■掲示板に戻る■
■過去ログ倉庫メニュー■
■VIPService (VIPサービス)■
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みはできません。。。
HTML化した人:
Kastanie
★
「赤信号」「青信号」
1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
2015/06/11(木) 19:02:25.65 ID:5GdFHXjm0
排気ガス交じりの生ぬるい風が鼻を掠める。
半そでにはまだ早い6月の頭、午後1時、日差しが強くて目が痛い、そんな帰り道。
錆びた自転車のチェーンがキシキシと音を鳴らす。
隣の彼女の歩くスピードに合わせて、ペダルを漕ぐ。
赤信号
「もう」
「すっかり夏だね。」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1434016935
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
2015/06/11(木) 19:04:14.03 ID:5GdFHXjm0
青信号
「いや、まだ六月、だし、微妙に、寒い。」
「私は熱い。」
「そっか、それは、仕方ない、ね。」
会話が途切れる、いつものこと。
「でも、さ。」
「ん?」
「梅雨、とか、あるし。」
「ここ北海道じゃん。」
「あ、そうだ。」
「梅雨ないよ。」
「一年、たつのに、忘れちゃう、ね。」
「私はまだ二か月。」
「ああ、そうだった。」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
2015/06/11(木) 19:05:31.92 ID:5GdFHXjm0
青信号
「いや、まだ六月、だし、微妙に、寒い。」
「私は熱い。」
「そっか、それは、仕方ない、ね。」
会話が途切れる、いつものこと。
「でも、さ。」
「ん?」
「梅雨、とか、あるし。」
「ここ北海道じゃん。」
「あ、そうだ。」
「梅雨ないよ。」
「一年、たつのに、忘れちゃう、ね。」
「私はまだ二か月。」
「ああ、そうだった。」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
2015/06/11(木) 19:08:46.14 ID:5GdFHXjm0
二か月、そうだ二か月たった。
それでもいまだに彼女との距離感を掴めずにいる。
うまく話そうとしなくても、どうしても次の言葉を選んでしまう。
たった一言でも間違えてしまったら、崩れていきそうで、怖くなる。
離れてしまいそうで、とても、怖くなる。
実際、そんな簡単に離れていくことはないのだろうけど。
交差点が近い、そろそろ彼女と別れる場所。
赤信号、また引っかかった。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
2015/06/11(木) 19:10:15.35 ID:5GdFHXjm0
「じゃあ、ここで。」
「ん、じゃねーまた明日。」
「また明日、じゃあね。」
青信号、交差点を後にして一人の家路を歩く。
パン屋、喫茶店、駄菓子屋、ここからの帰り道には常に甘苦いにおいが漂っている。
お腹が減った、早く帰ろう。
少し前の考え事も、空腹の前では無力だった。
Pastlog.cgi Ver2.0
Powered By
VIP Service
Script Base by
toshinari