VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/10/20(日) 16:52:18.52 ID:wClx6zhA0<>★このSSはダンガンロンパとドクターKのクロスSSです。
★プロローグまではネタバレなし、チャプター1から全力ネタバレ。
★ダンガンはアニメ組+クロスSSのため設定違いが多々あります。


・ドクターKとは 〜これだけ知っていれば十分な情報〜

主人公:KAZUYA。通称ドクターK。本名は西城カズヤ。    
    ケンシロウのボディ+ブラックジャックの頭脳と台詞量+熱血
    ということだけわかっていればおk。世界一かつ最強の医者。

K一族とは:KAZUYAの祖先は代々世界的な外科医であり名門医師一族。
      全員イニシャルがKのためK一族と呼ばれている。あまりにも
      凄腕なため裏世界から目をつけられがちであり、体を鍛えている。

・ダンガンロンパ

ニコ動でアニメ一話が無料で見られるのでそちらを見た方が早い。
とにかくキャラ数が多いが、全員個性的なため一度の視聴で大体覚えられる。


どちらかの作品を知らなくてもなるべくわかるように書きます。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382255538
<>苗木「…え? この人が校医?!」霧切「ドクターKよ」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 16:56:06.44 ID:wClx6zhA0<> ― Prologue ―


私立希望ヶ峰学園とは――

超高校級と呼ばれる特殊な才能を持った人間だけが入学を許され、
卒業すれば必ず成功すると言われている、いわばエリート養成学校。


苗木(僕は、その希望ヶ峰学園に抽選で選ばれた。『超高校級の幸運』として)

苗木(僕みたいな普通の学生が入っちゃってもいいのかなーって思ったけど、
    わざわざ辞退する理由もないし、僕は期待に胸を膨らませ学園に来たんだ)

苗木(そして、悪夢のような事件に巻き込まれた…) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 16:57:15.05 ID:wClx6zhA0<>
学園に入ってすぐに気を失い、教室で目を覚ました苗木は
全ての窓に鉄板が嵌めこまれ外との出入口が塞がれた異様な状況に気付く。


苗木「なんだよ…これ…ん? この紙…」

『入学おめでとうございます、オマエラ。入学式は8時から体育館です』

苗木「汚い字だな…それに、あそこにあるのってまさか監視カメラ?」


念の為エントランスに行ったが、入り口は分厚い鉄の扉で封じられていた。
仕方なく、苗木は謎の紙に書かれていた通り、体育館に向かう。
体育館には既に14名の生徒が集まり、この状況に困惑していた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 16:58:24.63 ID:wClx6zhA0<>
石丸(超高校級の風紀委員)「遅いぞ、君! 既に集合時刻を過ぎている!」

苗木「あ、ご、ごめんなさい!」

朝日奈(超高校級のスイマー)「こんな状況で集合時刻も何もないでしょ!」

桑田(超高校級の野球選手)「閉じ込められてんだぜ俺達!」

セレス(超高校級のギャンブラー)「騒いでもどうにもなりませんわ」

大神(超高校級の格闘家)「その通り。今は脱出方法を考えるべきだ」

山田(超高校級の同人作家)「しかし、目的は一体なんなのでしょうな」

葉隠(超高校級の占い師)「さっすが希望ヶ峰! 派手な入学イベントだべ」

腐川(超高校級の文学少女)「あんたまだそんなこと言ってんの…?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 16:59:06.18 ID:wClx6zhA0<> 川(超高校級の文学少女)「あんたまだそんなこと言ってんの…?」

江ノ島(超高校級のギャル)「マジありえないんだけどー」

大和田(超高校級の暴走族)「犯人は見つけ次第シメてやるぜ!」

十神(超高校級の御曹司)「フン、くだらん」

不二咲(超高校級のプログラマー)「僕達…どうなっちゃうんだろう…」

霧切(超高校級の???)「…………」

舞園(超高校級のアイドル)「あの、苗木君ですよね? 同じ中学だった」


見知らぬ人間ばかりで気まずい中、突然話しかけられ驚く苗木。


苗木「もしかして、舞園さん?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:00:12.32 ID:wClx6zhA0<>
舞園「良かった。知ってる人がいて」

苗木「まさか舞園さん、僕のこと覚えてるの?」

舞園「当然ですよ、三年間同じ中学だったんですから」


苗木と舞園はクラスこそ違えど、同じ中学校出身である。
当時既に人気アイドルの舞園に覚えられていたことを喜ぶ苗木だったが、
和やかな時間はすぐに終わりを告げ、謎のぬいぐるみが姿を現した。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:01:09.86 ID:wClx6zhA0<>
モノクマ「えーマイクテスッ、マイクテスト」

苗木「ぬいぐるみ?」

モノクマ「違うよ、ぬいぐるみじゃないよ。モノクマだよ。
     この学園の学園長なのだっ! よろしくね!」

石丸「おはようございます!」

腐川「なに平然と挨拶してんのよ…!!」


前触れ無く現れた白黒ツートーンのぬいぐるみのようなクマ、
『モノクマ』は彼らに一つの残酷なルールを突きつける。


モノクマ「オマエラにはこの学園で一生を過ごしてもらいます。
     卒業する方法はただ一つ、仲間を殺すことです!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:02:16.38 ID:wClx6zhA0<>
一同「ハア?!」

モノクマ「殺し方は問いません。なんでもいいからぶっ殺しちゃって下さい。
     あ、でもみんなにはバレないようにね。あと勢い余って全員
     殺しちゃダメだよ。一人が殺せるのは二人までだからね!」

桑田「ワケわかんねえ…」

江ノ島「なんであたし達がそんなことしなきゃなんないのよ!」


一斉に不満を漏らす生徒達。誰もが現状を理解出来ずざわめく中、
あたかも混乱を切り裂くように、鋭く力強い声が響き渡った。


???「――そこまでだ!!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:03:49.00 ID:wClx6zhA0<>
モノクマ「なっ?! お、お前は…!!?」

「え? だ、誰?!」「ナニモンだ?!」「何あの格好…?」「……」


その男は長身で筋骨隆々。
赤いマントを纏い、野獣のような肉体から鋭い眼光を放つ。
天才的頭脳を持ち、神技のメスを持つその男の名は…


K「俺の名はKAZUYA。人は俺をドクターKと呼ぶ! そしてこの学園の校医だ!」

「こ、校医〜〜〜?!」




― Prologue 完 ―

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:07:23.20 ID:wClx6zhA0<> うわ、早速コピペミスするとは…>>5の一行目はスルーして下さい
さてさて、マイナーな作品のクロスだけど人いるかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:11:30.75 ID:wClx6zhA0<>

※ 注 意 ※


ここから先はネタバレしかありません
黒幕とか真相とか知りたくない人はアニメかゲームを先に見ること推奨


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:12:33.75 ID:wClx6zhA0<>

Chapter.1 イキキル(非)日常編



突然の闖入者に驚きを隠せない生徒一同。
だが誰よりも驚いていたのは黒幕こと江ノ島盾子であった。


― モニタールーム ―


江ノ島「はあああああっ?! なんで?! なんであのオッサン生きてんの?!」


江ノ島「どういうことよ?! ちゃんと始末したって言ってたじゃん!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:14:03.49 ID:wClx6zhA0<>
江ノ島と同様に驚いていたのは、江ノ島に変装して生徒達に
紛れ込んでいた彼女の双子の姉・戦刃むくろ(超高校級の軍人)であった。


戦刃(え、どういうこと?! 私ちゃんと殺したよ! ちゃんとありとあらゆる
    罠を仕掛けて物理準備室で奇襲したし、盾子ちゃんが念入りに殺しとけって
    言うから、普通なら1回で十分なのをわざわざ7回も撲殺したのに…)

戦刃(しっかりトドメに銃も四発撃ったもん。私のせいじゃないもん…)

モノクマ「……」

KAZUYA「俺が生きててさぞかし驚いているようだな。貴様の罠や
    奇襲はなかなかだったが、唯一見誤ったのは俺の生命力だ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:17:03.15 ID:wClx6zhA0<>
KAZUYA「七回頭部を強打され四発銃で撃たれたが、幸い銃弾は俺の筋肉を
     貫通出来なかった。この程度で俺を殺せたと思ったのが甘かったな」

大和田「いやそんだけやられてなんで生きてんだよ」

葉隠「ば、化物だべ…」

KAZUYA「貴様は俺が死んだと思いすぐにその場を離れたようだが、
    あれは仮死状態でその後俺は息を吹き返し、自ら体を手術した」

KAZUYA「流石にダメージが大きすぎてその後しばらくは意識を失ったが、俺は
    まだ生きている。俺の目の黒いうちは貴様の好きになどさせん!」

モノクマ「引くわー。自分で自分を手術しちゃうとかマジでドン引きだわー」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:18:38.93 ID:wClx6zhA0<>
モノクマ「…というか、階段の前には格子状のシャッターがあったと
     思うんですけど、どうやってこの体育館まで…」

KAZUYA「当然、邪魔な物は全て破壊させてもらった!」

モノクマ「ちょっとおおおおお! 何してくれてんのおおおおおお?!」

江ノ島「事件のたびに一階ずつ開放して殺人を煽るつもりだったのに!
    こいつのせいで計画メチャクチャじゃん!」

江ノ島「あああああ、終わったあああああああ。こいつに外の状況を全部
    説明されてこのコロシアイ生活も終了。準備大変だったのになぁ…」

モノクマ「む、むうぅぅ…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:20:39.78 ID:wClx6zhA0<>
形勢は逆転したかに見えた。が、


石丸「これはこれは先生でしたか。風紀委員の石丸清多夏と申します。
   これからどうかよろしくお願いします!」

KAZUYA「ウム、よろしく」

偽江ノ島「…ちょ、ちょっと! なに普通に挨拶してんのっ!」

偽江ノ島「あんな胡散臭い奴がアタシ達の先生なワケないじゃん!!」

山田「確かに。あの格好で校医って…不審者殿、設定に無理がありすぎますぞ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:21:51.92 ID:wClx6zhA0<>
桑田「校医って普通は女の先生だろ。体育とかならまだしもさぁ」

葉隠「あの凄まじい筋肉。先生というよりオーガその2だべ」

セレス「わざと一芝居うって我々の仲間になり、内部に侵入した後
    殺人を煽る黒幕の仲間なのかもしれませんわね」

不二咲「そ、そうなのぉ?」


生徒達の不審がる視線に思わずKAZUYAも動揺する。
だが、一人の生徒が一歩前に出た。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:23:27.69 ID:wClx6zhA0<>
十神「フン、ドクターKか…俺は知っているぞ。
   日本医学界の最高権威・帝都大医学部を首席で卒業し、若くして
   国際レベルで活躍。その執刀技術は特Aランクだそうだ」

苗木「へ、へえ。そうなんだ」

十神「そう、だからこそ言える。そんな大物が高校の校医などするはずがない!!
   何故わざわざドクターKの名前を出したかは知らんが、つまらんミスをしたな」

K「……」


しかし、実際(原作でも)そうなのだから仕方がない。

※KAZUYAは過去に加奈高校という学校の校医を臨時に引き受けたことがある。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:24:24.40 ID:wClx6zhA0<>
K「ち、違う。俺は本当にこの学園の校医だ!」

K(マズイな。完全に疑われている。血のついた白衣で現れたら生徒達を
  怖がらせてしまうと、いつものマントに着替えたのが仇となったか…)

K「(…そうだ)朝日奈、舞園。君達は既に俺に会っているだろう?
  俺が初めてここに来た時、学園長室に連れて行ってくれたじゃないか」


KAZUYAは、この学園に初めて来た時出会った二人の少女が
目の前にいることに気付いて話しかけた。

しかし、返ってきたのは見知らぬ人間に対する恐怖と警戒の目線である。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:26:48.77 ID:wClx6zhA0<>
舞園「…え? あ、あの…」

朝日奈「私、おじさんと会ったの今日が初めてだけど…」

K「…何を言っているんだ? 確かに会っただろう! それに桑田、苗木!」

桑田「ええっ? 俺?!」

K「桑田、野球で怪我をした苗木に付き添って二人で保健室に来たはずだ。
 よもや忘れたとは言わせんぞ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:27:38.98 ID:wClx6zhA0<>
桑田「し、知らねえよ! オッサンの勘違いかなんかだろ!」

苗木「…ごめんなさい。僕も、おじさんとは一度も会ったことないと思う」

K「そんな、馬鹿な…」

腐川「…や、やっぱり、こいつ犯人の仲間よ。怪しすぎるもの…!」

葉隠「俺達を騙すための黒幕の作戦だべ。俺の占いは三割当たる!」

大神「待て。まだ決めつけるな。…KAZUYA殿と言ったか。
   そなたは襲われる前、どこで何をしていたのか?」

K「襲われる前…ムウ、何だ?! ここしばらくの記憶が無い。クッ…
 執拗に頭部へ打撃を受けたために一時的な記憶喪失を起こしているのか。
 確かにこの学園に来て三日程働いた記憶はあるのだが…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:28:19.76 ID:wClx6zhA0<>

― モニタールーム ―


江ノ島「散々苦労して練りに練った計画が発動する前から潰されるなんて
    絶望的ぃぃぃぃ、って……あれ? あれあれあれ?」

江ノ島「え、なになに? 記憶喪失?! マジで?! 私様最高にツイてる…」


いまだ計画が潰えてないと気付くや否や、悪魔の頭脳はフル回転し始める。


モノクマ「いやあ〜、みんなには早速バレちゃいましたか!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:29:36.43 ID:wClx6zhA0<>
K「何だと?!」

モノクマ「うぷぷ。大正解! KAZUYA先生にはみんなの仲間になってもらって
     撹乱したり煽動してもらうつもりだったのに、もう演技下手すぎ!
     服装もありえないほどダサいし、やる気あんのぉ?」

K「何を言っている…?! お前達、騙されるな! 全てデタラメだ!!」

一同「……」

モノクマ「まっ、バレちゃったけどここは学校なんだし、一人くらい
     大人がいてもいいでしょ? みんな、仲良くしてあげてねー」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:30:27.95 ID:wClx6zhA0<>
K「おい、ふざけるな! 貴様ぁッ!」


KAZUYAがモノクマを掴んで持ち上げる。
と、同時に妙な機械音が鳴り始めた。

ピピピピピピピピピピピ……


霧切「いけない! 投げて!」

K「! フンッ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:31:27.88 ID:wClx6zhA0<>
ドーーーーーーーーン!


「きゃああああああああ」「うわあああああああああああああ」


KAZUYAが放り投げたモノクマが空中で爆散する。
と同時に、あざ笑うかのごとく別の場所から新たなモノクマが現れた。


モノクマ「そうそう。学園長に対する暴力は校則で禁止されてるから。
     違反したらお仕置きだよ。それじゃあ入学式は終わり。じゃーねー」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:32:26.78 ID:wClx6zhA0<>
K「おい! まだ話は終わっていないぞ! 待て!!」


制止の声も虚しくモノクマはどこかへ消えてしまった。
ふと、刺さるような冷たい視線に気付いたKAZUYAが後ろを振り向くと、
そこには自分を見つめる疑念と不信感に満ちた30の瞳があった。


K「違う、違うんだ。俺は本当に…」

大和田「なあ、こいつどうするよ?」

葉隠「捕まえてふんじばっちまった方がいいんじゃねえか?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:33:30.78 ID:wClx6zhA0<>
腐川「で、でも…もし暴れたりしたら、私達全員殺される! 殺されるわ!」

不二咲「そんな! 怖いよぉ…」

石丸「……」

K(皆、怯えている。下手に刺激しない方がいい。今は、流れに身を任せる他ない)

K「……」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:34:34.18 ID:wClx6zhA0<>
捕まえるという話にはなったものの、KAZUYAの人間離れした体格に
皆一様に恐怖を抱き、実際に実行に移そうとする者はいない。
気まずい雰囲気とヒソヒソ声だけがいつまでも場を支配する。


舞園「…苗木君、苗木君はどう思いますか?」

苗木「え、僕? …うーん、確かに怪しいし会ったこともないのに
   僕のことを知ってるって言われて不気味だけど、でも…」

苗木(でも、なんでだろう。あの人の困っている顔を見てると、
   助けてあげた方がいいような気がしてくる。何の根拠もないけど、
   あの人は多分、悪い人じゃない。…そんな気がする)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:35:46.33 ID:wClx6zhA0<>
苗木「ね、ねえ! みん 霧切「待って」

霧切「…ねえ、KAZUYAさん。何か、あなたの身元がはっきりわかる物は
   ないのかしら。例えばあなたが本当にここの教員なら教員証があるはず」


霧切の質問に思わず罰の悪い顔をするKAZUYA。


K「それがだな…教員証はない」

霧切「…どういうこと?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:37:40.09 ID:wClx6zhA0<>
K「俺が臨時で来た校医だからだ。ここの本来の校医は俺の大学時代の
 同期なのだが、急病で半月ほど入院することになり急遽代理を頼まれたのだ」

K「だから…教員証やそれに準ずるものはない」

山田「なんというか、怪しさの針が完全に振り切れてますなぁ…」

セレス「ここまでくると、どうしようもないですわね」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:39:57.27 ID:wClx6zhA0<>
一旦、終了
括弧の前はKで統一する予定だったのにミスしまくってんな… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/20(日) 17:41:26.64 ID:/V7NvNCY0<> 作者以前まどマギとドクターKのクロスSS書いた人だろ!
こんなん書くの同じ人に決まっているわ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/20(日) 17:46:44.58 ID:+ci6dElDO<> 同じか知らんがマギカはとんでもだったから

こっちは常識の範囲内でやって欲しい。

Kの強さはあくまでもファンタジー入らないアクション映画の主人公レベルだと思う。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 17:47:33.00 ID:wClx6zhA0<>
>>32
あ、書き忘れてたけど自分はその作者さんとは別人です
まどマギとドクターKのクロス見て触発されて書き始めました

あれは原作愛を感じられる良SSでしたね!自分も頑張ります <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/20(日) 17:55:40.12 ID:/V7NvNCY0<> >>34
愛…あったかな?

でもなるほどわかりました、頑張ってください!
ところで記憶喪失といえばKAZUYAは原作でも頭に弾丸撃たれて記憶喪失になった事がありましたね。
あの時は手術してたら記憶喪失治ったけどこちらでも手術したら記憶喪失治るんじゃ?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/20(日) 18:15:09.16 ID:+ci6dElDO<> あん時は医者である事すら忘れていたけど。
こっちは学園に着任してからの記憶で医者としての記憶はあるからなあ。
でもKなら外があんなんなったら飛び出して各地で医療活動しそう。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 18:32:10.81 ID:wClx6zhA0<> >>35>>36
記憶喪失や何故Kが希望ヶ峰にいるかについては後々書いていくのでご安心を


ところで相談なのですが、Kに対するキャラの口調をどうするべきか

確実に敬語→苗木、石丸、舞園、セレス、山田、不二咲
確実にタメ口→桑田、大和田、十神、葉隠、江ノ島
微妙→朝日奈、大神、腐川、霧切

微妙組は普通に話しかけそうな気もするし、目上にはちゃんと敬語使いそうな気もするし
どっちがキャラのイメージに合いますかね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/20(日) 18:36:35.83 ID:z9pzMabno<> 朝日奈と腐川は他の男子に対するのと一緒、大神は大神流の敬語、霧切は普通に敬語

と思うよ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/20(日) 19:04:02.08 ID:eb9ckoAko<> ドクター・キリコ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 23:49:49.77 ID:TxnK6XCN0<> >>38
それで行かせてもらいます!


では、少しだけ再開 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 23:51:16.62 ID:TxnK6XCN0<>
霧切(マズイわ。私の推測ではこの人は本当に黒幕とは何の関係もない。
   …というか、推測以前に黒幕の立場に立って考えれば明白よ)

霧切(だって彼の服装、経歴、そもそも存在自体が怪しすぎるもの。
   もし私が黒幕なら、スパイにはもっと地味な教師を選ぶ。
   もしくは、より疑われないように『生徒の中に紛れ込ませる』…)

霧切(確かにあからさまに怪しい人間を入れて場をかき回すということも
   考えられなくもないけど、それでも彼の雰囲気は異様すぎるわ)

霧切(何より、彼が名乗ったドクターKという通り名も――)


十神「フン、番狂わせにもならなかったな。つまらん」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 23:52:27.48 ID:TxnK6XCN0<>
大神「どういうことだ、十神?」

十神「コイツが本当に黒幕の仲間かどうかは俺にとってどうでもいい。
   大事なことはここの愚民達を納得させられない以上、事の真偽は
   どうであれこの男は黒幕の仲間になるということだ」

K「…! いや、待ってくれ。俺の身分を証明するものならここにある」


KAZUYAが懐から出したのは、肌身離さず持ち歩いている医師免許であった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 23:53:21.30 ID:TxnK6XCN0<>
K「これだけでは俺が本当にここの校医かどうかの証明は出来ないだろう。
 だが、少なくとも俺が本物の医者であるという証明にはなるはずだ」

霧切「見せてもらってもいいかしら? …本物のようね」

苗木「西城カズヤさんっていうんだ」

石丸「ううーむ…なるほど。成程。…そうか! わかったぞ!!」


KAZUYAの医師免許を見つめながら、今まで沈黙を貫いて
ずっと考え込んでいた石丸が突然叫びだした。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 23:55:31.29 ID:TxnK6XCN0<>
朝日奈「なに? なにがわかったの一体?!」

石丸「西城先生はやはりこの学園の校医で、僕達と同時に学園に来たのだ!」

大和田「なにを根拠にそう思うんだ?」

石丸「だって、常識的に考えて怪しすぎるだろう! スパイならもっと
   目立たずに行動するはずだ。怪しまれるような発言は慎むはず」

セレス「ですが、スパイではないというならば朝日奈さん達のことを
    知っているのは何故なのでしょう?」

石丸「希望ヶ峰の生徒の情報なんて、ネットで調べれば簡単に出てくる。
   先生は黒幕に頭を何度も殴打されたことにより記憶が混乱し、
   既に僕達と会ったことがあると錯覚してしまっただけなのだっ!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 23:57:03.63 ID:TxnK6XCN0<>
朝日奈「そっか! それなら何もおかしくないね」

不二咲「じゃ、じゃあ本当に僕達と同じ巻き込まれただけの先生?」

K「……」

K(俺は確かにこの学園で働いた記憶がある。何人かとは会って話もしたし、
 その内容も全て覚えている。だが今それを言っても、証明できない以上
 不審がられるだけだ。今は記憶が混乱しただけということにした方がいい)

K(だが…この食い違いは何か非常に大きな意味を持っている気がする。
  それが何かはまだわからん。が、深く心に留めておくとしよう…)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 23:58:34.09 ID:TxnK6XCN0<>
とにかく今は生徒達を安心させることが最重要と考えたKAZUYAは、
自分の中の矛盾をひとまず置いておくことに決めた。


K「…ああ。どうやら俺は気付かないうちに記憶が混乱していたようだ。
 ただでさえこんな状況なのに不安にさせてすまなかった」

葉隠「いやぁ、一時はどうなることかと思ったべ〜」

舞園「良かった。先生がいるというだけでなんだか少し安心できますね」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/20(日) 23:59:29.76 ID:TxnK6XCN0<>
苗木「そうだったんだ。じゃあ改めてよろしく、KAZUYA先生!」

大神「よろしく頼む、西城殿」

石丸「そうだ。西城先生にみんなのことを紹介しよう!」


わいわいと自己紹介する面々を見ながら、霧切はあえて黙っていた。


霧切「……」

霧切(一見筋が通っているように見えるけど、石丸君の説明には
   一つだけ大きな穴があるわ。それは…)


    閃きアナグラム開始!


ん な ぎ く え ま の え な

<> 1<>saga<>2013/10/21(月) 00:02:50.68 ID:aNG6zLSm0<>
風呂行ってきまー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/21(月) 00:12:13.11 ID:2/7Kmktyo<> なえぎくんのなまえ
でいいのかな <> 1<>saga<>2013/10/21(月) 00:58:27.78 ID:aNG6zLSm0<> >>49
ご名答


霧切(そう。苗木君の名前。確かに他の生徒達の情報はネットで調べることが
   出来るけど、抽選で選ばれただけの苗木君の名前を彼はどこで知ったのかしら)

霧切(彼が本物の校医なら、たまたまどこかで苗木君の情報を知っただけ
   かもしれない。でも同じ理屈で黒幕から生徒の情報を得たとも言える)

霧切(ただ、今は変に場を混乱させるより黙っていた方が賢明でしょうね…)

石丸「…で、最後にこちらの女性が霧切響子君です」

K「ん、霧切…? そうか(学園長が娘も通っていると言ってたな)」

霧切「……!」

<> 1<>saga<>2013/10/21(月) 00:59:22.58 ID:aNG6zLSm0<>

その時KAZUYAは、今まで頑なに無表情を貫いていた霧切の僅かな変化を感じ取った。


石丸「どうかされましたか?」

K「…いや、なんでもない」

桑田「本当にこのオッサン校医なのかぁ? なんっか怪しいよな」

山田「まあ、校医すら特別なのは流石希望ヶ峰と言えなくもありませんが…」

セレス「警戒するにこしたことはありませんわね」

十神(……ドクターK)

<> 1<>saga<>2013/10/21(月) 01:00:27.64 ID:aNG6zLSm0<>

モノクマ「あ、そうそう」

「わっ!?」


一息つこうかというタイミングで、再び現れるモノクマ。


朝日奈「ちょっとなによいきなり!」

モノクマ「突然のハプニングのせいで一つ大事なこと言い忘れてて」

モノクマ「みんなには電子生徒手帳を配っておいたから、
     校則とか諸々のことはそれで確認しておいてね」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:01:28.10 ID:aNG6zLSm0<>
苗木「どれどれ…あ、これが電子生徒手帳か」


生徒手帳では学園内のフロアマップや校則が確認できる。


◇校則

1.生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。

2.夜10時から朝7時までを“夜時間”とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので、注意しましょう。

3.就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。

4.希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

5.学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。

6.仲間の誰かを殺したクロは“卒業”となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:02:32.62 ID:aNG6zLSm0<>
モノクマ「あ、そうそう。さっき少し説明したし校則ちょっと加えるね」


ピロリン♪


7.コロシアイ学園生活で同一のクロが殺せるのは、2人までとします。

8.鍵の掛かってるドアを壊すのは禁止とします。


モノクマ「もう壊しちゃった物は仕方ないけど、これ以上ぶっ壊しまくるのは
     ダメだからね、先生! 破ったらどうなることか…」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:03:41.13 ID:aNG6zLSm0<>
K「……」

十神「おい、モノクマ」

モノクマ「はいはい、なんでしょう」

十神「貴様は俺達にコロシアイを強要しているはずだ。にもかかわらず、
   何故それを阻害するようなルールが設けられている」

モノクマ「そりゃそうだよ。だって、正面勝負なら腕力のある大神さんが
     有利だし、僕はみんなに平等に殺しあってもらいたいんだよ」

十神「聞き方を変えてやる。もし殺しがバレた場合、ペナルティはあるのか」

モノクマ「そりゃあ学園の秩序を乱したんだから、
     犯人にはオシオキがあるに決まってるよね」


全員、嫌な予感がした。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:04:53.73 ID:aNG6zLSm0<>
K「そのお仕置きとは何だ?」

モノクマ「オシオキって言ったら『公開処刑』に決まってるでしょ。
     それもとーってもスペシャルでグレートでエキサイティングな奴ね」

「なっ?!!」


残酷な宣告はあまりにもあっさりと口にされた。
誰もが呆気にとられて言葉を失う中、モノクマは一人続ける。


モノクマ「そのくらいのリスクがあった方が殺る方もワクワクするでしょ。
     まあ、殺す人数に関しては本来制限はいらないんだけどね。
     ただあんまり最初に人数が減りすぎちゃうと裁判がつまらないし」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:06:32.25 ID:aNG6zLSm0<>
K「裁判? おい、それは一体 大和田「ふざっけんなぁぁ!!」

大和田「コロシアイだのオシオキだの、いい加減にしろよ!
    ぬいぐるみだかラジコンだか知らねえが今すぐぶっ壊して…!」

十神「フン、これだからプランクトンは困る」

大和田「あ? なんだぁテメエ?!」

十神「学習能力がないんだな。先ほどの爆破を見ていなかったのか?
   そいつに手を出せば今度こそ木っ端微塵だぞ」

大和田「ぐうぅ、クソッ!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:07:59.28 ID:aNG6zLSm0<>
十神「理不尽だろうがなんだろうが、もうゲームは始まっているんだ。
   ゲームである以上俺は勝つ。貴様ら愚民もせいぜいない頭を使うんだな」

K「……!」

大和田「ゲ、ゲームってお前?! 頭イカれてんじゃねえか?!」

モノクマ「お、仲間割れですか。いいねえ! やれやれ、殺っちゃえ!」


素知らぬ顔で二人を煽るモノクマに嫌悪感を抱きながら、
苗木たちはなんとか仲裁しようと間に入る。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:08:42.20 ID:aNG6zLSm0<>
苗木「ね、ねえ! 二人ともケンカはやめようよ! 僕達、協力しなくちゃ」

葉隠「そうだべ。今は言い争ってる場合じゃないべ!」

石丸「二人の言う通りだ。十神君、そういう言い方はあんまりではないかね…!」

十神「フン、俺はお前達と馴れ合うつもりはない。一人で行動させてもらう」

大和田「テメエ、さっきから勝手なことばっかヌカしやがって!
    いい加減にしろっ!!」

舞園「あ、危ない!」 不二咲「きゃっ!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:09:25.18 ID:aNG6zLSm0<>
ガッ!


K「大和田、拳を降ろせ」

大和田「せ、先公…」


とうとう堪忍袋の尾が切れ十神に殴りかかった大和田の右腕を
KAZUYAは片手で掴んで止めていた。


桑田「う、嘘だろ…」

大神(あの動き…力。まるで往年のケンイチロウのようだ。本当に医者なのか?)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:11:51.29 ID:aNG6zLSm0<>
K「大和田、お前の怒りは最もだ。しかし本当の敵は別にいるだろう?」

大和田(くそ…ビクともしねえ。左手一本で俺のパンチをとめやがるとはな…)


バッ


大和田「チッ、今回は先公に免じて勘弁してやるよ」

十神「負け犬め」

大和田「んだとぉっ?!」

K「十神もやめろ。これ以上煽るなら俺のゲンコツを喰らうかもしれんぞ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:14:23.59 ID:aNG6zLSm0<>
十神「……」クルッスタスタスタ

腐川「あっ」


何も言わずに去っていく十神。その姿を追いかけていく腐川。


大和田「なんなんだよ、アイツ…!」

石丸「まあ、十神君に関しては僕から後で言っておこう。それより先生、
   これからどうしますか? 手分けして学園を探索すべきかと思いますが」

K「ああ、そうだな。各自別れて脱出の手がかりを探そう。十一時に食堂に集合だ」


そして生徒達は散り散りになって広い学園の中を探索する。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2013/10/21(月) 01:27:35.55 ID:aNG6zLSm0<>
        ― モノクマ劇場 ―


モノクマ「今日はここまで! マイナー過ぎる作品とのクロスで正直一人も
     見てないんじゃないかとちょっとガクブルしてたけど
     何人か読んでいてくれているみたいで一安心」

モノクマ「ま、>>1は一週間分の書き溜めをほとんど使ってしまって
     いい感じに絶望した顔をしてるけどね。うぷぷぷぷ」

モノクマ「マイナーだし古いけど、ドクターK自体は凄く面白い良い漫画だよ。
     主人公が色々トンデモだけど、このSSと違ってちゃんと監修が
     ついてるから医療描写や人間ドラマは凄くしっかりしてるしね」

モノクマ「文庫本なら場所も取らないし、古本屋で簡単に全部集められるから
     一度読んでみることをオススメするよ。ま、希望に溢れてて僕は嫌いだけど」


モノクマ「じゃ、またね〜」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/21(月) 01:40:23.76 ID:yfbObAxro<> 乙

真田が花京院まんまの風貌だった事しか覚えてないww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/21(月) 01:45:34.99 ID:vDN1RRtR0<> 乙!ドクターK知らんかったけど面白かったわ。続き期待

何より個人的に好きだけどマイナーな漫画を普及するためにSSを書くアグレッシブさが気に行った <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/21(月) 09:16:35.16 ID:lGCJpax4o<> ドクターKに興味をもった乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/21(月) 09:21:05.80 ID:zAcAWIlDO<> 現在青年誌のイブニングで続編のK2やってるよ(宣伝)
主人公その1はKAZUYAの分家のKで主人公その2はKAZUYAの息子。 <> 1@携帯<>sage<>2013/10/21(月) 19:26:42.90 ID:WUykGKTDO<>
>>64
真田=花京院は誰もが通る道。ジョジョ未読の自分ですら思ったww

>>65>>66
興味を持ってくれてありがとう!ドクターK好きなので本当に嬉しい
基本的にはBJみたいに一話完結が多く気軽に読めるので暇があったら是非

<> 1@携帯<>sage<>2013/10/21(月) 19:28:47.45 ID:WUykGKTDO<> ちなみに何故クロス先にダンガンを選んだかというと、単純に好きなのもあるけど
自分が見たSSでは他作品キャラが新入生として参加するタイプか、完全に部外者が
乱入するタイプだけだったので学園の関係者が巻き込まれるタイプってないんじゃ
ないかなと思ったのと、Kの校医という過去が凄いマッチするなと思って選びました

そもそも医者漫画で主人公が単発じゃなく数巻に渡って校医になるってかなり珍しい気がする

>>67
こんなにドクターKを推す自分だが実はK2はまだ読んでいない。なんか主人公の
評判が芳しくないんだよね…カズヤは顔に似合わずギャグを担当したり愛嬌があった

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/21(月) 20:08:05.97 ID:a2ig0iJuo<> 参考画像
ttp://image.space.rakuten.co.jp/lg01/10/0000807510/85/img597d534bzikczj.jpeg
ttp://img5.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/dd/a1/makamakaheishi/folder/396735/img_396735_14592007_1?1171963746
ttp://comisoku.com/wp-content/uploads/2013/07/wpid-hOHYFXkbZ2u0ykslE9PLM0Fc_40.jpg
ttp://comisoku.com/wp-content/uploads/2013/07/wpid-img_1203743_36013292_0.jpg


苗木「霧切さんや舞園さん、場合によってはセレスさんや戦刃さんまで変態になるのをどうにか治してあげられませんか」
カズヤ「http://cdn37.atwikiimg.com/gazoures/m/plugin/ref/?guid=on&serial=420」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/21(月) 22:51:34.51 ID:I4et5Ceio<> そういえば肝臓の一部に擬態して血を吸うヒルとかいたよね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/22(火) 18:49:11.79 ID:r/nAhS/jo<> ドクターK初めて聞いた
NHKでドクターG?とかいう番組あるよね
これのパロだったのか <> 酉つけるかな
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:00:59.50 ID:MPC9XTcq0<> いや、偶然だと思うよw

>>70
参考画像サンクス。自分も何か貼ろうと思ってた。しかし流石に1コマでは
何話かわからないなw画のタッチが今と違うから初期かなとは思うけど


投下します <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:02:39.97 ID:MPC9XTcq0<>
― 寄宿舎 1階 ―


苗木「ここが寄宿舎か。僕達の個室があるね」

山田「中は広いし、ベッドはフカフカですぞ〜」

朝日奈「私達全員分の部屋があるみたい。ちゃんとネームプレートもあるよ!」

桑田「…そういやさ、オッサンは部屋ないんじゃね?」

石丸「黒幕にとって本来イレギュラーな人間だっただろうからな」

K「俺は保健室でいいさ。そもそも野宿には慣れているから、
  屋根と壁さえあればそれで十分だ」

苗木(野宿に慣れてるお医者さんてなんなんだろう…)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:03:44.96 ID:MPC9XTcq0<>
舞園「あ、でも…校則に個室以外での就寝は認めませんってあったような」

葉隠「破ったらオシオキだべ」

石丸「先生だけ外に放っておく訳にはいかない。僕の部屋に来ますか?」

K「まあ、俺はそれでも別に構わないが。(チラッ)…おい、モノクマ!」

モノクマ「ハイハイ!」

石丸「うわああっ!」

苗木「よ、呼んだら出てくるんだ…」


KAZUYAが呼ぶと、物陰から様子を見ていたのか意外とあっさりモノクマが出てきた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:05:04.86 ID:MPC9XTcq0<>

K「俺の寝場所についてだが…」

モノクマ「校則破ったらオシオキだからね!」


あくまで校則を守れというモノクマにKAZUYAは不敵な笑みで返す。


K「おや、俺はお前の仲間なんじゃなかったのか?
  寝る場所くらい融通を効かせてくれてもいいだろう」ニヤッ

モノクマ「っくうう。しょうがないなぁ! これだけだからね!
     もう何か言われても特別待遇とかしてあげないからね!」


そのまま去ろうとしたモノクマだが、ふと何かを思い出して戻ってきた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:06:35.27 ID:MPC9XTcq0<>

モノクマ「…そういえばさ、保健室って確か鍵がかかってたはずなんだけど」

K「ああ、手術で使った薬品類の補填とマントを取りに保健室に立ち寄ったが、
  鍵がかかっていたので破壊させてもらった」

モノクマ「んもうっ! どんだけ壊せば気が済むんだよ君!
     ドクターKじゃなくて次からデストロイヤーKって名乗れば!!」

K「断る」

朝日奈「あれー? 結構格好良いと思うんだけど」

苗木「朝日奈さん、プロレスラーじゃないんだから…」


こうしてKAZUYAは保健室で寝泊まりすることになった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:07:46.26 ID:MPC9XTcq0<>
その頃、保健室。


江ノ島「…この扉、なんかひしゃげてない?」

大神「鍵が壊されて中に入れるようだ。恐らく西城殿の仕業だろう」

セレス「入ってみましょう」

大和田「まあ、普通の保健室だよな。…っておい、あれ」

不二咲「つ、机の上に血のついた白衣があるよ!」


バサッ


大神「うむ、大きさから考えて西城殿のものだろう。それにしても夥しい血だ…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/23(水) 02:11:35.86 ID:qflmvPtno<> 連投規制ってあるんだっけ?


この漫画好きだったなぁ <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:14:01.33 ID:MPC9XTcq0<>
大和田「普通死ぬよな。黒幕からこんなにやられたってことは、やっぱ味方ってことか?」

セレス「どうでしょう? まだわかりませんわ」

江ノ島「……」


― 2階 図書室 ―


十神「遅かったな。待ちくたびれたぞ」

苗木「待ってた? 僕達を?」


ふと見渡すと図書室に16名全員が集結していることに気付く。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:15:39.35 ID:MPC9XTcq0<>
石丸「十神君、こんな所にいたのか」

十神「貴様らがモタモタしてる間に、この俺が面白い物を発見した。見てみろ」


そう言って十神は一枚の封筒をKAZUYAに渡す。
KAZUYAが長身のため、苗木は背伸びをしながら横から覗きこんだ。


苗木「学園長からのお知らせ? 一体なんだろう?」

K「……。これは…?! 馬鹿な!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:17:20.32 ID:MPC9XTcq0<>
渡された封筒の中の書類をKAZUYAが読み上げ、一同は愕然とする。


そこには『希望ヶ峰学園廃校のお知らせ』が入っていた。


K「…近い将来問題が解決したら活動を再開させる。これで全てだ」

舞園「一体どういうことなのでしょうか…?」

霧切「そのままの意味よ。私達が来た時、この学園は既に学園としての
   役割を終えていたということ」

苗木「つまり、先生の記憶がなくなっている間に実は学園は閉鎖されてたってこと?」

大神「しかし、我はそんな話聞いたことがない」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:18:32.42 ID:MPC9XTcq0<>
石丸「僕もだ。希望ヶ峰ほどの学園が廃校になったなら必ずニュースになるはず。
   この場にいる誰一人何も知らないと言うのはありえない」

十神「誰一人? いるじゃないか。真相を知っている男が目の前に」

朝日奈「だ、だれよっ! …あ」


全員の視線がKAZUYAに集中する。


K「…俺だな」

セレス「先生が本当にここの校医だったなら、学園廃校の情報を知らないはずがない。
    全ての真相は先生の失われた記憶の中にある、ということですわね」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/23(水) 02:18:34.65 ID:Q7ycPjSN0<> >>79 別にここはさるさん無いぞ
ドクターKとか懐かし過ぎる。バニシングツインとか古細菌とかあのへんが新鮮で面白かった
ドクターKの作者が書くウルトラマンの漫画も面白いよな <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:21:47.87 ID:MPC9XTcq0<>
江ノ島「でもおかしくない? 無人になった学園を黒幕が乗っ取ったのなら、
    何で校医のコイツはここにいるの? やっぱり黒幕の仲間なんじゃ…」

大和田「俺もまだ怪しいとは思うけどよぉ…お前も見ただろ血まみれの白衣」

桑田「メチャメチャになった物理準備室も見たぜ」

江ノ島「そんなの、ただ仲間割れしただけかもしれないじゃん!」

十神「黒幕が俺達を混乱させるために置いた偽装工作の可能性もある。断定は出来ん」

十神「…まあ、本物の方が面白いがな。こんな緊張感のあるゲームはそうそうない。
   謎は多ければ多いほど張り合いがある。折角だ。お前達ももっと楽しんだらどうだ?」

大和田「テメエまだゲームとかふざけたこと言ってやがるのかっ!
    …本っ当に殴られたいみたいだな!!」ポキポキ…

K「大和田、落ち着け」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:25:27.64 ID:MPC9XTcq0<> あ、ミスった

>桑田「メチャメチャになった物理準備室も見たぜ」

この台詞なしでヨロ


…投下直前に時系列を入れ替えたりするからこんなことになる <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:27:10.61 ID:MPC9XTcq0<>
不二咲「コロシアイなんて…仲間同士で殺しあうなんて、そんなの嫌だよぅ」

石丸「そんなものは起きない! みんなで団結して事に当たれば…」

十神「団結? 今日会ったばかりの赤の他人がか?」

石丸「……」

十神「とにかく、前にも言ったが俺はお前達と仲間ごっこするつもりは毛頭ない。
   このゲームにおいて俺達は全員敵同士だ。それを忘れないことだな」


― 3階 物理室の前の廊下 ―


苗木「先生はこの部屋の隣の物理準備室で襲われたんですよね?」

K「そうだ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:28:26.91 ID:MPC9XTcq0<>
葉隠「覗いてみたけど、部屋の中はとにかくメチャクチャだし、
   壁や床にとんでもない量の血がついてたべ…」

桑田「あんだけやられてピンピンしてるって、マジありえねー…」

大和田「この部屋の中は…ってなんだこりゃ?!」

大神「ム、この巨大な装置は一体…不二咲よ、わかるか?」

不二咲「うーん、こんな凄い装置見たことないや。ごめんね」

K「なんだこれは…(磨毛がいたら何かわかるだろうか)」


今ここにいない機械の天才を思いながら、KAZUYAは操作盤に触れようとする。


モノクマ「ああ! ダメダメ! 危ないよ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:33:36.11 ID:MPC9XTcq0<>
K「!」


一同が目をやると、そこにはいつのまにかモノクマが立っていた。


葉隠「本当に神出鬼没な奴だべ」

モノクマ「これは巨大な空気清浄機だよ。ここから学園中に空気を供給しているのさ。
     壊れたら大変だから、絶対触っちゃダメだよ。死にたいならいいけど」

K「密閉空間であるこの学園に、これで酸素の量を調節しているという訳か?」

モノクマ「ま、そんな所。それだけじゃないけどね」

K(それだけではない? 何か特殊な役割でも持っているのか?)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:39:22.70 ID:MPC9XTcq0<>
モノクマの言葉を受け、KAZUYAはその頭脳をフル回転させ始める。


K(…そもそもこんな巨大な装置、一朝一夕に設置出来るのか?
  俺の怪我の治り具合からして、恐らく俺が奇襲を受けてから今日までは
  せいぜい二、三日といった所だ。その間にこんな巨大な物を設置出来る訳がない)

K(しかし現に存在してる以上は…)


ここでつい先ほど図書室で見た学園廃校の書類を思い出す。


K(きっと、何か関係があるのだろう。そうなるとあの書類は本物である可能性が高い。
  この機械は規模から考えて、恐らくこの学園生活において非常に重要な物だ)

K(クソッ、俺の記憶さえ取り戻すことが出来れば…)


焦燥を感じるが、焦りとは反対にKAZUYAの記憶が戻る気配はまるでなかったのだった―― <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/23(水) 02:45:39.69 ID:MPC9XTcq0<>
今日はここまで

ちなみに読み返していたらもう一つミスを発見してしまった…


>>44の

>石丸「西城先生はやはりこの学園の校医で、僕達と同時に学園に来たのだ!」

同時に来たと思う根拠がありませんよね…

「西城先生はやはりこの学園の校医で、僕達が来る前からここにいたのだ!」 に訂正お願いします。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/23(水) 03:00:28.29 ID:VVPeeFOJo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/23(水) 07:55:22.06 ID:ICrR+prAO<> 乙です。
懐かしいな……昔家に1冊だけあって、小学生の時に読んで面白いとおもったんだよな。
当時は小さいし、いつの間にかどっかにいってたから、タイトルだけはうろ覚えだったなぁ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/24(木) 07:07:33.38 ID:c5lU2qY+0<> ちょっと待ってくれ、ドクターKがマイナーってなんの冗談なのか
4大少年誌で長期連載されてた人気作をマイナーなんつったら世の中のほとんどの作品がマイナーになるぞ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/24(木) 15:05:23.99 ID:Ko/aolvAo<> 長期連載は張ってたし実際面白いけど看板タイトルにはならなかったからなぁ
ジャンプで言うと花の慶次みたいなポジだったと思う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/24(木) 17:30:30.84 ID:LIasBwYlo<> 破壊新暗黒四天王連載で5巻以上出てる漫画はマイナーではない(適当) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/24(木) 17:52:40.15 ID:5I7iN3sDO<> 一度もメディアミックスしてないのが痛いんだよね。今だったら30巻以上出して
アニメ化もドラマ化もないなんてありえないけど、昔は映像化のハードルが
高かったからなぁ。巻数的には圧倒的に勝ってるけど、あんまり漫画読まない層の
一般知名度はドラマ化してるMMRやサイコメトラーに負けるんじゃないかな

ゴッドハンド輝がドラマ化した時はめちゃくちゃ羨ましかった… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 04:40:47.77 ID:NJrQ8UDfo<> け、K2が二十巻いったらアニメ化するかもしれないし・・・(震え声で <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 21:38:33.83 ID:VK/X53P40<>

― 十一時 食堂 ―


時間になり、全員が食堂に集う。流石に最初だからか十神も出席していた。
各自で入れる場所、手に入れたものを報告しあう。


 ◇現在行ける場所

・一階(大浴場、倉庫以外。保健室はKAZUYAにより解錠済み)
・二階
・三階

 ◇手に入れた物

・何故か物理室にあった山田のデジカメ(山田に返した)
・図書室の謎の書類


いくつか気になる物はあったが、黒幕の正体に繋がる物や
脱出の手がかりになりそうなものは何もなかった。


大和田「結局、わかったのは出口になりそうなとこはねえってことか」

不二咲「僕達、これからどうすればいいんだろう…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 21:45:26.00 ID:PFcJ9rGDO<> K2もぼちぼちラストにむかってるしな <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 21:49:25.91 ID:VK/X53P40<>
セレス「簡単なことですわ。この環境に適応すればいいのです。幸い、黒幕が
    直接わたくし達に手を下すことはないようですし、食料は毎日補給して
    くださるとのこと。この環境に適応し、コロシアイなどしなければいいのです」

石丸「その通りだ。とりあえず提案だが、これから毎日朝食会を開かないか?
   その日の方針を決めたり、みんなと親睦を深める機会にしたいのだが」

桑田「めんどくせえなぁ。ここは学校じゃないんだから自由でいんじゃね?」

K「いや、なかなか良い提案だと思うぞ」


基本的には黙って議論を聞いていたKAZUYAが珍しく口を挟む。


K「人間には体内時計というものがあり、個人差はあるが一日24時間10分と言われている」

桑田「え、おかしくね? それじゃあちょっとずつズレるじゃん」

K「そうだ。そのズレをどうやって修正しているかわかるか?」

霧切「日光ね。毎日陽の光を浴びることによって、ズレた分をリセットしているの」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 21:54:17.55 ID:VK/X53P40<>
K「その通り。ここは窓が全て塞がれていて、陽の光がない。
 つまり、放っておくとどんどん体内時計がズレていってしまう」

K「体内時計のズレは不規則な生活に繋がり、自律神経やひいては
 ホルモンバランスを崩壊させ、それらは情緒不安定な状態を導く…」

K「ただでさえストレスの多い環境だ。自己管理をしっかりしないと、
 ちょっとした機会に暴発して、それこそ殺し合いが起きないとも限らん。
 各自、しっかりと心身を引き締め臨むことだ」

朝日奈「…怖いね。気をつけないと」

桑田「わーったよ。わかったからあんま脅かさないでくれよ」


その時、セレスがスッと手を挙げる。


石丸「セレス君、何かね?」

セレス「わたくしからも一つ提案があるのですが」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 21:56:11.26 ID:VK/X53P40<>
セレス「みなさん、夜時間に関するルールは覚えていらっしゃいますか?
    これに関して、もう一つルールを定めたいと思うのですが」

江ノ島「ルール? 何を?」

セレス「夜時間の出歩きを禁止したらどうでしょう? 今のままではわたくし達は
    夜になるたび、誰かが殺しに来るのではないかと怯えることになります。
    そんな生活が続けば、あっという間に憔悴してしまいますわ」

大神「成程、一理あるな」

K(……)


こうして、朝食会と夜時間の出歩きについて取り決めが出来た。

報告会が終わり、一同は会話をしながら昼食をとり始める。


石丸「先生があの帝都大医学部を主席で卒業されたというのは本当ですか?」

K「まあな」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 21:57:38.23 ID:VK/X53P40<>
苗木「凄い! もしかして、先生って希望ヶ峰の卒業生だったりとか?」

舞園「肩書きは超高校級の医者という所でしょうか」

K「いや、俺は普通の高校出身だ。希望ヶ峰からスカウトを受けたことはあるが、断った」

不二咲「え、どうしてですか?」

K「俺の一族は代々医者をやっていてな…裏世界から目をつけられがちで、
 あまり目立つのを良しとしなかったんだ。…そもそも、超高校級の医者を
 名乗ろうにも、医者は国家資格を取得しないとなれんだろう?」

苗木「ハハ、確かに(裏世界から目をつけられる医者って一体…)」

石丸「代々続く名門の医者…先生もまた天才なのですね」ボソッ

江ノ島「……」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 21:58:28.55 ID:VK/X53P40<>
朝日奈「さくらちゃん、二階にプールがあったんだよ、プール! あとで一緒に泳がない?」

腐川「フン、泳ぐって言っても水着がないじゃない…」

朝日奈「あ…」

大神「なら、我と一緒にトレーニングをしないか? 体を動かせば気も紛れるだろう」

大和田「呑気なもんだな。こんな状況だっつーのに」

葉隠「ま、焦っても仕方ないし俺達はこれからどうすっぺ?」

桑田「もうちょっと探索してみっか? あと三階に娯楽室があったから後で行こうぜ!」

セレス「山田くん、お皿をさげてくださる?」

山田「はいっ、ただいま!」

十神「……」

霧切「……」


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:01:18.00 ID:VK/X53P40<>
― 午後 ―


昼食を取ると、各自解散して再び探索に戻っていった。
KAZUYAも注意深く辺りを観察しながら廊下を歩いていたが、その目前に
今までほとんど口をきかなかった霧切響子が立ちはだかる。


霧切「…ドクター、少しよろしいでしょうか?」

K「霧切か。どうかしたのか?」

霧切「自己紹介の時、ドクターは私の名前を聞いて何か反応をしましたが、
   私について一体何を知っているのでしょうか?」

K「? 俺はそんな大したことは考えていなかったが。
 ただ名前を聞いて君が霧切学園長のお嬢さんなのだなと」

霧切「!!」


その瞬間、霧切は酷い頭痛と目眩に襲われてよろける。


K「おい! どうした!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:04:49.41 ID:VK/X53P40<>
霧切「なんでもないわ…」

K「ない訳なかろう! 頭が痛むのか? 見せてみろ」


頭を抱える霧切の手を払いのけて、KAZUYAは手早く霧切の頭部を見た。
そこでKAZUYAは、左右対称についた長方形の火傷のようなものを見つける。


K(何だ、これは?)

霧切「さわらないでっ!」バシッ

K「ムゥ…君は、何か隠してないか?」

霧切「何も隠してなんかいないわ…」

K「頭部に妙な跡があった。それが原因で体調不良を起こした可能性がある」

霧切(頭部に跡ですって? 何のこと?)

K「もし良かったら俺に診察させてくれないか? 何かわかるかもしれん」

霧切「…人のことにズカズカ足を踏み入れてくるのが医者の仕事なのかしら?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:07:08.68 ID:VK/X53P40<>
K「その必要があればな。俺は医者だ! 苦しむ者を放っておくことは出来ん。
 話したくないならば、今は無理に聞いたりはしない。だが、学園長からも
 君のことを頼まれている。何かあればいつでも俺を…」

霧切「待って! …待って!」

K「霧切?」


頭を抱え表情を歪ませながら、霧切はKAZUYAの言葉を遮る。
見覚えのある男の顔が頭のなかに浮かんだ。


霧切(…少し思い出せた。そう、私の父はこの学園の学園長…私は、私は父に…父に何?)

霧切(この人は父のことを知っている。恐らく、私が何者なのかも…
   でも、知らない人間に弱みを見せるのは後々弱点になるかもしれない)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:09:05.85 ID:VK/X53P40<>

自分の秘密を、このよく知りもしない不審な男に打ち明けるかどうかで
霧切は逡巡していた。恐らく相手も自分が品定めされていることに
気付いているのだろうが、ただ黙ってじっと霧切の判断を待ってくれた。


霧切(…わかってる。わかってるのよ危険だって。それでも、私は自分が
   何者なのか知りたい…! 自分の中に何もないというのは、恐ろしい…)

霧切「ここでは監視カメラがあるので…男子トイレにきて下さるかしら?」

K「俺は構わないのだが君は…」

霧切「私は大丈夫です」

K(…俺は大丈夫ではないのだが)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:19:39.94 ID:VK/X53P40<>
     ― モノクマ劇場 ―


モノクマ「一旦ここまで。で、今回は重要なお知らせがあるよ!」

モノクマ「僕はクロスSSの醍醐味ってキャラの絡みにあると思うんだよね。
     で、今まで長々とチュートリアルやってた訳だけど、やっと校内探索も終わって
     必要な設定も出しつくしたので、次回から自由時間を設けようと思います!」

モノクマ「自由時間とは、まあ原作ゲームでいう所の日常編だね。安価使って指定された
     生徒達と会ったり移動したりとか。そうやって先生と生徒達の仲を深めて行きます」

モノクマ「本編にいちいち数字書かないけど各生徒達には親密度という隠れゲージがあり、
     この親密度を上げることによってイベントが起きたり、本筋にも影響したりします。
     主に死傷者の数や事件の被害レベルとかがね…」

モノクマ「より多くの生徒と仲良くなれば当然エンディングも良くなります。みんな頑張ってね!」


モノクマ「さて…人いるならこのまま投下続行するけど、誰かいるかな?」

<> B級氷属性男子生徒【工学科】召喚:マントの欠片A<>saga<>2013/10/25(金) 22:21:41.17 ID:I5OcV5O90<> いますよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 22:22:13.62 ID:pJNYxl9ao<> 続行で <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:24:06.37 ID:VK/X53P40<> では続行します。



― 男子トイレ ―


K「…成程。記憶が一部混乱している。どのくらいだ?」

霧切「……」

K「言いたくない気持ちも分かるが、症状を正確に把握しないとこちらも対処出来んぞ」

霧切「…ドクターは、記憶喪失の事例を過去に診たことがありますか?」

K「見たも何も、俺自身が二度目の記憶喪失患者だ」

霧切「?!」

K「今回は部分的な記憶の混乱といった所だが、以前は自分の名前も素性も全て忘れた」

霧切「…そ、それで! 一体どうやって戻ったのですか?」

K「手術だ」

霧切「…え」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:25:27.57 ID:VK/X53P40<>
K「怪我人がいたのだがその場に俺しか医者がなく、周りから
 緊急手術を求められたのだ。医者としての記憶がないのにも関わらず」

K「だが不思議と、幼い時から繰り返し訓練していたからか、
 手術の手順は体が覚えていたのだ。そして自然と記憶を取り戻した」

霧切「……」

K「君の肩書きは『超高校級の探偵』だ」

霧切「!!」

K「この学園の謎を解いていけば、失われた記憶も戻るやもしれん。
 それでもダメなら俺の元に来い。いつでも診てやる」


そう言い残し、去ろうとするKAZUYA。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:27:53.15 ID:VK/X53P40<>
霧切「待ってちょうだい! …何故なんの対価も見返りもなしに情報を教えたの。
   私の秘密を知っていれば、後々役に立ったかもしれないのに」

K「言っただろう。君の父親――霧切仁氏に君のことを頼まれたと。ついでに言うと、
 君の家は代々探偵をしていて、理由は知らないが君は父親と不仲だったらしい。
 だが学園長は君のことをとても心配していた。これが今俺が知っている情報の全てだ」

霧切「……」


今度こそ去ろうとしたが、そこにタイミング悪く葉隠が入ってくる。


葉隠「ちょ、先生と霧切っち…こんな所に二人っきりで何やってるべー?!
   ま、まさか教師が女子高生を男子トイレに連れ込んであんなこんなを…!」

K「誤解だッ!」(いかん、ただでさえ警戒されているというのに…)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:30:10.50 ID:VK/X53P40<>
不味い所を見られたとKAZUYAは内心肝を冷やしたが…


霧切「そうよ。私が先生を連れ込んだのだから」

K「な…?!」ポカーン

葉隠「で、でええええ?! 霧切っち、こういうタイプが好きなんか?
   なんにしろまだ会ったばかりだっつーのに大胆だべなぁ」

霧切「行きましょ、先生」


茫然とするKAZUYAを尻目に颯爽と男子トイレから出て行く霧切。


K「お、おい! いいのか?! 誤解されたぞ!」

霧切「ただで情報をもらうのはフェアじゃないわ。『超高校級の探偵』なら尚更ね」ファサッ

K「……(その心構えは立派だが、ウーム)」イイノダロウカ


その後、葉隠の活躍によりあっと言う間に変な噂が広まってしまった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:32:47.13 ID:VK/X53P40<>

― 自由行動 ―


これ以上一緒にいられる所を見られると不味いので、
霧切と早々に別れたKAZUYAだが、特にすることも浮かばなかった。

K「さて、どうするかな?」

誰かに会いに行く?
どこかに行く?


安価下(人に会うなら人名も)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 22:35:38.04 ID:PFcJ9rGDO<> 石丸に会う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 22:36:03.43 ID:UlIloq8DO<> 誰かに会う(大神) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 22:37:00.82 ID:ao1/WKUb0<> 誤って本物の江ノ島のところにいく <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 22:39:18.18 ID:Y7AfT/K+0<> ドクタ−TESU <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 22:41:18.54 ID:HOWJ8+Yd0<> 襲撃犯が再び襲来

どうでもいいがドクタ−Kのいる世界はパラレルワ−ルドで叔父か秘密結社が送り込んだりして <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:41:58.55 ID:VK/X53P40<>
K(とりあえず、石丸に会うか。あいつは『先生』である俺に好意的だからな。
  情報はなるべく共有しておくのがいい)


― 購買部 ―


石丸「あ、先生! 探索お疲れ様です!」

K「こんな所で何をしていたんだ? このマシーンは一体…?」

石丸「モノモノマシーンというらしいです。校内の至る所に落ちている
   この『モノクマメダル』というものを投入することで物をもらえるようです」

K「そういえば俺も何枚か拾ったな。やってみるか」


チャリーン

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:46:03.10 ID:VK/X53P40<>
【サバイバルナイフ】をゲットした!


K「」

石丸「」

K「…このマシーンは凶器を生徒達に与えて殺し合いを促進させるものなのか?」

石丸「いや、そんなはずは…僕が今まで見たのはおもちゃやガラクタだけですが…
   みんながもらった物も見ましたけど、こんなものは初めて出ました」

K「(たまたまだな)…もう一回だ」


チャリーン

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 22:51:52.45 ID:WnXUZOTH0<> ドクタ−K なにひいてんだ しかしKならバツゲ−ムうけたやつでも助けられそう <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:52:37.79 ID:VK/X53P40<>
【ベアクロー】をゲットした!

説明:僕の爪じゃないよ! ウォ○ズマンの奴だよ!

【トゲトゲメリケンサック】

説明:撃ち抜け! 貫け! 本能のままに!!


K「…何故俺のばかり…」

石丸「…たまたまですよ! 逆に考えると、生徒に危険な物が
   行かなくて良かったではないですか! 危険物は没収すべきです!」

K「…ああ、そうだな」


出たものは石丸にあげようと思っていたが、凶器を渡す訳にもいかないので
全て保健室に持っていく羽目になった。こんなものを持っている所を見られたくない…



K「さて、次はどうするかな?」

誰かに会いに行く?
どこかに行く?



安価下(人に会うなら人名も。現在Kが認識している人のみでお願いします)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 22:56:08.99 ID:1ZOTmHA0o<> 苗木は大丈夫か? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 22:56:16.82 ID:q3/ITK8F0<> 葉隠 誤解を解きに <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 22:56:53.86 ID:1ZOTmHA0o<> 大丈夫なら会いに行くと言う意味で
苗木がダメなら安価下 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:57:12.89 ID:VK/X53P40<> えっと、これは苗木でいいのかな? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 22:57:23.18 ID:4q18ZMPy0<> モノクマ ウォーズマンの爪が本当かききに それとモノクマガチャも <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 22:57:41.19 ID:S3qnden9o<> 苗木でいいんじゃね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 22:58:34.39 ID:7KBvG4Wd0<> いいんでな〜の
ま最終的な判断はそっちでしょ <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 22:59:29.26 ID:VK/X53P40<> 苗木把握




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 23:00:47.12 ID:VKmJS1kh0<> 大丈夫だKなら何とかしてくれる <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 23:03:36.39 ID:VK/X53P40<>
K「苗木に会ってみるか。あいつも比較的俺に好意的だった。さっそく他の生徒とも
 上手くやっているようだし、苗木を通じて他の生徒とも親しくなれるかもしれん」

苗木「あ、先生」

K「何か発見はあったか?」

苗木「うーん、残念ながら何も…でも、諦めちゃダメですよね! まだ半日しか経ってないし」

K「前向きなんだな」

苗木「僕、運でこの学園に選ばれただけの平凡ど真ん中、好きな漫画や映画は常にランキング一位みたいな
   地味で普通の学生なんですけど、人よりちょっと前向きな所が長所なんです」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 23:03:48.50 ID:S3qnden9o<> Kとてつをと黄金バットの安心感は異常だからな <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 23:10:53.09 ID:VK/X53P40<>
K「そんなに自分を卑下するな。こんな状況なのに前向きでいられるということは大したものだ」

苗木「そ、そうですか? そう言ってもらえると嬉しいです」

K「そういえば、お前は舞園さやかとよく行動を共にしていたな」

苗木「舞園さん、僕と同じ中学出身で。…舞園さんて、凄いんですよ! 凄く勘が良くて、
   僕が考えてることをズバズバ当てちゃうんです! それでエスパーですからって
   言われて、彼女は冗談のつもりなんですけど、僕は本当にエスパーなんじゃないかって…」


その後、苗木の舞園トークに付き合った。
生徒達のことを前より少し知れたし、仲も良くなった気がする。

やはり色々な生徒と話し、相手を理解せねばこの学園生活は乗り切れまい。


K「さて、次はどうするか」

誰かに会いに行く?
どこかに行く?



安価下(人に会うなら人名も。現在Kが認識している人のみでお願いします)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 23:14:25.65 ID:S3qnden9o<> 舞園さん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 23:19:31.70 ID:oF9SWDAc0<> やはり謎の装置をこっそり調べにいく <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 23:19:54.18 ID:VK/X53P40<>

苗木と別れたら、その直後にちょうど舞園と会った。


K「む、舞園か」

舞園「あ、先生。こんにちわ」

K(超高校生級のアイドルと言われているだけあって、非の打ち所のない鮮やかな笑顔だな。
 …しかし俺にはわかる。彼女は会ったはずのない俺が彼女を知っていたことでまだ警戒している)

K(しかしあからさまに避ける訳にもいかん。最初はあたりさわりのない会話をして離れるか)

K「さっき苗木と会って、君のことを聞いたぞ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 23:27:27.60 ID:VK/X53P40<>
舞園「え? 苗木くんが、ですか? どんなことを言ってました?」

K(反応は悪くない。この場で唯一の顔見知りだ。信頼しているようだな)

K「君のことを褒めていた。まるで超能力者のようにとても勘が良く、気が利くと。
 苗木の助手になったそうだな?」

舞園「はい! 私、いきなりこんな所に連れて来られてとても不安で…
   そんな私を苗木君は励ましてくれたんです。だから苗木君のお手伝いができたらな、と」

K「良い助手を持てて苗木は幸せ者だな。俺も優秀な助手が欲しいものだ」

舞園「でも、先生は助手なんて必要ないんじゃないですか?」

K「何故そう思う?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 23:31:55.69 ID:VK/X53P40<>
舞園「…なんとなくですけど、先生はどこか人を遠ざけている気がします。
   別にその人のことが嫌いなのではなくて、何か事情があって…」


KAZUYAは舌を巻いた。確かに、周囲の人間を危険に巻き込みたくなくて
必要以上は仲良くしないようにしている節はあった。


K「…噂に違わぬ鋭さだな」

舞園「フフッ、エスパーですから」


まだ完全に警戒は解けていないが、苗木と信頼関係を築けば
彼が緩衝材になって、近い将来信用してもらえるかもしれない…



本日ラスト

誰かに会いに行く?
どこかに行く?


安価下(人に会うなら人名も。生徒15人のうちで)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 23:33:24.02 ID:tkJoUB9I0<> 江ノ島になりすましてる戦刃 Kなら筋肉とかで気づきそうな気がするが・・・・ <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 23:40:21.25 ID:VK/X53P40<>
K(あれは…江ノ島盾子か…)

江ノ島「……」


探索しながら廊下を歩いていたら、同じようにブラブラと歩いてきた江ノ島と出会う。


K(彼女は…俺に強い警戒心を持っている一人だな。まあ、それも無理はない。
 確かにこの状況であんな現れ方をしたら警戒するのが普通の人間だ)

K(しかも彼女の風貌や格好からして…恐らく教師と言った生き物は嫌いだろう。反発心も強そうだ)


思わず目が合う。


江ノ島「…なに? 何か用?」







<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 23:41:06.79 ID:lXEBCIWi0<> >>144それいったら始まらない 原作の面を強めて主人公ほせいありにすればともかくクロスでそれは
まあCIAに追われたり独裁国家の反体制グループの指導者が知り合いだったりするけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/25(金) 23:43:38.02 ID:0tAHTYDt0<> 霧切家とKの一族ならどっちが古い <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 23:47:16.28 ID:VK/X53P40<> >>144
同じこと思ったけど、そもそも記憶喪失で戦刃の記憶が飛んでるので気付かなかったということで



K「いや、特に用はないが」

江ノ島「あっそう。んじゃあね」

K「…待て。その、個人行動が多いようだがみんなとは仲良く出来ているか?」

江ノ島「なに? おセッキョー? 余計なお世話だから。アタシ先生とか好きじゃないしー。
    …あんたのこともまだ信用してないから」

K(…やはりこうなるか)


江ノ島はさっさと行ってしまった。
彼女と親しくなるにはだいぶ時間がかかりそうだ。


・・・


いや、そもそも親しくなれるのか?

何か、教師や社会のルールに対する反発心以外の感情を感じる。


それが何かは、今の俺にはまだわからなかった。


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 23:53:34.44 ID:VK/X53P40<> モノクマ「今日はここまで〜。いやぁ、自分の遅筆っぷりに愕然としたよ!
     安価スレやってる作者さんて凄いね! 僕も見習わないと」

モノクマ「もうちょっと様子見るけど、あまりに遅くなりそうだったら
     事前安価制にして、次回にまとめて投下ってことにするかも」


モノクマ「ところで、さっそく過ぎるけど攻略のヒント聞きたい?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/25(金) 23:55:26.49 ID:S3qnden9o<> 頼む <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/25(金) 23:58:16.28 ID:VK/X53P40<>
モノクマ「ヒント聞きたいって? ブヒャヒャ! 教える訳ないじゃん!
    絶望した? ねえ絶望した?」


ドガッ!


モノクマ「誰だ?! いま僕の頭にかかと落としをした奴は!」


「この俺だぁ!」


モノクマ「な、なんだコイツ? 花形満みたいなふざけた前髪しやがって」

TETSU「俺こそKの宿命のライバル、ドクターTことTETSU様だ! 本編じゃ出番がないからな。
    俺がこの白黒ブタに代わってお前達にヒントを教えてやるぜ!」

モノクマ「僕はブタじゃない! クマ型ロボット!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/26(土) 00:10:14.74 ID:WfdwnmRX0<>

― ドクターTETSUのヒントコーナー ―


TETSU「で、早速だが。Kの奴、第一印象が悪い上にモノクマの野郎に嵌められて、
     一部の生徒を除きかなり警戒されてるな。全く、不審者みたいな格好してるからだぜ」

モノクマ「いやお前だって相当怪しいだろ」

TETSU「俺はあいつと違ってまともな服装してる」


※KAZUYA先生の赤いマントに対し、TETSU先生は白のロングコートを愛用されています。


モノクマ「髪型だよ! その前髪おかしすぎるだろ! マキシマム怪しいよ!」

TETSU「(無視)ゴホン。で、ヒントだが正直いるのか? 今回の安価、かなりわかってる感じだぜ。
    とにかく序盤は今回みたいに警戒心の弱い奴から仲良くなって外堀を埋めていくのがいいな」

TETSU「俺のおすすめは苗木、朝日奈、石丸。あとは桑田あたりか。このへんは親密度が上がりやすいし
     アクティブだから色々と良いイベントを起こしてくれる。あと、当然のことだが事件の前には
     しっかり関係者を押さえておくことだな。大体キーになる奴がいるからそこを重点的に攻めろ」

TETSU「今回は以上だ。>>1はみんなが楽しめるSSを目指してるから、疑問質問があったら気軽に答えるぞ。
    SSはゲームと違ってやり直しがきかないしな。さて、俺は研究に戻る。じゃあな。頑張れよ!」

モノクマ「やっと帰ったよ…。他にもこういう組み合わせやシチュ見たいとか意見感想は出来るだけ応えてく予定だよ!
      特にほのぼの系や和み系は早めに言った方がいいかもしれないね。事件が起こるとどうしてもギスギスしてくるから…」


モノクマ「長くなったけど、それではー」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/26(土) 00:15:45.92 ID:1eH5ppTro<> ギスギスはや− <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/26(土) 00:23:33.47 ID:OHykZxpbo<> 舞園さんと桑田と残姉抑えれば1つ目の事件を回避できるかもしれないな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/26(土) 00:29:09.18 ID:WQddiKQ+0<> ドクターKは面白い
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/26(土) 09:48:00.90 ID:BKnSAlJDO<> 回避したら二階等の開放はあるのかな?
後Kはどの時点だろ。
一也(Kの息子)はもう生まれているのかな。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/26(土) 09:49:26.30 ID:eS3wMfyoo<> 三階まで解放済みって書いてあるやん <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/26(土) 23:46:42.68 ID:Phb9Sq3m0<>
投下再開


そういえば余談ですが、最初は体内時計は一日25時間周期と書いていたんですね
ただ間違ってたらどうしようと不安になってなんとなく投下直前にググッたら、
今年辺りに新しい論文が出て現在では24時間10分が一番正確のようですよ

まあ、トリビアということで

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/26(土) 23:50:38.47 ID:Phb9Sq3m0<>

― 食堂 PM6:00 ―


夕飯時、そこではKAZUYAの恐れていた事態が起こっていた。
昼食時には男女入り乱れて座っていたのに、
今は男女で真っ二つにグループが分かれている。

明らかに自分の席と思われる空席にKAZUYAは座った。


桑田「聞いたぜ、オッサン! いやぁ、あのクールな鉄仮面女がまさかねえ」

山田「霧切女史からはどんな風に迫られたのですかな?! kwsk(イケメンボイス)!」

K「だから、それは誤解d 石丸「先生ッ!!!」

石丸「僕は見損ないました! いくら声をかけたのは霧切君の方からだとしても、
   教師ならそれを毅然とした態度で断るべきなのではないですかっ?!」

大和田「うっせえな! 優等生は黙ってろよ!」

苗木「そ、それで? なんて言われたんですか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/26(土) 23:51:52.47 ID:Phb9Sq3m0<>
K「だから誤解だ! 俺は医者として彼女から相談を受けた。それだけだ」

石丸「相談? 彼女はどこか悪いのですか?」

K「医者が患者のプライバシーを口外する訳なかろう。監視カメラの前では
 言いたくないと彼女が言ったから必然的にあそこで話すことになったのだ」

桑田「監視カメラの前で言えない相談? 医者に相談っていうと当然体のことだよな。
   っておいおいまさかアレ? アレだったりしちゃうワケ?」

苗木・大和田・山田・葉隠「「「「あ……(察し)」」」」ピーン!

