◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 18:24:27.35 ID:8ywnataZO<>スマージャ森

ここには摩訶不思議な動物達が沢山暮らしています。

特に森の奥にひっそりと建っている「Witch Shop」はネーミングセンスこそは三流ですが、店長の可愛さや取り揃えている品は一流です。

おや、今宵も誰かが来た様ですよ……。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396344267
<>【SS】スマージャ森の魔女
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 18:25:48.66 ID:8ywnataZO<> バタン

エルフ「ハァッハァッ……くそッ」

魔女「いらっしゃいませ、お客様」

エルフ「……あ? あぁ、ここ店だったのか」

エルフ「まあいい、僕を少しの間匿ってくれ。少しでいい」

魔女「匿う?」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 18:27:13.87 ID:8ywnataZO<> エルフ「そうさ! ルー・ガルーの兄弟に追われててさ」

魔女「ルー・ガルーと言えば、この森を仕切っている狼男のことですよね」

エルフ「当たり前だろ? 投げた小石がどう言う訳か頭にHITしちまって」

エルフ「早く匿っておくれよ、奴らが来ちまうよ!」

魔女「メイドさんはどう思います? 匿ってあげますかねー」

メイド「……」フルフル <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 18:31:22.85 ID:lLY3dKe8O<> エルフ「な、なに首横に振っちゃってんの!?」

魔女「いやー、人にものを頼む態度がなってないと言うかー」

エルフ「こっちは死ぬか生きるかの瀬戸際だぞ!」

エルフ「お、隠れるにうってつけの壺があるじゃないか」

魔女「それは商品で」

エルフ「ルー・ガルー達が来ても僕の事は言わないでくれよ!」サッ <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 19:24:55.00 ID:0NZKuVZkO<> 魔女「……やれやれ。厄介な客が来たもんですねー」

メイド「……」コクコク

魔女「コーヒー淹れましょうか。メイドさんはホットとアイスどっちにします?」

メイド『HOTで』カキカキ

魔女「はいはいホットですね」
<>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 19:26:31.30 ID:0NZKuVZkO<> 突如、店の扉が乱暴に開かれた。

兄者「ウォーウウォーウ!」

弟者「ウェーイウェーイww」

エルフ(や、奴らだ。奴らが来たんだ……!)ブルッ

魔女「おや、お客様ですか。いらっしゃいませー」ペコリ <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 19:27:24.88 ID:0NZKuVZkO<> 兄者「陰気な店だ。怪しい魔女に嫌と言う程肌が青白いメイドか」

弟者「兄者、さっさと用事済ましちゃおうぜ」

兄者「おい店長! ここに弱っちぃエルフの少年が来なかったか」

魔女「うーん……」

エルフ(マジで頼むよ……見つかったらボコボコどころじゃないんだ)

魔女「つい先程まで来てましたよ」
<>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 19:28:19.13 ID:0NZKuVZkO<> エルフ(ばっ馬鹿っ!)

弟者「聞いたか兄者! まだ店内におるかもしれんぜ」

弟者「例えばこの……」

弟者「銅製の壺の中とか!」ガンッ

エルフ(ひっ……)
<> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<><>2014/04/01(火) 20:23:06.59 ID:J+VvtL120<> 続きはまだかね <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 20:42:04.45 ID:wEXnIyR4O<> 兄者「おま、天才か!」

弟者「いやいや、単なる当て推量だよ当て推量」

兄者「てなわけで店長! 壺を貰っていくぜ」

魔女「駄目です。ちゃんとお代を支払って下さい。ねー?」

メイド「……」ウンウン <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 20:42:52.85 ID:wEXnIyR4O<> 兄者「何だ何だァ? 俺達から金を巻き上げようってんのかゴルァ」

弟者「頸動脈噛み切るぞゴルァ」

魔女「……こちとら商売なんでね。どうしても払わないなら」

魔女「永遠にその壺を持ち帰ることはできない」パチン

兄者「しょっぺえ魔術のお出ましか?」

弟者「あ、兄者……つ、壺が!」
<>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 20:44:21.39 ID:wEXnIyR4O<> 兄者「お前何でそんなに怯えてるんだ。別に普通の……あっ!!」

