つ吐き出すと、左手で左目を覆うように顔へと添えた。

「京ちゃん、それ……」
「それじゃあ――始めましょうか」

咲が何か言いかけた言葉は久の開始宣言にかき消され、ゆるやかに勝負は始められた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:07:08.32 ID:N/2HyJ//o<> >>31の最初ミス

「そういえば原村さんは?」
「何か父親と用事があるとかで、遅れると聞きました」

そう答えたのは咲だ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:07:56.35 ID:N/2HyJ//o<> ――――――――――

「まさか……京太郎がこんな」
「――とんでもない猫かぶりもあったものねぇ」
「…………すみません」
「京ちゃん……」

その結果に関して、京太郎はあくまで淡々としていたが、その言葉がそのまま肯定を示していた。
直後、ドアが開き特徴的な桃色の髪が美しい女子――和が入ってきた。

「すみません、遅れました――どうかしたんですか?」
「卓を見たままの結果じゃよ。まさかここまでとはわしも思わなじゃがのう」
「卓をって……えっ」

促されるままに卓上を見た和は、驚きで口が塞がらなかった。

「須賀君が連続1位……!?天和でも和了ったんですか?」
「生憎そんな事はな。なんでそうなのかは知らんが、こいつは自分の勝ち負けにまるで固執してないんじゃ」
「…………」
「そんな目をするな京太郎。確かにほじくり返したわしも悪いが、元々はお前がこんなもん見せつけてくるからじゃろう」

まこは鞄からファイル群を取り出してかざすように自身の顔の前へ突き出した。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:09:20.23 ID:N/2HyJ//o<> 「……それは」
「何ですか、これ?」

和はまこからファイルを受け取ると、その内容に息を呑んだ。

「私達の牌譜……それも、1人でこれほどの情報量を」
「ああ。昨日、須賀がわしに渡してきたんじゃ。暇だからってな。
 それにさっきの打ち筋にしても、周りの流れを常に意識できているようじゃった」

そのプリントにはさすがに配牌やツモに関しては一人分しか伺い知れなかったものの、
河の内容から他家がどこにツモを入れてどこを切ったかまでが漏れ無く網羅されていた。

「……久々に見たよね、京ちゃんのその癖」
「癖?」
「はい。京ちゃん、特に集中してる時は左目を隠すクセがあるんです。
 最近見てなかったとは思ってたけれど」
「なんだか中二病みたいだじぇ」
「…………」

咲の発言に関しては京太郎は否定も肯定もしない。
だが、とにもかくにも白日になったのは京太郎は手を抜いていたという単純な一点だった。

「……私達とは、真面目に打つ気にもなれなかったという事ですか?」
「違う」
「どう違うんですか!こんな事されて……私はちっとも楽しくありませんよ!」
「それは……」
「あなたには本当に助けられていますが――こんなこと、知りたくありませんでした。
 正直、幻滅しています」
「……ごめん」

和の叱責に対して京太郎はぐうの音も出せず、伏し目がちに謝罪した姿に和ははっとしていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:09:49.49 ID:N/2HyJ//o<> 「……染谷先輩、今日は失礼させていただきます」
「ああ。じゃが、わしも悪かった。それだけは言わせてくれ」
「いえ。……では、失礼します」

そう答え部屋を出て行く京太郎の背を追いかけようとする咲を久は制止する。

「どうしてですか!あんな言い方……」
「残酷なようだけれど、腕利きはいくら居ても損はしないの。
 けど、あんな腑抜けた打ち方をされてたらお互いの為にならないわ」
「だからって!」
「あなたが行って原因が解消するのならいくらでも行かせるけれど」
「それは……」
「……そう。じゃあ、何か他に原因があるのね。あなたの知らない」
「……私が京ちゃんと会ったのは中2の春でした。
 あまりそれ以前の話はありませんが……風越の方にいたって話は小耳に挟んだ事があります」
「風越って、あの風越女子のある?」
「だと思います。京ちゃん、あまりその頃の話話さないから……」
「ふぅん。ま、当たってみる価値はあるかもしれないわね。どの道今のうちに知っておきたい相手だし」

久はやれやれという風に髪に手櫛をかけ、咲の方を向き直った。

「それに、彼が居ないとあなた達も困るでしょう?」
「達ってどういうことですか(だじぇ)!」
「あら、どうしてあなた達が応えるのよ」
「「っ」」
「やれやれ、まさか原村さんまでとはね……罪作りな子ね」
「わ、私は別に!」
「……まあいいわ。とにかく今はあなたたちは練習してなさい。まこ」
「ん」
「頼めるかしら?」
「あぁ。元々焚きつけたのはわしじゃけぇ、できる限りのことはする」
「有難う」

そう言うと、まこは携帯を開きながら部室を後にしていった。

「それじゃ、私達は練習を続けるわよ」

あまり釈然とはしていない様子ながら、新入生三人は久の言葉に渋々頷くのだった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:10:18.24 ID:N/2HyJ//o<> ――――――――――

「練習試合、ですか?」
「ああ。来週の土曜にな」

活動後のミーティングで久保コーチがそんなことを言い出した時、私は別にどうと思うこともなかった。

「有り難い申し出ですけど、随分急ですね」
「だな。だから返事も保留にしてあるんだが」
「どこからだったんですか?」
「清澄高校からだ。今年になって団体戦に出る人数が揃ったらしくてな。その中にあの原村和もいる」
「清澄……」
「キャプテン?どうかしたんですか?」
「いや、なんでもないわ」

華菜の問いかけに何でもない風を装いながら私は胸に手を当てた。

「それに、ちょっと困ったこともあるしな」
「困ったこと?」
「ああ。なにやら男子部員がいるらしいんだが――金髪のが一人な」

瞬間、私は反射的に右目を見開いていた。

「なんでそんな細かくわかってるんですか?」
「向こうがそう言ってきたからだよ。こっちから聞くものか」
「……受けましょう」
「キャプテン……?」
「彼や彼女らの実力を推し量っておくことは大切なことでしょう。
 それに、あの原村和がいるとあれば、なおのこと決して損はしないはずです」
「――まあ、そうだな。他、何か依存のある奴はいるか?
 ……ないなら、レギュラーは勿論全員集合として、二軍以下も可能な限り集まれるようにしておくこと。以上だ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/14(月) 01:12:32.45 ID:N/2HyJ//o<> 以上
京ちゃんの背景設定考えるのだけでやたら時間食った
以後、麻雀描写は基本的にぼかします(すぐボロが出るので)

あと>>16ってとても興味あるんだけど詳細希望 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:13:59.59 ID:AcFsXGQho<> 待ってた甲斐があった、乙!
続き待ってるよ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/14(月) 01:20:31.92 ID:w/77qunV0<> 来てたー!と思ったら終わってたー!
続きを紳士スタイルで待ってるよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 01:30:49.23 ID:RQOcRs7co<> 乙ー
続きを期待して待ちます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 02:17:24.26 ID:MihkKR7yo<> 来てたか・・・! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 06:44:30.84 ID:D5yG/GQ6o<> ふむふむなかなかになかなかですね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 13:39:59.64 ID:NXaSCwQz0<> 期待したい
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/14(月) 15:51:14.62 ID:WVWKJR5P0<> いいよいいよー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 18:15:33.86 ID:NZHyKVuGo<> いいよーいいよー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 18:50:28.03 ID:z3nBwvcJo<> 俺得でしかないスレだな
期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 22:35:55.69 ID:gWao3W7eo<> 乙〜期待して待機 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/14(月) 23:08:31.89 ID:N/2HyJ//o<> 「……まったく、とんだ墓穴もあったもんだな」

大した意味もなく走って帰宅した京太郎は、先程の顛末を思い返してそう自重した。
少なからず部長の夢に共感できる部分があったし、それは自分が関わらない所であったからこそつい熱が入ってしまっていた。
それにこんなことを続けていて何の益も無いことぐらいは京太郎自身がよくよく知っていたのだ。

(……けど、これが俺の2年も続けてきてしまった惰性なんだよな……)

悪く言えばきっかけを他者に与えて欲しいに過ぎないのだが、それ程までに京太郎の内面はコールタールのごとく塗り固められてしまっていた。

「……ある意味で、これが良いきっかけなのかもしれない」

そんな風に考えつつベッドの上で横になっていた矢先に、不意に玄関のチャイムが鳴った。 <> 1<><>2013/10/14(月) 23:17:17.86 ID:N/2HyJ//o<> 「こんな時間に一体誰だ……?」

両親は出かけていて自分しかいないので、渋々京太郎は体を起こして玄関先へと足を向ける。
と言いつつも、京太郎自身も特定まではできずともどんな人かぐらいは見当がついていた。
玄関のドアを開けると、世話焼きなメガネの先輩の顔が見え、呆れとも喜びともわからぬ表情で京太郎は一息をついた。

「よぅ」
「……こんちわ。よく知ってましたね」
「咲に聞いたが、どうにも要領を得なかったけぇ部長に調べてもろうた」
「正しい判断ですね」

京太郎はあいつらしいとカラカラ笑う。

「ふふ」
「何です?」
「いんや。おんしにはやっぱり辛気臭い顔は似合わんと思うてな」
「口説き文句ですか?」
「そう思うか?どうとっても構わんよ」

再び2人が同時に笑みをこぼした。 <> 1<><>2013/10/14(月) 23:29:07.22 ID:N/2HyJ//o<> 「さて。それで、おんしこれからどうするつもりじゃ?」
「どうもこうも、嫌われてしまったようですし」
「……やれやれ、おんしも相当なひねくれ者じゃの。あれだけ緻密な気配りができように」
「…………」
「一体何をそんなに怖がってるんじゃ?」

まこの真摯な問いかけに京太郎は目線を外すことも出来ず、ただただメガネの先の瞳に目線が吸い寄せられるばかりだった。

「正直、うちの部に気に入らない所があるならそれでも構わん」
「そんな事は……」
「……じゃが、それだけの光るものを持ちながら濁っているおんしを見るのも忍びない。少なくともわしはな」
「先輩……」
「どうせ今から暇なんじゃろ?ならちょっと付いてこんか」

言外に否定を許さない素敵な笑みに京太郎は両手を挙げ、「好きにしてください」と呟いた。 <> 1<><>2013/10/14(月) 23:30:25.89 ID:N/2HyJ//o<> 以上
京まこもいいよね

で>>16の詳細を(ry <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 23:35:12.70 ID:EMRo4pc2o<> 乙
さすが気配りの人まこさん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/14(月) 23:41:48.15 ID:AcFsXGQho<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/15(火) 00:21:16.80 ID:pREgw+xY0<> >>16はたぶん百合SSだからわっかんねー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/15(火) 00:43:24.61 ID:qZ5cVuVQo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/15(火) 20:13:40.78 ID:NNYRzgh/o<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/15(火) 21:31:44.29 ID:JnOFTYcI0<> 乙、続き待ってます <> 1<><>2013/10/16(水) 20:08:28.03 ID:fxoqQVuuo<> 「……ここは?」
「見ての通り雀荘じゃよ。ウチのな」

まこはやたらと自慢気な様子で鼻を鳴らし、自身の雀荘の看板『roof-top』を指差しながら言った。

「話には聞いていましたけど……どうして俺を?」
「気分転換がてら少し働いて貰おうかと思っての。無論バイト代は出すぞ」
「そんな、急な」
「ちなみにノーレートじゃから勝ち負けに拘る必要はないからの。じゃあ行くぞ」
「だから待っ……」

まくし立てるでもないのにやたら流暢な説明を流され、まこはそのまま中へと入って行ってしまった。
京太郎もまた、心の整理もつかないままにまこの後を追い扉をくぐった。 <> 1<><>2013/10/16(水) 20:14:37.59 ID:fxoqQVuuo<> 「いらっしゃい……ってまこじゃないか。部活はどうしたんだ?」
「ちょっとわけあって早退じゃよ。このまま仕事に移っていいかの父さん」
「そりゃ別に構わんけど……後ろの男の子は?」
「件の後輩じゃ。前に寄越すかもしれんて言うとったじゃろ?」

まこに父さんと呼ばれた人物は、まこと京太郎を交互に見据えて得心したように握り拳で掌を叩いた。

「話には聞いていたけど随分なイケメンじゃないか」
「じゃろ?麻雀も大したもんじゃぞ。接待も完備じゃ」
「あの……えっと」

当人の知らないうちに話が進んでいる様に京太郎は落ち着かなさを感じ当惑していた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/16(水) 20:19:41.12 ID:9/5Um2/to<> お、投下きてるやんか <> 1<><>2013/10/16(水) 20:24:04.78 ID:fxoqQVuuo<> 「ああ、済まなかったねこっちの話で。それで、君がえっと――」
「須賀京太郎と申します。初めまして」
「おお、すまないね須賀君。しかし本当に恭しい子だね、聞いた通り」
「……ありがとうございます」

自己紹介に、世辞にと、2度に渡って頭を下げる姿にまこの父は改めて敬服していた。

「本当にその年でよく出来た子だね」
「……いい見本が身近にいたもので」

"いた"という言葉の節にまこは目をかすかに細める。

「いい親を持ったものだ。まこをできたらもらって欲しいぐらいだ」
「「!?」」
「あっはっは、冗談だよ冗談。だからそんなに怒らないでくれよまこ」
「誰の、せいだと、思っとるんじゃ」

京太郎からは後ろ頭しか見えないが、大体どんな表情をしているかは語るべくもなく見当がついていた。 <> 1<><>2013/10/16(水) 20:31:57.24 ID:fxoqQVuuo<> 「すまんすまん、どうどう!……で、須賀君もまたまこに誑かされた一人というわけだ」
「だから人聞きの悪い事言わんてくれっつとるじゃろうが……!」

まこがそろそろ怒髪天になりそうに感じるも、流石に双方心得ているようでそれ以上に発展することはないらしい。
なのでそのまま話を進めさせてもらうことにした。

「えっと……須賀君『も』ってどういうことですか?」
「そのままの意味だよ。近いうちに後輩……君の同輩ってことかな?も呼ぶことになっているらしいから」
「はぁ」

それならそれで一度に纏めれば……とも思ったが、元々自分のこの件がイレギュラーだったのだろう。
それに、結果的にではあるが女子は女子でまとめて働いたほうが勝手も掴みやすいに違いないと京太郎は自己納得した。 <> 1<><>2013/10/16(水) 20:38:53.28 ID:fxoqQVuuo<> 「脱線し過ぎてしまったようだね。そろそろ本題に入ろうか。
 結局須賀君はバイトしてくれるってことでいいのかな?」
「今後のことはわかりませんが、とりあえず今日に関しては」
「わかった。それじゃあ後のことはまこに案内させるから。いいね?」
「おうよ。こっちじゃ京太郎」

苦笑いもそこそこに、まこは京太郎を事務所の方へと促した。

「すまんな、あんな親で」
「いえいえ、朗らかないいお父上じゃないですか。それにまこ先輩は十分魅力的ですよ?」
「……このジゴロが。わかってて言っとるんじゃろ?」
「ええ勿論」
「つくづくけったいな性格しとるで、おんし」

わしも大概じゃけどな、とまこはこちらに目線を向けず独り言のように呟いた。 <> 1<><>2013/10/16(水) 20:50:00.10 ID:fxoqQVuuo<> ――――――――――

「異論は?」
「ないと思うんですか?」
「思わん。だが、似合っとるぞ。服の方が合わせとるようじゃ」

カラカラと笑い声を上げながら、まこは京太郎の制服――執事服へと目を向けていた。

「普通の制服もあるんじゃがな、こっちの方が売れると思うてな」
「はっきり言いますね……下手な説明されるよりも潔くていいですけど」
「わしだってこの有様じゃ。無論本当に嫌ならやめてもいいんじゃよ?」
「……やりますよ。こんな服着れる機会もそうそうないですし」
「よろしい。んじゃあれがウチのルールなんで、代走・卓割れの時は頼むで」

そこから働く上での内容を大枠を口頭で説明され、こうして須賀京太郎の初バイトが幕を開けた。 <> 1<><>2013/10/16(水) 21:06:03.00 ID:fxoqQVuuo<> 朝から引き続き、京太郎の打ち筋のスイッチは至極簡単なものだった。
卓埋め要因としては当たり障り無く打ち、代走としては可能な限り益となるように打つ。

「彼、本当に大したもんだね。お客さんへの気の使い方が初めてとは思えないよ」
「うむ。やろうと思えばやっぱりやれるんじゃな……どうしてああも」
「なに?」
「いんや、こっちの話じゃ。ここで働く分には確かに申し分ない資質なんじゃが……」

呼び鈴が不意に鳴り、まこと父が振り向いた先には妙齢の女性が立っていた。
手には火の付いた煙草が摘まれている。

「や」
「いらっしゃいませ。……珍しいですね、こんな時間に」
「ま、今日は土曜だしな。それに、用もあったし」
「……申し訳ないです」
「構わんよ。若い奴の打ち筋を見るのはいつだって面白い。はいよ。あとカツ丼一つ」

誰の差金か感づいたまこの謝罪を軽く流し、煙草を深く吸って吐き出す。
携帯吸い殻入れに煙草の吸殻を入れて女性は場代を父へと差し出し、卓の方へと歩いて行った。 <> 1<><>2013/10/16(水) 21:15:42.25 ID:fxoqQVuuo<> ちょうど欠けを起こした京太郎の卓へと女性は進み、ほう、とニヤリと笑みを浮かべる。

「……?」
「君が、須賀京太郎君かい?」
「……いかにもそうですけど……どうして」
「誰だ、とは言わないんだね。大したもんだ」
「『まくりの藤田』さんですよね?」
「ふっ。……気に食わないガキだね。けど、嫌いじゃないよ」

先程と似たようなニヒルな笑みをこぼし、藤田と呼ばれた女性は欠けた京太郎の対面へと座り込んだ。

「こんなしがない男子高校生を掴まえてどうしたんですか一体」
「そんなしがない奴の性根を鍛え直してくれってどっかの小娘から頼まれたんでね」
「大した女性ですね」
「随分冷静だこと?」
「染谷先輩じゃなければ消去法で一人しかいませんから」
「はっ。つくづく面白いガキじゃないか」

心底面白いと言わんばかりに藤田は口角を吊り上げた。 <> 1<><>2013/10/16(水) 21:24:27.24 ID:fxoqQVuuo<> 「それで俺に何をするつもりなんですか?」
「別に。ただ私とサシウマを握れってだけさ」
「なっ」
「別に大したもんじゃない。カツ丼一杯分でいいさ」
「そんな無茶な」
「どの口がそんなことを言うのかね。目が笑ってるぞ?」
「え?」