大和田「おい、この話はもうやめだ」

桑田「だな。俺ってマジ紳士だしぃ、これ以上はさぁすがにちょっとなぁ」

苗木「霧切さんに悪いしね」

山田「で、ですな! ムフフ」

石丸「んん?! アレとは何かね? みんな知っているのか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/26(土) 23:52:57.13 ID:Phb9Sq3m0<>
大和田「バカ! デカい声出すなっ!!」

葉隠「石丸っち、空気読むべ!」

石丸「先生、教えて下さい。アレとはなんですか?」

K「(ギョッ)…おい苗木、すまんがあとでこっそり教えてやってくれ」

苗木「ええ! 何で僕が…?!」

K「俺の口から言うのは立場上不味い。頼んだぞ」

苗木「そ、そんなぁ…(僕って絶対超高校級の不運だよね…)」

山田「苗木誠殿、もし説明しづらいというならこのわたくしにお任せあれ!
   彼にしっかりねっとりレクチャーをry 苗木「いや、僕がやるよ」

K(別の勘違いをされたが…まあ、最初の誤解よりはマシか? 霧切は大丈夫だろうか…)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/26(土) 23:54:04.48 ID:Phb9Sq3m0<>

チラリと霧切の方を見てみたが、同じようになんだか盛り上がっているようである。
いや、むしろ女子達の方がより激しく盛り上がっているかもしれない…


江ノ島「ねえねえ霧切! あのオッサンを男子トイレに連れ込んだって本当?」

不二咲「や、やめようよぉ。きっと嫌がるよ、霧切さん」

舞園「でも、私もちょっと興味があります」

霧切(こういう場合は変に疑惑を否定してもかえって火に油を注ぐ結果になるだけ。
   事実のみを簡潔に伝え、毅然とした態度を貫けば噂も自然と消滅する)

霧切「ええ、本当よ。といっても相談があっただけだけれど」

腐川「ふん…わかってんのよ…あんたの考えてることなんて。どうせ診察にかこつけ
   服を脱ぎ、篭絡しようとでもしたんでしょ! アイツを手篭めにして
   守ってもらえば、この生活でもあんたは安泰だものね! ああ、汚らわしい」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/26(土) 23:56:10.03 ID:Phb9Sq3m0<>
セレス「まあ、はしたない。クールな霧切さんがそのような下品なことを
    するような方だったなんて、人は見かけによりませんわねぇ」クスクス…

霧切「どう取ろうとそれはあなた達の自由よ。でも私は 朝日奈「ちょっとやめなよ!」

朝日奈「霧切ちゃんはそんな不純な気持ちじゃなくて、純粋に先生が好きなんだよねっ!!」

霧切「いえ、そうじゃなくて…」

朝日奈「うんうん! わかるよ! 大きい人ってなんか安心感あるもん!
    さくらちゃんもすっごく頼りになるしね!」←全く聞いてない

霧切「ええと、朝日奈さん?」

朝日奈「渋かっこいい先生だし、なにより私の好きなジェイソン・ステイサムに似てるし!」

不二咲「似てる、かな?」

舞園「先生もかなり渋い方ですし、体格や雰囲気だけなら、まあ…」

腐川「ふふん…いやらしい女同士気が合うのね」

朝日奈「い、いやらしいってなにが?!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/26(土) 23:57:56.79 ID:Phb9Sq3m0<>
腐川「あんたは体つきが既にいやらしいのよ! そうよ、二人で仲良く
   夜の授業でもしてもらえばいいじゃない。先生の太いチョークで…」

朝日奈「ちょ、ちょっと! やめてよ…あたし、そういう話苦手なんだって」カアァ////

腐川「カマトトぶってんじゃないわよ…!」

大神「腐川、もう止さぬか」

セレス「まあ、いい退屈しのぎにはなりそうですし、わたくしは
    お二人の仲を応援して差し上げてもよろしいですわよ?」

舞園「私に出来ることがあったらなんでも言って下さいね?」

江ノ島「…あ、あたしもあたしも! 色恋はギャルの得意分野っしょ?!」

不二咲「僕…いや私も協力するよ」

朝日奈「もちろん私もだよ! さくらちゃんも協力してくれるよね?」

大神「ウム、任されよ。男を掴むならまず胃袋だぞ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 00:00:11.10 ID:rA4jwqp00<>
朝日奈「それよく聞くよね! じゃあ私があとで先生に好きな物聞いてきてあげる!」

霧切「え? …ええ? あ、ありがとう」

霧切(そ、そうよ。ドクターとはこれからも二人で話す必要があるかもしれないし、
   かえってカムフラージュになるじゃない。ええ、これでいいのよ。ええ…)


なるようになるしかないと、霧切は半ば諦めの境地で適当に相槌を打っていた。


K(…………)

K(霧切は顔色一つ変えていない。良かった。大丈夫のようだな。ウム)


そして主人公キャラの例に漏れず、KAZUYAも色恋沙汰にはてんで鈍いのであった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 00:02:10.69 ID:rA4jwqp00<>
― 自由行動 ―


K(さて、誰かに会うか? それともどこかに行くか?)


安価下

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/27(日) 00:09:59.10 ID:Wb3M2M9DO<> 保健室に何か記憶のヒントないか探す。
手伝いに苗木頼む <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 00:16:07.34 ID:rA4jwqp00<>
K「苗木、さっきは妙なことを押し付けて悪かったな」

苗木「本当ですよ! いやぁ、とにかく恥ずかしかったなぁ。
   石丸君も顔真っ赤にしてお互い気まずいなんてレベルじゃなかったし」

K「お詫びに、保健室で茶でも淹れよう。黒幕が盗んでいなければ、良いのがあるはずだ」

苗木「本当? やった!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 00:23:17.99 ID:rA4jwqp00<>
― 保健室 ―


苗木「先生は、ここでしばらく働いてたんですよね」

K「ああ」

苗木「じゃあ、保健室にいれば記憶も戻るんじゃないかな」

K「そうだな。記憶喪失患者が記憶を取り戻す可能性が一番高いのは、
 かえって日頃やっていたことをやったり日常の中だったりするようだ」

苗木「役に立てるかわからないけど、僕も先生の記憶が戻るよう手伝います!」

K「ありがとう。…そもそも一つ聞きたいのだが、お前は俺を疑っていないのか?」


苗木が誰にでも親切な少年だというのは見ていてすぐにわかったが、
それにしても不審人物である自分に対し警戒心が薄い気がする。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 00:32:39.25 ID:rA4jwqp00<>
苗木「僕は舞園さんみたいに勘が良い訳でもないし、他のみんなみたいに何か
   特技があるわけじゃない。でも、なんとなく先生は『良い人』のような気がするんです」

K「……」


KAZUYAの脳裏に、野球の怪我で保健室に来たのに逆に付き添いで来た
桑田を気遣ったり、自分に対して大丈夫だと笑う苗木の顔が浮かんでいた。


苗木「根拠もないのにこんなこと言って、脳天気だなとか警戒心ないな、って
   思われたかもしれないけど、でも…」

K「いや、そんなことはない。お前のその優しさで俺は今とても助かった」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 00:33:42.23 ID:rA4jwqp00<>

まだ記憶は戻らないが、少なくともあの記憶は間違いではないと確信が持てた。
それだけでもとてもいい収穫だ。


苗木「本当ですか? 良かった」


その後、苗木と他愛ない談笑をして別れた。



誰かに会う?どこかに行く?

安価下 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 00:37:26.48 ID:vlCpOdsGo<> 皆集める <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 00:38:05.04 ID:0LGOTDSVo<> 桑田 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 00:45:18.98 ID:rA4jwqp00<>
全員はマズイので下の桑田で行きます。



まだ夜時間まで少し間があったので、KAZUYAは見回りをしていた。
食堂に行ってみると桑田が一人退屈そうに座っている。


K「桑田」

桑田「お、オッサンじゃん」

K「そんな所で何をやっているんだ?」

桑田「別にぃ。部屋にいてもやることないから、ここでボケーっとしてただけ」


と、ここで桑田は現在食堂に自分とKAZUYAしかいないことに気が付く。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 00:53:58.55 ID:rA4jwqp00<>
桑田「ちょ、オッサンまさか…俺のこと殺しに来たんじゃねえだろうな?」

K「まさか。俺はここの校医だと言ったろう?」

桑田「本当かよ…医師免許だかなんだかも偽造しようと思えば偽造できるし」


外見の派手さに対して、意外と臆病なようだ。


K「いくら口で言っても信じてもらえないだろうが本当だ。
 校医をする前は市井の病院でも勤務していた」

桑田「…じゃあさ、それが本当なら俺の質問にこたえてくれよ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 00:59:55.90 ID:rA4jwqp00<>
K「質問? ああ、構わないが…」


超一流の医師であるKAZUYAに答えられないことなどほとんどないが、
そもそも自分に質問するだけの知識をこの少年が持っているか疑問だった。


K(超高校級の野球選手だから、それに関した質問か? 過去にした怪我や、
 より効率の良い動きなどについてだろうか? あるいは…)


KAZUYAは真剣に考えて質問を予想していた。…が、


桑田「どこの病院の看護婦さんがレベル高いとかある?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 01:10:48.68 ID:rA4jwqp00<>
K「……ム?」


思わず静止し、質問の意図を考える。


K「…彼女達は皆訓練を受けたプロフェッショナルだ。やはり都会の大病院に優秀な人材が
 集まりがちではあるが、日本の医療教育はしっかりしているので病院規模で明確な差は…」

桑田「そうじゃなくてー。顔だよ顔。顔面レベル!」

K「…顔?」

桑田「なんかほら、白衣の天使って男の憧れじゃん! 可愛い看護婦さんがたくさんいる
   病院教えてくれたら、適当な怪我してそこ通ってみようかなーなんて」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 01:12:26.40 ID:rA4jwqp00<>

流石のKAZUYAも渋い顔になる。軽く説教したい。ボヤキたい。
だが今は信頼関係が大事だ。とにかく相手に合わせなくてはならない。

KAZUYAは大人なので本心はそっと胸にしまった。


K「…………」

K「…すまんが、俺はそういうのはよくわからん」

桑田「ちぇー、クソマジメでやんの。つまんねえなぁ」


その後二言、三言交わしてその場を後にした。



時間も時間なので次がラスト

人名or場所

安価下

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 01:34:27.29 ID:wrbj9x8Ho<> ふかわ

可能ならジェノサイダー <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 01:45:29.52 ID:rA4jwqp00<>
KAZUYAは図書室に向かっていた。
空いている時間に読む医学書を借りようと思ったのだ。

しかし、何故か図書室の前には腐川が立っている。


腐川「あ、あんたは…!」


仕方がないとはいえ、心底嫌そうな目で見られて少し傷ついた。


K「腐川、そんな所で何をしているんだ」

腐川「…別に、いいでしょ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 01:51:44.16 ID:rA4jwqp00<>
K「中に入らないのか?」

腐川「…白夜様が、読書の邪魔だって」

K(白夜…様? どういう関係なんだこの二人は?)

腐川「あんたも…入っちゃダメよ。邪魔になるんだから」

K「長居するつもりはない。本を借りに来ただけだ」

腐川「…そ」


嫌々ながら扉の前から退く腐川。


K(何があったか知らんが、俺に限らずとにかく他人に対する警戒心が高い。
 彼女の警戒を解くには相当の時間がかかるだろう…)


刺激しないように速やかに用を済ませてKAZUYAはその場を後にした。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 01:55:02.50 ID:rA4jwqp00<>

見回りをしながらKAZUYAは思い出した。


K(そういえば…霧切の頭部にあったあの奇妙な跡…電極のようなものを
 取り付けられたのか? そして記憶が無い…まさかあの火傷に関連している?)

K(他の生徒の頭部も調べたい所だが、俺はまだ完全に信頼されていない。
  妙な行動を取ればまた不審に思われるだろう)

K「ム、ちょうどいい。苗木」

苗木「なんですか、先生?」

K「お前の髪にゴミがついている。取るぞ」

苗木「え、本当? お願いします」ワシャワシャワシャ

K「(! これは…)取れたぞ」

苗木「ありがとうございました」タタッ

K(……)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 01:57:24.38 ID:rA4jwqp00<>
K(これは一体どういうことだ? 霧切ほどはっきりついている訳ではないが、
 苗木の頭部の同じ位置にもうっすら火傷跡のようなものが見られた…)


その後、石丸と不二咲に同じことを行い、同じように微かな火傷跡を発見した。


K(この調子なら全員ありそうだな。最初は記憶喪失に何か関係があるのかと
  思ったが、苗木達は別に記憶喪失という訳ではない。気のせいか?)

K(…いや、待てよ。初めて彼らに会った時、俺と彼らの記憶には食い違いがあった。
  もしやそれが関連しているのか? …断定するには情報が足りなすぎる)


決めつけで視野を狭めたくなかったので、なるべく仮説という形式をとって考える。


K(今言えることは『黒幕が生徒達の体に何かした形跡がある』ということだけだ。
 相手は超高校級の生徒ばかり…何かを調べたのか? その影響で記憶が…?)

K(…その可能性はあるかもしれんな)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 01:59:35.70 ID:rA4jwqp00<>
KAZUYAは保健室に戻り、次に現在の状況の整理をし始めた。


K(まず大前提だが、ここは本当に希望ヶ峰学園なのか? 都内のど真ん中にある
  学校を誰にも知られず丸ごと乗っ取るということが果たして可能なのか)

K(やはり、俺が忘れているだけで学園は廃校になったのだろうか…?
  しかし廃校になったのなら俺は役目を終え、病院に戻っているはずだ。
  何故誰もいないはずのこの学園に俺はいた? 一体何のために?)

K(そもそも、悪趣味な黒幕が何らかの目的で殺し合いを見たがったとする。
  それを学校でやる意味はなんだ? 山の中の廃屋にでも閉じ込めた方が、
  より生徒達の精神を追い詰められると思うのだが。ここでやる意味は何だ?)


保健室が本当に自分がよく見知った保健室なのか確認するために、
KAZUYAは細かい机の傷や壁のシミなどを調べる。


K(間違いない。ここは確かに俺が使っていた保健室だ…
  ならばここは正真正銘本物の希望ヶ峰学園内部で合っているのか)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 02:00:52.00 ID:rA4jwqp00<>
K(しかし…舞園は誰もが知っているアイドルだそうだ。十神は大財閥の御曹司。
  そんな輩が消えて誰も気が付かない訳がない。そうだ、待っていれば助けが来るはずだ。
  俺はその時、内部から協力すればいい。それまで事件を起こさないことが俺の使命だ)


ここで、KAZUYAの脳裏にゾッとするような恐ろしい仮説が浮かんでしまった。


K(…ここまで大掛かりな行動をとる輩が、そんなすぐに破綻する計画を立てるか?
  警察がきちんと機能していれば助けが来るはずだ。もし、機能していないなら…)



K(…外の世界は、今どうなっている――?)


鉄板は自分と大神の二人がかりでかかれば取れなくもなさそうだ。
だが、剥がそうとすれば今まで静観していた黒幕が生徒に危害を加えるかもしれない。

それに、何故か今は不思議とそれをしようという気にならなかった…

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 02:01:32.08 ID:rA4jwqp00<>
今日はここまで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 02:05:26.61 ID:qg7Ebplvo<> 乙です <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 19:37:26.96 ID:Gnt0DdCt0<>

― モニタールーム ―


気まずい顔をしながら戦刃は部屋に入り、頭を下げる。


戦刃「盾子ちゃん、ごめんっ!」

江ノ島「今更どのような顔をして私様に会いに来たのでしょうか」

戦刃「だって、だってちゃんと殺したはずだったんだよ?!」

江ノ島「殺した後、死体の処理をするまでを私様は頼んだはずですが」

戦刃「そ、それは…殺した後盾子ちゃんに呼び出されちゃってそれで…」

江ノ島「それで、忘れてたってーのっ?!」

戦刃「忙しかったんだもん、ゴメーン! それに、三階ならしばらくみんなも
   入って来れないし、処理は後でゆっくりすればいいかななんて」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 19:38:43.02 ID:Gnt0DdCt0<>
わたわたと言い訳をする双子の姉を、江ノ島は冷ややかに眺めていた。
本物の江ノ島盾子は非常に飽きっぽく、口調や態度をコロコロと変えるのだが、
今度は顔の横に手でポーズを作り、男性のような口調で話し始める。


江ノ島「それでこの事態か。まったく、君は本当に残念な姉だな。だから残姉と呼ばれるのだ」

戦刃「ほ、本当にごめんね…なんなら今からもう一回奇襲をかけようか?
   まだ傷も完全に治ってないみたいだし、今ならきっと…」

江ノ島「ダメに決まってんでしょうがっ! このコロシアイはあくまで生徒が
    自主的に行うから意味があるのっ! なのに、イレギュラーとはいえ
    一度内部に入った人間を黒幕が直接手を下しちゃったらルール違反でしょ!」

江ノ島「校則違反でもないのにこちらから手を下したら、常にクロの候補は
    黒幕ということになるから『学級裁判』自体が成り立たなくなる」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 19:41:03.38 ID:Gnt0DdCt0<>

学級裁判という意味深な単語を挙げて江ノ島は戦刃を牽制する。


江ノ島「こうなっちゃった以上、もうあいつに対しては静観するしかないの」

戦刃「……」シュン

江ノ島「ああもう、しばらく残姉に頼むことはないからとっとと帰ってくれる?」

戦刃「わ、わかった。私、帰るね」トボトボ


肩を落として去る姉の後ろ姿を、江ノ島は少しだけ感慨深く見ていた。


江ノ島(そう、残姉の仕事はこれで終わり。もうやることはない――)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 19:47:35.04 ID:Gnt0DdCt0<>
モノクマ「ハイハイ、オマエラこんばんは。えー、ここから先はちょっとしたオマケです」

モノクマ「もうあとは二日目にちょっと自由行動入れて、三日目は何もないからスキップだし
     その次はいよいよみんな大好きD・V・Dの時間に突入しちゃうんだよ!」

モノクマ「てな訳で、まだ事件起こってない平和なうちに小ネタいっときます。ではでは〜」



― オマケ劇場 @ 〜 食事当番 〜 ―


石丸「僕達は今、早急に決めなければならないことがある! それは食事当番だ!」

葉隠「いくら食材があったって誰かが作んねえと食べられねえしな」

石丸「僕は家の手伝いをしていたので多少は作れる。レパートリーは数えるほどだが、
   当番の日までに図書室の料理本を見て勉強しよう! なに、何事も努力だ!」

セレス「まず料理を作れる人に挙手して頂いて、その方達をその日の料理長、
    副料理長に任命し残りをお手伝いに振り分ければよろしいのでは?」

セレス「ちなみにわたくしは作れません。作って頂く立場ですので」ニコ

石丸「では料理の出来る人、速やかに挙手したまえ!」ノ


【朝日奈】ノ 【大神】ノ 【舞園】ノ 【江ノ島】ノ 【KAZUYA】ノ

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 19:49:35.43 ID:Gnt0DdCt0<>

一同「え…?!」


あまりにも意外な面子に一同の視線が二人の人間に集中する。

朝日奈「ちょっとー、なんでみんなそんな顔してさくらちゃんを見るの?
    さくらちゃんは料理が得意な乙女なんだよー」

大神「……」ズゥゥゥゥン!

一同(乙女とか言われても…それに…)

K「俺が料理をするのはそんなにおかしいか?」ムスー

苗木「い、いや! そういうワケじゃないですけど…」

K「…お袋が幼い頃に死んで、ずっと親父と二人暮しだったからな。その親父も仕事で
 家を空けがちで、半分一人暮らしのようなものだった。だから家事は一通り出来る」

苗木(なんか先生って…過去が凄そうだよなぁ。話してもらったら絶対一日で済まなそう…)


実に単行本54巻、文庫本にして27巻分の厚みである。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 19:51:36.32 ID:Gnt0DdCt0<>

― オマケ劇場 A 〜 山田レポート 〜 ―


山田「さてさて、食事当番は以下の料理長を中心にメンバーを振り分けたのですぞ。
   料理長を務める人間によってその日の傾向がガラリと変わるようです」


初日(KAZUYA):普通の家庭料理。和食中心。病院食のように栄養バランスが綿密に計算されている。

二日目(舞園):魚と野菜中心のヘルシー料理。アイドルの手料理とかご褒美過ぎるだろJK…

三日目(朝日奈):とにかくゴッテリ! カロリー無視の豪快料理。そのため味は一番かもしれない。

四日目(大神):筋肉をつけるメニュー。全体的に栄養価も高くプロテインドリンクが付属する。

五日目(石丸):ザ・男の手料理! 見た目はイマイチだがレシピを完全再現してるので味は悪くない。

六日目(江ノ島):料理が出来るとは意外ですな。しかしどこか野戦食のようなワイルド感満載でござる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 19:55:47.46 ID:Gnt0DdCt0<>
山田「ちなみに班決めの際、桑田怜恩殿は女子の多い班に行こうとしたのですが、石丸清多夏殿に
   ムリヤリ自分と同じ班にされたのですぞ。あと、十神白夜殿は意外にも西城カズヤ先生と
   同じ班を希望したのです。あんなに警戒していたのに不思議ですなぁ」

山田「で、一週間味わってみたワケですが…うん、イケる! 意外とイケる気がしますぞ!!」

不二咲「こってり系とさっぱり系がほぼ交互に並んでいて栄養のバランスもいいんだよぉ」

霧切「この抑圧された環境下で、食事に不満を持たなくていいというのは数少ない救いだわ」

セレス「わたくしの舌を満足させるとは、みなさんなかなかやりますわねぇ」

山田「…閉じ込められてさえいなければ一生ここに住んでも良いんですがなぁ」 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 19:57:14.35 ID:Gnt0DdCt0<>

― オマケ劇場 B 〜 桑田くんとKAZUYA(>>178の詳細) 〜 ―


桑田「なあなあ、オッサンも俺のモテモテ伝説聞きたい聞きたい?! 聞きたいよなっ?!」

K「……」


まだ何も言ってないのに桑田はペラペラと喋りだした。


桑田「でさぁ、その試合の後にうちのジャーマネと〜…」

桑田「インタビューに来た女子アナのお姉さんと仲良くなって〜…」

桑田「っつーワケなのよ! さすが俺って感じで〜…」

K「(……)あー、そうか。ウム、凄いな」


半ば上の空の状態で適当に相槌を打ってやるKAZUYA。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/27(日) 19:59:41.18 ID:Gnt0DdCt0<>

K(ここに、高品がいればなァ…)


KAZUYAは友人の腹腔外科医である高品龍一を思い出していた。


KAZUYA『〜とまあ、こういうことがあったんだ。全く、最近の学生という奴は…』

高品『まあまあ、いいじゃないッスか! 高校生なんて大体そんなもんですよ。
   それより久しぶりに今夜は飲みませんか? 上手い鍋の店見つけたんで!』

KAZUYA『なら今日は俺がおごるとしよう。積もる話もあるしな』

高品『本当ですか? 流石K! よーし、今日は思い切り飲みましょう! ハハハッ!』


K(今頃どうしているのだろうか…)


そんなに長期間会っていない訳ではないはずなのに、なんだか無性に懐かしいのだった。



<> 1@携帯<>saga<>2013/10/27(日) 23:16:51.18 ID:3XGVL8NDO<>
連絡です。今日もう一回投下に来る予定だったけど、明日早いし無理かもしれません
かと言って平日だと上手く安価さばけるか不安なので二日目の自由行動は
事前安価にして、次回投下分と同時に落とそうかと考えております。ご協力お願いします。


人名or場所
>>200
>>202
>>204
>>206

モノクマ「上でも言ったけどそろそろ事件だから今回の安価は結構重要だよ!
     まあどんな結果になっても僕は楽しめるけどね。うぷぷ。それじゃ頑張ってね!」


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 23:27:10.94 ID:CfUkF655o<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 23:30:04.85 ID:PlQDYaTmo<> kskst <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 23:30:49.17 ID:w8awI/ZVo<> 桑田 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 23:30:53.27 ID:0LGOTDSVo<> 桑田 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 23:31:12.66 ID:PlQDYaTmo<> 舞園 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 23:34:09.18 ID:CfUkF655o<> 苗木 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 23:40:02.87 ID:0LGOTDSVo<> >>203 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 23:41:43.52 ID:OPLefTL6o<> 大神 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/27(日) 23:49:29.38 ID:xml2+LKoo<> 戦場 <> 1@携帯<>sage<>2013/10/28(月) 22:14:43.33 ID:F6BVrD+DO<> モノクマ「お前ら、夜です。夜になりました〜…」

モノクマ「えー安価は桑田君、舞園さん、苗木君、江ノ島(戦刃)さんだね。把握」

モノクマ「いやぁ、みんなガチで安価取りにきてるね。ガッチガチだね!
     いいよいいよ!それでこそ殺りがいがあるというもの。希望が大きい程、
     絶望もまた大きいってものさ。僕も頑張るよ!」




モノクマ「話は変わるけど、初日終了でキリも良かったので今回初めて小ネタいれてみたけどどう?」

モノクマ「折角のクロスだし、今後も息抜き代わりにキリの良い所で時々いれようかなと
     思ってるけど、さっさと本筋進めろよって意見があったら本筋頑張ります」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/28(月) 22:24:19.91 ID:ZOzeT8CZo<> >>207
小ネタもあった方が楽しいから俺はいいと思う <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:09:46.10 ID:HA+y27wE0<>

― 翌日 食堂 AM8:00 ―


食堂に集まっていたのは石丸、朝日奈、大神、不二咲、舞園、苗木、そしてKAZUYAである。
今この場にいる生徒達は、いわゆる健全で真面目な学生たちに当たる。

そして真面目な学生代表の石丸は、目に見える程イライラしてテーブルの前を行き来していた。


石丸「8時! 8時だ! 他のみんなは一体何をしているのだっ?!」

KAZUYA「まあ、多少は大目に…」

石丸「乱れてるぅぅぅ! 風紀が乱れてるぅぅぅぅぅ!!」 KAZUYA「」ビクッ!


眉間にシワを寄せて絶叫する石丸に思わずKAZUYAも引いてしまう。
そこにあくびをしながら桑田が入ってきた。


桑田「ふぁあ〜。なんだよ、朝っぱらからうっせーな」

石丸「桑田君! 遅刻だぞ遅刻!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:12:13.66 ID:HA+y27wE0<>
桑田「あぁ? 8時じゃん! 時間通りなんて俺にしちゃ奇跡だぞ!」

石丸「いや、二分過ぎている! これは重大な遅刻だ!
    時間を守るということは人間にとって最も重要であり社会のルール…」

K「少し落ち着け石丸! あんなことがあったばかりで
  昨晩は皆よく眠れなかったのだろう。今日くらいは許してやれ」

桑田「ほ〜ら、先生様もいいって言ってんじゃん。セーフだよセ・ー・フ!」

石丸「そんな! 僕は10時には快眠していたというのに!」

苗木「なんというか、さすが石丸君だね…」

舞園「ブレませんね…」

石丸「とにかく、先生もいるのにこれ以上遅刻を許す訳にはいかん! 起こして来ます!」

K「いや、俺はまったく構わんのだが…」


話も聞かずに石丸は食堂を飛び出して行ってしまった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:14:25.21 ID:HA+y27wE0<>
K(今までに色々な人間と出会い、中には一癖も二癖も持つ人間はいたが、
  あそこまで個性が強くて激しい人間は初めてかもしれんな…)汗


流石のKAZUYAも、頬をポリポリと掻きながらやや呆れていた。
しばらくすると石丸に追い立てられるようにぞろぞろと遅刻組がやって来る。


石丸「全員揃ったな。ではこれより、第一回朝食会を始める。いただきます!」

一同「いただきまーす」


雑談などしながら、一同は朝食を取る。


苗木「今日の食事当番って舞園さんだよね? じゃあこれ舞園さんが?」

舞園「そうですよ。おいしいですか?」

苗木「もちろん! 家でも作ってたりするの?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:15:48.58 ID:HA+y27wE0<>
舞園「はい。仕事に穴を空けたりしたら大変ですから、健康には気を使ってるんです」

苗木「フーン、そうなんだ。(やっぱり普段はロケ弁ばっかりなのかな)

舞園「そうなんですよ。だから家にいる時くらいはちゃんとしようって」

苗木「…ふ、普通に僕の思考と会話するね」

舞園「だって私エスパーですから」ニコッ♪


・・・


桑田「なあなあ、オッサン。超有名な世界的な医者ってマジで?
   じゃあさじゃあさ、芸能界とかにも知り合いいたりすんの?」

K「まあな。顔は広い方だ。それがどうかしたのか?」

桑田「マジで? じゃあこっから出たら俺を紹介してくれよ!」

K「…お前は野球選手だろう?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:17:35.37 ID:HA+y27wE0<>
桑田「野球なんて泥臭いしダセエから嫌いだし! そもそも俺が天才だから周りが
   ムリヤリやらせるだけで練習だって一回も出たことないんだぜ! 俺の本当の
   夢はミュージシャンだっつの! ま、歌もギターもそんな上手くないけどさ!」

K「……」


実はKAZUYAは学園に来る前から桑田については知っていた。自分が以前
赴任していた加奈高校で、野球部の面倒をよく見ていたからである。

『桑田のやつまた完封だってよ! うちにいたら甲子園優勝間違いなしなのになぁ…』

『プロ顔負けだな。いきなりメジャーに行っちまうんじゃないか?』

『同じ高校生とは思えないぜ! メジャーでもこいつを止められる奴なんていないだろ!!』

楽しそうにスポーツ新聞を囲んで談笑する生徒達の姿を思い出す。


K「(…とてもあいつらには見せられん)才能がありすぎるというのも不幸だな」ボソッ

桑田「ん? なんか言った? とにかく頼むぜオッサン! ハハハッ!!」


・・・


大神「時に江ノ島盾子よ。一つ聞きたいのだが、雑誌とは少し雰囲気が違うのだな」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:19:18.21 ID:HA+y27wE0<>
江ノ島「(ギク)…雑誌のカバーショットのこと? ギャハハ、あんなん盛ってるんだって!
    画像編集ソフトって知ってるっしょ? 胸とか目とか、今はみんなやってるよ!」

大神「なんと!」 朝日奈「えー、そうなの?! なんか夢が崩れるー…」


監禁されているというのに、どこか緊張感のない一同であった。


― 自由行動 ―


桑田「おーっす、オッサンー!」


廊下を歩いていたら後ろから桑田に声をかけられた。何やら上機嫌のようである。


桑田「なあなあ、聞いてくれよ! さっきそこで舞園ちゃんと目が合ってさぁ!
   あれは絶対俺のこと意識してるって! 舞園ちゃんてさ〜…」


頼んでもいないのに舞園の魅力や自分ならお似合いだとか付き合いたいとか話してきた。
いい加減扱いがわかってきたKAZUYAは、適当に相槌を打って話に付き合ってやる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:24:47.47 ID:HA+y27wE0<>
K「〜ああ、ウム。そうか。凄いな(真面目そうな彼女と合う要素はないと思うが…)」

K(…しかし、何度か話してわかった。こいつは全くと言っていいほど裏表がない。
  大概の人間には何かしら一つはコンプレックスや劣等感がある。…俺ですら
  もし父が今も生きていたらそういう面もあっただろう)


だが、桑田からはそういった負の面は欠片も感じられない。幼い時から周囲に
チヤホヤされて育ったからだろう。練習せずとも成功を掴める程抜きん出た才能、
万人並の外見、勉強は苦手らしいがスポーツ特待生なので特に困らない。


K(それでいて好き放題わがままに生きてきたかと言うと、親や監督から
  しょっちょう小言を言われるらしく、善悪の感覚は一応しっかりしている)


伸び伸び育ったと言えるだろう。本能のままに生き、問題発言ばかりなのに
どこか憎めない所があるのはそれが所以か。好意的に解釈して、子供が一生懸命
自慢話をしてくるようなものだと思えば…まあ許せなくもない。


K(だがそれは大人の俺だからそう思えるのであって、あの無神経な発言の数々が同年代の
  友人達に果たしてどう映っているか…想像に難くない。悪気はないのだろうが…)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:30:14.91 ID:HA+y27wE0<>
K(桑田の相手をまともにしているのは俺を除けばあとは苗木と葉隠のみ。
  葉隠は実質大人のようなものだから同年代では性格が穏やかな苗木だけだ)


石丸は厳しい、大和田はすぐ怒るから怖い、山田は住む世界が違いすぎる、十神は論外。
女子達には軽くあしらわれるので、結果的に苗木達の所に行くのだろう。


K(しかし、よりによって舞園さやかを気に入っているとは…下手に手を出して
  こじれれば、苗木すらも去ってしまうぞ。もう少し親しくなったら釘を刺すか…)


基本的には遠くから見守ることの多いKAZUYAだが、今回ばかりは流石に心配になった。
しかし、この悪い予感が見事に的中しまうことをこの時のKAZUYAはまだ知らない。


・・・


KAZUYAがランドリーに行くとそこには舞園がいた。


舞園「あ、こんにちわ。西城先生もお洗濯ですか?」

K「ああ」

舞園「……」

K「……」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:40:14.09 ID:HA+y27wE0<>
K「(気まずい。何か話すか)君は森山千夏君を知っているか? 同じアイドルなら顔見知りでは…」

舞園「も、森山さんをご存知なんですか?!」


芸能に疎い自分は森山を知らなかったが、友人の高品曰くトップアイドルらしいし業界人なら
絶対知っているだろう、とは思ったがここまで大きな反応を見せるとは少々意外だった。


K「あ、ああ。知り合いか?」

舞園「知り合いも何も、うちの事務所の大先輩ですよ! 私もとてもお世話になっています。
  先生は一体どこでお知り合いになられたんですか?」

K「(本当のことは言えん)…三年前、彼女が体調を崩していた所をたまたま通りがかってな」


舞園の一つ前の世代のトップアイドル森山は作詞作曲も行うマルチアイドルで、抜群の歌唱力と
スタイルもあり今でも高い人気がある。そんな彼女が実は広節裂頭条虫症…いわゆる寄生虫の
サナダ虫に寄生されていたのをKAZUYAが見抜き、極秘に治療したことがあったのだ。


舞園「そうだったんですか…そういえば、あ…ああ! 私、思い出しました!」

K「何をだ?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:43:29.49 ID:HA+y27wE0<>
舞園「そうだ、私先生のこと知ってました…昔、森山さんが言ってたんです。裏世界の
   すっごいお医者さんと知り合いになったから、もし病気になったら紹介してあげるって」

舞園「マッチョな赤いマントを着た大男で、鋭い目付きをしていて、
   殺し屋かターミネーターみたいだよ!って言ってました」

K「殺し屋…」ターミネーター?

舞園「冗談だと思ってたんですけど、なんだ。先生のことだったんですね!」


この時初めて、舞園の警戒が少しだけ緩んだ気がした。


K「森山君が言っていたが、芸能界とは大変な世界のようだな」

舞園「はい。とても…大変ですよ。華やかな舞台の裏にあんなドロドロとした世界が
   あるなんて、普通の人にはきっと想像も出来ないと思います」

K「プレッシャーが凄いようだな」

舞園「勉強や運動と違って、死に物狂いに頑張っても結果が出ないこともあるし、
   何よりみんなライバルですからね…一見仲が良くても、陰で足を引っ張り合うなんて
   日常茶飯事なんです。私だってイヤなこと…したりされたりしました」

舞園「そうやって、やっと掴んだ場所なんです。だから、私にとって本当に安心出来る仲間は
   グループのメンバーとマネージャーさんだけ…私にとっては家族も同然なんです!」

K「そうか」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:45:59.91 ID:HA+y27wE0<>
舞園「…あれ、私なんでこんなこと先生に話したんでしょう。誰にも言ったことないのに…」

K「それは、恐らく俺が他人だからだろう。親しい人間だと、しがらみがあったり
  心配をかけまいと無意識にセーブしてしまう。家族や親友にも言えないことを
  酒場で同席しただけの人間にポロッと漏らすなんてことは、よくある」

舞園「そうなんですか。なんだか愚痴を言ってしまったみたいですみません」

K「気にするな。俺は校医だからな。生徒の心のケアも仕事のうちだ。
  何か言いたくなったら来るといい。いくらでも聞いてやる」


舞園はとても努力家のようだ。いや、努力だけではなく多くの物を犠牲にして頂点に
上り詰めたのかもしれない。彼女の情熱的な瞳に、KAZUYAは執念に近いものを見たような気がした。


・・・


KAZUYAが保健室で医学書を読んでいると、ノックと共に苗木が入って来た。


苗木「こんにちは、先生」

K「どうした? 腹痛か何かか?」

苗木「そういう訳じゃなくて…今日も学園を探索したんです。でも何も見つからなくて。
   部屋に戻ってもやることなくて暇だから、遊びに来ちゃいました」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:48:45.77 ID:HA+y27wE0<>

ここが平和な学園なら保健室は遊び場じゃないぞと言うKAZUYAだが、
周囲に避けられている今のような状況では、正直苗木の存在はありがたかった。


K「フ、それは嬉しい限りだな。みんな俺を避けているから、
  ここに来てくれるのはお前くらいなものだぞ」

苗木「アハハ…みんな悪い人じゃないんだけどな。現に昨日は何も起きなかったし
   多分今日も起きない。明日だって明後日だって…」

苗木「…それで、いつかそのうち助けが来てくれるよ。多分」

K「フフ、お前のそういう前向きな所、俺は好きだぞ。そうだ。みんなのことを
  教えてくれないか? 俺は警戒されていてあまり話せないからな」

苗木「僕も、昨日会ったばっかりだからほとんどは『希望ヶ峰学園新入生スレ』で
   読んだ内容の受け売りだけど、それで良ければ…」


苗木は各生徒達の能力や実績、実際に自分が触れ合った印象等をわかりやすく
まとめて教えてくれた。この情報があれば、うっかり失言する危険も減るだろう。


苗木「朝日奈さんと大神さんはもう意気投合して一緒にトレーニングしてます。
   不二咲さんも誘ってて、最初は三人でやるつもりだったみたいだけど、
   何故か急にやっぱり疲れるからって言って不二咲さんは断ったみたいです」

苗木「そりゃそうだよね。僕だってあの二人にはついていけなさそうなのに、小柄な
   不二咲さんじゃ倒れちゃうよ。…あ、そうだ。先生に伝えることがあったんだ」

K「何だ?」 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:51:07.48 ID:HA+y27wE0<>
苗木「プールとトレーニングルームに繋がる更衣室なんですけど、この電子生徒手帳が
   ないと開かないんです。他人に貸すのはどうか? ってモノクマに聞いたら
   新しい校則を作られちゃって、貸し借りも出来ないから先生は入れません」

K「わかった。覚えておく(プールで事故があっても助けに行けないのか。不味いな…)」


その他、誰と誰が仲が良い、悪い。こんなことがあったなど苗木は逐一教えてくれた。


K「為になった。ありがとう」

苗木「いいんです。他のみんなと比べると僕はこのくらいしか出来ないから。
   本当、なんで僕みたいなのが選ばれちゃったんだろう」

K「運も実力のうち、だ。だが、気になるなら今から実力をつけるという手もある。
  勉強なら俺が教えてやるぞ。先に始めておけば、ここを出た時一歩リード出来る」

苗木「…そうですね。他にやることないし、それもいいかも」


KAZUYAは苗木に勉強をつけてやった。


・・・


江ノ島「…またあんた?」


KAZUYAは江ノ島の元に話をしに来ていた。何故だかわからない。
しかし、他の生徒には感じない妙な胸のつかえのようなものを彼女に感じるのだ。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:53:14.02 ID:HA+y27wE0<>

K(俺の気のせいでなければ、昨日よりも更に敵意が強くなっている)

K「…何かあったのか?」

江ノ島「…!」ギクリ


まさか、あんたのせいで妹に怒られたとは言えない。


江ノ島(どうする? 無視してどっか行きたいけど追っかけられたら困るし。
     それに今の私は盾子ちゃんなんだから、あんまり目立つ行動はまずいかも)

K「(何か話そう。何を話せば…そうだ)好きな食べ物とかあるか?」

江ノ島「ハア?! 突然なに? 好きな食べ物? そりゃレーショn…」

K「レーション?」


慌てて口をつぐむが時既に遅し。こうなれば全力で話を逸らすしかない。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 15:55:00.78 ID:S+Cn1L+7o<> ついに来たか <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:55:42.98 ID:HA+y27wE0<>
江ノ島「んなワケないでしょ?! ギャルがんなもん食べるかっつーの!
     つかマジでウザいんですけど。なんでアタシの周りをやたらうろついてんの?
     やっぱりあんた黒幕の仲間で、アタシを殺そうとしてるんじゃないの?!」

K「いや、それは違…」

江ノ島「ただでさえストーカーとか多いのに、オッサンなんかに追いかけられたら
     超キモいし! これ以上アタシに近づいてきたらみんなに言うから!!」


そう一方的に言い放って江ノ島は早足で去って行ってしまった。


K(食べないも何も、普通のギャルはレーションなど知らないと思うのだが…)


モヤモヤが解消されるどころか、会えば会うほど謎が増えるのであった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/30(水) 15:59:37.28 ID:7D/EPHN60<> 流石残姉ちゃん <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 15:59:39.23 ID:HA+y27wE0<>

一旦ここまで。更新遅くてゴメンネ!


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 16:07:20.20 ID:J461ELm4o<> 残姉ちゃんかわいいよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 18:40:52.79 ID:UPcVhvZDo<> 一旦乙です <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 21:46:25.74 ID:HA+y27wE0<>

投下再開!

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 21:49:57.66 ID:HA+y27wE0<>
だがその前にオマケだ!



― オマケ劇場 C 〜 プレゼント大作戦! 〜 ― (>>222の少し前)


朝日奈「約束通り先生に好きな食べ物聞いてきてあげるね!」

霧切「…私的にそれは単なる口約束だった方が嬉しいのだけれど」

朝日奈「じゃあ、行ってくるねー!」ダダダダダ…


・・・


朝日奈「セーンセー!」

K「どうした、朝日奈?」

朝日奈「先生の好きな食べ物ってなんスか?」

K「食べ物? 俺は食べられる物ならなんでもいいが…
 そうだな。塩鮭、青菜のひたし、里芋の煮っころがしが好きだ」

朝日奈「ちがうちがう! 甘いもの! 例えば、ドーナツとか! むしろドーナツ好き?」

K「ウーム、甘い物はあまり食べないな。血中の糖度、中性脂肪が上がるし体が酸化する元だ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 21:52:08.60 ID:HA+y27wE0<>
朝日奈「そんなのつまんないよ! そこをなんとか!」

K「なんとかと言われても…では、羊羹かな」

朝日奈「ヨーカンだね! ありがとー!」ダダダダダ…

K「?」


・・・


朝日奈「霧切ちゃん! 先生ヨーカンが好きだって! 手作りしてプレゼントしよう!!」

霧切「それは違うと思うわ!!」BREAK!!

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 21:53:51.24 ID:HA+y27wE0<>

― オマケ劇場 D 〜 男の戦い 〜 ―


苗木「(ガラッ)先生、大変です! 大和田君と葉隠君が喧嘩してるから
   先生を呼んできて欲しいって石丸君に…!」

K「何だと? 場所はどこだ? 今行く!」タタタッ


・・・


石丸「喧嘩はやめたまえ!」

大和田「うるせー! 男の戦いに口出すんじゃねえよ優等生!!」

葉隠「そうだべ! 石丸っちは引っ込んでるべ!!」

K「どうした? 何があった?」

大和田「石丸、テメエ先公呼びやがったな?!」

石丸「当然だ。仲間同士での喧嘩を見過ごすわけにはいかんからなっ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 21:56:17.29 ID:HA+y27wE0<>
K「それで、一体何を揉めていたんだ?」

大和田「ああ、決まってんだろ! 俺とコイツの」

葉隠「どっちの髪型が上か決めてたんだべ!」

K「…は?」

大和田「俺の自慢のリーゼントがテメエみたいなウニヘッドに負けるかよ!」

葉隠「モロコシ頭がなーに言ってるべ。これはドレッドって言ってなぁ、ちゃんと歴史が…」

石丸「だから喧嘩はよさないかと言ってるだろうっ!!」


ワイワイギャーギャー!!


K「…………帰っていいか?」

苗木「うん、いいと思います…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 21:57:37.34 ID:HA+y27wE0<>


Chapter.1 イキキル(非)日常編  ― 完 ―


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 22:00:31.35 ID:J461ELm4o<> 殺人は起きてしまうのか・・・ <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 22:04:53.24 ID:HA+y27wE0<>

Chapter.1 イキキル 非日常編


― 学園生活4日目 朝食後 ―


この学園に囚われてから丸三日が経った。恐れていたコロシアイは起こらず、
生徒達もこの環境に慣れ始めたのか、少なからず緊張が取れてきた。
今日もきっとコロシアイは起こらない。明日だって明後日だってこれからも…


ピンポンパンポーン


モノクマ『全員、体育館に集合して下さい。繰り返します。体育館に集合して下さい』

KAZUYA「…何だ?(今までこんなことはなかったというのに)」

十神「何の用かはわからんが、ろくでもないことだということだけはわかる」

舞園「苗木君…」

苗木「どうしたの、舞園さん?」

舞園「行くのが…怖い」

苗木「怖いのは僕も一緒だよ。でも、行かないとどんな目に遭わされるか
   わかったもんじゃないし。大丈夫、舞園さんには僕がついてるよ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 22:06:35.62 ID:HA+y27wE0<>
大和田「おうおう、朝っぱらからイチャついてんなよ。さっさと来い!」

苗木「わ、わかった。さ、行こう舞園さん」

舞園「……」コク


体育館に行くと、そこではモノクマが一同を待っていた。


モノクマ「お前ら! 遅い、遅いよ。もう何やってんの。まあそれについてはいいけど」

腐川「じゃあなんで言うのよ…」

モノクマ「それよりねぇ、なんなの君達? 初日から先生を誘惑して男子トイレに
      連れ込んだり、どいつが好みとかあの子かわいいとか…緊張感なさすぎ!!」

モノクマ「あげくの果てに大丈夫、舞園さんには僕がついてるよ! だってさ。ププー。
     先生はそんな子に育てた覚えはありません!」

苗木「うるさいなぁ。お前に育てられた覚えなんてないし」

舞園「クスッ」

モノクマ「もう三日も何もしないでダラダラ過ごして、学校に何しに来てるの?!
      恥ずかしいと思わない? 学校はコロシアイをする場所でしょ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 22:10:48.55 ID:HA+y27wE0<>
石丸「否! 学校はコロシアイをする場所でも、ましてや恋愛をする場所でもない!
   学校とは教育の場であり、勉学の場であり、研鑽の場所だッ!! 大体神聖な学校で…」

朝日奈「あんたちょっと黙ってて。話進まないから」


なんだか長くなりそうだったのでとりあえず黙らせる。


モノクマ「まったくさあ、ゆとり世代って奴はど〜してこう殺る気がないんだろうね。
      君達の平々凡々な学生生活なんて視聴者は面白くもなんともないんだから」

KAZUYA「御託はいい。何が言いたい?」

モノクマ「え〜、そこで僕は思ったのですよ。僕の経験から考えて、君達には危機感が
      足りないんじゃないかなと。まだ心のどこかでこれは遊びだと思ってるんじゃないの?
      ジッと待っていれば助けが来る? 甘いよ! 甘々激甘だよ!」

苗木「そんなことない! 待っていれば必ず警察が…」

モノクマ「ケ〜サツゥ? …うぷぷ。うぷぷぷぷ。来てくれればいいねぇ…?」

一同「!!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 22:12:22.95 ID:HA+y27wE0<>
K「…!(やはり、警察に何かあったのか? この状況はおかしい。外で一体何が…)」


モノクマの含みのある言い方に、一同は押し黙ってしまう。


モノクマ「とにかく、そんな危機感の足りないお前らに先生はこんな物を用意しました!」

不二咲「DVD?」

山田「僕達の名前が書いてありますな」

モノクマ「これは動機です。動機があればコロシアイしようって気になるでしょ?
     みなさんには今からこれを視聴覚室で見てもらいます」


そこに一体何が写っているのか、もはや恐怖しかないが生徒達は足取り重く視聴覚室に移動した。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 22:13:54.35 ID:HA+y27wE0<>

― 視聴覚室 ―


汚い字で生徒達の名前の書かれたDVDをモノクマは配っていく。


モノクマ「あ、ちなみに先生の分ないから。どんな気持ち? ねぇねぇ今どんな気持ち?」トントン

KAZUYA「……」

モノクマ「もう! 無視しないでよ! ほら、先生のために特別編集した
     この僕のお気に入り『特選絶望映像特集』貸してあげるからさ!」

KAZUYA「いらん!」

モノクマ「ちぇー、感じ悪いの」ポイッ


KAZUYAは部屋の一番奥に立って、全員の映像を盗み見ていた。そこには…


苗木(このDVD、一体なんなんだろう…あ、僕の家族だ。うちの映像じゃないか)


苗木のDVDには、学園入学を祝う家族のメッセージ映像が入っていた。


苗木(ハハッ、なんか照れるな――え?)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 22:15:39.04 ID:HA+y27wE0<>
笑顔の家族の姿に僅かばかり安堵していたが、突然映像が乱れたかと思うと、暗転。
次の瞬間目に入ったのは、家族が消え廃墟のように荒れ果てた我が家だった。


苗木「何だよ、これ…なんなんだよっ!!!」バンッ!


周りを見渡すと、皆同じような反応で悲鳴や怒号が聞こえる。
特に大きな反応を示したのは舞園さやかだった。


舞園「いやああああああああああああああああああっ!」

苗木「舞園さん!」 KAZUYA「……!」


錯乱して部屋を飛び出した舞園の後を苗木は追う。


舞園「何で…何でこんなことに?! 出なきゃ! 早くここから出なきゃ! 戻らなきゃ!!」

苗木「舞園さん! 落ち着いて!」ガシッ

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 22:16:46.72 ID:HA+y27wE0<>
舞園「イヤッ! 離してっ!!」

苗木「みんなで協力すればきっと脱出出来る! 待っていれば助けだって来るかもしれない!」

舞園「助けなんて来ないじゃないっっ!!!」


ここに来て初めて、舞園が怒りを露わにした表情を…自分の本心を見せたのをKAZUYAは見逃さなかった。


苗木「僕が君をここから出してみせる! どんなことをしても、絶対に! 絶対にだ!」

舞園「苗木君…わあああああああああああああああ」

K「……」


誰も何も言葉を発せなかった。

一人また一人と解散し、その場に残ったのはKAZUYAだけだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 22:23:03.56 ID:HA+y27wE0<>
風呂行ってる間に安価取っておこう。


K「先に言っておくが、今回は皆ピリピリしていてあまり話し回れる雰囲気ではない。
  故に、人名安価は二つ。残り二つは場所安価であり、場所も限定されている。慎重にな」


人名(ただし江ノ島は除く)

>>245

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 22:24:32.76 ID:exVBdHuDO<> 舞園 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 22:25:53.77 ID:tXRnOD0po<> 大神 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 22:36:12.39 ID:2WJ1CVqDO<> ここでまさかのさくらちゃん登場
でもよくよく考えたら一回も話してなかったね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/10/30(水) 23:25:20.49 ID:6e+nQd0DO<> こりゃ殺人起きるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 23:29:48.26 ID:6e+nQd0DO<> ところでKが関係したアイドルなら
確か声帯にガンが出来てその影響で声質がいい方に変わったアイドルがいたはず。
Kが手術してガンはとりのぞいて健康に無害なものを声帯に取り付けて声を変わらせなかったって話があったはず。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 23:30:07.17 ID:/16+mhsUo<> まだ場所安価もあるし大丈夫じゃね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/30(水) 23:35:49.75 ID:hxtkE4mlo<> >>248
あったあった
サナダムシはアレだっけ
とんでもなく食うのに太らない→体にいる虫のおかげ→色々脅して下させる
→ナースが「こんな虫飼ってた奴はきっとこんな奴」→高品(今TVに映ってるこのアイドルだよ〜ん。言えないけど)
だっけ? <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/30(水) 23:56:15.87 ID:fqKLT/9B0<>
>>248
そんなのもありましたねえ。今手元にあるコミックが中盤辺りなので、事件引用は
どうしてもその辺になっちゃうと思います。というか、毎回54巻分全部は
チェックしきれないというのが本音…まあ、森山さんもトップアイドルらしいので許して
あとあんまり若い女の子だと舞園と世代が被っちゃうというのもある

>>250
そうそう、それです。


では再開

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/31(木) 00:08:54.66 ID:0LGsU0Xv0<>
― 自由行動 ―


KAZUYAはフラリと食堂に来た。
皆早くに部屋に戻ってしまったから誰もいないのはわかっていたが、
実際に誰もいない食堂を見るとやはりどことなく寂しい。


K「ん、あれは…」

大神「西城殿か」


調理室の方から盆を手に大神がやって来た。
盆の上には二人分の紅茶のセットとドーナツが乗った皿がある。
誰の元へ行くかはすぐにわかった。


K「朝日奈の所に持っていくのか」

大神「左様…朝日奈はあのDVDのせいで怯えていてな。今は部屋で休ませている」

K「そうか…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/31(木) 00:11:44.00 ID:0LGsU0Xv0<>

先程の錯乱した舞園の姿を思い出すKAZUYA。


K「大神、お前は大丈夫なのか?」

大神「問題ない。…と言えば嘘になる。だが、今は怯えているものを
   支え、励ますのが我の仕事と思っております故」

K「もし俺の力が必要な時があれば遠慮なく言ってくれ。逆に怖がるかもしれんが」

大神「いや、朝日奈はそなたのことをあまり恐れていないと思える」

K「本当か?」

大神「ウム。落ち着いたら直接聞かれるが良かろう。では、失礼する」


そう言って、大神は去っていった。大神は非常に安定しているようだ。
恐らく殺人などは起こさない。そしてその大神が見ているのなら朝日奈も大丈夫だろう。


人名(江ノ島以外)

>>255

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 00:12:42.99 ID:uKx9dxg1o<> 苗木 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 00:12:58.84 ID:foYv0wDno<> 桑田 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 00:16:39.66 ID:t9kcMeaG0<> ウチにはほとんどの巻があるからだいたいのKのネタは分かるかな <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/31(木) 00:23:52.27 ID:0LGsU0Xv0<>
用を足しに男子トイレに来ると、そこには桑田がいた。


桑田が「…よう、オッサンじゃん」


いつも元気に話しかけてくる姿とは対照的過ぎて、
KAZUYAもどう声をかけたらいいか一瞬考えてしまった。


K「桑田…その、大丈夫か?」


思わずストレートに言ってしまう。


桑田「大丈夫って…大丈夫なワケねーじゃん! あんなもん見せられてよ!」

K「…そうだな。すまなかった」

桑田「あ、いや…オッサンがわりぃワケじゃねえよ。ちっくしょう!
   モノクマのヤツ…全部あいつのせいだ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/31(木) 00:37:45.23 ID:0LGsU0Xv0<>
K「そうだな。何が目的でこんな残酷なことをするのか」

桑田「ぜってーイカれてるぜ! あーとっ捕まえてボッコボコにしてやりてえー!」

K(確かに、正常な思考の持ち主ではないだろう。だが、それとは反対に
  恐ろしいほど高度な頭脳を持っているような気もする。侮れん…)

桑田「なんかむしゃくしゃしてきたな。久しぶりにちょっと体でも動かすか。
    なあオッサン、どうせヒマなんだろ? 付き合ってくれよ」

K「構わんぞ」


体育館に行き、二人でキャッチボールをした。
最初はあんなに暗い顔をしていたのに、なんだかスッキリしたようである。
少しだが生徒の心の支えになれたようで良かった、とKAZUYAは思った。


場所安価

1.食堂
2.ランドリー
3.男子トイレ
4.視聴覚室
5.図書室

>>260

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 00:49:59.63 ID:144tXWKno<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 00:50:53.52 ID:hmIXJUOio<> 1で包丁潰すか <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/31(木) 01:08:47.74 ID:0LGsU0Xv0<>
今日はKAZUYAの食事当番の日ではなかったが、意気消沈している当番の何人かが
来ないかもしれないので、自分も手伝おうとKAZUYAは食堂を訪れる。


石丸「あ、先生。お疲れ様です」

K「石丸か。…お前、こんな所で何をしているんだ?」


石丸は端のテーブルでひたすらジャガイモの皮を剥いていた。


石丸「見ての通り、ジャガイモの皮を剥いています」

K「それはわかるが、お前の当番は確か明日だろう? しかも、何故調理場でやらない?」

石丸「調理場にいては正規の当番の邪魔になるので、ここで練習させてもらっているのです」

K「練習?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/31(木) 01:23:10.01 ID:0LGsU0Xv0<>
石丸「はい。見ての通り、僕はとても不器用なのです。勉強も、授業の前に必ず予習復習をして
   臨みます。才能がないので、何事も人の何倍も努力しなければならないのです」

石丸「明日が僕の当番なので、それまでに少しでも上手くなっておこうと…」


熱っぽく語る石丸だが、その表情は普段よりも明らかに力がなかった。


K「…あれについて、お前はどう思う?」

石丸「……」


いつも力強い石丸が、珍しく視線を落とした。


石丸「わかりません。そもそも、あれに映っているものが本物かわからないし…
   …そうだ、あれは本物であるはずがない。そうです! でっち上げですよ!」

石丸「僕は何に怯えていたんだ? あんな映像、今の技術ならいくらでも作れるじゃないか。
    あんなものに怯えたりして、まったくもって馬鹿馬鹿しい」


しかし、威勢よく啖呵を切ったかと思うとまたすぐに元気がなくなる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/10/31(木) 01:34:12.60 ID:0LGsU0Xv0<>

石丸「先生…僕は、常に思っているんです。努力こそ至高だと。どんなことでも、
   諦めないで努力し続ければいつか必ず報われる時が来ると信じているんです」

石丸「…でも、今みたいに努力でどうにでもならないような状況になって、
   僕は少し揺らいでいる。結局どうにもならないのかと」

K「石丸…」

石丸「ハッ…し、失礼しました! 弱音など吐いてしまって…! 僕は風紀委員として
   みんなを守らなければならない立場なのに、まったくもって不甲斐ないっ!!」

K「誰にだって弱音を吐きたい時はあるさ。それに、俺はお前の信念は間違ってないと思うぞ。
  とりあえず、今は皮むきに集中するか。どれ、俺がコツを教えてやろう」

石丸「ありがとうございます!」


石丸は落ち込んではいたが、殺人などするタイプには到底見えない。
話していて少し元気も出てきたようだ。いつもは引くくらい騒々しい男だが、
やはりこいつには元気でいてくれないと調子が出ん、とKAZUYAは軽く笑った。


場所安価

2.ランドリー
3.男子トイレ
4.視聴覚室
5.図書室

>>265

眠いので投下はまた後日

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/10/31(木) 01:49:58.08 ID:144tXWKno<> 5 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/10/31(木) 02:00:35.57 ID:Mgw1XLs60<> 4 <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 01:23:04.47 ID:NHAcXfGF0<>

まさか二日連続で寝落ちするとは…目がさめてよかった。再開

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 01:25:07.14 ID:NHAcXfGF0<>

KAZUYAはいつものように見回りをしていたが、ふと視聴覚室の中に人の気配を感じた。
配られたDVDは一枚だけのはずだし、一体誰が何をしに?
訝しんだKAZUYAは静かに扉を開け、中へと侵入する。


K(舞園?)


そこにいたのは舞園さやかだった。遠目なのでハッキリとは見えないが、
どうやらあのDVDをもう一度見ていたようだった。


K(どうする?声をかけるか?)

1.話しかけてみる
2.黙って観察する
3.何も言わずに去る

重要選択肢なので安価下5までの多数決


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 01:29:14.46 ID:aY7IsCbJo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 01:39:38.34 ID:IzUxOFM2o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 01:51:27.02 ID:DGVJQJ4Po<> 2 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 02:13:04.38 ID:NHAcXfGF0<>
えっと、まだ全部出てないけど先に三人集まったから2で行きます。


KAZUYAは黙って舞園を観察していた。少し位置を移動し、DVDの映像を盗み見る。
どうやら、彼女がアイドルとして活動している時の映像のようだ。そして、暗転すると
彼女が今まで築いてきたものが全て失われているという気分の悪くなる映像。


K(そんなものを何故もう一度見ている? いや…)


一度ではなかった。彼女は再びその映像を最初から見始めた。
まるで取り憑かれたかのように、何度もそれを繰り返している。不気味だった。


K(声をかけてみるか…)


KAZUYAは今まで盗み見ていたのがバレないよう、気配を消して入り口まで戻り
あからさまに音を立ててドアを開ける。


舞園「…西城先生」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 02:19:02.24 ID:NHAcXfGF0<>
K「舞園、こんな所でどうかしたのか?」

舞園「いえ…なんでもないです」


一瞬慌てたように見えたが、すぐにいつもどおりの笑顔を見せる。


舞園「先生こそ、見回りですか? いつもご苦労さまです」

K「ああ。そんなことより、今朝の件はもう大丈夫か?」

舞園「今朝は取り乱してしまってすみませんでした! 私、思わず動揺してしまって…
   でも、今はもう大丈夫です。苗木君が助けてくれたので。私には苗木君がいるから…」

K「そうか、なら良いが」

舞園「では、私は失礼しますね」ニコ


そう言って舞園は部屋を出て行く。


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 02:24:50.29 ID:NHAcXfGF0<>
いつもと変わらない笑顔、いつもと変わらない物腰。
少し前に妙なことをしていた以外は、何らおかしな点はない。


K(だが、本当にそうか…?)


今日KAZUYAが出会った面々は、みな見るからに怯えていたではないか。
朝にあれほど取り乱し錯乱していた舞園が、いくら苗木の支えがあるといっても
こんなにも早く平常心を取り戻せているのはおかしい。いつもどおりの笑顔がかえって不自然だ。


K(何か、あるな…)


KAZUYAは持ち前の勘の良さで、何かただならぬものを感じ取ったのだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 02:25:56.03 ID:NHAcXfGF0<>

― 保健室 ―


KAZUYAは己の拠点である保健室に戻ったが、なんだかソワソワしていた。


K「警察はあてに出来ない…やはり、俺の考えは正しかったか」

K「…しかし、今夜は危ないな」


生徒達を信じたい。信じたいが…何分、相手はまだ高校生なのだ。
しかも、家族や大切なものの安否がわからないとなれば、
早まった行動を取る生徒が出てもおかしくない。


K「何も起きないに越したことはないが、警戒はしておいた方がいいだろう…」



― 苗木の部屋 PM9:40 ―


苗木(舞園さん、大丈夫かなぁ? 他のみんなも、平気だといいけど)


ピンポーン

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 02:26:52.34 ID:NHAcXfGF0<>

苗木「あれ? もうすぐ夜時間なのに誰だろう?」


まさかとは思ったが、警戒しながらドアに隙間を開ける。


舞園「苗木君…」

苗木「舞園さん? どうしたの?」

舞園「その、苗木君に相談があって…苗木君しか頼れなくて…」

苗木「わかった。とりあえず、中に入って」


酷く怯えた様相で舞園は苗木の部屋に入ってきた。どうやら、舞園によると
何者かが彼女の部屋のドアノブを乱暴に回し、中に押し入ろうとしたらしい。
恐怖を感じた彼女は隙を見て外に出、苗木を頼ったのである。


舞園「それで、お願いがあるんです。無理な頼みだとはわかってるのですが…」


そして舞園はこう切り出した。

また部屋に不審者が来たら怖い。

一晩だけでいいから部屋を交換してくれないかと――


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 02:29:37.19 ID:NHAcXfGF0<>

舞園「ごめんなさい、苗木君。苗木君が私の代わりに危険な目に遭うかもしれないのに…」

苗木「いいんだ! もしその不審者がまた来ても、ドアを開けなければいいんだし。
   こんなことで舞園さんが安心出来るならお安いご用だよ!」

苗木「あ、そうそう。僕の部屋のシャワールーム立て付けが悪いから気をつけて!
   開ける時はドアノブをひねりながら持ち上げるようにグイッと、ね」


苗木は舞園の申し出に快諾すると部屋を後にした。
その後ろ姿を舞園はじっと見つめる。


舞園「本当に…ごめんなさい、苗木君…」


『ピンポンパンポーン。夜です。夜になりました。…』



― AM 1:24 ―


誰もいない薄暗がりの廊下。
扉を薄く開き、辺りを伺う人影一つ。
廊下に誰もいないのを確認し、部屋からスルリと抜け出ると静かに扉を閉める。


「ハァッハァッ…ハァッハァッ…」


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 02:30:19.29 ID:NHAcXfGF0<>

その人物は酷く動揺していた。
乱れた呼吸を整えることもなく、ただ急がなくてはとだけ思っていた。


「ハァッハァッ…ハァッハァッ…」


ガシッ!

太くて力強い手に突然肩を掴まれる。


「ッ?!!」

「ここで何をしている」


見上げたその先にいたのは、赤いマントを羽織った大男・KAZUYAだった――

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 02:31:21.01 ID:NHAcXfGF0<>

ここまで

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 03:58:32.94 ID:gFkHdvv9O<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 08:55:35.46 ID:pmiihVeoo<> この漫画が読みたくなってきた
探してくる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 10:32:35.00 ID:e8AJW9kSo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/02(土) 19:19:15.84 ID:EovCRZen0<> 乙 <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:15:19.01 ID:AjDXD9WO0<>
>>280
面白いですよ。適度に笑いもバトルもあるし、自分は涙腺が弱いので結構ホロホロきたり
自分じゃよくわからないけど、多分KAZUYAはこんな感じのキャラで合ってるはず

それよりダンガンキャラをちゃんと再現できているかどうか…みんな普段敬語使わないし


とにかく、再開


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:17:07.92 ID:AjDXD9WO0<>

K「ここで何をしている?」


もう一度、低い声で問いただすKAZUYA。


「……」

K「何をしているんだ。答えろ――桑田!」

桑田「!!」


名前を呼ばれて桑田はビクリと反応するが、次の瞬間には少し落ち着き反論する。


桑田「ト、トイレに行こうとしただけだって! いくら夜時間でも尿意は仕方ねえだろ…」

K「そうか」パッ


KAZUYAは掴んでいた桑田の肩から手を放した。


桑田「へ、ヘヘ…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:18:18.37 ID:AjDXD9WO0<>
そして足早に去ろうとした桑田の首根っこを、再度KAZUYAは強引に掴んで引き寄せる。


桑田「っこの! なにしやがる?!」

K「トイレにそんなものを持っていく必要があるのか?」

桑田「…っ!!」


KAZUYAの目線の先には、男子生徒達に配られた工具セットがあった。
薄暗くてもわかるくらいハッキリと、桑田の顔から血の気が引いていく。


桑田「…こ、これは、そのっ…」

K「それに今お前が出てきた部屋…舞園の部屋だな。この中で何をしていた? 来いッ!」


有無を言わさず扉を開け、腕の力で桑田を中に放り込む。
そしてKAZUYAも中へと入った。そこには…


K「こ、これは…!!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:21:20.78 ID:AjDXD9WO0<>

中は酷い有様だった。壁には、床に落ちている模造刀で切り刻んだのか、
刀傷がいくつもついていた。家具は倒れ、室内はメチャクチャになっている。


ギロリ!

K「お前がやったのか?!」

桑田「ちがう! ちがうちがうッ! 俺のせいじゃないッ!!」


その時KAZUYAはシャワールームの中に人の気配を感じた。
ここは舞園の部屋なのだから、恐らく中にいるのは…


K「舞園かっ!! どうした?!」

舞園「う……うう……」


シャワールームの中で、舞園は血まみれになり倒れていた。
腹部にはしっかりと包丁が刺さっている。


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:24:22.60 ID:AjDXD9WO0<>

K(包丁が刺しっぱなしになっていたため、大網や腸管の脱出は見受けられない。
  だが、腹腔内部の状況を確認するため、早急に開腹手術の必要があるな)


大網:正式名称・大網膜。内蔵を覆っている腹膜のうち、胃の下方から腸の前まで
   エプロン状に垂れ下がっている物を言う。

脱出:腹部に穴が開くと、腹圧で中の腹膜や腸管が飛び出ることはよくある。


KAZUYAは冷静に舞園の状況を見定め、手術しやすいよう部屋の中央まで運んだ。
そして念の為にと持ってきていた医療カバンを開け、手際よく手術の準備を始める。
だが同時に、どうしても早急に確認しなければいけないことがあった。


K「桑田ァッ! これは一体どういことだ! 説明しろっ!!!」

桑田「アホアホアホアホアホアホアホアホ! ちがう!! ちがうんだって!
    俺のせいじゃないってぇ! そいつが! 舞園があっ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:25:28.93 ID:AjDXD9WO0<>

もはや半泣きになりながら桑田は喚き始めた。
往生際が悪いとKAZUYAは思ったが、その様子に少し違和感を覚える。


K「…舞園が、どうかしたのか?」

桑田「そいつが最初に包丁持って俺を襲ってきたんだって!!」

K「何だとっ?!」

桑田「俺はこいつに呼び出されて部屋に来ただけなんだよ! その後色々あって
   こうなっちゃったけど…本当だって! 信じてくれよオッサン!!」


確かにKAZUYAの目から見ても、桑田は殺人など起こせるタイプではなかった。
しかし、片方の言い分のみを鵜呑みにする訳にはいかない。


K「わかった。とりあえずはお前の言い分を信じよう。事件の真相は舞園の治療が
  終わってから改めて明らかにする。今はとにかく手術が優先だ!」


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:37:03.50 ID:AjDXD9WO0<>


 ※ 注 意 ! ※


モノクマ「ここから先、手術シーンが入ります! え? だってドクターKは医療漫画だよ?
     クロスSSとはいえ当然手術シーンが入るに決まってるよね?」

モノクマ「で、一応最低限は調べて書いてるけど、>>1は医療関係者でもなんでもありません!
     だから言ってみりゃテキトーです! イメージです! こういうのは勢いが大事なんです!!」

モノクマ「もしこのスレに本物の医療関係者がいて、手順が違う!とか道具や薬が違う!て思っても
     間違いはスルーしてくれると嬉しいな。だって二次SSなんてみんなが楽しめればいいんだから。
     まあ、>>1に絶望を味合わせるためにあえての指摘だったら、それもやむなしだけど。うぷぷ…」


モノクマ「では、再開。舞園さんが死なないようにみんなも応援してあげてね」


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:38:57.39 ID:AjDXD9WO0<>


 !      手      術      開      始      !