兄者「壺が銀製になってやがる!」

魔女「ルー・ガルーは銀が弱点と聞いたんです」

魔女「その気になれば店全体を銀製にできますけど、いかがかしら?」

メイド『いかがかな?』カキカキ <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 20:47:55.28 ID:wEXnIyR4O<> 兄者「ひぃ! わ、私達が悪うござんした、だから銀だけは止めて!」

弟者「些細な事でキレたりしませんから、勘弁して〜!」

バタン

魔女「あらら、逃げちゃいましたか。案外チキンでしたね」

魔女「ほら、坊やも壺から出て良いですよ」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 21:11:07.35 ID:dTr+ghKqO<> エルフ「戦いもせずにルー・ガルーを追い払ったのか……」

メイド『彼らはお金を払わなかった。この店で窃盗は禁忌』スラスラ

エルフ「反対に言えば、奴らが酷い荒くれ者で無ければ……」ゾッ

魔女「で」

魔女「守ってあげたのだから何か買って行きなさい」ニヤ <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 21:52:18.30 ID:Aj9DVCFV0<> エルフ「買うっても今、金が無くて……」

ノーム「おおっとこりゃたまげた! お若いの、無銭飲食する気かい?」

魔女「まぁノームさん、いつの間にいらっしゃったのですね」

ノーム「こんばんは、素敵な魔女さんそれと死臭漂うメイドさん」ペコ

エルフ「死臭漂う?」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 21:53:14.77 ID:Aj9DVCFV0<> ノーム「お若いのには関係ないわい! 先立つもん用意して、おととい来やがれ」

エルフ「そんな言い方無いだろ」

魔女「さて、今宵は何をお求めに?」

ノーム「ちとワシらの集落で厄介事があってね」

ノーム「実際に来てみれば分かる事じゃが」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 21:53:58.24 ID:Aj9DVCFV0<> 魔女「承りました。すぐにノームの里に向かいましょー」スッ

エルフ「おい、待ってくれ。あんたが抜けたら誰が店長やるんだ」

魔女「? 誰もやりませんよ。少しお暇を頂くだけです」

魔女は外に出ると扉に掛かっている『OPEN』の看板を『CLOSED』に裏返した。 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 21:54:43.74 ID:Aj9DVCFV0<> 魔女「ではノームの里に出発進行ー。あ、メイドさん荷物持って下さいね」

メイド「……」ドサッ

エルフ「は!? メイドさん何で僕に荷物持たせるんだよ?」

ノーム「金が無ければ下働きもしなくてはならぬ」

エルフ「……全く、難儀な店だよ!」

第一話・完
<>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 21:55:37.66 ID:Aj9DVCFV0<> こんな感じで亀進行で投下していきますm(_ _)m <> ◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 22:07:38.11 ID:Aj9DVCFV0<> 第二話

「Witch Shop」は本当に奇妙な店だ。

何せ店長の気分次第で開店したり休んだりするのだから。

僕は一介の客なのだが、金が無いせいで下働きをさせられている。

本来荷物持ちも、従業員のメイドさんがすべきなのにね。 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 22:08:53.50 ID:Aj9DVCFV0<> エルフ「なぁ、そろそろ誰か代わってくれよ。乳酸溜まり切って、くたくたなんだ」

ノーム「ワシは背が低いからパス」

魔女「私は店長なので」

メイド「……」

エルフ(血も涙もないな)
<>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 22:13:28.26 ID:Aj9DVCFV0<> エルフ「メイドさんは力も強そうだし……肉体労働は適材適所だよな」

メイド「……」

エルフ「無視するなよ、そんな暗い性格じゃお嫁に行けないぞ」

メイド「……」ムカッ

ギュムッ

エルフ「痛だだッ! ちょ、金玉潰れるから! ごめんなさい!」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 22:16:05.77 ID:Aj9DVCFV0<> ノーム「情けないのぅ。エルフとは皆軟弱者なのか?」

魔女「メイドさん、川で手洗った方が良いですよ」

魔女「エルフ汁がついてるかもですから」

エルフ「何だよエルフ汁って……」

青汁みたいなニュアンスで言わないで欲しいな。 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 23:00:15.73 ID:Aj9DVCFV0<> そんなこんなで太陽が地平線に現れる頃にはノームの里に到着した。