京太郎が初めて動揺を見せたところで、藤田は先程までのとは打って変わった温かみのある表情を見せた。

「もっとも、その負け分はわしが出すがの」
「先輩」
「巻き込んだのはわしじゃからの。気にしなくてもいいが、精々わしの顔は潰さんでおくれや」
「……善処します」
「ま、もっともそういうわけでわしは脇には入れんから、誰か2人腕利きが入ってもらうけぇな」
「別にどっちでも構わんけどもな。ま、好きにすればいい」

そうして脇に2人座った後、静かに勝負は始められた。 <> 1<><>2013/10/16(水) 21:32:15.62 ID:fxoqQVuuo<> ――――――――――

「……すみません、先輩」
「だから謝らんでいいと言っとるじゃろ。つくづく感服しとるぐらいじゃ。
 あの藤田プロに微差まで食らいつけるとかおんし一体何者なんじゃよ」
「――全くだ。お前に迷いがなければ正直危なかったまであるかもしれない」
「迷い?」

そう相槌を打ったのは脇に居た一人の壮年男性だった。

「ああ。何に起因してるかまでは知らないが、打牌にまだ逡巡がある。
 ……逆に言えば、こいつの底はまだ見えてないってことさ」
「俺にはまるでそんな風には見えなかったけどねぇ。藤田プロにそこまで買われてるなんて大したもんだ」
「いえ……負けは負けですから」

相も変わらず済まなそうにまこへと目を伏せる京太郎に対し、まこはやれやれと京太郎の頭を撫で上げた。

「だから気にするなと言っとろうが。よしよし」 <> 1<><>2013/10/16(水) 21:40:49.75 ID:fxoqQVuuo<> 「それにしても兄ちゃんが何に悩んでるのかは興味があるな」

そう言ったのはもう一人の30前といった風な打ち手だ。

「その年は悩み苦しむ若人の時期だけどよ……ま、女か」

瞬間、京太郎の目が軽く見開かれる。それを見逃すメンツではなかった。

「やっぱそうか!若い男の悩みなんて大方そんなもんだよな!ははっ」
「女……その打ち方、どっかで見たと思えばそういうことか」
「どういう――あっ」
「察したようだな。その癖といい打ち筋といい、何か引っかかるとは対局時から思っていた」
「考えてみればすぐわかることじゃったな……どうして気が付かなかったんじゃ」

まこが予め得ていた「風越にいた」「片目を伏せる」という条件にそのまま当てはまる女性が見事に一人存在していた。 <> 1<><>2013/10/16(水) 21:54:21.01 ID:fxoqQVuuo<> 「おーい!まこー!」
「なんじゃ、この忙しい時に」
「お前んとこの部長から!なんだか『風越との練習試合が決まった』とかで――」
「……これ以上無いタイミングで事を進めなさりよるな」

どこまで考えていたかはともかく、手際の良さにまこは感心を通り越して呆れを感じた。
そこまで段取りが進んだ所で、京太郎の方が不意に口を開いた。

「誰を想像しているのか知りませんが、まるで関係のない話ですよ?」
「なら練習試合、参加してくれるんじゃろう?何も問題はない」
「うっ……」

負い目がある人間を誘導することがこれほど楽しいとは、とまこは思わず自嘲してしまった。

「ま、俺も実際詳しいことは何もわからんけど、些細な事で行き違いになってるんならそれほど不幸なことはないよ?須賀君」
「貴方ぐらいの年がおっしゃると重みが違いますね……」
「そうそう。おっさんが言う通り、見たところ未練タラタラみたいだし出たとこ勝負ってのも面白いぜ?兄ちゃん」

思いもよらない人生相談の様相を呈し、京太郎は「……はい」と苦笑交じりに応えることしか出来なかった。

「決まりじゃな。来週までは京太郎、ここでしばらく働くとええ。そのうち向こうからお声がかかるじゃろ」
「わかりました……わかりましたよ」
「上手くいくといいな!兄ちゃん」
「ああ全く」

藤田を含めた卓全員からの激励に、京太郎は半ばやけくそ気味に観念するしかなかったのだった。 <> 1<><>2013/10/16(水) 21:59:05.23 ID:fxoqQVuuo<> 以上、無駄に話が膨らんでしまったがなんとか纏めた
次でやっとスレタイが邂逅するかと

ところで別の世界線で
「念願のキャプテンと付き合い始めるも、なんでも出来過ぎるキャプテンに対し劣等感に苛まされ続けて不意にキャプテンを暴力的に犯そうとし、
 怖がるキャプテンを見て思わず我に返り罪悪感のあまり壊れかけるもキャプテンの溢れる母性に包まれて自分を取り戻す」
って話思いついたんだけど誰か書いてくれないかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/16(水) 22:00:43.83 ID:2gy6ewVco<> 乙
そんなもの思いついたお前にしか書けないに決まってるだろ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/16(水) 22:01:24.58 ID:Jo1RfuJ5o<> おつー
>>71
つ 言いだしっぺの法則 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/16(水) 22:01:51.48 ID:mBXzpGELo<> 乙
練習試合始まる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/16(水) 22:02:04.43 ID:GzAyNVmVo<> よし!次回作のネタは決まったな! 期待してるで! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/16(水) 22:50:27.83 ID:KQZ+EGAD0<> 乙だが藤田プロは煙管じゃないの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/16(水) 22:53:34.86 ID:D9Ty3YASo<> 乙 <> 1<>sage<>2013/10/17(木) 07:19:59.38 ID:ZqDQcNQ3o<> あなた方が口で言うほど京キャプのSSが必要だとお思いなら、他人にどうしろこうしろと命令する前に自分達で実行なさったらどうですか?(某魔術師風に)
まあそんなに長くかかる量じゃないんでVIPあたりにぶん投げてもいいけどあそこエロ容認だったっけか……

とりあえず上記も含めて次の更新は多分日曜夜です

>>76
そこに気付くとは……(完全に読み違えてた)
<> 1<>sage<>2013/10/17(木) 07:33:39.84 ID:NoMH0oh3o<> というかよく考えたらあそこは地の文嫌われるからやっぱ無理か
本編ここで止めるのもあれだしやっぱ誰かに任せるしかないんじゃあないかな(他力本願 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/17(木) 08:00:15.71 ID:ZJbzN8gKo<> ここで書いてもええんやで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/17(木) 08:37:57.39 ID:8nfBVULho<> 乙〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/17(木) 19:58:25.37 ID:94yG8Nl+o<> そんな時こそエロパロ板ですよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/17(木) 23:30:54.55 ID:NekNwjjr0<> エロパロ板は過疎ってるからなー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/18(金) 00:52:20.86 ID:/1JuYT1qo<> 乙〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/18(金) 16:25:17.76 ID:EoB2S2Nbo<> 美穂子さんとの絡みマダー?? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 11:50:20.66 ID:ZMGwEWVgo<> はよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/26(土) 02:03:41.77 ID:QLZHpqBao<> はよ <> 1<>sage<>2013/10/27(日) 22:53:45.34 ID:xKYfzk9Xo<> いかんこのままではモチベが失せてエタる
1レスだけでも投下 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 22:55:03.05 ID:DJUUqjWHo<> おっ来たか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 22:57:20.21 ID:aGG/e2f8O<> 頼む頑張ってくれ
貴重なキャップスレなんだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 22:57:28.69 ID:ktElIYBfo<> その発言が完結させる気のなさを示唆してるようでもう <> 1<>sage<>2013/10/27(日) 23:02:19.36 ID:xKYfzk9Xo<> かくして次週の土曜までは恙無く矢の如く過ぎ去った。
といえども京太郎はまこの言いつけ通り部活には出ず、もっぱらroof-topにて働いていた。
来ようと思えば来れたろうに咲達が来なかったのは、まあ互いに気を使っているのだろうと京太郎は判断していた。

そして土曜の朝。
慣れとは恐ろしいもので、6時には目が覚めて十全に支度を誂え、タコスまで仕込み鞄に詰め学び舎へと赴く。
30分以上前に着いてしまい、正直誰も居ないだろうと高をくくっていた部分もあったのだが。

「よっ」
「……染谷先輩」
「あまり驚かんのじゃな」
「染谷先輩ですから」
「おんしにそこまで高く買われてるとはなんというか光栄じゃな」
「お世辞ですよ」
「わかっとる」

相変わらず一言多いなおんしは、とまこは自身のウェーブがかった髪をくしゃりと掻いた。 <> 1<>sage<>2013/10/27(日) 23:24:37.81 ID:xKYfzk9Xo<> 「ま、鬼が出るか蛇が出るか、腰を据えて見せてもらおうかの」
「……先輩の思うようなことはないと思いますよ?」
「それならそれでいい。大事なのは動くことじゃからな」

ニッと口元を吊り上げるまこに京太郎は思わず閉口しかかるも、2人の時間はそこで打ち切られた。

「相変わらず仲の良いことねぇ、おふた方は」
「そんな部長もいつもながらお綺麗で」
「あらお上手」
「せやな」

本能レベルでタラシじみた言葉を吐いてくるのにこの男は報酬を求めないのだから質が悪い……というか思春期の男子としては異常じゃなとまこは内心思った。
久が何を思っているかまではわからないまでも、少なくとも悪く思ってはいないらしく、
不敵という言葉がよく似合う表情を貼り付けていた。
そして久の後ろに付いて歩いていた娘もまた、徐ろに口を開いた。

「おはようございます。染谷先輩、須賀君」
「おう、おはよう」
「おはよう、原村さん」
「……怒って、ないんですか?」
「なんで原村さんが怒られなくちゃいけないのさ。責められて然るべきは俺の方だろ」
「……なんで貴方はそうも……」
「え?」

ポツリとこぼした和の吐露は聞き取られなかったらしく、和は呆れを多分に含んだ溜息を漏らした。

「いえ……わかりました。それでは、以後私は和で構いません」
「えっ?なんで」
「今まで手を抜いていた罰です。その代わり私もきょ、京太郎君と呼びます。それでいいでしょう?」
「なるほど。わかったよ、和」

そういうことなら、と京太郎は渋る様子もなく快諾した。
和はその事に対して気恥ずかしさを感じながらも、あまりにも聞き分けの良すぎる姿にはどこか得体の知れないものを同時に感じてもいた。 <> 1<>sage<>2013/10/27(日) 23:35:56.56 ID:xKYfzk9Xo<> ――――――――――

「そろそろ風越女子に着くわ。皆、心の準備はいい?」
「おう」
「バッチリだじぇ!」
「はい」
「ちょ、ちょっと緊張してきちゃったかな……ね、京ちゃん?」
「……なんでそこで俺に同意を求めるんだよ。危うく寝過ごしかけたくせしくさって」
「それはその、うぅ〜……京ちゃんのいじわるぅ」
「ま、咲ならやれるよ。少なくとも麻雀では、な」
「あ、ひっどーい!でも、少し落ち着いた。ありがと、京ちゃん」
「どういたしまして」
「……」
「……」
「……」
「……なんですか?」
「いえ、宮永さんと"京太郎君"との雰囲気はやっぱり何かが違うなと思いまして」
「な、何言ってるの和ちゃん!そ、それに京太郎君って」
「別に同学年ですし、普通のことでしょう。優希なんて"京太郎"ですよ」
「そ、それはそうだけど……」
「なんかのどちゃんの雰囲気も違うじぇ……」
「まあまあ、相変わらず面白いわねぇここは」
「おんしはもう少し危機感を持とうとは思わんのかい……さて、もう着くぞい」

歩きながら一連の流れが行われていた様子はとかくシュールですらあったが、何にせよ風越の校舎はすぐそこに見えてきていた。 <> 1<>sage<>2013/10/28(月) 00:03:18.59 ID:krOY6qyGo<> すぐ近くに学校が来るにつれて、京太郎は無意識の内に意識を張っているのに自分でも驚いていた。
自然と歩みも早めになり、先頭を征く部長のやや後ろへと付く格好になる。

「あら、須賀君も急に意識を上げてきたわね?」
「いえ……あの人ならもうそこにいるだろうと。そう感じただけです」
「え?あ……」

もう校門が視野に入った時、そこには風越のレギュラー格とおぼしき5人――さらに言えば中央に美しい金髪を湛えた女性が佇んでいた。
京太郎はそれを確認するや否や安堵とも苦笑ともつかぬ溜息をこぼし、そそくさと後続のさらに後ろへと下がっていった。
向こうは向こうで京太郎の姿を視認したのか見るからに驚いたような表情を見せ、そして即座に笑顔で塗り替えた。

「ご歓迎痛み入るわ。清澄の部長を務める竹井久です」
「いえ、こちらとしても大事なお客様ですから。私がキャプテンを努めます福路美穂子と申します」

恭しく頭を下げるその仕草に、京太郎を除く他全員は深いデジャヴを感じる。

「立ち話もなんですし、自己紹介は部室で行いましょう。……それで、その」
「彼のこと?」

久がちらりと一瞥を向けるも、当の本人は意識してか否か特に感心がないように校舎を眺めている。

「ええ。……ご覧の通り、我が校は女子校ですけれど、彼にも是非打ってもらいたいと」

自分で伝えればいいじゃないと一瞬口を突きかけるも久はぐっとこらえ、

「もとよりそのつもりよ。でなければ来ていないわ」
「そう……ですか。そうですよね。では、ご案内致しますね」

花の咲くような笑みをぱあっと広げ、リズミカルに先頭を歩いていく様を見て、

(ほほう……あれが)
(京ちゃんの)
(幼馴染……)
(なんてたおやかな女性だじぇ……)

まこは納得を、1年三人は彼我の戦力差を戦慄と共に感じさせられていた。 <> 1<><>2013/10/28(月) 00:06:38.70 ID:krOY6qyGo<> 投下終わり。火が付けばそれなりに書けるんだよなぁ……
というか相変わらずスキル隠伏持ち多すぎじゃありませんかね

ちなみに第一部までのプロットは大体上がってるのであとは気力の問題だったり。
関係ないけど投下を透華と誤記しそうになったのは秘密 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/28(月) 00:07:38.46 ID:G8S4RoBuO<> 乙ー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/28(月) 00:08:08.98 ID:jJTnAS8Mo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/28(月) 00:08:29.76 ID:V78wWXlCo<> 咲SS書きの宿業よな >>投下を透華
おつー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/28(月) 00:08:56.92 ID:IPLW8emmo<> 乙 <> 1<>sage<>2013/10/28(月) 00:15:29.30 ID:krOY6qyGo<> というわけで当面の目標は1日1レスです
変な所で切ること多分にありそうだけど気にしない方向で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/28(月) 01:00:33.73 ID:zWsr2Q70o<> 乙ー
俺の勘違いかも知れんが最後の投下レスのキャプテンが京太郎の幼馴染ってのはもう皆把握してるの?
描写がなかったからあれっ?って思ったんだけど <> 1<>sage<>2013/10/28(月) 08:56:54.18 ID:iINyoQVCo<> >>102
言われてみればそこまで詳しくわかってるのは変ですね…神視点で見落としてた
指摘感謝です、次はそこ手直しから始めます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/28(月) 11:00:13.27 ID:uFHIi1W2o<> ちょーおもしろいよー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/28(月) 16:00:18.22 ID:yZ5qHMtgo<> カプ描写一辺倒になってないこのスレは良スレの香りがする <> 1<>sage<>2013/10/29(火) 00:12:38.01 ID:QH0YHlypo<> >>95修正

すぐ近くに学校が来るにつれて、京太郎は無意識の内に意識を張っているのに自分でも驚いていた。
自然と歩みも早めになり、先頭を征く部長のやや後ろへと付く格好になる。

「あら、須賀君も急に意識を上げてきたわね?」
「いえ……あの人ならもうそこにいるだろうと。そう感じただけです」
「え?あ……」

もう校門が視野に入った時、そこには風越のレギュラー格とおぼしき5人――さらに言えば中央に美しい金髪を湛えた女性が佇んでいた。
京太郎はそれを確認するや否や安堵とも苦笑ともつかぬ溜息をこぼし、そそくさと後続のさらに後ろへと下がっていった。
向こうは向こうで京太郎の姿を視認したのか見るからに驚いたような表情を見せ、そして即座に笑顔で塗り替えた。

「ご歓迎痛み入るわ。清澄の部長を務める竹井久です」
「いえ、こちらとしても大事なお客様ですから。私がキャプテンを努めます福路美穂子と申します」

恭しく頭を下げるその仕草に、京太郎を除く他全員は深いデジャヴを感じる。

「立ち話もなんですし、自己紹介は部室で行いましょう。……それで、その」
「彼のこと?」

久がちらりと一瞥を向けるも、当の本人は意識してか否か特に感心がないように校舎を眺めている。

「ええ。……ご覧の通り、我が校は女子校ですけれど、彼にも是非打ってもらいたいと」

自分で伝えればいいじゃないと一瞬口を突きかけるも久はぐっとこらえ、

「もとよりそのつもりよ。でなければ来ていないわ」
「そう……ですか。そうですよね。では、ご案内致しますね」

花の咲くような笑みをぱあっと広げ、リズミカルに先頭を歩いていく様を見て、まこは唸るような面持ちで顎に手を当てていた。

「なんというか……あやつからひねた部分を削り取ったかのようじゃな。はてさて……」

そして一年3人もまた、口には出さねど三者三様の感想をかの女性へ抱いていたのだった。 <> 1<><>2013/10/29(火) 00:24:41.56 ID:QH0YHlypo<> 部室への道中にて、京太郎は特に感慨もないように荷物を抱えて歩いていたのだが、
とてとてと猫を彷彿とさせるような歩き方でそこに近づく影があった。

「君が清澄の男子かし?」
「……いかにもそうですけど、何か?」
「私、2年の池田華菜!キャプテンに次ぐNo.2だし!」
「はぁ……じゃあ先輩なんですね。1年が須賀京太郎と申します」
「……うーん、なんつか堂に入りすぎてて調子狂うし。キャプテンが目をかけるだけはあるし?」
「……はぁ?」

京太郎は心底心外そうな表情で華菜を見下ろした。刹那、しまったという感情に上書きされて途端に申し訳なく肩をすくめる。

「あ……すみません」
「い、いやこちらこそ口が滑ったし!それじゃまた後で!」

「……目を、ねぇ」

京太郎は微かに眉を潜め、下唇を突き出し左目を伏せるように手で覆った。 <> 1<><>2013/10/29(火) 00:27:17.19 ID:QH0YHlypo<> 駄目だ眠い寝る
キャプテンに至るまでがなんて遠い廻り道…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 00:28:21.97 ID:sctz0sfao<> 乙ー
まあ導入は仕方ない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 00:33:26.83 ID:uYVaCZqco<> 乙
このスレいちばん楽しみにしてるから頑張ってほしいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 02:09:21.71 ID:yGJ07Wqeo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 02:09:59.92 ID:MIPV1nfEo<> 乙ー <> 1<><>2013/10/29(火) 07:22:36.58 ID:sm4mP12Yo<> ――――――――――