K(患者(クランケ)は上腹部中央に刺創(しそう)を負っている。エコーで確認出来ないのが辛いが、
  傷の位置、大きさ、深さから鑑みて腹腔内に中程度の出血をしている模様。まずは
  上腹部正中切開を行い、止血を行いながら実質臓器及び腸管の損傷状況を確認する!)


手慣れた動きで道具や傷口の消毒を行うと、KAZUYAは麻酔をかける。
舞園の呼吸や心拍が落ち着いたことを確認し、メスで一気に開腹した。


K「メス! コッヘル! ペアン!」


コッヘル・ペアン:共に鉗子というハサミに似た形をした手術器具。先端の形状が違う。
         止血鉗子と呼ばれているが、止血に限らず物をつまんだり留めたりと万能。


まずメスを皮膚に入れ腹膜を切り裂く。当然ながら傷口からは血が流れ、
内臓が顕わになった。横で眺めていた桑田が思わず悲鳴を上げる。


桑田「ひぃっ! 血、血がぁっ…!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:40:57.82 ID:AjDXD9WO0<>
K(とりあえず刺創は胸腔内には達していない。気胸(ききょう)の恐れはないな)


気胸:胸腔内に気体が入ると肺を圧迫し、肺が外気を取り込めなくなってしまう。
    刺されたのが腹部でも刃先が胸部に行った場合は外傷性気胸に注意する必要がある。


K「…目を逸らすな。襲ったにしろ襲われたにしろ、これはお前のやったことだ」

桑田「……」

K(良し。実質臓器に傷はついていない。行けるぞ)


KAZUYAの手つきは慣れたものだった。桑田は犯人扱いされなかったことで
少し落ち着きを取り戻したが、同時にふと別の心配が出てくる。


桑田「…なあ、そいつ助けるのか? 助かったら、また俺のこと襲ってくるんじゃ…」

K「……」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:42:30.64 ID:AjDXD9WO0<>
桑田「つか、自分が外に出たいからって人殺しをする奴だぜ? ほっといてもいいんじゃ…?」


腹壁の血管を結紮(けっさつ)止血しながら、KAZUYAは驚いて桑田を見た。


結紮止血:血管を縫合糸で縛り止血する方法。


K「…お前、自分が今どういう状況に立たされているのかわかっていないのか?」

桑田「どういう状況って…」

K「モノクマの言っていた言葉を忘れたのか。卒業するには人を殺さないといけない。
  …ただし、誰にも見つからずに行うこと。お前は俺に見つかってしまったのだぞ?」

桑田「…へ? だ、だってこれ、正当防衛じゃね…? 俺からやったわけじゃ…」

K「外の世界の法律ならな。だがここでの法律は奴だ。
  モノクマこと黒幕がそんな甘い判断をしてくれるとでも思っているのか?」

桑田「ちょっと待て、ちょっと待てよ。え、それって…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:43:35.92 ID:AjDXD9WO0<>

たった数日前だが今も強烈に残っているモノクマの言葉が脳裏に鮮明に蘇った。


モノクマ『学園の秩序を乱したんだから、犯人にはオシオキがあるに決まってるよね』

モノクマ『オシオキって言ったら“公開処刑”に決まってるでしょ』


桑田(え、な、なに? 処刑? こいつが死んだら…俺が処刑されんのっ?!)

桑田「う、嘘だ。処刑とか…だって、そんな、そんな…!!」

桑田「イヤだああああああああああ。死にたくないいいいいいいいいいい!!
   俺はまだまだやりたいことがあるんだ! 死にたくねえよおおおおおっ!」


錯乱し、泣き叫び始める桑田。手の動きは一切緩めずに、KAZUYAも叫ぶ。


K「落ち着けっ! 俺がなんとかする!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:49:05.05 ID:AjDXD9WO0<>

KAZUYAが必死に落ち着かせようとするが、桑田にその言葉は届いていない。


桑田「うわあああああああああああああああああああああっっ!!」

桑田(腹を刺したんだぞ! あんなに血が出てるし、病院でもねえのに助かるかよっ!
   イヤだ、イヤだ! 死にたくねえ! 死にたくねえよおおおおお!)


その時、恐ろしい考えが桑田の脳裏によぎった。犯人が露見するから処刑になる。
殺していいのは二人までだ。つまり、仮に犯行を見られても一人までなら口封じに殺せば…

ちょうど足元には、金箔の貼られた黄金の模造刀が自己主張するように怪しく輝いている。


桑田(今…オッサンは背中を向けていて両手もふさがってる。今なら俺でも…)


模造刀にゆっくりと手を伸ばし引き寄せると、桑田は構えた。
さっきまであんなにガクガクと震えていた膝が、今は微動だにせず体を支えている。
呼吸が落ち着いてきた。頭の中も嫌に冴え渡っている。

そして桑田は――天高くそれを振り上げた!


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 20:50:50.36 ID:AjDXD9WO0<>

ここまで

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/02(土) 21:30:14.76 ID:Il4HEiK+0<> Kって、さされながら手術したことああったような…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2013/11/02(土) 21:32:25.87 ID:Il4HEiK+0<> Kって、さされてなお手術したことああったような…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 21:38:44.38 ID:/KZAj++DO<> それを言うなら、残姉の猛攻をしのいだ時点で… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 21:46:06.19 ID:e8AJW9kSo<> 乙です <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 22:36:01.28 ID:AjDXD9WO0<>

              ・

              ・

              ・


            ピキーン!



<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 22:37:09.51 ID:AjDXD9WO0<>
その時、いつも自分の武勇伝をちゃんと最後まで聞いてくれたり、
一緒にキャッチボールをしてくれた優しいKAZUYAの姿が眼前によぎった。


ハッ

桑田(俺、今なにしようと…そうだ。舞園はともかく、オッサンは完全に無関係じゃねえか!
    自分が助かりたいからって無関係の人間を殺したら、俺も舞園と同じだろーがっ!!)


カタッカンッカラララ…

手からスルリと模造刀は抜け落ち、乾いた音を立てる。


K「…………(桑田……)」


KAZUYAは幾度も修羅場を超えてきた歴戦の医師である。その中で命を狙われることも
多々あったため、殺気を読むことには人一倍長けていた。桑田が自分の背後で何をしようと
していたかはわかっていたが、あえてKAZUYAは桑田を信じていた。無言のまま手術を続ける…

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 22:39:35.88 ID:AjDXD9WO0<>
一方桑田は、一瞬でも自分が悪魔のような考えを抱いたことを嫌悪し、
膝から崩れるとただひたすらに涙を流していた。


桑田「イヤだ! イヤだよぉ…今度から真面目になるから…練習だってちゃんと出るからさあ!
   こんな所もうイヤだ! 出して、出してくれよ…誰か助けてくれよぉ…!!」

桑田「こんな学校来なきゃ良かった! 前の学校に戻りてえ。もっかい野球やりてえよお…
   監督にも、チームのみんなにも謝るからさぁ…!! 土下座だってなんだってするからっ!!」

K「!! 桑田、お前…!」


衝撃を受けたKAZUYAは思わず立ち上がり、桑田の前に膝をついてその両肩を掴む。
野球選手だけあって、見た目よりも遥かにその肩はガッシリとしていた。


K「お前――今の言葉に嘘偽りはないな?」

桑田「え?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 22:40:51.70 ID:AjDXD9WO0<>
K「男に二言はないな! と言っている」

桑田「う、うん」

K「安心しろ。舞園もお前も死なせたりはしない! 俺が助けてみせる! 絶対にだッ!!」

K「とりあえず、俺の指示通りに動け」


すでに全ての止血は終えていたのだが、出血量と今後の処置を考えると輸血が欲しい。
何故かこの学園の保健室には輸血パックがありそれを誰かに持ってきてもらいたいのだが、
混乱している桑田に任せるのは少し不安があった。


K「急いで石丸と大神…あと苗木をこの部屋まで連れてきてくれ」

桑田「わ、わかった!」


部屋を飛び出す桑田。程なくして三人を連れて戻る。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 22:42:00.51 ID:AjDXD9WO0<>

石丸「こんな時間に舞園君の部屋で一体何を…な、なんだこの部屋はっ?!」

大神「一体何があったのだ?!」

苗木「そ、そんな…舞園さんっ!!!」


舞園を手術しているKAZUYAを見つけ、苗木は駆け寄った。


苗木「舞園さん! 舞園さん! 何でこんなことにっ?! 先生、舞園さんは?!」

K「大丈夫だ! ほぼ処置は完了している。そこで苗木、お前に輸血用の血液を
  取ってきてもらいたい。場所は前に見せただろう? 念の為に全ての型を頼む」

苗木「は、はい! 行ってきます!!」


転がるように部屋を飛び出し廊下を一目散に駆け抜ける苗木。
まだ状況が飲み込めていない石丸と大神は呆然とその姿を見送る。


石丸「ま、舞園君は怪我をされたのですか?」

K「ああ。桑田が包丁で刺した」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 22:43:57.94 ID:AjDXD9WO0<>
石丸「な、なんと! 君という男は…!」 大神「桑田!」

桑田「ち、ちがっ…!」

K「落ち着け。まだ真相はわかっていないのだ。桑田によると先に襲ったのは舞園らしい」

石丸「舞園君が桑田君を?! 一体何故っ?!」

K「…まだわからん。とにかく石丸、お前は他の生徒達を起こしてここに呼んでこい」

石丸「分かりました!」


今度は石丸が走って出て行く。


大神「それで西城殿。我は何をすれば良い?」

K「桑田についててやってくれ。真相がわかるまでは一応容疑者ということになるからな」

大神「承知した」


手術は終盤に差し掛かっていた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 22:47:11.49 ID:AjDXD9WO0<>
K(包丁は胃壁を後壁まで貫通し、後腹膜へ血腫も出来ていたが幸い重要な臓器に損傷はなく、
  処置も早かったため命に別状はない。恐らくカッとなって刺しただけで桑田も本気では
  なかったから、刃先が腹部大動脈や下大静脈を切り裂くこと無く済んだのだろう)


後腹膜:腹膜の一種ではなく、腹膜と後腹壁(要は背中のこと)の間にある空間のこと。

血腫:出血が一箇所にたまって塊になっている状態。

腹部大動脈・下大静脈:背骨の手前にあるとにかく太くてデカい重要な血管。


K(もう少し深かったり、何度も刺していたら危なかったな…)

桑田「それにしてもよ…」グスグス

K「どうした?」

桑田「なんでこいつ、俺を狙ったりしたんだよ…」グスグス

K「……」

桑田「俺、こいつになんもしてねえし。むしろ、親切にしてたほうだし…」

桑田「(俺は舞園のこと好きだったんだぞ…)なのに、なんでだよ…なんでだよ…」

K「…さてな。彼女が目を覚ませば、明らかになるだろう」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 22:48:39.75 ID:AjDXD9WO0<>

しばらくすると、生徒達が次々に部屋に訪れ辺りは騒然となった。
戻ってきた苗木から輸血を受け取り、全ての血管、筋繊維、上皮を縫合し手術は無事終了した。



 !      手      術      完      了      !



一度生徒達を退室させ、力のある朝日奈と大神に手伝ってもらい舞園の血のついた服を替える。
その後ベッドに寝かせ、再び生徒達を招集した。


苗木「先生! 舞園さんは、舞園さんは…!!」

K「もう大丈夫だ。発見が早く手早く処置が出来た。命に別条はない」

苗木「よ、良かった〜〜〜!!!」


その場に泣き崩れる苗木。一部の生徒からも歓声が上がる。

だが、手術が終わってもKAZUYAにはまだすることが残っていた。


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/02(土) 22:52:56.22 ID:AjDXD9WO0<>
本当に今日はここまで。

あそこで止めると桑田がクズっぽく見えるので、結局手術終了まで投下してしまった



モノクマ「ちなみに手術開始で学級裁判開始のBGMを勝手にイメージしてるのはここだけの秘密」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 22:57:08.91 ID:M+RGwaUVo<> 先にSATSUGAIを決意した舞園さんの方が悪いし色々葉隠のほうが屑だけど、
セレスが指摘してたとおり「特にシャワールームのドアノブを破壊した時点で反撃ではなく殺意を認定できる」って見方もあるし
桑田と交流してなければあそこで本当に殴られたり刺されたりしていたかもしれないってわけか

乙乙
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/02(土) 23:00:37.64 ID:e8AJW9kSo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/03(日) 01:46:52.17 ID:TsV/ofHDO<> >>309
あの発言はちょっと可哀相だなと思った
30分とか1時間くらい経ってから戻ってきたなら明らかに殺意あるだろうけど、
工具取ってきてドアノブ外すだけならせいぜい五分十分だろうし、
桑田みたいな感情的なタイプだったら頭真っ白になってつい殺っちゃった気もする <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/03(日) 13:18:30.17 ID:WSVnAi97o<> 乙
とりあえずこのまま皆と上手く交流を深めていけば誰も死なずに済むかもしれないのかな? <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:34:12.06 ID:2oYGm7590<>

十神「さて、この状況を説明してもらおうか。誰が舞園さやかを殺そうとした?」

朝日奈「待って! 本当に襲われたの? なにかの事故じゃ…」

セレス「あら、それはありませんわ。そこに、血のついた包丁が落ちているではありませんか」


床に無造作に置かれた血のついた包丁は、確かに事件の存在を証明している。


不二咲「この状況に耐えられなくて、自殺しようとしたのかも…」

大和田「朝もすっげー錯乱して叫んでたしな…」

十神「舞園は自殺などをするタイプには見えなかったがな」

苗木「僕も、自殺ではないと思う。いや、自殺な訳がない! だって夜時間に入る少し前に、
    僕の部屋に舞園さんが来て相談されたんだ。誰かが部屋に押し入ろうとしてるって!」

苗木「酷く怯えた感じだった。だから、犯人はきっとそいつだよ!」

江ノ島「それ、本当? じゃあ、そいつが犯人で間違いないじゃん!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:35:01.96 ID:2oYGm7590<>
石丸「待ちたまえ! 誰が舞園君を刺したかについては、もうわかっているのだ」

腐川「誰よそれ…まさか、この中にいるんじゃ…」

石丸「ああ、桑田君だ。しかし、まだ状況はよくわかって…」


さらりと石丸は知っている情報を開示するが、同時に女性陣から
悲鳴があがり、石丸大神を除く全員が一斉に桑田から離れた。


大和田「桑田! テメエって奴は!!」

朝日奈「最低だよあんた!」

桑田「ち、ちがう! ちがうんだって! これにはワケが…!」

K「みんな、待て! 話を…!」


KAZUYAは桑田に対する糾弾を制止しようとするが、
集団ヒステリーを起こした生徒達の口撃はとどまることを知らない。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:35:57.39 ID:2oYGm7590<>

朝日奈「何が違うのよ!」

腐川「汚らわしい! 近寄らないで!」

不二咲「桑田君…そんな…」

桑田「だからちがうって…俺じゃねえって…」


雨あられのように全方位から責められ、桑田も思わず涙ぐむ。
だがそんなことでこの糾弾が終わる訳がなかった。


葉隠「ひ、人殺しだべ!」

山田「人間のクズですな!」

江ノ島「泣けば済むと思ってんの?!」

苗木「そんな、信じてたのに…」

大和田「女に手ぇ出しやがって! このクズ野郎っ!!」


一度起こってしまった混乱はそう簡単には止められない。ならば。


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:39:24.74 ID:2oYGm7590<>


K「お前達――  い  い  加  減  に  し  な  い  か  !  !  」 ク ワ ッ !



ドドオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!


普段は穏やかなKAZUYAが修羅の顔になり、雷のような怒号で生徒達を一喝する!


シィーーーーーン……


あれだけ混迷を極めていた場が、一瞬で鎮まった。


K「ここをどこだと思っている? 怪我人がいる以上ここは病室だ。静かにしてもらおう」

K「それに俺がお前達をここに集めたのは、犯人探しでも犯人を糾弾することでもない。
  何故このような事態になったのかその真相を明らかにし、正しい情報を共有するためだ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:40:59.30 ID:2oYGm7590<>
K「確かに桑田は舞園をこの包丁で刺した。だが、桑田によると先に襲ってきたのは
  舞園らしい。確かに俺としても、桑田が殺人など犯すような人間には見えん」

K「この場で何が起こったか…ただ事実のみを追求する。感情に任せて責めたてることは許さん」

一同「……」


全員の顔を黙って見回し、生徒達が了解したと判断してKAZUYAは続けた。


K「さて桑田よ、お前は舞園から呼び出しをくらったと言ったな? いつ頃どのようにだ?」

桑田「えっと、夜中の一時くらい? 今朝あんなことがあって眠れなくてさ…部屋で寝転んでたら
    チャイムが鳴ったんだよ。で、なんだろうと思ったらドアの下からメモが…あっ!」

K「そのメモを見せてみろ」


慌ててポケットからクシャクシャになったメモを取り出しみんなに見えるよう差し出す。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:42:33.83 ID:2oYGm7590<>
大神「確かに、舞園のサインが入っているな」

腐川「で、でも…自分で書いた可能性はないの? 外なら筆跡鑑定とか出来るでしょうけど…
    ここには舞園の書いた物なんてないし、あっても処分しちゃえば…」

桑田「ちげーし! 俺の字はもっときたねえよ!」

石丸「確かに、先入観で語るのは失礼かもしれないが桑田君が書いたにしては綺麗だ」

セレス「字なんてどうとでもなりますわ。確実に舞園さんが書いたという証拠がなければ」

霧切「――証拠ならあるわ」


今までずっと黙っていた霧切があるものを掲げる。それは鉛筆で表面をこすったメモ帳だった。
そこには驚くべきことに、桑田のメモと全く同じ文面が浮き上がっている。


霧切「これはこの部屋に備えつけられていたメモ帳よ。彼女、余程緊張していたのね。
    筆圧で下の紙に跡が残っていたから、鉛筆でこすって浮き上がらせたの」

セレス「…桑田君が誰かに見つかった時の言い訳のために書いたという可能性は?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:44:31.01 ID:2oYGm7590<>
霧切「ないわね。犯罪心理として、犯人は一刻も早く現場から去りたいのが普通だもの。
    こんな小細工をするくらいなら、事件を起こす前か自分の部屋に戻ってからするはず」

十神「では桑田を呼び出したのは舞園さやかで、呼び出したのち包丁で襲い掛かった。
    これはほぼ確定事項で構わないな。ところで一つ気になることがあるんだが」

十神「床についた血の跡から考えて、犯行現場はシャワールームだったと推測するが、
    何故あのドアノブは外されているんだ? 誰かが外した跡がある」

桑田「それは、俺が工具セットを使って外したから…」

朝日奈「え? じゃあ舞園ちゃんは一度シャワールームに逃げ込んで鍵をかけたの?」

苗木「鍵じゃないよ! 単に建て付けが悪いだけなんだ。そもそも、この部屋は
    本当は僕の部屋なんだよ。舞園さんが怯えてて、一晩だけでいいから部屋を
    交換して欲しいって言われたから…」


事件の話をしていたのに、唐突にシャワールームの鍵やら立て付けの
話が出てきて、流石のKAZUYAも意味がよくわからなかった。


K「…話がよく分からないのだが」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:47:57.83 ID:2oYGm7590<>
不二咲「あ、そうかぁ。先生は個室がないから知らないんだね」

石丸「僕らの部屋には、モノクマが書いたと思われる部屋の説明書きがあり、
    それによるとシャワールームに鍵があるのは女子の部屋のみとなっているのです」

霧切「他に三点、夜時間にはシャワールームの水が出ないこと、男子の部屋には工具セット、
    女子の部屋には裁縫セットが置かれていることが明記されていたわ」

K「成程。つまりこの部屋は本来男の苗木のものだからシャワールームに鍵はついてないが、
  女の舞園の部屋だと勘違いしていたことと、建て付けが悪いことを知らなかったことで、
  桑田は中から鍵をかけられたと勘違いした、という訳だな」

大和田「…ちょっと待てよ。じゃあお前、先に襲われたとはいえ一度は舞園を撃退したんだろ?
     その後わざわざ工具取ってきてトドメ刺そうとしたってことか?」

桑田「仕方なかったんだよっ! 怖かったんだって! また追っかけて来て
    襲われるかもしれないって思ったし、とにかく先に殺らなきゃ殺られるって…!」

大和田「…たかが女一人相手にか? それに怖かったなら助けを呼びゃあいいだろ」

桑田「……」


大和田の軽蔑するような視線に桑田は居心地が悪くなる。


セレス「そういえば、わたくしも一つ気になることがあるのですが…この部屋は苗木君の
     部屋でよろしいのですよね? ですがネームプレートは確か舞園さんのものでしたわ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:51:19.09 ID:2oYGm7590<>
K「…!」


KAZUYAは気付いた。そうだ。自分もネームプレートを見て勘違いしていたではないか。
しかし、一体誰がそんなことをする? 部屋を交換したのは二人だけしか知らないことなのに。


K(まさか…)

苗木「ネームプレートが違う?! そんな馬鹿な。それじゃあ部屋を交換した意味がないじゃないか!」

十神「フッ、成程な。読めたぞ」

苗木「何? どういうこと、十神君?」


十神の意地の悪い笑みに、苗木は嫌な予感がしていた。
KAZUYAも一瞬で真実を察し、止めようとする。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 00:56:22.98 ID:2oYGm7590<>
K「待て。お前は聞かない方がいいかもしれんぞ」

十神「それは苗木が判断することだ。おい苗木、もし舞園の犯行計画が完遂されていたら
    お前の部屋が殺人現場になる訳だが、その場合お前はどうなっていたんだろうな?」


予想外の言葉に、苗木は動揺した。今まで怪我をした舞園に気を取られていたが、
本来ならばこの部屋に桑田の死体が転がっていたはずなのだ。
そして、恐らく明日の朝食会の時間辺りに発見されていたことだろう。


苗木「…え?」

十神「その女はな、お前に罪を被せて自分は平然と逃げ切るつもりだったんだよ」

苗木「…ウソだ」

十神「嘘じゃない。他にどうこの状況を説明する?」

苗木「ウソだウソだウソだ! 舞園さんがそんなことする訳ないっ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 01:01:13.67 ID:2oYGm7590<>
腐川「そんなことする訳ないって…既に人一人殺そうとしてんじゃない…!」

セレス「かたや個室に逃げ込んだ女の子に怯えてトドメを刺しに戻り、かたや親身に
     なってくれた男性を裏切り罪を被せようとする。どっちもどっちですわね」


顎の下で両手を組む独特のポーズを取りながらセレスは皮肉を言う。


十神「いや、桑田はビビりなだけだ。どちらかと言えば舞園の方が悪質だし罪は重い。
    …さてドクターK。ここで質問だが、その女を一体どう対処するつもりかな。
    まさか怪我をしてるから無罪放免という訳ではあるまい?」


十神はまるでKAZUYAに挑戦するような口調で迫った。


K(この男…)


KAZUYAは気付く。この男・十神白夜はKAZUYAのことを試しているのだと…


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/04(月) 01:11:06.45 ID:2oYGm7590<>

ここまで


>>309
ですね。桑田と交流していなければかなりハードな展開になっていました
もし希望が多ければチャプター1だけ一章終了後にクリア条件とかBADルートだと
こうなってたとか答え合わせしようと思います。

>>312
イエス。今後の方向性を決めると言っても過言ではなかった一章をなんとか
無事に済ませたので、序盤はそこまで問題ではないと思いますが、
油断したら死人も出るやもしれません。今後の展開は安価次第です。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 01:48:38.31 ID:dGIV+0qoo<> >>324
乙!
答え合わせお願いします

誰にも死んで欲しくないから頑張らねば・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 02:09:23.12 ID:V1ViHWO/o<> Kが絡んでる以上できる限り助けてやりたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 02:10:22.68 ID:V1ViHWO/o<> あ、答え合わせは俺も欲しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/04(月) 09:19:42.16 ID:HuW/z8YBo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/04(月) 09:58:40.49 ID:zr0mQpol0<> セーブ機能ないんか…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/11/04(月) 10:03:57.39 ID:fT9se9eJ0<> ちーたんって即死だし場所が場所だしな〜
どうするんだろ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/04(月) 10:17:42.39 ID:yp9+Qpu10<> Kには法医学を扱った話もあるから、即死でもKに出番はあると思う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/05(火) 03:43:23.95 ID:kxIcssVqo<> >>311
桑田の心理はクロの中で一番理解というか同情はできるからなぁ
さくらちゃんは天使だけど思い切りがよすぎて凡人には無理 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/05(火) 03:49:23.07 ID:smH1vCkco<> パニックからの過剰防衛の範囲だしな
まぁ隠蔽工作の上最後まで非を認めなかったからこその処断発言なんだろうけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/05(火) 08:07:44.13 ID:qxRs/4PDO<> 隠蔽工作なんてしてたっけ?苗木に犯人押し付けようとしてたこと?
あれはもう引くに引けない状態だったから仕方なかったんじゃないかなぁ
自分が処刑されるのに正直に名乗り出そうなのなんて石丸くらいっしょ

むしろ本当に隠蔽する気があったならダイイングメッセージなんて
残させなかったろうし、本当に何も考えず殺して慌てて逃げたって感じに見える <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/05(火) 09:20:51.95 ID:smH1vCkco<> >>334
自分がいた痕跡と帰り血がついた服の始末まではしっかりやってたろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/05(火) 10:22:28.14 ID:qxRs/4PDO<> >>335
ああ、そっか。一応隠そうとはしてたね。でも印象は変わらないかな
逆に何もしないくらい潔いなら次の日普通に名乗り出るだろうし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/05(火) 11:20:59.47 ID:+gZNxXcWo<> 学級裁判じゃなくリアルな裁判なら執行猶予もつく可能性があるくらい
死刑どころか無期もないだろうな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/05(火) 15:25:10.62 ID:U8kaoNFEo<> 過剰防衛での傷害致死が容疑としては妥当だしな
クロサイドの中では一番マシな、状況が違えば殺人を犯してない可能性もあった人間
腐川(というかジェノ)や噛ませメガネの方が余程の悪人 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/06(水) 00:56:49.96 ID:QbiwQCcDO<> 個人的に一番腹黒く感じるのは葉隠かな。勿論犯罪的にはジェノ一択なんだけど、
多重人格になるってことは何か辛い出来事が色々あったんだろうなとか思ってしまって
単純に悪だとも言い切れない。親しくなると良い面が見える桑田の反対で
親しくなってから内臓や国籍を売ろうとする葉隠が一番印象が悪い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/06(水) 01:21:04.18 ID:KR2JkyNio<> >>339
葉隠は悪人にカテゴリすることすら逆に憚られるレベルのもっとどす黒い真性のクズだからな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 10:51:00.36 ID:2fXTH6eUo<> 悪人や犯罪者と比べると、クズの方が軽いイメージなんだがww
葉隠は金の為なら度胸のいらない事はなんでもやるクズ、って感じ

悪人や犯罪者より身近にいそうだから想像しやすいのかね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 11:36:17.92 ID:0AiOJ7JDO<> 悪人でも信念があればある種の格好良さというか生き様を感じるからじゃない?
ジェノが一流には相応のこだわりがあるんだみたいなこと言ってたし
葉隠はそういう意味で節操ないというか見苦しさがあるから問題なんじゃないかな


…て乗っといてなんだがダンロン総合スレみたいになってるなw助けてK先生! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 11:42:32.45 ID:vEAk/6jno<> まーたクソみたいな外野のせいで良スレが消えていくのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 12:07:43.45 ID:WUsuuCB2o<> よう、聳え立つクソ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 12:17:33.14 ID:nG4wgjJBo<> 葉隠が要求した内容は立派な犯罪な訳ですがそれは…… <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:10:55.53 ID:OcziN7gf0<>
遅くなって申し訳ない。書き溜めしておいた分のイベントを
色々考えて大幅に修正していたら予想以上に時間がかかってしまいました。

投下
<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:11:43.75 ID:OcziN7gf0<>

K(まさか俺の半分程度しか生きていない子供に試されるとは…俺も舐められたものだ)

K「舞園の処遇を決める前に、一つ確認しておきたいことがある。苗木、いいか?」

苗木「…何ですか?」


突然の裏切りに苗木の表情は沈みきっていたが、KAZUYAはどうしても確認しなければならなかった。


K「舞園が憎いか?」

苗木「……」


元々暗かった苗木の表情が、その質問でますます曇る。


K「自分を裏切った舞園さやかを、お前はどう思う?」

苗木「そりゃあ…何も感じていないって言ったら嘘になります。凄く、ショックだったし…」


俯き、少しの間沈黙と葛藤に至る。
だが、次に顔を上げた時の苗木の顔は何かを決意した男の顔だった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:13:19.76 ID:OcziN7gf0<>
苗木「でも、あんなDVDを見せられて平気でいられる訳がない! 僕も外に出なきゃ、
    早く帰らなきゃって強く思ったし、たまたま舞園さんが最初だっただけで、
    明日には他の誰かが事件を起こしていたかもしれない。もしかしたら僕だって…」


キッとKAZUYAの顔を見上げ、苗木は宣言する。


苗木「だから、僕は舞園さんは悪くないと思う! 彼女が責められるのなら、
    その前にこんなことをしたモノクマや黒幕を責めないと、不公平だよ!」

苗木「僕は…僕は絶対、みんなと一緒に黒幕を倒してここを脱出する!
    そこには舞園さんや桑田君もいるべきだよ! だって仲間なんだから!!」

K「成程、それがお前の考えか。――舞園の処遇は決まった」

十神「ほう、どうするんだ?」

K「舞園さやかは俺の患者として責任を持って治療に当たる。以上だ」

江ノ島「は?」

セレス「あら、それって実質無罪放免ということですわね」

石丸「先生、流石にそれは…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:14:32.00 ID:OcziN7gf0<>

石丸ですら疑問の眼差しを向けてくる。確かにそうだ。
未遂で済んだから良かったものの、彼女が殺人を試みたことは間違いない。


K「勿論、舞園が再び妙な真似をしないよう俺の監視のもと保護下に置き、
  同時にカウンセリングをしながら彼女の心の治療も行っていく」

一同「……」


KAZUYAを恐れてあからさまに反対する者こそいなかったが、何人かの表情には不信がある。


K「…お前達は目先の感情に囚われてしまって、大切なことを見失っているな。
  たった今苗木が言っただろう。全てはこんなことを仕組んだ黒幕の責任だと。
  舞園も桑田も、普通に生きていれば到底犯罪など犯すタイプではない」

K「お前達をこんな所に閉じ込めた黒幕は何を望んでいると思う? お前達を
  極限まで追い詰め、疑心暗鬼にし、互いに憎ませ殺し合わせることだ」

K「舞園が助かってかえって黒幕は喜んでいるかもしれんな。不協和音の元になってくれる、と」

一同「……」


KAZUYAの言葉に生徒達はうなだれる。確かに、放っておけば彼女を中心に
争いが起こり、それが不和の元になっていたのは間違いなかった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:16:25.96 ID:OcziN7gf0<>
K「そもそもこの件に関して意見出来るのは第三者の我々ではなく、被害者の桑田と
  被害者になりかけた苗木だけだ。そして苗木は不問でも良いと言っている。
  桑田、お前もやられた分はきっちりやり返したのだから、もうそれでいいだろう?」

桑田「えーっと、ちょっと納得いかねえけどオッサンがそうしろって言うなら俺はいいぜ!」

K「こんなことが起こってしまったからこそ、我々は尚更結束を強めなければならない!
  以後舞園にも桑田にも、今後この件で責めることは一切俺が許さん! いいな!」

K「…解散だ」


こうして事件は一応の終息を迎え、一同は部屋に戻って行った。



     ◇     ◇     ◇



舞園はずっと夢を見ていた。それは悪夢だった。
少し前に自分がしたこと、それによって引き起こされたこと。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:19:12.61 ID:OcziN7gf0<>
舞園『……』


舞園は苗木の部屋に一人佇み、何度もこの先のことをシミュレートする。
苗木は優しいから、きっと自分の事情を汲んで黙って犯人役を引き受けてくれるに違いない。
バレてはいけないというのがどれくらいの期間かわからないが、苗木が時間稼ぎを
してくれている間に自分は卒業出来るだろう。そして晴れて外に出られるのだ。


舞園(そのために、さっさと死んで下さい…桑田怜恩)


案の定、呼び出しに応じてのこのこと桑田はやって来た。自分がこれから殺されるとも知らずに。


桑田『ヤッホー、呼ばれたから遊びにきちゃったぜー。へへっ』

舞園『こんな時間に呼んだりしてごめんなさい。どうしても話したいことがあって…
    とりあえず、こんな所じゃなんなので中に入って下さい』

桑田『ええっ、いいのかよ? 女の子の部屋に入れてもらっちゃったりして…』

舞園『(デレデレ鼻の下を伸ばして…馬鹿な男)大丈夫です。ベッドにでも座ってて下さい』

桑田『んじゃっ遠慮せずに入らせてもらうぜ。おじゃましまーす!』


舞園はドアのすぐ横に立ち、桑田を招き入れる。モノクマ曰くこの部屋は防音らしい。
恐らく悲鳴が上がっても外に漏らさないためだろう。一刻も、一刻も早く扉を閉めなければ…

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:23:42.30 ID:OcziN7gf0<>
バタン!

舞園『(今だ!)すぅッ!』


深く息を吸い込み、包丁を構えて強く握りしめる。
まさに今踏み込もうとした瞬間……たまたまこちらを振り向いた桑田と目が合った。


『ッ?!?!』


そこから反射的に繰り出された桑田の鮮やか過ぎる身のこなしは、敵ながら見事と言わざるを得なかった。
桑田は包丁を視界に捉えた瞬間、まるで向かい来るデッドボールを避けるがごとく自然に体を捻り、
わざと重心を崩して転ぶ。そのまま転がって距離を取ると、素早く立ち上がって態勢を立て直していた。
…奇襲に失敗して態勢を崩した舞園が、再び攻撃態勢に入るよりもやや早くに。


舞園(かわされたっ?!)


しかしこちらには武器がある。まだ有利なはずだと舞園は再度突っ込むが、彼女の不運は続いていた。
護身用に部屋に置いていた金色の模造刀。恐らく女の部屋にあの刀は異質過ぎて印象に残ったのだろう。
桑田は反射的にそれを取り、包丁の突きをガードする。


舞園『ッ!!』

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:26:43.24 ID:OcziN7gf0<>
男と女。刀と包丁。既に勝敗は決していたが、突然の危機に桑田は完全に理性を失っていた。
野球の天才である桑田は当然バッティングも両打ちである。左打ちにスイングする要領で
まずは舞園の右手を砕き一瞬で包丁を叩き落とした。


桑田『っの野郎ぉぉ! そっちがその気ならこっちもやってやるぅううっ!』


包丁を落としたことで余裕が生まれたのか、かえって目茶苦茶な動きで桑田は刀を振り回し始める。
舞園はその無駄な動きの隙を縫ってシャワールームに逃げ込むのが精一杯であった。


舞園(ハァ…ハァ…罰が当たったんだ。無関係な苗木君の善意を利用しようとしたから…
    自分が外に出たいからって、犯罪者でもない人間を殺そうとしたから…)


桑田が怒鳴りながらドアノブを乱暴に回す音と、捨て台詞を吐いて部屋を駆け出す音が聞こえた。
恐らく、工具セットを取りに行ったのだろう。だが、自分はここから出て行く事は出来ない。
足が恐怖ですくんでいるというのもある。だが一番の理由は、桑田は足が速いだろうから
誰かに助けを求めている間に結局見つかってしまうのだ。逃げ場など、どこにもない。

そんなことを考えていたら、案の定もう戻ってきた。


桑田『舞園ぉぉっ! 覚悟しやがれぇぇっっ!!』

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:30:07.28 ID:OcziN7gf0<>

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ


舞園『い、いや…いやああああああああああああああああああああああああああっ!!』










        ◇     ◇     ◇



舞園「ハッ…!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:43:53.25 ID:OcziN7gf0<>

ちょっとキリが悪いけど、まだ修正に時間がかかりそうなのでとりあえずここまで
答え合わせ了解しました。もうちょっとだけ続くんじゃ>チャプター1
ギスギス嫌いな人はごめんなさい。もう少ししたら必ずらーぶらーぶな展開も来るはず


>>329
一章辺りが長いので、セーブするにしてもかなり終盤になりそうです
ただ基本的にイージーモードで行くので、明らかに重要な関係者を無視するとか
フラグを折り続けるとかいうあからさまにBAD狙いでなければ序盤は問題ないはず

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/07(木) 22:49:20.07 ID:OcziN7gf0<>
あ、あとダンガンやドクターKその他このスレに関連する内容であれば
雑談は好きになさってもらって結構です。むしろスレ開いてレス一個もないとか逆に寂しいし…


一番嬉しいのはSSの感想だけど(ボソ)
展開予想、リクエスト、なんなら好きなキャラや組み合わせを言えば出番が増えるかも?
好きに書いていってください。それでは続きはまた明日か明後日に…

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 22:51:39.78 ID:e/kBYF9DO<> 舞園はアマアマだよね色々と <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/07(木) 22:55:13.25 ID:FJrkaXbHo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/11/07(木) 23:04:43.39 ID:aky3Ixc00<> つか、クロで一番許せんのセレスより
大和田なの俺だけ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/07(木) 23:51:04.56 ID:tI8QruCC0<> そりゃ舞園が一番許せんわ。
大和田は見栄の為に人を衝動的に殺した。セレスはギャンブラ-として「コロシアイ」というゲームに乗った。
どちらも罪っちゃ罪なんだけど、舞園の場合はもうチョイどす黒いと言おうか・・・
ぶっちゃけ舞園はこの中で一番罪を罪と思ってなかったからな。少なくとも死ぬ間際までは。

「アイドル」であり続けるた為には相手の信頼や好意もすべて見透かして利用する冷酷さ。
そのくせ自分が返り討ちに遭うなんて事も考えていない浅はかさ。覚悟のない身勝手さ。一番罪深いクロだと思うわ。


でも、仮に計画通り桑田を殺害できてたとしても、舞園には苗木に罪を着せ続ける事はできなかった気もするんだよな。
それこそオシオキされる間際になって自白してたんじゃないかな。何となくだけど。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/08(金) 00:04:29.29 ID:qIkrMZnVo<> 記憶違いでなければ舞園さんの行動って「クロ卒業後は残り全員皆殺し」の情報出る前だったと思うんだ
だから苗木に罪を着せるのも「自分が卒業することで苗木の疑いはその後に晴れる」という免罪符があると思い込んでの行動だと思う
全員皆殺しと分かった上で実際に行動できたかって言うと分からんと思う
それでもわかった上で二人殺害したセレスに並ぶものはあると思うけど

大和田はトラウマに触れての衝動殺人だしセレスや舞園さんに比べたらまだ理解できるレベル <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/08(金) 01:19:12.34 ID:o0bb9dpDO<> ていうか、冷静に考えれば考えるほど桑田の運動性能ってすごいよな
舞園はアイドルやってるから一般女子よりは運動神経いいし、完全に油断した状態での
不意打ちでありながら華麗に返り討ちにするとか。真剣に鍛えればマジで
残姉超えありうるんじゃないか。まあ根性ないから無理だろうけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/08(金) 01:54:27.52 ID:Y5wD1oRK0<> 舞園にせよ大和田にせよ自分が今まで必死になって築いた拠り所を崩されかかって正気でいろってのも厳しいと思うが
どちらもファンやチームのように他人がいて初めて発揮できるタイプの才能だし
舞園がアイドルになった理由は有名になりたいとかちやほやされたいとかじゃないし
大和田は自分のせいで死なせてしまった尊敬する人物の遺言なんて抱えてる
どんな理由があろうと殺人は許されないと言われたらそれまでだが、10代の身で追い詰められて哀れだとも思う

セレスは突き抜けて悪党だからいっそ清々しいが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/08(金) 02:09:00.86 ID:gDdYTsTwo<> こんな俺得のスレがあるなんて・・・今気付いて一気読みしちゃった
Kは確かにマイナーに分類される漫画だろうな
あの時代のマガジンてば不良漫画暴力漫画下品漫画満載で少年誌としてはやや避けられガチだったし
キャッチーな漫画が増えて読者が増えた時代も劇画調のKは読み飛ばしてる友人多かったしなぁww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/08(金) 03:57:33.39 ID:2A9PJ7C7o<> 大和田は短気すぎてちーたんの地雷踏み抜きがなくても
カッとなって殺人しかねないんじゃないかとは思った <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/08(金) 18:10:26.97 ID:o0bb9dpDO<> ケンカを止めようとしただけで殴られた苗木は可哀相だった。あれ、ゲームだと
ほぼ半日気を失ってるんだぜ。どんだけ全力で殴ってんだ…下手したら打ち所悪くて死ぬぞ

>>363
舞園と大和田は救えると思うが、セレスは厳しいよな
というか、Kは女にも容赦ないキャラだからセレスはぶん殴られるんじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/08(金) 19:26:40.99 ID:W6871rWB0<> たしか、「女を殴る趣味はないが、化け物は別」だったね。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/09(土) 00:08:46.63 ID:3nY6evIeo<> 人間の医者だからケダモノ(同情の余地のない極悪人)は専門外らしいしね <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 00:42:39.53 ID:iCDfe/670<>
まさか舞園編にここまで手こずるとは…

投下
<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 00:44:02.02 ID:iCDfe/670<>

全身汗だくになりながら目を覚ました舞園は、自分がベッドに寝かせられていることに気付いた。
骨折した右手はギプス包帯でしっかり固定され、腹部にも何か違和感がある。


舞園「う、うう…」

K「目が覚めたか?」

舞園「西、城先生? ここは…ハッ! わ、私…?! うっ!」

K「動くな。腹部を刺されていたから俺が手術した。もう命に別状はないぞ」

舞園「……」

K「俺がどこまで知っているのかを知りたいのだろう? 説明しよう」


そしてKAZUYAは舞園を刺して部屋を出た桑田を捕まえたこと、緊急手術を行ったこと、
全員をこの場に集めて全てを明らかにしたことを話した。


舞園「残念ながら、お前の計画は全て暴かせてもらった。部屋の交換も含め、な」

舞園「……」

K「……」


重い空気の中、舞園がポツリと呟く。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 00:45:24.42 ID:iCDfe/670<>
舞園「…私は、裁かれるのでしょうか」

K「いや、みんなお前を許すと言っている。まあ一部の口の悪い奴らは嫌味くらい言っていたが」

舞園「…嘘、です。そう、苗木君…苗木君はっ?!」

K「お前を許した筆頭がその苗木だ。裏切られたにも関わらず、全てはこの殺し合いを
  仕組んだ黒幕が悪いと言い切った。お前のことを少しも恨んでなどいない」

舞園「嘘、嘘! 嘘です!! こんなことして、許してくれる訳なんかないっ!
    中途半端な優しさなんてない方がマシです! 本当のことを言って下さい!」

K「俺は本当のことしか言ってないのだがな。いつもの勘の良さも、頭に血が上っていると働かないか?」

舞園「……!」

K「苗木も…桑田もお前のことは恨んでいない。まあ、俺の言葉が信じられないと
  言うのなら、直接本人に聞いてみるといい。苗木を連れてこよう」


そう言ってKAZUYAが立ち上がろうとすると、舞園が必死に止める。


舞園「待って、待って下さい! 私…苗木君に…合わせる顔がないです…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 00:47:24.93 ID:iCDfe/670<>
K「舞園」

舞園「……」


顔を見られたくない、といわんばかりに手で顔を覆う舞園にKAZUYAは語りかけた。


K「お前が思っているより、苗木はずっと出来た男だぞ。お前の裏切りが
  明らかになった時、正直俺は苗木にどう言葉をかけたら良いかわからなかった」

舞園「……」

K「そこで俺は、苗木にお前を憎んでいるかと聞いた。たとえ殺人犯だろうがなんだろうが、
  俺は医者として、ここの校医として、生徒に殺し合いなどさせる訳にはいかないからな。
  そのために苗木の気持ちを確かめておきたかったのだ」

K「だが、その答えは先程言った通りだ。俺の目を真っ直ぐ見上げ、何の疑念も
  迷いもなく苗木は黒幕を倒すと宣言した。フ、まだ若いのになかなか見上げた奴だ」

舞園(どうして…どうしてそんなこと言えるの? どうして苗木君はそんなに強いの…?)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 00:49:04.88 ID:iCDfe/670<>

苗木が恐らく自分に好意を持っていることは舞園も知っている。
だが、自分は彼の好意を利用したのだ。憎まれても恨まれてもおかしくない。


舞園「どうして…どうして…苗木君」ポロポロ

K「……。苗木を呼んでくる。大人しく待っていろ」

舞園「はい…」


・・・


生徒達はずっと食堂に集まっていた。何かしようという気にならなかったからだ。
KAZUYAが食堂に姿を現わすと、一斉に視線が向く。


K「舞園が目を覚ました」

苗木「良かった…」ホッ

K「お前と話がしたいそうだ。一緒に来てくれ」

苗木「はいっ」


力強く立ち上がり、苗木はKAZUYAの後を付いていく。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 00:51:23.27 ID:iCDfe/670<>

― 苗木の部屋 PM6:47 ―


ベッドに横たわっていた舞園の姿は、いつもより一層細く見えた。顔も青白い。
だがそれは怪我のせいというよりも、むしろ心因性のような気がした。


舞園「…苗木、君。私…」

苗木「言わないで舞園さん!」

苗木「舞園さんが悪い訳じゃない! 全部、僕達にこんなことをさせるモノクマが悪いんだ!
    だから舞園さんは謝らなくていい! 僕は少しも怒ってなんてないから!」

舞園(今になったからこそわかる…私がどんなに酷いことをしようとしたのか)

舞園「…苗木君。ごめん、なさい…ごめんなさい…」

苗木「だから、謝らなくていいんだって! 一緒にモノクマと戦おうよ。仲間なんだから!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 00:54:41.05 ID:iCDfe/670<>
舞園(どうして…私はこんなに優しい人を利用しようとしたりしたんだろう…)

舞園(どうして、私はこんなに弱くて醜いんだろう…)

舞園「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

苗木「舞園さん…」

苗木「だから、舞園さんは【少しも悪くない】んだって! もう、それ以上自分を責めなくていいんだ!!」


舞園を必死に慰めようとする苗木に、唐突にKAZUYAは待ったをかけた。


K「それは違うぞ、苗木!」


                    BREAK!!


苗木「何言ってるんですか、先生? 先生だって、舞園さんを責めるなってみんなに…」

K「責めるなと言ったのは、既に起こってしまったことを今更責めてもどうにもならないからだ。
  確かに一番悪いのは黒幕だろう。だが、舞園が道を踏み違えたのは舞園自身の判断だ。それを履き違えるな」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 00:58:01.70 ID:iCDfe/670<>
苗木「じゃあ…じゃあ先生は、舞園さんが悪いって言いたいんですか…?」


信じられないと言った顔で苗木はKAZUYAを見上げる。KAZUYAとて、この極限状態の子供達には少し
厳し過ぎると思っていた。だが、ここには法も警察もない。誰かが線引をして秩序を保たねばならないのだ。


K「そうだ。たとえどんな事情があっても許されないことをしてしまった。…苗木、お前に聞くが
  もし舞園が桑田を殺していたら、お前は死んだ桑田の前で今と同じ言葉を言えたか?」

苗木「!! そ、それは…」

K「誰も死ななかったのはあくまで偶然の重なった結果に過ぎん。死ななかったから許す、
  死んだから許さない、と言った感情論だけで片付けて良い話ではないのだ」

K「本来なら警察に連れていくのが妥当だが、ここに警察はない。罪を犯しても不問では、お前以外の
  生徒達は納得しないだろう。俺は混乱を抑えるため黒幕の存在を出して強引に舞園の罪を帳消しにした。
  だがそれはあくまでこの場での緊急措置だ。悪いことを悪くないと主張するのは違う」

K「自分がしたことを受け入れ、ケジメをつけなければならないのだ。そして舞園はその覚悟が
  出来ているのに、お前がそんな彼女を受け入れてやらなくてどうする?」

苗木「…………」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:00:17.72 ID:iCDfe/670<>
舞園「…苗木君。西城先生の言う通りです。私は、本当は悪い女なんです。弱くて、卑怯で、ズルくて…
    苗木君の優しさを利用しようとした、醜い人間…苗木君に優しくしてもらう権利なんて、ないんですよ…」

苗木「舞園さん…」


舞園は顔を背けた。苗木の顔を見ているとまた涙が出そうだったからだ。
泣いてはいけない。きっと同情されてしまう。これ以上苗木に優しくしてもらってはいけない。
ポツリと苗木が呟く。


苗木「舞園さん…どうして僕を殺さなかったの? 僕だけが被害者なら、僕が許してそれで終わりなのに」

舞園「そんなこと! 出来る訳ないじゃないですか。苗木君は凄く優しくて本当に良い人なのに…!」

K「その言い分だと桑田は『良い人』ではないように聞こえるな」

舞園「……」

苗木「そうだ。僕も少し気になってたんだ。どうして桑田君を殺そうなんて思ったの?
    確かにちょっといい加減だったりチャラチャラしてる所もあるけど、そんなに悪い人じゃ…」

舞園「悪い人、ですよ…仲良くしてた苗木君には悪いけど、私はずっと大嫌いでした」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:03:41.45 ID:iCDfe/670<>
K「あいつが軽い気持ちで歌手を目指してると言っていたのがそんなに許せなかったのか?」

舞園「先生…殺人なんて企んだ私が言っても説得力はないかもしれませんが、私だって鬼じゃないんですよ?
    現実も知らず夢を見てる人なんてたくさんいます。それくらいなら私も目をつぶりますよ」

K「違ったか。では何だ? 軟派で軽薄な所が嫌だったのか?」

舞園「もちろん、それもありますけど…一番は桑田君の才能です」

K・苗木「才能?」


思わずKAZUYAと苗木は顔を見合わせた。


舞園「私、許せなかったんです。私だって、世間的には歌が上手いとかダンスの才能が凄いって
    言ってもらえます。…でもそれは影でたくさん練習しているからです。それだけじゃない。
    前に話したと思いますけど、芸能界で生き残るというのは本当に大変なんです」

舞園「努力だけじゃどうにもならない世界なんですよ。嫌なこともたくさんあって…そして、大勢の人が
    夢破れて消えていくんです。私にとって彼らはライバルだけど、同じ戦場で戦う戦友でもあります」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:05:53.52 ID:iCDfe/670<>
舞園「そんな私にとって、練習もせずヘラヘラと適当にやって頂点に立てる桑田君が憎らしくてたまらないんです」

K・苗木「……」


余程不満があったのか、舞園の言葉は止まらない。


舞園「どうして神様はあんな人に才能をあげてしまったんでしょう? 彼の存在そのものが、
    この世の全ての頑張っている人達を侮辱していると思いませんか?」

舞園「しかも…しかもですよ? あれだけ素晴らしい才能を持っているのに本人が全くわかってない。
    それどころか、自分を有名にして希望ヶ峰にも入れてくれた野球の不満や悪口ばかり。
    野球を踏み台にしてミュージシャンになる! ですって。本当に呆れちゃいますよね…」

K「それはおかしいな」

舞園「やっぱり、先生もそう思いますよねっ?!」

K「いやそういう意味ではなく、俺が知ってる桑田と違うという意味だ。俺の知ってるあいつは、
  野球が嫌いと言いながら俺をキャッチボールに誘ってきたり、お前が死んで自分も処刑されると
  勘違いした時はもう一度野球がしたいとワンワン泣いていたのだが…」フム?

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:10:40.44 ID:iCDfe/670<>

時が止まったようだった。苗木も舞園もまばたきすら忘れて絶句する。


舞園「――え」

苗木「あ、あの桑田君が?! まさか…」

K「人間というものは窮地に陥って初めてその本性が見えるという。
  ならば、普段の桑田と俺の見た桑田。一体どちらが本当の姿なんだろうな」

舞園「嘘、嘘ですよ…そんなはずは…」


ただでさえ白かった舞園の顔が、更に血の気を失って真っ青になっていた。


K「俺が思うに、あいつは少し子供っぽいから何かに本気になったり熱くなるのは格好悪いと
  考えているのだろう。ただでさえ汗と泥に塗れる野球はあいつの好む軟派な服装に合わんし、
  本当は野球が好きでもそれを堂々と言えなかったのだろうな」

K「案外、歌手になりたいというのも本気なのかもしれんぞ? 本気で挑戦して
  失敗したら恥ずかしいから、わざと適当な発言ばかりして誤魔化しているのかもしれん」

舞園「そんな…そんな…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:13:03.22 ID:iCDfe/670<>
K「まあ、いい加減な発言ばかりしてきたツケが来たんだろうな。俺も注意しようと思っていた。
  ただこれでわかったはずだ。人間という生き物は、いつも見てる面だけでは決してない。
  必ず別の面がある。あいつもお前も、今回の件で大切なことを学べたはずだ」

舞園「……先生。私、これから一体どうすればいいですか?」

K「騒動を起こしたことを皆に謝らなくてはいけないし、ここを出たら然るべき場所に
  行かねばならん。だがここを出るまでは今まで通り、普通に過ごせばいい」

舞園「今まで通り…私に、その権利がありますか? みんなは、受け入れてくれるでしょうか…」

K「最初はどうしてもぎこちないだろう。だが、時間が経てば必ず受け入れてもらえるはずだ」

苗木「僕も協力するよ! 先生に言われて目が覚めたんだ。もう嫌なことから目をそらしたりしない」

苗木「確かに、舞園さんは間違いを犯してしまった。だけど、その罪も含めて僕は舞園さんを支えるよ!
    思えば、僕が一番側にいたのに舞園さんの苦悩に気付けなかったのも悪いし…
    一緒に外に出て、罪を償おう。僕じゃ、頼りにならないかな?」

舞園「そんなこと、ない。苗木君…………ありがとう」ボロボロ

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:14:47.28 ID:iCDfe/670<>

二人とも、犯してしまった罪を受け入れ乗り越えることを誓いあった。KAZUYAも力強く頷く。


K(どうやら治療は完了したようだな)


・・・


K「ム、そうだ。俺は保健室に用がある。…このバッグは誰の物だ?」

苗木「僕のだけど、それがどうかしたんですか?」

K「借りてもいいか? 大事な用があってな」

苗木「いいですよ。今中身を抜きますね」


苗木からバッグを借り受け、KAZUYAは早足で保健室に向かった。


K(いかん、あの後だいぶ三人で話し込んでしまった…もうこんな時間か)


時刻は既に9時を回っている。KAZUYAは珍しく焦っていた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:16:23.40 ID:iCDfe/670<>

K(黒幕の望み通りこの監禁生活で事件は起こったが、俺が舞園を助けてしまった。
  恐らく黒幕にとって俺と俺の医療技術は本格的に邪魔になるはず)

K(直接排除に来る可能性もなくはないが、生徒に傷が付くことを考えると
  恐らくその可能性は低い。となると現在一番危険なのは保健室にある薬品類だ。
  いくら医者がいても、麻酔や手術道具がなければ手も足も出ないからな)


ただ、仮にまだ黒幕が保健室に手を出していないとしても一つ問題があった。


K(薬品の多くはアンプルに入っていて、非常にかさ張る。麻酔だけは俺が確保するが
  その他の道具類は信用出来る生徒に預けることも視野に…ん? 人の気配がするな。まさか敵か?)


KAZUYAは扉の前に立ち中の様子を伺う。どうやら何かしている訳ではなさそうだ。
警戒しながら保健室に飛び込む。中でぽつんと一人佇んでいたのは…


K「桑田…?」

桑田「あ、オッサン……」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:17:40.47 ID:iCDfe/670<>

まるでKAZUYAを待っていたかのように、保健室の中で桑田が立っていた。
俯きがちなその顔色は蒼白で、目にはいつもの生気がない。


K「…こんな所でどうしたんだ? 何かあったのか?」

桑田「……」


桑田は何も言わずにただ目を伏せる。
KAZUYAは辺りを見回した。幸いあからさまに荒らされてはいない。


K(中に入った以上焦る必要はない。さて…)チラ


とりあえず様子のおかしい桑田を椅子に座らせ茶を出し様子を見てみた。が、一向に話す気配はない。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:25:24.98 ID:iCDfe/670<>

K「……」

桑田「……」

K「すまん。俺は急いでやらなければならない作業があるんだが、構わないか?」

桑田「……」コクリ


桑田が気になりつつもKAZUYAは薬品棚の検分を始める。どうやら持ち去られてはいない。
だが中身をすり替えられたりしていないだろうか?


K(アンプルはガラスで封をされているから中身だけをすり替えることは出来ず、
  ラベルを貼り変えるしかない。そして貼り変えれば必ず痕跡が残るはず)


アンプル:注射液を入れたガラス製の細長い小瓶。無菌性を確保するため、先端までガラスで
      封をされており、細くなっている胴の部分を折って中身を取り出す。


誰かが動かした痕跡やラベルに異常がないかを、細心の注意を払ってチェックしていく。

そんなKAZUYAをぼんやり見ながら、桑田は数時間前のことを思い返していた。



        ◇     ◇     ◇


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 01:26:40.65 ID:iCDfe/670<>

今日はここまで。おやすみなさい

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 01:39:50.99 ID:vrPGgxDWo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 05:22:10.03 ID:mH38WAd90<> いかん、どうしても桑田に同情してしまう
殺されそうになるわクロになりかけるわ、おまけに舞園にあそこまでコテンパンに言われて……
これで舞園のあの独白を聞いてたりしたらもう目も当てられない……

桑田だってあの才能のせいで周りから憎まれたり恨まれたりしてたかもしれないんだぞ?
そういうやっかみから逃れるために野球嫌いを演じてたのかもしれないんだぞ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 09:18:05.06 ID:8xIqeIoO0<> でも、練習キライってのはなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 10:48:02.13 ID:GEI9zDMk0<> もしかして:アンプルごとのすり替え <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 13:43:26.59 ID:0UNMQfFDO<> 桑田は口が災いの元の典型みたいなキャラだからなぁ
本音を知ってるゲームのプレイヤーやKは感情移入出来たかもしれないけど、
何も知らないとこう思われるのは仕方ないんじゃないかな。練習嫌いは事実だし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 16:06:38.25 ID:309iZTBJ0<> アポ <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:11:34.85 ID:1aojXOEk0<>
桑田スキーにはもうちょっと厳しい展開が続くかもしれない
でも絶望を乗り越えれば希望はより輝くんだって白髪の人が言ってた


再開

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:12:35.13 ID:1aojXOEk0<>

― 食堂 PM6:55―


舞園が意識を取り戻したことで食堂のメンバーは緊張がほぐれ、各々雑談をし始める。
そこまでは良かったのだが、ある疑問が出てからその雲行きは怪しい方向へと向かい始めた。


不二咲「…それにしても、何で舞園さんは桑田君を狙ったんだろうねぇ?」

山田「確かに疑問ですな。自分よりも一回りも大きい、それも男性を狙うとは」

江ノ島「見た目はチャラいけど、一応スポーツマンなのにねー」

大和田「単に見誤っただけだろ。チャラチャラしてるから弱そうだって」

桑田「ハハ…」

不二咲「そうかなぁ。だって…」

霧切「殺人というけして失敗が許されない行為を遂行しなければならないのに、
    わざわざ男性を狙ってリスクを高める必要はない。殺すならこの場で
    最も殺しやすいか弱い存在を狙うのが道理のはず、ということね」


『か弱い』というフレーズに一同の視線は一人の人物に集中する。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:13:20.43 ID:1aojXOEk0<>

不二咲「…うん、わかってるよ。もしどうしても誰かを殺さなきゃいけないなら
     多分真っ先に狙われるのは僕…私だと思うんだ」

朝日奈「そんなことないよ! 仲良くしてる女子を狙いたくなかったんだってきっと!」

十神「仮にそうだとしても、疑問は残るな」

朝日奈「なによ、疑問って…」

十神「男子にもいるだろう。一人だけ体格が小さくて殺すのに手頃な奴が。
    そちらを狙わずわざわざリスクの跳ね上がる桑田に行った理由がない」

石丸「な、何を言うんだ。苗木君は男子の中で一番舞園君と親しくしていたではないか! …ハッ」

十神「流石の石頭も気付いたか、舞園の不自然な行動に。舞園は苗木に罪をかぶせるなんて
    回りくどい手を使うなら、最初から苗木を殺せば良かったんだ」

十神「苗木は元々警戒心のない奴だ。相手が舞園なら尚更だろう。簡単に殺せる。
    まさか、あれだけ親しくしていた自分が犯人だとは誰も思わないだろうしな」

十神「何故桑田を殺し、苗木に罪をかぶせるなどという無駄なワンクッションを置いたのか」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:14:12.89 ID:1aojXOEk0<>

おずおずと提案するように、腐川が十神に話しかける。


腐川「もしかして…舞園は苗木のことが嫌いだったんでは、ないですか…
    だから、桑田を殺してその罪をかぶせてやろうと…」

石丸「そんな、まさか…有り得ない!」

朝日奈「そうだよ! なんで苗木に罪を着せようとしたかはわからないけど、
     確かに舞園ちゃんと苗木は仲が良かったはずなんだよ! それは私にもわかる!」

腐川「じゃあ、他にどう説明するって言うのよ! あんた達がどうかばおうと、あの女が
    自分の都合で二人も地獄に落とそうとしたっていう事実は変わらないんだからね…!」


いがみ合う朝日奈と腐川を尻目に、セレスがマイペースに言葉を挟む。


セレス「わたくしはもう一つ別の可能性が浮かびました」

十神「…セレスか。少しはマシな意見が聞けそうだな。どれ、言ってみろ」

セレス「みなさん、舞園さんと苗木君の関係にばかり目が行き過ぎではないでしょうか?
     わたくしは違うアプローチ……舞園さんと桑田君の関係に着目いたしますわ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:15:21.28 ID:1aojXOEk0<>
桑田「俺?」

セレス「ええ。…こういう言い方をするとあれかもしれませんが、舞園さんは元々桑田君のことが
     嫌いだったとすればどうでしょう? 例えば、顔を見るのも嫌なくらいだったとか」

桑田「……」

大神「セレスよ、そのような言い方は…」

セレス「例えばの話ですわ。真相は本人に直接聞かないとわかりませんもの。
     ですが、この仮定の元でなら全ての疑問が解決するのです」

セレス「舞園さんは元々桑田君が嫌いで、もし誰かを殺すなら桑田君と決めていた。ですが力で
     劣る彼女が桑田君を殺すならば、彼が完全に無防備の状態を不意打ちしなければならない」

セレス「桑田君は舞園さんに気があるようでしたし、自室に誘いこむのが一番ですがそうなると
     犯行現場が自分の部屋になってしまう。女性の力で死体を運び出すのは大変ですし
     誰かに発見されるリスクもある。そこで苗木君と部屋を交換することを思いついた、と」

葉隠「つまり苗木っちのことは別に嫌いじゃないけど、自分が犯人だってバレねえために
    利用させてもらったってことか。どっちにしろついてねえべ、苗木っち…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:16:22.51 ID:1aojXOEk0<>
腐川「やっぱり、とんでもない女じゃない…」

大和田「まあ、それなら一応筋は通ってるな」

桑田「ちょっと…ちょっと待ってくれよ! なんで俺はそこまで舞園に嫌われてんだ!
    俺あいつになにかした覚えなんてねえぞ。…そりゃ、多少の下心はあったけどさ…」

江ノ島「…それが原因じゃないの?」

朝日奈「まあ、イヤらしい目で見られちゃ女子としていい気はしないよね…」


女性陣の視線は冷たい。が、男性陣からも反論が入る。


山田「しかし、密閉空間に若い男女が閉じ込められているというこのシチュエーション!
    桑田怜恩殿の反応は健全な殿方としては非常に普通であり当然のことであり、
    その程度で殺意を抱かれたとあっては我々は立つ瀬がないですぞ!」

十神「そうだな。不快感はあるだろうが、通常それだけで明確な殺意にまで飛躍しないだろう」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:17:58.99 ID:1aojXOEk0<>
桑田「…じゃあまだなにかあるってのかよ」


その時、いつもは相手を嘲笑するような薄い笑みを浮かべているセレスが
珍しく神妙な顔をして核心を言い放った。


セレス「――カンに障ったのではないでしょうか」

桑田「ハ?」

セレス「あなたの存在や発言の一つ一つが」

桑田「ッテメエ! さっきから黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって!」

大和田「おい、バカ! やめろ!」


怒りのあまり椅子を蹴って立ち上がった桑田の腕を大和田と石丸が掴んで座らせる。


石丸「桑田君、落ち着きたまえ! それにセレス君、君もだ。
    さっきから桑田君に対してあんまりな言い分ではないかね!」

セレス「あら、石丸君はどちらかと言えば舞園さん寄りかと思いましたが…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:18:55.84 ID:1aojXOEk0<>
石丸「――何? それは一体どういうことだ?」


唐突に自分も関係者であるように言われ、石丸は眉をひそめる。


セレス「よく不満を漏らしていたではありませんか。桑田君は風紀を
     乱しがちの上、いくら注意をしても聞いてくれない、と」

石丸「そ、それは…」

セレス「それに一番は日頃の桑田君の発言ですわ。彼の発言は努力を軽視している、
     社会を舐めているに違いない! …といつも怒っていたじゃありませんか」

桑田「…それ、本当か?」


桑田は石丸の顔を振り返って見つめる。石丸は一瞬考えたがすぐさま肯定した。


石丸「ああ、本当だ。だがそれは別に隠し立てするようなことじゃない! 僕は常日頃から
    君の言動は大いに問題があると思っていたし、実際に注意したこともあるだろう!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:20:16.92 ID:1aojXOEk0<>
桑田「…ああ、そうだったな。で、それと舞園にどういう関係があんだよ」

セレス「まだわかりませんか? わたくしもギャンブラーとして裏の世界を色々と見てきた身ですので
     知っておりますが、芸能界というのはあなたが考えているような甘い世界ではありません」

セレス「あの世界で頂点に立つ…そのために彼女は今までどれほどの努力をしてきたのでしょう。
     そんな彼女の前で、あなたは今までどんな発言をしてきましたか? 本当は野球なんて嫌い、
     練習もしたことない、野球を踏み台にしてミュージシャンになりたいなどと…」

桑田「…!!」

セレス「彼女にしてみれば、自分が今までしてきた努力を鼻で笑われたように感じたでしょうね」

桑田「ちがっ…! 俺は、別にそんなつもりで言ってたワケじゃ…」


まさしくそれは青天の霹靂だった。

桑田にしてはただその時その時に思ったことを言っただけで、彼女も彼女の努力も
馬鹿にしたつもりなどまるでない。KAZUYA曰く、悪気は毛頭ないのである。
しかし実際問題相手にはそう受け取られていたのだ。


石丸「それについては僕からも一言言いたいぞ!!」


風紀委員としての使命感に燃えながら、石丸も続いて切り込む。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:21:18.63 ID:1aojXOEk0<>
石丸「桑田君が決して僕らを馬鹿にしていた訳ではないというのは分かっている! しかし恐らく、
    君は自分が天才過ぎて他人の努力や労苦というものがあまりよく分かっていないのではないか?」

石丸「君は、成功している人間というのは結局皆才能があるからだと思っていないかね?
    例えば、僕の成績が良いのは僕が真面目で頭が良いからだと、そう思ってはいないか?」

桑田(違うのかよ…)


他の生徒達の目が気になって口には出さないが、心の中で密かに反論する。


石丸「僕は頭が良いから、授業をちゃんと聞いてあとはそこそこ勉強すれば良い成績が取れる。
    口では努力努力なんて偉そうなことを言っても、実際は大したことなんてしていない…
    君はきっと内心ではそう思っているんだろう。だから僕は数字で示そうと思う」

石丸「僕は平日は最低5時間、休日は12時間近く勉強している。無論、学校の時間は抜いてだ」

桑田「…えっ?!」


一日5時間…好きなゲームをやり続けていても目や腰が痛くなってくる時間である。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:23:34.27 ID:1aojXOEk0<>

石丸「僕は決して頭の良い人間ではない。むしろ、人より少し不器用なくらいだ。
    だから、誰よりもたくさん愚直に努力しないと天才の君達のようには結果が出せない。
    いや、天才でも何かしらの努力をしている人が多数だ!」

石丸「そういった人達にとって、君の発言が不愉快なものになっていた可能性はある」

桑田(まさか…そこまでマジでやってたなんて…え? ていうか、実はみんなそんな感じ?
    なんもやってないの、俺だけ…? じゃあ、もしかして…)

桑田「え、つかさ、みんな俺のこと…ぶっちゃけどんな風に思ってるワケ? なあ、大和田」

大和田「お、俺かよ!」


いきなり指名されて驚くが、伏し目がちになりながらも大和田はハッキリ言う。


大和田「…まあ正直に言わせてもらえば、天才だかなんだか知らんが余裕ぶっこきやがってとは思ってたな」

桑田「朝日奈」

朝日奈「え、私?! …えっと、その、確かにちょっと調子に乗ってるかなーとは思ってた…かな」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:25:08.64 ID:1aojXOEk0<>
桑田「…葉隠」


すがるように葉隠を見る桑田。


葉隠「えーっと、俺はどっちかといえば桑田っち寄りの結構いい加減なタイプだかんなー。
    だから俺に関して言えば、桑田っちの発言でどうこう思ったとかそういうのはないべ」

桑田「……」ホッ

葉隠「…ただ、その発言はみんなの前じゃマズイんじゃねえかなーって思うことはしょっちゅうあった」


葉隠の発言で少し慰められたかと思ったが、やはり発言自体はかなり問題だったと
ダメ押しをされて桑田はうなだれる。全員の顔を見渡したが、概ね同じ意見のようだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:26:25.12 ID:1aojXOEk0<>

―あれ?

―あれれれれ〜?

―おかしいぞ。なんかおかしい。

―俺はこんな状況でもマイペースでいられる桑田カッケーって思われてると思ってたし、
 明るく楽しいムードメーカー的存在のつもりだったんだけど…

―むしろ…むしろ、うざがられてた感じ?

―空気読めねーなって、ずっと思われてた???


―人気者どころか…実際は、超絶嫌われてたり?????