魔女「くぅ……くぅ……」

エルフ「着いたぞ! 起きなさい!」

メイド「……」チョンチョン

エルフ「あ? んだよ……」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 23:01:46.74 ID:Aj9DVCFV0<> 魔女は魔力を温存するため、 昼間は寝ていないと過労死してしまうらしい。

その間は代わりにメイドさんが店長を務めるのだとか。

僕としては逆の方がピッタリだと思うけど。

いやね、メイドさんって闇の住人的なイメー……痛い痛い!! <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/04/01(火) 23:23:11.44 ID:J+VvtL120<> 縺翫b繧阪> <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 23:24:39.67 ID:Aj9DVCFV0<> エルフ「ふぅ、痛かったー。これじゃ金玉いくらあっても足りないな」

エルフ「あ、やべ……フラついてきた。昨日ろくに寝てなかったからか」

ノーム「コラッ! 若者は寝るな! トンカチで足の爪叩き割るぞ」

エルフ「……いやごめん。これマジで無理」フラフラ

エルフ「メイドさん……ベッド代わりに使わせてもらいます」ギュ

ノーム「…… 仕方のない奴じゃ」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 23:30:41.15 ID:Aj9DVCFV0<> ノームは元来地下に居住区を構える妖精だ。

妖精・魔物名鑑にもそう記されているからね。

しかし、実際は違ったらしい。

メイドさんの筆談によれば、木でできた立派なお屋敷が何軒もあったんだと。

何が地中の妖精だ、名鑑の信憑性がますます薄れたよ。 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 23:34:31.87 ID:Aj9DVCFV0<> ノーム1「あ、王様だ!」

ノーム2「王様が帰ってきたわ!」

ノーム「皆の者、静まれ! 『Witch Shop』の人を連れて来たぞ」

ザワザワ

ノーム1「この姉ちゃんが?」

ノーム2「綺麗だけど何だか機会人形みたいで怖いわ」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 23:36:37.40 ID:Aj9DVCFV0<> ノーム「失礼な事を言うな!」

ノーム「では、ワシの屋敷へどうぞ。店長とエルフは寝かせよう」

メイド「……」コク

???「……どうも腑に落ちねぇ」

???「絶対に正体を暴いてやる」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 23:40:44.84 ID:Aj9DVCFV0<> ーノームの屋敷ー

ノーム「では早速本題へ入ろうか」

ノーム「ワシらは地中で工芸品を作り、北の街に出荷している」

メイド『ふむふむ』

ノーム「街とスマージャの森を繋ぐ交易路が一つしかない事は知っとるな?」

メイド『はいはい』 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/01(火) 23:45:30.74 ID:Aj9DVCFV0<> ノーム「その交易路が一人のドワーフに占領されてしまったのじゃ」

ノームの変異個体・ドワーフ。

高い身長に加え、卓越した身体能力を誇る危険な妖精だ。

ノーム「通路の脇に潜み、通る商隊を見かけては襲いかかっている」

ノーム「……ワシの息子もドワーフに襲われ死んだ」

ノーム「……これは一種の弔い合戦の様なものよ」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/02(水) 02:15:40.00 ID:KMO/La840<> ノーム「……ドワーフを、討ち取って来てくれ。ワシが望むのはそれだけじゃ。受けてくれるか」

メイド『店長に聞かないと判りませんが、多分受けると思いますよ』カキカキ

ドワーフ「そうか……それを聞いて安心した……。息子も空できっと喜んでいるじゃろう」

???「騙されるな!」

メイド「……?」
<>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/02(水) 02:18:18.23 ID:KMO/La840<> ノーム「ベン!」

ベン「爺ちゃん、こいつらこそドワーフの手先だ!」

ノーム「ベン、いくらワシの孫だからって、言って良い事と悪い事があるぞ」

ベン「もう俺も12歳、立派な大人だ! ドワーフくらい俺に任せてくれ!」

ノーム「ベン! ドワーフに何人ものノームが殺されているのだぞ。……お前の父親もな」 <>
◆wgDcRX/7A6JX<>saga<>2014/04/02(水) 11:20:04.48 ID:KMO/La840<> ベン「爺ちゃんまで俺を止めるのか? フン! 見損なったぜ!」ダッ

メイド「……」

ノーム「す、済まん。血気盛んな年頃でな……誰に似たのやら」 <>