「それでは、改めて自己紹介させていただきますね」

美穂子の勧めと共に、風越のレギュラーメンバーである吉留、文堂、深堀、そして池田が二言三言自己紹介を重ねていく。

「後ろの皆さんにもしていただきたいのですが、時間の都合おいおいでお願いしますね。すみません」
「それじゃあ私達の番ね。よろしく」

久が少し誇らしげに脇のメンバーを促すと、並びの順番でまこ、優希と挨拶し、

「原村和です。よろしくお願いします」
「"あの"原村さんね。あなたの成績、よく存じ上げていますわ」
「あ、ありがとうございます……」

臆面もなくニコニコして目を合わせる美穂子にあてられたように、和のほうがうつむかされてしまった。

「ふふっ、ごめんなさい。それで貴女が」
「み、宮永咲、です」
「……咲さんね。よろしく」

やはり思う所があるようだが、意図的に苗字を避けた言い回しをした美穂子に、咲にもその慧眼の片鱗を感じさせられたようだった。



それに応じるように、久の方も清澄 <> 1<><>2013/10/29(火) 07:39:02.82 ID:HtyiwjaCo<> >>113
あれなんかミスってる、最後の行なしで

「須賀京太郎です。今日はよろしくお願いします」
「あ……」

咲の後ろからスリップストリームのようにまくし立て、京太郎はさっさとこの場を閉めようとした。
そこに待ったをかけたのは例のごとく久である。

「こらこら須賀君、そんな体じゃ失礼でしょうが。
 せっかく女子高にお招きいただいたんだから、もっといつもみたいに好きな女性のタイプでも言ったらどうなの」
「どんなセクハラですか一体……」
「でも、興味はあるぞぃ」
「染谷先輩まで悪乗りしないでくださいよ!」
「先っちょだけ!先っちょだけでいいじぇ!」
「……皆さんも興味がおありのようですし」
「京ちゃん……」

いつになく熱心な同調に流石の京太郎も軽く引きつつも、もはや後には退けない空気だった。

「……放っておけない人、ですかね。これでいいでしょう、ほら」
「ふぅん。まぁ……今日はこんなもんにしておいてあげるわ」
「どんな捨て台詞ですかそれ……っていうかまだ続きがあるんですか!?」
「モチのロンよ。それじゃ、本題に移りましょうか」
「……」
「美穂子さん?」
「え!?あ、はい。そうですね、それじゃあ練習試合、始めさせていただきます」
「ええ。よろしくお願いするわね」

明らかに心穏やかでない様子の美穂子を見て、久は内心軽く舌なめずりした。 <> 1<><>2013/10/29(火) 07:41:28.58 ID:dbmVDPa0o<> 朝レスおしまい
読む側で三点リーダ多すぎないかなとふと思った <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 07:58:20.74 ID:YgNAk9xUo<> 便利だからつい使っちゃうよね
まあ書く側だから目につくだけで実際はそんな気にならんよ

おつー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 09:33:08.85 ID:Vdv+lLLqo<> おつおつ
読んでる側としては気にならんし、微妙な間がわかるからいいんだけどなー
書く側だと気になるのはわからんでもない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 09:36:02.38 ID:8hV0DY2no<> 三点リーダーとか句読点は文を読みやすくするためにあるから使って良いと思う
実際読みやすいし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 21:51:56.73 ID:k9Xhb+Im0<> (ないよりあった方が)好きです! <> 1<><>2013/10/29(火) 23:33:58.04 ID:QH0YHlypo<> 「よぉーし京太郎!タコスだ、タコスを出じぇ!」
「おうよ。つっても流石に温めらんないぜ?」
「私は一向に構わんッッじぇっっ!!」
「器用な舌の回り方しやがって……」

京太郎は背負っていたリュックから所望の貢物を差し出し、優希は満面の笑みでそれにかぶりついた。

「かーっ!この瞬間のために生きてるって感じだじぇ!」
「お前な……」
「……えっと、あの」
「はい?なんでしょうか。吉留さん」
「うっ」

向き直ってキリッという擬音が似合うほどかしこまった表情に、呼ばれたメガネの少女――といっても先輩なのだが――が思わずたじろぐ。

「え、えとえと、その……それ、手作りなんですか?」
「アレですか?ええ、まあ……付け焼き刃ですけれどもね」
「彼女のために作ってらっしゃるんですか?」

言葉の綾とはいえ、彼女という響きは優希はもちろんのこと他"3人"に対しても少なからず動揺を与えた。

「まあ間違ってはいませんけど……吉留さんの思ってるようなことではないですよ?」
「違うんですか!?あぅ……」

尤も年頃の女子高生から見れば――というかごく一般的な恋する乙女ならば一度は憧れるシチュエーションなのかもしれないと、
京太郎は自らの行っていることを改めて振り返らされた。

「まあ、俺がそういう事が好きでやってるだけのことですよ、吉留さん」
「ーっ」

誤解を解くためとはいえ脂ぎったキーワードを吐いてしまったことに内心毒づきつつも、それはおくびにも出さずに微笑みかける。

「い、いや私こそごめんなさい!あわわわっ」
「彼女……好きでやってる……ぐへへ……」
「私も何か催促してみるべきなのでしょうか……」
「むぅー」

「……やっぱりあやつを寄越したのは失敗だったんじゃなかろうか」
「かもね。面白いからいいけど。ね?福路さん」
「え?えっと……そうですね」

明らかな生返事に久はますます嗜虐心をそそられたが、同時にどうしてああも噛み合わないのか疑問は膨らむばかりだった。 <> 1<><>2013/10/29(火) 23:37:45.38 ID:QH0YHlypo<> 夜の1レス終わり
読みにくくないようであれば幸いですじぇ

そういや本筋には関わらないから考えてなかったけど大会ルールの模擬戦って相当大変なんだろうなぁ
フルメンバーでやろうとしたらどうしても4校必要になるし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 23:40:19.44 ID:yGJ07Wqeo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 23:40:56.48 ID:TC1f4klpO<> 乙ー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/29(火) 23:41:37.99 ID:MIPV1nfEo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 11:27:20.20 ID:u2YNQcSSo<> 乙よ! <> 1<>sage<>2013/10/31(木) 00:47:18.76 ID:fuK30QDXo<> 平行世界で魔法少女ふくじ☆ミホコが京ちゃんに悪戯する話考えたけどオチがつかないのでやめた
久々に終電近くまで残業したので今日はお休みします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 00:50:16.99 ID:W3es8zJEo<> アイヨー乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 00:50:52.82 ID:Qd8H7MePo<> 了解 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 00:51:39.52 ID:eafMYjMoo<> はあぅ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 01:02:00.72 ID:7uX4mk6wo<> あいあい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 00:20:37.54 ID:6L8w7TJro<> はよはよはよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 11:58:54.43 ID:y+5crUMSo<> 待ちきれませんねぇ… <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 20:58:43.94 ID:gI+bvSVRo<> 犬の日なので番外編書きたい
3択ー一つだけ選びなさい
答え@ー当然キャプテンだし!
答えAー他の娘でもいいよー
答えBー本編を進めるべき。読者は非情である。
+1~+3の多数決で、均等だったら勝手に決める <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 20:59:42.03 ID:iHv0vJs0o<> 1でもいいが無理ないなら3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 21:01:03.06 ID:vkQQuFcno<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 21:02:59.08 ID:eYinXuEoo<> 1 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 21:04:37.69 ID:gI+bvSVRo<> 判断に困るな
決選投票+1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 21:06:01.43 ID:RVLQipX9o<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 21:06:09.23 ID:3Cr/KzlSo<> 3

かーらーのー1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 21:06:24.89 ID:U+U+Urfeo<> 書きたいのなら1
モチベ大切 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 21:06:58.72 ID:oblKg8+Yo<> 1 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 21:07:37.80 ID:gI+bvSVRo<> 流石にキャプテン人気だなあ
実のところノープランなので(というか2で着想考えてたので)ちょっと考える時間をかーさい <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 21:20:36.91 ID:gI+bvSVRo<> 「ペットショップ?」
「ええ。明日は犬の日だから、ちょっと気分でね。
 京太郎くんならペットの扱いにも詳しいでしょう?」
「カピーをそういったカテゴリに含めていいのならそうかもしれませんが……」
「いいのよ。実のところ京太郎くんと出かける方便だもの」

そう言っていつものウインクで微笑みかける美穂子にどうして逆らえようかと京太郎は頬を緩ませた。

「わかりました。それじゃ、待ち合わせはどうします?」
「飯田の駅前で9時ぐらいでどうかしら?」
「了解いたしました。楽しみにしてますね」
「ふふっ。こちらこそ」 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 21:37:24.29 ID:gI+bvSVRo<> ――――――――――

8時過ぎには京太郎は準備を整え、駅前へと足を運ばせていた。
所定の時間より1時間近くも早くに着いているのは当然伊達や酔狂ではない。
美穂子はあの通り携帯を持てない上に早く来るので、京太郎が先回りして場所を確保しておかないと連絡に困るというのが一つ。
もう一つは彼女を一人で待たせる事でどんな不埒な男に捕まるかわかったものではないというものだ。
なんにせよ、自分には出来すぎた彼女を繋ぎ止めるための努力を怠りたくはなかった。

「お待たせ」

しばらくして、といっても30分前なのだが、美穂子が待ち合わせ場所に姿を現し、京太郎はその格好に目を奪われた。
犬と戯れることまで考慮に入れてか、上は長袖のシャツにジャンパー、下はタイトなジーンズに身を包んでいる。
もっとも京太郎の格好としても似たようなものなのだが、彼女のキャラとしてはあまり似つかわしくはないかもしれない。

「もうちょっと気張った格好にしたかったのだけれど、花より男子だものね」
「いや、新鮮ですごくいいです。それに……」
「……それに?」
「……胸元が、すごく目のやり場に困ります」
「……もう。京太郎くんったら、えっち」

お互いは目線を逸らしているのにもかかわらず、その頬はしもやけのように真っ赤になった。 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 21:45:07.63 ID:gI+bvSVRo<> >>144
男子→団子
文字通りのことわざの意味です

――――――――――

「いらっしゃいませ。お、福路さんとこの娘さんじゃないか」
「こんにちは。いつも父がお世話になっております」
「ははっ、君がそんなにかしこまらなくてもいいのに。そっちの子は?」
「あ……えと、その」
「彼氏の須賀です」
「っ」
「あっははは、須賀君か。やるねぇ、福路さんときめいちゃってるよ」
「……も、もう!」

頬を膨らませて前のめりに抗議する美穂子の姿も正直な所京太郎の好きな表情の一つであった。
もっとも、彼女の表情で嫌いなものなど泣き顔以外にないのだが。 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 21:51:34.86 ID:gI+bvSVRo<> 「それで、今日は彼氏連れでどうしたんだい?」
「ぅぅ……その、犬を見に来たんです」
「それはそれは。まあ、ゆっくり見ていくといいよ」
「ありがとうございます」

店主さんのあっけらかんとした声に美穂子は、一礼した後目的のコーナーへとそそくさと歩いて行った。
京太郎もまた一礼をし後を追おうとした矢先、後ろから声がかかった。

「須賀君」
「はい?」
「あの通りしっかりものだけど少々天然入ってるから、しっかり守ってあげなよ」
「……は、はい」
「よし、行った行った」

肩をポンと叩かれ、京太郎は照れ隠し混じりに頭を掻きながら美穂子の後を追った。 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 22:05:42.06 ID:gI+bvSVRo<> 「そんなに恥ずかしがるならもっと違うところに行けばよかったのに」
「……ぅぅ」

実のところ、こんなやりとりは昨日の時点でしていたのだが、
『せっかくだから犬にもっと気兼ねなく触れ合いたいじゃない』
という美穂子の進言の結果、件のここに決まったという経緯があった。
そうして犬のコーナーにたどり着いてぶらぶらと歩いて巡っていた所、ふと一匹のわんこが目についた。

「ゴールデンレトリーバーかぁ……」
「大きいわね。私より少し小さいぐらいかしら」
「興味があるのかい?」
「ええ、まあ。温厚と聞きますよね」
「お目が高いね。とても優しいし、利発で良い子だ」
「……」「……」
「何か?」
「いえ……ちょっと、外で散歩できないかなと思って。そういう事もやっているとお伺いしたのですが」
「外の公園でだよね?いいけど、ちょっとばかしお代はいただくよ」
「はい。お願いできますか?」
「あいよっ!……よぉーしよしよしよしよし」

美穂子のお願いに店主は快諾し、金額を領収すると檻の中から開放してそのゴールデンをあやすようになでなでした。

「それじゃ、ちょっと準備があるから外で待っててね」

その店主の促しに応じて2人はそのまま公園へと足を運んでいった。 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 22:06:58.49 ID:gI+bvSVRo<> ごめんちょっと用事できた
11時には帰ってくるかもしれない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 22:10:31.26 ID:IiBJsq4CO<> よ〜しよしよし
よしよしよしよ〜し
   ∧ ∧
  ( ・∀・)
O ⌒ヘ⌒Oフ ))
(   (  ´ω`)
 しー し─ J  <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 22:29:11.04 ID:pxrkFPHTo<> 一旦乙 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 23:12:40.02 ID:gI+bvSVRo<> 「お待たせ」

2人が待っていた所に、店主とリードで繋がれたわんこがハッハッと元気が良さそうに息巻いていた。

「元気そうですね。ふふっ」
「ご覧の通りお転婆な子でね、あまり刺激を与えるとすぐすっ飛んでっちゃうから気をつけてね」
「例えば、クッキーを持ってたりですか?」
「そうそうそういう食い気には特に――ってちょっとぉ!」

興味本位で自分で焼いて持ってきたクッキーを鞄から手に取ると、察知したわんこは途端に猛然とダッシュをかけてきた。

「あっーーきゃあっ!?」
「危ない!」

二本足で飛びかかってくるわんこはすんでの所で店主に引き止められるも、そのまま美穂子は態勢を崩し後ろに倒れ込みそうになる。
そこをかばうように京太郎は美穂子をかばうように後ろに滑り込み、片手で抱きかかえて咄嗟に受け身を取る。
とはいってもそれで吸収されるようなダメージでもなく、京太郎はしたたかに背中を打ち付ける羽目となった。

「きょ、京太郎君!ご、ごめんなさい……!」
「い、いえ……美穂子さんが無事でよかったです」
「そんな……私のせいであなたが」
「大丈夫ですってば……それに、役得でしたし」
「え……?あっ……」

京太郎の左手が美穂子の豊かな胸を包み込んでいるのに気づき、美穂子の目は途端に見開かれた。

「も、もう!京太郎くんったら!」
「そうですよ。美穂子さんに泣き顔は似合いません」
「バカ……!」



「……ワン!」
「「っ!!」」
「……あー、うん。お邪魔なら俺達帰ろうか?」
「い、いえ!とんでもございません!!」

美穂子が先程取り落としたクッキーを食べてご満悦のわんこと、咳き込むように口を手で覆った店主の姿に2人は急速に肩をすくめた。 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 23:23:22.45 ID:gI+bvSVRo<> ――――――――――

「……まあ、以後はああいうことしないでね。彼氏さんのためにも」
「面目ないです……」

そんなようなやりとりを介した後、2人は気を取り直しわんことの散歩に興じていた。
店主も店番があるため監視し続けるわけにもいかず、京太郎との紳士協定で電話番号を教え合う事で連絡手段を確保していた。

「それにしても、何事もない時は本当におとなしいやつですね」
「ええ。私が軽率だったわ」
「だからもう泣かないでくださいってば!この通り元気ですから!」

オロオロして今にもホロリと行きそうな美穂子を必死に京太郎はなだめすかす。

「それにしても温和で毛並みもいいし体格も。なんだかとっても素敵ね」
「……なんで選んだか、聞きたいですか?」
「まあ。とても興味が有るわ」
「多分美穂子さんと同じ理由だと思う、というのは自惚れですかね?」
「じゃあ一緒に言ってみましょうか?」
「いいですね」

そうして京太郎と美穂子は一呼吸置き、口を揃えて言った。

「「あなたにそっくりだと思ったから」」

一字一句違わず重なった言葉に、2人は思わず笑い声を抑えられなかった。 <> 1<>sage<>2013/11/01(金) 23:31:11.90 ID:gI+bvSVRo<> 「私この子飼おうかなぁ。いつでも京太郎くんを感じられるように」
「それは困りますね。俺の分の美穂子さんが削られてしまう」
「ふふっ、それもそうかしら。でも、いつかそうならない時になったら、ね」
「……とんでもない殺し文句ですね、まったく」
「それはお互い様でしょ?――よしよし」

恥ずかしさで顔を俯かせる京太郎に対し美穂子はクスリと微笑みかける。
――自分たちの子供が、ゴールデンと共に育っていくとき。
そんな姿を幻視しながら、2人はわんこと時に歩き時にもふり、公園を周っていくのだった。


唐突にカン! <> 1<><>2013/11/01(金) 23:32:43.41 ID:gI+bvSVRo<> というわけで一発ネタ「キャプテンってゴールデンみたいじゃね?」でした
本日のここでの投下は多分おしまい

もう一個の方は避難所にでもこっそり落としとこうかなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/01(金) 23:48:16.33 ID:pbdIBSkOo<> ほう、その発想はなかった
乙なー

ところでどうでもいい話だがアニメ・フランダースの犬でパトラッシュのモデルであるとされ一躍知名度が跳ね上がったゴールデンレトリーバーなのだが



原作を読む限りパトラッシュはグレートピレニーズである。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 00:35:12.44 ID:b9Cpuczvo<> すばらしい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/02(土) 20:44:00.19 ID:ZGsbkHvv0<> 乙 <> 1<>sage<>2013/11/02(土) 23:58:02.19 ID:VHytFesqo<> 霞さんの水着やっべーわと思いながらキャプテンの色っぽい画像探してたら、
ヤンガンの付録で和とモモとで頭だけ3人分用意した体共通のお風呂ポスターなるものを知って絶句した
それはそれとしてアニメ京ちゃん基準とはいえ水着はよく似合ってたと思いますです