桑田(……………………アポ)


ぐにゃ〜と視界が歪み、厳しい現実を知って桑田は真っ白になる。
だが死体に鞭打つがごとく、更に追い打ちがかかった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:28:17.32 ID:1aojXOEk0<>

十神「くだらん。俺の頭脳を使うまでもなかったな。要は男子限定で社交性の高い苗木・山田、優等生の石丸、
    勝てそうにない大和田を抜いた時点でもう俺・葉隠・桑田しか残らん。この三人なら普通に桑田だろう」

桑田(ちょっと待て…俺が嫌われ者だってのは悔しいけど認めるよ。でもさ、なんでこいつは選ばれないワケ?
    俺なんかよりよっぽど空気読めなくて協調性もなくていつも偉そうで嫌なヤツじゃねえか!!)

十神「…何か言いたそうだな」


気持ちが顔に出ていたのかあるいは普通に睨んでいたのか、十神と目が合う。


十神「大方、何故俺は殺害対象にならなかったのかとでも思っているんだろう。
    フン、愚民に教えてやる。俺は存在が上過ぎてお前達には好かれていないようだが…」

江ノ島(あ、嫌われてる自覚はあるんだ)

十神「無駄なことはしないからな。普段は目につかない男と、近くでやたらさえずる目障りな男。結果は明らかだ」


ガクッ、と桑田は肩を落としその勢いで机に突っ伏す。
人間的に問題のある十神以下の烙印を押されたのが何よりこたえた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:30:01.65 ID:1aojXOEk0<>

桑田(もう俺…生きていけない…)


そんな桑田に、いつもは他人に我関せずな霧切が珍しく声をかけた。


霧切「良かったじゃない」

桑田(もう、ほっといてくれよ…これ以上何か言われたら俺は…)

霧切「自分の欠点というのは自分一人ではなかなか気付けないもの――
    これはみんなからあなたへの善意よ。これを活かすかどうかはあなた次第だわ」

桑田「……」

石丸「そうだ! もし君がここで何も気付かず外に出れたとしても、知らず知らずのうちに
    誰かの恨みを買って刺されていたかもしれない。それを未然に防げたのだぞ?」

大神「人は誰しも欠点がある。それに気付けるか、治せるかどうかが大切なのだ。
    過去のことは仕方があるまい。これから共に精進していけば良い」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:36:28.99 ID:1aojXOEk0<>
不二咲「私、桑田君のこと嫌いじゃないよ? みんなだってきっとそうだよ」

朝日奈「うん、あんたケッコーおもしろいと思うし! 元気だしなって!」

大和田「いつもバカみたいに明るいオメエがシケたツラしてるとなんかこっちまで調子悪くなんだよ」

桑田「……」

桑田「わりぃ。俺…なんか、頭いっぱいになってきちまった…少し、やすむわ」


フラフラと桑田は立ち上がりそのまま食堂を後にする。
適当に歩いていたはずなのに、気が付けばいつの間にか保健室の前に来ていた。


桑田(…オッサン、いるかな? まだ舞園の所かもしれないけど)


予想通り、薬品の匂い漂う保健室には誰もいなかった。
しかしなんとはなしにKAZUYAと話がしたくて、桑田はずっと中で待っていたのだった。



        ◇     ◇     ◇


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 17:37:15.30 ID:1aojXOEk0<>
ここまで。時間があれば今日中にもう一度くらい来れるかも
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 17:40:38.36 ID:5YMEEgG60<> 乙です
さーて、後はご当人同士でゆっくりと... <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 17:48:10.13 ID:OpZX5DPt0<> 乙

ほぼ全員から「誰かコロセって言われたら、まぁコイツかな…」認定されたのか
しかも後からとってつけたようなフォローされても追い討ちになってるし
これじゃまるでメンタルにオシオキされたようなものじゃないか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 17:51:05.83 ID:43qJUz4X0<> 乙
本編の桑田が自分の欠点に気付けてりゃ 少なくともターゲットにはならなかったんかね?
まあ舞園さん殺っちまったから同情はできんが
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 18:07:06.24 ID:OpZX5DPt0<> >>412
実際のところは「自分の言葉を信じてスキを見せてくれる、しかもコロしても良心の痛まない相手」って所が大きいはず
良心の痛み云々は相手を悪いように悪いように見てれば都合よく上書きできる部分だし

多分桑田が欠点に気づいて改善しようとしてても、舞園にしちゃ「クズが今更改心したところで…」程度だったんじゃね?
舞園の中じゃ誰かをコロシて外に出る事が第一義だったしな

いずれにせよ舞園も桑田も一線は越えなかったのは事実。だから立ち直るチャンスはあるかと <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 18:29:48.17 ID:0UNMQfFDO<> >>413
十神は俺の方が上みたいに言ってるけど、ぶっちゃけ十神が狙われないのって
隙がないからだよね。チャプター1も3もそれぞれ殺しの計画を立てられやすいキャラが
優先的に殺されてるし。隙があったら真っ先に殺されてるのは十神だと思う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 19:44:15.15 ID:8xIqeIoO0<> まあ、大和田はさくらちゃんとジェノ以外は殺しにくいし、ちーたんを[ピーーー]のは
あきらか罪悪感がはんぱないし、腐川葉隠は部屋にこもってそうだし、
[ピーーー]なら、苗木桑田山田石丸のだれかで
やりやすそうなのが桑田だったって感じだよな。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 19:52:23.16 ID:mgbVgicuo<> 苗木の場合は位置的にも相手の心情的にも利用しやすいのと
鶴だかの話で一応は好意を持ってたから[ピーーー]のは嫌だったのがあるんじゃないか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 20:03:58.18 ID:GWJ/pRY9o<> そして石丸は夜中に女子の部屋に呼び出されても来そうにない(不純異性交遊云々で)し、
山田は二次元にしか興味ないから誘いに乗るかわからない。
色んな意味で舞園が殺せるのは桑田しかいなかったと。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 20:17:25.66 ID:9TSXYCyf0<> 「誰を生贄にして自分の目的を達成するか」って計算を即座に叩き出して実行するあたりが舞園の凄い所だよな
もし舞園がもっと徹底していてら、苗木をコロス→その罪を桑田に着せるで卒業できてただろうし

そう考えると苗木に対する情を捨て切れなかった所が舞園の甘さであり人間らしさなのかもな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 21:10:28.49 ID:8xIqeIoO0<> いや、苗木コロスにしても霧切に負けてたと思うが、やっぱ学級裁判のこと、クロ以外オシオキの事知ってたらやらんかったんかね〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 21:19:17.48 ID:v8w7PJLMo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 21:26:13.26 ID:OctGlSeJ0<> ラベルではなく、アンプルごとすり変えられる可能性はないだろうか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 21:31:10.35 ID:OctGlSeJ0<> 書き込み忘れていたのをいまさら書き込んでしまった…… <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:16:38.69 ID:9EB5Q7R60<>
>>421
アンプルは工場で作られていて人為的に中身を入れ替えるのは不可能です
で、アンプル自体をすり替えるのは可能でドクターK原作でも過去にそういった事件はあるのですが、
今回に限っては全てのアンプルにラベルが貼ってあり、ラベルを剥がして別のラベルを貼るか、
あるいは上からラベルを貼らないと一目瞭然という設定にしてます。

…普通薬品を箱で買うとラベルが貼ってないことが多いんですけどね。まあ御都合主義で


再開

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:17:47.72 ID:9EB5Q7R60<>

KAZUYAは持ち前の超観察眼と超記憶力で針の穴ほども異常がないか隈なく点検していた。


K(…なんとか無事のようだ。黒幕め、一体何を考えている? わざとこちらに
  希望を残し、後々それを踏みにじっていこうとでも考えているのか?)

K(だが、今は考えていても仕方がない。…あとはカバンに分けるだけだ)


現在手元にはKAZUYAの医療カバン、保健室に備え付けの非常用リュック、そして苗木のバッグがある。
最重要な薬品や道具類はKAZUYAのカバンに入れ、残りを振り分けていく。


K(ちょうど苗木のバッグを借りたから、これは苗木に預ければいいか。
  さて、もう一つはどうする? 石丸あたりにでも頼むか?)


グス……グス……


K「!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:18:36.94 ID:9EB5Q7R60<>

不意にすすり泣きが聞こえてKAZUYAは手を止めた。ゆっくりと振り返る。


桑田「俺って…俺ってホント、どうしようもないアホだよな…」

K「……」

桑田「カッコよくなりたかっただけなのに…みんなに見てもらいたかっただけなのに…
    周りの気持ちとか全然きづいてなくて…イヤな思いさせてて…」

桑田「ダッセェ…マジでダセェよ、俺…」

K「……」


KAZUYAは全てを察した。


K「フ…なんだ。大した悩みでなくて安心したぞ」

桑田「ハァッ?! ふっざけんなっ?! 俺は真剣に悩んでんだぞっ!!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:19:44.45 ID:9EB5Q7R60<>
K「何を悩むことがある。自分の悪い所に気が付けて良かったではないか。
  あとはみんなに今までの詫びを入れ、次から気を付ければいい。違うか?」

桑田「……!」

桑田「で、でも…いまさらどんな顔して言えばいいんだよ…それにもし許してくれなかったら…」

K「許してくれるさ。友達だろう?」

桑田「…でも、向こうはそう思ってないかもしれないし」

K「友達だ。友達だからあえて汚れ役になって言いづらいこともはっきり言ってくれたのだ。
  こんな状況に巻き込まれたのは不運だったが、良い友達を持てて良かったじゃないか」

桑田「…そうかな」


まだ煮え切らない桑田に、KAZUYAは力強く語りかける。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:20:47.20 ID:9EB5Q7R60<>
K「いいか、桑田。世の中にはな、謝って済む問題と済まない問題がある。
  それこそ舞園は取り返しのつかないことをしてしまった。彼女はこれから生涯
  消えることのない罪悪感を持ち続けるだろう。だがそれが罪であり償いでもある」

K「それに比べたらなんだ。お前の悩みなんて、ちっぽけなものだ。
   謝っても許してもらえないなら、そんなものはもはや友人ではない」

K「俺の前で宣言したのは嘘だったのか? これからは真面目に生きるんだろう?
  だったら、生まれ変わったつもりで行け。新しいお前を俺に見せてみろ!」

桑田「でも…でもさ、やっぱこええんだよ。頭ではわかってるけどさ、
    あと一歩がなんか踏み出せないんだよ。カッコワリイかもしれないけど」

K「フ、どうやらお前にも俺の治療が必要なようだな。なら手助けしてやろう」チャキッ!

桑田「え…? ちょ、そんな物持ってなにすんだよ?! 危ないって! うわ」


・・・


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:21:44.94 ID:9EB5Q7R60<>

K「気分はどうだ?」

桑田「うーん、なんて言やいいんだか。…まあ、スッキリしたかな」

K「もう、みんなにちゃんと言えるな?」

桑田「おう! 俺ガンバるぜ! ありがとよ、オッサ…せんせー!」

K「フフ(こちらも治療完了、だな)」

桑田「じゃあもうこんな時間だし、俺もそろそろ…」

K「…そうだ。待て。お前にこれを持っていてもらいたい」


KAZUYAが桑田に差し出したのは、薬品や道具でパンパンのリュックサックだった。


桑田「リュック? なにが入ってんだ?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:23:01.00 ID:9EB5Q7R60<>
K「黒幕にとって俺の医療技術は邪魔だ。だから薬品や道具類を保健室に放置していれば
  狙われる可能性がある。全て俺が管理出来ればいいんだが、あいにくと限界があるんでな。
  信頼出来る生徒に一部預けたいと考えていた」

桑田「…そんな大事なモン、俺なんかに預けちまっていいのかよ?」

K「今のお前なら大丈夫だ。いや、俺はむしろお前に預けたい」

桑田「……」


KAZUYAは強い瞳で桑田の顔をジッと見つめる。流石の桑田にもわかった。
これは信頼の証なのだと。自分はこの世界一強い男に認めてもらったのだという重みを。


桑田「…うっし! わかった。ぜってー俺が守るから任せてくれよな!」


先程までの重苦しい表情から一転、桑田は憑き物が落ちたかのように
晴ればれとした笑顔を見せてKAZUYAの信頼に応える。


K「頼んだぞ、桑田!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:24:39.16 ID:9EB5Q7R60<>

― 苗木の部屋 PM10:02 ―


KAZUYAは再び苗木と舞園の元へと戻って来た。


K「…という訳だ。このバッグの中身を、預かってくれないか?」

苗木「僕で本当にいいんですか? 大切なモノなのに」

舞園「苗木君なら大丈夫ですよ。むしろ、苗木君程信頼出来る人はいません」

K「まあ、そういうことだ。頼まれてくれるな?」

苗木「…わかりました。絶対守ってみせます!」

K「さて、もう夜時間だ。お前も部屋に戻れ」

苗木「はい。舞園さん、明日も来るからね。二人とも、おやすみなさい!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:27:01.25 ID:9EB5Q7R60<>

苗木はバッグを大事そうに抱え、部屋を去っていった。
そしてKAZUYAは舞園と二人きりになり、あることに気が付いてしまう。


K(いかん、俺としたことが。うっかりしていたな…)


命に別条はないと言っても、細菌感染などで容態が急変しないとも限らない。
病院にはナースコールがあるがここにはそういったものがないのだから、
誰かが一晩中側について様子を見ていなければならないだろう。


K(俺はここに残っても構わないが、やはり若い娘と密室に二人っきりは不味い。
  こんなことなら先程食堂に行った時朝日奈達に頼んでおくべきだった…)


既に時刻は夜時間となっている。今更頼むのは気が引けるが止むを得まい、
とKAZUYAが外に出ようとした時だった。


舞園「西城先生、どこへ行かれるんですか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:29:27.67 ID:9EB5Q7R60<>
K「お前はまだ一人で動けないし、急に体調が悪くなった時を考えると誰かがここにいた方が良い。
  だが男の俺が残る訳にはいかんだろう。こんな時間になってしまったが、誰か女生徒に頼んでくる」

舞園「…別にいいですよ」

K「何がだ?」

舞園「西城先生ならここにいてもいいです」


KAZUYAはギョッとした。天下のアイドルが何を言っているのだろう。


K「だ、だが…男が同じ部屋で寝るのは落ち着かないだろう? 怖くはないのか?」

舞園「西城先生は絶対に変なことなんてしないし、そもそもそんな目で私を見たりしません」

K「何故断言できる。俺も男だ。間違いがないとは…」

舞園「わかりますよ。だって私――」


そして舞園は微かに微笑んだ。
アイドルとしていつも見せていた作り笑顔ではない、舞園さやかとしての笑顔だった。


舞園「エスパーですから」


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:31:52.69 ID:9EB5Q7R60<>

― コロシアイ学園生活6日目 AM7:52  寄宿舎廊下 ―


苗木「ふぁ〜あ、昨日は色々あったからなんか疲れてるな」

桑田「うーっす! 苗木、オハヨーさん」

苗木「あ、桑田くんおは…って桑田君?! どうしたのその格好?!」


まず最初に、トレードマークの髭がなくなっていた。
次に、ボウズ…ではないが、髪が元の半分程の長さに切り揃えられていた。
服装も相変わらず派手ではあるが、どことなく大人しめになったような。


苗木(あーわかった。ピアスとかアクセサリー系が減ったんだ。ゼロではないけど)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:33:00.02 ID:9EB5Q7R60<>
桑田「せんせーに髪切ってもらった」

苗木「ど、どうしたの急に? 何かあったの?」

桑田「聞け、苗木! 俺は生まれ変わったんだ。ネオ桑田アルティメット怜恩に!」

苗木「ネオ桑田アル…えっとなに?」

桑田「ネオ桑田アルティメット怜恩! カッケーだろ? …そのさ、今まで
    色々無神経なことばっか言って悪かったよ。これからは気をつけっからさ」

苗木「……え?」


唐突過ぎる展開に苗木はついていけない。


苗木(まさか昨日の話聞いてた、とか?)

桑田「だーかーら、俺は今までの俺を反省したんだよ! ま、これからもよろしく頼むな」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:34:52.76 ID:9EB5Q7R60<>
苗木「え、えっと…うん。こちらこそよろしく!」

桑田「ちなみにどうよ今の俺? 名前もデビルカッケーだろ?」

苗木(反省してもこのキャラは変わらないんだね)ハハ…

苗木「うん、凄くいいよ! 前より全然格好良いと思う! 爽やかなスポーツマンぽくなったよ」

桑田「え? マジでマジで? 今の俺、マキシマムカッケー??」

苗木「うん、マキシマムカッケー! だよ!」

桑田「マジか…他の奴らもみーんな同じこと言うし石丸に至っては感動して泣き出すし。
    …じゃあもうこのキャラでずっと行っちゃおうかなぁ」


そんな呟きが聞こえる。だが、苗木は本心から今の桑田を格好良いと思ったのだ。


苗木(他のヤツにも謝ってくるから、と桑田君は行ってしまった。昨日何があったのかわからないけど、
    桑田君は桑田君できっとたくさん悩んだり考えたりしたんだろうなぁ、と僕は思った)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:38:04.26 ID:9EB5Q7R60<>

気付いたらすぐ横にKAZUYAが立って微かに笑っている。


K「あいつもこれで大人になったな」

苗木「あ、KAZUYA先生。おはようございます。先生が桑田君に何か言ったんですか?」

K「いや、俺は何も。ただ背中を押してやっただけだ」

K「変わったのはあいつ自身の力さ」


まだコロシアイ学園生活は幕を開けたばかり。
これからどんなことが起こるかまだわからないが、生徒達自身の力で解決できるといい。
いや、きっと彼らなら出来るはずだとKAZUYAは強く強く思った。


だがそれを嘲笑うかのごとく、黒幕が次なる絶望を用意していたのをKAZUYAは知らない――





  Chapter.1 イキキル 非日常編


          改め


  Chapter.1 タスケル 医療編  ― 完 ―


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:40:20.17 ID:9EB5Q7R60<>


     【15人】

        ↓ カタッ

     【14人】


     to be continue...


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 23:41:27.76 ID:f9JXwNHmo<> ファッ!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 23:42:25.89 ID:/HgXqihuo<> え?


えっ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 23:43:35.27 ID:YlED0ZT5o<> なん…だと <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/10(日) 23:45:49.47 ID:9EB5Q7R60<>
それでは本日はここまで
無事Chapter1終了出来た。良かった!

答え合わせとか細かいデータはまた後日投下します


とりあえずEDを脳内でお楽しみください。それではまた


キミノノゾムモノハナニ? ミミナリ ウソミタイナハナシ
ドウヤラ ボクノセカイハバグッテシマイマシタ 〜♪

サエギルボンノウ ソイツガイウニハ トウカコウカンダトイウケレド 〜♪


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 23:47:55.73 ID:ksXV74um0<> 乙
桑田も舞園にトドメ刺してたら取り返しのつかない事になってたんだから、しっかり反省しとかないとな!

しかし最後が不吉な……やっぱりスーパードクターがいても救いきれない命があるのか…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 23:50:55.81 ID:YlED0ZT5o<> 乙
しかし霧切さんが似たようなこと言って逃げてきたのにKに言われると納得するんだな
これがコミュ力と人徳の差か <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<><>2013/11/10(日) 23:51:38.44 ID:+5DK94SI0<> これはもう頑張ってプロ野球選手かミュージシャンになるしか桑田に残された道はありませんね(白目) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 23:53:36.38 ID:8xIqeIoO0<> 残姉は対K用に必要だから
妹様が残姉殺したとは思いにくいし、
さくらちゃんかな?可能性として <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 23:55:21.05 ID:B0a7gGYGo<> 誰か一人殺されてるー!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/10(日) 23:56:15.46 ID:7dCFMJJNo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/10(日) 23:56:37.54 ID:ksXV74um0<> >>443
まぁ単純に信頼関係の差だろう。ちゃんとキャッチボールにも付き合ってくれてたし
同級生のさほど親しくない霧切さんのドヤ顔説教とKせんせーの励ましのお言葉じゃあ重みが違うわな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/11(月) 00:00:08.82 ID:6UxqFMPDO<> >>443
霧切さんの言葉で逃げたんじゃなくて、単純にあの場で色々なことがありすぎて
混乱してたんじゃない?Kに会うまでにかなり時間が経ってるから
その間に頭の整理がついたんだと思う <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/11(月) 00:00:20.07 ID:jdRrZF420<> で、殺されたのは、苗木舞園桑田霧切あとちーたん以外かな?まだアルターエゴの件出てないから死なすのはまずいし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/11(月) 00:45:47.33 ID:EwLmykO/o<> 乙です
生存人数じゃなくて患者数? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/11(月) 20:19:39.43 ID:kLFOqqvH0<> >>423
実験用の薬品ならともかく、医薬品ならアンプルには名前が入っていますよ。

薬事法より
第五十条  医薬品は、その直接の容器又は直接の被包に、次に掲げる事項が記載されていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。
二  名称(日本薬局方に収められている医薬品にあつては日本薬局方において定められた名称、その他の医薬品で一般的名称があるものにあつてはその一般的名称)

アンプルに名前が入っていなかったら、取り違えによる事故が多発するでしょう。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/11(月) 20:24:32.79 ID:K1E82VXko<> 詳しい人がおるんやな・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/11(月) 21:03:09.18 ID:YMVx5ZWIo<> へぇ。そうなん? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/11(月) 22:28:52.99 ID:Wt34JTw0o<> >>452
シリアルもあるよな問題発生時に製造ライン単位で遡るために
昔薬品用シリアルナンバー採番プログラム組んだから覚えてる <> 作者じゃないよ!
◆oEetFxuilQ<>sage saga<>2013/11/12(火) 17:12:31.48 ID:hDoa6Irm0<> 乙 <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/12(火) 21:58:06.24 ID:620+gmCK0<>
スレを見て珍しくたくさんレスがついてるなぁと思って読んでみたら…


( Д)  ゜゜


紛らわしい真似して申し訳ありません。>>437のカウントは死者ではありません!
今のところは>>451さんの指摘通り患者数であってます。
今後死人が出たら単純に五体満足じゃない人の数になるやもしれません…


えー、現状報告ですがChapter1で書き溜め完全に付きて一から書きためているので
次の投下は恐らく週末あたりになると思います。


とりあえず今日は作っておいたデータを投下

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/12(火) 22:00:09.25 ID:620+gmCK0<>

― Chapter Result ―


【物語編】

・図書室で学園廃校についての書類を見つけた。KAZUYAは信憑性が高いと考えている。
・外の世界の様子を懸念。警察がまともに機能していない可能性を考えている。
・物理室の装置と生徒の頭部にある火傷痕が気になっている。
・生徒達との記憶の違いが気になる。自分の記憶が正しいとほぼ断定。
・KAZUYAは電子生徒手帳がないため更衣室やプールに入れない。
・保健室から薬や道具を確保し、最重要な物以外は桑田と苗木に分散して預けた。


【生徒編】

・苗木から生徒達の詳しい情報及び人間関係の情報を得た。
・生徒達のKAZUYAに対する警戒が解けた(江ノ島除く)。
・江ノ島が少し気になっている。
・桑田が改心した。


【その他】

・『桑田 怜恩』が仲間になった!
・『苗木  誠』が仲間になった!
・『舞園 さやか』が仲間になった!


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/12(火) 22:17:18.79 ID:620+gmCK0<>
《仲間システムについて》

一定以上の親密度と特殊イベント発生により生徒が仲間になります。
仲間になるとどういうことが起きるかというと、生徒が自分からKAZUYAに会いに来たり
イベントを発生させるため、貴重な自由行動を消費しなくても勝手に親密度が上がります。

またKAZUYAの頼みを積極的に引き受けてくれたり、生徒のスキルが事件発生時に
役に立つこともあります。特定のスキルがないと死亡する生徒もいるかもしれません…。

より多くの生徒を仲間にすることがグッドエンドへの鍵となります。


・現在の親密度(名前は親密度の高い順だがイマイチ組はみんな同じ数値なので意味ない)

【かなり良い】桑田

【結構良い】苗木、舞園

【そこそこ良い】石丸、霧切

【普通】朝日奈、大神、不二咲

【イマイチ】大和田、山田、葉隠、セレス、十神、腐川

【全然】江ノ島


しかし計算してみて驚いたが、主人公である苗木を差し置いてまさか桑田がトップに立つとは
一体誰が予想出来たであろうか…次点の苗木に10ポイント以上差をつけてるし

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/12(火) 22:25:29.52 ID:620+gmCK0<>
そして約束通りChapter1の解答編を



― 磨毛保則の解説コーナー(Chapter1答え合わせ) ―


モノクマ「まさかこいつと組む羽目になるとは…」

磨毛(まもう)「まあそう言うなよ、モノクマ君。仲良くやろうじゃないか。ハハッ」


磨毛保則:KAZUYAの帝都大時代の同期。現在は帝都大で講師をしている。機械の天才だが変人で有名。変態。


モノクマ「僕の中の人的にお前の存在はセクハラなんだよ! パンツだけでもいいから履いてよ頼むから…」

磨毛「しょうがないなァ」ズボン履き履き

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/12(火) 22:26:59.92 ID:620+gmCK0<>
磨毛「さてさて…とりあえず諸君、Chapter1クリアおめでとう。実に完璧なプレイじゃないか。
    こちらも見ていて安心出来たよ。では、最初にまずクリア要件を教えようか」

磨毛「一章は今後の流れや難易度が決まる最も重要なパートだった故に、かなり甘めの設定だ。具体的には
    @DVD前後に一回ずつ舞園君と会って話すこと、A桑田君と2回以上会うことが条件だね」

モノクマ「もし舞園さんと会わなかった場合…実は事件は起こりません! KAZUYA先生が桑田君を捕まえたのが
       工具を取りに行く所になっていました。ただその場合、舞園さんが桑田君に襲われたと言い出して
       霧切さん達が論破。舞園さんは死にかけた訳でもないから周りの同情も得られず針のムシロとなり…」

モノクマ「みんなからハブられちゃう! うぷぷぷぷ、絶望だね! 当然しばらく仲間にもならないよ。
       一方桑田君は犯人扱いされたことに憤慨して孤立。もうギッスギスだね。親密度も上がりにくくなるし」

モノクマ「みんなから疑われた桑田君を信じるかどうかでコンマを使う予定だったから、桑田君を庇うが出れば
       ワンチャンあるかもしれないけど…信じないが出たらアウトだね。もう仲間に出来なくなってました!」

磨毛「基本的にダンガンSSはフラグを折って事件回避をしていくのがほとんどだけど、このSSに限っては
    事件は起こった方が良い。何故なら手術を成功させることで生徒全員の親密度に『手術ボーナス』が
    加算されるからさ。特に事件関係者はボーナス二倍だから、これを狙わない手はないよなァ」ニタァ

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/12(火) 22:29:54.78 ID:620+gmCK0<>
磨毛「事件が起こると生徒の仲間化に必要な重要イベントも一緒に起きやすい。事件前後の立ち居振る舞いや、
    生徒達との触れ合い、事件終了後に生徒達の抱いている問題をKAZUYA君が無事解決出来るかが大切なんだよ」

モノクマ「今回で言えば事件が起こらないと桑田君の改心イベントが入らなかったしね。これは大きいよ。
      ヘタしたら仲間にならない可能性もあったし、このSSでトップクラスに重要な分岐だったね」

磨毛「ちなみに事件は起こったが桑田君と交流していない場合、これはスレの上の方で出ていたように、桑田君が
    口封じのためにKAZUYA君を襲って返り討ちに遭っていたよ。そのため肋骨を3本も折る重傷を負い、
    怪我人なので改心イベントも起きず、KAZUYA君との関係は冷えきるしふんだり蹴ったりだな」

磨毛「重要なフラグは以上かね。あと細かい所は以下の通りさ」

・桑田と会う回数で舞園の怪我の度合いが変わる(一度も会わないと昏睡状態)。三回会ったのでかなり軽傷になった。
・苗木に二回以上会っているので、舞園の説得が上手く行き早期の仲間化。
・実は苗木は一回も会わなくても舞園を助ければ自動的に仲間になる。

磨毛「どうだい? 今後の攻略に役に立ちそうかい? Chapter1で三人も仲間が出来たから、油断さえしなければ
    次も楽にクリア出来ると思うけどね。…それでは僕はそろそろお暇させてもらおうか。諸君らの健闘を祈るよ」

モノクマ「ヒントが欲しければ気軽に言うといいよ。前髪の長い人も待機してるんで。じゃあね!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/12(火) 22:39:12.72 ID:620+gmCK0<>
あと返レスをば

>>452>>455
じゃあ逆に本編みたいに必ずラベルが付いている、ということでいいんですよね?
どこでラベルがないのもあるとか勘違いしたんだろう。まさしく蛇足…


今日はここまで
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/12(火) 22:49:07.79 ID:Lm9Z+a+DO<> 桑田を仲間にするのって意外と重要だったみたいだな…
今後桑田が仲間になっている事で有利になる展開とかあるのかしら? <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/12(火) 23:07:39.83 ID:620+gmCK0<> >>464
意外とっていうか超重要。特にこの桑田は改心イベントを経て仲間になっているので通常より
ステータスが高いです(重要イベントで仲間にした方が性能が高い)。桑田mark2と言ってもいいくらい

そもそも特定の生徒がということはなく仲間は多ければ多いほど有利です。学園は広いし、K先生は
怪我人の側で動けないことが結構あるので、生徒が重要な情報を拾ってきてくれるんですね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/12(火) 23:27:59.40 ID:5id2G5Ur0<> 残姉の仲間入りは、苗木頼りだよなぁ…
次はちーたんと大和田か…かなりきつそう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/12(火) 23:38:05.22 ID:xkcMTHTQo<> 事件を起こした方が後々の事を考えるといいならば、誰かが言ってたけど、Chapter2は事件起こすとちーたん即死だから難しいよね。ただ、
>・桑田と会う回数で舞園の怪我の度合いが変わる(一度も会わないと昏睡状態)。三回会ったのでかなり軽傷になった。
とあるなら、先に大和田の好感度上げといて様子を見る感じになるのかな。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/12(火) 23:40:23.79 ID:k2vrI1uS0<> Kが患者の心を救えなかったのは太ってた子の話とかだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/12(火) 23:46:35.70 ID:rS8q/9a8o<> 現段階で「そこそこ良い」だから上げやすそうな石丸を上げるのも手かも。
大和田との兄弟イベが確実に発生するなら他キャラよりも重要な情報拾ってきてくれそうだし。
あるいはちーたんの代わりに地雷踏んで、石頭っぽい石丸だから即死じゃなくなるとか……無理かな。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/12(火) 23:49:48.09 ID:maa7T0Oco<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/12(火) 23:53:25.08 ID:5id2G5Ur0<> 石丸山田に一発で殺られたやん…
残姉仲間にするのは、苗木とグングニル回避が必須だろうから、誰か死なないと仲間にならんだろうな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/13(水) 00:24:21.62 ID:je3ZjHRDO<> >>471
石丸がやられたのは正気じゃなかったからじゃないかな。結構体鍛えてるみたいだし
流石に平常時に山田に遅れをとるとはちょっと思えない

残姉は仲間になるにしても遅そう。しょっぱなに妹裏切る訳ないし、
つか戦力的に残姉仲間になったら勝ち確じゃね?Kと大神だけでかなり強いし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/13(水) 00:27:41.78 ID:uFQSa5k/0<> ダンベル持ってなければなんとかなるだろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/13(水) 06:30:55.55 ID:jNp/vTWNo<> 事件が起きるも即死しないように立ち回るとしたら
現場をKAZUYAが駆けつけられる場所にするのも重要
桑田に入れ知恵して
ドキッ!?超高校級だらけの水泳大会を開催するしか
<> 作者じゃないよ!
◆oEetFxuilQ<>sage saga<>2013/11/13(水) 07:28:14.54 ID:8D+zT+mQ0<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/13(水) 18:53:47.81 ID:Nznu6u5G0<> 思ったんだが、2のクロは罪木以外理由美化しやすいよな。
田中とかペコとか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/14(木) 08:22:56.94 ID:ZyxmDB3i0<> 1のクロは美化はできない分同情はしやすいよな。人間の弱さ的な所で

大和田だってDQNではあるものの誰にも弱さを見せれなかった悲しさや孤独があるし…
親密度イマイチの大和田とどこまで打ち解けられるかがChapter2のカギだろうな

最終的にはタイマンはって親友(ダチ)になるしか方法がなさそうだけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/14(木) 10:04:01.18 ID:dh6PBJEG0<> 不良とかの扱いは慣れてるだろうけどね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/14(木) 10:27:35.97 ID:pC4RZCrDO<> 案外優等生の石丸の方が手こずりそうだったりして
テンション高すぎて引いてたことあるし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/14(木) 18:06:59.56 ID:xmh4l8EZ0<> むしろみんなで野球やろう、とかは? <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/15(金) 23:59:52.62 ID:l+2KPsu/0<>

― Chapter1 番外編 ―


苗木が舞園の罪を認め受け入れた後、三人は少し話し込んでいた。
KAZUYAは苗木、舞園と話をしながらカルテに加筆をしている。


苗木「先生、さっきからずっと何を書いてるんですか?」

K「ああ、舞園のカルテだ。職業病でな、誰かを診察したら必ず書いている」

苗木「へぇーどれどれ。…なんか難しい外国語や専門用語が並んでて全然読めないや」

K「医療用語にはドイツ語が多いからな。仕方あるまい」サラサラサラ…ガリ!

K「…む。インクが切れてしまった。すまんが、貸してくれないか」

苗木「あ、はいどうぞ。別に返さなくてもいいですよ」

K「…このペン、なかなか良い物に見えるが」

苗木「希望ヶ峰に入学が決まった時、父が記念に買ってくれたペンなんです」

K「そんな大切な物はもらえん。すぐに返す」

苗木「いえ、いいんです。物なんてまた買えばいいんだから! むしろ先生には
    散々お世話になってるし、もらって下さい。ええっと、舞園さん助かった記念てことで」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 00:02:16.08 ID:SSjMpgHb0<>
K「だが、やはりただでもらう訳には…そうだな、ではこうしようか。
  脱出したら俺がお前に新しいペンを記念にプレゼントする。約束だ」

苗木「え、本当ですか? やった!」


K(…しかしこのペン、新品の割には使い古されているように見えるが俺の気のせいだろうか?)


思い出アイテム【苗木のペン】を手に入れた。KAZUYAの幸運値が上がった。


・・・


その少し後、保健室にて。


桑田「ちょ、髪切るのは構わないけどボウズはやだかんな」

K「…お前本当に反省してるのか?」

桑田「してるしてる! チョーしてるって!」

K「全く…」チョキチョキ

桑田「へへっ」


先程までの涙はどこへやら。今までの自分を捨てると決まってからの
桑田はあっという間に気分を切り替えまたいつもどおりの顔になっていた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 00:04:04.95 ID:SSjMpgHb0<>

K(だが、不思議とどこか憎めん。花形のスポーツ選手というものは、
  やはりスター性というものを持っているのかもしれんな)


髪を切り、髭も剃り、桑田はすっきりしたようである。
そしてそんな桑田に薬を預け、一緒に寄宿舎へ向かい別れ際の事だった。


桑田「あ、そうだ。大役任せてくれたお礼にせんせーにこれあげるわ」

K「これは、ピアスか」

桑田「そ、甲子園優勝の時もらったやつ」

K「大事な物じゃないか」

桑田「いいんだよ。だってほら…やっぱせんせーが俺の命の恩人なワケだし」

K「別に気を遣わなくてもいいんだぞ? 俺は医者として当たり前のことをしただけだ」

桑田「そーゆーワケじゃないって。ほら、よく漫画とかドラマであるじゃん。
    自分の大切な物を渡しておくと、ピンチの時に虫の知らせがして〜ってやつ」

K「ああ、成程…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 00:05:48.03 ID:SSjMpgHb0<>
桑田「片方渡しとくから、俺がピンチになったらまた助けに来てくれよな!」

K「わかったわかった。そういうことなら遠慮しないでもらうぞ」


思い出アイテム【桑田のピアス】を手に入れた。KAZUYAの反射神経が上がった。


・・・


深夜、舞園は一人天井を黙って見ていた。


舞園(眠れない…今日も昨日も、色々なことがありすぎたから)


チラリとKAZUYAの方を見る。椅子に座ったまま仮眠を取っているようだった。


舞園(苗木君も西城先生も、凄く良くしてくれる。…私は犯罪者なのに)

舞園(こんな状況なのに、あれだけのことをしでかしたのに
    まだアイドルのことを考えていたりする私は、最低ですよね…)

K「眠れないのか?」

舞園「え?! あ…起きてたんですか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 00:08:25.42 ID:SSjMpgHb0<>
K「いや、仮眠を取っていた。たった今起きたんだ」

舞園「そうですか」

K「……」

舞園「……」

舞園「あの、先生…一つお願いがあるんですけど、よろしいでしょうか」

K「何だ?」

舞園「明日、私の部屋に行ってくれませんか? 初めてここに来た日に、苗木君が
    モノモノマシーンで当てて私にくれたマイクが机の上にあるはずです。それを…」

K「わかった。取ってこよう」

舞園「いえ、捨てて下さい」

K「……いいんだな?」

舞園「もう、私には必要のないものですから」


そういうと舞園は向こうを向いてしまった。彼女も色々苦悩しているのだろう。
自分で考えて、決意をしたのならその意志を優先してやらねばならない。

――しかし、何故か俺はそれを捨てることが出来なかった。


思い出アイテム【舞園のマイク】を手に入れた。KAZUYAの魅力が上がった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 00:20:02.69 ID:SSjMpgHb0<>
モノクマ「あ、そうそう>>462で一つフラグ書き忘れてたわー」テヘペロ


・最初の自由行動で桑田を選んだので、次の日の朝食会で桑田が奇跡の
 早起きをしてKAZUYAの隣に座り、会話イベントが入る。


モノクマ「Chapter2で誰と話せばいいかで悩んでるみたいだね。聞かれてないのに
      ヒント言うのはあれかもしれないけどちょこっとだけヒントね」

モノクマ「このSSは時間の流れがあるから、タイミングが結構重要なんだよね。
      舞園さんの事件も、平常時とDVD後の変化を見たから気付いた訳でしょ?」

モノクマ「そもそもさ…どんだけ親密度高くたって仲間になってないってことは結局
      心を開いてないってことだからー! 絶望した? 親密度の高低に関わらず
      スポット当たってるっぽい生徒にはどんどん話しかけた方が良いよ」

モノクマ「ま、こんな所かな。本編再開は多分明日。しかもね、Chapter1であるフラグが
      立ったから一つイベントが追加されるんだよ。グッドイベント…だといいねぇ?
      それじゃあバイナラ〜」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:17:20.08 ID:P2O/oUp30<>
再開。Chapter.2からいよいよ部屋のレイアウトが原作ゲームと違うとか
トンデモ医療が爆発したりとかキャラの過去捏造とか色々出るが、気にしてはいけない
<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:19:25.53 ID:P2O/oUp30<>

Chapter.2 週刊少年マガジンで連載していた (非)日常編



食堂には舞園を除く15名が集まっていた。石丸は桑田の件でまだ泣いている。


石丸「うっうっ、これより朝食会を…始めたい所だが! 僕は今! 本当に感動している!!」ブワワッ

石丸「桑田君、君が強い男で本当に良かった! 僕は正直心配していたんだ。被害者にも関わらず、
    昨日は半分糾弾会のようなことになってしまって…もしショックで引き込もってしまったら
    僕が責任を持って毎日説得に行こうと思っていた!」ウッウッ

苗木(そんなことがあったんだ…)


なんとなく状況を把握した苗木。


大和田「いや、絶対逆効果だろそれ…」

腐川「キング・オブ・KYだものね」

石丸「む、KYとは何かね?」ダバダバ

腐川「あ、あんたKYの意味もわからないの? そんなに最近の言葉でもないのに…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:20:43.46 ID:P2O/oUp30<>
石丸「ウーム…もしや僕の名前、清多夏の頭文字のごとがな?」ダバダバ

腐川「もうそれでいいわよ…今度から石丸KY多夏って呼ぶから!」

朝日奈「ちょっとやめなよ! 意味もわかってないのに…」

十神「何でもいいからさっさと始めろ! 貴様の体液まみれの顔を見てると食欲が失せる」

苗木「えっと石丸君、ほらチリ紙」つチリ紙

石丸「ありがどう、なえぎぐん」ズビズバー

石丸「…えー、では改めてこれより第五回朝食会を開始する! 昨日は色々あって
    みんな落ち着かなかっただろうが、桑田君のおかげで以前より結束も強まった。
    今日から気持ちを新たにまた頑張っていこう! それではいただきます!」

一同「いただきまーす」

モノクマ「いただきまーす」

一同「って、ええっ?!」

いつのまにか、空いている席にちゃっかりモノクマが座っていた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:21:52.10 ID:P2O/oUp30<>
K「モノクマ…!」

苗木「何しに来たんだ、モノクマ!」

モノクマ「ほえ? 何でそんな怖い顔してるの? 僕はこの学園の学園長なんだから、
      生徒達と親睦を深めにきただけじゃないか。何か問題ある?」

苗木「問題大アリだ! 僕らはお前と朝食なんて食べたくない!」

K「落ち着け、苗木」

モノクマ「ふ〜ん、まあいいけど。せっかく今日は君達に良いニュースを
      持ってきてあげたのになぁ。じゃあ、お呼びでないみたいだし帰るか」

霧切「待って。良いニュースって何かしら?」

モノクマ「聞きたい? 聞きたい?」

十神「焦らさないでさっさと言え」

腐川「ど、どうせろくな話じゃないんでしょうけど…」

モノクマ「ツレないなぁ。今回は本当に良いニュースだよ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:22:42.47 ID:P2O/oUp30<>
モノクマ「なんと! 今まで封鎖されていた大浴場と倉庫が解禁されたのです!
      やったね朝日奈さん、倉庫に水着があるからプールに入れるよ!」

朝日奈「ほんとっ?! なんだ、あんたもたまには良いことするじゃん!」

山田「久しぶりにのんびりお風呂に入れますねぇ」


喜ぶ朝日奈達を尻目にKAZUYAはモノクマを睨みつける。


K「何が狙いだ?」

大神「どうなされた、西城殿?」

K「俺達を喜ばすために開放した訳じゃなかろう?」

モノクマ「そんな、僕はただご褒美のつもりだったのに〜」

桑田「あん? なんのごほーびだよ。俺の改心記念か?」

モノクマ「違うよ! そんなくだらないもののためな訳ないでしょ!!」

桑田「くだらねぇってなんだよくだらねぇって!」

不二咲「まあまあ、桑田君。落ち着いてぇ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:25:57.38 ID:P2O/oUp30<>
モノクマ「これは舞園さんに対するご褒美さ」

苗木「なんだって…?」

モノクマ「いやぁ、ゆとりの上度胸もない君達と違って彼女は見事だったよね!」

モノクマ「ただ桑田君をどこかに呼び出して殺すだけでも十分だったのに、一番親しかった
      苗木君を利用しての部屋の交換トリック! 僕はもうゾクゾクしちゃったよ。
      流石超高校級のアイドルともなると肝の据わり方が違うね!」

苗木「お前が舞園さんをそこまで追い詰めたくせに…! それ以上彼女のことを言うな!」

大神「苗木、よせ!」

K「気持ちはわかるが、駄目だ」


今にも飛び掛かりそうな苗木を大神が押さえKAZUYAが止める。


モノクマ「僕のせい? それは違うよ! オマエラが外への未練を断ち切れずここから出たいとか
      言うからでしょ。いいかい? オマエラは世界の誇る才能であり財産としてずーっと
      ここに保存されるんだよ。これほど名誉なことってあるかい?」

苗木「ムリヤリ監禁しておいて何が名誉だ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:27:56.76 ID:P2O/oUp30<>
モノクマ「ふぅん。…ここで生活できるってとても幸せなことだと思うんだけどなぁ」

K(随分と意味深なことを言うな。一体何を考えている?)

モノクマ「とにかく、飴と鞭だよ。僕は今まで動機という鞭しか用意してなかったからね。
      事件を起こせば卒業出来る上にご褒美までもらえちゃう! 最高でしょ?」

モノクマ「まあまだ具体的なご褒美は決めてないけど、悪いようにはしないよ。
      何せ、僕はクマ界一約束にはうるさい男なんだ」

セレス「あらモノクマさん、あなた男性でしたの?」

モノクマ「…僕はモノクマだよ。でも男性陣から女の子の方がいいってリクエストがあれば女の子でもいいよ!」

葉隠「モノクマが女でもちっとも嬉しくないべ…」

モノクマ「ま、そういうことだから! よろしくね〜」


言うだけ言って、嵐のようにモノクマは去って行った。


苗木「モノクマ…!」

一同「……」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:30:42.11 ID:P2O/oUp30<>

モノクマがいなくなった後も、一同はどこか重い空気のまま黙って朝食を食べていた。


石丸「……」

石丸(いかん。折角和やかになっていたのに、モノクマのせいですっかり元通りだ。
    ここは風紀委員たる僕が音頭をとって何かすべきだろう…ムム、何が良いか。
    …そうだな。全員でやれて気分転換になることがいい。ならばスポーツがいいな)

石丸「ドッジボールだっ!!」

K「」ビクッ!

山田「ファッ?!」

江ノ島「い、いきなりなにっ?! あんたとうとう頭おかしくなったの?」

石丸「断じて違う! この悪い空気を吹き飛ばすために、みんなで
    ドッジボール大会をしようとたった今思いついたのだ!」

朝日奈「…ふーん、いいね! あんたにしてはいいこと考えるじゃん」

大和田「まあ、そうだな。ウダウダしててもしょうがねえしな!」

桑田「よっしゃあ、俺の出番だぜ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:32:27.59 ID:P2O/oUp30<>
苗木「く、桑田君が相手じゃ勝てないよ…」ハハ

不二咲「運動は苦手だけど、僕も頑張ってみる!」

K「すまん、石丸。俺は舞園についててやらんと…」

石丸「残念ですが、それは仕方ありませんね。舞園君が元気になったらまたみんなでやりましょう」


一部のメンバーはワイワイと盛り上がるが、一方で…


十神「俺はやらんぞ。そんな愚民の遊びは」

石丸「十神君! これはみんなの親睦を深めるためなのだ! よって動ける人間は全員参加を求める!!」

十神「知らん。勝手にやっていろ」

大和田「ああん? さてはオメエ、無様にボールぶつけられるのが怖いんだろ」

十神「…何?」

大和田「超高校級の御曹司様が顔にボール喰らってちゃサマになんねえもんな」

十神「貴様らの鈍速ボールがこの俺に当たるとでも?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:34:17.38 ID:P2O/oUp30<>
大和田「言ったな? じゃあ勝負だ。桑田、俺と組め! 十神の野郎をぶっ潰すぞ!」

桑田「おーっし任せろよ。俺は球技全般得意だからな!」ウデブンブン

十神「な…! 桑田と組むとは聞いてないぞ!」

大和田「ビビってんのか?」ニヤニヤ

十神「…ふ、ふざけるな。仮に貴様ら全員が相手でもやってやる!」

石丸「ありがとう、十神君! 十神君が参加となると腐川君は…」

腐川「白夜様がやるって言ってるのに私がやらない訳にはいかないでしょ…」

石丸「腐川くん、ありがとう! となると、あとは…」

霧切「悪いけど、私は用があるから遠慮させてもらうわ」


案の定、視線を向けた途端すぐに断られてしまった。


江ノ島(みんなでドッジボールかぁ。久しぶりだし、なんか楽しそう。
     …あ、でもあんま激しい動きしたらウィッグとれちゃうかな)

江ノ島「あたしも。ギャルにドッジボールとか合わないし〜」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:36:03.06 ID:P2O/oUp30<>
石丸「二人とも! そこをなんとか、この通りだ!」


石丸は頭を下げる。一瞬相手が動揺したのを読み取り、KAZUYAも追撃した。


K「…霧切、少しだけ付き合ってやったらどうだ? ここまで頼んでいるんだ」

霧切「石丸君、頭を上げて。…そうね。運動不足は事実だし、少しなら付き合ってもいいわ」

石丸「ありがとう、霧切君! 信じていたよ」

江ノ島(げっ、霧切さん陥落とか嘘でしょ?! 十神君と腐川さんですら
     出るって行ってるのに、私だけ無理に突っぱねたら悪目立ちするかも…)

江ノ島「じゃ、じゃあやっぱあたしも出よっかな〜。ギャルはドッジボールくらい出来るし」


意味わかんねーしさっきと言ってること真逆だろ、という妹のツッコミが聞こえた気がする。きっと幻聴だ。


石丸「残るは…」

山田「僕はその…見ての通り運動は苦手ですし、的になるだけですからちょっと…」

セレス「わたくしもご遠慮させてもらいますわ。汗をかいて運動するなど、
     下僕やナイトにさせること。わたくしは参加いたしません」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:37:59.21 ID:P2O/oUp30<>
石丸「そこをなんとか…」

セレス「お断りします」

石丸「…わかった。なら直接参加しろとは言わないが、せめて観客席で応援、
    くらいは頼めないだろうか? 全員で行いたいのだ。頼む!」

山田「まあ、そのくらいならなんとか」

セレス「紅茶を持って行ってもよろしいなら」


石丸「よし、では怪我をしている舞園君と付き添いの先生を除けばこれで全員だな!
    各自準備もいるだろうから、9時に体育館へ集合してくれ!」



― 苗木の部屋 AM8:42 ―


KAZUYAと苗木は先程食堂であったことを舞園に話していた。
…もちろんモノクマの嫌みは抜いてだが。


苗木「…ということがあったんだ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:43:14.08 ID:P2O/oUp30<>
舞園「ドッジボール大会ですか。楽しそうですね」

苗木「あ、うん。大和田君達はもう体育館に行ってるみたいだ。
    絶対十神君をやっつける! って盛り上がってるよ」

舞園「フフ…苗木君も頑張って下さいね」

K「お前が元気になったらまた改めて全員でやろうと石丸が言ってたぞ」

舞園「石丸君が? …ありがとうございますとだけ伝えておいて下さい」

舞園(わかってる。私にはそんな資格なんてないことくらい…)


薄暗い気持ちになったが、舞園はけして笑顔を崩さなかった。
アイドル時代に培った演技力がこんな風に役立つなんて、と皮肉に感じる。


苗木「じゃあ時間だし僕もそろそろ行かなきゃ」

K「舞園のことは任せろ。みんなに、あまりはしゃぎすぎて怪我をしないよう言っておいてくれ」

苗木「はーい。じゃあ行って来ます!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 15:45:14.34 ID:P2O/oUp30<>
キリがいいので一旦休憩

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 16:58:09.36 ID:P2O/oUp30<>

― 体育館 AM9:01 ―


石丸「大和田君から、桑田君が強いので自分のチームはハンデをつけてもらって
    構わないと言われた。よって、戦力が均等になるよう僕がチーム分けをしておいたぞ!」


大和田チーム:大和田、桑田、葉隠、霧切、腐川

石丸チーム:石丸、十神、苗木、大神、朝日奈、不二咲、江ノ島


腐川「ちょっと! なんで私は白夜様と同じチームじゃないのよ?!」

十神「腐川、うるさい」

石丸「す、すまない…だが大和田君のチームは大柄な男性が二人いるし桑田君もいて強い。
    腐川君はあまり運動が得意そうではないから守ってもらえて良いのではないかと…」

腐川「私がいなきゃ誰が白夜様の盾になるのよ!」

江ノ島「あーうっさいなー。じゃああたしが変わってあげるよ。それでいいっしょ?」


腐川と江ノ島がスイッチした。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 16:59:40.66 ID:P2O/oUp30<>

・大和田チーム


大和田「よし、全員集まったな。作戦をたてるぞ!」

桑田「作戦〜? 俺がいるから十分だろ。つかお前作戦とか考えるタイプか?」

大和田「バカ、お前と一緒にすんなよ。俺は勉強は苦手だけどな、族のメンバーひきいて
     カチコミとかするからチームをまとめたり作戦立てたりとかはよくやるんだ!」

葉隠「で、どうすんべ?」

大和田「桑田と霧切は元外(モトガイ)をやれ! 狙いは当然十神だ。俺と桑田で交互に回して
     ボールは絶対向こうに渡すな。あと大神は狙うなよ。大神が邪魔な時はこっちに戻せ」


元外:1の地域では元外野を元外と呼んでいた。最初から外野にいる人間である。
    自軍の内野の人間が外野に行くと内野に戻ることが出来る。元外がいつ内野に
    戻るかも戦術である。…といっても恐らく公式ルールではないから覚えなくてもいい。


大和田「十神を倒したらあとは普通に回しつつ隙のある奴から狙っていけばいい。
     正直十神さえボコれればあとはどうでもいいんだがやるからには勝たなきゃな。
     向こうにボールを取られたら大柄な俺や葉隠で女子をガードだ」

江ノ島「待って。向こうも何か作戦立ててるかも。こっちの攻撃を
     逆手に取ってカウンターをしかけてくるかもしれないよ」

霧切「恐らくその心配はないわね」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 17:00:31.29 ID:P2O/oUp30<>
桑田「え、なんで?」

霧切「見ればわかるわ」


・石丸チーム


石丸「みんな! 大和田チームは何やら集まって作戦会議をしている。僕らも作戦を考えよう!」

朝日奈「えー作戦? 普通に投げて避けるだけだよ?」

大神「向こうがどんな作戦で来ようと、こちらは正々堂々応じるのみだ」

十神「フン、貴様らは俺の指示通りに動いていればいい」

腐川「流石ですわ、白夜様」

石丸「あああ! 何故うちのチームはこうもバラバラなのだっ!」

苗木「ええっと、まあ気楽にやろうよ」

不二咲「石丸君、僕はちゃんと作戦通りに動くから…」

石丸「うむ…では、小柄な不二咲君は大神君と僕でガードしよう。
    苗木君と朝日奈君が元外だ。あとは各自の判断に任せるか…」


そして試合開始となる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 17:01:48.63 ID:P2O/oUp30<>
山田「お、始まりましたな!」ムシャムシャ

セレス「みなさーん、頑張ってくださーい(棒)」


通常はジャンプボールだが、ボールを投げてくれる人がいないのでじゃんけんで
先制を決めた。そしてじゃんけんの結果、先制は大和田チームとなる。


桑田「よぉぉぉし。俺の実力見せてやろうじゃん!」

石丸「く、桑田君! 本気で投げてはダメだぞ! 怪我人が出てしまう」

桑田「わかってるって。そぉりゃああああ!」


風を切る音と共に桑田の投げたボールが高速で真っすぐに飛ぶ。
必死に避ける石丸チーム。


苗木「危ないって!(あれ本当に手加減してるの?! 当たり所が悪いと怪我するんじゃ…)」

葉隠「どこの炎の闘球児だべか…」

大和田「くっ、取る方も気をつけねえと突き指するな…」バシィッ


そして、二分後。桑田と大和田の集中砲火を受けた十神があっさり脱落したのだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 17:03:18.83 ID:P2O/oUp30<>

十神「ば、馬鹿な…この俺が愚民にやられるなど」

桑田「へっへー。ざまあ〜!」

大和田「おら、さっさと外野行けや!」

十神「クソッ!」


目的の十神陥落を達成したため、少し勢いを落とし普通のドッジボールになる。


石丸「ボ、ボールを! ボールを奪わねば話にならん。大神君、頼む!」

大神「任せろ、フン!」

葉隠「ぎゃああ、よりによってオーガにボールが渡っちまったべ!」

朝日奈「いっけーさくらちゃん!」


そんなこんなで試合も中盤。元外もそれぞれ内野に戻り、生徒達は白熱していた。
内野に残っているのは大和田チームは桑田・江ノ島、石丸チームは大神・朝日奈・苗木である。


大神(むう、桑田はまだしも江ノ島の奴意外に身のこなしが軽いな。全く当たらぬ)バシュッ

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 17:06:00.12 ID:P2O/oUp30<>
十神「往生際の悪い奴め!」バッ

桑田「そのボールもらった!」キャッチ! バシュッ!

朝日奈「うわっ、危ない」

大和田「このまま反撃だ! 食らえ!」

朝日奈「くらわないよーだ!」


大和田は朝日奈を狙って投げたが、朝日奈は絶妙なタイミングで回避する。しかしその後ろには…


苗木「……へ?」


ボゴッ!

苗木の顔面ど真ん中にボールがクリーンヒットした。勢いで思わず仰向けに倒れ込む。


苗木「」バタンキュー!

大和田「げ、悪いな苗木!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 17:07:44.00 ID:P2O/oUp30<>
桑田「顔面セーフだな」

石丸「よし、ボールが戻ってきたぞ。すぐ反撃だ!」


しかし目を回した苗木はなかなか立ち上がらない。


朝日奈「あれ? ちょっと、苗木大丈夫?」

大和田「おいおい、朝日奈に向けて投げたからそんなに強くなかったはずだぞ」


ヨロッ

苗木「あ、うん、ゴメン。もう大丈ぶ、だ…」


立ち上がった瞬間、苗木は胃に強烈な不快感を感じた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 17:09:37.56 ID:P2O/oUp30<>
苗木「うっ…」

大神「前屈みになってどうした、苗木よ。なんだか顔が青いぞ」


苗木は口を押さえてこらえようとするが、こらえきれなかった。


苗木「う、お……おえええええっ!」

朝日奈「え?! ちょっと、どうし…え?!」

大神「な?! これは、血だ!」

江ノ島「え、苗木君?!」

苗木「そ、そ、そんな馬鹿な?! …おえええええええええっ」

苗木(僕が…僕が、何で…)


全員が呆気にとられる中、苗木誠は口から大量の血を吐き――その場に倒れ込んだ。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/16(土) 17:10:29.82 ID:P2O/oUp30<>
ここまで

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/16(土) 17:18:29.04 ID:5BlxbRRe0<> 相変わらず苗木は不運か
あと残姉素がとる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/16(土) 17:30:19.86 ID:l8Uxn/WWo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/16(土) 17:53:11.94 ID:tTBL7FcD0<> 食道をやったか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/16(土) 22:22:07.08 ID:PLc1Wx880<> そういえば、大量に吐血したが、胃にも食堂にも異常がない。

で。実は鼻血という話があったな。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/17(日) 13:00:27.06 ID:0VR/hNiP0<> 七瀬が鼻に綿棒突っ込んだやつか <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:16:43.71 ID:YpcN7IHZ0<>
投下

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:17:36.37 ID:YpcN7IHZ0<>
石丸「…え」

大和田「は?」

朝日奈「な、苗木ぃぃいいいぃぃいい!」

十神「何、だと…」

桑田「は…なになに? 嘘だろ、冗談だろおい…」

大神「苗木、しっかりせよ!」


一瞬全員が動きを止めたが、即座に苗木の元に駆け寄る。


葉隠「なんだべ?! 一体何が起こったんだべ?!」

大和田「お、おい。まさか…俺のせいじゃ、ないよな…?」

石丸「急いで先生を連れてくる! 待っててくれ!」


慌ててKAZUYAを呼びに石丸が体育館から飛び出した。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:18:51.08 ID:YpcN7IHZ0<>
ダダダダダダッ!

石丸(僕の企画したドッジボール大会のせいで苗木君が怪我をしてしまった!
    すまない、苗木君! せめて先生が来るまで保ってくれ!)


血相を変え、前のめりになりすぎて転びそうになりながらも
なんとか転ばずに石丸は苗木の部屋に飛び込んだ。

バーン!


石丸「せ、先生! たたたた大変です!」

K「どうした?!」

舞園「な、なんですかっ?!」


KAZUYAは嫌な予感がした。朝のモノクマの件で、また道を誤る生徒が出たのだろうか。


石丸「ドッジボールで大和田君の投げたボールが苗木君の顔に当たり、倒れてしまったんです!」

K「何だと?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:20:25.71 ID:YpcN7IHZ0<>

どうやら事件ではなく単純に怪我のようだ。生徒が怪我をしているにも関わらず、
内心ホッとしている自分にKAZUYAは嫌悪感を抱く。しかし問題はこの次だった。


石丸「しかも、一旦は普通に起き上がったのですが、その後何故か血を吐いたんです!」

K「血を吐いた、だと…?」


意味がわからなかった。鼻血とか、倒れ込んだ際に頭を床にぶつけてそこから
出血とかならわかるが、ボールをぶつけられて吐血という状況が結び付かなかった。


K「とにかく、急いで現場を見た方がいいな。舞園、すまんが…」

舞園「はい! 一刻も早く苗木君の所に行ってあげて下さい!」


全員体育館にいるそうだから問題ないと思ったが、念のため部屋に鍵をかけて駆け出す。


石丸「詳しい状況は走りながら説明します!」

K「頼む!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:21:25.56 ID:YpcN7IHZ0<>

        ◇     ◇     ◇


時間は少し前、場面も体育館に戻る。
石丸がKAZUYAを呼びに行っている間、生徒達は血まみれの苗木を囲み震撼していた。


セレス「突然の吐血…まさか、これは毒では?」

十神「成程、誰かが苗木の食事に毒を持ったのか」

苗木「う、うう…」

朝日奈「苗木、しっかり!」

霧切「毒だと確定は出来ないけど、仮に毒だとしてまだ生きているということは
    致死量に達していないということだわ。苗木君、胃の中身を全部吐くのよ!」

霧切(もし毒だとして、使われた毒は何? 有名所なら青酸カリ、砒素、トリカブト等が
    浮かぶけど、とりあえず独特のアーモンド臭がしないから青酸カリはないわね)

霧切(砒素やトリカブトにしろその他にしろ症状が似ているから特定が出来ない…
    とにかく、急いで体内の毒物を中和しないと。そうだわ)

霧切「セレスさん! あなたの紅茶を貸して」

セレス「それは構いませんが、何に使うのですか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:22:29.29 ID:YpcN7IHZ0<>
霧切「あなたの紅茶は常に牛乳で煮出したロイヤルミルクティーよね?
    毒の種類によっては牛乳のタンパク質で吸収を疎外出来る可能性があるのよ。
    何の毒かはわからないけど、何もしないで見てるよりはマシだわ」

セレス「わかりましたわ。どうぞ」

霧切「ほら、苗木君飲んで!」

苗木「げほげほ!」


苗木もなんとか飲もうとするが、すぐに吐いてしまった。


大和田「おい、苗木ぃ…しっかりしろよ」

朝日奈「もうだいぶ吐いたし、横になった方がいいって!」


苗木の背中をずっとさすっていた朝日奈が、少し落ち着いてきた苗木を横に寝かす。


不二咲「でも、朝食からだいぶ時間が経っているのにどうして今頃倒れたんだろう?
     それに毒なんてこの学園にはなかったはずなのに、犯人は一体どこで手に入れたの?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:23:33.52 ID:YpcN7IHZ0<>
十神「何を言っている。その二つをいっぺんに解決出来る物がこの学園にはあるだろう」

霧切「例えば、モノモノマシーンでカプセル付きの毒薬を手に入れられれば
    時間差の犯行も不可能じゃないわ。カプセルは食事にいれればいいし。
    このタイミングで倒れてしまって、大和田君はついてなかったわね」

大和田「そ、そうか。…でも苗木が苦しんでんのに素直には喜べねえな」

桑田「でも誰が毒なんていれたんだよ! 食事は当番みんなで作ってんだぞ」

セレス「苗木君が狙われた訳ではなく、無差別だったのかもしれないですわね。
     誰かのお皿に紛れ込ませて、自分は食べなければいいのですから」

十神「となると一番怪しいのは配膳係だな」

葉隠「今日の配膳係っていうと確か…」

朝日奈「山田、まさかあんた…?!」

山田「ひ、ひぃぃ! まさか僕を疑うのですか?!」

霧切「待ってちょうだい。配膳は早く食堂に来てる人や当番の人達も
    手伝っているはずよ。今の段階で特定は出来ないわ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:25:16.97 ID:YpcN7IHZ0<>
十神「犯人は特定出来なくても犯人じゃない人間はわかるな。食事が全て
    机に並んだ段階で食堂に入った人間に犯行は不可能だ。俺は犯人ではない」

セレス「となると、容疑者は絞れますわね」

霧切(そもそも、本当にこれは毒なの? 胃の粘膜が破壊されて出血をもたらす量の
    毒なら、苗木君は既に死んでいるはず…何か別の要因なんじゃないかしら。食中毒?
    でも、食中毒を起こすような食材はないしそもそも食中毒なら吐血はおかしい)

霧切(一体誰がどうやって、苗木君を…)


体育館のメンバーがあれやこれや議論しているうちにKAZUYA達が到着した。


苗木「うおえええっ」

朝日奈「あ、また吐いた! しっかりして苗木!」

不二咲「苗木君、先生が来たよ! 先生、早く苗木君を助けて!」

K「ううむ…」


KAZUYAは手にゴム手袋を装着し、吐瀉物を検分し始める。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:27:44.11 ID:YpcN7IHZ0<>
K(便の臭いはしない。腸に異常はないようだな。血の色は鮮やかで凝固はなし。
  それにしても随分と出血している…原因はなんだ?)

葉隠「うおっ、ゲロの臭い嗅いでるべ…」

霧切「臭いは大事よ。それで毒の種類がわかることもあるし」

K「毒だと?」

腐川「だ、誰かが苗木の朝食に毒を盛ったのよ!」

石丸「何だって?! ボールが原因ではなかったのか?」

霧切「まだ毒だと確定した訳ではないわ。可能性として毒をあげただけよ。
    怪我や病気で吐血したとは思えないし、そうなると…」

K(もし毒だとすると厄介だな。ここでは血液検査が出来ないから適切な処置が出来ん。
  胃洗浄くらいか。せめて内視鏡で胃の状況を確認出来れば手がかりが掴めたかもしれんが…)


悩むKAZUYAの服を苗木が不安げに掴む。


苗木「先生…僕、死んじゃうのかな…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:30:21.79 ID:YpcN7IHZ0<>
K「大丈夫だ! 意識がしっかりしているということは重篤な状況ではない。
  とりあえず吐き気以外の症状を全部言ってみろ。頭痛、腹痛、めまい、
  体のしびれ、こわばり…なんでもいい。特に、痛い場所はないか?」

苗木「えっと、特に痛い所とかしびれは…ないです。とにかく、気持ち悪くて…
    吐いたら少しすっきりしたけど、また今もちょっと気持ち悪い…」

K「痛みがない、だと? …少し触るぞ」


KAZUYAは苗木のみぞおち辺りに手を置き、指で軽く押す。


K「痛くないか?」

苗木「…はい。大丈夫、です…」

K(おかしい。毒物によって胃にこれほどの出血がもたらされたなら、なんらかの痛みがあるはず。
  それこそ胃痙攣を引き起こしていてもおかしくない。胃が原因の出血ではないということか?)


KAZUYAは必死に苗木の状態を確認し、どんな些細な異常があっても見逃さないように診た。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:32:13.76 ID:YpcN7IHZ0<>

K(…毒物特有の呼吸不全も言語障害もない。意識は明瞭で頭痛腹痛下痢もなく病状は極めて軽度。
  思えば、顔色も多少青いもののそこまで悪くはない。健康な十代の少年が何の前兆もなく
  吐血を伴う急性の病気になるとは考えにくい。やはり怪我が主原因だと考えられる)

K(状況を思い出せ。苗木は顔にボールを受けて倒れ、一度起き上がった後に吐血した)

K(そこから導き出される答えは…)


KAZUYAは綿棒を取り出し、それにガーゼを巻いた。


K「苗木、少しじっとしていてくれ」

石丸「え、先生! 一体何を…」


ズボッ

KAZUYAは綿棒を苗木のある場所に突っ込んだ。そしてすぐに取り出す。
ガーゼにはたっぷりと血がついていた。


K「わかったぞ。この吐血の原因が」

大神「それは一体…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:33:10.30 ID:YpcN7IHZ0<>

K「――鼻血だ」


一同「え?」








一同「え?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:35:56.79 ID:YpcN7IHZ0<>
山田「いやいやいやいや、西城先生! こんなに派手に血を吐いてて原因が鼻血とか…」

大和田「オメエなぁ、適当なこと言ってたらぶん殴っぞ!」

大神「だが、鼻の穴に突っ込んだ綿棒に血が付いていたのだ。鼻血は事実なのだろう」


混乱する生徒達をなだめるように、KAZUYAは説明し始める。


K「苗木、お前ボールを顔に受けて少し倒れていたそうだな? その際流れた血が
  鼻腔、咽頭を通って食道に流れ込み、胃に入ってしまったのだろう。
  血液には催吐性があり、大量に飲むと吐き気をもたらしてしまうのだ」

K「鼻腔の中の動脈に近い部分がボールを受けた時の衝撃で裂け、運動で血流が
  良くなっていたため通常より大量に出血…そして自分の吐いた血を見てお前は動転し、
  血圧が急上昇。結果、鼻血が止まらずまた吐くの悪循環に陥ってしまったのだろう」

K「信じられないというなら、体を起こして頭を下にさげてみろ」

苗木「え、えーっと」


言われた通りにしてみる。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/17(日) 14:36:22.46 ID:JVbOZhd3o<> 頭部の怪我とかもそうだがこの見た目のダメージの派手さわりに原因も実際の緊急性もショボかった時の空気の微妙さはヤバい


逆に風邪が心臓に回ったときみたいに原因がショボいのにヤバい症状出す話もあったな <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:37:15.08 ID:YpcN7IHZ0<>
タラー

すぐに、苗木の鼻からダラダラと血が垂れてきた。


石丸「ほ、本当にただの鼻血だったのか!」

十神「フン、なんとも人騒がせな話だ」

セレス「事件じゃなくて残念そうですわねぇ、十神君」

葉隠「これがほんとの、大山鳴動して鼠一匹てやつだべか…」

K「とにかく、鼻にガーゼを当て顔を下にするようにして休むといい。
  今日はもう運動はせず、安静にしていた方がいいな」


KAZUYAはテキパキと指示をするが、当の苗木は気まずいなんてものではなかった。
毒だの事件だのと周囲が激しく議論していたのに、まさか原因が単なる鼻血とは…


苗木「あ、あの、その、みんな…なんか騒がせちゃって、えっと…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:40:03.35 ID:YpcN7IHZ0<>
朝日奈「良かったあああああああ!」

石丸「良かったぞおおおおおお!」

苗木「へ?」


朝日奈と石丸が座り込んだままの苗木に飛びついてきた。


朝日奈「良かった。本当に良かった! 私、ずっと心配だったの。
     私がボール避けたせいで苗木が死んじゃったらどうしようって!」

石丸「僕もだ! 僕の企画のせいで苗木君が怪我をしてしまって本当に
    すまないと思っていた! 大したことがなくて本当に良かった!」

苗木「あ、いや…もう、大丈夫だから! ハハ」


ずっと責任を感じていたのか、二人はわんわん泣き出す。


大和田「つーか、結局俺の投げたボールのせいってことだろ…苗木ぃ、すまねえな。その…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:43:54.42 ID:YpcN7IHZ0<>
K「そう自分を責めるな。学校での事故など日常茶飯事だ。それで誰かが悪いということはない」

苗木「う、うん。先生の言うとおりだよ! そもそも僕がトロいのが悪いんだし」

K「さて、みんなで掃除をするぞ。苗木はそこで休んでいるといい」

石丸「掃除道具を取ってきます!」

桑田「苗木が動けねえし、今日はもう運動は出来ねえな。この後どうするよ?」

セレス「でしたら、娯楽室にいらしてはどうでしょう? 今度はわたくしも参加いたしますわ」

不二咲「いいね! そうしようよ」

葉隠「俺のダーツは三割当たるべ!」

腐川「…それって高いのか低いのかどっちなのよ」

K「フフ」


掃除をしている最中、霧切がKAZUYAに話しかけてきた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 14:51:26.64 ID:YpcN7IHZ0<>

霧切「流石ですね、ドクターK。私達が毒だと間違った情報を与えてしまったのに
    それに惑わされず、正しい病状を見抜き対処する。見事な観察眼でした」

K「フ、お前こそこの状況にも関わらず毒が原因なことに懐疑的だったじゃないか」

霧切「でも、私は完全には信じきれていなかった。誰が犯人なのかとばかり考えていた…」

K「仕方がないさ。こんな場所ではな。俺はただ、一刻も早く原因を突き止めて
  苗木を助けなければと必死になっていただけだ」

霧切「先生のそういう所、きっとみんな見てくれていると思うわ」

K「そうか?」


いつも無表情の霧切が、ほんの微かに笑った気がした。


霧切「ええ」


この一件で生徒達のKAZUYAへの信頼と全体の結束が少し高まった気がする。
モノクマによる干渉さえなければ、とKAZUYAは思わずにいられなかった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 15:00:44.62 ID:YpcN7IHZ0<>
ここまで

これにてドッジボール編終了。Chapter1パーフェクトクリアに伴うボーナス編でした
手術してないのに親密度にボーナスかかるというグッドイベントですね。苗木は不運だったけど、
結果的に全員の結束が上がったんだから超高校級の幸運はダテじゃないということで

ただ、原作読んでる人にはバレバレの展開でしたねw
もっと毒とか各生徒のアリバイまで詳しく書いてミスリードしても良かったけど、
番外編のドッジボールだけで何日もかけてもしょうがないのでサクッと終わらせました

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/17(日) 15:14:39.96 ID:utIJ+rWto<> おつおつ
なんだかんだでK原作知ってる人多いww
マイナーともメジャーとも付かない微妙な作品なんだな <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 15:50:27.94 ID:YpcN7IHZ0<>
ちなみに毒について調べてみて思ったけど、モノモノマシーンで毒キノコ出して
食事に混ぜたら絶対犯人わからないだろうなと思う。酷い時は食べてから数日と時間差で
効果が出て、医者ですらなかなか見抜けないキノコとか普通にあるし。完全犯罪余裕

>>534
三十代で一度でもマガジン読んだ経験があればあの濃い劇画タッチは目につきますからね

ちなみに、ドクターK知らないでこのスレ読んでくれてる人は何人かいるみたいだけど、
その逆のダンガン全然知らないけどこのスレ読んでるって猛者はいるのかな?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/17(日) 17:44:15.58 ID:0VR/hNiP0<> マドマギ知らずにKのクロスのSSなら(震え声

他のSSの話でスマソ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/17(日) 18:06:39.32 ID:KjJRJBfwo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/11/17(日) 18:12:34.32 ID:oiq5LssN0<> 毒の対処法が霧切と江戸川コナンもとい工藤バーーーローーがとったのと似てるが偶然か
映画漆黒の追跡者で黒の組織と入れ替わってた警察幹部の娘の結婚式の時結局結婚したが父親に母親を捜査中に誤って事故で殺された婿がレモンティに毒を混入した事件 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/17(日) 18:37:53.54 ID:He0sv+WDO<> こういうのはどっちが先だ後だ言い出したら切りがない。
Kも初期の頃ブラックジャックパクった話あったし。 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 18:53:12.88 ID:YpcN7IHZ0<>
>>538
その映画は見てないですが、応急処置について書いてあるサイトで毒物を摂取した場合は
牛乳やゼラチン液、泡立てた卵白、水で溶いた小麦粉卵白などのタンパク質を取らせて
吸収を阻害するという手法が載っていて単純にセレスのロイヤルミルクティーが使えるかも
と思って書きました。そもそも紅茶にしたら成分が変わるのと思うので、
これが正しい応急処置かはわかりません。ただ水を飲ませる場合もあるので
水分を取って薄める、というのは大体の毒に有効的なようです。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/17(日) 21:23:57.58 ID:g8Fosa/R0<> >その逆のダンガン全然知らないけどこのスレ読んでるって猛者はいるのかな?

ここにおります。
興味はあるけど、積みゲーをまず何とかしないと…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/17(日) 21:46:26.80 ID:+5OFZ4XFo<> 青酸カリの毒中和させるために納豆食わせたのは喰いタンだったか <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 23:40:53.13 ID:YpcN7IHZ0<>
キリの良い時。それは小ネタを落とす時。


― オマケ劇場 E 〜 ハイ、二人一組になってー 〜 ―


時系列は舞園事件より前。


石丸「今日は、より親睦を深めるために二人一組になって学園の探索をしようと思う!」

山田(ちょwww奇数なのに二人一組とかktkrwwwwwwこのままでは拙者脂肪確定でござるwwwwwwww)

大和田(やべえ…これどう考えても不良の俺がハブられる流れじゃねえか…
     あまりモンになった挙句先公と組まされたりしたら目もアてられねえぞ!)

石丸「では、早速組んでくれ!」

舞園「苗木君、一緒に行きましょう」  苗木「うん!」

朝日奈「さくらちゃん、行こ!」   大神「ウム」

十神「チッ、面倒だな。俺は図書室に行くぞ。腐川、来い」  腐川「は、はい!」


あっという間に決まる三組。


霧切「私は一人でゆっくり探索したいのだけれど」

不二咲「霧切さん、そんなこと言わないで。みんなと親睦を深めるためだよ。私と行かない?」

江ノ島「メンドくさ〜。マジだるいんですけどー」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 23:42:54.27 ID:YpcN7IHZ0<>
大和田「(チャンスだ!)なら俺と組んで一緒にサボらねえか? 適当にブラブラしてようぜ!」

山田「セレス殿ぉぉぉ! どうか、どうか僕と組んでくだされええええええ!」

セレス「仕方ありませんわね。せいぜいわたくしの手足となって一生懸命働きなさいな」

桑田「(キョロキョロ。あれ、もうこれだけ? 女の子と組みたいとか言ってる場合じゃねえ!)葉隠、俺と組もうぜ!」

葉隠「おう、桑田っちか。行くべ」

石丸「よし! 全員組めたな」

朝日奈「あ、待って。石丸が余ってんじゃん。なんなら私達と一緒に行く?」

大和田(ちょ、あのバカ! 言い方がストレート過ぎだろ! 余った挙句女子に情けをかけられるとか…)

K「いや、俺と組めばいい。一緒に行こう、石丸」

山田(あ、あわわ。とうとう来てしまった…全国のぼっちのトラウマ『○○くんは先生と組もっか?』の時間が…)

石丸「ハイ! よろしくお願いします、先生! それじゃあみんな、今日も探索にレッツゴー! だぞ!」スタスタスタ

・・・

大和田(あいつマジでタフだろ…どんな神経してんだよ…)

山田(むしろ先生と組めてラッキーくらいに思っている?! 石丸清多夏…恐ろしい子!)

苗木(なんで二人共白目むいてるんだろう…)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 23:44:44.16 ID:YpcN7IHZ0<>
― オマケ劇場 F 〜 イジメ、ダメ絶対! 〜 ―


同じく時系列は事件前。

山田「セレス殿、紅茶を淹れましたぞ!」

セレス「山田くん、これはただの紅茶ではありませんか。わたくし、紅茶は牛乳から
     煮だした本場ロイヤルミルクティーしか認めていませんの。やり直しです」

山田「ガーン。そんな…」トボトボ

K「……」


十分後。


山田「セレス殿! 出来ました。今度はちゃんとロイヤルミルクティーですぞ!」

セレス「(ゴクリ)味が薄いですわ。作り直しです」パリーン!

山田「そ、そんな…せっかく作ったのに…」

セレス「グチャグチャ文句言ってないでさっさと作り直せやこの腐れラードッ!!」ビキビキィッ!

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 23:45:59.02 ID:YpcN7IHZ0<>
山田「ヒィィッ、ただいま〜!!」

K「待て! 大人の前で堂々とイジメをするとはなかなか度胸があるじゃないか」

セレス「え?」

山田「え?」

K「ルーデンベルク、今すぐ保健室に来い。じっくり話を聞かせてもらうぞ!」

セレス「え、わたくしはそういうつもりでは…ええええ?」


・・・


K「あの後何故か山田も一緒に来てイジメではないと言われたが正直納得いかん」

石丸「僕も未だに納得出来ません。あれがイジメ以外の一体なんだと…」

苗木「いや、えっと…あの二人の関係はちょっと特殊だから…? ハハ…」

苗木(正直僕もわからないというかわかりたくないというかむしろ関わりたくないみたいな)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 23:48:48.14 ID:YpcN7IHZ0<>

― オマケ劇場 G 〜 残念と呼ばないで 〜 ―


事件後。桑田糾弾会の最中。

セレス「」キツキツ

十神「」イヤミイヤミ

江ノ島(あー、早く終わらないかな。ていうかなんで参加しちゃったんだろう私)

江ノ島(そうだよ。先生が苗木君を連れて行った時点で一回お開きっぽいムードに
     なったんだし、あの時抜けておけば良かった。失敗したなぁ…)

石丸「」ガミガミ

桑田「」ショボーン

江ノ島(石丸君、説教長い。でも相手が桑田君なら仕方ないかな?)

江ノ島(……。よーし! やっと終わった。気分転換にシャワーでも浴ーびよっと)ルンルン♪


シャワー後。


江ノ島(あ、そういえば、先生が舞園さんを助けちゃったからきっと盾子ちゃんカンカンだよね。
     …そうだ! 保健室に置いてある薬を私が盗んじゃえばもう手術できないんじゃない?)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 23:51:00.71 ID:YpcN7IHZ0<>
江ノ島(フフ…私冴えてる! きっと盾子ちゃんも喜んでくれるよね! …あれ?
     保健室から人の気配…まさか先生? でも先生は今舞園さん達の所じゃ…)


中を覗き見る。


江ノ島(ウソ! なんでいるの、桑田君?! 邪魔なんだけど! 早く帰ってよ!)


四十分後。


江ノ島(まだ帰らない…もしかして先生が戻ってくるまでずっといるつもり? 仕方ない。
     夜時間に出直そう。どうせ先生はずっと舞園さんの所にいるはずだし)


その後、入れ替わりのようにKAZUYAが保健室に訪れ薬品類は回収されてしまった。
しかも輸血パックは保存の関係上手つかずだったのだが、江ノ島こと戦刃は気付かなかったのだった。

・・・

江ノ島(真)「残姉マジ残念……」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/17(日) 23:59:18.74 ID:0K4+0Jp10<> 残姉可愛いな

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/17(日) 23:59:50.20 ID:YpcN7IHZ0<> >>536
自分もまどマギ×ドクターKスレ読んでたよ
むしろそのスレ読んでなかったらこのスレなかったよ

>>541
おお、KAZUYA以外誰も登場人物わからないだろうに読んでもらえるとはありがたや
自分の書き方でちゃんと生徒の魅力が伝えられているだろうか
Chapter2はちょうど生徒同士の関係性がピックアップされる章なので
出来るだけ未見の方にもわかるようわかりやすく書くように努めます

あとアニメは1クールしかなく声優陣もめっちゃ豪華なのでおすすめです!(露骨な宣伝)
特に石丸や朝日奈の裁判時の演技は良かったなぁ

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:08:19.50 ID:JkLesf/M0<> 代わりに霧切舞園桑田の扱いひどくないすか? <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/18(月) 00:13:03.79 ID:JszlvqbL0<> >>551
アニメの話?扱い酷かったっけ?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:15:50.24 ID:JkLesf/M0<> 舞園はツルの話カット
桑田はセレスのあれがないから印象ほぼなし
霧切は戦刃裁判 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/18(月) 00:20:48.74 ID:JszlvqbL0<> >>553
ああ、うん。結構重要な設定や台詞がカットされてたりはしたね
セレスのあれってなんだっけ?殺意がある云々?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:25:52.94 ID:JkLesf/M0<> それっす
あと、葉隠妹様は優遇されてたなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:30:18.46 ID:ZMq+hmxXo<> Kはマガジン連載時から読んでるが、
ダンガンはアニメしかしらない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:33:10.44 ID:JkLesf/M0<> 妹様は登場話数は一二話だけど、
声優の本気って奴を見たな〜 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/18(月) 00:36:31.87 ID:JszlvqbL0<> >>555
セレスの、わざわざ工具セットを取りに行ったのは殺意がある証拠発言は
アニメにもあったと思いますよ。でないとアニメ派の自分が知ってるはずないので

葉隠君は…ね。自分も通信簿の内容知った時はビックリしたよ。普通に良い奴だと思ってたので
上の方でも結構言われてたし、正直桑田君よりずっと改心イベント必要なキャラですね… <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/18(月) 00:39:46.32 ID:JszlvqbL0<> あ、結構人いるみたいだから今のうちに次の自由行動の事前安価出しておこうかな

人名

>>560

>>562

>>564

>>566

場所

>>570

では、おやすみなさい

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:40:20.65 ID:JkLesf/M0<> どっちみち桑田ってアニメ組にはイマイチ印象薄いと思うんすよ
舞園は死ぬ前に交流あるし、
残姉は後々重要だし
この二人と比べると、どうも印象薄くなるのは仕方ないんですけどね〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:42:55.96 ID:WRnUxgoyo<> この場合安価したかな?
とりあえず大和田 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/18(月) 00:43:38.47 ID:JszlvqbL0<> ああ、ごめんなさい。安価近すぎましたね

改めて

人名

>>564

>>566

>>568

>>570

場所

>>572

アニメ派だけど桑田君好きですよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:45:51.84 ID:JkLesf/M0<> 長文すいません
不二咲 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:45:59.11 ID:+Q9Ldwzfo<> 不二咲

逆にアニメ見てないから又聞きだけど、
ゲームでは「苗木に疑いが掛かるのは承知でもまずはトリックを暴く。しかし明確に苗木を犯人と言ったり思わせたりする発言は一度もない」
「そして戦刃の死体のトリックとかを取っ掛かりに黒幕を追い詰めようとしたところで強制タイムアップ」
でここで諦めが早すぎて「見捨てた」と思われるのは仕方ないけど濡れ衣をかけようとしてるわけではないから裏切りではなかったのに
アニメではまず自分が生き残るために濡れ衣着せて裏切るというトンデモ改悪をしたと聞いた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:51:21.86 ID:5ZXz069bo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 00:54:38.89 ID:0GEb6+QAO<> 大和田 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 01:08:09.94 ID:gvqaXztso<> 石丸 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 01:16:09.49 ID:3BBN6kpDO<> 石丸 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 01:16:55.81 ID:q++LeKrF0<> 霧切 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 01:16:56.49 ID:JkLesf/M0<> 十神 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 01:21:03.54 ID:WRnUxgoyo<> Chapter2の関係者が全員集まったな
安価なら下 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/18(月) 02:03:26.36 ID:+Q9Ldwzfo<> 風呂 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/18(月) 20:04:33.30 ID:R+Opv5pM0<> 不二咲、大和田、石丸、十神、大浴場ですね。把握

>>564
あの辺は人によってはそう取れるかもしれませんねぇ
自分は霧切さんを信じていたので、
「何か策があるに違いない! え、タイムアップ? ちょ、ふざけんな、苗木ぃぃぃ」←こんな感じでした <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/18(月) 23:32:02.19 ID:15gzhGfm0<> 葉隠はねえ。
公式の情報を全て取り入れると、ネタではないほんまもんのクズになってしまうという。
個人的には、人間臭くて好きなんですけどね。 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:25:22.29 ID:jksZmrqN0<> 投下、の前にちょっと一言。今後のスレ進行に関してみなさんにお願いがあります。

見ての通り1は医療関係者ではないし、トリックとか考えるのも凄く苦手です
なので、今後も手術にしろトリックにしろ原作の引用流用が普通に出ると思います。
ただクロスSSという作品の性質上、読者全員が両方の作品を見ている訳ではないので
仮に答えがバレバレだったとしてもみなさんの胸のうちに留めてもらえないでしょうか
上で展開予想はご自由にと書いたのですが、ほぼ答えがわかっている状態で、
多分これだよねって言うのはどちらかというと予想よりネタバレに近いと思いますので

片方の作品を知らない方も楽しんでもらえるために、どうかご理解ご協力の程お願いいたします。
<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:27:49.22 ID:jksZmrqN0<>
体育館を綺麗にした後、生徒達は娯楽室で遊んでいたようだった。
KAZUYAはすぐに舞園の元に戻り、何が起こったかを説明して舞園を安心させる。
そして午後は苗木が舞園の側にいるというので、KAZUYAは気分転換に部屋の外へ出た。


― 寄宿舎廊下 PM1:12 ―


桑田「お、きたきた」

K「桑田か。どうしたんだ?」

桑田「ああ。苗木がこれから舞園のとこに行くって言ってたからさ。
    もしかしたらここで待ってりゃせんせー来るかなーって」

K「待っていてくれたのか。すまんな」

桑田「またすぐ戻るのか?」

K「いや、苗木と石丸に頼んでおいたからしばらくは出歩いている予定だ」

桑田「あん? 苗木はともかくなんで石丸? あいつうるさいだろ」

K「理由がある。俺と苗木だけではいかんのだ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:30:16.29 ID:jksZmrqN0<>
K「怪我が治れば、舞園はまたお前達と共同生活することになるだろう。その時、
  苗木しか頼りになる生徒がいなければ舞園はずっと苗木の側にいることになる」

K「それではかえって孤立する要因になるだろう。下手をすれば苗木も一緒にな。
  だから、比較的舞園に当たりが厳しくない生徒に頼んで順番に部屋に
  来てもらうことにしたのだ。今夜は霧切に泊まりこみを頼んである」

桑田「ふーん」


興味のないような感心したような微妙な返事をする桑田。ふと下を向き、ポツリと呟いた。


桑田「……せんせーってさ、ほんと優しいよな。みんなからあんま良く思われてなかった
    俺に対してもちゃんと相手してくれたしさ。今だって舞園に対していろいろしてるし」

K「医者として…いや、この場で唯一の大人として当然のことだ。俺はお前達の保護者だからな」


しかし、桑田はなんだか納得していないようだた。


桑田「俺さぁ……モノクマの言うことまともに取るのはシャクだけど、今朝
    あいつの言葉を聞いて思っちまったんだよ。やっぱ舞園許せねえなーって」

K「……」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:32:46.37 ID:jksZmrqN0<>
桑田「俺が狙われたことに関しては、俺もいろいろ悪かったって反省してるよ。
    …でもよ、苗木は違うだろ。あいつはずっと舞園の味方だったってのにさ」

桑田「せんせーも見ただろ? 俺がみんなから犯人扱いされて集中砲火されたの。
    本当なら苗木があれを食らってたんだぜ? すっげえツラいし苦しいし…
    舞園にもいろいろ事情とかあったかもしれないけどさ…やっぱ許せないわ」

K「…なんだ、お前。苗木のために怒っているのか? ならお前も優しい奴じゃないか」

桑田「な! …ちげーよ。べ、別にそんなんじゃねえって!」

K「フ、そう照れるな。お前はもう少し素直になった方がいいな」

桑田「うっせえよ! よけーなお世話だー!」バンバン

K「こ、こら。叩くなって。おい!」


適当に回避して、KAZUYAもふと真顔になる。


K「いやな、俺もその点に関して完全に許したわけではないのだ。だが、
  当の苗木が許している以上俺達が言えることなど何もないだろう?」

桑田「なーんかスッキリしないなー」

K「…これが本当の惚れた弱みという奴かもしれんな。彼らには彼らの世界があるのだ。
  もしかしたら舞園も、苗木なら自分の全てを受け入れてくれると思ったのかもしれん」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:34:40.64 ID:jksZmrqN0<>
K「ところで、俺はこれから開放された倉庫を見てみるつもりだが、お前も来るか?」

桑田「おう。俺はさっき一通り見てきたから案内するぜ!」


話しながら二人は倉庫に向かった。
倉庫には区画ごとに様々な物が所狭しと置かれている。


桑田「マジすごいぜ! 食いもの着るものゲームにガラクタ。いろんなものがあってさ!
    これで当分は暇つぶしに困らないですみそうだろ?」

K「そのようだな」


適当に辺りの物を手にとって物色しつつKAZUYAは考えていた。


K(…明らかにおかしい。黒幕は殺し合いを望んでいるはずなのに、住み心地を良くしてどうする?
  水や食べ物を制限した方が殺し合いも起こりやすくなるだろうに)

K(特筆すべきはゲームやガラクタ類だな。これらはこの建物に長時間住むことを想定して
  置かれているのだろう。この倉庫の中身を黒幕が置いたのか別人が置いたのを黒幕が
  放置したのかはわからないが、生徒がここで一生暮らすという選択肢も依然残っている訳だ)

K(あくまでフェア、ということか。それともそこに隠された何らかの意味があるのだろうか…)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:37:24.81 ID:jksZmrqN0<>
今朝のモノクマの言葉がKAZUYAの頭に蘇る。


モノクマ『オマエラは世界の誇る才能であり財産としてずーっと
      ここに保存されるんだよ。これほど名誉なことってあるかい?』

モノクマ『ここで生活できるってとても幸せなことだと思うんだけどなぁ』


K(もし俺の推測通り外の世界の情勢が決して良いものだと言えないなら、
  生徒達はここで暮らしていた方がかえって安全ということになるのか…?)

桑田「なあ、せんせー」

K「(いや、そんなことは…ハッ)何だ?」


少ない情報から思考を重ねるKAZUYAだったが、桑田に話しかけられて現実に戻る。


桑田「朝モノクマも言ってたけどさ、せっかく水着あんだしひと泳ぎしねえ?
    ずっと部屋にこもりっきりじゃ体もなまるだろ?」

K「ウーム、せっかくの誘いで悪いが俺は水練場には入れないんだ」

桑田「え? なんで?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:39:50.65 ID:jksZmrqN0<>
K「プールの前に更衣室があるだろう? そしてその更衣室はお前達の持つ
  電子生徒手帳がなければ入れん。俺は電子生徒手帳を持っていないのだ」

桑田「ハアアアアアアッ? マジでっ?! なんだよそれ!
    俺今すぐモノクマのヤツに文句言ってくるわっ!!」

K「あ、おい…」


余計なことをしてモノクマを怒らせてはマズイと止めようとしたが、
桑田はあっという間にどこかへ行ってしまった。


K(まあ、流石にこの程度で殺されたりはしないかな)ポリポリ



― 自由行動 ―


久しぶりに個室から出てゆっくり出来たので、KAZUYAはコーヒーを飲みながら
食堂でぼんやりと中庭を眺めていた。そこに近づいてくる小柄な影一つ。


不二咲「先生、ここに座ってもいいですか?」

K「不二咲か。構わないぞ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:41:10.49 ID:jksZmrqN0<>

不二咲は照れ笑いをしながらKAZUYAの向かいの席に座る。


不二咲「エヘヘッ」


事件が起こったのは望ましいことではないが、舞園の手術成功によって
KAZUYAが本物の医者だと生徒達に認知されたことだけは良かった。
こうして自分から話しかけてくる生徒が増えたのはKAZUYAにとっても素直に嬉しい。


不二咲「先生、さっきは苗木君を助けてくれてありがとうございました」

K「校医として当然のことをしたまでだ。大したことはしていない」

不二咲「ううん、そんなことないです。だって、もし苗木君があのまま元気になっても
     先生がいなかったらみんな毒が原因だと思ってきっとギクシャクしてたし。
     そうしたら、今度こそコロシアイが起こっていたかも…」

K「……」

不二咲「先生がいてくれたおかげで、僕達本当に助かってます! 大人の人が
     いるだけで安心感があるし、何より先生はスッゴく頼りになるし」

K「そうか。俺の存在が少しでもお前達の心の拠り所になれているのなら嬉しい限りだ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:42:47.84 ID:jksZmrqN0<>
不二咲「僕も先生みたいに強くなれたらなぁ」


不二咲が夢見るように呟いた。少し意外に思ってKAZUYAは聞き返す。


K「強くなりたいのか?」

不二咲「はい!」

不二咲「僕…こんな状況なのに全然みんなの役に立てないし、いつも守られてばっかりで…
     強くなれば、もう守られなくて済むし僕もみんなを守ってあげられるし」

K「立派な心構えじゃないか。応援するぞ」

不二咲「でも…思うばっかりでなかなか実行出来なくて、いつも逃げてばっかりの
     僕が本当に強くなんてなれるのかなって…不安になるんです」

K「……」

不二咲「先生、僕はどうしたらいいですか? 僕みたいな弱い人間、
     やっぱり強くなんてなれないのかな…」

K「不二咲、それは…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:44:46.92 ID:jksZmrqN0<>
不二咲「あ! ごめんなさい。急にこんな話をしても迷惑ですよね?
     僕、もう戻ります。話を聞いてくれてありがとうございました」


そう言うと、KAZUYAが止めるのも聞かず不二咲は去って行った。


K(不二咲…生徒達は皆それぞれ悩んでいるようだ。出来る限り話を聞かなくては)


・・・


KAZUYAがそんな風に考えていると、入れ替わりに今度は大和田に話しかけられた。


大和田「先公」

K「大和田か」

大和田「…その、さっきは苗木を助けてくれてありがとよ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:47:03.09 ID:jksZmrqN0<>
K「礼を言われるまでもない。誰かが怪我をしたら俺を呼べ。すぐに診てやる」

大和田「……」


そのまま大和田は椅子に座りもせず突っ立っている。
何かを話しあぐねているようだった。


K「どうかしたのか」

大和田「俺はよ…いわゆる先生って周りから呼ばれてる人間が嫌えなんだ」

K「……」

大和田「ちょっと俺達より長く生きてるだけで、偉そうに説教ばっか垂れてよ。
     どうせあんたも思ってんだろ。バカみたいな格好してバカなことやってるって」

K「……」

大和田「親も学校の奴らも言うことはみんな一緒だ。バカなことはするな。
     勉強しろってな。俺達のこと何もわからねえくせにバカにしやがって」

大和田「特に、あの帝都大をトップで出たあんたみたいなエリートの医者には
     俺達なんてどうせプランクトンにしか見えてないんだろ?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:50:46.55 ID:jksZmrqN0<>
K「プランクトンを馬鹿にするな。彼らがいなければ食物連鎖は成り立たんのだからな」

大和田「…あ?」

K「この世に無駄な命などない。一生懸命生きている命は皆等しく尊いのだ。
  …俺はな、この希望ヶ峰の前に加奈高校という学校の校医をやっていたことがある」

大和田「加奈高っていやぁ確か……あんたあそこにいたのか?」


加奈高はお世辞にも偏差値の高い学校とは言えない。むしろ不良がわんさかいる高校である。
世界を股にかけるトップクラスの外科医が行くにはあまりにも不釣り合いだった。


K「ああ、世話になった先輩に頼まれたからな。加奈高は…まあお前みたいなタイプの
  高校生がたくさんいたよ。みんな生きが良くてな。世間的には不良とか出来が悪いとか
  散々な言われようだったが、根は素直な良い子達ばかりだった。今でも思い出す」

大和田「……」

K「別に暴走族でも何でもいいさ。大人になってもそれでは困るが、若い頃には仲間と
  夢中になれることの一つや二つはあった方がいい。まあ、交通ルールは守るべきだと
  思うがな。お前達だって人を轢き殺したくて走る訳ではないだろう?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:54:15.80 ID:jksZmrqN0<>
K「自分の生き方、好きな事に胸を張ればいいじゃないか? そうやって周りに
  劣等感を持っているということは、お前本当は自分に自信がないんじゃないか?」

大和田「……!!」


ビクリ、と跳ねるように大和田の体が震えた。次の瞬間、ダァン!と両手をテーブルに叩きつけ怒鳴る。


大和田「う、うるせええええええ! 自分に自信がねえだぁ? 俺は泣く子も黙る
     天下の暮威慈畏大亜紋土二代目総長だぞ?! 寝言は寝ながら言えっ!!」


そう言い放って大和田は食堂から走って出て行ってしまった。
しかしKAZUYAは涼しい顔をしてコーヒーを啜る。


K(――あの様子だと図星だな)


・・・

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/20(水) 20:55:19.84 ID:jksZmrqN0<>
短いけどここまで

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/20(水) 20:56:21.02 ID:xR1zezrVo<> 乙
さてどう転ぶやら <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/20(水) 20:59:59.92 ID:KDkGjgAV0<> 乙
やっぱり更衣室に入れないか〜
やっぱりちーたんは生徒間で救うしかないのか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/20(水) 21:39:11.81 ID:JwqrbkZWo<> 乙です <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:25:31.81 ID:0fXB6Wiv0<>

読み終わった医学書を図書室に戻してまた新しい本を借りようとKAZUYAが
廊下を歩いていると、誰かが後ろから追いかけてきた。


石丸「先生! 探しましたよ!」

K「む、石丸か。どうかしたのか?」

石丸「先程はありがとうございました。先生のお陰でみんながパニックにならずに済みました!」

K「今日はみんなからその礼を言われるな。俺としては特別なことは何もしてないのだが」

石丸「無意味に疑心暗鬼に陥らなくて済んだのです。お礼も言いたくなりますよ」

K「それを言うためにわざわざ俺を探していたのか?」

石丸「いえ、違います。…そう! 本題は別なのです!」


言うやいなや石丸の瞳に炎が宿るのを見て、KAZUYAは内心嫌〜な予感がしていた。


石丸「西城先生――授業をしてくださいっ!!」

K「…………ンム?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:26:14.39 ID:0fXB6Wiv0<>

あまりに予想外の言葉過ぎてKAZUYAは思わず素が出る。


石丸「倉庫の中に参考書や問題集があったんです! 思えば、ここは学校なのに僕達は
    毎日遊んだり無為に時間を過ごしていて、今も刻一刻と外の学生達と差が付いている!」

石丸「監禁されたメンバーに先生がいたのは僥倖です。脱出してから困らないように、
    きちんと毎日勉強を続けなければ。と、いう訳で早速授業を行いましょうっ!!」

K「…まあ、勉強熱心なのは良いことだな。何かしていれば気も紛れるだろうし、
  俺で良ければ付き合おう。場所は保健室とお前の部屋、どちらがいい?」

石丸「何を言っているのですか、先生? 授業と言ったら当然教室でしょう?
    これからみんなも集めてきます。待っていてください!」

K「ん? 待て。お前一人の個人的な自習ではないのか?」

石丸「当たり前でしょう! 僕だけ一生懸命勉強しても、みんなは脱出後に社会から
    取り残されてしまう。そうならないためにも一緒に勉強すべきです!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:27:02.99 ID:0fXB6Wiv0<>

この男は一体何を言っているのだ、とKAZUYAは密かに頭を抱えた。


K「こんな環境でも勉強したいという向上心は真に素晴らしい。俺ですら敬服する。
  だが、授業は全員参加ではなく有志を募って開くという形がいいと思うぞ」

石丸「何故ですか?! どうせ他にやることもないのです。学生の本分は勉強ですよ?
    人生は一度しかないのだから、時間を有意義に過ごす義務があります!」

K(確かに非の打ち所のない程の正論だ。いくら監禁されていると言っても、
  行動の自由まで奪われている訳ではない。いずれ外に出るつもりなら、
  その時困らないように余っている時間を使うべきという主張はわかる。だが…)


人間というのはそう単純な生き物ではないのだ。正しいことだけを機械のように
選択し続けられる人は数える程しかいない。そしてその数少ない人間の一人が目の前の
男なのだろう。しかし、他の生徒はそれ以外の大多数に属しているのだ。


K(監禁され殺し合いを強制されて、実際数日前に事件も起こっているという異常な状況下で
  授業をやろうなどと言えば、まず間違いなく正気でないという扱いを受けるぞ…)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:27:51.81 ID:0fXB6Wiv0<>

石丸はいつも正論しか言わない。だが時と相手と場所を選ばなすぎるのだ。
しかも、言っている内容が正論で頭も良いからそう簡単には主張を崩せずタチが悪い。
本人は良かれと思って言ってるのだし、大人のKAZUYAから見れば常に一生懸命な所は
可愛げがある…と言えなくもないが、同年代の子供達にそれが受け入れられるかは疑問である。


K(なんだか全く同じ心配を桑田の時もしていたような。ベクトルは綺麗すぎるほどに真逆だが。
  …とにかく石丸が暴走する前に急いで策を練ろう。今のままでは皆と溝が出来てしまう)


今朝のやりとりを見る限り既に石丸は空気の読めない奴という認識が出来ているようなので、
もはや手遅れかもしれないがこの監禁生活の保護者としては少しでも周りと馴染んでもらいたい。


K「授業…授業か。……そうだ。良いことを思いついたぞ」


・・・


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:28:38.94 ID:0fXB6Wiv0<>

図書室に行くと、予想通りそこには十神が鎮座して本を読み漁っていた。


十神「ドクターか」


一瞥だけくれてまた本に視線を戻す。KAZUYAは本を棚に戻すと、十神に向き直った。
どうしても確認しなければならないことがあったのだ。


K「お前に聞きたいことがある」

十神「何だ?」

K「お前…本当は最初から俺の正体を知っていただろう」

十神「何故そう思う?」

K「俺が舞園を手術している時、お前だけは全く安否に興味を持っていなかった。
  それにさっきの事件の時も、皆が鼻血を信じられない中お前だけはすぐに納得した」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:29:34.71 ID:0fXB6Wiv0<>
K「俺が本物のドクターKだから、あの程度の手術なら簡単に行えるし
  見立ても正しいだろうと思っていたのではないか?」

十神「随分と自信家だな」

K「お前ほどではない。…極めつけは諸々の当番だ。他の生徒が警戒して俺を避ける中、
  お前は常に俺の班を選んだ。俺の近くにいれば安全だと考えたんじゃないか?」

十神「根拠が希薄で推理としては三流だな。今読んでいる本の半分以下だ」


読んでいた本を閉じ、十神はKAZUYAに向き直る。


十神「だがそうだな。結論は正しい。確かに俺はあんたを知っているし、過去に一度会っている」

K「…覚えていたのか」


15年前、KAZUYAがまだ高校生の時であった。KAZUYAの父・一堡(かずおき)は当時
十神家の当主であった十神の祖父を手術し、その際助手としてKAZUYAを連れて行ったのだ。
広大な十神邸でKAZUYAは何人かの孫達を見た。その一人が十神白夜だった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:30:52.45 ID:0fXB6Wiv0<>

K「俺がモノクマに内通者扱いされた時、何故何も言わなかった」

十神「医術に限らず腕力頭脳共に世界最高クラスと称される男があの程度でやられてはな。
    いずれ世界の頂点に立つこの俺の主治医になってもらうのだ。あの程度のことは
    自分でなんとか出来ないようでは困る」

K(コイツ…!)


体格と鋭い目つきに反して、KAZUYAはとても寛容な男である。特に相手が学生なら、
人を傷つけたりしない限りは子供のすることと思って大半のことは許せる。
だが、この傲岸不遜な男に対しては流石のKAZUYAも苛立ちを隠し切れなかった。


K「お前、勘違いしてるんじゃないのか?」

十神「フン、何をだ」

K「今のままの態度を貫くなら、俺は主治医はおろかお前が病気になっても手術は出来んぞ」

十神「せざるを得ないさ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:31:21.58 ID:0fXB6Wiv0<>
K「ふざけた態度を取るのもいい加減にしろ! 外ではどうだったか知らないが、
  少なくともこの学園の中ではお前はただの一高校生だ。部下もいなければ
  金の力も通じない。お前のような生意気な子供を捻るのなど容易いことなのだぞ?」

十神「医者のくせに脅迫をするのか」


KAZUYAと十神はそのまま黙って睨み合う。



        ◇     ◇     ◇



腐川冬子はいつも十神の後をついて回っている。今日だって彼と共に図書室にいた。
今はたまたま手洗いで席を外していただけなのだ。腐川が図書室に戻った時、
中から話し声が聞こえてきた。十神が誰かと話をしているなど珍しい。


腐川(盗み聞きじゃないわよ…万が一白夜様が襲われたら助けに入るためよ…)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:31:54.56 ID:0fXB6Wiv0<>

誰にとも言わず心の中で言い訳をして腐川は中の会話を聞いていた。


腐川(そんな、白夜様とあの西城とかいう医者が知り合いだったなんて…)


驚いたのはそれだけではなかった。


K『お前のような生意気な子供を捻るのなど容易いことなのだぞ?』


いつも生徒に穏やかな態度を取ってきたKAZUYAが初めて物騒な発言をしたことに
驚愕し、腐川は我を忘れて図書室に飛び込んでいた。


腐川「び、白夜様に手を出したら私が許さないわよ!」

K「腐川? 聞いていたのか」

腐川「あんたに白夜様の何がわかるのよ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:33:25.95 ID:0fXB6Wiv0<>
K「確かにそうかもしれん。だが、だからと言ってな…」

十神「じゃあ貴様に俺がわかるのか、腐川?」


助けに来たはずの腐川に十神は鋭い追及をかけた。


K「!」

腐川「えっと…それは…」

十神「臭うからここには来るなと言ったはずだ。部屋に戻ってとっとと風呂に入れ」

K「お前…!!」

腐川「あ、あ……ごめんなさい!」


KAZUYAが止める前に、腐川は口を手で押さえ図書室から走って出て行ってしまった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:34:21.66 ID:0fXB6Wiv0<>

K「おい、腐川! …十神。お前、一体どれだけ他人を傷つけるつもりだ?」

十神「臭いのは事実だろう。じゃああんたは臭くても平気なのか?」

K「仮にそうだとしても言い方というものがあるだろう!」

十神「知った事か。いつも付きまとわれてこっちは迷惑してるんだ」

K「自分の味方によくそんな酷い態度が取れるな」

十神「味方? 俺に味方なんていないし頼んだ覚えもない」

K「警告してやる。今のままでは十神家はお前の代で潰れるぞ」


一族の名を出されて、流石の十神も眉をひそめた。


十神「…何だと?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:35:10.68 ID:0fXB6Wiv0<>
K「俺が世界を飛び回っているのは知っているな? 俺は今までに色々な人間を見てきた。
  その中で、国家元首やゲリラのリーダーといった上に立つ者達には皆ある共通点がある。
  そしてそれは今のお前には決定的に欠けている物だ」

十神「……」

K「何に欠けているのか。それに気が付かない限り貴様に未来はない! よく覚えておくんだな」


本を手に取り、無言のまま睨む十神を置いてKAZUYAは図書室を後にした。


・・・


保健室に戻ると、気を取り直してKAZUYAは借りた本を読みふける。
そして、あることを思い出した。


K(…そういえば、大浴場が解放されたんだったな。見に行ってみるか)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:36:04.14 ID:0fXB6Wiv0<>
保健室で寝泊まりしているKAZUYAは当然ながら自分用のシャワールームを持っていなかった。
それで今までどうしていたかと言うと、一番頼みやすくまたまず断らないであろう石丸に
頼んで個室のシャワールームを借してもらっていたのだった。


K(案の定頼んだら快諾してくれた。人の面倒を見るのが好きみたいだな。本当に、良い奴ではあるが…)


男同士が仲良くなるには裸の付き合いが一番! 一緒に入りましょうと言われた時は
流石のKAZUYAも度肝を抜かした。あの狭いシャワールームに二人で入るのか?
…いや、結局入ったのだが。変な気でもあるんじゃないかとかなり警戒したのはここだけの秘密だ。

うん、当たり前だけど何もなかったよ。疑ってゴメン。


K(フム、普通の浴場だが…一つしかない。まさか男女共用なのか?
  うっかり男が入ってる時に女生徒が来たりその逆があるとマズイな。対策を考えるか)


しかし色々中を見ていてKAZUYAはあることに気が付いた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:37:05.58 ID:0fXB6Wiv0<>
K(浴場は勿論、脱衣所にも監視カメラはない。そういえばシャワールームや
  トイレにもカメラはなかった。こちらとしては助かるが、明らかに妙だ。
  見えない場所で殺人が起こったらどうするつもりなのだ?)

K(カメラのない所をチェックするための眼があのモノクマという機械なのかもしれん。
  …しかし、俺の予想では恐らく盗聴器くらいはどこかに仕掛けてあるだろう)


だがカメラがないのなら黒幕の目くらましには使えるかもしれないと覚えておく。
色々細かく見ていると、誰かが脱衣所に入ってきた。


朝日奈「さっきちょっと覗いたけど、おっきいお風呂なんだよー」


入ってきたのは朝日奈と大神だった。


朝日奈「あ、先生! …もしかしてこれから入るの?」

K「いや、今は中の様子を見に来ただけだ。しかし、男女共用なのは問題だな」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:37:48.09 ID:0fXB6Wiv0<>
朝日奈「そうなんだよねー。私達が入っている時にうっかり男子が来たら困るし、
     こっちも男子の裸見ちゃったりしたら嫌だし」

K「声をかけてから脱衣所に入るのを徹底する。また、浴場の入口に何か男女の
  目印のような物を作って浴場内に入る時かけておけばわかりやすいかもしれんな」

大神「あとで山田に頼んでみたらどうであろうか。あやつは手先が器用だ」

K「そうしてみよう。…ところで、二人共風呂に入るのか?」

朝日奈「うん! さくらちゃんと一緒だよ」

K「そうか。……その、大神」


念の為、念の為に確認しておこうとKAZUYAは思ったがあまりの聞きづらさに口ごもる。


大神「安心せよ。我は女だ」

K「そうか…失礼だったな」


凄く気まずかったので早々に二人と別れ、KAZUYAは脱衣所を後にした。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/23(土) 23:40:26.62 ID:0fXB6Wiv0<>
ここまで。この辺りは特殊イベント連発なのでちょっと投下ペースが遅いかも
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/23(土) 23:56:23.93 ID:v6hhEg1Do<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 02:10:48.94 ID:OZVXRIWdo<> Kの思考や言動がそれっぽくてすごい
ゆっくりと続きを待たせていただきます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/24(日) 10:53:30.96 ID:TeyB8CVX0<> 周りの面子が濃いせいか違和感がないな。よく馴染んでる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 12:42:56.71 ID:LJWq1+mDO<> 超高校級って言うが本編でその実力を披露したのって桑田ちーたん霧切くらいで
序盤だとみんなキャラが濃い普通の高校生だからな。Kも手術したり戦闘しなければ
割と普通というか、物静かで面倒見の良いおじさんだし相性が良いのかも <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 21:48:22.05 ID:FmR10o8E0<>

― 保健室 PM7:27 ―



KAZUYAは己の居城である保健室に戻り、久しぶりにのんびり過ごしていた。
いくら患者の同意があるとはいえ、やはり少女と密室に長時間二人っきりでは神経を使うのだ。


K(それにしても疑問だな。俺は薬品を避難させる時、輸血パックを確保できないのは
  辛いと内心思っていた。しかし、輸血パックはおろか保健室に何の異常もない)

K(案外黒幕は抜けているのか? ……そんな訳はないか)


体が鈍らないように筋トレをしていると、背後からモノクマが現れた。


モノクマ「ヤッホー、KAZUYA先生!」

K「モノクマか」

モノクマ「先生っていっつも僕が現れても驚かないよね。キャーキャー騒がれるのも
      ショックだけど無反応もちょっと寂しかったり」

K「それで、何の用だ? まさかお喋りでもしに来たのか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 21:49:16.58 ID:FmR10o8E0<>
モノクマ「違うよ! 僕は君達みたいに暇じゃないんだ。今日はこれを届けに来たのさ」

K「これは…」


モノクマがKAZUYAに差し出したのは、電子生徒手帳だった。


モノクマ「まったくさぁ、先生も酷いよね。桑田君を僕にけしかけたりしてさ。
      やかましいったらないよ。しつこいし途中から仲間呼んだりするし」

モノクマ「まあでも、確かに仲間はずれは良くないなーと思って、こうしてわざわざ
      先生にもプレゼントに来てあげた訳ですよ。感謝してよね!」

K「フン、偉そうに言うがこれは元々俺が持っていたものだろう」

モノクマ「ギク」


そう、KAZUYAは希望ヶ峰の正規の教員ではないため電子教員証を持っていなかったが、
それでは何かと不便ということで学園長からゲスト用の電子生徒手帳を借り受けていたのだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 21:50:18.25 ID:FmR10o8E0<>

モノクマ「ま、まあまあ。いいじゃない! ほら、前はゲスト用だから起動しても名前とか
      出なかったけど、僕が調整してちゃんと名前も出るようにしておいたからさ」ホラホラ

K「礼は言わんが、素直に受け取ってはおく」

K(今度桑田に会った時に礼を言っておかないとな。…あと、折角だから一緒に泳ぐか)


KAZUYAは【電子生徒手帳】を手に入れた!


K(校則が増えていると苗木が言っていたな。確認しておこう)


校則は>>53-54に加え、9.電子生徒手帳の他人への貸与を禁止します。の一文が加えられていた。


K(貸与を禁止。貸した方に罰はあるが、借りた方は罪に問われないということか?
  また、奪われて使われた場合は…いや、こんなことを考えるのはよそう…)


そして、また一心不乱に鍛錬を続けるのだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 21:51:31.91 ID:FmR10o8E0<>

― 大浴場 PM9:32 ―



夜、誰もいないことを確かめてKAZUYAは脱衣所に入った。


K(さて、風呂に入って久しぶりにゆっくり寝るか)


そう思った矢先、外から何かの喧騒が聞こえる。こちらへ向かってきているようだ。


苗木「二人ともやめた方がいいよ! 下手したら死んじゃうって!」

大和田「うるせぇ! てめーらに俺の根性見せつけてやるよ!」

石丸「男が一度勝負すると言った以上は何があっても退いてはならんのだ!」


ああ、ゆっくりしようと思っていたのに騒がしい奴らが来てしまった、とKAZUYAは思った。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 21:53:11.28 ID:FmR10o8E0<>
苗木「あ、先生! ちょうどいい所にいた! 二人を止めて下さい」

K「勝負とか聞こえたが、一体何の話だ?」

大和田「この石頭が俺のことを根性なしって言いやがったんだよ!」

石丸「事実ではないか! 君は根性がないから言葉ではなくすぐ暴力に頼るのだ。
    たとえ君がどんなに暴力を振るったとしてもこの僕を屈服させることは出来ないぞ!」

苗木「それで、二人ともサウナで根性比べをするって言うんです。
    僕は危ないからやめようって言ってるんですけど二人とも聞いてくれなくて…」

K「(苗木も大変だな…)わかった。では万が一のことがないように
  俺が二人を見張っている。それなら問題なかろう。お前は帰っていいぞ」

苗木「(ホッ)先生がいるなら大丈夫ですよね。じゃあ僕帰るから、二人共あんまり無理しないようにね」

大和田「おう! 勝負の結果を楽しみにしてろや」

石丸「僕の勝ちで決まりだがな!」

大和田「んだと! 勝つのはこの俺だ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 21:54:21.27 ID:FmR10o8E0<>
苗木「ア、ハハ…では先生、お願いしますね〜」スタコラ


そそくさと苗木は去って行った。


大和田「よし、早速勝負だ。行くぞ!」

石丸「ム、待ちたまえ! 君は服を着たままではないか」

大和田「ああ? ハンデだよハンデ。文系の委員長様にこの勝負は厳しいだろうからな」

石丸「あまり頭が良くない気はしていたが、君は本当に馬鹿じゃないのか?!
    …君だけにそんな真似をさせる訳にはいかない。僕も服を着たまま挑むぞ!」

大和田「ハア? 無理すんな。死ぬぞ!」

石丸「いいや、僕はやる。やってみせるぞ!」

K「…二人とも服を着たままやるくらいならいっそ二人共脱いだらどうだ?」

大和田「(ピキィ!)テメーなんかの指示は聞かねえ!」

石丸「待ちたまえ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 21:56:21.16 ID:FmR10o8E0<>
バタバタと服を着たままサウナに乗り込む二人を見て、KAZUYAは呆れ返っていた。


K(図体はデカくても、やっぱりまだまだ子供だな…)ハァ…


2時間後。


サウナには服を着たまま汗を流す三人の男がいた。


K「……」

大和田(つかなんでこいつも一緒に入ってんだよ。しかも多少汗かいてはいるが
     ほとんど顔色を変えていないときた。化け物かよ…)

大和田「おい石丸…てめえ顔が真っ赤じゃねえか。もう限界なんじゃねえのか」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 21:57:30.89 ID:FmR10o8E0<>
石丸「なんのこれしき…顔が赤いのは元々だ…! 鍋焼きうどんでも食べたいくらいだよ」


二人とも汗まみれになり、だいぶ苦しそうである。


モノクマ「え、今の言葉本当?」

石丸「え?」

大和田「は?」

K「モノクマ…!」


サウナの扉を開け唐突にモノクマが入って来た。


K「お前、見張っていたのか?」

モノクマ「当然でしょ! いくら先生がついてるって言ったって、万が一事故で
      死んだら困るし。コロシアイ以外で死人が出てもみんなは納得しないよ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 21:58:58.19 ID:FmR10o8E0<>

長時間熱い場所に晒され少しのぼせてはいたが、KAZUYAはモノクマの一言を聞き逃さなかった。


K(みんなとは誰だ…俺達の監禁生活は黒幕以外の誰かにも見られている?
  監視カメラも本当は監視のためではなくそのためなのか?)


それならば監視カメラの死角がやたら多いのも頷ける。
男の裸なぞ見たい者は少数派だろうからだ。


モノクマ「でさぁ、石丸君。今の言葉なんだけど…ちょうど僕、夜食に鍋焼きうどんを
      作った所なんだよねぇ。凄い偶然! てな訳で特別に君に譲ってあげるよ!」






石丸「…………え?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:00:58.50 ID:FmR10o8E0<>

― モニタールーム ―


江ノ島「まったく、私様特製のうどんが食べられるんだから感謝しなよ!」

戦刃「盾子ちゃん、このカップ麺三分経ったよ!」

江ノ島「ほいじゃ、いただきまーす」ズルズル



        ◇     ◇     ◇



さほど待たずに届けられた熱々のうどんを見て石丸は硬直していた。
こんなに体は熱いのに、背中からは嫌な冷や汗が出てくる。


石丸「」汗汗汗

K「……」

大和田(バカな奴。調子に乗って大口叩くからだ。ま、これで俺の勝ちは決まったな)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:01:53.76 ID:FmR10o8E0<>
K「…石丸」

石丸「…何でしょうか」

K「いやァ、サウナに長時間入っていたらすっかり腹が減ってなァ。美味そうだな、そのうどん」ジー

石丸「!」

K「生徒から食べ物を取り上げたりするのは非常に心苦しいが、良かったら俺に譲ってくれんか?」

石丸「せ、先生にそこまで言われたら譲らない訳には参りません! ど、どうぞ」

K「ウム、悪いな石丸。……ム、意外と美味い(関西風だな)」チュルチュル

大和田「……」

大和田(チ、助け舟出しやがって。…まあ、いいか。こんな形で勝負が
     ついてもこちとら興ざめだったしな。勝負はこっからだ!)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:03:49.47 ID:FmR10o8E0<>
K(水分と塩分が補給出来て丁度いい。それにしても…モノクマを動かしている奴は黒幕だと
  思っていたが、操作専門の人間がいるのか? 黒幕が夜食にうどんでは流石にな…)チュルチュル

K(やはり十神財閥を超える巨大組織なのだろうか。しかし、俺の存在を見逃したり輸血パックを
  そのままにしたり、どうも人員に余裕がない気がするが気のせいなのだろうか…?)チュルチュル


まさか真顔でうどんを食べながら自分達について考えられているとは流石の黒幕も思うまい。


石丸「…それにしても、先生は本当に凄いですね」

K「何がだ?」チュルチュル…ゴチソーサマ!

石丸「僕も大和田君もこんなに苦戦しているのに、先生だけはビクともしていない。
    …医者という職業はこんなにも強いものなんですね」

大和田(バカか。医者がすげーんじゃなくてこいつが特別なんだよ)


大和田が心の中でツッコミをいれる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:05:41.00 ID:FmR10o8E0<>

K「まあ、そうだな。俺は患者がいれば世界中どこにでも行く。北極砂漠赤道直下のアマゾン…
  俺が動じていないのは慣れているからだ。アマゾンではこのくらい日常だからな」

大和田「…なんでそんなとこ行くんだよ。テメーなら待ってたって患者の方から来るだろ?」

K「俺の一族が代々医者だというのは前に言ったな? 祖先からの方針なのだ。患者が常に
  医者の元に来れるとは限らない。故に自分の足で患者の元へ向かうというのは」

K「それだけではない。幼い頃から医者になるために、厳しい訓練を受けさせられる。
  俺は物心がついた時には既にメスを握り、初めての手術は6歳の時だった」

大和田「ろ、6歳?!」

石丸「それは違法行為なのでは?!」

K「その時の患者は俺の親父だ。熊と間違えられたらしくハンターに散弾銃で撃たれてな。
  当時、家が山奥にあったのと台風だったのもあり、街から医者を呼んでも時間がかかる。
  幸いあまり難度の高い手術ではないからお前がやれと言い出したのだ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:07:29.41 ID:FmR10o8E0<>
大和田(熊と間違われたって…まあこいつのオヤジだし、想像がつくな)

石丸「……」ポカーン

K「毎日毎日、遊ぶ時間もなくひたすら手術の練習。お陰で幼少時代には友人がいなかったな」

石丸「…先生は元々天才な訳ではなく、絶え間ない努力によって実力を培われたのですね」

K「石丸、俺は以前から気になっていたがお前はやけに努力という言葉を使うな。
  それに、どこか天才を嫌っているようにも見える」

石丸「…流石は西城先生、わかりますか」


そこで石丸は自身の身の上を話し出した。祖父が元総理大臣の石丸寅之助だということ。
祖父はいわゆる天才タイプで、何でもソツなくこなしていたこと。しかし汚職事件を起こし、
事業も失敗してその借金が今も石丸家を苦しめているということを。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:08:46.70 ID:FmR10o8E0<>

大和田(借金とかマジかよ…いかにも優等生な金持ちの坊っちゃんかと思ってたのに)

石丸「天才というのは悲劇です。世間から持て囃され、努力の大切さに気付かず、
    挫折知らず故に一度つまずいてしまえばあっという間に転落してしまう」

石丸「努力し確固たる力を身につけた者こそが報われる…世界とはそうあるべきです!
    むしろ、そうでない世界なんてウソっぱちだ! 凡人でも努力をすれば天才を
    超えられる! それを証明する為に、僕は努力に努力と努力を重ね今日に至るのです」

K「苗木から聞いたが、お前は三年連続全国模試一位だそうだな」

石丸「…そこまで辿り着くために僕は多大な犠牲を払ってきましたよ。
    お陰で、頭は良くなったけど僕はすっかり世間ズレしてしまった…」


ポツリと呟いて俯く石丸を、大和田は複雑な気持ちで見た。


大和田(こいつ、本当は自分がKYだっつー自覚があったんだな…)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:09:35.14 ID:FmR10o8E0<>
K「もしや、風紀委員の活動に熱心なのもそれに関連しているのか?」

石丸「先生は本当に鋭いですね。その通りです。みんなにもわかってもらいたいのです、
    努力の大切さを。そして、みんなが精一杯努力出来る環境を整えてやりたい。
    その為なら、僕はいくら自分の貴重な時間を割いても構わないのです」

K「政治家を目指しているそうだな」

石丸「はい。昔からの夢です。祖父のような甘い考えではなく、己の信念を持った
    政治家になり、全ての人々の努力が報われるような国を作りたいのです!」

K「そうか。お前ならきっと良い政治家になれるだろう」

石丸「ありがとうございます!」

大和田「……」

大和田(ずっと口うるさい優等生だと思ったが、こいつもこいつなりに色々あったんだな…)


二人の横顔を眺めながら、大和田はそんなことをぼんやりと考えていた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:12:15.73 ID:FmR10o8E0<>
石丸「それにしても、幼い頃から訓練ばかりではさぞや大変だったでしょう」

大和田「俺だったら間違いなく家出してるな」

K「ああ。実際俺も一度だけ家出をしたことがある」

大和田「お、先公にもやっとまともな所があったか。高校? それともちょっと早めに中学か?」

K「俺が小学三年の時だな」

石丸・大和田「……」

K「医師としてとても大切なことを学んだ。当時、俺は犬を飼っていてな。
  名前はポロと言った。元は野良犬だったのだがとても賢い犬でな…」

大和田(おい、何で犬が出てくるんだよ。こいつがガキの時の話だから絶対もう死んでるだろ?
     しかも、こいつの昔話で出てくるってことは絶対ろくなことになってねえ…)

K「さっきも言ったが、俺は放課後同級生達と一切遊ばず毎日厳しい手術の訓練だった。
  お陰で友達らしい友達が一人もおらず、ポロは俺にとって唯一の友達だったのだ」

大和田(やめろやめろやめろやめろ! 少しでも水分温存してえっつうのに余計な話をすんじゃねえええ)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:13:33.05 ID:FmR10o8E0<>
そんな大和田の心の声も露知らず、KAZUYAは彼の人生でも特に心に強く刻まれたほろ苦い思い出を話し始めた。

当時幼かったKAZUYAは厳しい父親にささやかな反抗的として、愛犬ポロを連れ家出をしたのだった。
しかし子供故に無計画な家出だったため、当然寒さと飢えの対策などしていない。ポロはKAZUYAの空腹を察し、
店からパンを盗み出したがその道程で車にはねられてしまった。KAZUYAは医療道具を仕込んだマントを家に
置いてきたことを後悔し、ポロを置いて家まで走ったがポロは無理にKAZUYAの後を追い、家に着くと同時に力尽きた。


K「俺がいつも羽織っているマント…お前達から見たら恐ろしいかもしれん。だが、俺は二つの大切なことを学んだのだ。
  医者は常に肌身離さず医療道具を持っているべきということ、そして患者は待ってくれないということだ」

石丸「そんな悲しいことが!(それで自ら患者の元へ…)」ダラダラ


KAZUYAの話を聞いて石丸がドボドボと泣くのは予想が出来たが、今回に限っては石丸だけではなかった。


大和田「ううう、ポロォォ! 何で待ってなかったんだよぉぉぉ! そこで待っていれば! うおおおお」ボロボロ

石丸「お、大和田君?!」

K「お、大和田?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:14:28.08 ID:FmR10o8E0<>
石丸(凄い勢いで泣いている…そうか。大和田君は外見とは裏腹にとても情に篤い男なのだな…)

K(もしや犬が好き、とかか? 意外だな)

大和田「バカヤロー! 勝負の最中に悲しい話しやがってえええ!」

K「す、すまんな。水を差すつもりではなかったのだが。そうだ。折角だから今度はお前が何か話したらどうだ?」

大和田「ああ?! 俺にもお涙頂戴の話しろってか?!」

K「そうではない。そうだな…では、お前の自慢の暴走族について聞かせてくれ」

大和田「…武勇伝か。まあ、それだったらいくらでも話してやるぜ」


そして大和田も話し始める。自分と兄の大亜はダイアモンド兄弟として地元では有名で、
昔から日本一のチームを作るのが夢だったこと。二人で夢を叶えたこと。
一緒に暴走したり喧嘩をして暴れまわったことなどを生き生きとした表情で語る。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:15:34.88 ID:FmR10o8E0<>
K「兄をとても尊敬しているようだな」

大和田「ああ、兄貴は本当に偉大で立派だったからな」

石丸「立派、“だった”?」

大和田「…ああ、兄貴は死んだんだ。事故でな」

石丸「そうだったのか。…それは失礼した」

大和田「…気にすんな。兄貴は俺に男と男の約束はなにがなんでも守れって教えた。
     そして兄貴は死ぬ前に俺にチームを託したんだ。だから、俺は絶対に
     ここから脱出してチームの元に帰らなきゃなんねえ!」

石丸「ウム、みんなで結束して事に当たればきっと脱出出来る。共に頑張ろうではないか!」


しかし、KAZUYAはどこか浮かない顔をしていた。


K「絶対に…か。焦って早まったことだけはするなよ、大和田」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:16:09.65 ID:FmR10o8E0<>
大和田「ああ?! 何言ってんだ! テメー俺が仲間を殺すとでも思ってんのか?!」

K「普段のお前なら思ってないさ。ただ、すぐそうやって頭に血が上るだろう?
  俺はそれが心配なんだ。例えば十神に対しカッとなってうっかり殺さないと断言出来るか?」

大和田「うぐ…それを言われるとツレーな。わかったよ。あいつにはなるべく近づかねえし
     なにか言ってもなるべく相手にしねえようにする。それなら問題ねえだろ」

K「…そうだな」

K(十神以外とはそこまで問題は起こしてない筈だ。石丸とはよく揉めているが流石に殺意までは
  抱いてないだろうし、見た感じ石丸は鍛えている。一方的にやられることはないだろう)




K(…大丈夫、だと思いたい)


・・・

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/24(日) 22:19:28.45 ID:FmR10o8E0<>
ここまで。サウナ編長かった…

あと原作読み直してたら間違いを一つ発見してしまった
>>586で加奈高に行ったのは先輩に頼まれたからだと書いたけど、
実際は同期が体調を崩したからだった。訂正申し上げます

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 22:30:23.14 ID:oQMdO1hi0<> 実際学園に罪木とかペコとか配置してたら、やばかっただろうな… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 22:30:49.01 ID:NFvDW6U4o<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 22:35:56.85 ID:Zeymmjtvo<> 乙 <>
◆4hcHBs40RQ<>sage<>2013/11/24(日) 22:44:00.52 ID:FmR10o8E0<> >>634
やばいとは、どういう意味で? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/24(日) 23:15:42.29 ID:Ro3/8yk0O<> どうしよう、女は殴らないが化け物は別だとかいいながら江ノ島をぶん殴るK先生が見えた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/24(日) 23:36:13.98 ID:nQrCAVpy0<> >>638
実際妹様はいろんな意味で化け物やないか…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 00:39:20.20 ID:+grTowCDO<> 妹様ノリがいいのと容姿が可愛いから人気あるけど
中身はおぞましい怪物だよね。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 00:44:46.63 ID:CpGytdtbo<> ゼロ見た限りではああなる前に救いがあればどうにかなったかもしれないとは思う
けどああなった後は完全に更生不能のまさに怪物だからな
Kの専門外もいいところ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 00:59:46.69 ID:4ilXhCaDO<> ああなったが何歳かわからんが、松田の母親をぶっ壊したのは子供の時だろ?
それで大人になって[ピーーー]瞬間に真実告げる計画を既に立ててるとか子供の時から狂気じみてる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/25(月) 19:33:09.82 ID:bZNIKpieo<> これ、電子手帳壊れてたら玄関ホールにまだないし、原作通りの事件は可避だな

ちーたんの方は、生まれ変わった桑田mark2に任せてみてもいいかも <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/26(火) 02:44:31.28 ID:O15Aw3UQ0<> 基本的に相手が男ならK先生で説得できる気がする
しかし女はどうだろ?セレスみたいな曲者はなかなか心を開かないような気が…
そうなると仲間キャラの出番かも

ところで桑田mark2って本当に大丈夫なのか?逆に足を引っ張り兼ねやしないか!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/26(火) 21:59:06.58 ID:83iTlTJS0<> 桑田君は大丈夫。僕はそう確信しているんだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/28(木) 05:29:21.36 ID:l0ITyvHt0<> 桑田君が失敗して殺人がおこっても、みんなならそれを乗り越えていけるよ
希望が絶望に負けたりするはずがないもんね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/28(木) 06:09:23.43 ID:iya+JunZo<> 桑田を信じるんじゃねぇ
桑田を信じたKを信じるんだ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/11/28(木) 23:08:06.97 ID:RoUOAFjM0<> 桑田は信じられないということじゃないかww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/11/28(木) 23:19:12.18 ID:8e1tb7gg0<> >>647 アニキ….
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/28(木) 23:34:15.65 ID:npX4X2x00<> 何故原作でさくらちゃんがモノクマ一機たおせなかったのに、
残姉がIFで何十機単位でたおせたんだろう?
やっぱ妹様が操縦してないから?
それとも、残姉が裏切る事想定してなくて、対さくらちゃん用にしてたから? <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:41:53.82 ID:Vc3XORUt0<>
遅れた。再開

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:42:20.74 ID:Vc3XORUt0<>

そんなこんなで話をしていたら、更に1時間が経過していた。


石丸「…………」グールグール

大和田「…………」グールグール

K(二人共ほとんど話さなくなったな。顔色も赤から青になり、発汗も悪くなっているようだ。潮時だな)

K「我慢比べはここまでだ。二人共、出るぞ」

大和田「…ああ? なに、言ってやがる。勝負はまだ…終わってねえぞ」

石丸「そうです…先生…ここまで来て、引き下がる訳には…」

K「ドクターストップだ。そんなに続けたいなら俺の腕を振り払ってみろ」


そう言うと、KAZUYAは二人の腕を掴んで無理やり立たせる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:43:13.01 ID:Vc3XORUt0<>
大和田「やって…やろうじゃねえか」

石丸「いくら…先生と、いえども…」


しかし、立ち上がった瞬間二人は想像以上に体に力が入らないことに気付く。
KAZUYAの腕を振り払うどころか、実際は立っているのも精一杯だった。


大和田「ちくしょう…」

石丸「うう、力が…入らない…」

K「わかっただろう? これ以上ここにいると死ぬ。出るぞ」


KAZUYAは二人が歩けないのを見て取ると、二人の背中から脇の下にかけて手を回し
そのまま抱え上げるようにして、ドアを足で蹴り開けサウナから出た。
一度水風呂に突っ込んで冷やした後、脱衣所に座らせKAZUYAは保健室まで走る。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:44:08.33 ID:Vc3XORUt0<>

K(T度の熱中症だな。以前、食堂は夜間に入れないからと保健室に運んでおいて良かった。
  水1リットルに対しブドウ糖大さじ 4.5、塩化ナトリウム小さじ0.5を混ぜ経口補水液を作る)


保健室からブドウ糖と塩化ナトリウムを調達し、KAZUYAは手早く経口補水液を作って二人に飲ませた。

熱中症:T度からV度まであり、意識がはっきりしていて会話が可能な場合はT度に該当する。
     言動がおかしい・意識がない・時間経過でも回復しない場合等は速やかに救急車を呼ぶこと。

経口補水液:食塩とブドウ糖を水に溶かした物。脱水症状の治療に用いられる。通常のスポーツ飲料でも
       代用出来ないことはないが、糖分が多くナトリウム濃度が低すぎるため低ナトリウム血症から
       水中毒を引き起こす可能性がある。特に乳幼児の脱水はスポーツ飲料で済まさないこと。


K「それを飲んでしばらくそこで休んでいろ」

石丸「…面目ありません」

大和田「チッ…クソ…」

K「気分が悪くなったらすぐに言え。大丈夫だとは思うが、あまり酷いと点滴の必要があるからな」

石丸「いや、流石にそこまでは…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:45:11.03 ID:Vc3XORUt0<>
本職の医者だけあってKAZUYAはテキパキと対処していく。


大和田「…何でオメーはそんなピンピンしてんだよ」

K「いや、本当に偶然だがうどんが役に立ったな。汁を全部飲んだから塩分と水分の補給が出来た。
  あと俺は独自の呼吸法で発汗量をある程度ならコントロール出来るのだ」

大和田「…バケモンだろ、オメー」


何かと規格外のKAZUYAにもはや大和田も呆れ果ててしまった。
最初はグッタリしていた二人だが、少し休んでだいぶ元気になってきたようだ。


石丸「ム、何だ?」

K「どうかしたのか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:47:07.70 ID:Vc3XORUt0<>
石丸「それが、僕の電子生徒手帳の電源が付かないのです」

大和田「壊れちまったのか? 俺のはどうだ。…あん? つかねえ」

K「…お前達。いくら完全防水で衝撃にも強いとはいえ、精密機器を長時間高温多湿な場所に
  おいておけば壊れるに決まっているだろう。恐らく内部で熱暴走を起こしたのだ」

大和田「へー、そういうもんなのか」

石丸「ね、熱暴走?! うう、僕としたことが…」

K「ちなみに俺はマントと一緒にロッカーに仕舞っておいたからこの通り無事だ」ピローン♪

石丸「ど、どうすれば…学園から貸与された物を壊してしまうなんて…」

K「恐らくモノクマに言えば直してもらえるだろう。奴は機械の扱いに長けているようだしな」

K(ゲスト用だった電子生徒手帳を俺仕様にしたのも奴だ)

大和田「ゲッ、あいつに頼むのか…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:49:45.31 ID:Vc3XORUt0<>
石丸「仕方ない。では、明日モノクマに頼んでみます」

K「ウム。ところで、二人共もう俺がいなくて大丈夫だな? 俺は自室にシャワールームが
  ないから、ここで汗を流して保健室に戻る。お前達も適当な所で帰るといい」


そう言うと、KAZUYAは服を脱いで見事な肉体美を披露しながら浴場へと消えて行った。
その後ろ姿を見送る大和田の表情はどうにも悶々としている。


大和田「ああ、クソ。ムカつくぜ…」

石丸「…何だか、僕らの勝負というよりは二人がかりで先生に挑んで返り討ちに遭ったみたいだな」

大和田「まったくだ。なーんかスッキリしねえ」

石丸「だが、僕は君を見直したぞ! 外見で勝手に根性なしと判断していたが、
    君は見た目よりもずっと根性のある男だったな!」

大和田「ああ? …そりゃこっちの台詞だぜ。口だけの文系委員長様かと思いきや、
     なかなかどうしてやるじゃねえか。正直驚いたぞ」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/28(木) 23:50:49.20 ID:O5ZFrq9zo<> 妹様って機械音痴なんだよな…… <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:53:02.60 ID:Vc3XORUt0<>
石丸「感心したのはそれだけではない。暴走行為そのものは僕は立場上許容出来ないが、
    君が非常に仲間思いで義理人情に篤く勇敢な男だというのは話していてよく分かった。
    今まで失礼な言動をしていたことを心から詫びる! すまなかったな、大和田君!」


そう言って石丸は頭を下げた。照れ隠しと、もう一つ別の感情を持って大和田は顔を逸らす。


大和田(なんて真っ直ぐな目ェしてやがんだよ…)


確かにほんの数時間前までは、自分とこの男はいがみ合っていたのだ。毛色が違いすぎて、
けして和解など出来るはずもないと思っていた。だが、そう思っていたのは自分だけのようだ。


大和田(折り合いの悪いヤツでもイイ所がありゃ素直に認める。自分が間違ってるってわかったら
     どんな相手でも即座に全力で謝れる…こいつは、俺が思っていたよりもずっと強え男だ…)

石丸「さあ、つまらない喧嘩などやめて仲直りしようではないか!」


ズイッと突き出された手を大和田は力強く握り返した。石丸は満面の笑みを浮かべる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:55:07.61 ID:Vc3XORUt0<>
石丸「では、これから改めてよろしく。大和田君!」

大和田「こっちこそだ。……兄弟!」

石丸「――兄、弟?」


驚きのあまり石丸は思わず目を見開く。大和田は再び顔を逸らして頬をかいた。


大和田「…ほらよ、俺達は同じ地獄を見て同じ強敵と戦った戦友みたいなもんだろ?
     単なるダチよりは兄弟の方がしっくりくんじゃねえかと思って呼んでみたが、イヤか?」

石丸「兄弟…兄弟…いや、とても良い響きじゃないか。よし、僕と君は今日から兄弟だ!」

大和田「ああ、よろしく頼むぜ兄弟! ハッハッハッ!」


KAZUYAの知らない間に二人は義兄弟の契りを交わし、肩を組んで楽しそうに部屋へ帰って行った。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/28(木) 23:58:46.99 ID:Vc3XORUt0<>

― 不二咲の個室 AM1:24 ―


サウナでの決戦も無事終結し、誰もが寝静まった頃。
机の上にPC、工具、その他部品類を散乱させて不二咲千尋は熱心に何かをしていた。

カチャカチャ…


不二咲(はぁ〜、西城先生って本当に格好良いなぁ。刺された舞園さんを一人で手術してた時も
     思ったけど、今日だって血まみれの苗木君を鼻血だってすぐに見抜いたし)

不二咲(背も高いしガッチリしてて凄く強そう。ううん、あの大和田君の
     パンチを片手で止められるんだもん。絶対強いに決まってるよ!)