んで肝心の続きは明日の朝ですかね……
読んでるか知らんけど本スレで京キャプ書いてくれた人ありがとう <> 1<>sage<>2013/11/03(日) 16:38:20.34 ID:T2gwyJd8o<> 続きは明日の朝と言ったな……あれは嘘だ

では本編めます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/03(日) 16:44:47.03 ID:yLKRJFJ6o<> アイヨー <> 1<><>2013/11/03(日) 16:47:53.48 ID:T2gwyJd8o<> 「それにしても、よくお受けしてもらえたと私としては思っているんだけれど」
「何をですか?」
「この練習試合自体をね。こんな無名校の――いや、こんな無名校だから、かしら?」
「……まあ、そんなところです。というよりは、その言葉をそっくりお返ししたいお気持ちですけども」
「うちが?」
「ええ。私達に知れて都合の悪い事も多々あるのでは?」

美穂子からすれば手の内をわざわざ曝け出すような清澄の申し出は不可解なようにも感じていた。

「まあ、本音を言えば半分はその通りではあるけれど。もっとも、お互いそこまで底を見せる気もないでしょう?」
「……確かにそうですね。それでは、もう半分は?」
「あなたに興味があったから」
「っ!?そ、それはどういう……」

美穂子のぎょっとするようなすくみ方に対し、久は思い通りと言わんばかりにクスクスと右手を口元に当てた。

「心配しなくとも言葉のあやよ。興味があったってのは本当だけど」
「……」
「ま、そういうわけで。一局、お願いできるかしら?」
「……喜んでお受けします」 <> 1<><>2013/11/03(日) 16:56:30.56 ID:T2gwyJd8o<> 「では、もう2人はいかがいたします?」
「そうねぇ……須賀君!頼めるかしら?」
「!」
「俺ですか?……わかりました」

片や目を見開き、片や眉を顰める。
その仕草の温度差に久は苦笑を浮かべながら美穂子へ言葉を促した。

「それで、もう一人は?」
「ーーえ、えっと」

言葉に詰まっていた美穂子の後ろから、そっと進み出た影が卓へと座り込んだ。

「自分が入るし!キャプテン、それでいいでしょ?」
「華菜……ええ。ありがとう」
「決まりね。皆も思い思いに試合して頂戴!ただし2対2でね」

そうしてようやく試合が始められようとしていた。 <> 1<><>2013/11/03(日) 17:12:12.83 ID:T2gwyJd8o<> こと試合の内容としては、両キャプテン同士が交錯する卓はまさに白熱した好勝負が展開されていた。

(……私の悪待ちがここまで看過されるなんてどういうレベルなのよ一体)

久は改めて風越のキャプテンという頂きにたつ女性の力量を――そして下家の男子の力量に対し額に汗を滲ませていた。
もっとも華菜が劣っているというわけでもなく、久に振り込みこそすれ型に嵌った時の高火力ぶりは一線級であることは疑いない。
しかしそれ以上に久や華菜すら蚊帳の外にするような深慮遠謀のせめぎ合いは久の精神を削るに十分なものだった。

「ポン」
そう上家から発せられたかと思えば、その次の順目で
「ポン」
と上家の捨て牌を下家が食う。
そうして場の流れが2人の間で揺らぎ、久のツモにも自ずとよれが生じていく。
それはさながら龍門渕の井上純のような『亜空間殺法』を彷彿とさせられた。

(まさに、似たもの同士ってやつなのかしらね)

そう思いながら闘牌を続けた久だったが、結局は3位という結果で2半荘を終えた。
4位は華菜、そして1位は僅差で美穂子だった。 <> 1<><>2013/11/03(日) 17:24:43.06 ID:T2gwyJd8o<> 「ありがとうございました」

そう口々に挨拶を交わし、矢継ぎ早に次の相手を探していく。
京太郎もまた例外ではなく、卓を一度一瞥するとそのまま席を立ち離れる。

「京太郎!一緒にやろうじぇ!」
「ああ。そらよ」

もはや急かされるでもなくタコスを用意し優希へと手渡す。

「うっし、補給完了だじぇ!次はどいつだー」
「えっと……須賀さんに片岡さん。私達と打ちませんか?」
「……」
「吉留さんに深堀さん。もちろんお願いします」

そんな様子を何の気なしに見届ける美穂子の姿に久は内心呆れを感じ始める。

(それにしても、この子の打ち筋ってどこかで――)
「部長」
「和。次、一緒に打つ?」
「はい。手合わせをしていただきたくて」
「あ……はい。喜んで」
「……では、よろしくお願いします」

和もやはり美穂子に思う所があるようだったが、表面上はおくびにも出さずに一例をして席へと着いた。 <> 1<><>2013/11/03(日) 17:42:04.16 ID:T2gwyJd8o<> ――――――――――

「ごめんなさいね、そのまま同席しちゃって」
「いえ。しかし、お強いですね」
「負けた身にお世辞は結構よ。風越の名は伊達じゃないわね」
「そんな。私なんてまだまだです」

そう柔和な笑みで謙遜する美穂子にはイヤミのようなものは欠片も感じられなかった。
先程ほど場が揺らぎはしなかったために悪待ちも活かせたものの、それでも美穂子の圧倒的な力量を崩すまでには至らず、
美穂子、久、和、文堂の着順で試合は終った。

「あのインターミドルの原村さんまで……やっぱりキャプテンは凄いです」
「文堂さんも気落ちしないでね。お二人も凄い打ち手だし、私も運が良かっただけよ」

文堂を暖かく慰める美穂子の姿を感銘と共に見据えながら、後ろから久保コーチの号令が響いてきた。

「よーし!午前の部は終わりだ!これから1時間昼食な!
 ――そういうわけでよろしくお願いする」
「わかりました。それでは――ん?須賀君は?」
「京ちゃんならトイレに行くって少し前に」
「そう。それじゃ各自昼食を取ってね」

久の言葉を皮切りにめいめいが弁当を取り出し始め、久もまたそうしようと思った矢先にある違和感を感じた。
何も言わず影のような滑らかな動きで美穂子が部室から出ていこうとするのを確認したのだ。

(…………)

久は微かに笑みを浮かべた後にすぐ表情を消し、静かに美穂子の後を追い始めた。 <> 1<><>2013/11/03(日) 17:52:01.13 ID:T2gwyJd8o<> ―――――――――

「……はぁ」

用を足した後、京太郎は通り道にあった自販機から缶コーヒーを購入し、ちびちびと口をつけていた。
もう昼休みの時間だろうし、少しここで休憩するぐらいなら構わないだろうと、京太郎は一つ深呼吸を吐いた。
女子高にこうして男一人でいるというのはなかなか精神的に来るものがあったが、無論それは方便であるのは自分でも分かっていた。
そしてそれを看過するかのようにこのコーナーに早足で近づいてくる女性の足音。
もはや確認するまでもなく京太郎はそっぽを向き、向こうの出方を伺った。

「……京くん!」
「…………ミホ姉」

その呼びかけに対し逡巡しながらかつての愛称を口に出す京太郎だったが、そこから振り向くわけでもなくその憮然とした仏頂面が崩れることもなかった。 <> 1<><>2013/11/03(日) 17:54:12.01 ID:T2gwyJd8o<> 一旦終わり
やっとスレタイ回収できた……スレタイに偽りありですけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/03(日) 18:03:21.37 ID:UFdMhxfjo<> ついに再会か
次が待ち遠しくてしょうがないね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/03(日) 18:27:19.08 ID:+YVi+R1no<> 乙
キャップに気にかけてもらえる京ちゃんうらやましいです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/03(日) 18:28:58.82 ID:TbCM/KWso<> 乙です
ここからどう進んで行くのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 04:30:39.84 ID:TcGL4uxco<> きてたのかー乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 15:52:43.95 ID:ZiWZsU5to<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 20:22:13.59 ID:5MvcrNBNo<> 続きが気になるねぇ <> 1<><>2013/11/04(月) 20:44:28.47 ID:9esnSaUDo<> 久々にVIPの方で短編書きたくなったので今日はこっちは休みます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 20:45:42.41 ID:iKdSnJ0xo<> 把握 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2013/11/04(月) 21:24:39.22 ID:tgQssAAGO<> あれはここの人が書いてるのか…
支援しとくよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 21:51:30.32 ID:G4HbJ1V8o<> お前かァア!!
支援は任せろ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 22:09:23.40 ID:0mdJhLZho<> あのコテ名…まじか……マジかよぉ!!(驚愕) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 22:10:31.82 ID:0mdJhLZho<> あ、勘違いしてた。いつもの人だったわ <> 1<><>2013/11/04(月) 22:39:01.08 ID:9esnSaUDo<> 投下終了
久々に台本形式で書いたけどやっぱりサクサク進むなぁ……地の文込みの方が自分好みなんだけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 22:39:38.64 ID:iKdSnJ0xo<> 乙ですよー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 22:40:47.40 ID:G4HbJ1V8o<> それはなんかわかる
おつー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2013/11/04(月) 23:03:41.67 ID:tgQssAAGO<> 乙〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/05(火) 11:58:12.73 ID:mL/TkSPWo<> 美穂子の包容力は作中随一 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/05(火) 23:24:58.06 ID:i2cdTuTNo<> はよ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/06(水) 14:20:48.38 ID:T6R1P/SGo<> キャプテンとロッカーに入りたい <> 1<><>2013/11/07(木) 07:08:03.40 ID:4GhP9nI7o<> 「……まさか、こんな形で京くんに会えるなんて、思ってもみなかったわ」
「……そう、ですか」

背を向けているため表情は窺い知れないが、その声は努めて平静を保っているようにも聞こえた。
だからといって京太郎が自発的に何かを問うようなこともない。
否、出来なかったという方が正しい。
振り向こうとする意思が見えない"弟"に対し、美穂子は回り込むように位置を入れ替えた。
そこでこの場では初めてお互いの視線が交錯する。

「前に会ったのは正月だったかしら?」
「っ……そんな昔のことは忘れた」

真正面からその端正な顔立ちを覗かされた事で一瞬狼狽えたものの、相変わらず京太郎の態度にはにべもない。

「忘れた……って、そんな」
「『覚えてない』って、言ったほうがいいですか?」
「……っ……!」
「……こんな所で立ち話なんかしてる時間があったら、後輩の面倒でも見てあげたらどうです?」

京太郎の槍のように鋭い物言いに対して美穂子は言葉もなく、京太郎はそのまま遮るものがなくなった部室へと歩いて行った。 <> 1<><>2013/11/07(木) 07:22:00.76 ID:4GhP9nI7o<>
――――――――――

――また、やってしまった。
その男は内心で言いようのない自己嫌悪に嗚咽を漏らしそうだった。
彼女の視線が消えるであろう位置まで歩くのがこれほど遠く感じるとは思いもよらなかった。
……嘘だ。そんなことは知っていたはずだ。
何より彼女は『憶えていた』じゃないか。動揺したじゃないか。

「……くそっ……!」

繰り返される負の思考の堂々巡りに男は這々の体で部室が見える直線へと辿り着くと、そこには見知った顔がひとり佇んでいた。

「……咲」
「おかえり、京ちゃん。結構遅かったけど……何かあったの?」
「……どうしてそう思うんだ?」
「だって……今にも泣きそうなぐらい辛そうな顔してるんだもの」
「……そうなのか?」
「そうなのかって……ま、いいよ。ごはん食べよ?一緒に」
「一緒にって、まだ食べてなかったのか?」
「うん。京ちゃん一人にするのは悪いでしょ?いつも私がそうだったんだから」
「……ああ。ありがとう。行こうか」

少しの間瞑目しながら左目を覆い、苦笑するようなはにかむようなぎこちない笑みで男は少女に微笑んだ。 <> 1<><>2013/11/07(木) 07:41:16.00 ID:4GhP9nI7o<> ―――――――――――

……どうして、こうなってしまうんだろう。
……嘘ね。こうなることはなんとなく分かっていた。
全ては自分が蒔いてしまった種。それが芽を出してしまったのに過ぎないのだから。
脆い自分を肯定するようで嫌いだった涙を、今の私はまるで留めることができなかった。

「――まったく、サイテーな男ねぇ。こんないい女泣かすなんて」
「……えっ?」

不意に聞こえてきた聞き覚えのある声に少女は困惑した。
物陰から身を乗り出すようにその茶髪の少女は姿を現す。

「悪いけど、話は聞かせてもらったわよ」
「竹井さん……?」
「といっても、詳しいことは全くわからないけれどね。
 もしよかったら話してみないかしら?もしかしたら力になれるかもしれないわ」
「力に、って……」
「あなたの恋路の、ね」
「――っ!」

声にならない叫びで思わず口をぱくぱくさせる。

「本当にわかりやすいわね、あなた……」
「……けど、どうして私に?」
「理由はいろいろあるけど……あなた、ほっとけないのよね。危なっかしくて」
「は、はぁ……」
「悪いようには決してしないと約束するわ。だからお願い」

魅せつけるように笑顔でウインクし、その輝きに少し狼狽えながらもその少女は意を固め始めた。
どの道、私は今彼に伝える言葉を持てないのだ。なら、今は少しでも希望を持って前に進んでいきたい。

「――少し、長い昔話になりますが」

そう言葉を置いてから、少女はぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めた。 <> 1<><>2013/11/07(木) 07:44:07.92 ID:4GhP9nI7o<> 投下終わり。設定何度も考え直してやたら難産した
京キャプのエロい話書きたいけどまだ書けないので誰かお願いします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 07:58:45.94 ID:JMFg0gKUo<> おつにゃー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/07(木) 08:12:56.12 ID:+Ee+8f1c0<> 乙ー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 09:09:55.06 ID:H/56ZbPso<> 乙
キャプテンにひどい態度とった京太郎は許されざるよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 10:32:06.29 ID:VEJsYM+3o<> キャップとのイチャイチャはよぉ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 17:45:51.37 ID:wklpcJkzo<> 乙でした <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/08(金) 15:14:38.31 ID:XLH1SCPGo<> 乙 <> 1<>sage<>2013/11/09(土) 10:56:59.97 ID:MPiHU7uCo<> ちょっと質問なんですけど、
県決勝の一半と二半の間の休憩ってどのぐらいか明記ありましたっけ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/09(土) 11:05:19.16 ID:WDmlW9LBo<> 5分だった <> 1<>sage<>2013/11/09(土) 11:20:50.27 ID:4kRunxmho<> なんという即レス感謝

5分かー、思ったより短いな
まあ1半長いし五人分で五倍になるしでそんな長くてもまずいか
京太郎タコス届けてたしその間は他者もアドバイスできるんだよね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/09(土) 11:32:09.51 ID:IHIQ7Hrno<> 団体戦メンバーなら可能
実際キャップが中堅戦で文堂さんに何か言ってた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/09(土) 11:34:38.41 ID:yZMRm6t6o<> 待ってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/09(土) 19:23:10.65 ID:+va+7qGqo<> 阿知賀編でも玄とか話してたし大丈夫じゃない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 09:54:47.20 ID:FN8ikpDBo<> マダー?? <> 1レス<>sage<>2013/11/11(月) 08:08:18.61 ID:nAAXOFTUo<> ーーーーーーーーーー

「コンビ打ち?」
「ええ。ほんの余興にね。面白そうでしょ?」
「面白そうっておんし……」

また始まったと言わんばかりにまこの表情が呆れに染まる。

「でも俺がいたら端数が出ちゃいますよね?」

そう京太郎から物言いが入る。
暗に自分が抜けると言いたげなその少年に久はちっちっちっと指一本を口元で揺らした。

「心配しなくとも私が責任持って抜けるわよ。
ちなみにあくまで余興だし誰と組んでもいいからね」

ーー"誰と組んでも"ねぇ。
部長の意地の悪い笑みに思わず目線を細め、どうしたものかと考えていると、不意に後ろから裾をちょいちょいと掴む手を感じた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/11(月) 11:09:01.68 ID:arjhgK2lo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/11(月) 12:43:34.72 ID:kxTunxqFo<> もどかしい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/12(火) 00:52:35.50 ID:jVaZpIiJo<> キャップに性的にいじめられたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/14(木) 19:56:01.89 ID:GurTy/o1o<> まだですか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/15(金) 14:33:30.84 ID:5Bza99mGo<> はよおおおおおおおおおおおおお <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/16(土) 21:18:48.90 ID:n6ei2UIuo<> まだ大丈夫だろうけどいずれエタりそう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/16(土) 21:27:47.86 ID:+ra+mlGpo<> 1周間も経ってないんだけど早漏なの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/16(土) 21:28:12.69 ID:OQS1lTp7o<> このスレは俺の癒やしなんだエタらんでほしい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/16(土) 21:29:43.07 ID:PiIc22g1o<> 京太郎スレの更新頻度が咲SSの中で一番だから
せっかちになるのもわかるよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/16(土) 21:43:15.80 ID:n6ei2UIuo<> いやまだわからんよ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/17(日) 12:35:53.93 ID:44xHYIm1o<> どうでもいいけどはやくしろ <> 1<>sage<>2013/11/21(木) 07:29:07.01 ID:vtwW0xaKo<> ぅゎ仕事っょぃ
週末まで待ってくださいなんでもしますから! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/21(木) 10:09:56.98 ID:Pq358Pqoo<> ん? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/21(木) 10:17:56.94 ID:7NFfOEKyo<> 今 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/21(木) 10:29:01.53 ID:Bryc+4hao<> なんでも <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/21(木) 10:30:40.91 ID:CnyhwHmbo<> 週末まで待ちきれない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 01:14:03.70 ID:boP+my2qo<> あのさぁ…
週末過ぎてんだけど <> 1<>sage<>2013/11/24(日) 19:58:13.84 ID:aqhHiQ1so<> 週末は「二日」あったッ!