不二咲(そのうえみんなに優しくていつも冷静だし。みんながパニックになった時は
     率先して場を収めたり事件の時は桑田君や犯人の舞園さんもかばってたし…
     こんなに頼りになる先生って初めて。みんなも多分同じように思ってるよね)


そして不二咲は本日何度目かのため息をついた。


不二咲「(ハァ、僕もあんな風になれたらなぁ…)あ、いけない。つい手が止まっちゃってた…」

不二咲(ダメダメ、夢ばっかり見るのは。僕は僕の出来ることをやらなきゃ。
     『あれ』が出来さえすれば僕だってきっとみんなの役に立てるはずだし)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 00:00:07.31 ID:ca1uji6v0<>

― 食堂 コロシアイ学園生活七日目 AM7:51 ―


昨晩面倒事をKAZUYAに押し付けてしまった罪悪感を持ちながら、苗木は食堂へとやってきた。


苗木(あの後どうなったんだろう…先生がついてるから万が一のことはないだろうけど)

「ハッハッハッハッハッハッハッ!!」

苗木「……へ?」


なんだか豪快で楽しそうな笑い声が遠くから聞こえてくる。
食堂に入ると苗木は異様な光景を目撃してしまったのであった。


大和田「なーに言ってんだ兄弟!」ハッハッハッ!

石丸「君こそ冗談はよしたまえ、兄弟よ!」ハッハッハッ!


昨日まで散々喧嘩して肩を掴み合っていた二人が、今は逆に肩を組んで笑い合っている。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 00:01:39.83 ID:ca1uji6v0<>
苗木「えっと…」

大和田「お、うーっす! 苗木」

石丸「昨日は迷惑をかけてすまなかったな、苗木君!」

苗木「え? えーっと…」

K「……」フイッ


苗木は困惑して側にいたKAZUYAの方に目をやるが、KAZUYAは微妙な表情で目を逸らすだけだった。
どことなくモアイのような顔をしている。その横に座っている桑田に話を聞いてみた。


苗木「その、どゆこと…?」

桑田「知らねー。せんせーもよくわからねーって言うし、まだお前の方が
    なんか知ってんじゃねえの? つか、朝から気持ちわりぃったらねえよ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 00:03:57.15 ID:ca1uji6v0<>
朝日奈「ホントホント。さっきからずっとあんな感じでさ。見せられるこっちの身にもなってよねー」

大神「仲が悪いよりは良い方が良いに決まっているが、些か度が過ぎているな…」

石丸「ハッハッハッ! 男同士の濃厚な繋がりは女子にわかるはずもない!
    男同士の友情とは血よりも濃いのだッ!!」

大和田「さーすが兄弟! いいこと言うぜぇ!」

桑田「俺男だけどよくわかんねーわ…」

苗木「で、勝負はどっちが勝ったの?」

大和田「そういう問題じゃねえんだよ」

石丸「そんなことは忘れてくれ! 忘れろ忘れろ忘れろビームッ!!」


石丸が密かに練習していたとしか思えない見事な動きで謎の振付けの必殺技?を放つ。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 00:05:44.97 ID:ca1uji6v0<>
苗木「」

一同「」

K「」ブフォッ!!


食堂の時が、一瞬止まった。


K「ゴホゴホゲホゴホッ!」

桑田「ちょ、おい?! 大丈夫かっ?!」

不二咲「せ、先生! しっかりしてぇ!」

K「ゴホゲホガホゴホッ!」


全力でむせるKAZUYAの背中を桑田と不二咲がバンバンと叩いてやる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 00:09:16.51 ID:ca1uji6v0<>

山田「うーむ、忘れろビームの破壊力は西城カズヤ医師を吹き出させる威力、と」

苗木「それ何気にかなり凄くない?!」


周囲の反応をわかっているのかいないのか、石丸は自信有りげに胸を張っている。


石丸「お茶を吹き出す程笑ってもらえるとは有り難い。僕にだってユーモアくらい言えるんだ!」フンスッ!

大和田「ナイスだぜ兄弟!」

石丸・大和田「ウワッハッハッハッハッハッハッハッ!」

苗木「あ、はははは…(どうしよう、この二人…)」

桑田(うぜー)

不二咲(いいなぁ。楽しそう。僕もいつかあの二人の間に入りたいなぁ)

K「ケホッ……」←あの後放置しなければ良かったと内心後悔している


・・・

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 00:12:51.88 ID:ca1uji6v0<>

朝食会終了後。珍しくKAZUYAが前面に出て一つの提案を出した。


K「朝食も済んだ所で、俺から一つ提案があるのだが」

石丸「何でしょう、先生」

大和田「おう。なんだろうな、兄弟」


そちらにはなるべく目を向けずにKAZUYAは全員に向け発表した。


K「今日はこれから授業を行おうと思う。9時に1-A教室に集合してくれ」

石丸「おお! いよいよ授業をしてくださるのですね!」


待ってましたと言わんばかりに石丸の顔が輝いた。


大和田「こんな時も授業したがるなんて流石兄弟だな!」

朝日奈「勉強かぁ。普段だったら好きじゃないけど、たまには気分転換にいいかも」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 00:14:22.42 ID:ca1uji6v0<>
桑田「授業とかマジかよ…」

江ノ島「マジありえなーい」

葉隠(適当に聞き流すから問題ないべ)

苗木「まあ、何もしないで過ごすよりはいいんじゃないかな」

霧切「何を教えてくれるのかしら」

山田「保健体育なら歓迎なのですが…」


思い思いの反応をする生徒達だが、意外にもそこまで悪くはなかった。
流石超高校級だけあって適応力も高いのかもしれない。が、


十神「俺は行かんぞ。勉強なら自力で十分出来る。大体このメンバー向けに
    開催して俺を満足させられるレベルの授業が出来るか怪しいものだ」

K「安心しろ。カリキュラムには自信がある。これは全員参加だからな。
  ボイコットする奴は石丸に引きずってでも連れてきてもらうぞ」

セレス「それでは流石の十神君も来ない訳には参りませんわね?」クスクス

十神「…チッ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 00:22:24.76 ID:ca1uji6v0<>
ここまで。しばらく繋ぎ回が続きます。
…ただここでほのぼの入れておかないと動機配ったらもうギャグいれられないしね

それにしても、待望の電子生徒手帳をもぎ取ってくるというある意味二章のMVP的働きを
したのに触れてもらえないうえやっと名前が出たと思ったらみんなに心配される桑田ェ…

あと冗談で書いたmark2が浸透している…のか?シンプルに桑田・改にしときゃ良かった
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/29(金) 00:32:53.14 ID:yUwN/x9ao<> 乙です <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 00:33:36.66 ID:ca1uji6v0<> >>644
女キャラは難しいですね。セレスとか今からどうしたものか
そもそも、共学の高校に行っては男子生徒にばかり懐かれるKAZUYAに未来はあるのか

>>650
あの時のさくらちゃんは本気ではなかったと思います。軽い手合わせというか
反抗の意思表示みたいな。本気でぶっ壊せばグングニル間違いなしだし
他の生徒のことを考えたら過激な行動は取れなかったのでしょう

>>658
え、嘘?!姉の方じゃなくて?
超高校級の分析力の持ち主でめだかボックスでいうジ・エンドみたいな能力者の
超天才のはずだから機械が苦手ってことはないと思うのですが
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/29(金) 00:40:27.98 ID:V8tY2V7d0<> 後、残姉に苗木への愛が凄かったのかもねww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/29(金) 00:53:24.22 ID:2eTJmQM9o<> if一回しか読んでないけど、残姉は妹様が直接操作してる長機は落としてないよね?
あとさくらちゃんは人質取られてたし本気で壊そうとはしてないだろうな。その後黒幕との約束守る為にアレしてるぐらいだし。

機械音痴は妹様の方ね。
パソコンがフリーズする度にレンジでチンしてた、って発言がある。
操作は得意だけど内部構造の理解は絶望的なのかな。
むしろ姉の方が得意なぐらいかも。技術系オタクみたいなもんだし。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/29(金) 00:57:22.84 ID:V8tY2V7d0<> 左右田の才能もってそうだが? <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/11/29(金) 01:02:48.87 ID:ca1uji6v0<> >>673
成程。ただ電子レンジでチンは単にイラついたからの可能性もあるような気も…
それで本気で治ると思ってるなら機械音痴とかのレベルじゃないような <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/29(金) 01:34:50.90 ID:2eTJmQM9o<> >>675
その前の発言が、
○○(ネタバレ)になったお陰でコンピューターに詳しくなれた、だから機械音痴って意味で言ってるのは確か
まぁ、絶望ジョークである可能性は否定出来ないがww
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/29(金) 10:03:27.22 ID:5oNeSOpDO<> 乙。
ちゃんとした先生がいるだけでコロシアイの可能性がぐっと低くなった気がする
この流れだと不二咲も自分の悩みをKに相談しそうだしな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/30(土) 11:55:59.68 ID:iuIKhqODO<> 子供しかいない中に一人大人がいて導いてくれるって状況は大きいよな
特にKは強くて優しいし落ち着いてて頭も回る万能選手だし

原作でも最年長の葉隠がもっとしっかりしてればな… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/11/30(土) 19:28:16.92 ID:zU9iBJa2o<> 「この俺が導いてやる!」 <> 作者じゃないよ!
◆oEetFxuilQ<> sage saga<>2013/12/01(日) 11:15:15.87 ID:jvnsc92N0<> >>679(・3・) アルェー十神クンがフトッテミエルヨォー

乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/03(火) 16:17:01.46 ID:uqqERPGEo<> >>676
レンチンは凍ったから溶かす系のジョークだと思ってたわ。まあ妹様ならマジでやってたんだろうが <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:37:00.49 ID:xg7lGdME0<> >>679
豚神くん乙


さて、一週間も空いてしまった。再開

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:38:19.73 ID:xg7lGdME0<>

― 1−A教室 AM9:00 ―


石丸「起立、気をつけ、礼!」


委員長である石丸の号令によって授業が始まる。教壇に立っているのが
マントを羽織った大男でなければ、それは日常の一コマとして違和感がなかった。


K「これより授業を行う。ただし、俺は医者だ。医者が行う授業とは何だと思う?」

山田「ま、まさか本当に保健体育?!」

桑田「おい、ブーデー。なに興奮してんだよ!」

K「そうだな。保健体育には違いない。俺がこれから教えるのは応急処置の方法だ」

不二咲「そっか。応急処置の方法をみんなで勉強すれば怪我人が出ても安心だもんね」

十神「クッ、クハハハハ! 一体何の授業をするかと思えば!」


珍しく十神が笑った。と言っても、こちらを見下して文字通りに嘲笑っている。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:39:45.08 ID:xg7lGdME0<>
十神「何が仲間だ! 何が結束だ! 口では吐き気を催すような綺麗ごとを並べるくせに
    内心では生徒のことを全く信用などしていない。大した先生だな? ハッ」

石丸「と、十神君! そういう言い方は…!」

十神「違うのか? 事件が起きなければ応急処置の知識などいらんだろう」

霧切「十神君、それは…」

苗木「それは違うよ!」BREAK!


思わず十神に物申そうとした霧切であったが、それを遮って苗木が反論した。


苗木「だって、ドッジボールの時僕が怪我したじゃない? 普通の日常生活や
    学校生活でも怪我をすることなんてよくあるし、知ってて損はないよ」

大神「ウム、我のように闘いに身を置く者としても非常に重要だ」

大和田「まあ知っといて損はねえよな」

桑田「試合で怪我とか日常茶飯事だしな」

十神「…フン」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:40:55.91 ID:xg7lGdME0<>
K「ゴホン。その通りだ。俺は病院で不慮の事故に遭った人間を腐る程見ている。
  特にこの監禁生活ではストレスも溜まるし、その気がなくとも事故が起こる可能性は
  十分にある。よって、俺は全員に応急処置の方法を伝授しようと思った訳だ」

K「初めは応急処置の基本中の基本。心肺蘇生だな。既に学校で習っているとは思うが、
  その復習及び俺が正しい方法を徹底的にレクチャーしてやる」


話しながらKAZUYAはチョークを手に取り、黒板に心肺蘇生法(CardioPulmonary Resuscitation)
通称CPRと文字を書く。


K「使う道具は俺が事前に用意しておいた。頭部のモデルは美術室にあったマネキン、
  胸部は予備の布団を強く縛って実物と同じくらいの固さにしてある。何か質問はあるか?」

セレス「先生」


スッとセレスが手を挙げた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:43:10.74 ID:xg7lGdME0<>
K「何だ?」

セレス「いくら練習を積んでも実際に出来なければ何の意味もありません。
     わたくし、心臓マッサージはともかく人工呼吸はちょっと…」

石丸「セレス君、君は友人が死にかかっている時にもそんなことを言うつもりかね?!」

朝日奈「あ、でも私もちょっとわかる…本当に危なかったらちゃんとやるけどさ。
     こればっかりはやっぱりちょっと抵抗あるよね…」

腐川「白夜様以外の相手とキスなんて…無理よ無理! ありえないわ!」

K「フム。確かに同年代の人間…それも顔見知りの異性にするのは抵抗があるかもしれんな」

桑田(逆だよ逆!)

山田(同性の方が嫌に決まってますぞ!!)

大和田(…前々から思ってたがなんかズレてるよな、この先公)


そんな男子生徒達の心の全力ツッコミに気付かず、KAZUYAは人数分のハンカチを配った。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:45:06.21 ID:xg7lGdME0<>
K「まあ素人にあまり厳しいことは言わん。そんなこともあろうかと俺はこれを用意したのだ」

葉隠「ただのハンカチじゃねーか。しかもこれ穴が空いてるべ」

K「俺が空けた。もし人工呼吸の必要があればこれを被せろ。直接接触しなくて済むし
  相手の顔も隠れるから抵抗が減るだろう? それに口元に血が付いている場合は
  血液感染の可能性もあるからな。最近は現場でも器具を使う場合が多い」

苗木「うん、これなら多少は気にならずに出来そう」

K「肌身離さず持ち歩けよ」


そして専門家であるKAZUYA指導の元、いよいよ救命訓練が始まった。


K「腕は真っすぐにしろ。力が弱いぞ!」

大和田「ちょ、こんなぐいぐいやっていいのかよ…」

K「心臓マッサージで骨が折れるのはよくあることだ。それは気にしなくていい。
  ただ本気ではやるなよ? お前が本気を出したら恐らく相手の心臓が潰れる」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:47:17.01 ID:xg7lGdME0<>
石丸「フンッフンッフンッフンッ!」

K「気合は十分だが少し早い。一分間に百が目安だ。早さも大事だが継続出来ねば意味が無い」

不二咲「ふぅぅ!」

K「もっと腹から息を吐くんだ! それでは相手の肺に届かん」

桑田「肺活量なら歌で鍛えてるから自信あるぜ!」

K「先に気道確保をしないでどうする。その状態でいくら吹き込んでも無駄だぞ?」

セレス「面倒ですわ。山田君、わたくしの代わりにやって下さい」

K「 サ ボ る な 」ギロ

十神「……」

K「十神よ。真面目にやらんと温厚な俺もそろそろ怒る」


そんなこんなであっという間に1時間が経った。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:50:18.90 ID:xg7lGdME0<>
苗木「ハア、ハア。結構大変なんだなぁ」

K「人の命を救うというのはそれだけ難しいし体力もいるということだ。俺を見ろ。
  何故医者がそんなに体を鍛えているのかとよく質問されるが、体力もなしに
  長時間のオペは耐えられんし怪我人を運んだりも出来んだろう?」

一同「……」


鍛えあげられたKAZUYAの肉体を生徒達は黙って見上げる。
それはいかにKAZUYAが医者として修羅場をくぐってきたかの証左だった。


K「それにしても、やはり学校で一度やった程度では駄目だな。合格点をあげていいのは
  朝日奈、石丸、江ノ島、大神、霧切の五人。特に朝日奈、江ノ島、霧切は完璧だった」

朝日奈「やったー。褒められちゃった!」

江ノ島「当然っしょー! ギャッハッハッ」

霧切「……フ」ファサッ

K(朝日奈は水泳部、霧切は探偵の仕事の関係上訓練しているのだろう。
  …だがモデルの江ノ島はどこで学んだ? 明らかに動きが素人ではないが)

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/12/05(木) 20:50:56.78 ID:sDxuy6ME0<> 残姉ェ… <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:52:19.29 ID:xg7lGdME0<>
K「こういうことは反復練習が大事だ。これから毎日、体が覚えるまで叩き込むからな」

葉隠「毎日は勘弁だべ…」

セレス「サボタージュしたいのは山々ですが…もしそんなことをすれば
     石丸君にストーキングされるのは目に見えていますしねぇ…」ハァ


何人かの生徒がげんなりした顔をしているが、KAZUYAは気付かないふりをした。


K「次は出血を伴う怪我をした時の対処法だが…その前に、血液に関しての基礎知識を教える。
  人間の全血液量は体重1kgにつき約80ccだ。さて山田、お前の全身の血液量は何ccだ?」

山田「ファッ?! 僕ですか? えーっとですねぇ…およそ12,400cc。つまり12.4リッターですな!」

桑田「多くねっ?! いや、なんとなくだけど」

十神「つまり山田の現在の体重は155キロと言う訳だ。重すぎだな」

山田「いやー、恥ずかしながら…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:55:24.59 ID:xg7lGdME0<>
大和田「すげえな…0.15トンってことだろ?」

山田「人の体重をトンで表現するのはやめていただきたいッ!!」

腐川「うっかり転んで、下敷きにでもなったら…死ぬわね…」

K「お前達も自分の総血液量を出してみるといい。人間は1/3以上の血液を一度に失うと生命に関わる」

石丸「つまり、僕の総血液量は5,280ccだから3分の1の1,760ccまでは出血しても問題無いということですか?」


ひたすらノートにメモを取っている石丸の質問にKAZUYAは何とも言えない複雑な表情で返した。


K「…いや、それはあくまでギリギリ助かるレベルということだ。実際は総血液量の20%を失えば
  全身の臓器・細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなりショック症状を引き起こす。そしてその状態を
  放置すれば多臓器不全に陥り……最悪死に至る」

不二咲「死…死んじゃうの……?」


死という言葉に反応して既に涙目になっている不二咲に向かってKAZUYAは頷いた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 20:59:38.25 ID:xg7lGdME0<>
ショック:医学用語のショックとは衝撃のことではない。生命維持に必要な身体の循環・代謝が維持出来ていない、
      即ち危険領域に達していることを表現する用語である。皮膚が蒼白い、冷汗、頻脈(脈が弱く早くなる)、
      虚脱(ぼんやりしたり意識障害が起こること)、呼吸不全等があればショックが起こっている可能性がある。

KAZUYAはショック症状についての解説を行い、板書していく。


桑田「あれ? じゃあ1リットルくらいで大体の人間はヤバイってことだろ。
    献血で400ccも抜かれるって実はけっこーヤバくね?」

K「大丈夫だ。貧血になる人間はいるがその程度なら抜かれても医学的に問題はない。
  …献血には行ってくれ。あれは医療現場にとって本当に大切なのだ」


ちなみにKAZUYAは特殊な血液型のため、暇を見ては献血に赴いている。閑話休題。


K「さて、血液について学んだ所で次はいよいよ止血法を教える」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 21:01:44.51 ID:xg7lGdME0<>
そう言うとKAZUYAは黒板に直接圧迫止血法と間接圧迫止血法の二つを書いて解説した。


直接圧迫止血法:文字通り直接出血している患部にガーゼや清潔な布などを当てて強く圧迫する方法。
          チリ紙などの繊維質な物は患部に繊維が入り込むため使わないこと。

間接圧迫止血法:直接圧迫止血では止まらない重傷時や患部が汚れている時などに使われる方法。
          止血点と呼ばれる患部と心臓の間にある箇所を圧迫することで一時的に血流を止める。


K「出血の九割以上はこちらの直接圧迫止血法で止めることが出来る。故に、本来は素人に
  関節圧迫止血法までは教えないのだが、こんな環境だ。知っておいて損はないだろう」

K「また、可能なら患部は心臓よりなるべく高い位置に上げろ。それにより多少は出血を減らすことが出来る」


包帯や布を使って、個別具体的にKAZUYAは止血の方法を教授していく。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 21:06:57.69 ID:xg7lGdME0<>
腐川「包帯…包帯…」ブツブツ

K(腐川の奴、目つきが妙だ…そもそも彼女は血液恐怖症らしいし、残念だが実践の期待は出来んな)

山田「ムムッ、包帯を使った緊縛プレイという素敵な内容が浮かびましたぞ!」

K「お前は一体何を言っているのだ…」

苗木「先生、どうですか?」

K「ウム、なかなか良く出来ているぞ」

石丸「ん、んんー? …もっと練習せねば」グルグルグル…

K(…本当に不器用なのだな。巻き方も締める力も偏っているというレベルではない)

葉隠「よっしゃ、出来たべ!」

K「水晶玉に巻いてどうする…。やり直しだ」

朝日奈「えーっと巻くまでは出来たけど…ちょうちょ結びじゃダメだよね?」

大神「朝日奈よ、貸してみろ。こうやって結ぶのだ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 21:09:28.38 ID:xg7lGdME0<>
霧切「出来たわ」

江ノ島「こんなん楽勝楽勝!」

K(やはり今回も江ノ島が大神霧切と並んで頭一つ抜けているな…何者だ?
  以前レーションが好きだと言っていたが、ミリタリーマニアか何かなのか?
  だが単なるマニアにしてはいちいち動きが洗練されているな…)

K「今日の応急処置の授業はこれで終わりだ。…後は、石丸のリクエストに応えて
  普通の授業も行うつもりだが、これは全員参加ではない。帰りたい者は帰っていいぞ」


十神、腐川、セレス、山田、葉隠、江ノ島がバタバタと抜けていった。


K「フム。二、三人しかいないと思ったが随分残ったな」

石丸「おお、兄弟! 共に勉強する道を選んでくれたか!」

大和田「まあ、正直全然わかんねえと思うけどよ。やっぱ少しは勉強しとかねえと
     将来のことを考えたらマズイかなーって思ってさ」


そう言って大和田は照れ笑いを浮かべる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 21:17:03.79 ID:xg7lGdME0<>
石丸「勉強なら任せてくれ! わからないことがあったら何でも教えるぞ!」


一方。


K「…桑田、驚いたぞ。お前まさかそこまで心を入れ替えていたのか」

桑田「いや、そーゆーんじゃなくて…ここで帰るとなんか十神達マイペース組と同じ扱いになりそうじゃん?
    それはイヤっつーかなんつーか…ま、多分というかほぼ確実に寝るけどヨロシク!」

朝日奈「あ、あんたね…さすがにぶっちゃけすぎでしょ…」

苗木「桑田君…いくらなんでもそれは…」

K「…かえって俺は安心したがな」ハァ


こうして午前いっぱいはみっちり授業を行ったのだった。


― 自由行動 ―


K「さて、やっと時間が空いたな。これからどうするか?」


人名

>>700 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/05(木) 21:18:24.84 ID:crJrCTrs0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2013/12/05(木) 21:19:18.10 ID:Xoi6y2kE0<> 思ったんだが妹様は松田君と残姉どっちが大事なんだろ
安価なら大和田
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/12/05(木) 21:19:57.01 ID:qXcPv1+80<> 大和田 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/12/05(木) 21:23:05.69 ID:CcLEFVTy0<> 大和田勉強してるし 残姉 かまをかける <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/12/05(木) 21:28:08.74 ID:ZYx2Vgl80<> ドクタTETUとかは外で生き残ってないか <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 21:33:25.01 ID:xg7lGdME0<>
K「大和田」

大和田「よお、先公じゃねえか」

K「あの後、電子生徒手帳は直してもらったか?」

大和田「おう。アサイチでモノクマに渡して、さっき返してもらった所だぜ」

K「無駄に仕事が早いな、あいつ…」


その流れで世間話に流れ込む。


K「それにしても意外だった。まさかお前が石丸とあそこまで仲良くなるとは」

大和田「そりゃ一番驚いてるのは俺自身だぜ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 21:36:04.55 ID:xg7lGdME0<>
K「優等生は嫌いなんじゃなかったのか?」

大和田「あいつがガキの時からものすげえ苦労して努力してきたってわかったからな…
     優等生の一言でかたづけられねえってわかっちまったんだよ」

K「そうだな。その点は俺も驚かされた」

大和田「なにより、あいつは俺が思っていたよりずっと強え男だった。
     男なら自分が強えって認めた相手には敬意を払えって兄貴も言ってたしな…」


だがそこで大和田は何かにハッとしたようだった。


大和田「…ま、兄弟や兄貴よりも俺の方が全然強いけどな! テメェにだってこの間は
     負けたがすぐにリベンジしてやっからよ。覚悟しとけや!」

K「わかったわかった。楽しみにしていよう」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 21:42:00.48 ID:xg7lGdME0<>
大和田「ああ?! バカにしてんのか?! その余裕こいた顔もすぐにぶっ潰す!」

K(まったく、強がりだけは一人前だな)


適当に濁しながらKAZUYAはその場を離れた。加奈高での経験で、派手な外見をしていたり
荒っぽい行動を取る人間程自分に自信がない、虚勢を張っているだけというのはよくわかっている。


K(ただ仮にも組織のトップだ。いくら今が非常時とはいえ、人に弱みを見せられないと
  いうのもあるだろう。タイミング良く友人が出来たのは本当に良かった)


しかし、KAZUYAの人並み外れた洞察力や分析力を持っていたとしても
大和田紋土が心に爆弾を抱えているということまでは見抜けなかったのだった…

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 21:43:20.42 ID:xg7lGdME0<>
K「さて、次は誰に会うか」


人名

>>708

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/05(木) 21:45:03.10 ID:3YlNl2jH0<> 石丸 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 21:48:30.55 ID:d+o4pD2DO<> 江ノ島 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 21:49:53.61 ID:d+o4pD2DO<> やっぱり石丸で <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 22:02:17.47 ID:xg7lGdME0<>
午後のひと時、KAZUYAは石丸に個人授業をしていたが途中小休憩を挟んで今は雑談をしていた。


K「ところでお前、普段は何をして過ごしているんだ?」

石丸「暇潰しに勉強しています!」

K「…そうか。偉いな」


教員の立場からは何も言うことはないが、流石にそれでいいのだろうかとKAZUYAは思う。


K(そういえばこの男は以前、休日も制服で過ごしていると言っていたな…学校は休みでも
  学生という生き方に休みはない、という持論からだそうだが些かやりすぎではないか?)


ちなみに制服は十着持っているから汚くはないらしい(本人談)。
KAZUYAも同じような服を着回しているからあまり人のことは言えないのだが。


K「…勉強以外には何をやっているんだ?」

石丸「勉強以外ですか? 部屋の清掃、家事の手伝い、あとは鍛練でしょうか。
    特に、鍛練は毎日欠かさずやってます。健全な精神は健全な肉体に宿るのです!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/12/05(木) 22:06:00.28 ID:8v4PYTKF0<> あれ?残姉じゃないのか <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 22:07:49.94 ID:xg7lGdME0<> >>711
まだ投下してなかったのと同じ人だったので変更を受け付けました <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 22:09:03.79 ID:8v4PYTKF0<> >>712
あ、ホントだ
安価先しか見てなかった申し訳ない <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 22:13:11.98 ID:xg7lGdME0<>
K(鍛練、か)


実はKAZUYAは前々から気になっていることがあった。石丸の要望で一緒にシャワーに入った時、
服の上からでは想像も出来ない程無駄のない引き締まった体をしていると感心したのだ。


K「その割には、こう…ハッキリとは言いづらいのだが…」


言おうか言うまいか少し悩む。が、言うのが自分なら怒らないだろうと結局言ってしまった。


K「…………弱いな」


十神に掴みかかろうとする大和田を止めようと彼の前に立ち塞がった時、あるいは
単純に大和田と掴み合いになった時、いずれもあっさり投げ飛ばされてしまって喧嘩にすら
ならないのをKAZUYAは幾度か目撃していた。腕っ節が弱いとかいう次元ではない。


石丸「ハッハッハッ! そうなんです。勉強は出来ても喧嘩はからっきしでして」

K「(良かった。怒らなかった)だが、素人の体ではないな。何かやっているだろう」

石丸「はい。一応道場に通っていて剣道柔道空手をやっております」

K「…何故本気にならない? いくら相手が大柄で喧嘩慣れしているといっても
  所詮は素人だ。軽く投げ飛ばすかいなすくらいは出来るだろう」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 22:19:32.83 ID:Xoi6y2kE0<> 大和田にダンベルで殴られたら、さくらちゃんと残姉以外は即死だよな… <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 22:22:12.14 ID:xg7lGdME0<>
石丸「それが、どうにも力が入らないんです」

K「どういうことだ?」

石丸「経験者が素人に技をかけて相手に怪我をさせる事故が時々あるでしょう?
    相手の顔を見ていると、僕はどうしてもそれが頭に受かんでしまって…」


成程とKAZUYAは思った。この男は根本的に他人を傷つけられないのだ。
たとえそれで自分が傷つくことになったとしても――

KAZUYAの沈黙を呆れと受け取ったのか、石丸は軽く笑って言う。


石丸「僕はきっと、臆病なのでしょうね。ハッハッハッ」

K「俺はそうは思わん」


大和田も認めていたが、この男は想像以上に心が強く器が大きいとKAZUYAは感嘆した。

…だが、酸いも甘いも噛み分けた大人であるKAZUYAは知っていた。心とは多面的であると。
ある一点に対して極端に強いということは、その反対側は硝子のように脆いということを知っていた。


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 22:28:55.61 ID:xg7lGdME0<>
石丸はかなりの勉強家でKAZUYAは長時間付き合わされる羽目になった。


K「フウ…毎日付き合って欲しいと言われたが、俺としては御免こうむりたい所だ。
  医者も別に楽ではないが、教師という仕事もさぞや大変なのだろうな…」

K「ム、あそこにいるのは>>720か?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 22:29:51.37 ID:Xoi6y2kE0<> ここは不二咲 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 22:34:33.64 ID:j8RKm0i4o<> 不二咲 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/12/05(木) 22:37:01.39 ID:8v4PYTKF0<> 上 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 22:37:37.60 ID:dH35gIPAO<> 不二咲 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 22:47:23.96 ID:rTU/R+vpo<> ちーたん <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 22:55:49.16 ID:xg7lGdME0<>
不二咲「先生ー」


不二咲はKAZUYAの姿を見るや、笑顔で駆け寄ってきた。


K「不二咲か。どうした?」

不二咲「えっと、特に用はないんだけど先生とお話したいなって…」

K「構わないぞ。君は確か超高校級のプログラマーだったな」

不二咲「はい! 覚えててくれたんですね。先生はプログラムはお好きですか?」

K「うーむ、好き嫌い以前にまるで専門外だからな」

不二咲「そっかぁ。そうですよね」

K「機械なら友人に機械いじりが趣味な奴がいて、時々手伝わせられるから
  多少はわかるのだが。不二咲はどんなプログラムを作っているんだ?」

不二咲「えっと、企業と契約してるから詳しくは言えないんですけど…」

K(この歳でもう企業と契約を交わしているのか。やはり天才なのだろうか)


希望ヶ峰学園が才能ある人間ばかりを集めた特別な学校であると改めて再認識させられる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 23:06:44.51 ID:xg7lGdME0<>
不二咲「先生なら口も堅そうだし…こっそりヒント出しちゃおうかな。
     僕が今研究してるのは自動学習機能を持った強いプログラムで…」

K「もしやAIか?」

不二咲「わっ! すごーい。いきなり当てられちゃったぁ」

K「たまたまさ」

不二咲「もうバレちゃったし、言ってもいいよね。僕が研究してるのは音声入力が
     出来てこちらの欲しい情報を調べたり指示を聞いてくれるプログラムなんです」

K「音声入力か。…端的に言うと会話が出来るプログラムということか」

不二咲「わっ! またわかっちゃった。やっぱり先生は凄いなぁ」

K「いや、俺の知っている団体でも似たような研究はされていてな」


KAZUYAはクエイド財団を思い浮かべた。


K「つまり人間のように自分で考え学習し、こちらの指示をこなすプログラムを開発しているのか」

不二咲「そうなんです。でも人の心って難しくて…」

K「簡単には再現出来ないだろうな。人間は機械のように常に決まった
  思考パターンを持っている訳ではない。時に予測不可能なことを起こす」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 23:20:37.05 ID:xg7lGdME0<>
不二咲「そうなんです。僕に出来るのかなぁっていつも考えてて」

K「不二咲なら出来るさ。それにしても女性がプログラムを組むのは珍しいな?」


一瞬、今まで人懐っこい笑顔を浮かべていた不二咲の顔が曇った。


K(…何だ? 女性と言ったのがまずかったのか?)

不二咲「あ…僕がプログラムに興味を持ったのは理由があるんです」


しかし次にはもういつも通りの顔に戻って話し始めた。


不二咲「僕…昔から体が弱くて、みんなみたいに外で遊べなかったから、家で父のパソコンを
     おもちゃ代わりにしてたんです。父もプログラマーで、こっそり父のプログラムを
     いじってたらある日バレちゃって…でもその時凄い喜んでくれたんだぁ」

K「フ…幼い我が子が自分と同じ才能を持っていたらさぞかし嬉しいだろうな」

不二咲「それでこの道に入ったのぉ。…アレも、近い将来先生には見せてあげられるかも」

K「? 何をだ?」

不二咲「ふふっ、その時まで秘密!」


そう言って屈託なく笑う不二咲は非常に可愛らしい。KAZUYAはどうも昔から女学生に
苦手意識があるのだが、小学生とみまごう外見と穏やかな性格もあってか
不二咲のようなタイプなら平気かもしれない、と思った。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 23:25:06.40 ID:xg7lGdME0<>


>>728 人名

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/05(木) 23:35:20.82 ID:3YlNl2jH0<> 朝日奈 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 23:37:58.63 ID:qXcPv1+80<> 朝比奈 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/05(木) 23:38:27.98 ID:qXcPv1+80<> しまった漢字みすったか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2013/12/05(木) 23:50:36.48 ID:qc3sKg2G0<> そういえば、治療ロボが自分では手に負えないから外の人間を呼んだなんて話もあったな。 <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/05(木) 23:51:12.52 ID:xg7lGdME0<>
K(折角電子生徒手帳を手に入れたのに、水練場をまだ見ていなかったな。行ってみるか)


KAZUYAは二階に向かい、水練場の中へと入っていった。


K(フム、更衣室の中にトレーニング器具が一通り揃っている。俺も今度使わせてもらおう)


ガチャリ。


朝日奈「あれー? 先生だー! 先生ー!」ブンブン!

K「朝日奈か。泳いでいたのか?」

朝日奈「うん! とっても気持ちいいよ!」

K「そういえば、君は確か超高校級のスイマーだったな」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/06(金) 00:00:36.71 ID:qB8sosYDO<> 磨耗だっけKの大学の同級生。
工学者としてはかなりのものだし不二咲が知ってたりしたら面白いな。 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/06(金) 00:05:30.28 ID:MOfL4Doh0<>
朝日奈「一応ね。フッフーン、こう見えてもオリンピック候補生なんだから!」

K「それは頼もしい。目指すは金メダルか?」

朝日奈「もっちろん! 絶対に取ってみせるよ!」

K「フフ」

K(こんな状況だというのに明るいな。だが、こんな状況だからこそこの明るさに救われる)


そんな風に和んでいたKAZUYAだったが、待っていたのは激しい質問攻めだった。


朝日奈「ねえねえ先生。先生って独身なんだよね?」

K「ん? ああ、そうだが」

朝日奈「彼女いるの?」

K「いや、いないが…」

朝日奈「彼女ほしい?」

K「いや、今は…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/06(金) 00:09:43.94 ID:dKvB6iZa0<> そういえば、黒須麻純の好意に気付かなかったり、Kって鈍感なところがあったような……

それともアレはわかっていて拒絶していたのか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/06(金) 00:17:53.88 ID:2kZ/zNzUo<> >>734
わかっててでしょ
妹としてしか見れんって言ってたし <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/06(金) 00:20:08.23 ID:MOfL4Doh0<>
朝日奈「うーんと、あとは…そうだ。先生が何歳かもしらないから年齢と、何歳までに結婚したいかっ!!」

K「歳は32だ。結婚については今は全く考えていない。まあ、縁があればな」

朝日奈「つまんなーい! 先生かっこいいし、私の予想では絶対モテてるはずなのに!
     というか、実はモテモテ? 隠してるだけ? 影では女泣かせで有名だったり?!」

K「……」


KAZUYAは気付いていないし絶対に認めないだろうが、実はそんなに間違っていない。


K(そうだった。忘れていた…女子高生というのはどうにもこういう話が好きなのだった…)


個性が強すぎるメンバー揃いのためにすっかり忘れていた。
だが逆に言うと朝日奈葵は普通の女子高生に近い感覚を持っているということもわかる。


K(普通の感覚が必要な時があれば、助けを借りることもあるやもしれんな)

朝日奈「それにしても、32歳なんだ。意外と若かった…もっと行ってるかと思ってた」

K「流石の俺も少し傷ついたぞ…」

朝日奈「まーまー、細かいことは気にしない気にしない!」


ケラケラと楽しそうに笑う朝日奈にこれ以上追求を受けないよう、KAZUYAは早々と退散したのだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/06(金) 00:30:47.06 ID:MOfL4Doh0<>
眠いので今日はここまで

場所選択の安価だけ出しておきます

>>740


ちなみに書き忘れていましたが、場所選択では仲間の生徒の個室に入ることが出来ます。
それで親密度が上がったりはしないですが、有力な情報を得られたり色々と良いことが起こります。

※舞園はまだ入院中なので退院するまで除く。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/12/06(金) 00:32:39.42 ID:v/N2YRBV0<> 加速 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/06(金) 00:35:06.06 ID:2kZ/zNzUo<> 釣った魚にも餌やるべきなんかね?
安価なら下 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/06(金) 08:45:17.85 ID:NxtRdgxdO<> 闍玲惠 <> 1@携帯<>sage<>2013/12/06(金) 09:08:11.18 ID:aBW1Jk5DO<> 文字化けして読めない…

>>739
釣った魚に餌をやるというか、本当にサービスですね
今後に有力な情報(ぶっちゃけヒント)をもらえたり、生徒のステータスが
上がったりアイテムもらったり。別に行かなくても問題はありません

というか、今舞園さん苗木の部屋に入院してるんだった。実質今は桑田一択やん…
舞園ファンの皆さん、退院まであと二日お待ちください <> 1@携帯<>sage<>2013/12/06(金) 13:00:47.14 ID:aBW1Jk5DO<> 大事なこと書き忘れてた

>>740さんが夜までに同じIDで書き直していただいたらそれで行きますが
なかった場合は再安価といたします。よろしくお願いします。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/06(金) 14:43:33.68 ID:IVohAww/o<> >>740
これ確か「苗木」の文字化けって聞いた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/06(金) 15:01:12.67 ID:uySP5bHk0<> ごめん
苗木の部屋ってやろうとした <> 1@携帯<>sage<>2013/12/06(金) 17:50:35.36 ID:aBW1Jk5DO<> >>740さんと>>744さんは同じ人ですかね?

自分の手落ちなので苗木の部屋で行きますが、今部屋が二つあるので

1舞園の部屋で苗木と一対一
2苗木の部屋で苗木舞園と二対一
どちらか選んで下さい。前者は苗木のステータスアップ。後者は情報です

個人的には今の感じでヒントまであるとかなりヌルゲーになるからこれからの
展開考えてもステータス上げといた方がいいんじゃないかなーとは思いますが
どっち選んでも損にはならないのでどうぞご自由に <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/06(金) 21:24:18.96 ID:uySP5bHk0<> >>740 >>744です
IDがころころ変わるな
1でお願いします <> 1@携帯<>sage<>2013/12/06(金) 21:45:31.58 ID:aBW1Jk5DO<> 了解しました。


今日はちょっと眠いのと、書き溜めが切れてるのでまた後日に <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/06(金) 22:01:27.20 ID:qqRKJdCyo<> 把握 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/06(金) 23:57:41.46 ID:G4UGSXfLo<> 乙でした <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:03:30.15 ID:aVkps1Pq0<>
朝日奈の質問攻めから逃れたKAZUYAは、次に舞園の部屋に来ていた。
保健室に戻ろうとしていた時に苗木に出会い、部屋に誘われたからである。


苗木「すいません…すっかり忘れてたけど、ここ舞園さんの部屋なんですよね…
    いつも保健室で話してるし、今日は僕の部屋に招待しますからお茶でも
    飲みましょう! なんてかっこつけて言ったのに…恥ずかしい」

K「気にするな。もう三日もいるのだからな。この生活が始まって半分はこの部屋で過ごしたことになる」

苗木「ハハ…あの、舞園さんの怪我の具合なんですけど」

K「経過は順調、予後は極めていい。もう何日かしたら自分の部屋に戻れるぞ」

苗木「はぁ、それは良かった」

K「そうしたら改めてお前の部屋に招待してもらおうかな?」

苗木「もちろん! 喜んで」


食堂から持ってきた紅茶を飲みながら、KAZUYAと苗木は他愛もないことを話す。
だが話の内容が学園生活のことに移ると、嫌でも二人の気分は暗くなった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:04:23.98 ID:aVkps1Pq0<>
苗木「この生活、いつまで続くんでしょうか…?」

K「…わからん。正直、今の均衡状態が続くならまだいい。だが奴が黙っていないだろうしな」

苗木「先生は、モノクマがまた何かしてくると思ってるんですね?」

K「ああ。あの動機…あれが一つだけとは到底思えん。俺の予想では
  近いうちに最悪のタイミングで、奴は再び動機を提示してくるはずだ」

苗木「許せない…人の心を利用して…」

K「その気持を忘れないことだ。奴への怒りより外への渇望が強くなれば、道を誤ってしまう」

苗木「はい」

K「まあお前に関しては俺は心配していないのだがな。問題は…」

苗木「十神君、ですか?」

K「ああ。他にも何人か気になる生徒はいるが、最も警戒しているのはやはり十神だ。
  あの男だけがこの生活をはっきりゲームだと断言し、今も計画を立てているようだからな」

苗木「うーん、難しいですね。僕も何度か話したけど、どうしても理解は難しいというか…」

K「どんなことを言っていた?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:07:26.01 ID:aVkps1Pq0<>
KAZUYAは思わず目を見開いた。…そうだ。自分に出来ないことであっても、
出来る生徒に頼めばいいではないか。まさしく目から鱗だった。


K「……何だ。苗木よ、幸運以外の才能もちゃんと持っているじゃないか」

苗木「え? なんですか?」

K「『超高校級のコミュニケーション能力』。あるいは『超高校級の忍耐力』というのはどうだ?」

苗木「うーん…嬉しいんだか嬉しくないんだか、よくわからないや。ハハハ」

K「何にせよ、お前のその能力はこの閉鎖された監禁生活で非常に武器になる。
  もし何か面白い情報を掴んだら、逐一俺に報告してくれないか?」

苗木「え、その…僕なんかで本当にいいんですか? 他のみんなの方がもっと役に立てるんじゃ…」

K「むしろ、この役目はお前にしか頼めん。時に情報収集、時に生徒達の緩衝材として、
  この学園生活でこれ以上事件が起こらないよう動いて欲しいのだ。頼む」

苗木「僕が…僕にみんなの役に立つ能力が…」

苗木「……はい! わかりました。上手く出来るかわからないけど、頑張ってみます!」

K「頼んだぞ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:13:50.73 ID:aVkps1Pq0<>
苗木のコミュニケーション能力が上がった!
苗木の観察力が上がった! 苗木の話術が上がった!
苗木は全生徒の通信簿3ページ分までの情報を得た。


ちなみに何度も同じキャラの部屋に行けると簡単にステがカンストしてしまうので、
同じキャラの部屋は一章に一度までしか行けないことします。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:21:56.39 ID:aVkps1Pq0<>
― 苗木の部屋  PM9:28 ―


毎晩夜時間の前に、舞園の怪我の経過観察をするのがKAZUYAの日課となっていた。
傷口に軟膏を塗って綺麗な包帯を巻き直す。


K「……」

舞園「先生、あとどのくらいで退院出来ますか?」

K「最低でも三日はいるな。縫合したとしても腹に穴が空いているのだ。
  傷口が完全に接着するまでは無理をしない方がいい。それに…」

舞園「…先生は、近いうちにまた何か起こると思ってるんですね。だから、
    傷が完全に治るまでは出来る限り部屋に篭っていた方がいいと」

K「いや、そうは言わん。だが、モノクマが何もしない保証はないからな」


そう言うと同時にKAZUYAは気配を感じ、ドアの方を見た。


モノクマ「んもう、疑り深いなぁ。何度も言ってるけど僕は手を出したりしないよ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:22:39.77 ID:aVkps1Pq0<>
KAZUYA「貴様…」

モノクマ「だって僕が手を出しちゃったら反則だしショーとしてはつまんないでしょ? あくまで
      生徒が自主的にコロシアイを行うという絶望的シチュエーションが大切なんだよ!」

K「そのショーを見せている相手は……誰だ?」

モノクマ「…ほえ? 何のこと? 僕が個人的に楽しんでるだけだけど」

K「とぼけるな!」

モノクマ「全く先生ってすぐ怒るよね。今時キレキャラは流行らないよ? じゃあね!」


それだけ言うと、モノクマは去って行った。KAZUYAは歯噛みしてその後ろ姿を見る。


K「……」

舞園「ごめんなさい」

K「どうした?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:23:18.69 ID:aVkps1Pq0<>
舞園「もしまた事件が起こるなら、きっと私のせいですよね…
    一度事件が起こってしまえば、事件に対する抵抗が減ってしまいますから」

K「関係ないさ。やる人間はどんな状況だろうと必要があればやる。
  逆にやらない人間はどんな状況でも絶対にやらん」

舞園「そして私はしてしまう人間だった…」

K「…残念ながらな」


KAZUYAは否定しなかった。優しくするのとただ甘くするのは違う。それに…
舞園が何故あそこまでアイドルという存在にこだわるのか、以前苗木が教えてくれた。


K(皮肉なものだな…皆に元気を与えたいと、アイドルとしての仕事に誇りを持って
  誰よりも真摯に働いていたのに、それが逆に執着となって罪を犯してしまうとは…)


舞園は殺人という究極のエゴを行ったのが信じられないほど、自分に厳しくストイックな性格だ。
中途半端な慰めや気遣いは、かえって彼女を傷つけるだけだろう。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:28:06.17 ID:aVkps1Pq0<>

舞園「私…罪を償わなきゃいけないのはわかってます。でも、今は何が出来るのか
    わからない…それどころか、あまり私に関わり過ぎると先生や苗木君の
    立場が悪くなってしまうんじゃないかって、それが気掛かりなんです」

K「怪我人は周りのことなど考えなくていい。ただ怪我を癒すことだけ考えろ。
  傷が完全に治って、周りの状況がよく見えるようになったら改めて考えればいいさ」

舞園「今の私に出来ることはないのでしょうか…本当なら、治療だけ受けて部屋に
    放置されても文句は言えない立場なのに、先生達の優しさに甘えてばかりで…」

K「出来ること、か」


KAZUYAはその時、前日に思いついたある可能性に思いを巡らせていた。


K「あるかもしれんぞ。むしろお前にしか出来ないことが」

舞園「え? 私だけに…ですか?」

K「耳を借りるぞ」


KAZUYAは舞園の耳元に顔を寄せ、何かを囁いた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:51:14.50 ID:aVkps1Pq0<>
短いけど今回はここまでです。最近ペースが遅れ気味…
>>694に誤字がありますね…関節ではなく間接圧迫止血法が正解


>>681
ああ、きっとそれが正解ですね。頭いいなぁ

>>702
TESTUは死にそうにないですよね。というか、ぶっちゃけ生きてます
特に殺す意味もないので。SS本編に出てくるかはわかりませんがw

>>730
ブラックジャックかな?ドクターKにそんな話ありましたっけ?

>>732
磨毛ですね。理数の天才らしいです
確かにちーたんなら知ってる可能性あるかもしれませんね

>>734-735
自分はKAZUYAは麻純の好意に気付いてない派です。あの年齢で彼女の好意に
気付いていたら嫌でも異性として意識してしまうのではないかなーと
それに彼女に妹だと思っているという会話を聞かれて普通なら気まずいのに
特に動じてないのでKAZUYA的には全く薄ら暗い気持ちはないんだと思います
<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 00:59:13.14 ID:aVkps1Pq0<>
うわ! >>751と>>752の間1レス飛ばしてる!!
疲れてる時にやるものじゃないな…

苗木の部屋の部分だけ最初から貼り直します…orz

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 01:00:42.58 ID:aVkps1Pq0<> 訂正版


朝日奈の質問攻めから逃れたKAZUYAは、次に舞園の部屋に来ていた。
保健室に戻ろうとしていた時に苗木に出会い、部屋に誘われたからである。


苗木「すいません…すっかり忘れてたけど、ここ舞園さんの部屋なんですよね…
    いつも保健室で話してるし、今日は僕の部屋に招待しますからお茶でも
    飲みましょう! なんてかっこつけて言ったのに…恥ずかしい」

K「気にするな。もう三日もいるのだからな。この生活が始まって半分はこの部屋で過ごしたことになる」

苗木「ハハ…あの、舞園さんの怪我の具合なんですけど」

K「経過は順調、予後は極めていい。もう何日かしたら自分の部屋に戻れるぞ」

苗木「はぁ、それは良かった」

K「そうしたら改めてお前の部屋に招待してもらおうかな?」

苗木「もちろん! 喜んで」


食堂から持ってきた紅茶を飲みながら、KAZUYAと苗木は他愛もないことを話す。
だが話の内容が学園生活のことに移ると、嫌でも二人の気分は暗くなった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 01:01:20.27 ID:aVkps1Pq0<>

苗木「この生活、いつまで続くんでしょうか…?」

K「…わからん。正直、今の均衡状態が続くならまだいい。だが奴が黙っていないだろうしな」

苗木「先生は、モノクマがまた何かしてくると思ってるんですね?」

K「ああ。あの動機…あれが一つだけとは到底思えん。俺の予想では
  近いうちに最悪のタイミングで、奴は再び動機を提示してくるはずだ」

苗木「許せない…人の心を利用して…」

K「その気持を忘れないことだ。奴への怒りより外への渇望が強くなれば、道を誤ってしまう」

苗木「はい」

K「まあお前に関しては俺は心配していないのだがな。問題は…」

苗木「十神君、ですか?」

K「ああ。他にも何人か気になる生徒はいるが、最も警戒しているのはやはり十神だ。
  あの男だけがこの生活をはっきりゲームだと断言し、今も計画を立てているようだからな」

苗木「うーん、難しいですね。僕も何度か話したけど、どうしても理解は難しいというか…」

K「どんなことを言っていた?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 01:01:59.30 ID:aVkps1Pq0<>
苗木「えーっと、頭脳も運動能力も全てが超高校級のいわば超高校級の完璧らしいです。
    それに十神家の力を別にアテにしてる訳じゃなくて、デイトレードだけで
    自力で400億稼いだとか、なんか色々とスケールが違いすぎるんですよね」

K「…あの男が、お前にそんなことを話したのか?」


KAZUYAは内心驚愕していた。十神は嫌みったらしい性格ではあるが、自分のことを
他人にペラペラ話しまわるような馬鹿な男ではないということはわかっている。


苗木「…苦労しましたけどね。モノモノマシーンで出た物から好きそうな物を見繕って
    あげてみたり、ひたすら無視されたり悪口言われるのを我慢したり」

K「お前……」


この少年が前向きなのは知っていたが、まさかここまで忍耐強いとは。


K「それにしても、何故不快になるとわかっていて近づいたんだ?」

苗木「その…十神君が何であんな発言や行動を取るのか純粋に気になって。
    親しくなれば彼の行動原理とかわかるんじゃないかなーって思ったんです」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/13(金) 01:03:15.59 ID:aVkps1Pq0<>
KAZUYAは思わず目を見開いた。…そうだ。自分に出来ないことであっても、
出来る生徒に頼めばいいではないか。まさしく目から鱗だった。


K「……何だ。苗木よ、幸運以外の才能もちゃんと持っているじゃないか」

苗木「え? なんですか?」

K「『超高校級のコミュニケーション能力』。あるいは『超高校級の忍耐力』というのはどうだ?」

苗木「うーん…嬉しいんだか嬉しくないんだか、よくわからないや。ハハハ」

K「何にせよ、お前のその能力はこの閉鎖された監禁生活で非常に武器になる。
  もし何か面白い情報を掴んだら、逐一俺に報告してくれないか?」

苗木「え、その…僕なんかで本当にいいんですか? 他のみんなの方がもっと役に立てるんじゃ…」

K「むしろ、この役目はお前にしか頼めん。時に情報収集、時に生徒達の緩衝材として、
  この学園生活でこれ以上事件が起こらないよう動いて欲しいのだ。頼む」

苗木「僕が…僕にみんなの役に立つ能力が…」

苗木「……はい! わかりました。上手く出来るかわからないけど、頑張ってみます!」

K「頼んだぞ!」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/13(金) 01:04:39.42 ID:N00NOx+A0<> >ブラックジャックかな?ドクターKにそんな話ありましたっけ?

磨毛の初登場だったかな?
全身の癌をロボットが治療していったけど、残り3つのところで自分では限界だと判断して人を呼んだとかそういう話があったはず。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/13(金) 02:53:21.28 ID:IPrvZIqh0<> 一時間前からこのスレを一気読みした。
ドクターKをすごく読んでみたくなりました。
スレのストーリーもとても良いです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/13(金) 03:43:15.02 ID:jI0pWQhDO<> >>764

確かKが大学の同窓会に出て欠席した磨毛はどうしたって話になった。
癌が全身転移して何十回手術しなきゃ無理。
僕の研究ならと開発した医療機械で研究室で立てこもり治療。
機械が独断でK達を呼び寄せる
機械の治療成果+K達同窓生の手術で磨毛完治。
磨毛が何で治療中断したか機械に問うとがこれ以上は自分の機能では不可能だから外部の助けをと回答。

こんな話だったとおもう。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/13(金) 07:34:34.27 ID:10lQAAJQo<> 乙です <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 18:13:54.20 ID:1qhst0y60<>
投下再開
<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 18:14:52.62 ID:1qhst0y60<>
― 1−A教室 コロシアイ学園生活七日目 AM9:46 ―


今日も授業を行った。前半は昨日とほとんど変わらず反復練習だったので、
特に大きな変化はなかったが一つだけ大きな違いがあった。


K「石丸、たった一日で随分上達したな」

石丸「はい! 昨日は空いている時間を全て練習に注ぎ込みましたから!
    今だったら利き手にも巻けそうです! それそれそれっ!」グルグルグルッ


どうしようもなく下手だった石丸が、そこそこ上手に包帯を巻けるようになっていた。
調子に乗って利き手に巻いた時は相変わらず盛大に失敗したが。


K(そういえば練習すると言って包帯を持って帰っていたな。全く、呆れるほど努力家な男だ)


そしてもう一つ、変化ではないが。倒れた人間相手の処置を練習させた時だった。


K「今日はうつぶせに倒れた人間を実際に体位を変更させる練習だ。倒れている人間を
  見かけたら、まず最初に原因を見極めなければいけない。もし脊椎、胸椎、腰椎…
  いわゆる首や背骨に異常があったら絶対に動かすな。そのままにして俺を呼べ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 18:18:49.22 ID:1qhst0y60<>
K「意識はないが呼吸はある場合、吐瀉物の誤嚥や舌根の沈下による窒息を防ぐために
  昏睡体位を取らせるのが鉄則だ。基本的には右側臥位と言って右肩を下にする」


KAZUYAは例によって黒板に図を描いていく。ちなみによく解剖図を描いているからか、絵は意外と上手い。

昏睡体位:まず右肩を下にして横向きに寝かせ、気道を確保するため顎を前に突き出し左手を顎の下に置いて
      枕代わりにする。また上になる左足は軽く曲げて体を安定させ、仰向けやうつ伏せになって
      しまわないよう気をつける。回復体位とも呼ばれている。


K「例外的に左側に怪我や病気がある場合、または毒物などを誤飲した時は左側を下にする」

K「それでは早速実践だ。倒れている相手が同性とは限らんから、性別は無視して体格の近い人間を
  俺が事前に選んでペアにした。今から名前を呼ぶから、組んで始めろ」


そして順々に生徒達の対応を見て、苗木の処置になった時だ。


K「フム、なかなか上手いじゃないか」

苗木「え、本当ですか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 18:25:00.52 ID:1qhst0y60<>
朝日奈「うん、上手いよ。なんか苗木って手際が優しいんだよね」

苗木「そ、そうかな〜」

朝日奈「急救命士になれるんじゃない?」

苗木「なんかきゅうが足りなくない? …うーん、僕には無理じゃないかなぁ」

K「そんなことはないさ。俺もお前は向いている気がするぞ」

苗木「え? 先生までそんな…そんなに言われたら僕ちょっと考えちゃうよ? ハハ」

朝日奈「うんうん、いけるって! 私はさ、ちょっとおおざっぱだから」

K「朝日奈はもう少し細やかだといいな。相手は怪我人という設定だぞ?」

朝日奈「えへへ。気をつけまーす!」

K(初心者組の中では苗木が一番筋がいいな。患者の扱いがとても丁寧で気遣いがある。
  なかなか器用だし、小柄な割にはそこそこ力もあった。仕込めがモノになりそうだ)

K(それにしても…)


KAZUYAは他の生徒達の様子を横目で見る。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 18:34:47.51 ID:1qhst0y60<>

大和田「うらあぁっ!」グイッ!

山田「イタタタタ! お、大和田紋土殿! いくらなんでも乱暴ですぞ!」

大和田「しょーがねーだろ! 優しくやろうにもオメエが重すぎて
     持ち上がんねぇのがわりぃんだよ。ちったぁ痩せろ!」

大神「十神よ…手を抜くとまた西城殿に叱られるぞ」

十神「…俺に指示をするな」

大神「何故やらぬ? 我が女だからか? これは授業だ。遠慮はいらぬぞ」

十神「……」

大神「…もしや、我が重いからか?」

十神「…………違う」タラリ

不二咲「うう、重い〜」

セレス「あら不二咲さん、それはわたくしが太っているという意味でしょうか」

不二咲「あっ! ち、違うよぉ。ぼ、私の力が弱いから……ごめんねぇ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 18:47:14.02 ID:1qhst0y60<>
石丸「むぅ、怪我人という設定とはいえ、やはり女子の体を触るのは抵抗があるな…」

江ノ島「ちょっと、さっさとやってくれない? 男のくせにいつまでモジモジしてんの!」

石丸「す、すまない! …では失敬!」

江ノ島「…あのさ、手つきがなーんかいやらしいんですけど」

石丸「うぐ、すまないすまない」

江ノ島「なんでそこつかむかなー? なに? 実はあんたマジメなふりしてムッツリとか?」

石丸「断じて違う!! うう、すまないすまないすまないすまない…」

腐川「くうう…力仕事は、苦手なのよ…! ゼェ…ハァ…」グイィ

霧切「…………」

桑田「いっくぜー? そぉいっ!」

ビターン!

葉隠「ギャッ! 桑田っち、ひどいべ!」

桑田「わーりぃわりぃ。ま、本番はちゃんとやってやっから気にすんなって!」

葉隠「本番って俺重傷負ってるってことじゃねぇか! 冗談じゃねぇべ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 18:55:43.72 ID:1qhst0y60<>
K「……」

K(まあこの中なら苗木が一番良いのは必然か…)


KAZUYAは頭に手をやり、深々と溜息を吐く。


K「とりあえずお前ら……患者に対して少しはいたわりの気持ちを持ってくれ……」


個性豊かなメンバーに囲まれ、相変わらず賑やかな授業はやっと終わった。



― 体育館 PM1:02 ―


一人で体育館に来ていた桑田は監視カメラに向かって何やらモノクマを呼んでいる。


桑田「おい、モノクマ! 出てこい。出てこいやオラ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 19:01:46.16 ID:1qhst0y60<>
モノクマ「なんだよ、もう! 僕は今忙しいんだ!」

桑田「お、やーっと来たか。…なあなあ、頼みがあんだけどさぁー」

モノクマ「何?! 僕も忙しいんだから早くしてよね!」

桑田「いやさあ、その…俺最近マジメに野球の練習しだしてなぁ。知ってんだろ?」

モノクマ「ふ〜ん…で?」イライラ

桑田「なんだよ! 人がさぁ、この極限状態でやっと自分の本心に気付いて
    新たに夢に向かって足を踏み出し始めたっていうのによぉ」

モノクマ「はいはい。ミュージシャンの夢は諦めて野球選手に戻る訳ですね。小学生じゃあるまいし、
      そうコロコロ夢を変えるなんてやっぱり君はチャラいねぇ」


言ってからモノクマは失敗だと思った。桑田はニヤリと笑う。


桑田「諦める? だーれが諦めるってぇー? 俺はどっちも諦めたつもりなんてねぇからな!
    野球やりつつ歌もやる。マルチな才能持った野球選手になってやんよ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 19:08:09.62 ID:1qhst0y60<>
モノクマ「もう! 君の夢はどうでもいいんだよ! なに? 単に僕に喧嘩売りたかっただけ??」

桑田「ちげぇよ! 俺はちゃーんと用事があってなあ…わざわざお前なんか会いたくないのに
    呼んだっつーのに、お前がナンクセ付けっからわりぃんだろうが」

モノクマ「だから早くその用事を言えよ! こっちは君みたいに暇でも能天気でもないの! わかる?」

桑田「夢のために前置きが長くなるのは仕方ないだろ。こっちは本気なんだからさ」

モノクマ「…で? 今すぐ用事を言わないなら僕は行くからね!」

桑田「あー、わかったよ。その、だな…………俺さぁ、ピッチングマシンが欲しいんだよなー」

モノクマ「ハ?」

桑田「だーかーらー、俺もやっとマジメに練習する気になったワケ。前に予算はあるって…」

モノクマ「そんな無駄なお金はない。以上!」シュバッ

桑田「」



― ランドリー PM1:07 ―


ランドリーにて、今度は苗木がモノクマを呼んでいる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 19:14:47.68 ID:1qhst0y60<>
苗木「モノクマー! モノクマー! …いつもだったらすぐ来るのにおっそいなー」

モノクマ「はいはいただいま! 今日はやたらと呼ばれるね。なに?」

苗木「…はぁ、やっと来た。ちょっと困ったことがあるんだけど」

モノクマ「なに? いつも無駄に前向きな苗木君が珍しいね」

苗木「無駄に前向きは余計だよ! …それよりさ、この洗濯機なんだか調子が
    悪いみたいなんだ。ちょっと中を見てくれない?」

モノクマ「はいはいっと」ゴソゴソ


モノクマはどこからか工具を取り出し、洗濯機の中に頭を突っ込む。


苗木「どう?」

モノクマ「うーん、部品がいくつか外れかけてるね。このくらいならすぐに直るよ」

苗木「フーン、ところでさ。お前って普段何をやっているんだ?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 19:19:59.19 ID:1qhst0y60<>
モノクマ「色々だよ。オマエラの面倒見たり食糧を供給したり、結構大変なんだぞ!」

苗木「そんなこと言って、みんなのプライバシーを覗いて楽しんでるんじゃないの?」

モノクマ「ギクゥッ!」

苗木「いいよねぇ、女の子の部屋とか覗き放題だもんなー」

モノクマ「おやおや? 普段は割と真面目な善人ぶってる苗木君も、
      実はそっち方面に興味津々だったり??」

苗木「そりゃあね。僕も男子だしやっぱりちょっとは気になるよ」

モノクマ「うぷぷ。それで僕に女子達の様子を聞きたいとか?」

苗木「聞きたいけどさ…どうせお前は教えてくれないんだろ? いいよいいよ。
    わかってるんだから。これ直したらさっさと帰れ!」

苗木(モノクマの性格から考えてこちらが聞きたがれば絶対教えないはず。
    つまり逆にやや引き気味に行けば…)

モノクマ「もう直ったよ。…フゥ、全く思春期の少年の好奇心には勝てませんなぁ。
      では今回特別に、ちょっとだけ女子達の秘密を教えてあげましょう!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 19:25:11.72 ID:1qhst0y60<>
苗木「…え?! ほ、本当に?」

モノクマ「苗木君にだけだよー。実はね…」ゴニョゴニョ

苗木(来た! …でもいいのかな。こんな内容聞いちゃって…罪悪感を感じるなぁ)



― 保健室 PM1:20 ―


K「遅いぞ!」

モノクマ「もうなんなんだよ! どいつもこいつも人使い…いやクマ使いが荒いんだから」

K「何だ? 俺以外にも何かあったのか?」

モノクマ「べーつにぃ? で、先生は何の用?」

K「薬品の補給を頼みたい」

モノクマ「先生さぁ、頭おかしくなっちゃった? 確かに僕はここで一生を過ごす選択肢もあるって
      言ったし、それなりの生活は保障してあげるよ? でもさあ、本来死ぬはずの生徒を
      助けるのはルール違反でしょ? 僕がそのための手伝いをすると思う?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 19:31:20.40 ID:1qhst0y60<>
K「そうだな。一応聞いただけだ。わかった。帰れ」

モノクマ「みんな用済みになったらすぐ帰ればっか。流石の僕もちょっとショボーン」

K「目障りだ。消えろ」

モノクマ「もういいよ! また何か用事が出来ても来てあげないから! プンプン!」


モノクマが去ったのを確認し、KAZUYAは保健室を出た。向かったのは脱衣所である。
事前に調べ、KAZUYAの予想通り発見した盗聴器は一時的に撤去しておいた。
今なら黒幕の目を気にすることなく堂々と会話が出来る。


苗木「あ、先生が来たよ」

桑田「おっす。どーだったよ?」


脱衣所の中でKAZUYAを待っていたのは苗木と桑田の二人である。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 19:35:42.66 ID:1qhst0y60<> ちょっち御飯休憩

>>764>>766
細かく書いてくれてありがとう。思い出しました。ありましたね、そんな話
磨毛初登場だから結構初期かな?現在初期の単行本が行方不明でして…

>>765
ありがとうございます。そう言ってもらえると凄く嬉しいです
ドクターKは古いけど面白い漫画なのでおすすめですよ
<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 20:48:06.56 ID:PN7EMVtd0<>
K「上手くあしらったさ。かなり機嫌が悪かったがな。あと桑田、お前にこれを返す。助かった」

桑田「おう。どーいたしましてっと」

K「では報告してもらおう。何時何分にモノクマが来て何分間引き止められたかを」


KAZUYAは借りていた工具セットを桑田に返すと、二人に報告を求めた。


桑田「俺は呼び出し始めが12:48分、実際に来たのが13:02分で出てったのが13:06分だ」

苗木「僕は呼び出しが13:03分、来たのが13:07分で終わったのが13:19分です」

桑田「十分以上足止めするとかすげーじゃんお前。そんなに何をしゃべったんだよ?」

苗木「え?! いや、その、雑談を色々とね…」

苗木(桑田君には絶対言えない…まさか女子のプライバシーを延々聞かされてたとか…)


後ろ暗い気持ちを感じている苗木には気付かず、KAZUYAは実験の結果を発表する。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 20:53:58.35 ID:PN7EMVtd0<>
K「御苦労。お前達のおかげで今回かなり重要なことを知ることが出来た」

苗木「一体何がわかったんですか?」

桑田「俺達、言われた通り時間になったらモノクマ呼び出して足止めしてただけだぜ?」

K「それで十分さ。まず確実に言えることだが――モノクマは一度に一体しか動かせん」

苗木「やっぱり…」


断言したKAZUYAに、神妙な顔をした苗木が相槌を打つ。桑田のみがよくわかっていなかった。


桑田「え? なんでさっきのでんなことわかんの?」

K「俺が今回お前達に頼んだのは、時間差でモノクマを呼び出し足止めをすることだ」

桑田「おう。それはわかるぜ」

K「誰かがモノクマと話している間、他の人間が呼んでもモノクマは来なかった。
  もしモノクマが一度に複数操れるなら、同時に対応すればいいだろう。
  即ち操る装置が一つか、或いは操る人間が一人しかいないことを意味する」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:04:49.26 ID:PN7EMVtd0<>
桑田「なーるほど。でもさ、それなら全員同時に呼び出しても良かったんじゃね?
    なんでわざわざ時間差なんてつけたんだ?」

K「それはだな…」

苗木「一度にたくさん呼ばれてるってわかってたらモノクマが話を切り上げて時間稼ぎが
    出来ないからだよ。先生は確かに奴を足止め出来てるって確信が欲しかったんだよね」

K「ウム、その通り」

桑田「なんでお前が説明すんだよ」

苗木「ま、まあまあ」

K「しかし舞園は流石だな。モノクマは用事が済んだらあまり長居せず
  すぐに去ってしまうのが通例だが、まさか15分以上も足止めするとは」

桑田「…これ、舞園にもやらせたのか?」

K「ああ。むしろ彼女に一番重要なトップバッターを引き受けてもらった。
  この手の作戦は最初に勢いをつけんと上手くいかなかったりするからな」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:10:07.25 ID:PN7EMVtd0<>
計画としてはこうだ。

1.12:45分に舞園が部屋にモノクマを呼び出し出来る限り引き延ばす。
2.時間差の12:48に桑田は体育館でモノクマに呼びかけ現れたら足止めをする。
3.次に部屋を監視していた苗木は、舞園の元からモノクマが去ったのを確認次第ランドリーに
   移動し呼びかける。洗濯機はKAZUYAが事前に工具セットを使って密かに部品を外しておいた。
4.モノクマが去った後、桑田は保健室のKAZUYAに声を掛けてそのまま脱衣所に向かう。
5.KAZUYAは保健室でモノクマを呼び、来るまでに何分かかるかを計っていた。

こうして三度呼びかけてもモノクマが応答しなかったという確かな数字を手に入れたのである。


K「更に言うなら監視も同じ人物が一人で行っている可能性が高いな。
  別の人間がその場にいるなら、長話を切り上げて移動するよう促すはずだ」

桑田「マジかよ…これって超重要情報じゃね?! 敵は一人しかいないってことじゃん!」

K「早まるな、桑田。今の段階では敵全体の人数を断定出来るまでの情報はない。
  せいぜい今言えるのは、監視役は時々一人になることがある、くらいだな」

苗木「それで思い出したけど、前にたった一度だけモノクマを呼んでも来ない時があったんです」

K「いつのことだ?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:13:08.60 ID:PN7EMVtd0<>
苗木「確か三日目の3時くらいかな。まだ倉庫が開いてない時に、勉強したくて
    たまらない石丸君が教科書が欲しいって騒ぎ始めて…」