すいませんちょっと仕事絡みで凹んでました
どこまで書けるかわからんですがいきます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 20:00:58.37 ID:ZInuqCHHo<> おお、きたか <> 1<><>2013/11/24(日) 20:10:16.62 ID:aqhHiQ1so<> 「……咲?」
「うん。その……よかったらでいいんだけど」

妙にいじらしい咲の様子は京太郎にとってもいかにも可愛らしかった。
断る理由もなく快諾しようとしたところ、

「ーーっす、須賀君!」
「……はい?」

背後から聞こえたいかにも聞き馴染みのある声に、若干の怯えを含めつつ京太郎は振り向いた。

「風越の部長さん」
「えっと、その……須賀君、いや、京くん……一緒に組まない……かしら?」
「京くん……」

美穂子のなりふり構わぬと言わんばかりの主張に咲は驚かされるも、京太郎の態度はあくまでそっけなかった。

「…………生憎、もう先約が決まってしまったので」
「そ……そうなの。それじゃ、仕方ないわね」

それは咲からしても只事ではない空気を感じ取れたのだが、だからといって手に入れた席を敢えて譲るほどのお人好しでもなかった。 <> 1<><>2013/11/24(日) 20:16:13.42 ID:aqhHiQ1so<> 「じゃあ、美穂子さんは私と組んでぶつかりましょうか」
「た、竹井さん!?」

急に肩を掴まれてトントン拍子に話が進む様子に美穂子は困惑させられた。

「今は何はともあれ接触を増やさなきゃ、でしょ?」
「……それはそうですが……」

京太郎たちに聞こえない程度の小声で意思疎通を図る。

「そういうわけで、いかがかしら?"京くん"」
「……好きにしてください」
「もちろん好きにさせてもらおうかしら。ね?美穂子さん」
「え?あ、はい」

露骨に眉間に皺を寄せた京太郎の返答を久はあっさりと聞き流し、他の部員達にもおいおい卓を囲むよう指示を出した。 <> 1<><>2013/11/24(日) 20:29:36.87 ID:aqhHiQ1so<> ―――――――――――

試合展開としてはがっぷり4つの様相を呈したが、その2チームのスタイルは互いに全く異なった。
片や悪待ちとオーソドックスな待ちの使い分けで単純に当たり牌を広げる久・美穂子のペア。
そちらがある意味で全うなコンビネーションであるとすれば、もう片方は異質と呼ぶべきコンビであった。

咲がチラリと京太郎を見やり、京太郎はわかってると言わんばかりにオタ風牌を切り出す。

「ポン」

久と美穂子は意図がわからずに困惑するが、一巡後にその意味がわかった時には既に遅かった。

「加カン!……ツモ!嶺上開花ドラ3、満貫です」
「……!」

相手2人はその息の合い方に驚愕していた。
単純に咲の特性そのものもあるが、それ以上に京太郎の献身に対してだ。
先程京太郎の切った牌は捨て牌の構成的に考えておおよそ持っているはずのない牌だった。
つまり、咲が対子として重ね、かつ有無を言わさず上がれるタイミングまで抱え続けていたことになる。

「……悔しい」

美穂子がボソリと言った言葉は久にしか聞こえなかったが、その心意を図るに十分すぎる一言に、久は内心シニカルな笑みを浮かべていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/24(日) 20:36:09.52 ID:r/7T7tur0<> ファッキューヒッサ <> 1<><>2013/11/24(日) 20:37:52.85 ID:aqhHiQ1so<> それだけではない。

今度は逆に京太郎が咲を見やり、咲が頷くと、

「リーチ」

それに対しセオリー通りに現物を通す2人に対し、

「カン!」

咲が暗槓を宣言し、それを受けて京太郎が次の牌を引く。

「……ツモ。リーヅモドラ3。裏1で跳満です」

無論、表ドラの3枚は咲が直前にカンしたことによる新ドラだ。

良くも悪くもツモとロンのバランスで考えた戦略の部長ペアに対し、咲・京太郎のペアはいわばほぼガード不能のツモり戦略で組み立っていた。
初見殺しの要素もあったとはいえ、その結果は歴然たる点差として現れたのだった。 <> 1<><>2013/11/24(日) 20:50:35.89 ID:aqhHiQ1so<> 「いやー……なんというかとんでもないわね。特に咲、いくらなんでも見えすぎでしょ」
「とんでもないですよ。京ちゃんのおかげで勝てたんです」
「お前の見立てがなかったら2人相手にそうそうリーチなんかかけられないさ。胸を張れよ」
「――うん。やっぱり私達、"ベストパートナー"だよね!」
「ええ、そうね。それじゃあ、そろそろ練習試合もお開きにしましょうか」
「……」

意図的な強調が感じ取れないほど美穂子も子供ではなく、彼女の外面からは考えられないほど内心は強く歯噛みしていた。
見るからに顔が青い美穂子を横目に見つつ、

(悪いわね。でも、これで仕込みは整った。後はその場の状況次第かしら、ね)

見る人が見なければ分からない程度のその微かな笑みを、見る人の一人たる副部長が怜悧な視線とともに見据えていた。 <> 1<><>2013/11/24(日) 21:06:10.20 ID:aqhHiQ1so<> ――――――――――

翌日・日曜
roof-top

「――で、成果は上がったのか」
「ええとっても」
「……とてもそうは思えんが」

久の自信満々な顔に対し、いかにも眉唾の様子で藤田プロは問い返す。
藤田からする『成果』とは、無論聞き及んでいる京太郎の美穂子との関係についてだ。

「藤田さんの考える意味ではそうでしょうけど」
「……どういう意味だ?」
「他に優先すべき成果が上がった、というところじゃろうかの」
「あら、まこ」
「……否定しないということは図星か。ろくな運命辿らんで、おんし」
「否定はしないけれど……肯定もしてないわよ?」
「どういう意味じゃ?」
「おい、私を置いてけぼりにするな!」

煙管を2人の合間に通し、説明を要求する藤田。

「つまり、斯く斯く然々で……、――後は龍門渕の動向次第ってとこ」
「下衆じゃな」「刺されても文句は言えん」

あまりにも率直な感想に久は予想通りと自嘲をないまぜにした笑みを漏らした。

「勿論よ。でも、私も必死なのよ、県予選を勝ち上がるために、ね」
「――はぁ。やれやれ。わかった、この一件はわしの腹の底に仕舞っておいてやるわい」
「さっすが、まこは話がわかるわねぇ」
「……‥…まあ、それぐらいの荒療治のほうがあの小僧にとってもいいのかもしれんが」

大会までの一ヶ月半程度を慮り、藤田は吸い込んだ煙管の煙を大きく空へ吐き出した。 <> 1<><>2013/11/24(日) 21:08:12.75 ID:aqhHiQ1so<> 今日の投下は以上にしときます
あと数レスで一段落つきますかね…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/24(日) 21:13:07.37 ID:r/7T7tur0<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 21:15:29.91 ID:1MA+KP3so<> 乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 21:39:12.18 ID:rtEc+xDVo<> 乙乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 21:48:51.55 ID:+RodJbIro<> 乙
咲ちゃんのベストパートナー強調するとこかわいい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 19:10:35.47 ID:xnzvh8rUo<> みぽりんの不憫ぷりが報われる日は来るのだろうか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 19:45:33.20 ID:HY7Vm00qo<> 乙
京キャプのイチャラブはよ <> 1<>sage<>2013/11/25(月) 20:34:48.27 ID:YY1rXGzGo<> 大会ルールに八連荘ってありましたっけ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 20:52:06.67 ID:35iSxtMWo<> たしかないはず
あったら団体戦が照一人でほぼ確実に終わるし… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 20:54:47.02 ID:uuEJlRKJo<> 此処の団体戦ルールって所に載ってました。

ttp://dic.nicovideo.jp/a/%E5%92%B2-saki-

八連荘は>>239の言う通り無しですね。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 20:59:49.15 ID:35iSxtMWo<> すまん、一応「咲 大会 ルール」でググったら八連荘は不明っぽい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 21:01:01.09 ID:35iSxtMWo<> (´・ω・`)おぅ… そこの辞書に明記あったか
なんかすまん <> 1<>sage<>2013/11/26(火) 09:00:43.98 ID:M+mK8axHo<> なるほどなるほど感謝です
大枠固まってるのに書く暇ねぇ… <> 1<><>2013/12/01(日) 00:37:47.61 ID:T0CO4s0zo<> ――――――――――
県予選・2日目
――――――――――

「一体どうしたと言うのでしょうか!
 南3局にして風越主将・福路、この半荘2度目の振込みです!」

龍門渕 142,400
清澄  114,800
鶴賀   86,900
風越   55,900

「今年の福治選手は細々としたケアレスミスが多い気がしますね。
 決勝ともなるとそれを見過ごすようなメンツではないということでしょう」

実況の悪い意味での驚嘆に対し解説が淡々と言葉をつなぐ。
事実、美穂子の戦績がここまで落ち込んだことは彼女が主将となってから初めてのことであった。
美穂子の額にも焦りの汗がじんわりと浮かんでいるが、それを払拭する手立ては今のところ思いついていないのが現実だった。 <> 1<><>2013/12/01(日) 00:46:02.52 ID:T0CO4s0zo<> 清澄・控室

「あの風越部長があそこまでボロボロになるなんてのう」
「優希ちゃん、京ちゃんの特性タコスで調子もすこぶる良いみたいなのにね」
「ええ。あの龍門渕の不可思議な鳴き方に調子を狂わされているのでしょう」

まこ、咲、和が口々にそれぞれの感想を漏らしていく。
その様子とは裏腹に、なんとも形容しがたい感情で唇を噛む少年が一人いた。
あえて理由を説明する必要もないであろうその少年に対し、そっとお下げ姿の少女が近づき呟く。

「昨日の事、気にしてるようね」
「……部長」 <> 1<><>2013/12/01(日) 00:57:04.57 ID:T0CO4s0zo<> ――――――――――
県予選1日目・2回線終了後

「ちょっといい?」

決勝進出を決めた後、帰路へ着こうとする清澄の面々の前に姿を表したのは池田だった。

「おんしは風越の。一体どうしたんじゃ?」
「ちょっとそこの1年坊に用があってですね」

ビシッと指差しを受けた京太郎は一瞬きょとんとするが、直後におおよその予想を立てた。

「わかりました。長くなりますか?」
「んー、君次第だし」
「だそうです。すみませんが、先に帰っていてください」
「そうも行くかいの。しばらくラーメンでも啜って待っておるか。のう?」
「別に私は構いませんけど……」
「同感だじぇ」
「……だ、そうです。それじゃあ、少し歩きましょうか」

京太郎の言葉に池田も首を縦に振り、一度2人と清澄部員たちは別れた。 <> 1<><>2013/12/01(日) 01:18:16.63 ID:T0CO4s0zo<> 「……それで、福路さんに何か?」
「うわっ!お前、エスパーか何かだし!?」

あたふたしながら耳のような髪がピコピコするように見える池田を大変可愛らしいと感じたが、
案件が案件だけにそんな茶化した顔をするわけにもいかなかった。

「心当たりがあるなら話は早いし!なんでもいいから一度キャプテンと話しな!」
「……今、ですか?」
「今じゃなくていつ話すし!」
「……どこにいらっしゃるので?」
「あそこのホテル。少しだけでもいいから――」

「それは呑めない相談ね」
「「!?」」

もはや周りも薄暗くなっている時分におもむろに現れたのは、先程別れたと思っていた久だった。

「ど、どういう訳ですし!?」
「どうもこうもないわよ。そんな利敵行為は認められないってだけ。少なくとも、今はね」
「利敵行為って――何かキャプテンのこと知ってるし!?」
「さあて、ね。少なくともうちにとってプラスにはならない。それだけよ」
「ぐ――」

この手の腹の探り合いで華菜が久に勝てるわけもなく、華菜は歯ぎしりして久を睨みつける。
それならとばかりに矛先を京太郎に向け、仕方ないとばかりに一つ溜息を吐く。

「とにかく、キャプテンと関わりがあると自覚してるならはっきりとしてほしいし!
 これ以上キャップが苦しんでるのは見てられないし!」
「苦しんでる……だって?」
「そう!あれは何かを抑えこんでる姿だって華菜にはわかるし!
 今日だっていつもならありえないミスが――」
「――行きましょ、須賀君。みんな待ってるわよ」

華菜の懇願にも近い語りを久が強引に制す。

「部長、ですが……」
「肝心のあなたに動く気がないならいつまでも平行線よ。そういうわけで」

京太郎の手をとった久はそのまま華菜から遠ざかるように歩いて行った。

「く――もう、知らないし!勝手にするし!」

華菜が憤慨してホテルへと戻っていく様を、京太郎はもやもやとした気分で振り返り見やることしか出来なかった。 <> 1<><>2013/12/01(日) 01:31:21.37 ID:T0CO4s0zo<> ――――――――――

「言いたいことがあるならはっきり言ってもいいのよ。
 少なくとも、あの姿を見て思うところがないというならそれでもいいけれど」

そう言うなり、モニター上の苦しそうに汗を滲ませる美穂子へと視線を送る久。

「ですが部長、昨日ああ言ったのは」
「気が変わった、というとあれだけれど。
 3年の夏をああもしてしまうのは、流石の私でも心が痛むわよ」
「…………」

久の憐憫じみた瞳に対し、まこは一貫して冷ややかな表情を保っていた。

「もっとも、あなたがそうでないなら私は一向に構わないしね」
「……そんなことは――」

「――もう素直になりなよ、京ちゃん」
「さ、咲……!?」
「ずっと京ちゃんと一緒にいた私だからわかるよ。
 京ちゃんはあの練習試合の日から、ずっとあの人しか見えてないんだってことぐらいは」
「それは……」
「どんなすれ違いがあったのか私は知らないけど……それはきっと、そのままじゃ誰も幸せになれないって思うから」
「咲……」
「だから、行ってあげて。それで、言ってあげて」

咲の文学少女らしい韻を踏んだ言葉は京太郎の胸にじんわりと染みこみ、それはさながらハートのランプのように京太郎に灯を灯したのだった。 <> 1<><>2013/12/01(日) 01:36:47.65 ID:T0CO4s0zo<> 「じゃが、試合が始まってしまった以上、もう控室には入れんじゃろ?」
「それに関しては私にいい考えがあるわ」
「なにやら信用ならない響きですが……」
「なぁに、単純な話よ。規定上は部外者が中に入っちゃいけないだけだもの」

―――――――――― <> 1<><>2013/12/01(日) 01:54:32.25 ID:T0CO4s0zo<> 足取りが重い。

これほど自分の心に嘘を付くことが辛いだなんて、思ってもみなかった。

ほうほうの体で控室へと戻った私を真っ先に出迎えたのは、やはり久保コーチだった。
ビンタの一つでは足りないだろうと自分から顔を差し出すと、

「今はいい。時間がない、とっととこれを耳に当てろ」
「え……?」

言われるがままに差し出された携帯を耳に当てると、コーチが一際大きな声で叫んだ。

「おい須賀ァ!!こんな時にぐらい男見せろよなぁ!!」
『イエスマム!』
「その声は……須賀くん!?」
『ああ。福路さん……いや、ミホ姉!』
「は、はひっ」

今までに聞いたこともないぐらい凛々しい声に、私は思わず情けない声を出してしまった。

『俺、バカだった。あんな昔のことを引っ張り続けて、それを確かめもしないで……けど、今はっきりわかったんだ』
「……」
『あんな苦い顔のミホ姉を、俺はやっぱり見たくない。俺がミホ姉にできることならなんだってしてやりたい。
 たとえミホ姉の気持ちが俺に向いてないとしても、俺はミホ姉の為に尽くしたいんだ!』
「……!!」
『――だからミホ姉、勝ってくれ!俺が大好きなミホ姉として!!』
「……待ってた」
『……え?』
「その言葉……ずっと、ずっと待ってたんだからぁ……!」

電話口での怒涛の告白に、美穂子は溢れ出る涙を止めようともしなかった。

「あー……お熱い所誠に申し訳ないんだが、後半開始まであと1分だ」
「えっ!?あ、その、えっと!」
「安心しろ、今は殴らないでおいてやる。……心のつかえは取れたか?」

私は満面の笑みを見せつけてやり、コーチもそれに合わせて不敵に微笑んでくれた。

「ならいい。お前の真の力、とくと拝ませてもらおうじゃねえか」
「はい!」

私はあの天に昇る太陽にも負けないぐらいの昂ぶりを全身に感じながら、会場へと戻っていった。 <> 1<><>2013/12/01(日) 02:06:35.16 ID:T0CO4s0zo<> ――――――――――

「……行ってしまいましたね」

時は少し前後し、京太郎が電話のために出て行った後、和がぽつりと言葉をもらした。

「そうだね。これで京ちゃんもすっきりできるといいんだけど」
「……本当によかったんですか?」
「えっ?」
「私は……本音を言うなら止めてやりたかったです。……すいません、こんなこと言って」
「いいんだよ、和ちゃん。私だってそうだもの。
 ただ、私は京ちゃんのために言ったことだから、後悔なんてしてないんだから」

「咲さん……辛かったら、我慢しなくてもいいんですよ」
「そんな、我慢、なん、てっ……うっ、ううっ……」

和の言葉が引き金となったのか、咲もまた涙を止められずに和へともたれかかった。

(……なんというか、引きこもごもじゃのう)

そんな風にまこが全ての元凶を見つめている折、優希が会場から戻ってきた。

「ただいま帰ったじぇ!あの銀髪のねーちゃん強いじょ……ってあれ?どしたの?」
「ああ、まあ今は気にしないでいいわ。はいこれ、須賀くんのタコス」
「おう!やっぱ京太郎のタコスは最高だじぇ!」

先程までの経緯を知らぬまま呑気にタコスを頬張る姿に仕方ないとはいえ久は内心で滑稽さを感じてしまい申し訳ない気持ちになった。

「優希、私から指示することが一つだけあるわ」
「何だじぇ?」
「次の半荘、下手に動かないでいいわ。いや、むしろ余程の好形でない限りは動かないで」
「え、それじゃああのねーちゃんにやられっぱなしになっちゃうじぇ?」
「気持ちはわかるけど今は我慢して。敵はきっと取ってくれるわ」
「??」

久のこれまでにない真剣な表情に、釈然とはしないものの優希は了解の意を示し会場へと戻った。 <> 1<><>2013/12/01(日) 02:17:40.29 ID:T0CO4s0zo<> ――――――――――

(起家か。しかし風越があんなんじゃ張り合いがないな。
 もっと骨があるもんだと期待していたが……)

龍門渕の先鋒、井上純は圧倒的大差をつけて終了した前半戦を思い返し、一つ深呼吸をして配牌を見やる。

(しかし……あの風越の、もう右目どころか両目とも閉じてやがる。勝負を捨てでもしてんのか?)

その印象が大間違いだったという事に純が気付かされるのには、1順も必要としていなかった。
自分の順目が来た時におもむろに両目を開眼し牌を引き――そのまま手牌のすぐ手前へと叩きつけた。

「え?」
「ツモ。地和。8000、16000です」
「なっ――!?」

一瞬で親が吹っ飛んだ挙句痛すぎる親っかぶりまで被り、同時に満月の衣を見た時――いやそれ以上の戦慄が純を襲った。

「運がいいわね。私、今とっても気分がいいの」

そんな台詞を口に出しながらペロリと舌なめずりする美穂子にはもはや先程の曇天のような心境は微塵も感じ取れなかった。

……これが、後に彼女が"神の左眼、悪魔の右眼"と異名付けられる発端となる試合となった。 <> 1
◆dmWbjFApRN6u<><>2013/12/01(日) 02:19:43.34 ID:T0CO4s0zo<> いよいよ!「総取り」の時が来た…
という訳で本日の投下終了です
そして一区切りついたので鳥出しますね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/01(日) 02:24:05.84 ID:ghV9Ecs20<> 乙

なんか途中抜けた? と思ったけど抜けてなかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 02:25:35.01 ID:6Nfd3E+yo<> 乙
いきなり県大会までキンクリしてどっか見逃してたかと思ったわ <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2013/12/01(日) 02:28:52.83 ID:T0CO4s0zo<> ああやっぱ抜けたと思うよね(´・ω・`)
一応途中咲さんとイチャイチャする過程も考えてあったんだけどその間キャプテン曇りっぱなしで俺が耐えられなかったのよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/01(日) 02:33:51.62 ID:ghV9Ecs20<> 完全にポルナレフだったがそれなら仕方ないな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 07:12:33.13 ID:foiwHKrEo<> ハーベストタイムか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 08:07:32.31 ID:s3BFjKHmo<> 打ち切り決まった連載漫画なみの駆け足だったな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 10:49:03.38 ID:TzK+9PHKo<> 乙、盛り上がってきたね
でも地和ありだったっけ?
まぁ無けりゃ一巡目に役満ツモも今のキャプテンは殺ってくれそうだね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 13:36:09.31 ID:OcIBKHdro<> 美穂子は舌舐めずりなんて小物キャラがするようなことはしない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 16:59:37.06 ID:zgZjF+yCo<> >>260
地和はローカルじゃないぞ、レンホーと間違えてないか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 17:01:12.09 ID:zgZjF+yCo<> なんかキャプテンの発言でバルバトスを思い出す <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 17:14:13.69 ID:vDwBem17o<> ラブじゃんに載ってるから採用してるんじゃねえかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 17:23:28.37 ID:TzK+9PHKo<> >>262
すまんね、間違えてないけどなんかとごっちゃになって
咲の大会では天和、地和、連和無しと勘違いしてたみたいだ
本当、申し訳ない <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2013/12/01(日) 19:13:17.96 ID:T0CO4s0zo<> なんか皆さん困惑してるみたいですけど続けていいんでしょうかね
前回までの経緯まで書こうとしたらさらに2,3ヶ月かかるのでとっととイチャイチャに持って行きたんじゃよ

今日書けるかどうかは微妙なんですけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 19:19:59.39 ID:vDwBem17o<> 思う存分続けたまえ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 19:27:55.16 ID:Up+AYXA00<> どうぞどうぞ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 19:29:11.10 ID:d1qBK4ego<> 私は展開速いの好きだじぇ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 19:30:05.75 ID:gFWlDDxGo<> はよいちゃいちゃしてどうぞ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/01(日) 19:43:58.62 ID:Jgf22PDUo<> あとで色々と補完してくれれば何でもいい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/02(月) 10:42:56.33 ID:57Lof3Q3o<> いちゃいちゃのためなら多少のカットは致し方ない <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2013/12/08(日) 23:04:13.25 ID:6MfwImC7o<> 咲一期の一挙放送見てたら改めて百合百合しすぎててなんか萎縮してしまった
キャプテンやっぱり上埜さん上埜さん言いすぎワロタ……ワロタ……
とりあえず今日は書けぬので報告だけ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/08(日) 23:05:22.85 ID:sgUKWGJy0<> 了解 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/08(日) 23:06:40.83 ID:Ou9MR4g/o<> アニメは百合豚向けにレズ成分増量されてるからな
こっちは可愛い女の子が麻雀で上目指して日夜頑張る的なの見れればそれでいいってのに <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/08(日) 23:41:05.04 ID:SCUj6fSGo<> ※咲は麻雀漫画です。百合漫画ではありません。

クランプ作品の恋愛要素を凄くマイルドにした程度のもんなんだけどな、原作で含有されてるのは
リッツが百合好きなのとちょうど百合人気が高まった時期に重なって過剰になったのだと思われる

しかし初期から原作咲読んでる人間は百合なぞ特に求めてはいない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/10(火) 16:44:21.35 ID:g8U45Vaz0<> 麻雀…なのかな、あれって <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/10(火) 16:54:36.97 ID:2m6k2lWYo<> テニスがテニヌなら
マージャンはマージャソだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/10(火) 19:38:54.28 ID:4uzbe/Ds0<> 魔雀だろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/11(水) 10:22:34.94 ID:jGa927/T0<> 麻雀漫画ってだいたいインフレして超能力漫画になるしな。
咲の場合は最初から超能力だし、それにしても麻雀らしい読みの描写なすぎと思うが。
キャップの試合は比較的麻雀してるほうだよね。長野大会決勝みたいな麻雀やってる人なら当たり前レベルの壁の理論だったりはするが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/14(土) 11:37:38.92 ID:wuoxlg81o<> イチャラブはよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/16(月) 13:23:27.13 ID:C06iTzQDo<> 年内には来ないかな <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2013/12/18(水) 07:15:17.51 ID:pA1WoCdho<> 休日出勤だったり結婚式に出てたりでなかなか思うように時間が取れんでして……
1レス刻みとかするのもあれだしちょこちょこ書き溜めしてくしかないですかねぇ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/18(水) 08:05:14.65 ID:RlEIcvVKo<> そらしゃーないな
待ってるでー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/18(水) 10:37:42.97 ID:siCeJWwa0<> 生存報告してくれるだけ、ガン放置よりも何倍もありがたい。
ゆっくり書き溜めておくれ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/22(日) 09:10:04.64 ID:NGspEWpfo<> はよ <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/04(土) 01:16:59.86 ID:fCF7hZTw0<> 邨ゅo繧翫° <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/04(土) 04:38:35.78 ID:00UTXzSAO<> はよ <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/01/05(日) 21:36:55.29 ID:UVeWW49No<> 結局正月休み明けるまで全然筆が進まなかったスカポンタンです
なんか京キャプの同人誌が冬コミに出てたと聞いてグギギとなっていたりもします、委託はよ

んでちょっとリハビリに短編書いていいっすかね <> こたつにみかん
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/01/05(日) 21:47:25.96 ID:UVeWW49No<> 「隣、入るわよ」
「ん」

まるで長年連れ添った夫婦のように、京太郎は声の主を見やると共にこくりと会釈した。
その女性ーー美穂子もそれを決まりきった事かのように京太郎の座るこたつの隣に収まる。
前も横も十二分に空いているのに、だ。

「ちょっと狭いかしら…」
「そう思うなら退こうか?」
「もう、意地悪」

予定調和丸出しのバカップルなやり取りを重ねながら、二人は互いにふっと暖かく微笑んだ。 <> こたつにみかん
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/01/05(日) 21:53:48.77 ID:UVeWW49No<> 「去年も本当にいろんな事があったわね」
「ああ。本当に」
「あなたも今や高校個人戦1位だものね。わたしとしても鼻が大天狗よ」
「こっちにはそっちみたいな化け物がいなかったし」
「もう、駄目よ?女の子をそんな呼び方しちゃ」

そう言いつつ首を京太郎の方へ落とし、京太郎もまた美穂子の肩を包み込むように左手を添えた。 <> こたつにみかん
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/01/05(日) 22:01:51.29 ID:UVeWW49No<> 「でも流石に強かったわね、宮永照さんに辻垣内さんに荒川さんに神代さんーーそして咲ちゃんに」
「県予選の決勝の力が出せればそれでも勝てたかもしれないのに」
「……それは言わないでよ。あんなのは私じゃないわ」
「龍門渕さんみたいなこと言うね」
「そうね……実際、あの彼女とあの私がぶつかったらどうなってたのかしら」

怪獣大決戦ーーと言いかけて京太郎は口をつぐむ。
目の前の彼女が本気で怒った時の素敵な笑顔は割と京太郎としてもトラウマなのだ。 <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/01/05(日) 22:13:10.32 ID:o+QeSJXC0<> 突然プロバイダの接続が落ちた……!?
ごめんなさい一時中断で <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/05(日) 22:16:48.03 ID:4WqJ/wGDo<> 待ってる <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/05(日) 22:19:30.27 ID:kZp16Ebfo<> 一旦乙 <> こたつにみかん
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/01/05(日) 22:21:48.69 ID:UVeWW49No<> 直った
昨日もあったし最近なんか調子悪いな自分のプロバイダ


「さあ。そんなことより、去年は去年今年は今年でしょ」
「なぁんか釈然としないけれど……まあいいわ。はい、みかん」
「ん。ありがと」

京太郎の家にも関わらず、勝手知ったるように美穂子はみかんを取り寄せた。
それもそのはず、事前に「京太郎の世話役」という名目で彼の両親から大体の食材の場所を仰せつかっていたからだ。
無論、それ自体が両親の思惑が透けて見える……というか二人をほっぽり出して外出に行っている時点で京太郎も美穂子も苦笑するしかなかったが。 <> こたつにみかん
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/01/05(日) 22:33:51.18 ID:UVeWW49No<> 「今年もいい年になるね」

?いたみかんを口の中に放り投げて頬張りつつ、京太郎はひとりごとのようにそんな言葉を漏らした。

「あら、ずいぶんはっきりと言い切るじゃない。どうして?」
「聞きたい?」
「その前に、わたしもそんな確信があるの。なんでだと思う?」
「質問を質問で返すとテスト0点になるんだよ」

軽口の後にまるで示し合わせでもしたかのように二人は同時につぶやいた。

「「美穂子(京太郎)と付き合えたから」」

そして向き合うなり唇を重ね、やがて名残惜しそうに離れると、互いの瞳が熱を持って潤みを帯びた。

「みかん味ーーってところかしら。ふふっ」

そんな美穂子の花の咲くような笑顔とともに、二人はさらなる甘い世界へと入っていくのだった。 <> こたつにみかん
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/01/05(日) 22:37:34.50 ID:UVeWW49No<> ?いた→むいた
山も落ちもないけどカン

おわかりかと思うけど本編の関係性は保持したパラレル扱いです
クリスマスとか振り袖とか誕生日とかバレンタインデーとか書いてみたいこと山積みなんだけど本編進めなきゃいかんのよねぇ <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/05(日) 22:40:01.21 ID:MngqK57eo<> 乙

本編も待ってるよ <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/05(日) 22:50:31.88 ID:4WqJ/wGDo<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/05(日) 22:50:53.95 ID:7iuGIK0uo<> おつ <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/05(日) 22:51:06.13 ID:XeA+TE7XO<> 乙です <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/05(日) 22:51:59.35 ID:bwGkhcsjo<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/21(火) 22:40:03.22 ID:YfaytXRi0<> まだか <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/25(土) 16:49:57.40 ID:7lUaDa3No<> まだか <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/30(木) 00:09:28.87 ID:w/GEUliAO<> はよ <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/01(土) 23:42:18.87 ID:+9YmAmCPo<> やりきろうという気概を感じない <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/04(火) 14:11:29.77 ID:kyg2VmV9o<> 来ないか <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/05(水) 20:22:51.38 ID:uX5/uE15o<> 待ってる <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/07(金) 17:35:28.13 ID:IE9DDdvj0<> 投下ペースからして無理そうだなとは思ってた <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/10(月) 18:08:20.81 ID:di+sFmtTo<> はよ <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/13(木) 13:24:33.34 ID:jLrgDKFHo<> もう来ない <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/02/14(金) 17:58:48.08 ID:4iBEyTdL0<> いや本当に申し訳ない
この土日の間には… <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/14(金) 18:01:05.51 ID:xuwu0+6h0<> 待ってます! <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/14(金) 23:59:55.51 ID:tJBBh1Dpo<> はい <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/16(日) 23:57:21.61 ID:cOqh8bqqo<> はいはい案の定の前言撤回ですね
やる気ないならやめちまえ
くると思って期待して待ってたらこれだよ
しんでしまえ
ろっかー <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/17(月) 00:05:54.92 ID:oH9l/wwx0<> この土日の間には…(ただし来るとは言ってない) <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/17(月) 11:51:48.98 ID:rK7be7Ewo<> 恐ろしくごり押しなたて読みだな

きっと土日で書きためて一気に更新が来ると信じてる <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/17(月) 23:41:06.01 ID:zn827YeIo<> こいつの宣言は何一つ信用できない <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/18(火) 13:43:36.92 ID:020Yej1i0<> こねぇ…… <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/03(月) 00:12:13.76 ID:8tzLd2Iso<> とりあえず保守 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/04(火) 11:40:43.21 ID:U/C9GeLYo<> もう完全にモチベ挫けただろう <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/06(木) 15:37:35.98 ID:yQLEjP0Go<> まじでやる気ないのな <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/07(金) 01:23:04.42 ID:rsVjXaGr0<> まだ序盤にも関わらず本編以上につまんねえ小ネタ投下してる時点でお察し <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/09(日) 17:26:09.84 ID:hw7vLhUdo<> 一方的、というほかない試合展開がそこにはあった。
その場に鎮座するプラチナブロンドの少女の怒涛の攻めに対して、他の3人はなんら打つ手を持てずにいた。

(な……なんだ、これは……)
(東場が、ゴミのように吹っ飛ばされたじぇ……)
(まるで全力全開の衣……いやそれ以上か!?)

無論3人が何もしていなかった訳でもない。
睦月も、優希も、そして純もどうにかして流れを断ち切ろうとするも、
眼前の一人はそれが見えているかのように切り、鳴き、軌道修正を図ってくる。
それはさながら流れどころか牌全てが見通せているような圧倒的ぶりだった。

終わってみれば、この半荘だけで10万点近くを叩き出す尋常ではない荒稼ぎで先鋒戦は幕を閉じた。
もっとも、前半戦が相当に凹んでいたため他3人の点棒状況もさほど絶望的なわけではないのだが、それでも風越は実に160000に迫る圧倒的な大差をつけた。
オーラスが終了し、一つ心の底から息を大きく吐いた渦中の少女は、他3人の面持ちを見てにわかにわたわたし始めた。

「ああっ、ご、ごめんなさい!私、なんか調子に乗っちゃったみたいで……」
「えっ……」
「……イヤミかよ、アンタ?」
「いや、そうでなくて、さっきまでの私は私であって私でないというか……」

純は美穂子の豹変ぶりにあっけに取られつつも率直な感想を述べたが、美穂子の反応を見るにどうやら嘘を付いている風でもないとは感じた。

「……前半と後半で何があったかは知らねえけど、アンタはいつかうちの大将と打って見て欲しいとオレは思うぜ」
「……そうですね。いつか」
「私は二度と御免被りたいじぇ……」
「うむ……」

文字通り蹂躙されたにも関わらず、純の顔は何かが吹っ切れた様に爽やかだった。
他の2人はそうもいかなかったようだが。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/09(日) 17:28:00.01 ID:hw7vLhUdo<> 「圧差ですよ部長!やりましたね!」

控室に戻るなり駆け寄ってきた池田に対し、美穂子の表情はあまり冴えなかった。

「ええ、でもなんだか彼女たちには申し訳ないことをしてしまったようで……」
「……私はお前のまた違う一面を垣間見た気がして嬉しいがな」
「コーチ?」

思いもよらない方向からの擁護に美穂子も少々困惑した。

「なんというか、お前は抱え込む女だとは思っていたが、それが解放されるとここまでになるとは」
「コ、コーチっ」

両腕を後方に伸ばし背筋を前に伸ばして美穂子は顔をむくれ抗議の意を示す。
だが羞恥で真っ赤になっている顔を見ては当事者以外を怯ますどころか和ますに過ぎなかった。

「とはいえ、積もる話はあるだろうがお前を今すぐ行かす訳にもいかん。それはわかるな」
「……はい」

美穂子は勿論としてコーチ以下も十分すぎる実績をもたらした立役者へと向かわせてやりたいのだが、試合はまだ終わったわけではないのだ。
何しろ龍門渕は70000近くにまで凹ませたといえども天江という存在がジョーカーであるのは変わらないし、それに清澄も85000近く残った上であの原村和、宮永咲がいる。

「全部が終わったら後は好きにしろ。ただし」
「ただし?」
「……いや、なんでもない」
「……?」

美穂子は何を言おうとしたのかまるで理解できなかったが、コーチの微妙な表情の機微から他の部員はなんとなく察した。

「コーチって割と下世話な話好きだったんだね……」
「まああの年でまだ未kーー」
「池田ァ!聞こえてんぞォ!?」
「にゃっ!?」

かつて無い程の怒気を察した池田は一瞬にして女子トイレへと逃げ去っていき、未春は苦笑いしながらコーチをすまなそうに一瞥して後を追った。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/09(日) 17:28:34.05 ID:hw7vLhUdo<> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ただいまだじぇ……」
「お疲れ、優希。なんとか言いつけ守ってくれたようで何よりだわ」
「アレと正対してまともに戦う気にはならないじょ……」
「……まあ、敵は取っちゃるけぇ、ゆっくり休みんさい」

優希は久とまこに促されるようにソファに座り込む。

「それにしても部長は何を感じ取ったんだじぇ?前半と後半でまるで人間が変わったようだったじぇ、あのおねーさん」
「えっと、そ、それはね……」

まさか自分が他ならぬ仕掛け人だとは言い出せず、久は言葉に詰まった。

「……あの方はスロースターターなんですよゆーき。貴女と逆でね」
「そうだったん!?あんな極端なのは汚いじぇ」
「優希ちゃんは人のこと言えないような……」

(貸しですよ)
(ごめん和)
多少強引な理由付けながら場を取り繕ってくれた和にすまなそうに久は無言でウインクをした。

「ともあれ、龍門渕に最下位の土をつけてくれたのは有難いところね。
 あとは上手いことうちがのし上がるように動くだけよ」
「……なんだかなぁ」

結果として自分たちの確執をまんまと利用された気がして京太郎は内心穏やかではなかったが、
何はともあれ自分と美穂姉との溝を埋めてくれたのだから文句を言う筋合いはない。