苗木はその時のことを話し始めた。


石丸『うがああああ! ここには教科書がない! 参考書もない!
    このまま勉強をサボり続けたら僕は落ちこぼれになってしまうぞ!』

大和田『…オメェ、そりゃあ俺達に対する嫌みか?』

苗木『図書室の本じゃダメなの?』

石丸『図書室は十神君が占領しているのだ。僕が行くと腐川君に命令して
    追い出されてしまう。あの大量の本を独り占めなんてズルいぞ、十神君!』

苗木(多分うるさいからじゃないかな…)

大和田(…どうせ最初に一緒に勉強しようとかなんとか余計なこと言ったんだろ)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:16:47.48 ID:PN7EMVtd0<>
石丸『そうだ! モノクマに聞いてみよう。一生ここにいろと言うからには
    こちらの要求を主張する権利くらいはあるはずだ! 出てきたまえ、モノクマ!』


シーン。


石丸『ム、馬鹿な…他のみんなが呼んだ時には来たというのに、僕の時だけ
    来ないというのか? ならば来るまで何度でも呼ぶのみ! モノクマモノク…』

江ノ島『ああああ! うるさい! モノクマだってトイレやご飯くらいするでしょ!
     呼んでも来ないんなら後にしなさいよ!』

石丸『それもそうか…ではもう少ししたらまた呼ぶぞ!』


苗木「ということがあって、結局十分以上来なかったんだ。モノクマにしては珍しいから印象に残ってた」

K「その時、食堂には何人いたか覚えているか?」

苗木「おやつ時でみんなお茶を飲みに来てたから、ほとんどいたはずです。
    いなかったのは十神君、腐川さん、桑田君、先生くらいかな」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:23:22.35 ID:PN7EMVtd0<>
K「桑田、お前はその時何をしていた?」

桑田「えーっと、確かやることもないし部屋で昼寝してたような…」

K「これは重要な情報だ。仮に十神がモノクマを呼び出していたとしても、十分以上も
  ずっと話し続けていたとは思えん。操作していたから気付かなかったのではなく、
  純粋に監視者は席を外していたということになる」

K「普通席を外すなら別の人間に監視を交代するだろう。交代要員がすぐ近くにいないのは
  ほぼ確実と見ていい。恐らく、事件の起こりそうにない昼間は一人で監視しており、
  周囲に誰もいないのだ。ここから導き出される答えがわかるか?」

苗木「えーっと…思ったより監視が手薄ってことですか?」

K「間違ってはいないが、更に切り込める」

桑田「ワリとテキトーっていうか、あんまやる気がねぇってことは俺にもわかるぜ」

K「やる気がないのではなく出来ないのだ。俺達を捕らえた組織は極端に人員に余裕がない。
  極少人数で回しているとしか思えん。思えば、思い返すとおかしいことだらけだ」


記憶が曖昧だが、KAZUYAを襲った人間は確かに一人だった。まずそこがおかしい。
それに殺したと勘違いしたのは仕方ないにしても、あまつさえ死体を何日も放置した上に
消えたことすら気付かないというのは管理が杜撰過ぎる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:27:37.39 ID:PN7EMVtd0<>

K「トイレや脱衣所にカメラがないのは監視する手間を省いているのかもしれんな。
  この調子なら夜もせいぜい二、三人しかいないだろう」

苗木「信じられない…これだけ大規模な監禁なのに…」

桑田「どっかのやばいヤクザとかマフィアじゃなかったのかよ…」

K「ただ油断はするな。モノクマの技術や校内に施された改造といい、敵の技術力は相当なものだ。
  また、俺を襲った人間は確かに一人だった。つまり、この希望ヶ峰学園の生徒達のように
  様々な能力に特化した少数精鋭のプロフェッショナル集団なのだろう」

苗木・桑田「ゴクリ…」

苗木「つまり敵には高度な技術を持った技術者と先生並に強い人の最低二人がいるってことですよね…」

桑田「それだけでもうかなりヤベーじゃねえか…」

苗木「あ、あと僕初めてモノクマが消える所を見たよ。床に穴が空いてそこに消えていったんだ。
    …もしかして、有事の際には廊下中からモグラたたきのモグラみたいにモノクマが出てきたりして…」

桑田「お、お前! こええこと言うなよ!」

K「仮に操れるのが一つでも一斉に自爆でもされたら敵わんな…特に、モノクマに関してはまだ謎も多い」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:32:20.91 ID:PN7EMVtd0<>
桑田「で、でもよ…何もわからなかった時に比べたらすっげえ進歩じゃね?!
    そうだ! 今すぐ他の奴らここに集めて教えてやらねぇと!」

K「待て!」


脱衣所を飛び出さんとする桑田をKAZUYAは制す。ふと頭に受かんだのは……江ノ島盾子だった。


桑田「あ、なんだよ? 早く他の奴らにも教えてやろうぜ?」

K(まだ敵だという確信も証拠もない。だが、俺の直感が何かを告げている)

K「俺が何故お前達にこの話をしたかわかるか? ただお前達がこの作戦に向いて
  いたからではない。俺はお前達を信頼して話をしたのだ」

K「証拠がないため誰とは言わんが、現在生徒の中で不審な行動を取っている者がいる」

苗木「それってまさか、内通…」


内通者、と苗木が言い終える前に桑田が遮った。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:39:17.30 ID:PN7EMVtd0<>
桑田「ああ、十神のことか。確かにあいつ、出来るかわかんねぇみんなでの
    脱出より確実な卒業のほう狙ってるっぽいしな」

K「ああ、あの男は確かに要注意だ。だがこれは十神だけの話ではない」

桑田「ってぇと…もしかして霧切か?」


KAZUYAは驚いた。霧切はKAZUYAが現在最も信用している生徒の一人だったからだ。


K「…何故そこで霧切の名前が出る」

桑田「だってあいつ、今だに一人だけ肩書明かしてねえじゃん。単独行動も多いしな」

苗木「確かにちょっとミステリアスだよね」

K(霧切の奴、まだ皆に話していないのか…何か考えがあるのかもしれんな)

K「彼女は大丈夫だ。実は俺は彼女のことを知っていてな、身元も保証出来る」

苗木「え、先生の知り合いなんですか?」

K「ああ。だから霧切は信用しても問題ない。むしろ、何かあれば彼女を頼るといい。
  恐らく現状では俺の次に冷静で頼りにもなるはずだ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:47:59.59 ID:PN7EMVtd0<>
桑田「マジかよ…鉄面皮つながり?」

K「どういう繋がりだ…」

苗木「あ、だから初日に男子トイレでこっそり話してたんですか?」

K「そうだ」

桑田「ふーん。なんかうさんくせー女だけど、せんせーがそういうなら一応信じるか」

K「頼む」

苗木「でも、それと肩書を隠すのは何か関係があるんですか? 先生は知ってるんですよね?」

K(言おうにも、記憶喪失だったから言えなかっただけだろうが…)

K「…彼女はああ見えて非常にシャイでな。親しくなればそのうち教えてくれるだろう」

桑田「シャイィィ? シャイってキャラかよあの女!」

K「そう言ってやるな。さて、長居し過ぎると怪しまれる。順番に出るぞ」


苗木と桑田が去ったのを見届け、時間を空けてKAZUYAは脱衣所を後にした。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/14(土) 21:52:19.93 ID:PN7EMVtd0<>
ここまで

授業編は当初の予定では3、4レスのはずだったのに何故十以上も増えて
しかも今回その2まで行ってしまったんだろう

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/14(土) 21:54:27.72 ID:u1n4jpi60<> 乙
モノクマを操れそうなのって、江ノ島、アルター江ノ島、カムクラ、左右田だけだな
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/14(土) 21:56:11.45 ID:pgN4oD7K0<> 乙
この水面下で進んでる感覚がいい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/14(土) 22:16:18.23 ID:1cZjDNkpo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/15(日) 08:03:13.48 ID:aTnws1W4o<> 乙 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 15:30:18.76 ID:E60CW3Pt0<> 読み返していたらいくつかミスを発見…

ドッジ編で苗木の吐血後も腐川が発言してますが、一度倒れて起き上がり
その後全然違う所を見ながら話していたと脳内変換ヨロです

あと>>769はコロシアイ学園生活八日目の間違いでした


来れたらまた今夜も来ます

動機前最後の自由行動安価もある予定ですのでよろしく
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/15(日) 19:09:54.41 ID:hZIU90f80<> 会うならやっぱり石丸大和田不二咲を優先したほうがいいか…? <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 21:43:36.89 ID:LbOwmYsv0<>
― 苗木の部屋 PM1:54 ―


現在舞園は起き上がってベットに腰をかけ、そのすぐ横にKAZUYAが座っていた。
開腹手術をしたために最初の三日間は絶対安静であったが、傷口の癒着を防ぐため
今は起き上がらせたり少しだけ歩かせたりと軽い運動をさせている。


K(…だが、風呂に入る訳でもないのに脱衣所に行けば不自然で目立つ。
  シャワールームに二人きりになるのはどう考えても不味い。仕方がないのだが…)


協力してもらった以上舞園に作戦の結果を話すのは当然だし構わないが、どう黒幕に悟られず
伝えるかが問題であった。マイクに拾われない声量で会話する他ないのだが、その結果、
監視カメラに背を向けて座り恋人がやるようにお互いの耳元へ囁くという形になる。


K(……距離が近い)


舞園は全く気にしていない様子だったが、距離が近すぎてKAZUYAとしては気が気でなかった。

KAZUYAの名誉のために言うと、いかに相手が国民的アイドルグループのセンターを
勤める美少女だろうが、大人のKAZUYAに言わせればまだ子供であり全く対象外なのだが、
この様子を見ている黒幕が妙な噂を流すのではないかと内心冷や汗が止まらない。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 21:46:24.49 ID:LbOwmYsv0<>
舞園「それでは成功したんですね」

K「ああ、それも最初に上手くやったお前のおかげだ」

舞園「役に立てて良かったです」


あまりこの状態で長話をしたくなかったので、作戦の結果とそこから確定出来た
情報だけを手短に伝える。舞園も想像以上の成果に驚いていたようだった。


K「…それにしても、よくあれだけ奴を足止め出来たな」

舞園「最初は無理かと思いました」

K「一体どんな話術を使ったんだ?」

舞園「話術なんて呼べるものは何も。ただ、幸運なことにたまたまモノクマさんが
    興味を持つ話題を振ることが出来たんです。それだけですよ」

K「奴が興味を持つ話題…それはなんだ?」

舞園「…それはですね」


一瞬舞園が言い淀んだのを見て、KAZUYAは身構える。だが彼女の口から発せられたのは意外過ぎる単語だった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 21:49:03.75 ID:LbOwmYsv0<>
舞園「……恋バナです」

K「は?」


舞園はその時の様子を思い出す。


        ◇     ◇     ◇


舞園は焦っていた。KAZUYAに頼み事をされた。しかもこれは自分が一番適任という。
命の恩人であるKAZUYAに報いると共に少しでも罪を償いたい。その一心だったのだが、
敵は強大だった。何を言ってもモノクマはすぐに帰ろうとするのだ。


モノクマ「舞園さんが僕を呼ぶなんて珍しいねぇ。何の用?」

舞園「…はい。私ももう危険領域は完全に脱してしまって、今は前みたいに
    誰かがつきっきりと言う訳ではありません。でも、まだ自由に歩き回れないので…」

モノクマ「何? 暇だから僕とおしゃべりしたいってこと?」

舞園「おしゃべりというか、外の人達の様子を少し教えては頂けませんか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 21:51:55.14 ID:LbOwmYsv0<>
モノクマ「あのねぇ、僕暇じゃないんですけど。むしろかなり忙しいんですけど」

舞園「少しでもいいので…」

モノクマ「…ふぅ、じゃあいいよ。ちょっとだけね」


モノクマが語った内容は本当に少しで、しかも舞園にとっては厳しいものだった。
舞園がいなくても他の生徒達はとても楽しくやっているということ。
他の生徒が舞園のことをどう思っているか等を主観混じりに語ってくれた。


モノクマ「うぷぷ。みんな自分が悪役になるのは嫌だからさぁ、誰も積極的に君の話題を
      出したりはしないけどね? 結局内心ではもう戻ってこないで欲しいって思ってるんだよ」

モノクマ「現に積極的にこの部屋に来てくれた生徒って、苗木君除いたら
      単純熱血馬鹿の石丸君とクールな霧切さんだけじゃない」

モノクマ「怪我が治って退院しても、もうここに君の居場所なんてないんだよ」

舞園「……っ!」

舞園(苦しい…でもこれは全て私が招いたこと。モノクマは私を揺さぶって
    また道を誤らせようとしている。それに乗ってはダメ…)


脳裏に苗木の顔が受かんだ。次にKAZUYAと、そして…

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 21:55:02.96 ID:LbOwmYsv0<>
舞園(まだ5分も経ってない…もっと引き延ばさないと)

舞園「モノクマさんはお話がお上手ですね。もっと色々聞かせてくれませんか?」

モノクマ「だーからー、僕は忙しいんだっての!」


舞園は芸能界で培ったあらゆる手練手管を用いてモノクマを引き止めようとしたが、無駄だった。
モノクマが去ってしまう。このままでは役に立てない。本当に――自分の居場所がなくなってしまう。


舞園「あ、あの…!」


そして半ばヤケクソになって放った言葉がこれである。


舞園「苗木君て、好きな人とかいると思いますか?」

モノクマ「ハァ?」


自分でも何を言っているのかと思った。殺人計画を企み彼を利用した女が何を言うのか。
さぞや滑稽だったろう。モノクマも呆れて去ってしまうに違いない、と思ったが。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 21:58:27.63 ID:LbOwmYsv0<>
モノクマ「え? なになになに? 舞園さん苗木君に興味あり?」


…ヤケに食いついてきた。


モノクマ「苗木君てさぁ、特に凄い才能とか特徴はないけど話しやすいじゃん?
      あのメンツの中だと常識もあるし。だから意外に倍率高い気がするんだよねぇ?
      犯罪者の君には厳しいと思うけど聞きたい? ねえそれでも聞きたい?」

舞園「……はい。お願いします」


この時点ではまだ、彼女の表情がモノクマの嗜虐心をくすぐったのか
或いは単にそういった俗悪な話が好きなのかはわからなかった。


モノクマ「…でさぁ、その時の苗木君てばナチュラルに彼女達を誉めて天然ジゴロだよね」


しかし話を聞いているうちにだんだんわかってきた。その両方だと。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 22:05:17.34 ID:LbOwmYsv0<>
モノクマ「…でも僕はKAZUYA先生も結構ああ見えてやるタイプだと思うんだよね!
      初日から女生徒とトイレで二人っきりになったりしてるし、君も気をつけてね?」


最初は苗木だけの話だったのに、いつのまにか他の人間にまで話が広がっている。
KAZUYAは絶対女泣かせだとか誰々がエロいとか、果ては腐川のストーカー紛いの行動まで話し出した。
ただ舞園も歳相応に好奇心旺盛な女子校生なので、ついつい一緒に盛り上がってしまったのだが。

こうしてモノクマは延々と生徒のプライベート話を披露し、舞園は無事頼まれた任務を遂行出来たのだった。



        ◇     ◇     ◇



K「…………」

K(俗的な奴だ。それにしてもそういった話を好むとは、女みたいな奴だな)


ここで再びKAZUYAの脳裏に江ノ島がよぎる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 22:13:05.55 ID:LbOwmYsv0<>
K(モノクマの一人称や熊の姿から黒幕は男と思い込んでいたが、何人か女がいるな。
  むしろ、ああいったぬいぐるみを好むのは間違いなく女だろう)

K(更に言えば女子の部屋にだけシャワールームに鍵が付いているが、よくよく考えれば
  それもおかしな話だ。個人の部屋だから付いていなくても別に困らないし、
  付けるというのなら普通全員の部屋に付けるだろう。男子だけ省略する必要はない)

K(……女がいる。それもかなり発言力のある立場で)

舞園「あの、先生。私から説明出来るのはここまでです」

K「…ああ。非常に助かった。まだ傷が痛むだろうに、すまなかったな」

舞園「いえ……それより先生こそ、気をつけて下さいね」

K「ウム、わかっている。黒幕には悟られないよう最新の注意を払い…」

舞園「あ、そうじゃなくて…」

K「?」

舞園「多分私達のこの姿…モノクマが吹聴すると思うので」

K「…………」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 22:28:14.49 ID:LbOwmYsv0<>
そうだ。黒幕は人の恋バナや噂をするのが大好きな下世話な奴なのだ。
黒幕の性格を考えると黙っている方が有り得ない。きっと今も二人の姿を見て、


「ギャハハ! Kのヤツ、役得っつか立場の濫用じゃね? そうだよねー天下のアイドルだもんねー。
 普段はあんな涼しい顔しててもやっぱり中身は男で狼でしたってか! いいねぇいいねぇ!
 アタシ好きだよ、そういうの? せっかくだからガシガシ盛り上げてやろうじゃんっ!!」


こんなことを言っているに違いないのだ。
そんな黒幕の考えを悟ったのかはわからないが、ただKAZUYAは閉口せざるを得なかった。



― 自由行動 ―


K(さて、今日は対黒幕の重要な情報を少しだが得ることが出来た)

K(来たるべき戦いに備え、今は少しでも生徒達と信頼関係を築かねばな)


>>810人名

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/15(日) 22:35:18.39 ID:U9xpzFXAO<> 加速 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/15(日) 22:35:32.11 ID:hZIU90f80<> 石丸 <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 23:10:52.78 ID:LbOwmYsv0<>
生徒の集まる食堂へ行こうとした矢先、KAZUYAは声を掛けられた。


石丸「西城先生」

K「石丸か。お前のことだ。どうせまた勉強だろう。今度は何を勉強するんだ?」

石丸「はい。実はもっと深く応急処置を…いや、僕に医学を教えてもらえませんか?!」

K「――医学を?」


この男の発言が唐突なのはいつものことだが、今回ばかりは流石のKAZUYAも一瞬対応が遅れる。
しかし、石丸の顔はすこぶる真剣で単なる好奇心での発言ではないようだった。


K「突然どうした? 本気で言っているのか?」

石丸「はい。…実は、舞園君と苗木君を助ける先生の姿を見てからずっと考えていたのです」

石丸「僕の将来の夢は変わらず政治家ですが、大学を卒業してから政治家になるまでにどうしても
    年単位でブランクが空きます。秘書として実力を磨くという手段もありますが、ただでさえ
    政治家と民衆の間には溝があると言われているのにそれで良いのかと常々思っていたのです」

石丸「先生の生い立ちを聞いた時…失礼かもしれませんが、僕は少し自分に似ていると思いました。
    毎日勉強や訓練に追われ友人も作れない…でも先生は僕と違って空気も読めるし普通に
    人付き合いも出来ている。それはたくさんの患者との触れ合いが理由だと考えます」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 23:16:39.25 ID:LbOwmYsv0<>
K「それは確かにあるだろうな」

石丸「僕はただでさえ空気が読めないと散々言われていて、今のまま政治家になってもきっと
    国民の気持ちがわからないと思うのです。だから、先生のように医者になってたくさんの
    人と出会い救うことが出来れば、今よりも人の気持ちがわかるようになると考えました」

石丸「あまり若いうちに政治家になってもすぐには発言力もなく大したことは出来ない。
    でも、医者になればすぐにでも誰かを救うことが出来るでしょう?」

石丸「僕も先生のように苦しむ人々を救う生き方をしたいのです! そして、医者としても
    人間としても十分なキャリアを積むことが出来たら、その時に改めて政治家を目指します!!」


真っ直ぐKAZUYAの目を見据えて石丸は言い放った。素晴らしい、完璧すぎる程の人生設計だ。
しかも石丸は、口だけでなくその夢を可能にする努力と実力を既に備えている。


K「素晴らしい夢だ。是非応援させてもらおう」

K(この歳で随分立派なことだ)


KAZUYAとしても嬉しい限りであった。自分の後ろ姿を見て同じように医療に
生きる者が増えるということは、自分の生き方を肯定してもらうのと同義である。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 23:20:56.81 ID:LbOwmYsv0<>
K「俺に出来ることがあればなんでも言ってくれ。協力しよう」

石丸「ありがとうございます!」


本来ならこれほど喜ばしいことはないのに、KAZUYA自身とても嬉しいと思っているのに…
しかし、KAZUYAの心の中にはどうしても引っかかることがあったのだった。



>>815人名

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/15(日) 23:26:44.01 ID:MU0FyhDDO<> 不二咲 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/15(日) 23:30:50.06 ID:U9xpzFXAO<> 大和田 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/15(日) 23:58:12.32 ID:LbOwmYsv0<>
例によって石丸にみっちり勉強をつけてやった後、気分転換にKAZUYAは購買部を訪れていた。
実はいつぞやのリベンジをしようと、メダルを手に入れてはちょくちょくやって来て
モノモノマシーンに挑戦しているのだが、相変わらず妙な物しか出ないのだった。


K「クソッ、何故俺ばかりいつも妙な物が出る…!」


生徒達はモノモノマシーンから出たアイテムをプレゼントしたり物々交換をして
交流を図っている。苗木などは上手く利用しているその典型例だ。


K(今までに出た物といえば黄金銃・村正・木刀・ヘルメット・砲弾その他諸々。
  せいぜいサラシがいざという時に包帯代わりになるくらいだな)

K(…嫌がらせか。嫌がらせなのか)


おかげ様で生徒の健康を守る保健室はちょっとした武器庫になっていた。
…ベッドの下や棚等になんとか隠しているが、そのうちバレそうだ。


大和田「お、先公か。こんなとこで会うなんて珍しいじゃねぇか」

K「そうだな。お前もやりにきたのか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/16(月) 00:06:16.78 ID:tGt0F6Eo0<>
大和田「おうよ。先公はどんなもんが出たんだ?」

K「俺は運がない。いつもろくなものが出ないのだ。見てみろ」

大和田「どれどれ…って、なんだよ! イイモンばっかじゃねえか!」

K「ム?」


大和田はKAZUYAが引き当てた武器の数々を代わる代わる持ち上げては見ている。


K(そうか。あれだけ生徒がいるのだ。物騒な物に興味を持つ生徒もいるだろう。
  ……だが生徒に凶器を与えるというのは教員としてどうなのだ?)

K「絶対に使わないと約束するならくれてやってもいいぞ」

大和田「…いいのか? サンキュー!」

K(いつになく機嫌が良くなった。今ならいつもより多少はまともに話せそうだな)

K「…それにしても、ヘルメットにツルハシ? お前、そんな物が欲しいのか?」

大和田「おう。実は俺、将来大工目指してんだ」

K「もう将来のことを決めているのか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/16(月) 00:13:51.66 ID:tGt0F6Eo0<>
大和田「ああ。ほらよ、俺は他のヤツらほど頭良くないだろ? 桑田みたいにスポーツ進学も
     出来ねえ。だから大学なんてムリに決まってるし、そうなると就職しかねえじゃねーか」

K「まだ諦めるような歳ではないと思うがな。俺の知り合いには何浪もしたり、
  中には60歳を超えて医大に入り直したツワモノもいる」

大和田「…そいつはすげーな」

K「大工を選んだのには何か理由があるのか?」

大和田「そんな深い理由はねぇよ。ただ、俺は今まで族として爆走(はし)ったりモノを
     ぶっ壊すしかしてこなかったから、チームを卒業した後は逆に作る立場に
     なるのもいいかなって思っただけさ」

K「なかなか良い着想じゃないか」

大和田「…………」


突然、大和田はKAZUYAの顔を見て黙り込む。


K「どうかしたのか?」

大和田「いや、言ったらきっと笑うだろうよ」

K「何をだ? 俺は相手が真剣なら決して笑ったりはせん」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/16(月) 00:24:26.69 ID:tGt0F6Eo0<>
それでも最初は言うか言うまいかを躊躇っていたが、最終的に大和田は重い口を開いた。


大和田「…………不安なんだ」

K「今の生活がか?」

大和田「ちげえ。今もそうだけどよ、ここを出た後だ。あんたは多分わかってるだろうし
     俺も認めたくはねえが、結局俺は社会も知らずにイキがってるだけなんだよ」

大和田「他のヤツらと違って、俺はチームを抜けたら何も残らねぇ。そんな俺がちゃんと
     社会に出てやっていけるのかって思ったらよ…情けねぇことに不安で仕方ねえんだ」

K「……」

大和田「笑えよ。日本一の暴走族のヘッドがこんなちっぽけなことを
     ウジウジ悩んでるなんて、あんたにはおかしくてたまらねぇだろ?」

K「将来に不安を持つのは当然のことだ。俺だってお前くらいの時には色々悩んでいた」

大和田「医者一族の名門サラブレッドがつまんねーウソつくんじゃねぇよ」

K「嘘では…」


違うと説明しようとしたKAZUYAだが、その必要はなかった。大和田の反応がいつもと違ったのだ。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/16(月) 00:27:18.99 ID:tGt0F6Eo0<>
大和田「でもよ…励まそうって気持ちは伝わったぜ。ありがとよ」

K「…どうした? 今日はやけに素直だな…?」

大和田「兄弟と…それに不二咲のヤツがやたらあんたをほめるからよ。感化されちまったのかもなぁ。
     …あんたが俺達のために色々ガンバってたのは前からわかってたことだしよ」

K「…そうか」

大和田「じゃ、これもらってくぜ」


そう言って、大和田はヘルメットにツルハシ…そして何故か道路標識を持って行った。


K(友人とは…本当にかけがえのない物だな)


少しだけ心を開いてもらった気がして、KAZUYAは穏やかに笑った。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/16(月) 00:36:26.75 ID:tGt0F6Eo0<>
今日はここまで

狙ってた訳じゃないけど最初に仲間にした3人て特にコミュ力高めなメンバーだったから
モノクマの足止め作戦上手く行ったんだろうな、などと思ったり

あと、安価もらってからやけに投下遅かったのは石丸君が特殊イベント入ったからです
フラグが全部成立したので今後はとあるルートに入ったりします


あと次回用に残りの安価をば

>>822人名

>>824人名

>>826人名

>>828場所


シーユーネクストタイム!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/16(月) 00:50:24.82 ID:X1eFe2gg0<> 不二咲 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/16(月) 00:52:18.40 ID:DzkRIqaV0<> セレス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/16(月) 00:52:24.19 ID:3Ht2x5aYo<> 乙です 加速 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/16(月) 01:00:25.72 ID:zskNnmxAO<> 江ノ島 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2013/12/16(月) 01:46:45.82 ID:TTG3Dqsv0<> 江ノ島 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2013/12/16(月) 03:19:59.69 ID:UJjnxujL0<> 乙ですよ ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/16(月) 05:32:44.10 ID:VbO1nrjDO<> 江ノ島二回じゃないならセレス

場所ならプール <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/16(月) 18:42:32.56 ID:9Hi2TORo0<> 一気読みしてしまった
舞園のこれからが心配だ
自業自得とは言え、完治しても桑田とはギスギスしそうで
この二人事件の後でまともに話してないし…

あと桑田の「せんせー」って呼び方可愛い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/16(月) 20:08:12.32 ID:itE1+I+Co<> せんせぇ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/16(月) 22:51:31.16 ID:jnqRsaVm0<> 結局安価はどうなるの
>>824か>>828を最安価するのか? <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/16(月) 23:25:22.61 ID:ww077CSi0<> こんばんわ。>>824を再安価ですかね
というか、場所安価はてっきり桑田のステ強化かと思いきやあえてのプール
これはあれですよね?ほのぼの回最後の自由行動ということで
ドキッ希望ヶ峰78期生ワクワク水泳大会を希望ってことですよね?!

とりあえず人名で安価下 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/16(月) 23:32:11.77 ID:Xze3vHfDO<> 桑田 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/16(月) 23:50:05.87 ID:jnqRsaVm0<> お疲れ様
ドキッ希望ヶ峰78期生ワクワク水泳大会が楽しみだ <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/16(月) 23:54:53.92 ID:ww077CSi0<> ええっと、自分の説明が悪くて申し訳ない
ステ強化は「場所選択」の時に生徒の部屋に行かないとダメなんです…
普通に会って親密度上げてもいいけど、既に仲間化してるし、
他の生徒に会った方がいいんじゃないかなーと思います

ちなみにChapter.2の自由行動は、動機配布後のラスト一回が残ってるので
そこで選択してもらえればステ強化行けます

再安価しますか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/16(月) 23:57:21.50 ID:Xze3vHfDO<> ではセレスに変更で <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/16(月) 23:59:11.29 ID:ww077CSi0<> 了解しました! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/17(火) 09:51:47.52 ID:vnK5lOwCO<> 桑田ってSSだとすごく男らしいいい奴か汚れ役のどっちかが多いけどここではゲームのキャラに忠実な感じでいいな
精神年齢が幼くてカッコつけたがり、ってのは自分も思ってたから読みながら納得しまくってた <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 21:19:07.47 ID:g5p74fXS0<>
KAZUYAは廊下を歩いていると、前方をフラフラと進む不二咲を見つけた。


K「おい、不二咲」

不二咲「あ、西城先生」

K「どうしたフラフラして? 目にクマもあるし、あまり寝れていないのか?」

不二咲「心配させてごめんなさい…でも大丈夫だから」

K「寝不足になるほど何かに熱中しているのか?」

不二咲「うーんと…あの、ねぇ…」


顔を赤くして何やらモジモジしている。その姿は非常に可愛らしかったが、
何か聞いてはいけないことだったのではないかとKAZUYAは少し慌てた。


K「いや、すまん。プライバシーの侵害だな。聞かなかったことにしてくれ」

不二咲「あ、ううん! 違うのぉ。…先生なら、いいかな」

K「?」

不二咲「あの、ね…先生、耳を貸してもらってもいい?」


どうやらあまり大声で言えない話のようだ。しかし、耳を貸そうにも
140センチ代の不二咲と2メートル近いKAZUYAでは実に50センチ近くも差があり、
屈んだだけでは到底届かないので近くに片膝をついてしゃがみこむ。


不二咲「ひゃっ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 21:23:10.95 ID:g5p74fXS0<>
いつも遥か遠くにあるKAZUYAの顔がすぐ側に来て驚いたのか、不二咲は顔を赤らめた。
そんな反応が小学生みたいで何とも言えず愛らしく、KAZUYAも思わず微笑む。


K「どうかしたか?」

不二咲「う、ううん。なんでもないです。それで、話なんですけど…」


しかし、不二咲の発言はKAZUYAの微笑ましい気分を吹き飛ばす程の衝撃的な内容だった。
不二咲はKAZUYAの耳に顔を近付けそっと囁く。


不二咲「図書室に壊れたノートパソコンがあったでしょう? 僕が修理したんですけど…
     中に脱出の手がかりがないか、今内部を解析するプログラムを作ってる最中なんです」

KAZUYA「何だとっ…?!」

不二咲「明日には完成する予定だから、それ以降には先生にも見せてあげられそうです」

KAZUYA「…しかし、部屋で作業すれば黒幕に見つかるだろう。どこで作業している?」

不二咲「うーんとね、最初は単なる打ち込みだから部屋でやってたんだけど、
     今は最後の調整中だから脱衣所でやってます」


脱衣所と聞いてKAZUYAは嫌なことに気付く。


K「気をつけろ。脱衣所には監視カメラはないが盗聴器がある」

不二咲「そうなのぉ?! 良かったぁ。まだ音声入れてなくて…」

K「音声? プログラムから音がするのか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 21:26:20.81 ID:g5p74fXS0<>
言ってKAZUYAは思い出した。


K「まさか…例のプログラムか?」

不二咲「そうです。自分の一番得意なプログラムがいいかなと思って…」


そう言って不二咲ははにかむ。この爆弾には流石のKAZUYAも驚喜せざるを得なかった。
視聴覚室かどこかに、ネットワーク環境があるかもしれない。もしハッキングが可能なら、
外の情報を得ることも場合によってはこの学園のシステムすら乗っ取れるかもしれない。


K「でかした! 大金星だぞ!」

不二咲「エヘヘ。本当?」

K「ああ。俺に手伝えることがあったら何でも言ってくれ!」

不二咲「あ、それなら一つお願いしたいことがあるんですけど…」

K「何だ?」

不二咲「あのパソコンは旧型だから処理が遅くて…倉庫に置いてある機械に使える部品が
     あればいいなって探してみたんだけど、僕だと上の方は届かないし重い物も
     持てないから…先生に頼んでもいいですか?」

K「任せろ。俺にも機械の知識は多少あるし、必ず調達してきてやる」

不二咲「ふふ、やっぱり先生は頼りになるなぁ。お願いします」


少しずつ脱出に向けて光明が見えてきた。そう胸を高鳴らすKAZUYAだったが、
モノクマこと黒幕の魔の手はもうすぐそこまで来ていた。


・・・

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 21:34:32.22 ID:g5p74fXS0<>
次にKAZUYAは娯楽室を訪れた。思えば、最初の探索以来初めて来た気がする。


セレス「あら、どなたが訪れたかと思えば…随分と珍しいお客様ですこと」


机に肘をつき、気だるげな微笑を浮かべたセレスがそこにいた。


K「もう一週間以上ここにいるというのに、二人だけで話すのは初めてな気がするな」

セレス「そうですわね…それにしても、一体どのような御用でしょうか?
     先生はあまりこういったものにご興味があるようには見えませんが」

K「俺とてたまには息抜きもするさ。…そういえば君はその歳で既に一流のギャンブラーだそうだな」

セレス「…何か賭けますか?」


クスリ、とセレスは笑う。笑顔と言っても本物ではない。作り物の、ポーカーフェイスの笑顔だ。
KAZUYAは長い人生でこのようなタイプの女性を何度か見たことがあるが、そのいずれも
只者ではない…いわゆる曲者だということをよく知っていた。


K「俺は賭け事は嫌いだ」

セレス「では、ノーレートでポーカーでも」

K「そうだな。相手をしてもらえるか?」


KAZUYAも席に付き、セレスとポーカーをする。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 21:41:13.28 ID:g5p74fXS0<>
セレス「本当はどんな用でいらしたのですか、先生?」

K「俺はただ生徒達とコミュニケーションを取りたかっただけだ。どうしても話しやすい
  生徒とばかり話してしまうが、それでは校医として片手落ちだからな」

セレス「あら、わたくしはてっきり腹の探り合いに来たのかと思いましたわ?」

K「……」


ピクリ、とKAZUYAの眉が上がった。その様子を見てセレスはクスクスと笑う。


セレス「…冗談ですわ。西城先生が人を殺すようにはとても見えませんし、わたくしは
     以前から主張しております通り、この生活に適応することを望んでいますので」

K「そうか」


ポーカーをしつつ無難な世間話を少しして、KAZUYAは娯楽室を去った。


K(セレスティア・ルーデンベルク…とても高校生とは思えん。一筋縄ではいかない相手だな…)


それが初めてセレスと一対一で相対したKAZUYAの感想であった。

今の所はこの生活に満足しているらしいので特に問題はないが、必要さえあれば恐ろしいほど
冷酷な判断をするタイプに思える。下手をしたら十神より厄介かもしれないとKAZUYAは内心警戒した。


・・・

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 21:45:23.88 ID:g5p74fXS0<>
KAZUYAはモノモノマシーンで以前手に入れた物を持ってある人物を探している。


K「ム、あそこにいたか…おい、江ノ島」

江ノ島「な、なによ…あたしになんのようなワケ?」


KAZUYAに呼び止められ、江ノ島はあからさまに警戒していた。


江ノ島(Kは鋭いからあんまり話すと残姉は絶対正体バレる、なるべく近付くな!って
     盾子ちゃんからキツく言われてるんだよね。確かに私も隠し通せる自信ないし)

K(…思えばあのDVDが配られたあたりから、露骨に避けられているな)


二人のそれぞれの思惑が鈍く交差する。


K「そう嫌な顔をするな。今日はお前を褒めに来てやったというのに」

江ノ島「え…?」


KAZUYAの発言が予想外だったのか、江ノ島は少し驚いているようだった。


K「さっきの授業だ。随分良く出来ていたな。人を見かけで判断するなというが全くだ」

江ノ島「…ま、まああのくらいラクショーだし?」

K「そういえば、モノモノマシーンでこんな物を手に入れたんだが、いるか?」

江ノ島「そ、それはレーション! ハッ…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 21:50:07.99 ID:g5p74fXS0<>
K「前に好きだと言っていただろう? ほら」

江ノ島「あ、ありがとう…」

K「お前…前から思っていたが…」

江ノ島「ち、ちがっ! これはギャルなら…」

K「今流行のミリタリー女子とかいう奴なのだろう!」

江ノ島「……は?」


必死に誤魔化そうと言い訳を考えていたのに、突然妙な単語を出されて思わず江ノ島は静止する。


K「違うのか? 俺は流行りには疎いのだが、桑田が今流行っていると言っていたぞ。
  あいつは俺と違って世間の流行に詳しいみたいだからな」

江ノ島(え、うそ…流行ってるの? 知らなかった。私の時代が既に来ていたなんて…
     聞いたことないけど、でも確かに桑田君なら流行とかうるさそうだし)

江ノ島「そ、そうなんだよ! よく知ってるじゃん。ギャハハ」

K「やはりな。ギャルのイメージとかけ離れているから今まで隠していたのか?」

江ノ島「マジマジ! 大変なんだからね! ギャルがモデルガン持つなとか言われちゃってさぁ!」

K「実は俺もその手の物が好きでな。医者がそれでは患者に悪印象だから隠しているのだが」

江ノ島「え、マジで?! 仲間じゃん!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 21:54:37.49 ID:g5p74fXS0<>
KAZUYAがそんなものに興味を持っているとは全く知らないし聞いたこともないが、アフリカ中東南米など
彼が治安の悪い所へ率先して治療に行くのを江ノ島は知っていたため特に違和感もなかった。


K「何か一押しの銃器があったら教えてくれないか? 海外の危険地域に行く際身を守るために
  いつも持ち歩いているのだが、他人の意見も参考にしたい。使いやすいのがあれば教えてくれ」

江ノ島「任せてよ! よく撃つの? あんまり撃たないなら命中率も良くなさそうだし、
     やっぱり弾数が多いオートマチックがいいよね。アタシのオススメはね…!」


こうして江ノ島の長々とした銃器の講義をKAZUYAは聞き始める。
余程誰かに聞いてもらいたかったのか、一度話し出すと止まらないのだった。


K「凄く参考になった。ありがとう」

江ノ島「ま、このくらい余裕じゃん? また何か聞きたいことあったら教えてあげるよ。じゃね!」


機嫌良く去っていく江ノ島の姿をKAZUYAは凝視する。主に、服に覆われていない手や足を。


K(間違いない――彼女はプロだ)


今まで慎重だったKAZUYAがとうとう断言した。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 21:59:56.94 ID:g5p74fXS0<>
K(俺もそこまで詳しい訳ではないが、彼女の持つ軍事知識が多岐に渡っており、しかも非常に実戦的な
  ことくらいはわかる。年齢が若いからか、はたまた頭脳戦は苦手なのか演技力には難があったが…)

K(…それより何故今まで気付かなかった。彼女の鍛えあげられた肢体を見れば一目瞭然ではないか。
  怪我のせいか…それとも自分で思っているよりも環境の変化で洞察力が落ちていたのか?)


あるいは。


K(……生徒を疑いたくなかったのかもしれないな)


その考えに至ると、KAZUYAは深々と溜息を吐いたのだった。


・・・


K(この所色々なことがあって、流石の俺も少々疲れてきた。そろそろ息抜きも必要か)

K「桑田」

桑田「お、なになに? どーしたよ?」

K「前に一緒に泳ごうと誘ってくれただろう? お前のおかげで無事電子生徒手帳も
  手に入れたことだし、今から泳ぎに行かないか?」

桑田「お、行く行く! じゃあさ、せっかくだしヒマそうな奴に片っぱしから声かけるわ」

K「そうだな。大勢いた方が良い気分転換にもなるだろうし、任せるぞ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 22:03:40.62 ID:g5p74fXS0<>
そして二十分後、プールサイドにて。


石丸「よし、兄弟! どっちが速いか勝負だ!」

大和田「悪いが俺は負けねえぞ!」

苗木「桑田君、KAZUYA先生も来るって本当? なんか意外だなぁ」

桑田「そうか? せんせーってあんなツラしてるけどなんだかんだ言って付き合い良くね?」

葉隠「クールキャラに見せかけて中身はすっごい熱血だしな」

山田「一昔前の少年漫画の主人公はあの手のタイプが主流だったのです」

朝日奈「お待たせー!」

大神「待たせたな」

桑田「ん? お、おー!(ヤッベェェェ、すげえよこの二人の胸! 誘って良かったぜ!)」

葉隠「…いい眺めだべぇ」

山田「ムッハー! 創作意欲が刺激されますな!」

桑田「…お前二次元限定とか言ってなかったっけ? なーんか変だと思ったんだよな。
    全然運動しないくせに今回はやけにノリ気だったからさ」

山田「…い、いやこれは絵の参考になるという意味でして…僕はあくまでぶー子一筋です!」

葉隠「どっちでもいいべ。素直に拝ませてもらうのが一番。ありがたやありがたや」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 22:11:49.02 ID:g5p74fXS0<>
そんないかがわしい考えの三人は無視して苗木が朝日奈達に応じる。


苗木「僕らも今来た所だよ」

大和田「ん、おい。不二咲はどうした? 他のヤツらはともかく不二咲が来ないなんて変だな」

朝日奈「んー、誘ったんだけどね、用事があるからって言って断られちゃった」

大和田「そうか」

桑田「おおい、お前目の前のムチ子ちゃんよりロリっ娘が気になるのか?
    …もしかして、そういう趣味とか?」

葉隠「桑田っち、人の好みに口を出すのは野暮ってもんだべ。ここは二人を
    応援しつつ、ガッチリ証拠を掴んで後でゆするネタに…」

大和田「お前らぶっ転がされてぇみたいだな!」

石丸「兄弟、暴力と不純異性交遊は禁止だぞ!」


そんなことを話しているとガチャリと更衣室の扉が開いた。


K「すまん、待たせたか?」バーン!

苗木・桑田・葉隠・山田「……(うわ…)」


大神さくら並か、或いはそれを上回る筋肉を誇るKAZUYAに言葉を失う。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 22:18:54.10 ID:g5p74fXS0<>
葉隠「オーガが……二人いるべ」

桑田「俺、もうせんせーにツッコミ入れるのやめるわ…」

山田「あれじゃないですか。本当は刃牙の世界のお医者さんなんじゃないですか…」

苗木「あんまり意識してなかったけど、僕達って実は凄い先生に教わってるのかな…ハハ」

大和田「…チッ、負けねえぞ。俺も徹底的に鍛えてやる」

石丸「僕も付き合おう! 鍛えるのは良いことだ。ハッハッハッ」


ボソボソと話す男性陣に対し、女子は快活にKAZUYAに近付いていく。


朝日奈「わあー先生、スッゴい鍛えてるねー。私もみならわないと!」

大神「しかし西城殿、腹部にあるその傷痕はどうなされたのか?」

K「これか。実は俺は二年前に癌を患ってな。その時の手術痕だ」

一同「……え」

大和田「お、おい…ガンってあれだろ…? メチャクチャやばくねえか?」

石丸「癌といえば未だに日本の死亡理由一位の難病では…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 22:28:57.86 ID:g5p74fXS0<>
K「今の所再発の兆しはない。あと石丸、癌にかかる人間の大半は高齢者だと
  言うことを忘れているぞ。早めに発見して適切な治療さえすれば、今は癌も治る」

大神「しかし癌は治っても、筋肉に一度刃物を入れてしまうと元には戻らぬのでは…?」

K「執刀をしたのは俺の親友だ。腕が良かったのと、あとはまあ気合いだな」

山田「き、気合いって…」

葉隠「普通は気合いじゃどうにもならんべ」


やっぱりちょっと生徒達は引いているが、KAZUYAはあえて気にしない。


K「俺は大丈夫だ。それより、折角の機会だろう? 今日は思い切り泳ぐぞ!」

朝日奈「よーし! さっそくみんなで競争しよー!」

「おー!」



コンマ判定
下一桁の数字が大きいほど大勝利。今いるメンバーの親密度にボーナス!なお0は…

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/18(水) 22:30:51.70 ID:kArIxeX00<> 果たして… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/18(水) 22:31:18.38 ID:wRy25F1go<> ほい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/18(水) 22:34:22.79 ID:G2t0OHhYo<> ほう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/18(水) 22:38:00.52 ID:eShz1KLR0<> どすこい <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 22:43:55.36 ID:g5p74fXS0<> 0はクリティカルのつもりだったけど、マジで0来るとか…KAZUYA先生実は相当な強運なんじゃ…?


ザババババババババババババババババババババッ!

K「フゥ!」ザッパアアアアン!

K「…さて、みんなは?」


泳ぎ切ったKAZUYAが後ろを振り向くと、遥か後ろの方に生徒達が連なっていた。

バシャバシャバシャ…


朝日奈「ぷはー! 先生、早いよっ!」パシャンッ!

K「…そうか?」

朝日奈「私男子にだって負けたことなかったのに〜! 悔しい!」

大神「流石だな、西城殿」

大和田「…バケモンかよ、マジで」ゼーゼー

朝日奈「もう一回! もう一回やろっ!」

K「う、うむ」


結局何度も対決する羽目になった。だが久しぶりに全力で体を動かしたのと、
生徒達と触れ合えてとても楽しかった。良い息抜きになったようだ。


朝日奈「ま、まだまだだよ…!」ゼェ…ハァ…

K「…もうやめにしないか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/18(水) 22:55:09.32 ID:g5p74fXS0<>
ここまで
下三つどれが当たってても先生大勝利でワロタ。これが人徳のなせる技か

書かなければいけない情報が多いから仕方ないとはいえ、いかんせんテンポが遅い…
このスレ内でどこまで行けるか。とりあえず動機まであと二日です

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/18(水) 23:10:06.41 ID:IdfaY6C9o<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/19(木) 00:55:30.58 ID:Japmcvs3o<> おつおつ
情報良が多い故の進みの遅さは自分的にみれば内容が濃厚で長く楽しめる感じなのでむしろ楽しいですお <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/19(木) 08:29:27.26 ID:4pkuwaCF0<> 大和田も何とかなりそうだな。Kに協力的な生徒も多くなってきたし
あとは本来退場しているはずの舞園と戦刃がどう動くかだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/19(木) 14:57:34.43 ID:KkLAF6oio<> 残姉は暴けば暴くほど死神の足音が聴こえてしょうがない。 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:00:46.73 ID:S/b4d96R0<>
― 調理場 PM4:30 ―


調理場でKAZUYAは愛用の手術道具を広げていた。手術をする訳でもないのにKAZUYAは
念入りに器具を消毒しており、苗木と石丸は若干緊張しながらその光景を見ていた。


苗木「えーっと、突然呼び出して何ですか先生?」

K「今日は俺が食事当番の班長だ」

石丸「それはわかるのですが、いつもよりだいぶ早いですね。それにこの大量の魚は…」

K「この魚を用いて……これから解剖実習を行う!」

石丸「!」

苗木「……え? ええええええっ?!」


得心して頷く石丸とは対照に苗木は慌てる。


苗木「な、なに言ってるんですか先生?! ハッ、まさか今朝の授業で僕が救命士を考えて
    みるなんて言ったから、本気にしちゃったんですか?! 冗談ですよあれ!」

K「わかっているさ。だが、俺は本当に向いていると思ったのだ。考えてみろ?
  医療系はな、進んだはいいがどうしても血が克服出来ず挫折する人間が時折いる」

K「お前は本当なら大学や専門学校に行かなければ受けられない授業をプロの医者監修で
  ただで受けることが出来るのだぞ? そう堅く構えず、体験授業だと考えればいい」

K「やってみて興味が湧いたら進んでみろ。合わない、無理だと思ったらやめればいい」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:06:58.34 ID:S/b4d96R0<>
苗木「そ、そうか…普通は将来を決めて進学してからじゃないと出来ないのに、
    僕はフライングして体験出来るんだ…そう考えると確かにお得かも?」

石丸「僕としても一人で行うより、一緒に切磋琢磨出来る仲間がいた方がいい!
    共に頑張ろうではないか、苗木君!」

苗木「え…で、でも何で石丸君がいるの? 石丸君て…」


僕達の中でも断トツの不器用だよね…という言葉を苗木は優しさで飲み込んであげた。


石丸「うむ! 僕は政治家になる前にまず人間として成長しようと思って、
    そのために医学の道に進むことを決めたのだ!」

苗木「そ、そうなのっ?!」


あの人並み外れた不器用さで医者になれるのか…という疑問は今は置いておく。


苗木(石丸君、もう将来のこと決めてるんだ…凄いな)

苗木「じゃあ折角だし、僕もやるだけやってみようかなぁ…」

K「ウム、その意気だ。では準備をするぞ。このエプロンとマスクを付けろ」

苗木・石丸「はい!」

K「俺の愛用の道具を貸してやる。ちなみに学校で何かを解剖したことはあるか?」

石丸「フナなら一度小学生の時にやった記憶がありますが…」

苗木「僕は初めて…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:14:24.34 ID:S/b4d96R0<>
K「そうか。最近は解剖をやらない学校も多いらしいから仕方ないな。
  さて、おいおい器具の説明もするが、まずは俺が手本を見せよう」ジャキーン!


KAZUYAはそう言って解剖用の剪刀を構える。KAZUYA程の腕なら通常通りメスで十分切り刻めるが、
魚は表面が滑るので普通はゴム手袋を付けず素手で専用の剪刀を使って解剖をするのだ。

剪刀(せんとう):要はハサミのことである。今回は片尖直型と言って、片側が丸く片側が鋭い
           タイプを用いている。丸い方を体内に入れれば内蔵に傷が付きにくいのだ。


苗木「あ、先生! その前にちょっと…」

K「何だ?」

苗木「ち、ちなみに…この大量の魚は捌いたあとどうするんですか…?」

K「今夜は白身魚のフライだ。揚げ物は体に良くないし俺はあまり好きではないが、
  お前達若いのはスタミナの付く物を食べんと満足出来んだろうからな」

苗木「えっいや、ええええええっ?!」

石丸「食べるのですかっ?!」

K「当たり前だ。まさか捨てるとでも思ったのか?」

苗木「え、で、でも…」

石丸「それらの器具は…過去に誰かへ使っているのでは…」


下手したら自分達のクラスメイトに使った物なのでは、という恐怖心を抱く。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:20:28.36 ID:S/b4d96R0<>
K「消毒したから大丈夫だ」

苗木・石丸「…………」

K「 消 毒 し た か ら 大 丈 夫 だ ! 」クワッ


…医者って凄い。苗木と石丸はこの時点で大分クラクラしていた。


苗木「器具もそうだけど実習に使った物を食べるってなんか…」

K「そんなに抵抗があるか? 医者にとっては普通だぞ」

石丸「普通なのですかっ?!」

K「あ、いや…普通…だと、思うぞ…?」

苗木「どうして疑問形なんですか?!」


何事もハッキリと話すKAZUYAが珍しく口ごもるとその不安はとてつもない。


K「俺の家は色々普通と違っていたからな…大学で会った友人も食べていたから
  今まで特に疑問を持たなかったが、余所がどうしてるかまではわからん」

K「だが、命を粗末にする訳にはいかんだろう? 俺達の手でこの魚を成仏させてやるのだ」

石丸「成程…こうやって命の大切さを学んで行くのですね…為になりました」

苗木「ちょっと違うと思うけど、こうなったら仕方ないよね。僕も覚悟を決めます。ハァ…」

K「よし、実習開始だ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:27:16.81 ID:S/b4d96R0<>
KAZUYAは魚の肛門から剪刀を入れて胴体を手際良く切り開き、メスで身を取り除いて内臓を露出させる。
鮮魚だったのか、その際に真っ赤な血がジワジワとまな板の上に広がり、二人は息を呑んだ。


K「魚類の解剖は本来ニジマス等のそこそこの大きさを持つ有胃魚を使う。魚類と哺乳類では
  体の形は全く違うが、腹腔内に関して言えば主要な内臓や消化器系など共通点も多い」


ちなみにフナ、コイ等のコイ科・ドジョウ科・その他サンマ、トビウオ等は胃を持たない無胃魚である。


K「とりあえずお前達は初めてだから、道具に慣れることと内臓の繋がりだけ覚えてくれればいい。
  これが心臓、肝臓、腎臓、食道、胃、腸。魚は更にこの幽門垂、エラ、浮袋がある」

K「最終的にはこのように内蔵を全て取り出し一人で解体出来るようになってもらうが」ズボッ、ピローン

苗木・石丸「ヒィッ」


顔色一つ変えずに魚の内蔵を取り出して器具でいじるKAZUYAに若干引きながらも、
二人は実習に取り掛かったのだった。


苗木「……」集中!

K「そう、そうだ。いいぞ。初めてにしては上出来じゃないか」

苗木「え、そうですか? うーん…前から思ってたけど、KAZUYA先生って実は褒め上手でしょ?」

K「いや、元々お前はそれなりに器用なのだろう。集中力も高い。それにしても…」チラリ

苗木「……」チラ


KAZUYAと苗木は無言で横を見る。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:34:45.57 ID:S/b4d96R0<>
石丸「あ! また腸が切れてしまった!」

K「…何回目だ」

石丸「す、すみません! 今度こそは…!」


腸が切れるだけならまだかわいいもので、身だけでなく骨や内蔵も切り裂いてしまうし、
鉗子で物を掴めば勢い余って握り潰す。無駄な出血で台に血が溢れ、惨憺たる光景となっていた。


石丸「努力…努力だ! 練習し続ければきっと…!」ブツブツ

K(これは…仕込むのに手間がかかりそうだな…)汗


こうして時間いっぱい実習を行い、ついでに使った魚は全て切り身にした。
他の食事当番が来る前に片付けを終え、そのまま調理も始める。


石丸「先生! 僕は今日から毎日朝昼晩と魚を食べることに決めました!」

K「まあ、体には良いだろう。俺の分も切っていいぞ」

石丸「ありがとうございます! …苗木君」ジーッ

苗木「あ、ええと…もちろん僕も付き合うよ」

石丸「一緒に頑張ろう!」

苗木「…うん(これから毎日魚しか食べられないのかな…憂鬱だ)」


こうして最初の医療実習は幕を閉じた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:39:21.59 ID:S/b4d96R0<>
― 二階 男子トイレ PM8:34 ―


K(ここだな)


KAZUYAは学園エリア二階の男子トイレ一番奥にある掃除用具入れの中に立っていた。
電子生徒手帳を手に入れ中の機能を確認していた際、学園のMAPに妙な部分が
あるのに気が付いたのだ。不自然な出っ張り…今はそれを確認しに赴いたのである。


K(…俺の予想ではここに何かがある)


タイルの一枚一枚まで念入りに調べていくKAZUYA。
そしてあるタイルを押した時、壁が後ろに下がったのだった。


K(これは! やはり…!!)


中に誰もいないのを確認して足を踏み入れる。そこは埃っぽい小部屋であった。


K(資料のような物があるな…)


横の棚からいくつかファイルを取り出し、椅子に座って読みはじめる。


K「馬鹿な…!」


中に書かれていたのは衝撃的な内容だった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:41:52.55 ID:S/b4d96R0<>
K(人類史上最大最悪の絶望的事件…!! 俺の推測は当たってしまっていたのか…)


当たっても嬉しくもなんともなかった。むしろKAZUYAにとってそれは最悪の情報だった。


K(つまり、警察は当てにならん。自分達でどうにかしなければいけないということになる)

K(…被害状況はどうなのだろう。人類史上というからには日本だけでなく
  世界中で問題が起こっているのか? 高品、七瀬、軍曹…どうか無事でいてくれ)


友人達の安否を祈りながら、次々に資料を取り出しては手早く読み込んでいく。
ただKAZUYAはある奇妙なことに気が付いた。


K(…不自然だな。“人類史上最大最悪の絶望的事件”や“希望ヶ峰シェルター計画”など
  単語はやたら出てくるが、その詳細や発生時期はほとんど載っていない。抜き取られている)

K(思えば、この隠し部屋…MAPに堂々と載っているのに黒幕が気付かない等と
  言うことがあるのだろうか。何らかの罠という可能性は?)

K(そう言えば、校則の四番目…『希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に
  制限は課せられません』。思えば不自然な校則だった。もしやこれに関係しているのか?)


全ての資料に目を通し、KAZUYAは考え始める。


K(時系列を整理しよう。俺の学園赴任後、“人類史上最大最悪の絶望的事件”が起こる。
  事態を重く見た学園は希望ヶ峰学園閉鎖を決め、同時に“希望ヶ峰シェルター計画”を発動)

K(そうなると…成程、子供達の安全のために俺がその計画に協力した可能性は高いな。
  だから学園が閉鎖してからもしばらく俺はこの学園に残っていた。辻褄は合う)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:49:12.56 ID:S/b4d96R0<>
K(つまり、シェルター計画が完了する前に黒幕が学園に乗り込んできて学園をジャック。
  生徒達を閉じ込め俺達邪魔な教員を殺したということか…)

K(矛盾や不自然な点は…特にないな。つまりこの資料の信憑性は高いと見ていいのか?)

K(だが…)


しかしKAZUYAは一つだけ気になる事実に気付いてしまった。


K(確かに俺の性格的に何らかの協力はしたと思うが、黒幕が学園に乗り込んだのは恐らく
  シェルター化が完了する直前だろう。その頃には俺はここを去っていたのではないか?
  外が荒れ果てているのなら、俺は怪我人を治療するために一刻も早く病院に向かうはず)

K(何らかのSOSを受けて乗り込んだ? いや、いくら俺でもたった一人で乗り込むだろうか。
  …何故俺はここに残っていたのだ?)


そこまで考えてKAZUYAは酷い目眩を覚える。

ズキリ!


K(ぐ、頭痛が…!)


KAZUYAは頭を押さえる。その時、見覚えのある映像が脳裏に浮かんだ。
どこかで誰かと話している。映像も音声もぼんやりとしてはっきりとは映らない。


K『ふ・けないで・れ! ・は・・な話・聞いて・・・!』

?『――申し訳ない・・・ます。しかし、・・こ・・・の・・・・・・は完了し――』

K『・・騙し・・! ・めから・・・・に・・込め・・・りでわざと――!』

?『――死なせる訳には――』

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:52:21.04 ID:S/b4d96R0<>
そこで映像は途切れた。KAZUYAは未だぼんやりとする意識を強靭な意志で覚醒させる。


K「今の映像は、何だ…俺は一体何を忘れている…?」


その時脳内に聞き覚えのある声が聞こえた。


――耐えろ…耐えるのだ…KAZUYA…


K(誰だ?! ……親父?)


心の中で反芻するが、当然どこからも答えなど帰ってこない。


K(もうこれ以上ここで得られる情報はない。戻ろう…)


戻りながらKAZUYAは考えていた。


K(どうする? 生徒達に外の状態やシェルター計画について伝えるか?
  外が危険な以上、ここに留まっているのはそう悪くない判断かもしれん)

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 17:59:15.02 ID:S/b4d96R0<>
K(…だが、俺にはそれらを証明する具体的な証拠がない。中途半端に情報を与えても、
  かえって生徒達は混乱するだけだろう。それこそあのDVDの時のように、
  外の状況を確認しようと事件を起こす生徒が出てこないとも限らん)

K(何より、今はまだ生徒達全員と十分な信頼関係を築き上げているとは言えん。
  最低でも全体の3分の2…十人は俺の言葉を信頼して結束してくれる状態でないと、
  いたずらに内部分裂や生徒同士の対立を産むだけだ)


生徒達の精神状態もそうだが、最も懸念すべき事項があった。


K(それに、俺が外の情報を生徒に教えたと発覚した場合の黒幕の動きが気になる…
  校則には学園を調べるのは自由と書いてあるが、ゲームマスターの言葉など
  所詮は信用出来ん。奴はいつでもルールを変えられる立場なのだからな)

K(もう少し、切り札がいるな。そしてその切り札の一つは現在不二咲が作ってくれている。
  今は焦って動く時ではない。今まで通り生徒達の様子に気を配っておくとしよう)


そう方針を決め、KAZUYAは保健室へと戻って行った。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/21(土) 18:09:03.86 ID:S/b4d96R0<>
ここまで。出来れば今日中にもう一回来たいけど、来れるかどうか微妙な所


あとかなりどうでもいいけど幽門垂の説明入れ忘れてた

幽門垂:硬骨魚類に特有の消化器官。胃と腸の境界部から突き出した袋状の器官で、
     消化酵素を分泌し消化を手伝う。塩辛の原料にされたりもする。


…最近グロ画像ばかり見ている気がするなぁ。くう疲

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/21(土) 20:42:41.25 ID:8DtP5HGuo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/21(土) 21:17:50.98 ID:hbgXOCrE0<> 子供にガラスの破片で手術させてたな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/21(土) 22:45:18.95 ID:NFwZrVqXo<> ドクター乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/21(土) 23:04:40.47 ID:ipk7BBRc0<> 縫合練習したトリを食うときは、Kも引いていたような気がするけど…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/22(日) 00:22:14.71 ID:xaVd/e+DO<> なるほど仁さんが何かやらかしたのか。 <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 01:31:33.34 ID:esHQ+vGQ0<>
明日は早いのでやっぱり今日は無理そうです。すみません
次回で馬鹿みたいに長かったChapter.2の日常編終了の予定となります
ちょっと早いけど、キリもいいし明日の晩あたりに次スレの相談とか
するかもしれないです。それでは…


>>877
縫合した部分は嫌がっていたけど、自分で解体して捌いたであろう鶏は
普通に食べていたので、縫合糸という異物を入れたのが嫌だったのかなーと
解釈してました。魚や鶏は解体後食べる人が結構いらっしゃるみたいなので
でも、おかしいと思ったらスルーして下さい。すみません

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/22(日) 02:05:54.43 ID:5nV4HP7v0<> >>879
納得しました。
縫合糸も、体内にあって問題ないものですし、
そのまま便と一緒に出てくるはずですものね。

時々原形残した茸とかが便に見えたりしますし…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>Sage<>2013/12/22(日) 17:17:24.21 ID:3TuR7Uzm0<> そういや包丁で魚をさばこうとして以外とてこずってた事もあったよね
人間はよく切るんだが…とか言いながら <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 21:53:55.84 ID:VHjeaOiZ0<>
再開!

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 21:56:00.07 ID:VHjeaOiZ0<>
翌日。

いつものように授業を行い、石丸に勉強をつけ、解剖実習を行い夕食を食べる。
コロシアイ学園生活九日目はそんな平和で平凡な一日だった。

…が、この日は大きなターニングポイントだったのである。


― 保健室 PM2:54 ―


苗木「先生! やりましたよ!」


苗木が保健室に駆け込んできた。


K「そんなに慌ててどうかしたのか?」

苗木「今すぐ舞園さんの部屋まで来てもらえますか?」

K「舞園の部屋にか?」


苗木に連れられ舞園の部屋へ行く。どうやら、やっと部屋を戻したようだ。
これでやっと苗木も落ち着けるな、と考えながらKAZUYAは舞園の部屋に入った。
中には部屋の本来の主である舞園と、見舞いに来たであろう朝日奈と大神の二人がいた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:02:11.39 ID:VHjeaOiZ0<>
朝日奈「あ、先生!」

K「ム、どうしたのだそれは?」

舞園「苗木君がモノモノマシーンで当ててくれたんです」


舞園は車椅子の上に座っていた。苗木が手に入れてきたらしい。


K「本当に何でも出るのだな、あの機械は…」

朝日奈「これなら明日から舞園ちゃんもご飯食べに来られるね」

大神「腕によりをかけて作らねばな」

舞園「二人とも…ありがとうございます」

朝日奈「気にしなくていいって。あんなことあったけど…全部黒幕が悪いんだからさ!」


そうは言うが、朝日奈の表情が若干の緊張を帯びているのをKAZUYAは気が付いていた。
当然人間観察に長け、勘の良い舞園がわからないはずはない。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:08:24.66 ID:VHjeaOiZ0<>
K「では舞園は明日退院、ということでいいな」

苗木「先生の許可も出たし、やったね。舞園さん!」

K「退院と言ってもまだ傷は完全に治った訳ではない。長距離を歩く時は車椅子を使い、
  今まで通り激しい動きはしばらく厳禁だ」

舞園「わかりました。先生には本当にお世話に…」

K「礼は完治して元気な姿を見せてからにしてくれ」


こうして、とうとう舞園さやかの退院が決まったのだった。


K(…何も起きなければいいのだが。一応手は打っておくか)


・・・

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:13:04.09 ID:VHjeaOiZ0<>
調理場では例によって二度目の解剖実習が行われた。


苗木「えっと、コッヘル鉗子が有鈎でペアン鉗子が無鈎。モスキート鉗子は小型のペアン…」メモメモ

K「無鈎のコッヘルもあるから定義的にはそれは正しくないのだが…現場では実質鈎の有無で
  判断していることが大半だ。だからそう覚えていても特に問題はない」


鈎(こう):鉗子や鑷子(せっし:ピンセットのこと)の先に付いているフック状の物体のことである。
        これがあるとより強く掴めるが、体組織を傷つけるので体内では主にペアンが使われる。
        ちなみに鈎という名の、棒の先に鈎が付いただけの手術器具も別に存在する。


苗木「ハサミは太いのから順にクーパー、メイヨ―、メッツェンバウム…うーん、たくさんあるんだなぁ」

K「手術において剪刀の切れ味や噛み合わせは命と言っても過言ではないからな。切除する物に対し
  常に適切な剪刀を用いて切ってやらなければならない。急ぎの際はともかく、通常の手術で
  メッツェンを使って縫合糸を切るなどとんでもないと言う訳だ」

苗木「そうなんですか。手術って器具選びも凄い大変なんですね」

K「そうだな。それぞれの用途に特化した器具があり、正しく選んで使わないといけないからな」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:18:42.26 ID:VHjeaOiZ0<>
苗木「でも、勉強してみたらちょっと興味湧いてきたかも」

K「救命士ではなくお前も医者を目指してみるか?」

苗木「い、いやいや! 僕には無理ですって」

K「フ。その気になったらいつでも言うといい。俺が仕込んでやる」

苗木「アハハ。…………で、えーっと。石丸君、そろそろ終わった?」

石丸「もう少し、もう少しだ…!」


今日も実習だったのだが、苗木の方が早く終わってしまったのでKAZUYAから器具の説明を
聞いていたのだった。相変わらず石丸は両手を血まみれにして悪戦苦闘している。


K「前から思っていたのだが…お前、左手を使ったらどうだ?」

苗木「え?」


一体何を言っているのかと思ったが、次の言葉で合点がいく。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:22:48.99 ID:VHjeaOiZ0<>
K「矯正されているのか普段はほとんど右手で活動しているが、お前は生来左利きだろう?
  咄嗟の行動の時や急いでメモを取る時は必ず左手を使っている」

苗木「え?! 石丸君て左利きだったの?! そういえば、ドッジボールの時たまに左手で投げてて
    変だなって思ってたけど…じゃあ、もしかして異常に不器用なのもそのせいなんじゃ…」

石丸「いや、関係ないさ。僕は元々不器用なんだ」

K「何故頑なに右手でやる。いくら不器用でも利き手でやればもう少しマシだろう?」

石丸「利き手でない方で出来るようになれば利き手でも当然出来るでしょう? だから僕は
    あえて普段使っている右手で覚えているのです。今更左に変えるのは逃げです!」

K「俺も幼少の時利き手が使えなくなることを想定した左手の訓練を受けたこともあったが…
  そんなに無理をしなくても良いのだぞ? 根性は認めるが…」

苗木(立派といえば立派だけど…そこは逃げてもいいんじゃないかな…)


結局よくわからない熱意に押され、二人は石丸の実習が終わるまで黙って付き合ったのだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:27:59.75 ID:VHjeaOiZ0<>
K「石丸よ…お前はどうも手先の繊細なコントロールに難があるようだ。よって課題を与える。
  この持針器を貸すから、これで針を掴んで縫い物をしてみろ。裁縫セットは誰かから借りてくれ」


持針器(じしんき):傷口を縫合する時に針を持つ器具。今回渡したのは鉗子に似ているヘガール型。


石丸「了解です! 毎日やって裁縫マスターになってみせます!!」

苗木「が、頑張ってね!(一刻も早く器用になって僕を解放してほしい…)」


口には出さなかったが、苗木の願いはかなり切実であった。



― 保健室 PM9:27 ―


その日、保健室に珍しい来客が訪れる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:32:43.51 ID:VHjeaOiZ0<>
葉隠「オッス、K先生。ちょっと付き合ってもらってもいいか?」

K「葉隠か、珍しいな。一体何の用だ?」

葉隠「そりゃもちろん一緒に一杯やるべ!」

K「…おい。学生が教員に何を言う」


実を言うと、KAZUYAは葉隠が少し苦手だった。一見すると人当たりも良く
話しやすいタイプなのだが、飄々としていて何を考えているのかまるでわからない。


葉隠「ああ、俺三ダブしてっから高校生だけどもう成人してんだ」

K「それは知っている…同席ならしてもいいが、俺は飲まんぞ。今は職務中だ」

葉隠「職務って…授業の時以外は仕事なんかしてねぇべ」

K「職場で飲酒する奴があるか。特に今は、俺がお前達全員の命を預かっているのだ。
  呑気に酒など飲んではおれん」


その時、いつもゆるい表情を浮かべている葉隠が急に真顔になった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:37:35.33 ID:VHjeaOiZ0<>
葉隠「それってよ…また何か起こるってことか?」

K「いや、そういうつもりで言った訳ではないが…」

葉隠「実はよ、先生…もう二日連続なんだべ」

K「…何がだ」

葉隠「この環境を生き残るために、俺は毎日三日分の運勢を占うことにしてんだ。
    俺の占いは三割当たるから、そうすりゃ三日目になった時一回は当たってるだろ?」


七割の確率で外れると言うことは、三回占っても0.7の三乗の34.3%と
割と高い確率で外れるのでは、とKAZUYAは思ったがそれは黙っておくことにする。


K「それで、二日連続同じ内容が出た訳か。…どんな内容だ?」

葉隠「大破局だべ」

K「…何?」

葉隠「明日は全部バラッバラのメッチャメチャになるんだべ…
    ビビってつい何度も占ったんだが、何回やっても同じような結果になる」

K「……」タラリ

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:43:34.96 ID:VHjeaOiZ0<>
苗木情報だが、葉隠の占いは確率は高くないものの確かに的中するらしい。
業界ではもはや霊感とも予知能力者とも呼ばれているようだ。


葉隠「そ、そんでこえーから酒でも飲んで気をまぎらわせようかと思ったんだべ…
    先生が側にいりゃあ何かあっても大丈夫だしな」

K「そうか。なら付き合おう」


葉隠は、見た目はさほどでもないが内心かなり不安がっているようだった。
酒で少しでも不安を紛らわせられるなら、とKAZUYAは葉隠と一緒に厨房へ行く。


K「しかし、ここは学校だぞ? 酒と言ったら…」

葉隠「そ。料理用の安酒しかねぇ。本当はビールか焼酎がいいんだけどよ、贅沢は言えねぇべ」


料理用の日本酒を手に取り食堂に戻ると、早速葉隠は思い切りあおり始めた。


K「おい、他の生徒の目もある。あまり飲み過ぎるなよ」

葉隠「わかってるべ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:49:25.00 ID:VHjeaOiZ0<>
K「……」

葉隠「……」グビグビ


それにしても会話がない。葉隠はこちらが話しかければ気さくに話すが、
基本的にあまり自分からプライベートを明かさないのだった。
KAZUYAの寡黙さも相まって場が沈黙になり、何だか非常に気まずい。


K(会話をしないのなら俺がここにいる意味はあるのだろうか。帰るか?
  …いや、待て。葉隠の占い…もしかしたら使えるのではないだろうか?)