「じゃ、行ってくるけぇの」
「ええ。ここからが本当の勝負よ」

ぐっと握り拳を作ってちらりとこちらを見やってくる様子に、京太郎はやっぱり後で文句でも考えておこうかと思い直したのだった。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/09(日) 17:29:03.67 ID:hw7vLhUdo<> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー結果として、風越が覇を掴むことはなかった。
美穂子が得点を取り過ぎたことが結果的に3校の暗黙の協定を生み(とは言っても狙うときは風越を狙う程度の緩いものではあったが)、必然的に風越に対する風当たりが極めて強くなった。
イレギュラーではあるものの妹尾による未春への役満直撃、そして久の猛追、さらには衣、咲の覚醒によって場は大乱戦の様相を呈し、ついには咲が衣を僅差で下した。
すなわち、久の思惑通りまんまと清澄が全国への切符を滑り込みで手にしたのだった。

美穂子が控室で泣き崩れた事に対し、部員一同は誰も何も言葉をかけられなかったし、かける資格もないと各々が感じていた。

「……福路、もういい。泣くな」
「ですが……わたしのせいで……わたしがもっと頑張っていれば……」
「あぁ!?自惚れてんじゃねぇぞてめぇ!!」
「っ!」

コーチが思い切り振り上げた右手に対し身構えた美穂子は、その痛みがやってこないことに戸惑った。

「自分一人だけで勝てると思ってるんだったら、てめぇは味方への侮辱をすることになる。
 そしてそれはあいつらをなお責めるだけだ」
「コーチ……」
「だから、お前は自分の結果に対して胸を張れ。そして、次どう勝つか考えてやれ。それでいい」
「そうです。だから、キャプテンはあの子の所に行ってください」
「文堂さん……」

手の甲で涙を拭いながらの言葉に、純代、池田、未春も揃って首を縦に振った。

「……えぇ。わかったわ。ありがとう、みんな」

泣き腫らして目元は真っ赤に染まっていたが、それでも自らの意志を固めた美穂子の姿は誰もが美しいと感じさせられていた。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/09(日) 17:29:42.93 ID:hw7vLhUdo<> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大会後、美穂子は夕暮れの電車を風越の面々と乗り継ぎ、飯田へと戻ろうとしていた。
あれだけ意志を固めて清澄の控室に赴いたにも関わらず、なんと当の京太郎はその場にいなかった。
とんだ肩透かしを食らってしまい美穂子は落胆と戸惑いを隠せなかったが、

「今日だけ我儘を通させてくださいって言われてね。優勝が決まった後に『【あの場所で待ってる】って言っておいてください』って言い残して帰ってったわ」

という久の言葉で、美穂子は意味を即座に諒解した。
先程のやり取りが茶番になってしまいお互いにばつが悪かったものの、自分も一人で帰るのもそれはそれで問題だろうと全員で帰還することになったのだった。
一度風越女子へと帰還し、美穂子はそこで部長として解散の命を出すと、一目散に目的の場所へと足を進めていく。
「頑張ってくださーい!」などとやんややんやと後ろから野次が飛んだものの、今更抵抗するのも億劫だったため振り返ってにこりと笑うばかりでその場を離れた。
そうして飯田駅へと再び戻り、天竜峡駅から幾らか歩いた先には神社があった。
そして、その入り口からの階段を登っていった先には背格好の高い金髪の少年の姿があった。誰かなどはもはや考えるまでもない。

「……よくここが分かりましたね」

言葉とは裏腹にその声に動揺の色はまるで見えない。その言葉を受けて、

「ーー忘れたことなんて……なかったわ」

僅かに悔恨を滲ませながらも、確固たる意志を持って美穂子は少年を見上げていた。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/09(日) 17:31:06.12 ID:hw7vLhUdo<> とりあえず書き溜め放出。余力があれば今日中にもうちょい書くかも

まあ……何言われても仕方ないよね、ごめんね <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/09(日) 17:34:47.05 ID:2aVzbSnzo<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/09(日) 18:10:09.53 ID:m4H5F3k6o<> 乙ー
続きを書いてもらえてありがたい… <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/09(日) 18:51:23.37 ID:6r2ndT7n0<> 乙
続き待ってた! <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/09(日) 21:13:50.99 ID:JbxI5CdVo<> 続けてくれてありがとう
貴重なスレだから超待ってた <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/09(日) 23:29:03.94 ID:ZcZ9IBW0o<> なんとか完結まで持ってってほしい <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/10(月) 14:49:44.78 ID:XSOjIT9GO<> 乙 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/10(月) 23:54:01.14 ID:NNbu7jmbo<> ーー今を遡ること10年ほど前。
5歳にして既に活発な少年だった京太郎は、幼稚園の友達と共に近所の神社でよく遊んでいた。
そんなある日、京太郎はいつもの場所へ遅れて到着すると、思いがけない光景を目撃した。
自分たちよりやや大きめの女の子が友達に取り囲まれていたのだ。

「なに、やってんの?」
「お、きょーたろー!こいつおもしれーんだぜ!みろよこれ!」
「……?」

京太郎の目線からは伺い知れなかった件の少女の顔が見えるように彼は誘導すると、京太郎は思わずぎょっとした。
その少女の瞳は、右側だけ青い輝きを放っていたのだ。
そうして目が合った少女は、まだ幾分背が低い自分たちにさえ怯えたように肩を竦めて涙を目尻に溜めていた。

「な?おもしれーだろ!もしかしてめからびーむでもでるんじゃね?」

確かに京太郎も似たような感想を抱かないではなかったが、数を頼みにしてつられるようにゲラゲラ笑う彼らの姿はなんだか無性に面白くないと思った。

「ーーおまえら、なにがおもしろいんだよ!」
「きょーたろー?だっておまえもそうおもわないか?」
「いやがってるこをなかせてまでわらうなんて、おとことしてはずかしくないとおもわないのかよ!」
「……っ……」
「なんだよ、おれたちよりそんなへんなおんなのかたをもつってのか!」
「へんなとはなんだ!こんなにきれいじゃないか!あやまれ!」
「このやろー!」

いかな腕白小僧といえども多勢に無勢であり、京太郎はあえなくボロボロのもみくちゃにされてしまった。
しかし顔面が腫れ上がっても謝れの一点張りを繰り返す京太郎に次第に幼児達は恐れを感じ始め、

「な、なんだよきもちわりぃ……ちぇっ、もういこうぜ!」

悪ガキ共は信じられないものを見るような泳いだ目で去っていった。
後には顔をはじめとしていたるところに痣だらけで突っ伏した京太郎と、

「ご……ごめん、なさい……」

それを覗きこむように謝罪の意を述べる少女の2人だけだった。
その青い瞳から止めどなく流れる涙を見て、

「きにすることないぜ、そんなにきれいなんだから」
「ーーっ」

どこかのアニメで見たように気取ったように涙を拭おうと手を伸ばす京太郎に、その少女ーー美穂子は思わず顔を真っ赤に染めていた。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/10(月) 23:54:31.09 ID:NNbu7jmbo<> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そんな出来過ぎたような泥臭い美談を経て、京太郎と美穂子の仲は急速に深まっていった。
京太郎も件の事件から男友達とは袂を分かっておりいささか浮く存在となっていたが、代わりに得た美穂子との料理や手芸などの交流を経てやたらと手先が器用になっていった京太郎は、かえって女友達と仲良くなっていくこととなった。
といっても小学生、色恋や惚れた腫れたはそこまで起こらず……というよりは、彼と彼女の距離が近すぎてさしたる問題とはならなかった。

「ミホ姉!俺、良いこと考えたんだ」
「え?」
「ミホ姉はやっぱり人前で見せるの恥ずかしいならさ、俺も左目を隠そうと思うんだ」
「それはまぁ……でも、どうして左目を?」
「そうすれば、ミホ姉が右目をつむっててもまっすぐ見れるでしょ」
「京くんがいいのなら……私はすごく嬉しいけど」
「そっか!じゃあそうする!」
「ふふっ……」

そう屈託のなく笑う京太郎への感情に、美穂子はまだ名前を付けられなかった。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/10(月) 23:55:09.44 ID:NNbu7jmbo<> そんな折、ある転機が訪れた。
そこまでメジャーなタイトルではなかった麻雀が、小鍛治健夜プロの世界戦を契機としてにわかに熱を放ち始めたのだ。
テーブルゲームとしては破格のビッグタイトルへと昇華された麻雀に二人の注意も自然と引かれ、丁度美穂子が中学校に進学する時に雀卓を買ってもらうことで二人の意欲はさらに高まっていった。
暇さえあれば福路家へ上がり込んで雀牌を手に馴染ませていく少年に彼女の両親は何を思ったのかは知る由もないが、ともあれ京太郎自身もまた美穂子への感情は親愛の域を出ていなかった、はずだった。

美穂子と中学へ進学した京太郎は、そのずっと近くで見続けてきた少女が今や数多の男子からの憧れの的となっているという事実を突きつけられ大いに困惑した。
同じ麻雀部で1年生にして頭角を表しつつあった京太郎もまた女子人気は高かったにも関わらず、京太郎は勿論のこと美穂子とて互いの気持ちには自信が持てずにいたのだった。
そんな折、京太郎と美穂子が共にインターミドルに出場するという快挙を成し遂げた。
京太郎はこれで美穂子に対して少しは顔向けできるというような杞憂が晴れた気分でいたが、これを境に美穂子の京太郎に対する態度は何故か急によそよそしさを帯びるようになっていった。
そしてある事件を境に、京太郎は親の仕事の都合で引っ越すこととなり、みるみる内に二人の関係は疎遠となってしまったのだった。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/10(月) 23:55:39.41 ID:NNbu7jmbo<> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ーーあの時、私は京くんがどんどん強く、たくましく、遠くに行っちゃう気がしてーーそんな折、一番仲の良いと思っていた子にその事を相談したの」

・・・・・・
と思っていたというニュアンスにとても物悲しい響きを感じつつ、京太郎は美穂子を見下ろしつつ続きを待つ。

「その子の出してくれた答えは……『彼をずっと今まで思ってきたように、弟であることを意識させれば、今のままの関係でいられるよ』ってものでね」

その言葉を聞いた瞬間、京太郎の表情に明らかな動揺が走った。

「……そう。私は怖かったの。京くんとの関係がこれを形にしてしまうことで壊れてしまうことを。それならずっとぬるま湯でいいなんて思ってしまった」
「……それが」
「ええ。まんまと私は踊らされたって訳。私もまた、彼女からすれば京くんに近い鼻つまみ者だったのね」



(ーー莫迦莫迦しい)
それがその一部始終を美穂子から聞かされた際の久の率直な感想だった。
年頃の男女がただただ周りの状況に振り回された程度で3年間も溝が埋まらず、それもその気になれば即刻修復できる程度に双方べた惚れというのだから、第四の壁の視聴者からすればさぞ滑稽な光景だったに違いない。
だが、それはかえって久からすればチャンスであるとも感じ取っていた。ここまで互いの機微で感情が左右されるのならば、使わない手はないと。
・・・・・・
私に比べれば、などと薄暗い感情を押し殺しつつ、久はそれを結果として最も完璧なタイミングで解き放つことに成功したわけだ。
(ほんっと、莫迦莫迦しいけれど……上手くいって欲しいものね)
それもまた、偽らざる久の本音であった。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/10(月) 23:56:11.43 ID:NNbu7jmbo<> 「私にはあの時も、そして今までも同級で仲の良い友達はいなかったけれどーー今ならそのことも全てひっくるめて、全て肯定できる。だから」

セミロングの髪をふわりと靡かせるようにその場で一回転し、京太郎の元へとそっと階段を駆け登る。

「だから、もう一度言って。あの時の約束を」

その今までに感じたことのない嘗て無い程の色気に京太郎は息を呑み、押し留まりそうになる喉を必死に震わせ、その言葉を紡いだ。

「『俺に、男としてずっと美穂姉を守らせて欲しい』」
「ーーーーーーはい」

山の向こうに落ちようとする夕日に照らされた二種類の金髪が静かに寄り添い、そして完全に一つとなっていった。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/10(月) 23:58:17.49 ID:NNbu7jmbo<> 投下終わり
思いっ切り話畳みにいったのでやたら冗長になってしまいましたがストーリー自体はこれでほぼ完結です。
最後に蛇足かもしれないけどえっちな話でも書いて終わりにしようかと <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/11(火) 00:51:37.18 ID:Fmmd7Mi+o<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/11(火) 00:54:31.10 ID:zUBwWo6Qo<> おつおつ
パンツは脱いでおく <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/11(火) 01:11:28.92 ID:9ACZCyuKo<> 乙 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/03/11(火) 07:44:49.27 ID:+yB8swbYo<> ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4924174.jpg

実際次いつ書けるのかわからんのだけどぴったりなの見つけたので
てか長いこと離れてたのに全然京キャプ賑わってないんだなぁ……相性良すぎて逆に書けないのかな <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/11(火) 15:59:17.94 ID:DXaZ/b8ro<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/12(水) 22:01:28.73 ID:+rFYg/dIo<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/16(日) 19:16:33.67 ID:cl1I6bdVo<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/16(日) 19:26:17.18 ID:Aru8B0Glo<> ぱい <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/18(火) 00:02:33.74 ID:4Ui9/YTZo<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/21(金) 23:05:43.14 ID:/qfnwlhp0<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/22(土) 12:04:15.68 ID:FT3NlOW/o<> はよ <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/03/30(日) 00:49:02.23 ID:rZzNhgbIo<> 投下乙
モンブチ以外の長野校とはストーリーが作り難いだろうからなぁ
まあ一番の理由はキャプテンのキャラクタが定着というか独り歩きしたからじゃない? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/08(火) 00:23:19.50 ID:bLJcbbJc0<> a <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/13(日) 20:16:19.85 ID:ioS3srAi0<> あ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/14(月) 00:05:16.67 ID:XzzakVpm0<> まって <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/17(木) 14:46:25.73 ID:dptXs21vo<> はよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2014/04/17(木) 20:00:36.50 ID:Q5vyJ99F0<> 終わった? <> ◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/04/30(水) 09:11:37.12 ID:RiafJ4evo<> なんとか生きてます
未完だけはなんとか避けたい… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/30(水) 09:14:10.38 ID:TIQRkQHx0<> よかった
待つよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/01(木) 14:40:24.06 ID:zFWzHqmNo<> 生存報告とか超嬉しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/01(木) 22:01:35.89 ID:p1u9MpBRo<> 生きてたか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/02(金) 08:26:32.56 ID:HZi0ks5Co<> 私待つわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/02(金) 09:07:16.29 ID:Xx2iE//Oo<> いつまでも待つわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/06(火) 03:26:27.45 ID:AOhmx7KZo<> てす <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/06(火) 21:32:02.96 ID:UF9QWpbBo<> ダメだやっぱり本質的に書き溜めが向いていない人間らしい
エロい話小出しにするのもアレだと思って渋ってたけど、申し訳ないけどそれでやってっていいですかね…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/06(火) 21:35:25.16 ID:8C3dJ+wD0<> ここは>>1のスレだから自由に進めていい <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/06(火) 21:49:29.50 ID:UF9QWpbBo<> すまぬすまぬ
1レスずつとかになるだろうしちょくちょく乙とか入れんでいいんでね
もちろんあると嬉しいけど



ーーどれほどの時間が経ったのか。
互いの水気を帯びた唇がどちらともなく離れた後も、2人の距離は依然として離れずにいた。
とあれば、今まであえて意識してこなかった美穂子の豊かな膨らみが自分の体に密着し続けているわけであり……逆もまた真なりであった。

「あっ……」

美穂子がおもむろに何かに思い立ったような声を漏らした時には既に遅く、京太郎は開き直ったかのように拗ねた口調で答えた。

「し、仕方ないだろ?俺がどれだけこの瞬間を待っていたとーー」
「……なに?私が軽蔑するとでも思ってるの?」
「そ、そりゃあもちろん」
「だとしたら、とんだ買いかぶりよ。私、とんだはしたない女よ?」

京太郎専用のねーーと唇に人差し指を当てて微笑む様子に、京太郎の心臓は鷲掴みにされたように跳ね上がった。 <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/06(火) 21:56:33.96 ID:UF9QWpbBo<> 「えっと、その、それはーー」
「何、女の子から言わせるわけ?」

そうまであけすけと言い放たれてしまってはこちらとしても覚悟を決める他はないし、また拒否する謂れもない。
京太郎は生唾を何度か飲み干し、両目を見開いた美穂子に対してやっとその言葉を紡いだ。

「お、俺は……今日、美穂子を離したくないっ」

その発するだに情けない男としての宣言に、美穂子は顔を真っ赤に紅潮させながら「はい」と小さく頷いた。 <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/06(火) 22:12:52.94 ID:UF9QWpbBo<> こうして目標が定まった以上、後は場所と時間と費用の問題であるが、

「…………で、どうすんの?ホテルでも行く?」
「そうね……それもいいけど、ちょっとこの格好じゃあね」

考えてみれば互いに制服のままだ。
別段それを追求するような店側でもないとは思うが、万一見つかった時のリスクを考えたらあまり好ましくないことは確かだ。
一旦互いの家で着替えて合流するというのも考えたが、今更この昂ぶった気分で別れるなど京太郎も美穂子も認められよう筈もなかった。

「じゃあ……」
「ええ。……私の家に行きましょう」

先程とは打って変わった真面目極まりない目に思わず京太郎も表情を引き締める。
といっても美穂子の両親とは中学の頃まで普通に懇意にしていたためその点に関しては問題ないのだが……

「今日帰るって御両親には言ってあるの?」
「いえ、別に」
「別にって……」
「大丈夫よ、うちの両親ならきっと気を回してくれるから」

そういうところを見習ってきたんだから、とちろりと舌を出す美穂子は犯罪的に可愛いと思った。
内心苦笑しつつも、自身もまたそのつもりでいなければと自身の両親の連絡帳を携帯から引っ張り出していた。
……明日帰ったら赤飯が炊かれてるだろうか。いや、そうに違いないであろう。
向こうの親が向こうの親なら、京太郎の親も京太郎の親なのだから。

<> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/06(火) 22:13:33.98 ID:UF9QWpbBo<> 今日の投下おしまい
全然話進まねえ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/06(火) 22:15:17.16 ID:MyS/E1/fo<> 乙
気長にやろうや <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/06(火) 22:21:08.17 ID:TpA2TCGvo<> 書いてくれるだけで十分だから、好きなようにしてくれて問題ない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/06(火) 22:43:07.11 ID:M++FGCTmo<> 乙乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/07(水) 03:06:43.00 ID:SY6D6fP5o<> 乙 <> 1レス
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/07(水) 22:59:47.25 ID:VrZptltzo<> ーーーーーーーーーー

数刻後、須賀京太郎はシャワーを浴びていた。無論、福路家の。

「……あの親御さん達、いくらなんでも理解ありすぎだろう」

突然娘が来訪しただけでなくその懸想先の男が随伴とあればこうもなろうと言うべきなのか、概ね先程美穂子が言った通りの展開で彼女の両親は家を後にしてしまった。
トントン拍子という言葉がこれほど似合うものもない程に京太郎はすんなり受け入れられたわけである。一人娘の貞操の行方さえも。

「信頼されてるんだよなぁ……ちょっと重いけど」

頭をシャンプーでわしゃわしゃと掻き乱しながら肩を竦めると、改めて想い人と二人きりという状況を思い知らされ脳髄に痺れが走る。
不意に大きくなりそうな自分をなけなしの理性で押し留めると、用意された男物の(父親の)服に内心平謝りをした。

「上がったよ」

脱衣場を後にしてリビングに居る恋人へと声をかけると、彼女は彼女で幾分かラフな格好に着替えており、その体のラインから京太郎は思わず目を逸らす。

「了解。じゃあ、待っててね」

そう短く返答を返して浴槽へと向かう美穂子を目線にも入れず、京太郎は聞こえるはずもない衣擦れの音に必死に抗っていたのだった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/07(水) 23:16:14.99 ID:n2mxi/U4o<> 1レスずつじりじり進むのも悪くないかもしれない <> 1
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/10(土) 10:26:42.68 ID:60lV/JZv0<> 1. バスタオル一枚
2. 寝巻き(格好に指定があればそれも)
>>382までから独断と偏見で考えます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/10(土) 10:40:36.39 ID:es9BAPOL0<> バスタオル <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/10(土) 10:41:41.67 ID:9/7sqshNo<> 下着でしょ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/10(土) 11:05:31.17 ID:1ee/FD9J0<> バスタオル <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/10(土) 13:35:53.62 ID:A2k97mw8o<> バスタオル <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/10(土) 19:39:51.43 ID:5P5vL58s0<> 寝巻き。ネグリジェで <> 1レス
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/11(日) 23:52:13.93 ID:VZHIGWVHo<> 浮かれざるを得ない心根を紛らわそうと、京太郎はテレビのスイッチへと指を掛けてモニターを点灯させた。
テレビが映し出されるなり見知った咲の顔が出てきて心臓が口から飛び出そうになるが、なんとか声を出すことは抑えられた。
冷静に画面を見返すとどうやらまさに今日の団体戦決勝の様子が映し出されていたようで、勝負の焦点であった咲と天江衣とのやりとりに主眼が置かれている内容だった。
もう少し前の時間であれば違ったシーンが見れたのかもしれないがーー

「流石よね、彼女」

ニュースに見入っていた所に不意に背中から声がして、ぞくりと戦慄が走る。誰かは考えるまでもないのと、妙な背徳感で京太郎は振り向けずにいた。
ああ、という何の答えにもなっていない相槌を返すと、声の主は少しむっとしたような声色で話を続けた。

「正直なところ、あのコンビ打ちの時は私悔しかったんだから」
「あの……あぁ」

もう2ヶ月近くも前になるあの風越との練習試合を思い出し、当時のまるで疎通できなかった自分達を思い出してそっと自嘲した。

「私の知らないところでこんなに男らしくなっちゃって、女の子までひっかけて」

あなたのせい、などとは勿論言わなかった。言わずとも語調に自分と同じような自嘲めいた含みがあることはわかっていたからだ。
テレビを消して振り向いた京太郎は再び心臓をジャンプさせたが、目をはっきりと開いて面と向かって口を開いた。

「ーー全部、美穂姉にこうして向き合うためのことだった」
「うん……うん。ありがとう。……部屋、行きましょ」

感動か羞恥か、タオル1枚に身を包んで軽く震える彼女の肩に、京太郎はそっと手を回していた。 <> 1レス
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/11(日) 23:56:26.18 ID:VZHIGWVHo<> というわけでバスタオルに決定
次からはいよいよ致す予定(自分で言ってて凄く恥ずかしいこれ) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/12(月) 00:01:59.98 ID:ETs5TWqW0<> 乙ー
全裸待機 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 18:00:23.33 ID:Dw7cXBnyo<> 促されるままに部屋へと入ると、真っ暗な空間がそこに広がっていた。
しかし、その中に醸される匂いは、まぎれもなく目の前の女性の部屋であることを暗に示していることは疑いなかった。

「電気、ごめんなさいね。色々と恥ずかしいから……」

ふと浮かんだ疑問に先置きするように彼女が言った。
彼女の部屋がどのように変わったのかーーつまり京太郎はこの部屋は初めてではないーーは多少興味が合ったが、
特に無理強いするようなことでもないし、何より男としての性欲が雑念を入れることを拒んでいた。
うん、と聞こえるに十分な返事を返すと、彼女の手を手がかりにするするとベッドへと導かれ、お互い座った。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 18:13:28.93 ID:Dw7cXBnyo<> 暗闇が帳を降ろす中、京太郎は美穂子とはっきりと見つめ合い、その唇を重ね合う。
始めは軽く合わさるような接触だったものが、回数を重ねるごとに深く、強く口内を侵食していった。
それに追随するように荒くなる呼吸にボルテージはさらに高まっていく。

「ーー綺麗だ、美穂子」

あらゆる意味を込めて、それだけを京太郎は告げた。
そしてそれを聞くだけで美穂子の頬はだらしなく緩んでしまう。

「ーー京太郎。好きよ」
「俺もだよ。……外して、いいかな」

その言葉に一瞬体がぴくりと強張ったものの、逡巡の後に美穂子から「ええ」と芯の通った声が届いた。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 18:35:47.75 ID:Dw7cXBnyo<> 胸元で留っていたバスタオルの結び目を静かに解き、ベッドへとパサリと落とす。

そうして現れた光景に京太郎は打ち震えた。
静脈が透けて見えるほどの白い肌に豊かな2つの膨らみが見え、その先端には薄紅色の蕾があった。
京太郎の手でも収まりきらないその胸を、彼は掴みとるように両手を押し広げて鷲掴みにした。

「んっ……あ、あっ……」

美穂子の初めて聞くような矯正が耳に入りながらも、京太郎は意に介さずその暴力的な乳房を貪り続けた。
初めは揉みしだくだけだったものを次第にその乳首へと指先を集中させ、ついには口づけ舌で転がし吸った。

「っ……!あ、あ、ふぁぁっ……!」

次第にその乳首が膨れ上がっていき、それに比例するように矯正も大きく、体も跳ねるように反っていった。
そうして数分が経った時、流石に耐えかねたのか美穂子から反論が入った。

「きょ、京太郎……その、胸、ばっかり……」

息も絶え絶えなその言葉によりようやく京太郎は正気に戻った。

「ご、ごめん!その、あまりに柔らかくて気持ちよくて」
「あ、ありがとう……それはいいんだけど、もっと他のところも……」

その新たな爆弾の投下に、京太郎は再び正気が飛びそうになったのは無理からぬことだろう。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 18:49:30.17 ID:Dw7cXBnyo<> かろうじて残った理性で

「え……えっと、他って……」
「……言わせないでよ、ばか……」

その茹だったように真っ赤な顔でもじもじした様子に京太郎のなけなしの理性は再び飛んだ。
本能のままに座り込んでいた美穂子をベッドへと押し倒す。

「きゃあっ!」

そのまま目線を胸から更に下へ落とし、その細い腰から足の付け根ーー美穂子の一番大切な場所を睨めつけるように見据えた。
手も視線の動きに追従するように体へ沿わせ、その彫刻のように美しい体のラインをなぞり込み、ついに本丸へと到達した。

「んぁっ……ぅ、ぁ、はぁっ……!」

微かに生え揃った金色の毛をなで上げるように伝い、その2つ並んだ小高い丘、そしてその頂点の芽を摘む。
先程と明らかに頭一つ抜けた反応に脳髄が痺れそうになりながら、さらに京太郎はその中へと指を滑り込ませていった。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 18:51:16.51 ID:Dw7cXBnyo<> ここからって所でノートの電池がキレタアアアアアアアアア\(^o^)/
すいません帰宅するまで待ってくださいなんでもしますから! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/25(日) 18:52:55.30 ID:NiD2ptNS0<> ええんやで <> 続き
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 20:52:22.09 ID:hDiwg01Bo<> 「〜〜〜っっ、ひゃぁぁっ!」

その水気を帯びた場所にくちゅりと淫靡な音を立てながら指先が潜り込み、一方で口ともう片方の手は再び両胸の先を弄ぶ。
稚拙ながらも独学と熱意で懸命に動き続けた結果、ついに彼女の一番感じるところを探り当てた。

「そ、そこっ……あ、あ、あ」

それを好機と見るや、京太郎は間髪入れずそこを重点的に責め上げた。

「だめっ、いっ、いっちゃ、あ、ああああああっ!!」

彼女の体が大きくくねると共に奥から夥しい量の愛液が飛び出し、彼女はくたりと体の力が抜けたようだった。 <> 続き
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 21:08:52.95 ID:hDiwg01Bo<> 「……美穂子ね……美穂子、もしかしてイっちゃった?」
「う……うん」

うっかり姉と言いかけたところを男の矜持でぐっと押しとどめる。
羞恥で真っ赤になって顔を背ける美穂子だったが、それ以上に思わぬ発言が京太郎を困惑させた。

「うぅ……やっぱり、自分でするのとはぜんぜん違う……」
「自分で……!?」

その察する所はすぐに理解できたものの、だからといって美穂子がそんなことをしているという事実に一瞬得心が進まなかった。

「何よ。言ったでしょ?私が京太郎が思うよりずっとはしたない女よ。
 あなただって私でしたことあるでしょう?」

急に質問を返されていささか面食らった京太郎だったが、まったくその通りだったので反論するまでもなかった。

「ーーああ。もちろん、俺も美穂子で抜いたことあるよ」

我ながら言葉にすると随分と情けない発言のようで肩をすくめたが、重要なことなので言葉にしないわけにもいかない。

「ならおあいこよ。……それで、えっと……」

彼女はその宝石のような両目で京太郎のいきり立ったモノを見つめ、返事を待つようにそこで言い淀んだ。
京太郎としては色々してもらいたいと考える所はあったのだが、童貞ゆえの悲しさか余計な事をすれば本番まで持ちそうもなかった。
ゆえに彼から返す言葉は簡潔だった。

「美穂子……入れて、いいかな……美穂子を俺のものにしたい」
「……うん。それを言って欲しかった」

プロポーズをする時はこんな気分なのだろうか。
そう京太郎は天にも登る気持ちで思った。 <> 続き
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 21:20:10.26 ID:hDiwg01Bo<> 予め買っておいたゴムを携え、自分のそれへと被せると、京太郎は美穂子の秘所へと自身をあてがった。
愛液で十分な潤滑を得ていたそこは、一定の場所まではきついながらも滑らかに到達した。

「ん……んんっ……」

"そこ"に先端が到達した矢先に美穂子が苦しげな声を上げる。
言うまでもなく美穂子の純潔の証であるそこを今から破るという征服欲に、京太郎は改めて情欲を昂ぶらせた。

「行くよ」

潤みきった瞳でこくりと頷いたのを合図に、その膜に対し思い切り腰を突き出した。

「ぐっ……ぁぐっ……!!」

下腹部に熱棒を突っ込まれた感覚に美穂子は苦悶の呻き声を上げ、京太郎の背中に大きく爪を突き立てた。
それを意にも介さず京太郎は問いかける。

「大丈夫?」
「えぇ……痛いけど、それ以上に嬉しいから……ねぇ、キスして」 <> 続き
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 21:36:20.67 ID:hDiwg01Bo<> 即座に二人は唇を重ね合わせ、腕を回し合って一体感をさらに強めていく。
少し美穂子の表情に余裕が出てきたのを感じてから、

「動くよ?」
「……うん。好きに動いて。あなたを感じさせて」

大きく頷くと、さながら振り子のように少しずつ膣内を繰り返し抽挿していく。
浅い所深い所を改めて自分のモノで当て擦っていき、彼女が少しでも感じるポイントを探していった。

「あっ……はぁっ……ああっ……!」

痛みが少しずつ快感へと変わっていっているのか、美穂子の声と表情が次第に蕩けていくのを見て取ると、
京太郎は合わせて胸と乳首を捏ね回し始めた。

「ぁっ……胸も、いっしょ、に、ぁあっ!」

その京太郎にとって理想的ともいい大きさと柔らかさのおっぱいが京太郎を高みへと確実に押し上げていった。

「美穂子……美穂子……!俺、もう……!」
「きょう、たろ……!わたし、も、もう、いっちゃ……!」

もうあまり聞く余裕もないまま一心不乱に腰を打ち付け続け、意識がその一瞬白く染め上がった。

「うっ……う、うあぁぁぁぁっ……!!」
「ぁっ……はぁっ、あああぁぁぁっ!!!」

二人は揃って絶頂を迎え、京太郎はおもむろに膣内から自身を抜き取り美穂子と重なるように倒れこんでいった。 <> 続き
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 21:47:17.45 ID:hDiwg01Bo<> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「痛い?」
「どっちかというと痛いわね。まったく京太郎ったらあんなに乱暴にして……」
「まずかった?」
「…………いじわる」

ぷいと顔を背ける美穂子と未だ曝け出されたままの生まれたままの姿を前に、若い京太郎が収まるわけがなかった。
そこへ視線を戻した美穂子は、

「あ……もう」
「し、仕方ないだろ。何年越しだと思ってるのさ」
「別に責めてなんかないわよ。私も同じ気持ちだもの」
「え……」
「ーーとりあえず、胸でしてあげましょっか?」
「ーーーーっ!!」

…………この後、コンドームの箱が3分の1ほどなくなったのであるが、それはまた別のお話。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/25(日) 21:50:29.15 ID:RIVW+R5bo<> 高校生ってすげー <> 続き
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/05/25(日) 21:50:32.29 ID:hDiwg01Bo<> 以上!
3分の1も伝わらない感じですが自分にはこれが精一杯ですかね……

後はもういちゃこら的な後日談になると思いますが内容は特に考えてないです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/25(日) 21:59:32.44 ID:Qn+W1Aku0<> 乙です! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/25(日) 22:15:35.79 ID:hyYbLgljo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/25(日) 22:33:46.60 ID:3/zgd43+o<> 乙乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/27(火) 23:18:10.49 ID:SWwRybBLo<> おっつ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2014/06/01(日) 21:35:58.26 ID:zaGinMvo0<> おつ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2014/06/09(月) 23:17:21.46 ID:L5QBcq120<> 高翌良 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage saga<>2014/06/09(月) 23:17:54.87 ID:L5QBcq120<> 高良 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/06/11(水) 02:44:13.04 ID:bX6kIEXLo<> ほ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2014/06/12(木) 07:21:45.14 ID:EwkhDTeZ0<> も <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2014/06/13(金) 20:03:09.31 ID:yL4wH5080<> は <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/06/13(金) 20:13:25.83 ID:8/TaMzkJo<> こんなに保守いらないぞ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<><>2014/06/21(土) 12:36:58.09 ID:i0X6GjhL0<> 突然ですが宣伝です!

ここの屑>>1が形だけの謝罪しか見せていないため宣伝を続けます!

文句があればこのスレまで!

加蓮「サイレントヒルで待っているから。」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401372101/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2014/07/04(金) 20:29:56.57 ID:NN1izx1U0<> 私まーつーわ <> 1レス ◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/07/07(月) 12:22:01.78 ID:vL84fiCfo<> ーーーーーーーーーーー

京太郎が重い瞼を開けたとき、彼は何かを抱き抱えているのに気がついた。
覚醒してから間もないため意識もそぞろであり、その何かの背後に回していた手を自分の体へと回り込ませた時、

「ん‥……」

全く意図せずして触れたその膨らみの柔らかさと共に発された甘く気怠い喘ぎに、京太郎は煽情と戦慄が同時に湧き上がっていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2014/07/08(火) 00:01:24.15 ID:WjMU2unb0<> エロい(確信) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/07/08(火) 00:02:36.59 ID:dPF+K6zE0<> ステルス過ぎや
乙ー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/07/08(火) 00:35:03.68 ID:VWBNwRpdo<> ここで区切りとか取り出した俺のリー棒どうすりゃいいの <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/07/09(水) 00:19:31.21 ID:Yll5t8ZWo<> >>417
しばらくずっとこんな牛歩だと思うからしまった方がいいよ <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/07/09(水) 00:45:56.88 ID:Yll5t8ZWo<> にわかに鮮明になった意識だが、飛び起きようとする反射だけはどうにか抑えこんで自身の状況を確認する。
無論、この腕の中にいるのが誰かなどというのは言うまでもなく理解していたが。

「すぅ……すぅ……」

まるでお手本のような寝息を立てるその"彼女"は、まるで天使のような滑らかな白い肌をし、その金色の髪は京太郎の備考を余すところ無く擽ってくる。
そして、彼女はーー自分と同じくーー共に纏っているシーツ以外は何も身につけていないのだ。
必然、彼の目にはある一点が目に止まり……

「……」

何かのスイッチが入ったように緩やかにその胸へと手を伸ばし、今度は自らの意思でそれを揉みしだいていた。
ギリギリ手の中に収まりきらないほどの美巨乳をむにゅむにゅと五指で掴むように押し込み、その弾力感を愉しむ。

「ん……ふっ……」

その動かすたびにゆさゆさと、あるいはプルプルと震える様子にぞくりとした興奮を覚えながら、そのピンク色の先端を人差し指と中指の第二関節で摘みこんだ。

「ん……んんっ……!」

感じているようなくぐもった声にふとした罪悪感を感じつつもさらなる愛撫を求めて顔をシーツの中へと潜らせようとした時ーー

「……あ……」

その琥珀色と碧色の瞳がしっかりと自分の顔を捉えていた。不自然なほどニコニコとしながら。 <>
◆dmWbjFApRN6u<>sage<>2014/07/09(水) 00:46:49.97 ID:Yll5t8ZWo<> そういやこの京ちゃんハンドボールやってないんだよな……(自分の作品の設定を忘れる男) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/07/12(土) 00:18:49.70 ID:7GOD5DfRo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/07/14(月) 20:30:52.19 ID:fwbhSFhko<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/08/12(火) 20:32:57.83 ID:9snMTy6AO<> ほ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/08/17(日) 22:20:52.45 ID:hu0VPSqbo<> ちゃんと完結させられるんだろうなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>age<>2014/08/21(木) 08:17:01.20 ID:okUnnliC0<> ほ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/08/24(日) 12:48:17.77 ID:4TZ7SsKCo<> だめそうですね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/09/05(金) 00:39:17.67 ID:JWVZsjyWo<> やるきなさすぎだろ <>