K「葉隠、占って欲しいことがあるんだが…」

葉隠「先生なら半額に負けておくべ!」

K「…貴様、金を取る気か?」

葉隠「ちょ、ま、目がこえーって! わかった! 初回サービスでタダにしとくから」

K(こいつ…本気で金を取る気だったな)


KAZUYAの呆れ顔に気付いているのかいないのか、葉隠はマイペースに続ける。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 22:56:06.84 ID:VHjeaOiZ0<>
葉隠「で、何を占うんだ? 恋愛運か?」

K「俺がそんなことを気にするように見えるか? …違う。明日のことだ」

葉隠「明日何が起こるかならもう散々占ったけど、はっきりしたことはわからなかったべ」

K「いや、違う。俺が聞きたいのは…明日困っている人間だ」

葉隠「困っている人間? そんなもん占ってどうすんだ。ま、構わんけど」


すると、葉隠は目を閉じ何か集中しているようだ。本当にこれだけで占えているのかと
KAZUYAは訝しがったが、外れるなら外れるで良いかと考え直す。葉隠が目を開いた。


葉隠「で、出たべ…聞いて驚くんじゃねぇぞ」

K「何だ?」

葉隠「その…みんな困ってたべ」

K「…………帰らせてもらう」

葉隠「あー! ちょっと待つべ! みんな困ってるにゃあ違いねぇが困ってる度合いが違うんだべ!」

K「…誰が一番困っているんだ?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 23:03:13.38 ID:VHjeaOiZ0<>
葉隠「断トツで不二咲っち。次点が腐川っちと大和田っちだべ」

K「不二咲…」


KAZUYAの脳裏にあの愛らしい笑顔が浮かんだ。
不二咲は今脱出に向けて作業をしている。狙われる可能性は十分にあった。


葉隠「な、なあ…まさか、不二咲っちが殺されたりとか…ねぇよな? 小柄だし、危ねぇんじゃ…」

K「わかった。俺が明日一日注意しておく。それで大丈夫だろう」

葉隠「おう、先生がついてりゃまず問題ないか。…よし、じゃあついでに先生のために
    明日のラッキーアイテムを占ってやるべ! …ムムッ?!」

K「…出たか?」


しかし葉隠は何とも言えない微妙な顔をしてなかなか結果を教えてくれない。


K「…何を言い淀んでいるんだ。早く教えてくれ」

葉隠「いや、その…先生の明日のラッキーアイテムは石丸っちだべ」

K「…………」


占いなんて不確定なものをアテにした俺が悪かった、とKAZUYAは思ったのだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 23:14:10.27 ID:VHjeaOiZ0<>
― モニタールーム ―


その夜、モニターの様子を見ながら二人の絶望が会話をしていた。


戦刃「ねぇ、盾子ちゃん」

江ノ島「なによ」

戦刃「最初の事件からそろそろ一週間経つけど、なんでなにもしないの?」

江ノ島「ハァ?」

戦刃「だって、せっかく動機がまだ残ってるのに珍しく静観決め込んじゃって
    明日にはとうとう舞園さんも退院しちゃうよ? 希望側が勢いづくんじゃ…」

江ノ島「むくろ姉さんは本当に馬鹿ですね。この飽きっぽい私様がこんな全く
     面白みもない平々凡々な日常をただ見ていただけだと思いますか?」

戦刃「思わないよ。だから、なんでなにもしないんだろうって。Kのヤツが毎日医療の
    実習もやってるし、時間が経つとどんどん死人も出にくくなるよ?」

江ノ島「私はね! 超高校級の絶望の中でも究極の絶望なんだよ? そんな私が
     ちっぽけで安っぽい絶望に満足すると思う? 絶望にも質ってものがあるんだよ!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 23:22:07.50 ID:VHjeaOiZ0<>
江ノ島「……上げて落とすって言葉……ワクワクしますよね……彼らは今非常に
     安定していて……今の生活の中に楽しみすら見出だしています……」

江ノ島「そんなぬるま湯に浸かり切ってすっかりたるんだあいつらをこれから
     絶望って言う名の灼熱地獄に落としてやるんだよ。ギャハハハハハ!」

戦刃「ふーん、で、具体的になにをするの?」

江ノ島「なに、平和な日常にいくつかショッキングな爆弾を落としてあげるだけさ。
     一つ一つは大したことはないが、今奴らの中には舞園さやかという名の
     爆弾が存在している。それに一度引火してしまえば…」

戦刃「内部からドカーン?」

江ノ島「その通り! 絆だの結束だのがいかに脆い作り物の幻想かってことを
     奴らにたたき付けてやるわけよ。ギャッハッハッハッ!」


この妹は本当に性格が最悪だ、と戦刃はため息をつきつつも一緒に笑う。
そう、この妹を理解してあげられるのは自分だけなのだと戦刃は恍惚としていた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 23:31:23.57 ID:VHjeaOiZ0<>

江ノ島「あ、そんな訳で今回お姉ちゃんにも一仕事してもらうから。はい、台本」

戦刃「任せて、盾子ちゃん! 演技頑張るから」

江ノ島「調子こいてるKに地獄を見せてやんよ。所詮、付け焼き刃の医療なんて本物の
     殺意の前には無意味だし、他人との信頼なんて幻だってことを教えてあげる」

江ノ島「さーてさて、それではいよいよ待望の絶望コロシアイ生活第二幕が始まるよっ!!」


            最強にして最狂にして最凶。

              最悪で災厄で害悪。


             ――江ノ島盾子始動――





Chapter.2 週刊少年マガジンで連載していた (非)日常編  ― 完 ―


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/22(日) 23:38:30.90 ID:VHjeaOiZ0<>
ここまで。やった!やっと長かった二章前編が終わった
ほのぼのは十分にやり切った。書かなきゃいけないことも全部書いた…

さようなら、ほのぼの
おいでませ、絶望


>>881
あれはKにしては珍しくあからさまにギャグ顔だったので演技だと判断しました
魚の解体とか初歩中の初歩だと思うので、人間の医者だから魚は解体出来ないって
いうのはちょっとK一族的にないんじゃないかなーと
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/22(日) 23:42:14.68 ID:Pk7RaZ5j0<> おつかれさん
ラッキーアイテムの石丸の活躍に期待
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/22(日) 23:47:06.00 ID:FubWu5qj0<> 今回の葉隠の的中率高いな

もし2章問題がなんとか解決してももうほのぼのには戻れないってことですか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/22(日) 23:48:52.82 ID:6OdIj4eIo<> 乙です <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/23(月) 00:08:14.81 ID:m1+my0SB0<>
うーむ、江ノ島や葉隠の口調難しいな。ちょっと違ってるかもしれん

>>901
わからないです。基本的にはおおまかなプロット組んであるけど唐突にエピソードや
イベント思いついて突っ込んでいく形式なので、だからアホみたいに二章前編が
長くなってしまった訳ですが…と言いますか、二章に入って生徒達の警戒が解けて
K先生も大分好き勝手やってたというか江ノ島曰くかなり調子こいてる状態だったので
そろそろ妹様の逆襲いれないと…という訳で、しばらくはちょっとシリアスが続きます

次回から当分江ノ島のターンで、それが終わったらKAZUYA VS 江ノ島の
パワーゲームに移行する感じ、を想定してます。その頃にはほのぼのもあるかも…?
<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/23(月) 00:14:11.96 ID:m1+my0SB0<> ちなみに、少し早いですが次スレの相談です
上でもうほのぼの見られないんじゃ…という不安通り、二章後編からは
しばらくシリアスが多めになります。ギャグ入れられそうな時には
出来るだけ突っ込んでいくつもりですが

で、提案なのですが次スレは早めに立てて本筋はそっちでガンガン進めていくことにして
こっちのスレの残りで今までオマケとして書いていたようなほのぼの短編とか番外編とか
書いてのんびりスレを埋めていこうかなと思うのですが、どうでしょうか?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 00:54:43.27 ID:CE/T8R5AO<> >>1が大丈夫ならそれでお願いしたいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/23(月) 01:13:29.17 ID:0L+u1cuT0<> Kの許婚か予知能力者だったなそういえば……

それから、除細動人間とかもいたっけ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/23(月) 01:14:06.51 ID:0L+u1cuT0<> >>905に同じく、それでお願いしたいと思います。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 01:21:19.69 ID:cL8sxC9/O<> 葉隠の占いって聞いただけでわかるとんでもない的外れもあるから、それをあらかじめ除外すると的中率は実質3割超える。
さらに今迄の実績の中には占いを聞いたことによって危機を回避できたため結果外れたことも多いはず。
客も金にきたない葉隠に「あなたのおかげで助かりました」とはなかなか言わないはず
つまり、奴の占いは実際のところすげ〜役に立つはず <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 01:25:38.41 ID:x5pCUbdgo<> そもそも当たりの時の葉隠レベルの正確さで「占い」が本当に三割も当たるならそれは超能力と言って良いレベル <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 01:44:26.87 ID:zlTpA3Zho<> そんなオカルトと一緒にしないで欲しいべ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/23(月) 04:00:36.55 ID:U7caQtuk0<> 苗木がアンテナ部分の髪の毛で大腿動脈を結紮するシーンはまだですか <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/23(月) 15:31:13.20 ID:NMPeLaWr0<> >>905>>907
ありがとうございます。では、このスレの残りはほのぼの短編と、
本編でカットしたシーンとかの番外編、IF展開とか書いて行きましょうかね
もしあのフラグ立たなかったらどうなってたの?とかのリクがありましたら
出来るだけ応えていこうと思います。

>>911
その前に誰が大腿動脈を切断するかが問題だッ


さて、次スレのスレタイどうしましょうかね。既に苗木と霧切は
タイトルコールをしているので、それ以外で今の所KAZUYAと接触多くて
出番が多いのは、桑田と石丸あたりかな?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 15:39:31.99 ID:tJNtha4DO<> じゃあ普通に桑田が死んだの見たい。 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/23(月) 15:46:04.22 ID:NMPeLaWr0<> >>913
オシオキでってことですよね?
えーっと、分岐では確かどのルートに進んでもKAZUYAが桑田を
発見するルートのはずだったので、そのどちらでもない
完全IF展開ということでよろしいですか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 15:59:11.63 ID:tJNtha4DO<> いや舞園の殺害計画が成功した場合のifが見たい。 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/23(月) 16:03:34.30 ID:NMPeLaWr0<> 了解しましたー
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/23(月) 18:19:47.54 ID:5ZUtQZ8W0<> >>912
スレタイはその二人でいいと思う

>>462の口封じでKAZAYAを殺そうとして返り討ちにあった桑田の場合が気になる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/23(月) 18:58:29.34 ID:naZkDYt50<> 桑田のオシオキか…原作通りの展開にしかならないような
KAZUYAが学級裁判で活躍するとか? <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/23(月) 19:55:38.21 ID:NMPeLaWr0<> >>917
本編とはまさしく真逆の桑田とKAZUYAギスギスルートですね
このスレの残りはほのぼの多めの予定だったのですが、みなさん攻めますね

>>918
内容は>>915です。舞園 killed 桑田verでお送りします


ではスレタイ決めないと次スレ立てられないので、スレタイを考えますが
タイトルコールは桑田と石丸の二人か、そこにKを加える感じで
検索のために必ずドクターKという単語をどこかにいれる

今のスレタイと似た感じにしますか?それとも内容を多少反映させた感じがいいですかね?

多数決取りたいと思います。もし良いのがあったら案もガンガン書いて下さい
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/23(月) 20:12:20.58 ID:bsWWpXY00<> 「ドクターK」が入っていたら検索にも引っかかるだろうし大丈夫じゃね?
あとは「2スレ目」を入れるかどうかかな。俺は入れなくてもいいと思うけど
あった方がわかりやすいっていう意見も多いかもしれない

それよりスレタイは桑田がせんせーせんせーと懐いてる感じで頼む! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 20:16:27.55 ID:7x4zhr0ro<> >>920
>スレタイは桑田がせんせーせんせーと懐いてる感じ

それはいらないです本当に切実に <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/23(月) 20:40:27.09 ID:bsWWpXY00<> >>921
なんでや!桑田のせんせー呼びはKに対する信頼の証なんやで!?
別に懐いてる感じはなくてもいいけどスレタイに「せんせー」は入れてくれよ! <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/23(月) 21:27:39.23 ID:NMPeLaWr0<> とりあえず候補。強いアピールを頂いたので、せんせー呼びは入れてみましたw

1.桑田「俺達のせんせーは最強だ!」石丸「西城先生…またの名をドクターK!」Karte.2
2.石丸「希望ヶ峰医療戦線」桑田「せんせー、手術だ!」ドクターK「俺に任せろ!」Karte.2

うーん、この感じ。センスと文字数が欲しい

1は今のスレタイと似た雰囲気のつもりで、2は内容を反映したつもりです
パッと見て何のスレかわからないとマズイかなーと思い2は希望ヶ峰の単語を入れてみました

先に3票入った方にします。よろしくお願いします
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 21:39:03.34 ID:Ba4CCjhho<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/23(月) 21:43:09.18 ID:bsWWpXY00<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 21:47:18.85 ID:CE/T8R5AO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 21:51:15.72 ID:lr/R/8T5o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/23(月) 21:55:06.52 ID:rDNu3t9z0<> 1 <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/23(月) 22:02:00.18 ID:NMPeLaWr0<> では1の桑田「俺達のせんせーは最強だ!」石丸「西城先生…またの名をドクターK!」Karte.2で
いいのかな。文字数がいけるかどうかちょっと微妙ですが頑張ってみます

あらすじとか設定とか準備出来次第立てますね。ちょっとかかるかもしれませんがお待ちください
<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/25(水) 00:13:25.73 ID:5md/b7CP0<> まだ投下してないけどとりあえず新スレ立てました
忘れてたけど、今日ってクリスマスイブだね。聖夜にスレ立てとか絶望的ィ…


桑田「俺達のせんせーは最強だ!」石丸「西城先生…またの名をドクターK!」カルテ.2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387896354/


カルテは結局カタカナにしました。自分も長年carteだと勘違いしてたし、
ドイツ語だと読めない人がいるんじゃないかなと思いましたので

テンプレ結構長くなっちゃったな。敷居が高くなってしまいそうだ…

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/25(水) 23:58:57.98 ID:0B5G69Hb0<>
IF @  〜 KAZUYAの後悔 〜


異常が発覚したのは、このコロシアイ生活がいよいよ四日目を迎えた朝だった。


石丸「桑田君、遅いな。彼は前々から遅刻癖があったがいくらなんでも
    遅すぎる! 起こしてきます!」


そう言って石丸が食堂を飛び出して行ったまでは何もおかしくなかった。
しかし、しばらくして彼は顔色を青くして戻ってくる。


石丸「先生! 桑田君がいくらチャイムを鳴らしても出てきません…」

K「何だと? もしや、中で倒れているのでは…」

十神「ただ倒れているだけなら良いのだがな」


その言葉は暗に、いよいよこの生活でコロシアイが始まったのではないかと示していた。


霧切「念の為に、校内も探索した方がいいかもしれないわね」

K「…そうだな。俺と石丸はもう一度桑田の部屋へ向かおう。お前達はそれぞれ校内を探索してくれ!」

K(頼む…無事でいてくれ…!)


だがKAZUYAの願いは虚しく、さほど間を置かずに苗木の悲鳴が寄宿舎中へと響いたのだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/26(木) 00:02:54.22 ID:Az3qfdfM0<>
K「馬鹿な…」


苗木の部屋には、包丁で滅多刺しにされて血まみれのまま事切れた桑田の姿があった。
入り口には、生まれて初めて死体――それも友人の死体を見た衝撃で気絶した苗木が倒れていた。


K「何故…こんなことが…」


KAZUYAは桑田の亡骸に近づくと、思わず目を逸らす。はっきりと言わせてもらえば、決して
好ましい生徒とは言えなかった。態度も服装も軽くて軟派で、いい加減で女たらしで自分本位で…

だが、一度親しくなると意外と人懐っこい面があったり、いつも底抜けに明るくて楽しげで
嫌いだと一言で切り捨てられない物もあった。もっと長く付き合って、欠点を注意したり
出来るほどの深い仲になれば、思い出深い生徒の一人となった可能性は十分にあっただろう。


K「…………」


KAZUYAは恐怖で目が見開かれたままの桑田に近寄り、そっと目を閉じてやる。
血が出るほどに強く強く唇を噛み締めた。生徒一人救えずに何が医者だ。
部屋に集まり恐怖と混乱で動揺する生徒達の前でも気にせずに、KAZUYAは怒鳴った。


K「一体誰が…モノクマの仕業か!!」

モノクマ「違うよ。犯人は確かに君達の中にいるよ」

K「モノクマ…!!」


KAZUYAは怒りと憎しみでモノクマを強く睨みつけるが、モノクマは平然として体育館に
集まるよう指示をした。桑田の死体を放置して離れたくはなかったが、逆らえばどうなるか
わからない。苗木を置いていく訳にもいかないので、KAZUYAが背に抱え体育館に赴いた。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/26(木) 00:06:06.13 ID:Az3qfdfM0<>
・・・


モノクマの説明は単純だった。犯人は自分ではない。この中に真犯人がいる。
そして、同時に学級裁判の説明を始めた。一言で言うなら、自分達が犯人を
指摘できなければ犯人以外全員が死ぬというデスゲームであった。

現在、犯人の最有力候補者は死体発見現場の部屋の主、苗木誠である。


苗木「ち、違う! 僕じゃない! 僕は桑田君を殺したりなんかしていない!」

葉隠「でも、じゃあなんで桑田っちは苗木っちの部屋で死んでたんだべ!」

腐川「あんたが犯人だからでしょ!!」

苗木「そ、それは…」

苗木(確かに殺害現場は僕の部屋だけど…あの時間にあの部屋にいたのは…)チラリ

舞園「…………」

霧切「まずは捜査を行うべきではないかしら。苗木君が犯人にしろ犯人じゃないにしろ、
    真実は学級裁判の議論で明らかになるはずよ」

十神「捜査の時間は限られている。俺は行くぞ」

石丸「みんな、捜査を行うとしよう」

苗木「そんな…十神君、石丸君! …先生! 先生は僕が犯人じゃないって信じてくれるよね?!」

K「……」


思わず、KAZUYAは感情論で同意しそうになってしまった。苗木は他の生徒に警戒されている
自分に対し真っ先に声をかけてきてくれた生徒だった。その苗木が人を殺すとはとても…

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/26(木) 00:09:31.56 ID:Az3qfdfM0<>
だがKAZUYAは骨の髄まで医者だった。医者とはどんな状況に陥っても冷静でいなければならない。
まず動機だが…これは正直思い当たることがたくさんあった。桑田はいつも思いつきで話すし、
その放言のどれかが苗木を怒らせた可能性は十分だった。そして何よりも舞園さやかである。
桑田は舞園を気に入っていた。それが原因で苗木と揉めてグサリ、というのは簡単に想像できた。


K(動機はある…だが、殺害方法についてだ)


まだ詳しく見ていないが、凶器はほぼ桑田に刺さっていた包丁で間違いはないだろう。
となると、咄嗟の犯行ではなく凶器を事前に準備した計画殺人ということになる。
ならば、どう考えても見過ごせないあまりにも不自然なことがあった。


K(殺害現場を自分の部屋にする馬鹿がどこにいる。百歩譲って何か不都合な事態が
  発生したにしても、死体を移動させるはずだ。移動中に発見されるリスクもあるが、
  自分の部屋で死体が見つかるリスクと比べればそう差はないはず)

K(誰かが苗木に罪を着せるために、何らかの手段で死体を置いた。そう考えるのが妥当だろう)


そう論理的に考え、不安げに自分を見上げる苗木に対しKAZUYAは力強く頷いた。


K「ああ! お前は犯人なんぞではない! 俺はお前を信じよう」

苗木「良かった…」ホッ

霧切「安心するのはまだ早いわよ、苗木君。ドクター一人が信じてくれても意味は無い。
    他の生徒達を信じさせることが出来なければこの学級裁判には勝てないのだから」

苗木「わ、わかってるよ霧切さん…」

霧切「そしてドクター。あなたに一つお願いがあります」

K「…何だ?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/26(木) 00:16:50.70 ID:Az3qfdfM0<>
霧切「モノクマから配られたこのモノクマファイル。犯行について大まかな情報が
    書かれているけれど、どこまでが本当なのかがわからない。そこでドクターに
    桑田君の死体の検死をお願いしたいのです」

K・苗木「!!」

苗木「き、霧切さん! そんなのって…!!」

霧切「…仕方ないわ。間違った情報を元に捜査しても真実は得られないもの。私達全員が
    生き残るためにはこれしかないの。協力していただけますよね、ドクター?」

K「……ああ」

苗木「そんな、先生! だって…!」


KAZUYAが桑田とそこそこ親しくしていたのを苗木は知っていた。
ただでさえ生徒の死体を切り開くなど、KAZUYAにとっては断腸の思いだろうに…


K「…これは医者の俺にしか出来まい。他の生徒達を救うためには、仕方がないのだ」

苗木「先生…」


そうは言ったが、KAZUYAがとても暗い表情をしていたのを苗木は見過ごさなかった。
怪我や病気で死んだ訳ではない。何の前兆も覚悟もなく、唐突に誰かに命を奪われた。
それも、被害者だけではなく殺した犯人もKAZUYAにとってはまた生徒なのだ。

KAZUYAの心中を察して余りある苗木は、いつしかKAZUYAの代わりに涙を流していた。


・・・

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/26(木) 00:25:05.08 ID:Az3qfdfM0<>
検死の結果、モノクマファイルに嘘は書かれていないということが判明した。
その情報を元に、生徒達は各々捜査を再開する。


K「…苗木。俺と一緒に捜査をしないか?」

苗木「先生…でも、先生はさっき仕事をしたんだし、休んでいた方が…」

K「いや、俺は大丈夫だ。心配をかけてすまん。…俺はお前達を守る立場だというのに
  事件の発生を防げなかった。全て俺の責任だ。だから、せめてこの手で真実を暴き
  残ったお前達を守らねばならない。それがあいつに対しても供養になるだろう」

苗木「先生…」


KAZUYAは既にいつもどおりの表情を取り戻しており、その態度は毅然としていた。
この場で唯一の大人としての責任感か、医師としてのプライドか、それとも違う何かか。
まだ若い苗木にはわからなかったが、KAZUYAを信頼して共に捜査を行うことにした。

だが、捜査を始めてから苗木は既に確信を得ていたのだ。この事件の真犯人、クロが誰かを。
そして、裁判が始まり議論を進めていく中で苗木はとうとう宣言をした。


苗木「…犯人は君しかいないんだ。舞園さん」

K「…………」


KAZUYAは俯く。犯行の手口も、動機も全て明らかになった。
舞園さやかは例のDVDによって平静な精神状態ではなかった。そのことを気付けなかった。
もし気付けていれば、事件を未然に防ぐことが出来ただろうに…悔やんでも悔やみきれない。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/26(木) 00:30:01.30 ID:Az3qfdfM0<>
そしてもう一つ。舞園の動機。何故桑田を狙ったのか。これも想像通りだった。
舞園は桑田を嫌っていたのだ。声を聞くだけで不愉快になるほど、徹底的に。
KAZUYAはわかっていた。桑田の性格や発言は敵を作りやすいだろうと言うことを。
この閉鎖され、逃げ場がない状況なら尚更だろう。たとえ喧嘩をする羽目になっても
しっかり自分が注意してやるべきだったと後悔した。後悔して、後悔して、後悔した。


K「…………」


舞園を責めることは出来ない。道を誤ってしまったのは確かだが、彼女もまた被害者であった。
ただ責める物があるとすれば、このふざけた監禁生活を企画した黒幕と己の不甲斐なさだ。


K「舞園」


声を掛けようとした。だが、何を言うべきなのか思い浮かばなかった。
何故殺したのか、思い留まることは出来なかったのか、誰かを頼れなかったのか。
どの質問も答えは既にわかっていた。今更聞いて得るものなど何も有りはしない。


舞園「――ごめんなさい」


KAZUYAの呼びかけに対し、舞園は涙を流しながら、ただ一言そう呟いた。

投票で舞園がクロに決まり、彼女が人生最期のステージに立つ。
KAZUYAは力無くその輝かしい姿を見ていた。舞園さやか渾身のパフォーマンスだった。

オシオキは巨大なトラバサミ状のステージの上でのオーディション形式になっており、
採点パネルに次々と明かりが灯るが、合格直前でパネルが壊れ無情にもトラバサミが閉じる。


――そして、舞園さやかは死んだ。


<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/26(木) 00:35:04.84 ID:Az3qfdfM0<>
・・・


保健室にて、KAZUYAは己の拳を壁に叩きつける。


K(俺が、もっと生徒を注意して見ていれば…もっと深く関わっていれば…)


それは無駄な仮定だった。KAZUYAは元々生徒達に警戒されていて深く関わろうにも関われなかった。
だがKAZUYAにとってそんな事実はどうでも良いのだ。ただ許せない結果だけがあるのだから。

カチャリ


苗木「先生…」

K「苗木か…」


恐らく自分は今苗木とそっくりな顔をしているのだろうな、と苗木の憔悴した顔を見てKAZUYAはうなだれる。


苗木「その、先生…あんまり自分を責めないで下さい。先生は悪くないです…」

K「お前、俺を励ましに来たのか…?」


驚いた。あの裁判で明らかになったのは苗木にとってあまりにも残酷な真実である。
舞園さやかの裏切り…本来なら自分が苗木を励ましてやらねばいけないのに、あまりの悲しい現実に
かける言葉が浮かばず、今はそっとしておこうと…悪い言い方をするならKAZUYAは苗木を放置した。
その苗木がKAZUYAを励ましにこうして保健室にやって来たのである。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/26(木) 00:41:50.54 ID:Az3qfdfM0<>
K「気を遣わせてしまって、校医失格だな。俺よりもお前の方がずっと辛いだろうに…」

苗木「ツラくないって言ったら、嘘になります。でも、一人でいるともっとツラくなって…
    誰かを励ますことで、僕は自分自身を励ましているのかもしれない」

K「……時間が、解決してくれるさ。どんなに辛いことも、悲しいことも、時が経てば……」


まるで自分に言い聞かせるように、KAZUYAは苗木に言う。大人であり医者であるKAZUYAは、
今までに数え切れない程の人の死を見てきた。そのたびにこう言って自分を納得させてきたのだ。


苗木「忘れるなんて、そんなこと出来ませんよ。僕は…! 舞園さんの死も、桑田君の死も、
    ずっとずっと引きずっていく! 二人の死と思いを引きずったまま前に進む!
    忘れたりなんてしない! 忘れたくない! これからもずっと引きずっていくんだ!」

K「苗木…」

苗木「…先生だって、本当は忘れられないんでしょう? 僕にはわかる。先生は、そういう人なんだ」

K「……そうかもしれんな」


そして二人の忘れられない男は、過去を引きずったまま前へと進んでいく――

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/26(木) 00:46:25.16 ID:lEpp/xUe0<> ……Kで患者の心のケアとかそういう話はあったけど、
まさに心療内科とか、精神科とかそういう話はあったかな……

拒食症の話ぐらいしか、思いつかないか?
麻薬中毒とか、そちらの話もあるけど。 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/26(木) 00:47:25.05 ID:Az3qfdfM0<>
ここまで

>>913>>915のもし舞園が桑田殺害に成功していたら、でした
KAZUYAと桑田の親密度高いverと低いverの二通りあったのですが、
もちろんよりエグくなる高い方でやらせていただきました

新スレも既に稼働してます。本編の続きは新スレでよろしくお願いします
あと、親密度のデータとかを最新のものに差し替えたので、ご参考にして下さい

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/26(木) 00:50:39.14 ID:zv5zA4wto<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/26(木) 00:51:24.71 ID:lEpp/xUe0<> 同じく乙です。

フライングの書き込みすみません。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/26(木) 00:55:11.88 ID:p0sRF/5Z0<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/26(木) 04:09:05.62 ID:6Kg/L3vi0<> KAZUYAに検死させる所が胸にくるな…乙

しかし改めて見ると舞園さんの計画って無茶だよな。苗木が口を割らない事が前提なんだもん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/26(木) 13:47:22.58 ID:BFaq9IDGo<> このスレの桑田が好きすぎていきつら <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/26(木) 23:55:10.61 ID:TuxRT3mC0<> さぁ次はほのぼのを! <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/28(土) 23:35:04.59 ID:mM+O71Go0<>
IF A  〜 親密度0の恐怖 〜


KAZUYAが舞園の手術をしていた時のこと。

その時、恐ろしい考えが桑田の脳裏によぎった。犯人が露見するから処刑になる。
殺していいのは二人までだ。つまり、仮に犯行を見られても一人までなら口封じに殺せば…


桑田(今…オッサンは背中を向けていて両手もふさがってる。今なら俺でも…)


模造刀にゆっくりと手を伸ばし引き寄せると、桑田は構えた。
そして桑田は――天高くそれを振り上げ叩き下ろす!

ガカッ!


K「ぬんっ!」

桑田「なっ?!!」


なんと、桑田が振り下ろした模擬刀をKAZUYAは左腕で受け止めていた。
桑田が驚く間もなく、KAZUYAは立ち上がる勢いで右拳を突き出し思い切り殴りつける。


K「桑田あああああああっ!」

桑田「グハッ!」


壁に叩きつけられ桑田はそのまま気絶した。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/28(土) 23:42:43.39 ID:mM+O71Go0<>
K「いくら錯乱していたとはいえ、背を向け手術中の人間に襲いかかるとはなんという奴!」


激怒するKAZUYAだが、すぐさま舞園の治療に戻る。そして手術が終了すると、生徒を呼び集めた。


K「…という訳だ」

セレス「事情はよくわかりましたが…ところで西城先生。桑田君は何故そこで気絶しているのでしょう?」

K「…錯乱して暴れたから眠ってもらっただけだ」


襲われたことには内心腹を立てていたが、相手がまだ高校生で非常に錯乱していたこと、
今後も共にこの学園で生活することを考え、KAZUYAは桑田が自分を襲ったことについては黙った。


山田「暴れたとは…やはり桑田怜恩殿が舞園さやか殿を襲ったのではないですかな?!」

K「まだ真相はわからん。二人が起きてから話を聞かんと…霧切、何をしているんだ?」


見ると、霧切が倒れた桑田の服をまさぐっている。


霧切「いえ、彼が倒れている間にも調べられる事はあると思って。…これは」

K「何か見つけたのか?」


霧切が桑田のポケットから舞園のサインが入った呼出状を見つけた。
その流れで苗木が部屋の交換を明かし、舞園の犯行計画が全て明らかになった。


苗木「そんな、舞園さん…」


しかし、明らかにされた事実はそれだけではなかった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/28(土) 23:51:51.48 ID:mM+O71Go0<>
十神「さて、俺はドクターKに一つ聞きたいことがあるんだが。…何か隠していないか?」

K「何のことだ?」

十神「ドクターは桑田が舞園に襲われたという情報を知っている。つまり会話が成立していた。
    にも関わらず、何故被害者であるはずの桑田は暴れだしたんだろうな?」

K「……」

十神「大方、一度に二人まで殺せるから口封じをしようと奴が襲いかかったんじゃないのか?」

K「…いや、そういう訳では…」


一応濁したが、生徒達は十神の言葉に説得力を感じたようだった。


大和田「コイツ…! とんでもねえ野郎だな!」

葉隠「最低だべ!」

苗木「桑田君…そんな…」


事実ではあるし庇い立てをする義理もなかったので、KAZUYAは無理に反論はしなかった。
その後、生徒達を解散させ桑田を部屋に運ぶ。咄嗟のことで強く殴りすぎてしまったため、
肋骨が何本か折れてしまったようだ。肺に刺さらなくて良かったとKAZUYAは思う。


桑田「……う、く…!」

K「目が覚めたか」

桑田「あ、あんた…! いつっ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/28(土) 23:59:44.54 ID:mM+O71Go0<>
K「肋骨が折れていた。俺は医者だから手当をしてやったが、本来なら放置されても文句は言えん」

桑田「…………」


KAZUYAの責めるような視線に耐えかねて、桑田は目を逸らす。


K「舞園に襲われたのは同情するが、お前は俺を殺そうとした。これは他の生徒達も知っている。
  思えばお前は前々から素行に問題があった。これを機に身の振り方を考え直すんだな」

K「痛み止めを置いておく。傷が傷んだら飲め。あと出来るだけ安静にしていろ」


そう素っ気なく言うと、KAZUYAは部屋を出て行く。
…そしてその日から桑田は部屋から出てこなくなった。

餓死されては困るので扉の前に食事を置いておくが、桑田は誰とも顔を合わせずに
何日も経過していった。流石のKAZUYAも少し心配になり部屋を訪れたが、当然のごとく
いくらインターホンを鳴らしても応じてくれない。


石丸「先生、このままでは桑田君は…」

K「不味いな…完全に心を閉ざしている。流石の俺もカウンセリングまでは専門ではないからな」

苗木「じゃあ、桑田君。このままずっと出てこないんじゃ…」

K「そもそも元は舞園に襲われたことが原因であるし、このままでは処刑されると焦っての暴挙だった。
  俺がもう少し優しくしてやるべきだったのかもしれない。今となっては手遅れだろうが…」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/29(日) 00:19:54.66 ID:tsm0VgLT0<> 心療内科は専門外かやっぱり。 <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/29(日) 00:25:23.88 ID:XcEDE7lS0<>
しかし、いくら焦っても良案など出ないのだった。


・・・


桑田「…………」


桑田は部屋の前においてあった食事を食べると、乱暴に箸を置く。そしてトレーに置いてあった
メモを手に取り投げやりに見やった。それは、外の情報を知らせれば出てきたくなるかもしれないと、
石丸が毎回善意で入れていたものだった。桑田はグシャリとそのメモを握り潰す。

『今日舞園君が退院する。彼女は君に謝りたいと言っているそうだ。
  部屋から出てきてはくれないだろうか。みんなも君のことを待っている』

その日のメモにはそう書かれていた。


桑田「出れるわけねーだろ…アイツのせいで俺は危うく人殺しになる所だったんだぞ…!
    殺そうとしたヤツや他のヤツらに、俺はどんな顔して会えばいいっつーんだよ!」

桑田「舞園…あの女さえいなければ…!!」


少しずつ憎しみが生まれ、それが殺意へと変わるのはもはや時間の問題だった……

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2013/12/29(日) 00:51:40.69 ID:XcEDE7lS0<>
ここまで。

>>917の、もし桑田がKAZUYAを襲っていたらでした。こんな展開にならなくて本当に良かった…
ちなみにこの展開だと、恐らくChapter2で桑田は舞園殺して千本ノック確定でしょうね
動機の紙に殺人未遂が書かれるのは間違いないだろうし

>>940
表現力がなくて申し訳ない。>>936の平静な精神状態ではないというのは、単に冷静じゃないとか
理性的な判断が出来ない、くらいの意味です。あとKAZUYAの気がついていれば、とか俺がもっと
よく見ていれば、みたいな発言は医者としての発言というよりこの場で唯一の大人とか保護者的な
観点での発言のことが多いです。普段は周囲を危険に巻き込みたくなくて周りに一線を引きがちな
KAZUYAですが、共同生活を送る羽目になって嫌でも生徒達と距離感が近くなっているイメージですね

>>947
もう一つ書かなきゃいけない番外編があるので、ほのぼのはもう少しお待ちください!

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/12/29(日) 00:57:32.51 ID:vECwjsK0o<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2013/12/29(日) 09:01:33.46 ID:aeQjbajJ0<> 乙、次スレと同時に更新とは恐れ入る <> ◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/03(金) 17:34:14.98 ID:/3yNamc30<>
― オマケ劇場 H 〜 ある日の授業風景 〜 ―


K「授業と言っても、全員学力がバラバラだからな。恐らく最も平均であろう苗木を中心にし、
  それ以上の者はわからない生徒達へ教える側に回ってくれないか?」

石丸「了解しました! それでは僕は教える側へ回ります!」

大和田「頼むぜ、兄弟。もう何がわからないのかすらわからねえレベルだ」

不二咲「ふふっ、僕もお手伝いするよぉ」

K「〜であるからして、ここはこの公式を当てはめてだな」

苗木「えーっと、こうですか? あ、じゃあもしかして…」

K「そうだ。出来るじゃないか」

桑田「……」zzz

朝日奈「せんせーい、たすけてー! 全然わかんないよ〜」

大神「しばらく学業から離れていたからな…だいぶ忘れてしまっている」

K「任せろ。また基礎からやり直せばいい。もっと前のページから復習していくぞ」

桑田「……」zzz

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/03(金) 17:46:38.39 ID:/3yNamc30<>
霧切「……」黙々

石丸「霧切君! 一人で自習もいいが、良かったらこっちで一緒にやらないかね?!」

霧切「……え?」

不二咲「そうだよ、おいでよぉ!」

大和田「俺と兄弟だけじゃむさ苦しいが、不二咲もいりゃ平気だろ? 来いよ」

霧切「(モジモジ)……じゃあ、ご一緒させてもらおうかしら?」

桑田「……」zzz


そして1時間後――


K「…………」 石丸「…………」

桑田「……」zzz

K「お前は一体」 石丸「いつまで寝ているのだねっ?!」

パシーン!

桑田「?!?!」


大和田「ホントに期待を裏切らねえヤツだなアイツ…」

苗木「まあ、桑田君だしね…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/03(金) 17:58:06.37 ID:/3yNamc30<>
― オマケ劇場 I 〜 桑田くんとKAZUYAその2 〜 ―


桑田「オッス! 遊びに来たぜー!!」

K「保健室は遊びに来る場所ではないんだがな」

桑田「まあまあそうお堅いこと言わないでくれよー! ほら、食べるモンも持ってきたからさ」

K「フフ」


・・・


桑田「せんせーさ、なんか世界中とびまわってたんだって? なんかおもしれー話きかせてくれよ」

K「そうだな。幸い話すネタには困らない。では、久しぶりに話すとするか」

K「俺はある時、友人が働いているクエイド財団が開発中の油田基地を見にアラスカへ行ったのだ」

桑田「ふんふん」

K「…という訳で、ベースの中にブルセラ病が蔓延してしまった。ブルセラ病というのはだな…」

桑田「…ふ〜ん」ウツラウツラ

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/03(金) 18:15:22.16 ID:/3yNamc30<>
K「俺はそこで出会った方々に自然の理を学び…」

桑田「」ウトウト


・・・


K「お前、なんでいつも俺が話してる最中に寝るんだ…」ズーン

桑田「わりいわりい。だってせんせーの話むずかしくてよくわかんねーし!」

K「そんなに俺の話はつまらんのか…」ズーン

桑田「マジでゴメンって! メンゴメンゴ! 次はちゃんと聞くからさ! ほら次の話!」


そして、案の定また次も寝てしまう桑田であった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ここまで。桑田君誕生日おめでとう、という訳で久しぶりにオマケでした

<> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/03(金) 18:25:36.45 ID:CUmk6Kr10<> 乙
野球関連の話も結構あったはずなので、そこらへんなら寝なかったかも <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/03(金) 18:32:59.44 ID:A6gJ3vGDO<> 高校の野球部の話やプロ野球選手の話あったな。
プロ野球選手の話は年齢による衰えが病気だったりグローブのサイズが合わないのが病気による手の肥大とか他にもあったはず <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/03(金) 18:41:12.48 ID:g5teFZWRo<> 乙です <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/03(金) 18:59:52.07 ID:qXpYmhXp0<> 糖尿病で痛覚が麻痺した選手の話もあったな <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/03(金) 19:08:49.35 ID:bx63kQJx0<> 乙
そして桑田誕生日オメ <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/03(金) 19:38:14.67 ID:jStlNr4v0<> 後は、ひざの靭帯がいたんで打てなくなっていた打者とか、
スリのおじいさんとか…… <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/03(金) 19:43:18.99 ID:jStlNr4v0<> 後はヘルニアで投げられなくなった投手とか、
高校野球だったら男装投手とか、

思えば、Kって、野球ネタ多いな…… <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/03(金) 20:39:10.80 ID:luXGgLFx0<> 作者野球やってたからな <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/04(土) 00:28:38.68 ID:OPzgTgCgo<> これはやきうやってますわ。 <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/09(木) 00:04:04.40 ID:/oTCb2rq0<>
― Chapter1 番外編その2 ―


舞園が負傷して二度目の夜。流石に少女と二日も密室で過ごしたくなかったKAZUYAは、
誰か女生徒に頼めないかと思い、霧切にそれを頼むことにした。


霧切「わかったわ、ドクター」

K「すまないな」

霧切「いえ…私を選んだのには理由があるのでしょう?」

K「……ああ」


怪我をしているとはいえ、仮にも舞園は殺人を企んだ殺人未遂犯である。他の女生徒達は舞園に
怯えているか、助けてやる義理はないと思っていることだろう。常に冷静で、感情よりこの場での
最適な行動を優先する霧切なら、今後のことを考えて引き受けてくれると踏んでのことだった。


K「それに、それらを度外視したとしても俺は君が適任だと考えている」

霧切「…あら、何かしら?」

K「あんなことを仕出かしてしまった舞園を本気で心配出来るくらい、君が優しいからだ」

霧切「……私は、優しくなんか」

K「隠すようなことか? とにかく、一緒に来てくれ」


霧切は微かに動揺していたようだが、それには気付かずKAZUYAは舞園の元へと向かった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/09(木) 00:08:59.37 ID:/oTCb2rq0<>
K「舞園、今日は人を連れてきた」

霧切「こんばんは、舞園さん」

舞園「霧切さん? …そうですか、先生に頼まれて来てくれたんですね」

霧切「察しが早くて助かるわ。今夜は私があなたに付き添うからよろしくお願い」

舞園「こちらこそよろしくお願いします…」


舞園はテキパキと泊まる準備をする霧切を横目で見やる。


霧切「…どうかしたのかしら?」

舞園「いえ…申し訳ありません。いくら怪我をして動けないとはいえ、殺人犯と
    同じ部屋で寝るなんて嫌でしょう? 本当に、すみません…」

霧切「してしまったことは仕方ないわ。私は苗木君やドクターのようにあなたを完全に
    許している訳ではないけれど、あなたを気の毒にも思っている。ドクターが言った通り、
    一番の悪はモノクマよ。それを履き違えれば、また第二第三の事件が起こるでしょうね」


霧切は、淡々と事実のみを語っていく。その凛とした姿は彼女の怜悧な横顔と相まって非常に美しかった。


舞園「霧切さんは…強いんですね。私も、もっと強ければこんな馬鹿なことをしないで済んだのに…」

霧切「…私だって昔から強かった訳ではないわ。仕事の関係で、そうならざるを得なかっただけ。
    あなたのように取り返しの付かない失敗をしてしまったこともある。起こってしまったことを
    いつまでも後悔し続けるのは不毛よ。あなたはただこれからのことだけ考えていればいい」

舞園「私にこれからなどあるのでしょうか…? 許されるのでしょうか?」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/09(木) 00:15:04.39 ID:/oTCb2rq0<>
霧切「あなたが生きている限り、ずっとこれから先の人生は存在するわ。…許されるのか?
    これは私にもわからないけど、少なくともあなたには既に許してくれた人達がいる」

霧切「どうすればいいのかわからなくなった時があれば、その人達のために何が出来るかを
    考えてみるのもいいかもしれないわね。あまり一人で考えこむのはお勧めしないわ」

霧切「…私も出来る限りあなたを手助けしようとは思ってる」


目頭が熱くなる。霧切は常にクールな語り口ではあるが、その言葉は最大限に舞園を労っていた。
近寄りがたい、自分の勘の良さを持ってしても何を考えているのかわからない、そう思って
舞園はあまり霧切とは接触して来なかった。だが、もっと早く話していれば良かった…


舞園「…ありがとう、ございます。私…もっと早く霧切さんとお友達になるべきでした。
    もしあの時霧切さんに相談していれば、きっと私…思いとどまれたと思います」

霧切「たらればの話はいくらしても無意味よ。…あなたが良ければ今日からでもお友達になるけど?」

舞園「私…なれますか? 今からでも、霧切さんのお友達に…」

霧切「…こういう時、苗木君ならどういうのかしら? 友達っていうのはなろうとしてなるものじゃない?」

舞園「苗木君なら、お互いが友達になりたいと思った瞬間にもう友達なんだって言うと思います」

霧切「そう…じゃあそれで行こうかしら」


ここで霧切が黙り込む。何か不味いことを言ったのかと舞園は心配になり、少し体勢を変えて
霧切の表情を覗き見るが、彼女は何やら考え事をしているようだった。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/09(木) 00:20:27.50 ID:/oTCb2rq0<>
霧切「…ああ、心配しないでちょうだい。その、こういう状況にあまり慣れてなくて」


相変わらず無表情だったが、舞園は霧切が内心はにかんでいるのだとわかった。
推測だが、霧切は同年代の同性の友人があまりいないのではないだろうか。


舞園「霧切さんは本当に優しい人なんですね」

霧切「…さっき全く同じことをドクターにも言われたわ」

舞園「西城先生が? 流石、先生は人を見る目があるんですね」

霧切「私自身は自分がそんなに優しいとは思わないのだけれど…」

舞園「そんなことないですよ! 先生のお墨付きがあるんだから確かです!」

霧切「そうかしら…? …そういうことにしておくわ。じゃあ、怪我人はもう寝ないと」

舞園「わかりました。あの…霧切さん、また来てくれますか?」

霧切「ええ、また来るわ」

舞園「良かった。……霧切さん、お休みなさい」

霧切「お休みなさい、舞園さん」


こうして、二人の少女は眠りにつく。監禁生活で得た微かな安らぎと共に――

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/09(木) 00:27:50.61 ID:/oTCb2rq0<>
ここまで

二章日常編は馬鹿みたいに長かったにも関わらず、舞園さんは入院してたせいで
ほとんど出番がなかったため絶対短編を書かなければならないと思っていた


これで、書かなければいけない話は終わり。本編がどんどんシリアス入っていくので、
残りは力の限りギャグやってはじけていこう。レスがどこまで保つかなぁ…
こんなことならもっと早くスレ立てしておけば良かった

<> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/09(木) 00:41:07.75 ID:W/JYNcwXo<> 乙です <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/16(木) 00:38:40.55 ID:HL9FagcQ0<>
― オマケ劇場 J 〜 ムダヅモ無き風紀委員 〜 ―


石丸「」チーン

苗木「あれ? 石丸君が死んでるけどどうかしたの?」

葉隠「実はな…久しぶりに麻雀がやりたくなってよ、メンツを探してたんだべ。
    俺、先生、大和田っちは確定で、あとはセレスっちに頼むかと思ったんだが
    意外にも石丸っちが麻雀できるとか言い出して四人で打ってたんだべ」

苗木「ああ、一人大負けしちゃったんだね」

葉隠「うんにゃ、その逆。一人だけ大勝ちだ」

苗木「…え?!」

・・・

大和田「兄弟が麻雀出来るとか意外だなぁ」

石丸「今となっては苦い思い出だが、昔祖父に仕込まれたのだ。政治家になるなら麻雀は
    絶対出来ねば駄目だと。麻雀の強さこそ政治力とまで言っていた。…とんだ道楽者だ」

大和田「じいさんて元総理のか?」

葉隠「ゲェッ、石丸っちのじいちゃんは総理大臣だべか?(こりゃ仲良くなっとかねえと!)」

石丸「元だぞ。その後失墜して今は実家に借金すら遺してくれた」

葉隠「なーんだ、そうなんか。期待して損したべ」

K「…お前少しは隠したらどうだ」

石丸「ム…き、来た。風紀委員リーチ!」ズビシィッ!

三人「えっ」

石丸「えっ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/16(木) 00:42:22.10 ID:HL9FagcQ0<>
大和田「え…なんだよ、お前その風紀委員リーチって…」

石丸「技を放つ時は大きな声で放つのが礼儀だと祖父に教わったのだが…」

葉隠「なにそれこわい」

K「そもそもリーチは技なのか…」

石丸「え…違うんですか? …あ、兄弟! その牌を…その牌を本当に捨てるのかね?!」

大和田「は? なんでんなこと聞くんだよ。アガリ牌なら黙ってさっさとアガれ」

石丸「ほ、本当に良いのだな…? では行くぞ。ロン! 国士無双十三面(ライジング・サン)!!」

K「な、何ィッ?!」   大和田「ハアァッ?!!」   葉隠「ファッ?!」

大和田「う、うそだろ…」

葉隠「こ、国士とか…それも伝説の十三面待ちとか、生まれて初めて見たべ…」

K「そんなにしょっちゅうやっている訳ではないが…俺も初めて見たぞ…」

石丸「僕は初めて出せたが、国士無双は日本人なら割りと標準の技だぞ? 祖父も得意だった」

大和田「んなワケねえだろアホかああああ! どう考えてもイカサマかなんかだろ!
     つかライジング・サンってなんだよライジング・サンって?!」

石丸「全ての役には技名がついていて技を出す時には全力で叫ぶそうだ。そもそもみんな
    本気でやっているのか? 僕は轟盲牌も使えないし全然麻雀力は高くないはずだが…」

大和田「おま、マジかよ…」

葉隠「麻雀力とかなに言ってんだコイツ…こわいべ…」

K「……ウーム」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/16(木) 00:46:14.98 ID:HL9FagcQ0<>
石丸「え? え? …ハッ、もしや僕は長年祖父に騙されていたのか?! 変だと思ったのだ!
    政治も外交もローマ法皇の選出すらも実は全部麻雀で決められているとか!」

大和田「気付けよ!!」

葉隠「ここまで来ると呆れてモノも言えんべ…」

K(そういえば…政治家の病室には必ず雀卓が置いてあったような気が…
  やけにダイナミックに麻雀を打っていた記憶も…いや、そんな…まさかな…)

石丸「うわあああん! 僕は祖父のことが前より更に嫌いになったぞー!」

・・・

葉隠「その後も役満連発して石丸っちは出禁になったべ」

苗木「そんなことが…」

セレス「聞きましたわ! 石丸君はなかなか麻雀が強いそうですわね。
     是非わたくしと勝負いたしましょう。ぐにゃ〜ってさせてあげますわ!」

石丸「今はそっとしておいてくれ…」チーン



― オマケ劇場 K 〜 ムチャぶり 〜 ―


朝日奈葵――比較的常識人であり普通の感性を持った標準的な女子高生である。
しかし、そんな彼女には困った癖があった。それは、時々謎のムチャぶりをしてくることである。

朝日奈「ねえみんな見て見てー! 倉庫でいろんなエプロン見つけたんだー!」

苗木「わあ、かわいいね」

朝日奈「で、なんと昔なつかし割烹着があったのでさくらちゃんに着てみてもらいました!」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/16(木) 00:53:08.96 ID:HL9FagcQ0<>
大神「ど、どうだ?」さくらちゃん with 割烹着と三角巾

苗木「いいね! 似合ってるよ!」

石丸「ウム! まさしく日本の誇る良妻賢母だな!」

不二咲「大神さん、かわいいよぉ!」

大神「誉め過ぎだぞ、お主ら…」カァァ///

朝日奈「だってさくらちゃんはかわいいもん! …そうだ! せっかくだから男子にも着せてみよう!」

苗木「…え?」

朝日奈「えーっと、苗木と石丸はなんか普通に似合っちゃいそうだから意外性を考えて…」

苗木「なんでそこで意外性求めちゃうの?!」

朝日奈「葉隠! ちょっとあんた着てみてよ」

葉隠「俺か? まあ別にいいけど…………どうよ?」

大神「意外と良いのではないか?」

苗木「うん、けっこうイケるかもね」

葉隠「フ、やはりイケメンはなにを着ても似合っちまうな」

朝日奈「えっと次はー」

葉隠「普通にスルーされると悲しいべ」

朝日奈「ジィー」

K「……ん?(何やら視線を感じる)」

朝日奈「ジィー」(¬_¬)ジー

K「…………え」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/16(木) 00:59:06.24 ID:HL9FagcQ0<>
・・・

朝日奈「なんで逃げちゃうのさー!」プンプン!

苗木「そりゃ逃げるよ…」

大神「脱兎の如き速さだったな…」

石丸「そう怒るな、朝日奈君。西城先生の代わりに僕が着てみたぞ!」

不二咲「石丸君はやっぱり白が似合うねぇ」

朝日奈「KAZUYA先生のが見たかったのに―!」



― オマケ劇場 L 〜 入浴中プレート出来たよー 〜 ―


浴場に誰かが入浴中の時のプレートを山田に作ってもらった。>>606辺りの話だ。

K「フム、流石画家だな。よく出来ている。入浴の際にはこれを入口横の壁に立てかけることにしよう」

山田「僕にとってはこれくらいお安いご用ですぞ!」

K「この少女は何かのキャラクターなのか?」

山田「よくぞ聞いてくれました! それこそ拙者最愛のキャラでして大人気アニメ
    外道天使もちもちプリンセスぶー子の主人公ぶー子なのです! ストーリーはですな…」

K「う、うむ」

K(…最近の子供向け漫画は話や設定が複雑だな。子供はついていけるのか?)


説明しよう! KAZUYAは昭和生まれで非常に頭が古い。故に、漫画もアニメもひっくるめて全て漫画と呼ぶ。
また、大人向け深夜アニメの存在なんて当然知らないので、アニメは全て子供向けだと思っている。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/16(木) 01:13:39.05 ID:HL9FagcQ0<>
K「ちなみに、裏側は男子が入浴中に使う物のはずだが何を描いたんだ?」クルッ

モノクマ「」ドヤァ…!


そこにはお風呂セットを持ったモノクマが堂々とポーズを取っていた。


K「おい…なんでよりによって男はモノクマなのだ…」

山田「んん?wwwそんなの決まっていますぞwwwwww」

山田「男子の裸なんて罰ゲーム以外ありえないwwwwwwモノクマで十分ということですぞ!wwwwwwwwww」

K(こんな時、どんな顔をすればいいのか俺はわからない…)モアイ

・・・

苗木「あ、これが先生の言っていた入浴中パネルだね」

桑田「ちょ…女子は普通にアニメキャラなのになんで男子はモノクマなんだよ…」

大和田「風呂のたびにアイツを思い出さなきゃなんねーのか…」


男子からはちょっぴり不評だった。しかし女子からの評判はそこまで悪くはないという。


腐川「フン、山田の奴…な、なかなかやるじゃない。アニメのキャラってのは気に入らないけど」

セレス「流石山田くん、やはり絵の上手さはずば抜けていますわね。今度わたくしの肖像画でも描かせますか」

霧切「…アニメタッチの肖像画になるんじゃないかしら」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/01/16(木) 01:14:28.10 ID:HL9FagcQ0<>
ここまで
<> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/16(木) 02:07:45.92 ID:SOsutrpPo<> ムダヅモ草不可避
石丸いいなあ <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/16(木) 02:10:09.34 ID:o/7SgCab0<> Kは子供時代、ゲームとかアニメとか楽しむこともできなかったしな…… <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/16(木) 02:27:14.81 ID:QT82WxFHo<> 乙です <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>age<>2014/01/16(木) 09:27:22.37 ID:t8omu64S0<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/25(土) 01:41:07.36 ID:DMXOix/50<> 乙 <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/01/25(土) 11:34:04.32 ID:gPBcS2La0<> 乙 <> 1@携帯<>sage<>2014/01/25(土) 13:03:08.47 ID:7J1a3BUDO<> あ、埋めなくて大丈夫です
2月になったらネタを投下して一気に自分で埋めますので

ありがとうございます <>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:07:51.24 ID:O4E6Hxzm0<>
― オマケ劇場 M 〜 頂上対決 〜 ―


ギャンブル界の至宝であり最強の女帝『セレスティア・ルーデンベルク』

世界の覇権を握る十神一族最高傑作にして若き帝王『十神白夜』


…頂点に立つその二人が、相見えていた。その出会いは偶然か必然か。


セレス「あら、十神君。こんな所でお会いするなんて珍しいですこと」

十神「フン、貴様もか」

セレス「どうやら同じ穴のムジナ同士、考えることは同じようですわねぇ」

十神「この俺を貴様と一緒にする気か、女狐め」

セレス「あらあら、怖い顔ですこと」クスクス

セレス「如何です? この退屈な日常に刺激が欲しくなりませんこと?」

十神「何が言いたい」

セレス「折角の機会ですし、これを利用してわたくしと一勝負いたしませんか?」

十神「…面白い。普段なら一蹴する提案だが丁度俺も退屈していた所だ。乗ってやろう」

セレス「勝敗はシンプルに、どちらがより長く鬼から逃げられるかですわ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:10:37.51 ID:O4E6Hxzm0<>
十神「勝利は常にこの十神の元にある」

セレス「あら、勝ち誇るのは実際に勝ってからにしたらどうです?」

十神「ほざけ。では行くぞ」

セレス「行きますわよ」

ガラッ!

石丸「二人共こんな所に隠れていたのだな! 君達はどうせ授業をサボろうとするから
    早めに確保しておくようにと先生が仰っていたがその通りだ! ほら、来たまえ!
    僕の目の黒い内はサボりなど絶対に許さないからそのつもりでいるように!!」

十神・セレス「…………」


勝負結果:引き分け


― オマケ劇場 N 〜 保健室の扉は衝撃だった… 〜 ―


1はアニメから入ったにわかである。今も学園内部は想像で書いているため、
部屋のレイアウトなどはかなり適当で保健室の扉も普通の扉扱いなのだが、
もしゲーム通りのデザインの扉だったらこんなやり取りがあったに違いない。


山田「む、腐川冬子殿。こんな所で出会うとは珍しいですなぁ」

腐川「な、なによ…アタシが廊下を歩いてちゃいけないっての…?!」グギギギ

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:13:33.31 ID:O4E6Hxzm0<>
山田「いやいやいや! そんなつもりでは…ん?」

苗木「それでね、その後に舞園さんが…」

K「ウム」


ガチャッ、バタン


山田・腐川「…………」

山田「なんか、あれですな…長身でゴツい西城カズヤ医師が小柄で中性的な顔をしている
    苗木誠殿と一緒にあの扉をくぐると、こう薔薇の香りっぽいものを感じますなぁ」

腐川「ヒッ! あ、あ、あんた…なにを考えてんのよ?!」

山田「おや? 腐川冬子殿はこういう話は好きかと思いましたが…」

腐川「な、なんでアタシが…気持ち悪い。あんたと一緒にしないでよ!」

山田「またまたそんなこと言って〜。拙者聞いてしまったのですぞ! 腐川殿が怪しい目で
    苗木誠殿を見つめながら『やっぱ白夜様×まーくんが王道よねー! あ、でもまーくんなら
    相手が誰でも行けるから総受けオーケー! ただし山田以外』って言っているのを」

腐川「っ…!」サアァー

山田「全く失礼な話です。まあ僕はBLは対象外なのですが、後学のために少しお話でも…」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:20:36.94 ID:O4E6Hxzm0<>
腐川「そ、その話…!!」

山田「はい?」

腐川「もし、誰かに言ったら…こ、こ、こ、コロスわよ!」

山田「ひぃぃぃっ、お助けを!」

腐川「ぜ、絶対にっ! 言うんじゃないわよっ!!」ダダダダッ

山田「行ってしまいましたな…隠れ腐女子というヤツでしょうか。僕のように
    オープンなオタクになれば楽でしょうに、険しい道を行きますなぁ…」

・・・

朝日奈「あ、山田! なんか腐川ちゃんが凄い顔して走ってきたけど、あんたなんか知ってる?」

山田「いえ。乙女心は難しいなぁと思いまして」

朝日奈「そ、そうだよ! 女の子の心は難しいんだからね!」←本当は自分もよくわかってない。


― オマケ劇場 O 〜 続・医療実習 〜 ―


苗木「やった! 取れたぞ!」

メスで魚の角膜を切り、ピンセットで中から綺麗な透明の球体を取り出す。

K「それが魚の水晶体だ。綺麗だろう?」

苗木「はい! へぇー、目の中ってこうなってるんだ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:25:20.76 ID:O4E6Hxzm0<>
K「人間の目の水晶体はいわゆるレンズ状になっており、厚みを変えることでピントを調整しているが、
  魚にはその機能がない。何故魚の水晶体が球形になっているかと言うと、屈折率の差だ」

K「空気中では光は大きく屈折するが水中ではほとんど屈折しない。故に、水晶体で屈折率を補っているのだ」

苗木「へえ〜、そうなんだ」

K「その水晶体越しに外を見てみろ。上下反転して見えるはずだ」

苗木「え?! あ、本当だ。なんでだろう?」

K「魚だからではなく、人間の目も本来は反転して映っている。それを脳が反転補正して
  認識しているため、我々は真っ直ぐに世界を見ることが出来ているのだ」

石丸「苗木君、屈折率や水晶体による画像の反転は中学の授業で既に習っているはずだぞ!」

苗木「あ、その、ごめん…ちょっと忘れてて…」

K「いいじゃないか。そういうこともあるさ。今身を以って学んだのだから、もう忘れないだろう」

苗木「う、うん! 今度は完璧に覚えたよ!」

石丸「まあいい…しかし君は本当に器用だな。僕はいまだに内臓と悪戦苦闘しているというのに」

苗木(それって単に石丸君が不器用なだけじゃあ…)

石丸「よし! 僕もいよいよその水晶体摘出の作業に入るぞ!」

苗木「頑張って!」

石丸「……。……。あ、ああっ!」グニュッ!

苗木「あ…(潰しちゃったよ…)」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:31:27.68 ID:O4E6Hxzm0<>
石丸「やってしまった……凄く、楽しみにしていたのに……」

K「落ち着け。目は二つあるんだ。もう片方で挑戦し直せばいい」

石丸「は、はい! ……。……。……。う゛っ! わあああああああっ!」

K「……」無言で頭に手をやる

苗木「…だ、大丈夫。次があるよ。明日もあるし。ね?」

石丸「苗木ぐん…君は本当に良い奴だな」涙目

苗木(これがこれから毎日続くのか…ハアァ〜…)



― オマケ劇場 P 〜 超高校級の主人公 〜 ―


桑田「せんせー、野球付き合ってくれよー」

石丸「西城先生! 勉強を教えて下さい!」

朝日奈「えーっ?! 先生は先に私達と泳ぐんだよ!」

大神「…後で構わないので、どうか我と手合わせをして頂きたい」

葉隠「先生、この壺買わねえか? K先生なら特別に安くしとくべ!」

不二咲「……(西城先生とお話したいけど入れない…)」オロオロ

ヤイノヤイノガヤガヤ

K「みんな、わかったから順番にな。あと壺は買わんぞ!」

葉隠「……チッ」

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:34:00.12 ID:O4E6Hxzm0<>
・・・

K「フゥ…(やっと全部終わった。流石に少し疲れたな…)」

苗木「先生、良かったらどうぞ」つ旦~スッ

K「苗木、すまんな」ジーン…

苗木「疲れたでしょ? 肩でも揉んであげましょうか?」

K「いや、生徒にそこまでさせる訳にもいかん。俺も一応まだ若いしな。気持ちだけ貰っておくよ」

苗木「あ、あと不二咲さんが先生とお話したいみたいでしたよ?」

K「わかった。後で行く。…本当にいつもすまん」

苗木「僕に出来るのってこのくらいだから。ハハ」

K「いや、とても助かる。ありがとう」ポンポン


苗木誠。

特筆すべき才能は何も持たない王道も裸足で逃げ出す平凡中の平凡な少年。

だが、超高校級の気遣いとコミュニケーション能力を持ち、
持ち前の前向きさと優しさで周囲を支える縁の下の力持ち的存在である。

そう、苗木誠こそ超高校級の主人公なのだ!

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:39:13.50 ID:O4E6Hxzm0<>
最後に唐突に頭に浮かんだ各キャラのスキル一覧表みたいなものを書いてみる。

ゲームの攻略本とかに載ってるキャラデータみたいなノリですが、今後の展開によっては
矛盾が出るかもしれないので、スレを埋めるためのオマケ要素くらいに考えて下さい。

×が付いているのはマイナススキル。スキルごとに強弱があり、例えば
固有スキルの洞察力>通常洞察力>観察力みたいな感じになっている。


[ 苗木 誠 ]

通常スキル

・集中力
・観察力
・推理力
・閃き
・論破:相手を論破した時のダメージ1,5倍。
・前向き:逆境でも持ちこたえることが出来る。
・器用貧乏:大体のことが初見でまあまあこなせる。

特殊スキル(そのキャラ固有のスキル)

・超高校級の幸運:普段は不運だがいざという時に発動する。
・超高校級のコミュニケーション:誰と組んでも相手の能力を下げない。

〈 m e m o 〉

ひと目で分かる通りバッドスキルが一つもなく、能力の編成も悪くないバランス型。
強スキルが少ないのでパワーに欠けるが、コミュニケーション能力が高いおかげで
相性の悪い人間がなく、誰と組んでも力を発揮することが出来るのが最大の長所。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:43:08.01 ID:O4E6Hxzm0<>
[ 桑田 怜恩 ]

通常スキル

・瞬発力
・反射神経
・豪腕:実は投げる以外も凄い。
・スタミナ
・ムラッ気×:気分屋で感情的な所がある。

特殊スキル

・超高校級の野球能力:打っても投げても的確に目標を狙撃出来る。
・超高校級の動体視力:凄く目が良いので素早い動きも見切れる。
・ダントツの切り替え:気分の持ち直しが早く、絶望しても復活可能。

〈 m e m o 〉

見ての通り頭脳系のスキルが一つもなく、頭脳労働は全く期待出来ない。
ムラッ気があるためコントロールもしづらく、他の人間との相性も差が激しい。
ただ、代わりに身体能力は全生徒の中でも屈指であり運動面では期待出来る。


[ 舞園 さやか ]

通常スキル

・集中力
・記憶力
・直感
・瞬発力
・対人交渉

特殊スキル

・歌姫の度胸:いざという時大胆な行動を取れる。
・女優の演技力
・エスパーですから:高い人間観察能力による読心術が使える。

〈 m e m o 〉

苗木同様非常にバランスが良い。運動系のスキルも持っているため純粋な
推理能力は苗木よりも劣ってしまうが、対人交渉や人間観察能力を活かして
周囲の人間を補佐する役割に回すと高いサポート能力を発揮する。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:49:46.72 ID:O4E6Hxzm0<>
[ 桑田 怜恩(改) ]

通常スキル

・瞬発力
・反射神経
・豪腕
・スタミナ
・閃き

特殊スキル

・超高校級の野球能力
・超高校級の動体視力
・ダントツの切り替え
・ダイヤのエース:強化版ムードメーカー。流れを大きく変えることが出来る。
・逆境ナイン:仲間がピンチになると能力が上がる。

〈 m e m o 〉

ムラッ気がなくなり精神的に安定した。相変わらず頭脳面は弱いが、閃きが加わっている。
特殊スキルに仲間との連携を前提とするスキルが加わったのはチームスポーツの人間ならでは。
KAZUYA・霧切・苗木など頭脳面を補うキャラと組ませれば文句なしの強キャラと呼べる。

<>
◆4hcHBs40RQ<>saga<>2014/02/09(日) 17:53:08.70 ID:O4E6Hxzm0<>
[ KAZUYA(西城カズヤ・ドクターK) ]

通常スキル

・マイナススキル以外の全通常スキル

特殊スキル

・神のメス:高速かつ精緻なメス裁きを可能にする。
・医の洞察力:長年の診察から得た高い洞察力。
・野獣の如き肉体
・帝都大主席の頭脳
・鋼の精神力:何があっても屈しない強靭な精神力。

スペシャルスキル:特殊スキルを更に超えた必殺技的存在。

・K一族の血:十分な設備があり即死でない状況なら必ず助けることが出来る。

〈 m e m o 〉

次元が違う圧倒的なハイスペックの持ち主。頭脳面・運動面両方で
最高位の能力を誇り、安定した精神も併せ持つ化け物みたいな人間である。

そして、これほど高い能力を持ちあわせたKAZUYAでもかなりの苦戦をしていることから、
このコロシアイ学園生活と黒幕がいかに凶悪かつハードな存在かが伺い知れる…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


モノクマ「以上でこのスレは終わりです!」

ここまで読んで下さり、誠にありがとうございました。
それでは次スレでまたお会いいたしましょう!


桑田「俺達のせんせーは最強だ!」石丸「西城先生…またの名をドクターK!」カルテ.2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387896354/

<> 1001<><>Over 1000 Thread<>           , -―  、
         /       丶
        /          ヽ      こんなにもスレ住民達がおじぎに飢えてるとは思わなかった
        i   _,,_ル,,rョュ 、 i
        |  ィ rっフ , 弋ミア |r,         わたしの愛を  全てのスレ住民に!!!
       _|  "''"~ ハ   ハ   .i;{ 
       } ;    / " '  ヽ   |j  _   \ニニニ ニニニ   
        λヽ    r―''"入  /イ/ハ:.:/{ ノ !:::::|    ___ノ^ヽニニニニニ
      /.:::::  i   廷廾ニツ, , -――- 、 /:::::/ /      ̄`ヽニニニニニニ
     /.:::::::::::::: i、  - / -―- 、⌒V::::::/ // j___ノ、  ヽニニニニニ
  /ニニ、`ヽ`ヾ;  ヘ.イ 、__(   >  \/ (__ ノニニニ     \ニニニニニ
 ,仁ニニニ\ヽヽヽ ∨   /ニニ>彡>--')__ ノ    `ヽニ     \ニニニニ
 ニニニニニニヽ   /     {ニニ> ´ `¨¨´         ニ}      \>''"´
 ニニニニニニニニ/     ∨ /               }八
 ニニニニニニニ./        }ニ{  >>1000 thread over    ノニヽ     ノ
 ニニニニニニニ/       }ニハ               /⌒ヽヽヽ ___彡
 ニニニニニニニ!        ノニニヽ、            /     ` ー=彡'ニニニニ
 ニニニニニニニ}          ⌒`丶、     /⌒ヽ  ノ     ノ____
  / ̄ ̄ ̄`ヽ/ヽ、 _彡ヘ{ {        > 、 /     /  ̄ ̄ ̄
           /   ヾ、    ヽ ヽ      (    `{    / SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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【本職以外募集】役職シャッフル企画【頓挫しても泣かない】 @ 2014/02/09(日) 16:59:11.21 ID:QjTbhsBN0
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男「みちゅいしゅみとぅもひざガード?」女「便利だよ!」 @ 2014/02/09(日) 16:42:18.80 ID:wADgLYJV0
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パー速でパズドラ★162 @ 2014/02/09(日) 15:37:05.82 ID:Eh17Apdko
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高垣楓「ハロ」 @ 2014/02/09(日) 15:22:31.50 ID:zViuamVJ0
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咲「野球って楽しいよね。安価でいっしょに楽しもうよ!!」 五十九本場 @ 2014/02/09(日) 15:21:55.70 ID:jZpD82C6o
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